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  1. 茨城県議会 1997-03-07
    平成9年第1回定例会(第4号) 本文 開催日: 1997-03-07


    取得元: 茨城県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-08
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 平成9年3月7日(金曜日)午後1時3分会議      ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◯議長(松浦英一君) これより本日の会議を開きます。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 諸般の報告 2 ◯議長(松浦英一君) 諸般の報告をいたします。  2月18日以降3月5日の正午までに受理いたしました請願は,お手元に配付の請願文書表第2綴のとおりでありまして,それぞれ所管常任委員会に付託いたしましたので,報告いたします。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 日程第1 第1号議案=ないし=第102号議案,報告第1号 3 ◯議長(松浦英一君) これより議事日程に入ります。  日程第1,第1号議案ないし第102号議案及び報告第1号を一括して議題といたします。      ────────────────────────── 県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑 4 ◯議長(松浦英一君) これより県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑を許します。  大内久美子君。           〔5番大内久美子君登壇,拍手〕 5 ◯5番(大内久美子君) 日本共産党の大内久美子でございます。  通告に従いまして,一般質問をいたします。  最初に,97年度予算と知事の政治姿勢についてお尋ねをいたします。  今年度予算の特徴の第1は,国民の圧倒的多数が反対している消費税の5%増税を認め,県民負担に転嫁したことであります。
     第2に,ここ数年激増してきた県債をさらにふやし,起債残高はついに1兆円を超え,予算規模に匹敵する見通しとなったことです。これほどまでに莫大な借金が,一体どんなことに使われてきたのでしょうか。  各年度の最終予算の推移を見ますと,県民生活にかかわりの深い民生費,衛生費,教育費の予算に占める割合は,4年間で2.8%も下げられました。一方,土木費の構成費は,これらを上回って増大し,このため急激に膨張した県債残高が,4年間で2倍にも拡大する異常さであります。  しかし,新年度予算では,土木費を減額したかのように見せかけて,実際に削ったのは,県営住宅建設費用地購入関係費を減額したものであります。そして,港湾特別会計への繰出金を20億円減額し,その分,特別会計で県債をふやすという操作をいたしました。結局,生活密着型の部分は減らされ,大型プロジェクト用の基盤整備は大幅にふやしたのです。ゼネコンが喜ぶ土木偏重をさらに強めたと言えましょう。  土木費がこの5年間に4割もふえているのに,逆に一般行政職は,土木の88人を筆頭に168名も減らしてしまいました。保健所の削減や県立福祉施設の統廃合,民間委託を打ち出すなど,これが橋本知事の行政改革だとしたら,本末転倒と言わなければなりません。  国が新たに消費税の増税,健康保健の改悪など9兆円の新しい負担を押しつけようというとき,県は国政の下請や出先機関でなく,県民の防波堤となるべきです。地方自治法には,住民の福祉,健康,安全のための仕事をせよと定めております。また,県が毎年行っている県政世論調査でも,高齢福祉,医療サービス,下水道の整備は強い要望となっております。  年頭あいさつで読み上げた知事あての手紙には,本県の福祉の貧困さを指摘しつつ,「こんなひどい県,いつか出てやる」と書かれてありました。依然としてホームヘルパーや医師,看護婦など福祉・医療は全国最低クラスを脱却する方向が打ち出されていないのであります。法律でも,世論調査でも,知事の仕事ははっきりしているのに,自治省出身の知事がこれをかなぐり捨てて,ゼネコン行政に邁進するのはいかがなものでしょうか。  消費税5%増税の県民転嫁をやめて,県民が望む県政の抜本的転換を求めて,知事の見解をお聞きいたします。  ところで,知事は,今議会自民党の代表質問に答えて,引き続き知事として県政を担当したいという意思を表明いたしました。いち早く自民党県連の推薦を受けたとは言え,知事の政治姿勢,県政運営にいささかも不公平,不公正があってはならないことです。  しかし,県有財産の管理,運用には,県民の疑問にこたえるべき重要な問題点があることを指摘しなければなりません。それは,水戸市大町にある県有地を財団法人自由民主会館に貸し付け,その会館には,県内外の建設業者とともに自民党茨城県支部連合会が入居しているのであります。さらに,この会館の1室には,自民党と一緒に知事が理事長を務める県の道路公社が入居しております。道路公社が,自由民主会館に支払っている家賃は,共益費も含め年間約1,000万円です。同じビルの中に自民党,建設業者と道路公社が同居し,そのビルの土地は県有地なのですから,まさしく政・官・業一体の構図が形になってあらわれた珍しいケースであります。「地方自治法上問題はない」と居直るとするならば,知事の政治姿勢が問われることになるでしょう。  知事は,「バランスのとれた施策」をしばしば強調されますが,まず,これを機に,公有財産の徹底的な洗い直しを行って,公正,適正な管理,運用をすべきではないでしょうか。明快な御答弁をいただきたいと思います。  次に,大規模プロジェクトの現状と課題についてお尋ねをいたします。  県庁舎建設に絡んで,竹内前知事が逮捕されて以来,橋本知事は「清潔,連帯,創造」を基本理念として取り組んできたと胸を張っております。しかし,知事の3年余の県政運営はどうだったでしょうか。まず,清潔の分野では,最初の議会から汚職関連企業からの選挙資金問題で出鼻をくじかれ,連帯の分野では,自由民主会館で連帯を強め,創造の分野では,最初に手がけたものが豪華庁舎でした。結局,「清潔,連帯,創造」の基本理念のうちどれをとっても,県民のためにならない課題に取り組んだということでしょうか。  その庁舎の建設費は,竹内前知事時代の約700億円を,さらに854億円にまで膨らませ,県としては,全国最高の超豪華庁舎と報道をされております。議会棟は,坪単価185万円強。標準単価の実に3倍を超える高級ホテル並みの豪華さです。行政棟も,標準単価の2.67倍,坪単価177万円弱と負けず劣らずの豪華さです。国の補助はわずか2%で,残りの837億円は借金と基金と一般財源,つまりすべて県民の税金で負担するわけです。  知事は新年のあいさつで「行革なくして,地方自治のあすはない」と言いました。豪華庁舎のようなむだのどこが行革なのでしょうか。「あすがない」のはだれなのか,知事にお聞きしたいところであります。(笑声)  橋本知事は,第一歩から竹内前知事の歩んだ道を通り,ゼネコン県政にさらに拍車をかけたと言えるでしょう。常陸那珂開発はその典型であります。港を例にとりますと,建設総額6,767億2,300万円,当初の計画の2倍にはね上がり,ひたちなか市,東海村は214億9,700万円もの負担を押しつけられることになりました。  常陸那珂港と同じ重要港湾の経常経費も,また惨たんたるありさまであります。1993年度,全国の重要港湾は1,027億1,200万円の大赤字となっております。建設費は,自治体が半分近くを負担し,利益を受ける大企業はその9分の1しか負担せず,逆に大企業が利用する施設の使用料を安く抑えて提供するためであります。取扱貨物量全国第19位の鹿島港も,公共埠頭の年間取扱はわずか159万トン。活況を呈していると言われる日立港でも525万トンです。今この時期に2,700万トンの常陸那珂港をつくることが,いかに無謀でむだなことなのか,お考えください。  さらに,株式会社ひたちなかテクノセンターの自治体負担は,その手法の強引さに驚くばかりです。そもそも営利団体である株式会社が,自分の床面積を勝手に2倍にしておいて,その建設費を周辺の自治体に要求するなどあり得ないことです。しかも日立製作所などは,この建設を受注して,既に出資の元はとっております。自治体だけが損をするこのような方式に強い批判が上がるのは当然です。計画も内容も入居予定者も一切議会に知らせない会社に,なぜ県や市町村が資金を提供しなければならないのでしょうか。  県は増資分として,11億の予算を計上しましたが,出資法人の見直しを言うなら,まずこの出資をやめるべきです。全国各地で破綻している呼び込み型の開発ではなく,ひたちなか開発を一たん凍結し,住民参加で計画自体をつくり直す時期であります。知事の所見をお聞かせください。  このように,大規模プロジェクトが県政最大の柱にされてきた一方で,地域産業は大変な苦境に立たされております。本県経済で大きな比重を持つ製造業の中で,中小零細企業は事業所数で99%,従業員数で70%を占めております。「産業基盤の整備」を強調されるならば,この茨城に根をおろして仕事をしている中小零細企業,地場産業を守り,発展させることにこそ県政の本業があるのではないでしょうか。  中でも,本県最大の地場産業である筑波西部地域の石材業は,著しく安価な輸入製品によって,太刀打ちできない事態に陥っています。  私は,先日,この地域の自治体関係者や協同組合の役員,業者の方々から実情をお聞きしてまいりました。公的救済を求める声や,業者からは「やめるにやめられない」と切実な訴えを受けました。輸入による地場産業への影響を考えれば,まず緊急輸入制限の発動を国に強力に求めていくべきと考えます。  同時に,関係業者が強く望んでいる集積活性化法の適用については,4日に開かれた衆議院予算委員会分科会において,佐藤通産大臣が「茨城県から申請があれば積極的に対応したい」と答弁をしております。県として,法の申請を速やかに行うよう求めるものであります。  さらに,地場産業のブランド化や公共工事への利用拡大,また業者や自治体が一番苦慮している端材の処理については,護岸工事への活用など,当面,できることから対策を強め,地場産業を守ることに,今,県政の力を発揮すべきではないかと思いますが,見解を求めるものでございます。  本県の商業もまた,大型店の出店ラッシュで中小小売業が激減しております。91年から94年までの3年間で2,208店舗がなくなり,その一方で,大型店の売り場面積は,全体の40%を占めるに至っております。とりわけ,県都水戸市の大型店占有率は63.2%に達し,さらに97年度は,長崎屋を初め4万3,000平方メートルもの届け出があり,これを全部認めた場合,全国第10位の大型店集中都市となってしまうわけです。  無秩序に出店を許していたら,中小小売業者に壊滅的な打撃を与えることは必至です。91年に改悪をされた大規模小売店舗法(大店法)で規制が緩和されたことが最大の原因です。届出制を許可制に法律を改正することが,まず基本であります。  現在,第一種の3,000平方メートル以上は通産大臣に,第二種の500平方メートル以上は知事への届出制となっておりますが,大型店出店は事実上野放しであり,これでは中小小売業者の営業を守ることはできません。県は,通産大臣に書類を渡す機関であってはならないと思います。  第一種につきましては,法15条の2では,「通産大臣に意見を申し出ることができる」となっております。さらに,大店審の会議にオブザーバー出席をしている県は,中小小売業者の立場から意見を述べるなど,積極的な役割を果たすべきではないでしょうか。  第二種の場合は,審査基準の中に住環境や教育問題への影響など,具体的な調査を義務づけることや,都市計画法に特例を設けて,大型店出店による環境の悪化,駅前都市中心部の空洞化を防止するため,大型店出店可能と不可能を明確にしたまちづくり計画を住民参加でつくれるよう,審査基準を厳しくすることが必要と思いますが,見解を伺うものでございます。  観光の振興も地域経済の活性化にとって極めて重要な施策です。  本県は,豊富な観光資源を持つ県ですが,観光物産課からいただいた「観光客の多い市町村」の動態調査の資料を見て驚きました。91年度から95年度の5年間に,水戸市は21万人の減,笠間市が45万人の減,大洗町に至っては,526万人から309万人へと217万人も観光客が減ったと記されております。東水戸道路の開通や温泉が出たこともあって,大洗町の施設整備には特別な手だてが必要だと感じました。  本県は,首都圏の人口密集地から近いため,旅費がかからない分,観光資源の開発によっては,大きな可能性を秘めた県になっております。ただし,逆に近いことは日帰りとなってしまうため,周遊性を持たせるには,市町村を結ぶ県の施策がどうしても必要であります。山間部,平野部,海浜部に魅力ある施設を整備し,市町村を支援することを強く求めるものですが,商工労働部長はどのようにお考えでしょうか。  次に,教育行政について教育長にお尋ねをいたします。  県教育委員会は,94年から高校入試制度を大幅に変えて,観点別学習状況を初め中学校の全生活を点数化し,合否判定材料にしているほか,推薦入学の枠も大幅に拡大をいたしました。内申書が一層重視されるようになったのが大きな特徴です。  この制度のもとで中学生活を送り,高校に入学した生徒の作文があります。そこには,「ボランティア活動やごみ拾いなども内申のためにしている人がほとんどで,充実していなかった。」「内申はこんなにも人を変えてしまうものなのかとしみじみ思った。」「一般入試を受ける人からはうらやましがられたが,推薦入試で私の神経はぼろぼろだった。」などなどつづり,県教育委員会に対する怒りと抗議の声として,この入試制度を告発しているのであります。  生徒の作文を見るまでもなく,矛盾だらけの入試制度にしがみつくことなく,今こそ子供たちの声に真摯に耳を傾け,抜本的に見直すべきではないでしょうか。教育長の見解を伺うものでございます。  高校全入の願いをよそに,この4年間に県立高校の募集定員を 770人減らし,22学級がなくなりました。97年度は,さらに7学級減らそうとしておりますが,同時に,小中高合わせて471人の教員が減らされております。一方で,1,375人の常勤講師が教育を担っております。それだけ教員が足りないという証明ではないでしょうか。せめて,1クラス35人以下の学級にすること,そのために国への働きかけと県独自の増員が,教育条件の整備の課題であります。どう取り組むのか,お答えください。  障害児教育の原点は,子供の発達に応じた教育を保障することにあります。関係者の長い間の要望である県立盲学校への幼稚部設置も差し迫った課題です。施設の基準や教員の配置などを保障して,今回の改築を機に,設置の方針を持つべきと考えますが,いかがでしょうか。  なお,昨年,私が取り上げました養護学校高等部の訪問教育につきましては,全国から実施を望む声が上がり,文部省は,この4月から試行的に実施の方針を打ち出しました。既に半分の都道府県が,実施申請をしていると聞いております。本県でも速やかに実施に向けて取り組むべきと思いますが,見解を求めるものでございます。  最後に,原子力行政について生活環境部長にお伺いいたします。  日本原子力発電は,昨年6月,東海原発の営業運転を98年3月末までに停止をして,その後,解体撤去する方針を明らかにしました。東海原発は,運転開始から30年を経過する中で,大事故が起こる前に,一刻も早い永久停止を望む請願が,県議会にも提出されていたものです。今回の運転停止の措置は,当然のこととして歓迎するものであります。  永久停止後は,安全最優先の立場から解体撤去ではなく,残存放射能を十分に減衰し,放射性廃棄物の処理・処分方法が確立するまで,長期間,密閉管理の状態におき,情報公開,住民参加による安全な廃炉方法を検討すべきであると考えるものであります。  東海原発の運転停止の決定に伴い,急浮上してきているのが東海村への3・4号機の新増設計画です。既に「世界最大級150万キロワット2基」「初の地下原発,1兆円投入」と報じられております。人口密集地への立地とあわせて,東海村への新増設は,住民を一層危険にさらすものとなります。県としては,原発推進政策根本的見直しを国に求めるとともに,東海村への新増設は認めない態度を表明すべきと考えますが,御見解を伺います。  「もんじゅ」の事故以来,ストップしていたプルトニウム利用をめぐって,国は福井,新潟,福島の3県にプルトニウムを既存の原発で使用するプルサーマル計画について,異例の協力要請をいたしました。そうした中で,電気事業連合会が,2010年までに電力11社が,合計16から18基の軽水炉でウランとプルトニウムの混合燃料を使用するプルサーマル計画を公表いたしました。  混合燃料を現在稼働中の原子力発電所で燃やすことは,技術的にも未確立で,十分な実験もなしに強行することに,専門家からも批判の声が上がっております。電気事業連合会が公表した計画では,2000年代初頭までに,日本原子力発電の原発2基で,混合燃料の使用を目指すとなっております。これは,当然,東海第二発電所もその対象になるものですが,東海第二発電所は,もともとプルトニウムを燃やす原発としては想定されておりません。安全性が確認されていない混合燃料の使用は,一層県民の安全を損なうおそれがあります。  本県として,国からのプルサーマル計画への協力要請には同意しないよう表明すべきであると考えますが,見解を伺うものです。  これで,私の第1回目の質問を終わり,答弁によって再質問をさせていただきます。 6 ◯議長(松浦英一君) 大内久美子君の質問,質疑に対する答弁を求めます。  知事橋本昌君。              〔知事橋本昌君登壇〕 7 ◯知事(橋本昌君) 大内久美子議員の御質問にお答えいたします。  まず,平成9年度予算編成の考え方についてであります。  私は知事就任以来,郷土茨城を,県民だれもが「生まれてよかった,住んでよかった」と思えるような人に誇れる県にしていくために,生活者の視点を重視しながら,全力を挙げて取り組んでまいったところでございます。  平成9年度予算におきましても,来るべき本格的な高齢社会に向けて,県民が安心して暮らせるための施策といたしまして,地域ケアシステムを拡充しますとともに,24時間在宅ケアサービス提供体制の整備,あるいは家族介護者のための研修制度の創設,さらにはホームヘルパー養成研修の大幅拡充などのための経費を盛り込んだところであります。  また,女性が安心して子供を産み,健やかに育てることのできる環境づくりといたしまして,私立幼稚園における預かり保育に対する助成制度の創設,休日・延長保育事業の拡大などを図りますとともに,放課後児童クラブの整備に対する助成制度の創設などにも努めたところでございます。  さらに,ノーマライゼーション社会の実現に向けた障害者福祉対策といたしまして,人にやさしいまちづくり事業を,引き続き実施いたしますほか,障害を持つ人の権利擁護に関する相談事業の創設や,ゆうあいピック茨城大会の開催準備などのための経費を計上いたしております。  また,すべての県民が健やかに暮らしていくための保健・医療対策として,患者の療養環境に配慮した医療施設の充実整備を図るための融資制度を創設しますとともに,地域がんセンターの整備に対する助成,医療大学附属病院を核とした地域リハビリテーションの実施,休日・夜間における重症患者を受け入れるための病院群輪番制の拡充,感染症・食中毒の情報提供体制の強化などにも留意したところでございます。  さらに,県民が平穏で安全な暮らしを送るための施策といたしまして,防災行政無線の整備や災害対策の拠点となる防災センターの整備を推進していきますとともに,交差点やカーブなどの交通危険箇所の解消,信号機の増設など交通安全施設の大幅な整備や牛久警察署の新設に向けた調査,さらには女性や青少年などの刑事事件被害者に対する救援などを実施することとしております。  このように平成9年度予算につきましては,21世紀に向けて,300万県民が,真の豊かさを実感できる福祉社会を実現するための諸施策を積極的に計上いたしたところでございまして,ただいま大内議員が御指摘になりました県民の福祉,健康,安全などに対する施策につきまして,きめ細かく取り入れた予算であると考えております。  次に,消費税率の改正についてでございます。  消費税率につきましては,活力ある豊かな福祉社会の実現を目指す視点に立った税制改革の一環として,関連法案が,平成6年秋に国会において可決され,平成9年4月から改正されることになっております。  したがいまして,それに合わせて県の使用料・手数料につきましても,平成9年度予算におきまして,非課税のものを除き,消費税の負担の公平を図るという観点から,新しい税率で積算した額を計上させていただいたところでございます。  仮に,消費税率の引き上げに伴う使用料・手数料の改定を行わなければ,県が税金等で負担することになり,本来サービスの受益者である消費者が負担すべき消費税を,消費者以外の一般県民が負担することになるので,不公平となるわけでございます。  なお,参考までにつけ加えておきますと,一般会計の使用料・手数料のうち,93%は県立高校の授業料,県営住宅使用料自動車運転免許手数料などでございまして,非課税となっております。  次に,公有財産の貸し付けでございますが,御指摘の県有財産につきましては,地方自治法に基づき,普通財産としての貸し付けを適正に行っているところでございまして,貸付料につきましても,茨城県行政財産の使用料徴収条例及び茨城県公有財産事務取扱規則により,適正な対価をいただいております。  なお,公有財産の貸し付けにつきましては,関係法令等に基づき公正,適正に行っているところでございます。  次に,開発重視の行政ではないかとのお尋ねでございます。  本県は,これまで基幹となる交通体系の整備などにより,産業の立地も順調に進み,県民一人当たりの所得も飛躍的に増加するなど,県勢は大いに発展してまいりました。  このような中で,今後も,福祉・保健・医療の充実や生活環境の整備,あるいは教育・文化の振興といった面にこれまで以上に力を入れ,「もの」と「こころ」の両面の豊かさをあわせ持つ,「新しいゆたかさ」を実感できる社会を目指していくことが大切であると考えております。  しかし,一方で,このような社会を実現してまいりますためには,本県全体がさらに発展し,豊かになることが必要でございます。このため,本県の発展基盤となる高速道路,重要港湾,常磐新線,百里飛行場といった陸,海,空の交通ネットワークの整備や,ひたちなか地区の整備などのプロジェクトを,積極的に推進していきたいと考えているところでございます。  次に,特にひたちなか地区開発計画についてお話がございました。ひたちなか地区開発につきましては,順次,その整備が進められているところでございますけれども,ひたちなか地区開発整備推進協議会などで,地元の市長,村長あるいは議長などから,住民の御意向も十分伺いながら,絶えず計画について見直しを行い,進めてまいったところでございます。  したがいまして,ひたちなか地区につきましては,住民の意向も十分に反映していると考えておりまして,今後とも県土全体の発展,さらには日本の発展にとりましても,重要なプロジェクトでございますので,社会経済情勢の変化に的確に対応しながら,積極的に推進してまいりたいと考えております。 8 ◯議長(松浦英一君) 商工労働部長前野陽一君。            〔商工労働部長前野陽一君登壇〕 9 ◯商工労働部長(前野陽一君) 地域経済振興策の推進につきましてお答え申し上げます。  まず,石材業の振興についでてございますが,本県の石材業は,海外からの安価な石材の流入などから,生産出荷額が低下するなど,大変厳しい状況に見舞われております。  このため県としては,平成9年度に筑波西部地区の石材産地を対象に,発展可能性を探るための実態調査を実施することといたししております。この調査結果を踏まえ,地場産業の振興等を目的といたしました特定産業集積の活性化に関する臨時措置法の対象地域として位置づけるべく,国に働きかけを行い,新たな需要の開拓,デザインの改良などの支援をしてまいりたいと考えております。  また,石材産地から排出される端材の利活用につきましては,茨城県窯業指導所と石材業界による共同研究開発の結果,陶製路盤材や多孔質セラミックタイルが商品化されつつあるところでございまして,今後とも,コストの軽減や市場開拓等の課題解決に努めてまいりたいと考えております。  次に,大型店の出店調整についてお答え申し上げます。  第一種,第二種,いずれの大型小売店舗の調整につきましても,学識経験者,消費者等の代表者から成る大規模小売店舗審議会において,地元の意見を十分聴取の上,行っているものでございまして,公正な決定がなされているものと考えております。  なお,今までのところ,第一種大規模小売店舗の出店につきまして,県といたしまして,意見を述べる必要があると判断した案件はございませんでしたが,今後とも地元の意見等を踏まえ,適切に対処してまいりたいと考えております。  また,第二種大規模小売店舗の出店につきましては,大店法に基づき,中小小売業の事業活動の機会を適正に確保するという観点から調整を行っておりますほか,関係部局において,諸法令に基づき,必要な調整を行っているところでございまして,今後ともこうした枠組みの中で,適切に対応してまいりたいと考えております。  次に,観光の振興についてお答え申し上げます。  本県の観光は,日帰り客が多く,夏季に集中するという傾向がございまして,四季を通じた宿泊型の観光を振興する必要がございます。このためには,まず魅力ある施設の整備を図ることが重要でございまして,県としては,竜神大吊橋や茨城県自然博物館などの整備を行い,さらには,本年4月末には県立の国民宿舎「鵜の岬」の新館,11月には,北茨城市に天心記念五浦美術館も開館いたします。  また,市町村や民間企業等による観光施設の整備を促進するため,本県独自の大型の補助制度や低利融資制度の充実に努めております。  次に,我が県のすぐれた観光資源を広くPRすることが必要であり,県では,現在,JR6社と連携した「漫遊いばらき観光キャンペーン事業」で各種の広報,宣伝事業を展開しておるところでございまして,先月も,全国から多数の旅行代理店の方々に水戸に来ていただき,茨城の観光の宣伝と旅行商品の企画を要請したところでございます。  また,来年のNHK大河ドラマのテーマは,本県ゆかりの「徳川慶喜」公でございますので,キャンペーンにも大きな弾みがつくものと考えております。  さらに,数多くの観光スポットを広域的な周遊観光のモデルコースとして設定いたしますとともに,受入体制にも万全を期しまして,なお一層の観光客の誘致を図ってまいります。 10 ◯議長(松浦英一君) 教育長齋藤佳郎君。             〔教育長齋藤佳郎君登壇〕 11 ◯教育長(齋藤佳郎君) 高等学校の入学者選抜制度の御質問についてお答えいたします。  現行の県立高等学校入学者選抜制度につきましては,茨城県立高等学校入学制度検討委員会の検討結果を受けまして,平成6年度入学者選抜から実施しているものでございます。  改善のねらいといたしましては,中学校学習指導要領の目指す新しい学力観への対応,多様化した生徒の多面的な評価,偏差値偏重による教育からの脱却,特色あり魅力ある学校づくりというようなことを目指したものでございます。  調査書におきましては,生徒の多様な能力を多面的に表現できるように,観点別学習状況の評価,特別活動の記録,特技等の記録などを取り入れまして,記載内容の充実を図ったところでございます。  この調査書の利用に当たりましては,生徒の多様化への対応や各高等学校の個性化,特色化を推進する観点から,学力検査と調査書の利用割合,調査書の利用項目とその利用割合を,各高等学校が弾力的に決定できるものとしております。  選抜においては,恣意性を排除し,客観性を保つために点数をつけまして利用することといたしました。  県教育委員会といたしましては,今後とも,各方面の意見を参考にしながら,現行制度を基本に,よりよい入学者選抜の実施に努めてまいりたいと考えております。  次に,教職員の定数,学級定員についてお答えいたします。  学級定員につきましては,いわゆる標準法に基づき定めておるところでございます。また,教職員の定数につきましても,標準法に基づき改善を進めておりますけれども,標準法以外にも生徒指導の充実などの観点から,県単独の定数を措置しているところでございます。定数改善につきましては,中央要望の中で,国に要望しているところでございます。  次に,盲学校における幼稚部の設置についての御質問にお答えいたします。  幼稚部教育は,幼稚部教育要領に基づきまして,3歳から5歳までを対象として,日々1日4時間を標準として行うことになっております。
     県といたしましては,視覚に障害のある乳幼児の教育は,その障害の特性に応じて,早期から障害の改善等に努めていくことが重要であると認識しまして,昭和59年4月から,視覚障害児のための早期教育事業を展開しているところでございます。  この事業におきましては,対象とします乳幼児の年齢を0歳から5歳までとすること。近隣の幼稚園や保育所へ通いながら教育が受けられるということ。柔軟な時間帯で教育が受けられるということ。乳幼児の教育にあわせまして,保護者の不安や悩みに対し相談を行う,こういうことで,この事業を実施しているところでございます。  今後は,この事業の成果や乳幼児の動向を見ながら,この事業の充実と拡充などを図ってまいりたいと考えております。  次に,高等部の訪問教育についての御質問にお答えいたします。  近年,全国の養護学校中学校部卒業生の大半が,高等部に進学している状況にあり,本県におきましても,平成8年度は,約90%近い生徒が高等部へ進学している状況にございます。  しかしながら,中学部で訪問教育を受けている生徒も,高等部への進学を希望している状況にございます。  このことにつきましては,総合的な福祉政策について調査研究をしております21世紀福祉の郷づくり懇談会や,中学部で訪問教育を受けております生徒の保護者の方などから,重度または重複障害のため通学が困難である生徒への適切な教育を確保するという観点から,養護学校高等部における訪問教育についての提言や要望がございました。  このようなことを考慮いたしまして,県教育委員会といたしましても,高等部における訪問教育の準備を進めているところでございます。 12 ◯議長(松浦英一君) 生活環境部長長谷部一男君。           〔生活環境部長長谷部一男君登壇〕 13 ◯生活環境部長(長谷部一男君) 原子力行政につきましてお答えをいたします。  まず初めに,東海3・4号機の新増設計画についてでございます。  日本原子力発電は,原子力発電のパイオニアとしての役割を担い,昭和41年に我が国初の商業用原子力発電所であります東海発電所を,また,昭和53年には東海第二発電所の運転を開始し,今日まで順調に運転を行い,電力の安定供給に貢献しているところでございます。  同社は,原子力発電のパイオニアとして,東海発電所の廃止措置計画や改良型軽水炉の開発,単純化軽水炉の研究開発などにつきまして,推進するということにしておりますが,東海村における新増設計画につきましては,伺っておりません。  我が国のエネルギーの輸入依存度は,約8割を超え,非常に不安定なエネルギー供給構造となっております。このため,国はエネルギーの安定確保と地球環境問題への対応の観点から,原子力発電は,今後とも有力なエネルギー源であり,安全の確保と平和利用の堅持を大前提として,着実に開発利用を進めることが引き続き必要であるとしており,これらを円滑に進めるため,原子力政策決定過程への国民の参加を促進するということにしております。  県といたしましても,原子力政策の推進に当たりましては,国民全般にわたる合意形成や原子力施設の安全性の確保につきまして,国に対し,引き続き要請をしてまいりたいと存じます。  次に,プルサーマル計画への対応につきましてお答えをいたします。  国は,軽水冷却型原子炉で,ウランにプルトニウムを加えた燃料の利用,いわゆるプルサーマルを実施することを,平成9年の2月に閣議了解したところでございます。電気事業連合会は閣議了解を受けて,先般,プルサーマルの全体計画を公表したところでございますが,これによりますと,日本原子力発電は,西暦2000年ごろまでに,2基の原子炉で実施するということにしておりますが,具体的な発電所については,検討中とのことでございます。  国は,プルサーマルの実施に当たりしては,各原子力発電所ごとに,国の安全審査を経て,安全性が確認された上で行うというふうにしております。  現在のところ,プルサーマルの実施についての申し入れはございませんが,国は,プルサーマル計画については,その安全性や意義に関する情報を提供することにより,国民の理解を得られるよう努めるというふうにしておりますので,県といたしましては,国の責任において,プルサーマルの安全性や必要性について国民の理解を得つつ進められるよう,国に対し,要請をしてまいりたいというふうに考えております。 14 ◯議長(松浦英一君) 大内久美子君。             〔5番大内久美子君登壇〕 15 ◯5番(大内久美子君) それぞれ御答弁をいただきましたが,公有財産の管理,運営について再質問をいたします。  知事は,公平,適正に行っているとお答えをいたしました。しかし,公有財産についての疑問は,自民党会館だけではありません。例えば,大洗ゴルフ倶楽部は,県有地約23万平方メートル,町有地59万平方メートル,合計82万平方メートル,25万坪の公有地すべてが,大洗海岸の一等地を独占的に利用している全国でも珍しいゴルフ場なのであります。  経営母体の水戸カンツリー倶楽部の取締役には,設立当時から県議会議員を初め,茨城の財界がずらりと顔をそろえ,現在その一角には副知事も名を連ねております。癒着どころか,政・財・官一体となって公有財産を利用し,ゴルフ場経営で利益を上げているのが実態であります。  このゴルフ場は,成り立ちそのものが県民の犠牲の上につくられたものです。  「大洗の20年」という冊子を見ますと,戦争の傷もまだいえぬ混乱期,当時の友末知事と日立製作所の倉田社長が,公有地をまるで私物のように扱ったことが生々しくつづられております。知事は,我孫子のゴルフ場では不便だから,土木部長に県内の適地を探させた。一方,倉田社長は,日製労働者5,555人を首切った翌年には,建設に動いていたことなど,驚くべき事実が得意げに語られております。  この広大な県有地は,管財課の貸付一覧表から外され,昨年は観光物産課,現在は公園街路課と管理が移されたために,県民には実態が知らされませんでした。その上,公園街路課は,個人の財産権を盾に貸付先は教えられないといういわくつきの土地であります。さらに貸付料金にしても,同じ番地の土地と比較して,3分の1から4分の1の値段に減免しているなど,管理運用上でもただすべきことが山積しております。  公有財産を徹底的に洗い直して,県民本位の管理,運用を図るならば,このゴルフ場を一部の人の利益のために使用させることはできないはずでございます。契約更新は,あと5年後です。幸い借地権も設定されていないために,返還はそれほど難しくはありません。当面,評価額の改正や貸付料金を適正化するなど,管理,運用を改善すべきではないでしょうか。  この広大な県有地を県民に取り戻すことによって,民宿,土産店,水産加工業者が潤い,真の地場産業,商業,観光振興策のモデルとなるように,そして何よりも子供やお年寄りに喜ばれる観光地となるために,住民の意見を求めることを提案し,この管理,運営についての知事の答弁を求めるものでございます。  私の再質問を終わりにいたします。 16 ◯議長(松浦英一君) 大内久美子君の再質問に対する答弁を求めます。  知事橋本昌君。              〔知事橋本昌君登壇〕 17 ◯知事(橋本昌君) 大内久美子議員の再質問にお答えいたします。  大洗ゴルフ場の件についてでございますけれども,大洗ゴルフ場に対する貸し付けにつきましては,当時,松を中心とした緑の保全その他の目的も持って貸し付けたものでございます。そして,今,ただいまにおきましても,地元にあれだけの公有地を貸し付けているということで,地域還元策,その他の対策も講じてもらっておるところでございまして,スポーツ振興といった面からも,今,契約更新をしないということは考えておりません。  それから,地代その他につきましても,従来の経緯その他もありまして,水準そのものにつきましては,若干議員御指摘のようなお話もあるかもしれませんけれども,私どもとしては,適切な改定を行ってきておるつもりでございます。  また,所管が変わりましたことにつきましては,より適切な管理ができるように変えてまいったものでございますので,御了承をお願いしたいと思います。      ────────────────────────── 18 ◯議長(松浦英一君) 次に,中田裕君。            〔1番中田裕君登壇,拍手〕 19 ◯1番(中田裕君) 自由民主党の中田裕でございます。  通告に従い,質問いたしますので,知事初め執行部の皆様におかれましては,明快なる御答弁をお願い申し上げます。  先ごろ,県の平成9年度予算案が発表されましたが,その内容を見ますと,高齢化,少子化の進行などに対応し,福祉,医療,教育に大変厚みを持たせたものとなっております。一般会計で1兆1,022億円,8年度当初と比べ4.8%,消費税率引き上げの影響を考慮すると,3.2%の伸びとなっております。各都道府県の9年度予算の平均の伸び率,2.1%を上回る積極的な予算であると言えるのではないかと思います。  一方で,県債や基金への依存の度合いが,さらに高まっているところを見ますと,苦しい財政事情の中での予算編成であったと推察するものであります。今後も税収の大幅な増が見込めない中,県債残高は,平成9年度末1兆円を突破する見込みであり,このことから見ても,本県の財政状況は一段と厳しさを増し,財政の硬直化が懸念されます。  行政の財政運営もまさに経営であり,知事におかれましても,民間企業の長と同様の発想で,常に時代にマッチした業務の改革,組織の改編を進め,県という組織の活性化を図っていただきたく,21世紀に向けて本県の財政運営が,全国のモデル県となるよう期待するものであります。  橋本知事におかれましても,議会初日の提案説明の中で,県政の6つの重要課題として,少子,高齢社会に向けた取り組みの充実,教育,文化の充実,安全で快適な生活環境整備,農林水産業や商工業の活性化,発展と交流のための基盤整備とともに,行政改革の推進を掲げております。地方分権が進んで,それに見合った効率的な行政体制の整備が必要になり,行政改革の推進は急務であります。  行政改革を進める中で組織機構の見直し,定員削減を推進していくことはもちろん大切でありますが,同時に職員の皆さんに,行政マンとして何が一番大切なのかという認識を持ってもらう必要があるのではないかと思うのであります。これも,行政改革の一つでございます。  地方分権が定着し,規制緩和が進み,情報公開がより進んだ状況を想像してみた場合,ますます複雑,多様化する県民のニーズに,県が対応していくためには──これは市町村においても同様でございます──職務を遂行する職員の資質向上を図り,また,職員に行政マンとしての自覚を持ってもらう必要がございます。そのためには,職員研修等の人材育成方策を強化する必要があるわけですが,私は,現在の職員研修の中で,公務員に一番欠けている部分の研修に最も力を入れていただきたいと希望するものであり,次のような提案をしたいと思います。  私の考えの基本にあるのは,役所も民間企業のよい点を見習うべきであるということです。よくお役所仕事と言われますが,県はイメージのよくないこの言葉を払拭するよう努力すべきです。  民間企業のよい点の第一は,顧客に対するサービスです。サービスの悪いお店はお客が入らない,つまり売上が上がらない。いつかは倒産してしまいます。役所には倒産がない。利潤を上げる民間企業とは違うということではなく,納税者と接するイコール顧客と接するという意識を公務員も常に持ち,電話の対応一つにも気配りをし,サービス精神を向上させるべきものと考えます。  第2は,コスト意識の徹底です。民間企業であれば,あらゆる経営努力をしてコストの削減に努めることは当然のことであります。県の予算は県民の血税であり,これを使う際は,このコスト意識を持つということが重要です。特に,財政状況が厳しくなった現在においては,職員全員がコスト意識を持って仕事に臨む必要があります。  本県においても,職員の民間企業への派遣研修を行っていると伺っておりますが,職員全員がサービス精神やコスト意識を持ち,県政発展に寄与していくには,私はもっともっと民間企業との交流を活発化させる必要があると考えます。特に,採用後1~2年の若手職員を民間企業で長期の研修をさせることなど,有効な方策ではないかと思うのであります。  佐賀県では,知事が民間企業で長期の研修をさせる職員を大幅にふやすとともに,管理職まで広げるよう人事当局に指示をしたと聞いております。  そこで,本県の職員を民間企業で研修させるに当たっての基本的な考え方,研修の状況等をお伺いするとともに,私が提案しております若手職員の派遣を含めた今後の民間研修の方向について,知事の御所見を詳しくお聞かせいただきたいと思います。  次に,常磐新線の延長についてお伺いいたします。  秋葉原とつくばを45分で結ぶ常磐新線は,県南西地域の発展を図るとともに,職,住,遊,学が融合した地域づくりを推進するもので,茨城の発展を考える上でも,県を挙げて頑張っていかなければならないものであると考えております。  今日,地方の時代,茨城の時代と知事は力を入れて言っておりますが,その一つとして,知事は,県土60分構想の実現に取り組まれているところであります。知事の県土60分構想は,常磐自動車道,北関東自動車道などの4本の高速道路を基軸に,これを補完する地域高規格道路,国道等幹線道路による道路網を形成し,県内主要都市間をおおむね60分で交流可能とするものであります。  この構想は,道路網の整備に関するものでありますが,私は,速さと定時性という移動手段を考えれば,道路整備に限るのではなく,鉄道などを含めた主要交通手段全体を視野に入れたものとしていく必要があると考える次第であります。高齢化社会の進行の中,環境にやさしく大量輸送が可能な鉄道は,ますます重要性を増していく交通手段であり,鉄道による60分構想を推進していくことも必要であると思うのであります。  百里飛行場の民間共用化や首都機能移転の関連で見た場合,つくばから西茨城の地を通して,県都・水戸へ結ぶように常磐新線を延長することは重要であり,このような県土発展に大切な鉄道整備を考えるのは,決して私ばかりではないと確信するものであります。  そこで,県の将来の発展を考えた常磐新線の延長についてどのように考えているのか,再選に向けた,茨城発展のため,全力を傾注する決意の橋本知事の御所見をお聞かせいただきたいと思います。  次に,福祉部長にお尋ねいたします。  高齢化社会,少子化時代と言われて久しいが,少子化の流れは,今後ますます顕著になり,1人の女性が,生涯平均何人子供を産むか推計した合計特殊出生率は,平成7年には1.42人,現人口を維持していくために必要な2.08人を大きく下回っており,このままの少子化の進行は,若年労働者の減少や社会保障負担の増大など,21世紀の社会経済全般に多大なる影響を与えざるを得ません。  少子化の要因として,女性の社会進出の増加による共働き家庭の増大,結婚の晩婚化と未婚化,そして子育てには莫大なコストがかかり,子供を持ちたいと考えている女性にとって,将来に対する不安が大きく根底にあるからだと考えられます。たった一度の人生,こんなことでよいのだろうかと考えたとき,子供を産むことをためらわれてしまうのではないでしょうか。  これらの不安材料を是正して,女性が安心して子供を産み育てる環境の整備充実を図り,かつ子供が健全に伸び伸びと暮らせる社会を構築していくことが,今一番問われていることであり,21世紀の日本を背負っていく,未来の大人たちにプレゼントできる唯一のものであると思います。  それには,女性が安心して子供を産み育てる環境とは何かと言えば,労働時間の短縮など労働環境の整備,育児休業等の権利の行使,保育所等保育関係の充実,学校施設等の放課後の有効利用,医療の18歳までの無料化の推進,これらのことを整備していくことが大切であると思います。  これらの点をよく勘案し,夢のある子育て社会づくりに向けて,どのような施策を講じているのか,お尋ねいたします。  次に,衛生部長にお伺いいたします。  昨年1年間は,厚生省関係の出来事で,日本中が大騒ぎした感がありました。特に,O-157などの感染症問題は深刻な社会問題であり,今後もいろいろな感染症が出てくるのではないかと思うのは私だけでしょうか。私たち日本人の体質が,近年余りにも衛生的になり過ぎ,無菌社会を強く志向することにより,本来,人間が持っている免疫力が低下したために発生した病気だと見ることができるのではないでしょうか。  地球上で人間と微生物は有史以来共生をして生存してきましたが,医学,科学等文明の進歩により,完全に撲滅されたかに見えた結核,コレラ,インフルエンザ等の復活,エイズ,そして想像もしていなかった病原性大腸菌O-157といわれる感染症が,猛威を振るい出しました。  特に病原性大腸菌による食中毒は,文明水準の高い地域ほど発生する文明病でありましょうか。今までの食中毒は,例えばサルモネラ菌,腸炎ビブリオ菌等による症状や原因は発見されやすく,見えやすい病気でありましたが,O-157の場合は,発生源の特定がおくれ,流行の因果関係がわかりづらい,見えない病の様相を呈しております。  現代の食品流通が広域化し,システム化されているだけに,一たん食中毒が発生すると,一件当たりの患者さんが増大し,食材汚染ともなれば,突きとめるのが難しい。そして,社会に与える影響は大変大きいものがあると思います。  本来,物を食べる基本である加熱する,手を洗う等の自然とのつき合い方の大切さを,改めて見直す機会ではないでしょうか。  しかし身近な問題として,昨年,本県でも病原性大腸菌O-157の患者や保菌者が11名見つかりました。全国では,有症者累計9,400名を超え,死者累計12名という猛威を振るいました。現在,寒さにより鎮静化しておりますが,季節が春から夏に向かう今後,これらの感染症に対して,従来の見える病気からO-157のような見えない病気に対応することは大変なことであり,まず,そこで昨年の経験,反省などを踏まえ病原性大腸菌O-157の未然の防止対策を,どのように強化していくのか。O-157感染症が出た場合に,特に食品施設,学校等で発生した場合,いじめや差別防止も含めて,感染者に対するアフターケアをどのようにするのか。さらに,不幸にも発生した場合の危機管理体制は十分とられているのか,お伺いたします。  次に,農業問題について,まず,農林水産部長にお伺いいたします。  現在,世界規模で地球環境問題がクローズアップされております。農業といえども,今後は環境にやさしい環境保全型の農業に移行していかざるを得ない時代になってきているのではないでしょうか。これまでの農業生産を支えてきた近代農業は,生産性を上げるためにコストをいかに下げ,多くの収穫を得るかに全力を傾注してきました。  しかし,経済協力開発機構(OECD)の資料によりますと,温暖多湿の気象条件など,日本農業ならではの特異な条件にあるとはいえ,我が国の農薬や化学肥料の使用量は,世界でも最も高い水準にあり,地球環境への影響が心配されているところであります。  今から数十年前までは,水田やその周辺に,蛍を初めドジョウ,ザリガニなど多くの生物が生息していましたが,現在では余り見ることができません。これは,本来の食物連鎖の生態系から見れば,大変不自然なことであります。農作物の生産に当たって農薬の過剰な使用は,消費者が求める食糧の安全性のみならず,生産者みずからの身体への影響も心配されます。また,化学肥料に過度に依存した農法は,地下水汚染の一因と言われておりますし,地力の低下を招き,持続的に農業を行うことが困難になる要素を含んでおります。  私は常々,農業の基本は,土づくりにあると考えておりますので,このような地力の低下は,将来の農業に大きな不安を感じるものであります。農薬をできる限り減らし,有機肥料を使って生産した農作物は,今後,食の安全性を願う消費者からは受け入れられるでありましょうが,生産者にとっては,コストがかかり,収量も不安定となるなど欠点があり,その実践には大きな課題が横たわっているように思います。  これらの問題を解消するためには,農家が容易に取り組める技術の開発普及が大切でありますし,また,農業の持つ国土保全や水資源の涵養など,多面的機能についての国民的な合意形成を図り,国土と生態系を守る環境保全型農業に取り組む農業者には,EUにおける奨励金の交付とまではいかなくても,強力な支援をしていくことが必要であると考えるものであります。  そこで,このような環境保全型農業に対して,どのように取り組んでいくのか,お考えをお尋ねいたします。  また,一昨年12月に,私は一般質問において,茨城の農林水産物の一層の販売促進のためのキャッチフレーズを考え,日本中にPRする体制をぜひともとるべきであると申し上げたところ,早々に「うまいもんどころ」のキャッチフレーズのもと,全庁を挙げて,農林水産物販売に全力を傾注していただき,心より感謝申し上げる次第であります。  しかし,農林水産業をめぐる情勢は,担い手の減少や高齢化,国内外の産地間競争の激化,加えてウルグアイ・ラウンド農業合意やそれに伴う新食糧法の施行など,大きな変革期を迎えております。本県は,農業粗生産額約5,000億円の全国有数の農業県でありますが,首都圏という大消費地を抱えているにもかかわらず,農林水産物の販売促進に関しては,例えば「栃木のいちご」のような知名度のあるものがないなど,効率のよい販売促進活動が,まだまだ不足しているように思われます。  今後,ますます激化するであろう産地間競争に打ち勝つためにも,全国,いや世界に通じるブランド品づくりを強力に進めることが求められております。  このためには,まず茨城の知能を集約して,より品質のよい独自品種の育成や革新的な技術の開発を行っていくことが大切でありますし,さらに,行政がリードし,生産者はもとより流通関係者が一体となって,効率のよい販売対策を継続的に進めていくことが必要と考えます。  そこで,本県農産物について独自の新品種や技術の開発と販売対策の強化について,県ではどのように取り組んでいるのか,お伺いいたします。  次に,農業集落排水事業について,農地局長にお伺いいたします。  私の地元西茨城郡は,優良な水田が数多く広がる農村地域であります。農村地域は,古くから用排水の管理などを通しまして,単なる食料の安定供給というだけではなく,水害の防止や国土の保全,水の涵養,さらには自然環境の保全にも大きな役割を果たしてきたところであります。しかしながら,近年,都市化の波が押し寄せてきており,混住化が進むとともに,農家自身のライフスタイルも大きく変わり,生活排水が増加し,河川等の水質汚濁が進んでいるのが現状です。  私の地元におきましても,桜川や涸沼川が流れておりますが,両河川とも,昔に比べますと水質の汚濁が進んでいる現状にあります。そして,桜川は霞ヶ浦に,涸沼川は涸沼へ,それぞれ県の重要な湖に流れ込んでおります。  霞ヶ浦も,涸沼も,水質汚濁の問題が深刻化しており,その改善が県の大きな課題となっているところは,周知のとおりであります。私はきれいな霞ヶ浦,涸沼を一日も早く取り戻し,将来の子孫のために財産として残すことこそが,我々に課せられた役目であると思っております。  県では,生活環境部が中心となっていろいろな計画を立て,種々の施策を実施していることは承知しておりますが,その一つの手段として,農村地域の下水道である農業集落排水事業の整備が,大きく取り上げられるのではないかと思います。  県では,農業集落排水事業の重要な事業として位置づけ,特に霞ヶ浦流域では,積極的に事業を推進しているところでありますが,まだ整備計画に対して,完了または実施中の集落は,約20%だと聞いております。  現在,私の地元でも,岩瀬町の南飯田地区など,農業集落排水事業が行われているところですが,まだ事業が完了しているところはなく,河川等の水質汚濁が解消されておりませんし,地元農家からは,生活環境の整備ということで早期完了の要望が寄せられております。  そこで,西茨城郡における農業集落排水事業の進捗状況並びに今後の計画等について,お伺いいたします。  次に,北関東自動車道のアクセス道路整備について,土木部長にお尋ねいたします。  北関東自動車道は,群馬県の高崎市から栃木県の宇都宮市及び本県の水戸市を経て,国際流通港湾を目指す常陸那珂港へ至る延長約150キロメートルに及ぶ高速道路であります。この道路は,上信越自動車道,中部横断自動車道と一体となって,東京都心から100~150キロメートル圏を環状に連絡する関東大環状連絡軸の一部を形成し,北関東地域における総合的な開発を推進する重要な基盤施設であります。  この北関東自動車道が,昨年末に,国土開発幹線自動車道建設審議会において,全線が整備計画区間として位置づけられたことは,本県はもとより北関東3県にとって非常に喜ばしいことであり,今後の茨城の発展に,さらに弾みがつくものと考えております。  この場をおかりしまして,建設省や県を初め,関係各位に改めて感謝申し上げる次第であります。  さて,高速道路の場合は,インターチェンジへのアクセス道路が同時に整備されることが,高速道路にとってはもちろん,地域振興の面からも重要であります。東水戸道路が,昨年12月に開通したときも,アクセス道路である国道51号の大洗バイパスが同時に4車線化されたことにより,一般道へのスムーズな交通確保がなされたことは,周知の事実であります。  そこで,まず,北関東自動車道の友部インターチェンジのアクセス道路であります国道355号の友部から岩間区間の整備状況と,今後の見通しについてお伺いいたします。
     また,国道355号から友部町の環状道路を形成し,中心市街地に連絡する都市計画道路宿大沢線及び上町大沢線の整備状況についても,あわせてお伺いいたします。  次に,同じく北関東自動車道の岩瀬町インターチェンジのアクセス道路の一部となります県道つくば益子線についてお尋ねいたします。  この道路は,筑波研究学園都市方面はもとより,栃木県の益子町,さらには宇都宮方面との連携強化を図ることのできる重要な路線であります。しかしながら,国道50号より北側につきましては,屈曲している上に,国道50号との交差点が変則であるために,通行に障害を来しており,早急なバイパス整備が望まれております。  また,このつくば益子線は,茨城県長期総合計画のグランドデザインで,古河,総和と北関東自動車道の岩瀬インターチェンジ付近を直結する規格の高い道路を補完する路線であることからも,非常に重要であります。この構想路線が実現化されますと,古河・総和都市圏と岩瀬を含む筑西地域圏の結びつきがさらに強化され,県西地域の一体的な発展に大きく寄与するものと期待しております。  このようなことから,既に都市計画決定されて7年も経過いたしておりますつくば益子線のバイパス整備の今後の見通しについて,土木部長にお伺いいたします。  次に,教育長にお尋ねいたします。  過日,茨城県議会研修の一環として,山口武平自民党会長を団長として,アセアン諸国の現況と日系企業の動向をつぶさに視察してまいりました。詳しくは先般,新井議員が報告しておりますので,割愛いたしますが,この視察の中で実感したのは,世界の共通語は,現在も,21世紀も英語であると強く認識をして帰ってまいりました。本当に「百聞は一見に如かず」でございます。貴重な県民の血税を使わせていただき,これをむだにしてはいけないとの一念で,教育長にぜひ活用していただきたく提案をさせていただきます。  今回の視察の国の中に,シンガポールがございました。シンガポールは,教育水準の高い国として有名であります。中国系76%,マレー系15%,インド系7%という他民族国家,多言語国家であることから,教育においては,建国以来,共通言語としての英語教育を重視してきた結果,ほとんどの国民が英語を話すことができるようになっております。シンガポール人は,それぞれの民族の言葉と英語の2カ国語を話すことができるのであります。  翻って,我が国を見ますと,中学校以上の学校では,何らかの形で英語教育を行っているにもかかわらず,英語を自由自在に使える人は,依然少数にしか過ぎないのであります。私自身,お恥ずかしい話でございますが,英会話がふなれであり,外国人とのコミュニケーションに不便を来しております。この理由としては,日本人がシンガポール人より劣っているからではなく,英語教育の方針が,会話中心か文法中心かの差から来ているのだと思います。  既に,世界的にボーダーレスの時代,国際化の時代となっております。国際化というのは,外国の人たちとの交流,コミュニケーションを活発化すること,つまり会話をするということです。  このような時代において,中学校以上の学校における英語教育は,従来の書物による学習中心から,会話を中心とした教育として,さらに小学校においても,英語教育を積極的に進めるべきであると考えるのです。  小学校における英語教育の方向について,既に,国において検討を進めているということが話題になっております。私は小学校における英語教育は,子供たちが英語を習うということではなく,言葉と外国人の両方になれるということが重要であると考えます。特に生きた英語が,小学生のときに外国人の口から直接聞けるということは,大変貴重な体験であり,また,大人になってから外国人アレルギーにならないためにも,効果的ではないかと考えるものです。  そのために,すべての小学校に英語を母国語とする外国人教師を派遣し,子供たちが,遊びながら外国人と英語の両方になれさせることも一つの方法だと思います。英語に興味を持ち,進んで学ぼうとさせることにより,将来,国際社会で活躍できる人材を育てることができるのです。  そこで,会話を重視した英語教育について,どのように考えていらっしゃるのか,教育長に御所見をお伺いいたします。  以上をもちまして,私の一般質問を終わらせていただきます。  なお,再質問はいたしませんので,前向きな答弁を期待しております。よろしくお願い申し上げます。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 20 ◯議長(松浦英一君) 中田裕君の質問,質疑に対する答弁を求めます。  知事橋本昌君。              〔知事橋本昌君登壇〕 21 ◯知事(橋本昌君) 中田裕議員の御質問にお答えいたします。  県職員の民間企業への派遣研修の充実についてでございます。  地方分権の進展や複雑多様化する県民ニーズに的確に対応し,効果的効率的な行政運営を実現するためには,職員一人一人が県民の立場に立って,サービス精神やコスト意識を持ちながら,主体的,創造的に考えるという職員の意識改革と能力開発を積極的に図っていくことが必要であります。  このような観点から,現在,民間企業等への長期派遣研修や民間企業との交流研修を積極的に行っており,職員が,これまでの発想にとらわれない柔軟な考え方を身につけられるよう,研修の充実強化に努めているところでございます。  具体的には,旅行会社,広告会社,金融機関あるいはシンクタンクなどのサービス業を中心とした民間企業などに職員を長期に派遣し,県職員としては体験できない実務を経験させているところでございます。  また,派遣研修以外でも,民間企業職員を招き,民間企業における実例を紹介いただきながら,県職員のサービス精神の向上,コスト意識の啓発,接遇技法の向上などを図っているところでございます。  さらに,県職員が民間企業の経営感覚や考え方を習得できるよう,民間企業の管理職の方々と共同で,交流研修を実施しているところでございます。  いずれにいたしましても,ただいま議員から御指摘のありました柔軟で幅広い視野を持つこと,さらには,サービス精神やコスト意識を高めることといったことは,これからの公務員が,まさに肝に銘じておかなければならないことでございまして,表現は異なりますものの,私自身も,ことしの職員への年頭のあいさつを初め,常日ごろから言っているところであります。  今後とも,御意見を踏まえ,若手職員を中心に民間企業への派遣数をふやしたり,派遣先の拡大を図るなど,民間企業職員との交流の拡充強化を図ってまいりたいと考えております。  次に,常磐新線の延長についてであります。  常磐新線は,いわゆる宅鉄法に基づき,平成3年に国から承認を得た基本計画により,常磐線の混雑緩和や首都圏における宅地供給を促進するため,1都3県において建設が進められているビッグプロジェクトであります。  常磐新線につきましては,このたび,国において計画の見直しが行われたところでありますので,当面,新しい整備目標である平成17年度開業の達成に,全力で取り組んでまいる所存であります。  一方,議員御指摘のとおり,県土の均衡ある発展を図るためには,道路の整備とあわせ,将来的には,鉄道などを含めた総合的な交通体系の整備をしていくことが必要であると認識しております。  しかしながら,議員お尋ねの常磐新線の延長につきましては,膨大な建設費が必要となること,採算性を考慮しなければならないこと,1都3県で推進している事業であり,本県のみで判断できるものではないことなどの諸問題がありますので,首都機能移転の動向や,常磐新線の開業後の利用状況,及び将来の鉄道需要などを十分見きわめながら,対応していかなければならないものと考えております。 22 ◯議長(松浦英一君) 福祉部長横田凱夫君。            〔福祉部長横田凱夫君登壇〕 23 ◯福祉部長(横田凱夫君) 子育て支援社会づくりに向けての取り組みについてお答えいたします。  核家族化や女性の社会進出など,子育て環境の変化に伴い,家庭におきましては,子育てに対する不安や負担が増大しており,子育てを社会全体で支援し,安心して子供を産み育てることのできる環境づくりが求められております。  このため,県では,今般,子育て支援総合計画「大好きいばらきエンゼルプラン」を策定し,子育て支援施策を総合的,計画的に推進してまいることとしておりますが,議員御指摘の諸施策を推進していくことは,極めて重要であると考えております。  特に女性の社会進出の増大に対応して,子育てと仕事の両立を支援することが,緊急の課題となっております。こうしたことから,多様な保育ニーズにきめ細かく対応できるよう,延長保育,休日保育など,各種保育事業の計画的な整備を推進するとともに,新たに私立幼稚園の預かり保育につきましても,助成することとしております。また,労働時間の短縮や育児休業制度の定着を促進し,働きながらも安心して子育てができる環境づくりに,積極的に取り組んでまいります。  さらに,学校の余裕教室などを活用した放課後児童クラブの整備促進を図り,子育てと仕事の両立支援とあわせて,児童が過ごしやすい環境の整備を進めることとしております。  また,本年1月からは,3歳未満児の医療費を無料化したところでございますが,さらに母子家庭につきまして,無料化の対象範囲を拡大することとしており,子育て家庭の医療費の負担軽減に努めてまいりたいと考えております。  今後とも,子育てに対する不安や負担の軽減に努め,市町村や家庭,学校,企業,地域社会等と一体となって,子育てに魅力や喜びが持てる子育て支援社会づくりに取り組んでまいりたいと考えております。 24 ◯議長(松浦英一君) 衛生部長石川哲夫君。            〔衛生部長石川哲夫君登壇〕 25 ◯衛生部長(石川哲夫君) 感染症対策の充実についてお答えいたします。  病原性大腸菌O-157対策につきましては,昨年,庁内関係者で構成いたします病原性大腸菌O-157対策会議を設置し,総合的な対策を講じてまいりました。まず,未然防止対策といたしまして,正しい予防知識の普及のため,県広報誌「ひばり」などにより,情報を提供してまいりました。さらに,県民の不安解消を図るために,相談のための専用電話の設置や無料検便などを実施いたしました。また,県内で流通している食品の検査や,給食従事者などを対象とする検便などの食品衛生対策の強化や,飲用井戸に対する指導なども実施してまいりました。  今後とも,これらの対策を継続するとともに,特に平成9年度からは,新たな対策といたしまして,県民や医療機関に,予防情報や医療情報などをファックスで24時間サービスしたり,緊急治療情報を一斉に医療機関などにファックス送信するシステムの導入などを考えております。また,昨年の食中毒の発生状況を見てみますと,夏場に集中いたしておりますので,食品取扱施設の監視指導などを早目に実施してまいりたいと考えております。  次に,第2点目の患者,感染者が出た場合の対応についてでございますが,患者の受入医療機関を確保するとともに,感染源究明のため,保健所や衛生研究所における検査体制の整備を図ってまいりました。今後とも,これらの対策を推進してまいります。  また,いじめや差別の問題でございますが,そのような事例があったとの報告はなされておりませんが,今後とも,不当な差別を受けることがないよう,患者発生を公表する場合などにおいて,プライバシーの保護に十分留意してまいりたいと考えております。  最後に,集団発生があった場合の危機管理体制についてでございますが,迅速かつ効果的な防疫措置を講じるために作成してございます感染症対策や食中毒処理のマニュアルに基づきまして,対応することとしております。なお,必要に応じまして,このマニュアルに沿っての実践訓練なども行い,円滑に対応がとれるよう努めてまいりたいと考えております。  また,発生規模によっては,専門職員40名で構成する茨城県伝染病防疫機動班の出動や対策会議を,知事を本部長とする対策本部へ切りかえて,全庁的な対策を講じるなどして,迅速かつ適切な防疫措置に努めてまいりたいと考えております。 26 ◯議長(松浦英一君) 農林水産部長川俣勝慶君。           〔農林水産部長川俣勝慶君登壇〕 27 ◯農林水産部長(川俣勝慶君) 農業問題についてお答えいたします。  まず,本県における環境保全型農業に対する取り組みでございますけれども,県といたしましては,昨年の8月に茨城県環境にやさしい農業推進運動基本方針というものを定め,「大地の恵を未来へ,環境にやさしい農業をすすめよう」ということをスローガンに,化学肥料の3割程度の削減,農薬の可能な限りの削減,有機物資源のリサイクルや輪作による土づくりの推進,消費者に好まれる安全で品質のよい農産物の生産の4つの目標達成に向けて,農業者を初めとする関係者が一体となって,環境にやさしい農業の推進運動を展開しておるところでございます。  具体的には,23の作物を選びまして,環境保全型農業の栽培マニュアルを策定しますとともに,これに基づく現地での実証栽培とか指導を進めており,また,推進大会とか技術シンポジウムの開催,あるいは優良事例コンクールなどの啓蒙活動も行っておるところでございます。  さらに,平成8年度からは,天敵などを利用した農薬を使わない病害虫の防除法,また紙マルチを利用した除草剤を使わない栽培法など,新しい技術に取り組む農業者の支援を開始したところでございます。  今後とも,環境保全型農業へ取り組む農業者への各種支援を充実させるとともに,作物の特性に基づく適正な施肥法,太陽熱利用による土壌消毒法や害虫に対する新たな天敵の調査研究を行うなど,農家が容易に取り組める技術の開発に取り組み,環境にやさしい農業の推進を図ってまいりたいというふうに考えております。  次に,本県農産物の新品種,新技術の開発と販売対策についてでございます。  まず,新品種,新技術の開発でございますが,新品種の開発につきましては,農業総合センターの生物工学研究所や園芸研究所,あるいは農業研究所などで,本県独自の新品種の開発を積極的に進めておるところでございます。  これまでに,おいしい米でございます「ひたち10号」,色白で形のよいレンコンでございます「早霞」,淡い紫色のグラジオラス「紫峰の朝」などを開発し,申請中のものを含めますと,15の品種を,種苗法に基づき種苗登録したところでございます。さらに,低温でも肥大するメロン,大粒で甘いイチゴ,あるいはウイルス病に強いピーマンの開発などにも取り組んでいるところでございます。  次の,新技術の開発についてでございますが,通常のトマトより甘さが2倍で,ビタミンCが3倍あるトマトの生産技術を確立し,試験的でございますけれども,民間で生産に取り組む者も出ており,ビタミン豊富な「ヘルシーくん」という愛称で,きのうから市場に出荷しておるところでございます。  また,微生物を利用して,ハクサイの根こぶ病菌の侵入を防ぐ技術を開発し,画期的な技術として,世界的に注目を浴びておるところでございます。  これらの新技術は,いずれも特許法に基づき,特許出願をしておる状況にございます。  さらに,平成9年度から,「茨城オリジナル新品種・新技術実用化事業」というものに取り組みまして,「ひたち10号」,「ビタミン豊富なトマト」など,農家が利用できるまでに開発が進んだものにつきましては,できるだけ速やかに普及することとしております。  今後とも,試験研究体制の充実に努めながら,生産者や消費者等の要望にこたえることのできる本県独自の新品種,新技術の開発を進めてまいりたいというふうに考えております。  最後に,農産物販売対策の強化についてお答えいたします。  議員御指摘のとおり,農林水産物の販売対策は,ますます重要な課題となっております。  このため,県は,平成6年度に統一的な販売体制の整備,統一キャッチフレーズを核とする各種イメージアップ事業の実施,その2つを柱としますいばらきの味販売戦略基本構想というのを策定し,総合的な販売対策に取り組んできたところでございます。  具体的には,平成7年度に,県や関係機関,団体で構成するいばらきの味販売戦略推進委員会を設置し,いばらきの味のキャッチフレーズでございます「うまいもんどころ」を決定しますとともに,平成8年度は,「いばらきフェア」や「大好きいばら!感謝の集い」等を東京で開催しましたし,そこで,本県が日本を代表する食の産地であることを,県内外の流通関係者や消費者たちにアピールできたものと考えております。  また,関係機関や団体を通して,「うまいもんどころ」の定着に努めておりまして,現在,青果物や米,肉,水産加工品の銘柄品を中心に,出荷ダンボールとかラップ,あるいはのぼり旗,懸垂幕等に有効に活用されているところでございます。  さらに,平成9年度は,園芸流通課内に「うまいもんどころ推進室」というものを設けまして,より効果的な販売促進事業を展開してまいりたいというふうに考えております。  今後は,テレビ等の各種媒体を活用した広報宣伝事業を推進しますとともに,園芸部門の全県的組織として設立されました社団法人園芸いばらき振興協会等の関係団体との連携強化を図りまして,より一層,本県農林水産物のイメージアップと販路拡大に努めてまいりたいというふうに考えております。 28 ◯議長(松浦英一君) 農地局長篠原晃重君。            〔農地局長篠原晃重君登壇〕 29 ◯農地局長(篠原晃重君) 西茨城郡の農業集落排水の推進についてお答えいたします。  農業集落排水事業は,農業振興地域内の集落を対象に,農業用水の水質保全と生活環境の改善を図ることを目的として,昭和59年度から実施しているところであります。  県内の平成8年度までの実施状況は,整備対象1,850集落のうち373集落が完了または実施中でありまして,その進捗率は20%となっております。  今後は,第5次土地改良十カ年計画に基づき,平成17年度までに900集落を整備することとしており,積極的に事業の推進に努めてまいります。  議員お尋ねの,西茨城郡における状況でございますが,現在,4地区,15集落の整備を行っているところであり,そのうち岩瀬町の南飯田地区につきましては,平成9年度に完成の予定であります。  県といたしましても,当地域の農業集落排水事業が,桜川や涸沼川などの水質保全にも寄与することから,極めて重要な事業と位置づけ,平成17年度までに,32集落を整備する計画としております。  このため,従来の事業制度に加え,農林水産省と自治省で創設した農業集落排水緊急整備事業や小規模集落を対象とする県独自の補助事業でありますうるおいのある農村環境整備事業などの活用により,関係町村と協議しながら,なお一層整備の促進に努めてまいります。 30 ◯議長(松浦英一君) 土木部長事務取扱副知事人見實徳君。         〔土木部長事務取扱副知事人見實徳君登壇〕 31 ◯土木部長事務取扱副知事(人見實徳君) 北関東自動車道のアクセス道路の整備についてお答えいたします。  まず,北関東自動車道の仮称友部インターチェンジのアクセス道路となります国道355号の整備についてでございます。国道355号の友部町寄居から岩間町椚山に至る延長約8キロメートルの区間につきましては,既に2車線で整備が完了しているところであります。  しかしながら,北関東自動車道の開通に伴いまして,インターチェンジ付近の交通混雑が予想されますことから,インターチェンジへのアクセス道路が接続いたします国道355号,1.1キロメートル区間につきましては,本年度から4車線化の整備に着手をしたところでございます。  現在までに用地測量を実施しており,平成9年度には用地買収に着手をしたいと考えておりますが,地権者の同意が一部得られず,用地測量ができない区間がございます。  今後,地元友部町の協力を得まして,北関東自動車道の開通に合わせて,整備を進めてまいりたいと考えております。  また,国道355号の岩間町椚山から石岡市区間につきましては,平成元年度から石岡岩間バイパスとして整備を進めているところでございます。このうち岩間町地内となります岩間町椚山から八郷町境までの約2キロメートル区間につきましては,鋭意用地買収を進めておりまして,本年度までに約65%の用地を取得しており,一部工事にも着手したところでございます。  今後,さらに地元の岩間町の協力を得ながら,用地の取得に努めまして,整備を進めてまいりたいと思います。  次に,友部町の中心市街地と北関東自動車道のインターチェンジを結びます環状道路の整備についてでございます。  まず,都市計画道路宿大沢線でございますが,延長約2.6キロメートルのうち,県道杉崎友部線から北側の南友部地内の約600メートル区間につきまして,これは町事業で行い,南側の県道平友部停車場線までの約2キロメートルにつきましては,県事業で整備をすることとなっております。  このうち県では,現在,JR水戸線をまたぐ県道杉崎友部線から,県道友部内原線までの約800メートル区間につきまして整備を進めておりますが,平成9年度の完了を予定をしております。残る約1.2キロメートル区間につきましては,現在の事業区間が完了した後,引き続いて事業化をしてまいりたいと考えております。  次に,都市計画道路上町大沢線でございますが,全体延長約3.3キロメートルのうち,国道355号のバイパスから現道までの約900メートル区間につきましては,県道大洗友部線のバイパスといたしまして整備を進めているところでございます。  これまでに調査なども実施しておりますが,一部地権者の同意が得られず,用地測量ができない状況となっております。今後,地元の友部町の協力を得ながら,整備を進めてまいりたいと思います。  次に,県道つくば益子線のバイパス整備についてでございますが,この路線につきましては,筑波研究学園都市と栃木県益子町を結ぶ幹線道路としまして,現在まで重点的に整備を図ってまいりました。  しかしながら,岩瀬町の市街地におきましては,国道50号を一部利用するなど,変則的なルートになっております。これらの変則ルートを解消しますとともに,北関東自動車道の仮称岩瀬インターチェンジへのアクセス機能の向上を図りますために,国道50号の北側に,約2キロメートルのバイパスを計画しているところでございます。  このたび,北関東自動車道の全線における事業化の見通しが立ちましたので,今後,地元岩瀬町の協力を得まして,北関東自動車道の進捗に合わせて,このバイパスの整備を図ってまいりたいと思います。
    32 ◯議長(松浦英一君) 教育長齋藤佳郎君。             〔教育長齋藤佳郎君登壇〕 33 ◯教育長(齋藤佳郎君) 会話を重視した英語教育についての御質問にお答えいたします。  国際化が進展する中にありまして,外国の人々とコミュニケーションをする機会が,ますますふえてきておりますので,会話の能力を高めることは,極めて重要であると考えております。  そのため,中学校や高等学校の英語の授業などにおいて,読み,書きの能力とあわせまして,会話力を高めることにも力を入れているところでございます。例えば,外国人の英語指導助手を活用するなど,生徒が生きた英語に触れ,学習効果を高めることができるよう努めているところでございます。  また,英語担当教員を対象といたしまして,英語コミュニケーション演習講座などの研修の場を設け,教員の会話力や指導力の向上に努めているところでございます。  このような取り組みを通しまして,例えば,高松宮杯英語弁論大会等の全国レベルの大会で,本県から上位入賞を果たす生徒がふえましたり,県が実施しておりますEXPO '85記念英語スピーチコンテストのレベルが,年々高まってきているなどの成果が見られております。  小学校への英語教育の導入につきましては,国が平成4年度から,全国に研究開発校を設け,そのあり方について,実践的な調査研究を進めているところでございまして,本県では,本年度水戸市立梅が丘小学校がその指定を受け,研究を進めているところでございます。  県内の市町村におきましては,英語指導助手を小学校に招き,集会活動や学級活動の中で,児童が外国人との触れ合いを通して英語に親しみ,楽しく活動するといった例が数多く見られるところでございます。  今後とも,コミュニケーション能力を重視した英語教育を推進し,将来,国際県茨城を担い得る生徒の育成に努めてまいる所存でございます。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 34 ◯議長(松浦英一君) 暫時休憩いたします。  なお,会議再開は,午後3時15分を予定いたします。               午後2時53分休憩      ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━               午後3時18分開議 県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑(続) 35 ◯副議長(鬼沢忠治君) 休憩前に引き続き会議を開き,県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑を続行いたします。  小川一成君。            〔7番小川一成君登壇,拍手〕 36 ◯7番(小川一成君) 自由民主党の小川一成です。  通告に従い,知事並びに関係部長に質問をいたします。  初めに,非営利組織,ノン・プロフイット・オーガニゼーション,いわゆるNPOと行政のあり方について,知事にお尋ねいたします。  去る2年前の阪神・淡路大震災では,死者約6,000人を出し,かつてない被害をこうむったことは,まだ記憶に新しいことと思います。私も,当時いち早く,現地にボランティアの一員として飛び,お手伝いをしてまいりましたが,知事も同じ時期に神戸入りし,最も被害の大きかった長田地区やポートピアを視察されました。そのとき,現地では,全国から駆けつけた延べ140万人以上とも言われるボランティアの方々が,被災者の救出や生活支援に献身的な手を差し伸べていた様子を,知事もつぶさに視察されたのではないかと思います。あの際,特に印象的であったのは,ボランティアたちの自由な動き,被災者の方々の要求に即対応しようとするフットワークの軽さでした。  行政の公共サービスは,公平性の確保が原則でありますが,現地におけるボランティア市民団体は,この行政の公平性に縛られることなく活躍することができたということです。水をアパートの自室まで運んでほしいというお年寄りがいて,行政の担当者は,全体の中での優先順位がわからないとヘルパーを紹介できない。すぐに対応すれば,早い者勝ちになって公平ではなくなってしまう。ところが,一方,自己責任で働けるボランティアは,出会った問題に即応して取り組むことができたということです。こういったボランティアの方々の活躍が,あの混乱の中で,行政以上の大きな役割を果たしたことは,だれもが認めるところでございます。  さらに最近では,福井県三国町沖で発生したロシアタンカーの重油流出事故をきっかけに,ボランティア活動の重要性が,改めて認識されたところでございます。大災害が起こったとき,行政だけに任せておいては,市民の生命や生活は守れない。市民がみずから手を取り合うという相互扶助的活動がなければ,社会のもろもろの機能は維持できないということが示されたのであります。  このことは,非常時に限らず,日常の社会生活を営んでいく上でも同様であり,高齢化社会の中で,多様化するきめ細かな福祉サービスが求められ,また,途上国支援や国境を越えた地球環境問題への取り組みなど,もはや行政だけでは解決できない多くの課題が山積しております。  かつて高度経済成長期の市民活動は,要求抵抗型であり,公共的なサービスはすべて行政が受け持つべきだという考えが,行政,市民の双方に強く,活動の中心は行政をチェックしたり,告発したりすることでありましたが,高度経済成長が終わる1970年代後半からは,住民ニーズの多様化や共同体の崩壊によって,障害者の自立,登校拒否,町並み保存など,行政が個別に対応し切れない領域が拡大し,市民団体も行政への要求,抵抗ばかりでなく,みずからサービスの担い手となる必要に迫られたわけでございます。行政との関係も批判,反対一辺倒から,問題の解決にともに取り組む仲間ととらえる動きが広がり,いわゆるパートナーシップという考え方に質的に大きな変化をしてまいりました。  また,戦後50年を経て,社会経済構造は大きな改革期にあり,政治,行政,経済全般にわたる従来の日本型システムを改めていくことが求められております。小さな政府と規制を受けずに市民が自由に活躍する社会,これが行政改革や規制緩和が目指す社会の姿であります。また,地方分権についても,国から県,県から市町村への分権から,第三の分権として市民団体への分権論議が,今後の課題となっているところであります。  このように21世紀に向け,成熟した市民社会を目指す上で,行政活動,企業活動と並ぶ第三のセクターとして公益性の高い市民活動,いわゆるNPO,非営利組織の存在が飛躍的に高まり,社会的に大きな役割が期待されているのであります。  そこで,知事に伺いますが,NPO活動の実態をどのように認識し,評価しているのかお尋ねをいたします。  また,これらNPO,非営利組織は,社会契約に必要な法人格を容易に取得することができず,活動するに当たって,さまざまな不便を強いられており,特に国際的な活動をするNGO,非政府組織になりますと,なおさらこの傾向が強くなっております。  このようなことから,市民団体の活動を促進させる市民活動促進法案が,現在,国会において審議されており,この法案が成立しますと,市民活動団体は,知事などの認証により法人格を取得するとともに,税法上の優遇措置を受けることが可能となり,NPOの活動も一層促進されることと思います。  県も認証業務などを通して,地域のさまざまな分野で活動しているNPOとの関係を深めてくるものと思います。  しかし,市民活動を支える社会的,制度的な基盤が十分でないため,NPOの多くは,資金や活動拠点の確保,さらには人材の育成など多くの課題を抱えており,法案に盛り込まれた優遇措置以上の支援も検討していく必要があると思われます。当然のことではありますが,NPOは,あくまでも民間の自主的な活動でありますから,その自発性を損ねることのないよう,財政的に,また活動的に自立できるような手助けをする間接的な支援が進められるべきと思います。  愛知県では,平成9年度,ボランティアなど民間の非営利活動団体NPOを促進するため,総合的な支援策の調査検討を行うことを決め,予算化をいたしました。さらに,神奈川県では,昨年開設したボランティアの人材育成や活動拠点としてのかながわ県民活動サポートセンターが大きな関心を集めております。当センターの椎野修平課長は,「官」に頼らない自立した市民活動が活発になることは,行政の負担が減ることにつながる。ボランティア活動への支援は草の根の行革であるとコメントしております。まさに市民が強くなることが,行革の第一歩ではないでしょうか。  そこで,知事に伺いますが,NPOに対する支援の理念,方針などを策定して明確にするとともに,分野を超えた多彩な活動を展開するNPOに対応できるよう,行政各部局間の調整機関や総合窓口を設けるなど,支援のあり方と支援体制づくりについてのお考えをお尋ねいたします。  次に,常磐新線関連事業について,企画部長にお尋ねいたします。  常磐新線は,宅鉄法に基づき,沿線地域の宅地開発と一体になった整備が進められておりますが,平成6年の工事着工以来,本県内におきましても,守谷町と谷和原村にまたがる車両基地では,路盤工事が順調に進んでおり,また,小貝川橋梁工事も,本年1月20日に着工されました。さらに,伊奈・谷和原丘陵部地区 275ヘクタールの沿線開発も,県施行の土地区画整理事業として大きく進展を見ており,平成12年の常磐新線の開業を期待する沿線住民を初め,茨城県民にとってまことに心強いところでありました。  しかし,昨年暮れに,運輸省から整備計画の見直しが発表され,開業は平成17年度の5年おくれに変更されたことは,まことに残念でなりません。計画見直しの理由としては,常磐新線に関する都市計画や地下埋設物の移設に時間を要しているなどによるとされ,一方,地質調査の結果による工事方法の変更,関係機関との協議に基づく設計変更などにより,事業費も8,000億円から約1兆300億円に増額されております。そこで,本県内における見直しの具体的な内容について,お尋ねをいたします。  次に,今回の見直しなどに伴う市町村の財政負担とその対応について,お尋ねいたします。  さきの岡部議員の代表質問に対する答弁の中で,今回の見直しに伴って,県の出資金貸付金は,合わせて338億円の増額になるようでありますが,市町村の出資金も,32億円の負担増になると見込まれております。さらに,本県の玄関口となる守谷町を例にとると,守谷駅周辺地区において,土地区画整理事業を展開中であります。この土地区画整理事業は,宅地開発と一体になった整備が進められており,鉄道用地確保のための先行用地買収をしてまいりましたが,目標面積に達したことから,平成8年度,県に取得をしていただきました。この場をおかりして,お礼を申し上げたいと思います。  さて,この地区は,伊奈・谷和原丘陵部やつくば地区の新市街地開発と違い,既成市街地であり,土地区画整理事業の施行に当たっては,小規模宅地対策,減歩緩和対策,借地権対策などあわせて行わなければなりません。さらに,新線と都市軸道路が,区画整理事業地の中心にあり,最初に工事を開始するため,住宅の長期にわたる中断移転や仮設住宅など複雑多岐にわたり,すべて守谷町が事業主体となって進めている事業であります。加えて,関東鉄道常総線をまたぐ自由道路,新線の東口改札口など,常磐新線関連事業をトータルすると,実に町予算の3年分に当たる 370億円の事業費になると聞いております。このままでは,守谷町の行財政は,将来にわたり相当圧迫されることが予想されます。  このような状況を踏まえ,守谷町を初め関係市町村に対して,何らかの行財政支援が必要であると思うが,どのような施策があるのか,企画部長にお尋ねをいたします。  次に,つくば地区の事業主体についてお尋ねいたします。  つくば地区は,計画決定に向け,必要な準備が進められているようでありますが,いまだ事業主体は決まっていないと聞いております。新聞報道などによりますと,つくば地区の沿線開発については,住・都公団と役割分担することで検討を進めているようでありますが,図らずもこの時期に,亀井建設大臣が住・都公団の整理,統合を表明したことにより,つくば地区の沿線開発は大丈夫なのかと不安を抱く地権者の方もいるように伺っております。  そこで,都市計画の手続を進めるためにも,また,地権者の方々の不安解消のためにも,早期に事業主体を決定する必要があるのではないかと思われますが,どのように考えておるのか,あわせて企画部長にお尋ねをいたします。  次に,県立医療大学への大学院設置について,衛生部長にお尋ねいたします。  一昨年4月に開学をした県立医療大学は,その道のエキスパートである優秀な教授陣と,高い倍率の難関をくぐり抜けた将来を期待される有能な学生が集まり,全国に誇れる医療系の大学として順調なスタートを切ったのではないかと考えております。  御案内のとおり,県立医療大学の開学の精神は,病に苦しむ人,障害に悩む人たちを支える高度医療の専門家,指導者を養成するということでございます。  私は,この開学の精神を踏まえ,より魅力ある大学,学問の場として,現在の優秀なスタッフと学生の質を保ち続け,日進月歩と言われております高度専門化した医療技術へ,当大学が先導的な役割を担っていくためには,第1回目の卒業生が出る2年後を目途に大学院を設置していくことが,ぜひとも必要であると考えるものであります。今日の技術革新時代の中で,特に理科系,医療系の大学におきましては,大学間の競争も激しいものがあり,研究体制などが整っていない魅力に欠ける大学には,優秀なスタッフも学生も集まって来ないと言われております。  このような中で,せっかく順調な滑り出しをした医療大学が,大学院などの研究体制が未整備なため,これから先,優秀なスタッフが他県へ取られ,学生も集まって来ないという人気の低い大学になってしまうのではないかとの一抹の危惧を抱くものでございます。  県立医療大学に大学院を設置し,学問,研究のレベルをより高めていくことが,優秀なスタッフ,学生が集まる礎となるものであり,そのことが,ひいては本県の医療の向上につながっていくものと考えております。  そこで,衛生部長に伺いますが,ただいま申し上げたような観点から,県立医療大学に大学院を早急に設置すべきと思うが,どのように考えておられるのか,お伺いいたします。  次に,茨城県残土条例の制定について,生活環境部長にお尋ねいたします。  茨城県は,建設残土の発生が特に多量な首都圏の一角に位置することから,これまでも多くのトラブルがあり,今後,さらに多くの発生が懸念されるところでございます。これらの不法投棄される残土には,産業廃棄物や残土に含まれる有害物質による地下水汚染や土壌汚染,さらには適正な管理がないために崩落したり,土砂が水路をふさいだりする事故が相次いでおります。  県は,これまで市町村に対して,残土処理に関する条例や要綱を定めるよう指導してきたところですが,崩落防止などのための量的規制が主流で,有害物質を対象とする質的規制は少なかったのではないでしょうか。  聞くところによると,お隣,千葉県では,今まで市町村の条例によって行ってきた条例とは別に,残土そのものの不適正処分による土壌汚染及び流出事故防止のための県条例を,全国に先駆けて制定するという具体的な検討作業に入ったということでございます。条例では,残土処理の安全性の確保を最重点に置き,一定規模以上の残土処分の許認可制,残土の土質検査の義務づけ,事業場への職員の立入調査権の設定,違反者に対する罰則や汚染土壌の撤去義務などを盛り込み,さらには,これまでは規制の網が及ばなかった森林法や農地法などに基づく開発行為にも,条例基準の厳守を求めるという厳しい内容であります。近県が厳しい条例を制定すれば,規制の緩いところに不法残土が集中するのは当然の成り行きでございます。  そこで,生活環境部長にお尋ねいたしますが,本県における市町村残土条例の制定及びその許可等の状況と,その効果についてお尋ねいたします。  さらに,本県においても,対応がおくれることのないよう,残土条例制定を積極的に検討すべきと思うが,いかがお考えでしょうか,お伺いいたします。  次に,警察行政についてお尋ねいたします。  質問に入る前に,昨年,交通死亡事故抑止に大きな成果を上げられた西山警察本部長を初め,県警察の皆様に敬意を表する次第でございます。  特に,昨年は,警察庁が掲げる全国の交通事故死亡者1万人を割るための本県への割当減少率6.4%を達成させるべく,西山本部長のもとに,全署員一丸となって努力した結果,死者385人に抑え込んだわけでございます。本県で400人を割ったのは,実に8年ぶりという快挙でありました。これまでの御努力に対し,私も県民の一人として大変誇りに思うところでございます。  しかしながら,以上のような努力をされているにもかかわらず,ことしに入って事故死者が増加の傾向にあるということは,まことに憂うべきことでございます。今回,私からは,交通安全対策ということで通告させていただいておりますので,何点か提言をしたいと思います。  私は,昨年の夏,スウェーデンの古い友人を訪れる機会がありました。スウェーデンでは,すべての車は,走行中は昼間でもライトを点灯することが義務づけられているということです。自分の車の存在を相手に知らしめて事故防止を図る,いわゆる「ライト・オン」や,同乗車の子供を事故から守る「チャイルドシート」の着用,さらには,携帯電話使用中の事故を防止するための「ハンズフリー電話」の使用がしっかりと法整備され,事故防止に大変効果を上げていると聞きました。  私は,これらの法整備を国内でも急ぐ必要があるのではないかと思います。かつて日本は,シートベルトの着用の法制化が,欧米に比べておくれた結果,交通事故死者の増加を招いてしまったという後悔があるからでございます。これらの法制化は,国レベルの問題でありますが,その立場におられる警察本部長に,機会あるごとに,法制化についての御提言をお願いするものでございます。  次に,駐在所統廃合の基本的な考え方と,廃止駐在所の効率的活用についてお尋ねいたします。  駐在所は,地域住民にとって一番身近な存在であり,安心のよりどころであります。近年,事故,事件の増加と都市化に伴って,駐在所を統廃合して交番を新設するという時期がありましたが,最近は,交番,駐在所を地域の生活安全センターとして位置づけ,地域社会における生活の安全と平穏を確保するための活動の拠点として,地域住民の幅広い意見,要望を積極的に把握し,これに対応した諸活動の推進に努められております。  こうした中にあって,職住一体という勤務の特殊性から,駐在所の機能の再評価がなされているとのことでありますが,駐在所統廃合の基本的な考え方についてお伺いいたします。  さらに,守谷町には,以前2つの駐在所と1つの交番がありましたが,新たな1つの交番増設に伴い,さきの2つの駐在所は廃止されました。そのうちの1カ所は,元大井沢駐在所でありますが,現在もそのまま,守谷町の所有となっております。町でも,ぜひこの廃止駐在所を地域の治安維持,安全確保の観点から,再活用していただけないかと強く望んでいるところでございます。本部長の御所見を伺います。  次に,2点ほど要望をいたします。  まず,1点は,人口急増地域である県南地区に常設運転免許試験場の開設を要望いたします。  昨年3月の予算特別委員会において,取手警察署に出張試験場の開設を西山本部長に質問したところ,早速,5月には,取手警察署と高萩警察署の2カ所に開設をしていただきました。その素早い対応に敬意を表し,この場をおかりして,お礼を申し上げます。まことにありがとうございました。おかげさまで,取手,守谷地区の住民は,取手警察署で受験することができるようになり,大変喜んでおります。  ただ,出張試験場でありますので,2カ月に1度しか受験の機会がないのは残念なことです。これから常磐新線の開通に伴い,県南地区の人口増加が,さらに加速されることが予想されることから,これらの地域の住民サービスの一環として,常設試験場の開設を検討いただけるよう要望いたします。  2点目は,守谷地区に警察署を設置していただきたく御提言いたします。  警察署の設置要望については,平成8年7月1日付で,守谷の会田町長から要望が出されているところですが,先ほども申し上げましたように,常磐新線の沿線開発が急ピッチで進んでいる守谷地区は,都市化現象がますます顕著となり,事件,事故の多発化,スピード化,凶悪化等の傾向がさらに強まることが予想されます。これらの事件,事故に迅速かつ的確に対応できる治安体制の整備を図り,地域住民が安心して生活できるまちづくりのためにも,警察署の増設や管轄区域の見直し等をする際には,ぜひとも守谷警察署の設置をしていただけるよう要望して,私の質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 37 ◯副議長(鬼沢忠治君) 小川一成君の質問,質疑に対する答弁を求めます。  知事橋本昌君。              〔知事橋本昌君登壇〕 38 ◯知事(橋本昌君) 小川一成議員の御質問にお答えいたします。  NPOの実態と評価についての御質問でございますが,阪神・淡路大震災を契機としまして,公益性の高い市民活動,いわゆるNPOを育てるための議論が活発になってきております。  私は,県民だれもが「生まれてよかった,住んでよかった」と誇りに思える茨城づくりを進める上で,市民活動の力は,大変重要なものであると認識しております。社会がますます複雑,多様化している今日,生き生きとした住みやすい県というものは,環境や福祉の分野を初めとして,県民と行政が一体となって努力することによって,初めて実現できるものであると考えております。  本県では,おかげさまで,福祉のレベルが気に入らないからと言って,こんなひどい県,いつか出てやるというような短絡的思考をする人は少なく,(笑声)どうすれば,今自分が住んでいる地域をよくできるかを絶えず考える県民が多くなってきております。まことにうれしい限りでございます。  例えば,湖沼や河川環境の改善,国際交流,福祉,交通安全など,実にさまざまな分野におきまして,県内各地で多くの人々が,市民活動に取り組んでおります。  また,最近では,世界湖沼会議を契機として,霞ヶ浦市民協会が設立され,霞ヶ浦の水質浄化に取り組んでいるところでもございます。  そして,これらの市民活動の横の連携を図って,活動をさらに活発にするため,「大好きいばらき県民運動」が展開されております。  このような市民活動が大きく,そして着実に進展することが,新しい茨城づくりには欠かせないものであると考えております。  次に,NPOに対する支援のあり方でございます。  市民活動団体に対しまして,これまでも活動が円滑に推進されますよう,運営費や事業費に対する助成,人的支援などを行っているところでございます。また,市民活動をより活発にするため,県庁内に県民運動推進本部を設置しますとともに,県民運動の総合窓口として,生活環境部に県民運動推進室を設けているところでございます。  議員御自身も,大変活発にNPO活動を推進しておられると承知しておりますが,NPOに関する議論の高まりの中で,市民活動がさまざまな問題の解決にともに取り組むため,ますます発展してまいりますよう,各種の市民活動団体の一層の支援に努めてまいりたいと考えております。  また,議員御案内のとおり,いわゆるNPO法案が,現在,国会に提出されているところでございます。  県といたしましては,この法案の審議の動向,あるいは議員の御提言などを踏まえながら,今後とも積極的に対応してまいりたいと考えております。 39 ◯副議長(鬼沢忠治君) 企画部長根本栄一君。            〔企画部長根本栄一君登壇〕 40 ◯企画部長(根本栄一君) 常磐新線関連事業につきましてお答えを申し上げます。  今回,国が,整備事業費を約8,000億円から,約1兆300億円に見直しをした背景といたしましては,関係機関との協議による橋梁等の設計変更や地質調査の結果,地盤改良等の工事の必要性が生じたこと,さらには,鉄道施設の耐震対策が必要となったことなどでございます。  本県における見直しの具体的な内容につきましては,利根川にかかる橋梁について,河川管理者との協議によりまして,橋梁の構造を変更したこと,つくば地区における鉄道構造を一部高架構造に変更したこと,さらに,阪神大震災の教訓を生かしまして,トンネル,橋梁,駅舎などの耐震性の高い構造に変更したことなどでございます。  次に,見直しに伴う市町村への行財政支援についてでございます。  今回の見直しによりまして,本県においては,貸付金と出資金が増額することになり,このうち貸付金につきましては,県の全額負担とし,出資金につきましては,県と市町村で負担することといたしておりまして,県内の関係4市町村分の負担額は,合わせて約32億円の増となっております。
     この出資金につきましては,起債が認められているところでございますが,市町村の財政事情等を十分に配慮し,県において,国と協議の結果,早期の借り入れができる見込みとなったところでございます。  また,起債の償還に対する交付税措置につきましては,関係都県と連携して,国に対し,要望してまいりたいと考えております。  現在,守谷駅周辺地区につきまして,町施行として土地区画整理事業を進めており,多額の事業費が必要となり,町の財政状況が厳しいことは,私どもも十分承知をしているところであります。  そのため,県といたしましては,これまで町の負担を軽減するために,家屋移転用地の確保や鉄道用地の早期買い上げなどの支援を行ってきたところでございます。  さらに,常磐新線関連事業に対する市町村の財政負担の軽減を図るため,平成8年度,市町村振興資金の制度改正を行いまして,新たに貸付優遇措置を講ずることといたしました。  また,関東鉄道常総線をまたいで計画をされております自由通路につきましても,町の負担を軽減すべく,関係部局と連携を図り,国の補助事業として採択されますように,県としても最大限の努力をしてまいる考えでございます。  最後に,つくば地区における沿線開発の事業主体についてでございます。  県が先行取得しております葛城,島名・福田坪,上河原崎・中西及び萱丸の4地区のうち3地区は,常磐新線が通過する地区でございまして,常磐新線と沿線開発を同時に進めていく必要があるところでございます。  県は,既に沿線開発として,伊奈・谷和原丘陵部において,土地区画整理事業を施行しておりまして,さらに,つくば4地区の事業を施行することは,現在の執行体制では困難が予想されるところでございます。  そのため,県といたしましては,研究学園都市の整備を進めております住宅・都市整備公団と沿線開発地区の役割分担につきまして,これまで調整を行ってきたところでございます。その結果,それぞれの地区の特性や事業執行上の課題,さらには公団のノウハウ活用など,総合的な観点から,県といたしましては,葛城と萱丸の2地区について,公団による施行をお願いしているところでございます。  議員御指摘の公団の整理,統合の問題につきましては,具体的な内容が決まったとは聞いておりませんが,土地区画整理事業等の町づくりにつきましては,今後とも事業の重要な柱として積極的に推進する方針であると,このように聞いております。  既に埼玉県,千葉県におきましては,公団が沿線開発の事業化を進めており,本県においても,公団が事業主体となっていただけるものと,このように考えております。 41 ◯副議長(鬼沢忠治君) 衛生部長石川哲夫君。            〔衛生部長石川哲夫君登壇〕 42 ◯衛生部長(石川哲夫君) 県立医療大学への大学院の設置についてお答えいたします。  大学院は,大学教育の基礎の上に立って,より高度で専門的な教育研究を実施する場であり,学術研究の高度化とすぐれた研究者の養成や高度専門職業人の養成,社会人の再教育などの機能を持っております。  特に最近におきましては,科学技術の革新が著しい中,医療技術の高度化に対応できる幅広い視野と総合的な判断力を備えた専門的医療人の育成や次代を担うすぐれた研究者,指導者の養成の上から,全国的に医療系の大学においては,大学院の設置が続いております。  平成9年度には,全国で53医療系の大学がございますが,そのうち15校となる見込みでございますが,県立医療大学に大学院を設置するには,幾つかの課題がございます。すなわち,1つ,学生の進学志向や社会的な人材需要の動向はどのようになっているのか。2つ,リハビリテーション学や看護学など具体的な研究科目とその専攻分野をどうすべきか。3つ,全国的に医療系の大学院教育のできる教員が不足しており,その確保をどうするのか。4つ,大学院を修了した学生を受け入れてくれる職場がどのくらいあるか。5つ,大学院の設置及び運営に経費はどのぐらいかかるのか,といった幾つかの課題がございます。  県立医療大学は,2年前に開学し,昨年末には附属病院が開院したばかりで,現在は,大学としての基礎固めに全力を挙げて取り組んでいるところでございます。  しかしながら,高齢社会を迎え,本県医療の一層の向上に資する観点から,議員の御指摘は,非常に示唆に富んだものでございますので,課題として受けとめ,関係者の御意見なども伺いながら,研究してまいりたいと考えております。 43 ◯副議長(鬼沢忠治君) 生活環境部長長谷部一男君。           〔生活環境部長長谷部一男君登壇〕 44 ◯生活環境部長(長谷部一男君) 残土条例の制定についてお答えをいたします。  市町村における残土条例の制定及びその許可状況でございますが,残土の埋め立てと称して,建設廃材など産業廃棄物の不法投棄が多発しましたことから,県におきましては,平成3年,市町村に対しまして,残土条例の準則を示し,その制定を指導してきたところでございます。  現在,70市町村において制定されており,過去3年の許可件数を申し上げますと,平成5年度257件,6年度196件,7年度200件となっております。  また,残土条例制定の効果でございますが,市町村において埋立事業者や残土の量,発生場所など,事業計画をあらかじめ確認できまして,責任の所在も明確になるということから,不法投棄の防止や土砂の流出防止に成果を上げているところでございます。  次に,県残土条例の制定についてでございますが,現在の市町村残土条例におきましては,許可申請の際に,残土の質を確認するための検査証明書を添付させているところでございますが,六価クロムとか水銀など有害物資として規制する項目及び規制するための基準値などにつきまして,規定していないため,議員御指摘のように,近県で質的な規制を強化した条例が制定され,本県に有害物資を含んだ残土が搬入された場合の対応が,十分とは言えない状況にございます。  このため,残土の質の規制基準につきましても定める必要があると考えますが,具体化につきましては,現在の残土条例準則を改正し対応するか,あるいは県条例を制定するかといった課題,さらには,他法令との整合性などにつきまして,市町村や関係機関と協議,検討を進めてまいります。 45 ◯副議長(鬼沢忠治君) 警察本部長西山正樹君。            〔警察本部長西山正樹君登壇〕 46 ◯警察本部長(西山正樹君) 交通事故防止に関し,小川(一)議員が,常日ごろから高い関心と熱意を持ち,諸外国の法制度まで研究され,高い見識から今回の御提言をいただきましたことは,警察にとりましても大変ありがたく,深く敬意を表します。  議員御提言のうち,四輪車の「ライト・オン」及び「ハンズフリー装置」につきましては,交通事故防止上,貴重な御意見と存じますので,御提言の趣旨を踏まえ,警察庁にも伝えたいと思います。「チャイルドシート」の着用につきましては,私どもも全く同感でありまして,既に警察庁でも義務化に向けて検討がなされております。  つい先日の2月27日の国会での質問に際し,警察庁の交通局長が,「2歳児までの着用率が30%に達するなど,着用に関する世論が高まっており,積極的に義務づけを検討すべきだと考えている」との内容で答弁しております。  私からも,機会あるごとに警察庁に提言していきたいと思います。  次に,駐在所の統廃合の基本的な考え方と廃止駐在所の効率的活用についてお答えいたします。  交番,駐在所の配置につきましては,原則的には都市部に交番を,都市部以外には駐在所を配置して運用しております。  ところで,本県におきましては,ここ数年,県南,県西地域を中心に都市化が進展し,それに伴い,各種警察事象が多発化の傾向を示すなど,治安情勢は厳しい状況にあります。  このため,県警では,警察本部や警察署の管理部門などを重点に,組織のリストラを行い,これにより捻出した人員を業務負担の多い第一線に再配置し,人口の急増した地域の駐在所については,1人勤務の駐在所を複数駐在所としたり,駐在所に人員を追加して交番への格上げを図ったり,あるいは幾つかの駐在所を統合し,これに若干の人員を追加して交番を新設するなどの方策をとっているところであります。  その際,駐在所を統合して交番に改編するに当たっては,議員御指摘のとおり,駐在所は職住一体という特質性から,地域社会と深く密着し,住民の信頼も厚く,高い評価を受けているところでありますので,安易に統廃合することなく,管内の人口,世帯数,事件,事故の発生状況,地域の特性などを総合的に判断して,慎重に検討しているものであります。  次に,廃止駐在所の効率的活用についてであります。  廃止された駐在所については,予算面や人的負担等から,原則的には所有者に返還しているところでありますが,まだ十分使用できるような場合には,警察官の宿舎として活用するなどしているところでございます。  議員御指摘の守谷町所有の廃止駐在所につきましては,地域住民の不安感の除去という観点から,現在,守谷地区交番に勤務する警察官を居住させているところであります。  なお,駐在所を廃止する場合は,これに伴う対策として,守谷町の廃止駐在所のように,住居として住まわせたり,あるいはパトカーによる廃止駐在所への立ち寄り,移動交番の開設を行うほか,随時,駐在所連絡協議会を開催し,地域住民の意見,要望を把握するなどして,住民に対するサービスが低下しないように配意しているところでございます。 47 ◯副議長(鬼沢忠治君) 小川一成君。             〔7番小川一成君登壇〕 48 ◯7番(小川一成君) 西山本部長の,いつもながらの歯切れのいい答弁に大変感謝をしております。  守谷町の住民も,大井沢駐在所の廃止ということで,大変不安に思っているところでございますが,引き続いて,駐在所の職員を,借り上げて生活をさせるというような御答弁ですので,ひとつよろしくお願いしたいと思います。  さらに,西山本部長,これから,私は,中央に向かって御栄転される方ではないかなというふうに思っておりますので,より身近な行政のところで,先ほど申し上げました「ライト・オン」の件や,あるいは携帯電話の「ハンズフリー」の法制化について,早急に整備されるようにお願いをしたいというふうに思います。  それから,質問ということではないんですが,何点か要望をしたいと思います。  先ほど守谷町の財政支援と,あるいは関係市町村に対する新線絡みの財政支援ということでお尋ねをいたしました。守谷町,先ほども申し上げましたように,一般会計の3年分に匹敵するほどの財政が,非常に逼迫しているというような状況でございますので,その軽減措置ということで,東口と西口を結ぶ自由通路について,財政的な軽減を図っていきたいというような答弁でございますので,ひとつよろしくお願いをしたいと思います。  それから,県立医療大学の大学院設置についてでありますが,私は,これはもう待ったなしではないかというふうに思っております。どういうことかと申しますと,2年後に卒業生を出すわけでございます。したがって,できない理由は,挙げれば幾らでも挙がるわけでございます。やれない理由も,挙げれば幾らでも挙げられるわけでございますが,学生の卒業はもう2年後には確実に来るわけですから,そういう意味で質の高い医療体制,学校の質,そして教授陣の質,学生の質と,一度これが落ちてしまったら,取り戻すのは,私は大変ではないかというふうに思っております。幸いにして,教授陣,学生ともに質の高い方々が,現在学んでおられるというふうに伺っておりますので,その質を落とすことのないよう,早急に大学院の設置を要望して,私の一般質問を終わりにいたします。  ありがとうございました。(拍手)      ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 49 ◯副議長(鬼沢忠治君) 以上で,本日の日程は全部終了いたしました。  次回は,3月10日午後1時から本会議を開き,一般質問,質疑を続行いたします。  本日は,これにて散会いたします。               午後4時8分散会 Copyright © Ibaraki Prefectural Assembly, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...