港区議会 1995-03-02
平成7年第1回定例会−03月02日-01号
平成7年第1回定例会−03月02日-01号平成7年第1回定例会
平成七年 東京都港区
議会議事速記録 第一号(第一回定例会)
平成七年三月二日(木曜日)午後二時開会
一 出席議員(三十六名)
一 番 星 野 喬 君
二 番 堀 野 国 雄 君
三 番 石 塚 壮 一 君
四 番 大 谷 たき子 君
六 番 鈴 木 洋 一 君
七 番 きたしろ 勝 彦 君
八 番 おぎくぼ 省 吾 君
九 番 岸 田 東 三 君
十 一番 風 見 利 男 君
十 二番 沖 島 えみ子 君
十 三番 清 水 良 英 君
十 四番 木 村 のり子 君
十 五番 藤 本 潔 君
十 六番 滝 川 嶂 之 君
十 七番 佐々木 義 信 君
十 八番 菅 野 一 君
十 九番 井 筒 宣 弘 君
二 十番 鈴 木 たけし 君
二十一番 宮 崎 一 二 君
二十二番 北 村 利 明 君
二十三番 清 水 一 郎 君
二十四番 山 越 明 君
二十五番 渡 辺 専太郎 君
二十六番 西 山 信 男 君
二十七番 金 子 久 雄 君
二十九番 大 蔦 幸 雄 君
三 十番 川 村 蒼 市 君
三十一番 栗 橋 伸次郎 君
三十二番 大 橋 昭 二 君
三十三番 長 島 五 郎 君
三十四番 遠 山 高 史 君
三十五番 横 山 勝 司 君
三十六番 松 岡 昭 夫 君
三十七番 植 木 満 君
三十九番 真 下 政 義 君
四 十番 島 田 幸 雄 君
一 欠席議員(二名)
五 番 鈴 木 武 昌 君
三十八番 伊 東 徳 雄 君
一 説明員
東京都港区長 菅 谷 眞 一 君
同 助役 上 田 曉 郎 君
同 助役
徳 竹 邦 夫 君
同
住宅対策室長
同 収入役 鎌 田 昶 壽 君
同 教育長 馬 田 博 好 君
同 企画部長 新 田 浩 君
同 総務部長 高 杉 眞 吾 君
同
都市環境部長 永 尾 昇 君
同 区民部長 中 村 勝 弘 君
同 厚生部長 塚 中 和 夫 君
同
保健衛生部長 浦 野 隆 君
同 土木部長 戸 張 好 一 君
同
教育委員会事務局次長 佐々木 護 君
一
出席事務局職員
事務局長 黒 滝 康 夫 君
事務局次長 大 槻 巌 君
議事係長 内 田 聡 君
他五名
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議事日程
平成七年三月二日午後一時
日程第一議案第一号東京都港区職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
日程第二議案第二号東京都港区立港
南荘住宅条例の一部を改正する条例
日程第三議案第三号東京都港区
特定公共賃貸住宅条例の一部を改正する条例
日程第四議案第四号東京都
港区営住宅条例の一部を改正する条例
日程第五議案第五号東京都
港区立住宅条例の一部を改正する条例
日程第六議案第六号東京都
港区立勤労福祉会館条例の一部を改正する条例
日程第七議案第七号東京都港区
老人福祉手当条例の一部を改正する条例
日程第八議案第八号東京都港区敬老金支給に関する条例の一部を改正する条例
日程第九議案第九号東京都港区
児童育成手当条例の一部を改正する条例
日程第十議案第十号東京都港区
心身障害者福祉手当条例の一部を改正する条例
日程第十一議案第十一
号財団法人港区住宅公社に対する助成に関する条例
日程第十二議案第十二
号財団法人港区
勤労者サービス公社に対する助成に関する条例
日程第十三議案第十三号東京都港区動物病院等に関する条例を廃止する条例
日程第十四議案第十四号東京都港区
国民健康保険条例の一部を改正する条例
日程第十五議案第十五号東京都港区立
エコプラザ条例
日程第十六議案第十六号東京都港区奨学資金に関する条例の一部を改正する条例
日程第十七議案第十七号東京都港区議会議員及び区長の選挙における選挙運動の公費負担に関する条例の一部を改正する条例
日程第十八議案第十八号東京都港区議会議員及び区長の選挙における選挙公報の発行に関する条例の一部を改正する条例
日程第十九議案第十九号平成六年度東京都港区
一般会計補正予算(第五号)
日程第二十議案第二十号平成六年度東京都港区
国民健康保険事業会計補正予算(第三号)
日程第二十一議案第二十一号平成六年度東京都港区
老人保健医療会計補正予算(第二号)
日程第二十二議案第二十二号平成七年度東京都港区
一般会計予算
日程第二十三議案第二十三号平成七年度東京都港区
国民健康保険事業会計予算
日程第二十四議案第二十四号平成七年度東京都港区
老人保健医療会計予算
日程第二十五議案第二十五
号工事請負契約の承認について(
港区立高松中学校擁壁改修工事)
日程第二十六議案第二十六
号土地収用事件の和解について(
都市計画道路事業補助線街路第七号線)
日程第二十七議案第二十七号町の区域の新設について(台場)
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追加日程
平成七年三月二日午後一時
日程第二十八議案第二十八号東京都港区特別区税条例の一部を改正する条例
日程第二十九
議員星野喬君に対する懲罰の動議について
(
懲罰特別委員会審査報告)
日程第三十
議員北村利明君に対する懲罰の動議について
(
懲罰特別委員会審査報告)
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○議長(大蔦幸雄君) ただいまより平成七年第一回東京都港区
議会定例会を開会いたします。
今回の応招議員はただいま三十五名であります。したがいまして、本定例会は成立いたしました。
お諮りいたします。
今期定例会の会期は本三月二日から十六日までの十五日間といたしたいと思いますが、ご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大蔦幸雄君) ご異議なきものと認め、さよう決定いたしました。
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○議長(大蔦幸雄君) これより本日の会議を開会いたします。
ただいまの出席議員は三十五名であります。
会議録署名議員をご指名いたします。十一番風見利男君、十二番沖島えみ子君にお願いいたします。
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○議長(大蔦幸雄君) 報告事項がありますので、ご報告いたします。
まず、職員に
定例会招集の報告をさせます。
〔
大槻事務局次長朗読〕
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六港総総第八一八号の二
平成七年二月二十日
東京都港区議会議長 大蔦幸雄殿
東京都港区長 菅谷眞一
平成七年第一回東京都港区
議会定例会の招集について(通知)
本日、
別紙告示写しのとおり、
標記定例会を三月二日(木)に招集したので通知します。
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(写)
東京都港区告示第十六号
平成七年第一回東京都港区
議会定例会を三月二日に招集する。
平成七年二月二十日
東京都港区長 菅谷眞一
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○議長(大蔦幸雄君) 次に、説明員の異動について、
区長並び選挙管理委員会委員長からそれぞれ通知がありましたので、職員に朗読させます。
〔
大槻事務局次長朗読〕
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六港総総第六八二号
平成六年十二月十二日
東京都港区議会議長 大蔦幸雄殿
東京都港区長 菅谷眞一
説明員について(通知)
地方自治法第一二一条の規定に基づく標記のことについて、下記のとおり通知します。
記
一 新規(平成六年十二月七日付)
助役 上田曉郎
収入役 鎌田昶壽
二 異動(平成六年十二月七日付)
住宅対策室長事務取扱助役 徳竹邦夫
厚生部長 塚中和夫
厚生部管理課長事務取扱厚生部長 塚中和夫
異動(平成六年十二月十二日付)
総務部副参事(人事・
厚生制度調査担当)
兼務総務部職員課長 渡邊嘉久
三 解除(平成六年十二月六日付)
住宅対策室長 鎌田昶壽
厚生部長 上田曉郎
解除(平成六年十二月十二日付)
総務部副参事(人事・
厚生制度調査担当) 小菅信雄
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六港選第三六一号
平成六年十二月十三日
東京都港区議会議長 大蔦幸雄殿
東京都港区
選挙管理委員会委員長 高橋徳男
説明員について(通知)
このことについて、
地方自治法第一二一条に基づき下記のとおり通知します。
記
一 新規(平成六年十二月十二日付)
事務局長 小菅信雄
二 解除(平成六年十二月十一日付)
事務局長 竹内和夫
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六港総総第七一一号
平成七年一月四日
東京都港区議会議長 大蔦幸雄殿
東京都港区長 菅谷眞一
説明員について(通知)
地方自治法第一二一条の規定に基づく標記のことについて、下記のとおり通知します。
記
一 新規(平成七年一月一日付)
赤坂保健所予防課長事務取扱参事 飯塚啓介
二 解除(平成六年十二月三十一日付)
赤坂保健所予防課長事務取扱赤坂保健所長 伊藤和子
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○議長(大蔦幸雄君) 次に、
例月出納検査の結果について、報告書が監査委員から議長の手元に提出されておりますので、その概要を職員に朗読させます。
〔
大槻事務局次長朗読〕
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六港監第一〇一号
平成六年十二月十二日
東京都港区議会議長 大蔦幸雄殿
東京都港区監査委員 大野高正
同 松岡昭夫
平成六年十一月
例月出納検査の結果について
地方自治法第二三五条の二第一項の規定に基づき
例月出納検査を実施したので、同法同条第三項の規定により、結果に関する報告を下記のとおり提出します。
なお、今回の検査は、
大野高正監査委員及び
松岡昭夫監査委員が行い、
武内十郎監査委員は関与していません。
記
一 検査の範囲
(一)検査対象
区一般会計、
国民健康保険事業会計、
老人保健医療会計、雑部金、基金
(二)検査場所 港区
監査事務局
(三)検査期間 平成六年十一月二十四日から十一月二十八日まで
二 検査の結果
本検査においては、収入役から提出された平成六年十一月(平成六年十月分)
例月出納報告書の計数について、出納関係諸帳簿及び諸票、
指定金融機関提出の
収支計算書、預金通帳、証拠書類、証券等と照合し検証した結果、過誤のないことを確認した。
───────────────────────────
六港監第一〇九号
平成七年一月十日
東京都港区議会議長 大蔦幸雄殿
東京都港区監査委員 大野高正
同 松岡昭夫
平成六年十二月
例月出納検査の結果について
地方自治法第二三五条の二第一項の規定に基づき
例月出納検査を実施したので、同法同条第三項の規定により、結果に関する報告を下記のとおり提出します。
なお、今回の検査は、
大野高正監査委員及び
松岡昭夫監査委員が行い、
武内十郎監査委員は関与していません。
記
一 検査の範囲
(一)検査対象
区一般会計、
国民健康保険事業会計、
老人保健医療会計、雑部金、基金
(二)検査場所 港区
監査事務局
(三)検査期間 平成六年十二月二十一日から十二月二十六日まで
二 検査の結果
本検査においては、収入役から提出された平成六年十二月(平成六年十一月分)
例月出納報告書の計数について、出納関係諸帳簿及び諸票、
指定金融機関提出の
収支計算書、預金通帳、証拠書類、証券等と照合し検証した結果、過誤のないことを確認した。
───────────────────────────
六港監第一一四号
平成七年二月十日
東京都港区議会議長 大蔦幸雄殿
東京都港区監査委員 大野高正
同 松岡昭夫
平成七年一月
例月出納検査の結果について
地方自治法第二三五条の二第一項の規定に基づき
例月出納検査を実施したので、同法同条第三項の規定により、結果に関する報告を下記のとおり提出します。
なお、今回の検査は、
大野高正監査委員及び
松岡昭夫監査委員が行い、
武内十郎監査委員は関与していません。
記
一 検査の範囲
(一)検査対象
区一般会計、
国民健康保険事業会計、
老人保健医療会計、雑部金、基金
(二)検査場所 港区
監査事務局
(三)検査期間 平成七年一月二十四日から一月二十六日まで
二 検査の結果
本検査においては、収入役から提出された平成七年一月(平成六年十二月分)
例月出納報告書の計数について、出納関係諸帳簿及び諸票、
指定金融機関提出の
収支計算書、預金通帳、証拠書類、証券等と照合し検証した結果、過誤のないことを確認した。
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○議長(大蔦幸雄君)
例月出納検査の詳細については報告書を議長の手元に保管しておりますので、随時ご閲覧願います。
以上にて報告を終わります。
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○議長(大蔦幸雄君) 日程追加について、お諮りいたします。すなわち、お手元に配付いたしました印刷物のとおり、本日の日程に追加いたしたいと思いますが、ご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大蔦幸雄君) ご異議なきものと認め、さよう決定いたしました。
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○議長(大蔦幸雄君) この際、区長から所信表明のため発言を求められておりますので、これをお許しいたします。区長。
〔区長(菅谷眞一君)登壇〕
○区長(菅谷眞一君) 平成七年港区議会第一回定例会の開会にあたり、私の所信の一端を申し上げ、区民並びに区議会の皆様のご理解とご協力をいただきたいと存じます。
去る一月十七日発生した阪神・
淡路大震災は、死者五千四百人、負傷者三万四千人を超えるという大惨事をもたらしました。お亡くなりになりました方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災されました皆様に心からお見舞いを申し上げます。そして、一日も早い復興を念願いたします。港区は、直ちに救援物資を送るとともに、区民に対し義援金を呼びかけるなど、できる限りの救援活動を実施いたしました。また、阪神・
淡路大震災被災者対策会議を設置し、本区として可能なものから臨機応変に対応できる体制を確立し、適切に実施しております。私は、この大惨事を貴重な教訓とし、今後、本区の防災対策に万全を期してまいります。
本年は、終戦五十年という大きな節目の年であります。世界の恒久平和を願う人々の心は一つであり、私たちは、戦争の永久放棄を誓い、平和を取り戻すため不断の努力をしてまいりました。日本の社会経済は、成長の一途から、今や成熟化の段階を迎えるとともに、国際社会の中で重要な地位を占めるに至りました。最近における内外の
社会経済情勢の変動は、戦後の枠組みを大きく変える新しい社会潮流への萌芽とも称すべき状況であります。豊かな生活が実現した反面、人々の価値観は物から心の豊かさへ変わる一方、深刻化する地球環境、進みつつある少子・高齢社会、経済の
ボーダレス化などが顕在化しつつあります。
この一年の国内外の情勢を顧みますと、国外では、民族間の地域紛争は依然として続いているものの、中東や
南アフリカ共和国において、平和への歩み寄りが見られました。国内では、長かった不況が、緩やかながらようやく回復の方向に向かい、政府は事実上の
景気回復宣言をいたしました。しかしながら、経済環境は、一ドル百円を割る急速な円高の進行や価格破壊、
国際経済競争の激化などのもとで、産業の空洞化やそれに伴う雇用への懸念など、先行きに対する不透明感が広がり、国民の間では景気回復の兆しが実感できず、楽観できる状況ではありません。さらに、政治情勢は、新たな選挙制度の導入など一連の
政治改革関連四法の成立や、新しい政党の誕生など流動化が続いております。また、本年は、
統一地方選挙や
参議院議員選挙が予定されており、区民や国民にとっては、自分たちの代表を選ぶ「選択の年」でもあります。
さて、本区の定住人口の減少は緩やかにはなってきたものの、今なお減少傾向にあり、また、高齢化や少子化が進行しています。人の住まないまちは、まちとしての魅力を失い、やがては活力が低下し、衰退していきます。本区では、これまで
ファミリー層を中心とした
区民向け住宅の建設供給を進めてまいりました。定住人口を確保し、住みつづけられるまち港区を実現するため、昨年十一月、区民とともに考える「
都心居住シンポジウム」を開催いたしました。地価の動向は、定住性に与える影響が大きいと考えております。本年一月、東京都は地価の監視区域を解除いたしましたが、地価の動向には引き続き万全の注意を払ってまいります。一方、
区内中小企業は、国内外の景気動向の影響を受け、全体としては依然として厳しい状況にあります。本区では、これまで
緊急救済融資の拡充などの施策を総合的に推進してまいりました。私は、このような諸情勢のもとにあって、住民に最も身近な政府として、限られた財源の中、創意と工夫を凝らし、より一層の
区民サービスの向上を目指し、区政運営に努めてまいります。
初めに、
区政運営全般にかかわる重要な課題について申し上げます。
第一は、特別区制度の改革についてであります。清掃事業の特別区への移管を含む特別区制度の改革については、これまでの努力が実り、昨年十二月、自治大臣に対して関連する法律の改正を要請いたしました。二月二十三日には、二十三区共同で、法案の成立を目指した「特別区
制度改革実現決起大会」を開催し、区民・区議会・行政が一体となって、今通常国会での法律改正を国会議員などに対し、強く訴えました。今回の改革の主な目的は、特別区を「憲法に保障された
基礎的自治体」として明確に位置づけることにあり、この機会をとらえ、何としても実現させなければなりません。今まさに正念場に差しかかった特別区制度の改革、私は、その実現に向けて、区民、区議会と一体となり、全力を挙げて取り組んでまいります。
第二は、このたび改定した基本計画の推進についてであります。二十一世紀を目前に控えた今、本区を取り巻く諸情勢は大きく変化してきており、
現行基本計画との継続性、計画事業の達成状況などに留意しつつ、基本計画を改定いたしました。改定にあたっては、区民の意見・要望を十分踏まえるとともに、幅広い職員の参加を得て、昨年九月、「港区
基本計画素案」として取りまとめました。その後、区議会における質疑や区長と区政を語る会、
広報アンケートの実施などを通じて広くご意見を伺い、本年二月に、平成七年度を初年度とする八ヵ年の「港区基本計画」として策定いたしました。改定した基本計画の特徴は、「未来を展望した課題」として、生活の場としての都心・港区の実現、地域福祉の
基礎づくり、
健康づくりとスポーツ、地球環境の保全及び
コミュニティづくり、この五つの課題を重要課題として位置づけ、施策の着実な推進を明らかにいたしました。計画を策定する過程でいただいたさまざまなご意見・ご要望については、これからの区政運営に役立ててまいります。今後、この基本計画を区政運営の新たな指針として、施策を着実に推進してまいります。
第三は、平成七年度の財政運営についてであります。本区歳入の大宗をなす特別区税は、四年連続して減収する見込みであり、過去に例を見ない事態であります。ピークのときの三年度と比較すると、金額で百五十六億円余、率にして実に約三〇%の減収という未曾有の事態となります。また、国において、前年度に引き続き所得税・住民税の減税が実施され、区財政への影響も避けられないことから、今後の景気の動向や国、東京都の動向などに十分留意していく必要があります。一方、七年度には、かねてから建設を進めてきた赤坂支所、港南三丁目、台場地区における住宅をはじめ、福祉施設や
コミュニティ施設などを併設した大規模な複合施設が順次完成いたします。このため、予算編成にあたっては、将来を見通した上で積み立ててきた基金を効果的に活用するとともに、後年度負担に十分配慮して、起債を積極的に活用するなど、財源の確保に努めました。もとより、福祉・教育・
中小企業対策など、
区民サービスの低下を招くことは許されません。私は、経常的経費について、事業の推進に支障がないよう配慮しながら、昨年に引き続き厳しく見直し、
事務的経費については極力削減することに努めました。こうして編成した平成七年度予算(案)は、三会計の合計が千百七十五億円余となり、一般会計は九百七十億円余で、前年度当初予算に比べ、九・七%の伸びとなっております。日本経済は緩やかな回復基調にあるとされておりますが、長引く不況の影響で、区民の生活にはいまだ明るさが見えない状況であります。また、本区の財政状況も一段と厳しさを増しております。私は、今後とも、本区が置かれている
社会経済状況を的確に把握し、適切な財政運営に努め、区民が住み続けたいと思う港区の実現に全力を挙げて取り組んでまいります。
次に、
まちづくりのための三つの柱、すなわち、「住みつづけられるまち」「ともに健やかにくらせるまち」「いきいきとしたふれあいのあるまち」に沿って、平成七年度の主な事業について、基本的な課題及びその考え方を順次申し上げます。
第一に、「住みつづけられるまち」についてであります。私は、住みつづけられるまち、「生活の場としての都心・港区」を目指して、積極的に取り組んでおります。
「住みつづけられるまち」においては、まず定住人口の確保についてであります。
区民向け住宅の建設については、「
シティハイツ高浜」に続き、本年二月、高輪支所など四つの複合施設である「
高輪コミュニティぷらざ」との合築による「
シティハイツ高輪」六十五戸が完成し、間もなく入居が始まります。七年度には、赤坂支所などの改築にあわせて五十六戸、また、港南三丁目には
特別養護老人ホームなどとの合築による二百五戸の住宅が、それぞれ完成する予定であります。さらに、芝一丁目に建設中の
心身障害者福祉センターとの合築などにより、
区民向け住宅の確保・供給に努めてまいります。こうした住宅建設以外に、
民間賃貸住宅の借上げや家賃助成、優良な
民間賃貸住宅の供給を促進するため、融資あっせんや利子補給などの支援を行う「みんなとハウジングシステム」など、さまざまな住宅施策を推進しております。これらの借上げ住宅をはじめとする事業を効果的に展開し、また、区民の住宅をめぐる諸問題に対し、迅速かつ適切なサービスを提供するため、財団法人港区住宅公社を設立いたします。開発事業者に対しては、定住促進指導要綱に基づき、住宅の建設などの協力を求め、また、東京都、住宅・都市整備公団などに対し、住宅供給を働きかけてまいります。
次に、
まちづくりについてであります。
まちづくりを進めるため、その基本となる「街づくりマスタープラン」の改定に向け、素案の策定に取り組んでおります。多様で高度な都市機能を持ちながら、優れた居住環境と個性的な街並みを備えた港区の将来都市像を示し、その実現を目指してまいります。六本木六丁目地区など、再開発事業により
まちづくりを進めている地区においては、定住人口の確保を主眼とした開発の誘導に努めてまいります。また、安全で快適な
まちづくりを目指し、道路や公園など都市基盤の整備・強化を図るとともに、区民の生命と財産を守るため、災害に強い
まちづくりに向け、積極的に取り組んでまいります。昨年、開通した浜路橋は、ヨットの帆をイメージしたデザインで、利用者から多くの好評をいただいております。七年度には、さらに二之橋の架替え、(仮称)芝浦西運河橋の建設を進めてまいります。潤いと安らぎの場としての水辺空間を取り戻す古川の改修は、港区として長年の懸案であります。この古川を地上と地下に二層化する建設省の「河川再生事業」については、本区としても、実現に向けて最大限の努力をしてまいります。さて、地域住民の長年の悲願がようやく実り、品川駅東西自由通路の建設に本年三月、着手する運びとなりました。まことに感慨深いものがあります。七年度は、この通路と連絡する品川駅西口整備計画案を策定いたします。
このたびの阪神・
淡路大震災は、都市部において甚大な被害をもたらしました。これまでも、防災都市づくりを進めながら、災害対策の充実に努めてまいりましたが、今回の都市直下型の地震による被災状況を真摯に受けとめ、教訓として、より一層強力に推進してまいります。地域防災計画については、東京都をはじめ消防・警察などの関係機関との連携をより一層強化し、早急に見直しに取り組んでまいります。加えて、高齢者、障害者、外国人、子供など災害弱者への災害時の安全確保も不可欠であります。地域防災訓練の拡充などを通じて、住民と行政が一体となり、事業所も含め、地域ぐるみの防災体制の強化に取り組んでまいります。また、災害時に迅速かつ適切な活動ができる要員の確保が、必要不可欠であります。そのため、三田福祉会館、高輪二丁目寮などの防災待機寮や
区民向け住宅との併設により改築する予定の港南荘においても、地域の皆様のご理解を得ながら、職員住宅の建設に努めてまいります。
次に、地域産業についてであります。地域産業は、区民の日常生活と安定化を支え、地域社会の活力の一翼を担う重要な役割を持っております。そのため、中小企業の経営基盤を強化し、経営の安定と発展を支援していくために、公共工事などの前払金の支払限度額を引き上げ、対象範囲を拡大いたします。また、麻布十番一丁目に建設する中小企業従業員向け住宅の実施設計に着手し、従業員の雇用確保・定着に引き続き努めてまいります。さらに、経営者を対象として研修を実施するなど、時代の変化に対応できるよう、経営の近代化を支援してまいります。住・商・工が共存する
まちづくりを推進するため、地域産業活性化調査の結果を踏まえ、地域に親しめる魅力ある商店街づくりに努めてまいります。また、工業の振興には、地域と調和のとれた工場の環境整備が必要であります。工場の建替え期間中にも操業が続けられる貸し工場の提供や工場共同化支援事業の実施に向けて取り組んでまいります。また、十月には、地場産業を中心に区内の商工業の紹介、交流を促進し、中小企業の発展に役立てる産業文化展を開催いたします。中小企業にとって、従業員の福利厚生事業を単独で十分実施することは難しい状況にあります。地域産業の担い手である中小企業に働く人々が安心して仕事に取り組めるよう、財団法人港区
勤労者サービス公社を設立し、勤労者福利厚生制度の充実など、働く人々のための環境の整備に努めてまいります。
第二は、「ともに健やかにくらせるまち」についてであります。港区で、すべての人々が生涯を通して、福祉と保健・医療などの連携のもと、ともに健やかにいきいきと自立した生活を送れるよう地域福祉の基盤をつくることが、区政の重要課題であります。
「ともに健やかにくらせるまち」においては、まず地域福祉の基盤の確立であります。昨年八月には、港区地域福祉計画「みんなとすこやか21(福祉編)」を策定いたしました。計画では、在宅福祉の推進、福祉サービス窓口の総合化の推進が、大きな柱となっております。その第一歩として、本年四月、高齢者福祉部門の組織を改正いたします。すなわち、介護などを必要とする高齢者の施策を担当する課と、いきいきとした生活を支援する施策を担当する課に再編整備し、相談窓口の充実を含め、執行体制を強化するものであります。
高齢者のための施策としては、定住支援として、既に三ヵ所合計三十六戸の高齢者集合住宅を開設いたしました。七年度は、三田一丁目高齢者集合住宅の建設を引き続き進め、台場地区には、本区で初めてのシルバーハウジングプロジェクトによる高齢者向けの住宅が完成いたします。八年春には、港南三丁目に、自宅での生活が困難な高齢者のためのケアハウスのほか、区内で三番目の
特別養護老人ホームや高齢者在宅サービスセンターが完成いたします。高齢者在宅サービスセンターについては、五つのサービスエリアに二ヵ所の整備を目指します。八年春には台場地区にも完成し、北青山一丁目では引き続き整備を進めてまいります。また、
特別養護老人ホーム白金の森には、高齢者の介護や生活相談を行う本区で最初の在宅介護支援センターを開設いたします。さらに、芝四丁目に改築中の三田福祉会館は、本年三月、装いも新たに開館の運びとなります。また、老朽化した港内職補導授産所の改築に着手いたします。
障害者のための施策としては、芝一丁目に
心身障害者福祉センターの建設を進めてまいります。また、障害者の施策の推進や雇用の促進のための協議会を設置いたします。関係者から要望のありました原爆被爆者の医療サービスについて、事業の実施を支援してまいります。
また、児童や子育て支援のための施策としては、八年春に台場地区の児童館と保育園が完成いたします。今後とも、安心して子供を産み育てる環境づくりのために施策を充実してまいります。ひとり親家庭のための施策としては、新規事業として、保護者の方が疾病などで一時的に養育できない場合に、短期間養育をするひとり親家庭ショートステイ事業とともに、母子緊急一時保護事業を実施いたします。地域福祉の基盤づくりのためには、多様な福祉サービスの担い手が必要であり、そのためにも、港区社会福祉協議会の育成が重要であります。福祉の強力な担い手として主体的な事業展開ができるよう、組織と財政の充実などの支援を一層強化してまいります。
次に、
健康づくりについてであります。人生八十年時代にあって、健康であることは豊かな生活を送る基盤であり、個人にとっても社会にとっても、かけがえのないものであります。本年二月、港区地域保健医療計画「みんなとすこやか21(健康編)」を策定いたしました。計画では、だれもが生涯を通じて健康の保持、増進に取り組める地域社会を確立し、地域福祉計画と一体となった施策の展開のもと、「生涯
健康づくり都市」の実現を目指します。
メディカルチェックに基づく運動・栄養・休養などを主体とした
健康づくりのための拠点として、八年四月、健康増進センターを赤坂支所に併設して、オープンする予定であります。また、七年度から、骨粗しょう症予防対策として、保健所において骨密度検診と生活指導を開始いたします。エイズ予防については、これまでのエイズキャンペーンの実績を踏まえ、引き続き相談・指導体制の充実に努めるとともに、感染者の人権に配慮した正しい知識の普及・啓発に努めてまいります。さて、保健所が移管されて間もなく二十年になります。この間、保健所や保健衛生行政を取り巻く状況は、高齢化・少子化の進行や保健ニーズの多様化、そして、保健所法が地域保健法に改正されるなど、大きく変化しております。そのため、地域特性に対応した地域保健サービスの提供体制のあり方についても検討してまいります。
老朽化の進んだ仙石みなと荘に替わり、箱根「大平台」に自然とのふれあいや健康増進のための保養施設の建設を目指し、七年度には設計に着手いたします。一方、身近な施設として、港南五丁目に建設する清掃工場から発生する余熱を活用し、保養や
健康づくりなどに区民のだれもが利用できる「楽しめる施設」を設置したいと考えております。そのため、基本的な構想について、地域住民の方々などの意見に留意しながら取りまとめる予定であります。また、三月一日、芝二丁目に区立公衆浴場「ふれあいの湯」をオープンいたしました。健康保持や元気回復などとともに、地域のコミュニティの場としても活用されることを期待しております。
青少年をはじめとした区民のスポーツに対するニーズの高まりや多様化は、目覚ましいものがあり、「いつでもどこでもだれもが気軽にスポーツを楽しむ」ことのできる生涯スポーツの振興が、今、強く求められております。スポーツ施設をより利用しやすく、有効に活用していただくため、浜松町少年運動広場に照明設備を設置いたします。また、学校施設の地域開放や民間スポーツ施設の区民への開放など、幅広く有効活用できるよう努めてまいります。
次に、環境保全の取り組みについてであります。快適な都市環境の形成と地球環境の保全を図るためには、大気、水、土など私たちを取り巻く環境に対して、事業活動や生活などの都市活動が及ぼす影響を軽減することが必要であります。そのためには、従来の発生源対策に加え、
まちづくりと日常生活の両面からの取り組みが不可欠であります。七年度には、快適で環境負荷の少ない
まちづくりを推進する際の指針として、総合的な計画である環境計画を策定いたします。また、ごみの排出抑制や資源リサイクルを促進するため、昨年十月から一部の地域で実施している資源分別回収モデル事業は、区民の参加と協力を得ながら、さらに拡充してまいります。一方、本区のリサイクルをはじめ環境全般に関する情報、学習及び交流の場となるエコプラザについては、旧鞆絵小学校を活用し、暫定施設として本年六月の開設に向けて準備を進めております。港地区清掃工場の建設については、資源循環型清掃工場を目指し、資源化施設の併設など、東京都と引き続き協議を進めるとともに、必要な協力をしてまいります。
第三は、「いきいきとしたふれあいのあるまち」についてであります。
「いきいきとしたふれあいのあるまち」においては、まず、文化と国際交流についてであります。生活に根差した文化を豊かに育んでいくことは、本区の大切な役割であります。
まちづくりやコミュニティ振興など、文化的視点に立った行政施策を引き続き推進してまいります。区民要望の強い音楽・演劇などの練習や情報の交換などに活用できる場所の提供に努めてまいります。さらに、彫刻のある街づくりの充実など文化的な環境づくりを進め、また、特色ある新郷土資料館の整備に向けた構想づくりに取り組んでまいります。
本年は、戦後五十年、そして、港区が平和都市を宣言してから十年という節目を迎えます。悲惨な戦争体験を風化させてはなりません。平和の尊さや平和を願う区民の心をより多くの人々に理解していただくため、さまざまな事業を実施してまいります。市民レベルの国際交流の輪を広げることは、世界の平和と発展に貢献いたします。国際交流協会を支援し、国籍や文化の違いを超えた交流事業の充実に努めてまいります。
次に、学校教育についてであります。学校教育は、明日を担ういきいきとした児童・生徒の育成を重要な使命としております。教育委員会は、これまでも、子供たちの調和のとれた人格形成を目指して、幅広い教育行政の推進に努めてまいりました。本年四月、御成門地区のより良い教育環境整備のために、神明小学校と御成門小学校が統合いたします。統合にあたっては、特に低学年児童の徒歩通学の安全や負担の軽減に配慮してまいります。また、統廃合になった学校跡地の活用は、大きな課題となっております。基本計画や財政状況を十分考慮しながら、活用の方向を取りまとめてまいります。学校などの施設整備としては、台場の港陽小学校・港陽中学校、にじのはし幼稚園の建設事業を着実に進め、八年四月の子供たちの受け入れに万全を期してまいります。また、赤坂小学校の図書館やコンピュータ室などを整備するとともに、中之町幼稚園の改築も進めてまいります。今日、「いじめ」を苦にした生徒の自殺など、「いじめ」問題が極めて憂慮すべき事態となっております。思いやりや他人の痛みがわかる心、善悪の判断などを身につける教育やしつけが肝要であります。教育委員会としては、いつでも相談できる雰囲気を大切にしながら、教育相談や教員の研修などの拡充・強化に努めております。
次に、生涯学習の振興についてであります。生活水準の向上や自由時間の増大、さらには、長寿社会の進展などを背景として、人間性豊かな生活を求める区民意識が高まりつつあります。こうしたニーズにこたえるため、生涯学習の拠点づくりが重要な課題であります。暫定的な施設の整備など具体的に検討してまいります。新装なった高輪図書館が間もなくオープンいたします。さらに、八年春には港南三丁目に図書館を開設する予定であります。区民の身近な生涯学習の場として、大いに貢献できるものと考えております。青少年の野外活動については、夏季施設に加え、新たに冬季施設を借り上げ、工夫した事業展開に努め、活動の場所と機会を拡充いたします。
次に、男女共同参画社会の実現についてであります。私は、女性も男性も、あらゆる分野へともに参画できる社会の実現を見据えながら、女性総合計画の改定に取り組んでまいります。また、女性の活動拠点である婦人会館をさらに使いやすい施設とするために改修を進めてまいりました。本年四月には、男女共同参画社会の推進への期待を込め、愛称を「リーブラ」とした「女性センター」がスタートいたします。また、その記念事業として、オペラの上演などを計画しております。今日、悪質・不適正な取引による消費者の被害が、高齢者や未成年者を中心に増加の傾向にあります。引き続き、消費者通信教育講座の充実など、区民生活に根差した消費者行政を推進してまいります。
次に、コミュニティの振興についてであります。日常生活をより豊かに快適にしていくために、地域に住み、活動する人々が、さまざまな形で地域の問題や課題に主体的に取り組んでいくことは大切であります。また、都心にふさわしいコミュニティの環境づくりに努めることは、地方自治の基本として重要なことであります。地域におけるコミュニティ活動が活発に行われる環境づくりの一貫として、間もなく高輪区民センターがオープンいたします。さらに、八年春には、本区としては最大規模のホールを持つ赤坂区民センターが、また、台場地区にも
コミュニティ施設が相次いでオープンし、コミュニティの活性化を図るための施設面での体制が整ってまいります。今後は、これらの施設を十分に活用していくことが重要であると考えております。そのため、区民の自主的な活動を支援し、生涯学習、健康増進の事業を推進するとともに、区民にとってわかりやすく、利用しやすい体制づくりを目指し、コミュニティ振興のための公社の設立に取り組んでまいります。また、区民の強い要望であった区民斎場については、本年三月、南青山二丁目に用地を取得し、早期に実現できるよう設計に着手いたします。
以上、「やわらかな生活都心−住みつづけられるまち・港区−」を実現する上で基本となる
区政運営全般に関わる重要な課題と、
まちづくりの三つの柱に沿って、主要な事業について申し上げました。私は、これらの施策を進めるにあたり、三つの基本姿勢をもって臨んでおります。第一は、私の政治姿勢である「区民本位の区政」であります。人間性を尊重し、地方自治の確立を目指す区民本位の理念は、区政運営の基本であります。その根本は、区民の側に立った施策の推進であると考えております。第二は、私の行政の経営理念である「やさしさと思いやりのある区政」であります。私は、人間としての愛情と温もりが伝わる区政、区民から信頼される区政を目指しております。第三は、未来へのチャレンジ精神である「将来を展望した夢のある区政」であります。私は、ゆとりと潤いが実感でき、いきいきとしたふれあいのある、文化の香りに満ちた地域社会の実現を目指しております。今後とも、この三つの基本姿勢を堅持しつつ、長期的視点に立った区政運営に努めてまいります。
さて、平成九年三月には、旧芝・麻布・赤坂の三区が統合され、新しく「港区」が誕生してから、五十周年の節目を迎えます。この節目に際して、だれもが愛するふるさと港区の実現を目指して、本年から「港区政五十周年記念事業」に取り組んでまいります。地方分権の推進は、今日、時代の大きな流れとなっております。地方分権の推進は、一方では地方公共団体の果たすべき役割がますます重要となり、港区の責任は増大してまいります。一方、本区の財政は厳しい運営を迫られております。これまでも、OA化による事務の効率化や質的・量的に変化した事務事業の見直しのもと、極力職員の増員を抑え、新たな施策に対応できる執行体制の整備に努めてまいりました。私は、事務事業の組織の見直しとともに、職員の適正配置などについて検討し、改善に関する基本方針などの策定をしてまいります。今後とも、区民の多様なニーズに的確にこたえ、変化に対応できる体制の確立とともに、簡素で効率的な区政の推進を目指し、行政改革に取り組んでまいります。
二十一世紀を目前にして、今日、区政は進むべき道の誤りなき選択を求められております。私は、未来へのチャレンジ精神を持って、来るべき新時代に向け、さらなる発展を目指して、職員とともに創意工夫を凝らし、その先頭に立ち、区政の明日を求めて、たゆみなく進んでまいります。そして、港区の将来像「やわらかな生活都心−住みつづけられるまち・港区−」を着実に実現してまいります。区民並びに区議会の皆様のご理解とご支援をお願い申し上げます。
以上をもちまして、私の所信とさせていただきます。
○議長(大蔦幸雄君) 区の一般事務について質問の通告がありますので、順次発言をお許しいたします。十八番菅野一君。
〔十八番(菅野一君)登壇、拍手〕
○十八番(菅野一君) 平成七年港区議会第一回定例会にあたり、自民・民社連合を代表して、菅谷区長並びに馬田教育長に対し、当面の重要課題について質問いたします。
初めに、このたびの阪神大震災で亡くなられた五千四百余人の方々に、心から哀悼の意を表しますとともに、今なお厳しい生活を強いられている多数の被災者の皆様に対し、心よりのお見舞いを申し上げ、せめても一日も早く復興されることを祈るものであります。
さて、昨年を顧みますると、我が国の経済は緩やかながら回復の方向に向かいつつありますが、最近の急激な円高の進行のもとでは、その足取りはいまだ確かなものとは言えず、区内事業所の大宗を占める中小企業をはじめ、企業全体としての経営は引き続き厳しい状況にあります。ビールや紳士服に見られる価格破壊の影響や、阪神大震災から生じた生産や流通の混乱から、個人、企業ともに景気回復の実感はしにくい経済環境でございますが、今回提示された我が港区の平成七年度予算を見ますと、二十一世紀を目前にした、今後の区政運営の指針となる「港区基本計画」に基づき、「やわらかな生活都心−住みつづけられるまち・港区−」を実現すべく、積極的な姿勢を盛り込んだものと評価するものであります。歳入では、特別区税が前年度比〇・二%の減となり、特別区債が前年度より六%以上増えて、百九億二千三百余万円となっておりますが、
一般会計予算案は前年度比九・七%増の九百七十億五百十五万円、
国民健康保険事業会計、
老人保健医療会計の合計は一千百七十五億五百三十四万円で、前年度比九・八%増としており、区民福祉の向上を目指す積極予算を編成された区当局の実行力に対し、敬意を表するものであります。
まず、港区の地震災害対策について、お尋ねいたします。
一月十七日午前五時四十六分、淡路島北端部付近を震源地として、突如として阪神地方を襲ったマグニチュード七・二の大都市直下型兵庫県南部地震は、神戸市とその周辺都市並びに淡路島を中心に、関東大震災以来、最大の甚大な被害をもたらしました。その被害状況は、死者は五千四百人を超え、負傷者三万数千人、消失家屋七千四百五十六戸、倒壊家屋十四万三千三百三十一戸となっております。日本の大動脈である阪神高速道路、中国縦貫道などの主要幹線道路、東海道・山陽新幹線をはじめ、JRや阪神、阪急等の私鉄各社の鉄道、新交通システム・ポートライナー、日本有数の神戸港湾機能等に壊滅的な打撃を与えました。また、都市機能は全く麻痺し、電気、水道、ガス、電話等のライフラインは約百万世帯に影響を与え、家屋の倒壊に続いて市内の各所から同時多発した火災により、多くの市民が尊い命をなくしました。三十万人を超える被災者は、学校の教室や体育館、市役所のロビー、公園、グランド等で厳しい苦難の日々を送っておられた様子が、マスコミを通じて手にとるように知らされました。震災発生直後の初動態勢のおくれ、危機管理体制の欠如等が指摘され、また、日本における耐震構造の安全神話が根底から覆され、予想をはるかに超える圧死者の数などが出たのであります。
首都圏にも、いつ大地震が起きても不思議はないと言われております。平成四年に国の中央防災会議は、「南関東直下のマグニチュード七クラスの地震発生の切迫性が今後高まってくる」と報告しており、これが東京の真下に起きた場合、その被害は阪神大震災以上のものであり、民間金融機関の調査によると、一九九五年に関東大震災と同じ規模の巨大地震が東京を襲ったと仮定した場合、約百二十五兆円の被害が推定されるとのことであります。この額は、本年度の国家予算、一般会計七十三兆円をはるかに上回り、国内総生産(GDP)の二割以上になります。また、復興費用として二百兆円ぐらいかかるだろうと試算されております。
人間の歴史は、人間の英知を集め、快適な暮らしを求めた都市づくりにあると言われております。菅谷区長は常々、「都市はまず安全でなければならない」と申しておられますが、全く同感であります。区長は既にいろいろな防災対策を講じており、本年二月二十日の港区職員の早朝抜き打ち訓練、部課長の防災無線訓練等を含め、職員参加の防災訓練は相当に充実してきております。防災に関する高い見識と実績を持つ区長に、今回の地震について率直な感想と震災対策にかける決意をまず伺うものであります。
次に、防災に強い
まちづくりについてお伺いいたします。
まず最初の質問ですが、発災時の初動態勢について、具体的にお伺いいたします。今回の災害でも、被害がはっきりしない初期対応について、国、自衛隊、自治体の間での対応のあり方が問題になりました。東京で発災した場合、実際に現場で被害状況を把握するのは、港区や区内の警察、消防であり、災害発生直後に被害範囲など被害を推定することが、危機管理にあたっての区長の重要な役割であると考えます。しかし、現在のような複雑な都区制度の中で、果たして区民生活に密着した、住民の立場からの発想による初期対応がとれるものかどうか、いささか不安に思うものであります。危機管理という視点に立った区長の所見をお伺いいたします。
次に、現在の防災計画は震度六の関東大震災クラスによる被害を想定したものと言われております。したがって、早期に「活断層の移動による都市直下型地震」を想定した防災計画とするよう、抜本的な見直しが必要と考えられますが、現段階での区長の所見をお伺いいたします。
次に、今回の地震が未明に起きたことで、被害がこれでも少なかった方だと思われます。もし、一時間でも遅く発生していたら、あるいは、高速道路で数多くの車が走り、新幹線がスピードを緩めず走行していたら、そして、オフィスビルで働く人がいたら、どのような事態になったか。被害を想像するたびに、私は心の底からおびえるのであります。港区は昼間人口九十万と言われ、夜間人口は十五万人です。この大きな人口の差は、そのまま想定被害人口にあらわれる問題であり、ギャップがあり過ぎる被害想定にいかに取り組むかが、都心区である港区の大きな課題であると考えます。そこで、まずお伺いいたしますが、防災の日の訓練や職員参集訓練とは別に、都市が活動している昼間の訓練も必要ではないかと考えます。いかがでしょうか。
さらに、水や食糧、医療、寝泊まり用具などの備蓄、防火貯水槽の設置、防災組織の設置など、総合的な防災機能を備えるとともに、広域避難場所の補完的な役割を果たすためにも、人が多く働き、住む大規模な開発計画を指導するための防災アセス制度が必要と考えられますが、この点についてもお伺いいたします。
今回の地震では、耐震基準に基づいて建設した高速道路、都市鉄道、数多くのビル、木造家屋が倒壊し、電気、ガス、水道のライフラインがずたずたになりました。中でも、建築物の倒壊による瓦れきの下敷きによる圧死の被害が多く、また、耐震基準改正前の建築物の倒壊が多くあり、関東大震災級の地震に耐えられるはずのものまでが崩れたことは、建築技術の関係者に大きなショックを与えたものであり、耐震基準の再検討をしなければならないことを示したものと思います。そこで、民間建築物の耐震指導を行うための耐震カルテをまず整備する必要があると私は思うのでありますが、区長はその考えがあるのか、お伺いいたします。また、区民の耐震に対する相談窓口の設置と建築物の「応急危険度判定制度」を発足させる必要があると私は思うものでありますが、区長はその考えがあるのか、お伺いいたします。
今回は、神戸市役所をはじめとする公共建築物の被害が多く発生しましたが、港区にも新耐震基準以前の区有施設が多くあるものと推測いたします。その中には、災害のときに、避難や防火活動上から極めて重要な役割を持つものがあることから、耐震上からの安全性を早期に確保する必要があるものと考えられます。耐震診断の実施と適切な措置を早期に講じていく必要があると私は思うものでありますが、区長はその考えがあるのか、お伺いいたします。
次に、高齢者福祉に関する質問に移らさせていただきます。
ここでは、特に昨年八月策定された「みんなとすこやか21−港区地域福祉計画−」の具体的実行策について、お伺いいたします。この計画は、区民が生涯を通じて、地域の中でともに健やかに、生き生きと暮らすことのできる
まちづくりを理念に掲げ、子供、障害者、高齢者、それぞれにテーマが示されています。このうち、介護問題が深刻化している高齢者が中心課題となることは異論のないところと思いますが、その際、注目したいと思うことは、「計画の体系」の章にある次のような視点であります。「体系化にあたっては、単に多くのサービスを並べるだけでなく……サービスを組み立て円滑に提供するか、というシステム構築を優先課題とする」。大変明快な考え方だと思います。こうした視点は、いろいろ悩みを持ち、福祉サービスを受けようとする区民にとって、心強いものと言えましょう。しかし、要はそれが実行されるかどうか。そして、実行されるとしたら、一日も早く実行してもらいたいという区民の願いに、どう敏速にこたえるかであります。
そこで、「みんなとすこやか21」の大きな特色と言える五地域における中核拠点システムの整備日程について、お伺いいたします。「みんなとすこやか21」においては、区内を五つの地域に分け、それぞれの地域において、高齢者が安心して在宅生活を送ることができるにように、福祉・保健・医療の連携のとれたサービスを提供するための中核拠点システムづくりを順次行うこととされています。単に高齢者施設や行政の行う個々のサービスの量を充実させても、それだけでは、安心して在宅生活を送ることはできません。そこで、私は、これらの施設やさまざまなサービスを結びつけると同時に、サービスを必要とする区民との間に谷間を生じさせないための仕組みが必要と考えます。サービスを必要とする区民の身近なところで、地域社会の支援という考え方を基本に、必要なサービスを組み立てて、円滑に提供するための柔軟で、かつ敏速に動けるシステムが必要不可欠と思うのであります。「みんなとすこやか21」における中核拠点システムの考え方は、
特別養護老人ホームを母体に在宅介護支援センターを整備し、地域へ出向く訪問型サービスを付け加え、さらに、保健サービスや地域の民生委員とも連携したシステムを作るというものと理解いたします。まことに結構なものであります。結構過ぎて、本当に出来るのかと心配するほどですが、私は、このようなシステムの構築こそが最優先の課題であると考えます。率直にお尋ねいたします。いつこの整備に着手するのでしょうか。『白金の森』を第一号に、福祉のみならず保健と地域住民との連携のとれたシステムづくりに早急に取りかかるべきと思いますが、どのようにお考えか、お尋ねいたします。
次に、社会福祉協議会の育成強化に関連し、お伺いいたします。
先日、港区社会福祉協議会の方にお会いいたしました際、たまたま「港区地域福祉計画・みんなとすこやか21」のことに及びました。その方は、「行政の方から大変熱い期待を寄せていただいて感謝しておりますが、その期待を裏切ることがないように、我々も覚悟を決めて頑張っていかなくてはならないのですよ」と言っておられました。少々戸惑っておられる感じを受けたのですが、あるいは、私の感じは間違っていたかもしれません。それはともかく、「みんなとすこやか21」においては、随所で社会福祉協議会の育成、あるいは事業主体としての参画をうたっております。私は、社会福祉協議会が地域住民によって構成され、地域住民によって運営される住民主体の福祉組織であることから、社会福祉協議会の育成には大賛成であります。さまざまな高齢者向けのサービスにどんどん取り組んでもらえるよう、区として積極的に支援することを望んでおります。
ただ、改めて、今までどうしていたのだろうかと考えますと、何をやっていたのかと思い出すのに苦労します。歳末助け合いとかボランティアセンターの活動、あとは障害者福祉の活動とかが思いつきますが、積極的な福祉サービス活動の担い手というイメージは持ちにくいというのが、私の率直な印象です。それが何ゆえなのだろう。区の理事者にもお尋ねいたしたのですが、幾つもの要因が絡んでの結果なのではないかと、いまひとつ歯切れの良くない返事でした。私なりに考えると、社会福祉協議会自体が、寄附金に代表される住民や企業の善意をもとに運営される組織体ということが、一つの理由として挙げられるのではないでしょうか。要するに、貴重な篤志家ではあるが、どんどんサービス事業を広げていくタイプではないということであります。
そういたしますと、「みんなとすこやか21」で盛りだくさんの役割りを社会福祉協議会に期待していることは、自ら限界が出てくるのではないでしょうか。誤解がないように付け加えさせていただきますが、私は、社会福祉協議会を育成強化するということは必要であると考えておりますし、積極的に支援すべきであると考えています。ただ、従来の社会福祉協議会の体制といいましょうか、体質と言いましょうか、それらを考えますと、区民の方から寄せられる高齢者向けのサービス充実の期待に応えるには、即応性や機動性に弱点があるのではないかということを申し上げているのであります。
幾つかの区では、社会福祉協議会とは別に、福祉公社とか社会福祉事業公社という名称の組織が、高齢者や障害者向けの配食サービスや施設運営などを行っていると伺っております。港区でも、社会福祉協議会の育成とは別に、そうした組織の設立に向け検討するおつもりがあるのか否か、お伺いいたします。
高齢者福祉に関する三点目の質問は、シルバー人材センターに関するものであります。港区シルバー人材センターが、高齢者自身が就業を通じて生きがいを達成しようという場であると同時に、地域に密着した短期的、臨時的な仕事を引き受けることで、地域社会からの要請にこたえる組織であるということは、徐々に一般区民の間に浸透してきていることと思います。ここに至るまで、人材センターの発展に貢献された方々のご努力に深く敬意を表するものであります。もちろん、行政の理解ある支援がこの間の発展を支えたことも、忘れてはなりません。それは、人材センターの幹部のみならず、会員一人一人の胸の中にも、しっかりと受けとめていただいているものと確信しております。それはともかく、高齢者イコール社会的弱者という図式でとらえることが、現実認識として的の外れたものであるということは、このシルバー人材センターの充実ぶりを見れば明らかでしょう。
伺うところによりますと、会員数は着実に伸び、事業分野での新規開拓にも積極的に取り組んでいるとのことであります。こうした新規事業分野の一つに、「福祉・家事援助サービス」があると伺いました。「ご注文承ります!」というパンフレットをいただいたのですが、それには、「福祉・家事援助サービス」として、次のようなものを「有料」で始めましたとあります。自転車の整備や水道のパッキン取り替え等のリビングサービス、あるいは、洋服、和服の仕立て直しやウエスト直し等のソーイングサービス、その他にも、留守番サービスとか代行サービスといった事業が紹介されています。ただ、福祉・家事援助サービスという名称から、福祉分野にはどんなものがあるのか、興味を持ったのですが、エスコートサービス事業の中に高齢者の身の回りの世話とか通院介助、乳児出産後の母親の世話などが記載されているのみでありました。サービス開始後の現況を伺いますと、この分野のサービス事業は必ずしも盛況ということではなさそうです。しかし、「みんなとすこやか21−港区地域福祉計画」においても、高齢者の在宅生活を支えるサービスは多様化が求められており、その担い手のサービス提供主体も多元化が求められている旨の記載があります。また、シルバー人材センター発展に向け支援するともうたっております。利用者が費用を負担する有料の福祉サービスも、徐々に裾野が広がってきておりますので、シルバー人材センターの活躍する分野は十分あると私なりに推測するものであります。
一方で、先ほど質問いたしましたように、社会福祉協議会や福祉公社を活用して、有料の在宅福祉サービス事業を展開している自治体もありますから、それにシルバー人材センターが加わりますと、「みんなとすこやか21」に述べてあるように、サービス提供主体の多元化が実現することになります。大変結構なことですが、サービスを受ける区民の側に立ちますと、似たようなサービスがあちらにも、こちらにも、また役所からもということにもなりかねません。それぞれの役割分担とか位置づけといったようなものを明確にしておく必要があるように考えますが、区長の見解をお尋ねいたします。
次に、敬老祝い金品贈呈の見直しについてお伺いいたします。昨年の第一回定例会で、我が会派のおぎくぼ議員より、敬老祝い品と金額の見直しについて、区長にお尋ねがありました。すなわち、祝い品については、物の豊かさのあり方が問われている今日、ただ漫然と毎年全員に物品を贈るのではなく、喜寿や米寿など長寿のお祝いの時など、節目ごとにめり張りを付けて贈ることが、受け取る方も心の安らぎを覚え、また次の節目に向かって頑張ろうとの励みにもなり、喜ばれるのではないでしょうか。また、祝い金については、昭和五十年度に事務は区に移管されたにもかかわらず、お祝い金額の五千円は、いまだに都の制度時代の昭和四十四年からのまま、現在まで変わっていないとのことで、祝い品の贈呈方法やお祝い金額の見直しを求めたものであります。その質問に、区長は「さまざまな角度から検討してまいります」とお答えになられましたが、その後、どのような観点から検討し、見直されたのか、お伺いいたします。
「住みつづけられるまち・港区」という観点から、住宅問題について質問いたします。住宅は、住民の健康で文化的な生活を支える基盤であるとともに、地域社会を形成する基本的な要素であり、重要な社会的ストックであります。大変残念なことですが、港区におきましては、住宅ストックの減少と定住人口が減少しております。このため、地域社会にさまざまな形で影響があらわれ始め、コミュニティの崩壊という危機的な状況に立ち至っております。コミュニティの衰退は、近隣型商店街の機能の低下など生活の場としての住環境の悪化をもたらし、それ自体が区外への人口流出の引き金となって、さらなる定住人口の減少をもたらすという悪循環になっております。このような状況から、地域で生活する区民にとっては、まず人口を呼び戻すことによりコミュニティ衰退の現状を食い止め、さらなる復活を図ることが、まちとしての健全性を保ち、活力ある都心居住の魅力を高める上で急務であります。したがって、まずその受け入れの基盤としての良質で適正な家賃負担の住宅の提供が望まれるのであります。そこで、区立住宅建設計画の推進方法について、お尋ねいたします。本年二月に港区基本計画が改定されました。そうした中で、二十一世紀初頭を目指した基本計画の中で、
区民向け住宅の確保・供給をどのように進めるのか、期待を込めて、お尋ねするものであります。
今回提出された平成七年度予算においては、決算ベースで四年連続の税収減を見込んでおり、今後とも財政の見通しは大変厳しいと言わざるを得ないのであります。したがって、前期計画については、建設中のものを含め、おおよそ具体的な計画が進んでいるようですが、「後期の百九十四戸分については、区の財政に支障を及ぼさないよう整備手法をとる」と記載されております。前期計画について、着実に進捗を図るとともに、後期計画についても、今のうちに検討を進める必要があると思うのであります。そこで、一つの提案ですが、統廃合による学校跡地を活用するとともに、そこに定期借地権を設定し、住宅建設に多くの実績を持つ公的な団体に建設をさせたらどうでしょうか。統廃合された地域は、現在、新橋や虎ノ門地区に偏っておりますが、公的な住宅を導入してファミリー世帯の住宅が増えれば、一石何鳥にもなると考えますが、いかがでしょうか。区長の考えをお伺いいたします。
次に、港南荘建て替え整備計画の推進についてであります。これも、改定基本計画の前期事業として掲げられているものですが、防災対策の面はもちろんのこと、定住人口確保の観点から重要な計画であり、着実な進捗を図る必要があります。しかしながら、計画敷地周辺の住民の方々には、超高層の方式による現在の建物計画に反対する意見も多数あります。議員として、また高輪地区に住む者として、心を痛めているのであります。反対する住民の方々からは、昨年十一月、港区議会議長あてに、「超高層建設計画の再検討を求める請願」が出されました。その後、区の計画案に反対する立場からの代案も出されました。近隣住民の一級建築士からは、地震を想定した超高層マンションの危険度を具体的に訴える文書も出されております。昨年の第四回定例会では、我が会派の代表質問でも取り上げられ、「現在の財政状況は極めて厳しいものがあり、規模を縮小するなどの見直しをして、後年度の負担の心配も少ない施策への転換を図っていただきたい」との質問をしております。請願は現在、継続審査に付されておるわけですが、その間にあっても、話し合いは続けるようにとの建設常任委員会の意向を受けて、区との話し合いが続いていると思います。現況はどのようになっているのか、あわせて、港南荘の建て替えについての区長のご所見をお伺いいたします。いずれにしても、周辺住民の理解を求める姿勢で、誠心誠意話し合いを進め、円満な解決あることを望むものであります。
次に、地下鉄七号線工事と目黒通りの拡幅整備の進捗状況について、お伺いいたします。
まず、地下鉄七号線工事の進捗状況と工事期間中の安全対策についてであります。地下鉄七号線は港区を南北に横断する地下鉄で、区民生活の利便性や地域の活力の向上に大きく貢献するものと期待されているところであります。港区内には、白金台駅、清正公前駅、麻布駅、東六本木駅の四駅が計画され、工事は平成四年夏に始まり、平成九年度完成を目指して、現在、鋭意進められております。やむを得ないことなのかもしれませんが、工事が始まってから、歩道が狭くなったり、がたついたり、段差が出たりして、歩きにくくなっているほか、車道も、がたつきや段差によって、騒音や振動がひどくなっております。開通への期待が膨らむ中で、住民は一日も早い工事の完成を願っているのですが、二月八日付の産経新聞によると、来春予定されていた駒込駅から溜池駅までの開通が、工事の遅れから、四谷駅までに短縮されるとのことであります。また、港区内を通る溜池駅から目黒駅までの区間も、遅れる懸念があるとのことであります。そこで、お尋ねいたしますが、この遅れはどの程度で、一体いつごろ完成するのかをお伺いいたします。また、工事の遅れにより、工事の期間も長くなるわけで、工事期間中の一層の安全対策が必要と考えます。この点について、区長のご見解をお伺いいたします。
次に、地下鉄工事に関連して、目黒通りの拡幅整備についてお伺いいたします。目黒通りは、都市計画道路事業として拡幅整備が計画されておりますが、関係者の懸命な努力によりまして、ようやく事業実施の運びとなると聞いております。現在の目黒通りは、段差で仕切られた歩道はありません。歩行者は、ところどころがガードレールで仕切られた狭い歩道を歩かされており、非常に危険であります。しかも、その狭い歩道の真ん中に電柱が立っているところが多く、自転車が車道を走るような危険な光景も見受けられます。そこでお尋ねいたしますが、目黒通りの拡幅事業はいつ着手され、いつごろ完成見込みなのか、お伺いいたします。また、道路拡幅は用地買収が伴うため、拡幅が完了するまで相当の年月を費やすものと考えます。そこでお尋ねいたします。地下鉄七号線の工事が、あと数年して道路が復旧するわけですが、その復旧に合わせて、歩道を歩きやすいように暫定的にでも復旧されますよう、都に要望すべきと考えますが、区長の見解をお伺いいたします。
最後に、青少年の集団野外生活体験学習について、お尋ねいたします。阪神大震災の教訓として、電気、ガス、水道のライフラインが断絶し、普段の都市生活が成り立たなくなった中では、子供を含む住民の自活能力と互助システムを普段から培っておくことの大切さが痛感されました。そこで、このことに関して、次の点を教育長にお伺いいたします。電気、ガス、水道などが断たれた中で、最低限の人間としての生命を維持する術を身につけておく必要を痛切に感じましたが、それも青少年のうちから体験しておくことが重要であると考えます。このことについて、学校教育の現場や青少年教育の現場はどのように認識しているのか、お伺いいたします。この体験の方法として、青少年の集団野外生活体験学習のようなものが考えられますが、そうした事業について、これまでどのように取り組んできたのか。また、今後、そうした事業を拡充していく用意があるのかどうか、教育長にお伺いいたします。
以上について、区長、教育長の誠意ある答弁を求めるとともに、我々自民・民社連合は、港区政の輝かしい未来と区民生活の向上に向かって全力を傾注して、責任ある政治を実現することをお誓いして、質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔区長(菅谷眞一君)登壇〕
○区長(菅谷眞一君) ただいまの自民・民社連合を代表しての菅野一議員のご質問に、順次お答えいたします。
最初に、阪神・
淡路大震災についての感想と震災対策にかける決意についてのお尋ねであります。私は、去る二月十四日に被災地を視察してまいりました。近代的大都市が初めて経験した大震災による未曾有の事態を目の当たりにして、言葉を失いました。密集市街地での建物の倒壊並びに市民の避難生活などを見て、心を痛め、また、改めて災害のすさまじさを再認識いたしました。私は、この大震災の教訓を真摯に受けとめ、今後とも、区民のかけがえのない生命、財産を守り、都市機能の安全を確保するため、震災対策を一層強化し、災害に強い安全な
まちづくりに万全を期する決意であります。
次に、初動体制と危機管理についてのお尋ねであります。現在、区は発災時の初動体制を確保するため、本庁舎に無線等を備えた防災警戒待機室を設置しております。そこでは、従来から部長・課長級の職員を配備し、夜間・休日を問わず、いつでも、年間を通じて二十四時間態勢で警戒待機をしております。今回の阪神・
淡路大震災のような大地震が発生したときは、防災待機寮などの職員が本庁舎に参集し、防災警戒待機者とともに、直ちに被害状況の把握等、各種の情報収集にあたり、私が災害対策本部を設置いたします。各防災機関との連絡は、有線通信によるほか、これが途絶えたことも考え、防災行政無線で行うこととしております。今後とも、従来から各防災機関と定期的に実施している通信訓練等の充実と、緊急時における時系列に対応した危機管理体制の確立に努めてまいります。
次に、地域防災計画の抜本的見直しについてのお尋ねであります。阪神・
淡路大震災を真摯に受けとめ、本区の地域防災計画を見直す必要性を痛感しております。しかしながら、現在、東京都は直下型地震の被害想定を見直しており、また、各防災関係機関においても、その対策について検討中であります。本区も、震災時における災害対策全般について、港区災害対策検討委員会を設置し、全庁的に検討を始めております。さらに、去る二月十三日に開催いたしました港区防災会議において、このたびの大震災を教訓とした地域防災計画とするよう決定いたしました。今後、区民の方々にできるだけ早くお示しできる地域防災計画の作成に努めてまいります。
次に、都市が活動している昼間の防災訓練についてのお尋ねであります。都心区である港区では、災害発生のときに、区民と事業所の方々がお互いに協力し、助け合って、被害を最小限に食いとめることが、特に重要と考えております。このことから、地域との日ごろからの協力体制の確立や情報交換などの必要性を示した事業所向けの防災パンフレットの配布、区民と事業所とが一体となった訓練への支援を行っております。また、九月一日の総合防災訓練では、事業所向けに独自のチラシを作成し、積極的な参加を呼びかけております。今後も、各地域で区民と事業所が一体となって訓練できるよう、消防署とも連携をとりながら働きかけてまいります。
次に、防災アセス制度についてのお尋ねであります。ご指摘の大規模な開発などについての防災機能の強化あるいは役割については、これまでもあらゆる角度から開発事業者に対し指導してまいりました。すなわち、災害に強い
まちづくり実現のため、道路、公園などの都市基盤はもとより、広場や建築の空間を十分確保することであります。今後とも、開発の機会をとらえて、地区内はもちろんのこと、周辺住民の方々の災害時における一時的な避難場所としての活用や十分な飲料水の確保、食糧や資材の備蓄、非常時の消防水利などの設備を設置するよう指導してまいります。なお、これらの総合的な指導の経過を踏まえて、防災アセス制度の必要性についても検討してまいります。
次に、民間建築物の耐震カルテの整備についてのお尋ねであります。建築物は、建物所有者の責任において維持管理していくものであります。したがいまして、耐震診断等の調査については、自ら行うことが基本であります。このため、区としては、建物所有者に対し、耐震カルテを整備するよう指導する必要があります。今後、建物の建築年度等の実態を把握し、建物所有者に対し、啓発・指導してまいります。
次に、耐震に対する相談窓口の設置と応急危険度判定制度についてのお尋ねであります。建築物の安全性などについて住民が容易に相談できる窓口の充実は、不可欠であります。区は、木造住宅の耐震診断が自らできるよう、パンフレットなどによりPRするとともに、区民からの耐震相談を受けております。今後、東京都や建築関係団体とも協議の上、相談窓口の充実に努めてまいります。また、建物の応急危険度を判定するたあの制度につきましては、平成七年度から、民間の建築士などを対象にして、応急危険度判定員の養成などを東京都と連携をとりながら発足させる準備をしております。今後、できるだけ早くこの制度の確立を目指してまいります。
次に、区有施設の耐震診断の実施と措置についてのお尋ねであります。新耐震基準以前の区有施設は、平屋建てなど小規模なものを除くと、八十棟存在しております。これらのうち半数近くのものは耐震診断を既に実施いたしました。一方、今回の地震被害に照らし、耐震基準が見直されることも予想されます。したがいまして、二月に設置しました港区災害対策検討委員会において、今後予想される基準見直しの動向も視野に入れながら、幅広い視点からの検討を進め、適切な措置を講じてまいります。
次に、「みんなとすこやか21(福祉編)」における中核拠点システムの整備日程についてのお尋ねであります。このたびの「みんなとすこやか21(福祉編)」は、芝、麻布、赤坂、高輪、芝浦・港南の各地域に、福祉・保健・医療の連携のとれた在宅生活支援システムを整えることとしております。これは、主に
特別養護老人ホームなどを拠点施設とするもので、システムの核となるものは訪問型のサービスを行う在宅介護支援センターであります。本年九月に、最初の在宅介護支援センターを
特別養護老人ホーム白金の森に開設する予定であります。さらに、平成八年度には、港南三丁目に建設中の
特別養護老人ホームに、また平成九年度には、北青山一丁目に建設中の高齢者在宅サービスセンターに順次開設する予定であります。もとより、こうした施設の整備とあわせ、保健所や地域の医療機関との連携体制づくり、民生・児童委員の方々とのネットワークづくりなどが必要となってまいります。したがいまして、そうしたシステムづくりについても、白金の森に開設する在宅介護支援センターの設置を契機に順次、整備してまいります。
次に、社会福祉協議会の育成とあわせた福祉公社等設立の検討についてのお尋ねであります。ご指摘のように、「みんなとすこやか21(福祉編)」は、今後の社会福祉協議会の役割をサービス提供主体のみならず、福祉人材養成の一翼を担うなど、さまざまな面から評価し、位置づけております。社会福祉協議会が、長い歴史を積み重ねる中で、地域住民や地元事業所などの善意によって支えられてきたことは承知しております。私は、そうした貴重な実績は今後とも継承されるべきものと考えます。同時に、住民に親しまれ、住民主体の福祉組織のシンボルとも言うべき社会福祉協議会自身の体質強化が図られるべき時期に来ていると考えております。そのため、現在、社会福祉協議会育成・支援検討会において、福祉公社などを設置している他区の現状なども参考にしながら、今後の社会福祉協議会事業や行政との連携のあり方などについて、検討を進めております。ご指摘の福祉公社など新たな組織の設立については、必要に応じて検討してまいります。
次に、シルバー人材センター等サービス提供主体の役割分担の明確化についてのお尋ねであります。ご指摘のように、サービス提供主体の多元化に伴い、行政を含め、それぞれの役割分担、位置づけを明確にしていく必要があります。しかし、シルバー人材センターや社会福祉協議会は、それぞれ固有の組織目的を持ち、それぞれの立場からサービスの提供を行っております。したがいまして、多少の類似性や重複するサービスが行われるとしても、それなりに尊重する必要があります。いずれにいたしましても、これら貴重な福祉の担い手の活用、育成は、極めて大きな課題であります。ご指摘の点については引き続き検討してまいります。
次に、敬老祝い金品贈呈の見直しについてのお尋ねであります。敬老祝い金品については、今日の
社会経済状況や長寿社会化、あるいは区民意識の多様化の中で、いかに多くの高齢者の方々に喜んでいただけるかを基本に、また、
区内中小企業振興にも留意しつつ、見直しを行いました。すなわち、祝い品については、七十五歳から九十歳の方々には五歳刻みの節目で贈呈し、さらに、昔からの長寿のお祝いである七十七歳の喜寿や八十八歳の米寿を迎えた方に贈呈していきたいと考えております。一方、祝い金については、七十五歳以上の方全員に、これまでの五千円から七千円に引き上げて、お祝いの気持ちを表したいと考えております。
次に、学校跡地を活用した
区民向け住宅の確保・供給についてのお尋ねであります。今後とも厳しい財政状況が見込まれる中で、引き続き、良質で適正な負担による住宅供給を推進する必要があると考えております。統廃合による学校跡地につきましては、現在、活用策を検討しております。定期借地権の活用などのご提案につきましては、示唆に富んだご意見として検討させていただきます。
次に、港南荘建て替え整備計画についてのお尋ねであります。ご指摘のとおり、区の計画案に反対する立場からの代替案が提出されており、現在、この設計案の問題点について、提出者と意見交換をしております。今後とも、周辺地域の住民の方々のご意見を承る中で、円満な解決を目指して誠心誠意協議してまいります。
次に、地下鉄七号線工事の進捗状況と安全対策についてのお尋ねであります。地下鉄七号線の工事につきましては当初計画よりおくれておりますが、四谷−溜池間については平成九年に開通の予定であり、溜池−目黒間についても早期開業に向け努力中とのことであります。地下鉄七号線の開通は区民の長年の悲願であり、一日も早く開通できるよう働きかけてまいります。また、工事期間中の安全対策については、段差の解消など弱者の立場に立った対策が講じられるよう、関係機関に強く申し入れてまいります。
最後に、目黒通りの拡幅整備についてのお尋ねであります。都道である目黒通りの整備事業については、今年度中に用地測量を終了し、平成七年度には都市計画事業認可を取得する予定であります。一般的には、この規模の道路拡幅整備にはおおむね十年近くの年月を要すると聞いております。また、地下鉄七号線工事に関連した道路の復旧につきましては、できる限り歩行者空間を確保するように東京都に要請してまいります。
よろしくご理解のほど、お願いいたします。
なお、教育にかかわる問題につきましては教育長から答弁をいたします。
〔教育長(馬田博好君)登壇〕
○教育長(馬田博好君) ただいまの自民・民社連合を代表しての菅野一議員のご質問にお答えいたします。
青少年の集団野外生活体験学習についてのお尋ねであります。去る一月十七日発生した阪神・
淡路大震災におきましては、多大な死傷者と膨大な家屋などの損害をもたらす大惨事となりました。幼稚園、学校関係施設の損害も甚大で、多くの幼児・児童・生徒が、大変厳しい教育環境の中で、不自由な幼稚園・学校生活を余儀なくされております。一日も早い復興と、幼児・児童・生徒の健やかな幼稚園・学校生活の回復を心から念願いたします。
さて、高度に発達した大都市が、大震災で壊滅的な被害を受けた場合、私たちは、水や食糧、住む場所の確保などを多くの人々と共同で行わなければなりません。こうした活動をするにあたって、自然環境の中で行うキャンプなどの経験は有意義なことであり、青少年のうちから、学校教育や社会教育の分野においても取り組む必要性を認識しております。このような認識に基づき、区立の小・中学校においては夏季学園などを実施し、テント生活や飯ごう炊さんを行っております。また、少年リーダー教室やみなとキャンプ村、青少年対策地区委員会の事業などでも、キャンプを中心とする野外活動を実施しています。さらに、平成七年度からは「(仮称)自然と雪の郷」の事業を予定しており、冬季のさまざまな野外活動ができる施設を借り上げ、青少年を中心とした区民に提供し、野外生活体験学習の促進を図ることといたしております。
よろしくご理解のほど、お願いいたします。
○議長(大蔦幸雄君) 議事の運営上、暫時休憩いたします。
午後三時四十分休憩
午後四時一分再開
○副議長(大橋昭二君) 休憩前に引き続き、会議を再開いたします。
お諮りいたします。議事の運営上、あらかじめ時間を延長したいと思いますが、ご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(大橋昭二君) ご異議なきものと認め、時間は延長されました。
一般質問を続けます。二十二番北村利明君。
〔二十二番(北村利明君)登壇、拍手〕
○二十二番(北村利明君) 私は、日本共産党港区議員団を代表いたしまして、質問を行います。
初めの質問は、阪神大震災についてであります。このたびの阪神大震災は、大都市を襲った直下型地震として、戦後最大の被害をもたらしました。私は、この地震によって尊い命をなくされた方たちへの心からの哀悼と被害を受けられた多くの方々にお見舞いを申し上げます。
私たち日本共産党は、この地震による被害が伝えられると同時に、街角やあるいは駅頭において救援募金を訴えました。二月十七日現在、約二億四千万円を超える募金が寄せられ、被災自治体にお届けいたしました。さらに、全国に呼びかけて、現地への人の派遣も行い、救援活動を行っております。日本共産党港区議員団は、議長に対し、議会として支援を行うべきとの申し入れとともに、区に対しても、現地の救援要望に積極的にこたえるよう申し入れ、要望いたしました。港区は、これらの要望にこたえ、組立式簡易トイレや割りばし、自転車などの支援物資を現地に届け、震災度判定員の派遣、職員のボランティアを募り、被災者支援のために多くの職員を送り出すなどし、自治体同士の支援、協力を行ったことは、評価に値するものであります。さて、私たち日本共産党の立党の精神は、人の命を守ることを柱に据えているのであります。そこで、私はこのたびの大震災の汲み尽くしても汲み尽くせない教訓から、港区の防災対策の強化のための緊急対策に絞って、質問をいたします。都心機能が集中している港区の防災対策は、国・都との関連で、非常に重要な位置にあるとともに、そこに住み、働きに来ている人々の命と安全を守ることは、自治体の責務と照らしても、重点的にその施策を行うことが必要です。
さて、十二年間にわたって都政を担った革新都政は、二期目の初めに、全国に先駆けて東京都震災予防条例を制定いたしました。その前文は、「東京は、都市の安全性を欠いたまま都市形成が行われたため、その都市構造は地震災害に対するもろさを内包している。東京を地震による被害から守るためには、必要な措置を急がなければならない。言うまでもなく、地震は自然現象であるが、地震による災害の多くは人災であると言える。したがって、人間の英知と技術と努力により、地震による災害を未然に防止し、被害を最小限に食いとめることができるはずである。この条例は、その英知と勇気を導くための都民と都の決意の表明であり、都民と都が一体となって東京を地震による被害から守るための合意を示すものである」とし、この条例に基づいて、東京都震災予防計画を策定し、南関東直下型地震を予測した消防応急体制の強化、防災都市づくりの展開、地震の研究、観測、予知への取り組みをしてきました。区との関係では、財調等で関連予算を保証するなどし、公共建築物の耐震強化、診断、各区での備蓄倉庫の整備、避難広場の確保などなどの施策の展開がされてまいりました。
保守都政になっての十六年間は、この条例を基本とする都区による震災対策は、例えば革新都政時代は十二年間で百四十五台の消防車が増やされましたが、保守都政の十六年間はわずか二台で、消防署の職員に至っては百四十七人も減らすなど、また、公共建築物の耐震診断では、公立小・中学校は区市町村の仕事と放り出し、耐震診断の補助金もカットし、地震の研究、観測、予知に必要な地震計は、革新都政時代百台以上設置されていたものを、更新を怠ったりして、その老朽化で四十六台も減るなど、震災対策の大幅な後退が鈴木保守都政の今の姿です。
港区は、本年二月十三日施行で、阪神大震災を教訓として、当区の災害対策について全般的に検討するため、港区災害対策委員会を設置したことは、私たちにも知らされたことでありますが、その所掌事項は、「災害対策本部の態勢に関すること」から始まり、その他も含め十五項目からなっていますが、そのほとんどは災害発生時の対応に関するもので、被害を最小限に抑えるための所掌は、区有施設の安全に関すること、民間施設の安全に関することぐらいで、阪神大震災の最大の教訓とも言える災害に強い安全な
まちづくりについての所掌は見当たらないのであります。せっかく検討委員会を設置したのでありますから、所掌をもっと充実させる必要があると思います。私は、その立場から幾つかの質問を行っていきます。
その第一に、港区地域防災計画を南関東直下型地震に対応した抜本的な見直しについてであります。区長は所信表明で、「地域防災計画については、東京都をはじめ消防・警察などの関係機関との連携を一層強化し、早急に見直しに取り組んでまいります」と述べられました。地域防災計画の早期見直しは当然ですが、区長の考えでは従来の発想と全く変わりません。今必要なのは、区民参加をどう貫くのかということです。国・東京都待ちにせず、さらに港区防災会議だけにせず、防災住民組織の代表など幅広い区民や専門家の参加のもとに英知を結集した「(仮称)港区防災対策連絡会議」をつくるなど、区民と一体となって防災計画を練り上げてこそ、本当の防災対策ができるはずであります。答弁を求めます。
第二は、都が強硬に推し進めている臨海部副都心開発についてであります。この問題についてはたびたび質問し、問題点も指摘してきましたので、重複することは避けたいと思いますが、今着工されているものだけでも、地上二十九階のホテルをはじめ二十一棟もあり、港区の地内ではK街区での住宅棟三十二階に見られるような超高層住宅、これらのビル群が、果たして今度の兵庫県南部地震の規模に耐えられるのか、大きな疑問の残るところであります。阪神大震災による超高層ビルの安全性については、政治的な判断による診断がなされていますが、その実態は、例えば震災直後に現地を調査した竹山松蔭大学短期大学助教授によると、二十九階建てのマンションでは破断があちらこちらにあり、「超高層は安全だ」との神話は崩れたと証言し、さらに、大手ゼネコンは、「四本なる柱のうち切れたものは一本だけ」と言っていましたが、「中には三本切れたものもある」とも証言しているのであります。また、神戸大学助教授の塩崎先生によると、「超高層ビルの四十五センチから六十センチ角の太い鉄骨の柱に鋭利な刃物で一直線に切ったような亀裂が走っていた。しかも、指が入るほど大きなすき間までできている。超高層建築物を過信してはいけない」との警鐘を鳴らしています。さらに、神戸市臨海部の液状化についても、現地の想像を超えた事態が報告されているのであります。私は、この神戸市臨海部での実態を直視するならば、都は直ちに今、行っている臨海部開発を凍結し、関係自治体との協議、住民参加の臨海部開発の見直しが必要であります。区長は、区民の安全と滞在者の安全を守る立場からも、都に対し、臨海部開発の中止と、住民参加による臨海部の利用計画の見直しを求めるべきであります。答弁を求めます。
次に、港区内で計画されている再開発事業とその安全性についてであります。このたびの規模の地震が、人口が過大に集中している東京、その都心区である港区を襲ったらと思うと、その被害は想像を超えるものであったと思います。今、この港区では定住人口の減少はあるものの、昼間人口は年々増え続け、百万人に迫る勢いです。先日行われた港区都市計画審議会に出された六本木六丁目再開発計画を見ても、この開発による発生集中人口は日で二十二万六千人にも及び、この地への昼間人口の集中は大変なものです。また、既に我が党議員団が指摘してきましたが、港区の区域内の三分の一の地域で再開発が進行、または計画中で、これらの再開発はその再開発地内での高容積化の計画で、今以上の港区への昼間人口の過増につながるものです。地震は防ぐことはできないけれど、それによる災害は、安全第一に考えた
まちづくりによって防ぐことが可能なわけで、区長は、人口の過密な集中による被害増を誘発するような
まちづくりを推進する計画は行うべきでありません。今進められている、また計画されている再開発計画は中断し、災害に強い人口分散型、修復型の安全な
まちづくりとすべきであり、その地域に住んでいる人々の計画への参加と合意による
まちづくりとすべきであります。答弁を求めます。
また、先ほど述べた検討委員会でありますが、その分掌のほとんどは、地震が発生した以降の対応がほとんどで、災害に強い安全な
まちづくりの観点を、強いて言えば、区有施設、民間施設の安全対策に関することぐらいであります。私は、今まで述べてきた点からも、区全体の災害に強い
まちづくりのための検討も、この委員会の所掌事項に加えるべきと思うが、区長の答弁を求めるものであります。
また、今までの防災計画は住民を真に信頼した計画になっていないと思われます。例えば、備蓄倉庫の管理とその運用についても、地域の防災組織との協力体制が欠けているとか、都区が行った公共施設などの耐震診断の内容を殊さら秘密にするとかなど、また、道路啓開についても、民間企業との協定などを議会に知らせることがないなどなどであります。このたびの阪神大震災では、いろいろと住民との関係の難しさはあったとは聞いていますが、結果的に住民相互の自主的協力関係が、大きなパニックを生むことなく、日常の生活を超えた協力体制がまちの至るところで発揮されたのであり、これは人々の人間としての相互信頼の重要性を私たちに改めて知らせてくれたのです。私は、この教訓を生かし、検討委員会では広く区民の意見を聞き、その声を生かすべきと思うがいかがか、区長の答弁を求めるものであります。
次に、備蓄倉庫と備蓄品についてでありますが、幾つかの備蓄倉庫をセットにしなければ役立たないものでなく、一つの備蓄倉庫で緊急時に役立つものにしなければなりません。きめ細かい範囲に備蓄倉庫の機能を確保すべきです。当面の対策として、学校の空き教室を利用するのもその一つと思いますが、それぞれ答弁を求めます。また、昼間人口に対する備蓄体制についても、都と協議し、早急に区内に確保すべきであります。あわせて答弁を求めます。
次に、道路啓開にも関係してですが、区内の橋についてであります。港区内には区管理の橋は、横断歩道橋一、歩行者専用橋二を含め、三十の橋を管理しているのであります。一番古いものは一九二六年(大正十五年)のものです。今までも鋼道路示方書の再三にわたる改定がなされ、また、一九七一年には初めて道路橋耐震設計指針が示方書から独立したものになるなど、橋りょうの設計基準は改定されてきたのでありますが、区内の橋の耐震検査には、職員などの目視によって行われてきたようであります。私はこの際、しっかりとした耐震検査を行い、災害時の導線の確保を行うべきであると思うが、答弁を求めます。決算委員会でも指摘いたしましたが、芝浦港南には港区の橋のうち十九橋があります。液状化が予想されているこの地での導線の確保のためにも、優先的に行うべきでありますが、答弁を求めます。区内で液状化が予想される地域での緊急調査と安全対策を早急に行うべきです。答弁を求めます。
さらに、公共・公益施設の安全性確保についてであります。特に、各地域で災害時に人々が避難する小・中学校での安全対策は、急がなければなりません。先ほども述べた耐震調査は、昭和四十六年、四十八年、五十年、五十八年、五十九年に実施されていますが、区内では、廃校になった学校も含め、小学校十五校、中学校四校、幼稚園八園、これらの中には既に建て替えられているものもありますが、早急に耐震調査を行うべきであります。また、安全確保の対策も行うべきであります。答弁を求めます。また、避難所として利用される小・中学校、各施設での対応についても、昼夜間の災害時のマニュアルを早急に作成し、受け入れ態勢にそこのないようにすべきだが、答弁を求めます。
また、耐震性消火水槽についても、消防署任せにすることなく、区も積極的に協力し、学校施設への設置も含め、特におくれている高輪・白金地域への対策を急ぐべきでありますが、答弁を求めます。
また、このたびの阪神大震災の教訓から、身近なところからの給水が必要です。そのためには、都立青山公園に設置されている大型応急給水装置の設置を区独自にも全地域への設置を具体化すべきです。公園・国公有地など活用し、早急に設置すべきであります。当面、隣の品川区の戸越公園から給水される計画の高輪三丁目・四丁目地区や芝浦・港南地域への設置を具体化すべきであります。答弁を求めます。
防災対策で最後の質問は、自衛隊問題であります。決算審議の際に、港区の防災対策に自衛隊を参画させるべきとの質問がありました。私ども日本共産党は、災害への対応措置として、情勢に応じて自衛隊の災害派遣が必要になります。しかし、自衛隊という組織は、もともと消防や災害救助の専門的能力や機材を持った組織ではありません。震災対策の焦点をここだけに求めるのは筋違いの論議であり、人命救助の専門組織としての消防署の体制強化こそ必要なのであります。現に、今回、阪神大震災の救助の先頭に立って頑張った区内の消防署員は、「救助用の機械といい、日ごろの訓練からいっても、人命救助の仕事は我々消防署員の仕事で、後方で瓦れきの処分などを自衛隊が分担した」との誇らしげな話が、強く私は印象に残っています。港区防災会議への自衛隊の参加など筋違いの対応を行うべきではありません。答弁を求めます。
次の質問は、我が党の沖島議員が、たびたびにわたって質問をしてまいりました港南荘建て替えの問題で行いたいと思います。
先ほど行われました区長の所信表明で、港南荘問題に区長はふれられました。その中で、「地域の皆様のご理解を得ながら職員住宅の建設に努めてまいります」と述べました。これは、この間、地域の皆さんから陳情や請願が提出されている気持ちを全く理解しないものであります。港南荘住宅は、現在、区民用住宅二十戸、教職員用住宅百三戸の五階建ての三棟の住宅です。この住宅を区は、建物の老朽化、住宅規模が狭い、緊急時の防災対策、職員の福利厚生向上のための職員住宅確保、定住人口確保などの理由から、建て替え計画を進めています。港南荘建て替え整備計画によれば、規模は地上三十二階、地下一階、高さ百メートル程度、住宅戸数を二百七十戸としています。
昨年五月、二回にわたって行われた区の説明会では、示された区の計画が近隣には例を見ない超高層のため、計画の見直しを求める意見が数多く出されました。「港区基本構想では、『住みつづけられるまち』の中で、『魅力ある景観の保全と創造』をうたっているが、この計画は区の基本構想にも沿わないものではないか」「どうして今さら超高層なのか。この不況時になぜ建て替えなければならないのか」「超高層住宅が健康に及ぼす影響も大きいと聞いている。そこに住む人の立場に立って計画を見直すべきではないのか」等々の意見が寄せられました。
さらに、六月、十月にも区の説明会が行われましたが、住民からは、「近隣住民を無視し、一方的に区の計画を押しつけるのは納得できない」との声が大勢を占めました。しかし、区の姿勢は、「計画変更はしない。理解してほしい」の住民の声を無視した態度だったわけであります。民間が十メートル以上の建物を建てるときには、建築紛争予防条例に基づき、区は建主と近隣住民との話し合いをあっせんするわけですが、双方がお互いに話し合い、設計変更も含めて合意されている例が多いというのに、このたびの港南荘住宅建て替えの場合のように、たび重なる話し合いでも、区が一切計画変更はしないとの態度は、これでは余りにも区民を無視した態度ではありませんか。風害や日照、景観の問題は、近隣住民には大きな影響を与えます。環境アセスなどで影響が少ないとされる報告書が出されていても、建物ができ上がった時点において風害が多く、近隣に大きな影響を与えている例は、NECビルなどたくさんあります。住民無視の区の態度から、近隣住民からは区議会あてに昨年五月、六月に七件の陳情が、さらに昨年十一月定例会には千五百九十五名の署名を添え、請願が提出されたわけであります。
昨年四月二十三日、大阪府吹田市で開かれた日本マンション学会第三回大会では、「超高層マンションの居住環境を考える」シンポジウムが行われました。シンポジウムでは、奈良女子大の瀬渡章子助教授が、超高層住宅の防犯性能と幼児の外出機会について報告し、一般的に高層住宅は、中・低層住宅と比較し、犯罪に見舞われやすいとしている。さらに、住宅の高層化に伴い、幼児の屋外での遊びの頻度は確実に低下すると述べています。東海大学医学部地域保健学の逢坂文夫氏は、横浜市内の三保健所の調査結果をもとにこの結果を発表し、「高層になるにつれ、流産・死産の率が上がり、六階以上では一、二階の三倍を超えている」と警鐘を鳴らしています。目白学園女子短期大学中島明子教授は、イギリスでの高層住宅にふれ、高層住宅の建設を中止する自治体が増えていること、さらに、取り壊しも行われていると報告しています。なぜ、このように見直しが行われているかと言えば、住む人の心身に与える影響とともに、維持修繕費の増大を挙げています。イギリスでは、高層住宅というのは五、六階以上としており、超高層は問題外ということでありましょうか。
さらに、阪神大震災からも幾つかのことが考えられます。一月十七日に起きた阪神大震災では、市民の善意やボランティアによる救援活動が行われ、人間と人間との心温まる数々のドラマも生まれたようであります。このボランティアも重要な一つですが、緊急時の対応や救援対策など、その中心的な担い手は自治体職員です。港区内の職員数の割合が一八・八%では、緊急時の対応に事欠くことは明らかです。だからといって、一ヵ所に住宅戸数だけを増やして職員を確保すればいいというものではありません。防災対策用の職員寮は、港南荘住宅の戸数増を図ることよりも、区内の各地域に分散し、職員寮を確保することが求められています。
さらに、阪神大震災で超高層ビルの上層階での上下方向の揺れが、一階の二・四倍の激しい揺れになっていたことが、住宅・都市整備公団の調査で明らかになっています。居住者の安全性の面からも、超高層はやめるべきであります。
港南荘住宅建て替え計画は、住民からの代案も提案されているわけですから、この提案も参考にし、近隣住民の方たちとよく話し合い、見直しを図るべきであります。区長の答弁を求めます。
次に、港区の中小企業振興対策について質問いたします。
第一は、区の発注する官公需について、
区内中小企業振興の立場に立って見直す課題であります。現在、工事契約によって行われている港区の工事にしても、その仕事の多くは下請によってなされています。その下請の中小企業が受け取る工事費は、港区の積算単価を大幅に下回る価格です。我が党議員団の提案によって分離発注が行われたのが畳であります。ほかにも分離発注ができるものがないか。例えば塗装、タイル、建具等々を検討し、
区内中小企業及び団体への発注を増やす努力を行うべきであります。また、区も安心して発注できるよう、商工課は、受け皿としての中小企業の実態を把握し、受注が確保できるよう、ときには組織化について指導することも必要になってくると思います。経理課だけでなく、商工課も含め、官公需の中小企業への発注確保に取り組むべきであります。答弁を求めます。
次は、平成五年度決算の資料において、特定品目の中で各種祝い品、見舞い品が、合計六千九百八十二万円余で、うち四千七百六十九万円余の六八・三%がデパート発注であります。再三、我が党が指摘しているにもかかわらず、いまだに改善がなされていません。今年は阪神大震災を教訓に防災が見直されることは、区長の考えでも示されています。防災備蓄品の中には、中小企業より購入できるものが数多くあります。にもかかわらず、区の備蓄品の中には大手デパートから納品されたものが多く見受けられます。これらの物品購入も含めて、
区内中小企業及び中小企業組織への発注を増加するよう、直ちに検討に入るべきであります。答弁を求めます。
次の質問に入りますが、二月二十七日、港区商店街振興組合連合会が設立されました。その総会で、検討課題として共通商品券が決められたとのことであります。我が党議員団は、地域商店街の活性化の一助として、港区が商品券または買物券を検討するよう再三求めてきましたが、区はその重い腰を上げていません。今日、北区などでは区内共通の商品券の発行を決めたとの新聞報道もあり、この不況下、地域商店街は売り上げの減少により大きな打撃を受けており、その対策に真剣に自治体も取り組んでいます。区長は、港区商店街振興組合連合会の共通商品券の検討を行政としての対応を含めて支援すべきであります。答弁を求めます。
次は、
緊急救済融資についてであります。先の決算議会でも質問したように、個人零細業者については無保証人と改めるべきであります。信用保証協会が中小企業の借入金の保証を行うには、中小企業信用保険公庫が保証協会の保証について保険適用を行い、八〇%まで保険でみているからであります。この公庫の保険条件の中で、特別小口、常時使用する従業員が五人(これはサービス業、商業では二人ではありますが)以下の会社及び個人で事業資金であって、担保(保証人の保証を含みますが)を提供させない保証であります。保険限度額五百万円については八〇%保険保証を行うことと定まっています。この条件に見合う企業者であれば、保証人なしでも保険が適用されるので、保証協会は保証するわけでありますから、港区は直ちに、保険適用の条件に見合う個人企業者については無保証人とすべきであります。決算時に理事者は、無担保・無保証人制度がありますと答弁しているが、借入条件が違うから、多くの小規模業者が
緊急救済融資に集中しているのであって、その道をふさぐ答弁は全く異質であります。答弁を求めるものであります。
次に、公社問題についての質問を行います。
今定例会に、財団法人港区住宅公社と財団法人港区
勤労者サービス公社に関連する議案が提案されています。住宅について言えば、我が党は、定住人口の確保が港区の最重要課題である以上、定住対策部門を部に昇格させ、必要な人員補充も行うよう要求してまいりました。その結果、人員が必ずしも万全とは言えませんが、住宅対策室として部並みの体制で定住人口確保の中心的な担い手として仕事をしています。ところが、港区は定住対策の中心部門である住宅関連事業の大半を住宅公社に委託しようとしています。区長は所信表明で、「借り上げ住宅をはじめとする事業を効果的に展開し、また、区民の住宅をめぐる諸問題に対し、迅速かつ適切なサービスを提供するため、財団法人港区住宅公社を設立いたします」と述べられました。今まで住宅対策室が果たしてきた役割を何と心得ているのでありましょうか。これは、住宅は福祉であるとの観点が全く欠落したもので、自治体本来の仕事を放棄し、住民サービスの低下と高負担に道を開くことにつながる危険な内容を含んだものであります。
『(仮称)財団法人港区住宅公社の設立について』によれば、「住宅公社の必要性」で次のように述べています。「最近の住宅事情を背景に、住宅に関連するさまざまな問題、課題が顕在化しているが、これらは、少なからず行政が立ち入らざるを得ない場合がほとんどである。ただし、これら問題・課題の中には、その特殊性から行政が直接手を出すことができない部分を内包している場合がある。これらの部分をすべて民間にゆだねることは適切でなく、行政と民間の間に立ち、行政の住宅諸施策を積極的に推進するために、具体的施策展開の上でのさまざまな問題に対処するため、行政にかわる新たな担い手を確立することが必要である」としています。ここでも、「住宅に関連するさまざまな問題・課題が顕在化してきているが、行政が立ち入らざるを得ない問題がほとんどである」と明らかにされているように、港区での定住化施策を考えたときに、行政としての施策をきちんと位置づけること抜きにはなし得ないのであります。
今、必要なことは公社の設立ではなく、やるべきことはたくさんあります。地価が下がったとは言うものの、港区では依然として高水準にあり、固定資産税や相続税で区民が苦しめられている実態、この根源を取り除くための運動を引き続き強化すること、また、一極集中を加速するような再開発の抜本的な見直しなどを基本に据えた上で、一つ、区の独自施策として、子育て世代でも十分住み続けられる家賃の
区民向け住宅の建設。二、そのために、区有地の有効な活用を図ることとあわせて、国公有地を無償で譲り受けるか、安い価格で取得するか、安い価格で借りるかなどすること。三、国公有地に大量の住宅建設を関係機関に強力に働きかけること。四、東京都に対し、大量の都営住宅建設を要請すること。五、家賃補助事業を子育て世代が引き続き安心して住み続けようとするような魅力あるものに改正すること。六、民間の所有する更地を安い価格で借り、住宅建設を進めること。七、老朽化した都営住宅については居住者の意向を基本に据えた建て替え計画を東京都に要請する。八、東京都の施設の建て替え計画を前倒しにしてもらい、住宅併設を要請する等々、課題は山積しているはずであります。
ところが、そのような施策展開を抜きにして、住宅関連の管理部門などを公社に委託したところで、何の解決にもつながりません。さらに、住宅公社の業務内容を見ると、一、住宅事情に関する調査研究事業、二、住宅問題に対する啓発事業及び関連知識の普及事業、三、住宅関連情報の収集・提供事業、四、各種相談・支援事業、五、優良賃貸住宅の借り上げ・貸し付け事業、六、
区民向け住宅の管理事業等となっています。これらの公社で予定されている事業を見たとき、何ら公社でなければならないものはなく、住民に真に責任を持つ地方公共団体=港区として、住宅対策室のやるべき仕事ではありませんか。これらの仕事を進める上で、現在の住宅対策室の人員構成で不十分なことは明らかで、人員補充も含めた抜本的な対策こそ必要なのであります。
また、議会の関与はどうなるでありましょうか。
地方自治法第九十六条は、「普通地方公共団体の議会は、次に掲げる事件を議決しなければならない」として、第二号で、「予算を定めること」、第三号で、「決算を認定すること」となっています。ところが、駐車場公社で明らかなように、事業の状況などが議会に報告されるのは、今回のように駐車場の規模を縮小するようなときだけなのであります。今回の公社は違います。「評議員会をつくりますから」と言うかもしれませんが、そこで論議されても、議会の議決を得なければならない区の予算、決算とは根本的に違うのであります。
阪神大震災は、善意とボランティアによる被害者への救援活動も重要なことですが、その中心的な担い手は自治体職員です。今、阪神大震災の汲み尽くしても汲み尽くせない教訓からして、防災対策の抜本的な対策強化が求められているときだけに、公社設立については再検討をすべきであります。答弁を求めます。
最後の質問に入ります。
NTTなどの大企業に対する道路占用料についての質問をいたします。これについては、先の決算委員会で日本共産党港区議員団を代表して、星野議員が総括質問で取り上げました。そのとき区長の答弁は、「道路占用料については、国における政令単価をもとに、建設省通達をも踏まえ、適正な単価設定に努めてまいりました。ご指摘の電気、ガス、NTTなどは、いずれも区民生活に直接かかわる公共性の高い企業であり、国における単価設定においても、一定の配慮がなされているものであります。港区の地価に見合った単価設定ということになりますと、他との比較からして、かなり高額になる可能性があり、国、都、他区との均衡上からも、好ましくないものと考えております」との内容でした。この答弁は、他区との均衡上からして問題があるので、この場をかりて質問を行います。
それは、都心部にある港区と他の区を土地価格、また集積の利益の違いを無視し、一つの基準で占用料を決めていることそのものに問題があります。例えば、港区と練馬区の資料に基づき対比すると、土地の面積は港区の約二・四倍の練馬区は、電力消費量は港区の約四四%、NTTの回線使用数では約二五%で、港区の四分の一の回線使用数になっています。また、平成五年度の決算額では、NTTですと、一円の占用料当たりの回線使用数は、港区が一・〇八一回、練馬区は港区の二七・七%で〇・三回となります。この事実だけ見ても、単純な試算になりますが、同じ占用料で、港区でNTTは三倍以上の収益を上げていることになります。私は、以上の視点、さらに、地価などを考慮した各区独自の大企業に対しての占用料に改めるべく、関係者と協議すべきでありますが、区長の答弁を求めます。
以上で、私の質問は終わりますが、答弁によっては再質問を行うことを予告し、終わります。(拍手)
〔区長(菅谷眞一君)登壇〕
○区長(菅谷眞一君) ただいまの共産党議員団を代表しての北村利明議員のご質問に、順次お答えいたします。
最初に、港区地域防災計画の見直しについてのお尋ねであります。港区地域防災計画は、災害対策基本法に基づき、区及び警察、消防など区の地域における関係防災機関が参加する港区防災会議で作成しております。現在、各防災機関においては、このたびの大震災を踏まえて、計画の見直しを検討しております。先の防災会議においても、その方向で決定いたしました。今後、必要に応じ、防災住民組織のリーダーや学識経験者などのご意見を聞きながら、地域防災計画の見直しに取り組んでまいります。
次に、臨海副都心開発についてのお尋ねであります。港区の区域である台場地区では、現在、着々と建設工事が進み、計画では最終的には、約五千五百人もの区民がこのまちで生活することとなります。また、臨海副都心においては、構造物の安全性の確保など、災害に強い
まちづくりが進められております。今回の阪神・
淡路大震災の教訓を踏まえ、台場地区が震災に対して安全で快適なまちとなり、定住人口の確保が図られるよう、今後とも東京都と協議しつつ、対処してまいります。
次に、再開発事業とその安全対策についてのお尋ねであります。ご指摘のとおり、現在、幾つかの大規模な開発計画が進んでおります。これら再開発事業は、都市基盤や住宅、住環境の整備を図るなど、健全な都市機能の更新を目的とした災害に強い防災都市づくりを目指すものであります。このような大規模な開発においては、阪神・
淡路大震災の教訓を踏まえ、今後一層、開発区域内の防災機能を高めるとともに、周辺地域の方々も含めた災害対策に貢献できるよう、防災施設の整備を指導してまいります。なお、長期的には、住宅を主体とした開発へ転換、あるいは職と住との近接を図るなど、昼間人口の増加を極力抑制していくことが重要な課題であると考えております。いずれにいたしましても、住民の生命と安全を守るため、安全で快適な
まちづくりに取り組んでまいります。
次に、「港区災害対策検討委員会」の所掌事項の追加及び住民参加についてのお尋ねであります。二月十三日に設置いたしました「港区災害対策検討委員会」は、阪神・
淡路大震災を教訓として、港区の災害対策について全般的に調査、検討し、緊急性の高いものについては早期に実施していく趣旨で設置したものであります。ご指摘の区全体の災害に強い安全な
まちづくりについては、この検討委員会での問題点の整理を踏まえ、取り組んでまいります。また、このたびの大震災後、連日多くの区民の方々からご意見、ご要望が区に寄せられております。防災住民組織を中心とした町会、自治会の座談会、地域防災訓練も増えており、区の職員も出席する中で、直接ご意見を伺っております。したがいまして、区民の方々のご意見、ご要望などを踏まえながら、検討してまいります。
次に、備蓄倉庫と備蓄品についてのお尋ねであります。応急対策用の食糧、生活必需品をどこにどれだけ備蓄するかは、災害発生時に罹災者への救護活動を迅速に行う上で、重要であると考えております。現在、港区災害対策検討委員会の中で、学校施設の利用や備蓄倉庫の場所、備蓄物資の品目、数量などとともに、備蓄倉庫の機能のあり方も含め、検討しております。また、昼間人口に対する備蓄品については、昨年十二月に東京都に対し、帰宅困難者用の区内備蓄について要請いたしました。現在、区内備蓄の方向で進んでおります。
次に、橋の耐震性調査と液状化対策についてのお尋ねであります。震災時に橋の機能を確保することは、避難や消火、救援活動を行う上で極めて重要であります。もし、橋が被害を受け、通行不能になれば、その影響ははかり知れません。特に、運河に囲まれた芝浦港南地域においては、橋がまさに生命線となっております。したがいまして、橋が大地震で大きな被害を受けることのないよう、耐震性の調査を早急に行い、必要な安全対策を行ってまいります。また、区内で液状化が予測される地域の調査及び安全対策については、東京都など関係機関と協議し、検討してまいります。
次に、避難所の昼夜間のマニュアルについてのお尋ねであります。罹災された区民の方々が使用する避難所の開設、運営及びその協力態勢については、港区災害対策本部組織の中で決めております。具体的には、その組織の避難救護部、教育部があたることとしております。現在、「港区災害対策検討委員会」の中で、その態勢の充実について検討中であり、避難所運営のマニュアル化については、この検討を踏まえ、着手する予定であります。
次に、耐震性消火水槽の設置についてのお尋ねであります。耐震性消火水槽については、災害時における重要な防災施設として考えております。今後とも、消防署と連携をとりながら、円滑に消防活動ができるよう、学校施設も含め、ご指摘の地域に確保できるよう努めてまいります。
次に、区内全域に大型応急給水施設の設置についてのお尋ねであります。飲料水の確保につきましては、震災対策における都・区間の役割分担で、給水拠点までは東京都、特別区は給水拠点から住民に対する給水を行うことになっております。お尋ねの大型応急給水施設の設置は、東京都の水道局が広域避難場所、またはその周辺地域でおおむね二キロメートルの範囲内に一ヵ所、給水拠点を確保することを目標として、既設の浄水場や給水場に加え、千五百トンの大型応急給水施設の整備を進めております。ご指摘の地域については、地域住民の利便性などから、十分とは言えない状況にございます。今後とも、関係機関と調整を図りながら、設置に向け努力してまいります。
次に、港区防災会議への自衛隊の参加についてのお尋ねであります。災害時における自衛隊の派遣要請は、基本的には東京都知事であり、このことは「港区地域防災計画」に示しております。災害に際し、緊急時には区民の生命、財産を守るためにも、機動力や装備を備えた自衛隊の出動を要請することは必要であります。このことは五千四百人を超える人々が尊い命をなくされた今回の阪神・
淡路大震災の教訓の一つであります。「港区防災会議」への参加については、「港区防災会議」において検討してまいります。
次に、港南荘住宅の建て替えについてのお尋ねであります。ご指摘のとおり、区の計画案に反対する立場からの代替案が提出されており、この設計案の問題点について、提出者と意見交換をしております。現時点では、計画の内容を変更する考えはありませんが、周辺地域の住民の方々のご意見を承る中で、誠心誠意協議してまいります。
次に、官公需の中小企業への発注確保についてのお尋ねであります。従来から、区内業者の優先、中小企業の重視を基本方針とし、さらに分離発注、共同企業体方式の活用などを加え、努力してまいりました。また、中小企業経営安定対策連絡会議においても、中小企業への発注確保に努めることを全庁的に確認しております。しかしながら、経済性あるいは工事監理の問題もあり、分離発注については困難な場合もあります。今後、これらの問題の調整を図る中で、分離発注の可能性を検討し、中小企業及び中小企業団体への発注が拡大できるよう努力してまいります。また、関係各課の中小企業への発注確保の取り組みについてでありますが、中小企業振興のため、より一層連携をとって努力してまいります。
次に、
区内中小企業等への発注の増大についてのお尋ねであります。各種祝い品、見舞い品の発注に際しましては、履行能力などを勘案の上、
区内中小企業の受注機会の増大に努めております。しかしながら、品目、数量、配布方法などから、必ずしも十分な成果が得られていないことも事実であります。今後、検討される防災備蓄品目の購人にあたりましては、
区内中小企業の受注機会の増大につながるよう、分割発注なども含め検討してまいります。
次に、港区商店街振興組合連合会の共通商品券の発行への取り組みに対する支援についてのお尋ねであります。共通商品券については、個々の商店街あるいは区内全域の商店街のメリット、デメリット、リスクなどの調査が必要であります。さらに、二十三区共通商品券に向けた東京都商店街振興組合連合会の動向を把握する必要があります。これらの調査、検討を行う際に、経営近代化支援事業の活用などにより、区としても支援をしてまいります。港区商店街振興組合連合会は、積極的な事業展開を図ることのできる法人組織であり、今後とも十分な連携をとってまいります。
次に、
緊急救済融資についてのお尋ねであります。先の決算特別委員会でもお答えいたしましたように、
緊急救済融資は、その性質上、保証人が不可欠であります。ただ、ご指摘の特別小口保険に見合う制度として、
緊急救済融資とは別に従来から無担保・無保証人融資を設け、実施しております。この制度は、利率などが異なるものでありますが、売上高の減少など
緊急救済融資のような条件は設定しておりませんので、利用しやすい制度となっております。今後とも制度の充実、改善に努めてまいります。
次に、住宅公社の設立についてのお尋ねであります。住宅対策を港区の重要施策として位置づけ、その推進体制の拡充に努めてまいりましたが、今後さらに、新たな需要に対応した事業の拡大が見込まれます。しかし、執行体制の簡素化という社会的要請もあり、すべてを直接実施するには量的、質的な限界があります。そのため、区の責任領域を明確にした上で、区と一体となって事業を展開し、総合的な
区民サービスの向上を図るため、区が全額を出捐する公益法人である住宅公社の設立を進めております。また、公社に対する区議会の関与につきましては、諮問機関、監督機関としての評議員会や、助成、委託等に関する区の予算、決算の審議等を通じて、確保されると考えております。
最後に、道路占用料についてのお尋ねであります。道路占用料は道路を使用する対価であることから、占用物件ごとに道路価格を算出し、それを基礎として設定することになっております。二十三区内においても、都心区と周辺区それぞれの地域状況により、計算上の格差が生じることはありますが、これまでも、国、東京都、他区との均衡を図りながら、単価の設定を行ってまいりました。現段階において、地価及び収益率により各区独自の占用料の額を設定することには問題があると考えます。今後、国、東京都、他区などの関係機関と協議しながら、公平、適正な単価設定に努めてまいります。
よろしくご理解のほど、お願いを申し上げます。
なお、教育にかかわる問題につきましては教育長から答弁をいたします。
〔教育長(馬田博好君)登壇〕
○教育長(馬田博好君) ただいまの共産党議員団を代表しての北村利明議員のご質問にお答えいたします。
公共施設の安全性確保についてのご質問のうち、小・中学校の耐震調査についてのお尋ねであります。学校施設については、児童・生徒の学習や生活の場であるとともに、災害時には地域住民の避難場所となることが想定されるところであります。そのため、学校施設の建設にあたっては、通常の建築物より地震に対する強度に余力をもたせた配慮をいたしております。しかしながら、昭和五十六年の新耐震基準以前に建築された校舎等も多数残されていることから、何らかの対応が必要であると考えております。現在、予想される耐震基準の見直しも視野に入れた耐震調査のあり方について、「港区災害対策検討委員会」において検討することとしておりますので、早急に結論を得て対応してまいります。なお、校舎等建物の安全性の向上に加えて、外回りも含めた学校施設がより安全性の高い施設、設備となるよう努めてまいります。
よろしくご理解のほど、お願いいたします。
〔二十二番(北村利明君)登壇〕
○二十二番(北村利明君) ただいま区長から、また教育長から答弁がなされたわけであります。時間の関係もありますので、二点に絞って再質問をし、他の部分については関連の委員会、さらには予算委員会で内容を深めていきたいと思います。
その一点は、防災対策に関係してであります。区長は先ほどの答弁で、自衛隊に関係する部分ですけれども、防災会議への自衛隊の参画と災害時の自衛隊の出動を混同したかのようなとらえ方での答弁がありました。私ども日本共産党は、人命救助の緊急性から自衛隊が後方支援も含めて救助活動に参加すること、これは積極的に行うべきであるという立場をとっているわけであります。ただ、自衛隊の本来の任務は人を救助するという立場には立っていないわけであります。いわゆる一九六〇年三月、関東大震災から得た教訓、関東大震災における軍・官・民の行動と、これが監察、これは陸上幕僚部第三部で発行した資料でありますけれども、その中に災害時の治安維持と称して、人権と民主主義を自衛隊と警察の管理下に置き、言論、報道、集会、運動の取り締まりや大衆的な要求運動、救援活動の弾圧の方策まで露骨に研究している内容であります。その内容は、将来、有事の場合にはこれ、すなわち関東大震災を指しているわけでありますけれども、これに倍加する国及び地方公共機関の統制、指導体制、特に警察及び各都道府県知事、市町村長等の統制指導が必要であることは、大東亜戦争の際の例を見ても明らかであるなどとし、震災の教訓にかんがみ、特に警察に期待すべき事項は次のとおりであるとして、一、不穏、騒擾行動等の探知及びこれが未然検挙及び封じ、これは検問も含むということになっていますけども。二、流言飛語者等に不穏煽動、宣伝車等の検挙及び小規模な騒擾の制圧、要注意人物の監視、警戒、三、自警団などの取り締まり、五、新聞出版物その他の報道機関等の取り締まり、六、集会(屋内外)及び言論の取り締まり、途中略しますけれども、自衛隊に対する犯罪の予防、検挙、こういう内容が、自衛隊が震災時を想定して研究している内容であります。
先ほども私、紹介いたしました。港区内の消防署から、阪神大震災の救助活動に携わった消防署員が、機材、また人も、先頭に立って消防署が救援活動に入った、人命救助の活動に入った。自衛隊は道具を持ってきてない。せいぜい車とスコップ。そういうようなことで、自衛隊は消防署員の後方の支援活動、これが消防署員が私どもに話してくれた内容でありますし、テレビの画面でも、それらは私たちの目にふれたところであります。
よって、先ほども言いましたけれども、いわゆる震災時に自衛隊が人命救助で出動することは、これ当然のことと思いますが、いわゆる防災会議に参加させるということは、「いろんな論議なんだよ、いろんなことなんだ」というのが、私の先ほどの質問であります。言うなれば、私が今、読み上げた陸上幕僚幹部、関東大震災から得た教訓、これを見ても、「人命救助」の「人命」ひとつ書いてないんであります。言うなれば、住民、今度の神戸でも大きな力を発揮した住民の自主的な組織、自警組織、そういうものまで取り締まるというのが、自衛隊の研究内容であります。そういう立場で、住民参加を中心とした防災会議、そこでの震災時の対応、これを区長は真剣にやるよう、再度求めておきたいと思います。
二点目の質問は、港南荘の建て替え計画についてであります。先ほど区長は、「現在のところ、現在のところ、変更する考えはないが」という趣旨の答弁がされました。先ほど菅野議員の質問に対し、「対案を出してきた設計者、住民の方たちと、その問題点等々について検討しているところだ」と、なれば、先ほどの菅野議員に対する答弁は単なるゼスチャーでしかすぎない、区長サイドの。私は、先ほどの所信表明の中でも区長自ら述べたじゃありませんか。「区民のための区政、区民の立場に立った区政、それを行政の柱にする。私の行政マンとしての業務遂行の基礎に据えているんだ」と言っていながら、住民から出された対案については、単なる話を聞く、問題点を区が指摘するだけで、何ら聞こうとしない姿勢、これは本当に自らが、先ほど読み上げた所信表明と具体の態度を一致させるならば、あのような私に対する答弁は返ってこない内容かと思います。しかし、忙しい身でありますから、それぞれの部署が書いた答弁をそのままもし読み上げたとしたら、私は、区長の苦しい立場、そういう立場は理解しないわけでもありませんけれども、再度、この部分についてはしっかりと住民との協議、それに基づく計画の見直し、それを含めた検討を鋭意今後行っていくという区長の姿勢が必要だと思います。これについては再度の答弁を求めます。
以上です。
〔区長(菅谷眞一君)登壇〕
○区長(菅谷眞一君) ただいまの共産党議員団を代表しての北村利明議員の再質問にお答えいたします。
最初に、防災にかかわる自衛隊の問題でございますが、区民の生命、財産あるいは人権を尊重し、それを最大の命題としていることは、質問者の北村議員も、答弁する私も同じでございます。当然のことながら。私は、であるがゆえに、緊急災害時の、緊急事態における自衛隊の出動を要請することはあり得ると申し上げてまいりました。そして、その自衛隊がそういう事態に、そういう可能性があるとするならば、自衛隊のそういう機関という立場と防災会議の中で参画することがいいのか悪いのか、いろいろ論議はあろうかと思います。したがいまして、防災会議の中で検討をしていきますと、こう申し上げたわけでございます。よろしくご理解をお願いいたします。
二点目の港南荘の問題でございますが、先ほどもご答弁申し上げましたが、港南荘の問題につきましては、ただいま現在、反対する立場からの一定の対案といいますか、代替案というものが出ております。そういうものを現在、それらの内容について問題点をいろいろ整理する中で、お互いに協議をしております。しかし、そういう中で、今すぐに私は、従来から計画しております区の計画案を変更する、現在のところ意向はございませんと申し上げたわけで、今後とも、それらを十分、地域住民との協議を誠心誠意尽くしたいと、こういう気持ちは同じでございます。
○二十二番(北村利明君) 今の港南荘の問題で、「今の段階で、それぞれの計画をどうするかという判断には立っていない。しかし、対案も出されていることなので、区の原案ともすり合わせして、住民と引き続き協議をしていく。その結論がまだ出ていないんだ」という答弁かというふうに私、理解いたしますけれども、そういうことでよろしいのかどうかという点だけ、端的にお答え願いたい。
〔区長(菅谷眞一君)登壇〕
○区長(菅谷眞一君) 再々質問にお答えいたします。
港南荘の問題につきましては、今、お互いにいろんな意見もありましょうし、考え方あるいは計画についての評価もございます。そういうものをいろいろ持ち寄りながら協議を続けていきたいと、こういうことでございます。現在の区の計画案は計画案として、いろいろな背景の中で策定したものでございますので、それはそれとして、とにかく現在のところ、そういう代替案も出ておりますので、それらについて一応問題を整理したいと、こういう状況でございます。
○副議長(大橋昭二君) 三十三番長島五郎君。
〔三十三番(長島五郎君)登壇、拍手〕
○三十三番(長島五郎君) 平成七年度(一九九五年)第一回港区
議会定例会にあたり、社会党・区民会議を代表して、区長に質問いたします。
冒頭に、阪神地方を襲った神戸・淡路の大震災は、四十日以上を経た今日、犠牲になられた方々、被災者、避難所等で厳しい生活を余儀なくされている多くの人たちに対し、改めて衷心よりお見舞い申し上げ、哀悼の意を表します。一日も早く回復されることを願い、私たちも、できる限りお手伝いさせていただく所存であります。
質問に入ります。最初に、大規模建設と財政運営、税収等についてであります。
平成七年度予算は、このたび改定した基本計画に基づく最初の予算編成であります。言うなれば、二十一世紀のかけ橋として、「未来を展望した課題」として掲げられた「生活の場としての都心・港区の実現、地域福祉の
基礎づくり、
健康づくりとスポーツ、地球環境の保全及び
コミュニティづくり」の着実な実現に向けて、スタートが切れる年であります。この点から言えば、区長就任三年目の予算編成にして、改めて菅谷カラーを打ち出し、編成した予算とも言えるのではないでしょうか。しかしながら、基本計画の着実な実現には容易ならぬ状況でもあるとの認識をしなければならないことも事実であります。区長は所信表明の中で今日の経済状況を次のように述べております。「国内では、長かった不況が穏やかながらようやく回復の方向に向かい、政府は事実上の
景気回復宣言を行いました。しかしながら、経済環境は、一ドル百円を割る急速な円高の進行や価格破壊、
国際経済競争の激化のもとで、産業の空洞化やそれに伴う雇用への懸念など、先行きに対する不透明感が広がり、国民の間では景気回復の兆しが実感できず、楽観できる状況ではありません」。私も同様な認識を持つものであります。
政府は、昨年九月の月例経済報告で、いわゆるバブル崩壊後の平成不況が終わり、景気の回復を宣言し、さらに、本年二月の経済企画庁が発表した昨年十二月の景気動向指数による景気の現状を示す一致指数は八五・〇%、景気判断の分かれ目になる五〇%を五ヵ月連続で上回り、「景気は引き続き回復局面にある」としています。しかし、ますます進む円高の動きや経済に及ぼす阪神・
淡路大震災の影響などもあります。私たちの日常生活から見て、日本経済の足取りはどうも重く、景気が回復している実感に乏しいのが実態であります。私は、こうした状況がこれからも数年続くのではないかと考えております。いずれにいたしましても、景気の回復基調が進むとしても、従来のようなV字型の回復にはならないというのが、大方の一致した認識であります。
このことは、税収の伸びは余り期待できないことを意味し、逆に、来年度の特別区税は四年連続して減収を見込むなど、景気回復が直接税収に影響することはまだまだ先であるという感じであります。このことは、まことに厳しい区財政運営を迫られるものと考えるものであります。すなわち(これまで手がけてきた高輪支所、赤坂支所、港南三丁目、台場地区における住宅公共施設をはじめ、福祉コミュニティ、教育施設が順次完成を迎え、さらに芝一丁目の
心身障害者福祉センター、そして港南荘と大規模な複合施設の建設が続いています。これらは、いずれも二十一世紀の地域社会にとって、夢のある区政実現に大きく貢献し、区民にとって大変喜ばしいことであります。
一方、これからの経済状況を考えると、手放しで喜べる状況にないことはさきに述べたところであります。具体的には、一つのプロジェクトに百億円以上必要とする建設経費をどう確保するのか、また、施設のグレードによっては、それに比例して維持管理費を多く必要とします。ちなみに、維持管理費を来年度予算に見ると、麻布支所庁舎は一億余円であるのに対し、高輪支所庁舎は二億七千余円であります。併設している施設や規模による違いがあるにしても、これまで以上に多くの費用を毎年必要とすることはかわりありません。今後、順次多くの施設が完成する維持管理費は、今後の財政運営に重い負担をかけていくことが予想され、こうした経費をいかに少なくするかが課題であります。このためには、日常不断の節約に努めることはもちろんのことですが、設計の段階から十分に調査、検討することが求められます。耐震性など安全性への配慮は当然としても、バブル時代の発想でなく、今後の財政状況を見通した施策のあり方を真剣に考えていくべき時代であると考えるものであります。私は、このような状況の時代の変革にあたって、行政の経験が豊富であり、しかも、財政に強い菅谷区長に期待することが大であります。強力なリーダーシップのもと、区政を誤りなきよう進めていただきたいと考えております。
そこで、区長に何点かお伺いいたします。第一に、経常的経費について、「事業の推進に支障がないよう配慮しながら、昨年に引き続き厳しく見直し、
事務的経費については極力削減することに努めた」とありますが、具体的にはどのような視点で削減し、その効果はどうであったのか。さらに、来年度以降はどう取り組もうとしているのか。第二に、現在進め、あるいは進めようとしている大規模な施設建設に必要とする財源の手当てをどのように考えているのかであります。基金と起債の活用を考えていると思うところですが、後年度も含め、それらの見通しについてお聞かせいただきたい。第三には、冒頭述べたように、経済や区税収入の見通しにあたって、区長として、一方で大規模な施設建設を進め、他方ではソフト事業も含め、
区民サービスの低下を招くことのないよう区政運営が求められる中で、どのような財政運営のもとに施策を展開しようとしていくおつもりなのか、基本的な考えをお伺いいたします。
次に、大震災にかかわる質問であります。このたびの阪神大震災が示したおびただしい被害は、教訓というには余りにも大きく、また余りにも痛ましいものであります。教訓という言葉を軽々しく使ってはならないという思いを強く感じております。しかしながら、私たちは今、たくさんのことをこのたびの震災とそれを取り巻く状況から学びつつあるわけであり、そこから学んだことを今後の対応に生かしていかなくてはなりません。それが、区民の生命と財産を預かり、次の世代にバトンタッチできる
まちづくりを課せられた私どもの使命であります。この項目については二点、区長に見解をお伺いいたします。一は、昼間人口対策、二は、災害弱者対策であります。
まず、防災対策における昼間人口対策について。このたびの阪神大震災に関する膨大な情報の中には、若い人を中心としたボランティアの目を見張るようなすばらしい活動のように、失ったものの大きさにくじけず、希望を持って行けると思えるようなものがありました。そんな情報の一つに、住民の地道な
まちづくり活動を通じて交流のあった地元企業の活躍の話があります。この企業は、発生直後、社員五十人余りが手押しポンプ車三台で消火作業の先頭に立ち、工場内の工業用水で延焼を食いとめただけでなく、家屋を住民が撤去するためのクレーン車を貸し出し、会社の体育館に三百人余りの被災者を受け入れているとのことです。「ここは自分たちのまち、黙って見ているわけにはいかない」という工場長の言葉は、まことにすばらしく、その実践活動を重ね合わせると、感激を覚えるほどであります。
ところで、我が港区基本構想には、次のようなくだりがあります。「基本構想は、何よりも区民の生活を守り、よりよい地域社会をつくるためのものである。また、都心区の特性を踏まえ、企業や区内で活動する人々も、地域社会の一員としての役割を担うことを期待する。区は、この基本構想に基づき、区民の生活を守るという観点から、企業活動に対して適切な規制、誘導を図るとともに、さまざまに活動する人々と区民の交流を図っていく」。また、このたび作成された改定港区基本計画においても、次のように、いわゆる昼間人口のことを述べられています。「こうした港区のコミュニティの再生を図るため、町会、自治会などの従来からある地縁的なコミュニティ団体の活動の活性化とともに、昼間人口と言われる区内で活動している人々や地域のさまざまなグループなどとの相互交流を深め、都心にふさわしいコミュニティの形成を図る必要がある。そのため、コミュニティ活動の場所や機会の提供にとどまらず、人々のふれあい交流事業、生涯学習事業、文化事業や施設、事業の情報提供やネットワーク化など、これまで以上に積極的で総合的、一体的なコミュニティ振興施策を実施することが重要となっている」と。進むべき、そして取り組むべき方向性は既に明らかであります。「企業や区内で活動する人々も、地域社会の一員としての役割を担ってもらい、これらの人々のふれあい交流事業、ネットワーク化など、これまで以上に積極的に、総合的かつ一体的なコミュニティ振興策を実施する」、まさにそのとおりであります。
防災対策上の昼間人口対応と言いますと、すぐに、膨大な量の備蓄物質の必要性が言われ、それは東京都と事業所の二分の一ずつ用意するものですという少々及び腰の説明がなされるのが、通常であります。それはそれで理解できなくもありませんが、いわゆる夜間人口の数に比べ、膨大な量の昼間人口を抱える都心区と、昼・夜間人口格差がさほどでもない周辺区と同一に論ずることに無理があり、広域自治体としての東京都にゆだねることもやむを得なしと考えますが、ただ、先般、連合東京中部地協が、平成七年度予算に関する要望書を提出し、理事者との意見交換を行った際、強く出されたように、基本構想で言うところの「企業や区内で活動する人々」は、昼間人口に対する防災対策はどのように構築されているのか、非常に大きな関心を寄せているのであります。真っ当な情報提供すらされていないということに焦り、いら立ちを感じているといっても、過言ではありません。
また、二分の一の負担を想定されている民間事業者に対する情報提供、説明、支援、誘導等々は、果たして十分に行われているのでしょうか。強い疑問を持たざるを得ませんが、ここでは、住民に最も身近な
基礎的自治体としての港区が、基本構想や基本計画で地域社会の一員と位置づけた彼ら昼間人口の強い不安にこたえるべく、情報提供体制づくり等、何らかの対応を検討していただくよう、要望にとどめます。
ここで、私が昼間人口と言われる人々を取り上げようとしているのは、るる申し述べてきたことからご推察いただけるように、むしろ、災害時において、どのように地域レベルの防災活動、防災体制にご協力いただくべく、防災システムに組み入れていくかということなのであります。消火活動であれ、崩壊した建物からの救助活動であれ、その後のさまざまなボランティア活動や、彼ら昼間人口が何らかの形でシステムに参加してくれれば、災害に立ち向かうマンパワーが、総量として飛躍的に増大することは間違いありません。区長は、こうした「企業や区内で活動する人々」、いわゆる昼間人口を防災対策上にどのように活用するべきか検討を進められようとしているのか、見解をお伺いするものであります。
次に、災害弱者対策についてお尋ねします。私は、先の平成五年決算特別委員会の総括質問において、次のように申し述べました。「このたびの阪神大震災における被災者の中で、子供、障害者、高齢者の方々が置かれている大変厳しい状況をニュース等で見聞きするたびに、まことに胸が痛み、これらの人たち、とりわけひとり暮らしや寝たきりの高齢者たちの救済に区として何か対応したのか。同時に、特養ホームにおける日ごろの防災対策はいかが云々と、私は改めてここで、被災した寝たきりのお年寄りや障害者の想定される深刻な問題について、行政としての対応を的確に進めていただきたく、問題提起をして区長の見解をお伺いするとともに、私自身も議員の立場から一緒に考えたいと思い、所見を申し述べるものであります。
被災時及び避難所生活で困ったこととして報じられておりますのは、聴覚障害者の場合ですと、「停電の場合、ファックスが使用できず、消防、警察、家族、手話奉仕員に連絡できない」「水や食料品など緊急配給を行うとき、スピーカー放送のため情報が伝わらない」といったこと、また、視覚障害者の場合ですと、「つえで覚えた避難通路が役に立たない」「ビラ、張り紙だけでなく、電話、テレビ、点字など情報が知りたい」といった困った点が挙げられています。肢体不自由の方々の場合は、「避難路が使えない」「避難所に車いす用トイレがない」などが挙げられております。さらに深刻なのは、建物にひびが入り、水道もガスも途絶えた中で、だれにも発見されることなく、何日も取り残された高齢者夫婦や肢体不自由者の方々の状況であります。我がまち港区でも、大きな災害が発生したとき、同じような自宅で介護を受ける障害者や高齢者が取り残されないという保障はありません。人口減少、高齢化の進行、そして地域の横のつながりが少ないこと等々、不安な材料は山ほど出そろっております。
これらのことから浮かび上がってくる課題は、例えば、手話通訳者の災害時のマニュアルの作成、避難場所での地域情報の確立、備蓄物資の見直し(車いす、車いす用トイレ)など等々が考えられますが、果たしてそうしたレベルにとどまるものなのかどうか、何かもっと基本的な課題があるように思います。その点で、このたびの大震災にボランティア活動を実践した人たちの次のような意見は、大変参考になります。「盆踊りでもカラオケ大会でもいいから、障害者やお年寄りを誘い出すようなコミュニティの再生が必要だ」。あるいは、「在宅の高齢者、障害者、給食サービスや介護サービスなど複数の民間ボランティア団体と交流しておくことが必要だ」。こうした意見は、このたび最も被害が集中した地域でよく聞かれた「日ごろの顔見知りの中で、あの人がいない。あそこのおばあちゃんはどうしたの」ということが、瓦れきの中から近隣の人たちが共同して救助活動したという報道にも、共通した課題を示しているように思います。
「在宅福祉を基調とする地域福祉の推進」というのが港区の基本姿勢でありますが、災害時においてこそ、こうした姿勢が本物であるかどうか問われるといっても過言ではありません。区長、あなたは日ごろより、「思いやりとやさしさのある区政」ということを日々実践すべく、行政の先頭に立って奮闘しておられる。そうした方だからこそ、災害時における障害者や高齢者の深刻な課題に対する的確な対応を検討し、かつ、できることをすぐにでも実践されることと思いますが、ご決意及びご見解をお伺いするものであります。
防災対策の三番目の質問は、ボランティア活動経験者の活用についてであります。マスコミでも紹介されているとおり、このたびの阪神大震災でのさまざまな形で行われているボランティア活動には、ただ感心するのみであります。海外からの貴重な支援活動についても、忘れるわけにはまいりません。一体、どれぐらいの方々の温かい気持ちと熱い情熱、そして労力がつぎ込まれたことでしょう。最近では、一時盛り上がった緊急対策のボランティア活動とはまた違った粘り強く地道な生活再編、自立支援型のボランティア活動が必要とされていると報じられております。実は、私の周りにも、暇をつくってボランティア活動に出向きたいと真剣に検討している自営業者の方がおられます。その方とお話ししておりますと、つくづく住民の意識が変わってきているなと実感をします。一言であらわせば、だれのためでもない、自分自身のためにボランティア活動をするんだという意識の定着であります。しかも、大上段に振りかぶった感じが全くない。見事だと思います。
ここで、私が質問というよりも提言したいのは、ただいま紹介した人や、既に現地から戻った人たちを見ているときに感じたその貴重なエネルギーや志を何とか港区の「安心して、いつまでも住み続けられる
まちづくり」に生かせないものかという着想に基づいてであります。例えば行政内部でも、正式に派遣された職員以外でも、個人の発意というまさしくボランティア精神に基づいて神戸や西宮に出向いた人々が、何人もおられると聞いております。私の知り合いの消防団員の方々も、何回かに分けて現地に出かけておりますし、組合活動家でもおります。その他、主婦の方、福祉グループの方等々、恐らくこうした人たちをお一人お一人紹介すると、膨大な量になると推測します。そこで、私は、すぐにとは申しません。半年ぐらいでも結構ですから、例えば広報『みなと』で呼びかけるなどして、阪神大震災の現地でのボランティア活動をした貴重な経験を港区の災害に強い安心して住み続けられる
まちづくりに生かしていくべく、合同のスピーチの場を設けるなど、記録として寄せていただくとか、公聴人として意見を述べていただくとか、あるいは、こうした人たちの名簿を作成し、ボランティアとしてストックさせていただくとか、とにかく、このたびの貴重な経験、それを支えた志やエネルギーを無に帰することなく、活用すべきものと思うのでありますが、区長の見解をお伺いいたします。
以上で質問を終わります。
〔区長(菅谷眞一君)登壇〕
○区長(菅谷眞一君) ただいまの社会党・区民会議を代表しての長島五郎議員のご質問に、順次お答えいたします。
最初に、経常的経費の見直しについてのお尋ねであります。区の事務事業については、財政状況にかかわらず、常に区民の要望を把握し、事業の経費と効果の点から見直す必要があると考えております。とりわけ、近年のように高齢化の進行に対応した地域社会の基盤整備、また都心の空洞化に対応した定住対策、さらに防災対策など、緊急かつ大規模な施策対応が求められる場合には、なおさら全体的な見直しが必要であります。また、ここ数年は区税収入も減収傾向にあるため、財政運営の健全化の観点からも、節減について意を用いる必要があります。このため、平成七年度の予算編成にあたり、庁内の協力を徹底して求め、経常的経費において、一般需用費をはじめ、備品購入費、光熱水費、食糧費などについて、前年度に引き続き一〇%の節減をいたしました。その結果、およそ七億円余の節減を実現いたしました。額としては小額ではありますが、限りある財源を有効に活用するため、全庁を挙げてさまざまに努力を行った結果であります。私は、このような工夫を不断に積み重ね、執行方法などについて来年度以降もさらに見直しを進め、今後の改善につなげてまいります。
次に、大規模施設建設の財源についてのお尋ねであります。これらの施設は、定住の促進や高齢者、また障害のある方のための施策を推進する上で、基盤となる施設であります。これらの施設は区民の要望も高く、区としても、これらの施設を中心に、「いつまでも住みつづけられるまち・港区」の実現に向けた施策の具体的展開が進められることになります。施設の建設にあたっては、一般会計に過大な負担を与えないよう、当初から基金及び起債などを財源としております。幸いにして、区民並びに区議会のご理解をいただき、現在建設中の大規模施設については、当初の方針どおり進めてきております。しかしながら、基金については額に限度があり、また、起債については元利償還金などの後年度負担の問題があります。さらに、施設については永続する維持管理経費の問題もあるため、財政運営にあたっては、弾力性を失うことのないよう十分な注意が必要であります。後期計画の推進においても、当然のことながら、健全財政に配慮した財政運営を基本として、財源の確保及び執行に努めてまいります。
次に、財政運営の基本的考え方についてのお尋ねであります。ご指摘のとおり、日本経済の回復への動きは弱いと言わざるを得ません。加えて、今回の阪神・
淡路大震災が景気回復へ及ぼすマイナスの影響も懸念されております。景気の回復による区税収入の伸びは期待することが難しく、区財政は当分、厳しい運営を強いられると考えております。こうした中にあっても、より一層の
区民サービスの向上を図っていくことが、区長としての私の責務であります。しかし、必要な財源は限られております。そのために制度改革の中で、区民の需要に即した財政制度を目指して、財政調整制度の改善に取り組んでまいります。また、基本計画の着実な推進を念頭に、健全財政の維持を基本として、事業の見直しや基金、起債の有効な活用などにより財源を確保してまいります。このことにより、
区民サービスの一層の向上に必要な緊急かつ重要な施策を積極的に展開してまいります。
次に、防災対策における昼間人口の活用についてのお尋ねであります。災害の規模が大きいほど、避難、救助、救護などの活動が重要であり、事業所などで働く方々の果たす役割は欠かせないものがあります。これまでも、総合防災訓練などにおいて、区民と事業所などが一体となった防災活動の必要性、重要性をPRし、参加を呼びかけてまいりました。また、二月二十一日に麻布区民センターで開催いたしました防災講演会には、区民とともに三百名以上の事業所の方々が参加しております。その席上におきまして、私は事業所の方々に、いざ災害というときに地元町会とともに災害に立ち向かえるよう、ふだんから地域の訓練や行事への参加をお願いいたしました。講師のお話の中でも、特にその必要性を強調されておりました。事業所の訓練は主に消防署が対応しておりますが、今後とも区民と事業所の方々が効果的な連携がとれるよう、警察、消防などと協議しながら進めてまいります。
次に、災害時における障害者・高齢者対策についてのお尋ねであります。災害時における障害者・高齢者・ひとり親家庭などいわゆる災害弱者への救援、救護は緊急の課題であると受けとめております。このたびの阪神・
淡路大震災において、このような方々が避難の際の誘導や情報不足で大変困ったということを聞いております。また、避難所生活での介助や移動の困難性、情報不足などにより、極めて不安な生活を送っていると報じられております。こうした災害弱者の方々への当面の取り組みとして、防災マニュアルの配布を通じて、常日頃の備え、連絡方法の確立をしてまいります。また、防災住民組織との連携強化を通じて、災害時はもとより、常日頃からお互いに助け合い、支え合う地域社会づくりを進めてまいります。こうした努力がご提言の趣旨にかなうものと考えます。一方、災害時の介護人派遣、
特別養護老人ホームの臨時的活用や目や耳の不自由な方への情報提供システムの確立など、避難支援態勢づくりが急務であります。今後、このたびの大震災を教訓とし、障害者や高齢者などのご意見、ご要望を受けとめ、きめ細かな災害弱者対策を確立してまいります。
最後に、防災ボランティアについてのお尋ねであります。今回の阪神・
淡路大震災において、防災ボランティアがさまざまな救援活動の場で活躍しております。防災ボランティアは、災害時の人的支援として、その役割は貴重であります。そのため、今回設置しました「港区災害対策検討委員会」において、検討事項の一つとして、ボランティアとの連携に関することを掲げております。大変貴重なご意見であり、ご趣旨を踏まえて積極的に検討してまいります。
よろしくご理解のほど、お願いをいたします。
○議長(大蔦幸雄君) 三十番川村蒼市君。
〔三十番(川村蒼市君)登壇、拍手〕
○三十番(川村蒼市君) 再度でございますけども、このたびの阪神大震災に際して、大変な犠牲者が出ました。衷心よりの哀悼の意を表しますとともに、同情を申し上げたいと思います。なお、私も、後で申し上げるわけですけども、現地を見てまいりました。しかし、日本は過去、関東大震災、さらには震災ということもございました。これを復旧、大きく復興をさせました。きっとこの阪神大震災も、そう遠くない近い将来にきっと復興されるだろうということを祈念し、また、それを確信をいたしております。
それでは、順次質問をいたしてまいります。
最初に、制度改革についてお伺いを、質問と激励を申し上げたいと思います。「今まさに正念場に差しかかった特別区制度改革、私はその実現に向けて、区民、区議会と一体となり、全力を挙げて取り組んでまいります」。これは、本日の区長、あなたの所信表明の一節であります。もともと区長は、長きにわたりまして職員として、さらには最高責任者として、制度改革の推進に努めてきたあなたとしても、万感の思いを込めての言葉であろうと思います。文字どおり、特別区の悲願であります制度改革がなるのかならないのか、文字どおり正念場であります。特別区を含め、地方公共団体を取り巻く経済情勢は、戦後最大、最長の不況に見舞われ、財政にもその影響をもろに受けています。さらには、税収減により、財政運営は厳しい運営を強いられております。一方、財政需要は経済活動の
ボーダレス化、高齢化、国際化の中でさらに増大し、取り組まなければならない課題は山積をしておるのであります。このような時代に対応して、各自治体は積極的に、さらに果敢にこれら行政課題に取り組んでいかなければならないと思います。そのためにも、この際、二十三区がぜひとも、
基礎的自治体の役割として、これら行政需要にこたえなければならないのであります。
他方、制度改革の方は、まだまだ多くの問題はありますが、幸い関係者の努力により、最大の懸案でありました清掃事業にも目安がつきました。しかし、顧みますと、最初の形からしますと、大分後退した形で、とりあえず落ちつきそうであります。鈴木俊一知事の選挙公約でもあり、都議会の答弁でもありました平成七年四月の実施は大きく後退し、法改正にとどまるまでに後退をしたのであります。今となっては、本当に残念としか言いようがないわけでありますが、これ以上の後退は絶対に許すことができません。何事もそうであります。特に行政は、一部の対応で進められるものでもありません。この制度改革も、住民のみで、あるいはまた議会のみで、あるいはまた行政のみで実現できるものでもありません。その他多くの関係者の理解と協力を得、加えて、国においても、ぜひともその気になってもらわなければならないことは今さら申すまでもありません。
特別区制度改革は、国政の場における審議にゆだねられる重要な段階を迎えました。ところが、私には、自治省の姿勢に積極的な面が見えないのであります。万一そうであったとすれば、最後になって裏切られることになります。長い制度改革のこの道のりではありましたが、いよいよ正念場であります。平成七年四月といえば、もう残された時間はわずかであります。この時間は有効に使わなければなりません。この際、何が何でも法改正を実現させなければならないと思います。議会も行政も、ただ待つのみであってはならないと思います。所信表明演説の中でも言っておられますが、いま一度、区長の強力な法改正への意思の表示と、具体的行動計画があるのであれば、それをお伺いをいたしたいと思います。
次に、行政改革についてお尋ねをいたします。
行政改革は至上命令であります。地方公共団体ももちろん積極的にとるべきであります。その目指すところは小さい政府であるべきです。その目指すところの成果は、行政の簡素化、役人及び国民の甘えの構造の排除によるそれぞれ各分野での活性化などであろうと思います。そのためにはスクラップ・アンド・ビルド、事務事業の徹底的な見直しであり、さらには、組織機構の簡素・合理化であり、職員定数や給与の適正化に積極的に取り組むべきであります。
国においては、規制緩和の推進、地方分権の推進、特殊法人の見直しなどを強力に進めることとしています。地方公共団体については、昨年十月に自治省事務次官名で各地方自治体あて「地方公共団体における行政改革推進のための指針の作成について」が通知されたところであります。この指針の概要は次のようになっております。すなわち、第一に、地方公共団体は自主的、計画的に行政改革をすること。そのために、新たな行政改革大綱を一年以内に策定し、庁内に行政改革推進本部を設置し、三年から五年を計画年度にすることとなっています。また、この大綱が確実に実施されるために、その進行状況を住民参加のもとで管理することとなっています。第二に、行政改革の推進のための重点事項として、一つ、すべての事務事業を見直し、二つ、行政運営の効率化を進め、さらには、行政責任分野、経費負担のあり方、行政効果等を精査し、補助金等の廃止、統合など抜本的な整理、合理化を図ることとしています。加えて、時代に即応した組織機構の見直しをして、職員定数の適正化計画を推進することとしています。第三に、地方議会についても、その機能に留意して、自主的に組織運営の合理化を進める必要があるとしています。もっと詳しく申し上げたいわけでありますが、この場で申し上げるわけには、時間の関係もあります。簡単かつ概要となりますが、その内容は大変な意気込みを感じるものでありますし、とにかく小さい政府をつくるべきであるという姿勢を極めて強く感じるものであります。
私は、行政改革について、機会があるたびに訴えてまいりましたが、その成果は余り見られないものであります。毎回申し上げるわけでありますが、私は、まず人減らしというのではありません。このたびの区長の所信表明の中で言っておられますように、事務事業の見直しをして職員の適正配置を検討、改善し、簡素にして効率的な区政を推進することであると信じています。その推進は大変に難しいことであります。役所側にも住民にも、総論賛成、各論反対の姿勢があるからであります。しかし、行政改革は実行しなければなりません。その実行するのは区長自身であります。区長自身をおいてほかにはありません。財政運営の大変厳しい折でもあります。だからこそ、この機会は絶対に逃すことのできない機会でもあります。大田区を皮切りに、二十三区もいよいよ具体的にその姿勢が明らかにされるわけでありますが、ぜひ、菅谷区長にも強力なリーダーシップを発揮し、行政改革を推進してほしいものであります。
そこで、質問をいたしたいと思うわけでありますが、所信表明の中で区長は、行政改革について基本方針を策定すると申されたわけであります。ただいま申しましたように、自治省事務次官通知に沿ったものと思いますが、その内容は大変多岐にわたっており、その具体的施策を聞くつもりはありません。私は、現時点での考え方というか、区長の決意と方策をお伺いをしておきたいと思います。
次に、リサイクル条例の制定について、お伺いをいたします。
私ども人類は、豊かさと便利を追い求める歴史を歩んできました。そして、それは幸せを求める人類の当然の営みであり、また、それが最上の行為でもあるように信じてきました。しかし、近年、そのような行為、行動に世界の人々はようやく疑問を感じることとなりました。すなわち、それは、資源には限界があること、また、大気、水、土壌を汚染することになり、人類を含め生物の存在に大きな影響があることに気づいたのであります。特に先進国の産業活動、生活様式における行動形態は、大いに反省しなければならないと思います。
所信表明の中で、区長は、「従来の発生源対策に加え、
まちづくりと日常生活の両面からの取り組みが不可欠」と言っておられますことは、達見であろうと思います。今議会に
エコプラザ条例が提案されており、また、所信表明の中でも、総合的な計画である環境計画を策定すること、さらには、資源回収のモデル事業を拡充すること、加えて、港地区清掃工場の建設に協力することなど、表明されております。その区長の積極的対応を高く評価するものではあります。今後の対応に大いに期待をするものではありますが、いつも申しますとおり、環境対策は、行政が最も力を入れるべきことの一つでありながら、私の見える範囲においては、なかなかその成果が見えてこないどいうことであります。さきの決特で環境対策課長は、その成果に関し、それなりに結果が出ているとのことではありますが、行政というのは地道なもので、一度に花が咲くようなそういうものではないと思いますが、とにかく環境行政は対策を急がなければならない。一刻の猶予もできないということを認識してほしいと思うものであります。環境問題は、消費者、事業者、行政のそれぞれが協力して解決するものであります。その中で、行政はその核となるべき存在であります。そこで、私の方から申し上げたいのでありますが、資源循環型社会を目指して、消費者、事業者、行政のそれぞれの立場の役割と分担を明確にするようなリサイクル条例を制定するべきであると思いますが、区長の所見を問うものであります。
次に、防災対策についてお伺いをいたします。
このたびの阪神大震災は大変に大きな被害をもたらしました。被災一ヵ月後のときの兵庫県知事のメッセージは、私たちの忘れられない言葉となると思います。「私どもは、余りにも多くのものを失った。復旧、復興の道のりはつらく長いが、大切なのは希望だ。輝ける二十一世紀の兵庫をつくるために力を尽くそう」というものでありました。最近は地方分権が言われ、地方の力が大きくなりつつあるわけでありますが、特に防災に関して、地方自治体の存在は大きいものであります。その頂点の知事としての並々ならぬ決意であったと思われます。
ところが、私は被災地を二回視察をしてまいりました。一回目は被災の翌日、十八日でありました。木造の家は大部分崩壊し、道端には瓦れきが散乱し、まだ火災の跡はくすぶっておりました。このたびの被災に際し、いろいろなことが言われております。私は、あの時点で家族を失い、食べ物もなく、さらには寝るところもないというのに、人々の冷静な行動に大変な感銘を受けました。というより、近年、世界に例のない、異例といってもよいほどのように思います。略奪をはじめとして人心の乱れはなく、落ちついた行動で、人々は黙々と水の来るのを待ち、小さな握り飯を買い求めるために長い行列をつくっていました。また、まちの中で自衛隊の機敏な行動とその活躍を各所で見たことも、強い印象として残ることと思います。
そして、第二回目は二月十四日、防災対策特別委員会で視察をしたわけであります。このときも、また感銘を受けました。一つは、救援の人々の献身的な活動の姿であり、またもう一つは、日本人のバイタリティであります。あの大きな打撃を受けながら、一ヵ月後にはもう靴屋、文房具店をはじめ多くの店舗、事務所で、営業が再開をされておりました。知事の言葉のとおり、輝ける二十一世紀の兵庫をつくるために、県民自身の努力はもちろんでありますが、日本国民がこぞって応援し、多くの失ったものの復旧と新たな復興に努めれば、そう長い時間は必要ではないのではないかと思ったものでした。
このたびの震災は、実に多くのものを教訓として残しました。もとより、今の時点で、すべてわかったわけではないと思います。今後、それぞれの分野で具体的に問題が整理され、あるいは、議論されるものと思いますが、私がきょう申し上げたいことは自衛隊についてであります。マスメディアで、この件につき、大変議論がされたわけでありますが、それぞれの立場で、それぞれの意見を伺いましたが、このような災害に際し、自衛隊の存在はやはり大きなものであります。区長は所信表明の中で、地域防災計画につき、次のように言われました。すなわち、「東京都をはじめ、消防、警察などの関係機関との連携をより一層強化し、早急な見直しに取り組みたい」ということであります。私は、この中にぜひ自衛隊という言葉が欲しかったのであります。早急に見直すとのことでありますので、このたびのことを考えますと、自衛隊の参加についても当然、俎上に上るものと確信をいたします。
申すまでもなく、いろいろの災害があります。これら災害はひとり役所のみで対応できるものではありません。役所の存在は大変大きな存在ではありますが、すべてではありません。過日、義援金一千万円余りを兵庫県知事に手渡した奥尻町の越森幸夫町長は次のように言っております。「災害から復興するのに必要なものが三つある。家族や親類全体で力をあわせる『自助』、地域の力をかりて頑張る『共助』、行政の支援による『公助』、一つでも欠けたらだめ。この三つがあれば、辛抱も我慢もできるはずだ」。このたびの災害はこのことを実証したものであったと思います。住民の一人一人の力が初期に大変な力を発揮したと言われております。また、消防、警察は、それぞれの立場で大きな力となって働きました。それぞれの立場で、それぞれの力を十分に発揮すること、これが防災であろうと思います。備えあえば憂いなしと言いますが、このたびの震災は、この備えを超えたということであったと思います。つまり、自然とはそういうものであろうと思います。今後とも自然は人類に対し、大きな試練を与えてくるはずであります。危機管理として、私たちはこれに備えなければなりません。
さきの決特で鈴木たけし議員が、日ごろからの連絡調整が大事として、また、その活躍ぶりを新聞報道されたことを報告をいたしました。そういう報道を踏まえて、自衛隊の防災会議あるいは訓練への参加につき、質問をいたしたわけであります。もちろん、申すまでもなく、人命救助であり、財産を守る、これは当然のことであります。これに対し区長は、積極的に検討するとの趣旨の答弁をされました。きょうはさらに、この件につき、その後、どう検討し、どう対応したのか、お伺いをするものであります。
次に、「都心居住推進会議」と港区の対応について、お伺いをいたします。
平成六年十月十七日、千代田区内で東京都知事、大阪市長、名古屋市長及び千代田・中央・港・新宿・文京・台東・渋谷・豊島の八区長と国土庁、建設省、住宅・都市整備公団、住宅金融公庫からも出席し、大都市の居住対策について連携を深めるため、「都心居住推進会議」が開催されたとのことであります。会議には、「職住の適正配置の実現と通勤時間短縮によるゆとりある豊かな生活や魅力ある都市の発展」を目指すことなどが話し合われ、建設政務次官からは、「都市計画や法制度整備は大都市圏全体の重要な問題」などと、積極的に取り組むことを表明したと報道されております。また、関係地方公共団体が今後、協力するための協議会の設置や、関係省庁の積極的な協力の必要性などを盛り込んだ取りまとめ案を採択をしたと言われております。さらに、建設政務次官に対し、都心居住の推進を大都市圏整備政策の重要な柱として位置づけ、住宅供給を推進するための事業や都市計画・建築規制にかかわる法制度と助成措置の整備、関係税制の改善などを求める要望書が手渡されたと伺っております。都心四区は、これに先立ち、平成六年七月、建設大臣に「都市計画及び建築基準法の改正に関する要望書」を提出、九月には都心八区が東京都知事に「都心居住対策に関する要望書」を提出したところであり、一連の行動が成果を上げたものと考えます。仄聞するところによると、都心居住推進会議では、菅谷区長が特に発言し、会議の取りまとめとその後の活動に大きな影響を与えたと聞いております。
国においては、その後、都心居住を促進するための新規事業経費を平成七年度予算に盛り込むとともに、先月七日には、大都市法の改正案と都市開発法の改正案とを閣議決定したと報道されておりました。今回の法改正は、我が党が長年主張してきました豊かで魅力のある都心の創造を目指すものであり、厳しい財政見通しの中、定住人口確保のための住宅施策を今後とも積極的に展開するとともに、景気の低迷に苦しむ地域を活性化するために、大変有効な制度と考えております。そこで、実施時期を含めた今後の見通しに基づき、港区における新規制度の活用について、区長はどのようにお考えか、お尋ねをいたします。
ところで、去る二月九日の「第二回都心居住推進協議会」では、新たに十五特別区がメンバーに加わりました。新制度が、東京では二十三区全体を都心居住推進の対象地区としたことなどを受けた措置とされています。しかし、対象地区は二十三区に拡大すると、都心区としての新規制度活用のチャンスが相対的に厳しいものになるように思われます。区長はどのように対処されるのか、お考えがあればお聞かせを願います。また、今後予想される国の関係法令等の整備とともに、相続税・固定資産税等の関係税制の改善についても、引き続き要望すべきであると考えますが、いかがか、区長の答弁を求めるものであります。
最後に、日の丸についてお伺いをいたします。
今期の最後の代表質問でありますので、もう一度、ぜひ申し上げておきたいと思います。国旗日の丸を本庁の前のポールに毎日掲揚してほしいということであります。何回かこのことにつき申し上げ、ご答弁をいただきましたが、最近の答弁で、自然に上げられるようにしたい旨の答弁がありましたので、あるいは、今年の正月を期して実施されるものかとひそかに思っていたわけでありますが、私の期待は裏切られました。いつも申し上げることでありますが、このことについては強制するものでもなく、また、されるものでもありません。あなたの言われるように、自然な姿が大切であります。では、その自然とは一体何なのか。それはすなわち、あなたの気持ちであるはずであります。あなたが自然であれば、それでよいことであろうと思います。
たびたび申しますが、国旗日の丸についての反対意見は次のようなものに集約できると考えられます。一つ、日の丸は国旗として法律に明記されていないということ、二つ、かつての日本の軍国主義、侵略主義シンボルであるから、民主国家にはふさわしくないということ、押しつけはよくないなどであろうと思われますが、今までも何回となくこれに反論をしてまいりましたので、今さらきょうは申し上げるつもりはありません。
申すまでもなく、国旗日の丸は国際的にも国内的にも確実に定着をしています。ごく一部の人を除けば、日の丸は日本の国旗であることを信じ、そのように取り扱っているのであります。よく国旗のことについて言われるとき、学校における入学式、卒業式のことが取り上げられます。私の知っています最近の数字では、全国の小・中学校で掲揚されないのは一、二%であると思います。また、港区立の中学校にも数校で毎日掲揚されているのであります。このように確実に定着している日の丸のことをなぜ今さら言わなければならないのか、自分でも疑問に思いながら発言しております。情けない、むなしさを感じております。すっかり定着している国旗日の丸が、なぜ毎日上げることができないのか。だれかが拒んでいるのか。物理的に、また心情的に、さらには法律的にも何の障害もあるとは思えません。あるとすれば、区長の自然さが影響しているとしか思えません。詳しく調べたことはありませんが、またその必要もありませんが、全国三千三百の自治体の本庁舎に国旗を上げていないのは少数にとどまることは間違いありません。上げていないのは、ごくごくごく少数であることは否定することはできません。その少数の中に港区は名を連ねておるのであります。本当に珍しい存在になっております。このことを区長は自覚するべきであります。
最近、日の丸のことで思うことがありました。阪神大震災の一ヵ月目にあたる去る二月十七日のことであります。当日、正午を期して、犠牲に遭われた人々に対し、そのご冥福を祈り、黙祷が多分、全国で実施されたはずであります。そのときにテレビで放送されたのが、首相官邸に上げられた日の丸の半旗でありました。港区でも黙祷はされましたが、港区の本庁舎にはもちろん国旗の半旗は上げてありませんでした。官邸のあの半旗を見て、首相の心情、その思いは確実に伝わったのではないかということであります。菅谷区長が特殊な思想の持ち主であるとは思えません。しかし、いつまでこのように不自然な姿を続ける考えであるのかわかりませんが、このような姿勢はとにかく正常ではありません。全国三千三百の自治体のうち、港区は最後になれば上げる、これが自然と思っておられるのであれば、それは間違っていると言えます。最後の一つになるまで待つことを考えるべきではありません。最後の一つになっても上げないという姿勢も、これも間違いです。このことについてふれることはもうこれで最後にしてほしいと思います。いつか自然に帰るべきであります。自然な行動をとられるよう区長の決断を強く要望して、このことについての答弁は要りません。要望いたします。
どうもありがとうございました。(拍手)
〔区長(菅谷眞一君)登壇〕
○区長(菅谷眞一君) ただいまの自民党議員団を代表しての川村蒼市議員のご質問に、順次お答えいたします。
最初に、特別区制度改革についてのお尋ねであります。今回の制度改革は、特別区を
基礎的自治体として法律に明確に位置づけようとするものであります。これまで、区民、区議会、行政は一体となって、本区の長年の悲願である納付金制度の廃止を含む制度改革を一日も早く実現するため、積極的に取り組んでまいりました。その結果、昨年十二月には関連法の改正を自治大臣に要請し、正式に受理されるなど、実現に向け大きく前進いたしました。これにより、制度改革は国政の場における審議にゆだねられる重要な段階を迎えております。そこで、去る二月二十三日には「関連法案の成立を目指して」をテーマに特別区
制度改革実現決起大会を二十三区で開催いたしました。大会では、特別区長会と特別区議会議長会が、区民代表とともに、本年の通常国会での関連法の早期改正を国会議員に強力に要請いたしました。大会に来賓として参加した各政党の代表から、制度改革に対する理解と実現に向けた力強いごあいさつをいただくとともに、多くの国会議員の方々のご参加に意を強くいたしました。引き続き、私は、通常国会での法案成立に向け、あらゆる機会をとらえ、関係国会議員に要請するなど、制度改革の実現に向け全力を尽くし、区民、区議会と一体となって積極的に取り組んでまいります。
次に、行政改革についてのお尋ねであります。本区においては、昭和五十九年に港区行財政総点検委員会を設置し、「港区行財政基本方針」のもと、全庁的な取り組みを行いました。その成果として、職員や区議会など関係者の協力を得て、条例を改正し、職員定数を五十五人削減したのをはじめ、職員の特殊勤務手当の大幅な削減などを実施いたしました。また、住民記録など漢字オンラインによる窓口の改善、OA化の推進、さらに施設の開館日の拡充など創意工夫のもと、簡素にして効率的な執行体制の確立を図ってまいりました。しかし、近年の高齢化・少子化の進行、環境保全意識の高まり、台場地区の新しい
まちづくりなど、行政需要は量的にも質的にも拡大、多様化しております。一方、東京における地方分権とも言える特別区制度改革は、実現に向け大きく前進し、このことは本区の責任が一層拡大することであります。また、本区の特別区税は四年連続して減収見込みとなるなど、財政状況も厳しさを増しております。このように、本区を取り巻く諸情勢は大きく変化しております。
私は、こうした状況を踏まえ、「行財政総点検委員会」において、平成七年度職員適正配置方針を定め、スクラップ・アンド・ビルドのもと、全体で二十一名の減員計画の実現に取り組んでおります。また、組織改正においても、新たな課題に適切に対処するため、執行体制の見直しのもと、極力職員の増員を抑えるとともに、
勤労者サービス公社及び住宅公社の設立、さらに、平成七年度予算編成にあたっては
事務的経費の一〇%削減などを実施しております。行政改革は日常不断に取り組むべき課題と認識して実施しております。しかし、先ほど申し上げたような区政を取り巻く状況にあって、改めて「港区行財政総点検委員会」を中心に事務事業や組織・機構の見直しなどとともに、本年度に引き続き、職員の適正配置について全庁的な検討をしてまいります。私の基本姿勢である「区民本位の区政」「やさしさと思いやりのある区政」と「自治省の指針」は、理念において何らかわるものではないと考えております。これまで以上に弾力的で効率的な執行体制の構築を目指して、取り組んでまいります。
次に、リサイクル条例の制定についてのお尋ねであります。資源リサイクルの推進は、経済活動や生活様式など人々の日常生活に深く関係する身近な課題であります。したがいまして、その取り組みには、住民、事業者、行政がそれぞれの立場で役割分担することが不可欠であります。しかし、役割分担は一方的に押しつける性格のものではなく、相互の協力関係に根差したものでなければなりません。そのため、住民との協力による資源分別回収、商店会と共同で実施している簡易包装キャンペーン、またスーパーマーケット店頭での資源回収など、各方面との具体的な協力関係づくりを進めております。今後、リサイクルをめぐる住民、事業者、行政の連携の一層の拡大と強化を図り、各方面の意向を把握しながら、条例などの制度的な枠組みについても検討を進めてまいります。
次に、防災対策における自衛隊との連携についてのお尋ねであります。今回の阪神・
淡路大震災のような大災害においては、区、警察、消防、そして自衛隊などが、その全機能を発揮して連携しながら応急対策を実施することが重要であると考えております。自衛隊の派遣要請は、基本的には東京都知事が行います。先般の決算特別委員会後、区は自衛隊と情報交換を行っております。地震により災害が発生したとき、かけがえのない区民の生命と財産を守るためには、自衛隊による災害救助活動は効果的であります。「港区防災会議」の参加については、「港区防災会議」において検討してまいります。
次に、都心居住の促進に向けた制度活用についてのお尋ねであります。今回の法改正による新制度は、都心地域を対象として都市基盤の整備とともに、良好な住宅の供給を国が支援するものであります。厳しい財政状況が続く本区にとって、定住人口を確保する観点から、有効な制度になると考えております。大都市法、都市再開発法等の改正法につきましては、既に二月二十四日、国会において可決成立し、五月には施行される見通しであります。本区を含めた都心自治体の要望を契機として制度化されたという経緯も踏まえ、本区事業へのこの制度の適用に努めてまいります。
次に、新制度の対象地域拡大への対応についてのお尋ねであります。ご指摘のとおり、新制度は二十三区全体が対象地域となりました。既に、この制度の活用につきましては庁内関係部門に研究を進めさせており、本区において活用を図る地域の確保、拡大に努めてまいります。
最後に、新制度に伴う関係税制の改善についてのお尋ねであります。都心居住推進のための所得税・固定資産税・相続税の特例措置などの税制の改善、整備につきましては、都心居住推進協議会等を通じて、今後ともその着実な実現を国などに要望してまいります。
よろしくご理解のほど、お願いいたします。
○三十番(川村蒼市君) 先ほど自民党代表のということを失念したようでございますので、申し添えて、私の質問を終わります。
○議長(大蔦幸雄君) お諮りいたします。本日の会議はこれをもって延会いたしたいと思いますが、ご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大蔦幸雄君) ご異議なきものと認め、本日の会議はこれをもって延会いたします。
午後六時二十四分延会...