同 葉 梨 衛
同 長谷川 修 平
同 鈴 木 孝 治
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日程第1 第110号議案=ないし=第139号議案,認定第1号,報告第8号
3 ◯議長(横田修平君) これより議事日程に入ります。
日程第1,第110号議案ないし第139号議案,認定第1号及び報告第8号を一括して議題といたします。
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県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑
4 ◯議長(横田修平君) これより県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑を許します。
井手義弘君。
〔16番井手義弘君登壇,拍手〕
5 ◯16番(井手義弘君) 公明の井手義弘です。
さきの参議院選挙におきましては,この平成大不況をつくり出した
自民党橋本内閣に対して,厳しい審判が下されました。それを引き継いだ現小渕内閣は,かつて連立を組んだ
社民党土井党首より,がけっ縁内閣と評され,支持率も,本日公表されました世論調査によりますと,16%という甚だ低い数字を示しております。国民の政治や行政に対する怒りは,今,頂点に達しています。今こそ為政者は,国民,県民の声に謙虚に耳をかし,当面の課題に勇気を持って挑戦しなくてはなりません。
以下,大項目で5点にわたり,県政の諸課題につきまして,知事及び関係部長,教育長にお尋ねをいたします。県民が納得できる明確な,前向きな御答弁をよろしくお願いを申し上げます。
まず,補正予算と行政改革の推進並びに今後の財政運営について,知事,総務部長にお伺いをいたします。
平成10年度当初予算の編成に当たっては,平成9年度予算に比べて,県単事業は15%カット,国補事業は10%カットの緊縮型予算を編成し,財政の健全化に向け,その第一歩を踏み出しました。
しかし,この予算編成によって,重要な事務事業の予算が大幅に削られております。例えば,情報化社会へ対応するための
地域情報化推進事業費,
インターネット活用情報発進事業費が大きく削減されました。福祉分野では,民間の社会福祉法人への
施設整備補助事業や
ケアハウス整備補助,
老人福祉施設緊急整備補助など,高齢社会への準備のための予算が削られ,乳幼児の
医療費無料化に一部個人負担が導入されました。医療の分野では,保健所の運営費を含む庁費が大幅に削減され,精神障害者のリハビリ事業やデイケアなど事業予算が減額されております。教育分野でも,老朽化した県立学校の校舎改築費や体育館改修費などが減額され,生涯学習に関する予算も,教員の研修予算も大幅に削減されております。
こうした県民の生活に直結した予算の削減に対して,私ども公明は,行財政改革を推進し,県財政の健全化を図り,21世紀の県政発展の万全な体制をつくるという一点で,断腸の思いで平成10年度予算に賛成したのであります。景気対策に最大の努力を傾けることは,現時点において緊急かつ重要な施策であります。したがって,私は,知事が提案されましたこの
積極補正予算を可とするものではあります。
しかし,今回の補正予算は,従来型の公共事業に大きな予算を割いております。21世紀を見据えた情報,福祉,医療,教育などの分野,特に箱物ではないソフト事業には,
ダイオキシン対策など,一部を除いて補正予算の恩恵は期待したものを大きく下回りました。非常に残念な結果ではあります。
また,県財政の健全化という視点で歯どめを失った感のある県債の増大には,大きな危惧を抱いております。同時にこの補正予算が,茨城県
行財政改革大綱の大幅な後退にならないのか,大いに心配をしている一人でもあります。
今回の補正予算では,新たに355億円の県債の発行が予算化されております。この結果,本年度の
県債発行予定額は,1,890億円と過去最大規模になります。そして,
県債発行残高は1兆1,500億円を超えることが見込まれております。
この数値を,本年3月に県が公表した茨城県行政改革大綱に基づく
財政収支見通しと比べてみますと,平成10年度の県債発行の試算値は1,300億円であり,財源対策債の300億円を加えた
県債発行見込み額は1,600億円であります。したがって,行財政改革の重点3カ年の初年度でありながら,既に300億円近くの見込みの差が生まれていることになります。このままでは,近い将来,茨城県は,借金の返済に要する公債費の増大によって,がんじがらめの状態になる危険性があります。そこで,今回の補正予算と県の行財政改革の推進について,知事の御所見をお聞かせいただきたいと思います。
今,日本経済は,橋本政権の失政によって,政策不況の真っただ中にあります。平成9年度の経済成長率は,戦後最低のゼロ%を記録しました。県内企業の収益も低迷しています。こうした状況の中,県の歳入の3分の1を占める県税収入の動向が注目されています。平成10年度の予算編成では,県税収入を平成9年度当初比で3.4%増の3,537億円と見込んでおります。
しかし,昨日の知事の一般質問に対する答弁によりますと,7月までの課税状況は,地方消費税の平年度化による寄与分があるにもかかわらず,前年度に比べ横ばいと伸び悩んでおります。このままの傾向が続くとすると,私の試算では,百数十億円以上の税収の不足が見込まれることになります。そこで,総務部長に,より詳細に主な税目の課税状況と県税収入の見通しについてお伺いをいたします。
また,この春策定をした
財政収支見通しは,わずか5カ月余りで大幅な見直しが迫られております。先ほども述べましたように,県債の
発行見込み額に,既に300億円近くの差が出ております。県税収入の試算の基礎となっている経済成長率の見込みの3.5%は,もはや夢物語でしかありません。こうした県の厳しい財政を多くの県民にも正しく認識していただくためにも,財政見通しの改定を行い,不退転の決意で行財政改革を推進すべきと考えますが,総務部長のお考えをお聞かせください。
さらに,国が実施しようとしている特別減税や所得税や住民税の最高税率の見直しによって,地方の財政基盤が大きく揺らぐ危険性があります。開会中の臨時国会の所信表明演説において,小渕首相は,住民税の最高税率の見直しを示唆しました。現行の15%を10%に引き上げるという具体的な数字も報道されております。この大不況を乗り切るためには,思い切った減税政策をとり,個人消費の拡大を図る必要があります。しかし,その減税の責任は国が負うべきであり,負担を県や市町村に転嫁することは絶対に許されません。
現在,進められている国の減税政策は,
減税補てん債や
地方交付税特別会計借入金といった,地方の負担で賄われているといっても過言ではありません。この上,住民税の最高税率の見直しが断行されますと,県の財政計画は,大きな変更を余儀なくされます。こうした国の動きは,地方分権という時代の趨勢に逆行する愚行,愚かな行為であります。知事を初め県の執行部は,あらゆる機会を使って,国に地方財政の独自性の確立を強く強く要請すべきであります。この点につきまして,総務部長にその御決意をお伺いをいたします。
次に,2002年
ワールドカップ鹿島開催についてお伺いをいたします。
2002年日本・韓国大会へのカウントダウンが既に始まっています。この
世界的イベントの当事者として,私ども茨城県民も知恵と力を結集し,その準備に当たらなくてはならないと思います。
橋本知事におかれましては,フランスに赴き,開催会場の模様,運営や警備のあり方,
ボランティアの現状等をつぶさに視察されました。そこで知事に,
フランス大会を目の当たりにした率直な御感想と今後の課題について,どのようにお考えになっているか,総論としてお伺いをいたします。
次に,鹿島開催に向けて具体的に5点,企画部長にお尋ねをいたします。
第1点目は,
カシマサッカースタジアムの改修工事計画についての質問です。
7月には入札が行われ,今定例会に予算案件が提出されております。今後の具体的な工事計画は,どのようになっているのか,特にJリーグの公式戦との関係を中心に御答弁をいただきたいと思います。
次に,警備体制・
フーリガン対策をお伺いいたします。
フランス大会でも,マルセイユでは,イングランドのフーリガンが警官隊と衝突,さらに,チュニジアのサポーターともビール瓶を投げ合うなどして50人が負傷,100人以上の逮捕者が出ました。引っくり返されて炎上する車,血を流しながら路上をさまよう人たちの映像を見て,こんな暴動が茨城でも起こるのかとショックを受けたのは私一人ではないと思います。
鹿島開催に向けて万全な警備体制を検討する必要があります。例えば,開催期間中,アルコール類の販売制限を検討する必要も出てくると思います。また,街頭に多く設置された自動販売機は,その無防備な姿に犯罪を誘発する危険性が指摘されております。
フランス大会では自動小銃を携帯した警察軍が,要所要所の警備に当たっておりましたが,我が国においては,こうした武器による威嚇は,自治体レベルではとても対応できません。こうした点も含めて,会場の警備体制,特に
フーリガン対策の進め方について御所見をお伺いいたします。
さらに,大会成功には
ボランティアが欠かせません。
フランス大会においては,会場の警備だけでも,観衆100人に対して1人の
警備ボランティアが動員されました。
カシマスタジアムで換算をすると,400人以上の
警備ボランティアが必要になる計算です。
警備ボランティアは,最悪の場合,混乱や騒乱に対応する必要があるわけですから,だれでもが簡単になれるというわけではありません。その他の
ボランティアを加えると,1,000人以上もの
ボランティアが必要になると思われます。開催地の鹿島地域だけで,こうした
ボランティアを賄うことができるのか,より広域的で広範な
ボランティアの育成と組織化が不可欠であります。こうした
ボランティアの確保と育成についてのお考えをお伺いいたします。
次に,
ワールドカップをより県民に身近なものとするために,また茨城を全世界にアピールし,町おこし,地域おこしの起爆剤とするために,参加国の
キャンプ地誘致を提案をいたします。
今回の
フランス大会では,日本代表はエクスレバンという地方都市にキャンプを張りました。1カ月近くこの町に滞在した
日本代表チームに対して,マスコミ各社が取材に訪れたために,試合が行われた町よりも,このエクスレバンの方が記憶に残ったのが事実であります。
2002年大会では,参加32カ国の半分16カ国が,日本国内でキャンプを張ります。外部から遮断ができ,夜間照明の完備した
サッカー競技施設と交通のアクセス,室内の練習場,宿泊施設などが完備していることが,合宿地の条件になると考えられます。警備の都合やマスコミの取材から距離を置くことを考えますと,都心からある程度離れていた方が条件は有利であると思われます。
茨城県内では,福島空港からの利用を考慮すると,日立を中心とする県北臨海部や奥久慈・大子地域など,その立地条件を満たす場所は数多くあります。県は,市町村との連携の上,積極的に合宿地の誘致を図るべきだと提案をさせていただきます。
また,
カシマサッカースタジアムに愛称をつけることを提案をいたします。私個人といたしましては,鹿島アントラーズを育て,茨城のサッカー熱の基盤づくりに大きな功績を残したブラジルの世界的な
サッカープレーヤー,ジーコ氏の名前を冠した愛称などが最もふさわしいと考えております。検討委員会等を設置していただき,一般公募の手法をとり,より多くの県民に参加していただくのも一つの方法かと存じます。
以上5点,2002年
ワールドカップを大成功させるために,企画部長のファイトあふれる答弁を期待するものです。
次に,
ダイオキシン対策について触れてみたいと思います。
ことし6月4日,摂南大学の宮田秀明教授は,新利根町にある城取
清掃工場周辺住民の血液中の
ダイオキシン濃度に関する調査結果を発表いたしました。工場から2キロメートル以内に住む20代から80代までの60人を対象に,一昨年,平成8年の3月に採血が実施されました。今回,その60人のうち18人の血液検査の結果が公表されました。
それによりますと,周辺住民の血液脂肪中に,欧米先進国や国内のこれまでの調査の平均的濃度に対して,男性で4倍,女性で7倍の
ダイオキシン類が検出されるという大変ショッキングな検査結果となっております。特に30代の女性からは463.3ピコグラムという,平均の23倍以上という異常な高濃度汚染が報告されています。
私ども公明は,平成8年に城取清掃工場を現地調査して以来,一貫して抜本的な
ダイオキシン類の調査を要望してまいりました。特にこの宮田教授の調査結果が発表された直後の6月12日,知事並びに衛生部長に対して,住民の不安を払拭し,今後の
ダイオキシン対策の基礎とするための大規模な住民の血液検査を提案をいたしました。
その中において,検査に当たっては,周辺市町村,さらには国とも十分協議をし,統計上有効な相当数の検査を実施すること。検査方法,検査機関等を公表し,県民に調査の過程を全面的に公開すること。複数の検査機関による分析を行い,より客観的な数値を今後の
ダイオキシン対策の研究に役立てることなどを具体的に要望をいたしました。
知事初め衛生部の御英断により,今補正予算には,6,800万円の血液検査を含む健康調査に要する予算が計上されました。また,
ダイオキシン類の測定機材の整備予算も具体化いたしました。そこで,今後の健康調査の具体的な進め方について,衛生部長にお伺いをいたします。
また,住民の不安を払うために,老朽化した城取清掃工場の処理量をできるだけ縮小する必要があると思います。そのために処理しなくてはならないごみを,他の処理場に振り向けることはできないでしょうか。県が積極的にその調整役を果たすべきだと考えますが,
生活環境部長のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
ダイオキシン発生の大部分は,ごみ焼却施設であると言われています。老朽化した小規模の処理施設を大規模に集約し,24時間連続運転化,高
温度燃焼化施設に更新する必要があります。
そうした趨勢の中で,今,鹿島地域の1市2町で計画中の再
資源化センター並びに
RDF化施設の整備計画は,全国的に見ても先駆的な事業であり,その成功が大いに期待をされています。特に一般ごみからできるRDFと
鹿島臨海工業地帯の諸企業から排出される産業廃棄物を一緒に燃焼させる今回の再
資源化センターの発想は,幾つかのすぐれた特徴を有しております。
その第1は,発生する
ダイオキシン類を圧倒的に削減することができること,第2は,産業廃棄物の燃焼を
一般廃棄物系RDFを混燃させることによって,容易にコントロールすることができること,第3に,RDFと産業廃棄物を燃焼させてできる電力や熱水などのエネルギーを再利用することができること,第4に,産業廃棄物を受け入れることで,一般廃棄物の処理費用を補てんできること,このように多くのメリットを持っております。
県は,住民の理解を得ながら,
ダイオキシン対策として再
資源化センター並びに
RDF化施設整備を強力に進めるべきです。今後の
具体的整備計画について,
生活環境部長より御答弁をいただきます。
次に,
化学物質過敏症への対応について,衛生部長と土木部長にお伺いをいたします。
化学物質過敏症は,頭痛や全身倦怠感,不眠,便秘,動悸といった症状のほかに,自律神経,循環器,消化器,免疫機能などにさまざまな障害があらわれます。何らかの化学物質にある程度の量さらされ,その後,同じ物質をわずかでも吸引したり,食べたり触れたりすると,こうした症状を来すようになります。他の化学物質にも反応して症状が出ることがあります。身の回りには,原因となる可能性のある化学物質があふれています。室内では建材や接着剤,洗剤,漂白剤,芳香剤,防ダニ,防菌グッズ,食品添加物など,室外では排ガスや
ディーゼル粉じん,殺虫剤,塗料,農薬などの可能性が高いと言われています。
化学物質過敏症の具体的な症例として,ある女性の手記の要約を御紹介させていただきたいと思います。
「平成8年6月に新居に引っ越しをしました。翌年4月ごろの夜,頭が急におかしくなりました。どう表現してよいかわかりませんが,頭の中心だけがそこにあって,その周りがどこかへ飛んでいってしまいそうになったり,頭の中が真っ白になってしまったり,頭だけが逆さになって落ちていくような感じで一晩じゅう眠れませんでした。翌日,脳外科でCTをとって調べてみましたが,結果は異常なし。肩凝りが原因だろうと言われました。そして,せきが出始め,家の中にいると,すうっとのどに何か煙のようなものが入り込むのがわかるようになりました。ぜんそくのような苦しいせきが続くようになりました。このころから耳鳴りがひどくなり,時には気が狂いそうになります。これらのことがきっかけで,原因は家にあるのではないかと思い,毎日窓をあけ放し,少しは安全だと思われる和室に避難しました。しかし,それでも症状は変わらず,呼吸器科の医者に相談をしたところ,「僕にはそういう知識がないからわかりません。のどが痛かったら,耳鼻科で診てもらってください」と聞く耳を持たない様子でした。翌日,耳鼻科を受診し,
シックハウス症の疑いが高いとの診断を受けました。換気を十分にすること,空気清浄器を使ってみること,木炭を置くことなどアドバイスをされました。しかし,その効果はなく,苦しくて家にいられなくなり,知り合いの家や親戚の家などを転々とした後,兄の会社の社宅が借りられ,7月19日に新しい家から古い家に引っ越しをしました。そのころには,既に多
種類化学物質過敏症になっていました。カーテンを初め冷蔵庫,ガスレンジ,電話,
プラスチック類等次から次へと反応し,本当に途方に暮れました。古い家ならどこでもよいと思ったのも間違いでした。その社宅のすぐ北側にはごみの焼却場があり,南側には交通量の多い交差点がありました。大気汚染にも反応してしまい,毎日せき込んではたんや血を吐いており,症状は悪化するばかりです。でも,ほかにどこにも行くことはできません。今は,一日も早く無害な家に直してもらうことを願うのみです。この暑い夏が過ぎれば,多少なりとも症状が和らぐのではないかと,涼しくなるのが待ち遠しいです。」
このように,ある日突然,普通の生活ができなくなるのが
化学物質過敏症なのです。
そこで,県が早急に対応すべきことを2点,提案をさせていただきます。
その第1は,
化学物質過敏症対策には,全庁挙げての総合的な体制整備が必要です。直接医療部門を所管する衛生部,建築の指導や公営住宅を所管する土木部,化学物質の排出源を所管する生活環境部や農林水産部など総合的な体制をまず確立しなければなりません。また,保健所の対応強化も必要です。既に東京都の
三鷹武蔵野保健所等では,「あなたの住まい調べます!!」とのチラシを作成し,部屋の空気の汚れや
室内化学物質の濃度測定などを無料で調査するサービスを始めています。茨城県においても,
化学物質過敏症の相談窓口を各保健所に常設し,いつでもだれでも相談できる体制をつくることが必要です。また,「すまいの110番窓口」を開設し,
ホルムアルデヒドの濃度分析や,患者の住む家に出向いて相談に乗れる体制を整備することを提案をいたします。
第2点目は,県営住宅の内装材,塗料などを再検討すべきであります。県は,
ホルムアルデヒド,トルエン,有機燐剤などを極力使わない公営住宅の建設,改良に努力すべきであります。東京都では,東久留米の
都営柳窪アパートの改装に際して,塩化ビニールの内装材を使わない布張りの壁,床も化粧合板を使用せず,白木の板張りを採用しました。この結果,
化学物質過敏症の患者の症状が改善したとの報告もあります。県営の住宅から
化学物質過敏症への対策をまず始めることが重要だと思います。
以上2点の提案を踏まえて,
化学物質過敏症の対応について,衛生部長と土木部長にお考え方をお伺いいたします。
最後に,不登校対策について質問をいたします。
県教育庁は,去る8月6日,平成9年度の公立小中学校の長期欠席者に関する調査結果を発表しました。欠席の主な理由を「学校嫌い」とした児童生徒の数に注目して見ますと,中学校では2,725人,2.41%,小学校では591人,0.30%と,いわゆる不登校が,その深刻さを増している状況が明らかになっています。
不登校の数を学級数で割ってみますと,中学校では1クラス当たり0.82人に上り,1クラスに1人弱は不登校の生徒がいる計算になります。全国平均が2%であることを勘案すると,茨城県の中学生の不登校率2.41%は,平均を0.4%以上上回るかなり高率であると言わざるを得ません。
こうした不登校の急増は,子供たちにとって,そして社会にとって,学校の意味が大きく変わりつつあることを示す数値として受けとめる必要があります。
平成4年,文部省は,不登校について「特異な子供の特異な行動」という見方を,「どの子供にも起こり得る行動」と転換させました。そして,不登校への対応策の見直しを進め,不登校の子供たちが,学校以外の公的な指導教室や民間施設などで指導を受けた日数も,学校への出席扱いにする方針を定めました。
いわゆる義務教育とは,子供たちが小学校や中学校に行くことを義務として強制している概念ではありません。義務教育の義務とは,親が子供に教育を受けさせる義務を規定した言葉であり,より広義に解釈をするならば,国や地方自治体が子供たちに教育の場を提供する義務を定めることに意味があります。
情報があふれ,価値観が多様化した今,学校が教育の場を独占することは困難です。唯一絶対のやり方,道しか認めない硬直したシステムではなく,別のルートも開かれ,また,やり直しもきく柔軟なシステムを構築することが義務教育段階でも必要な時代になっているのではないでしょうか。
こうした時代,社会の変化の中で,その重要性が増した施設は,適応指導教室と民間施設です。適応指導教室は,県内で19市町村に設置されていると聞き及んでおります。そこには学校に登校できない小学生が22名,中学生が120名登録され,自由に通っています。
しかし,全市町村に設置されることが望ましいと思われるこの教室も,その整備がおくれています。1教室当たり100万円の県費補助が平成5年度から始まりましたが,その補助は,現在2つの教室に限られております。早急に補助枠の大幅な拡充が必要です。また,現在開設されている教室も,市町村ごとにその設備に大きな差があることが残念でなりません。図書館の一室に,まるで間借りをするように開設され,そこで学ぶ子供たちのプライバシーの保護もままならない教室もあります。補助枠の拡大とともに,その内容の充実を図ることが必要です。
こうした受け皿整備とともに,気軽に相談できる電話相談窓口の整備が急がれています。24時間,365日,無料で相談できる電話,そして,教育関係者だけではなく,広く民間の
ボランティアに支えられた茨城県版チャイルドラインの創設が望まれています。子供たちの生活時間帯の変化や親に聞かれたくない悩みを相談することを考えれば,深夜の電話相談も取り扱う必要があります。長電話を心配せずにじっくりと相談をするためには,フリーダイヤルによる無料相談体制をつくることが必要です。
さらに,学校という組織を背景に持った教育関係者だけではなく,広く
ボランティアを募り,対応することが重要です。相談を受けた子供たちに,指導をするという姿勢ではなく,まず,一にも二にも子供の声を聞くことがポイントだと考えます。この取り組みは,福祉部などとの連携によって,県を挙げて取り組む課題でもあると思います。適応指導教室の充実や茨城県版チャイルドラインの設置など,不登校対策について,教育長の御所見をお伺いいたすものです。
以上で,私の1回目の質問を終了いたします。
御答弁によっては,再質問をさせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
6 ◯議長(横田修平君) 井手義弘君の質問,質疑に対する答弁を求めます。
知事橋本昌君。
〔知事橋本昌君登壇〕
7 ◯知事(橋本昌君) 井手義弘議員の御質問にお答えいたします。
まず,補正予算と県の行財政改革の推進との関係についてのお尋ねでございます。
今回の経済対策は,波及効果の期待できる社会資本の整備などを中心に,過去最大規模の対策を講じることとしたところでありますが,その中で,福祉・医療・教育といった分野につきましても,老朽保育所の改築やゴールドプラン関連のケアハウス,特別養護老人ホームなどの整備,あるいは教育施設の整備を前倒しで進めることとするなど,合わせて125億円の予算を措置しているところでございますので,御理解を賜れればと存じます。
議員御指摘のとおり,今回の補正予算の財源としては,国の財源措置に基づき,特例的に認められる県債をできる限り活用したところでありますので,その結果,今後の公債費の増嵩など財政指標の面で,一時的には好ましくない影響が出てくることは確かであります。
しかしながら,内外の社会経済情勢の変化に対応して,臨機応変の措置をとることも大変重要なことであり,特に今回の経済対策は,深刻な経済情勢を踏まえ,現下の最重要課題として,国と歩調を合わせ,景気回復に向けた緊急の対応をするものであるところから,やむを得ない措置と考えております。
なお,補正予算の財源として活用した県債としては,補正予算債あるいは地域経済対策事業債が多くを占めておりますが,その償還につきましては,交付税措置がなされておりまして,後年度の財政負担の軽減が図られているところでもあります。
また,今回の県債の発行により,県債残高がさらに増嵩してまいりますが,今後の県債の管理に当たりましては,償還方法の見直しを行うことにより,公債費負担の中長期的な平準化を図ってまいりたいと考えております。
また,一時的に財政悪化を容認せざるを得ないものの,本県の厳しい財政状況を考慮すれば,その他の面での財政健全化への取り組みは,ますます必要性が増しているところでございまして,今後とも,行政組織・機構の簡素化,効率化,あるいは事務事業の見直し,計画的な定員の適正化,内部管理経費の節減など行財政改革に真摯に取り組み,より一層効果的,効率的な行財政運営の実現を図ってまいりたいと考えております。
次に,
ワールドカップフランス大会の視察結果についてお答えいたします。
私は,去る6月18日から24日までの7日間,日本対クロアチア戦を中心に,
ワールドカップフランス大会を視察してまいりました。オリンピックをしのぐ世界最大のイベントと言われる大会であり,しかも日本ではまだ経験したことのない大会でもありますので,大会運営,警備,交通輸送状況など多くの点で参考となったところであります。
特にセキュリティーに関しましては,会場入り口で厳重なボディーチェックを受けたことや,スタジアムの屋根の上に銃を持った警備員が配置されていたことなど,会場内での対策のほか,会場外においても大規模な交通規制が行われるなど,徹底した対策がとられておりました。
また,各会場には約1,000人,全体で1万2,000人の
ボランティアが配置され,入り口でのチケット確認,会場案内,警備など,それぞれの役割を意欲と誇りを持って誠実に遂行していた姿が印象的でありました。
さらに,私の訪れたナント市では,世界じゅうから訪れた観客や関係者に楽しんでもらえるよう,さまざまなイベントが催されており,町全体で世界の人々を温かく歓迎していた姿が大変参考となりました。
さて,本県が開催地となる2002年大会まで,いよいよあと4年となったわけであります。
県といたしましては,今後,大会運営を円滑に進めるために,日本組織委員会や関係機関などと十分に連携をとりながら,交通輸送や警備,宿泊対策,
ボランティアの確保などに積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
また,
ワールドカップの開催は,本県を世界にアピールする絶好の機会でもありますので,全県的な機運醸成に努めますとともに,世界じゅうから集まる方々を温かく迎え,楽しんでいただくために,趣向を凝らした交流の機会を設けるなど各種イベントで歓待し,国際交流の進展や本県のイメージアップにつなげていきたいと考えております。
このように,2002年の
ワールドカップ開催については,本県を訪れる方々が,安心して楽しんでいただける大会とすべく,
フランス大会の貴重な体験を十分参考にしながら,本県で,そして鹿島で開催してよかったと評価されるよう,その準備に万全を期してまいりたいと考えております。
8 ◯議長(横田修平君) 総務部長務台俊介君。
〔総務部長務台俊介君登壇〕
9 ◯総務部長(務台俊介君) 県税の主な税目別の課税状況についてお答えします。
平成10年度の県税収入予算額につきましては,前年度比で3.4%増と見込んでおりますが,この7月末現在の課税状況は,前年同期と比べまして,ほぼ横ばいの状況にございます。
主な税目を見ますと,昨年度創設されました地方消費税が,今年度,平年度化によりまして大幅な増となっておりますほか,自動車税が,保有台数の伸びによりまして,2.7%の増加となっております。
一方で,県税収入の3分の1を占めます法人二税につきましては,景気の低迷を反映しまして,大部分の業種で前年度を下回っておりまして,14.6%の減となっているほか,自動車取得税が7.7%の減,軽油引取税が5.7%の減となっております。
また,個人県民税は,特別減税の影響により12.7%の減,県たばこ税は,昨年度実施されました市町村への税源移譲の影響が残り,15.9%の減となっております。
今後の税収見込みにつきましては,景気の動向の不透明さもあり,現時点において正確な額を見込むことは困難ではございますが,現在の状況から判断する限り,議員御指摘のように,現計予算額を確保することは,大変厳しい状況にあると考えております。
次に,行財政改革の推進についてでございます。
現在,県におきましては,本年3月に策定いたしました茨城県
行財政改革大綱に基づき,簡素で効率的な行財政運営を目指し,行財政改革に取り組んでいるところでございます。
行財政改革を推進するためには,議員御指摘のとおり,多くの県民に県財政の現状と将来の姿を御認識いただくことが必要でございまして,そのためにもわかりやすい
財政収支見通しといったものを作成することが大切であると認識しております。
このことから,大綱におきましても,毎年度,中期
財政収支見通しを作成し公表することとしております。今年度の
財政収支見通し──これは平成10年度から15年度を見通しているわけでございますが──300億円の財源対策債を歳入に計上した平成10年度当初予算をベースに改定を行いまして,去る6月に開催いたしました行財政改革推進懇談会に提出し,公表したところでございます。
この収支見通しの改定に当たりましては,3.5%の名目経済成長率のケースに加えまして,新たに1.75%のケースについても試算しております。この試算を前提にいたしますと,平成15年度の財源不足額は,経済成長率3.5%のケースでは900億円,経済成長率1.75%のケースでは1,500億円にも上ることが予想され,大変厳しい状況となっております。
今回の経済対策等により,県内景気が一刻も早く回復に向かうことを期待しているところでありますが,その場合でも,来年度以降多額の財源不足が生じることは避けられないものと考えておりますので,行財政改革の必要性については,何ら変わるところがないものと認識いたしています。
したがいまして,今後とも,全庁一丸となって行財政改革に取り組み,21世紀に向けて確固たる行財政基盤の構築に努力してまいりたいと考えております。
次に,今回の減税論議と地方財政の独自性についての御質問でございます。
国におきましては,経済対策の一環として,個人所得課税の最高税率を50%,法人課税の実効税率を40%程度に引き下げることを表明したところでございます。
地方税といたしましては,住民税と法人事業税などが減税の対象となるわけでございますが,昨日知事が申し上げましたとおり,地方財政に与える影響は甚大なものがあり,税・財政を所管する総務部といたしましても,極めて憂慮しているところでございます。
この税制改正に関しまして,地方としては,次の点で問題があると考えております。
まず第1に,法人事業税は本県税収の約3割を占める基幹税目であり,財政面に与える影響が極めて大きいことが挙げられます。
第2に,所得課税でございますが,現在,検討されております所得税10%の引き下げは,最高税率が適用される課税所得で申し上げますと,3,000万円以上の部分が対象になるのに対しまして,住民税の5%の引き下げは,課税所得で700万円以上の部分を対象としていることから,住民税納税者の減税適用範囲が所得税に比べて大幅に広くなると,この分,地方の減収分がより多くなるという点でございます。
本県の財政は,税収の伸び悩みに加え,過去の累次にわたる景気対策としての諸事業の実施等に伴い,公債費が増加しております。非常に厳しい状況にございまして,今後,県債の償還財源が一層必要となる中にあって,減税により自主財源の相当部分を失うこととなるとすれば,大変深刻な問題になると認識しております。
減税の内容については,現在,政府部内で検討が進められているところでございますが,ぜひとも地方への負担が過大なものとならないように,県議会の御指導もいただきながら,茨城県として,なし得る最大限の努力をしてまいりたいと考えています。
10 ◯議長(横田修平君) 企画部長高田順一君。
〔企画部長高田順一君登壇〕
11 ◯企画部長(高田順一君) 2002年
ワールドカップについての御質問にお答えいたします。
まず,
カシマサッカースタジアムの改修工事計画についてであります。
本年7月及び8月に,スタジアムの増築工事などの入札を行いまして,今回,これらのうち4件の工事請負契約につきまして議案を提出し,御審議をお願いしているところでございます。
この建設工事の予定といたしましては,できればこの秋に着工いたしまして,平成13年5月の竣工を目指して進めてまいりたいと思います。
工事期間中のJリーグの試合開催についてでございますが,工事を短期間かつスムーズに行うため,工事期間中は,スタジアムを全面閉鎖することが望ましいところでありますが,鹿島アントラーズのホームスタジアムであることや,地域住民の方々が地元での開催を強く望んでいることなどの諸般の事情を考慮しまして,可能な限り,
カシマサッカースタジアムで試合を行いながら,工事を進めていきたいと考えております。
このため,例年3月から11月にかけて行われておりますJリーグの公式戦の期間以外の時期に,集中的に工事を行う予定でございます。
しかしながら,その一方で
ワールドカップの開催に向け,限られた期間内での工事でございますので,照明や給排水などが使用できなくなること,屋根工事によりまして,観客の安全性が保たれなくなることなどによりまして,シーズン中であっても,スタジアムで試合を行うことが困難な期間が生ずることが予想されます。
このため,今後,県といたしましては,できるだけJリーグの試合の開催に支障の出ないよう,工事日程について十分調整したいと考えておりますが,一部の試合につきまして,スタジアムでの試合開催が困難となる場合が生ずるというようなこともあることにつきまして,御理解賜りますようお願い申し上げたいと思います。
次に,警備体制についてであります。
ワールドカップの開催に当たりましては,世界各国から選手,役員はもとより,報道関係者や多くの観客が訪れることとなるものと考えられますので,開催国といたしましては,これらの方々の安全を保障するための警備対策は,非常に重要なものと認識してございます。
このため,さきの
フランス大会におきましては,その警備状況の調査のため,県警察本部に警備担当官2名の派遣を依頼したところでございます。
また,大会運営の主体となる日本組織委員会におきましては,大会全体の警備計画を策定するため,警備専門委員会を本年10月を目途に設置する予定であります。この専門委員会は,警察庁などの関係省庁や開催自治体及び警察本部のほか,関係団体で構成されまして,要人警護やフーリガンに係る情報の収集管理や警察と民間警備のあり方などについて検討することとなっております。
このため,本県における警備対策としましては,日本組織委員会が設置する警備専門委員会の警備計画の検討経過を踏まえ,県警察本部と連携を密にしながら,本県での円滑な大会運営や安全かつ快適な観戦機会を提供できるよう,
フーリガン対策を初め,警備に万全を期してまいりたいと考えております。
次に,
ボランティアの育成・確保についてであります。
ワールドカップを成功させるためには,
フランス大会の例を見るまでもなく,多くの
ボランティアの方々の協力が不可欠であります。
2002年大会におきましても,
フランス大会と同程度の
ボランティアの確保が必要であると考えられますが,
ボランティアの確保と育成についての具体的な計画につきましては,今後,日本組織委員会において検討されることとなっております。
このような中で,
ボランティアの確保につきましては,幸いにも本県にはJリーグ開幕の年にカシマスポーツ
ボランティアが発足し,現在約400人が登録されておりまして,Jリーグ開催時には,駐車場案内や場内整備等を中心に幅広く活躍いただいているところでございます。
ワールドカップ開催時には,これらの方々に中核的な役割を担っていただきたいと考えておりますが,
フランス大会の例を見ますと,1試合1,000人程度の
ボランティアに活躍いただいておりますので,さらに広域的に幅広く掘り起こしを行いまして,
ボランティアの確保に万全を期してまいりたいと考えております。
また,
ボランティアを育成することも重要でございますので,今後,日本組織委員会における検討結果を踏まえながら,本県独自の
ボランティア育成計画を作成し,積極的に
ボランティアの育成に努めてまいりたいと考えております。
次に,キャンプ地の誘致についてであります。
キャンプ地に関する
フランス大会の例を見ますと,各国代表は,3週間程度のキャンプを行うものと見込まれ,屋外及び屋内練習場,ナイター設備などが各キャンプ地に整備されておりましたが,2002年
ワールドカップにおけるキャンプ地の条件につきましては,日本組織委員会において,今年度中に取りまとめる方針と伺っております。
したがいまして,現時点におきましては,県内においてキャンプ地の適地があるかどうか定かではございませんので,県といたしましては,今後,日本組織委員会の動向を踏まえつつ,キャンプ地を誘致するかどうかについて検討してまいりたいと考えております。
次に,
カシマサッカースタジアムの愛称募集についてであります。
カシマサッカースタジアムの正式名称は,「茨城県立
カシマサッカースタジアム」であります。鹿島アントラーズのホームスタジアムとして,そして,日本初の全席屋根つきサッカー専用スタジアムとして,全国的に名を知られるスタジアムとなり,テレビ,新聞などでは「
カシマスタジアム」が定着している状況でございます。
一方,近年,スポーツ施設にも正式名称のほかに,いわゆる愛称がつけられるものが見られるようになってきておりますが,この「カシマ」という名が,全国的に浸透していることも念頭に置きながら,今後の課題として研究してまいりたいと考えております。
12 ◯議長(横田修平君) あらかじめ申し上げます。
答弁は簡潔に,なるべく時間内に終わるようにお願い申し上げます。
衛生部長牛尾光宏君。
〔衛生部長牛尾光宏君登壇〕
13 ◯衛生部長(牛尾光宏君)
ダイオキシン類関連健康調査の今後の進め方についてお答えします。
去る8月28日に専門家や住民代表,さらには行政関係者から成ります健康調査検討委員会を開催し,実施計画の素案を示したところでございます。
その概略を申し上げますと,調査内容は,血液中の
ダイオキシン類の濃度検査,健康診断,居住歴などの生活状況関連調査,その他必要と認められる調査,とし,調査対象地区は,城取清掃工場周辺地区並びに同工場からの影響がないと見られる地区,そして調査対象者は,対象とする地区に10年以上居住する20歳以上の合計120人とする,などでございます。
しかし,この健康調査を実施するに当たりましては,血液の分析手法,健康診断の実施方法など,種々課題もございますので,検討委員会の委員から選出されました国立環境研究所の統括研究官や筑波大学社会医学系教授など,分析や公衆衛生などの専門家で構成する専門部会を来る9月24日に開催し,これらを検討することにしております。
そして,10月には調査の方法や対象を決定し,採血や健康診断に入り,調査結果につきましては,できるだけ早い時期に公表したいと考えております。
この今回の調査につきましては,調査対象の規模や調査の方法などにつきまして,国や全国の自治体からも関心が寄せられておりますので,精度の高い信頼性のある健康調査にしたいと考えております。
また,調査を実施する上においては,採血や健康診断を行うに際し,地域住民の理解と協力が不可欠となってまいりますので,今後とも住民の方々や関係する市や町と十分に協議をしながら,この調査を進めてまいりたいと思っております。
次に,
化学物質過敏症の対応についてでございますが,
化学物質過敏症は,現在のところ,正式な疾病としては認知されていない状況にあり,国におきまして,厚生省や関係省庁により,調査研究が行われている段階にあります。
化学物質過敏症とは,大まかな分類方法でも15万種類もあると言われております化学物質の中で,人によって,それぞれ異なる特定の物質に過敏に反応するというものでございまして,建物の塗装や消毒薬にも敏感に反応するため,病院にも行けない人がいるなど,対応は非常に難しくなっております。
しかしながら,このような健康被害で苦しむ県民がいるという事実を踏まえ,何らかの対策を講じる必要性があると考えています。
このため,昨年の8月から衛生部の薬務課を窓口としまして,
化学物質過敏症患者の会との情報交換を行ってまいりました。また,保健所におきましても,居住環境における衛生対策等に関する相談を受ける体制をとっております。しかし,
化学物質過敏症に関しましては,原因物質が多岐にわたり,因果関係の特定もなかなかできないということが多うございますので,適正な診断を受けるよう助言することのほか,具体的な指導には苦慮しているのが実情でございます。
この問題は,単に身体的な症状だけにとどまらず,その要因として,住宅や環境にまで広く関係してくるものと認識しており,さまざまな行政分野を挙げて取り組む必要性があるものと考えております。
現在,衛生部では,国の調査研究等の動向を初めとして,最新の情報の収集・提供に努めておりますが,今後は,関係部局による連絡会議等を発足させ,国との連携のもとに対応策などの検討を進めてまいります。
14 ◯議長(横田修平君)
生活環境部長長嶺家光君。
〔
生活環境部長長嶺家光君登壇〕
15 ◯
生活環境部長(長嶺家光君)
ダイオキシン対策についての御質問にお答えいたします。
まず,城取清掃工場の処理量の縮小についてでございます。
竜ヶ崎地方塵芥処理組合では,現在,1日当たりの可燃ごみの収集量150トンのうち,城取清掃工場で40トンを焼却し,残り110トンを民間に委託して処理しております。
現在,当該組合におきましては,来年4月に稼働予定の新しい焼却施設を建設しておりますが,その完成を待たずに,さらに操業を縮小,あるいはまた停止することとしますと,現在焼却している日量40トンのごみの取り扱いについて,その受け入れ先の問題や,新たな委託に伴っての経費の増加の問題が生じてまいります。
このため,県といたしましては,縮小あるいは停止に伴って生ずることとなるこれらの問題を解決するためには,受け入れ余力がある周辺の市町村に,焼却処理を委託することが,最も効果的であると考えておりますので,これらの施設での受け入れについて,竜ヶ崎地方塵芥処理組合の意向を踏まえながら,関係市町村との調整を行ってまいりたいと考えております。
今後とも,城取清掃工場に係る諸問題が円満に解決されるよう,積極的に努力してまりたいと考えております。
次に,鹿島地域の再
資源化センターと
RDF化施設の整備促進についてでございます。
この再
資源化センター計画につきましては,議員御指摘のとおり,一般廃棄物をRDF化して産業廃棄物と一緒に焼却し,電気や蒸気としてエネルギーを回収する資源循環型の計画でありますこと。また,一般廃棄物焼却炉の
ダイオキシン対策といたしまして,国の方針にも,県の広域化計画にも合致するものでありまして,ダイオキシンの発生を大幅に削減できること。さらにまた,センターの運営の大部分を産業廃棄物の処理料金で賄うなど,一般廃棄物の処理費用を大幅に軽減できることなど,多くのメリットがある事業でございます。
このため,再
資源化センターにつきまして,平成13年4月稼働を目標といたしまして,建設に向けまして,地元関係者の同意を得るべく調整を進めているところでございます。
また,当初,
RDF化施設は,1市2町それぞれが建設することといたしておりましたが,神栖町には再
資源化センターが建設されることから,1市2町の役割分担を図るため,
RDF化施設につきましては,鹿嶋市と波崎町の2カ所に建設することと変更いたしまして,現在,そのための準備を進めているところでございます。
この事業は,臨海工業地帯と1市2町が一体的に発展してきた鹿島地域の特徴を十分取り込んだ廃棄物処理における地域内完結型の先駆的なシステムでありますので,県といたしましても,新会社の設立や施設の整備に向けまして,積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
16 ◯議長(横田修平君) 土木部長不破眞君。
〔土木部長不破眞君登壇〕
17 ◯土木部長(不破眞君)
化学物質過敏症対策に関連する県営住宅の対応についてお答えいたします。
県営住宅を設計・施工する場合には,建設省が監修しております公共住宅建設工事共通仕様書に基づき,材料等を選定しているところであります。
近年,議員御指摘のとおり,
化学物質過敏症に関連いたしまして,
シックハウス症候群の問題が提起されてまいりました。そのため,建設省,厚生省,通産省,林野庁の4省庁が協力いたしまして,平成8年度に健康住宅研究会を組織し,平成10年3月に,室内空気汚染低減のための設計・施工ガイドラインが公表されたところであります。このガイドラインは,問題となりやすい
ホルムアルデヒドなどの3つの物質と木材保存剤など3つの薬剤を選定いたしまして,これらの低減を図る設計・施工の基本的な考え方や手法を取りまとめたものであります。
県では,このガイドラインを参考にしながら,安全な県営住宅の建設に努めてまいりたいと考えております。
18 ◯議長(横田修平君) 教育長川俣勝慶君。
〔教育長川俣勝慶君登壇〕
19 ◯教育長(川俣勝慶君) 児童生徒の不登校についての御質問にお答えいたします。
まず,適応指導教室の充実についてでございますが,適応指導教室は,不登校に陥った児童生徒が通う学校外の施設でございまして,現在,19市町村に設置さておりますが,ここに通った児童生徒のおよそ半数が学校に復帰するなど,不登校対策において大きな役割を果たしておるところでございます。
そのようなことから,県では市町村に対しまして,適応指導教室の設置を積極的に働きかけているところでございますし,県独自に運営費の補助制度を設けておるところでございます。国におきましても,従来から,不登校児童生徒の適応指導のあり方に関して調査研究を行う委託事業を実施しておりますが,平成11年度から,この事業の拡充について検討しているようでございますので,その動向等も把握しながら,適応指導教室の一層の設置促進を図ってまいりたいというふうに考えております。
また,施設や設備についてでございますが,適応指導教室の場所やそこに通う児童生徒の数に違いがあるなど,市町村の事情が異なりますので,差があることは事実でございますが,県といたしましては,各適応指導教室が与えられた条件の中で十分にその機能を発揮できるよう,引き続き運営についての指導・助言に努めてまいりたいというふうに考えております。
次に,茨城県版のチャイルドラインの創設についてでございますが,教育委員会としましては,従来,各教育事務所や教育研修センター等に教育相談の窓口を設けまして,専用電話を設置するとともに専任の相談員を配置し,児童生徒を初め,保護者や教職員からの相談に応じているところでございます。
そして,特に今年度からは,相談する人が一層利用しやすいものとなるよう,各教育事務所と教育研修センターの相談終了時間を,週のうち3日でございますが,それぞれ2時間延長したところでございます。
ところで,議員御提案の茨城県版チャイルドラインにつきましては,大変意義あるものと存じますが,これにある程度類似したものとして,国が,平成11年度,来年度から3年計画によりまして,24時間対応の「子どもホットライン」というものを全都道府県に設置することを検討しており,このほどその概要が示されたところでございますので,国の動向を見据えながら,教育相談体制の充実を図ってまいりたいというふうに考えております。
県といたしましては,今後とも児童生徒一人一人の状態に応じて,きめ細かに対応するという視点を重視しながら,各種の施策を積極的に展開しまして,不登校対策の一層の充実を図ってまいりたいというふうに考えております。
──────────────────────────
20 ◯議長(横田修平君) 次に,磯崎久喜雄君。
〔21番磯崎久喜雄君登壇,拍手〕
21 ◯21番(磯崎久喜雄君) 自由民主党の磯崎久喜雄であります。
通告に従い,知事初め教育長,警察本部長並びに関係部長に質問いたしますので,簡潔,明快なる答弁をお願いいたします。
質問に入ります前に,今回の水害により被害を受けた方々に,心からお見舞い申し上げますとともに,一刻も早く正常な生活に戻れますことをお祈り申し上げます。また,情報収集,救助,復旧作業など,昼夜災害対策に携わった関係者の御努力に対しまして,敬意を表する次第であり,あわせて,被災者に対する支援に万全を尽くされますよう,改めてお願いを申し上げます。
それでは,初めに,ひたちなか地区開発についてお伺いいたします。
ひたちなか地区は,県の中央部に位置するとともに,魅力あふれた海岸線を有し,行政,文化,政治の中心の県都水戸に隣接する優位性を有しております。
しかしながら,過去を振り返ってみますと,昭和13年に水戸陸軍飛行学校の設置のために憲兵の銃剣によって強制買収されたものであり,地主はやむを得ず土地を手放したものであります。先祖伝来の土地を失った地元民は,その生活のために筆舌に尽くしがたい労苦を強いられたわけであります。
その後,第二次世界大戦が終結しても,米軍の射爆撃場として利用されるようになりました。地元にとりましては,多数の死傷者や家屋の損壊など,生命と財産が直接脅かされる苦難の時代が続きました。地元民は,もとをただせば自分の土地であるという気持ちを持っております。今さらもとの地主に返すことは不可能でありますが,地元民の長い犠牲の上に立って現在があるというこの歴史的経緯を考慮すれば,ひたちなか地区の開発は,地元に大きなメリットをもたらすものでなければならないことは明白であります。今後のひたちなか地区開発は,完全に地元優先を貫かれるよう,改めて強く要望し,知事にその基本姿勢を伺うものであります。
ところで,本年の夏は,天候不順のため夏らしい夏ではなかったので,海水浴場への人出は極めて少なく,地元商工会議所や観光協会関係の皆さんは,大きな打撃を受けておりますが,次に伺いたいのは,とりわけ地元への影響が大きく,近く着工が予定されている火力発電所建設に伴う地元への効果についてであります。
発電所は,北埠頭全体の約6割強の面積を占め,出力100万キロワットの発電所2基で,約6,000億円と言われる大規模な施設であり,雇用,税収,両面でのメリットも大きなものが期待されております。
そこで,火力発電所建設に伴って地元の地域振興上,どのような波及効果が期待できるのか,知事にお伺いいたします。
次に,冒頭申し上げました水害に関連しまして,水害防止のための河川整備について土木部長にお伺いいたします。
昨日,石川議員も質問されましたが,私も,今回の那珂川の洪水によって被害を受けた地域に住んでいる者の代表として質問いたします。
まず,那珂川の堤防整備促進と水門設置についてであります。
今回の本県における水害は,那珂川上流部の栃木県那須町地域における記録的な集中豪雨によって,那珂川沿岸の市町村,ひたちなか市においては枝川,勝倉,柳沢,美多田,湊田中地区などで,昭和61年の大水害と同じように,家屋の浸水や田畑の冠水等再び被害を受けたわけであります。
今回は,前回の昭和61年よりは被害の規模が小さいとはいえ,8月28日,30日と2回にわたって同じ地区で被害を受けたわけでありますので,肉体的にも精神的にも相当参ったことでしょうし,今後も大雨のたびに,地域の住民は不安と恐怖におののいて暮らさなければなりません。
この住民の不安を解消するためには,早急に堤防を完成させるとともに,支流である中丸川や早戸川へ水が逆流するのを防ぐための水門を設置することが必要であります。
建設省が管理する109の1級河川の中で那珂川の堤防整備率は38%と,99位となっております。全国的に見ても,明らかに立ちおくれている那珂川の河川改修事業が,これまでのようなペースでは,地域住民の理解は到底得られません。今回,もし本県でも相当の雨が降ったとすると,ダブルパンチとなり,前回を上回る大水害になったと考えられ,ぞっとする思いでございます。
そこで,那珂川下流部,特に水府橋から海門橋にかけた区間の堤防と水門の整備促進に向けて,県としては,今後どのように国に働きかけていこうとしているのか,土木部長にお伺いいたします。
次は,中丸川の改修促進についてであります。
中丸川は,ひたちなか市の中心市街地から三反田,柳沢,美多田付近を経て那珂川に合流する河川でありますが,流域の市街化の進展に伴い流入水量がふえたことによってたびたびはんらんし,農作物等に慢性的な浸水被害が発生しております。沿川地域の方々にとりましては,大雨のたびに水浸しになってしまうこの川の整備は長年の悲願であり,昭和55年に河川改修事業が着手されましたが,その後は事業が中断されたような状況にありました。
私は,整備の必要性と緊急性にかんがみ,議員当選後初の議会において,中丸川改修問題を取り上げさせていただきました。その後,知事初め執行部の御努力により,改修工事が順調に進められるようになりましたこと,改めて感謝申し上げます。
しかしながら,北関東自動車道に直結し,当地域を通る東水戸道路の開通により,道路排水が河川に流入する計画であるとのことですので,さらに水量が増加すると思われますので,改修工事の早期完成を強く望むものであります。
そこで,地元の要望の強いこの中丸川の河川改修事業の整備見通しについてお伺いいたします。
次に,ひたちなか地区周辺の基盤整備について,土木部長にお伺いいたします。
御承知のとおり,ひたちなか地区は,国際港湾公園都市を目指し,着実に整備が進められております。とりわけ中核となる常陸那珂港は,いよいよ今年末に国内船が,また来年末には外国船が入港する予定であります。さらに常陸那珂港につながる北関東自動車道も,来年度末までには常磐自動車道まで開通することになっており,ひたちなか地区は本格的な都市の熟成に向けた基礎づくりが整いつつあります。
このような中で,今後,ひたちなか地区の整備が進むことに伴い,人や物の流れが活発化し,雇用の増進が図られるなど地区周辺への経済波及効果が大いに期待されると同時に,それを的確に受けとめられる地区周辺の道路や河川などの基盤施設の整備が不可欠であり,早急な対応が必要となっております。
そこで,まず,国道245号湊大橋の新橋整備について伺います。
この湊大橋は,ひたちなか地区や那珂湊の市街地と水戸方面を結ぶ那珂川に架かる重要な橋ですが,架橋後40年以上が経過し,老朽化しております。そして,交通量も1日に2万台以上と多いにもかかわらず,片側1車線で歩道がないため,朝夕の通勤者や通学者が,大変危険な思いをして通っております。今後は常陸那珂港の開港に伴い,交通量が増大することが予想され,交通安全面では必ずやますます危険な状況になると考えております。
このようなことから,私は,これまで何度となくこの湊大橋の架け替え,あるいは歩道橋整備について訴えてまいりました。執行部においても,新橋整備に向けて鋭意検討,調査していただいているようでありますが,できるだけ早く整備の方針を決め,建設に着手してほしいと期待しております。そこで,新橋整備の見通しについてお伺いいたします。
次に,県道水戸那珂湊線の整備についてであります。
この道路は,国営ひたち海浜公園のあるひたちなか地区から阿字ヶ浦,磯崎,平磯など特色ある海岸線を有する那珂湊地域を経て大洗に通じる幹線道路であり,一大観光地を支援する道路として大変重要であります。私は,21世紀の最大の産業は観光であると考えております。潮風を受けながら,海の恵みを感じられるこの道路こそ,県内随一の観光シーサイドラインだと思っております。
しかしながら,阿字ヶ浦から磯崎,平磯にかかる区間は,幅員が狭いため,特に海水浴シーズンには著しい渋滞が発生しており,観光客の誘導にも支障を来しております。このため地元としましても,この未整備区間を早急に整備していただきたいと強く望んでおります。私も機会あるごとに取り上げており,昨年の第2回定例会での質問に対し,土木部長から「できるだけ早くルートを確定するとともに,都市計画決定を行い,事業に着手できるよう努力する」との答弁をいただいております。そこで,この県道水戸那珂湊線の未整備区間の現在の取り組み状況と今後の見通しについてお伺いします。
次に,環境問題についてお伺いいたします。
まず,
ダイオキシン対策について
生活環境部長にお伺いいたします。
ことし6月,大阪摂南大学の教授が,竜ヶ崎地方塵芥処理組合ごみ焼却場の周辺住民の血液中における
ダイオキシン濃度が,通常の15倍から20倍にもなっているとの調査報告を発表しました。ダイオキシンは,がんや奇形を起こすと言われている猛毒であり,まことにショッキングな調査報告でありました。特にその直前には,県が平成10年版環境白書を公表し,その中のダイオキシン特集において「当地区の大気,土壌及び井戸水の
ダイオキシン濃度は一般的な環境濃度にある」と結論づけておりましたので,その衝撃は倍増しました。
地元住民の方にとりましては,この焼却場から高濃度のダイオキシンが排出されているのかいないのか。排出されているとすれば,それは自分たちの健康に,また子供たちや後の世代に影響があるのかないのか,ということが心配なのでありまして,自分の住んでいるところが,猛毒のダイオキシンに汚染されているかもしれないという不安により,夜も眠れなくなるというのは至極当然なことであります。こうして,焼却施設の存在は,住民や数多くの市町村にとって大きな不安材料になっております。そこで,
ダイオキシン対策の現状と今後の取り組みについて,
生活環境部長にお伺いいたします。
次に,今日の環境問題の中で最もホットな話題であります人類を滅ぼしかねない環境ホルモンについて,お伺いいたします。
一部の学者から,この環境ホルモンに関して,学校給食で使用しているポリカーボネイト製の食器から,環境ホルモンの一種であるビスフェノールAが溶け出すという報告が出されております。
先ごろ,文部省から全国の学校におけるポリカーボネイト製食器の使用状況が発表されました。それによりますと,小中学校3万909校中1万2,409校,全体の半数近くである40.1%の学校が,使用しているとのことであります。ビスフェノールAは,このポリカーボネイト製食器に熱湯や油を入れると溶け出すと言われており,成長過程にある小学生,中学生に使用するのは,まことに恐ろしいことであると思うわけであります。
そこで,学校給食にポリカーボネイト製食器を使用している学校に対して,県教育委員会はどのように対応していくのか,教育長の御所見をお伺いいたします。
次に,平成12年度からスタートする介護保険制度について,実施に当たっての問題点や現在の取り組み,そして県の果たす役割について福祉部長にお伺いいたします。
今月15日は敬老の日でありますが,生きとし生けるもの,人はだれでもやがて必ず高齢者となります。
介護保険制度は,現在,福祉と保健医療とに分かれている高齢者の介護サービス事業を一体的に再編し,社会保険方式により社会全体で支えようとするものであります。高齢者が残された能力を最大限に生かし,できるだけ自立し,尊厳を持って生活できるように支援するため,福祉,保健,医療サービスを総合的に,多様な事業主体から効率的に提供することを目指しております。
この法律の成立までの経過を見てみますと,参議院で19項目,衆議院で16項目の附帯決議がなされており,政府に適切な措置を講じる努力を求めております。このことは,いかにこの介護保険制度の実施に当たって課題が多いかということを如実に物語っているわけであります。
市町村にとりましては,今後,介護サービス基盤の整備が大きな課題であり,早くも市町村間で介護サービスに格差が生じることが懸念されております。介護サービスの劣る町から介護サービスのよい町へと,住民が移動したり移住したりするようになってはいけません。
私の政治理念は,1人が100歩進むより100人が1歩進む,格差のない社会をつくりたいということであります。知事がよく言われる,住んでよかった,生まれてよかった茨城県にするためにも,このような格差が生じてはなりません。
そこで,まず第1に,保険料を納めていても満足なサービスが受けられない介護サービス後進県とならないようにするために,基盤となるホームヘルパーなどのマンパワーの確保や施設整備について,第2に,市町村間の格差を生じさせないためにどのような方策をとろうとしているのかを伺います。
次に,精神障害者の社会復帰促進について,衛生部長にお伺いいたします。
精神障害者福祉施策は,平成7年の法律改正によって明文化されたところでありますが,3年を経過した現在,いまだに他の障害者に比べ,施設の整備に大きな立ちおくれが指摘できます。
このような情勢の中,私の地元でありますひたちなか市におきまして,このたび,地域住民の積極的な活動により,精神障害者のための授産施設が整備されることとなりました。このような取り組みは,全国的にも類例の少ないものでありますので,ここで御紹介をさせていただきたいと思います。
一般の事業所で働くことが難しい障害者が自活できるように,必要な訓練や指導をする施設である精神障害者授産施設を,市民の自発的な集まりである「はまぎくの会」は,地元企業や農業協同組合,また多くの市民の皆さんの賛同を受け,そして,社会福祉法人としても認可され,国や県,ひたちなか市と東海村から補助金を受け,1,000名を超す多くの市民の方々からの寄付金2,000万円と合わせ,間もなく着工の運びとなっております。ひたちなか市や東海村の福祉に対する熱意と障害者福祉に対する深い理解,地元ひたちなか保健所の適切な指導のもと,まさに官民一体となった取り組みであり,私も非常に感銘をいたし,できるだけのお手伝いをさせていただいたところでございます。
精神障害者に対する誤解や偏見などがまだまだ多く残っている中で,家族会や
ボランティアの皆さんが起こした活動が,今実ろうとしております。このような活動は全国的にもまれなことであり,やがて完成する施設において,障害者の方お一人お一人が心豊かに生活でき,少しでも社会復帰促進の役に立つことができるよう念じるところであります。
以上,住民主導でこぎつけた全国でも初めてと言われる「はまぎくの会」の事例を申し上げましたが,県は,精神障害者への保健福祉行政にどのように取り組んでいくのか,衛生部長にお伺いいたします。
次に,カンショの振興対策について,農林水産部長にお伺いいたします。
ひたちなか市のカンショは,市の畑面積1,730ヘクタールのうち,約70%に相当する1,180ヘクタールにカンショが作付されている県内有数のカンショ産地であり,また干し芋については,全国の生産額の約62%を占める日本一の干し芋産地であります。このように,カンショはひたちなか市の農業粗生産額の80%以上を占める最も重要な作物となっており,特に生食用カンショについては,県の銘柄産地にも指定されているところでございます。
しかしながら,カンショの生産現場においては,重量のある作物であるため,収穫作業は重労働が伴い,また消費の伸び悩みなどが大きな課題となっております。このような現況から考えますと,現在のまま推移するようならば,県下有数のカンショ産地の存続も危ぶまれるのではないかと危惧するものであります。
私は,このような状況の中,今後,カンショの振興を図るためには,収穫作業の条件の緩和を進める機械化の促進や品質・収量を向上させるウイルスフリー苗の普及による品質の向上と単価のアップを図り,カンショ生産農家の労力軽減と所得向上策を積極的に進める必要があると考えます。
また,私は一般消費者がカンショに,より関心を高める方策を考えることも重要であると考えます。このため,例えば消費者が干し芋をすぐれた自然食品,健康食品として科学的に理解し,親しみを持ってカンショに触れ,さまざまな体験をし,カンショの歴史や文化が学べるとともに,アンテナショップや販売拠点的機能を持ち,いわば「総合かんしょランド」といった施設を整備することにより,消費者の関心や購買意欲を高めるとともに,カンショ生産農家に夢と希望を与え,さらには所得の向上にもつなげることができるのではないかと考えるものであります。
そこで,カンショの振興方策とあわせて,このような「総合かんしょランド」構想について,具体化に向けた地元の対応や県の支援の考え方を含めて,農林水産部長の御所見をお伺いいたします。
最後に,交通事故防止対策についてお伺いいたします。
本県の交通事故による死亡者数は,過去3年を見ましても,平成7年には418人で全国ワースト第9位,平成8年には385人で全国ワースト第7位,そして昨年は,死者が397人,前年を12人上回り,全国ワースト第4位に位置し,交通死亡事故多発上位県となっており,千葉前県警本部長は,これを県民性と文化の問題だと指摘されました。まことに憂慮すべきであり,重要な問題と事態を考えなければなりません。
警察署ごとの交通死亡事故の状況を見てみますと,統計を取り始めた昭和31年以降過去40年間の記録では,大子警察署が511日間,交通死亡事故がゼロという記録を持っておりましたが,ひたちなか東署は,昨日の9月8日までで既に670日間のゼロ記録を続けております。これまでの記録を大幅に塗りかえるとともに,毎日毎日新記録を更新中であります。この大記録達成に当たっては,本日傍聴されている交通安全母の会を初め,地区交通安全協会,地区安全運転管理者協議会など関係団体の皆様が,市民とともになり雨の日も風の日も,交通安全活動に積極的に取り組まれていただいているたまものであります。
交通事故は,直接市民の生命,身体にかかわる身近な問題でありますから,警察はもとより,市町村を初めとする関係機関,
ボランティア関係団体等が連携し,市民ぐるみで安全で快適な交通社会を構築していくことが重要であり,ひたちなか東署は,そのモデルとなるのではないかと考えております。
そこで,県警察においては,交通死亡事故を抑制するため,さまざまな対策を推進されているところと思いますが,本年の交通事故の発生状況と実態を踏まえ,今後いかに交通死亡事故を抑制していくのか,お考えを伺うものであります。
また,今日「くるま社会」といわれていることから,モータリゼーションの進展が我々にもたらす恩恵は,はかり知れないものがあります。しかしながら,交通戦争とまで呼ばれるこの「くるま社会」の現実は,その恩恵と引きかえに環境面,エネルギー面,市民生活への支払う代償も,また大きなものであることを同時に物語っております。こうした中で,成熟した「くるま社会」にふさわしい人と車の関係について,言いかえれば,人と車が共生する社会のあり方について,今,まさに問い直されていると言えるでしょう。
そこで,今後,社会における高齢化の進展が予想される中で,車と人間がともに生きる共生社会,いわば成熟した「くるま社会」をどのようにイメージしているのか,警察本部長の御所見をお伺いいたします。
以上で,私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
22 ◯議長(横田修平君) 磯崎久喜雄君の質問,質疑に対する答弁を求めます。
知事橋本昌君。
〔知事橋本昌君登壇〕
23 ◯知事(橋本昌君) 磯崎久喜雄議員の御質問にお答えいたします。
初めに,ひたちなか地区開発の基本姿勢についてでございます。
ひたちなか地区の開発につきましては,これまでも昭和56年に,国有財産中央審議会から答申されました,いわゆる「処理大綱」や,昭和60年に県と地元市村により策定されました国際港湾公園都市構想に基づきまして,地元市村の意向を十分に踏まえながら進めてまいったところでございます。
ひたちなか地区におきましては,常陸那珂港の建設や国営ひたち海浜公園の整備,北関東自動車道の建設,さらには工業団地の造成や土地区画整理事業などが進められてまいったところでございます。
また,市街地地区におきましては,ひたちなか保健所,県営ひたちなかアパート,ひたちなか市総合運動公園などの公共公益施設等が整備され,地元ひたちなか市や東海村の多くの住民の皆様に御利用いただいておりますほか,地域産業の高度化支援施設であるひたちなかテクノセンタービルの建設や広域型商業施設の導入により,徐々に都市としてのにぎわいが生まれてきているところでございます。これらの事業の推進に当たりましては,地元市村の要望を第一に進めてまいったところでございます。
本年末の常陸那珂港への第一船の入港や来年度中に予定されます北関東自動車道と常磐自動車道との接続など,ひたちなか地区の開発はこれから重要な節目を迎えていくわけでありますが,国際港湾公園都市を実現していくに当たりましては,御指摘にありましたように,地元市村の御要望を踏まえ,十分に協議,調整を図りながら推進してまいりたいと考えております。
次に,石炭火力発電所の地域波及効果についてでございます。
常陸那珂火力発電所は,常陸那珂港北埠頭地区内におきまして,東京電力株式会社及び電源開発株式会社が,出力100万キロワットの石炭火力発電所をそれぞれ1基ずつ建設するものでございまして,東京電力1号機は,本年12月に建設に着工し,平成14年7月に運転開始する計画であり,電源開発1号機は,おおむねこの2年おくれとなる見通しでございます。
議員御案内のとおり,この発電所の建設に要します事業費は,発電所本体の建設費用が約6,000億円,港湾建設に対する負担などの土地造成費用まで含めますと総額で約7,000億円に上ると見込まれており,周辺地域に対しましても,さまざまな効果をもたらすものと考えております。
そこで,現時点で見込まれる具体的な波及効果についてでございますが,まず,合計出力200万キロワット規模の石炭火力発電所の立地に対します,いわゆる電源三法交付金といたしまして,国から電源立地促進対策交付金が交付されます。この交付金は,住みよいまちづくりの基盤を整備するため,地元地域の道路などの公共施設や産業振興施設の整備に充てるためのものでございまして,現在の交付基準によりますと,発電所所在の東海村及び周辺市町村内で行われる各種の事業に対しまして,総額で88億円を限度として交付されると見込まれております。
また,地元市町村におきましては,火力発電所の建設や運転開始に伴いまして,固定資産税や法人・個人の住民税,港湾の利用に伴う特別とん譲与税などの新たな税収が生じてまいります。
さらに,発電所建設の最盛期には,約2,000人の作業員が建設に従事するものと見込まれておりますほか,運転開始後におきましても,保守・点検などの発電所関連業務に新たな雇用が発生するものと考えられております。
このほかにも,工事用資材・機材の地元発注が見込まれますとともに,建設作業員や発電所職員の増加に伴う新たな住宅需要の発生や生活関連費用の地元での支出が期待できるなど,火力発電所の立地は,周辺地域に大きな波及効果を及ぼすものでありますことから,地元や周辺市町村の振興に貢献するものと考えております。
24 ◯議長(横田修平君) 土木部長不破眞君。
〔土木部長不破眞君登壇〕
25 ◯土木部長(不破眞君) 初めに,水害防止のための河川整備についてお答えいたします。
まず,那珂川の堤防整備と水門設置についてであります。
御承知のとおり,昭和61年8月の集中豪雨による被災後,建設省では,直ちに激甚災害対策特別緊急事業,いわゆる激特事業に着手し,5年間で水戸市万代橋付近の左右岸延べ3,080メートルの堤防が完成いたしております。
議員お尋ねの水府橋付近の下流部につきましては,昭和63年度に,右岸側の水府橋より下流340メートル区間と左岸側の万代橋より下流約4,370メートル区間合わせまして,4,710メートルの区間を緊急改修区間に設定し,現在,緊急改修事業と床上浸水対策特別緊急事業により,堤防と水門などの整備が進められているところであります。
この結果,激特事業区間と緊急改修区間を合わせました区間における整備率は,現在71%となっております。現在のところ,平成12年度完成を目途に堤防整備が進められておりますが,今後はさらに完成が早まるよう国に働きかけてまいりたいと考えております。
なお,この緊急改修区間に含まれております那珂川支川の早戸川では水門工事が,鳴門川では樋管工事が実施されておりまして,平成11年度に完成することとなっております。
また,その他の未改修の区間につきましては,今後,国におきまして,今回の被災状況をもとに,新たな改修方針が示されるものと考えております。県といたしましては,被災の受けやすい区間を重点に,新たに整備区間となるよう国に強く働きかけてまいります。
次に,中丸川の改修についてでございます。
議員御案内のとおり,中丸川は,ひたちなか市の中心市街地から那珂川の下流部左岸に流入する河川であります。本河川の流域におきましては,急速な市街化の進展によりまして,雨水の流出増加があることから,河道整備と調節池を組み合わせました改修を進めているところであります。
まず,河道整備についでありますが,那珂川との合流部から上流6.4キロメートルの区間につきましては,当面,本郷川合流点までの2.7キロメートルの区間の整備を重点的に推進することといたしております。
現在,堤防の拡幅に必要な用地取得と,流水の障害となっております橋などの構造物の改築を優先的に進めており,これまでに用地取得を完了,県道橋の柳沢橋と市道の橋梁合わせまして,2橋の架け替えも完了いたしております。
今年度は茨城交通湊線の鉄道橋が完了し,さらに市道の橋梁3橋の架け替えに着手することにいたしております。
また,河道の掘削や築堤工事につきましては,平成8年度から実施いたしておりますが,常陸那珂港のアクセス道路であります東水戸道路の供用開始に間に合うよう,事業の進捗を図ってまいります。
次に,調節池の整備についてでありますが,洪水時の雨水流出の抑制を図るため,上流部の長堀地区に多目的遊水地を計画し,整備を進めております。今後も引き続き地元ひたちなか市とともに,用地の進捗を図ってまいります。
県といたしましては,中丸川を重点整備河川と位置づけしまして,今後とも地元の協力を得ながら,効果的な河川改修に努めてまいります。
次に,ひたちなか地区周辺の基盤整備についてお答えいたします。
まず,国道245号湊大橋の新橋整備の見通しについてであります。
茨城県は,日本の頭脳が集約する筑波研究学園都市を有しており,先端技術の振興には非常に恵まれた環境にあります。さらに,これらの集積が有する先端技術を本県中小企業に移転させ,本県の産業を強化していくことも重要であると考えております。
そこで,ハイテクは茨城から,と言われるような思い切った政策が必要だと思いますが,科学技術の振興及びその活用について,知事の考えをお聞かせ願いたいと思います。
次に,筑西地方拠点都市地域の振興について企画部長にお伺いをいたします。
筑西地域については,地方定住を促進し,業務機能の地方分散を進めることにより,東京一極集中の是正を図ることを目的として,平成8年3月に,下館市を初め地元8市町村が,筑西地方拠点都市地域基本計画を策定し,知事の承認を受けたところであります。現在,この基本計画に基づいて,各種の事業が進められております。
このうち拠点地区であります下館市嘉家佐和地区につきましては,地域振興整備公団が主体となりまして,事務所や研究所などの業務施設を団地として整備する,いわゆるオフィス・アルカディアの検討が進められていると聞いております。
現在,筑西地域は,北関東自動車道の全線が事業化され,また,国道50号バイパスや国道294号バイパスの整備が進められているところですが,これらの広域交通体系の整備と相まって,オフィス・アルカディアの建設は,地域振興を図る上で重要であり,早期事業化が期待されているところであります。
県は,筑西地方拠点都市地域の整備をどのような方向で進めるのか,また,嘉家佐和地区におけるオフィス・アルカディアについて,どのように対応していくのか,企画部長にお伺いをいたします。
次に,農業問題について農林水産部長にお伺いをいたします。
食糧は,言うまでもなく,人間の生存にとって不可欠であるばかりでなく,体と心のあり方の基礎を形づくるものでもあります。私は,従来から,食糧の安定供給なくして社会の安定,県民の安心と健康の維持はあり得ないものと考えております。
我が国においては,経済の発展に伴い,国内で生産できる食糧と海外から輸入する食糧とを組み合わせて,これまでの豊かな食生活を実現してきましたが,世界及び我が国の経済社会が大きく変化していく中で,将来にわたり,いかなる事態が生じても,食糧供給の安定を質,量ともに確保していくことは,社会生活の安定と安心の基盤をなすものであります。
しかしながら,我が国においては,国内農業生産により賄われる食糧供給の割合,いわゆる食糧自給率が年々低下傾向にあり,平成7年度におけるカロリーベースでの自給率42%のうち,穀物自給率は30%でありまして,アメリカ合衆国の109%,フランスの222%,さらにイギリスの105%など,主な先進国の穀物自給率と比べて,極めて低い水準にとどまっております。
本県は,全国第3位の農業粗生産額を誇る全国でも有数な農業県であります。全国的に農業従事者の減少や高齢化が進む中で,大生産県である本県において,大規模で低コストの農業や先端技術を活用した収益性の高い農業など,魅力とやりがいのある農業経営を率先して育成していくことが,ひいては我が国の食糧安定や自給率向上につながっていくものと確信しております。
私の地元,下館市では,意欲と創意に満ちた担い手が農業生産基盤を整備し,大規模で効率的な農業生産の実現に向けて大変な努力を傾注しているところであります。
そこで,県は,これらすぐれた経営感覚を持った意欲と創意に満ちた担い手に対し,どのような支援策を講じようとしているのか,農林水産部長にお伺いをいたします。
また,本県の農業粗生産額の44%を占める園芸部門におきましても,平成7年度の自給率は,野菜が85%,果実が49%で,やはり年々減少傾向にあります。
中でも輸入野菜は,近年増加傾向にあり,従来は,食生活の多様化・簡便化や加工・業務用需要を背景に,冷凍野菜などの加工品の輸入が中心であったものが,最近では,加工品に加え,生鮮野菜の分野にまで輸入量が増加してきている状況にあります。
これは,鮮度保持輸送技術が革新されたことにより,国内の生産状況や国内価格の水準,あるいは為替の変動等のいかんによっては,生鮮野菜も輸入されるような時代になってきたことを示しております。
これ以上,我が国の自給率を下げないためにも,本県園芸の振興は非常に重要な課題であると考えております。
私の地元の県西地域は,県下45の銘柄産地のうち約4割を,また,園芸部門の粗生産額の約3割を占めるなど,大変園芸作物の生産が盛んな地域でありまして,生産者の減少や高齢化が指摘されている中で,担い手の生産意欲減退などにつながることがなければよいものと,いつも危惧しております。
そこで,本県園芸のさらなる生産振興方策について農林水産部長にお伺いをするものであります。
次に,中心市街地の活性化を支援する道路整備事業について,土木部長にお伺いをいたしますが,その前に,4年前,当選と同時にお願いしておりました小川女方線が,おかげさまで11月に一部供用を開始することになりました。小川女方線の整備は,地域活性化のために大変重要な路線であり,地元といたしましても,この供用を待ち望んでいたところであります。
今回の供用開始につきましては,橋本知事初め,関係者の皆様の御尽力に対し,この場をおかりしまして,厚く御礼申し上げる次第であります。
さて,近年,消費者性向の変化,モータリゼーションの発達などにより,従来型の商店街が地盤沈下を起こす一方,郊外などにおいて駐車場を完備した大規模小売店が,今後一層進出することが予想されるなど,商業集積のあり方が大きく変わってきております。このため,かつてにぎわいを見せていた中小都市の目抜き通りには,若者の姿が見られなくなるなど,人通りが減少しております。これに伴い,商店街が歯抜け状態になるなど,その存立基盤を大きく揺るがしております。しかし,都市の中心市街地が,地域コミュニティーの形成を核とした経済及び社会活動に果たす役割は,高齢化社会の到来を迎えるに当たり,ますます重要性を増すものと考えております。
これらの背景を踏まえ,人々の交流の場であり,街の顔でもある中心市街地ににぎわいを取り戻すことを目的とした中心市街地活性化法が,今年5月に成立したのを受け,目抜き通りの整備改善や商業などの活性化を一体的に推進するための施策が進められているところであります。これらの施策の中でも,道路整備を中心とした都市施設の整備は,魅力ある商店街に生まれ変わる手段として,特に重要であると考えております。
そこで,下館駅から国道50号に至る下館市の目抜き通りである稲荷町線の整備についてお伺いをいたします。
下館市は,古くから県西地域の商業流通の拠点として発展してまいりました。特に下館駅北口は,中心商店街,市役所などがあり,市の中心的機能を兼ね備えております。また,市街地の活性化に向けた中央地区市街地再開発事業やシビックコア計画など,都市機能の充実が期待されているところでもあります。
しかしながら,古くから栄えた他の地方都市同様,道路が狭い,駐車場がない,あるいは商店街の近代化がおくれているなどの理由で,客離れが進んでおり,商店街が非常に寂しい状態になっております。このため商店経営者も,この通りの衰退に大変危機感を抱いておりまして,稲荷町通りを元気のある街に再生しようという活動が最近,特に盛り上がりを見せております。特に,稲荷町通りの商店経営者などで構成される稲荷町まちづくり委員会による商店活性化セミナーの開催,広報誌の発行及び商業近代化実施計画の策定など,みずからのまちづくりに非常に熱心に努力されております。
この活動の中におきまして,稲荷町線の整備は,商店街活性化の起爆剤として,最重要課題として位置づけられております。稲荷町線,県道下館停車場線は,昭和32年に都市計画決定がなされ,先ほど申し上げました筑西地方拠点都市基本計画におきましても,重点整備路線として位置づけられております。この路線の整備につきましては,既に国道50号交差点から中央再開発事業地区までの約140メートルにつきましては,整備が進められておりますが,さらに,中央再開発事業地区から下館駅までの約500メートルにつきましても,市街地の活性化を図る上で緊急な整備が必要であると考えております。
そこで,稲荷町線の整備に関しまして,現在,整備中の区間の整備の見通し及び未整備区間の今後の整備計画についてお伺いをいたします。
次に,50号バイパスの整備についてであります。
国道50号バイパスの整備につきましては,今年度当初,下館バイパス及び結城バイパスの一部が相次いで供用が開始されたところであります。また,北関東自動車道の建設も順調に進んでおりまして,この北関東自動車道が整備されれば,国道50号は下館・結城方面から,岩瀬下館インターチェンジへの主要なアクセス道路として,より一層の交通量の増加が予想され,国道50号は,県西地域における東西軸として,ますます重要になってくると考えております。
そこで,国道50号のうち,北関東自動車道の岩瀬下館インターチェンジから新4号国道までの区間の今後の整備の見通しについてお伺いをいたします。
また,国道294号バイパスの整備についてでありますが,国道50号が,県西地域における東西軸とするならば,国道294号は,県南・県西地域を結ぶ重要な南北軸であります。現在,国道50号以北につきましては,4車線での整備が完了しており,国道50号以南の4車線化につきましても,早急な整備が望まれているところであります。
そこで,今年度新たに事業化された国道294号バイパス下館南工区の今後の整備の見通しについて,お伺いをいたします。
次に,県南及び県西広域水道用水供給事業の料金改定について,企業局長にお伺いをいたします。
水は,私たちが健康で快適な生活を営む上で欠かせないものであり,生活水準の向上や人口増加に伴い,その需要はますます増加しております。この水を住民に安定的に供給する水道事業は,行政の最も重要な事業の一つでもあります。
そもそも水道事業は,住民の日常生活に直結するものであることから,住民に最も身近な市町村が行う事業であります。しかし,個々の市町村が単独で事業を実施するには,水源の確保や浄水場の建設など,財政的に大きな負担となることから,県の企業局が水道用水供給事業として,市町村の配水場に水道水を送っているわけであります。
現在,本県の水道普及率は86.1%であり,全国下位にあることから,今後とも普及率の向上を図り,県民福祉の増進を図るためには,この広域的な水道用水事業の役割が,ますます重要になってまいります。
さて,今回は,その水道用水供給事業の料金の改定についてお伺いをいたします。
昨今,新聞紙上をにぎわしておりますが,企業局においては,来年4月をめどに,県南及び県西地域の市町村へ供給している水道水の料金を改定するということで作業が進められております。水道用水供給事業は市町村に対する,いわゆる水の卸売業であることから,今回の料金改定は,卸値の値上げということになります。しかしながら市町村においても,その値上がり分をいつかは水道料金に上乗せすることになるので,最終的には,県民の負担増加になるわけであります。
水道料金の値上げの情報は,不況にあえぐ一般県民の感情を逆なでし,県南の一部地域では,反対運動が広がっております。料金の値上げは,一般家庭はもちろん,水道水を使うさまざまな事業者に影響を与えますので,住民感情としては,これを撤回してほしいということも理解できるところであります。
一方,水道用水供給事業は,一般会計から独立した公営企業会計でありまして,独立採算のもとに実施している事業であることから,受益者の負担は当然のことであり,また,事業が赤字であり経営が悪化しているならば,健全経営を図るための対策を進めることも当然のことであります。
これらのことから,料金改定に一番大切なのは,十分な説明と環境づくりであります。現在の経営状況とこれまでの経営努力,そして今の状況を訴え,関係機関との協議を始め,県民の皆さんにその必要性を十二分に理解していただかなければならないと思うのでありますが,企業局長にお伺いをいたします。
次に,学校教育における平和教育の推進について,教育長にお伺いをいたします。
最近,学校では,校内暴力,いじめ,不登校,中途退学,学級崩壊などの数多くの問題が起こっています。平和になれ,平和に甘える風潮の中で,平和のとうとさを踏みにじるような事件が,毎日のように新聞紙上をにぎわせているのを見るにつけ,私は,我が国の将来が心配でなりません。
戦後,日本の奇跡的な繁栄は,50余年にもわたる平和の維持があったからこそであります。我が郷土が生んだ国民栄誉賞に輝く故吉田正先生が作曲された「異国の丘」が,NHKののど自慢で初めて歌われたとき,出場者が歌い終わってしばらく会場がしーんと静まり返り,ラジオが壊れたのかと思ったら,しばらくして司会者が「会場の皆さんが泣いています。」と一言言いました。昼食をとっていた全国の国民は,はしを持ったまま涙をこぼしたあの日から50余年……,平和を取り戻した日本は大きな発展を遂げました。
その平和は,出征された半数以上の方々が,帰らぬ人となったさきの悲惨な大戦の上に築かれたものであるということを忘れてはならないと思います。〔「その戦争を起こしたのはだれなんだ」と呼ぶ者あり〕
また,世界に目を向ければ,冷戦構造は終わったとはいうものの,依然として戦争の危険をはらみつつ動いているのが現実であります。
戦後世代が日本のリーダーになりつつある中で,戦争の悲惨さを忘れ,戦争をとめるための戦争を肯定するという風潮も生まれる昨今であり,我が国が世界の戦争の流れに巻き込まれる,あるいは積極的にかかわっていく可能性も否定できない状況にあります。再び「いつか来た道」をたどる危険性があるように思われます。
このような中で,沖縄や広島,長崎を訪れ,戦争の悲惨さを自分の目で見,耳で聞き,体験した子どもたちは,もう二度と戦争はすべきでないと本能的に体に焼きつけて帰って来ております。これはすばらしいことだと思います。改めて平和教育の大切さを痛感し,ぜひすべての子どもたちに,このような貴重な体験をさせてやりたいと思う次第であります。
戦後50余年を経て,悲惨な戦争の体験を語れる世代も少なくなってきております。このような中で,学校教育において生きた平和教育を行うことの意義は極めて大きなものがあります。今後,二度と戦争を起こさないためにも,また,日本の,そして世界の平和をリードするすばらしい人材を育成するためにも,子どものときからの平和教育の充実が必要であると考えますが,教育長の御所見をお伺いいたします。〔「そのとおり」と呼ぶ者あり〕
以上で質問を終わりますが,答弁は簡単明瞭にイエスということでお願いいたしまして,再質問はいたしませんので,よろしくお願いいたします。(拍手)
〔「従軍慰安婦に賛成した人の質問とは思えない,すばらしい」と呼ぶ者あり〕
41 ◯副議長(渡辺政則君) 新井昇君の質問,質疑に対する答弁を求めます。
知事橋本昌君。
〔知事橋本昌君登壇〕
42 ◯知事(橋本昌君) 新井昇議員の御質問にお答えいたします。
まず,豊かで公平・公正な県政づくりについてでございますが,平成7年に生活者の視点から県づくりを考え,「新しいゆたかさ」と「かがやく未来」を目指し,たゆみない努力を続けることによって,「愛されるいばらき」を創造していくことを基本理念として,長期総合計画を策定いたしました。この理念に基づき,県民だれもが日々の生活の中で「もののゆたかさ」と「こころのゆたかさ」をあわせ持つゆとりと潤いのある「新しいゆたかさ」の実感できる社会を実現するため,県政を推進しているところであります。
議員御質問の,豊かで公平・公正な県政づくりは,まさにこの「新しいゆたかさ」を実現することであると考えております。そして,そのためには,安全,快適で魅力ある生活環境のもとで,健康で安心して生きがいを持った生活を営めることが基本であります。
このため,大変厳しい財政状況の中ではありますが,本格的な少子・高齢社会への対応や,まだまだ不十分な生活関連の社会資本の整備などに重点を置きながら,「明日のいばらき」づくりを進めているところであります。
特に福祉面につきましては,介護保険制度の本格的な実施に向けての人材の確保や施設の整備,あるいは地域ケアシステムの充実などを進めますとともに,ノーマライゼーションの理念のもとに各般の施策を進め,高齢者や障害者を含むすべての方々が,安心して暮らせる社会づくりを目指してまいります。
さらに医療面におきましては,中核病院や地域がんセンターの整備促進,地域リハビリテーションシステムの構築,救急医療体制の充実など,県民だれもがいつでも,どこでも,安心して医療サービスが受けられる体制づくりを進めるなど,県民が健康で明るく過ごせる生活の実現に努めていきたいと考えております。
加えまして,日常の生活を支える道路や下水道など生活環境の整備を進めますとともに,交通安全施設の整備や防災体制の充実などにも積極的に取り組み,安全でしかも快適に暮らしていける環境づくりを目指しているところでございます。
こうした基本的な条件が整備された上で,長寿社会をだれもが生き生きと楽しむことができることが必要であります。そのため,働きがいのある雇用環境の整備を促進しますとともに,生涯学習センターの整備を進め,多様な学習機会を提供するなど,生きがいの持てる地域社会づくりを進めてまいりたいと考えております。
このように,日々の生活の中で真の豊かさを実感できる県づくりを積極的に進め,県民一人一人が将来に夢と希望の持てる「愛されるいばらき」の実現に全力で取り組んでまいりたいと考えております。
次に,科学技術の振興についてでございます。
来るべき21世紀に資源の少ない日本が,世界の中で現在の立場を維持していきますためには,そして国民が便利で豊かな生活を享受していきますためには,科学技術の振興が極めて重要でありますことは,私も議員と全く同感であります。
科学技術につきましては,世界的な大競争の中で,日本はアメリカなどに比べ,かなりおくれをとっていると言われております。国におきましては,科学技術基本計画を策定し,科学技術立国を目指すこととしているところでありますが,特にその中でつくばについては,唯一具体的に固有名詞入りで記載されており,中心的役割を果たしていくことが,大いに期待されているところでございます。
私どもといたしましては,世界と競争していくには,一自治体単位では到底無理があるところから,国がつくばにもっともっと力を入れ,科学技術中枢拠点都市として育成整備すべきであると考え,国に対し,強く要望しているところであります。
そうした中で,県は県として,御指摘の中小企業対策などを中心に,科学技術の振興に力を入れていきたいと考えております。幸い本県には,筑波研究学園都市のほかにも東海・大洗・那珂地区の原子力研究機関,日立や鹿島地区の大手企業を中心とした先端産業など,世界に誇り得る科学技術や多彩な産業技術の集積がございます。
県といたしましては,これらの集積を活用しながら,科学技術の振興を図っていきたいと考え,平成6年3月,長期的視点に立って科学技術振興行政を推進していくための指針として,茨城県科学技術政策大綱を策定したところでございます。現在,この大綱に基づき,「科学技術に親しむ環境づくり」,「創造性豊かな人づくり」,「研究開発を推進する基盤づくり」,「科学技術を推進するシステムづくり」を柱とし,例えば子どもたちに科学に興味を持たせ科学を好きにさせるために,自然博物館の建設やスクール・サイエンスピア21事業を進めるなどといったことを行いますとともに,工業技術センターを中心に,先端技術分野を初め,さまざまな研究に取り組むなど,総合的な施策の展開を図っているところでございます。
また,科学技術を中小企業に移転させ,技術の高度化を図るため,産・学・官の交流拠点として,つくば研究支援センターやひたちなかテクノセンターなどを整備いたしますとともに,先端技術を中小企業に移転する実用化セミナーの開催,技術情報の提供や技術交流の促進,産・学・官の共同研究の実施,さらには学者や研究者などの技術,知識を有効に活用するため,テクノ・エキスパートを中小企業に派遣するなど,多様な施策を展開しているところであります。
今後とも,国,大学などの各関係機関との連携をさらに密にし,筑波研究学園都市を初めとする科学技術の集積を最大限に生かし,世界の科学技術の拠点としての発展を目指してまいりたいと考えております。
43 ◯副議長(渡辺政則君) 企画部長高田順一君。
〔企画部長高田順一君登壇〕
44 ◯企画部長(高田順一君) 筑西地方拠点都市地域の振興についてお答えいたします。
まず,地域整備の方向についてであります。下館市を初めとします筑西8市町村につきましては,筑西地方拠点都市地域として,自立ある都市圏の形成を目指し,都市機能の集積と居住環境の整備を中心に,これまで施策の推進に努めているところであります。
このような中で,昨今の我が国を取り巻く経済情勢は,極めて厳しいものがあり,企業立地意欲が減退してきているところでありますが,筑西地方拠点都市地域は,東京から70キロメートル圏という地理的に優位な位置にあり,北関東自動車道や茨城西部・宇都宮広域連絡道路,常総・宇都宮東部連絡道路など幹線道路網の整備の進展に伴い,今後,発展が見込まれる地域であります。
このため,県といたしましては,今後,社会経済の動向を十分踏まえながら,市町村が進める各種の事業が着実に推進されるよう,必要に応じ,導入機能や整備手法などの見直しを指導するとともに,道路,公園,下水道など都市づくりの基盤となる事業を重点的に推進し,活力ある地域づくりの実現に努めてまいりたいと考えております。
次に,オフィス・アルカディア事業についてであります。
この事業は,国におきまして,地方拠点都市地域の整備を支援するため,地域振興整備公団が主体となり,業務拠点地区において産業業務機能の地方移転の受け皿となるオフィス・アルカディアの整備,すなわち研究所や事務所の集積促進を図ることにより,魅力ある都市空間の創造に資することを目的としたものでございます。
下館市の嘉家佐和地区は,このオフィス・アルカディア事業の候補地といたしまして,平成10年度に,企業立地促進方策を検討するための業務施設立地円滑化調査を,国庫補助事業として下館市が行うことが内定しているところでございまして,さらに地域振興整備公団が,事業実施条件の整理と土地利用計画の策定などを行うための基本計画調査を実施するため,平成11年度予算の概算要求を行ったところでございます。嘉家佐和地区におきまして,オフィス・アルカディア事業が実施されることは,下館市の発展はもとより,筑西地方拠点都市地域全体への波及効果も大きいものがあると考えておりますので,県といたしましては,今後,速やかに事業が採択されるよう,国などに対しまして,積極的に働きかけを行ってまいりたいと考えております。
45 ◯副議長(渡辺政則君) 農林水産部長高島泉君。
〔農林水産部長高島泉君登壇〕
46 ◯農林水産部長(高島泉君) 農業問題についてお答えいたします。
まず,経営感覚にすぐれた担い手への支援策についてでございます。
本県農業を将来にわたり維持,発展させていくためには,地域農業を支える担い手を育成していくことが重要でございます。
このため,県といたしましては,規模拡大や施設化などによって,所得の向上を図ろうとする意欲的な農業者を市町村が認定農業者として認定し,その経営改善を支援していくこととしております。これによりまして,担い手の育成に努めているところでございます。
これまでに県全体で3,854の経営体が認定されているところでございますが,県といたしましては,平成12年までに1万とすることを目標に,今年度から農業委員会や農協とも一体となって,認定農業者1万経営体育成運動を展開しているところでございます。
下館市におきましては,現在までに59の経営体が認定されておりますが,大規模な稲作や高収益な園芸に意欲的に取り組んでいる経営感覚にすぐれた農業者が,まだまだ数多くいらっしゃいますので,これらの方々には,積極的に認定農業者になっていただきたいと考えております。
これらの認定農業者に対する支援策といたしましては,経営改善計画に定める目標を達成できるよう,スーパーL資金や県独自の認定農業者等育成資金などの低利の融資,認定農業者を中心とする生産集団への機械施設の助成,農地集積を促進する奨励金の交付,経営改善支援センターによる営農相談や経営改善に関する研修などを行っているところでございます。
今後は,このような各種支援策の円滑な推進を図るとともに,認定農業者同士が,より一層の情報交換や自己研さんを行うための組織活動に対する支援や,認定農業者への補助事業の集中化等を積極的に進め,地域農業の核となる担い手として育成してまいる考えでございます。
次に,本県園芸の生産振興策についてでございます。
議員御指摘のとおり,我が国の食糧自給率が低下している中にありまして,園芸は鮮度の関係などもありまして,高い自給率を維持できる部門であります。また,今後とも発展が見込まれる重要な分野でございます。
このため,県といたしましては,日本一の園芸県を目指しまして,その一層の振興に全力を尽くしてまいる考えでございます。具体的には,平成9年に策定いたしました「21世紀に翔く茨城の園芸プラン」に基づきまして,周年的に安定出荷するためのパイプハウスや鉄骨ハウスなどの施設化の推進,大型露地野菜産地における低コスト・省力化生産を図るための機械化一貫体系の促進,市場の大型化による大口需要に対応できる広域銘柄産地の育成,予約相対取引など新しい取引形態に対応できる産地体制の整備,いばらきの味キャッチフレーズ「うまいもんどころ」を活用した総合的な販売対策の展開などを推進しているところでございます。
さらに,今年度からは,新たに園芸生産の飛躍的な発展を目指すため,「園芸日本一10アップ運動」について,県を挙げて取り組んでいるところでございます。この運動は,産地段階における農協の生産部会や生産集団が,みずから産地の実態を再点検して,生産量や品質などを10%アップさせる目標を立て,その達成に向け,実践的な取り組みをしていく全県的な生産振興運動でございます。銘柄産地を多く擁します大園芸産地であります県西地域におきましては,既に18市町村122の集団において,積極的な取り組みが始められているところでございます。
本県は温暖な気候,平坦で広大な農地,さらには大消費地である首都圏に近接するといった大変恵まれた生産条件にございますので,今後は,これまで進めてまいりました各種施策のさらなる充実強化とあわせまして,この10アップ運動の展開により,21世紀に向け,本県園芸の一層の発展を実現してまいりたいと考えております。
47 ◯副議長(渡辺政則君) 土木部長不破眞君。
〔土木部長不破眞君登壇〕
48 ◯土木部長(不破眞君) まず,下館市の稲荷町線の整備についてお答えいたします。