宮城県議会 2024-02-01
02月22日-04号
令和 6年 2月 定例会(第391回) 第三百九十一回宮城県議会(定例会)会議録 (第四号)令和六年二月二十二日(木曜日) 午前九時五十九分開議 午後三時散会 議長 高橋伸二君 副議長 本木忠一君出席議員(五十八名) 第一番 ふなやま由美君 第二番 かっち 恵君 第三番 平岡静香君 第四番 石森ゆうじ君 第六番 柚木貴光君 第七番 高橋克也君 第八番 さとう道昭君 第九番 熊谷一平君 第十番 藤原益栄君 第十一番 金田もとる君 第十二番 荒川洋平君 第十三番
佐々木奈津江君 第十四番 小野寺 健君 第十五番 大池康一君 第十六番 菊地忠久君 第十七番 杉原 崇君 第十八番 村岡たかこ君 第十九番 伏谷修一君 第二十番 松本由男君 第二十一番 渡辺重益君 第二十二番 わたなべ 拓君 第二十三番 天下みゆき君 第二十四番 小畑仁子君 第二十五番 三浦ななみ君 第二十六番 枡 和也君 第二十七番 佐藤仁一君 第二十八番 遠藤伸幸君 第二十九番
横山のぼる君 第三十番 伊藤吉浩君 第三十一番 八島利美君 第三十二番 瀬戸健治郎君 第三十三番 村上久仁君 第三十四番 高橋宗也君 第三十五番 高橋 啓君 第三十六番 遠藤隼人君 第三十七番 渡辺勝幸君 第三十八番 横山隆光君 第三十九番 三浦一敏君 第四十番 渡辺忠悦君 第四十一番 熊谷義彦君 第四十二番 佐々木功悦君 第四十三番 坂下 賢君 第四十四番 ゆさみゆき君 第四十五番 吉川寛康君 第四十六番 伊藤和博君 第四十七番 佐々木賢司君 第四十八番 守屋守武君 第四十九番 外崎浩子君 第五十番 村上智行君 第五十一番 佐々木幸士君 第五十二番 高橋伸二君 第五十三番 菊地恵一君 第五十四番 佐々木喜藏君 第五十五番 石川光次郎君 第五十六番 中島源陽君 第五十七番 本木忠一君 第五十八番 中山耕一君 第五十九番 藤倉知格君欠席議員(一名) 第五番 阿部眞喜君
-----------------------------------説明のため出席した者 知事 村井嘉浩君 副知事 伊藤哲也君 副知事 池田敬之君
公営企業管理者 佐藤達也君 総務部長 小野寺邦貢君 復興・
危機管理部長 千葉 章君 企画部長 武者光明君
環境生活部長 佐々木 均君
保健福祉部長 志賀慎治君
経済商工観光部長 梶村和秀君 農政部長 橋本和博君
水産林政部長 吉田信幸君 土木部長 千葉 衛君 会計管理者兼出納局長 大庭豪樹君
総務部参事兼秘書課長 村田俊顕君
総務部参事兼財政課長 高橋寿久君
教育委員会 教育長 佐藤靖彦君 副教育長 佐藤芳明君
選挙管理委員会 委員長 皆川章太郎君 事務局長 後藤和隆君 人事委員会 委員長 西條 力君 事務局長 北沢康一君 公安委員会 委員 庭野賀津子君 警察本部長 原 幸太郎君 総務部長 横山 裕君 労働委員会 事務局長 中村今日子君 監査委員 委員 成田由加里君 事務局長 小林一裕君
----------------------------------- 議会事務局 事務局長 目黒 洋君 副事務局長兼総務課長 大場則昭君 参事兼議事課長 菅原敏彦君
政務調査課長 佐野浩章君 総務課副参事兼
総括課長補佐 堀 喜昭君
議事課総括課長補佐 大友幸二君 副参事兼
政務調査課総括課長補佐 千葉恵子君
議事課長補佐(班長) 我妻則之君
議事課主任主査(
議事運営担当) 二上秀幸君
----------------------------------- 議事日程 第四号 令和六年二月二十二日(木)午前十時開議第一
会議録署名議員の指名第二 議第一号議案ないし議第九十一号議案及び報告第一号ないし報告第六号第三 一般質問 〔
横山のぼる君、渡辺重益君、平岡静香君、わたなべ拓君〕
----------------------------------- 会議に付した事件一 日程第一
会議録署名議員の指名二 日程第二 議第一号議案ないし議第九十一号議案及び報告第一号ないし報告第六号三 日程第三 一般質問 〔
横山のぼる君、渡辺重益君、平岡静香君、わたなべ拓君〕
-----------------------------------
△開議(午前九時五十九分)
○議長(高橋伸二君) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は、お手元に配布のとおりであります。
-----------------------------------
△
会議録署名議員の指名
○議長(高橋伸二君) 日程第一、
会議録署名議員の指名を行います。
会議録署名議員に、二十三番天下みゆき君、二十四番小畑仁子君を指名いたします。
-----------------------------------
△議第一号議案ないし議第九十一号議案
△報告第一号ないし報告第六号・一般質問
○議長(高橋伸二君) 日程第二、議第一号議案ないし議第九十一号議案及び報告第一号ないし報告第六号を議題とし、これらについての質疑と、日程第三、一般質問とを併せて行います。 前日に引き続き、質疑、質問を継続いたします。二十九番
横山のぼる君。 〔二十九番
横山のぼる君登壇〕
◆二十九番(
横山のぼる君) 皆様おはようございます。
公明党県議団、
横山のぼるでございます。冒頭、一月一日に発生した
能登半島地震で犠牲になられた方々に心より哀悼の意を表するとともに、全ての被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。被災地の復旧・復興に少しでもお力になれるよう全力を尽くすことをお誓いし、議長のお許しを頂きましたので、一般質問をさせていただきます。 四病院再編について。 この構想については、私
たち公明党県議団は、「
県立がんセンター及び
県立精神医療センター、
仙台赤十字病院、
東北労災病院の四病院二拠点化構想については、拙速、強引な進め方は認められない。地域医療の課題や病院再編の必要性について、県民に丁寧に説明するとともに、専門家の意見をはじめ、既存病院の立地自治体、患者・家族、病院職員、地元の地域住民の声を重く受け止め、不安の解消と地域医療の確保に向けた具体的な対策を講じること」ということを一貫して訴えてまいりました。私
たち公明党県議団としても、これまで住民への説明を繰り返し求めてきましたが、ようやく昨年十二月十七日に第一回目の説明会が開催され、これまで計三回の説明会を開催されておりますが、県民や住民、患者等からの理解が得られたとは到底言えず、地域住民との溝は深まる一方に見えます。これまで専門家も交えた県立病院の
あり方会議を重ね、令和元年十二月に
がんセンターと
精神医療センターのそれぞれの報告書を取りまとめています。その後、令和二年八月に三病院による検討、令和三年九月には四病院構想へと急展開し、県民の見えないところで話が進んだように見えます。県が実際に構想実現に向かい踏み出そうとするに当たり、これほどまでの風当たりと大きな分断を生むような事態を予想していたでしょうか。それはどのような理由によるものでしょうか。知事の御所見を伺います。
仙台赤十字病院と
県立がんセンターの基本合意では、昨年十二月十七日の八木山地区の
住民説明会の五日後に基本合意がなされておりますが、このタイミングでの合意は、まさに住民感情を逆なでするものでしかなかったのではないか。あえてその日を選んだことに疑問が残りますし、住民の不信を増長させるという結果を招いてしまったのではないかと思います。私
たち公明党県議団は、市民千人を対象にして、第二回となる四
病院再編構想の四十二項目にわたる
アンケート調査、以下
アンケートを業者に委託して実施いたしました。その中で、「説明会五日後の基本合意についてどう思いますか」との質問に対して、「説明会は形、ガス抜きだけのもので、住民の意見を聞こうとするものでないことが明確になった」が二六%、「説明会の五日後に基本合意が行われれば、住民の不信が高まることは必然であったにもかかわらず、基本合意に踏み切ったのは、県の進め方に問題があると言わざるを得ない」が三六%、「進め方に問題はないが、基本合意が近々行われることを住民に知らせた上で説明会を開催することが必要であった」が二七%。六三%の人が県の進め方に対して問題があるとしており、更に二七%は事前に基本合意することを説明するべきだったと回答しております。これを踏まえると、九割を超える方が五日後の基本合意については問題があったと認識しており、進め方に問題ないとしているのは八%にとどまっています。四病院の今後の進め方について尋ねたところ、「仙台市の意向を受け入れるべき」が二三%、「県が仙台市にもっと説明を尽くすべき」が五一%、合わせて七割を超える方が仙台市を支持している結果となっています。「今後どのようにしたらよいですか」との尋ねに対し、「県が仙台市に歩み寄って話合いをすべき」二三%、「仙台市が県の考えを受け入れるよう話合いをすべき」が八%、「県・市双方が歩み寄って話合いをすべき」が四四%、「知事と市長がトップ同士で腹を割って話合いをすべき」が一四%で、九割を超える方が話合いをすべきとし、特に、県が市に歩み寄って話合いをすべきとする割合が高くなっております。先月の一月三十日、
がんセンターに伺った際にも、これまで県から基本合意に向けての相談等は一切なく、一か月前に
仙台赤十字との統合がまとまってきているという話があったものの、基本合意をすることを聞いたのは直前であったとのことです。これでは、話合いをしようとする姿勢が欠如していると思われても仕方がないのではないかと思います。今月九日、仙台市から宮城県の四
病院再編案に関する協議の要請が出されておりますが、今後どのような形で具体的な協議を行っていくかが問われます。県は仙台市と
部局担当者レベルでの話合いを行う連携会議などの会議体を設置し、定期的に公開を原則としながら協議を行うべきと思いますが、知事のお考えをお示しください。 あわせて、仙台市との協議を実施するとともに、
仙台赤十字病院、
県立がんセンターの新病院設置については、両
病院関係者、県、移転元の仙台市、移転先の名取市、有識者、住民を代表とする
あり方検討会議のような会議体を設置し、公開を原則として協議を行い、今後の基本構想、基本設計、実施設計に協議内容を反映させていくというような
仕組みづくりをするべきではないでしょうか。また、県としてどのように進めていこうとしているのか、知事の御所見をお伺いします。
重点支援区域の選定の条件として付された、仙台市をはじめとする
関係自治体に丁寧に説明を行い理解を得ること、そして医療機能の再編による影響を受けている地域住民に丁寧に説明を行い理解を得ることについて、国が異例の条件をつけた理由・背景を、県はどのように捉えているか伺います。その上で、今後どのように、
関係自治体である仙台市と地域住民の理解を得ようとしているのか伺います。 二〇四〇年まで増え続ける医療需要を見据え、
仙台医療圏において、病院再編を含め、将来を見据えた
医療体制づくりに取り組むために、
急性期病院が集中している仙台市の病院を仙台市外に統合や移転をすれば問題解消につながるという構想は、理屈上は理にかなっているように見えますが、その理屈を大上段に押しつけるあまり、現在の医療体制が比較的整っている仙台市太白区の
仙台赤十字病院周辺地域、仙台市青葉区台原の
東北労災病院周辺地域及び名取市の
県立がんセンターを中心とする地域では、県への反発が日増しに高まっており、不安を訴える声も大きくなっている状況です。他県の医療再編が進んでいる地域では、
病院立地自治体をはじめとする関係者との会議体をつくり、そこで十分に時間をかけて話し合い、多くの人が納得できるプロセスを経て結論に至っているケースが多いのではないでしょうか。
公明党県議団では、兵庫県の病院再編の取組について、その内容を聞いてまいりました。兵庫県では、二〇一三年度から二〇二八年度までの約十五年間、その準備期間も含めれば約二十年間で、県内で十一の病院の再編統合が実現する見通しです。県立や市立という
公立病院同士に限らず、企業立や日本赤十字社など公的病院も再編対象に含まれているのが注目すべき点で、病院の立地も、数万規模の人口が少ない地域から、姫路市や尼崎市など五十万人規模の地域まで、幅広く再編が行われています。再編統合の動きが県内に広がった要因の一つとして、
杉村和朗兵庫県
病院事業管理者、以下杉村氏は、
三木市民病院と
小野市民病院、
県立柏原病院と
柏原赤十字病院という二つの再編統合の成功例を挙げています。杉村氏によると、「北播磨圏域では市町ごとに百床から三百床の病院があり、老朽化している病院も多く、若手医師を引きつける魅力に乏しかった。この地域の病院では、二〇〇四年度の新
臨床研修制度開始を契機に、医師の急速な減少による診療科の閉鎖・縮小が相次ぎ、地域の医療崩壊が急速に進んでいった。それでも大学として何とか地域医療を支えられないかと考え、圏域の病院長の方々に、再編統合して総合病院化しないかなどと話を持ちかけていた。けれども首長には、市や町に病院がなくなると、住民に医療を提供できなくなるという危機感があったようだ。ところが住民の意識は、近くに立派な病院があるのであれば、病院の所在地にはこだわらないことが調査で分かった。小野市と三木市の両市町が統合に前向きになり、大学に再編統合への協力依頼をするに至った」とのことです。このように、地域住民が地域医療をどのように考え、どのような意向を示しているのか、また、地元首長の賛同をどのように得ていくのかが病院成功への鍵と考えますが、知事の御所見を伺います。 兵庫県の病院再編では、移転元の跡地利用についても、しっかり協議がなされております。統合した
県立はりま姫路総合医療センターの移転元の
広畑病院跡地利用については、地元姫路市、
医療関係者、大学、住民代表、
外部有識者等の委員を構成員とする、姫路における県立病院のあり方に関する
検討委員会において検討され、県及び
社会医療法人広畑病院の両者において、姫路市の協力を得ながら医療機関の誘致を図っていくとされており、そしてその後、基本計画が策定され、平成三十年三月に、現建物を活用した医療機関の誘致に向けて、県及び広畑病院が市医師会等を通じて、
移転建て替えを検討している医療機関に照会を行い、病床数等の条件面で合致した三栄会を候補者に選定しています。その際には、病床規模を三百六十二床から百三十床に削減する一方、回復期・慢性期病床を強化しています。 移転地元に関する
アンケートによれば、「仮に八木山にある
仙台赤十字病院が名取市に移転した場合、あなたは移転元の八木山地域の医療体制をどのようにしたらよいと思いますか」の質問に対し、「新病院の誘致」二一%、「分院の設置」二一%、「外来機能を残す」二三%、「
かかりつけ医との連携強化を図る」二七%。六六%の方が、何らかの形で移転元地に医療機関を新設するか分院として残すことが望ましいとの回答になっています。また、「
仙台医療圏の四
病院再編構想で、あなたが反対から賛成に変わるには、どのようにしたらよいと思いますか」との質問に対し、「どのようになっても反対である」一六%、「移転元の医療体制が維持されれば賛成」五六%、「移転元の住民の理解、納得が得られれば賛成」が四二%、「がんの政策医療の維持」三六%、「
県立精神医療センターを中心に構築されたにも包括の維持」二〇%と、移転元の
医療体制維持が一番多いことから、これを重視している結果となっています。今後やるべき方向性を示す、示唆に富む回答になっています。先ほど提案した、
仙台赤十字病院と
県立がんセンターの新病院設置に係る、両
病院関係者、移転元の仙台市、移転先の名取市、県、有識者、住民代表を構成員とする
あり方会議のような会議体の中で、移転元の跡地利用を医療法人の誘致も視野に入れて検討するべきと思いますが、県知事の御所見をお伺いします。 新病院の病床数は約四百床と、
仙台赤十字病院の三百八十九床と
がんセンターの三百八十三床の合計数から約半減するとの基本合意の内容が示されています。この病床規模で果たして県の
がん政策医療やがんの一般医療の維持ができるかと、多くの御懸念や不安の声が届いています。この「病床が半減することについてどう思うか」との
アンケートに対し、「総合母子周産
期センターの機能が果たせなくなることが不安」一八%、「
がん診療連携拠点病院の機能が失われるのではないか」一六%、「上記の両方とも心配」が六割を超える方が心配と言っております。政策医療を不安視する結果となりました。私も全く同感であります。先月一月三十日に
がんセンターに伺った際、
がんセンター側では「個人的には、希少がん・難治がん、先進医療であるゲノム、
放射線医療を残してほしい」とし、今後の協議では譲ることができない点であると話されていたことが印象に残っています。一方で、新病院が公立でなくなることにより、採算の取れないがん医療は切り捨てられるのではないかとの懸念が拭えません。だからこそ、本来であれば基本合意前に、県として考える県全体のがん医療の青写真を念頭に、
がんセンターに引き継ぐべき内容の詳細を新病院の
赤十字病院と合意することが筋と考えますが、これまでの県の答弁は、診療科等の詳細は今後協議をしていくとの一点張りですが、希少がん・難治がん、先進医療であるゲノム、放射線治療について、新病院に引き継ぐことになるのか、知事の御所見を伺います。
がんセンターにある
高度医療機器の
トモセラピー、ロボットダ・ヴィンチ、PET‐CTなど、
高度医療機器など資産設備については、どのように新病院に引き継ぐとしているのか伺います。
県立がんセンターの特徴として
相談サポート体制があり、
がんセンターは年間千九百三十四件のがんの相談を受けています。
東北大学病院千三百四十八件、
東北労災病院七百六十七件、
大崎市民病院五百六十八件と、ほかから見ても突出した相談対応になっています。この相談体制を新病院にどのように引き継ぐこととしているのか伺います。あわせて、二〇〇二年開設で二十二年しか経過していない
緩和ケア病棟を、どのようにしようとしているのかお聞きいたします。
精神医療センターの移転に関する
アンケートでは、「精神医療の専門家で構成し、県の諮問機関である
精神保健福祉審議会からの賛同が得られていないことについて、あなたはどう思いますか」と尋ねたのに対し、「県は賛同が得られるよう最善を尽くすべき」四三%と占めて、最も多い。次に「賛同が得られるまで基本合意などを前に進めるべきでない」が三〇%、「賛同が得られないのであれば、移転を白紙撤回すべきである」が二二%、「賛同がなくても前に進めていい」が三%とごく少数でした。審議会の賛同を九九・六%が重視している結果となっています。一般の
アンケートではありますが、これは重い結果と思います。二月十五日木曜日の審議会では、移転後の本院と分院の病床数や診療体制に関する三案が説明されましたが、採決で委員十三名のうち十人が反対、三人が保留として、賛成はないという結果でございました。この状況で年度内の合意が行われれば、更に民意が離れることは必須の状況であると考えますが、審議会の賛同が得られなくても基本合意をお進めになるのか、知事のお考えをお伺いします。 魅力ある宮城の創出について。 私の住まいは、あすと長町中央公園のすぐそばにあり、朝は老若男女がラジオ体操に集い体を動かし、日中は小さい子供たちが散歩をし、夕方にかけては学校帰りの小中学生が集まってきて遊び、語らい、思い思いの時間を過ごしている風景が広がっています。公園はのんびりとくつろげる憩いの場であり、楽しく遊べる子育ての場であり、井戸端会議ができるコミュニケーションの場でもあります。災害となれば一時避難場所にも変わります。地域の皆さんが自由に気兼ねなく過ごす空間があるということは、地域にお住まいの方々の安心と、その地域の発展に欠かすことができないものではないでしょうか。しかしながら、首都圏や県外から来られた方から度々指摘されるのは、自分が以前住んでいた場所に比べ、大規模な安らげる公園がないとの指摘であります。太白区内の公園である秋保の天守閣自然公園、ロッジ村をめぐっていた際に、秋保森林スポーツ公園を訪れてみました。この公園は、昭和四十八年に会員制のスポーツ施設としてオープン。現在は会員制ではなく、入場料を払えば誰でも利用できます。敷地内には野球場、体育館、アスレチック施設、アーチェリー練習場、パターゴルフ場、キャンプ場、バーベキュー会場、芋煮会の会場、露天風呂などもありますが、各種施設が五十年を経過しており、施設の老朽化に伴い、利用者のほとんどはバーベキューや芋煮の会場として利用しています。管理者である秋保リゾートホテルクレセントの担当者から、その利用状況や今後の整備方針などをお聞きしましたが、現在、施設のリニューアルは考えていないとのことでした。この敷地の広さは魅力的で、秋保にあまりない体験型の、今はやりのジップラインなども含めて、アクティビティーを提供できるポテンシャルがあると感じます。ちなみにジップラインとは、山や森など自然豊かな中に架けられたワイヤーロープにベルトとハーネスを装着してぶら下がり、プーリーと呼ばれる滑車を使って滑り降りるアウトドアアクティビティーです。この森林スポーツ公園と温泉街のホテルとの連携も図れば、更に相乗効果が生まれるものではないかと思います。管理者のホテルクレセントなどとも連携し、県として何かできることがないか伺います。 先日、日本に十人に一人、東北に一人しかいない剣道の竹刀職人である、竹刀製作の竹の園生代表の加藤明彦先生からお話を聞く機会がありました。剣道の竹刀はほとんどが外国からの輸入物で、日本の職人が製作されている日本伝統の竹刀は、十万本に三本しか流通していないとのことです。このままでは日本伝統の竹刀製作は難しくなってしまうと、大変に危機感をお持ちでした。この竹刀の原料となる真竹は、温暖化の影響で竹の北限が上がってきていることから、登米市や南三陸町で取ることができ、この真竹は全国的にも優良な材料で、天然でこれだけきれいな竹が生えるのはなかなかないとのことです。また、製作した竹刀は一万円ぐらいの値がつき、一人で一日二本の製作が可能で、年間で五百本ほど製作できるとのことです。 そこで伺います。伝統文化である竹刀製作に弟子入りなど新規就労する際の国や県の就労支援策や、竹刀を製作する上での支援策についてお聞きします。なお白石市では、令和元年まで、こけし職人の後継者として弟子入りした方たちに、一人当たり十五万円を支援していたとのことです。また、宮城県を全国屈指の竹刀産業地にするためにも、原材料である真竹の生育や保護に関する支援策がないかお聞きします。 最後に、健康寿命の延伸についてお伺いします。 子宮がんの発症予防を目的としたHPVワクチンについて、令和四年に定期接種対象者への積極的勧奨が約九年ぶりに再開いたしました。また、令和五年四月から九価ワクチンも定期接種として使用可能となり、ワクチンに関する接種や関心が高まっております。日本では子宮がん予防として女子のみ定期接種となっているHPVワクチンですが、海外では男女ともに公費負担で接種できる国もあるようです。昨年十一月に、当事者である男子大学生らが男性へのワクチン定期接種化を求める約一万五千人分の署名を厚生労働省に提出しています。 そこで、男性へのHPVワクチンについて質問します。HPVに関係する男性の疾病は、どのようなものがあるのかお聞きします。男性もワクチンを接種することでどのような期待ができるのか、接種費用はどの程度かかるのか、海外の公費接種の状況等が分かれば御教示願います。 男性のHPVワクチンの接種費用の助成については、男性もワクチンを接種することで、男性自身の感染による疾病を予防できることに加え、パートナーへの感染防止や社会全体での感染リスク低下など、接種の意義は高いと言えます。東京では、定期接種の対象となっていない男性にもがんの予防などの効果があるとして、自治体が接種の費用を補助する場合、半分を都が負担する方針を決めたと報道されています。そこで、本県でも市町村に対しHPVワクチンの男性接種の接種費用助成を支援できないでしょうか。県民の命を守り、将来の子育て世帯への支援策ともなります。国に先んじて実施することで、県民への強力なメッセージとなると思いますが、知事のお考えを伺います。 以上、壇上からの質問とさせていただきます。御清聴、大変にありがとうございました。
○議長(高橋伸二君) 知事村井嘉浩君。 〔知事 村井嘉浩君登壇〕
◎知事(村井嘉浩君)
横山のぼる議員の一般質問にお答えいたします。大綱三点ございました。 大綱一点目、四病院再編についての御質問にお答えいたします。 初めに、病院再編に関する風当たりと分断についてのお尋ねにお答えいたします。 今回の病院再編につきましては、令和元年度に開催した県立病院の
あり方検討会議などを踏まえ、少子高齢化や人口減少が進む中、政策医療の課題解決を図り、今後も県民に適切な医療を持続的に提供していくために取り組んでいるものであります。令和三年九月に協議を開始した際は、現在の病院の患者や近くにお住まいの方々にとって病院移転の影響が大きいことから、少なからず反対の声があることは想定しておりましたが、病院再編の意義を丁寧に説明するとともに、基本合意の締結など、関係者との協議の進捗に応じて、新病院の機能等の具体的内容についても情報提供を行い、県民の皆様の理解を得てまいりたいと考えておりました。病院再編の協議・検討はまだ道半ばの状況でありますが、再編に伴う不安や懸念を払拭できるよう、地域説明会などを通じて、丁寧な説明と意見交換を重ねてまいります。 次に、仙台市からの協議要請及び新病院設置に向けた進め方についての御質問にお答えいたします。 病院再編に係る仙台市からの協議要請を踏まえ、県と市での協議の進め方については、今後、会議形式で担当部局間の事務レベルでの協議を重ねていくこととし、第一回目を本日二十二日に開催することといたしました。なお、会議については非公開の予定ですが、会議資料や議事要旨の公開など、協議の進捗に応じて、県民の皆様にできる限りの情報提供を行ってまいります。また、新病院の基本構想などの策定については、運営主体である日本赤十字社と、県や県立病院機構、統合する両病院が、東北大学の助言も得ながら協議して進めていく方向で現在検討しているところであり、協議の進捗に応じて、仙台市や名取市、地域住民の方々などへの適切な情報提供に努めてまいります。県といたしましては、仙台市との協議内容も踏まえ、新病院の開設に向けて、
関係自治体や地域住民の声が生かされるよう、日本赤十字社及び県立病院機構との協議を進めてまいりたいと考えております。 次に、地域住民や
関係自治体の賛同が病院再編の成功の鍵であるとの御質問にお答えいたします。 今回の病院再編を進める上で、県内各市町村や県民の皆様の理解を得ることは大変重要であることから、市町村説明会や地域住民への説明会などを通じて、病院再編の意義を引き続き丁寧に説明し、意見交換を行ってまいりたいと考えております。また、仙台市との病院再編に係る協議の中で、病院再編に伴う地域医療への影響や、病院が移転した際の現在の病院周辺地域への影響などにつきましても改めて検証し、病院再編の効果や仙台市内における初期・二次救急医療、
かかりつけ医療機関など個別課題についての認識共有を図るとともに、地域医療の課題解決策につきましても協議し、その内容について可能な限り広く提示していくことで、
関係自治体や地域住民の理解が得られるよう、真摯に対応してまいります。 次に、
精神保健福祉審議会の賛同がなくても基本合意は進めるのかとの御質問にお答えいたします。
東北労災病院と
県立精神医療センターの移転・合築につきましては、身体合併症対応などの病院間の連携や、県南部の精神科医療提供体制確保のためのサテライト案の検討などを踏まえ、基本合意の締結に向けて、現在、労働者健康安全機構及び県立病院機構と協議を進めているところであります。基本合意の締結時期につきましては、最終的には三者で協議の上決定することになりますが、現在、サテライト案の検討中であり、
精神保健福祉審議会においても、人員配置や運営面の課題など様々な御意見を頂いたことから、県といたしましては、まずはサテライトの具体的な機能や規模について、
精神医療センターの職員の方々と打合せを重ねながら、拙速とならないよう慎重に検討してまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。
○議長(高橋伸二君)
保健福祉部長志賀慎治君。 〔
保健福祉部長 志賀慎治君登壇〕
◎
保健福祉部長(志賀慎治君) 大綱一点目、四病院再編についての御質問のうち、
重点支援区域の選定の条件についてのお尋ねにお答えいたします。 国から
重点支援区域に選定された際の条件については、今回の病院再編に対して様々な意見がある中で、新病院の開設に向けて、引き続き関係者に対する丁寧な説明に努めてほしいとの趣旨で付されたものであると認識しております。県といたしましては、仙台市との協議への対応のほか、住民向けの地域説明会などを通じて、病院再編の必要性や効果を県民の皆様に改めてお示しし、理解の醸成につながるよう取り組んでまいります。 次に、病院移転後の跡地利用についての御質問にお答えいたします。
仙台赤十字病院の跡地利用については、土地所有者である日本赤十字社において、様々な観点から検討されると思いますが、今後、新病院の整備に向けた協議を進めていく過程で、跡地利用の検討に当たり、必要に応じて、県としても協力してまいります。また、仙台市の協議要請の中に、病院移転後の現在の病院周辺地域への影響についての項目が含まれておりますので、県といたしましては、その影響についての検証とともに、地域住民の意向も確認しながら、跡地の活用の可能性も含め検討してまいりたいと考えております。 次に、新病院のがん医療及び資産の引継ぎについての御質問にお答えいたします。 名取市に整備予定の新病院では、
がん診療連携拠点病院の位置づけを引き継ぐことを想定しておりますが、希少がん・難治がんへの対応など、がん医療の具体的な機能については、県内のがん医療の状況や、
東北大学病院を含めた他の
がん診療連携拠点病院などとの役割分担・連携を踏まえ、日本赤十字社や県立病院機構、東北大学などの関係者と協議してまいりたいと考えております。なお、
県立がんセンターが有する
高度医療機器などの資産については、新病院の具体的な機能や必要な施設・設備などを踏まえ、可能な限り活用できるよう、関係者との協議の中で検討してまいります。 次に、
県立がんセンターの相談体制と
緩和ケア病棟についての御質問にお答えいたします。 新病院において、
がん診療連携拠点病院の機能を引き継ぐことを想定しておりますので、相談支援機能は確保されていくこととなりますが、具体的な機能や体制については、今後、他の
がん診療連携拠点病院などとの役割分担・連携を踏まえながら、日本赤十字社や県立病院機構と協議し決定することとなります。また、
緩和ケア病棟をはじめ、移転後の建物の利用については、耐用年数などを考慮の上、活用方法を検討してまいりたいと考えております。 次に、大綱三点目、健康寿命の延伸についての御質問のうち、HPVワクチンの男性への接種についてのお尋ねにお答えいたします。 HPVはヒトパピローマウイルスの略称であり、女性が罹患する子宮頸がんのほか、男性においても、肛門がん、尖圭コンジローマなどの疾病の原因となることが分かっております。男性がHPVワクチンを接種することにより、これらの疾病を予防する効果が期待できるほか、性的接触によるHPV感染も予防することができるため、パートナーの健康と命を守ることにもつながります。国内で使用されている三種類のHPVワクチンのうち、男性への接種が承認されているのは一種類のみですが、一定の間隔を空けて、合計三回の接種が必要です。また、男性は定期接種の対象ではないため、全額自己負担となります。費用は医療機関により異なりますが、一回当たり一万五千円から二万円程度、合計三回の接種で四万五千円から六万円程度の費用がかかります。なお、海外の公費接種の状況については、国立がん研究センターによると、昨年二月時点で三十九か国が男性の接種を公費支援の対象にしているとのことであります。 次に、男性のHPVワクチン接種費用への助成についての御質問にお答えいたします。 HPVワクチンの男性への接種については、現在、国において公費負担を伴う定期の予防接種として位置づけることの評価を行うため、男性も含めたHPV関連がんの基本的知見や、ワクチンの有効性と安全性、費用対効果等が検討されているところです。県といたしましても、男女問わずHPVが原因となる疾病を予防していくことは大変重要と認識しておりますので、最新の科学的知見に基づく国の議論を注視してまいりたいと考えてございます。 私からは、以上でございます。
○議長(高橋伸二君)
経済商工観光部長梶村和秀君。 〔
経済商工観光部長 梶村和秀君登壇〕
◎
経済商工観光部長(梶村和秀君) 大綱二点目、魅力ある宮城の創出についての御質問のうち、秋保森林スポーツ公園の公園管理者などと協力した取組についてのお尋ねにお答えいたします。 秋保森林スポーツ公園は、秋保リゾートホテルクレセントが運営する多目的公園として、各種スポーツ施設や芋煮会場のほか、キャンプ場や露天風呂などを備えており、総面積三十ヘクタールに及ぶ広大な敷地と豊かな自然に囲まれた園内は、アウトドアアクティビティーの実施に適した環境にあると認識しております。また、秋保地区では近年、宿泊施設のリニューアルや醸造所、カフェ等の新規オープンも相次ぎ、体験型アクティビティーとの組合せにより、更なる誘客拡大と滞在の長期化が期待されるところです。このため、県といたしましては、今後、地元自治体である仙台市とともに、多様な利用ニーズを踏まえた公園の魅力向上に向けて、管理者との意見交換をはじめ、秋保地区が誇る温泉や食等の観光資源と連携した取組についても、地域の関係者の御意見を伺ってまいります。 次に、竹刀製作の支援についての御質問にお答えいたします。 日本の伝統工芸品産業は、生活様式の多様化による需要減少や担い手不足、原材料の枯渇など、全国的に様々な課題に直面していると認識しております。県では従来から、日本のものづくりの原点である伝統工芸品を絶やすことなく次代に伝えるため、国・県指定の伝統的工芸品製造事業者に対し、伝統的工芸品産業振興費補助金による支援を実施してまいりました。更に昨年度からは、これまで指定されていない新たな伝統的工芸品を育成するため、県内でおおむね十年以上にわたり伝統的な手法で工芸品等を製造している事業者に対しても、本補助金の対象を拡充し支援することとしております。御指摘の竹刀製造事業者の新規就労や製作に対する支援に関しましては、後継者が使用する工具や用具類、資料や教材の購入費に加えて、新たな需要開拓に要する経費についても、本補助金の対象になるものと考えております。県といたしましては、引き続き、市町村などと連携しながら、魅力ある宮城の創出のため、竹刀製造事業者をはじめ、伝統的工芸品産業の振興に努めてまいります。 私からは、以上でございます。
○議長(高橋伸二君)
水産林政部長吉田信幸君。 〔
水産林政部長 吉田信幸君登壇〕
◎
水産林政部長(吉田信幸君) 大綱二点目、魅力ある宮城の創出についての御質問のうち、真竹の生育や保護への支援策についてのお尋ねにお答えいたします。 竹刀などの原材料となり得る良質な真竹を生産するためには、密度管理を行うなど、竹林の生育環境を適正に整備することが必要であると認識しております。しかしながら、安価な竹製品の輸入増加やプラスチック製品の普及により、国内産の竹材の利用は大きく減少しているほか、竹林所有者の高齢化などもあり、近年では放置竹林の拡大が問題となっております。このため県では、みんなの森林づくりプロジェクト推進事業により、民間団体等が行う竹林の整備活動に加え、チェーンソーや破砕機の購入などを支援しており、今年度は十四団体が、登米市のほか十七市町で竹林の整備を行っております。県といたしましては、このような活動が竹刀として利用できる良質な真竹の供給につながるよう支援するとともに、竹の有効活用や利用拡大に向け、竹林の適切な管理の推進に取り組んでまいります。 以上でございます。
○議長(高橋伸二君) 二十九番
横山のぼる君。
◆二十九番(
横山のぼる君) 様々御答弁、大変にありがとうございました。 最初に、日本の伝統文化とも言える竹刀の作製ということで、職人さんが作られたのは十万本に三本しかないということです。本当に今、宮城にもお一人、加藤先生がいらっしゃるということで、その支援策をお聞きしたのですけれど、伝統的工芸品の補助金ということで、お弟子さん、後継者が使われる部分については、何か道具類とか、そういった支援ができるということはお伺いしました。また、真竹の生産地についても、チェーンソーとか様々な支援があるということで、しっかりちょっと私としても伝えたいと思いますし、ぜひ--経商部でも行っていただいてお会いしたってお話も聞きますので、大変ありがとうございます。それで、この支援のほかに、例えば白石市でやられていた十五万円の支援であったりとか、国を通じて話をしたところ、厚労省のメニューに、例えば離職者等再就職訓練事業とかがあったりとかですね、若しくは人材開発支援補助金とかってあって、国の補助金のメニューを使うと様々そういった人材不足、担い手を補えるような事業もあるようなので、県は県としてそういった伝統工芸品の補助金についてはあるものは活用させていただくとしても、国の補助金を利用しながらちょっとやってほしいというふうに思いますし、柔道では一回、何草でしたっけ、それがなくなって、何か廃れたみたいな話もあったものですから、剣道の竹刀作製をしっかりと、警察も剣道をしっかり訓練されているということもありますでしょうし、そういったことで、しっかりそういった担い手を支えていくことをやっていただきたいと思いますが、部長、その辺どうでしょうか。
○議長(高橋伸二君)
経済商工観光部長梶村和秀君。
◎
経済商工観光部長(梶村和秀君) 先ほど御説明しました補助金の中には、後継者育成事業につきましても対象となってございますので、それも含めまして、あと、議員から御指摘のとおり、それ以外にも様々な支援策もございますものですから、それにつきまして国ともしっかりと調整しながら、我々としましても本当に伝統的工芸品を担う人材の育成に今悩んでいるものですから、その辺については本当にしっかりと今後とも支えていきたいと思います。
○議長(高橋伸二君) 二十九番
横山のぼる君。
◆二十九番(
横山のぼる君) 続いて、四病院再編について再質問させていただきますけれど、今日から仙台市との協議が行われるということで、いろいろ話を聞くと、知事の認識と市長の認識が、協議に対するそういったスタンスがちょっと違うのかなというところがあるので、ある面、仙台市にリーダーシップを取っていただいて、仙台市の考えをしっかり聞いてもらってという形で進めることが一番いいかなというふうに思いますし、この協議については住民の方にしっかり見ていただくということで、最初、冒頭だけ公開ということでございましたが、しっかりそういったところで公開も踏まえながらやっていただきたいというところと、この協議がどういった意味を持つのかをちょっと確認したいのですけど、要するにこれから、
あり方検討会議というのは、がんとかそれぞれの
精神医療センターについて行われていましたけど、四病院全体の
あり方検討会議、有識者も含めた形で、住民代表ということで、そういった形については、明確に四病院再編のあり方検討ということでは行われていないという認識があるのですけど、この仙台市の協議についてはどういった形--今後、例えば基本構想とか基本計画とか、今四者で行うという話があったのですけど、そういったことにも仙台市の協議内容が盛り込まれるものなのかどうなのか、そういった今回の仙台市との協議のスタンスをちょっとお聞きしたいと思いますが。
○議長(高橋伸二君)
保健福祉部長志賀慎治君。
◎
保健福祉部長(志賀慎治君) まさに本日から一回目の協議が始まるということでございました。知事からも御答弁申し上げましたとおり、基本構想とか基本計画を具体的に今後策定していくことになってまいりますけれども、基本的には日本赤十字社を中心に、県や病院機構、あるいは統合する両病院等々が関係となって、そういった基本構想の策定に当たっている形になってまいりますけれども、今日から始まる仙台市との協議の中で、そういった構想の策定状況に関する情報などを、タイミングの問題もあるかと思いますけれども、どういった形で共有し、中身についてどういった意見を頂いて、それを反映することができるかどうか等についても、本日からの話合いの中でちょっと協議の中で位置づけて、率直な意見交換をしてまいりたいと思ってございます。
○議長(高橋伸二君) 二十九番
横山のぼる君。
◆二十九番(
横山のぼる君) その点がすごく大事だということで、今後、基本計画については今のところその四者というか、日本赤十字、県、県立病院機構とかで行っていくことなので、しっかりと協議した内容について基本構想にしっかりと入るような形でやっていくことがすごく重要だというふうに思いますので、そういった観点でやっていただきたいですし、あと
住民説明会、今後また開催されると思いますが、本当は、
赤十字病院については説明するという話はしておりますが、この仙台市との協議がしっかり同じ方向を向いて
住民説明会が行われないと、
住民説明会もなかなかうまくいかないのかなというふうに思いますけど、この仙台市との協議と
住民説明会の時期的な絡みとか、その辺りはどうなっているかをお聞きしたいと思います。
○議長(高橋伸二君)
保健福祉部長志賀慎治君。
◎
保健福祉部長(志賀慎治君) こちらもやはり
住民説明会のほうで、仙台市の当局がこの場に出てきていないのはなぜかといったような声も頂いたところでございましたので、まさに協議の進捗と併せて並行して、ポイントポイントなり進捗の状況に合わせてですね、適切な情報共有、説明が図られるように、その辺の調整を図ってまいりたいと思います。
○議長(高橋伸二君) 二十九番
横山のぼる君。
◆二十九番(
横山のぼる君) まさにそこはすごく大事だなというふうに思いますし、協議が整わないと、いつまでたっても、協議しているにもかかわらず県だけが説明しているという形では、住民の納得が取られないというふうになってくると思いますので、しっかりと協議をしながら、できるだけ同じ方向を向いて協議できるような協議をしていただければというふうに思います。 あとちょっと一点、基本計画については、やはり有識者とか、少し会議体とかをしっかり、有識者並びに住民代表とかですね、そういったことで、基本構想の中では、基本その新病院だけに限らず、救急医療体制であったりとか、あと若しくは周産期医療体制とか、
仙台医療圏のことも当然その基本構想の中に入ってくると、入ってこないとおかしいというふうに思いますので、その中でやはり有識者とか仙台市とかも含めた形で全体として会議体をつくって、その中でしっかり基本構想に入れていくという形がすごく重要だと思いますし、あと、
アンケート結果にもあったとおり、移転元の体制、跡地をどうしていくかという観点も、兵庫の基本構想にしっかり入っていたんですよね。そういうことも含めてやってほしいという、その点どうでしょうか。
○議長(高橋伸二君)
保健福祉部長志賀慎治君。
◎
保健福祉部長(志賀慎治君) 基本構想、基本計画等の策定に当たっての進め方についても、繰り返しになる部分もありますけれども、東北大学はじめ様々な外部の方の助言も頂きながら、協議を進めていく方向で現在検討を進めております。御指摘のありましたような形も含めて、どういった進め方があるのか、形についても協議の中でしっかりと落とし込んで検討してまいりたいと思います。
○議長(高橋伸二君) 二十九番
横山のぼる君。
◆二十九番(
横山のぼる君) ぜひお願いしたいと思いますし、私の認識では、四病院全体の
あり方検討会議、全てそれをある意味密室で開かれていたというような認識があるのですけれど、そういった様々な方が一堂に会してのというのは開かれていない認識というところがあるので、しっかりとその辺を踏まえてやっていただきたいというふうに思います。 あと、がん医療の政策なのですけれど、希少がん・難治がん等については今後、東北大学と連携の中でどうしていくかという話なのですけれど、結局、基本合意する前に、きちんと県のスタンス、最低でも、今回民間のほうに運営が移ったわけですから、その前に最低限がんとして、例えば四百床のうち何床はお願いしたいとか、せめて希少がん若しくは難治がんについてはお願いしたいとか、そういったことがなかったのでしょうか。昨日の話だと、経営的観点から基本合意が結ばれたと。これからそういう医療観点、医療的なところについては話をしていくというような感じで思えたのですが、その辺はいかがなのでしょうか。知事お願いします。
○議長(高橋伸二君)
保健福祉部長志賀慎治君。
◎
保健福祉部長(志賀慎治君) 基本合意の中身は、病床の規模もまだ四百床程度といった形でかちっと決まった中身まで詰め切れているものではございませんし、診療科もまだその中ではうたい切れていなく、今後の協議において具体化が進められていくといった形になってございます。がん医療の具体的なありようについては、まさに診療科の具体性の検討も含めて、そういった形で並行して中身を詰めていかなきゃならないことかと思ってございました。御指摘のようなことも踏まえまして、今後の検討の中でしっかり生かしていきたいというふうに思います。
○議長(高橋伸二君) 二十九番
横山のぼる君。
◆二十九番(
横山のぼる君) そこがおかしいと言っているのです。結局、これからじゃなくて、本来であれば基本合意の前に詰めるべきだったでしょう、要するに、県のスタンスを示してというところを指摘しておきます。そこがないと、まるで経営的観点で基本合意されて、これからではちょっとおかしいと思うんですよね、その辺り。がん医療をどう考えているかという県の姿勢が問われるというふうに私は思いますので、そこをしっかりお願いしたいと思いますが、知事いかがでしょうか。
○議長(高橋伸二君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) もちろん、基本合意の中にそういうことまで盛り込むべきではないかといったような議論も当然やったわけでありますけれども、日本赤十字社のほうから、協議の中で、まだそこまで検討には至らないんだというような話であったということであります。要は、どんどんどんどん私としたらできるだけ詰めて出したいという思いは当然あるわけですけれども、そうすると更に時間がかかってしまうというようなこともありまして、まずはここで基本合意、ここまでの基本合意ということをやって、その次にまた今言ったような希少がんや難治がんの治療であったり、あるいは研究所をどうするのかといったようなことが決まってくれば、またその時点でこういったような形で決まりましたということを順次出していくということでありまして、これで全て終わったわけではなくて、今はまだいろいろ検討状況の途上のものを少しずつ、決まったものから小出ししていると。その節目として、基本合意として出したということでございますので、決してこれで何もかも決まったわけでは何もありませんから、まだいろんな議論をしている間の途上だというふうな捉え方をしていただければと思っております。おっしゃることはよく分かります。
○議長(高橋伸二君) 二十九番
横山のぼる君。
◆二十九番(
横山のぼる君) 民間に任せたという部分で、なおさらそこをしっかりしていかないと、民間に任せたというその理解が得られないのではないかと思いますので、そこをしっかりお願いしたいということを言って終わりたいと思います。ありがとうございます。
○議長(高橋伸二君) 二十一番渡辺重益君。 〔二十一番 渡辺重益君登壇〕
◆二十一番(渡辺重益君) 高橋伸二議長に発言のお許しを頂きました。私からも、元旦に発災しました
能登半島地震において、お亡くなりになられた多くの方々の御霊に哀悼の意を表しますとともに、今もなお被災地にて苦しんでおられる、被災者の皆々様へ心からお見舞いを申し上げます。一日も早い復興を切に願うばかりであります。 さて、二期目の当選後初となる一般質問でありますので、いささか欲張って大綱五点について、通告に従い、順次質問してまいります。 村井知事をはじめ執行部の皆様には、私の当選祝いも兼ねまして、どうぞ前向きな御答弁を期待したいところであります。ここに改めて再び県政の壇上にお送りいただきました、亘理郡民の皆様の思いを形に、輝く宮城の未来へつなぐ役割を今期もしっかり担っていく覚悟であります。創造的復興の完遂に向けて、力の限り県政の課題に果敢に取り組んで参ることをお誓い申し上げ、ようやく質問に入ります。 生き物の致死率は一〇〇%であります。世の中に存在するほんの少しの「絶対」の一つであります。そのときが来るのが早いか遅いかの違いだけで、生きる者は必ず死を迎えます。今を生きる私たちは、さきの東日本大震災や、このたびの
能登半島地震などで、生きたくとも生きられなかった方々のためにも、生かされた我々は、明確な目的を定め、それを遂行し、限りある命の時間を大切にすること。つまり震災で経験した多くのことを余すことなく、次世代の日本を担う全ての人へとつないでいく使命が、東日本大震災を経験した私たちにはあるのではないでしょうか。 そこで、大綱一点目、東日本大震災からの復興について伺います。 今定例会直前の二月十日から十二日までの三日間、山元町にある直売所「夢いちごの郷」では、五周年感謝祭が開催され、私も最終日に伺ってまいりました。最終日は、施設開設以来、一日の来場者数が七千三百五十七人、売上げも四百八十五万三千九百円と、ともに過去最高を更新したとのことです。県内、道の駅を含める施設でも、一日でこれだけ販売をする施設はそう多くない、と町の担当者の誇らしげな表情が印象的でした。この山元町の直売所のコンセプトですが、この根底は非常に深いものがあります。一見、イチゴや地場産品を販売する直売所と思われがちですが、震災で被災した町の地元経済の再生と、町内外から人を呼び込むことで、経済の循環をしっかり根づかせること、この考えが根底にあります。まさに村井知事が掲げる創造的復興そのものではないでしょうか。こうした被災自治体の成功事例を、県が主体的に団体旅行などを含め、観光振興など様々な分野にも展開し生かしていくことが、本県の復興を更に加速させることになると考えます。そこで、こうした被災沿岸地域の一次産業の復興状況をどう認識し、今後の復興に取り組んでいく考えか、知事の御所見を伺います。 次に、本県の防災教育について伺います。 今月十七日、第六回東日本大震災伝承シンポジウムが、山元町防災拠点・山下交流センターにおいて開催されました。今回は、「つながりあって伝えあう」をメインテーマに、学校被災の伝承から考えるということで、震災を経験した岩手県の高田小学校、宮城県の中浜小学校、福島県の請戸小学校の当時の教員と生徒が、経験談とそこから得た教訓を語る第一部と、第二部のパネルディスカッションで構成されておりました。このシンポジウムに参加し感じたことを踏まえ、本県の震災伝承の在り方について、以下二点について知事の御所見を伺います。 県内の現存する震災遺構の多くが学校であり、被災前とは別な形での学びを提供する場として利用しております。その一方で、教訓の次世代への継承のためには、学校教育への取組が重要視されてきており、本県でも、学校被災の教訓を全国の学校へ共有する交流会なども始まっているようです。こうした中での今回のシンポジウムは、震災の被災者の一人として、また、県政運営の一翼を担う県議会議員の一人として大変貴重な機会でありました。こうした機会を本県の防災教育の場にも更に生かしていくことが、県民の皆様と一丸となって成し遂げてきた、宮城の復興には必要不可欠なものであると考えます。改めて震災から間もなく十三年目を迎えようとする、本県の今後の復興伝承へどう取り組んでいく考えか、知事の御所見をお伺いいたします。 また、今回のシンポジウムと同日に、県境横断の震災遺構視察バスツアーが開催されました。こうした県境をまたいでの企画は、他の被災県の防災教育の取組や課題を知る大変貴重な機会でありました。令和三年二月の福島県沖地震では、県境の違いによって、国の支援に大きな差が生じたため、こうした取組を通じながら、隣県被災県とともに、国の災害救助法の改正についても強く訴えていく必要が、全国知事会長である村井知事の責務だと考えますが、知事の御所見を伺います。 次に、高速道路料金定額化における地域活性化について伺います。 過日、地域格差の正体という本を読む機会がありました。私がこの本を知ったのは、県議会同期でもあります石田一也前議員の一般質問でした。高速道路料金定額制が実現できる根拠を示し、地域活性化の起爆剤になり得る、高速道路料金の定額制を推進してほしいという趣旨の質問であったと記憶しております。私もこの本を読んでみますと、まさに生産性向上につながる、地域活性化の切り札になるのではと感じた次第であります。昨年十月三十一日、PSMC、SBIホールディングス、宮城県及びPSMCとSBIホールディングスが準備会社として設立したJSMCの四者が覚書を締結し、JSMCの半導体工場設立地として、黒川郡大衡村の第二仙台北部中核工業団地を選定したことが発表されました。大変うれしいニュースであり、村井知事、そして担当した県職員の皆様に改めて敬意を表し、感謝を申し上げたいと思います。一方で、地方自治体の多くは、企業誘致で苦戦を強いられております。少し古い資料になりますが、令和元年から二年にかけて、国土交通省主催で開催された、新しい物流システムに対応した高速道路インフラの活用に関する検討会の資料によると、東名・名神高速道路の総延長八百二十九キロメートルは、日本の高規格道路の総延長一万一千六十八キロメートルの約七%にしかすぎませんが、トラックによる貨物輸送量は四八%にも達しております。また、日本の物流の一日当たりのトリップ数、トラックの発着回数は三千七百六十三万トリップですが、そのうち県境を越えて物資を運んでいるのは二百二十一万トリップと、僅か六%にしかすぎません。更に、経済ブロックを超えたブロック間輸送は四十五万トリップで一%強しかなく、東名・名神高速道路以外の高速道路は、地域と地域を結ぶという高速道路本来の役割を果たせているとは言えません。このことは、遠くへ行こうとすれば行くほど高くなる、距離制料金制度のまさに弊害と考えるべきではないでしょうか。日本の製造業の半分以上が集中する三工業地帯だけが発達し、その他の地域に広がらない大きな障害は、人流・物流コストなのではないでしょうか。高速道路料金の定額化で物流コストを下げ、企業誘致への大きな障害を取り除くべきと考えますが、村井知事の御所見を伺います。 高速道路料金の定額化は、単に物流経費を削減し、物流にかかる時間を短縮するだけでなく、国内旅行を活発化し、人々の交流を進め、地域産業の活性化にもつなげることができます。コロナ禍前に戻ってきたと言われるインバウンド。ピークの二〇一九年のインバウンドによる消費額は、四兆八千百三十五億円でしたが、国内旅行の消費額の四分の一でしかなく、インバウンド対策に湯水のように予算を使うよりも、国内旅行消費を増やしたほうがより効果が高いのではないでしょうか。また、観光産業の経済波及効果は約二倍と言われておりますが、日本人一人当たりの国内旅行消費額は、先進各国と比較して圧倒的に低く、経済環境が近いイギリスやドイツの三分の一しかありません。なぜでしょうか。実は、年間休暇日数も日本だけが少ないとは言えず、大きく違うのは、日本の高速道路だけが乗用車の高速道路料金が有料であり、走れば走るほど高くなる料金制度があるということです。国内旅行消費が伸びないボトルネックは、高速道路料金の距離制だと思いますが、村井知事の御所見をお聞かせください。 大綱二点目、医療福祉について伺います。 地元亘理町在住の町民の方で、骨髄増殖性腫瘍の一つで、発症率は五万人に一人と言われる真性多血症という、希少な血液疾患を抱える方から切実な訴えがありました。その方は十年前に突如として真性多血症と診断されたとのことです。やがて二次性骨髄線維症や白血病に移行する疾病でありますが、その希少さから周りに同じ病気の方もおらず、とても孤独を感じ、少し先の未来までも想像する余裕すらない日々を過ごしているとのことでした。こうした不安は、他の希少難病などを持つ患者の皆様の多くが抱える思いではないかと拝察をいたしております。骨髄線維症を例に挙げますと、難病の患者に対する医療などに関する法律に規定される指定難病に該当しないため、同法に基づく医療費の助成を受けることができません。治療方法が確立していない中、治療に取り組み続けることは、経済的にも非常に大きい負担となります。また、治療やその介護のために仕事ができないとなると、その負担は更に大きなものとなります。一方で、骨髄線維症は障害者総合支援法の対象難病であることから、各自治体でも様々な支援が受けられます。加えて、都道府県でも、東京都、埼玉県、富山県が独自に指定難病とし、医療費助成制度も設けております。こうした状況を踏まえ、骨髄線維症などの指定難病に該当しない希少難病についても、県独自で医療費助成を行うことについて、県の考え方を伺います。 次に、本県のひきこもり対策について伺います。 県はこれまで、ひきこもり支援推進事業として、ひきこもり当事者が社会参加に向けた一歩を踏み出せるよう、安心・安全に過ごせる居場所を提供する目的で、南北居場所支援事業を実施してきております。これまでの取組を総括し、どのような効果が得られたのか、また、見えてきた課題をどう認識し、ひきこもり対策の今後の展開について、県の考えを伺います。 この大綱の最後に、医療的ケア児者の支援について伺います。 令和三年六月には、議員立法で、医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律、いわゆる医療的ケア児支援法が制定されました。法律の目的は、医療的ケア児の健やかな成長を図るとともに、家族の離職を防止し、安心して子供を産み、育てることができる社会の実現に寄与すること、とされております。背景には、医療技術の進歩に伴う医療的ケア児の増加、医療的ケア児の心身の状況などに応じた適切な支援を受けられない、といった社会課題があったことによります。同法に基づき、本県では、令和四年七月に、光明支援学校及び仙台エコー医療療育センターに近い、泉区南中山に、医療的ケア児等相談支援センターちるふぁを開設しております。開設以来、お子さんと御家族そして関係者の皆さんの「笑顔を紡いでいく」相談支援センターを目指し、アウトリーチ型で総合的・専門的な相談支援、情報の発信及び研修などを全県で行っていると伺いました。同センターが行った、本県における医療的ケア児者の実態調査では、六百三十四名の医療的ケア児者が存在していることが明らかになりました。内訳は、三百三十三名の医療的ケア児と三百一名の医療的ケア者で、どの年代も満遍なく存在している結果が示されていました。法律では、高等学校等在学中の十八歳以上、あるいは十八歳未満を医療的ケア児と定義しておりますが、この結果から、十八歳以降の医療的ケア者に対する支援も欠かせないと認識し、宮城県障害福祉計画及び宮城県障害児福祉計画の連動が重要と考えております。県はこの点についてどのように考え支援していくのか、お伺いいたします。 また、医療的ケア児者は、仙台市を含む仙台圏に大多数が存在していますが、社会資源が少ないエリアでも十分な支援を受けられる体制構築を望む声も頂いております。今後、ちるふぁの増設、あるいは人員強化についてどのように考えているのか、伺います。 次に、大綱三点目、観光振興について伺います。 昨年十二月、東京池袋にある宮城ふるさとプラザが、来年度中に閉店するというニュースには大変驚かされました。二〇〇五年の開店以来、宮城の観光PRはもとより、県の食や物産の魅力を発信し続けてきた首都圏におけるコアがなくなることは、大変に残念でなりません。運営受託者である宮城県物産振興協会が、後継店舗開設を検討しているとの情報もあり、期待もしています。しかし、協会について、ふるさとプラザの運営やデパートなどでの販売・展示対応で大半の業務を占め、ほかに手が回らない状態にあると伺っている中で、店舗開設にどれだけマンパワーを割き、魅力的な店舗を開設できるのか気になるところです。この点、村井知事は過去に、運営に係る予算を有効に活用できる方法を一緒に考えたいと議会で述べております。そこでお尋ねしますが、今後、物産振興協会が本格的に後継店舗開設を検討するとなった場合、県としての支援の在り方、オープン後の具体的な経済的な支援について、現段階における知事の御所見をお伺いいたします。 一方、宮城ふるさとプラザ運営上のネックは、委託先の公益社団法人宮城県物産振興協会という組織の形態にあると考えております。利益を追求する株式会社の形態であれば、所属会員に対する公平性の担保をそこまで考える必要がなく、宮城県のPRにエッジを効かせた、効果的な効率的な店舗運営も可能になると考えております。閉店に当たり、これまで店舗運営を物産振興協会に委託をし続けてきた問題は何だったのか。解決すべき課題は何だったのか。総括する必要があると認識しているところですが、知事の御所見をお伺いいたします。 また、この決断に至る前に、店舗運営に官民連携の仕組みの一つである、ソーシャルインパクトボンドの導入の可能性も調査しておくべきではなかったのかと考えております。ソーシャルインパクトボンドは、事業委託する際に、サービスの成果に基づいて、報酬額を変動させる仕組みである、成果連動型民間委託契約方式をベースに、民間が自己資金だけでは実施することが難しいサービスに対して、機関投資家や企業のCSR部門をはじめとする、様々な資金提供者から出資してもらうことが特徴です。この制度を活用することで、宮城ふるさとプラザをもっと効果的に運営・PRに活用できたのではないかと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。 あわせて、宮城県の観光施策にソーシャルインパクトボンドを導入し、更なる観光振興を図る必要があると考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、大綱四点目、農業施策について伺います。 宮城県産イチゴの百億円産地の育成に向け、昨年に続いて第二回目のいちごサミットinみやぎ二〇二四が、今月十五日、十六日の二日間で開催されました。こうした機運醸成のための取組も、また大変効果的であり、亘理のイチゴ農家に生まれた私といたしましても、こうした一つ一つの取組がいつか実を結び、百億円産地としての宮城の誕生を心から切に願うものであります。さて、その実現に向けて、課題や対応策を協議するための新たな組織である、宮城県いちご振興協議会へ寄せる期待が、生産者の方々をはじめ、関係者の中でも更に大きなものとなっているのではないでしょうか。そこで、この協議会の現状と今後の強化すべき取組についてお聞かせください。 一昨年十一月のことですが、地元の若手生産者らとともに、イチゴ王国栃木県のイチゴ振興策を学ぶために、栃木県内一の産地である真岡市や県庁などへ視察をしてまいりました。特に目を引いたのは、全国で唯一現存するいちご研究所や、各産地が所在する圏域ごとに配置されているイチゴ専門の普及指導員の存在であります。説明いただいた県職員の方も、イチゴ王国栃木のまさに原動力になっていることを誇らしげに語っておりました。そこで本県のイチゴ百億円産地の育成には、イチゴ生産者の確保に加え、生産者らを支援する指導者の確保も大変重要であります。本県は、JA合併などで営農指導の体制が整理されてきましたが、ベテランの職員が少なくなり、現地指導が厳しくなっていると聞いております。今後は、より農業改良普及センターとの緊密な連携が特に必要になっていくと思いますが、人材の確保や育成策も含め、イチゴ技術支援体制をどう整備していく考えか、知事の御所見を伺います。 次に、大綱五点目、本県の教育行政について伺います。 文科省によれば、全国の特別支援学校に在籍する子は、二十一年度約十四万六千三百人で、十一年度の一・二倍、特別支援学級においては約三十二万六千五百人と、二・一倍に増えています。しかし、学習環境は十分に整わず、特別支援学級の担任が免許を持つ割合は三割程度で、小中学校長の七割以上は、特別支援学級などの経験がなく、障害者教育の理解に乏しいといった事情もあるようです。そこで文科省は、経験者を増やし、円滑な授業や学校運営につなげる狙いで、新任教員が採用後十年目まで、特別支援学校や小中学校の特別支援学級で、複数年の経験を積むよう求める通知を二十二年三月に各都道府県の
教育委員会に出し、二十四年度からの実施を促しています。そこで、本県の特別支援教育について、以下三点お伺いをいたします。 まず一点目に、人材育成について伺います。 過日、県内の、ある特別支援学校に勤める友人から、学校の現状を伺う機会がありました。その支援学校で勤務する教員の中には、支援学校での勤務を望むものと、そうでない教員に意識の差が生まれており、教員の意識の二極化を大変危惧しておりました。本来、特別支援教育に関わる教員には、高い意識と専門性を要するものであり、本県支援学校の卒業生を我が子に持つ私自身も、同様に感じているところであります。一方、現場の声を聞けば、休憩時間もなく勤務し、遅くまで残業や休日出勤している教員も多数おり、専門性の向上よりも、日々の対応に追われている教員が多いのも現実であります。そうした現状を踏まえ、経験が浅い教員らにこそ、専門性向上の研修の機会が必要であり、更なる特別支援教育の向上のため、人材育成及び環境改善が急務であると考えますが、教育長の御所見をお聞かせください。 また、本県では、特別支援教育の推進のために、共に学ぶ教育推進モデル事業や、インクルーシブ教育についての理解を図る、特別支援教育総合推進事業、学びの多様性を活かした教育プログラムの開発事業を実施しておりますが、見えてきた課題をどのように認識しているのか。また、その課題解決のために、今後の事業展開をどう進めていく考えか、具体的にお聞かせください。 この大綱の最後に、この四月から開校する宮城県立秋保かがやき支援学校について伺います。 この新設の支援学校の目玉でもある高等部産業技術科については、三年後に最初の卒業生が誕生するわけですが、出口対策が大変重要であることは、私が言うまでもありません。今から三年後を見据え、どのような学校運営を行っていく考えか、教育長の御所見を伺うものであります。 以上、大綱五点について、壇上からの質問を終わります。御清聴、誠にありがとうございました。
○議長(高橋伸二君) 知事村井嘉浩君。 〔知事 村井嘉浩君登壇〕
◎知事(村井嘉浩君) 渡辺重益議員の一般質問にお答えいたします。大綱五点ございました。 まず、大綱一点目、東日本大震災からの復興についての御質問にお答えいたします。 初めに、復興伝承の課題と取組についてのお尋ねにお答えいたします。 東日本大震災の記憶や教訓を後世に伝承し、国内外に発信することは大変重要であると認識しております。震災発生直後から語り部の伝承活動など、伝承の取組が行われてきましたが、現在、震災への関心の薄れ、震災を知らない世代の増加、語り部の高齢化による担い手不足等が課題となっております。このため県では、令和三年に東日本大震災の記憶・教訓の伝承に関する基本方針を策定し、持続的な伝承事業の推進に取り組んでまいりました。県といたしましては、引き続き、みやぎ東日本大震災津波伝承館における語り部講話の実施や、学生ボランティア解説員の育成、震災伝承みやぎコンソーシアムを通じた伝承活動の支援のほか、広報紙やSNSを活用した情報発信、教育旅行誘致や学校への語り部派遣などにしっかりと取り組んでまいります。 次に、災害救助法の改正についての御質問にお答えいたします。 災害救助法の適用については、県や市町村をまたぐ広域的災害の場合に、発災直後に判明した避難状況等により、被災市町村間で不均衡が生じるという問題があるものと認識しており、県では、これまで適用基準の見直しを国に対し要望してきたところであります。また、全国知事会においても、法の適用で被災市町村間の格差や不均衡が生じるような場合には、都道府県内一律の適用可能にするなど、客観的かつ弾力的な適用基準の検討を国に対し要望しております。県といたしましては、引き続き同一の災害における法の適用の不均衡が生じないよう、過去の災害の教訓や市町村の意見も踏まえながら、国に対し適用基準の見直しを働きかけてまいります。 次に、大綱二点目、医療福祉についての御質問にお答えいたします。 初めに、ひきこもりの居場所支援についてのお尋ねにお答えいたします。 県では、市町村における、ひきこもり状態にある方が安心して過ごせる居場所づくりを促進するため、令和二年度からひきこもり居場所支援モデル事業を実施しており、県の北部圏域と南部圏域に居場所を設置し、NPO法人等にその運営を委託しております。利用者は年々増加しており、生活に質的な変化が現れるなど、社会参加の一歩につながる居場所の存在は大変大きなものと考えております。一方、居場所を設置している市町村は、昨年四月時点で七つの市町にとどまっていることから、今年度は、市町村を会場に出張居場所を実施するなど、モデル事業で蓄積した知見を市町村へ横展開する取組を推進しております。県といたしましては、引き続き市町村や民間の支援団体等に働きかけを行いながら、県内各地域で居場所づくりを推進するなど、ひきこもり状態にある方が社会とのつながりを持つ一歩を踏み出せるよう、地域における支援体制の充実に努めてまいります。 次に、医療的ケア児等相談支援センターの体制強化についての御質問にお答えいたします。 医療的ケア児者とその御家族が、居住する地域にかかわらず、安心して生活していくためには、地域の関係機関が連携して、適切な支援を提供できる体制を構築することが重要であると認識しております。県では、令和四年七月に宮城県医療的ケア児等相談支援センターちるふぁを設置し、御家族、支援者等からの相談対応や情報発信、支援人材育成のための研修等を実施するなど、身近な地域で適切な支援が受けられるネットワーク体制の構築を目指して取り組んでおります。具体的には、地域で医療的ケア児者への支援の総合調整を行う医療的ケア児等コーディネーターを養成し、その活動のフォローアップを行うとともに、市町村や基幹相談支援センター等の関係機関と連携した、支援体制の整備を進めております。県としては、ちるふぁやコーディネーター養成等の支援の取組を通じて、各地域の相談支援体制の整備を図ってまいりたいと考えており、ちるふぁの増設等については、その進捗状況を踏まえた上で検討してまいります。 次に、大綱四点目、農業施策についての御質問のうち、宮城県いちご振興協議会についてのお尋ねにお答えいたします。 県では、イチゴ百億円産地の育成に向け、これまでJAグループが組織するいちご部会や、宮城県園芸作物ブランド化推進協議会と連携し、生産振興及び消費宣伝活動などに取り組んでまいりましたが、昨年度からは、JAグループに加え、生産法人や金融機関、県などで構成する宮城県いちご振興協議会を設置し、イチゴの振興方策について協議をしております。協議会では今年度、イチゴの生産振興、担い手の確保・育成及び輸出拡大などの課題を協議し、新たにいちごトレーニングセンターでの研修や、タイなどに加え台湾への輸出を実現したところでございます。イチゴ百億円産地の実現には、今後、より一層の栽培面積の拡大や、単収及び販売単価の向上が必要であることから、県といたしましては、協議会において、面積の拡大に寄与する新規就農者の受入れ体制整備や、単収の向上に寄与する県育成品種、にこにこベリーの普及、販売単価の向上に寄与するケーキ用イチゴの取引拡大などに、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。
○議長(高橋伸二君)
保健福祉部長志賀慎治君。 〔
保健福祉部長 志賀慎治君登壇〕
◎
保健福祉部長(志賀慎治君) 大綱二点目、医療福祉についての御質問のうち、希少難病への県独自の医療費助成についてのお尋ねにお答えいたします。 難病の方に対する医療費助成については、平成二十七年に国において抜本的な見直しが行われており、現在は法律に基づく制度として、公費負担による医療費助成措置が講じられております。この国の見直しは、それまで医療費助成・研究事業の対象疾病が限られていたことによる不公平感や、長年にわたり都道府県の財政的な超過負担が続き、不安定な制度となっていることなどの、全国的な課題を解決するために行われたものです。医療費助成の対象となる疾病は、指定難病と呼ばれ、発病の機構が明らかでない、治療方法が確立していないなどの要件に該当する三百三十八疾病を国が指定しており、今年四月からは三疾病が追加される予定となっております。御指摘のありました骨髄線維症など、指定難病に該当していない疾病も多数ありますが、県独自の医療費助成については、対象となる疾病の選定や長期にわたっての財源確保など、公平性や安定性の観点から課題が多く、県といたしましては、引き続き指定難病の範囲の見直しなど、国の動向を注視してまいりたいと考えております。 次に、十八歳以上の医療的ケア者への支援についての御質問にお答えいたします。 医療的ケア児支援法においては、医療的ケア児が十八歳に達した後も、適切な保健、医療、福祉サービスを受けながら生活を営むことができるよう配慮しなければならないこととされており、医療的ケア者への支援の充実は、大変重要な課題であると認識しております。県では、来年度から三か年を計画期間とする第七期障害福祉計画と第三期障害児福祉計画について、引き続き一体的に策定し、障害児者のライフステージに応じて、切れ目のない支援を実施していくこととしております。同計画においては、医療的ケア児者が身近な地域で必要な支援を受けられるよう、市町村への医療的ケア児等コーディネーターの配置や、関係機関の協議の場の設置などに取り組むこととしております。県といたしましては、医療的ケア児者が年齢を問わず、地域で安心して暮らせる支援体制の構築に向けて、引き続き市町村や関係機関と連携しながら取組を進めてまいります。 私からは、以上でございます。
○議長(高橋伸二君)
経済商工観光部長梶村和秀君。 〔
経済商工観光部長 梶村和秀君登壇〕
◎
経済商工観光部長(梶村和秀君) 大綱三点目、観光振興についての御質問のうち、観光施策へのSIBの導入についてのお尋ねにお答えいたします。 ソーシャルインパクトボンド、いわゆるSIBは、地方公共団体等が抱える課題の解決手法の選定を民間事業者に委ね、外部資金を用いて解決を図る手法であるものと認識しております。国では、SIBの活用分野として、医療・健康、介護、再犯防止の三分野を重点分野と定め、SIBの積極的な活用を掲げているところであり、御指摘の観光振興における活用につきましては、まずは他自治体の事例や成果等を研究してまいります。 私からは、以上でございます。
○議長(高橋伸二君) 農政部長橋本和博君。 〔農政部長 橋本和博君登壇〕
◎農政部長(橋本和博君) 大綱一点目、東日本大震災からの復興についての御質問のうち、一次産業の復興状況の認識と今後の取組についてのお尋ねにお答えいたします。 県では、震災後の創造的復興に向けて、農業においては、大規模な土地利用型農業の展開や稲作から園芸への転換、農産品の高付加価値化などを推進してまいりました。その結果、沿岸部を中心に百ヘクタール規模の土地利用型農業法人や、イチゴ、トマト、パプリカなどの大規模で先進的な技術を導入した施設園芸法人、農産加工や六次産業化に取り組む経営体が誕生しております。更に、山元町の直売施設やまもと夢いちごの郷や、仙台市の集団移転跡地を活用した観光農園などに代表される、一次産業が観光などと結びついて、被災した沿岸部ににぎわいを取り戻す拠点となっている事例も多く見られております。県といたしましては、引き続き市町村等と連携し、一次産業の魅力を活用しながら、関係人口の更なる拡大に向けて、都市と農村との距離が近く、美しい風土や地域資源が豊富にある強みを生かした活力ある農村づくりを進めてまいります。 次に、大綱三点目、観光振興についての御質問のうち、公益社団法人宮城県物産振興協会が後継店舗を検討する場合の支援についてのお尋ねにお答えいたします。 現在、宮城ふるさとプラザの運営を委託している公益社団法人宮城県物産振興協会では、賃貸借契約の次期更新を行わない県の方針を受け、協会として後継店舗を開設できないか、採算性などを含めて検討を行っていると伺っております。県では今後、県内食品製造販売事業者の販路拡大や新規顧客獲得を目的として、首都圏以外の地域においても、県産品との接点や露出を増やす取組や販売情報分析・活用スキル向上につながる事業に重点的に取り組みたいと考えておりますが、本協会に限らず、県産品の販売を行う店舗が設置された場合は、有機的に連携しながら、我が県の物産振興が図られるよう、一部事業をその店舗で実施することなどを検討してまいります。 次に、宮城ふるさとプラザを公益社団法人宮城県物産振興協会に委託し続けてきたことについての御質問にお答えいたします。 県が委託する宮城ふるさとプラザの管理運営業務は、県産品の情報発信や販路開拓、マーケット情報の収集、首都圏事業者への情報提供、観光情報の発信を主な目的としております。その運営に当たっては、県内全域の生産品を特定の事業者に偏ることなく公平に取り扱う必要があることから、公益法人として、県内外の物産展事業等で、県産品を広く公平に取り扱ってきた実績があり、県産品への専門的かつ広範な知識を有する団体である、本協会へ運営を委託してきたものです。このことにより、平成十七年の開店当初からこれまで、延べ一千二百六十万人が利用するなど、所期の目的の達成に大きく貢献してきたものと考えております。 次に、店舗運営にソーシャルインパクトボンドを導入することについての御質問にお答えいたします。 ソーシャルインパクトボンドについては、医療や保健福祉分野など、行政が対応すべき社会課題を解決するための事業において活用事例が見られますが、宮城ふるさとプラザのような販売活動が主となる店舗運営にはなじみにくいものと考えております。 次に、大綱四点目、農業施策についての御質問のうち、普及指導員の人材育成と技術支援体制についてのお尋ねにお答えいたします。 農業者や関係機関・団体からの相談や要望、地域課題等の解決へ的確に対応していくためには、高い技術力や課題解決力など総合的な資質と意欲を持った普及指導員の育成が重要であると認識しております。このため県では、令和三年に策定した宮城県普及指導員人材育成計画に基づき、高度化・多様化する課題やニーズに迅速に対応できる人材の育成に努めております。特にイチゴの技術支援に関しては、農業・園芸総合研究所のイチゴチームを中心に、施設内の高度環境制御技術の研修や、民間コンサルタントを活用した現地研修なども行いながら、優れた指導力を発揮できる普及指導員の育成に努めています。あわせて、主要なイチゴ産地の農業改良普及センターには、栽培技術に精通したベテラン職員を配置し、次代を担うイチゴ生産者の確保・育成を図るチームを編成しながら、JA等と連携を図り、若手生産者に対して勉強会や交流会を開催するなど、生産性の向上と産地の発展に取り組んでおります。県といたしましては、普及指導員の一層の資質向上に努め、生産者や地域から信頼され、地域農業の発展に貢献できる人材の確保・育成に取り組んでまいります。 私からは、以上でございます。
○議長(高橋伸二君) 土木部長千葉衛君。 〔土木部長 千葉 衛君登壇〕
◎土木部長(千葉衛君) 大綱一点目、東日本大震災からの復興についての御質問のうち、高速道路料金の定額化についてのお尋ねにお答えいたします。 我が県沿岸部の高速道路は、東日本大震災以降、加速的に整備が進められ、交流人口の拡大とともに、円滑な企業活動を牽引しており、今後も新たな企業誘致を図る上で、大きな優位性を発揮するものと認識しております。高速道路の料金については、一般道路に比べ、速達性や定時性など利用者の受益が大きいことから、利用距離に応じて料金が変動する、対距離制度が基本となっているほか、物流対策として、運送業などの大口・多頻度利用者向けの割引制度等が実施されております。近年、激甚化・頻発化する自然災害や加速化する施設の老朽化への対応、物流の二〇二四年問題、渋滞対策や沿道環境の改善など、高速道路を取り巻く社会情勢は大きく変化していることから、こうした変化に的確に対応するためには、安定的な財源の確保と併せて、料金割引制度の拡充や見直しが求められております。現在、国において、高速道路を持続的に利用するための費用負担や料金制度の在り方について議論が進められていることから、県といたしましては、引き続きその動向を注視してまいります。 次に、高速道路の料金制度についての御質問にお答えいたします。 国内旅行においては、移動手段として約五割が自家用車やレンタカー等の自動車を利用しており、観光振興や地域経済の活性化のためには、料金制度も含め、高速道路の利便性向上を図ることが重要であると認識しております。現在、高速道路会社においては、観光周遊の促進を図るため、休日料金割引に加え、定額で利用できる周遊パスを導入しており、東北地方では、NEXCO東日本と宮城県道路公社において、最大三日間、東北六県の高速道路が乗り放題となるほか、観光施設や宿泊施設の割引サービス等を受けられる、東北観光フリーパスなどが販売されております。県といたしましては、更なる観光需要の喚起に向けて、近年の多様な観光ニーズに対応した周遊パスの内容充実や、料金割引の柔軟な取扱いなどについて、引き続き関係機関と緊密に連携し、国に働きかけてまいります。 私からは、以上でございます。
○議長(高橋伸二君) 教育委員会教育長佐藤靖彦君。 〔教育委員会教育長 佐藤靖彦君登壇〕
◎教育委員会教育長(佐藤靖彦君) 大綱五点目、教育行政についての御質問のうち、特別支援教育における人材育成及び環境改善についてのお尋ねにお答えいたします。 障害のある子供たちへの指導は、一人一人の障害の状態や特性に合わせた指導が求められており、日々の授業や生活指導等を充実するため、専門性のある教員を育成することは重要であると認識しております。現在、初めて特別支援学級を担任する教員を対象とした研修や、より専門性を高めるためのスキルアップ研修などを通じ、教員の専門性向上に取り組んでおります。また、今年一月に、みやぎの教員に求められる資質能力について定めた指標を見直し、特別な配慮や支援を必要とする子供への対応や、発達障害を含む障害等への理解を、全ての教員に必要な資質能力として新たに位置づけたところです。県教育委員会といたしましては、新たな指標に基づき、教職員の特別支援教育に対する意識の向上を図り、児童生徒一人一人の教育的ニーズに応じた指導ができるよう、研修の充実を図るなど、人材の育成に取り組んでまいります。あわせて、スクールカウンセラーなどの外部専門家の活用や、教育支援アプリの導入による業務の効率化などにより、教職員の負担軽減の取組を進め、特別支援教育の現場における環境整備に努めてまいります。 次に、特別支援教育の推進事業から見えてきた課題と、今後の事業展開についての御質問にお答えいたします。 県教育委員会では、インクルーシブ教育システムの構築を推進するため、障害のある子供もない子供も、多様な学びの場の中で、共に学ぶ教育を実践する事業に取り組んでおります。これらの事業を通じて、ユニバーサルデザインの考え方を取り入れた授業や、認知特性を踏まえた指導・支援を行うことで、児童生徒の学習意欲が喚起され、分かる喜びを実感するなどの成果につながっております。一方、小中高等学校における切れ目ない支援体制の構築や、高等学校での特別な配慮を必要とする生徒への支援体制の整備などが課題であると認識しております。県教育委員会といたしましては、これまでの成果を県内全域に周知するとともに、小中高等学校の特別支援教育担当教員による連携会議の開催や、高等学校への専門家派遣により、校内支援体制の整備を図るなど、我が県の特別支援教育の更なる推進に努めてまいります。 次に、県立秋保かがやき支援学校の学校運営についての御質問にお答えいたします。 秋保かがやき支援学校では、「地域・人・自然とのつながりを最大限に取り入れた教育活動を通じて、生涯にわたり一人一人が自分らしく、自分のよさを発揮し、輝き続けられる児童生徒の育成」を教育目標として、学校運営を行っていくこととしております。具体には、高等部産業技術科に、ホテルビジネス、食品製造、流通・サービス、介護・福祉の四つのコースを設定し、働きながら学び、学びながら働く、職業教育システム、いわゆるデュアルシステムの活用のほか、秋保地区のホテル・旅館や地域のものづくり職人等を招いた実践的な職業教育を展開することで、卒業後の就労に向けた生徒の勤労観や職業観の育成に努めてまいります。また、地域とのつながりを重視し、地域開放型の実習施設である、「どまカフェ」において、生徒が製造した食品の販売や地域の方々への接客など、地域住民との交流を教育活動に位置づけることで、コミュニケーション力の伸長を図り、生徒の卒業後の自立と社会参加を見据えた取組を進めてまいります。県教育委員会といたしましては、こうした地域に根差した教育活動を展開することで、児童生徒一人一人の可能性を引き出す学校づくりを目指してまいります。 以上でございます。
○議長(高橋伸二君) 二十一番渡辺重益君。
◆二十一番(渡辺重益君) るる御答弁を頂きまして、ありがとうございました。大分、質問項目が多くなってしまいましたけれども、まず、東日本大震災からの復興というテーマのところで、何点か御質問をさせていただければと思います。 まず冒頭に、夢いちごの郷の三日間の感謝祭、これは今日、山元町の橋元町長からも村井知事にしっかりお礼を伝えてほしいということで、生産者の皆様と一丸となったこの三日間は、最終日だったんですけれども、十時からのオープンで九時ぐらいに行ったら、もう既に長蛇の列で、三日間にわたって本当に県内からも多くの方々に御来場いただいたことを目の当たりにしまして、本当にこの創造的復興のシンボルに当たる、夢いちごの郷の成功が、山元町民の生産者の皆様にとってどれだけ支えになっているのかというところを、私、目の当たりにしまして胸が熱くなりました。生産者の皆様も一丸となって、地元の夢いちごの郷に出すということで、例えばイチゴの農家ですとJAに多くの方が出すんですけれども、やはり観光と地域の復興の一助になればということで、大分イチゴの生産者の方が、この三日間、かなりイチゴが足りなくて、かき集めて、職員の皆さんもかき集めて、皆さんで対応したというところのようです。その覚悟と、金額にもそれがあらわれてきていまして、この復興、十三年目を迎えるわけですけれども、本当にこれは各沿岸地域の被災者の皆さんも含め、県内外の方々の総仕上げなのかなと感じております。そういった中で、地域地域はそれぞれ課題があるかと思うんですけれども、先ほどお話ししました高速道路の定額化なんですが、知事はこの本、御覧になったことはありますか。私も改めて読んでみますと、亘理も山元も、今イチゴを北海道に出していまして、やはりいつか私も、東京で勝負すべきじゃないかということは、地元の生産者の方々と申していました。こういう意味では知事が、地方の、地域の活性化の切り札になると思っています。知事にも、全国知事会長としても、この定額化について、ぜひ前にもう一歩進めてほしいと思っているんですけれども、この点について、もう一度御所見をお伺いしたいと思います。
○議長(高橋伸二君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 非常に夢のある話だと思います。私も、恐らくイチゴの生産者で遠いところに輸送している人間であれば、当然賛成だというふうに言うと思うのですが、課題がないわけでもないと思っています。まず一つは、高速道路というのは、建設をして償還期間というのは決められていて、それをそこの区間で乗っている人たちで責任を持って払うという仕組みになっているわけですね。それをやめてしまわなきゃいけないということで、それの理解を得ることが大変だということ。それから当然、料金体系、国全体で見てということなんでしょうけれども、あとゼロサムですから、長距離行く人は非常にお得ですけれども、今まで短い区間しか使っていなかった方は、負担が非常に重くなるということですね。ですから、負担が重くなる人の理解を得なければならないということです。恐らくこれやろうとしたら、相当、国論を二分するような議論になるんじゃないかなというふうに思います。そういった課題をいかにしてクリアしていくのかということもよく考えながら、知事会長としては発言をしていかなければならないということです。幸い宮城県は、まだ十分ではないのですが、高速道路体系はほぼ、大きなところは、動脈・静脈の部分は完成したのですが、全国的に見ると、まだまだ高速道路というのは整備が遅れていて、早くやってほしいとか、たくさんあるわけですね。そういうところから、やはり負担をしてでもというような声が出ておりますので、そういった人たちの声も聞きながらやらなきゃいけませんので、そういう議員からの提案でございますから、他の県知事さんの考え方などもいろいろ聞きながら、私の思いだけで前に進めるわけにはいきませんから、どういう考え方を皆さんお持ちなのかということも聞きながら判断してまいりたいというふうに思っております。
○議長(高橋伸二君) 二十一番渡辺重益君。
◆二十一番(渡辺重益君) もちろん簡単なことではないと思いますので、その点をお酌み取りいただきながら、テーブルに上げていただく機会も、また引き続きお願いしたいなと思っております。 教育行政のところで、最後に、秋保かがやき支援学校について教育長に伺いたいと思います。 先ほど私の質問の中で、高等部の産業技術科が三年後に卒業生が初めて出るということです。もう一つ私が着目すべきところは、寄宿舎なのですが、三年間の寄宿舎をどのように運営していくのかというのが重要だと思うので、この点だけ最後にお考えを聞かせてください。
○議長(高橋伸二君)
教育委員会教育長佐藤靖彦君。
◎
教育委員会教育長(佐藤靖彦君) 秋保かがやき支援学校ですけれども、知的障害教育を行う小学部、中学部、高等部普通科と、これまでの高等学園に当たる高等部産業技術科が同じ校舎で共に学ぶ、これまで県内にはない新しいタイプの県立の特別支援学校ということになります。秋保かがやき支援学校では、高等部産業技術科の生徒が三年間寮生活を送ることになります。寄宿舎における共同生活を通しまして、将来の自立に向けて基本的生活習慣や自己管理能力の向上を図るとともに、集団生活においてお互いを認め合いながら、協力し合う心や態度を育成することを目指しているところでございます。また、三年間の寄宿舎生活を送ることによりまして、将来の生活に必要とされるスキルを十分に身につけることを、学校における教育活動と関連づけまして、就労と生活の両面から、将来の自立に向けた力を育成していきたいというふうに考えております。これらの取組を通しまして、卒業後は、企業等に就職するなど職業的自立を図り、主体的に社会参加できる生徒を育成してまいりたいというふうに考えております。
○議長(高橋伸二君) 暫時休憩いたします。 午前十一時五十二分休憩
----------------------------------- 午後一時再開
○副議長(本木忠一君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 質疑、質問を継続いたします。三番平岡静香君。 〔三番 平岡静香君登壇〕
◆三番(平岡静香君) こんにちは。立憲民主党、みやぎ県民の声の平岡静香です。昨年十月に行われた宮城県議会議員選挙において、富谷・黒川選挙区より初当選させていただきました。県民の代表者としての自覚と覚悟を持って、皆様のお役に立てるように、精いっぱい精進してまいります。本日初登壇の機会を頂きました。傍聴席やインターネット中継から御参加いただいている方々が、県政の課題や実情について、少しでも御理解いただけるように全力を尽くします。村井知事をはじめ執行部の皆様、よろしくお願いいたします。 大綱一点目、民意と地方自治についてお伺いします。 日本国憲法第八章では、地方自治について定められています。第二次世界大戦後、我が国は、明治憲法時代の官治主義を重視した中央集権国家から、民主主義政治の基盤としての地方自治を実現しました。憲法第九十二条では、「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基づいて、法律でこれを定める。」とされており、それは、住民自治と団体自治の二つの要素からなります。住民は、憲法と自治法の理念により、地域の在り方を自律的に決定することができます。村井知事と我々県議会議員は、直接選挙を通じて負託を受けましたが、地方自治の主体はあくまでも住民です。 さて、今回の一般質問で取り上げるのは、現在、県が主導する
仙台医療圏の四病院再編についてです。知事が二〇二〇年八月四日に、県内三病院の再編に向けた検討を始めると発表してから三年半が経過しました。これまで合意形成に向けて検討を進めるに当たり、県民の民意を反映した住民自治は守られてきたでしょうか。新型コロナウイルスのパンデミック宣言から半年もたたない時期でしたので、制約された環境下において円滑に進めることに苦慮されたことと思います。しかし、住民の暮らしと命に関わる大切な課題を住民抜きで進めるわけにはいきません。県民の意思を的確に把握するために行った取組と、そこから知り得た民意について、時系列でお示しください。 大綱二点目、病院移転候補地の周辺住民の声について御報告した上で、三点お伺いします。 病院再編に対する民意はどこにあるでしょうか。市民は十分な情報提供や理解度の確認が行われない中で、メディアやインターネットによって形成された世論に誘導されることがあります。これから私がお伝えする内容は、議会へ届けられずにきた県民の声になります。今後、県との協議に入る仙台市や構想に反対されている方々にとっては、時期尚早と遺憾に思われるかもしれません。しかし、これまで皆様が置かれている状況に胸を痛め、沈黙を貫いてきた移転候補地の住民も同じ宮城県民です。ぜひお耳をお貸しください。賛成・反対という二項対立に陥ることで、議論は平行線をたどるばかりです。県に対しては、新しいフェーズに入るためにも、百人百様の意見に耳を傾け、一人一人の意思が少しずつ折り合いをつけていくためにも、合意形成に向けた調整を行うことを切に願います。 私は今年一月八日から、病院移転候補地である明石台とすぐお隣の東向陽台の住民を対象とした、明石台地区造成地への病院移転・合築に関する意識調査を行いました。宮城県議会基本条例第六条には、「議員は、選挙により選出された県民の代表者として、その負託と信頼にこたえるため、広く県政全般の課題及びこれに対する県民の意思を的確に把握し、議会活動を通じて県政に反映させる責務を有する。」とされています。県民とは一体誰を指すのでしょうか。自分の選挙区の住民でしょうか。自分に票を投じてくれた組織でしょうか。私は政治家に求められることは、俯瞰して全体像を見渡す鳥の目、近づいて様々な角度から物事を見る虫の目、そして時流を読む魚の目を持つことだと思います。私の地元である富谷市をひいき目で見てしまうことは、今回の宮城県の構想を客観的に捉えることを困難にさせると判断し、極力富谷市の対極にある方々の声を聞くことに努めてきました。しかし、昨年十一月二十二日、富谷市が基本合意を待たずに、新病院の建設候補地の取得に乗り出す考えを示しました。県議選が終わり、県議会が開会される前の出来事です。土地購入費である約十四億円は、富谷市民が市に納める市税のおよそ四分の一に当たりますが、住民への説明なくして、十一月三十日に市議会において全会一致で可決されました。移転候補地である明石台が私の地元でもあるため、次第に住民自治がないがしろにされたという声が届くようになりました。十二月一日に、みやぎ県民の声の会派で富谷市長と副市長に面会しました。その際、移転候補地における
住民説明会の実施を求めましたが、行わないとの回答でした。このような経緯から、住民自治を取り戻すためにも意識調査を実施することにしました。 ここから明石台地区への移転・合築に関する
アンケート結果について御報告いたします。配布しました三枚の資料をもとに御説明しますので御準備ください。(パネルを示す)調査期間は一月八日から二月十三日まで、調査地域は明石台から二千八百世帯、東向陽台から千百世帯を対象に実施し、千七十五世帯より回答を得ました。居住地は明石台が八百三十八名、全回答者の七八%、東向陽台が二百十八名、全回答者の二〇%、年齢は十代が十名、二十代が五十一名、三十代が百八十五名、四十代が百七十五名、五十代が百八十六名、六十代が百九十四名、七十代以上が二百七十三名でした。お手元の地図を御覧ください。移転候補地は明石台の東側に位置します。七丁目と八丁目に隣接しており、居住年数が浅い御世帯が住んでおられます。今回の全回答者のうち四割近くが四十代までの年齢層であることから、子育て世代の方々の病院移転に対する関心度が高いことが分かります。こちらの地域に対しては、個別訪問をしヒアリングも行いました。移転候補地の北側にあるザ・グランヒルズ明石台は、第三期目の分譲が行われているところです。今後、明石台へ引っ越しをされる方々のことも考慮に入れて検討する上でも、今回の
アンケートは、住宅ローンを組む平均年齢とされる四十代以下と、五十代以上に分けて分析を行いました。また
東北労災病院と
県立精神医療センターは異なる病院でもあることから、それぞれの結果を御報告いたします。 最初に、
東北労災病院の移転に対する地域住民の声をお届けします。急性期を担う
東北労災病院の富谷市への移転を期待する方は七百八十二名、七三%、期待しない方は百六十三名、一五%、分からないと回答した方は百二十三名、一一%でした。期待すると答えた四十代以下の多くは、これまでお子さんが体調を崩された際、こども夜間安心コールに相談すると、三十分離れた仙台市立病院への受診を勧められることが多かったことや、周産期救急医療がないことへの不安があったためと回答しました。また、五十代以上の方は、高齢化に伴い、近くに病院があることへの安心感や、運転免許証を返納したことにより、アクセスが便利になるとの声が多く寄せられていました。一方で、期待しない理由の上位を占めたのは、交通網の課題や騒音についてでした。閑静な住宅街で、静かで穏やかな暮らしを望んで居住しているため、不満の声も上がりました。 次に、
県立精神医療センターの移転に対する地域住民の声をお届けします。移転を期待する方は三百七十三名、三五%、期待しない方は三百五十九名、三三%、分からないと回答した方は三百三十一名、三一%でした。期待とすると答えた方々は、
仙台医療圏北部における精神医療のニーズに応えられることへの期待感からです。なお、期待すると回答された五十代以上の方が二百七十六名と全体の七四%でした。一方、期待しないと回答した方々は、精神疾患に関する知識不足による不安や現在利用されている患者さんの意思を尊重したいという思いからでした。昨年十一月に富谷市から配布された広報誌には、病院移転に伴い、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムを構築をするとの説明が書かれていました。住民からは、理念はすばらしいが、説明が抽象的で想像がつかないことや、地域住民への事前説明もなく、理解を促す姿勢への不信感が寄せられていました。それでは
アンケートやヒアリングの結果を踏まえ、三点お伺いします。 一点目、病院移転候補地が富谷市明石台に決定するまでの経緯とその妥当性について、御説明ください。 二点目、今回の移転に当たり、富谷市は
東北労災病院に対して土地を貸与することになっています。今後、病院移転に当たり、富谷市民に対して求められる負担について御説明ください。 三点目、基本合意が締結された場合、その後のスケジュールと責任の所在について御説明ください。 大綱三点目、精神医療における自治についてお伺いします。 私は、
県立精神医療センターを移転・合築することは、精神医療の特殊性になじまない構想であるという判断から、富谷市への移転に反対の立場にあります。昨年十二月四日、みやぎ県民の声は、
県立精神医療センターを訪問しました。施設を見学中に入院されている複数名の患者さんから声をかけられました。ある患者さんは、「命を狙われて入院しているため、名取市から離れることは殺されるような思いがして怖い。」と訴えておられました。精神疾患を有する患者さんは、環境の変化にダメージを受けやすいです。今回の計画は、長年にわたり構築されてきた周辺の地域の作業所やグループホーム等の生活基盤から当事者が断ち切られる事態を招きかねません。地域包括ケアシステムは、患者さんが治療を受けながら地域で暮らせることを可能にしてきました。通院されてるおよそ三千名のうち二千名ほどが太白区以南からの患者さんです。児童思春期の患者さんも富谷市へ通う必要性が出るため、学びの機会から遠ざかることになりかねません。今回の構想は、県南の精神科医療供給体制が脆弱化されることになり、県全体の実情からかけ離れ、つじつまが合わない内容になっています。 二月四日、構想に反対する県民有志約三百八十名が福祉プラザに集まりました。質疑応答の中で、当事者から次のような発言がありました。「新しい
精神医療センターはうれしいが、二つに分けることは疑問である。人権を守ってほしい。病院は私たちの人生です。」続けて、宮城県の精神障害者の歴史を振り返りながら、厳しい批判も上がりました。二〇一四年より、我が国でも効力が生じた障害者権利条約の合い言葉は、「私たちのことを私たち抜きに決めないで」です。日本の精神医療は諸外国に比べて遅れていると言われていますが、当事者中心のケアへ転換することが求められています。 十一月定例会において、みやぎ県民の声の枡和也議員が、「今回の構想に対し、当事者から強い抵抗反応を示されており、白紙撤回を前提に再スタートを表明しなければ、意見交換することは難しいと考えるがどうか。」という質問を行いました。それに対して県からは、「
精神医療センターの患者への
アンケート調査を実施するなど、丁寧に御意見を伺いながら検討を進めているところであり、障害者基本法や障害者の権利に関する条約に基づき、その考えに沿った対応を行っているとの認識としております。」という回答を頂きました。しかし、先週二月十五日に
精神保健福祉審議会で提示された、
県立精神医療センターを富谷市に移して、百十床から百四十五床の規模とし、名取市には二十五床から六十床の分院を残すという案には、当事者の意見が反映されているとは到底思えませんでした。県が行った患者さんへの
アンケート内容と、そこから得られた御意見をどのように構想に反映されたのかをお示しください。 大綱四点目、住民自治の回復に向けてお伺いします。 最初に、時宜にかなう情報発信についてお尋ねします。 今回、
アンケートやヒアリングの調査を通して感じたことは、病院再編に関する情報量や認識が市民によって差異があるということです。県民の民意を反映した住民自治を行うためには、まずは議論や検証に必要な情報の提示が必要です。メディアからの情報が先行し、自治体からの説明もないことは、政治不信を招きかねません。例えば、二月定例会の内容は、四月下旬のみやぎ県議会だよりで知らされることになります。スピード感を大切にする知事に発信が追いついていないように見受けられます。情報を発信することは、県民とつながる一つの手段です。地方自治の主体である県民とのつながりを深めるため、情報発信における改善策がございましたらお示しください。 最後に、住民対話集会の実施についてお尋ねします。 移転候補地を歩く中で頻繁に耳にした言葉は、病院が来るらしいねというものでした。らしいという言葉には、当事者意識が持てずにいることへの表れです。当事者意識は、住民自治を行う上で必要不可欠な要素です。選挙期間中だけ投票を通じた政治参加を促したところで、どれだけの効果を期待できるでしょうか。任期期間中の四年間で、いかに住民に政治を身近に感じていただけるかが肝です。現在、移転候補地周辺の四百五十一世帯の方々が
住民説明会を希望されています。反対集会が目的ではありません。移転が進められた場合、自分たちの暮らしがどのように変化していくのかを知りたいのです。双方向のやり取りの中で、お互いの考えを理解し、歩み寄るような住民対話集会の開催の可能性についてお答えください。 東日本大震災から間もなく十三年がたちます。未曽有の大災害を前に、迅速で的確な判断を下し、奔走された村井知事によって、たくさんの命が守られました。新型コロナウイルスのパンデミックや
能登半島地震発生時にも、知事が最前線に立って最良の判断をし、前へ進めてくださるとの全幅の信頼と、強い安心感がありました。今回の
病院再編構想は、仙台に集中する病院を分散化させて、持続可能な医療体制をつくることで、一人でも多くの県民の命を守るという知事の強い思いから始まったものです。しかし、合意形成に向けた進め方には大きな問題がありました。その結果、病院再編の白紙撤回を求める方々と、医療体制の充実を求める仙台市外の県民との間で綱引き状態が現在も続いています。限られた資源を分かち合い、県全体の福祉が向上することで、宮城県のどの地域に生まれ、どの地域で暮らしても、ひとしく幸福を享受できる未来が実現することを心より願っております。 以上、大綱四点より七つの質問をさせていただきました。今回の一般質問に当たり、御意見をお聞かせくださいました明石台・東向陽台の皆様に感謝申し上げます。壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
○副議長(本木忠一君) 知事村井嘉浩君。 〔知事 村井嘉浩君登壇〕
◎知事(村井嘉浩君) 平岡静香議員の一般質問にお答えいたします。大綱四点ございました。 まず、大綱一点目、民意と地方自治についての御質問にお答えいたします。 今回の病院再編については、将来に向けて県民に適切な医療を持続的に提供していくために必要な取組だと考え、私の選挙公約にも掲げたものであり、令和三年九月の協議開始以来、県民に対し様々な機会を捉えて、病院再編の意義の説明や意見交換を行ってまいりました。これまでの県からの説明の経緯などについては、県のホームページにも掲載しておりますが、県民への直接の説明の機会としては、地域医療の現状などについて、令和四年九月に地域医療構想セミナーを開催したほか、昨年十二月以降、地域住民に対する説明会を開催しているところであります。県民の皆様からは、賛成・反対それぞれの立場から様々な御意見を頂いておりますが、県といたしましては、引き続き県民の意向の把握に努め、今後の検討に生かしてまいりたいと考えております。 次に、大綱二点目、病院移転候補地の周辺住民の声についての御質問のうち、基本合意締結後のスケジュールと責任の所在についてのお尋ねにお答えいたします。
東北労災病院と
県立精神医療センターの移転・合築に係る基本合意の締結後は、病院間の連携などの検討を踏まえ、各病院の基本構想の策定や設計、建設工事などを行う予定であり、具体的なスケジュールについては、関係者と協議をしながら進めてまいりたいと考えております。基本合意は法的拘束力を持つものであり、当事者がそれぞれ合意内容の履行について責任を負うことになるものであります。なお、移転・合築後の新病院については、設置・運営主体である労働者健康安全機構と県立病院機構がそれぞれ整備を行うことになりますが、県といたしましても、病院再編の実現に向けて責任を持って取り組んでまいります。 次に、大綱四点目、住民自治の回復に向けてとの御質問にお答えいたします。 初めに、時宜にかなう情報発信についてのお尋ねにお答えいたします。 令和三年九月の協議開始以来、病院再編に係る県の考え方を適宜公表するとともに、県議会への報告や県政だよりによる広報、地域説明会の開催などにより、協議の進捗状況について、県民に対してできる限りの情報提供に努めてきたところであります。県といたしましては、県民に広く情報が伝わり、病院再編に対する理解の醸成が図られるよう、分かりやすいホームページの作成やSNSの活用など、様々な手法を検討し、より効果的な情報発信に努めてまいります。 次に、住民対話集会の開催についての御質問にお答えいたします。
仙台医療圏の病院再編に係る地域説明会については、これまで仙台市内で計三回開催しており、病院再編の背景や目的などについて、県から説明を行うとともに、地域住民の方々と意見交換を行ってまいりました。今後は、富谷市や名取市などの
関係自治体においても、地域説明会を開催する予定であり、地域住民との対話を通じて、病院再編に対する理解の醸成が図られるよう、関係者と連携して取り組んでまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。
○副議長(本木忠一君)
保健福祉部長志賀慎治君。 〔
保健福祉部長 志賀慎治君登壇〕
◎
保健福祉部長(志賀慎治君) 大綱二点目、病院移転候補地の周辺住民の声についての御質問のうち、病院移転候補地の決定までの経緯と妥当性についてのお尋ねにお答えいたします。
東北労災病院と
県立精神医療センターの移転候補地については、令和三年九月に労働者健康安全機構と移転・合築に係る協議を開始し、その後、令和四年五月の富谷市からの整備場所の提案などを踏まえ、昨年二月の協議確認書に基づき、富谷市明石台地区を前提として協議を進めております。当該移転候補地については、県としても医療コンサルタントに委託し、想定される医療需要のほか、救急搬送時間や患者の利便性などの観点から、他の候補地と比較の上、その妥当性を検証しており、用地が造成済みで早期の着工が可能であることに加え、救急医療などの政策医療の課題解決や、持続的な病院経営を行っていく上で適切であると判断しているところであります。現在、労働者健康安全機構及び県立病院機構と基本合意の締結に向けて協議を進めているところでありますが、県といたしましては、移転候補地について、基本合意の中で正式に決定できるよう、引き続き関係者と協議を進めてまいります。 次に、病院移転に伴う富谷市民の負担についての御質問にお答えいたします。 富谷市では、
東北労災病院と
県立精神医療センターの移転候補地である同市明石台地区の土地区画整理事業用地の取得手続を進め、労働者健康安全機構に無償で貸与する予定であり、
東北労災病院の立地に係る土地の費用を負担することになります。また、富谷市においては、現在、土地の費用負担のほか、新病院の運営に対する財政支援や、交通手段の確保に向けて、地下鉄泉中央駅と新病院間のシャトルバス運行などの検討を進めていると伺っており、今後病院移転に伴う一定の財政的な負担が生じるものと認識しております。 次に、大綱三点目、精神医療における自治についての御質問にお答えいたします。
県立精神医療センターの富谷市への移転・合築について、通院患者を対象として昨年九月に実施した
アンケート調査では、新病院の具体的な姿が見えない中で、移転に伴う不安の声が多く寄せられましたが、当事者の率直な気持ちがうかがえ、大変有意義であったと考えております。
アンケート調査では、約二百人から御回答頂き、
精神医療センターの移転を心配していない方は約一割であるのに対して、不安な方は約八割となっており、そのうち約半数の方が通院への不安を感じておりました。なお、民間精神科病院の誘致案つきましては、通院の継続性の観点を踏まえた肯定的な意見や、誘致する病院の機能・規模により判断するといった中立的な意見など様々でしたが、民間事業者での対応を懸念する御意見などを踏まえ、県南の精神科医療提供体制の確保に向けて、改めて対応案を検討した結果、県立のサテライト案の検討を進めることとしたものであります。県といたしましては、患者や家族の方々など当事者の声を伺いながら、病院再編に伴う不安や懸念を払拭できるよう、サテライトの具体的な機能などについて、引き続き検討してまいります。 以上でございます。
○副議長(本木忠一君) 三番平岡静香君。
◆三番(平岡静香君) 御答弁ありがとうございました。私が富谷市の明石台に住んでいるということで、なるべく本当であればいろんなことの、順番を守って青葉区の方々、仙台市と、そして県のほうの話合いが進んでからこういうことは出すべきだなと思いながらも、基本合意、三月が目標になっているわけですから、そこをずっと待ち続けてしまっては、今度、検討せずに、後からまた決めたことを上から押しつけてしまうことになりますので、今回こういう機会を頂きました。本当に青葉区の、昨日の村岡議員のお話を伺っていても胸が痛いですし、富谷の人たちも、本当に何と言ったらいいのかと皆さん暗い表情されていて、でも同時に困っている方々もおられて、その葛藤の中で今生活をしていますので、ぜひ今日は、その機会を頂きたいと思っておりますので、よろしくお願いします。 では、再質問をここからさせていただきます。まず、順番に行きたいんですけれども、県民の意思を的確に把握するための取組と、民意について時系列でどういうことがありましたかということを、今教えていただきました。正直遅かったんじゃないかなっていうのが今お伺いして感じたところなのですが、令和四年九月にセミナーを行ったということで、確かにいろんな、それこそ約束を決めて順番にやっていくと、どうしても令和四年というタイミングになったのかもしれませんが、先行して富谷市に病院が来るらしいという話が聞こえたりとか、住民側からすると一体これから自分たちの日常の暮らしはどうなっていくんだろうという、そういうはざまの中で生活をしてきたわけです。過ぎたことなので、もっとこのタイミングでとか言っても、反省会になってしまうだけなので、今後の話をしていきたいんですけれども、今回、いろんな御意見を頂いているので、時間十分に頂いていますので、住民の方の声を聞いていただきながらの質問をさせていただきたいので、よろしくお願いします。 今回、皆さんに資料をお配りしましたけれども、賛成派の方々も、労災病院に関して、非常に多くおられますし、一方で不安に思っていらっしゃる方もいます。賛成の方はやはり、今まで病院がなかなか、北部のほうというのは不十分に感じるところがありましたので、今回来てくれることで、富谷市明石台を基準にすれば、泉区に近いんですけれども、御家族、御親戚が大和町とか、更に北部のほうにいらっしゃると、送り迎えが非常に近くなって、その後病院にすぐ行けるから助かるというような、どこを基準にするかで、この件はすごく違うなって思ったところがあります。明石台に住んでいる人からすると、非常に近い泉区に、でもそれ以上北の方からすれば、そこを拠点として、非常にアクセスが便利になりやすいという声と、そういうところでの賛成の御意見がありました。あとは、今まで専門性の高いような病気を診ていただくことが近くではできなかったので、非常にありがたいというような声もありました。一方で、やはり仮に割合的には少数派だったとしても、反対だったり分からないという思いの方々がいますので、ちょっと御紹介します。まず、移転することで県内の利用者全体の利益につながるのかというのを、客観的に分析していただきたいということを言われました。議員も含めちょっと注意されたところなんですけれども、どうしても今回の病院の件は、感情論で話が進んでしまう部分と、そこもすごく分かります。自分たちの今まで安心していた材料がなくなってしまう、または、来てくれるから助かるという安心感とか、どうしても感情が入ってくるところなんですけれども、客観的な分析をした上でもお話を伺ってみたいというのがありました。私、日本経営のコンサルタントさんからの資料も頂いておりますけれども、ここでちょっと再質問させていただきます。この日本経営さんの資料の後ろに、免責事項というところが書いてありまして、「本資料は入手し得る、資料及び情報に基づいて作成したものであり、その内容の正確性を保障するものでありません。また法律面、会計面、税務面についての検証は行っておりませんので、顧問先、税理士、会計士、弁護士等への御相談の上、御判断頂きますようよろしくお願い申し上げます。」とありました。こうやって何か事業をするときにコンサルさんにお願いしてやることってあると思うんですけれども、県として独自にもっと情報をいろいろ持っていらっしゃると思うので、二重のチェックということで、そういうことも検証されたのかどうか、その辺り教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○副議長(本木忠一君)
保健福祉部長志賀慎治君。
◎
保健福祉部長(志賀慎治君) 基本的にコンサルから、委託をかけて出てきた成果品等については、県の目線からも再チェックをかけた上で、県としての考え方を取りまとめた上で政策判断に資しているといったことでございます。
○副議長(本木忠一君) 三番平岡静香君。
◆三番(平岡静香君) では、コンサルさんにお願いをした後に、県のほうでも改めていろいろと再検証が行われた上で、やはりこれは妥当なプランだというふうに検討されたということでよろしいですか。
○副議長(本木忠一君)
保健福祉部長志賀慎治君。
◎
保健福祉部長(志賀慎治君) 細かいデータですとか、そういった資料は、もちろんコンサルから頂いたものをベースにいろいろ考えることはございますけど、最終的な判断を県としてしっかり内容を踏まえた上でやっているところでございます。
○副議長(本木忠一君) 三番平岡静香君。
◆三番(平岡静香君) もっと伺いたいことはありますが、次のところへ行きたいと思います。 労災病院の件なんですけれども、周辺住民の御意見ということがいろいろとありますけれども、明石台地区への妥当性ということで教えていただきましたが、そもそも教えていただきたいのですが、令和四年五月の段階で、富谷市からこちら誘致していいですよという名のりがあったということなのですが、今回の病院の再編というのは、バランスよく医療を、どこに病院を配置したらよいかということを検討するためのスタートだったと思うのですが、県として、この辺りに病院があるといいんじゃないかとか、または、この辺りに来てほしいですっていうことを、各自治体が自発的に名のりを上げられるような、そういうチャンスとか公平に与えられていたのかどうか、その辺り、どうして富谷市になったんだろうというところを教えていただきたいです。よろしくお願いします。
○副議長(本木忠一君)
保健福祉部長志賀慎治君。
◎
保健福祉部長(志賀慎治君) 直接御提案を頂いたのは富谷市、名取市さんもそうですけども、そういったことでしたが、県といたしましては、御提案いただいた土地も含め、ほかの土地等々、ほかの町村の中に土地なんかも、ある程度調べて比較検証の上で、現在のところが適地であるというふうに考えているということでございます。
○副議長(本木忠一君) 三番平岡静香君。
◆三番(平岡静香君) 皆さんに公平に、病院を誘致したいところありますかというチャンスがあって、その上で富谷市が名のり出て、名取市もですが、名のりを上げて、それで検証した結果、富谷が妥当だろうというふうに判断されたという流れでよろしいでしょうか。
○副議長(本木忠一君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 先ほど部長が答弁したとおりなんですけども、県が構想を発表いたしまして、その後、二か所から手が上がってきたと。ほかの自治体からも手が上がればということでしたけれども、上がることはなかったと。当然、県としてもいろんな土地をいろいろ分析はさせていただいた上で、富谷と名取が一番やる気があって、そしていろんな条件も協力するということでありましたので、それではということで、話をそこから進めていったということです。ですけど、まだ決まったわけでもないということです。まずはそこで話合いを進めているということであります。
○副議長(本木忠一君) 三番平岡静香君。
◆三番(平岡静香君) 経緯については確認ができました。その上で妥当性の話で県として検証されたということなのですが、お手元の資料で地図を御覧いただきたいのですが、資料のザ・グランヒルズ明石台という、この東の地域のほうにあります。この水色の沼のようなところがあると思うんですけれども、この辺りが今度の病院の移転候補地になっています。実は地元の方々はそのことも一つ心配をしておりまして、どういうことで心配しているかというと、二〇一九年の六月なんですけれども、東向陽台公民館において、地元の住民を対象として、この土地をこれから大規模な工事を行って、その上で宅地として利用しますというところが最後の説明だったようです。ですから、いろんな心配があるけれども、適切に工事を行って、宅地として利用できる状態にしますという説明までが住民の認識ですので、そこでいきますと、本当にここに病院が来ていいのか、いろんな資料を読むと、ここは駐車場にして、その少しずらしたところの上に病院を建てるとは言っていますけれども、土地って、きれいにここからここまでは安全で、ここはちょっと怪しいとかという話ではないような気がしまして、その辺りの不安の解消をしたいと思いますので、御存じの方がおりましたらお願いします。
○副議長(本木忠一君)
保健福祉部長志賀慎治君。
◎
保健福祉部長(志賀慎治君) 旧調整池のところに盛土をかけた、造成をかけた土地だということでした。富谷市当局を通じまして、土地区画整理事業の施行の内容等については、しっかり締固めの工法を経た上で造成しているといったこともお話を聞き、そのことを確認しておりました上で、御指摘もありましたけれども、整備する施設・建物の配置等について十分配慮できる広さを有しているので、そのことで御懸念のところについては、しっかりクリアできるのではないかというふうに判断しているところでございます。
○副議長(本木忠一君) 三番平岡静香君。
◆三番(平岡静香君) この件はよく聞かれていましたので、何度か職員さんにも確認をさせていただきましたし、富谷市にも確認して、大丈夫だっていう言葉は聞くんですけれども、やはり何かあったときに、やっぱりあのときってことにならないように、十分にこの後も確認をしていただきたいという思いです。以前、地元紙のほうで、ちょうど一年ほど前の記事でしたけれども、県内に同じように、盛土造成地が何か所かあるということで、九百八十七か所ある。その九百八十七か所のうちで、きちんと詳細に調査をしたところが少ないということが記事で書いてありました。富谷市どうなってるかなと思って、宮城県のホームページを見たところ、経過観察と書いてありまして、経過観察の内容、どんなチェックをしたのか富谷市のホームページを見たら、確認する程度なんです。目視、見て、その辺りを定期的に見るという感じなんですね。これから病院が、皆さんの命の拠点となる場所が来るのに、それで本当に大丈夫なのだろうかという、安全性の確保というところでも非常に心配しております。その辺りのやり取りがあったか教えてください。
○副議長(本木忠一君) 土木部長千葉衛君。
◎土木部長(千葉衛君) この盛土の関係の部分につきましては、各市町村と連携しながら、その地盤の状況とか盛土の状況を踏まえた上で、危険な部分については、いわゆる指導する。指導で是正をすると。一定程度安定性が確保されている部分については、今おっしゃったように経過観察をする。そこに変状が生じれば、その時点でまずは、その指導とか入っていくと、そういった市町村と連携しながら、人口的に盛土した部分については、そういったことで、今、市町村と連携して対応しておりますので、まずは、書いてあるとおり、経過観察しながらやっていくということになるのかと思います。
○副議長(本木忠一君) 三番平岡静香君。
◆三番(平岡静香君) ちょっと不安を感じました。経過観察、ここを災害の拠点として、病院を移転して、防災の拠点としても病院を造ると聞いておりますので、その上でもやはり、その土地の安全性というのは、念入りにちゃんと確認をしていっていただきたいという思いがあります。 もう少し続けさせていただきます。富谷市への負担について先ほどお伺いしまして、ありがとうございます。非常にいつも抽象的で市のほうでも市議会とか傍聴したんですけれども、アクセス等について、市として最大限協力していきますとおっしゃるのですが、アクセス等って何だろうと思って、市民はそこも心配されています。税金も上がっていくんじゃないかとか、その辺り、これから先のことかもしれませんけれども、やはりそこも含め、ヒアリングを行っていく中で、やっとの思いでローンを組んで一軒家を建てたのに、自分たちが想像していた、ここは閑静な住宅街で安心して子育てできますと言われていたところが、何だか違くなっていくぞ、お金もこれからどれくらいかかるんだろうって不安に思われています。そこのアクセス等のぼやっとしているところを、もう少し分かっている範囲で教えていただけないでしょうか。
○副議長(本木忠一君)
保健福祉部長志賀慎治君。
◎
保健福祉部長(志賀慎治君) 病院の病床の規模と、様々な細かい形が見えてきた上で、様々な検討を深めていくといった経過をたどっていくことになりますけども、そういった過程の中で、周辺、住環境への影響も含め、アクセス状況、そういったものも検証していくことになると思います。そういったことで地元の富谷市との連携は不可欠になりますので、まだ今の時点で、具体的なこういった形といったものは表に出せる段階ではないといったことで、大変恐縮でございますが、いずれ病院そのものへのアクセス、そういったもの等については、申し上げたような、泉中央駅からのシャトルバス等々、様々な検討が進んできているところでございますので、今後、いろんな形で出てきた問題について、適宜・的確に県と市が協力して、取り組んでまいるという形になろうかと思います。
○副議長(本木忠一君) 三番平岡静香君。
◆三番(平岡静香君) 非常に、すみません、富谷市のことと入ってきますけれども、アクセス等と言いながらも、この明石台の近くの住宅地のそばのバスというのは、最後のバスが三時五十分なんですね。何ていうんでしょう、今までずっと放置されてきていたことが、病院が来るということで、でも、今度市民がどれだけ負担するのだろうということをすごく心配しております。不満に近いです。ぜひそこを、スピード感を、それこそそういうところを持って、住民たちにどういう負担を強いるのかというのを教えていただきたいなと思っております。それから不安のところで、私は、はっきりと精神医療については反対だということをお伝えしましたけれども、お伺いしたいのは、サテライトのほうにはどういう患者さんたちが通院されるというイメージでしょうか、お願いします。どういう病状とかではなくて、こういうところに住んでいる方とか、規模とか教えてください。
○副議長(本木忠一君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 本来は全て富谷のほうにというふうな考え方をしているのですが、患者さんの中には、先ほど御紹介のあったように、どうしても行けないという方であったり、現在入院していて、家族のこともあり、別の場所に、富谷に移るのは難しいという方もおられるというような話もありましたので、そういった方たちが対象ということになりますので、それは誰が決めるかということなんですが、そこはやはり病院のほうで患者さんと話をしてもらって決めていくということです。したがって、今、病院のほう、
精神医療センターのほうと詳細に打合せをしているということです。患者さんの意向だけで決めるものではない。やはり、患者さんの状況、病気の状態が分かっているドクターの判断ということになるだろうというふうに思います。
○副議長(本木忠一君) 三番平岡静香君。
◆三番(平岡静香君) 住民対話集会の件なのですが、基本合意を待たずに、その前にぜひ説明をしていただきたいのですが、そこを約束いただけないでしょうか。お願いします。
○副議長(本木忠一君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 対話集会とか
住民説明会のようなものを、富谷で行うことは可能なんですけれども、今回、日赤さんが初めて基本合意になってから、日赤さんが一緒になって
住民説明会ができるようなった。基本合意とは何かというと、要は、法的拘束力を持つ、やりますという意思表示ということです。まず、やりますという意思表示がないと、
住民説明会、あるいは対話集会にも病院の関係者が出て来れない、やるかやらないか決めていないわけですから。ですからもしやるとするならば、宮城県の今、大きな構想、こういう構想を考えていまして、これこれこういう経緯で富谷になって、今こういうことまで考えています、これここまでしか話せませんというような、今までの
住民説明会と同じような内容をすることになるということです。そういうことをやったらどうだということでありますので、富谷でやることも検討してまいりたいというふうに思います。ただ、労災病院の関係者も来て一緒にというのは難しいということは御理解ください。
○副議長(本木忠一君) 三番平岡静香君。
◆三番(平岡静香君) ぜひ早めにお願いします。よく知事は県民の幸せのためにとおっしゃるんですけれども、知事にとって、誰をイメージして、どういうふうに幸せにしたいのか、最後にお願いします。
○副議長(本木忠一君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) いつも私、何かやるときには、賛成の人、反対の人、たくさん出てくるわけですけれども、私はやはり、圧倒的多くの大多数の県民をイメージするようにしています。誰かの、私の支持者とか支持者でないとか、そういうことは関係なく、不特定多数の、大勢の県民の幸せのためということで考えているということであります。今回、私は、恐らく今回の問題を潰すのは簡単なんですけれども、潰してしまうと、十年、二十年たつと、
仙台医療圏内の、労災病院や日赤のような規模の病院が、結局、一つ二つと淘汰されて、いずれはなくなってしまうだろうというふうに思います。そうなってから困ったなということになったら駄目だということです。今回、新潟のほうの労災病院が閉院することが発表になりました。理由は私は分かりませんが、何らかの理由があったんだというふうに思います。報道によると医師不足だということですけども、医師不足になる何らかの理由があったということですね。ですから労災病院であったとしても、あれぐらいの大きな組織の病院であったとしても、他県でなくなってしまう、そういうことがもう既に始まっているということです。
東北労災病院がなくなるかどうか、そんなことは分かりませんよ。ただ、労災病院のような大きな経営基盤のある、バックに大きな経営基盤のある病院であったとしてもなくなる。そういう時代に今から入っていくんだと。それが急激に始まっていくということです。それを早め早めに察知して手を打っていくというのが、私は、やっぱり為政者として正しい姿だというふうに思っている。それが結果として、その他多くの、たくさんの県民の幸せにつながっていくということであります。ただ、私は宮城県知事でありますので、反対する人たちの意見にもしっかり耳を傾けなければならないと思っていますので、強引だという御指摘を受けないように努力していきたいというふうに思っております。
○副議長(本木忠一君) 三番平岡静香君。
◆三番(平岡静香君) 今いる人も幸せにしてください。ありがとうございました。終わります。
○副議長(本木忠一君) 二十二番わたなべ拓君。 〔二十二番 わたなべ拓君登壇〕
◆二十二番(わたなべ拓君) 自由民主党・県民会議のわたなべ拓でございます。本木副議長のお許しを頂きましたので、以下、大綱六点につき一般質問をさせていただきます。 初めに、
能登半島地震の犠牲者に哀悼の誠をささげます。また、被災者の皆様に心よりお見舞い申し上げます。 なお、本日二月二十二日は竹島の日です。明治三十八年二月二十二日に、竹島を島根県所管を公示したことにちなみます。韓国は、昭和二十九年六月に沿岸警備隊を竹島に上陸させ、以来約七十年間も不法占拠を続けています。日本国民として心を一つに、韓国の侵略行為を断じて排し、竹島を回復しましょう。 今国会に、国民の安全に重大な影響を及ぼし、個別法の規定で想定されていない事態において、国民の生命等の保護のために必要な措置が迅速に実施されるよう、国が地方自治体に、必要な指示を行使できるようにするための地方自治法改正案が上程されています。確かに、これまで経験してきたパンデミックや大規模自然災害などでは、個別法の想定しない危機に見舞われ続けてきたのが実態であり、都道府県の地理的範囲や能力を超えた、事前に法の想定し得ない危機を十全に管理する必要、それ自体は肯定するものであります。地方自治法第一条の二には、「国においては国際社会における国家としての存立にかかわる事務、その他の国が本来果たすべき役割を重点的に担い」とあります。典型的には、武力攻撃事態における国民保護の場合が想定され、個別法の想定を超えた、より深刻な事態が考えられ、国による地方への密接な関与の余地があると考えます。こうした試みの背景からは、ウクライナ戦争やパレスチナ戦争の苛酷な現実と、懸念国による台湾有事が刻々と迫っているとの政府の危機意識がうかがえ、個人的には、そうした危機感を共有するものであります。しかし、国民の生命等を守るためであるとしても、個別法による規定のない国による補助的な指示が地方議会の議論を経ずに認められるということは、憲法九十二条の地方自治の本旨に由来する住民自治の原則と抵触しかねません。同様に、国の指示が地方自治体としての判断と衝突する場合には、団体自治の原則に抵触することが考えられ、慎重な検討が求められます。村井知事は、全国知事会会長名で、国の補充的な指示は特例として、一般ルールと明確に区別すること等とする提言をしています。しかし、国家的危機管理の問題は、法律に特例を設けるようなトリッキーなびほう策によるものではなく、最高法規である憲法に緊急事態条項を設けることにより解決するのが素直な在り方ではないでしょうか。全国知事会として、憲法改正による緊急事態条項の規定をこそ政府に求めるべきではないかと考えますが、知事の所見を伺います。 二月一日からサイバーセキュリティー月間に入り、全国三十七都道府県では、サイバーセキュリティー関連行事を開催し、サイバーリスクと対策につき、認識を深める契機としています。残念ながら宮城県では、同期間中にサイバー関連イベントは予定されていませんが、県として、普及啓発イベントを主催する余地があると考えますが、当局の所見を伺います。 内閣サイバーセキュリティーセンターによる重要インフラのサイバーセキュリティーに係る行動計画における重要インフラ、全十四分野には水道は含まれるものの、ダムは含まれず、また、空港は含まれるものの、港湾は含まれません。一方、経済安全保障推進法における対象インフラ十四分野には、港湾は、外航貨物として含まれるものの、やはりダムは含まれません。しかしながら、ダムを対象としたサイバー攻撃は既に国内外で現実のものとなっており、ダムの放流ゲートなどに係る管理システムの不正操作による大規模水害の発生リスクにさらされているのが現状であります。情報セキュリティー十大脅威二〇二四の組織向け脅威には、第一位にランサムウエアによる被害、二位のサプライチェーンの弱点を悪用した攻撃が挙げられますが、こうした脅威の想定に立ったサイバー訓練が必要と考えますが、当局の所見を伺います。また、ダム業務継続計画、BCPに、サイバー攻撃対策部分を追補すべきと考えますが、当局の所見を伺います。 また、港湾については、昨年七月に名古屋港統一ターミナルが国内で初めて大規模サイバー攻撃を受け、システム障害によりコンテナ約二万本の搬入・搬出に大きな影響が出ました。仙台塩釜港・高砂コンテナターミナルのオペレーションシステムを運用する港湾運送業者二社と県が共同して、名古屋港の事例と同様に、ランサムウエアによる攻撃の想定に立った対応訓練を実施し、サイバー攻撃に対する業務継続計画の策定を要すると考えますが、当局の所見を伺います。
能登半島地震でも課題になっているのが、快適で衛生的なトイレ環境であります。災害発生時には、水洗トイレが使用できなくなり、衛生環境の悪化のみならず、できるだけトイレに行かなくて済むよう水分摂取を控えることで、脱水症やエコノミークラス症候群に罹患するなど、健康被害の事例が報告されています。災害時に日常で使用されている水洗トイレに近い環境を迅速に確保することができるのが、マンホールトイレであります。マンホールトイレは、マンホールの上に迅速に設置でき、段差がなく、洋式便座タイプでは、高齢者や車椅子利用者にも便宜で、便を直接下水道に流すことになるので衛生的で悪臭がしないと好評であります。東日本大震災の際にも、東松島市の矢本第一中学校では九基が使用に供され、実に九百人の避難者が利用しました。この度、校舎新築に際して、マンホールトイレ二基が整備された宮城第一高校を視察させていただき、校長、学校職員から懇切な御教示を頂きましたが、大変有用な設備と実感しました。国もマンホールトイレ整備・運用のためのガイドラインを策定するなどしてマンホールトイレ普及促進に向けた取組を進めていますが、仙台市への設置実績は何とゼロであります。全国二十政令市でゼロは仙台市のみであり、東日本大震災の経験がありながら災害時のトイレ確保リスクを軽視していると言わざるを得ないのであります。一方、仙台市内の県立学校で、今春までにマンホールトイレを設置完了するのは、宮城第一高ほか、計三校にとどまります。そこで、せめて広域避難場所に指定されている宮城野原公園総合運動場や、地域避難場所に指定される仙台一・二高・南高など、県立高校にマンホールトイレを設置し、有事の際の衛生的トイレ環境確保を期すべきと考えますが、当局の所見を伺います。 昨年六月二十二日の一般質問において、慢性的に不足している理工系産業人材の確保に資する奨学金返還支援を訴えましたが、今当初予算で、ものづくり企業奨学金返還支援費の実装に向けた広報費等三百万円が計上されたこと、大いに歓迎するものであります。令和七年四月から運用開始予定の奨学金返還支援制度素案について、支給総額、支給期間、県と企業の負担割合、支援コースなど具体に伺います。 会派二期生で九州の半導体関係施設を視察してきました。九州はシリコンアイランドの歴史的経験もあり、広域の産学官連携が機能しており、九州地方知事会と、経済界でつくる九州地域戦略会議などを通じて積極的に発信し、オール九州で半導体人材育成に取り組んでいる姿が印象的でした。人材育成を主要テーマとする組織、九州半導体人材育成等コンソーシアムを更に拡充する形で、九州全域のサイエンスパークや交通インフラ整備も含めた全体構想をまとめるそうです。東北はシリコンロードと言われるほどの産業蓄積が既にあるにもかかわらず、東北知事会の提言では、オール東北の半導体産業育成については全く言及がありません。村井知事からは「宮城、岩手に日本版シリコンバレーを」との言及がありましたが、東北地方全体で半導体産業人材育成を分担、広域的供給を可能とし、関連企業誘致が東北地方全体でシナジーを生み出せるように、東北シリコンバレー構想が必要と考えますが、知事の所見を伺います。また、そもそも、宮城県には半導体産業を対象とする振興計画が存在しません。岩手県では、半導体分野を戦略的産業分野に位置づけ、いわて半導体関連産業振興ビジョンを策定し、いわて半導体関連産業集積促進協議会を設置して産業集積に努めています。本県でも半導体産業に特化した産業振興計画等を策定し、県単位でも戦略的に産業集積していくべきと考えますが、当局の所見を伺います。 熊本県では、水道水源の大半が地下水で、シリコンウェハーの洗浄などに大量の水を要する半導体工場集積の影響が懸念されており、官民挙げて、水源の涵養に注力しています。JSMCの工場建設を予定する大衡村の第二仙台北部中核工業団地には、漆沢ダムを水源とする仙台北部工業用水道から日量六万立米が供給可能とされているそうですが、令和四年度の実績使用量は一万八千立米ということで、差引き四万二千立米の供給余力があるということになりますが、JSMCの水使用量は日量どれほどか、また、排水は日量どれほどか伺います。また、熊本県のJASMでは、排水の再利用にも取り組む予定で、排水の七〇%ほどを再処理して再度利用するとのことでした。本県のJSMCの場合は、排水の再利用割合はどれほどか伺います。 電子情報技術産業協会が二〇二二年に出した試算によると、主要半導体メーカー八社だけでも、北海道・東北地区で、今後十年間に六千人もの半導体人材が必要になるとの見立てが示されています。しかし、この試算は主要半導体メーカー八社からの聞き取りのみを基にしており、JSMCやラピダスの進出も未定だった二〇二二年時点の数字であり、当時とは前提となる産業界の状況が大きく変化してしまっています。宮城県として、改めて地場の半導体産業、新規進出企業に聞き取り調査を実施し、所要の半導体産業人材の人数、職種を割り出すべきと考えますが、当局の所見を求めます。 宮城県工業高校を視察し、教頭先生に懇切な御案内を頂きました。県立工業高校の卒業生のうち、就職者は約百名、昨年県内半導体企業へ就職した実績は、概算でたったの五名ほどと、半導体人材供給面でテコ入れの余地があると考えますが、当局の所見を伺います。そもそも、一学年の定員が三百二十名であるところ、卒業生は二百三十名と、九十名も定員割れしてしまっています。産業人材を供給する実業高校のエースにして、こうした現状なのであります。箱はあっても人がいなければ工場は稼働しません。産業人材の裾野を広げる施策とあわせて、工業高校の実習室のエアコン整備など実習環境の改善が喫緊の課題と考えますが、当局の所見を求めます。 半導体人材育成の受皿として、半導体学院における教育が提示されていますが、具体の内容、規模につき伺います。また、宮城県産業技術総合センターのイエロールーム等半導体関係施設を視察し、所長以下懇切な御教示を頂きました。本センターは、半導体関連企業による研究開発、試作や、少人数の新人教育などにも対応し、半導体人材育成に寄与してきましたが、教育そのものが主任務ではありません。他方、大学生や高専生が対象の半導体製造実習を実施した東北経済産業局が主導する東北半導体・エレクトロニクスデザイン研究会の取組が成果を上げています。実際に指導に当たった東北大学の戸津教授にお話を伺い、昨年は百三十人ほどが実習を体験したそうであります。今後は、東北大学半導体テクノロジー共創体の下に、仮称半導体人材育成・リカレント教育推進センターを設置し、産業界・アカデミア双方のニーズに即した半導体技術人材を輩出するとのことであります。また、就職氷河期世代の非正規雇用者や、完全未経験者などを対象としたリスキリングにより半導体産業人材化を図る取組も急務であります。戸津教授によれば、産業界のニーズ次第でまだ年間数百名ほどまで教育可能との見立てを頂きました。県当初予算にも人材育成事業が計上されていますが、一般・初学者の学生について想定する人材育成規模はどれほどか、また、未経験者教育について当局の所見を伺います。 福岡県が設置する福岡半導体リスキリングセンターを視察しましたが、対面とeラーニングの両方で基礎から応用までを学べる講座を設け、実績を上げていました。カリキュラムは、地元企業へのヒアリングを基に作成し、現場のニーズに即した実践的技能の伝授に主眼を置き、テストに合格すると修了証を交付し、これが就職先でのOJTに堪える素地を備えた証明となります。福岡県の中小企業は無料で利用でき、五年間で延べ二万五千人の受講があったとのことであります。福岡半導体リスキリングセンターのeラーニング教材は、全国から受講可能で、実践的内容で、費用も低廉なため、例えば座学は福岡半導体リスキリングセンターで受講し、実習は東北大学リカレントセンターで実施するなど、すみ分けが可能であります。県として、県民の座学受講者の費用を全額補助する余地もあると考えますが、当局の所見を伺います。
仙台赤十字病院と
県立がんセンターの統合に向けた基本合意には強い違和感が残ります。まず、なぜ再編の主体が日本赤十字社なのでしょうか。そもそも、
仙台赤十字病院の経営難から発した再編問題だったわけですが、大きな経営課題を抱えている民間病院が、二百億円もの公費負担のもと、なぜ新病院の経営主体となれるのかが理解できません。経営能力につき重大な疑義がありますが、いかがでしょうか。そもそも、新病院の主体が民間の場合、県がこれまで担ってきた政策医療の責任が果たせるのでしょうか。県が新病院に期待する五つの機能についても、採算性がなければ経営的に維持できず、放棄するほかないでしょう。その場合に、民間経営体である日本赤十字社による経営判断に県は容喙できず、結局、県は政策医療を施す責任を果たせなくなりますが、この点につき県の所感を伺います。 三者合意の調印に臨んだ日本赤十字社の渡部洋一氏は、全国紙記事において「新病院の診療体制は、医師百三十人、診療科は五大がんと合併症に対応できる科を含めた三十一科程度を想定」と発言しています。寡聞にして、こうした具体の内容は、我々議会サイドには初耳だったわけですが、具体の診療体制は、まさにこれからこの議場で議論していくべき事柄であり、こうした在り方は議会軽視というべきであります。新病院の経営主体の責任者でありながら、このような具体の再編内容を一方的に全国紙の取材に応じて公表するのは、軽率の極みであり、不適切であります。県当局に対しましても、信義則に反するものと考えますが、県当局はこれを容認しているのでしょうか、当局の所見を伺います。 新病院では、がん診療は五大がんに対応する科をそろえるとしていますが、そもそも五大がんの均てん化が進んでいることから、
県立がんセンターの機能につき再検討してきたはずです。論理的には、例えば
県立がんセンターは五大がんを手放し、実績があり強みとする希少がん・難治がん治療に重点を絞るなど、大胆に検討してみるべきです。また、こうした政策医療としての希少がん・難治がん診療は、東北大との連携の中では対応できなかったからこそ、
県立がんセンターが担ってきた分野なのであり、今後の対応として、東北大学との連携を持ち出すのは論理矛盾であります。なお、希少がん・難治がんは、新病院でもできる範囲で行うなどと発言していますが、
県立がんセンターでは、既に医療人材の流出が始まっています。五年先まで果たしてどれだけの機能を維持できるのか疑問であります。政策医療を維持するためであれば、やはり新病院は県立病院とすべきではないでしょうか。県立であればこそ、医療合理性にも留意しつつ、政策医療の役割をしっかり果たせます。 また、経営に失敗した
仙台赤十字病院からは、周産期医療、そして整形外科など強みを有する診療科を受け入れ、引き続き、県民のための政策医療に資するための存続をこそ確保することは、県民の利益にもかないます。何も二百億円もの公費負担と
県立がんセンターの一方的犠牲のもと、日本赤十字社の現体制を全て救済・存続させることなど、県民の多くは求めていません。県立病院であれば、引き続き、運営費負担金も交付税措置されます。なお、新病院の経営主体が民間か県立かは、重点区域の選定の前提条件とはなっていません。県民の利益を考えるに、新病院の経営主体は県立であるべきと考えますが、いかがですか。併せて、経営主体が県立の場合と、日本赤十字社が主体の場合のシミュレーションを実施し、県民に公表すべきと考えますが、当局の所見を求めます。 仙台市から四病院再編に係る協議の要請があり、県としても、県市連携で検討すると応じましたが、県から仙台市側に交付された資料の救急搬送部分には、仙台市から、現場の実態に基づいた試算となっていないと批判されている重症度別の搬送データが相変わらず掲載されており、議論の難航を予感させるものがあります。データを踏まえた根拠のある議論とするためにも、まずは救急搬送の現場を担う仙台市の運用実態・搬送データを基に議論を開始すべきと考えますが、当局の所見を求めます。また、名取市への移転再編により、主要病院へ十五分以内にアクセスできる人口が仙台市内も含めて増加とありますが、移転再編の前後で変化のない白地地区、すなわち太白区秋保地区や、青葉区愛子地区など、仙台市西部地区は相変わらず蚊帳の外であります。仙台市西部地区の県民の医療アクセスの課題についても議論の俎上にのせていただきたいと考えますが、当局の所見を求めます。 以上、壇上における第一問とさせていただきます。御清聴誠にありがとうございました。
○副議長(本木忠一君) 知事村井嘉浩君。 〔知事 村井嘉浩君登壇〕
◎知事(村井嘉浩君) わたなべ拓議員の一般質問にお答えいたします。大綱六点ございました。 まず、大綱一点目、非常時の特別規定に関する地方自治法改正についての御質問にお答えいたします。 昨年十二月、地方制度調査会から、ポストコロナの経済社会に対応する地方制度のあり方に関する答申が出され、大規模災害、感染症の蔓延等の国民の安全に重大な影響を及ぼす事態への対処として、地方自治法を根拠に、国が地方自治体に必要な指示を行使できるようにすべきことが示されました。これを受けて、全国知事会では、先月二十三日に、必要性は理解するものの、法制化に当たっては、安易に行使されることがないよう、また、地方自治の本旨に則り、必要最小限とすることなどの提言を総務大臣に提出いたしました。国においては、この答申及び提言を踏まえ、地方自治法を改正する法案を今国会に提案する方針であると承知しております。今後、改正法の想定を超えるような事態に対応するためには、憲法改正による緊急事態条項を視野に入れる必要もあると思いますが、この条項につきましては、現在、憲法審査会で議論されているところであり、まずは国会でしっかりと議論していただきたいと思います。 次に、大綱四点目、中小ものづくり企業奨学金返還支援事業についての御質問にお答えいたします。 県では、県内中小ものづくり企業の人材確保を後押しすることを目的とした、奨学金返還支援制度を創設することとしており、これは企業が県と同額を負担することを要件に、新規採用者が借り入れた奨学金総額の四分の一、企業への助成期間は六年間を上限に支援するものであります。助成金額は、大学等の卒業者に対しましては、年間二十二万五千円、十五万円、七万五千円の三コース、高等学校卒業者に対しましては、年間四万五千円の一コース、計四コースの支援メニューを設定しております。例えば、御提案のありました、大学院まで進学した理工系産業人材などを想定し設定したコースの場合、返還支援が年間二十二万五千円であり、企業からの助成額と合わせて年間四十五万円、六年間で二百七十万円の支援を受けられることとなります。県としては、今回の支援制度の導入により、県内ものづくり企業の人手不足の解消や、若手の地元定着につなげてまいります。 次に、大綱五点目、半導体産業の振興についての御質問にお答えいたします。 初めに、半導体に特化した我が県の産業振興計画についてのお尋ねにお答えいたします。 半導体工場の進出については、後工程などの関連企業の立地に加え、工場の操業に必要な装置や消耗品、水処理、ガス、電気、薬品、空調など、様々な分野で県内企業の取引拡大が期待されるなど、地域経済に大きな好影響をもたらすものと認識しております。今後は、この経済波及効果を最大限に高めていくためにも、関連産業の更なる集積促進や、産学官連携による人材の育成、物流ネットワークの拡充、台湾等との国際交流などを含めた、我が県の半導体産業振興ビジョンを描いていくことが重要と考えております。まずは、基礎資料としての活用を想定した、委託調査事業の実施を予定しており、先行する自治体の事例や関係者の御意見を参考にしながら、来年度中のビジョン策定に向けて、しっかりと取り組んでまいります。 次に、台湾の半導体学院についての御質問にお答えいたします。 台湾政府は、関連人材不足の危機感から、令和三年に国家重点分野の産学連携と人材育成の革新に関する規定を定め、五つの国立大学の中に、半導体に特化した研究機関、いわゆる半導体学院を設置していると承知しております。国の調査機関によれば、半導体学院の資金規模は年間約十億円以上に上り、政府と提携企業によって賄われているほか、講師やカリキュラムの提供、インターンシップ制度の導入など、様々な資源が提供企業から学院に提供されているとのことでありました。また、JSMCホールディングス株式会社が昨年十月に発表した事業ビジョンにおいても、政府、企業及び大学と連携した人材育成プログラムの開設に取り組むこととされており、県といたしましても、同社や国、関係機関等と情報交換を行いながら、半導体人材の育成について検討を進めてまいります。 次に、大綱六点目、四病院再編についての御質問にお答えいたします。 初めに、新病院の経営主体についてのお尋ねにお答えいたします。
仙台赤十字病院と
県立がんセンターの統合につきましては、令和元年度の
あり方検討会議を踏まえ、がんを総合的に診療できる機能を有する病院の実現や、救急医療、周産期医療などの政策医療の課題解決に向けて協議を開始したものであります。新病院の運営主体には、がん医療をはじめ、各政策医療を総合的に運営できる能力が求められますが、専門病院を運営している県立病院機構と比較して、日本赤十字社は石巻
赤十字病院をはじめ、地域医療を担う基幹病院を全国各地で運営し、十分なノウハウを有しており、経営収支に係るシミュレーションなども踏まえ、総合的に検討した結果、日本赤十字社を新病院の運営主体としたものであります。 次に、新病院の主体が民間経営体の場合、政策医療の責任が果たせるのかとの御質問にお答えいたします。 昨年十二月に日本赤十字社及び県立病院機構と締結した基本合意では、新病院において、断らない二次救急など、政策医療の課題解決のために必要な機能の確保に努めることとしており、県といたしましても、今後、新病院の基本構想などの策定を日本赤十字社と進める中で、政策医療の観点も踏まえながら、県民に適切な医療を持続的に提供できるよう、関係者と協議を行ってまいります。政策医療は、公立病院のほか、公的病院や民間病院も含め、それぞれの役割の分担と連携によりその機能を担っております。新病院につきましても、日本赤十字社が公的病院として政策医療の責任を果たしていただけるものと考えておりますが、開設後におきましても、その役割を継続していけるよう、県としても関与することを検討するとともに、県全体として政策医療の課題解決に向け、各分野の専門家による協議会等でも助言を頂きながら対応してまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。
○副議長(本木忠一君) 企画部長武者光明君。 〔企画部長 武者光明君登壇〕
◎企画部長(武者光明君) 大綱二点目、ダム、港湾のサイバーセキュリティー対策についての御質問のうち、サイバーセキュリティー月間についてのお尋ねにお答えいたします。 デジタル化の進展に伴い、近年、サイバー攻撃による情報漏えいや重要インフラの機能停止など、セキュリティー脅威が多大な影響を及ぼし、サイバーセキュリティー対策の重要性はますます高まっていると認識しております。このため、県警察と連携し、産学官による宮城県サイバーセキュリティー協議会において、セミナーの開催や、年間を通じて、サイバーセキュリティーに関する注意喚起情報の配信などを行い、県内の市町村、大学、病院、民間企業といった会員の取組の促進を図っているところです。国が推進しているサイバーセキュリティー月間については、基本的なセキュリティー対策の機運醸成を図るよい機会であり、今後、この月間に合わせて、普及啓発の関連イベントを開催するなど、より一層のセキュリティー対策の強化に努めてまいりたいと考えております。 次に、大綱三点目、県立高校等へのマンホールトイレの整備についての御質問のうち、宮城野原公園総合運動場への設置についてのお尋ねにお答えいたします。 災害時における衛生的なトイレ環境の確保については、避難者の健康を守る上で、大変重要であると認識しております。宮城野原公園総合運動場は、火災の延焼拡大時などにおいて、一時的な避難先である広域避難場所として災害対策基本法に基づき、仙台市により指定されております。このような有事の際には、公園を共に管理する仙台市が仙台市陸上競技場を開放し、トイレ等の施設も避難者が利用できるようにすると伺っております。このようなことから、宮城野原公園総合運動場でのマンホールトイレの設置に向けて、仙台市のスポーツ及び防災関係部局や指定管理者と協議してまいります。 私からは、以上でございます。
○副議長(本木忠一君)
保健福祉部長志賀慎治君。 〔
保健福祉部長 志賀慎治君登壇〕
◎
保健福祉部長(志賀慎治君) 大綱六点目、四病院再編についての御質問のうち、日本赤十字社からの新病院の内容の公表についてのお尋ねにお答えいたします。 先月二十六日に、日本赤十字社の渡部本部長への取材記事の報道がありましたが、本部長の発言内容については、今回の病院再編に対する日本赤十字社としての考えのほか、現在の
仙台赤十字病院の診療科などを踏まえ、新病院の診療体制についての本部長御自身の想定を述べたものと認識しております。診療科や医療スタッフの体制など、新病院の具体的な医療機能については、今後、基本構想などの策定を進める中で、日本赤十字社や県立病院機構などと協議を行っていく予定であり、県議会に対しても、協議の進捗に応じて適切に情報提供を行ってまいります。 次に、新病院の経営主体と収支シミュレーションについての御質問にお答えいたします。 新病院の経営主体については、総合病院を運営するノウハウを有していることや、令和元年度の
あり方検討会議の報告書で示された政策医療の課題解決に向けた観点も含め、県民に適切な医療を持続的に提供できるよう総合的に検討した結果、日本赤十字社としたものであります。基本合意に基づき、新病院では、政策医療の課題解決に向けて取り組んでまいりますが、日本赤十字社では、石巻
赤十字病院をはじめ、全国で地域の拠点となる病院を経営する実績を有しており、今回の協議において、医療需要などを踏まえ、経営的な観点からも持続的な病院経営が可能であると判断したものと受け止めております。新病院の経営収支に係るシミュレーションについては、県としても医療コンサルタントに委託し、県立・民間それぞれの場合を想定して実施しておりますが、
仙台赤十字病院の内部管理に関する情報等が含まれるため、公表については、情報公開条例の規定に基づく慎重な対応が必要になるものと認識しております。 次に、仙台市の運用実態・搬送データを基にした議論についての御質問にお答えいたします。 今月九日、仙台市長から病院再編に係る協議を要請されたところであり、救急医療や周産期医療など、
仙台医療圏における政策医療に関する影響や、現在の病院周辺地域への影響などについて、今後協議してまいります。協議の中では、新病院の規模や機能などの検討状況を踏まえ、病院再編の効果について、仙台市の搬送データや運用実態も含め、改めて分析を行うとともに、増加する救急搬送への対応や医療機関の役割分担、後方病院との連携強化など、病院再編だけでは解決できない救急医療の課題等も併せて検討することを想定しております。県といたしましては、今回の協議を契機として、将来を見据えた持続可能な医療提供体制の確保に向け、仙台市と協力して取り組んでまいりたいと考えております。 次に、仙台市西部からの医療アクセスについての御質問にお答えいたします。 今回の病院再編では、病院機能の集約・拠点化により、バランスの取れた病院の配置や各病院の救急受入れ体制の強化を図り、
仙台医療圏全体で救急医療機能の向上を目指しているところであります。今後、仙台市との協議の中で、病院再編に伴う地域医療体制への影響について検証してまいりますが、県といたしましては、新病院の具体的な機能の検討と併せ、各地域からの医療アクセスの観点も含め、仙台市と協働して、救急をはじめとした地域医療体制の今後の在り方について検討してまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。
○副議長(本木忠一君)
経済商工観光部長梶村和秀君。 〔
経済商工観光部長 梶村和秀君登壇〕
◎
経済商工観光部長(梶村和秀君) 大綱五点目、半導体産業の振興についての御質問のうち、東北シリコンバレー構想についてのお尋ねにお答えいたします。 東北地方全体の半導体産業振興については、我が県を含む行政機関、関係企業、大学等で構成され、東北経済産業局が事務局を務める、東北半導体・エレクトロニクスデザイン研究会による活動方針に基づき、各種取組が進められているものと承知しております。本研究会では、シリコンロードと呼ばれ、全国的にも関連企業の集積が高い東北地方の特性を踏まえ、学生や企業等を対象としたオンデマンドによる講座やセミナー、半導体企業の視察ツアー、東北大学と連携した製造実習プラグの実施等を通じて、関連人材の裾野拡大と受皿となる企業の基盤強化を図ることとしております。我が県としても、半導体新工場の立地を契機に、更なる関連企業の誘致や人材育成などに取り組んでまいりますが、本研究会の場を通じて、東北地方全体の半導体産業の将来構想についても議論してまいりたいと考えております。 次に、JSMCホールディングス株式会社の半導体新工場が使用する水及び排水についての御質問にお答えいたします。 JSMCホールディングス株式会社によれば、現在、工場建設事業者との協議を進めているところであり、工業用水の使用量や排水量及びその再利用割合などについては、明確な数値を示すことは難しいとのことです。県としては、企業誘致活動の過程で同社から示された、工業用水量五千五百立方メートル、排水量四千四百立方メートルという一日当たりの想定値に基づき、新工場の安定操業に必要となるインフラ整備等についての検討を行っているところでございます。 次に、半導体産業人材の必要数及び職種についての御質問にお答えいたします。 半導体人材の計画的な育成のためには、その必要数や職種について的確に把握する必要があると考えており、県では、県内の半導体関連企業に対するヒアリングを実施しているところです。また、JSMCホールディングス株式会社からは、フル稼働時に、千二百人程度の人材が必要となると伺っております。具体的には、大学生・高専生を中心とした製造プロセス等担うエンジニア人材や、高校生・派遣社員等を中心とした製造装置の保守等を担うオペレーター人材が必要であり、特に不足が懸念されるエンジニア人材として、電気・電子や機械、物理や科学、情報等、幅広い専攻の人材が必要とのことです。県といたしましては、今後、JSMCホールディングスや県内大学、高専等で構成される人材育成に関する連絡調整会議を開催する予定であり、その中で改めて必要となる詳細のニーズや採用計画等を産学官で共有し、来年度から実施する人材育成事業に反映させてまいりたいと考えております。 次に、人材育成事業の想定規模と未経験者教育についての御質問にお答えいたします。 県では、今後の半導体人材の需要増加に対応するため、来年度から座学や製造の実習、県内関連企業の見学ツアーを組み込んだ人材育成事業を実施する予定としております。まずは、大学生・高専生等を対象とした一般コースで八十名、高校生・専門学生等を対象とした初学者コースで四十名の受講を予定しておりますが、JSMCホールディングス等の意向を踏まえながら、令和七年度以降は定員を増やしていくことも想定しております。加えて、御指摘のありました産業技術総合センターの活用については、半導体関連産業への参入を希望する県内企業のニーズも伺いながら、センターにおいて未経験者に対する半導体技術の入門セミナーや技術研修会、センター内のクリーンルームを活用した製造プロセス体験会の開催等を検討してまいります。 次に、座学受講者への補助についての御質問にお答えいたします。 福岡半導体リスキリングセンター等が実施しているeラーニング講座は、場所と時間を選ばず受講可能であり、その需要は今後ますます高まっていくものと考えております。東北地域においても、東北半導体・エレクトロニクスデザイン研究会によるオンデマンド講座が既に実施されているほか、先月十七日に公表された東北大学と北海道大学の包括連携協定に基づき設置される人材育成プラットフォームにおいて、学生のみならず、民間企業も対象としたeラーニングが提供される予定と伺っております。県といたしましては、これら関係機関の動向や県内企業のニーズ等も踏まえながら、eラーニング講座の受講に対する支援の在り方について検討してまいります。 私からは、以上でございます。
○副議長(本木忠一君) 土木部長千葉衛君。 〔土木部長 千葉 衛君登壇〕
◎土木部長(千葉衛君) 大綱二点目、ダム、港湾のサイバーセキュリティー対策についての御質問のうち、ダムを対象とした訓練やBCPへの反映についてのお尋ねにお答えいたします。 県が管理する各ダムには、洪水時における適切なゲート操作を実施するため、放流量等を算定する管理用制御処理設備が設置されており、これまで、システム障害が発生した場合を想定した洪水対応訓練を実施しているところです。このシステムはインターネット回線から分離し、外部からのアクセスができない仕様となっているほか、管理委託業者が操作室へ入退室する場合には、職員が立ち会うなどの対策を講じておりますが、サイバー攻撃の手口は年々巧妙化・複雑化しており、これまで想定していない被害が発生することもあり得ることから、更なる対策の強化が重要であると考えております。国においては、テロに対するダムの危機管理要領にサイバーテロを加え、今年度から訓練を開始したところです。県といたしましては、こうした国の実施状況等を踏まえ、サイバー攻撃を想定した対応について、今後の訓練に反映するとともに、ダムの業務継続計画に位置づけるなど、サイバーセキュリティー対策の向上に取り組んでまいります。 次に、他県の港湾における大規模サイバー攻撃を踏まえた我が県の対応についての御質問にお答えいたします。 昨年七月に、名古屋港への大規模なサイバー攻撃により、物流機能に大きな影響があったことから、コンテナターミナルシステムのサイバーセキュリティー対策の重要性を改めて認識したところです。このため、県では、速やかに、高砂コンテナターミナルのオペレーションシステムを運営する港湾運送事業者二社に対し、名古屋港での事例を共有したほか、システム点検や関係職員への注意喚起を要請したところであり、その結果、異常がなかったことを確認しております。国では、昨年七月からコンテナターミナルにおける情報セキュリティー対策等
検討委員会を設置し、議論が進められており、重要インフラへの港湾の位置づけや港湾運送事業者の情報セキュリティー対策を国が審査する仕組みの導入、官民が一体となり、サイバーセキュリティーの確保に向けた取組を推進することなどが先月取りまとめられたところです。県といたしましては、これらの内容を踏まえ、国と連携しながら、仙台塩釜港港湾業務継続計画へサイバー攻撃によるシステム障害発生時の対応を早期に位置づけるとともに、港湾運送事業者等と共同でインシデント対応訓練を実施するなど、引き続き、更なる情報セキュリティー対策の向上に取り組んでまいります。 私からは、以上でございます。
○副議長(本木忠一君) 教育委員会教育長佐藤靖彦君。 〔教育委員会教育長 佐藤靖彦君登壇〕
◎教育委員会教育長(佐藤靖彦君) 大綱三点目、県立高校等へのマンホールトイレの整備についての御質問のうち、県立学校への設置についてのお尋ねにお答えいたします。 近年の大規模化・多様化する自然災害の状況を踏まえると、災害時に快適で衛生的なトイレ環境を確保することは、学校施設が防災機能を果たす上で重要であると認識しております。県教育委員会では、東日本大震災の教訓を踏まえ、校舎等の新築や改築を行う県立学校において、順次、マンホールトイレの整備を進めてきたところであり、現在県全体で七校に設置しております。今後とも、避難所指定の有無や下水道の整備状況など、地域の状況等を踏まえながら、マンホールトイレの整備を進め、学校施設の防災機能の強化に努めてまいります。 次に、大綱五点目、半導体産業の振興についての御質問のうち、工業系高校から半導体企業への就職に関するお尋ねにお答えいたします。 半導体企業の進出により、県内における半導体関連人材の需要が高まることが想定されていることから、こうした産業を支える人材を育成することは喫緊の課題であると認識しております。現在、工業系高校十二校において、生産技術や電子技術、電気機器などの授業を通じて、半導体の性質や種類、活用に関する基礎的な知識の習得を図っているところです。県教育委員会といたしましては、今後、先行している熊本県も参考にしながら、専門高校だけでなく、普通科も含めた幅広い学科の生徒を対象として、先端工場での実地研修、企業の技術者や学識経験者等を講師とする特別授業等を通じて、半導体産業に関する生徒の興味・関心の向上を図るとともに、半導体に対する理解を深めるための教職員研修にも取り組み、半導体産業を支える人材の育成に努めてまいります。 次に、産業人材の裾野を広げる施策と、産業高校の実習環境の改善についての御質問にお答えいたします。 急激な少子化が見込まれる中、我が県の地域産業を支える人材を安定して確保していくことは急務であると認識しております。現在、令和四年五月の宮城県産業教育審議会からの答申を踏まえ、工業高校の生徒が地域の小・中学生にプログラミングやものづくりの出前授業を行っているほか、中学校教員を対象として、専門学科の教育内容等について説明会を開催するなど、義務教育段階へのものづくりをはじめとした産業教育の魅力を伝える取組を推進しているところです。また、専門高校の実習環境につきましては、令和三年度に工業高校に対し、最新のCAD/CAMシステムや3Dプリンター、VR設備を導入するなど、最先端技術に対応した実習環境の整備に努めてきたところであります。なお、実習施設へのエアコン整備については、昨年の猛暑を踏まえ、使用頻度等も勘案して順次整備を進めていきたいと考えており、専門高校における教育環境の充実を図ってまいります。県教育委員会といたしましては、引き続き、県内の産業界等と連携しながら、地域を支える産業人材の育成に努めてまいります。 以上でございます。
○副議長(本木忠一君) 二十二番わたなべ拓君。
◆二十二番(わたなべ拓君) 何点か再質問させていただきます。 知事と私はバチバチではあっても、おおむね前向きな回答を頂いたかと思っています。サイバーの関係でありますとか、あとは半導体。例えば、総合的な計画を来年度に策定するということで、先ほど全体のことを考えてということでおっしゃいましたが、そういう意味ではそうなのかと。実を示していただいたなと納得しています。 さて、先ほど教育長から答弁がありまして、エアコンは優先度が高い実習環境の一環をなしているものと思われますのでこちらの整備をぜひともお願いしたいということと、あと、ちょっと私が聞き漏らしたかもしれませんが、マンホールトイレでありますけれども、例えば仙台一高・二高・三高というところは、地域の避難施設に当たるのですが、こういったところにはどういうタイミングで、新築のタイミングというとなかなか先になってしまうというところもありますので、やはりもうちょっとそうしたスパンとは別のタイミングで迅速に、一つずつでも整備していただきたいなというのがあるのですが、この点について確認したいと存じます。
○副議長(本木忠一君)
教育委員会教育長佐藤靖彦君。
◎
教育委員会教育長(佐藤靖彦君) これまで新築・改築等のタイミングで順次進めてきたところでありますけれども、そういった御意見も頂きましたので、様々検討しながら着実に進めていきたいというふうに考えております。
○副議長(本木忠一君) 二十二番わたなべ拓君。
◆二十二番(わたなべ拓君) 前向きに御検討いただければと存じます。 また、先ほど奨学金返還支援事業についても答弁がございました。知事の答弁にもありましたけれども、最大でこれは二百七十万円を受け取れるという大きな枠組みです。大変思い切ったもので、すごく前向きに検討していただいたなと私は感服しております。今、産業人材が全国的に取り合いになっていますので、これが学費の負担をどんどん軽減して、地元宮城にしっかり定着していただける一助になると信じております。また、私、いろいろ調べてみたのですが、仙台市の先行例を見てみますと、最長で三年間、仙台市から最大五十四万円の支援。それに対して、宮城県は最長六年間。倍です。しかも、額も最大で二百七十万円と、大変大きなインパクトを持つなと思っています。ちなみに仙台市の枠組みですと、地元の中小ものづくり企業からの協力企業は四社のみなのです。私、機械金属工業会にこれをただしましたら、大変多くの方々が手を挙げたいということでしたので、期待しております。取組をなお期待したいと存じます。 さて、ここからはちょっとやはりハードな話をしなくてはいけないのですが、先ほど、知事の答弁に日本赤十字社を新病院の経営主体と選定した事由として、経営収支のシミュレーションなども参酌したという答弁されました。これは、ちょっと前になりますけれども、日本経営の調査の仕様書があったかと思うのです。令和四年五月に日本経営と締結した調査契約に係るその仕様書を見ますと、要は経営主体を赤十字と県立病院とした場合の二パターンで収支のシミュレーション比較をするとしているのです。この結果がなぜか我々に示されていないのですよ。これはどうして示さないのですか、伺います。
○副議長(本木忠一君)
保健福祉部長志賀慎治君。
◎
保健福祉部長(志賀慎治君) シミュレーションを仕様書にのっとってやっているのは事実ですけれども、内容は、例えば、ランニングコストでありますとか、既存病院の廃止コストの差でありますとか、様々な観点から比較検証してやったものでございますけれども、私からお答え申しましたとおり、やはり、現状の経営内容等々の細かいデータが基礎となっているということで、情報公開条例の規定に基づいた形で表に出すのは大変慎重な取扱いをしているといったことで、まだお示しをしていないところでございます。
○副議長(本木忠一君) 二十二番わたなべ拓君。
◆二十二番(わたなべ拓君) 今や基本合意はなったわけです。そして今のところ、新病院の経営主体は日本赤十字社でいくのだということになっているわけです。情報の秘匿等々を言っている場合ではないわけです。局面は明らかに変わっていて、むしろ積極的に情報を公開して、日本赤十字社が経営主体となるので全く問題ないのだと。むしろ、積極的に開示していくべき対象であります。また、日本経営の調査は、八千三百六十万円の県費を使っているわけです。この成果物に関しては、もはや、県民の財産でもあるわけです。また、その結果についてのシミュレーションは、県立病院とした場合、そして日本
赤十字病院とした場合、いずれが経済的にペイするのかということは本件について極めて重要な前提条件です。これは速やかに公表すべきです。どうですか。
○副議長(本木忠一君)
保健福祉部長志賀慎治君。
◎
保健福祉部長(志賀慎治君) 当方のシミュレーションもありますし、日本赤十字社側でのシミュレーションもやった上で、双方での検討の結果、こういった基本合意に至ったとされております。私どもの成果物につきましては、繰り返しになりますけれども、まだ現状の病院経営がなされている現状でございますし、そういった規定にのっとった中で、様々な取扱いを慎重にやるべきだといった規定にのっとって今判断しておりますけれども、中でこういった形で取り出せるかとか、あるいは代表的なものを私ども県でまとめた上でとか、ちょっとやり方については検討の余地はあろうかと思いますけれども、基本的なスタンスとしてはお答え申し上げたとおりでございます。
○副議長(本木忠一君) 二十二番わたなべ拓君。
◆二十二番(わたなべ拓君) 極めておかしなことを言っているのです。また隠蔽だと言われますよ、これだと。もっとオープンにしないと駄目です。こういう話は公明正大にしないと。大体県の予算を使って調査していて、もはや基本合意になっているわけです。しかもその主体たるや日本赤十字社になるということに今なっているわけです。これをどうしてがえんじ得たのか、どうしてこれを肯定したのかという一資料として、恐らくその収支のシミュレーションを参酌したものと思われます。どういう内容だったのか、その結果について、では、口頭で伺えますか。
○副議長(本木忠一君)
保健福祉部長志賀慎治君。
◎
保健福祉部長(志賀慎治君) 先ほど申し上げましたランニングコストでありますとか、既存病院の廃止をする場合にどういったコストがかかるかというコスト分析を中心にシミュレーションを行ったといったものでございますけれども、内容については何度も申し上げているとおり、現状この場で申し上げられる状況にはないといったことでありますけれども、今後の出しようというか、中身についての考え方については、また検討してまいりたいと思ってございますが、現状はそういったことで御理解賜りたいと思います。
○副議長(本木忠一君) 二十二番わたなべ拓君。
◆二十二番(わたなべ拓君) これは全く無用な隠蔽です。公明正大な議論をするのであれば、情報は積極的に公開しなくてはいけません。むしろ、これを公開しないというのは、何か公開されて不都合な結果でも出てきたのですかと勘ぐられても仕方ありません。また、そうしないためにも、県において説明会を積極的に開こうなんて答弁をるるしてきたわけではないですか。だとしたら、県費によって調査したその成果物についてはしっかりとお出しするのが筋だと思います。どうですか。
○副議長(本木忠一君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 中に日赤の詳細な経営状況が入っているのです。当然、これは日赤のほうに確認しないといけません。つまり、県の中の調査結果だけではなくて、第三者の日赤の内部の情報が入っているということです。したがって、開示できないということであります。ちょっと日赤のほうにもお話をして、ここまではいいということであれば、それはお出しすることができるのですけれど、日赤がまだ駄目ですよということであれば、出せないということであります。
○副議長(本木忠一君) 二十二番わたなべ拓君。
◆二十二番(わたなべ拓君) 日赤は占領軍か何かなのですか。これは戦時中の占領軍におもんぱかっているようです。何を忖度しているのか分からないけれども、これからは日赤に任せていいのかどうかということが、この場での重大な関心なわけですよ。我々県民の政策医療を日赤でやっていけるのかと、直近で経営に失敗した日赤でやっていけるのかということが重大な関心なわけです。対象なわけです。それに係る収支シミュレーションを出せないというのは、いかなる事由によるのですか。そんなばかな話はないですよ。基本合意書が既に締結されているのだから。これを出せないなどと頑張っているのは、後世どのような評価を受けるか、私は本当に首かしげざるを得ないです。おかしいと思います。 こればかりにこだわっている場合ではないので次にいきますと、先ほど思い切った想定をしてみると私は壇上で提案したわけですけれども、そもそも
あり方検討会議の報告書を読みますと、主要五大がんがどんどん競合してきているという状況があって、これからは高齢化していることに伴って並存疾患も総合的に診れるような機能を再検討しようと。その意味で、統合によって悪性疾患だけではなくて通常の良性疾患を診ることができるようになるということは、すなわち統合によって患者も増えるし、それによって経営も回っていくだろうと。回っていったその先が大事で、そうすることによって、希少がんや難治がんや放射線治療等々、政策医療の機能を維持しようということが、これが肝、心だったわけですよね。ところが、日本赤十字社の医療事業推進本部長の渡部洋一さんは、がん診療は五大がんに対応する科をそろえると、もう端的に明言してしまっているのです。なぜ統合しなければいけないかというと、希少がんや難治がんをはじめとする政策医療の政策医療たるゆえん、これをしっかり維持していくためにこそ必要なのだという心がどうもここから見えてこないのです。本当に県の期待する政策医療というのは、日本赤十字社が主体で維持できるのですか、伺います。
○副議長(本木忠一君)
保健福祉部長志賀慎治君。
◎
保健福祉部長(志賀慎治君) 現在、具体的な診療科の設定等について協議をこれから具体的に進めていくところになっておりますけれども、そういった希少がん・難治がんの取扱いについては、東北大学ほか、他の
がん診療連携拠点病院との連携、役割分担、そういったものを総合的に勘案しながら、県全体として、がん診療の推進を向上できるような取組に資するような、新病院のありようといったものを探っていくといった姿勢で臨んでまいりたいと思ってございます。
○副議長(本木忠一君) 二十二番わたなべ拓君。
◆二十二番(わたなべ拓君)
県立がんセンターが、がん手術を担っているところで、希少がん・難治性がんが何と全体の五四・四%と過半数を、難治がん・希少がんをやっておられるのです。東北大学との連携でと言いますけれども、東北大学だって全体のキャパがあるわけです。また、東北大学にキャパがあるからこそ
県立がんセンターでこうした難しいところを担ってきたというところがあるわけです。だから、結局のところ新病院で担わなくてはならない部分が必ず残るのです。赤十字で本当に大丈夫なのかという不安が拭えません。やはり県立病院としてしっかり担っていくべきなのではないのかなと私は考えております。ところで、赤十字がこれをどうしてもやってみたけれども、政策医療を実現できなかったと、維持できなかったと泣きついてきた場合、どうするのかということを今から心配でしようがないのです。例えば、名取市では運営費の補助の話が既に出ているのです。現にそれを裏づけるように。政策医療について、宮城県に対して、経営支援費のような形で県が追加負担することなど赤十字側から相談されているのですか、伺います。
○副議長(本木忠一君)
保健福祉部長志賀慎治君。
◎
保健福祉部長(志賀慎治君) 日赤側に対する県の支援としては、整備費に対する約二百億円程度を想定してございますけれど、そちらを支援するといったことでございます。
○副議長(本木忠一君) 二十二番わたなべ拓君。
◆二十二番(わたなべ拓君) いわゆる建設費などイニシャルコストだけと言っていますけれども、後から泣きつかれた場合、「それはしようがありませんね。今は民間ですから」と、県は拱手傍観できませんよ。何せだって、名取市さんは出すともう言明しているわけです。県がそこで指をくわえているわけはないと思うのです。つまり追加的なランニングコスト、負担の可能性が出てきていると私は思っております。そう考えると、今回再編によってコストの経済合理性がかなうと言われているのですけれども、そもそも病院を閉めるためのコストが幾らかかるのか、伺います。
○副議長(本木忠一君)
保健福祉部長志賀慎治君。
◎
保健福祉部長(志賀慎治君) 閉院のコストというのは、当然建物の撤去等の取扱い等々もありますし、退職される職員がいるならばその職員の処遇等々、様々な観点からのコストが発生するといったことになろうかと思います。
○副議長(本木忠一君) 二十二番わたなべ拓君。
◆二十二番(わたなべ拓君) 割増し退職金のコストが数十億円になるということが想定されているようです。内部で三十億円から四十億円等々と考えられるようです。また、給与の差額補填は、当然県立病院のほうが高いので、そうなると五年間にわたり毎年一人につき数十万円から、あるいは医師だと百万円ほど、これが補填に要する費用です。
がんセンターの負債は更につけ加えて六十億円ほどあるかもしれない。そうすると、これだけで概算少なくとも百億円の見えざるコストがかかっているわけです。どうしてこれを積極的に論じないのですか。
○副議長(本木忠一君)
保健福祉部長志賀慎治君。
◎
保健福祉部長(志賀慎治君) 例えば、現給保障的なものも含めてそういった雇用面の給与処遇面の取扱いといったものも、これからの
がんセンターの職員の皆様と議論を重ねていってやるといったことでございます。念頭にありますのは、県立循環器・呼吸器病センターの閉院の際の対応を参考にしながらといったことが頭にございますけれども、その際現給保障等の取扱いも議論された経緯がありますので、そういったことも踏まえながら、しっかりやっていくことになるといったことでございます。
○副議長(本木忠一君) 二十二番わたなべ拓君。
◆二十二番(わたなべ拓君) イニシャルコスト百三十三億円の県負担分、そして見えざるコスト百億円以上、プラスランニングコストの可能性まで出てくるとなると数百億円になります。本当にペイするのかどうか極めて不安です。また、仙台市と緊急搬送について見解の相違が生じております。これについて、知事はどのようにお考えですか。
○副議長(本木忠一君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 仙台市との相違は、今日からいろいろ話合いをして詰めていきたいというふうに思います。いろいろ基になるデータの取り方が違っているということだというふうに思います。それから、今質問ではないのですけれども、わたなべ議員は、経営が失敗したというふうにおっしゃっていますけれども、決して失敗しているわけではなくて、今非常に経営が厳しいということであります。また、石巻日赤は、ここずっと調べてみると、ずっと経営は黒字経営で、コロナのときも含めて黒字ですけれども、逆に仙台市内の病院は、ほぼどの病院もかなり経営が厳しくて、国から補助金が入ったコロナの期間を除けば、赤字経営の病院がかなり多いというのは事実です。一方、石巻日赤は黒字で頑張っているということです。三次救急までやっているところと、今回二次救急ですから、比較はできないかもしれませんけれど、そういう状況です。それから、先ほど、交付税が入って、まるで県立病院だと黒字でハッピーというふうに思っておられるような発言をされていましたけれども、県立病院に現時点では運営補助金が二十数億円入っているのですけれども、そのうち交付税が十億円弱でして、実際十二、三億円は一般財源、つまり県の持ち出しで十二、三億円毎年出しております。これは、この後県立病院になると、更に総合病院ですから、総合病院でやると更にそれの二倍三倍という一般財源の持ち出しがずっと続いていく。しかも、人件費も総合病院ですから、はるかに大きな人件費をずっと出し続けなければいけないということになります。それと、現在のやり方と比較して、どちらがいいかというのは、もう火を見るより明らかだと私は思います。それから、県は日本総研のほうに頼んでシミュレーションしましたけれど、当然日赤側でもどこの会社か分からないですけれども、ちゃんとシミュレーションをしてやっているということです。その上で、細かいいろいろ調整をして、県からこれくらいお金が出て、そして名取からこれくらいというような調整をして、これらの経営が成り立つというふうに向こうが判断をされたということであります。相当シビアな判断をされたというふうに思っていますし、厳しい交渉をしてまいりましたので、ですから恐らく、今後三十年、四十年、五十年先のことまでは分からないですけれども、スタートして新しい病院が経営破綻するといったようなことには、私はならないというふうに思っております。したがって、県としてはイニシャルコストの補助はしますけれども、それ以外の補助は今のところ一切考えておりません。そこは、あとは名取市さんと交渉していただきたいというふうに思っているということでございます。今の段階では、建物を壊すのは大体予測はつきますけれど、ただ、今建築費が上がっていますから、今の段階で壊すのは幾らかというのはなかなか出せません。ただ、また、職員がこれから一人一人確認していきますので、その職員が今後、どういう意思表示をされるのかによってまた出てくるお金は違いますが、県立で持つよりははるかに、財政面だけを考えたら影響は小さいなというふうに思います。また、先ほどから政策医療とずっとおっしゃっているのですけれども、私は、もうがん治療は政策医療という段階ではないのではないかなというふうに思っております。もういろんな病院でがん治療ができます。
がんセンターができたときには、がん治療をする病院が県内にはほとんどなかったというふうなことで、当時は政策医療ということで踏み切ったということでございますけれども、今はそうではない。また、宮城県には大きな特性として、
東北大学病院以外に東北医科薬科大学病院をつくりました。これは震災の特例ということでつくらせてもらったのですけれども、これがまだまだ産声を上げたばかりでありますけれども、いよいよ卒業生が今年の四月から専門医の研修に入るようになります。そういったことでだんだん東北医科薬科大学のレベルが上がってきて、がんのしっかりとした治療もできるような、希少がん・難治がんの治療もできるような病院に必ずなってくるということであります。今あることをそのまま持続するということは実は一番簡単なのですけれども、私はそうではなくて、将来を見据えてこれから大きく人口が減ってくる、高齢化が進んでいく中で、どういうふうな宮城県をつくっていけばいいのかということを将来的なことを考えながら、厳しくても一歩踏み込んでいくということが、そういう改革をすることが将来の県民のためになると、そう信じて頑張っておりますので、どうか、わたなべ議員におかれましても、御理解いただきたいというふうに思います。以上です。
○副議長(本木忠一君) 先ほどの平岡静香君に対する答弁について、土木部長から発言の申出がありますので許します。土木部長千葉衛君。
◎土木部長(千葉衛君) 先ほど、明石台の建設予定地、経過観察とあったがどうなったのかという御質問がございましたので、補足説明をさせていただきます。 まずは、この病院の建設予定地は盛土総点検におきまして問題のあった箇所にはなっていないと。その上で、団地の一部のり面から湧水が一部見られたということで、経過観察ということになってございました。市ではその後、現地踏査等による調査の結果、その課題となった湧水は既に停止されていて、対策する必要はないと判断したというふうに伺っています。その後地震の発生時にも確認しているということでしたので、我々としては病院予定地としては問題ないというふうに認識してございます。
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△休会の決定
○副議長(本木忠一君) お諮りいたします。 明日から二月二十六日まで四日間本会議を休会とし、二月二十七日再開することにいたしたいと思います。これに御異議ありませんか。 〔「異議 なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(本木忠一君) 御異議なしと認めます。 よって、明日から二月二十六日まで四日間本会議を休会とし、二月二十七日再開することに決定いたしました。 なお、ただいま御出席の諸君には改めて通知いたしませんから、御了承願います。 残余の質疑、質問は、二月二十七日に継続することにいたします。
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△散会
○副議長(本木忠一君) 以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。 二月二十七日の議事日程は、追って配布いたします。 本日は、これをもって散会いたします。 午後三時散会...