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  1. 茨城県議会 2008-03-04
    平成20年第1回定例会(第3号) 本文 開催日: 2008-03-04


    取得元: 茨城県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-09
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 平成20年3月4日(火曜日)午後1時1分開議          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◯議長(桜井富夫君) これより本日の会議を開き,直ちに議事日程に入ります。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 日程第1 第1号議案=ないし=第84号議案及び報告第1号 2 ◯議長(桜井富夫君) 日程第1,第1号議案ないし第84号議案及び報告第1号を一括して議題といたします。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 会派代表による県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑 3 ◯議長(桜井富夫君) これより会派代表による県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑を許します。  自民県政クラブ,江田隆記君。                  〔41番江田隆記君登壇,拍手〕 4 ◯41番(江田隆記君) 自民県政クラブの江田隆記でございます。  日本で最初の公害問題と言われている足尾銅山の鉱毒事件に生涯をかけて尽力された田中正造先生は,私や多くの古河市民が尊敬する郷土の偉人であります。  その田中正造先生は,「真の文明は,山を荒らさず,川を荒らさず,村を破らず,人を殺さざるべし」という言葉を残しました。  明治23年第1回総選挙以来,連続6回当選を続けた衆議院議員の職を投げ打ってまで足尾鉱毒問題を明治天皇に直訴された行動は,当時の時代背景を考えればまさに命をかけた行動であり,その偉大さや住民を思う心に改めて強い感銘を受けるのであります。  しかし,高度に科学技術が発達した現代文明は,我々の生活を便利にした反面,自然環境の破壊や地球規模の環境問題を引き起こし,また,大量破壊兵器である核兵器を開発するなど,人類に災厄や恐怖をもたらしているのであります。  文明とは,人の英知,すなわち人の知恵,道理や筋道をわきまえ,正しく判断する心の働きが生み出すものであります。私は,今こそ,人間が本来備え持ったこの英知を思い起こし,人類が本当に幸せを感じられるような真の文明を築かなければならないと考えるのであります。  また,自由民権運動家でもある田中正造先生は,国のあり方は地方自治体を基礎にして考えなければならない,地方自治こそ国家の礎であると述べられています。中央集権国家が形成されつつある中,100年先を見据える卓越した先見性に敬服する次第であります。地方自治に携わる県議会議員として,改めて田中正造先生の言葉を噛みしめ,胸に刻み,真の地方分権を実現しなければならない考えるものであります。  今回,このような思いを念頭に,代表質問ではありますが,今,県民が最も望んでいる安全で安心して暮らせる社会を実現するために重要な,医療,福祉,教育,警察行政などを中心に,知事,教育長,警察本部長に質問をしてまいります。県民が安心と希望を持てるような答弁を期待いたします。  まず,最初に,今後の県政運営についてお伺いします。
     橋本知事が竹内県政を引き継いでから,本年9月でちょうど15年が経過しようとしています。この14年余りの間には,国と地方の関係でいえば,第1次地方分権改革三位一体改革の実施,本県においては新庁舎への移転やTXの開業,そして,世界に目を向ければ,同時多発テロの発生,中国,ロシアの台頭など,国内外で実にさまざまな出来事が起こりました。さらに,著しいIT化の進展など急激な時代変化の中,少子高齢社会や激化する地域間競争への対応,医師不足や地球的な規模での環境問題などさまざまな課題に直面し,その対応に迫られました。まさに,この14年間は激動の時代でありました。  現在4期目の知事の任期も既に半分以上が経過しており,まさに,橋本県政4期目の総仕上げ期を迎えているのであります。  そこで,まず,これまでの任期を振り返っての自己評価と,今後,橋本県政の4期目の総仕上げとしての県政運営にどのように臨もうとしているのか,知事にお伺いいたします。  次に,平成20年度の予算編成方針についてであります。  今回の予算編成においては道路特定財源暫定税率の扱いが定まらず,その動向に大いなる懸念を抱いていたのではないかと推察いたします。仮に暫定税率が廃止されれば,本県では約361億円という多額の財源を失うことになり,道路整備に大きな影響を受けることになります。しかし,国の政治状況により県の予算編成が大きな影響を受ける事態は,今後も起こり得るのであります。  現在,第2次地方分権改革において,地方は地方税財源の充実・強化を強く求めています。真に国から独立した地方自治体となるためには,本来,国の政治動向に左右されない自立した予算編成も求められるのであります。むしろ今回の事態を好機としてとらえ,安定した財政運営の実現を目指すべきであります。  また,今回の予算編成においても,財源不足のため,県債管理基金を目的外で処分し,200億円の財源を捻出するという緊急避難的な対応をとらざるを得ませんでした。その一方で,本県においては多くの課題が山積しております。  そのような中,昨年9月に実施された県政世論調査では,多くの県民が,高齢者福祉対策,医師不足への対応など医療サービス体制の整備,治安の回復などに力を入れることを望んでおります。厳しい財政状況下にあっても,民意を反映した予算編成をすることが知事には求められております。  そこで,今回の予算編成に当たって,県民の声をどのようにとらえ,それにどのようにこたえようとしたのかお伺いいたします。  次に,現在,県民の多くが県政に望んでいる医療問題についてお伺いします。  最初に,医師不足対策における必要な医師の確保についてであります。  現在,医師不足の影響は,産婦人科,小児科だけではなく,外科や麻酔科など他の診療科や救急医療にまで及んでいます。万が一救急患者となっても受け入れを拒否されるなど,本来は救える命さえ危機にさらされているのであります。県では,医師修学資金の貸与などさまざまな医師確保対策を講じており,努力は認めるところですが,残念ながら,これらは根本的な対策にはなり得ないと考えるものであります。  経済開発協力機構,いわゆるOECDの調査によれば,人口1,000人当たりの日本の医師数は2人であり,30カ国の中で第27位。OECDの平均3人を大きく下回っております。国は,医師不足について,あくまで特定の診療科における不足や地域的な偏在にすぎないものとしておりますが,このような国際調査からも我が国の医師の絶対数の不足は明らかであります。厳しい言い方をすれば,現在の地方の医師確保対策は少ない医師を地方同士で奪い合っているにすぎないのであります。  医師の絶対数を増加させるためには,どうしても医学部の定員増が必要であります。国は,平成18年に医師数全国第46位の本県が含まれないなど極めて不完全ながら,一部の県で医学部の若干名の定員増を認めました。さらに,昨年8月の緊急医師確保対策において,条件つきながらも各県最大5名の医学部定員増を認めました。国の考えは相変わらず前倒し,暫定的としていることに疑問を持ちますが,本県においても医学部の定員増の道が開かれたことは前向きにとらえたいと思います。  ただ,我が国の医師数はOECD諸国の平均に達するまでには何とまだ14万人も足りないのであり,また,医療の質と医師・患者関係の変化や医師の個人的なライフスタイルの多様化から,今後,医師はますます必要となってくるのであります。  もはや,昭和40年代に設定された人口10万人当たり150人という必要な医師数の基準は,全く時代にそぐわないのであります。医師不足対策においても,道路特定財源のようにさらなる医師確保策を求めて決起集会を実施するなど,地方が一丸となって国にその実現を迫るときではないかと考えております。  そこで,現在,筑波大学と協議中の医学部定員増の見通しを含め,医師の絶対数の不足に対する認識と必要とする医師の確保策について御所見をお伺いいたします。  次に,女性医師の就業支援についてであります。  現在,医師国家試験の合格者の3分の1は女性となっており,平成18年度における医師全体に占める女性医師の割合も既に17.2%に達しております。特に20代の医師においては35.8%,20代の小児科と産科に限れば女性医師は50%を超えることになり,現在,医療現場における女性医師の役割は非常に大きいものとなっております。  しかし,多くの女性医師は,男性医師と同様,過酷な勤務をこなしながら育児や子育てを行っております。そのため,多くの女性医師は,働く意欲を持ちながらも医療現場から離れざるを得ない現状にあります。しかも,昨年の県の調査によれば,県内の病院で勤務する女性医師の育児休業取得率は,全国の女性労働者の88.5%を大きく下回る20%程度にとどまっており,また,病院の半数近くは,女性医師の就業継続,再就業の促進策について特にないと回答しているなど,女性医師が家庭と医療を両立するのが難しい現状が明らかになっております。  また,医師は高度な知識,技術が求められ,出産,育児等で一たん現場を離れてしまうと,医療現場に復帰することは簡単なことではありません。他県では,女性医師が退職前の技能を取り戻すための研修などを実施しておりますが,本県でも,離職した女性医師の再就職,復帰への支援が必要であると考えます。  今後ますます女性医師はふえていく傾向にあります。医師不足対策としては女性医師の就業支援が喫緊の課題と考えますが,御所見をお伺いいたします。  次に,医療制度改革への対応についてお伺いします。  最初に,安全・安心で質の高い医療の提供についてであります。  我が国は,男女とも世界最高水準の平均寿命を実現しています。世界最高水準の医療とそれを支える国民皆保険制度によるおかげであります。しかし,現在,医療の崩壊とともに急速な高齢化などから,医療水準を支えてきた医療保険制度も危機に瀕しております。  このような中,医療費の伸びを抑制し,国民皆保険を堅持するため,医療制度改革が実施されたのであります。この改革においては70歳以上の窓口負担の引き上げなどが既に実施されており,来年度からは75歳以上の方が対象となる後期高齢者保険制度の導入など,さらなる負担増が実施されることになっております。  しかし,今回の改革においては,安心・信頼の医療の確保と予防の重視という基本的な考え方のもと,患者の視点に立った安全・安心で質の高い医療が受けられる体制をも実現することとされております。特に都道府県においては,患者等へ医療機関などの情報を提供することや,保健医療計画の見直しにより,切れ目のない医療の提供と在宅医療の充実を図ることが求められております。脳卒中やがんなどの重大な病気においては,急性期における手術などの集中的な治療,回復期や退院後の継続的なリハビリなど,症状に応じた適切な治療も必要となります。患者の立場に立ち,医療機関の連携体制の充実を図ることにより,それらの医療が切れ目なく受けられるようにしなければなりません。  現在,県では保健医療計画を前倒しして見直し中でありますが,今回の医療制度改革において県民に安全・安心で質の高い医療をどのように提供しようとしているのか,お伺いいたします。  次に,医療費の適正化と療養病床の再編についてであります。  来年度からの医療制度改革として県に求められているもう一つの大きな柱が,医療費適正化計画の策定であります。この計画においては,医療費の抑制のため,若いときからの生活習慣病対策や高齢者等の長期入院の是正などを通じ,計画的な医療費適正化に取り組むこととされております。  特に,高齢者等の長期入院是正のため,療養病床の数値目標とその再編に関する具体的な取り組みを定めることになっております。  療養病床については,既に介護型の療養病床12万床の廃止と医療型療養病床25万床の大幅な削減方針が打ち出されており,医療費適正化計画の策定により県内の療養病床も大幅な削減が予想されるところであります。確かに,我が国の平均入院日数は他の先進国と比べて長いことや,毎年1兆円ペースで医療費がふえ続けていることを考えれば,家庭の事情や介護施設が見つからないなどの理由で長期入院しているいわゆる社会的入院の解消は大きな課題であります。  しかし,療養病床の再編成は,医療現場や患者,家族にとって大きな影響を受けるにもかかわらず,その進め方は拙速な感があり,医療現場等からは戸惑いや不安,また,介護難民を生みかねないなどの懸念が出ております。  このような懸念を払拭するためにも,本当に入院の必要のない者に対しては確実に老健施設や老人ホームなどへ移れるよう具体的な支援策が求められます。また,入院の必要のある者が病床で治療が受けられるよう適切な療養病床数を確保しなければならないのは,言うまでもないことであります。医療費抑制の観点から患者を追い出すようなことは絶対あってはならないのであります。  医療費適正化計画においても,今後の住民の健康と医療のあり方を展望し,住民生活の質の維持及び向上を図るものであることが基本理念とされております。医療費適正化計画も現在策定中でありますが,療養病床の再編を含め,医療費の適正化をどのように進めようとしているのかお伺いいたします。  次に,危機管理としての新型インフルエンザ対策についてであります。  鳥インフルエンザウイルスが変異して,人から人へ感染するようになる新型インフルエンザの出現の危険性が高まっていると言われております。新型インフルエンザウイルスに対してはすべての人が免疫を持っていないため,世界的な大流行,いわゆるパンデミックが起こると言われております。事実,大正7年に発生したスペインインフルエンザでは,世界じゅうで約4,000万人,我が国でも約39万人もの死亡者が出ているのであります。  今回の新型インフルエンザにおいても我が国では約200万人の入院患者と約64万人の死亡者が出ると推定されており,新型インフルエンザ対策としては,県民の健康被害を最小限に抑えるため,私が昨年の第1回定例会の代表質問で取り上げたタミフルの確保など,必要な医療体制の整備が何よりも重要であります。  しかし,現在の世界的な人口増加や都市への人口集中,飛行機などの高速な移動手段の発達などを考えれば,新型インフルエンザは全世界に短期間でパンデミックが起こり,さまざまな職種に従事する人が同時に感染する可能性が高いと考えられます。そのため,健康被害だけではなく,交通機関や電力,水道などのライフライン,国民の安全を守るべき警察,消防などの行政機関,さらには,最悪の場合は医療機関そのものの機能も止まるなど,国民の社会活動や経済活動に大きな影響を及ぼす可能性があります。  まさに,新型インフルエンザの発生は,県民の生命,身体,財産に重大な被害を生じさせるおそれがあり,本県としてもしっかりとした危機管理をせねばならないのであります。  この危機管理に迅速かつ的確に対応するためには,新型インフルエンザが発生した場合の状況を想定し,さまざまな段階に応じ,これに携わる関係者や県民がとるべき行動をあらかじめ定めておき,それを広く周知しておかなければなりません。  そこで,危機管理としての新型インフルエンザ対策にどのように立ち向かおうとしているのか,お伺いいたします。  次に,がん対策の推進についてであります。  平成18年の本県におけるがんの死亡者数は7,613人で,全死亡者の約30%を占めております。全国と同様,本県においても,がんは死亡原因の第1位となっているのであります。  がん対策としては,まず第一に,発症,進行,再発などさまざまな状況に応じて患者が安心,納得できる医療の提供が求められております。また,がんになるのは,喫煙や食生活など生活習慣,肝炎ウイルスの感染症などが関与していることがわかってきており,さらに,がんは,医療技術の進歩により,早期に発見,治療すれば高い確率で完治できるようになってきました。県としては,県民へのがんに関する正しい知識の普及啓発と,生活習慣改善対策の推進,検診率と検診精度の向上を図ることも重要であります。  さらに,がんは不治の病でなくなったとはいえ,県民のがんに対する恐怖心は決して小さくありません。また,がんと告知されたときには,患者本人や家族の不安と動揺は大変大きいものがあります。がん対策としては,このような患者や家族の不安と動揺を取り除くことも求められております。緩和ケアや完治後も含め,がん治療に関する必要な情報を提供し,治療,費用などに対する相談体制を充実させ,患者や家族を支援していかなければなりません。  県では,平成15年度からは,がんにならないための対策,がんに対する不安への対策などを盛り込んだ第2次計画を策定しており,現在その見直し中と聞いております。  そこで,新たな計画の特色を踏まえ,今後,がん対策をどのように推進しようとしているのかお伺いいたします。  次に,障害者の自立と就労支援についてお伺いします。  障害者自立支援法に対しては,サービス等を利用する障害者から負担金を取ることに批判が集中しましたが,この法律のそもそもの趣旨は,障害者の地域生活と就労を進め,自立を支援することであります。事実,障害者自立支援法では,障害者がもっと働ける社会を実現するため,一般就労へ移行することを目的とした事業などが創設されております。障害者の就労支援は,現代福祉において最も重要な理念であるノーマライゼーションの実現のためにも,可能な限り進めるべきであります。  現在,県内には,一般就労を支援する就労移行支援事業所41カ所に約550人の障害者が,また,一般就労が困難な障害者を支援する就労継続支援事業所45カ所に約800人の障害者が支援を受けております。しかし,その合計者数は,県が定めた障害者福祉計画の平成23年度目標値2,440人を大きく下回っております。多くの障害者の就労希望にこたえるためには,支援事業所の数を大幅にふやすことが喫緊の課題であります。  また,障害者自立支援法における就労支援事業では,地域で生活できるよう所得保障に主眼が置かれております。しかし,就労継続支援事業所の平均賃金は1日平均500円,月9,200円程度であり,障害者の自立のためには賃金を大幅にアップすることが求められています。そのためには,支援事業所がこれまでの福祉的な考え方だけではなく,企業的な経営感覚を取り入れることも必要であります。県としても,コスト削減や販路の拡大など経営的なアドバイスや,従事者への研修などの支援策を充実させなければなりません。  さらに,就労支援には,障害者が職場に定着できるよう,職場内で悩みを抱いている人や仕事を続ける自信をなくした人に対するきめ細かな支援なども必要であります。そのため,身近な地域で就業面などの支援を行う障害者就業・生活支援センターを県内9つの障害福祉圏域に1カ所程度整備するなど,支援策を充実させなければなりません。  そこで,障害者の自立をどのように支援していこうとしているのかお伺いいたします。  次に,消防力の強化についてお伺いします。  最初に,消防の広域化についてであります。  昨年12月,鹿島臨海工業地帯石油コンビナートで火災が発生し,消防車15台が約11時間かけて消火に当たりました。この火災で作業員4人が亡くなるという悲しい事件となりましたが,地域住民の方も,燃え盛る炎と立ちのぼる黒い煙を見て大きな不安を感じたのではないでしょうか。  このような事故による火災に限らず,近年ではマンションを中心として高層ビルの建設がふえております。それらの火災に備えるためにも,現在,消防力の強化が求められているのであります。  消防力を強化するために必要とされているのが,消防の広域化であります。広域化により,高機能の車両や通信システムの整備,隊員の増強や専門性の向上などの消防体制の基盤強化と,消防車等の初動台数の充実,到着時間の短縮など,住民サービスの向上が図られることになります。  ただ,広域化とは委託を含め複数の市町村が消防事務を共同して処理することであり,その実現に当たっては,市町村合併同様,県の役割が大きく期待される分野であります。現在のスケジュールでは,今年度末までに県が広域化対象市町村の組み合わせを含んだ広域化推進計画を策定し,平成24年度までには消防の広域化が実現されることになっております。  我が国の消防は,戦後はGHQの指導により警察から独立し,いわゆる自治体消防制度が発足するまでは警察機関の一部とされていました。消防の広域化については,昨日,自民党の鶴岡議員から県内を1つの消防本部とする茨城消防庁の提言がありましたが,私も本来,消防のような組織,機関こそ,県の所管として残すべきであったと考えております。ただ,現状では,消防の県への一元化については実現が困難でありますので,少なくとも法律が求めている複数市町村の共同処理の実現に全力で取り組むべきであります。  住民の生命,身体,財産を守るため,消防の広域化の実現に向けて県はどのような役割を果たそうとしているのかお伺いいたします。  次に,メディカルコントロール体制の整備等についてであります。  消防は,火災消火だけではなく,救急業務や救助業務なども担っており,近年,災害や事故が多様化,大規模化していることから,これらの業務においても消防の役割はますます重要になっております。  平成18年における本県の救急業務の出動件数は約10万4,000件であり,救急搬送が昭和38年に消防の任務として法制化されて以来,消防の主要任務となっております。また,平成3年には救急患者を病院に搬送するまでの間,救急救命処置を行うことができる救急救命士が誕生し,現在,救急隊に常時最低1名乗車させることを目標にその整備が進められております。  一刻を争う救急医療の現場にあって,救急救命士の適切な処置により多くの命が救われ,後遺症の軽減も期待されております。また,救命士を含む救急隊員が行う処置の質を向上させ,救急業務の高度化を図るためには,消防機関と医療機関との連携,すなわちメディカルコントロール体制の整備を充実させる必要があります。  ただ,救急車に常時1名の救急救命士が乗車するためには1救急隊当たり4人が必要とされているにもかかわらず,本県の平均は3.1人であり,その地域差もまた大きいものとなっております。  昨年6月1日現在で,県内の消防本部には451人の救命士が配置されておりますが,そのうち女性救命士は13人しかおりません。現在ふえ続ける救急要請に幅広く対応し,女性の傷病者にも安心感を与えられる女性救命士へのニーズは,ふえていると考えるものであります。  今後,女性救命士の配置を促進することは,救急業務体制を整備する上での一つの課題ではないかと考えております。救命士の採用に当たって各消防本部が考慮するよう,県としても働きかけていただくことを要望いたします。  そこで,市町村の救急救命士の配置とメディカルコントロール体制の整備についてどのように支援しようとしているのか,お伺いいたします。  次に,教育における環境整備等についてお伺いします。  最初に,特別支援学校における教育の環境整備についてであります。  学校教育法では,特別支援学校の目的を,幼稚園,小学校,中学校または高等学校に準ずる教育を施すとともに,障害による学習上または生活上の困難を克服し,自立を図るために必要な知識技能を授けること,と規定しております。特別支援学校は,集団生活にみずから溶け込める態度などを身につけ,職業,社会生活の適応能力を培う場も提供するなど,障害のある児童生徒の教育機関として大変重要な役割を果たしております。  ただ,本県の特別支援学校では,知的障害のある児童生徒が近年大きく増加しております。特に私の地元古河市の児童生徒が通う結城養護学校は在籍者数が296人と県内では最も多く,そのため,特別教室の転用や仮設校舎の建設により教室不足への対応を図っているのが実情であります。しかし,特別教室を転用することなどでは十分な指導や支援を行うことができず,児童生徒が学ぶ環境としては適切とは言えないのではないかと考えております。  障害のある子供たちが学ぶ場所だからこそ,伸び伸びとしたスペースで教育を受けさせてあげたいのであります。そして,特別支援学校としての役割を十分に発揮するためには,まず,学ぶ環境の整備が急務ではないかと考えるものでありますが,教育長の御所見をお伺いいたします。  次に,教員の勤務環境の改善についてであります。  現在,学校では,学力向上やいじめ,不登校など多くの課題を抱えております。これらの課題に対応するためには,学校の対応力や教員の資質の向上が求められるのは当然であります。しかし,その一方で,現在,学校はさまざまな役割が求められており,教員自身も,会議,打ち合わせ,報告書作成などの事務や,保護者等からのクレームへの対応などに追われ,児童生徒一人一人に向き合う時間が十分とれないのではないかと危惧しております。  また,かつては,教える立場の教師は尊敬され,威厳のある存在でありましたが,小学校低学年からの学級崩壊や理不尽なクレームをつける保護者等の存在など,現在の教員を取り巻く環境は大きく変化しております。教員はいわゆる鍋ぶた型社会であり,教員間の横並び意識が強かったり,お互いに多忙のため,課題を一人で抱え込まざるを得ない傾向があるのではないかと危惧するものであります。  モンスターペアレント対策においても,各教員が連携し,学校全体で対応して,教師を孤立させないことが大切であります。また,教員は通常,採用1年目からクラスを受け持つなど,いきなり経験豊かな教員と同様の職務が求められております。このため,若手教員に向けたサポート体制も重要ではないかと考えるのであります。  さらに,教員の多忙さや教育環境の変化などを考えれば,県や市町村の教育委員会の支援も必要であります。他県の例では,モンスターペアレント対策でも,悪質な事例への対応に関して助言や指導を行う専門家の組織を発足させたり,顧問弁護士と連携しながら解決に当たる体制を整えつつある教育委員会もふえていると聞いております。  学校訪問など直接教員の方々にお会いして感じるのは,多くの教員は心身ともに疲れ切っているのではないかという印象を受けることであります。教員が心身ともに健康で,児童生徒への愛情や教育への情熱があってこそ充実した教育が行えるのであり,子供たちの教育のためにも教員の勤務環境の改善が必要なのであります。  そこで,現在の教員の勤務実態への認識と教員の能力を発揮できるような勤務環境の改善について,教育長の御所見をお伺いいたします。  次に,警察力の維持,向上についてであります。  警察署や交番,駐在所のあり方を見直す警察署等の再編整備も非常に大切でありますが,警察力を維持,向上していくためには,警察官一人一人の力も大きいのであります。  その一方で,本県においては,平成20年度から平成29年度までの10年間に約1,500人もの警察官が定年を迎え,退職していきます。短期間に約3分の1もの警察官が入れ替わることになります。警察官の大量退職時代を迎え,ベテラン警察官の技能継承と優秀な人材確保が警察に課せられた大きな課題であります。技能継承,言いかえれば,豊富な経験の中で培われた現場感覚や専門知識をあわせ持つベテラン捜査員と,新人警察官との世代交代をいかにスムーズに進めるかの問題であります。  他県では,ベテラン捜査員から鑑識活動や職務質問などを学ぶ勉強会を実施したり,事件捜査や交通捜査などで実績のある先輩と技術伝承合宿を開催しているところもあると聞いております。本県でも,昨年の私の質問の答弁にありましたように,警察学校への指導官の配置や刑事伝承官の委嘱など努力されておりますが,若手人材の早期戦力化が急務でありますので,他県に負けないようなさらなる努力を期待したいのであります。  ただ,その若手を確保すること自体にも大きな課題が生じつつあります。採用者数が増加しているとはいえ,平成10年度には15.5倍あった採用試験の受験倍率が平成19年度には5.5倍に低下しているのであります。これは単に景気回復の影響だけではなく,少子化や若者気質の変化などもっと根本的な原因があると考えられます。今や,警察官の採用においても,優秀な人材を確保するため積極的なリクルート活動などが必要となっているのであります。  そこで,警察官の大量退職時代を迎え,ベテラン警察官の技能継承と優秀な人材確保をどのように進めようとしているのか,警察本部長にお伺いいたします。  最後に,銃の安全対策についてであります。  我が国では,狩猟や有害鳥獣駆除をするためなど限られた者にしか銃の所持が許可されないことになっています。また,精神障害者やアルコール・薬物中毒者など一定の事由に該当する者には所持を許可しないことになっており,許可を受けた場合でも,許可用途以外の使用禁止や,保管設備,保管方法なども厳しい基準を遵守することが求められております。  しかし,昨年12月,この世界一銃規制が厳しいと言われている我が国の長崎県で散弾銃を持った男が公共の施設に乱入し,2人を射殺,子供を含む6人を負傷させるという事件が起きたのであります。正当に銃所持を許可された者が公共の場で銃を乱射するという事件が起きたことに,私は大きな衝撃を受けたのであります。容疑者は,散弾銃と空気銃4丁の所持の許可を受けながらも異常な行動が目立っていたと報道されています。なぜ,あのような人に銃を持たせたのか,だれしもが感じる疑問であります。  銃は殺傷能力のある危険な武器であり,所持者の権利より住民の安全が優先されるべきであります。銃所持の許可に当たっては,その適格性の判断を厳格に行わなければなりません。また現在のストレス社会にあっては許可所持後に適格性を欠く可能性もあり,許可後の適格性も厳格に行うべきであります。さらに,より一層の所持の許可基準の厳格化など,法律改正も働きかけるべきであると私は考えます。  現在,本県の銃砲等の所持者は約5,500人であり,それらの人が持つ銃砲等の数は約1万4,000丁にも上ります。人口10万人当たりの所持数に換算すれば502丁で,全国第3位となり,長崎の事件は決して対岸の火事ではないと考えるのであります。  そこで,現在,県民が不安に感じている銃砲等の安全対策をどのように実施しようとしているのか,警察本部長にお伺いいたします。  以上で,私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 5 ◯議長(桜井富夫君) 江田隆記君の代表質問,質疑に対する答弁を求めます。  橋本知事。                     〔橋本知事登壇〕 6 ◯橋本知事 江田隆記議員の御質問にお答えいたします。  まず,これまで14年の県政運営の自己評価についてお尋ねをいただきました。
     この14年を振り返りますと,就任当初からバブル崩壊後の長期にわたる景気低迷が続き,その後の景気回復局面におきましても,三位一体改革による地方交付税の大幅削減等により危機的な財政状況が続くなど,県政を取り巻く環境は大変厳しいものがございました。  こうした中,私は,本県の将来の発展を見据え,県民一人一人の生活を豊かにしていくことを常に考え,県政運営に取り組んでまいりました。まず,将来の発展基盤となる高速道路や鉄道,港湾,空港等の整備を進めますとともに,産業の振興に力を入れてまいりました。この結果,広域交通網の整備が進みますとともに,国内有数の企業が本県に数多く立地するなどの実績となっております。また,最先端科学技術の県づくりや農業改革等も着実に進展してきております。  一方,医療の充実のため,地域がんセンターや地域中核病院の整備などを積極的に進めてまいりましたほか,少子高齢社会へ対応するため,いばらき出会いサポートセンターを中心とした結婚対策や,仕事と子育ての両立支援,あるいはシルバーリハビリ体操の普及による健康づくりなどに取り組んでまいりました。また,全国に先駆けたティームティーチングや少人数学級編成などの少人数教育,全県立高校での道徳の授業の実施など,教育の充実にも力を注いでまいりました。  この結果,県財政は極めて厳しい状況に置かれておりますものの,全国的に地方の停滞,地域の活力低下が問題となる中,本県は元気な県の一つとして評価されているところであります。  次に,今後の県政運営についてであります。  我が国が本格的な人口減少社会を迎えるとともに医師不足が一層深刻になるなど,県政を取り巻く環境はますます厳しくなりつつあります。このような中で,私は本県を,科学技術創造立国日本を担う枢要な拠点,あるいは日本の食を支える有数の農業県とし,21世紀の我が国の発展をリードしていけるような県にしてまいりたいと考えております。  このため,まずは,今後数年のうちに概成します広域交通網を活用した交流拡大や,より戦略的な企業誘致を推進してまいります。また,科学技術やものづくり技術の集積を生かした新産業の創出や中小企業の活性化,あるいはエコ農業の推進などに取り組んでまいります。  さらに,つくばエクスプレス沿線地域におきまして魅力的なまちづくりを進めますほか,県北地域の活性化のため,いばらきさとやま生活を積極的に推進してまいります。また,安心して住める県を目指し,高齢者対策や子育て支援,医師確保や救急医療体制の整備などに努めてまいります。  さらに,森林湖沼環境税を活用し,森林整備による地球温暖化対策や霞ヶ浦の浄化等の環境問題に積極的に取り組んでまいります。  一方,教育の面では,学力アップに重点的に取り組みますほか,学校と地域の連携強化,家庭の教育力の向上などを推進してまいります。  私は今後とも,県民の皆さんに,生まれてよかった,住んでよかったと言っていただけるような茨城県をつくるために,人が輝く,元気で住みよい茨城の実現に向けて全力を尽くしてまいりたいと存じます。  次に,平成20年度予算編成と民意の反映についてであります。  民意の反映につきましては,県民との対話集会であります,知事と語ろう明日の茨城や,明日の茨城を考える女性フォーラム,明日の地域づくり委員会,いばらき青年懇話会といったいばらき創り千人委員会,あるいは県政モニター制度,住民提案制度などを活用し,日ごろから広く県民の意見や提案を受けとめられるよう努力をしているところであります。  さらに,毎年9月には県政世論調査を実施し,予算編成前に県政への要望などを聞いているところであります。昨年の調査によりますと,高齢者福祉対策医療サービス体制の整備,治安の回復,少子化対策などの要望項目が上位に位置づけられており,特に高齢者福祉対策医療サービス体制の整備は回答者の約5割が要望しております。  また,一方では,生活道路や下水道の整備といった項目が前回に比べて順位を上げておりますほか,環境保全や児童,青少年の健全育成,教育の充実などの項目も引き続き上位にあるなど,県民の要望は福祉,医療に関する項目に限らず,教育,環境など県政全般にわたっているものと受けとめております。  こうした県民世論の動向を受けて,平成20年度予算におきましては,この4月にスタートする後期高齢者医療制度の円滑な運営,老人福祉施設の整備,生きがい,健康づくりなど高齢者福祉対策の充実を図りますとともに,後期研修医の受け入れ体制の充実,医学生に対する修学資金の貸与枠の拡大など医師確保対策のさらなる拡充,県立病院の施設整備による医療サービス体制の整備などを一層進めてまいります。  さらには,治安対策として,平成20年度より交番,駐在所の計画的な再編整備を進めますほか,犯罪捜査支援システムの整備などを進めてまいります。  また,少子化対策につきましては,出会いサポートセンターを中心とした総合的な結婚対策,放課後子ども教室などこれまでの取り組みに加え,新たに,第3子以降の負担を軽減するための保育料の助成や,育児と仕事の両立を支援する取り組みを行う企業に対する低利融資制度の創設など,仕事と家庭が両立できる環境づくりを進めてまいります。  そのほか,森林湖沼環境税を活用した森林の整備や湖沼河川の水質保全,地球温暖化対策などの環境保全対策,学力向上対策など学校教育の充実,生活に密着した道路整備の推進など,県民の要望を取り入れながら重要な課題に重点的に財源を配分し,予算を編成したところであります。  次に,医療問題についてお答えいたします。  医師不足対策についてでございます。  まず,必要な医師の確保についてでございますが,近年の医師不足の背景には,医療の高度化や専門分野の細分化,人口の高齢化による患者数の増加,女性医師の増加といった中長期的な動向に加え,患者への説明時間の増大や医療安全策の強化に伴う事務量の増大,労働に関する医師の考え方の変化などがあるものと考えております。そこに平成16年度の臨床研修制度の導入がきっかけとなって医師不足が顕在化したものであり,御指摘のとおり,国内の医師総数自体が大幅に不足しているものと考えております。  特に,本県では唯一の医師養成機関であります筑波大学医学群の開設が昭和48年と比較的新しく,しかも,人口約300万人に対し学年定員が100名でありますことから,医師を確保する上で大変厳しい状況にあると考えております。  このため,これまで国に対して,医師の必要数を見直して医学部定員総数をふやしますとともに,筑波大学の医学群の定員増を認めるよう強く要望してまいりました。このような動きを受けて,国は緊急医師確保対策による暫定的な医学部定員増を容認したところでございます。そこで,県では平成21年度からの筑波大学の5名定員増に向けて大学と具体的な調整を重ねてまいりましたが,今般,大学との合意に達し,国との事前協議を開始したところでございます。  また,県ではこれまで,医師確保対策として,県内の医療機関での勤務や研修を希望する医師がふえるよう医師のライフステージに応じた総合的な対策を実施してまいりましたが,来年度はさらに,県職員採用型ドクターバンク制度の創設,後期研修受け入れ病院への助成の拡充や医師修学資金の貸与枠の拡大など一層の充実を図り,県内の医師の養成,確保に全力で取り組んでまいりたいと考えております。  次に,女性医師の就業支援についてお答えいたします。  近年増加が著しい女性医師におきましては,出産,育児等を契機に離職したり,常勤から非常勤へと勤務形態が変わる傾向が見られますことから,医療の第一線で働き続けられるような支援策を講ずることが医師を確保するためには大変重要であると考えております。  本県では,宿日直勤務の免除や短時間勤務の導入などの女性医師が働きやすい職場環境づくりを行った病院をこれまで3カ所認定し,子育て支援奨励金を支給しますとともに,他の病院にもこれらの取り組みが広がるよう,病院長等を対象としたフォーラムの開催や啓発パンフレットの作成,配付などを行ってまいりました。  昨年8月,女性医師の実態を把握するための調査を行いましたが,その結果,子育て,家事の両立を図るための施策としては,託児所,保育所等の充実,勤務体制の柔軟化を,再就業のための施策としては,再就業しやすい勤務体制の整備のほか,子育て,家事の状況に合った職場の紹介制度,研修制度などを望む声が多いことがわかりました。  このため,県におきましては,年度内に女性医師向けホームページを開設することとし,再就業や育児支援などの情報提供を行いますとともに,自由な情報交換の場を設けてまいります。  また,来年度から県内病院で再就業支援のための技術研修を実施することについて,中堅,若手の女性医師や病院の院長等の意見を聞きながら検討しているところでございます。  さらに,筑波大学におきましても,今年度から全国のモデルとなる新たな支援システムの構築に取り組んでおりますので,今後は大学と連携を図りながら,女性医師が仕事と家庭を両立させて就業継続や再就業ができるよう,支援策を一層充実させてまいりたいと考えております。  次に,医療制度改革への対応についてでございます。  まず,安全・安心で質の高い医療の提供についてでございます。  国の医療制度改革においては,医療機能の分化と連携の推進による切れ目のない医療の提供,在宅医療の充実による患者の生活の質の向上,医療情報の提供による適切な医療機関選択の支援などを進めることとしております。  このため,本県におきましては,今年度,第5次保健医療計画を1年前倒しして策定することとし,特に患者数が多く,死亡率が高い,がん,脳卒中,急性心筋梗塞,糖尿病について,地域の実情に応じた具体的な医療連携体制を計画に盛り込むこととしたところであります。  例えば脳卒中については,その予防や急性期から回復期,維持期を経て在宅に至るまでの医療の流れを明示しますとともに,急性期や回復期といった治療の段階ごとに必要とされる医療機能や,それを担う医療機関名を明らかにしてまいります。  来年度は,この医療連携体制を実効あるものにするため,保健所を中心として,病院,診療所や薬局,介護サービス事業者等との調整を行ってまいります。また,医師会等と連携して,かかりつけ医に対する研修を実施しますほか,資質の向上を図るほか,医療従事者の確保,養成に努めてまいります。  さらに,疾病予防や地域の医療連携体制への理解を深めるため,県民向け医療講座の開設や小学生向け副読本の作成などを通じて,例えば子供が病気になった場合にも両親が受診の必要性の判断や適切な医療機関の選択など的確な対応ができるよう,意識の啓発を図ってまいります。  今後とも,県民だれもが,いつでもどこでも安心して適切な医療を受けられる体制を目指してまいりたいと存じます。  次に,医療費の適正化と療養病床再編についてお答えいたします。  国では,現在,社会保障制度を将来にわたって維持していくため,医療費の適正化を中心とした医療制度改革を推進しております。その大きな柱が,特定健診,特定保健指導による生活習慣病対策と,療養病床の再編成等による平均在院日数の短縮でございます。特に,議員御指摘の療養病床につきましては,各都道府県が本年度策定する医療費適正化計画の中で平成24年度末の療養病床の目標数を示すよう求められており,目標数算定の基準が国から示されているところであります。  しかしながら,本県におきましては人口当たりの療養病床数が全国平均を下回っておりますので,減少数を国の基準より少ない範囲にとどめ,必要な病床数を確保してまいります。  一方,再編成に伴って,入院患者の受け皿となる介護療養型老人保健施設などが必要となってまいります。このため,来年度に策定を予定しております「第4期いばらき高齢者プラン21」の中にその利用見込者数を記載し,施設の整備を促進しますとともに,入院患者や家族に対する情報提供や相談体制を充実させてまいります。  県といたしましては,これらの施策を進めることにより県民が安心して適切な医療,介護サービスを受けられる体制を整備しますとともに,医療費の適正化を図ってまいります。  次に,危機管理としての新型インフルエンザ対策についてお答えいたします。  現在,世界で発生が懸念されている新型インフルエンザは地球規模で同時多発的に発生し,終息まで最低2カ月以上を要すると考えられております。県内でも,パンデミック期には最大58万人の外来患者,4万8,000人の入院患者,1万5,000人の死亡者が発生すると想定されております。  議員御指摘のように,新型インフルエンザ対策は,大規模災害のように,まさに危機管理の視点から茨城300万県民の生命と生活をみずからの手で守ることを念頭に全庁的に取り組んでいくことが大切であると考えております。このため,医療体制の確保,社会機能の維持,県民への情報の提供を柱とした茨城県新型インフルエンザ対策行動計画を策定し,パンデミック期までを想定した対策を進めているところであります。  具体的に申し上げますと,新型インフルエンザの発生前である現段階から県民に対してパンデミック期に備えた食料等の備蓄の必要性や感染防止策を具体的にわかりやすく周知しますとともに,医師会等関係機関と協議を進め,医療体制の確保を図ってまいります。  新型インフルエンザが発生した初期の段階では,感染の拡大防止のため,速やかな患者の発見と隔離,患者と接触した者に対する自宅待機の要請,タミフルの予防投与などを行いますとともに,各保健所に発熱電話相談センター(仮称)を開設します。また,新型インフルエンザ患者とそれ以外の患者との振り分けを行う新型インフルエンザ外来(仮称)を設置しますとともに,感染症指定医療機関及び協力医療機関において患者に適切な医療を提供してまいります。  さらに,パンデミック期には,感染の拡大と社会機能の破綻を防止するため,県民に外出,集会の自粛等行動の制限を要請します。また,事業所に対しても,一般の事業所には感染拡大防止の観点から事業活動の自粛を要請します一方,ライフライン関連事業所には,従業員を確保し,社会機能を維持していただくよう要請することとしております。  これらの対策を確実に行うため,全庁を挙げた新型インフルエンザ対策本部を設置しており,新型インフルエンザの発生時には,関係機関との連携,協力のもと,県庁一丸となって全力で対応してまいります。  次に,がん対策の推進についてでございます。  本県では,平成15年に策定した第2次茨城県総合がん対策推進計画に基づき,総合的ながん対策に取り組んでまいりました。今般,国の基本計画策定を踏まえ,県民の視点に立ったがん対策を推進することとし,医療の専門家等のほか,がん患者の代表の方々にも参画していただき,第2次がん対策推進計画の後期計画を策定することといたしました。  後期計画では,がん予防と正しい知識の普及啓発,検診の推進,がん医療連携体制の整備,患者,家族への相談支援の充実の4つの柱を立てますとともに,ことし,県内8カ所にがん診療連携拠点病院が指定されたことなどを踏まえ,それぞれに具体的な対策を盛り込むこととしております。  このうち,がん医療連携体制の整備につきましては,地域のかかりつけ医などとがん診療連携拠点病院が連携し,自宅においてもがん患者一人一人が納得できる適切な医療を切れ目なく受けられる環境をつくりますとともに,患者の身体的な痛みと不安や孤独感などを軽減する緩和ケアに治療の初期段階から対応できる医師や看護師の育成を行ってまいります。  また,患者,家族への相談支援の充実につきましては,がん診療連携拠点病院に設置された相談支援センターにおいて,最新の治療情報や医療機関ごとの専門医の配置状況,治療成績などの情報の共有化を図り,患者や家族に提供してまいります。  さらに,療養生活でのさまざまな問題や心配事に対し,がん体験者が助言等を行うピアカウンセリング事業をモデル的に実施してまいります。  県といたしましては,引き続き,がんにならない,がんに負けないをスローガンに,総合的ながん対策の充実・強化に取り組んでまいりたいと考えております。  次に,障害者の自立と就労支援についてお答えいたします。  障害のある方々が持てる能力を生かして地域社会の中で自立した生活を営んでいくため,一般就労が可能な場合には就職の準備から職場定着まで切れ目のない支援を展開しますとともに,一般就労が困難な場合には福祉的就労の場を確保し,一定の工賃を得られるような対策を講じていくことが必要となってまいります。  まず,就労支援事業所の整備状況につきましては,議員御指摘のとおり,茨城県障害福祉計画の平成23年度の目標定員2,440人に対し,現在は1,342人と大きく下回っている状況にございます。しかし,旧制度の授産施設で新たな制度へまだ移行していないところが定員ベースで1,340人分ございますので,移行に必要な施設改修費等を助成することにより,目標の達成に努めてまいりたいと存じます。  次に,就労継続支援事業所における平均賃金の向上につきましては,民間企業の経営手法を活用できるよう経営コンサルタントを派遣したり,授産製品の即売会のナイスハートバザールに助成するなど,少しでも高い賃金を得られるよう支援をしているところであります。さらに,今年度中に策定予定の工賃倍増計画には,授産製品や清掃業務等の受注促進などの支援策を盛り込んでまいります。  次に,職場定着の推進につきましては,県内3カ所の障害者就業・生活支援センターで就職後の職業生活に関する相談や企業訪問等を実施し,職場定着を促進しているところであります。平成20年度には新たに2つのセンターを設置できるよう現在準備を進めており,平成23年度までにすべての障害福祉圏域に設置してまいりたいと考えております。  県といたしましても,障害者の就労支援はノーマライゼーションの実現のため重要なことと認識しております。今後とも,障害のある方々が自立し,住みなれた地域で生き生きと暮らせるよう,就労支援の充実に努めてまいります。  次に,消防力の強化についてお答えいたします。  まず,消防の広域化についてでございます。  消防力を強化するためには広域化が極めて有効と考えられますので,県におきましては国の基本指針に基づき,市町村の消防の広域化に関する推進委員会を設置し,市町村長の御意見も伺いながら広域化のあり方について検討を進め,県内を5ブロックとする消防広域化推進計画を取りまとめているところでございます。この計画に基づき広域化を実現するためには,まず,市町村間で事前に広域化に関する十分な協議,調整を行い,広域化について合意の形成を図っていくことが極めて重要であります。  このため,県といたしましては,各地域での会議や懇談会などさまざまな機会をとらえて,市町村長や議会議員を初め住民の皆様などに対し広域化の必要性やメリットについて説明させていただきますとともに,早期に市町村間の協議の場が設けられるよう働きかけを行ってまいりたいと考えております。  さらには,広域化の推進母体となります法定協議会の設置や広域消防運営計画の策定なども必要となってまいりますので,来年度には消防防災課に専任の職員を配置しますとともに,県庁関係各課や地方総合事務所などで構成する(仮称)茨城県消防広域化連絡会議を設置し,市町村への助言,指導を行うことにより早期に広域化が実現できるよう努めてまいります。  次に,メディカルコントロール体制の整備等についてお答えいたします。  まず,市町村の救急救命士の配置に対する支援についてでございます。  心肺停止患者に対する気管挿管や薬剤投与など高度な処置を行うことができる救急救命士を確保することは,救命率の向上のためには極めて重要であります。県では,市町村に対して積極的な養成を働きかけてきたところでございますが,議員御指摘のとおり,まだまだすべての救急車へ常時1名を配置するという目標は達成されていない状況にございます。このようなことから,養成機関となっております救急振興財団に対し,これまでも所定の割り当て以上の研修枠の配分を働きかけ,その実現に努めてきたところでございます。  今後,研修枠の拡大や配置率の低い消防本部への優先配分を図りますとともに,実習に必要な受け入れ病院の確保に努め,市町村の救急救命士の適正配置に向けて支援を行ってまいります。  次に,メディカルコントロール体制の整備に対する支援についてでございます。  救急救命士がその能力を十分に発揮し,適切な処置を行うためには,メディカルコントロールによる医師の的確な指示や指導などが不可欠であるため,県内8地区のメディカルコントロール協議会の体制強化が大変重要であります。このため,県といたしましては,各地区協議会の担い手となる医師と救急隊員の双方に対する研修の充実に努めてまいりたいと考えております。  具体的には,医師に対しては,各地区において指導的な役割を担う医師を確保するため,高度なメディカルコントロールに係る知識,技術を習得するための研修を計画しております。また,救急隊員に対しては,消防本部から要望が強い,現場における心肺停止患者への処置等に関する実践的な研修を計画しております。  さらに,各地区の協議会間の連携を図るため新たに連絡会を設置し,先進事例の研究や情報の共有化を進めるなど,メディカルコントロール体制の整備を支援してまいりたいと考えております。 7 ◯議長(桜井富夫君) 稲葉教育長。                    〔稲葉教育長登壇〕 8 ◯稲葉教育長 教育における環境整備等についてお答えいたします。  まず,特別支援学校における教育環境の整備についてであります。  近年,全国的に知的障害特別支援学校の児童生徒数が増加傾向にあります。本県におきましても高等部の生徒を中心に増加傾向にあり,それに伴いまして教室不足が課題となってきております。  そこで,これまでに勝田養護学校や結城養護学校などにおける校舎の増築,仮設校舎の設置,また,つくば養護学校の新設により教室不足の解消や通学時間の短縮に努めてまいりましたが,全県的な教室不足を解消するまでには至っていない状況であります。さらに,教育環境の整備といたしまして,車いす利用のためのエレベーターやスロープ,体温調節の困難な児童生徒のためのエアコンの整備を計画的に進めてまいりました。  特別支援学校の整備につきましては,現在,児童生徒数の推計や敷地面積などそれぞれの学校の状況を勘案しながら,整備のあり方やその可能性について検討をしているところでございます。  具体的な検討の視点といたしまして,1つ目は,校舎を増築すること。2つ目は,敷地狭隘で増築が困難な場合に,県立高等学校再編整備に伴い閉校となる高校の校舎や,小学校,中学校,高校の空き教室を活用すること。3つ目は,通学区域の見直しをするという視点でございます。  今後,これらを踏まえまして全県的な整備計画の検討を進め,障害のある児童生徒の教育環境の一層の充実を図ってまいりたいと考えております。  次に,教員の勤務環境の改善についてお答えいたします。  平成18年度の文部科学省の教員勤務実態調査によれば,教員の平均残業時間は,昭和41年度の調査結果に比べて約4.3倍と大きくふえております。これは,一人一人を大切にする個に応じた指導の充実とともに,社会の変化に伴い,いじめや不登校問題,登下校の安全確保や不審者対策などの新たな対応で教員の業務が多岐にわたってきたこと,などによるものと思われます。  教員は,職務の中心である学習指導や生徒指導等については何にもまして取り組まなければなりませんが,現在教員が取り組んでいることでも,工夫することにより改善できるものは積極的に改めていかなければならないと考えております。  具体的な方策といたしましては,一つには,可能な限り教員の業務を見直すこと,二つには,可能な業務については外部の人材の協力を得ていくことが考えられます。  まず,業務を見直すことについて,県といたしましては,毎年,事業評価を踏まえて見直しを図るとともに,県教育研修センターで行う研修の内容や講座においても検討を加え,精選しているところでございます。また,県が学校に依頼している各種調査や報告書については内容や方法を検討するとともに,出張については各種団体にも会議の精選を要請してまいります。  次に,外部の人材の協力を得ていくことについてでございますが,現在,多くの学校で教科等の学習支援や部活動の指導,登下校の安全確保などにボランティアの協力をいただいているところでございますが,今後もより一層協力をいただき,学校教育の充実とともに教員の勤務負担軽減を図ってまいりたいと考えております。  また,教員が安心して勤務できる環境づくりを進めることは,教員の多忙感の解消や勤務意欲の向上にもつながります。  議員御指摘の,学校に対して理不尽な要求を行ういわゆるモンスターペアレントへの対応についても,教員が一人で抱え込まないように,一人一人の教員を学校が組織として支える体制づくりを強化するとともに,学校と教育委員会が連携を図りながら解決に当たる体制づくりを進めてまいります。  県といたしましては,教員が教育への情熱を持って意欲的に児童生徒に向き合うことができるよう,教員の勤務環境の改善に努めてまいります。 9 ◯議長(桜井富夫君) 小風警察本部長。                   〔小風警察本部長登壇〕 10 ◯小風警察本部長 警察力の維持,向上についてお答えいたします。  議員御指摘のとおり,警察力を維持,向上させるためには,豊富な経験の中で培われたベテラン警察官の技能伝承と,真に警察官たるにふさわしい能力,資質を兼ね備えた優秀な人材の確保が極めて重要であります。
     そこで,ベテラン警察官の技能伝承につきましては,卓越したベテランのわざを伝承するため,職務質問技能指導員制度,交通マイスター制度等の導入と,刑事,交通等の専務係への若手警察官の積極的な登用等,実務を通じての伝承を強化してまいります。  また,退職した警察官のすぐれた捜査技能と豊富な捜査経験を生かす刑事伝承官制度の充実を図ってまいります。  さらに,再任用制度については本年4月より警部以下まで拡大し,高い技能と指導力を有する者を優先して再任用するなど,技能の確実な伝承に努めてまいります。  次に,優秀な人材の確保につきましては,少子化や若者気質の変化にも対応するため,リクルーター制度を県内大学に加えて首都圏の10大学に拡大するとともに,ホームページの記事を応募者の関心が高いものを中心に充実させるなどして,より多くの人材の中から真に警察官としての適性を有する優秀な人材を確保するよう努めてまいります。  警察といたしましては,県民が安全で安心して暮らせる地域社会を確立するため,警察力の維持,向上に努めてまいる所存であります。  次に,銃の安全対策についてお答えいたします。  昨年12月に長崎県佐世保市で発生しました猟銃所持者による許可を受けた散弾銃使用の凶悪事件につきましては,議員御指摘のとおり,国民に大きな衝撃と銃砲行政に対する不安を与えたところであります。  警察といたしましては,これら不安を払拭するため,全国警察を挙げて猟銃所持者や所持銃の総点検を実施するとともに,銃砲行政の見直しを進めているところであります。  本県警察におきましては,本年1月15日から2月28日までの間,約5,500人の猟銃所持者と約1万3,000丁の猟銃等を対象に延べ1万1,000人の警察官を動員して入念な面接を含めた一斉検査を実施したところであり,これまでに散弾銃の保管義務違反や実包の貯蔵違反等二十数件の違反行為を確認したほか,使用実績のない,いわゆるねむり銃等488丁の返納を受理するなど,不適格者や不要銃を排除したところであります。  なお,警察庁においては全国一斉検査の実施結果を踏まえて銃砲行政のあり方について検討を行っていると承知しておりますが,本県警察におきましても,許可申請時における厳格な審査はもとより,許可後における不適格者の早期排除,さらには一斉検査方法の見直しなど,適正な銃砲行政に努めてまいる所存であります。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 11 ◯議長(桜井富夫君) 暫時休憩をいたします。  なお,会議再開は午後2時35分を予定いたします。                     午後2時20分休憩          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━                     午後2時36分開議 会派代表による県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑(続) 12 ◯議長(桜井富夫君) 休憩前に引き続き会議を開き,会派代表による県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑を続行いたします。  公明党,足立寛作君。                  〔47番足立寛作君登壇,拍手〕 13 ◯47番(足立寛作君) 公明党の足立寛作です。党を代表し,県政にかかわる諸課題について,知事,教育長,そして警察本部長に質問いたします。  本年11月,県内34市町村を会場といたしまして,第23回国民文化祭・いばらき2008が開催されます。全国から100万人の方々が集うこの祭典は,本県の歴史,文化,芸術を全国に向けて発信する,まさに絶好のチャンスであります。参加64の事業者それぞれが最高の文化を全国に紹介したい,そんな思いで準備に取り組んでおります。  私はオペラ団体に関係しておりますが,創作オペラ「小町百年の恋」を上演いたします。原作者は,作家であり医師でもある土浦市在住の佐賀純一氏。作曲は,茨城県民の歌の補作・編曲をされた平井康三郎さんのお孫さんの平井秀明氏。メインキャストの小町役は,二期会の花形ソプラノ腰越満美さんです。  舞台は古代の姿そのままに,そびえる筑波山のふもと,時代は千数百年前の常陸の国,絶世の美女小野小町と常陸国風土記の実質的な作者と言われます高橋虫麻呂が,さまざまな困難を乗り越え恋を実らせるというもので,愛情がすべてを包み込み,変えていくという1,000年の昔を今に伝え,現代に生きる私たちにも共感のできる内容となっております。茨城を皮切りに,東京から日本全国へ,そして世界へとこのオペラが発信できればと夢見ております。  今,世界は,原油高騰,サブプライムローンに端を発した金融市場の混乱,地球環境問題,今なお戦火のやまない国際情勢など,厳しい政治経済情勢の中にあります。この混沌とした世界を変えるのは,ニューヨークフィルの北朝鮮公演ではありませんけれども,文化,芸術,そして教育だと考えます。  茨城は陸・海・空の広域交通ネットワークの整備,J-PARCなど最先端の科学技術や高度なものづくり産業の集積があり,これに文化,芸術,教育が加わって国の内外に発信できれば,北海道洞爺湖サミットならぬ茨城つくばサミット開催も可能な環境が整うことになります。  さて,わが国は,年明け早々,文字どおり波乱の幕開けをいたしました。連日新聞を賑わす,株安,円高,原油高騰などの大見出しと並んで,幾つか気になる記事が目にとまりました。  それは,昨年もまた百貨店売り上げは前年割れ,9年連続,新車販売台数3年連続減,しかも昨年は25年前の売り上げ台数に戻る,一人当たり国民所得が,OECD加盟30カ国中,1993年2位が,2006年には18位にまで低下,等々であります。景気は,緩やかながら,かつてない長期にわたって回復しているのに,であります。  確かに,給与所得,つまり雇用者報酬の総額は,1997年の約280兆円をピークに,ここ10年,260兆円から270兆円前後で推移しており,景気回復が労働分配率の向上によるものではないことが見て取れます。つまり,給料が上がらないから消費も伸びないということが考えられる理由の一つです。  しかしながら,それだけでありましょうか。他国に例を見ない速さで進む高齢化,そして,伸びが止まるどころか,いよいよ減少を始めた人口問題が影響を与えているのではないか危惧するのです。  さて,現在の県計画の予測では,平成27年ころまではおおむね295万人から300万人程度で安定的に推移し,さらに平成42年ころにはおおむね270万人から285万人になると見込んでおります。現時点での県人口297万人は,既に県の想定の下限に限りなく近づいております。したがって,本県人口がこのまま安定的に推移するとは到底思えないのです。むしろもっと早いスピードで人口減少が進むのではないか,心配いたしております。  人口は県のさまざまな計画,事業のフレームワークであり,さらに,その地域の活力を示すバロメーターともなるものであります。したがって,人口減少を軽微にとどめるためのさまざまな取り組みはもとより,絶えず,より精緻な人口想定のもとで,機敏な政策立案が要求されていることは申すまでもありません。  ところで,県内44市町村のうち,著しく人口の減少している地域があります。それは,南北格差で問題になるいわゆる県北山間地域の話ではありません。本県の南の玄関口とも言える取手市であります。取手市の人口は,ピーク時の人口と比較して8,734人の減少,この十数年で何と9,000人弱,現人口の10%近く減少しております。  御案内のように,人口減少は,地域事情に起因する社会的増減と,人の生き死にかかわる自然的増減があります。取手市はもちろん前者の社会的減少であると推測されますが,東京圏の拡大に伴って人口が急増したものの,首都回帰現象の影響をもろに受けて,潮が引くように転出してしまったと言えると思います。つまり県内で,いや国内でと言った方がいいかもしれません,地域間競争の荒波を最も早く,強く受けてしまった地域なのではと考えます。  このことは,地域間競争が加速する中で,手をこまねいているとどうなるかの警鐘を鳴らしているように感じられてなりません。もちろん,つくば市,守谷市など現在県内で最も脚光を浴びつつあるつくばエクスプレス沿線地域にも当てはまることです。改めて,その課題を究明することが県内各地域の豊かさや活力を醸成する政策立案の基盤になると考えます。  ところで,人口の減少ということは人口構造が大きく変化することを意味します。わが国の人口構成を象徴的に表現すれば,生まれてくる赤ちゃんの数は100万人を少し超える程度,その両親の世代はおおむね200万人,さらにその祖父母は230万から240万人いるということになります。図形で表現しますと,現在はちょうちん型。それが,年を経るごとに限りなく逆三角形に近づくということになるのです。  つまり,年少人口,生産年齢人口がいずれも減少する一方,高齢者人口が増加することになります。しかも,年を経るごとにこの傾向が加速しますので,人口減少社会は,労働力,家庭,地域の姿を大きく変え,経済社会活動へ与える影響ははかり知れないものがあるのです。県内の総生産は労働生産性と労働者数で決まるものであり,急激な人口減少による労働力の減少が,今後の労働生産性の伸びを上回ることになるからであります。  県計画では,平成22年,平成27年度をそれぞれ目標として,県内就業者数,県内総生産額の推計をしております。しかしながら,平成17年度県計画策定時の見込みを実績が既に下回っております。なぜそうなったのか。正規,非正規など雇用形態に問題があるとすれば正規雇用への流れをつくるなど,働く人の所得,待遇の拡大を図るべきでありましょう。また,年長フリーター対策,ニート支援などに積極的に取り組むべきです。そのために,いばらき就職支援センター,いわゆるジョブカフェなどの充実・強化を図ることは当然です。  今後の財政運営に当たって,その基本のフレームワークとなるのは人口と経済規模であります。そこで,改めて,人口と経済規模の現状認識と将来見通しについて伺います。  なお,政策研究大学院大学教授で本県の総合計画審議会委員をされております松谷明彦氏は,その著作の中で,2030年を展望した本県経済について,労働生産性上昇率のマイナス度が高く,一人当たり県民所得など経済規模の縮小幅が特に大きい県と指摘しております。  さて,国の総人口は,2006年の1億2,778万人をピークに減少を続け,ほぼ100年後の2100年には半減してしまう。最新の中位推計では約5,000万人になるとされています。1900年の総人口が4,400万人でしたから,限りなく100年前の人口に近づくことになります。  ところで,人口が半分以下になってしまった国や地方の将来を思い描いたことがあるでしょうか。ちなみに,今の茨城県をそのままに,人口だけが2分の1になった100年後にタイムスリップしてみましょう。  多数の限界集落や都市が出現し,人口が減ることで行政が破綻いたします。現在の住宅供給率のままですと3軒に2軒の割合で空き家となります。不動産には値段がつきませんので,県民の保有財産の価値はほとんどなくなります。商店街はもちろんのこと,巨大スーパーの利用者や売り上げが激減しますので,事業の維持はできません。道路には一般車両の走行が減り,運転手のなり手が減少しますので,公共交通機関の便数は極端に限定されます。公演やイベントは観客が少な過ぎて興行できず,ホールや会館のイベント利用はほとんどなくなります。このような中でインフラや公共施設は老朽化しますので,半減した人口にとっては膨大な負担のメンテナンスが発生します。そのために多くのインフラが破棄される運命になります。超高齢化と超少子化がもたらすこのような将来社会は必ず到来しますので,先見の明が今こそ求められると言えます。  100年という時間は予想だにしない状況が現実の姿になってあらわれるのであります。その未来の茨城に思いをはせるとき,国も地方も今こそが,制度改革も含めた大きな転換期を迎えていると痛感するのです。つまり,わが国にとっての本格的な人口減少社会の到来とは,人口の急速な高齢化とそれに伴う死亡者の急増が同時に進行するという,世界がかつて経験したことのない社会へ移行することを意味します。この社会を希望に満ちた明るいものにするか,それとも灰色の暗いものにするかは,政治の責任がこれまで以上に問われています。人口減少をむしろ逆手にとった全身全霊の取り組みが求められているのです。  ところで,本格的人口減少社会による現役世代の縮小は,これまでの終身雇用制を初めとした働き方,雇用環境の変容を迫ることでもあります。そのため,女性,高齢者,外国人などの多様な人たちが,それぞれの立場,役割に応じて働くことのできる柔軟な職場環境,地域社会環境を整えなければなりません。  まず,女性に対しては女性の社会参画のための取り組みが重要であります。仕事と家庭の両立できるサポート体制の構築はもとより,再雇用の促進,企業内保育所の設置など,結婚,子育てによって退職,離職をしない,いわゆるM字カーブからの脱却のための施策展開など社会全体の積極的な取り組みが求められているのです。  次に,高齢者については,年齢的に60歳代,70歳でもお元気な方が多く,機械的に高齢者と位置づけてしまう制度は変えるべきだと考えます。少なくとも平均健康寿命までの健康な高齢者に対しては,その意欲が報われる社会をつくるべきだし,高齢者が元気で活躍のできる地域社会の実現は,今後の人口減少社会の歯どめになるものと思われます。  次に,外国人に対してでありますが,主に中国人を中心にして,研修生と実習生合わせて農業部門で3,738人,商工業部門では2,033人,合計しますと5,771人もの外国人の方々が県内で働いておられます。特に農業関係におけるこの研修生,実習生の存在は,労働力不足を補い,全国でも上位にある本県農業生産のまさに担い手になっているのです。将来の人口減少社会をほうふつとさせる現実でありますけれども,外国人への人権に配慮しながら,本制度の導入の必要性は今後高まる一方だと想像されます。  そこで,本格的な人口減少社会の到来とその取り組みについて御所見を伺います。  次に,人口減少社会に向けて特に必要と思われます教育力の向上,さらなる市町村合併の推進,道州制の導入,文化振興などについて質問いたします。  本県は,企業誘致が全国トップクラスにあります。既存の企業を含めて,それを支える人の確保とその育成は至上課題のはずであります。特に,本格的な人口減少時代を目前にして,現役世代以上に,これからの社会を担う将来世代に目を向けた取り組みをすること,知育,徳育,体育のバランスのとれた人の育成こそ,その地域の今後の帰趨を決定してしまうと考えるからです。  このほど10年ぶりに小中学校の学習指導要領の改訂案が示され,ゆとり教育が見直されることになりました。ですが,単に授業時間をふやすだけでは,考える力や活用する力,読み取る力を身につけることはできません。しっかり知識を身につけさせるとともに,みずから考えさせ,学びたいとの意欲を向上させ,好奇心,探究心を引き出す質の高い授業こそが,学力を向上させると考えます。私は,教育とは,教師の質の向上を基本として,児童生徒との切磋琢磨だと思っております。  そこで,今回の学習指導要領の改訂に対する取り組みについて,教育長にお伺いいたします。  ところで,この1月から東京都の杉並区立和田中学校で,大手進学塾による有料の夜間授業,夜スペシャルが始まりました。都教委がストップをかけ,区教委が対立したことで有名になりましたので,御存じの方も多いと思います。  その是非論はここでは避けますけれども,注目したいのは,その主催が保護者や地域の方々で構成する地域本部であることです。民間出身の校長は,就任以来,家庭でのテレビ視聴時間制限を保護者に訴えたのを手始めに,1こま50分授業を45分にして主要教科の時間数をふやしたり,ボランティアの大学生が個別に勉強の手助けをする土曜寺子屋を開いたりと,公立校改革を推し進めてきました。  その結果,杉並区では学校選択制をとっていますが,他校に流出していた生徒がかえって増加し,しかも,中位以下だった学力が,2年生を対象にした区の学力調査ではトップに躍り出たというのであります。何よりも,公立学校が行政に負担をかけることなく,地域の知恵と力を総結集して学力向上に取り組んだことに注目したいのです。  地域本部を設置し,父母やOB,地域の大人たちなど多彩なスタッフと大学生がさまざまな学校活動を支え,その結果,教師の負担が大幅に軽減され,教師が授業に集中し,子供たちに向き合う時間が生み出されているのです。まさに地域社会総がかりで取り組み,学力向上のみならず,人間力向上に大きな効果を上げていると言うことができます。  私は,かねてからその地域の総合的な力,つまり都市力,地域力の創出が大事であると申し上げてまいりました。基礎力,交流力,文化力から成り,それぞれの力が重なり合うことによって従来持ち得なかった大きなエネルギーが生まれる,それが都市力,地域力と申し上げてまいりました。  中でも,文化力の核となる教育力を高めること,そのために地域全体で子供の教育にかかわることは不可欠だと考えます。ここかしこに教育を支える地域の応援システムが整って,気づいたら教育レベルが上がっていたとなったら,そのこと自体が茨城県の大きな魅力になるはずです。  ところで,すべての児童を対象とした放課後の居場所づくり事業,放課後子どもプランがスタートして,この4月で2年目を迎えます。しかし,残念ながら,放課後子ども教室推進事業に取り組んでいるのは,県内44市町村,小学校576校の中で28市町村,118校にすぎません。その進まない理由は同時に行われている放課後児童クラブ推進事業との整合性に欠けるからのようですが,中でも大きな障害になっている文科省と厚労省に分かれた予算執行を一本化し,県が市町村の円滑な事業運営を積極的に後押しすべきです。  さらに,放課後子どもプラン事業推進のためには,安全管理員,指導員,場所の確保,障害児への対応,希望児童数の把握とその送迎など,さまざまな課題があります。もちろん,家庭,学校,地域の連携,そして地域社会全体の協力が必要ともなってきます。この放課後子どもプラン事業を格好のテーマとして,地域で支援するシステムづくりが小学校にこそ可能であると考えます。知事の御所見をお伺いします。  さて,最近の新聞報道で,ここまでグローバル化が進んでいるのかと驚いたことがあります。それは,常陽銀行,関東つくば銀行の大株主に外国ファンドがおさまっており,常陽銀行に至っては,その投資会社が筆頭株主だということです。政治の場でも広域的な取り組みの必要性を示唆しているように感じます。  本格的な人口減少社会に備え,また,厳しい都市間,市町村間競争に打ち勝つためには,広域的な地域連携が必要であり,さらには,なお一層の市町村合併を進めなければならないことは申すまでもありません。ところが,昨年11月に公表された県の市町村合併推進審議会の答申は,龍ケ崎,利根町の組み合わせのみで終わりました。約2年かけて出されたこの結論に拍子抜けの思いであります。  私は,この合併推進審議会の討議に当たって,合併の必要ありとの意思表示をしている県内34市町村へ,知事が先頭に立って合併に向けての説得と世論づくりに全力で取り組むべきだと訴えてまいりました。また,私は,将来の合併パターンと位置づけられております土浦市,つくば市を中心とした中核都市,人口50万,70万人の都市を県南に一日も早くつくるべきだと再三主張してまいりました。知事にも御同意いただいていると認識しております。改めて,今後の合併推進に向けての知事の御決意を伺います。  ところで,現在の府県制度は120年近く前の徒歩,馬時代の府県割りであり,これまで何度も俎上に上っている道州制への移行は現在大きな潮流になりつつあるように感じます。もちろん,まだまだ国民的合意ができているとは思いませんし,現行制度を前提に広域連合をつくればそれで問題解決という考え方もあります。しかしながら,地方分権の究極的な形が道州制だと言われますように,真の分権社会をつくるために,また,国も地方も破綻状態にある財政を再建するために,さらには,迫りくる本格的な人口減少社会に備えるためにも,道州制の導入は当面の大きな課題と言わねばなりません。  本県は茨城空港の平成21年度開港に向けて国内外の航空会社へ働きかけをしていますが,この空港の需要開拓では群馬,栃木などとの広域連携が不可欠です。仮に道州制のもとで北関東3県が1つの行政単位になりますと,陸は北関東自動車道で結ばれますし,海・空は茨城県だと,そういう役割分担も可能です。  知事は,道州制に賛成だと伺っております。知事のいつも言われております,あるべき道州制導入に向けて県としてしっかりした備えをすることが大事ですし,県民の世論を喚起するための具体的なステップを明示した推進計画の現実化に取り組むべきだと考えますが,知事の御所見を伺います。  さて,8カ月後に開催の迫った国民文化祭について伺います。  参加34市町村,事業数64,出演者数約4万人,県内外からの観客数約100万人を見込むこの一大文化イベントの準備作業も,いよいよ佳境に入ってきております。  私はかつて,「常世の国,筑波嶺翔ける文化のいぶき」というテーマに象徴される筑波山由来の実在するさまざまな文化を紹介すべきだと主張いたしました。それは,茨城県に残る謡曲「桜川」の演能などに反映されておりますし,国文祭の内容は,美術,茶道,華道,陶芸,映像,音楽,民謡民舞,霞ヶ浦の水文化などに及び,まさに茨城文化の集大成となるものです。  文化の国体と異名をとるこの国文祭の成功は,そのまま茨城県文化の顕彰に結びつくことになります。改めて,第23回国民文化祭・いばらき2008,成功に向けての知事の御決意を伺います。  次に,平成20年度予算案についてでありますけれども,前年度比0.3%減の1兆568億円,実質7年連続マイナスという大変厳しいものになりました。  国からの地方交付税が平成16年度以降の5年間で1,500億円も削減され,森林湖沼環境税の創設など若干の増収はあるものの,景気減速による法人二税の減収などで県税収入の伸びが見込めず,一般財源総額は低いままにあります。そのため,昨年に引き続き職員給与削減,底をつく寸前の一般財源基金の取り崩し,禁じ手とも言われる県債管理基金からの借り入れなど,ぎりぎりの財源対策を行っております。茨城県財政は,危機を通り越して,いつ破綻しても不思議ではない極めて厳しいものになっております。  この数年,恒例行事となっております予算編成ドラマはいつまで続くのでありましょうか。平成20年度は550億円でしたが,平成21年,22年にはトータルで800億円もの財源が不足し,また平成20年度末の県債残高は1兆7,180億円もの巨額に積み上がると見込まれています。頼みの綱の交付税復元も期待できず,他方,義務的経費などの歳出圧力は強まるばかりという状況にあります。  改めて,今後の予算編成は可能なのか危惧するのです。現在のように一人当たりの財政支出が一人当たり県民所得の伸びを超えて年々増加すれば,財政破綻は目に見えています。つまり,予算制度そのものが現実的でなくなっている感を深くいたしております。  そこで,平成22年度を目標とする歳入,歳出均衡のとれたプライマリーバランス予算が達成できるのかどうか,仮に達成できたとしてそれが本県にとって適正規模のものか,御所見を伺います。  予算の7年連続前年比割れ,公共事業費がピーク時の約4割という厳しい現実の中で,右肩上がりからの意識変革が必要であり,本県の人口,経済規模に合わせた持続可能な財政運営について,あわせて御所見を伺います。  次に,公共施設対策について伺います。  つい先日,県立医療大学付属病院に通う友人が訪ねて参りました。彼は,リハビリ専門の公的病院なのにどうしてバリアフリーになっていないのかと怒るのであります。玄関は波を打ち,道路と歩道,歩道と側溝には段差がある。彼はそこで転んだというのです。リハビリ専門の病院でそういう状況があります。幸い大事には至りませんでしたけれども,早急に補修すべきだと訴えておりました。改めてハンディーを背負った人の目線で施設の見直しが必要だと感じます。  また,県内には,耐震整備の行われていない学校などの公共施設が多数存在しています。例えば,公立学校で申し上げれば小・中・高を合計して56校が,また,南関東直下型地震想定地域に位置する小・中・高校は31校にも及んでいます。  十数年前,財政破綻で道路補修さえままならなかったニューヨーク市のことを思い起こします。本県の道路,橋梁,建物など,さまざまな公共施設についてもそういう事態に立ち至るのでしょうか。  そこで,今後の公共施設整備について企業局で行う減価償却的な発想と具体的取り組みをすることができないのか,御所見を伺いたいと思います。  次に,がん対策について伺います。  昨年6月,国のがん対策推進基本計画が施行され,その重点的な取り組みとして,緩和ケア,放射線治療・化学療法,がん登録の3点が位置づけられました。  日本は世界一の長寿国になりましたが,今,2人に1人ががんになり,3人に1人ががんで死ぬという世界一のがん大国になっています。茨城県においても,がんは昭和60年から死亡原因の第1位となり,平成18年の死亡者数は7,613人,全死亡者数の実に29.2%を占めています。そんな国民病であるのに,日本は,がんのことをよく知らない人の多い,がん対策の後進国でもあります。  ところで,東京大学医学部准教授で同附属病院放射線科の中川恵一さんが,最近「がんのひみつ」という本を出版されています。一読して,改めてがんについていかに無知であったかと思い知らされ,この質問に至った次第です。  その一部を申し上げますと,がんは一種の老化。つまり日本は,世界一の長寿国イコール世界一のがん大国となります。欧米ではがんで死ぬ人の数は減っているのに,日本ではふえている。がんは,どの臓器からできるかによって治療手段も治癒率も違う。がん治療の3つの柱は,手術,放射線治療,抗がん剤。がんの完治には,手術か,放射線治療が柱になる。日本では胃がんのイメージがあり,がん治療イコール手術となっている。転移したがんの治療は難しい。治療とケアのバランスが大事。痛みは取ったほうが長生きする,などなどでございます。  そして,結びに,今,がんの半分は治る。しかし,がんの治療技術自体は劇的に進歩しているわけではなく,早期発見が大事だと述べられております。  この4月から県総合がん対策の第2次後期計画がスタートすることになっておりますけれども,がんについて県民によく知っていただくことが先決ではないか,大事ではないかと考えます。そのことが,国民病がん対策に,そして,懸案であるがん登録に結びつくと考えますが,がん対策について伺います。  次に,商店街の活性化について伺います。  一昨年7月,イギリスの研究者が,国民は生活に満足しているかを基準にした世界の幸福度マップを発表いたしましたが,上位3カ国は,デンマーク,スイス,オーストリアでありました。幸せになりたい人はデンマークへどうぞと,こういうことになるわけですけれども,残念ながら日本は,世界178カ国の真ん中以下,90位でありました。小規模な国では国民に共同体としての意識が強く,国の美観を保ちやすいことが生活の満足感につながっているとし,共同体意識の強いとされる日本は意外だと分析されています。経済大国でありながら,先進国中,自殺者数の最も多い我が国の現実と無関係ではない感じがいたします。この幸福度調査で示された共同体意識の希薄化こそ,商店街の衰退に象徴されていると感じられてなりません。  新年度予算を見ますと,産業大県フェア開催,J-PARC関連の中性子ビームライン産業利活用など,華々しい事業計画がメジロ押しです。しかし,どんなに形を整えても,そこに住む人たちが幸福を感じられないとしたら自己矛盾も甚だしいと言わざるを得ません。政治は何のためにやるのか。それはもちろん人の幸せのためにあるわけですから,この原点を思い起こすべきです。改めて,商店街の再生,活性化,ひいては地域の連帯意識を強めるための行動を起こす必要があります。  しかしながら,これまでの商店街対策は,当事者がやる気を持つこと,自律的に取り組むことで初めて成功するという観点からの施策展開でありました。だからでありましょうか,新年度予算では2割削減されてしまっています。  その一方,大規模な商業施設計画はメジロ押しです。ことしから来年にかけて開店予定のものだけでも,水戸市(仮称)Iモール,7.4ヘクタールを初め,つくば市,土浦市,ひたちなか市,阿見町,さらには平成23年4月開店予定の笠間市など,いずれも12から18ヘクタールという超大型の商業施設ばかりです。何と,1カ所を除いてすべて県主導によるものです。やる気を起こせ,自立せよと言いながら,その口も乾かないうちに水をかけているようなものではないでしょうか。  その大型店進出による経済効果は少なくなく,やみくもに反対するものではありません。しかしながら,県内の購買力には限界があるはずですし,その影響を直接受けることになる地域商店街,小売店への対策は不可欠です。むしろ大型店誘致に向けたエネルギー以上の力を注入する必要があると考えるのです。  人口減少社会,少子高齢化社会への移行が加速されて,郊外型から地域の商店街へとの回帰が必ずあると思います。大型店とのすみ分けを図るとともに,地域のコミュニティー再生の観点から医療福祉施設や文化施設などのまち中への誘導も必要でありましょう。地域の方々に住んでいてよかったと幸福感を味わっていただくためにも,物プラス心の拠点としての商店や,文化・芸術の活性化は必須です。都市,地域の核としての新しい商店街づくりについて御所見を伺います。  次に,農業問題について伺います。  日本の食料自給率はカロリーベースで39%と,先進国中最低の水準にあります。政府は2015年までに45%上げようとの目標を掲げていますが,ここへ来て追い風が吹き始めたように感じます。なぜなら,中国製冷凍ギョーザの中毒事件を受けて,安全・安心を売りにする国産農産物への需要が高まると予測されるからです。このときに,エコ農業を推進しようとの施策はまさに時宜を得ているように感じます。  ただ,農家の方々と話をしておりましてよく話に出る訴えは,資材や肥料が上がっても,他の業種,品物と違って,農産物は価格に転嫁できないんだということであります。と同時に,このエコ農業をいかに集落単位にまで拡大するかということでありまして,これが大きな課題と言わなければなりません。本県は東京近郊という地の利を得ているわけですし,農業関係者すべての知恵と力を集めて価格を高めていく,エコ農業を点から面に拡大する対策に取り組んでほしいと思います。  昨年3月,私は,夕張メロンで有名なJA夕張を訪ね,お話を伺ってまいりました。作付面積,種から出荷までの生産,そして販売まで農協と生産組合が一元的に管理することにより北海道を代表する銘柄産地となり,初競りの値段ではありますけれども,昨年は1個100万円という破格の値段がつくまでになっております。このような取り組みも一つの方法です。なお,生産農家数が160戸,60名近くの若手後継者がいるというお話はとても印象的でありました。
     我が地元土浦市にも「れんこんめん」があります。銘柄農産物レンコンを原料にJA土浦が開発したものですけれども,贈答品,お土産品として好評で,着実に消費を伸ばしております。  やはり,農産物を高く売る。さらには,エコ農業を集落単位にまで拡大するにはどうしたらいいのか,地域の特色を生かし何がやれるのか,地域の農家や関係者が真剣に話し合い,一致協力して取り組む必要があると強く感じております。そのような取り組みが成功し,農産物が高く売れ,活気のある農家,集落,産地ができたときに,後継者や耕作放棄地などの諸課題も解決され,自給率向上に結びつく茨城農業があるのではないかと考えます。  そこで,自給率向上にも貢献できるよう茨城農業をどのように振興していくのか伺います。  次に,地球温暖化対策について伺います。  生きとし生けるものすべてがその生存を全面的にゆだねている地球が今危ない。猛烈に温暖化している。IPCC気象変動にかかわる政府間パネルの第4次報告で出た断言であります。世界の科学者,特に最先端の気象学者たちが25年かけて出した結論は,地球温暖化の原因が温室効果ガスの増加という人為的によるものであり,その気象変動への影響について強い警告を発しております。  事実,国の内外で,大雨,洪水,土砂崩れ,大型ハリケーン,熱波,干ばつなどの異常気象によると思われる自然災害が発生しており,地球温暖化対策は身近なところから一刻も早く取り組むべきです。もはや対策なんて言っておられるような状況にはない。県民それぞれが日常生活の中で意識して行動するべきだと考えます。アイドリングや近所への車の乗り出しを控える,節電,節水など,身近にできることは無限にあります。  一方,太陽光発電,風力発電,バイオマスなど新エネルギーの導入,普及にも力を注ぐべきです。学校,病院など公共施設への太陽光発電の計画的導入など,まず県がその範を示し,温暖化対策の先頭に立つべきではないでしょうか。ことしのG8洞爺湖サミットは,本格的な地球温暖化対策に踏み出す絶好のチャンスです。御所見を伺います。  次に,安全安心なまちづくりについて伺います。  平成20年から22年度を第1期とする警察施設再編整備計画が進められていると伺っております。その最優先課題は,県内全警察署を対象とした夜間体制の強化であり,駐在所の統合とあわせて,交番,駐在所の再編整備を計画的に進めようとするものであります。  一方,県内では自警団などの防犯ボランティア活動が活発に展開されておりまして,県下の全44市町村に853団体,6万人を超える皆様の御協力をいただいております。ちなみに土浦市では165団体と,ほぼ全地区に自警団が結成されております。  もちろん,安全安心なまちづくりは県民すべての願いであり,それぞれの地域に存在する警察署,交番,駐在所はそのかなめとなるものであります。今回の警察施設再編に当たっては,それぞれの地域の特性,特色を見極めて取り組んでほしいと願うものです。  特に警察官にお願いしたいことは,悪にはパワフルに,一般県民にはハートフルに接してほしいということです。その積み重ねが,そして,あるときには自警団との協働が,結果として安全安心なまちづくりに結びつくと考えます。警察本部長の御所見を伺います。  結びに,今回の代表質問に際し,大勢の県職員の方々とお話をさせていただきました。そして,特に感じましたことは,皆さんが心なしか元気がないということです。社会の大きな変革期だからでありましょうか。財源問題など確かにさまざまな課題のあることも事実です。しかしながら,だからこそ,元気を出してほしい。このようなときだからこそ,生活者の目線に立って,県民のため,県発展のために元気で頑張ってほしいことを心からお願いいたしまして,質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 14 ◯議長(桜井富夫君) 足立寛作君の代表質問,質疑に対する答弁を求めます。  橋本知事。                     〔橋本知事登壇〕 15 ◯橋本知事 足立寛作議員の御質問にお答えいたします。  まず,人口,経済規模の現状認識,将来見通しについてお尋ねをいただきました。  現行県計画の策定に当たりましては人口減少社会の到来を見据えて見通しを立てたところでございまして,特に将来人口につきましては合計特殊出生率など不確定な要素も多いことから,幅を持った見通しとしたところでございます。  近年の県内の人口動向を見ますと,つくば市など順調に増加している自治体がある一方で,議員御指摘のように急激に減少している自治体も存在しておりますが,常住人口調査では,本県の人口は平成18年10月現在で約297万2,000人,昨年10月現在で約297万1,000人となっており,おおむね県計画の見通しに近いものとなっております。  次に,経済規模についてであります。  県計画においては,平成17年度の県内就業者数や県内総生産額を平成12年度の国勢調査をもとに推計を行いましたため若干の誤差が生じておりますものの,成長率については昨年7月発表の平成18年度の速報値は実質1.9%となっておりますので,おおむね見込みどおりに推移しているものと認識しております。  次に,将来見通しについてであります。  人口につきましては,つくばエクスプレス沿線や牛久市,ひたちなか市等でまちづくりの進展などに伴い増加していくものと予測される一方で,県北地区などを中心に減少する市町村もあるものと思われますが,産業振興による雇用の確保や少子化対策等さまざまな取り組みを積極的に講じていくことにより,県全体としては一定の人口を確保していけるものと考えております。  一方,経済につきましても,産業大県づくりが進むことにより,工場や物流施設等の立地に伴う設備投資や生産の拡大が見込まれます。また,交通ネットワークを活用した交流人口の増加,つくばエクスプレス沿線における民間住宅投資なども見込まれますことから,おおむね県計画の想定の範囲内におさまるのではないかと予測しております。  県計画につきましては,来年度以降,平成18年度から20年度までの3年間の進捗状況について中間評価を行うこととしておりますので,その中で人口・経済見通しにつきましても詳細な分析を行ってまいりたいと考えております。  次に,本格的な人口減少社会の到来とその取り組みについてであります。  国立社会保障・人口問題研究所によりますと,約100年後の2105年には日本の総人口は4,459万人になると推計されており,極めてショッキングなことであります。仮にそうなりますと,議員御指摘のとおり,各種のインフラを初めとする社会経済システムはほころびだらけになり,そのメンテナンスも思うようにいかず,機能しなくなることも予想されます。また,一人当たりの労働生産性を上げ,経済成長を維持していくといったことも無理になってまいります。労働力として女性や高齢者の参画を求めるにしても,限度がございます。また,外国人労働者の大量受け入れにつきましても,国民の理解が得られるかどうかという課題もございます。  しかしながら,考えてみると,世界じゅうには人口5,000万人以上の国は24しかないわけであります。もっともっと人口が少なく,地理的,地形的,気象的な条件が悪くても繁栄している国は幾らでもございます。もう既にコンパクトシティーなどといった発想も出てきておりますが,日本人は必ずそうした困難を乗り越えて,繁栄を続けていくものと考えております。  また,私は,人口半減の推計は出されておりますものの,日本の人口はそこまで減少しないのではないかと考えております。さまざまな識者の御意見の中にも,世界各国の所得水準と出生率の関係において所得の上昇につれて出生率は低下する傾向にあるが,社会的に少子化への危機感が高まり,出生率を下げどまらせるような対応がとられるため,ある時点で底を打ち,その後は所得水準が高いほうが出生率が高いという関係に転化するといった分析もございます。  例えば,日本やイタリアと並んで出生率が極めて低かったドイツにおきましては,従来の児童手当の支給を中心とする育児支援から家庭と仕事の両立支援を中心とする包括的な家族政策への転換が進みつつあり,近年,出生率は回復傾向にございます。  我が国におきましても,人口減少,少子化についての社会的関心が高まっており,政府も徐々にではありますが対策に力を入れ始めております。すぐにとは申しませんが,そろそろ出生率の低下にも歯どめがかかるのではないかといった指摘もあります。私としては,最終的には,日本の人口は1億人は割るものの,あるレベルで下げどまるのではないかと考えております。  いずれにいたしましても,今後当分の間,大幅に人口が減少していくことは間違いありませんので,本格的な人口減少時代にありましても本県が活力のある県として発展していけるよう,結婚,出産,子育てに夢や希望の持てる環境づくり,雇用の場を確保するための産業大県づくり,女性や高齢者,外国人など多様な主体が社会に参画しやすい環境づくりなどに積極的に取り組んでまいりたいと存じます。  次に,教育力の向上についてお答えいたします。  地域教育力の向上についてでございます。  子供たちを支える地域の教育力の向上のためには,学校を核として,地域の多彩な人材が学校の活動を支えるなど,地域社会総がかりで取り組むことが極めて有効な方法であると考えております。  本県におきましては,現在,学校ボランティアが朝の読書の時間での読み聞かせや総合的な学習の時間の学習補助などを行い,地域の連帯の強化や教育内容の充実に取り組んでいるところであります。来年度からは,44全市町村におきまして,地域のボランティアの方々が学校を支援する体制を整備する学校支援地域本部事業を実施してまいります。この事業は,学校と地域をつなぐコーディネーターを中学校区単位に配置し,その学区内の小学校も対象にして地域支援を行っていくものであります。  なお,今年度から小学校において取り組んでおります放課後子ども教室においては,議員の御指摘のように放課後児童クラブとの連携などの課題があり,十分な予算措置をしているにもかかわらず余り活用されていないのが実情でございます。このため,先般の衆議院予算委員会の地方公聴会におきましても,両事業の一本化を図るよう提案したところでありますが,今後,地域本部の活動の中で,ボランティア人材の放課後子ども教室への活用なども含めて積極的な取り組みを期待しているところであります。  いずれにいたしましても,御指摘のように,小学校も含め,学校を拠点にして地域社会総がかりで子供たちを支える体制整備を進め,地域の教育力の向上に努めてまいります。  次に,地方分権の推進についてでございます。  まず,一層の市町村合併推進についてお答えいたします。  私は,本県が21世紀においてある程度東京から自立して発展していくためには,県民が身近なところで商業,文化,娯楽,医療などさまざまな面で都市機能を享受できる体制を整備していくことが望ましいと考えており,水戸周辺地域と土浦,つくばを中心とした地域に人口50万人程度の2大中核拠点都市を育成し,周辺市町村とのネットワークを形成していくことが必要であると考えております。  こうした中,水戸市など県央地域9市町村においては,当地域を発展させていくための方策や将来の連携のあり方について協議を行う県央地域首長懇話会が設置され,また,土浦市やつくば市の各市議会においては今後の市町村合併について調査研究を行う調査特別委員会が設置されるなどの動きも見られ,このような主体的な取り組みが中核拠点都市の育成につながっていくのではないかと大変期待しているところであります。特に,土浦市とつくば市の議員有志によります勉強会には私としても2度ほど出席をさせていただき,合併の必要性,効果などについて意見の交換をしてきたところであります。  今後ともこうした取り組みを積極的に支援しますとともに,さまざまな機会を通じて市町村合併がさらに進むよう働きかけをしてまいります。  次に,道州制導入問題についてでございます。  道州制につきましては,市町村合併の延長線上にある単なる都道府県合併や国からの権限移譲にとどまらない,まさに国と地方を通じた我が国の統治体制のあり方そのものにかかわる大改革であります。したがいまして,その議論を進めるに当たっては,国の役割を外交,防衛,司法,金融など本来国が果たさなければならない役割に限定することなどについて,中央省庁も納得した上で国民の理解を得ていくことが必要であり,国と地方の事務権限や財源の抜本的な整理を行うことが何にもまして重要であると考えております。  しかし,モデルケースとして進められております北海道の道州制特区を見ましても,権限移譲されている事務は,道以外の都道府県では既にその事務とされている2事務を含めても全体で8事務しかなく,国の地方支分部局につきましてもほとんど整理がなされてない状況にございます。  このように,国と地方が考える道州制の姿が全く異なっている中で道州制の導入を急ぎますと,地方が望むような形での権限や財源が移譲されず,都道府県の数だけが減って地方の声が弱くなり,真の地方分権の実現がかえって遠のくといった事態も招きかねないところであります。  こうしたことから,私としましては,まずは現在進められております第2期分権改革に徹底して取り組み,その結果を踏まえた上で道州制について検討を進めていくべきであると考えております。  一方で,経済のグローバル化や国際競争が加速する中で行政課題も広域化してきており,こうした社会経済情勢の変化に的確に対応できるような広域自治体のあり方について地方みずから考えていくことは大変大事であると認識しております。  現在,全国知事会の道州制特別委員会におきましてあるべき道州制の姿について研究を進めているところでありますので,まずは,今後,道州制導入の必要性や課題,さらにはメリットやデメリットなどについて同委員会の場で具体的な形で取りまとめ,幅広く議論を行った上で,県民世論の動向を見極めながら対応してまいりたいと考えております。  次に,第23回国民文化祭の開催についてお答えいたします。  本県は,筑波山や霞ヶ浦に代表される豊かな自然,穏やかな気候風土を背景に,貴重な文化財や地域に根差した伝統文化を有する一方,陸・海・空の広域交通ネットワーク等の整備により新たな文化交流も生まれてきております。国民文化祭については,これら本県の伝統文化や新しい文化を全国へ積極的に発信し,地域で育まれてきた文化の再認識や新たな文化の創造へつながるものにしてまいりたいと考えております。  そのためには,まず,地域の特性を生かしたイベントを創出することが重要であり,本県独自の取り組みとして,共通する文化的な特徴を持つ12のエリアでそれぞれのテーマをもとに催事を展開する広域文化交流事業を実施してまいります。  例えば筑波山周辺地域では,古くから伝わる歴史や伝統文化をテーマに数多くの催しを開催いたします。中でも,議員が会長を務めておられます県民オペラ協会による創作オペラ「小町百年の恋」は,地域に伝わる小野小町伝説をもとに新たな芸術手法で表現した独創的なイベントとして全国にアピールできるものと,大いに期待をしているところでございます。  次に,地域文化を再認識していただくためにはより多くの県民の方々の参加をいただくことが重要でございますので,開会式では,メイン会場の県民文化センターのほか,西塩子の回り舞台と県自然博物館をサブ会場として設けることとしております。また,さまざまな事業に多くのボランティアに参加していただきますほか,子供や初心者の方々にも気軽に参加していただけるワークショップや体験型イベントを数多く実施してまいります。  国民文化祭における参加者一人一人の主体的で積極的な活動を通して文化の振興と本県のイメージアップが図れるよう,開催までのあと8カ月間,大会の準備に万全を期してまいります。  次に,平成20年度予算案についてであります。  新年度予算案のプライマリーバランスにつきましては,一般財源基金からの繰入金などを除いて約34億円の赤字であります。当初予算編成時点では,平成18年度が約301億円の赤字,平成19年度が約93億円の赤字でありましたので,大きく改善が進んでおり,景気の急激な悪化等がなければ平成22年度の黒字化は何とか達成可能なところまで来ております。  プライマリーバランスが均衡すれば,政策的な支出を新たな借金に頼らずにその年度の財源で賄っていくことになりますので,健全な財政運営への第一段階と考えております。  しかしながら,ここ数年,一般財源基金からの繰り入れに加え,県債管理基金からの繰替運用を毎年度予算計上せざるを得ない状態が続いておりますので,少なくともこの状態を解消しなければ健全財政になったとは言えないものと考えております。  次に,人口,経済規模に合わせた持続可能な財政運営につきましては,単に予算の規模だけで判断できるものではなく,その財源構成や実質公債費比率,将来負担比率などフロー,ストック両面の財政指標,さらには,その予算で措置されたさまざまな事業の必要性といった複合的な視点からの検討が必要であります。また,今後人口減少が予想されますので,これまでの右肩上がりの発想を捨て,財政のスリム化を図るなど,社会経済情勢の変化に対応した財政運営が必要になってくるものと考えております。  いずれにいたしましても,本県財政は,三位一体改革により一般財源が単年度当たり約300億円も削減されたことにより,このままでは予算編成ができなくなることも心配されるような状況にありますので,今後とも歳入,歳出両面にわたる徹底した改革に全力で取り組んでまいりますとともに,地方交付税の復元等による地方税財政制度の抜本的見直しについて,地方6団体とも連携を図りながら国に働きかけてまいります。  次に,公共施設対策についてであります。  危機的な財政状況が続く中で,施設の耐震化なども含め,公共施設等を適切に維持管理していくことが大きな課題となっております。  このため,学校や文化施設等の公共施設の維持管理費,あるいは道路修繕費や橋梁補修費などにつきましては,毎年度の予算シーリングにおいて他の経費に比べ削減率を低く抑え,所要額を確保してきており,また,県有施設の耐震化につきましても,平成27年度までに対象施設すべての耐震化を計画的に進めるため必要経費を計上しているところでございます。  また,大規模な修繕や改修につきましては一時的に極めて多額の財源が必要となりますため,減価償却と同様の発想から,あらかじめ基金を設置し,積み立てておくことが考えられますが,緊急避難的な措置である繰替運用を行って予算編成を行わざるを得ない現下の厳しい財政状況下では,新たな基金の積み立ては極めて困難な状況にございます。このため,公共施設等の比較的大きな改修等につきましては,県債などをできる限り活用して進めているところでございます。  なお,地方公共団体の公会計については,国において,平成21年度をめどに発生主義の活用や複式簿記の考え方を導入する改革の方針が示されております。県といたしましては,この新たな公会計制度を導入することにより,公共施設等の維持管理についてもこれまで以上に効果的,効率的な対応に努めてまいりたいと考えております。  次に,がん対策の推進についてお答えいたします。  議員御指摘のとおり,近年,がんに関する研究が進み,がんの発生の原因が解明されますとともに,医療技術の進歩等により,がんを早期に発見し治療を行えば,がんは必ずしも不治の病ではなくなってきております。  しかしながら,こうした情報はまだ県民へ十分浸透しているとは言えませんことから,今年度策定する第2次茨城県総合がん対策推進計画後期計画におきましては,がんに関する正しい知識を広く県民に提供するための施策を盛り込むこととしております。  具体的には,県が1万人を目標に養成しておりますがん予防推進員の地域での活動の促進や,市町村,がん患者会等と連携した講演会の開催,パンフレットの作成等を通じ,がんの予防と検診の重要性や,がんの特性等について普及啓発を図ってまいります。  また,がんの種類や進行度に応じた治療方法や,緩和ケアなど,がん医療全般に関しても,県内8カ所のがん診療連携拠点病院に設置した相談支援センターにおいてわかりやすい情報を積極的に提供してまいります。  がん登録につきましても,がん対策を推進するために医療情報の収集,登録が不可欠でありますことから,医療機関の協力を得て登録率を向上させ,がん予防活動の企画,がん検診の評価,さらには,医療機関におけるがん治療評価に活用してまいりたいと考えております。  県といたしましては,県民の視点に立ったがん対策の推進に一層取り組んでまいります。  次に,商店街の活性化についてお答えいたします。  商店街の実態につきましては,県の平成17年度調査によりますと,商店街の集客力不足や大型店の影響などにより買い物客が減少し,空き店舗が11.7%を占めるなど,大変厳しい状況にあるものと認識しております。  商店街は,地域住民の暮らしを支えるとともに,地域の交流や文化,伝統を育む場でもありますが,少子高齢化が進行する中で,宅配や子育て支援などを行うコミュニティー機能も求められてきております。  商店街の活性化につきましては,商店街みずからが主体となって市町村や商工団体と連携して進めてきているところであり,県内各地の商店街におきましては,イベントの開催,特産品の開発,アートを取り入れた街並み景観整備などを行い,集客力を高めるとともに,子供たちの遊び場としても活用できる昔ながらの駄菓子屋を復活させるなど,コミュニティー機能に着目した取り組みが行われ始めております。  県といたしましても,今年度から,地域の特色を生かした活性化策に取り組む商店街や商業者の皆様を支援する「がんばる商店街支援事業」を実施したところであります。特にその中のコンペ事業におきましては4件の採択枠に対し37件もの応募があり,その中には,空き店舗を活用した若者の交流拠点づくりなど地域のコミュニティー機能を高める提案が含まれておりました。来年度は採択枠を8件にふやし,より一層活性化への取り組みを促進してまいります。  さらに,来年度からは,県内外の専門家から成る商店街活性化アドバイザーを派遣し,きめ細かな相談,助言を行ってまいります。  また,来年度から新たに茨城県中小企業振興公社に造成します基金を活用いたしまして,少子高齢社会に対応した宅配や家事代行,健康づくりサービスなどの創業を支援していくこととしております。  さらに,まちかど美術館,図書館などの文化教育施設や福祉施設など都市機能の集積と商業の活性化を一体的に推進するため,市町村の中心市街地活性化基本計画の策定を引き続き支援してまいります。  県といたしましては,今度とも,市町村や商工団体と緊密な連携を図りながら,時代に対応した地域商店街の活性化を支援してまいりたいと存じます。  次に,自給率向上への県農業の推進についてお答えいたします。  我が国の食料自給率が低下し,食料の安全保障が問題となる中で,日本有数の農業県として,日本の食を支える重要な拠点である本県の農業を魅力ある元気な産業として発展させていくことは極めて重要であると考えております。  このため,茨城農業改革の実現に全力で取り組んでいるところであります。改革の推進に当たりましては,農業者の意識の改革を進めますとともに,産地みずからが課題を明確にした上で解決に取り組む元気アップ作戦の実践を基本とし,行政はもとより,関係団体等が一丸となってこれを支援することにより,競争力のある強い産地づくりを進めているところでございます。現在700を超える集団が各地で元気アップ作戦を展開し,高品質な米づくりを行う地域オリジナル米の産地や,実需者ニーズに対応した新品目を導入する産地などが育ってきており,東京都中央卸売市場における青果物の取扱高も4年連続で日本一になるなどの成果が出てきております。  今年度からの改革後期においては,市場や食品産業等と連携して,新産地の育成や販路の拡大などに重点的に取り組んでいるところであります。特に,来年度から新たに取り組むエコ農業茨城につきましては,環境にやさしい営農活動の取り組みを面的に拡大するため,作物別の減農薬・減化学肥料栽培への技術指導の強化や,それらの栽培に対する掛かり増し経費への支援を行ってまいりたいと考えております。このような取り組みにより,競争力のある産地づくりを進め,生産拡大を図り,元気で力強い茨城農業を確立することが我が国の食料自給率の向上にも寄与するものと考えております。  次に,地球温暖化対策の推進についてお答えいたします。  地球温暖化対策につきましては,議員御指摘のとおり,温暖化の大きな原因である二酸化炭素排出量の削減に向けて身近なところから取り組んでいくことが大変重要であります。  県では,県民各層,各世代のエコライフの実践を促進するため,これまで,家庭には日常生活での環境に配慮した取り組みを示したエコ・チェックシートを,子供向けには環境にやさしい生活について考え実践するプログラム,キッズミッションを,また,卒業間近の高校3年生には新生活でのエコライフの方法を示したハウトゥエコライフを,それぞれ,大好きいばらき県民会議や事業所,学校などを通じて普及しているところであります。  さらに,国が進めております「一人一日一キログラム二酸化炭素削減私のチャレンジ宣言」の登録を促進し,エコライフの一層の実践拡大を図っているところであります。  また,事業所についてはエコ事業所登録制度を推進しているところでありますが,県みずからも県庁エコ・オフィスプランにより,電気や燃料,紙の使用量を削減してきているほか,県庁舎や霞ヶ浦環境科学センター,利根川浄水場に太陽光発電施設を設置してきたところであり,来年度は新たに県の公用車に天然ガス車を導入してまいりたいと考えております。  なお,本県では,風力発電や木質バイオマス発電など新エネルギーの取り組みが盛んでありますので,県といたしましては,省エネルギーの推進のみならず,新エネルギーの導入につきましても先導的な役割を果たしてまいりたいと存じます。  さらに,新たに導入いたします森林湖沼環境税を活用し間伐による森林整備を進め,地球温暖化対策の一層の推進を図ってまいります。 16 ◯議長(桜井富夫君) 稲葉教育長。                    〔稲葉教育長登壇〕 17 ◯稲葉教育長 教育力の向上についてお答えいたします。  学習指導要領改訂への取り組みについてでございます。
     国際的な学力到達度調査などによりますと,日本の児童生徒は,身につけた知識,技能を活用する力や読解力などに課題が見られました。  今回の学習指導要領案では,これまでの,確かな学力,豊かな心,健やかな体など,いわゆる生きる力を育むという理念を継承しつつ,繰り返し学習をしたり,学習内容にじっくりと取り組んだりするといった,学習した内容を確実に身につけるための授業時間や学習内容を増加することが示されております。  議員御指摘のとおり,新学習指導要領の趣旨を達成するためには,増加する学習時間を生かし,しっかりと知識を身につけさせるとともに,みずから考え,学びたいという意欲を向上させ,好奇心,探究心を引き出すような質の高い授業を行うことが大切であると考えます。  県におきましては,昨年末,学習指導方法の改善の視点などを示した学校改善支援プランを各学校に配布し,授業改善の取り組みについて指導,助言しているところでございます。  この授業改善の取り組みを一層推進するために,来年度は新たに県の指導主事によるプロジェクトチームを結成し,学校訪問を行って授業への指導,助言をしたり,県内の特に指導力のある教員による模範授業などを行ったりしてまいります。さらに,県教育研修センターでは,思考力や表現力を育てる授業づくりなどの県が設定したテーマごとに各学校に指導主事を派遣し,校内研修の活性化を図り,授業改善や教員の指導力の向上に取り組んでまいります。  県といたしましては,今後,完全実施へのスケジュールなど国の動向等を踏まえ,一人一人の教員に学習指導要領改訂の趣旨の徹底を図り,質の高い授業を実践し,児童生徒の学力向上に努めてまいります。 18 ◯議長(桜井富夫君) 小風警察本部長。                   〔小風警察本部長登壇〕 19 ◯小風警察本部長 安全安心なまちづくりについてお答えいたします。  本県の治安情勢につきましては,ひったくりや車上ねらい等,県民の身近で発生する街頭犯罪が5年前のピーク時と比べ,すべての罪種で減少しております。  また,県民に不安を与える子供への声かけ事案や変質行為等についても前年に比べ約2割減少するなど,県内の治安情勢は改善基調が続いております。  これも,議員御指摘のとおり,本年1月末現在で約850団体,約6万人にまで拡大した自警団等防犯ボランティアの方々による自主防犯活動が積極的に展開されたことも大きな要因の一つと認識しているところであります。  他方,昨年の県内世論調査の結果では,治安状況が悪化していると感じている県民がいまだに6割を超えており,治安の改善が実感されるに至っていない状況にあります。  そこで,警察では,本年の警察運営の指針として県民が安全で安心して暮らせる地域社会の確立を掲げ,諸施策を推進しているところであります。  とりわけ,現下の治安情勢に的確に対応するためには,交番の新設や駐在所の大型化等による夜間体制・初動捜査体制の強化が急務であると認識しております。その際,各地域の人口,事件・事故発生状況及び地理的条件等,地域の特性や特色を総合的に勘案しながら検討してまいる所存であります。 20 ◯議長(桜井富夫君) 足立寛作君。                   〔47番足立寛作君登壇〕 21 ◯47番(足立寛作君) さまざまご答弁いただきました。  私の今回の質問のテーマは,人口減少社会が目と鼻の先に迫っている。もう既に減少社会が始まっている。それは極めて速いスピードで進む。こういうことを前提に,早く,制度改革にしろさまざまな取り組みをしていかなければいけないということでございました。そのために,制度的には広域的に物を取り組むべきだし,そしてその地域の魅力を高めるためには教育,文化だと,こういうことを申し上げたく質問させていただきました。  人口減少の進む度合いにつきましては,国立社会保障・人口問題研究所の推測は,中位推計で5,000万人を切るという推測をしております。知事は,そうならないだろう,1億人を切った程度だと,こういう話をいたしました。その当時まで我々は生きておりませんからどうなるかわかりませんけれども,いずれにいたしましても,異常なスピードで人口減少社会に進むというのは明らかなことでございまして,そのためのさまざまな取り組みをしていく。今しなければいけないことが山ほどあるわけでございまして,その取り組みとしては,今お答えいただいたことに若干不満が残ります。  その一つが,道州制の問題でございます。それは私も質問のときに申し上げましたように,まだ国民的合意を得ているわけではありませんし,それから,いろんな協力で,都道府県間の協力で解決できるという考え方もありますけれども,しかし,そういう将来の方法は,いろんなこと,確かに国の対応の仕方も知事がおっしゃるようにあります。しかし,知事は賛成だと言われているわけですし,そして,国はともあれ,どこはともあれ,我が県として道州制として準備をしておく,県としてさまざまな討議を積み重ねておく,こういうことをやっておくんだと。  その一つが,群馬,栃木との茨城空港の開港を前にしてのさまざまなことだろうと思いますけれども,そういう意味で改めて,道州制の取り組みについて,さまざまその背景,バリアがあることはわかりますけれども,しかし,本県として,そういう備えた準備と具体的な検討,そういうものを始めていいんじゃないか。国の制度が決まってから進むのではなくて,今から県としてやるべきだと,こんなふうに思いますが,改めて,知事の道州制に基づく考え方……。かねてから伺っておりますし,こうありたいというお話を知事はされています。しかし,話だけで,それを県民に対して,世論の喚起を促したり,県民に対してこうするべきだという問題点を提起してその集約を図るというようなことは全くやっておられません。私はもうその取り組みは今から始めるべきだと,こんなふうに思いますけれども,改めて知事の御所見を伺いたいと思います。  もう一つ要望をしておきたいと思いますが,実はことしは,再三申し上げておりますように,国民文化祭の茨城県開催の年であります。私は,知事はもう少しこの議会の開会に当たって趣旨説明でその話をされるのかなと,こう期待をしていたのですが,四,五行で終わってしまいました。文化という言葉が5つか6つしか出てきておりません。文化というのは,私は,時間があるとかないとかそういうことで決まるものではありませんで,むしろ時間がないときに見つけてさまざまな文化を楽しむ,そういう心の余裕が文化かなと。  目に見えません。ですから,目に見えないものだけに予算化もこれは手厚くしていかなければいけないんですけれども,今回の国文祭,23回目にして予算が10億円を割ったと,こう聞いております。これは10億円を割ったのは初めて,低い金額であります。それは財政厳しい折ですから,関係者の方々の涙ぐましい努力でそうなったというふうに私は前向きにとらえておりますが,予算が少ない,みんな元気がなくなっちゃった,どうでもいいや,こうなっては困るわけでして,茨城県はともすれば,遠い,田舎,どこにあるかわからない,そしてあげくの果ては文化がない。他県から見ると決していい評判が立っているわけじゃない,そういう状況にありますから,このときこそ,文化の祭典が開かれるときだからこそ,知事が先頭に立って,まさに茨城文化ここにありと,こういう取り組みをしてほしい。  教育もそうです。地域力の向上。杉並の和田中学校の話をさせていただきましたけれども,地域で行政に負担をかけないで学校が取り組む。それはそれぞれの県内の小学校,中学校,高校が取り組んでくれればいいわけですけれども,せっかく放課後子どもプランという格好の材料があるわけですから,そのテーマを使って誘導して,結果的にどの地域も地域の組織的なバックアップ体制ができている。結果として,杉並の和田中学校のように,テストをやったら区で1番になっちゃったと。こういう点数があるわけではありませんけれども,取り組みが,結果として茨城県のレベルが上がったら,それはそのこと自体が魅力になるし,大きな地域の力になっていくと思うんです。  ニューヨークフィルの話をさせていただきましたけれども,文化,教育のレベルを上げていくことがこれからの人口減少社会,地域の魅力を高める大きな力になるということを申し上げ,知事に,今後の文化振興,教育力の向上,その材料がことしの国文祭だと,こう申し上げて,改めてその強力な取り組みをお願いしたいと思います。  以上で,要望並びに再質問を終わります。御清聴ありがとうございました。 22 ◯議長(桜井富夫君) 足立寛作君の再質問に対する答弁を求めます。  橋本知事。                     〔橋本知事登壇〕 23 ◯橋本知事 ただいま道州制について再質問をいただいたところでございますけれども,道州制につきましては,いま足立議員がおっしゃられたような形での将来の広域行政,そういった面もございますけれども,私どもとしてなぜその広域行政が必要かということについては,将来の人口減少社会への備えというよりは,地方分権という立場から今進めなくてはいけないなという思いを強くしているところでございます。  それは,これまである意味で金太郎あめ的な,中央集権的な形で日本の発展というものを図ってまいりましたが,このままでは行き詰まってしまうのではないか。世界的ないろいろな競争時代の中で日本を発展させていくためには,それぞれの地域がそれぞれの特色を生かした形でさまざまなことにチャレンジする,そういう中から,いろいろ中央集権では考えつかないような発想も出てくる。それを伸ばしていくことによって日本として発展していくという,そういう方向をとるべきではないかということで進められているんだろうと認識しております。  そういった点からいいますと,今のままで進めますと,例えば仮に12の道州になったとしますと,道州知事というのは12人になってしまいます。それから,12になってから,事務権限,あるいは財源の配分を改めてしようということになりましても,国のほうではまず言うことを聞いてくれなくなってしまうのではないか。私どもとしてしっかりと道州制を導入する段階で──中央省庁はあれだけ事務権限,あるいは財源配分については抵抗を示しているわけでございますので,しっかりとした中央省庁との合意というものをなし遂げた上で,道州制というものを進めていくことが必要ではないかなと考えております。  そういった点からしますと,北海道がモデルとしてどうなるか注目していたんですけれども,いろいろ賞賛する言葉もございますけれども,ほとんどの知事は,多分,北海道における道州制のモデルというのは実質的に中身がないなと思っているのではないかなと思っております。  先ほども申し上げましたが,8項目の事務の移譲。しかし,これは本当に小さなものばっかりでございます。本格的に道州制として──国と地方というものが,アメリカ的といいますか,そういう本格的な形での地方分権というものを進めるために考えたというものからはほど遠いような感じがしております。そういった点で,まず,どういう形であるべきか,それについて十分な相互の理解というものを行った上でなければ,うっかり進めると,今回の三位一体改革のような形で結果的に大変ひどい目に遭ってしまうのではないか,そういう思いも強くしているところであります。  そういった点から,今申し上げましたように,今すぐ進み始めるというよりは,しっかり形をつくって,そして国の方との合意ができた段階で一気呵成に進めるということが必要なのではないかなと考えているところでございます。  そういった点で,これからもまず,世論がどういう方向に行くか。国民の考え方が,一部には今のままの方がいいという声も例えば教育とか広域行政とかそういった点で出ているわけでございますけれども,そういったことについても,道州制という形,あるいは市町村が合併していくことによって力のついた市町村という形で担っていくことについて,国民が,みんなが合意しているのかということについては,まだまだこれから検証していく必要があるんだろうと思っております。そういった点も含めて御理解を賜れればありがたいと思っております。  それから,文化につきましては,精いっぱいやらせていただきたいと存じます。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 24 ◯議長(桜井富夫君) これで,会派代表質問,質疑を終了いたします。  以上で,本日の日程は全部終了いたしました。  次回は,明3月5日午後1時から本会議を開き,一般質問,質疑を行います。  本日は,これにて散会いたします。                     午後3時56分散会 Copyright © Ibaraki Prefectural Assembly, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...