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  1. 茨城県議会 2008-04-24
    平成20年文教治安常任委員会  本文 開催日: 2008-04-24


    取得元: 茨城県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-09
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1                  午後1時開議 ◯小田木委員長 ただいまから文教治安委員会を開会いたします。      ──────────────────────────────── 2 ◯小田木委員長 初めに,本日の委員会記録署名委員を指名いたします。  鶴岡委員と鈴木(亮)委員にお願いします。      ──────────────────────────────── 3 ◯小田木委員長 次に,4月の人事異動に伴いまして,本委員会の担当書記がかわりましたので,御紹介いたします。  議事課の平沼係長です。  政務調査課の佐藤係長です。      ──────────────────────────────── 4 ◯小田木委員長 次に,本日の日程について申し上げます。  本日は,教育庁,警察本部の順に出席説明者の紹介並びに報告事項等を行った後に,閉会中の審査テーマである「社会全体で取り組む健やかな子どもの育成」について審査を予定しておりますので,よろしくお願いいたします。  閉会中の審査テーマに関する審査については,まず執行部から説明聴取を行い,その後参考人をお招きして意見聴取を行います。聴取後,それぞれに委員の皆様から質疑や御意見をいただきたいと存じますので,よろしくお願いいたします。      ──────────────────────────────── 5 ◯小田木委員長 次に,出席説明者の紹介についてお願いいたします。  初めに,鈴木教育長。 6 ◯鈴木教育長 教育長の鈴木でございます。  本県教育の振興に向け,全力で取り組んでまいる所存でございますので,よろしくお願いをいたします。  それでは,教育庁の出席説明者を紹介いたします。  教育次長(総括)の福田敬士でございます。
     教育次長の中原一博でございます。  参事兼保健体育課長の市村仁でございます。  総務課長の小林由士郎でございます。  企画広報室長の守谷孝行でございます。  財務課長の萩野谷茂でございます。  義務教育課長の横瀬晴夫でございます。  高校教育課長の早川源一でございます。  特別支援教育課長の川村等でございます。  生涯学習課長の高野茂でございます。  福利厚生課長の池田幾夫でございます。  文化課長の石橋丈夫でございます。  総務課人権教育室長の矢口一則でございます。  高校教育課高校教育改革推進室長の横島義昭でございます。  義務教育課市町村教育推進室長の忍田暢男でございます。  義務教育課副参事の宮本義巳でございます。  高校教育課副参事の原篤範でございます。  生涯学習課副参事の小林俊秀でございます。  以上でございます。よろしくお願いいたします。 7 ◯小田木委員長 ありがとうございました。  それでは,ここで暫時休憩をいたします。  各委員は着席のままでお待ち願います。                  午後1時3分休憩      ────────────────────────────────                  午後1時5分開議 8 ◯小田木委員長 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。  続きまして,警察本部の出席説明者の紹介をお願いいたします。  小風警察本部長。 9 ◯小風警察本部長 警察本部長の小風でございます。  それでは,警察本部の出席説明者を紹介いたします。  委員席から向かいまして,私のおります席の右側から,  山上警務部長でございます。  続きまして,黒澤地域部長でございます。  続きまして,真家交通部長でございます。  続きまして,江畑組織犯罪対策統括官でございます。  同じく私の席の左側から,  助川生活安全部長でございます。  続きまして,石井刑事部長でございます。  続きまして,安警備部長でございます。  次に,2列目にまいります。委員席から向かいまして左側から,  宮内警備部参事官兼公安課長でございます。  続きまして,永塚刑事部参事官刑事総務課長でございます。  続きまして,宮本生活安全部参事官生活安全総務課長でございます。  続きまして,大高警務部参事官兼総務課長でございます。  続きまして,小野警務部参事官兼会計課長でございます。  続きまして,小島警務部参事官兼警務課長でございます。  続きまして,寺門地域部参事官兼地域課長でございます。  続きまして,小田部交通部参事官兼交通企画課長でございます。  続きまして,生出交通部参事官でございます。  続きまして,酒井刑事部参事官組織犯罪対策課長でございます。  次に,3列目となりますが,  関生活安全部少年課長でございます。  以上でございます。よろしくお願いいたします。 10 ◯小田木委員長 ありがとうございました。      ──────────────────────────────── 11 ◯小田木委員長 次に,御案内のとおり,先月3月19日に土浦市で起きた殺害事件で指名手配された容疑者が,同月23日同じ土浦市内で8人を殺傷するという痛ましい事件が発生をいたしました。  警察行政を所管いたします本委員会といたしましても,このような事件が二度と起きぬよう,鋭意審査をしていかなければならないと改めて思いを強くするところであります。  ここで,事件の被害に遭われ,とうとい命を奪われた2人の方々の御冥福を祈り,黙祷をささげたいと思います。  全員起立願います。                  〔総員起立〕 12 ◯小田木委員長 黙祷始めます。                  〔黙 祷〕 13 ◯小田木委員長 黙祷終わります。  御着席願います。                  〔総員着席〕      ──────────────────────────────── 14 ◯小田木委員長 次に,8人殺傷事件についての検証結果並びに今後の対応等について報告を求めたいと思います。  3月19日の事件発生から2日後,母親に第2の犯行を示唆する内容のメールが送られるなど,二次犯罪の可能性を予測しながらも,それを防げなかった捜査の問題点等がマスコミなどで取り上げられたところでございます。  警察本部では,昨日4月23日に捜査の検証結果等について公安委員会に報告し,了承を得た上で記者発表を行ったところでございますが,本委員会としても,検証結果,並びに今後の対応等について報告を求めたいと思います。  まず,小風警察本部長から説明を求め,その後委員の方から御意見等をいただきたいと存じます。  小風警察本部長。 15 ◯小風警察本部長 それでは,お手元に資料が配付してございますけれども,土浦市中村南・荒川沖東地内における連続殺人事件の捜査活動の検証結果について御説明いたします。  土浦市中村南地内における殺人事件,以下第1事件といいます。並びに,土浦市荒川沖東地内における殺人及び殺人未遂事件,以下第2事件といいます。これら事件に係る捜査活動の検証結果がまとまりました。  この検証の途中経過については,4月16日の公安委員会に報告したところ,装備資機材の携帯については十分に検証すべきである,発表に当たっては検証結果が明確となるよう表現方法についてよく検討してほしいなどの指摘があり,これを踏まえ,お手元の資料のように改め,昨4月23日開催されました公安委員会において了とされたところであります。  この資料に従って説明いたします。  まず,捜査の経過であります。  3月19日水曜日午前9時15分ごろ第1事件が発生し,午前9時23分に認知した茨城県土浦警察署,以下土浦署といいます。土浦署では,直ちに地域課員や刑事課員が現場に臨場し,また直後には警察本部通信指令課が緊急配備を発令いたしました。  午前9時45分ごろ,現場に遺留された自転車の所有者が本件被疑者金川真大であることが判明したため,同人宅に捜査員を派遣し,間もなく帰宅した母親への事情聴取など,所要の捜査を行いました。  なお,この間の午前10時35分ごろから45分ごろにかけて,土浦市内のタクシー,バス業者へ被疑者の発見等について協力を依頼するとともに,午前11時25分ごろには,マスコミへの第一報とほぼ同時に,土浦市教育委員会に対し,殺人事件が発生した旨及びその概要を通知し,児童生徒等の下校時の安全確保についての注意喚起の依頼を行っております。  また,午後1時33分から,犯罪発生情報や防犯情報を,県警から電子メールで配信する「ひばりくん防犯メール」により,殺人事件の発生及びその概要,凶器を持っている可能性があるので注意してほしい旨をアドレス登録者に配信し,注意喚起を行っております。  午後5時には捜査本部を設置し,刑事部長通達により,県下各署に対し宿泊施設等に対する一斉捜査の指示をするなどして,捜査を推進したところであります。  3月20日木曜日,祝日となりますが,この日は,宿泊施設,インターネットカフェ等の検索や現場付近の聞き込み捜査,卒業校,交友関係,元稼働先への事情聴取,証拠品の精査など,所要の捜査を推進したところであります。  3月21日金曜日でありますが,午前11時41分には,被疑者の携帯電話から母親の携帯電話に,「犯人はおれだよ,また犠牲者が数人ふえる予定だよ」という旨の電子メールが着信したため,午後零時ごろから,各署に対し駅での見当たり捜査等を速やかに実施することを電話で指示したほか,捜査員の捜査本部への追加投入や聞き込み捜査班のJR荒川沖駅等での見当たり捜査への任務変更などを行い,捜査体制を強化いたしました。  なお,この電話指示については,追って刑事部長通達として改めて指示をしております。  また,この日の午後までの押収物件の鑑定結果なども踏まえ,金川真大を被疑者と断定し,逮捕状を請求し,逮捕状の発付を得て指名手配をするとともに,午後6時50分ごろから,被疑者の人定事項や顔写真の報道発表や県警ホームページへの掲載による公開捜査を開始いたしました。  この公開捜査に使用した被疑者の写真は,逮捕状が発付される直前の午後4時30分ごろに入手しております。  なお,公開捜査を踏まえ,午後7時15分ごろから午後9時ごろにかけて,実質的には自治会会長である土浦市中村地区及び荒川沖地区の34の防犯ボランティア団体代表者に土浦署から電話をし,公開捜査になった旨及び被疑者が凶器を所持していることについての注意喚起をするとともに,情報提供の依頼を行っております。  3月22日土曜日でありますが,この日は,引き続きJR常磐線各駅等での警戒を継続しておりましたが,午後零時42分に被疑者から,「犯人は私です,早く捕まえてごらん」という旨の110番通報があり,JR荒川沖駅北東側付近での発信と判明したことから,直ちに緊急配備を実施し,被疑者を検索していたところ,午後1時38分に被疑者から無言の110番通報があり,JR取手駅付近での発信と判明したことから,JR取手駅を中心とする検索を強化するとともに,被疑者が東京方面に逃走する可能性を視野に入れたJR上野駅やJR秋葉原駅に至るまでの警乗等による検索,警視庁や千葉県警に対する手配,また荒川沖地区周辺に戻ってくる可能性を視野に入れた荒川沖地区周辺の検索等を実施しましたが,被疑者の発見には至りませんでした。  3月23日日曜日でありますが,午前11時5分ごろ第2事件が発生し,その直後被疑者が土浦署荒川沖地区交番に出頭したことから,午前11時16分,第1事件の逮捕状を緊急執行して逮捕いたしました。  次に,検証結果について申し上げます。  5点について説明いたします。  1点目は,情報発信についてであります。  土浦署では,第1事件発生から1時間弱で被疑者の母親からの事情聴取を開始しましたが,その時点では,被疑者が自宅に潜伏している可能性も視野に入れておりました。しかし,同女の承諾のもと被疑者の自室を確認したところ,被疑者が自宅にはいないこと,凶器の刃物が発見されていないこと,自室の壁に「死」という文字が書かれていたことなどが判明し,二次犯罪の危険性等も考慮して対応することといたしました。  そこで,先ほど説明したとおり,土浦市教育委員会への注意喚起依頼やひばりくん防犯メールの発信,公開捜査直後には防犯ボランティア等への注意喚起及び情報提供依頼など,一連の情報発信を相次いで行いました。  また,荒川沖地区周辺インターネットカフェ等に対しても,手配書を配布しての注意喚起と情報提供依頼を行いました。  しかしながら,その発信手段及び対象が限定的であり,少なくとも被疑者が立ち回る可能性を予測したJR荒川沖駅に対しては,事実関係の通報や発見時の協力依頼はもとより,注意喚起を行うべきであったと考えております。  また,公開捜査に踏み切った段階では,被疑者が刃物を持って逃走し二次犯罪を起こし得る蓋然性があることについて,荒川沖地区周辺への立ち回り事実を認知した段階では,再び被疑者が荒川沖地区周辺に立ち回る可能性があることについて,立て看板の設置,駅利用者や通行人に対するチラシ配布等による近隣住民や通行人への情報発信を検討すべきであったと考えております。  さらに,報道によるアピール効果は極めて大きいものがありますので,報道機関への広報に際しても,二次被害防止を注意喚起する表現を盛り込むことを検討すべきであったと考えております。  こういった点を踏まえまして,今後は,所属職員に対し,事件等の発生情報と二次被害防止のための防犯情報の提供は,犯罪捜査の遂行と同等の重要性を有しているのだという認識を徹底し,捜査上の支障等に配慮しつつも,県民の生命,身体の安全確保のための情報発信を適時適切に行う必要性を周知徹底してまいりたいと考えております。  2点目は,3月23日の捜査体制についてでありますが,3つに分けて説明いたします。  1つは,当日の全体の捜査体制についてであります。
     3月21日には,被疑者から母親への犠牲者がふえる予定だよという旨のメール内容を周知した上での二次犯罪防止を視野に入れた駅の固定化警戒等を指示した刑事部長通達を発出しております。翌22日に被疑者からの110番通報を受理した際には,直ちに緊急配備を実施して被疑者の検索を行ったものの,当時のJR荒川沖駅配置の捜査員が2名であったことなど,発見捕捉体制が十分ではなく,被疑者の発見には至りませんでした。  これらを踏まえまして,翌23日には,本部及び近隣7警察署の応援を得て,交代要員も含め約240名の捜査員を確保し,第2事件発生時点では,約170名の捜査員がJR荒川沖駅を含むJR常磐線のJR羽鳥駅からJR取手駅までの10駅,TXつくば駅からTX守谷駅までの6駅,JR秋葉原駅及びTX秋葉原駅の計18駅での見当たり捜査,電車への警乗による被疑者検索等を行いました。  2つは,荒川沖地区周辺における捜査体制についてであります。  捜査本部では,JR荒川沖駅西方約1キロの第1事件被害者の葬儀場,被疑者宅内外,JR荒川沖駅を含む荒川沖地区周辺を最重点箇所と認識し,本部捜査第一課特命班,機動捜査隊等を流動警戒班として配置し,葬儀場での不測の事態の絶無を期するとともに,被疑者を発見した場合の機動力活用を企図いたしました。  また,JR荒川沖駅についても,前日と比べて増員した8名の捜査員を配置いたしました。  この結果,第2事件発生時点では,荒川沖地区周辺全体で,警察車両14台,捜査員40名による被疑者の発見捕捉体制を整えました。  3つは,JR荒川沖駅における捜査体制についてであります。  JR荒川沖駅捜査班は,かつて警察本部で特捜員として内定捜査等に深い経験を有し,銃器捜査専科等で専門的な教育を受けた経歴を有する警部補を班長といたしまして,地域課員等で編成され,捜査本部では,改札口外側付近,改札口内のホーム等,それから駅東口,駅西口各2名の構成での見当たり捜査を指示いたしました。  荒川沖駅捜査班は,午前9時30分ごろに配置になりましたが,班長は時間の都合から配置前の実地踏査を行うことができなかったため,その時点での具体的な配置場所の選定は各班員の判断にゆだね,その後,第2事件の発生直前に,班員の配置箇所の適否を確認するため,みずからの配置箇所である改札口外側を離れ東口側に移動いたしました。これに加えて,改札口内側のホーム等の2名も,改札口内側と上り線ホームに分かれて見当たり捜査に従事していたことから,結果的には,被疑者がJR荒川沖駅改札口を通過した時点では,改札口直近の捜査員は改札口外側,内側とも1名のみとなってしまいました。  しかしながら,被疑者がJR荒川沖駅から外に出る場合には必ず改札口を通過することや前日の動向を踏まえると,改札口付近に,より集中的に固定配置して,見当たり捜査に専従させるべきであったと考えております。  また,捜査本部幹部は,捜査員の配置後にこの駅に赴き,配置状況の適否を確認して調整する予定でしたが,葬儀場の配置状況確認後,JR荒川沖駅に向かう途中に第2事件が発生しており,結果として配置状況の適否確認と修正が間に合わなかったものでありますが,捜査員配置前に捜査本部幹部が現場確認を行い,具体的な状況を想定した上で,班員への具体的な任務付与ときめ細かな指示をすべきであったと考えております。  3点目は,制服警察官の配置についてであります。  捜査本部では,駅での凶悪事件の発生を警戒するとの視点より,被疑者を発見した際には,追尾をし,捜査本部や機動捜査隊等と連携の上,人通りが少なくなった時期,場所で捕捉検挙するとの視点を優先し,JR荒川沖駅捜査班については,秘匿性を重視した私服員のみを配置いたしました。  しかしながら,けん銃と無線機を装着する制服警察官の存在というものは,私服員の運用による捜査の秘匿性を一律に阻害するものではなく,本件のように二次犯罪が想定される場合においては,あらゆる事態に対応することを第一義といたしまして,制服警察官の存在がもたらす注意喚起効果,犯罪抑止効果及び制服警察官を目にして不審行動をとる者の把握等捜査上の効果等を勘案いたしまして,被疑者の発見検挙を目的とする捜査員とは別に,当該活動を阻害しないような場所を選定しての制服警察官の配置も検討すべきであったと考えております。  4点目は,見当たり捜査についてであります。  捜査本部では,家族,卒業校,友人,元稼働先等の捜査により,3月21日午後に入手した平成18年11月9日付本人作成書類に添付されておりました3月23日の配置時点での最新の顔写真を使用した手配書を見当たり捜査に従事した捜査員に配付し,丸刈りになる可能性や眼鏡着用などの変装も示唆しておりました。  これを受けて,改札口外側配置の捜査員など一部の捜査員は,配付された手配書をもとに変装を想定した自作の手配書を複数枚作成するなどしていたところであります。  また,第2事件の前日の3月22日に被疑者はJR荒川沖駅北東側から110番通報し,その後1時間足らずでJR取手駅付近から110番通報しておりますが,この間に被疑者がJR荒川沖駅改札口を通過していることは,当時知り得た情報からも推測できました。このため,捜査本部では,駅事務所に捜査員を派遣し,暫定的に駅事務所内で防犯ビデオを再生確認したものの,画像不鮮明等により捜査員が類似性があると判断して抽出撮影した2名について,同日夜に両親に確認いたしましたが,いずれも被疑者とは異なる旨の回答であり,同日中にはビデオに映された被疑者を特定できませんでした。  さらに詳細な分析をするために,当該録画内容をビデオテープに保存するなどして押収しておりますが,第2事件発生までには当該ビデオテープの分析ができませんでした。  しかしながら,手配書については,変装を想定した各種パターンを含む手配書の作成,配布を組織的に行うべきであったと考えております。  また,ビデオテープについては,被疑者の逮捕後に詳細に分析したところ,第2事件敢行時と同様の人相着衣の被疑者を確認できたところであり,有効と目される捜査資料の収集については,関係者への働きかけを精力的に行い,迅速な入手と活用に努めるべきであったと考えております。  捜査体制や制服警察官の配置,見当たり捜査に関しては,今後,捜査員の運用要領や県警警察官全体の見当たり捜査能力向上のための教養訓練を実施してまいりたいと考えております。  5点目は,装備資機材の携帯についてであります。  捜査本部では,各駅の捜査班に対し,主として被疑者の発見と当該情報を捜査本部に速報する役割を期待し,発見後の被疑者の動向を継続して逐次報告させる通信手段としては,携帯電話が適切と判断いたしました。  また,イヤホンの露出等無線機の携帯による秘匿性阻害の可能性も懸念したため,耐刃防護衣の着装並びに警察手帳,手錠及び警棒の携帯を指示したものの,無線機の携帯については指示しませんでした。  班長は受令機を携帯しておりましたが,これは県内系無線の傍受による状況把握の必要性を認識した同人の個人的な判断でありました。  しかしながら,班員相互の即時一斉連絡手段としての無線機を秘匿性に配意した方法で携帯させ,携帯電話と組み合わせることにより,あらゆる事態に迅速に対応できるようにすべきであったし,被疑者の検索や流動警戒等に当たっていた機動捜査隊等とも直接情報共有できる無線機の携帯も検討すべきであったと考えております。  無線機を携帯させなかったことについては,本件捜査における大きな問題点であったと認識しており,今後,所属職員に対し,携帯電話と無線機の特性の違いについての周知徹底を図るとともに,活用訓練に努めてまいりたいと考えております。  なお,本件に関しましては,被疑者の銃器所持が予想される状況ではなかったということ,多数の通行人がいる駅構内でのけん銃の使用は極めて困難であったこと,機動捜査隊や自動車警ら隊等がけん銃を携帯していたことから,各駅の捜査班にはけん銃携帯の指示は行っていなかったところでありますが,この判断に問題はなかったものと考えております。  これまで御説明いたしましたように,検証の結果,本件捜査につきましては以上のような反省点があったことを十分に認識しております。今回の一連の捜査では,県民の治安に対する信頼が大きく失墜したということを厳粛に受けとめております。今後,このようなことのないように,信頼回復に向けて全力を尽くしてまいりたいと考えております。  以上でございます。 16 ◯小田木委員長 ありがとうございました。  ただいまの報告に対し,委員の方で御意見等がございましたら,お願いいたします。  井手委員。 17 ◯井手委員 それでは,質問に入らせていただく前に,お二人の犠牲者の方に改めて心から御冥福をお祈りしたいと思います。  二度とこのような事件がなく,県民にとって安心安全な県土がつくれますよう,冒頭,小風県警本部長を初めとする県警の皆様,幹部職員の皆様に一層の御努力をお願いをするところでございます。  私の方からは,3点にわたって,状況等の御報告,また今後の対策を中心にお考えをお聞かせいただきたいと思っております。  まず,捜査本部の体制のあり方でございますけれども,きょういただいた資料によりますと,3月19日の午後5時に捜査本部が設置をされているというふうに御報告をいただいております。本来,捜査本部は,このような形で被疑者が特定されている場合にはつくられない場合もあるというふうに伺っておりますけれども,あえてこの時点で捜査本部が設置された,その配慮につきましては可だったと判断をいたしますけれども,もう一度,どのような場合に捜査本部というものが立ち上げられるのかということについて御説明をいただきたいと思います。 18 ◯石井刑事部長 ただいま捜査本部の立ち上げということで,その基準等について御質問がありましたけれども,お答えいたします。  本県の捜査本部の設置基準につきましては,茨城県警察重要事件等捜査本部運営に関する訓令に基づきまして,重要事件と規定されました殺人,強盗,強姦,放火等の凶悪事件及び略取誘拐事件のうち重要なもの,大規模な業務上過失致死傷事件のうち重要なもの,大型の知能犯事件,大規模な暴力事件及び警備事件のうち重要なもの,最後に,上記以外で警察本部長が重要と認めた事件等がございます。さらに,犯行の手段,方法,被害の程度,捜査の難易度等から判断しまして,客観的に必要と認められる事件について捜査本部が設置されております。  なお,本件につきましては,ただいま申し上げました事項のほかに,被疑者が逃走していること,それと二次犯罪が予見されたことなどから,被疑者の逮捕状を請求する以前に被疑者の検挙等捜査を強力に推進するため,かつ組織的に捜査を推進するために捜査本部を設置いたしました。  以上です。 19 ◯井手委員 今の御説明の中にも含まれておりましたけれども,この捜査本部を立ち上げた背景には,二次的な事件の発生を抑止するためという理由があったという御説明でございましたが,具体的には,もちろん犯人,容疑者を検挙するということが一番の目的であるということも理解できますが,この二次的な事件の発生を抑止するために,この捜査本部内にどのような体制がとられたわけでございましょうか。 20 ◯石井刑事部長 この事件の発生につきましては3月19日でありますが,その日の午後5時には捜査本部を設置いたしました。多数の捜査員を可能な限り投入いたしまして継続捜査している中で,第2事件発生の時点では,先ほど本部長の方からも説明がありましたけれども,170名の捜査員が駅での見当たり捜査,それと警乗による,この警乗と申し上げますのは,電車等への捜査員の投入でありますけれども,被疑者の検索等を行っておりました。捜査本部では,事件事故の対応と後方治安要員の確保等を考えますと,これ以上の人員の確保は困難であると認識したところでありまして,この体制の判断は妥当なものであったと考えております。 21 ◯井手委員 そういうことではなくて,基本的には二次的な事件の発生を抑止するために捜査本部を立ち上げたというふうに御答弁をいただいたわけですが,捜査本部の中に,検挙はもちろん大切ですよ。二次的な事件の発生を抑止するために,どういう体制をつくられたのかということなんです。  では,もう少し具体的に言いましょうか。例えば捜査本部の中に,広報や情報提供を担当する部署というのは,位置づけられておりましたでしょうか。 22 ◯石井刑事部長 広報,あるいは情報発信ということでのお尋ねだと思いますけれども,これにつきましては,捜査本部の中にはシステム的にはございません。したがって,その捜査本部の中で教育委員会等への情報発信についてもやっておりました。  ただ,今後の対応としましては,このような捜査上の支障というのを前提に考えておりましたので,二次被害の発生が予想されるような今回の凶悪事件,あるいは捜査本部を設置する際には,事件の発生情報と二次被害の防犯情報を提供することを優先して,より効果的な広報で適時適切に行っていきたいと考えております。  以上です。 23 ◯井手委員 今の御答弁の中に,今回の事件の警察本部の皆さんの感覚が集約されているような気がするんですね。捜査本部の中には,広報や情報提供を担当する場所が位置づけられていないと言い切られていますよね。これが一番大きいんじゃないかと思うんですよ。いわゆる二次犯罪を防止するためには何ができるのかというのは,全体の捜査本部の中の大きな役割だったんじゃないか。もちろん犯人を捕まえるのが二次犯罪を防止する最大の役目なんですが,犯人に対して二次犯罪を思いとどまらせるという発想が,果たしてこの捜査本部の中におありになったのか,ならないのか。また,今後のことも含めて,これは本部長どうですか。 24 ◯小風警察本部長 まず,3月19日の時点での警察の活動について申し上げますが,捜査本部の編成及び任務につきましては,犯人の早期検挙,そしてまた19日の時点では,被疑者と目されておりました,結果的に被疑者であったわけでございますけれども,金川の逮捕状がまだ得られておりませんでした。その逮捕状を早く得るべく証拠を収集すると,こういった犯人の早期検挙による二次犯罪の防止ということを主眼としておったわけでございます。  他方,この捜査本部は土浦警察署に置かれておりまして,土浦警察署長は,一元的な指揮のもと,二次犯罪の発生による被害の防止という観点から,先ほど申し上げましたような土浦市教育委員会への注意喚起でございますとか,また県警本部へ連絡いたしましてひばりくんメールによる注意喚起,それからさらに防犯ボランティア等への注意喚起情報提供依頼など,こういったものを一連の活動として行っておったというのが実態でございます。  今後の対応についてでございますけれども,先ほど検証結果に関連して申し上げましたけれども,今後,この犯罪捜査による犯人の検挙と一般的な犯罪予防についての情報発信,注意喚起とは両輪であるということを徹底してまいりたいと考えております。 25 ◯井手委員 今回の事件を教訓にいたしまして,各地域では,地域のボランティアや,また防犯協力員の方々,それから自警団の方々が,いろいろなところで警察署の皆さんと連携をとり始めている,これは一つの大きなプラスの要因だと思っております。  そういったところも含めて,このいわゆる捜査本部が,積極的な広報体制といいますか,二次犯罪,三次犯罪を抑止するような方向の視点というものもぜひお持ちいただきたい。御要望させていただきたいと思います。  2点目に移らせていただきまして,私どもは,県議会議員といたしましては,この情報につきましてはやはり新聞報道等で知ることしかできないわけで,大変恐縮でございますけれども,新聞報道の中から何点か指摘をさせていただきたいと思っておるのでございますが,地元紙の3月27日付の朝刊の社会面に出ていた記事に,こういう一文がございました。  「捜査幹部は語る」という見出しがついておりまして,今回の事件は二次犯罪を想定して公開捜査に踏み切ったが,容疑者の性格から無差別殺傷するような犯行は想定していなかった,金川容疑者が異常な行動に出かねないと警戒はしていたものの,今回のような通り魔的犯行は想定外だったというふうに,幹部が語っているということを新聞記事はしておるんですが,これは事実でございますかね。いわゆる無差別殺傷するような犯行を想定はしていなかったんですか,本当に。 26 ◯小風警察本部長 お答えいたします。  捜査本部で当時想定いたしましたのは,無差別,要するに加害者と被害者との関係が明確でないような,そういった二次的な発生というものも視野に入れておりました。したがいまして,逮捕状の発付される前の段階から捜査本部を設置したわけでありますし,また条件が整った段階で公開捜査に踏み切ったわけでございます。  ただ,他方,被疑者の行いました第1事件が,人通りの少ない目立たないところでの事件であったことから,一般的な話になるわけですけれども,自分の前に行った行動と同じようなことを繰り返すということが多々あるものですから,駅のような大勢の場所での犯罪の発生,これも視野には当然入れていたわけなんですが,それよりも,自宅の周辺でありますとか,あるいは自分の今まで通っていた学校であるとか,あるいは第1事件の被害者の自宅の周辺,あるいは葬祭場の周辺,こういったところでの犯行の可能性もあったのではないかというふうに見ていたものであります。 27 ◯井手委員 この事件に関しましては,インターネット等でもいろいろな御意見が寄せられておったり,掲示板等でも,この容疑者がやっていた,熱中していたというゲームはこういうゲームだなどというのも紹介をされておりました。早い時点から,かなりそういった本人の性格的な,人格的な異常によるものが想定されていたわけでございますので,やはりこの段階で,いろいろな資料からこういった無差別殺傷というものも想定をして,全員がそれを想定した上での捜査に取りかかるべきだったのなかなと。  逆に言うと,この時点で,こういった新聞記事が出ること自体,やはり新聞はどなたかに取材をして,どなたかがこういう話をされているわけでしょうから,全員が全員でないにしろ,少なくともこの取材を受けた捜査幹部の方は想定をしていないという方がいらっしゃったのだろうというふうに理解をせざるを得ないんですね。  その上で,私,素人の浅はかな考え方なのかもしれませんけれども,こういったいわゆる動機なき殺人に関しましては,非常に近年多くなっています。そういう中で,よく特にアメリカの捜査手法の中で,プロファイリングという形の捜査手法があるというふうに伺うところでございますけれども,今回の一つの事例等は,まさにそういったプロファイリング的な手法,またはその専門官による捜査指揮,そういったものがあってしかるべきではないかなと考えておるんですが,今回の捜査本部の中には,いわゆるプロファイリング捜査の専門の方,または心得のある方が加わっていたのかどうかをお尋ねをしたいと思います。 28 ◯石井刑事部長 お答えいたします。  この犯罪者プロファイリングにつきましては,本県では,この能力を有する者はおりません。したがいまして,これを実施する場合には,警察庁の科学捜査研究所等への依頼ということでやらざるを得ないと。  以上であります。 29 ◯井手委員 確かに,どういう専門のスキルが必要なのかも私ども存じ上げておりませんし,茨城県警でそういう専門官を有するということは非常に難しいことなのかもしれませんけれども,現実,こういう事例というのは多々発生をしております。今がないということであれば,これは仕方ないことでございますけれども,今後は,こういった一つの事例に関してはどのような対応をお考えになっておりますでしょうか。 30 ◯小風警察本部長 プロファイリングの関係についてでございますけれども,このプロファイリング,本県の捜査におきましても,当県大宮署管内で遺体が発見されました女子児童の殺人・死体遺棄事件の捜査において活用した例はございます。このような例を見ましても,このプロファイリングの調査を開始してからその結果が出るまでには,かなりの時間がかかっているのが実態でございます。  なお,今回の反省点といたしまして,さまざまな情報収集の必要性,そしてそれの活用ということがあるわけでございますけれども,この種事案が起こりました場合には,犯人の行動の特性,そういったものから次の行動の予測でありますとか,あるいはどういったところに潜伏するのかといったことについてより詳細に分析するためにも,こういった心理学的な面の知識素養を持った者,こういった者との連携であるとか,こういった者を捜査に活用するということを視野に入れてまいりたいと考えております。 31 ◯井手委員 一連の,これはインターネット等の情報なのでどこまで信憑性があるかわかりませんけれども,今回,私も荒川沖駅を実際に見てまいりました。本人が反対側の入り口からショッピングセンターに走って,全速力で走りながら,手に持った凶器で,いわゆるのど元であるとか,首から上を次から次へ刺していく,切っていく,その様子をどういうふうな状況で見たのかなと思って,その現場を見させていただいて,なおかつその犯人が熱中をしていたといういわゆるゲームの内容を見てみますと,ほとんど全く同じような形状でございます。ゲームでは,大きなこういう刀みたいなものを振りかざしながら,まさに走りながら首を切ったり,頭を切ったりというのを本当に走りながらやっていくようなシーンが,まさに全く同じようなシーンが再現をされた。これは正直言って,プロファイリングの手法云々ではなくて,そういうゲームに熱中をしていたということをきちっと分析すれば,先ほどの繰り返しになりますけれども,無差別殺傷が想定されていないという言葉は,私は出てこないし,むしろそのゲームをそのまま自分がやってしまったならば,そういうところへの警戒というものが全く変わってきたのではないか。  ぜひともこのプロファイリングの手法,専門官を導入することがなかなか難しいとするならば,確かに分析に時間がかかるとしても,そういう素養のある方をぜひとも茨城県警本部にも迎えていただいて,または育てていただく,そういう体制を早急に整備をしていただきたいと思っております。  3点目でございます。これは捜査体制の,いわゆる捜査官お一人お一人の資質の問題でございます。先ほども本部長自身から,見当たり捜査というものについてまだまだ徹底されていなかった,教養をもっと深めてまいりたいというお話もございました。そのとおりだと思うのです。  これも新聞記事から,大変恐縮なんですけれども,その当時容疑者がどんな格好をしていたかというと,捜査本部の調べによると,金川容疑者は荒川沖駅構内に設置された防犯カメラに改札口を出る様子がとらえられていると。そのときの格好を見ると,黒の上下のスーツ,黒のネクタイ,ニット帽をかぶりリュックサックを背負う。これは,例えば少しやせたとか,太ったとかそういう状況でなくても,黒のスーツの上下に黒のネクタイで,ニット帽をかぶってリュックサックを背負う,これは素人が見てもおかしいのと違いますか。手配写真と似ているとか似ていないの以前の問題として,そのところで捜査官が見当たり捜査云々という問題でなく見過ごしてしまうというのは,乗降客が新宿とか上野とか何千人,何万人いる駅であればそれもそうかなと思うのですが,私も荒川沖駅でしばらく見て,列車が何本か通り過ぎるのを見ておりましたけれども,そんなに大混乱する駅ではございませんよね。そこの見当たり捜査云々自体は,果たしてそこの現場の警察官の皆さんに,ここに犯人があらわれるかもしれないという緊張感があったのか,ないのかということまで,大変恐縮なんですが,疑いたくなるような見逃し方なんですけれども,ここはいかがなものでしょうか。 32 ◯小風警察本部長 3月23日の第2事件発生前の状況についてでございますけれども,当時,駅に電車が到着したということもございまして,事件発生の直前には多くの人が改札口を通過していたということは,これは現在までの捜査でも判明しております。  その通過していた方々につきまして,駅から押収したビデオテープの解析も行ったわけでございますけれども,年齢でありますとか体格格好が,容疑者ではないかと思われる方々が何名かいらっしゃいました。  捜査を行う場合の実態を申し上げますと,ある人物が容疑性が高いかどうかを判断する,そしてその次にその容疑性に基づいて職務質問をする,そしてその職務質問により被疑者であるかどうかを解明すると,こういう一連の作業が必要になります。その一連の作業のためには,ある程度の時間がかかります。職務質問を一人の人間にするとなりますと,数分間から,場合によってはそれを超える時間になるわけでございます。そうしますと,あの状況で確信を持って職務質問をするということは,その職務質問中に次に別の容疑者と思われる者が通る可能性を考えますと,相当な確信がなければ職務質問に踏み切れなかったというのが実態であります。  そこで,私ども検証いたしました結果,これは現場にいた捜査員の問題ではなく,この当日の改札口の状態を見ると,改札口付近に,より集中的に固定配置して見当たり捜査に専従させるべきであったという,配置上の問題の方が大きかったのではないかというように判断したところでございます。  なお,捜査員個々の能力の向上ということも重要な課題でございますので,捜査能力の向上のために努めてまいりたいと考えております。 33 ◯井手委員 この件につきましては,私はそこにいた捜査員の方を責めているわけではございません。  特に,先ほどのプロファイリングの専門家との問題とはちょっと矛盾をいたしますけれども,県警本部の中でも,いわゆる団塊の世代の皆さんの大量退職の時代というのを迎えた。いわゆるベテランの方,見当たり捜査であるとかたくさんの場数を踏みながら経験を積み重ねた方が退職をされていく。若い方がその後を担って茨城の治安を守らなくてはいけない。ということになりますと,このベテランの方々の捜査能力なり,そういった一つの識見や教養というものをどう後輩につなげていくかということは,これは大きな問題だと思うのですが,最後にその辺だけ御答弁をいただいて,私の方からは終わりたいと思います。 34 ◯山上警務部長 ただいまのお尋ねの件でございますが,まず事実関係を御説明申し上げます。  荒川沖駅に配置されていた8名の警察官でございますが,責任者である係長を含めまして,実務経験30年以上の者が8名のうちの2名,それから実務経験20年以上の者が8名のうちの4名,実務経験が5年未満の者が残りの2名ということでございました。このような実務経験を見ますと,今回の事件と大量退職との間に直接の関係はないのかなというふうにとらえておるところでございます。  他方,委員おっしゃいましたように,警察といたしましては,ベテランの警察官の大量退職による執行力の低下といった問題,これは防がなきゃいけないと考えておりまして,優秀な人材の採用,それから若手警察官の早期戦力化,それからベテランの優秀な技能を若手に伝承していく,こういった対策に,より一層熱心に取り組んでまいりたいと考えております。 35 ◯小田木委員長 ほかにございますか。  鶴岡委員。 36 ◯鶴岡委員 2名の方が亡くなって,お悔やみを申し上げたいと思いますが,こういうことのないように検証結果が出されたわけでございますので,それについて私の方からお尋ねをしてみたいと思います。  検証結果を伺ってみますと,私の率直な印象というのは,手段の目的化が起きていたのではないかと,こういうことでございます。無差別な殺傷事件等々が想定されていなかったということが,やはり根底にあったということじゃないのかなと思うんですね。  そういう意味では,安心安全な社会の形成の確立というのはいろいろな手段がございますけれども,この手段の一つが,手段ではなくて目的になっていたのではないかと,こういうことでございます。つまり地域の安全の確保の手段の最たるものというのは,検挙でございます。検挙を第一義に考えてこの事件の捜査に当たられたということじゃないのかなと思うわけですね。  手段というのは,一つには,常日頃からの犯罪抑止の啓発活動でありますとか,またこれまでいろいろ起こっていた事件等の再発防止,そういうことを考えながら注意喚起をする,情報発信をする,こういうことであったのだろうと思います。  しかしながら,今回の事件は,検挙という手段が目的化してしまった結果,二次犯罪を防止することができなかったのではないのかなというふうに私個人は考えるわけでございます。この点については,警察本部の方ではどのように認識しておられるのか,お尋ねしたいと思います。 37 ◯小風警察本部長 今回の事件についてでございますけれども,私どもといたしましては,二次犯罪の発生,そしてその事件というのは加害者との直接的なつながりのない,いわば通り魔的な事件,こういったものも十分に想定をし,捜査本部の設置,公開捜査を行っていたわけでありますし,また,先ほど申し上げましたような注意喚起のための情報発信活動を行っていたところでございます。  しかしながら,今回の検証結果を受けまして,今後のあり方といたしまして,本部職員等警察職員全体に対しまして,事件の発生情報と二次被害防止のために防犯情報を提供するということは,犯罪捜査を行うことと同等の重要性を持っているという認識を徹底いたしたいと考えております。そして,県民の生命,身体の安全確保するための情報発信を適時適切に行ってまいりたいと思います。  具体的には,事件発生直後から,特に各自治体の皆様方も非常にこの点について問題意識をお持ちになられ,全警察署で,自治体,さらには防犯関係のボランティア団体と情報発信のあり方,その全体といたしましての事件発生時の通報のあり方,そして通報を受けた自治体,あるいは防犯ボランティア団体がどのように対処するかということにつきまして,非常に建設的な議論が行われております。こういった取り組みを私どもも継続して行ってまいりたいと考えております。 38 ◯鶴岡委員 そういう情報発信が一番大切だと思うんですね。そして,犯罪の防止をするためには,情報をいろいろいただく,そして情報を発信する,この信頼関係が,まさに体感治安を守っていくという大変大きな要素だろうと思うんですね。  その意味では,今回大変大きな犠牲があったわけでございますが,全国的にもまれな事件であったと思います。この事件を契機として,さらに県民に信頼される警察を目指して頑張っていただきたいと思います。  以上で終わります。 39 ◯小田木委員長 ほかに質疑ありますか。  長谷川(修)委員。 40 ◯長谷川(修)委員 お亡くなりになりましたお二人に,心から御冥福を申し上げるものであります。  二度とこのようなことが起きないように,本部長初め,皆さん方の御努力をお願いしたいわけでございますけれども,今,井手委員,さらに鶴岡委員から質問がありまして,検証結果についても,本部長初め,皆様方から伺ったところでございますけれども,時代がかなり複雑化してまいりまして,そして家庭や教育やいろいろな課題があって,いわゆる警察の力と今の時代,なかなか捜査そのものが追いつかなくなってきつつあるのではないか。
     今回の事件も,二次的なものの防止という意味では,当然,本部長初め皆様はプロでございますから,県民のために体を張って命を張ってやっておられる。そして,我々は素人でございますから,とてもその御苦労とかいろいろなものというのは十分わからないところもあるわけでございますけれども,そういう時代にあれば,御自分たちの力をもっと発揮するために,先ほど鶴岡委員からもありましたようにもっと情報発信をしていただいて,また一方情報をいろいろ拾うという,ふだんからの努力が必要ではないかなと考えております。  今回の件につきましては,我々も,県民の皆さん方からいろいろな意見をいただきました。特に地元の青山議員なんかからもいろいろな話を伺いまして,その都度県民の皆さん方からいろいろな御意見をいただいて耳を傾けておるわけでございますけれども,例えば一つ一つのつぶさな事象,それはそれぞれの警察署,さらには交番等々の日常活動での情報収集によるところも大きいのではないかなというふうに思っています。  したがいまして,プロですから当然出せない情報もある,皆さん方には出せない情報もあるけれども,もっともっとできるだけその情報は出していただいて,そして情報収集していただくということが,これから二次的なものを防止することには大変重要になってきますし,抑止ということでは大変重要になってくるというふうに考えるわけですけれども,本部長の御意見をいただければと思います。 41 ◯小風警察本部長 今回の事案の検証結果については,先ほど申し上げたとおりでございますけれども,ただいま委員から御発言のございました情報発信の問題,今回の一連の捜査活動におけます情報発信について,問題だったと認識しておりますのは,私どももさまざまな形で情報発信に努めたつもりではございましたけれども,今こうやって検証してみますと,その情報発信の手段,それから対象が限定的であったということは,反省しなければならないと考えております。  したがいまして,この情報発信につきましては,今までのやり方にとらわれることなく,もっと方法の多様化,それから対象につきましても,必要とされる方に適時適切に,より直接的に伝わる,こういったものを工夫してまいりたいと考えております。  そして,今回の一連の事件の捜査の結果得られましたこの検証結果,これを反省いたしまして,今後の対応に生かしてまいりたいと考えております。  以上です。 42 ◯長谷川(修)委員 県民との信頼関係を取り戻すために,精いっぱいの御努力をお願いいたします。  以上でございます。 43 ◯小田木委員長 ほかにございますか。  大高副委員長。 44 ◯大高委員 被害者の方,御家族の皆様にお悔やみを申し上げて,再発防止という観点で2点ほどお伺いしたいのですが,先ほど井手委員の方からも行動プロファイリングというようなこともございましたが,私なんかは全然ど素人ですので,警察庁の科学捜査班じゃないとだめだというようなお話がございましたが,その中で,4番の見当たり捜査の文言中なんですけれども,一部の捜査員は,配付された手配書をもとに,変装を想定した自作の手配書を複数枚作成していたと。  これについては,入手された写真が,直前,1年前ぐらいのものはなかなかなくて,2年前ぐらいのものだったというようなお話を伺ったのですが,こういった写真のCG化するようなプログラムは,今,茨城県警は使われているのか。使われてないのだったら,簡単なソフトで顔を太らせたり,髪の毛を変えたりということが簡単にできるそうなんでございますけれども,もし使われてないのであれば今後どうするのか。  あともう1点は,秘匿性云々のために制服警察官は目立つところには配置しなかったということだったのですが,当日18駅で捜査員が170人体制で当たっておられた,移動もしていたので広範囲だったということがよくわかりますが,そのうち,やはり駅の目立たないようなところに,例えば本人のにおいを覚えさせた警察犬等の配置,こういったものの検討があったのか。また,これについて今後はどのようにお考えになっているか。  この2点,写真のCG化と警察犬についてお伺いしたいと思います。 45 ◯石井刑事部長 CG化については,現在のところシステム化されておりません。  それと,警察犬の関係ですけれども,今回の場合も二度にわたって警察犬は活用しております。1回目は,第1回目の事件,三浦さん被害の事件の直後,3月19日の午前10時45分から,警察犬を現場から犯人追跡ということで使用しております。2回目につきましては,先ほど説明がありました3月22日,110番があった日ですね。この日に,荒川沖駅周辺という場所が特定されたものですから,ここを起点に警察犬を使用しております。ただ,被疑者発見には至りませんでした。原臭も確保されておりましたので,追跡をしたわけでありますけれども,警察犬については,すべて本県の場合は民間に委託しまして,それで活用しております。  ちなみに,本県で嘱託している警察犬は現在のところ20頭でありまして,指導士9名に嘱託しております。  以上です。 46 ◯大高委員 写真のCG化するようなプログラムは,安価なものがあるんだそうです。今後はそういうのをお使いになるか,購入されるのか。簡単に太らせたり,髪の毛,リンゼイ・アン・ホーカーさん事件の,まだ捕まっていない容疑者,女装しているんじゃないかなんて,長い髪,女装した顔写真なんかも公開されていますが,そういうものを,私たち向けではなくても,捜査員の方々に配るようなシステムというのは今後お考えになっているのか。  その1点だけ,最後にお伺いします。 47 ◯小風警察本部長 検証結果で,見当たり捜査を向上させるために,捜査資料を迅速に入手し活用するということを挙げたわけでございますけれども,そのためにも,ただいま御指摘のような写真のCG化による,いろいろなパターンを想定しての手配書の作成ということも重要でございますし,またもう1つ,いろいろな画像収集することあるわけでございますけれども,それについても不鮮明であるとか,影があるとかいうこともございます。こういったものについて画像を鮮明化させるとか,あるいは影を取るとか,こういった技術についても開発されているようでございます。  こういった最新の技術動向につきまして,私どもも関心を持ちまして,こういった捜査手法の高度化に努めてまいりたいと考えております。 48 ◯大高委員 わかりました。 49 ◯小田木委員長 ほかにございますか。               〔「なし」と呼ぶ者あり〕 50 ◯小田木委員長 ないようですので,以上で,土浦市内で発生いたしました8人殺傷事件に関する報告事項の説明聴取を終了いたします。  このほかに何かございますか。  長谷川(修)委員。 51 ◯長谷川(修)委員 新聞報道で,地元の警察署で取り調べ中に飛び下り自殺を図ったというふうな報道がありましたけれども,詳細についてお知らせいただきたい。  先ほどの事件もそうでございますけれども,新聞報道しかございませんので,この際お伺いをしておきたいと思います。 52 ◯石井刑事部長 委員が質問されましたのは日立警察署での飛び下り事故だと思いますけれども,これについて御説明申し上げます。  去る4月22日午後6時過ぎごろに,日立市内の携帯電話の取り扱い店から,盗まれた携帯電話を持ち込んでいる男がいるとの110番通報に基づきまして,日立警察署員が同店に臨場しまして,店内におりました4人の男性を警察署の方に同行いたしまして,参考人として事情を聴取しておりました。事情聴取中に,1名の男性がトイレに行きたいということで申し出がありましたので,署員が案内しましたところ,その男性は用事を済ませた後北側の窓から地上に飛び下りたということで,場所が4階のトイレなものですから,しかも,日立署の場合,建物構造が地上1階分上になっている,重なっておりますから,実質はダクトの部分が1階下がっておりましたので5階分,約17メートルほど落下しまして,その翌日の未明にお亡くなりになりました。  以上,こういう事案でございます。 53 ◯長谷川(修)委員 今後については,対策等は。 54 ◯石井刑事部長 捜査につきましては,4名の男性がおりましたので,3名から現在事情を聞いております。  なお,設備等につきましても,高所での飛び下り防止等については,今後,設備がないところにつきましては検討していきたいと思います。 55 ◯長谷川(修)委員 問題はなかったということですね。 56 ◯石井刑事部長 この件に関しましては,まだ被疑者等の容疑がございませんで,本人から参考人ということで事情を聴取しているさなかでの事案であります。したがいまして,警察的には問題はないと判断しております。 57 ◯長谷川(修)委員 どうもそこら辺が釈然としないんですけれども,私なんかは。今の刑事部長がおっしゃられることに,状況がちゃんとのみ込めなくて,例えばトイレに行ったという時点でちゃんと付き添っているのかどうかというところ,そこら辺のところ,それは言えないのかわかりませんけれども,全然そこら辺のところが,状況的にちゃんとやられているのかどうかというところが知りたいんですよ。 58 ◯小風警察本部長 私の方から御説明いたします。  逃走と言っていいのかどうか,ちょっと確定的には申し上げられませんけれども,トイレの窓から出た状況についてでございますけれども,この方が用便がしたいということでしたので,捜査員はトイレの入り口まで行きまして,御案内いたしました。そして,用便をされているので,それが終わるまでトイレの外側で待っていた。そして,その間にこのような事故が起こったということでございます。  逮捕した被疑者が用便をする場合には,留置場内のトイレで用便をさせ,そして事故が起こらないように勤務員などが監視するわけでございますけれども,今回の場合は参考人でありますので,その用便の最中にその状況を監視するということはできません。したがいまして,私どもとしては,こういう対応だったのかなと考えております。  なお,外で待機しておりました捜査員は,トイレの窓が破れるような物音がしたので,これは何かあったのではないかというので,直ちにトイレの中に入りました。しかし,そのときには,既に外に出ていたという状況であったという報告を受けております。 59 ◯長谷川(修)委員 先ほどの質問で,県民の信頼を取り戻すようになお一層の御努力をお願いしたいと,我々,マスコミ報道を見て,また県民の皆さん方もマスコミ報道を見てということなんですよね。そして,今,説明を求めているわけですから,そこはちゃんと説明をしていただくという姿勢が必要になってくるというふうに思うんですよ,事実関係はこうだということを。今後ともそういう姿勢でやっていただかないと,なかなか県民の協力も得られないというふうに考えますので,よろしくお願いをしたいと思います。 60 ◯小風警察本部長 捜査という観点から,捜査上の秘密ということで,もちろんすべての情報について御説明できないという制約はあるわけでございますけれども,ただいま委員の御指摘のように,必要なものにつき県民の方々の持っておられる疑問にお答えするということは,大変重要なことだと考えております。今後とも,そういった必要な事項についての説明をする情報発信ということに努めてまいりたいと考えております。 61 ◯小田木委員長 ほかにございませんか。               〔「なし」と呼ぶ者あり〕 62 ◯小田木委員長 ないようですので,以上で警察本部関係の説明聴取を終了いたします。  ここで暫時休憩いたします。  委員は着席のままお待ち願います。                  午後2時17分休憩      ────────────────────────────────                  午後2時22分開議 63 ◯小田木委員長 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。  それでは,これより議事に入ります。  本委員会の閉会中における審査テーマは,「社会全体で取り組む健やかな子どもの育成」についてでございます。  テーマのポイント,方針でございますが,近年,保護者や地域住民の学校教育に対する関心が高まる一方で,家庭や地域社会の環境の変化によりさまざまな問題が生じており,教育現場においては,教員の負担がふえ,児童生徒と向き合う時間が減少しているなど問題が生じています。また,学校生活以外でも,インターネットや携帯電話などによる有害サイトのはんらんなど,非行や犯罪被害の発生を助長する環境の問題も憂慮すべき状況にあります。  このため,本委員会では,子供たちの健全な育成のために,学校はもとより,家庭や地域,社会全体で子供たちを守り育てる体制を構築するための方策を検討してまいりたいと考えておりますので,御協力をお願い申し上げます。  まず,初めに執行部からの説明聴取を行います。  まず,教育庁関係の説明を求めます。  初めに,鈴木教育長。 64 ◯鈴木教育長 それでは,今回の審査テーマであります「社会全体で取り組む健やかな子どもの育成」につきまして,お手元の右肩に教育資料とございます資料に基づきまして,概要について御説明申し上げます。  1ページをごらん願います。  今回のテーマ,「社会全体で取り組む健やかな子どもの育成」につきまして,3つの柱,1,家庭教育への支援,2,地域の教育力の向上,3,保護者や地域住民の参加・参画による開かれた学校づくりに整理し,それぞれこちらに記載されてございます事業により取り組んでいるところでございます。  資料の2ページをごらん願います。  まず,1,家庭教育への支援の(1)家庭における教育,しつけのあり方についてでございます。  現状にございますとおり,近年,家庭における食事や睡眠など,子供の基本的な生活習慣の乱れが指摘されており,課題にございますが,子供の基本的生活習慣の育成が課題となっております。  この課題に対しましては,右側の本県の取り組みにございますとおり,市町村やPTAと連携,協力して,家庭教育の重要性の啓発などに取り組んでまいります。  次に,3ページでございます。  (2)親に対する教育への支援でございます。  現状にございますとおり,教育の原点である家庭の教育力の低下が指摘されており,課題にございますが,子育てに無関心な親,教育に関して学校や他人任せの親などへの支援や,子育てに関心は高いが時間的に余裕のない親への支援が必要となっております。  この課題に対しましては,市町村やPTAとの連携,協力によって,家庭教育の重要性の啓発,子育てに関する悩みやさまざまな課題,困難を抱える親への相談体制の充実,また企業で働く子育て中の親を対象とした学習機会の提供などに取り組んでまいります。  次に,資料の4ページでございます。  2の地域の教育力向上の(1)大人の教育に対する意識の高揚についてでございます。  現状にございますとおり,家庭や地域の教育力の低下や都市化,核家族化,さらには仕事で帰宅が遅く子供との触れ合いが不足しているといったことが指摘されており,課題にございますが,子育てに関して無関心な親への意識啓発などの支援が必要となっております。  これらは,社会全体の課題としてとらえていく必要がございますので,右側にございますとおり,「いばらき教育の日・教育月間」の推進により,社会全体で教育の重要性を認識し,意識の高揚を図ってまいります。  次に,資料の5ページでございます。  (2)地域の方々との交流による良好な人間関係の構築についてでございます。  現状にございますとおり,子供たちにかかわる重大事件が続発するなど,子供を取り巻く環境が変化する中,課題にございますとおり,子供たちが地域社会の中で心豊かで健やかにはぐくむ安全安心な活動場所の確保や,社会体験や自然体験などを経験し,他人を思いやる心など心の育成が必要となっております。  このため,安全安心な子供の居場所づくりやさまざまな体験活動を推進し,子供たちが生き生きと成長ができるよう支援してまいります。  次に,6ページ,(3)子どもの模範となる行動についてでございます。  現状にございますとおり,近年,本来子供の模範となるべき親世代においても規範意識の低下などが指摘されており,課題にございますとおり,親自身が変わっていく必要がございます。  このため,県では,親に対して学ぶ機会を設けたり,全県を挙げた啓発活動などを通じ,庁内関係部局が連携して取り組んでいるところでございます。  次に,7ページでございます。  3,保護者や地域住民の参加・参画による開かれた学校づくりの(1)地域に開かれ,信頼される学校づくりでございます。  現状にございますとおり,学校評価は県内のすべての学校において行われ,教育活動の改善と充実が図られているところでございます。  課題といたしましては,自己評価と外部評価を学校運営の改善と充実に適切に反映させる手だての構築が必要であり,今後さらに各学校が積極的に取り組まれるよう推進してまいります。  最後に,8ページでございます。  (2)外部人材の活用による学校の活性化でございます。  現状の中ほどにございますとおり,本県では,約99%の小中学校が外部人材を登用しておりますが,課題にございますとおり,今後,教員と子供が向き合う時間の確保のためにも積極的な活用が図られるよう働きかけてまいります。  特に本年度は,学校支援地域本部事業を全市町村にモデル的に実施してまいります。  以上,資料の説明をいたしましたが,詳細につきましては,後ほど関係課長から御説明申し上げますので,御審議のほどよろしくお願いをいたします。 65 ◯小田木委員長 次に,高野生涯学習課長。 66 ◯高野生涯学習課長 それでは,生涯学習課関係について御説明を申し上げます。  ただいまの資料でございますが,まず2ページにお戻りいただいて,2ページの1の家庭教育への支援,(1)家庭における教育,しつけのあり方についてでございます。  現状といたしましては,少子化,核家族化,情報化等の進展に伴いまして,子供たちを取り巻く環境が変化しており,家庭における食事や睡眠など,子供の基本的な生活習慣の乱れが指摘されております。  文部科学省の平成19年度の調査によりますと,朝食をとらずに学校へ登校することがある児童生徒は,小学校で14%,中学校で19%いることが報告されており,子供の基本的生活習慣の育成が課題となっております。  右の基本方向等としましては,家庭は,子供の基本的な生活習慣の育成を初め,教育や人格形成に対して大きな責任を負うものであります。このため,今年度新たに家庭の教育力向上プロジェクト事業を実施してまいります。この事業は,市町村やPTAと連携,あるいは協力して,家庭教育の重要性の啓発や親の意識改革を図るため,個々の親に対して学ぶ機会を設けて家庭の教育力の向上を図ろうとするものであります。  具体的には,ほとんどの親が参加する小学校就学時の健診時に開催する家庭教育学級や小学校入学時に開催する親への説明会,そしてPTA指導者研修会等でテキストとして使用する家庭教育ブックを作成しまして,広く活用を図っていこうと考えております。
     また,2つ目の○になりますが,小学校1年生の児童に対して,家庭でのお手伝いを奨励することにより,自立心や責任感,道徳心や正義感などといった生きる力を育成するお手伝い・ボランティア奨励事業を引き続き推進し,お手伝いを通して親が子供と向き合うことにより家庭の教育力の充実を支援してまいります。  ○の3つ目になりますが,文部科学省がPTAや民間団体との連携により全国的な運動として推進しております「早寝・早起き・朝ごはん」運動につきましては,子供の望ましい基本的生活習慣を育成し,生活リズムを向上させるよい運動でありますので,県としても,PTA指導者研修事業などを通して推進を図ってまいります。  また,子供たちが食生活のあり方について主体的に考え行動できるよう,心と体をはぐくむ食育推進事業を実施しております。この事業は,児童生徒に対して,マナーなども含めた食の自己管理能力の育成を目的に,平成18年度から導入しました栄養教諭を中核として推進している事業でございまして,食を通じて児童生徒の基本的生活習慣を育成してまいります。  次,3ページをごらんいただきたいと思います。  (2)の親に対する教育への支援についてでございます。  平成13年に国立教育政策研究所が実施しました,保護者に対する家庭の教育力再生に関する調査研究によりますと,子供に対して過保護,甘やかせ過ぎや過干渉の親の増加を回答する者の割合が約7割ありまして,家庭の教育力が低下していることを保護者自身が実感している現状があります。子供に無関心な親,教育に関して学校や他人任せの親,そして子育てに不安や悩みを持つ孤立しがちな親などに対する支援が課題となっております。  基本方向としましては,再掲となりますが,1つ目の○の家庭の教育力向上プロジェクト事業によりまして,小学校就学時健診等のほとんどの親が集まる機会をとらえて啓発を図ってまいります。  次に,子育てに関する悩みやさまざまな課題を抱える親に対しましては,引き続き昼夜体制で相談に対応する教育・子育て電話相談事業を実施してまいります。  一番下の○になりますが,子育てに関心は高いが学ぶ時間的余裕のない企業等で働く子育て中の親などに対しまして,企業の協力を得まして子育て学級を企業内において開設するなど,学習機会を提供するいきいき子育て地域連携実践講座開設事業を引き続き実施してまいります。  次,4ページになります。  2の地域の教育力向上についてでございますが,恐れ入りますが,次の5ページに移らせていただきまして,(2)の地域の方との交流による良好な人間関係の構築についてでございます。  秋田県や栃木県の今市市,長崎県佐世保市など,放課後の子供たちにかかわる重大事件が全国的に続発しておりまして,子供たちを取り巻く環境が悪化している傾向がありますことから,家庭や地域の教育力の低下が指摘されております。このため,子供たちが地域社会の中で心豊かで健やかにはぐくまれる安全安心な活動場所として放課後の居場所とともに,テレビゲームになれ親しんでいる現在の子供たちには,他人を思いやる気持ちや命を大切にする心をはぐくむ社会体験や自然体験などの不足が課題となっております。  基本方向としましては,一番上の○にありますが,放課後等に子供たちの安全で安心な活動場所の確保を図り,地域の方々の協力を得て体験活動や地域住民との交流活動を行う放課後子ども教室推進事業を実施しまして,心豊かで健やかにはぐくまれる環境づくりを推進してまいります。  特に,放課後子ども教室推進事業につきましては,昨年度,県内の全小学校の約半数を目標に開始いたしましたが,既に放課後児童クラブがあることや人材や実施場所の確保等の問題から,118カ所の実施にとどまっております。今年度は,未実施等の市町村に対して,円滑に実施している市町村の実践事例や指導者研修会の実施,人材リストの提供等の支援を講じまして,実施に向け積極的に働きかけてまいりたいと思っております。  次に,2つ目の○になりますが,体験活動につきましては,子供たちに望ましい職業観や社会のルールを学ぶ職場体験として中学校社会体験事業を推進するとともに,3つの○でございます,本県の豊かな自然環境や地域の学習資源を活用した自然体験活動の支援を目的に,適地として,いきいき自然体験活動フィールド100選を選定しまして,社会体験や自然体験の推進を図っているところでございます。  次に,6ページをごらんいただきたいと思います。  (3)子どもの模範となる行動,モラルの向上についてでございます。  近年,本来子供たちの模範となるべき親世代においても,学校に対して理不尽な要求を繰り返す保護者や家庭ごみの不適切な搬出など,大人の規範意識の低下や欠如が指摘されております。青少年の人格形成には,日常生活における親や大人のかかわりが大きく,子供のよい手本となるよう親自身の日常の行動が課題となっております。  基本方向としましては,再掲となりますが,1つ目の○の家庭教育の重要性や親の意識改革を図る家庭の教育力プロジェクト事業や,2つ目の○にあります,教育の日・教育月間を中心に全県を挙げた普及啓発活動において親や大人への働きかけを図ってまいります。  また,知事直轄の女性青少年課の関係でありますが,参考として記載してございます。青少年育成茨城県民会議が県民運動として実施しております「親が変われば子どもも変わる」運動とも連携してまいります。  生涯学習関係は以上でございます。よろしくお願いします。 67 ◯小田木委員長 ありがとうございました。  次に,守谷企画広報室長。 68 ◯守谷企画広報室長 資料の4ページをごらんいただきたいと思います。  地域の教育力向上,大人の教育に対する意識の高揚について御説明申し上げます。  現状の欄に,参考として記載がございますが,家庭の教育力再生に関する調査研究からも,家庭の教育力低下に対する意見として,全くそのとおりだと思うと,ある程度そう思うの両者合わせると,およそ8割を超える親が,家庭の教育力が低下していると受けとめてございます。  このことから,子育てに対して無関心な親への意識啓発や学習の提供,子育てに不安や悩みを持つ孤立しがちな親への支援,子育てに関心は高いけれども時間的な余裕のない親への支援などが課題として挙げられます。  今後の基本方向といたしましては,県では,「いばらき教育の日・教育月間」をなお一層推進してまいります。これまで,平成16年に「いばらき教育の日」を定める条例を制定し,ごらんのような4つの柱をテーマとしまして推進してきたところでございます。  各テーマの取り組み状況でございますが,地域の教育力については,あいさつ・声かけ運動を通じ,あいさつや声かけをして,大人と子供,大人同士,子供同士のコミュニケーションの輪を広げ,地域社会全体で青少年健全育成の機運を高めることに努めてまいりました。  地域に開かれた学校づくりでは,学校公開や教育懇談会を開催するほか,学校・家庭における心の教育では,さわやかマナーアップ運動などの取り組みを通して,子供たちの規範意識や社会性の向上を図ってまいりました。  一方で,家庭の教育力の基本となるものは,家庭の教育でございます。家庭での学習は,感情をはぐくみ,人間としての生活の基礎基本を伝え,自己学習能力を養うなどであると言えます。その家庭や地域の教育力が低下し,社会全般の倫理観の低下や責任感の欠如などから,社会全体で教育の重要性を再認識することが求められてきております。  そのため,昨年,県議会からテーマを設定し運動展開してはどうかとの御指摘もいただきましたことから,本年度は,「いばらき教育の日・教育月間」において,家庭の教育力の向上を重点テーマとし,県民一人一人が家庭のきずなや触れ合いなどについて考え,身近なことから取り組むことができるよう,関係部局とも連携し積極的に運動を展開してまいりたいと考えております。  大好きいばらき県民会議や茨城県PTA連絡協議会など,各界の35団体で構成されるみんなで教育を考える「いばらき教育の日」推進協議会でも,今年度,「ありがとう,家族に一言感謝の印」をテーマ,スローガンとして決定し,家庭の教育力向上に重点的に取り組むこととされております。  市町村につきましても,「いばらき教育の日・教育月間」の趣旨に基づき,各種運動を展開されるよう協力をお願いしてまいりたいと考えております。  また,企業への取り組みの浸透が十分とまではいっておりませんので,企業が地域の行事に参加することや,従業員の家庭での団らんの促進など自発的取り組みを行うなど,重要性を広報啓発して,企業へのなお一層の浸透を図ってまいりたいと考えております。  よろしく御審議のほどお願い申し上げます。 69 ◯小田木委員長 次に,横瀬義務教育課長。 70 ◯横瀬義務教育課長 7ページをお開き願います。  3の保護者や地域住民の参加・参画による開かれた学校づくり,(1)地域に開かれ,信頼される学校づくりについてでございます。  学校評価は2つの評価から構成されており,学校の教職員がみずからの教育活動を点検評価する自己評価と,保護者や地域住民による評価委員会が行う外部評価とがございます。  この学校評価の現状でございますが,本県では,自己評価はすべての学校で実施されており,各学校においては,この評価結果をもとに,課題の見られた内容について見直しを図り,教育活動の改善,充実を図っているところです。  一方,課題でございますが,この学校評価を通して保護者や地域住民の意見を反映させていくことが重要であるところですが,表1の小中学校の欄にございますように,本県の外部評価については,全国平均を上回っているものの,実施率は小学校で67.1%,中学校で65.0%にとどまっております。  この理由といたしましては,外部評価は義務ではなく努力義務となっていたということが考えられます。しかし,保護者や地域住民の意見を教育活動に反映させていくことが重要でありますことから,県としましては,外部評価の実施と公表に積極的に取り組んでいかなくてはならないと考えております。  表1の右下にありますように,外部評価は,現在,学校関係者評価と改められております。  今後の基本方向といたしましては,評価結果を積極的に公表するとともに,学校だよりやホームページ等を活用して広く公表することで,保護者や地域の方々が学校運営の改善により積極的に協力できるよう,市町村への働きかけを行ってまいります。  また,保護者や地域の方々によるアンケートなどを自己評価の資料として活用し,学校に対する意見や要望を適切に把握し,学校関係者評価,いわゆる外部評価を積極的に進めてまいります。  県では,保護者や地域住民の参加・参画による開かれた学校づくりを目指し,コミュニティ・スクール推進事業及び学校評価の充実・改善のための実践研究事業に取り組んでおります。  ページがちょっと飛びまして,12ページをごらんいただきたいと思います。  コミュニティ・スクール推進事業については,現状と課題に記載されてはおりませんが,国の委嘱を受け,保護者や地域の方々が学校運営に参画して学校運営にかかわるモデル事業として実践研究を進めております。また,学校評価の充実・改善のための実践研究事業につきましては,昨年度までは利根町が取り組み,学校が保護者や地域と一体となった学校評価方法を研究し,学校運営の改善に資する研究成果をおさめることができました。今年度は,取手市が市全体で研究を進め,より効率的,効果的な学校評価のあり方について研究を進めてまいります。これらの研究を広く公表し,県内各小中学校において児童生徒によりよい教育環境を提供できるよう,さらに学校評価の充実改善を図ってまいりたいと考えております。  続きまして,お戻りいただきまして,8ページをお願いいたします。  (2)外部人材の活用による学校の活性化について御説明いたします。  現在,青少年をめぐるさまざまな問題が発生しており,地域の教育力の低下が指摘されております。また,地域におきましては,社会教育の講座で学んだ成果を生かす場,いわゆる生涯学習の場が求められております。  一方,学校といたしましても,外部人材を活用することにより,専門的な内容や体験を踏まえた話を聞くことができ,学習内容に幅のある授業ができるなどの利点がございます。  また,外部人材を活用するためには,人材バンクを充実させたり,学校と外部人材との調整を行うコーディネーターの役割が重要であります。しかし,コーディネーターの人材確保が困難であるということも課題となっております。  基本方向といたしましては,各学校が地域人材の専門性や特技を学習活動へ支援する学力向上や登下校の見守り活動などを行う安全な生活,または「道徳」のゲストティーチャーなどの心の教育,さらには花をつくったり校舎等の修理や除草など環境整備等の学校活動全般に積極的に活用することにより,学校をより活性化し,子供たちの教育の一層の充実を図ることが大切であると考えております。  また,学校と地域の橋渡し役としての地域コーディネーターを配置し,地域の住民がボランティアとして活動しやすい体制づくりを学校支援地域本部事業として支援してまいります。  この事業は,生涯学習課とともに進めておりますが,地域全体で学校教育を支援する体制づくりを推進することにより,教員の勤務負担の軽減を図り,子供と向き合う時間の拡充を図ろうとする新規の国委託事業でございます。  具体的には,全市町村の各1カ所の中学校区に学校支援地域本部を設置し,学校と地域をつなぐ地域コーディネーターを配置して,地域の住民が学習支援活動や部活動指導,登下校の安全確保などの活動にボランティアとして積極的に参加していただけるような体制を整備してまいりたいと考えております。  以上でございます。よろしくお願いいたします。 71 ◯小田木委員長 以上で教育庁関係の説明聴取を終了いたしますが,説明漏れはございませんか。  ないようですので,続いて警察本部関係の説明を求めます。  初めに,小風警察本部長。 72 ◯小風警察本部長 それでは,今回のテーマにつきましての警察本部関係について御説明いたします。  詳細については,後ほど生活安全部長から説明させますが,私からは,少年非行及び犯罪被害の状況について御説明申し上げます。  お手元の警察本部資料を御参照願います。  1,少年の非行及び犯罪被害の状況についてでございます。  (1)の表,少年非行の検挙・補導状況をごらん願います。  この表は,平成15年から平成19年までの5年間の非行少年の検挙,補導の推移をまとめたものでありますが,平成16年に若干の増加があったものの,平成17年から3年連続で減少しております。  非行少年の検挙,補導人員を5年前の平成15年と昨年を比較しても,人数で83人,3.3%減少している状況にあります。このような少年非行の減少傾向は,昨年のテーマでございました協働による安全な地域づくりの取り組みなどにより刑法犯全体の認知件数が減少したことや,少子高齢化による少年人口が減少していることもその要因であるものと思われます。  一方,少年の犯罪被害の状況につきましては,まず(2)アの表,少年の刑法犯被害件数の状況をごらん願います。  この表では,平成15年から平成19年までの5年間の少年の刑法犯被害件数の推移をまとめておりますが,平成18年にわずかに増加したものの,全体的に減少傾向にあります。  特に,強姦,強制わいせつの性犯罪被害につきましては,平成15年と平成19年を比較いたしますと,被害件数で112件,53.6%減少しております。  次に,1枚めくっていただきまして,イの少年の福祉を害する被害状況をごらん願います。  5年間の少年の福祉を害する犯罪の被害者人員の推移をまとめたものであります。この被害者数についても減少傾向にありますが,5年間で1,169人の被害少年を保護しておりますが,このうち427人,36.5%が児童買春等の性被害者が占めております。  さらに,ウの表にありますように,出会い系サイトに関係した少年の犯罪被害状況,これをごらん願いたいのでございますけれども,出会い系サイトを利用したことにより犯罪の被害を受けた少年は,この5年間で毎年20人前後と横ばいの状況にあります。  罪種別に見ますと,児童買春等や強姦等の性犯罪被害がそのほとんどを占めており,学職別では,中高校生が被害者総数の約7割強を占めております。  ところで,現在の携帯電話の普及状況から見ましても,多くの子供たちが携帯電話を利用して有害サイトへアクセスしているという実態があることを考えれば,この数字以上に犯罪の被害に遭っていることが推測できます。  以上,御説明いたしましたが,今後とも,警察といたしましては,少年の福祉を害する犯罪等の取り締まりによる被害少年の保護活動を推進することはもとより,教育庁を初め,市町村や関係団体等との連携を一層強化して,携帯電話,インターネットの危険性や違法有害情報を遮断するフィルタリングの導入について少年や保護者等への周知を図るなどの取り組みを推進し,少年の健全育成,非行防止を図ってまいる所存でありますので,引き続き委員各位の御理解と御支援を賜りますようお願い申し上げます。 73 ◯小田木委員長 ありがとうございます。  次に,助川生活安全部長。 74 ◯助川生活安全部長 私からは,テーマに基づく警察の主な取り組みについて御説明いたします。  まず,子供を取り巻く有害環境の現状について御説明いたします。  警察本部資料2ページの2,(1)の声かけ事案等不審者情報の表をごらんください。  県内における声かけ等の不審者情報は,平成19年中は839件であり,前年と比較しますとプラス29件,3.6%増加しており,その8割以上が小中高校生に対するものとなっております。  このような状況を含め,子供の安全を確保するためには,警察と学校との緊密な連携が必要不可欠でありますことから,警察本部では教育庁と,警察署におきましては管轄の教育委員会や学校などと学校警察連絡協議会を設けまして,地域における不審者情報や通学路の危険箇所等についての情報交換,協議を行っているとともに,協働しての通学路の安全点検等を実施しております。  次に,3ページ,(2)のインターネット上の違法・有害情報の現状についてであります。  インターネット上には,わいせつな情報や暴力的な情報,あるいは犯罪に巻き込むという情報等がはんらんしているのが現状であります。  また,出会い系サイトに関係する犯罪被害につきましても,大人が携帯電話を介して巧みに誘引し,子供たちが児童買春等の深刻な被害に遭っている状況にありますが,問題は,利便性の高い携帯電話を多くの子供たちが使用している現実と,一方で,携帯電話からいつでもどこでも違法・有害情報に安易にアクセスできるという現実,実態であります。  中には,携帯電話使用料等のために,出会い系サイトを利用して援助交際等を行っていた事例も見られますし,最近では,中高校生の間での利用が多くなっている,いわゆるプロフと呼ばれるプロフィールサイトや掲示板での誹謗中傷事案が発生しております。  次に,子どもを守るための取り組みについて御説明いたします。  3の子どもを守る安全対策でございます。  その1は,学校周辺,通学路における警戒活動の強化についてであります。  警察では,犯罪や交通事故から子供を守るため,父兄や学校の先生を初め,自警団等防犯ボランティアの方々と連携を図りながら,登下校時におけるパトロールや立哨活動を実施しております。  その2は,スクールサポーターによる安全対策でございます。  資料は4ページでございます。  スクールサポーターについては,平成18年度から警察官OBを中心に各警察署に1名ずつ配置し,学校と連携を図りながら地域において子供の安全を守るための活動等を行っており,具体的な活動内容としましては,学校周辺のパトロールによる児童の安全確保,学校訪問による情報交換等を行っております。  その3は,防犯情報提供による予防活動でございます。  警察では,地域安全活動の一環として,警ら,巡回連絡等の街頭活動や各種のキャンペーンを通じて,県民に対し青少年の関係する犯罪や被害防止対策等についての情報を積極的に提供し,その周知を図っております。  また,平成16年からは,県警のホームページにおいて防犯情報の掲載をしているのを初め,昨年から新たにパソコンや携帯電話のメール機能を活用した「ひばりくん防犯メール」による情報発信を行っており,よりタイムリーな提供に努めております。  次に,4ページの(2)インターネット上の違法・有害情報対策をごらんください。
     その1は,児童生徒に対する安全教室の開催についてであります。  警察では,多くの子供たちが携帯電話を媒体としてインターネット上の違法・有害な情報にアクセスし被害に遭うといった現状を踏まえ,その危険性や被害防止について,子供や保護者によく理解していただくことが最も重要であると考えております。  そこで,警察としては,少年相談に関する専門知識を持った警察本部に勤務する少年補導職員を小中高校に派遣して,インターネットに潜む危険性やフィルタリングの必要性を盛り込んだ安全教室を開催し,被害防止に係る啓発活動を推進しておりまして,昨年度は108校に派遣し,約2万2,000人の生徒,児童,さらにはその保護者に対する指導を実施しております。  その2は,サイバーパトロールの実施であります。  御存じのとおり,インターネット上には,わいせつな画像,規制薬物の広告等の違法・有害情報がはんらんしていることから,警察では,生活安全部職員が定期的にWEBサイトや掲示板を閲覧するなどして,サイバー空間に存在する違法・有害情報を把握の上,プロバイダーに対する削除依頼を行っているとともに,悪質なものについては積極的に事件化を図るなどして,違法の状態が継続することのないように努めております。  以上,警察における主な取り組みでございます。  以上でございます。 75 ◯小田木委員長 以上で警察本部関係の説明聴取を終了いたしますが,説明漏れはございませんか。      ──────────────────────────────── 76 ◯小田木委員長 ないようですので,それでは教育庁並びに警察本部のただいまの説明に対して質疑に入らせていただきます。  質疑や御意見がございましたら,お願いいたします。  武藤委員。 77 ◯武藤委員 それでは,何点か質問をさせていただきます。  まず,1つは教育庁の方からでございますが,いきいき子育て地域連携実践講座開設事業ということで,10事業所ぐらいで開かれているということで,私も,寡聞にして実は実態をよくわかっておりません。何年ぐらい実施して,その効果についてどういうふうに認識されているか,教えていただけますでしょうか。3ページの一番下になります。 78 ◯高野生涯学習課長 企業の件数でございますね。これは年に10企業でございます。 79 ◯武藤委員 何年度から実施されていますか。 80 ◯高野生涯学習課長 これは平成14年度からやっていまして,平成19年度でございますと11事業所に協力をいただいております。平成18年は10事業者ということで。 81 ◯武藤委員 効果をどのように認識されていますか。 82 ◯高野生涯学習課長 いわゆる企業で働いている方というのは,なかなか我々の方でいろいろな機会を設けましても出てこれないということから始まったわけでありますが,特に子供さんなんかが,お父さんの職場に行って働いている姿を見て,何かいつもと違う緊張感を持ってお父さんが働いている姿が見えるということから,一生懸命働いているという感想等は子供さんの方からもいただいておりますし,子供と一緒にそういうものを話し合える機会がつくれたということから,大変よかったという話は聞いております。 83 ◯武藤委員 わかりました。  続きまして,「いばらき教育の日」関係でございますが,先ほど企画広報室長から話があって,気合を入れている感じが少し伝わってきて大変うれしく思っておりますが,最後のところで,それぞれ企業や事業所等にも働きかけるということでございまして,最大の企業ではないかと思うこの茨城県庁についてどのように考えるのか。できれば新任の教育長にお伺いをしたいなと思いますが,まず室長から話をお聞かせいただけますか。 84 ◯守谷企画広報室長 県職員でございましても,家に帰れば一人の父親,あるいは母親でございます。それぞれの家庭で子供を持ち,家庭をはぐくんでいるところでございますので,それぞれが家庭人として子供に対する教育ができるように,その雰囲気づくりを県庁の中でも努めてまいりたいと考えております。  今,生涯学習課長から事業の説明がございましたが,父親,あるいは母親との接する時間というものが非常に大事だというふうに言われておりますので,そのようなことを我々県職員にとってもつくれるような雰囲気づくり,あるいは勤務体制,所管は違いますが,人事課でございますが,全体的なものについては,そういうところでも,何か対策を,勤務時間の減少ということを考えているようでございますので,その辺を含めまして,職員に対しての働きかけをしてまいりたいと考えております。 85 ◯武藤委員 平成16年度から導入されたことでありますが,その当時もぜひ何とかやってもらいたいという働きかけをして,4つか3つのテーマを一応県職員にも投げかけたという経緯がございます。その当時,多分部長さんであられた教育長でございますので,そのときの受けとめ方も含めて,ぜひことしはどういうふうにそれに対して取り組むのか,お話をいただければと思います。 86 ◯鈴木教育長 4年前の記憶はちょっと薄れて申しわけございませんが,ことしで5年目ということでございます。条例の趣旨が,教育関係者には趣旨が浸透してきているけれども,まだまだ一般県民や民間団体の方々に理解が足りないと,企業とかそういう周知が不十分であるというような御指摘も受けていますので,ことしは,そういう意味で一生懸命,民間企業さんとかそういうところに働きかけ等をやってまいりたいと。  あと,県においては,知事を本部長として,推進本部ということで,毎年,私も部長でいるときに庁議等できちっと各部でこういうことをやるんだということでお話は伺っておりましたが,県庁挙げてこの「いばらき教育の日」の推進をしてまいりたいと思っています。  今のところ,済みませんが,この程度で申しわけございませんが。 87 ◯武藤委員 答えは結構ですが,ある程度テーマを絞り込まないと厳しいねというのが,平成16年度やったときの反省の弁というか,ちょっと出たかなという感じでありますので,何でもいいやというよりは,少しテーマを絞った方がいいんじゃないのという声があったことだけお話をしておきたいと思います。ぜひ頑張っていただきたいと思います。  3つ目は,インターネット系の話で,両方にかかわる関係もあって,少し話をしたいと思います。  まず,女性青少年課が所管しているところで,いわゆる携帯とかそういったことについての被害については,なるべく親も認識をして,場合によっては余り小さいうちから持たなくてもいいんじゃないのということを啓蒙しようということを昨年度から取り組まれていると伺っておりますが,最近になりまして,報道などでも裏サイトの問題等も出ていますし,フィルタリングソフトがまだまだ普及をしていない,もしくは親御さんたちに十分理解をされていない現状を見ると,教育庁においても,そういったことについて取り組むべきなのではないか。また,学校においての規制をもう少しきちんと明文化すべきなのではないかというふうなことも,私思ったりするわけでございます。  もちろんすべてを禁止するということではなくて,少なくとも学校の時間帯に本当に携帯が必要なのかということからいうと非常に意義がある。そういったことを通して,本当に携帯をどういうふうに使うのかということについて,教育関係者も真っ正面から取り組むべきなのではないかということでいうと,今回のサポート体制の中に,当然そのことについてどこかがやらなきゃいかんのじゃないかと思いますが,もちろん警察でも当然やっていただくのはいいことだと思いますが,教育庁の中でもその対応部署が当然求められるのではないか,もしくは対応施策が求められるのではないかと思うんですが,そのことについてはいかがでございましょう。 88 ◯横瀬義務教育課長 まず,義務教育課関係から申し上げますと,中学校では,学校への携帯電話の持ち込みということは,我々生徒指導上では,いわゆる禁止事項としてやっております。どのぐらい持っているかということなんですけれども,これは禁止ということで我々持たせないようにしていますので,持っていますかというふうな調査はしておりません。  ただし,昨年度,御承知のとおり全国学力・学習状況調査というのを行いまして,その中でこういう項目がございます。携帯電話で通話やメールをしていますかというふうなものがありまして,本県の公立の中学校では,36.1%が持っていないという回答です。全国の平均が40.7%ということでございます。  ただ,私も中学校に勤務しておりまして,その当時も禁止しておりましたが,保護者の要請がありまして,学校の帰りに例えば塾へ行ってその迎えがあるという形で,保護者のそういう許可制ということで,何件かは許可した経緯はございます。  以上でございます。 89 ◯早川高校教育課長 高校の方でございますけれども,この間平成19年8月に調査しましたところ,97.6%の所持ということで,ほとんど持っているという状況にあるかなと思います。  学校では,遠距離で通学している生徒もいるということがありますので,必ずしも持ち込むなということは難しいかなと。ただ,使う時間帯とかそういうことについては指導しているということであります。  それについて,フィルタリングはどのぐらいかということもあわせて調査いたしましたが,13.4%にとどまっているということで,そういう部分については,これから指導していかなきゃならないかなと考えております。 90 ◯武藤委員 1つは,このサポート体制の充実という中に,1項目入れるべきではないかということであります。結局,今,中学生は持っていない人が36%という話だったんだろうと思うんですが,実際ほとんどの方がお持ちになっている中学校だって,結構あるだろうと思うんですね。  いろいろあるので真っ正面から取り組まないみたいな学校も,正直言えばあるだろうと思います。私としては,きちんと持たせないのが原則で,持つ人は逆に登録してくれと。何かあったときに親御さんと協力をしてそういったことを対応するから,登録してほしいと親御さんに言うというやり方だってある。そのとき,できればフィルタリングソフトをきちんとかけてほしいということを,学校側からも要請ということですることはできるんじゃないかと思います。  テレビの報道で見た結果ですけれども,フィルタリングソフトはできれば邪魔なので外したいという子供さんたちの方が多いということがあって,どうするのと言ったら,親に相談すれば外してくれると思うと言う子供さんが多かったということをテレビでやっておりまして,親御さんはそのぐらいに実は子供から見られていて,何とかなっちゃうよというふうに思っているような節もあります。  もちろんいろいろ裏道だとか,フィルタリングソフトをわざと抜けてどうこうということはもちろんあるんだろうと思いますが,基本的にもう少しきちんと学校側から問題ということを投げかけることは十分にできるのではないかと思っておりまして,そのことについてはぜひ取り組んでいただきたいということで,教育長から何かあれば。 91 ◯鈴木教育長 次回までに,警察本部の方に合わせてちょっと整理をして,きちんとお答えをしたいと思います。 92 ◯武藤委員 続きまして,警察本部,インターネットとか,いわゆる携帯の絡みでぜひお願いしたいのは,今,教育庁の方でも取り組むようなニュアンスのことでありましたし,それから女性青少年課も取り組んでいるんですね。結局,その連係プレーの問題が一つあると思うんですね。  この前,テレビの報道で見ていたら,その裏サイトをとめてもらうように頼んだ教師が,その裏サイトで誹謗中傷のあらしに遭ったという話もあって,これはなかなか怖いものだなと思いました。もちろん警察が万能ということではありませんが,やはり教育という立場ではなかなか踏み込めない部分ということも場合によるとあるんだろうと思います。そういうことでいうと,いかにそこの連携を密にするかというのは,非常に大きな僕はテーマかなと思っておりまして,このインターネットについて,せっかく安全教室ということをやっておられますので,できれば教育関係とそういったことについて定期的に情報交換みたいなことをやっていただけないものかなと。  そのことによって,いろいろな実例が逆に教育界の方にも十分行き渡って,こういう危ないものが周りに転がっているんだと,便利だけれども危ないところにも下手すると通じちゃうんだということを十分認識できることになるのかなと思います。  今のは学校関係でありますが,あわせて交流ということで言うと,先ほどの荒川沖の事件のときも話が出ました自治体との交流ということが,これから大きなテーマだと思います。  私もいつも感じているのは,いわゆる町内会とかいうレベルの,少なくとも北の方はまだ生き残っておりまして,そこそこ町内の情報はそこで結構回る仕組みがあります。ここと警察というのが,これからは安心安全の地域づくりのためにはどうしても僕は必要な連携だと思っているんですが,町内会はやはり自治体の系列なんですね。いわゆる市長さんとか,そういう世界から来ているんですね。そうすると,警察署とはどうも一線を画しているという感じがお互いにするようでありまして,なかなかそこの情報交換がいま一ついかないというか,ほとんど実はそういう形での交流も何もないというのが現状のようなんですね。  駐在所のお巡りさんなんかは結構そういうところとつながりはあるんですが,それは本当にごく一部の地域でありまして,全体として,いわゆる町内会的なところとの情報交換や交流というのは,これから警察にとっても大事な情報源でもあるし,逆にこちらから危ないときにはそういうお伝えをするというようなことの意味も含めて,何らかの形のそういう交流の仕組みをぜひ考えていただきたいと思っております。  そういったことで,1番目は,インターネットの関係で教育系との交流ですけれども,2つ目は,そういった全般的に自治体系のそういうところとの交流というか,いろいろな情報交換ということについてどのようにお考えになるか。 93 ◯助川生活安全部長 子供の安全安心の確保ということで,教育庁とは常に連絡を定期的にとっておりますし,今,委員からお話がありましたように,今後とも,インターネット等も非常に喫緊の問題でございますので,連絡体制を密にしていきたいと思っております。  また,2番目の自治体の下にあります町内会という話がございました。平成15年に安全まちづくり条例というのを条例制定していただきまして,そこで,地域のいわゆる安全に対する取り組みというのが示されておりますし,また今般の荒川沖事件等を踏まえて,より一層自治体との連携的なものを図る必要があるということで,今回の情報交換等も踏まえながら,常に自治体とのそういう組織にも積極的に参画しまして,お互いの情報交換的なものに努めながら,安全なまちづくりに努めていきたいと考えております。今後も,より一層努めてまいりたいと思います。  以上でございます。 94 ◯武藤委員 本部ではそういう意識あるかもしれないけれども,なかなか現場だと忙しいということもあって,具体的にそういう情報交換の機会というのは,意外にあるようでないのが実態のようなので,その辺をよく見ていただいて,そこで積極的にもう少し町内の人にも一緒に守ろうということをもうちょっとやっていただくといいのではないかと。今は,あくまでも自警団という形で,実はその人たちは町内会の人たちなんだけれども,その枠じゃないところでぽんと出てきている感じで,いま一つうまく連携がいっているような,いってないようなところが少し見えるので,そういったところをぜひ活用していただきたいということで,それは答えは結構ですので,よろしくお願いしたいと思います。 95 ◯小田木委員長 ほかにございますか。  ないようですので,以上で質疑を終了いたします。  ここで暫時休憩いたします。  再開は15時30分といたします。                  午後3時15分休憩      ────────────────────────────────                  午後3時30分開議 96 ◯小田木委員長 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。  これより参考人からの意見聴取を行います。  常磐大学コミュニティ振興学部教授の池田幸也様より御意見を伺いたいと存じます。  意見聴取の進め方でございますが,初めに池田先生から御意見をお伺いいたしまして,その後意見交換を行いたいと思います。  池田先生におかれましては,大変お忙しい中,本委員会のためにお越しをいただきまして,まことにありがとうございます。本委員会を代表いたしまして,心よりお礼を申し上げます。  池田先生のプロフィールにつきましては,お手元に資料を配付してございますので,詳細は割愛させていただきますが,先生は,ボランティア活動という具体の体験を通じた青少年の学びに注目され,県内でも高校生を対象とした講演会を開催したり,ボランティアグループなどのネットワークづくりに御尽力されるなどの御活躍というふうに聞いております。  また,茨城県生涯学習審議会委員として日ごろより御指導,御支援をいただいているところでもございます。  本日は,「学校・家庭・地域の教育を問い直す視座」と題して,先生の御意見をいただきたいと存じます。  それでは,池田先生どうぞよろしくお願いいたします。 97 ◯池田参考人 それでは,よろしくお願いいたします。  座ってお話しさせていただきます。失礼いたします。  ただいま御紹介いただきました,常磐大学コミュニティ振興学部の池田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  きょうは,このようなテーマをいただきまして,子供たちの健やかな学びをはぐくむということでございますが,初めに,一言だけ自己紹介をさせていただきます。  現在,常磐大学コミュニティ振興学部,コミュニティ振興というのは,言葉を言い変えれば,まちづくり学部というふうに言えると思います。まちづくりの中でも,主に生涯学習,社会教育,福祉の分野の人を育てるという観点から,まちづくりをする人材を育成しようというような発想でございます。卒業生が既に4回出ておりますが,県内さまざまなところでいろいろな立場で働かせていただいていますといいますか,活躍させていただいております。  私自身,常磐大学にお世話になってから茨城県の方にお世話になっているわけですけれども,近年,市民協働のまちづくりというような観点で,神栖市でありますとか,またはひたちなか市,それから水戸市などでは地域福祉計画というものがございますが,これは福祉の方のものでございますが,地域福祉計画づくりや地域福祉活動計画づくりに携わらせていただいております。  今,なぜこのようなことを申し上げたかと申しますと,いずれも地域の住民がいかにさまざまな地域の課題にかかわるか,参加するかというテーマという点では,行政の立場,役割は違っても,共通項があるなということを感じております。  私自身は,教育,学びということを研究テーマにしているんですけれども,私自身の中では,教育,学びは,すなわち参加であるというふうに考えております。そういう意味で申しますと,きょうこれからお話しさせていただく内容も,つながるところがあるというふうに考えておるところです。  さて,本題に入っていきたいと思いますが,本日のテーマ「社会全体で取り組む健やかな子どもの育成」と,こういう題名を委員会の方からいただきました。非常にこのテーマ,タイトル,大きいものではありますが,まさに現代的な重要な投げかけといいますか,課題だなと私自身も感じているところです。社会全体で子供の育成,健やかな育成に取り組むというのは,では具体的にどうするのかというのは,きょうの中で,私の考えとして,幾つかの観点で具体例を述べさせていただきたいと思っております。  そういう意味で,先に言葉としての結論を申し述べさせていただきますと,今の社会は,まちづくりが求められる時代という言葉で申し述べたいと思っております。それは具体的にどういうことかといいますと,きょう具体的にお話しさせていただく家庭,学校,地域,これをもう一度編み直すという作業が,まちづくりであり,または教育の課題でもあると,または地域の安心安全のまちづくりも同じようにこれに連なる課題ではないかと考えているところです。  編み直しという言葉を使わせていただいたのは,実は家庭,学校,地域が既にあるものとして語られがちなんですが,実際にあるというよりは,そのものを問い直しながら,それをもう一度つくり直していくといいますか,また新たにつくり出すという発想に立たなければならないのではないかという視点を持っているからであります。後ほど具体的な場面でお話をさせていただこうと思います。  初めに,そういう意味で,子供の育ちと学びについて,子供に対する見方というテーマでお話をさせていただきます。  現代社会における育ち,学びということ,普通の言葉で言えば子供が大人になるということ,これは私が申し述べるまでもなく,一人前になるとか,社会人になるということですが,それをもう少し模式的にあらわすと,主体性ですね。みずからさまざまなことに意欲的に取り組む意欲,意識,意志,主体性ですね。それと,それは何のためのみずからなのかということは,社会にかかわる,または役に立つ,働く,さまざまな社会的な役割を担うということと,これは対になっているといいますか,裏表の関係というよりは,むしろ掛け算で,相乗効果で大きくなっていくものだというふうに考えています。  それは言葉の説明なんですが,そういう意味で,これがまさに社会の担い手ですね。積極的に地域社会にかかわる,または自分の将来を社会に貢献する役割を見出すというような意味で,社会の担い手になること,それがまさに大人になることだと言えると考えているところです。  これは,もちろん日本であれば,日本の教育基本法の目的にも掲げられている具体的な内容と合致すると考えております。例えば郷土を愛する心を育てるというのは,この社会性という観点の中に含まれるというふうに言えるのではないかと考えているところです。  教育の目的というようなことを私がここで皆さんに申し述べるまでもないと思うんですが,私自身は,教育の目的は,まさにこの社会の担い手をいかにはぐくむかという一言に尽きると。しかし,その中身である主体性と社会性をいかにはぐくむか,またはそれがどうできているかということは,現代社会において,さまざまな,または非常に深刻な課題が目の前にあるように考えているところです。  という観点から,人間の発達という観点で,子供たちがどう育っていくのかというのを,ことしの3月まで筑波学院大学の学長さんでいらした門脇先生が,このように整理をされております。主体性が,まずその基盤がはぐくまれるのは,ゼロ歳から3歳ごろまでだというような説明の仕方がされております。  具体的には,ほかのものに対する関心,愛着,信頼感の獲得というような言葉で言われているわけですが,ここで大事なポイントは,自分自身の主体性というのは,自分一人,個人の中から生まれるものではなくて,親とのかかわりや家族とのかかわりの中から,みずからのあり方や自分の自己意識というものが生まれるということだという点だと思います。  「三つ子の魂百まで」という言葉もありますが,まさにその乳幼児期の子供がいかに育てられるかというところの課題が,一つ大きな出発点なんだろうということです。  次に,社会性については,門脇先生は,4歳から二十歳代ぐらいまでと,これはかなり幅があるんですが,段階はもちろんあるわけですが,まず言葉を身につけていくことを通じて,言葉というのは,人と人とのコミュニケーション,かかわりを学ぶ道具でもあると同時に,意味や価値を学ぶものというふうにされているところです。  人とのかかわりを学ぶというのは,実は,学校教育以前の段階の生活体験の中ではぐくまれるものというふうに理解しているわけです。その中で自分の役割を見出していく,これはだんだん大きくなるにつれてということですが,やがて社会での役割を見出していくという中で,いわゆる社会人,大人としての生活というものは,10代から,そして生涯を通して常に再考しながら見出していくものというふうに整理されているわけです。  特に社会人としては,社会に参加し,または働きながら,社会をよりよくしていく意欲と能力を獲得,実践していくと。これは人間が生きることそのものという言い方もできるかもしれませんが,この中で私が思うのは,ゼロ歳から3歳までの基盤が大事だというのはもちろんあるわけですが,小学校の低学年,中学年,高学年を通して,既に社会的な役割や意識を具体的に示す能力を学ぶ力があるという前提です。  県内でも,小学校の子供たちが,先生たちと一緒に学びながら地域の改善策を具体的なプランをつくって提案するというようなことがありますが,こういう学習もそういうものの一つというふうに言えると思っているところです。  さて,そこで大変恐縮なんですが,ここで投げかけをさせていただきたいと思います。  子供,日本における子供たちですが,今,日本で,人の役に立つ人になりたいと思っている子供は日本全体で何割ぐらいいると,きょうこの会場にいらっしゃる皆さん,大変恐縮ですが,もしよろしければ,参加型でやりたいと思いますので参加していただきたいんですが,委員の先生方,それから後ろの方々もよろしければ手を挙げていただきたいんですが,日本全体で,人の役に立つ人間になりたいと思っている子供は大体何割ぐらいいると,このお部屋にいらっしゃる皆さんはお思いでしょうか。一応4択を用意しましたので,1割,3割,6割,9割ということでございますが,きょう決断力のおありの方ばかりですので,早速手を挙げていただこうかと思います。  それでは,1割ぐらいだとお思いの方,どうぞお手を挙げていただきたいと思います。6名ということでございますね。  続きまして,3割ぐらいではないかとお思いの方どうぞお願いします。32でございます。  それでは,6割ぐらいではないかとお思いの方いらっしゃいますか,人の役に立つ方。11名の方。  それでは,9割ぐらい。ありがとうございました。  これ,実は調査結果があるわけですが,調査結果を先にごらんいただこうかと思います。意地悪してそのプリントに入れてないんですが,申しわけございません。意地悪ではないんですが,皆さんにお聞きしたかったんですが,小学生92%でございます。中学生90%でございます。この調査,平成11年の調査ですから古いんですが,総務庁が行った調査です。
     実は,この投げかけを私いろいろな地域でさせていただいているんですが,手を挙げていただく傾向を申し上げますと,実は3割ぐらいに挙げる方の割合と6割ぐらいに挙げる方の割合が多い,2つの山ができるという傾向があります。これは地域の方にお聞きしてもそうですし,それから学校の先生方にお聞きしても同じ結果になります。ほぼ同じ傾向があります。  神奈川県で800人ぐらいの先生方にお聞きしたときも,小中の先生にお聞きしたときも同じような結果が出ております。ある地域での投げかけのときは,前の方にいらした方が,この調査は本当に信憑性があるのかと,私おしかりを受けたことがあるんですが,そのぐらいこの結果と皆さんのお気持ちが合わない部分もあるのではないかと思うんですが,つまり人の役に立つ人になりたいと思っている子供は,そういう全国調査の結果9割以上,簡単に言えばほとんどの子供はそういう気持ちはあるという一つのデータです。  これは本当に信用できないというようなお気持ちの方のために申し上げますと,もしこの会場で私がこの質問を変えて,皆さんは人の役に立つ人になりたいでしょうかと私投げかけたときに,「ノー」とお答えになる方がどれだけいらっしゃるかということですね。つまり常識として考えれば,人はだれでもだれかの何かの役に立ちたいと思う気持ちはあるのではないかと。しかし,そのことを子供の問題,いろいろな課題を考えてしまうと,大人も学校の教師も親も,そのことを意識しにくくなっている現実があるのではないかと,それが1点です。  ですから,そのことをもう一度問い直しながら考えていくというのは意味があるのではないかという視点なんですが,しかし,だからといって,日本の子供たちが人の役に立つ経験が十分にあるかというと,残念ながら国際比較のデータを見ても,日本の子供たちは,韓国と比べてもそうなんですが,ここにありますように色が濃いところが,ここでは,体の不自由な人やお年寄りを助けた経験があるかという問いに対して,ドイツ,イギリス,アメリカ,韓国,日本の比較ですが,明らかに日本が極端にその経験が少ないんです。  ここでは一つの項目を挙げていますが,ほかにも幾つもの似たような項目があるんですが,いずれの項目も,日本が社会的体験が少ないという結果は明らかに出ているわけですね。  つまりここに大きな教育的な課題,社会的な課題があると。つまり人の役に立ちたい思いがあるにもかかわらず,育ち,学びの中でその経験が余りにも少ない。社会性をはぐくむことが十分にできていない現状というのがあるのではないかということです。  そういう中で,茨城県の中でも,「あいさつにはあいがある」と,このすばらしいコピーを御存じではないかと思いますが,これは県内で行っておりますあいさつ・声かけ運動の標語でございます。「あいさつにはあいがある」,私,この言葉好きなので私の研究室の中に張ってあるんですけれども,しかし,このあいさつ運動というのは,私が幼少の時分から,今から40年も前から,やはり行われていた記憶がございます。つまり昔からあいさつ運動はあるんですね。  なぜあいさつ運動は昔も今もあるのかという,そういう素朴な疑問を私はあるとき持ちまして,いろいろ聞いていったんですけれども,結論を先に申し上げますと,世の中にたくさんの人と今の時代は出会う時代であります。  水戸駅をおりてすれ違うたくさんの方々がおります。しかし,だれともあいさつをしないわけです。もちろん知っている方がいればあいさつをしますが,つまり知らない人だからという理由であいさつをしない社会だということ,東京に行けば,なおさらたくさんの雑踏を通り過ぎる中で人と会うけれどもあいさつをしない社会,人と出会ってもあいさつをしない社会がどんどん広がりつつあります。これは直接対面的な場合だけではなくて,インターネットやそういった間接的な情報でも同じことが言えるわけですが,そういう中で,あいさつをするということは,単に礼儀作法の問題ではなくて,実はどういう方とあいさつをするかといえば,身近な自分とのかかわりがあるということが意識できたときにあいさつをするというのが自然なあいさつの仕方なわけですね。または,安心安全パトロールのように,そういう関係づくりをしていきながら,身近な存在や,またはそうである,ないの識別ができるような環境をつくっていくというのも,もちろんこれは方法としてあるわけですが,身近なあいさつをし合う関係づくりをどうつくっていくのかということが,現実のまちづくりの中の一つの課題になっているというふうに考えているわけです。  ちょっとあいさつのことについては,幾つかエピソードがあるんですが,時間の関係で少し省略させていただきます。  結論は,関係づくりを意識して行う時代,あいさつということも一つの関係づくりのきっかけではある。しかし,あいさつすることだけを目的にしてしまうと,一番大事な関係づくりがおろそかになる。関係づくりや身近な存在,または自分とのかかわりをどう意識するかということが大事なことではないか。社会的な体験や人の役に立つ体験をするきっかけづくりとしても,あいさつは有効であるわけですが,そのことが人と人とが出会って助け合い,支え合う関係づくりにつながっていくということが大事ではないかと考えているところです。  子供観についてのまとめとして,子供の発達段階に応じた人間関係や社会体験の機会を設けることが必要な時代であるという結論であります。しかし,これは,実は子供たち自身が本来その機会を求めているというテーマであろうと私は考えているところです。これは地域でのさまざまな活動に取り組んでいらっしゃる,またはここにいらっしゃる皆さんの御経験からもおわかりだと思いますが,実は子供たちは非常にその体験を喜ぶわけであります。もっともっとそれをいかにして整備するかということが,政策的な課題なのではないかと思うわけです。  続いて,家庭教育と子供たち,子育てという観点からお話をしたいと思います。  家庭,それから家族という言葉自身が,ホームやファミリーの訳語として明治以降日本に入ってきたつくられた言葉だというふうに,出発点としては私は理解しております。もちろん今では,家庭がとか,家族がという言葉は普通の日本語として使われているわけですが,もともと日本にあったのは,家という中での人と人とのかかわりであったというふうに考えているわけです。  欧米化社会の中で,現在も,多様化する家庭,家族,世帯の構成という課題があるわけですが,例えば現実に世帯構成,人口問題の調査の発表がされていますけれども,家庭が大切というのは,私もそのとおりだと思うんですが,現実にひとり暮らし世帯が世帯数の4分の1,そして今3分の1を占める状況になりつつあります。地域の中でひとりで暮らしていらっしゃる御高齢の方と若い世代の方がふえていく社会の中にあります。  その中で,これは直接子供持っている,いないは別にして,子育てを地域で考えるというときに,そういった方々も含めてどんな新しい編み合わせができるのかというのも,地域づくりの一つの課題だと思います。または,家族の生活時間,働いていらっしゃる方々の労働時間の問題,そしてもちろん待遇やその賃金の動向による家計のあり方の問題,これは生活水準の経済的な問題が子育ての背景としてある。同時に,家族の今の生活時間にもかかわりますが,コミュニケーションの問題ということなどが大きな課題になっていると思います。  こういう中で,2004年に日本小児学会が,御承知おきではないかと思いますが,子供のテレビ視聴時間の抑制を提言するという発表をいたしました。実は,これは1999年にアメリカの小児学会が同じレポートをしておりまして,それを受けて日本小児学会も検討の結果発表したものであります。  ここにあるように,乳幼児期,特に乳児にテレビをつけたままテレビの前に置いておく,テレビ保育というようなあり方が,非常に発達上問題があるのではないかということが言われ,ここに一番下にありますように,言葉の発達がおくれるなどの問題があるようだということが言われています。  このように言われると,お母さんたちは非常に心配をして,テレビを見せないとかまた極端な心配もあるんですが,大事なことは,テレビの視聴時間の問題というよりは,実は親と子のかかわる時間の問題だということが一つあるわけです。  つまり直接その子供が育っていく一番大事な場面,この学びの原理の,次のページになりますが,母子関係から子供が言葉をどのように獲得していくかという話です。  この不思議な図は,一応人の顔のつもりであります。これ人の顔にごらんいただけるのではないかと思いますが,模式的な人の顔の図であります。現実にこのようなお顔の方と私はお会いしたことはないのですが,しかし私たちはこれを人の顔と認識する能力を持っていると言われています。人間はだれでもこのような形を人の顔として認識する能力が生まれつきあると言われているわけです。  生まれたばかりの赤ん坊が,まず直接身近にある顔らしいもの,顔のような形を注視する,これは多くの場合母親の顔を注目するわけですが,そして多くの場合その母親に抱かれているわけですが,その中でゼロ歳児の子供たちは,母親の体温や心臓の鼓動,それから抱きかげんの変化と顔の表情をあわせて読み取りながら,言葉を知らない段階で,気持ちのやりとり,その反応を獲得していくと言われています。それを通じて,顔の表情に意味があることを身につけていくと。  この図でいいますと,上の方が普通の顔で,次がにこにこしている顔で,何か困った変な顔というような,言葉を知らない段階で,その表情の中で人間関係,意味を学んでいく段階というふうに言われているわけです。後から言葉は獲得されるわけですね。説明的な言葉。  ゼロ歳児から1歳にかけてのこの学びの中で,感情,それからかかわり方,反応によってお互いがいくということ,そして大事なことは,人間に対する信頼関係をここで手に入れるんだと言われています。実は,さまざまな人間の発達の課題が言われていますが,この段階での人と人との信頼関係の獲得が,人間がこの社会的な生活をしていく上で欠かせない大きな根幹にあるのではないかと言われているわけです。  そのときに,テレビの話に戻りますが,テレビの前に子供がいるという状況は何を生むかということなんですね。テレビには人の顔が映ります。子供はそれをゼロ歳児も注目します。そして,場合によっては,テレビの画面に触れる子供であれば,画面をたたいたり触ったりするわけですね。しかし,テレビの画面はそれに反応しないんですね。つまり母親であれば反応するわけです。コミュニケーションややりとり,信頼関係をテレビとの対話では子供は手に入れることはできない。むしろ不信の関係を手に入れる危険性があるのではないかということも,その言葉の発達の問題だけではなくて,これは仮説ですが,心配されるところと言われているわけです。  ですから,テレビそのものが悪ではなくて,ベースになる人間関係づくりがきちんと行えているかどうか,そのような育児が保障されるかどうかということが,子供たちの学びの出発点ということが言われているところです。  そういう意味で,子育て支援ということが言われ,国の施策,県の施策で進められています。茨城県内でも,かなりの市町村というか,ほとんどの市町村で,この子育て支援の施策が進められておりまして,私も幾つかの市町村にお邪魔していろいろ現場を見させていただいたりしておりますが,これはたまたまひたちなか市の例でありますが,民生委員や児童委員の子育て経験のある方々が,地域に子育て支援の拠点をつくって,そこでお母さんたちを集めてということをやっていたんですが,実はその子育て支援の提供を受けたお母さんたち自身が,自分たちで新たにその経験を生かしてグループを立ち上げるということが行われてきています。私は,大事なことは,その当事者がまさに自分たちの必要な子育てを自分たちでさらに発展的につくっていくというような活動の意味というのは大きいと思います。  たまたまここに持ってきたんですが,これは「ゆのみ会」というひたちなか市のグループです。お母さんたちのグループですが,ホームページも立ち上げておりますが,市内で利用できる子育て支援の施設,病院,遊び場,それをお母さんたちがお子さんを抱いて調査して,それをまとめてこういう冊子をつくっています。  こういう活動をいかに応援していくのかということが,行政ができる,または政策的に大事な役割ではないかなということを考えているわけです。  もう1点,乳幼児期の発達教育ということに加えて,思春期までを見据えた親教育の必要性,これは文科省もそのような施策の提案を既にしているわけですが,実は親教育とは何かということを一言で言えば,親子の関係性をいかにはぐくむか,親子のかかわり方をどう学ぶか,要するに人間関係のトレーニングが必要ではないかと言われているわけです。  これは今日本で言われているのではなくて,既にアメリカでそのような課題が20年以上前から言われていまして,ここにたまたま本を持ってきたんですが,「親業」という本がございます。これはアメリカのトマス・ゴードンという方が書いた本ですが,本を書いたというよりは,この本に基づいて親業,親となる業を学びましょうというトレーニングが日本の民間団体によって行われています。トレーナーの方を養成して,そして地域で親子関係のトレーニングをすると。こういうようなものも養成していくということが,まさに必要なのではないか。つまり今の親の世代の方々がそのようなことを学ぶ機会を十分に得ていないというような中では,それをどう支援するのかということも,政策的な課題なのではないかと考えているところです。  子育てについてのまとめを申し上げますと,親が実践的な子育てを学ぶ機会,その場,時間,仲間づくりが必要ということは,その機会をいかに保障していくか。また,適切な親子関係を構築する研修の機会,研修といってもこれは講座形式のものではないわけですが,それをいかにつくっていくのかということが必要ではないかと思うわけです。親はそれを求めているというふうに私は考えているところです。  続いて,学校教育にかかわるお話をさせていただきます。  少し早口で話をしていますので,お聞きにくいところがあるかと思いますが,後でもし何かあればご質問いただければと思います。  学校は何をするところかということをここで投げかけるのは,本当に愚問ではないかと思いますが,その答えは明らかではあると思うんですが,私自身の観点は,ここに挙げました○○教育のはんらんということであります。  ○○教育というのは何かといいますと,国語,算数,理科,社会のような教科学習以外の教育のはんらんであります。  具体的に言いますと,例えば,これはすべて大事なことではあるんです。必要なことではありますが,人権教育,食育,給食教育,消費者教育,国際理解教育であるとか,挙げれば切りがないんですが,つまり教科以外の○○教育,社会的に何か課題や問題,事件が起こると,学校教育は何をしているかが常に問われます。そして,すぐそれに対して必要な資料がつくられて学校に送られるんです。文書が送られ,資料が送られ,ここで言うのは非常に申しわけないかもしれないですが,私自身現場の経験がありますもので,あえて申し上げますが,国税庁が「税の教育」という立派な冊子を全学校に配付しております。  ところが,その「税の教育」という立派なカラーの印刷物を学校教育のどの場面で使えるのかというと,使う時間がないんですね。とうとうその「税の教育」,税金がこんなふうに使われていますよ,その理解をしましょうという教材が,下手をするとリサイクルに回されてしまうというような悲しい現実もあるということは本当に皮肉な現状だというふうに,過去に私が現場にいたときの経験から思っているところです。  つまり学校教育は,期待がある,それから重要な役割があるのは当然ですが,現実には,一遍に学校でやってください,これは公立的な場ですから,有効な面はあるんですが,現状からいうと,時間,予算,方法,人を含めて,不足しているというのが現実だと私は考えています。  しかし,だからといって学校教育は何もしなくていいのかということであれば,もちろんそうではないわけですが,学校教育現場での実践的な改革が必要であるというふうに私は考えております。  それは,教育行政,ここで言うのも大変口幅ったいですが,現場の改革を支援する立場,上意下達の教育行政の時代ではないという,この言い方の意味は,文部科学省がいろいろな政策を掲げているわけですが,文部科学省の政策をなぞってやるということが,もちろんあってもいいと思いますが,そのことにこだわらない政策を,茨城県であれば茨城県,市町村であれば市町村がつくり,実践し,そしてそれを市町村から県に,または国に,または世界に提案していくような学校教育のあり方ができないものかなということを常々思っているところです。  学校教育は,先ほど申し上げましたように,実は,教育課程,カリキュラムによってつくられているわけですが,その中心は教科学習によって組み立てられています。わかりやすく言えば,時間割によって学校はできているということです。国語,算数,理科,社会を何時間学ぶかということが決められ,その内容が学習指導要領に提示されていて,それに従って教科書がつくられ,それを時間で割って実施していくという組み立てであるわけです。  つまり教科以外の学習をいかに進めるかということは,学校の教員は,実はその専門家ではない。はっきり申し上げて,専門家ではないという現実があります。学校の教員免許は,教科を教えるということで出されているわけです。教科学習以外は,もちろんやらなきゃいけないことですので,研修や何かの機会は行われているんですが,果たしてそれが十分なものかということで言えば,大分不足している面があると思います。それはよしあしの問題ではなくて,違う発想に立つ学びだからということを後で申し上げたいと思います。  一方,子供たちにとって学校は,平日の昼間の,実は学ぶ場であると同時に,一番長い時間を過ごすところでありますので,実は生活の場であるということです。人間が学ぶというのは,実は生活を通じて学ぶというのが一番多いわけですので,子供たちの人間関係,または教師と子供たちの関係がいかにあるかということが,教科学習以前に大事な生活課題としてあるんだということだと思います。  子供たちが学校が楽しいという理由の第一は,小,中,高問わず,基本的に友達と会えるからということです。この関係がきちんと成り立つ学校になっているか,またはある子供にとってそれが実現できているかということが,学校教育の基本にあるべきだと考えています。その上で,教科学習というものが,より効率的に効果的に進められることができるのではないかということです。  学校教育は,特に講義を中心にした学習は,先ほどお話した教科学習の話ですが,体系化した知識技術を段階的に理解し,1時間の授業で何を教えるかということが決まっているものであると思います。簡単に言いますと,学びのゴール,答えは決まっているわけです。1時間の中で何を身につけるかという目当てを立てて,そして授業案をつくって,そしてそれを実践し,子供たちに理解してもらうということです。  それから,もう1つ,子供たちの学びとしては,教師,生徒の関係の中で学ぶという面があります。よくあるのは,学校の先生が質問を教室で投げかけまして,子供たちは質問に対して,そのクエスチョンに対して考え,答えをイメージするというのはあるんですが,同時に,その先生は自分たちに何を求めているかを考えます。なれてくると,ある先生は今何を答えてほしいんだろうかという発想で物事を考えようとします。このQ&Aの関係は,普通の人間関係のQ&Aとは必ずしも違うわけですね。教師生徒関係にあるQ&Aの関係なわけです。つまり学校の教師と生徒の関係性の中で学ぶという特徴があるわけです。もちろんこれは,いい関係であればいい学びができるわけですね。先生が好きだから一生懸命勉強するということは起こるわけです。  そういうことがあるということですが,ここで,本当につまらない例ですが,皆さんのペーパーにないかもしれません。具体例として,こういう算数の問題があったとします。100円で1本10円の鉛筆を5本買って,おつりは幾らでしょうと。100円引く10円掛ける5本で50円,50円という答えを出すと。こういう算数の学習があるわけですが,学校教育では,これ以外の答えを導くことを認めないのがルールといいますか,これは当たり前といえば当たり前なんですが,当然のことですが,しかし,これある途上国の学校教育が十分行き渡っていない子供に,もちろん翻訳してこのような質問を投げかけたところ,ある子供は,太郎君という人はよくわからないからこれは答え出せないというふうに考えたという回答があります。また,おつりは幾らでしょうと言われても,幾らにするかそのときによって違うんじゃないかというふうに考えたという例があります。  つまりこれは具体的な人間関係から考えるという生活の仕方をこの算数の問題に当てはめているわけですね。つまりいい悪いではなくて,そういう発想で学ぶという,これは算数の問題ですから当然なんですが,その学びはここには当然ないということですね。そういうものを照射して考えるというのが,学校教育の学習方法だというわけです。  1年生でそういうような答えをすると,それはだめですよということを先生はまず教えるわけですね。算数ではそういうふうに考えないと,それは忘れてねという学習をするわけです。  同じようなことですが,これ時計があります。何時ですかという,小学校1年生で時計の学習をやります。何時ですかと聞かれれば,1年生であれば,はい,はいと手を挙げて,だれだれさんと手を挙げた子に指すと,3時ですと答えて,はい,正解ですと言って,次の6時30分かなんかにまた勉強していくわけですね,時計の読み方の学習です。  しかし,この質問を私が水戸駅で知らない方に,済みません,何時ですかと問いかけます,3時ですと答えてくださって,私が,はい,正解ですと言ったら,きっと張り倒される可能性があるのではないかと思うわけですね。  つまり日常会話では,わからないから人に質問をする。したがって,わかっている方が教えてくださって,答えてくださったら,ありがとうなわけですね。これは学校教育がよくないと言っているのではないんですよ。学校教育はこういうやり方で教えているという,一つの会話のあり方を示しているわけです。  しかし,もう1つの日常の人間関係があると。つまり学校教育の授業の中ではそれがないということは,その部分をどこでどうやって体験していくのかという機会が必要なのではないかという意味であります。  学びのピラミッドという,こういう模式図があります。アメリカの研究のある一つの結果であるんですけれども,非常にアメリカはこういうふうに数値化してデータで示すのが好きなところ,と言うと怒られてしまいますが,そういうところだと思いますので,これはどのように見るかということをお話したいと思います。  学ぶべきことが100%あるとします。もしレクチャー,講義を聞いているだけでは,その100%のうちの5%しか身につかないという意味です。上から順に見ていきます。講義,話を聞くだけではなくて,それに教科書を読むというのを加えると10%ぐらいまでは学べる,身につく,さらにそれに視聴覚教材を加えると20%ぐらいまで,しかしこれでも20%です。さらにそれに実際に学んだことを生かした疑似体験や実験を行うというところまでやると30%,さらに学んだことをグループで仲間同士で話し合うということまでやると,その学んだことがさらに自分の中に身について50%,さらにそれを実際の社会の場面で生かしたり,利用したりすると70%,そして最後の段階は,学んだことを人に教える,伝えるというところまでやって90%までいくのではないかという模式図であります。  何のために学ぶのかということは,学んだことを生かすという,そしてそれは社会的に役に立つという役割を身につけることと重なるんだと思いますが,これ具体例で言いますと,例えば中学生が小学校に行って子供たちに算数を教えるとか,高校生が中学校でそういうことをやるということも,この学んだことを生かすという,この最後のところで言えば,大いなる学びの機会を提供するような方法ではあるということは言えると思います。  これ伝統的に,上の者が学んだことを教えるという,年長の者が教えるという,これは昔自然にあった部分でもありますが,そういうようなことの工夫ということも,学校教育の中でも,もちろん小学校でいえば学年を超えた学習ということはチャレンジされているわけですが。  そういう中で,社会的な体験という意味で私が重要だと思っていることは,実は,多様な社会体験の中で,「意味ある他者」との出会いということが大事だと考えているわけです。よく体験学習が重要だと言われて,さまざまな学校教育の中でも体験学習が行われます。わらじづくりを学ぶであるとか,たこづくりを,揚げるたこですが,学ぶとか,いろいろありますが,そのときに,どうしても物づくりですと,物をつくることに一生懸命になります。そのことは,もちろん学ぶということでいいことなんですが,実は,子供たちが学習するのは,物づくりだけではなくて,それを教えてくださる方を通じて学ぶもの,得るもの,これが非常に大きいわけです。  親の背中を見て子供が育つという言葉があるように,実は,地域のさまざまな大人の役割や生活や仕事を通じて,子供たちは社会的役割を模索しますし,見出していくわけです。  これは高齢者施設でのボランティアの体験の話ですが,高齢者施設にボランティア活動に行った若い人たちが,その体験を通じて何を学ぶか。1つは,高齢者施設のお年寄りの姿からさまざまなことを学ぶのはもちろんあるんですが,もう1つは,その高齢者施設で働いている方の姿から,その働くということやその社会的役割を学ぶということがあります。これが実は「意味ある他者」と言われるものですね。身近な家族や友人以外の社会的な存在というようなものになります。  実は,茨城県では,このような考え方をベースに,女性青少年課を中心に地域親ということを進めてきたという経緯があります。地域親というのは,まさにこの「意味ある他者」を地域ではぐくんでいこうという事業だというふうに理解しているわけです。  地域,技術を生かす社会体験,学校教育に戻りますが,生活科や総合的な学習の時間などで行われている部分があるわけですが,体験することが目的になってしまうと,人との出会いやかかわりという押さえが弱くなる。または時間的に十分な保障がないとか,先生方だけで準備するのは大変だとか,いろいろな課題があるということも現場の声として聞いているところです。  社会体験学習の位置づけは,学校教育における地域の教育資源の活用,それから体験的な学習を教育課程にどう位置づけられるのか。総合的な学習の時間はあるんですが,限られた時間です。総合的な学習の時間の中だけで完結するという学びは,極めて消化不良の学びになるのではないかと思います。しかし,それを学校の先生方だけで,学校教育の時間枠だけでやることも難しい面があるとすればどうしたらいいのかというような課題があります。  それから,学校の先生方は,地域との窓口は,多くの場合教頭先生がやるというような慣例になっていると思うんですが,これは県内の話ではないんですが,校務分掌,学校の先生方の役割分担の中に地域担当窓口の先生を置いている学校が,東京のある小学校にはございます。地域窓口を学校の先生が意識して担うこと,もちろんこれはさまざまなお仕事がある中で重ねた役割ではありますが,そういう発想もあっていいのかなと考えているところです。  もう1つの発想は,学校の先生方が担うというだけではなくて,地域の方々が学校教育をつなぐ役割,コーディネーターの役割を担うというやり方であります。これは役割を担う人がいるというだけではなくて,大事なことは,もし学校教育とのパイプということであれば,学校教諭,学校の中に,空き教室などに,その方が常駐する場所,または連絡する方法,電話やメールが使えるなどの設備が保障されて,できれば週3回と言わず5日は勤務できるようなことができて,初めて有効な地域をつなぐ窓口にできるということになると考えています。  これは,さまざまなコーディネーターと言われる仕事が週に3日勤務であるとか,2日勤務の交代制という中で,つなげない仕事をつなぐ役割としてしなきゃいけないという現状がある中で,あえて申し上げさせていただいているわけです。教育NPOの既に県内にある連携というのも一つの方法だと思います。  それから,実は,教育課題,学校教育の中で見えてくる子供たちの教育課題を考えたときに,個別的なケースにはなるんですが,不登校であるというような場合であっても,またはさまざまな不適応を持っているという場合であっても,その背景に,子供自身の問題だけではなくて,家庭の問題を抱えている場合が少なからずあるわけです。このことに学校教育がどこまでかかわれるのかということは,かなり難しいと以前から言われているわけですが,今年度たまたま文部科学省がスクールソーシャルワーカーの予算をつけたわけで,茨城県でもそれを早速つけてくださっているわけですが,このスクールソーシャルワーカーというのは,いわゆる学校カウンセラーとは全く違う位置づけとして,これをどう拡充し,そして生かしていくのかというのは,これからの非常に大きな課題だと考えています。  ソーシャルワーカーは,生活課題,子供の生活課題にかかわっていく福祉的な視点で経済的な問題や御家庭の問題を,もちろんプライバシーの問題ということは配慮しながらやっていく重要な役割なわけです。このためには,待遇や身分の保障ということが将来的にどうできるのか。文部科学省がきっと当面3カ年ですかね,わかりませんが,そのぐらいを見通しているのかもしれませんが,将来的な見通しがどうできるのかが大いな課題だと思います。スクールソーシャルワーカーについては,アメリカなどで既に取り組まれている,またイギリスなどでも取り組まれている例が,やはり日本で参考にしているところが,先行的に主に西の方でかなり実施してきている,大阪府を含め,そういう例があるわけです。  学校教育と社会教育施設等の連携も,この中でさらに進められていけばと思っております。  社会教育施設と書かせていただいたのは,例えば地域にある図書館や博物館などの施設,公民館を含めてもいいわけですが,学校教育が学校という施設の中だけで学ぶのではない,または人も含めてここがつながっていくようなものをどうつくるか。学社融合や連携という言葉は以前からあるわけですが,現実にこれがなかなか実を結ばない現状をどのようにしたらというところ,これも大きな課題ではないかと考えているところです。  長くなりましたが,学校教育,学校側についてのまとめは,学校と地域が協力して社会体験を教育課程の柱に位置づけることが必要と。  この柱という意味は,これだけという意味ではもちろんありません。教科学習,基礎基本を学ぶのは重要なことですので,それを前提にするわけですが,しかし社会体験をどの範囲で,いかに位置づけることができるかという課題は,無視できないテーマであろうということであります。  最後に,済みませんが,さらに駆け足になってしまうと思いますが,地域観ということで,地域というものについて,子供たちの育ちという観点からお話しさせていただきます。  既存の地域組織,自治会,町内会,子ども会や老人会,高齢者クラブ等があるわけですが,非常に県内でもこういった組織が活発に有効に活動しているところもございますが,なかなかなり手がないという,役を受ける方が難しいという現状も少なからず聞いているところであります。  御高齢の方が,さらに御年配になられたので,年をとったのでやめたいとおっしゃったというお話を最近あるところでお伺いしました。または,役を引き受けてくれと御高齢の方にお話したら,まだそんなに年ではないからまだ引き受けられないと言ったという話もあります。などなど,地域の人と人とのつながりの話なんですが,その組織が何のためにあるかというところを問い直しながら,既にある組織を問い直しながら,地域を編み上げるという中に子供たちがはぐくまれるという,つまりまちづくりの話になるわけですが,そのことが大事だろうと考えているところです。  一言で言えば,まちづくりの時代は,行政の制度,またはいろいろな施策というだけではなくて,地域の人間関係づくりという観点でとらえていくことがいいのではないか。それを行政が応援してくださるということが,一番大事なことだろうと考えているところです。  関係づくりの支援は,世代,既存の地域のあり方,組織を超えることになるだろうということになります。  子育て支援や学校支援ということで,子供の居場所づくりということが行われてきたところではあるんですが,これもなかなか中央省庁から来る厚生労働省や文部科学省の予算とあわせ技であったりして,いろいろな地域の声私もお伺いしてきたんですが,今までの制度と新しい制度の整合性の問題を含めて課題があるわけです。  県独自ということもあれば一番いいわけですが,さらに市町村でということもあると思いますが,この名前にこだわらずに,子育て,それから学校教育,または中高校生の年代の子供たちの学ぶ機会,本来はそれらをさらにつなぐような機会をどうつくっていくことができるかというような総合的な子育ての施策というものが,今,求められているんだろうと考えているところです。  そういう中で,NPO法人などによって,県内の幾つかのところではプレーパークづくりと,自由な遊び場,冒険遊び場と言われるもの,場合によっては火を使ったり,または刃物,ナイフを使って木を削ったりとか,そういうことを自由にできる,そのためにはその指導者であるプレーリーダーというものを育てていくというような,極めて社会教育的な活動ではありますが,こういったことに取り組もう,または取り組んでいらっしゃる方が,既に県内幾つかのグループがございます。そういったものも有効につなぎながらやっていくということが大事なんだろうと考えているところです。  そのような意味で,茨城県内にある5カ所の生涯学習センターの意義と役割は非常に大きなものだと私は考えているところです。御承知のように,生涯学習センターが5カ所あるというのは,他県に例を見ないところであるわけですが,それではその生涯学習センターが何をやるのか。既にいろいろな事業はなさっているわけですが,大事なことは,市町村,それから県内,または県外もその生涯学習という観点でつなぐという役割であると思います。そのためには,専任の専門職としてのコーディネーター,名称は必ずしもコーディネーターでなくても構いませんが,現状では社会教育主事の先生が配置されているわけですが,しかし,一定の任期で学校の職だった方は学校の職に戻られるということも多くございますが,まさにその社会教育,生涯学習のお仕事を担う専門職を位置づけること,またははぐくむことが政策的にどうできるのかということも重要な課題であると考えているところです。  市民をはぐくむ学びということで言えば,子供たちにこれは限りませんが,生涯を通じての学びをつくっていくということ,それは大人も子供も一緒にまちづくりに参加するということになるというふうに考えているところであります。  地域観のまとめということで,地域というものは,既にあるものというよりは,隣近所どういう方がどのように生活を営んでいるかということは,必ずしもこれは都市部,農村部問わず,希薄な関係になっているというのは日本全国に起こっている現実であると思います。もちろんプライバシーということの意識が高まっているということはあるんですが,実は孤立化する生活の中で,非常な困難,または問題を抱えてしまうということの中で,いろいろな不幸な出来事や事件も起こりがちなわけですので,改めてよりいい関係をつくっていくということを,要するに地域を編み直すということが大事なわけですし,その中に子供たちがはぐくまれるということ,これが生涯学習ということとあわせて考えられるとよいのではないかと考えているところです。そういう意味での生涯学習センターの県の生涯学習センターの役割ということを意識していくことが大事だと思っているところであります。  時間がいっぱいになってきましたので,全体のまとめをさせていただきたいと思います。  既に申し上げたところでありますが,家庭について言えば,子育てグループの育成,親になることや親子関係のトレーニングの機会というものが必要とされているであろうということであります。  学校教育について申し上げれば,社会体験を学校教育の課程に位置づけ,地域の人々が学校教育活動に参加する機会を拡充するということが,先ほど申し上げました人の役に立つ人になる,またはなりたいという子供たちの意識を本当に生かすことになるきっかけづくりを設けることができるのではないか。さらに,それを地域でも発展させてつないでいくという意味で,人々が地域活動に取り組んで,これを通して,またはその姿を見せながら,子供たち,青少年の育成,学校教育を応援していくと,地域が学校教育を支援していくという,これをつないでいくということが必要なのではないかと思うわけです。  地域で子供の発達段階に応じた人間関係,社会体験の機会を設けるということを,工夫して,いかに時間,人,場所を生み出すかということが火急の課題であろうと考えているところです。  言葉としてのまとめになりますが,学校,家庭,地域を改めて紡いでいくという,もう一度つくっていこうというような参加,人々がかかわっていくという機会をできるだけ多く,閉じずに,またはある姿を問い直しながらという,それが子供たちの学びと育ちのための視座として大事なことではないかと考えているところです。  たくさんのペーパーを用意しまして,かなり早口でお話をさせていただきましたので,わかりにくいところが多々あったと思いますが,お許しいただきまして,私の方からの発言を終わらせていただきます。  どうも御清聴ありがとうございました。 98 ◯小田木委員長 池田先生,大変ありがとうございました。  ただいま池田先生から御意見をいただいたところですが,これからは意見交換の時間とさせていただきます。  委員の方で,先生に御質問または御意見等がありましたら,お願いをいたします。  井手委員。 99 ◯井手委員 それでは,2点質問をさせていただきます。  先生の後ろに控えている執行部の方にはちょっと耳ざわりなことになるかもしれませんので,ちょっと耳をふさいでいただいても結構なのでございますが,単刀直入に申しまして,生涯教育の位置づけが非常に今問われているなという気がしております。  私どもは行政にかかわっているものですから,行政という立場なので,要するに日本の縦割り行政の中で,生涯教育というのは,そもそもどこが担うべきものなのかという一つの議論でして,今は茨城県の場合は教育庁のもとに生涯教育を位置づけています。一方,コミュニティ,地域のコミュニティということを考えれば,これは知事部局の中に位置づけるべきだという議論もあります。  これは縦割り行政がいけないんだから,そういう議論は意味がないという答えになってしまうのかもしれませんけれども,先生がお考えになる一つの生涯教育という理想像から見た場合には,よりベターな方式としては,どういう形で生涯教育というものを行政の中で位置づけていくのがよろしいとお考えになっているか,まず1番目にお伺いしたいと思います。 100 ◯池田参考人 今の御質問,どこが担うべきかということで言えば,私自身の考えは,理想としては,やはり教育という営み,教育をいかに進めるかという営みの中に社会教育,生涯学習を位置づけるというのが,あるべき姿であろうと私は考えております。それは,人をはぐくみ,育てるという視点で,学校教育を含めてどう考えるのかというこの観点は,広い意味で言えば普遍的といいますか,変わらない姿勢であるべきものだろうと。もちろんまちづくりやその地域づくりというもう1つの視点があるわけですが,それはコミュニティの再生ということ等ですけれども,ですから,その必要に応じた連携というところ,しかし生涯学習という発想で言えば,教育という発想から位置づけることをなくしてしまうことは,危うい部分があるのではないかと,将来へ向けて。そのように感じているところなんですが。
    101 ◯井手委員 2点目です。私も地域にいろいろなことでかかわっておったり,また地域の自治会の会長さんを仰せつかったりして感じることなんですが,特に学校と地域のコミュニティのあり方というのは非常に問われているような気がいたしまして,非常に即物的なんですけれども,東京の杉並区の和田中学校みたいな事例があって,要するにコミュニティ,地域は大切だよと言っておきながら,あそこは例えば中学校区というのは区内ばらばらで,好きな人が好きな学校に行くというような体制の中で,その中で地域の代表の方々が学校の運営にも携わってきているというような流れ,逆に言うと,私どもは,日立市でございますので,中学校区,小学校区というものを地域の中で生かしながら,そこでコミュニティというものを大事にすることが大切ではないかななんて思っておるんですが,具体的な例えば中学校区の自由化とか,小学校区の自由化とか,そういうことについては先生はどのような御意見をお持ちでしょうか。 102 ◯池田参考人 まさに今おっしゃっていただいた課題が,まちづくりのかなり根幹的な課題だというふうに考えているわけです。  日本の学校教育の歴史を考えてみますと,まさに地域づくりのために学校づくりを明治の方々が始めた,そのために土地を提供し,教育内容や方法も地域の方々が参加してつくるという歴史が日本の学校教育を実は築いてきたという,これは間違いないことだと思うんですね。つまりまちづくりというのは,その学校という地域の財産を拠点にして広がってきたという,このことを忘れないということが,公教育を保障するという点では原点ではないかというのが私の考え方であります。  そういう意味では,小学校区や中学校区,そしてそれはその年代の子供たちが集って学ぶ場というだけではなくて,地域の方々もまさにその学びを共有する場として自分たちの財産というものに位置づけるということが一番大事なのではないか。そういう意味では,学校選択制とか,つまり別な財政の論理で考えていくというようなことでないものが必要ではないかと,私は考えているところです。 103 ◯井手委員 すごく安心しました。以上です。 104 ◯小田木委員長 ほかにございますか。  武藤委員。 105 ◯武藤委員 大変興味深くて,ためになるお話ありがとうございました。  2点ほど私からも質問させていただきたいんですが,1つは,ことしそれこそ文部科学省からの委託の事業ということで,家庭の教育力向上プロジェクトという事業があり,幾つかあるんですが,中身的には。その中に,家庭教育ブックということで,お母さんたちに,どちらかというとイメージとしては,配布してみたいな,多分イメージだと思うんですが,そういうのをつくるという話であります。先生も,東京都でそれに関連した何かお仕事されていますが,これからつくる上で,多分つくっていく過程,それからそれを普及していく過程で,これをやるべきだとか,これはやっちゃいけないとか,何か参考になるような御意見あればお聞かせをいただきたいなと。 106 ◯池田参考人 そうですね。正直なところ,さまざまなそういう資料づくりといいますか,非常に大事なものだと思うんですが,問題は,いかに使われるものにするかという,当たり前のことですが,しかも,それはどこでだれがどのように使うかということですね。ですから,使うところまで,使う場面をむしろ想定した内容がどのように,つくるプロセスからその方々に参加していただくというのが原則といいますか,いいものをつくるための条件なのかなというのが1点ですね。  そして,その使い方も,またそのつくる過程の中で検討していくという,そして実際に使ってみてどうだということをまた返していきながらということも本当は,できて終わりではなくて,活用された結果,成果もそのつくる予算の成果として上げていくことが,年度内というのは厳しいかもしれませんが,一定の期間の中で見えるようにしていくと有効なものになるのかなというふうに考えていますが,御質問の趣旨と合っていないでしょうか。 107 ◯武藤委員 私個人的には,国からのお金はどこまであるかわかりませんが,最低3年間はこのことについてかかわらないと,やる意味がないんじゃないかなというふうに個人的に思っておりまして,来年以降どういうふうに国の予算があるのかわかりませんけれども,少なくともことしつくって来年ぐらいが本格的に使うというようなことで,どのぐらい普及するかということをやりながら検証もするということで言うと,3年ぐらいは最低やるべきだというふうに思いますが,先生いかがですか。 108 ◯池田参考人 そうですね。さらに申し上げると,3年準備段階があって,つくって実施してみてという,その後どうするか,予算の問題は置いておくにしても,その後その成果をどう生かすのかというところですね。1つは,そのことも,さらに3年間あれば考えることができるかもしれないというのが1点ですね。  あと,もう1つは,文部科学省は文部科学省としての,また県は県としての現状の課題というものの把握があって,そのプランがあると思うんですが,実は,そのニーズが,地域社会のニーズがどのようなものであるかというのも,その資料をつくられるところで調査するということが,そんな大げさな調査でなくてもいいと思うんですが,ヒアリングするとか,そういうことがあるとさらに予算がより有効に使われるのではないかなと,そんなことを今までの経験からは思うところであります。 109 ◯武藤委員 もう1点なんですが,茨城県では,教育の日というのを平成16年度に決めました。我々携わった側から言うと,教育現場だけじゃないところに,なるべく教育について考えたりする機会をつくってもらいたいなという思いでつくったわけですが,なかなか思うようにいってないなという感覚がありますが,先生から見て,「いばらき教育の日」絡みのことについてどういうふうな感じで,強いて言えばこんなことを気をつけるといいのになというようなことがあれば,御意見いただきたいと思います。 110 ◯池田参考人 そうですね。まさに何々の日というものは,いろいろな政策としてよく行われることであります。それで,社会的にアピールするには重要な一つの,要するにイベント型なわけですね。  しかし,先ほどのあいさつ運動のところで十分にお話はできてないんですが,運動がなぜあるかというと,当たり前のことにならないので運動がずっとあるということですね。当たり前になれば,運動は要らないわけですね。ということは,何々の日というのは,イベント型でアピールをするけれども,日常的な問題としてそれをどう解決するか。まさに教育について県民の皆さんに関心を持っていただくことを日常的にどう形にしていくのかということが,もう1つのテーマとして,教育の日は教育の日のそういうアピールする機会としてあって,先ほどのお話と絡めて申し上げれば,地域の中で,既に子育てが終わった方々も,学校を卒業してしまった方々も,まさに自分の学校が自分の地域の自分のある場面として学校に行くような機会があったり,またそこで地域の方々と一緒に学ぶことができるようなという意味で,学校だけではないですが,社会教育も含めてですが,そういう場づくりを,日常的な場づくりとしての教育環境といいますか,教育施設を設けていくということも,それは一斉に市町村がやるということではなくて,それぞれの市町村の工夫でやっていくというようなこともあるのかなというふうには考えているんですが,日常化という部分ですね,課題として。 111 ◯武藤委員 予定ではないんですが,ちょっと聞きたいなと思ったのは,今言ったようなことをやろうとすると,実は,地域以外の問題もあるんですけれども,学校側の問題として,土日,先生が出れないというのは,意外に僕はちょっと嫌な足かせになっているように感じるんですが,先生はどう考えますか。 112 ◯池田参考人 ごめんなさい,出れないというのは……。 113 ◯武藤委員 お仕事をしちゃいけないということで,いわゆる残業も何もやっちゃいけないみたいなムードが非常にあって,やっちゃえば,やれないこともないですが,ほとんどの学校が実はしない。先生が出るときはボランティアという形しか出られないということがあって,若干嫌な足かせになっているように私は感じるんですが,いかがですか。 114 ◯池田参考人 もしそういう文化があるとすれば,もったいないなと思いますけれども,いわゆる部活動指導などで,一定の手当といいますか,日当が出るというような部分が,限られた額でありますが,そういうようなこと以外はというお話ですよね。きっと勤務の条件の話なのかと思いますが。 115 ◯武藤委員 部活も,土日もしもやったとしても,勤務ではない形を今とられているんですね。 116 ◯池田参考人 そうですか,つまり……こういう言い方して本当に申しわけないですが,学校はだれのものかという投げかけをよく地域の皆さんに私はするんですが,ここでお聞きすれば,当然その成り立たせている公の立場のものであるというのが正しい回答だと思うんですが,しかし,それを今のままでいいのかどうか。先ほどの杉並は特別なものであると思うんですが,しかし,地域の方が学校のあり方や運営に,まさに小学校区や中学校を単位にして意識を持ってかかわるというようなこと,その延長線上に学校の施設の使い方や生かし方をうまくつないでいくということはできないものなのかなと。もちろん学校の先生のことも一つありますけれども,あわせて言えば地域の方々と一緒に学校にかかわれるという,これはきっと校長先生が心配だとか,困られるということがあると思うので,そこのところも安心していただけるようなことを保障していただくという,行政的には。そのことを含めて,いろいろな責任問題とか,管理責任の問題ということもクリアするような工夫がなされればと思うんですけれどもね,どうでしょうか。 117 ◯武藤委員 なかなか思っていても実行に移せないところがあるみたいなので,わかりました。ありがとうございました。 118 ◯小田木委員長 鶴岡委員。 119 ◯鶴岡委員 どうもありがとうございました。  今,オールウエーズ三丁目の夕日が非常にはやっている。また,そのころを懐かしむ人が多い。やはりあのときの社会情勢は,貧しいけれども心豊かだったという時代だったと思うんですね。そういう意味では,今いろいろな議論をされているけれども,社会の変化の中で,変わっていいもの,変わってはいけないもの,守っていかなきゃいけないもの,そういうものがあるんじゃないかと思うんですね。  そういう意味では,今,学校そのものに対して,社会でいろいろ言い過ぎる。学校の主体性というものもみんなで守り育てていかなきゃいけない。そして,先ほどおっしゃった地域社会や学校区の中で社会をつくり上げていくという基本的なものが,どうも崩れ去っていっているんじゃないかと思うんです。  僕は門脇先生とも何度もいろいろお話しますけれども,門脇先生のおっしゃった社会力というのは,僕はやはり非常に大きな柱だと思うんですね。やはり中村正直さんの「西国立志篇」,自助努力ですね。福沢諭吉の自由と民権運動,義務,まさにそれに匹敵するすものだと思うんですね。  ですから,この社会力というものが,私たちの持っている社会観というもの,忘れてはいけないもの,壊してはいけないもの,変えてもいいもの,これをどこが発信をするかというふうなことだと思うんです。そういう意味では,一つ言えることは,余りにも学校をいじり過ぎている部分があるんじゃないか。学校で知力をしっかり養う,そして体育,徳育,こういうものを,逆に社会が学校のやっていることに対して温かい気持ちを持って支えていくということが必要なんじゃないかなと思うんですけれども,どうでしょう。 120 ◯池田参考人 今おっしゃっていただいたこともそのとおりだと思います。学校のあり方は何なのかという意味で,今,変わるべきでないものということでおっしゃっていただいたんですが,私,つくばにあります教員研修センターで先生方の研修の講座を年に1回ぐらい担当させていただいているんですが,そこで,先ほどの体験学習,社会的な体験が必要だというお話をさせていただきながら,全国からいらした小中の先生方に,じゃあ学校教育はこれからそういった役割,学校教育の役割は,いろいろなことをやらなきゃいけないと言われている中で,もっともっと拡大していかなきゃいけないとお考えでしょうか,それとも学校の役割はもっと焦点を絞って,例えば教科の学習を中心に学校は進めるべきだとか,そういうふうに学校の機能は縮小していくべきかと,拡大すべきか縮小すべきかと単純によくお聞きするんですが,そうすると,6割から,場合によっては7割,多い場合は8割の先生方は,学校の役割は縮小してほしい,縮小すべきだということに手を挙げるという現実があります。  これは今おっしゃったことと重なっているかどうかちょっとわからないですが,つまり学校の先生方は,まず教科の学習,基礎基本,これを教えるということが大事だというふうに考え,または学校ができる範囲というのは限られている。その中でそういうような反応を示されるんですが,しかし一方で,社会的な体験を,または社会人としてのあり方を学ぶということをもっとやらなきゃだめではないかという,もう1つのテーマがあるわけですが,そのことをお聞きすると,じゃあ学校ができないとすればどこがやるのか。実は,その受け皿は現実にはないわけですね。  この問題を,今,先生おっしゃっていただいたような意味で,学校教育の両方の役割をどこまで学校ではしっかりできているのか,どこまではできていないのか。これなかなか数値的には判定難しいわけですが,そのことをしっかり見ながら考えていくということが必要なのかなというふうに,今,御質問いただいた内容をお聞きしながら思っているところなんですが。 121 ◯鶴岡委員 ありがとうございます。  それから,もう1点,個人情報保護法の成立によって,社会のあり方そのものが非常に変わってきているように思うんです。これはやはり運用の面でしっかりした対応をしていかないと,先ほどおっしゃったような個人尊重,孤立化というのが進んでくると思うんですね。社会というもの,地域社会,コミュニティそのものが成り立っていかないということになってまいります。  そういう意味では,警察力を発揮しようと思ってもなかなか協力がもらえないというようなこともあります。  先ほど先生おっしゃった,社会力を育てるために,学校にはもちろん限界があると。ですから,先ほどお話があった編み直しの部分,そこに余りコーディネーターだとかソーシャルワーカーだとか,学校の中にそういうものを余り持ち込まないで,行政と学校というものがそこに存在するわけですから,それと地域社会との連携が出てくると。ですから,学校と地域と家庭,その中に,もう1つ行政という部分が取り組まれて,どういう形にしていくかということを考えていかないと,この3つだけの連携でなくて,もちろん行政そのほかNPOがあるかもわかりませんけれども,そういうことを少し考えていかないと,今の持っている常識そのものを破っていくためには,そういうことが必要なのかなと思うんですけれどもね。 122 ◯池田参考人 今の御意見もっともな点が非常に大きいと思うんですね。といいますのは,学校教育は,やはり学校教育の設立の目的とその方法によって成り立っていますので,そのことをきちんとどう実現していくのかという目の前の課題としてあるのは,おっしゃるとおりだと思います。  ただ,そこで,きょう私のお話は,それ以外の社会的な体験の部分を非常に強調してお話しさせていただきましたので,または地域の学校という視点からのお話が中心でしたので,例えば杉並のようなというのが一番わかりやすいかもしれませんが,そのようなイメージもおありかもしれませんが,しかし,学校教育の中で子供たちの生活課題や社会性をはぐくむ部分のところをどう学校の先生方にも体験的な学習の意義や方法を理解していただくのか,つまり学び方,教え方が違うことをスイッチしていくというもう1つの学び方の刺激という部分は,そんな全面的でなくても,そのある学校や地域の現状に応じて,許される範囲で地域の方がかかわるという窓口,接点があると,学校教育本来のやるべきことも,より充実したものになるのではないか。  例えば昨今言われています学力問題ですね。学力がテストの点数のみでひとり歩きしているというような現状があるのではないかと私は感じているわけですが,これは今までの経過の結果であるわけですので,それが一つのデータ,ある地域や学校の何かというふうにはかろうとする見方は誤りだろうと。  そういう意味でいいますと,もうちょっと子供たち一人一人の育ち,学びということで言えば,学ぶ意欲や学ぶ目的をどう見出し得るのか。それによって子供たちが学力についても身につける力をまさにつけていくという,そこのところをはぐくむという意味で,つまりその社会的な体験と申し上げたのは,みずからの将来を見出すような機会を学校教育の中にも接点として設けていただけたらと。長くなりましたが,そんな思いを持っております。 123 ◯鶴岡委員 先生に1点,オールウエーズの話をしました。今,団塊の世代の退職によって,地域デビューを団塊の世代の方たちがどんどんやってくると思うんです。そういう意味では,地域の中からそういう力が出てくるのを僕は期待しているんです。そういう意味では,やはり先生おっしゃるように,地域の中で学校教育で対応できないものをやっていく,まさに一体となってやっていくということですね。そこに僕は,行政の一体化ではありませんが,この行政委員会のあり方と,市長部局,知事部局のあり方が再度連携すれば,行政全体という形になってくると思うんですね。先ほど武藤委員からも教育の日の話がありましたけれども,そうすればオール茨城というものがしっかり見えてくるのではないのかなと思います。ありがとうございました。 124 ◯小田木委員長 ほかにありませんか。  ないようですので,以上をもちまして池田先生からの意見聴取を終了いたします。  池田先生には,大変貴重な御意見をいただきましてまことにありがとうございました。本日いただきました御意見等につきましては,今後の委員会における審査の参考とさせていただきたいと存じます。  本日はまことにありがとうございました。 125 ◯池田参考人 失礼いたしました。 126 ◯小田木委員長 以上で,「社会全体で取り組む健やかな子どもの育成」についての審査を終了いたします。      ──────────────────────────────── 127 ◯小田木委員長 以上で,本日の審査はすべて終了いたしました。  長時間にわたり大変お疲れさまでした。                  午後4時52分閉会 Copyright © Ibaraki Prefectural Assembly, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...