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  1. 茨城県議会 1997-03-06
    平成9年第1回定例会(第3号) 本文 開催日: 1997-03-06


    取得元: 茨城県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-08
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 平成9年3月6日(木曜日)午後1時4分開議      ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◯議長(松浦英一君) これより本日の会議を開き,直ちに議事日程に入ります。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 日程第1 第1号議案=ないし=第102号議案,報告第1号 2 ◯議長(松浦英一君) 日程第1,第1号議案ないし第102号議案及び報告第1号を一括して議題といたします。      ────────────────────────── 県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑 3 ◯議長(松浦英一君) これより県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑を許します。  江田隆記君。             〔24番江田隆記君登壇〕 4 ◯24番(江田隆記君) 自由民主党の江田隆記でございます。  通告に従いまして知事初め関係部長に質問いたしますので,簡潔なる御答弁をお願いいたします。  まず,最初に,行財政改革の取り組みについて,知事及び総務部長にお伺いいたします。  今日,国,県とも,長期の景気低迷に伴い,全体として税収が伸び悩んでいる中で,国の来年度の予算編成においては,引き続き,各般にわたり財政支出が強く求められております。その結果として,国,地方を通じた公債発行残高等は平成9年度末で521兆円に上っており,8年度末より30兆円もの増加が見込まれております。  本県においては,橋本知事のもとで,来年度予算案が県民のニーズに十分こたえるべく,事務事業の見直しを行うなどの創意工夫をしながら,地方財政計画を上回る,やや積極型で編成されました。財源確保面では税収の伸びが若干しか見込めないため,引き続き,県債の増発や基金の取し崩しなどでの対応となっており,予算編成での御苦労に深く敬意を表するものであります。  しかしながら,今後とも県民ニーズに的確に対応し,県勢発展のために将来を十分展望した予算とするためには,行政施策の厳選により,機動性を高めた体力づくりをすることが急務であることは明白であります。  折しも,先月,出資団体調査特別委員会の骨子案が公表されました。その中で,県関係団体経営改善計画事業計画などに関して需要動向や採算性などを事前に十分検討するよう求める内容が盛り込まれておりましたが,これらはまさに行政全般にも言えることであります。昨年度からの行政改革大綱の中で定員シーリング方式や職員の士気高揚を図るための庁内公募制を導入するなど,橋本知事が行政改革に積極的に取り組んでおられる姿勢は十分評価できるものであります。今後は,ソフト面でもさらなる充実が図られることを期待するものであり,とりわけ事業の事前の評価,検討が一層必要と思われるのであります。  しかしながら,予算編成期において一度に数多くの予算項目全般を細かくチェックすることは,おのずと限界があります。  そこで,2点ほど提案いたします。
     まず,1つは,比較的大型の重要事業が計画される際は,必要性,事業効果,事業手法等を事前に,第三者的に十分評価,検討していただきたいということであります。また,そのためには,御承知のように,先進的企業経営で既に広く活用されているOR技法──これは投資費用対投資効果や最も適当な事業手法などを検討,決定するための経営学的手法ですが,これらは十分利用価値があると思うのであります。したがって,財政部門や事業部門とは別に,事業計画などを専門的に評価,検討できるセクションやチームを設置し,事前評価体制を整えるべきではないかと考えますが,知事の御所見をお伺いいたします。  2つ目は,言うまでもなく,県の事務事業のほとんどは継続事業であり,かつ膨大な量に上りますが,これらを効率的に整理する必要があると考えます。私は,コンピューターソフトの技術者から,3年たったシステムは見直せ,5年たてば抜本的な検討が必要,10年たったものは別に新しいものをつくれ,ということを聞いたことがあります。また,鹿児島県や北九州市の平成9年度予算編成では,一定年限を経過した事務事業は一度自動的に終了とし,さらに継続したものは新規扱いの査定をする,いわゆるゼロベース査定方式を採用したと聞いております。  そこで,本県においても,前年度枠やシーリング方式主体から新規事業は原則として計画時点で実施年限を切ることを含め,昨日の我が党の岡部幹事長の代表質問でもありましたように,また,その答えとして,知事答弁でゼロベース査定ということを導入するというふうなお話がありました。私も全く同感でございます。そこで,総務部長のゼロベース査定の御所見をお伺いいたします。  次に,新たな環境政策の展開について,知事にお伺いいたします。  今日,ふるさとや周囲の山,川に思いをはせるとき,幼き日々に抱いたあの自然の多くが,いつの間にか失われているのに気づき,一抹の寂しさを感じるのは私一人ではないと思うのであります。そして,すべての生物は地球環境上の絶妙なバランスの中で生かされており,このバランスを崩せば,私たちや子孫がその影響を受けることになります。今や,自然環境に無頓着な生き方,やり方は許されない状況であることは明らかであります。  このようなことから,国では,環境全般に関する指針として環境基本計画をつくり,人間の生活ができるだけ環境に負荷をかけないように配慮することを訴えながら,循環,共生,そして参加という3つの目標を掲げています。本県では,これを受けて,より具体的な行動の指針となるべき,本県版環境基本計画づくりに取り組み,このほど計画が策定されました。ぜひとも,県民の生活や企業活動の行動に貴重な指針として生かされるよう期待しております。  例えば,国において取り組まれている太陽光や風力などを実用化するための研究や,電気自動車等の既に実用化された製品の導入促進に向けての誘導,支援施策が地方でも望まれるところであります。  そこで,茨城県環境基本計画に基づき,どのように今後の環境行政を展開しようとしているのか,その基本的な考え方について知事にお伺いいたします。  また,霞ヶ浦は,御承知のように,我が国第二位の面積を有し,本県を初め首都圏の生活や産業に深くかかわっております。県西地域でも,水道用水や農業・工業用水としての利用が拡大しており,その重要性が一層増しております。しかしながら,水質はその測定指標でありますCODが平成3年度では6.8ミリグラム/リットルまでに改善されましたが,その後再び悪化に転じ,平成7年度では8.4ミリグラム/リットルとなりました。ちみなに,水道水源である霞ヶ浦の水質環境基準はCOD3ミリグラム/リットル以下でありますが,これには遠く及んでおりません。  この背景は,流域面積が約2,200平方キロメートルと広大な上,生活や産業に利用された水が流れ込む低地にあるということであります。また,流域内の都市化が進み,居住人口も約95万人と多く,下水道の整備が追いつかず,依然として汚濁要因は減少していないのであります。残念ながら,私が住む県西地域においても同様の状況で汚濁が進んでおり,特に生活排水系の対策は急務であります。  このような中で大切なことは,汚濁源や流域河川と湖沼を一体としてとらえ,総合的な対策を施すべきであります。また,一昨年の世界湖沼会議でも提唱されましたように,自然の浄化作用の修復を積極的に図ることも極めて重要であります。現在,知事が構想づくりを進めている霞ヶ浦の環境保全対策の総合的な拠点となる霞ヶ浦環境センターはタイムリーであり,県民の期待も非常に大きいものであります。そして,センター完成後において霞ヶ浦流域での生態系を含めた調査研究が進めば,そのノウハウは必ずや全県に適用できるものと考えております。  センターのこのような役割を期待どおりに発揮させるためには,計画から建設,運営に至るまで,霞ヶ浦の管理機関である建設省や流域市町村などとの連携,協力が不可欠であります。また,生活系の排水対策を効果的に進めるには,県民の関心と参加,協力が得られる施策がぜひとも必要であります。したがって,湖沼会議でもそうであったように,センターにおいては,県民を積極的にかかわらせていくことが重要となります。  そこで,霞ヶ浦環境センターの建設整備を進めるに当たり,これらを踏まえた知事の基本的な考え方をお伺いいたします。  次に,福祉行政について,福祉部長にお伺いいたします。  まず,エンゼルプランの推進についてであります。  日本は,世界に例を見ないスピードで高齢化が進み,ことしじゅうには65歳以上の高齢者の数と15歳未満の子供の数が逆転するとのことであります。高齢化率は16%近くに上昇し,ことしじゅうにドイツ,イギリスを抜いて,主要先進国の中で最も高くなると言われております。裏返せば,少子化傾向の歯どめがかからないということであります。現在の人口を維持するためには,1人の女性が一生のうちに産む子供の数である合計特殊出生率が2.08でありますが,平成7年には1.42まで減少を続けています。  本県においては,昭和50年に2.09でありましたが,平成7年には1.53と,全国と同じ傾向で少子化が進んでおります。少子化の大きな原因は,女性の高学歴化,晩婚化が進み,未婚率が上昇したこと,女性の職場進出による子育てと仕事の両立の難しさ,育児の心理的・肉体的負担,さらに,子育て費用の増大などが考えられます。平成6年10月に実施した茨城県子育て環境調査によりますと,理想の子供の数は,3人が54%,2人が34%,4人が5.4%という順になっております。  理想と現実が大きく異なっている理由としては,お金がかかり過ぎるということを筆頭に,親の年齢から無理,親の精神的負担が大きい,住宅が狭い,などが挙げられております。このままの出生率では,21世紀中に日本の人口は半分になり,何と500年後には地球上から日本人が消滅してしまうという人口問題研究所の推計が出ております。  こうした問題を政治や行政がどう真剣に受けとめ,どうかかわっていくべきかが将来にわたる大きな課題であります。国においては,厚生,文部,労働,建設の4省の合意のもとに,平成7年から10カ年計画のエンゼルプランを策定し,子育て支援施策を総合的,計画的に推進しております。  本県においても,先月,茨城県子育て支援総合計画大好きいばらきエンゼルプランというタイトルで,エンゼルプランが策定されました。このプランは,子供の視点に立った明るい家庭づくり,子供がたくましく心豊かに育つ環境づくり子育て支援のための地域社会づくりという基本的な考え方のもとに,国のエンゼルプランより各施策の目標値を高く設定し,きめ細かく策定されております。私は,この大好きいばらきエンゼルプランの推進に当たっては,ぜひとも全庁的な取り組みを願うものであります。  また,役割の大部分を担うのは市町村でありますので,市町村版エンゼルプランを策定してもらうことが重要なポイントになります。さらに,行政の総合的な施策でありますので,地域ケアシステムのように,県内全市町村に子育て支援コーディネーターを配置し,県と市町村,関係機関,民間団体などが強力にネットワークを結び,同じベクトルで推進すべきと考えるものであります。  そこで,エンゼルプランの全庁的な取り組み体制,市町村への指導・援助の方策,子育て支援コーディネーターの提案をどのようにお考えになられるのか,福祉部長にお伺いいたします。  次に,障害者プランについてであります。  昭和56年の国際障害者年を契機として,本県では同年12月に国際障害者年茨城県行動計画を策定し,ノーマライゼーションの基本理念のもとに,障害者の完全参加と平等を目指して,障害者に関する施策を推進してきたのであります。しかし,高齢化や核家族化の急速な進行,県民意識の多様化など,障害者を取り巻く環境が大きく変化し,よりきめ細かい障害者福祉に関する施策が必要となってきたのであります。  その後,障害者にやさしい福祉社会を目指してという理念のもとに,平成5年度から10カ年計画の障害者福祉に関する新長期行動計画が策定され,障害者福祉が一歩前進したのであります。この障害者福祉に関する新長期行動計画に示している施策のうち,重点的に実施する事業を定め,計画的に推進するために,今般,茨城県障害者プランが策定されたのであります。  本県の障害者数は平成7年度において療育手帳を持つ知的障害者は9,400人,身体障害者手帳を持つ身体障害者は6万8,500人,精神障害者の推定数は3万8,000人で,茨城県民の3.9%,実に11万6,000人が障害者であります。どの障害者の方々も年々増加しておりますが,高齢化社会の進展とともに,特に身体障害者が毎年3,000人くらいの勢いで増加しているのであります。障害者は年齢や障害の種類,障害の程度によりきめ細かい対策が大切でありますので,茨城県障害者プランは障害者にとって大きな朗報となることと信じております。  茨城県は,高齢者介護のためのゴールドプラン少子化対策のためのエンゼルプラン,障害者のための障害者プランと,具体的数値目標を持った保健,福祉に関する全体施策の3つのプランが出そろったのであります。だれもが健やかに暮らせる安らぎに満ちた社会づくりに取り組んでいる橋本知事の面目躍如たるものがあります。  ノーマライゼーションの理念のもとに施設福祉から在宅福祉への流れの中で,茨城県障害者プランの基本的な考え方は何か,また,障害者の自立を支援する重点施策は何か,そして,エンゼルプランと同じく,市町村において障害者プランを策定してもらうことが重要なかぎになると思いますが,市町村への指導,援助にどのように取り組むお考えなのか,あわせて福祉部長にお伺いいたします。  次に,医療問題について衛生部長にお伺いいたします。  まず,救命救急センター設置見通しについてであります。  重篤救急患者を365日,24時間体制で受け入れる救命救急センターの増設の必要性を,県民の切なる願いとして,私は過去3回,この壇上で訴えてきました。平成5年の第1回定例会の答弁では,今後検討してまいりたいとのこと。次に,平成6年第2回の定例会では,新しい県計画の中で救命救急センターの配置を含めた救急医療体制の充実について検討してまいりますと,一歩前進の答弁。そして,平成7年の第3回定例会では,県北,県西など地域によっては,患者の搬送時間の点から一刻を争う重篤患者の救急医療に不便を来しているため,早急に配置計画を策定し,その推進を進めていくとの,さらに一歩前進した答弁をいただいたのであります。  県民のニーズが一番多いこと,地域的な偏り,患者の搬送に長時間かかること,一分一秒を争うことなど,その趣旨を十分御理解していただいておりますので,今回はその必要性については触れませんが,いつでもどこでも安心して医療サービスが受けられる茨城づくりを進めるという知事の救急医療への姿勢に,今回はさらに前進した答弁を期待するものであります。  そこで,救命救急センターの空白地域である県北,県西,鹿行の3つの地域への設置について,どのようにお考えなのかお伺いいたします。  次に,周産期センターについてお伺いいたします。  この病院は,異常妊娠,異常出産が見込まれる妊産婦の救急病院でありますが,概ね人口100万人に1カ所という国の基準のもとに,本県では3つの病院に開設されております。県北の日立総合病院,水戸の済生会病院,そして,県南の土浦協同病院であります。母子保健,医療水準の向上により,周産期死亡率,新生児死亡率とも,本県において年々減少していることは大変喜ばしいことであります。  しかしながら,母体や胎児,あるいは新生児に重大な障害を生ずる危険性の高い妊産婦,いわゆるハイリスク妊産婦集中治療室利用者数は,年々増加しているのであります。水戸済生会病院に茨城県周産期センターがオープンした平成4年度は99人,5年度は109人,そして,土浦協同病院にオープンした平成6年度は459人,7年度は569人となっており,今年度は日立総合病院にオープンしましたので,600人をはるかに超えることが予想されるのであります。  このようにハイリスク妊産婦が年々増加しているにもかかわらず,死亡率が減少しているのは,周産期センターがその役割を十分に果たしているからであると思うのであります。また,周産期センターに併設されでおります生後1週間から4週間までの新生児救急医療システムも,新生児の救命率の向上と障害児発生の防止に大いに貢献しているのであります。  この周産期センターは,3つの地域だけではなく,救命救急センターと同じように,最低,県内5つの地域に設置すべきと私は考えております。と申しますのは,妊産婦や新生児の急変への対応は時間との勝負であること,また,周産期センターが遠隔地であっては,出産後に母親が新生児に面会するのが物理的に大変であるということであります。新生児にとって,母親との触れ合いが一生を決める人格形成の最も重要な時期であるからです。このことは大脳生理学の定説となっております。たとえ,新生児が保育器に入っていても母親はスキンシップができますし,新生児にとって一番安心できるのは,だれよりも母親であるからです。  しかし,県西地域や鹿行地域は水戸の茨城県周産期センターに搬送するエリアとなっており,古河・総和保健医療圏の患者にとっては水戸までは余りにも遠いので,埼玉県や栃木県の周産期センターにお世話になっている例が多く,一日も早い周産期センターの設置が待たれているのであります。  そこで,周産期医療の中核となる周産期センターを,県西地域や鹿行地域にも整備していくべきと考えますが,衛生部長の御所見をお伺いいたします。  次に,療養型病床群の整備についてお伺いいたします。  平成12年度に導入を予定されております公的介護保険制度が今国会で審議されており,間もなく成立する運びとなっております。高齢化社会の到来により,介護を必要とする方が急速に増加し,介護に関する国民の不安に対応するため,介護を社会全体で支えていこうというものであることは御承知のとおりであります。この制度は,在宅介護と施設介護に分かれ,利用者が程度に応じてサービスを自由に選択,利用できるものであります。  施設サービスは,特別養護老人ホーム老人保健施設療養型病床群と,3種類に分類されております。そのうち特養と老健は,ゴールドプランに沿って順調に整備が図られているところでありますが,高齢者の長期入院患者のための病院であります療養型病床群は整備がおくれているのが現状であります。厚生省では,全国で19万床が必要であると試算しているものの,現在の充足率は25%,4万7,159床であります。本県では4,000床の必要数が見込まれておりますが,現在の充足率はわずか11%,436床であります。まことに心もとない現状であります。  我が自民党茨城県連では,昨年の7月から21世紀福祉の郷づくり懇談会を開催し,久野座長を中心に,介護保険導入に向けて医療福祉の勉強会を続けてきております。私もそのメンバーの一員でありますが,懇談会の提言の一つである療養型病床群等の整備促進は,山口県連会長黒部政調会長等の決断により,党の重要政策大綱に取り入れられたのであります。  財政事情の厳しい中,早速,橋本知事は,療養環境等整備資金融資制度を創設し,初年度分として30億円の予算を計上したのであります。知事の医療,福祉への深い御理解に敬意を表するものであります。  そこで,衛生部長にお伺いいたします。  平成12年度の介護保険導入に向けての療養型病床群の整備計画と見通しについてどのようなお考えをお持ちなのか,また,今国会に第3次医療法改正案が上程されておりますが,その中で20床未満である有床診療所が療養型病床群へ転換した場合には,病床規制の対象になるとのことであります。現在,古河・総和保健医療圏には1ベッドの余裕もありませんが,そのような場合にはどのような対応になるのかお伺いいたします。  さらに,本県にある22施設,2,031床ある特例許可老人病院に対し今後どのような指導をしていくお考えなのか,あわせてお伺いいたします。  以上で,私の第1回目の質問を終わらせていただきますが,答弁によりましては再質問させていただきます。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 5 ◯議長(松浦英一君) 江田隆記君の質問,質疑に対する答弁を求めます。  知事橋本昌君。              〔知事橋本昌君登壇〕 6 ◯知事(橋本昌君) 江田隆記議員の御質問にお答えいたします。  まず,事業の評価体制の確立についてでございます。  複雑,多様化する県民のニーズに的確にこたえ,県民生活の一層の向上を図っていくためには,施策相互の連携を緊密にして,総合的に施策を推進していくとともに,効率的な行財政運営が重要であります。このため,今年度から,全庁横断的な組織として総合政策推進本部を設置し,重要政策について予算編成前に,事業の目的,必要性や事業費などについて総合的な検討を行い,予算編成に反映させているところでございます。  議員御提案の方法は,民間企業の場合,極めて有効であると思われますが,行政の場合は,その目的,範囲が広範にわたり,全く異なる分野の効果を比較することが難しいこと,あるいはまた,行政効果を一律に数量化することには困難が伴うことなどから,なかなか難しいものがございます。  しかしながら,現下の厳しい財政状況や地方分権後の行財政運営を見据えますと,限られた財源と人員を有効に活用し,最大の行政効果を上げていくことが強く求められておりますことから,事前に事業目的や効果などを十分評価,検討した上で,最も効果的かつ効率的な施策を選択していくことが,今まで以上に必要でございます。  したがいまして,今後,事業部門みずからが施策評価することはもちろん,これとは別に,全庁的な立場から,事業目的や効果などを十分評価,検討できるようなシステムについて研究し,取り入れてまいりたいと思います。  次に,環境基本計画に基づく今後の環境行政の展開についてでございます。  良好な環境を将来にわたり保全し創造していくため,昨年6月に制定した環境基本条例に基づき,このたび環境施策の推進方策を明らかにした環境基本計画を策定いたしました。  環境基本計画では,21世紀を展望した環境の保全と創造に関する目標と施策展開の方向を示しており,その基本目標として,環境への負荷の少ない循環を基調とする地域社会の構築,恵み豊かな自然との共生と快適な環境の創出,すべての主体が参画する新たな社会の創造の3つを掲げております。  県といたしましては,この目標のもとに社会経済活動や生活様式を見直し,エネルギーの効率的利用を進めるなど地球環境の保全対策を進めますとともに,地域環境をよりよいものとしていくため,本県の大きな課題となっております霞ヶ浦などの湖沼や中小河川の水質浄化,資源の循環利用あるいは廃棄物の適正処理などを図ってまいります。また,平地林など緑の保全や貴重な野生生物の保護を進めるとともに,快適な都市環境の創出などを図ってまいります。  さらに,これらの施策を着実に推進するためには,行政,事業者,県民が相互に連携,協力していくことが大切でございますので,市町村や事業者に対する指導,支援を行いますとともに,環境情報の提供や環境教育・学習の充実を図ってまいります。  今後は,この環境基本計画をもとに,施策を総合的,計画的に推進しますとともに,環境保全茨城県民会議や大好きいばらき県民会議とも連携しながら,環境保全活動の展開を図り,自然の恵みを次の世代に引き継いでいけるよう,環境にやさしい茨城づくりに積極的に取り組んでまいります。  次に,仮称霞ヶ浦環境センターの整備の基本的な考え方についてでございます。  霞ヶ浦環境センターは,湖沼に関する幅広い調査研究を初め,環境教育,市民活動との連携・支援,国際交流といった複合的な機能を持ち,研究者,市民,企業及び行政,この四者のパートナーシップのもとに,霞ヶ浦の水質浄化や新しい湖沼環境の創造と管理に取り組むための総合的な拠点として整備してまいりたいと考えております。  現在,センターの基本構想につきまして,研究者,市民,企業及び行政などのメンバーから成ります委員会を設置し,幅広い角度から御議論をいただいているところでございまして,近くその検討結果について御報告をいただける運びとなっております。  国や市町村,あるいは市民との連携,協力についての基本な考え方であります。  まず,施設整備面では,議員御指摘のとおり,湖の管理者であります建設省など国の理解や支援,あるいは流域市町村の協力が不可欠でありますので,十分,協議,調整を図りながら進めてまいりたいと思います。  運営面では,例えば国や市町村との間で共同して,あるいは役割分担をしながら,調査研究,データの収集などを行う,さらには,専門家会議の開催や浄化啓発事業の実施などに当たりまして一緒に事業展開を図るといったことが考えられます。また,市民とのかかわりにつきましては,環境教育や霞ヶ浦の浄化活動,あるいは各種の調査活動などを中心に,センターの活動に随時参加していただくことはもとより,研修会やイベントの開催など市民の自主的な事業に対し,活動の場,人,資材の提供といった支援を行うことにより,センターと市民との密接な連携を図ってまいりたいと考えております。  今後は,このような考え方を基本に,委員会からの御報告を踏まえて基本構想を策定し,平成9年度には基本計画づくりなどを進め,県内はもとより国内外の湖沼環境問題の解決に寄与できるセンターの早期整備に向け,積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 7 ◯議長(松浦英一君) 総務部長御園慎一郎君。            〔総務部長御園慎一郎君登壇〕 8 ◯総務部長(御園慎一郎君) 予算編成におけるゼロベース査定方式についての御質問にお答えしたいと思います。  これまでの予算編成に当たりましては,前年度の予算をベースに予算要求枠を設定する,いわゆるシーリング方式を採用いたしまして,予算の編成を行ってまいったところであります。  このシーリング方式は,予算の総額を一定の枠内におさめるという面では大変すぐれているわけでありますけれども,一方では,査定方式が増分査定になるわけでありまして,シーリング内におさまってしまっている既存の事業につきましては固定化する傾向があることも否定できない点であります。  議員御提案のゼロベース査定方式についてでありますが,この方式につきましては,既存事業に対しまして事業の必要性や事業費の妥当性をゼロから査定し直すという点で,従来の私どもが行ってまいりましたシーリング方式にはない,すぐれた面があるというふうに認識しております。したがいまして,このたび,総務部内に設置をすることにしております行政改革・地方分権推進室におきまして,現下の,かつてない厳しい財政状況に対処するための方策をさまざまな観点から検討することとしているところでありますけれども,その中でも,議員御提案のゼロベース査定方式も重要な課題として検討し,今後の予算編成にも反映してまいりたいというふうに考えております。 9 ◯議長(松浦英一君) 福祉部長横田凱夫君。            〔福祉部長横田凱夫君登壇〕 10 ◯福祉部長(横田凱夫君) 福祉行政についてお答えいたします。  まず,大好きいばらきエンゼルプラン推進のための全庁的な取り組み体制についてでございますが,このプランにおきましては,子供を持ちたい人が安心して子供を産み育てられる環境づくりを進めるために,子供を健やかに育む家庭づくりや,子育てと仕事の両立支援,生きる力と心の豊かさを育む教育の推進,子供が伸び伸びと育つ生活環境の整備などを図ることとしております。  そのため,福祉はもとより,保健,衛生,労働,教育,環境など,行政の各分野にまたがる施策を幅広く盛り込んでおります。  今後,これらの子育て支援施策を総合的かつ効果的に展開していくため,これまで庁内各部局で構成しておりました連絡会議を茨城県児童環境づくり庁内推進会議に改め,この会議を通して,各部各課がそれぞれの分野で積極的に事業を実施すると同時に,相互の連携を密にしながら関連施策の総合調整を行い,全庁を挙げて積極的に取り組んでまいります。  次に,市町村への指導,援助の方策についてでございますが,きめ細かな子育てサービスを提供するためには,市町村におきまして住民のニーズや地域の特性を的確にとらえた子育て支援計画を策定し,効果的に事業を実施していくことが重要でございます。  このため,県といたしましては,各市町村が速やかに市町村版エンゼルプランを策定できるよう,計画策定に当たって必要な助言,指導を行ってまいりますとともに,延長保育や休日保育,放課後児童クラブの整備等,県独自の補助制度の充実を含め,市町村が積極的に事業を推進していけるよう,助成を行ってまいります。  また,地域における子育て支援を推進するため,子育てサポーターの設置や母親クラブの活動助成など,子育ての輪づくりを進めております。さらに,保育所を地域の子育て支援の中核として,子育て家庭の育児不安に対する相談指導や,育児サークルの支援等を行う地域子育て支援センターの設置促進に努めているところでございます。  このような地域における子育て支援を進めていく上では,行政や関係機関,団体等の連携が重要でございますので,議員御提案の子育て支援コーディネーターにつきましても研究していく課題であると考えております。  次に,茨城県障害者プランについてでございます。  本県におきましては,平成6年3月,障害者福祉に関する新長期行動計画を策定し,障害者にやさしい福祉社会を目指して,各種施策の推進に努めているところでございますが,このたび,平成14年度までに重点的に実施すべき施策を示しました茨城県障害者プランを策定したところでございます。  この障害者プランでは,障害を持つ人々が積極的に社会参加ができるよう,社会的自立の促進に努めるとともに,住みなれた地域社会において,安心して生活が送れるよう地域での生活の充実を図ること,潤いや生きがいのある生活を実現できるよう生活の質の向上を図ることなどを基本的な考え方としております。  これらを実現するための重点施策でございますが,福祉のこころづくりや就労の場を確保するとともに,気軽に相談のできる体制などの充実に努めてまいります。また,施設福祉や在宅福祉を充実していくため,生活圏域を考慮しながら,身体障害者療護施設などの福祉施設の整備を進めるとともに,グループホームや心身障害者福祉ワークス運営事業など,在宅福祉の施策をより一層充実してまいりたいと考えております。  さらに,バリアフリー化,いわゆるハンディキャップのある方々にとって障害物がないようにすることでございますが,こういったことを促進するなど,人にやさしいまちづくりに積極的に取り組んでまいります。  一方,障害者の生きがいづくりも非常に大切でございますので,ゆうあいピック茨城大会を契機に,障害者のスポーツ活動の振興に努めるとともに,文化活動の支援につきましてもさらに力を入れてまいります。  なお,このプランにおきましては,計画的に推進すべき施策については具体的な数値目標を設定しており,この目標達成に向け積極的な取り組みを推進してまいりたいと考えております。また,このプランの実現を図っていく上では,障害者に,より身近な市町村における取り組みが重要でございますので,県といたしましては,市町村障害者社会参加促進事業などの助成を行いながら,市町村における計画策定に向け,指導,助言に努めてまいりたいと考えております。 11 ◯議長(松浦英一君) 衛生部長石川哲夫君。            〔衛生部長石川哲夫君登壇〕 12 ◯衛生部長(石川哲夫君) 医療問題についてお答えいたします。  まず,第1点目の,救命救急センターの整備についてでございますが,御案内のとおり,現在,県内には救命救急センターは,国立水戸病院,筑波メディカルセンター病院,土浦協同病院の3カ所にございます。  このような状況の中で,それぞれの救命救急センターへの搬送に60分以上かかる地域が,県北,県西,鹿行地域の一部にございますので,県として,この3地域に救命救急センターの整備が必要であると考えております。また,昨年度開催いたしました茨城県救急医療対策協議会におきましても,この3地域に救命救急センターの整備が必要であるとの意見をいただいたところでございます。
     このため,県といたしましては,医療機関など各関係者と協議を続けておるところでございますが,特に県西地域につきましては,地元の受入体制が整いつつあることから,国庫補助を導入し,できるだけ早い時期に整備を図りたいと考えております。また,残りの県北,鹿行の2つの地域につきましても,関係機関等の御意見を伺いながら順次整備を図ってまいりたいと考えております。  次の,2点目は,県西地域及び鹿行地域における周産期センターの増設についてのお尋ねでございますが,御案内のとおり,本県におきましては,平成3年3月に,周産期保健医療対策等専門委員会からの報告に基づきまして周産期センターの整備を進めてまいりました。平成4年度には,県央,県西,鹿行地域をカバーする茨城県周産期センターを水戸済生会総合病院内に最初に整備いたしました。翌年度には,県南地域をカバーする周産期センターとして土浦協同病院内に,そして,平成8年7月には日立総合病院内に県北地域をカバーする周産期センターを設置し,当初の計画でありました3ブロックの周産期センター体制が整備されたところでございます。  これにより,県内の患者さんの受け入れは一応整ったわけでございますが,議員御指摘のとおり,一部の地域では,他県の医療機関へ搬送しているという実態や,搬送に時間がかかるなどの観点から,何らかの対応を検討する必要があるものと考えられますので,当該地域における新たな周産期センターの増設につきましても今後研究してまいりたいと考えております。  しかしながら,センターの増設に当たりましては,高度の医療設備や専門的知識を有する医療従事者の確保,患者さんの搬送体制の整備など,解決しなければならない課題が多数ございます。したがいまして,当面は,既存の周産期救急医療システムや新生児救急医療システムの活用,あるいは周産期センター協力病院の機能を効率的に活用していくなどにより,対応に努めてまいる所存でございます。  3点目の,療養型病床群の整備目標についてお答えいたします。  療養型病床群の整備目標につきましては,従来,全国で19万床,本県では3,000床から4,000床と推計されておりましたが,今回の介護保険制度の導入に伴いまして国ではその算定のもととなる基準をこれから定める予定となっており,現段階での明確な目標数値の設定は困難でございます。  しかしながら,県といたしましては,国の算定基準が示され次第,平成10年に策定する第3次茨城県保健医療計画の中で,保健医療圏ごとの療養型病床群の整備目標を定め,医療・介護体制の整備の促進に努めたいと考えております。  次に,20床未満の病床を持っている診療所,いわゆる有床診療所の療養型病床群への転換についてお答えいたします。  現在,国会で審議中であります医療法改正案によりますと,新たな制度として有床診療所でも療養型病床群を設けることができるようになりますが,この場合は,議員御指摘のとおり,病床規制の対象となっております。したがいまして,古河・総和保健医療圏などの増床に余裕がない医療圏におきましては,有床診療所からの転換は非常に困難であると考えられます。このため,このような医療圏の場合は,一般の病院病床から療養型病床群への転換により,その整備を促進することが必要となると考えております。  さらに,特例許可老人病院,すなわち主として慢性疾患を持った高齢者が入院する病院でございますが,同じような対象者が入院する病院であります療養型病床群は,施設面でも介護面などにおきましても厚みが加えられております。したがいまして,県といたしましては,特例許可老人病院よりも,その内容が充実している療養型病床群への転換が望ましいと考えております。  このため,今回御審議をいただいております新たな融資制度を活用しながら,療養型病床群の整備拡充に努めてまいりたいと考えております。 13 ◯議長(松浦英一君) 江田隆記君。              〔24番江田隆記君登壇〕 14 ◯24番(江田隆記君) ただいま,知事初め関係部長から御答弁をいただきましてありがとうございました。  幾つかの要望をしたいなと思っているわけでございますけれども,実は,先ほどエンゼルプランの中で,茨城県民の統計の中で一番費用がかかり過ぎるというふうな点があったわけでございます。その中で,特に子供さんを持たれる方々は所得が低いというふうな年齢段階でございますので,その辺,調べてみたものの中からちょっとお話しさせていただきます。また,その後,要望させていただきます。  厚生省の試案によりますと,子育てのコストが,年間,日本全体で約25兆 2,000億円かかっている。このうち社会的な投資ですね,要するに公費等ですけれども,3兆 5,000億円。コストの14%を公費関係で投入している。要するに,残りの個人の家庭負担が21兆7,000億円と膨大な額になっておりまして,今までの子育ての負担だけでは個人の責任のまま放置している,言うなれば個人の営みであったというふうな側面が非常に大きいわけでございます。  一方,これも大事な部分でございますけれども,高齢者の医療,年金,福祉の現金給付関係では,年間約40兆円でございます。大変けた違いの額でございますけれども,やはりそういう点を考えますと,子育て支援の方を,もっと保護者の方々へ厚みを加えた財政的な支援も,ぜひしなくちゃならないというふうにも考えているわけでございます。  また,世代間扶養になるわけでございますけれども,そういうふうな年金関係ですね,コストと給付の関係でございますけれども,これだけを見てみましても,奥さんが専業主婦,子供2人の標準家庭でございますけれども,一般的に子供の養育費が成人するまで1人約2,000万円かかると言われているわけです。2人ですと4,000万円ですけれども,それに年金保険料関係が1,200万円,合計5,200万円かかっているわけでございます。それで,今度は年金の受給額でございますけれども,だんなさんと奥さんの受給額を合わせた額が約4,700万円でございます。そうすると,財政的に500万円のこれは赤字と言えるわけでございまして,見返りはマイナス500万円という形になるわけです。奥さんとだんなさんがきちっと勤めている家庭ですと,子供への養育費が約4,500万円,年金保険料が2,200万円と,6,700万円かかるわけでございます。もらう方ですけれども,年金受給額は,お二人で,夫婦でもらえますので6,700万円ということで,負担額と同額の年金がもらえる。要するにプラスマイナスゼロでございます。  さらに,今度は,共働きでお子さんがいない場合,お二人が勤めていてお子さんがいないという場合には,子育ての費用が,コストはゼロでございます。また,年金の保険料が2,200万円というふうな形になるわけでございます。それで,年金の受給額ですけれども,お二人でいただけますので,6,700万円いただけるという形になりまして,2,200万円負担します。もらうのが6,700万円でございますので,3,500万円がプラスになる。3倍以上になるというふうなことが厚生省で推計されているわけでございますけれども,子供を産むか産まないかによって天と地ほどの負担の差が出るというふうなことが言えるわけです。  これはお子さんが欲しくても産めない方もいらっしゃるわけでございますし,ただコスト面から見ただけのことでございますけれども,そういうことで,今後,特にエンゼルプランの問題は重要な問題になるわけでございます。特に一人っ子がこれからますますふえてくる。要するに1人の子供で親が2人ですね,おじいちゃんおばあちゃん4名と,1対2対4というふうな大変な時代になるわけでございまして,ぜひともエンゼルプランを推進していただきたい,することが大きな課題であるというふうに考えております。  特に,危機管理はたくさんありますけれども,私は,長期的に見た場合,この人口政策は最大の危機管理であるというふうにも考えている者の一人でございます。また,子供さんにとりまして,一人っ子というのは,人格的にも非常に育ちにくい,豊かな心が育ちにくいという側面もあります。人の心の痛みがわからなかったり,思いやりがなかったりという,そんなような,豊かな心を持つ子を育てることが大変重要な課題でありますけれども,大変育ちにくいというふうな環境にもあるわけでございます。これは子供の責任ではないわけでございますけれども。  そういう点で,日本の最高の資源は人間でございます。これにまさるものはないわけでございますけれども,特に一人っ子になりますと,お姫様・お殿様症候群といいましょうか,そういう点では,今問題になっておりますいじめなんかの一つの要因でもなかろうかなというふうな気がしているわけでございます。また,将来を考えた場合,子供は歴史の希望の星でございます。将来にわたって,これは国家的にも,また本県においても真剣に取り組んでいく必要があるというふうに考えております。  私の尊敬するマザー・テレサの言葉でございますけれども,世界じゅうで一番美しいところは子供たちの笑顔のあるところであるというふうなことを,数年前,元気なときにおっしゃっていたようでございます。ぜひ,茨城県を世界じゅうで一番美しいところにしたいというふうに思っておるわけでございます。そして,橋本知事には,人間愛に燃える,子供たちにも大変やさしい,茨城県の良寛さんのような,そういうふうな気持ちでもって,先ほど挙げた3つのプランをぜひ遂行していただきたい,頑張っていただきたい,かように思う次第でございます。  それに,先ほど衛生部長から周産期センターの問題がありました。研究していきたいというふうなことでございますけれども,障害者を一人でも出さない,本当に安心して産める,まずその出発点でございます,これをぜひ前向きにやっていただきたい,かように要望しまして,私の一般質問を終わりにさせていただきます。  御清聴ありがとうございました。(拍手)      ────────────────────────── 15 ◯議長(松浦英一君) 次に,井手義弘君。              〔16番井手義弘君登壇〕 16 ◯16番(井手義弘君) 公明・新進クラブの井手義弘でございます。  平成9年度予算案と県政一般の諸課題につきまして,橋本知事,教育長並びに担当部長に御質問いたします。具体的で前向きな御答弁をよろしくお願い申し上げます。  今回提案されております平成9年度予算案は,一般会計の伸び率が4.8%,1兆1,022億500万円であり,消費税の導入に伴う都道府県清算金や市町村への交付金を除いた実質的な伸び率は3.2%となっております。  款別の内容を概観しますと,土木費や農林水産費などの公共投資関連の予算を前年以下に抑え込み,民生費,教育費などに重点的に配分している点に特色があります。  具体的な新規事業においては,私ども公明・新進クラブがかねて主張してまいりました放課後児童クラブ整備事業,24時間在宅ケア推進事業,療養環境等整備資金・融資制度等を採用されました。特に児童クラブ事業については,国の政策をも先導する新規事業であり,高く評価するものであります。  全体的に見れば限られた予算を,福祉,医療,教育,文化といった県民生活に直結する分野に重点的に配分した予算であり,執行部の御努力の跡が見える予算編成であると思います。  しかし,この予算には幾つかの懸念材料がございます。  まず,財政の硬直化の問題であります。  昨年度,幾分回復したとはいえ,県税収入の落ち込みは容易には回復しておりません。法人二税の見込額1,195億円は,平成3年度と比較いたしますと300億円少ない計算となります。その上,この4月の消費税率のアップによる消費の冷え込み等を考慮に入れると,法人二税の基本となります企業業績の大幅な回復は絶望的な状況であります。  行財政改革を先送りにして,消費税率の引き上げ,特別減税の打ち切り,医療保険制度の改悪による国民の負担増などなど,政府の失政は,かねてから懸念されておりました景気へのブレーキ効果として,現実のものとなっております。橋本政権の経済政策に不満の声が茨城県民の中にも充満しておるわけでございます。  こうした歳入の不足を県債の発行と基金の取り崩しで繕っているのが,今年度予算の実態であります。平成9年度の一般会計の県債発行予定額は1,566億円に達しております。これは前年当初予算に比べ5.4%の増加となり,予算の伸び率よりも高い結果となっております。公債依存度は,地財計画の13.9%を上回り,14.2%に達しております。平成9年度末の県債発行残高は1兆17億円と,ついに1兆円の大台を突破する見込みです。これを家計に当てはめてみますと,県民1世帯当たり160万円の借金を抱えることになります。  さらに,忘れてならないことがございます。それは,この県債残高は元金の残高であるということです。  ここに一つの試算がございます。平成8年度末の県債残高見込みは8,917億円でありますが,この8,917億円の償還に必要な利子,利息は2,600億円に及びます。期末残高は,利子を加えますと3割近く膨らみ,元利合計では1兆1,500億円の返済が迫られているわけでございます。  県債の近年の発行状況を振り返ってみますと,バブル経済が破綻した平成5年度以降,県債の発行高が急増しております。具体的には,平成4年度が515億円であったものが,8年度が1,480億円,9年度の発行予定が1,566億円と,4年間で3倍強に膨らんでおります。  このように増大した県債残高に対する償還額,すなわち返済額を推計してみますと,8年度の残高見込額8,917億円に対して,10年度で1,036億円,11年度998億円,12年度1,079億円,13年度が1,035億円,14年度978億円と,9年度予算の公債費864億円をはるかに上回る返済を迫られることになります。これに,その年度ごとに新たに発行される県債の償還が加わるわけですから,本年度と同規模で県債を発行した場合,私の試算では,10年度以降の公債費の割合は1割,10%を超え,急速な公債費による財政の硬直化が大いに懸念されております。  基金の取り崩しも深刻な状況にあります。平成9年度一般会計中の基金の取り崩し予定は530億円であります。8年度の取崩額が,最終補正後で285億円でありますから,実に前年度の2倍近くの基金を取り崩すことになります。これによって,平成3年度末に1,763億円あった一般財源基金は,8年度末には358億円にまで減少し,ピーク時の5分の1近くに減少することになります。まさに,借金を重ね,貴重な貯金を吐き出しながらの苦しい予算編成であります。  こうした県債発行による公債費の増加や基金の取り崩しによる財政の硬直化とともに,近い将来問題になるのが退職金を含む人件費負担増の問題であります。平成8年4月1日現在で,県の人事委員会が行いました職員給与の実態調査の資料をもとに,私どもは独自の分析を加えました。知事部局,県警,教育庁など,すべての県職員の人員構成をグラフ化してみますと,38歳と39歳を一つの頂とし,34歳,35歳をもう一つの頂とする,茨城の象徴,筑波山の姿を見事に描き出します。  現在,58歳,59歳の年齢層の方々が約1,000名であるのに対し,ピーク時の年齢帯の方々がその3倍近く,2,700人以上と高い数値を示しております。現在まで比較的抑制傾向できた人件費は,今後10年以内に大きな伸びを示すことが懸念されております。  さらに,職員退職金もその増加が懸念されております。東京都の小金井市で,平成9年度の退職金を支払うため,退職手当債の発行許可を国と都に申請する予算が提出されております。小金井市では退職金用の基金がありますが,4年度に約20億円あった基金は取り崩しが続いており,一方で,市の歳入はバブル崩壊後,3年連続で前年比マイナスを記録する状態となっております。  こうした中で歳入が好転せずに必要な事業を進めれば,9年度には基金を含め退職金に回せる自前の財源がなくなり,退職手当債発行が必要になるとされております。無論,他の市町村の状況と県の状況を単純に比較することはできませんが,対岸の火事として,見逃すことはできません。  本県の場合,平成8年度県職員の退職金の平均は1人約2,630万円であります。毎年,退職金の平均が1.7%上昇すると仮定してみますと,退職者がピークに達する18年後には,退職金の平均額は1.35倍に,また,退職者の数が2.7倍になることが推計されますから,退職金のみで約830億円の財源が必要となります。これは現在の3.6倍の規模であります。  現在,県には,退職金に充てる積み立て制度,つまり退職金のための基金はありません。民間企業では考えられないことであります。厳しい経営状況の中でも,退職引当金を造成することは義務的行為として行われているわけであります。県においても,退職金引当基金を前向きに検討する必要を痛感するわけであります。また,人員の適正配置や思い切った定員の再検討が必要になると思います。さらに,給与制度自体の見直しも課題となりましょう。  具体的に,本日は1点だけ指摘させていただきます。  現在,県では,退職時の特別昇給制度が認められております。県の規則等によって,退職日,退職するその日に2号俸以内で基本給の昇給が認められております。退職金はその昇給された基本給のもとに支給されるために,勧奨による退職の場合は約50万円程度が退職金に上乗せされております。この特別昇給制度一つにしても,県民に対して合理的な説明を加えることは難しいのではないかと考えるものであります。  収入が不足している家計で,借金をふやし,貯金を取り崩して,収入以上の生活をしていたならばどうなるでしょうか。早晩この家計は崩壊し,企業であれば倒産してしまいます。収入をふやすことが難しい状況である現在,支出の削減を何よりも優先させるべきでありましょう。それが行政改革であり,一切の例外,聖域を設けずに,行革の断行が求められております。こうした現状を踏まえ,橋本県知事に対して財政の硬直化をいかに乗り越え,中長期的な視点での県財政のかじ取りをどのようにされようとしておられるのか,御所見をお聞かせいただきたいと思います。  さて,先ほどもゼロベース査定の導入の御答弁がありましたが,現行の予算編成の仕組みには抜本的に改善すべきポイントが4つあると思います。  その第1は,単年度予算消化主義ということであります。次年度の予算を獲得するために,年度末には無理をしても事務費を使い切る,こうした悪癖があることを否定できません。努力の結果,削減できた予算を次年度に繰り越すことのできる制度,いわば予算削減報奨制度等を創設する必要があると思います。  第2には,事業ごとの費用対効果の成果が明確にチェックできる仕組みがないということです。貴重な税金をどれだけ投下すればどれだけの成果が得られるか,その具体的な成果をはかる指標を明確化する必要があります。  茨城県長期総合計画,いわゆる新県計画では,基本計画の目標水準として136項目の具体的な目標値が掲げられました。県は毎年,この目標の達成状況を報告することになっております。こうした具体的指標をすべての事務事業に設定し,その成果を明確に検証していくことにより,わかりやすい予算になると考えます。  既に三重県におきましては,こうした事務事業評価システムが今年度から導入されております。三重県は,このシステムを,民間企業の経営指導ノウハウを持つ日本能率協会と共同で開発したと聞き及んでおります。自治体予算にもますます経営感覚が問われているのであります。  第3には,縦割り行政の弊害であります。  事業のダブリや効率的な執行を図るために,部ごとの垣根を取り払った予算編成が必要であります。さきの三重県の例では,情報,環境,文化,高齢化,福祉など,各部に共通な19のテーマごとに,関係の部課長で調整するマトリックス予算を採用しております。また,市町村では,現行の予算編成を事業別の予算編成に再編成する試みが全国で進んでおります。都道府県レベルでも,我が県が先陣を切ってこうした改革に挑戦していただきたいと期待するものであります。  そして,第4は,ほかでもありません,県民の協力であります。行政のむだを県民の監視の目によってなくしていこうという発想は,今後ますます大切になってくると思います。権力は腐敗するという名言があります。権力にみずからを律する自浄作業はないとの厳しい指摘であります。  一般に,人間はより楽な方向へ,利害を有する方向へ流れやすいものです。昨日,埼玉県は,食糧費文書の出席者名や場所,目的などを3月17日から全面公開することを発表いたしました。行政や議会の中に予算のむだを牽制する仕組みを強化することはぜひとも必要ですが,それ以上に,情報を大幅に公開して,県民の手による行政監視のシステムづくりを手がける必要があります。県民への情報公開は,県の予算編成の仕組みの改善,行財政改革の大きな柱であると主張いたします。  単年度主義の是正,成果指標の明確化,縦割り予算の是正と事業別予算,そして県民への情報公開と,4点にわたって現状の予算編成の課題を述べてまいりましたが,総務部長に,むだを徹底的に排除する予算編成について今後どのように取り組もうとされているのかお伺いをいたします。  水戸市の段ボール加工会社の前社長が,障害者の雇用助成金を不正に受給し,元従業員の知的障害者に暴行を加えた事件が昨年1月に発覚いたしました。前社長は,助成金詐欺と傷害罪,暴行罪など4つの罪で起訴され,裁判は先月の27日に結審いたしました。検察側は,障害者に対する人格べっ視の悪質な犯行として,懲役3年を求刑しております。  今回の事件は,被告に対する詐欺事件や暴行,傷害事件の裁判という枠を超えて,障害者の雇用推進事業のあり方,障害者の権利擁護のあり方などを問う社会問題となっております。  障害者への雇用の門戸が広く開かれ,その人権を擁護するシステムが確立していたならば,今回の悲しい事件は未然に防ぐことができたでありましょう。この事件を踏まえ,障害者の雇用推進策と権利擁護についてお伺いをいたします。  まず,障害者の雇用推進策を商工労働部長にお伺いいたします。  法定雇用率の側面から障害者の雇用の現状を見てみますと,身体障害者及び精神薄弱者の雇用の現状は,県内の市町村等の職員の場合,人数で448人,雇用率は2.03%であり,県職員は119名,2.07%となっており,法定雇用率をぎりぎり満たしております。また,一般企業は,雇用人数で2,442名,雇用率で1.58%であり,民間企業の法定雇用率1.6%を下回っております。県内全体では,法定雇用率という最低の水準さえクリアできていないのが現状であります。  一方,県内の公共職業安定所に職を求めている障害者の数は,平成9年1月までで859名と,景気の回復が進まない中で,障害者の雇用の状態は深刻な状況に陥っております。また,障害者の雇用は,単に何人の障害者を就業させたかという入り口の問題だけにとどめてよいのでしょうか。現在の障害者の雇用対策には,法定雇用率の達成を主な目標としているために,障害者を多数雇用する企業の審査が甘くなっている,一方で,数字にはあらわれない就業後の障害者の生活の質に関する問題には対応が不十分である,との批判があります。  就業した障害者がどのような環境で働き,どのような待遇を受けているのか,喜んで働いているのかどうか,クオリティー・オブ・ライフの発想から,十分なフォローアップが必要であります。  今月4日の衆議院予算委員会分科会において,水戸公共職業安定所が,昭和62年以来,14回にわたってさきの段ボール工場を訪れ,雇用された障害者の作業や生活の状況を調査していたのにもかかわらず,虐待を見落としていた事実を労働省は認めました。  こうした点も踏まえ,障害者の雇用を進めるために県はどのような対策をとられておるのか,商工労働部長にお伺いいたします。  次に,養護学校での知的障害がある生徒への進路指導の充実について,教育長にお伺いいたします。  昨年3月,182名の生徒が養護学校を卒業いたしました。養護学校に通っている生徒に働くことの基本的な内容を教育し,適切な進路指導を行うことは,養護学校の重要な役目であります。また,新たに卒業し,就職した生徒の就業実態を把握することも学校側の責任の一つであると考えます。  知的障害のある生徒の就業を進めるために,養護学校ではどのように進路指導を充実されているのか,教育長にお伺いいたします。  さて,今回の事件は,障害者の人権問題として大きくクローズアップされており,障害者の権利擁護の体制整備について福祉部長にお伺いいたすものです。  2月25日の衆議院予算委員会においては,小泉厚生大臣が,「この事件については,かなり事前に苦情なり実情が,関係方面に申し出があったのにかかわらず,この悪質な事業主に対してしかるべき措置がなされなかったという点では,その話を聞いた人が配慮なり誠意に欠けていたという面があったと思う,厚生省として,労働省を初め都道府県関係者とどのような施策を講ずべきか,鋭意検討していきたいと思っております」との趣旨の答弁をしております。  私は,今回の事件は福祉行政の欠陥につけ込まれた事件であり,その欠陥を放置した行政側の責任も厳しく問われていると認識しております。障害者の権利を守るために,障害者からの訴えがあったならば真剣にその訴えに耳をかし,対応する責任があったのではないでしょうか。また,障害者の声を積極的に吸い上げる仕組みの整備も必要であると思います。  滋賀県等では,雇用主や福祉事務所,労働基準監督署,職安,養護学校関係者,そして保護者が同じテーブルについて,地域の障害者雇用の実態について意見や情報を交換するネットワークづくりを進めていると聞き及んでおります。今回のような悲惨な事件を二度と起こさないためにも,障害者の権利を守る体制づくりについて,福祉部長の御所見をお伺いいたします。  さらに,障害者の権利擁護に関連して,県の障害者入所施設の建て替えについて,福祉部長にお伺いいたします。  現在,福祉部が所管する社会福祉施設は27を数え,そのうち障害者の入所施設は8カ所で,850人以上の方が入所しております。私も,昨年6月から7月にかけて,県立コロニーあすなろ,内原厚生園,こども福祉医療センター,リハビリテーションセンターなどの現状をつぶさに調査させていただきました。こうした施設はいずれも,昭和30年代後半から40年代に建てられた施設であり,その老朽化が進んでおります。特に昭和38年に建てられた内原厚生園と35年に建てられたこども福祉医療センターの病棟は,その傷みの程度が著しく,限界に来てきているというのが実感であります。入所者の快適に生きる権利を擁護する立場から,早急な建て直しが必要であります。  厳しい財政状況の中で,こうした福祉施設をどのように建て直していくのか,福祉部長の御所見をお聞きしたいと思います。  私は,茨城県議会東南アジア地方行政視察団の一員として,山口団長,新井副団長のもと,1月28日より9日間,ASEAN4カ国を訪問いたしました。全体の報告は,本定例会初日に副団長より報告がありましたので,ここでは割愛いたしますが,この有意義な行政視察の中で学んだことから2点,生活環境部長と教育長に御質問いたします。  今回訪れた現地企業のトップの方々が異口同音に語っていたことは,今後の大きな課題は,優秀なすそ野産業,いわゆる部品や材料を供給してくれる中小企業が進出してくれることだ,と語っておりました。県内の中小企業も,今後ますますこの地域に進出していくことが期待されております。また,単なる観光旅行ではなく,文化活動やボランティアなどの人的な交流も加速度的にふえているとのことでありました。このような現状を見て,県の情報の拠点がこの地域にもぜひ欲しいと考えたのは,私一人ではないと思います。  昨年秋,同様な目的で中国上海に県の駐在員事務所が開設されました。さきの議会で橋本知事は,海外情報の的確な提供に努めるとともに,経済活動や国際交流など,中国におけるさまざまな活動を支援するための拠点として,あるいは中国の本県への窓口としてその機能充実に努めてまいりますと,上海事務所について語っておられます。  上海事務所の現状と,それを踏まえ,近い将来,東南アジア地域にもこうした拠点を整備する必要があると思いますが,生活環境部長にお考えをお伺いいたします。  次に,シンガポールでの調査結果をもとに,教育長にお伺いいたします。  シンガポールは,人口299万人と,本県と同規模であり,平成7年のGDPは7兆4,510億円であります。これは茨城県の県内総支出の9兆8,812億円と比べても見劣りのしない,東南アジア随一の経済規模を誇る都市国家であります。特に情報通信基盤の整備では既に日本を追い越して,世界のトップクラスの状況であります。人口1万人当たりのインターネット接続パソコンの普及率は,平成7年の数値で日本が21.61台であるのに対して,シンガポールは何と77.69台と,3倍以上の普及率となっております。  現在,シンガポールでは,インフォメーション・テクノロジー2000(IT2000)という計画が進行しております。特にその中でも,1995年より稼働しておりますNLラインと呼ばれるシンガポール国立図書館ネットは注目に値いたします。このインターネットによるサービスによって,自宅のパソコンから国内の図書館のすべての蔵書に対して,著者名や出版社,内容による検索が可能となりました。ある作家の本が読みたいとき,その名前を入力すると蔵書の一覧が瞬時に表示されます。そのうち借りたい本をチェックすると,その本がどこの図書館にあるのか,貸し出し中かどうか,いつからいつまで貸し出し中かが明示されます。そして,最後は,この本がある図書館の地図と連絡先が表示されます。また,近い将来,予約もできるようなシステムになると聞いております。まさに,インターネットの利便性を最大限に活用したシステムであります。  また,学校におけるコンピューターの活用も大いに進んでおります。シンガポールの小・中・高等学校356校の大部分に,マルチメディア教室とコンピューター教室が整備されております。原則として,生徒1人に1台のパソコンが小学校から完備されております。そうしたパソコンはインターネットに接続され,2割以上の89校がホームページを公開しておりました。  こうした現状を踏まえ,教育長に御質問いたします。  昨年9月,この一般質問壇上で,私は,すべての県立学校に1回線のインターネット接続をと提案させていただきました。県立学校へのインターネット接続事業はどのように進展しておりますでしょうか。また,生涯学習センターや県立図書館のデータベースをインターネット対応型に整備して,県民の利便性を高めることが必要であると思いますが,教育長はどのようなお考えをお持ちでしょうか,御所見をお伺いいたします。  最後に,県北臨海部の再活性化についてお伺いいたします。  今,私どもが住む日立市は,産業の空洞化が深刻になり,人口の減少と景気低迷による危機的状況を迎えております。平成2年に803社あった製造業業者はその後減少の一途をたどり,平成6年には673社と2割近く落ち込みました。人口の減少も深刻であります。昭和58年に20万6,260人に達した日立市の人口は,平成7年の国勢調査の結果,20万人の大台を割り,さらに減少を続け,本年1月1日現在では19万7,824人となっております。  こうした深刻な状況のもと,2月に決定されました新しい日立市の基本構想では,新たな人口政策として交流人口の拡大を掲げました。賑わいと触れ合いのあるまちづくりを進めるために,日立市を訪れる人々を対象とした交流人口の拡大を図ることを基本構想のベースに設定いたしたものです。  私は,こうしたいわゆる定住人口だけではなく,交流人口を街の活性化の指標として取り上げることは非常に重要な視点であると思います。文化や教育,産業の振興という分野でも,県北臨海地域や隣接する常陸太田市,東海村など,広域的な広がりの中で考えることに大きな意義があると思います。こうした発想が単一の市から明確に打ち出されたことを,県として重く評価すべきであろうと考えております。  さて,この交流の拠点づくりを目指す日立市に対して,県が支援をすべきポイントが2つあると考えます。  その第1は,交流の受け皿である日立市自体の体力の強化,産業の再活性化への支援ということであります。日立市の産業の弱点は単一的な産業構造であったことは,論をまちません。産業の空洞化を克服するためには,高い技術力や豊富なマンパワーを十分に活用しつつ,より多彩な産業を興す必要があります。今後,国においては,特定産業集積活性化法が提出され,研究開発支援施設や人材育成施設などに対する補助や中小企業の技術開発,新商品の開発,販路開拓などへの助成事業が行われると聞き及んでおります。県においては,平成9年度予算では,特定地域産業活性化特別対策予算が計上されております。  そこで,商工労働部長に,この対策の詳細と具体的な施策の展開について御説明いただきたいと思います。さらに,こうした事業は,県と地元市町村との密接な連携が不可欠になると思います。また,地域の企業との連携も重要であります。特定地域産業活性化特別対策の推進体制について,御所見をお伺いいたします。  その第2は,交流のための血管,動脈の整備であります。具体的には,周辺市町村との道路網の整備促進であります。特に,南北の大動脈である国道6号線,並びに国道245号線の整備と,東西の動脈である県道日立笠間線の整備は,緊急かつ重要な課題であります。
     そこで,国道6号線,日立バイパスの工事進捗状況と榊橋のかけかえ事業の進捗状況,並びに県道日立笠間線についての今後の整備計画について,土木部長にお伺いいたすものです。  今,日立市では,行政,議会,企業,そして市民が,その再活性化を目指して必死の努力を積み重ねております。県におきましても,地元自治体と一体になって,この県北臨海地域の振興に全力を傾注していただきたく強く要望するものであります。  以上で,私の1回目の質問を終わります。御答弁によっては再質問させていただきます。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 17 ◯議長(松浦英一君) 井手義弘君の質問,質疑に対する答弁を求めます。知事橋本昌君。              〔知事橋本昌君登壇〕 18 ◯知事(橋本昌君) 井手義弘議員の御質問にお答えいたします。  中長期的視点に立った県財政のかじ取りについてでございます。  本県の財政状況を中長期的な視点から見た場合,議員御指摘のとおり,公債費や人件費などの義務的経費の増嵩は避けられず,財政の硬直化が一層進むおそれがございます。こういった状況を十分認識し,中長期的な財政の健全性を確保することは極めて重要であり,歳入歳出両面からの対応が必要でございます。  まず,歳出面についてでございますが,限られた財源を最大限に活用していきますためには,常に事務事業の見直しを進め,不要不急な歳出の削減を図っていくことが重要でございます。このため,従来から進めている事務事業の見直しをさらに強化し,すべての事業について,その事業の必要性や予算額の妥当性など,聖域を設けることなく抜本的に見直しを実施してまいりたいと考えております。  また,人件費や公債費など義務的経費の増嵩に対処するため,中長期的視点に立った定員の適正化や,大規模な事業の計画的な実施にも努めてまいる所存でございます。  さらに,国の定めております各種財政計画,県計画の年度ごとの行政投資額,公債費など義務的経費の推移などを前提に,財政収支のマクロ的な検証を行いつつ,一定の見通しを立て,これをシーリングの設定にこれまで以上に反映させるなど,今日の厳しい財政状況にふさわしい予算編成方法についても検討してまいりたいと考えております。  また,歳入面についてでございますが,税源の涵養を積極的に図ってまいることが重要でございますので,さまざまな産業振興施策を展開しますとともに,産業を発展させていくための社会資本の整備もあわせて推進してまいりたいと考えております。  このような基本的な考え方に基づき,特に歳出面につきましては,いずれも緊急に対応あるいは検討する必要がございますので,総務部内に設置いたします行政改革・地方分権推進室を中心として,ゼロベース予算の考え方を導入するなど,具体的な財政構造の改善に結びつく実効性のある方策を検討し,現下のかつてない厳しい財政状況に対処してまいりたいと考えております。 19 ◯議長(松浦英一君) 総務部長御園慎一郎君。            〔総務部長御園慎一郎君登壇〕 20 ◯総務部長(御園慎一郎君) 予算編成の取り組みについての御質問にお答えしたいと思います。  本県の財政は,かつてない極めて厳しい状況に直面しているところでありまして,予算編成の手法につきましても,従来の手法にとらわれない新たな方法について早急に検討を加える必要があるものと考えております。  これまでのいわゆるシーリング方式のもとにおきましても,事務事業の見直しが積極的に行われることが必要であるという観点から,見直しを行った場合には,その見直しに係る予算額,新たに出てきた予算額につきましては,新規事業に係る要求枠として優先的に認めるといったような措置を講じる,あるいは,要求に対する予算調整の過程でこれまでの事業の成果を十分に吟味した上で,新しい予算につなげるといったような作業を行うなど,いろいろと工夫は凝らしてきたつもりであります。また,予算査定の初期段階で要求された事業を県の長期総合計画の施策体系別に整理するというような作業をすることによりまして,目的,効果を同じくする事業につきましては,その過程で整理していくというような調整もさせていただいてきたところであります。  また,このような見直しを進めていくためには,御指摘のように,県民の皆様方の御理解を得ることが重要であるということでありまして,財源の確保状況なども含めまして,予算案について従来にも増して詳細な広報に努めているというところであります。  県債残高の増嵩なり基金の減少なりと,御指摘の本県財政を取り巻く状況はますます厳しさを増してくるところでありますので,今後の予算編成に当たりましては,限られた財源を有効に活用して,最少の経費で最大の効果を上げるということが必要なことは言うまでもありません。  このような観点に立って,議員からも4つの観点からの御指摘をいただいたというふうに受けとめております。私どもといたしましては,このちょうだいした御指摘の点も十分に踏まえ,それらの点についても研究をしながら,さまざまな改善を加えて,よりよい予算編成を今後とも進めてまいりたいというふうに考えておるところであります。 21 ◯議長(松浦英一君) 商工労働部長前野陽一君。           〔商工労働部長前野陽一君登壇〕 22 ◯商工労働部長(前野陽一君) 障害者の就業の状況と推進策につきましての御質問にお答え申し上げます。  本県の障害者の雇用率の状況につきましては,民間企業においては前年同率の1.58%と,全国平均1.47%を上回ってはおりますものの,依然として法定雇用率1.6%をわずかに下回っております。また,市町村におきましては,法定雇用率2.0%に対しまして2.03%と,法定雇用率を上回ってはおりますものの,前年と比べますと0.05ポイント低下した状況にございます。  こうした状況を踏まえまして,各公共職業安定所におきましては,企業訪問等によりまして積極的な求人開拓を行いますとともに,障害者と企業が一堂に会し,面接,選考を行います障害者合同面接会を開催いたしております。また,障害者の雇用の拡大を図るため,国の制度でございます,障害者を雇用した事業主に支給される特定求職者雇用開発助成金制度に加えまして,我が県独自の事業といたしまして,重度障害者等雇用奨励金制度を設けております。  こうした援護制度の活用促進に努めておりまして,今後とも,より一層の周知徹底を図ってまいりたいと考えております。  さらに,就職後のフォローアップについてでございますが,従来から行っております障害者との個別面接や事業主指導に加えまして,今後は,今回の事件も踏まえて,特に入・離職者の激しい事業所や知的障害者を多数雇用している事業所を重点的に訪問指導を行いますほか,家庭との連携を図るなど,工夫を凝らした方法により障害者の雇用促進と安定を図ってまいります。  次に,県北臨海地域の産業の再活性化策についてお答え申し上げます。  日立市を中心といたしました県北臨海地域においては大企業の海外展開が進み,特に量産製品の部品等の生産に携わってまいりました当地域の中小企業は,受注量の減少など大変厳しい経営環境にさらされております。こうした状況に中小企業が対応するためには,技術開発力,販売力,並びに経営管理能力の向上等により自立化を図っていく必要がございます。  このため,県といたしましては,これまで中小企業への専門的技術者の派遣や,新製品,新技術開発に対する助成,さらには,厳しい経営状況にある中小企業に対する低利の資金の提供等を行ってまいりましたが,平成9年度には,特に厳しい状況に置かれている県北臨海地域を対象とした特別対策事業を実施することといたしております。  まず,特定大企業への依存から脱却するため,共同で受注先の開拓を行おうとする下請企業グループに対し,運営費の補助等を行う共同受注グループ育成事業を実施いたします。また,当地域の基盤技術の高度化を図ることにより,新しい産業を創出することを目指して,県の工業技術センターが中心となり,産学官による共同研究開発を行う新産業創出共同研究開発事業を開始いたします。  さらに,大学,大企業等が保有する未利用の特許等を活用して中小企業が新技術・新製品開発を行う場合,その経費を補助する産学技術資源製品化等支援事業を実施いたします。  なお,こうした事業を推進する上で,御指摘のとおり,地元の企業や自治体との相互協力は重要でございます。このため,利用可能な特許の選定や中小企業の技術力向上のための人材の提供,共同研究開発テーマの検討,さらには,県の支援策と市町村の支援策との連携等について,地元企業,自治体との意見交換の場を設けるなど,これまで以上に緊密な話し合いを行いながら,実効性のある施策を展開してまいります。 23 ◯議長(松浦英一君) 教育長齋藤佳郎君。             〔教育長齋藤佳郎君登壇〕 24 ◯教育長(齋藤佳郎君) 養護学校の知的障害のある生徒の就業を進めるための進路指導の充実についての御質問にお答えいたします。  養護学校の生徒の就業を進めるための教育活動につきましては,まず,生徒の将来における職業生活や家庭生活に必要な基礎的な知識と技能を習得できるようにしますとともに,勤労を重んずる実践的な態度を養うことが大切なことと考えております。そのため,高等部の職業教育におきまして,木工,窯業,農園芸,縫製などの体験を重視した作業学習を展開しております。  また,生徒が自己の能力や適性などを知るとともに,卒業後の社会生活に対する適応性を高めますために,企業や関係する機関などで約2週間程度の現場実習を行っております。この現場実習は,企業等においても障害者への理解が一層深まり,ひいては障害者の雇用にもつながるよい機会となっております。  県といたしましては,平成7年度から特殊教育諸学校進路指導推進委員会を県内5地域で年3回開催し,公共職業安定所や福祉事務所,事業所,保護者等と情報交換をしながら,職場開拓や卒業生の就労の状況などの把握に努めているところでございます。  さらに,各養護学校では,夏期休業中に卒業生の会や卒業生の保護者会を開催したり,各企業等を訪問し,卒業後の適応状況等の把握に努めておるところでございます。  今後とも,企業等や関係機関の理解と協力を得ながら,進路指導の一層の充実を図ってまいりたいと考えております。  次に,教育分野におけるインターネットの活用についての御質問にお答えいたします。  まず,県立学校へのインターネットの接続についてでございますが,インターネットを学校教育において活用することで,教育上大きな効果が期待できますので,今後積極的に導入していく必要があり,そのための環境整備が極めて大切であると考えております。  そこで,県といたしましては,平成9年度と10年度の2年間で,県立学校全校にインターネットを接続する計画をしており,平成9年度におきましては55校について必要な整備を進めてまいりたいと考えております。また,学校がインターネットを有効に活用できるよう,教育研修センターにネットワークサーバーを設置し,学校におけるホームページの開設,教材や資料の収集,活用のための支援をしてまいりたいと考えております。  次に,生涯学習センターと県立図書館のデータベースをインターネットに対応して整備することについてでございますが,生涯学習センターにつきましては,水戸生涯学習センターにおいて学習機会や催し物などの情報をデータベース化しており,現在,パソコン通信により,市町村の公民館等128施設の端末機や各家庭のパソコン等を通じて御利用いただいております。  県立図書館につきましては,現在,図書館サービスの電算化に向けて図書資料のデータベース化の準備を行っているところでございまして,平成9年度からシステムの構築やデータの入力に着手してまいりたいと考えております。  今後は,両施設のインターネットへの接続に向けて段階的に整備を進め,県民サービスの一層の向上に努めてまいりたいと考えております。 25 ◯議長(松浦英一君) 福祉部長横田凱夫君。            〔福祉部長横田凱夫君登壇〕 26 ◯福祉部長(横田凱夫君) 障害者の権利擁護の体制づくりについてお答えいたします。  議員御指摘のように,障害を持つ方々の中には,みずからの意思を伝えることが困難なため権利を侵害されやすい状況にある場合がございます。また,ノーマライゼーションの理念が普及するにつれて,障害を持つ方々の自立や社会参加意欲が高まってきておりますので,相談体制の充実や関係機関の連携を強化していくことが必要であると考えております。  このため,福祉事務所などの行政機関の相談体制をさらに充実してまいりますとともに,地域において活動されている精神薄弱者相談員や身体障害者相談員等につきましても,より一層の活動の充実をお願いしているところでございます。また,障害を持つ方々やその家族が,日常生活における悩みや就労などの諸問題について気軽に相談することができる窓口を設置するなど,相談体制を充実するため,本年4月から新たに障害者110番事業を実施することとしております。  この事業は,これらの相談に応ずるほか,障害者110番事業推進委員会を設置しまして,福祉,衛生,労働,教育等の関係行政機関と障害者福祉団体などの相互の連携を図りながら,相談事案について迅速かつ円滑に対応してまいります。今後,これらの事業を通して,障害を持つ方々の権利擁護につきましても積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  次に,県立の障害者入所施設の建て替えについてでございますが,議員御指摘のとおり,いずれの施設も,昭和30年から40年代に民間施設に先駆けて整備してきたものでございますので,建物は老朽化してきている現状にございます。  一方,入所者は,障害の程度が重度化,重複化してきておりまして,これらに対する十分な対応も必要となってきております。また,県立施設としての役割や機能の面からの見直しも必要となっております。  このため,本年度新たに民間の有識者などから成る県立社会福祉施設等あり方検討委員会を設置し,県立施設としてのあり方や整備に関する基本方針等について検討を進めてまいりましたが,本年2月に当委員会からの提言が取りまとめられたところでございます。  この報告書では,民間との役割分担を見直すとともに,医療機関や研究開発機関などとの連携を図り,より高度な専門的サービスを提供していくことや,児童から成人まで関連性を持った施設,児・者一貫に対応した施設として整備していくこと,さらには,地域福祉,在宅福祉支援のための機能を持った施設として整備することなど,示唆に富む提言がされておりますので,その提言内容を十分に踏まえて,計画的に整備をしてまいりたいと考えておりますが,当面,老朽化の度合いの高い内原厚生園,これは知的障害児・者施設でございますが,この施設から先行して整備を検討してまいりたいと考えております。 27 ◯議長(松浦英一君) 生活環境部長長谷部一男君。           〔生活環境部長長谷部一男君登壇〕 28 ◯生活環境部長(長谷部一男君) 上海事務所の現状と東南アジア地域の拠点づくりについてお答えをいたします。  上海事務所につきましては,多くの県民の方々や県議会の皆様,また上海市政府関係者などの御協力を得まして,昨年の11月27日,開設したところでございます。  開設以来,3カ月を経過したわけでございますが,この間,ビジネスや友好交流などで事務所を訪問された方は,県内関係者71名を含め190名,また,電話による問い合わせも月平均200件を超えております。  現在の上海事務所の具体的な活動内容を申し上げますと,調査関係では,通信機製造メーカーなど県内企業──10件ほどございますけれども──からの市場調査や進出関連調査,輸入先の照会等の依頼があり,上海の関係機関から情報や資料を入手し,対応いたしました。  また,今月18日,日立港と上海港との間でコンテナ定期航路が新たに開設されますが,この航路が円滑に発展していくよう,今後,事務所としても中国における荷主開拓などの面で支援していく考えであります。  さらに,中国における茨城県の窓口として,茨城と中国のビジネスや友好交流の機会づくりを進めるよう,積極的に対応しているところでございまして,本県への中国側訪問団の派遣につきましても,既に4つの訪問団の調整を行っております。この一つとして,先月,約20名の農業視察団が来県し,県内の農業関係者と活発な意見交換を行ったところでございます。  また,技術協力の分野でも,上海市と事務所が調整した結果,来年度には上海市の都市計画関係職員1名を受け入れる予定でございまして,さまざまな角度から茨城と上海の協力関係の強化を図っているところでございます。  このほか,上海における本県関係者の連携を促進するため,今月13日には上海茨城県人会を設立するということにしております。  このように,事務所の役割は多面にわたり利用も多いことから,これに的確に対応するため,4月には県経済界からも職員を1名派遣していただきまして,事務所の体制をより一層強化し,県民の皆様のニーズに合った事業の展開を図ってまいりたいというふうに考えております。  次に,議員御指摘の東南アジア地域の拠点づくりについてでございますが,この上海事務所の設置に当たりましては,マレーシアやシンガポール,タイなど東南アジア各国を対象にさまざまな角度から設置場所を検討いたしまして,この中で県民の皆様が最も関心を持ち,経済面,交流面で要所となっている上海を選んだわけでございます。  したがいまして,当面は,この上海事務所を充実強化していくことが大切であるというふうに考えておりまして,御指摘の東南アジアの他の地域への拠点づくりにつきましては,上海事務所の充実強化が図られた上での次なる課題として受けとめさせていただきたいと存じます。 29 ◯議長(松浦英一君) 土木部長事務取扱副知事人見實徳君。         〔土木部長事務取扱副知事人見實徳君登壇〕 30 ◯土木部長事務取扱副知事(人見實徳君) 答弁に先立ちまして一言ごあいさつを申し上げます。  このたび,土木部長事務取扱を拝命いたしました人見でございます。一生懸命務める所存でございますので,どうぞよろしくお願いいたします。  それでは,日立を中心といたします県北地域の道路網の整備についてお答えをいたします。  初めに,国道6号日立バイパスと榊橋のかけかえ事業の進捗状況についてでございます。  まず,国道6号日立バイパスでございますが,現在,国の直轄事業によりまして,日立市旭町から田尻町までの延長4.7キロメートル区間につきまして整備が進められているところでございます。このうち陸上部の1.5キロメートル区間につきましては,切土工事などが概成をしております。残りの海上部3.2キロメートル区間につきましては高架部と埋立部から成っておりまして,本年2月には公有水面埋立法の承認などがなされましたので,年度内には工事に着手する予定となっております。  次に,榊橋のかけかえ事業の進捗状況でございますが,全体延長2.3キロメートル区間,うち橋梁延長が500メートルでございますが,これにつきまして整備が進められており,これまでに,久慈川にかかる橋梁区間の架設が完了しております。現在,日立市側の取付区間の用地買収,及び高架橋の橋台や橋脚工事が進められているところでございます。平成9年度は上部工工事を進めまして,平成10年度には橋梁を含めた前後の約1キロメートルが2車線で供用される予定でございます。  県といたしましては,引き続いて,日立バイパス並びに榊橋の早期開通を国に働きかけてまいりたいと考えております。  次に,県道日立笠間線の今後の整備計画についてでございます。  県道日立笠間線は,臨海部の日立市から常陸太田市を経由いたしまして,笠間市に至る重要な路線でございます。このうち日立市から常陸太田市に至る現道区間は大部分が未整備でございまして,一部交通不能ともなっておりますので,現在,バイパス計画に取り組みますとともに,一部区間は重点的に整備を進めているところでございます。  そのバイパス計画のうち日立市を縦貫する山側道路の一部区間となります大久保町から金沢町までの2.2キロメートルにつきましては,平成8年度に橋梁の設計とあわせて用地測量を実施しております。平成9年度からは早期に工事に着手できるよう,用地買収を進めてまいります。  さらに,金沢町から常陸太田市幡町に至る約5.5キロメートル区間につきましては,多賀山地を横断する山岳道路でございますので,延長約1.4キロメートルのトンネルを含めたルートを基本といたしまして,事業化のための調査を進めております。平成9年度には,引き続いてこの区間について測量や道路設計などを進めますとともに,まず,常陸太田市側の取付道路区間から事業化を図ってまいります。 31 ◯議長(松浦英一君) 井手義弘君。             〔16番井手義弘君登壇〕 32 ◯16番(井手義弘君) 時間が限られておりますので,再質問にかえて1点だけ要望申し上げます。  最後の質問で申し上げましたように,今,私どもの住む県北臨海地域は産業の空洞化の荒波にさらされております。そうした中で地域の再活性化を進めるためには,人々の交流の拠点,マグネット施設の整備がぜひとも必要であります。特に,産業の拠点づくりだけではなく,文化や教育の拠点づくりが必要であります。幸い,日立市には,市民参加による生涯学習組織やボランティア組織が数多く,生き生きと活動しております。  昨年8月に,私ども日立市選出の県会議員5名は,会派の壁を超えて,現在計画されております県北生涯学習センターの日立市への誘致を橋本知事に要望いたしました。県北生涯学習センターこそ,交流の核,拠点に成り得る施設であると,その立地を待望する日立市民の声は日増しに高まっております。平成9年度予算案には,その調査費が初めて認められました。21世紀を展望した綿密なる調査,検討が行われ,日立市への建設が決定されることを期待するものであります。  知事に,県北生涯学習センターの日立市への建設を重ねて要望いたしまして,私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)      ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 33 ◯議長(松浦英一君) 暫時休憩いたします。  なお,会議再開は,午後3時15分を予定いたします。               午後3時1分休憩      ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━               午後3時18分開議 県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑(続) 34 ◯副議長(鬼沢忠治君) 休憩前に引き続き会議を開き,県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑を続行いたします。  久保田正二郎君。
               〔22番久保田正二郎君登壇〕 35 ◯22番(久保田正二郎君) 自由民主党の久保田正二郎であります。  通告に従いまして,知事及び関係部局長,警察本部長に質問いたしますので,明快なる答弁をお願いいたします。  初めに,常陸平野開発構想について知事にお伺いいたします。  この地域は,県の中央部に位置するとともに,平坦で広大な面積を持っていることなど,高いポテンシャルを有している地域ではありますが,その他の地域と比べますと,開発面ではおくれが見られる地域となっております。  このような状況のもと,県におきましては,平成5年度の常陸平野開発構想策定を初めとして,開発整備構想の具体化や開発可能性に関する諸調査を行ってきたところでありますが,この間,当地域をめぐる状況は大きく変化してまいりました。  百里飛行場民間共用化につきましては,昨年12月13日に閣議決定された第7次空港整備5カ年計画に位置づけがなされ,県内初の空港整備に向けて大きな前進を見たところであります。  また,昨年12月27日には,国土開発幹線自動車道建設審議会が開催され,北関東自動車道については,残されていた県内の基本計画区間が整備計画へと格上げされ,東関東自動車道水戸線につきましても,茨城町を縦断し,鉾田町へとつながる区間が整備計画へと格上げされるなど,まさに常陸平野地域は県内の空と陸との交通の要衝となろうとしております。  さらに,首都機能移転につきましては,本県の移転候補地を常陸平野を中心とした茨城中央地域として誘致活動を展開するに至っており,この地域を代表する者として,また,これまで当地域が首都機能移転に最もふさわしいと提案してきた者として,極めて名誉なことと考えております。  既に,北関東自動車道沿線においては,茨城町大戸・近藤地区に先進的な福祉のまちづくりのモデルとして,やさしさのまち桜の郷整備事業が進められておりますし,沿線開発の第1号として位置づけられている茨城中央工業団地は,早期分譲に向けてその整備が進められているところであります。  さらに,私は,東関東自動車道水戸線の仮称茨城南インターチェンジ周辺においても新たな開発が必要と考えております。これらを通じて,常陸平野地域は,より一層すばらしい地域になっていくものと大きな期待を寄せているものであります。私は,これからの常陸平野地域は,本県はもとより,全国的に見ても羨望の眼差しで見られるような先進地域として大きく変貌していくものと考えております。  そこで,これら常陸平野地域に係るビッグプロジェクトが動き始めた今,今後どのようにこの地域の整備を進めていくのか,知事にお伺いいたします。  次に,百里飛行場の民間共用化についてお伺いいたします。  まず,民間共用化に向けた取り組みについて企画部長にお伺いいたします。  昨年12月に閣議決定された第7次空港整備5カ年計画に百里飛行場の民間共用化が位置づけられたことは,県民の悲願である空港の整備へ大きな一歩を踏み出したものであり,まことに喜ばしいことであります。この場をおかりして,地元住民を代表いたしまして,橋本知事を初めとする関係各位の御努力に深く敬意を表する次第であります。  今後なお一層,国との調整に努め,よりよい空港計画が策定され,早期に共用化が実現されることを期待しております。  ここで,企画部長にお伺いいたします。  具体的な空港計画を策定するため,今後,運輸省や防衛庁と引き続き協議,調整を行うこととなっておりますが,今後の調整課題としてはどのようなものがあるのか,そして,その調整はどの程度進んでいるのか,お伺いいたします。  また,国との調整が図られれば,すぐに空港が実現するというわけでもないと思います。地元住民の理解と協力を得て進めていくことが重要であります。地元では,共用化に対して多くの住民が歓迎をしておりますが,その一方で,現在も騒音に悩まされている住民もおり,中には共用化に対し不安を持っている者もおります。どのような形で共用化を図るのか,地元にとってどのようなメリットがあるのか,さらには,どのような環境対策を講じるのか,などについて地元への説明を十分実施し,理解を得ながら進めることが共用化の実現には不可欠と考えております。  そこで,共用化事業推進のための地元住民の理解をどのように得ていくのか,県の考え方を企画部長にお伺いいたします。  次に,百里飛行場周辺道路の整備について,土木部長にお伺いいたします。  百里飛行場の民間共用化とその周辺開発を円滑に進めていくためには,骨格となる幹線道路計画を樹立し,その実現を図ることが最も重要であると考えております。具体的には,百里飛行場のある小川町方面,並びに常磐自動車道の走る美野里,岩間方面から東関東自動車道水戸線の仮称茨城南インターチェンジへアクセスする骨格幹線道路を最優先に決めていくことが必要であると考えます。その上で,県道の紅葉石岡線など周辺地域の生活道路についても検討する必要が出てくると思われます。  そこで,これら骨格道路となる幹線道路計画について土木部長にお伺いいたします。  次に,観光の振興についてであります。  本県は首都圏に位置しながら,豊かな水と緑に恵まれた地域であります。また,伝統ある歴史,文化遺産,さらには地域特産品など多様な観光資源を有しております。しかしながら,PRの不足などの理由から,観光立県としては全国でも低位にランクされているのが現状であります。  このような状況の中で,常磐線全線開通百周年を機に,平成10年の1月から3月までの間,JR6社と県の共同で実施される大型観光キャンペーンは,本県の観光が全国デビューする絶好の機会となるものであります。  さらに,NHKの大河ドラマ「徳川慶喜」がこの大型観光キャンペーンに合わせるように来春から放映されることに決定されましたことは,本県観光にとって非常に強い追い風になろうと確信しております。民間の調査機関によりますと,観光客は少なくとも7%増加し,約200億円の経済効果が見込まれ,行政,経済界,市民などの広範な盛り上げによっては,さらにその数字は膨らむものと予想されているのであります。  このようなことからも,本県観光のキャッチフレーズ「漫遊空間いばらき」を全国津々浦々に浸透させ,観光先進県に脱却できるかどうかは,JRと共同の大型観光キャンペーンと徳川慶喜に対する今後の取り組みいかんにかかっていると言っても過言ではないのであります。  そこで,幾つかの提言を含めて,本県観光の振興についてお尋ねしたいと思います。  本県は,水戸市の偕楽園や弘道館のほか,常陸太田市の西山荘や瑞竜山など,慶喜公や水戸徳川家ゆかりの名所,旧跡が多くありますので,これらを活用した周遊観光コースを設定するなど,鉄道やバスを利用した団体ツアーの呼び込みが重要となってくるのではないかと思うのであります。  また,観光施設についても,慶喜にちなんだイベント館など,新たな観光施設の整備や,団体客を初め,増加が予想される観光客の受入施設の早急な整備も必要となります。さらに,単なる一過性の観光ブームに終わることのないような取り組みも重要となります。  訪れた観光地での接客サービスや地域の人々との心の触れ合いは,観光客に強い印象を与え,再度の訪問にもつながる重要なポイントとなるものであります。このため,旅館や土産物販売店,タクシー業者など観光関連事業者の接客サービスの向上を図る必要があります。また,地域の観光施設や特産品を紹介したり,郷土史を説明する観光ボランティアなどを育成していくことも,心配りあふれる受入体制づくりにとって必要なものと思います。  そして,このように受入体制を整備し,慶喜効果を最大限発揮するためには,全県的な規模での推進・支援体制を早期に構築することが重要であると考えているのであります。現在放映中の「毛利元就」の場合,島根,広島,山口の3県でそれぞれ推進協議会をつくって盛り上げを図っているのであります。  以上,幾つかの御提案を申し上げましたが,NHKの大河ドラマは,観光を初めとして,本県のイメージアップなど,さまざまな波及効果が期待されますので,JRの大型観光キャンペーンや地域イベントなどと連動させていくことが必要であると思います。  そこで,NHK大河ドラマ「徳川ケイキ(慶喜)」をケイキ(契機)として,本県のケイキ(景気)浮揚のため観光の振興に向けてどのような取り組みをしていくのか,知事にお伺いいたします。  次に,やさしさのまち桜の郷整備事業について,福祉部長にお伺いいたします。  桜の郷整備事業は,過去の質問においても取り上げているところでありますが,先進的な福祉のまちづくりのモデルとして,ぜひその実現に向けて総合的な対策を推進していただきたいと考えております。人にやさしい桜の郷づくりでは,社会的にハンディキャップを持った高齢者,障害者の方々が健康であれば,そのほかの構成員と同様に生活し,活動し,あらゆる場面において社会参加できるようにしなければなりません。そのためには,高齢者にやさしいまちづくりは,障害者にも,ほかのすべての人にもやさしいという視点から,道路,公共施設,交通体系,住宅などの都市基盤整備を進めていく必要があります。  また,今後,平均年齢伸長により,75歳以上の後期高齢者が大幅に増加すると予想されている中,疾病あるいは身体機能の低下を抱えた高齢者や寝たきり老人,痴呆性老人の増加は避けられないと見込まれます。そのような場合でも,できる限り在宅で自立して高齢期を過ごすことのできるような,必要なサービスを身近な地域で受けられるような体制が望まれるわけであります。このため,生涯を通じた積極的な健康づくり対策や疾病予防対策を推進するとともに,在宅福祉サービスの提供,及び在宅での生活が困難になった場合のための施設の整備が桜の郷にも求められます。  さらに,自由時間が増大し,心の豊かさを求める傾向が高まっている中で,高齢者が社会から疎外されたり孤独に陥ったりすることがないよう,高齢者自身がさまざまな社会活動に参加し,地域や各世代の交流の担い手として活躍することが必要であります。このため,高齢者が地域社会においてそのすぐれた知識や経験を生かしながら,社会とのかかわり合いを持ち続けられるような種々の条件整備が求められます。  このように,やさしさのまち桜の郷整備事業では,高齢者,身体障害者などが円滑に利用できるという視点から,都市基盤整備や福祉インフラ整備などのハード面,さらには,保健・医療・福祉サービスの整備,生涯学習を初めとした社会参加活動の推進などのソフト面の充実というような総合的な見地から,その整備を計画的に進める必要があります。  そこで,やさしさのまち桜の郷整備事業においては,どのような機能を導入しようとしているのか,福祉部長にお伺いいたします。  また,事業を進めるに当たっては,国や地元茨城町など関係機関との円滑な連携が必要となりますが,その進め方についてもあわせてお伺いいたします。  次に,農業の振興について農林水産部長にお伺いいたします。  まず,担い手の育成についてであります。  農業の現状は,これまで農業生産を中心に担ってきた昭和一けた世代が農業からリタイヤする時期に差しかかろうとしていることからも,農業従事者の減少,高齢化は極めて憂慮すべき事態であります。食料の安定供給を確保していくためにも,次代を受け継ぐ意欲のある担い手を緊急に確保育成していくことが,最重要点で取り組むべき課題ではないかと考えております。  このような中で,県は農業担い手育成基金を5億円から30億円に積み増しするとともに,施策の充実を図り,農業内外からの明日の茨城農業を担う人材を確保育成するための総合的な後継者対策を展開されているところであります。  そこで,近年の新規就農者の状況と農業担い手基金事業の拡充によりどのような成果が出ているのか,また,今後どのような取り組みをしていくのか,農林水産部長の御所見をお伺いいたします。  次に,畜産の振興についてであります。  ウルグアイ・ラウンド農業合意の実施など国際化が進展する中で,農業は大きな変革の時を迎えておりますが,特に畜産は大きな影響を受けてきたところであります。また,本県畜産農家も例外ではありません。平成3年度に牛肉の輸入が自由化され,それ以後,関税率が大幅に引き下げられたことにより,牛肉,豚肉の輸入が急激に増加し,国内価格が低下しております。  このような状況に対応するため,畜産農家は,低コスト化による畜産経営の体質強化を図ることが一番に考えられますが,諸外国に比べ,我が国の人件費,土地価格,生産資材費などが極めて高いことから,低コスト生産の推進にも限界があると思われます。このため,畜産物輸入自由化対策の大きな柱となるのは,国民が求める安全で高品質な畜産物の生産,供給ではないかと考えるものであります。  ところで,本県の畜産物は,ご存じのとおり,常陸牛,ローズポーク,奥久慈しゃもというブランド品があり,その品質のよさは折り紙つきではありますが,いかんせん,年間生産量が常陸牛で黒毛和種の17%,ローズポークで4%というように,需要に見合う量が生産されているという状況ではありません。より一層の生産量の拡大を図らない限り,ブランド品として高い名声を得ることは困難であろうと考えます。  そこで,本県銘柄畜産物の生産振興をどのように図っていくのか,農林水産部長にお伺いいたします。  さらに,本県畜産の柱の一つであります酪農につきましても,生乳の計画生産が実施される中,北海道からの生乳の移入量の増加や飲用乳価の大幅な引き下げなどにより,かつてない厳しい経営環境になっております。このような中で,ゆとりある酪農経営を実現するためには,飼料生産基盤の整備や新しい生産システムの導入などが必要と思われます。  そこで,担い手が将来にわたり夢を持って酪農経営に取り組むための対策について,あわせて農林水産部長にお伺いいたします。  次に,広域農道の整備について,農地局長にお伺いいたします。  初めに,東茨城郡南部地域に係る広域農道の整備についてであります。  東茨城郡南部地域は,メロンやイチゴ,ニラなど園芸栽培が大変盛んなところであります。こうした園芸作物の市場価格は鮮度や市場の需要によって大きく変動するものであり,産地としては,市場の動向を的確に把握し,素早く対応することが収益の観点から特に重要であります。  したがいまして,市場動向を的確に把握し,需要のある作物を計画的に東京などの市場に流通させることが必要になってまいりますので,農産物の運搬や流通を円滑にすることを目的とした道路網の整備が必要になってくるわけであります。  しかしながら,一般的に,農村部の道路網の整備は都市部に比べておくれている現状にあります。幸いにも,東茨城郡南部地域では,鹿島郡旭村から小川町を結ぶ涸沼南広域農道と,小川町から美野里町を結ぶ同2期の農道の建設が行われているところであります。ぜひとも,その早期完成が待たれるところであります。  そこで,農地局長に,本事業の進捗状況と今後の見通しについてお伺いいたします。  また,このような広域農道は,県内全域に早期に整備する必要があると考えるところでありますが,県内の事業の進捗状況と今後の見通しについてもあわせてお伺いいたします。  次に,新しい機能を持った広域農道の整備についてであります。  広域農道は,都市部と農村部を結び,主に農産物の流通に寄与するものであります。しかしながら,こうした農道の多くが,すばらしい景観を持った農村部を通ることから,通行する人々にも潤いを与えるような役割を農道自体に持たせることも,これからは必要かと考えます。  そこで,今後は,景観にも配慮した広域農道の整備が求められると考えますが,この点について農地局長の御所見をお伺いいたします。  次に,東茨城郡南部地域の道路整備について,土木部長にお伺いいたします。  先ほど来,申し上げておりますが,この地域は,北関東自動車道の建設,東関東自動車道水戸線や百里飛行場民間共用化の実現化などに伴いまして,今後飛躍的に変化しようとしております。現在,北関東自動車道が通過する茨城町付近では,茨城中央工業団地や,やさしさのまち桜の郷整備事業などの開発が進められております。当然のことながら,これらの開発とあわせて,北関東自動車道のインターチェンジや国道6号などの幹線道路からのアクセス道路をきちんと整備する必要があります。茨城中央工業団地開発関連では,北関東自動車道の仮称茨城西インターチェンジへのアクセス道路となり,団地内の縦軸となる県道玉里水戸線,及び横軸となる県道大洗友部線の整備が重要と考えております。  また,やさしさのまち桜の郷づくり関連では,国道6号からのアクセス道路となります県道内原塩崎線の整備が重要と考えております。特に,桜の郷整備事業は先進的な福祉のまちづくりを目指しておりますので,アクセス道路の整備に当たっても,高齢者や障害者などに配慮するとともに,潤いと安らぎのある快適な環境を創造していくことが望まれます。  このようなことを踏まえまして,これら開発関連道路である県道玉里水戸線,大洗友部線,それから内原塩崎線の現状と今後の整備見通しについて,土木部長にお伺いいたします。  次に,力強い警察官についてであります。  平成7年12月に総理府が実施しました社会意識に関する世論調査によりますと,日本の国について誇りに思うこととして治安のよさを挙げた人が大きく減少して,これまでの第1位から第4位に転落してしまいました。オウム真理教関連事件,一般人を対象とした銃器使用の凶悪事件,阪神・淡路大震災という大規模災害,金融・不良債券関連事犯,外国人犯罪,さらには覚醒剤などの薬物事犯などにより,治安のよさにかげりが生じてきたのであります。当然,これらに対する対策が警察の最重要課題となっているわけであります。  これらの課題に適切に対応し,治安を守っていくためには,警察官としてふさわしい能力と適性を持つ優秀な人材を確保することが極めて重要なことと考えております。  私が,期待される警察官としてイメージしておりますのは,気は優しくて力持ちという警察官像であります。しかし,教育水準の高まりから,警察官として必要な一般的知識などについては満たしているものの,中には,体力や気力に欠けた警察官がいるのではないかと危惧されるのであります。採用に当たって,身体,体力をより重視することができないものなのか,ということが私の率直な気持ちなのであります。  もちろん,警察官には,逮捕,武器使用など実力行使の権限が与えられており,また,みずからの判断と責任で緊急に事案を処理しなければならない場合も多いことと思われます。適正な職務執行のためには,気力,体力ばかりでなく,警察官としての良識,円満な人間性のほか,法律的な知識など高度な実務能力が必要なことは十分承知しているつもりです。豊かな人間性に裏打ちされた,力強く頼りがいのある治安のプロとしての警察官を期待して,あえて質問をさせていただくのでありますが,警察官の採用に当たっては,体力的なものを加味した採用をしているのかどうか,また,力強い警察官の養成については,採用後の教育訓練によっても可能でありますので,体力,気力の向上に向けての教育訓練はどのように行われているのか,警察本部長にお伺いいたします。  以上で私の質問を終わります。長時間の御清聴ありがとうございました。(拍手) 36 ◯副議長(鬼沢忠治君) 久保田正二郎君の質問,質疑に対する答弁を求めます。知事橋本昌君。              〔知事橋本昌君登壇〕 37 ◯知事(橋本昌君) 久保田正二郎議員の御質問にお答えいたします。  まず,常陸平野開発構想についてでございますが,茨城町,小川町,美野里町を中心とした常陸平野地域につきましては,本県の中央部に位置するとともに,平坦で広大な面積を有し,常磐自動車道や北関東自動車道などの高速交通体系の整備が進んでいるという立地条件に恵まれた地域であります。  県といたしましては,これらの立地条件と将来の百里飛行場の民間共用化や東関道水戸線の整備も想定いたしまして,平成5年度に,地元3町と共同で,この地域の長期的な開発方向を示した常陸平野開発整備構想を取りまとめたところでございます。  こうした中で,先行的な事業として,現在,内陸部では県内最大規模の約 176ヘクタールの茨城中央工業団地整備事業や,福祉,医療,健康増進,生きがいづくりなどの機能を備えた総合的なまちづくりのモデルとして,やさしさのまち桜の郷整備事業などを進めているところであります。  さらに,議員御指摘のとおり,昨年末には,国の第7次空港整備5カ年計画への百里飛行場民間共用化の位置づけや,国幹審における東関道水戸線茨城-鉾田間の整備計画区間への格上げがなされますとともに,常陸那珂港北埠頭の埋め立てが開始されるなど,この地域の発展にとって大きなインパクトとなります事業に著しい進展が見られたところであります。  これらの事業が実現すれば,常陸平野地域は,陸・海・空の交通手段に恵まれた地域として,県内のみならず,全国的な人,物,情報の交流が活発化し,より一層グレードの高い地域開発が可能と考えられます。  県といたしましては,今後,首都機能移転の動向なども見守りながら,常陸平野開発構想を基本に,この地域を将来の茨城県の発展をリードする地域として育成,整備してまいりたいと考えております。  次に,来年のNHK大河ドラマ「徳川慶喜」の決定を踏まえた観光振興策についてお答えいたします。  議員御指摘のとおり,今回の決定は本県のイメージアップや観光振興にとって千載一遇の好機であると認識しており,各種施策を積極的に展開してまいりたいと考えております。  まず,団体ツアーの呼び込みなど本県への観光客の誘致についてでございますが,大河ドラマの放映される平成10年は常磐線全線開通百周年に当たり,本年度からJR6社と連携して「漫遊いばらき観光キャンペーン事業」を展開しているところであります。先月も,全国から旅行代理店の方々に水戸に集まっていただいたところでありますが,大河ドラマの人気を大いに利用しながら,茨城観光の宣伝を行っていきたいと考えております。  また,我が県の観光地は点在し,これをつないだ広域的な観光コースが十分ではありませんので,今後,偕楽園や弘道館など慶喜公や水戸徳川家ゆかりの名所,旧跡など,県内のすぐれた観光資源や,本県ならではのイベントを盛り込んだ魅力ある広域周遊観光コースを設定し,観光客の誘致を図ってまいります。  次に,観光施設の整備についてでございますが,県としては,竜神大吊橋や茨城県自然博物館など集客力のある施設を整備してきたところでございますが,さらに,本年4月には,県立の国民宿舎「鵜の岬」の新館,11月には北茨城市に天心記念五浦美術館がそれぞれ開館することとなっております。  また,市町村の行う大規模な観光拠点施設整備に対して,最大3億円の補助を行う「漫遊空間いばらきづくり事業」を今年度から実施しているところでありますが,第1号として採択した大子町の温泉つき観光物産館も,大河ドラマ放映期間中の平成10年前半には開業する運びとなっております。  また,民間企業等の大規模な観光施設整備を促進することも重要ですので,来年度,融資限度額10億円の低利融資制度である「漫遊空間いばらきづくり融資」を創設いたします。  なお,議員御提案の慶喜公にちなんだイベント館の整備につきましては,観光客の誘致にとって多大な効果をもたらすことが期待されますので,その整備について地元とも調整を図ってまいりたいと考えております。  さらに,慶喜効果を一過性の観光ブームに終わらせないためにも,御指摘の,心配りあふれる受入体制づくりが重要な課題であります。このため,県観光協会やタクシー業界と協力し,旅館,ホテル従業員やタクシー運転手の接客サービスの向上を図るため,研修会の開催や接客マニュアルの作成を実施してまいります。  また,御指摘の観光ボランティアの育成につきましても,県観光協会や市町村の観光アドバイザー制度の充実について検討してまいりたいと考えております。  なお,観光関連業者の接客サービス全般の実態調査を実施いたしますとともに,接客サービス向上のための対応方策を検討し,できる限り早く必要な対策を講じてまいりたいと考えております。  さらに,大河ドラマの放映を契機とし,本県のイメージアップを図り,より多くの観光客を誘致するため,県,市町村,民間から成る全県的な推進組織をできる限り速やかに組織し,活動を開始したいと考えております。 38 ◯副議長(鬼沢忠治君) 企画部長根本栄一君。             〔企画部長根本栄一君登壇〕 39 ◯企画部長(根本栄一君) 百里飛行場の民間共用化についてお答えをいたします。  まず,今後の調整課題とその進捗状況についてでございますが,これから具体的な空港計画を策定していく上で国との調整が必要となる課題といたしましては,百里飛行場の現在の滑走路の強度が民間機の重量に耐えられるのか,それから,滑走路の改良が必要な場合,自衛隊機が常時発着する中でどのような方法をとるべきか,また,ターミナル地区をどこに設置するかといった空港施設計画や,自衛隊機との競合が少なくなるよう,どのような民間機の飛行経路を設定するかといった,管制・空域計画上の課題がございます。  これらの課題については,これまでも運輸・防衛両省庁との間でさまざまなケースを想定して議論を重ねてきたところでございますが,今後は,滑走路強度の調査や測量等の現地調査を実施し,その結果などをもとに具体的な計画の整備を進めるなど,できる限り早期に空港計画が策定されるよう努めてまいります。
     次に,地元住民の理解をどのように得ていくのかと,こういう御質問でございます。  百里飛行場の共用化に当たりましては,空港の整備とあわせて,アクセス道路などの関連公共施設の整備や騒音対策など環境対策の実施,さらには空港周辺地域の振興を図ることなどが必要となってまいりますが,これらの課題への対応につきましては,地元の御理解と御協力を得ながら着実に取り組んでいくことが肝要と考えております。  このため,今後,地元市町村長や学識経験者などによる共用化推進委員会を設置しまして,共用化に向けての諸課題について幅広く意見を聞きながら検討を進めますとともに,関係市町村とも連携を図りつつ,地元住民に対するきめ細かな説明を行うなど,共用化が地元の方々の御理解,御協力を得て進められるよう,努力してまいりたいと考えております。 40 ◯副議長(鬼沢忠治君) 土木部長事務取扱副知事人見實徳君。         〔土木部長事務取扱副知事人見實徳君登壇〕 41 ◯土木部長事務取扱副知事(人見實徳君) お答えいたします。  まず,百里飛行場の周辺道路の整備についてでございます。  百里飛行場の民間共用化を進めるに当たりましては,県の内外からの利用者の利便性の向上と空港の周辺開発などを促進する幹線道路等の整備が必要であると考えております。このため,今後,百里飛行場の民間共用化計画や周辺の土地利用計画の進捗状況とも十分整合を図りながら,これら道路の計画策定に取り組んでまいります。  道路計画の検討に当たりましては,百里飛行場が高規格幹線道路であります東関東自動車水戸線及び常磐自動車道との間に位置しておりますことから,百里飛行場とこれらを結ぶ幹線道路を骨格といたしまして,現在の県道紅葉石岡線とか上吉影岩間線などの生活道路を効率的に接続する道路ネットワークを基本にいたしまして,調査をしてまいりたいと考えております。  次に,東茨城郡南部地域の道路整備についてでございます。  まず,県道玉里水戸線の整備状況でございますが,北関東自動車道の仮称茨城西インターチェンジに接続をしまして,茨城中央工業団地の南北軸となります延長約2.9キロメートルのバイパス事業に平成5年度から着手をしておりまして,現在,一部区間において用地買収と工事を実施しているところでございます。今後は,関係地権者の協力を得ながら用地取得に努めまして,北関東自動車道及び茨城中央工業団地の整備の進捗に合わせまして事業を進めてまいります。  また,県道大洗友部線につきましては,国道6号茨城町バイパスから総合流通センター地区を縦貫いたします県道石岡常北線まで,延長約7.2キロメートルの4車線バイパスを計画しております。現在,事業化のための調査,設計を進めておりまして,平成9年度から事業に着手してまいります。今後は茨城中央工業団地及び総合流通センターの進捗に合わせまして,事業を進めてまいります。  次に,県道内原塩崎線の整備状況でございます。  県道玉里水戸線から国道6号茨城町バイパスまでの延長約5.4キロメートル区間につきましては,やさしさのまち桜の郷へのアクセス道路といたしまして本年度から事業に着手しております。現在,地質調査などを進めているところでございます。  今後は,地元の協力を得ながら,早期に用地買収に着手できるよう努力してまいりたいと思います。  なお,整備に当たりましては,段差のない歩道を設置するなど高齢者などに配慮しますとともに,植栽などによって景観に工夫をして,やさしさのある道路の形成にも努めてまいります。 42 ◯副議長(鬼沢忠治君) 福祉部長横田凱夫君。             〔福祉部長横田凱夫君登壇〕 43 ◯福祉部長(横田凱夫君) やさしさのまち桜の郷整備事業についてお答えいたします。  本事業は,安心,健康増進,生きがいの3つをキーワードに,子供からお年寄りまで,すべての人々が触れ合い,生き生きと暮らすことのできる,人にやさしいまちづくりのモデルとして整備を進めているものでございます。昨年12月に用地買収に着手し,現在,約56%の用地を取得するなど,順調に推移しております。  この桜の郷の整備に当たりましては,議員御指摘のように,生涯安心して住むことのできる住宅や,スロープを設けたり段差をなくした道路や建物,車いすの方でも相互通行ができる幅の広い歩道など,障害物のない住みやすいまちづくりに努めてまいります。  このまちに導入する機能でございますが,医療・福祉機能として総合病院や老人福祉施設などの配置を計画しております。また,新たに県立施設を整備し,生涯を通じた健康づくりを促進する健康増進機能や,趣味や文化活動を通して世代間の交流を図り,心の豊かさや生きがいを実感できる生きがい推進機能,さらには,地域及び家庭における介護技術の普及,実践を目指す介護実習・普及機能などを導入してまいりたいと考えております。  このようなハード面,ソフト面の充実と相まって,各種の施設が有する機能を相互に連携することで,今後の高齢社会に対応できるよう,福祉,保健,医療が一体となった新しいまちづくりのモデルとして整備してまいります。そして,このまちづくりの考え方を広く県内に普及させるとともに,桜の郷の施設を多くの県民に利用していただき,本県福祉の向上を図ってまいります。  なお,事業を進めるに当たりましては,国や地元茨城町など関係機関との連携が非常に重要となります。国につきましては,国立水戸病院の早期移転について引き続き厚生省に強く要望してまいりたいと考えております。また,地元茨城町に対しましては,道路や公共下水道などの整備促進について引き続き協議を進めるとともに,町の公共施設の誘致につきましても今後協議を進めてまいりたいと考えております。 44 ◯副議長(鬼沢忠治君) 農林水産部長川俣勝慶君。           〔農林水産部長川俣勝慶君登壇〕 45 ◯農林水産部長(川俣勝慶君) 農業の振興についてお答えいたします。  まず,担い手の育成でございますが,議員御指摘のとおり,農業従事者の減少や高齢化が進展する中,次代の農業を担う意欲のある担い手の確保育成は緊急の課題となっております。このため,茨城県農業振興計画 '95におきまして,新規就農者や経営感覚にすぐれた経営体の育成などを内容とする,たくましい担い手の確保育成対策を重要な柱として位置づけておるところでございます。  お尋ねの,最近の新規就農者の状況でございますが,昭和63年以来,2けた台で推移しておりました新規就農者数は,平成7年に113名,平成8年には104名と増加傾向に転じており,特徴といたしましては,農家子弟で他産業に就職していた青年が途中から農業に戻ってくる,いわゆるUターン就農者と,農家の子弟以外の青年が新たに就農する新規参入者が増加していることでございます。  県といたしましては,このような意欲あふれる農業後継者を確保育成するため,市町村,農業団体等の協力をいただきながら,昭和53年に財団法人茨城県農業後継者育成基金を設け,高校生の農家研修や農業後継者の自主的な研修活動への支援,また,農業後継者の結婚対策等に取り組んでまいったところでございます。  さらに,なお一層の充実を図ろうということで,平成7年度から名称を農業担い手育成基金に変えまして,従来の5億円の基金を,平成12年度を目途に30億円に積み増しを行っているところでございます。  この基金の充実に伴いまして,新たに平成7年度から就農を希望する青年が農業生産法人などで,農業者として必要な知識,技術などを習得できる支援制度を設け,現在8名の青年が研修を行っております。  また,平成8年度からは,青年農業士が行う研究活動や,農業団体などが行う担い手の確保育成活動を支援する制度を創設するなど,施策の充実を図っているところでございます。  今後とも,基金の積み増しを計画的に行いながら,就農促進や自主的活動への支援などを充実しますとともに,新たに小中学生の農業体験学習への支援や副読本の作成,新規就農者交流会やセミナーの開催などに取り組み,市町村,農業団体と一体となって担い手の確保育成に努めてまいりたいと考えております。  次に,畜産の振興についてでございます。  まず,本県の銘柄畜産物の生産振興でございますが,議員御指摘のとおり,畜産物の輸入攻勢や産地間競争が激化する中で本県畜産業の一層の発展を図るためには,安全で高品質な畜産物を生産していくことが非常に重要でございます。このため,常陸牛につきましては,優秀な受精卵の移植により効率的に肉質のすぐれた子牛の生産に努めますとともに,県家畜商業協同組合等が,肥育用の子牛を購入する資金に対する利子補給や常陸牛振興協会に対する助成などを実施してまいりました。  さらに,平成9年度からはこれらの事業に加えまして,肉質等にすぐれた繁殖用の雄牛──種雄牛といいますけれども,その種雄牛を選抜するための能力検定方式を改めまして,検定の精度を高め,スピードを速めますとともに,能力検定用の子牛確保のための基金造成を行うなど,より効率的に種雄牛を選抜し,優良な子牛の生産を促進してまいりたいと考えております。  また,ローズポークにつきましては,生産の基礎となります系統豚の安定的な供給を図るための県系統豚供給センターを整備しました。また,銘柄豚振興会への助成なども実施してきたところでございます。  今後の取り組みといたしましては,県系統豚供給センターで生産したオーエスキー病など特定の病原体のいない系統豚,いわゆるSPF系統豚と言っておりますけれども,それを末端の養豚農家でも病原体のいない状態で飼育できる施設,SPF豚舎といいますけれども,それの整備をモデル的に進めまして,安全で高品質なローズポークの生産を促進していく所存でございます。  さらに,奥久慈しゃもにつきましても,平成6年度から8年度までの3カ年間,飼養施設や加工・流通施設の整備に対しまして助成措置を講じてまいりましたが,今後はその施設を効率的に活用し,需要に対応できるように生産の拡大を図ってまいりたいと考えております。  次に,酪農につきましては,酪農家が牛乳用に供給する生乳価格が,かつてなかったほど大幅に値下がりするなど,大変厳しい状況にございます。生産性の高い酪農経営が求められているわけでございます。  このため,県といたしましても,これまで先進地から能力の高い乳牛を導入する事業や,自家生産された子牛が分娩時期となるまでの間,共同放牧に預けることなどにより労働力の軽減を図る事業,また規模拡大を目指す酪農家に生乳の計画生産の枠を集める,そういう対策などを進めてまいったところでございます。さらに,本年度から,茨城町,美野里町など5市町から成る地域におきまして畜産基盤再編総合整備事業に取り組み,未利用地等を活用した自給飼料生産基盤の拡大とか,搾乳等が省力的に行えるフリーストール牛舎というのがあるんですが,それの整備などを一体的に進め,ゆとりある酪農経営の実現に努めてまいりたいと考えております。  なお,本県畜産全般にわたり,高品質かつ低コストな畜産物生産技術の確立が必要でございますので,先端技術の活用を初めとした畜産技術の開発拠点といたしまして八郷町に新しい畜産試験場の整備を進め,生産性の高い畜産の振興に努めてまいる考えでございます。 46 ◯副議長(鬼沢忠治君) 農地局長篠原晃重君。            〔農地局長篠原晃重君登壇〕 47 ◯農地局長(篠原晃重君) 広域農道の整備についてお答えいたします。  議員御指摘のとおり,農道は,農産物の輸送のみならず,農村地域の生活道路として,また観光,通勤などいろいろな役割を果たし,おくれぎみな農村地域の道路整備の一助となっております。  まず,県内の実施状況でございますが,15地区,延長202キロメートル,総事業費920億円で実施しておりまして,事業進度は77%になっております。これまでに八郷町のフルーツラインなど8地区,110キロメートルが完成しており,それぞれの地域における基幹農道としてその効果を発揮しているところでございます。  県内全域の広域農道が完成いたしますと,常磐道などの高速流通体系とアクセスし,首都圏との有機的なつながりの中で,それぞれの地域発展に大きく貢献するものと考えております。  次に,涸沼南地区でございますが,旭村上釜の国道51号から美野里町中野谷の国道6号を結ぶ21キロメートルの区間を整備するものでございます。このうち国道51号から小川町下吉影の町道までの10キロメートルを,涸沼南地区として昭和63年度に着手しております。平成8年度までに8キロメートルを実施しており,進捗率は71%となっております。  また,これに接続します小川町下吉影から国道6号までの2期地区11キロメートルは,平成2年度に着手しております。平成8年度までに6キロメートルを実施しており,進捗率は61%となっております。  なお,小川町上吉影から美野里町柴高の3キロメートルにつきましては,ことしの4月より供用を開始する予定でございます。  今後は,早期完成を目指し,一層の事業促進を図ってまいります。  次に,景観に配慮した広域農道の整備についてであります。  農村地域は,豊かな自然とすばらしい景観を有しており,人々の心に潤いを与えてくれます。このような資源を活用して都市との交流を促進し,地域の活性化を図る必要があると考えております。したがいまして,広域農道の整備につきましても景観に配慮した整備が求められておりますことは,議員御指摘のとおりでございます。  現在継続中の涸沼南地区などの道路におきましては,地域の特色を生かした町の木や花などの植栽等を事業の進捗に合わせながら実施してまいりたいと考えております。  また,岩井市から笠間市を経由して北茨城市に至る路線のうち既に完成した区間につきましては,平成9年度から新たな県単独事業として茨城グリーン道路景観形成事業を創設し,市町村と協議しながら,道路沿いの拠点的植栽や直販施設等と一体的に設置する駐車場を整備してまいる所存でございます。  これらの事業によりまして,県内における広域農道の新たな役割として潤い機能を持たせ,農村地域の住民や都市住民も通行したくなる道路として整備し,農村地域の活性化に寄与してまいりたいと考えております。 48 ◯副議長(鬼沢忠治君) 警察本部長西山正樹君。            〔警察本部長西山正樹君登壇〕 49 ◯警察本部長(西山正樹君) 警察官の採用方法と採用後の教育訓練についてお答えいたします。  警察官の採用に当たりましては,一般的知識を中心とする教養試験や論文試験のほか,警察官として必要な身体,体力を有しているかどうかについても検査し,採用の判断要素にしているところであります。  ちみなに,男子警察官採用時における身体の最低基準は,身長160センチ以上,体重47キロ以上でありますが,採用の第1次試験において身体・体力検査を実施し,身長,体重をチェックしているほか,腕立て伏せの回数や,直立姿勢から腕立て伏せの姿勢をとる,いわゆるバーピーテストなどを行い,一定のレベルがクリアできるかどうかを検査し,採用を決定しております。体重については47キロ以上ということですが,採用結果として50キロ以下の者は例年おりません。  なお,この身体・体力検査は,一般職員の採用試験では実施していないものであり,警察官の職務の特殊性から実施しているものであります。  ところで,昨年10月に採用した17名とことし4月採用予定の96名の計113名について運動歴を見ますと,柔剣道の有段者が23名おり,この中には国体に出場した全国レベルの者が3名おります。また,このほか,64名が,野球やテニス,陸上競技など何らかの運動歴を有しております。  このように,知識はもちろんのこと,警察官として必要な体力を備えた警察官の採用に配意しているところでございます。  次に,採用後における教育訓練についてでありますが,警察学校における採用時教養におきましては,法学や警察実務とともに,全員が,逮捕術は必須,柔道,剣道いずれかを選択し,逮捕術,柔剣道等の訓練を毎日ほぼ1~2時間実施しております。そして,採用時教養終了までに柔剣道どちらか初段以上,逮捕術については全員初級取得を義務化しているところであります。  また,警察本部や警察署におきましては,犯罪の凶悪化傾向を踏まえ,現場の実態に即した逮捕術の訓練と,その裏づけとなる基礎体力の向上に努めているところでございます。  議員御指摘のとおり,気は優しくて力持ち,これこそ理想の警察官であります。今後も引き続き知識と体力を兼ね備えた優秀な人材の登用を図ってまいりたいと考えております。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 50 ◯副議長(鬼沢忠治君) 以上で,本日の日程は全部終了いたしました。  次回は,明3月7日午後1時から本会議を開き,一般質問,質疑を続行いたします。  本日はこれにて散会いたします。               午後4時15分閉会 Copyright © Ibaraki Prefectural Assembly, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...