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  1. 茨城県議会 2009-03-03
    平成21年第1回定例会(第3号) 本文 開催日: 2009-03-03


    取得元: 茨城県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-09
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 平成21年3月3日(火曜日)午後1時1分開議          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◯議長(葉梨衛君) これより本日の会議を開き,直ちに議事日程に入ります。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 日程第1 第1号議案=ないし=第80号議案,報告第1号 2 ◯議長(葉梨衛君) 日程第1,第1号議案ないし第80号議案及び報告第1号を一括して議題といたします。           ───────────────────────────── 会派代表による県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑 3 ◯議長(葉梨衛君) これより,会派代表による県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑を許します。  民主党,今一男君。                 〔25番今一男君登壇,拍手〕 4 ◯25番(今一男君) 民主党の今一男であります。  会派を代表して,知事,教育長にお伺いしますので,明快なる御答弁をお願いいたします。  アメリカのオバマ新大統領は,その就任演説で,「同じ手を用いるだけで狭い利益にこだわり,面倒な決定を先送りする,そんな時代は確実に終わった。今日から我々は立ち上がり,ほこりを払って,米国再生の仕事に着手しなければならない。」と述べています。  我が国においても,昨年の世相をあらわす漢字として,清水寺で発表されたのは「変」であります。  日米両国とも,国民はさまざまな分野での変革を求めております。小泉政権時代の政策は,市場原理主義に立脚して,株主優先,外資歓迎,労働者軽視弱者切り捨ての社会を構築し,我々日本人のメンタリティーには到底受け入れがたい,ギスギスした競争社会をつくり出しました。人は,むき出しの競争社会では生きていけません。連帯と相互の支え合いが生かされる社会,ぬくもりと思いやりのある社会に大きく変革していかなければなりません。  一方,県政に目を向けてみますと,ここ数年来,解決できないまま大きな進展もしない行政課題が山積しているように見受けられます。財政危機問題,保有土地問題,地球温暖化問題,医師不足問題などであります。県民は国政同様に大きな変革を求めておりますが,知事はここ数年,県政の安全運転をし過ぎて,これらの諸課題を何としても解決しよう,困難を突破していこうという気迫がやや薄れているのではないかと感じられます。今までにない視点での抜本的改革メニューを打ち出し,県政の大改革に取り組んでいかなければなりません。  本日は,こうした観点から,通告に従ってお伺いします。  まず,雇用危機への対応についてお伺いします。  政府が先月末に公表した数字によれば,非正規労働者の雇止めなどは,昨年10月以降,実施予定のものを含めますと,2,300事業所,15万8,000人にも及んでおります。加えて,新規学卒者内定取り消し大手企業にも雇用調整の動きが見られるなど,雇用情勢は急速に悪化しております。年末年始に開設された年越し派遣村では,社員寮からの退去を求められ,寒空の中,路頭に迷う人々が,繰り返しマスコミ報道されました。霞ヶ関をデモ行進する人々の表情を見ていますと,雇止めにあった人々のいら立ち,怒りのマグマが全国的に爆発し,大きな社会不安を引き起こすのではないかと空恐ろしくなりました。
     こうした状況を招いた原因は,株主利益を優先し,雇用責任を軽視した企業姿勢,労働者保護や社会的公正を置き去りにした規制緩和,不十分な雇用対策,社会保障などであります。一刻も早く,社会のあり方を,効率,競争優先から公正,連帯重視へと再構築するべきであります。  雇用問題をこれ以上深刻化させないためには,短期的には,今回の雇用危機に対する早急なセーフティネットの構築,中期的には,企業の過度な株主優先主義労働者軽視の姿勢の是正,労働分配率の向上に基づく内需中心の景気回復などが必要であります。  そこで,今回の雇用危機をどのように乗り越えていくのか,まず,知事にお伺いします。  次に,平成21年度当初予算案に関連して,4点ほどお伺いします。  まずは,今回の予算編成についての知事の所見です。先月,政府が発表した昨年10月から12月期の実質GDP成長率はマイナス3.3%,年率換算にするとマイナス12.7%となり,与謝野経済財政担当大臣は戦後最大の経済危機であるとの認識を示しました。この状況下で,来年度予算案における県税収入も対前年度比688億円の減,減額幅は過去最大となっております。  幸い,地方交付税臨時財政対策債の増額で今回については収支の帳じりが合っておりますが,三位一体の改革以来の国の地方交付税に対するスタンスを考えますと,いつまた地方交付税が減額されるかもしれません。こうした減額に耐えうる財政構造の確立が急務であると考えます。  知事も相当の苦心をされて今回の予算を編成されたことと思いますが,私の目にはシーリング方式歳出削減が限界に来ているように見受けられます。現時点での県民福祉の維持安定には何が必要で,何をがまんしてもらうかをしんしゃくし,知事が確固たる信念とすべての抵抗をはねのける気概を持って,切り込むところには切り込んでいくという以外に,足腰の強い財政構造をつくる道はないと考えます。  そこで,今回の予算案をどのような考え方で編成されたのか,知事の御所見をお伺いします。  次に,茨城県開発公社への支援についてであります。  先週の知事の提案理由説明でも多くを触れておりましたが,今回の当初予算案の大きなポイントは,開発公社への一般財源投入問題であります。開発公社の経営状態については,議会でもかねてより警鐘を鳴らし,見直しのポイントについても微に入り細に入り指摘してきたところであります。  私も,平成17年から18年にかけて県出資団体等調査特別委員会の委員として,改革工程表の作成,それに基づく経営改善について積極的に意見を申し上げてまいりました。このとき執行部は,開発公社にはそれまでの含み益があるため減損会計を導入しても黒字であり,当面債務超過にならない,改革工程表に沿って経営改善に努めるとのことでありました。  そのたった3年後にこのような事態に陥ってしまったことは,議会人として遺憾と言わざるを得ません。これまで,開発公社に関しては,執行部の小出しの情報に基づいて議会が意見を述べる。議会の意見が断片的なため,執行部は独自判断で指導監督するという悪循環に陥っていたと考えます。  これを機に,今後,執行部は,開発公社に関する情報は,胸襟を開いて議会に率直に提示するよう強く求めておきたいと思います。  今回,トータルで200億円を超える血税を10年にわたって開発公社に投入する案が出されています。しかし,10年先の土地や資産の評価額は雲をつかむようなものであり,今後,追加損失を生じることが十分考えられます。また,分譲中の工業団地については年間6ヘクタールずつ10年で完売するとのことでありますが,今後の経済情勢によっては売れ残る可能性も大きいと考えます。  そこで,こうした不測の事態が生じたときにどのような考え方で対応していくのか,また,万一,追加損失額が生じたときその責任をだれがどのようにしてとるのか,知事にお伺いします。  次に,公共工業団地及びTX沿線開発にかかる将来負担額の逓減対策についてであります。  昨年9月の財政再建等調査特別委員会で,県は,保有土地等に係る将来負担見込み額とその逓減対策を公表しました。本県の保有土地に係る将来負担の見込み額は何と2,000億円にも及ぶ見込みで,そのうち対策が必要なのが1,700億円,それを平成40年度まで年間80億円ずつ対策していくというものであります。  私は,想像を絶する額の大きさやその余りにもざっくりとした説明内容に衝撃を受け,しばし唖然としてしまいましたが,一方では,大切なことほど議会への説明は先送りで,外堀を埋めてからしか本音を話さないこれまでの執行部の対応とは一線を画し,ぶこつではありますが,誠実に県民に向き合おうとする意思も感じられたのであります。  そのときの将来負担見込み額の内訳は,住宅供給公社対策で504億円,土地開発公社対策67億円,開発公社対策156億円,公共工業団地対策362億円,TX沿線開発対策590億円,合計1,700億円であります。そのうち住宅供給公社土地開発公社については,平成18年度の9月補正から対策が始まり,開発公社については今回の予算案で支援スキームが出されました。  しかし,大どころの公共工業団地TX沿線開発の対策については,今回の予算案では触れられておりません。県事業である公共工業団地については開発公社に事業委託をしており,開発公社プロパー団地と一体的に事業実施していること,また,プロパー団地よりも格段に規模や借入額,金利負担額等が大きいことから,当然,今回の開発公社対策とともに対策されるものと考えておりました。  しかし,支援スキームをつぶさに拝見しましたが,どこにもその記載がありません。空港テクノパークなどは,近隣に茨城中央工業団地北浦複合団地という広大な工業団地が既にあったにもかかわらず,平成16年から用地取得を始めており,なぜ土地を買ってしまったのか私には不可解でなりません。  TX沿線開発についても,開業当初こそ好調でありましたが,ここ一,二年は販売不振で,今後は,駅から遠いなど,これまでより条件の悪い土地を販売しなければならないことを考慮すると,この100年に一度の経済不況の中,先行きは極めて厳しいものがあります。こちらは公共工業団地よりもさらに額が大きいため,対策なしでは,金利負担だけでも多額の血税が費やされてしまうのであります。この2つの対策が具体的に県民に提示されない限り,保有土地問題は抜本的に解決できないのであります。  そこで,本県にとって大変に重くなっている公共工業団地及びTX沿線開発に係る将来負担額の逓減対策にどう取り組んでいくのか,知事にお伺いいたします。  次に,住宅供給公社土地開発公社対策の前倒しについてであります。  住宅供給公社土地開発公社支援スキームについては,先ほど申し上げた県出資団体等調査特別委員会の中でかんかんがくがくの議論がなされました。私は当事者の一人としてその議論に参加し,そのときにも申し上げましたが,10年という支援期間は余りに長過ぎます。10年たてば,議会側も執行部側も大きく人がかわります。10年後には当時の状況を知る議員も少ないため,さしたる指摘も受けずに既定路線として議案が通ってしまう,そういう期間であります。私は,その点がどうしても気にかかり,調査特別委員会の中で,改革工程表の中に県の実質的責任者を明記するよう求めたのであります。10年後でも,事実上だれがこの対策に責任を負ったのかを明確にするためです。  この際,執行部と確認しておきたいのは,この対策を10年かけて実施するということは,議会として正式な形で承認していないということであります。執行部は確かに今後10年の羅針盤を示し,各会派はそれを重要な検討材料として賛否を決めたことは事実であります。しかし,議案としては,当初予算案の形で当該年度分のみが毎年第1回定例会に提案されるのであります。我々は,議会での行動について県民の熱い視線を受けながら,議案ごとに是々非々で審議しているのであり,あたかも10年で対策することが既定路線となっているかのような最近の執行部の説明態度には強い違和感を感じざるを得ません。  その時々の社会情勢の変化によって,県民にとってよりよい対策がとれるのであれば,支援内容は変わってしかるべきであります。国は昨年から,第三セクターの破綻処理に伴って生じる経費に対し地方債を発行できるよう,関係法令の整備を進めております。こうした制度をフル活用して,前倒しで清算することを検討すべきではないでしょうか。大規模住宅団地など未造成で条件の悪い土地が,10年で完売できるとは到底思えないのであります。  そこで,この2公社対策の前倒しについて積極的に検討していくお考えがあるか,知事にお伺いします。  次に,行財政改革の基本方針についてであります。  先般,来年度から平成23年度までを推進期間とする第5次の行財政改革大綱が策定されました。中身を見てみますと,おおむね5年後をめどに県債管理基金からの繰替運用なしの予算編成を目指すなど,財政再建等調査特別委員会の提言を全面的に採用し,みずからに厳しい規律を課して財政健全化を図っていこうとする意気込みについては理解いたします。  しかしながら,この財政健全化目標を達成するための具体的手段を見てみますと,ほとんどが第4次大綱に掲げられていた項目をさらに推進していくという内容であり,果たしてこれでこの厳しい財政健全化目標を達成できるのかと,不安を感じるのであります。  大阪府の橋下知事は,先日,就任2年目ながら,11年ぶりに黒字となる当初予算案を発表いたしました。全国初の職員の退職金一部カットや私学助成削減など府民サービスにまで切り込んで,1,100億円の収支改善を行うとのことであります。その改革の中身については賛否両論がありますが,私はすべてのリスクを一人で背負って,職員や議会,市町村などとのあつれきを生みながらもこれだけのことをなし遂げた姿勢,行動力を評価したいと思います。私は,本県においても,ぜひこうした行動力を発揮していただきたいのであります。  最近の知事の施策に,個人県民税徴収率による県単補助金削減制度があります。これは,全国的に見ても低位に位置している個人県民税の徴収率を上げるため,徴収率90%以下の市町村に対する一部の県単補助金を25%削減する制度で,全国的に例がないものです。これにより,個人県民税の徴収率は約3%アップし,他県からの問い合わせも多く来ているとのことであります。  第5次の大綱にはこうした新しい発想を多数取り入れるべきであります。改革の項目としてはどの都道府県もほとんど変わらないのは理解しておりますが,先ほど申し上げたシーリング方式歳出削減からの脱却や保有土地問題の早期解決,出資団体の大幅削減など,確固たる信念と気迫,あつれきを恐れない勇気を持って,項目ではなく中身で大阪府並みの改革をなし遂げていただきたいのであります。  行財政改革の基本方針について,知事の御所見をお伺いいたします。  次に,小規模な引き合いに対する企業誘致戦略についてであります。  本県の工業団地の特徴は,まとまった一団の土地が多数あること,オーダーメイドで企業の希望に沿った用地が提供できることであります。これは,大型案件の誘致には大きなセールスポイントになると考えます。しかしながら,100年に一度と言われるこの経済危機の中では,これまでのように大型案件がたびたび出てくるわけはないのです。そうなってきますと,小さな案件でもこまめに誘致していくことが大切です。小ロット売りは余計な経費がかかり,団地の収支に合わないと言われますが,せっかくの引き合いを傍観していると他県や民地に持って行かれます。従業員20人の企業でも10社契約すれば200人です。土地を寝かせておくだけで金利や維持管理費用をむだにするのであれば,小さい案件でもコツコツ誘致していくほうがはるかに本県のためになると考えます。  しかしながら,私が聞くところによると,現在の県の誘致活動は,小さい案件に関してはやや敷居が高い物腰で行われているようであります。工業団地の事業目的は雇用と税収であり,その前段階として団地の事業収支があることは当然です。しかし,これから当面は続くであろう逆風下での企業誘致をどう進めていくのか,小さい案件をどのような考え方で誘致していくのか,県として統一した方針を持っておくべきであります。  例えば,団地の一画を小ロット売りの区画として,一定の基準を満たす企業については別の値段で売っていくというのも一案です。土地の取得面積が小さくても,事業内容のよい企業,投資効果の高い企業は多数あります。長年本県で操業し,経済効果を出してくれる企業であれば,特別価格を設定しても県全体としては赤字にならないのではないでしょうか。特別価格が難しいのであれば,県内中小企業の県内移転に際しても県外から移転したときと同様の税制優遇をする方法もあります。  そこで,こうした小規模な引き合いに対する企業誘致をどのように進めていくのか,知事にお伺いいたします。  次に,茨城港の振興についてであります。  昨年12月に,日立港,常陸那珂港,大洗港の3つの港が統合し,茨城港が誕生いたしました。本格的な重要港湾同士の統合は全国初めて,取扱貨物量としては全国の重要港湾126港中39位の港が生まれたわけであります。私は,これからが本県の港湾行政の真価が問われる時期になると考えております。  幸いにして,昨年12月には北関東自動車道が東北道に接続し,年末年始には大洗水族館,好文亭,弘道館などの入場者数が大きく増加し,早速,効果があらわれてきております。また,ことしに入って東京ガスが日立港区内にLNGの受け入れ基地を建設し,栃木県の真岡方面にパイプラインを敷設する計画を発表したほか,日野自動車の古河市への進出など,この経済危機の中,茨城港には追い風が吹き始めています。私は,東京以北の貨物の大半が茨城港にシフトするよう,3港区の徹底した機能分担と,機能強化や港湾手続の一元化などに早急に取り組むべきであると考えます。  また,3港区が一つの港として認知されるよう,3港区間のアクセスの改善も急務であります。さらに,後背地への産業立地促進など,茨城港を生かした施策展開も重要であります。  そこで,3港統合を契機に茨城港をどのように発展させていくか,知事にお伺いいたします。  次に,茨城空港事業効果及び県民へのアピールについてであります。  国内航空需要の冷え込みや静岡空港周辺の立木による滑走路改修問題なども影響し,一部のマスコミから,茨城空港はむだな公共事業の代表格であるような報道が流されております。こうした報道が影響してか,最近,県民の間にも,茨城空港は税金のむだ遣いの温床であるといった意識が広がってきております。空港を一番に盛り上げていただきたい茨城県民の中にこうした風潮が広まっていくことは,空港利用の減少に直結する大変憂慮すべき問題です。  そもそも茨城空港は,既存の百里飛行場の民間共用化であるため全体事業費が250億円と格安であり,しかも,県の負担比率は3分の1と格段に低いため,地元負担は80億円のみであります。ちなみに,最近できた神戸空港,現在建設中の静岡空港の県負担は,それぞれ265億円,245億円であります。茨城県民は,通常の地方空港の3分の1程度の費用で身近に空港を持つことができたのであります。  まず,県は,あらゆる場を使って,このことをもっと積極的に県民にアピールするべきであります。そして,今後発生する県費負担も明らかにしながら,空港設置による事業効果について真に県民が納得できる,地に足の着いた積算に基づく試算をつくり,何年程度でこの80億円を上回る効果が得られると,これも知事が先頭に立って,あらゆる機会にアピールするべきであります。この事業に対する県民の支持がなくなることは,単に県政批判が増えるばかりでなく,この事業そのものが命取りにもなりかねない大きな問題であります。  そこで,茨城空港事業効果はどの程度のものなのか,また,それをどのように県民にアピールしていくか,知事にお伺いいたします。  次に,J-PARC効果地元産業への波及についてであります。  昨年12月23日に,J-PARC中性子ビームラインが供用開始されました。いよいよこの装置の効果が発揮されるときが参りました。県でも,中性子産業利用推進協議会の設立や中性子利用促進研究会の再編強化など,まずは大手企業を中心にさまざまな利用促進の仕掛けづくりが進んでおり,心強く感じておりますが,私はこの装置を県内の中小企業に広く使ってもらうことが何よりも重要であると考えます。  そのためには,ビームラインによって何ができるのかを十二分に地元中小企業に伝える取り組みをするとともに,相談には,とにかく敷居を低くして,親切丁寧な対応をすべきであります。また,県の各種研究機関は,J-PARCを利用した研究メニューを早急に検討し,民間に先立って新たな特許取得など具体の研究成果を出し,J-PARC利用の成功事例となって,民間の産業利用を促進していくべきであります。  さらに,J-PARC自体観光コースに組み入れるとか,長期滞在研究者には地元資本の宿泊施設や飲食施設を御利用いただくなど,この施設を生かしたあらゆる努力でもって地元中小企業を潤していただきたいと思います。  そこで,J-PARC効果地元産業への波及をどのように進めていくか,知事にお伺いいたします。  次に,次期地球温暖化防止行動計画の策定について伺います。  南半球のオーストラリアでは,ことし1月ごろから熱波に見舞われ,空気が極度に乾燥し,各地で山火事が発生し,200人近くもの多くの人が逃げおくれ,亡くなりました。地球温暖化が深刻な被害を及ぼす中,この世界的な危機を本県ももっと真剣に受けとめ,思い切った対策を講じていくという意気込みを見せるべきであります。  県の地球温暖化防止行動計画は平成18年に改定し,平成22年度までの計画となっておりますが,平成23年度以降の計画改定について来年度から検討作業に入ると聞いております。1月のダボス会議で麻生首相は,ことし6月までにポスト京都議定書となる温室効果ガス排出量削減の中期目標をまとめると表明いたしました。県としても,この国の動きに連動し,2年後と言わず一刻も早く次期計画を策定し,行動を起こさなければなりません。必要とあらば作業をどんどん前倒しするべきではないでしょうか。  次期計画の策定作業に入る前段階の今のうちに,私の考えを提言させていただきます。  まず,地球温暖化防止対策推進組織の設立についてであります。  地球温暖化防止のためには,県庁全体で真剣に取り組むこと,そして,県民に対し県が全力で取り組む姿勢を示すことが重要です。執行部にはこのことを強く認識して,対策を進めていただきたいと思います。  私は,生活環境部だけでなく,部局横断で温暖化防止に柔軟な対応ができ,また,水質浄化やリサイクル推進など民間のさまざまな活動を一つの大きな力に発展させるよう,官民共同の強力な推進組織の設立が必要だと考えます。また,環境ファンドなどを設立し,民間資金を積極的に活用して施策を展開することも一案であります。  私はかねてより,環境保全茨城県民会議,あるいは大好きいばらき県民会議のてこ入れを主張してまいりましたが,次期計画策定を期に新規まき直しをして,CO2削減を旗印とした全く新しい組織を立ち上げることが温暖化防止対策の実効を上げるために不可欠であると考えます。地球温暖化対策のリーダーシップがとれ,真に機能する推進組織の立ち上げを計画の柱,それも幹にすべきであります。  次に,啓発にとどまらない実効性ある施策展開であります。  これまで本県では,個人へのエコチェックシートの配布や企業向けの茨城エコ事業所登録制度など意識改革に向けた取り組みを進め,一定の効果を上げているものと私は感じております。しかし,今までと同じことを繰り返していても先に進むことはできません。啓発の次の段階として,思い切ってもう一歩先に進んだ実効性ある施策展開をする段階に来ていると考えます。  東京都では,環境確保条例により,200台以上の自動車を使用する企業に5%以上の低公害車,かつ低燃費な自動車の導入を義務づけようとしております。本県においても,県や市町村の公用車を率先して低公害車にかえていくことはもちろん,企業所有の自動車を低公害車にするよう義務づけるべきであります。さらに,県民所有の低公害車の自動車税を数年間減免し,逆に,CO2を多く排出する車の自動車税を加算するというような思い切ったことをやってもらうべきです。  また,住宅用太陽光発電導入に対する国の補助制度が再開され,募集されております。県内の幾つかの市町村でも補助制度はあるようですが,生ごみ処理機の補助制度に比べればまだまだ少なく,市町村に対して補助制度を設けるよう働きかけていくことも必要です。森林湖沼環境税という政策的な税制を取り入れた本県であれば,次のステップとして,地球温暖化防止のさまざまな施策で税制措置や補助金による実効性ある展開を目指すことも一案だと考えます。  地球温暖化防止対策に取り組んだ人が得をし,取り組まないと損をするというようなはっきりとした施策を展開することが,県民を積極的に巻き込む力になると考えます。  次に,県民への多様なアプローチについてであります。  エコ活動は本来楽しみながら実践するものであると私は思います。例えば個人の家庭では,まるで今,競うような過度のクリスマス・イルミネーションをやめ,料理を余らせないようにつくったり,また,よくフードマイレージと言われますが,食べ物の輸送にかかるCO2を減らすため,輸入野菜を買うかわりに家庭菜園で野菜づくりをしたりという方法もあります。  また,欧米ではごく普通のことですが,外食産業などにも働きかけた上で,食べ切れない分はドギーバッグと呼ばれる持ち帰り用の容器で持ち帰る方法もあります。さらに,容器に傷があるものなど民間企業が店頭に商品として出せないものを譲り受けて福祉施設などに配給するフードバンクという仕組みがありますが,県が民間企業と協力して積極的に取り組み,県民が参加しやすくするのも一案です。  そのほか,グリーンエネルギー事業などの活動に投資し,排出したCO2を打ち消すカーボンオフセットという考え方があります。旅行代金の一部を植林活動などに投資するカーボンオフセット旅行や,CO2削減経費を上乗せしたプリペイドカードなどが発売されています。参加者の間口を広げるためには,これなら私にもできるというものを見つけられるよう,常に多彩なメニューを提示することであります。  そこで,次期地球温暖化防止行動計画策定に当たり,こういった視点をどのように取り入れていくのか,知事にお伺いします。  次に,CO2削減のための森林整備についてであります。  我が国が京都議定書で約束したCO2削減マイナス6%を達成するためには,森林で3.8%を吸収しなければならず,これは吸収源として一番大きな比率を占めております。しかしながら,本県の森林の現状を見ると,管理放棄されて手入れが行き届かない荒廃した森林が増加しております。間伐を中心とした森林整備を公的負担や公共関与によって進め,あわせて森林施業の共同化,団地化を推進するほか,林道,作業道等の林内路網を整備して間伐材の安定供給を確保し,森林の持つCO2吸収作用がきちんと機能するようにしていかなければなりません。  加えて,私は原木を,木材産業,住宅産業との連携のもと,木材住宅用の柱材や集成材等として活用,植林から間伐,材木製品までの緑の循環システムを確立することが,本県林業の底上げ,ひいては森林整備によるCO2削減につながると考えます。特に,数年前に国内を代表する木材製造メーカーが県内に立地し,いわば大口のユーザーが身近に来たわけでありますから,乾燥材の生産拡大や木材の品質統一のための基盤整備が急務であります。  そこで,県産木材の流通加工体制の整備にどう取り組んでいくか,知事の御所見をお伺いいたします。  次に,周産期医療体制の整備について伺います。  産科医不足のため派遣元の大学が医師の引き揚げを行うことで,地域の医療機関で産科医が不足するということが全国的に問題となっている中で,県北地域の周産期医療を担う日製日立総合病院でも産科医4人のうち3人が3月末で派遣元大学に引き揚げられることになり,新たな産科医確保の見通しが立っていないため,地域周産期母子医療センターの機能を休止するという状況となっております。  本県の周産期の体制は,県央・県北,県南・鹿行,つくば・県西の3つのブロックと県北サブブロックで構成されており,日製日立総合病院は,県北サブブロックの周産期医療を担っている中核となる病院で,地域の医療機関で対応できない,母体に合併症を有する場合の妊娠や切迫早産による未熟児など,いわゆるハイリスクの患者を受け入れる重要な役割を果たしてきた病院であります。現状では厳しい状況で当面休止ということはわかりますが,県民が感じる不安を思いますと,私としては一日でも早くこれまでのように地域周産期母子医療センターを再開してもらいたいと思います。日製日立総合病院でハイリスク出産ができないことになると,他の周産期センターに患者を搬送することになるなどの対応も必要になると考えられます。  そこで,県北地域の周産期医療に対応するためどのように体制整備を図っていくのか,知事の御所見をお伺いいたします。  次に,県立病院改革についてであります。  県立3病院につきましては,平成18年に地方公営企業法の全部適用を開始し,病院事業管理者のもと,病院改革を目指して取り組んでいるところであります。職員の意識改革に始まり,救急受け入れ体制の整備や管理会計システムの導入,県立中央病院と県立友部病院の診療連携強化など,人心を一新してさまざまな改革を進めていることに一定の評価はいたしますが,いまだ数億円の赤字経営の中,一つ一つの効果が最終的に県立病院としてやっていけるという結果にどうつながっているのか,いま一つはっきりいたしません。  病院改革の約束の4年まで,あと1年となりました。改革は当初掲げた目標に近づいたのでしょうか。改革を推し進めた結果,県立病院を今後民営化せずに経営していくのか,それとも民営化の道を選択するのか,その判断は,いつ,どのタイミングで,どのような基準のもとに下されるのでしょうか。  県立の病院は,すべての県民が使える県民のための病院でなければなりません。しかし,平成17年から19年の実績では,地元患者の割合が,外来65%,入院56%と,変化はありません。私はかねてより,県立病院は政策医療を担うべきであると申し上げておりますが,県立病院に求められている役割をしっかりと認識し,県民の期待にこたえ得る施設にしていかなければなりません。  残すところあと1年となった県立病院改革についてどのような御所見をお持ちなのか,知事にお伺いいたします。  次に,学校支援地域本部事業の多面的運営についてであります。  県では,昨年4月から学校支援地域本部事業を開始いたしました。この学校教育と社会教育の有機的融合とも言える発想は今の教育には特に必要なものであり,現在,28の市町村でしか実施されていないと聞いておりますが,一日も早く44すべての市町村で実施できるよう,一層の尽力をしていただきたいと考えます。  せっかく大変な労力をかけて立ち上げているのですから,私は,この事業を単に国が示した画一的な学校支援メニューの実施にとどまらせることなく,親の教育,打たれ強い子供の育成といった現在の大きな課題を少しでも解決するべく,多面的な視点を取り入れた茨城方式の運営をするべきであると考えます。  保護者を多数参加させる学校支援のためのまさざまな実施メニューを企画し,地域住民も含めて,親同士や親と地域の子育ての先輩が,体を動かし,終了後に情報交換,意見交換をすることで,モンスターペアレンツ,カーナビペアレンツなどの行き過ぎた行動が減るばかりでなく,小さいうちから愛情を持ってしからなきゃだめとか,親と子は友達関係になってはだめといった子育ての基本を話し合うことで,家庭の教育力,地域の教育力が向上するのではないでしょうか。  以上,私の提言を踏まえ,学校支援地域本部事業をどのように多面的に運営していくか,教育長にお伺いをいたします。  以上で,私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 5 ◯議長(葉梨衛君) 今一男君の代表質問,質疑に対する答弁を求めます。  橋本知事。                    〔橋本知事登壇〕 6 ◯橋本知事 今一男議員の御質問にお答えいたします。  まず,雇用危機への対応についてでございます。  雇用情勢が急速に悪化する中,国では,雇用調整助成金の拡充を初め,職業訓練中の生活資金の貸し付け,雇用創出のための交付金の創設,雇用保険制度の機能強化など,雇用に関するセーフティネットの拡充に取り組んでいるところであります。  こうした中,県といたしましては,昨年12月に茨城県緊急経済・雇用対策本部を設置し,離職者を対象とした県臨時職員の募集や,県営住宅の提供,県庁内の総合相談窓口における就業や生活相談など,きめ細かな対応を行ってまいりました。  来年度には,雇用創出等基金を活用し,正規雇用につながる雇用・研修一体型事業や,雇用創出効果の高い事業を重点的に実施するなど総額36億円の予算を計上し,約2,100人の雇用を生み出すこととしております。
     また,離転職者の雇用のミスマッチを解消し,再就職を促進するため,離転職者訓練の定員を大幅に拡大いたしますほか,求人開拓員を倍増し,求人情報の積極的な収集,提供に努めますとともに,離転職者等を対象とした就職面接会を開催してまいります。  加えて,新たに求職者総合支援センターを設置し,生活・就労相談や職業紹介などを国と連携して実施してまいります。  一方,中期的には,まず経済の回復を図ることが第一であり,その中で,私が以前からたびたび申し上げておりますように,労働分配率を高め,個人消費により国内需要を拡大していくことが雇用確保にとって大変重要であると考えておりますので,国を挙げて取り組んでいく必要があると考えております。  県といたしましては,地域経済を支えている中小企業に対し,資金調達の円滑化を図りますとともに,技術面の支援や新製品の開発,販路の拡大,新たな事業展開などについて支援を行ってまいります。さらに,科学技術を活用した先端産業の育成や企業誘致などに取り組み,働く場所がしっかりと確保された産業大県づくりを強力に推進し,今回の雇用危機を乗り越えてまいりたいと考えております。  次に,平成21年度当初予算案についてでございます。  まず,予算編成についての所見についてであります。  昨年の秋以降の急激な景気悪化を受けて,本県といたしましても,予算編成に当たりましては国と歩調を合わせて経済・雇用対策を最重点課題とし,雇用創出対策や中小企業の資金繰り対策,公共事業等については特に積極的に取り組むことといたしました。  一方,三位一体改革後の危機的な財政状況に加えて,景気悪化の影響により県税収入が急激かつ大幅に落ち込む見込みとなったため,財源の確保には大変苦慮いたしました。  国の地方財政対策では地方の切実な声を踏まえて地方交付税の増額措置がとられましたが,本県においては一般財源総額が今年度当初予算よりも若干下回る見込みであり,医療・福祉関係経費や退職手当等が増嵩する厳しい状況を踏まえ,経済・雇用対策と財政再建の両立を第一に考えて予算を編成してきたところでございます。  このため,出先機関の再編等により人件費を抑制します一方,国から交付される雇用創出等基金を思い切って前倒しして活用しますとともに,厳しいシーリングや改革いばらき特別枠の設定等により,全庁を挙げて事務事業の抜本的な見直しに取り組み,施策の選択と集中を図り,限られた財源の重点的かつ効率的な予算配分に努めたところであります。  また,県税の徴収体制強化による税収確保や県有未利用地の売却促進などによる税外収入の確保など,さまざまな手段を講じて財源確保に努めますとともに,先送りすることなく保有土地対策にも確実に取り組み,財政の健全化もあわせて強力に推進していくことといたしました。  なお,この構造的な財政危機を克服し,さらに財政健全化を進めてまいりますためには県みずからの改革努力だけでは限界があり,地方税財源の充実確保が必要不可欠でありますので,今後とも全国知事会などと連携を図りながらその実現に向けて国に強く働きかけてまいります。  次に,開発公社に対する支援についてであります。  公益法人制度改革が急速に進展し,昨年4月に,新たな法律の適用を受ける公益法人に対し低価法の導入を義務づけた新たな公益法人会計基準が示され,開発公社においても平成25年11月までに新たな法人に移行することが必要となってまいりました。  このため,さきの出資団体等調査特別委員会での御議論も踏まえ,問題を先送りすることなく経営健全化に取り組むこととし,制度開始に合わせ,新会計基準に沿って低価法を導入することとしたため,平成21年度にも債務超過に陥る見込みとなっております。  このようなことから,県といたしましては,開発公社がこれまで地域振興を図る上で極めて重要な役割を果たしてきたところではありますが,社会情勢等から判断して役割を終えた事業や不採算の事業については見直しを行った上で抜本的な支援を行うこととし,今後10年間で想定される諸課題を踏まえた支援策を講じることといたしました。  特に工業団地につきましては,地元からの強い要望もありますことから,公社として事業化が困難な未造成工業団地について県が買い取り,事業を承継することといたしました。  さらに,分譲中の工業団地につきましては,簿価抑制のための金利の支援と,含み損を抱える一部の工業団地への評価損処理のための支援を行うことといたしましたが,これらの団地は,比較的順調に分譲が進んでいることに加え,全体として含み益もあり,今後,毎年5%程度の地価の下落にも対応できる状況にありますことから,平成30年度までに分譲を完了してまいりたいと考えております。  しかしながら,御指摘のとおり,経済状況によっては,予想を超える地価の下落や分譲不振に見舞われることも当然想定されます。  その場合,財政再建等調査特別委員会からも御提言をいただいているところでありますが,企業の立地により得られる波及効果も勘案して思い切った値下げを行い,分譲の促進を図っていくことも必要になってくると思いますので,その際に発生する損失については,議会にも説明をさせていただいた上で適切に対応してまいります。  いずれにいたしましても,まずは県と公社が一体となって工業団地の分譲に全力で取り組み,でき得る限り追加支援のような不測の事態が生じないよう努力をしてまいりたいと考えております。  次に,公共工業団地及びTX沿線開発に係る将来負担額の逓減対策についてでございます。  まず,公共工業団地につきましては,議員御指摘の茨城空港テクノパークを含め,地域振興を担うものとして,地元の要望にこたえ整備を進めてまいりましたが,土地保有が長期化し,財政健全化法に基づく一般会計の将来負担見込み額が約362億円になるとともに,借入残高につきましても1,000億円を超えるなど非常に厳しい状況であると認識しております。  このような状況に対しまして,北関東自動車道,茨城港及び茨城空港など交通インフラの整備を進めますほか,立地企業に対する県税の優遇措置などを活用し,全庁的な企業誘致に努めてまいりますほか,今年度には公共工業団地について市場価格を勘案した分譲価格の見直しを実施するなど,できるだけ早期に分譲できるように努めてまいります。  また,このような販売努力のほか,公共工業団地に係る開発公社の借入金につきましては実質的に県の長期債務でありますので,平成18年度からは一般財源による段階的な償還を行っているところであります。  次に,TX沿線開発につきましても,長期の地価下落などの影響により,一般会計の将来負担額が約860億円見込まれております。このようなことから,当面の対策として,国庫補助事業などの導入や整備計画の見直しによる事業費の縮減などにより,将来負担額の抑制に努めているところであります。  また,現在の厳しい経済情勢の中にあっては土地需要の発掘が重要でございますので,PRなどの営業活動のほか,画地の分割への弾力的対応や,ニーズに応じた住宅系から商業・業務系,工業系への土地利用計画の変更などきめ細やかな対応により,できる限りの早期の処分に努めているところであります。  なお,この将来負担額の中には公共利用が見込まれる土地,評価額で約270億円が含まれておりますので,このうち河川調節池用地については,平成21年度から公共事業により約18億円を措置するなど計画的に取得することとしております。また,オオタカ保護のための大規模緑地につきましても,処分策についての具体的検討を進めているところであります。  いずれにいたしましても,公共工業団地TX沿線開発の将来負担は極めて重要な課題と認識しておりますので,引き続き,財政状況を勘案しながら的確な対策を講じ,県民生活への影響を最小限にとどめてまいりたいと考えております。  次に,住宅供給公社土地開発公社対策の前倒しについてでございます。  議員から御提言のありました新たな地方債についてでありますが,総務省において平成21年度から,自治体が第三セクターや地方公社の整理または再生を実施する場合に必要となる経費を対象とした制度の創設を目指しており,現在,国会で法案を審議中と聞いております。  現時点ではその詳細はまだ明らかになっておりませんが,対象となる第三セクター等の存廃を含めた抜本的改革を集中的に推進し,その債務処理を円滑に実施することを目的として創設される制度でありますことから,本県の住宅供給公社土地開発公社へ適用できるかどうか,御指摘を踏まえ,また国の動向を見ながら積極的に検討してまいりたいと考えております。  次に,行財政改革の基本方針についてでございます。  私は,自治体の行財政改革とは,単純に人員や経費を削減すればよいというのではなく,健全な財政構造を構築しながら地域の方々が必要とする行政サービスをしっかりと見極め,それを最小の経費で最大の効果を上げつつ提供していけるよう行財政システムを絶えず見直し,改革していくことであると考えております。  私は,こうした認識のもと,知事就任直後から,県民生活に深刻な痛みを強いるようなやり方を避けながら,できる限りの改革を一歩一歩着実に進めてまいりました。  例えば,これまでに約6,800名の一般行政部門職員数を約5,400名とし,約20%,約1,400名の定員を削減するなどしたほか,事務事業の抜本的な見直しなどにより約2,800億円もの歳出を削減する一方,改革いばらき特別枠を設け,茨城の将来の発展につながる施策の推進にも努めるなど,さまざまな改革に取り組んでまいりました。  しかしながら,こうした国を上回る行財政改革に取り組みましてもなお,三位一体の改革による地方交付税の大幅かつ急激な削減の影響は極めて大きく,世界的な金融・経済危機の影響もあり,本県財政は極めて深刻な状況から抜け出せていないのが現状であります。  こうしたことから,直面する財政危機を克服し,質の高いサービスを効率的に提供する,活力ある自立した地方政府を構築していくため,今般,第5次行財政改革大綱を策定いたしました。  新大綱は,1年半にも及んだ県議会財政再建等調査特別委員会の最終報告書や民間有識者から成る行財政改革推進懇談会の厳しい御意見等を踏まえ,前大綱に比べ新たな推進事項を増やしておりますほか,質的にも量的にも拡充しており,従来以上に厳しいものとしたところであります。  具体的には,30年ぶりとなる出先機関の大幅な再編,総務事務の集約化などによる職員数のさらなる削減,県税徴収率の引き上げ,弾力的な処分価格の設定等を含めた保有土地の早期処分,さらには出資団体のあり方や事務事業の抜本的見直しなどに取り組んでまいります。  また,成果重視の行政運営を進めていくため,従来にも増して職員の意識改革や組織の活性化に向けた取り組み等を強力に進めていく県庁改革や,市町村への大幅な権限委譲を進める分権改革にも積極的に取り組み,できる限り目標や改革工程を具体的に明示しながら徹底した改革を進めていくことといたしました。  私としましては,今後とも,社会経済情勢の変化や県政の将来方向を見据え,県議会を初め,県民の皆様の御理解と御協力をいただきながら,困難な課題を先送りすることなく,何としてもこの難局を乗り越えるのだという強い気概とスピード感を持って行財政改革に全力で取り組んでまいります。  次に,小規模な引き合いに対する企業誘致戦略についてでございます。  現在分譲中の県及び県開発公社工業団地は,一定規模の土地を提供することを想定して整備し,分譲価格を設定しているため,区画の形状によっては分割すると排水施設や取り付け道路などインフラの再配置をしなければならなくなりますため,現状の価格より割高になる場合がございます。そのような中ではありますが,可能な限り企業の要望に応じ,企業の誘致を進めていくことが重要でありますので,多くの区画を分割して分譲してまいりました。  県及び県開発公社工業団地への過去3年間の立地件数49件のうち34件は,もともとの区画を分割して提供しており,その結果,16件は1ヘクタール以下の区画となっております。しかしながら,どうしても分譲価格や面積などが企業の希望に合わない場合もございますので,そういった場合には,地域経済活性化の観点から,民地や工場跡地などを紹介することもございます。  今後とも,御指摘も踏まえ,企業の要望にできるだけこたえることにより,数多くの中小企業に立地してもらえるよう工夫を重ねてまいりたいと存じます。  例えば,議員御提案のような小ロット向け区画を設け,複数の企業が同時に立地できるよう一定期間重点的に募集を実施したり,排水施設などのインフラを最小限の整備で小ロット向けに変更できる区画については1,000坪程度まで分割を進めるなど,小規模な引き合いに対しても積極的に誘致を進めてまいります。  あわせて,本年度,宮の郷工業団地茨城中央工業団地において分譲価格を約15%程度値下げするなど市場価格に即した分譲価格の見直しに努めておりますほか,リース会社や建設会社等が土地を取得し,複数の貸工場を建設した上で中小企業などにリースできる制度も整えてまいりましたので,このような手法もあわせながら,小規模な案件でも立地できるように企業の要望にこたえてまいります。  次に,茨城港の振興についてお答えいたします。  茨城港は昨年12月25日に3港を統合したところであり,今後,より一層発展させていくためには,議員御指摘のとおり,各港区の機能分担と機能強化,各港区の有機的連携,港湾サービスの向上,後背地への企業立地の促進などを図っていくことが重要であると考えております。  具体的には,各港区の機能分担としまして,日立港区は,地域の産業を支えるバラ貨物,完成自動車の輸出入等を中心に取り扱う物流拠点,常陸那珂港区は,首都圏北部を中心とする企業のコンテナ,RORO貨物を中心に取り扱う国際流通拠点,大洗港区は,フェリーと旅客船による物や人の交流,良質なウォーターフロント空間を備えた賑わい拠点として新たな港湾計画に位置づけ,効率的な整備を進めてまいります。  なお,日立港区につきましては,先般,企業よりLNG基地建設計画が公表されたところでありますので,将来,エネルギー基地としての役割も担ってまいります。また,各港区を連絡する国道245号の4車線化や県道常陸那珂港山方線の整備など,道路ネットワークの構築にも取り組んでまりいます。  さらに,港湾サービス向上の観点から,一体的な管理運営や一元的なポートセールス等,経営体制の強化を図ってまいりますほか,港湾手続の簡素化や24時間フルオープン化などにより港湾利用の促進につなげてまいります。  一方,北関東自動車道の開通により,例えば宇都宮市から京浜港と茨城港の利用を比較した場合,所要時間で100分の短縮,二酸化炭素の排出量についても大幅な削減が期待できるようになりました。  企業の二酸化炭素削減への要請が強まる中,茨城港への関心もますます高まってきているものと認識しており,さきに都内で開催した「いばらきの港説明会」におきましても,過去最高の730名もの方々に御参加をいただいたところであります。  この好機を生かし,産業立地推進東京本部との連携も強化し,一層のポートセールスに努め,貨物量の増大を図りますとともに,企業誘致にも積極的に取り組んでまいります。  次に,茨城空港事業効果及び県民へのアピールについてお答えいたします。  まず,県の負担につきましては,議員御指摘のとおり,この空港建設工事が国直轄事業として行われますことから,本県はその3分の1の約80億円を負担することとなっており,他の新設の地方空港と比べ,地元の負担は格段に低くなっております。  さらに,茨城空港は,国が設置,管理する空港でありますことから,空港の着陸料などが国の収入となる一方,空港の維持管理費については国の支出となり,開港後の県の負担はございません。  一方,ターミナルビルにつきましては,県開発公社が管理,運営を行うこととなっております。  次に,茨城空港事業効果でありますが,まず,空港が整備されることにより,空港までの移動時間の短縮や移動費用の低減など県民や県内企業の利便性が向上することが挙げられます。  また,茨城空港の利用が進むことにより,観光の振興や国際交流の拡大,地域の賑わいづくりなどが図られますほか,企業立地の促進,雇用機会の創出などにもつながり,地域の活性化やイメージアップに大いに貢献してくれるものと考えております。  なお,これらの事業効果全体を定量的にお示しすることは大変難しいところでありますが,外国人観光客の増加による飲食,宿泊,土産品購入,交通機関利用などに伴う経済波及効果だけをとってみましても,国際観光振興機構の訪日外客消費動向調査の統計データを用いて産業連関分析により推計したところ,例えば,国際線が1日1便就航し,乗客の半数が外国人だと仮定した場合,1年間で10億円程度の効果があるとの試算結果が出ております。さらに,日本人客の利用や地域振興による効果なども考えられるところであります。  議員から貴重な御指摘をいただきましたので,県の負担の少なさや事業効果の高さにつきましても積極的に県民にアピールしていきたいと考えております。  空港についてはこれまで,県のホームページや新聞,ラジオなどのマスコミ,出前講座,現地見学会での説明,イベントにおけるPR,空港セミナーや講演会,企業訪問等で御説明し,徐々に県民の理解を得てきているところでありますが,今後なお一層,さまざまな機会や広報媒体を活用し,より積極的にアピールしてまいりたいと考えております。  次に,J-PARC効果地元産業への波及についてお答えいたします。  県では,県ビームラインの産業利用を進めるため,大学,研究機関や大手企業,県内企業による中性子利用促進研究会を立ち上げ,勉強会やモデル実験などを通して共同研究や企業独自の利用テーマが生まれるよう支援をしているところであります。工業技術センターや農業総合センターにおきましても,この研究会の中で,参加機関や企業との交流活動を通じ,企業等のニーズを踏まえた研究テーマについて検討していきたいと考えております。  また,昨年7月に県内中小企業で組織した県内中性子利用連絡協議会では,中性子の利活用について基礎的な情報の提供を行っており,現在113社に参加いただいております。今後は,J-PARC利用の実績が出てまいりますので,協議会の場やメールマガジンなどにより実験結果やその解説などの情報を提供し,中小企業の利用につなげていきたいと考えております。  さらに,現在,企業訪問マネジャーが個別に中小企業を訪問し,利活用についてのアドバイスを行っており,企業の利用テーマが明確になってきた段階では,いばらき量子ビーム研究センターを窓口として,専門家である産業利用コーディネーターなどが研究プランの策定や実験の技術的な相談に応じることとしております。  これから研究活動の本格化に伴い,J-PARCには国内外から多くの研究者が訪れ,さまざまな形での会議なども増えてくることになりますので,できる限り,地元の施設や宿泊先,飲食店,土産品などを利用してもらえるよう,あっせん,紹介をしてまいります。  また,近年,産業観光が注目を集めておりますので,J-PARCや周辺の原子力関連施設,あるいは日立地区の産業施設などをめぐる観光コースにつきましても商品として提案し,地元産業への波及効果を高めてまいりたいと考えております。  次に,次期地球温暖化防止行動計画の策定についてお答えいたします。  昨年の北海道洞爺湖サミットを受けて,2050年までに世界全体の温室効果ガスの排出量半減を目指して,現在,国際的な交渉が行われており,国内においては,2020年までの中期目標の設定に向けた検討が本格化しております。  本県の次期地球温暖化防止行動計画については平成23年度からの計画期間を予定しているところでありますが,策定に当たっては,そのような国内外の大幅削減への動向を踏まえますとともに,さまざまなアイディアを取り入れながら実効性のある計画にしていく必要があると考えております。  今議員からは,次期計画の策定に関し,数多くの御提言をいただきました。  温暖化対策の実施に当たりましては官民一体となった取り組みが重要でありますことから,エコライフの実践については大好きいばらき県民会議を中心に,エコドライブについては運輸団体と一体となったエコドライブ推進協議会により,また,住宅用太陽光発電の設置については住宅建築関係団体と連携して,それぞれ推進しているところであります。  低炭素型の社会づくりのためには,商工業,農業,サービス業等の産業分野から,福祉,医療,教育等,あらゆる分野での削減に向けた取り組みが不可欠でありますので,各分野ごとの関係団体との連携を深め,官民一体となった推進体制づくりに努めてまいりたいと考えております。  また,啓発にとどまらない実効性のある施策とするためには,県民や事業者が取り組みやすいことやインセンティブがあることも有効な手段であると考えております。  中小事業者の省エネ活動を促進するため創設した茨城エコ事業所登録制度につきましては,他県の同種の制度の利用が低迷しているのに対し,簡易で取り組みやすいところからこれまでに1,000件を超える事業所の参加があり,一定の効果を上げているところであります。  加えて,中小事業者が行う省エネ機器等の導入に係る借り入れに対し,利子補給による低利融資を行ってきたところでありますが,新たに来年度からは,エコ事業所登録事業者に対しては無利子としてまいります。今後とも,このような削減効果の高い取り組みに対する支援策の充実に努めてまいりたいと考えております。  これらに加え,県民の自主的,主体的なエコ活動を促進するためには多様なアプローチが必要でありますことから,これまで取り組んできた温暖化防止のためのさまざまな活動に加え,来年度からは新たに,電力需要の多い夏期に地域やグループ同士で創意工夫を凝らしたエコライフの取り組みを実践することにより,二酸化炭素の削減を競い合う事業を展開してまいります。  また,レジ袋の削減につきましては,これまでマイバッグ運動を推進してきたところでありますが,市町村ごとに実施されてきた無料配布の中止を,今後は事業者の協力を得て県域を対象として実施されるようにしてまいります。  今後ともこのような活動を一層促進するために,議員からの御提案も参考にさせていただくとともに,農産物の地産地消の促進や,ゴーヤ等の植物を栽培し,日差しをやわらげるグリーンカーテンの普及,バイオ燃料の原料となる廃食用油の回収等,多彩な取り組みを進めてまいります。  このほか,温暖化対策を推進するためには,太陽光発電やバイオマス等の新エネルギーの導入を拡大していく方策や,温暖化の農業分野等における影響を少なくしていくための対応策についての検討なども必要であると考えております。  このようなことを踏まえまして,来年度,学識経験者や事業者,県民等を委員とする懇談会を設置し,その中でしっかりと議論を深め,議員の御提案も参考にさせていただきながら,低炭素型の社会づくりに向けた温暖化対策の基本方向を定め,次期地球温暖化防止行動計画の策定につなげてまいりたいと考えております。  次に,CO2削減のための森林整備についてでございます。  議員御指摘のとおり,管理放棄されて手入れが行き届かない森林が増加しておりますことから,県では,平成20年4月に導入した森林湖沼環境税を活用し,従来の間伐に加えて年間1,200ヘクタールの間伐を緊急に実施しますとともに,県産材の利活用の推進や,県民みんなで森林を育てる意識の醸成を図るなど,木を植え,育て,伐採し,木材を有効利用する緑の循環システムの構築を進めているところであります。  また,林業,木材産業の活性化を図るためには,県産材の流通・加工体制の整備が極めて重要であると考えており,平成18年から,茨城県森林組合連合会や茨城県木材協同組合連合会,八溝多賀流域林業活性化センター,中国木材株式会社,国,県などをメンバーとする茨城県産材利用促進検討会において,県産材を安定的に供給するための方策等について検討を進めてきたところであります。  このような中,現在,茨城県森林組合連合会では,木材生産量の増大に対応しますとともに,今後見込まれる大型製材メーカーの需要にこたえるため,平成21年度に現在常陸大宮市にある原木市場を宮の郷工業団地に移転し,拡充,整備することとしております。  さらに,県北地域の製材業者等が組織する仮称八溝多賀木材乾燥協同組合では,木造住宅建築に求められる収縮や曲がりの少ない,品質の確かな乾燥材の需要に対応するため,茨城県森林組合連合会の原木市場に隣接して,木材乾燥施設を整備することとしております。  県といたしましては,原木や需要者のニーズに対応した製材品を安定的に供給するため,国の森林・林業・木材産業づくり交付金や森林湖沼環境税を活用して,これらの整備に対する助成を行いますとともに,将来は,大型製材メーカーが計画しているスギラミナ製材工場などの整備に対しても積極的に支援し,林業,木材産業の振興と,機能豊かな森林づくりを推進してまいりたいと考えております。  次に,周産期医療体制の整備についてお答えいたします。  日製日立総合病院については県北臨海地域の周産期医療を担っていただいてきたところでありますが,先般開催した周産期医療協議会において,同病院から,4月以降はハイリスク患者に対応できないとの報告がなされました。これを受け協議会では,地域周産期母子医療センターとしての機能が回復するまでの当分の間,休止とするよう意見が取りまとめられたところであります。  このため,県といたしましては,現在の3つのブロックと1つのサブブロック体制を,3ブロックのみに再編することといたしました。  これにより,県北サブブロックは県央・県北ブロックに統一されますので,水戸済生会総合病院及び県立こども病院で構成する総合周産期母子医療センターが中心となって対応していくことになります。  また,県立こども病院につきましては,新生児患者が増加すると見込まれますところから,看護師を新生児対応に優先的に配置して,NICUの後方病床であるGCUを予定を早め4月から稼働させますとともに,患者の動向次第によっては,さらなる受け入れ体制の整備についても検討してまいります。  さらに,限られた医療資源の中で安定的に周産期医療を提供していくためには,ブロック体制を越えて県内の周産期医療機関が連携していくことが重要でありますので,各総合周産期母子医療センターに対してNICU等の周産期関連病床を増床するなど,受け入れ体制を充実するよう働きかけているところであります。  今後とも,本県周産期医療体制の整備に向けて,医師会を初め,周産期医療機関及び消防などとも連携,協力しながら対応してまいりたいと存じます。  なお,日製日立総合病院につきましては,これまでも産科医確保のため,病院はもとより県や市も一生懸命努力してきたところでありますが,残念ながら,産科医が極めて不足している中,現在のような状況に立ち至っております。今後とも地域周産期母子医療センターを早期に再開できるよう,全力で支援してまいりたいと存じます。  次に,県立病院改革についてお答えいたします。
     県立病院については,健全経営のもとで,県民の求める質の高い,安心・安全な医療を継続的に提供していくための改革を推進しているところであります。  診療面におきましては,3病院ともに,特に県民からの要望が強い救急医療などの政策医療の充実強化を進めております。さらに,中央病院におきましては,平成20年に県のがん診療連携拠点病院の指定を受け,本県のがん診療の中心的役割を担っているところであります。  収支面におきましては,全国的な医師や看護師不足などにより十分ではありませんものの,全力で人材の確保に努めているところであり,今後,収益の増加に向けてなお一層の努力をしてまいりますとともに,給与削減の実施や薬品・診療材料費の圧縮,委託業務の見直しなどにより,徹底した経費の削減を図ってまいります。  また,管理会計システムを活用し,毎月の経営内容の分析を行い,経営の合理化,効率化ばかりでなく,診療科ごとの患者数や収入の変動に素早く対応するなど,戦略的な経営を進めているところでもあります。  この結果,診療,収支の両面におきまして一定の改善が図られ,健全な医療経営の基盤が,徐々にではありますけれども整いつつあると考えております。  医療従事者の数などが必ずしも十分ではない本県の医療環境を考えれば,県民の共有財産である県立病院を有効に活用し,政策医療をしっかりと県民に提供していくことは大変重要なことであると考えております。  県立病院の今後のあり方につきましては,議会と十分に相談しながら判断をしてまいりたいと考えておりますが,昨今の全国的な医療崩壊に近い状況にかんがみれば,県立病院が県民への安心・安全な医療サービス提供のために果たす役割はますます大きくなってきているものと考えております。 7 ◯議長(葉梨衛君) 鈴木教育長。                    〔鈴木教育長登壇〕 8 ◯鈴木教育長 学校支援地域本部事業の多面的運営についてお答えいたします。  近年,少子化や地域の人間関係の希薄化など子供たちを取り巻く環境が大きく変化する中で,家庭,地域の教育力の低下や,教員の負担軽減が大きな課題となってきております。  このため,本年度から新たに一市町村一中学校区を選定し,地域コーディネーターのもとに,地域の方々の協力を得て,学校が必要とする支援活動を行う本事業が実施されております。  これまで県におきましては,全市町村に対し積極的な取り組みをお願いするとともに,ハンドブックの作成やコーディネーター研修会などを行ってきたところでございます。  本年度,28市町村で行われている取り組み内容を見ますと,読み聞かせ,書写などの学習支援,樹木の剪定や除草といった環境整備,部活動支援や登下校時の交通安全指導,米づくりや昔遊びなどの体験活動,しめ縄づくりや和太鼓等の伝統芸能の指導など,学校のニーズに応じたさまざまな支援活動が実施されております。  議員から御提言がありました,本事業を通して保護者等が集まった機会に子育てやしつけについての情報交換を行うことや,昨今,教育の大きな課題となっております,たくましい心と体を持った子供の育成のためにも,異なった年齢の子供たちの交流や大人との交流に関する取り組みなどが実施されることは大変重要であると考えております。  県といたしましては,学校支援事業を通しまして家庭や地域の教育力の向上が図られている事例や,多くの方々がボランティアとして参加している優良取り組み事例などの情報提供を行うなどして,市町村に対してさまざまな取り組みが行われますよう積極的に働きかけてまいります。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 9 ◯議長(葉梨衛君) 暫時休憩をいたします。  なお,会議再開は午後2時40分を予定いたします。                     午後2時21分休憩          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━                     午後2時41分開議 会派代表による県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑(続) 10 ◯議長(葉梨衛君) 休憩前に引き続き会議を開き,会派代表による県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑を続行いたします。  公明党,足立寛作君。                 〔47番足立寛作君登壇,拍手〕 11 ◯47番(足立寛作君) 公明党の足立寛作です。  通告に従って,党を代表し,県政の抱える諸課題について所信を述べ,知事,教育長に質問いたします。  一昨年のサブプライムローン問題に端を発した米国の金融危機は,世界的な金融危機,景気後退を招き,我が国も今,この未曾有の経済危機に直面しております。その規模の大きさ,スピードの速さはいずこの国もかつて経験したことのないものであり,しかも各国経済の牽引力となってまいりました産業部門を直撃し,実体経済,雇用に波及しているのであります。  一方,多くの分野で日本社会を担ってまいりました団塊の世代が本年をもってすべて60歳を迎えることになり,2006年から始まりました本格的な人口減少社会と相まって,日本社会は大変な変革を迫られる,その変節点を迎えているのです。  このような難局をどのように乗り越えていくのか,どのようにしたら県民に希望と安心を,社会に変化と活力を与えていくことができるのか,この命題にこたえることこそ政治に課せられた使命であり,責任であると考えます。  奇しくも本年は,橋本知事にとりまして今期最後の年であり,同時に橋本県政16年の総決算,集大成に当たる年でもあります。これまでの経験,知恵のすべてをぶつけて取り組んでほしい。県民の生活や中小企業,雇用を守ることに全力を尽くし,任期を全うしてほしいと願うものであります。  そこで,橋本知事は,今日のこの経済危機をどう認識しているのか,どのような決意を持ってこの難局に立ち向かうのか,伺いたいと思います。  さて,2月中旬に内閣府の発表した2008年10月から12月期の国内総生産GDP速報によりますと,物価変動の影響を除いた実質GDPは,前期比3.3%減,年率換算では12.7%減という,戦後史上2番目,約35年ぶりの大きい落ち込みを示しております。これは,米国の6.2%減,ヨーロッパの5.7%減をはるかに上回る,主要国中最も大きな減少率を示し,景気後退の波が,実は大津波となって日本を直撃している,厳しい現実を物語っております。与謝野財務大臣をして,戦後最悪,戦後最大の経済危機だと言わしめたゆえんです。  このようなときだからこそ,政治が動かねばならない。深刻な影響を受けている雇用,中小企業,家計などの支援に向けて果敢に行動しなければならないのです。特に県内雇用につきましては,1月の有効求人倍率が0.62と,前月比0.11減,8カ月連続のマイナスを記録しており,雇用情勢の一層の悪化を見ることができます。  契約社員や,派遣社員の雇用契約はこの3月で切れることが多く,この春先,非正規労働者の失職急増が確実視されています。今後,その矛先が正社員に向かうことが懸念され,新たな雇用機会の創出やセーフティネットの整備などの取り組みを急ぐ必要があります。また,障害者についても,その雇用確保や福祉作業所の仕事受注先の開拓などの支援を強化するべきです。  新年度予算案では,国の交付金の活用によって雇用対策として35億8,400万円を計上し,県と市町村合わせて2,100人以上の雇用を生み出すとしております。その内容は,農林業,福祉・介護,ものづくり産業など,雇用のミスマッチにより人材確保の困難な業種に再就職を促す,本県独自の雇用・研修一体型事業などとなっております。  求職者の多くが製造業に携わっていたこと,研修期間中の一人当たり人件費が十分とは言えないことなどの難点もありますけれども,この雇用対策にかかわる関係者の熱意ある取り組みが,正規雇用につながるかどうかの帰趨を決します。また,昨年来のいわゆる年越し派遣村の成功を見るまでもなく,ワンストップサービスのできる体制をいかにつくり上げるかが大事であります。雇用対策について御所見を伺います。  次に,中小企業対策ですけれども,その資金繰りを支援する緊急保証制度は,政府の2008年度第1次補正予算で9兆円の保証貸出枠を設けております。直近の数字から緊急保証の内容を申し上げますと,県内では8,000社弱,約1,000億円,1社当たり1,200万円から1,300万円の融資を受けております。融資金額もさることながら,資金を使途別に見ますと運転資金の伸びが大きく,現下の経済情勢の厳しさを物語っております。  平成21年度予算においては,セーフティネット融資枠を昨年当初の150億円から450億円に拡大し,さらに,その信用保証料の1割を補助することなどによって資金繰りを支援するとともに,融資メニューの整理や申し込み窓口の一本化などに取り組み,中小企業利用者の利便の向上を図っております。  世界同時不況の直撃を受けている製造業関連中小企業を初めとして,本県企業を取り巻く経済環境は極めて厳しいものがあります。私どもはこの2月,県内10カ所で政経懇話会を開催いたしました。その先々で,3カ月先,あるいはまた半年先の仕事量がない,もう見通しが立たない,半減してしまった,あるいは資金繰りがうまくいかない,あるいはまた,仕事を始めて40年になるけれどもこんな厳しい経営環境は初めてだ,そんな悲鳴にも似た声が多くの企業主から寄せられております。  融資対策も含めたこれからの中小企業対策について,御所見を伺います。  次に,総額75兆円に及ぶ国のさまざまな景気関連対策予算を受けて,本県の一般会計予算総額は1兆765億9,400万円となっており,その内容は緊急経済・雇用対策に重点を置き,中小企業などの産業活性化や医療体制整備,環境対策に力を入れたものとなっております。  一方,景気の急激な後退が県税収入の大幅減をもたらし,本県財政の厳しさに拍車をかけております。歳入の柱であります法人二税が,昨年度当初比39.4%,573億円も減少し,過去最大の落ち込みを示し,これを地方交付税,県債,禁じ手とも言われる県債管理基金からの借り入れで補う形となっております。県税の大幅な減収を地方交付税の増額,県民への借金などによって賄う,極めて厳しい予算編成となっているのです。  今後の景気動向によってはさらに県税収入の減少も危惧されますが,国の継続しての交付税増額は考えにくく,また,県債増額は歳入,歳出の均衡するプライマリーバランス達成をおくらせてしまうことにもなりかねません。なお一層厳しさが増すと懸念をされます財源対策について御所見を伺います。  新年度予算案では,県開発公社の低価法の導入による債務超過を回避するため,無利子貸付金119億円,経営支援補助金17億円を計上しておりますが,来年度から10年間で211億円も投入し,経営支援や保有土地の買い取りなどを進めることとしております。これに,住宅供給公社土地開発公社の県費投入額を加えますと800億円もの巨額になり,本県財政の大きな圧迫要因になっております。  平成18年度から既に始まっている住宅供給公社土地開発公社への県費投入は年間50億円にも上り,これに開発公社支援が加わりますと,毎年の県費投入額は80億円にも及ぶことになります。土地処分が計画どおり進まず,追加の県費投入が余儀なくされている住宅供給公社の例を見るまでもなく,景気低迷が長引き,開発公社による土地売却がおくれたり,地価がさらに下がったりしますと,新たな県民負担が生じることになります。  そこで,開発公社を初め3公社に対して,土地処分の促進,組織のスリム化や事業の思い切った見直しなど,住宅供給公社の解散も視野に入れた積極的な取り組みが必要です。御所見を伺います。  さて,1月の初めだったと思いますけれども,NHKの教育番組「視点・論点」に登場した安藤忠雄氏の言葉が印象に残りました。安藤氏は,ご存じの方も多いと思いますけれども,1941年生まれ,元ボクサーで,独学で建築学を学び,後に東京大学教授,そしてハーバード大を初め,世界の幾つもの大学で教鞭をとられた建築家です。  安藤氏の発言を要約しますと,ある画家から設計を依頼されます。その内容は,わずか8坪の土地に2,700万円の予算で,天井の高い画廊,アトリエ,そして,寝そべって入れるお風呂,ゆっくりくつろげる居間のある住居を設計してほしいというものでした。安藤氏は,現実と夢の大きさとのギャップに興味を覚え,引き受けます。しかしながら,らせん状の階段に沿って天井の高い画廊,アトリエは可能になったものの,寝そべって入れる浴室がままなりません。苦心したあげく思いついたのが,歩いて二,三分のところにある公衆浴場,銭湯ですね。あるいは,花屋さんに隣接したコーヒーショップであります。寝そべってお風呂に入り,その前後にゆっくりコーヒーを飲み,花だって飾れるじゃないかと,そう説得したというのです。  安藤氏の言葉を耳にしながら気づいたことがあります。まちは,個人も企業も,所有したり占有はできない。その機能も含めて,まちは皆で共有するものだと。つまり,これからのまちづくりのキーワードは,共有という価値観をいかに取り組むかだと感じるのです。  オバマ米国大統領が,その就任演説で意識の共有を訴え,具体的な行動を国民に求めておりましたことは記憶に新しいことです。そこで,これからの時代のキーワードの一つは共有との観点から,具体的に質問いたします。  まず,商業振興についてでありますが,本年6月にオープン予定の(仮称)イオン土浦ショッピングセンターについて伺います。  新聞報道等によりますと,敷地面積,店舗面積──飲食店を除きますけれども,それぞれ13万3,351平米,4万8,302平米。巨大なものです。年間売上高予想は250億円から270億円,専門店170店舗,そのうち地元から30%程度の出店を募るなどとなっております。  もう一つ,土浦市には,イオングループの企業が取り組んでおります商業施設があります。それはJR東日本株式会社が包括的業務提携を結んだイオンモール株式会社の進める土浦駅ビル,ウイングの店舗展開です。景気後退の荒波を受けて,専門店誘致も当然苦戦しているものと予想されますけれども,どのような商業空間が誕生するのか全く不透明であり,地元商業者は不安視しております。  さて,仮称イオン土浦ショッピングセンターは,先ほど申し上げましたけれども,年間売上高を250億円から270億円と見込んでおりますけれども,地域の購買力を根こそぎ奪い取ってしまいかねない内容のものであり,地元商店街の受ける影響は甚大であります。もちろん商行為ですから,その自由を束縛できないことは百も承知です。しかしながら,米国の経済危機の淵源が富の貪欲な追求にあったとのオバマ大統領の言葉をかりるまでもなく,これからの商業活動に当たっての基本理念,価値観は,専有から共有へと間違いなく変化していると思います。  事実,消費低迷の影響を受けてイオンによる大型ショッピングセンターも苦戦を強いられ,見直しを迫られております。笠間市への出店予定を2億数千万円もの違約金を払ってまで白紙に戻したことは御承知のことと思います。このことは,これまでのイオン一人勝ちという発想から,土浦,県南の購買力をいかにして共有するかという意識変革を迫っているようにも思います。  確かに,雇止めや派遣切りなど現下の厳しい雇用情勢の中で,2,000人もの新たな雇用創出による地域貢献は決して小さくはありません。しかしながら,それを考慮してもなお,経済の循環から考えて,長期的に見たら地域経済の収縮をもたらすのではないか危惧いたします。イオンにとりましても,また土浦市や地元商業者にとりましても好ましいスタートのできる,購買力の共有に向けたさまざまな取り組みと工夫を重ねるべきです。  また,170店舗の専門店のうち3割前後,つまり50店舗もの地元出店を期待しながら実際には10店舗以内にとどまってしまう,結果的には5店舗前後になるのではないかと懸念されております。  当初,イオン側と土浦市や土浦商工会議所との話し合いでは,イオン側から,これまでのイオンSCは同じようなつくり,専門店で構成されていて特色がない。土浦SCにおいては土浦を限定するコーナーを設けるなど,ローカル色を出し,個性あるものにしたいとの申し出があったそうであります。例えば,5社程度ずつ,月がわりで持ち回りの出店をしてもらう,土浦市はカレーのまちづくりに取り組んでいるのだからカレー店の出店も期待したい,などであります。  地元出店の大きな障害は,出店経費がかかり過ぎることであります。例えば飲食店が出店しようとする場合,設備その他はすべてイオン側で整えるそうでありますけれども,毎月の経費は,売上げの15%,それに販売促進費,共益費,会計処理費,駐車場経費などを加えますと売上げの18%にもなるというのです。これに数百万円もの保証金が必要となるのですから,やる気があっても出店には踏み出せません。  そこで,イオン側に求めたいことは,出店を容易にするために,地元店に限っては条件緩和をしてほしいということであります。地元出店を促して,ローカル色を出して個性あるものにしたい,その当初のイオン側の判断は正しいと思いますし,今後の土浦ショッピングセンターの成否を決定しかねない重要課題だと思います。このことは,イオンモール株式会社の進めている土浦駅ビルの店舗展開についても考慮してほしい課題です。  そこで,(仮称)イオン土浦ショッピングセンターの開業に当たっては,地元の出店を促進するとともに,投資などを通して地域とのかかわりを強くするなど,県南,土浦の購買力を共有するという取り組みが望まれますけれども,御所見を伺います。  なお,商業振興に関連して,県内分としては450億円余になる定額給付金について申し上げたいと思います。  さまざまな景気対策の中で,定額給付金が直接,景気や生活を下支えする最も効果のある施策であることは論をまちません。現在,県内44市町村中,年度内支給開始できるのは鹿嶋市,潮来市の2市であると伺っておりますけれども,すべての市町村で一日も早く支給が可能となりますよう,また,プレミアムつき商品券などを検討している市町村につきましては事業費補助も含めての支援を,さらに,その参考例の紹介などによって円滑な定額給付金の支給が実施できますように,市町村支援を要請したいと思います。  次に,住生活の安定に向けた取り組みについてお伺いいたします。  最近,街なかでベビーカーを押す若者夫婦を多く見かけるようになりました。赤ちゃんを産み育てやすい社会環境が整いつつあるからだと思いますけれども,若者の間に結婚,そして出産への,いい意味での意識変化が見られるようになったと感じます。  もう一つ,私の周辺で,ローン地獄に苦しむ若者を多く見かけます。ステータスだと考えるのでしょうか,それは自己用住宅を購入することに端を発しています。彼らから話を聞いて共通していることは,ほぼ30年を契約期間として3,000万円から4,000万円もの金額を,給料アップやボーナスの支給を前提に借り入れていることです。右肩上がりのかつての高度成長の時代ならいざ知らず,今日のような低成長,さらには世界的な景気後退の直撃を受けては,ひとたまりもありません。給料は上がらない,もちろんボーナスももらえない,消費に余分なお金を回すことが困難になります。ローン地獄に陥ることになるのです。  ここで思いますことは,住居に関する意識を変えられないだろうかということです。30年もの間,借金で自由な時間を奪われるよりも,旅行もできる,映画や音楽などの文化芸術を楽しむ,スポーツに汗を流すなどの生活選択もあると思うのです。  最近では,バッグ等の小物から建設機械の重機に至るまでレンタルが時の流れのようになりつつあります。住居についても,持ち家でなくてもいい,借金のないことがステータスだと,そうなるような,いわゆる住居の共有社会ができたらと願っております。  奇しくもこの6月から,長期優良住宅の普及の促進に関する法律が施行されます。この法律の趣旨は,いいものをつくってきちんと手入れして,長く大切にする社会への移行を目指そうとするものですけれども,この住宅政策は,私の申し上げている共有社会に向けた住宅についての考え方と軌を一にしております。  200年住宅が叫ばれておりますけれども,良質な住宅建設を推し進めて長期使用を容易にし,住宅流通市場における既存住宅の流通シェアを高めることは,資産の向上,負担の軽減,さらには環境面からの負荷の緩和といった多くの効用をもたらします。そしてそのことは,貸し手と借り手との住宅をめぐるレンタル社会の醸成にも結びつくと考えます。平成21年度政府予算案では大幅な住宅減税が盛り込まれており,特に長期優良住宅については最大600万円の税額控除が可能とされております。  そこで,住生活の安定に向けた取り組み,長期優良住宅建設促進について御所見を伺います。  ところで,昨年12月時点での入居待ちの県営住宅申込者は700世帯前後おられると伺っております。現今の厳しい経済環境の中では,この入居希望の方々が増加こそすれ減少することはないと思われます。この方々の入居希望にこたえることは政治の責任と言わねばなりません。どうしたら優良な住宅を提供できるか,これは改めて問われている課題です。住生活の安定に向けた取り組み,住宅の共有という観点からも,公営住宅整備のために多くの知恵と力を結集するべきです。  かつて私は,民間住宅,マンションなどの借り上げを主張しておりましたけれども,現在,つくば市に,県の借り上げによる1棟50戸の公営住宅が実現を見ております。廉価で良質の公営住宅を提供するためにあらゆる手段を検討すべきです。知事の御所見を伺います。  先日,土浦市内に住む一人暮らしのお年寄りのお宅にお邪魔しました。84歳になられる女性で,周囲には親類縁者もおらず,しかも隣近所とのおつき合いも避けてきた方です。もちろん,地域や行政のサポートを一切受けておられません。最近,健康を害し,寝たり起きたりの生活をされておりまして,困ることはといえば,日用品購入がままならないことだそうです。  実は,そのお年寄りが,同行した友人に拝むようなしぐさをするんです。なぜだろうかと理由を尋ねますと,頼まれたわけではないが,その友人が時折,必要なものを届けているというのです。そのお年寄りからすると,善意を届ける友人が神様,仏様のように見える,そんな存在になっているのです。  街なかにたたずむそのお宅を辞しながら,私は,長寿社会の一つの盲点を見る思いがいたしました。高齢社会に向けてさまざまな対応策が講じられながらその恩恵に浴せない方々がおられると。また,どんなに意地を張っても,人は一人では生きられないものだと改めて痛感させられた次第です。  一人暮らしのお年寄りは,現在,県内には約4万1,000人いると推定されておりますけれども,今後,その急増が見込まれます。安否の確認や買い物などの日常生活支援のために地域の役割がますます大きくなるでありましょう。介護保険や医療保険でカバーし切れないお年寄り対策も必要となります。  ところで,ことしをもって,団塊の世代がすべて60歳定年年齢を迎えることになります。健康寿命が延びて,男性は80歳,女性は90歳にそれぞれ限りなく近づいておりますから,定年後の20年ないし30年をどう過ごすのか,個人も社会,行政も真剣に考えなければならないときを迎えております。団塊の世代がその後半生をお元気に過ごすことのできる社会システムの構築が求められているのです。先ほど申し上げた一人暮らしのお年寄りの姿は,あすは我が身かもしれません。そうならないために,社会はその団塊の世代受け入れのための環境づくりに努める必要があります。  もちろん,まちは好奇心を呼び覚ますようなものでなければいけませんし,シルバー110番のようなシステムを立ち上げ,それを団塊の世代によるNPO法人が管理運営する,ボランティアや趣味の活動が十分にできる場づくりも必要です。それは,団塊の世代の,団塊の世代による,団塊の世代のための社会システムと言えるでしょうか。  改めて,団塊の世代の生きがいづくりについて御所見を伺います。  さて,このほどアメリカ映画の祭典,第81回アカデミー賞で,外国語映画賞に「おくりびと」,短編アニメーション賞に「つみきのいえ」と,日本作品がダブル受賞に輝きました。この快挙は,経済の先行き不安にともすれば沈みがちな国民の心を明るくしましたし,経済力ばかりではない,我が国の文化発信力も確かだとの希望と自信につなげることができたと言えます。  さて,昨年11月1日から9日間にわたって開催された第23回国民文化祭・いばらき2008は,その目的を十二分に果たして,本県の文化・芸術の歴史に大きな足跡を残すことができたと思います。国民文化祭茨城県実行委員会の皆様,安国民文化祭推進室長を初め,寝食を忘れて御尽力をいただいた関係のすべての皆様の労をねぎらいたいと思います。本当にお疲れさまでした。  私は,創作オペラ「小町百年の恋」上演にかかわりを持たせていただきました。当日,約1,000席の会場を埋め尽くした観客が,約3時間にも及ぶ本格的な創作オペラの歌と演出に酔いしれた,あの場面が,あの情景が,今もなお鮮明によみがえってまいります。橋本知事にも3幕すべて鑑賞いただき,フィナーレの際には何度もブラボーと大きく声を上げてくださったと伺っております。感謝申し上げます。  この創作オペラは,足掛け3年にわたる準備期間,3,000万円を超える事業費などからいって,国民文化祭だからこそ上演可能になったものと思います。それだけに,行事のためだけに終わらせるのではなく,学校コンサートや県内外での公演も可能になればと願っております。クレオパトラ,楊貴妃と並ぶ世界三大美人の一人,その美しい生涯をこの地で閉じた1,000年前の小野小町を,オペラを通して現代の世界に再びよみがえらせたいのです。  さて,私は今,国民文化祭のグランドフィナーレの情景を思い起こしております。それは,文化の種をまこう,そして,大樹に育てようということがモチーフであり,大変感動的なものでした。文化・芸術は継続が大事であることは申すまでもありません。あの国民文化祭で見られたさまざまな文化の芽生えをこれから継続してどう大きく育てるのかは,県政の重要な課題のはずです。そのためには国民文化祭の総括をしっかりやり,ポスト国民文化祭という観点から何をどう進めるのか明確にして取り組むべきです。  実は私は,先日の知事の所信表明で,ことしは国民文化祭の直後の年ですし,文化に関してどのような発言をされるのか大変期待しておりました。しかしながら一言も触れられずに,残念の極みでございます。産業と文化芸術は,車の両輪,表裏一体の関係にあるべきです。アカデミー賞のダブル受賞は,経済力ばかりではない,我が国の文化発信力の高さを証明しました。産業大県づくりとともに,文化芸術大県を目指してほしいのです。国民文化祭を踏まえた今後の文化芸術振興対策について,御所見を伺います。  次に,医療の要は,いつ,いかなる場所でも,どんな病気でも,安心して診てもらえる救急医療にあることは申すまでもありません。しかしながら,今,その救急医療が,救急搬送患者が増加する一方,搬送に長時間を要するなど社会問題化しております。そこには,救急に携わる医師の不足,消防機関と医療機関の連携の不備など構造的な問題を抱えており,早急に解決しなければならない課題は山積しております。  私は,その中でも一刻を争う救命医療対策に関し,ドクターヘリの導入について質問いたします。  ドクターヘリの最大の利点はそのスピードであり,救急医療の充実には欠かせぬ存在です。例えば交通事故などで大量出血した場合,30分間でその半数が死亡するとされ,治療開始まで平均14分というドクターヘリの導入が待たれるところです。  本県では,昨年の7月に16人の委員から成るドクターヘリ導入検討委員会が設置され,同年9月,12月の2回にわたって論議が重ねられております。しかしながら,ドクターヘリの導入については共通理解が得られたものの,いまだ基地病院の選定には至ってはおりません。  検討委員会での議論では,基地病院はドクターヘリ搬送患者の最終的な受け入れ先としての機能を担うものでなければいけない。一方,場所については,どの位置においても県全体をカバーできる,あるいはまた,運行範囲から考えて県央地域が望ましい,などの意見もあったと伺っております。  つまり,受け入れ機能のある基地病院は,現在は県南にしかありません。一方,距離から考えたら県央だということであります。ここで申し上げたいことは,医療資源は県民共有のものであり,その活用は県南だ県央だと争う次元のものではないということです。救急搬送が一秒を争うと同様,ドクターヘリも一刻も早い導入が望まれております。今導入するとすれば,基地病院は県南にしか存在しません。県北であれば,どの病院がいつまでに体制を整えることができると想定しているのでしょうか。  埼玉県では2年前にドクターヘリを配備しておりますけれども,この4月から新たに夜間の救急医療を県の防災ヘリで対応することとしております。厚生労働省も,ドクターヘリと防災ヘリを連携させた24時間の救急活動の効果について注目しているとのことです。  事は急を要する課題です。ドクターヘリの導入をいつまでに,どこに基地病院を置くのか,一刻も早く県の意志を明確にする必要があります。ドクターヘリの導入について,御所見を伺います。  我が国の食料自給率は,2007年度カロリーベースで40%と,1960年の約半分にまで下降しております。これは米の消費が落ちるなど食生活の多様化に伴うものですけれども,世界の食料事情を考慮すると,その供給力の増強は待ったなしの重要課題と言わなければなりません。  そこで,我が国の農地面積を見ますと年々減少を続け,平成20年には463万ヘクタールと,ピーク時の昭和36年609万ヘクタールに比べて約70%の水準にまで落ち込んでおります。その一方,農業従事者の高齢化や後継者不足によりまして,耕し手のない耕作放棄地は全国では38.6万ヘクタールにも達し,本県においても約2万ヘクタールと,10年前の2倍にも拡大し,耕作面積が減少を続けております。  特に,食料自給率が先進国の中で最低レベルにある日本にとって,その耕作放棄地の再生と利用は欠かすことのできない課題です。例えば牛久市では,居酒屋チェーンのモンテローザが耕作放棄地を利用した農場経営に乗り出しております。これは一般企業でも農業参入を可能にする特定法人貸付事業制度を利用したもので,所有から利用へと軸足を移した農地の典型的な活用方法だと考えます。  所有から利用へという自作農主義からの転換を図り,地域の実情に応じて,使いたい人が借りやすい条件を整えることが必要となっているのです。農地を耕作せずに放置している所有者に対しては強く利用を促す法的制度を整備するとともに,家庭菜園として利用したい市民やみずから野菜を生産したい食品産業,もちろん耕作面積を拡大したい農業者に対しても,行政が所有者と交渉し,あっせんするくらいの取り組みをすべきと考えます。耕作放棄地の再生利用について御所見を伺います。
     次に,霞ヶ浦問題について伺います。  まず,水質問題についてですけれども,橋本知事は先日,原因はわからないけれども,冬期の霞ヶ浦の水質がよくならないとの話をされたようです。確かにこれまでは夏期に悪化し,冬期にはCOD値の下がった霞ヶ浦の水質が,最近は年間を通して高どまりの傾向にあります。特に北浦の水質悪化は著しく,全国の湖沼でいうと,千葉県の印旛沼に次いでワースト2位という厳しい状況にあります。  これがどのようなことに起因しているのか,しっかり検証する必要のあることは申すまでもありません。霞ヶ浦は,平均水深が4メートル,しかも周辺から56河川の流入する下流部に位置し,汚濁しやすい湖です。そのため,生活系排水,畜産・農業系排水など諸対策を講じ,下水道整備事業を初めとするこれまで霞ヶ浦に投じた国,県の事業費は,浄化関連など1兆1,000億円を超えております。  これだけの巨費を投じ,しかも多くの年月を要しながら,知事をしていまだに「原因がわからない」と言わしめていることに,霞ヶ浦対策への不安と不信を覚えます。本県には霞ヶ浦環境科学センターという他に誇る研究施設がありますけれども,改めて,その自主事業として原因究明のための取り組みをすべきと考えますが,御所見を伺います。  さらに,水質改善の多く見られない現在,逆水門を開放した場合の功罪について究明しておく必要があると考えます。  A類系のきれいな水質の霞ヶ浦,かつての汽水湖を取り戻し,首都圏の癒しの場として霞ヶ浦周辺市町村を大勢の観光客の訪れる地域にする効果と,淡水化の先端技術を生かすことによって─もちろんこのことにより新たな事業は起こりますけれども,生活,工業,農業などそれぞれの用水供給を可能にする費用負担と,このどちらが霞ヶ浦にとってあるべき選択なのか,専門機関に委託し,検証を試みてはいかがでしょうか,御所見を伺います。  なお,水質に関連いたしまして,土浦の周辺,土地利用について要望いたしたいと思います。  現在,旧土浦京成ホテル跡地を中堅ディベロッパー,プロパストが購入し,複合開発事業,霞ヶ浦プロジェクトを推進しておりますけれども,この会社が経営危機によって土地の譲渡に踏み切るのではないかと危惧されております。この土地は,霞ヶ浦の玄関口,土浦港の後背地になっておりますし,観光面その他にとって極めて重要な役割を担う土地となっております。もっと,県もしかるべき関心を持ち,霞ヶ浦の玄関口にふさわしい土地利用が可能となるようにバックアップをお願いしたいというふうに思います。  次に,コイの養殖の今後について伺います。  コイヘルペスウイルスの影響で,本県のコイ養殖産業は,現在,休止の状況にあります。その後,内水面水産試験場でのさまざまな取り組みが積み重ねられ,コイヘルペス病に耐性のあるコイの作出技術開発に一定の成果を上げていると伺っております。また,コイ養殖の関係漁業者も再開を待ち望んでいると思いますし,そのための準備も整えつつあると側聞しております。  コイの養殖への今後の取り組みについて,御所見を伺います。  さて,昨年の12月に稼働を始めたJ-PARCの県の2本のビームラインのうち,材料系が故障で使えない状況にあります。具体的には,中性子を照射する際,実験をより効果的にするため真空状態にしますけれども,気圧を下げている途中でアルミ製の窓の一部が破損し,現在,真空状態が保持できない状況にあるというのです。  今回の故障は,本格稼働前の装置調整中の1月22日だったこと,堅牢な放射線の遮蔽装置により材料系の装置全体が覆われていることなどもあって被ばくの恐れはなく,極めて軽微な故障との扱いがなされているようであります。しかしながら,再開が5月ごろになること,しかも,企業,大学など22の実験予定が先送りになることなどから考えて,茨城県にとって,故障自体は軽微でもその損失は決して小さいものではありません。出だしからつまずいてしまったとの感が否めないのです。橋本知事の心中も,いかばかりでありましょう。  申すまでもなく,J-PARCは,日本原子力研究開発機構,高エネルギー加速器研究機構が共同運営をし,設置可能な23本のビームラインのうちの茨城県は2本を使用しています。その運転維持管理については茨城大学に委託をしておりますけれども,したがって,それぞれの機関との連携は極めて大事ですし,その専門性をより高めることになるであろう科学技術振興課の誕生も,このJ-PARC対策を意図していることは当然のことと思います。  そこで,改めて,諸機関と連携した県のビームラインの安全対策について御所見を伺います。  さて,J-PARCの利活用については,県の2本のビームラインのうち,材料系が企業13,大学等9の22件,生命系については企業2,大学等8の10件の実験予定があり,そのうち,本県の中小企業は2件と伺っております。  本県にとって大きな課題は,このJ-PARCの利活用と産業振興をいかに促進するかであります。  現在,中性子産業利用推進協議会,県内中性子利用連絡協議会の2つの協議会を軸に利用促進が図られておりますけれども,その取り組みを強化する必要があります。企業,関係者の多くに理解を深め,中性子ビームラインの利活用による新製品,新商品開発に結びつけていくことによって,J-PARCを核とした地域振興を促進し,新たな科学技術拠点の形成を可能にすると考えます。御所見を伺います。  国の基本は人であり,本格的な人口減少時代に突入した今,現役世代以上にこれからの社会を担う将来世代に目を向けた取り組み,知育,体育,徳育のバランスのとれた人づくりこそが,今,求められております。地域総がかりで人を育てる教育を実現しなければならないのです。  さて,本年度から県内44市町村すべてにそれぞれ1カ所,中学校区単位に,学校の地域応援団,学校支援地域本部を設置しようという事業が始まりました。これは,それぞれの学校で行われてきたボランティア活動を組織化し,より効果的に学校の支援を図ろうとするもので,現時点で28市町村,30本部が取り組んでおります。  父母やOB,大学生,地域の大人たちなど多彩なスタッフがさまざまな学校活動を支え,その結果,教師の負担が大幅に軽減され,教師が授業に集中し,子供たちと向き合う時間が多く生み出されます。この地域社会総がかりの取り組みが,学力向上のみならず,人間力向上に大きな効果を上げることになるのです。  一方,すべての児童を対象とした放課後の居場所づくり事業,放課後子どもプランがスタートして,この4月で3年目を迎えます。しかし,関係の皆様の熱心な働きかけにもかかわらず,この事業の取り組みは,現在36市町村,571校中193カ所にとどまっております。  学校支援地域本部事業は名実ともに地域で学校を応援しようとするものですけれども,放課後子ども教室推進事業につきましても地域のかかわり方いかんがその成否を決するように思います。放課後子ども教室推進事業こそ,学校,家庭,地域の連携,地域社会全体の支援が必要であり,学校支援地域本部事業の取り組みが小学校においてこそ求められているように感じます。もちろん,このことが地域の教育力向上と密接に関係していることは申し上げるまでもありません。  さらに,新年度の新たな取り組みとして,小学校から高等学校を通し,基礎的・基本的な知識,技能の確実な定着を図ることを目的とした,いばらき学力向上サポートプラン事業が始まります。具体的には,教員志望の大学生,大学院生等を学びのサポーター,学習支援員として派遣したり,非常勤講師を100校に配置したりして,基礎・基本の学力を向上させようとするものです。  ここで問われていることは,担当する教師の取り組む姿勢です。しっかり基礎知識を身につけさせるとともに,みずから考え,学びたいとの意欲を向上させ,好奇心,探究心を引き出す質の高い授業こそが児童・生徒の真の学力向上につながることを知ってほしいからです。  地域の教育力,児童・生徒の学力向上に向けての取り組みについて,教育長の御所見を伺います。  以上で,質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 12 ◯議長(葉梨衛君) 足立寛作君の代表質問,質疑に対する答弁を求めます。  橋本知事。                    〔橋本知事登壇〕 13 ◯橋本知事 足立寛作議員の御質問にお答えいたします。  まず,県政運営の基本的な考え方についてでございます。  初めに,経済危機についての認識と難局に立ち向かう決意についてお尋ねをいただきました。  サブプライムローン問題に端を発した金融危機とその後の景気後退は,世界の経済と人々の暮らしに暗く重い影を落としております。  そうした中で,我が国の昨年10月から12月期のGDP実質成長率が年率換算でマイナス12.7%と,欧米諸国をはるかに上回って落ち込んだことや,1月の貿易統計で輸出額が前年同月比45.7%減と急落し,貿易収支が過去最大の赤字となりましたことに私も大変大きな衝撃を受けているところであります。  これまで,輸出と設備投資が牽引してきた我が国経済は,世界的な需要激減の影響をまともにこうむっているところであります。県内の景気,企業の業況感も大幅に悪化しており,雇用についても1月の有効求人倍率は0.62倍と,8カ月連続で低下しているところでございます。  我が国は,人口減少が始まる中でまさに未曾有の経済危機を迎えており,この試練を乗り越え,今後とも豊かさと国際社会における確かな地位を保っていきますためには,国と地方,官と民が目標や戦略を共有して,経済と雇用の再建,各種のセーフティネットの構築などに取り組んでいかなければならないと認識しております。  そのため,県といたしましては,財政状況が一段と深刻になる中ではありますが,県民生活と県内中小企業等の安定を図ることが何より重要と考え,国と協調しながら,できる限りの対策を講じていくことといたしました。緊急の措置といたしまして,中小企業向けの新規融資枠の創設に加え,離職者を対象とした臨時職員の募集,県営住宅の提供などを行ってきているところであります。  さらに,政府の二次にわたる補正予算や来年度予算を受けて,総額1,060億円の緊急経済・雇用対策を取りまとめ,今定例会に関係予算案を提出しているところであります。  私は,大恐慌にも匹敵すると言われるような今の状況を打開するためには一国一国の対応では限界があり,行き過ぎた市場原理主義や著しくモラルを欠いたマネーゲームを厳しく戒め,各国が協調して,世界の調和ある発展に向け,秩序ある体制を構築していくことが必要であると考えております。そして,その上で,世界の状況がどのように変化しようとも国民の安定した生活をしっかりと守れる国や県にしていかなければなりません。  私は,資源小国日本が21世紀に生きる道は科学技術創造立国しかあり得ないと考えており,本県をその重要な一翼を担っていける県にしてまいりたいと考えております。  我が国は今大変な苦境に立たされていますが,世界の経済は必ず回復するものと思います。そのときに,これまでに取り組んできた広域交通ネットワークの整備や,産業振興,企業誘致の成果が真価を発揮してくれるものと存じます。  県といたしましては,今後とも,最先端の科学技術やものづくり産業の集積などを最大限に活用して,産業大県づくりに取り組み,そこから生まれる活力をもとに,県民生活の安全・安心の確保や,将来を担う人材の育成に努めてまいる所存でございます。  次に,平成21年度予算編成についてお答えいたします。  まず,雇用対策についてでございます。  雇用・研修一体型事業につきましては,これまで製造業に従事していた方々であっても農業や福祉,介護等の未経験の分野に円滑に就業できるよう,まず雇用の場を確保し,生活を維持しながら,必要な資格,技能を習得していただくための訓練,研修を行い,将来的に正規職員として定着することをねらった本県独自の事業であります。今後,この事業により人材確保が困難な分野へ人が流れ,定着が進むことを期待しているところであります。  なお,御指摘の研修期間中支払われる賃金単価につきましては,事業内容や地域の賃金水準などを勘案して決定をさせていただきました。また,事業のねらいを求職者等に広く周知するため,いばらき就職支援センターやハローワークにおいて事業の紹介を行いますとともに,各種広報媒体の活用により積極的なPRなどを行います。あわせて,予算成立後直ちに事業に着手できるよう事業者選定などの準備作業を進め,事業が円滑に進むよう全力で取り組んでまいります。  次に,ワンストップサービス体制についてお答えいたします。  県では,雇用情勢が急速に悪化した年末年始に緊急的な措置として,直ちに県庁内に緊急経済・雇用総合相談センターを設け,求職者の就業や生活の相談などに対応してまいりました。  来年度におきましては,新たに求職者総合支援センターを茨城労働局と連携して設置し,職業相談,職業紹介,住宅の確保,生活保護や生活福祉資金貸付制度等についての相談や情報提供を行いますとともに,具体的な申請手続等が円滑になされるよう市町村や関係機関との連絡調整を図り,できるだけ求職者等のさまざまなニーズにおこたえできる体制を整えてまいります。  なお,障害者に対しましては,就職面接会の開催や,工賃倍増5カ年計画に基づき,授産事業所への経営コンサルタントの派遣などの支援を行っているところでございますが,今後は,こうした取り組みに加え,企業からの発注を小規模な授産事業所でも受注できるよう,共同受注の仕組みづくりなどを支援してまいりたいと考えております。  次に,中小企業対策についてでございます。  今回の急速な景気の悪化により,県内中小企業は,受注量,販売量の急激な減少や過剰な在庫,それに伴う資金不足など厳しい経営環境に置かれております。このため,昨年11月にセーフティネット融資に緊急保証枠を創設し,資金繰り対策に取り組んでいるところでありますが,年度末の資金需要や今後の厳しい経済見通しを踏まえ,引き続き十分な融資枠を確保してまいります。  また,これまでの設備投資等に係る借入金の返済が大きな負担となっている場合もありますので,借りかえにより融資期間を延長し,月々の返済額の軽減を図っているところでもございます。  さらに,県内中小企業がこの経済危機を乗り越えていきますためには,当面の資金繰りに加え,受注確保や販路拡大が欠かせないものでありますので,大手企業に対し県内企業の売り込みを図りますビジネスコーディネーターを来年度3名増員して8名体制にしますほか,各種展示会出展への支援,他県との共同広域商談会,特定発注企業との商談会の開催等により,できるだけ多くの受注機会を提供いたしますとともに,販路の拡大を図ってまいります。  これらの対策に加え,中長期を見据えた足腰の強い中小企業の育成を図るため,専門家等の派遣による経営面,技術面の支援を行いますほか,いばらき産業大県創造基金による新たな製品や技術,サービスの開発を通じて,新産業の育成,創出にも積極的に取り組んでまいります。  次に,財源対策についてであります。  議員御指摘のとおり,平成21年度当初予算案におきましては,実質的な県税収入が今年度より500億円近く大幅に落ち込む中,地方交付税の増額はありましたものの,特例的な県債である臨時財政対策債が大幅に増加したため,プライマリーバランスは約412億円の赤字となり,平成20年度当初予算編成時の約34億円の赤字と比べて大きく悪化しております。  加えまして,今後,現下の経済危機がなお一層厳しさを増し,県税収入や地方交付税などに大きな影響が生じることが懸念されているところであります。しかしながら,財源対策に特効薬があるわけではありませんので,今般策定いたしました第5次行財政改革大綱に基づき,これまで以上にさらに徹底した行財政改革を進めますことにより,財政再建を図っていくことが重要であると考えております。  具体的には,職員数の削減などによる人件費の抑制,繰上償還等による公債費負担の削減,全事務事業のさらなる見直しや,企業会計,特別会計への繰出金の抑制など,歳出の改革を進めてまいります。  また,自主財源を確保する観点から,企業誘致の推進による税源の涵養,全国低位にとどまっている県税徴収率の向上,核燃料等取扱税の拡充等,課税自主権の活用,県有土地の早期処分の推進や収入未済額の縮減といった歳入確保対策に取り組んでまいります。  このように,歳出,歳入両面においてさまざまな手段を講じて財源確保に努め,この財政危機を乗り切ってまいりたいと考えております。  また,こうした構造的な財源不足に対しましては,三位一体の改革以降,国の財政再建最優先で一方的に削減されてきた地方交付税の復元と,今後の行政需要に見合う地方交付税の確保・充実が必要不可欠でありますので,地方消費税の拡充等と合わせ,地方6団体とも連携を図りながら,あらゆる機会を通じて,引き続き強く国に働きかけてまいります。  次に,公社対策についてでございます。  平成18年度には,住宅供給公社及び土地開発公社が減損会計の導入に伴い債務超過となりましたことから,県の支援を行うことといたしました。  また,開発公社につきましては,出資団体等調査特別委員会で御議論をいただきました改革工程表に基づき経営改善に取り組んでまいりましたが,低価法の導入などにより平成21年度にも債務超過に陥る見込みとなっておりますことから,新年度予算において早期支援策を講じることといたしました。  さらに,新たな行財政改革大綱におきましては,3公社について県の将来負担等を念頭に置きながら徹底した経営改革を進め,また,低価法の導入等により発生が予想される損失に対しては先送りすることなく適切に処理していく方針としたところであり,今後も議会の御理解をいただきながら対策を講じてまいりたいと考えております。  公社自体の経営改革についてでありますが,土地開発公社開発公社におきましては両公社の役職員の併任や総務・業務部門の統合を行い,また,住宅供給公社におきましても職員の大幅な削減などに取り組んできたところでございます。  また,開発公社におきましては,未造成工業団地を県が買い取り,事業を承継しますとともに,分譲中の工業団地につきましても,金利支援と評価損処理を行うことにより平成30年度までの分譲終了を目指すこととしております。さらに,その他の部門につきましても,不採算の事業からは撤退するなどの見直しを行いますとともに,あわせて,組織,人員のスリム化を図ることといたしました。  3公社の保有土地処分に当たりましては,販売価格の引き下げや,事業者のニーズに応じた用途の変更など公募条件を柔軟に見直しますとともに,産業立地推進東京本部や関係自治体との連携を一層緊密に図り,企業の個別訪問を行うなど,さまざまな手段で土地の処分を進めてまいります。  これに加え,総務省が創設を進めております第三セクター等改革推進債を活用した債務の前倒し処理につきましても,積極的に検討していく必要があると考えております。  次に,共有社会への取り組みについてお答えいたします。  まず,商業対策についてでございます。  大型店の出店と地域とのかかわり方でございますが,現行の大規模小売店舗立地法では,立地の際,店舗周辺の生活環境への配慮のみを求めることができる仕組みとなっておりますが,大型店は地域経済に与える影響やその社会的責任も大きなものがありますことから,国では指針を定め,大型店の地域貢献を促しているところであります。本県でもこの指針を踏まえ,法に基づく届出の際に,地域と連携した取り組みなど幅広い貢献を求めているところであります。  イオン土浦では,地域貢献策として,特定日のレシート金額の1%相当の地元ボランティアへの寄贈,災害時の緊急避難用大型テントの提供,地元からの2,000人の雇用,地元情報の案内ボードの設置,地元産品の販売などを表明しているところであります。  イオン土浦への出店についてでありますが,地元商業者に対し広くテナントとしての出店を呼びかけているところでありますが,残念ながら,後継者不足や,営業時間の問題,新たな事業展開に伴うリスクといったそれぞれの商業者の事情から出店が進んでいないと聞いております。  地元商業者の出店を容易にするために条件緩和をしてはどうかという御提案をいただきましたが,大型店の出店後においても,地元商業者が疲弊することなく営業を継続していけることは地域の商業を守る上でも大変重要なことでありますので,今後,地元商業者がテナントとして出店しやすくなるような方策を初め,大型店の地域へのかかわりがどうあるべきかについて,大型店と協議,検討してまいりたいと存じます。  なお,出店を希望する地元の商業者に対しましては,引き続き,県制度融資や経営相談に乗るマネージメントエキスパート派遣事業などを活用して支援してまいりたいと存じます。  次に,住宅対策についてお答えいたします。  まず,住生活の安定に向けた取り組みでございますが,本県におきましては,平成18年に制定された住生活基本法を踏まえ,茨城県住生活基本計画を策定し,良質な住宅を確保しますとともに,賃貸住宅の定期供給や持ち家取得の支援などに努めているところであります。  具体的な施策ですが,賃貸住宅につきましては,高齢者や子育て世帯が適切な負担で入居できるよう,良質な公営住宅の整備や,民間の優良な賃貸住宅の供給支援などを行っております。  また,持家施策としましては,県産材を使用した場合に利子補給等の助成制度を設けるなど,持家取得を推進しております。さらに,ストックを生かす観点から,既存住宅のリフォームを促進するため,リフォームアドバイザーや事業者の登録・公開制度を設けているところであります。  一方,長期優良住宅は,国の認定基準で構造躯体の耐久性が100年程度期待される住宅について,少なくとも10年ごとの定期点検により長く使っていこうとする制度であり,認定された場合には,住宅ローン減税が10年間で最大600万円に拡大されることになります。議員御案内のとおり,この制度は,資産価値の向上,負担の軽減,さらには環境面への負荷の緩和などに寄与するものと考えます。  今後,県としましては,この制度が広く普及していくように,国及び市町村と連携しながらPRに努めてまいります。また,この認定事務が円滑に進むように配慮し,良質な住宅ストックが長期にわたり流通する社会の形成に努めてまいります。  次に,廉価で良質な住宅の提供についてでございます。  公営住宅法では,住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で住宅を賃貸することを公営住宅の目的として位置づけており,その整備に当たっては,民間住宅と適切な役割分担のもとに行うべきと考えております。  この観点から,さきに述べました茨城県住生活基本計画において,公営住宅の供給と適正な管理を実現するために,新規の建設,建て替え,既存ストックを生かした住戸改善等を位置づけ,平成21年度には合わせて117戸の提供を予定しているところであり,今後,なお一層の提供に向けて努力してまいります。  また,議員御指摘の民間住宅の借上げ公営住宅につきましてはTX支援のモデル事業として実施しましたが,建設に係る初期投資が低い反面,長期的には累積借上げ料が建設費用を上回る等の課題があり,今後,その効果について検証してまいります。  さらに,公営住宅法においては,借上げ公営住宅のほかにも民間を活用して公営住宅を整備する制度もございますが,同様の課題等があることから,その検証結果などを踏まえ対応してまいります。  次に,団塊の世代の生きがいづくりについてでございます。  団塊の世代がすべて65歳以上となる平成27年には県民の4人に1人が高齢者という超高齢社会が到来し,こうした中で,高齢者が健康で生きがいをもって暮らすことができる環境づくりをいかに進めていくかが重要な課題となってまいります。  また,近年は,高齢者の夫婦のみの世帯や高齢者の一人暮らし世帯が増加し,人づきあいも稀薄になる中で,議員御指摘のように,団塊の世代の方々が今のうちから地域に積極的にかかわり,互いに支え合う社会をつくっていくことが大変重要であると考えております。  そのためには,まず何よりも高齢者が社会に出て活躍できるさまざまな場を設けることが必要であり,県といたしましては,高齢者はつらつ百人委員会活動や,わくわく学園の開催,シルバー人材センターの支援などを通じ,退職後のシニア世代の地域活動等への参加を促進してきており,大変多くの方々が元気に生き生きと多くの分野で活躍しておられます。  こうした動きをさらに広げ,より多くの方々に豊かな経験や知識,技術を生かして地域活動に取り組んでいただくことが,社会にとってもシニア世代の御本人にとっても意義のあることと存じます。そのため,熟練した技能を若い世代に継承するための事業や,さまざまな分野でのボランティア活動の支援,人材バンクによる地域に貢献したいという高齢者と地域とのマッチングなどを行っているところであります。  さらに,来年度からはセカンドライフ応援講座を開設し,子育て支援,環境保全などさまざまな活動を希望する方々に対して学習や高齢者施設での体験活動などの機会を提供し,地域活動をスタートしやすいよう支援してまいります。  団塊の世代や高齢者が,社会的弱者という観点ではなくて地域社会を支える重要な一員として,趣味を楽しみ,特技を生かしながら,生涯現役で活躍できる環境づくりの一層の推進に努めてまいります。  次に,文化芸術振興対策についてお答えいたします。  昨年11月に開催しました国民文化祭では,県内外から118万人を超える多くの方々に御来場いただき,本県の特色ある伝統文化や新しい文化を全国に発信することができ,本県のイメージアップが大いに図れたものと考えております。足立議員には,国民文化祭の成功のため大変な御活躍と御尽力をいただき,この場をおかりして厚く御礼を申し上げます。  この大会開催を契機に,県内の文化活動が活性化され,茨城県漢詩連盟や茨城県連句協会などの新しい文化団体が結成されますとともに,会期中にはワークショップや体験コーナーを通じて多くの方々に文化芸術に触れ,親しんでいただき,文化の担い手のすそ野を拡大することができました。  また,オペラ「小町百年の恋」を初め,日本舞踊「常陸踏歌」や合唱曲「ひたすらに雨情」などの作品,七色帆引き船の合同操業の取り組みなど,全国に誇れる文化的な財産も新しく生まれたところであります。
     また,「アートライアングル取手・牛久・守谷」や「西塩子の回り舞台」などでは,行政と団体,住民,学生など地域が一体となって文化イベントに取り組む体制も生まれてきております。  今後は,新しい文化の種をまき,文化の大樹,そして文化の森へと育てるという国民文化祭の考え方をもとに,その成果を生かす一方で,これまで培われてきた芸術文化や地域に根差した伝統文化など,県内の文化芸術活動の活性化に努めてまいりたいと存じます。これらにより,県民一人一人が多様で活発な文化創造を行う機会を広げますとともに,文化の視点による地域づくりや人づくりを進めるなど,しっかりと文化芸術振興対策に取り組んでまいりたいと存じます。  次に,救急医療体制の充実についてでございます。  県といたしましては,山間部や医療資源が少ない地域の救急医療体制の充実を図るために,できるだけ早期にドクターヘリの導入を図っていきたいと考えております。  このため,現在導入検討委員会で課題等について検討を進めているところでございます。その中で最も大きな課題であります基地病院につきましては,現在の深刻な医師・看護師不足という状況のもと,陸送の救急に加え,ドクターヘリの運用に必要な人材や医療機能を単独の病院のみで確保することは難しいのではないかという意見が出されております。このため,医療スタッフの派遣など基地病院の円滑な運営に資するための連携体制の構築が求められております。  また,基地病院の位置に関しましては,県内における医療格差の問題を考えれば県央地区が望ましいとする意見がある一方で,最終的な受け入れ先としての機能を担うといった視点から,県南がよいとする意見もございます。  さらに,基地病院を支援して搬送患者を速やかに受入れられる病院の整備が不可欠でありますが,現在の救急受け入れ体制の逼迫した状況ではその確保が十分にできるのかとの課題も指摘されておりますので,できるだけ多くの病院に協力してもらえるよう合意形成に向けた取り組みが必要となってまいります。  議員御指摘のように導入へのスピードは大切ではございますが,多角的な観点から検討を行い,関係者間の共通理解を得ておくことがその後の運用を円滑に行えるかどうかの重要なポイントになってまいります。したがいまして,ドクターヘリの導入につきましては,さまざまな課題の解決に向けて引き続き委員会での検討を進めますとともに,関係機関と精力的に協議調整を行い,できるだけ早く実現できるよう努力してまいりたいと存じます。  次に,農業対策についてでございます。  農地は一度荒廃すれば復元が難しいことから,議員御指摘のとおり,農地面積が減少している中で耕作放棄地の再生利用は,食料の安定供給のみならず農地の有効利用を図るためにも大変重要な課題であります。  このため,これまでも,耕作放棄地を認定農業者等の担い手が活用する場合に農林振興公社が耕作可能な状態に再整備して引き渡したり,家庭菜園として利用したい方のために市町村等が主体となって実施する市民農園の整備を支援したり,担い手が不足する地域を中心に企業等の農業参入を後押ししてまいりました。しかしながら,担い手不足や高齢化が進展する中でこれまでの取り組みでは十分とは言いがたいため,耕作放棄地対策について,国,県ともに一層の取り組みを進めようとしているところであります。  まず,国におきましては,今年度,耕作放棄地の全筆調査を行い,容易に再生可能なもの,基盤整備を行った上で再生すべきもの,山林などに戻すべきものの3つに分類を行っており,この結果に即して,平成21年度予算案に,障害物除去,整地への助成等の対策を盛り込んでいるところであります。  さらに,現在開会中の国会に,農地について権利を有する者は適正かつ効率的な利用を確保しなければならない旨の責務規定を新設する,農地法等の改正案を提出しているところであります。  また,県におきましては,現在,農地の利用集積を促す奨励金を交付しておりますが,平成21年度は,対象農地が耕作放棄地の場合には交付単価を嵩上げしてまいりますほか,耕作放棄地を含む農地の権利移動を調整するコーディネーターを農業団体等に設置し,県内農業者への農地利用の集積や,県内外の企業参入による農地の有効活用にも取り組んでまいります。  県といたしましては,今後とも農業者が農地を有効に活用し,安定した所得を確保することができるよう茨城農業改革を着実に進展させ,耕作放棄地の再生利用,さらには食料供給力の強化に努めてまいります。  次に,霞ヶ浦対策についてお答えいたします。  まず,水質問題のうち,霞ヶ浦環境科学センターにおける原因究明のための取り組みについてでございます。  霞ヶ浦につきましては,流域における生活排水対策など各種の汚濁負荷削減対策を進めてきた結果,流入河川の水質は改善傾向にありますものの湖内の水質にはなかなか反映されず,議員御指摘のとおり,その水質は大変厳しい状況にございます。  その原因を究明するため,霞ヶ浦環境科学センターでは,植物プランクトンの種の変化と増殖メカニズムを解明するための研究や,湖内のリンの増加原因の研究などに取り組んでおり,これまでの研究の結果では,ここ数年の霞ヶ浦のCODが冬から春先にかけて高くなる傾向が見られ,低温に適したケイ藻類の増殖によるものであることが明らかになりました。  それに加え,平成19年度には,これまであまり見られなかった糸状ラン藻類が冬に大幅に増殖し,CODを高くしていることが判明いたしました。その原因は,湖水中に浮遊している粘土等の微粒子が減少した結果,透明度が改善し,湖底に生息していた糸状ラン藻類まで光が届くようになり,活性化したためと推定されております。  このように,霞ヶ浦の水質が改善されない原因の一部が明らかになりつつありますが,いまだ解明されない部分も多くありますことから,今後とも,国や大学など他の機関との研究協力体制を強化しますとともに,センター職員が一丸となって水質汚濁の原因究明に取り組んでまいります。  次に,逆水門の開放効果についての検証につきましてお答えいたします。  常陸川水門は,利根川からの逆流による洪水の防止や,海水の遡上による塩害の防止を目的に建設されたものでございます。当初は洪水時と渇水時のみ操作されておりましたが,鹿島臨海工業地帯の本格稼働や人口増加による水需要の増加などに対応するため,昭和50年からは降雨による水位上昇時を除いて水門を常事閉鎖し,水位を維持する運用を始めており,近年は年間平均で80回前後開放している以外は閉鎖している状況にございます。  議員から海水淡水化技術の活用による水門常時開放の御提案がありましたが,福岡県で水道用水を供給している福岡地区水道企業団の海水淡水化事業の事例を見ますと,施設整備費は約400億円で,最大生産能力は日量5万トンでございます。霞ヶ浦で現在利用されている水量は,水道用水,工業用水,農業用水合わせて日量約800万トンでございますので,このすべてを淡水化技術に求めることはコスト面で大きな課題があるものと考えております。  一方,水門を常時開放することにより遡上する海水により湖内の水の交換が促進され,水質改善が図れるとの意見もございますが,再汽水化によってどの程度の水質改善が図られるかは今のところ不明でございます。このため,再汽水化による水質浄化につきましては,今後,幅広く議論をしてまいりたいと考えております。  なお,霞ヶ浦湖畔の京成ホテル跡地につきましては,市とも十分連絡をとり合いながら,その対応について考えていきたいと思っております。  次に,コイ養殖への取り組みについてお答えいたします。  これまで,県ではコイ養殖の再開に向け,各種の試験研究や養殖施設削減への助成措置などを講じてきたところであります。特に養殖を再開する上で必要となりますKHV病に強い耐性を持つコイの生産技術の開発につきましては,コイの稚魚を昇温処理することで,生残率は未処理の場合の25.3%をはるかに上回る91.8%と極めて良好な成果が得られたところであります。  また,KHV病の蔓延を防止するためのコイの出荷方法につきましてはこれまで加熱加工品に限られておりましたが,えらの部分を取り除けば鮮魚の状態でも他へ蔓延させることなく安全に出荷することが可能となるなど,生産技術や流通方法の点では,養殖を再開しても再び大量へい死や蔓延を生じさせることなく生産が行える体制が整ってきております。  さらに,養殖業者からは,霞ヶ浦の水質浄化に配慮し,養殖施設をほぼ半減するよう努力をしているところと伺っており,負荷軽減につながるものと考えております。  こうした状況を踏まえ,コイ養殖のできるだけ早い再開に向けて現在検討を行っているところであり,再開後は,適正密度での飼育や食べ残しを生じさせないような給餌など,KHV病の再発防止や霞ヶ浦の水質に配慮したコイ養殖を指導してまいりたいと存じます。  次に,J-PARCの活用についてお答えいたします。  まず,安全対策についてでございます。  J-PARCにつきましては,加速器の運転を停止すれば直ちに中性子等の発生がとまるという制御しやすい固有の安全性を有する施設であることに加え,県のビームラインを含むどの中性子ビームラインも全体が十分な厚さのコンクリートブロックで遮蔽され,外部へ放射線が漏れることがないようになっております。  さらに,運転中はその遮蔽体内部に人が立ち入ることができない設計となっておりますことから,今回の県の材料構造解析装置で発生した事象におきましても,放射線の漏洩や人的被害など安全上の問題は発生しなかったところであります。  また,緊急時の対応につきましても,J-PARCセンターが定めているマニュアルにのっとって迅速かつ的確に対応することとされており,県でも運転維持管理を委託している茨城大学やJ-PARCセンターとの連絡体制を整備しておりますので,今回の事象でも関係機関との迅速かつ適切な対応をとることができたところであります。  しかしながら,装置の安全対策には日ごろから万全を期しますとともに,万一緊急事案等が発生した場合でも,迅速,的確に対応することが極めて重要でございますので,今後ともJ-PARCの運営にかかわる諸機関との連携をさらに密にして取り組んでまいりたいと考えております。  次に,新たな科学技術拠点の形成についてでございます。  J-PARCを企業の方々に積極的に利活用していただきますためには,中性子利用の有用性を広く産業界に示していきますとともに,産業利用を主目的とする県の中性子ビームラインを産業界にとって利用しやすいものとしていくことが大変重要であります。  このため,県では,中性子利用促進研究会を通じて,産業界の関心が高く,より有望なテーマを重点的に支援しますとともに,全国の有力企業等で設立された中性子産業利用推進協議会とも連携し,早期の研究成果の創出に努めているところであります。  また,中性子利用の経験がない企業でも県のビームラインを試行的に無料で利用できる県独自のトライアルユース制度を創設したところであり,特に県内の中小企業に対しましては,県内中性子利用連絡協議会や企業訪問等を通じた情報の提供,ビームラインの優先的な利用など手厚い支援策を講じ,産業利用の促進につなげてまいります。  さらに,J-PARCの近接地に開設したいばらき量子ビーム研究センターには,企業の技術相談や利用受付などを行う総合窓口を設置しますとともに,中性子の専門家をコーディネーターとして配置いたしましたので,ここを中心として利用者のさまざまなニーズへの迅速かつ的確な対応に努めてまいります。  このような企業や研究者の活動しやすい環境づくりを通じてJ-PARCの積極的な活用を促進することにより,本県を科学技術創造立国日本を担う重要な拠点として発展させ,地域振興につなげてまいりたいと考えております。 14 ◯議長(葉梨衛君) 鈴木教育長。                   〔鈴木教育長登壇〕 15 ◯鈴木教育長 教育振興対策についてお答えいたします。  子供たちのたくましく生きる力を育むためには,学校のみならず,家庭や地域社会と一体となり,それぞれの教育力を発揮する中で,必要な資質や能力を育成する教育を進めていくことが必要であると考えております。  まず,議員お尋ねの,地域の教育力の向上についてでございます。  地域の教育力についてはいろいろなご意見があるところでございますが,地域において子供たちの人格形成やたくましさを醸成していくためには,特に大人と子供が直接的な交流や共同体験をすることなどが大変重要であり,また,教員の負担軽減にもつながっていくものと考えております。  昨年度から実施しました放課後子ども教室は,PTAを初めとして地域の方々の参加を得て,勉強やさまざまな体験活動,交流活動等の取り組みを実施するものでありますし,また,今年度からスタートしました学校支援地域本部事業は,地域のボランティア活動を組織化し,学校での教育活動を支援するもので,両事業はまさに大人と子供が直接的な交流や共同体験を行うものであることからも,積極的に推進してまいりたいと考えております。  現在,事業の推進に当たりましては,コーディネーターやボランティアといった人材確保が難しいことなどが喫緊の課題となっておりますので,県といたしましましては,退職教職員の人材リスト等の情報提供や関係機関への協力依頼を行うとともに,コーディネーターやボランティアの研修会を実施するなど市町村の取り組みを積極的に支援しているところでございます。  今後とも,地域社会全体で子供たちを支える両事業の体制整備を推進することにより,地域の教育力の向上が図れるよう努めてまいりたいと考えております。  次に,児童・生徒の学力の向上についてでございます。  みずから考え,学びたいとの意欲を高め,児童・生徒の学力向上を図るためには,学校において質の高い授業を行うことが最も重要であると考えております。  これまでも研修制度の充実を図るなどして,教員や臨時的任用教員の資質の向上に努めてきたところでございますが,今後とも学力向上推進プロジェクト事業の中で,模範となるような授業の参観や研修会を通して,さらに教師としての強い情熱を持つことができるよう努めてまいりたいと考えております。  特に,来年度は,新たに取り組むこととしております学びの広場サポートプラン,学力向上支援事業,高校生基礎学力向上サポートプランにおいて,非常勤講師やサポーター等を数多く派遣することとしておりますので,教育に対する使命感や誇り,児童・生徒に対する愛情や責任感などを持っている方々を採用するとともに,非常勤講師につきましては新たな研修の機会を設けるなどして,事業の充実を図ってまいりたいと考えております。  県といたしましては,学校において今後ともさらにきめ細かな授業を行い,児童・生徒の学ぶ意欲を高め,学力向上が図られるよう努めてまいりたいと考えております。 16 ◯議長(葉梨衛君) これで会派代表質問,質疑を終了いたします。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 17 ◯議長(葉梨衛君) 以上で,本日の日程は全部終了いたしました。  次回は,明3月4日午後1時から本会議を開き,一般質問,質疑を行います。  本日はこれにて散会いたします。                     午後4時1分散会 Copyright © Ibaraki Prefectural Assembly, All 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