令和 5年 11月 定例会(第390回) 第三百九十回宮城県議会(定例会)会議録 (第四号)令和五年十二月七日(木曜日) 午前十時開議 午後二時五十四分散会 議長 高橋伸二君 副議長 本木忠一君出席議員(五十九名) 第一番 ふなやま由美君 第二番 かっち 恵君 第三番 平岡静香君 第四番 石森ゆうじ君 第五番 阿部眞喜君 第六番 柚木貴光君 第七番 高橋克也君 第八番 さとう道昭君 第九番 熊谷一平君 第十番 藤原益栄君 第十一番 金田もとる君 第十二番 荒川洋平君 第十三番
佐々木奈津江君 第十四番 小野寺 健君 第十五番 大池康一君 第十六番 菊地忠久君 第十七番 杉原 崇君 第十八番 村岡たかこ君 第十九番 伏谷修一君 第二十番 松本由男君 第二十一番 渡辺重益君 第二十二番 わたなべ 拓君 第二十三番 天下みゆき君 第二十四番 小畑仁子君 第二十五番 三浦ななみ君 第二十六番 枡 和也君 第二十七番 佐藤仁一君 第二十八番 遠藤伸幸君 第二十九番 横山のぼる君 第三十番 伊藤吉浩君 第三十一番 八島利美君 第三十二番 瀬戸健治郎君 第三十三番 村上久仁君 第三十四番 高橋宗也君 第三十五番 高橋 啓君 第三十六番 遠藤隼人君 第三十七番 渡辺勝幸君 第三十八番 横山隆光君 第三十九番 三浦一敏君 第四十番 渡辺忠悦君 第四十一番 熊谷義彦君 第四十二番 佐々木功悦君 第四十三番 坂下 賢君 第四十四番 ゆさみゆき君 第四十五番 吉川寛康君 第四十六番 伊藤和博君 第四十七番 佐々木賢司君 第四十八番 守屋守武君 第四十九番 外崎浩子君 第五十番 村上智行君 第五十一番 佐々木幸士君 第五十二番 高橋伸二君 第五十三番 菊地恵一君 第五十四番 佐々木喜藏君 第五十五番 石川光次郎君 第五十六番 中島源陽君 第五十七番 本木忠一君 第五十八番 中山耕一君 第五十九番 藤倉知格君
-----------------------------------説明のため出席した者 知事 村井嘉浩君 副知事 伊藤哲也君 副知事 池田敬之君
公営企業管理者 佐藤達也君 総務部長 小野寺邦貢君 復興・
危機管理部長 千葉 章君 企画部長 武者光明君
環境生活部長 佐々木 均君
保健福祉部長 志賀慎治君
経済商工観光部長 梶村和秀君 農政部長 橋本和博君
水産林政部長 吉田信幸君 土木部長 千葉 衛君 会計管理者兼出納局長 大庭豪樹君
総務部参事兼秘書課長 村田俊顕君
総務部参事兼財政課長 高橋寿久君
教育委員会 教育長 佐藤靖彦君 副教育長 佐藤芳明君
選挙管理委員会 委員長 皆川章太郎君 事務局長 後藤和隆君 人事委員会 委員長 西條 力君 事務局長 北沢康一君 公安委員会 警察本部長 原 幸太郎君 総務部長 横山 裕君
労働委員会 事務局長 中村今日子君 監査委員 委員 吉田 計君 事務局長 小林一裕君
----------------------------------- 議会事務局 事務局長 目黒 洋君 副事務局長兼総務課長 大場則昭君 参事兼議事課長 菅原敏彦君
政務調査課長 佐野浩章君 総務課副参事兼
総括課長補佐 堀 喜昭君
議事課総括課長補佐 大友幸二君 副参事兼
政務調査課総括課長補佐 千葉恵子君
議事課長補佐(班長) 我妻則之君
議事課主任主査(
議事運営担当) 二上秀幸君
----------------------------------- 議事日程 第四号 令和五年十二月七日(木)午前十時開議第一
会議録署名議員の指名第二 議第百四十二号議案ないし議第百七十五号議案及び報告第三十四号ないし報告第三十九号第三 一般質問 〔ふなやま由美君、中島源陽君、大池康一君、柚木貴光君〕
----------------------------------- 会議に付した事件一 日程第一
会議録署名議員の指名二 日程第二 議第百四十二号議案ないし議第百七十五号議案及び報告第三十四号ないし報告第三十九号三 日程第三 一般質問 〔ふなやま由美君、中島源陽君、大池康一君、柚木貴光君〕
-----------------------------------
△開議(午前十時)
○議長(高橋伸二君) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は、お手元に配布のとおりであります。
-----------------------------------
△
会議録署名議員の指名
○議長(高橋伸二君) 日程第一、
会議録署名議員の指名を行います。
会議録署名議員に、七番高橋克也君、八番さとう道昭君を指名いたします。
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△議第百四十二号議案ないし議第百七十五号議案
△報告第三十四号ないし報告第三十九号・一般質問
○議長(高橋伸二君) 日程第二、議第百四十二号議案ないし議第百七十五号議案及び報告第三十四号ないし報告第三十九号を議題とし、これらについての質疑と、日程第三、一般質問とを併せて行います。 前日に引き続き、質疑、質問を継続いたします。一番ふなやま由美君。 〔一番 ふなやま由美君登壇〕
◆一番(ふなやま由美君)
日本共産党宮城県会議員団のふなやま由美です。命を守り、命輝く
宮城県政実現への決意を胸に、初質問いたします。 大綱第一点、四
病院再編構想は撤回し
地域医療充実を、について伺います。 今般の
宮城県議会議員選挙は、四
病院再編構想が最大の争点になりました。街頭で政策を訴えていると、「あなたは四病院再編に反対ですか、賛成ですか」と問われたり、高齢の女性が駆け寄り、「四十歳の息子が名取市の
精神医療センターで十八歳から治療を受けている。富谷市に移転したら通えない。息子の人生はどうなるのか、不安でたまらない」と涙を流しておられました。
仙台赤十字病院、いわゆる日赤病院や
東北労災病院のある仙台市内はもとより、県内各地から四病院再編に対する御意見が
日本共産党事務所に寄せられました。知事が患者や地域住民、
医療関係者の意見を聞かず、ひたすら四
病院再編構想をごり押しするその政治姿勢に、県民から「傲慢だ、暴走を止めて」という怒りの声が沸き起こったのです。投開票日の翌日に、地元紙が一面で、
宮城県議選自公過半数割れ、四病院再編への反発逆風と大見出しで報じました。河北新報社が県議選挙の立候補者に実施したアンケートで、当選者五十九人の回答を再集計した結果では、四
病院再編構想に反対、どちらかといえば反対が四五・八%に上り、賛成、どちらかといえば賛成の三五・六%を上回りました。県民の切実な声や要望を受けて、選挙戦で四病院問題を熱く語った方々が、党派を超えて、この議場にはたくさんおられるのではないでしょうか。知事は、
精神保健福祉審議会の席上で、自分を止められるのは県議会だけだと豪語しました。議場におられる議員の皆様、活発な議論・審議を行って、御一緒に止めようではありませんか。知事は選挙前、四
病院再編構想は争点にはならないとおっしゃいましたが、紛れもなく選挙の大争点になったではないですか。「移転再編をこのまま進めるべきではない。県民の声を聞いて立ち止まってほしい」という願いに真っすぐ向き合うべきです。知事いかがですか、お答えください。 十月二十四日に開催した
市長会行政懇談会で、
県立精神医療センターの富谷市移転協議の一時停止を求める
郡和子仙台市長を孤立させるかのような激しい応酬がマスコミで報道され、県民二百三十七名が連名で知事に抗議文を提出しました。仙台市が提出した文書について、知事が「反対する市民団体の旗頭のような文書」と発言した旨が報じられましたが、事実であれば、その
態度そのものが仙台市を侮辱するものであり、発言撤回し謝罪すべきです。お答えください。 自治体間の協議は冷静に誠実に向き合うこと、四
病院再編構想の協議は公開すること、協議内容は包み隠さず当該自治体及び県民に情報提供し、広く県民意見を聴取する説明会を開催するなど、
民主的プロセスを何よりも大切にすべきです。基本合意を結んでから県民に説明するなどということは、まかり間違ってもやるべきではありません。いかがですか、お答えください。 日赤病院と
東北労災病院は、救急医療、周産期医療、職業病や災害時医療など、政策的医療の要をなす大切な病院です。この二つの病院は、仙台市で救急搬送される患者の約一割を受け入れています。仙台市消防局の報告では、
救急搬送困難事例は、令和四年十二月の
新型コロナ感染第七波の時期に六百九十一人に上りました。また、異常な酷暑だった今年八月の
救急搬送困難事例は六百七十八人に上り、その後も、医療逼迫により搬送先が見つからない状況は続いています。県は、再編により仙台市の救急受入れに余裕が生じるようなことを言っていますが、高齢化が更に進行する中で、救急需要は増加が見込まれますから、再編でなお一層、救急車を呼んでも搬送先が見つからない事態を生んでしまうのではないですか、お答えください。 日赤病院は、地域連携の中心として、なくてはならない病院です。また、市内でお産のできる医療施設が減少する中で、クリニックと連携し、年間約八百件の分娩を受け入れる
産科セミオープンシステムの中心施設です。総合周産
期母子医療センター及び県の周産期医療の三次医療施設として、母子の命を支えています。リスクの高い出産に対応できる病院が市内からなくなってしまえば、サポートの必要な妊産婦の行き場がなくなり、周産
期医療システム全体に及ぼす影響は計り知れません。仙台市内でお産を受け入れる病院を更に少なくし、お産難民を生み出すべきではありません。いかがですか、お答えください。 現在の日赤病院は、四十二年前に住宅団地を形成する際、住民の誘致運動によって造られました。地域とともに歩み、住民に愛される病院です。住民が
医療スタッフや患者さんの心も癒やしたいとの願いを込め、病院隣の緑地公園でイルミネーションを灯すイベントも行われ、
日赤病院通りという名称の道路や、
地下鉄東西線駅や路線バスの結節点となるなど、まちづくりの拠点です。
東北労災病院も同様に、地域に愛され、地域になくてはならない病院です。大切な宝の病院を移転しないでほしいと、多くの市民が署名に願いを託し、何度も何度も陳情・要望活動を行ってきたことは、知事もよく御存じのことでしょう。医療は命を守ると同時に、地域社会を構成する大切な資源として住民とともにあるものと考えますが、御認識を伺います。 四
病院再編構想で、県立病院の果たす役割を県はどう捉えているのか、地域医療をどう充実させようとしているのかが問われています。二〇一九年十二月の
県立がんセンターの
あり方検討会では、
高度先進医療を含む
がん医療機能を維持し、宮城県の責任においてがん医療に特色を持たせることや、
病院研究所機能が持つ高度な機能や
ゲノム医療など、急速に変化が見込まれるがん医療に対応できる形で継続させることが明記されています。改めて、この原点に立ち返るべきです。宮城県自らが責任を持って
がんセンターを運営し、
都道府県がん診療連携拠点病院として、がん医療の発展と患者さんのケアに責任を持つこと、がん医療を後退させないことを強く求めるものですが、いかがですか、お答えください。 先日、会派として、名取市にある
県子ども総合センターと
精神医療センターを訪ね、児童思春期の治療とケアについてお話を伺いました。
子ども総合センターでは、
子どもメンタルクリニックで
児童精神科医による診療を行っています。診療件数は二年連続九千五百件を超え、適応障害に加え、近年は発達障害のお子さんが増加しているのが特徴です。病状が重い子供は
精神医療センターに紹介し、日常的に連携しています。
クリニック事業の評価として、県立であることの信頼感、質の高い医療の提供、
関係医療機関との機能分担などを挙げ、職員の方が生き生きと語られていたのが印象的でした。週四回の
子どもデイケア事業も行い、音楽、軽運動や少
人数プログラムなど、子供と家族への発達と養育をサポートしています。
精神医療センターでは、二名の専門医、看護師、心理士、ケースワーカー、教員など、チームで
児童思春期精神科医療を展開しています。利用する患者の七七%は、県南地域と仙台市です。自殺企図、虐待や複雑な家庭環境に置かれるなど、様々な困難を抱える子供たちを丸ごと受け止めて、病気を診るだけでなく、発達や療育を支える重要な医療を展開しています。
児童思春期精神医療は、診療報酬上の位置づけが低く、専門性を持って子供を診療できる医師が県内には十数人しかいないなど、まだまだ不足していると伺いました。子供の自殺率が過去最大に上り、ケアの必要性はかつてなく高まっています。改めて、
精神医療センターの果たす役割の大きさを痛感しました。現場から「富谷市へ移転してしまうと、今いる子供たちの行き場がなくなってしまうことが一番困る」と率直な声が寄せられました。知事はどうするおつもりですか、お答えください。 私は、十月三十一日の
県精神保健福祉審議会を傍聴しました。審議会での当事者からの意見聴取では、二十代で統合失調症を発症し二十年以上療養生活を送ってきた方が、「入院当時、不眠で心と体が悲鳴を上げ、不安に襲われ、立っていることすらできなかった。薬を飲むことしかできなかった。医師や仲間たちに支えられ作業療法を受け、退院後は五年間のデイケアに通い、やっと日常の中に戻れた。人への信頼が生きることを支える。力を与え生きる勇気になる。今、移転計画が大きなストレスだ。日常やコミュニティーを壊される恐怖心がある。やっと手にした平穏な日常を壊さないでほしい」と訴えられました。患者さんにとっての平穏な日常とは、何年間も暗闇の中にいて膝を抱え震えるような苦しみの中から、やっと抜け出した先の光であり、生きることそのものです。審議委員で当事者の方は、発言の中で「人間を大事にしろ」と強い口調で話し、心からの叫びを訴えられました。
精神医療センターを富谷市に移転することは、こうした多くの患者さんが医師やスタッフとともに大切に紡ぎ上げて、やっと手にした日常と安心して生きることを奪うものです。知事はどう捉えているのですか、お答えください。
障害者権利条約で、「私たちのことを私たち抜きに決めないで」という考え方が明確に示されています。声を聞かず移転ありきで構想に突き進むことは、この条約の理念に反し、障害のある方の平等や幸福追求権、
受療権そのものを脅かす、まさに人権侵害ではありませんか、お答えください。 知事が
東北労災病院と合築する理由として強調しているのが、身体合併症の対応です。
精神医療センターで内科医や総合診療医を常勤配置して、身体疾患への対応を充実させてはいかがでしょうか、伺います。 県内どの地域にお住まいの方も安心の医療を受けられるよう、体制の充実が急がれます。仙南医療圏では、周産期医療の不足が深刻です。医師がいなくて休止している
県南中核病院の産科を早期に復活できるよう、医師体制を確保すべきです。また、富谷市や黒川地域では、公立黒川病院の
救急医療体制を強化すべきではないでしょうか。併せてお答えください。 県は第八次
地域医療計画を策定中で、十二月五日から中間案への
パブリックコメントを行っています。この間、国は
地域医療構想の名での病床削減と、そのための医療機関の機能分化・連携を各都道府県に求めてきました。病床削減を推進するために、
全額国庫負担で出されたお金、
病床再編支援事業は、宮城県では、この三年間に約四億千四百万円に上ります。その原資は国民が納めた消費税ですから、二重三重に国民を苦しめる政策ではありませんか。結局、県の四
病院再編構想は、急性期病床を大幅に削減する国の
地域医療構想を忠実に実施することが、一番の目的になっているのではないでしょうか。
新型コロナ禍で地域医療の脆弱さを体験し、公立病院や公的病院が要となって
民間医療機関とも連携し、県民の命を守ってきたことは、県の担当部局は痛いほど分かっているはずです。であるならば、無理やり病床削減や統廃合を進めるべきではありません。いかがですか、明確にお答えください。 次に、大綱第二点、
マイナンバー制度の問題点と
健康保険証について伺います。
健康保険証と一体化した
マイナンバーカード、いわゆる
マイナ保険証の利用率は、厚労省の調査で、四月の六・三%から十月は四・四九%となり、六か月連続で低下しています。誤ったひもづけや情報漏えいの問題が次々と起こり、国民がこの制度を信頼していないことの現れです。宮城県
民主医療機関連合会が加盟する病院・診療所に行った調査では、オンラインで保険資格を確認するシステムを導入した医療機関の五三・八%でトラブルがあり、
保険者情報が正しく反映されていない、寝たきりや車椅子の方、発熱患者の顔認証ができないなど、医療現場に混乱が起きています。宮城県保険医協会が実施した
県内介護施設への
アンケート調査では、利用者の
マイナンバーカード申請に施設では対応できないとの回答は八一・四%に上り、本人の意思確認ができない、手間・労力がかかり対応できないと答え、管理についても、カードや暗証番号の紛失時の責任が重く、七六・三%が管理できないと答えています。このまま
マイナ保険証の導入を進めれば、医療や介護現場に多大な負担を持ち込むと同時に、県民が安心して医療にかかれなくなります。政府は、二〇二三年補正予算で
マイナ保険証利用促進に八百八十七億円を計上しましたが、
マイナ保険証利用促進よりも、ケア労働者の処遇改善にこそ予算を回すべきではないでしょうか。任意と言いながら事実上義務化し、国民皆保険制度を壊すことはやめるべきです。来年秋の
健康保険証廃止をやめるよう、国に求めるべきです。いかがですか、お答えください。 大綱第三点、
少子化問題解決のための提案と
青年子育て支援充実について伺います。 一人の女性が産む子供の数の指標となる宮城県の
合計特殊出生率は、昨年が一・〇九で、全国で二番目に低くなっています。結婚や出産は、一人一人の自己決定権に基づくものであることは言うまでもありません。その上で、希望する方が希望する
ライフステージを描けるよう、きめ細やかな支援が必要です。私は、若い世代の方々から暮らしの悩みを伺ってきました。「非正規雇用で働き、生活は苦しい。結婚なんてとても考えられない。夢の描き方が分からない」、「六百万円の奨学金を三十九歳まで払い続けている。借金を返すために働いているようなものだ」。子供二人を大学に通わせる子育て世代の方は、「共働きで働いても働いても暮らしはよくならない。全部教育費に回る。なんでこんなに子育てが大変なのか」と話しておられました。少子化の背景には、長年にわたる日本の雇用破壊、異常な高学費による若年層や子育て世代の経済的困難、子育てしにくい社会環境があります。パートナーや家族を持ちたいと願っても、それを阻む大きな壁があるのです。子育てにお金がかかり過ぎること、とりわけ高等教育費の負担の重さを、早急に解決することが必要です。二〇二一年の文部科学省の資料では、大学授業料は国立大学で五十三万六千円、私立大学は平均で九十三万千円となり、五十年間で国立大では五十倍、私立大では十倍も増えています。奨学金の貸与総額は約十兆円に上り、若年層の肩にずっしりとのしかかっています。大学・短大・専門学校、国公私立全ての高等教育無償化をすべきですが、その一歩として、直ちに入学金ゼロ、授業料半額、給付型奨学金の抜本的な拡充を国に求めるべきです。いかがですか、お答えください。 県の施策として、奨学金返還支援制度の創設を決断したことは前進です。全国の都道府県で実施している状況を調べると、奨学金を借りる個人に対する返還支援と、企業による奨学金の代理返還への支援と、大きく二つに分かれます。県は現在、経済商工観光部で奨学金返還を支援する中小企業に対する支援として制度設計中ですが、製造業にとどまらず教育や福祉で働く方も対象とし、多くの青年が活用できる制度にすることを求めますが、いかがですか。また、返還不要の奨学金制度の創設を県として実施すべきです。いかがですか。二点についてお答えください。 兵庫県は八月に、県立大学の授業料無償化案を発表しました。二〇二四年度から順次入学金と授業料の無償化を進め、二〇二六年度の完全実施を目指す内容です。宮城県においても、県立大学の入学金、授業料無償化など、思い切った取組を求めるものです。いかがですか、お答えください。 県内自治体の多くで、十八歳までの子供医療費助成が取り組まれています。県内自治体が懸命に子供医療費無料化を支えているにもかかわらず、県の財政負担は未就学児にとどまり、昨年八月には、県市長会から知事に、子供医療費の地域間格差の解消に関する緊急要望が提出されました。所得制限撤廃と、県の対象年齢の十八歳までの引上げを求める内容です。県の助成対象を広げるべきです。お答えください。 あわせて、県内十の自治体に拡大している学校給食無償化を、県内全ての児童生徒が受けられるよう、県の子育て・教育支援として取り組むべきです。県市議会議長会は、市町村で対応が異なる学校給食の無償化の現状を捉え、格差のない対応と実現に向けての財政措置を、新規要望項目として取りまとめています。県内全ての子供の学校給食無償化の半分を県が支えるための必要額は、五十億円です。一般会計予算の僅か〇・五%あれば実現できます。県は、人口減少社会を見据えたダウンサイジングの議論ばかり進めますが、肝腎の少子化対策があまりにも貧弱です。全国的にも優れた施策を思い切って行い、子育て安心の宮城をつくるべきです。学校給食無償化に踏み出すことを強く求めます。知事、決断すべきです。いかがですか、お答えください。 大綱四点目、物価高騰から暮らしを守る提案についてです。 深刻な物価高騰と燃料代高騰は、県民生活を追い詰めています。十月の仙台市の消費者物価指数を見ると、光熱・水道が前月比五・八%上昇し、生鮮食品を含めた食料は前年同月比一〇・四%増となり、四十七年ぶりに二桁の上昇率です。「スーパーに行ってもネギやトマトなどが高くて、とても手を出せない。もやしと豆腐でしのいだ」という声を伺ってきました。今回の国から県への地方創生臨時交付金総額は四十五億六千万円規模ですから、これでは深刻な燃料代や物価高騰に苦しむ県民と事業者を救えません。国に更なる予算の増額を求めると同時に、県独自の取組が必要です。まず電気代については、東北電力が発表した二〇二三年四月から九月期の連結最終損益は、千五百五十三億円の黒字となり、上期の純利益としては過去最高です。電気代を引き下げて、利益は利用者に還元するよう要請すべきですが、いかがですか。 また、県は昨年まで行ってきた非課税世帯を対象にした福祉灯油制度を低所得者に拡大し、電気代補助などにも使えるよう制度を変えました。使えるメニューが広がるのはいいのですが、問題は予算額が四千八百万円で、昨年と同額で少ないことです。これでは県民に直接届く支援額が少な過ぎます。県独自の上乗せをすべきです。お答えください。 国の交付金額の範囲内で制度設計するのではなく、異常な物価高に苦しむ県民の暮らしを支えるための取組を求めて、第一問といたします。
○議長(高橋伸二君) 知事村井嘉浩君。 〔知事 村井嘉浩君登壇〕
◎知事(村井嘉浩君) ふなやま由美議員の一般質問にお答えいたします。大綱四点ございました。 まず、大綱一点目、四
病院再編構想は撤回し
地域医療充実をとの御質問にお答えいたします。 初めに、県民の願いに向き合うべきとのお尋ねにお答えいたします。 今回の病院再編につきましては、少子高齢化や人口減少が進む中、我が県の将来を見据え、県民に適切な医療を持続的に提供するために必要な取組であるとの考えの下で検討を進めているものであります。病院再編に対しましては、賛成・反対それぞれの立場で様々な御意見がありますが、関係者と協議を進める中で、患者や家族をはじめ、医療・保健・福祉の関係者と意見交換を重ね、その意見をできる限り尊重するよう努めてまいりました。県といたしましては、今回の病院再編が地域医療の課題解決に大きく寄与するものと考えていることから、県民に対する説明を丁寧に行うとともに、引き続き御意見を伺いながら、病院再編の実現に向けて取り組んでまいりたいと考えております。 次に、仙台市の文書に対する発言についての御質問にお答えいたします。 病院再編を進める上では、患者や家族、関係者をはじめ、賛成・反対のそれぞれの立場にある方々の御意見を幅広く伺うとともに、施策の検討段階において、その意見をできる限り尊重するよう努めることが重要であると考えております。御指摘のありました私の発言につきましては、仙台市から提出された文書の内容を踏まえ、反対の立場だけではなく、賛成の立場の方々の意見を幅広く聞くべきであるという趣旨で申し上げたものであります。 次に、大綱二点目、
マイナンバー制度の問題と
健康保険証についての御質問にお答えいたします。 国民健康保険の被保険者証は、国の法改正により来年秋に廃止され、廃止後は
マイナンバーカードによるオンライン資格確認を基本としつつ、オンライン資格確認を受けることができない状況にある方につきましては、資格確認書により被保険者資格を確認することとされております。また、廃止時点で有効な被保険者証は、その時点から最長一年間使用できるとの経過措置が設けられております。
マイナンバーカードの保険証利用について、県では、全国知事会を通じて、国の責任において情報セキュリティー対策を徹底するとともに、制度の意義等について国民及び医療機関への普及啓発を進めることなどを要望しております。 次に、大綱三点目、
少子化問題解決のための提案と
青年子育て支援充実についての御質問のうち、給付型奨学金等の充実についてのお尋ねにお答えいたします。 経済的に困窮する学生に対しましては、国の高等教育修学支援新制度により学費等の支援が行われており、来年度からは新たに多子世帯や私立大学の理学、工学及び農学系等の中間層に対しましても、支援が拡充されることとなっております。全国知事会では、今年の八月に国に提出した提案・要望の中で、国が実施する授業料等の減免や給付型奨学金事業等について、支援対象の拡大や給付額の引上げなど、制度の拡充を求めていたところであります。今後は、全国知事会会長として、これらの要望が早期に実現されるよう、精いっぱい努力してまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。
○議長(高橋伸二君) 総務部長小野寺邦貢君。 〔総務部長 小野寺邦貢君登壇〕
◎総務部長(小野寺邦貢君) 大綱三点目、
少子化問題解決のための提案と
青年子育て支援充実についての御質問のうち、返還不要の奨学金制度の創設についてのお尋ねにお答えいたします。 学生に対する経済的な支援については、地域間格差が生じないよう、まずは国において対応すべきものと考えております。国においては、高等教育修学支援新制度により給付型奨学金制度が設けられており、来年度以降、多子世帯等の中間層にも拡充されることとなっておりますが、支援対象の拡充や給付額の引上げなど、一層の拡充が図られるよう、全国知事会を通じて、引き続き国に強く求めてまいります。 次に、県立大学の授業料等無償化についての御質問にお答えいたします。 公立大学の授業料等の無償化については、兵庫県において、来年度より段階的に、県内在住の学生について入学金と授業料を無償化すると承知しております。宮城大学において入学金及び授業料を完全無償化した場合、年間約十億円の大幅な減収となり、県が交付する運営費交付金で補填する必要が生じますが、県財政の厳しい状況から、対応は難しいものと考えております。学生が、住んでいる地域にかかわらず、希望する教育を等しく受けられるよう、全国知事会では、今年の八月に提出した提案・要望において、修学支援制度の拡充について国に求めたところであり、他の都道府県とも連携しながら、引き続き国に働きかけてまいります。 私からは、以上でございます。
○議長(高橋伸二君)
環境生活部長佐々木均君。 〔
環境生活部長 佐々木 均君登壇〕
◎
環境生活部長(佐々木均君) 大綱四点目、物価高騰から暮らしを守る提案についての御質問のうち、東北電力に対する電気料金引下げ要請についてのお尋ねにお答えいたします。 東北電力に対しましては、これまでも、経営効率化に努め、家庭や企業などの電気料金の負担を軽減するよう求めてきたところです。県といたしましては、東北電力が財務基盤を回復して電力の安定供給を確保するとともに、最大限の経営効率化を進め、利用者の電気料金の抑制に努めるよう、機会のあるごとにお伝えしたいと思います。 私からは、以上でございます。
○議長(高橋伸二君)
保健福祉部長志賀慎治君。 〔
保健福祉部長 志賀慎治君登壇〕
◎
保健福祉部長(志賀慎治君) 大綱一点目、四
病院再編構想は撤回し
地域医療充実をとの御質問のうち、県民への情報提供や説明会の開催についてのお尋ねにお答えいたします。 県では、これまで情報公開条例の規定に基づく不開示情報を除き、県民に対してできる限りの情報提供に努めるとともに、様々な機会を通じて御意見を伺ってまいりました。今月、仙台市太白区八木山周辺及び青葉区台原周辺で説明会を開催し、病院再編の意義などについて説明の上、地域住民との意見交換を行いたいと考えており、引き続き丁寧な対応に努めてまいります。 次に、再編による
救急搬送困難事例への影響についての御質問にお答えいたします。 県といたしましては、今回の病院再編による急性期機能の集約・拠点化により、医療圏全体で
救急医療体制の向上が図られ、再編後において、
救急搬送困難事例にも適切に対応できるものと考えております。なお、高齢化に伴う救急搬送件数の増加に対しましては、医療機関の役割分担や連携強化による円滑な救急受入れ体制の構築が重要であるものと認識しており、県救急医療協議会等の場で専門家の御意見を伺いながら、引き続き対応を検討してまいります。 次に、周産期病院を減らすべきでないとの御質問にお答えいたします。 名取市に整備される新病院は、
仙台赤十字病院に設置されている総合周産
期母子医療センターの機能を引き継ぎ、仙台市を含む全県の周産期医療に対応できる体制の確保を図るとともに、通常分娩における
産科セミオープンシステムにおいても継続することを想定していることから、移転後の周産期医療提供体制における大きな影響はないものと考えております。 次に、医療は住民とともにあるものと考えるがどうかとの御質問にお答えいたします。 仙台市内に医療機関が集中し、病院間の競合が生じている中で、県民に適切な医療を持続的に提供していくためには、病院機能の再編集約・拠点化により、経営基盤の強化を図るとともに、機能を最大限に発揮することが必要だと考えております。県としましては、病院再編の目指す姿や必要性について、地域説明会などで丁寧に説明を行うとともに、移転後における地域医療体制への対応についても、各自治体や病院設置者と検討してまいります。 次に、
県立がんセンターの統合についての御質問にお答えいたします。 名取市に整備予定の新病院では、がん診療連携拠点病院の位置づけを引き継ぐことを想定しており、がん医療の機能については、県内のがん医療の需要や、東北大学病院をはじめとした他のがん医療連携拠点病院等との役割分担・連携の状況により決定するものと考えております。県といたしましては、県全体のがん医療の水準が確保できる体制づくりを見据え、引き続き協議を進めてまいります。 次に、
児童思春期精神科医療についての御質問にお答えいたします。 我が県の
児童思春期精神科医療については、
県立精神医療センターと仙台市内のせんだんホスピタルが、全県を対象に基幹的な役割を担っております。新病院の整備に当たっては、医療需要などの現在の状況を改めて確認の上、施設の使いやすさや将来のニーズを見据え、他の医療機関との役割分担の下で、児童思春期病床を整備してまいりたいと考えております。 次に、
精神医療センターの移転により患者の日常を奪うのではないかとの御質問にお答えいたします。
県立精神医療センターの富谷市への移転については、令和元年度の
あり方検討会議の提言も踏まえ、老朽化した施設の早期建て替えや、
東北労災病院との合築による身体合併症と災害医療への対応能力の向上などを目指して取り組んでいるものであります。患者や家族などの当事者の方々からは、賛成・反対それぞれの御意見を頂いておりますが、引き続き、様々な不安や懸念を払拭できるよう努めてまいります。 次に、
精神医療センターの移転の進め方についての御質問にお答えいたします。
県立精神医療センターの富谷市への移転については、患者や家族をはじめ、関係者の方々との意見交換を重ねるとともに、患者
アンケート調査を実施するなど、当事者の方々の意見をできる限り尊重するよう努めてまいりました。県といたしましては、県議会や
精神保健福祉審議会からの御指摘を踏まえ、丁寧に御意見を伺いながら検討を進めているところであり、障害者基本法や障害者の権利に関する条約に基づき、その考えに沿った対応を行っているものと認識しております。 次に、
精神医療センターの身体合併症への対応についての御質問にお答えいたします。 身体合併症については、生命に関わる緊急の対応を要する事案では、引き続き三次救急医療機関における受入れを想定しております。また、精神障害の方が受傷した場合など、二次救急相当の事案や、精神科救急で対応する患者で身体症状を呈している方については、現在の
県立精神医療センターで受入れが困難な状況ですが、富谷市に移転する新センターにおいては、こうしたケースに適切に対応できるよう検討を進めているところでございます。更に、新センターにおける入院患者が身体疾患にかかったときには、合築する
東北労災病院による迅速・適切な診療対応がなされるものと想定しております。このように、身体合併症への対応は複合的・重層的な診療体制が求められますが、様々な身体要因の鑑別や身体状況への適切な対応を行うためには、複数の診療科の医師・スタッフの体制確保が必要になります。県といたしましては、令和元年度の
あり方検討会議の提言を踏まえ、充実した検査体制等を備えた一般病院との緊密な連携により、高齢化等に伴う身体合併症の増加に対応してまいりたいと考えております。 次に、
県南中核病院の産科体制及び公立黒川病院の
救急医療体制についての御質問にお答えいたします。 みやぎ
県南中核病院の分娩再開に向けた産科医師の確保については、関係自治体からも要望を頂いており、憂慮すべき状況だと認識しておりますが、産科医師の不足は全国的な問題であることから、県ではドクターバンク事業など、様々な取組を通じ、医師体制の確保に努めているところでございます。名取市に整備される新病院においては、
仙台赤十字病院に設置されている総合周産
期母子医療センターの機能を引き継ぐことを想定しており、県としては、周産期医療協議会などの場で御意見を伺いながら、各医療機関との連携により、県内の周産期医療体制が維持されるよう、検討を進めてまいります。また、黒川地域の
救急医療体制について、救急医療を担うためには一定の規模、機能を備えた体制が必要であることから、今回の病院再編により、仙台医療圏北部地域の急性期を担う救急医療の拠点となる病院の整備を進めているものであります。総合診療、地域包括ケアに積極的に取り組む公立黒川病院とは、それぞれの強みを生かしながら、機能分担・連携を通じて急性期から在宅まで切れ目のない地域の医療提供体制を目指していくことについて、地域の
医療関係者からも期待する声を頂いております。 次に、病床削減や統廃合についての御質問にお答えいたします。 県がこれまで進めてきた各医療機関の再編は、
地域医療構想に基づき、二〇二五年における病床の必要量を示しながら、地域の実情に応じて病床機能の適正化を図るものであり、病床削減や統廃合のみを前提としたものではございません。必要とされる病床数は、県内全ての医療圏で急性期病床が過剰となっている一方、回復期が不足していることから、回復期の充実を図り、急性期から在宅医療、介護に至るまでの一連のサービスが切れ目なく適切に提供される体制を構築していく必要があります。県といたしましては、こうした背景も踏まえ、医療機関関係者の御意見も伺いながら、仙台医療圏における病院再編を含め、
地域医療構想の実現に向けた取組を着実に進めてまいります。 次に、大綱三点目、
少子化問題解決のための提案と
青年子育て支援充実についての御質問のうち、福祉分野で働く方を対象とした奨学金返還支援制度についてのお尋ねにお答えいたします。 県では、保育士や介護福祉士等を目指す学生の地元定着を目的とした修学資金貸付け制度等において、対象者が県内に一定期間勤務するなどの要件を満たした場合に、その貸付金の返還を免除する事業により支援を行っております。福祉分野における奨学金返還支援制度については、既存の貸付け制度や関係者の意向を踏まえ、その必要性も含めて検討してまいります。 次に、子ども医療費助成についての御質問にお答えいたします。 我が県では、県から市町村に対する助成対象を、入院・通院ともに就学前までとしており、一部自己負担金を課していないこと、完全現物給付方式を採用していること、政令指定都市への補助率に差を設けていないことを踏まえれば、全国的に見て遜色のない制度だと認識しております。所得制限の撤廃及び対象年齢の引上げについては、新たな負担増を毎年継続していくための恒久的財源が必要になるなど、課題があるものと考えております。県としては、こうした制度は本来、ナショナル・ミニマムとして国が責任を持って整備すべきと考えており、全国一律の制度創設について、引き続き国に要望してまいります。 次に、大綱四点目、物価高騰から暮らしを守る提案についての御質問のうち、生活困窮世帯支援費の上乗せについてのお尋ねにお答えいたします。 物価高騰対策としては、国のデフレ完全脱却のための総合経済対策により、低所得者に対する七万円の給付のほか、電気・ガス・ガソリン・灯油代の激変緩和措置を来年四月まで継続するなど、様々な支援が行われることが決定されております。そのような中、県としましては、低所得者等への更なる支援に取り組む市町村の後押しを行うため、国において創設された物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金を活用し、灯油購入費助成など、市町村が実施する物価高騰対策に要する経費について、補助を実施することにしたものであります。昨年度の決算額は約千七百万円となっておりますが、県といたしましては、市町村が本事業を積極的に活用し、低所得者に対する支援が実現されるよう、周知などに努めてまいります。 私からは、以上でございます。
○議長(高橋伸二君)
教育委員会教育長佐藤靖彦君。 〔
教育委員会教育長 佐藤靖彦君登壇〕
◎
教育委員会教育長(佐藤靖彦君) 大綱三点目、
少子化問題解決のための提案と
青年子育て支援充実についての御質問のうち、教員における奨学金返還支援制度についてのお尋ねにお答えいたします。 教員の奨学金の返還支援については、現在、国において、教師人材確保方策の一環として、過去の返還特別免除制度が廃止された経緯等を考慮し、質の高い教師の確保に資するものとなるよう、検討を進めていると承知しております。県
教育委員会といたしましては、こうした国の動きを注視してまいりたいと考えております。 次に、学校給食無償化についての御質問にお答えいたします。 学校給食は、学校給食法により、実施に必要な施設・設備と運営に関する経費は学校設置者が、食材料費等は児童生徒の保護者が負担するとされており、国がその在り方を示すことが必要と認識しております。現在、国では、こども未来戦略方針を踏まえ、学校給食費の無償化に係る課題や、実態を把握するための調査を行っている状況にあります。県といたしましては、国の調査結果を注視していくとともに、給食費の負担の在り方については、我が県だけでなく、全国の公平性が確保されるよう、法改正等を含めた必要な措置の検討について、引き続き国に働きかけてまいります。 以上でございます。
○議長(高橋伸二君) 一番ふなやま由美君。
◆一番(ふなやま由美君) 御答弁ありがとうございました。再質問いたします。 まず、
精神医療センターの富谷市移転構想に関して、県は、名取市にサテライトをつくる方針を昨日の県議会で明らかにしました。民間公募を取り下げたことは当然ですけれども、八月三十一日に審議会に民間公募案を提案して、僅か三か月余り。あまりにも場当たり的な対応ではないかと指摘をしておきます。 さて、サテライトについてですが、果たして現実的なのでしょうか。専門家の方は、サテライトは新センターの経営を圧迫し、ひいては県の財政負担を増やすものになる。二十四時間三百六十五日の精神科救急を維持するために、現在、
精神医療センターでは当直医二名体制を取っており、既に医業収益に対する人件費率は高いと指摘しています。本院・分院二つに分けて経営的にも人員確保の面でもやっていけると思っているのですか。お答えいただきたいと思います。
○議長(高橋伸二君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) そういう心配は確かにございます。したがって、我々だけではなくて病院、
精神医療センターの院長はじめ関係者の皆様、そして、その道の、東北大学をはじめいろんな専門家の先生方の御指導を頂きながら、しっかりとスキームをつくり上げていきたいと考えております。もちろん財政的な負担をどうするのかということになってまいりますので、その辺はよく慎重に考えていきたいと思っております。
○議長(高橋伸二君) 一番ふなやま由美君。
◆一番(ふなやま由美君) 非常に見込みが甘いのではないかと思うんですね。医師やスタッフ体制確保、現在厳しい現状がありますので、この現状を見ていないのではないでしょうか。
○議長(高橋伸二君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 角藤院長をはじめ関係者の皆様からは、サテライトの形になればやっていけるのではないかというような言葉を頂いております。ただ、具体的に詳細についてはこれから詰めていくということであります。
○議長(高橋伸二君) 一番ふなやま由美君。
◆一番(ふなやま由美君) 名取市へのサテライト建設は結局、県南や仙台医療圏南部の基幹的精神科病院がなくなってしまう、このことを意味しています。また、第一問でお尋ねした
精神医療センターの児童思春期医療について、現場からは、今の子供たちが通うところがなくなると言われています。これ、県はどうするつもりですか。
○議長(高橋伸二君)
保健福祉部長志賀慎治君。
◎
保健福祉部長(志賀慎治君) サテライトは昨日、知事のほうから表明をさせていただいたところでございますが、現状では、児童精神科につきましては、富谷市に整備する新センターのほうで全県的な対応をすることを想定した百七十床といったことで検討してきたところでございます。いずれサテライトの、どういった機能を持たせるか、どういった規模にするか、そういったことを検討を進めて、当然ながら財政面の検証も踏まえながら、そういったことをこれから詰めてまいりますけれども、それによって、医師の確保も含め、児童精神科への対応等についても決まってくるものと思ってございますが、基本的には先ほど申しましたとおり、現状では北の富谷市のほうに移す方向で考えているところでございます。
○議長(高橋伸二君) 一番ふなやま由美君。
◆一番(ふなやま由美君) 富谷市に新センターのところでやるというお話ですけれども、これまで
精神医療センターに通っていらっしゃる患者さん方の一番の不安というのは、とても通えないということなんですよね。これについてどう受け止めているのですか。
○議長(高橋伸二君)
保健福祉部長志賀慎治君。
◎
保健福祉部長(志賀慎治君) 特に県南部にお住まいで現在の
精神医療センターに通っている患者の皆様方からそういった意見を多々受けましたので、いろいろと検討した結果、昨日、サテライトといったことで分院化をすることで一定の県南におけるそういった機能を受け止めるような形での県立センターの在り方を検討するといったことにしたところでございます。また、現状でも北から南に通っておられる患者さんも相当数いらっしゃいますので、そういった方々の全体を見渡した形で、北と南における両センター、これから二病院体制になりますけれども、どういった機能分担、役割分担を図っていくかが必要になってくるかなと思ってございます。
○議長(高橋伸二君) 一番ふなやま由美君。
◆一番(ふなやま由美君) その児童思春期医療全体についての理解がまだまだ足りないのではないかと思うんですね。私も現場に行って先生方に伺ってよく分かったのですけれども、子供たちには医療とともに療育のサポートが必要なのです。それは途切れさせることはできないんですね。成長を支えていかなければならない医療ですから、断ち切ってはならないし、県の
子ども総合センターや児童相談所との連携も大変必要になります。非常に困難を抱え、家庭的な事情も抱えている子供さん、多いわけですから、この点についてどうお考えですか、お答えください。
○議長(高橋伸二君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) しっかりと検討していかなければならないというふうに思っておりますが、一方で、北のほうにお住まいの児童、思春期の子供さん方もたくさんおられるわけであります。そうした方たちも今、南の
精神医療センターに通っておられたり入院をされているわけであります。したがって、我々といたしましては、全体のバランス、全体を考えながらですね、南にいる子供さん方のことだけではなくて、北にいる子供さんのことも考えながら、どのようにすればいいのかをよく考えていくということでございます。
○議長(高橋伸二君) 一番ふなやま由美君。
◆一番(ふなやま由美君) 現場の先生方からは、北部においては民間の精神医療の先生方が大変頑張っていらっしゃると。この分野での児童、子供たちへの支援も拡充していくということも必要だと思います。そして、経営が成り立つかどうかも分からない、こういった計画だと思います。
精神医療センターの建て替えについては、名取市内に応急仮設住宅跡地と
県立がんセンター隣接地、こういう二か所の候補地があるわけですから、これをまっすぐに進めるべきではないでしょうか。お答えいただきたいと思います。
○議長(高橋伸二君)
保健福祉部長志賀慎治君。
◎
保健福祉部長(志賀慎治君) 昨日も同様のお尋ねを頂戴しまして、特に道路向かい側の仮設住宅跡地につきましては、様々な立地の条件、そして道路取付けの関係等から適地ではないといったことをお答え申し上げたところでございます。また、
がんセンターの隣の土地につきましても、以前、地権者の方の同意が得られずに、一度断念した経緯がある土地でもあるということ。そちらについてのその後の状況については改めて確認が必要な状況かと思っていますが、仮に全員の皆さんの同意が得られたとしても、非常に急峻な傾斜を抱えている山林地、山でございます。しかも木がたくさん生えているような土地でございますので、その造成、切土、盛土、伐採等に関する対応等を考えますと、また、文化財もございます。そういったもろもろの行政手続を考えますと、相当の期間を要することがあります。喫緊の建て替えを要しているセンターの移転用地としては、こちらも適切ではないというふうに考えてございます。
○議長(高橋伸二君) 一番ふなやま由美君。
◆一番(ふなやま由美君) いや、その理由づけがよく分からないのですが、やはり慎重に、名取市でどういうふうに建て替えしていくかということを検討してこなかった、このことが今こういう混乱になっているのではないかというふうに思わざるを得ませんので、これは指摘をさせていただきたいと思います。 続いて、移転候補地となっています富谷市の土地に関してなのですけれども、このたび、基本合意前に十四億円で取得しているという明石台の土地についてですが、実は今年の三月三日に、富谷市議会でこんな議論がありました。ある議員が二〇一五年、東北薬科大学に医学部の設置許可が下りた経緯を振り返る中で発言したものです。議事録にはこう書いてあります。「この間、知事から、「東北薬科大が医学部新設に名のりを上げ、県としても全面支援したい。ついては、医学部キャンパス、大学病院用地を富谷市内で検討してほしい」との打診があり、本市と県、東北薬科大、明石台土地区画整理組合の四者が一体となり、実現に向けての準備をしてきた経緯があります」というものです。富谷市議会でこの内容が議論されたことは御存じでしょうか、伺います。
○議長(高橋伸二君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) はい、存じております。
○議長(高橋伸二君) 一番ふなやま由美君。
◆一番(ふなやま由美君) この内容は事実でしょうか。病院移転候補地と同じ土地のことですよね。
○議長(高橋伸二君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 全くのでたらめです。
○議長(高橋伸二君) 一番ふなやま由美君。
◆一番(ふなやま由美君) 富谷市のこの議会での正式な議論の議事録の中身ですので、非常に信憑性が高いのではないかと私は思わざるを得ません。県は富谷市さんから候補地を提示されましたと言っていますけれど、もともと医学部新設用地、ここをめぐっての過去のやりとりがあった。知事は義理を返さないといけないのではないかと判断したのではないですか。
○議長(高橋伸二君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 私も政治家として義理人情というのは非常に大切にしているつもりですけれども、しかし、常識で考えていただきたいのですが、医学部をつくるのに、病院のないところに医学部をつくれるわけがないわけです。ですから、なぜ我々栗原にやったかというと、栗原中央病院があったからですね。病院もない、しかもまだ造成もされていないところに、医学部をつくるなんてことは常識的に考えてあり得るわけがないのです。全くそれは勘違いですね。どういう思いでそういう質問をされたのか、私、直接会って聞きたいぐらいです。どの記録も、富谷の記録も宮城県の記録も、絶対そういう記録はないですね。一〇〇%ないと断言できます。
○議長(高橋伸二君) 一番ふなやま由美君。
◆一番(ふなやま由美君) ぜひ議会の議事録を確認していただきたいと思うのですが、医学部キャンパスと大学病院用地を富谷市内で検討してほしいという、そういう質問をされていたようです。ただ、こういった経緯ですよね、富谷市における、例えば十四億円の基本合意も定まっていないというか決まっていないうちに、土地だけ取得してしまうと。議会に諮ってしまうということについては、やはり富谷市ありきと言わざるを得ないのではないかと思うのです。土地の活用が先にあって、今いる患者さんや家族の命や暮らし、働く人の生活も何ひとつ考えない、こんな無謀な計画に、私は一片の道理もないと思います。四
病院再編構想はきっぱりと白紙にして、よりよい医療提供にこそ県はまっすぐに取り組むことを求めて、質問を終わります。
○議長(高橋伸二君) 五十六番中島源陽君。 〔五十六番 中島源陽君登壇〕
◆五十六番(中島源陽君) 平成十五年の初当選以来、本当にいろいろなことがあった二十年でありましたが、本日再び一般質問の壇上に立たせていただくことの責任の重さもかみしめつつ、それぞれの現場で頂いた多くの皆様の思いを込めて、以降質問に入らせていただきます。 知事が政治家として公約に何を掲げるのかは、もちろん自由であります。しかし、そのことを政策として県政施策に位置づけ、実現しようとすれば、知事自身が策定した新・宮城の将来ビジョンの理念や基本姿勢とのそごが生じないよう、整合性を図っていくことは欠かせないと思います。まずはこの点に関しての知事の所見をお聞きします。 今般の四病院の統合・合築の問題は、もちろん医療政策の問題でありますが、県政の在り方そのものの問題でもあると思っています。これまでのプロセスや現時点における状況を踏まえると、私も幾つかの点で疑問や懸念を感じています。まず一つ目は、新・宮城の将来ビジョンに位置づけている、衆知を集めた県政推進にかなっているのかどうかという視点であります。今回の取組の起点は、令和元年にまとめられた、宮城
県立がんセンターの今後のあり方に関する報告書と宮城
県立精神医療センターの今後のあり方に関する報告書であると思います。その後、令和二年八月より、労働者健康安全機構、日本赤十字社、宮城県立病院機構、東北大学病院、東北大学大学院医学系研究科、そして宮城県が入っての協議の場が持たれ、令和三年九月に、県より具体論としての四病院の統合・合築が公表され、実質的な準備作業が始められてきました。私が問いたいのは、この起点となる報告書をまとめる際に、そして、この報告書から四病院統合・合築の具体論に移る際に、当該病院に通院や入院している患者や患者家族の声はどう反映されたのかという点であります。衆知を集めた県政にかなっているのかという視点での所見を伺います。 また、県行政の基本姿勢の中では合理的根拠に基づく政策形成とされています。極めて重要な視点であり、政策形成においては不可欠な要素と考えます。合理的の意味するところは理論的、道理にかなっている様子と示されています。つまり、誰もが納得できる状態とも言えるのではないでしょうか。しかしながら、今般の四病院の統合・合築の問題は、当該病院に通院または入院している方々、そうした患者の関係者、当該病院の周辺の方々、精神科を持つ病院関係者など、様々な組織、団体、個人からの反対や懸念の声が発せられています。こうした事実があるということだけでも、これまで統合・合築の理由として説明してきたことが、合理的根拠に値するのかという点で疑問符をつけられているのではないでしょうか。知事の所見をお伺いします。 十一月二十八日、会派勉強会として四病院の統合・合築に関して説明を頂き、質疑をさせていただきました。私は特に経営という視点で、あまりに脆弱ではないのかという印象を持ちました。理論上、比較優位な選択肢であったとしても、経営論を抜きにしては語れないと思います。今回、現構想のとおり、四病院統合・合築となれば、救急医療、災害医療、精神医療における身体合併症など、個別の医療課題は改善される可能性はあると思いますが、病院の立地が変わることで、仙台市民の利用は減少するなど、患者需要も大きく変わることになると思います。このような状況を踏まえたときに、持続可能な病院経営がどのように成り立つのか、現時点までの開示された情報では判断することはできません。まず県としての四病院統合・合築における持続可能な病院経営についての基本的な考え方をお伺いします。 具体的には
がんセンターと民間病院が統合した場合、現時点においてどちらに統合されるのか決まっていないとのことでしたが、いずれにしても、現在の政策医療としての運営費負担金と民間病院の医業利益の赤字を、病院経営としてどのように改善していくのかという点は欠かせない視点であります。現時点における統合した病院経営の持続可能性について、どのような見通しを持っているのか、お示しください。 更に、民間病院との合築によって、
精神医療センターにおいては、身体合併症に対する医療提供環境は確かに改善するのかもしれませんが、民間病院側の運営や経営に対してはむしろ負荷がかかるのではないか、移転したセンターにおいては、
医療スタッフの確保が難しくなるのではないかなど、様々な懸念もあります。こちらの組合せにおいても、センターは運営費負担金があり、民間総合病院は医業利益が赤字となっていることなどを踏まえた上で、持続可能な病院経営を描くという視点は欠かせません。現時点において、合築した場合のそれぞれの病院経営の持続可能性をどのように捉えているのか、お伺いします。 当たり前のように、スーパーにお米や野菜があり、コンビニにもお弁当やおにぎりがある日本、しかし、本当に当たり前なのでしょうか。この当たり前と思われてきた現象は、実は相当に危機的な状況の上に辛うじて成り立っているにすぎないのだと思います。不透明な国際情勢が世界的な食料供給や穀物流通を不安定化させていること、地球規模での温暖化による環境変化や、大規模自然災害の激甚化など、残念ながら食料安全保障を語るにはあまりに悲観的な要因に満ちた現状となっています。 本県でも、そうした世界的な外的要因と、経営環境の厳しさや農業担い手の高齢化や減少などの内的要因の影響を受け、農林業センサスの調査によれば、平成二十二年の農業経営体数は五万七百四十一経営体であったのが、令和二年では三万五経営体と十年で四一%の減少となっています。一方、荒廃農地面積は、平成二十三年で二千六百七ヘクタールであったのが、令和三年では六千百三十二ヘクタールと、十年で二・三倍に増加しています。 近年、スイスが食料安全保障に関しての国民投票を行って、憲法に食料安全保障に関する項目を位置づけました。先日、NHK特集番組で放映された中で、農家が国より支払われる交付金の原資となる税金を、私たちは国に支払っているのではなく、私たち自身のために支払っているという趣旨のスイス国民の言葉が印象に残りました。このことは、スイスでは農業者だけが食料生産の維持を議論したのではなく、生産者や消費者を含めた多様な人々が食料安全保障に関して議論を積み重ね、多くの国民がその議論に関心を持ち、見守ったからこその成果のあらわれなどだと思います。 本県では食と農に関しては、みやぎ食と農の県民条例基本計画に基づいた施策が進められています。ここ数年で国際情勢の不安定化と気候変動等による世界的な食料や飼料の流通環境の激変を踏まえ、みやぎ食と農の県民条例基本計画の中に県版食料安全保障戦略を位置づけ、県民全体として食料安全保障に対する意識醸成を図り、持続可能な農業と安定的な食料確保につなげていくべきと考えます。知事の所見を伺います。 日本人の供給カロリーは、お米が二一%と最も多くの割合を占めています。しかしながら、そのお米の生産現場もまた持続可能性が大きく揺らいでいます。そうした中で、十一月二十二日、大崎市において第七回となるササ王決定戦が行われました。全国より八十数点の応募があり、当日は第一次審査を通過したトップテンによる決定戦でした。トップテンに入り、会場に来ていた農家の皆さんの笑顔に、今後のお米の持続可能性を感じてきました。そして、ササ王のお米は銀座三越において一キロ千円ほどで販売されるとのことであり、まさに意欲と経営を両立させている好事例と思います。食料安全保障の前提はもちろん農業経営が成り立っていることでありますが、その根幹をなすのは経営者の意欲そのものであると思います。私はこうした不透明な時代がゆえに、稲作農家の意欲をかき立てる仕組みが欠かせないと思っています。自分が育てたお米がどこに行ってどのように食べられて、どのような評価を受けているのか、という評価の見える化は、意欲を高める上で極めて大切ではないかと考えています。宮城のお米の評価の見える化について知事の所見を伺います。 お米に次ぐカロリー供給元は畜産物でありますが、十一月十四日、十五日と県総合家畜市場に行き、和牛子牛の競りを見てきました。雄で生後十か月三百キロ以上であっても、競り場担当者の、「それでは三十万円からお願いします」の声があって、二、三秒後には、「ないか」との声が続き、そして、「それでは二十五万円から」といってようやく電光ボードの競り値が動き出すという場面を何度も見ました。市場内では、餌は高いし、子牛は安い、もう何とかしてくれという悲痛の声を何人もの畜産農家から頂きました。結果、市場開設三日間全体の平均は五十三万円で、前年同月比十四万円のマイナスとなり、極めて厳しい相場でした。ましてや、配合飼料が以前はトン当たり五万円台であったものが今では十万円を超えています。まずは畜産経営を維持していくためには、配合飼料購入への支援継続は欠かせないと考えます。追加補正予算に組み込まれましたが、改めて所見を伺います。 また、十一月十九日付日本農業新聞の一面で、「物価高 縮む牛肉市場 上半期出回り「過去五年で最低」」との見出しがあり、牛肉の消費が苦戦していることが報じられていました。この消費の減が低迷価格の最大要因となっています。こうした状況だからこそもう一度、仙台牛戦略を練り直す機会にしていくべきと考えます。現在では、八ないし九割が仙台牛の認定を受けるまでの肥育技術を確立している本県であり、世界が日本の和牛に注目している時代でもあります。前任期に視察した神戸ビーフは、A五は欧米向け、A四、A三はアジア向けと、それぞれの食文化に合うように振り向けられ、そして、地元での提供店をしっかりと確保しており、ニーズに合わせた神戸ビーフの提供システムがしっかりと構築されていることを実感してきました。特にそうした仕組みを開拓し運用している人材の蓄積と人脈の厚さが他の銘柄牛を圧倒しているのだと思いました。本県としても、仙台牛に係る人材の育成と人脈の強化を図り、持続可能な和牛経営につなげていくべきと考えますが、その意気込みと具体策を伺います。 先般、SBIグループと台湾の半導体製造大手PSMCが出資するJSMCの新工場が、本県大衡村にある仙台北部第二工業団地内に建設されることとなり、県も十二月一日、半導体産業振興室を開設しました。投資総額が八千億円とも言われ、二〇二七年稼働の予定で、産業や雇用、移住・定住にも大きな影響を与える可能性があります。当面振興室では、行政手続やインフラ整備などを支援するとされていますが、極めて大きなインパクトを持つ企業進出でありますので、今想定している支援の枠組みは、日々拡大していくのではないかと思います。県内産業への波及効果を目指す視点でのおおさき産業推進機構など、地域産業組織との連携、東北という視点での産業連携や物流の加速等を推進する、石巻-酒田間高規格道路の整備促進に連動させること、外国人労働者の日本語学習の環境整備、工場勤務者の医療の確保、観光との連携、移住・定住の促進など、様々な展開の可能性があります。今後多面的な視点での取組が必要と考えますが、知事の所見を伺います。 十一月三日、大崎市文化の日表彰式の受賞者代表挨拶の中で、百歳二週間と、幸福寿命という言葉が心に残りました。百歳二週間は百歳まで元気に楽しく過ごして、二週間だけはいろいろなお世話も受けて、そして天寿を全うしましょうという考え方で、また、幸福寿命は、生きがいを持って楽しく毎日を過ごすことで、幸福を実感できる生き方をしましょうという考え方であると理解してきました。まさに現代日本においては、高齢化をデメリットではなく、メリットにしていくことが極めて重要なのだと思いました。以前、平均寿命と健康寿命を調べた際に、県内では大河原町がその差が最も小さいことを知り、その要因を調査したことがありました。大河原町は子供時代の虫歯の本数が少ないこと、地域福祉の活動として多くの高齢者が参加する機会が多いことの特徴を確認することはできましたが、明確な理由を見いだすことはできませんでした。長寿と幸福に関する仮説を立て、その仮説を立証するための調査を行い、要因分析を行った上で、明確な根拠を持って、百歳二週間と幸福寿命を広めていけるようにすべきと考えますが、所見を伺います。 また、十一月二十五日、塩竈市において宮城県聴覚障害者福祉大会が開催されました。その中の大会決議で聴覚障害を持つ人が高齢になったときに、それまでと同じように、手話で会話ができる福祉環境の整備について取り上げられていました。以前、協会の役員をしていた方が高齢となり、本県ではそうした環境が十分ではないということで、一家で北海道の施設に引っ越していった事例を聞いたことがあります。聴覚に障害を持っていたとしても、幸福寿命百歳を県内で全うできる福祉環境を整備していくことは、県としての責務であると考えますが所見を伺います。 文部科学省の発表によれば、令和四年度の全国の小中学校で年間三十日を超えて学校に登校していない児童生徒数が二十九万九千四十八人となり、前年度より五万四千百八人、二二・一%の増加とのことであります。そのうち約四割の子供たちが学校内外で相談や指導を受けていないことも報告されています。まずは、それぞれに本県の実態について伺います。 先日、気仙沼市内で開催された学校に登校していない子供の保護者が集まる親の会が開催されました。気仙沼市では早くから官民連携ということで、気仙沼市教育支援センターと民間のフリースペースつなぎが連携して親の会を開催してきました。私も何度も親の会に参加させていただき、まずは、保護者の心が安らいで、前向きになっていることが大切であるということを学ばせていただきました。今後、親の会がいろいろな形で開催され、学校に登校していない子供とその保護者が孤立しないよう、こうした官民連携のモデルを県内にもっと横展開していくべきと考えます。以前、私の一般質問でも同趣旨の質問をしたことがありましたが、その後の取組状況と今後の展開方針についてお聞きいたします。 県内のフリースクール等の団体が加盟している「多様な学びを共につくる・みやぎネットワーク」で、十二月四日までの二週間、ネット上での「みやぎ六千人不登校子どもアンケート」を行いました。そのアンケート結果の中で、学校に行っていないときの居場所について、約半数の子供たちが自宅となっていました。このことはイコールではありませんが、やはり支援の仕組みにつながっていない子供たちが多いことを表しているのではないかと思いました。本県では令和三年に策定された新・宮城の将来ビジョンに、社会全体で支える宮城の子ども・子育てを新たに加えました。このことの意味は極めて大きく、本県の将来を担う子供たちの育ちの環境、学びの環境をしっかりと社会全体で支えるという目標であり、学校に登校していない全ての子供たちとその保護者を社会の支援の仕組みにつなげていくことは、教育行政のみならず、県政全体の課題でもあります。これまで様々な対応と施策を行ってはきましたが、改めて、支援の仕組みにつながっていない子供たちをゼロにするという目標を掲げ、いま一段取組のギアを上げる必要があると思います。国もこうした孤立を防ぐ取組のモデル事業を来年度展開するともお聞きします。本県としても早速にその事業を活用することも含め、学校に登校していない子供やその保護者が社会の支援システムとつながる仕組みづくりを官民連携のもとに推進すべきと考えますが、知事及び教育長の所見を伺います。 この項の最後にもう一点、先ほど紹介したみやぎ六千人不登校子どもアンケートの学校に行っていないときの居場所についての約半数は、自宅でしたが、その次は約三〇%がフリースクール等であります。更に子供たちがフリースクールをどのように思っているのかという設問では、「いろいろな体験ができる」「友達ができた」「安心できる」「スタッフと良い関係ができた」「自分を認めてくれる」などの項目が高い評価を得ています。明らかに県内のフリースクールは学校に登校していない子供たちの居場所として、学びの場として大きな役割を果たしていることは紛れもない事実であります。本県として、社会全体で支える宮城の子ども・子育てを掲げ、また、みやぎ子ども・子育て県民条例において多様な学びを位置づけられたことを踏まえれば、国の施策をひたすらに待つのではなく、宮城県こそが先頭に立って、多様な学びを支えるフリースクール等を支援する制度、及びフリースクール等に通う子供の家庭を支援する制度を創設するべきと考えます。改めて知事及び教育長の所見を求めます。 最後に、私の地元にある岩出山高校では、三年前より魅力化委員会を立ち上げて、地域の方、現役の高校生、学校の先生が、年に数回、ワークショップ方式での話合いを重ねてきて、年々、高校生自身からの自主的な提案が増えてきました。令和五年度は学校文化祭のPRをするための仮装行列を二十数年ぶりに復活、西大崎秋祭りでのそば打ち試食提供、大崎バルーンフェスティバルへの出店、政宗公祭りでのパレード参加などなど、岩出山高校生は岩出山地域にとって欠かせない存在になっています。このように、高校生時代に地域との接点を持ち、何らかの感動や思い出を持つことは、心の中に大きな地域という種を持つことでもあると思います。もちろん、それぞれに進学や就職をしていきますが、その種はいつの日か芽が出て花が咲くことを私は信じています。岩出山高校魅力化委員会でのフラットに話し合うということが、様々なやりたいことの提案とその実現につながってきたのだと思います。全ての高校生が地域という種を心の中に大切にしまっておくことは、宮城県の未来に向けた大きな財産であり、何よりも本人にとっても、大切な宝になるものと思います。全県下の高校でも、地域という種を生み出すような魅力化推進の取組を展開していくべきと思いますが、教育長の所見を伺います。 以上、壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
○議長(高橋伸二君) 知事村井嘉浩君。 〔知事 村井嘉浩君登壇〕
◎知事(村井嘉浩君) 中島源陽議員の一般質問にお答えいたします。大綱六点ございました。 まず、大綱一点目、四病院統合・合築に係る課題についての御質問にお答えいたします。 初めに、公約の実現と新・宮城の将来ビジョンの基本姿勢などとの整合性についてのお尋ねにお答えいたします。 公約を県の施策として実現していくためには、ビジョンに掲げる理念や基本姿勢と整合性を図っていくことが重要であると認識をしております。このような認識の下、民の力を生かした県行政運営や、時代の変化に対応する行財政運営などの基本姿勢に基づいて、公約に掲げた施策を推し進めているところであります。引き続き、県民や県議会の声にしっかりと耳を傾けるとともに、丁寧な説明に努め、皆様の御理解を頂きながら、衆知を集めて民の力を最大限に生かした県政運営を図ってまいります。 次に、統合・合築の理由が合理的根拠に値するのかとの御質問にお答えいたします。 今回の病院再編につきましては、仙台医療圏を中心に、県全体の地域医療の現状及び将来を見据え、病院機能の集約拠点化を図ることにより、政策医療の課題解決と持続可能な医療提供体制の構築を目指すものであり、県としては合理的根拠に基づくものと考えております。なお、患者や家族、地域住民などから反対や懸念の声があることにつきましては、様々な理由や背景があり、その事実だけをもって合理性の判断を下すことは難しいと思われますが、病院移転に伴う対応策の検討や地域住民への説明会の開催など、不安や懸念を払拭できるよう引き続き真摯に取り組んでまいります。 次に、大綱二点目、県版食料安全保障についての御質問のうち、持続可能な農業と安定的な食料確保についてのお尋ねにお答えいたします。 平成十二年に議員提案で制定されたみやぎ食と農の県民条例では、将来の世界的な食料危機を見据え、長期的な食料供給と農業生産体制構築の努力が不可欠として、安全で安心な食料の安定供給や農業の持続的発展など四つの目標が掲げられております。県ではこの実現に向け、令和三年に第三期みやぎ食と農の県民条例基本計画を策定し、農地の大区画化や水田フル活用による麦類、大豆、飼料作物の産地づくりなどに取り組んできたところであります。現在、国で見直しが行われている食料・農業・農村基本法では、平時からの国民一人一人の食料安全保障の確立などを基本理念に掲げることとしており、昨年十二月に決定された食料安全保障強化政策大綱では、海外依存度の高い小麦、大豆などの生産拡大や、食品の適正な価格形成、国民理解の醸成などを重点対策として位置づけております。県といたしましては、引き続き、食料安全保障に関する国の動向を注視しながら、食料の安定供給と農業の持続的発展、県民の理解醸成に向け、しっかりと取り組んでまいります。 次に、大綱三点目、産業振興の基盤整備についての御質問にお答えいたします。 我が県への立地が決定したJSMCの半導体新工場は、約八千億円とかつてない大規模な投資額となることに加え、後工程をはじめとする関連産業の加速的な集積が期待されるところであり、県内産業に極めて大きな好影響をもたらすものと認識しております。このため、副知事をトップとする庁内横断の検討チームを設置し、新工場の建設・操業に向けたインフラ整備や人材の確保、台湾から来日される社員と御家族の生活環境支援などに取り組むこととしており、今月一日には、そのワンストップ窓口として半導体産業振興室を新設したところであります。今後は、当室を中心に、半導体産業の振興についても検討してまいりますが、その過程において、大学や関係機関等との連携や、高度技術人材の確保・育成、物流ネットワークの拡充、台湾との観光・文化交流の促進など、様々な視点から、新工場の進出の波及効果を最大限に高められるよう、議論を積み重ねてまいりたいと考えております。 次に、大綱五点目、多様な学びの保障についての御質問にお答えいたします。 初めに、学校に登校していない子供や保護者が社会の支援システムとつながる仕組みづくりを推進すべきとのお尋ねにお答えをいたします。 学校に登校していない要因や背景は多様化・複雑化していることから、学校や教育関係者のみならず、社会全体で理解を深め、相談や指導を受ける機会を持てるよう支援していくことが必要であると考えております。新・宮城の将来ビジョンにおいては、社会全体で支える宮城の子ども・子育てを新たに柱の一つとして位置づけ、児童生徒一人一人の状況や本人の希望を踏まえ、様々な関係機関等との連携を図りながら、社会や人とのつながりを大事にした効果的な支援を行うこととしております。県といたしましては、庁内の関係部局と
教育委員会が連携しながら、学校に登校していない子供やその保護者に対する官民連携による支援の在り方について検討してまいります。 次に、フリースクール等やその家庭に対する支援制度を創設すべきとの御質問にお答えいたします。 学校に登校していない子供の支援につきましては、市町村に設置されている教育支援センター等の学校以外の多様な学びの場を充実させ、相互に連携して取り組むことが重要であると認識しております。県といたしましてはこれまでも、みやぎ子どもの心のケアハウス運営支援事業、児童生徒支援ネットワーク事業等において、個々の児童生徒の状況に応じた必要な支援を行ってきたところであります。フリースクール等やその家庭に対する支援につきましては、全国知事会等を通じて要望しているところであり、全国知事会会長としても、引き続き国に働きかけてまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。
○議長(高橋伸二君)
保健福祉部長志賀慎治君。 〔
保健福祉部長 志賀慎治君登壇〕
◎
保健福祉部長(志賀慎治君) 大綱一点目、四病院統合・合築に係る課題についての御質問のうち、患者や家族の声の反映についてのお尋ねにお答えいたします。 令和元年度に
県立がんセンターと
県立精神医療センターの在り方検討会議を開催した際には、有識者の委員のほか、事務局として病院職員が参加しており、建物の老朽化に対する不安など、患者や家族の声も踏まえた検討が行われたものと認識しております。また、令和三年九月に県の方向性を示し、病院再編の協議を開始したところですが、協議を進める中で、患者や家族をはじめ、医療・保健・福祉の関係者と意見交換を重ねており、様々な御意見を伺いながら施策の検討を行っているところでございます。県といたしましては、衆知を集めた県政を心がけ、様々な立場の方々からの御意見を踏まえて検討を重ねながら、病院再編の実現に向けて取り組んでまいりたいと考えております。 次に、持続可能な病院経営の基本的な考え方についての御質問にお答えいたします。 今回の病院再編では、急性期病院の再配置と機能の集約化を図り、経営基盤の強化や新病院が機能を最大限に発揮することで、政策医療の課題解決に貢献する持続可能な病院の実現を目指しております。現在、それぞれの移転候補地の医療需要を調査の上、経営収支のデータ分析など、病院経営の視点も含め、関係者と協議を進めているところであり、
仙台赤十字病院と
県立がんセンターの統合後の新病院については、従来からの強みであるがん医療や周産期医療をはじめとした診療内容の充実により、経営基盤の安定化を図ることで、持続的な病院経営が可能となるよう検討しております。また、
東北労災病院と
県立精神医療センターの移転合築については、施設や医療機器の共有によりコスト削減を図るほか、新たな
東北労災病院では、地域ニーズを踏まえた診療内容の充実など、経営基盤の強化に向けた検討を進めているところです。なお、新たな
精神医療センターについては、県南部にサテライトを設置する場合の費用等も考慮の上、経営収支の試算を行い、対応を検討してまいります。 次に、大綱四点目、幸福寿命の延伸についての御質問のうち、幸福寿命を広めていくべきとのお尋ねにお答えいたします。 誰もが幸福感を感じながら楽しく生きがいに満ちた生活を送っていくという幸福寿命の考え方については、大変重要であると認識しております。そのため県では、市町村が実施する通いの場づくりや、住民主体の地域づくりなどが円滑に進むよう、アドバイザーの派遣を行うほか、元気な高齢者による地域リーダーの育成にも努めながら、高齢者が活躍できる活動の場づくりに取り組んでいるところでございます。御指摘のありました調査については、東北大学の研究によると、長寿と生きがいの因果関係が一定程度認められており、社会参加の重要性や、生きがいのある方がない方に比べて長生きすることが報告されております。県といたしましては、引き続き、学識経験者による研究成果などの情報収集に努めながら、高齢者が生き生きと活躍する社会づくりを目指し、長寿と生きがいの関連性の普及啓発も含め、高齢者福祉施策を推進してまいります。 次に、聴覚障害者が幸福寿命を全うできる福祉環境の整備についての御質問にお答えいたします。 先月開催された宮城県聴覚障害者福祉大会では、デイサービス等の介護施設において、手話で話せる環境をつくることが決議されるなど、聴覚障害のある方が年齢にかかわらず、情報取得や意思疎通を図ることのできる環境整備が必要と認識しております。県では令和三年に手話言語条例を制定し、聴覚障害者が暮らしやすい地域社会の実現のため、相談・情報提供施設である「みみサポみやぎ」を拠点として、手話通訳者の養成・派遣や、聴覚障害者とのコミュニケーションを学ぶ出前講座などを実施しており、介護現場における手話対応としても活用していただけるものとなっております。県といたしましては、引き続き聴覚障害のある方が生涯を通じて安心して生活できるよう、地域で支える体制づくりや情報保障のための環境整備に取り組んでまいります。 私からは、以上でございます。
○議長(高橋伸二君) 農政部長橋本和博君。 〔農政部長 橋本和博君登壇〕
◎農政部長(橋本和博君) 大綱二点目、県版食料安全保障についての御質問のうち、宮城のお米の評価の見える化についてのお尋ねにお答えいたします。 我が県農業の基幹作物である米の消費量が減少する中で、稲作農家が生産意欲を維持しながら営農していくためには、自らが生産した米の評価を知ることは非常に重要であると認識をしております。そのため県では、これまで生産者等が自ら行う販売促進活動に対して補助金を交付するみやぎ米販売促進活動支援事業や、みやぎの環境にやさしい農産物PR販売会など、生産者が実需者や消費者の評価を直接受けられる取組を支援しながら、生産意欲の向上を図ってきたところです。これらの取組を通じて販路開拓につなげた事例もあり、評価の見える化は、とりわけ生産意欲を高める仕組みであると考えております。県といたしましては、引き続き生産者等が行う販売促進活動や消費者から直接評価を受けられる取組を支援するとともに、実需者や消費者の声を直接聞くことができる機会の一層の拡大に努めることで、生産者の意欲と県産米の評価を高め、持続可能な稲作を推進してまいります。 次に、配合飼料購入への支援継続についての御質問にお答えいたします。 配合飼料価格については、昨年度の第二・四半期をピークに低下傾向にあるものの、依然として高い水準で推移しており、畜産経営に深刻な影響を及ぼしているものと認識しております。このような中、国では配合飼料価格安定制度を拡充し、緊急補填制度を設け、畜産経営の継続に向けた支援を行っております。また県では、昨年度から、国の配合飼料価格安定制度では補い切れない飼料購入費の一部について支援しており、今年度は第三・四半期まで、一トン当たり四千三百円を上限とした助成を行ってまいりましたが、第四・四半期まで支援を継続するため、本定例会に補正予算を提案することとしております。県といたしましては、今後も配合飼料等の生産資材価格が高止まりし、厳しい経営状況が続くと見込まれることから、畜産経営が継続できるよう、引き続き国に対し支援を要望してまいります。 次に、我が県における持続可能な和牛経営についての御質問にお答えいたします。 持続可能な和牛生産に向けては、銘柄の確立が重要であります。神戸ビーフの流通推進協議会には、生産者団体だけでなく、流通や消費者団体も加わり、実需者の意見も反映しながら、販売戦略が立てられた結果、現在のような世界的認知度のあるブランドに成長したと伺っており、我が県としても大いに学ぶべき点であると認識しております。一方、仙台牛では、全国有数の生産頭数や高い技術力などのすぐれた生産基盤が強みとなっているほか、肥育や繁殖農家の若手担い手組織が、脂肪の質に着目した仙台牛の新たな価値創造に取り組んでおります。県といたしましては、今後、こうした取組を仙台牛の販売に生かせるよう、仙台牛銘柄推進協議会や流通業者、小売店など、関係する多くの方々の知恵を結集しながら、仙台牛のブランド価値の向上にしっかり取り組むことで、持続可能な和牛経営の確立につなげてまいります。 私からは、以上でございます。
○議長(高橋伸二君) 教育委員会教育長佐藤靖彦君。 〔教育委員会教育長 佐藤靖彦君登壇〕
◎教育委員会教育長(佐藤靖彦君) 大綱五点目、多様な学びの保障についての御質問のうち、学校に登校していない児童生徒の我が県の実態についてのお尋ねにお答えいたします。 令和四年度児童生徒問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査によると、県内の小中学校で年間三十日を超えて学校に登校していない児童生徒数は六千百八十八人で、前年度より九百七十人、一八・六%増加しております。また、学校内外で相談や指導を受けていない児童生徒数につきましては、都道府県別の数値は公表されておりませんが、県独自の調査では、仙台市を除いた県内全公立小中学校において、他機関との連携による支援を受けていない児童生徒の割合は約三割となっております。 次に、学校に登校していない子供の保護者の集まりの取組状況等についての御質問にお答えいたします。 県教育委員会では、令和四年度より、県内全ての圏域において、フリースクール等民間施設と連携・協力し、学校に登校していない子供の保護者や支援者の情報交換会を開催しております。今年度は全体で十四回開催予定であり、教育支援センターや民間施設の情報提供、県事業の紹介、保護者同士の情報交換等を行っております。参加した保護者からは、「知らなかった情報を知ることができた」「同じような思いをしている方がいると分かっただけで、心が軽くなった」「将来が不安だったが、少し前向きに子供に向き合えるような気持ちになった」という感想が多くありました。引き続き、より多くの保護者が参加できるよう、民間施設等と連携し、保護者のニーズに応じた在り方について検討してまいります。 次に、学校に登校していない子供やその保護者が、社会の支援システムとつながる仕組みづくりを推進すべきとの御質問にお答えいたします。 学校に登校していない子供やその保護者が、日常的に相談や支援を受ける機会を確保することは重要であると認識しております。県教育委員会では、学校に登校していない子供やその保護者を中心に据えた支援が図られるよう、今年二月に、学校以外の場で学ぶ児童生徒を支援するための連携に関するガイドラインを策定し、官民学の連携を推進しているところです。また、各教育事務所に地域ネットワークセンターを設置し、市町村の福祉部局をはじめとする関係機関や、フリースクール等の民間施設関係者とともに、望ましい官民学の連携の在り方について情報交換を行っているところです。県教育委員会といたしましては、地域ネットワークセンターも効果的に活用しながら、三十三市町村に設置されている教育支援センター等の公的な施設や、フリースクール等の民間施設とが相互理解に基づいて連携し、児童生徒のよりよい学習支援や自立支援を共に進めていけるよう、庁内関係部局と連携しながら、市町村教育委員会を支援してまいります。 次に、フリースクール等やその家庭に対する支援制度を創設すべきとの御質問にお答えいたします。 学校に登校していない子供の支援については、個々の児童生徒の状況に応じた多様な教育機会を提供することが重要であり、フリースクール等民間施設もその役割を担っていると認識しております。県教育委員会では、市町村の実情に応じた支援ができるよう、みやぎ子どもの心のケアハウス運営支援事業において、市町村教育委員会が任用した教育支援センターの支援員を、フリースクール等民間施設に派遣し、学校に登校していない子供の状況に応じた支援を可能としているほか、教育支援センターの機能を民間団体に委託可能とするなど、柔軟な運用に努めております。今後も地域の実情に応じて、市町村教育委員会がフリースクール等民間施設と連携し、児童生徒の社会的自立を図ることができるよう支援していくとともに、児童生徒の活動費や交通費等の支援について、引き続き国へ要望してまいります。 次に、大綱六点目、高等学校の魅力化についての御質問にお答えいたします。 各県立高校では、生まれ育った地域を愛し、将来の地域づくりを担うために必要な資質・能力の育成を目指し、地域パートナーシップ会議等を通じて、産業界と連携を深めながら、地域活性化のための商品開発や地元自治体やNPOの協力の下、SDGsの観点から、地域の課題解決に向けた探求活動など、地域に根差した教育活動を行っているところです。岩出山高校では、生徒、教職員、地域関係者が一体となって、学校の魅力づくりについて話合いが進められるとともに、生徒が主体となって地域を盛り上げる行事等を企画・運営することにより、地域に愛される学校づくりが行われております。このことにより、生徒の自己有用感や社会参画意識の醸成が図られ、生徒の学校に対する満足度の向上や思い出づくりにもつながっているところです。県教育委員会といたしましては、岩出山高校の優れた取組をはじめとする各高校の好事例を学校間で共有するなど、特色ある教育活動を推進するとともに、生徒一人一人が、地域や郷土に愛着を感じることができるよう、地域と協働した県立高校の魅力化に積極的に取り組んでまいります。 以上でございます。
○議長(高橋伸二君) 五十六番中島源陽君。
◆五十六番(中島源陽君) 答弁ありがとうございました。 最後のほうから再質問させていただきますが、今、子供たちのフリースクールや親、保護者への支援ということで、知事からも教育長からも、国へ要望していくという御回答でございました。ただ全国で調べるだけでも、神奈川県、群馬県、福岡県などなど、幾つかの都道府県、市町村にあってはかなりの数が、独自の仕組みをつくって支援をモデル的にまたは、挑戦的に取り組んでいるところです。やはり、国に要望するという立場であるとすれば、我が県ではこうやっているんだと、こういう成果があるんだと、こういう問題点もあるけどこういうふうに解決できるんだというような、根拠をきっちり示して国に要望していかないと国が変わらないのではないかと。そういう意味で県自身が-他県も、もう数県やっているわけですから、やはりそこはまずモデル的でもいいという判断をまず一段進めて取り組んでみるという決断はできませんか、いかがですか。
○議長(高橋伸二君) 教育委員会教育長佐藤靖彦君。
◎教育委員会教育長(佐藤靖彦君) 県教育委員会では、現在、どこにいても誰かとつながっているということをコンセプトにいたしまして、学校に登校するという結果のみを目標にするのではなくて、児童生徒が自らの進路を主体的に捉え、社会的に自立することを目指した児童生徒一人一人の状況に応じた必要な支援となるような取組を進めてきているというところでございます。その中で、県
教育委員会では、市町村
教育委員会、教育支援センター等の公的機関、学校、フリースクール等の民間施設、それから団体が相互に連携しながら、そういった児童生徒を支援するための体制づくりというのを進めているところでございます。そうした中で、様々県としても支援を行っているというところでございます。そういった取組も、国のほうにも理解をしていただきながら、様々な支援について引き続き要望してまいりたいというふうに考えてございます。
○議長(高橋伸二君) 五十六番中島源陽君。
◆五十六番(中島源陽君) これは何度も言うように、教育行政だけの問題ではないんですよ。ビジョンにわざわざ四つ目の柱で、県政として子ども・子育てを支援するんだというふうに位置づけたことは、すごく大きいと思いますよ。このことをやはり、国に要望するということだけの答弁を繰り返すっていうのは、私は納得できないんですよ。知事どうですか。
○議長(高橋伸二君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 詳しくは教育長が述べたわけでありますけれども、大きなことをお話ししますと、恐らく一期生の方は初めてこの話を聞かれた方が多いと思うのですけれども、以前は割と県のほうは、フリースクールについては、やや距離を置いて、そして、学校に行ってもらう、学校に行くように行くようにいざなうと、不登校をなくしていくということのほうに力を入れるんだというような姿勢をずっと貫いていたのですけれども、県議会のほうから、そうではなくて、フリースクールという、そういうものを最大限有効に活用して、要は子供たちを孤立させないように、社会に適応できるようにするということを、そこに主眼を置くべきではないかという、そういうふうに指導を頂いて、なるほどなということで方向を変えてきたということでございます。そこで、先ほど言ったように、みやぎの子どもの心のケアハウス運営支援事業であったり、児童生徒支援ネットワーク事業、こういったようなことをやっていって、そして
教育委員会任せではなくて、知事部局も協力をしながら、保健福祉部が中心となってサポートさせてきていただいているということでございます。ただ、やはりかなり財源が必要になってくるのも事実でございますので、私が言ったのは全部国に丸投げしろということではなくて、そういう趣旨に基づいて、県としてもできる限り、大きくなってからひきこもりといったようなことにならないように、社会でしっかり適応できる、そして、しっかりと社会の役に立てるような人材を育てていくんだと、そういうつもりでフリースクールを一生懸命応援してまいりたいなというふうに思っております。具体的な施策については、先ほど教育長がお話ししたので省略させていただきたいと思います。
○議長(高橋伸二君) 五十六番中島源陽君。
◆五十六番(中島源陽君) ぜひ、先ほど約六千人のうち三割がつながっていないということもあります。そういう意味では、やはり現場のフリースクールの中での子供たちのあの姿を見たときに、あの場所が確保されていることの意味がどれだけあるのかということを、やはり心にしっかり踏まえていただきたいということを申し上げておきたいと思います。 もう一つ上の項目で長寿に関しての東北大の調査研究のお話がありました。私が求めたいのは、県自身が主体的にそのことを研究する、調査する、そのプロセス自体が、県全体にそうしたことの大切さを浸透させていくことにつながるんですよ。ただほかのデータを持ってきてこうですという、それだけではさっと流れるんですよ。やはり自分たち自身がどうなのかということを、市町村と一緒に調査研究してこそ本当の意味をなしていくのだと思うんです。その辺いかがですか。
○議長(高橋伸二君)
保健福祉部長志賀慎治君。
◎
保健福祉部長(志賀慎治君) 調査の手法等を具体的に検討していくとしますと、例えば対象の方はある程度限定した上で一定の期間を追いかけていくような、追跡調査できることが必要になるのかなといったことも意見として出てまいりました。また、その方の母数をどれだけそろえて云々といったことを様々検討していくというのが、やはり御指摘ありましたとおり、身近な自治体であります市町村との、まずもって認識共有と、その下での具体的な検討が必要になるかなというふうに思ってございます。そういったことも含めて、学識経験者の方がこういった手法で、こういった形で、こういった内容の調査結果が出ているといったようなこと、そういったことをある程度情報収集をした上で、根拠立てた上で、我々としてどういった調査の取組ができるか、こういった形のものを検討していくのかなといったプロセスが今のところ重要ではないかなというふうに考えてございます。
○議長(高橋伸二君) 五十六番中島源陽君。
◆五十六番(中島源陽君) 結論から言うとやるかやらないかということなので、県としてやってほしいということだけ再度申し上げておきたいと思います。 あと、もう一つ戻りまして、産業振興の基盤の関係で一つ、まだ八千億円という数字だけはよく出てきますけれども、新工場のこの規模感というものはどんなふうに捉えているのか、そこだけ一点お伺いします。
○議長(高橋伸二君)
経済商工観光部長梶村和秀君。
◎
経済商工観光部長(梶村和秀君) 工場の建設規模でございますけれども、まさに今調整を行っているところでございまして、月間、四万枚のウエハーを生産するということで、それに対して従業員が最盛期には千二百人が働くような工場を今後、第一期、第二期として整備していくということで、今それを詰めているところでございます。
○議長(高橋伸二君) 五十六番中島源陽君。
◆五十六番(中島源陽君) 今後の展開のことと、あとは工場がどのようにできていくのかという部分と両面があるということで、今、規模感をお伺いしましたけども、その都度、今後いろんな情報を適宜発していただきたいなというふうに思います。 あと、農業関係のお話の中では、昨日のニュースの中でも農林水産省の有識者会議で、緊急事態を想定した場合のいろいろなお話がニュースで流れていました。しかしながら、本来は、そうならないようにするためにどうするのかということが一番大事であって、そのことを何ていうんでしょうか、理解していくためには、スイスの例を出しましたけれども、農業者だけが生産をということではなくて、県民全体でこのことの重要性を理解する必要があると思っていますが、その点の認識だけもう一度お伺いします。
○議長(高橋伸二君) 農政部長橋本和博君。
◎農政部長(橋本和博君) 今回の食料安全保障の議論は、国際情勢に起因して実際に食料は高騰してしまっているという中で、今後国としてどういうふうにしていくかというふうな議論が始まったところでございます。先ほど知事から答弁させていただいた中身は、もう既に実は、みやぎ食と農の県民条例の中には、将来のこういった世界的な食料危機を見据えて、取組をしていきましょうと。その中では、県民への安全で安心な食料の安定的な供給をまずできるような取組をしていきましょうということで始まっていますので、そのためには、県民の方々に県内でどういうふうな農業生産が行われていて、というところも理解をしてもらわなければならないのですけれども、実際部内でいろいろ検討した中で、なかなか今までのレベルから一つレベルが上がっていて、食料安全保障、意識醸成というふうな取組をこれまでやっていないということなので、今後は、そこのところも検討を進めていくことが必要だと考えております。ただ、これについては国家的な議論も必要なので、国のほうで進めるものと、あと県のほうの、みやぎ食と農の県民条例に基づいて考えていくところと並行で進めていきたいというふうに考えているところでございます。
○議長(高橋伸二君) 五十六番中島源陽君。
◆五十六番(中島源陽君) 最後に、四病院統合・合築に関して一点だけお伺いします。 私、民主主義はプロセスが極めて大事だと、もうプロセスそのものが民主主義ではないかと思うぐらいでありますけれども、そうしたときに、衆知を集める県政というのは、まさに民主主義のプロセスそのものだと思うのです。しかしながら、必ずここはかみ合わないわけですよね。我々は、ちょっとそこは不十分じゃないと言えば、いややっていますという、この水掛け論のような感じをずっと私も感じるのですけれども、でも、何ていうんでしょうかね、一旦、本当に今までのこのプロセスでよかったのかということは、私、知事だけではなくて皆さんに問いたいんですよ。これは県全体が問われている。知事だけが問われているのではないというふうに私は思っています。いかがでしょうか。
○議長(高橋伸二君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 最終的な意思決定者であり、そして責任者は私でありますので、当然私の最終的な責任ということにはなりますけれども、ただここに至るまで、みんなで知恵を出し合って進めてまいりましたので、そういう御批判があるとするならば、やはり県庁全体で受け止めるべきであろうというふうには思います。
○議長(高橋伸二君) 暫時休憩いたします。 午後零時休憩
----------------------------------- 午後一時再開
○副議長(本木忠一君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 質疑、質問を継続いたします。十五番大池康一君。 〔十五番 大池康一君登壇〕
◆十五番(大池康一君) 公明党県議団の大池康一です。このたび、宮城野区から初当選いたしました。議長のお許しを頂きましたので、大綱六点について質問をさせていただきます。 大綱一点目は、中小企業等の賃上げについて伺います。 二〇二三年民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況によると、賃上げ率は三・六%で、ベースアップ要求が復活した二〇一四年以降、初めて三%台を記録し大企業を中心に賃上げが進んでいます。本年三月、八年ぶりに開催された政労使会議が四月の春闘に好影響を与えたと評価されています。また、十一月十五日には、岸田総理出席のもと、二〇二四年春季労使交渉に向けて、政労使の意見交換が行われるなど持続的な賃上げの環境づくりに動いています。政労使が一堂に会して議論することは有意義であり、本県においても、九月二十一日、第十一回宮城働き方改革推進等政労使協議会が開催され、宮城労働局を中心に、働き方改革を進める上での事例や課題の解決が紹介されるなど、政労使による協議が行われました。この地方版政労使会議は、労働施策総合推進法に根拠を持ち、働き方改革など地方公共団体や労使を交えて話し合うことを目的に設置されていますが、先日の衆議院内閣委員会で、公明党の庄子賢一衆議院議員から、地方及び中小企業にも賃上げを波及させていくべきとの観点から、地方版政労使会議の活用が提案されました。答弁に立った宮崎厚生労働副大臣から、今後、賃上げも重要なテーマであり、地方版政労使会議で議論が進むよう国からも働きかけていきたいとありました。次回以降、本県で開催される政労使会議において、働き方改革だけでなく、中小企業等の賃上げについても議題にすべきと考えますが、御所見を伺います。 次に、本年二月の定例会で、公明党県議団の横山のぼる議員から、賃上げと価格転嫁の相関関係を指摘しつつ、中小企業が円滑に価格転嫁を行うための施策について質問しました。本県では、五月二十二日、価格転嫁の円滑化に関する協定の締結を行い、パートナーシップ構築宣言の促進へ取組が始まっています。物価上昇の影響を受ける中小企業にとって、円滑な価格転嫁は重要な課題です。協定は、成長と分配の好循環を実現し、中小企業の賃上げにつなげていくとの意義も込められています。協定締結からおよそ半年がたちますが、どのような好事例があるか、また、宣言企業が中小企業等再起支援事業や中小企業等デジタル化支援事業など、県の支援策の利用に結びついているのか、伺います。公明党は国において、中小企業等の賃上げ応援トータルプランを策定し、今年度末に期限となる賃上げ促進税制の延長や、赤字等でも賃上げに取り組む企業に対して、控除し切れなかった金額を翌年度以降へ繰越して認める措置の創設など、政府に提言しています。今後一層、国と連動しながら、県としても賃上げが進むよう、独自の支援策を検討すべきと考えますが、御所見を伺います。 大綱二点目は、がん対策について伺います。 がんは、昭和五十六年より死因の第一位であり、推計で生涯のうち約二人に一人が罹患する国民病と呼ばれています。本年三月、国が策定した第四期がん対策推進基本計画では、第三期基本計画の構成であるがん予防、がん医療の充実及びがんとの共生の三本柱を維持しつつ、「誰一人取り残さないがん対策を推進し、全ての国民とがんの克服を目指す」との全体目標が提示されました。また、十五歳から三十九歳のAYA世代と呼ばれる若年世代のがん対策についても指針の一つに挙げられています。AYA世代は学業、就職、結婚、出産など様々なライフイベントが集中する時期でもあり、治療と両立することは本人や家族にとって大きな負担です。本県のがん罹患に関するデータによると、若年世代では男性より女性の罹患者が多く、症例では子宮頸がん、乳がんなどが上位に挙げられます。そのため、昨年四月より厚生労働省が勧奨を再開したHPVワクチンの定期接種は、子宮頸がん等の予防の観点からも重要と考えています。本県における、令和五年三月時点で三回接種が完了した対象者は、接種率五・一%、市町村と連携しながら周知・啓発を進めていると思いますが、伸び悩んでいるのが現状です。今後、更なる接種率の向上に向けて、対策を伺います。また、HPVワクチンは、接種勧奨を差し控えていた期間に、接種が受けられなかった人に対して、キャッチアップ接種が実施されています。公費接種の対象期間は令和六年度中ですが、令和五年三月時点で、本県における三回接種完了者の接種率は三・一%になっています。国が今年一月から二月に行った
アンケート調査によると、対象者の五三%がキャッチアップ接種を知らないと回答するなど、周知が進んでいません。HPVワクチンは、ワクチンの種類や接種時の年齢により、二回または三回の接種が推奨され、期限内に接種が完了しない場合は自己負担になります。茨城県では、十月末に県内の市町村に対して、接種未完了者へ個別に情報提供を行うよう通知を行っています。本県においても、対象者が知らなかったため接種ができなかったとならないよう、市町村に対して同様の通知をすべきと考えますが、今後の方針について伺います。 次に、がん医療の充実の観点から、先進的な治療法である重粒子線治療について伺います。 治療期間が比較的短く、仕事や日常生活を続けながら外来通院が可能であり、現在は前立腺がん、膵臓がんなどが保険診療の対象になっています。また、乳がんや腎臓がんの臨床試験が実施されるなど、今後より多くの症例が対象になることも期待されます。隣県の山形県に国内で七か所目、山形大学医学部東日本重粒子センターが整備され、本年二月、重粒子線がん治療の可能性をテーマに、仙台市で公開セミナーが開催されるなど、県を超えた活用も議論されています。実際に佐賀県鳥栖市にある九州国際重粒子線がん治療センターの利用者実績は、福岡県が五二%と半分を超え、熊本県や鹿児島県など九州の各県や山口県からも利用されています。福岡県では、がん先進医療を受ける患者の経済的な負担を軽減するため、重粒子線治療にかかる費用の融資を受けた患者本人やその家族等に対して、利子の一部を助成する事業も行っています。平成二十七年十一月定例会で村井知事は「山形大学医学部に設置される重粒子線治療装置は、東北全体で広域的に利用されるものと考えている」と答弁しています。がん先進医療については、BNCTホウ素中性子捕捉療法という新しい医療技術の研究も進んでいますが、今後、県民の命を守るがん治療の選択肢が広がるよう、患者への情報提供や県外の外来通院に交通費を助成するなど、県として新たな支援の仕組みを検討すべきと考えますが、御所見を伺います。 大綱三点目は、四病院の再編について伺います。 四
病院再編構想については、
県立がんセンターと
県立精神医療センター、そして、地域医療支援病院と総合周産
期母子医療センターの役割を担う
仙台赤十字病院、同じく地域医療支援病院の役割を果たす
東北労災病院による大規模な病院再編となりますが、それに伴い、地域医療ネットワークも再編成が強いられます。人口減少や少子高齢化など、将来を見据え、限られた医療資源を適正に再分配し、誰もが等しく医療提供を受けられる体制は必要と認識しています。しかし、入院・通院している患者と、医師・看護師など医療従事者の関係性が切り離され、一定の混乱と痛みが伴うことも事実だと思います。公明党県議団としては、四病院二拠点化構想については、拙速、強引な進め方は認められない。地域医療の課題や病院再編の必要性について、県民に丁寧に説明するとともに、専門家の意見をはじめ、既存病院の立地自治体、患者・家族、病院職員、地元住民の声を重く受け止め、不安の解消と地域医療の確保に向けた具体的な対策を講じることを一貫して求めてまいりました。そこで伺います。令和五年二月二十日付けで交わされた
仙台赤十字病院と宮城
県立がんセンターの統合に向けた協議確認書及び
東北労災病院と宮城
県立精神医療センターの移転・合築に向けた協議確認書では、令和五年度内の基本合意との記載がありますが、県民の理解が進んでいない状況で、基本合意を急ぐのは拙速・強引との批判は免れません。現時点で、まだ一度も説明会を開いていないことや、
精神保健福祉審議会の賛同が得られていないことなどを踏まえれば、年度内に基本合意を締結するのは現実的ではないと考えますが、御所見を伺います。 また、令和四年九月十三日付け、仙台市長から県知事宛てに提示された仙台医療圏の四病院再編案における諸課題の中で、「県は、仮に市内二病院が移転した場合の患者や地域住民等に生じる影響の分析、評価を明らかにすべきである」に対して、県の回答は「病院移転後に通院が困難になる患者については、各病院が他医療機関へ紹介するなど、基本的には仙台市内の病院でカバーできると考えている」としていますが、二〇一九年の統計で、
仙台赤十字病院は太白区にある診療所百六十八のうち百六十三が病診連携登録医療機関になっています。地域医療ネットワークの中心であり、青葉区においては
東北労災病院も同様です。病院移転後に通院が困難となる患者について、仙台市内の病院でカバーできるとする具体的な根拠をお示しください。あわせて、
仙台赤十字病院や
東北労災病院側がどのように考えているのか、お示しください。 大綱四点目は、ケアラー支援について伺います。 高齢化が進む日本で、家族介護者は全国で約六百五十三万人と、国民のおよそ二十人に一人と推計されています。また、介護をしながら働く人は三百六十五万人、介護を理由に仕事を辞めざるを得ない介護離職者は、昨年十万六千人に上り、五年前の調査と比べても七千人増加しています。先日、岸田総理が介護離職の防止に向け、次期通常国会で法改正案の提出を閣僚に指示するなど、国も対策の強化に動き出しています。課題としてあるのが、介護休業の活用が進んでいない点です。働きながら介護をする人には、通算で三か月休める介護休業や時間単位で休みを取れる介護休暇がありますが、実際に介護休業を取得したのは、一・六%にとどまっています。また、厚生労働省が二〇二一年に行った調査で、介護休業等を利用する当事者がどのような支援策を望んでいるか、複数回答の結果、支援制度に関する個別の周知が五五・一%、相談窓口の設置が三三・七%で、制度が十分に知られていない実態がうかがえます。本県においても、当事者及び企業等に周知・徹底すると同時に、県独自の専用相談窓口の設置も必要と考えますが、御所見を伺います。 次に、小中高生など十八歳未満が家族の介護を行うヤングケアラー、十八歳以上から三十代の若者ケアラーの問題も顕在化しています。ヤングケアラーについては、本県として令和四年十一、十二月に実施された小学生・中高生の生活実態に関する
アンケート調査で、仙台市を除く小中高生の十三人に一人と結果が出ています。市町村や関係機関の職員、教員や児童・生徒に対して研修などを行っている成果として、ヤングケアラーの定義や言葉の周知は着実に進んでいます。今後は、ケアラー本人が課題や悩みを相談できる体制の構築が重要と考えます。現在、県は仙台市と共同で、NPO法人アスイクへの委託事業として、SNSを活用した相談窓口オンラインサロンや、ケアラー経験者と懇談するオンラインイベントを開催するなど対策を進めています。その上で、先日、ケアラー支援団体よしてよせての会の奥村代表に協力していただき、ヤングケアラーなど当事者及び経験者との意見交換を開催した際に、参加者から「日常の介護で自由な時間が限られるため、申込み制の相談イベントは参加が難しく、例えば毎週決まった曜日に、Zoom等の出入り自由な相談体制があれば、好きな時間に立ち寄れてうれしい」との声もありました。今後も相談事業のノウハウがあるNPO等など民間機関との連携を進めながら、みやぎ子ども・子育て相談事業など、LINE相談窓口と連動するなど、ケアラー当事者の悩みが行政に届く体制を検討すべきと考えますが、御所見を伺います。 また、ケアラーのメンタルケアを行うケアラー外来も注目されています。特に、若年世代のケアラーは、精神的なストレスはもちろん、自分の将来について不安を抱えながら介護を続けていますが、要介護者が亡くなったり施設に入るなど、ケアが終わった後、社会から孤立してしまうケースもあると指摘されています。ケアラーのための診療科と呼ばれるケアラー外来の導入に向け、医療機関や専門家と連携しながら整備することも重要と考えますが、御所見を伺います。 大綱五点目は、多様な教育機会の確保について伺います。 文部科学省が発表したCOCOLOプランでは、誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策をテーマに、一人一人のニーズに合わせた多様な学びの機会を提供していくことが重要としています。中でも、小中学校においては、例えば同級生と人間関係で悩んだり、集団での学習が得意ではないなど、登校はできるが教室で授業を受けることが難しい児童を支援するため、スペシャルサポートルームと呼ばれる校内教育支援センターの設置・充実が求められています。令和五年二月現在、全国の市区町村において、全ての学校に校内教育支援センターを設置している自治体は二百二十八、一部の学校に設置している自治体は千十五で、四割以上の自治体では未設置の状況です。本県では、学び支援教室支援事業として、令和五年度は二十四市町村三十八校で実施され、加配教員の配置を支援するなど取組を進めています。スペシャルサポートルームは、在籍する学級の授業をオンラインで視聴したり、支援教員などが学習をサポートするなど、学校内の居場所づくりとして重要な役割を果たしています。学習環境の整備や人員の確保など課題もありますが、文部科学省とも連携しながら、更なる設置及び充実に向けて取組を進めるべきと考えますが、今後の方針について伺います。 次に、二〇一七年に施行された教育機会確保法では、不登校により勉強の機会を失ってしまった児童・生徒に対して学校への登校を強制せず、それぞれの子供に合った学習環境を保障することが明記されています。不登校児を支援していくことはもちろん、その子供たちを支える親・家族へのサポートも重要と考えます。不登校を経験した子供を持つ保護者に対し、NPO法人登校拒否・不登校を考える全国ネットワークが二〇二二年十月、十一月に行ったアンケートの結果では、半数以上の親が「不登校の原因が自分にあるかもと自分を責めた」「孤独感・孤立感を感じた」と回答。四人に一人は「家族との関係が悪くなった」と答え、精神面で親の負担も大きくなっていることが分かります。逆にアンケートでは、不登校児の親が助けになったと感じた相談先として、学校や行政の窓口よりも、不登校児の親が相互交流する親の会や、フリースクールを挙げています。その意味でも、フリースクールなど学びの機会は、悩みを抱える親同士の助けにもつながっていることがうかがえます。近年、全国各地の自治体でフリースクールを支援する仕組みが広がっており、また、東京都のようにフリースクールに通う子供の実態調査を行うことを目的に、各家庭への直接支援も始まっています。本県においても、多様な学びの機会を確保し、不登校児の親や家庭を支えるとの観点からも、フリースクールへの支援に取り組むべきと考えますが、御所見を伺います。 また、本年二月に宮城県
教育委員会が作成した、学校以外の場で学ぶ児童生徒を支援するための連携に関するガイドラインについて、県では悩みを抱える児童生徒等を支援するため、スクールカウンセラーや教育支援センター等へ相談ができますが、その相談方法が面談と電話に限られています。ある不登校児の保護者から、直接足を運ぶのは大変なため電話で相談したいと思っているが、可能であれば相手の顔を見ながら相談したいため、オンライン面談を行ってほしいとの意見がありました。面談・電話と併せて、オンライン面談を導入すべきと考えますが、今後の方針を伺います。 大綱六点目は、SNSを活用した広報について伺います。 現在、エックス、旧ツイッター、フェイスブック、インスタグラム、ユーチューブなど世代を問わずSNSの利用が定着し、他の自治体においても活用が進んでいます。特にエックスについては、東京都百十万、茨城県十九万、隣県の山形県も十四万を超えるフォロワーを獲得するなど、発信を強化しています。本県も、各SNSアカウントを通じて、宮城の魅力を県内外に紹介するなど、工夫しながら運用を進めておりますが、より多くの方に支持されるアカウントを目指して取り組むべきと考えます。県公式アカウントは、県内各地で開催されるイベント、企画及びキャンペーンの告知、県内の特産品や名産品、行政からのお知らせや知事の活動など、宮城に関するあらゆる情報を取り上げるべきと考えます。そのためには、情報が発信の担当部署に集約される仕組みが必要です。県として、情報の一元化に向けた体制の整備を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。また、アカウントの信頼度を高めるために公式の認証登録も必要と考えます。今後の方針について伺います。 次に、本来SNSはソーシャルネットワークサービスと呼ばれるように、相互にコミュニケーションを図りながら、お互いの発信力を高めていくことを目的にしています。本県の公式アカウントが発信する目的は、宮城の魅力を紹介し、多くの方に宮城のよさを知ってもらうことであり、そのためには、宮城をテーマに発信する他アカウントとも積極的に交流を図っていくべきと考えます。例えば、南三陸の魅力や復興に向けて発信する南三陸さんさん商店街、大学の研究成果や学生の活躍などを紹介する宮城大学など、同様のアカウントは多数存在します。それらと連動することで、一緒に宮城を盛り上げていくとの機運を高めることにもつながります。そのためには、担当者のスキルアップ研修を行うことや、専門家のアドバイスをもらいながら、定期的に運用状況を検証することも重要と考えます。御所見を伺います。 情報洪水、情報過多と言われる時代において、政治・行政が発信力を高めるには、発信の媒体が選ばれる魅力ある存在に成長する必要があります。また、特に若い世代が宮城に関心を持ち、選ばれる地域になっていくためにも、長期的な視野に立ったSNSの活用は重要な取組と考えます。今後のデジタルを活用した情報発信の強化について、御所見を伺います。 以上、大綱六点について質問させていただきました。今後も先輩議員の皆様に御指導を頂きながら、県政の発展のため取り組んでまいります。御清聴、ありがとうございました。
○副議長(本木忠一君) 知事村井嘉浩君。 〔知事 村井嘉浩君登壇〕
◎知事(村井嘉浩君) 大池康一議員の一般質問にお答えいたします。大綱六点ございました。 まず、大綱一点目、中小企業等の賃上げについての御質問にお答えいたします。 初めに、宮城働き方改革推進等政労使協議会についてのお尋ねにお答えいたします。 宮城働き方改革推進等政労使協議会は、行政機関、使用者団体、労働者団体、金融機関などを構成員として、働き方改革推進に係る機運醸成、情報共有などを目的に国によって設置されており、平成二十七年度以来、おおむね年一回開催され、県も構成員として参画しております。今年度は九月二十一日に開催され、働き方改革に関する相談事例として、中小企業におけるDX・デジタル化導入事案、運送業における時間外労働の上限規制への対応などが紹介されるとともに、労働者団体からは、価格転嫁など企業間取引の適正化や、過重労働防止に向けた健康確保措置等について意見が出されたところであります。協議会は、県内の政労使団体が一堂に会する貴重な機会であり、中小企業の賃上げは全国的にも喫緊の課題であることから、今後、適切な時期の開催及び賃上げを議題に加えることについて、協議会事務局である宮城労働局へ働きかけてまいります。 次に、中小企業の賃上げに向けた県独自の支援策についての御質問にお答えいたします。 中小企業が厳しい経営環境の中で賃上げに取り組むためには、適切な価格転嫁とともに、新しいサービスや商品の開発、販路開拓や生産性の向上などを通じた、経営基盤強化の取組が重要であると考えております。このため、県では、これまでも新型コロナウイルス感染症の拡大や、原油価格・物価高騰の影響により業績が悪化し、厳しい経営状況に置かれております中小企業が早期の再起を図るために、中小企業等再起支援事業を実施してきたところであり、令和二年度は二千九百三件、令和三年度は七百三十八件、昨年度は千百九十三件と、過去三年間で約五千件の中小企業に活用いただいているところであります。今年度も、千件を超える申請を頂いたところであり、中小企業等再起支援事業が県内中小企業の経営基盤の強化につながっているものと認識しております。県としては、今後も国の経済対策と歩調を合わせ、中小企業再起支援事業のような効果的な事業の継続を含め、中小企業の声を聞きながら、経営基盤の強化と賃上げにつながる支援策の検討を進めてまいります。 次に、大綱三点目、四病院の再編についての御質問のうち、基本合意についてのお尋ねにお答えいたします。 今回の病院再編については、我が県の将来を見据え、政策医療の課題解決を図り、県民に適切な医療を持続的に提供するために必要な取組だと考えており、老朽化が進む施設の早期建て替えのためにも、できる限り早く実現する必要があると考えております。現在、関係者と協議を進めているところでありますが、地域への説明会の開催などにより、県民の理解醸成を図るとともに、
県立精神医療センターの移転に伴う対応策として、サテライト案の検討を進めるなど、患者や家族、関係者の方々などの不安や懸念を払拭できるように努め、年度内の基本合意の締結を目指してまいります。 次に、大綱六点目、SNSを活用した広報についての御質問のうち、デジタルを活用した情報発信の強化についてのお尋ねにお答えいたします。 県では、デジタル化の進展に伴い、県政だよりやラジオといった従来の広報媒体に加え、フェイスブック、エックス、インスタグラムなどのSNSを活用した情報発信に順次取り組んできたところであります。特に若い世代に向けては、宮城の認知度向上や具体の行動変容につなげるため、観光・食・歴史・文化等、我が県が持つ様々な魅力を各種SNSで発信し、宮城のファン獲得に努めているところであります。デジタルを活用した情報発信の手法は、時代とともに進化が予想されることから、今後も利用者のニーズや属性などに応じて最適な媒体を活用し、効果的な情報発信に努めてまいります。また、デジタル身分証アプリを活用した新たな広報について、現在検討を行っており、アプリの普及と併せ、早期の実現に向けて取り組んでまいります。 私からは、以上でございます。
○副議長(本木忠一君) 総務部長小野寺邦貢君。 〔総務部長 小野寺邦貢君登壇〕
◎総務部長(小野寺邦貢君) 大綱六点目、SNSを活用した広報についての御質問のうち、情報発信を集約する体制の整備についてのお尋ねにお答えいたします。 県では、これまでも広報課において、県政だよりやラジオのほか、フェイスブックやエックスといったSNSなどを活用した情報発信を集約して行っており、これらの媒体の特色を生かしながら、目的に応じて総合的に活用しております。SNSの有用性がますます高まる中、県のSNSアカウントをより多くの方々に支持していただくためには、利用者にとって有益で興味・関心の高い情報を継続的に発信していくことが重要と認識しております。今後とも、より伝わる広報を目指し、職員の意識啓発を図りながら、全庁的な情報発信体制の強化に努めてまいります。また、公式認証については、認証取得による効果等を見極めながら、その必要性について検討してまいります。 次に、担当者のスキルアップ研修や、専門家のアドバイスを受けた定期的な運用状況の検証についての御質問にお答えいたします。 自治体広報において、SNSは今や不可欠なツールとなっており、我が県でも、SNSを活用して、県政情報や宮城の魅力を幅広く発信しているところです。SNSの活用については、これまでも県及び市町村の職員を対象とした広報研修の中で重点的に取上げてまいりましたが、拡散力や双方向性、アカウント連携など、SNSの特性を職員が十分に理解し、効果的に運用していくことが重要であると認識しております。今後は、外部の専門家の知見を取り入れながら、定期的に運用状況を検証し、県広報の更なるレベルアップに努めてまいります。 私からは、以上でございます。
○副議長(本木忠一君)
保健福祉部長志賀慎治君。 〔
保健福祉部長 志賀慎治君登壇〕
◎
保健福祉部長(志賀慎治君) 大綱二点目、がん対策についての御質問のうち、HPVワクチンの定期接種についてのお尋ねにお答えいたします。 HPVワクチン接種は、子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルスの感染を予防する効果があるとされており、昨年四月から定期接種の積極的勧奨が再開されました。これに伴い、県では市町村に対して、対象者への個別勧奨の推進や接種体制の整備について情報提供や助言等を行ってまいりました。また、予防接種の実施主体である市町村においては、国が作成したリーフレット等を活用し、全ての定期接種対象者に対して個別送付による情報提供を実施しております。県としては、更なる接種率の向上に向けた対策として、若年世代の接種対象者や保護者への認知度向上を図るため、新たにSNSを通じた情報発信を実施することとしているほか、市町村において改めて、子宮頸がん予防の重要性などの情報を適切に伝えられるよう、引き続き、情報提供や助言等を行ってまいります。 次に、HPVワクチンのキャッチアップ接種についての御質問にお答えいたします。 我が県では、昨年度中に全市町村において、キャッチアップ接種対象者への個別の情報提供を実施したところです。キャッチアップ接種の実施期限が迫る中で、制度の認知度が低いことが課題の一つであり、その向上に向けた取組は大変重要であると認識しております。こうしたことから、県では、定期接種と同様に、接種対象者や保護者への認知度向上及び接種に対する不安感の軽減を図るため、SNS等を活用し、積極的な情報発信に努めてまいります。また、キャッチアップ接種の対象者が、制度の認知不足により接種機会を失うことのないよう、他県の取組も参考にしながら、市町村に対し、対象者への情報提供を徹底するよう周知を図ってまいります。 次に、重粒子線治療の新たな支援の仕組みについての御質問にお答えいたします。 重粒子線治療装置については、国内七か所に設置され、北海道・東北地方では、令和二年度から山形大学医学部東日本重粒子センターにおいて治療が開始されたと伺っております。重粒子線によるがん治療は、治療期間が短く、患者の身体的負担が少ないなどの利点がある一方、保険適用となるがんは限られ、治療費が高額になるなどの課題もあると認識しているところです。患者が重粒子線治療を受けるに際しては、各県のがん診療連携拠点病院等から山形大学医学部東日本重粒子センターに紹介されるシステムとなっており、我が県も含め、北海道・東北において、広域的に利用されるものと考えられることから、県としては、拠点病院等を通じ、有効な放射線治療の一つとして周知を図ってまいります。また、県外への外来通院にかかる交通費の補助などについては、他県の状況等の情報を収集し、必要性等について検討してまいります。 次に、大綱三点目、四病院再編についての御質問のうち、病院移転後に通院が困難となる患者についてのお尋ねにお答えいたします。
仙台赤十字病院や
東北労災病院が移転した場合、かかりつけ医との連携や患者の通院など、現在の診療に生じる影響については、基本的には各病院によって適切な対応策が講じられるものと想定しております。他の地域と比べ、仙台市内は医療資源が充実していることから、対応は可能と考えておりますが、移転先への通院手段の確保も含め、関係者と具体的な検討を進めてまいります。また、仙台医療圏では、地域医療支援病院十病院のうち九病院が仙台市内に集中しており、県としては、再編により県全体のバランスの取れた地域医療連携体制の確保につながるものと考えております。なお、現在、新病院の規模や機能、地域との連携体制などについて、各病院の運営主体と協議を進めているところでありますが、県としても、移転により患者に支障が生じないよう、両病院と協力して対応を検討してまいります。 次に、大綱四点目、ケアラー支援についての御質問のうち、ケアラー当事者の悩みが行政に届く体制についてのお尋ねにお答えいたします。 ヤングケアラーと思われる児童生徒や家庭の状況は様々であり、児童生徒や家族が相談しやすい相談窓口の設置など、個別の状況に丁寧に対応していくことは重要であると認識しております。県では、令和三年九月から実施している、みやぎ子ども・子育て相談事業のLINE相談窓口で、ヤングケアラー本人や家族からの相談も受けているほか、今年八月からは、ヤングケアラーに関する相談ノウハウのあるNPO法人に委託し、エックス、旧ツイッターを活用した相談窓口を設置し、二十四時間相談を受け付けております。今後は、みやぎ子ども・子育て相談で受けたヤングケアラーに関する相談について、ノウハウのあるNPO法人が実施する相談窓口につなげる仕組みを構築するなど、より専門的な相談に対応できるよう相談支援体制の充実に努めてまいります。 次に、ケアラー外来の整備についての御質問にお答えいたします。 県外の医療機関においては、認知症やがんの介護者等を対象に、医師や専門職によるケアラー外来の取組が行われていると伺っております。県内では、医療機関等において、認知症や依存症、各種疾病や障害の分野で、家族支援という形で、傾聴や対応方法の助言、家族同士の交流など、関係機関と連携した取組が行われております。一方、支援対象者の中には、医療機関の受診や相談に抵抗を示す方がおり、まずは、身近な市町村において、精神保健に課題を抱える方を対象とした支援につなげていく必要があると考えてございます。県としては、市町村に対し、相談支援に従事する職員の人材育成や、困難事例への技術的支援を行うほか、医療が必要になった場合に適切な支援を行うための関係機関のネットワーク構築を推進してまいります。 私からは、以上でございます。
○副議長(本木忠一君)
経済商工観光部長梶村和秀君。 〔
経済商工観光部長 梶村和秀君登壇〕
◎
経済商工観光部長(梶村和秀君) 大綱一点目、中小企業等の賃上げについての御質問のうち、価格転嫁の円滑化に関する協定についてのお尋ねにお答えいたします。 県では、今年五月に国及び商工関係団体等と価格転嫁の円滑化に関する協定を締結し、パートナーシップ構築宣言の促進をはじめ、適切な価格転嫁を通じた賃上げの実現に向けた機運醸成に努めております。これまでに県内でパートナーシップ構築宣言を行った企業は五百社を超えており、協定を締結した団体では、機運醸成に向けて、会員企業に対する価格転嫁状況のアンケートを行い、情報共有を行っている事例や、個別の相談に対して専門家の派遣を行い、価格転嫁を後押ししている事例などがあると伺っております。また、県では、パートナーシップ構築宣言を行った中小企業への支援策として、今年四月から優遇措置を講じ、中小企業等再起支援事業や中小企業等デジタル化支援事業において、優先採択を受けやすいスキームを構築しているところです。この結果、中小企業等再起支援事業においては、申請千百四十四件のうち百七十一件、中小企業等デジタル化支援事業においては、申請百件のうち十八件がパートナーシップ構築宣言企業からの採択となっております。 次に、大綱四点目、ケアラー支援についての御質問のうち、介護休業制度の周知・徹底についてのお尋ねにお答えいたします。 昨年度の厚生労働省の調査によると、家族の介護をしている労働者のうち、介護休業の利用者は全国で一・六%、我が県でも一・七%にとどまるなど、介護休業制度の活用は進んでいるとは言えず、当事者及び企業等への制度の周知、利用促進が重要であると認識しております。このため、県では、これまでも、介護休業制度の利用を促進する取組として、みやぎ働き方改革実践企業支援制度を通じ、介護に配慮した柔軟な勤務制度の導入企業の認証、従業員からの休暇取得相談の対応に関するセミナーの開催など、介護休業制度の活用に向けて、県内企業を支援してまいりました。また、介護休業等に関する行政の相談窓口は宮城労働局に設置されていることから、県としては、この窓口の活用促進に向けて、介護休業制度を必要とする従業員をはじめ、企業の労務担当者等へも積極的に周知してまいります。今後とも、県内企業における介護休業制度の更なる利用促進に向けて、宮城労働局と連携しながら、支援制度の普及や啓発セミナーの実施などに取り組んでまいります。 私からは、以上でございます。
○副議長(本木忠一君) 教育委員会教育長佐藤靖彦君。 〔教育委員会教育長 佐藤靖彦君登壇〕
◎教育委員会教育長(佐藤靖彦君) 大綱五点目、多様な教育機会の確保についての御質問のうち、校内教育支援センターの設置及び充実についてのお尋ねにお答えいたします。 我が県では、校内教育支援センターとして、学び支援教室を設置しており、教室での学習や集団活動に不安を抱える児童生徒が、安心して生活できる環境を整えるとともに、児童生徒一人一人に応じた支援計画を作成し、学習支援や自立支援を行っております。設置校においては、前年度まで長期で欠席している児童生徒の出席率の向上や、心の安定が図られ、学習に意欲的に取り組むようになるなど、多くの成果が見られております。今後とも、学び支援教室の更なる拡充に向け、国に対し、専任教員の加配定数を要望するとともに、各教育事務所に配置している学び支援教室コーディネーターを活用し、市町村教育委員会とも連携しながら、教室運営の充実に努めてまいります。また、学び支援教室設置校以外に別室支援を行っている学校については、国の制度を活用した別室支援員を派遣し、引き続き支援の充実を図ってまいります。 次に、フリースクールへの支援についての御質問にお答えいたします。 フリースクール等民間施設は、学校に登校していない児童生徒の支援に当たって、個々の児童生徒の状況に応じた多様な教育機会の提供や、その保護者の心の支えとなるなどの役割を担っていると認識しております。このため、県教育委員会では、市町村の実情に応じた支援ができるよう、みやぎ子どもの心のケアハウス運営支援事業において、教育支援センターの機能を民間団体に委託可能とするほか、市町村教育委員会が任用した教育支援センターの支援員をフリースクール等の民間施設に派遣し、学校に登校していない児童生徒の状況に応じた支援を可能とするなど、柔軟な運用に努めております。また、保護者への支援の充実が図られるよう、フリースクール等民間施設と連携し、県内全ての圏域において、学校に登校していない児童生徒の保護者や支援者の情報交換会を開催しており、保護者同士のつながりが広がってきているところです。今後も、フリースクール等関係者とも情報共有しながら、市町村教育委員会と連携し、学校に登校していない児童生徒の多様な学びの機会の確保や、その保護者への支援に努めてまいります。 次に、スクールカウンセラーや教育支援センター等でのオンライン面談の導入についての御質問にお答えいたします。 悩みを抱える児童生徒や保護者が相談しやすい体制を整えることは、重要であると認識しております。県教育委員会では、東部教育事務所及び大河原教育事務所内に設置している児童生徒の心のサポート班において、今年四月から、心理、福祉、教育の各専門家によるオンラインでの教育相談体制を整えたところです。今後は各教育事務所において、事務所専門カウンセラーによるオンライン相談を進めることとしております。現在、市町村教育委員会が設置する教育支援センター等におけるオンライン相談は実施されておりませんが、市町村教育委員会と情報共有を図るなど、市町村におけるオンライン相談を促してまいります。 以上でございます。
○副議長(本木忠一君) 十五番大池康一君。
◆十五番(大池康一君) 御答弁ありがとうございました。何点か再質問をさせていただきます。 まず、知事にお伺いしますけれども、新人議員ということでちょっとお許し頂ければと思うのですが、午前中、中島議員さんからも質問がございましたけれども、私も実際にこのフリースクールの支援について、現場を訪問させていただきました。フリースクールのスタッフの皆さんというのは、何とかこの学び続けたい子供たちとか家族を支えていきたいということで、仕事というよりはもう本当に志で運営されているという様子が見てとれました。スタッフの中には塾講師の経験もあって、実際児童の成績が向上していたりだとか、あるいは通っている子供たちが元気に過ごしている姿を見て、学びの機会として本当に重要な一つの教育のインフラというか、そういうものなのだなということを感じております。そういう意味では、課題としても本当に運営が大変だということで、いろんな形の様々な支援があると思うのですけれども、どういった形でも行政の支援があるとありがたいという話もありました。このスタッフの皆さんの志というか、気持ちを何とか持続して、学びの機会を確保していくという意味でも、午前中にもありましたが、国のほうにしっかりと訴えかけていくというのはそのとおりなのですが、宮城県として、何とかこのフリースクールがモデルになるような支援事業を検討していただきたいというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
○副議長(本木忠一君) 教育委員会教育長佐藤靖彦君。
◎教育委員会教育長(佐藤靖彦君) フリースクール等の民間施設につきまして、子供たちの支援に重要な役割を担っているということは私も認識しているところでございます。県
教育委員会としては、市町村
教育委員会、それから教育支援センターの公的機関、それから学校、それからフリースクール等民間施設、これらが相互に理解し合って連携を深めていくことが大切だと思っておりまして、ガイドラインを策定して進めているというところでございます。今、先ほど申し上げましたような形で、フリースクールのほうを支援させていただいております。本県の特徴として、やはり各市町村の教育支援センターがあるというのもございますので、そちらともよくお話をさせていただきながら、県
教育委員会としても後押しをしていきたいと思っておりますし、こうした実情も国にお伝えしながら、国にも更なる充実の支援をお願いしていきたいというふうに考えてございます。
○副議長(本木忠一君) 十五番大池康一君。
◆十五番(大池康一君) 何とか、私もこの議員という責任、立場を頂いて、多様な学びの確保、このフリースクール支援も含めてしっかり今後も取り組んでいきたいと思いますので、ぜひ、様々な意見交換、議論をさせていただければというふうに思います。 また、HPVワクチンのキャッチアップ接種及び接種率の向上についてなのですけれども、かなり県のほうでも市町村とも連携しながら周知、徹底を進めていただいていると思うのですが、この接種率がなかなか上がってこないということ自体が一つやはり結果として非常に悩ましいかなというふうに思っていまして、今後も、先ほどあったようにSNSの発信であるとか、そういった形でやっていかれるというふうに思うのですけれども、具体的に本当に向上したというふうな形に結びつけるためにどうするかというのを、ぜひしっかり検討していっていただきたいなというふうに思いますけれども、その点、決意も含めてぜひ、頂ければと思います。
○副議長(本木忠一君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 恐らく理由としては、先ほど答弁もありましたけれども、一回止まってしまったということで、危険であるというような認識が広がってしまったと。それこそ若いお母さん方は、SNSでそういう情報がかえって拡散してしまったということもあろうかというふうに思います。それが少し止まってしまった大きな原因なのかなと思っていますので、そうではないのだと。そうすることによって、かえって身を守ることになるのだということをしっかり伝えていかなければならないと思います。特に若い女性の方たちが子供を含めて対象ということでありますので、SNS等活用するというのは、非常に有効な手段だと思いますし、また、県政だよりなどは全戸配布でありますので、中には御覧いただいている方も結構おられるかと思いますから、そういういろんな媒体で、紙媒体も含めて、伝えていくように努めていきたいというふうに思います。
○副議長(本木忠一君) 十五番大池康一君。
◆十五番(大池康一君) ありがとうございます。 ヤングケアラーの支援についてもお伺いさせていただきます。当事者の方と意見交換した際に言われたのですけれども、やはり相談する相手が行政とか、特に学校の教育機関とかであると大人なので、若い世代が自分の何に困っているかということを言葉にするのも非常に難しいという声もありました。実際にいろんな関係で勉強を教えてもらったりだとか、信頼関係が醸成される中で、自分の悩みを引き出してもらったりだとか、そういったこともありましたという経験談をお聞きしたのですけれども、そういう意味では、相談窓口をしっかり充実していくと同時に、先ほどありました、NPOとか様々連携しながら、ふだん顔を突き合わせて実際にやり取りしている方とか、そういった方に自分の思いを伝える機会というのが多いのかなというふうに思っております。私もしっかりと研究していきたいと思いますけれども、そういったあらゆる形でヤングケアラーの子供たちの悩みをキャッチしていくという取組を今後、更に取り組んでいっていただければというふうに思いますので、よろしくお願いします。ぜひ、一言お願いします。
○副議長(本木忠一君)
保健福祉部長志賀慎治君。
◎
保健福祉部長(志賀慎治君) 昨年度実施しましたアンケート結果などに基づきましても、やはり数は把握しているところはそんなに多くないのかもしれませんけれど、一定数の、介護をしているのだというお子さんがいらして、その方が自分がヤングケアラーであるという認識をどのくらい持っているかというと、ずっと割合が下がるといった結果が出ております。つまり、自覚があんまりないなといったことがあると思います。それを周りの大人はどうやって気づいて、そして、しかるべき相談窓口なり、対処方法なりを重層的に対応できるような形を、包み込んでいくような体制で整えていくことが大事かと思ってございますので、そういったことに基づいた大人向けの研修とか、様々な取組をやっておりますけれども、やはり普及啓発も含めて、一層取組をしっかりやってまいりたいと思います。
○副議長(本木忠一君) 十五番大池康一君。
◆十五番(大池康一君) ありがとうございます。結構時間も余っているのですが、最後に、SNSの広報について、県のほうでもかなり担当者の方を含めて、様々取り組んでいっていると思いますけれども、まだまだ宮城のいい魅力を発信して、逆にこの情報過多の時代の中で宮城が勝っていく必要があるかなというふうに思いますので、今後とも、ぜひ、充実に向けて取り組んでいっていただければなというふうに思っております。ぜひ、村井知事御自身もツイッター、エックスなど、やはり私なんかより影響力が全然ありますので、知事がやっていただいて、宮城の魅力を発信していただければと思いますけれども、いかがでしょうか。
○副議長(本木忠一君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 私も、いろいろ考えるところがあるのですけれども、ただ、難しいのは、いいときばかりではなくて、いろいろ困ったときに、それをまたマスコミがわーわー騒ぎ立てるというようなこともございますので、その辺は慎重に対応しなければいけないのですが、有用性については十分理解しております。よく検討してまいりたいと思います。
◆十五番(大池康一君) 以上で終わります。ありがとうございました。
○副議長(本木忠一君) 六番柚木貴光君。 〔六番 柚木貴光君登壇〕
◆六番(柚木貴光君) 自由民主党・県民会議の柚木貴光です。利府町・松島町から成る宮城選挙区で初当選させていただきました。まず初めに、今回一般質問の機会を提供いただいた会派の皆様をはじめ、一般質問に向けて御指導いただいた全ての皆様に感謝申し上げます。議長のお許しを頂きましたので、大綱四点について質問いたします。 大綱一点目、サプライチェーン強化に向けたサイバーセキュリティー対策についてお伺いします。 SBIホールディングスは今年十月、同社とPSMCが日本で手がける半導体事業の工場予定地を、宮城県大衡村に決定したと発表しました。半導体市場は、二〇三〇年には百兆円市場になると言われている成長産業であり、我が県が掲げる富県宮城の推進に大きく貢献するものと考えております。台湾の半導体業界といえば、サイバーセキュリティーに非常に力を入れている業界であり、具体例としては、熊本に進出したTSMCが世界の半導体業界をリードする形で、半導体製造におけるサイバーセキュリティーの国際標準規格を制定するほどであります。そのTSMCは今年、半導体装置の調達契約の要件に、サイバーセキュリティー規格の遵守を盛り込むと発表しました。業界トップのTSMCのこの動きは、業界全体に波及していくと思われ、将来的には宮城に進出するJSMCも同様に、関連企業に対して規格の遵守を求める可能性が考えられます。 そこでまずお伺いしたい点として、今回のSBIやPSMCとの誘致交渉の中で、サイバーセキュリティー強化の要望や条件等はあったのかお伺いいたします。 また、要望や条件の有無にかかわらず、将来的には高いセキュリティーレベルの要求が予想されることや、宮城県の半導体サプライチェーンの信頼性を高めるためにも、県内の半導体業界においては、戦略的かつ重点的にセキュリティー強化に取り組む必要があると思いますが、県としての見解をお伺いいたします。 次に、中小企業のサイバーセキュリティー強化についてお伺いします。 我が県は、半導体以外にも、トヨタ自動車東日本をはじめとする自動車産業、また、今後はナノテラスを中心に新たな産業の集積が図られていき、宮城県はものづくりの一大製造拠点になっていくと思われますが、懸念事項は、やはりサイバー攻撃によるサプライチェーンの断絶と、それによる経済的損失であります。私がここまで懸念している理由は、二つの民間企業で働いてきた経験から来ております。イギリスのエンジンメーカーに勤務していた際には、実際にサイバー攻撃を受けてしまい、システムの復旧費用やサイバー攻撃対策の費用に多額の経費がかかり、経営を圧迫しておりました。この経験から、サイバー被害が経営に与えるインパクトについて身にしみて感じているところであります。また、日本の鉄鋼メーカーに勤務していた際には、サイバー攻撃とは別の要因ではございますが、自動車のサプライチェーンが断絶し、それに連鎖して製鉄所の休止を余儀なくされ、経済的損失を被ったことがございます。このような経験から、サプライチェーンを断絶させないことの重要性も身にしみて感じているところでございます。 さて、日本のサイバー攻撃の状況について、警察庁によれば、最近脅威が増しているのはサプライチェーン攻撃と呼ばれるものであり、これはセキュリティー対策が比較的手薄な中小企業を経由して、大企業を狙う手法でございます。実際に昨年の三月、トヨタ自動車の取引先企業の子会社がサイバー攻撃を受けた影響で、トヨタ自動車は全工場の生産ラインを停止し、一万三千台の生産がストップした事件がございました。国としては、中小企業が狙われている状況を受け、来年度のサイバー関連予算においては、重点化項目の一番目に、中小企業のサイバーセキュリティー戦略を掲げております。国の具体的な取組としては、サイバーセキュリティお助け隊サービスの普及を推進していくようであります。我が県においても、昨年九月の定例会において、お助け隊サービスを中小企業に紹介するなどしてサイバー攻撃対策を支援するとの答弁がございましたが、あれから一年経過しましたので、一年間中小企業に支援した結果どうだったのか、また、その結果を踏まえ、今後どのような取組をされていくのかお伺いいたします。 このサービスは、国のIT導入補助金の対象事業になっておりますが、令和元年から二年間実施された導入実証実験では、無償から有償に切り替わったタイミングで利用を中止する企業が相次いだとのことです。この実験結果を踏まえると、補助金が打ち切られた後の継続率をいかに維持するかが今後の課題と言えます。対策としては、国の補助が終わった段階で、県と市町村が折半して補助するといった財政的な支援が考えられますが、県として補助する余地はないのか、当局の所見をお伺いいたします。 補助金以外にも、サービスを継続したくなるような動機づけの案として、例えば、サービス導入企業を県のホームページで公表し、セキュリティー体制を構築している信頼性ある企業として紹介すれば、企業価値の向上につながるため、一定の動機づけになるかとは思いますが、当局の所見をお伺いいたします。 大綱二点目、利府町・松島町の交通対策についてお伺いいたします。 県道仙台松島線、通称利府街道は、仙台都市圏において広域的な道路ネットワークを担う、重要な幹線道路であります。当路線は交通渋滞が顕著であることから、これまでも定例会で取り上げられ、対策が講じられてきました。県としては、渋滞要因の交差点に右折レーンを新設するなどして渋滞緩和を図るとともに、宮城県渋滞対策連絡協議会においては、重点対応地区として利府町を選定し、優先順位を上げて御対応いただいております。しかし現状としては、新型コロナの五類移行に伴う人の移動の増加等により、利府町中心部の混雑具合は増しており、依然として慢性的な渋滞が発生している状況です。また、県の仙塩広域都市計画の見直し案では、利府町の市街化区域編入案が認められ、利府街道沿線の人口は四千人増加する見込みであり、それに伴って交通量も増加すると予想されます。利府町としては、新たに町道を整備して交通量を分散化させる予定ですが、町道を通っても最終的には宮城野区岩切付近で利府街道に合流するため、町単独の対策では限界があり、県全体の視点で広域的に取り組む必要がございます。道路の拡幅や新たな幹線道路の整備は財政上ハードルが高いため、既存の道路で工夫しなければなりません。 そこで、三陸自動車道の無料区間を、現在の鳴瀬奥松島から仙台港北インターチェンジまで延伸してはいかがでしょうか。三陸自動車道の無料化については、一か月前に宮城県町村会から県に対し、地域間交流の範囲拡大と連携強化を目的に、全区間の無料化を要望させていただきました。また、物流業界に目を向ければ、来年は二〇二四年問題を控えておりますが、無料区間を延伸して一般道から三陸自動車道へ誘導できれば、運送時間の短縮につながり、物流業界も助かります。本施策は、新たなインフラ整備は不要で、速やかに実行できるだけでなく、複数の社会課題を一気に解決でき得ると考えますが、当局の所見をお伺いいたします。 次に、利府町町道高島線及び町道沢乙一号線の県道昇格についてお伺いします。 本町道は、利府町民の生活道路としての機能だけではなく、仙台市東部の産業集積地帯と仙台北部中核工業団地を結ぶ、広域的なアクセス路線としての機能も持ち合わせており、県全体にとって重要な役割を担っております。そのような背景から、本年十一月、塩釜地区広域行政連絡協議会から村井知事に対し、県道昇格と整備促進をお願いさせていただきました。私もふだん生活道路として使っておりますが、大型車の往来が多く、道路の損傷スピードが速い印象を持っております。利府町にメンテナンス費を伺ったところ、補修費、除草費、除雪費等全て含めて、年間で約五千万円かかっており、本町道に年間の土木費予算の四%が使用され、利府町の財政を圧迫しております。県道昇格に当たり、道路法第七条の県道昇格要件を確認したところ、本町道は、主要地と県道とを連絡する道路という要件を満たせております。県道昇格の可否について、当局の所見をお伺いいたします。 次に、国道四十五号線松島海岸エリアの渋滞緩和についてお伺いします。 国道四十五号線は主要幹線道路であるため、観光客等の普通車に加え、経済活動を支えるトラック等の大型車両が頻繁に往来しております。松島海岸地区においては、一日に約一万九千台もの車両が通行し、混雑度の指標は一・四一と、平日休日問わず、慢性的に渋滞が発生している状況です。松島海岸を通過するだけの交通量を調べると、一日の交通量一万九千台のうち、約七割に当たる一万二千六百台が通過するだけの交通でございました。この通過交通を処理するための道路として、県道小牛田松島線・初原バイパスが整備されましたが、一部の負担が未整備のため、初原バイパスへの転換がうまく図られておりません。早急に初原バイパスを根廻交差点まで延伸すべきと考えますが、今後の整備計画をお伺いいたします。 また、松島海岸エリアの渋滞は、観光にも影響しております。私は友人を松島に御案内することが多いのですが、自動車の騒音で友人の声が聞こえないことが多々あり、観光地としての魅力を低減させていると感じているところです。県としては、観光地としての魅力向上と渋滞緩和を目的に、国道四十五号線の通行規制や道路空間の有効活用といった交通社会実験を二回実施いたしました。実験結果を踏まえ、今後どのような展開を考えておられるのか、県としての見解をお伺いいたします。 次に、大綱三点目、少子化・人口減少対策の抜本強化についてお伺いいたします。 我が県の人口は、二〇一五年から八年連続で減少しており、この八年で七万人減少しました。国立社会保障・人口問題研究所によれば、二〇四五年の人口予測は百八十一万人と、現在の人口から四十五万人減少する見込みであり、単純計算で毎年二万人ずつ減っていくことになります。二〇四五年、私は五十三歳であり、まだまだ現役世代として社会を支えていかなければなりませんが、少ない現役世代でどうやって先輩世代をお支えするのか、そして、次世代への投資をしていくのか。これは大変大きな課題であり、この人口減少という静かなる有事に対して、私を含めた若年層は大きな危機感を持っております。人口減少の最大の要因は少子化であり、宮城県の
合計特殊出生率は一・〇九と、人口置換水準である二・〇七と大きく乖離しているため、少子化対策は県の最優先課題でございます。宮城県の低出生率の原因を分析すると、ほかの都道府県と決定的に異なる点は、二十歳代までの出生率は全国平均並みですが、三十歳代になると極端に下がる点にあります。この点については、内外情勢調査会で村井知事も指摘されておりましたし、内閣府発行の少子化社会対策白書でも同様の指摘がされておりました。三十歳代で極端に減る原因は複合的なものだと思いますが、一つ科学的な側面から言えることは、三十歳代になると自然妊娠の確率が減り、不妊治療を必要とする夫婦が増えるということです。 以上を踏まえた仮説として、我が県の三十歳代の出生率が低い理由は、県民の皆様に不妊治療の機会を十分に提供できていないからではないかと考え、検証いたしました。その結果、まず不妊治療ができる病院の数について、厚生労働省の発表によれば、東京都を除いた四十六都道府県の平均は十一病院あるのに対し、宮城県は六病院と、五つ少ない状況です。また、人口水準を合わせて人口百万人当たりの数で比較した場合でも、四十七都道府県の平均が人口百万人当たり五病院あるのに対して、宮城県は三病院と、全国と比較して少ないことが分かりました。また、宮城県にある六つの病院のうち、五つは仙台市、残り一つは岩沼市にございまして、宮城第二の都市である石巻市や第三の都市である大崎市を含む県北には病院がなく、地域が偏在していると言えます。加えて、二〇二二年の四月から不妊治療が公的医療保険の適用対象となり、我が県においても不妊治療の需要は高まっていると思われます。需要に関する定量的なデータは見つけられませんでしたが、治療経験がある知人にヒアリングしたところ、仙台の病院は混んでいたり、治療の希望が合わなかったりといった様々な理由で、東京まで出向いて治療を受けている方もいらっしゃるとのことです。 以上のことから、我が県の課題は、不妊治療可能な病院が少なく、かつ地域が偏在している点でございます。県全体に満遍なく、特に県北に受皿を増やす必要があると思いますが、県としての見解をお伺いいたします。 次に、不妊治療と仕事の両立支援についてお伺いします。 日本産科婦人科学会によれば、二〇二一年に体外受精が行われた件数は約五十万件、体外受精によって生まれた子供の数は約七万人とのことです。これは、一年間に生まれる子供の十一人に一人が体外受精児という計算になり、日本でも不妊治療が普及してきたと言えます。しかしながら、不妊治療を経験した方のうち、一六%が治療と仕事を両立できず離職しており、職場における理解や対応が進んでいない状況です。また、治療中の患者さんは精神的にも身体的にも負担が増えることにより、仕事のパフォーマンスが治療前よりも一六・五%減少するとのデータもあり、不妊治療と仕事の両立が我が国の大きな課題だと言えます。我が県としても、この少子化社会の中で出産を希望する方々を応援するため、不妊治療を受けながら安心して働き続けられる職場環境の整備に重点的に取り組む必要があると考えております。その点、宮城県庁は、令和三年度より不妊治療のための休暇制度を設けており、取組が進んでおります。しかしながら、民間企業に目を向けると、対応はあまり進んでいないように思われます。理由としましては、現在国は不妊治療と仕事の両立支援のための助成金制度を設けておりますが、宮城県における申請数は、県内企業が約四万社ある中で、たった二社のみにとどまっております。また、厚生労働省は令和四年四月より、両立支援に取り組む企業を認定する事業を始め、現時点で二十八都道府県の企業が認定されておりますが、我が県に所在する企業の認定実績はございません。したがって、不妊治療に関する県庁での取組や国の助成金について、民間企業に周知、普及させるといった対応が必要かと思いますが、県としての見解をお伺いいたします。 次に、県独自の少子化非常事態宣言の発出についてお伺いします。 現在村井知事が会長を務めていらっしゃる全国知事会は、二〇一四年、少子化対策の抜本強化の必要性を世の中に訴えるため、少子化非常事態宣言を採択しました。また、山梨県は今年六月、出生率が低迷し人口減少に歯止めがかからないことから、県独自の人口減少危機突破宣言を発出し、少子化対策に最優先で取り組む方針を打ち出しました。その山梨県の
合計特殊出生率は一・四と、全国平均の一・二六よりも高くなっておりますが、山梨県が目標としている希望出生率一・八七とは大きく乖離することから、今回の宣言発出に至ったとのことです。一方の宮城県は、希望出生率一・八に対し、実績は一・〇九と、山梨県以上に大きく乖離しており、まさに非常事態だと言えます。しかしながら、私が地元での政治活動中にこの出生率の問題を取り上げた際には、この深刻な状況についてあまり知られていなかったため、県内での危機感が醸成されていないという印象を持ちました。先ほど取り上げた不妊治療と仕事の両立支援といった少子化対策を効果的に進めるためにも、まずは社会全体での危機感の醸成が必要だと考えており、その手段として少子化非常事態宣言の発出は有効だと考えますが、当局の所見をお伺いいたします。 次に、大綱四点目、主権者教育の推進についてお伺いします。 今年四月に施行されたこども基本法では、地方公共団体が子供施策を策定・実施・評価する際に、子供の意見を反映させるための措置を講じることとされております。県としては、昨年十一月の定例会において、「国の議論を参考にしながら、子供政策の決定過程における子供の意見聴取とその反映の具体的手法などについて検討」するとの答弁がございました。その検討結果と、今後の具体的な取組についてお伺いいたします。 また、こども基本法では、子供の意見を聞くことを重視しておりますが、意見を聞くためにはまず、子供たちに意見を述べてもらわなければなりません。意見を述べられるようにするためには、主権者教育を推進し、子供たちが社会課題に当事者意識を持ち、自ら考え行動する力を養う必要があるのではないでしょうか。以上のことから、こども基本法に基づく施策と主権者教育はセットで推進されるべきだと考えております。 では、日本の主権者教育の現状はどうなっているかといえば、選挙制度の出前授業や模擬投票、必修科目として公共を新設するなどして、社会課題について自ら考え行動する人材を育成してきました。しかしながら、日本財団の国や社会に対する意識調査によれば、「自分の行動で、国や社会を変えられると思う」と回答した十八歳の割合は二六・九%と、同じアジアの中国や韓国が六〇%を超えているのと比較して、非常に低い状況です。このことから、日本の主権者教育には、まだまだ改善の余地があると言えます。改善の方向性としては、子供や若者が実際に社会を変える体験を積み重ね、社会は変えられるという実感を持つことが重要ではないでしょうか。ほかの自治体の取組として、群馬県では、高校生が自由な発想で知事にアドバイスを行う、高校生リバースメンター制度による政策提言会を実施しております。この制度の特徴は、高校生の意見を聞くだけではなく、提案された政策を実現するために年間五百万円の予算をつけている点にあり、自分の行動で社会が変わることを実感できるような制度設計となっております。同様の取組として、山口県や岡山県では、高校生県議会を実施し、通常の定例会と同様に、高校生が県当局に一般質問をするという取組を実施しております。以上のような取組は、こども基本法に制定されている子供の意見を反映させるための措置に該当しますし、地権者教育の充実も図れるため、有効な施策だと考えております。我が県においても、高校生による政策提言の取組を推進することは検討に値すると考えますが、当局の所見をお伺いいたします。 以上、壇上からの質問とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。
○副議長(本木忠一君) 知事村井嘉浩君。 〔知事 村井嘉浩君登壇〕
◎知事(村井嘉浩君) 柚木貴光議員の一般質問にお答えいたします。大綱四点ございました。 まず、大綱一点目、サプライチェーンにおけるサイバーセキュリティー対策についての御質問のうち、誘致企業からの要望等についてのお尋ねにお答えいたします。 JSMC株式会社の工場誘致の過程においては、様々な調査が行われており、その詳細を申し上げることは差し控えたいと思いますが、近年、サプライチェーンを狙ったサイバー攻撃によって関連企業全体の活動が停止した事態が発生するなど、サイバーセキュリティー対策の重要性が高まっていると認識しております。現在国では、半導体産業も含めた幅広い分野において業界団体とコンソーシアムを組織し、サイバーセキュリティー対策の強化を図っており、我が県においても、県警察と共に産学官が連携したサイバーセキュリティー協議会を立ち上げ、その対策に取り組んでいるところであります。今後、我が国における半導体関連企業の立地に伴う状況の変化を見据えながら、サイバーセキュリティーに関する支援機関と緊密に連携し、県内の半導体産業のサイバーセキュリティー強化に向けて、どのような支援を行っていくべきかを考えてまいりたいと思います。 次に、大綱二点目、利府町・松島町周辺の交通対策についての御質問のうち、松島町交通社会実験についてのお尋ねにお答えいたします。 松島町交通社会実験は、松島海岸地区における国道四十五号の慢性的な交通渋滞の解消や、観光客等の安全で快適な通行・滞留環境の確保など、日本三景松島としてふさわしい道路空間の構築に向けて、国、県、松島町、県警や県トラック協会等で構成する松島町交通社会実験協議会が実施主体となり、昨年度から二か年にわたり実施いたしました。昨年度の取組については、観光客の九割以上から肯定的な意見を頂いた一方で、一部観光事業者の売上げの減少や、観光客の周遊が限定されるなどの課題が確認されたところであります。このため、今年度はこれらの課題の解決に向けて、観光事業者と連携したイベントの開催による更なるにぎわいづくりや、グリーンスローモビリティーの運行による周遊エリアの拡大などに取り組んだところであり、現在、
アンケート調査の集計、迂回路として設定した周辺道路の交通量や渋滞状況等の分析を進めております。県としては、協議会において、今年度末を目途に取りまとめられる社会実験の効果検証や課題を踏まえ、日本三景松島にふさわしい魅力ある観光地となるよう、引き続き、松島町や地元関係者などと連携しながら、今後の対応について検討してまいりたいと思います。 次に、大綱三点目、少子化・人口減少対策の抜本強化についての御質問にお答えいたします。 初めに、不妊治療を行う医療機関についてのお尋ねにお答えいたします。 不妊治療には、人工授精等の一般不妊治療と、体外受精・顕微授精等の高度な医療を行う生殖補助医療があり、このうち一般不妊治療については、県内各地の産婦人科等において実施されていることから、その受皿は一定程度確保されているものと考えております。一方、生殖補助医療は県内六か所で実施されておりますが、他県からも患者が集まる状況だと聞いております。県としましては、不妊検査費用に対する助成を昨年度から開始したところであり、子供を望む方々が早期に検査を受け、適切な治療につなげられるよう引き続き取り組むなど、少子化対策に一層力を入れてまいります。 次に、不妊治療と仕事の両立支援についての御質問にお答えいたします。 厚生労働省の調査によると、不妊治療経験者のうち一六%、特に女性では二三%が仕事と両立できずに離職しており、不妊治療と仕事の両立は、少子化・人口減少対策において重要な課題であると認識しております。両立が難しい理由としては、精神面の負担、通院回数の多さとともに、通院と仕事の日程調整の難しさや、仕事上のストレスの不妊治療への影響等が挙げられており、治療と仕事の両立を図る上では、職場内の理解の醸成や支援体制の整備が大変重要であります。このため県では、令和三年に職員の不妊治療のための休暇制度を創設し、昨年には出生サポート休暇として制度を拡充しているところであります。御指摘のとおり、不妊治療のための休暇制度の県内企業への普及は重要と考えておりますことから、今後は、県の実例や県内企業の先行事例も含めたセミナーを開催するなど、広く県内企業への不妊治療の休暇制度の普及に努めてまいりたいと考えております。 次に、少子化非常事態宣言についての御質問にお答えいたします。 少子化の進展は、人口減少の更なる加速をもたらし、産業や地域社会の維持をはじめ、様々な方面に大きな影響を与えることが懸念されます。そのような状況を踏まえ、私は新・宮城の将来ビジョンにおいて、政策推進の基本方向の一つとして「社会全体で支える宮城の子ども・子育て」を新たに掲げるとともに、次世代育成・応援基金を創設し、結婚・子育てを応援する取組や、地域の実情に合った子育て施策に対する支援を進めているほか、県内全ての市町村を構成員とする協議会を立ち上げるなど、機運の醸成を図ってまいりました。また、今年七月の全国知事会議においては、誰もが安心して子供を産み育てることができる社会の実現に向け、子ども・子育て政策推進本部を設置するとともに、子供の未来を守り育む社会の実現を目指す山梨宣言を行うなど、全ての都道府県が一致団結し、取組の強化を図っているところであります。少子化の現状やその影響について社会全体で認識を共有することは、施策推進に当たり極めて重要であり、御指摘のありました山梨県の人口減少危機突破宣言も参考に、今後とも市町村などと連携しながら、総合的な少子化対策を強力に推進してまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。
○副議長(本木忠一君) 企画部長武者光明君。 〔企画部長 武者光明君登壇〕
◎企画部長(武者光明君) 大綱一点目、サプライチェーンにおけるサイバーセキュリティー対策についての御質問のうち、中小企業に対する周知の結果等についてのお尋ねにお答えいたします。 サイバーセキュリティー対策については、それぞれの企業の状況に応じ、リスクに対して的確に対応することが必要であると考えております。このようなことから、県では、宮城県情報サービス産業協会等関係団体と連携しながら、サイバーセキュリティお助け隊をはじめとした各種支援策の周知を行うとともに、対策に関するセミナーを開催してまいりました。あわせて、デジタル化に取り組む中小企業に対しては、アドバイザーの派遣や情報セキュリティーに要する経費の補助等を行ってきたところであります。こうした支援施策を利用した中小企業においては、それぞれの実情に応じたセキュリティー対策が進んだものと認識しておりますが、サイバーセキュリティー対策は、攻撃方法の変化を踏まえた的確な対応が必要であるため、引き続き、関係機関と連携して中小企業に対する支援を行ってまいります。 次に、セキュリティーサービスに対する県の支援と導入企業のホームページでの公表についての御質問にお答えいたします。 国においては、サイバーセキュリティお助け隊サービス等に対する財政支援を行っているほか、県としましても、中小企業のデジタル化の取組に応じたセキュリティー対策が実施されるよう、導入時に必要な財政支援を実施しているところであります。これらの補助対象期間が経過した後は、融資制度も活用しながらサービスを利用されているところですが、中小企業支援機関などと連携し企業の実情を伺いながら、どのような支援を行っていくべきか考えてまいります。また、我が県においては、令和四年度から県内企業のデジタル化に関する優良事例をホームページ等で紹介しており、今後は、セキュリティー対策の事例についても積極的に情報提供を行い、中小企業への情報セキュリティー対策の浸透とサイバーセキュリティーの底上げを図ってまいります。 私からは、以上でございます。
○副議長(本木忠一君)
保健福祉部長志賀慎治君。 〔
保健福祉部長 志賀慎治君登壇〕
◎
保健福祉部長(志賀慎治君) 大綱四点目、主権者教育の推進についての御質問のうち、子供政策の決定過程における意見聴取とその反映についてのお尋ねにお答えいたします。 県の施策への子供の意見の反映に向けた今年度の取組としては、みやぎの青少年意見募集事業やみやぎの高校生フォーラムなどの場を活用した意見聴取のほか、子育て当事者等の意見を把握するため、みやぎ子育て支援パスポートを利用する県民への
アンケート調査などを実施しております。子供・若者、子育て当事者等の意見を酌み取り、反映させるための具体的な方策については、現在、国の有識者会議においてガイドラインの検討が進められているところであり、県といたしましては、その内容を見据えつつ、意見の聴取方法や施策への反映の在り方について、引き続き検討を行ってまいります。 私からは、以上でございます。
○副議長(本木忠一君) 土木部長千葉衛君。 〔土木部長 千葉 衛君登壇〕
◎土木部長(千葉衛君) 大綱二点目、利府町・松島町周辺の交通対策についての御質問のうち、三陸自動車道の無料区間の延伸についてのお尋ねにお答えいたします。 三陸自動車道のうち、利府中インターチェンジから鳴瀬奥松島インターチェンジ区間の仙台松島道路は、宮城県道路公社が有料道路事業として整備、管理しており、道路整備に要した借入金の償還期間を令和二十一年度としていることから、償還が完了していない現時点では、無料化することは難しいと考えております。現在、道路公社では、利用者の更なる利便性の向上や安全性を確保するため、松島海岸インターチェンジや松島大郷インターチェンジの機能改善に向けた検討を進めており、償還完了に伴う無料開放時期については、機能改善の具体的な内容を踏まえながら検討することとしております。また、仙台港北インターチェンジから利府中インターチェンジ間については、NEXCO東日本が全国的な高速自動車交通網として一体的に管理していることから、一部区間を無料化することは困難であると伺っております。県といたしましては、道路公社と連携しながら、まずは機能改善の早期事業化に取り組むとともに、現在、国において料金割引制度の見直し等が進められていることから、国の動向を注視し、仙台松島道路の料金制度の在り方について検討してまいります。 次に、町道の県道昇格についての御質問にお答えいたします。 利府町道高島線及び沢乙一号線は、県道仙台松島線から県道塩釜吉岡線を経由し、利府しらかし台インターチェンジにアクセスする路線であります。このうち沢乙一号線は、平成四年十二月まで県道塩釜吉岡線の一部として県が管理しておりましたが、周辺開発に伴う道路ネットワークの見直しにより、県と町が合意の上、県道を町道に移管し、併せて町道を県道に昇格させたものであります。その後、周辺地域においては、大型商業施設等が立地したほか、新たな住宅地が形成されるなど、町道移管した当時と比べ、大型車を含む交通の流れに変化が見られるほか、現在、利府しらかし台インターチェンジ付近周辺における工業団地の開発等、新たな土地利用計画が検討されております。県といたしましては、今後、周辺道路の交通量や利用形態の変化等を踏まえながら、仙塩地区の道路網の見直しの中で路線認定等を検討してまいります。 次に、初原バイパスの整備計画についての御質問にお答えいたします。 松島海岸地区を通過する国道四十五号は、県沿岸部の産業経済活動を支える重要な幹線道路でありますが、大型車を含む交通量が多く、そのほとんどが通過車両であることから、慢性的な交通渋滞を緩和するためには、周辺道路に迂回させ、分散を図ることが効果的であると認識しております。県では、昨年度から実施した松島町交通社会実験において、国道四十五号の迂回路として設定した県道仙台松島線については、大和松島線との交差点から初原地区市街地を経由し、国道四十五号根廻交差点までの区間が、一部カーブがきつく、道路幅員も狭いため、大型車の安全で円滑な交通の確保が課題であることを確認したことから、同区間における新たなバイパス整備の検討を行っております。県といたしましては、新たな道路整備が松島海岸地区の渋滞緩和に大きく寄与することから、引き続き、国や松島町などと緊密に連携し、具体的な検討を進めてまいります。 私からは、以上でございます。
○副議長(本木忠一君) 教育委員会教育長佐藤靖彦君。 〔
教育委員会教育長 佐藤靖彦君登壇〕
◎
教育委員会教育長(佐藤靖彦君) 大綱四点目、主権者教育の推進についての御質問のうち、高校生による政策提言の推進についてのお尋ねにお答えいたします。 選挙権年齢や成人年齢の引下げに伴い、よりよい社会づくりに主体的に参画する資質・能力を高校生に身につけさせることは、大変重要であると認識しております。県立高校では、新たに導入された必履修科目「公共」や「総合的な探究の時間」等を通して、日常生活における身近な課題の解決に向けて、地域の方々と連携して、協働的な学びを推進しており、その中で、高校生の取組が社会課題の解決につながる事例も考案されてきております。県農業高校においては、マイクロプラスチックの削減に向けて、プラスチックカプセルを使用しない肥料の実用化に向けた研究に継続的に取り組んでいるほか、松島高校においては、震災で激減した松島湾の藻場再生の理解促進のため、企業の協力を得ながら、アカモクを使用したどら焼きを開発した事例などもあります。県
教育委員会といたしましては、今後も、地域や関係機関と連携しながら、主権者教育の充実を図るとともに、高校生の発案が地域の活性化や社会づくりにつながり、生徒自身が社会を変えられるという実感が得られるような取組を支援してまいります。 以上でございます。
○副議長(本木忠一君) 六番柚木貴光君。
◆六番(柚木貴光君) 御答弁ありがとうございました。 まず最初に、不妊治療のほうから行きたいと思います。 不妊治療と仕事の両立については、セミナーを開催するという答弁もありまして、前向きな答弁がございました。宮城県の
地域医療計画というものを確認したのですけれども、その中では、この不妊治療、言い換えると生殖補助医療になりますけれども、この生殖補助医療の計画の記載がございませんでした。今後、この不妊治療を県として力を入れて進めていくということであれば、この
地域医療計画に含めてもいいのではないかなと思っております。この
地域医療計画の基本理念を確認すると、「県民の医療に対する安心と信頼の確保」、また「良質な医療が適切に提供される医療提供体制の確立」となっておりまして、この生殖補助医療の拡充についても、理念に合致すると思いますので、この辺、計画に入れるということはいかがでしょうか。
○副議長(本木忠一君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 実は、コロナ禍の最中の令和三年、令和四年、この間に、出生率どうなのかなと調べてみたんですね。そうすると、その中でも出生率が上がった県があるんですよ。すぐ私、仲間なので電話をかけて、どういうことをやっているんですかと言ったら、やはり不妊治療に力を入れたということでした。確かに、子供を産みたいと思っている人たちですから、一番ターゲットとしてはいいわけですよね。そこで調べたら、その不妊治療の、先ほどお話いただいた生殖補助医療、これに力を入れていると。これはただ、保険の適用にならないですよね。ですから、やるとすると、それぞれの自治体の財政負担が非常に大きくなってしまうということです。--ごめんなさい、一部はなるらしいのですが、ならない部分もあるということです。ですから問題は、ならない部分をどうサポートしていくのかということです。それでこれ、難しいのは、うまくいっている県というのはかなり小さな県で、財政負担が非常に少ない。宮城の場合はやはり人口が多いので、かなりの負担になってしまいますから、その財政的な負担がどのくらいになって、それによってどういう効果があるのかということをしっかり見据えなければいけないと思っています。その上で、
地域医療計画にどうのせていくのかということを考えたいと思っています。この間そういう指示を出したばかりでありますので、今ここでこうしますということは申し上げられないのですけれども、私としては、不妊治療に力を入れていくことによって、少子化対策、大きな政策の柱になるのではないかということは今指示をしているということだけはお伝えしておきたいと思います。
○副議長(本木忠一君) 六番柚木貴光君。
◆六番(柚木貴光君) 村井知事のほうで取組を進められているということで、よかったと思います。不妊治療、続けてですけれども、県北での不妊治療の受皿が少ないと思っておりまして、じゃあどこの病院がよいのかということをシミュレーションしてみました。分娩可能な病院として、まず大崎市では大崎市民病院、また、石巻では石巻赤十字病院がございます。こちらは産婦人科もございます。かつ、病床が五百床近くありまして、大規模な病院でございますので、県北に不妊治療できる病院を置くとしたら、今言ったような二つの病院が適しているのではないかと思いますが、その点の御見解について伺えますでしょうか。
○副議長(本木忠一君)
保健福祉部長志賀慎治君。
◎
保健福祉部長(志賀慎治君) 御指摘のありましたとおり、不妊治療の中でも、より高度な治療を要するものにつきましては、県内に今のところ六か所、ほとんどは仙台市内に集中しているという状況で、県北のほうにはないといった現状でございます。いずれ、非常に効果のほどが出てきている部分はあると思いますし、いろんな、日々技術的にも向上されている部分も出てきているということでございます。そういった県全体での受皿のほうにつきましては、当然ながら病院経営者の考え方が第一になることはあるかと思いますけども、先ほど御指摘のございました
地域医療計画、今年度改定の年に当たっておりまして、現在新計画の中間案を作成している段階に入っておりますけれども、そういった中での話合いも含めて、種々検討を進めていくことになろうかと思います。
○副議長(本木忠一君) 六番柚木貴光君。
◆六番(柚木貴光君) 検討を進めていただけるとのことで、よろしくお願いしたいと思います。 次に、サイバーセキュリティーについて、行きたいと思います。 SBIホールディングスとPSMCとの交渉内容は言えないということでございまして、私も民間企業におりましたので、そういう交渉内容が言えないということは十分承知しているところでございます。ただですね、もし先方からこのサイバーセキュリティー強化の要望だったり条件が出なかったとしたならば、それは逆に宮城県から積極的に問題提起をしたほうがいいのではないかと思っております。今後、製造業は、その製造設備を全てインターネットに接続してネットワーク化して生産効率を上げましょうという、これはスマートファクトリー化と言うのですけれども、これを進めていくことになります。半導体業界においては、それの最先端でスマートファクトリー化が進んでいくと思いますので、この情報セキュリティーの強化というのは、いつか必ず出てくる課題だと思いますので、県側から積極的に問題提起をしたらいいのではないかと思いますが、御見解をお願いいたします。
○副議長(本木忠一君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 重要な御指摘だと思います。今日この後、呉社長さんとお会いすることになっていますので、早速お伝えしたいと思います。
○副議長(本木忠一君) 六番柚木貴光君。
◆六番(柚木貴光君) 早速お伝えいただけるとのこと、ありがとうございます。あとサイバーセキュリティーに関しては、今回私は、英語の資料を見て、TSMCがサイバーセキュリティーの国際規格をつくるという情報を得ました。これは海外の情報ですので、なかなか宮城県内の中小企業の皆さん等はアクセスできない情報なのではないかと思いますし、あと日本の業界誌であったり専門雑誌を見ても、この国際規格についてはあまり触れられていなかったようです。ですので、そういった海外の情報を宮城県の中小企業に広報するというのも、県としてやっていく必要があるのではないかなと思いますが、その点についてはいかがでしょうか。
○副議長(本木忠一君) 企画部長武者光明君。
◎企画部長(武者光明君) 今、議員から海外の情報について県内の中小企業のほうに情報提供すべきではないかという御質問を頂きました。私も、大変申し訳ない、海外の情報は疎かったものですが、御指摘を頂きましたので、どういった情報があって、それをどのような形で中小企業の方々に伝えていくべきか、どういったことができるか、支援機関と共に研究したいと思います。考えていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○副議長(本木忠一君) 六番柚木貴光君。
◆六番(柚木貴光君) 考えていただけるとのことで、ありがとうございます。 続きまして、利府町・松島町周辺の交通対策についてお伺いしたいと思います。 三陸自動車道の無料化については、まず利府中インターチェンジから仙台港北インターチェンジはNEXCOが管轄ということで、NEXCOの全国的な料金体系の中で決められることですので、無料化は難しいのではないかということ、承知いたしました。ただ、宮城県道路公社が管理している仙台松島道路については、料金変動の可能性があるのではないかと思っております。先ほどの答弁の中で、償還が残っているので現時点では無料化できないということでした。具体的にこの償還について、私のほうでも宮城県道路公社の財務諸表を過去三年分読んでどういう状況になっているのか見たところ、この仙台松島道路というのは、毎年十四億円程度の利益を出しておりまして、収益を上げています。このペースで行けば八年後には償還が終わる見込みでして、償還期限は令和二十一年と十六年後ですが、かなり前倒しで償還ができると思います。それぐらい償還の期限は余裕があると思っています。ですので、現時点で、例えば一週間七日あるうちの二日間の休日を無料化しても、償還は十分できると思いますし、休日無料化すれば、松島海岸の渋滞緩和、これ図られます。直近二年間、松島の交通社会実験を行いましたけれども、そのトラック等を三陸自動車道に誘導することができれば、もう毎週末のように松島海岸エリアでこの歩行者天国等できると思うのですが、改めまして、この仙台松島道路の休日の無料化については御見解いかがでしょうか。
○副議長(本木忠一君) 土木部長千葉衛君。
◎土木部長(千葉衛君) 今議員御指摘のとおり、三陸道が全線供用して、当時の計画の交通量に対して大幅に交通量が増えてきていますので、収入もどんどん増えてきておりますので、償還が早まるというのは可能性があると。そういった中で一方では、先ほど私が御答弁したように、これから松島海岸インターチェンジ、大郷インターチェンジ、機能強化というものを今から進めていかなければいけないと。今その具体的な検討を進めておりますが、それが出来上がってこないと、いわゆる償還がどの程度になるかというのは、まだ分からないというところでございます。なので、それらの計画がまとまった上で、実際償還がいつ頃できるのかというのが分かりますので、その時点で無料開放できるかどうかというのが判断できるだろうと。ただ、一方では、期間的にやればできるのではないかというお話もございましたが、それもいわゆる料金割引、企画割引としては、今現在も、今回の松島海岸で社会実験したように、そういうのはできると思いますが、断片的に無料化するということは、なかなか有料道路上でやっている上では、完全にそれはできないというふうに私考えてございます。なのでまずは、朝夕の料金割引、これを大きく緩和するということで今国のほうでも検討してございますので、そういった国の料金制度の動向もしっかりと注視しながら、NEXCO東日本とも協調しながらですね、どういった対応がいいのかというのは先ほど御答弁したように考えてまいりたいと思っております。
○副議長(本木忠一君) 六番柚木貴光君。
◆六番(柚木貴光君) 承知いたしました。あと初原バイパスについてなのですけれども、初原バイパスの整備の期限のめどについて、ちょっと私聞き漏らしてしまったのですけれども、その具体的な延伸のめどについて教えていただけますでしょうか。
○副議長(本木忠一君) 土木部長千葉衛君。
◎土木部長(千葉衛君) 先ほども御答弁しましたが、今回、社会実験の迂回路の一つとして仙台松島線をやったと。その中で、初原地区の新たなバイパスというものが渋滞緩和に大きく寄与するだろうということで考えてございます。今、ただ実際そのバイパスを整備するに当たって、やはりあそこってJRの愛宕駅があったりとか高城川があったりとか、すごく近接していると。四十五号とも近接してございますし、あと山があってトンネルも必要になってくるのではないかと。そういった様々課題があると思っていまして、大規模な事業になるのではないかと。そのためには、事業化に当たってはやはり国道に関しては国、あとは鉄道に関してはJR東日本、あとまた松島町の今工業団地も造成してございます。そこが近接もしてございますので、様々な課題があってそれを一つ一つクリアしていかないと、なかなか事業化にはならないのではないかなと思っています。引き続き具体的な検討を進めてまいりたいと思います。
○副議長(本木忠一君) 六番柚木貴光君。
◆六番(柚木貴光君) 続いて、主権者教育のほうに再質問を移らせていただきます。 高校生による政策提言の取組については、私、ぜひともやっていただきたいと思っています。私がこの政治の世界に対する課題感としては、やはりその若者世代の声をいかに取り入れるのか、ちょっとここに課題意識を持っております。私も三十代の議員ですので、二十代三十代の声は拾っているつもりではあるのですけれども、十代ともなるとなかなか接点の機会がなかったりして、声を拾う機会がございません。ですので、この高校生の政策提言の取組、声を拾う取組というのはぜひやっていただきたいなと思います。こちら一つ例を紹介させていただくのですけれども、今年の七月に高校生の政策甲子園というものがございまして、宮城県の泉松陵高校の高校生たちが見事、全国で最優秀賞に選ばれて、今日、岸田総理に会っております。それぐらい高校生の柔軟な発想というのは大変我々にはないものでして、この社会をよくするためには必要だと思いますので、最後にもう一度、この高校生の声を拾うという取組について、ちょっと前向きな答弁を頂ければと思いますが、いかがでしょうか。
○副議長(本木忠一君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 泉松陵高校の生徒の皆さん、学生の皆さんにですね、私もお会いしまして、プレゼンもしていただきました。非常にすばらしい取組だなというふうに思いました。そういう若い人たちが、やはりどんどん増えていくということが大切なことだと思います。そういう人たちの気持ちが盛り上がって、我も参画したいと思ってもらえるような環境をつくっていくということは非常に重要でございますので、ぜひ
教育委員会のほうとも調整をしながら、そういうチャンスをつくっていきますし、そういうところにチャレンジできるように我々もいろいろサポートさせていただきたいなというふうに思っております。
◆六番(柚木貴光君) ありがとうございます。終わります。
○副議長(本木忠一君) 残余の質疑、質問は、明日に継続することにいたします。
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△散会
○副議長(本木忠一君) 以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。 明日の議事日程は、追って配布いたします。 本日はこれをもって散会いたします。 午後二時五十四分散会...