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  1. 茨城県議会 2008-09-24
    平成20年予算特別委員会  本文 開催日: 2008-09-24


    取得元: 茨城県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-09
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1                  午前10時開議 ◯新井委員長 ただいまから,予算特別委員会を開会いたします。        ─────────────────────────── 2 ◯新井委員長 初めに,本日の委員会記録署名委員を指名いたします。  本澤委員と川口委員にお願いいたします。        ─────────────────────────── 3 ◯新井委員長 これより議事に入ります。  本委員会に付託されました案件の審査を行います。  本委員会に付託されました案件は,第97号議案ないし第99号議案の3件であります。  これらの案件を一括して議題といたします。  これより,通告に従って質疑を行います。  お手元に,去る9月18日に開催いたしました理事会の決定事項を配付してあります。これに基づいて質疑を行いますので,御協力をお願いいたします。  なお,質疑,答弁は,要点を簡潔明瞭にお願いいたします。  また,関連質疑につきましては,委員から希望がある場合には,挙手をしていただきまして,まず,質疑内容と答弁者につきまして御説明いただきます。  その後,委員長においてこれを認めた場合に限り,答弁を含め10分以内で実施することといたします。  なお,関連質疑の内容と答弁者については,通告の範囲内として,簡潔明瞭にお願いいたします。  それでは,これより質疑に入ります。  最初に,黒部委員。 4 ◯黒部委員 おはようございます。  自由民主党の黒部博英であります。
     通告に従いまして,病院改革前半の取り組みへの総括と今後の改革の方向性について,古田病院事業管理者にお伺いいたします。  まず初めに,就任前の3病院の印象と就任後の印象についてお伺いいたします。  従来,県立病院は,多額の繰入金を投入しながら,経営改善が図られないばかりではなく,こども病院を除いては,政策医療へきちんと取り組んできたといえるだけの実績かあったかどうか,大変疑問にありました。  このため,過去何回となく改善計画を策定し,病院の経営改善を図ってまいりましたが,きちんとした成果が出たとはお世辞にも言えない状況にありました。  そこで,県議会の真摯の議論の中から,この際,抜本的な対策が必要であるとの結論を得て,平成18年度から病院事業を公営企業法を全部適用し,古田病院事業管理者のもとで,4年間の期間において一定の成果が得られない場合には,経営形態の変更も検討するとの条件のもと,県立病院の抜本的な改革を進めることといたしました。  その病院改革も前半2年半が経過いたしまして,後半も半年が過ぎようとしております。この間,古田病院事業管理者の強力な指導力のもとで,全国初となる病院事業に係る給与カットの断行,友部病院における精神保健法第24条措置患者に係る24時間365日救急受け入れの開始など,長年の懸案の解決を図ってまいりました。  私が委員長を務める保健福祉委員会においても,救急医療の積極的な受け入れや繰入金の削減など,さまざまな改革の進捗状況が報告されております。このような報告によりまして,病院改革は着実に進んでいると思われますが,折り返し地点を過ぎたことから,改めてその成果の課題を総括し,これからの方向性を確認することは大変重要なことだと思っております。  そこで,まず,就任前に抱かれていた3病院の印象と実際に就任してからの印象についてお伺いいたします。 5 ◯新井委員長 黒部委員の質疑に対する答弁を求めます。  古田病院事業管理者。 6 ◯古田病院事業管理者 私は,正直に申しまして,東京に長くいる人間でございますので,委員の御質問の就任前の茨城県の病院事業に関しては,ほとんど知らないまま,橋本知事からの要請を受けまして,知事のお人柄と行政手腕ということを信じて私に託された役割という,医師としての,いわば使命感でお引き受けしたわけでございます。  もちろん,これから先申し上げますけれども,知らなかったから言えんということもたくさんございました。  就任後の私の感じたことを率直に3つの疑問点として申し上げますと,まず第1には,県立病院は3つしかない。しかも,それがそれぞれ異なる政策医療になっているという有利な状況がなぜ生かされてこなかったのか。2つ目の疑問としましては,中央病院,友部病院がともに政策医療を十分に果たせないままで,なぜ経営が悪化したのか。3つ目の問題は,小児病院が多くの県民の方から存在価値が高く評価されている,この理由は何だろう。この3つが疑問として私の頭に浮かびました。  それについて,まず最初のことについては,病院事業管理者,つまり院長以下の方々が政策医療への十分な認識を持っていないこと,そしてまた,病院管理をする上でいろいろな制約が多過ぎて,結果として,病院の経営努力が実を結ばなかったのではないかというふうに思えました。  また,2つ目には,県の窓口である保健福祉部の病院管理における指導力の不足と県立病院が県民の病院であるということに対する統治責任意識が薄い,そして,中央,友部の両病院に関して,あたかも逃げ腰で病院統治が行ってきたのではないかというふうにすら思えました。  次に,友部病院につきましては,申すまでもなく,政策医療をまともに果たそうとせず,県立病院の名のもとで無為無策の状態のまま公費による丸抱えの運営がなされてきているということを考え,廃院を含めた思い切った方策が必要であると考えました。  こども病院の高い評価に関しては,恐らく県唯一の高度専門小児病院であること,そしてまた,地域の医療に対する貢献実績があること,そして,済生会があたかも隠れみののようになって管理体制が行われ,同時に,政策医療の実践と経営努力への評価,これがあったのかなと,これが私の率直な印象でございます。 7 ◯黒部委員 ありがとうございました。  続きまして,病院改革前半の取り組みの成果と評価について,まずお伺いいたします。  まず,取り組み,成果についてお伺いいたします。  古田病院事業管理者は,実際に病院事業改革の先頭に立って,さまざまな改革を行ってまいったわけでありますが,次に,これまでの2年間で特に力を入れた事柄,成果についてお伺いしたいと思います。  時間の関係もありますので,前半の改革の成否を決めたというポイント,そして転換点は何であったか,古田病院事業管理者にお伺いいたします。 8 ◯古田病院事業管理者 私は,前半の改革の成否につながる最も大きな出来事としましては,何と言いましても,改革2年目の4月に5人のエース,すなわち中央病院,友部病院の両病院長を招聘し,また,両病院で救急を担う立場の救急部長,そしてまた,医業事務を改善するためのエキスパート,その5名が我々の改革に参加してきたこと,これによって,新執行部体制ができたことがまず第1に挙げられると思います。  次には,2年目の4月より友部病院が給与削減交渉の中で,我々示した改革実行への強い意思表示のもとで,24条患者の24時間365日の救急受け入れについて真剣に取り組み,新執行部の指導力のもとで今日まで続けられてきたということ,これが挙げられると思います。  それと同時に,中央病院においても,新執行部体制のもとで,救急医療を初めとするがん診療,循環器診療など,政策的医療の充実を目指しながら,救急医療の実践においては,救急患者の受け入れ実績が明らかに伸びてきているというようなこと,これは返して言えば,両病院が政策医療を実施できる潜在能力があるということを示せたことだと思います。これが2番目に挙げられます。  そして3番目には,やはり我々の改革が続けられる基盤をつくった給与削減交渉の妥結というものが挙げられると思います。  しかし,この交渉には,私はいささか不満を持っておりまして,解決に2カ月余り余計な時間を費やしたことに関しては,病院局の本庁職員にも強く自覚を促したことを覚えております。  以上の3点のほかには,友部病院の全面改築や中央病院の診療体制の強化のために増改築が承認されたことも,もちろん推進には大きなエネルギーを与えていただき,知事を初めとする関係各位の方々に心から感謝申し上げている次第でございます。  以上です。 9 ◯黒部委員 続きまして,病院改革前半の取り組みの評価についてお伺いいたします。  古田病院事業管理者就任は,平成18年4月でありますが,今回の質問に当たり調べましたところ,古田病院事業管理者就任の軌を一にするように全国的な医師不足,そして看護師不足が顕著になってきております。  全国的な医師の産科離れや小児科離れに象徴されますように,市町村の医師不足は一層深刻さを増してきております。特に最近,無罪が確定いたしました福島県の産科医師の逮捕は就任直前の平成18年2月に起こっております。  また,いわゆる7対1看護の導入,従来の患者さん10人に対し,看護師さん1人の看護から,患者さん7人に対し,看護師さん1人の看護の導入も平成18年4月から始まってきております。  これらによりまして,大学附属病院など大病院が全国から看護師を集めることとなり,全国的に看護師不足に陥ったと言われております。  このように,古田病院事業管理者も想定しなかったような出来事が逆風となって改革初年度から襲いかかってきたのではないかと思っております。  そこで,当初,古田病院事業管理者がお考えになっていたことを達成できたかどうか,この辺まではやっておきたかった,そういうところについてお伺いいたします。 10 ◯古田病院事業管理者 前半の取り組み,全体につきましての評価は,まだできておりませんが,友部病院の救急への取り組み実績が著しく向上したこととか,中央病院における救急医療への取り組みとその実績向上につきましては,両新執行部のもとで達成できた政策医療担当能力を証明するするものであり,評価できることだと思われます。  私は,そのことだけは改革の前半で示しておかなければならなかったことだと考えておりましたので,その達成は大変うれしく思っております。  一方,前半2年の取り組みの中で,休診している診療科の再開などを含めて,診療体制のより充実を目指しておりましたが,それが十分に果たせなかったことは大変に残念に思っております。  しかし,現在も引き続き,それらの確保に向けての努力はし続けておりますので,もう少しお時間をいただきたいと思います。  以上でございます。 11 ◯黒部委員 ありがとうございます。  そして次に,2年を経過しての病院改革の課題についてお伺いいたします。  先ほどもお話ししましたように,全国的な医師,看護師不足の中ではありますが,今さまざまな改革が行われると認識しております。病院改革はまだ道半ばでありますが,この2年を経過して,現在,古田病院事業管理者がお考えになる現在の課題にはどのようなものがあるか,お伺いいたします。 12 ◯古田病院事業管理者 改革前半にできなかった課題は山積しております。しかし,正直に感じていることは,これからの改革こそが問題であり,今後の後半の2年間で果たしてどれだけその取り組みがなし遂げられるだろうかという病院事業管理者としての目下自問自答をしているところでございます。  未完に終わっている改革最大のものは,やはり医療技術職以外の職員,いわゆる事務職員の意識改革の問題であります。たとえ,その解決ができたとしましても,これから取り組まねばならない課題は,これまでのものとは質的に大きく異なる困難性の高い課題であり,準備やその完成までには時間や気配りを非常に多く必要とすることが少なくございません。  現在,退職金支払いについては,その支払いの枠組みが明確になっていないまま,引当金のない退職金の支払いを一定の負担率のもとで,病院事業会計内部留保金から支払うことになっており,これが結果としまして病院経営に不可欠な運転資金を目減りさせ,底をつく状態になってきているということが一つあります。  友部病院では,2年前に資金ショートが起こり,中央病院におきましても,つい9月,今月,資金ショートが発生いたしました。理由は,単年度に生じた赤字によるものではなく,企業債の償還金を返済期限の9月に支払わなければならず,銀行残高が不足し,それが支払えない状況に立ち入ったというものであります。  したがいまして,改革期間が終了するまでに,県立病院の存続を将来可能にする健全な財政収支計画を立てておくことが極めて重要なことだと思います。  このような現実は,例えば,飛行機に例えますと,これまで危険な飛行を繰り返し,ついには事故を起こしてピットンして,修理をすることになった飛行機がちょうど修理が半ば終わった状態というふうに例えられるかと思います。  そういう中で,当然,今回は新しく頼もしい機長が迎えられ,すぐれた乗務員が一定程度整いまして,まだこれから追加の必要乗務員がございます。そういうことの中で,あとは飛行機の性能を確認して,燃料の給油も行い,そしてまた,目的地までの経済効率を十分考えた飛行がこれから安全にできるためにどうしたらいいかという,その最終準備をこれからしなければいけない段階だと思っております。  これから進めていく改革作業には,やはりそういう意味では,飛行機では安全飛行のためのあらゆる角度からの検討が必要であり,このことを忘れずに飛行計画を策定し,飛行機で言えば,気象状況など十分コンディションを踏まえながら,情報を得ながら作業を進めていく必要があると思っています。  一方で,予定どおり進んでこなかった,いわゆる客室乗務員,診療体制の充実ということについては,何としても必要なスタッフをこれから確保していこうと考えております。  現在までのところ,この5月には腎臓内科医,そして7月1日は血液内科医が中央病院には加わっております。  一方,看護師確保につきましては,目下努力を続けておるところでございますが,年内に全500床を稼働できるだけの人員の看護師確保の目途は,現在はまだ着いておりません。  今後,来年度中に必ず小児科と産婦人科医の専門医を確保し,県民の皆様から要望が強いそれらの診療科の再開に向かって,なお一層の努力を重ねていきたいと思っております。  また,水戸医療圏における,その中心となる救急医療を担っている中央病院の救急患者受け入れにつきましては,今後もふえ続けることを考え,救急部門の強化に具体的な計画の実現を進めてまいらねばならないと考えております。  また,がん診療連携拠点病院として,患者の登録や情報提供などの作業に必要なITシステムの導入の検討,必要人員の確保など事務職員の適正配置についても見直してまいります。  医事などの専門業務がしっかりできる,そういう専門職業教育というものも重要であり,また,すぐれた人材の確保というものにも今後努力してまいりたいと思っております。  以上でございます。 13 ◯黒部委員 ありがとうございます。  財政面,そして医師確保,まだまださまざまな問題があると思いますが,ぜひ頑張っていただきたいと思います。  続きまして,3病院の今後の改革の方向性についてお伺いをいたします。  ただいま多く述べられたように,困難な課題を踏まえつつ,今後3病院をどのような方向に整備していくのか,個別の病院ごとのグランドデザインについてお伺いしたいと思います。  まず初めに,県立中央病院におきましては,総合的な診療機能として,また,こども病院との連携を図る上でも,特に,産科,小児科はぜひ再開していただきたいと考えております。  救急医療にも,引き続き積極的な対応を図っていただきたいと思っております。さらに,この2月には,都道府県がん診療連携拠点病院に指定されていることを受け,県のがん診療の中心的な役割を担っていくことを本会議において,古田病院事業管理者が答弁をされておりました。  また,友部病院におかれましては,平成23年度の新病院の開院に向けて,順調に作業が進んでいるとお伺いしております。新病院では,精神科救急を初め,児童,そして思春期医療や薬物治療など,政策医療を重点的に取り組んでいくものと期待をしております。  さらに,こども病院におきましては,本来の役割である高度専門医療に加えまして,県北地域の救急医療のかなめとなるなど,県民からの信頼も厚い病院になってきておるとお伺いしておりますが,先ほどお話ししましたように,全国的な小児科医の確保の困難性などから,その運営を今後安定的なものにするには大きな課題と認識しております。  それらの点を踏まえまして,今後,これらの3病院についての改革の方向性,言いかえれば,その将来像についてお伺いいたします。 14 ◯古田病院事業管理者 目下のところ,3病院は,ともに改革の途上にございます。我々は,県民の皆様の声に常に耳を傾け,その声にこたえられるよう改革を進めていかねばならないと考えております。そして,県民の皆様や地域住民の皆様が望まれる医療供給体制の構築を目指して一層努力をしてまいります。  友部病院の新病院建設に伴う基本設計作業は,今のところ,順調に進んでおります。そして,思春期医療や薬物治療など,それぞれの政策医療に積極的に取り組めるよう計画を進めております。  将来には,発達障害児への治療や相談などには,こども病院と一緒になって当たれる体制が望まれることは申すまでもありません。そして,身体合併症を伴う精神科患者さんへの治療についてはもちろんのこと,痛みの治療,心身症の患者さんへの治療などについては,中央病院とより緊密な体制のもとでできることが患者さんにとって最も望まれることであろうと考えております。  小児救急医療について申し上げますと,こども病院における初期救急の受け入れ体制は,現状において,ほぼ限界に達しております。夜間の一部の時間帯では,救急車による患者さん以外扱っておりません。そのような専門的な小児医療を行う病院にとって過剰な負担となっている一般小児救急は,一般救急を受け入れている中央病院の小児科が本来行うべきであり,そういった状況は,できるだけ早い時点で実現できるべきであると考えております。しかし,現時点においては,そのような体制がまだ中央病院には整っておりません。  一方,新築を予定している友部病院を除きますと,中央病院,こども病院,ともに建物は既に築20年余りを経過しており,10年後には,いずれ全面改築が必要になろうと予想されております。  そのことを考慮に入れますと,今回の改革への取り組みの評価がなされる時点では,私は,これらの3病院の将来一体化した診療のあり方についての提言を申し上げる必要があるのではないかと考えております。  いずれにしましても,県立病院は,政策医療の実施において,その中心的な役割を担うとともに,県全体における公的医療の司令塔的な役割や駆け込み寺的な機能を果たす必要もあると考えております。  また,現在,医療改革推進本部において進められつつある公的医療ネットワークづくりにおきましても,地域医療格差を少なくし,県民の皆様が安心できる医療サービスの確保や医療情報の提供などにも積極的な役割を果たす必要があると考えております。  また,非常時などにも広く役立つ医療体制というものも整備する必要があります。  そして,しっかりとした経営管理体制のもとに,広く県民に開かれた,そしてまた,県民に愛され,信頼される病院を目指していく必要があると思っております。 15 ◯黒部委員 ありがとうございます。  最後になりますが,病院改革後半戦に向けての決意についてお伺いいたします。  改革期間も残り1年半となりました。今後,改革後半戦に向けて,改めて古田病院事業管理者の決意についてお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。 16 ◯古田病院事業管理者 我々に残された課題は,まだ山積しております。我々の改革には,終わりがありません。しかし,我々に許された改革の期間は,あと1年半で終了いたします。これからの取り組むべき課題は,それぞれに,いわば難易度の高いものばかりであります。しかし,今のところ,淡々とした気持ちを持ち続けながら,改革に与えられた4年間をすべて使い,すべて可能なことはなし遂げるという姿勢を堅持しながら,私が先頭に立って士気を高めつつ,残された課題に一つ一つ取り組んでまいりたいと考えております。  ここで,今後,3病院に共通したさらなる取り組むべき2つの大きな課題について触れたいと思います。  1つは,IT化,すなわち患者サービス向上につながる電子カルテシステムと,それにより管理体制を充実させ,効率的な管理会計システム等を導入し,健全な経営体制を強化,確立することであります。つまり,事務部門の強化にIT化を中心として,さらに取り組んでいくということが1つ,2つ目には,診療体制の充実ということを申し上げましたが,政策医療がよりよく担えるための各病院の診療体制の充実強化への取り組みであります。  例えて挙げますと,中央病院においては,心臓外科の新設や,現在,診療ができないままである診療科の再開を含め,すべての診療科の充実を目指すことが必要であると考えております。  このことは,友部病院においても,こども病院においても,同じ課題を有しております。例えば,こども病院では,現在,脳外科,脳神経外科,それから神経小児科といった先天性疾患の中に多く見られる,そういったような専門科がございません。そういったことの充実も院長と今検討しているところでございます。  友部病院も同じように,痛みの医療,そしてまた,いろいろな意味での広い介護の領域にもかかわるような発達障害,そういったものについても検討していく必要があると思っております。  これらの取り組みは,結局,患者さんすべてに政策医療を提供する上で役に立つ重要なことであろうと考えております。  心臓外科開設に関しましては,中央病院の循環器グループの先生方の意見や今の診療の現状についても既にいろいろとお話を伺っております。そして,その上で,彼らが非常に循環器の診断,治療をする上ではバックアップとなる外科が欲しいという強い希望は聞いております。  また,一方でも,筑波大学の心臓外科の教授以下教室のスタッフに,私は教授の古くからの友人でもある関係で,非公式には,たび重なる話し合いを続けてきております。その結果としましては,私は,恐らく心臓外科を開設するに当たっては,筑波大学の全面的な協力が得られると信じております。  もちろん,その実現に当たりましては,言うまでもなく,慎重に対象患者の受診動向,患者数,そして手術件数,そして年度ごとの推移予測,そして対応すべき手術内容,さらには大学との診療連携体制の確保とか,そういった問題を事前にしっかり調査し,その上で,病院の経営収支に与える影響などについても十分検討する必要があることは言うまでもありません。目下,その作業を進めているところでございます。  一方,中央病院に心臓外科がない現状においては,政策医療としての救急医療において,実際に夜間,高齢の循環器の患者さんが来たときに,すぐ手術してあげれば助かるのにという患者さんで,既に今までも筑波大学に2例,3例,緊急に搬送して何とか救命をしたというケースもございます。  水戸地区には,心臓外科の,いわゆる受け皿というものが非常に少ないということも現実にございます。そういう意味で,もし,中央病院のそういった新しい心臓外科の新設が実現するとすれば,これは非常に大きな効果をもたらすものであり,また,現在既にあります先天性疾患を対象としたこども病院の心臓外科との診療連携も非常にスムーズにいくだろうと考えております。  今の私には,県立病院が果たすべき役割や政策医療を担いつつ,患者を苦しみからできるだけ救い,再び社会復帰させるために高い倫理性と経済性に目覚めて,充実して,かつ安全,安心な医療の提供ができることであると,その上で,病院の経営基盤を支え,見守る役割はほかならぬ県民の皆様の目と声であるといった心境にあります。もし,改革以前の考えを持った人が再び私の後,病院管理を引き継いでいただくならば,改革がいずれ後戻りすることは明らかであります。  そのための歯どめには,病院運営の実態をみんなで見守り続ける体制をあらかじめ築いておくことが必要でないかと思われます。これまでの反省に立って,そのためには,病院執行部に対するオンブズマン的な体制をつくり,保健福祉部の枠を越えた県側の代表と県議会の代表に県民の代表を加えた,例えば,県立病院運営に関する支援会議といった形で病院の執行部体制を常に前向きに,そして温かく支えられる,そういった組織の構築が必要ではないかと考えております。  以上,私の今,後半に望む決意と考え方を述べさせていただきました。 17 ◯黒部委員 はい,ありがとうございます。  病院改革,残り1年半となりましたが,先ほど述べましたとおり,医師確保,そして財政面,さまざまな問題があると思いますが,古田病院事業管理者の手腕を発揮して,残りの1年半,病院改革に取り組んでいくことを改めてお願い申し上げまして,私の質問を終わりにさせていただきます。  御清聴ありがとうございました。
    18 ◯新井委員長 次に,佐藤委員。 19 ◯佐藤委員 おはようございます。  民主党の佐藤光雄でございます。  通告に従いまして,質問を行ってまいります。  まず,教育行政につきまして4点,教育長にお伺いをいたします。  まず最初に,小中学校の統廃合についてお伺いをいたします。  県においては,児童生徒のよりよい教育環境や学習環境,そして,人間関係の構築などから望ましい学校の目指すべき姿として,小学校では,クラスがえが可能な各学年2学級以上とする12学級以上,そして,中学校では9学級以上が望ましいとの公立小中学校の適正規模について,本年4月に指針が示されたところでございます。  この指針に当てはめますと,県内の小中学校804校のうち417校が対象になり,全体の51.9%となります。また,私の地元水戸市におきましては,市内の50校のうち16校が対象となり,全体の32%となります。  そこで,適正規模の基準を下回る小中学校は,県内すべての市町村にあるというふうに聞いておりますが,各市町村における学校の適正規模からの取り組み状況がどのようになっているのか,教育長にお伺いいたします。 20 ◯新井委員長 佐藤委員の質疑に対する答弁を求めます。  鈴木教育長。 21 ◯鈴木教育長 佐藤光雄委員の御質問にお答えいたします。  県といたしましては,本年4月に公立小中学校の適正規模の指針を策定し,市町村の積極的な取り組みを促してきたところでございます。  現在の取り組み状況についてでございますが,児童生徒数の増加が見込まれている市町村などを除き,既に計画等を策定して取り組んでいる市町村が11,検討を開始,ないしは本年度中に開始している市町村が28,合わせまして39の市町村において適正規模化に向けて計画策定,あるいは検討段階にあるところでございます。 22 ◯佐藤委員 39ということで,それぞれ市町村が検討を始めたり,また,今後検討を開始するということでございますけれども,それぞれの市町村において,学校の持つ地域的な意義なども十分考慮した検討が必要だというふうに考えております。  そこで,私の水戸市の現状を申し上げますと,山根小学校では,複式学級でのクラス編制をしながらも,地域のシンボルとして,そしてコミュニティーの中心として,その存在は大きいものがあります。地域からは,統廃合に消極的な声もあるのが事実でございます。  また,国田地区におきましては,小中学校が同一敷地にあり,いわゆる小中一貫に近い形で運営が行われ,地域の方々も参加した行事も盛んに行われるようになっておりまして,夏祭りも復活し,地域ぐるみで児童生徒の活動を支援している状況がございます。  私も,小学校時代,複式学級での学校を卒業した一人でございます。そのころのことを思いますと,学校行事を中心に地域活動が行われたように思っております。今では廃校になり,夏祭りも実施されていないというような状況もございます。こういったことと同時に,児童生徒をねらった犯罪も多発傾向にあります。統廃合による登下校の安全に不安を持っている保護者も多く,十分な配慮は不可欠だというふうに思っております。  このように,地域の学校の存在は非常に大きく,地域の子供は地域で育てる,みんなで地域の子供をよくするために学校運営に参加をするのが基本であるというふうに考えております。地域住民や保護者,学校の専門性の高い教職員,校長先生を中心に一生懸命考えながら学校づくりを行っているというふうに認識をしております。  このようなことから,地域事情を十分に配慮した検討が必要であるというふうに考えますが,御所見をお伺いいたします。 23 ◯鈴木教育長 小中学校の統廃合を進めるに当たりましては,子供たちの通学の問題や地域の事情などに十分配慮していく必要があると考えております。  ただいま,委員から山根小学校についてのお話がございましたが,地域においては,学校が子供たちの教育機関として重要な役割を果たすとともに,地域の文化活動の拠点となりましたり,災害時には,避難場所としての役割を担うなど,大変重要な施設となっております。  本年4月に私どもの方で策定いたしました適正規模の指針においても,学校統合に取り組む際には,地域の事情等を勘案して検討を行う必要があると明記したところでございます。  学校統合に当たりましては,これまで学校が担ってきた地域と連携した特色ある教育活動や文化活動を新たな学校で引き継ぐことや地域コミュニティーの新たな構築などを十分に構築,検討していくことが大変重要であると考えております。  今後とも,学校の持つ地域的な意義等を考慮するとともに,地域住民や保護者の方々に対しまして十分な説明を行い,理解と協力を得て教育環境の充実した新たな学校づくりに取り組んでいただくよう,市町村に対して働きかけてまいりたいと考えております。 24 ◯佐藤委員 地域事情を十分配慮した,そして保護者を含めたところで,ぜひ検討を進めていただきたいというふうに思っております。  次に,教育活動の充実についてお伺いいたします。  小中学校においては,児童生徒と向き合う時間が確保できないなどの課題改善のために行われた学校の業務の状況調査結果が今月財政再建等調査特別委員会に報告され,対策が検討されております。  調査結果では,職員の95%が忙しさを感じています。その原因は,学校内外や教育委員会からの調査もの,あるいは報告書が多い,集金の督促,そして研究指定校事業,各種団体からの作品募集や出張,会議などが多いという結果であります。  私も,小中学校に通っている子供,あるいはPTA活動を通して先生方の忙しさを目の当たりにしております。  そこで,これらの業務の削減とあわせて,県の事業そのものについて,市町村で定着したものについてはスクラップ・アンド・ビルドを行い,見直しを進めるべきと考えますが,教員の事務負担軽減対策について,今後どのように進めていくのか,お伺いをいたします。 25 ◯鈴木教育長 教員の業務の軽量化につきましては,さきの財政再建等調査特別委員会において御説明をさせていただきましたが,12月中を目途に,具体的な改善策をまとめてまいりたいと考えております。  来年4月から実施できるよう,県はもとより,市町村教育委員会などにも,可能なものから速やかに取り組んでいただくこととしたいと考えております。  具体的な改善方策といたしましては,業務の廃止や統合などによる業務の縮減や外部人材の活用などによる学校の支援体制の充実という2つの視点を踏まえて策定してまいりたいと考えております。  調査,照会,報告業務の件数や会議の開催件数など,数値化できるものは削減の数値目標を明確にしてまいりたいと考えております。  県の事業につきましては,ただいま委員から御指摘がありましたように,スクラップ・アンド・ビルドの視点を踏まえるということも大変重要でございますので,所期の目的を達成したものについては,廃止するなど対応してまいりたいと考えております。 26 ◯佐藤委員 これまでの見直しの中身を見させていただきますと,その中には電子化も含まれているというふうに思っておりますけれども,そのことについては,情報報告がしやすくなる反面,報告を求めやすくなるという,逆の忙しさがあるように思っておりますので,その辺については,見直しには十分気をつけながら行っていただきたいと思っております。  次に,児童生徒と向き合う時間を確保するという観点で,60年ぶりに改正された教育基本法の中に,学校,家庭,地域の連携協力に関する規定が盛り込まれ,地域全体で学校教育を支援する体制づくりを推進することにより,向き合う時間の増加や地域の教育力の活性化を目的とした学校支援地域本部事業が実施されておりますが,現在の取り組み状況,あるいは県の取り組み状況についてお伺いいたします。 27 ◯鈴木教育長 学校支援地域本部事業は,今年度から3年間,モデル事業として,原則,1市町村1中学校区を選定し,学校とボランティアとの連絡調整を行う地域コーディネーターのもとに,地域の方々の協力を得て,学習支援活動や部活動指導補助など,学校が必要とする支援活動を行うもので,教員の勤務負担の軽減や地域の教育力向上という観点から,ぜひとも推進していかなければならない事業であると考えておるところでございます。  これまで,全市町村を訪問して積極的な取り組みをお願いしてまいりましたが,現在,22市町村で実施することとなっております。残り,22市町村のうち13市町村におきましても,実施校の選定や地域コーディネーター,学校支援ボランティアの確保を行い,早急に実施したいとしております。  県といたしましては,ボランティアなどの人材情報や実践事例の情報提供を行うなどして実施を検討している市町村が早期に事業に取り組めるよう,支援してまいりたいと考えております。 28 ◯佐藤委員 次に,原油・原材料価格高騰による学校給食への支援についてお伺いいたします。  急激な物価上昇は,食材の値上がりに直接影響をしております。今後,限られた給食費で賄うことに限界が出てきているというような話も聞いております。学校給食費への影響と現状,支援について,その認識について,また,地産地消を進める工夫,米飯給食の推進など,学校給食の充実を図るための対策についてお伺いをいたします。 29 ◯鈴木教育長 学校給食につきましては,設置者である市町村が学校給食にかかわる人件費や光熱費を,保護者が食の材料費を負担することになっておりますが,現在,19市町村及び1組合において,食材料の一部補助を行っているところでございます。  昨年末から今年にかけての原油,原材料価格の高騰につきましては,小麦粉や牛乳などの食材の値上がりを招くなど,学校給食費に大変大きな影響を与えております。  県で実施をいたしましたアンケート調査結果を見ますと,多くの市町村では,本年度は,学校給食費の値上げを行わず,栄養価を落とさず,安い食材に変更するなどの献立の工夫や公費負担などで対応することとしております。  値上げをしますと,給食費未納の問題につながる可能性もございますし,値上げをしませんと,公費負担による支援を伴うことになりますので,市町村においては,その対応に大変苦慮しているところでございます。今後,10月にもさらに食材の値上げが予想されておりますので,いずれは多くの市町村においても,給食費の値上げを検討せざるを得ない状況になるのではないかと考えておるところてございます。  次に,地産地消を進める工夫や米飯給食の推進の対応策についてでございます。  本県は,米を初め多くの農産物の生産額が全国のトップクラスにある全国有数の農業県であることから,地産地消や米飯給食の推進を積極的に図っていく必要があると考えております。  特に,学校給食に,地場産物を活用することは地域振興という視点ばかりではなくて,産業の仕組みや流通の教材となるとともに,生産者に対する感謝の気持ちを育てるなど,教育的に大きな意義があるものと考えております。  学校給食における地産地消を進めるためには,食材の低廉,かつ安定的供給と,それを確保できる納入体制の整備などのシステムづくりが重要であると考えておりますので,今後は,市町村に対しまして先行事例を紹介するなどして,生産流通システムの構築に向けた取り組みを支援してまいりたいと考えております。  また,米飯給食の推進につきましては,県の目標でもあります米飯給食回数の週3回に達していない市町村もございますので,今後は,これらの市町村に対しまして,茨城農政事務所や農林水産部等と連携を図りながら,週3回以上にしていただけるよう,積極的に働きかけてまいりたいと考えております。 30 ◯佐藤委員 次に,改正された教育基本法の教育理念を踏まえた学校教育法に新たに義務教育の目標が定められるとともに,幼稚園から大学までの各学校の目的,目標の見直しがなされました。これらを踏まえて,今年3月に小中学校の学習指導要領の改訂がされたところであります。  そこで,今回の学習指導要領の改訂では,どのような特徴があるのか,お伺いをいたします。 31 ◯鈴木教育長 今回の学習指導要領の改訂につきましては,一部でゆとり教育からの脱却と言われておりますが,基本的には,これまでの考え方を踏襲した上で,確かな学力や豊かな人間性,健康,体力の知・徳・体のバランスのとれた生きる力をより一層はぐくむことを目指し,教科等の授業時数をふやすとともに,教育内容の改善を図っているところでございます。  具体的な改善内容といたしましては,言語活動の充実,理数教育の充実,伝統や文化に関する教育の充実,道徳教育の充実,体験活動の充実,外国語活動の充実などが挙げられており,特に小学校5年生,6年生において,外国語活動が新たに導入されるところでございます。 32 ◯佐藤委員 そのような状況の中で,学習指導要領をスムーズに全面実施できるようにするための本県としての取り組みをお伺いいたします。 33 ◯鈴木教育長 新学習指導要領を平成23年からスムーズに全面実施できるようにするためには,特に,小学校の外国語活動や算数,数学,理科などに来年度から先行実施して取り組んでいかなければならないものと考えております。  まず,小学校の外国語活動につきましては,教員の指導力向上を図るため,指導方法についての研修会を行うなどして,来年度からすべての小学校において年間35時間の授業を先行実施してまいります。  次に,算数,数学につきましては,新学習指導要領の内容に対応した問題集などを県内すべての小中学校で活用できるようにし,基礎的な知識,技能の確実な定着と思考力,表現力の育成を図ってまいります。  さらに,小学校の理科では,大学生や企業等のOBの方々などを理科支援員として積極的に活用し,観察,実験の一層の充実を図ってまいりたいと考えております。 34 ◯佐藤委員 ありがとうございました。  ぜひ学習指導要領につきましては,新しいものも導入されるということでございますので,しっかりした県としての取り組みをお願いしておきたいと思います。  次に,観光行政のうちご当地検定について,商工労働部長にお伺いをいたします。  景気の動向に明るさが見えない情勢の中で,国は,世界各国からの観光客の誘致に力を入れ始めました。日本を訪れる観光客より海外に出かける日本人の数の方が圧倒的に多く,観光客数の赤字状況にあります。これを改善していくために,ニューヨークやパリのように,観光のにぎわいぶりに少しでも近づけていくために,国際的な理解を深め,内需拡大につなげようとするもので,本来,日本に備わっている魅力や価値を有効的に生かすのがねらいであります。  この考え方は,本県においても当てはまるもので,特に,県都水戸における歴史と文化的遺産の価値の高さは国内のみならず海外からの観光客にも感銘を与えることができるものを有しております。  私は,観光客をお迎えする受け入れ側の基本に,おもてなしの心と対応が備わっていることが大前提だと思っております。そのためには,まず,受け入れ側の人が地元の歴史や文化の知識を持ち,自信と誇りを持って訪れる方々をお迎えする気持ちが何より大切であります。  例えば,常陸の国検定といったご当地検定を設けるなどして必要な知識とおもてなしの心が育つための環境を整えることが重要と考えますが,商工労働部長の所見をお伺いいたします。 35 ◯細谷商工労働部長 お答えいたします。  委員御指摘のとおり,ご当地検定は,地域の魅力を自信を持って紹介できる人材を育成するための大変有効な手段であるというふうに認識しております。  一般的に申し上げますと,ご当地検定は,地域性が強いというものでありますことから,全国的に見ましても,商工団体などの地域の団体,市町村などが実施している場合が多くなっております。県内では,ことし7月に初めて水戸青年会議所が水戸検定を実施し,12月には日立市でもふるさと日立検定が行われることになっております。  こうした地域の団体が主体となって新しい動きが見られますことから,機運を高めるため,検定の趣旨,意味合いなども踏まえまして,県といたしましても,必要な支援を行ってまいりたいというふうに考えてございます。  なお,委員御指摘のように,観光客をお迎えする場合,おもてなしの心と必要な知識が大切でございますけれども,この点から見ますと,観光ボランティアガイドの果たす役割というものも極めて大きなものがあると思ってございます。  団体の設立促進,研修会の開催などによりまして,観光ボランティアガイドの育成,強化にも努めてまいりたいというふうに考えております。 36 ◯佐藤委員 観光客の誘致ということからの茨城県の活性化というふうにつながるというふうに確信しておりますので,ぜひ県としての支援をよろしくお願いしておきたいと思います。  ありがとうございました。  次に,観光客誘致戦略について,知事にお伺いをいたします。  今後,北関東自動車道,茨城空港などが整備され,本県の観光を取り巻く環境が大きく変化していくことが予想される中にあります。戦略的な観光客誘致が必要であるというふうに考えております。  例えば,水戸市では,日帰り客には偕楽園を中心とした水戸芸術館,弘道館といったルートをつくり,あるいは宿泊客には,梅まつりの期間に青年会議所の会員の方々が夜梅まつりのように,夜の9時まで開園しながらライトアップや茶会など夜の企画を行っている状況にございます。  このように日帰り客に対しては,同一地域内で十分周遊が楽しめるよう,そして地域内の観光資源を結ぶルートを設ける一方で,宿泊客に対しましては,水戸青年会議所のアイデアによる偕楽園の梅まつりに見られるように,さまざまな主体的な提案を積極的に取り入れた夜のイベントなどを通して,その増加を図っていくことが重要と考えます。  このように,県としての戦略的な観光客誘致について,知事の御所見をお伺いいたします。 37 ◯橋本知事 今後,人口減少時代を迎えるわけでありますので,地域が元気になっていくためには,産業の活性化と並んで,今御指摘のように,交流人口の拡大,観光の振興というものは大変重要になってくると考えております。  本県におきましては,今,広域交通ネットワークの整備が進んでいるところでございますので,これにあわせて,近隣の都県と連携しながら,外国人観光客も視野に入れた広域的な観光ルートの開発に取り組んでいるところでございます。  しかしながら,これとあわせて,今,委員から御指摘がございましたように,茨城に来られたお客さんにどうやって長く滞在してもらうか,あるいはまた,頻繁に本県を訪れていただくかということが大変大事になってくると考えております。  このため,従来型の観光に加えまして,滞在時間を長くする取り組みとして,いばらきさとやま楽校における体験プログラムの充実や笠間焼の陶芸教室,つくばサイエンスツアーなど,本県ならではの自然,文化,科学技術などを生かした魅力的な体験観光を促進しているところであります。  また,周遊を促進するための仕かけとして,県内の観光施設をめぐるスタンプラリーの実施や旅行企画ワンデープランにおいて,県内の観光地を効率的に周遊できるようなモデルルートの定着に努めてもおります。  さらに,10月から高速道路料金の企画割引,ドラ割いばらきフリーパスが実施されることとなりましたが,これによって大いに観光客がふえてくれるのではないかと期待をしておるところであります。  また,宿泊客をふやしますためには,つくば市や東海村などの科学技術の集積などを生かして会議,あるいは会議後の視察等の誘致に取り組むことも大変重要ではないかなと思っております。  さらに,良質な温泉,豊富な地場産品を生かしたおいしい料理やお土産などの活用とあわせ,徹底したおもてなしの心の醸成によるサービスの充実が必要ではないかと考えております。  私,いろいろなところを歩いておりますけれども,やはり茨城は,そういった点では少し県民性かどうかわかりませんけれども,不十分な面といいますか,これからもっと努力しなければいけない面が多いのではなかろうかなと思っております。  最近,女将の会,あるいは市町村などが一生懸命パンフレットの作成を初めとして,観光に取り組んでくれておりますし,また,袋田の滝も,今回,観瀑台が新しいものができました。さらには,光による芸術の専門家であります石井幹子さんなどは,筑波山の山頂から見た東京の夜景というものは,これはすばらしいものがあるということで,つくば大星雲という名前で,今,夜にそこへ行って,東京の方を見学するような企画も行われているところでございます。  御指摘のように,偕楽園では,夜梅まつりのほか,好文亭での茶会,園路のキャンドルライトアップなどさまざまな団体からの提案をもとに,多くのイベントが開催されておるところでございまして,県としても,施設の使用料の減免,開園時間の延長を行うなど,連携して取り組んでおります。これからもいろいろ各方面から御提案をいただきながら,それぞれボランティアなどの方々,あるいは市町村などの方々と一緒になって,新しく取り組み,そういったアイデアを生かすことによりまして,引き続き,観光客の増加に結びつけていきたいと考えております。 38 ◯佐藤委員 ありがとうございました。  これから先,先ほど申し上げましたように,道路,それから空港等々の条件がございますので,その戦略的,あるいはその仕かけというものを市町村を含めてしっかりお願いをしておきたいというふうに思っております。  次に,少子化対策についてお伺いをいたします。  これまで,本会議の一般質問の中でも,保育サービスの充実や放課後子供教室の推進等々についてお伺いをしてきたところでございますけれども,今回については,子育てに対する経済的負担軽減についてお伺いをしたいというふうに思っております。  これまでの国,あるいは茨城県内の調査結果を見ましても,経済的支援というところ,あるいは児童手当の拡充,保育料の軽減など,経済的支援の拡充をしてほしいというような御意見が多く寄せられているのが実態でございます。  そういった中で,各市町村において,医療費の助成のマル福制度の上乗せ状況や出産祝い金などの少子化に関する手当ての実施状況を県としてどのように把握しているのか,保健福祉部長にお伺いをいたします。 39 ◯山口保健福祉部長 お答えいたします。  まず,市町村の状況についてでございます。マル福の上乗せ状況につきまして,乳幼児のマル福制度につきましては,県においては,小学校就学前までの児童を対象にしておりますが,これ以上に対象年齢の引き上げを行っている市町村は,神栖市,東海村など12市町村ございます。
     また,県の制度では,一定の所得制限を設けておりますが,所得制限を撤廃している市町村は,日立市,土浦市など23市町村ございます。  次に,出産祝い金等の支給状況でございます。独自に出産祝い金の支給を10市町村で実施しております。河内町の第2子に対する50万円,第3子に対する100万円が最高となっております。  そのほか,就学祝い金などの子育て奨励金につきましては,いずれも第3子以降を対象に,かすみがうら市,大洗町,城里町,五霞町の4市町が実施しております。  さらに,保育料の軽減につきましては,第3子以降すべて無料化しているのは,常陸大宮市1市,第3子以降の一部について保険料を軽減しているのが石岡市,東海村など6市村となってございます。  このように,各市町村におきましては,地域の実情や住民の要望などを踏まえ,創意工夫しながら経済的負担の軽減に取り組んでいるという状況がうかがえます。 40 ◯佐藤委員 それぞれ市町村でも大変財政状況の厳しい中で,いろいろ努力をしているわけでありますけれども,県においても,マル福制度の所得制限の撤廃や妊産婦の定期健診の公費負担など,より充実した経済的負担の軽減策を実施する必要があると考えますけれども,その所見についてお伺いいたします。 41 ◯山口保健福祉部長 本県における経済的負担の軽減策でございますが,妊産婦の医療費助成は,全国に先駆けまして平成10年度から実施しているところでございます。  また,乳幼児の医療費助成につきましても,従来は3歳未満を対象としておりましたけれども,平成17年度から小学校就学前までの対象とする年齢の拡大を行ったところです。  また,今年度から子供を3人以上持つ世帯を対象にいたしまして,3歳児未満の保育料の一部の助成を行う3人っ子家庭応援事業などを実施して,厳しい財政の状況の中ではございますが,努力してきたところでございます。  委員御指摘のマル福制度の所得制限の撤廃につきましてでございますが,現在の県の基準では,未就学児18万5,000人のうち,約75%をカバーしております。これは,夫1人,専業主婦,子供1人の家庭で見ますと,所得632万円までをカバーしているような状況でございます。厳しい財政状況の中,限られた財源を効果的,効率的に支給するには,一定の所得制限はやむを得ないかなと考えているところでございます。  また,東京都などにおきまして,児童手当の上乗せや医療費の無料化など,かなり手厚い経済的支援を実施しておりますが,合計特殊出生率のアップには直接結びついていないような状況がございます。  このようなことから少子化を考えますと,経済的支援とあわせて,子育て推進を総合的に進めていく必要があるのかなというふうに考えているところでございます。  このため,県といたしましては,いばらき出会いサポートセンターを中心とした全県的な結婚支援活動などを行っているほか,また,4,061店舗の御協力をいただきまして,いばらき子育て家族優待制度などを行っているところでございます。  また,結婚や子育てに対するネガティブなイメージをポジティブに変えていくようなキャンペーンなどを実施するなど,経済的支援とあわせて,地域や企業と連携しながら,幅広い意味での子育て支援に取り組んでいるところでございます。 42 ◯佐藤委員 少子化と一口で申し上げても,いろいろな対策を講じていただいておりますけれども,この少子化がこれから先,社会保障制度の問題,あるいは経済活動,労働市場への影響,あるいは子供同士の社会性の低下等々いろいろな問題を引き起こす状況になってくるのだろうというふうに思っています。ぜひそういったことも含めて,経済的な負担軽減も含めた取り組みを今後ともよろしくお願い申し上げます。  最後に,中小企業対策について,商工労働部長にお伺いいたします。  中小企業で働く勤労者は,全勤労者の約8割以上を占めておりますが,中小企業と大企業の間には勤労者福祉の面で大きな格差が生じております。こうした現状を踏まえて,県内の中小企業の勤労者に対しても,大企業並みの勤労者福祉事業を行うため,中小企業勤労者福祉サービスセンターが設立されてきたところでございます。このことにつきまして,県内における勤労者福祉サービスセンターの現状について,また,県として,これまでどのような支援を行ってきたのか,お伺いをいたします。 43 ◯細谷商工労働部長 お答えいたします。  中小企業勤労者福祉サービスセンターにつきましては,平成6年に水戸市で,平成10年にはひたちなか市でそれぞれ設置されております。  主な事業といたしましては,会員等への祝い金,弔意金の支給,各種講座や講演会等への参加費に対する助成などとなっております。これに対しまして,国や市から補助が行われているところでございます。  また,県のこれまでの支援についてでございますが,事業運営の安定化を図るという観点から,設立から3年間に限りまして300万円を上限として補助を行ってきたところでございます。その後は,各種情報の提供,運営指導等を行ってきているところでございます。 44 ◯佐藤委員 県内では,水戸市とひたちなか市という状況での設立状況とのことでございます。私も,水戸市の勤労者福祉サービスセンターの設立にかかわってきた一人でございまして,設立された以降,いろいろな会員の方から,入会してよかったというようなお話を聞いているところでございます。水戸市とひたちなか市以外に設立した状況はありませんけれども,それ以外のところの設立に至らない,そういった原因等々について,お考えをお伺いいたします。 45 ◯細谷商工労働部長 それぞれの市町村によってさまざまな事情があるというふうに思っておりますが,設立運営していく上で財源や人員的な面で市町村の負担が大きいこと,それから,加入者の確保が困難な状況にあること,こういうことが主な原因ではないかというふうに思っております。 46 ◯佐藤委員 それぞれみずから設立するということは厳しい状況であるということにつきましては理解をしておりますけれども,現在運営している水戸,あるいはひたちなかにおきまして,他の未設置市町村を加えた広域的な運営を行うことは可能であるというふうに考えております。そういったことについて県としてどのように考えているのか,御所見をお伺いいたします。 47 ◯細谷商工労働部長 現在,サービスセンターの全国的な団体であります全国中小企業勤労者福祉サービスセンターにおきまして検討委員会を設置しております。この中で,自立化,広域化に向けた新たなサービスセンター事業の開発,会員拡大のための方策等の検討を行っているところでございます。こういう結果を踏まえまして,また,市町村の御意向もあると思いますので,これらも確認しながら,県としての対応をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。 48 ◯佐藤委員 厳しい経営状況の中で中小企業の方々も働いているというふうに考えております。ぜひそういったことを支援をする,あるいはサポートをするという形では,この勤労者福祉サービスセンターというものは大変有効だというふうに思っておりますので,県としても,さらなる支援,サポートに取り組んでいただきますよう要望をして質問を終わります。  ありがとうございました。 49 ◯新井委員長 次に,荻津委員。 50 ◯荻津委員 自由民主党の荻津和良でございます。  まず最初に,保健福祉関連の予算についてを取り上げたいと思います。  県財政は,今大変厳しい状況にありまして,県議会では,石川委員長のもと,財政再建等調査特別委員会において,組織編成まで踏み込んだ総合的な審議が行われており,今定例会で最終報告書がまとめられる予定であります。  私は,県民だれもが安心して心豊かに生活できる社会を実現するためには,厳しい財政状況の中にあっても,十分な予算を確保してほしいと願っております。  一方で,保健福祉分野の予算は,県民の関心が大変高いことから,県民の理解と信頼を得るための改革を進める必要性も強く認識しているところでございます。  ここ数年の保健福祉関連の予算を見ますと,平成18年度が約1,325億円,平成19年度が約1,341億円,そして今年度,平成20年度が約1,352億円と多少なりともふえてはおります。しかし,問題は,中身であります。高齢者医療費や介護保険費などの義務的経費が多く,予算が硬直化してしまっているのであります。  財政の硬直化は,県全体の予算にも言えることでありますが,特に,保健福祉の分野では,著しいものがあります。これは,まさに三位一体の改革の影響であるのは明らかであります。これまで,国が負担していたものを地方に押しつけた結果だろうと思っております。  三位一体の改革と言いますと,地方交付税の削減ばかりがとかく話題になりますが,このことも決して見過ごすことのできない大きな問題ではないかと考えております。  そこで,保健福祉関連予算から見た三位一体の改革の影響について,まず,知事の御所見をお伺いいたします。 51 ◯新井委員長 荻津委員の質疑に対する答弁を求めます。  橋本知事。 52 ◯橋本知事 三位一体改革の影響につきまして,改革が始まる前の平成15年度と平成20年度を比べますと,一般会計予算全体で見ますと,補助金が地方税に振りかえられたこともあり,一般財源の歳入に占める割合は増加しておりますが,その中でも,財政の硬直化が進んでいるところであります。  今,保健福祉関係予算で見た場合にどうかというお尋ねがありましたが,その傾向は極めて顕著にあらわれているところであります。  保健福祉費の総額につきましては,お話がありましたように,約137億円増加しておる,あるいはまた,一般財源につきましても,平成15年と比べて,平成20年度は,保健福祉関係で305億円増と大幅に増加しているところであります。  しかし,これを子細見てみますと,歳出面では,総額で137億円の増でありますけれども,義務的経費の関係で243億円増加しております。ということは,逆に,県独自の政策的経費では減少しているということでありまして,106億円にこれがなってまいります。  また,保健福祉費に充てられている一般財源も,総額では305億円増加しておりますが,義務的経費に充てられる額が359億円増加しておるわけでございまして,政策経費に充てられる額は,逆に54億円の減となっております。これは,三位一体改革により自主的に地方に裁量の余地のない新たな制度の創設や制度改正が行われたことによるものであります。  加えて,三位一体改革後も,交付税総額が抑制される中で,一般財源が28億円の追加負担となった後期高齢者医療制度に係る経費のように,都道府県へ新たな負担が課せられるなど,本県独自の政策に与える財源の確保は極めて困難な状況が続いているところであります。  このような中で,救急医療の確保や医師不足といった諸般の課題に待ったなしで取り組まなければならない自治体にとりまして,こうした政策的な財源の確保は,地域の実情を踏まえて,迅速,かつ的確に行政を進めていく上で必須のものでございまして,その意味からも,三位一体の改革は大変深刻な影響を与え続けているものと考えております。 53 ◯荻津委員 私は,今後,高齢化の進展に伴いまして,義務的経費が増大し,ますます予算の硬直化が進むことを懸念しております。  本来ならば,人材の育成や救急医療体制の充実など,山積する課題に対応し,県独自の施策を柔軟に,かつきめ細やかに行うべきと思うのでありますが,それらがだんだん難しくなってくるのではないかと心配をしているところであります。本当に必要なところへ十分な予算を回していかなければならないわけでありまして,どうしても財源の確保が問題なのであります。  私は,立場上,従来より福祉問題をライフワークとしております。保健福祉関連予算が今後どうなっていくのか非常に気がかりでもあります。国においては,福祉財源として,消費税の税率アップなどが論議の的となっております。今後,必要な予算を確保するために,県としてどのように財源を確保していくのか,伺いたいと思います。 54 ◯橋本知事 三位一体改革の影響により,一般財源が単年度当たり約300億円減少しているわけでございますけれども,その中で,人件費,公債費,扶助費といった義務的経費が一般財源総額の約4分の3を占め,さらに,社会保障関係経費については,高齢化の進展に伴い,今後も大きく増加していくことが見込まれているところであります。  こうした中で,本県におきましては,国を上回る行財政改革に取り組んでいるところであり,今後も,引き続き,財政再建等調査特別委員会の最終報告を十分に踏まえながら,各種の歳出改革に取り組みますとともに,企業誘致による税源の涵養や県税徴収率の向上などの歳入確保に,これまで以上に賢明に取り組んでいかなければならないと考えております。  しかしながら,このような行革努力を精いっぱい行ったとしても,県民生活に極めて密接にかかわる重要な分野であります保健福祉,医療分野についてさえ必要な財源が確保できるかどうか,大変厳しい状況にあると認識しております。  この7月に全国知事会がまとめました地方財政の将来予測におきましても,社会保障関係費等の増加により,地方の財源不足は,平成23年度には少なくとも7.8兆円に上り,必死の改革を行い,あるいは教育や医療のサービス水準を極端に切り下げても,巨額の財源不足を埋め切れないとされているところであります。  また,現時点においても,三位一体改革の影響を受け,全国で25道府県が給与カットにまで踏み込まざるを得ない大変厳しい状況にございます。  この構造的ともいえる財政危機を打開しますためには,地方自治体の改革努力だけでは限界もあり,地方交付税の復元充実と地方消費税の拡充が必要不可欠であると考え,全国知事会挙げて,国に対し強く働きかけているところであります。  特に,地方消費税につきましては,7月18日に全国知事会として,地方財政の展望を踏まえた地方消費税の充実に関する提言というものを行いまして,地方消費税については,ぜひとも国としても真剣に取り組んでほしいと,そのための国民的議論を巻き起こすことについては,県も市町村と一緒になってやっていきたいというようなことを申し入れをしておるところでございます。  確かに,現在の経済状況を考えれば,すぐに地方消費税などの引き上げは難しいかもしれませんが,国民,県民として,世界の先進国の状況なども踏まえ,福祉の水準と負担のあり方について議論していくべき時期に来ているのではないかと考えております。 55 ◯荻津委員 知事,ありがとうございました。  次に,茨城空港を中心とした地域振興についてであります。  茨城空港に関しては,私も,これまで,調査特別委員会や一般質問の場でいろいろと質問してまいりました。また,本定例会でも,代表質問や一般質問を通じて議論がありましたが,私の地元の重要な問題でありますので,質問をしていきたいと思っております。  まず,ターミナルビルの進捗状況について伺いたいと思います。  ターミナルビルは,茨城空港におり立つ観光客にとって空の玄関口となり,茨城の第一印象を決めるものであります。ターミナルビルの公募については,公募の結果,県開発公社が事業主体となり,その後,設計変更や事業費の増加などの変更が行われたところであります。その設計内容が果たして空の玄関口にふさわしいターミナルビルになっているのかは気になるところでもあります。  そこで,設計に当たっての基本的なコンセプトとともに,現在の進捗状況及び今後の見通しについて,企画部長にお伺いをいたします。 56 ◯清瀬企画部長 まず,ターミナルビルの設計に当たってのコンセプトでございますが,近年,首都圏の国際航空需要が急速に伸びていること,また,アジアにおいて成長著しいローコストキヤリアが日本への就航を検討していることなどから,国内線に加えまして,ローコストキヤリアなどの国際線が就航しやすくなるよう,ボーディングブリッジを設けないなど,コンパクトで低コストなビルとなるような工夫を凝らしているところであります。  また,利用者がスムーズに移動できますように,ターミナルビルの動線をできるだけ短くするとともに,わかりやすくして,高齢者や障害者,また家族連れにもやさしいターミナルビルとしております。  さらに,航空機利用者以外の見学者の方々が楽しめるように,レストラン等の集客施設やPRコーナーなどを2階中央の吹き抜け周囲に配置しまして,にぎわいのある空間をつくるなど,新しい空の玄関口にふさわしいビルとなるように努めてきたところでございます。  次に,進捗状況でございますが,去る7月に飲食店,売店等のテナント営業者を決定いたしまして,その後,実施設計が8月にまとまりました。今月1日に工事入札の公告を行ったところでございます。  今後の予定でございますが,入札が来月14日の予定でございます。工期は約14カ月を見込んでおりまして,完成は,来年の12月の予定でございます。その後,約3カ月間を準備期間といたしまして,平成22年3月の開業を迎える予定でございます。 57 ◯荻津委員 続いて,ターミナルビル完成後の管理運営等についてお伺いいたします。  地元地域と空港の共存共栄は,今後,この地域の発展のため必要不可欠であります。ターミナルビルの管理運営については,県開発公社が行うということでありますが,ターミナルビル完成の暁には,例えば,ビルの警備や清掃業務などに地元の業者を活用し,業者の育成や雇用の確保につなげていってほしいという私なりの思いがあります。また,ターミナルビル全体を利活用して,地元の活性化を図っていくことも必要であろうと考えております。  地元の期待の大きいターミナルビルが空港利用者の単なる通過点とならないように,地域振興につながるようなビルの活用策も重要と考えますが,お考えをお伺いいたします。 58 ◯清瀬企画部長 ターミナルビルの管理運営につきましては,現在,茨城県開発公社において検討しているところでございますが,例えば,ビル内の清掃や電気保守点検などの業務につきましては,外部委託が発生することになりますので,地元における雇用につながるものと考えております。  また,ビルのテナントにおけるレストランや売店など,さらにハンドリング業務,給油施設関係の業務などにつきましても,地元の雇用につながるものがあると考えてございます。  次に,ターミナルビルの活用策につきましては,ターミナルビルが航空機の利用者だけでなく,地域開放型の魅力ある施設となるよう,レストランや売店等を中心ににぎわいづくりに努めるとともに,ターミナルビル内にPRコーナーを設けまして,県の特産品や観光,あるいは最先端の科学技術などの紹介,イベント情報等の広報,県内の各種団体による展示,発表などを行うことを考えております。  また,送迎デッキを利用した県内市町村の物産やイベントの紹介,太鼓などの伝統芸能の実演,地酒,地ビールフェアの開催,さらに,休日等におけるビル前での朝市やフリーマーケットの開催など,ターミナルビルを最大限に活用いたしまして積極的な地域振興に努めてまいりたいというふうに考えてございます。 59 ◯荻津委員 企画部長,ありがとうございました。  続いて,観光新法への取り組みについてお伺いをいたします。  来る10月1日に観光庁が新設されると聞いております。今,国を挙げて観光に取り組もうという機運を盛り上げているのがわかります。そのような中,ことし7月23日に観光に関する新しい法律が施行されました。これは,観光圏の整備による観光旅客の来訪及び滞在の促進に関する法律,いわゆる観光圏整備法であります。この観光圏整備法なるものは,観光地が広域的に連携した観光圏の整備を行うことで,国内外の観光客が2泊3日以上滞在できるエリアの形成を目指すものであります。  地方の自治体が観光圏整備計画を作成し,国の認定を受ければ補助金や特例などで国の支援を受けることができるという内容になっております。私は,これを本県の観光振興に大いに活用すべきと考えております。  そこで,法の施行を受けて,現在,県はどのように取り組みを進めているのか,商工労働部長にお伺いいたします。 60 ◯細谷商工労働部長 観光圏整備法の施行に伴います県の取り組みについてお答え申し上げます。  県といたしましては,県北振興という観点も踏まえまして,県北,県央地域の周遊,宿泊の促進を図るために,両地域の13市町村の区域を水戸・日立観光圏として整備計画を策定することといたしました。  この計画は,県,市町村,観光関係者,あるいは交通事業者などから成ります協議会における議論を踏まえて作成いたしまして,8月末に国土交通省に提出したところでございます。10月の上旬には,観光圏として認定されるかどうか決定されるという予定になってございます。  仮に,国から認定された場合には,国の補助制度も活用できますことから,観光施設の魅力向上,あるいは各種体験メニューの充実等の事業を展開していきたいというふうに考えているところでございます。 61 ◯荻津委員 部長の答弁は,恐らく首都圏や近県からの観光客を対象とした計画だろうと思っておりますが,この計画が国の認定を受けられますように,ぜひ努力してほしいと要望しておきます。  観光圏整備法が主眼とすることの一つは,先ほど申し上げた2泊3日以上の滞在型観光の振興でありまして,もう一つは,外国人の観光客をふやそうということであります。2003年,小泉政権下で始まったビジットジャパンキャンペーンでは,当時500万人台であった外国人観光客を2010年には1,000万人とするとの目標を掲げたのは御承知のとおりであります。  国全体では,2007年度の外国人観光客数が835万人と順調にふえてきております。しかし,本県は,2004年度の推計外国人旅行者指数が10万4,000人,2006年度が10万3,000人と横ばいで,全くふえてない状況であります。これは,本県の大きな今後の課題であろうと思っております。外国人観光客の誘客促進を図る取り組みをする必要があるのではと考えているところでもあります。  また,茨城空港は,海外ローコストキヤリアの誘致も実施しており,空港には多くの外国人旅客が訪れることは容易に想像できるところであります。茨城空港周辺地域の発展と県内の外国人観光客の増加のためには,先ほど部長の答弁にありました水戸・日立観光圏と茨城空港やその周辺地域との十分な連携が大切であろうと考えております。  そこで,部長の御所見をお伺いしたいと思いますが,また,外国人観光客の増加のために,現在どのような取り組みを行っているかもあわせて伺いたいと思います。お願いします。 62 ◯細谷商工労働部長 お答えいたします。  水戸・日立観光圏は,茨城空港,それから北関東自動車道などの交通体系の整備を踏まえて設定したものでございまして,空港を活用した海外からの観光客の誘致も視野に入れているところでございます。  今後,空港からのアクセスのよい県内各地の観光資源のほか,観光圏の事業や外国人旅行者の志向に合うゴルフ場,温泉,ショッピングなども活用し,外国人観光客の誘客に努めてまいりたいというふうに考えてございます。  さらに,近隣の都県と連携いたしまして,海外の旅行業者等を招いたモニターツアーを開催いたしまして,北関東などの広域周遊ルートの宣伝に努めてまいります。  また,外国人接遇マニュアル,外国語会話集の配布,受け入れ接迎研修会の実施等によりまして,今後とも,おもてなしの向上と受け入れ体制の整備を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。 63 ◯荻津委員 商工労働部長,ありがとうございました。  次に,県内各地で大きな問題となっております小中学校の統廃合についてお伺いをいたします。  本日の委員会においても,3人の委員がこの問題を取り上げているということからも,その重要性がわかるわけであります。  まず最初に申し上げておきたいと思います。小中学校の統廃合は,基本的には,市町村の仕事という一般質問で教育長の答弁がございましたが,小中学校というのは,茨城の将来を担う人材を育てていくという大義からしても,決して他人ごとではなく,県の問題として真剣にとらえていっていただきたいと思うのであります。  現在,人口減少社会に突入し,少子化が進行する中で,小中学校の統廃合は避けて通れない問題であります。私の地元茨城町には,9つの小学校と3つの中学校がありますが,いずれも児童生徒数が年々減少し,深刻な問題となっております。  先ほどの佐藤委員の質問にもありましたように,小中学校の統廃合は,県において,今春,ガイドラインを発表たところでもあります。まず,このガイドラインの基本的な考え方を教育長にお聞かせいただきたいと思います。
    64 ◯鈴木教育長 お答えいたします。  この4月に市町村にガイドラインを示すに当たりましては,急激な少子化が進む中で,小中学校の小規模化がこのまま進むことが子供たちの教育環境の面や学校運営上の面でどのような影響があるかという観点から検討してきたところでございます。  少子化について申し上げますと,児童生徒数は,昭和60年前後の近年のピーク時に比べましても,小学校は,約28万人から17万人,中学校は,約14万人から8万人に,約4割も減少している一方で,小中学校合わせまして,約800校という学校数は余り変わってないことから,複式学級や1学年1学級などの小規模な学校がふえてきている状況にございます。  子供たちの教育環境の面から見ますと,小規模な小学校においては,クラスがえがなく,人間関係が固定しやすいといった子供たちの切磋琢磨や体育や音楽などの集団による学習活動ができにくいこと,さらに,生徒が入りたい部活動がないことなどが指摘されております。  また,学校運営の面から見ましても,本当に小さな学校となりますと,適正な規模の学校と比較しまして,児童生徒1人当たりの運営費に10倍以上の経費を要しております。  このようなことから,学校の活性化や教育水準の維持向上を図り,教育効果を高めるためには,学校の適正配置が必要であると考え,市町村や地域の方々の理解を得るため,本年4月に指針をお示ししたところでございます。  なお,目標期間につきましては,特に定めておりませんが,統合まで四,五年かかるということや平成29年に教職員の大量退職が見込まれておることを考えますと,市町村において,遅くとも平成27年ごろまでには統合を進めていただきたいと考えております。 65 ◯荻津委員 本県におきましては,統廃合の対象となる小規模校が数多く残っている状況であります。市町村としましては,総論として,統廃合の必要性を認識していても,実際どのような計画で進めていくのかを決めるのはなかなか難しいという現状があります。地元の住民にとりましても,自分たちの地域に小中学校がなくなれば,学校が遠くなるということで,新しい住民が引っ越してこなくなり,ますます人口が減ってしまうという心配もあります。  また,子供たちの学校行事などや地域のイベントなどで培われた,特に若い世代間の地域コミュニティーが学校がなくなるということで崩壊してしまうのではないかという不安感もあると思います。何よりも,自分の母校がなくなるということに対する寂しさや失望感はだれしもが感じるものでありまして,そういった心情的な部分を考えますと,当事者である市町村は,小中学校の統廃合を進めづらいというところもあるのではないかと思います。  しかし,現実的には,少子化が進み,また,建物の老朽化も進み,さらに,財政面を考えましても,すぐにでも実行に移していかなければいけない時期に来ているのが現実であります。  県として,市町村合併のときのように,強力なリーダーシップを発揮し,統廃合を進めるべきではないかと思います。幸い,鈴木教育長は,市町村課長として平成の大合併を進めた経験を持っておられます。各市町村が同じ目的に向かって,小中学校の統廃合へと着々と進んでいけますように,県が力強く支援していくべきと考えますが,どのように支援し,推進していくのか,考えを伺いたいと思います。 66 ◯鈴木教育長 県といたしましては,これまで,市町村に積極的に適正配置の検討を取り組んでいただくように,具体的な検討方法などをまとめた事例集や県民向けリーフレットを作成し,配布してきたところでございます。  市町村に対しまして,強く働きかけを行いました結果,先ほど,佐藤委員に御答弁させていただきましたように,39の市町村で取り組んでいただいている状況にございます。  今後は,特に,統廃合に向けた動きが出ている市町村に対しましては,学校の適正規模化を図ることの意義や必要性が地域住民の方々に十分御理解いただけるよう,市町村と連携して,リーフレットなどにより理解を得てまいりたいと考えております。  また,既に検討に入っている市町村に対しましては,検討会議などに職員を派遣するとともに,事例集を活用するなどして,引き続き支援をしてまいりたいと考えております。  さらに,市町村の取り組みをより一層推進していくためには,学校統合時に市町村が必要とする通学区域の拡大に伴うスクールバスの導入に対する経費やきめ細かな学習指導を行うための教員配置など,支援策について検討し,具体的に示していくことが重要であると考えております。 67 ◯荻津委員 教育長,ありがとうございます。  最後に,環境産業の支援についてお伺いいたします。  環境問題は,今や世界的な問題でありまして,さきの洞爺湖サミットでも重要な議題となりました。国においても,環境問題には積極的に取り組んでおりますが,県も,生活環境部でエコ事業所認定やエコチェックシートなどで企業や家庭の啓発に取り組んでいるところであります。  しかし,企業や家庭の普及啓発だけでは環境問題の直接的な解決にはならないのではないかと思っております。  環境問題は,官民一体となって取り組むべき課題であるとともに,中小企業の新たなビジネスチャンスという意味からも,私は,環境産業の振興という視点での支援を提案したいと思います。  例えば,長野県では,リサイクルビジネスの事業事例集を作成し,発泡スチロールの廃材から軽量の人工自然石をつくる企業や新聞の古紙で住宅用断熱材をつくる企業などを紹介しております。そして,その事例集の中では,企業が環境ビジネスに参入する際の課題は,人材不足や事業資金,あるいは市場開拓の問題が多いと述べております。  また,香川県では,環境産業をリサイクル,環境保全,新エネルギーの3つの分野に区分し,環境関連技術の研究開発や事業化への補助金等の支援や販路開拓の支援等を行う動きがあります。  本県でも,中小企業などで環境産業に取り組むところがあれば,今後,県としてバックアップしていってはどうかと考えますが,商工労働部長のお考えをお伺いいたします。 68 ◯細谷商工労働部長 環境産業への支援についてお答えいたします。  環境産業は,リサイクル,環境保全,新エネルギーなど幅広い分野に及ぶものでありますが,この産業の成長は,技術革新,雇用創出,国際競争力の強化など,地域産業の発展にとっても大きな役割を果たすというふうに認識しております。  県といたしましても,新分野進出や新技術,新製品開発を支援する各種の施策を活用いたしまして,中小企業の環境分野への進出を支援しているところでございます。  技術面では,テクノエキスパート等の専門家の派遣,あるいは工業技術センターなどの共同研究等による支援を行っているところでございます。  資金面では,設備投資減税とか政府系金融機関による低利融資を受けられるような経営革新計画の策定を促進しております。  また,いばらき産業大県創造基金の中でも製品開発への助成を予定しているところでございます。  また,新たな販路開拓を促進するためには,ビジネスコーディネーターによる受注確保に加えまして,本年6月には,県庁2階で県内企業の省エネ,省資源製品や環境保護製品など12点を展示いたしまして,環境に配慮した県内のすぐれた製品を広く県民に紹介したところでございます。  さらに,県の中小企業振興公社では,日本貿易振興機構と連携いたしまして,中国を対象といたしまして,環境関連のビジネスマッチングに向けた取り組みを進めているというようなところでございます。  今後とも,このような施策を展開しまして,環境関連産業の振興を図り,地域産業の活性化を目指してまいりたいと,このように考えているところでございます。 69 ◯荻津委員 商工労働部長,ありがとうございました。  今回は,提案程度にとどめて,具体的な支援策等については,これから先,いろいろな機会をとらえて質問してまいりたいと思っております。よろしくお願いします。  これで質問を終わります。ありがとうございました。 70 ◯新井委員長 暫時休憩いたします。  なお,再開時刻は,午後1時を予定いたします。                 午前11時45分休憩        ───────────────────────────                 午後1時0分開議 71 ◯新井委員長 休憩前に引き続き,委員会を再開し,質疑を続行いたします。  飯泉委員。 72 ◯飯泉委員 自由民主党の飯泉淳でございます。  通告に従いまして,順次,質問させていただきます。  まず,県税収入の確保と今後の財政運営の見通しにつきまして,知事並びに総務部長にお伺いをいたします。  先日,平成19年度の決算が公表されたところによりますと,県税収入は,個人県民税と法人二税がふえたのを背景として,4,000億円を超えまして,過去最高の4,159億円となりました。  さて,平成20年度予算における県税収入は,前年度より1.1%増の4,206億円を計上しております。しかしながら,アメリカ経済の先行きの不透明な中,国内経済のみならず,本県もその影響を及ぼしつつあります。  このような状況で,前年度以上の県税収入が得られるのか,甚だ疑問を感じているところでありますが,まず,今年度の当初予算で見込んだ県税収入4,206億円の確保の見通しについて,総務部長にお伺いをいたします。 73 ◯新井委員長 飯泉委員の質疑に対する答弁を求めます。  上月総務部長。 74 ◯上月総務部長 お答え申し上げます。  まず最初に,平成20年度の大規模償却資産に係ります固定資産税の県課税分に約14億円の課税誤りが発生したことにつきまして,心よりおわびを申し上げたいと存じます。このようなあってはならない誤りが生じたことを重大に受けとめ,深く反省をしているところでございまして,今後,このようなことが二度と起こらないよう,万全を期して正確な事務処理を徹底してまいる所存でございます。  御指摘の平成20年度の県税収入は,平成19年度決算見込み額を47億円程度上回る4,206億円を当初予算に計上したところでございます。  8月までの県税の調定実績では,昨年度の同時期と比べまして,先ほど申し上げました大規模償却資産の減額分と暫定税率失効による減額分の影響を除きましても,0.7%の減となってございまして,このような厳しい状況が年度後半も続きますと,当初予算計上額を確保することは非常に厳しいのではないかというふうな状況だと思っております。  なお,最終的な税収見込みにつきましては,景気の動向などに十分注意しながら,今後の法人二税の申告状況や個人県民税等の徴収率の状況などにも留意し,慎重に見きわめる必要があると考えてございます。 75 ◯飯泉委員 今,4,206億円の確保は難しいというような趣旨の答弁があったわけでありますけれども,今でも,県では,滞納整理体制の強化,あるいは取り組みといったものの結果,徴収率が上がってきており,その効果というものは見えているかなという気がいたします。しかしながら,今年度の予算で見込んだ税収の確保に向けましては,職員の方々の力を結集して滞納額を減らすとともに,徴収率を上げていく取り組みが必要であると思っておりますけれども,総務部長の御所見をお伺いします。 76 ◯上月総務部長 県税収入の確保につきましては,第4次行革大綱の目標であります97%を達成するべく,職員一丸となって取り組んでいるところでございます。  まず,市町村が徴収いたします個人県民税につきましては,これまで大きな成果を上げてまいりました県税務職員の派遣などや各市町村の課題に応じた積極的な助言などによりまして,市町村の徴税力強化に向けました取り組みを積極的に支援しているところでございます。  さらに,県と市町村が共同して行います特別共同滞納整理を強化いたしますとともに,茨城租税債権管理機構の一層の活用を図ってまいりたいと考えてございます。  また,県が賦課,徴収しますその他の税目につきましては,これは考えられる取り組みにつきまして,そのメニューはかなり出尽くしてきておる感がありますので,それぞれの税目ごとに課題に対応した取り組みを各県税事務所の担当係,そして担当者まで徹底を図りまして,積極的に実施していくことが重要であると考えております。  例えば,法人二税,個人県民税に次ぎまして,税額の多い自動車税でございますが─につきましては,タイヤロック方式による自動車差し押さえの強化,あるいは全所体制によります滞納整理等の拡充など,また,大口滞納案件が累積しております軽油引取税につきましては,徹底した財産調査や差し押さえ,また,徴収不能案件に係ります迅速な執行停止,さらに全税目に共通する対策といたしまして,悪質な滞納者に対します捜索等による財産調査の徹底やインターネット公売の定着によります換価処分の促進,さらには,コンビニ納税によります納期内納税の促進といった,このようなあらゆる対策をこれまで以上に充実強化し,徹底することによりまして,県税収入の確保に鋭意努めてまいりたいと考えてございます。 77 ◯飯泉委員 今まで,この税収につきまして伺ってまいりましたけれども,次は,財政運営の見通しという点につきましてお伺いをいたします。  前年度の県税収入が増加したことによりまして,今年度の普通交付税は,前年度と比べまして90億6,700万円と減少し,1,454億2,100万円となっております。今年度の予算で計上した1,480億円からおそそ25億円を下回っております。一方で,国から地方自治体に分配する地方交付税が足りないため,一部分の,いわゆる不足分の一部を穴埋めしようとして発行する臨時財政対策債,総務省が定めた発行可能額の上限とほぼ同額の327億円を計上しているわけであります。  そういった運営におきましては,余力が残されていないというのが事実ではないかと思いますが,こういった厳しい状況の中で,今年度の財政運営の見通しについて,どのような所見を持っておられますか。 78 ◯上月総務部長 サブプライムローン問題を背景といたしますアメリカの景気後退等によりまして,景気の下振れ懸念が強まっております。厳しい県税収入の動向からも,本県財政はなお一層困難な状況となることが危惧しておるところでございます。  今年度に限って申し上げますと,普通交付税算定上の法人二税の収入見込み額が本県の予算計上額を大きく上回っておりまして,その影響で普通交付税がいわば過少に算定されるというような結果となってございます。  その差額は,本来であれば,今年度の交付税で手当てされるべきであった分と考えておりまして,その補てんのために減収補てん債という地方債の発行が認められる仕組みとなってございます。  そのため,今年度の法人二税を予算計上額ベースで試算しました場合でも,減収補てん債は100億円程度発行可能となる見込みでありますので,他県の状況等も見ながら,その発行による対応を検討しなければならないと考えてございます。  また,今年度の当初予算には,県庁舎周辺業務用地売却によります約70億円の臨時収入を見込みながらも,緊急避難的に県債管理基金から繰りかえ運用200億円を計上しておりますが,これ以上の財政の体質悪化を招かないためにも,まずは,この繰りかえ運用を何とか解消することが肝心であると考えてございます。  そのため,県税徴収率の向上や効率的な予算執行による節約,さらには,国庫補助金など特定財源の確保など,あらゆる手を尽くして財源確保に努めまして,年度末までには繰りかえ運用を回避できるよう,財政運営に努めていくことが肝心であると考えてございます。 79 ◯飯泉委員 税収に関することで,知事にお伺いをしたいと思います。  今後は,景気が落ち込んでまいりましても,行政サービスを低下させることのないよう,まず逆に充実させるためには,景気に左右されない税収の確保が必要であると思います。  先ほどもお話しございましたように,全国知事会で既に議論されております消費税率の5%のうち,県の取り分がわずか0.5%にしか満たないという,地方消費税をふやしていくことを知事は強く国に働きかけていく必要があると思います。  ただいま申し上げました地方交付税の充実を含めまして,景気の動向に左右されない税制の確保,今後の税制運営が好転していくために重要な課題と考えておりますけれども,知事の率直な御意見をお聞かせいただきたいと思います。 80 ◯橋本知事 お話しございましたように,地方自治体としては,景気の動向にかかわらず,必要な行政サービスは提供していかなければならないわけでありまして,加えて,今後は,高齢化等に伴って,医療や福祉といった社会保障関係経費の増加等が確実に見込まれているところであります。  したがって,そのために必要な財源をできるだけ景気に左右されない形で確保していくことは不可欠になってまいります。このため,これまで,三位一体の改革により削減された地方交付税の復元充実とあわせて,御指摘のありました地方消費税の充実について,知事会等と連携しながら強く国へ要望してまいりました。  この7月には,全国知事会において,現在の行政サービス水準を維持するためには,平成23年度の地方の財源不足が7.8兆円から8.3兆円となると試算したところであり,行政改革のみでは,この財源不足は到底打開できるものではございません。  したがって,知事会といたしましても,住民に広く状況を説明し,国民的議論を惹起していくように,我々としても取り組んでいくので,国においては,ぜひとも税源の偏在性が小さく,税収が安定的な地方消費税の充実に向けて検討してくれるように提言をしたところでございます。  こういった地方消費税の充実というものは,先ほども申し上げましたですけれども,サービス水準と負担といったものをどう考えるかという観点から,これから十分な検討をしていかなければいけないものであると考えております。  一方で,法人事業税収の安定化を図るということも一つの方法と考えられます。平成16年度からは,所得課税の一部について,資本金等の額に課税する外形標準課税制度が導入されたところでございまして,地方消費税の充実とあわせて,こういった外形標準課税制度導入の影響というものも十分に検証した上で,その拡大を図っていくことも検討していく必要があると考えております。  また,今年度からは,税制の抜本的改革までの間の暫定的な措置として,法人事業税の地域間格差を是正するため,法人事業税の一部を国税とし,それを各地方団体に再配分する地方法人特別税制度が導入をされているところでもございます。  さらに,こういったこととあわせて,本県の税収をできるだけ景気に左右されない,しっかりしたものにしていきますためには,本県の産業構造を製造業のみならず商業やサービス業など多様な業種にわたり厚みのあるものとなるようにしていくことも必要ではないかと考えており,今後,積極的に事業環境の整備などを行い,バラエティーに富んだ企業の誘致に力を入れてまいりたいと考えております。  いずれにいたしましても,将来にわたり安定的に行政サービスを行うための財源確保が可能となるような税財政制度の構築が求められているところでございますので,その実現に向けて国に対しても強く働きかけてまいります。 81 ◯飯泉委員 知事,総務部長,ありがとうございました。  次に,中小企業の支援につきまして,商工労働部長にお伺いをいたします。  現在,我が国の経済は,世界経済の先行きの不安や,あるいはまた,世界的な原油,資源の価格の高騰といった影響を受けまして,大変厳しい局面に立たされております。  地元企業からも原油高,あるいは原材料高の影響を受けまして,経営が非常に苦しいといった声を聞いております。特に,価格転嫁が困難な立場にある中小企業への影響は深刻なものと思われますが,原油価格,資材価格などの高騰による県内の中小企業への影響につきまして,どのような感想を持っていらっしゃるか,商工労働部長にお伺いをいたします。 82 ◯細谷商工労働部長 お答えいたします。  9月1日に発表されました日本銀行水戸事務所の茨城県金融経済概況によりますと,エネルギー原材料価格高などから,企業の収益環境が悪化しているというふうにされております。  また,6月の発表ではございますけれども,水戸財務事務所による県内法人企業の調査によりますと,景況判断は,大企業,中堅企業に比べ,中小企業のマイナス幅が大きい状況にあるというふうになってございます。委員御指摘のとおり,県内中小企業の経営環境は厳しいものがあるというふうに認識してございます。 83 ◯飯泉委員 原油高,あるいは原材料高が続いている中で,中小の零細企業における経費の節減など経営努力というものも限界に達しているという気がいたします。そういったぎりぎりの経営を強いられているという現状があるわけでございます。  そういった中で,価格の競争の激化によりまして,仕入れ価格が販売価格へ転嫁できない企業の中には大幅な収益の悪化によりまして,金融機関からの借り入れも思うようにいかずに資金が行き詰まり,最終的には倒産にまで至る企業も多いのではないかと思いますが,県内の倒産の状況についてお伺いをいたします。 84 ◯細谷商工労働部長 お答えいたします。  東京商工リサーチ水戸支店の発表でございますが,平成19年,昨年1年間の県内における企業倒産は194件,負債総額は869億円となっております。  また,今年,平成20年1月から先月まで,8月では,132件,負債総額282億円となっております。平成20年の規模別では,従業員数20人未満の企業の倒産が115件で,全体の87.1%を占めております。  また,原因別倒産状況を見ますと,販売不振が99件,75.0%と最も多く,次いで他社倒産の余波が15件,11.4%,このような状況になっております。 85 ◯飯泉委員 取引先の企業が倒産した際に,下請企業は,受注の減少,あるいは売掛金の回収が困難となり,資金繰りが悪化するというような影響を受けると思います。  これまでの地域経済の屋台骨を支えてきた企業が倒産するケースがふえるとともに,原油高,あるいは原材料高の影響を受けまして,経営基盤が脆弱となっている中小,零細企業の連鎖的な倒産に陥ってしまう懸念もありますが,連鎖倒産防止のために,県はどのような対応をしておられますか。 86 ◯細谷商工労働部長 連鎖倒産の防止につきましては,まず,県商工会連合会,商工会議所に設置しております経営安定特別相談室におきまして,弁護士,公認会計士,税理士等の専門家による相談をまず行っております。
     また,負債総額が大きく,関連中小企業者が多いなど,一定の要件に該当する場合,こういう倒産が起きた場合は,国,県で指定した上でセーフティーネット融資を活用し,取引企業の当面の資金繰りを支援しております。  なお,資金繰り支援につきましては,今申し上げましたセーフティーネット融資のほか,売上高が減少している企業を支援いたします中小企業パワーアップ融資,あるいは短期運転資金融資といった低利融資も活用しているところでございます。  また,既存の借り入れにつきましても,借りかえによる融資期間の延長をできるようにして返済の負担軽減というものも図っているところでございます。 87 ◯飯泉委員 連鎖倒産の防止も含めまして,厳しい経営状況にある県内の中小企業を支えるには,一時的な資金繰りの支援だけでは将来に対する不安を払いのけられない企業経営が続いていくということになります。  本県の経済の活性化には,企業数で9万1,625と,県内企業の99.9%を占める既存の中小企業が事業活動を継続できるように支えていくことが最優先と考えております。  このようなことから,県内の中小企業の円滑な資金調達をすることはもとより,県内の中小企業が事業革新に取り組み,さまざまな経営環境の変化に対応できるよう体質を強化していくことが重要であると考えておりますが,県では,その経営面,あるいは資金面の点でどのような支援を行っているか,お伺いします。 88 ◯細谷商工労働部長 お答えいたします。  経営面,技術面の支援につきましては,生産効率の向上,新製品,新技術の開発,販路拡大などのためにマネジメントエキスパートやテクノエキスパートといった専門家を企業の方に派遣しております。  また,資金面では,経営革新計画の策定というのが前提となりますが,低利で長期の事業革新支援融資などを行っているというところでございます。  さらに,今年度からは,いばらき産業大県創造基金の運用益を使いまして,地域資源等の活用,あるいは大学等と連携した新商品開発,生活支援サービス産業の取り組みなど,企業の新しい取り組みについても支援していきたいというふうに考えているところでございます。 89 ◯飯泉委員 今後とも,中小企業の一層の御支援をいただきまして,県内の活性化のためにもぜひともよろしくお願いいたします。  次に,茨城県域統合型GISの運用について,企画部長にお伺いをいたします。  本県は,来月1日からインターネットでさまざまな地理情報を見ることができるなど,県民に開かれた形で運用を始めようとしており,県民の生活がより豊かに,より利便性というものが高まっていくために,これからは必要不可欠なシステムであると思います。  そして,この財政が厳しい中,県の負担を最小限度に抑えていかなくてはなりません。  まず,茨城県の県域統合型GISの整備費並びに年間の維持管理費等について伺います。 90 ◯清瀬企画部長 お答えいたします。  茨城県域統合型GISの導入費用でございますけれども,まず,整備にかかった費用が約1億1,300万円でございます。また,年間の維持費でございますが,システムの運用保守費や機器のリース経費など約3,500万円でございます。県と44すべての市町村が共同で整備し,運用いたしますので,これらの額について,県と市町村が2分の1ずつの負担をいたします。 91 ◯飯泉委員 費用に関することで,もう1点質問させていただきます。  今後,茨城県の県域統合型GISを運用するに当たりまして,期待されるのは,いわゆる費用対効果をいかに生み出すことができるかということであります。こういった点で,県と全市町村が共同で整備,運営することで費用の分担を図るともに,情報がデジタル化され,紙の消費量が抑えられるなど,そういった効果も考えられますが,また,効果といいましても,県民サービスの向上など,いわゆる数値化しづらいものもあります。  地理情報システムの導入によりまして,以前に比べてどれくらいの費用が節約できるのか。また,この目に見えない効果があると思われるか,その点についての御所見をお伺いします。 92 ◯清瀬企画部長 このシステムの導入に伴います経費節約効果でございますけれども,地図の作成や加工時間の短縮効果,地図印刷費の削減などを他県の例を参考に試算いたしますと,県と44市町村合わせまして,年間2億2,100万円の経費削減が見込まれるところでございます。  また,目に見えない効果ということでございますが,県と市町村の職員が利用いたします行政用GISでは,地図データが電子化され共有できることで,組織を超えた情報収集や照会等の労力が省力化されます。また,高度な分析や業務の効率化も可能となってまいります。  さらに,県民の方々にとりましては,県や市町村が公開用GISに登録した地図情報をインターネットから容易に取得できるようになりますことから,行政サービスの向上が図られますとともに,それらの情報を活用した地域コミュニティー活動の活性化なども期待されるところでございます。 93 ◯飯泉委員 このシステムを滞りなく運用していくためには,人材の育成,人の育成が最も重要なことだと思っております。  古い情報,あるいは間違った情報を県民の方々に提供してしまいますと,例えば,災害時など人命にかかわる事態になってしまうことも考えられます。当面は,このシステムに携わっている職員の知識,あるいは能力,そういったものを高めていく必要がありますが,理想的には,最低限の必要な知識や操作方法を全職員が覚え,システムを活用していかなければならないと考えております。  そして,職員の知識,能力を上げていくために,職員に対する業務の必要性に応じた研修が必要であると思いますが,この取り組みについてどのようにお考えでありますか,伺います。 94 ◯清瀬企画部長 委員御指摘のとおり,GISがその機能を十分に発揮するためには,職員一人一人がこのシステムについての知識,能力を高めていくことが重要でございます。  このシステムは,操作の容易性に配慮されておりますことから,閲覧や簡単な地図の加工等の業務につきましては,画面上に表示されておりますマニュアルを読むだけで十分な操作が可能であると考えておりますが,職員が高度な業務分析の手法などを習得し,スキルアップを図れるよう,先進的な取り組みを行っている他の自治体の職員を招いたセミナーなどを開催してまいりたいと考えております。  また,職員からの個別の問い合わせに対応できるようなサポート体制も整えてまいります。さらに,一般に公開する地図データの作成,更新に当たる職員や各自治体でシステムの全般を管理する職員につきましては,システム運用上重要な役割を担うことから,定期的に運用のルールやより高度な操作方法に関する研修を実施いたしまして,定期異動等で担当者が変わった場合などでも業務に支障がないようにシステムの適正な運用に努めてまいりたいと思っております。 95 ◯飯泉委員 さて,この地理情報システムがどのように進化していくかということでありますけれども,既に地理情報システムを始めている自治体におきまして,その自治体にとりまして,よい点,あるいは課題等がありましたら,それを見きわめながらこのシステムは整備すべきではないかと考えておりますけれども,本県における地理情報システムの今後あるべき姿につきまして御所見をお伺いします。 96 ◯清瀬企画部長 GISの今後のあるべき姿,発展の方向性についてのお尋ねでございます。  GISは,行政の中での利用のみならず,より多くの県民や企業の方々に有効に活用していただき,地域コミュニティー活動や産業活動の活性化に資するものとしてまいりたいと考えております。  そのためには,まず,県民や企業の方々のニーズを的確に把握し,最新の地図データを整え,公開していく必要があると考えております。  運用開始当初にシステムに搭載し,一般公開する地図データにつきましては,都市計画図や公共施設,教育施設などの位置図,国勢調査の統計情報地図など約200件程度となる予定でございますけれども,運用開始後も市町村との密接な連携のもとに,地図データの拡充と更新に努め,環境関係,あるいは保健福祉関係など,県民生活に密着した身近な情報の公開を積極的に進めてまいります。  また,GISをほかのシステムと連携させることで効率的で使い勝手のよいシステムにしていくことも重要だと考えております。  例えば,現在,県が整備を進めております防災情報システムと連携させまして,災害時の被害状況などを県民の方々に情報提供したり,電子申請システムと連携させて申請書の添付書類にGISの電子地図をつけることを可能とするなど,県民や企業の方々にとってより利便性の高いシステムにしてまいりたいと考えております。 97 ◯飯泉委員 今の答弁をお伺いしまして,非常に有効な,県民にとって非常に使えるシステムだなという気がいたしますけれども,しかし,県民がこのシステムを周知徹底できない,知らない状況では,せっかく公開をしても,それが宝の持ち腐れになってしまうという懸念もあるわけでございます。そういったことがないように,茨城県の県域統合型GISがどのように県民に広く周知徹底されるのか,その点につきましてお伺いします。 98 ◯清瀬企画部長 委員御指摘のとおり,今後は,多くの県民や企業の方々に,このGISを利活用していただくことが重要になってまいります。  県といたしましては,市町村と連携いたしまして,マスメディアや県,市町村の広報紙,あるいはホームページなどさまざまな媒体を活用して,積極的に本システムの周知を図り,その利活用を呼びかけてまいりたいとも考えております。  また,教育関係やNPO法人などは,地図の作成や組織内での情報共有など,GISの積極的な利活用が見込まれますので,関係する会議や研修会等の機会を活用させていただきまして,個別的な周知も図ってまいりたいというふうに考えてございます。 99 ◯飯泉委員 そういったシステムについて,非常に茨城県勢発展のためにも,ぜひとも進めていただきたいというふうに考えております。  以上で質問を終わります。  ありがとうございました。 100 ◯新井委員長 次に,狩野委員。 101 ◯狩野委員 自民党の狩野岳也であります。  予算特別委員会の初めての質問で,少々緊張しておりまして,きのうは眠れませんでした。  また,風邪ぎみゆえ迫力が欠けるかもしれませんが,御了承いただきたいと思います。  きょうの質問は,先日の野村稔先生の講演を参考にしながら有意義な40分にしたいと思っておりますので,どうぞよろしくお願いいたします。  また,通告後さまざまな問題等が起きまして,いろいろと質問したかったんですけれども,通告に従いまして,本日は,一問一答方式を目指して頑張りたいと思いますので,よろしくお願いします。  まず初めに,橋本知事,霞ヶ浦の明るい見通しということで,今回質問させていただくんですが,今の霞ヶ浦についての知事の率直な感想を簡潔にお願いします。 102 ◯新井委員長 狩野委員の質疑に対する答弁を求めます。  橋本知事。 103 ◯橋本知事 今の霞ヶ浦についてどう考えるかということでございますけれども,霞ヶ浦については,御承知のとおり漁業の場であり,あるいは農業用水,工業用水,上水を供給する場であり,あるいは観光であり,あるいは大きな問題として浄化の問題が出ている,さまざまなことが課題として挙がってきているわけでございますけれども,そういう中で,ややもすれば,多分,今から委員が質問されようとしている観光といった面については,やや取り組みが不十分ではなかったかという感じは持っております。 104 ◯狩野委員 前段ということであれなんですが,改めまして,知事の霞ヶ浦への熱い前向きな思いを少しかいま見ることができました。ありがとうございます。その意気で,今後の答弁をお願いいたします。  ちなみに,霞ヶ浦は,大きいケの霞ケ浦と小さいヶの霞ヶ浦の違いは御存じでしょうか。私も,つい最近知ったのですが,新聞等でも大きい霞ケ浦と小さい霞ヶ浦が混在しているので,我々も何気なく見過ごしていると思うんですが,2007年の茨城県霞ヶ浦水質保全条例の中で,大きいケ,間のケの霞ケ浦とは,小さいヶの霞ヶ浦,北浦,常陸利根川を言うそうです。また,香取神宮から見て北側にあるから北浦,西にあるから西浦だそうでございまして,私,非常に今回勉強をさせていただきましてありがとうございます。  今回は,小さいヶの霞ヶ浦の話をさせていただきます。  霞ヶ浦というと,だもが想像するのが汚い,臭い,コイヘルペスなど悪いイメージで,どれも暗い話になります。今回の私の質問のテーマは,本音の政治,安心で誇りある茨城を目指してであります。茨城県といえば,その代表的な自然観光資源として,筑波山と霞ヶ浦があると思います。筑波山につきましては,TXができて,県外からの来訪者がふえましたし,つくば駅からの直行シャトルバスが運行されるなど,観光客を誘因する対策も講じられ,観光地としての魅力が増していると思われます。  しかし一方,霞ヶ浦には,これだというものがありません。茨城の霞ヶ浦を明るいイメージで,そして人が集い,安らぐ場所として位置づけていくことが2年後の,企画部長ね,質問じゃなくてね,2年後の茨城空港開港にとっても重要なことと考えているからです。なぜならば,もし,国内,海外でも,茨城空港を着陸,または離陸のときでも構いませんが,飛行機の窓から見る霞ヶ浦と筑波山は,茨城県の,そして日本としての最初のイメージになるわけです。もし,外国からの観光客が飛行機の窓から下を見て,ああ,あの湖何だろう,行きたいな,霞ヶ浦へ行きたいと思ったときに,例えば,空港の案内所なんかでは,一体どこに,何を案内するのでしょうか。釣りでしょうか,それとも食事でしょうか,サイクリングでしょうか,マリンスポーツでしょうか,今の状況では,どこも中途半端であり,それぞれが面としてつながっておりません。人に紹介するスポットがないのです。例えば,芦ノ湖の遊覧船のように,土浦から今潮来に船が出ていますが,その船を出島,玉造,また,総理と同じ名前の麻生,そして潮来から美浦,阿見,土浦と各地を運航するようであれば,いい観光の名所になるかもしれません。自民党総裁です,失礼しました。  私は,これからのこの2年間にどれだけ霞ヶ浦に手をかけ,目をかけて,メジャーにする仕掛けが何かできないかを日々考えております。これからは,茨城の霞ヶ浦ではなく,日本の霞ヶ浦として全国,世界に向けて何かを発信すべきだと思いますが,知事には何か考えがありましたら,お願いいたします。 105 ◯橋本知事 茨城空港,あるいは県央道の開通などがあるわけでございますので,これをチャンスにして霞ヶ浦をぜひ売り出していきたいなと考えております。  いばらき霞ヶ浦賞を創設しておりますので,湖沼の関係者の間では有名なんですけれども,まだまだ一般的な目で見ると,霞ヶ浦については知名度が不十分なのかなと思っております。今度,国民文化祭でも,霞ヶ浦水の文化フェスティバルとして7色帆引き船の合同操業や霞ヶ浦と水をテーマにしたこども絵画展などを開催していくこととしておりますが,さらに,霞ヶ浦を大きく売り出していくためには,やはり今お話がございましたように,観光遊覧船といったもの,これが今,土浦を出て,旧予科練,美浦村沖,あるいは霞ヶ浦沖などを行って回ってくるのはあるのですけれども,多分,いつ来ても乗れるという状況からはまだまだ遠いのだろうと思っております。そういったことも含めて,どういうふうにしていくか,もっと世界に向けての発信方策というものを考えていく必要があるのだろうと思っております。  例えば,帆引き船,これにつきましても,実は,湖沼会議が開かれるまでは共同運航というのはやったことなかったのです。それを私ども,どうしてもやってほしいということを市町村に働きかけてやりましたところ,当時の島根の知事がそれを見まして,こんなきれいなところ見たことないという発言をされておられました。ほかと比べても大変にすばらしい光景ではなかったかなと思っておりまして,これからも,今,地元3市が合同で操業するなどやっておりますけれども,そういったものをもっともっと活用していく,あるいは,例えば,エアアジアXのCEOなどはイベントをもっとやってくれというようなことを言っておりますが,泳げる霞ヶ浦フェスティバルなども大変おもしろいものでありますし,委員の地元のあゆみまつり,これも淡水水族館などもあるわけでございますし,もっともっといろいろ使っていけるのかなと思っておりますし,何よりも大きい話としては,霞ヶ浦マラソンがございます。霞ヶ浦マラソンの場合は,健常者と障害者,両方あるわけでございますので,そういったことも含めて大いに周りにアピールしていけば,霞ヶ浦というものについての関心も高まってくるのかなと考えております。 106 ◯狩野委員 ありがとうございます。  さすが霞ヶ浦に敬愛深い知事さんでございます。帆引き船も,2年前,奥様と一緒に乗っていただきましたので,そのときの感動がまだ残っているのかと思われます。  次に,細かい話としてなんですけれども,我々,長年の懸案事項であります霞ヶ浦2橋がございます。例えば,霞ヶ浦2橋が形成する新たなルートが整備され,県央道と百里飛行場連絡道路,東関東自動車道水戸線が結ばれるなど,霞ヶ浦沿岸市町村の発展に大きな効果が期待できると地元では期待しております。  また,今回の国民文化祭でも,7色の船で活躍します帆引き船は,観光帆引き船と言いながら船そのものは漁船であり,操船は漁師が本業の合間に行っているという状況であります。もしこれを,今,知事からもお話がありましたけれども,霞ヶ浦観光の目玉にするならば,茨城県としてもっと力を入れて保護していただくという考えはないのでしょうか。帆引き船を操船するには,高度な専門技術が必要であります。また,今,操船している漁師も高齢化していることから,後継者がおりませんし,後継者を育てるには専門教育が必要であります。  また,船も県が管理するなど,県としての保護,また育てる仕組みができないのでしょうか。県では,霞ヶ浦環境創造事業アクションプランというものがあると思います。霞ヶ浦周辺の恵まれた資源を活用した地域振興に取り組んでいるとも聞いていますが,具体的にもう少し何かありましたら,教えていただきたいと思います。 107 ◯橋本知事 まず,霞ヶ浦2橋についてでございますけれども,これは,委員おっしゃるとおり,でき上がれば,こんなすばらしいものはないわけでございます。ただ,橋だけでも2橋合わせて750億円,トータルで1,080億円ほどかかってしまうという大変大きな財源が必要になってまいりますので,少し長期的な形で検討させていただきたいと思っております。  それから,観光帆引き船の従事者の確保ということでございますけれども,これは,実は似たような例として,鵜の岬で鵜とりの人をどうやって確保するかという問題がございました。これについては,施設については,県で思い切って支援すると,しかし,その後の運用については,市の方で考えてくれということで,現在,日立市観光協会の臨時嘱託職員として雇うような形で,その人員の確保に努めておるところでございますので,それぞれ,今,帆引き船については,各市町村も随分力を入れてきてくれておりますから,そういう形でやっていっていただけるとありがたいなと思っておるところでございます。  そのほか,いろいろやっていかなければいけないことが多いわけでございますけれども,先ほどお話がありました,どうやって将来に向けて,この霞ヶ浦を売り込んでいくかということについては,御指摘がありましたような霞ヶ浦環境創造事業推進計画アクションプランにおいて,多様な主体の連携強化,持続可能な地域の発展,活性化,情報発信の強化という3つの観点からいろいろなことが言われております。例えば,土浦市から潮来市まで延長約40キロメートルの霞ヶ浦自転車道の整備利用促進というのが一番先に答弁書にも上がってきているのですけれども,こういったことについても,これだけではなくて,例えば,りんりんロードとどうつなげるか。りんりんロードだけでたしか40キロメートルあるわけでございますから,そういうものとつなげることによって,日本一の自転車道になっていくのではないかとか,いろいろなことを発想していく必要があるのだろうと思っております。  そして,そのもとには,やはり水をきれいにする。例えば,私の知人の孫さんの友達が東北の方から霞ヶ浦へカヌーの練習に来たのだそうでありますけれども,臭いからって1日で帰ってしまった。これではやっぱり問題なわけでございますので,どうやって水をきれいにするかということに総力を挙げて取り組んでいかなければいけないのではないかと思っておりまして,それが結果的には,霞ヶ浦へお客さんを呼ぶ,活性化をするもとになっていくのではないかと考えております。 108 ◯狩野委員 御丁寧にありがとうございます。  水をきれいにするというお話がありましたが,これは非常に,またディープな話になりますが,ここでは質問しないようにします。  私は,やはり先ほど冒頭言いましたとおり,霞ヶ浦を日本一の湖にするべきだと思っております。湖をと言わなくても,霞ヶ浦は茨城にある日本一だという形にしたい。なぜならば,我々は,日本一高い山は富士山とわかっているのですが,では,2番目に高い山はどこかというと,案外知らないんですね。私もきのう知ったのですが,北岳でございまして,2番目というのは案外記憶に残りません。我々も,私もそうなんですが,この前,おはよう茨城か何かだったか忘れましたけれども,やはり日本で2番目に大きい霞ヶ浦というフレーズを言っていたのですが,ラジオだったかもしれませんけれども,2番目というのは,我々が意識しているだけで,世間では一番しか見てないんですね。ですから,やはり日本で一番有名な湖にしなければならないと思っております。今,知事から細かいお話がありましたけれども,これはまた追って,各部と調整しながら霞ヶ浦のために私も勉強していきたいと思っています。  何はともあれ,橋本知事の行動いかんに霞ヶ浦はかかっておりますので,今後ともよろしくお願いいたします。  次に,霞ヶ浦にかかわる市町村境界について伺います。  琵琶湖や十和田湖のように,霞ヶ浦でも市町村の境界を確定することで周辺市町村に対して基準財政需要額の増加に伴い,地方交付税の増額が見込まれております。霞ヶ浦の市町村境界の話は,今どこまで進んでいるでしょうか。また,現在試算できている額,どれくらいの増額が見込まれるか,教えていただきたいと思います。 109 ◯橋本知事 本年の1月から県と関係11市町村で,これまで5回にわたって霞ヶ浦の市町村の境界の設定方法について検討を進めてきております。その結果,境界設定の方法につきましては,どの点をとっても対岸の距離が等しくなる点を境界線とする等距離線主義によることとし,また,境界設定に向けた作業については,関係市町村の担当課長で協議会を設置して行っていこうといったことなどについて合意がされているところであります。  今後は,この協議会において,市町村境界案を作成し,これをもとに各市町村の合意を図っていくこととしております。この合意が得られれば,地方自治法に基づき,市町村議会の議決などを経て,県による境界決定及び総務大臣への届け出所要の手続を進めていくことになってまいります。  平成21年度の市町村の交付税算定に霞ヶ浦の面積が反映できるように支援をしてまいりたいと考えております。  なお,霞ヶ浦の境界が確定し,その分の面積がそれぞれの市町村の基準財政需要額に算入された場合,交付税については,平成20年度算定ベースで試算いたしますと,不交付団体である土浦市など3市町村を除く8市村の合計額で約8,000万円の増加が想定されるところでございます。 110 ◯狩野委員 はい,ありがとうございます。  なるほど8,000万円という大変なお金が見込まれるということで,非常にいい話だと思います。これを機会に,地元市町村の共有財産である霞ヶ浦を活用した地域振興の推進を考えるべきだと思います。  琵琶湖では,総合保全対策に使われ,十和田湖では環境対策や景観保護に充てていると聞いています。霞ヶ浦でも,市町村がそれぞれの立場で工夫を凝らすことも必要だと思いますけれども,私は,おのおのの市町村に任せるのではなく,茨城県として,先ほど,知事の答弁にもありましたさまざまな計画,企画等をあったように,日本の霞ヶ浦を目指すためにはどうしたらいいのか,各市町村として何を霞ヶ浦で行っていくのかなど,霞ヶ浦のためにみんなでどう考えるかを一体となって地域の活性化を進めることが重要であると考えております。  つきましては,こうしたそれぞれの場面に応じて,県として,これからの市町村に対して積極的な役割を担っていただけるように,日本の名所,霞ヶ浦になるように橋本知事をリーダーとしてリーダーシップを発揮されるよう要望させていただきます。  それでは,次に,話題を変えまして,少々重くなりますけれども,県内の通信インフラ整備について質問させていただきます。  この件では,いろいろと語りたいたくさんの部分があるのですけれども,勉強すればするほど深みにはまりまして混乱をしてしまいましたので,今回は,軽いジャブ程度にとどめておきます。  世間では,地域格差という言葉をよく聞きます。この言葉に我々はどれだけ悩まされているのか。茨城県は,東京に近く,本来はもっと快適で便利なまちである茨城県も,残念ながら通信分野においては,この格差に悩まされているのではないでしょうか。水戸市やつくば,土浦市などの都市部においては,光ファイバーやケーブルテレビなどによる通信インフラが整備され,住民は高速インターネットサービスによる動画コンテンツなどさまざまなサービスを享受しています。しかし,農村周辺部や県北山間部などに暮らす住民には通信インフラ整備のおくれから,都市部と同様のサービスが享受できないという生活利便性の格差が生じております。  知事は,IBBNの整備率が全国トップレベル,たしか今98.3%ぐらいですか,数字が間違ったら申しわけございません。とよく自慢されておりますけれども,果たして県民にとって,本当にこのIBBNは全国トップレベルだということが喜ばれるサービスになっているのでしょうか。同じ学校に通っていても,住んでいる地域の環境によって,インターネットや携帯の反応が違うということは,子供たちの教育上よくないのではないでしょうか。ちなみに,私の子供たちは,学校と自宅でのインターネットの速度の違い,自宅が遅いんですが,遅さに対しまして,父親であり,前PTA会長であり,現在,茨城県議会議員としている私に不満をぶつけております。そういう子供たちの切実なる思いも踏まえて,何か,IBBNを含めた茨城県内の通信インフラについて一言ありましたら,よろしくお願いします。 111 ◯橋本知事 通信インフラの整備については,今お話しございましたように,県北山間部を中心に未提供地域が残っている,あるいはまた,超高速ブロードバンドサービスの場合には,市町村間のみならず,同一市町村内においても,地域間の情報通信格差が生じているといった問題がございます。  こういったことを受けて,県においては,格差の是正に向けて,国,市町村,事業者と構成するブロードバンド環境整備対策研究会において,平成18年度から本県におけるブロードバンド整備の目標と指標を示したブロードマップを策定しているところであります。平成22年度までのブロードバンド世帯カバー率100%と,超高速ブロードバンドの世帯カバー率90%を目標値としておるところでございます。  この目標達成,しかし,そうは言いましても,そんなに簡単なものではございませんので,研究会の中で,未整備地域における有線や無線などの整備手法を検討しますとともに,事業者の誘致に向けた地元による署名活動といった働きかけも必要ではないかといったことも議論をしておるところであります。  また,総務省とともに各市町村を訪問し,商工会など地元関係者との需要喚起や誘致活動に対する意見交換会を行い,情報格差の是正に向けた取り組みを推進しているところであります。  特に,光ファイバーによるサービス提供につきましては,県としましても非常に重要な問題と認識しておりますので,光ファイバーを利用した超高速ブロードバンドサービスの世帯カバー率90%の目標達成に向けて,研究会の中で具体的検討を進めますとともに,市町村と連携しながら通信事業者へ働きかけるなど整備の促進に努めてまいりたいと思っております。  なお,IBBNでございますけれども,私ども,もっと使ってもらえるかという気もしたのですけれども,なかなか思うように進んでいないのが実情でございます。  現在,旧七会村,ここが合併に際しまして,市町村みずからが光ファイバー網を整備してIBBNを利用してインターネット接続サービスを提供できるようにしたところでありますし,また,民間のプロバイダーにおきましても,9社がIBBNを利用したインターネット接続サービスを提供しておるところでございます。  こういったものについては,もっと使ってもらえるように,市町村に働きかける,あるいはまた,プロバイダーに働きかけるために,どうやっていけばいいか,先ほどのお話し申し上げましたように,需要の喚起,あるいは整備手法の研究なども進めながら努力をしてまいりたいと考えております。 112 ◯狩野委員 はい,ありがとうございます。  IBBNの利用頻度が思ったより少ないという話なんですが,今からお話しします,非常に民間事業者がやる分には,それなりに採算は合うのかもしれませんが,個人レベルになってくると,非常に使い勝手が悪いというんですか,費用負担が高いということがあります。  私は,政務調査費を使いまして,東京の大手通信事業者の本社を訪問し,通信インフラの整備の要望を行ったり,茨城県ITサポートセンターと地元企業との説明会を開催したり,今,知事からお話がありましたけれども,地元青年部員や市や商工会を巻き込んで,事業者誘致の署名活動をするなど,さまざまな活動を行ってきておりますが,いずれの民間業者も採算とれないところはやりませんという,この一言の返事で済ませてしまいます。採算とれないからやりませんというのは,言ってみれば,民間の勝手な意見でありまして,地元の,特に山間部や今回問題にしている地域格差のある地区では,情報通信格差がますます広がるばかりであります。
     県は,IBBNを構築することで,県民,企業,だれもが便利で廉価に利用できる情報通信環境をつくり,情報格差の是正,産業の振興,行政サービスの効率化,高度化を推進するのが目的であるとしています。  政府も,2010年には,いつでも,どこでも,何にでも,だれでも,ネットワークにつながるユビキタス社会を実現すると明記しております。  また,クールアース・テレワークというのも推進しております。これは,在宅勤務によってCO2排出削減効果やペーパレスなどのエネルギー削減,少子・高齢化対策,ワークライフバランスの確保,地域活性化など,さまざまな社会的意義,効果を実現する観点からも普及と推進を図っております。  先ほど,古田病院事業管理者の答弁にも医療関係もIT化が進んでいるという話がありましたけれども,地方の医療機関や災害時に本当にどこでも使えるかという心配が現実あります。  IT化と一口で言うのは簡単ですけれども,県民生活すべてにかかわってくる大事な問題なのです。また,茨城県IT戦略推進指針では,県民一人一人がうれしいと実感できる情報交流社会の実現というのを目標としております。この目標達成のために,ハード整備からその利活用へ,県行政の視点から市町村行政,県民の視点と明記しております。  そして,今後のIT政策の展開の方向として,県民,企業の皆様のさらなる利便性,快適性,安全性などの向上につながる茨城らしいIT施策を展開する計画となっています。  これらの内容を見て,聞いている限り,県民が喜んでくれるサービスを目指すのだ,これがIBBNの方針だというふうに意欲を感じてなりません。今までの通信は,どちらかといったら,一方的な一方通行でしたけれども,これからはというか,今は,楽しく,しかも速い感覚でお互いがキャッチボールできるかということにかかっております。  余談ですが,先日,対馬に視察に行ったときに,ある農村に行ったら,密航,密入国,密売を見たら110番という看板が立っておりました。思わず携帯を取り出したのです。圏外なんですよ。これが今の社会情勢なのです。何かあったら電話しなさいよ,何かあったら連絡しなさいよといっている割にはそういった情報のインフラ整備がおくれているというのを切実に感じたわけでございます。  そこで,長くなりましたけれども,今までの話をまとめると,IBBNは,今は,まだ私は茨城県民の利益につながってないと思っております。今後,IBBNをどう使うのか。また,過疎地へのサービス,システム更新時にどういう方向で考えていくのか。次の施策はどうするのか。もし,町が取り組んだとき,推進しようとするときには,どう県は対応するのでしょうか。  また,採算がとれないからやらない地域を生んでいる今の民間企業の判断についてですけれども,県は,積極的に民間業者に話をしていく必要があると思いますが,いかがでしょうか。  先ほど,飯泉委員の質問にもGISの話が出ておりましたけれども,GISにしろ,IBBNにしろ,ある通信事業者の独占的な感じがしております。県としては,相当な協力体制を敷いているはずなのですから,もっと積極的にそういった業者に対し,茨城県の中で採算性がないと言っているところを重点的に,積極的に推進していただくように働きかけてもおかしくはないと思うのですけれども,いかがでしょうか。 113 ◯橋本知事 市町村に対しましては,これまでもIBBNをぜひ使って県民,特に若い人たちがなかなか居ついてくれませんから,高速の通信網を整備できるようにということについては,お願いをしてきておるところでございますけれども,旧七会村などの場合は,合併特例債をうまく使えたものですからよかったのですけれども,そういったときに,なかなかこういう方まで気が回らなかったところもある,あるいはまた,お金がかかり過ぎるのでできなかったところもある,そういうこともございまして,なかなか思うように進んでいないのが実情でございます。  また,先ほど来お話がありましたですけれども,民間事業者の場合には,これは何といいましても,採算性がとれないとやらないという大義名分というか,そういうことがございます。ただ,今お話にございましたように,大きな会社であるわけですから,その中で全体的にやっていけないのかどうか,そういうことも含めて,もっと日本全体をIT社会という形で世界に誇れるような形に持っていくようにお願いをしてまいりたいと思っております。  そしてまた,そのために,地元でこれだけの需要があるよとか,あるいはこれだけ熱心な声があるよといったようなことをもっと示していくことも必要なのではなかろうかなと思っております。  また,そういったこととあわせて,今,対馬へ行ったという話がございましたですけれども,やはり国全体としてどうするかということを,例えば,韓国などは,もうかなり前に世界でトップレベルの水準に引き上げているわけでございまして,そういったことについては,もうちょっと日本どこにいても,ちゃんとそういう面での恩恵に浴することができるようにしていかなければ,地方分権といった観点からもますます都市部便利な地域に人が集まっていってしまうようなことになっていくのではないかなと思っておりますので,ぜひ進めていただければありがたいなと思っております。 114 ◯狩野委員 御丁寧な答弁ありがとうございます。  先ほどの荻津委員からも,茨城空港が日本の空の玄関口になるというお話がありました。空港に関する地域内はもちろんでしょうけれども,観光スポットと言われる地域ぐらいは,インターネットや携帯電話がつながらないでは笑われてしまいます。ターミナルの中は使えるんだけれども,ターミナルを降りて車へ乗った,シャトルバスに乗った,タクシーに乗った,近くで途中で食堂へ入った,電波はつながっていない,これでは笑われてしまいます。茨城空港をこれから世界の茨城空港と目指していくならば,せめてそういった戦略の中で,地域割を考えていただくことも必要だと思います。今,韓国のお話がありましたけれども,本当に韓国がどこに行っても,何をやっても,携帯もインターネットもサクサクできる。そういった状況に負けない,特に科学先進県といわれている茨城県にとっては,ぜひとも前向きに頑張っていただきたい。さすが橋本知事と言われるように,茨城らしいITについて,引き続き前向きに検討していただきたいと思います。この問題は,非常に深くなり過ぎる問題ですので,私も今後勉強してまいりますが,今後ともよろしくお願いします。  知事,ありがとうございました。  続きまして,警察本部長に伺います。  まずもって,24時間365日,日ごろから県内の治安維持のために御尽力いただいております茨城県警察本部の皆さんに対し,心から敬意を表するとともに感謝いたします。ありがとうございます。  私は,高校2年生のころ警察官を志したことがありまして,勉強しによく交番に通ったものです。現在も個人的に警察官の方々とは親交がありますし,私の父も生前は別な意味で親しくさせていただきました。  きょうは,茨城県警の強く,明るく,親切という重点事項について確認する意味で質問させていただきます。  まず最初に,ここ数年の警察に対する市民からの苦情にはどのようなものが多いのか,上位3つぐらい挙げて,その内容,それらの対応,今後の分析などを教えていただきたいと思います。また,警察で行っている公衆接遇教育にはどのようなものがあるのか,教えてください。お願いします。 115 ◯小風警察本部長 お答えいたします。  まず,市民からの苦情内容等についてでありましたが,平成20年8月末現在,苦情申し出制度に基づく苦情の受理件数は22件であり,その内容につきましては,交通取り締まりの方法,警察官の言葉遣いに関するもの等が主なものでありますが,総数につきましては,昨年同期の44件と比べ半減しております。  警察といたしましては,寄せられる苦情に対して誠実,適切に対応するとともに,職員に対して適切な職務執行に努めることを指導しております。  次に,公衆接遇,あるいは市民応接を適切に行うための教養についてでありますけれども,これにつきましては,警察職務の公正,中立性,公益性等を身につけるための職務倫理,さらに,各種法令手続等に対する教養を行いまして,市民の方と接する機会の多い職員を中心に能力の向上に努めているところであります。  適切な言葉遣いや応接につきましては,幹部による指導や窓口担当者による検討会の実施,また,外部から講師の方をお招きして応接の心構えを学ぶなどしているところでございます。 116 ◯狩野委員 はい,ありがとうございます。  交通取り締まりの方法と,あとは適切な言葉遣いということ,あとは苦情ということであります。  そこでお伺いしたいんですけれども,私の小さいころもそうなんですが,最近,余り聞く機会がないんですけれども,市民から敬意を持って呼ばれているおまわりさんという表現があります。このおまわりさんというのは,どういうような警察官を指すのか,おわかりになりましたら,お願いします。 117 ◯小風警察本部長 おまわりさんという言葉は,主として交番,駐在所などで勤務する街頭活動の機会の多い警察官が言われているようであります。おまわりさんという単語は,「お」と「まわり」と「さん」と3つの部分からなるわけでございますけれども,巡回する活動,警ら,パトロールを行う意味の動詞,回る,これの連用形を名詞とし,これらの職務に従事する者を意味し,そして,これら勤務する警察官が市民の方々に感謝され,尊敬の念を持たれ,また,親しまれることから,頭にお,末尾にさんをつけたものと思います。 118 ◯狩野委員 明確なお答えありがとうございました。  そういうような雰囲気があったのですが,改めて言いますと,なるほど,我々が普段地域で接している交番や駐在所にいる方をおまわりさんと呼んでいいのかなと思っております。ありがとうございます。  私は,実は,この外見と人相から,よく警察の人に職務質問を受けます。しかも,にらみつけられて,人相悪いです。いつも不愉快な気持ちになっております。警察の中には,きっと怪しいと思う者は怪しめとでも言われているかのような,上から目線ですかね,なんだというような,わしは警察のもんやみたいな威圧感を感じているのは,実は私だけではないと思います。先ほど言った,いわゆる地域のおまわりさんというのが一番いいと思うんですけれども,おまわりさんは,いつも笑顔で,やさしく接してくれております。しかし,警察署内での対応には,常にそういった重い空気の中で威圧感を感じております。また,先日初めて知ったのですけれども,遺失物,落とし物係,これは会計課の担当で,土日は休みであるということだそうです。私は,警察の方には,もっと市民にやさしく接してもらいたいし,融通をきかせる配慮が欠けているのではないかと思っております。最近では,警察安全相談窓口を設け,専任の相談員や女性,子供に関する相談を担当する女性警察官,ハートフルアドバイザーを配置して相談に応じているようですが,その数はまだ少ないようです。警察署内の建物の構造上の問題もあるかもしれませんが,入りやすい警察署,気軽に相談できる相談コーナーの設置など検討すべきです。つまり,市民にはやさしく,明るい警察になれば,住民協力者もふえるし,業務がうまく回って,いい方向になると私は信じております。  そこで最後に,市民に愛される警察官とはどういうものなのか,今後どう対応するのか,教えてください。 119 ◯小風警察本部長 警察組織のあり方についてでありますが,昨年夏,私が本県警察本部長に着任した際,職員に対しまして,警察のありようについては,住民の訴えや相談に真摯に耳を傾け,建設的な要望や意見には積極的にこれらに沿った活動をしなければならないという旨の訓示をいたしております。  そのために,強く,明るく,親切にをモットーとして各種業務を推進しているところであります。とりわけ,窓口職員等に対しましては,県民の立場に立った応対について指導に努めてまいりましたが,いまだ言葉遣いなどに対する苦情もあることから,引き続き,巡回指導,窓口応接に関する執務資料の発行,窓口職員による検討会の開催などを通じまして,より適切な市民応接に努めるよう徹底してまいりたいと考えております。 120 ◯狩野委員 どうもありがとうございます。  これからも治安維持のために全力で頑張っていただきたいと思います。  以上をもちまして,私の質問を終わります。  本日はありがとうございました。 121 ◯新井委員長 次の質疑に入る前に,報告いたします。  山中委員から,質疑に当たって,パネル資料を使用したい旨の申し出があり,特定の団体や個人のプライバシーにかかわるものでないことから,委員長において,これを許可いたしました。  ここで,その写しを配付させます。                  〔資料配付〕  山中委員。 122 ◯山中委員 日本共産党の山中たい子です。  最初に,教育行政のうち,小中学校の統廃合について質問します。  学校統廃合は,教育条件にかかわる重要な問題であり,子供と地域を中心に慎重に検討しなければなりません。ところが,県教育委員会は,4月に指針で,学校適正規模基準を小学校12学級以上,中学校9学級以上と発表しました。あわせて,統廃合による経費削減効果や先行事例も示しました。これが市町村の動きを加速をさせ,既に39市町村が検討しているわけです。  適正規模基準を下回る学校が小学校で6割,中学校で3割を超えており,指針は実態を無視していると思います。今後,適正規模でないとの理由で統廃合の対象とされる可能性があり,指針を市町村に押しつけてはならないと考えております。教育長の所見を伺います。 123 ◯新井委員長 山中委員の質疑に対する答弁を求めます。  鈴木教育長。 124 ◯鈴木教育長 山中たい子委員の御質問にお答えいたします。  県といたしましては,午前中に佐藤委員や荻津委員に御答弁させていただきましたように,小中学校の統廃合につきましては,市町村に積極的に取り組んでいただけるよう働きかけてきたところでございます。  ただいま,委員から,昭和48年の国の通達の御説明をいただきましたが。 125 ◯山中委員 全然違う,そんなことは言ってない。 126 ◯鈴木教育長 言ってませんでしたっけ。 127 ◯山中委員 市町村に押しつけてはならないと,それについてどう思うかと言っているんです。 128 ◯鈴木教育長 ですから,市町村に,ただいま申し上げましたように積極的に取り組んでいただけるよう,私どもとしては,県としてきっかけづくりを行ったところでございます。御理解のほどよろしくお願いをいたします。 129 ◯山中委員 指針を出したこと自体が問題だというふうに私は思っているところです。教育長は,子供たちや地域社会への影響をどのように認識しているのでしょうか。学校は,運動会や祭り,文化祭など,地域の文化やコミュニティーの拠点になっています。安易に統廃合すれば,地域社会のつながり,そのものを断ち切ってしまうことになります。また,学校が遠くなれば,遠距離通学の負担や安全面での問題も出てきます。資料編では,統廃合後の県内小学校の通学距離が基準の4キロメートルをはるかに超え,過大と指摘をされています。現在でも,自転車通学や路線バス,巡回バス利用,そして親の送迎など徒歩以外の通学者が小学生で9,000人もいるわけです。学校統廃合によって,学校数,教職員数,学級数が確実に減ります。昨年統合したのは,小学校で10校です。教員数が116人から79人に,学級数は66から43に大幅に減りました。事例集では,経費削減効果として,小学校の1人当たり教育費を4分の1に減らすことができ,小規模校は財政効率が悪いと指摘しています。教育予算を削り,子供たちと教師に新たな負担を強いる,それが学校統廃合だと思います。  ここで,1973年当時の文部省通達をパネルで示しました。  学校規模を重視する余り無理な学校統合を避けなければならない。それから,小規模校としての教育上の利点も考えられる。小規模学校として存置し充実する方が好ましい場合もあることに留意すること,そして2では,学校の持つ地域的意義なども考えて,十分に地域住民の理解と協力を得て行うようにと,こういう統廃合に当たって留意すべき重要なポイントを示しています。この文部省通達について,教育長の所見を伺います。 130 ◯鈴木教育長 先ほどは大変失礼いたしました。  ただいま,委員から,昭和48年の国の通達について御説明をいただきましたが,県といたしましても,市町村が小中学校統廃合の取り組みに当たりましては,通達の趣旨のとおり,学区の区域化に伴う通学上の問題,小規模学校のよさ,地域住民の理解と協力などについて十分検討した上で進めていただきたいと考えております。  小規模学校のよさについてでございますが,小規模な学校においては,一般的に,教職員と児童生徒の人間的なれ合いや個に応じたきめ細かな指導ができるなどのメリットがあると言われています。  しかしながら,多様な学習活動ができないことや人間関係が固定しやすいこと,男女比の偏りがあること,体育や音楽などの集団での活動ができにくいといった課題も指摘されております。特に中学校においては,多くの部が設置できないため,生徒が入りたい部活動がないことやすべての教科に専門的な教員の配置が難しいなどの課題もございます。  これら小規模学校のメリット,デメリットを踏まえた上で,子供たちの望ましい教育環境を充実するという視点から,学校統廃合を検討していくべきであると考えています。  次に,地域住民の理解と協力を得ることについてでございます。  市町村において,統廃合を進めるに当たりましては,保護者や地域の方々に十分な説明を行い,理解と協力を得て進めることが,これは私どもとしても特に重要であると考えております。  このため,県におきましては,アンケートの実施方法や住民の方々の意見の求め方などについて具体的な手順を記載した事例集を作成し,説明会などを開催してきたところでございます。 131 ◯山中委員 押しつけないということについては,そのことについの答弁というのはなかったように思いますので。  それから,政府は,学校適正規模の新基準づくりに着手をしております。県指針は,この動きと機を一にするものであるというふうに思っています。知事は,第2回定例会で,学校施設の耐震化を効率的に実施するため,学校統合を早急に進める必要がある,そのため指針を示し,取り組みを積極的に促したと,いわば押しつけていると,押しつけたとも受け取れる,こういう表明をしたわけです。学校耐震化を理由に統廃合を行うべきではありません。県主導で強引に推進することは絶対に許されないということを強く指摘をしておきたいというふうに思います。  次に,小中学校の少人数学級についてです。  指針は,学校統廃合効果について,教育環境の充実,そして学力の向上を挙げています。それならば,少人数学級こそ最優先に実施するべきではないかと思います。教育的効果は,県教育委員会としても認識しているはずです。イギリス,カナダ,フランスなど諸外国の学校規模は,小学校で100人から200人で,1学級の標準というのは20人,30人が当たり前になっています。本県の少人数学級は,小学校1年,2年生だけで35人で,3学級以上の場合に限定をしています。そのため,実施率は,わずか3%です。教師の残業が常態化し,多忙をきわめていることは7月の県調査でも明らかになっております。  この大きな原因というのは,本県教師の1人当たりの受け持ち人数が多いことです。小学校で,全国で11番目,中学校で10番目です。小中学校全学年で30人学級実施に必要な経費というのは187億円,35人学級の場合というのは74億円です。30人学級で2,000人,また,35人学級で800人,青年教師の採用や常勤講師を正職員化することができるわけです。小学校1,2年生のすべてを35人学級にするためには13億円で可能なわけです。少人数学級の拡充策について,教育長の所見を伺います。 132 ◯鈴木教育長 先ほど,ちょっと統廃合の関係で押しつけというような御意見がありましたが,私ども,午前中に佐藤委員と荻津委員にもお答えしましたように,これは,あくまでも市町村に取り組んでいただくために,私どもとしては,その検討材料を市町村に提供したものでございますので,そこについては御理解のほどよろしくお願いをいたします。  それでは,ただいま,少人数学級のことにつきまして御質問いただきましたので。本県では,子供たちにきめ細かな指導を行うため,平成14年度から全国に先駆けて,小学1,2年生について学級編制の弾力化等を実施しております。具体的に申し上げますと,35人を超える学級が3学級以上の場合に,1学級増設し,担任教諭1名を加配しております。例えば,40人3学級の場合は,1学級ふやすことで30人4学級となる制度でございます。  また,小学校1年生,2年生で35人を超える学級が2学級以下につきましては,学級数はふやさないかわりに非常勤講師を配置して,ティーム・ティーチングによるきめ細かな指導を行っております。  本県におきましては,小学1,2年生において,すべての学級で少人数学級,もしくは非常勤講師の配置によるティーム・ティーチングを実施しておりますので,35人以下学級と遜色のない教育が実施できているものと考えております。  ちなみに,本県の小学1,2年生全学級に占める35人以下の学級の割合は92.5%,小学校全体に占める割合は85.2%となっております。  少人数学級のメリット,デメリットについてですが,メリットとしましては,児童生徒一人一人の学力が把握しやすくなり,より適切な評価が可能となる,教師と児童生徒のコミュニケーションがふえる,特に小学校低学年の児童については,学校生活に順応させやすいなどであり,一方,デメリットといたしましては,社会性をはぐくみ,多くの仲間とお互いに切磋する機会が少ない,子供たちの間でいろいろな意見が出てこない,話し合いに活気が余りない,学校によっては,教室数の確保が難しいといったことが考えられますが,国に先行して少人数学級の拡充を図る場合には,財政負担の問題等も生じますことから,十分な検討が必要であると考えております。  また,国においても,現在,学級編制の権限を市町村に移譲することについて検討しておりますので,本県といたしましては,こうした国の動向も踏まえて,見きわめていきたいと考えております。 133 ◯山中委員 答弁が長いです。それから,統廃合について,これは,あくまで市町村に示した検討材料だということで強制ではない,押しつけない,市町村の判断に任せるということを今の答弁で確認できたというふうに思います。  それから,本県の教育費の支出額,小学校が児童1人当たり81万5,000円,全国41番目です。中学校は,生徒1人当たり96万2,000円,全国38番目です。教育後進県と言わざるを得ません。小中学校統廃合で,さらに教育費を減らそうとしています。子供に冷たい県政を見直すよう強く求めて,次に移りたいと思います。  教員の採用,そして管理職の昇任について質問します。  これらをめぐる大分県の贈収賄事件は,公教育に対する国民の信頼を大きく失墜させました。茨城県でも,この際,問題点を明らかにし,改善してほしい。多くの方から出されております。教員の採用については,本県でも,県議会議員や国会議員秘書などに通知してきたことを当局も認めています。  そこで,口ききや採用の働きかけの人数,通知先,金品,物品の授受について,公表すべきですが,お答えいただきたいと思います。あわせて,2次試験の面接や実技の評価表,小論文の判定基準を公表し,受験者に試験成績を開示して,受験者側からもチェックできるようすべきです。どのように取り組むのか,お答えください。 134 ◯鈴木教育長 採用試験の公表についてでございますが,外部から合否に関する照会があった場合には,昨年度までは,合格通知発送後に教えることがあったと国の調査にも回答したところでございますが,照会を受けたメモ等が残っておりませんので,対応できない状況にございます。  大分県の事件を踏まえまして,今年度からは,外部からの照会には一切応じないとしたところでございます。  また,2次試験への対応についてでございますが,受験者への得点の通知につきましては,今年度から実施したところでございます。また,配点の公表につきましては,今年度は,実施要項との関係もありまして,試験が進行していたため間に合いませんでしたが,来年度からは,実施要項に明記することといたしております。 135 ◯山中委員 本来,過去にさかのぼった調査と公表が県民に対する責務だというふうに思います。  次に,校長,教頭の管理職昇任について伺います。  本県の場合は,昇任試験は公募制になっていません。候補者になった人だけが昇任試験を受けることができ,各学校原則1名です。小中学校は,市町村の教育長,高校は,校長の推薦が必要です。私は,このような推薦をやめて,年齢,経験年数などの基準を明確にし,希望者はだれでも試験が受けられるよう試験内容も公開すべきと考えます。教育長の見解を伺います。 136 ◯鈴木教育長 まず,昇任試験において,過去に不正がなかったのかというお尋ねでございますが,昇任試験は,これまで適切に行われてきており,改めて調査をする必要がないと考えております。  昇任試験は,総合的に人物を評価することが大切でございますので,日常的な勤務状況や管理職としての資質,能力,学校運営に対する考え方等を判断していくことが必要であるものと考えております。  このため,受験資格を明確にした上で,日常的な勤務状況等について十分に把握している県立学校長,または市町村教育長が推薦し,たとえ同一校で複数の場合であっても,推薦のあった者をすべて受験させることとしております。  先ほども申し上げましたように,総合的な人物評価が大切でありますので,希望者すべてを受験させる,いわゆる自薦制はなじまないものと考えております。  最後に,試験問題の持ち帰りや本人への成績通知などにつきましては,総合的な人物評価が重要であることや対応している都道府県も少ないということから,現段階では必要ないと考えておりますが,今後,必要性が生じた場合には,他の都道府県の状況などを踏まえて検討してまいりたいと考えております。 137 ◯山中委員 私どもが調査をしましたところ,本県のように,候補者を選出して限定した昇任試験を行っているところは,北関東ではほかになく,全国でも少数です。埼玉,栃木,群馬は,いずれも公募方式で,年齢など条件を満たせばだれでも受けられるようになっています。埼玉の平成19年度の昇任試験は,小学校で,教頭が5.2倍,校長は3.2倍でした。大分県は,教育行政改革プロジェクトチームをつくり,8月29日に調査報告書を出しました。本県と同じように,校長と市町村教育長の推薦を必要とし,加えて,教育事務所長の推薦を設けていたわけです。改革プロジェクトチームの報告書は,次のように明記しています。意欲と能力のある若手教員が躊躇なく校長や教頭候補者選考試験が受験できるよう推薦を廃止する方向で検討する。選考と人事が同時期に行われ,人事が優先される傾向がある。今後は,試験の合格者を名簿に搭載し,名簿の中から的確者を登用する方向で検討する。本県の改善方向を示しているのではないでしょうか,お答えください。
    138 ◯鈴木教育長 私どもの方で持っているデータで,先ほども答弁させていただきましたが,自薦といいますか,それについては,例えば,年齢及び勤務年の条件等による公募というのは5都県1市,これは政令都市でございます。自薦制をやっているのは,2県ということで,私どもの方のデータを見ておりますので,そこのところは,先ほども答弁させていただきましたように,ほかの県でも対応が少ないというようなことで理解しているところでございます。 139 ◯山中委員 次に,小中学校の耐震化対策についてです。  本県の小中学校施設の耐震診断率,耐震化率は,いずれも全国45場面です。さきの通常国会では,日本共産党など5党が共同提案し,改正地震防災対策特別措置法が成立し,学校施設の耐震補強や改築に対する国庫補助率のかさ上げが実現しました。倒壊の危険性が最も高い構造耐震指標,IS値0.3未満が対象です。本県は,国の推計によれば,昨年までの調査で判明した62棟を含む316棟となっています。しかし,緊急対応が必要なのは,果たして,この残り254棟なのか。それはどこの学校のどの施設か,現時点では全く不明です。これまで,市町村が実施してきた優先度調査などに加えた2次診断が実施されていないためです。これでは,耐震化を促進するせっかくの国の制度も活用できません。  そこで,2次診断をいつまでに終えるのか,教育長に伺います。 140 ◯鈴木教育長 市町村立小中学校の耐震化につきましては,大規模地震発生の際に,子供たちの命を守るため,また,多くの学校が災害時の避難場所にもなっておりますので,早急に実施する必要があると考えているところでございます。  昭和56年度以前の旧耐震基準で建築された建物につきましては,危険性を確認するために2次診断を実施し,その診断結果によりまして補強工事等が必要な場合は実施設計を行い,工事に着手していくことになっております。  現在の2次診断の実施状況を申し上げますと,昭和56年度以前の建物2,099棟のうち,629棟は済んでおりますので,残り1,470棟の2次診断が必要であると考えております。  市町村への調査結果を見ますと,平成22年度までに1,470棟に対しまして,約半分の707棟しか診断が実施されない計画となっておりますので,今後とも,市町村に積極的な取り組みを働きかけてまいりたいと考えております。  また,今回の財政措置の期限が平成22年度までの時限立法となっておりますので,診断後の工事期間を考慮しますと,できれば平成21年度までに2次診断を実施することが望ましいと考えております。 141 ◯山中委員 耐震診断ですから,診断をして,その後に初めてこの補助制度,国庫補助の補助率のかさ上げ,この制度が使えるわけですから,平成21年度までに速やかに耐震診断が,2次診断が行われるよう,県としても最大限支援をお願いしたいと思います。  次に,耐震化対策についてです。  本県でも,全国でも耐震化が進まなかったのは,必要な財政措置を行わず,市町村任せにしてきた点にあります。私どもは,国会でも,地方議会でも繰り返し取り上げ,要望してきたところです。今回の補助率かさ上げで,耐震化が促進することは期待できますが,期限は3年です。法の期限延長も視野に入れ,国予算の抜本的増額と補助単価の引き上げを国に求めるべきです。  また,福井,高知,静岡,香川などの各県は,独自の助成制度を行っています。市町村への財政支援について,知事の所見を伺います。 142 ◯橋本知事 小中学校の耐震化につきましては,今回の法改正により補助率が2分の1から3分の2にかさ上げされ,さらに地方債の充当率や交付税措置も拡充され,その結果,補強事業に係る市町村負担は,これまでの31.25%から13.3%まで大幅に引き下げられたところでございます。  県といたしましては,改正された補助制度を活用し,早急に耐震化に取り組むように要請をしてきております。  お尋ねの財政支援措置の期限延長等に係る要望についてでございますけれども,市町村の財政状況や一部の市町村において,学校規模の適正化とあわせて実施する意向を示しているところもあり,期限内に耐震化が図られないことも十分考えられるところであります。  県といたしましては,今後,市町村の取り組み状況を見ながら,必要があれば,補助期間の延長や補助単価の引き上げについて要望してまいりたいと考えております。  次に,県の市町村に対する財政支援措置でございますけれども,ただいま申し上げましたように,今回の法改正により,市町村の財政負担は大きく軽減され,耐震化に取り組みやすくなっているところであります。  一方で,県としては,県立学校を初め耐震化を実施しなければならない建物を多数抱えており,早急な対処が必要とされております。  こういったことも考えて,県としての財政的な支援は,現在のところ検討しておりません。 143 ◯山中委員 教育長のお話にもありましたように,平成21年度までに診断を終えなければ,国の補助制度そのものが使えないと,ですから,要請をしている市町村に,問題は市町村任せにしてきた点にあるということをしっかりと受けとめていただきたい。学校耐震化を理由に統廃合を行うべきではないと,私は,まず何よりも子供たちの安心,安全だというふうに思っているところです。  次に,霞ヶ浦導水事業について質問をいたします。  霞ヶ浦導水取水口の建設差しとめを求める署名は7万人を超え,水戸地方裁判所に提出されています。導水事業の目的は,既に失われており,知事は,事業の見直し,中止を国に働きかける責務があると考えています。  改めて事業の問題点について,知事の見解を伺います。  第1に,水質浄化についてです。  パネルを用意しました。  高村義親茨城大学名誉教授が国交省の水門水質データベースを使って分析をしたものです。那珂川は,霞ヶ浦に次いで全窒素で1.6倍,硝酸態窒素で6倍と高くなっています。高村氏は,硝酸態窒素は,アオコの増殖栄養素であり,導水によって霞ヶ浦の富栄養化をさらに促進し,水質をさらに悪化させる可能性があると指摘しています。  那珂川の全燐は環境基準を超えて,無機燐酸態燐で,これもアオコ発生の原因になります。CODは,那珂川が1リットル当たり2ミリグラムで,霞ヶ浦の4分の1,高品質の水質になっています。  国は,これを理由に,霞ヶ浦の湖水を希釈し,CODを低下させると浄化効果を挙げているわけです。しかし,有機物の少ない流れのある河川水を停滞した閉鎖性の霞ヶ浦に導入すれば,アオコの発生を促進し,湖水のCODを高めることになってしまいます。高村氏は,国の主張には,科学的な誤りがあると指摘をしているわけですけれども,知事の所見を伺います。 144 ◯橋本知事 西浦の湖水は,現在,年間約1.9回入れかわっておりますが,霞ヶ浦導水事業により,那珂川,利根川から導水をすれば,年間2.8回入れかわることとなってまいります。そのようなことから,第5期の霞ヶ浦に係る湖沼水質保全計画の将来負荷量の想定をもとにした国土交通省のシュミレーションによれば,西浦のCOD値を年平均で0.8ミリグラム/リットル程度低下させることが見込まれているところでございます。  こういったことにつきましては,例えば,手賀沼で,北千葉導水事業の運用開始により,平成13年度に27年連続の水質ワースト日本一を脱却したことに見られますように,有意義な事業と考えられるのではないかと考えております。  なお,霞ヶ浦の窒素について見ますと,霞ヶ浦に流入する河川の窒素濃度は,平成19年値で4.1ミリグラム/リットルとなっているのに対し,霞ヶ浦の湖内は1.1ミリグラム/リットルと,流入河川の水質よりも低い値になっております。これは,窒素の脱窒,気化すること,あるいは沈降,湖底に沈むこと等の効果によるものとされているところであります。  一方,那珂川の窒素濃度は1.7ミリグラム/リットルであり,霞ヶ浦の流入河川の窒素濃度4.1ミリグラム/リットルを大きく下回っているところでございまして,霞ヶ浦に入った後の脱窒沈降により浄水口から十分に見込まれるところであります。  また,硝酸態窒素につきましても同様の現象が生じるものと思われますほか,燐につきましては,霞ヶ浦湖内の濃度よりも那珂川の方が低い状況にございます。  こうしたことを考慮すれば,那珂川の水を霞ヶ浦に導水しても,窒素,燐の濃度を著しく上昇させるようなことはなく,水質浄化の効果が期待できるものと考えております。  なお,国では,継続的な水質調査及び水質浄化効果の分析を行い,それらの結果に応じ,適切に対応していくことをしているところであります。 145 ◯山中委員 これは,国交省の水質データを使って,3年間の平均値を出したもので,これを見れば,先ほど私が指摘したことは明らかだと。高村先生の指摘が当然だというふうに思いますが,こうした研究者,専門家の貴重な解析で,こうしたものもきちんと知事としては受けとめて,国が言っていることだけではなく,きちんと検討すべきではないかということをつけ加えておきます。  次に,都市用水の確保についてです。  私どもは,那珂川を管理している常陸河川国道事務所で,那珂川の既得水利権の実態を調査しました。水道用水は,日量22万3,000トン,工業用水は,日量15万トン,合わせて,都市用水37万3,000トンを既に確保しているわけです。これは,導水によって開発する都市用水分36万3,000トンより1万トンも多いわけです。  知事は,県中央広域水道7市2町1村1企業団の70万人分の水のために必要と繰り返し強調しているわけです。しかし,中央広域水道関係市町村の平成18年度給水実績というのは,日量32万トンでした。那珂川からの既得水量,表流水22万3,000トンと,市町村が確保した地下水能力11万トンを合わせると,日量33万3,000トンで,確保水量というのは,給水実績を大きく上回っているわけです。  今後,人口減,節水などさらに給水量が減少すると予想されます。導水事業は,1,900億円もかけて,既に確保した那珂川の表流水を新たな水源に切りかえさせ,貴重な地下水源をも切り捨てさせるむだな公共事業ではないでしょうか。  県中央広域水道は,日本で一番高い料金であり,市町村と住民をさらに苦しめることになります。導水事業による新たな水源開発はやめるべきだというふうに思いますが,知事の所見をお聞かせください。 146 ◯橋本知事 まず,先ほどの数値でございますけれども,私が申し上げた数値は,平成20年版環境白書の基礎データによるものでございまして,今,委員からもお話しございましたので,高村先生がどういう形でこの数字を出されたのか,教えていただけるようにしてもらいたいと考えております。  それから,御指摘の上水道事業の水源確保をし過ぎているのではないかということでございますが,お話がありましたように,市町村で確保している表流水と地下水,かなりの量ございますけれども,この認可水量を最大限に活用しても,この地域の1日最大給水量を賄うことができない状況にあるわけでございますし,さらに,市町村では,送水場の老朽化が進んでおりまして,施設を更新しなければいけない,あるいはまた,職員をどうするか,そういったことも含めて,将来的には,自己水源から県中央広域水道用水供給事業へ転換を検討しているところも幾つかの市町村でございます。  そういったことから,これらの水源転換等により見込まれる水需要に対応するためにも,霞ヶ浦導水事業による水源開発は必要であると考えております。 147 ◯山中委員 この地域は,地下水のくみ上げが規制されている地域ではありません。地下水というのは非常に安定している。市町村が確保した地下水能力11万トン,これを今回の導水事業の水源開発で,結局切り捨てさせるということになるのではないかということを私は指摘をしているわけです。  次に,水の調整について伺います。  パネルをごらんいただきたいと思います。  これは,私どもが塩川哲也衆議院議員と7月4日に取水口工事現場を調査した際に,国土交通省から配られた資料です。住民説明会にも示されております。  霞ヶ浦から那珂川に送水する場合のリスク対策について,ろ過できないものとして,微生物レベルのもの,水に含まれているウイルス,それから細かい浮遊物など記されております。このリスクを評価して,渇水調整等により霞ヶ浦からの送水を回避することも選択肢になると明記しております。  那珂川の渇水は,4月から5月,利根川は7月,8月に多く,相互に水を融通させる目的とした,これは崩れたというふうに思っていますが,知事の所見をお聞かせください。 148 ◯橋本知事 国の方からは,霞ヶ浦から那珂川への送水は,那珂川の渇水時に限られており,那珂川の流況や必要とする利水補給量等を総合的に勘案して,利水関係者等の合意を得た上で行われることも想定されると聞いておるところでございます。  先ほどお話しございました本年7月に行われた国による住民説明会で,那珂川への送水を回避することも選択肢になるとの説明があったことにつきましては,実際に運用する段階になって,渇水時に節水や取水制限などにより対応が可能であり,利水関係者からの要望がなければ,霞ヶ浦からの送水を行わないという選択肢も考えられる旨を説明したものと聞いておるところであります。  このように,状況によっては,霞ヶ浦から那珂川に送水しないといったこともありますけれども,水の安定供給を図る上で必要な場合には,送水を行うこととなりますので,渇水被害の軽減や新規都市用水の確保を図るという導水事業の目的を否定するものではないと考えております。 149 ◯山中委員 関係漁協がつくった霞ヶ浦導水事業による魚類・生態系影響評価委員会の川崎健委員長は,異なった水系をつなぎ合わせることは生物多様性条約と生物多様性基本法に違反するものであり,法を遵守すべき国が行うことではないと中止を主張しています。そして,国がつくった那珂川樋管設置魚類迷入防止効果確保検討委員会は,第3回委員会で,実物大実験のモニタリング以外に視野を拡大し,検討すべき項目を挙げました。水資源生態系への影響について,那珂川からの取水による影響と霞ヶ浦からの送水による那珂川への影響についてです。  国の設置した委員会で,生態系への影響を検討すべきと提起されたことは重大で,環境生態系への調査がいかに不十分だったかということを示しています。国に対し,知事は,環境生態系など専門家を入れた調査を行い,取水口と導水事業の中止を求めるべきだと思いますが,この点について御所見を伺います。 150 ◯橋本知事 そういったことも含めて,十分に国の方で検討をしていくことと考えておりますが,私どもとしては,この霞ヶ浦導水事業,霞ヶ浦,桜川の水質浄化,新規都市用水の確保,渇水被害の軽減といった面で,ぜひとも必要なものではないかと考えておりますし,水戸市などの市町村で構成する県北水資源開発促進協議会や霞ヶ浦流域21市町村で構成する霞ヶ浦問題協議会など,各方面からも早期完成を求められているために,県としても何とか早く完成させていきたいと思っております。  今御指摘のありました点については,国に対しても十分に伝えていきたいと思います。 151 ◯山中委員 那珂川取水口の実物大の実験工事は,漁業者の同意を得ないまま強行しました。この工事を受注した五洋建設は,その後,文部科学省の施設整備をめぐる汚職事件で国土交通省から1カ月の指名停止を受けております。川岸から10数メートル離れた陸側の工事,これを今やっているわけですけれども,漁業者の漁具が川に仕掛けられており,水際の工事はできないのです。9月12日に熊本県の蒲島知事は,川辺川ダムを白紙撤回し,ダムによらない治水計画を追求すべきと建設反対を県議会で表明しました。人吉・球磨地域に生きる人々にとっては,球磨川そのものがかけがえのない財産であり,守るべき宝だと強調しました。栃木,茨城の漁業者や県民は,日本一のアユがとれる清流と生態系を孫子の代まで残したいと国を相手に事業の中止を求めて裁判に訴えているわけです。橋本知事は,那珂川は,宝,この立場をしっかり持つべきではないでしょうか。将来に禍根を残さないよう,今こそ中止について勇気ある決断をすべきと強く申し上げて,私の質問を終わります。 152 ◯新井委員長 暫時休憩いたします。  なお,再開時刻は,午後3時15分を予定いたします。                 午後2時52分休憩        ───────────────────────────                 午後3時15分開議 153 ◯新井委員長 休憩前に引き続き,委員会を再開し,質疑を続行いたします。  高崎委員。 154 ◯高崎委員 公明党の高崎進でございます。  通告に従い,質問いたします。  まず初めに,弘道館の活用について御質問いたします。  国の特別史跡に指定されている弘道館は,申すまでもなく,水戸市のみならず本県にとっても最も重要な歴史的,文化的遺産の一つでございます。この弘道館が持つ魅力や価値を最大限に引き出し,より多くの方に親しまれるよう環境の整備に努めながら,観光の振興や教育,さらに地域の活性化といったさまざまな面で活用を図っていく必要があると考えております。  そこで,まず,直接の管理を担っております土木部長にお伺いいたします。  私は,利用者の増加を図るためには,来館者にやさしい施設整備などが前提条件となるものと考えております。  そこで,まず,利用の実態を確認したいと思いますが,弘道館の利用者数はどのように推移しているのか。また,利用者をふやすために,どのような取り組みをしているのか,あわせてお伺いいたします。 155 ◯新井委員長 高崎委員の質疑に対する答弁を求めます。  伊藤土木部長。 156 ◯伊藤土木部長 それでは,お答えいたします。  弘道館の利用者数の推移でございますが,近年は,年間5万人前後で推移してございます。ただ,平成17年は4万8,600人,平成18年は約4万9,800人とわずかに5万人を下回ったところでございます。  昨年度につきましては,ねんりんピックがあったこともございますが,平成18年度を5,000人以上上回る5万5,000人の利用者があったところでございます。  次に,利用者増に向けた取り組みでございますが,従来から観光協会や青年会議所,それからボランティア団体,こういったところと連携しまして,例えば,和楽器の演奏だとか,歴史の公開講座,こういったイベントの拡充に努めてまいったところでございます。  また,開館時間につきましても,本年7月18日から夏期,9月30日までは,従来16時だったのを17時まで1時間延長してございます。10月1日以降は,30分の延長という形になってございます。  さらに,偕楽園,弘道館を簡単に解説しました名刺大の小さなパンフレット,そういったものをつくって,例えば,高速道路のサービスエリアに配布するなど,そういったような広報も行ってございます。  途中経過でございますが,こういった効果もあってかと思いますが,ことしの8月末現在の利用者数としましては,前年の同期比で3,900人ふえておりまして,約30%の増となっております。 157 ◯高崎委員 はい,ありがとうございます。  次に,2点,具体的な利用者への対応状況をお伺いいたします。  まず1点目は,車での来館者への対応についてでございます。  弘道館には,大型バス用として5台,普通車用として13台の駐車場が設置されておりますが,例えば,梅まつり期間中などでは,私は,全く不十分ではないかと思っております。駐車場の確保は,観光地にとって必要不可欠でございますけれども,どのように対応されておられるのか,伺います。 158 ◯伊藤土木部長 駐車場についての御質問でございますが,御指摘のように,ピーク時には不足しているのは事実でございます。そういったこともありまして,梅まつり期間中など,駐車場が混雑する場合におきましては,誘導員を配置しまして,大型バスにつきましては三の丸庁舎のバスの駐車場の方に誘導する。それから,乗用車につきましては,周辺の民間駐車場,こちらの方も含めまして案内をしてございます。 159 ◯高崎委員 2点目ですけれども,利用案内についての対応状況であります。  弘道館のすばらしさを十分に理解していただき,親しんでいただくためには,観光案内も一つの方法として有効であると考えますけれども,観光案内について,各種ボランティア団体との連携も重要であると考えますが,どのような対応をされているのか,伺います。  また,あわせて,館内の案内について,現在は,押しボタンによる音声案内がありますけれども,子供たちにとっては,わかりやすいものとは言えないようであります。子供たちに興味を持ってもらい,理解してもらうためには,例えば,ビジュアル的に体験できるような展示案内施設が必要であると考えますが,その設置の可能性について伺います。 160 ◯伊藤土木部長 まず1点目の観光案内についてでございます。  こちらの方につきましては,先ほど申し上げましたように,ボランティア団体といろいろ連携をしているところでございますが,例えば,歴史アドバイザー水戸,これは,水戸観光協会の方が主体となっておりますが,こちらの方によります無料の観光案内,それから,茨城大学なんかが中心になっております水戸っぽ,こちらの方も,県の認定の公園のサポーターになってございますが,こちらの方の子供たち向けの館内施設の案内といったものをやってございます。  それから,2点目の展示案内施設の設置でございますが,弘道館の正庁,それから自然道,こちらの方は国の重要文化財の方に指定されております。こういったことがありまして,いろいろな制約があって簡単にはいかない面がございますが,ビジュアル的に体験できるという御提案の方は,利用者へのサービスという面で意義あることだというふうに考えておりますので,システムの内容や装置の設置スペース,設置に要する費用などを踏まえまして,設置が可能かどうか,検討してまいりたいと考えております。 161 ◯高崎委員 ぜひよろしくお願いいたします。  次に,私から2点,利用促進に向けた具体的な提案をしたいと思います。  まず,今,駐車場の件,お話しありましたが,ただ,問題なのは,弘道館の前の駐車場は無料ですけれども,三の丸庁舎の方の駐車場,これはたしか有料だったと思いますが,普通乗用車,観光バス,その辺の利用体系というのは,どのようになっていますでしょうか。 162 ◯伊藤土木部長 三の丸駐車場の方は,1時間300円というような料金になってございます。 163 ◯高崎委員 部長,すみません,観光バスは,その観梅の時期,回されたバス等の利用料金というのは,幾らでしょうか。 164 ◯伊藤土木部長 観光バスの方につきましては,通常,1時間900円でございますが,この利用につきましては無料にしてございます。 165 ◯高崎委員 わかりました。
     いずれにしましても,今,弘道館の前の駐車場というのは,もう手狭ですので,これを三の丸駐車場の方に,今は観梅の時期はバスは回していると。それは今言ったように無料と。ただ一つは,乗用車の場合は,今お話があったとおり1時間300円ということなんですけれども,弘道館の前に駐車場を広く整備できれば一番いいのでしょうが,なかなかそうも確かに現実はいかない。そうなると,やっぱり三の丸庁舎といいますか,三の丸駐車場を利用するのがいいと。そこで,弘道館を利用する方は駐車場は無料ですけれども,ただ,ほかに三の丸庁舎に来る方は有料ということがありますので,できましたら,三の丸駐車場に関して,弘道館に来られた方等に関しては無料にすべきでないかと思いますけれども,その辺の,私の提案といいますか,それは部長,どうでしょうか。 166 ◯伊藤土木部長 先ほど,バスの方につきましては,弘道館に来られた方ということで目的がはっきりしておりまして,その分は無料にしているというふうにお答えをいたしましたが,一方で,普通の一般の自動車の方,民間の駐車場の方に回っていただいている方々も結構いらっしゃるという実態がございます。  それで,これを御提案のように,三の丸駐車場の方を無料にしたというケースの場合は,さらに今度は民間駐車場を利用している方とのバランス,そういったものというものも考えていかなければならない。そういった課題もあろうかと思います。  そのため,まず,どのくらいの台数がどの駐車場へ回っているか,そういったことを調査した上で,また,駐車する場所と周辺区域の活性化の関係,そういったものについても留意しながら御提案の趣旨を検討してまいりたいと考えております。 167 ◯高崎委員 わかりました。  もう1点の提案でございますけれども,利用者を弘道館に誘導するに当たっては,三の丸庁舎の駐車場,こちらに来た方,その方たちが,要は旧県庁舎を見る,またずっと裏を通って八卦堂を見る,それで孔子廟など,また弘道館公園の梅林を回って,それで弘道館に行くということ,そういうように誘導をするために,できれば案内板といいますか,そういうようなものを設置することによって,周遊を高めるといいますか,わかりやすさもあるわけでございますので,その辺の案内板の設置は,弘道館から来る側ではなくて,三の丸庁舎の方から回っていく方たちのための案内板の設置,この辺が必要であるかなと思うのですが,その辺について,部長,いかがでしょうか。 168 ◯伊藤土木部長 御指摘の趣旨,周辺を含めまして回遊するような環境づくりが必要ではなかろうかということかと承知いたしましたが,私の方は,公園管理者といたしましても,弘道館公園の梅林,それから孔子廟,八卦堂,こういったものへの案内を強化する必要があるというふうに考えております。  そういったことから,観光客の動線を考慮しました園路の再整備,それから案内板の設置というものを検討していきたいと考えております。  また,弘道館周辺には,今,いろいろな施設というものがございます。そういったものを含めた回遊性の向上につきまして,これは車以外の交通機関で来訪された方へのサービスというものも当然含めて考えていかなければならないと思いますが,このような周遊性に寄与できるような案内板,そういったものについても,関係団体と協議しながら進めてまいりたいと考えております。 169 ◯高崎委員 部長,無料駐車場,普通乗用車,これが一つポイントかなというふうに思いますので,その辺も含めまして,案内板の設置も含めまして,ぜひ前向きな検討をしていただきますようにお願いを申し上げまして,土木部長への質問を終わります。ありがとうございます。  次に,弘道館を活用した歴史教育について,教育長にお伺いいたします。  弘道館は,水戸藩の藩校として天保12年に徳川斉昭公により創建されました。武芸一般のほか,医学,薬学,天文学,蘭学など幅広く先進的な学問を取り入れた,いわば総合大学と言うべきものであったとされております。また,第15代将軍となった慶喜公も5歳のときから弘道館において学び,慶応3年の大政奉還の後には,弘道館の至善堂において一時謹慎したものであり,この至善堂のほか,正庁,正門などは当時のものが現存しており,郷土の歴史を学ぶ上ではまたとない教材ではないかと考えます。  私は,水戸市内だけではなく,広く近隣の小中学校からもたくさんの生徒に来ていただきたいと考えておりますが,水戸市内の小中学生でも弘道館を訪れたことがないという生徒が多くいるということに驚きました。私は,県内の小中学校の生徒が弘道館などについては見学しておくべきと考えますが,実際には,どのような状況なのか,教育長にお伺いいたします。 170 ◯鈴木教育長 県内の小中学校においては,社会科副読本などを使って,市町村内にある身近な歴史的な建造物についての学習を行っております。特に,水戸市におきましては,弘道館や偕楽園などの成り立ちについて学習しております。  弘道館の見学者についてでございますが,個人的に行った者や学校の授業の一環として行った者を合わせますと,平成19年度に弘道館を見学した小中学生は,約3,500人で,そのうち水戸市内の小中学生は約1,000人いると聞いております。 171 ◯高崎委員 弘道館は,郷土の歴史教育を進める上でも有効と考えます。学校で学ぶことも大切でありますが,弘道館を大いに活用し,歴史教育を充実させていただきたいと考えますが,教育長の御所見をお伺いします。 172 ◯鈴木教育長 弘道館などを直接見学することは,子供たちの歴史に対する学習意欲を高める上からも大変有意義なことであると考えております。  今回の学習指導要領においても,伝統や文化に関する教育のより一層の充実が明記されたところでございますので,今後とも,それぞれの地域の神社や城跡などを積極的に活用して,さらに歴史教育の充実を図ってまいりたいと考えております。 173 ◯高崎委員 水戸の場合だと身近にありますすばらしい歴史的遺産でございますので,そういうところの活用も歴史教育を推進するためには,ぜひとも活用もしていただきたいなということを要望いたしまして,終わります。ありがとうございました。  弘道館の活用について,最後の質問となりますが,魅力ある弘道館づくりに向けて,知事の御所見をお伺いいたします。  弘道館という貴重な歴史的,文化的遺産の価値を最大限に発揮するためには,土木部や商工労働部,教育庁といった県の関係部局の連携はもとより,水戸市や観光,商工団体,地元商店街,各種ボランティア団体など関係団体が協力しながら,一体となって魅力づくりに取り組むことが重要であると考えます。  今後,北関東自動車道と東北自動車道の接続,茨城空港の開港といった時期を間近に控え,この弘道館の魅力向上についても,このような連携を強化しながら新たな決意を持って取り組むことが必要と考えますが,知事の御所見を伺います。 174 ◯橋本知事 弘道館は,水戸藩の伝統や当時の建築様式を今に伝える貴重な歴史的,文化的遺産でありまして,当時は,日本最大,かつ学問的にも国内有数の藩校であったことなど,本県が誇るべき財産であります。  これまで,ややもすれば,十分に活用されてこなかった嫌いがあるわけでありますが,昨今では,世界遺産登録を目指す取り組みや観梅時期に行っている正門の開放イベント,さらには水戸検定の試験会場や国民文化祭会場としての活用などにより,改めてその存在価値が再認識されているところであります。  このような中,御指摘のように,今年度は,北関東自動車道と東北自動車道が接続し,来年度には,茨城空港が開港するなど,今後は,国内外との交流が一段と活発化するものと考えられます。  私といたしましては,貴重な歴史遺産を単に次世代に継承していくだけではなくて,歴史教育などを通じ,創設された時代の背景や果たしてきた役割などを正しく理解してもらうこと,そして情報発信に努め,より多くの方々に訪れていただき,親しんでもらうことが極めて重要であると考えております。  このため,今後は,これまで以上に県内外へのPRに努めますほか,外国人を含めた多くの観光客に満足していただけるような取り組みを進めてまいります。  御承知のとおり,あの周辺,弘道館の梅林,あるいは旧県庁舎の桜並木と空堀,さらには水戸城薬医門等への道筋,あるいは園路の再編,そういったことによって,水戸城跡全体としての回遊性の向上を図り,魅力を高めていく必要があると考えております。  また,ボランティア団体と連携した観光案内の充実,さらには外国語による音声ガイドシステム等の新たなサービスの導入についても取り組んでまいりたいと考えております。  いずれにしましても,今御指摘いただきましたように,内外との交流が拡大される時期を迎えて,庁内の各部局の連携はもとより,水戸市やボランティア団体など関係団体との連携を一層強化しながら,弘道館の魅力の発信に向けて積極的に取り組んでまいります。 175 ◯高崎委員 知事,ありがとうございました。  先ほど,土木部長の方にもお話しさせていただきましたけれども,弘道館に直接前に車をとめて入る,それよりも実際には,私も何回か旧県庁舎の方に車をとめて行きましたけれども,あそこに空堀,料金所があって,すぐ正面に旧県庁舎がありまして,左手を見ますと,水戸市水道の低区配水塔が見えて,非常にロケーションがいい。右手を見ますと,知事のおかげで,あの辺の図書館,周辺の整備もされて,私も久ぶりに行きましたけれども,非常に感動しました。そこから裏に抜けて,八卦堂,また要石歌碑であるとか,学生警鐘であるとか,で,梅林を抜けて弘道館に入ると,非常にいいルートではないかなと。ただ,残念なのは,弘道館にそのまま車をとめて,観光バスをとめて入って,中に入るのはいいのですけれども,塀に囲まれて,そのまま後帰ってしまうというような,非常に。先ほどいった旧県庁舎に逆に向かってくれると,茨城県の魅力,また,水戸のよさというのは非常に感じられる。そういう意味では,また来たくなるというようなことが思われると思いますので,今,知事の決意をお聞きしましたけれども,何とぞ弘道館の活用につきまして,無料駐車場のことも含めまして,国文祭が間近でございますので,その辺もちょっとにらんで,スピードを上げて御検討いただきますように,これは要望でございますので,よろしくお願いを申し上げます。  次に,知的障害者雇用の取り組みについて,保健福祉部長にお伺いいたします。  茨城県における民間企業の障害者雇用率については,平成19年6月1日現在で1.54%と法定雇用率の1.8%を下回り,全国で36位と低迷しております。  このような状況において,身体障害者と比べ,とりわけ知的障害者の雇用の分野は限られております。このようなことから,私は,昨年3月の定例会で,行政が率先して知的障害者の雇用を推進すべきであると訴えたところでございます。これに対して,茨城県では,本年6月から保健福祉部において,知的障害者を非常勤嘱託職員として採用していただきました。この県の取り組みは,知的障害者を持つ親御さんにとっては大きな朗報となっており,高く評価するところでございます。  そこで,採用から3カ月が経過した中で,非常勤嘱託職員がどのような仕事をしているのか。また,非常勤嘱託職員に仕事を依頼した職員が,その職員に対してどのように感じているのか,評判ですね,また,保健福祉部長御自身がその職員に対し,どのように感じておられるのか,保健福祉部長にお伺いいたします。 176 ◯山口保健福祉部長 お答えいたします。  お尋ねの非常勤嘱託職員につきましては,本年6月から障害福祉課において勤務していただいております。  当初の1カ月につきましては,主に障害福祉課の業務に従事しておりましたが,7月からは保健福祉部内の9課からの依頼を受けて業務を行っております。  まず,どのような仕事をしているのかというお尋ねでございます。基本的には,臨時職員が対応している事務とほぼ同様でございます。具体的には,文書発送業務や書類の整理などがメーンとなっておりますが,最近では,電子タイトルプリンターを使ったインデックス作成やパソコンを使った表などの作成にも取り組んでいるところです。  先日は,非常に複雑な健康相談表の様式をエクセルを使って入力するなど,かなり高度な業務をこなしていただきました。  彼の人柄のよさと能力の高さが徐々に浸透し,最近では,各課からの依頼がふえてきております。  次に,仕事を依頼した職員がどのように感じているかですけれども,職員のアンケートを見ますと,非常によかったと答えた方が6割以上を占め,残りの4割の方もよかったという回答がありました。  また,自由意見のところの記載では,明るい人柄で誠実に仕事を取り組む姿が印象的である。集中力があり,周囲の職員に対する言葉遣いも丁寧である。長時間にわたる作業を黙々と迅速かつ確実に行っていた。短時間で丁寧に仕上げたなど,好意的な意見が圧倒的でした。  それから,私がどのように感じているかということですけれども,彼は11名の応募者の中から選考されまして,非常に明るく誠実な性格です。廊下などで会っても,いつもにこにことしてあいさつをしてくれます。また,スポーツマンでもありまして,県庁バドミントン部に入部し,毎週1回,ほかの部員の方と一緒に汗を流すなど,すっかり県庁生活にもなじんでいると聞いております。  過日の身体障害者スポーツ大会におきましても,カメラマンとして大活躍をしておりました。  私としましては,障害者ということを感じさせないくらい自然に溶け込んでいるという印象を持っております。  また,ほかの職員にもよい刺激になっているというふうに考えているところでございます。 177 ◯高崎委員 ただいまの部長の答弁で,知的障害を持っておられる方も十分に県庁で仕事ができることがわかりましたし,いい効果が出ているのではないかなというふうに思っております。  次に,県庁内知的障害者共同作業オフィスの設置について,続けて保健福祉部長にお伺いいたします。  千葉県では,チャレンジオフィスちばを立ち上げ,知的障害者5名を非常勤嘱託職員として採用しました。このチャレンジオフィスは,知的障害を持つ非常勤嘱託職員の5名が一つのオフィスで共同で県庁の各課から持ち込まれた業務,コピーの作業,また入力作業,シュレッダー,封筒に書類を入れたりする作業などを行っております。さらに,業務によっては,各課に出向き作業を行う仕組みであります。この事業は,昨年度から実施しておりますが,千葉県庁内各課からの業務依頼は絶えることがなく,職員からの評判も高いとお聞きしております。  私は,県の出資団体や市町村,民間企業における知的障害者の雇用を促進するためにも,県が率先して千葉県と同じような知的障害者の共同オフィスを設置すべきと考えております。  そこで,今後の県における知的障害者の雇用に対する保健福祉部長の御見解をお伺いします。 178 ◯山口保健福祉部長 お答えいたします。  知的障害者雇用につきましての基本的な認識といたしまして,委員御指摘のように,まずは県が率先して雇用することで,市町村や民間企業などにもその取り組みが広がっていくということが重要であるというふうに考えております。  今回の非常勤嘱託職員の雇用につきましては,試行的なものであり,まずは第一歩の取り組みであるというふうに認識しております。  先ほど御答弁させていただきましたとおり,現在の職員の評判はとてもよく,さらに,ここに複数の仲間がいれば一層励みになって,仕事にもさらに幅が出てくるのではないかというふうに期待しております。  このようなことから,委員御提案の共同作業オフィスについても検討するなど,知的障害者の雇用をふやすことについて関係部局と調整をしていきたいと,このように考えております。 179 ◯高崎委員 部長,ぜひよろしくお願いいたします。保健福祉部長への質問は,これで終わります。  次に,障害者へのやさしい社会づくりの取り組みについて,知事にお伺いいたします。  障害者への差別を禁止し,健常者と同等の権利を保障することを義務づけた障害者権利条約が2006年12月の国連総会において全会一致で採択されました。県においても,人にやさしいまちづくり条例により,ハード面の整備は進んでいると思っております。しかし,私たちが意識しなくても,障害者の方たちから見れば差別につながっている事例があることを知りました。  昨年のことですけれども,足に障害を持つ方と懇談した折,毎年,水戸では10月に市民運動会というのが行われますが,この市民運動会が話題となりました。この障害を持つ方が語ったことは,市民運動会に参加したくても,車いすに頼る自分には出られる種目がありません。だから,市民運動会には行きませんと答えていたのが私はすごい忘れられないのですけれども,町内で運営する市民運動会ですけれども,町内の人たちは決して差別しているわけではなく,むしろ気づかないわけです。しかし,障害を持つ方からは,差別として受け取られております。このことは,障害のある方への理解を深める取り組みが不足していることによるものと私は考えます。  千葉県では,平成18年10月に障害のある人も,ない人も,ともに暮らしやすい千葉県条例,いわゆる障害者差別禁止条例を制定し,平成19年7月に施行しております。  そこで,本県においても,千葉県のように条例が必要と考えますが,どのような御認識なのか,知事にお伺いいたします。 180 ◯橋本知事 千葉県で条例がつくられたということについては,承知しておりますが,同時に,この制定に際して,差別の定義について,市町村教育委員会や企業関係者から意見があったのを初め,さまざまな議論が行われたと聞いておりますし,制定からおおむね2年が経過した現在でも,経営者からは,障害のある方を雇用しない場合,能力の問題であっても差別と誤解されかねないなどの意見もあり,運用上の課題があると伺っているところでございます。  私といたしましては,理念としては,この条例は大変すばらしいものがあると考えておりますが,今申し上げましたように,検討すべき多くの課題があることに加え,この問題は,県や市町村単位でというよりは,国全体で取り組むべきものであること,さらには,不当な差別,その他の人権侵害は,障害のある方だけではなくて,女性や子供,高齢者等何人に対してもあってはならないものであることなどを考慮して対処していかなければいけない問題であると考えております。  国では,昨年9月に国連の障害者権利条約に署名し,現在,関係する9つの省庁で構成する障害者権利条約に係る対応推進チームが条約批准に向けた法整備等の検討を行っているとのことでございます。  特に,厚生労働省においては,例えば,車いすを利用する従業員のために,車いすが入る机を用意するなど障害特性に応じた必要かつ適切な調整である合理的配慮について,どのように法律に位置づけるかなどの研究が進められていると聞いております。  障害者へのやさしい社会づくりのためには,まず第1に,国が関係法令を整備して,この条約を批准することであると考えておりますので,御指摘も踏まえ,早期批准に向けて国に働きかけてまいりたいと思います。  また,先ほど,スポーツ大会に参加できないというお話がございました。個々につきましては,いろいろ考え方,難しいものがございますけれども,先ほども保健福祉部長が答弁いたしましたが,県でも,例えば身体障害者スポーツ大会というものをやっております。あるいは,オリンピックでも,オリンピック,パラリンピックといったような形がございます。やり方をどうするかという問題はございますけれども,いずれにしても,県としても,障害者スポーツ文化協会などもつくっておるところでございますので,最近では,市町村でそういった身体障害者のスポーツ大会なども各市町村で頻繁に開かれているようでございますので,そういったものの充実を初めとして対応を図ってまいりたいと考えております。 181 ◯高崎委員 知事,ありがとうございました。  今言った障害者のスポーツ競技とか確かにありますけれども,それは,障害者の方には通知されていることなので,それはそれでいいのですけれども,ただ一つ,私が言いたいのは,私も反省することですけれども,やはり気づかないことというのがありまして,その点,先ほど言ったように,昨年,そういう方とお話しされた折の話をしたわけでございますけれども,いずれにしましても,私自身も,今後,やはり差別ないような社会といいますか,それを目指すためにどうすればいいのか。また,私なりにも勉強しながら,また,今後御提案申し上げていきたいと思います。  知事,ありがとうございました。  次に,予防接種の未接種者防止対策について,保健福祉部長にお伺いいたします。  予防接種は,感染予防,発病防止,症状の軽減,疾病の蔓延防止などを目的として,個人の疾病はもとより,地域社会における疾病の蔓延防止のためにも必要不可欠であります。  現在,少子化が進む中で,共働き世帯が急増し,子供の予防接種を受ける機会が危惧されております。予防接種については,市町村が実施主体でありますが,市町村が実施している定期予防接種の接種率の状況はどうなっているのか,保健福祉部長に,まずお伺いいたします。 182 ◯山口保健福祉部長 平成19年度の定期予防接種の接種率の主なものについて申し上げます。  ジフテリア,百日咳,破傷風の,いわゆる三種混合ワクチン,これは生後90カ月までに3回接種することとなっておりますが,この3回の平均が81%となっております。  それから,ポリオワクチン,これは生後90カ月までに2回経口接種となっておりますが,平均が72%となっております。  それから,麻疹,風疹,混合ワクチン,これは1歳児と小学校就学前1年生の児を対象に2回接種することになっておりまして,この平均が89%となっております。 183 ◯高崎委員 部長,今御答弁いただきましたけれども,接種率,今,数字ですけれども,これは,私は,何か低いのではないかなというふうな認識なんですけれども,それでよろしいのでしょうか。 184 ◯山口保健福祉部長 予防接種については,いろいろと変遷がございまして,昔は強制的に予防接種を受けなければならないという時代もありましたけれども,副作用等の問題が出てから,最近では,基本的には集団接種でなく個別接種になりましたし,また,受けなければならないではなくて,努力義務と,受けるよう努めなければならないというふうに変わってから接種率が90%を超えていたものが低くなってきたという状況はございます。 185 ◯高崎委員 私は,子供たちの健康を守る,また,健全な発育を考える上で予防接種は大切であると考えます。未接種者に対する啓発や未接種者に対しての個別通知による接種勧奨などして,接種率を上げる必要があると考えますが,県として,接種率向上のためにどのような取り組みをされているのか,伺います。 186 ◯山口保健福祉部長 先ほど委員からございましたとおり,基本的には,市町村事業となっておりますけれども,県といたしましても,市町村を支援する形で,個別通知や広報紙,ホームページの掲載などいろいろな手法によって周知啓発に努めるように,市町村にも周知を図ってきたところです。  しかし,未接種者を少しでも少なくするという観点から,国におきまして,本年4月に定期予防接種の実施要領が改正となりました。この改正に伴いまして,接種対象者への周知方法は,原則として個別通知,また,予防接種台帳の活用や就学児の健康診断の機会をとらえた接種勧奨を行うよう,新たな規定が設けられたところでございます。  県におきましては,予防接種対策協議会におきまして,予防接種の適正な実施や接種率の向上について検討を行い,必要に応じて医師会と連携し,市町村に対し助言しているところでございます。  今後も,子供たちの健康を守るため,市町村に対しまして,各種の機会をとらえ,個別通知の実施はもとより,未接種者に対しまして,丁寧な接種勧奨を行うよう働きかけていきたいと考えております。 187 ◯高崎委員 ぜひ接種率向上に向けた積極的な取り組みをお願いいたしまして,保健福祉部長に対する質問を終わります。  ありがとうございます。  最後の質問となります。学校給食における食育と地産地消への取り組みについて,教育長にお伺いいたします。  さきの通常国会で,学校給食法が改正され,来年4月に施行されます。学校給食の目的が栄養改善から食育に大きくかじを切ることになりました。この改正法では,栄養教諭の役割を明確にし,食育の指導に当たることになります。さらには,地場農産物を給食に活用し,地域の食文化などの教育を行うように求めており,教材として,学校給食を位置づけております。食育が進むかどうか,栄養教諭の力量に負うところが大きくなると考えます。  そこで,茨城県の栄養教諭の配置状況と栄養教諭の効果,また,課題など,どのような認識でおられるのか,教育長に伺います。 188 ◯鈴木教育長 栄養教諭につきましては,平成17年度に創設されました栄養教諭制度によりまして,本県では,平成18年度から平成20年度にまでに36名の栄養教諭を配置しているところでございます。  栄養教諭は,これまでの給食管理業務に加えて,食に関する指導の年間指導計画等の作成や食物アレルギー等の児童生徒への個別相談指導,コーディネーター役としての学級担任等との連携調整などに中核として参画し,学校全体における食育の推進を図る上で極めて重要だというふうに考えています。  昨年12月に調査した結果によりますと,栄養教諭を配置した学校におきましては,朝食を食べる子供や3食を必ず食べる子供,好き嫌いがなく食べる子供の割合がふえてきており,食育の面からも成果を上げてきているものと考えております。  今後の課題でございますが,まだまだ市町村においては未設置の市町村とか,あと,全体的に36名という中で言いますと,すべての学校に配置しているわけではございませんので,特に未設置の市町村に対しまして,優先的に配置をしたいと考えておりますが,人件費の増を伴うなど財政上の問題もございますので,総務部と十分協議を行い,平成21年度以降の配置計画枠を策定した上で対応してまいりたいと考えております。 189 ◯高崎委員 教育長,ありがとうございます。  いずれにしましても,全市町村に栄養教諭の配置がなされるべきと考えておりますので,今後の栄養教諭の配置について,よろしくお願いを申し上げまして,私の質問を終わります。  ありがとうございました。 190 ◯新井委員長 最後に,鶴岡委員。
    191 ◯鶴岡委員 自由民主党の鶴岡正彦でございます。  当委員会最後の質問者でございます。最後まで緊張感を持っていきたいと思いますので,よろしくお願いをしたいと思います。  私の方は,まず,今後の財政運営についてお尋ねをいたしたいと思います。  地方財政をめぐる大きな話題といたしましては,夕張市の財政再建団体への転落の問題がございます。改めて限界自治夕張検証を読んでみました。それは,なぜ議会がチェックができなかったのか,そういうことを中心に見てみました。そうしますと,やはり,夕張市で行われておりましたことは,第三セクターの赤字を市が補てんをするに当たりましては,特別会計を経由して一時借入金を出納整理期間内に行わなかったということがまず1点,そして,やみ起債も行われていた。これらに対する説明を議会に,また,市民に対しても行ってこなかった,これが大きな原因であろうというふうに思っております。  私は,こういう事態を茨城県に当てはめてみて,どういうふうに考えていったらいいか,これをまず検証してみたいというふうに思います。  そういう意味では,夕張市は,不適切な会計操作が恒常化をしておりまして,財政規律が失われていた。そして,破綻という結果になった。やはり将来のきちんとした見通しを持って財政運営を行うべきであった。その結果,財政再建団体への転落ということになったわけでございます。  また,こうした事態を踏まえまして,新たに地方財政健全化法が本年度決算から適用されることになりまして,将来負担比率など新たな指標が設けられたところでございます。  私は,身の丈に合った財政運営をこれから心がけていかなければいかない。そして,財政状況をきっちり議会に,県民に示していかなければいけないということを改めて感じているわけでございます。  そこでまず,総務部長にお尋ねをいたします。  本県財政の実力はどの程度なのか。また,県の財政運営というのは制約が多くて課税自主権も簡単には行使できない,そして国のように収入の不足を補う赤字県債を出すことができない,こういう制約の中で,やはり身の丈に合った財政規模がどれぐらいなのか。そして,今後を見通した場合に,本県の県税収入の実力はどれぐらいあるのか。また,その場合に,財政規模はどの程度になるのか,そういうことをまずお尋ねしたいと思います。 192 ◯新井委員長 鶴岡委員の質疑に対する答弁を求めます。  上月総務部長。 193 ◯上月総務部長 お答え申し上げます。  本県財政は,現在,未曾有の危機的状況ではございますが,本県は,広大で平たんな県土,温暖な気候に恵まれ,災害が少なく,首都東京に近接していることなど,全国でも有数の発展可能性があり,陸・海・空の交通インフラの着実な整備などにより企業立地も好調に推移するなど,発展可能性が現実のものとなりつつあり,産業大県づくりが着実に進んでおります。  本県のポテンシャルを確実に発揮していけば,景気等の要因に左右されながらも県税収入のベースは着実に高まっていくものと考えてございますが,将来の発展まで見通して県税収入を楽観的に見込むことは,現状は大変難しい状況だというふうに考えております。  本県の身の丈に合った歳出規模という御指摘がありましたが,これを考える上では,県税収入のほかに地方交付税や国庫支出金,あるいは県債なども大きな割合を占めておりますので,一概に言うのはなかなか難しい面がございますが,交付税算定上の理論値でもある標準財政規模をもとに,その他の財源を加算して考えてみましたところ,おおむね1兆円を少し上回るところから1兆1,000億円程度ぐらいかなと,1兆円をやや上回る程度の規模ではないかなと考えておりまして,現在,本県が編成している予算とは水準としてはおおむね同水準となります。  また,他県との比較におきましても,本県の県税予算の規模は,ほぼ人口規模に見合った全国順位となっておりますことから,本県の現在の身の丈に合った歳出規模といたしましては,1兆円をやや上回る程度が妥当な規模と言えるのではないかなと考えてございます。  しかし,その総額の中で,社会保障関係費や公債費の増嵩などにより財政構造の硬直化が進んでおり,政策的経費を圧縮せざるを得ない状況でございまして,持続可能で弾力性のある健全な財政構造にしていく必要があると考えてございます。 194 ◯鶴岡委員 ただいま,総務部長から1兆1,000億円,いつか通ってきた道と,こういう感じがいたしますが,やはり,この規模に見合った財政支出,そして,県債残高,これをいかに減らしていくかということが大きな課題であろうというふうに思っております。  財政健全化法に基づいて,将来負担比率という新たな財政指標が設けられたわけでございますけれども,この指標は,県の一般会計の県債だけではなくて,TX関連の区画整理事業や開発公社の工業団地なども含んでいるわけでございます。  県として,今後負担をしていかなければならない規模を示すものとして,さきに執行部からも新聞にも公表されましたけれども,平成19年度の決算では289.9%という数字が示されたわけでございます。この率が全国的に見てどの程度の位置にあるというふうにお考えになっているのか。また,高いという指摘が以前あったというふうに思いますが,その要因については,どのように認識をしておられるのか。また,来年度の決算からは,開発公社に低価法が導入されると,こういうことになっているわけでございます。そういうことを考えれば,この保有する土地が損失という形で現実のものとして比率の中に加えていかなければいけないということが見込まれるわけでございます。  そうした点を含めて,総務部長の認識をお伺いしたいと思います。 195 ◯上月総務部長 健全化判断比率につきましては,まだすべての都道府県の議会報告値がまとまっていない状況ではございますが,現時点で他県状況を調査した限りにおきましては,将来負担比率につきましては,高い方から5番目の位置にございまして,最終的にもほぼそのような位置づけになるものであろうと考えてございます。  この将来負担比率につきましては,早期健全化基準が400%とされておりますが,本県を含め,現在のところ,いずれの県でもこの基準は超えていない状況でございます。  その要因につきまして,本県の比率が全国的にも高いことにつきましては,詳細な分析は,今後国が発表する資料を十分に検証する必要があると考えておりますが,現時点では,このように考えております。すなわち,本県では,将来負担の見込み額が約2兆4,600億円となってございます。一般会計の県債残高や退職手当がその大宗,おおむね9割近くを占めてございまして,この状況は,各県にも共通した傾向ではないかと思料してございます。本県の場合は,特に,科学万博などを機に県勢発展のため,人口増加や企業立地促進に資する高規格幹線道路網の整備,あるいはつくばエクスプレスの整備,住宅開発や工業団地の整備など大規模な土地開発事業等を積極的に進めてまいりました。このため,県及び出資法人の保有土地に係ります借入残高が4,517億円に上り,これらに係ります将来負担見込み額が約2,000億円を超える規模となっておりますところでございまして,この点が他県と比べて将来負担比率が高くなっている大きな要因ではないかと考えてございます。  そして,この高い将来負担比率につきましては,将来のどの時点で,どれぐらいが現実の負担としてあらわれてくるのか,その遠近感の把握をすることも大変重要なことだと考えております。  御指摘もありましたが,例えば,今年度決算から低価法が適用される住宅供給公社や平成21年度決算からの適用を予定してございます開発公社などは,待ったなしで負担が現実のものとなってまいります。  したがいまして,この問題につきまして,重点的に御審議いただいた調査特別委員会の御提言を十分に踏まえ,関係する出資団体などごとに必要となります対策を十分に検討し,県財政に深刻な影響が生じないよう平準化を図りながら,かつ,できる限り早期に対策を打てるように工夫しながら20年程度の長期的なスパンで計画的に対応していく必要があろうかと考えてございます。 196 ◯鶴岡委員 今の状況を先ほど申し上げましたように,いかに説明責任を果たしていくかということが大切だと思うんですね。その辺については,いかがですか。 197 ◯上月総務部長 財政状況を適切に把握し,そして的確にわかりやすく説明する,公表していくことは大変重要なことと私も認識してございます。  これまでも,法律に基づきまして,財政状況の公表,あるいは決算等に関しましても,県政出前講座や各種広報媒体等を通じて,県民への説明にも努めてまいりました。今年度は,予算を家計に例えた説明を行うなど,よりわかりやすい公表などにも配慮しております。  一方で,御指摘のありました昨年制定されました新法では,将来負担比率というものが公表を義務づけられております。この将来負担比率によりまして,これまで共通の基準のもとで算定し,全国比較することが難しかった公営企業,あるいは出資法人の保有土地に係ります将来負担などにつきましても明らかになりました。この指標は,監査に付した上で議会に報告し,住民への公表が義務づけられておりますので,議会,さらには県民監視のもとでの財政規律の確立に資するものと認識してございます。  さらに,本県では,条例により一定の出資法人等につきまして,毎年度,経営状況等につきまして知事の審査結果の議会への報告等が義務づけられておりまして,その中で改善をする事項などについても明らかにしていくこととなっておりまして,現在,御案内のとおり,改革工程表という形で厳しくチェックを行っているところであります。  今後,これらの取り組みに一層力を入れますとともに,必要な場合には個別の出資団体等に係る課題,あるいは対応方針につきまして,議会で御審議いただくなどして的確,かつ,わかりやすく議会,あるいは県民への説明責任を果たしてまいりたいと考えてございます。 198 ◯鶴岡委員 財政状況厳しい中でございますが,財政再建のために病気になったということではないと思いますので,健康に十分留意して頑張っていただきたいと思います。  ありがとうございました。  ただいま,総務部長から答弁ございましたように,将来負担比率が全国的に高い状況にあるということであったわけでございます。やはり,その引き下げに向けた対応策をこれから考えていかなければいけないというふうに思っております。  とりわけ,県と公社とを合わせた保有土地に係る借入金は,約4,500億円でございます。保有土地の早期処分は喫緊の課題でございます。そして,この保有土地の処分に当たりましては,損切りを含めた弾力的な価格決定や出資法人を含めた金利負担の抑制策などが重要でございます。それらについて,これから質問をさせていただきたいと思います。  まず,保有土地処分に係る全庁的な取り組みでございます。  現在,県有未利用地の処分に当たりましては,茨城県未利用地処分推進本部が全庁的な戦略本部として機能しているわけでございます。しかし,その処分が喫緊の課題となっております工業団地は,未利用地ではないために対象外でございます。今後,大切なことは,この工業団地も含めた県の保有土地全体の早期処分に向けて,この推進本部を活用して全庁的,統一的な取り組みをするべきであろうというふうに思っております。  そこで,本部長でございます角田副知事に,今後どのように進めていくのか,お尋ねをしたいと思います。 199 ◯角田副知事 保有土地処分に係る全庁的な取り組みについてお答えをいたします。  県の保有土地のうちの県の未利用地につきましては,今,委員から御説明がございましたように,平成11年に設置をいたしました未利用地処分推進本部におきまして,処分等に係ります基本方針を作成し,この方針に基づきまして処分を推進しております。  現在までに約50ヘクタール,金額にいたしまして65億円の土地を処分をいたしております。  一方,工業団地につきましては,別途工業団地整備事業検討委員会で分譲価格の妥当性等を審査して対応しておりますほか,公有財産処理委員会も設置をいたしまして,公有財産全般についての処分価格等を評価して処分をしておるわけでございます。  御指摘のとおり,県の保有土地の早期処分は,喫緊の課題でございまして,経済情勢などの変化に対応いたしまして,場合によっては,損切りも含めた対応が必要であるというふうに考えております。  また,開発公社及び住宅供給公社の保有土地につきましても,これは基本的には公社の判断によりますけれども,本県の将来負担の圧縮及び損失に対する県の支援といった観点から,県の保有土地と一体的に検討していく必要があるというふうに考えております。  以上のことから,県といたしましては,これまで,各部局で対応しておりました組織体制を見直しまして,御指摘がございましたように,一元的,かつ迅速に意思決定できる庁内体制の整備が必要であるというふうに考えております。  したがいまして,未利用地処分推進本部の機能を拡充いたしまして,工業団地などを審議の対象に含めるなどいたしまして,保有土地全体の処分方針を検討いたしますとともに,弾力的な処分価格の設定も迅速に行えるような体制の整備に取り組んでまいりたいというふうに考えております。 200 ◯鶴岡委員 大変県民が注目をしておりますので,よろしくお願いいたします。  ありがとうございました。  次に金利負担の抑制でございます。  茨城県資金運用委員会は,県が保管をします現金でありますとか,基金等を有効に運用を図るということで設置がされているわけでございます。  県や出資団体が保有する土地に係る借入金の金利に関することは対象としておりません。しかし,利率引き下げによります金利負担の抑制は広義の資金運用でございます。  今後は,開発公社,住宅公社等の出資法人も含めた保有土地の金利負担の抑制を金融機関との交渉をやはり一元的に行うということも必要なのではないかというふうに思いますが,担当しておられます川俣副知事にお尋ねしたいと思います。 201 ◯川俣副知事 保有土地に係る金利負担の抑制についてお答えいたします。  まず,金利負担の抑制についての現状について申し上げますと,借入金につきましては,県が実施するつくばエクスプレス沿線地域の土地区画整理事業などはもとよりのこと,開発公社等の出資法人が実施する土地開発事業等に係る資金の借り入れに当たりましても,総務部が主体となって金融機関と交渉し,より有利な借り入れルールを設定し,低利な資金調達に努めているところでございます。  また,借入期間につきましても,将来の借りかえ時の金利変動を考慮しまして,借入期間の短い5年ものと,借入期間の長い10年ものとを適宜組み合わせることにより,より低利で,かつ今後の金利変動に伴う負担軽減にも配慮した借り入れを行っております。  さらに,土地売却時の繰上償還に当たりましても,利率の高い借り入れの償還を進めるなど,金利負担縮減に努めているところでございます。  しかしながら,土地売却等が計画どおりには進まない現状では,その金利負担が今後の各種法人の経営や県の財政運営上の大きな課題となっております。さらに,先ほど,総務部長が答弁いたしましたとおり,将来負担比率は全国的にも高い水準にあります。このため,今後,委員御指摘のとおり,出資法人も含めた保有土地全体に係る金利負担を抑制していくことがますます重要であり,そのためには,県全体の資金借り入れの一環として,資金調達も含めて,一元的に対応していくことが有効であるというふうに考えております。  また,財政再建等調査特別委員会におきましても,資金調達全般はもとより,特に保有土地対策を推進する上での金利負担軽減が強く求められたところでございます。  したがいまして,委員の御提言も踏まえ,資金運用委員会の機能を強化し,これまでの資金運用面の検討に加え,今後は,資金調達も含めて資金管理の総合的な調整を行えるようにしまして,金融機関との金利交渉を一元的,かつこれまで以上に強力に進めるなど,県全体の資金管理を戦略的,かつ効果的に進めてまいりたいというふうに考えております。 202 ◯鶴岡委員 この金利負担の抑制ということにつきましては,平成10年に金融機能安定化法という大変金融危機が陥ったわけでございます。その際に,10年間にわたって12兆円の国費が払われているわけですね。使われているわけです。そういう意味では,やはり,今,地方自治体が大変厳しい状況の中ですから,金融機関との金利折衝というのは十分に可能だというふうに思っております。その意味では,川俣副知事には,強い意思を持って折衝していただきたいとお願いをしておきます。  ありがとうございました。  次に,道路整備財源の確保に向けた取り組みについて,土木部長にお尋ねをいたします。  道路特定財源につきましては,平成21年度から一般財源化をするということが閣議決定されました。大変重いものでございます。麻生さんが多分きょう総理に任命されると,もうそろそろなったかと思いますが,麻生さんといえども,この方針を変更するのは非常に難しいというふうに思っております。  この本県への影響は非常に大きなものがあるのではないかというふうに思っております。しかしながら,この閣議決定の際には,必要な地方の道路はつくるということが明記をされましたが,どういう形でされるのかということについては明示がされていないわけでございます。この道路財源の道路特定財源は,今年度の税源の中で見ましても,6割を占めているということで,残りの4割が県債と税などの一般財源が充てられたということでございます。  そしてやはり,この財源を確保しなければ,県内の道路課題,またインフラ,そして将来の計画等も非常に難しくなってくるというふうに思っています。その意味で,私は,国に対して,そして県民に対してしっかり説明をするためには,どうしたらいいかということで,前々から土木部長に,市町村にしっかり調査を行うことが必要だろうと,市町村でどういう計画をまた持っているのか,どういう希望を持っているのか,また,県の計画はどうなのか,こういう具体的な数字を調査をして,数字を示しながら国に対して折衝していくべきだろうというふうに思います。  また,この道路特定財源を使うということについては,やはり担税者である県民に対してもしっかり説明していかなければいけないというふうに思います。その意味で,この市町村への調査等について,また,この道路の必要性についてどのように考えているのか,お尋ねしたいと思います。 203 ◯伊藤土木部長 それでは,お答えいたします。  委員御指摘のように,国の閣議決定におきまして,地方の真に必要な道路はつくるということは決まっておりますが,どのようにつくるのか,そのまた財源をどのように確保するかという点につきましては,きちっとまだ議論もされていない状態でございまして,私どもも非常に不安に思ってございます。  御指摘のように,財源についても,道路整備に必要な支出の約6割程度しか特定財源で賄われていない。一方で,高規格幹線道路も未完成でありますし,危険な箇所が3,000カ所もあるというような実情にあることは御案内のとおりでございます。  さらに,この4月には,一時的でございますが,道路特定財源の暫定税率が期限切れになったというようなところでございまして,昨年度来,議員の御指導などもいただきながら,地方の道路の整備の必要性,それから財政状況といったものについて中央に訴えてきたところではあるのですが,中央の一部の方々には十分に理解していただけなかったのではないかという思いを私自身も持っております。  当たり前のことではありますが,地方の道路整備の要望というものは,経済界やそれからそこに住んでおられる住民の方々からの要望,こういったものを受けたものであるところであるのですが,何とかバイパスが必要だとか,財源を確保だと,そういうような形で私どもが訴えてきたところ,中央の一部では,これは道路をつくりたい人が言っているだけだというような誤解も一部にはされているところでございます。  そういったことで,今後,住民ニーズを誤解されないように訴えていく必要があろうかと思っておりまして,県内にどれだけの道路に関する課題がありまして,今なお整備途上にあるのか,そしてそれがどれだけ県民の声に裏打ちされたものであるのかということをわかりやすくまとめていく必要があると考えておりまして,委員御指摘のように,全市町村に対しまして,道路に関する課題,どこにどれだけのものがあるのかということを今,調べをさせていただいているところでございます。  今後,その調査結果を取りまとめて,国に対して,国の方は5月13日の先ほどの閣議決定で新たな中期計画を策定するというふうに言っております。こちらの方は5年間の整備計画というものをまとめているものでございますが,私どもは,その5年間に整備する対策事業といったものに限らず,道路の問題箇所の全体像がどれだけあるのか,これも御指摘のように数字を示した上で,国に対して訴えていきたいと思いますし,また,県民の方々にも,実際の生活に身近に直結する問題ですということをもう少しわかりやすく整理して,説明責任を果たしていきたいと考えております。 204 ◯鶴岡委員 ことしの国の予算の審議の中で,道路中期計画,また道路利用予測等が非常にアバウトなものであったというようなことで,数字等も二転三転したという経緯がございます。私は,やはり,市町村の課題を十分に調査をした上で,道路の整備の方針を策定していくということが必要だろうというふうに思います。  そういう資料があって,裏づけがあって,やはり県民の皆さん方に御理解いただくということが必要だろうと思いますので,これからも進めていっていただきたいと思います。  ありがとうございました。  それでは,最後に,これまでの議論を踏まえまして,知事にお尋ねをしたいというふうに思います。  中期的な財政運営についてということでございます。  この中期的な財政運営をするということは非常に漠然としたものを聞くような形で大変心苦しいのですけれども,しかし,県としての方向性をやはりしっかりつくって,一つのフレームをつくっていくということは大変重要なことだろうというふうに思っています。  この予算の単年度制の弊害ということもございますので,私は,やはり,これから将来を見据えた事業目標の設定でありますとか,また,全国的にも先ほどお話があった将来負担比率が非常に高いということで,それを見据えながら,そしてその縮減策等を踏まえて,インフラ整備の維持,管理でありますとか,経費等の検証等も行いながら,やはり中長期の財政フレームを作成するということは重要なことだろうというふうに思っています。  地方の財政の将来をつくるということは,先ほども申し上げましたけれども,なかなか難しいものがございますが,知事は,どのようなお考えをお持ちになっているのか,お尋ねしたいと思います。 205 ◯橋本知事 御指摘のとおり,現在の財政危機を克服して,持続可能で健全な財政構造を確立していきますためには,中期,長期的な視点を持って財政運営に当たっていくことが極めて重要であると考えております。  そのため,本県では,3年間を経過期間とする財政集中改革プランを策定し,毎年度,財政収支見通し及び財源確保目標額を見直しながら,計画的な財政運営に努めており,また,義務的経費の柱であります人件費につきましても,5年間の定員適正化計画を策定し,計画的に職員数の削減を行っているところであります。  御提案のありました中で,特にインフラの維持,更新等に係る中長期的な財政需要につきましては,施設を新設する場合はもちろんのこと,今後,これまでに整備してきた各種のインフラが経年化により急速に維持管理の経費が増大していくこと,あるいは更新の時期を迎えようとしていることなどを考えますと,これから大変膨大な財政需要が出てくる可能性がありますので,これまでにも増してしっかりと見きわめていかなければいけない極めて大切な点であると考えております。  中長期的な財政フレームについては,御指摘にもありましたように,そのつくり方,大変難しい面,特に地方財政対策がどうなるかによって大きく左右される面がございますので,特に長期的なものはなかなか難しいところがございますけれども,御指摘を十分に踏まえながら計画的に事業を行ってまいりたいと考えております。  特に,財政健全化法に基づく将来負担比率につきましては,先ほど来御指摘がありましたように,本県,全国的にも大変高い水準にあるわけでございますので,県債残高の抑制や保有土地の早期処分,企業誘致による税源涵養などに努め,計画的にその改善に努めてまいりたいと考えております。  なお,年度間の財政調整ということにつきましては,現在,財政的な余力がほとんどない状況にございますが,安定的な財政運営のためには,本来は県債管理基金や財政調整基金について,将来負担を見据えた運用の仕組みを構築していくことが必要であると考えております。  今年度末には,平成21年度を初年度とする新たな財政集中改革プランを策定予定でございますので,御指摘をいただきました点を十分に踏まえて,新プランの策定に反映させますとともに,中期的な視点に立って,今後の財政運営の健全化に努めてまいります。 206 ◯鶴岡委員 年度間の財政調整というのは,非常に難しい部分だと思いますけれども,よろしくお願いしたいと思います。  次に,国と地方の役割分担の明確化とその推進に向けた取り組みについてお尋ねしたいと思います。  地方分権改革推進委員会の2次勧告が年度内にも出されるという情勢でございますが,私は,2点ほど,知事にお願いをしておきたいというふうに思っています。  1つは,言い古された事項ではございますけれども,地方が関係する法律の制定等に当たりましては,やはり事前に地方に役割分担でありますとか,財源の措置の問題でありますとか,そういうことについては,地方の了解を得るということは基本だろうというふうに思うんですね。  そういう意味では,この了解を得る仕組みを今後どういうふうにつくっていくかということがあろうかと思いますが,国に対して明確に申し入れをしていただきたいというふうに思います。  それから,もう1点は,今,国から市町村への直接的な補助金が非常に多くなっております。実は,この問題について,どこか国で一元的に管理しているかと思って調査をしましたけれども,総務省の調整課には補助金の一覧表はあるけれども,どれが直接行っているんだというのはわからないというんですね。そういう意味では,まさに今,市町村が県に対して,この問題はどうなんでしょうという相談をしても,県が全くわからないという情勢になっているわけですね。そして,やはり問題なのは,国,県,市町村の二重行政,三重行政が行われるということが往々にしてございます。例は申し上げませんけれども,そういう意味では,国が直接市町村へ交付する補助金等については,一元的に県の方を通してやっていく,こういうことが今必要なのではないのかなというふうに思っています。  この2点について,知事会等からぜひお願いしてもらいたいと思いますが,知事は,この件についてどのようにお考えになっているか,お尋ねしたいと思います。 207 ◯橋本知事 これまで,地方が関係する法律等の改正,創設に当たりましては,旧自治省の担当セクションが地方に新たな負担を求める補助制度なども含めて,地方の立場に立って,各省庁と熱心な折衝を行ってくれておりました。しかし,最近の総務省の状況を見ておりますと,ややもすれば,国の中の総務省という立場に配慮しながら,協議,調整がなされている傾向があるのではないかと私は危惧をしておるところでございます。  こうしたことを考えれば,御指摘のありましたようなシステムを早急につくっていくことが必要であると考えております。このため,知事会を初め,地方6団体におきましては,国の政策制度の立案,執行過程において,国と地方が対等の立場で直接十分な協議を行い,地方の意見を反映させていくシステムとして,仮称地方行財政会議の法定化を現在議論が進められている第2期地方分権改革の中で実現できるよう,国などに強く求めているところであり,今後とも,その実現に向け一層働きかけを強めていかなければならないと考えております。
     次に,都道府県を経由せず国から直接市町村に補助金等が流れているとの御指摘についてであります。  私は,国,県,市町村の権限と責任の明確化という観点からは,直接国から市町村に補助するということは,必ずしもすべて悪いとは言い切れないのではないかと考えております。  しかしながら,それは,将来の地方分権,権限や財源の移譲に結びつくものでなければならず,三位一体の改革で補助金等の整理,合理化を進めたにもかかわらず,市町村や団体への直接交付という形で,新たな補助金や交付金を創設し,しかも,国が関与を努めていることはまさに分権改革の流れに逆行するものであると考えております。  国と県の施策の整合性を図るという意味で,国がまとめるということも一つの案ではございますけれども,国の立場で都合のいいものしか出されないと困りますので,地方の立場に立って必要な情報を漏れなく収集できるようなシステムをつくったほうがより適切ではないかと考えております。  現在,知事会が政府の地方分権改革推進委員会と連携して行っている直接市町村や団体へ交付している補助金等の状況調査の結果などを踏まえながら,地方6団体とも連携し対応していくことが必要ではないかと考えております。 208 ◯鶴岡委員 そこで,今のような問題等をこの県庁内でもしっかり受けとめなければいけないというふうに思っています。  実は,今,各部局の次長さん方,将来の部長さんでございますので,この次長さん方をやはり活用しない手はないというふうに思っています。  そういう意味では,次長さんを中心とするビジョン会議,笠原ビジョン会議とか,昔,北海道は赤レンガ会議というのがございましたけれども,そこで,時のアセスメントをつくったわけですけれども,そういうものを利用して,ぜひお願いできないだろうか。そして,そこでやることというのは,将来的な計画等に対する部局を横断した形の中の施策の検討,それから国会で行われている審議中の法案の情報を収集をして,県政へどういう影響があるのか,また,どういうふうに対処するか,こういうふうなことを検討したり,また,先ほどもお話し申し上げましたような国庫補助金の内容だとか,政策目的をしっかり把握をして,県の補助金と重複がないように協議をする,そういう次長会議,ある程度おおらかな形の中でいろいろな議論をしていく会をつくっていただいて,そこで受け皿としてやっていったらいいのではないかというふうに思いますが,知事のお考えをお尋ねしてみたいと思います。 209 ◯橋本知事 次長さん方にはしっかりいろいろなことについて検討してもらうために,政策調整会議というものを設置しております。ただ,ややもすれば現実的な政策課題への対応に追われて,将来のビジョン,あるいは国の方で何が行われているか,そういった面で十分にこの議論がされていない面もあるのではないかなと思っております。  今,いろいろな点についてもうちょっと次長さん方を活用しろという御意見でございますので,名前をビジョンというと,何か法案なんかの審議とかいうものともちょっと違うような感じがしますので,名前をどうするかは別といたしまして,次長会議でもっと本格的に,これからの県行政を担っていく皆さん方が立場を越えて議論する,あるいは将来のビジョンについて共有するというようなシステムをつくってまいりたいと思っております。 210 ◯鶴岡委員 1分ございますので,お願いをして終わりたいと思いますが,やはり,先ほども議論の中でございましたけれども,やはり説明責任をいかに果たしていくか,これが今一番重要な点ではないのかなというふうに思っております。  議会としても,しっかり審議をさせていただき,また,提言をさせていただきたいと思います。  知事も健康に十分御留意されて頑張っていただきます。  ありがとうございました。 211 ◯新井委員長 以上で,質疑を終了します。        ─────────────────────────── 212 ◯新井委員長 これより付託議案の採決を行います。  採決は,区分して行います。  まず,第97号議案及び第98号議案について,原案のとおり決することに賛成の方は,挙手を願います。                  〔賛成者挙手〕 213 ◯新井委員長 挙手多数と認め,原案のとおり決しました。  次に,第99号議案について,原案のとおり決することに御異議ありませんか。              〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 214 ◯新井委員長 御異議なしと認め,原案のとおり決しました。        ─────────────────────────── 215 ◯新井委員長 次に,閉会中における事務調査の件を議題といたします。  1 予算特別委員会の運営について  2 予算状況の調査について  以上を閉会中の事務調査事項とし,議長にその旨を申し出ることにいたしたいと思いますが,これに御異議ありませんか。              〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 216 ◯新井委員長 御異議なしと認め,そのように決しました。        ─────────────────────────── 217 ◯新井委員長 以上で,本委員会に付託されました案件の審査は終了いたしました。  なお,本委員会の審査結果報告書等の案文につきましては,委員長に御一任願いたいと思いますが,御異議ありませんか。              〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 218 ◯新井委員長 御異議なしと認め,そのように決しました。        ─────────────────────────── 219 ◯新井委員長 本委員会の審査に当たり,委員並びに執行部の皆さんには,長時間にわたり,終始熱心に御審議いただき,心から感謝申し上げます。  以上をもちまして,予算特別委員会を閉会いたします。  大変お疲れさまでした。                 午後4時38分閉会 Copyright © Ibaraki Prefectural Assembly, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...