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  1. 茨城県議会 2008-03-18
    平成20年予算特別委員会  本文 開催日: 2008-03-18


    取得元: 茨城県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-09
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1                 午前10時30分開議 ◯新井委員長 ただいまから,予算特別委員会を開会いたします。        ─────────────────────────── 2 ◯新井委員長 初めに,本日の委員会記録署名委員を指名いたします。  鈴木委員と佐藤委員にお願いいたします。        ─────────────────────────── 3 ◯新井委員長 これより,議事に入ります。  第1号議案ないし第24号議案を一括して議題といたします。  これより,質疑に入ります。  最初に,小田木委員。 4 ◯小田木委員 自由民主党の小田木真代でございます。おはようございます。  この定例会も,第4コーナーを回って,いよいよゴールが見えてきたというところでございますので,執行部の皆様方には大変お疲れかと思いますけれども,ぜひ前向きな御答弁をいただきますようにお願いを申し上げたいと思います。  それでは,通告に従いまして,順次,質問をしてまいりたいというふうに思います。  まず,県北地域の振興についてでございますが,この県北臨海地域,あるいは県北地域の振興につきましては,私は,ときどきにあわせてさまざまな角度から質問をさせていただいてまいりました。  県におかれましても,県北振興室の設置をしていただいて,交流人口の拡大に努めていただきますとか,観光の振興に努めていただいたり,あるいは産業の活性化についても,それぞれに取り組みをしていただいているというふうに理解をいたしております。  昨年の6月に企業立地促進法が施行されまして,新たな取り組みがなされることとなっております。また,平成13年から県の方で整備を進めてまいりましたJ-PARCの中の中性子ビームラインがいよいよ12月から供用が開始されるというようなことでございますので,今回は,そういった点に視点を置いて質問をさせていただきたいというふうに思います。  まず,県北地域の企業立地の推進についてでございますが,企業立地促進法に基づきまして,県は,県北地域の基本計画を策定し,そして今,国の方に申請中であるというふうにお伺いをいたしております。  まず,県北地域の基本計画の内容について,簡単に商工労働部長から御説明をいただきたいと思います。 5 ◯新井委員長 小田木委員の質疑に対する答弁を求めます。  武藤商工労働部長
    6 ◯武藤商工労働部長 県北地域への企業立地の推進に係ります基本計画についてお答えいたします。  この県北地域の基本計画では,この地域の持ちます地理的条件でありますとか,既存の産業集積等,こういうものを生かしまして,電気機械関連産業建設機械関連産業木材関連産業自動車関連産業をターゲットに集積を図ることとしております。  そのためには,人材育成でありますとか,立地企業のビジネスパートナーとなります地域企業の技術力強化,インフラ整備等の企業環境の整備が大切でございますことから,計画におきましては,まず,人材の育成や確保に関しまして,地元高校,大学,そういうところとの接点がない新規立地企業に対しましては,就職面接会等の参加促進に加えまして,県内高校でありますとか,県立産業技術専門学院への企業の紹介,また,若者,これから働く者との交流機会の提供等を通じまして,人材確保を支援する。また,製造現場におきます経営改善のリーダーとかメカトロニクス等の高度な物づくり人材,そういう育成を行うこととしております。  また,地域企業の技術力の強化という面も大事でございますので,地域内にあります茨城大学工学部や茨城高専等との連携を促進いたしまして,その持つ研究シーズの活用でありますとか,共同研究等によります技術開発,そういうものを支援するとともに,テクノエキスパートマネジメントエキスパートを派遣することで,地域企業が抱えています課題解決を図りまして,立地企業の取引相手としての魅力ある地域企業を育成することとしております。  さらに,企業立地に関します税制度の優遇制度でありますとか,資金の融資制度,こういうものを引き続き行うほか,常陸那珂港でありますとか,地域内外の高速道路等の内外の交通のネットワークを着実に整備いたしまして,事業者の事業活動の効率化,物流コストの低減,そういうものを図ることとしております。  推進体制につきましても,県における全庁的な取り組みに加えまして,市町村との連携強化,企業に対しますフォローアップの強化,そういうものを計画の中に盛り込んでいるわけでございます。 7 ◯小田木委員 ありがとうございました。この基本計画につきましては,いわゆる企業立地のマニフェストというふうに言われております。マニフェストでありますので,具体的な数字が示されているわけですけれども,例えば,新規の立地件数については50件,あるいは新規の雇用数については2,900人というような具体的な数字も示しながら取り組んでいくということであります。  ただいま御答弁をいただきました取り組みによって,その目標値を達成して公約を守ることができるのかというふうにちょっと危惧をするわけです。この地域計画につきましては,全国で108カ所,県内でも6地域において計画が策定をされて,今現在,国の方で審査を受けているという状況ですので,そういった地域と競争をしながら,なお一層県北地域という優位性を出していかなければならないということですので,より県北地域の優位性というものは何なのかということをしっかり示すべきであると思いますけれども,その点についてはいかがですか。 8 ◯武藤商工労働部長 県北地域の優位性をしっかり示して,企業誘致をすべきであるというような御意見でございますけれども,県北地域におきましても,企業立地が活発になりつつあるということでございまして,それらの立地企業に対しまして,立地場所を決めた要因を具体的に伺ってみました。例えば,高萩市内への立地企業は,高速道路のインターに近いという立地条件,また,豊かな自然環境,低廉な分譲価格,そういうものについて評価をいただいておりますし,また,大子町に立地を決めた企業では,地震,災害のリスク分散と人材確保の優位性,こういうものを挙げております。  さらに,建設機械の関連メーカーで新しい工場の建設を決めました高萩市や北茨城市の企業は,コマツ,あるいは日立建機からそういう大型の受注が順調でありまして,今後も拡大が見込まれることから,建設を決めたというふうに聞いているところでございます。  これら実際に立地いたしました企業の評価等から県北地域の特徴といたしましては,安い地価でありますとか,住みよい生活環境,豊富な人材,自然災害の少なさ,さらには大型の建設機械メーカーの集積,そういうものもございますことから,誘致に当たりましては,こうした県北地域の特徴を強くアピールして取り組んでいきたいというふうに考えてございます。  また,商工労働部といたしましては,情報,家電,自動車,産業機械などの分野で機械,電子,ITなどのいろいろな技術が融合した技術開発が進められておりますことから,高度な技術力を備えた人材の育成に産・学・官が連携して取り組めるよう支援していくということでございます。  また,立地企業の事業活動を円滑にするためには,例えば,IBBNを活用したブロードバンド環境の改善でありますとか,受発注のあっせん,商談会の開催などによりまして,地元中小企業との取引開始に向けた支援など,立地企業と県内中小企業との連携促進に努めていくこととしております。 9 ◯小田木委員 ありがとうございます。県北地域の優位性ということでお答えをいただきましたけれども,今,商工労働部長がお答えになったことと,この計画の基本計画の中に書かれている概要というものが多少変わっているのかなというふうに感じます。それはなぜかというと,今,例えば,県北地域の優位性の中で,土地が安いとか,あるいは人材の確保が容易であるとか,そういったことを挙げられていましたけれども,この計画の中では,まず,山間地域は首都圏から近くインフラも発達している強みを生かしているというような文言があること,これは,常日ごろから茨城県は首都圏に近いという優位性を生かして産業の集積をしていくべきだと,企業誘致をしていこうというようなことをおっしゃられているわけですけれども,現実には,この県北地域というところは,決して首都圏から近いということが優位性になるとは思えないというふうにずっと思ってまいりました。  そのことがいまだにここに書かれていて,基本計画をつくる中では書かれていて,しかし,御答弁の中では,そういうことが優位性なのではなくて,地価が安いこととかが優位性がつながるということで,少し計画は計画としてつくって,誘致は誘致としてやっていくというような整合性が見えないというのがちょっと感じられます。  それから,インフラの整備についてもお答えをいただいておりますけれども,ここの中に示されているインフラの整備について挙げられているのが北関東自動車道路東関東自動車道路,茨城空港等の整備というようなことが挙げられているわけですが,県北に住んでいる人間にしてみると,これが本当に県北地域の企業誘致のための優位性として示されるインフラ整備なのかというふうに感じざるを得ないわけですね。北関東自動車道が県北地域まで走ってくるのか,あるいは茨城空港についても,県北の人間にとっては,茨城空港ができる,百里基地がどこにあるかもほとんどわからないような状況なわけです。その中で,このインフラ整備というのに挙げられているということで,どうも計画は計画としてつくったけれどもというような印象を受けてしまうわけです。  それで,これまでに商工労働部の方では,県北臨海地域に係る基盤整備,技術産業の基盤的技術産業集積活性化計画というようなものもつくっていただいて,それぞれに5年計画,平成9年から14年まで,14年から19年までということで,この地域の活性化に取り組んでいただいたわけなんですけれども,この計画の中で,そのときそのときに必要であるものについて整備をしていただいた。例えば,日立地区の産業支援センターができたり,テクノセンターができたりと,それなりの成果は上げてきているのだろうというふうに思います。  しかし,残念ながら,この10年間の結果を見ると,工業出荷額については減ってきてしまっているという現状があります。さらには,県北地域にとっては,少子・高齢化の流れの中で,人口が減少している,過疎化も進んでいる,そして茨城県内には南北格差というような言葉も生まれているというような,そういった点を踏まえますと,こういった計画をつくる上でも,より新たな取り組みといいますか,一歩二歩前に進んだ取り組みということをしていく必要性というのがあるのではないかというふうに感じておりますけれども,その点について見解をお聞かせください。 10 ◯武藤商工労働部長 今,御意見がございました,これまでの進めてきた中で,私ども県北臨海地域を活性化するプログラム,これを2期にわたり進めてまいりましたけれども,ただいま,委員の方からお話がございましたように,日立地区の産業支援センターでありますとか,ひたちなかテクノセンター,そういうものにつきまして整備をし,進めているわけでございますが,その成果,これにつきましては,日立地区の企業さんが,例えば,東京の方に商談会に出ていって,その成果をあらわしているというようなこともございますし,また,県北地域は,やはり大きなところでは,日立製作所の動向というものがあると思います。日立製作所,現在,回復基調にあるというふうに伺っておりますけれども,その日立製作所の協力工場群として,今まで下請と言われていたところでございますけれども,その協力工場,もちろん日立製作所の基幹的な協力工場として残ってはまいると思いますけれども,そのほかに新しい取引相手,パートナーを探しまして,得まして,そして新しい事業展開をするというような企業も出てまいっておりますから,そういう期待が持てるのではないかというふうに考えてございます。  また,基盤整備につきましても,例えば,北関東道が開通してまいりますれば,常磐道とタッチいたしまして,臨海地域への交通も飛躍的によくなるというようなことでございます。  それと,例えば,臨海地域からひたちなか地区から県北の山間西部地区の方に行く道路の整備等も今進められておりますものですから,そちらの方面の工業団地等への誘致も企業の立地も進んでくるのではないかというふうに期待しているわけでございます。 11 ◯小田木委員 今私が聞いたのは,この前に商工労働部の方で行っていただいた活性化計画についての成果をお聞きしたんじゃないんですよ。成果については,それなりのものがあったということは十分に私もわかっていますし,この計画そのものが何の役にも立たなかったというようなことを言うつもりは全くないのですね。  ただ,それなりのことはやっていただいたけれども,現実として,今の県北地域を見たときに,果たして十分な成果が得られているのかということで,何か決まった場当たり的というか,決まった画一的な取り組みだけではなかなか県北地域というのは,活性化されていかないんだという現実を踏まえて,それでこれから先,この立地法に基づく計画の中でどういうことを新たな取り組みとしてやっていく必要があるのではないですかということでお伺いをしたんですね。もう一度御答弁いただけますか。 12 ◯武藤商工労働部長 この県北地域での新たな取り組みとして,大きいものとしては,今,東海で建設が進められ,今年度運用開始が予定されておりますJ-PARC,そういうものも大きな新たな流れとしてあるというようなことでございまして,これにつきましては,J-PARCの波及効果を早く県北地域の企業さんの方に波及するような手だて,そういうものを今進めているところでございます。  建設途中におきましても,既存の企業さんの方に,例えば,ビームラインの遮へい体の発注でありますとか,そういうものも出てきておりますので,期待が持てるというふうに考えてございます。 13 ◯小田木委員 はい,ありがとうございます。経済産業省が設置をされております企業立地支援センターというところで,今回のこの企業立地推進法に基づくものについていろいろなことがコメントされているんですが,第2段階の中で,事業環境を整備するという文言の中に,インフラや人材確保は企業にとっての生命線です。企業の声に耳を傾け,ニーズを十分酌み取って事業環境の整備を進める必要があります。企業は,立地補助金や税よりも企業の目線での行政サービスを求めていますというところがあります。これがまさに,今,先ほど私が言ったインフラ整備や人材確保というものがその地域と合っているのですかと,企業が求めているものに合っていますかということなんですね。そういうところに視点を置いて,今までは行政がこういうものを提供します,こういうところがあります,こういうところを提供しますからどうぞ来てくださいというだけだったんだけれども,それだけではもう企業さんの方は来てくれないというようなことなのだろうというふうに思っています。  ですから,インフラ整備についても,例えば,多分,代表質問か何かの御答弁のときに,知事は国道6号バイパスの御答弁をされていたかというふうに記憶をしていますが,より県北地域に必要なインフラ整備というのは,この高速道路とか茨城空港とかではなくて,国道6号バイパスをどうするのか,国道245号の渋滞解消をどうするのかといったようなことを明記するべきなのだろうというふうに思います。  さらに,人材確保の点から言いますと,この基本計画の中にも,例えば,高萩市に新しくできました高萩清松高等学校でありますとか,常陸大宮高等学校,あとは工業高校等々の人材をというような話が出ています。それから,日立にあります産業技術専門学院の人材を十分に活用するというようなことももちろん書かれているわけですけれども,私たちは,そこで本当に企業が望んでいる人材が育成されているかということになりますと,なかなかこれは厳しい状況にあると思います。  御案内のように,高萩清松高等学校については,高等学校の再編整備の中で,工業高校が普通科に合併をして統廃合をして,それで新しい学校になっています。常陸大宮高等学校にしても同じです。これは,工業高校に人が集まらないんです。現在の県北地域の状況としては,工業高校を子供たちが選んでくれないという現実があります。それから,日立の産業技術専門学院についても,数年来定数割れをしているというふうに聞いておりますし,平成20年度の募集人員40名に対して,入学予定者は12名というふうにも聞いています。そういう中で,今,御答弁にあったいろいろな人材確保を提供していきますよといっても,なかなか企業にとっては現実味がないのではないかというふうに私は思っています。  それで,先日,神栖市内の高校のあるお話を伺いました。ここは,波崎高校に工業化学・情報科を新しく設けるというような内容だというふうに思いますが,この設置がされた経緯なんですが,鹿島経済特区計画推進戦略会議という鹿島東部コンビナートの6社の会社の方々が自分たちの企業で必要な人材をぜひ高校で育てていただきたいというような要望があって,教育庁の方に要望を上げて,そこでいろいろな話し合いをした結果,この工業化学科というのが設置されたというふうに聞いています。  そこにはそれなりの事情があって,千葉県の方の工業高校がすべて統廃合されてなくなってしまうというような現実もあったようですけれども,私は,学校教育については全部教育庁にお任せというのではなくて,企業がどういう人材を求めているのか,そういうことを商工労働部,あるいは企画部とか,そういったようなところでもしっり把握をして,企業とのコミュニケーションをとって,その地域の中で子供たちを育成していけるようなことを考えていくべきだというふうに思います。それが今先ほど言った企業が求めている人材の確保というものにつながっていくのではないかというふうに考えているところです。  長くなりますので,そういった今までにやっていないような取り組みをしていくことがこれから先,この県北地域の企業立地推進法に基づく計画が十分に発揮されて,企業立地に成功するかぎになるというふうに思いますけれども,商工労働部長の御所見をお聞かせ願います。 14 ◯武藤商工労働部長 ただいま御意見をいただきましたが,企業の要望,ニーズに沿った施策をやっていくべきだというようなことだと思います。  例えば,人材につきましては,今御指摘がございましたように,産業技術専門学院においては,必ずしも定員確保ができていないところがございます。これからは,やはり教育庁とも連携を密にいたしまして,物づくりの大切さ,すばらしさ,そういうものを啓発して,学院生の確保に努めることはもちろんでございますけれども,今の社会に合った訓練コースを設定するためには,やはり企業や高等学校等に対しまして調査を行いまして進めるというようなことが必要でございますので,現在,ニーズ調査を行っております。  そういう結果等につきまして十分検討を行いまして,訓練科目の新設でありますとか,訓練内容の充実に努めていくということでございます。  また,高校のことでございますけれども,今,日立工業高校で,学校での授業と現場での実習を組み合わせた,いわゆるデュアルシステムを進めておりますが,これを地域企業ともっともっとよいパートナーシップを形づくるというようなことで,地域環境を生かしまして,来年度から新しく県北地域の工業高校等と地域の産業界が連携をいたしまして,地元企業での生徒の実習でありますとか,企業技術者の学校での実践的指導,そういうことに取り組みまして,物づくりを支える専門的な職業人を育成していくということに取り組んでいるところでございます。  商工労働部といたしましては,そういう教育庁との連携を図りながら,例えば,物づくりマイスターでありますとか,技能五輪の入賞者でありますとか,そういう熟達した技能者を工業高校等へ派遣をいたしまして,技術指導等により協力するなど,そういう人材の育成に努めてまいりたいというふうに考えてございます。 15 ◯小田木委員 時間がなくなりますので,この辺で終わりにしますが,県北地域の実情を申し上げれば,先ほど言ったように,工業高校というものに魅力を感じないというような子供たちが非常に多くなっているというのも現実にあろうかと思います。  ですから,高校でデュアルシステムをやって,企業のよさを示す物づくりのすばらしさを教えるというのでは,実はもう遅いのかもしれないというふうに私は思っていて,中学生ぐらいのときから物づくりのすばらしさを体験させるというようなこともぜひ考えに入れていただきたい。  それから,どうしても今の御答弁ですと,多少の変化はあっても,大きな流れは変わるようには思えないので,もうちょっと頭を柔軟にしていただいて,人材の確保等々,企業誘致に関することについては取り組んでいただきたいというふうに思います。これは要望しておきたいと思います。  続きまして,中性子ビームラインの利活用促進についてでございますけれども,先ほども申し上げましたが,平成13年から整備を進めてきた実験施設の中の中性子ビームラインの実験装置が今年の12月から供用を開始されることとなっています。  平成16年からは中性子利用促進研究会というものを設置をして,産業界の利用促進を図るための取り組みを行ってきているというふうに聞いております。もともと,このJ-PARCが整備をされるというようなことに話が出てきたときから,この施設が整備をされる目的の一つに,その波及効果によって県北地域が活性化をしなければならないと,中小企業の活性化に寄与するものであるということで整備をされてきたというふうに私は理解をしておりますし,これまでのさまざまな県北地域の振興に関する御答弁の中でも,そのように答弁をいただいています。  今のやりとりの中でも,商工労働部長は,この基本計画の中の新しい取り組みとしてJ-PARCということも先ほど御答弁をされました。県北地域の一つの目玉として整備をされてきた,この施設でございますけれども,いよいよこの12月から供用が開始される,それを目前にしたときに,どうもまだ県内の中小企業,あるいは県北の中小企業の方々が利活用するような環境が整っているのか,実際に使う企業さんがいるのかどうかというのが見えていないというふうに思いますが,利用する可能性等々があるのかどうかをお答えください。 16 ◯武藤商工労働部長 J-PARC中性子ビームライン,県の2本のビームラインを活用していただくために,利用者の支援体制を組むこととしておりまして,技術相談でありますとか,実験支援等を行う総合支援センターを設置いたしまして,担当職員を常駐させるとともに,中性子の専門家,そういうものを配置して,いろいろなニーズにこたえられるようワンストップで対応するということにしております。  また,中小企業に対しましては,企業訪問マネジャー,こういうものを配置いたしまして,いろいろな応用事例でありますとか,利用相談に応じてまいりたいと考えてございますけれども,中性子を利用して新製品の開発等を行う際に助成,そういうものも含めまして積極的な支援策を講じていきたいというふうに考えてございます。  また,利用の可能性につきましては,これまで,中性子による研究開発手法の検討や既存の中性子の研究施設でありますJRR-3を利用したモデル実験,いわゆるお試し,こういうものを通じて実施してまいりましたけれども,このモデル実験につきましても,県北地域の7社が10回にわたって取り組んでおります。こういう企業の中から利用が可能な企業が出てくるというふうに感じてございます。 17 ◯小田木委員 今,お答えになられたのは,多分,今年度新しくされる内容だったかというふうに思います。私は,最先端の技術であるからこそ,よりもっと早い段階から中小企業の方々にもアプローチをするべきであるし,そういうことをやっていかなければ中小企業の方たちはなかなかこの技術を使えないのではないかということを繰り返し言ってきたわけなんですが,この開始目前になってからの取り組みというのでは少々遅いのかなというふうな感じもいたします。  しかし,遅いといってもしようがありませんので,時間もありませんので,要望にさせていただきますが,ぜひしっかりと中小企業の方々にも使っていただけるように,先ほどのお話の繰り返しになりますけれども,こちらが使ってくださいという希望だけではなくて,向こうのニーズをしっかりととらえた中で協力体制を,環境をつくっていっていただくように要望をしておきたいというふうに思います。  商工労働部長,ありがとうございました。  最後に,今いろいろなことでやりとりをさせていただきましたが,今定例会の代表質問のお答えの中で,企業誘致に関する答弁で,私大変驚いたことがございました。知事の御答弁ですけれども,これは,我が党の代表質問に対する御答弁だったんですが,例示として,先ほどの県北地域の基本計画を挙げまして頑張っていくというような御答弁をされていたんですが,まず私の短い議員の経験の中で,県北地域を知事があえて例に出すというのは,非常にレアなことではないかなということで,その背景には,恐らくこのところ,県北の方に立地企業が多く出てきているというような背景があるのだろうというふうに思っています。  しかし,先ほど来申し上げていますように,これまでの疲弊した県北地域にとっては,あれだけの企業さんが出てきますよというようなことがあっても,まだまだスタートラインに立ったばかりというような感じがしているところでございます。  先ほど私が申し上げたことは,新聞等にも取り上げられておりまして,知事の強気の発言を裏づける企業誘致をどう進めていくか,正念場はいよいよこれからだというふうに新聞も締めくくっているわけですが,知事に,今後の県北地域の活性化に向けた取り組みの決意についてお聞かせを願いたいと思います。 18 ◯橋本知事 強気の発言というわけではないんですけれども,おかげさまで,県北地域の企業誘致,平成19年度以降で,県北地域全体で23件の立地が見込まれているところでございます。そして,先ほども商工労働部長の答弁の中にもございましたが,高萩市,北茨城市の方にもコマツや日立建機の関連のメーカーが工場を新設するわけですね。いろいろとそういったトータル的な効果というものが出てきているのではないかなと思っております。  ただ,県北地域の産業の中では,何と言いましても,日立製作所,あるいは関連する企業が大きなウエートを占めているわけでございます。一時,回復傾向が見えたと言われておりましたが,先般,業績が下方修正を大幅にされているところでございまして,円高等の影響によるものがこれからどうなっていくのか,大変に心配をしておるところでございます。  しかしながら,私どもとしては,この県北地域の活性化というものは,県政の大きな課題であると考えておりまして,先ほどもお話がございましたように,大きな北関東自動車道などとあわせて,国道6号バイパス,あるいは仮称木島橋と呼んでおりますけれども,ああいった橋の建設など,企業の立地環境の整備をしっかりとしていくことが大変大事だろうと思っております。  また,J-PARCにつきましても,中小企業にどうやって使わせるのかということでございますが,今度12月に最初の出力はいたしますけれども,これがフル回転するのは2年後ぐらい,平成22年ぐらいになってまいりますので,まだまだ当面はパワーユーザーといいますか,大企業がどういうふうに使いこなせるか,そういったことが中心になっていくと思います。その間に,中小企業,これまでもいろいろ声はかけてまいりましたですけれども,これまで以上にいろいろとこちらからアプローチもいたしますとともに,また,中小企業の方でもこういったものを使って何かできないかという発想を持っていただくことが大変大事ではないかと思っておりますので,そういった点でもいろいろと働きかけをしてまいりたいと思っております。  いずれにしましても,地元に物づくり企業,大変あるわけでございますので,こういったものの競争力の強化,さらには日立港というものもございます。こういったものも生かした形で何とか県北地域全体が元気で活力あふれる地域となりますように全力で取り組んでまいりたいと思います。 19 ◯小田木委員 ありがとうございました。ぜひよろしくお願いをしたいと思います。  続きまして,次の質問に移らせていただきます。  ドクターヘリの導入についてでございますけれども,ことしの6月にドクターヘリの配備を進めるための特別措置法が施行されるということで,普及への機運が非常に高まってきているわけですが,現在の救急医療の環境というものを見たときに,このドクターヘリというのは非常に有効な手段の一つであるというふうに私も思っております。  ただ,この導入については,さまざま課題がございまして,クリアしなければならない問題が非常に多くあるというふうに感じております。  時間もないのでちょっとざっくりとお伺いをいたしますが,来年度から検討会を設けて,検討するというふうに聞いておりますが,どういったことを検討していって,結論はいつごろ出すのか,そしてこの基地病院というものが必要になってくると思うのですが,基地病院になったときのドクター,あるいは看護師のスタッフというものはどの程度必要になるのか,最低でもどのぐらい必要なのかということについて,保健福祉部長から御答弁をお願いします。 20 ◯泉保健福祉部長 お答えいたします。  来年度設置いたしますドクターヘリ導入検討委員会での検討でございますけれども,まず,本県単独での導入につきまして,これが本県の救急医療体制の充実強化を図る上でどのような役割を期待できるのかということ,また,その導入効果,こうしたことを検討いたします。  さらにもっと具体的な課題といたしましては,基地病院をどこに置くのかという地域の問題,それから導入に当たっての課題対策,さらに千葉県との共同利用の範囲の拡大ですとか,埼玉県との共同利用について,また,県防災ヘリとの役割分担,こうしたことについて検討していきたいと考えております。  県といたしましては,この検討委員会からの御意見は,来年度のうちに大体いただきまして,それを踏まえて本県単独での導入の実現性,また,導入する場合には,その配備の時期や場所について判断をしていきたいと考えております。  また,実際にドクターヘリを置くに当たっての必要なスタッフの数でございますが,基地病院は,基本的には救命救急センターを置きまして,それに加えて昼間の時間帯にドクターヘリに搭乗する医師と看護師が1名ずつ,その救命救急センターの運営に支障を来さない範囲で確保するということが必要になってまいります。  最低必要な人数は,その病院の規模ですとか,周りの病院からどのくらい協力を得られるかということもございますので,簡単には何人という基準という形では申し上げられませんが,ほかの例で見ますと,大体,救命救急センター全体では,専任の医師が10名程度,また看護師が45名程度が必要ではないかと思っております。  これらの中からドクターヘリに搭乗する人として,ほかの県の例では,医師で10名,看護師8名程度が搭乗要因として確保されているということではないかと思います。 21 ◯小田木委員 大変な数の人員が必要だということかというふうに思います。現在でも,医師の確保にはいろいろな病院で四苦八苦しているところでして,基地病院が決まった後,ドクター並びにスタッフの確保というものをどのように行っていくのか,どのようにお考えか,お聞かせください。 22 ◯泉保健福祉部長 運行に必要な救急医療を専門とする医師,看護師の確保でございますが,基本的には,基地病院となる病院において確保していただく必要があると考えております。しかし,基地病院のみでは医師の確保が困難な場合も想定されますが,他県の例では,例えば,北海道のドクターヘリの基地病院では,その病院での医師のほか,大学病院からの応援の医師が週に1回1人ずつ来ているという例もございますし,また,飛ぶときは,その病院のお医者さんを乗せて,また,おりるときは近所の病院でおりるというような形もございますので,周りの病院の協力をどう得られるかという点も検討していく必要があるだろうと思います。  また,県といたしまして,医師確保対策の一貫としての後期研修医の受け入れ促進の中で,来年度からは,救急専門医もその補助対象にしていきたいと思っておりますし,また,県立3病院が連携して来年度から総合・救急医の研修システムを始動いたしますので,こうしたことからも救急専門医の養成確保を図りたいと思っております。  また,筑波大学におきましても,来年度から救急診療の養成コースを拡充するということでございますので,こういったところとも連携しながら,県内の救急専門医師の育成,確保に取り組みたいと考えております。 23 ◯小田木委員 ありがとうございました。ちょっと急ぎ足ですけれども,知事に最後にお伺いをしたいと思います。  ただいまのように,医師確保,スタッフの確保も大変厳しい,あるいは補助制度だけではなかなか回らないのではないかというようなこともございます。ドクターヘリを運用するに当たっては,それぞれの病院の協力が必要ということで,現在の救急医療と同じような問題を抱えている中でのスタートになるのではないかと思いますので,どのように課題をクリアして,この導入を進めていくか,知事のお考えをお聞かせください。 24 ◯橋本知事 私どもも,今回,この設置いたします検討委員会で,協力体制というものをぜひ築いていただけたらと思っておるところでございます。  また,それとあわせて,先ほど来お話に出ておりますように,基地病院の確保というよりは,それ以上に救急医療に精通した医師をどうやって確保するかということが重要になってくると思いますので,私ども,そこの点につきましては,先ほども御答弁申し上げましたが,県立3病院の方で積極的に取り組んでまいりたいと思っております。 25 ◯小田木委員 はい,ありがとうございます。  ドクターヘリの中で,ある文献に書いてあるのは,救急医療を担う救急医の育成こそが最も重要な課題であるというふうに書かれているものがあります。このことについては,県立中央病院の方で,そういった制度を設けて,救急医の医師を育てていくということに取り組まれるということで,これは非常に他県にも先駆けた取り組みだというふうにも聞いていますので,そういったことに着手をした本県だからこそ,さまざまなことをクリアした上で,ぜひドクターヘリの導入に向けて,再来年ですか──に向けて努力をしていただくようにお願いをしたいというふうに思います。  以上で終わります。ありがとうございました。 26 ◯新井委員長 次に,高崎委員。 27 ◯高崎委員 どうもおはようございます。  公明党の高崎進でございます。  初めての予算特別委員会の質問でございまして,いささかというか,かなり緊張しておりますが,知事並びに教育長,そして関係部長には,明快なる御答弁をよろしくお願い申し上げます。  初めに,大型商業施設と商店街の振興について質問をさせていただきます。  昨日の森田委員と重複する点もございますが,重要な点でございますので,よろしくお願いを申し上げます。  日本では,今,大型商業施設,いわゆるメガモール時代であるような印象を私は受けております。アメリカでは,1980年から90年にかけまして,大型商業施設,いわゆるメガモール時代がございました。しかし,同じようなコンセプト,また,似たようなテナント構成であったため,消費者からあきられるということになり,メガモール時代から,現在,ポストメガモール時代に移行しているとの報告もあります。  今,アメリカでは,中心市街地の活性化の動きが進み,街路が歩いて楽しいと,若者から見直されております。また,日本もそうですけれども,高齢者からは,車に頼らない買い物ができるまちづくりが受け入れられております。このような状況を踏まえ,順次,お伺いしてまいります。  本県においては,チェルシージャパンやイオンなど,大型の商業施設の設置が計画されている状況にありますが,特に,ひたちなか地区,また圏央道阿見東インターチェンジ周辺,阿見吉原東土地区画整理事業及び笠間市茨城中央工業団地における大型商業施設の計画と今後の見通しについて,これは申しわけございませんが,各またがるようでございますので,企画部長,土木部長,商工労働部長にそれぞれお伺いいたします。よろしくお願いします。 28 ◯新井委員長 高崎委員の質疑に対する答弁を求めます。  鈴木企画部長。 29 ◯鈴木企画部長 高崎進委員の質問にお答えいたします。  ひたちなか地区における新たな広域型商業施設の立地計画についてでございますが,ジョイフル本田,ニューポートひたちなか店と国道245号に挟まれました2区画,約12ヘクタールの土地にアセットパートナーズ水戸を代表とする企業グループが設立しました特定目的会社が中核テナントや各種専門店,アミューズメントなどで構成するショッピングモールを建設する計画となっており,順調にいけば,平成21年春に着工し,平成22年春ごろにオープンする予定と伺っております。 30 ◯渡邊土木部長 圏央道阿見東インターチェンジ周辺の阿見吉原東地区の立地計画についてお答えいたします。  阿見東インターチェンジは,昨年3月10日に開通したところでありまして,そのインターチェンジに隣接する土地に県が進めております阿見吉原東土地区画整理事業のうち,約17ヘクタールの商業業務施設に御殿場や佐野にアウトレットモールを展開しておりますチェルシージャパン株式会社の立地が決まったところでございます。  この会社は,千葉県,埼玉県,東京都の一部を商圏として事業を展開していくということでございます。規模につきましては,店舗面積約2万平方メートル,店舗数約100店舗の計画でございます。  今後の見通しといたしましては,現在,県が造成工事を進めておりまして,ことし秋には土地の引き渡しを行いますので,その後,チェルシージャパン株式会社が建築工事に着手し,来年夏ごろにオープンの予定と聞いてございます。  この施設が立地することにより,広域からかなりの集客が見込まれますので,地域の観光活性化等に大きな効果があるものと期待しております。 31 ◯武藤商工労働部長 茨城中央工業団地笠間地区へのイオン株式会社の立地計画と見通しでございます。  施設は,平屋建てで,多数の専門店が並ぶオープンモールとショッピングセンターの広域商圏型の商業施設でございます。多くの高速道路利用客を見込むほか,笠間市はもとより周辺の観光施設との連携とか,地産地消の推進など,地域振興に寄与する内容が企業側から提案されるなど,これまでの店舗とは違った形態の施設が計画されてございます。
     平成23年4月のオープンを予定してございます。敷地面積は約18ヘクタール,店舗面積,いわゆる物販の部分だけの面積でございますが,約5万6,000平方メートルの計画となっております。  現在,土地利用計画でありますとか,造成計画などについて協議を県の方と進めておりまして,これらの協議が調い次第,造成の実施設計を行いまして,分譲単価及び分譲面積を確定させまして,県議会の議決を賜りまして,譲渡契約,造成工事,企業側の建設工事へと進む見通しでございます。 32 ◯高崎委員 商工労働部長,ありがとうございました。  各部長におかれましては,答弁ありがとうございました。  次に,商店街の振興について,続けて申しわけありません,商工労働部長にお伺いいたします。  大型商業施設が立地すれば,地域の商店街はかなり影響を受け,ますます衰退してしまうのではないかと,現在でもシャッター通りがございますが,心配しているところでございます。地域にとって,商店街は,大切な生活の拠点でありますとともに,商店街の活性化を進めていかなければならないと考えております。  しかし,一方では,消費者側が大型商業施設を求めていることも事実であり,企業においては,需要もあることから,立地が促進されると推測いたします。  そのようなことを考えますと,大型商業施設と既存の商店街との連携を図っていくという対策も,ある意味必要ではないかと考えております。  埼玉県におきましては,大型店,チェーン店の地域商業貢献に関するガイドラインを策定しております。この埼玉県のガイドラインの最大の目的は,大型店やチェーン店に地域商業に対して貢献を求めていくということでございます。また,それと同時に,県,市町村,商工団体や商店街が何をしたらいいのか,その役割を具体的に示す内容であります。  さらに,もっと詳しく申し上げますと,このガイドラインは,大型店やチェーン店に商店街や商工団体への加入,地方団体が進めるまちづくり計画等への策定への協力,また,中心市街地活性化のために実施される各種取り組みへの参画,協力など,地域への貢献を促すことを目的としております。  私は,このような地域商業との連携を促す取り組みも県が率先して進めるべきではないかと考えております。  そこでお伺いいたしますが,県として,商店街振興のためにどのように取り組んでいかれるのか,商工労働部長にお伺いいたします。 33 ◯武藤商工労働部長 大型商業施設の立地は,雇用の確保でありますとか,消費者の利便性の向上などに寄与する面もある一方で,商店街にとりましては,訪れる人々が減少して,その利害が失われるといった影響があるものというふうに受けとめておりまして,こうしたことを踏まえまして,本県では,平成19年4月から大型商業施設が立地する場合に,地域貢献に関する取り組み計画の提出を求めているところでございます。  この内容につきましては,埼玉県がガイドラインによりまして求めております地域イベントの参加や商工団体への加入などの地域商業貢献に加えまして,地場産品の積極的な販売でありますとか,地元雇用の推進,さらには,リサイクル資源の回収ボックスの設置,そういうことによるリサイクル活動など,より幅広い取り組みを求めておりまして,これを公表しているところでございます。  一方,商店街におきましては,郊外への大型店の進出や後継者不足,また,商店街自体の魅力の低下,そういうことがございまして,非常に厳しい状況にございます。  しかしながら,商店街というものは,従来から地域住民の暮らしを支える買い物の場でありますとか,地域の交流や文化,伝統をはぐくむ場として大切な機能を担ってまいりました。  加えまして,少子・高齢化が進む中,宅配でありますとか,子育て支援,そういう地域のコミュニティー機能を高めていくことも求められているわけでございます。  このため,県といたしましては,平成19年度,今年度から,地域の特色を生かしました活性化策に取り組みます商店街や商業者を支援いたしますがんばる商店街支援事業を実施してまいりました。その中のコンペ事業におきましては,37件もの応募がありまして,4件採択しているわけでございますけれども,その中には,空き店舗を活用した若者の交流拠点づくり,そういった地域のコミュニティー機能を高める提案が含まれておりました。来年度は,平成20年度は,採択枠を8件にふやしまして,より一層活性化への取り組みを促進してまいりたいというふうに考えてございます。  また,来年度からは,県内外の専門家,または実践者から成る商店街の活性化アドバイザー制度をつくりまして,そこに登録をいたしまして,市町村とともに活性化に取り組もうとする意欲的な商店街に対しまして,地域の実情を十分に把握した上で,適したアドバイスをするアドバイザーを派遣し,相談,助言を行ってまいりたいというふうに考えてございます。  今後とも,市町村でありますとか,商工団体と強い連携を図りながら,商店街の活性化を進めてまいりたいというふうに考えてございます。 34 ◯高崎委員 ぜひともよろしくお願いを申し上げます。  商工労働部長,ありがとうございました。  次に,街づくりの展望について,知事にお伺いいたします。  冒頭,県有地の大型商業施設の立地計画をお伺いいたしました。県の今の危機的な財政状況というものを考えれば,県有地を一刻も早く売らなければいけない。そういう県の立場は理解できるわけでございますが,しかしながら,県有地を売却した結果,大型商業施設の立地が進んでしまうということについては,まちづくり三法が改正もされ,これにより中心市街地の活性化に取り組んでいこうとする各自治体や商店街のことを考えますと,県の取り組みに対して,私はいささか矛盾を感じております。  このような状況を踏まえて,県として,中心市街地や地域の商店街をどのように活性化するのかを含め,今後の街づくりをどのようにお考えなのか,街づくりの展望につきまして,知事の御所見をお伺いいたします。 35 ◯橋本知事 中心市街地の活性化,あるいは商店街の活性化につきましては,私どもとしても,大変にこれから意を用いていかなければいけない点だろうと思っております。特に,高齢社会を迎える場合に,ある程度既成市街地などを中心にしたコンパクトなまちというものも必要になってくると考えているところでございます。  こういったことから,先ほども,商工労働部長の方からいろいろお答えさせていただきましたが,都市の魅力を高める都市機能の集積と商業の活性化を一体的に推進するために,中心市街地活性化基本計画というものを市町村が策定する際には,県庁全体として精いっぱい支援をしてまいりたいと思っております。  また,まちづくりリーダーによる講習会,交流会といったものを開催する,あるいは市町村や商業者に,その熱意やノウハウを伝えることで機運の醸成を図るなど,必要な支援を行ってまいりたいと考えております。  さらに,市町村が行います市街地開発事業に対する指導,助言,まちづくり交付金事業の活用促進といったものを通して,中心市街地の活性化に努めてまいりたいと存じます。  ただ,一方で,私も,中心市街地に住んでおりますけれども,周りに人が住まなくなってきている,あるいはまた,お店そのものも通って経営しているといったようなことから,朝が遅い,夜も早い,いろいろな問題点もございます。商店街そのものの方々も,これからどうやれば,自分の地域を活性化できるかということについて,前向きな,この間も,中小企業の皆さんとか,あるいは商店街の皆さん,自分の代でやめるんだという方が大変多いということもお聞きしましたですけれども,そういった方々にもぜひ積極的にこれから自分たちのまちをよくしていくんだという方向で御尽力を賜ればありがたいなと思っております。  一方で,先ほど,さまざまな大規模店についてお話がございましたが,これは,私ども,財政面もございますけれども,例えば,チェルシージャパン一つとりましても,ある程度の圏域に一つという方針をとっています。うちへ来ないとどこかへ行ってしまう。そうすると逆に取られるばかりになってしまう。いろいろな問題があるわけでございまして,うちの方へ来てもらうことによって,周りの方からも多分,チェルシージャパンの場合には,ほとんどがその地域というよりは県外からの方々でございますので,それによるいい影響なども想定できるのではないかなと思っております。  また,内原のショッピングセンターなどの場合には,今までどおりのまちであれば,多分出ていかなかったような家族連れといった方々が大変多く出てきております。そういった面などでの効果もあるのだろうと思っております。いろいろな形でまち全体,地域全体をどうやって活性化するかということについて,また,いろいろと御意見なども伺いながら頑張ってまいりたいと思っております。 36 ◯高崎委員 御答弁ありがとうございました。  逆に県外に取られてしまうと。県外の客,取り込むということにおいては,例えば,水戸市の京成デパート,これは県の御協力もいただいて水戸市が再開発したと。ただ,やっぱり外から大型の百貨店でございますから,そういうことでPRして,ただ,それが途中で,今度せきとめられてしまっていて,逆に今度は入ってこない。やっぱり水戸自体の活性化というものを考えると,いかがなものかなというふうな思いもしております。  また,先日,高齢者を中心に急増するひとり暮らし世帯の割合が2030年には37%超えるとの世帯の将来推計が発表されました。今後,超高齢化,さらにひとり暮らし世帯が増加する,こうなるとますます身近な地域商業が必要となってまいりますし,また,知事も今おっしゃられておりましたが,コンパクトシティーが求められると。そういう意味では,県において,逆に知事のおっしゃったこともわかるんですけれども,公共的使命感というのも,やっぱりその上に立ってまちづくりも進められる必要があるのではないかなと思いますが,知事,その点はいかがでしょうか。 37 ◯橋本知事 今挙げられた京成百貨店の場合は,若干客層が異なっておりまして,これは京成へ来られる方々が向こうでとめられているという面は,そんなに多くはないのだろうと思っております。ただ,おっしゃるとおり,中心市街地で高齢化時代に,高齢者の方々が安心して住めるような体制,これはぜひともつくっていかなければいけないと思っておりますけれども,例えば,私の住んでいるところですと,お客さんが少な過ぎるために,例えば,日用品を売っている店,魚とか野菜とか,こういったものを売っている店がやっとこの間ミーモという形でできましたですけれども,あれも一番の売り上げは何が多いかというと,ウイークデーの周辺の事業所の方々が買われるお弁当だそうです。日ごろ住んでいる方にとって便利なところまでまだいっていない。そこが難しい状況でありますので,中心市街地へ人をどうやって戻すかということも含めて考えていかないと,中心商店街だけの活性化というのは,かなり難しい面もあるのではなかろうかなと考えております。 38 ◯高崎委員 知事,ありがとうございました。中心市街地の活性化は非常に大事でございますので,よろしくまたお願いいたします。  次に,高校の不登校対策と中途退学者の減少策について,教育長にお伺いいたします。  現在,学校教育を取り巻く環境の急激な変化に伴い,生徒の能力,それから適性,また興味・関心,価値観が多様化して,複雑化しておるわけでございますが,また,それに伴って,いじめや不登校など大きな社会問題となっておりますが,高校における不登校の実態,さらに不登校対策の取り組みをどのように行っているのか,まず,教育長,よろしくお願いします。 39 ◯稲葉教育長 高等学校における不登校生徒の状況及びその対策についてお答えをいたします。  不登校につきましては,県立高等学校で,平成18年度は359人,在籍者約6万5,000人に占める割合0.55%でございまして,これは国の調査でありますけれども,この調査を開始しました平成16年度は699人,在籍者に占める割合1.0%,これを比較しますと,生徒数,割合ともに減少している状況にございます。  学年別に見ますと,不登校生徒全体の約4割が第1学年の生徒が占めているという状況にございます。  また,不登校になったきっかけの主なものは,例えば,友人関係をめぐる問題,あるいは学業の不振など学校生活に起因するものが多い状況でございます。  不登校の生徒をいかに出さないかというか,不登校にならないような対策でございますけれども,ただいま申し上げましたように,不登校の要因には,学校生活,学業不適応などがあることから,学校生活になれ,目的意識を持って学校生活を送ることが大切であるということで,特に第1学年段階で多い状況でございますので,各学校においては,入学時に高校での学習の仕方や生活上の心得,部活などについてのオリエンテーションを実施しております。  さらに,学校行事やホームルーム活動を通じて,教員との信頼関係や生徒同士の友人関係が築けるように働きかけております。さらに,不登校につきましては,これは関連して,中途退学にも関連ございますけれども,その要因として,学業の不振ということがございますので,生徒が主体的に学習することができるように授業に興味や関心が持てる工夫をするなどして,生徒が参加する授業,わかる授業を行っているところであります。  しかしながら,このような日々の取り組みをしても,生徒は学校生活を送る中でさまざまな不安や悩みを抱えながら生活している状況です。  県では,スクールカウンセラーを配置したり,派遣したり,教育相談等を実施したりして,その解消に当たっているところです。  各学校におきましては,生徒一人一人が目的意識を持って学習することが大切でございますので,学校教育全体,例えば各教科科目の授業,総合的な学習の時間,部活動等の特別活動,ホームルーム活動などの中で進路学習やインターンシップなどキャリア教育を積極的に進め,生徒が自己の将来像を描き,それに向かって努力していけるようにしてまいります。  また,平成19年の4月から,御承知のように全県立高等学校で道徳の授業が必修としてスタートをしております。この道徳の授業等を通して,生徒自身がいかに生きるかについて考え,学校生活をより豊かに送れるようにしてまいりたいと考えております。 40 ◯高崎委員 今,不登校対策についてお伺いしましたが,次に,中途退学者の減少策についてお伺いいたします。  この3月に多くの高校生が卒業いたしました。卒業された高校生の将来が幸多きことを願うものでございますが,また,来年4月,桜が咲きますと,高校の入学式を迎えるわけでございまして,多くの新しい高校生が希望を抱きながら入学してまいります。  親においても,入学金,また授業料,制服代,定期代など教育費をやっとの思いで工面し,子供たちの将来を高校教育に託し,送り出すわけでございます。しかし,高校に入学してきた生徒がいろいろな事情があるにせよ,高校をやめてしまう,中途退学者が出ることは,私は大変残念なことであると思っております。  県における高校の中途退学者の実態,さらに先ほども,教育長,お触れになられましたけれども,軽減策への取り組み,1年生が不登校も多いと,中途退学者も1年生が後で触れますけれども,多いわけでございますが,どのような取り組みをされているのか,お伺いいたします。 41 ◯稲葉教育長 中途退学者の現状といいますか,状況でございますが,過去10年間で見ますと,平成18年度は1,237人,在籍者に対して占める割合は1.89%でございます。平成10年度は1,982人,占める割合2.5%,これがここ10年間の中でピークでございまして,年々減少して,ここ数年はほぼ横ばいの状況にございます。  学年別に見ますと,先ほどの不登校と同じように第1学年生が最も多く,中途退学者全体の半数を超えている状況にございます。また,中途退学の理由につきましては,学校生活,学業に対する不適応,2番目には進路変更,3番目に学業不振等でございますが,その中で,先ほどの不登校と同じ傾向ですけれども,学校生活,学業に対する不適応が約50%を占めている状況でございます。  その対応につきましては,どちらも第1学年が非常に多いということで,子供たち,生徒たちの高校に入ってきた時点での目的意識,あるいは学校生活の不慣れ,あるいは友人関係,そういうことが共通に起因しているという部分もありますので,先ほど申し上げましたとおり,年度初めのオリエンテーション,あるいは信頼関係づくり,参加する授業,わかる授業,それからスクールカウンセラーの配置,そして道徳教育ということで,対応については共通しているということでございます。 42 ◯高崎委員 今,教育長からお話しありましたように,確かに平成18年度,中途退学者の内訳を見ますと,1年生の中途退学者が600人,2年生で376人と,3年生で114人ということで,1年生が中途退学者が非常に多いことで,私も非常に懸念するところでございますが,最初がやっぱり肝心といいますか,1学年がある面では環境も変わるというようなことで,生徒,また親においても非常に心配するところでございますけれども,今言った取り組みはしっかりお願いしたいなというふうに思いますが,実は,先日,高校生と懇談する機会がございました。その中で,高校生がいろいろなことを言っていたわけですが,私,一つ気になった点がありました。それは,先生がなかなか生徒の話も聞いてくれないとか,また,話もできない先生がいるというような内容でございました。いろいろな対策も非常に大事でございますけれども,教師とまた生徒の対話を持つこと,またコミュニケーションをしっかりとるなど,やはり中途退学者の軽減,さらに不登校の対策においても,一歩も二歩もそういうことによって進むのではないかなというふうに私は感じました。  また,もう一つは,やはり根本的な問題として,教師は,だれのためにあるのか。これをやはり再確認することが必要ではないのかなというふうに思いました。教育者のあり方について,教育に情熱を持った有識者の方が語っておられました言葉が私は大変印象に残っております。その方がおっしゃったのは,教師のために生徒があるのではなくて,生徒のために教師があるということを語っておられた言葉です。私は,共鳴するとともに,みずから議員として,だれのための議員なのかということを改めて問いただしたわけでございますが,県においても,多くの教師は生徒のために教師があると自覚されていると思われますが,この根本の意識を再確認する必要が私はあるのではないかなというふうに思うわけでございますが,教育長の御所見をお伺いいたします。 43 ◯稲葉教育長 特に高等学校の教員の数は約6,000名前後でございます。私自身,ほとんどの教員は意欲を持って子供たちにじっくり耳を傾ける,そういう本来の教員としての資質は持ち合わせているものと信じてはおりますが,ごくわずかでも,今御指摘のような子供たちの,生徒たちの話に耳を傾けられない,あるいは十分な心からの対応ができないという教員がいるということも実態としていろいろ耳にしております。  数の問題でなく,そのことによって,たとえ一人二人でも,子供たちが途中で学校に来られなくなってしまったり,あるいは学校をやめてしまったりすることがないように,一人一人の教員に対して,ちょうどこの3月から4月にかけて異動の時期でもあり,新しい学校がスタートする時期でもありますので,学校に対しては,そういう面で気を引き締めて,新鮮な気持ちでスタートできるように指導してまいりたいと,そのように考えております。ありがとうございました。 44 ◯高崎委員 教育長,これからも茨城県の教育の発展のために,御尽力いただけますようによろしくお願い申し上げまして,教育長への質問を終わります。ありがとうございます。  次に,AED,自動体外式除細動器の配備推進について,保健福祉部長にお伺いいたします。  昨年,県内において,市民運動会であるとか,スポーツの最中,突然心肺が停止した男性が2人,AEDによって一命をとりとめたという出来事がございました。このようなことからも,学校やスポーツ施設,さらに公共施設へのAEDの配備が推進されるべきと考えておりますが,公立の施設にはAEDが一体どのぐらい設置されているのか,お伺いいたします。 45 ◯泉保健福祉部長 お答えいたします。  平成19年10月末現在の設置台数でございますけれども,県立の施設で223台,市町村施設で916台,計1,139台となっております。この数字を7カ月前の平成19年3月末現在と比べますと,59%,716台ふえておりまして,これは,小中学校への設置が進んだことが要因と考えております。 46 ◯高崎委員 ありがとうございます。大分AEDも普及してきて,配備されてきているなと,数字上でうかがえますが,また,一般市民の方にも大分AEDというものが認識されてきまして,一次救命講習などを受講しているように思われるわけでございますが,一般市民によるAEDの使用状況というのは,どのようになっているのか,お伺いいたします。 47 ◯泉保健福祉部長 一般市民による使用でございますけれども,これは消防本部が把握している数字ということでございますが,平成16年の7月から平成19年の12月までの間に10回使用されまして,4人の方が社会復帰を果たしたということでございます。 48 ◯高崎委員 今,御答弁で,一般市民の方がAEDを扱って,4人の方が助かったというようなことを今御答弁いただいたわけですが,やはりすべての県立施設,市町村の施設にもっと加速してAEDを設置すべきと考えますが,いかがでしょうか。 49 ◯泉保健福祉部長 県立施設でございますが,まず,県立高校は,すべて設置済みとなっております。また,カシマサッカースタジアムですとか,大洗の水族館という人が多く集まる施設に設置をしてきております。さらに,今年度から来年度にかけまして,近代美術館,歴史館,また水戸生涯学習センターなどにも設置がされる予定となっております。  今後,未整備の施設につきましては,その施設の性質ですとか,どのくらいの来場者があるのかと,こういったことも踏まえまして,検討して整備を進めてまいりたいと考えております。  また,市町村の施設につきましても,小中学校ですとか,人が多く集まる施設への整備が進むように働きかけてまいりたいと考えております。 50 ◯高崎委員 AEDでございますけれども,保健福祉部長も御存じのように,子供に対しては小児用パッドを使う必要がございまして,1歳から8歳未満,また体重が25キログラム未満の子供の患者に使用する場合は,通常のAEDではショックが強過ぎて使えないということがありまして,AEDの普及と合わせて,低学年,そういう小さいお子さんが訪れる公共施設,また小学校,幼稚園,こういうところにも小児用パッドの普及を図るべきと考えておりますが,御見解をお伺いいたします。 51 ◯泉保健福祉部長 今お話しいただきましたように,1歳以上8歳未満の子供については,小児用のパッドを使うことが進められておりますが,それがない場合は成人用のものを使用するということになっております。  現在,AEDが設置されております県立施設のうち,子供がたくさん集まります自然博物館,県立植物園などでは,小児用のパッドが整備されております。また,一部の市では,全小学校にAEDと小児用パッドを整備しているところもあるというふうに伺っております。  今後,AEDの設置促進とともに,小学校や運動施設など子供が集まる施設で小児用パッドを整備するように関係機関に働きかけてまいりたいと考えております。 52 ◯高崎委員 ありがとうございました。  最後に,中小企業への取り組みについて,商工労働部長にお伺いいたします。  今,中小企業を訪問してお話を伺っていますと,昨今の原油,原材料の高騰により,経営環境は相当厳しい状況でありますが,県内の中小企業の実態について,どのような御認識なのか,お伺いいたします。 53 ◯武藤商工労働部長 県内の中小企業からは,原油価格や原材料価格の高騰などによりまして,収益を圧迫されているという声を多く聞いてございまして,また,水戸財務事務所の調査によりますと,景況感が下降しているという回答が多くなって,中小企業の割合が依然として高い状況にあるなど,厳しい状況が続いているというふうに認識をしております。 54 ◯高崎委員 国における来年度の予算においては,中小企業対策予算というものが昨年度より7.3%増の1,761億円が計上される予定と伺っておりますけれども,本県における来年度の中小企業に対しての支援策はどのようになっているのか,お伺いいたします。 55 ◯武藤商工労働部長 県内の中小企業に対しましては,金融面での支援や経営革新によるコスト削減,販路開拓,新商品の開発など収益確保の支援,そういうことを進めていくという必要があるというふうに考えてございます。  具体的には,売上高の減少でありますとか,原油価格の高騰の影響を受けています中小企業,また,経営の革新を図る企業などの円滑な資金調達を支援するために,経営合理化融資,また事業革新支援融資の新規融資枠を拡大いたしますほか,セーフティーネット融資や中小企業パワーアップ融資の新規融資枠を確保してまいりたいというふうに考えてございます。  また,新商品の開発や販路開拓などの経営革新への取り組みを促進するために,専門家の派遣でありますとか,セミナーの開催,そういうことを通じまして,経営革新計画策定を積極的に支援してまいりたいというふうに考えてございます。  さらに,各商工会議所や,商工会等におきまして,経営指導,経営相談を充実しますとともに,中小企業振興公社において,下請取引のトラブルに関する窓口を開設しておりますが,昨今,先ほど申しましたように,原油でありますとか,原材料価格が高騰する中でございますので,この2月に関係機関,市町村に対しまして,この県の制度融資,また相談窓口の活用を要請周知したところでございます。  県といたしましては,先ほど申しましたような十分な融資枠を確保するとともに,下請取引の一層の適正化,また経営課題の解決に取り組みます中小企業に対しまして,専門家を派遣するなど,引き続きまして中小企業の経営基盤の強化に取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。 56 ◯高崎委員 時間もありませんので,来年度,中小企業ですけれども,小規模企業の支援策として,新規事業がんばる小規模企業応援プランというのがありますけれども,ぜひとも小規模の会社,25人以下と言いますけれども,本当に2人,3人でやっているお店とか,非常に厳しい状況,もう悲鳴を上げていると,いつ傾いてもおかしくないとか,やめようかという,そういう切実な声をお聞きするわけでございまして,県としても,今のいろいろな策,これは迅速にスピーディーに,また,この年度末,やっぱり資金繰り等に非常に厳しい会社もあると思いますけれども,何とぞ中小企業に対しての支援をよろしくお願い申し上げまして,私の質問を終了いたします。  部長,ありがとうございました。 57 ◯新井委員長 暫時休憩いたします。  なお,再開時刻は,午後1時を予定いたします。                 午前11時52分休憩        ───────────────────────────                 午後1時開議 58 ◯新井委員長 休憩前に引き続き,委員会を再開し,質疑を続行いたします。  鈴木委員。 59 ◯鈴木(せ)委員 自由民主党鈴木せつ子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  まず初めに,助産師の活用について,保健福祉部長にお伺いいたします。  今,少子化対策が叫ばれる一方,産科医師の不足により休止,廃止する産科がふえ,出産難民,お産難民といった言葉も生まれております。  県では,さまざまな医師確保対策に取り組まれ,今定例会におきましては,筑波大学医学部で平成21年度から地域枠として5名の定員増が図られることも明らかとなりました。  しかしながら,周知のとおり,本県の産科の医師は,人口当たり全国第41位と低く,また,全国的な医師の絶対数の不足から,まだまだ解決に至ってはいない状況でございます。  そこで,私は,逼迫している産科医師不足に対応するために,助産師の積極的な活用に向けた取り組みを行うべきと考えております。
     助産師を効果的に活用するためには,医師と助産師との業務分担の明確化や周産期医療における病院と助産所との連携,協力体制の強化などが重要でありますが,近年,注目されておりますのが院内助産所や助産師外来の取り組みでございます。助産師は,正常分娩の場合,医師の監督なしで分娩介助を行えるわけでありますが,急変した場合,院内助産所であれば,速やかに医師による対応が可能となり,また,助産師外来は,医師と助産師が役割を分担しながら健診や指導を行うことで,双方の負担が軽減できることになります。  また,既に取り組んでいるところでは,助産師がかかわるようになったことで,妊産婦の相談対応などもよりスムーズな解決が図られるようになったと聞いております。  栃木県では,今年度,大田原赤十字病院の助産師外来の整備のため,1,400万円補助を行ったと聞いております。本県は,助産所は6カ所ありますが,院内助産所や助産所外来を行っている病院は非常に少ないように聞いておりますので,ぜひ制度の普及に取り組んでいただきたいと思います。  そこで,県は,助産師外来や助産所開設に向けた支援等を含め,助産師の活用について,現在,どのような位置づけ,取り組み方針でとらえているのか,保健福祉部長にお伺いいたします。 60 ◯新井委員長 鈴木委員の質疑に対する答弁を求めます。  泉保健福祉部長。 61 ◯泉保健福祉部長 鈴木せつ子委員の質問にお答えいたします。  まず,周産期医療につきまして,県では,総合周産期母子医療センターを中心といたしまして,助産所も含め,周産期医療ネットワーク体制を整備しておりまして,安心して子供を産み,育てることができる環境づくりを推進しております。  特に,産科医療機関における医師の業務負担の軽減を図る上では,分娩に当たって,医師,助産師,看護師の適切な役割分担と密な連携が重要であると考えております。  御指摘いただきましたとおり,全国的に産科の医師が不足しておりまして,こうした中では,助産師の専門性の発揮が従来に増しても期待されているところでございまして,御指摘の院内助産所,また,助産師外来は,助産師が単独で助産行為に当たるのではなくて,医師などとの緊密な連携のもとに行うという点で大変有効なものだと考えております。  国におきましては,助産師の活用のために,院内助産所や助産師外来の設置を推進することとしておりまして,平成20年度から施設設備整備や研修事業に対する助成制度を始めております。  県といたしましても,それらの助成制度の周知や活用を図っていきたいと考えております。  一方で,院内助産師や助産師外来につきましては,その業務として,どうした内容を行うのかとか,あるいはどのようなスタッフが必要なのかといった点について明確な定義がございません。ちなみに,日本看護協会が解釈しているところによりますと,助産師が医師と役割分担をしながら正常分娩の助産ケア,また,健康診査や保健指導を行うものということでございますが,分娩に当たっては,全く想像もしないような危険が突然起こるということもございますので,院内助産所の設置導入に当たりましては,助産師の確保だけではなくて,医師が24時間体制でバックアップできるという体制も必要でございますので,産科医療現場の人材不足の現状やさまざまな事情を踏まえまして,助産師の有効活用を推進していきたいと考えております。 62 ◯鈴木(せ)委員 はい,ありがとうございました。この3月でお医者さんとの提携のない産科院というのは廃業になってしまうようで,今まで助産師さんにお願いしていた多くの方が非常に残念に思っております。ですから,いろいろな問題があると思いましょうけれども,ぜひこういうものを産科医のあるところで助産師さんの活用,助産師外来ですか,そういうものをつくっていただければありがたいなという思いがいたしております。それは私の思いです。  ぜひ助産師の積極的な活用に向けた今後の取り組みを期待するところでございますが,残念なことに,本県は,現場で活躍している助産師の数が人口当たり全国第46位と低い状況にあります。  このため,県では,今年度,平成19年度から県立中央看護専門学校で助産学科の定員を15名から25名に拡大し,助産師の養成に取り組んでいると伺っております。  しかし,県外から来る生徒も多いと聞いており,卒業生の県内での定着ということが大きな課題と考えております。  そこで,助産師の養成の方針並びに県内での定着に向けた取り組みについて,保健福祉部長にお伺いいたします。 63 ◯泉保健福祉部長 まず,この点お答えいたします前に,助産所の嘱託医療機関のことを御指摘いただきましたけれども,県内の助産所につきましては,すべて嘱託医療機関を確保いたしまして,従来どおりの仕事ができるという体制になっております。  それでは,助産師の養成につきましてお答えいたします。  平成18年末の看護職員の就業動向調査によりますと,本県で就業しております助産師は414人,人口10万人当たりにいたしますと,13.9ということで,これは全国平均の約7割の水準となっております。助産師養成所卒業生の県内定着の推進というのは,本県の助産師確保に直結する課題というふうに考えております。  県内における助産師の養成機関でございますけれども,県立の中央看護専門学校の助産学科が25名,これは1年課程で,看護師を卒業してから来る方用の1年課程で25名でございますが,そのほか,県立医療大学とそれから筑波大学でも4年制の課程の中で助産師も取れるようになっておりますが,それぞれ数名程度の養成ということでございまして,県内の養成枠の大部分は県立中央看護専門学校の枠ということになっております。  この県立中央看護専門学校の助産学科でございますが,平成18年度から県内の推薦入試枠50%,これは対象は県内の看護師養成所,それから産科を標榜する医療機関を対象といたしました推薦枠を設けておりまして,これを定員の50%としております。  また,平成19年度から定員枠自体を10名増員して25名としたところでございます。過去2カ年度,この推薦枠で入った人がいるわけですが,卒業時において,その全員が県内に就業しておりますので,この県内枠というのは,県内定着のために大変有効な方法と考えております。  平成20年度の入試におきましても,推薦枠で13名の県内出身者を確保したところでございまして,今後とも,引き続き,この枠を維持していきたいと考えております。  一方,この助産学科の一般入試の方では,やはり県外からの応募者が多くなっておりまして,合格者数も県内より県外の方が多い状況になっております。県外出身の方は,どうしても卒業後県外に就業する可能性は高いことでございますので,県内出身者の入学をふやす,あるいは卒業後の県内定着の向上に向けた方策をさらに検討していきたいと考えております。 64 ◯鈴木(せ)委員 ありがとうございました。推薦枠が50%あるというのは,大変うれしいことでございます。  次に,潜在助産師の復職支援等についてお伺いいたします。  県では,現在,医師確保対策の一つとして,出産等で医療現場から退いた女性医師の復帰等を支援しておりますが,助産師についても同様のことが言えるのではないかと思われます。日本看護協会によりますと,助産師としての就業者は,全国で約2万6,000人おりますが,免許を持ちながら仕事についていない潜在助産師を含めると,約5万5,000人に上ると推計されております。  また,国立保健医療学院の調査によりますと,潜在助産師のうち,約30%の人が常勤での就業を希望し,また,約34%の人が就業に向け,助産師登録システムがあれば登録を希望すると答えております。  これほど多くの方が本当に就業を希望するかどうかはわかりませんが,登録システムの充実や復職に当たっての研修,教育制度の充実などの支援体制を設けるべきであると考えます。  さらに,助産師の免許を持っているにもかかわらず,看護師業務に従事しているなど,助産師業務を行っていない助産師もいると聞いております。  日本看護協会が平成17年に国が実施した聞き取り調査を踏まえて推計した場合,病院及び診療所で働いている助産師のうち,助産師業務に従事している人は,全国で約2万2,400人おり,一方,助産師業務以外で働く助産師は,その17%に相当する3,900人近くに上るという報告を出しております。この理由としては,看護師不足など病院側のさまざまな事情もあることと思いますが,課題や対策について研究する必要があるのではないでしょうか。  そこで,まず,早急に本県での実態をよく調査し,その上で,現場を離れている潜在助産師の助産師現場への復帰を促す取り組みや助産師を本来業務に従事させるための研究を行うべきと考えますが,保健福祉部長の御所見をお伺いいたします。 65 ◯泉保健福祉部長 お答えいたします。  いわゆる潜在助産師でございますけれども,免許を持っていても働いていない方については,届け出の義務もございませんので,数,また,どこにそういう方がいるのか把握することが非常に難しい状況にございます。  また,実際に今後対策を立てる上では,単に数だけではなくて,そのやめた理由ですとか,実態なども含めて調べないといけないのではないかというふうに考えております。  そのためには,やはり専門職の集団でございます日本助産師会の県の支部でございますとか,県の看護協会などと連携を図りまして,現場で働いている方の生の声,あるいはその会員同士のネットワークから挙がってくる実態の声,こうしたことを踏まえまして,調査手法も含めて潜在助産師の実態把握のあり方を研究していきたいと思っております。  次に,潜在助産師の再就業の支援でございますけれども,ナースバンクの事業におきまして,登録情報の見直しや広報の充実を図ることによりまして,マッチングの向上に努めていきたいと考えております。  また,助産師が職場を離れる要因としては,これも全員が女性でございますので,恐らく看護師とかなり共通のものがあるだろうと思っております。看護師につきましては,離職防止,定着促進,再就業の促進ということで,例えば,新人看護師の支援ですとか,院内保育所などの子育て支援,そうしたことを進めておりますので,こうした対策を助産師の方にも引き続き適用していきたいというふうに考えております。  また,助産師を本来の業務に従事させる取り組みにつきましては,やはりまだちょっと実態がよくわかっておりませんので,助産の現場を離れた理由ですとか,その原因,病院の状況など実態調査の中で把握いたしまして,それを踏まえて,その対策を考えてまいりたいと考えております。 66 ◯鈴木(せ)委員 ありがとうございました。ぜひ,助産師の活用,これからもよろしくお願いいたします。  次に,有機農業の推進について,農林水産部長にお伺いいたします。  去る2月23日に開催されました茨城県有機農業推進フォーラム第1回総会には,県からも多数の御参加をいただきまして,主催者側も大変喜んでおりました。  さて,中国産冷凍ギョウザ中毒事件を受けて,今や食の安全,安心は,国民的な関心事となっております。国が昨年実施した消費者意向調査におきましても,環境に配慮した農産物の購入について,9割以上の方が購入したいと答えております。  なおかつ,化学農薬や化学肥料を5割以上低減した農産物よりも有機農産物の購入希望の方が高いという結果が出ております。今,農業を取り巻く環境は,経済のグローバル化などにより,大変厳しくなっております。また,昨年,品目横断的経営安定対策の導入について,誤解から小規模農家の切り捨てという騒ぎも起きました。私は,小規模農家の方々も安心して農業を継続できる経営環境をしっかりと確保しつつ,有機農業の推進についてバランスをとりながら両立していくということが大切であると考えております。  国においては,平成18年12月に議員立法による有機農業の推進に関する法律が成立いたしました。私は,これを機会に,本県においても,有機農法が推進され,取り組みの拡大が図られることを大いに期待しております。  一方で,4月からエコ農業茨城が開始されることになりました。今回のエコ農業茨城は,化学農薬,化学肥料を5割以上削減した生産活動を基本とするものです。  しかし,有機農業は,単に化学物質を使用しないという安全性の基準を示すものではなく,健全な食生活の大切さを考え,また,環境を守り,自然との共生を目指すとともに,農業や農村の持つ社会的,文化的な価値を見直そうとするものであり,その根本的な考え方において,有機農業はエコ農業の延長線にあるものではなく,個別のものといえます。食生活が乱れ,自然環境や美しい農村環境が壊れかけている今こそ,有機農業への取り組みが求められていると考えます。  そこで,今回,県で取り組むエコ農業茨城において,有機農業はどのような位置づけとなっているのか,農林水産部長の御所見をお伺いいたします。 67 ◯斉藤農林水産部長 お答えいたします。  県といたしまして,平成15年度から消費者のベストパートナーとなる茨城農業の確立を目指して茨城農業改革というのを進めてございますけれども,平成20年度から,今お話がありました新たに改革の柱の一つといたしまして,農村での環境保全活動等,化学合成農薬,あるいは化学肥料50%以上を削減した環境にやさしい営農活動を一体的に進めますエコ農業茨城というのを展開してまいりたいというふうに考えておりますが,それを進めるに当たりましては,当面,現在,点的に各地域に存在しております特別栽培農家を中心に,地域の環境保全活動とあわせまして,面的な広がりを図ってまいりたいと考えております。  有機農業につきましては,化学合成農薬,あるいは化学肥料を全く使わない厳しい基準のもとに,委員の御質問にございましたけれども,健全な食のあり方や自然との共生などを基本といたしました農業であるというふうに認識してございます。  エコ農業は,今お話がありました有機農業のように生産性の面からすべてを無農薬,有機肥料で栽培するのは困難でございますけれども,エコ農業茨城を進める中で,地域ぐるみで農村集落の環境保全,維持していくことは,農村の持つ美しい景観など文化的価値の継承にもつながるものでございますし,減化学合成農薬,減化学肥料での栽培は,より安心,安全を求めていく農業でもございますので,有機農業を実践されている方々にも,エコ農業茨城をぜひ御理解いただき,推進に当たりましても,ぜひともエコ農業茨城に御協力いただければというふうに考えてございます。 68 ◯鈴木(せ)委員 ありがとうございました。  次に,有機農業に対する支援策についてお伺いいたします。  有機農業は,新年度から実施しようとしているエコ農業茨城よりもさらに厳しい環境基準で営んでおりますことから,エコ農業茨城の中に取り込んでしまっては,既に有機農業に従事している人たちの意欲をそいでしまうことにもなりかねません。  国においても,有機農業とそれ以外の環境保全型農業とを区別して政策を進めており,有機農業については,来年度から大幅に予算を増額して,総合支援対策に取り組むこととしているようであります。  ほかの県でも,既に多くの県で独自の取り組みが行われております。例えば,青森県では,県内31地区を有機の里づくり地域として指定しております。生産,販売体制について,ソフト,ハードの面から総合的,かつ重点的に支援するなどのユニークな取り組みを平成16年度から実施しております。  そこで,有機農業を今後推進するに当たって,独自の支援策が必要と考えますが,本県において,今後どのように有機農業を推進していこうとされているのか,農林水産部長の御所見をお伺いいたします。 69 ◯斉藤農林水産部長 お答えいたします。  一昨年の12月に成立いたしました有機農業の推進に関する法律におきまして,国を初め,県,市町村は,有機農業の推進に関する施策を総合的に策定し,実施する責務があり,国で定めた基本方針に即して,県は有機農業推進計画を定めるよう努めなければならないとされております。  しかしながら,有機農業の取り組み実態,あるいは技術的な知見が少ないことから,本県では,平成20年度の新規事業でございます有機農業・特別栽培技術確立推進事業の中で,実態調査,あるいは技術の検証,開発を行いまして,年度内をめどに推進計画を策定してまいりたいと考えております。  有機農業は,御承知のように,手作業による除草や害虫の防除などに労力がかかりまして,収穫量や作物の見栄えなどの品質が不安定でありますとともに,コストに見合った販売価格や販路の確保が難しいといった課題がございます。  また,これまで,必ずしも,行政と有機農業実践者との連携が十分ではありませんでしたので,推進計画策定に当たりましては,昨年10月に設立されました有機農業実践者や流通業者など関係者で構成されます茨城県有機農業推進フォーラムの方々の協力を得ながら,有機農産物の生産技術,流通,販売等に関する実態調査を実施いたしますとともに,有機農業に関する生産技術の研究開発や指導体制の整備,インターネットなどを活用した販路の確保,農業体験などを通じた消費者との相互理解の促進といった施策を有機農業推進計画の中に,総合的に盛り込みまして,有機農業の積極的な拡大を図ってまいりたいと考えております。 70 ◯鈴木(せ)委員 はい,ありがとうございました。  有機農業というのは,難しいと皆さん思われていますが,確かに難しいんですけれども,簡易有機農法というつくり方をしている方も,私知っておりますので,そういう方の技術を教えていただくとよろしいかなという思いがいたしております。  次に,有機農産物の販売促進についてお伺いいたします。  有機農業やエコ農業の最大の課題は,価格が高いことから,つくったものをどのようにしてしっかりと売るかということであると思います。  有機農産物は,安全でおいしく,また体調を整えたり,病気を予防するなどの機能性が高いという報告もあります。先ほどの国のアンケート調査によりますと,通常の2割から3割増しの価格なら購入するという消費者は,有機農産物では67%,農薬等の低減農作物でも56%に達しております。実際の消費者の行動が全くこのとおりとはなるかどうかはわかりませんが,問題は,消費者に対し,有機農産物がどこで売られているのか,また,本当に有機農産物に間違いないのかといった正確な情報が伝わっていないということにもあるのではないかと思います。  また,有機農業は,食生活を見直すという観点から,消費者との交流を通した提携による販売や地産地消を進めておりますが,消費者の理解を得るためには,このような取り組みは重要であると考えます。  そこで,エコ農業茨城に取り組むに当たって,生産された農産物をどのように販売促進を図っていくのか,有機農産物の販売を含め,農林水産部長の御所見をお伺いいたします。 71 ◯斉藤農林水産部長 お答えいたします。  エコ農業茨城を実践しております農業者の方々,化学合成農薬なり化学肥料を5割以上削減して農産物を生産するわけでございますが,その生産物をいばらきエコ農産物として認証いたしまして,その販売促進に当たりましては,単に減農薬とか減化学肥料栽培といったことだけでなくて,栽培する地域全体のすぐれた農村環境もあわせて,付加価値として広く情報発信してまいりますが,あわせて,生産販売までの一貫した供給体制を確立していくことが大切であろうというふうに考えております。  このために,生産面では,栽培技術の指導強化を通じまして,JAなどの生産部会,あるいは出荷組合に,エコ農業の集団的な取り組みを働きかけながら一定の生産量を確保できるように進めてまいりたいと考えております。  販売面でございますが,ネットカタログ,あるいはインターネットなどを活用したPRなどを行ってまいりますが,そのほかに全農茨城,あるいは農産物販売推進東京本部がございますので,そちらを通じて,量販店や外食産業にいばらきエコ農産物の特設コーナーの設置などに御協力いただきまして,店頭でもいばらきエコ農産物が目立つように,そういった販売方法を工夫してまいりたいと考えております。  さらに,東京で開催いたします本県農産物の商談会,各種フェアがありますので,そういったのを利用しながら,積極的な販売促進に努めながら,いばらきエコ農産物の生産者,あるいは産地と販売業者との橋渡しをしてまいりたいというふうに考えております。  有機農産物の販売でございますけれども,コストに見合った販売価格,あるいは販路の確保といった課題がございますけれども,来年度策定いたします県有機農業推進計画の検討の中で,先ほど申し上げましたが,各方面の方々の御意見を伺いながら,農業体験などを通じた消費者との交流,あるいは地産地消の推進といったものを含めまして,販売促進についての具体的な進め方を明確にしてまいりたいというふうに考えております。 72 ◯鈴木(せ)委員 ありがとうございました。  今後,エコ農業茨城を推進するに当たりましては,有機農業者の意向を十分踏まえて進めていただくとともに,いばらきエコ農産物の販売促進に当たりましては,地元の消費者が購入できるよう配慮していただきますとともに,なかなか難しいんですけれども,学校や病院での利用等についても積極的な検討を要望をいたしたいと思います。  これで私の質問を終わります。ありがとうございました。  次に,子どもたちの健康な体づくりについて,教育長にお伺いいたします。  ここ10年,子供たちの平熱が35度台といった低体温児がふえていると言われております。低い体温は,疲労感や立ちくらみ,さらには自律神経機能や思考力の低下などにもつながると言われております。低体温の原因は,医学的に解明されておりませんが,夏にクーラーのきいた部屋で過ごしたり,冬には暖房のきいた部屋で冷たい飲み物などを過剰にとり,季節外れの野菜や果物を摂取し,また,運動不足よる筋力の低下,過度のストレスや食べ過ぎなどが言われております。  つまり,生活習慣の乱れが大きく影響しているようでございます。子供たちの健康な体をつくるためには,生活習慣の改善が必要と思います。  そこで,お伺いいたします。まずは,子供の体力向上に向けた取り組みについてお伺いいたします。  最近は,学校の授業が終わった後,塾に行ったり,テレビゲームをするなど,体を動かしていない小学生が多いと聞いております。このような生活が続くと,ひ弱な子供たちがふえていってしまうのではないかと心配しております。  本県では,ようやく体力の低下に歯どめがかかってきておりますが,とはいえ,二,三十年前に比べると,小学生の体力が落ちているのは事実でございます。このような中,隣の福島県では,福島大学と共同し,子供たちの体力向上を目指し,運動身体プログラムを開発し,県内全公立小学校で実践に取り組んでおります。  プログラムの中身は,仰向けになって両手両足で歩くという,なかなか大人にはできないです。仰向けになって両手両足でクモ歩きとかカニ歩きとか,そういうプログラムらしいんですけれども,これを授業の中に10分間取り入れるというもので,児童の75%が運動がうまくできるようになったと答え,運動が楽しくなったという声も聞かれるとのことでございます。  このプログラムのねらいは,動ける体をつくることで,大人がやっぱり難しいと思う,子供もきっと難しいと思ったんでしょう。これを続けることによって,やればできる,それからもっとやってみようという意欲,自信につながり,みずから運動を楽しもうとする内発的な動機づけになるというものです。子供たちの運動不足の解消のために,まず,動ける体力づくりこそが大切です。  そこで,本県でも,県内外の有識者などの知恵をかりながら,子供たちが動ける体力づくりに向け,プログラムを策定し,全県下で取り組むべきと考えますが,教育長の御所見をお伺いいたします。 73 ◯稲葉教育長 お答えいたします。  児童生徒の体力の向上につきましては,私どもも重要な課題であると考えております。具体的な体力向上策といたしましては,本県独自に体育授業モデル集の作成やスポーツランキングなどの事業を実施しているところであります。  まず,体育授業モデル集についてでございますが,子供の体力向上を図るためには,その基盤となる体育授業の充実改善を図ることが第一と考え,子供たちの発達段階に応じた指導内容を明確に示した指導資料,体育授業モデル集を作成しております。昨年度,小学校版,今年度,中学校版ということで,さらに高等学校版まで策定することで取り組んでおります。  作成に際しましては,体育授業モデル作成委員会を組織して,県内の大学教授等の有識者の御意見を参考にして進めております。来年度以降については,委員御指摘の福島県で取り組んでおります運動身体プログラムの内容なども作成の参考にしてまいりたいと,そのように考えております。  また,県の体力向上策の目玉の一つでございますスポーツランキングにつきましては,縄とびや一輪車等の全身運動を伴う各種ゲームを体育の時間や休み時間等の学校教育活動全体を通じて実施しているものであります。  年間延べ38万人以上の小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校の児童生徒が参加しておりまして,特に県内の小中学校におきましては,すべての学校が参加,取り組んでおります。  このスポーツランキング,楽しんで取り組める種目が多いことから,子供たちが自発的に運動を実践するきっかけとなっております。  また,参加については,グループで,あるいはクラス単位でとなっており,仲間と協力して取り組むことが好ましい人間関係や社会性がはぐくまれていると,そのように考えております。  あわせて,記録に挑戦する中で,運動への意欲や自信が高まり,さらに積極的に運動へ取り組むことが子供たちの体力の向上に大きく寄与しているものと考えておりますので,今後も継続して実施してまいりたいと考えております。 74 ◯鈴木(せ)委員 ありがとうございました。理解しました。
     次に,小学校の体育における外部講師の活用についてお伺いいたします。  外で遊ぶことが少なくなり,また,不審者に危害を加えられるという事件もたびたび発生し,室内にこもりがちな小学生にとって,体育の時間は体を動かす貴重な時間でございます。しかしながら,今,学校現場において,学力低下や子供たちのいじめ問題,さらにはモンスターペアレンツと呼ばれる無理難題を持ちかける保護者への対応など,さまざまな課題が山積し,教員の負担が大変過重となっていると聞いております。  また,男女とも体力の水準が40歳台後半から著しく低下していくと文部科学省が体力運動能力調査で公表しておりますが,ベテラン教員が子供たちにあわせ,体を動かすことはきついのではないかと思います。  そこで,体育の時間に若い外部講師を活用するなど,教員の過重な負担をやわらげることができると考えます。  そこで,若さにあふれ,熱意があり,また子供たちと一緒に触れ合える大学生等を体育の時間に小学校へ派遣し,子供たちに体を動かすことの大切さを学ばせたいと考えますが,御所見をお伺いいたします。 75 ◯稲葉教育長 委員御指摘のとおり,特に小学校の体育の授業で,若さあふれる大学生等の外部講師を活用することは有効であると考えております。  県では,平成20年度より,茨城大学及び筑波大学の協力をいただきまして,大学院生及び大学生を派遣し,小学校の体育の授業をサポートする大学連携プロジェクト授業を実施することとしております。  現在,小学校においては,中学校,高等学校と異なり,教科担任制ではないことから,体育の授業は必ずしも体育の免許保有者が授業をするとは限らない状況でございます。  そこで,希望する学校には,体育の教員を目指す大学院生等を派遣して,実際に子供たちの前で技を見せたり,教えたりすることにより子供たちの技能の向上や運動に対する興味関心を高め,体力向上につなげていきたいと考えております。 76 ◯鈴木(せ)委員 はい,ありがとうございました。  余り時間もないようですが,子供の体力づくりに欠かせないのは,あとは食育の問題でございます。これは,私,昨年の一般質問でも同じような質問を行いまして,教育長から栄養教諭の導入により学校における指導の充実や家庭の食に対する向上,食生活の改善が期待されるという発言をいただきました。  学校で保護者への相談や指導,食に関する情報の発信など取り組んでおりますが,しかしながら,子供に好きなものを食べさせる親が多く見受けられ,家族そろって食卓を囲むことなく,一人一人ばらばらに好きなものを食べたり,飲んだりしているということも聞いております。  一般的に,子供たちが好きな食べ物は,ハンバーグ,オムライス,カレーライスなどがありますが,これらに共通することは,味つけが濃く柔らかいものばかりでございます。私は,未来ある子供たちに対し,食べることに興味を持たせ,味覚を育てていくということが重要であり,そのためには,安全でおいしい野菜を食べていただく必要がありますが,残念ながら,そういったことは学校で教えていくしかないのが今の現状であります。  そして,その役割を担うのが栄養教諭であると考えております。県は,それらの重要な人材を有効に活用し,また,今後も引き続き栄養教諭を配置する学校をふやしていただきたいと考えております。  そこで,学校において食育の推進という観点から,今後の栄養教諭の取り組みについて御所見をお伺いいたします。 77 ◯稲葉教育長 学校において食育を推進する上で,栄養教諭の役割は極めて重要であると考えております。  本県におきましては,現在までに平成18年度,単独調理場方式の小中学校と特別支援学校に10名,平成19年度は,さらに10名,合計20名の栄養教諭を配置しております。  そして,小中学校に配置した18名については,周辺の学校へも食に関する指導をするため,あわせて26校を兼務させております。  これらの栄養教諭が直接指導できました学校は,県内全体の5.5%であり,まだ十分とは言えない状況でございます。  県といたしましては,平成20年度は16名を配置する予定でございます。これまで20名と合わせまして36名の配置校及び兼務校も含めまして,栄養教諭が直接かかわる学校数は,予定では83校,県全体の学校数の10%程度となる見込みであります。食育のさらなる推進を図るため,平成21年度以降についても,これまでに配置した栄養教諭の成果等を踏まえまして,すべての学校の食育の指導に栄養教諭がかかわれるよう,その計画的配置について検討を進めてまいりたいと,そのように考えております。 78 ◯新井委員長 時間が参りましたので。 79 ◯鈴木(せ)委員 はい,ありがとうございました。 80 ◯新井委員長 次の質疑に入る前に,報告いたします。  山中委員から質疑に当たって,パネルを使用したい旨の申し出があり,特定の団体や個人のプライバシーにかかわるものでないことから,委員長において,これを許可いたしました。  ここでその写しを配付させます。                  〔資料配付〕  山中委員。 81 ◯山中委員 日本共産党の山中たい子でございます。  通告に従い,順次質問いたしますので,よろしくお願いいたします。  まず初めに,障害児の放課後生活の場の確保について,保健福祉部長に御質問します。  障害児の放課後生活の場は,児童クラブと児童デイサービスII型事業,不十分ながら日中一時支援事業があります。児童デイII型は,25事業所で定員が314人,児童クラブに在籍する93人の3.4倍です。登録者数を考慮すれば,利用者はもっと多いはずですが,県は,その実数をつかんでいません。児童デイII型の経過措置は,法施行後3年であり,このままではなくなってしまいます。新年度がその期限になります。  経過措置適用の際に,II型の報酬単価が就学前児童中心のI型の54%と低く設定されたために,運営をさらに困難にしています。小学生以上の障害児が利用する児童デイII型の存続と報酬単価の引き上げが緊急に必要と思いますが,御答弁ください。 82 ◯新井委員長 山中委員の質疑に対する答弁を求めます。  泉保健福祉部長。 83 ◯泉保健福祉部長 山中たい子委員の質問にお答えいたします。  まず,以前は,今おっしゃいましたように,児童デイサービス事業の中に,障害児の早期療育と,それから放課後対策の部分が混在したわけでございますけれども,新たな障害者自立支援法によりまして,児童デイサービスは,障害児が特に未就学の早期の段階での療育をする場というふうに位置づけられておりまして,これをI型と呼んでおります。また,従来の混合している分についてはII型ということで,当面経過措置という形になっているものでございます。  こうした整理がされましたことは,やはり小さなお子さんの段階から専門的な療育を受けさせようという趣旨でございますので,このやり方自体は合理性があるものというふうに考えております。  今御指摘いただきましたII型の児童デイサービスを実施している事業所が今後どうなってしまうのかという点でございますけれども,一つは,制度の本来の趣旨でございますI型に移行していただくか,あるいはI型とあわせて,今やっている放課後の障害児の預かり用として整理されております日中一時支援事業と言っておりますが,これをI型と一緒にやるかという,このどちらかが考えられますけれども,いずれにいたしましても,事業運営の拡充などによりまして,経営基盤を強化することが必要となるというふうに考えております。  県といたしましては,必要に応じて個別に事業者の方からの御相談に応じてまいりたいと考えております。 84 ◯山中委員 国の制度がないことが問題なんです。厚生労働省は,障害のある子供の放課後保障全国連絡会との1月28日の話し合いで,支援の制度化は不必要だとは思っていない,今後の検討だと言っております。国にぜひとも制度化を働きかけていただきたいと思います。  国は,日中一時支援事業への移行を奨励しているわけです。しかし,本事業は,任意の地域生活支援事業です。補助単価であるとか,月利用に上限を設けている自治体もあって,多くの関係者は,このまま続けられるかという不安の声を上げているわけです。  そこで,県の支援策が必要と考えるわけですけれども,その点について御答弁いただきたいと思います。 85 ◯泉保健福祉部長 まず,その支援策という点でございますけれども,国の方の考え方といたしまして,平成18年度に県で基金として積み立てました障害者自立支援法の円滑な実施のための特例交付金の使途といたしまして,来年度これが一部変更されて,障害児の支援に積極的に取り組むII型事業所への補助ができるということが言われておりますので,今後,これが活用できるかについては検討していきたいと考えております。 86 ◯山中委員 特別対策の活用とあわせて,県としても,国の制度化を強く働きかけていただきたいという点,改めて申し上げたいと思いますし,現に今,存在して活動している人たちへの支援を強めていただきたいということをお願いしておきます。  ありがとうございました。  次に,福祉分野の人材確保について,これは,知事に御質問します。  昨年8月,国は,社会福祉事業に従事する者の確保を図るための措置に関する基本的な指針を14年ぶりに改定し,国家公務員の福祉職俸給表等も参考とするなど,処遇改善策を示しました。茨城県福祉人材センターでは,求職者数が2,789人に対し,求人数が3,567人で,求人倍率は1.3倍です。全国も茨城も,この5年間上昇しています。県内9校の介護福祉士養成施設は,総定員980人に対し,就学者が513人と大幅な定員割となっております。専門学校で介護福祉士などを目指す若者が少なくなってしまっているわけです。身分が不安定な非正規雇用が多く,給料が低いために働きがいを感じられずに5人に1人が離職をしているわけです。介護福祉分野は,深刻な人手不足の状態です。実態とその対策について,知事に伺いたいと思います。 87 ◯橋本知事 福祉分野の人材の確保については,私は,かねてから,近いうちに今のような状況になるんじゃないかということを申し上げておったところでございます。福祉分野における求職者数は,ピーク時の平成15年度と比較して,平成18年度は,本県では約7割の減,全国でも半減しておるところでございます。  また,全労働者と比較すると,福祉人材の離職率は高い状況にありまして,従事者を十分に確保できないことがこれからの社会福祉施策のいろいろな面にも影響してくるのではないかと心配をしております。  これらの大きな要因の一つとしては,今御指摘にもありましたように,給与水準が低いこと,あるいはまた,厳しい労働環境などが考えられるところであります。そのため,県といたしましては,今回の福祉人材確保指針の中で,県の役割として示されました内容に沿って,経営者による労働関係法規の遵守や健康管理対策の推進,また,完全週休2日制の普及や労働時間の短縮などが図られるよう,法人や施設に対する実地検査を行いますとともに,改善指導に努めているところであります。  また,ほかの手本となる極めて優良な法人や施設について公表できるように,現在,研究をしております。  さらに,抜本的な改善を図るためには,今お話もございましたように,福祉介護制度の管理者である国に対して,これまでも低賃金や労働環境の改善など,さらなる処遇の改善方策について求めてきたところでありますけれども,実態に合った介護報酬を設定することなども含めて要望してまいりたいと考えております。 88 ◯山中委員 専門性を必要とする仕事でありながら,途中で断念せざるを得ないという大変厳しい状況があるというのは,介護や支援費の事業所に対する報酬が大変低いことにあるわけです。  それから,公務の職場では,行革の名で人件費抑制策がとられて,正規から非正規への機会が今急速に進んでいることが背景にあるんだというふうに思います。  社会保障予算抑制策をとる構造改革路線のもとで,規制緩和と福祉の営利化を進めてきた国の責任というのは大変重大だと思います。  知事は,県立福祉施設の給与や労働条件などの待遇改善を行うべきです。また,民間福祉施設に対して,指針の周知徹底を図るとともに,県としても,指針の実行と人材確保に取り組んでいただきたいと思いますが,知事に伺います。 89 ◯橋本知事 私どもといたしましても,今回示されました福祉人材確保指針を参考にいたしまして,処遇の改善のほかに県が果たすべき役割としてキャリアアップの仕組みの構築,福祉介護サービスの周知,潜在的有資格者の参入促進,多様な人材の参入参画の促進という対策が示されておるところでございますので,これに沿ってさまざまな取り組みをしていきたいと考えております。  具体的には,例えば,キャリアアップの仕組みの構築として,経験に応じた各種研修の実施,福祉介護サービスの周知として,児童生徒に対する職場体験の機会提供や高校生向けの福祉職場ガイドブックの作成,配布などといったことでございます。  特に,潜在的有資格者の参入促進につきましては,国に先駆けて,県内介護福祉士養成校卒業者全員約4,000名を対象とした実態調査を実施中でございます。  今後,離職理由や再就業の意向などを分析しますとともに,再就職希望者の人材センターへの登録や長期間離職し,就業に不安を抱えている者に対する支援,研修の実施など,再就業の促進を図ってまいりたいと考えております。 90 ◯山中委員 新年度は,公私格差是正のために実施されてきた民間保育士増員と乳幼児保育事業費補助を大幅に削減をいたしました。子育て支援を強調しながら逆行しているのではないでしょうか。  民間保育所は,入所児童の61%,ゼロ歳児保育の71%,3歳未満児保育の63%を担っています。保育士配置について,国は,ゼロ歳児を3人に1人,1,2歳児を6人に1人としています。現状は,県独自補助を運用し,1,2歳児は4人から5人に1人の保育士を配置するなど取り組んでいます。  今回の削減は,民間保育園の運営や保育士の処遇,保育内容に重大な影響を及ぼすことが考えられますが,知事の所見を伺います。 91 ◯橋本知事 保育サービス支援事業につきましては,保育団体の御意見を伺いながら見直しを進めてまいりました。  団体の方からは,特別保育をさらに促進するようなインセンティブが働く内容にしてほしいなどといった意見が出されているところであります。  こういった関係団体の意見を踏まえまして,補助要件となる特別保育事業の実施数の見直し,あるいは実態を踏まえた人件費単価の設定,さらには障害児保育に対する財政支援が市町村へ地方交付税措置されたことにより,予算額が減少しているものでございます。具体的に申し上げますと,民間保育所保育士増員事業につきましては,実施しているのは,全国で9県ほどでございます。この特別保育を促進する観点から,従来の特別保育を1事業以上実施する保育所から2事業以上を実施する保育所へと補助要件を変えておりますが,民間保育所が保護者の保育ニーズにこたえるべく,特別保育事業をより積極的に実施していただければ事業費の大幅な減少というものは生じてこないものと考えております。  また,民間保育所乳児等保育事業につきましては,実施しているのは,全国で20県ほどでございます。  人件費の単価について,県内の民間保育所における給与実態などを調査し,保育士初任給の平均月額をもとに,実態に即した補助単価に改めさせていただいたところでございます。  一方,厳しい財政状況の中ではございますけれども,民間保育所におけるサービスの充実を図りますため,出産前からの保護者の育児不安などにきめ細かに対応するいばらきマイ保育園登録事業や3歳未満児の保育料を助成するいばらき3人っこ家庭応援事業を新たに開始することとしたところでございます。  今後とも,仕事と子育ての両立支援を進める上で,民間保育所の果たす役割は大変大きなものがあると考えておりますので,引き続き,保育団体などの意見を聞きながら,保育のサービスの低下を招かぬように,民間保育所への支援に努めてまいりたいと考えております。 92 ◯山中委員 民間保育士の平均年齢は30.2歳です。平均勤続年数は7.1年ですね。平均給与月額は19万9,401円です。保育所というのは,経験豊かな保育士と成年保育士がいてこそ,よりよい保育や保護者への子育てアドバイスなどの役割を果たすことができると思います。  こうした実情を無視した今回の削減というのは,パートや臨時職員をふやし,保育所運営や保育士の働く環境をさらに悪化させるものだと思います。保育関係者の怒りと不満が広がっているわけです。  知事は,現場の実情をしっかりとつかんで,関係者の意見に真摯に耳を傾け,民間保育所への支援策を拡充すべきと考えます。  今回,保育サービス支援事業で,障害児保育を除く2事業で実に6,000万円も削減をしております。御答弁ください。 93 ◯橋本知事 ただいまも申し上げましたとおり,この特別保育というもの,これまで1事業という形でやっておれば,そこに対して支援をしてまいったところでありますけれども,この内容をさらに充実させてほしいというようなこともございましたので,2事業を実施する保育所を補助対象にするように改正したところでありまして,保育所の方で2事業を実施していただければ減らない形になってまいります。  また,民間保育所乳児等保育事業につきましては,実態調査をした結果,単価を改定しているものでございます。特別保育につきまして,先ほども申し上げましたが,全国で9団体,そして,低年齢児保育乳児等の保育事業につきましても,全国で20団体ほどでございますから,我々としては,精いっぱいやっておるつもりでございます。 94 ◯山中委員 次に,沿線開発とまちづくりについてです。  駅から少し離れているのが中根・金田台地区,上河原崎・中西地区です。  都市計画決定は,99年6月で,他の4地区と同時でしたけれども,鉄道開業にあわせ,駅と周辺開発を優先した他地区とは異なる道を歩んでいます。オオタカの保全について,企画部長に御質問します。  中根・金田台地区は,面積で190ヘクタール,総事業費265億円です。埋蔵文化財の国指定を受けて,土地利用を見直し,事業者のUR都市再生機構が04年から工事を進めてきました。URは,95年から96年に,猛禽類生態等把握調査を実施しました。95年7月の第6回営巣期追跡調査で,巣立ち直後と考えられる幼鳥が確認されたと記録しながら,結論は,オオタカの巣は確認されなかったというものです。  これをもとに,99年3月に作成した茨城県環境影響評価書では,幼鳥が計画地中央で確認されたが,営巣は確認されなかった,地域全体として生息環境は確保できると予測されるとまとめて,開発計画にゴーサインを出したわけです。URは,先に開発ありきで報告書をまとめ,茨城県は,それを追認したのではないでしょうか。企画部長に伺います。 95 ◯鈴木企画部長 中根・金田台地区のオオタカの保全についてでございますが,平成8年6月の猛禽類生態調査報告書においては,巣立ちひなの存在を確認した上で,オオタカ営巣の可能性は極めて低いものと考えられるとしております。  これは,専門家の意見も踏まえておりますし,当時としては,適切に行われていたものと理解しております。  また,環境影響評価についても,専門家の意見を踏まえ,準備書の縦覧をするなど所定の手続を経ており,適正に行われたものと理解しております。 96 ◯山中委員 私は,手続のことを言っているわけではありません。今ほどの答弁で,改めてお聞きしたいと思いますけれども,08年の,ですからことしの2月22日,私は,つくば市地域振興課同席のもと,URにこのことを直接ただしました。そうしましたら,調査として不十分だったかもしれない。96年の8月には環境省の猛禽類調査の進め方マニュアルが作成されております。それから2カ月前ですけれども,当然,そのことを承知した上でまとめられているというふうに考えております。この立場からも不十分なのかもしれないと,これもURの茨城支社の事業部長が回答を私にいたしました。  それから,次に,生活環境部長に御質問したいと思います。  茨城県は,99年2月,環境影響評価書の準備書を作成して,生活環境部長に意見を求めました。生活環境部長は,3月5日に環境に与える影響は軽微と判断したと回答しました。あわせて,事業者には,継続的なモニタリングを実施して,生態系の回復,保全のため必要な対策を講じることを求めました。事業者は,継続的なモニタリングを実施してきたのでしょうか,お答えください。 97 ◯馬場生活環境部長 お答えいたします。  中根・金田台地区の土地区画整理事業についての環境影響評価でございますけれども,これは,事業の都市計画決定の手続にあわせて行われたものでございます。  御存じのように,都市計画決定された事業の実施につきましては,その後,事業着手までかなり期間を要する場合が多々ございまして,特に,土地区画整理事業などの大規模な事業につきましては,事業実施期間も長くかかることが多いわけでございます。  実施時点では,事業計画地の自然環境の浄化の変化が予想されますので,特に,この中根・金田台地区を含む当該地域は開発エリアも大変広いわけでございます。つくばエクスプレスの鉄道準備にあわせて,沿線地域の大規模な都市計画が計画されておりますので,事業期間も御存じのように長期化しているわけでございます。  このため,つくば地区開発におきましては,環境影響評価後に希少動物の生態調査に関する委員会というのが設置されておりまして,生活環境部としては,それがそこで検討されて,そして生活環境部としては,これに出席して必要な助言を行ってきているわけでございます。 98 ◯山中委員 茨城県が06年6月に実施した茨城県野生鳥獣生息分布調査において,計画地隣接の地域でオオタカ巣立ちびなの声を確認しました。ところが,この事実を茨城県からURに通告したのは,1年4カ月後の07年10月でした。調査後速やかに通告しなかったのは,なぜでしょうか,お答えください。 99 ◯馬場生活環境部長 今,委員御指摘の茨城県野生鳥獣生息分布調査というのは,鳥獣保護法に基づく鳥獣保護区の設定などの基礎資料にするため実施するものでございます。  県全域を5キロメートルのメッシュに区切りまして,その5キロメートルのメッシュごとの主な哺乳類とか鳥類の生息状況を5年ごとに調査するものでございます。調査結果は,基本的に密猟などのおそれがあることから公表していないわけでございます。  多分,この調査の中で,今御指摘のあったものというのは,この調査の常陸藤沢メッシュというところの状況ではないかと思いますけれども,そこの調査結果というのは,生鳥が巣のあるらしいところに飛び込むと同時に,ひなの声か聞こえたと,こういうものでございます。これは,5キロメートルメッシュという広い範囲の中で営巣物が特定されておりませんので,事業者への情報提供には至るものではないという判断でございます。  なお,ちなみに申し上げますと,その後,事業計画地内において,オオタカの営巣地が確認されておりますので,現在は,必要な保護策を実施するよう事業者に対して指導を行ったところでございます。 100 ◯山中委員 この調査結果の目的というのは,生息状況をつかみ,保護対策をすることです。調査するだけでは,県の役割は果たせないと。結果を少なくとも事業者を含めて関係者に通告して,対策をとらせるということが必要だというふうに思います。  昨年1月,地元説明会で,住民がオオタカ生息の情報提供を行いました。ところが,URはこれを全く無視して調査も行いませんでした。その後,遺跡発掘を理由に突然伐採を始めたため,住民と私どもの市会議員が申し入れて,URが確認のために動き出しました。そして4月,URは,オオタカの生息をようやく確認し,計画地の南部,10月には北部の工事をストップしたわけです。本年3月,URは独自の貴重動植物生態把握調査委員会を設置し,定点観測調査等本格的検討を始めました。  そこで改めて企画部長に伺いたいと思います。
     一連の経過,URのヒアリングも含めて,開発優先のURの姿勢を示しているというふうに思います。オオタカは種の保存法により国内希少野生動植物種に指定されています。茨城県は,04年3月に希少野生動植物保護指針を策定しているわけです。これに基づき,オオタカの保全対策をとる責任があります。  それから同時に,開発事業者を指導,監督する立場にあるというふうに思います。その責任は重大だと思います。中根・金田台地区の今後のまちづくりについては,今回の調査検討結果と関係住民,地権者,そしてつくば市の意見や要望を十分踏まえることです。オオタカの保全対策と事業縮小一部凍結など,計画の見直しを含めた今後の対応について伺います。 101 ◯鈴木企画部長 中根・金田台地区の区画整理事業の事業主体は,都市再生機構でございます。このため,機構みずからが日本野鳥の会の方々など専門家による中根・金田台地区貴重動植物生態調査委員会を設置し,オオタカ保全の検討を進めているところでございます。  県といたしましても,同じ沿線開発に携わる立場として,中根・金田台地区貴重動植物生態調査委員会にはオブザーバーとしての出席を要請されておりますので,県施行の島名・福田坪地区におけるオオタカ保全の取り組みの情報を提供するなど,必要な協力を行ってまいりたいと考えております。 102 ◯山中委員 次に,場外車券場建設計画について,企画部長に御質問します。  上河原崎・中西地区の開発面積は168ヘクタール,総事業費は424億円で,茨城県が事業主体です。07年3月に幅員30メートルの島名上河原崎線が筑波真岡線バイパスまで整備されました。本年4月,つくば市都市計画審議会において,用途変更と地区計画が決定される予定です。さらに,5月には,開発地区内14ヘクタールの土地利用が初めて可能となります。  位置関係を説明するため,パネルを準備しました。  場外車券場建設予定地は,この沿道サービス地区です。  場外車券場は,床面積2,000平方メートル,月25日営業し,来場者を1日2,000人,うち半分はTX利用を見込んでいるわけです。説明会は,これまで,地元の関係4集落で実施され,3月2日には,島名地区のまちづくり協議会,防犯協会,区長会,小中高PTA関係者などを対象に行われました。  ある役員は,つくばは住宅街だ,住宅地でないところでやってほしいと話しています。また,移り住んだ住民,場外車券場の話を聞いていたら,ここには来なかったと訴えました。開発地区に真っ先にできるのが場外車券場でいいのでしょうか。道路,鉄道など交通アクセスのよさを生かした良好な住宅地づくりがまちづくりの基本ではなかったでしょうか。事業主体である県というのは,場外車券場は設置させない,この立場を明確にすべきだと思いますが,企画部長に伺います。 103 ◯鈴木企画部長 上河原崎・中西地区の民有地において場外車券場の設置の構想が進められておるということは承知しておりますが,現時点では,まだ設置構想の段階であると認識しておりますし,地元つくば市でも,その対応が定まっていないと聞いておりますので,事態の推移を見守っているところでございます。  委員から,この資料を提出していただきましたが,この地域は,先ほど委員からもお話がございましたように,事業当初より沿道サービス街区として土地利用計画をされたものでありまして,現在,5月末の使用収益開始のために,近隣商業地域として,つくば市が都市計画変更の手続を進めております。  したがいまして,その手続が完了した際には,場外車券場は立地可能な施設でございますので,県として排除することは大変難しいものと考えております。  しかしながら,委員からお話がありましたように,まちづくりを進めていくには,地元の意見といいますか──が重要でございますので,地元つくば市などの意見を踏まえて対応してまいりたいと考えております。  きょうの新聞にも大きく取り上げられておりますし,また,3月のつくば市の定例会においても,いろいろ御議論がなされたようでございまして,一般質問が出た際には,つくば市の方では,今後地元の動向を観ながら島名のまちづくり協議会と協議していきたいと答弁しておりますし,また,昨日開催されたつくばエクスプレス関連まちづくり推進特別委員会においても,場外車券場建設反対の請願が継続審議になるなど,現在,地元つくば市においても,いろいろ議論がなされているところでございますので,その推移を見守ってまいりたいと考えております。 104 ◯山中委員 はい,ありがとうございます。  近くに中学校,現在もある高山中学校があります。3月15日,高山中学校区の区内の小中校3校連絡会は,島名地区まちづくり協議会に白紙撤回を申し入れました。25歳の主婦の方からは,静かな環境で子育てしたいとマンションに申し込んだばかりですと。通学路になっていて,これからの住環境の悪化が心配ですという手紙も届いております。良好な住宅地づくりのために,茨城県は,場外車券場を設置させてはならないといふうに思います。  知事に御質問したいと思います。  昨年,つくば3E宣言2007というのが発表されました。県,つくば市,筑波大学産総研研究機関ですね,産業界が一体になって,つくばにおけるCO2排出を50%削減しようという壮大な試みを進めるということになったわけです。沿線開発地区の6カ所,1,380ヘクタールのまちづくりは,この事業と,それからCO2削減に貢献しなければならないと思います。学園都市建設から40年,市制施行から20年,鉄道開発で大きく変わりつつあるまちづくりですけれども,市民が求めているのは,自然環境が豊かなまち,そして市内の各所から筑波山が眺望できる,そういう穏やかな住宅地と町並みなのです。食物連鎖の頂点に位置するオオタカのいる自然環境こそ,つくばの財産だというふうに思いますし,場外車券場は,市民の願いではないというふうに言えると思います。まちづくりの基本姿勢について,知事の所見を伺います。 105 ◯橋本知事 つくばエクスプレスの沿線地域につきましては,今お話しありましたような形で,私ども県としても,つくばスタイルというものの実現に向けて努力をしているところでありますし,また,昨年12月には,つくば3Eフォーラムが開催されて,低炭素社会システム構築を目指すということの宣言も採択されておるところでございます。  こういった地元の動きも十分に踏まえたまちづくりを進めていく必要があると考えております。  一方で,オオタカの保全でございますけれども,自然環境の保全につきましては,関係法令などに基づき,必要な配慮は,施工者である都市再生機構において行うこととされているところでございますが,県といたしましても,今,委員からいろいろな御指摘があったことも踏まえまして,しっかりとした対応がなされるよう必要な支援等を行ってまいりたいと考えております。  また,場外車券場等の個別具体の施設の立地に関しましては,特に民有地へ立地するものについては,用途地域や地区計画などの土地利用の規制の範囲内で誘導していくことが適切であると考えているところでございます。  今回の場合に,例えば,3月10日に私の方には,島名地区のまちづくり協議会,島名地区区長会,島名地区防犯協会という形で,実は,上河原崎・中西地区沿線開発に関する要望書というものも出されておるところでございまして,地元でこういったさまざまな声を踏まえた上で十分に議論をしていただいて,適切な方向というものを出していただきたいと考えております。 106 ◯山中委員 原子力行政について,知事に御質問します。  07年7月16日の新潟県中越沖地震によって,原発の安全性と地震対策が厳しく問われたわけです。安全優先の原子力政策が求められております。原子力安全保安院は,地震直後の8月に,現行13カ月以内の定期検査を最長で24カ月,2年連続運転まで可能にする方針を明らかにしました。原発立地する自治体や住民から不満や批判の声が出ております。  全国原子力発電所所在市町村協議会は,検査制度の見直しは,効率優先,稼働率向上のためであってはならないと,安全最優先に取り組むよう求めているわけです。今回の検査制度の変更について,国に対し中止,撤回を申し入れていただきたいと思いますが,その点についての御見解を伺います。 107 ◯橋本知事 定期検査間隔の延長につきましては,平成17年から国において検討されてきておるところであります。しかしながら,昨年,検査における不正やトラブルの隠ぺいなどが明らかになり,原子力の安全に対する信頼が大きく損なわれることとなりました。  このため,本県を含む原子力発電所立地14道県知事が連名によって定期検査間隔の設定に当たっては,各プラントに関する技術的根拠とともに,品質保証体制の熟度なども反映するなど,立地地域の安全,安心を第一に考え,慎重な検討をしてほしい旨求めたところでございます。  県といたしましても,引き続き,国に対し的確な検査体制を確立し,原子力発電所等のさらなる安全性の向上を図るよう要請しますとともに,定期検査間隔の設定に当たっては,それにより安全性が損なわれることのないよう十分な検討を行い,国民の理解と信頼確保の観点に立ち,十分な説明を行うなど,慎重に対処するよう求めてまいりたいと考えております。 108 ◯山中委員 新潟県知事は,命より電力供給を最優先する方針とも受け取られかねないということで厳しく指摘をしているわけです。知事も,ぜひ国に対し,中止のための積極的な発言,これを要望したいと思います。  東海第二発電所の高経年化対策についてお尋ねしたいと思います。  ことし11月,運転開始から30年を迎えます。30年を超える場合は,事業者みずからが技術的評価を行い,10年ごとの長期保全計画を国に提出することになっています。  日本原電も,昨年11月に運転期間を60年間と仮定した報告書を国に提出しました。健全性が保てる十分な強度があるなどと評価しているわけです。  しかし,この間の定期検査,予定をはるかに超えております。22回定期検査は,06年11月18日から約2カ月間の予定でした。水銀棒のひび割れなどトラブルが相次いで,運転再開は07年5月18日となり,6カ月もかかりました。その前の21回の定期検査も,弁棒破断などのトラブルで約6カ月を擁しています。明らかに老朽化の現れではないでしょうか。  老朽原発を長期間運転させる計画はやめるべきと考えますが,知事の御見解を伺います。 109 ◯橋本知事 原子力発電所につきましては,原子炉等規制法に基づいて運転開始後30年を超えるプラントについては,施設設備の腐食,磨耗といった経年変化現象に関する技術的な評価と,それに基づく今後10年間の保全計画の策定が義務づけられているところでございまして,国の審査の結果,妥当と認められれば,さらに10年間の運転継続が可能となってまいります。  全国では,既に運転継続を認められたプラントが14基あり,さらに東海第二発電所を含む3基が現在,その妥当性について国の審査を受けているところであります。この東海第二発電所につきましては,保全計画などに関する報告書を昨年11月に国に提出するとともに,原子力安全協定に基づき,県に対しても提出しております。  県といたしましては,保全計画に関する国の審査の結果,あるいは県の調査検討の結果を待って,適切に対応してまいりたいと考えておりますが,定期検査期間が長くなっておりますのは,例えば,定期検査期間中に他の発電所で発生した故障等を踏まえ,予防,保全の観点から自主的に改良工事を行っているなど,その内容等によっては,定期検査期間が長くなる場合もあると認識しております。 110 ◯山中委員 第23回の定期検査がきょうから始まりました。期間は約5カ月を予定し,重要機器の交換など大型改造工事を行おうとしています。これこそ老朽原発を酷使する危険な路線です。むしろ総点検し,廃炉計画を検討すべきと考えます。このことを指摘して,私の質問を終わります。 111 ◯新井委員長 最後に,磯崎委員。 112 ◯磯崎委員 ただいま新井委員長から,最後にということでございます。10人目の最後となりましたが,最後と言えば,本日出席している稲葉教育長,坂入企業局長,武藤商工労働部長,泉保健福祉部長,大変御苦労さまでありました。  なお,鈴木企画部長,渡邊土木部長には,別の高い立場で引き続きよろしくお願いをいたします。  質問に入ります。  初めに,橋本知事の4期目の地方分権改革に向けた取り組みについて伺います。  近代日本の歴史の中で,これまで大変革と言われていたのは,二度ほど,一度は明治維新であり,一度は戦後改革であります。茨城県政では,戦後,友末知事から始まりましたが,岩上知事,竹内知事ともに最も充実した仕事をしたのは4期目だったと言われております。山積する課題に立ち向かって県政改革に邁進してほしいということで,橋本知事は,4選で108万票という史上最多の得票を得たわけでありますが,その期待を裏切ってはならないと思います。  平成5年9月,知事が就任して以来,数々の実績を積み重ねて今日に至ってきております。最近の主なものを見ましても,激しい,厳しい財政状況の中で,着実に北関東自動車道,圏央道,つくばエクスプレス,常陸那珂港,この予算特別委員会でもたびたび話題になりました茨城空港などの整備を推進してきました。  また,つくば,東海を生かしたJ-PARC,または中性子ビーム実験装置の活用など,科学技術創造立国日本の一翼を担う県づくりも進めてきたわけでありますし,企業誘致を積極的に行い,全国トップクラスの実績も上げてございます。確かな実績として,このように期待に沿う評価に値するものを多くしております。  現在,4期目も半分過ぎてきて,特書大筆すべき評価ということを挙げようとすれば,その残り時間は4期目の中では少なくなってきておるということであります。  時あたかも第3の改革と言われる地方分権,明治維新以来続いてきた中央集権を見直して,日本を新しい形につくり直そうという大改革が目の前にあらわれてきております。今,東京一極集中によって,地方は衰退するばかりであります。その歯どめをかけるために,まず,霞が関を分割して,地方分権を進めることこそ国家百年の大計から目下の急務となっておるわけであります。  改革は地方から始まるという歴史もあります。260年続いた江戸幕藩体制を根底から揺るがして新時代の世を開いたのは水戸藩だったと言われていますけれども,以来135年続いてきた中央集権制度を大変革して新しい時代を切り開く原動力として,茨城県がその先駆けとなって歴史的役割を果たしていくかどうかということになれば,これは橋本知事の双肩にかかっているわけであります。  これまで知事が行財政改革をしっかり進めるために,私にとりましてはあっと驚くことをしてくれました。聖域と考えられた,ここに手をつけることはないだろうと思われた職員の給与カットであります。私は,特書大筆してもいい実績だとは思うのでありますけれども,聞いてみますと,茨城県のみならず全国で多々やっているので,その分はちょっと減殺されてしまいました。  続いて今回は,出先機関を中心に抜本的に見直して,出資団体や県民サービス,さらに県庁改革に立ち向かおうという知事の積極的な姿勢を感じて大いに頼もしく思っております。  今,海の向こうのアメリカでは,大統領選挙が盛んに行われております。民主党指名候補バラク・オバマ氏は,Change!と,変化というものを標榜して,There is something happening in America と,アメリカで何かが起ころうとしている,変わろうとしている,そういうことで,全米の特に若者層を強く引きつけております。  就任以来これまで,出先機関の見直しでは大体,総合事務所に新たに課を置くかとか置かないかとかいうような,いわば,こて先のまたは微調整の組織改正にずっととどまってまいりましたけれども,今回は大胆に総合事務所を縮小し,県民センターという,仮称でありますけれども,農林部門でも他の農業関係出先機関と再編統合するなど,出先の試験研究機関まで含めて直接間接全職員に及ぶ抜本的な改革を行う考えと伺っております。  茨城県の組織体制,出先機関のあり方を非常に大きく変えて,あわせて分権改革を推進しようとするものであって,これができるなら,新しい茨城への大変革につながるのではないかと希望が持てるわけであります。胸の膨らむ期待感が出てくるわけでございます。  これまでの予算特別委員会では,出先機関の見直しや分権改革の全体像について知事からお聞きする機会がございませんでしたので,まず,今回の出先機関の改革はどのような形で行おうとしているのか,本庁との関係をどうするかを含めて,その見直しの概要についてお伺いいたします。 113 ◯新井委員長 磯崎委員の質疑に対する答弁を求めます。  橋本知事。 114 ◯橋本知事 今回の改革は,合併に伴いまして,市町村の事務能力が充実していること,あるいは高速交通網や情報通信手段の整備が進んでいることなどを踏まえて,地方総合事務所を設置した昭和51年以来,実に30年以上たって大きな出先機関の再編を行おうとするものでございます。  まず,基幹的出先機関である総合事務所については,本庁で効率的に処理できる事務は本庁へ集約しますとともに,市町村がやった方が住民サービスの向上が図れるものについては,市町村へ権限移譲を進めるなど,業務を整理した上で,現在の課を大くくり再編し,仮称でありますけれども,県民センターとして再整備してまいりたいと考えております。  また,県北地方総合事務所の管轄につきましては,これまでも久慈川を挟んで,同じ県北と呼ばれていても,大分違うじゃないかという御意見も議会等でもいただいてまいったところでありますので,久慈川以北の,いわゆる県北と県央に分けて,県央地域は本庁直轄とし,県北は常陸太田市に,そして鹿行,県南,県西は,現所在地に県民センターとして置く計画でございます。  あわせて,総合事務所の農林部門,農林水産部と農地局をかつて統合してきたわけでございますけれども,それに加えて,さらに現地においても土づくりから販売まで一体的に考えながら農業行政をやっていけるように,農業改良普及センター,土地改良事務所と総合事務所の農林部門というものを一体化して,仮称でありますけれども,農林事務所といったものに再編統合し,農業振興体制の強化を図ってまいりたいと考えております。  その他の県税事務所,保健所,土木事務所につきましては,行政ニーズの変化,高度化への的確な対応や県民から見た利便性の確保,従来の経緯などを十分考慮いたしまして,現在の事務所の廃止は行わず,総務事務などを集約化する,いわゆる本所と現地業務を中心に行う支所等に再編し,組織の簡素効率化を図ってまいりたいと考えております。 115 ◯磯崎委員 ただいま概要をお伺いしましたが,概要であって,詳しくはちょっとお伺いできなかったかと思いますが,概要で結構であります。  ただ,現在の出先機関のあり方が当たり前だと思っていた職員には間違いなく大改革になるのではないかと思っております。ここで重要なのは,県民にとってどうなのかという視点がどこまでどう入っているかということであります。  県庁の行政上,この方がやりやすいというのが最初から最後まで貫かれて,住民,県民の方がおろそかになっては本末転倒になるというふうに思っております。そしてまた,再編統合後の組織のトップにどのような人を据えるのかという課題,現実的に各事務所にいた所長のポストが確実に減っていくことですから,その対応も必要になってくると考えられます。  今回の出先機関の再編に係るポストや人事の問題はこれから整理していくのかどうなのかわかりませんけれども,もう既に整理されているのかもわかりませんが,検討に当たってちょっと一つ要望を申し上げたいと思います。  それは,現在進めている公務員給与構造改革の柱でもありますが,責任の大きい仕事をする職員,難しい仕事をする職員,知恵を出し,顕著な成績を上げた職員にはふさわしい待遇をしていただきたいということであります。地方分権の一翼を担う,今回重要な組織改革の目的の一つは,組織だけではなく,仕事を見直してスリム化を図り,行政コストや人件費を節約するということでありますが,それだけでなくて,職員の給与を切り下げるようなことはしてほしくない,してはならないと思います。  ところで,知事の周りでは,知事に異なる意見を申す人というのはどのくらいいるんでしょうか。異なる意見に対しては,知事はどのように対応しているのか,興味があるところであります。  それから,副知事がお二人おりますけれども,顔がよく見えません。これ,副知事お二人はベテランと新鋭と本当によくそろってございますが,知事を立てて,そして部課長の皆さんを信頼して活躍しやすいように控え目にされておるのかなという感じもするんですが,この歴史的改革でございますので,地方分権というこれを前にして,どちらかは地方分権担当の専任副知事という形であってもよろしいのかなというふうに考えております。そのことは,知事の姿勢とか熱意を全国的にもアピールする上でも有用ではなかろうかなと思います。  今回の地方分権改革は,そういう歴史上第3の大改革ですので,固い決意,敢然と乗り切る信念がなければなし遂げられないというのは申すまでもありません。  県民センター,仮称ということですが,今までと違って,出先機関がある地域と,水戸やひたちなか,その他のように本庁が直接行うという地域に分かれるわけですので,住民にとっては今までと違う,総合事務所があるところとないところということになりますので,不安を持つ県民もおられると思いますので,本庁の執行体制のあり方,慎重に検討していく必要があると思います。  加えまして,現在は,総合事務所長が各地域の実情を踏まえて地域の振興,関係機関の連絡調整ということを行っておりますけれども,このことも同じ意味で課題であると思います。  このように改革の実行段階では,解決しなければならない課題は数多く出てくると思いますが,腹を据えて県が,知事がやっているかどうかというのは県民には一目で見抜かれますので,がっちりとやっていただきたい。  そこで,行財政改革を達成するため重要な組織改革を含めて,どのような姿勢,考え方で取り組んでいくのか,私の申し上げた件を含めて,知事の考えをお伺いいたします。 116 ◯橋本知事 今回の改革につきましては,私としては,住民サービス向上というものがもちろん一番先にあるわけでございますけれども,それとあわせて,地域の自立と発展といったことについても十分に考えながら,国,県,市町村の役割を見直す取り組みが今進められているところでございますので,そういった中での改革という位置づけをしていきたいと思っております。  そしてまた,一方では,専門性の高い業務や科学技術の振興など本庁で直接執行しなくてはならない業務も増大してきておりますので,こういったことを見据えて県の出先機関のあり方を決定していく極めて重要な改革であると考えておるところであります。  地方分権の推進の中で行う改革ということでございますので,出先機関の再編にとどまらず,県庁組織全体の簡素効率化につなげますとともに,住民生活に身近な事務はできるだけ市町村で行えるように4月から市町村課に設置する自治振興監を中心に権限移譲を積極的に進めるなど,地方分権時代にふさわしい組織構築となりますように鋭意努力をしてまいりたいと考えております。  また,今御指摘をいただきました出先機関再編に伴うさまざまな問題,どうやって地域の意向を酌み上げるのか,あるいは職員の処遇をどうするか,あるいはまた,本庁直轄下になった県央地域についてどのように考えるのかといったようなさまざまな問題につきましては,組織の簡素効率化とのかね合いをチェックをしつつ,再編の具体化を進める中で十分検討し,適切に対応してまいりたいと思います。  いずれにいたしましても,九十幾つあった市町村が今44ということでございますから,そういったことを一番の根っこに置いておく必要があるのだろうと思っております。  それから,組織を動かすのはそれぞれの業務を行う職員でございますので,その職員がいかにやる気を持って仕事に当たってもらえるかということにも十分に留意してまいりたいと思います。  どのぐらい職員が私に対していろいろ意見を言うのかということでありますけれども,私は,できるだけ出してほしいということで,庁議などでも積極的な発言を促しておるところでございますけれども,私が期待するだけ出てきているかというと,必ずしもそういった状況にはございません。もっともっと積極的にいろいろ活発な議論を交わしていけるような環境づくりというものを進めていきたいと思っております。  いずれにいたしましても,先頭に立って全庁一丸となって危機的な財政状況を乗り切るために最小限の費用で最大の効果を上げるということを念頭に,これからの地方分権時代にふさわしく,かつ財政健全化にもつながる組織体制の構築に向けて不退転の決意で改革を実行してまいりたいと考えております。 117 ◯磯崎委員 ありがとうございます。極めて重要な改革であるというふうにお考えを聞きましたけれども,極めてというよりは,非常にというか,最もというふうに言いかえていただければありがたいと思いますが,いずれにしましても,明治維新でできた中央集権体制の耐用年数はもう切れたのだろうというのは知事も十数年の知事の中で,中央集権体制,三位一体改革といっても,地方のためになってないような改革だということはもうわかっておりますし,地方から奪うものを考えて,地方は国から奪うものを考えているというような,そういう状況もあります。  少子・高齢化で人口が減り始めているんですから,中央集権は続けられないと構造的にも言えると思うわけであります。  権限と財源というのを本当に地方に移す,渡す仕組みをつくらないと,この国はおかしくなっちゃうと思います。市町村合併というのは1,800ということですが,10年以内に1,000から700,700から1,000くらいというふうに言われておりますし,また最近,全国知事会がまとめた国の出先機関,10万人弱の見直し案では国に残るのは2万人だけで,5万5,000人は県に異動してくるというふうに言われております。ですから,まず国の役割を限定視する,国でなければならない役割だけやってもらって,そして今,茨城県,あるいは都道府県でやっていることは市町村,市町村でやっていることは民間やNPOにやっていただく,すなわち,near is better というのが新しい国の形のキーワードということで目指すべき方向だと思います。  決定者と実行者,そして受益者と負担者の距離を短くすることが重要である。そうすれば,チェック機能が働いて不要なものがなくなる。効率が高まって最終的に財政赤字解消につながる。現在の中央集権で永田町や霞が関では,地方の隅々,住民は見えていないと思います。一方,県にとって分権体制というのが,道州制というのがありますが,平成20年度は地方分権を進めていく先駆けとなれるかどうか,重要な年になるのではないかと思います。  一つだけ申し上げたいと思いますが,橋本地方分権改革の真価がわかるのは将来だと思います。平成17年6月7日の出馬表明のときに,知事は,記者とのやりとりで,知事の仕事は行政のトップとして7割ぐらいで,政治家の仕事はせいぜい3割でいいのではないかとおっしゃったことがありますが,この分権改革というのは,命がけといいますか,選挙で選ばれた知事が100%政治家になり切らなければ,とてもなし遂げられないと私は思っております。将来の日本の繁栄のため,本当の改革は,知事が全国知事会を巻き込んででもなりふり構わずやらなければならない。その覚悟でなければできないと思います。  俗っぽい言い方ですけれども,千万人といえども我行かんの気構えで政府と激烈な闘いによって大幅な権限を奪取しなければ地方分権の扉は開きません。正しい政治家に毀誉褒貶はつきものです。後々になって,私は,橋本は4期目の後半でとんでもないことをやったけれども,すばらしくよいことをやったと,そんなふうに言える日を心から楽しみにしております。頑張ってください。  それでは,改めて強固な中央集権体制を打破して,困難な巨大なテーマである地方分権改革について,ただいまの極めて,から非常に,になるかどうかを含めて,御所見をお伺いします。 118 ◯橋本知事 これから地方分権というものをどう考えるかというお尋ねでございますけれども,私は,これまでのような日本社会全体として先進国に追いつけ追い越せという時代であれば,中央集権という形でぐいぐいと中央政府が引っ張っていくというのもよかったんだと思いますけれども,今,人口減少社会に入っている。そういう中で,見本となるものが相当限られてきている。そうすると,地方において,それぞれの地域の実情を踏まえた,特色を踏まえたアイデアというものを出していって,そういうものの中から政府としてもいいものを推進するというような形にでもしていかないとアイデアが不足してしまう。中央政府として,内政の面で十分に機能できるのだろうかという感じもしております。例えば,最近で言いますと,現場を考えていれば,こういうことをやらなかったんじゃないかと思われるような改革,例えば,厚生労働省関係で言えば,医師不足対策,あるいは療養型病床群,あるいは障害者自立支援法,それぞれに現場の状況を見ていれば,そういう形ではいけないような形のものを導入して,その後すぐ変更しなくちゃいけないような状況にもなっている。そういうことなども見ますと,私は,これからは国と地方,上下主従から対等協力という話でございますけれども,そういったことばかりではなくて,もっと地方が主になって仕事を進めていくような体制というものをつくっていくことが一番基本にあるのではなかろうかなと思っております。  そういったことのために三位一体改革というものを我々も要求して実施していたわけでありますけれども,どうも理念は崇高であったけれども,現実的には国の方が国会議員などに対する根回しなどもうまいものだから,なかなか地方が思っていたような形にならないでしまった。そのために,財政面で,特に大変大きな打撃をこうむってしまっているというのが現状ではなかろうかなと思っております。  それから,現在,第2期分権改革の議論が政府の地方分権改革推進委員会を中心に行われているところでございますけれども,そこの状況などを見ておりましても,とても地方分権を進めようという立場とは思えないような議論ばかりされているわけでございまして,およそその議事録,要約版ですけれども,拝見をしておりますが,このままでいったら,またといいますか,この前よりももっとひどいことになるんじゃないかというような感じもしておるところでございまして,これは政府として本当に進めるんだということを中央の各省庁の職員に徹底して,そして協力体制を築いていくということが必要なのではなかろうかなと思っております。  また,地方自治体側も,先ほど政治家3割といった私の言葉につきましていろいろなお話がございましたが,例えば,三位一体改革,その他地方分権関係で政治家としてかどうかわかりませんけれども,少し自分の地域の実情というものを踏まえないで政治家としていい格好をし過ぎてしまったために,シミュレーションを本当は十分にやってみれば,ある程度わかるはずだったのに,いい格好をしたために,今,我々の地域よりもよっぽどひどい状況になっているところはたくさんございます。そういった点では,私は,政治家としてしっかりした方向を持って地方自治体を引っ張っていかなくちゃいけませんけれども,一方では,いろいろこの辺の会合に出るのを初めとして,行政としての立場からしっかりと基礎を築いていく,その上に政治家としての活躍というものがあるのだろうと思っておりますので,そういう意味を含めて,この前,記者会見では申し上げたところでございます。  いずれにしましても,道州制の問題などについても,この間も本会議でも答弁させていただきましたが,このままもし仮に北海道を道州制の例に見られるような形でやっていってしまったとしたら,道州の数は10から13ぐらいの範囲に減ってしまう。そして,仕事はほとんどおりてきていない。それから幾ら騒いでも,もう戻りません。我々は地方自治制度というものを戦後一貫してやっとここまで持ってきたという感じがあるものですから,これをここ数年の間にどうもぐちゃぐちゃにしてしまったのではないか。地方がやれないような状況にしてしまった。それは所得の再分配,税収の再分配制度を含めて,どちらかというと,強いものが勝つ,そして負けたものについては生活保護で面倒見るというような形の発想というものがあらゆる面に浸透し過ぎてしまっているのではないかというような感じも持っておるところでございまして,やはりそういった発想を改めて,地方がもとにあるんだということで,中央は外交とか防衛とか,司法とか金融とか,そういったことを中心に,あと極めて専門的な分野など,地方ではやれない部分をやっていくという形に直すという考えが浸透してこなければ難しいのだろうと思っております。そして,そういった考えについては,今の段階で浸透しているかというと,まだ国民の中に必ずしも浸透しているとは思えません。いろいろアメリカですと,例えば,税収が多いところだと,手厚いいろいろな施策が行われている。手厚くなければ税収も低いよというような発想が当然成り立つわけですけれども,日本の場合には,税収が大きいから,そこで手厚くて,少ない方は,税収が多くないところは手厚くないとなると,こちらの方では,できるだけ平等な対応という形で要求が出てくるわけでございまして,そういったことなども含めて,国民全体として地方分権ということについて理解が進むということが今回さまざまな道州制を含め,これから議論されていく上で重要になっていくのではないかなと考えております。 119 ◯磯崎委員 よくわかりました。わかりましたが,一つ,国はこのままではよろしくない。地方が分権体制にしても何にしてもやらなければならないという,そこまでわかって,そして世論の考え方がまだ浸透していないという話でありましたが,それは傍観者というと悪いんですが,そうじゃなくて,積極的にPRすべきじゃないですか。その点についてね。それを鋭意というか,大胆にというか,相当どんどん推進していくと,その考え方を国民に,県民にと,その努力というのを最大やることがまず第一歩ということだと考えておれば,それで結構だと思いますので,それを旨として,今後進めていただきたい。そのことは,とりもなおさず日本のためであり,我々住民,市民,国民のためでありますので,頑張っていただきたいと,そのように感じます。 120 ◯橋本知事 その点については,私は若干時間がかかるんじゃないかなという感じを持っております。急いでも,やっぱり教育から始まっていかないと難しい面がありまして,そういうことをちらっと個人的には考えておるということと,片一方で,しかしそうは言っても,うちの県などはまだ全体で真ん中よりちょっと上ぐらいだからいいんですけれども,地域によっては,このままじゃ,もう地方自治体の経営といいますか,地方自治体の存在そのものが大変検討していかなくてはいけない段階に来ているところもあるわけでございまして,そういった面での対応をどうするかという喫緊の課題もございます。両方を考えながらやっていくことが必要だろうかなと思っております。 121 ◯磯崎委員 知事とは45年ぐらいのつき合いですけれども,こういうところでこういう話を,本音を話しできること,機会をいただきました。  ありがとうございました。結構でございます。
     次に,保健所の再編計画ということで,ひたちなか保健所,常陸大宮保健所ということであります。これ,両方とも2次医療圏に保健所が2カ所存在していますので,それを,どちらかを本所にして,どちらかを支所にというふうにしたそうでありますけれども,これをどのようにして,どちらかを本所,片方を支所としたのかという原則がありましたら,そこの点を保健福祉部長にお伺いいたします。 122 ◯泉保健福祉部長 お答えいたします。  まず,保健所再編の全体の考え方でございますけれども,平成6年に地域保健法ができまして,これは保健所法を改正したわけでございますが,県の保健所につきましては,広域的,専門的かつ技術的拠点としての機能を強化するべきと。一方で,母子保健などの身近で頻度の高い保健サービスにつきましては,市町村保健センターが中心になって行うということとされたところでございます。  これを受けまして,本県におきましては,もともと18ございました保健所を平成6年度,それから平成11年度の2回の改正で,現在12保健所まで再編整備を図ってきたところでございます。  保健所の今後のあり方につきましては,財政再建等調査特別委員会におきまして御議論いただいているところでございますけれども,12月の中間報告書におきまして,1点目としては,管轄区域を広域化して業務の集約化によって保健所機能の専門性を高めていくべきである,第2点目としては,2次保健医療圏を基本として,圏内に保健所が複数ある場合には,一方に業務を集約し,他方を支所化するなどの再編をするべきであるという御提言をいただいたところでございます。  これを受けて,県といたしましては,管轄規模の大きい方の保健所に保健師や獣医師,薬剤師などの専門職員を集約して保健所の専門性や機動性を向上するということを検討していきたいと考えております。 123 ◯磯崎委員 管轄規模の大きい方というふうに今言われましたけれども,その意味は,どういう内容なんでしょうか。管轄規模です。 124 ◯泉保健福祉部長 管轄規模というのは,いろいろな要素があると思いますけれども,例えば,面積であるとか,人口であるとか,あるいは管轄市町村の数,あるいは保健所自体の組織の大きさであるとか,保健所の所掌する事務,そうしたさまざまな要素があるかと考えております。 125 ◯磯崎委員 保健所というのは,文字どおり住民の健康を保つために設置されるものですけれども,今の管轄規模,管轄の考え方を見ますと,3点,4点の理由がありましたけれども,まず何を考えなければならないかというのは,住民のためにどうするか,住民にどうしたら一番サービスができるかという,そういうことを目的にした今の決め方ではないというのがわかりました。面積ではなくて,人間ではないでしょうか。面積が広いところに保健所を持っていくのか,人間が多いところに持っていくのか,これは自明の理だと思うんですよね。そして,今までの常陸大宮保健所の方は23人でひたちなかは18人だから,人数が少ないから大きい方を本所にという,そういうのは県庁の行政がやりやすいからということであれば,これは問題なわけですね。つまり,人口が1万人以上ひたちなか保健所の方が多いわけです。そしてまた,常陸那珂港とか,それから国内総生産の9割を占める干し芋とか,100万人を超える買い物客のお魚市場とか,年間200億円を生産する水産加工業とか,あるいは今後の人口の推移は少なくなっていく地域と増加地域とあるわけです。そういうことを考えると,もう全く自明の理といいますか,何を考えているのかなということになります。そのほか,今申し上げない理由が3つも4つもありますので,ひたちなか保健所と常陸大宮保健所に対する今の管轄区域の考え方をぜひ考え直してほしいと,そのように思います。 126 ◯泉保健福祉部長 保健所の仕事でございますが,ここ20年ぐらい地域保健のやり方が大分変わっておりまして,以前は,高齢者の健診も赤ちゃんの健診も予防接種もみんな保健所でやっていた時代がございますが,今は大部分の仕事を市町村の保健センターなどでやっております。保健所でやっておりますのは,感染症,食中毒などの際に保健所から出向いていって調査をする仕事であるとか,あるいは許認可関係の申請をしていただいたり,あるいは食品関係なり,医療関係なりの施設を指導しに行くと,そういった業務が主になっておりまして,一般住民の方が頻繁に保健所に訪れるということは実は少なくなってきております。  そういう意味で,現在,保健所本所と支所にということを考えておりますけれども,これは住民の方にとって,保健所がどこにあっても,それが変わることによって影響がないような形にしたいというふうに思っておりまして,再編後の保健所の本所と支所が具体的にどういう業務を扱うかにつきましては,今後さらに検討を進めていきたいと思っております。  現在考えているところでは,申請の受付であるとか,各種の相談など地域の住民や事業者の方が保健所に来なければいけない仕事につきましては,本所,支所とも従来どおり対応ができるようにしていきたいと考えております。  また,大規模な感染症ですとか,食中毒などの,いわゆる健康危機管理の事案につきましては,これは,前も本所と言っておりますが,仮に本所という名前にして,そこに専門職員を集めることによって,例えば,小さな保健所であれば1人の職員が幾つもの業務を兼務する中で,例えば一つの仕事が食品であるというような状態のところで,これらの職員を厚くすることによって,例えば必要に応じて1つあるいは2つのチームを編成して出かけることができるというようなことを考えておりますので,現在よりもむしろ迅速かつ的確に動けるような体制をつくるという気持ちで考えていきたいと思っております。  いずれにいたしましても,検討に当たりましては,利用者の方の利便性を損なうことがないように,また,いろいろ教えていただきました地域の実情なども十分踏まえまして,また,地域の住民の方,事業者の方,地元自治体,関係団体の御意見などを十分に伺いながら,今御指摘いただいたことも踏まえて十分検討を進めてまいりたいと考えております。 127 ◯新井委員長 時間です。 128 ◯磯崎委員 では,終わります。ありがとうございました。 129 ◯新井委員長 以上で,質疑を終了します。        ─────────────────────────── 130 ◯新井委員長 これより,付託議案の採決を行います。  採決は,区分して行います。  まず,第1号議案,第3号議案,第4号議案,第6号議案,第14号議案ないし第17号議案及び第20号議案ないし第24号議案について,原案のとおり決することに賛成の方は,挙手願います。                  〔賛成者挙手〕 131 ◯新井委員長 挙手多数と認め,原案のとおり決しました。  次に,第2号議案,第5号議案,第7号議案ないし第13号議案,第18号議案及び第19号議案について,原案のとおり決することに御異議ありませんか。              〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 132 ◯新井委員長 御異議なしと認め,原案のとおり決しました。        ─────────────────────────── 133 ◯新井委員長 次に,閉会中における事務調査の件を議題といたします。  1.予算特別委員会の運営について  2.予算状況の調査について 以上を閉会中の事務調査事項とし,議長にその旨を申し出ることにいたしたいと思いますが,これに御異議ありませんか。              〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 134 ◯新井委員長 御異議なしと認め,そのように決しました。        ─────────────────────────── 135 ◯新井委員長 以上で,本委員会に付託されました案件の審査は,終了いたしました。        ─────────────────────────── 136 ◯新井委員長 なお,本委員会の審査結果報告書等の案文につきましては,委員長に御一任願いたいと思いますが,御異議ありませんか。              〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 137 ◯新井委員長 御異議なしと認め,そのように決しました。        ─────────────────────────── 138 ◯新井委員長 本委員会の審査に当たり,委員並びに執行部の皆様には,長時間にわたり終始熱心に御審査をいただき,心から感謝申し上げます。  以上をもちまして,予算特別委員会を閉会いたします。  大変お疲れさまでした。                 午後3時5分閉会 Copyright © Ibaraki Prefectural Assembly, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...