第2に,ここ数年激増してきた県債をさらにふやし,起債残高はついに1兆円を超え,予算規模に匹敵する見通しとなったことです。これほどまでに莫大な借金が,一体どんなことに使われてきたのでしょうか。
各年度の最終予算の推移を見ますと,県民生活にかかわりの深い民生費,衛生費,教育費の予算に占める割合は,4年間で2.8%も下げられました。一方,土木費の構成費は,これらを上回って増大し,このため急激に膨張した県債残高が,4年間で2倍にも拡大する異常さであります。
しかし,新年度予算では,土木費を減額したかのように見せかけて,実際に削ったのは,
県営住宅建設費と
用地購入関係費を減額したものであります。そして,
港湾特別会計への繰出金を20億円減額し,その分,特別会計で県債をふやすという操作をいたしました。結局,生活密着型の部分は減らされ,
大型プロジェクト用の基盤整備は大幅にふやしたのです。ゼネコンが喜ぶ土木偏重をさらに強めたと言えましょう。
土木費がこの5年間に4割もふえているのに,逆に一般行政職は,土木の88人を筆頭に168名も減らしてしまいました。保健所の削減や
県立福祉施設の統廃合,民間委託を打ち出すなど,これが橋本知事の行政改革だとしたら,本末転倒と言わなければなりません。
国が新たに消費税の増税,健康保健の改悪など9兆円の新しい負担を押しつけようというとき,県は国政の下請や出先機関でなく,県民の防波堤となるべきです。地方自治法には,住民の福祉,健康,安全のための仕事をせよと定めております。また,県が毎年行っている
県政世論調査でも,高齢福祉,
医療サービス,下水道の整備は強い要望となっております。
年頭あいさつで読み上げた知事あての手紙には,本県の福祉の貧困さを指摘しつつ,「こんなひどい県,いつか出てやる」と書かれてありました。依然として
ホームヘルパーや医師,看護婦など福祉・医療は
全国最低クラスを脱却する方向が打ち出されていないのであります。法律でも,世論調査でも,知事の仕事ははっきりしているのに,自治省出身の知事がこれをかなぐり捨てて,
ゼネコン行政に邁進するのはいかがなものでしょうか。
消費税5%増税の県民転嫁をやめて,県民が望む県政の抜本的転換を求めて,知事の見解をお聞きいたします。
ところで,知事は,今議会自民党の代表質問に答えて,引き続き知事として県政を担当したいという意思を表明いたしました。いち早く自民党県連の推薦を受けたとは言え,知事の政治姿勢,県政運営にいささかも不公平,不公正があってはならないことです。
しかし,県有財産の管理,運用には,県民の疑問にこたえるべき重要な問題点があることを指摘しなければなりません。それは,水戸市大町にある県有地を
財団法人自由民主会館に貸し付け,その会館には,県内外の建設業者とともに自民党茨城県支部連合会が入居しているのであります。さらに,この会館の1室には,自民党と一緒に知事が理事長を務める県の道路公社が入居しております。道路公社が,
自由民主会館に支払っている家賃は,共益費も含め年間約1,000万円です。同じビルの中に自民党,建設業者と道路公社が同居し,そのビルの土地は県有地なのですから,まさしく政・官・業一体の構図が形になってあらわれた珍しいケースであります。「地方自治法上問題はない」と居直るとするならば,知事の政治姿勢が問われることになるでしょう。
知事は,「バランスのとれた施策」をしばしば強調されますが,まず,これを機に,公有財産の徹底的な洗い直しを行って,公正,適正な管理,運用をすべきではないでしょうか。明快な御答弁をいただきたいと思います。
次に,大
規模プロジェクトの現状と課題についてお尋ねをいたします。
県庁舎建設に絡んで,竹内前知事が逮捕されて以来,橋本知事は「清潔,連帯,創造」を基本理念として取り組んできたと胸を張っております。しかし,知事の3年余の県政運営はどうだったでしょうか。まず,清潔の分野では,最初の議会から
汚職関連企業からの選挙資金問題で出鼻をくじかれ,連帯の分野では,
自由民主会館で連帯を強め,創造の分野では,最初に手がけたものが豪華庁舎でした。結局,「清潔,連帯,創造」の基本理念のうちどれをとっても,県民のためにならない課題に取り組んだということでしょうか。
その庁舎の建設費は,竹内前知事時代の約700億円を,さらに854億円にまで膨らませ,県としては,全国最高の超豪華庁舎と報道をされております。議会棟は,坪単価185万円強。標準単価の実に3倍を超える
高級ホテル並みの豪華さです。行政棟も,標準単価の2.67倍,坪単価177万円弱と負けず劣らずの豪華さです。国の補助はわずか2%で,残りの837億円は借金と基金と一般財源,つまりすべて県民の税金で負担するわけです。
知事は新年のあいさつで「行革なくして,地方自治のあすはない」と言いました。豪華庁舎のようなむだのどこが行革なのでしょうか。「あすがない」のはだれなのか,知事にお聞きしたいところであります。(笑声)
橋本知事は,第一歩から竹内前知事の歩んだ道を通り,
ゼネコン県政にさらに拍車をかけたと言えるでしょう。
常陸那珂開発はその典型であります。港を例にとりますと,建設総額6,767億2,300万円,当初の計画の2倍にはね上がり,ひたちなか市,東海村は214億9,700万円もの負担を押しつけられることになりました。
常陸那珂港と同じ重要港湾の経常経費も,また惨たんたるありさまであります。1993年度,全国の重要港湾は1,027億1,200万円の大赤字となっております。建設費は,自治体が半分近くを負担し,利益を受ける大企業はその9分の1しか負担せず,逆に大企業が利用する施設の使用料を安く抑えて提供するためであります。
取扱貨物量全国第19位の鹿島港も,公共埠頭の年間取扱はわずか159万トン。活況を呈していると言われる日立港でも525万トンです。今この時期に2,700万トンの常陸那珂港をつくることが,いかに無謀でむだなことなのか,お考えください。
さらに,
株式会社ひたちなかテクノセンターの自治体負担は,その手法の強引さに驚くばかりです。そもそも営利団体である株式会社が,自分の床面積を勝手に2倍にしておいて,その建設費を周辺の自治体に要求するなどあり得ないことです。しかも日立製作所などは,この建設を受注して,既に出資の元はとっております。自治体だけが損をするこのような方式に強い批判が上がるのは当然です。計画も内容も入居予定者も一切議会に知らせない会社に,なぜ県や市町村が資金を提供しなければならないのでしょうか。
県は増資分として,11億の予算を計上しましたが,出資法人の見直しを言うなら,まずこの出資をやめるべきです。全国各地で破綻している呼び込み型の開発ではなく,
ひたちなか開発を一たん凍結し,住民参加で計画自体をつくり直す時期であります。知事の所見をお聞かせください。
このように,大
規模プロジェクトが県政最大の柱にされてきた一方で,地域産業は大変な苦境に立たされております。本県経済で大きな比重を持つ製造業の中で,
中小零細企業は事業所数で99%,従業員数で70%を占めております。「産業基盤の整備」を強調されるならば,この茨城に根をおろして仕事をしている
中小零細企業,地場産業を守り,発展させることにこそ県政の本業があるのではないでしょうか。
中でも,本県最大の地場産業である
筑波西部地域の石材業は,著しく安価な輸入製品によって,太刀打ちできない事態に陥っています。
私は,先日,この地域の
自治体関係者や協同組合の役員,業者の方々から実情をお聞きしてまいりました。公的救済を求める声や,業者からは「やめるにやめられない」と切実な訴えを受けました。輸入による地場産業への影響を考えれば,まず
緊急輸入制限の発動を国に強力に求めていくべきと考えます。
同時に,関係業者が強く望んでいる
集積活性化法の適用については,4日に開かれた
衆議院予算委員会分科会において,
佐藤通産大臣が「茨城県から申請があれば積極的に対応したい」と答弁をしております。県として,法の申請を速やかに行うよう求めるものであります。
さらに,地場産業のブランド化や公共工事への利用拡大,また業者や自治体が一番苦慮している端材の処理については,護岸工事への活用など,当面,できることから対策を強め,地場産業を守ることに,今,県政の力を発揮すべきではないかと思いますが,見解を求めるものでございます。
本県の商業もまた,大型店の
出店ラッシュで中小小売業が激減しております。91年から94年までの3年間で2,208店舗がなくなり,その一方で,大型店の売り場面積は,全体の40%を占めるに至っております。とりわけ,県都水戸市の
大型店占有率は63.2%に達し,さらに97年度は,長崎屋を初め4万3,000平方メートルもの届け出があり,これを全部認めた場合,全国第10位の
大型店集中都市となってしまうわけです。
無秩序に出店を許していたら,
中小小売業者に壊滅的な打撃を与えることは必至です。91年に改悪をされた大
規模小売店舗法(大店法)で規制が緩和されたことが最大の原因です。届出制を許可制に法律を改正することが,まず基本であります。
現在,第一種の3,000平方メートル以上は通産大臣に,第二種の500平方メートル以上は知事への届出制となっておりますが,大型店出店は事実上野放しであり,これでは
中小小売業者の営業を守ることはできません。県は,通産大臣に書類を渡す機関であってはならないと思います。
第一種につきましては,法15条の2では,「通産大臣に意見を申し出ることができる」となっております。さらに,大店審の会議に
オブザーバー出席をしている県は,
中小小売業者の立場から意見を述べるなど,積極的な役割を果たすべきではないでしょうか。
第二種の場合は,審査基準の中に住環境や教育問題への影響など,具体的な調査を義務づけることや,都市計画法に特例を設けて,大型店出店による環境の悪化,
駅前都市中心部の空洞化を防止するため,大型店出店可能と不可能を明確にした
まちづくり計画を住民参加でつくれるよう,審査基準を厳しくすることが必要と思いますが,見解を伺うものでございます。
観光の振興も地域経済の活性化にとって極めて重要な施策です。
本県は,豊富な観光資源を持つ県ですが,観光物産課からいただいた「観光客の多い市町村」の動態調査の資料を見て驚きました。91年度から95年度の5年間に,水戸市は21万人の減,笠間市が45万人の減,大洗町に至っては,526万人から309万人へと217万人も観光客が減ったと記されております。東水戸道路の開通や温泉が出たこともあって,大洗町の施設整備には特別な手だてが必要だと感じました。
本県は,首都圏の人口密集地から近いため,旅費がかからない分,観光資源の開発によっては,大きな可能性を秘めた県になっております。ただし,逆に近いことは日帰りとなってしまうため,周遊性を持たせるには,市町村を結ぶ県の施策がどうしても必要であります。山間部,平野部,海浜部に魅力ある施設を整備し,市町村を支援することを強く求めるものですが,
商工労働部長はどのようにお考えでしょうか。
次に,教育行政について教育長にお尋ねをいたします。
県教育委員会は,94年から
高校入試制度を大幅に変えて,
観点別学習状況を初め中学校の全生活を点数化し,
合否判定材料にしているほか,推薦入学の枠も大幅に拡大をいたしました。内申書が一層重視されるようになったのが大きな特徴です。
この制度のもとで中学生活を送り,高校に入学した生徒の作文があります。そこには,「
ボランティア活動やごみ拾いなども内申のためにしている人がほとんどで,充実していなかった。」「内申はこんなにも人を変えてしまうものなのかとしみじみ思った。」「一般入試を受ける人からはうらやましがられたが,推薦入試で私の神経はぼろぼろだった。」などなどつづり,
県教育委員会に対する怒りと抗議の声として,この入試制度を告発しているのであります。
生徒の作文を見るまでもなく,矛盾だらけの入試制度にしがみつくことなく,今こそ子供たちの声に真摯に耳を傾け,抜本的に見直すべきではないでしょうか。教育長の見解を伺うものでございます。
高校全入の願いをよそに,この4年間に県立高校の募集定員を 770人減らし,22学級がなくなりました。97年度は,さらに7学級減らそうとしておりますが,同時に,小中高合わせて471人の教員が減らされております。一方で,1,375人の常勤講師が教育を担っております。それだけ教員が足りないという証明ではないでしょうか。せめて,1クラス35人以下の学級にすること,そのために国への働きかけと県独自の増員が,教育条件の整備の課題であります。どう取り組むのか,お答えください。
障害児教育の原点は,子供の発達に応じた教育を保障することにあります。関係者の長い間の要望である県立盲学校への幼稚部設置も差し迫った課題です。施設の基準や教員の配置などを保障して,今回の改築を機に,設置の方針を持つべきと考えますが,いかがでしょうか。
なお,昨年,私が取り上げました
養護学校高等部の訪問教育につきましては,全国から実施を望む声が上がり,文部省は,この4月から試行的に実施の方針を打ち出しました。既に半分の都道府県が,実施申請をしていると聞いております。本県でも速やかに実施に向けて取り組むべきと思いますが,見解を求めるものでございます。
最後に,原子力行政について
生活環境部長にお伺いいたします。
日本原子力発電は,昨年6月,東海原発の営業運転を98年3月末までに停止をして,その後,解体撤去する方針を明らかにしました。東海原発は,運転開始から30年を経過する中で,大事故が起こる前に,一刻も早い永久停止を望む請願が,県議会にも提出されていたものです。今回の運転停止の措置は,当然のこととして歓迎するものであります。
永久停止後は,安全最優先の立場から解体撤去ではなく,残存放射能を十分に減衰し,
放射性廃棄物の処理・処分方法が確立するまで,長期間,密閉管理の状態におき,情報公開,住民参加による安全な廃炉方法を検討すべきであると考えるものであります。
東海原発の運転停止の決定に伴い,急浮上してきているのが東海村への3・4号機の新増設計画です。既に「世界最大級150万キロワット2基」「初の地下原発,1兆円投入」と報じられております。人口密集地への立地とあわせて,東海村への新増設は,住民を一層危険にさらすものとなります。県としては,
原発推進政策の
根本的見直しを国に求めるとともに,東海村への新増設は認めない態度を表明すべきと考えますが,御見解を伺います。
「もんじゅ」の事故以来,ストップしていた
プルトニウム利用をめぐって,国は福井,新潟,福島の3県に
プルトニウムを既存の原発で使用する
プルサーマル計画について,異例の協力要請をいたしました。そうした中で,
電気事業連合会が,2010年までに電力11社が,合計16から18基の軽水炉でウランと
プルトニウムの混合燃料を使用する
プルサーマル計画を公表いたしました。
混合燃料を現在稼働中の
原子力発電所で燃やすことは,技術的にも未確立で,十分な実験もなしに強行することに,専門家からも批判の声が上がっております。
電気事業連合会が公表した計画では,2000年代初頭までに,
日本原子力発電の原発2基で,混合燃料の使用を目指すとなっております。これは,当然,東海第二発電所もその対象になるものですが,東海第二発電所は,もともと
プルトニウムを燃やす原発としては想定されておりません。安全性が確認されていない混合燃料の使用は,一層県民の安全を損なうおそれがあります。
本県として,国からの
プルサーマル計画への協力要請には同意しないよう表明すべきであると考えますが,見解を伺うものです。
これで,私の第1回目の質問を終わり,答弁によって再質問をさせていただきます。
6 ◯議長(松浦英一君) 大内久美子君の質問,質疑に対する答弁を求めます。
知事橋本昌君。
〔知事橋本昌君登壇〕
7 ◯知事(橋本昌君)
大内久美子議員の御質問にお答えいたします。
まず,平成9年度予算編成の考え方についてであります。
私は知事就任以来,郷土茨城を,県民だれもが「生まれてよかった,住んでよかった」と思えるような人に誇れる県にしていくために,生活者の視点を重視しながら,全力を挙げて取り組んでまいったところでございます。
平成9年度予算におきましても,来るべき本格的な高齢社会に向けて,県民が安心して暮らせるための施策といたしまして,
地域ケアシステムを拡充しますとともに,24時間
在宅ケアサービス提供体制の整備,あるいは家族介護者のための研修制度の創設,さらには
ホームヘルパー養成研修の大幅拡充などのための経費を盛り込んだところであります。
また,女性が安心して子供を産み,健やかに育てることのできる環境づくりといたしまして,私立幼稚園における預かり保育に対する助成制度の創設,休日・
延長保育事業の拡大などを図りますとともに,
放課後児童クラブの整備に対する助成制度の創設などにも努めたところでございます。
さらに,
ノーマライゼーション社会の実現に向けた
障害者福祉対策といたしまして,人にやさしい
まちづくり事業を,引き続き実施いたしますほか,障害を持つ人の権利擁護に関する相談事業の創設や,ゆう
あいピック茨城大会の開催準備などのための経費を計上いたしております。
また,すべての県民が健やかに暮らしていくための保健・医療対策として,患者の療養環境に配慮した医療施設の充実整備を図るための融資制度を創設しますとともに,
地域がんセンターの整備に対する助成,
医療大学附属病院を核とした
地域リハビリテーションの実施,休日・夜間における重症患者を受け入れるための
病院群輪番制の拡充,感染症・食中毒の
情報提供体制の強化などにも留意したところでございます。
さらに,県民が平穏で安全な暮らしを送るための施策といたしまして,
防災行政無線の整備や災害対策の拠点となる
防災センターの整備を推進していきますとともに,交差点やカーブなどの
交通危険箇所の解消,信号機の増設など
交通安全施設の大幅な整備や牛久警察署の新設に向けた調査,さらには女性や青少年などの
刑事事件被害者に対する救援などを実施することとしております。
このように平成9年度予算につきましては,21世紀に向けて,300万県民が,真の豊かさを実感できる福祉社会を実現するための諸施策を積極的に計上いたしたところでございまして,ただいま大内議員が御指摘になりました県民の福祉,健康,安全などに対する施策につきまして,きめ細かく取り入れた予算であると考えております。
次に,消費税率の改正についてでございます。
消費税率につきましては,活力ある豊かな福祉社会の実現を目指す視点に立った税制改革の一環として,関連法案が,平成6年秋に国会において可決され,平成9年4月から改正されることになっております。
したがいまして,それに合わせて県の使用料・手数料につきましても,平成9年度予算におきまして,非課税のものを除き,消費税の負担の公平を図るという観点から,新しい税率で積算した額を計上させていただいたところでございます。
仮に,消費税率の引き上げに伴う使用料・手数料の改定を行わなければ,県が税金等で負担することになり,本来サービスの受益者である消費者が負担すべき消費税を,消費者以外の一般県民が負担することになるので,不公平となるわけでございます。
なお,参考までにつけ加えておきますと,一般会計の使用料・手数料のうち,93%は県立高校の授業料,
県営住宅使用料,
自動車運転免許手数料などでございまして,非課税となっております。
次に,公有財産の貸し付けでございますが,御指摘の県有財産につきましては,地方自治法に基づき,普通財産としての貸し付けを適正に行っているところでございまして,貸付料につきましても,茨城県行政財産の
使用料徴収条例及び茨城県
公有財産事務取扱規則により,適正な対価をいただいております。
なお,公有財産の貸し付けにつきましては,関係法令等に基づき公正,適正に行っているところでございます。
次に,開発重視の行政ではないかとのお尋ねでございます。
本県は,これまで基幹となる交通体系の整備などにより,産業の立地も順調に進み,県民一人当たりの所得も飛躍的に増加するなど,県勢は大いに発展してまいりました。
このような中で,今後も,福祉・保健・医療の充実や生活環境の整備,あるいは教育・文化の振興といった面にこれまで以上に力を入れ,「もの」と「こころ」の両面の豊かさをあわせ持つ,「新しいゆたかさ」を実感できる社会を目指していくことが大切であると考えております。
しかし,一方で,このような社会を実現してまいりますためには,本県全体がさらに発展し,豊かになることが必要でございます。このため,本県の発展基盤となる高速道路,重要港湾,常磐新線,百里飛行場といった陸,海,空の交通ネットワークの整備や,ひたちなか地区の整備などのプロジェクトを,積極的に推進していきたいと考えているところでございます。
次に,特にひたちなか地区開発計画についてお話がございました。ひたちなか地区開発につきましては,順次,その整備が進められているところでございますけれども,ひたちなか地区開発整備推進協議会などで,地元の市長,村長あるいは議長などから,住民の御意向も十分伺いながら,絶えず計画について見直しを行い,進めてまいったところでございます。
したがいまして,ひたちなか地区につきましては,住民の意向も十分に反映していると考えておりまして,今後とも県土全体の発展,さらには日本の発展にとりましても,重要なプロジェクトでございますので,社会経済情勢の変化に的確に対応しながら,積極的に推進してまいりたいと考えております。
8 ◯議長(松浦英一君)
商工労働部長前野陽一君。
〔
商工労働部長前野陽一君登壇〕
9 ◯
商工労働部長(前野陽一君) 地域経済振興策の推進につきましてお答え申し上げます。
まず,石材業の振興についでてございますが,本県の石材業は,海外からの安価な石材の流入などから,生産出荷額が低下するなど,大変厳しい状況に見舞われております。
このため県としては,平成9年度に筑波西部地区の石材産地を対象に,発展可能性を探るための実態調査を実施することといたししております。この調査結果を踏まえ,地場産業の振興等を目的といたしました特定産業集積の活性化に関する臨時措置法の対象地域として位置づけるべく,国に働きかけを行い,新たな需要の開拓,デザインの改良などの支援をしてまいりたいと考えております。
また,石材産地から排出される端材の利活用につきましては,茨城県窯業指導所と石材業界による共同研究開発の結果,陶製路盤材や多孔質セラミックタイルが商品化されつつあるところでございまして,今後とも,コストの軽減や市場開拓等の課題解決に努めてまいりたいと考えております。
次に,大型店の出店調整についてお答え申し上げます。
第一種,第二種,いずれの大型小売店舗の調整につきましても,学識経験者,消費者等の代表者から成る大規模小売店舗審議会において,地元の意見を十分聴取の上,行っているものでございまして,公正な決定がなされているものと考えております。
なお,今までのところ,第一種大規模小売店舗の出店につきまして,県といたしまして,意見を述べる必要があると判断した案件はございませんでしたが,今後とも地元の意見等を踏まえ,適切に対処してまいりたいと考えております。
また,第二種大規模小売店舗の出店につきましては,大店法に基づき,中小小売業の事業活動の機会を適正に確保するという観点から調整を行っておりますほか,関係部局において,諸法令に基づき,必要な調整を行っているところでございまして,今後ともこうした枠組みの中で,適切に対応してまいりたいと考えております。
次に,観光の振興についてお答え申し上げます。
本県の観光は,日帰り客が多く,夏季に集中するという傾向がございまして,四季を通じた宿泊型の観光を振興する必要がございます。このためには,まず魅力ある施設の整備を図ることが重要でございまして,県としては,竜神大吊橋や茨城県自然博物館などの整備を行い,さらには,本年4月末には県立の国民宿舎「鵜の岬」の新館,11月には,北茨城市に天心記念五浦美術館も開館いたします。
また,市町村や民間企業等による観光施設の整備を促進するため,本県独自の大型の補助制度や低利融資制度の充実に努めております。
次に,我が県のすぐれた観光資源を広くPRすることが必要であり,県では,現在,JR6社と連携した「漫遊いばらき観光キャンペーン事業」で各種の広報,宣伝事業を展開しておるところでございまして,先月も,全国から多数の旅行代理店の方々に水戸に来ていただき,茨城の観光の宣伝と旅行商品の企画を要請したところでございます。
また,来年のNHK大河ドラマのテーマは,本県ゆかりの「徳川慶喜」公でございますので,キャンペーンにも大きな弾みがつくものと考えております。
さらに,数多くの観光スポットを広域的な周遊観光のモデルコースとして設定いたしますとともに,受入体制にも万全を期しまして,なお一層の観光客の誘致を図ってまいります。
10 ◯議長(松浦英一君) 教育長齋藤佳郎君。
〔教育長齋藤佳郎君登壇〕
11 ◯教育長(齋藤佳郎君) 高等学校の入学者選抜制度の御質問についてお答えいたします。
現行の県立高等学校入学者選抜制度につきましては,茨城県立高等学校入学制度検討委員会の検討結果を受けまして,平成6年度入学者選抜から実施しているものでございます。
改善のねらいといたしましては,中学校学習指導要領の目指す新しい学力観への対応,多様化した生徒の多面的な評価,偏差値偏重による教育からの脱却,特色あり魅力ある学校づくりというようなことを目指したものでございます。
調査書におきましては,生徒の多様な能力を多面的に表現できるように,
観点別学習状況の評価,特別活動の記録,特技等の記録などを取り入れまして,記載内容の充実を図ったところでございます。
この調査書の利用に当たりましては,生徒の多様化への対応や各高等学校の個性化,特色化を推進する観点から,学力検査と調査書の利用割合,調査書の利用項目とその利用割合を,各高等学校が弾力的に決定できるものとしております。
選抜においては,恣意性を排除し,客観性を保つために点数をつけまして利用することといたしました。
県教育委員会といたしましては,今後とも,各方面の意見を参考にしながら,現行制度を基本に,よりよい入学者選抜の実施に努めてまいりたいと考えております。
次に,教職員の定数,学級定員についてお答えいたします。
学級定員につきましては,いわゆる標準法に基づき定めておるところでございます。また,教職員の定数につきましても,標準法に基づき改善を進めておりますけれども,標準法以外にも生徒指導の充実などの観点から,県単独の定数を措置しているところでございます。定数改善につきましては,中央要望の中で,国に要望しているところでございます。
次に,盲学校における幼稚部の設置についての御質問にお答えいたします。
幼稚部教育は,幼稚部教育要領に基づきまして,3歳から5歳までを対象として,日々1日4時間を標準として行うことになっております。
県といたしましては,視覚に障害のある乳幼児の教育は,その障害の特性に応じて,早期から障害の改善等に努めていくことが重要であると認識しまして,昭和59年4月から,視覚障害児のための早期教育事業を展開しているところでございます。
この事業におきましては,対象とします乳幼児の年齢を0歳から5歳までとすること。近隣の幼稚園や保育所へ通いながら教育が受けられるということ。柔軟な時間帯で教育が受けられるということ。乳幼児の教育にあわせまして,保護者の不安や悩みに対し相談を行う,こういうことで,この事業を実施しているところでございます。
今後は,この事業の成果や乳幼児の動向を見ながら,この事業の充実と拡充などを図ってまいりたいと考えております。
次に,高等部の訪問教育についての御質問にお答えいたします。
近年,全国の養護学校中学校部卒業生の大半が,高等部に進学している状況にあり,本県におきましても,平成8年度は,約90%近い生徒が高等部へ進学している状況にございます。
しかしながら,中学部で訪問教育を受けている生徒も,高等部への進学を希望している状況にございます。
このことにつきましては,総合的な福祉政策について調査研究をしております21世紀福祉の郷づくり懇談会や,中学部で訪問教育を受けております生徒の保護者の方などから,重度または重複障害のため通学が困難である生徒への適切な教育を確保するという観点から,
養護学校高等部における訪問教育についての提言や要望がございました。
このようなことを考慮いたしまして,
県教育委員会といたしましても,高等部における訪問教育の準備を進めているところでございます。
12 ◯議長(松浦英一君)
生活環境部長長谷部一男君。
〔
生活環境部長長谷部一男君登壇〕
13 ◯
生活環境部長(長谷部一男君) 原子力行政につきましてお答えをいたします。
まず初めに,東海3・4号機の新増設計画についてでございます。
日本原子力発電は,原子力発電のパイオニアとしての役割を担い,昭和41年に我が国初の商業用
原子力発電所であります東海発電所を,また,昭和53年には東海第二発電所の運転を開始し,今日まで順調に運転を行い,電力の安定供給に貢献しているところでございます。
同社は,原子力発電のパイオニアとして,東海発電所の廃止措置計画や改良型軽水炉の開発,単純化軽水炉の研究開発などにつきまして,推進するということにしておりますが,東海村における新増設計画につきましては,伺っておりません。
我が国のエネルギーの輸入依存度は,約8割を超え,非常に不安定なエネルギー供給構造となっております。このため,国はエネルギーの安定確保と地球環境問題への対応の観点から,原子力発電は,今後とも有力なエネルギー源であり,安全の確保と平和利用の堅持を大前提として,着実に開発利用を進めることが引き続き必要であるとしており,これらを円滑に進めるため,原子力政策決定過程への国民の参加を促進するということにしております。
県といたしましても,原子力政策の推進に当たりましては,国民全般にわたる合意形成や原子力施設の安全性の確保につきまして,国に対し,引き続き要請をしてまいりたいと存じます。
次に,
プルサーマル計画への対応につきましてお答えをいたします。
国は,軽水冷却型原子炉で,ウランに
プルトニウムを加えた燃料の利用,いわゆるプルサーマルを実施することを,平成9年の2月に閣議了解したところでございます。
電気事業連合会は閣議了解を受けて,先般,プルサーマルの全体計画を公表したところでございますが,これによりますと,
日本原子力発電は,西暦2000年ごろまでに,2基の原子炉で実施するということにしておりますが,具体的な発電所については,検討中とのことでございます。
国は,プルサーマルの実施に当たりしては,各
原子力発電所ごとに,国の安全審査を経て,安全性が確認された上で行うというふうにしております。
現在のところ,プルサーマルの実施についての申し入れはございませんが,国は,
プルサーマル計画については,その安全性や意義に関する情報を提供することにより,国民の理解を得られるよう努めるというふうにしておりますので,県といたしましては,国の責任において,プルサーマルの安全性や必要性について国民の理解を得つつ進められるよう,国に対し,要請をしてまいりたいというふうに考えております。
14 ◯議長(松浦英一君) 大内久美子君。
〔5番大内久美子君登壇〕
15 ◯5番(大内久美子君) それぞれ御答弁をいただきましたが,公有財産の管理,運営について再質問をいたします。
知事は,公平,適正に行っているとお答えをいたしました。しかし,公有財産についての疑問は,自民党会館だけではありません。例えば,大洗ゴルフ倶楽部は,県有地約23万平方メートル,町有地59万平方メートル,合計82万平方メートル,25万坪の公有地すべてが,大洗海岸の一等地を独占的に利用している全国でも珍しいゴルフ場なのであります。
経営母体の水戸カンツリー倶楽部の取締役には,設立当時から県議会議員を初め,茨城の財界がずらりと顔をそろえ,現在その一角には副知事も名を連ねております。癒着どころか,政・財・官一体となって公有財産を利用し,ゴルフ場経営で利益を上げているのが実態であります。
このゴルフ場は,成り立ちそのものが県民の犠牲の上につくられたものです。
「大洗の20年」という冊子を見ますと,戦争の傷もまだいえぬ混乱期,当時の友末知事と日立製作所の倉田社長が,公有地をまるで私物のように扱ったことが生々しくつづられております。知事は,我孫子のゴルフ場では不便だから,土木部長に県内の適地を探させた。一方,倉田社長は,日製労働者5,555人を首切った翌年には,建設に動いていたことなど,驚くべき事実が得意げに語られております。
この広大な県有地は,管財課の貸付一覧表から外され,昨年は観光物産課,現在は公園街路課と管理が移されたために,県民には実態が知らされませんでした。その上,公園街路課は,個人の財産権を盾に貸付先は教えられないといういわくつきの土地であります。さらに貸付料金にしても,同じ番地の土地と比較して,3分の1から4分の1の値段に減免しているなど,管理運用上でもただすべきことが山積しております。
公有財産を徹底的に洗い直して,県民本位の管理,運用を図るならば,このゴルフ場を一部の人の利益のために使用させることはできないはずでございます。契約更新は,あと5年後です。幸い借地権も設定されていないために,返還はそれほど難しくはありません。当面,評価額の改正や貸付料金を適正化するなど,管理,運用を改善すべきではないでしょうか。
この広大な県有地を県民に取り戻すことによって,民宿,土産店,水産加工業者が潤い,真の地場産業,商業,観光振興策のモデルとなるように,そして何よりも子供やお年寄りに喜ばれる観光地となるために,住民の意見を求めることを提案し,この管理,運営についての知事の答弁を求めるものでございます。
私の再質問を終わりにいたします。
16 ◯議長(松浦英一君) 大内久美子君の再質問に対する答弁を求めます。
知事橋本昌君。
〔知事橋本昌君登壇〕
17 ◯知事(橋本昌君)
大内久美子議員の再質問にお答えいたします。
大洗ゴルフ場の件についてでございますけれども,大洗ゴルフ場に対する貸し付けにつきましては,当時,松を中心とした緑の保全その他の目的も持って貸し付けたものでございます。そして,今,ただいまにおきましても,地元にあれだけの公有地を貸し付けているということで,地域還元策,その他の対策も講じてもらっておるところでございまして,スポーツ振興といった面からも,今,契約更新をしないということは考えておりません。
それから,地代その他につきましても,従来の経緯その他もありまして,水準そのものにつきましては,若干議員御指摘のようなお話もあるかもしれませんけれども,私どもとしては,適切な改定を行ってきておるつもりでございます。
また,所管が変わりましたことにつきましては,より適切な管理ができるように変えてまいったものでございますので,御了承をお願いしたいと思います。
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18 ◯議長(松浦英一君) 次に,中田裕君。
〔1番中田裕君登壇,拍手〕
19 ◯1番(中田裕君) 自由民主党の中田裕でございます。
通告に従い,質問いたしますので,知事初め執行部の皆様におかれましては,明快なる御答弁をお願い申し上げます。
先ごろ,県の平成9年度予算案が発表されましたが,その内容を見ますと,高齢化,少子化の進行などに対応し,福祉,医療,教育に大変厚みを持たせたものとなっております。一般会計で1兆1,022億円,8年度当初と比べ4.8%,消費税率引き上げの影響を考慮すると,3.2%の伸びとなっております。各都道府県の9年度予算の平均の伸び率,2.1%を上回る積極的な予算であると言えるのではないかと思います。
一方で,県債や基金への依存の度合いが,さらに高まっているところを見ますと,苦しい財政事情の中での予算編成であったと推察するものであります。今後も税収の大幅な増が見込めない中,県債残高は,平成9年度末1兆円を突破する見込みであり,このことから見ても,本県の財政状況は一段と厳しさを増し,財政の硬直化が懸念されます。
行政の財政運営もまさに経営であり,知事におかれましても,民間企業の長と同様の発想で,常に時代にマッチした業務の改革,組織の改編を進め,県という組織の活性化を図っていただきたく,21世紀に向けて本県の財政運営が,全国のモデル県となるよう期待するものであります。
橋本知事におかれましても,議会初日の提案説明の中で,県政の6つの重要課題として,少子,高齢社会に向けた取り組みの充実,教育,文化の充実,安全で快適な生活環境整備,農林水産業や商工業の活性化,発展と交流のための基盤整備とともに,行政改革の推進を掲げております。地方分権が進んで,それに見合った効率的な行政体制の整備が必要になり,行政改革の推進は急務であります。
行政改革を進める中で組織機構の見直し,定員削減を推進していくことはもちろん大切でありますが,同時に職員の皆さんに,行政マンとして何が一番大切なのかという認識を持ってもらう必要があるのではないかと思うのであります。これも,行政改革の一つでございます。
地方分権が定着し,規制緩和が進み,情報公開がより進んだ状況を想像してみた場合,ますます複雑,多様化する県民のニーズに,県が対応していくためには──これは市町村においても同様でございます──職務を遂行する職員の資質向上を図り,また,職員に行政マンとしての自覚を持ってもらう必要がございます。そのためには,職員研修等の人材育成方策を強化する必要があるわけですが,私は,現在の職員研修の中で,公務員に一番欠けている部分の研修に最も力を入れていただきたいと希望するものであり,次のような提案をしたいと思います。
私の考えの基本にあるのは,役所も民間企業のよい点を見習うべきであるということです。よくお役所仕事と言われますが,県はイメージのよくないこの言葉を払拭するよう努力すべきです。
民間企業のよい点の第一は,顧客に対するサービスです。サービスの悪いお店はお客が入らない,つまり売上が上がらない。いつかは倒産してしまいます。役所には倒産がない。利潤を上げる民間企業とは違うということではなく,納税者と接するイコール顧客と接するという意識を公務員も常に持ち,電話の対応一つにも気配りをし,サービス精神を向上させるべきものと考えます。
第2は,コスト意識の徹底です。民間企業であれば,あらゆる経営努力をしてコストの削減に努めることは当然のことであります。県の予算は県民の血税であり,これを使う際は,このコスト意識を持つということが重要です。特に,財政状況が厳しくなった現在においては,職員全員がコスト意識を持って仕事に臨む必要があります。
本県においても,職員の民間企業への派遣研修を行っていると伺っておりますが,職員全員がサービス精神やコスト意識を持ち,県政発展に寄与していくには,私はもっともっと民間企業との交流を活発化させる必要があると考えます。特に,採用後1~2年の若手職員を民間企業で長期の研修をさせることなど,有効な方策ではないかと思うのであります。
佐賀県では,知事が民間企業で長期の研修をさせる職員を大幅にふやすとともに,管理職まで広げるよう人事当局に指示をしたと聞いております。
そこで,本県の職員を民間企業で研修させるに当たっての基本的な考え方,研修の状況等をお伺いするとともに,私が提案しております若手職員の派遣を含めた今後の民間研修の方向について,知事の御所見を詳しくお聞かせいただきたいと思います。
次に,常磐新線の延長についてお伺いいたします。
秋葉原とつくばを45分で結ぶ常磐新線は,県南西地域の発展を図るとともに,職,住,遊,学が融合した地域づくりを推進するもので,茨城の発展を考える上でも,県を挙げて頑張っていかなければならないものであると考えております。
今日,地方の時代,茨城の時代と知事は力を入れて言っておりますが,その一つとして,知事は,県土60分構想の実現に取り組まれているところであります。知事の県土60分構想は,常磐自動車道,北関東自動車道などの4本の高速道路を基軸に,これを補完する地域高規格道路,国道等幹線道路による道路網を形成し,県内主要都市間をおおむね60分で交流可能とするものであります。
この構想は,道路網の整備に関するものでありますが,私は,速さと定時性という移動手段を考えれば,道路整備に限るのではなく,鉄道などを含めた主要交通手段全体を視野に入れたものとしていく必要があると考える次第であります。高齢化社会の進行の中,環境にやさしく大量輸送が可能な鉄道は,ますます重要性を増していく交通手段であり,鉄道による60分構想を推進していくことも必要であると思うのであります。
百里飛行場の民間共用化や首都機能移転の関連で見た場合,つくばから西茨城の地を通して,県都・水戸へ結ぶように常磐新線を延長することは重要であり,このような県土発展に大切な鉄道整備を考えるのは,決して私ばかりではないと確信するものであります。
そこで,県の将来の発展を考えた常磐新線の延長についてどのように考えているのか,再選に向けた,茨城発展のため,全力を傾注する決意の橋本知事の御所見をお聞かせいただきたいと思います。
次に,福祉部長にお尋ねいたします。
高齢化社会,少子化時代と言われて久しいが,少子化の流れは,今後ますます顕著になり,1人の女性が,生涯平均何人子供を産むか推計した合計特殊出生率は,平成7年には1.42人,現人口を維持していくために必要な2.08人を大きく下回っており,このままの少子化の進行は,若年労働者の減少や社会保障負担の増大など,21世紀の社会経済全般に多大なる影響を与えざるを得ません。
少子化の要因として,女性の社会進出の増加による共働き家庭の増大,結婚の晩婚化と未婚化,そして子育てには莫大なコストがかかり,子供を持ちたいと考えている女性にとって,将来に対する不安が大きく根底にあるからだと考えられます。たった一度の人生,こんなことでよいのだろうかと考えたとき,子供を産むことをためらわれてしまうのではないでしょうか。
これらの不安材料を是正して,女性が安心して子供を産み育てる環境の整備充実を図り,かつ子供が健全に伸び伸びと暮らせる社会を構築していくことが,今一番問われていることであり,21世紀の日本を背負っていく,未来の大人たちにプレゼントできる唯一のものであると思います。
それには,女性が安心して子供を産み育てる環境とは何かと言えば,労働時間の短縮など労働環境の整備,育児休業等の権利の行使,保育所等保育関係の充実,学校施設等の放課後の有効利用,医療の18歳までの無料化の推進,これらのことを整備していくことが大切であると思います。
これらの点をよく勘案し,夢のある子育て社会づくりに向けて,どのような施策を講じているのか,お尋ねいたします。
次に,衛生部長にお伺いいたします。
昨年1年間は,厚生省関係の出来事で,日本中が大騒ぎした感がありました。特に,O-157などの感染症問題は深刻な社会問題であり,今後もいろいろな感染症が出てくるのではないかと思うのは私だけでしょうか。私たち日本人の体質が,近年余りにも衛生的になり過ぎ,無菌社会を強く志向することにより,本来,人間が持っている免疫力が低下したために発生した病気だと見ることができるのではないでしょうか。
地球上で人間と微生物は有史以来共生をして生存してきましたが,医学,科学等文明の進歩により,完全に撲滅されたかに見えた結核,コレラ,インフルエンザ等の復活,エイズ,そして想像もしていなかった病原性大腸菌O-157といわれる感染症が,猛威を振るい出しました。
特に病原性大腸菌による食中毒は,文明水準の高い地域ほど発生する文明病でありましょうか。今までの食中毒は,例えばサルモネラ菌,腸炎ビブリオ菌等による症状や原因は発見されやすく,見えやすい病気でありましたが,O-157の場合は,発生源の特定がおくれ,流行の因果関係がわかりづらい,見えない病の様相を呈しております。
現代の食品流通が広域化し,システム化されているだけに,一たん食中毒が発生すると,一件当たりの患者さんが増大し,食材汚染ともなれば,突きとめるのが難しい。そして,社会に与える影響は大変大きいものがあると思います。
本来,物を食べる基本である加熱する,手を洗う等の自然とのつき合い方の大切さを,改めて見直す機会ではないでしょうか。
しかし身近な問題として,昨年,本県でも病原性大腸菌O-157の患者や保菌者が11名見つかりました。全国では,有症者累計9,400名を超え,死者累計12名という猛威を振るいました。現在,寒さにより鎮静化しておりますが,季節が春から夏に向かう今後,これらの感染症に対して,従来の見える病気からO-157のような見えない病気に対応することは大変なことであり,まず,そこで昨年の経験,反省などを踏まえ病原性大腸菌O-157の未然の防止対策を,どのように強化していくのか。O-157感染症が出た場合に,特に食品施設,学校等で発生した場合,いじめや差別防止も含めて,感染者に対するアフターケアをどのようにするのか。さらに,不幸にも発生した場合の危機管理体制は十分とられているのか,お伺いたします。
次に,農業問題について,まず,農林水産部長にお伺いいたします。
現在,世界規模で地球環境問題がクローズアップされております。農業といえども,今後は環境にやさしい環境保全型の農業に移行していかざるを得ない時代になってきているのではないでしょうか。これまでの農業生産を支えてきた近代農業は,生産性を上げるためにコストをいかに下げ,多くの収穫を得るかに全力を傾注してきました。
しかし,経済協力開発機構(OECD)の資料によりますと,温暖多湿の気象条件など,日本農業ならではの特異な条件にあるとはいえ,我が国の農薬や化学肥料の使用量は,世界でも最も高い水準にあり,地球環境への影響が心配されているところであります。
今から数十年前までは,水田やその周辺に,蛍を初めドジョウ,ザリガニなど多くの生物が生息していましたが,現在では余り見ることができません。これは,本来の食物連鎖の生態系から見れば,大変不自然なことであります。農作物の生産に当たって農薬の過剰な使用は,消費者が求める食糧の安全性のみならず,生産者みずからの身体への影響も心配されます。また,化学肥料に過度に依存した農法は,地下水汚染の一因と言われておりますし,地力の低下を招き,持続的に農業を行うことが困難になる要素を含んでおります。
私は常々,農業の基本は,土づくりにあると考えておりますので,このような地力の低下は,将来の農業に大きな不安を感じるものであります。農薬をできる限り減らし,有機肥料を使って生産した農作物は,今後,食の安全性を願う消費者からは受け入れられるでありましょうが,生産者にとっては,コストがかかり,収量も不安定となるなど欠点があり,その実践には大きな課題が横たわっているように思います。
これらの問題を解消するためには,農家が容易に取り組める技術の開発普及が大切でありますし,また,農業の持つ国土保全や水資源の涵養など,多面的機能についての国民的な合意形成を図り,国土と生態系を守る環境保全型農業に取り組む農業者には,EUにおける奨励金の交付とまではいかなくても,強力な支援をしていくことが必要であると考えるものであります。
そこで,このような環境保全型農業に対して,どのように取り組んでいくのか,お考えをお尋ねいたします。
また,一昨年12月に,私は一般質問において,茨城の農林水産物の一層の販売促進のためのキャッチフレーズを考え,日本中にPRする体制をぜひともとるべきであると申し上げたところ,早々に「うまいもんどころ」のキャッチフレーズのもと,全庁を挙げて,農林水産物販売に全力を傾注していただき,心より感謝申し上げる次第であります。
しかし,農林水産業をめぐる情勢は,担い手の減少や高齢化,国内外の産地間競争の激化,加えてウルグアイ・ラウンド農業合意やそれに伴う新食糧法の施行など,大きな変革期を迎えております。本県は,農業粗生産額約5,000億円の全国有数の農業県でありますが,首都圏という大消費地を抱えているにもかかわらず,農林水産物の販売促進に関しては,例えば「栃木のいちご」のような知名度のあるものがないなど,効率のよい販売促進活動が,まだまだ不足しているように思われます。
今後,ますます激化するであろう産地間競争に打ち勝つためにも,全国,いや世界に通じるブランド品づくりを強力に進めることが求められております。
このためには,まず茨城の知能を集約して,より品質のよい独自品種の育成や革新的な技術の開発を行っていくことが大切でありますし,さらに,行政がリードし,生産者はもとより流通関係者が一体となって,効率のよい販売対策を継続的に進めていくことが必要と考えます。
そこで,本県農産物について独自の新品種や技術の開発と販売対策の強化について,県ではどのように取り組んでいるのか,お伺いいたします。
次に,農業集落排水事業について,農地局長にお伺いいたします。
私の地元西茨城郡は,優良な水田が数多く広がる農村地域であります。農村地域は,古くから用排水の管理などを通しまして,単なる食料の安定供給というだけではなく,水害の防止や国土の保全,水の涵養,さらには自然環境の保全にも大きな役割を果たしてきたところであります。しかしながら,近年,都市化の波が押し寄せてきており,混住化が進むとともに,農家自身のライフスタイルも大きく変わり,生活排水が増加し,河川等の水質汚濁が進んでいるのが現状です。
私の地元におきましても,桜川や涸沼川が流れておりますが,両河川とも,昔に比べますと水質の汚濁が進んでいる現状にあります。そして,桜川は霞ヶ浦に,涸沼川は涸沼へ,それぞれ県の重要な湖に流れ込んでおります。
霞ヶ浦も,涸沼も,水質汚濁の問題が深刻化しており,その改善が県の大きな課題となっているところは,周知のとおりであります。私はきれいな霞ヶ浦,涸沼を一日も早く取り戻し,将来の子孫のために財産として残すことこそが,我々に課せられた役目であると思っております。
県では,生活環境部が中心となっていろいろな計画を立て,種々の施策を実施していることは承知しておりますが,その一つの手段として,農村地域の下水道である農業集落排水事業の整備が,大きく取り上げられるのではないかと思います。
県では,農業集落排水事業の重要な事業として位置づけ,特に霞ヶ浦流域では,積極的に事業を推進しているところでありますが,まだ整備計画に対して,完了または実施中の集落は,約20%だと聞いております。
現在,私の地元でも,岩瀬町の南飯田地区など,農業集落排水事業が行われているところですが,まだ事業が完了しているところはなく,河川等の水質汚濁が解消されておりませんし,地元農家からは,生活環境の整備ということで早期完了の要望が寄せられております。
そこで,西茨城郡における農業集落排水事業の進捗状況並びに今後の計画等について,お伺いいたします。
次に,北関東自動車道のアクセス道路整備について,土木部長にお尋ねいたします。
北関東自動車道は,群馬県の高崎市から栃木県の宇都宮市及び本県の水戸市を経て,国際流通港湾を目指す常陸那珂港へ至る延長約150キロメートルに及ぶ高速道路であります。この道路は,上信越自動車道,中部横断自動車道と一体となって,東京都心から100~150キロメートル圏を環状に連絡する関東大環状連絡軸の一部を形成し,北関東地域における総合的な開発を推進する重要な基盤施設であります。
この北関東自動車道が,昨年末に,国土開発幹線自動車道建設審議会において,全線が整備計画区間として位置づけられたことは,本県はもとより北関東3県にとって非常に喜ばしいことであり,今後の茨城の発展に,さらに弾みがつくものと考えております。
この場をおかりしまして,建設省や県を初め,関係各位に改めて感謝申し上げる次第であります。
さて,高速道路の場合は,インターチェンジへのアクセス道路が同時に整備されることが,高速道路にとってはもちろん,地域振興の面からも重要であります。東水戸道路が,昨年12月に開通したときも,アクセス道路である国道51号の大洗バイパスが同時に4車線化されたことにより,一般道へのスムーズな交通確保がなされたことは,周知の事実であります。
そこで,まず,北関東自動車道の友部インターチェンジのアクセス道路であります国道355号の友部から岩間区間の整備状況と,今後の見通しについてお伺いいたします。