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  1. 茨城県議会 2009-03-04
    平成21年第1回定例会(第4号) 本文 開催日: 2009-03-04


    取得元: 茨城県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-09
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 平成21年3月4日(水曜日)午後1時1分開議          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◯議長(葉梨衛君) これより本日の会議を開きます。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 森田茂氏逝去の報告 2 ◯議長(葉梨衛君) 議事に入るに先立ち,謹んで御報告申し上げます。  筑西市出身の洋画家で文化勲章受賞者でもあります名誉県民の森田茂氏には,去る3月2日に逝去されました。まことに痛恨のきわみであります。  ここに謹んで哀悼の意を捧げるものでございます。  ここで,森田茂氏の御功績をしのび,黙祷を捧げます。  総員,御起立をお願いいたします。                     〔総員起立〕 3 ◯議長(葉梨衛君) 黙祷を始めます。黙祷。                     〔総員黙祷〕 4 ◯議長(葉梨衛君) 黙祷を終わります。御着席ください。                     〔総員着席〕 5 ◯議長(葉梨衛君) これより議事日程に入ります。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 日程第1 第1号=ないし=第80号議案,報告第1号 6 ◯議長(葉梨衛君) 日程第1,第1号議案ないし第80号議案及び報告第1号を一括して議題といたします。          ──────────────────────────────
    県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑 7 ◯議長(葉梨衛君) これより県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑を許します。  福地源一郎君。                 〔23番福地源一郎君登壇,拍手〕 8 ◯23番(福地源一郎君) 自由民主党の福地源一郎であります。一般質問冒頭の機会を与えていただきました我が党の先輩議員,並びに同僚議員に感謝を申し上げながら,通告に従い一般質問を順次行いますので,明快な答弁を求めるものであります。  今定例会に付されました予算案は,世界的な景気低迷により,製造業を中心に,ほとんどの企業の収益悪化に伴う税収減に陥り,県政史上過去最大となる県税収入のマイナスが688億円となってしまいました。  一方,国から交付されます交付税は,国の地方財政対策で1兆円増の措置がなされたために,本県分は130億円増になりました。さらに,国に認めていただく臨時財政対策債の倍増をいただき,662億円と,このように計上されましたけれども,歳入全体では地方譲与税を合わせて6,210億円にしかなりませんので,なお不足する財源を,基金を繰り入れ,または繰替運用しなければならないという危機的な状況は今もって変わらないわけでございます。  この経済金融危機がもたらした世界経済危機に対する知事の認識について,まずお伺いをいたします。  もう耳にたこができたぐらい,米国のサブプライムローン問題と,アメリカ証券大手のリーマン・ブラザーズの経営破綻をきっかけに,世界の金融システムが混乱し,我が国の金融環境は厳しい状況が続いております。  そのような中,昨年10月から12月期の国内総生産は,実質年率マイナス12.7%と,記録的な大幅な落ち込みをしたと,内閣府が速報値を発表いたしました。この日本のマイナス幅は,アメリカの同期のGDPやユーロ圏15カ国のマイナスと比較いたしますと際立って大きく,日本経済の危機的状況を示すものとされております。  ヨーロッパの大手銀行の12月期の決算でも,記録的な赤字が続出しております。英ロイヤル・バンク・オブ・スコットランドが同国の企業として過去最大の241億ポンド,3兆3,500億円,スイスのUBSも196億フラン,1兆5,400億円,ドイツ銀行も戦後初めて赤字を計上いたし,フランスのBNPパリバも61%の減収と,軒並み不振に陥ったところであります。このように,我々を取り囲む経済制度の本質というものが明らかになってきたのではないでしょうか。  特に金融市場は,人が働いて価値ある産物やサービスを提供する「本来の経済」,いわゆる実体経済とは異なり,金が人から人へ流れるだけのものであり,社会に役立つものを生み出さないというマネーゲームということであります。  このように,世界の経済が完全に麻痺していると思われる中,ドイツでは再びマルクスの「資本論」が論議されているという報道を耳にしたとき,40年前,大学紛争が激しさを増し,左派右派を問わず知識人が「革命」を唱えあおっていた記憶を思い出したのであります。御案内のとおり,その結果は幻想でありました。  一方,世界じゅうの政府が膨大な税金を投じて企業を救済する事態に陥っていることを見ますと,アダム・スミスが「国富論」で唱え,着実に定着した感がありました資本主義の経済,自由市場ももはや幻想であったのかとの思いを抱かざるを得ないと思います。世界経済の混乱は,世界の政治の混乱を引き起こしてきた歴史がありますように,社会の不安定化を招き,我々の生活にさまざまな影響を及ぼしております。  そこで,昨今の世界経済の混乱の状況について,知事はどのように認識をされているのか,御所見をお伺いするものであります。  次に,国と地方のあるべき姿についてお尋ねをいたします。  我が国には,地方分権を初めとして国家体制や年金,医療,教育,労働,雇用などの社会制度,さらには公務員のあり方など,多くの分野で大胆な改革が求められておりますが,その改革は緒についたばかりであります。  世界同時不況の危機が,こうした改革の流れの妨げになってはならないはずであります。こうした困難な時期にあってこそ,本物の構造改革が求められるのではないでしょうか。橋本知事は学生運動の全盛時に国家公務員を志し,自治官僚として中央から地方を見て,さらに知事として今日,地方から中央を見ておられるわけであります。そのような立場にある知事であるからこそ,本格的な構造改革が待たれる中,中央から見た地方の役割と,地方から見た中央,つまり霞ヶ関の役割は何であるか,強い思いがあると確信しております。  そこで,国と地方のあるべき姿について,どのような考えをお持ちなのか,御所見をお伺いするものであります。  次に,経済対策についてお尋ねいたします。  県セーフティネット融資の効果についてであります。商工労働部長にお伺いいたします。  昨年9月に破綻しましたアメリカ証券会社の影響は,我が国の経済を牽引してきました輸出産業を中心に,製造業と,それを支えてきた中小企業が減産の連鎖を引きずって,経営悪化,雇用調整としてあらわれてまいりました。  昨年10月末に開始されました国の緊急保証制度や,それを受け経済対策として創設いたしました県のセーフティネット融資緊急保証枠について,2月末の利用状況報告では,緊急保証制度全体で7,677件,981億円余,そのうち県セーフティネット融資緊急保証枠が2,785件,445億円となっておることが報告されました。特に県のセーフティネット融資緊急保証枠については,昨年の年間実績の4.8倍にもなっておるわけで,大変経済状況が悪いということが伺われるわけであります。  また,緊急保証制度全体の保証申し込みと,保証承諾の状況を見ますと,審査未了の案件も含まれるとしても762件に達し,中には融資が受けられず苦慮している企業も仄聞しているところであります。  そこでお尋ねするのは,まず,セーフティネット融資緊急保証枠が,仕事や雇用に対してどのような効果があるものと考えておられるのか,お伺いいたします。  次に,今回,追加融資を受けることが困難な事業者がいる実態を踏まえますと,事業の継続を支援するためには,既存借入金の返済負担軽減も重要と考えるものでありますが,県の対応について,あわせてお伺いするものであります。  次に,経済対策等の効果と非正規労働者への対応について,理事兼政策審議監にお尋ねいたします。  現下の厳しい経済雇用情勢を踏まえて,国において追加経済対策が打ち出されました。本県には124億4,000万円の交付金が配分される見込みで,今定例会に関連予算案,条例案が提案されております。本県でも,これら交付金の活用により,経済対策や雇用対策などを講じて,地域経済の活性化や県民の生活の安定確保に努めていくものと考えておりますが,どのような効果を期待しているのか,お伺いをするものであります。  また,今回の景気落ち込みにより最も影響を受けたのは,派遣切りや雇いどめとなった非正規労働者の方々にほかなりません。失業者対策が各自治体で実行されておりますが,正規職員への応募は大変多くある一方,期間限定の募集には応募が少ないと報道されているところでありますので,本県ではこの交付金を活用した施策として,雇用・研修一体型事業を掲げ,正規雇用につなげようと考えているようでありますので,人が集まるのか懸念されるところであります。  ついては,本県の失業者がどの程度予測されているのかとあわせて,この事業の成功に向けての取り組みについてお伺いをするものであります。  次に,定額給付金の活用についてお尋ねをいたします。  トヨタショックといわれ,世界の超優良企業でさえ,創業以来の赤字に転落する状況と,雇用調整にまで及んできますと,体感不況感は実際以上に強まっているような気がいたしますが,過剰反応であるという人もございます。解雇と契約解除によって,勤労意欲のある人たちがホームレス化する姿に,先行きの不安を感じたのは,私一人ではないと思います。  政府では,このような状況をかんがみ,定額給付金を全国民一律個人に支給する決定をいたしました。この2兆円分の税金で行われる定額給付金は,交付税と同意義のものと私は解釈しておるところでありますので,社会全体のために有効に使用する方策を提案したいと,このように思うのであります。  日本国憲法第25条には,「全ての公務員は,全体の奉仕者であって,一部の奉仕者ではない」と定められております。その公務員が事務事業を遂行する判断する価値観が公正であると,フェアネスであるということを私たちは教えられてまいりました。  本県の財政状況を考慮するとき,県民のために英知を結集し政策立案する公務員としては,ふるさと納税など,人の善意に頼ることを求めておりますけれども,みずからの意思を示し,ふるさと納税に拠出するべきだと,このように考えるものであります。  福沢諭吉展が今開催されている折でありますので,「福翁自伝」や「文明論之概略」など,公の大事さというものを改めて見直したところでありまして,私的利益のための自由ではない,また,私徳偏重の批判,公の理念とその優先順序というものを述べておるわけであります。  そのほか,古来の事例に,将軍徳川吉宗への意見書として,荻生徂徠が書き記しました「政談」という書物がございます。その中で「国の政治がうまく成り立つには富が豊かになる必要がある。困窮極まり生活の糧がなくなれば,礼儀も,国と国をつなぐ綱の法も危うくなる」と警告しております。困窮を救う道は,お上の救いに頼り,金銀をばらまけば救済できた気分になろうが,蔵の金を出し尽くしても,結局はもとの困窮に戻ると。  このような事例を考慮しますと,やはり,県の職員,公務員たるものは,必要な基金を積み上げるためでなく,ふるさと納税に拠出すべきと思うのでありますが,そういう気持ちのある職員が大勢いるというお話も仄聞いたしましたので,この考え方について,今,出席説明員として一番長くおられる,そして私が日ごろから敬愛をし尊敬を申し上げております角田副知事に,御所見をお伺い申し上げます。  医療・福祉の行政課題についてお伺いします。  初めに,医師確保と病院連携についてお尋ねいたします。  救急や周産期医療など地域医療が,まさに崩壊の危機に瀕している背景は,医師の絶対的な不足と,病院勤務医の疲弊と,新たな研修医制度などによる都市部への医師の集中と偏在にあるということは,御案内のとおりであります。  国は,これまでの閣議決定を改め,「早急に医学部の入学定員数を過去最大程度まで増員する」ことに決定いたしました。来年度は過去最大の8,486名の入学定員となり,本県の唯一医育機関であります筑波大学において,緊急医師確保対策として,昨年6月に本県出身者の地域枠5名が設けられたことに続き,12月には3名の追加定員増が図られました。この医師確保対策が実現されたことを高く評価したいと思っております。  しかしながら,医学部を卒業するのは6年後であり,その後の臨床研修期間を考えますと,医師養成には10年程度が必要とされることから,早急な医師確保にはほど遠いものがあります。やはり,人的・技術的な資源を活用した即効性のある支援策は,県内大学,さらには大学病院との連携が必要であると考えます。  来年度予算の中に,筑波大学と東京医科大学に県内医師不足地域における医師確保を研究する県の寄附講座を設ける提案説明がございました。大いにその成果を期待するところでありますので,両大学との連携・協力による医師確保の進め方を具体的に保健福祉部長にお伺いするものであります。  次に,総務省が求める公立病院改革プランについてであります。  我が国が医療,福祉の制度改革に伴い,さまざまな弊害をもたらしております。特に地方の病院の医師不足による患者減少と診療報酬の引き下げが,病院の救急医療や診療科の休診,廃診にまで加速してきております。この改革が公営・民営にかかわらず医療機関,病院の経営を圧迫しているという大きな素因でございます。  このような状況のもと,厚生労働省は,医師臨床研修医制度の見直しを検討されておりますが,一方総務省では,2007年12月に策定しました「公立病院改革ガイドライン」に基づいて,赤字の公立病院,市町村病院の経営の見直しをするための「改革プラン」を,今月,3月中に策定し,提出するよう求めております。地域住民が期待しております地域医療は,住民不在であってはならないと思うのであります。市町村立病院経営改革プランの策定内容についても明らかにしていく必要があると思います。  また,総務省は,県にも病院の再編,ネットワーク化の策定を求めております。このネットワーク化についても,医療の効率化など効果を明確にする必要があります。そこで,これらの県の考え方と進め方について,保健福祉部長にお伺いいたします。  次に,福祉施設の経営安定化策についてお尋ねいたします。  厚生労働省の2007年国民生活基礎調査によりますと,高齢者が高齢者を世話している70歳以上の「老老介護」世帯の割合が3割を超えたことが発表されております。昨日のNHKのテレビによりますと,老老介護のうち,痴呆に陥った方の悲惨さを訴える放送がございました。また夫婦両方,どちらかが65歳以上か65歳以上の単身で暮している世帯も1,000万人を超えたと,このように発表され,高齢世帯の過半数が生活が苦しいと感じるなど,超高齢化社会の深刻な生活実態も明らかになってきております。  一方,要介護者が利用希望します特別養護老人ホームや訪問介護など,介護サービスを提供する事業所の経営悪化も厚生労働省の「介護事業経営実態調査」によって明るみになってきております。  さらに,私たちが頼りにしております,希望を持って介護という職業を選択した若い人たちであっても,低賃金と過重労働も加わって退職する人がたくさん出てきております。そのような背景があり,かつては大人気でありました「介護福祉士」の国家資格を目指す学生が,定員2万5,407人であるところ,入学したのは1万1,638人と過半数を割り切ったようでございます。介護専門職の定員割れが続きますと,労働力不足が懸念され,サービスの維持,介護保険制度の存立基盤が危惧されるところであります。  そこでお尋ねするのは,本県の介護事業所の経営悪化の現状について,どのようになっているのか,お伺いするものであります。  また,介護事業所経営安定化策について,何か考えがあるのかもお伺いいたします。  あわせて,不足する介護労働力人材確保策と育成事業についてはどのように考えておられるのか,保健福祉部長にお尋ねいたします。  次に,医業類似行為の対応についてお尋ねいたします。  法治国家の我が国は,憲法・法律に準拠し条例規則など罰則を付し施行しているのは御承知のところでございますが,法は国民等しく権利と義務と身分を保障するものであり,それが社会生活の秩序を図るとともに,国民を犯罪から守り,社会共同生活の向上発展を目的とするものであります。  しかし,現在の我が国は,食品偽装や振り込め詐欺など,法の盲点をつく事案も多発しており,安心して暮らすことに不安を感じるところであります。  一方,法の不備による,長期にわたり解決されていない事案があることを御存じでしょうか。  私たち国民の権利と義務とにより,みずからの職業を選択するとき,公の定めたところによって国家資格を取り,規則に基づいて届け出をいたし,誇りと希望と責任を自覚して職務に精励するのでございますが,無資格者による医業類似行為の事案が半世紀も放置され,今日まで何ら法的対策がなされていない現状がございます。  本県議会では,平成16年第2回定例会において,「あん摩マッサージ指圧師,はり師,きゅう師等に関する法律の整備を求める請願」を採択していただき,内閣総理大臣を初め,関係大臣あて意見書を提出したところでございます。あんま,マッサージ師,はり師,きゅう師及び柔道整復師は,医師に劣らず人の身体,生命を取り扱う一定の技術を要する仕事であり,法律で医師以外であんま,マッサージ,指圧,はり,きゅう,柔道整復術を行う場合には,これらの免許を必要とすると規定されております。  そこでお尋ねするのは,昭和22年に「あん摩マッサージ指圧師,はり師,きゅう師等に関する法律」が施行して以来,既に昭和27年には厚生省から医業類似行為の違法行為についての通達があり,以後,これまでに厚生労働省の「医業類似行為に対する取り扱い」でも,無資格でこれらの行為を業として行った者は,処罰の対象となる旨の通知,通達が出ておるわけであります。  そこでお尋ねするのは,本県では昭和35年の最高裁判例を受け,さらにこれまで厚生労働省の通知通達に基づいて実態調査,行政監視指導を行うべきだと考えますが,これまで一度も実施した形跡がございません。本県として無資格医業類似の調査すべきと考えますが,保健福祉部長の御所見をお伺いいたします。  次に,消費者に誤認を与える表示への対応についてお尋ねいたします。  ただいま述べました無資格医業類似行為を含めた以外にも,現在,人々の健康や美容,痩身をターゲットといたしまして,健康食品を初めとするさまざまな商品やサービスが出回っており,それらの中には意図的に事実と異なる過大な効果や,効能など,あるいは公的機関の認定・指定などをうたい,広告看板に表示し,業を繕い集客しようとする者が多く見受けられるようになりました。  このように消費者に対し誤認を与える表示により,不当に利益を追求しようとする者に対して,不当景品類及び不当表示防止法不正競争防止法消費者保護基本法特定商取引法などに照らし厳格に対応すべきと考えますが,消費者に誤認を与える表示への対応について,生活環境部長の御所見をお伺いいたします。  次に,医業類似行為等に対する警察の立場についてお尋ねいたします。  これまで述べてきましたとおり,医業類似行為や消費者に誤認を与える表示の中には,悪質な違法行為に該当するものがあり,全国的に見ても,他県では警察に検挙されている事例があります。本県においても,このような違法行為を行っている悪質な業者が存在しているものと考えておりますが,これらの医業類似行為等に対する警察の立場から,警察本部長に御所見をお伺いするものであります。  次に,産業大県を目指した技能者養成策についてお伺いいたします。  中小企業が求める人材育成策についてであります。  日本の製造業の現場では,企業内でのものづくりの技術が受け継がれてきた歴史がありました。今,企業内の訓練から派遣労働者は対象外となっておるのが現状であります。  一方,公的な職業訓練を受ける人は約15万人前後にもなっており,溶接から木工,簿記,介護等さまざまなコースが設けられておりますが,問題は訓練期間中の生活維持であると言えます。  非正規労働者は1,700万人にも上り,全労働者の3分の1にも増加し,その過半数が雇用保険に未加入であり,失業手当がございません。そこで,職業訓練を始めたその日から生活の心配をしなければならないという状況になります。非正規労働者の多くが職業能力を向上させることもできず,心の不安を抱えたまま職を転々とせざるを得ない状況は,将来にわたり日本の潜在力を失ってしまうことになりかねません。我々先輩としての責任は大きいものがあると言えます。  雇用保険は,非正規でも加入することに改正にはなりましたけれども,職業訓練の枠を広げることや,訓練中の生活ができるようにすることが,雇用対策に求められております。  特に県北地域は製造業が集積しており,中小企業の若い技術労働者の養成,確保が今後課題になってくるものと思われます。日本の製造業を支えている99.6%が中小企業であることから,この不況下においても,我が国の産業基盤をつぶすことは許されないのでございます。この機会を人材立国のために,希望者全員が職業訓練を受けられる体制を整え,充実させることが必要であり,今求められているものであると思います。  そこで,産業を支える人材育成について,どのように取り組むのか,お伺いをいたします。  次に,県立産業技術専門学院の充実策についてお尋ねいたします。  人材育成の拠点でありますこの県立産業技術専門学院でありますが,日立,鹿島,筑西においては,昭和30年代の建物で老朽化が著しく,耐震も不安でございます。  また,特に日立を考えますと,県北臨海地域におけます製造業の人材育成の拠点であるこの施設は,立地場所も交通アクセスも悪いことから,年々訓練生が減少している状況であります。若い技術者不足に悩む県北中小企業の要望にこたえられておりません。  日立市当局も産業界も,県に学院の施設整備と訓練内容の充実を要望し,「産業人材育成研究会」を発足させて,学院のあるべき姿の検討をしているところであります。  ことしの10月には,第47回技能五輪全国大会があり,また,第31回全国障害者技能競技大会が本県で開催されることにかんがみ,ものづくりの機運醸成・高揚など,技能五輪の成果を一過性のものとしないためにも,当学院の整備は絶対に図るべきと考えますが,御所見を伺うものでございます。  以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 9 ◯議長(葉梨衛君) 福地源一郎君の一般質問,質疑に対する答弁を求めます。  橋本知事。                    〔橋本知事登壇〕 10 ◯橋本知事 福地源一郎議員の御質問にお答えいたします。  まず,世界経済危機に対する認識についてでございます。  米国のサブプライムローン問題に端を発した世界的金融危機は,先進国はもとより,BRICS諸国など,新興経済国の実体経済にまで大きな影響を及ぼしております。私は,こうした世界経済悪化の背景には,経済のグローバル化が進む中で,国境を越えて巨大な資本が移動することによる,いわゆる「グローバル・インバランス」の急拡大と,新自由主義経済の考え方が主流となる中での,行き過ぎた市場原理主義やマネーゲームの横行があったと考えております。  具体的には,莫大な経常黒字を持つアジアや中東諸国などによる欧米の金融市場への大規模な投資により,住宅バブルなどが助長され,さらに,巧みな金融工学の手法を使って,サブプライムローンに代表されるような危険な証券化商品が生み出され,住宅バブルなどが一層加速された中で,これらの金融システムの欠陥が一気に露呈し,バブルが崩壊し,世界全体が金融危機に陥ることになったわけであります。  そして,この金融危機が信用不安を生み,海外の投資家が米国市場から資金を引き上げる一方,米国の投資家も世界市場から資金を引き上げたことなどにより,世界的な株価急落,あるいは世界同時不況へとつながっていったものと考えております。  一方,実体経済の面では,世界中から流入する資金により繁栄を謳歌していた米国で,信用収縮により,住宅や自動車を初めとする民間の消費や投資が急激に落ち込み,一転して大変な不況に突入してしまいました。それに伴い,外需に過度に依存してきた日本や中国,韓国を初め,各国の景気が急速に悪化いたしました。  また,一方では,BRICS諸国などの新興諸国においても,資金不足や輸出の減少により,急速に経済成長にブレーキがかかっております。  こうした中で,IMFによれば,2009年の日米欧の主要先進国のGDPがすべてマイナス成長と予測されており,世界経済全体としても,0.5%の低成長になるものと予測されております。当面,金融不況の影響は極めて深刻なものがあり,私は,回復までには一定の期間がかかるのではないかと考えております。特に欧米諸国においては,信用不安をどう解消していくか,あるいは需要の減少に対して米国の新政権が環境への対応などを中心に,新規の需要をどのように喚起していけるかが大きな焦点になってくるものと考えております。  一方,新興国におきましては,需要は十分にあるところであり,それに対するファイナンスをどうするか,特に中国などでは,膨大な外貨準備を国内投資に振り向けられるかが課題になってくると考えております。  既に中国では,50兆円を超える政府の投資を呼び水に,国内各地で新たな工事が始まっており,一部の資源価格は上昇に転じていると報道されております。私は今後,アジア,特に発展著しい中国とインドを中心に需要が回復し,経済も拡大していくであろうと期待をしておるところであります。  一方,今回の経験を機に,各国政府が協調して,貿易と経済の拡大に向けて取り組むとともに,行き過ぎた市場原理主義を再考し,二度とマネーゲームを引き起こさせないよう,世界経済の再生と秩序の回復に向け,十分な対策を講じていくことが必要であると考えております。  次に,「国と地方のあるべき姿」についてお答えいたします。  明治から戦後にかけて我が国が欧米に「追いつき追い越せ」を目標にしていた時代には,人材や権限,情報を中央に集め,外国に学びながら,全国画一的な行政を進める中央集権体制は,限られた資源を重点的に配分して効率的に活用するという面で効果的であり,我が国の発展に大きく貢献してまいりました。  しかし,我が国が世界第二位の経済力を有するまでに発展した今日,ナショナル・ミニマムは達成され,住民の行政に対するニーズは多種多様になってきております。また,それぞれの地域社会の持つ固有の自然,歴史,文化などを生かした地域づくりも大変重要になってきております。  これからは,各地域が互いに競い合い,知恵と工夫を凝らしながら,個性を生かした多様な活動を展開し,国全体を活性化していくことが求められてまいりますので,中央集権体制から地方分権型の社会構造に転換していく必要があると考えております。
     一方,アメリカにおいては,連邦制であるにもかかわらず,グローバル化や交通通信手段の発達が進む中で,これまで州政府が処理しておりました産業,労働,教育,住宅,社会保障,福祉などの分野にまで,連邦政府が権限を拡大してきている現象が見られます。  こうしたことを踏まえますと,最近,私はこれまで議論されてきたように,国が果たす役割を外交,防衛,司法,通貨,金融,社会保障制度などに限ると固定的にとらえるのではなく,基幹的なインフラ整備や高等教育,最先端の研究開発など,日本が国際社会で勝ち抜いていくための国家戦略が必要な政策,あるいは食糧や医療にかかわる基本的な政策などについては,国がしっかりと役割を果たしていく必要があると考えております。  ただ,いずれにいたしましても,現在の中央政府を見ると,地方への関与が大きな割合を占め過ぎており,国際的な対応が不十分な感じを持っております。  したがいまして,これからは,国の役割の徹底した重点化を図りつつ,住民に身近な行政はできるだけ住民に身近な地方自治体が担うことを基本として,国から地方への権限移譲を思い切って進め,それぞれの地域が個性豊かで活力に満ちた地域として発展していけるよう,地方分権型社会を実現していくことが必要であると考えております。 11 ◯議長(葉梨衛君) 細谷商工労働部長。                  〔細谷商工労働部長登壇〕 12 ◯細谷商工労働部長 経済対策についてお答えいたします。  まず,県セーフティネット融資緊急保証枠の効果についてでございます。  この緊急保証枠につきましては,年末にかけて多くの企業に利用され,利用企業や商工団体からは,「資金繰りにめどがついた」との声を聞いております。また,現在,年度末に向けまして,2月後半から利用が増加してきておりまして,引き続き,多くの企業の資金繰りに活用されているところでございます。中小企業の経営や雇用面で一定の役割を果たしているものと考えております。  次に,既存の借入金の返済負担の軽減についてでございます。  借入金の返済が大きな負担となっているという場合もございますので,県の制度融資では,借りかえにより融資期間を延長いたしまして,月々の返済額の軽減を図っているところでございます。  また,国におきましては,金融機関に対しまして,返済条件の緩和などを要請しておりますが,県といたしましても,中小企業の実情に応じた対応について,金融機関に引き続き要請してまいりたいと考えております。  次に,産業大県を目指した技能者の養成策についてお答え申し上げます。  まず,中小企業が求める人材育成策についてでございます。  職を失った非正規労働者の方々にとりまして,職業訓練によりさまざまな技能を習得することは,重要なことであると考えております。このため,離転職者への訓練に努めてきているところでございますが,特に来年度につきましては,現在の厳しい雇用情勢を踏まえ,定員を今年度の8倍強の1,000人程度へと大幅にふやしますとともに,訓練コースにつきましても,福祉,IT技術,医療事務,警備,農業など,多様な分野に設定いたしまして,できるだけ多くの方が訓練を受けられるようにしていきたいと考えております。  なお,議員御指摘の訓練中の生活の問題についてでございます。雇用保険の受給資格を持たない方に対しましては,訓練を前提にいたしまして,生活資金を貸し付ける制度が,昨年の11月に国で創設されております。また,一定の要件を満たせば,一部または全部の返済が免除となりますことから,経済的な不安を抱かずに訓練を受けられるようになったところでございます。  次に,県立産業技術専門学院の充実策についてでございます。  昨年の11月に企業や商工会議所,日立市等で構成いたします研究会を設置いたしまして,人材の育成,学院のあり方等について検討を進めてきているところでございます。  この研究会の中では,後継者不足に伴います若年技能者の確保,企業内研修機能の低下に伴います在職者訓練の充実,機械系訓練科の設置などが主な検討対象となっているところでございます。  日立産業専門技術専門学院につきましては,今後とも各方面の方々からの御意見をいただきながら,他の訓練機関との連携を含め,学院の果たす役割,整備の方法等について,この研究会の場で引き続き検討していきたいと考えております。 13 ◯議長(葉梨衛君) 藤咲理事兼政策審議監。                 〔藤咲理事兼政策審議監登壇〕 14 ◯藤咲理事兼政策審議監 経済対策等の効果と非正規労働者への対応についてお答えをいたします。  経済対策等の効果についてでございます。  県といたしましては,政府の二次にわたる補正予算や来年度予算を受けて,公共施設の耐震化の推進など,本県の諸課題への対応も考慮し,総額1,060億円の緊急経済・雇用対策を取りまとめ,今定例会に関係予算案を提出しているところでございます。  この対策によりまして,平成23年度までの3カ年の合計で5,900人の新規雇用の創出を想定しております。そして,中小企業の資金繰りの支援,受注機会の確保,地方財政計画を上回る伸び率の公共事業費の確保,学校や公共施設の耐震改修,道路・橋梁など生活関連基盤・発展基盤の整備などの施策を通じまして,景気・雇用の回復を図ってまいりたいと考えてございます。  次に,本県の失業者の予測につきましては,先般,厚生労働省が2月18日時点で行いました非正規労働者の雇いどめ等の状況調査結果が公表されております。この調査では,昨年10月からことし3月末までの間に,全国で15万8,000人,県内では3,000人を超える雇用調整が実施済み,または実施される予定であることが明らかになりました。求人の減少と求職者の増加が続いておりまして,雇用情勢は一段と厳しさを増していると認識をしてございます。  次に,雇用・研修一体型事業の成功に向けての取り組みについてでございます。  県といたしましては,離職を余儀なくされた方々が一日も早く安定した職につくことができますよう,本県独自の雇用・研修一体型事業に重点的に取り組んでまいります。この事業は雇用期間は限られますが,離職者がまず働く場を確保して生計を維持できるようにして,仕事を通じて専門的な資格や技能を習得し,将来,正規労働者として定着できるようにすることをねらいとしております。  そこで,今後,直ちに募集開始などができますよう,現在各部連携して鋭意準備を進めているところでございます。  そして,この事業の内容が広く理解され,多くの方々から募集や応募がいただけますように,いばらき就職支援センターやハローワーク等におきまして,この事業の特色をわかりやすく紹介しますとともに,さまざまな広報媒体を活用いたしまして,積極的なPRに努めてまいります。 15 ◯議長(葉梨衛君) 角田副知事。                    〔角田副知事登壇〕 16 ◯角田副知事 定額給付金の活用についてお答えをいたします。  定額給付金は,この大不況下で住民の不安に対処いたしますため,住民への生活支援を行いますとともに,住民に広く給付することによりまして,地域の経済対策に資することを目的とした事業でございます。  県内での給付額は現時点で450億円程度が見込まれておりますので,給付に当たりましては,これらが確実に消費に回り,地域の景気浮揚に役立つことが重要であると考えております。  このため,定額給付金ができる限り地元で使われまして,地域経済の活性化につながりますよう,県といたしましても市町村に対し,積極的な取り組みを要請してきたところでありまして,定額給付金の給付時期にあわせて,プレミアム付き商品券の発行ですとか,消費拡大セールの開催など,それぞれの地域が知恵を絞った取り組みを始めようとしているところであります。  このように,消費拡大に向けました取り組みが各地域で行われている中,県職員といたしましても,ふだん生活をしているそれぞれの地域の中で率先して消費し,その効果を広く地域に行き渡らせることが大変重要であると考えます。  この際,お話がございましたように,県職員は定額給付金ふるさと納税すべきではないかという御提案につきましては,御趣旨はよくわかりますが,このたびの定額給付金の,「生活支援であるとともに,速やかに消費することにより景気浮揚を図る」という制度本来の趣旨からは,直ちにはそぐわないのではないかと考えております。  御質問の中で,徳川吉宗への意見書として荻生徂徠が書き記しました「政談」を引用されまして,公務員のあるべき姿にも触れておられますが,私ども県職員も,旧二本松藩の城址に残ります戒石銘に刻まれております「爾の俸 爾の禄は 民の膏 民の脂なり」という言葉を常に公務員の鑑といたしまして行動したいと考えております。 17 ◯議長(葉梨衛君) 山口保健福祉部長。                  〔山口保健福祉部長登壇〕 18 ◯山口保健福祉部長 医療・福祉の行政課題についてお答えいたします。  まず,医師確保のための大学との連携についてでございます。  議員御案内のとおり,産科などの診療科や地域での医師不足は深刻化しており,医師を確保するためには,養成機関である医科大学との連携が不可欠でありますので,このたび筑波大学と東京医科大学との連携強化を図ることといたしました。  筑波大学においては,医師不足地域の拠点病院において,医学生や研修医を指導するための体制づくりと,実践的な地域医療教育を行う寄附講座を設置します。この講座の取り組みとしては,神栖済生会病院を拠点として,大学から派遣された医師が診療や住民を対象とした健康教育を行うとともに,医学生の地域医療実習などを行うこととしております。  さらに,東京医科大学においても,筑波大学と同様の趣旨の寄附講座を設けることといたしました。この講座では,筑西市民病院と小美玉市医療センターにそれぞれ週3日医師を派遣するなど,地域医療を確保しつつ,大学との密接な関係づくりを進めてまいりたいと考えております。これらの寄附講座の設置により,医師確保対策として,即効性の高い効果を期待しているところです。  また,筑波大学におきましては,ことしの4月から地域枠として5名が入学する予定となっており,さらに東京医科大学においても,平成22年度入学者から茨城県出身者のための地域枠3名を設けることが決定されたところです。  これら2つの大学の地域枠8名と,自治医科大学進学者や既存の修学資金の利用者と合わせ,数年後には毎年20名程度が,県北を初め,鹿行,県西など医師の不足している地域の医療を担う人材として確保できるものと考えております。  今後も,医師不足と地域偏在の解消に向け,2つの大学とさまざまな連携を図り,これまで以上の協力体制を構築してまいりたいと考えております。  次に,総務省が求める公立病院改革プランについてお答えします。  近年,医師不足の深刻化等により,公立病院の経営状況は急速に悪化し,抜本的な経営改革が喫緊の課題となっております。このため,各市町村立病院等においては,改革プランの策定が進められており,先月までに北茨城市及び笠間市において,素案が公表されたところであります。その内容は,経常収支比率等の数値目標の設定や,病床の削減等による事業規模の見直し,新たな経営形態の検討など,経済健全化への具体的な取り組みが示されております。  今月中には7つの病院すべてについて,改革プランが策定される見込みとなっております。  次に,「公立病院の再編・ネットワーク化構想」については,川俣副知事を本部長とする「茨城県医療改革推進本部」において,外部有識者等の御意見をいただきながら検討を重ね,年度内には関係市町村に対して提案することとしております。  この構想は,地域住民の安全・安心を確保するためのセーフティネットとしての医療体制を構築するため,公立病院の果たすべき役割や再編・ネットワーク化の方向性について,県の基本計画な考え方を示すものです。  議員御指摘の医療の効率化に関しては,例えば病院同士で診療科を分担したり,急性期,慢性期の病状期ごとに役割分担や連携を進めることなどにより,一定の効果が得られるものと考えております。  今後,再編・ネットワーク化構想を踏まえ改革プランが着実に実行され,公立病院が安定的な経営のもとで地域において真に必要な医療を提供できるよう,支援してまいりたいと考えております。  次に,福祉施設の経営安定化策についてでございます。  まず,介護事業所の経営の現状でございますが,厚生労働省が実施した平成20年の介護事業経営実態調査によりますと,平成17年と比較し,多くの事業所で収支が悪化している状況でございます。また,小規模な事業所ほどその傾向が強く,背景には人件費の伸び等による支出の増加があると分析されております。  このような状況を踏まえ,国は介護従事者の人材確保・処遇改善などを通じ,経営の安定化を図るため,平成21年度から介護報酬の3%引き上げを決定したところでございます。  県では,今後,この改定に伴う事業所への影響など,その動向を注視し,介護従事者の処遇改善に適切に反映されるよう,必要な助言を行ってまいります。  議員御指摘の特別養護老人ホームにつきましては,現在50床程度の施設が多いことから,スケールメリットが図れる70床程度の規模に整備を誘導することで,経営の安定化を促進しているところでございます。  さらに,訪問看護ステーションにつきましては,小規模の事業所が多いことから,広域ネットワーク化を促進し,機能強化を図ることで経営安定化につなげる取り組みを新たに実施してまいります。  県といたしましては,これらの施策などにより,経営の安定化を促進し,県民が安心して適切な介護サービスを受けられるよう努めてまいります。  次に,人材確保と育成事業についてでございます。  県としては,これまで修学資金の貸し付けや福祉人材センターにおける就職あっせんはもとより,スキルアップ研修などにより人材の育成確保に努めてまいりました。しかしながら,介護福祉士養成校では大幅な定員割れが生じるとともに,介護分野での離職率が高い傾向にあるなど,人材確保が困難な状況にありますことから,新たな施策を展開し改善に努めてまいります。  具体的には,養成校に専門員を配置し,中学・高校生に介護の仕事の魅力を伝えるとともに,入学後はきめ細かな相談援助や進路指導を行い,介護に携わる人材の育成を支援してまいります。  このほか,修学資金の貸付額を月3万6,000円から5万円に増額することや,就職準備金の創設などにより,介護職場への就職や定着を促進してまいります。  また,潜在的有資格者を対象とする再就職支援研修や団塊世代,主婦層を対象とする職場体験研修など,就労に結びつくさまざまな研修を実施し,担い手の参入を促してまいります。  さらに,経済雇用対策の一環として,離職者などが施設や事業所で働きながら資格を取得し,引き続き介護職員として就労できるよう,人材確保と職場定着を一体的に行う事業を進めることとしております。  こうした取り組みにより,今後とも質の高い介護サービスを提供するために,人材の安定的な確保と育成に努めてまいります。  次に,医業類似行為の対応についてお答えいたします。  無資格医業類似行為の実態調査についてでございます。  「あんま・マッサージ・指圧」といった医業類似行為を業として行うには,免許及び届け出を要することとされております。これら有資格者の業務領域と,いわゆる民間療法や健康産業と呼ばれる届け出のなされない業態との領域があいまいになっており,無資格者による業務の侵害や不測の健康被害発生のおそれが懸念されるところとなっております。  しかしながら,法的に医業類似行為として認められている「あんま・マッサージ・指圧」についても,未だその定義が明確となっておりません。さらに,無資格者の医業類似行為について,禁止処罰の対象となるのは,健康に害を及ぼすおそれのある業務に限られるとの見解が,昭和35年に最高裁から示されましたが,その行為の具体的な認定基準も示されてはおりません。このようなことから,実態調査の対象や範囲の特定など,難しい状況にございます。  そこで,現実的な対応といたしまして,「あんま・マッサージ・指圧」を無資格者が行っているとの通報がなされた場合に,必要に応じて警察との情報交換を行い,個別に指導を行っております。  県といたしましても,このような現状につきましては,議員同様に憂慮しており,これまでも無資格者の指導等に不可欠な「あんま・マッサージ・指圧」の定義や範囲の明確化について,国に要望をしてきたところでございます。  今後とも健康被害のおそれのある行為の判定基準の提示など,引き続き国に働きかけてまいりたいと考えております。 19 ◯議長(葉梨衛君) 馬場生活環境部長。                  〔馬場生活環境部長登壇〕 20 ◯馬場生活環境部長 消費者に誤認を与える表示への対応についてお答えいたします。  商品やサービスの品質や価格についての情報は,消費者が商品等を選択する際の重要な判断材料でありますことから,実際よりも著しく優良または有利であると見せかける表示が行われますと,消費者の適正な選択を妨げることとなります。  このため,そのような表示に関する情報を把握した場合には,事業者に対し,事情聴取や立入検査を行い,誤認を与える表示をとりやめさせ,再発防止策を講じるよう指導を行うとともに,悪質なものについては,事業者名を公表しているところでございます。  県といたしましては,来年度,新たに専任職員を配置することにより,消費者の利益を保護するための執行体制を強化し,消費者に誤認を与える表示を行う事業者に対し,厳格に対応してまいります。 21 ◯議長(葉梨衛君) 小風警察本部長。                   〔小風警察本部長登壇〕 22 ◯小風警察本部長 医業類似行為等に対する警察の立場についてお答えいたします。  無資格者による医業類似行為等につきましては,本県での検挙はありませんが,全国では平成19年中に「あん摩マッサージ指圧師,はり師,きゅう師等に関する法律」違反で14事件を検挙しております。  また,健康食品を初めとするさまざまな商品やサービスの中で消費者に誤認を与える表示をし,不当な利益を追求しようとした事案につきましては,本県においては昨年中,食品の産地偽装表示事件で「不正競争防止法」を適用し,2事件を検挙しております。  警察といたしましては,個別具体的な事案について,刑罰法令に触れる行為があれば,法と証拠に基づき厳正に対処してまいる所存であります。 23 ◯議長(葉梨衛君) 福地源一郎君。  残り時間がわずかですので,簡潔に。                  〔23番福地源一郎君登壇〕 24 ◯23番(福地源一郎君) ただいま御答弁をいただきましたけれども,今,時間がありませんので,1つだけ,商工労働部長にお伺います。  今,大変中小企業は疲弊をしております。倒産をし,不渡手形をつかまされて,また自分も倒産しかねているというような状況もあります。借りかえ融資が受けられないという,そういう状況がたくさんあるということを御存じだと思っておりますが,この県の制度融資の中で借りられない人のための手当というものについて,1つ教えていただきたいと思います。 25 ◯議長(葉梨衛君) 福地源一郎君の再質問に対する答弁を求めます。細谷商工労働部長。  答弁は簡潔にお願いします。                  〔細谷商工労働部長登壇〕 26 ◯細谷商工労働部長 制度融資で借りられなかった理由というのはいろいろございまして,その制度の方で制度にぴったり合わなかったというのが1つございますし,それから,既に借り入れたお金で延滞が発生しているといった場合もございます。  こういう2つのものが主なものとして上げられますが,制度に合致していない場合は,別な制度を紹介するとか,そういう方法がございます。
     また,仮に延滞が発生しているというような場合は,先ほどもちょっと申し上げましたが,借入金の返済を延長する,借りかえをする,あとは元金の支払いを待ってもらうとか,そういう形で,さまざまな形でできる限り対応しているところでございます。  ただ,残念ながら,それをやってもどうしても借りられないというのが出てきているのが現実でございますので,御理解のほどよろしくお願いいたします。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 27 ◯議長(葉梨衛君) 暫時休憩をいたします。  なお,会議再開は午後2時15分を予定いたします。                     午後2時4分休憩          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━                     午後2時16分開議 県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑(続) 28 ◯議長(葉梨衛君) 休憩前に引き続き会議を開き,県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑を続行いたします。  江田隆記君。                  〔43番江田隆記君登壇,拍手〕 29 ◯43番(江田隆記君) 自民県政クラブの江田隆記でございます。  昨年,アメリカの高金利住宅ローン問題やリーマン・ブラザーズ証券の破綻からの金融危機の波は,またたく間に世界じゅうに広がり,日本の景気も百年に一度と言われるほどの後退局面に入ってしまいました。  貿易立国である我が国は,世界同時不況と円高による輸出の激減という事態を迎え,生産や設備投資が大幅に落ち込んでいるわけでございます。特に非正規従業員などの人員削減が雇用不安を広げ,個人消費をかつてないスピードで悪化させてしまいました。  本県でも,企業の経営や雇用が厳しさを増している中で,橋本知事が茨城県緊急経済・雇用対策本部を速やかに立ち上げ,対応されたところでございます。  今回,補正予算も含め経済雇用対策として約1,060億円の予算が計上されておりますが,実効性ある対策を望むものであります。  それでは,県政の諸課題について,知事,関係部長,教育長に順次お伺いしますので,県民があすに希望を持てるような答弁を期待して質問に入ります。  最初に,産業大県づくりについて,知事にお伺いいたします。  まず,科学技術を活用した産業育成についてであります。  経済におけるグローバル化が進む中,我が国が経済的に発展していくためには,科学技術を活用した新技術や新製品の開発,そして新産業の創出が不可欠であります。特に本県では,「日立」,「鹿島」,「つくば」,さらには「東海」といった世界に誇れる科学技術や多彩な産業技術の集積地が形成されております。昨年末に東海地域で稼働を開始した大強度陽子加速器「J-PARC」は,世界最先端技術の実験施設であり,X線では見ることができなかったものを中性子を使って見ることにより,タンパク質や金属材料の構造解析に有効であるといわれております。その結果,難病の治療薬や燃料電池材料などの開発が実現するのではないかと,研究成果に大きな期待が膨らんでおります。  また,筑波研究学園都市については,国の研究機関の約3割が集積するとともに,今や民間も含めて310の研究機関や企業が立地しております。研究者の数は2万人を超えて,博士号を有する日本人研究者も6,000人と,まさに我が国の科学技術の拠点であります。そして,21世紀の成長産業の1つである環境やエネルギーを初め,健康や生命を守る医療技術など,まさに時代の一歩先を行く研究が数えきれないほど実施されております。これらの地域で蓄積された技術を,本県産業の振興に結びつけ,県民生活の向上につなげていかなければなりません。  産学官連携の取り組みとしては,J-PARCに関連して「いばらき量子ビーム研究センター」の整備や,つくば関連として,本年1月に本県と産業技術総合研究所の間で科学技術や地域の振興をねらいにした連携・協力協定の締結などが進められております。これらの取り組みを,大企業ばかりではなく,本県の99.9%を占める中小企業の競争力や技術向上につなげていくことが重要であります。本県全体が名実ともに時代の最先端を行く産業大県として活性化するよう,県としてもしっかりとしたビジョンをえがき,リードしていく必要があると考えます。  そこで,どのように科学技術を活用し,産業の育成と地域経済の活性化につなげていくお考えか,知事の御所見をお伺いいたします。  次に,日野自動車の立地に向けた取り組みについてであります。  本県の企業立地件数は,ここ数年順調に推移してきましたが,経済低迷の深刻化,長期化が懸念される中,企業の投資意欲も低下することは避けられない状況であります。このような中,先般,トラック大手の「日野自動車」が,私の地元古河市において,名崎送信所跡地約64ヘクタールの土地取得に関する予約契約を県開発公社と締結いたしました。  日野自動車については,複数の県が誘致の意向を示していたとのことでありますが,圏央道や新4号国道,そして筑西幹線道路などの交通基盤が整備されてきたことが,1つの決め手となったと聞いております。知事を初め,関係者の皆様方の御尽力に感謝を申し上げる次第であります。  自動車工場の立地は,部品など下請関連企業の進出も期待できるため,すそ野が広く,数千人規模での雇用も見込めることから,地域経済の活性化に大きく寄与するものと,地元も期待を寄せておるわけでございます。  しかし,今回の契約は,あくまで土地取得の予約契約であり,正式な売買契約時期については確定しておりません。経済の混迷もあり,今後の日野自動車の生産倍増計画の実施時期も定かではありませんが,進出が実現すれば,県内の既存企業との受注関係の構築や,今後の関連企業誘致の弾みになることが期待できるわけであります。県としては,県内経済に明るい光をともすためにも,ぜひとも早期の新工場の着工,そして稼働を実現させる必要があると考えます。  そこで,日野自動車との円滑な土地売買契約締結と,早期の企業立地に向けた取り組み,及び地域経済への波及効果について,知事の御所見をお伺いいたします。  次に,平成21年度予算編成について総務部長にお伺いいたします。  本県では,これまでも4次にわたる行財政改革大綱や財政集中改革プランにより,財政健全化に取り組んでまいりました。しかし,一生懸命取り組んだ努力の成果は,残念ながら三位一体改革による地方交付税の大幅な削減に飲み込まれてしまいました。平成16年度以降,21年度までの6年間で県税収入が約2,250億円の伸びを示した一方で,地方交付税等が4,450億円も減らされたため,一般財源が大幅に減少し,本県は以前にも増して深刻な財政危機に直面しております。このような地方の努力が報われない状況を改善するためには,国と地方の役割分担も含めて,地方税財政制度を根本から改革する必要があると強く思うのであります。  そして今また,大きな経済後退局面を迎え,平成21年度予算案の県税収入の見込みは,6年ぶりに前年度に比べマイナスとなり,減額幅も過去最高となっております。今回は緊急経済・雇用対策のための地方交付税や臨時財政対策債の大幅な増額により,何とかやり繰りできたようでありますが,国が今後再び地方交付税の総額を減少させれば,かつて経験したように,結果として地方財政が一層追い込まれる状況も懸念されております。  また,平成20年度に引き続き,財源不足の穴埋め策として,県債管理基金からの繰り入れ措置を行わざるを得ず,まさに綱渡りの予算編成を余儀なくされたわけであります。  第4次行財政改革大綱では,財政健全化の目標として,平成22年度を目途にプライマリーバランスの黒字化を目指すとしておりました。しかし,今回策定された第5次大綱では,現在の経済情勢を勘案し,平成23年度に先送りするとともに,「景気回復を最優先に取り組む必要があり,その達成は困難と考えられる」としております。つまり,プライマリーバランスの黒字化はいつ達成できるかわからないと明言していることになります。  経済の活性化は大変重要であり,そのため最大限の努力もしなければなりません。一方で,県が財政再生団体に陥り県民サービスの低下を招くことがないよう,間違いないかじ取りをしていく必要があります。また,将来世代のためにも,ずるずるとプライマリーバランスの黒字化を先延ばしにしてはならないと考えます。  また,今回の予算案には,開発公社への経営支援として136億円もの予算が計上され,今後10年間にわたり,総額211億円の支援が必要だとのことであり,本県財政への負担は計り知れないものがあります。  そこで,これら県財政を取り巻く状況の中で,今後どのようにプライマリーバランスの黒字化を図っていくお考えか,お伺いいたします。  次に,予算の重点配分の考え方についてであります。  厳しい財政状況のもとにあっても,予算編成に当たっては,県民のニーズに的確に対応していくことが必要であります。県としても平成14年度から「改革いばらき特別枠」を設け,将来を見据えた重要な課題に積極的に取り組むための予算を確保しており,平成21年度は約30億円の枠が設定されました。義務的支出を除く政策的経費が限られている中で,この「改革いばらき特別枠」が果たす役割は大変大きいものがあります。いわば,今後の県の政策の指標ともなるべきものであり,県政の課題の優先順位が判断されていると言っても過言ではないと思うのであります。このため,その配分に当たっては,民意の反映,具体的には毎年実施されている県政世論調査の結果との連動性が必要であると考えます。  そこで,平成21年度予算編成に当たっての重点配分の考え方と,これまでの「改革いばらき特別枠」によってどのような効果が得られたのか,その評価についてもお伺いいたします。  次に,医療問題について保健福祉部長にお伺いいたします。  まず,医師確保対策についてであります。  昨年9月に実施された県政世論調査の結果を見ますと,県政への要望として第1位は,61%の割合で医療サービス体制の整備を望む声でありました。医療への関心の高まりは,同時に県民の医療サービス体制への不安が増大していることの反映にほかなりません。医師不足を原因として産科や小児科などの診療休止が相次ぎ,また救急受け入れ病院の確保も困難な状況にあります。  国が医学部の入学定員を抑制してきたことが原因の1つでありますが,人口1,000人当たりの日本の医師数を見ると,OECD諸国の平均を大きく下回り,30カ国中,第26位であります。国もようやく今までの方針を転換し定員増に踏み切りましたが,一人前の医師として養成されるまでにはかなりの時間がかかります。平成20年に策定した県保健医療計画では,24年度までに600人の医師を増員するという目標を設定していますが,筑波大学医学群において5名の地域枠を確保しただけでは,いつ医師不足が解消するのか見通しは立ちません。  しかも,全国46位の医師数である本県が,全国平均並みの医師数を確保するためには,あと1,855人の医師が必要となります。そのためには,現在の臨床研修制度の見直しをするとともに,特に医師不足が深刻な産科や小児科では,若手の50%以上を占める女性医師が家庭と仕事を両立できるよう,就労環境を改善しなければなりません。  そこで,女性医師を含め,本県の医師確保対策をどのように推進していくのか,お伺いいたします。  次に,救急医療体制の充実についてであります。  県民の医療ニーズは待ったなしであり,まず第1に優先されるべきは救急医療体制の確保であります。医療の本質は,まず救急患者の命を救うことであります。受け入れ先の病院が決まらず,たらい回しにより不幸な結果が生ずるようなことがあってはなりません。重症な救急患者の受け入れができるよう,常時必要なベッドを確保しておかなければなりません。そのため,救急患者の症状に応じた救急医療機関の機能分担や病院相互の連携体制などを早急に整理する必要があります。  さらに,現在,千葉県と共同運行しているドクターヘリのカバー地域は,千葉県の日本医大千葉北総病院からおよそ50キロメートル圏内で,本県の救命救急センターから離れている鹿行地域と稲敷地域となっております。平成19年度では72件の運行実績があり,そのうち49件が重症患者であったと報告されております。このドクターヘリを本県独自に整備し,県内全域をカバーできる体制をつくることも救急医療体制の充実には不可欠と考えます。  そこで,安心して暮らせる地域づくりの第一歩として,いざというときに県民の命を救える救急医療体制をどのように充実していくお考えなのか,お伺いいたします。  次に,療養病床再編成への対応についてであります。  国の医療制度改革の一環として,各都道府県に医療費適正化計画の策定が求められ,本県においても昨年4月に策定いたしました。その柱の1つが療養病床の再編成であります。療養病床は,主として長期にわたり療養を必要とする患者を入院させるための病床であります。医療保険が適用される病床25万床と,介護保険が適用される病床12万床が存在しますが,その介護保険適用の病床を平成23年度までに廃止するとともに,医療保険適用の病床も大幅に絞り込み,介護福祉施設等への転換を図ろうとするものであります。  本県の計画では,平成20年末現在で5,845床ある療養病床を,3年後の平成24年度末までに4,170床にするという目標を掲げております。しかし,療養病床を利用している患者数は平均して年200人のペースでふえており,今後も高齢化の進行に比例して,なお一層需要が増加すると予想されております。  適正化計画の目的は,いわゆる社会的入院を減らし,医療費の抑制を図ろうとするものですが,真に医療行為が必要な患者が医療サービスを受けられなくなり,病状が悪化するようなことがあってはなりません。現場や家族の間では,療養病床の再編成によって行き場を失う患者さんが出てしまうのではないかとの不安が広がっております。それぞれの症状にあわせて,適切なケアが確実に受けられるような受け皿づくりを進めていく必要があります。  本県の計画では,療養病床再編成の受け皿となる介護福祉施設等の計画的な整備を促進するとしておりますが,介護保険財政の悪化を受け,需要に施設整備が追いつかないと指摘されております。全国の特別養護老人ホームの入所待機者は38万人を超えており,本県でも常に4,000人が入所を待っている状況であります。削減される療養病床約1,700床が介護福祉施設等に転換され,適切な受け皿として機能することが喫緊の課題であります。計画を策定した県としても,県民へのよりよいサービス提供のため,療養病床の再編成で介護難民が生じないよう,しっかりとした支援をしていく必要があると考えます。  そこで,県は療養病床の再編成に当たり,患者や施設利用者数をどのように見込み,介護福祉施設等への転換をどのように図ろうとしているのか,御所見をお伺いいたします。  次に,障害者の自立支援についてであります。  経済悪化の影響を受け,労働者の派遣切りが社会問題となっておりますが,障害者の雇用が真っ先に打ち切られるといった状況も報告されております。現在,民間企業の法定雇用率は1.8%でありますが,達成は難しく,全国平均は1.59%,本県の実績はさらに下回る1.54%にとどまっており,今後さらに低下することが懸念されております。  平成18年に導入された障害者自立支援法は,障害のある人が地域で普通に暮らせる自立と共生を目指したものであります。また,働く意欲と能力のある障害者に働く機会を提供し,支援していくことが求められております。そのため,身近な地域で仕事の質や時間を考慮し,それぞれの障害者に向いた仕事を開拓し,確保していくための相談・支援を行う障害者就業・生活支援センターの設置が進められており,県内でも5カ所のセンターが稼働しております。  私も先般,県西地域のセンターを視察させていただきました。現場の担当者が,休む暇もないほど大変な努力をなされている実態を目の当たりにしました。県内には9つの障害福祉圏があり,それぞれの圏域にせめて1カ所は,一日も早く整備をすべきだとの思いを強くしたところであります。  また,地域で自立して生活するためには,所得の確保も重要な課題であります。障害者が働く場として小規模作業所や授産施設がありますが,賃金が極めて少なく,平均で月額約9,000円程度であります。最近,工場の下請業務の受注が減少し,さらに工賃が少なくなっているとの報告も聞いており,私としても大変憂慮しているところであります。不況が長引くほど,弱い立場の障害者の方々になお一層のしわ寄せが来ることが懸念されますので,県としても障害者の就労の実態をよく把握し,支援策を強化していく必要があると考えます。  そのための1つの方策として,企業からの発注を促進させるため,共同受発注センター等,企業とのビジネスマッチングを推進するための仕組みづくりも重要であると考えます。  例えば,最近,国ではレアメタルの確保の観点から,携帯電話の回収を進める取り組みを開始しておりますが,こうしたリサイクルのための解体,分別などは障害者の作業に適しており,これから有望な産業分野であろうかとも思います。こうした仕事を小規模作業所や授産施設が共同して受注するネットワークづくりができれば,資源循環型社会の構築にも有効であり,障害者の自立支援にも効果があると思うのであります。  そこで,障害者の自立支援に今後どのように取り組んでいくのか,御所見をお伺いいたします。  次に,教育行政についてお伺いいたします。  まず,新学習指導要領への対応についてであります。  平成21年度から順次実施が予定されている新学習指導要領は,教育基本法の60年ぶりの改正を受け,教育内容の見直しを図ってきたものであります。その内容は,学習時間の増加,そして理数教育や英語教育の充実などであり,ゆとり教育からの脱却とも指摘されております。  そもそも「ゆとり教育」は,行き過ぎた知識偏重主義を是正し,社会体験や自然体験などの機会を子供たちに提供し,みずから学び,みずから考える力,豊かな人間性などの「生きる力」をはぐくむことを目指すと言われてきました。その具体策として,平成14年には完全学校週5日制が実施されるとともに,課題解決能力を養うために「総合的な学習の時間」が導入され,教師の取り組みに工夫が必要だとして議論が繰り広げられました。  今回の学習指導要領の改訂では,引き続き「生きる力」をはぐくむという理念を掲げながら,総合的な学習の時間については,時間数で最大5割の大幅な削減も実施されることとなっております。導入から7年が経過した今日,なぜ時間数が削減されるのか,これまでの取り組みでどのような成果があったのか,しっかりとした検証をした上で,新学習指導要領につなげていく必要があると考えます。  そこで,これまでの総合的な学習の時間の評価を含め,新学習指導要領の中で今後どのように子供の「生きる力」をはぐくんでいくのか,教育長の御所見をお伺いいたします。  次に,基礎学力の涵養についてであります。  今,社会は国際競争の波にさらされ,我々は常に混迷に立ち向かい,変革に対応することを求め続けられております。いかに社会が変わろうとも,将来を担う子供たちが確固とした学力を身につけることも,また「生きる力」の重要な要素であります。  平成20年の高校進学率を見ますと98.1%となっており,義務教育の修了者のほぼ全員が高等学校で学んでいる現状にあります。生徒の能力や適性は多様でありましょうが,確かな学力を身につけ社会に羽ばたいてほしいと願うものであります。  しかしながら,残念なことに県内の高校の中には,入学してきた生徒が十分な基礎学力を身につけておらず,高校の学習内容が理解できないため,やむを得ず中学校や小学校の復習をせざるを得ないという実態があるようであります。私のところにも,高校の先生方から,高校として本来やるべき授業をしたいのに,それができない現状についての悩みが寄せられることもしばしばあります。  義務教育である小学校,中学校,それぞれの段階で子供たちのつまずきを見逃さず,卒業証書が「確かな学力の保証書」となるようにしなければならないと考えます。そのためには,まず教師が子供と十分に接する時間を確保し,正面から向き合い,丁寧な教育を行うことが必要であります。  最近の先生方は,事務的な処理業務が倍増しており,多忙になっているという調査結果が出ました。教育庁では,改善策をまとめ,この1月から教員の業務の軽量化に取り組んでおりますが,このことは基礎学力の確保を図るためにも非常に重要であると考えます。教員に子供の知的欲求を満たしてあげる精神的余裕があってこそ,子供の学習意欲を伸ばすことが可能となり,学力向上につながっていくものと期待しております。  そこで,児童生徒の学力向上,特に基礎学力の涵養にどのように取り組んでいくお考えか,教育長にお伺いいたします。  最後に,特別支援学校における教育環境の整備についてであります。  特別支援学校における児童・生徒数の増加と,それに伴う教室不足については,これまでも繰り返し指摘されてきたところであります。  児童・生徒数の増加の傾向を見ますと,盲,ろうについては減少傾向が見られる一方で,肢体不自由と知的障害の子供たちが増加しております。特に,知的障害については,平成16年から4年間で400人という著しい増加であります。このため,県内で最多の約300人の児童生徒が通う結城養護学校では,教室が不足し,特別教室を転用したり,仮設校舎を建設したりして対応を図っており,子供たちが学ぶ環境としては甚だ不十分と言わざるを得ません。こうした不足教室への暫定的対応を実施している養護学校は,他にも勝田養護学校などがあり,平成19年に新設されたつくば養護学校も,既に開校2年目で当初の定員を大きく上回る状態になっているのが現状であります。  また,現在の特別支援学校は,障害の種別ごとに分かれているため,通学距離が長く,時間がかかるため,子供たちの負担となっております。子供たちの障害の状況を見ると,実際には複数の障害をあわせ持っている場合が半数近くに上り,障害ごとに学校を区分することも現実的ではなくなってきております。  このような中,学校教育法の改正により,平成19年度から従前の盲・ろう・養護学校が「特別支援学校」に一本化されましたが,この名称変更は,障害の種類によらず,一人一人の特別な教育的ニーズにこたえていくという特別支援教育の理念に基づいたものであります。この改正により,今後は障害の種別ごとではなく,地域において障害のある子供たちの教育を,より適切かつ柔軟に行えるような学校づくりへの道が開かれたところであります。  本県の養護学校についても,もう一度全県的にあるべき姿を見直し,再編するとともに,児童生徒の教育環境を整備していく必要があるのではないかと考えます。  その際,私が提案したいのは,高等学校の統合により廃校となる校舎の有効活用であります。県財政が大変厳しい中で新しい学校を建設することには困難が伴います。廃校を養護学校に転用することで,県有財産の有効活用と養護学校の児童生徒の教育環境の改善を一気に図ることが可能になります。私の地元県西地域でも,平成21年度に境高校と境西高校の統合が予定されておりますが,統合によって使用しなくなる境西高校の校舎を結城養護学校の分校として活用してはいかがでしょうか。  そこで,特別支援学校の整備に関する検討状況について,私の提案への所見も含めて教育長にお伺いいたします。  以上で私の質問を終わりますが,私の政治信条として,声なき声を聞く心を持つこと,すなわち「隻手音声」を宗としているところであります。  執行部におかれましても,心を研ぎ澄まして,県民の声なき声に耳を傾け,県政の諸課題に取り組んでいただきたいと思います。御清聴ありがとうございました。(拍手) 30 ◯議長(葉梨衛君) 江田隆記君の一般質問,質疑に対する答弁を求めます。  橋本知事。                    〔橋本知事登壇〕 31 ◯橋本知事 江田隆記議員の御質問にお答えいたします。  産業大県づくりについてお尋ねいただきました。  まず,科学技術を活用した産業の育成についてでございます。  世界的規模の経済危機の中,我が国の持続的な経済成長や国民生活の向上を図りますためには,科学技術を原動力としたイノベーションの創出を促進していくことが不可欠であります。  御案内のとおり,本県には,日本が世界に誇る最先端の科学技術の集積があり,これらを最大限に活用していくことが,我が国の国際競争力の向上につながりますとともに,本県がその先導的な役割を担うことで,科学技術創造立国日本の枢要な拠点となるものと考えております。  このため,昨年12月に稼働を開始いたしましたJ-PARCと,その中に設置した県の2本のビームラインを活用し,新薬やリチウムイオン電池などの開発に関する研究成果を早期に創出して,中性子の有用性などを広く全国の産業界に示していきますとともに,兵庫県のSpring-8や日本原子力研究開発機構の高崎量子応用研究所,埼玉県の理化学研究所などの他の量子ビーム施設ともネットワーク化を図り,基礎研究の推進とその成果の活用による経済の活性化を図ってまいりたいと考えております。  また,つくばの研究集積を生かした取り組みとして,筑波大学や産業技術総合研究所で開発した生活支援型ロボットや,カーボンナノチューブなどのナノテク,環境関連では革新的太陽電池や燃料電池の開発,農業食品分野における食の安全・安心に係る研究や,バイオ燃料の開発などが行われております。今後さらに産学官の広域的な連携の中で,日本をリードする研究開発が進められていくものと期待をしているところであります。  一方,科学技術を活用し,県内中小企業を振興していくことも重要であります。このため,先ほど申し上げました2本の県のビームラインの利用のために設けた中性子利用促進研究会や県内中性子利用連絡協議会を通じて,県内の中小企業の産業利用を促進しますとともに,J-PARCの隣接地に設置いたしました「いばらき量子ビーム研究センター」を,研究者の交流や産学官連携,さらには技術相談などの拠点として有効に活用し,企業への支援を強化してまいります。  また,中小企業への技術開発の橋渡しなどを行う県立試験研究機関の役割も大変重要でありますので,今後,研究開発の重点化,分野横断的な連携にも一層力を入れて,県内産業に有用な成果を出していきたいと考えております。
     以上のような取り組みを推進しますためには,体制の整備も必要になってまいります。このため,昨年12月には庁内に科学技術戦略本部を立ち上げ,さらに来年度は,科学技術振興課を設置しますとともに,さきに締結した産業技術総合研究所との連携協定に基づく人事の交流を行ってまいります。  このようにして,茨城発のイノベーションで科学技術創造立国を支える地域としてまいりますとともに,県内企業の新事業進出や新製品開発,さらにベンチャー企業の創業などにつなげて,地域経済の活性化を図ってまいりたいと考えております。  次に,日野自動車の立地に向けた取り組みについてお答えいたします。  日野自動車の誘致に当たりましては,平成18年9月以来,私自身何度も社長にお会いしてトップセールスを重ねてまいりましたが,先般,古河市の名崎無線送信所跡地約64ヘクタールについて,予約契約を締結し,進出の意向を表明していただくことができました。  この用地は,新4号国道や圏央道(仮称)境インターチェンジに近く,日野自動車の国内3工場や,架装・部品等関連メーカーへのアクセスが容易であるほか,港湾にも近いこと,雇用の確保が容易であること,生活環境にも恵まれていることなどの優れた立地条件が評価されたものと考えております。  一方で,この土地は,現在,未開発の用地であるため,産業用地として利用するには,まず工業的な土地利用を可能にする地区計画を策定しますとともに,造成,排水,緩衝帯などの開発計画を定め,許可を得ることが必要になってまいります。そして,その後,造成工事などを行って,土地の売買契約を締結し,企業に引き渡すことになってまいります。  現在,経済情勢が極めて厳しいため,新工場の稼働時期はまだ決まっておりませんが,産業機械であるトラックの需要は景気好転の早い時期に回復することが見込まれますことや,日野自動車の世界販売20万台計画を達成するには,国内の生産能力の拡大が不可欠とされておりますので,新工場が適切な時期に稼働できますよう,法的手続を早急に進めますとともに,企業の意向を踏まえながら,造成等の工事に着手してまいりたいと考えております。また,道路,用排水,電力,ガスなどのインフラにつきましても,地元古河市や関係機関の協力をいただきながら整備をしてまいります。  地域経済への波及効果でございますが,まだ新工場の規模等は未定とのことではありますが,同社の既存の工場敷地に比べても最も大きいものとなることなどを考えますと,将来的には数千人の雇用が生まれる大規模な生産拠点になると期待しております。また,連結売上高1兆3,000億円を超えるトラックのトップメーカーでありますので,地元企業の受注が拡大することはもとより,関連企業の進出なども考えられるところであり,従業員の移転や家族の消費などによる経済効果も含めれば,極めて大きな波及効果があるものと考えております。 32 ◯議長(葉梨衛君) 上月総務部長。                   〔上月総務部長登壇〕 33 ◯上月総務部長 平成21年度予算編成についてお答えいたします。  まず,プライマリーバランス黒字化への取り組みについてでございます。  プライマリーバランスにつきましては,これまで,平成18年度の約301億円の赤字が,平成20年度には約34億円にまで改善してきたところでございますが,世界的な景気後退を受け,県税収入が大幅な減収となる一方,特例的な県債である臨時財政対策債が約662億円と倍増しましたため,新年度においては約412億円の赤字と急激に悪化してございます。  こうした臨時財政対策債等の発行規模は,国の地方財政対策によって決められてしまい,県みずからの努力ではコントロールは難しく,また,現下の経済情勢におきましては,景気回復を最優先とし,国と歩調をあわせて取り組みを行っていく必要もありますことから,今般策定しました第5次行財政改革大綱の期限である平成23年度まで期限を1年延ばしましても,黒字化達成は困難な見通しでございます。  しかしながら,プライマリーバランスの黒字化は,中長期的に持続可能な財政運営を行う上で極めて重要でございますので,第5次行革大綱におきましても,引き続き財政健全化目標の1つに掲げたところでございまして,財政規律の観点から,できる限り早期の黒字化達成を目指してまいりたいと考えております。  その時期がいつごろになるかにつきましては,今後の経済情勢の動きに対応して,雇用・経済対策を機動的に講じていく必要もありますことから,確定的に申し上げられる状況にはございませんが,職員数削減などによる人件費の抑制,繰り上げ償還等による公債費負担の削減,事務事業のさらなる見直しや,企業誘致の推進による税源の涵養,県税徴収率の向上など,歳出・歳入両面にわたる徹底した改革により,1年でも早い黒字化の達成を目指してまいります。  また,しかしながら,この構造的な財政危機につきましては,地方交付税の復元など地方税財源の充実・確保なしに克服することは到底困難でございます。したがいまして,県みずからの努力とあわせまして,地方六団体とも連携を図りながら,地方消費税の拡充も含めた地方税財政制度の抜本的見直しを国に働きかけてまいりたいと考えてございます。  次に,予算の重点配分の考え方についてでございます。  「改革いばらき特別枠」につきましては,ともすれば一律的な削減に陥りがちなシーリングとは別枠で予算要求を認めることにより,重要政策を戦略的に推進するために設けてございます。  この特別枠で採択する施策の立案に当たりましては,予算要求に先立ち,全庁的に調整を行い,県民ニーズの高い分野や直面する政策課題に的確に対応するよう努めてございます。  その結果,来年度予算におきましては,特別枠で約31億円を予算措置いたしましたが,今年度の県民世論調査で最も要望が多かった「医療サービス」分野に,医師確保対策や周産期母子医療対策など,全体の約4割の13億円を措置し,施策の拡充を図ってございます。その他,直面する政策課題として,茨城空港の利用促進や県北振興のための交流促進などを図りますため,関係部局が連携した施策への重点配分に努めたところでございます。  また,これまでの「改革いばらき特別枠」の効果に対する評価につきましては,現下の危機的な財政状況下で極めて厳しいシーリングにより歳出改革を進めております中,新規施策の導入を含め,施策の選択と集中を図るために大変有効な仕組みであると考えてございます。  例えば,少子化対策として,250組に上る成婚の成果を上げております「いばらき出会いサポートセンター」や,4,000店舗を超える協賛をいただいております子育て家庭優待制度「いばらきKIDSクラブカード」などを新規に事業化しますとともに,道路ののり面崩壊等危険箇所の防災対策を追加しますなど,先進的な,あるいは緊急の取り組みなどに重点的に措置してまいりました。厳しさを増す財政運営の中で,年々その重要性は増していると感じてございます。  今後とも引き続き,各部局と協議しながら特別枠の運用改善を図り,限られた財源の効果的・効率的な活用に努めてまいりたいと考えてございます。 34 ◯議長(葉梨衛君) 山口保健福祉部長。                  〔山口保健福祉部長登壇〕 35 ◯山口保健福祉部長 医療問題についてお答えいたします。  まず,医師確保対策についてでございます。  本県では,議員御案内の筑波大学地域枠5名のほか,平成22年度からは,東京医科大学においても,茨城枠3名を設けることが決定しており,自治医科大学進学者や既存の修学資金の利用者と合わせ,数年後には毎年20名程度が本県の地域医療の最前線で活躍してくれるものと考えております。  さらに,臨床研修医の受け入れ促進事業の充実により,毎年100名以上の臨床研修医を確保しており,医師確保に向けて着実に努力を重ねているところです。  女性医師につきましては,医師国家試験合格者の割合が,平成3年の約19%から,平成20年には約35%と大幅に増加しておりますが,国のデータによりますと,就業率は35歳前後には76%にまで落ち込んでおります。このようなことから,女性医師が出産・育児等でキャリアを中断されることなく働き続けられるような環境づくりを進めることが重要と考えております。  具体的には,保育制度の充実や勤務体制の柔軟化,職場における意識改革などが求められております。  県では,これまでも子育て支援に取り組む病院への奨励金のほか,院内保育所に対する運営費補助,女性医師向けホームページによる情報提供等を行ってきたところでございます。  さらに,来年度は,復職のための技術研修を行う病院への助成を行うほか,医師会と連携して医師就業サポート事業を実施し,就職や保育への相談事業等を通して,女性医師への就業支援を一層充実させてまいります。  また,医師数の絶対数不足や地域偏在,診療科偏在などの抜本的な解決のためには,国の取り組みが重要ですので,引き続き国に要望してまいります。  県といたしましては,医学部進学支援はもとより,医学生・研修医・医師のそれぞれの段階に応じた対策の充実に加え,女性に特化した支援も手厚く実施するなど,総合的な医師確保対策に努めてまいりたいと考えております。  次に,救急医療体制の充実についてでございます。  本県における重症患者の受け入れについては,現在65の二次救急病院が輪番制等により対応しており,さらに重篤な患者に対しては,4つの救命救急センターと1つの地域救命センターが三次救急として対応しております。  しかし,救急搬送患者の半数以上が軽症であり,その多くが二次・三次病院に搬送されているため,真に緊急の治療が必要な患者の受け入れに支障を来している状況が生じております。  このため,県民に対する救急医療の適正利用についての啓発活動を積極的に進めるとともに,小児救急については,「茨城子ども救急電話相談」,いわゆる♯8000番により保護者の不安解消を図っております。  あわせて,軽症患者の受け皿となる休日夜間急患センターの整備・拡充など,初期救急医療体制の充実にも取り組んでいるところでございます。具体的には,地域ごとに検討を進めた結果,開業医が急患センターや二次病院に出向いて診療することについて,一定の理解が得られつつある地域も出てきております。  また,二次救急につきましても,一部に輪番制がとられていない地域や十分に機能していない地域がありますので,病院相互の連携が図れるよう,受け入れ体制の再構築を検討してまいります。  さらに,三次救急につきましては,現在1カ所のみの地域救命センターを複数設置できるよう整備を進めているほか,本県独自のドクターヘリの導入については,専門家,有識者等による検討を行っているところです。  基地病院や受け入れ病院,医療スタッフの養成など,導入に向けての課題について,引き続き検討を進め,早期の実現に向けて努力してまいります。  救急医療については,限られた医療資源を有効に活用することにより,初期・二次・三次,それぞれの機能が十分に発揮できるよう,体制の充実に努めてまいります。  次に,療養病床の再編成への対応についてでございます。  療養病床につきましては,平成18年に医療制度改革関連法が成立したことに伴い,医療と介護の機能分担を図るなど,その再編が進められることとなりました。  このため,県では昨年4月に医療費適正化計画を策定するに当たり,医療療養病床数について検討をいたしました。  まず,医師の手厚い医療を必要とする患者の病床数は確保し,後期高齢者人口の伸びを考慮した上で,高齢者人口当たりの療養病床数が全国平均より少ないことなど,本県の実情を勘案し,4,170床に設定したところでございます。この数は他県に比べ高めの設定となっております。  なお,平成23年度末をもって介護療養病床が廃止されることに伴い,介護が必要な方の新たな療養場所として,介護老人保健施設や特別養護老人ホーム等が想定されておりますことから,このたび策定いたしました「第4期いばらき高齢者プラン21」においても,必要となる整備目標を設定したところです。  また,療養病床の介護老人保健施設等への転換に当たり,国においても基準の緩和や整備費の助成など,さまざまな支援措置を講じておりますので,県ではこれらについて周知を図り,円滑な移行を促進してまいります。  さらに,利用者や御家族に対し,保健福祉部内に相談窓口を設置し,適切な情報を提供しているところです。  県といたしましては,これらの取り組みを着実に進め,必要な医療や介護サービスが切れ目なく提供されるよう,引き続き努めてまいります。  次に,障害者の自立支援についてお答えいたします。  働く意欲のある障害者の就労支援の拠点として,「障害者就業・生活支援センター」の果たす役割は大変重要であると認識しております。県では,これまで5カ所にセンターを設置しており,登録者は約950名に達しております。その5割強の約530名が既に就業中であり,うち約170名が今年度の新規就職者となっております。来年度は新たに2カ所の設置を予定しており,平成23年度までには9つの障害福祉圏すべてに設置したいと考えております。  また,障害者が地域で自立した生活を送るためには,安定した所得の確保が重要です。このため県では,昨年3月に策定した工賃倍増5カ年計画に基づき,授産事業所に対し,企業的経営に向けての研修会を開催するとともに,希望する事業所には経営コンサルタントを派遣し,工賃アップを支援してきたところです。  しかしながら,本年2月に実施した経済情勢の影響調査によると,県内では約半数の事業所から昨年同期と比べ受注量が減っているとの回答があり,景気に大きく左右されている実態が浮き彫りになりました。  このような中,議員御提案の共同受発注の取り組みにつきましては,ねんりんピックの際に授産事業所が共同で土産品の生産販売をして工賃を引き上げた実績があり,大変有効な方法であると考えております。  県といたしましては,企業と授産事業所との調整に当たるコーディネーター経費を助成するなど,共同受発注センターの早期立ち上げを支援し,工賃アップを図ることにより,障害者が地域で自立して暮らせるよう努めてまいります。 36 ◯議長(葉梨衛君) 鈴木教育長。                    〔鈴木教育長登壇〕 37 ◯鈴木教育長 教育行政についてお答えいたします。  新学習指導要領への対応のうち,まず,「生きる力」の育成についての考え方についてでございます。  中央教育審議会の答申を受けまして,平成14年度に実施された現在の学習指導要領に,みずから学び,みずから考える力や豊かな人間性などの「生きる力」をはぐくむことが初めて盛り込まれ,「総合的な学習の時間」が新たに設けられました。  この総合的な学習の時間については,各学校において環境をテーマとして,地域の川の水質調査やクリーン作戦,サケの稚魚の放流などの活動が行われておりますし,福祉をテーマとして,バリアフリーや介護について調べたり,地域をテーマとして歴史や文化について調べる活動などが行われております。  このような取り組みが行われてきた結果,平成17年度の国の調査では,約80%の学校から「主体的に学んだり,考えたり,判断したりする力が身についた」と報告されております。  このような中,昨年,国においては,PISAなどの国際的な学力調査の結果などを受けて,学習指導要領の見直しを行い,各教科において,日常生活の中で知識・技能を活用して課題を解決する力をはぐくむため,国語や理科,算数・数学等の授業時数を増加させ,総合的な学習の時間は,例えば小学校におきましてはおおむね週3時間から週2時間に縮減されたところでございます。  県といたしましては,総合的な学習の時間は縮減されましたが,各教科において,知識・技能を活用する場面をふやし,思考力・判断力・表現力をはぐくむとともに,総合的な学習の時間においても,各教科での学習を踏まえ,課題解決的な学習や探求活動をしっかりと行うことで,教育活動全体を充実させ,これまで以上に子どもたちの「生きる力」をはぐくんでまいりたいと考えております。  次に,基礎学力の涵養についてでございます。  児童生徒の学力向上につきましては,議員御指摘のとおり,小学校から高等学校を通じて,基礎的・基本的な知識・技能の定着を図ることが重要と考えております。  このため,来年度新たに小中学校におきましては,小学5年生で算数嫌いが増加する傾向がありますことから,夏休みに小学4年生を対象として,四則計算等を確実に習得させる「学びの広場サポートプラン」を実施するとともに,個別指導や放課後の補充学習,宿題の点検・指導なども行える非常勤講師を小中学校に派遣する「学力向上支援事業」を実施してまいります。  また,高校生の中には基礎学力が十分身についておらず,学校の学習内容を理解することが難しい生徒が少なからずいることから,「高校生基礎学力向上サポートプラン」を実施し,基礎学力の向上に重点を置く高校に,非常勤講師等を配置して,きめ細かな指導に取り組んでまいります。  さらに,児童生徒の学力向上を図るためには,教員がゆとりを持って学習指導に取り組む時間を確保することが重要でありますことから,本年1月,小中学校教員の業務の軽量化に向けた改善策を示し,現在,県を初め各市町村教育委員会や小中学校において,てきることから実施しているところでございます。  これによりまして,教員が児童生徒と向き合い,じっくりと指導することにより,学習意欲を高めてまいりたいと考えております。  県といたしましては,これらの事業を進めることより,基礎的・基本的な知識・技能の確実な定着を図り,児童生徒の学力の向上に努めてまいります。  次に,特別支援学校における教育環境の整備についてでございます。  近年,全国的に知的障害特別支援学校の児童生徒数が増加しており,本県におきましても同様の傾向であり,特に高等部の生徒の増加が著しく,それに伴いまして教室不足が課題となってきております。  これまでに勝田養護学校や結城養護学校などにおける校舎の増築,仮設校舎の設置,また,つくば養護学校の新設により,教室不足の解消や通学時間の短縮に努めてまいりましたが,現在におきましても,課題の残る状況にございます。  このようなことを踏まえまして,昨年から,今後の特別支援学校の適正な配置を行うために,全県的な視野から,具体的な整備計画の検討を始めているところでございます。  このため,現在,「障害の重度化や重複化への対応策」「視覚障害及び聴覚障害児の減少に伴う対応策」「急増している知的障害児への対応策」「スクールバスの長時間乗車の解消策」等の課題について整理を行っているところでございます。  議員御提案の県西地域への特別支援学校の設置につきましては,特に結城養護学校においては,近いうちに受け入れ可能な人員を超えることが見込まれますので,早急に方向性を示す必要があると考えております。  また,増築や通学区域の見直しでは対応が難しく,新たに学校や分校を設置しなければならないような場合においては,高等学校の統合により廃校となる校舎の利用につきましても検討していかなければならないものと考えております。  県といたしましては,児童生徒の教育環境の整備を図るため,平成21年度のなるべく早い時期に整備計画の策定ができるよう努めてまいりたいと考えております。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 38 ◯議長(葉梨衛君) 暫時休憩をいたします。  なお,会議再開は午後3時40分を予定いたします。                     午後3時16分休憩          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━                     午後3時41分開議 県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑(続) 39 ◯議長(葉梨衛君) 休憩前に引き続き会議を開き,県政一般に関する質問,並びに上程議案に対する質疑を続行いたします。  横山忠市君。                 〔14番横山忠市君登壇,拍手〕 40 ◯14番(横山忠市君) 自由民主党の横山忠市でございます。  まず,今回の登壇の機会を与えていただきました先輩議員の皆さん,並びに同僚議員の皆さんに,心より感謝を申し上げる次第であります。  さて,私の地元の行方地域は,今,急激な人口減少に加え,少子高齢化の波にさらされております。大きな産業集積もなく,農業を中心とした地域であるがゆえに,さまざまな構造的課題を抱え,このままでは衰退の一途をたどるばかりであると,地域住民も強い危機感を抱いているところであります。  平成17年9月に,麻生,北浦,玉造の3町が合併をして誕生した行方市は,特に厳しい状況に直面をいたしております。合併前の昭和60年には3町合計で約4万3,000人あった人口が,今は3万9,000人を割るまでになっており,ピーク時からこの20年余りの間に1割近い人口が減少をいたしております。  また,高齢化も急激に進んでおり,平成19年10月1日現在の高齢化率は26.7%で,県内平均値を6%も上回り,県内では大子,常陸大宮,常陸太田,河内に次いで5番目に高い水準となっております。  本県では,県南と県北の地域格差が問題視されておりますが,鹿行地域の中でも鹿島臨海工業地帯の恩恵を受けにくい行方や鉾田など農業地域の衰退は,県北地域に劣らないぐらい深刻ではないかと考えております。  しかし,行方地域は,美しい自然環境に加え,東京から約70キロ,東関東自動車道,常磐道などを経由して2時間以内の距離にあり,鹿島臨海工業地帯や成田国際空港,筑波研究学園都市にも近く,これからは東関東自動車道水戸線,茨城空港の整備の波及効果も期待できるなど,地域の発展可能性はまさに無限大に広がっているのではないかと信じております。
     今回は,行方や鉾田など農業地域がゆえの諸課題を中心に質問をいたしますので,知事,並びに関係部長,教育長におかれましては,農業地域に生きる住民が未来に希望を持って暮らすことのできる,明るく積極的な御答弁をお願いいたしたいと存じます。  まず,茨城空港の開港を契機とした地域の発展基盤の整備促進についてお伺いをいたします。  いよいよ来年3月には茨城空港が開港をいたします。昨今の世界的な景気の後退による航空需要の減少などもあり,現在のところ,就航表明はアシアナ航空1社しか得られておりませんけれども,この空港にかける地元行方地域の期待は,まことに大きいものがあります。もちろん国内外の就航対策に今後一層の努力が求められてはおりますが,茨城空港は,首都圏の航空需要の一翼を担うとともに,本県の陸,海,空の広域交通ネットワークの完成に欠かすことのできない存在であることには変わりはないと思っております。  私は,来年の茨城空港の開港が,地域の発展基盤をさらに充実させるきっかけとなり,行方地域や鉾田地域の抱える人口減少や少子高齢化問題を初め,雇用の場の確保,農業振興など,さまざまな課題を解決する大きな足がかりとなってくれるものと期待をいたしているところであります。  それでは,まず,東関東自動車道水戸線潮来鉾田間の整備促進についてお伺いをいたします。  東関東自動車道水戸線潮来鉾田間の整備につきましては,前回の一般質問の際にもお伺いをいたしましたが,本路線の整備は,沿線地域の住民にとりましてまことに悲願というべき事業でありますので,今回も知事に質問をいたします。  東関東自動車道水戸線は,東京都練馬区から水戸市にわたる約140キロメートルの高規格幹線道路であり,千葉県の市川ジャンクションから県内の潮来インター間は,既に供用が開始されております。潮来インターより北側では,北関東自動車道の茨城町ジャンクションと鉾田インター間は既に整備計画区間として事業化され,茨城空港の開港に合わせ,茨城町ジャンクションと茨城町南インター間では平成21年度中の開通が予定をされております。  一方,潮来鉾田間の延長31キロメートルにつきましては,まだ基本計画段階にとどまっており,県内の高速道路計画の中では,唯一事業化から取り残されている箇所であります。この区間に高速道路が事業化されなければ,行方地域は霞ヶ浦と北浦に囲まれた陸の孤島のようなイメージを引きずったままであり,次に質問をする北浦複合団地への企業誘致にも動きがとりにくい状態であります。  しかし,関係者の御努力により,昨年の10月27日にこの区間の整備計画が都市計画決定され,事業化に向けて着実に一歩前進を果たしたところであります。今後は,国幹会議でいつ審議され,整備計画区間への格上げ,さらには早期完成にどうつなげていくのかが焦点となるわけであります。  私は,来年3月に予定される茨城空港の開港が,潮来鉾田間の整備計画区間への格上げを後押しする大きな転機になってくれるものではないかと,心から期待をいたしているところであります。  そこで,県では,今後,潮来鉾田間の整備計画区間への格上げと早期事業化に向け,どのようにして国などに働きかけていくのか,知事に御所見をお伺いいたします。  次に,北浦複合団地への企業誘致策についてお伺いをいたします。  農業以外の産業基盤が脆弱な行方地域の厳しい現状を打破するためには,まず雇用の場の確保が重要であり,地元では,県が整備を進める北浦複合団地への企業誘致に大きな期待を寄せているところであります。  北浦複合団地は,行方市北部の武田地区に,生産,流通,研究開発などの新しい産業を交流拠点として整備が進められている,約193ヘクタールの工業団地であります。しかし,これまでに進出した企業は,内閣所管の衛星情報副センターだけと,大変厳しい状況であります。  このような中,県内では,先ごろ古河市への日野自動車の進出計画が大きく報道されたところであります。実際の工場の建設時期など詳細はまだ不透明とのことでありますが,栃木,群馬,福島,宮城,埼玉など近隣の県がこぞって誘致に動いた中で,本県への進出が実現すれば,これは大変な快挙ではないかと考えます。  新聞報道などによれば,栃木県の福田知事は,敗因として「土地の価格と交通の便」を挙げたそうでありますが,茨城の広域交通ネットワークの整備の充実が,本県への立地の魅力を高めているのは間違いのない事実だろうと思います。  北浦複合団地周辺の交通インフラ整備の状況を見ましても,昨年には東関東自動車道水戸線潮来鉾田間も都市計画決定され,来年3月には複合団地から約15分の距離にある茨城空港もついに開港をいたします。広域交通ネットワークの整備の進展やその将来性をアピールして,ものづくり企業だけでなく,県内有数の物流拠点として発展できるような企業の誘致をぜひとも進めていただきたいと考えております。  また,日野自動車の例でも明らかなように,企業の誘致には土地の価格も重要な要素であります。北浦複合団地の公表されている分譲予定価格は平米当たり1万5,900円でありますが,地元でも,今の経済情勢では,高過ぎて企業が交渉の土俵にのってくれないのではという声も聞かれるぐらいであります。ぜひ誘致の成功につながるような,大胆な価格設定の検討をお願いしたいところであります。  そこで,茨城空港の開港などを契機といたしまして,北浦複合団地の企業誘致をどのような方針で推進していくのか,長期的な視点も含めて企画部長に御所見をお伺いいたします。  次に,県内産農産物の輸出の促進についてお伺いいたします。  近年,世界的な日本食ブームの広がりやアジア諸外国の経済発展に伴う富裕層の増大などにより,高品質で安全なジャパンブランドの農産物が人気を集めており,輸出のチャンスが拡大していると言われております。  政府においても,我が国の農林水産物の輸出額を平成25年度までに1兆円規模にするとの目標実現に向け,輸出環境の整備や意欲ある農林水産業者に対する支援に積極的に取り組んでいるところであります。  一昨年の7月に4年ぶりに日本の米の輸入が再開された中国では,日本ブランドの安心感も手伝って,現地価格の約20倍の値段にもかかわらず,初回輸入分の4トンを完売したと報道されました。  既に,関東地方でも,長野県川上村のレタスが台湾に輸出され,千葉県の葉物野菜や群馬県の北軽井沢高原野菜が香港に輸出されるなど,着実に実績を上げているとの話も伺っております。  来年3月開港予定の茨城空港は,昨今の航空需要にかんがみ,国内路線での就航対策が難しい状況にあることから,格安航空会社を含む国際線の定期便の就航に力を入れており,先月には韓国大手のアシアナ航空から就航表明があったところであります。  就航に前向きの姿勢だと報道されているマレーシアの大手格安航空会社なども含め,国際線を活用して,行方台地の安全でおいしい農産物を経済発展の著しいアジア諸国の富裕層に届けることができれば,事業として採算がとれる可能性は十分にあるかと考えております。  農家の中にも,現状のまま東京の市場で厳しい産地間競争を続けていくだけでは,将来の明るい展望が開けないと不安を感じている方もおります。地域の閉塞感を打ち破り,行方に新しい後継者を育てていくためにも,農家の努力がきちんと報われる,もうかる農業の仕組みづくりが必要であります。  そのためにも,茨城空港を活用した農産物の輸出の試みは,この地域の農業に大きなチャンスをもたらしてくれるのではないかと考えております。  そこで,茨城空港などを活用した本県農産物の輸出促進について,今後どのように取り組んでいくのか,農林水産部長にお伺いをいたします。  次に,安全・安心な農産物の生産体制の確立についてお伺いをいたします。  一昨年以来,我が国では食の安全を脅かす事件が次々と発生し,消費者は食の安全性に対して強い関心を持つようになっております。しかし,食の安全への不信は,国内だけではなく,全世界に広がっており,国際社会全体が,農産物の安全性を一層重視するようになってきたと言われております。  本県の農産物の輸出をこれから伸ばしていくためにも,日本の農産物の安全性を確保するための取り組みであるGAP,適正農業規範の導入が重要なかぎになってくると考えます。日本は,これまで農産物の輸出には積極的には取り組んでこなかったために,農産物の安全性の認証制度に対する世界の趨勢に大きくおくれをとっております。  例えば,ヨーロッパに農産物を輸出する生産者にとっては,世界基準であるグローバルGAP認証の取得が事実上の条件になると言われておりますし,中国でも独自のチャイナGAPを導入して,世界水準の安全性の確保による農産物の輸出の振興に懸命に取り組んでいるところであります。  茨城の安全・安心で品質の高い農産物の輸出を促進するためにも,県内の多くの生産者にGAPに取り組んでいただくことが大変重要であると考えております。また,国内での産地間競争に勝ち抜くためにも,消費者や食品関連事業者などの信頼感確保につながるGAP手法の導入は,大いにプラスになると考えております。  そこで,県内において,県内農産物の安全性を確保するGAPをどのように広めようとしているのか,農林水産部長にお伺いをいたします。  次に,雇用の受け皿としての農業についてお伺いをいたします。  担い手の高齢化や後継者不足などで苦境に立たされている行方地域の農業を再生させるためには,次の世代の担い手としての若者を確保することが重要であります。  さて,御承知のように,アメリカ発の金融危機に端を発した世界経済不況は,我が国の経済に急激かつ深刻な影響を及ぼしており,輸出関連の自動車,電気を初め,建設,不動産業などに壊滅的とも言える打撃を与えております。既に昨年末ごろから厳しい雇用調整が始まっており,非正規労働者の削減だけにとどまらず,その影響は正社員にまで及んでいると言われております。  雇用情勢の悪化は,ことしの就職活動にも深刻な影響を与えており,内定切りが相次ぐなど,新卒者の就職なども厳しさを増しております。  このような中,農林水産省でも,ことしの第2次補正予算により,雇用環境が悪化する都市部から人手不足が続く農山村地域へ人材を派遣する「田舎で働き隊」という事業を開始しました。また,ことし1月には,本県農協中央会においても,JAグループの人材派遣会社を活用して非正規労働者向けに就農あっせん事業を始めると発表したところであります。新規に就農したいと考える人は確実にふえており,今こそIターン,Uターンなどの活発化により,都市部などから農業地域に担い手を呼び込む千載一遇のチャンスであると考えます。  もちろん農業だけで生活を立てていくのは簡単ではありませんし,生半可な気持ちで農業の世界に飛び込んでも,長続きはしないのではと心配される方もおります。しかし,まずは農業県である茨城が,率先して農業にチャレンジする意欲のある人たちを受けとめてあげることが大事なのではないでしょうか。他県でも,農業生産法人の活用などにより成功事例も出ているようであります。  県としても,希望者が確実に就農へのステップを上るためのバックアップ体制を整え,1人でも多くの方が県内に定着していただけるよう支援をしていただきたいと考えます。  そこで,県では,現在の雇用情勢を踏まえ,どのようにして農業による雇用の受け皿づくりを進め,県内における就農支援を進めていくのか,農林水産部長にお伺いをいたします。  次に,霞ヶ浦のコイ養殖の再開に向けた取り組みについてお伺いをいたします。  この問題については,前回の一般質問の際にもお伺いをいたしましたが,その際に執行部からは,コイヘルペスに強い耐性コイの作出技術開発の成功や,養殖コイの流通対策について大変前向きな御答弁をいただいたところであります。地元のコイ養殖業者の方々初め関係者は,その後の展開に期待をしていたところであります。  しかし,その後1年以上が経過をいたしましたが,コイ養殖の再開までには大きな進展が見られないのが実情のようであります。一部には,養殖の再開が霞ヶ浦の水質に影響するのではないかと心配する声があると伺っております。しかし,コイヘルペスの発生後,網いけすの自主的な撤去は随分と進んでおります。えさのやり方やいけすに入れるコイの数を適正に管理していけば,養殖を再開しても水質への影響はほとんどくなっているはずであります。  コイヘルペス病が蔓延するまで,霞ヶ浦が国内養殖コイの半分に当たる約5,000トンを出荷する一大産地に成長していった背景には,常陸川水門をつくり霞ヶ浦全体を水がめ化する霞ヶ浦開発事業という国策があったわけであります。霞ヶ浦の漁業は,「捕る漁業からつくり育てる漁業」へと方向転換をせざるを得なかったのであります。  地元のコイ養殖業者の中に,霞ヶ浦のコイ養殖の文化を守り,養殖の再開を切望している方が残っている以上,県としても養殖再開のため全力で支援をしていくべきではないかと思うのであります。また,養殖業者の方も,生計を維持していかなければなりませんので,時間が経過すればするほど再開は難しくなってしまいます。  また,地元のコイ養殖業者の方に聞きますと,コイ養殖は4月の採卵準備から始まるとのことであり,コイ養殖の生産サイクルを考えると,この春を逃せば,実質的にまた1年再開が先送りになってしまいます。ぜひこの春に間に合うよう,一刻も早いコイ養殖の再開を期待するものであります。  あわせて,養殖の再開後には,養殖の経営安定化に向けた支援も必要と考えております。  そこで,霞ヶ浦のコイ養殖の再開時期と再開後の取り組みについて,知事に御所見をお伺いいたします。  次に,農業地域など,地域特性に対応した結婚対策の推進についてお伺いをいたします。  農業地域の振興のためには,都市部から若者を呼び込むことも重要でありますが,地域の農家の後継者問題への対策も忘れてはなりません。地元の様子を見ましても,農家の後継者にはなかなかお嫁さんが来てくれないのが実情で,結果として,地域の将来にわたる持続可能な農家が立ち行かない状況になっております。  私は,本県の農業の活性化のためにも,農村地域における結婚対策への取り組みが求められていると考えます。これは行方地域に限ったことではありませんが,特に農村地域の若者には出会いの場が少なくなっており,そのことも一因となって若者が農村からますます流出し,農村地域の衰退に拍車をかけているのではないでしょうか。  我が国の少子化の大きな要因として,未婚化,晩婚化の現象があると言われておりますが,本県では,全国に先駆け,男女の出会いの場を提供するためのいばらき出会いサポートセンターや地域の結婚の世話役としてマリッジサポーターを設置するなど,積極的に結婚対策事業に取り組んでおります。この事業によって結婚に結びついたカップルは,平成18年度から現在までに250組というすばらしい実績を上げていると伺っており,行政が本来取り組みにくいと言われている未婚化対策に,ここまで踏み込んで実績を上げているのは,本当に称賛に値するのではないかと思っているのであります。  一方で,私は,民間の結婚情報サービスなどが普及する中,県が公の事業として未婚化対策を実施するのであれば,民間が参入しにくい農山村漁村地域など条件不利地域を中心にすべきではないかと考えてしまうのであります。  本県は,日本有数の農業大県であり,首都圏の一大食料供給基地であるという事実を決して軽んじてはならないと思います。茨城農業の未来を支える将来の担い手づくりのためにも,県は農村地域の結婚対策に重点的に取り組んでいただきたいと考えております。  そこで私は,今後,農業地域など地域特性に対応した結婚対策を進めるべきであると考えますが,そのような視点を踏まえて,県は結婚対策をどのように進めていこうとしているのか,保健福祉部長の御所見をお伺いいたします。  次に,県道水戸神栖線の整備についてお伺いいたします。  県道水戸神栖線は,鹿島臨海工業地帯から潮来市の国道51号を経て,行方市内を縦貫し,県都水戸市に至り,さらには東関東自動車道水戸線や北関東自動車道につながる広域的な幹線道路であります。また,来年3月に開港する茨城空港への連絡道路としても大変重要な意味を持つ路線であり,東関東自動車道水戸線が開通するまでは,行方台地の農産物の物流ルートとしての役割を初め,人や物が行き交う県央部と鹿行地域を連絡する大動脈としての機能が期待をされております。  しかし,本路線の整備状況を見ますと,特に行方市内の区間では歩道の未設置箇所も多く,一部では幅員が狭く,あるいは道路が屈曲している場所があるなど,交通安全上の観点からも危険な箇所がいまだ多く残されているのが実情であります。  特に,玉造工業高校やなめがた地域総合病院など,地域住民の生活拠点となる場所付近の整備が課題となっております。  昨年11月には,潮来市,行方市,小美玉市の市長と市議会議長で構成する水戸神栖線・玉里水戸線道路建設促進期成同盟会からも,本路線を含む県央・鹿行連絡道路の早期の整備要望が出されているところであります。また,地元住民も,来年3月の茨城空港の開港を控え,一刻も早い本路線の整備完了を待ち望んでいるところであります。  そこで,行方地域の県道水戸神栖線の整備の状況と今後の見通しについて,土木部長にお伺いをいたします。  最後に,公立小中学校の統廃合に対する市町村への支援策についてお伺いをいたします。  行方地域のような農村地域において定住人口を確保していくためには,子供たちの教育環境の充実も大変重要であります。しかし,少子化の影響により,本県の小中学校の児童生徒数は急激に減少いたしており,統廃合の問題は避けては通れない状況となっております。  例えば県内の昭和57年のピーク時には約28万人いた小学校の児童数は,平成20年度には約17万人にまで減少をいたしております。中学校の生徒数も,昭和62年の約14万人から平成20年度には約8万人まで減少しており,いずれも約4割の減少となっております。  しかし,学校の数は,ピーク時の児童生徒数に合わせてつくられたまま,ほとんど変わっておりません。  このような中,昨年から,県教育委員会では,公立小中学校の適正規模のガイドラインの策定や統廃合の事例集を策定するなど,小中学校の統合に向けた誘導策を打ち出しました。県内でも多くの市町村が検討を進めており,地元の行方市でも学校等適正配置実施計画を策定し,10年をかけ,統廃合により小学校18校を4校に,中学校4校を3校にする計画を進めようとしております。  しかし,市町村にとりましては,小中学校の統廃合は,地元の住民の方との調整など大変難しい問題を抱えることになりますし,廃止される側の地域の方の痛みも伴います。  私は,県は,市町村と痛みを分かち合うくらいの気持ちで,市町村が統廃合に積極的に取り組めるようもっと後押しをしていただきたいと考えております。  私が特に保護者の方から心配の声をお聞きするのは,統廃合により子供たちの通学距離が長くなってしまうことであります。通学手段の確保だけでなく,登下校時に犯罪に巻き込まれないための安全対策の観点からも,スクールバスの配備や環境整備が必要であります。また,統合後も教員を手厚く配置するなど,統合後のアフターケアも重要であると考えます。  そこで,県では,公立小中学校の統廃合を進めるため市町村にどのような支援をしていく考えなのか,教育長にお伺いをいたします。  以上で,私の質問を終わりとします。  御清聴まことにありがとうございました。(拍手) 41 ◯議長(葉梨衛君) 横山忠市君の一般質問,質疑に対する答弁を求めます。  橋本知事。                    〔橋本知事登壇〕 42 ◯橋本知事 横山忠市議員の御質問にお答えいたします。  まず,茨城空港の開港を契機とした地域の発展基盤の整備促進についてお尋ねをいただきました,東関東自動車道水戸線の潮来鉾田間の整備促進についてでございます。  東関東自動車道水戸線は,本県及び鹿行地域にとって,住民の利便性の向上はもとより,企業立地の促進や農業の振興など,今後の地域の発展を支える重要な路線であります。国家的視点から見ましても,高速道路ネットワークを形成しますとともに,鹿島港や茨城港,茨城空港,さらには成田空港などの拠点を連結すること,また災害時において常磐道の代替ルートとしての役割を担うことなど,極めて重要な路線であります。  この潮来鉾田間につきましては,平成9年に基本計画区間へ位置づけられて以降,整備計画区間への格上げを国へ要望してまいりましたが,その後の高速道路をめぐる国の情勢などもあり,基本計画のままとなっております。  整備計画への格上げは,地元はもとより,県にとりましても悲願でありますが,昨年10月に整備計画格上げの前提となります都市計画を決定しましたことから,今後,国の国土開発幹線自動車道建設会議,いわゆる国幹会議において決定していただくことが必要となってまいります。  先月17日には,私も,県議会議員,さらには沿線の首長及び議長の方々ともども,国土交通省を訪問し,金子国土交通大臣に対しまして,直接,本路線の整備の必要性と地元の熱意を強く訴えてきたところであります。  県といたしましては,本県及び鹿行地域の発展,あるいは高速道路ネットワークの形成による首都圏全体の国際競争力の強化に不可欠な路線であるとして,今後とも,国等関係機関に対し,整備計画への早期の格上げ及び事業化について,全力を挙げて働きかけてまいります。  次に,霞ヶ浦のコイ養殖の再開ヘ向けた取り組みについてお答えいたします。  霞ヶ浦・北浦のコイ養殖につきましては,平成15年にコイヘルペスウイルス病が発生するまでは,全国生産の約5割のシェアを占め,全国一の生産量を誇る重要な地場産業であり,伝統あるコイの食文化を守っていきますためにも大変必要なものと考えております。  このため,県としましては,コイ養殖の早期再開に向けて,これまでコイヘルペスウイルス病に強い耐性コイの生産技術や蔓延が防止できる鮮魚出荷方法の開発など,一つずつ課題の解決に取り組んできたところであります。また,霞ヶ浦の水質への負荷軽減対策につきましても,養殖業者は養殖施設の削減に努力を重ね,平成15年当時のおおむね半減とする計画であると伺っております。このように,養殖再開に向けて体制が整いつつあります。  一方,議員御指摘のとおり,コイ養殖の生産サイクルは4月の採卵準備から始まりますので,この春を逃すと実質的に養殖の再開が1年おくれることになってしまいます。  こうした状況を踏まえ,4月中に採卵の準備作業に取りかかれるよう,関係者の方々と協議し,コイ養殖の再開に向け取り組んでまいりたいと考えております。  さらに,養殖再開後につきましては,養殖経営の安定化に向けて,地元でのコイの消費拡大に向けたイベントを支援してまいりますほか,霞ヶ浦・北浦産のコイを活用した新商品の開発や,茨城空港や高速道路のサービスエリアでの販売など,販路開拓に向けた取り組みを支援するなど,霞ヶ浦・北浦のコイ養殖業の振興に取り組んでまいりたいと存じます。 43 ◯議長(葉梨衛君) 清瀬企画部長。                   〔清瀬企画部長登壇〕 44 ◯清瀬企画部長 北浦複合団地への企業誘致策についてお答えいたします。  北浦複合団地は,多様化する企業のニーズに柔軟に対応できるようオーダーメイド分譲方式を採用しており,地元への大きな波及効果が期待できるものづくり企業や,鹿島臨海工業地帯への近接性を生かした素材型産業関連企業などを重点として,産業視察会や企業立地セミナーなどを通じた積極的なPRや企業訪問を行っているところでございます。  地元行方市におきましても,昨年4月に企業誘致推進室を設置し,市長みずからが企業訪問を行うなど,県と連携しまして積極的な誘致に取り組んでいるところでございます。  行方地域は,来年3月に開港する茨城空港のほか,鹿島港外港地区の供用開始,東関東自動車道水戸線の延伸など,広域交通ネットワークの整備が進むことで将来のポテンシャルが高まると考えられますので,今後,議員御指摘の物流業も含め,幅広い企業に対しこれらの利点を積極的にPRするなど,誘致活動を一層強化してまいります。  お尋ねの分譲価格につきましては,財政再建等調査特別委員会からも弾力的な価格設定を行うべきとの御提言をいただいているところでございます。既に,これを踏まえまして,本年度,宮の郷工業団地と茨城中央工業団地を対象に分譲価格の引き下げを行ったところでございますが,北浦複合団地につきましても,今後,市場価格の動向を勘案し,価格の見直しを検討してまいりたいと考えております。 45 ◯議長(葉梨衛君) 斉藤農林水産部長。                  〔斉藤農林水産部長登壇〕
    46 ◯斉藤農林水産部長 県内産農産物の輸出の促進についてお答えいたします。  本県では,昭和63年度から,メロン,ナシ,カンショ,納豆などの青果物や加工品の試験輸出をアメリカや東南アジアなどで行ってまいりました。しかしながら,商業ベースで採算がとれる輸出にはなかなかつながらず,継続的な輸出に至っていないのが現状でございます。  長野県のレタスや青森県のリンゴの輸出においても,直接的な利益より,生産者の意欲向上やPR効果による地域ブランドの確立を目的としていると聞いております。  しかし,近年,中国や東南アジア諸国の国民所得の著しい向上などにより,高品質でおいしく,しかも安全な日本の農産物への関心が高まるなど,農産物輸出を取り巻く状況は大きく変わりつつあります。  本県におきましても,昨年6月には全農茨城県本部がタイにメロンの試験輸出を行って好評を博し,また,先日,水戸市内において県とジェトロが共催いたしました輸出セミナーにおきましても,参加者が過去最多となるとともに,参加した生産法人や加工業者から多数の輸出相談が寄せられております。  このように農産物輸出への関心が高まる中,茨城空港の開港は大きなチャンスであると考えております。  特に,空港に近い行方地域では,空港までの輸送コストが低く済むこと,イチゴや葉物など空輸に適した軽量で高品質な作物が多く栽培されていることなど,輸出に向けた高いポテンシャルを有していると考えております。  県といたしましては,引き続き他県の先進事例の調査や農林水産物等輸出促進全国協議会などから得られた情報を意欲的な生産者や流通業者などへ向けて提供していくとともに,茨城空港の就航予定先における市場調査を行いまして,新たな産地づくりを提案するなど,農林水産物の輸出に向けて積極的に検討してまいります。  次に,安全・安心な農産物の生産体制の確立についてでございます。  消費者に安全な農産物を届けるためには,あらかじめ農薬の使用や衛生管理などの注意点を明らかにして,対処方法をマニュアル化して管理するというGAPの取り組みは,大変有効な手段であると考えております。  このため,本県におきましては,JAグループ茨城などと,いばらき農産物安全対策推進会議を設置し,平成19年3月に「茨城県版GAP導入の手引き」を作成し,すべての生産者がGAP手法に基づいた生産ができるよう,普及推進しているところでございます。  まず,JAグループでは,県域営農支援センターが中心となり,多くの農家が取り組めますよう,この手引きに基づく基礎的なGAPを作成し,これを手始めに,徐々にステップアップを図る方式により普及推進しております。現在,県内7JA,1,520名の生産者が導入しており,行方地域におきましても,JAグループの先陣を切って,JAなめがたみず菜生産部会など260名が取り組んでいるところでございます。  また,議員御指摘のグローバルGAPと同等であると認められたJGAPは,第三者による認証が必要であり,認証を受けるためには専門的な知識や経済的な負担も必要となることから,県では,認証を取得したいという意欲の高い農業者集団には,生産管理アドバイザーの派遣や必要な経費の支援などを行ってまいりました。この結果,本県では3集団,83農場が認証を受けており,これは全国最多となっております。  県といたしましては,引き続き研修会の開催や現地指導,希望する生産団体に生産管理アドバイザーを派遣するなどの支援を行うことにより,GAP手法を生産者に広く浸透させ,安全・安心な農産物づくりを進めてまいります。  次に,雇用の受け皿としての農業についてでございます。  昨年末からの雇用情勢の急激な悪化を踏まえ,国では,農業法人などが新たに就業希望者を雇用して研修を実施する場合の助成や,議員御指摘の「田舎で働き隊事業」を進めているところでございます。  県におきましては,昨年12月に緊急経済・雇用対策本部を設置し,年末年始も就農相談窓口にて140件余りの相談にこたえてきましたほか,2月には,農業法人などに参加いただいて,就農相談会「新・農業人フェアインいばらき」を開催し,前回を大きく上回る方々の参加を得たところでございます。  また,就農希望者が着実に県内に定着できますよう,就農後も一貫した支援を行う就農コーディネーターを農業大学校に本年度から設置してございます。  さらに,平成21年度には,正規雇用につながる就業機会を提供するため,就農相談員を増員して就農相談会や県内農業法人などへの就職あっせんなどを充実させますとともに,就農を希望する離職者等を対象に,日本農業実践学園や鯉渕学園において農業の実務研修を行い,農業への定着を促すほか,農業法人などが生産技術の開発等に取り組む際の人材の雇用と農業の実務研修に対して支援を行うなど,多様な取り組みを進めてまいります。  このほか,JAグループ茨城におきましても,離職した方々を各JAの選果場や直売所などに受け入れる対策を進めているところであり,今後とも,国,県,民間が一体となって,農業による雇用の受け皿づくりと農業の担い手確保に努めてまいります。 47 ◯議長(葉梨衛君) 山口保健福祉部長。                  〔山口保健福祉部長登壇〕 48 ◯山口保健福祉部長 農業地域など,地域特性に対応した結婚対策の推進についてお答えいたします。  県におきましては,いばらき出会いサポートセンターを中心に全県的な結婚支援活動を展開しており,現在,登録会員数は約2,500名,成婚数も255組に上るなど,成果を上げているところでございます。  議員お尋ねの農業地域の結婚対策についてでございますが,農業は,家族経営が中心で,出会いの機会が少ないことなどから,農業従事者の未婚率は,全産業に比べ30代で6%,40代で9%高くなっており,今後力を入れていかなければならない分野と認識しております。  県におきましては,これまで,出会いサポートセンターの運営委員や結婚支援団体で構成する出会い応援団体連絡会議に農業関係者の参加をいただくとともに,農業委員会などに設置されている結婚相談員を対象に研修会を開催してまいりました。  また,水戸市や鹿嶋市など13の市町村の農業関係部署におきましては,農業後継者育成のため,独自のふれあいパーティーの開催や結婚相談員を配置するなど支援に取り組んでおり,県としてもこれを支援してきたところです。  茨城農業を維持発展させる観点からも,農業地域における結婚支援はとりわけ重要ですので,農林水産部や関係団体などと十分な連携を一層図ってまいります。  具体的には,農業関係者に対する出会いサポートセンターの周知やマリッジサポーターの委嘱,さらには出会い応援団体連絡会議への登録やふれあいパーティーの共催の呼びかけなど,さまざまな活動を通して多くの農業関係の方々の参画をいただきながら,地域における結婚支援の輪を広げてまいります。 49 ◯議長(葉梨衛君) 伊藤土木部長。                   〔伊藤土木部長登壇〕 50 ◯伊藤土木部長 県道水戸神栖線の整備についてお答えいたします。  本路線は,鹿行地域と県央地域を結び,広域的な交流連携や日常生活を支える重要な幹線道路でございますが,議員御指摘のとおり,歩道の未整備や車道の幅員が狭く,歩行者の安全や大型車の通行に支障を来している区間があると認識しております。  本路線のうち,行方地域の国道51号から県道小川鉾田線の約26キロメートルにつきまして,これまでに,県道水戸鉾田佐原線との交差点の南側,国道354号との交差点より北側の区間など,合わせて13キロメートルの整備が完了しております。残り区間につきましても,通学路や病院周辺,交通の危険箇所を優先しまして,現在6カ所で整備を進めているところでございます。  このうち,議員お尋ねの玉造工業高校付近につきましては,これまで歩道整備を進めてきたところでございますが,今年度も引き続き歩道の設置工事を進めてまいります。また,なめがた総合病院付近の交差点改良につきましても,地元行方市のご協力により公図の不整合が解消されたことを受けまして,今年度用地測量が完了いたしましたことから,来年度には用地の取得に着手してまいります。  今後とも,歩道設置や交差点改良などを進めまして,安全で円滑な交通の確保に努めてまいります。 51 ◯議長(葉梨衛君) 鈴木教育長。                    〔鈴木教育長登壇〕 52 ◯鈴木教育長 公立小中学校の統廃合に対する市町村への支援策についてお答えいたします。  急激な少子化の進行により規模の小さな学校が増加する中,統合により一定の学校規模を確保し,子供たちが集団の中で充実した学校生活を送ることができるよう,教育環境の改善を図ることが重要になってきております。  このため,昨年4月に公立小中学校の適正規模のガイドラインを策定しましたほか,学校統合事例集や県民向けリーフレットを配布するなどして,市町村の取り組みを促してまいりました。現在,適正規模を下回る小中学校約420校のうち,約7割の学校について適正規模化に向けた検討がなされているところでございます。  議員の地元であります行方市におきましては,県内でも適正規模化にいち早く取り組まれ,先月,平成27年度までに学校統合を行う実施計画がまとめられているところでございます。  学校統合に対する県の支援策についてでございますが,市町村からの要望も踏まえまして,来年度,新たに教職員の加配や遠距離通学対策のための支援制度を創設することとしております。  まず,教職員の加配についてでございますが,統合後の学校に教員と非常勤講師をそれぞれ1名ずつ1年間配置してまいります。加配した教員には,新たな学区内におけるPTAや地域との関係づくりや保護者の不安解消のための相談などに重点的に取り組んでもらうことを考えております。また,非常勤講師には,ティーム・ティーチングなどの少人数指導や児童生徒相互の新たな人間関係づくりを学級担任と連携して取り組むために配置してまいります。  次に,遠距離通学対策事業への支援についてでございますが,学校統合により遠距離通学となる児童生徒が安全・安心して通学できるよう,スクールバスの購入費や運行経費,公共交通機関等の定期代などに対して助成してまいります。  県といたしましては,これらの支援策を通して,児童生徒が新しい学校で生き生きとした学校生活を送ることができるよう,市町村とともに学校の適正規模化に向けた取り組みをより一層推進してまいりたいと考えております。 53 ◯議長(葉梨衛君) 横山忠市君。                   〔14番横山忠市君登壇〕 54 ◯14番(横山忠市君) ただいまは,大変明快なる御答弁をいただきましてありがとうございます。  特に,知事におかれましては,私どものコイヘルペスから以来,大変念願でございましたコイ養殖の再開に向けて,4月からというような期限をいただきました。きょうもコイの業者の方々お見えになっておりますけれども,大変ありがたく御礼を申し上げまして,私の一般質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございます。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 55 ◯議長(葉梨衛君) 以上で,本日の日程は全部終了いたしました。  次回は,明3月5日午後1時から本会議を開き,一般質問,質疑を続行いたします。  本日は,これにて散会いたします。                     午後4時37分散会 Copyright © Ibaraki Prefectural Assembly, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...