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  1. 茨城県議会 2009-10-14
    平成21年第3回定例会(第5号) 本文 開催日: 2009-10-14


    取得元: 茨城県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-09
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 平成21年10月14日(水曜日)午後1時1分開議           ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◯議長(葉梨衛君) これより,本日の会議を開きます。           ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 諸般の報告 2 ◯議長(葉梨衛君) 諸般の報告をいたします。  9月29日以降,10月9日正午までに受理いたしました請願は,お手元に配付の請願文書表,第2綴のとおりでありまして,所管常任委員会に付託いたしましたので,御報告いたします。  次に,人事委員会から,地方公務員法第8条,第14条,及び第26条の規定に基づき,職員の給与等に関する報告及び勧告の提出がありましたので,その写しをお手元に配付してあります。ご覧おき願います。           ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 日程第1 第94号議案=ないし=第122号議案,認定第1号,認定第2号及び報告第3号 3 ◯議長(葉梨衛君) これより,議事日程に入ります。  日程第1,第94号議案ないし第122号議案,認定第1号,認定第2号及び報告第3号を一括して議題といたします。           ──────────────────────────── 県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑 4 ◯議長(葉梨衛君) これより,県政一般に関する質問,並びに上程議案に対する質疑を許します。  荻津和良君。                  〔31番荻津和良君登壇,拍手〕 5 ◯31番(荻津和良君) 自由民主党の荻津和良でございます。  最初に,去る8月30日に行われました茨城県知事選挙におきまして全国最多の5選を果たされました橋本知事に,お祝いを申し上げたいと存じます。  知事におかれましては,今後4年間の茨城県のかじ取りを県民から託されたわけであります。みずからのマニフェストを確実に実行し,県民の期待にこたえるべく全力で難題に向き合っていくことを期待しております。
     今,県民は,県に対し,非常に厳しい目を持って注目しています。茨城県の4年後の姿というものを,あいまいな言葉ではなく,はっきりと,4年後にはこうなっているとか,それを具体的に数値化できるものはこの場で目標の数値を出してお答えいただきたい,そういった思いで質問してまいりますので,明快な御答弁をお願いいたします。  まずは,私がライフワークとしており,今まで5回の一般質問において折に触れ質問や提言をさせていただいた事柄であります,茨城空港を中心とした地域振興,やさしさのまち桜の郷の整備,そして茨城中央工業団地の整備,この3つについて取り上げます。これらを今後4年間でどうしていくのかを,知事が5期目最初となるこの時期,この機会に改めて伺いたいと思います。  第1点目の茨城空港を中心とした地域振興策について伺います。  何かと物議をかもしている茨城空港の開港まで,いよいよ残り約5カ月となってまいりました。  整備状況については,既に新滑走路や国の管理庁舎が完成したほか,ターミナルビルや駐車場,空港周辺のアクセス道路も含め,開港に向けて関連施設の整備が順調に進んでおります。  私は,茨城空港は地元の地域振興に大いに寄与する事業であるということで,ずっと支援をしてきた一人であります。これまでも本議会の一般質問において,茨城空港における航空会社の誘致方策のみならず,必要性を喚起するための利用促進策や,外国人旅客にも対応できる地域振興方策などについても具体的な提案をしてまいりました。  今後,開港に向け,県においては,新たな就航路線の誘致活動に引き続き努めることはもとより,就航表明のあった韓国路線の需要の呼び起こしにつながる交流拡大や外国人旅行者受け入れ体制づくりを促進し,周辺地域の活性化を図っていくことが緊急の課題であると考えます。  言うまでもないことですが,茨城空港の開港そのものは決してゴールではありません。県民の関心事は開港後の展望であります。  そこで,地域振興という視点で茨城空港を見た場合,茨城空港開港後,知事の4年の任期をかけて,空港を中心とした地域をどのように活性化させ,地域振興につなげていくのか,知事にお伺いいたします。  次に,桜の郷の将来像に向けた構想について伺います。  私の地元茨城町において整備が進められております,やさしさのまち桜の郷については,桜の郷内の住宅団地である桜の郷みなみ台の第1期から第3期までの分譲約125画地が完売し,その後も第4期,第5期を分譲中となっております。私も一般質問の機会をいただくたびに,毎回,私なりの提言をしてきたところであり,関係者の御努力を評価しているところでもあります。  安心,ふれあい,うるおいの3つの機能を基本コンセプトに,そこに住むすべての人が安心して暮らせるまちづくりを考えると,今後は,例えば高齢者や親子連れが歩いて買い物に行けるような商業施設なども誘致できればと考えます。そうすれば,ますます住みやすいまちになっていくのではないでしょうか。  そこで,この桜の郷を,知事の任期4年をかけてどのようなまちにしていくのか,そのためにどう取り組むのかについて,知事にお伺いします。桜の郷の4年後を県民がイメージしやすいように,できるだけ具体的な数値を挙げてお答えいただきたいと思います。  次に,茨城中央工業団地への企業誘致について伺います。  知事は,選挙マニフェストの中で,これまでの広域交通ネットワークの整備や企業誘致推進などの産業大県づくりから,これからは生活大県づくりにチャレンジしていくと明言されました。が,まさか,産業大県の旗を完全におろしてしまったわけではなかろうと思います。私は,やはり,地域振興や県の発展という意味では,これからも産業大県づくりを進めていかなければならないと考えます。  さて,私の地元茨城町にあります茨城中央工業団地は,現在3社が立地しているのみで,高速道路のインターチェンジを内側に抱えており,北関東自動車道とつながっているという点において,アクセスのよさが魅力であります。県内の工業団地の中でも非常に将来性の高い場所であると言えるかもしれません。  毎年行われている,東京から企業関係者を呼び,インフラ整備状況を実際に目で見ていただくバスツアーも,大変評判が高いと聞いております。  そこで,昨今の経済状況の中では先を読むのは大変難しいかもしれませんが,茨城中央工業団地の4年後の姿をどうしていこうとお考えなのか,知事にお伺いします。例えば,何社が立地し,何ヘクタール売れているような状況をつくるといったように,具体的に数値化できるものはぜひ数値を挙げてお答えいただきたいと思います。  今申し上げた3点についての御答弁を,知事の私に対するマニフェストと受けとめ,私はこれから知事の4年間を見守っていきたいと思っております。  次に,公共交通の確保対策について伺います。  多くの利用者に支えられ,長らく地域の重要な移動手段であった公共交通は,高度経済成長に伴うマイカーの普及や,個人の行動の多様化により利用者が年々減り続けております。また,それに伴う交通事業者の経営悪化から不採算路線がリストラされるなど,地域公共交通の確保も大変厳しくなってきております。  これに加え,平成14年の道路運送法の改正により,それまで認可制であったバス路線廃止が届け出制となりました。不採算路線からの撤退が簡単になったことで,本県の乗り合いバスについても路線の減少傾向が続いております。今年度も水戸から大貫経由鉾田駅線が廃止となるなど,依然として路線廃止に歯どめがかかっていません。  こうした中,民事再生法の適用を受け経営再建手続を進めてきた茨城交通が,このほど新体制を発足させ,新たなスタートを切りました。地域の路線維持に向けて前向きな方針を打ち出していることに,まずは安心しております。しかしながら,依然としてバス事業を取り巻く環境は厳しいこともあり,同社の今後の取り組みに注目していきたいと考えております。  このような状況において,公共交通の維持を交通事業者ばかりに任せるのではなく,行政を初めとした関係者が連携して取り組むことが大切であろうと考えます。また,公共交通を確保するためには,地域の方々が継続的に利用していただくことが最も重要なのではないでしょうか。  そこで,県としては,地域に必要とされる公共交通を確保するため今後どのように利用促進に取り組んでいくのか,企画部長にお伺いいたします。  次に,涸沼の魅力再生への取り組みについて伺います。  私も涸沼に愛着を感じている地元住民の一人であります。  御承知のように,涸沼は,潮の干満によって海水と淡水が混じり合う,いわゆる汽水湖であります。100種類を超す淡水魚や海水魚が生息し,また,ヤマトシジミの漁場としても有名で,涸沼のシジミは一つのブランドとして定着しております。  広浦から眺めた涸沼の景観は特にすばらしく,水面に浮かぶ秋の月は,水戸藩第9代藩主徳川斉昭公により水戸八景の広浦の秋月として選ばれたほど,昔から人々の心をとらえ,賞賛されてきました。現代では,湖畔でハゼ釣りをのんびり楽しむ人や,キャンプ,バーベキューなどを楽しむ人たちで賑わっています。また,その素朴な自然美は,多くの写真愛好家を魅了してやみません。  大洗や笠間などの観光地にも近く,茨城空港へも約12キロメートルの距離であることからも,今後,有効な観光資源となっていくのではないでしょうか。  さて,恵み豊かで美しい涸沼の創造を目指してというコンセプトのもとに,県では,平成17年度に第2期涸沼水質保全計画を策定しました。そして,生活排水対策,畜産対策などの汚濁負荷削減対策や,推進体制の整備,さらに調査研究の推進を行ってきました。今年度で計画期間は終了しますが,5年間の成果を詳しく分析しながら,水質悪化の原因を細かく追及し,今後の水質浄化対策に生かしていくべきであります。  そこで,第2期涸沼水質保全計画の達成状況をどう評価し,今後の施策にどう生かしていくのか,生活環境部長にお伺いします。  また,涸沼の魅力再生に当たっては,地域住民の理解と協力が必要不可欠であります。  平成13年にクリーンアップひぬまが結成されてから8年目を迎え,さまざまな広報啓発活動が展開されております。涸沼とともに生きる地域住民が涸沼に対して常に愛着を持ち,共通の目標を持ち続け,活動できるよう,県として協力し,支えていくべきと考えます。あわせて御所見をお願いします。  次に,涸沼の湖岸環境再生について伺います。  かつて涸沼の湖岸沿いには広大な浅場が存在しておりました。そこはヨシなどの植物が生い茂る豊かな植生帯が形成され,水質浄化機能やヒヌマイトトンボなどの生息場所として重要な湖岸環境の一つでありました。  しかし,近年の大規模干拓事業湖岸堤防整備事業によるコンクリート化により,そのほとんどが消失しています。そのため,自然環境への関心の高まりとともに,豊かな湖沼環境の再生が大変重要であると考えます。  県では,かつて豊富な植生帯が形成されていた涸沼湖岸の再生に向け,平成16年に涸沼植生帯等再生整備検討委員会を設置し,候補地の選定や整備計画等の検討を重ねてきております。現在は,茨城町宮前地区において,湖岸植生帯の再生のため,整備手法の検討,施工,モニタリングなどのモデル事業に取り組んでいると聞いております。  そこで,そうしたモデル事業の効果や今後の取り組み方針について,土木部長にお伺いします。  次に,障害者に対する支援について伺います。  まず,障害者用駐車スペースの確保についてであります。  昨今,民間の商業施設や公共施設などでは,建物に近く,乗り降りしやすい駐車スペースに,車いすのマークを表示するなどして,障害者用の駐車スペースを保有しているのを多く見かけます。しかし,残念ながら,健常者の利用などで,本当に必要な人が駐車できないといった問題もあるのが事実であります。  そこで,障害者や妊婦,高齢者等に利用証を交付して,利用するときは車のフロントガラスなどに提示していただくことで,障害者等の駐車スペースを確保しようとする制度があります。いわゆるパーキングパーミット制度と呼ばれているものです。  この制度は,現在,11県1市で実施されております。近県では,福島,群馬,栃木県,そして,本県の神栖市においても実施されていると聞いております。  平成20年にこの制度を導入した栃木県において障害者用駐車場を使用した方にアンケートを行ったところ,約6割の利用者が,障害者用駐車場にかなりとめやすくなった,あるいは,少しとめやすくなったと答えています。また,障害者用駐車場における健常者の不正使用については,変わらない,あるいは,少し減ったと感じた利用者が7割を超えるという結果でした。少なくともこの結果を見る限りは,一定の効果があったと言えるでしょう。  このパーキングパーミット制度は,利用者本人交付申請手続に関する負担などがあるとしても,障害者等の駐車場の利用しやすさ向上につながることは明白であります。  利用者証を提示することで,例えば内臓疾患などの,見た目では障害があるとわかりにくい方たちも気兼ねなく障害者用駐車場にとめることができ,車を利用する障害者等に安心感を与えることができると思います。また,利用者証を目にすることで健常者のモラルに訴え,やがては不正使用の抑制につながるのではないでしょうか。  以上の点から,私は,障害者用駐車スペース確保対策として,ぜひ本県としても実施すべきと考えます。  そこで,障害者用駐車スペースの確保についてどう取り組むのか,保健福祉部長にお伺いします。  次に,福祉施設で働く障害者の工賃是正について伺います。  福祉施設で働く障害者の平均工賃月額は,平成19年度の全国平均が1万2,600円。本県は9,335円と,全国ワースト5に入っております。伸び率としては年々少しずつ伸びてはいるものの,非常に残念な結果であります。  授産施設などの福祉施設で働いている障害者が,収入を得て,地域で自立した生活を送ることができるよう,本県では,障害者工賃倍増5カ年計画を平成20年に策定し,工賃の引き上げを目指しているところであります。  働ける障害者の方には働ける環境を整え,支援していくことが必要であります。障害者本人が自立し,社会に出ていきいきと働けることが,本人の喜びや生きがいであると同時に,障害者の家庭にとっての喜びでもあります。その上,働いた報酬を少しでも多く得ることができれば,本人にとっても大きな励みになることは間違いありません。  今は,多くの人が気軽にインターネットで商品を探したり買い物をするという時代になりました。他県では,福祉事業所でつくられている無添加の石鹸が口コミやインターネットで大評判となり,今ではドラッグストアなどで人気商品として売られているという例もございます。  例えばそういったヒット商品の開発を支援するとか,あるいはネットショップを開き,多くの人に見ていただき買っていただくというのも,一つのアイデアとして提案しておきます。  障害の程度も仕事の内容も福祉施設によってさまざまですから,工賃を倍増するのは並大抵のことではないと思います。県として知恵を絞り,民間の知恵もかりながら,工賃倍増を現実のものにしていってほしいと考えます。  そこで,福祉施設で働く障害者の工賃を是正し,倍増させるためにどのように取り組んでいくのか,保健福祉部長にお伺いをいたします。  次に,消費者と連携した農業の方策について伺います。  昨今の厳しい経済状況により,農産物の価格は抑えられる中,燃料や資材はどんどん高騰し,農業経営は年々苦しくなってきております。  農家経営の安定を図るには,省エネ・低コスト技術など栽培技術の面や,経営品目の見直しなどの面から改善を図ることはもちろん大事です。消費者のニーズに合った,消費者が求める品種,品質,規格,サイズ,味などの農産物をつくっていく必要があります。そして,消費者にも農業の置かれている現状を知っていただき,農産物づくりの実態や農産物価格に理解をいただくことが重要だと考えております。  私の地元でも,東京品川区の商店街のイベントに茨城町の物産を持って参加したり,反対に,去る9月上旬には品川区から大勢の消費者が見えて,茨城町でカンショやブドウの収穫を通した交流が行われたりと,地域ぐるみでの取り組みが始まっております。  また一方で,食の安全・安心への関心が高まり,安心して食べられる,生産者の顔の見える農産物が求められてきています。県内では,農産物直売所やスーパーなどの店舗の中へ産直農産物コーナーを設置するインショップなど,生産者が直接消費者へ農産物を届けられる施設が人気となり,その数をふやしています。さらに一歩進めて,消費者との信頼関係を築こうと,農産物の収穫祭などを開催する直売所も出てきました。  今後,本県農業の発展を図るには,このように消費者ニーズに対応した生産を図るとともに,消費者とのネットワークを深め,消費者にも農業を理解して応援してもらえるような方策を進めていくべきと考えます。そこで,農林水産部長の御所見をお伺いします。  次に,県道内原塩崎線について伺います。  私の地元茨城町は,来年3月開港予定の茨城空港へのアクセス道路として東関東自動車道水戸線の整備が進んでいるほか,茨城中央工業団地や,やさしさのまち桜の郷の事業などが展開されており,県内でも注目度の高い地域であります。  この地域のさらなる発展を図るためには,高速道路や国道などからのアクセス道路の機能向上が極めて重要であると考えております。中でも,県道内原塩崎線については,水戸市と茨城町の間を東西に走り,この地域にとっての利便性において必要不可欠な路線であります。また,地域医療の核でもある国立病院機構水戸医療センターや福祉施設のあるやさしさのまち桜の郷へのアクセス道路としても大変役立っている道路でもあります。  しかしながら,国道6号から西側,水戸市高田交差点側県道玉里水戸線までの区間については,現道の幅員が狭く,歩道もない状況にあることから,バイパスの整備が進められております。一部区間では完了しているものの,残り区間のバイパス整備が大変急務となっているところです。  また,国道6号から東側の茨城町長岡坂下地区においては,幅員が非常に狭い上に直角に連続して屈曲しており,大型車などのすれ違いが困難であることや,通学路にもかかわらず歩道がないことなど,早急な交通安全対策が求められている状況であります。  そこで,県道内原塩崎線の今後の整備見通しについて,土木部長にお伺いいたします。  次に,県立高校における理数教育の推進について伺います。  本県は,つくば市に科学技術の研究施設が多数立地しております。また,東海村にはJ-PARCを初めとする原子力研究施設が集まっていることから,こうした環境を生かした科学技術創造立県を目指しているところです。  この科学技術創造立県を実現するためには,まず何よりも,それを支える人材の育成が大事であると考えます。そうした人材の育成には,小学校,中学校時代に自然に興味を持たせることはもちろん,特に高校において理科や数学などの理数教育に重点を置いた教育の推進が必要です。  本県の高校における理数教育の現状を見てみますと,平成15年度から実施しているスーパーサイエンスハイスクール事業や,国際物理オリンピックなどへの出場などを通し,科学に対する興味・関心の向上に成果が上がっていると聞いております。  しかし,その一方で,本来,理数教育に重点を置く理数科が設置されている県立高校が,現在では私の母校の緑岡高校1校のみであり,何とも寂しい限りであります。  本県の科学技術を支える人材を育成するためには,従来実施してきた理数教育や緑岡高校の理数科における教育をさらに充実させることが大切であると思います。そして,ほかの高校にも理数教育を重点的に行う魅力ある学科を新たに設置するなど,現在まで培ってきた理数教育の成果を定着させる方策を講じていくことが肝要ではないかと考えます。  県においては,先般,第2次県立高等学校再編整備の基本計画が策定され,医療や科学技術を担う人材の育成に重点を置いた新しい理数科の設置が盛り込まれたところです。私も,医療や科学技術の分野で活躍できるような人材の育成は極めて重要であると考えております。  そこで,今後,県立高校においてどのように理数教育を推進していくのか,教育長にお伺いします。  次に,交通事故死者数の削減対策について伺います。  今年に入ってから9月末までの県内の交通事故発生件数は1万2,259件であります。昨年の同じ時期は1万3,318件,つまり,交通事故発生件数は1,000件以上も減少しています。にもかかわらず,これを交通事故による死亡者数に限って数字を見てみますと,昨年の143名に対し,ことしは152名と,逆に9名も増加をしているという実態があります。  このようなデータを見るまでもなく,日々の新聞記事などを見るにつけ,交通死亡事故の多さを実感しております。交通死亡事故を抑えていくためには,飲酒運転やスピード違反などの取り締まりの強化や,街頭での交通マナー指導シートベルト着用の徹底指導など,あらゆる面から対策を進めていかなければなりません。  今年の春ごろ,警察本部において,県内外の約800人を対象に行った交通マナーに関するアンケート調査の結果によりますと,県外からの転入者の半数が,茨城県民の交通マナーは他県に比べて悪いと感じております。交通マナーの悪さがそのまま死亡事故の多さにつながっていると言えるのかもしれません。  交通事故死亡者数の削減のためにはさまざまな方向から対策を行う必要がありますが,交通マナーはすべての基本であり,運転者のマナーだけではなく,歩行者や自転車のマナーも総合的に向上させていくことが必要と考えます。  そこで,本県の交通事故死亡者数削減対策について,警察本部長にお伺いいたします。  最後に,一言申し上げます。  明治維新の動乱を生き抜いた勝海舟は,晩年,「時に古今の差はなく,国に東西の別はない」と発言しております。江戸から明治へと時代が大きく変わり,一気に文明的な,よい社会に変わったと楽観的な意見を持つ人が多かった時代に,昔も今もそう変わらないのだと冷静に時代を見つめる目を持った人物でした。  今,日本は,政権交代という大きな変化の時を迎えております。どうか,橋本知事初め全職員が,時代の突風に進路を惑わされることなく,茨城県の目標に向かって,心を一つに邁進していただきますようお願い申し上げ,質問を終わります。  御清聴,まことにありがとうございました。(拍手) 6 ◯議長(葉梨衛君) 荻津和良君の一般質問,質疑に対する答弁を求めます。  橋本知事。                     〔橋本知事登壇〕 7 ◯橋本知事 荻津和良議員の御質問にお答えいたします。  まず,茨城空港を中心とした地域振興策についてでございます。  茨城空港は,地元のみならず,本県の地域振興を図る上で大変重要な発展基盤であり,県といたしましては,地元と一体となって地域活性化に取り組んでまいりたいと考えております。  地元におきましては,小美玉市に観光協会が新たに設置されましたほか,周辺7市町が連携して地域活性化に取り組む茨城空港周辺地域資源活用推進連絡会が設置されるなど,開港に向けて機運が高まってきているところであります。  県といたしましては,茨城空港利用促進等協議会を中心に企業や経済団体等との連携を一層に密にし,経済面での交流を促進しますほか,相手国におけるプロモーション活動の展開に努めますとともに,新たな特産品の開発や空港周辺の賑わいづくりなど,受け入れ体制づくりに積極的に取り組んでまいります。  また,観光地や温泉,ゴルフ場等への外国人観光客の周遊の促進,水族館や陶芸等の資源を生かした交流,科学技術を通じた交流など,幅広い分野で交流の拡大を図ってまいりたいと考えております。  さらに,県内には,鹿嶋市と韓国・西帰浦市との姉妹都市交流や,行方市と亞洲大学との観光行政に関するインターンシップ協定の締結などの取り組みが行われておりますので,こういったものも生かした地域振興も必要になってくるのではないかと考えております。  広域的な誘致促進でございますが,栃木県,群馬県と本県で設置した北関東三県広域観光推進協議会におきまして,日光や草津温泉,さらにはスキーなど,周辺県の観光資源も生かした広域観光ルートづくり,あるいは旅行商品の造成促進など,茨城空港を活用した観光の活性化について検討が進められているところであります。  こういった全県を挙げた取り組みや広域連携の取り組みを県として積極的に推進しますとともに,地域の主体的な取り組みを支援し,観光の振興や県内農産物の販路拡大,企業の誘致等につなげ,この地域が首都圏の新たな玄関口にふさわしい交流や情報発信の拠点となりますよう,地域の活性化を図ってまいります。  次に,桜の郷の将来像に向けた構想についてでございます。
     桜の郷の西側地区につきましては,水戸医療センターを初め,高齢者福祉施設や保育所等が集積しており,安心して住めるまちという評価などから,戸建て住宅地や県営住宅等に750人を超える方々が居住し,景観も美しい街並みが整ってまいりました。  一方,東側地区につきましては,近年の経済環境の悪化等により引き合いが急速に減少し,戸建て住宅地は分譲した52画地のうち7画地の販売にとどまっており,事業用地につきましても,本年7月に介護老人保健施設の立地が決定しましたが,全体としては依然厳しい状況が続いております。  このため,桜の郷のコンセプトであります水戸医療センターを核とした医療と福祉の安心のまちづくりであることを強くアピールしながら,現在分譲中の戸建て住宅地の早期完売を目指しますとともに,未造成の住宅用地につきましては,ハウスメーカーの需要に沿ってロットで分譲する手法なども取り入れて販売を進めてまいります。  また,事業用地につきましては,企業誘致関連部局との連携を図りますとともに,新たな立地企業紹介制度を活用するなどして,西側地区で唯一未分譲となっている土地に健康生きがいづくり施設の誘致を図りますとともに,既に桜の郷に居住されている方々からの要望が多い,商業施設や飲食店等の生活利便施設の誘致を積極的に進めてまいります。  現在,厳しい経済情勢のもとでは,先ほど申し上げました戸建て分譲地の完売ということ以外,将来の数値目標ははっきり言いにくい状況にございますが,今後とも,ゆとりの空間を備えた戸建て住宅地等に多くの方々が暮らし,人々の安心を支える医療・福祉施設や身近な商業施設などが建ち並ぶ,バランスがとれたまちづくりを目指し,桜の郷に住んでよかったと実感を持っていただけるよう,鋭意取り組んでまいります。  次に,茨城中央工業団地への企業誘致についてでございます。  御指摘のとおり,今回のマニフェストの中で生活大県づくりを挙げさせていただきましたが,その実現のためには,その裏づけとして経済的な豊かさと雇用の確保が必要であることは,選挙期間中も私が言い続けてきたところであります。このため,企業誘致の推進など,産業大県づくりに今後とも先頭に立って取り組んでまいります。  茨城中央工業団地につきましては,第1期地区は工業専用地域として,第2期地区は準工業地域として用途指定をしているところでございまして,製造業を初め,商業,サービス業などの幅広い業種が立地可能な土地となっております。  また,面積的にも,1ヘクタール未満の小区画から30ヘクタールを超える大区画まで,企業のさまざまなニーズに対応できる状況になっております。  また,今回,4社目として株式会社ポジックの立地が決まりましたが,同社は全国をカバーする物流センターを建設する予定であり,茨城町西インターを内包しているアクセスのよさが群を抜く工業団地でもございます。  今後さらに,北関東自動車道が平成23年度中ごろには関越自動車道に直結するなど,広域的な交通利便性が飛躍的に向上してまいります。  加えて,茨城港常陸那珂港区の整備の進展や茨城空港の開港などにより,工業団地としての魅力は一層高まってくるものと考えております。  ただ,一方で,相対的に地価が高いといった大きな問題がございます。こうした中で,今回の補正予算で,企業の用地取得費を一部補助する企業立地促進特別対策事業や,企業誘致のノウハウに秀でた専門家を雇用する戦略的企業誘致推進事業をスタートさせることとしております。  御質問のように,4年後の姿を具体の数値で示すことは昨今の景気動向から大変難しいところでございますが,新たにこれらの事業も活用することによってできるだけ多くの企業が誘致できますように,私も先頭に立って精いっぱい頑張ってまいりたいと存じます。 8 ◯議長(葉梨衛君) 次に,福田企画部長。                    〔福田企画部長登壇〕 9 ◯福田企画部長 公共交通の確保対策についてお答えいたします。  公共交通の確保につきましては,県といたしましても重要な課題として認識し,国と協調してバス路線維持のための支援などを行っておりますが,利用者の減少に歯どめがかからず,路線維持が困難となる地域も生じております。  このため,県では,路線廃止の申し出に際し,沿線市町村と交通事業者の協議の場を設け,存続の可能性や代替交通手段の確保などさまざまな検討を行い,地域への影響を最小限に抑えるよう努めているところでございます。  また,議員御指摘のとおり,公共交通を維持するためには地域の方々に継続的に利用していただくことが不可欠でありますことから,県内一斉ノーマイカーデーを初めとする地域公共交通の利用促進にも取り組んでいるところでございます。  今年度は新たに,県内事業所に呼びかけ,マイカー利用を控えるエコ通勤の促進に取り組んでまいりますとともに,県民の理解を深めるため,来年2月から3月にかけて,県内全市町村及び交通事業者と連携いたしまして,公共交通利用促進キャンペーンを実施することとしております。  キャンペーンにおきましては,統一日を設定し,県内全域でのノーマイカーデーを実施するほか,公共交通をみんなで考えるシンポジウムの開催や,駅からハイキングといったイベントの実施,さらには,県内高校の入学説明会時においてエコ通学を勧めるリーフレットや通学お試し乗車券を配布するといった取り組みを順次実施し,幅広い県民の皆様に公共交通の利用について働きかけてまいりたいと考えております。  県といたしましては,今後とも,市町村や交通事業者と連携をいたしまして,全県的な利用促進に取り組み,公共交通の維持確保に努めてまいりたいと存じます。 10 ◯議長(葉梨衛君) 次に,椎名生活環境部長。                   〔椎名生活環境部長登壇〕 11 ◯椎名生活環境部長 涸沼の魅力再生への取り組みについてお答えいたします。  涸沼の水質浄化につきましては,平成17年度に策定した第2期涸沼水質保全計画に基づき,各種対策を実施してきたところであります。  さらに平成20年度からは,森林湖沼環境税を活用して,下水道等への接続促進や高度処理型浄化槽の設置促進など,より一層の生活排水対策に取り組んでまいりました。  計画の達成状況でございますが,生活排水対策につきましては,下水道等の整備が計画を上回り,順調に進んでいるものの,畜産対策などではややおくれている状況にあります。  また,湖内の水質の状況でございますが,生活排水による影響が大きい燐につきましては改善されてきておりますが,COD及び窒素につきましては,ここ数年,ほぼ横ばいで推移しており,水質目標の達成は難しい状況にあります。  涸沼の水質が改善されない要因としましては,流域から流入する窒素や燐により湖内で植物プランクトンが増殖したり,潮の干満により下流に流失した汚濁が逆流してくるなど,複雑な汚濁メカニズムとなっていることなどが考えられます。  今後の対応でございますが,県環境審議会専門部会におきまして,汚濁原因を踏まえ,生活排水対策,家畜排せつ物の適正管理,環境にやさしい農業の推進など,水質浄化対策を効果的に進めるための方策を検証し,次期計画に反映してまいりたいと考えております。  また,クリーンアップひぬまネットワークでは,地元住民や事業者などが一体となって清掃や自然観察会など涸沼の環境を保全するための活動を行っておりますので,今後とも,関係者が密接に連携して涸沼の魅力再生や水質浄化を進められるよう,活動を支援してまいります。 12 ◯議長(葉梨衛君) 次に,須藤土木部長。                    〔須藤土木部長登壇〕 13 ◯須藤土木部長 涸沼の湖岸環境再生についてお答えいたします。  涸沼の豊かな湖岸植生帯を再生するため,県では,平成16年に学識経験者や地元関係者で構成する涸沼植生帯等再生整備検討委員会を設置し,最適な再生整備方法について調査検討を進めてまいりました。  また,この委員会の提言に基づき,平成19年度から茨城町宮前地区において植生帯の再生のモデル事業を実施しております。  この事業は,ヨシ原等の拡大を目的に,涸沼流入河川の堆積土砂で養浜し,砂州や静穏域を形成させるものであります。現在は,整備効果を確認するため,植生調査や生物調査等を実施しているところでございます。  これまでのところ,想定された砂州や静穏域が形成されたことにより,モデル地区内のヨシ原等が約3割拡大したほか,整備前には確認されていなかった絶滅危惧種であるヒヌマイトトンボの生息の確認が年々ふえているなど,ほぼ期待された効果が得られております。  県といたしましては,来年度まで調査を継続し,検討委員会においてこれまでの事業効果を検証した上で,さらに,植生帯再生のエリアを拡大し,自然環境の再生に努めてまいります。  県道内原塩崎線整備見通しについてお答えいたします。  内原塩崎線は,国道6号から水戸医療センターがある,やさしさのまち桜の郷へのアクセス機能を担うなど,地域の幹線道路として重要な役割を果たしている路線であります。  まず,国道6号の西側区間につきましては,現在,県道玉里水戸線までの約5.5キロメートル区間について整備を進めており,これまでに都市計画道路常井大戸線から茨城町前田地内の現道接続部までのバイパス区間約3.1キロメートルを供用しております。  残る県道玉里水戸線から都市計画道路常井大戸線までのバイパス区間約1.9キロメートルにつきましては,今年度,県道玉里水戸線との交差点付近を除き,用地取得が完了したことから,約1キロメートルの道路改良工事を施工しております。  さらに,国道6号の現道拡幅区間約500メートルにつきましても,今年度,用地取得が完了したところであります。  今後,これらの区間の工事を鋭意進め,早期に供用できるよう整備を推進してまいります。  次に,国道6号東側の長岡坂下地区の150メートル区間につきましては,屈曲部を解消し,安全で円滑な交通を確保するため,今年度は地元説明会を開催し,用地買収に向けた測量調査を進めるとともに,地権者の御理解を得て,早期に工事に着手できるよう努めてまいります。 14 ◯議長(葉梨衛君) 次に,山口保健福祉部長。                   〔山口保健福祉部長登壇〕 15 ◯山口保健福祉部長 次に,障害者に対する支援についてお答えいたします。  まず,障害者用駐車スペースの確保についてでございます。  本県では,茨城県ひとにやさしいまちづくり条例において,商業施設など多くの人が利用する公共的施設の整備基準として,駐車場には車いす使用者用駐車施設を設けることとしております。  平成16年度以降,新築や改築で届け出のあった約450の公共的施設のうち,ほぼ90%が基準に適合しており,着実に障害者用駐車スペースの確保が図られております。  また,一部の施設では,駐車場に警備員を配置したり,独自に遮断機のついた駐車スペースを設けるなど,障害者の社会参加への理解が進みつつあるものと考えております。  一方で,議員御指摘のとおり,健常者による不適切な利用があるのも事実でございます。  その対策として,11県1市で導入されているパーキングパーミット制度ですが,障害者のみならず,高齢者や妊産婦など駐車スペースを必要とする人に安心感を与え,利用しやすくするといった効果もあり,有効な手段の一つと認識しております。  しかしながら,利用できる人の範囲や利用証申請窓口の設定,施設管理者の理解など幾つかの課題もありますので,各県の状況を検証し,市町村,各施設管理者,関係団体等の意見も伺いながら,導入に向けて前向きに検討してまいります。  県としましては,こうした制度の検討を好機ととらえ,障害者への理解を深める県民意識の醸成に努めながら,障害のある人もない人も,ともに支え合い,快適に暮らせる地域社会づくりを進めてまいります。  次に,福祉施設で働く障害者の工賃是正についてでございます。  県では,平成20年3月に茨城県工賃倍増5カ年計画を策定し,障害者の工賃を引き上げるための各種事業を実施しております。  具体的には,共同即売会や福祉の店に対する助成といった従来からの補助事業に加え,コンサルタントを施設に派遣して原価分析や新商品開発などのアドバイスを行ったり,管理者を対象に企業的経営の手法を学ぶ研修会を開催してまいりました。  この成果として,施設職員の意識改革が進み,例えば菓子専門店からの技術指導による付加価値の高い商品づくりへの転換や,売り上げ目標を設定した販路開拓などの前向きな取り組みが浸透してまいりました。昨今の経済情勢により全国的にも大幅な工賃向上には至っておりませんが,施設みずからが主体的に取り組もうとする姿勢は少しずつ醸成されてきているものと考えております。  今年度,県では,福祉団体が請負業務の受注や原材料の発注を共同で行う共同受発注センター設置への助成を予定しております。議員御提案の,ヒット商品開発や,多くの人に製品を見てもらうためのネットショップもセンターの機能として検討しているところであり,丁寧さや根気のよさといった障害者の長所を生かした商品づくりや効果的な商品PRなどを一層促進してまいります。  今後もこのような幅広い取り組みを進めていくことが,本県の工賃アップにつながっていくものと考えております。  福祉施設の障害者にとって工賃は喜びであり,働く励みとなるものでございますので,引き続き工賃向上の取り組みを推進し,障害者の社会参加と自立を支援してまいります。 16 ◯議長(葉梨衛君) 次に,永見農林水産部長。                   〔永見農林水産部長登壇〕 17 ◯永見農林水産部長 消費者と連携した農業の方策についてお答えいたします。  本県では,農業者に経営者としての意識を高めてもらう意識改革を基本に,消費者のベストパートナーとなる茨城農業の確立を目指して茨城農業改革に取り組んでいるところです。  一方,消費者に本県農業への理解を深めていただき,本県農産物を応援してもらうことも大変重要であります。このため,消費者を農産物サポーターとして登録し,農業体験や産地との交流会に積極的に参加いただくほか,県内外において,いばらき農産物を取り扱っていただく量販店などが行う消費者との交流活動の支援,女性農業士と消費者団体との協働イベントの開催など,消費者との交流に努めてまいりました。  また,本年度からは,新たにブログにより情報発信をしていただく農産物サポーターや,本県農産物を応援していただける指定店の拡充を進めることにより,産地と消費者が交流する機会の増大に努めております。  さらに,今後は,消費者の食の安全・安心等,農業への関心の高まりをとらえまして,生産者と消費者の距離をより縮め,相互理解を深めていただくことが重要となっておりますので,県といたしましては,生産者と消費者が互いに意見を出し合って農業や農村を活性化する新しい仕組みづくりなど,消費者にも喜んで農業に参画していただけるような元気で魅力ある茨城農業の実現に努めてまいりたいと考えております。 18 ◯議長(葉梨衛君) 次に,鈴木教育長。                    〔鈴木教育長登壇〕 19 ◯鈴木教育長 県立高校における理数教育の推進についてお答えいたします。  近年,理数離れが進んでいると言われている中,科学技術創造立県を目指す本県においては,将来の医療や科学技術を支える人材の育成を図る上からも理数教育の充実が大変重要であると考えております。  本県においては,これまで,国指定のスーパーサイエンスハイスクール事業や,県独自の未来の科学者育成プロジェクト事業などに取り組むとともに,物理オリンピックや生物学オリンピックへの参加を通して高校生の意欲を高めてまいりました。  今後とも,研究機関が数多く立地しているという本県の優位性を生かして,大学や研究機関などとの連携を強化し,理数教育の充実を図っていかなければならないと考えております。  まず,理数科の設置についてでございますが,本年7月に策定した県立高等学校再編整備の基本計画におきまして,理数教育を一層充実するため,将来の医療や科学技術を担う人材の育成に重点を置いた新たな理数科を設置することとしておりますので,中高一貫教育校とあわせて,他の県立高校へも理数科を設置することを実施計画策定の中で検討してまいりたいと考えております。  また,理数科を設置しない他の県立高校においても,出前講座,研究施設を利用した実験,生徒の課題研究の支援などを行う,理数教育の重点校を設けることについても検討してまいりたいと考えております。  なお,緑岡高校の理数科につきましては,大学等との連携による探求型学習や体験学習,あるいは科学系コンテストへの積極的な参加などを通して,これまでに培ってきた理数教育をさらに充実させてまいります。  今後とも,本県の高校生が医学や科学に対する興味・関心や能力を高められるように,理数教育の一層の推進を図ってまいります。 20 ◯議長(葉梨衛君) 次に,小風警察本部長。                   〔小風警察本部長登壇〕 21 ◯小風警察本部長 交通事故死者数の削減対策についてお答えいたします。  県内では,交通事故発生件数は減少しているものの,交通事故死者数は年当初から増加傾向で推移しており,10月に入ってからもその傾向に歯どめがかからず,極めて憂慮すべき事態となっております。  本県の交通死亡事故の特徴を見ますと,高齢者の死者数が全死者の約4割を占めていること,最高速度違反等悪質違反による死者数が約3割を占めていること,飲酒運転による死者数が増加していることなどが挙げられます。  警察では,これらを踏まえ,高齢者の交通事故防止対策や悪質,危険性の高い違反に重点を置いた取り締まりを強化するなど,交通事故防止総合対策を推進しているところであります。  特に交通マナーの向上は,議員御指摘のとおり,交通事故防止上,最も重要でありますことから,交通安全教育や街頭指導等を通じて,道路を利用する一人ひとりの交通ルールの順守はもちろん,譲り合いや思いやり運転等,交通マナーの向上を図っております。  今後とも,悲惨な交通死亡事故を抑止するため,引き続き,各種対策を強力に推進してまいります。           ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 22 ◯議長(葉梨衛君) 暫時休憩をいたします。  なお,会議再開は,午後2時15分を予定いたします。                     午後2時2分休憩           ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━                     午後2時16分開議 県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑(続) 23 ◯副議長(磯崎久喜雄君) 休憩前に引き続き会議を開き,県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑を続行いたします。  田村けい子さん。
                    〔27番田村けい子君登壇,拍手〕 24 ◯27番(田村けい子君) 公明党の田村けい子でございます。  通告に従い,質問をさせていただきます。  輝かしい茨城の未来に向けて,知事初め,執行部の明快なる御答弁をよろしくお願いいたします。  初めに,核兵器廃絶について知事のお考えを伺います。  戦後64年が経過しました。冷戦の終結以降,世界規模での核戦争の脅威は薄れつつあります。しかし,いまだ世界に核兵器が2万5,000発も存在すると言われ,やみ市場を通じて製造技術や核物質が流出し,核兵器を用いたテロという新しい形の脅威を懸念する声も高まっています。  このような状況下で,本年は,核廃絶に向けて一歩を踏み出した歴史的とも言うべき年となりました。  アメリカのオバマ大統領は,ことし4月に行ったプラハ演説で,核兵器を使用したことがある唯一の核保有国としての道義的責任に言及しつつ,核兵器のない世界に向けて先頭に立つ決意を表明しました。オバマ大統領のこの決意の表明がノーベル平和賞につながりました。  そして,ロシアのメドベージェフ大統領と二度にわたって首脳会談を行い,第1次戦略兵器削減条約に続く新しい核軍縮条約の枠組みに合意をしました。  9月24日には,国連安全保障理事会の首脳級会合で,核不拡散と核軍縮への強い意志を示した決議を全会一致で採択しました。安保理の理事国はすべて核兵器の保有国であり,その首脳が非核保有国である非常任理事国の首脳とともに一堂に会し,核兵器の不拡散,核軍縮の実施,最高レベルの基準を遵守した上での原子力平和利用の推進を,核拡散防止条約──NPTのもとで実行していくことを誓い合った意義は大きいと思います。  核廃絶実現までには多くの困難があると思いますが,今回の安保理決議を核廃絶への確かな一歩にしなければならないと考えます。  さて,このような核軍縮と並行して対応が迫られるのが,NWC──核兵器禁止条約による核兵器の非合法化の枠組みづくりです。NWCは,核兵器の開発から,実験,生産,貯蔵,移譲,使用及び使用の威嚇に至るまでのすべてを禁止するものです。2007年に国連文書となり,昨年,国連の潘事務総長が条約の交渉検討を各国に呼びかけました。  核兵器は人類の尊厳を根源的に脅かす絶対悪であり,国家の安全保障のみならず,地球上のすべての人々の平和と尊厳を追求する,人間の安全保障とは決して相入れないものであるとの信念を県民一人一人が持たなければならないと考えます。  核廃絶は国家のみの問題ではなく,より多くの人がみずからの問題としてとらえることができるように働きかけをしていく必要があると思います。核兵器のない世界を求める声は高まっており,こうした声をNWCの実現を求めるグローバルな連帯の形成につなげながら,市民社会の後押しで,新たな軍縮条約の歴史を開いた対人地雷全面禁止条約やクラスター爆弾禁止条約に続く形で,核兵器禁止の包囲網を築き上げることが必要だと思います。  国連決議を核廃絶への確かな一歩としていくためにも,人類の生存権を脅かす核兵器を禁止するとの意思表示を,国だけではなく個人や団体,そして自治体で行うことが望まれます。条約を単に国家間の合意ではなく,平和な地球社会を求める一人一人の人間の名において制定できるよう努めていくべきです。  国連安保理首脳会合をどのように評価し,自治体としてどのように核廃絶への意思表示をしていくのか,また,県民の連帯をどのように広げていくのか,知事の御所見を伺います。  次に,平和教育の推進について伺います。  先日,私は横浜の新聞博物館で開催されていた「ひろしま国」という企画展を見学してきました。ひろしま国とは,中国新聞が原則月2回連載をしている10代の子どもたちがつくる平和新聞で,20名の子ども記者が編集,企画に携わっています。子ども記者は,平和,環境,食糧問題などのテーマについて考え,疑問に思ったことを専門家たちに聞き,記事にします。取材範囲は日本だけではなく,テレビ会議やEメールを使って世界へと広がっています。  このような活動を通し,2つの大きなプロジェクトが進んでいます。世界子ども会議の開催とオバマプロジェクトです。  世界子ども会議は,昨年9月に広島で開かれたG8議長サミットの取材をする中で子ども記者が提案し,河野洋平氏がサミットで開催を呼びかけ,来年2月に実現の運びとなりました。  また,オバマプロジェクトはオバマ大統領を広島に招くキャンペーンで,子どもたちがオバマ大統領に手紙を書こうという運動を紙面で呼びかけたことから始まりました。335通の手紙が集まり,間もなく大統領に手渡される予定です。  子どもの力が世界を動かせることを痛感させられました。  核廃絶と言っても,本当に必要なことは一人一人の心の中に平和のとりでを打ち立てることだと思います。子どもたちに対する平和教育も,そのような視点で行っていくべきと考えます。  戦後64年が経過し,戦争体験が風化していく中で,ここ数年が,実際に戦争体験者の声を直接聞ける最後のチャンスと考えます。この貴重なチャンスを平和教育の推進期間とし,積極的な展開が望まれます。  そこで,NIEを利用した平和教育の推進を提案したいと思います。  NIEとは新聞教育のことで,情報活用育成教育の一環として位置づけられています。  新聞という媒体は,子どもたちのコミュニケーション能力をはぐくむ上で大変有効な手段です。コミュニケーション能力の低下が心配される子どもたちにとって,テーマを決め,取材し,内容をまとめ,記事にする。さらに,つくり上げた新聞を題材に他者と意見を交換するなど,みずから考える力,情報を整理する力,意見を発表する力などの育成にもつながります。  地域の戦争体験者から直接,体験を聞く機会を設け,NIEの手法を使って新聞をつくり,地元の新聞社と連携して発表の場をつくる,そのような平和教育が望まれます。  我が県においては1987年に教育界と新聞界が連携して茨城県新聞教育研究会が設立され,NIE教育が大変活発に進められています。この連携のもと,新聞を使った,地域に根差した平和教育の推進が図れるのではないかと考えます。  また,国立長崎平和祈念館では,平成16年から,遠隔地の学校と長崎をインターネットによる会議システムで接続し,被爆者がみずからの被爆体験や原爆の悲惨な状況を語り,子どもたちと平和について意見を交わす平和学習,ピースネットを無料で実施しています。このような仕組みを利用し,平和教育を推進してはいかがでしょうか。  平和という尊い価値観をしっかりと子どもたちの心の中に育てつつ,生きる力の育成にも高い効果が期待できるNIE教育や,子どもたちが興味を持って取り組める参加型の平和教育の推進について,教育長の御所見を伺います。  次に,つくば地域を中心とした地域振興と環境保護政策について伺います。  まずは,TX沿線開発の土地処分についてです。  TX開通から4年が経過しました。沿線開発に関しては,戸建て住宅やマンション,大規模商業施設等が立地し,まちとしての賑わいも出てきています。  しかしながら,土地処分に関しては計画を大幅に下回っており,現時点で840億円もの将来負担額が想定されています。県の保有地412.1ヘクタールのうち処分済みは59.8ヘクタール,352.3ヘクタールが未処分のままとなっています。しかも,県の借入残高は2008年度末で2,183億円。利子負担だけでも毎年30億円程度かかってしまいます。  景気の急速な悪化の中,企業からの引き合いも大幅に減少するなど厳しい状況ではありますが,保有土地の処分は最優先課題だと考えます。  TX沿線のまちづくりにおいて,住宅用地についてはつくばスタイルをキーワードに沿線地域の魅力を生かしたライフスタイルを提案し,一定の評価を得られていると思います。しかしながら,商業・業務用地について立地促進のコンセプトが不明確だと感じます。地区ごとの土地活用の方向性を明確化し,販売戦略を打ち立てるべきと考えます。  地元つくば市においては,2030年までに二酸化炭素排出量の50%削減に向けた,つくば環境スタイル行動計画を推進するなど,環境をキーワードにしたまちづくりに取り組んでいること,また,ロボットの街つくばを標榜し,研究機関と連携した産業の育成に努めているところから,今後,成長が期待できるこれらの産業集積を目指して販売戦略を練り直す必要があると考えます。  土地処分についての企画部長の御所見を伺います。  次に,緑地保全等の環境保護政策について伺います。  今回の定例会にTX沿線緑地保全事業が提出されています。これは,葛城地区内の約14ヘクタールの大規模緑地を保全整備するものです。この地域ではオオタカの生息も確認されており,整備,活用のあり方の検討も必要になってくると考えます。  そこで,都市近郊の貴重な緑地や里山の保全,活用のあり方について,県としての基本的な施策の方向性を確認させていただきたいと思います。  里山とは,伝統的な農業が営まれ,雑木林,田畑,小川,ため池,屋敷などが混在する場所,すなわち,適度に人の手の入った,人がかかわることによってつくり上げられてきた自然のことをいいます。人の手を加え,しかも,恵みを得ながら,資源を枯渇させることなく続けられてきた里山の仕組みは,人と自然との共生であり,次世代の持続可能な社会構築のための重要なモデルと言えます。  また,県南,県西に広がる里山は,首都圏から近く,環境教育の場としての価値も高く評価されています。  都市近郊の貴重な自然を守り,里山の持つ機能が将来にわたって持続できるよう,また,環境教育の場としての積極的な利用を促進するためにも,県庁内に,里山の保全,整備,活用を検討する横断的なプロジェクトが必要と考えます。  平成19年第3回定例会で,私は里山保全条例の必要性を訴えました。知事からは,基本計画や里山保全条例の策定につきましては,今後,他県の状況なども参考にさせていただきながら検討を進めてまいりたいと考えております,との御答弁をいただきました。基本計画や里山保全条例の策定について,進捗状況及び今後の施策の方向性について,農林水産部長にお伺いいたします。  次に,筑波山を中心とした観光振興についてお伺いいたします。  本年9月にブランド総合研究所が発表した地域の魅力度調査によると,茨城県は47都道府県中最下位という残念な結果が出てしまいました。  この調査は,認知度,魅力度という2つの総合指標を設定し,それぞれを構成する要素として,情報,産品,観光,居住,イメージの5分野で,63項目に及ぶ項目について3万人が評価をしたものです。  この調査データを分析すると,要するに地域のブランド力とは観光振興策に行き着き,行ってみたいと思わせる情報発信力が物を言うのではないかと考えます。さまざまな地域資源を持つ我が県の魅力をどう発信していくのか,本格的に観光立県を目指した施策の展開が必要です。  そこで,私の地元である筑波山を中心とした観光振興策について提案をさせていただきたいと思います。  日本最古のレジャーゾーンとも言われる筑波山は,言うまでもなく,茨城県の大事な観光資源です。この資源を最大限に生かしていくために,保全と活用の両面を踏まえ,ユネスコが支援する世界ジオパークの認定を目指すべきと考えます。  ユネスコといえば世界遺産を思い浮かべる方も多いと思いますが,世界遺産が条約に基づいて保全,保護を重要視するのに対し,ジオパークは保全と活用を重要視し,観光対象として知的な観光ジオツーリズムを創造し,持続可能な地域社会の発展を促すことを目指しています。  ジオパークとは,地質など地球活動の象徴的な遺産を主な見どころとする自然の中の公園で,鉱物や地層などの地質資源を保護するとともに,教育や地域振興に役立てることを目指します。2004年にスタートし,現在19カ国,63地域が認定されています。国内では,日本ジオパークネットワークが認定したジオパークが7カ所あり,そのうち洞爺湖・有珠山,糸魚川,島原半島の3カ所が本年8月に日本で初めて世界ジオパークとして認定され,話題となっています。  ジオパークでの主要な活動は,地域の人々により行われるジオツーリズムです。ジオツーリズムでは,自然環境だけでなく,その地域の歴史や文化も広く紹介されます。  世界ジオパークに登録されるメリットとしては,ユネスコのガイドラインに基づく審査によりジオパークとして一定以上のレベルが保証されること,知名度が向上し,価値の高いブランドが与えられ,見学者の増加が見込まれること,地質や地形と関連性のある名産品などの開発,販売の促進など,観光振興につながる地域の活性化が期待できること,世界のほかのジオパークとの情報交換が進み,海外からの観光客も期待でき,地域の国際化に役立つこと,ジオツーリズムを担う人材の育成などが挙げられます。  日本地質百選に選ばれている筑波山は,豊かな自然とともに,ほかにない歴史的文化を持っています。霞ヶ浦を含めて一体的にジオパークの認定を目指し,世界規模の観光開発を目指すべきと考えます。  茨城空港の開港により,東南アジアを初めとする世界からの誘客促進にも効果的です。筑波山の魅力を世界に向かって発信するための切り口として,ジオパークは最適であると考えます。  なお,ジオパークの推進については茨城大学の地域連携事業としての取り組みが進んでおり,学生のプロジェクトとしてジオツアー等の社会実験も既に行われております。筑波山,霞ヶ浦を初め,袋田の滝など6種類の観光マップを作成し,マップにはQRコードを添付するなど,学生ならではの工夫もされております。このマップを利用したジオツアーには,首都圏を中心に多くの参加者があったとのこと。茨城大学,筑波大学との連携も強化しつつ,ジオパーク認定への取り組みを始めるべきと考えます。  まずは,県が主導する形で,関係市町村,自然保護活動に取り組むNPO,商工会,自治会などから成るジオパーク推進協議会を設置し,ジオパーク設立に向けてスタートすべきと考えますが,知事の御所見を伺います。  次に,ビジターセンターの整備について伺います。  筑波山の保全と観光開発を進める上でどうしても必要なのが,ビジターセンターです。地元つくば市からも何度も要望が出されていると伺っておりますが,ビジターセンターの整備についての知事のお考えをお伺いいたします。  次に,観光施設の整備と渋滞対策について伺います。  来年,つくば市の新庁舎が完成することになっており,旧庁舎の利活用のあり方が検討される中,筑波庁舎はパークアンドバスライドの拠点として検討されております。筑波庁舎は国道125号に面しており,筑波山観光の中継地点として,県としても積極的な支援を行うべきではないかと考えます。単なる駐車場としてではなく,道の駅もしくはそれに準じる,物販,休憩,情報発信拠点としての施設整備が望まれます。  また,ハイシーズンの休日には登山道の深刻な渋滞が発生しており,対策が必要です。TX駅から筑波山行きのバスは,ひどいときには四,五時間もの時間を要することがあり,二度と来たくないとの観光客の声も多く聞かれます。つくば市としても,市営駐車場の整備,臨時駐車場の設置,混雑情報の提供など,さまざまな対策を立てていますが,効果が上がっているとは言いがたい状況です。  関係市町村との連携を強め,パークアンドバスライドの充実及び周遊バス等の配備などにより,渋滞対策を講じていく必要があります。  筑波山周辺の観光施設の整備及び渋滞対策に関する,知事の御所見をお伺いいたします。  次に,生物多様性戦略について生活環境部長にお伺いいたします。  明年は,国連の定めた国際生物多様性年であり,生物多様性条約第10回締結国会議──COP10が名古屋で開催されることになっています。生物多様性保全のための新たな施策を県としても明確にすべき時を迎えていると考えます。  生物多様性とは,あらゆる生物種の多さと,それらによって成り立っている生態系の豊かさやバランスが保たれている状態をいいます。3,000万種と言われる生物多様性のたくさんの恵みによって,人間を含む生き物の命と暮らしが支えられています。  しかしながら,現在,世界じゅうで数多くの野生生物が絶滅の危機に瀕しており,1年間に4万種と言われるスピードで種が絶滅し,我が国においても野生動植物の約3割が絶滅の危機に瀕しています。この原因は,開発や乱獲,里地・里山などの手入れ不足による自然の質の低下,外来種などの持ち込みによる生態系の攪乱,人間の活動,さらに地球温暖化にあると言われています。  昨年6月には生物多様性基本法が公布,施行され,生物多様性の保全に関する施策を推進するため,政府が生物多様性国家基本計画を定めるとしています。また,努力規定ではありますが,都道府県による生物多様性計画の策定が求められ,既に,千葉,埼玉,愛知,長崎,兵庫で生物多様性戦略が策定されています。  我が県におきましても,特定外来種であるアライグマの生息域の拡大が問題になるなど生態系の攪乱が危惧され,絶滅のおそれのある野生生物も増加しています。生物多様性のもたらす恩恵を将来にわたって享受し,次の世代に引き継いでいくためにも,生物多様性戦略の策定を急ぐべきです。まずは,生物多様性の保全を図るために不可欠な県レッドデータブックの改定が望まれます。  生物多様性の保全とともに,県民,NPO,事業者など多様な主体と連携,協働のもと環境学習や普及啓発を推進し,県民意識の醸成を図る生物多様性戦略の策定についての生活環境部長の御所見を伺います。  次に,少子化対策について保健福祉部長に伺います。  平成20年の合計特殊出生率は我が県は1.37となり,前年より0.02ポイント上昇したものの全国29位という結果でした。出生数は2万4,592人と,過去最低を記録した平成17年に次ぐ低さでした。晩婚化,未婚化が進む中,少子化対策は待ったなしの課題です。  このような中,少子化対策の一環として本年からスタートした妊婦健診の14回公費助成制度及び出産育児一時金の拡充など,安心して出産するための施策が展開され,喜ばれているところです。  しかしながら,やせ妊婦や低体重児,流産,早産の増加など,今後の少子化対策を考えたときに母子の健康について大きな危惧を抱いております。  2008年4月,WHOが出した「妊娠中及び授乳期の食品安全と栄養」というレポートでは,妊婦,胎児,乳児及び幼児は特に特定の化学物質や微生物による危害を受けやすく,特別な防御が必要と報告しています。そして,特に殺虫剤などの化学物質,鉛や水銀などの重金属,ダイオキシン等の残留性有機汚染物質等への注意を呼びかけています。  国においても,環境省が来年の秋から,母親の胎内の化学物質影響調査を行うことを発表しました。小児ぜんそくの罹患率がこの20年で3倍にふえ,先天異常も25年間で2倍に増加したとの結果が報告されています。また,不妊や流産,男児の出生率低下などの生殖異常などがふえ,その原因として化学物質の影響を指摘する声があるのです。健やかな妊娠,出産,育児に向けてこのような調査が行われるのは画期的であり,結果を注意深く見守りたいと思います。  さらに,先日,厚生労働省研究班は,妊娠したことのある女性の41%は流産の経験があり,流産や死産を繰り返して出産に至らない不育症の患者は,年間約8万人いるとの調査結果を発表しました。  我が県においても,妊娠の届け出をしながら出生に至らなかった数は昨年度で1,600を超えています。原因としては胎児の染色体異常や免疫異常などが挙げられますが,感染症,環境や薬剤,飲酒や喫煙による影響もあると言われています。  そこで,これらの母子の健康に大きくかかわる情報の提供についても県がかかわっていくべきと考えます。特に,はぐくまれた命が健やかに誕生の時を迎えられるよう,妊婦の健康管理についての情報や知識の普及をどのように行っていくのか,保健福祉部長の御所見を伺います。  最近,不妊治療に関して,精神的にも経済的にも大きな負担になっているとの深刻な相談をお受けするケースがふえています。不妊治療費助成については年々件数が増加し,5年間で3倍になっております。これまで1回につき10万円だった限度額が15万円に引き上げられる予定になっており,助成費の拡大は喜ばしいものではありますが,体外授精や顕微授精になると1回当たり30万円程度が必要と言われ,また,人工授精については,助成対象外の上,保険が適用されないため,1回当たり数万円の費用がかかり,経済的な負担は相当なものです。  少子化対策の上からも,不妊治療の助成を一層手厚くすることが望まれます。不妊治療を保険適用にしようとの動きもありますが,県としても国への要望を強め,不妊治療への経済的負担の減少に取り組むべきと思います。  一方,不妊治療については,精神的な面からのサポートも大切です。県では,不妊専門相談センターを開設し,水戸と土浦の2カ所で情報提供やカウンセリングを行っています。不妊治療を望む人が増加している割には相談件数が減少傾向にあり,定期的な広報活動の強化が望まれます。  不妊治療を受ける人は何年も悩んだ末に行動を起こすケースが多く,また,働く女性も増加する中,より早く適切な相談窓口に相談できるよう,相談体制の強化と相談事業の普及啓発が必要です。  不妊治療に対する支援をどのように行っていくのか,保健福祉部長の御所見を伺います。  次に,性感染症対策について伺います。  若い世代に広がるSTD──性感染症が深刻化しています。茨城県内の保健所で行っているエイズ・クラミジアの検査においても年々件数が増加し,それに伴って陽性件数も増加しています。  STDに感染すると不妊症や流産,早産につながることが指摘されており,少子化対策の一環としてもSTD対策が不可欠です。  また,STDに感染している人はHIVにも感染しやすくなることから,エイズの広がりという,より深刻な問題につながっていきます。県にはエイズ対策委員会が設置されていますが,感染経路が同じSTD対策とエイズ対策との連携を図っていくことが重要です。委員会の窓口を広げ,予防啓発を中心に,より積極的な対策を考えていかなければなりません。  STDもエイズも予防できる病気です。予防啓発に力を入れていくことが,県民の健康を守る上でも少子化対策の上でも大切な視点となります。特に思春期の子どもたち及びその保護者に向けて,教育庁,女性青少年課等と連携し,予防啓発を行うべきと考えますが,保健福祉部長の御所見を伺います。  次に,児童の放課後対策について伺います。  少子化対策を考えるときに,仕事と子育ての両立は親にとって重要な課題であります。  保育所の待機児童対策については基金等を利用して拡充が図られていますが,地域からの要望として数多くお聞きするのが放課後児童クラブの拡充の要望です。特に昨年来の経済危機で働かなければならなくなったお母さん方から,放課後児童クラブに入れないとのお声を数多くちょうだいをいたしております。  県内には583の児童クラブがあり,2万1,386人の児童が登録して放課後の時間を過ごしていますが,申し込んでも登録できなかった児童が326人いるとのことです。地域によっては児童クラブが開設されていないところもありますので,潜在的な需要はもっと大きいと思われます。  一方,保健福祉部と教育庁とが連携して取り組むことになっている放課後子どもプランのうち,放課後子ども教室推進事業につきましては,平成21年度の実施箇所が208カ所と目標を下回っております。この事業は,小学校の空き教室等を活用して放課後の子どもたちの活動拠点を設け,地域の方々の参画を得て,勉強やスポーツ,文化活動,地域住民との交流活動等の取り組みを推進するものです。児童クラブの設置が困難な学校においては,放課後子ども教室がその役割を担うことが期待されます。208カ所で実施されているとはいっても,開催が不定期であったり,月に数回程度といったところも見受けられ,より積極的な運営が望まれます。子どもたちが安全に放課後の時間を過ごせる居場所としての提供という視点で推進していくことが望まれます。  放課後子ども教室と放課後児童クラブとの連携のあり方にもまだまだ課題が多く,現場で使いづらい状況もあります。教育庁におかれましては,国における両事業の連携の強化を申し入れるなど,より積極的な放課後子ども教室の推進が望まれます。  放課後子ども教室の柔軟な運営を軸にした児童の放課後対策について,教育長のお考えを伺います。
     以上で,質問を終わります。御清聴,ありがとうございました。(拍手) 25 ◯副議長(磯崎久喜雄君) 田村けい子さんの一般質問,質疑に対する答弁を求めます。  橋本知事。                     〔橋本知事登壇〕 26 ◯橋本知事 田村けい子議員の御質問にお答えいたします。  まず,核廃絶に向けての自治体としての取り組みについてでございます。  初めに,国連安保理首脳会合に対する評価でございますが,核大国の米露を含む安保理の首脳が一堂に会し,核兵器のない世界を目指す決議を全会一致で採択したことはまさに歴史的な出来事であり,国際社会として核軍縮に取り組む機運を高める上で大変有意義なものであったと考えております。この決議を契機として,唯一の被爆国である我が国の積極的な平和外交を初め,各国が,核軍縮・不拡散に向けて具体的な行動につなげていくことを期待しております。  次に,核廃絶への意思表示についてのお尋ねでありますが,自治体としての宣言につきましては,既に多くの道府県が行っておりますことや,今まさに核廃絶に向けた世界的な機運が高まってきておりますことから,議会とも相談し,できるだけ前向きに対応してまいりたいと存じます。  次に,県民の連帯をどのように広げていくかという点につきましては,県民の自主的な活動を促進していくためには,行政といたしましてもその環境づくりを行っていくことが大切であると考えております。幸い,ことし8月には水戸市に平和記念館が開館し,来年には阿見町に予科練平和記念館ができますので,このような拠点を活用した県民の平和に関する活動が活発になることを期待しているところであります。  県といたしましても,引き続き,戦争関係資料の保存展示を行う関係団体への支援などを通じ,戦争体験の継承に努めますとともに,小中学校や高校で戦争を体験された方を学校に招いたり,修学旅行で沖縄や広島,長崎を訪れるなどの平和教育を通じて,県民の平和意識の醸成を図ってまいります。  核兵器の廃絶は全世界,全人類共通の願いであり,すべての国が核兵器廃絶に向けて真摯に取り組み,平和で安全な国際社会が形成されることを切に望んでおります。  次に,筑波山の観光振興についてお答えいたします。  初めに,ジオパーク構想についてでございます。  世界ジオパークにつきましては,地質に関連する自然遺産を保全し,研究,教育,普及に生かしていきますとともに,歴史文化資源等を組み合わせた誘客を通じて地域活性化を図る取り組みであり,我が国では,御指摘にもございましたように,糸魚川等3つの地域が認定を受けているところであります。  ジオパークとしての認定を受けるためには,地質年代や岩石の多様性,地形的な特徴など地質資源としての価値が高いことだけではなくて,当該地域における地質保全活動や環境教育プログラム,ジオツアー等の地域住民等を主体とする活動がユネスコへの申請書中の重み係数で55%超とされており,最大の評価項目となっております。  このように地域の活動が極めて大きな要素になっておりますところから,認定に当たっては,大学等の研究機関によって地質等に係る学術的な評価が確立されることだけではなくて,つくば市等が主体となって地元としての積極的,組織的な取り組みを進め,実績を積み上げていくことが必要であると考えております。  県といたしましては,これまでも茨城大学と連携してシンポジウムの開催などを行ってきているところですが,地域としての意向や盛り上がりを踏まえた上で,必要があればさらに協力してまいりたいと考えております。  次に,ビジターセンターの整備についてでございます。  県におきましては,昨年度,筑波山の魅力アップや利用サービスの向上に資するため,筑波山の活用に関する調査を実施し,その中で登山者へのアンケートを行わせていただきました。  このアンケートによりますと,休憩施設,情報提供の整備等に関しては,現状のままでよいという声が大部分を占めるなど,自然保護に対する来訪者の意識の高さ,自然をありのまま楽しみたいという志向がうかがえる結果となっております。  また,国立・国定公園等に設置されているビジターセンターには,情報提供,解説展示,休憩避難等の機能がありますが,近県の施設の利用状況を確認しますと,利用者からは,パネルなどによる解説や展示といったことよりも目の前の自然探索ができた方がよいといった意見や,休憩機能を第一とする声が多いと聞いております。  このような中で,議員の考えておられるビジターセンターの整備とは若干イメージが異なるかもしれませんが,昨年度,つくば市によって,ケーブルカー筑波山頂駅の2階に,休憩機能や情報提供機能を有する御幸ケ原休憩所が開設されたところであります。  休憩所の設置場所がわかりにくいといった面もあるようでございますが,県といたしましては,当面,その有効利用を図るため,わかりやすい表示や案内板を設置するよう,管理者でありますつくば市に働きかけ,様子を見てまいりたいと存じます。  次に,観光施設の整備と渋滞対策でございます。  筑波庁舎を活用しながら,物販,休憩,情報発信拠点を整備することにつきましては,筑波山地区におけるドライブインやレストラン,土産物店等に対して大変大きな影響を与えることなども考えられますことから,まずは,つくば市において,これらの施設の経営者を含む地元の方々と十分に意見の調整をした上で判断していくべきものと考えております。  また,筑波山の交通混雑を緩和する対策としましては,平成17年のTX開業後,県が地元つくば市などとともに,臨時駐車場の設置や,パープルラインへの誘導による交通分散などの対策を実施してきたところであります。  しかしながら,議員御指摘のとおり,お正月や春,秋の行楽期の一部の日においては依然として深刻な交通混雑が発生している状況にございます。筑波山へ訪れた観光客の皆様に対して大変御迷惑をおかけしていることについては,申しわけなく存じているところであります。  現在では,地元つくば市が主体となり,県,県警,県道路公社,交通会社,市観光協会等とともに交通混雑緩和対策会議を設置し,混雑緩和のためのさまざまな対応策について検討を進めますとともに,一部については既に実施しているところであります。  例えば,県におきましては県道笠間つくば線バイパスを整備し,筑波参道入口の食い違い交差の解消による交通混雑の緩和を図ったところであります。また,市においては,今年度から携帯サイトによるリアルタイムの交通混雑情報の提供を始めますとともに,ことし秋の行楽期から,効果的なパークアンドバスライドの実現を目指して,試験的に筑波庁舎の駐車場を活用し,筑波山麓の各名所を周遊するバスの運行を予定しているところであります。  県といたしましては,筑波山観光客に満足していただき,リピーターとして何度も訪れていただけるよう,つくば市や関係市と連携を図りながら,さらなる交通混雑緩和対策を進めてまいりたいと考えております。 27 ◯副議長(磯崎久喜雄君) 次に,鈴木教育長。                    (鈴木教育長登壇〕 28 ◯鈴木教育長 平和教育の推進についてお答えいたします。  子どもたちに過去の戦争の悲惨さを教え,平和を尊ぶ心を育てていくことは,重要なことであると考えております。  小中学校におきましては,戦争中の状況について調べたり,当時の様子を記した郷土の副読本を授業で活用したりするなどして,平和の大切さを学んでおります。  また,幾つかの市町村では,非核平和事業として,広島市や長崎市の平和記念式典に小中学生が参加し,悲惨な被爆の状況について知り,平和の尊さを学んでおります。  さらに,多くの高等学校におきましては,修学旅行において,沖縄や広島,長崎へ行き,資料館や戦跡を見学したり,戦争を体験された方の話を聞いたりするなどしております。  県におきましては,茨城県スクール・ネットにおいて,子どもたちが学習に活用できるよう,戦争当時の状況や壊滅的な打撃を受けた様子について,戦争を体験された方の話を配信しております。  また,新聞を授業の中で活用することにつきましては,多くの学校で,新聞を一つの教材として取り上げたり,学んだことを新聞形式で発表するなどしており,子どもたちがみずからの考えを深めたり,他に伝える力をはぐくむ上で効果を上げております。  議員御提案の平和教育にNIEの手法を使った学習を取り入れることにつきましては,今後,NIEを推進している関係機関に,どのような形で実施できるか検討していただけるよう働きかけてまいりたいと考えております。  また,被爆者の生の証言を聞き,原爆や平和について考えるといった,インターネットによる会議システムを利用した参加型の平和教育につきましては,平和の尊さを実感する上で有効であり,今後,県下の学校にピースネットの活用などの情報提供をしてまいります。  今後とも,教育活動全体を通して,子どもたちが興味を持って取り組める平和教育を推進してまいります。  次に,少子化対策についてお答えいたします。  児童の放課後対策についてでございます。  放課後の子どもたちの安全・安心な居場所づくりを確保することは,少子化対策や地域の教育力の向上を図る観点からも大変重要であると考えております。  このため,県におきましては,共働き家庭等の児童を対象として生活の場を提供する放課後児童クラブと,希望するすべての児童を対象として体験や交流活動を行う放課後子ども教室の2つの制度の活用を図る放課後子どもプランの積極的な推進を,市町村に対して働きかけているところでございます。  特に子ども教室は,対象児童数や開催日数等について要件が定められている児童クラブに対して地域の実情に応じた柔軟な運営が可能となっておりますので,子ども教室の開催により実施箇所数の拡充に努めている市町村もございます。  これまで,県におきましては,なるべく多くの開催日数を確保して放課後の居場所づくりが図られるよう市町村に対し働きかけるとともに,子ども教室と児童クラブを連携して実施している取手市などの取り組みを紹介した実践事例集を配布するなど,両事業が円滑に推進されるよう支援しているところでございます。  今後は,放課後子どもプラン推進アドバイザーを市町村に派遣して,開催日数の拡充を図る上での問題点や両事業の連携方法など必要な助言を行い,市町村において事業の充実が図られるよう積極的に支援してまいりたいと考えております。  また,市町村からは,利用料の有無や対象児童の要件など両事業の制度上の違いがあることが課題として指摘されておりますので,国に対して,事業の一本化が図られるよう引き続き要望してまいります。  今後とも,放課後子どもプランが円滑に実施され,子どもたちや保護者にとって安全・安心な放課後の居場所となるよう努めてまいります。 29 ◯副議長(磯崎久喜雄君) 次に,福田企画部長。                    〔福田企画部長登壇〕 30 ◯福田企画部長 TX沿線開発における土地処分についてお答えいたします。  TX沿線地域における業務用地の処分につきましては,これまで,各地区の土地利用計画に沿って,地区の特性や企業の立地動向を踏まえながら企業誘致に取り組んできたところでございます。  その結果,葛城地区におきましては理想科学工業の研究所の立地が決定しており,また,島名・福田坪地区では長瀬ランダウア社が本社を都内から移転するほか,伊奈・谷和原地区ではアシックス社の物流施設の建設が進んでいるなど,企業誘致の成果も見えつつあります。  しかしながら,昨年来の厳しい経済情勢により企業の設備投資意欲が大きく減退している中で土地処分を推進していくには,議員御提案のように,成長が期待できる分野の企業に対しまして誘致活動を重点的に行うなどの取り組みも積極的に行っていく必要があると考えております。  そこで,現在,産総研などが生活支援ロボット実用化プロジェクトを進めようとしておりますので,サイバーダイン社などが立地する葛城地区においては,関連する研究開発型企業の誘致を行っていきますとともに,つくば市や筑波大学などが進める環境都市づくりの一環として,低炭素モデルタウンの整備を検討している島名・福田坪地区においては環境関連企業の誘致を推進するなど,地区ごとにターゲットを絞った企業誘致活動を行ってまいりたいと考えております。  いずれにいたしましても,つくばには多くの研究機関が集積していることや,今後整備される圏央道などTX沿線地域の優位性を積極的にPRするとともに,各地区の特性を生かした戦略的な企業誘致活動に努め,早期の土地処分を行ってまいりたいと考えております。 31 ◯副議長(磯崎久喜雄君) 次に,永見農林水産部長。                   〔永見農林水産部長登壇〕 32 ◯永見農林水産部長 緑地保全等の環境保護政策についてお答えいたします。  里山は,身近な自然との触れ合いの場として,また自然観察や環境教育の場として,その保全,活用のあり方が大変重要であると認識し,他県における条例等に基づいた里山保全の実効性などについて精査,検討を進めてきたところです。  その結果,他県におきましては,里山の保全をより確かなものにするため,条例などにより一定期間土地の転用を制限したり,必要に応じて土地の買い上げ措置を講じているなどの例もございますが,実際の運用に当たっては,所有者の理解が得られない,あるいは,条例で買い取り措置を設けたにもかかわらず実際は財政上の問題で実行することができない,などの課題があることも明らかになっております。  一方,本県におきましては,平成20年4月に導入した森林湖沼環境税を活用し,所有者との保全管理協定締結を条件として,市町村が行う里山の保全・整備や,NPO,ボランティア団体等が自主的に行う里山の保全・整備に対する助成を行っております。  また,小中学生が里山の働きや大切さなどについて学ぶことのできるこどもの森の整備に対する助成や,里山における炭焼きやシイタケ栽培などの体験学習を通した環境教育も幅広く実施しているところでございます。  他県での里山保全に関する条例の運用状況などを考慮しますと,まずは森林湖沼環境税活用事業などによる里山保全への効果を検証することとし,保全条例の制定につきましては,他県で明らかになった実効性などの課題を含め,引き続き検討を行ってまいります。 33 ◯副議長(磯崎久喜雄君) 次に,椎名生活環境部長。                   〔椎名生活環境部長登壇〕 34 ◯椎名生活環境部長 生物多様性戦略の策定についてお答えいたします。  生物の多様性は,食べ物,木材,医薬品等として私たちの生活に多くの恵みをもたらすとともに,自然観や感性,食文化,工芸,祭り等の地域独自の文化の多様性をも支えているなど,その保全は極めて重要なことであると考えております。  このため,県におきましては,本県における環境の保全と創造に関する施策の基本的な方向を示した茨城県環境基本計画の中で生物の多様性の確保を掲げ,希少な動植物の保護,野生生物の生息環境の保全,自然公園等の保護・管理,森林の維持と育成,農地の保全など,さまざまな施策を通じて生物多様性の確保を推進してきているところでございます。  議員から御指摘のありました生物多様性地域戦略の策定につきましては,この環境基本計画や第2次緑のいばらき推進計画など環境に関する県の諸計画との関係や,それらの改定時期なども考慮しながら検討を進めてまいりたいと考えております。  また,県内の希少な野生動植物の生息状況等を取りまとめた茨城県版レッドデータブックの改定につきましては,これまで基礎的なデータの収集を進めてきたところでありますが,今年度は専門家などによる委員会を設置し,植物編の改定作業に着手してまいります。 35 ◯副議長(磯崎久喜雄君) 次に,山口保健福祉部長。                   〔山口保健福祉部長登壇〕 36 ◯山口保健福祉部長 少子化対策についてお答えいたします。  まず,妊婦の健康管理についてでございます。  妊婦が安全な出産を迎えるためには,妊娠早期からの正しい知識による日常生活の維持や,定期的な健診による母体と胎児の健康管理が大変重要でございます。  そのため,母子保健の実施主体である市町村においては,母子健康手帳や妊婦健診受診票の交付時における保健指導や母親学級の開催などにより健康管理を行っております。  特に妊婦健診は,母体や胎児の異常を早期に発見し,適切な管理や治療に結びつけ,生活や食事に関する個々の妊婦に応じた保健指導の貴重な機会となっており,公費負担が14回に拡充されたことにより健康管理の充実が一層図られたものと考えております。  県におきましては,妊婦健診費用の助成を行うとともに,こうした保健サービスをすべての妊婦が早期に受けられるように,妊娠の早期届け出の励行と定期的な受診について,引き続き,さまざまの機会を活用し広報を行ってまいります。  また,母子健康手帳に加え,妊婦が自己管理や健診時に活用できるよう,体調の記録や医師への確認事項などを記載できる補助冊子を新たに作成し,市町村を通してすべての妊婦に配布することとしております。  さらに,議員御指摘のとおり,本県も全国と同様に低体重児が増加傾向にありますので,医師,助産師,市町村担当者による連絡会議を設置し,やせ妊婦や健診未受診者などハイリスク妊婦への支援体制の強化を図ってまいりたいと考えております。  今後も,国が実施する調査結果などにも注視しながら,妊婦の健康管理が図られるよう市町村を支援してまいります。  次に,不妊治療への支援策についてでございます。  県では,治療費が高額な特定不妊治療に対して,今年度から国の制度拡充を踏まえ,1回の治療当たりの助成限度額を10万円から15万円に増額することとし,今定例会の補正予算に計上しているところでございます。  経済的負担の軽減への取り組みとしましては,これまで国に対して,不妊治療への助成拡充,または医療保険適用について要望してきたところでございますが,少子化対策の観点からも,人工授精も含めた不妊治療へのさらなる拡充を働きかけてまいります。  次に,不妊相談についてでございます。  県では,県産婦人科医会に運営を委託して,不妊専門相談センターにおいて,医師,専門カウンセラー及び助産師が個別面談方式によりカウンセリングや不妊治療に関する情報提供を無料で行っております。  議員御指摘の相談件数の減少につきましては,カウンセラーを配置した医療機関も増加傾向にあり,相談しやすい環境が整えられつつある一方,充実した相談体制にもかかわらず,これまでの広報活動が十分ではなかったことも要因ではないかと認識しております。  今後は,現在行っております保健所や市町村などでのリーフレットの配布や県のホームページへの掲載などに加え,民間企業等への周知やタウン誌などの媒体を利用した広報に努めるほか,女性団体や医療福祉関係団体などの協力をいただき,不妊に悩む方々に気軽に利用していただけるよう,さらなる普及啓発に努めてまいります。  次に,性感染症対策についてでございます。  性感染症は自覚症状がないことが多く,発見がおくれる傾向にあることから,検査を受けて早期に治療をすることが感染の拡大を防ぐために大変重要となってまいります。  議員御指摘のとおり,性感染症とエイズは関連が深く,一体的に対策を進めることが効果的なため,エイズ対策委員会において,クラミジア,梅毒など性感染症に有効な予防啓発の方法,検査体制の充実などについて御検討をいただき,さまざまな対策を実施しております。  特に予防啓発につきましては,これまでも教育庁などと連携し,県内5地区でのエイズを考える高校生のつどいや県立高等学校での講演会を実施してまいりました。  今後は,今年度女性青少年課が行う青少年の社会意識及び活動に関する調査の中で,高校生,保護者など約4,000人を対象に,性感染症にかかっても症状がないことや性感染症にかかるとHIVに感染しやすいことなど性感染症についての認知度の調査を行い,エイズ対策委員会に設ける専門部会でその結果を踏まえた新たな予防啓発の手法についても検討してまいります。  また,大学生を中心に養成しているピアカウンセラーを,現在の20名から40名に増員し,教育庁と連携して,思春期の子どもたち,特に高校生への知識の定着を図るための活動を広げてまいります。  さらに,教職員を対象とした研修会や保護者向けの会合などを活用し,青少年を支える関係者への予防啓発にも取り組んでまいります。  このようなことを踏まえ,青少年がみずからの健康を守り,健やかに成長していけるよう,関係者との連携を一層深め,性感染症対策を進めてまいります。
    37 ◯副議長(磯崎久喜雄君) 田村けい子さん。                   〔27番田村けい子君登壇〕 38 ◯27番(田村けい子君) 橋本知事に,非核宣言について再質問をさせていただきます。  日本非核宣言自治体協議会の調査によると,平成21年10月1日において非核宣言を行っていない都道府県は,我が県を含め,わずか7都県となっております。  橋本県政5期目のスタートに当たり,核兵器廃絶の大きなうねりの中,知事のリーダーシップで,ぜひ宣言を行っていただきたいと考えております。  橋本知事の御所見をお伺いいたします。 39 ◯副議長(磯崎久喜雄君) 田村けい子さんの再質問に対する答弁を求めます。  橋本知事。                     〔橋本知事登壇〕 40 ◯橋本知事 先ほど答弁させていただいたとおりでございますけれども,非核宣言につきましては議員提案で行っているところがほとんどでございますので,私としては,きょう申し上げましたように,前向きに我々としては考えている。議会としてどういうふうに対応されるか。できれば,議員提案として提案をしていただいて,宣言をしていただければありがたいと思っております。           ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 41 ◯副議長(磯崎久喜雄君) 暫時休憩をいたします。  なお,会議再開は,午後3時35分を予定いたします。                     午後3時15分休憩           ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━                     午後3時36分開議 県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑(続) 42 ◯議長(葉梨衛君) 休憩前に引き続き会議を開き,県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑を続行いたします。  梶岡博樹君。                  〔3番梶岡博樹君登壇,拍手〕 43 ◯3番(梶岡博樹君) 自由民主党の梶岡博樹でございます。  初めての登壇の機会を与えてくださった先輩議員,そして,同僚議員の皆様に心から感謝を申し上げます。  私は新人で,若者らしくさわやかに質問してまいりますので,知事を初めとする答弁者の皆様におかれましては,風通しのよい明快なる答弁をよろしくお願い申し上げます。  まず,初めに,未来の県南像について知事にお尋ねいたします。  私は守谷市に住んで20年近くになりますが,守谷市の人口は,平成元年の3万3,323人から平成21年の6万617人とこの20年で約1.8倍に増加し,東京との人口移動についても,ほかの都市が軒並み人口減となっている中,守谷市は,転入者3,865人,転出者2,786人と1,079人の人口移動プラスの都市であります。私は茨城に生まれ育った人間として,守谷市,そして茨城県を非常に誇りに思っているものであります。  さて,守谷市も含めた県南地域でありますが,県南の住民は,住所こそ茨城県ですが,生活の大部分を東京などの他地域で過ごしている方が多い。例えば,守谷市に居住しながら他都県に通勤,通学されている方は31.9%にも上ります。  県南地域の暮らしやすさや利便性などの価値は自然に増大してきたのではなく,県が市町村とともにこれまでTXや道路などの基盤整備を進めてきたこと,そして,住民の皆さんによる,我が町を住みよいまちにしたいという思いが今日につながっているということを私たちは決して忘れてはいけません。しかし,ほかの地域から移り住んできたばかりの人々にとっては,まちは住みやすくて当たり前との思いもあります。  また,よく言われるのは,茨城には県域のテレビ局がないということです。地元茨城の情報を視覚的に十分に伝える手段がなかったのです。  本県の場合は,地上デジタル放送を他県より早く開始し,その中で茨城向けの情報を流す方策がとられたことは伺っております。しかしながら,県南地域では,アナログ波が停波するまで地元茨城県の情報が地上デジタルで入手できません。その結果,県南の人は,茨城県の情報についてはいわば情報弱者となってしまうのではないかと思います。このことも,せっかく茨城県との一体感を醸成する機会をみすみす逃してしまう一つの理由であると考えており,このままでは,県南の住民にとって,県南地域が茨城県である必要を認められなくなってしまうことを危惧するものです。  去る8月4日,国の広域地方計画が決定されました。広域地方計画は,平成20年7月に閣議決定された国土形成計画を受け,広域ブロックの自立的発展に向け,おおむね10年間の地域のグランドデザインを取りまとめたもので,本県は首都圏広域地方計画区域に分類されています。この地域は,茨城県など1都7県の区域を一体とし,約4,200万人の人口を抱える巨大なブロックで,圏域内には東京都特別区を初め,4つの政令指定都市を含む人口30万人以上の都市が多数存在します。  この計画は,国土形成計画法に基づき,首都圏についての広域地方計画として必要とされる主要な施策を定めていますが,県南地域はまさにこの圏域内に位置しており,地域に暮らす住民は,茨城の県南というよりも,いわば首都圏の北部という意味の圏北という住民意識を持つ人がほとんどであります。  一方,現行の県の総合計画,元気いばらき戦略プランでは,県南地域を南部広域連携圏と名づけ,県南,鹿行,県西の3つのゾーンで構成するとしており,県南ゾーンの展開方向のうち,東京圏と交流する活力ある都市圏の形成の施策として,つくばスタイルのブランド化とPRの強化,つくばスマートコリドール構想の推進による情報交流空間の形成,守谷市や取手市などのアートプロジェクトの連携による文化・芸術の創造性などを生かしたまちづくりの推進などが挙げられております。  しかしながら,私が議員になって以来,地元に暮らす方々に聞いてみると,これらの茨城県の施策の展開について内容を正しく知っている人は少数でありました。私は,県南地域の県議会議員として,県南地域に住む人にも,茨城に生まれ育って本当によかった,安心して住み続けられることがうれしいという実感を持っていただきたいのであります。  知事は,間もなく,県の新しい総合計画の策定作業に入られるということであります。  そこで,茨城の将来を考える上で,知事は,茨城県民でありながら県への帰属意識が希薄な県南の住民にどのような県南の姿を見せたいとお考えなのか,現在の総合計画で掲げられた施策についての現時点での知事の総括と,それらを踏まえて,これからの新総合計画を策定するに当たり,若者も茨城都民のサラリーマンも,地域に根差す農業者の方も,だれもが心の底から茨城県に愛着を持つことができるように,地デジの県域テレビがなければ私が地元に紹介いたしますので,知事がイメージし,期待している未来の県南地域の姿について皆が共感し,納得できる,知事自身の言葉での展望をお伺いいたします。  次に,交通網の整備についてお伺いいたします。  まず,つくばエクスプレスの延伸と利便性の向上についてであります。  つくばエクスプレスは茨城に新たな活気をもたらしました。都心に通勤する人々にとって住まいを選ぶ際のポイントは,東京駅までどれぐらいの時間で通えるのかということであります。このため,県内のTX沿線のマンションの広告では,秋葉原まで32分とは書かずに,乗りかえ時間を含まず,東京駅まで35分という表現で購買意欲を駆り立てているわけですが,それだけ東京延伸の期待と魅力は高まっているのです。利息だけで1年に30億円と言われているTX沿線の県有地の処分に最も有効な手段がTXの東京延伸なのは明白であります。  また,まちづくり競争が激化する中,他県より遠い位置にある本県では,独自の特色をより強く打ち出していくことが求められます。そして,住民の住みやすさを追求するために何でも積極的に取り組んでいるという熱意をアピールしなければなりません。  私は,その取り組みの一つとして,グラウンドゴルフ場,パークゴルフ場や公共ドッグランなど,簡単に利用可能で大規模な整備を必要とせず,撤去も容易である施設を新しい都市型の生活スタイルの例としてTX沿線の県有地,調整池などに暫定的にでも設置し,沿線地域の魅力の一つとして都市住民に提案していくべきであると考えます。  民間の調査による都道府県魅力度ランキングでは最下位の茨城県の魅力を高めるには,今,元気のいいエリアをさらに元気にするのが一番であります。考えられる方策はどんどん取り入れていただき,改めて他都県との連携をより強め,東京延伸の具体化を願うものであります。  東京-秋葉原間の約2キロメートルの延伸計画は,建設費が約1,000億円,建設期間が6年,東京駅の位置は丸の内仲通りという想定がされておりますが,延伸の前提となる1日当たり輸送人員27万人という条件は,計画上の平成22年度を1年前倒しでクリアできそうな見通しですので,一日も早く延伸を実現してほしいものです。  また,鉄道会社では,平成20年度決算で初めて営業黒字を達成したようですが,利益は乗客へのサービスで還元すべきものです。現状では,秋葉原での乗りかえエレベーターやエスカレーターが非常に混雑し,TXのメリットが生かし切れておりません。したがって,私は,混雑緩和とJRなどへの乗りかえの利便性を向上させるため,エレベーターやエスカレーターを至急増設すべきであると考えます。  そこで,東京延伸の取り組み状況と秋葉原駅の具体的な利便性向上について,企画部長にお伺いいたします。  次に,新大利根橋有料道路の無料化について,土木部長にお伺いいたします。  これまで,広域の連携が必要であるとして,東京圏と交流する活力ある都市圏の形成という施策の展開の中で道路整備が行われてきたわけでありますが,つくば市,守谷市と三郷市を結ぶ都市軸道路については完成の見通しが不明確なままであります。  そのような状況において新大利根橋有料道路を無料化することは,地域の方々に県の存在感や施策を実感してもらう格好の材料であると考えます。これは地元が長年渇望してきた願いであります。有料道路でありながら生活道路である新大利根橋有料道路は,昨年7月には既に償還も終わっており,一日も早く無料化すべきであると考えますが,見通しについて,部長の誠意とやさしさと,そして,ほかの有料道路と公平性のある答弁を求めます。  次に,守谷市周辺の交通混雑緩和についてお伺いいたします。  守谷市内では,常総ニュータウンや,もりや工業団地などが立地していること,また,守谷駅周辺では人口集積が進み,交通需要が増加していることから,主要な幹線道路は朝夕の通勤時間などに混雑が著しい状況です。  特に,県道取手豊岡線は沿線に内守谷工業団地などが立地する重要な路線でありますが,滝下橋を初め,幅員狭小のため大型車のすれ違いが困難な箇所もあり,譲り合いながらの通行を余儀なくされております。  私は,朝夕の時間帯,片側車線だけでも大型車の通行を規制することも考慮すべきではないかと考えております。この県道の持つ重要性を考えると難しい問題とは思いますが,近隣には守谷高校や大野小学校,あるいは高野小学校などの教育機関や,老人福祉センター,スポーツセンターなども立地しており,渋滞や混雑の影響で利用者が危険に思うことがしばしばあるのも事実であります。  そこで,滝下橋周辺などの県道取手豊岡線の混雑緩和に向けた取り組みについて,土木部長にお伺いいたします。  次に,今後の高齢社会を見据えた対応について,保健福祉部長にお伺いいたします。  我が国は世界でも例を見ない速さで高齢化が進んでおり,本県においても,本年7月には,65歳以上の人口が約65万人,高齢化率は21.9%となっております。この高齢化率は今後増加の一途をたどり,平成27年には県民の4人に1人が65歳以上という本格的な高齢社会が到来すると予測されており,今後,高齢者人口の増加に伴い,要介護高齢者数もふえ,介護保険料の増額につながることが予測されます。  本県における第4期計画期間での高齢者1人当たりの介護保険料は,都道府県別では低い方から2番目という順位でありますが,我が守谷市は県内で最高の介護保険料となっております。  今後の高齢社会を見据えると,健康で長生きできる社会を構築し,その上で介護保険財政の健全性を確保するためには,高齢者が要介護状態にならないための介護予防への取り組みは極めて重要であります。  そこで,県における介護予防への取り組みについてお伺いいたします。  守谷市では,本県独自のシルバーリハビリ体操を取り込んだ介護予防教室などにより,高齢者ができるだけ要介護状態にならないように介護予防に積極的に取り組んでおります。  しかし,この取り組みは,市民の熱意によって支えられている部分が非常に大きく,ボランティア意識だけでやっていくには負担が大き過ぎるという話も聞かれます。  もともと県事業ということで市町村によって対応に差があり,いろいろ働きかけても協力が余り期待できないところもあると聞いております。県としては,せめて,こんなにたくさんの人が参加しているとか,すばらしい予防効果が上がっているなどを,各地の指導員の活躍の様子とともに今以上に広く県民に紹介するなどの後押しをするとともに,各市町村にもこれらの指導員の活躍を強く支援してもらうような対応はできないものかと考えます。  私は,これらの介護予防の取り組みは,今後の介護保険料の抑制,ひいては介護保険財政の健全化につながるすばらしい取り組みだと評価しており,今後,一層積極的に取り組むべきだと考えております。  そこで,こういった介護予防の取り組みに県としてどのように取り組んでいくのか,保健福祉部長にお伺いいたします。  次に,高齢者の方々の権利擁護の観点から,介護付き高齢者専用賃貸住宅への指導についてのお伺いをいたします。  先日,茨城県の高齢者専用賃貸住宅に東京都の生活保護の受給者を1人30万円のあっせん手数料で仲介するという事例が報道されました。  金銭の授受はこのままでは事件にならないようでありますが,この報道が事実であれば,受給者の氏名などの管理や手数料分がサービス低下につながらないかとのおそれがあります。私は,高齢の生活困窮者の住宅問題さえ,一部とはいえ高額なあっせん手数料が介在するような,いわゆる貧困ビジネスとしてしまう社会に大きな違和感を覚えるものであります。  元気な高齢者や高齢者夫婦であっても都会の居住環境が厳しい状況でアパートの入居を断られたり,また,介護が必要な高齢者であればなおさら住み続けることが困難という現状であります。そのような現状から,一定水準を満たせば食事や介護サービスを提供しても有料老人ホームの届け出が必要ない,要介護高齢者も利用可能な高齢者専用賃貸住宅ができることになったものです。  介護付き高齢者専用賃貸住宅は今後ますますふえていくことになると思いますが,有料老人ホームとほぼ同じ内容のサービスなのに一体的な指導監査体制がとられておりません。私は,このような状況は,高齢化が加速する中で非常に問題だと考えております。  ついては,介護保険制度の中で適切なサービスの提供や処遇が行われているか指導していく必要があると考えますが,保健福祉部長の御所見をお伺いいたします。  次に,ヘッドランド周辺の水難事故防止のための安全,快適な海水浴場の積極的PRについて,商工労働部長にお伺いいたします。  もともと茨城の海岸は,北部の岩礁地帯から南部の砂浜まで約190キロメートルに及ぶ美しい海岸でしたが,港湾等の整備と時を合わせて砂が偏在するようになりました。現在,南部の海岸では砂の流失が進み,ヘッドランドや養浜による対策をとっておりますが,茨城港大洗港区では砂の堆積により船舶の航行に支障があるため浚渫を実施し,近くに積んでおります。  私は,費用などの問題はあるにせよ,浚渫の砂などは本来あった場所に戻してやるなどの対応がとれないかと思うものであります。美しい海岸線こそ茨城観光の宝であり,全国から人が呼べるブランド力のある資源であると考えております。  そのような折,先日,悲しい記事が掲載されたのであります。  ヘッドランド周辺で遊んでいた子どもが,離岸流に巻き込まれて,それを助けようとした大人とともに流され,2人が死亡し,1人が行方不明となったのであります。この子どもさんは私の友人の子どもと同級で,友人も私も大きな衝撃を受けております。  私も,サーフィンのインストラクターをしている関係上,離岸流で沖に流されてしまった遊泳者をこれまで何人も救助しています。  このような事故のたびに聞くのは,ヘッドランド周りが遊泳禁止だとは思わなかったとか,売店もあるし,道ばたの看板を見て海水浴場だと思ったとか,空いていてよいと思ったという言葉であります。公設の海水浴場以外の場所で売店や駐車場を設置しているところがあるのです。  監視体制や救急体制が完備していない海岸では海水浴客の安全を保障することはできませんが,これらの事例を取り締まったり,立ち入りを禁止したりすることはなかなか困難であると思われますので,別の観点からの対応が必要です。  私は,特に内陸部からの客に対して,本県の安全で安心して楽しめる公設の海水浴場を強力にPRし,その海水浴場に客を誘導していくことこそが安全を確保する一番の早道だと考えます。遊泳エリアがきちんと区画され,サーファーやジェットスキーとも交錯することなく,安全に楽しく海水浴ができるのが公設の海水浴場であります。監視員やライフセーバーも常駐し,駐車場もきちんと整備され,料金も適切であるということを強力に観光客に周知していくべきであると考えるのです。  また,安全・安心ばかりではなく,景色もよく,リゾート気分が満喫できるような海岸を維持し,そして,駐車場,トイレ,シャワーなどを整備して快適な海岸をつくり,鎌倉のようにあらゆる世代が海岸を訪れるような文化を茨城にもつくり,紹介していくことが茨城の海を一つのブランドとしてより強化していくことにつながり,将来は有名な宮崎県にも負けないサーフツーリズムのメッカになることを期待しています。  県では,例年,関係者による海水浴場安全対策等会議を設置していると聞きますが,私は,このような会議こそ十分に活用していくべきであり,あらゆる手段や機会を使って海水浴場の発展につなげることが水難事故の防止にもつながっていくものと考えております。  そこで,安全・快適な海水浴場の積極的なPRについてどのように取り組んでいくのか,商工労働部長にお尋ねいたします。  次に,若者が夢を持てる職業施策についてお伺いいたします。  かつては,衣食住といえば,文字どおり,衣服であり,食料であり,住居でありました。しかし,今,県政に求められているものは,別な意味合い,すなわち,医師不足などの医療の医,雇用問題などの職業の職,そして,それらを充足する充であります。  私は今回,医・職・充の,職に関してお尋ねいたします。  来春卒業予定の高校生の求人求職状況は,7月末の求人数は約13万5,000人で,前年同期比48.8%減と半分近くに落ち込み,85年卒の調査開始以降最大の減少幅,求人倍率は前年の1.31倍から0.71倍に下落し,4年ぶりに1倍を切っています。東京の2.62倍が最も高く,沖縄は0.11倍,茨城は0.61倍と,地域間での格差が目立つ結果であります。  この数字を見ましても,私は,働くということについて,会社への就職ばかりでなく,幅広い観点から職業を考えていくべきであると思っております。  そこで,まず,魅力ある農業の確立を通した担い手の確保育成の方策について,農林水産部長にお伺いいたします。  職業としての農業の魅力を知ってもらうということでありますが,これまで,農業に対する一般的なイメージは,農地制度や農村社会が閉鎖的である一方,後継者は収入の不安定さや嫁不足などを心配して農業を継ぐことをためらうことから,担い手の不足や高齢化が問題になるなど,一般的に余りよいイメージが少ないような気がいたします。  農業は,本来,国民のために貴重な食料を自然の力をフルに活用して生産し,これを日々供給していくなど,国民の生命維持や生活にとって欠かせない最も重要な産業であり,農業を守ることは日本の国土保全やCO2削減といった環境対策にもつながるものであります。  理解されてはいるものの,いざ職業選択となると敬遠されがちな傾向があると思います。しかし,昨今の未曾有の経済不況の中で,企業の大規模なリストラや派遣社員の契約打ち切りなどの現象を踏まえますと,農業は,厳しい面はあるものの不況に強く,豊かな自然に触れながら,みずからの意思で作物を選定し,生産,販売することにより,消費者に喜んで,おいしいと食べてもらえる,最も魅力ある職業であると私は考えております。  既に,県内でも農業を大きなビジネスチャンスとしてとらえ,生き生きと夢のある魅力的な農業を実践している若い農業者や農業法人がふえてきていると聞きますが,一般には余り知られていないのが現状であります。  私は,農業の担い手不足を考えるとき,従来の悪い面ばかりでなく,もっと農業の本来の姿や魅力ある農業を実践している例などを,都会の若者も含めて,より多くの人に知っていただくことが重要ではないかと考えており,県としても就農の支援をさらに後押しすべきと思うものであります。  幸い,国においては,農地法の抜本的な改正により,農業への多様な担い手の参入が可能となってきております。  そこで,魅力ある農業の確立を通して,今後どのように若い農業の担い手を確保・育成していくのか,農林水産部長の御所見をお伺いいたします。  次に,人生をたくましく生き抜くためのキャリア教育の充実について,教育長にお伺いいたします。  私は,失われた10年の真っただ中の世代であります。知人の中には,安定した企業で平穏に暮らしている人も,外資系を中心に労務や財務などの分野で高賃金を求めて転職している人もありますが,他方では,就職に結びつかず,アルバイト生活に入り,その後のいわゆるITバブルにも乗り切れなかったため,今まさに年長フリーターと呼ばれる年代に入りつつある人もいます。  私自身は,不透明な時代だからこそ自分の力を試してみたい,自分の責任で生きてみたいとの思いから,ライフワークと信ずる道で,小さいながらも起業をし,今に至るわけですが,私は,ちょうどバブル崩壊を境に,個人個人の勤労観や職業観がより厳しく問われる時代になったと考えております。  高校や大学を出て,安定した企業に入れれば安心という時代はとうに終わりました。終身雇用もなく,正規雇用の社員の比率も下がり,給与体系も多様化しているような勤務の中で自分の実力を試すのか,ものづくりの現場で自分の技術を磨くのか,社会貢献に生きるのか,考える能力を小中学生のころから身につけていく必要があると思われます。  給料割る時間の人生設計をするのか,社会貢献性割る時間の設計をするのか,選択肢もさまざまであり,県は,子どもたちのために,その選択のための能力や態度を十分に身につけさせていく方策をより充実させていくべきであります。  国では,就職氷河期の平成11年から,フリーターや無業者の増大,早期離職者など,学校教育と職業教育の接続,すなわち,学校から職業への移行に係る課題を克服するためのキャリア教育の推進が示されております。その一環として,我が地元の県立守谷高校においても,平成19年度から21年度までの期間で,キャリア教育に関する調査研究事業が実施されております。  そこで,これまでの研究の成果を御紹介いただくとともに,昨年来の就職困難期において本県の子どもたちが今後の人生をたくましく生き抜いていくためのキャリア教育の充実について,教育長にその重点施策をお伺いいたします。
     次に,しつけ,規範意識の醸成と生活指導のあり方について,教育長にお伺いいたします。  先日,県内の小中学校の一部には,トイレに入ると照明が自動的につき,用が済むと照明が消えるシステムが整備されているという話を聞きました。教育庁に伺ったところ,私の地元でも小中学校に数校あるとのことであります。また,県立高校については,112校中35校,31.3%の高校が自動照明センサー付きのトイレを整備しているということでした。  その理由を伺いますと,省エネルギーのために,学校耐震化の改築などに合わせ整備しているとのことでした。  私は,学校は,省エネを支援する場というよりは,省エネを学ぶ場であると思います。省エネルギー教育では全国にいろいろな実践例があるようです。例えば,財団法人省エネルギー協会が実施した省エネ学習事例発表全国大会の発表事例では,大分県の小学2年生が,家でしている省エネを,部屋から出るとき電気を消すよなどと発表し,学校で電気を使わないときは消しましょうと,実際に取り組むような運動が紹介されています。私は,これが本来の学校での省エネ教育の一つであろうと思います。  照明をこまめに消すなどは本来,家庭教育の中でしつけとして学んでくるはずでありますが,学校で改めて公衆道徳の一環として学習しなければならないのも,現代の多様な家庭環境ゆえからと考えております。  親が子どもに対し過度の干渉や放棄をせずにきちんとしつけ,対応していれば,子どもは親の背中を見て幸せに成長すると思います。しかし,昨今の芸能人による大麻,覚せい剤,合成麻薬などの犯罪を見るにつけ,子どもたちへの影響を懸念せずにはいられません。全国では,昨年,高校生が34人,中学生が8人も,覚せい剤で検挙されているのです。これらに対しては,興味本位であっても絶対に手を出してはいけない,強い意志を育てていく必要があると思います。  また,過度の飲酒も同様です。アルコール依存症ばかりでなく,卒業したばかりの,将来有為な学生や新入社員が,いわゆるアルコールハラスメントと言われる酒の無理強いや一気飲みで命を落とすことさえあるのです。  私は,これらに対応するためには,しつけに始まる強い規範意識の醸成を図ることが肝要であると考えております。  折しも,間もなく茨城教育月間が始まろうとしております。そこで,学校現場において,年齢に応じた生活指導を含めた,しつけ,規範意識の醸成にどのように取り組まれているのか,教育長にお伺いいたします。  次に,モンスターペアレントへの対応について,教育長にお伺いいたします。  かつては,親と学校の信頼関係が今より厚かったと聞いております。そのような時代には,子どもの給食費を納めなかったり,高校の授業料を滞納したりする親は今より少なかったのではないでしょうか。  教育庁によりますと,平成17年から19年までの3年で,給食費の未納額は毎年約8,000万円前後で推移しております。滞納者の中には,高級車に乗っているなど,払えるのに払わない事例もあると聞きます。  そのほか,担任の教師が,いただきますと言った後に,うちの子どもは給食費を払っている客なのだから,いただきますの唱和を強制しないでくれと言った事例や,子どもが病気で休んでいた日数分の給食費を返納してくれといった要求もあるそうです。  モンスターペアレントとは,学校に対し自己中心的で,理不尽な要求を繰り返す保護者を意味するものですが,モンスターという意味が一人歩きすると,理不尽ではない通常の主張や要求をする一般的な保護者や学校との関係を分断し,保護者全体の教育への発言自体を封じることにつながるおそれがあります。  しかし,現実にモンスターペアレントが一人でも出てしまうと,教師はその対応に膨大な時間を奪われ,その結果,ほかの児童生徒のために使うべき教材研究や授業準備などに充てる時間がなくなり,その影響は学校全体に広まってしまうものです。教職員のストレスなどによる心の病や自殺の問題が出てきていることからも,モンスターペアレントの理不尽な要求から教師を守らなくてはいけないと考えます。  大阪市では,モンスターペアレント対応のマニュアルを作成し,また,東京都教育委員会では,保護者や区市町村教育委員会からの相談を受けて,公平,中立な立場で助言,対応する学校問題解決サポートセンターを設置し,弁護士や精神科医,臨床心理士,警察OBなどの専門家で組織するケース会議において,当事者から意見を聞き,解決策を提示するなどの活動を開始したとのことであり,私は,本県でもこのような対応が必要ではないかと考えております。  過去の委員会での答弁などによりますと,本県では余り極端な事例はないようにも見えますが,中には,表面化せず,個別の先生のみが深く悩んでおられることもあるのではないかと考えます。  そこで,本県では,いわゆるモンスターペアレントへの対応についてどのような方策をとっていかれるのか,教育長にお伺いいたします。  次に,警察本部長にお伺いいたします。  住民にとりまして,ようやく手に入れた環境のよい住宅地で安心して暮らしたいというのは当然の願いであります。しかし,守谷に住む県民にとっていささかショッキングな統計が示されております。  すなわち,守谷市は,警察署が設置されていない市における1万人当たりの刑法犯認知件数が県内第2位,市町村別の犯罪率は県内全市町村中第6位というのであります。中でも侵入犯罪については,TXが開通した平成17年に空き巣が117件まで増加したり,住居侵入が30件まで増加してしまいました。その後は,パトロールの強化などが功を奏し,突出した増加はなくなっておりますが,今やTXの沿線は都市の犯罪の通勤圏とも言える状況と言えると思います。  TXの沿線の住宅地は若い勤め人で共働きも多く,日中には人がいない家がほとんどであります。隣近所とのかかわりもそれほど深くないため,空き巣も入りやすく,また,逃げやすい。さらに,組織犯罪の拠点にもなり得る可能性もあるとのことであり,今後のまちの発展可能性の上から考えてもいささか懸念を持つところであります。  今後,私たち住民は,コミュニティー活動を活性化し,パトロールなどにより,皆で犯罪を見逃さないまちづくりをしていくことが必要と考えていますが,警察官の増員やスクールサポーターの充実,交番相談員の充実に努めていただくとともに,現在,市であって警察署が存在しない我が守谷の特殊性にぜひ配慮していただくことが必要であります。  現在の警察施設再編整備計画は平成22年度までの計画ですが,地元では,今後の取手警察署の建て替え時の守谷市側移設を初め,交番,駐在所の新設,再編,パトロールの強化に向けた人員体制などを求める声が高まっております。  そこで,今後の県境地域における治安の確保についてどのように取り組んでいくのか,警察本部長にお伺いいたします。  以上で,質問を終わります。御清聴まことにありがとうございました。(拍手) 44 ◯議長(葉梨衛君) 梶岡博樹君の一般質問,質疑に対する答弁を求めます。  橋本知事。                     〔橋本知事登壇〕 45 ◯橋本知事 梶岡博樹議員の御質問にお答えいたします。  未来の県南像についてお尋ねをいただきました。  現在の総合計画におきましては,本地域は,科学技術や交通基盤を生かした産業の振興,東京圏と交流する活力ある都市圏の形成,筑波山等の自然環境を生かした多様な交流空間の形成を図る地域として位置づけられております。  現在の状況でございますが,例えば,科学技術を生かした産業の振興について見てみますと,サイバーダイン社など筑波大学発ベンチャー企業数が全国第2位となるなど,ベンチャー企業の数は計画の目標数値に対し順調に増加をしております。  また,つくばエクスプレスの1日当たりの乗車人員も,計画の目標数値である27万人に到達しておりますし,つくばサイエンスツアーの見学者数についても既に目標数値である年間60万人を上回っているなど,地域全体としてはおおむね数値目標が達成されており,一定の成果が上がっているところであります。  毎年実施されている全国の都市を対象にした住みよさランキングにおきましても,守谷市,つくば市及び牛久市が100位以内に入るなど高い評価を得ている地域となっており,おおむね総合計画に沿って着実に発展してきております。  次に,未来の県南地域についてでございます。  今後,県南地域におきましては,企業,大学,公的研究機関のネットワーク化が進むことにより知的資源や研究インフラの有効活用等が図られ,新しい産業や技術の創出が大いに期待されているところであります。さらに,東海・つくば・東京の科学技術連携軸の強化により最先端科学技術拠点が形成されてまいります。私は,つくばを中心とする県南地域を科学技術創造立国日本を支えるための重要な拠点にしていきたいと考えております。  また,東京圏との交流拡大等を通じて新たなにぎわいが創出されますとともに,つくばエクスプレス沿線におきましては,自然と都市機能の調和を楽しむ中で,つくば国際音楽祭やアーカス活動など文化・芸術活動の盛んな魅力あふれる新しい街が形成されていくものと考えております。  一方で,稲敷地方などでは,圏央道を生かし企業立地が進みますとともに,首都圏の食料供給基地として発展していくことを期待しております。  私といたしましては,地域住民の方々が,教育や医療はもちろん,ショッピングや娯楽も含め,さまざまな都市機能を享受できるような環境をつくり上げていくためにも,この地域が将来,政令指定都市に移行していってほしいと考えているところであります。  このような県南地域の姿を思い描いておりますが,御指摘も踏まえ,茨城県に愛着を持ってもらえるよう,県の考え方や取り組み等について,若者を初め地域の方々にわかりやすく伝えるよう工夫してまいりたいと存じます。  なお,私は,協議会の会長として首都圏広域地方計画の策定に携わってまいりました。御質問の中で,県南地域はまさにこの圏域内に位置しており,住民は首都圏としての住民意識を持つ人がほとんどとの指摘がありましたが,この計画では,県北,鹿行,県西も含め,茨城県全域を広く首都圏としてとらえているところでございまして,県南地域を特に区別しているわけではありませんので,御理解をいただきたいと存じます。  また,議員の地元であります守谷市は,いわゆる宅鉄法に基づきTXが整備され,大都市地域への通勤層を住民として迎え入れておりますところから,新しく転入してきた人も多く,本県への帰属意識を醸成するまでにはそれなりの時間を要しているものと思われます。  したがいまして,私どもも精いっぱい努力してまいりますが,梶岡議員にもTXの建設に当たりましては膨大な茨城県のお金が投入されているということを十分肝に銘じていただきまして,地元の市長と力を合わせて,ぜひ地域の一体感や茨城県への愛着心をできるだけ早く住民の方々に持ってもらえるよう,御尽力をお願い申し上げます。 46 ◯議長(葉梨衛君) 次に,福田企画部長。                    〔福田企画部長登壇〕 47 ◯福田企画部長 つくばエクスプレスの東京延伸と利便性の向上についてお答えいたします。  まず,東京延伸の取り組み状況についてでございます。  TXの乗車人員はこの4月から8月までの1日平均で27万1,000人となり,東京延伸の前提とされています年間1日平均27万人の達成も目前に迫っているところでございます。  しかしながら,東京延伸の実現には,整備スキームや延伸による鉄道会社の経営見通しの検討,さらには関係自治体の合意形成など解決しなければならないさまざまな課題もあるところから,県では,昨年度から都県に働きかけを行い,現在,関係都県,鉄道会社,国と一緒になり,実現に向けた検討を重ねているところでございます。  県といたしましては,東京延伸は都心直結による沿線地域のイメージアップに大きく寄与しますことから,今後も引き続き協議を進め,一日でも早く実現しますよう努力をしてまいりたいと考えております。  次に,秋葉原駅の具体的な利便性向上策についてでございます。  現在,秋葉原駅におきましてはラッシュ時にかなりの混雑が発生していますことから,鉄道会社では,来年度,ホーム階から改札階までのエスカレーターを増設するほか,平成24年度を目途に地下通路やエレベーターの増設を行うなど,混雑緩和とJR等への乗りかえの利便性の向上に取り組むこととしております。  県といたしましては,今後とも,TX利用者の利便性向上が図られますよう鉄道会社に働きかけてまいりたいと存じます。 48 ◯議長(葉梨衛君) 次に,須藤土木部長。                    〔須藤土木部長登壇〕 49 ◯須藤土木部長 新大利根橋有料道路の無料化についてお答えいたします。  地方有料道路には,利用が好調な路線と収支の厳しい路線とのバランスを図りながら安定した経営を行っていくために,個別路線について償還が完了した後においても一定の範囲で料金が徴収できる,いわゆる公差制度が設けられております。  新大利根橋有料道路につきましては,平成20年度に償還が完了した後もこの制度を適用し,料金徴収を継続させていただいているところでございますが,国から許可を受けました徴収期間は来年の4月16日までであり,4月17日からは一般の県道として無料で通行できることとなっております。  当有料道路は,地域住民の日常生活や県境を越える広域的な移動のために重要な路線であり,さらに,早期無料化につきましては,有料道路開業以来30年にわたり利用されました地元の皆様から強い要望を受けているところでもございます。  今後,無料化後にこの道路を管理する竜ケ崎工事事務所や千葉県との調整など関係機関との協議を踏まえる必要がありますことから,本年度末に無料化できるかどうか検討してまいりたいと考えております。  次に,県道取手豊岡線の混雑緩和に向けた取り組みについてでございます。  県道取手豊岡線は,沿道には工場や住宅団地が立地し,通勤通学や日常の買い物などに利用される生活道路であることから,県道つくば野田線との菅生南交差点や滝下橋付近は朝夕を中心に混雑しております。特に鬼怒川に架かる滝下橋は,幅員が5.5メートルと狭く,大型車同士がすれ違えないため混雑の原因となっていると認識しております。  混雑を緩和する抜本的な対策としましては,取手豊岡線のバイパスとして機能する都市計画道路供平板戸井線の整備などが考えられますが,それには多大な事業費がかかり,完成までに長期間を要することとなります。また,現在の滝下橋は築50年を経過しておりますが,調査の結果,まだまだ健全な状態であります。  これらのことから,当面の対策として,滝下橋を通る大型車が他の路線に迂回しやすいよう,現在,迂回路として想定される国道294号と県道つくば野田線の小絹東交差点で左折レーン設置事業を実施しております。  今後の総合的な対策につきましては,迂回ルート及び迂回先の交差点対策などの詳細な検討や,沿道及び利用者の方々の御理解,御協力を得ることなどが不可欠となってまいりますので,関係機関などと協議を行い,滝下橋周辺の混雑緩和に向けて検討を進めてまいります。 50 ◯議長(葉梨衛君) 次に,山口保健福祉部長。                   〔山口保健福祉部長登壇〕 51 ◯山口保健福祉部長 今後の高齢社会を見据えた対応についてお答えいたします。  まず,介護予防への取り組みについてでございます。  県では,高齢者の介護予防を目的に,だれにでも,どのような姿勢でもできるといった特徴を持つシルバーリハビリ体操の普及に積極的に取り組んでいるところでございます。  この体操の普及活動を担うシルバーリハビリ体操指導士は現在2,700人となっており,平成20年度には延べ24万人の高齢者がリハビリ体操を受講いたしました。  県といたしましては,平成27年までにこの指導士を1万人養成することを目標としておりますので,今後,各地域でリハビリ体操を受講する高齢者がさらにふえ,介護予防のすそ野が格段に広がるものと期待しております。  さらに,シルバーリハビリ体操のパンフレットを作成し指導の際に活用したり,指導士の活躍や受講者の様子を紹介するなど,シルバーリハビリ体操の普及がより一層図れるよう支援してまいります。  また,県民がウォーキングを通じ,家族や仲間とともに安全に楽しく健康づくりに取り組めるようヘルスロードを指定しておりますが,平成24年度までに総延長1,000キロメートルを目標としており,より多くの方々に利用いただけるよう推進してまいります。  介護予防については地域のニーズに応じた特色ある取り組みが重要ですので,直接担当する市町村や地域包括支援センター職員に対する研修会や先進事例集の作成などを通して活動を支援してまいります。  県といたしましては,今後とも市町村や関係団体と連携し,介護予防を一層推進することで高齢者の方々ができるだけ要介護状態にならずに元気で生活できる社会づくりを進めてまいります。  このような地道な取り組みが介護保険財政の健全化にも寄与するものと考えております。  次に,介護付き高齢者専用賃貸住宅への指導についてでございます。  高齢者専用賃貸住宅は,ことし9月末時点におきまして県内で27カ所743戸が登録されており,そのうち8カ所271戸が介護付きの適合高齢者専用賃貸住宅として届け出されております。また,新規相談の件数も多いことから,今後もさらなる増加が予想されます。  適合高齢者専用賃貸住宅につきましては,訪問介護など外部からのサービスと設置者が提供する保険外のサービスを組み合わせることで,有料老人ホームと同種のサービスを提供できる仕組みであるにもかかわらず,議員御指摘のとおり,入居者の処遇確保を図るために必要な立ち入り権限などが行政に与えられておりません。そのため,現状では間接的に訪問介護事業所などへの指導監査を行っておりますが,利用者の居室の状況が確認できないため,虐待の防止など権利擁護という面からは十分とは言えないのが事実でございます。  このようなことから,国に対し,有料老人ホームなどと同様に直接的な指導監督ができるよう,立ち入り権限の付与を初めとする法改正を要望しているところでございます。  県といたしましては,関係市町村と連携しながら情報の共有に努め,必要に応じて訪問するなど,できる限り入居者の権利擁護が図られるよう取り組んでまいります。 52 ◯議長(葉梨衛君) 次に,細谷商工労働部長。                   〔細谷商工労働部長登壇〕 53 ◯細谷商工労働部長 ヘッドランド周辺の水難事故防止のための安全・快適な海水浴場の積極的PRについてお答えいたします。  例年6月から8月にかけましての夏の観光シーズンは1年のうちでも観光客が最も多い時期に当たりまして,約144万人の方々が地元市町による公設の海水浴場を訪れているところでございます。  公設の海水浴場は,設置している市町が潮流等の安全面を踏まえ適地を判断していることに加えまして,監視員等の常駐により事故の発生しにくい管理体制がとられておりますことから,県といたしましては,海水浴を安全に楽しんでいただくため,公設海水浴場を利用していただきたいと考えております。  このため,公設海水浴場につきまして,テレビによる紹介のほか,インターネット,新聞,雑誌などさまざまな媒体を活用し,位置,駐車場収容台数,料金等の情報を含め積極的なPRを行ってきております。  今後は,これらの情報提供に加え,公設海水浴場の安全性について十分な理解が得られますよう努めてまいりたいと考えております。  また,公設海水浴場周辺におきましては地元市町により案内看板などが設置されているところでございますが,一部には設置が必ずしも十分でない市町もございます。このため,県で設置しております海水浴場安全対策等会議の場などを活用しながら,これら誘導案内看板の充実について地元市町に対し働きかけてまいります。 54 ◯議長(葉梨衛君) 次に,永見農林水産部長。                   〔永見農林水産部長登壇〕 55 ◯永見農林水産部長 魅力ある農業の確立を通した担い手確保育成方策についてお答えいたします。  若い世代の方々に農業の魅力を感じてもらい,職業として選択してもらえるようにするためには,所得もさることながら,自然の中でみずからの裁量で経営を行い,生命の源である食料を生産するという農業ならではの魅力を積極的にPRすることも必要なことと認識しております。  他方,現実に就農する際には,経営の基盤となる農地の確保や,施設,機械を整備するための資金,種まきから収穫に至るまでの各種技術や知識など,克服すべき課題は大変多いものと認識しております。  このため,県といたしましては,農業に夢を抱く若者が着実に農業経営を開始できるよう,相談窓口を設置して事前の計画を入念に練ったり,農業法人などで実践的な技術を習得できるOJT研修を行っております。  また,地元市町村,JAなどが協力して,農地や住居,販売先の確保,無利子資金の融通などきめ細かな支援を行い,一人でも多くの方々に農業に取り組んでいただけるよう努めているところでございます。  さらに,今年度は,農業に興味を抱く都会の若者を積極的に勧誘できるよう,新たに本県での就農を支援するコーディネーターを都内に配置し,茨城農業のPRやシンポジウムなどを合わせた就農相談会を開催することとしております。  これらの取り組みを通じて若い世代の方々にも農業の魅力をPRするとともに,就農後も定着が図れるよう支援,指導に努め,本県農業の担い手の確保・育成を図ってまいります。
    56 ◯議長(葉梨衛君) 次に,鈴木教育長。                    〔鈴木教育長登壇〕 57 ◯鈴木教育長 人生をたくましく生き抜くためのキャリア教育の充実についてお答えいたします。  経済不況が続く中,来春卒業予定の高校生の7月現在の県内求人倍率が0.61倍にとどまるなど,高校生の就職環境につきましては大変厳しい状況にあるものと認識しております。  このような厳しいときこそ,望ましい勤労観,職業観をはぐくむキャリア教育が大変重要になってきていると考えております。  まず,守谷高校におけるキャリア教育の在り方に関する調査研究事業の成果についてでございますが,起業経験者を招いて職業相談や進路講話などを積極的に実施し,社会で求められている人間像やモラル,常識などについて指導した結果,生徒の卒業後の進路希望が明確になったり,生徒が進路実現に向けて意欲的に行動するようになったりしております。  この事業の成果等につきましては,今年度中に取りまとめた上で,すべての県立高等学校に発信し,キャリア教育の充実に生かしていきたいと考えております。  次に,主体的に進路を選択するための資質や能力をはぐくむキャリア教育の重点施策についてでありますが,社会における体験的な取り組みが有効でありますことから,小学校では職場見学,中学校では社会体験事業,高等学校ではインターンシップなどを実施しております。  また,働くことの意義を深く考えさせることも大事でありますことから,高等学校での指導と企業における実習を関連づけたデュアルシステムや,地域産業担い手育成事業を実施しております。これらの施策により,職業人として必要な心構えが育成され,職業に向き合う意識の向上を目指しているところでございます。  県といたしましては,今後とも,産業界及び地域社会との連携を深め,インターンシップやデュアルシステムの拡充,社会人講師の活用などにより,なお一層キャリア教育の充実に努めてまいります。  次に,教育行政についてお答えいたします。  しつけ,規範意識の醸成と生活指導のあり方についてでございます。  しつけ,規範意識につきましては,人間がよりよく生きていくために社会生活において大切なものであり,さまざまな機会をとらえて児童生徒に身につけさせる必要があると認識しております。  このため,県といたしましては,道徳の授業や,みんないっしょにマナーアップ推進事業を通して,小,中,高とそれぞれの年齢に応じて,しつけや規範意識の醸成に取り組んでおります。特にしつけにつきましては,小学校低学年において,登下校時のあいさつや正しい言葉遣い,また,時間を守ることなど基本的生活習慣をきちんと身につけさせることに努めております。  規範意識の醸成につきましても,主に小学校高学年においてダメなことはダメの指導を行っておりますし,中学校,高等学校においては,学校周辺でのあいさつ運動や清掃活動,地域におけるボランティア活動などを通して規範意識の醸成を図っているところでございます。  これらの取り組みにより,本年6月に高校生を対象に実施しました生徒意識調査においては,場面に応じたあいさつをする,時間を守って行動する,ごみをきちんと分別する,などの項目で意識が向上してきている結果となっております。  なお,議員御懸念のトイレの照明の自動センサー化の意義等につきましては,学校における省エネルギー教育の中で,児童生徒の理解を図ってまいります。  今後ともこうした取り組みをより一層充実させ,児童生徒が大人になってもみずからを律することができるよう,生活指導を含めたしつけ,規範意識の醸成に努めてまいります。  次に,モンスターペアレントへの対応についてでございます。  本県におきましても,学校に対して理不尽な要求などを繰り返し行う,いわゆるモンスターペアレントと呼ばれる保護者に関する報告例があるところでございます。  具体的な例といたしましては,朝,子どもを学校に送り出さない保護者に対して教員が登校させるよう求めても,そんなに登校させたいなら先生が迎えに来いなどと言ってきたケースや,子ども同士のけんかで保護者が,けんかした相手を転校させろと繰り返し要求してきたケースなどがあったところであります。  保護者からの理不尽な要求等があった場合の対応についてでございますが,まず,問題が発生したときにはなるべく教員一人で対応するのではなく,校長を中心として組織的に対応することとしております。それでも学校内での解決が困難な場合は,市町村教育委員会が直接の窓口となって問題解決に当たり,必要に応じて弁護士等の専門家の助言を受けながら対応してまいります。  さらに深刻化したケースの場合には,教育事務所の生徒指導相談室などが問題解決に向けた助言等を行っております。  特にこのような問題の解決のためには学校における初期対応が大切でありますので,現在,県におきましては,要望や苦情に対応する基本的な考え方や対応のプロセス,ケース別の対処法などを盛り込んだ,学校向けの保護者対応の手引を作成しているところでございます。  また,議員御懸念のとおり,教員のメンタルヘルスや業務の軽量化の視点からも大変重要でありますので,今後は,問題解決に向けた組織的な相談体制の充実などにつきまして研究してまいりたいと考えております。 58 ◯議長(葉梨衛君) 次に,小風警察本部長。                   〔小風警察本部長登壇〕 59 ◯小風警察本部長 県境の治安の確保についてお答えいたします。  千葉県との県境にある守谷市は,平成15年には刑法犯認知件数が1,424件と過去最高を記録いたしました。このため,警察では,パトロールの強化や地域住民と連携した防犯意識向上のための諸活動を推進し,また,平成17年に守谷地区交番の移設や南守谷交番の開設などの諸対策を推進してきたところであります。この結果,昨年の刑法犯認知件数は平成15年に比べ4分の1近く減少しております。  しかしながら,議員御指摘のとおり,本年9月末現在の守谷市の犯罪率は県内全市町村中第6位となっております。このため,警察といたしましては,今後とも,犯罪情勢の推移に応じた体制の整備や本部執行隊等による機動力を生かしたパトロール強化に努めるとともに,地域住民と一体となった犯罪抑止活動等を推進し,安全で安心して暮らせる地域社会を確立してまいりたいと考えております。           ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 60 ◯議長(葉梨衛君) 以上で,本日の日程は全部終了いたしました。  次回は,明10月15日,午後1時から本会議を開き,一般質問,質疑を続行いたします。  本日は,これにて散会いたします。                     午後4時33分散会 Copyright © Ibaraki Prefectural Assembly, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...