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  1. 埼玉県議会 2022-06-01
    06月23日-02号


    取得元: 埼玉県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-06
    令和 4年  6月 定例会六月定例会  第七日(六月二十三日)令和四年六月二十三日(木曜日)第七日 議事日程 一 開議  午前十時 二 諸報告  (1) 人事委員会意見回答     第九十四号議案、第九十五号議案及び第百号議案  (2) 埼玉県議会定例会議案等に係る変更表の提出 三 本定例会に提出された請願の報告 四 知事提出議案に対する質疑並びに県政に対する質問    五十三番  日下部伸三議員    四十六番  井上 航議員    七十六番  水村篤弘議員 五 次会日程報告    六月二十四日(金) 午前十時開議、質疑質問続行 六 散会          ----------------本日の出席議員    八十六名         二番  金野桃子議員         三番  岡村ゆり子議員         六番  石川誠司議員         七番  小川直志議員         八番  杉田茂実議員         九番  深谷顕史議員        十二番  秋山もえ議員        十三番  平松大佑議員        十四番  柿沼貴志議員        十五番  八子朋弘議員        十六番  中川 浩議員        十七番  阿左美健司議員        十八番  高橋稔裕議員        十九番  逢澤圭一郎議員        二十番  千葉達也議員       二十一番  渡辺 大議員       二十二番  松井 弘議員       二十三番  高木功介議員       二十四番  橋詰昌児議員       二十六番  白根大輔議員       二十七番  守屋裕子議員       二十八番  江原久美子議員       二十九番  松坂喜浩議員        三十番  並木正年議員       三十一番  宮崎吾一議員       三十二番  関根信明議員       三十三番  木下博信議員       三十四番  藤井健志議員       三十五番  美田宗亮議員       三十六番  吉良英敏議員       三十七番  松澤 正議員       三十八番  宇田川幸夫議員       三十九番  浅井 明議員        四十番  安藤友貴議員       四十一番  町田皇介議員       四十二番  辻 浩司議員       四十三番  前原かづえ議員       四十四番  浅野目義英議員       四十五番  石川忠義議員       四十六番  井上 航議員       四十七番  岡 重夫議員       四十八番  飯塚俊彦議員       四十九番  内沼博史議員        五十番  岡田静佳議員       五十一番  細田善則議員       五十二番  永瀬秀樹議員       五十三番  日下部伸三議員       五十四番  小久保憲一議員       五十五番  立石泰広議員       五十六番  新井 豪議員       五十七番  権守幸男議員       五十八番  萩原一寿議員        六十番  秋山文和議員       六十一番  村岡正嗣議員       六十二番  醍醐 清議員       六十三番  鈴木正人議員       六十四番  荒木裕介議員       六十五番  岡地 優議員       六十六番  小川真一郎議員       六十七番  齊藤邦明議員       六十八番  武内政文議員       六十九番  須賀敬史議員        七十番  新井一徳議員       七十一番  梅澤佳一議員       七十二番  横川雅也議員       七十三番  白土幸仁議員       七十四番  塩野正行議員       七十五番  蒲生徳明議員       七十六番  水村篤弘議員       七十七番  山本正乃議員       七十八番  柳下礼子議員       七十九番  中屋敷慎一議員        八十番  諸井真英議員       八十一番  神尾高善議員       八十二番  高橋政雄議員       八十三番  田村琢実議員       八十四番  本木 茂議員       八十五番  宮崎栄治郎議員       八十六番  齊藤正明議員       八十七番  小島信昭議員       八十八番  小野五雄議員       八十九番  長峰宏芳議員        九十番  石渡 豊議員       九十一番  西山淳次議員       九十二番  木村勇夫議員       九十三番  田並尚明議員   欠席議員    一名       五十九番  山根史子議員地方自治法第百二十一条第一項の規定により説明のため出席した人   大野元裕  知事   砂川裕紀  副知事   橋本雅道  副知事   高柳三郎  副知事   堀光敦史  企画財政部長   小野寺 亘 総務部長   真砂和敏  県民生活部長   三須康男  危機管理防災部長   目良 聡  環境部長   金子直史  福祉部長   山崎達也  保健医療部長   板東博之  産業労働部長   小畑 幹  農林部長   北田健夫  県土整備部長   村田暁俊  都市整備部長   宍戸佳子  会計管理者   北島通次  公営企業管理者   今成貞昭  下水道事業管理者   高田直芳  教育長   岡田昭文  選挙管理委員会委員長   原 和也  警察本部長             発言(質問)通告書  六月二十三日(木)議席番号 氏名      要旨 答弁者五十三番 日下部伸三議員 1 JR川越線荒川橋梁の複線仕様での架換えについて              (1) 令和三年六月定例会の知事答弁について 知事              (2) 不足金の関係自治体負担について 〃              (3) 令和四年度の埼玉県・さいたま市・川越市・国土交通省・JR東日本の五者協議会について 企画財政部長               ア 調査項目について               イ 強風対策について             2 県庁舎の建替えについて 知事              (1) タイムスケジュールについて              (2) 審議会の設置について              (3) 庁舎建設基金について             3 ふじみ野市の在宅診療の医師が射殺された事件について              (1) 銃の所持者に対するチェック体制が機能していたのか? 警察本部長              (2) 生活保護受給者の散弾銃所持について 福祉部長              (3) 条例等で生活保護受給者の銃刀所持を禁ずる必要性について 警察本部長             4 新型コロナウイルス感染症対策について              (1) 基礎疾患のない十九歳の死亡例について 保健医療部長              (2) 入院調整用リスク表について 〃              (3) エビデンスに基づいた自粛要請について 知事             5 医師不足対策について                ~医師を志望する埼玉県民の立場から~ 保健医療部長              (1) 他の都道府県の国公立医学部に進学する埼玉県民について              (2) 地域枠の拡充について             6 免許証返納後の高齢者の足の確保について 知事              (1) これまでの埼玉県の具体的施策について              (2) 埼玉版スーパー・シティプロジェクトにおける具体策について             7 埼玉県における社会科教育・日本の領土について 教育長四十六番 井上 航議員  1 知事肝いりの『政策条例』を制定することについて 知事             2 県内米軍基地の返還について 知事             3 羽田空港新航路固定化回避のための取組について 企画財政部長              (1) これまでの協議経緯について              (2) 今後の固定化回避のための県の取組について             4 埼玉版スーパー・シティプロジェクトの県民向け周知について 環境部長              (1) 県民理解・機運醸成のために広報活動を充実させるべき              (2) 先行する自治体と連携して周知に力を入れるべき             5 気候変動解決に向けた県民への積極的な周知について 環境部長             6 県内で新たに開業する医師に対する支援策について              (1) 現在の県の対応について 保健医療部長              (2) 医師版の「企業誘致Soul-Saitama戦略」とも呼べるほどの取組を行うべき 知事              (3) 医師のニーズに応える取組を 保健医療部長             7 教員確保のための奨学金返還補助制度の導入について 教育長             8 選挙をより身近にするための取組について 選挙管理委員会委員長              (1) 記号式投票の導入について              (2) 家族で選挙に訪れることを推奨することについて             9 相鉄・東急直通線開業を活かした観光の取組について 産業労働部長七十六番 水村篤弘議員  1 知事の政治姿勢                ~物価高対策について~ 知事             2 今後の新型コロナウイルス感染症対策について 知事 保健医療部長             3 所沢市の保健所設置を後押しするために 保健医療部長             4 子供たちの未来のために 福祉部長              (1) 子ども食堂の今後について              (2) こども宅食について             5 格差・貧困社会の是正のための生活困窮者自立支援制度について 福祉部長             6 防災意識を高めていただくための視点(伝承・正常性バイアス・フェーズフリー)について 危機管理防災部長             7 カスタマーハラスメント(悪質クレーム)対策の推進について 産業労働部長 県民生活部長             8 公園の魅力づくりについて 都市整備部長              (1) インクルーシブ公園の今後について              (2) Park-PFI(公募設置管理制度)の導入について          ----------------午前十時二分開議 出席議員    八十六名     二番    三番    六番    七番     八番    九番   十二番   十三番    十四番   十五番   十六番   十七番    十八番   十九番   二十番  二十一番   二十二番  二十三番  二十四番  二十六番   二十七番  二十八番  二十九番   三十番   三十一番  三十二番  三十三番  三十四番   三十五番  三十六番  三十七番  三十八番   三十九番   四十番  四十一番  四十二番   四十三番  四十四番  四十五番  四十六番   四十七番  四十八番  四十九番   五十番   五十一番  五十二番  五十三番  五十四番   五十五番  五十六番  五十七番  五十八番    六十番  六十一番  六十二番  六十三番   六十四番  六十五番  六十六番  六十七番   六十八番  六十九番   七十番  七十一番   七十二番  七十三番  七十四番  七十五番   七十六番  七十七番  七十八番  七十九番    八十番  八十一番  八十二番  八十三番   八十四番  八十五番  八十六番  八十七番   八十八番  八十九番   九十番  九十一番   九十二番  九十三番 欠席議員    一名   五十九番 地方自治法第百二十一条第一項の規定により説明のため出席した人   知事       副知事(砂川)  副知事(橋本)   副知事(高柳)  企画財政部長   総務部長   県民生活部長   危機管理防災部長 環境部長   福祉部長     保健医療部長   産業労働部長   農林部長     県土整備部長   都市整備部長   会計管理者    公営企業管理者   下水道事業管理者 教育長      警察本部長 △開議の宣告 ○中屋敷慎一議長 ただ今から、本日の会議を開きます。          ---------------- △諸報告 △人事委員会意見回答(第九十四号議案、第九十五号議案及び第百号議案) ○中屋敷慎一議長 この際、諸般の報告をいたします。 まず、本定例会に知事から提出された議案のうち、第九十四号議案、第九十五号議案及び第百号議案について人事委員会に意見を求めておきましたところ、回答がありましたので、お手元に配布しておきましたから、御了承願います。〔参照-(二二三)ページ〕          ----------------埼玉県議会定例会議案等に係る変更表の提出 ○中屋敷慎一議長 次に、去る六月十七日、第九十号議案が議決されたことに伴い、知事から第九十一号議案及び同議案の予算説明書に係る変更表の提出がありましたので、お手元に配布しておきましたから、御了承願います。          ---------------- △本定例会に提出された請願の報告 ○中屋敷慎一議長 次に、本定例会に提出された請願につきましては、請願文書表としてお手元に配布しておきましたので、御了承願います。〔参照-(一五五)ページ〕          ---------------- △知事提出議案に対する質疑並びに県政に対する質問 ○中屋敷慎一議長 これより、知事提出議案に対する質疑並びに県政に対する質問を行います。 発言通告がありますので、順次これを許します。 五十三番 日下部伸三議員       〔五十三番 日下部伸三議員登壇〕(拍手起こる) ◆五十三番(日下部伸三議員) 自由民主党の日下部伸三でございます。通告に従い、順次質問させていただきます。 一、JR川越線荒川橋梁の複線仕様での架換えについて質問させていただきます。 (一)令和三年六月定例会の知事の答弁について伺います。 この案件は、これまで多くの関係議員が質問し、私も昨年、六月定例会で質問させていただきましたが、後で冷静になって知事の答弁を読み返しますと、やはり了解できない部分が出てまいります。 知事が就任挨拶の中で、「県民目線で県民の声を実現していく」と述べておられるので、「国が川越線荒川橋りょうを架け換えるこの機会に土台だけでも複線仕様にしておかなければ、永久に川越線の複線化は無理と考えるのが県民目線では」と質問いたしますと、知事は「国が川越線荒川橋りょうを架け換える機会に土台だけでも複線仕様にしておかなければ、永久に川越線の複線化は無理と結論付けることが県民目線に立った考え方であるとは、私は思っていない」と、そういう答弁をされました。 また、川越線の荒川橋りょうが一旦単線で架け換えられると、川越線沿線とその先の八高線沿線は完全に取り残されるので、知事が日頃から力説されている「誰一人取り残さない埼玉県づくり」との整合性を問うと、知事は、「荒川橋りょうが一旦単線で架け換えられたとしても将来の川越線の複線化の可能性について道が閉ざされるわけではなく、誰一人取り残さない埼玉県づくりとの整合性がとれないということにはならない」と答弁されました。 知事が日頃言っていることと答弁が違うとは思いつつ、ここまでは何とか了といたしましても、次の説明責任に対する答弁は了解困難でございました。「荒川橋りょうが単線での架換えとなった場合、川越線・八高線沿線の県民の夢と希望を断つことになり、複線仕様にできなかった理由を知事自らの言葉で説明する責任があるのでは」と聞くとですね、知事は、「荒川橋りょうが一旦単線が架け換えられたとしても、将来を含め、川越線の複線化の可能性について道が閉ざされ、夢と希望を断つことにはならないと考えている。このため、複線化できなかったとの前提で説明責任が生じるものとは考えていない」と答弁されました。 今回の荒川治水事業の総事業費は一千六百七十億円で、その中には県負担金百三十億円が含まれています。二十六億円は交付税措置されますが、残りの百四億円は県の実負担、要するに県税の持ち出しがございます。「この機会にJR川越線の複線化を」という署名も、さいたま市から三万五千筆を、川越市からも六万三千筆を超える、計約十万の署名が提出されています。 荒川橋りょうが単線で架け換えられた場合、複線仕様にできなかった理由を、やはり知事自らの言葉で県民に説明すべきではないでしょうか。知事の見解を伺います。 ○中屋敷慎一議長 五十三番 日下部伸三議員の質問に対する答弁を求めます。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 日下部伸三議員の御質問にお答え申し上げます。 川越線の複線化に関しましては、JR川越線荒川橋りょうの複線化仕様での架換えに関する協議会において、「今あるまちづくりの計画を踏まえても複線化の検討が必要な状況にはない」という見解が、JR東日本から示されました。その一方で、「将来、利用人口が増えた際に、複線化の検討の可能性はある」という見解も、併せて確認をしたところでございます。 こうしたJR東日本の見解を踏まえると、荒川橋りょうが一旦単線で架け換えられたとしても、将来の川越線の複線化の可能性について道が閉ざされたことにはならないと認識します。このため、昨年も申し上げましたが、議員お話しの、荒川橋りょうが単線で架け換えられた場合に、直ちに将来の複線化の道が閉ざされることを前提とした説明の必要は生じないと考えます。 他方で、事業に関する情報が的確に周知されるよう、県としても事業主体である国土交通省や、鉄道事業者であるJR東日本をはじめとする関係機関と引き続き協力をしてまいります。 ◆五十三番(日下部伸三議員) 再質問させていただきます。 県税を百四億円も持ち出ししていてですね、署名も十万人集まっているというので、知事の説明責任がないというのは、これ納得できないんですが、ないですかね。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 再質問にお答え申し上げます。 繰り返しになりますが、先ほど申し上げたとおり、JR東日本からは、「将来、利用人口が増えた際に複線化の検討の可能性はある」という見解が示されており、議員お話しの複線化の可能性が閉ざされたという前提であれば説明の必要があると思いますが、現時点での説明の必要は生じないと考えています。 なお、先週には、JR東日本大宮支社長が来訪された際にも、別件で来られましたが、その際、先方から将来における可能性について改めて言及がありました。このような中で、複線化の可能性が閉ざされたとの前提を我が方から示した上で、その説明をするというのは逆効果であると考えます。 県としては、仮に今回、単線で架け換えられたとしても、利用人口の増加に沿線自治体と協力し、複線化に向けて諦めることなく粘り強く取り組んでまいります。 ◆五十三番(日下部伸三議員) それでは、次の質問に移ります。 (二)不足金の関係自治体負担について伺います。 令和二年四月に国交省の荒川調整池工事事務所にこの事業の進捗状況を伺ったところ、「単線での架換え予定で、周辺工事も入れて約二百七十四億円の予算だが、関係自治体が不足金額を補てんすれば複線仕様での橋りょう架換えもあり得る」との回答をいただいております。この回答については、令和二年十二月九日に開催された八高線・川越線沿線活性化議員連盟の総会で、国交省の荒川調整池工事事務所の所長をお招きして御講演いただいた際にも確認しております。 昨年の埼玉県・さいたま市・川越市・国交省・JRの五者協議会の調査では、線路の敷設も含めたフルスペックでの複線仕様の架換え費用は一・五倍となり、用地の追加買収が必要になるとのことですが、河川敷の土地は使用用途がグラウンド等に限られるため、相場を聞くとそんな大きな金額にはなりません。国交省は数字が独り歩きすると困るので、概略設計ができるまで、現在の橋りょうの撤去費用、これを教えてくれないんですけれども、仮に撤去費用が三十四億円とすればですね、関係自治体の負担は残り二百四十億の半分の百二十億円。例えば、県が六十億、さいたま市・川越市が三十億円ずつ負担すれば、フルスペックの複線仕様での架換えができる計算となります。線路の敷設等を含まない基礎だけの複線仕様の場合は、もっと安くなると思います。 そこで、知事に伺います。 橋りょうの基礎のみを複線仕様にする場合の不足金額について、金額によっては出すつもりがあるのか、あるいは金額によらず一銭たりとも出すつもりがないのか、御答弁をお願いします。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 御質問にお答え申し上げます。 鉄道事業に関する整備事業は鉄道事業者の負担により実施することが基本であると考えており、地方公共団体のみが負担をすることは想定しておりません。 また、JR東日本は複線化の検討に当たって、利用人口の増加を整備のための条件としております。これをEBPMの観点から整理をすると、橋りょうの基礎のみを複線仕様にすることは沿線自治体の人口増に直接寄与するものではないため、先ほど申し上げた複線化の検討の条件に寄与することになりません。したがって、利用人口の増加に対しての政策効果を認めることが困難であると考えます。 したがいまして、議員お話しの橋りょうの基礎のみを複線仕様にする場合の不足金について、県が負担することは想定をしておりません。 ◆五十三番(日下部伸三議員) 昨年の調査でですね、足らない金額を地元自治体が負担するという前例もないこともないというふうに聞いておりますが、知事のお考えはですね、この橋りょうの基礎の部分、足らない金額を関係自治体で負担するという考えは一銭たりともないということでよろしいでしょうか。
    ○中屋敷慎一議長 再質問ですね。 ◆五十三番(日下部伸三議員) はい。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 再質問にお答え申し上げます。 議員御指摘の橋りょうの基礎部分について、JR東日本は検討の条件といたしておりません。利用人口の増加を整備のための検討の条件としております。 したがって、税金を投入する以上、複線化を実現するための条件を満たすため、あるいは、それに一歩でも近づけるためには、橋りょうの基礎部分は一言も触れられておらず、利用人口の増加が触れられているところ、ここをしっかりと協力して進めることが必要でございますので、橋りょうの基礎部分を出す出さないではなく、JR東日本が複線化を検討する方向に進めるための、ということが税金を出す出さないということの基準になると考えております。 ◆五十三番(日下部伸三議員) 再々質問になるんですけれども、橋りょうの基礎を複線仕様にするということは、複線化のための一歩になるのではないんですか。だから、複線化を前提としないものにはお金を出さないという、今の答弁だったんですよね。だから、その橋りょうを複線仕様にしておかなければ、もう複線にするなら、もう一本新たに架けるというのは、非常に現実問題として私は難しいなというふうには思ってはいるんですけれども、橋りょうの基礎を複線仕様にするということは、複線化への一歩にならないのですか。再々質問です。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 再々質問にお答え申し上げます。 複線化の基礎になることについて、先ほど御答弁はさせていただいておりません。JR東日本が複線化に向けた検討の条件として挙げているのが利用人口の増加であり、橋りょうの基礎の、例えば、税金による支援等ではないというふうに申し上げたところ、複線化の実現のためにJR東日本が検討を行うためには利用人口の増加に利する、あるいはそれを推進するために、私どもとして努力を続けていくということを申し上げているわけで、複線化の基礎に橋りょう部分の基礎が必要かどうかということについては、お尋ねもなかったと思いますので、私、御答弁させていただいておりません。 ◆五十三番(日下部伸三議員) 再々質問しましたので、次の質問に移りたいというふうに思います。 (三)令和四年度の埼玉県・さいたま市・川越市・国土交通省・JR東日本の五者協議会について、二点、企画財政部長に伺います。 先ほど知事の答弁が、この前提が崩れるような感じもちょっとしたんですけれども、ア、調査項目について。 今年度の調査はフルスペックではなく、橋りょうの基礎のみを複線仕様にした場合の不足額を調査しなければ意味がないと考えております。今年度の調査項目に入っているのでしょうか。       〔堀光敦史企画財政部長登壇〕 ◎堀光敦史企画財政部長 日下部伸三議員の御質問にお答え申し上げます。 今年度の調査においては、既存橋りょうの活用可能性と複線化仕様での架換えに係る費用に関する調査を実施いたします。このうち、複線化仕様での架換えに係る費用に関する調査につきましては、フルスペックで複線化対応した場合のみならず、議員お話しの、橋りょうの基礎のみを複線化対応とした場合も含めて実施する予定です。 ◆五十三番(日下部伸三議員) 了解いたしました。 次の質問にまいります。 イ、強風対策について。 現在の川越線は単線で本数が少ない上に、強風が吹けば止まってしまいます。今回架け換えられる橋りょうは現状より四、五メートル高い位置にあり、更に風の影響を受けやすくなると考えられます。土台や橋脚はかなり大きく、線路は二本載るぐらいになるのではと考えますけれども、協議会では新しい橋りょうの強風対策についても議論されるんでしょうか。       〔堀光敦史企画財政部長登壇〕 ◎堀光敦史企画財政部長 御質問にお答え申し上げます。 強風対策につきましては、以前から川越線が強風の影響を受けて列車の運休や遅延が発生していたことから、その必要性については鉄道事業者も認識していると承知しています。そのため、これまでも、平成十年四月に橋りょうの北側に防風柵を設置し、平成二十一年六月にはその防風柵を更に延長しているところです。 今回の架換えに当たっても、鉄道事業者からは架換え位置における安全性などを検証し、必要な措置を講じると伺っております。強風対策につきましては、詳細設計などを踏まえて技術的に検討される内容のため、協議会で議論する予定はありません。 一方で、川越線の利便性向上にとって強風対策は大変重要でございます。県として、毎年実施しています鉄道整備要望で遅延の防止や安全性の確保を求めておりますので、引き続き要望をしてまいりたいと考えております。 ◆五十三番(日下部伸三議員) 次の質問に移りますけれども、荒川調整池事務所の方に問合せをしたときに、県が負担金百三十億を出しているということを国交省さんは知らなかった部分があるんですね。やはりお金を出すなら口も出すということで、しっかりやっていただきたいというふうに思っております。 それでは、その次、二、県庁舎の建替えについて伺います。 (一)タイムスケジュールについて伺います。 これについては、今年の二月定例会で自民党の小島団長が聞いており、知事は答弁の中で、「現時点で県庁舎再整備について決定しているわけでありません」と発言されていますが、私はそんな悠長なことを言っている時間的余裕はないと思います。 最近の他県や政令市の庁舎建替えを調べると、庁舎検討会設置から供用開始まで、岐阜県庁舎が八年、長崎県庁舎が十年、川崎市庁舎と千葉市庁舎が来年度供用開始予定ですが十二年かかっています。さいたま市庁舎は今年四月の臨時議会で位置条例が議決され、これから基本計画、基本設計、実施設計となり、供用開始は二〇三一年の予定ですから、庁舎整備検討委員会設置から二十三年かかることになります。 本県の現状は二〇二二年現在、最も古い本庁舎が築七十一年を経過し、建物の目標使用年数八十年までにあと九年しかありませんが、昨年七月にようやく庁内検討会が設置された段階です。 県庁舎再整備のタイムスケジュールについて、知事の考え方を伺います。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 御質問にお答え申し上げます。 議員お話しのとおり、他県や政令市の事例における庁内検討会に当たるものとして、本県では、令和三年七月に高柳副知事をトップとする県庁舎再整備検討委員会を設置しております。令和三年度は県議会からも御参加をいただき、時代の先を見据えた県庁舎のあるべき姿などを御議論いただきました。 県庁舎再整備の検討は、デジタルトランスフォーメーションなどにより社会変革が生じている将来を想像しながら慎重に行う必要があります。行政分野のデジタルトランスフォーメーションが進むことにより、県民への公共サービスのオンライン化が加速をし、いつでもどこでもサービスが受けられるようになることが予想されます。 また、自治体職員の働き方についても、個々の事情などに合わせてワークスタイルが多様化していくことが考えられます。現在、県として取り組んでいるDXを更に積極的に進めることで、公共サービスの提供の在り方や、職員の働き方の方向性が明らかになり、県庁舎としての必要な規模や機能などが具体的に見えてくるものと考えます。 他方、議員御指摘のとおり、県庁本庁舎の最も古い部分が築七十一年目を迎えております。現在の庁舎の築年数や県庁舎を再整備した場合、その後数十年間使用することになるであろうことを踏まえれば、具体的なスケジュールなどを決定する前に、県庁舎の在り方等について再整備検討委員会での議論を深掘りする必要があると考えているところでございます。 ◆五十三番(日下部伸三議員) 再質問させていただきます。 私、DXどうのこうのということを全然聞いてはいなくて、ほかの県とか他市を見るとですね、八年から十年以上かかっていると。本県の場合、あと九年しかないと。この間の二月定例会で知事は、再整備をするかどうかを決定するわけではないと。これではちょっと遅過ぎるんではないかということを聞いているんで、私は真ん中にストレートを投げているんだけれども、知事は何かコントロールされていない変化球を返してきたような感じで、うまく言葉のキャッチボールができないんですが、再質問です。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 再質問にお答え申し上げます。 スケジュールについて決定をするということについての再質問という理解で答弁をさせていただきます。 再整備を決定するか、どのようなスケジュールにするかの前に、どのような県庁にならなければならないかによっては、再整備の在り方や、あるいはスケジュールが異なってまいりますので、その前に、この再整備検討委員会でやるべき議論というものを急ぎ行っていただいている最中でございます。 ◆五十三番(日下部伸三議員) 次の質問に移ります。 (二)審議会の設置について伺います。 他県や政令市の例では、庁舎の建替えを要綱で設置した会議だけでやる場合と、条例に基づく審議会を設置する場合があるようですが、庁舎の建替えで一番もめるのは立地場所であります。 知事が非常にのんびりされているのでですね、私の住むさいたま市の例をちょっと出させていただきますけれども、二〇〇〇年九月に調印された浦和市・与野市・大宮市の合併協定書には、新庁舎の位置について「さいたま新都心周辺地域が望ましいとの意見を踏まえ、新市成立後、審議会を設置し、速やかに検討を開始し、速やかに基金を創設する」と明記されているにもかかわらず、二〇〇一年五月のさいたま市成立後、この協定書は七年間もほご状態にありました。合併立会人の石原信雄氏や故土屋義彦元知事の話では、上田前知事がスカイツリーと三百十メートルのシンボルビルの誘致に失敗して病院を建てた新都心第八-一A街区、あそこがさいたま市庁舎の予定地でございました。 県が誘致しようとしていたシンボルビルの中に、当時のさいたま市長がサッカー博物館を造ると言い出したので、二〇〇八年五月に私が話が違うと思って市長選挙に出馬表明をしたところ、二〇〇八年十一月、半年後ですね、庁舎整備検討委員会ができ、二〇〇九年四月、十一か月後ですか、庁舎建設基金が創設されました。残念ながら、市庁舎は市長選の争点とならず、当時の政権交代、民主党の嵐の前に新都心第八-一A街区に市庁舎と国際会議場とホテルの複合施設を備えて、大宮駅と新都心駅を地下街で結ぶという日下部プランは泡と消えました。 二年後の二〇一一年四月に県議当選後、現在のさいたま市長に審議会の設置をお願いし、審議会条例を二〇一二年六月に制定していただきましたが、「さいたま新都心駅周辺、一般的な徒歩圏内である半径八百メートル圏内が最も望ましい」という答申が出たのは二〇一八年五月で、丸六年かかっております。現在のさいたま市長が新都心への移転計画を表明したのが二〇二一年二月、今年四月の臨時議会で位置条例が議決されるまで審議会設置から十年かかっています。 県庁舎の立地場所についても、今年の二月定例会で自民党の小島団長が「現地での建替えにこだわらず、様々な観点から自由な発想も取り入れるべきで、各市町村に県庁誘致のプレゼンを実施してもらったらどうか」と質問し、これに対し知事は、「県庁舎再整備の検討においては建替えをすることも踏まえ、立地についても一から検討していく必要がある。来年度以降、県庁舎の立地も含めた様々な可能性について、これまでの考えにとらわれることなく自由な発想で検討を進めていく」と答弁されています。 県庁舎の立地場所は、地震や台風に強く、交通の便が良いことも重要ですが、百年先を見据えてゼロベースで見直すなら、本県のヒト・モノ・カネが県南に集中する南北問題を考えると、新幹線が停車する熊谷市、南北問題とJR川越線の複線化を考えると川越市、地下鉄七号線の延伸を考えると浦和美園と岩槻の中間駅周辺も候補地になるでしょう。ただし、現地の建替えは、ここで建て替えると土地代が不要なので、県庁誘致を希望する市町村は土地の無償提供が条件になると思います。 私が警察危機管理防災委員長をやらせていただいたときに、建て替えたばかりの長崎県庁舎を視察させていただきました。警察棟が別棟でセキュリティが強化されており、最新の防災室も見せていただきましたが、海岸沿いに立地しており、私が「津波や高潮のときに職員が出てこられないのでは」と聞くと、長崎県の担当者が答弁に窮していたのを記憶しております。 長崎県は要綱で設置した懇話会で立地場所を決めたようですが、条例で外部有識者主体の審議会を設置し、「審議会の答申を最大限尊重する」としなければ立地場所を決定できないと思います。この立地場所を決定するというのは非常に長いプロセスがかかるんですね。だから、その知事ののんびり感というのがいかがなものかと思い、知事の答弁を求めます、この審議会設置について。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 御質問にお答え申し上げます。 現在、県庁舎の在り方について、県庁舎再整備検討委員会において御議論をいただいているところであり、その中には、議員御指摘のあった建替えも踏まえ、立地についても一から検討していく必要があり、これまでの考えにとらわれることなく自由な発想で検討を進めていただいている最中であり、これは条例で制定された審議会による答申と同じものにはなりません。 審議会の設置については、時代の先を見据えた県庁舎を目指す姿などの検討を進めながら、現在行われている県庁舎再整備検討委員会での議論を踏まえ、判断をさせていただきたいと考えます。 ◆五十三番(日下部伸三議員) 次の質問にまいります。 (三)庁舎建設基金について伺います。 岐阜県、長崎県、さいたま市では庁舎建替えのための建設基金を創設し、さいたま市では民間活力を導入しても庁舎移転に約二百二十一億円かかると見込んでいます。 埼玉県庁舎の再整備も、土地代がただでも二百億円以上かかると予想されますが、庁舎建設基金創設の必要性について、知事の見解を伺います。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 御質問にお答え申し上げます。 議員御指摘のとおり、県庁舎の再整備には非常に大きな財政負担が生じます。単年度でも多額の整備費を捻出するのは困難であることから、基金を活用するという議員の御指摘も、庁舎再整備に関わる財源確保の有効な手法の一つであるというふうに考えております。 他方、現在、県庁舎の再整備を行う場合の財源確保については、様々な手法がある中、今後、県庁舎再整備検討委員会において県庁舎の目指す形を議論する中で、財政負担の在り方についても検討をしていただく予定であり、現時点において私が様々な手法の中で、その基金を創設する必要性についてコメントをすれば、これらの自由な、かったつな議論に影響を与える可能性もございますので、今後、財政負担の在り方について検討を再整備検討委員会で行っていただき、それを踏まえ決定をしていきたいと考えております。 ◆五十三番(日下部伸三議員) 次の質問に移りますが、是非審議会と建設基金の創設、御検討いただきたいというふうに思います。 三、ふじみ野市の在宅診療の医師が射殺された事件について伺います。 この事件は、今年一月二十七日、六十六歳の男が九十二歳で亡くなった自分の母親を、それまで在宅診療していた医師を弔問に呼び出し、心肺蘇生を要求し、できないと言われて、いきなり散弾銃で射殺した事件です。私も医師ですが、死後一日以上経過している九十二歳の人に心肺蘇生をする医師はいません。私も断りますので、その場にいれば散弾銃で撃たれた立場から、三点伺います。 (一)銃の所持者に対するチェック体制が機能していたのか? この事件については、今年の二月定例会で、自民党の渡辺大議員が銃の所持者に対するチェック体制について質問し、警察本部長から「毎年一回、所持する銃の確認が行われ、所持許可を受けてから三回目の誕生日を迎えるごとに公安委員会から所持許可の更新を受ける必要があり、更新の際には申請者が人的欠格事由に該当していないかについて必要な調査を行っている」という答弁がございました。 犯行に使用された銃は容疑者が二十年以上前から所持しているもので、所持許可は何度も更新されていますが、この容疑者は周辺の病院ではクレーマーとして有名だったようです。この容疑者が複数の病院でトラブルを起こしていた情報は、公安委員会に届いていたのでしょうか。人的欠格事由に該当していないかについての調査が機能していたのか、警察本部長に伺います。       〔原和也警察本部長登壇〕 ◎原和也警察本部長 日下部伸三議員の御質問にお答え申し上げます。 お尋ねの件につきましては、現在捜査中の事案であり、公安委員会として御指摘の情報を把握していたかどうかも含め、お答えを差し控えさせていただきます。 その上で、一般論として銃砲所持者に対しては、年一回実施しております銃砲一斉検査における銃砲の確認に加え、所持許可を受けてから三回目の誕生日を迎えるごとに行われる所持許可の更新時に、法令にのっとり厳格な調査及び審査を行っているところでございます。 銃砲刀剣類所持等取締法(銃刀法)においては、銃砲の所持許可の更新を受けるための要件として、年齢、一定の犯罪経歴、精神障害等の病気、ストーカー行為、暴力的な集団への所属等に係る、いわゆる人的欠格事由が定められており、これらの欠格事由に該当する者については、許可が更新されないこととされております。 県警察といたしましては、今後も引き続き、銃砲所持不適格者の排除を徹底してまいる所存でございます。 ◆五十三番(日下部伸三議員) 次の質問に移りますけれども、捜査中で御答弁困難ということで、これは了解したいと思います。 (二)生活保護受給者の散弾銃所持について伺います。 報道によると、この親子は生活保護を受給していました。売却することによって生活費に充てられると判断される資産がある場合は、生活保護を受給できないはずです。非生活必需品である散弾銃は、売却可能な資産と考えられます。 児童虐待もそうですが、福祉と警察など所管がまたがるところにピットフォールがあり、事件が起こります。自民党県議団から県に提出している政策大綱の結語に、毎年「防犯・防災には部局間の連携が重要」と記載しておりますが、福祉部の生活保護受給者の情報と公安委員会の銃所持者の情報を共有し、どこかの段階でこの容疑者から散弾銃を没収していれば、在宅医療の医師が四十四歳の若さで死ぬこの事件は起こりませんでした。 生活保護受給者がなぜ散弾銃を二丁も所持していたのか、福祉部長に伺います。       〔金子直史福祉部長登壇〕 ◎金子直史福祉部長 日下部伸三議員の御質問にお答え申し上げます。 生活保護制度は最後のセーフティネットという役割を担っており、収入や資産、能力などあらゆるものを活用することが受給の要件となっております。このうち資産については、国の通知により、テレビやエアコンなどの生活に必要な物品や処分価値が小さい物などを除き、原則として売却し、生活費に充てるものとされております。散弾銃につきましては一般的には生活に必要な物品には該当せず、原則どおり売却すべきものと考えます。 保護受給者が保有する資産につきましては、本人からの書面による申告のほか、金融機関などへの資産調査により把握に努めることになっております。しかし、散弾銃のような物品につきましては、現行制度では本人からの申告によるしかなく、福祉事務所では把握が困難な場合があります。散弾銃のような物品についても把握の徹底を図るよう、福祉事務所に対して改めて指導してまいります。 ◆五十三番(日下部伸三議員) 再質問させていただきます。 公安委員会の方には銃所持者の情報があるわけですよね。これを福祉部の方と情報を共有すれば、生活保護受給者の散弾銃を所持している人が分かるじゃないですか。この共有をしていないから、散弾銃二丁を持っていたんじゃないですか。そういうふうに答えられないんですかね。       〔金子直史福祉部長登壇〕 ◎金子直史福祉部長 再質問にお答え申し上げます。 県警察に確認したところ、鉄砲所持者に係る情報につきましては、個人情報保護法をはじめ関係法令の規定により提供することは困難と聞いており、情報共有は難しいと考えております。 ◆五十三番(日下部伸三議員) 再々質問させていただきますけれども、平成三十年六月ですかね、埼玉県庁の職員さんは、「これはうちの所管じゃない」という言葉が非常に好きだということで、副知事の奥野立さんが答弁したのかな、ほかの領域の守備範囲にも手を広げていって、守備範囲の広い有能な人材を育成して強靱な組織を作っていくという答弁されたんですね。その情報共有ということが全く進んでいないというふうに理解するんですけれども、やはりこれ、この情報を共有していれば、どこかの段階で散弾銃を没収できたはずですので、これ情報共有しないという、所持していたのはやっぱり公安委員会の銃の所持リストと福祉の生活保護受給者のリストを共有していれば、これは防げたのではないんですか。だから、それが散弾銃を持っていた理由でしょう。再々質問します。       〔金子直史福祉部長登壇〕 ◎金子直史福祉部長 再々質問にお答え申し上げます。 県警察の方からちょっと情報が出せないということでございますので、現段階では情報共有は難しいと思いますが、生活保護上、今後はこの物品、資産につきましては資産リストという申告リストを作りますので、それに基づいて申告してもらうということでございますので、そういった中に「銃刀」という項目を設けて、把握をより徹底していくということで考えております。 ◆五十三番(日下部伸三議員) 三番目の質問に移ります。 (三)条例等で生活保護受給者の銃刀所持を禁ずる必要性について伺います。 自民党議員団内のネットカフェ立てこもり事件についての勉強会で、講師の先生が「犯罪を起こしにくいような環境を作ることが重要である」と言われていましたが、私もそう思います。「小人閑居して不善をなす」ということわざがありますが、全く車が通らず、誰も見ていない赤信号は、渡りたくなるのが人間でございます。 日本では銃や刀は生活必需品ではなく、それらを扱っているお店に持っていけば現金化できます。条例等で生活保護受給者の銃刀所持を禁ずる必要性について、警察本部長に伺います。       〔原和也警察本部長登壇〕 ◎原和也警察本部長 御質問にお答え申し上げます。 銃刀法第五条の規定において、年齢、一定の犯罪経歴、精神障害等の病気、ストーカー行為、暴力的な集団へ所属等に係る、いわゆる欠格事由に該当する場合に、銃刀所持の許可をしてはならないと定められておりますが、議員御指摘の生活保護受給者であることをもって許可をしない旨の規定は置かれておりません。 なお、銃刀法は危害防止の観点から全国一律の規制をしており、条例等で法律と異なる欠格事由を定めることは、極めて慎重な検討を要するものと認識をしております。 ◆五十三番(日下部伸三議員) 次の質問に移ります。 四、新型コロナウイルス感染症対策について、三点伺います。 (一)基礎疾患のない十九歳の死亡例について伺います。 今年二月、県内で初めて十歳代の死亡例が報告されました。今年の五月二十四日までに国内では十歳代の死亡例が八例報告されていますが、基礎疾患の有無は不明で、ワクチン二回接種済みの基礎疾患がない十九歳の男子学生が致死率の低いオミクロン株で亡くなる確率は極めて低いと思われます。 今年の二月定例会の新型コロナ特別委員会で本例に関わる質疑の中で、保健医療部長が「今回のケースは、新型コロナウイルスとしては重症ではなく、別の要因でお亡くなりになったが、早く医師が診断していれば、新型コロナウイルスとは別の原因を見抜けた可能性がある」という極めて興味深い答弁をされています。本例の話題は専門家会議でも出たようで、聞くところよると、搬送されて亡くなった病院の血液培養検査で細菌が検出されていたそうです。 先ほどの保健医療部長の答弁は、「本例は新型コロナウイルス感染に伴うサイトカインストームによるDICではなく、血液培養検査で細菌陽性、すなわち敗血症によるDICにより死亡した」という理解でよろしいでしょうか。       〔山崎達也保健医療部長登壇〕 ◎山崎達也保健医療部長 日下部伸三議員の御質問にお答え申し上げます。 令和四年二月に、さいたま市内にお住まいの十代の男性が新型コロナウイルス陽性となり、その後亡くなられました。この方は、発熱やのどの痛みはありましたが呼吸器に重篤な症状はなく、新型コロナウイルス感染症の患者としては重症ではございませんでした。 議員御指摘の令和四年二月定例会の新型コロナウイルス感染症対策特別委員会における保健医療部長の答弁は、「こうした事案が二度と発生しないようにどのように改善していくのか」との御質問に対し、コロナの発生届がルールどおり陽性判明後速やかに提出され、健康観察ができていれば、体調悪化が新型コロナウイルスとは別の原因によるものであると見抜けた可能性があるという趣旨のものでございます。 なお、御質問にありましたこの方の死因はDIC、すなわち播種性血管内凝固症候群であり、その原因は不明でございます。 ◆五十三番(日下部伸三議員) よしとして、次の質問に移ります。 (二)入院調整用リスク表について伺います。 本例は四十度以上の熱発が五日間続いていましたが、入院調整用リスク表では三十七度五分以上の発熱が六日以上続く、又は三十八度以上が三日持続のスコアが三・〇、酸素飽和度や臨床症状のスコアを加えても感染拡大期の入院対象の六点に達せず、保健師が入院の必要なしと判断したようですが、臨床医の感覚では四十度以上の発熱三日持続は原因を問わず入院です。 先ほどの保健医療部長の答弁に「早く医師が診断していれば、新型コロナウイルスとは別の原因を見抜けた可能性がある」とありますが、四十度以上の発熱が三日以上持続し、採血して白血球が一万五千以上あれば、医師はウイルス性のものより敗血症や髄膜炎など細菌性のものを疑って抗生剤を投与しますから、この症例は助けられたかもしれません。 今年の二月定例会の新型コロナ特別委員会の小島委員長の報告では、「入院の判断基準となるリスク表についても随時更新することとしており、専門家の意見を聞いた上で判断したい」と執行部答弁があったとのことですが、まだ更新されていません。四十度以上の発熱三日持続をスコア六点として加えるだけで、本例のような事案の再発を防げますが、保健医療部長の見解を伺います。       〔山崎達也保健医療部長登壇〕 ◎山崎達也保健医療部長 御質問にお答え申し上げます。 県では限られた病床を効率的かつ効果的に使用するため、新型コロナウイルス感染症患者の入院調整に当たってリスク表を作成しております。リスク表は、症状や基礎疾患を踏まえた入院調整の一般的な基準を示すものであり、診断した時点での症状などを踏まえた医師の判断等が優先いたします。入院とならない場合でもしっかりと健康観察を行い、症状が改善しない場合には早期に受診することが肝要と考えております。 リスク表の見直しは、これまでも国の手引きや今まで入院した方の症例を踏まえて改訂をしてまいりました。このたび議員から、四十度以上の発熱三日以上をスコア六点としたらどうかという御提案をいただきました。新たな変異株の発生などの感染動向を踏まえ、専門家の御意見も伺いながらリスク表の改訂を進めてまいります。 ◆五十三番(日下部伸三議員) 次の質問に移りますけれども、臨床の周りの医者に聞いてもですね、四十度が三日持続というのはもう入院ですよ。十九歳の基礎疾患のない男性、大学生を死なせちゃいけないと思うので、是非四十度以上三日間持続、これは六点として加えていただきたいというふうに思います。 それでは、その次の質問に移ります。 (三)エビデンスに基づいた自粛要請について伺います。 これまで何度か緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発令されましたが、中には家庭内感染や学校内感染が広がった段階で飲食店をターゲットとした自粛要請にどれほどの効果があるのか、多くの県民が疑問に思うものもありました。 新型コロナ感染症も約二年半が経過し、この間多くのデータが蓄積されているはずです。自粛時と非自粛時の実効再生産数、新規陽性者数、PCRの陽性率、各感染経路の割合、重症化率、致死率、ワクチン接種率などのパラメーターから関数式を求めて、例えば、これから三週間のまん延防止等重点措置を取った場合と取らない場合で、新規感染者数で何名、死亡者数で何名の差が出るというエビデンスに基づいた自粛要請ができないのか、知事に伺います。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 御質問にお答え申し上げます。 感染拡大防止対策にはデータを活用していくことが重要だと思います。県では、新規陽性者数や陽性率、病床使用率、人流などの指標について常にモニタリングを行い、感染拡大の兆候があった場合には早めの対応を行っています。 オミクロン株については感染の急拡大に加え、イギリスやアメリカなど諸外国の傾向から自宅療養者が極端に増える事態が想定できたため、政府が示した想定にかかわらず、県独自の判断として保健所において大幅な増員とデジタル化を進め、健康観察能力を向上させ、対応することができました。他方、オミクロン株はデルタ株と比べ感染力が強い一方で毒性は弱いなど、変異株の特性は様々であります。 日々のデータの蓄積と活用は重要ですが、関数式のみでの感染状況の想定が、その後の結果と一致した信頼できる例の積み重ねがないというのが我々が承知しているエビデンスで、したがって、関数式のみで自粛要請の内容を判断することにはリスクが伴い、変異株の特性など最新の情報も合わせて判断をする必要がございます。 私は、かねて、自粛要請に当たっては総合的に判断すると申し上げておりますが、今後も様々なデータや社会の状況、専門家の御意見などを参考に、基本的対処方針を踏まえ、要請をしてまいります。 ◆五十三番(日下部伸三議員) 次の質問に移ります。 五、医師不足対策について~医師を志望する埼玉県民の立場から~伺います。 (一)他の都道府県の国公立医学部に進学する埼玉県民について。 私は、埼玉県の医師不足の大きな要因の一つとして、本県に国公立の医学部がないことを指摘してきました。 国公立の医学部の入学から卒業までの六年間の学費が約三百五十万円に対し、現在、私立の医学部で学費が一番安いのは、平成二十九年四月に千葉県が成田市に国家戦略特区制度で開設した国際医療福祉大学医学部の一千八百五十万円で、埼玉医大はその倍の三千七百万円です。したがって、埼玉県在住の多くの医師志望者が他の都道府県の国公立の医学部に進学しています。私の息子も都内の私立の中高一貫校から他県の国立大学医学部に進学し、昨年、脳外科の専門医を取りましたが、そこで彼女ができて結婚したので、埼玉県には戻ってきません。 県は、他の都道府県の国公立医学部に進学する埼玉県民が毎年何人かという数字を把握していないとのことですが、本県からの人材流出状況を知ることは医師不足対策の観点からも重要と考えますが、保健医療部長の見解を伺います。       〔山崎達也保健医療部長登壇〕 ◎山崎達也保健医療部長 御質問にお答え申し上げます。 教育局の調査によると、県内の高校からの医学部進学者数は、令和三年度は二百六十五人でしたが、国公立か私立かは把握しておりません。県内出身の医学生の多くが県外で学んでいる状況は、御指摘のとおりでございます。 このような中、医師確保対策として本県が力を入れていることの一つが、専門医の取得を目指している後期研修医の県内医療機関での採用でございます。後期研修医は、研修終了後も研修を受けた医療機関に定着するケースが多いためでございます。本県の後期研修医の採用数は増加傾向にございまして、令和四年度は三百八十一人で全国八位となっております。 議員からお話のあったような、県外の医学部に進学する本県出身の学生に、県の医師確保の取組を早めに認識していただければ、将来、後期研修を県内医療機関で行っていただくことにつながると考えます。今後は医学部進学に際して参考にしていただけるよう、県の医師確保対策をまとめたパンフレットなどを高校を通じて医学部進学者に配布してまいります。          ---------------- △休憩の宣告 ○中屋敷慎一議長 暫時、休憩いたします。なお、再開は十一時八分といたします。午前十時五十八分休憩          ----------------午前十一時十分再開 出席議員    八十六名     二番    三番    六番    七番     八番    九番   十二番   十三番    十四番   十五番   十六番   十七番    十八番   十九番   二十番  二十一番   二十二番  二十三番  二十四番  二十六番   二十七番  二十八番  二十九番   三十番   三十一番  三十二番  三十三番  三十四番   三十五番  三十六番  三十七番  三十八番   三十九番   四十番  四十一番  四十二番   四十三番  四十四番  四十五番  四十六番   四十七番  四十八番  四十九番   五十番   五十一番  五十二番  五十三番  五十四番   五十五番  五十六番  五十七番  五十八番    六十番  六十一番  六十二番  六十三番   六十四番  六十五番  六十六番  六十七番   六十八番  六十九番   七十番  七十一番   七十二番  七十三番  七十四番  七十五番   七十六番  七十七番  七十八番  七十九番    八十番  八十一番  八十二番  八十三番   八十四番  八十五番  八十六番  八十七番   八十八番  八十九番   九十番  九十一番   九十二番  九十三番 欠席議員    一名   五十九番 地方自治法第百二十一条第一項の規定により説明のため出席した人   知事       副知事(砂川)  副知事(橋本)   副知事(高柳)  企画財政部長   総務部長   県民生活部長   危機管理防災部長 環境部長   福祉部長     保健医療部長   産業労働部長   農林部長     県土整備部長   都市整備部長   会計管理者    公営企業管理者   下水道事業管理者 教育長      警察本部長 △再開の宣告 ○中屋敷慎一議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。          ---------------- △質疑質問(続き) ○中屋敷慎一議長 質疑質問を続行いたします。 ◆五十三番(日下部伸三議員) 五、医師不足対策についての(二)から再開させていただきます。 (二)地域枠の拡充について伺います。 今後、人口減少する中で、本県に国公立の医学部を設置するハードルはかなり高く、国公立と私立の学費のギャップを埋める方法として地域枠の拡充を提案いたします。 現在、埼玉県が持っている医学部の地域枠は、埼玉医大十九人、順天堂七人、日本医大二人、日大五人の計三十三人で、一人当たりの年間貸与額は一律二百四十万円です。六年間の貸与額一千四百四十万円は、卒後、秩父、北部、利根、川越比企の北といった県内の医師不足地域の公的医療機関に勤務するか、あるいは、小児科、産科、救命救急センターといった医師確保が難しい診療科で九年間勤務すれば、返還が免除される制度になっています。 現行制度では地域枠の学費負担は、学費が二千八十万円の順天堂では六百四十万円、学費が二千二百万円の日本医大では七百六十万円、学費が三千三百十万円の日大では一千八百七十万円、学費が三千七百万円の埼玉医大では二千二百六十万円の負担となりますが、まだ国公立の三百五十万円とは差があり、卒後のお礼奉公も考えると余り魅力的な制度とは言えません。 一人当たりの年間貸与額を三百万円に引き上げれば、六年間の貸与額は一千八百万円となり、学費負担額は順天堂では二百八十万円、日本医大では四百万円、日大では一千五百十万円、埼玉医大では一千九百万円の負担となります。加えて、お礼奉公の診療科として脳外科と一般外科も選択可能にすれば、かなり魅力的な制度になります。 また、順天堂大を誘致する際、順天堂の地域枠を七人増やし十四人とすればトータル四十人となり、本県の医師不足解消にも寄与するものと思われます。 財政的には現状三十三人の六学年分で四億七千五百二十万円が、一人当たりの年間貸与額を三百万円、人数四十人に引き上げると年間七億二千万円となりますが、費用対効果は高いと思います。 平成二十二年に五人で導入された本県の地域枠は県外在住者も利用可能ですが、県内在住者に国公立医学部と同程度の学費負担で医師になる道を開く意味でも、地域枠の貸与額の増額、選択科の拡大、定数増を検討すべきと考えますが、保健医療部長の見解を伺います。       〔山崎達也保健医療部長登壇〕 ◎山崎達也保健医療部長 御質問にお答え申し上げます。 地域枠奨学金は全国的に実施されており、本県の月額二十万円は標準的と考えております。令和四年度の応募倍率は六・五倍と定員を超えていることから、貸与条件については理解が得られているものと捉えており、当面は現行の貸与額を維持したいと考えます。 次に、選択科の拡大です。県地域保健医療計画においては、政策的に救急医療、周産期医療、小児医療の医療提供体制を確保することとしています。こうしたことから、地域枠を活用した医師が勤務する診療科としては、本県で特に必要としている現在の診療科としていきたいというふうに考えております。 定数増についてですが、地域枠は大学の希望があること、都道府県と大学との間での協議が整っていること、かつ医師不足地域であるなど、国が必要性を審査した上で設置が認められる制度でございます。したがいまして、今後、近隣都県の大学医学部の意向を確認をしてまいります。 ◆五十三番(日下部伸三議員) 次の質問に移ります。 六、免許証返納後の高齢者の足の確保について伺います。 私の外来には米寿を過ぎても車を運転している患者さんが多数おられますが、食料品は宅配サービスもありますので、免許を返して一番困るのは役所と病院への足です。今年の五月十三日から、過去三年間に信号無視など一定程度の違反歴のある七十五歳以上のドライバーを対象に実車試験が義務付けられましたので、更にこの問題が顕在化してくることが予想されます。 そこで、二点伺います。 (一)これまでの埼玉県の具体的施策について。 この問題は、令和元年の九月定例会で公明党の石渡議員が質問されていますが、答弁を見ますと、後付け安全運転支援装置の普及や安全運転サポート車の普及、コミュニティバスやタクシーの利用券の交付など、ほとんど市町村任せにしていると言わざるを得ません。 免許証返納後の高齢者の足の確保に関わる県の施策として、協賛事業所の好意で成り立つシルバーサポーター制度は存じておりますが、それ以外でこれまでの県の具体的施策を知事に伺います。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 御質問にお答え申し上げます。 議員御指摘のとおり、免許証の返納に伴う高齢者の足の確保は重要な課題と認識をしております。こうした課題に対し、一義的には地域の事情を詳しく知る地元の市町村が取り組んでおり、県では、これまで市町村と連携を図りながら、高齢者をはじめとする地域の足の確保に努めております。 具体的には、地域の足を確保するため、市町村のコミュニティバスやデマンド交通の導入を支援するとともに、高齢者をはじめ誰もが利用できるノンステップバスやユニバーサルタクシーに対して補助をしております。また、市町村が開催する地域公共交通会議に県職員が参加して情報提供や助言を行うとともに、市町村向けの研修会や移送支援の専門家の派遣などを通じて、先進事例やノウハウの横展開に取り組んでおります。さらに、商品の配達や送迎、移動販売など、高齢者に優しいサービスを提供する店舗をプラチナ・サポート・ショップとして登録し、県の情報サイトで御紹介することで高齢者にサービスの利用を促しています。 令和六年には小児医療センター跡地に高齢者講習専用施設が整備される予定であり、県の付帯機能も設置されることから、そこでも何らかの取組ができないか研究してまいりたいと思います。また、昨年十二月にはDX推進計画に基づくビジョンを策定し、来庁する必要性を減少させることとしております。 県としては、こうした取組を通じ、免許証返納後の高齢者の足の確保に向け、今後も市町村と連携を図りながら積極的に支援を続けてまいります。 ◆五十三番(日下部伸三議員) (二)に移りたいと思います。 (二)埼玉版スーパー・シティプロジェクトにおける具体策について伺います。 令和三年三月、知事決裁の埼玉版スーパー・シティプロジェクトの基本的な考え方の中では、「地域のモビリティサービスの高度化」として「自動運転、Mobility as a Service、Vehicle to X等のスマート技術を活用して地域の移動の利便性を高める」と、マニアックな横文字が列記されています。車庫入れまでのドア・トゥー・ドアの自動運転は解決策の一つだと思いますが、まだ机上の空論ではないかと思っております。 埼玉版スーパー・シティプロジェクトは知事の五大公約の一つですけれども、免許証返納後の高齢者の足の確保について、このスーパー・シティプロジェクトの中で知事はどのように考えているか、具体策をお示しください。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 御質問にお答え申し上げます。 超少子高齢社会の様々な課題に対応するには、コンパクト、スマート、レジリエントの三つを要素とする持続な可能なまちづくりに市町村とともに取り組むことが必要であります。とりわけ、免許証返納後の高齢者の足を確保するには、地域公共交通をコンパクトに再編し、利便性を向上させるとともに、AIなどのスマートな先進技術を取り入れ、より効率的かつ効果的な移動手段を確保していく必要がございます。 そこで県では、既存の公共交通に加え、病院や自動車教習所の送迎バスなど地域の多様な輸送資源を活用して高齢者の足の確保に取り組む全国の先進事例をホームページで紹介しております。また、先ほど御指摘もございましたが、自動運転やAIオンデマンド交通といったスマートの要素を取り入れた新たなモビリティサービスに関して、市町村向けの研修会で有識者に講演を行ってもらうなど、ノウハウの横展開に努めております。 さらに、こうした多様な輸送資源や新たなモビリティサービスの導入に関わる費用に対し、補助制度を設けることで、市町村が実施する地域公共交通におけるコンパクトやスマートの取組を財政面からも支援し、スーパー・シティプロジェクトの推進に貢献しております。 そもそも埼玉版スーパー・シティプロジェクトは、高齢者の交通難民化が懸念される中で、高齢者が歩いて必要な便益を受けることができるようにするなど、高齢社会対策が大きな目的の一つであり、本プロジェクトの推進と交通施策を併せ、免許証返納後の高齢者の足の確保を含めた高齢者にとって住みよいまちづくりを市町村とともに推進をしてまいります。 ◆五十三番(日下部伸三議員) 再質問させていただきますけれども、高齢者なんですね、対象は。高齢者の足の確保ということで、コンパクトとか、スマートとか、AIとか、そういうのをあまり使えない人たちが対象だと思うんですね。 先ほど知事は、歩いていけるようにすると言いましたですよね。歩く距離も彼らは短いわけですね、高齢者の方々は足も悪くて。私、具体策を御教示くださいと言ったのであって、その抽象的なことを聞いたわけではないんですが、具体的にこの知事のスーパー・シティプロジェクトの中で高齢者の免許証返納後の足の確保、具体策はどのように考えているかということを御答弁いただきたいんです。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 再質問にお答え申し上げます。 コンパクトですとか、AIとかは高齢者に分かりにくいという御指摘、そのとおりだと思いますが、ただコンパクトとか、AIという言葉を知っていただく必要があるわけではなく、その成果を御享受いただくべきだと考えております。 そのために、埼玉県におきましては、スーパー・シティプロジェクトを通じて、まずは、第一にコンパクトなまちづくりを進めることによって、議員御指摘のように、長い距離を歩くよりもコンパクトなまちの中で高齢者の皆様にも便益を享受していただくというための、まず、取組を進めております。 さらには、オンデマンド交通等の具体については、地域ごとの与件が異なりますので、それぞれの与件に応じて、市町村が進める仕組みを県として支援をするというのがスーパー・シティプロジェクトでございますので、先ほど申し上げた新しい交通サービス、新たなモビリティサービス、MaaS等のモビリティサービスについての研修会やノウハウの横展開、さらには、先ほど申し上げたモビリティサービスの導入に対する補助、これが具体的な施策として我々として講じることにより、市町村がまちづくりを進めることを支援してまいります。 ◆五十三番(日下部伸三議員) ちょっと再々質問になるんですけれども、具体的なそのコンパクトシティのイメージがイメージできないんですけれども、高齢者の方々が歩いて何でも調達できるというところが、先ほどもMaaSとか言われましたよね。地域モビリティの高度化とかというんですけれども、これは具体的にどういうことなんだと。 例えば、先ほど申しましたように自動運転でドア・トゥー・ドアで、車庫入れまで車がやってくれれば、これは分かりますよね、具体的に。だから、そういうのがどういう町なのかというのがちょっと分からないんですよね。歩く歩道がずっと回っていれば、それに乗っかれば行けるわけですよね、例えば。 そういう、どういうのを、知事の考える具体的なところが全然見えないんですけれども、具体策をもう一度お願いします。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 再々質問にお答え申し上げます。 埼玉県といたしまして、それぞれの市町村に対し、これまでも幾度にもわたり具体的な事例を示しながら、それぞれの地域与件にあった取組を進めていただいております。例えばですけれども、まずは、よりコンパクトな、いわゆる空き家がたくさんあって、そして虫食いだらけのまちにするのではなくて、集積してお住まいをいただくことによって高齢者の見守りができるばかりか、買物難民や交通難民であることを避けるような仕組み、これはある程度共通してお話をさせていただいているところでございます。 あるいは、オンデマンド交通等につきましては、例えば、タクシーやバスなどのオンデマンド交通をこれまでも行っていただいているところがございますが、これをより効率的に進行させるためのAI等を活用する等の取組を行う市町村に対して、ノウハウの御紹介をさせていただいたり、あるいは、先ほど申し上げた輸送資源の導入に関わる費用、あるいは、試験等について補助制度を設けることによって、我々として、市町村によるまちづくりが主体でございますが、これを支援するという例示をお示しさせていただいているところでございます。 ◆五十三番(日下部伸三議員) もう再々質問しましたので、これ以上質問はいたしませんけれども、私が小さい頃はロバのパン屋さんとかがあって向こうが売りに来てくれたんですね、魚屋さんなんかも。そういう方がいいのかなという気もしながら、次の質問に移らせていただきます。 七、埼玉県における社会科教育・日本の領土について伺います。 先日公表された令和五年度から高校で使用される教科書の検定結果では、北方領土、竹島、尖閣諸島について「地理探求」と「政治・経済」では全社の教科書で「固有の領土」と記述されていますが、「世界史探求」と「日本史探求」では学習指導要領が「固有の領土」と指導することを求めていないことから、「固有の領土」の記述は一部にとどまり、北方領土と竹島が不法占拠されていることに触れた教科書も一部にとどまっています。 ロシアのウクライナ侵攻後、政府は二〇二二年版の「外交青書」で北方領土について、「日本固有の領土であるが、現在ロシアに不法占拠されている」と明記しました。これに対し、今年四月、ロシアの大統領報道官は、「北方領土は四島ともロシア固有の領土だ」と反発しています。竹島は、サンフランシスコ講和条約発効の直前に、韓国が日本海上に一方的に李承晩ラインという境界線を引いて不法占拠しました。沖縄の本土返還とともに日本領土に復帰した尖閣諸島は、中国が毎日様子をうかがっています。 本県では平成二十六年度に、北方領土、竹島、尖閣諸島は日本固有の領土であることと、北方領土はロシアに、竹島は韓国に不法占拠されていることを明記した、立派な領土に関するパンフレットを作成しています。このパンフレット、皆さんのパソコンの中にも入っている。非常に良くできていると思います。 これを作成していますが、本県の県立高校での活用状況を教育長に伺います。これ配って、「読んどけ」じゃ、だめだと思うんですね。どういうふうに活用されているか、答弁をお願いします。       〔高田直芳教育長登壇〕 ◎高田直芳教育長 日下部伸三議員の御質問にお答え申し上げます。 議員お話しの領土に関するパンフレットは、平成二十五年度の学習指導要領の改訂に合わせ、領土問題に関する正しい知識や自ら考える力を養うことを目的として、平成二十六年六月に作成したものです。このパンフレットは教科書の補足説明資料として活用されており、生徒に領土問題に関する知識や考える力を身に付けさせる上で効果的なものと考えており、現在、内閣官房領土・主権対策企画調整室のホームページにも領土に関するパンフレットの良い事例として取り上げられています。 具体的な活用事例としては、地理の授業において日本の位置や領域、主権について学習する際に、生徒が領土をめぐる問題の背景を正しく理解した上で、グループで平和的解決に向けた考察を行う際に活用されております。また、日本史の授業において、明治維新や近代国家の形成などの学習をする際に、竹島領有の歴史的背景や事実について生徒の理解を深めるために活用された事例もございます。 議員お話しのとおり、北方領土、竹島、尖閣諸島は日本固有の領土であること、北方領土はロシアに、竹島は韓国に不法占拠されていることを生徒に理解させることは重要なことであります。令和四年度から実施されている新たな学習指導要領に基づいた授業においても、このパンフレットを有効に活用し、生徒が我が国の領土に関する理解を深められるよう取り組んでまいります。 ◆五十三番(日下部伸三議員) ちょっと聞き漏らしたかもしれないので、一点、再質問させてください。 埼玉県下の全高校で、これは活用されているんでしょうか。       〔高田直芳教育長登壇〕 ◎高田直芳教育長 再質問にお答え申し上げます。 新しい学習指導要領の下で学びます「地理総合」は、全員必修の必ず勉強しなければならない科目になっております。その中では、北方領土、竹島、尖閣諸島が日本固有の領土であることがはっきり明記されております。 そうした授業の一環の中でこのパンフレットをしっかり活用させて、領土に対する理解を深めてまいります。 ◆五十三番(日下部伸三議員) これにて、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手起こる)          ---------------- △休憩の宣告 ○中屋敷慎一議長 暫時、休憩いたします。午前十一時三十一分休憩          ----------------午後一時一分再開 出席議員    八十五名     二番    三番    六番    七番     八番    九番   十二番   十三番    十四番   十五番   十六番   十七番    十八番   十九番   二十番  二十一番   二十二番  二十三番  二十四番  二十六番   二十七番  二十八番  二十九番   三十番   三十一番  三十二番  三十三番  三十四番   三十五番  三十六番  三十七番  三十八番   三十九番   四十番  四十一番  四十二番   四十三番  四十四番  四十五番  四十六番   四十七番  四十八番  四十九番   五十番   五十一番  五十二番  五十三番  五十四番   五十五番  五十六番  五十七番  五十八番    六十番  六十一番  六十二番  六十三番   六十四番  六十五番  六十六番  六十七番   六十八番  六十九番   七十番  七十一番   七十二番  七十三番  七十四番  七十五番   七十六番  七十七番  七十八番   八十番   八十一番  八十二番  八十三番  八十四番   八十五番  八十六番  八十七番  八十八番   八十九番   九十番  九十一番  九十二番   九十三番 欠席議員    二名   五十九番  七十九番 地方自治法第百二十一条第一項の規定により説明のため出席した人   知事       副知事(砂川)  副知事(橋本)   副知事(高柳)  企画財政部長   総務部長   県民生活部長   危機管理防災部長 環境部長   福祉部長     保健医療部長   産業労働部長   農林部長     県土整備部長   都市整備部長   会計管理者    公営企業管理者   下水道事業管理者 教育長      選挙管理委員会委員長   警察本部長 △再開の宣告 ○武内政文副議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。          ---------------- △質疑質問(続き) ○武内政文副議長 質疑質問を続行いたします。 四十六番 井上航議員       〔四十六番 井上航議員登壇〕(拍手起こる) ◆四十六番(井上航議員) 皆様、こんにちは。議席番号四十六番、南第二十二区、和光市選出、無所属県民会議の井上航です。それでは、通告に従い、一問一答にて質問いたします。 まず、一、知事肝いりの『政策条例』を制定することについてです。 大野知事は、令和元年八月に「日本一暮らしやすい埼玉を実現する」を合い言葉に、政策と自身の強みを訴え、当選されました。大野知事はその際、参議院議員時代の経験を踏まえて、政策に明るい実務家であり、党務ではエネルギー、憲法、安全保障などの政策取りまとめを行い、過去一年間で参議院全議員立法の約一割を起案、提出したとアピールしておられます。こうした大野知事の政策通ぶりに期待をした県民も多いことと思います。 さて、県政において立法といえば、すなわち条例制定を指します。昨今、全国の知事選では、自身の思いを込めた条例を制定することを公約にうたうケースや、逆に選挙で掲げた公約、政策を実現するため条例を制定する動きが見られます。また、日頃の公務を通して県民の声を聴き、知事が決断して制定を進められるケースもあることでしょう。私は、これらを「知事肝いりの政策条例」と呼んでおり、こうした動きに大変注目をしています。 そこで、私は全国の知事の公約や、それに類する政策方針に基づき知事の発案で制定された条例について、本県を除く四十六都道府県に調査を行いました。その結果、例えば、富山県では、知事の公約に基づき、海外留学する県内の大学生等に、県内企業への一定期間の勤務を返還免除の条件とした奨学資金制度を新設するための条例が、令和四年三月に制定されています。滋賀県では、知事の二期目の公約集に掲げた三つの条例が制定されました。新潟県では「知事へのたより」、こちらへの投書を基に知事が条例化の指示を出し、令和三年三月に新潟県希少野生動植物保護条例が制定されています。このように知事の肝いり条例は多くの都道府県で制定されています。 無論、公約の実現や、より良い県政づくりを進めるに当たっては、条例を作ることが全てではありません。特に、首長は条例制定のほかにも、予算編成、組織改正に人事など、実現のための手段は多数あります。 そこで、以上を踏まえて、政策実現のために条例を制定することに対する大野知事の御所見を伺います。 ○武内政文副議長 四十六番 井上航議員の質問に対する答弁を求めます。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 井上航議員の御質問にお答え申し上げます。 知事には行政の執行者として県民の声を聴き、それに応える政策を実行する責任がございます。そのため、執行部から新たな条例案を提出する際には、かくあるべきという理念的な目標だけではなく、より実行性が高い内容であるべきと考えます。 政策を実現していくには、議員御指摘の条例制定や予算の執行、組織改正や人員拡充のほか、行政計画の策定など様々な手段がございます。私は、これらの手段をバランス良く用いて施策を遂行することにより、政策実現に向けた効果を担保していくことが重要だと考えています。まずは、今年度から県政運営の基礎となる総合計画である埼玉県5か年計画に着実に取り組み、それに伴う予算を執行していくことで、政策の実現に取り組んでまいります。 他方、政策を進めていく中で、場合によっては現行の条例や制度では対応が困難な課題等が生じることもあります。その際には、政策を実現する手段として条例制定が選択肢となると考えており、必要な場合には積極的に活用させていただきたいと考えております。 ◆四十六番(井上航議員) それでは、再質問させていただきます。 知事のお考えというのはよく分かりました。制定を否定するものではないということだと思います。 ではですね、大野知事の任期は間もなく三年を経過して、残すところあと一年となっております。先ほど全国の事例を紹介いたしましたが、時代や状況に合わせて制定する事例というのは複数あって、例えば、新型コロナ対策であるとか、SDGsの推進を図るために制定されたものであるとか、令和三年七月に静岡県熱海市で違法な盛土を原因とする土石流が発生し、甚大な被害が生じた事例がありましたが、これを受けて鳥取県や新潟県では盛土等に係る斜面の安全確保や規制に関する条例が制定されております。特に、鳥取県の条例は、熱海の事例が発生してから僅か五か月後の令和三年十二月に制定をされています。 是非ですね、大野元裕知事においては、時代の要請がある場合には、今任期中の制定についてもしっかりと検討していただきたいと思いますが、知事の御所見を再度お伺いしたいと思います。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 再質問にお答え申し上げます。 政策を推進するに当たり、時代や状況の変化に合わせて生じる課題にも柔軟に対応していくことが求められると思います。これまでにも私は政策を遂行する中で、幾度にもわたり条例の制定についての検討を部内等で進めてまいりました。政策を実現する手段として、新たに条例を制定することがよいのか、他の手段がよいのかをこれまでも検討してまいりましたが、適切と考える場合にはちゅうちょなく、これを実施いたします。 あくまでも条例の制定は、しかしながら、いつまでにというのではなく、その必要性で判断することが適当と考えますので、いずれにいたしましても不断に条例の制定についても検討をしていきたいと考えます。 ◆四十六番(井上航議員) 次に移ります。 次に、二、県内米軍基地の返還についてです。 本年二月二十四日から実行されたロシアによるウクライナ侵攻を踏まえると、戦闘行為が起こった場合、軍事関連施設は真っ先にミサイルなどによる攻撃対象になることが明らかになりました。他国の施設とはいえ、軍事関連施設が住宅地の近くにあることは、県民のリスクを高めることにつながります。 例えば、私の地元和光市に位置する米軍キャンプ朝霞アンテナ基地の所在する地域は、和光市立第四小学校や諏訪原団地といった生活空間に隣接しているのです。また、まちづくりの視点に立って考えると、米軍キャンプ朝霞は司法研修所、税務大学校、国立保健医療科学院という国が設置した公共施設や、理化学研究所、埼玉病院など和光市の象徴的な機関とも隣接しています。まちづくりを進める上で重要な拠点であるにもかかわらず、米軍キャンプ朝霞が所在しているということで各拠点を結ぶ道路網が寸断されるなど、地域が分断される状況となっており、都市の機能を集積することが難しく、都市計画上の障害ともなっている状況です。ほかの二施設でも同様の課題があろうかと思います。 県民の安心や該当市町村のまちづくりの将来性といった地元支援の観点から、埼玉県として米軍基地の返還にどのように取り組んでいくのか、知事にお伺いいたします。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 御質問にお答え申し上げます。 県内の米軍基地は、昭和二十七年以降、順次返還が行われ、今日まで様々な用途でまちづくりに活用されてまいりました。議員の地元和光市に所在する米軍キャンプ朝霞につきましても、県内だけでこれまでに約四百二十ヘクタールが返還され、和光市役所や和光樹林公園など住民の皆様が利用する施設として活用されているところであります。 一方で、現在でも米軍基地として使用されている場所は、いずれも市街地に位置しており、まちづくりを進める上での支障となっています。このため、県と米軍基地が所在する和光市、所沢市、新座市を含む十四市町で構成する埼玉県基地対策協議会では、毎年度、国に対して米軍基地の縮小・返還について要望を行っております。 こうした要望活動を積み重ねたことに加え、米軍所沢通信施設については当時の当麻市長から要望を受け、私自身が在京米国大使館を訪問して軍政担当書記官に働き掛けを行い、その結果を防衛省に示したことから倉庫の移転費用に関する協議が進展し、平成二十四年の日米合同委員会において東西連絡道路用地の返還が合意され、令和二年三月から住民の皆様の利用が開始されたという経緯もございます。 県といたしましても、人口密集地域に位置する米軍基地の返還は、基地周辺の皆様の不安の解消やまちづくりの発展に大きく貢献するものであると認識しています。 今後とも地元市とともにしっかりと連携を図りながら、基地対策協議会を通じた要望活動を行い、早期の基地の返還を目指したいと考えます。 ◆四十六番(井上航議員) 知事から今力強い御答弁をいただいたところではありますが、期待を込めて再質問させていただきたいと思います。 今、答弁の中にも参議院議員時代の取組を御紹介していただきましたけれども、本当に防衛大臣政務官として大野知事は、国防、安全保障などに携わってこられたわけであります。基地が所在する市町村は、やはりこれまで以上の成果を期待せずにはいられないわけであります。 大野知事の返還に向けた決意を改めてお伺いしたいと思います。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 再質問にお答え申し上げます。 米軍基地の返還につきましては、私が防衛大臣政務官を務めていた際にも対応をいたしましたが、返還は日米両政府の交渉によるものであると同時に、我が国を取り巻く安全保障環境等にも鑑みながら、粘り強く議論をしていく必要がございます。そして、これが結実するためには、長い年月が必要であることも重々私も経験してまいりました。その中で、米軍所沢通信施設が一部返還されたことは、県と関係市町で構成する基地対策協議会の長きにわたる要望の成果と考えています。 キャンプ朝霞を含めた米軍基地の返還について、議員の強い思いをしっかりと受け止めさせていただき、引き続き国に対して粘り強く要望活動を行ってまいります。 ◆四十六番(井上航議員) ありがとうございます。 それでは、次に、三、羽田空港新航路固定化回避のための取組について伺います。 まず、(一)これまでの協議経緯についてです。 羽田空港の国際便の増便を軸とした機能強化によって、令和二年三月二十九日より新ルートの運用がスタートしました。ルートの下に当たる、さいたま市、川口市、蕨市、戸田市、朝霞市、和光市の上空では、数多くの航空機が騒音を響かせながら通過しています。 こちらの写真を御覧いただきたいと思います。議場の皆様はサイドブックスでも御覧いただけます。この写真はですね、知人より提供いただいた朝霞市内で撮影した写真になります。そして、裏返して、今のこちらの写真は和光市内で撮影したものですが、このように少し目を凝らすだけでどの航空会社か分かるほどの高度で飛んでいるというのが実情です。こうした状況が、国土交通省のデータによると、令和三年の一年間に百六十七日を数えました。 これまで県議会では、新ルートの運用前に私のほか、村岡議員、木村議員、醍醐議員がこのテーマを取り上げています。国土交通省は現在、「羽田新航路の固定化回避に係る技術的方策検討会」を立ち上げて議論や情報発信を行っていますが、それでも更なる増便を進める方針に変わりはなく、県民の負担軽減は見通せない状況です。 そこで、まず、運用を開始するまでの期間及び運用開始から現在に至るまで、県として国交省とどのように協議を行ってきたのか、企画財政部長に伺います。       〔堀光敦史企画財政部長登壇〕 ◎堀光敦史企画財政部長 井上航議員の御質問にお答え申し上げます。 国は、令和二年三月二十九日から新飛行経路の運用を開始したところです。 県といたしましては、運用開始前から運用開始後、現在に至るまで、国の参加を求めた上で羽田空港の新飛行経路に関する連絡協議会を毎年開催しています。協議会においては、国から新飛行経路の運用状況や県内の騒音測定結果などに関する説明を受け、発生した課題などについて県及び関係市町からお伝えをするとともに、必要がある場合には適切な対応を求める機会を確保してきたところでございます。 また、協議会のほか、新飛行経路に関する住民からの問合せ内容を国と随時情報共有するなどの連携を行っております。 今後とも、国との会議の場など様々な機会を通じて県民の安心・安全を確保するため、国に対してしっかりとした対策を求めてまいりたいと考えております。 ◆四十六番(井上航議員) 次に、(二)今後の固定化回避のための県の取組について伺います。 今、御答弁の中で、今後ともしっかりしたというような話がございましたが、先ほど申し上げたとおり、住民は今も騒音や落下物などの不安の中で暮らしています。 県には、引き続き県民の立場に立って固定化回避のための取組を期待いたしますが、企画財政部長、今後の固定化回避のための県の取組についてお伺いいたします。       〔堀光敦史企画財政部長登壇〕 ◎堀光敦史企画財政部長 御質問にお答え申し上げます。 国は、関係自治体などの要望を受けて検討会を設置し、固定化回避に向けた検討を行ってきました。現在、新飛行経路の固定化回避に向け選定された二つの飛行方式の羽田空港への導入のため、具体的な安全性の評価などの検討を行っていると伺っております。 県としては、国との会議において、こうした取組状況について説明をいただき、県及び関係市町と情報を共有しております。また、現時点では、関係市町から固定化回避に向けた具体的な意見、要望はないものの、県民の立場に立って考えるということは大切な視点でございますので、今後そのような意見や要望をいただいた場合には、国にしっかりと伝えて対処してまいりたいと思います。 ◆四十六番(井上航議員) それでは、次に移ります。 四、埼玉版スーパー・シティプロジェクトの県民向け周知についてお伺いいたします。 まず、(一)県民理解・機運醸成のために広報活動を充実させるべきについてです。 埼玉版スーパー・シティプロジェクトは、大野知事が三年前の知事選で掲げた重点公約の一つです。去る令和四年一月三十一日には、県とともにプロジェクトに取り組む市町村の第一弾となる十一市町が発表されました。県民に身近な市町村とともに進められるため、県や市町村の目指す「埼玉版スーパー・シティプロジェクトとは何か」「選ばれると何が変わるのか」といった点について、県民の理解を広げる必要があると考えます。 さて、ここで令和二年十月十四日、日本経済新聞の記事を紹介いたします。この記事によると、国のスーパー・シティに関する認知度を調べたところ、一万八百二人から有効回答を得た結果、「名前を聞いたことがあり、内容も知っている」「名前を聞いたことはあるが、内容は知らない」、これらを合わせて五割にとどまったということです。他方、「名前も聞いたことがない」という回答は四九パーセントに上るということでした。 事前に執行部に確認をしたところ、県は、埼玉版スーパー・シティプロジェクトに関する県民の認知度調査はこの間行っていないということでしたが、先ほど触れたように、国の取組でさえ、この認知度であります。 県は、これまで様々な機会、媒体を通して広報に力を入れてきたことは存じ上げておりますが、周知に一層力を注ぐ必要があると考えます。例えば、媒体を通した広報だけではなく、シンポジウムのようにプロジェクトに携わる関係者の生の声を届けるような機会も効果的かと考えますし、プロジェクトの総論ではなく実際の市町の取組を題材に取り上げるなど、より具体性のある広報で県民理解・機運醸成を推進すべきと考えますが、環境部長の答弁を求めます。       〔目良聡環境部長登壇〕 ◎目良聡環境部長 井上航議員の御質問にお答え申し上げます。 埼玉版スーパー・シティプロジェクトは、超少子高齢社会における諸課題に対応するため、コンパクト、スマート、レジリエントの三つの要素を兼ね備えたまちづくりに市町村とともに取り組むものです。そのため、事業主体である市町村や地域住民の理解を十分に得ながら進めることが必要と考えております。 県では、県内全ての市町村を対象とした説明会の開催のほか、今年五月の市長会議及び町村長会議においては知事が直接説明し、市町村にプロジェクトへの参加を働き掛けました。また、県民の皆様に対しては、テレビ、ラジオ、インターネット、彩の国だよりなど様々な媒体を通じて、プロジェクトの基本的考え方や実施市町村などに関する広報に取り組んでおります。 今後は、こうした従来の周知・広報に加え、御提案いただいたような具体性のある広報も検討し、住民への周知や理解の促進を図ってまいります。 ◆四十六番(井上航議員) それでは続いて、次に、(二)先行する自治体と連携して周知に力を入れるべきについてお伺いします。 今の御答弁でも、より具体的な話をというようなことがありましたけれども、私が(一)のところで申し上げたのは、具体的な取組を題材として周知をしてはどうかということでありました。 今回選定された第一弾の十一市町のエントリーシートを調べると、例えば、八市町で自動運転技術の活用の検討がされていることも分かります。その中でも、例えば、私の地元和光市では、この埼玉版スーパー・シティプロジェクトにエントリーする以前から、和光版MaaS構想としてMaaSや自動運転サービス導入事業について、内閣府や国土交通省など国の機関や県と連携して事業推進を図ってきています。また、さいたま市も自動運転技術など先行して取り組んでいると伺っております。 このように既に事業が進んでいる市町村と連携して広報を行うことは、その町の住民の理解も進みます。そして、事業も進みます。そして、それを県内に周知することで、ほかの市町村の取組も前進させることにつながるとともに、これからエントリーを検討している市町村に対しても大いに参考になるといった好循環を生み出せると考えておりますが、環境部長の見解をお伺いします。       〔目良聡環境部長登壇〕 ◎目良聡環境部長 御質問にお答え申し上げます。 埼玉版スーパー・シティプロジェクトに既に参加している十一市町の取組は、他の県内市町村にも共通する社会課題の解決に向け、大変参考になるものと考えております。そのため県では、今後プロジェクトの参加を検討している市町村の参考となるように、十一市町のまちづくりの方向性やコンセプト、エリアなどを記したエントリーシートを県ホームページで紹介するとともに、実際の事例を題材に、それを支える民間企業の技術などを学びながら交流する「まちづくりオープンカフェ」を開催しております。 今後は、プロジェクト参加市町の取組が具体的に進行してまいりますので、県と市町村が連携し、進捗に応じた周知や情報提供を行いながら、本県全体でスーパー・シティプロジェクトが盛り上がるよう努めてまいります。 ◆四十六番(井上航議員) それでは、次に、五、気候変動解決に向けた県民への積極的な周知についてです。 埼玉県では、これまでも気候危機とも呼べる気候変動による被害を回避、軽減するための様々な適応策を推進しています。この気候危機を乗り越えるためには、県民の協力、そして、意識向上が不可欠です。その意味で、先日発行された「彩の国だより」六月号のカーボンニュートラルを中心とした特集はすばらしいと感じました。このように数値などを交えつつ、危機感を共有することが重要だと考えます。 さて、その一例とも言えるクライメートクロックという取組が現在、世界各地で進められています。気候変動悪化の歯止めが利かなくなる臨界点とされているのが、産業革命時から一・五度以上気温が上昇することです。それ以上に上昇すると、海洋生態系の破壊や、それに伴う食料危機や経済危機を引き起こすといわれています。 埼玉県を含め、日本では脱炭素の取組は進んできたものの、気温上昇を一・五度以内に抑えることの緊急性はまだ広く認知されていません。それを視覚的に伝えるのがクライメートクロックです。世界では、令和二年九月にニューヨークに最初の時計が設置され、グラスゴー、ニューヨーク、ソウルなどにおいて大規模なクライメートクロックが設置されています。そして、本年四月十五日に渋谷区などの後援を得て、日本で初のクライメートクロックが渋谷駅ハチ公前広場観光案内所に設置されました。 こちらのパネルを御覧ください。議場の皆様は先ほどと同様、サイドブックスの方にも御覧いただけるようになっております。注目していただきたいのは、この犬ではなくて、その下の数字の部分ですね。拡大すると、こうなります。この部分をクライメートクロックというふうに呼んでおります。先週の日曜、六月十九日の夕方時点で、残された時間は七年と三十二日十九時間五十四分五十二秒となっておりました。 私は、この渋谷区での設置に関わったプロジェクトメンバーの方にお話を伺いましたが、是非埼玉県でも取組を推進してほしいとのことでした。そこで、こうしたクライメートクロックの設置を含めた気候変動解決に向けた県民への積極的な周知について、環境部長の御所見を伺います。       〔目良聡環境部長登壇〕 ◎目良聡環境部長 御質問にお答え申し上げます。 気候変動の解決に向けては、県民一人一人の行動が重要であり、そのためには危機感も含め現状を正しく認識していただくための情報発信が必要と考えております。 県では、気候変動適応センターを環境科学国際センター内に設置し、気候変動の実態や影響などの情報についてグラフや写真を用いて分かりやすく発信しております。また、教育局と連携し、漫画で地球温暖化を学べる副読本「広げよう!STOP温暖化」の小学校授業での活用や、男性の日傘体験イベントのツイッターやインスタグラムでの発信など、地球環境問題に関する啓発を幅広く実施しております。 渋谷のクライメートクロックは、若者に気候変動の深刻さを自分ごとと捉えてもらうきっかけづくりとして、高校生や大学生が中心となって取り組んだものと伺っており、気候変動の危機感を視覚的に伝える点で大変優れた取組と感じております。この時計で表示される世界の平均気温上昇が一・五度に達するまでに残された時間については様々な見解があり、県が設置するには慎重な検討が必要ですが、民間団体などから相談があれば、その内容をよくお伺いしたいと考えております。 県では、クライメートクロックの取組も参考としながら、SNSの更なる活用やホームページの充実をはじめ、視覚などに訴える、分かりやすい情報発信の方法についてしっかり研究、検討してまいります。 ◆四十六番(井上航議員) 御答弁ありがとうございました。 クライメートクロックの取組は、六月二十日の埼玉新聞でも「温暖化に関心を 高校生らが設置」という記事が掲載されておりまして、大変注目を集めております。 取り組む学生たちの話を聞くと、設置すること自体が目的ということではなくて、それを見かけた若者が「これは何だろう」「減っていく数字は何だろう」と興味を持って、QRコードでアクセスをしてもらう。そういうアクションを伴う仕掛けというのが気候変動の関心につながると、そういう考えの下、取組が進められているというふうに言っておりました。 ○武内政文副議長 井上議員に申し上げます。再質問でしょうか。 ◆四十六番(井上航議員) すぐ、次にいきます。是非ですね、前向きな検討をお願いいたしまして、次に進みます。 六、県内で新たに開業する医師に対する支援策についてのうち、まず、(一)現在の県の対応について、保健医療部長に伺います。 県は、奨学金や研究資金の貸与制度を柱に医師確保を進めています。その成果は評価するものの、これらの多くは若手の医師確保のための施策です。 一方で、開業医として独立して医院を立ち上げる場合の県の支援はどうでしょうか。開業医は若手医師と異なり経験豊富であり、かつ、勤務医と異なり、正にその地に定着して医療を提供しようと考えてくれています。しかしながら、医師の開業支援については、県の積極的な姿勢は見られないというのが私の認識です。 そこで、まず、令和四年度時点での県の対応について、保健医療部長に伺います。       〔山崎達也保健医療部長登壇〕 ◎山崎達也保健医療部長 井上航議員の御質問にお答え申し上げます。 国の医師・歯科医師・薬剤師統計によると、令和二年十二月末の人口十万人当たりの医師数は百七十七・八人で全国四十七位となっており、医師の確保は本県の課題となっております。そうした中、緊急性や重症度の高い患者が必要とする入院医療の体制整備には病院勤務医の確保が不可欠であり、不足感も強いことから、本県の医師確保対策は勤務医の確保を中心に取り組んでいるところです。 一方、現行の埼玉県地域保健医療計画には、「外来医療に係る医療提供体制の確保に関する事項」が定められており、新規開業希望者を含めた各医療機関が本県の外来医療の現状を把握できるよう、二次医療圏ごとの各種データを掲載しております。現在、開業の支援に資するため、こうした情報を提供させていただいているところでございます。 また、医師会員専用の金融機関である埼玉県医師信用組合では、開業資金を融資する開業ローンを紹介されております。 ◆四十六番(井上航議員) 御答弁をいただきましたが、また、勤務医を重視するという姿勢も分かりますが、開業医という点においてはやはり十分ではないというふうに思います。 それでは、(一)のやり取りを踏まえて、次の(二)医師版の「企業誘致Soul-Saitama戦略」とも呼べるほどの取組を行うべきに移ります。 この質問は、大野元裕知事にお伺いいたします。 先日、県は企業誘致戦略「Soul-Saitama戦略」を策定しました。大野知事のSNSには「私自らもトップセールスを行い、全国に向けて本県の魅力を積極的にPRしていきます」とつづられていました。私が医師確保、特に開業医の確保のために必要だと考えるのは、これくらいの熱量であり、戦略です。 勤務医の重要性は、先ほど述べたように私も重々承知はしております。しかし、県は、県民への医療提供体制の確保に当たり、開業医の皆様に様々な協力をしてもらっています。特に、新型コロナ感染症対策ではワクチン個別接種をはじめ、例えば、発熱等の症状がある方の診療を行い、必要な検査を行う埼玉県指定診療・検査医療機関を募った際には、医院名を公表することは全国的にもまれにもかかわらず、多くの開業医の皆様が協力してくれました。また、保健所業務がひっ迫した際には、自宅療養者のうち軽症者等の健康観察を協力医療機関として支援してくれました。 また、後遺症外来についても、より多くの患者さんが速やかに受診できるよう、本年四月以降はこれまでの症例から知見を得た病例集を活用して、多くの地域医療機関に関わっていただく体制に変更したところです。この取組には、大野知事が推進した他県にはない、埼玉独自の取組も含まれております。このコロナ禍は、開業医の皆様の協力なしには乗り越えられなかったのではないでしょうか。 このほかにも、初期救急医療機能、在宅医療、学校医や産業医、介護認定審査などの公衆衛生医療も担ってもらっているわけですから、そうした方々の開業を支援するのは、むしろ必須であると考えます。開業希望者のニーズに沿った支援ができたならば、他県での開業が視野に入っていた方も、「それなら埼玉で開業をしようか」となるかもしれませんし、「開業する際に支援してもらったから、本業も忙しいが地域医療に少しでも貢献しよう」と考えてくださる方もいるかと思います。 是非知事には、「企業誘致Soul-Saitama戦略」でいうところの「地域との共生や地域の持続的発展に取り組む企業の誘致」ならぬ「医師の誘致」に当たっても知事自ら前面に出ていただき、積極的かつ丁寧な支援策を行っていただきたいと考えますが、知事の御所見を伺います。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 御質問にお答え申し上げます。 開業医の方々におかれましては、コロナ禍における発熱外来の開設やワクチン接種に多大なる御協力をいただいておりますこと、また、学校医などとして地域の公衆衛生を支えておられることに心から感謝しております。開業医の方々の加盟が多くを占める県医師会との間では、丁寧な協議によりコロナ対応も円滑に進んできたところ、県の医療体制の整備につきましても緊密に意見交換をさせていただいております。 開業医につきましては、直近のデータである令和二年までの十年間の増加数は五百八十九名、増加率は一四・三パーセントであり、全国の増加率七・八パーセントを大きく上回っているところでございます。一方、本県の喫緊の最重要課題は病院勤務医の確保であることから、平成二十五年十二月に全国的にも例がない埼玉県総合医局機構を創設し、医師会、大学、県内医療機関等が連携し、勤務医の確保に積極的に取り組んでいるところであります。 総合医局機構では、産科の医師に向けた母体救急救命研修など、開業医の方も参加できる研修を実施しています。また、県では、在宅医療を検討している医師に向けた訪問診療等の現場研修など、在宅医療への参入促進を図るための研修を今年度実施することとしております。 今後も、開業医の方が参加でき、スキルアップに役立つ研修を充実させることにより、県内での開業を目指す医師の支援につながるよう取り組んでまいりたいと考えております。 ◆四十六番(井上航議員) 今、知事の御答弁によりまして、医局機構を中心として開業医の方もサポートしていくということだと思いました。 一方ですね、全国の事例を調査するといろんなことが見えてきます。ですので、次に、(三)医師のニーズに応える取組をに移りたいと思います。 全国を調査したところ、都道府県レベルでは北海道、岩手県、福島県、大阪府などで取組の事例があります。具体的には、開業、設備投資などに係る必要経費の一部補助や、医業承継を考える既存医院と開業を希望する医師とのマッチング支援などを行っています。また、市町村レベルでも開業支援制度を設けているところもあり、こちらは当該市に開設した場合に開設費用を数百万から数千万円単位で補助する制度が多くなっています。そのほか、神奈川県医師会や秋田県医師会は県医師会として取組を始めており、開業地の情報提供、構想立案、開業後の経営支援など寄り添う支援を実施しているとのことです。 また、この質問を行うに当たっては、実際に開院に向けた準備を経験された方からもお話を伺いました。その中から開業時に困った点と、そこから見えてくる開業時に必要な支援の案について、この場で御紹介したいと思います。 まずは、情報の一元化です。 医療に関する補助だけではなく、建物建設に当たってもバリアフリー設備による補助金、太陽光発電設備を付けた場合に得られる補助金のように、関わりのある情報というのは散らばっています。開業の準備は勤務医が超多忙の中で行うことが多いので、このときに県ホームページなどで情報が一元化されていれば非常に助かるとおっしゃっていました。また、そうした情報を口頭や対面で尋ねられる一元化された相談窓口があると、なお準備が進めやすいとのことです。 また、開業に臨む医師の多くは三十代から四十代が多いといわれています。働き盛りの年代ではあるものの、一方で、様々な組織や人脈形成には支援も必要になります。例えば、開業予定地の医師会とのつなぎや、予定地の市役所や商工会、地元自治会などとも橋渡しがあれば助かるともおっしゃっていました。また、地域や診療科によっては県立四病院とのつながりが必要になる場合もあるため、スムーズな連携ができるきっかけも重要とのことでした。 以上、他県や全国の市町村で行われている支援策や、実際の医師のニーズを述べさせていただきました。 勤務医を中心とした確保を進めていることは重々承知をしておりますが、これらの取組を参考に、より具体的な支援策を開業医に向けて行うべきと考えますが、保健医療部長の答弁を求めます。       〔山崎達也保健医療部長登壇〕 ◎山崎達也保健医療部長 御質問にお答え申し上げます。 開業医の支援につながるような研修の実施につきましては、現場の声を聞きながら研修メニューの検討を進めてまいります。 一方、開業プロセスへの対応についてですが、御指摘のとおり、開業を希望する医師は、非常に多忙な中で準備をしながら地域とのつながりを持つ必要があります。こうした点で非常に頼りになる存在が、まず、地区医師会で、開業に関する経験やノウハウを持ち、相談窓口も設けていらっしゃいます。 県の窓口においては、多忙かつ情報不足に不安を持つ医師の事情を理解するとともに、必要に応じて地区医師会等への橋渡しを行うなど、スムーズに気持ちよく開業できるよう丁寧な対応を心掛けてまいります。 ◆四十六番(井上航議員) それでは、次に移ります。 七、教員確保のための奨学金返還補助制度の導入について伺います。 先ほどの医師確保と同様に、近年、人材確保に苦慮しているのが教員です。小・中・高・特別支援学校と合わせた採用試験の受験倍率は、令和元年度実施試験が四・〇倍、令和二年度が三・七倍、令和三年度に三・〇倍と低下傾向にあります。そして、今月十五日に発表された令和五年度採用の小学校の志願倍率は一・九倍と、過去十年で最低の倍率となりました。こうした現状を踏まえて、埼玉県教育委員会が独自に教員確保策を進めていることは承知しています。ただし、この事態の打開のためには更なる取組が必要と考えております。 そこで、私が注目しているのは、山梨県教育委員会で開始した教員確保のための奨学金返還補助制度です。山梨県教育委員会では優秀な教員の確保を図るため、山梨県内の公立小学校に教諭として一定期間勤務することを条件に、日本学生支援機構から貸与を受けた奨学金の返還の一部を補助する事業を開始しました。 現在、日本学生支援機構が本年三月に発表した令和二年度学生生活調査によると、大学昼間部では四九・六パーセントが奨学金を受給中といわれており、その返還は社会人になってからも非常に大きな負担となります。山梨県の制度では、卒業前二年分の貸与額が上限となっていますが、それでもかなりの負担軽減となります。山梨県の発行したチラシには「山梨で教諭になろう」、そのように書いてあり、この制度を学生にアピールすることで他県との差別化を図っています。 また、この制度がうまくできていると感じるのは、令和四年度の教員選考検査受検者向けには補助対象人数を二十名としていますが、申請者が募集枠を超える場合は、教員選考検査の成績順で対象者を決定するとしていることです。これにより、補助対象になりたい学生は、より熱心に採用試験に臨むようになると考えられますし、その結果として優秀な教員確保につながると思います。 この制度を埼玉県でも導入してみてはいかがでしょうか。現在、埼玉県では教員を目指す人全体を増やすために、大学生や高校生向けに教員経験のある教育局職員が自身の経験を踏まえて教員の魅力を発信する取組を進めています。そこにこの奨学金補助制度があれば、学生にとって教員がより現実的な選択肢になると思います。また、一定期間の勤務を要件とすることにより、離職防止にも寄与すると考えられます。 以上を踏まえ、埼玉県にも教員確保のための奨学金返還補助制度を導入することについて、教育長の見解を伺います。       〔高田直芳教育長登壇〕 ◎高田直芳教育長 井上航議員の御質問にお答え申し上げます。 議員お話しのとおり、本県の教員採用選考試験の倍率は年々低下してきており、教員の確保は極めて重要な課題と認識しております。 そこで県では、今年度から大学と連携し、小・中学校の教員希望者を対象に、進路を決める前段階の大学二年生から、学校で子供たちと触れ合う体験を通して教員の魅力を肌で感じてもらう、彩の国かがやき教師塾ベーシックコースを二百名の定員で実施することといたしました。また、大学三年生を対象とした、より実践的なマスターコースも設け、この参加者には教員採用選考試験で一般教養などを免除する特別選考を行い、やる気のある優秀な人材の確保につなげたいと考えております。 議員御提案の山梨県が導入した奨学金返還補助制度につきましては、教員確保策の一つと考えますが、本県と山梨県の採用規模は大きく異なることから、その効果をよく見極める必要があります。一方、教員不足は全国的な課題でもあることから、国全体として教員のなり手自体を増やしていくことが重要です。 県といたしましては、まずは、国において教員志望者に対する奨学金制度を創設し、教員に採用され、一定期間勤務した場合に奨学金の返済が免除される等、教員志望者の増加に寄与する制度の構築を全国都道府県教育連合会を通じて要望しているところです。 今後とも、教員養成系大学との連携をより一層深めながら、埼玉教育の未来を担う教員の確保に努めてまいります。          ---------------- △休憩の宣告 ○武内政文副議長 暫時、休憩いたします。なお、再開は二時四分といたします。午後一時五十四分休憩          ----------------午後二時六分再開 出席議員    八十五名     二番    三番    六番    七番     八番    九番   十二番   十三番    十四番   十五番   十六番   十七番    十八番   十九番   二十番  二十一番   二十二番  二十三番  二十四番  二十六番   二十七番  二十八番  二十九番   三十番   三十一番  三十二番  三十三番  三十四番   三十五番  三十六番  三十七番  三十八番   三十九番   四十番  四十一番  四十二番   四十三番  四十四番  四十五番  四十六番   四十七番  四十八番  四十九番   五十番   五十一番  五十二番  五十三番  五十四番   五十五番  五十六番  五十七番  五十八番    六十番  六十一番  六十二番  六十三番   六十四番  六十五番  六十六番  六十七番   六十八番  六十九番   七十番  七十一番   七十二番  七十三番  七十四番  七十五番   七十六番  七十七番  七十八番   八十番   八十一番  八十二番  八十三番  八十四番   八十五番  八十六番  八十七番  八十八番   八十九番   九十番  九十一番  九十二番   九十三番 欠席議員    二名   五十九番  七十九番 地方自治法第百二十一条第一項の規定により説明のため出席した人   知事       副知事(砂川)  副知事(橋本)   副知事(高柳)  企画財政部長   総務部長   県民生活部長   危機管理防災部長 環境部長   福祉部長     保健医療部長   産業労働部長   農林部長     県土整備部長   都市整備部長   会計管理者    公営企業管理者   下水道事業管理者 教育長      選挙管理委員会委員長   警察本部長 △再開の宣告 ○武内政文副議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。          ---------------- △質疑質問(続き) ○武内政文副議長 質疑質問を続行いたします。 ◆四十六番(井上航議員) 教育長に再質問いたします。 先ほどの答弁でいうと、山梨と埼玉は採用の規模も違かろうと、また、全国的な課題として国に求めているところだというような趣旨だったかと思いますが、私がここでお伺いしたのは、これを埼玉独自の策として導入していくかどうかの点でありました。 例えばですが、こうして山梨が事例を進めております。それの研究であるとか、それを踏まえた検討というのを行っていただきたいと思いますが、御答弁願います。       〔高田直芳教育長登壇〕 ◎高田直芳教育長 再質問にお答え申し上げます。 山梨県では小学校教員百三十三人の採用見込みに対し、奨学金返還補助制度の対象は約二十人と伺っております。一方、本県の小学校教員の採用見込みは今年八百五十人を予定しておりまして、仮に山梨県と同様の割合で実施する場合でも補助対象は約百二十名となり、多額の財源を必要とすることになります。 そのため、山梨県においてどういった成果が上がったのかなどを十分に踏まえて、本県で実施する場合の課題ですとか、費用対効果などについて研究してまいります。 ◆四十六番(井上航議員) それでは、次に、八、選挙をより身近にするための取組についてのうち、(一)記号式投票の導入について伺います。 記号式投票とは、あらかじめ投票用紙に印刷された候補者氏名の上の欄に丸を記入して投票する方法です。記号式投票は、高齢者や障害者といった投票弱者にとって投票のバリアフリー化が図られるだけでなく、誰にとっても投票しやすい方式とすることで、選挙や投票がより身近になる効果があると考えます。また、記述式の際には、記載誤りなどで疑問票や無効票が発生しますが、その削減が期待できることや、開票時の確認作業の短縮化も期待されます。 一方で、デメリットがあることも承知しています。国政選挙では自書式と定められていること、告示日に立候補の届出を締め切ってから投票用紙の印刷を始めるため、準備の時間が限られることなどと認識しております。ただ、それらを踏まえても、記号式投票を行う価値は十分にあると考えております。 埼玉県内では唯一、吉川市が市長選において記号式投票を採用しています。そこで、私は、県議の同期当選であり、現在、吉川市長を務める中原恵人市長を通して吉川市選挙管理委員会の見解を確認しました。 「吉川市では、昭和三十八年から記号式での市長選を行っており、職員は全く違和感も不便も感じていない」とのことです。また、期日前投票や不在者投票の自署式と投票日当日の記号式が混在することについては、「別々に集計すればよいだけ」であるとおっしゃっていました。記号式投票は不明票も抑えられ、市民にはバリアフリーでもあることから、職員にも無理な負担になっていない現状であれば、今後も継続の考えであるとおっしゃっていました。 他方、先日、桶川市議会六月定例会において、御自身が筋ジストロフィーの診断を受けている浦田充市議からも、投票についての不平等の解消ということで首長選での記号式投票を求める提案があったところです。 首長選のほか県議選や知事選も、市議選などと比べて比較的候補者が少ない選挙です。県議選、県知事選は、毎回投票率が低調な傾向にあることが課題となっております。 そこで、投票のバリアフリーという視点に加えて、投票率向上のための方策としても、各市町村の首長選挙及び県議選、県知事選において記号式投票を導入することについて、選挙管理委員会委員長の御所見を伺います。       〔岡田昭文選挙管理委員会委員長登壇〕
    ◎岡田昭文選挙管理委員会委員長 井上航議員の御質問にお答え申し上げます。 公職選挙法の規定により、地方公共団体の議会の議員又は長の選挙の投票は、条例で定めるところにより期日前投票などの一部の投票を除いて記号式の投票によることができます。 議員お話しのとおり、記号式投票には様々なメリット、デメリットがございます。記号式投票の導入団体は全国的には減少傾向にあり、県内においては昭和三十八年に導入した吉川市長選挙のみとなっております。都道府県知事選挙で導入している団体は五団体であり、都道府県議会議員選挙での導入団体はございません。 県議会議員選挙又は知事選挙において記号式投票を導入する場合、県内全域で期日前投票などは自書式、選挙当日の投票は記号式となり、投票方法が混在することになります。近年、記号式投票から自書式投票に戻した団体では、その理由として、投票方法の混在による混乱や事務負担の重さなどを挙げており、市町村選挙管理委員会との慎重な調整が必要となります。さらに、県議会議員選挙では、九日間という短期間に五十二選挙区の全ての候補者名などを誤りなく掲載した投票用紙を印刷し、発送する必要があります。解決すべき課題は多いと考えます。 県選挙管理委員会としましては、記号式投票の導入団体が減少している要因や導入団体における投票率向上効果などについて情報を収集し、研究してまいりたいと考えております。また、市町村長選挙で記号式投票を導入することにつきましては、各市町村が地域の実情に応じて判断すべきものと考えております。 ◆四十六番(井上航議員) 再質問させていただきたいと思います。 デメリット、メリットがあることは重々承知をしておりますが、バリアフリーという観点、それから選挙を身近にするという観点は重要な観点かと思いますし、例えば、市町村の場合においては相談があった場合、条例化を進めなければいけないわけですが、県選挙管理委員会としては、そういった市町村の支援といったことは、相談があった場合にはするという体制はあるということで確認させていただいてよろしいでしょうか。       〔岡田昭文選挙管理委員会委員長登壇〕 ◎岡田昭文選挙管理委員会委員長 再質問にお答えいたします。 相談の体制、これは常にとっております。また、先ほども申しましたとおり、メリット、デメリット、両方ございますので、その辺も踏まえて、よく市町村の選挙管理委員会と対応いたします。 ◆四十六番(井上航議員) 次に移ります。 (二)家族で選挙に訪れることを推奨することについて伺います。 先ほど紹介した吉川市では、この夏の参議院選挙で家族と一緒に投票所を訪れた子供たちに、市のキャラクターグッズと選挙ブックを配布する取組を行うとのことです。吉川市ではこれまでにも「家族で選挙へGO!」としてスタンプラリーを行うなど、選挙や投票を身近にする取組を進めております。 実は、これらはエビデンスに基づいた選挙を身近にする取組といえるのです。総務省が平成二十八年に実施した十八歳選挙権に関する意識調査によると、子供の頃に家族で投票へ行ったことがある人は、将来の投票参加率が、行ったことがない人よりも二〇ポイント以上高くなるという結果が出ています。 そこで、昨日公示を迎えた参議院選挙は間に合わないとしても、来年度の県議選、県知事選などを視野に、県選挙管理委員会として県下の市町村選挙管理委員会とも連携し、家族で選挙に訪れることを広報やPRに取り入れ、推奨すべきと考えますが、いかがでしょうか。県選挙管理委員会委員長の答弁を求めます。       〔岡田昭文選挙管理委員会委員長登壇〕 ◎岡田昭文選挙管理委員会委員長 御質問にお答え申し上げます。 投票所への入場につきましては、平成二十八年に公職選挙法が改正され、選挙人のほか同伴する幼児などに限られていたものが、将来の有権者への啓発などを理由として児童生徒、その他の十八歳未満の者に拡大されました。 議員お話しのとおり、総務省が実施した調査においても、子供の頃に親が行く投票についていったことがある人は、ない人に比べ将来の投票率が高い結果となっており、子供が親と一緒に投票所を訪れることは、主権者教育の面で良い結果をもたらすものと考えております。 県選挙管理委員会としましては、新型コロナウイルスの感染状況を注視しつつではありますが、来年度の県議会議員選挙及び知事選挙を見据え、市町村選挙管理委員会とも連携し、家族で選挙に訪れることを啓発活動に取り入れるよう検討してまいります。 ◆四十六番(井上航議員) よろしくお願いいたします。 それでは、次に、九、相鉄・東急直通線開業を活かした観光の取組について伺います。 来年、令和五年三月に相鉄・東急直通線が開業予定となっております。これにより相鉄線と東急線との相互直通運転が可能となり、東京メトロ南北線を経て、埼玉高速鉄道埼玉スタジアム線にもつながるほか、東横線と東京メトロ副都心線を経て東武東上線にも相互に乗り入れる広域鉄道ネットワークが形成されます。まだダイヤなどは発表されていませんが、埼玉から新横浜駅まで直通で行ける可能性が出てきたことになります。 この相鉄・東急直通線の開業は、埼玉県にとっては平成二十五年三月の副都心線の東横線直通運転に続く商機であると考えます。開業までおよそ九か月となりました。観光戦略を考えるという意味では、決して時間的猶予はありません。早期の検討が必要と考えます。産業労働部長の御所見を伺います。       〔板東博之産業労働部長登壇〕 ◎板東博之産業労働部長 井上航議員の御質問にお答え申し上げます。 令和五年三月に予定されている相鉄新横浜線・東急新横浜線の開業に伴い、東武東上線や埼玉高速鉄道が新横浜方面へ直通運転を行う予定と聞いております。これにより、乗り換えなしで本県に来られるエリアが拡大するほか、新横浜駅と川越駅間の所要時間が十分程度短縮される可能性があるなど、神奈川方面から本県各地へのアクセスが向上いたします。 今回の開業を平成二十五年三月の東京メトロ副都心線の東横線直通運転に続く好機と捉え、県内の市町村や鉄道事業者等と連携した観光PRを行い、多くの観光客を呼び込みたいと考えております。そこで、現在、関連する鉄道事業者と新横浜駅等における観光キャンペーンや、沿線住民向け広報紙でのPRの実施などを検討しているところでございます。鉄道事業者だけではなく、沿線の自治体や観光協会と一緒にプロモーションに取り組み、新たな誘客につなげてまいります。 また、今年度は神奈川県からの誘客のため、大河ドラマの主要人物である比企一族や畠山重忠ゆかりの地などを紹介する広告を神奈川新聞に掲載するほか、横浜駅などでの観光ポスターの掲示や電車内での車内広告の掲出を行う予定でございます。 さらに、相鉄線や東急線の沿線には、横浜、川崎、湘南の三つのJ1リーグのチームがあり、埼玉スタジアムでの試合開催日には多くのサポーターが本県に来られます。そこで、サッカー観戦以外でも埼玉に訪れていただくため、例えば、試合開始前等の時間を活用し、埼玉スタジアム内の大型スクリーンや観光PRブースで埼玉の観光や物産を紹介する取組を行います。 相鉄新横浜線・東急新横浜線の開業という好機を捉え、観光客の増加と観光消費額の拡大を図ってまいります。 ◆四十六番(井上航議員) 以上で私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手起こる)          ---------------- △休憩の宣告 ○武内政文副議長 暫時、休憩いたします。午後二時二十三分休憩          ----------------午後三時一分再開 出席議員    八十五名     二番    三番    六番    七番     八番    九番   十二番   十三番    十四番   十五番   十六番   十七番    十八番   十九番   二十番  二十一番   二十二番  二十三番  二十四番  二十六番   二十七番  二十八番  二十九番   三十番   三十一番  三十二番  三十三番  三十四番   三十五番  三十六番  三十七番  三十八番   三十九番   四十番  四十一番  四十二番   四十三番  四十四番  四十五番  四十六番   四十七番  四十八番  四十九番   五十番   五十一番  五十二番  五十三番  五十四番   五十五番  五十六番  五十七番  五十八番    六十番  六十一番  六十二番  六十三番   六十四番  六十五番  六十六番  六十七番   六十八番  六十九番   七十番  七十一番   七十二番  七十三番  七十四番  七十五番   七十六番  七十七番  七十八番  七十九番    八十番  八十一番  八十二番  八十三番   八十四番  八十五番  八十七番  八十八番   八十九番   九十番  九十一番  九十二番   九十三番 欠席議員    二名   五十九番  八十六番 地方自治法第百二十一条第一項の規定により説明のため出席した人   知事       副知事(砂川)  副知事(橋本)   副知事(高柳)  企画財政部長   総務部長   県民生活部長   危機管理防災部長 環境部長   福祉部長     保健医療部長   産業労働部長   農林部長     県土整備部長   都市整備部長   会計管理者    公営企業管理者   下水道事業管理者 教育長      警察本部長 △再開の宣告 ○中屋敷慎一議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。          ---------------- △質疑質問(続き) ○中屋敷慎一議長 質疑質問を続行いたします。 七十六番 水村篤弘議員       〔七十六番 水村篤弘議員登壇〕(拍手起こる) ◆七十六番(水村篤弘議員) 皆様、こんにちは。西第一区、所沢市選出、埼玉民主フォーラムの水村篤弘でございます。それでは、議長にお許しをいただきましたので、通告に従い質問に入らせていただきます。 初めに、物価高対策について、大野元裕知事にお伺いいたします。 四月以降、日本を含む世界各国でインフレが加速して、物価が高くなってきています。身近な生活に関わるところでも、ガソリンの値段や、スーパーやコンビニに行くたびに食料品の値段が上がり、私たちの財布を直撃しています。六月十七日から十九日の日本経済新聞社などによる世論調査では、資源高騰や円安などによる足元の物価上昇について、「許容できない」との回答が六四パーセントに上りました。 御承知のように、インフレは基本的には需要と供給で決まります。新型コロナの流行以降、アメリカをはじめ先進国で経済対策、前代未聞の金融緩和をやってきて、ものすごく買う力、需要が強くなっていました。一方で、供給要因としては、コロナ禍からの再生の中で物流の停滞、物不足という状況や人手不足もありました。 そこに来て、二月のロシアによるウクライナへ侵攻での原油や食料の高騰、中国の都市封鎖による原材料の調達難など世界的な情勢に加えて、日本の場合は急速に進む円安なども影響しています。アメリカの八パーセント台のインフレに比べれば日本は二パーセント台ですが、先進国の中で我が国だけが賃金が上昇せず格差も拡大している中で、多くの県民が物価高にあえいでいます。 私は、三月の予算特別委員会で知事に、強い経済の構築に向けた埼玉県戦略会議の早急な開催を求めました。県では、四月二十七日に「原油・原材料価格高騰に対応した今後の経済対策などについて」を議題として開催されました。そして、今回の補正予算案では、原油価格や物価高騰の影響を受ける生活者や事業者への様々な支援策が盛り込まれています。 以上を踏まえて質問は、一点目、当面の対策としては、生活者や事業者への資金的な支援は評価をいたします。その上で、原材料費の高騰というやむを得ない価格転嫁、値上げを県内企業が行えるような環境づくりが必要です。なぜならば、企業努力で価格を据え置こうとすれば、人件費を抑えるべく更に非正規雇用を積極的に雇うようになり、正社員の賃金も上げず、賞与も減少させていきます。そうなると、将来不安は加速してデフレスパイラルに陥り、景気は悪化して、人々は将来に希望を持てなくなります。物価が上昇するときには、賃上げもしないと景気回復にはつながりません。県内企業で働く方の賃金が上昇するような取組も必要です。知事の御見解を伺います。 二点目、物価高の中でも、日々の食生活を支える食料品の値上げが私たちの生活を直撃しています。四月に取りまとめられた関係閣僚会議による「コロナ禍における『原油価格・物価高騰等総合緊急対策』」では、「輸入小麦から国産の米・米粉、国産小麦への切替えなど、原材料価格の高騰を受けた原材料の切替え、価格転嫁に見合う付加価値の高い商品への転換や販路開拓、生産方法の高度化等による原材料コストの抑制等を支援するほか、国産小麦の生産拡大等を支援する」とあります。 埼玉県は麦の主要な生産県となっており、生産量は全国第九位です。中でも小麦については、製粉業界等の実需者から、安定した品質、産地と工場が近い地理的な条件などにより高い評価を受けているとのことです。今後は、小麦をはじめとして更なる食料の生産拡大や地産地消に取り組み、県民生活を支えていくことを検討するべきであり、そのためにも農業関係者も戦略会議に御参加をいただいてはどうかと考えますが、知事の御見解を伺います。 次に、今後の新型コロナウイルス感染症対策についてお伺いをいたします。 県内の新型コロナウイルスの新規陽性者数は、第六波のときの二月五日に七千三百五十三人の過去最高の人数を記録しました。埼玉県でも三月二十一日にまん延防止等重点措置が解除されて以降、新規陽性者の数は増減を繰り返しながらも減少傾向にあり、今月に入り五百人前後の数値を維持しています。今後の見通しについては様々な見方がありますが、引き続き感染対策を継続しながら社会経済活動を回復させる段階だと考えます。 国では、政府の新型コロナウイルス感染症へのこれまでの対応などを検証する有識者会議が開かれ、病床確保のための措置が不十分だったことなどを指摘する報告書がまとめられました。 以上を踏まえて質問は、一点目、県民生活に大きな影響を与えている新型コロナウイルス感染症対策ですが、次の感染症危機に生かすためにも、少し感染状況が落ち着いている現在、全国で唯一導入したワクチン・検査パッケージの効果検証なども含めて、埼玉県特有の課題を踏まえた独自の検証を行うべきと考えますが、知事の御見解を伺います。 二点目、県の新型コロナウイルス対策本部会議は、三月十七日を最後に開かれていません。一方、医師会や経済界、労働組合の方などからなる県新型感染症専門家会議は現在も定期的に開かれているようですが、議事録の公開が昨年の十一月二十二日のものが最後で、どのような議論が行われているか、うかがい知ることができません。会議後の速やかな公表を求めますが、保健医療部長の御見解を伺います。 三点目、県民の方からは、「今もいつ感染するか不安だ」「感染するのも怖いが、濃厚接触者となり仕事のシフトに穴を開けるわけにはいかない」というような声が聞こえます。通常は陽性者と最終接触があった日をゼロ日として、翌日から七日間は自宅待機ですが、濃厚接触者が無症状の場合、四日目、五日目に抗原定性検査キットにより検査を行い、陰性が確認されている場合は五日目に待機解除が可能です。仕事をしているなど一日も早く自宅待機を解除したい方にとっては助かる方法ですが、検査は自費検査です。薬局などで受けられる埼玉県PCR検査等無料化事業は、濃厚接触者と有症状者は対象外となっています。自宅待機短縮のために濃厚接触者の検査も無料とすべきと考えますが、保健医療部長の御見解を伺います。 次に、所沢市の保健所設置を後押しするために、保健医療部長にお伺いいたします。 二年半続いているコロナ禍により、保健所の役割の重要性が再認識されました。かつて埼玉県が所沢市に設置をしていた所沢保健所は、二〇一〇年に狭山保健所に統合され、なくなってしまいました。保健所発祥の地・所沢市としては痛恨の出来事でした。 そもそも保健所は、地域保健法に基づき都道府県、政令指定都市、中核市、保健所政令市、特別区が設置するとされておりますが、その割には独自に設置する基礎自治体への財政的な支援が不十分であり、制度上の不備だと考えます。 所沢市は二〇一〇年四月に当時、新型インフルエンザが流行し、市が主体的に感染症対策を行うことの重要性を痛感したことも一つの契機として、中核市移行検討プロジェクトチームを設置して検討を行いました。しかし、費用対効果で割に合わないという点から、独自には設置をしないという結論だったと記憶をしております。そして、設置をせずに現在に至っています。この間、県議会では所沢市選出の県議をはじめ、多くの議員から保健所の復活を求める声が上がりました。 こうした中で、所沢市長が今年の所沢市議会第一回定例会施政方針で、「平成二十二年、中核市への移行を踏まえた検討を行い、市自らは設置しないという結論に至っている保健所であり、私もそれを尊重するものでありますが、コロナ禍の収束が見え次第、県と市の担うべき役割を整理した上で再検証してまいります」と発言をされました。私は、県が設置するにしても、所沢市が設置するにしても、どちらにしても人口三十四万人の都市には保健所は必要だと考えます。多くの所沢市民も所沢市に保健所が欲しいと切望しています。 以上を踏まえて質問は、県は長年、所沢市が保健所を設置してこなかった理由をしっかりと受け止めて、この機会に所沢市と協議を行い、財政面や人材面などあらゆる支援を行い、所沢市が保健所を設置できるように支援するべきと考えます。所沢市が独自に保健所を設置すれば、県の保健所はその分、管轄人口や管轄面積が減り、負担軽減になるわけですから、全面的に支援をするべきです。御見解をお伺いいたします。 次に、子供たちの未来のために、子ども食堂の今後について、福祉部長にお伺いいたします。 私は、過去何回か、子ども食堂の取組を広げたいとの思いで質問をさせていただきました。コロナ禍以前には県内でも確実に増加してきた子ども食堂ですが、コロナ禍により増加数は伸び悩んでいます。また、コロナ禍によって活動を休止したり、一堂に会する形での居場所型の子ども食堂から、弁当、食材の配布などフードパントリー活動形式にしているところも多いのが現状です。 子供たちの食生活を支えると同時に、居場所や人と人とのつながりの場にもなっている子ども食堂の再開が必要です。先日、地元の社会福祉協議会や子ども食堂を運営している方からお話を伺ってまいりました。 以上を踏まえて質問は、一点目、コロナ禍が一段落している現在の子ども食堂の現状について、どのように実態を把握して認識をしているのでしょうか。 二点目、コロナ禍が一段落しつつあるとはいえ、「一堂に会して食事をしてもらうためには、どういうコロナ対策をして、どのタイミングで再開したらよいか、判断に苦慮している」という声が多いようです。県として再開に向けての指針を示して、再開を後押ししてはいかがでしょうか。 三点目、「子ども食堂への助成金の支給基準が厳しい」などの声をお聞きしました。また、最近は「物価高騰が子ども食堂の運営を圧迫して、十分な支援ができない」などの声があるようです。活動団体のニーズをすくい上げた助成金制度へと改善をしていただきたいと思いますが、御見解を伺います。 四点目、フードパントリー活動をしている方からは、「ありがたいことに食料はそれなりに集まってくるが、保管する場所がなくて困っている」との声が寄せられました。公共施設や地域の空き家、空き店舗を活用するために、県としてマッチングに更に協力できないでしょうか。 次に、こども宅食について、福祉部長にお伺いいたします。 最近は子供の貧困問題に対する新たな解決策として、こども宅食という形での支援が社会福祉協議会などを通じて全国で約八十の団体に広がりつつあります。先日、連合埼玉の研修会で、子供の貧困について詳しい跡見学園女子大学の鳫咲子教授から、こども宅食のお話を伺いました。これは困窮する子育て世帯に定期的に無料で食料を届ける取組です。食を入口に関係を築き、家庭の抱える課題の解決を目指すアウトリーチと呼ばれる支援です。 先進地として全国から注目を集める宮崎県三股町では、住民や地元企業のボランティアが連携して毎月およそ八十世帯に食料を届け、親の就労や子供の学習など多角的な支援につなげています。食料をお届けする「どうぞ便」というネーミングが福祉っぽくなく、引け目を感じさせない、また、窓口に行かなくともスマホで申込みができるなどの点が利用しやすさにつながっているようです。孤立しがちな困窮世帯を地域で支え、子供の未来を守ろうという非常に参考になる取組です。 以上を踏まえて質問は、埼玉県でもこうしたこども宅食という取組を参考にして、アウトリーチ型の支援を財政面、人材面、ノウハウの提供や共有などによりバックアップして、広げてはどうかと考えますが、御見解を伺います。 次に、格差・貧困社会の是正のための生活困窮者自立支援制度について、福祉部長にお伺いいたします。 生活困窮者自立支援制度は、生活に困っている人の状況に応じて就労の支援をしたり、一定期間、家賃を支給したりして自立につなげるのが目的で、二〇一五年に導入されました。 今年四月に総務省が、生活困窮者自立支援制度について積極的な働き掛けが必要であるとして、厚生労働省に対策を取るよう勧告しました。報道によれば、厚労省は相談窓口となる全国の自治体に積極的に制度の利用を働き掛けて支援につなげることを求めていますが、総務省が都道府県など全国五十の自治体を対象に行った調査では、担当部署自ら情報を収集して税金を滞納している人などに接触していた自治体は七つにとどまっていました。担当の職員からは、「突然接触することで不信感を抱かれてしまう」とか、「どう接触していいか分からない」といった声が上がったということです。 また、法律や制度を知らないばかりに相談に来られない人も大勢いるといわれています。長引くコロナ禍や物価高騰により困窮している方が増加しつつあり、支援の充実は急務です。 以上を踏まえて質問は、一点目、生活困窮者自立支援法における四つの任意事業のうち、子どもの学習・生活支援事業については、県内ほとんどの市で実施されています。一方で、努力義務化された就労準備支援事業や家計改善支援事業については、実施していない市も多いようです。 現在、厚労省が制度の改正に向けた検討の中で必須事業化の動きもあるようですが、早期に全ての市で実施できるように県として支援をすべきと考えますが、御見解を伺います。 二点目、自治体の現場では、生活困窮者の実態把握や接し方に悩んでいるケースも多いようです。先進事例の共有や相談員・支援員の人材育成に力を入れるべきと考えますが、御見解を伺います。 次に、防災意識を高めていただくための視点(伝承・正常性バイアス・フェーズフリー)について、危機管理防災部長にお伺いいたします。 先日、ある研修会で、東日本大震災の津波の伝承活動を続ける大船渡津波伝承館の齊藤賢治館長のお話を伺いました。齊藤館長は、東日本大震災当時は製菓会社の専務取締役でした。子供の頃から津波の怖さを親から聞かされていて、近々地震や津波があると思っていたとのことでした。 そして、地震が来たら、また津波が来たら、このように行動しようと心構えや想定をしていたとのことです。社内の朝礼やメールで、職場放棄をしてでも逃げろと呼び掛けをしていました。実際、三月十一日当日も、社内で従業員に津波が来るから早く逃げろと繰り返し呼び掛けをして、それで大勢の命が救われました。 「数十年すると、津波の『つ』の言葉すら発せられなくなる。これが自然なのだろうと思っている。そして、同じように犠牲者が出てくると思う」と、大津波の悲劇、惨劇の元凶となる風化に警鐘を鳴らし、伝承活動に取り組んでいるとのことでした。 そして、「津波で亡くなった方の約四割が避難行動をとらなかった方だというデータがある」として、「私だけは大丈夫」という正常性バイアスの恐怖を強くおっしゃっていました。 「人はなぜ逃げ遅れるのか-災害の心理学」という本には、「私たちの心は、予期せぬ異常や危険に対して、ある程度鈍感にできている。日常生活で何か変わったことが起きるたびに、一々びくびく反応していたら、心が疲弊してしまうからだ。ある限界までの異常は、正常の範囲内として処理する心のメカニズムが『正常性バイアス』なのである。しかし、私たちの心を守るための機能が非常事態の際、『まだ大丈夫』と危険を過小評価し、避難するタイミングを奪ってしまうことがある」というようなことが書かれています。 また、最近はフェーズフリーという考え方が、これからの防災に対する一つの答えとして注目を集めています。これは日常時と非常時の二つのフェーズを分けず、連続的に捉えるという考え方です。 以上を踏まえて質問は、一点目、埼玉県は災害が少ないといわれますが、水害は多発しています。令和元年東日本台風による大きな被害は記憶に新しいところです。こうした埼玉県の実情に特化した、身近な水害の怖さを伝える伝承事業が必要です。カスリーン台風のパネル展などを行っていることは承知をしていますが、例えば、動画などで被災者の方に台風の怖さを語っていただくことも、水害の怖さを伝える効果的な方法だと考えます。今後、どのような伝承事業を行っていくのでしょうか。 二点目、正常性バイアスは先ほど申し上げたとおり、人の心にもともと備わっている働きです。まずは、こうした正常性バイアスという働きがあることを御理解いただくことが重要です。そして、正常性バイアスを克服するには状況判断、つまり怖さを知ることだという指摘や、疑うこと、また、「自分に対しては正常性バイアスがかかっても他人、自分にとって大切な人に対しては心配性バイアスがかかるという性質を利用した仕組み、仕掛けを講じて課題解決を図るべき」などと専門家が指摘をしています。 今年三月に修正された埼玉県地域防災計画に新たに記された「避難行動の妨げとなる正常性バイアス等の理解の促進」の具体化はこれからだと伺っておりますが、具体化していく際には、理解の促進とともに、克服策も盛り込んでいくべきと考えますが、御見解を伺います。 三点目、徳島県鳴門市では、学校でのフェーズフリー教育によって、平常時の防災意識を底上げする取組を行い、注目されています。具体的には、市内全ての幼稚園、小・中学校で研修を行い、ガイドブックを作成して活用するなどしています。埼玉県もこうした取組を参考にして、児童生徒はもちろん、大人にもフェーズフリーという考え方を活用した防災意識の向上に取り組むべきと考えますが、御見解を伺います。 次に、カスタマーハラスメント(悪質クレーム)対策の推進についてお伺いいたします。 私は、二〇二〇年十二月議会の一般質問で、悪質クレーム対策について質問をいたしました。その際、流通業やサービス業などで働く方を中心に組織される労働組合UAゼンセンが二〇一七年に行った悪質クレーム対策アンケート調査で、「業務中に来店客からの迷惑行為に遭遇したことがありますか」という問いに対して、七〇パーセントの方が「ある」と回答しており、その結果、九割の方が「ストレスを感じた」と回答しているとして、啓発活動や消費者教育の推進、実態調査、悪質クレーム対策のよりどころとなる基準の策定などを求めました。そして、当時の加藤産業労働部長から、「厚生労働省が作成予定のマニュアルについて、県のホームページやセミナーにより、県内事業者に対する周知を徹底していく」などの答弁がありました。 最近では、鉄道や航空、トラックなど交通・運輸関連の労働組合で作る全日本交通運輸産業労働組合協議会も、カスタマーハラスメントに当たる迷惑行為を受けたことがあるかを組合員に聞くアンケート調査を実施して、昨年末に公表しました。その結果、回答者の四七パーセントが「ある」と答え、交運労協はカスハラで人材が心身ともに傷付けられていると危機感を募らせているとのことです。 また、全日本自治団体労働組合による昨年の調査でも、自治体職員の四六パーセントが住民からの迷惑行為や悪質クレームといったカスタマーハラスメントを受けていると回答しています。 六月十四日の読売新聞には、「『カスハラ』自治体でも…居座り『税金下げろ』一年継続、『殺してやる』罵声に対応二百九十五時間」という記事がありました。 カスタマーハラスメントの問題は、幅広い業種で働く労働者にとって切実な課題です。厚生労働省は、ようやく今年二月に「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」を作成しました。 以上を踏まえて質問は、一点目、前回の質問以降のカスタマーハラスメントについての実態調査の結果はどのようなものだったのでしょうか。また、実態調査を踏まえてどのような対策を事業者、労働者に行ってきたのでしょうか。産業労働部長に伺います。 二点目、大野知事は、「消費者自身がカスタマーハラスメントというものを理解し、社会でカスタマーハラスメントをなくしていこうという機運を醸成することが非常に重要であると考えている」とおっしゃっていたとお聞きをしていますが、今後、消費者への理解促進、そして、社会全体の機運の醸成にどのように取り組んでいくのでしょうか。県民生活部長に伺います。 三点目、厚労省が作成した「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」をどのように周知、活用していくのでしょうか。産業労働部長に伺います。 次に、インクルーシブ公園の今後について、都市整備部長にお伺いいたします。 私は、二〇一九年に公園の魅力づくりや活性化について一般質問をさせていただきました。地元の所沢航空記念公園では、地域のボランティア団体の方が障害者の方も共に楽しめるユニバーサルスポーツのイベントを定期的に開催をしており、もっと障害者の方も一緒に楽しめる公園になってほしいと考えておりました。障害者団体の方からは、バリアフリー公園を整備してほしいとの要望もいただいておりました。 障害がある子供もない子供も一緒に楽しく遊ぶことができる公園のことをインクルーシブ公園といいますが、先日、蓮田市長になられた当時の山口京子県議もインクルーシブ公園の整備について質問されていました。 インクルーシブ公園として有名な東京都立砧公園を見学させていただきましたが、インクルーシブ遊具の設置されている「みんなのひろば」は本当に大勢の家族連れでにぎわっていました。県営公園では、三月に初めて秩父ミューズパークに、車椅子でも利用できる緩い勾配のインクルーシブ遊具の滑り台が整備されました。今年度中に熊谷スポーツ文化公園にも整備され、今後、ほかの公園でもインクルーシブ遊具の導入について検討を進めていくとのことで、こうした動きをうれしく思います。 以上を踏まえて質問は、一点目、今後の整備方針、スケジュールについて具体的にお示しください。また、整備の更新時期に合わせて導入をするとのことですが、近くに国立リハビリテーションセンターがあり、障害者の利用も多い所沢航空記念公園などについては、こうした事情も配慮するべきと考えますが、御見解を伺います。 二点目、二〇二〇年に一般社団法人TOKYO PLAYなどが行った砧公園での調査では、障害のある子は「パニックになったところを白い目で見られないか」、障害のない子は「障害を持つ子にけがを負わせはしないか」と及び腰の回答もあったとのことです。これらを踏まえ、障害の有無によらず相手の分からない不安が強く出ており、関わりを避ける心理が働くと分析されています。 インクルーシブ公園を利用しない障害者の声も別途聞いたところ、「迷惑を掛けそうなので、そもそも人の多い場所に行かない」や、「障害者理解に乏しく、心的負担が大きい」と最初から諦めているような回答もあったとのことです。 こうした調査からは、遊具を設置した後の利用方法について、利用する親子や教育・福祉の専門家、公園の近隣住民などと連携して、協議、改善、運営をしていく必要があると考えますが、御見解を伺います。 最後に、Park-PFI(公募設置管理制度)の導入について、都市整備部長にお伺いいたします。 先日、立憲民主党の研修会で公共施設マネジメントと行財政について、公認会計士で公共施設マネジメントに詳しい横田慎一先生の講演をお聞きしました。財政的に厳しい自治体で公共施設の統廃合に取り組んでいますが、なかなか進まない現状や、統廃合による行政サービスの低下、膨大な維持管理費について、公共施設の統廃合だけではない様々な対策について学びました。 その中の一つとして、公園の有効活用について、Park-PFI(公募設置管理制度)が最近広がりつつあるとのことでした。これは二〇一七年の都市公園法改正により導入された制度です。 Park-PFIとは、都市公園において飲食店や売店などの公園施設(公募対象公園施設)の設置又は管理を行う民間事業者を公募により選定する手続のことです。そして、事業者が設置する施設から得られる収益を公園整備に還元することを条件に、事業者には都市公園法の特例措置がインセンティブとして適用されます。 我が地元の所沢市では、二〇二〇年七月に県内初となるPark-PFIによる管理運営事業が東所沢公園で始まりました。おしゃれなカフェやきれいになった園路、チームラボによる光のアート空間など、魅力的な公園として多くの方に親しまれています。 以上を踏まえて質問は、県立公園では、現在のところPark-PFIによる管理運営は行われていません。財政的な負担を軽減しながら持続可能な魅力的な公園を生み出す良い手法です。今後、導入を検討すべきと考えますが、御見解を伺います。 以上で私の一般質問を終了させていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手起こる) ○中屋敷慎一議長 七十六番 水村篤弘議員の質問に対する答弁を求めます。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 水村篤弘議員の御質問に順次お答え申し上げます。 まず、知事の政治姿勢~物価高対策について~のお尋ねのうち、価格転嫁や値上げを県内企業が行えるような環境づくりについてでございます。 県の四半期経営動向調査では、価格転嫁ができている企業の割合は六月一日現在で八四・八パーセントとなってはいるものの、このうち、ほぼ全て転嫁できているとする企業の割合は一六・二パーセントにとどまっています。また、今後、賃金を上げると回答した企業の割合は二五・六パーセントと一年前と比較して一〇ポイント増加しているものの、賃金の上昇分については価格転嫁が困難で苦慮しているとの声も聞いています。 このため、まずは発注者の責務として県の公共工事では契約約款にスライド条項を規定しており、契約後に急激な価格変動があった場合には、請負金額を適切に変更できるよう対応しています。また、価格転嫁の円滑化のため、下請代金支払の適正化や価格交渉における受注側企業への不当なしわ寄せ防止などについて、経済団体を通じて県内受注者への周知をお願いしているところであります。 さらに、親事業者が下請事業者との望ましい取引慣行の遵守を宣言するパートナーシップ構築宣言や、事業者向けの相談窓口である「下請かけこみ寺」などについてメルマガやSNSなどを活用し、プッシュ型で周知を行っています。 今後は、円滑に価格転嫁を行っている好事例を収集し、情報発信を行うなど、価格転嫁を言い出しやすい環境づくりにも取り組んでまいります。 次に、県内企業で働く方の賃金が上昇するような取組についてでございます。 賃金の上昇を図っていくためには、県内企業が生産性を高めていくことが不可欠です。ビジネスの変革につながるデジタルトランスフォーメーションの推進や、世界的に要請されている脱炭素化の取組を進めることで、新たな価値やサービスを創造し、生産性を高めていくことが可能です。 このため、県では、国や商工団体等の支援機関や地域金融機関などで構成される埼玉県DX推進支援ネットワークを設置し、企業同士のマッチング支援やデジタル人材の育成等により、県内企業のDXを推進しています。また、昨年十月に設置した埼玉県事業再構築支援センターにおいては、国の事業再構築補助金のグリーン成長枠の獲得など、生産性の高い新たな分野への業態転換が図られるよう、企業の取組を支援しています。 一方で、新たな成長分野へ適切な労働移動が行われるよう、雇用の流動性を確保することも重要です。御質問にあった価格転嫁の円滑化をはじめ、今申し上げた企業の業態転換や雇用の流動性確保は、いずれも中長期的な視点から取り組む必要のある構造的な課題です。 そこで、この三つの課題について集中的に対応策を検討するため、産業界や労働界の提言を受けて、「強い経済の構築に向けた埼玉県戦略会議」に国と県による部会を設けました。部会では、専門家などのオブザーバーの御意見もいただきながら、具体的な取組についての検討作業を進めています。 引き続き、戦略会議を中心にオール埼玉で効果的な施策を推進し、適切な価格転嫁を進めるとともに、県内中小企業の稼ぐ力を高め、ひいては賃金の向上につながっていくよう全力で取り組んでまいります。 次に、農業関係者の戦略会議への参加についてでございます。 エネルギー・原材料価格の高騰は長期化が見込まれており、食料品等の価格も上昇しています。戦略会議においても、経済団体の議員から農業分野について意見が出るなど高い関心が寄せられています。四月二十七日に開催した戦略会議では、農林部から畜産経営への影響の緩和や生産活動における省エネ化などについて報告し、このことが今回の六月補正予算案にもつながったところであります。 戦略会議は、産官学金労のそれぞれの立場から現状認識や将来的な方向性について御意見をいただいており、具体的な施策については部会で検討しています。また、現場からの意見を踏まえた対応も重要であり、例えば、上里町は国産小麦への切替えに重要な種子小麦の主要な産地でありますが、今月二日に降ひょう被害を受けました。その際、金子農林水産大臣に対し、私より直接働き掛けを行い、小麦の生産拡大に影響が出ないよう求めたところ、他県から種子小麦を提供できるようにするなど、県内小麦生産への配慮をいただいたところです。 今後も、農業関係の具体的な施策については、戦略会議での方向性を踏まえ、必要に応じて部会において農業関係者の御意見も伺いながら検討を進めてまいります。 次に、今後の新型コロナウイルス感染症対策についてのお尋ねのうち、ワクチン・検査パッケージの効果検証なども含めて、埼玉県特有の課題を踏まえた独自の検証を行うべきについてであります。 次の感染拡大に備え、本県特有の課題や特色のある取組を検証し、必要な対策を取ることは重要です。県では、日頃から埼玉県新型感染症専門家会議において、県が対策を実施するに当たり委員から意見をいただくとともに、事後の報告を行うことにより、その検証を行っています。 例えば、県の特色ある取組として、他の都道府県に先駆けてCOVMATを創設して高齢者福祉施設のクラスターに介入しているなど、高齢者福祉施設に対する対策強化がございます。こうした取組は専門家会議においても報告し、委員の皆様からも毎回評価をしていただいております。さらには、これらの評価を生かして次の対策に迅速につなげていくという良いスパイラルを作るよう取り組んでいるところであります。 また、ワクチン・検査パッケージについては、制度の導入以降、会食経由の感染事例は絶対数でも、割合でも大きく減少しており、一定の効果があったものと考えます。一方、適用に当たっては、飲食店に利用人数の制限緩和しか認められず、参加した飲食店からは更なる規制緩和を望む声もありました。埼玉県の飲食業の事業者の協力により、ワクチン・検査パッケージの適用下、陽性者数が大きく減少した以上、規制緩和を望む声は当然と考えます。 このため、五月二十七日に黄川田内閣府副大臣に対し、ワクチン・検査パッケージの適用実績を踏まえ、今後このパッケージを適用する際には、営業時間や酒類の提供などの制限を大幅に緩和するよう、基本的対処方針の見直しを要望したところであります。 今後とも、感染動向に関わる様々な指標の分析や専門家の意見、国の動向などを踏まえ、本県の新型コロナウイルス感染症対策に取り組んでまいります。       〔山崎達也保健医療部長登壇〕 ◎山崎達也保健医療部長 水村篤弘議員の御質問二、今後の新型コロナウイルス感染症対策についてお答え申し上げます。 まず、県新型感染症専門家会議の議事録の公表についてでございます。 議員御指摘のとおり、議事録の公表については、会議開催後速やかに行うことが必要です。埼玉県新型感染症専門家会議は、現時点で議事録の公表を行った令和三年十一月二十二日の第四十九回会議以降、十回開催しております。特に本年一月以降は、オミクロン株による感染急拡大に伴い会議の開催回数が増えたことから、公表に係る事務作業が滞っておりました。 現在、昨年十二月二十日に開催した第五十回会議から本年五月二十四日に開催した第五十八回会議までの議事録について、各委員さんに公表に当たっての内容の確認を依頼しているところでございます。先週の六月十七日に開催した第五十九回会議についても速やかに議事録を作成し、今月中に全ての議事録について公表できるよう準備を進めてまいります。 次に、自宅待機短縮のために濃厚接触者の検査も無料とすべきについてでございます。 濃厚接触者には、感染症法第四十四条の三第二項の規定により、感染拡大防止の観点から自宅待機を求めることができるとされています。濃厚接触者の自宅待機の期間を、国はオミクロン株の特徴を踏まえ、原則七日間とすると定めています。この待機期間は、御本人や従業員に早期に復帰してほしい事業者の都合により、検査で短縮することが可能とされています。 国は、待機期間短縮のための検査費用は、御本人や事業継続のための検査を必要とする事業者の負担としています。県といたしましても同様に、検査は自費により実施すべきものと考えます。 なお、国において、待機期間短縮のための検査を行うに際しては、事業主は従業員に過度の負担を強いることがないよう配慮することとされており、県としては事業所への周知を図っているところです。 次に、御質問三、所沢市の保健所設置を後押しするためにについてお答え申し上げます。 所沢市が自ら保健所を設置することは、例えば、県で行っている難病などの様々な業務も一体的に実施できることとなり、保健サービスがワンストップで提供され、住民にメリットがあると考えます。国の指針でも人口二十万人以上の市が保健サービスを一元的に実施することが望ましいとしており、所沢市が保健所の設置に関し検証を行うことは、大変有意義なことでございます。こうしたことから、県としては所沢市の検証に際し、丁寧に相談や情報交換を行ってまいります。 一方、新たに保健所を設置する場合には、整備費等の財源確保も課題の一つとなっております。市が保健所設置を決めるための重要な要素でもあることから、財政支援の拡充について国に対し要望しており、今後も継続して要望してまいります。 これまで市が保健所を設置した場合、市からの要請に基づき、経験豊富な専門職の派遣や市職員の受入れなど、体制整備や人材育成の面から全面的な支援を行ってまいりました。所沢市と緊密に情報交換を行い、保健所の設置を検討される場合には、県としてしっかりと支援を行ってまいります。       〔金子直史福祉部長登壇〕 ◎金子直史福祉部長 水村篤弘議員の御質問四、子供たちの未来のためにの(一)子ども食堂の今後についてお答え申し上げます。 まず、コロナ禍が一段落している現在の子ども食堂の現状について、どのように実態を把握し、認識しているのかについてでございます。 昨年十月に、子ども食堂等の子供の居場所づくりを実施している団体に対しまして、活動状況に関するアンケートを実施したところ、二百六十団体から回答がありました。そのうち、九割に当たる二百三十四団体が弁当や食材の配布に切り替えたり、一時的に休止するなど活動内容を変更したことが分かりました。 現在の状況でございますが、埼玉県子ども食堂ネットワークに伺ったところ、会食形式で実施している団体はおよそ三割、弁当を配布している団体はおよそ七割と伺っております。長引くコロナ禍にはありますが、従来どおりの活動が徐々にできてきていると認識をしております。 次に、子ども食堂において、会食方式を再開するための指針を県で示せないかについてでございます。 会食方式の再開については、新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針を踏まえた事業者別ガイドラインである「外食業の事業継続のためのガイドライン」、これが参考になります。県では、活動団体からの相談に対しまして、このガイドラインなどを踏まえてアドバイスを行うとともに、実際に会食方式を再開した団体の事例を紹介してまいりました。 今後は、県が開催する子供の居場所づくり相談会などを通じまして相談を受け付けるなど、きめ細かく対応するとともに、県ホームページに会食方式を再開している団体の事例について掲載し、広く周知してまいります。 次に、活動団体のニーズをすくい上げた助成制度へ改善していただけないかについてでございます。 助成制度につきましては、国においてコロナ禍における原油価格・物価高騰等総合緊急対策の一環といたしまして、子ども食堂などの活動団体に対する助成制度があります。また、埼玉県社会福祉協議会でも、こども食堂・未来応援基金助成事業、また、浦和競馬こども基金助成事業により、子供の居場所等への助成をしております。 議員お話しの支給基準などの声につきましては、改めて活動団体にヒアリングを実施してまいります。その結果を踏まえて、必要に応じて活動団体のニーズに合ったより利用しやすい助成制度となるよう、国への要望や社会福祉協議会との協議などを行ってまいります。 次に、寄附していただいた食料品等を一時保管する施設などのマッチングを県として更に協力できないかについてでございます。 議員お話しのとおり、活動団体にとっては保管場所の確保が課題になっております。県では、平成三十年十二月に個人や企業、全ての市町村が加入する、こども応援ネットワーク埼玉を立ち上げ、子供の居場所づくりに取り組む方と、食材や場所の提供者とのマッチングを行ってまいりました。昨年度、ある団体から大型倉庫の提供の申出があり、埼玉フードパントリーネットワーク傘下の団体が保管・配布する拠点としてマッチングをしたところです。 令和四年三月には、県の経済六団体と「未来を担う子供たちへの支援に関する協定」を締結したところでございます。今後、各団体との間で食料品や保管場所等の支援について検討してまいります。また、公共施設や地域の空き家・空き店舗の活用については、市町村などから広く情報を収集し、こども応援ネットワーク埼玉を通じて情報の共有を図ってまいります。 今後も、様々な関係機関や関係団体と協力して、積極的に保管場所の確保を支援してまいります。 次に、(二)こども宅食についてでございます。 議員お話しのこども宅食は、コロナ禍において孤立しがちな困窮家庭を地域で支える効果的な取組だと考えます。本県では、困窮する子育て世帯に対して、子ども食堂などを行っている団体がこども宅食のように弁当を配達し、子供だけでなく家庭全体の困りごとを支援しているところもございます。今後はこうしたアウトリーチ型の支援を広めていくことも重要だと考えております。 アウトリーチ型の支援を行うためには、相談を受けるためのノウハウ、人材や活動資金の確保なども必要となります。このため県では、支援の実施を希望する団体などに対しまして、アウトリーチ型の支援ができるアドバイザーを派遣し、事業の立上げ全般について助言してまいります。また、活動資金の確保については、埼玉県社会福祉協議会が設置しているこども食堂・未来応援基金等の様々な助成制度の活用も周知してまいります。 こうしたことにより、アウトリーチ型の支援を広げることで、地域で孤立しがちな困窮家庭をしっかりと支援してまいります。 次に、御質問五、格差・貧困社会の是正のための生活困窮者自立支援制度についてのうち、全ての市で就労準備支援事業と家計改善支援事業を実施できるように、県として支援すべきではないかについてお答え申し上げます。 生活困窮者の自立においては、就職と家計の将来の見通しが立つことが重要であり、議員お話しの就労準備支援、家計改善支援の二つの事業が自立支援の両輪であると考えております。そこで県では、各市に対して国から示された支援マニュアルなどを活用しながら、これら二つの事業を実施できるよう助言等を行ってまいりました。さらに、事業実施に関する国の合同研修や個別コンサルティングへの参加を働き掛けてまいりました。その結果、就労準備支援事業を実施している市は、事業開始時の平成二十七年度から令和四年までで比べますと七市から十九市に増加し、家計改善支援事業につきましては八市から十九市に増加しております。 一方、市町村からは市の予算が確保できないといった声もあることから、県では国に対して国庫補助率の引上げと補助基準額の撤廃を要望しているところでございます。また、小規模な市においては利用者数が少なく、単独では事業化が難しいといった課題もございます。このため、そうした市に対しては、近隣市との合同での事業実施の検討を働き掛けてまいります。 次に、相談員・支援員の人材育成に力を入れるべきではないかについてでございます。 失業や病気、家族の介護などの複合的で困難な課題を抱える生活困窮者の相談に適切に対応し、自立を支援していくためには、議員お話しのとおり、高い専門性を有する人材の育成が不可欠であると考えます。このため、県では毎年度、相談支援の従事者を対象として生活課題のアセスメントや支援プランの作成、各種制度の活用などに関する専門的かつ実践的な研修を実施しているところでございます。 また、生活困窮者の中には、気持ちが落ち込み相談することをためらう方もおられるため、税務や住宅、教育などの関連部局と連携して生活困窮者の把握に努め、相談や支援の利用を促すことも重要です。このため、今年度から新たにアウトリーチ支援研修を実施して積極的に生活困窮者を把握し、支援することができるスキルの向上に取り組みます。 県といたしましては、先進的に取り組んでいる自治体の事例なども参考にしながら、研修内容の一層の充実に取り組んでまいります。          ---------------- △休憩の宣告 ○中屋敷慎一議長 暫時、休憩いたします。なお、再開は四時四分といたします。午後三時五十三分休憩          ----------------午後四時四分再開 出席議員    八十五名     二番    三番    六番    七番     八番    九番   十二番   十三番    十四番   十五番   十六番   十七番    十八番   十九番   二十番  二十一番   二十二番  二十三番  二十四番  二十六番   二十七番  二十八番  二十九番   三十番   三十一番  三十二番  三十三番  三十四番   三十五番  三十六番  三十七番  三十八番   三十九番   四十番  四十一番  四十二番   四十三番  四十四番  四十五番  四十六番   四十七番  四十八番  四十九番   五十番   五十一番  五十二番  五十三番  五十四番   五十五番  五十六番  五十七番  五十八番    六十番  六十一番  六十二番  六十三番   六十四番  六十五番  六十六番  六十七番   六十八番  六十九番   七十番  七十一番   七十二番  七十三番  七十四番  七十五番   七十六番  七十七番  七十八番  七十九番    八十番  八十一番  八十二番  八十三番   八十四番  八十五番  八十七番  八十八番   八十九番   九十番  九十一番  九十二番   九十三番 欠席議員    二名   五十九番  八十六番 地方自治法第百二十一条第一項の規定により説明のため出席した人   知事       副知事(砂川)  副知事(橋本)   副知事(高柳)  企画財政部長   総務部長   県民生活部長   危機管理防災部長 環境部長   福祉部長     保健医療部長   産業労働部長   農林部長     県土整備部長   都市整備部長   会計管理者    公営企業管理者   下水道事業管理者 教育長      警察本部長 △再開の宣告 ○中屋敷慎一議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。          ---------------- △質疑質問(続き) ○中屋敷慎一議長 質疑質問を続行いたします。       〔三須康男危機管理防災部長登壇〕 ◎三須康男危機管理防災部長 水村篤弘議員の御質問六、防災意識を高めていただくための視点(伝承・正常性バイアス・フェーズフリー)についてお答え申し上げます。 三点いただきましたが、まず、身近な水害の怖さを伝える伝承事業についてでございます。 県では、令和元年東日本台風の襲来以降、被災状況や治水対策をお知らせするパネル展の開催、防災マニュアルブック(風水害・土砂災害編)の新たな作成など、水害に焦点を絞った啓発事業を実施してまいりました。また、県内各市町村においても想定し得る最大規模の降雨に対応した洪水ハザードマップに見直しを行うなど、水害リスクをより身近なものとして認識していただくよう取り組んでおります。 水害の怖さも含め被災の実情を正しく伝承していくことは、県民の皆様の適切な避難行動を促す上で重要です。関係部局とも連携し、これまで実施してきた県政出前講座やパネル展などの内容を、動画の活用の検討も含め充実させ、過去の水害を教訓とし、日頃の備えの重要性について理解を深めていただけるよう努めてまいります。 次に、正常性バイアスの理解促進と克服策についてでございます。 議員が引用されましたように、非常事態の際にまだ大丈夫と危険を過小評価し、避難するタイミングを奪ってしまうことは防がなければなりません。県では、台風直撃など災害の危機が迫っている際に、県民の皆様が避難スイッチを逃さないよう、あらかじめとるべき行動を時間の流れによって整理するマイ・タイムラインの作成について、ホームページやまいたま防災アプリなどを通じ普及啓発に努めております。 市町村の中には、自治会、学校などに出向いて、このマイ・タイムラインを活用した講座を実施し、近くに流れる川の状況や避難のタイミングを再認識してもらうとともに、家庭ごとに話し合ってもらう取組を行っている例もございます。こうした地域の実情に応じた取組を市町村防災担当課長会議などで共有しながら、地域の創意工夫を促し、県民お一人お一人の正常性バイアス克服につながるよう努めてまいります。 最後に、フェーズフリーを生かした防災意識の向上についてでございます。 県では、地震への備えを「もしも」のことではなく、「いつも」の生活の中で当たり前のこととして取り組むイツモ防災事業を実施しております。例えば、備蓄する食料・水を定期的に古い物から順に食べる、食べた分を買い足し補充するというローリングストック法の啓発を行っています。この取組は、フェーズフリーの考え方に通ずる部分があると考えております。 議員から防災意識の向上に取り組んでいくための御提案をいただきました。まずは、徳島県鳴門市の事例も含め、フェーズフリーについての専門的知見を有する講師をお招きして、県や市町村の防災担当者を対象に勉強会を実施してまいります。       〔板東博之産業労働部長登壇〕 ◎板東博之産業労働部長 水村篤弘議員の御質問七、カスタマーハラスメント(悪質クレーム)対策の推進についてお答え申し上げます。 まず、一点目の、前回の質問以降のカスタマーハラスメントについての実態調査の結果はどのようなものだったのか、また、調査を踏まえてどのような対策を事業者・労働者に行ってきたのかについてお答え申し上げます。 県が毎年度実施している埼玉県就労実態調査において、令和二年度から新たにカスタマーハラスメントの項目を設け、企業の実情について調査をしております。令和二年度は、県内の中小企業四百四十七事業所から回答があり、過去一年間にハラスメントの相談や訴えがあったと回答した事業所は十八事業所、そのうちカスタマーハラスメントがあったと回答した事業所は二事業所でございました。令和三年度は五百二十九事業所から回答があり、ハラスメントの相談や訴えがあったと回答した事業所は二十六事業所、そのうち四事業所がカスタマーハラスメントがあったと回答しております。カスタマーハラスメントがあったと回答した事業所は、宿泊業、娯楽業、小売業のほか、研究所や建設業など多岐にわたっております。 この調査を踏まえ、事業所としてカスタマーハラスメントを未然に防ぐための対策をテーマとした動画を作製し、令和三年十二月から令和四年三月まで県内の経営者向けに配信をしております。また、令和三年十二月には、カスタマーハラスメントの傾向と対策をテーマとした労働者向けのセミナーを所沢市と共同で開催したところでございます。 次に、三点目、厚生労働省が作成した「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」をどのように周知、活用していくのかについてでございます。 カスタマーハラスメントは労働者に過度の精神的ストレスを与えるのみならず、通常の業務に支障を生じさせるケースもあり、経営者にとっても切実な問題であります。今年二月に厚生労働省が作成した「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」では、カスタマーハラスメントの実態から企業が取り組むべき対策まで具体的に説明しています。 県では今年度、このマニュアルについて悪質な顧客には組織として対応することや、社員を守るために企業が配慮すべき点など、経営者が取り組むべき事項を分かりやすくまとめた動画を作成いたします。この動画は、経済六団体や労働団体、飲食、宿泊、旅客等、接客を業務とする業界団体にも広く視聴を呼び掛けるほか、案内メールやSNSで繰り返し発信するなど周知を徹底してまいります。 今年九月から来年三月までこの動画を配信し、県内企業がマニュアルを活用してカスタマーハラスメントの対策に適切に取り組めるよう支援してまいります。       〔真砂和敏県民生活部長登壇〕 ◎真砂和敏県民生活部長 水村篤弘議員の御質問七、カスタマーハラスメント(悪質クレーム)対策の推進についてのお尋ねのうち、消費者への理解促進、社会全体の機運の醸成への取組についてお答え申し上げます。 商品やサービスの購入において不都合があった場合に、消費者が事業者に交換や取消しを求めることは、正当な権利として認められております。しかし、その要求が一般的な常識の範囲を超え、従業員の安全な就労環境を脅かすようなものであってはならないと考えます。そのためには、事業者と消費者が互いの立場を尊重し合う社会を構築し、合理的な意思決定ができる消費者、言い換えれば自立した消費者であることが求められております。 県では、事業者に意見を伝えるための三つのポイントとして、「ひと呼吸置くこと」「言いたいこと、要求したいことを明確に、そして理由を丁寧に伝えること」「事業者の説明も聞くこと」、この三つを呼び掛け、啓発を行っております。また、買物マナーを呼び掛ける際には、事業者と消費者の協力や、一人一人の気遣いが大切であることを呼び掛けております。令和四年度は、意見を伝える際の三つのポイントを呼び掛けるリーフレットの作成や、ラジオCMなどを活用した啓発活動を行ってまいります。 今後とも、カスタマーハラスメントに関する消費者の理解を促進し、カスタマーハラスメントをなくしていこうという機運の醸成を図ってまいります。       〔村田暁俊都市整備部長登壇〕 ◎村田暁俊都市整備部長 水村篤弘議員の御質問八、公園の魅力づくりについてお答え申し上げます。 まず、(一)インクルーシブ公園の今後についてでございます。 障害のある子もない子も遊ぶことができ、誰もが同じ場所で楽しむことができるというインクルーシブ公園の考え方は、SDGsの理念にも通じる視点であり、多くの県民に利用いただく県営公園に取り入れるべきものと考えております。このため県では、遊具の更新に合わせ、インクルーシブ遊具を令和三年度は秩父ミューズパークで試行的に設置し、令和四年度は熊谷スポーツ文化公園で進めているところでございます。 今後の整備方針、スケジュールですが、遊具の更新は現在、長寿命化計画に基づき計画的に実施しております。この計画を基本として、先に導入した二公園での利用状況や課題などを整理するとともに、県内のバランスや利用者のニーズに配慮しながらインクルーシブ遊具の導入を検討してまいります。 また、所沢航空記念公園など障害者の利用が多く見込まれる公園については、インクルーシブ遊具の導入や、今ある施設を生かしながら誰もが楽しめる空間づくりができないか、検討をしてまいります。 次に、遊具を設置した後の利用方法についてでございます。 御紹介のありました東京都の砧公園での調査結果を拝見し、インクルーシブ遊具の利用に際し、障害のある方も、また、障害のある方を見守る方にも、心理的な不安や負担があることを理解いたしました。単なるハードの整備にとどまらず、利用される方々のお気持ちに十分配慮した公園の運営が大切であると改めて認識したところでございます。先ほど申し上げました二つの公園での利用状況や課題などを整理する中で、利用される方々の声や専門家の方々の意見を広く伺い、インクルーシブ遊具が十分利用されるような方策を講じてまいります。 今後も、誰もが利用しやすい公園の運営に努めてまいります。 次に、(二)Park-PFI(公募設置管理制度)の導入についてでございます。 Park-PFIは、民間の資金やノウハウの活用により公園整備を行い、質の高いサービスを提供できる有効な方法でございます。Park-PFIを活用するには、参画する民間事業者にとって公園に整備する収益施設がビジネスとして成り立つかが重要な鍵となります。そこで県では、令和元年に都市整備部が所管する二十七の公園を対象に、民間事業者九社に対しサウンディング調査を行いました。調査結果では、幹線道路沿いなどアクセスが良く、集客力の高い公園は、民間事業者が参画できる可能性が高いとの意見をいただいております。 本県においても、積極的に民間の活力を生かし、県営公園の魅力向上につなげることが重要でございます。熊谷スポーツ文化公園では、Park-PFIとは異なるものの、設置管理許可により民間企業が主体となって宿泊施設やカフェを備えた「さくらオーバルフォート」が整備されました。これにより、ラグビーの試合がない日でも園内ににぎわいが生まれています。また、令和四年三月に取りまとめた大宮スーパー・ボールパーク構想では、大宮公園の再整備に当たり、Park-PFIを含め民間活力を引き出せる事業手法を活用することとしています。 引き続き、様々な官民連携の手法により質の高いサービスが提供できるよう、民間事業者との意見交換を重ねながら、県営公園の整備に取り組んでまいります。          ---------------- △次会日程報告 ○中屋敷慎一議長 以上で、本日の日程は終了いたしました。 明二十四日は、午前十時から本会議を開き、知事提出議案に対する質疑並びに県政に対する質問を続行いたします。          ---------------- △散会の宣告 ○中屋敷慎一議長 本日は、これにて散会いたします。午後四時十九分散会          ----------------...