群馬県議会 2021-06-10
令和 3年第2回定例会デジタルトランスフォーメーションに関する特別委員会-06月10日-01号
オープンデータの定義から簡単に申し上げると、
オープンデータは
行政機関などが保有するデータのうち、
個人情報、あるいは法人・個人の権利を害するおそれがあるものを除いて、国民の誰もが
インターネット等を通じて容易に利用できるよう、
CSV形式など
コンピューターで加工しやすい形式により無償で公開されたデータである。
本県では平成28年度から、県の
オープンデータサイトを立ち上げ、現在約100種類のデータを掲載している。主なものとしては国勢調査の結果や
統計資料、あるいは文化財や遺跡などの
位置情報等を公開している。
オープンデータの活用に関しては、まず
官民データ活用推進基本法の中で、「自ら保有する
官民データについて、個人、法人の
権利利益、国民の安全等が害されることのないように」という規定がある。また、
内閣官房IT総合戦略室が定めた
地方公共団体オープンデータ推進ガイドラインにおいても、「
個人情報を含むものや、
法人個人の権利・利益を害するおそれのあるもの、公開することが適当でないものを除く」とされている。
まず
個人情報かどうか、ということについては
個人情報保護条例の解釈の問題があるが、仮に
個人情報でないとしても、
個人法人の権利・利益を害するおそれのあるものについては載せないというのが、基本的な概念であるので、県としては少なくとも
オープンデータについては、そのように取り扱う。
◆
伊藤祐司 委員
群馬県庁DXアクションプランで、「
市町村オープンデータ取組率」を100%にするとある。市町村では
収入状況や
家族構成、医療の情報なども分かるわけであるが、それらの情報について匿名性を確保したとしても
オープンデータ化することは不可であり、
オープンデータ化されようとする場合には、県としてそれを抑止すると、そのような考えでよいか。
◎高橋
業務プロセス改革課長
個人情報保護についての基本的な考え方は共通であるが、
個人情報保護条例についてはそれぞれの自治体が所管する部分であるため、それぞれの団体による考え方の違いはあるかと思われる。ただ、先ほど申し上げたとおり、
個人情報に該当しないとしても個人の権利・利益を害するおそれがあるものについては
オープンデータには載せないというのが、現在の
ガイドラインに基づく考え方である。
県内35市町村の取扱いをくまなく見るのは難しい部分もあると思われるが、そのような疑義が市町村から寄せられた場合には、
ガイドラインに基づいてアドバイスをしたいと考える。
◆
伊藤祐司 委員
教育の
デジタルトランスフォーメーションについて伺いたい。
1人1台の
タブレットが小・中・高全校に配布されたが、現場はどんな状況になっているのか。昨日、ある先生に話を伺ったところ、使い方や活用の仕方が指示されないまま、全生徒分の
タブレットが配布され、現場は何の準備もないままに押しつけられた感じであったとのことである。
タブレットが何百台もあり、その設定のために、教師がてんやわんやであったそうである。
また、
タブレットを学校で使うのか、家に持ち帰らせるのかで市町村の対応も大きく分かれている。前橋市などは家に持ち帰らせる方針で、持ち帰った際に
タブレットを破損した場合は、弁償するという誓約書を書かされるということで、保護者からの反発も随分出ていると聞いている。
とにかく
タブレットを使うようにという指導がされていると言うが、そのような現場の状況についてどのように考えているか。
◎佐鳥
デジタル教育推進室長
端末の導入から始まり、Wi-
Fi環境の整備等について、
学校現場では混乱があったと認識している。本来であれば、令和7年度までに1人1台の端末を配布する前提で動いていたものが、
新型コロナの影響もあり、令和2年度中に整備ということになったので、混乱もやむを得ないところかと思っていたところである。
そんな中、令和2年度中に
モデル校を指定して先進校という形で
タブレットの活用を進め、そこで出てきた問題等について解決を図ったり、
総合教育センターで
タブレット活用に係る
動画配信等を行い、現場ではそれを見ながら
試行錯誤をしてきたところである。
今年度に入ってからも、ネットワークにつながらないであるとか、
子どもたちが端末にログインできないというようなことがあると聞いている。
端末の導入に当たっては、各
市町村教育委員会で研修を行ったとも伺っており、
県教育委員会としても各市町村を支援するために、各
教育事務所に1人ずつ
DX推進コーディネーターを配置したほか、
DX推進スタッフを
小中学校2~3校に1人配置しているところである。
県立学校については、
専門業者に依頼して
ヘルプデスクを設置し、電話やメールで教師からの問合せに対応する形を取っている。
◆
伊藤祐司 委員
授業では、まだ始まって2、3か月になるところであるが、学校ではどのように使われているのか。
◎佐鳥
デジタル教育推進室長
今年度、端末を活用するに当たり、
小中学校に対しては「はばたく群馬の
指導プランⅡ
ICT活用Version」を、
県立学校については「
ICT活用モデル-Gunma Model Basic」を示して活用しているところである。
今年度に入り、
小中学校や
高等学校を訪問させていただき、活用の状況なども聞き取らせていただいた。例えば、小学校低学年の算数の授業で、児童の回答を
タブレットで撮影し、それをすぐ
電子黒板に映して共有することで解き方や考え方を解説したり、高校では、今までは週番等が職員室の
連絡黒板まで行き、教室に戻って生徒に
連絡事項を伝達していたわけだが、それを担任が生徒の端末に配信して朝の
ショートホームルームで活用するなどしている。今まではプリントで配布していたものを「Google Classroom」というアプリケーションを活用し、
担当教員が資料をアプリに保存し、生徒がそこから取り出して活用するなど、各々工夫の上活用しているところである。
◆
伊藤祐司 委員
小学校の先生からは、
タブレットでドリル問題をやったり、動画を見たりというソフトに頼る使用が主流だと伺っている。
ICT教育については、批判的な意見も結構出てきているところである。例えば、ICTで学力が向上するという明確な
エビデンスはないというものである。
OECDが2015年に行った
学習到達度調査において、
学力テストと
デジタルスキルを評価する試験等の結果から、学校におけるテクノロジーの影響を評価したところ、
情報通信技術に多大な投資をしたところでは、読解力や数学、化学の成績において目立つ向上は見られなかったというものである。
その報告について、
OECD教育技能局長が、授業で
コンピューターの使用を見ると、
生徒たちの成績への影響は、善しあしが混在しており、しかも学校で頻繁に
コンピューターを使用する生徒の学習結果は、
社会的背景や
人口動態的要素を考慮したあとでも、かなり悪いものであったとし、読解力が低下してしまう理由は、深い思考を育む教師と子どもの対話が阻害される側面があるとも指摘している。
また、
教育学者の佐藤学氏は、使用されるソフトの質も問題であると指摘している。答えを入力すると即座に結果が表示されて次の問題に進むものが主流で、刺激と反応の学びは
短期記憶にしかならないというものである。
GIGAスクール構想は、共同で探求する学びに改革する必要があるとしている。先日の朝日新聞に「
エビデンスがない政策は、税金の無駄遣いとなるだけではく、時に害を与える。
コンピューターに向かう時間が増えることが、
子どもたちから深く思考する機会を奪うとしたら、その代償は計り知れない。私は子どもには物事を多面的に捉え、自分の意見をしっかり持った大人になってほしい。1人1台を進めるにしても、
エビデンスのないまま広げ、貴重な学びの場が実験台になるのは勘弁である」というような社説が記載されている。
このような声や批判点については、どのように受け止めているか。
◎佐鳥
デジタル教育推進室長
ICTの
教育的効果に疑問を呈している方、あるいは書籍等が出ているということは承知している。
授業において必ずしも
デジタルを使用することを強いているということではなく、あくまで端末というのは、
学習指導要領が求めている主体的・対話的で深い学び、それを実現するためのツールと考えており、このことは、各学校の方にも伝達しているところである。
ただ、これからSociety5.0の時代を
子どもたちが生きていくということを考えると、
デジタルあるいは情報の
活用能力というのは、学校でもある程度習得させる必要があるだろうと考えている。
例えば
ネット通販などで買物して
電子決済を済ませると、サイトの下の方に「この商品を購入された方は、次のような商品も購入されています」というような表示がされる。今までであれば、店頭で店員が商品を薦めてくるというようなことが、AIが
ビッグデータを活用しながら、商品を薦めてくる、そういう時代を
子どもたちは生きていくということになる。
したがって、こういう時代を
子どもたちが主体的に生きていくためには、
デジタル化の波は避けて通れず、また、学校でその
活用能力というものを身につけさせる必要があるだろうと考えているところである。
◆
伊藤祐司 委員
タブレットをツールとして使っていく社会の中で生きていくわけであるから、それに慣れていくのは大切なことだと思う。ただ、教育は人格の完成を目指して行われるもので、
タブレットを使いこなせる人材を作ることでは決してないと考える。小学校低学年から高校生までが同じ頻度で
タブレットを使用するというのはとても考えられないことである。
例えば、入学したばかりの1年生は、教師と1対1の関係というのが非常に強い。教室に入っていくとまず教師に声をかけていくという姿がよく見られる。3年生くらいになると、特に男子などは徒党を組んで遊び回るというような、人間としての
発達段階があり、それに寄り添いながら教師が個性を発揮して取り組んでいくのが、人格の完成を目指す教育であると考える。子どもの発達に沿って
タブレットを使用することを考えないと、弊害が生じると懸念される。
例えば、学びの基礎となる
読み書き、ワークで、1年生でもタッチペンを使用している。
あいうえおの学習でも
ワープロ機能を使用する場合があるとのことだが、それでよいのかと思う。大人でも、
ワープロを使い始めてから漢字が読めるが書けない、ということが非常に多くなった。昔は書けたはずであるのに、全然書けなくなっているということがある。
小さいうちから、
読み書きを見て、書いて覚えるということで定着させることなく、
ワープロ機能ばかりを使うことになると、子どもの発達を阻害することになるのではないかと、そういう点に対する配慮はまだ聞こえてきていないが、いかがか。
◎佐鳥
デジタル教育推進室長
子どもたちの年齢に応じた活用については、委員御指摘のとおり配慮すべきものだと考えている。
教育委員会としても、
発達段階に応じた、
子どもたちに、求めるスキルというものを「
活用スキル系統表」というような形で示し、それをウェブページへ掲載することで、各市町村に配布しているところである。
例えば、小学校1年生ぐらいでは、
タブレットの起動やタッチパネルの操作など、先ほど委員から御指摘のとおり、何か調べたい項目等があった場合には、必ずしも文字を入力するのではなくて、
音声入力を活用することを示したり、
キーボードについては小学校3年生ぐらいで
ローマ字を学習するので、
キーボードを活用して
ローマ字入力をやってみるなど、工夫しているところである。
年齢が上がっていくことによって、端末を活用する時間というのは、徐々に多くなると考えている。
◆
伊藤祐司 議員
学校での活用については、
クイズ番組ではないので、人間の思考と理解のメカニズムを考えなければならないと思う。正解を出すことではなく、導き出す過程こそが大事になっている。
また、頭で分かったつもりでも、繰り返し書いたり話したりして、学んでいく。間違ったりしながら、手が覚えたり、口が覚えたりするというのが、特に低学年の場合は多い。目と頭だけでなく、五感の全てを動員し、さらに、教師や友達と関わりながら学ぶのが、人間の豊かな学びだと思う。必要なのは、
タブレットとの対話ではないと思う。
この営みに、ICTがどう活用できるのか、
タブレットがどう活用できるのか、その答えを探し出すことが早急に求められている。それが
教育委員会の仕事ではないかと思う。ところが、現状はどう活用するべきかが示されないまま、とにかく使えと言われている。
子どもの発達に合わせた
タブレットの使用法を打ち立てていく、そういうことが必要だと思うが、いかが。
◎佐鳥
デジタル教育推進室長
委員御指摘のとおり、
子どもたちが
コミュニケーション能力を身につけることは
タブレットとの間でできることではなく、人と人との交流によってできるものということで、もちろん認識している。
あくまでも端末というのは道具であるので、その道具をどう活用していくかということを、再度、
教育委員会としても各学校へ通知していく必要があると思っている。
◆
伊藤祐司 委員
その方法についても、どう見つけ、どのように確立していくのか、しっかり考えていかなければならないと思う。これは1、2年でできるものではないと思われる。現場の
試行錯誤や多様な研究を見極めながらしっかり進めていく必要があるし、その際も研修などで上から押しつけるようなやり方はそぐわない。教師の自主性と創意を生かした取組を評価するという姿勢が大切であり、
タブレットをいかに子どもの人格完成のために活用していくのか、探索を進めていく必要があると思うが、その点についてはどう考えるか。
◎佐鳥
デジタル教育推進室長
小中学校、高校問わずであるが、我々も積極的に学校を訪問するほか、
小中学校の場合には
教育事務所から
指導主事等が訪問する中で、あくまで県の方で示している活用については1つの例であるので、学校から上がってきた
活用事例についても各学校へ伝えるようにしている。
学校現場での有効な
活用方法について、できる限り
情報収集を進め、周知できるような形を採っていきたいと考えている。
◆
伊藤祐司 委員
利用頻度についても見極める必要があると思う。有名な話であるが、スティーブ・ジョブズもビル・ゲイツも、自分の子どもにスマホを14歳になるまで持たせなかったであるとか、
タブレットの利用も厳しく時間制限していると聞いている。やはり健康面と発達面からそうしていたのだと思うが、小学1年生から全生徒に
タブレットを持たせたのであるから、特に低学年の場合は、その利用の制限もしっかり線引きしないとならないのではないかと思うが、考えはどうか。
◎佐鳥
デジタル教育推進室長
特に低学年の場合は
健康面等については十分留意していかなければならないと考えている。
先ほど申し上げた手引きの中でも、30分使用したら休憩を取るようになど、具体的な指示もしているところである。
◆
伊藤祐司 委員
低学年のうちは、有害な面の方が大きい部分があるので、そこはしっかりと線引きをするべきだと考える。また、
デジタル教科書についても同様で、文部科学大臣は紙の教科書と当面は併用すると言っていたが、やはり全学年同一のやり方というのはおかしいと思う。
例えば高校生で、教科によっては、紙の教科書ではなく全て
デジタル教科書という教科もあると思う。一方で、小学校低学年は将来的にも、全部
デジタル教科書にするというのは違うのではないか。小学校低学年のうちは紙の教科書でやっていくというような、線引きや仕分が必要であると考えるが、いかがか。
◎佐鳥
デジタル教育推進室長
委員御指摘のとおり、年齢に応じて対応するのはもちろんであるが、紙には紙の良さがあり、
デジタルには
デジタルの良さがあるだろうと考えている。
例えば理科の実験などを見せるような場合には、実験をその場でやるのは難しくても動画等を活用することで、その場で実験結果を確認することができる。また、英語ではネイティブの発音を、自宅に持ち帰った場合にも聞くことができるなど、便利な部分もあると考えている。
子どもたちの学びを広げるという意味では、
デジタル教科書の活用は効果的であろうと思われる。
一方で健康面への配慮であるとか、費用の問題等もあるので、全て
デジタルに移行するのは、課題もあると考えている。文部科学省でも、現在のところ2024年度から
デジタル教科書の導入について検討しているが、国も全面移行というようなことは言っておらず、従来の教科書と併用とも言っているので、本県でも、そのような形で対応を考えているところである。
今年度、各学校で国の
デジタル教科書の実証事業をやっているので、そこでの意見等も吸い上げながら、注視していきたいと考えている。
◆
伊藤祐司 委員
いずれにしても、
タブレットを1人1台というのは、現場に突然突きつけられた課題になっている。教育に必要なのは、
タブレットとの対話ではなく、人間同士の対話や触れ合いだと思う。そういう点をしっかり認識し、
ICT教育に取り組んでいただきたい。
◆
井下泰伸 委員
「日本最先端の
デジタル県」を目指して、産業界も含めて3年間集中的に取り組む工程表が示されたところである。新・総合計画を策定後、初年度の
特別委員会ということで、その輪郭も含めてお伺いしたいと思う。
従来の業務をトランスフォーメーションすることによって社会を変革し、その先に県民の幸福があるということである。このトランスフォーメーションを、事業や業界の中でどのような形で進めていくかであるが、現状では取組状況に濃淡があるように思われる。
県庁内のDX化に関しては、それぞれ皆さん取り組んでおり、各部の取組に温度差があるのが気になるところではあるが、3年の間には目標達成できるのではないかと思う。
県内の産業界を牽引する金融機関であるとか、大手の製造業に関しては、国際的な競争にさらされたり価格競争をやっている中で、否応なく生き残りをかけて取り組まざるを得ない課題であり、既にDXは推進されていると思われる。
取引先や関連企業に対して、その先の推進を牽引するような役割も同時に持っているのではないかと思うが、その現状と見通しについて伺いたい。
◎古仙
デジタルトランスフォーメーション課長
委員御指摘のとおり、新・総合計画に基づくものが、資料1の
ぐんまDX推進プロジェクトである。記載のとおり、新・総合計画の19の政策分野にわたり50程度の県のモデル事業を行う予定となっている。
これはあくまでも、県のDXを進めるだけではなく、モデル事業自体に民間を巻き込むような形で進めていくことも想定している。このモデル事業を展開しながら、民間企業に対して、DXのメリットについてもしっかりと示していきたいと考えている。
別紙の3ページ以降の部分で、DXとはどういうものか、イメージが分かるように作成したところである。また、7ページ部分は新・総合計画の
デジタルに関する部分を抜き出したイメージとなっている。なぜDXが必要かについては、人口減少・高齢化社会は避けて通れないものであり、このような中でも産業を活性化していくためには、DXによる省力化を行い、そこで生み出したマンパワーをほかに充てていく流れになると考えている。
さらに、ここも新・総合計画に関わる部分となるが、ただの
デジタルではなく群馬特有の土壌と融合したもの、いわゆる
デジタル発酵の考え方である。
そしてさらに、DX自体も、3年で終わるというものではなく、持続的に進めていくということが必要であると考えており、これらも含めて県民の幸福度向上につながっていくという考え方である。
これを踏まえて、資料1であるが、このような考え方で行った場合、委員御指摘のとおり、民間企業、特に中小○細企業の取組がポイントになると考えている。先ほど、大手企業は既に先行して取り組んでいるのではないかとの御指摘があった。何社か大手企業に話を伺ったところ、委員お見込みのとおり、既に先行して取り組んでいるという企業が県内にも多数あった。そういった所とも連携しながら、モデルを示していく形となるが、資料中、「金融機関等と連携した取組」という部分がある。ここが大きなポイントであると考えており、金融機関がそれぞれ取引先のDXを進めていくという観点で協力をしていただこうという流れの中で、中小○細企業のDXについて進めていこうという考え方である。
これについては、夏頃に県内の全金融機関に声をかけ、賛同いただける金融機関には全て入っていただくような形で御協力いただければと考えているところである。
既に、個別に声をかけさせていただいたところ、群馬銀行、東和銀行、しののめ信用金庫、三井住友銀行からは、県の新・総合計画ビジョンにも賛同いただき、取引先のDX化を進めるだけではなく、県の政策についても一緒に取り組むとの、前向きな回答を頂いている。
さらに、業界団体等との連携についても重要と考えている。商工団体や農業団体、建設業団体等があるが、これらの団体とも連携をしながら、中小○細企業のDX化を進めていきたいと考えている。このような取組を通じて、県全体で自立的なDXの流れを作っていくことが重要と考えている。
◆
井下泰伸 委員
群馬銀行の深井頭取は頭取になる前からフィンテックのような、DXに関連することをこれからやっていかなくてはならないという話をされていた。
金融業界はかなり危機感を持っているのだと思うし、現状を見るとこれから先、5年後10年後はどうなっているのか分からない。そういう意味では、県と連携してDXへ取り組む4行が新しい流れを作るような形になるのかと思うので、しっかり取り組んでいただきたい。
反面、心配なのが農林業や中小○細企業である。各種商工団体が支援するという話をしているが、結果的に取り残されたというような状況にならないかが心配である。
県が部局横断した50事業を選定し、民間と協力しながらDXを進めるとして、いくつか事業が例示されているが、人あるいは業界によって、DXによってできたらいいと思うものがそれぞれ違うと思われる。
県で「DXでこんなことができる」と、取りあえず出してきたような感じであるが、実際にいろいろな業務に当たっている人から見ると、もっとこんなものが欲しいであるとか、目指す将来の姿や、業界の姿としてこんな形でやりたいであるとか、思いはまちまちであると思われる。
そういうものを、コンセンサスとしてどのように取り込むことができ、またどのように取組を広げていくことができるのか、その点はどのように考えるか。
◎古仙
デジタルトランスフォーメーション課長
その点は非常に重要なポイントであると考えている。
金融機関と話をした際、実は当たり前のことであるが、言われてみないと分からないということで、DXはコロンブスの卵のような要素を持っているというような話があった。特に、中小○細企業の場合、例えば経理事務等が
デジタル技術によって省力化されると、業務が楽になった、ということで話が終わってしまう。DX化したことで生まれたマンパワーをどう活用するか、提案していくことが金融機関としてトランスフォーメーションを示唆する部分である。言われてみれば確かに、と思うが、言われないと分からないということが結構あるとのことであった。
そういった部分を、金融機関を通じても取り組みつつ、NETSUGENでのセミナー等を活用して、積極的に取り組んでいきたいと考えている。
◆
井下泰伸 委員
自分事としてDXに関心を持ってもらったり、NETSUGENでセミナーをするとのことであるが、セミナーに自主的に参加することはハードルが高いと思われる。
自分たちが目指していることや取り組んでいることがそこに関連しているかということは、いろいろな人たちがキーワードを出しながら、いかに形にしていくかというのが大きなテーマだと思われる。
DXに関する報道では、ドローンで農薬を散布したり、遭難した人の位置を熱感知で探し当てて捜索隊が救助したりというような活用が広がっているようである。あるいは、AIでできることとして、今は各地の保健所が
新型コロナの濃厚接触者を追うのに非常に労力を使っているが、これらもAIを活用することですぐに判明するなど、日々の業務に技術を活用することで答えが出るということを、いかに示してあげるかということが非常に大事であると思う。それができるかどうかは、このDXの推進にかかっていると思うので、取組をよろしくお願いしたい。
次に、産業集積や企業誘致等に関しても、DXをうまく活用することによって、本県が国際的に選ばれる地域となり得るかどうか、そのような取組があるか伺いたい。
◎古仙
デジタルトランスフォーメーション課長
資料1を御覧いただきたい。県のモデル事業の下に、「人材の育成」と「ICTクリエイティブ産業の創出」の項目がある。DXを持続的に進めていくための仕組みが必要という話をさせていただいたが、まさにこの部分がそれである。モデル事業を展開するだけではなく金融機関や業界と連携するほか、NETSUGENの活用だけでなく、将来の本県産業界を支える人材の育成についても積極的に取り組む予定である。
また、DXを持続的に進めていくための大きなポイントになるのがICTクリエイティブ産業の創出であり、そこもセットで考えていきたい。産業集積の企業誘致については、事業を所管する
産業経済部と協力して事業を推進してまいりたい。
◆
井下泰伸 委員
日本最先端クラスの
デジタル県ということで、産業の誘致・活性化も含めて取り組んでほしいと考えているが、まず県庁内から取り組まねばならないと思われる。県庁内の縦割りをしっかり調整していかねばならない。あるいは市町村の枠を取り払うとなると、それぞれの市の縦割りというものを全て排除して、1つにまとめなければならない。それをするのがDXの役割になるのではないかと思う。それができないと、日本最先端の
デジタル県だけでなく、
デジタル県庁ですらどうかという話になってくると思うので、しっかりと小手先で終わることなく頑張っていただきたい。
最後に、DXに関わる人たちの自己満足で終わっては困るので、やはり県民がDXの成果を十分理解し、運動としてしっかりと取り組んでいくことが必要であると考える。
デジタルトランスフォーメーション推進監の考えを伺いたい。
◎岡田
デジタルトランスフォーメーション推進監
運動として継続的に進めていかなければならないという委員の御指摘はもっともであると考える。県のDXの取組は大きな花火を上げるのではなく、小さな運動として着実に進めていくことが重要であると考えているので、いくつかモデル事業として掲げていくものもあるが、それにとどまらず、日本最先端の
デジタル県と再三申し上げているが、それはあくまでも目標であり、目的は県民一人一人が少しでも行政サービスが便利になったと実感していただくことだと考えている。その目的を見失わず、目的実現のために小さなことから少しずつでも始めていきたいという覚悟である。
◆
井下泰伸 委員
是非よろしくお願いしたい。
県民にとって初めてDXに接する機会でもあるし、過程と成果を見ることができるということで、この3年間は非常に重要であると考える。途中報告なども含めて、県民に理解していただき、知らしめることが必要であると思う。引き続きよろしくお願いしたい。
◆藥丸潔 委員
まず、防災情報伝達のDXについて、現状はどのようになっているのか伺いたい。
◎上原
危機管理課次長
災害時における防災情報の伝達については、平成29年度から運用している総合防災情報システムと、防災ポータルサイト、防災ツイッターなどを活用し、気象警報や市町村による避難勧告の発令、あるいは避難所の開設情報などについて、県民に発信している。
◆藥丸潔 委員
情報伝達については、県民が情報を取りに行くのではなく、緊急時には自動的に情報を伝えていく仕組みが必要ではないかと考えている。例えば、緊急地震速報など、望む望まないに関わらず、自動的に配信される。そういう情報を各人に送っていくという方向に大きく変わっていきつつあるのではないかと思っている。政府の支援も、現場の要請を待つのではなくプッシュ型支援が多くなってきていることから、防災情報についても自動的に情報を伝えていくような仕組みが必要ではないかと思うがいかがか。
◎上原
危機管理課次長
ホームページ等で県民に対して情報発信をしているところであるが、ホームページを知らないと見ないということになるので、委員御指摘のとおり、緊急速報メールのように、プッシュ型で送る取組も必要であると考えている。
◆藥丸潔 委員
必要性を認識していただいているとのことであるので、取組を進めていっていただきたい。情報はいざ得ようとして手に入れるというだけでなく、自動的に周知されるような仕組みにしていただきたい。 なぜこんなことを要望するかというと、一昨年の台風第19号の際に、群馬県でも多くの被害が発生した。特に浸水被害は、太田市や大泉町が県内で一番多いという状況であった。太田市ではハザードマップが各家庭に配布されていたが余り見られておらず、配られていることも知らないということが多かった。このため、自分の家が大丈夫なのか分からず、知り合いなどにハザードマップの該当箇所を写真で撮影し、LINEで送るというような対応をした。それを通じて、ハザードマップが配られても余り見られていないのだということを実感した次第である。
ハザードマップも
デジタル化されてホームページ上で見られるようになっており、
デジタル化には対応しているが、見られていないので、やはり防災情報に関しては、逃げ遅れる方を減らしていくということを考えると、意識の低さをどう補っていくかというところが課題であると考えている。正常性バイアスで「自分は大丈夫だろう」というような、その意識をどうやって乗り越えていくかが重要になっていて、それをDXで何とか補えないかと思っている。無茶ぶりをしているのかもしれないが、防災・減災に関するDX化を進めて人災の減少につなげていただきたいと思うが、
デジタルトランスフォーメーション推進監の考えはどうか。
◎岡田
デジタルトランスフォーメーション推進監
災害発生時は、常時より人的にも時間的にも余裕がない状況である一方、迅速な対応が求められる。本当に厳しい状況であると思うが、実際には手作業で対応する部分が多く、1つの情報を報告し、共有するにも多くの人手がかかってしまう、非効率な運用になっているのではないかと思われる。
一方で、本県では今年度オペレーションルームが県庁内に整備され、最先端の電子機材が設置されたことで、情報の電子化と活用がこれから進んでいくと期待されている。
今後、災害発生時に消防庁に対して被害状況を報告する際、これまではFAXで報告していたとのことであるが、情報を迅速に伝えるということと共有化の正確性に欠くということで、本県からメールでの報告ができるように河野大臣直下のチームに要望を上げ、対応いただいた。本県の防災DXに対する意識は担当課を中心に高まりつつあると考えている。今後も担当課の取組について
デジタル2課2室で協力し、支援していきたい。
◆藥丸潔 委員
防災のDXに関しては、DXの中でも一番力を入れて取り組んでいただきたい項目である。もちろん産業や教育のDXの必要性を否定するものではないが、命を守るためのDXを一番に考えてほしいと思っている。
地元の話であるが太田市の尾島地域は川に囲まれた地域となっている。ハザードマップでは赤く表示され、浸水したら逃げ場のない地域である。一昨年の台風第19号の際には、逃げなかったという方が結構いた。利根川と石田川に挟まれていて、逃げようと思った時には、川がかなり危ない状況になっており、逃げるに逃げられなかったという人もいれば、大丈夫だろうと考えて逃げなかったという人もいた。実際のところ、あと1メートルほどで水が堤防を越えるという非常に危険な状況であり、本来であれば、町民全員が避難してしかるべき状況であったが、避難していない人も多かった。以前一般質問でも取り上げたが、豪華なハザードマップを年に1回とか数年に1回とか配るのではなく、回覧板などを使っていざというときに避難所はここであるとか、こまめな情報発信をしていくことが必要ではないか。回覧板というのは非常にアナログであるので、これをDXでと考えているので、是非よろしくお願いしたい。
続いて、ぐーちょきパスポートの
デジタル化について、進捗状況を伺いたい。
◎上原
生活こども課長
ぐーちょきパスポートの
デジタル化にかかる検討に当たっては、昨年度3月9日にNETSUGENにおいてアイデアソンを実施した。子育て支援に関わる団体の方やIT関連事業者の方から様々な意見、提案を頂き、その状況については第1回定例会の厚生文化常任委員会において報告させていただいたところである。
ぐーちょきパスポートそのものは、社会全体で子育てを応援する機運を高めることを目的に始まった取組であり、10数年にわたりカード配布対象者が32万人となり、広く県民の方に愛され、認識されている。
デジタル化に当たっては、多くの県民から意見を聞き、それを適切に反映していきたいと考えている。このため、利用者、また事業にとって不可欠な協賛店からはしっかりと意見を聴取することが大事であると考えている。一般利用者の意識調査の一環として、子どもの有無や子育て経験の有無を問わず、4月から5月にかけて県職員に対しアンケート調査を行った。カードの利用状況や本人の属性、
デジタル化に対する意見などを聞き取ったところである。
アンケートの結果、カードのメインユーザーは親であり、主に買物や飲食に伴ってサービスを受ける際に利用されていることが分かった。また、
デジタル化された場合でも、カードが必要と考えている方が多いという結果となった。
デジタル化された場合、協賛店の検索機能が欲しいという意見があった。県のホームページからリンクされている「ぐんまスマイルライフ」という県の結婚・子育てポータルサイトに検索機能を備えているが、それが利用されていない状況も明らかとなったところである。
このため、今のぐーちょきパスポートの良い点や改善すべき点、そのあたりをしっかり捉えていきたいと考えている。これから一般利用者や協賛店に向けてアンケートを実施するが、利用者と協賛店双方にとって最適な
デジタル化はどういった形なのかというところをしっかりと見極めつつ、今後の方向性や付加機能などをまとめていきたいと考えている。
◆藥丸潔 委員
是非よろしくお願いしたい。
私もぐーちょきパスポートの利用者であるが、つい持って行くのを忘れてしまう。それで利用することを諦めるのであるが、
デジタル化されて携帯電話に表示できれば、忘れることもないのにと痛感する一人である。今は色々な会員証なども
デジタル化され、世の中の流れとしても
デジタル化が求められているところである。アンケートを行い、機能面や何がどこまでできるのかについて検討いただくことも重要であると思うので、引き続き検討を進めていただきたい。
最後に、県民に対してDXをどのように普及していくかについて伺いたい。
先ほど、井下委員からの質問にもあったが、最先端の
デジタル県であって、
デジタル県庁ではないので、県庁の中だけ
デジタル化するのでは足りないということは共通の認識であると思う。
先日、講演会に参加して話を伺ったところでは、現在GoogleがGoogle EarthやGoogle Mapを活用し、世界中に何台の車が存在し、そのうちの何台が動いていて何台が駐車されている状態にあるのか、AIを駆使して調査をしたところ、世界中には20億台の車があり、そのうちのおよそ6億台しか使用されておらず、7割の車は停車されたままの状況にあるとのことであった。Googleがそういう調査を始めたことで、トヨタも驚いて色々と動き出したというような話を伺い、DXでそこまでできるのかという衝撃を受けたところである。
DXはそういう面もあれば、教科書を
デジタル化するなど幅広い。言葉自体は政府も取り上げているので皆知っているものの、自分に何の関係があるのだろうかと感じている。特に地元の太田市では、生粋の職人が多いところであるので「俺たちには関係ない」というふうに割り切っている方もいるが、横文字を使われても分からないという方もいるので、DX自体にも幅があるし、県民に伝えようにも県民の理解度にも幅がある状況の中で、どのように県民に対しDXを推進するための旗振りや普及をさせていく考えなのか伺いたい。
◎岡田
デジタルトランスフォーメーション推進監
本県における行政のDXを進めていく上で3つのポイントがあると考えている。
まず第一に、職員一人一人が主体的に我がこととして考えて取り組むということである。2点目が何でも外部委託するのではなく、自分たちでできることは自分たちの手で行うということである。それによって、職員の間に
デジタル経験値が上がっていくと考えている。3点目は利用者視点に立って考えるということである。これは当然のことと思われるかもしれないがなかなかできていないことである。この原因としては、先ほど委員から御指摘のあったとおり、言葉が先行しているところがあるのではないかと考えている。DXという言葉自体は日常的な言葉になったが、一方でDXと聞いて思い描くイメージはそれぞれで異なっており、同じ言葉を使っていても同じことを想像して語っているかという点については大いに疑問が残るところである。
DXという言葉だけが印象に残ってしまうので、あくまでもDXは手段であり、手段が目的化しないようにすることを十分留意して取り組まなければならないと思っている。
先ほどお話のあったぐーちょきパスポートであるが、長年県民に愛されている事業であり32万人が利用している、非常にインパクトのある事業だと思うが、これを変えるということは非常に大変であると考える。ただ、この先10年、20年と愛され続けるためにはやはり時代の要請に応じた変化に対応していく必要があると思われる。
その際も、
デジタル化が目的にならないよう、利用者の方々の意見に耳を傾けることが重要であると思う。また、関係者が膨大であるので、意見や要望に応え、実現するためには課題が無数に出てくる。その課題を全て解決してから始めるのでは何年かかるか分からないので、時代は移り変わることから完璧はあえて求めず、できることからまずやってみる、走りながら考えて修正していくことで、使いやすくなり普及につながっていく。それが結果的に県民に対しDXのメリットというものを実感していただくことになると考えている。
◆藥丸潔 委員
非常に期待の持てる答弁を頂いた。走りながら考えるということは、今まで行政ではできるようでできなかったところかと思う。最近になって、
新型コロナのワクチン接種もそうだが、とにかく走りながら考えていこうという感じで、トップの号令でそうなっていく面と、行政の皆さんも走りながら考えていくという動きが出てきた。これまでは全て固めて、誰に何と言われようとも答弁できるような形を作ってからスタートという形が多かったと思うので、推進監が就任されて、そうした新たな息吹、流れになりつつあるということに期待を持ちながらお話を伺っていたところである。
ぐーちょきパスポートもであるが、防災についても是非力を入れて取り組んでいただきたいと考えているので、引き続きよろしくお願いしたい。
◆小川晶 委員
DXについては今年度から体制も強化をしていただき、プランも作っていただいたので、あとは先ほどから推進監が答弁されているように、しっかりと1つずつ進めていただき、DXによって利益が生み出されるというその結果を県民に対して出していくことが大切だと思っている。なので、その辺を確認する意味で、質問させていただきたい。
まず、NETSUGENの利用について伺いたい。
私も頻繁にではないが、時間があればなるべく32階に足を運ぶようにしている。5月までは時間利用としていたが、6月からはNETSUGENの月額会員に登録させていただいた。行くと知っている人がいて楽しい話が聞けたり、あとはセミナーをやっているところに出くわすことも多く、かなり利用されている印象を受けるが、まだ実際に利用している人が少ないのではないかと思われる。また、県民への周知がまだまだ進んでいないようで、もったいないと感じている。
NETSUGENの利用状況がどのようになっているのか、また官民共創の場として、本来の力を発揮していくための取組について伺いたい。
◎古仙
デジタルトランスフォーメーション課長
まず、NETSUGENの月額会員になっていただき感謝申し上げる。
NETSUGENの利用状況については、過日の
総務企画常任委員会へ資料を提出させていただいた。本日は口頭で御説明申し上げる。
NETSUGENについては、4月末時点の資料を
総務企画常任委員会の方に提出しているが、これまでの施設利用者は608人になる。1月から4月の1日当たりの施設利用者としては、5人弱という形で推移している。
新型コロナの影響により、担当課としても歯がゆい思いをしているところである。もっと営業活動をしっかり行い、更に人を集めるイベント等も実施したいところであるが、
新型コロナの感染が続く状況の中で、積極的に取り組めないことに歯がゆい思いをしているところである。
ただしこのコロナ禍においてもできることはやっていこうということで、交流事業等については積極的に実施しており、4月末現在で44回となっている。約2日に1回の頻度でイベントを開催しているところである。
本来であれば対面でイベントを行い、その場にどうしても参加できない方はオンライン参加が理想と考えているが、現状は完全にオンラインというような状況がかなり多くなっており、盛り上がりを演出できない部分がある。現状では、できることをやっていこうと考えているところである。
月額法人会員と個人会員の現状であるが、
総務企画常任委員会には4月18日時点の数字を報告しており、月額法人会員は9法人、個人会員は8人となっている。直近の数字では、法人会員が10法人、個人会員が11人となっており、わずかながら増加しているところである。
コロナの影響がなければ、法人会員が60法人、個人会員が30人を目標値としているところであり、最大限の努力をしていきたいと考えている。
セミナーでの特筆すべき部分としては、先ほど
生活こども課長からも話のあった「アイデアソン」の部分も、NETSUGENの事業として行ったものである。また、NETSUGENピッチにおいては、県内の飲食業者と駐車場運営企業とが連携し、自販機を使ったドレッシングの販売といった独創的な事業も生まれているところである。
いくつか成果が出始めているところであるので、さらなる活用に向けた取組についても全力で進めてまいりたい。
◆小川晶 委員
オンラインセミナーには私も何度か参加させていただいた。楽しみにしていたセミナーが延期になってしまったというのもあったが、参加するとやはり素晴らしく、多くの人に見てもらいたいものが多い。現場に来られなくても、多くの方に知ってもらい、まずは見てもらうことが非常に大事かと思うので、知らない県民が多いのはもったいないと感じている。情報の発信についても、広く行き届くように取り組んでいただきたい。
また、月額利用会員というのは、月額法人会員と個人会員以外にも、まずは試しに利用してみるという「時間利用会員」という方々が、基本的には無料で登録している人数ということでよいか。
◎古仙
デジタルトランスフォーメーション課長
登録自体は無料であるが、時間利用の料金はいただいている会員の方である。731人が登録している。
◆小川晶 委員
登録をしておけば、セミナーの情報などもメールで送信されるので、利用するかどうかは別として、情報を得るという意味でも会員登録をしてはいかがかと、多くの企業に対して働きかけをしていただければと思う。
NETSUGENについては、今後の利用も是非注目させていただきたいと思う。議員も、NETSUGENを活用して何かできれば面白いのではないかと思う。本委員会でも、NETSUGENを利用した委員会の開催も検討していただけたらと思う。
続いて、
マイナンバーカードの推進について伺いたい。先ほどの答弁の中で、県民全体で25%ほどの取得という説明であったが、県職員の取得状況についてはどのようになっているか。また、カードを取得しても使う機会がないためにカードを取得する必要性が感じられないという県民もまだ多いと思うが、あと3年で100%の取得を目指す上で、どのように取り組んでいくのか伺いたい。
◎高橋
業務プロセス改革課長
県職員の取得状況は、令和3年3月時点で54.9%となっており、県全体と比較すると高い数字となっている。
マイナンバーカード取得については、国、県、市町村とも様々に取り組んでいるところであるが、なかなか取得が進んでいない状況である。その要因としては、
マイナンバーカードの申請あるいは交付時に、本人が役所に行かなければならず、非常に手間がかかるということが挙げられ、また委員御指摘のとおりカードを持つメリットが余り実感できないほか、活用場面が限られていることなどがある。また、マイナンバー制度全体に対するセキュリティへの不安なども影響していると思われる。
マイナンバーカードについては、市町村が主体となって動いていただく必要があるため、県としては前橋市のように県内でも先進的に取り組んでいる事例があるので、それらの事例を市町村に紹介するなどしているところである。また、セキュリティの関係についても、県の広報媒体等を通じてマイナンバー制度に対する正しい理解促進を図っているところである。
また、今年度の新たな取組として、4月までに
マイナンバーカードを申請した方についてはマイナポイントが取得できるので、県から市町村に出向き、実際にスマートフォンなどを利用して、住民の方のマイナポイント申請の支援を行うとともに、通りかかった方などに対しては、
マイナンバーカード取得の周知をするなどの事業も行っているところである。
◆小川晶 委員
マイナンバーカードについては、取得しても使い道がないと普及しないと感じているので、市町村のよい取組などがあれば共有していただきたいと思っている。事前に伺ったところでは、免許を返納した方に対して、身分証代わりに
マイナンバーカードの取得を推進していただいたりであるとか、コンビニでの交付ができる自治体もまだ少ないとのことであるので、可能とする自治体を増やしていただくとか、そういう所も市町村と連携して1つずつ進めていただきたいと思う。また、進捗状況については、今後も注目させていただきたい。
続いて、テレワークの関係で伺いたい。県庁のテレワークについては、去年も進めていただいているがなかなか数字として上がってこない部分がある。コロナ禍において、警戒度が4となり県民の皆さんに7割のテレワークをお願いしている中、県のテレワークが進んでいないのはまずいのではないかと思う。県のテレワークの推進状況と、これからの進め方について伺いたい。
◎高橋
業務プロセス改革課長
委員御指摘のとおり、
新型コロナの感染拡大を防ぐため、県独自の職場勤務
ガイドラインを設け、県職員についても在宅勤務を行うよう推奨してきたところである。あわせて、職員が使用するパソコンについて、デスクトップがメインであったが、6割をノートパソコンに入れ替えたほか、ウェブ会議システムを導入するなど取組を進めている。また、自宅から県庁のネットワークにつながるモバイルルーターについても300台導入するなどハード面の整備についても行ってきたところである。
しかしながら、実態としては一般質問で総務部長から答弁もさせていただいたとおり、在宅勤務等の実施率は7%程度という状況である。要因は様々であるが、この状況は何とかしなくてはならないと考えている。
このため、具体的な取組として、在宅勤務の制度と実施の際の手続、また職員の心構えの3点から見直しを行い、職員に対して通知を行ったところである。
制度については、これまで1日の実施単位だったが、会議の予定があったりスポットで行事があったりする職員は実施しにくい面があったため、6月1日からは半日単位で在宅勤務ができるよう改めた。また、手続の簡素化については、これまでメールで申請書を送らなければならないとしていたものを、職員が様々な手続に使用している「総務事務システム」に入力することによって申請できるようにしたところである。
何より大切なのが、在宅勤務に対する職場の理解が余り進んでいないというような職員の声も聞かれたため、所属長に対し、原則として最低週1回は在宅勤務することを目標にするよう、通知で強く打ち出したところである。
当然、健康福祉部を中心に、なかなか在宅勤務ができない所属もあるが、そういった所属ばかりではないので、県庁一丸となって在宅勤務の推進に取り組みたいと考えている。
◆小川晶 委員
6月からは一歩踏み込んだ取組をしていただいているということであるので、次の委員会ではその状況についても報告いただきたいと思う。
続いて、DX技術革新補助金について伺いたい。
産業経済部でもDXであるとか、Society5.0であるとか、新しい技術に対する補助金が今年度は増えているかと思う。これら補助金の状況、またどういった傾向があるかについて伺いたい。
◎高林
地域企業支援課長
ぐんまDX技術革新補助金は、この支援制度を活用いただき、県内中小企業の稼ぐ力の向上を図り、企業の競争力を向上することを目的としており、2つのタイプがある。1つは「
DX推進・地域課題解決タイプ」であり、
デジタル技術の活用又は地域課題の解決につながる新たな製品やサービスなどの開発を支援することを目的とするものである。上限500万円、補助率は2分の1である。もう1つは「市町村・県連携タイプ」で、地域特色を生かした新たな商品開発を市町村と協調して支援するものである。県と市町村合わせて80万円を上限に補助するものとなっている。
5月に募集を行ったところ、「
DX推進・地域課題解決タイプ」については申請が19件、交付申請額が約8,200万円となっている。5,000万円の予算枠を上回る申請となっており、高い関心がうかがえる。「市町村・県連携タイプ」については、24件、約900万円の申請となっている。「
DX推進・地域課題解決タイプ」は、申請のあった全ての案件が
デジタル技術の活用を前提とした開発テーマを掲げるものとなっている。昨年度までは「ぐんま新技術・新製品開発推進補助金」という、ものづくり企業向けの補助金があったが、その補助対象とならなかったソフトウエアの開発であるとか、クラウドサービスの開発、
デジタルデータを営業に活かすものといったテーマが見られたところである。
6月末に外部委員を入れた審査会を開催し、7月上旬には交付決定をしたいと考えているところである。この制度が、県内中小企業の
デジタル技術活用や
DX推進への意識付け、動機付けにつながるような支援となるよう期待しているところである。
◆小川晶 委員
補助金については事前の説明会をやっていると思うが、参加者数はどの程度だったか。
◎高林
地域企業支援課長
オンラインで説明会を実施したが、100者ほどに参加いただいた。
◆小川晶 委員
DXは、企業によりイメージが異なるかとも思うが、興味を持って何か取り組みたいと思っている企業は多いと思うので、是非多くの企業が携わることができるようなDXのプログラムを作っていただけるとありがたい。また、結果についても引き続き注目したいと思う。
最後に県有施設のWi-Fi整備について要望させていただきたい。本会議でも質問されていたが、令和7年までに整備を進めるとのことであるが、少しでも早く整備をしたいという施設もあると思われる。
施設全体でのWi-Fi整備ができないにしてもルーターを貸し出すであるとか、会議の際には使いやすいような工夫をしていただくことで県民サービスが向上する
デジタルの使い方をお願いしたい。
また
デジタルデバイドの関係であるが、情報格差を生まないことも大事であるし、先ほど伊藤委員からも発言があったが、
個人情報に関してやはり不安を抱えている人、あるいは
デジタルを使いたくないという人も中にはいると思われるので、県庁がDXを進めていく上でも、しっかりと
個人情報が守られるという部分と、
デジタル技術を使いたい人と使いたくない人に対しての選択肢の確保、また県民の皆さんにとって利益が生まれるDXだということが伝わるように、その部分についても方針として打ち出していただきたい。
△休憩
○
久保田順一郎 委員長
暫時休憩いたします。13時から再開いたします。
(午後0時1分休憩)
(午後0時58分再開)
△再開
○
久保田順一郎 委員長
委員会を再開いたします。
◆
相沢崇文 委員
資料から2点、質問をさせていただきたい。振り返ってみると、昨年の今頃は「DXとは何か」みたいなところが大きく騒がれていた。それが今、群馬県に定着をしてきた。これは、あくまでもDXは手段であり目的化しないという、岡田推進監のぶれることのない信念が実を結んだ結果だと思っている。
これからも積極的にDXを推進し、県民生活を豊かにしていくためには、DXはなくてはならない分野だと思っている。具体的には資料1の別紙、5~6ページにあるように、県民がDXを自分事として実感できるというのは、DXを推進していく上で非常に重要であると考えている。
東毛地域においては、県営東毛ワクチン接種センターの予約がLINEででき、大体2~3分以内に予約が取れることから好評とのことである。年配の方々が一生懸命操作して、予約を取っている。自分事になるとDXが進んでいくことを特に実感しているところである。
DXを推進していく、その象徴的なものが個別具体的に出てくる中で、これこそまさにDXを推進することによってできているのだということをPRし、県民の皆さんに分かっていただくということがこれから重要になってくるのだと思う。そこで、午前中の答弁で井下委員からお話があったように、県民運動のような形にしていくのも重要だと思うが、シンボルマークのようなものを作成し、例えば群馬県の
デジタル窓口であればその脇にロゴを表示するなど、象徴的なものを加えていくことで、DXを推進することによってこのようになっている、というような活動を展開していく必要性もあるのではないかと思うが、見解を伺いたい。
◎古仙
デジタルトランスフォーメーション課長
ロゴに関しては、確かにシンボルという意味で大変貴重な御意見かと思う。しかしながら、ロゴの作成等については、企画提案と選定等に関してマンパワーを要することになる。
DX推進プロジェクトについては、
業務プロセス改革課長から説明のあったとおり、
DXアクションプランとセットで推進していくというものである。これは3年間で成果を出すのは非常に困難な取組であると考えている。
第3回前期定例会で、
DX推進プロジェクトが策定され、その後の進捗を管理していくことにマンパワーを振り向けたいため、現時点でロゴの作成等は考えていない。
しかしながら、先ほど井下委員の質問にも答弁したところであるが、中小○細企業の方は、恐らく何がDXかの理解が進んでいないと思われる。SDGsにも似た面があると思っているが、気づけばできるが気づくまでが大変というところがある。このため、ホームページ等を通じて、これまで取り組んできた事例等もPRし、
DX推進プロジェクトを進めていく中でモデル事業を展開していくので、その中で出てきた成功事例等も積極的にPRしてまいりたい。
◆
相沢崇文 委員
DXを自分事として実感してもらうにはPRが重要であるので、是非、積極的なPRをお願いしたい。
次に資料3について質問したい。災害時の逃げ遅れゼロを目指して、YouTubeで河川監視カメラの動画配信を開始するとのことであり、大変意義深いことだと思っている。
まずは試験的に16か所でスタートするとのことだが、今後DXとどう連携して取り組んでいくのか伺いたい。
◎後藤
建設企画課長
本県では、ソフト対策とハード対策を一体的に進める中で、単に河川水位を数字で知らせるだけでなく、具体的に映像としてお知らせするため、平成29年度から随時静止画で配信していたところである。水防情報を出す市町村からの要望も踏まえ、昨年度から河川監視カメラのライブ配信の試行に取り組んできたところである。
ライブ配信については、近年頻発するゲリラ豪雨などにより、短時間で水位の上昇が見られる河川も多いことから、危機が迫っている状況を県民に伝えるとともに避難情報を出す市町村にも状況を確認していただけるという観点で検討を進めているところである。
試行的に整備している16基の動画配信用カメラについては、7月から動画配信できるよう、カメラ設置工事のほか、動画配信先となるYouTubeなどと調整を進めているところである。
今回の試行については、7月から10月末までの出水期、台風が本格的に発生する時期を対象として4か月程度の配信を予定している。その間、動画が適切に配信できるか、あるいは河川の水位上昇の状況などがきちんと把握できるのか、また県民にどの程度視聴されるかなどの検証を行う予定である。
◆
相沢崇文 委員
試行的に進めていくとのことであるが、是非いろいろと検証していただき、既に設置している静止画像に関しても、場所的にはよい場所ということで選定して設置しているわけであるので、コスト面などの様々な課題もあると思うが、現在静止画で配信している箇所についてもライブ動画を配信した方が有用性が高いかどうかなど、既存のものについても順次更新するなど、検討の余地があるのではないかと思うがいかがか。
◎後藤
建設企画課長
委員御指摘のとおり、動画の配信についてはいろいろな効果が期待できると感じている。現在静止画で配信しているカメラについては、水位雨量計関係の情報発信をするためのシステム改修を行うのに合わせ、カメラ等の施設整備を一新し、静止画という形での配信を始めたものであり、耐用年数に基づく更新期限があることから、故障発生頻度や利用状況なども踏まえ更新することになる。動画配信に切り替えるかどうかについては、今後のライブ配信の試行を踏まえ有用性やランニングコスト等も考慮し、検討してまいりたい。
◆
相沢崇文 委員
ライブ映像がいつ必要かというと、やはり7月から10月の出水期となると思う。最近の気候を見ると、一たび雨が降るとかなり危険な状況になる。イニシャルコストやランニングコストについては当然勘案していただかなければならないが、これまでの価値観ではなく今の価値観、これからの群馬県の気候なども是非考慮いただき、検討していただきたい。
◆
亀山貴史 委員
DX推進プロジェクトの推進体制について伺いたい。今年度の組織改編で、各部局に
DX推進係が設置されているが、それによってこれまでは
デジタルトランスフォーメーション課等に相談していた業務を、自部局内で進めていけるという点では、これからの3年という短い期間でDXを推進していく上でより効果的に取り組んでいけるのではと考えている。そこで、各部局に
DX推進係が設置されたことによる効果、役割について伺いたい。
◎古仙
デジタルトランスフォーメーション課長
資料1の別紙に沿って説明させていただきたい。シート14に推進体制について記載している。知事を本部長として、副知事、
DX推進監を副本部長とする
DX推進本部を4月7日に立ち上げた。この推進本部が、今年度の
DX推進の要となっているところである。
推進本部には各部の部長が参加しており、各部長の下、各部局の主管課に
DX推進係ができている。これにより、DX担当課と各部局との意思疎通が非常にスムーズになったところである。
DX推進プロジェクトの案をまとめるに当たっても、当課の担当者と各部局の担当者が何度もすり合わせを行い、意思疎通を図っている。
シート15には、PDCAを高速で回していこうと考えている部分であるが、これについても専門の係が各部局にあることが非常に大きなポイントになっているところである。
今後の作業についてはシート16にあるとおり、新・総合計画で掲げた19の政策分野ごとに、県のモデル事業を50程度作ることとしているが、部局単位で取り組むものもあれば部局横断で取り組む必要のあるものもあるので、それらについては
デジタルトランスフォーメーション課、業務プロセス改革課を中心に各部局と意思疎通を図り、しっかりとまとめていきたいと考えている。
シート18が実際の事業管理シートになる。モデル事業的な部分については、特に庁内においてもDとXをしっかりと意識した形で工程表を作成し、進捗管理を行っていくことを想定している。
シート19は大きなモデル事業以外の小さな取組もしっかり拾い上げていこうという意味で、モデル事業以外も事業管理していくというものである。
シート20は金融機関と連携した個別事業の自主的な取組についてピックアップするもの、シート21は業界団体と連携した事業をピックアップするものである。これらについてはしっかりとPRを行い、中小○細企業も含めてDXを推進していく体制を組みたいと思っている。
また、業界団体を通じての取組に関しても、各部局が各業界団体について精通しているので、
デジタルトランスフォーメーション課から直接働きかけるのではなく、各部局のDX係を通じて、部局ごとに顔の見える関係のところから業界団体の方に話をしていく形を考えている。
金融機関については、取引先には建設業者もいれば農業法人もいるという中で、部局横断的にDX課が一括して金融機関と調整し、各部局と連携する形とし、様々なパターンを組み合わせながらこの3年間でDXを浸透させ、自立的なDXの流れを作っていくところまで持っていきたいと考えている。
◆
亀山貴史 委員
とても期待のできる体制が整ったと感じた。
DXということで、業務プロセス改革課という部署名が付いているところだが、これからDXを進めるに当たり、業務改善ではなく改革ということで、新しいものを作り上げていくことも併せて期待しているので、是非積極的に進めていただきたい。
◆
金井康夫 副委員長
今回、4つの
特別委員会が設置された。設置を検討する際、行政改革についても議論しなければならないだろうと言うことで、本
特別委員会が設置されている。特にDXを推進する中で、県庁において例えばペーパーレスになるであるとか残業が減るであるとか、どれだけ経費削減ができるのかと考えるところである。
知事もいろいろと気を遣っている中で、国においては2025年の崖と言って、経済産業省ではレガシーシステムを刷新しなければ12兆円の損失が出るといったような数字を示している。
これらを踏まえ、今回DXを進めていく中で、群馬県としてどの程度行政改革ができるのか、先ほどの説明の中でも行財政改革大綱に掲げた項目も入れているというような説明もあったので、そちらについて伺いたい。
◎高橋
業務プロセス改革課長
群馬県庁DXアクションプランについては、昨年度策定した行財政改革大綱の実効性を高めるための実行計画であり、元の計画である行財政改革大綱の方には、委員御指摘のとおり行革に関すること、その結果としてどういった効果が出るか、そういったことも掲載している。
行財政改革大綱では、今までの県の計画では個々の取組における達成状況をKPIとして達成状況を測っていたところであるが、昨年度定めた新しい行財政改革大綱においては、個々の取組の指標だけでなくそれらを積み上げ、最終的な目標がどのくらい達成できたのかを測るKGI(キーゴールインジケーター)を設定し、個々の課程だけでなく最終目標がどの程度達成されたのかを数値化し、職員に対し目標を常に意識しながら業務に当たるという組織風土を醸成したいと考えている。
KGIの1つとしてICTの利活用における業務の効率化において、職員の作業時間、ウェブ会議やAI議事録作成支援システム、こういった機能を導入することにより、職員の作業時間を年間で4万時間削減することをKGIの1つとして設けている。職員の労力が削減された分の時間については、人間でなくてはできないような業務に振り向けていきたいと考えている。
DX関係では情報システムの最適化、クラウド化についても進めたいと考えている。現在の行政システムについては、庁内にサーバーを置くオンプレミスの調達形式が多いが、クラウドサービスを利用することで保守管理に要している工数をコスト削減しようというものである。今年度から、コンサルティングなどの知見も活用しながら業務を進めたいと考えている。県には100ほどの情報システムがあるが、他県の先行事例などを見ると、見直したシステムのうち2割から3割はクラウド化できるというような結果も出ている。そこを目標に、現在のシステムを全て棚卸しし、クラウド化の是非を検討した上で、コスト削減を図ってまいりたい。
◆
金井康夫 副委員長
金額的にどのくらいかは出しにくいと思うが、情報システムのクラウド化等に伴うコスト削減ができれば、全国5位以内という目標にもつながるというイメージでよいか。
◎高橋
業務プロセス改革課長
御指摘のとおりである。クラウド化については、近県では茨城県が取り組んでいるところであるが、全国的にも非常にまれな例であるので、かなり先駆けた事例になると思っている。
◆
金井康夫 副委員長
引き続き頑張っていただきたい。
冒頭の挨拶の中で、農業のDXについても取組をお願いしますというようなことをお話した。DXが進むと、農・工・商・観光・レジャー等、全てに関連するという気がしている。3月に本県が11年ぶりに米の特Aを取った。特Aを取るのは蚕糸園芸課の悲願であって、なかなか取れなかった。しっかりとしたデータを取って栽培を進めた結果取ることができたものである。
米については粘り気のアミラーゼがあって水分もあって、また肥料が多くてもよくない。台風のあとでも倒れていない稲が見られると思うが、これは窒素を余り与えていない。川場村の雪ほたかなどはそういう栽培をして金賞を取っている。これらのデータをデータベース化し、ディープラーニングさせることで特Aを取った、というのが現在の状況である。
知事もG-アナライズなど一生懸命やっているので、
デジタルトランスフォーメーション課の方で各担当課に横断的にデータベースを作り、群馬県独自のディープラーニングをさせて、全てのことに関して研究するというのは非常に夢があると思うので、その点について
デジタルトランスフォーメーション推進監から一言いただきたい。
◎岡田
デジタルトランスフォーメーション推進監
非常に刺激的でダイナミックな構想かと思う。県庁で仕事をさせていただくようになって常々思うのは、県庁内には本当に様々なデータがあり、宝の山だと感じているところである。縦割りとは言わないが、データを収集する目的がそれぞれの部局で異なるため、目的を果たしてしまうとそのデータは活用されずに保存だけされているケースが多く、非常にもったいないと感じている。
これらのデータを、所属や部局横断型で使用した場合のメリットや、そこからの気づき、
活用方法といったものを、先ほどモデル事業という話もあったが、そういった中に組み込んでいく形で、職員にもこういった形で活用できるということを実感していただく機会は作っていきたいと考えている。
◆
金井康夫 副委員長
よく県庁生協食堂に食事に行くが、入り口に食品ロスの数字が表示されている。天候によって選ぶメニューも異なり、食品ロスにも違いが出ると思われる。一例ではあるが、天候等により好まれるメニューのデータベースなどもあると思うので、それらを活用することで食品ロスにもつなげていただけるとありがたい。
○
久保田順一郎 委員長
以上で、質疑を終了いたします。
△閉会中継続審査(調査)特定事件の決定
○
久保田順一郎 委員長
次に、委員会が閉会中審査又は調査する案件については、お手元に配付してある案のとおりでよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
それでは、さよう決定いたします。
△その他
○
久保田順一郎 委員長
次に、その他ですが、今後必要に応じて委員会調査の実施や閉会中委員会を開催する場合がありますので、その場合の実施方法や内容、出席を要求する関係執行部職員については、正副委員長に一任願います。
そのほか、何かございますか。
(「なし」の声あり)
△散会
○
久保田順一郎 委員長
それでは、以上をもちまして本委員会で審議すべき案件は終了いたしました。
これにて散会いたします。
(午後1時28分散会)
委員会記録署名委員
デジタルトランスフォーメーションに関する
特別委員会
委員長 久保田 順一郎...