令和 5年 6月 定例会(第388回) 第三百八十八回宮城県議会(定例会)会議録 (第二号)令和五年六月二十一日(水曜日) 午前十時開議 午後二時五十五分散会 議長 菊地恵一君 副議長 池田憲彦君出席議員(五十八名) 第一番 金田もとる君 第二番 佐々木奈津江君 第四番 石田一也君 第五番 佐藤剛太君 第六番 伏谷修一君 第七番 松本由男君 第八番 柏 佑賢君 第九番 福井崇正君 第十番 大内真理君 第十一番 福島かずえ君 第十二番 三浦ななみ君 第十三番 枡 和也君 第十四番 佐藤仁一君 第十五番 渡邉重益君 第十六番 わたなべ 拓君 第十七番 伊藤吉浩君 第十八番 八島利美君 第十九番 瀬戸健治郎君 第二十番 櫻井正人君 第二十一番 村上久仁君 第二十二番 高橋宗也君 第二十三番 天下みゆき君 第二十四番 三浦一敏君 第二十五番 佐々木功悦君 第二十六番 境 恒春君 第二十七番 太田稔郎君 第二十八番 遠藤伸幸君 第二十九番 横山のぼる君 第三十番 高橋 啓君 第三十一番 庄田圭佑君 第三十二番 遠藤隼人君 第三十三番 渡辺勝幸君 第三十四番 横山隆光君 第三十五番 佐々木賢司君 第三十六番 守屋守武君 第三十七番 外崎浩子君 第三十八番 池田憲彦君 第三十九番 熊谷義彦君 第四十番 岸田清実君 第四十一番 渡辺忠悦君 第四十二番 菅間 進君 第四十三番 坂下 賢君 第四十四番 ゆさみゆき君 第四十五番 仁田和廣君 第四十六番 吉川寛康君 第四十七番 伊藤和博君 第四十八番 佐々木幸士君 第四十九番 高橋伸二君 第五十番 菊地恵一君 第五十一番 佐々木喜藏君 第五十二番 石川光次郎君 第五十三番 中島源陽君 第五十四番 本木忠一君 第五十五番 中山耕一君 第五十六番 安藤俊威君 第五十七番 畠山和純君 第五十八番 藤倉知格君 第五十九番 中沢幸男君欠員(一名) 第三番
-----------------------------------説明のため出席した者 知事 村井嘉浩君 副知事 伊藤哲也君 副知事 池田敬之君
公営企業管理者 佐藤達也君 総務部長 小野寺邦貢君 復興・危機管理部長 千葉 章君 企画部長 武者光明君 環境生活部長 佐々木 均君 保健福祉部長 志賀慎治君
経済商工観光部長 梶村和秀君 農政部長 橋本和博君 水産林政部長 吉田信幸君 土木部長 千葉 衛君 会計管理者兼出納局長 大庭豪樹君 総務部参事兼秘書課長 村田俊顕君 総務部参事兼財政課長 高橋寿久君 教育委員会 教育長 佐藤靖彦君 副教育長 佐藤芳明君
選挙管理委員会 委員長 皆川章太郎君 事務局長 後藤和隆君 人事委員会 委員長 西條 力君 事務局長 北沢康一君 公安委員会 委員長 庭野賀津子君 警察本部長 原 幸太郎君 総務部長 横山 裕君 労働委員会 事務局長 中村今日子君 監査委員 委員 吉田 計君 事務局長 小林一裕君
----------------------------------- 議会事務局 事務局長 目黒 洋君 副事務局長兼総務課長 大場則昭君 参事兼議事課長 菅原敏彦君 政務調査課長 佐野浩章君 総務課副参事兼総括課長補佐 堀 喜昭君
議事課総括課長補佐 大友幸二君 副参事兼
政務調査課総括課長補佐 千葉恵子君 議事課長補佐(班長) 我妻則之君
議事課主任主査(議事運営担当) 二上秀幸君
----------------------------------- 議事日程 第二号 令和五年六月二十一日(水)午前十時開議第一
会議録署名議員の指名第二 議第八十九号議案ないし議第百五号議案及び報告第十八号ないし報告第二十三号第三 一般質問 〔守屋守武君、天下みゆき君、松本由男君、八島利美君〕
----------------------------------- 会議に付した事件一 日程第一
会議録署名議員の指名二 日程第二 議第八十九号議案ないし議第百五号議案及び報告第十八号ないし報告第二十三号三 日程第三 一般質問 〔守屋守武君、天下みゆき君、松本由男君、八島利美君〕
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△開議(午前十時)
○議長(菊地恵一君) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は、お手元に配布のとおりであります。
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△
会議録署名議員の指名
○議長(菊地恵一君) 日程第一、
会議録署名議員の指名を行います。
会議録署名議員に、四十一番渡辺忠悦君、四十二番菅間進君を指名いたします。
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△議第八十九号議案ないし議第百五号議案
△報告第十八号ないし報告第二十三号・一般質問
○議長(菊地恵一君) 日程第二、議第八十九号議案ないし議第百五号議案及び報告第十八号ないし報告第二十三号を議題といたします。 地方税法第二百五十九条第二項の規定により、関係議案について
株式会社グリーンパワーインベストメント及び
日本風力エネルギー株式会社の意見を求めましたところ、お手元に配布のとおり、意見が提出されました。…………………………………………………………………………………………… 令和5年6月20日
宮城県議会議長 菊地恵一殿
株式会社グリーンパワーインベストメント 代表取締役社長 坂木 満 意見書 令和5年6月14日付け「条例案に対する意見について(案)」により求められた意見について、下記のとおり意見を提出いたします 記 政府が進める
再生可能エネルギーの導入拡大は、地球環境のためだけでなく、日本の
エネルギー安全保障を確保するためにも、非常に重要であると考えています。 昨今、洋上風力に期待が寄せられていますが、事業実績も限定的でその実現にはかなりの時間を要することから、陸上風力を確実に導入することが、国が掲げるエネルギーベストミックスの目標値達成には不可欠となっています。 地域の自然の力によってエネルギーを作り、新たな経済循環を起こすことができる陸上風力は、本条例の掲げる「地域共生」につながる活動であると考えます。 当社はこれまで通り、地域の皆様のご理解とご協力のもと、自然・社会環境に最大限配慮しながら、本条例を遵守して事業を推進します。 以上…………………………………………………………………………………………… 宮城県様
再生可能エネルギー関係新税についての意見
日本風力エネルギー株式会社 これまでの宮城県
再生可能エネルギー税制研究会で行われてきた議論における原則論として、新規則の適用は、通常の開発プロセスに従って進行中の事業・案件に影響を与える可能性があります。a. 土地の一部または全部を取得し、
b. 系統接続費用を支払済みであり、c. 諸許可手続き中であるにも関わらず、d. 新税の除外条件を満たしていない(例えば、「着工済み」でない)場合、e. 既存の開発・投資(上記 a.~c.のプロセス)が不当な影響を受ける可能性が高いと認識しております。場合によっては事業が実現不可能と判断・中止されることもあり得ると危惧しております。 これまでの同研究会における議論の中で、不合理な点や慎重に進めるべきと思われることがありましたので、以下コメントいたします。 ① 宮城県
再生可能エネルギー税制研究会開催要綱では、その目的を「
再生可能エネルギー発電施設の設置による大規模森林開発の抑制と、平野の未利用地などへの適地誘導を図り、地域と共生する
再生可能エネルギー発電施設の設置を促進することを目的」と記載されております。 (ア)第一に、大規模森林開発の抑制が目的であれば、制度設計上、開発面積を基準に議論されるべきものと考えます。 また、森林・自然保護の意図には共感いたしますが、他方、再エネ事業開発は現状の
許認可プロセスなどで既に、環境・技術の調和を図る手続き・技術両側面の精査(環境影響評価など)を経ていると言えます。過剰な課税は、自然環境保護のための技術を促すものではなく、事業者に対する足かせとなる側面が強いため、経済性・収益性の観点(すなわち税負担)から事業のフィージビリティを低下させることで、再エネ事業の開発を迂回的・間接的に放棄させるよう誘導しているように見えます。 (イ)第二に、
再生可能エネルギーは発電の種類によって開発面積が異なる点を考慮せずに、発電事業会社の営業利益に一律課税することは、税の三原則「公平性・中立・簡素」の観点からも制度設計上問題があると考えます。 (ウ)第三に、平地の未利用地などへの適地誘導を図ることも目的に記載されていますが、
再生可能エネルギーの電源種別ごとに適地は異なりますし、前述のとおり開発面積やその他の地域便益も考慮されるべきです。 例えば、風況の良い山林が適地になりやすい陸上風力発電については、
メガソーラー太陽光発電と比較して、改変する森林の面積は小さいです。加えて、管理道路が整備されることで、管理がしやすくなり森林機能の回復が期待されるという、地域便益が得られる地域共生の側面があります。 しかしながら、当該制度設計の議論では、
再生可能エネルギーの電源種別ごとの宮城県内の具体的な適地は示されておりません。加えて、陸上風力発電は事例からも除かれており、具体性のない事例のみで結論を導くことは、その目的が達成できないと思われます。 (エ)第四として、風況など諸条件から、発電事業者は結局のところ、森林地帯に位置する事業・案件の開発を模索・推進していくことになりますが、このような課税は再エネの開発・運用費用の上昇を招きます。収益性・事業性の低下は、事業者にとっては事業推進の中止までも視野に入れることとなり、法人事業税など自治体として期待していた税収入の低減にもつながります。 ② 最後に、行政機関が制度を設計する際、事業者の財産権や営業の自由の制約を及ぼす場合には、客観的な条件に基づき判断される必要であると考えます。しかしながら、当該制度導入による規制の背景の前提は、宮城県下の自治体に対する
再生可能エネルギーの推進要望の件数は考慮されておらず、反対の件数のみを考慮しているように見受けられるなど、審議の客観性について課題があると考えます。 加えて、反対の実態については、県内の対象自治体への一部の賛成要望にも示される通り、地域外の個人や団体による反対活動があるとの言及があります。これらことを勘案すると、県外や対象地域外の個人や団体などの私人による反対活動が、県下で反対要望の中に含まれていないか、各地域の反対の実態把握をした上で、慎重に進めていくことが公的機関の役割と正しい手続きの在り方であると考えます。 上記の観点から新税は、ゆくゆくは日本全体おける再エネ開発の意欲を削ぎ、結果として日本の電力市場は、
地政学的リスクの高い火力発電に依存し続けることになりかねません。昨今の
地政学的リスクが、日本経済及び国民(宮城県・県民を含む)に大きな費用負担をもたらせているのは自明であり、このような見通しは、新税制定の意図と真逆の方向性を示していると危惧しております。 新課税が宮城県にもたらす、想定外の副作用の例としては、固定資産税など税収の減少、技術開発の後退、2050年脱炭素目標の未達成(県・国とも)などが挙げられると考えます。 以上……………………………………………………………………………………………
○議長(菊地恵一君) 地方公務員法第五条第二項の規定により、関係議案について県人事委員会の意見を求めましたところ、お手元に配布のとおり、意見が提出されました。…………………………………………………………………………………………… 宮人委第89号 令和5年6月16日
宮城県議会議長 菊地恵一殿 宮城県人事委員会 委員長 西條 力 条例案に対する意見について 令和5年6月14日付け宮議第103号で意見を求められた条例案に対する意見については、下記のとおりです。 記「議第92号議案 職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例」 この条例案は、警護対象者の警護の業務に対する
身辺警護等作業手当の額の改正を行うもの及び人事院規則の改正に準じて
防疫等作業手当の
新型コロナウイルスに関する特例を廃止するものであり、適当と認めます。……………………………………………………………………………………………
○議長(菊地恵一君) ただいま議題となっております各号議案についての質疑と、日程第三、一般質問とを併せて行います。 質疑、質問は、順序に従い許します。三十六番守屋守武君。 〔三十六番 守屋守武君登壇〕
◆三十六番(守屋守武君) おはようございます。自由民主党・県民会議の守屋守武でございます。議長のお許しをいただき、一般質問をさせていただきます。
トップバッターということでございますが、まず、本日は何の日かと思いました。仕事も遊びも一生懸命の日ということでありまして、何でかというと、働き方改革、ワーク・ライフ・バランスが叫ばれる中、仕事と遊びのどちらが重要というものではなくて、両方とも全力で取り組む日ということでありまして、夏至の一番長い日が設定をされたということでございます。議員の皆様、仕事も遊びも一生懸命やってまいりましょう。 それでは、通告に従いまして、順次質問をさせていただきます。 今回の補正予算の考え方について伺います。詳細については
予算特別委員会で質疑されるものと承知をしております。私のほうからは、補正予算の組み方と地方経済の実態に沿って県の考え方を伺っていきますので、よろしくお願いいたします。 この春の春闘では、大手企業の月給賃上げ率は平均で三・九一%と、前年を一・六四ポイント上回り、二年連続で上昇し、三十年ぶりの高い水準となりました。また、令和五年四月から六月期の東北財務局の企業の景況判断BSⅠでは、全産業で「下降」超幅が縮小しているとのことであり、東北全体でも回復基調がうかがえるとのことであります。更に、五月八日の
コロナ措置緩和を受けて、インバウンドはもとより国内旅行も大きく動き出し、観光宿泊関係や、関連した運輸関係も実感するところではないでしょうか。議会ごとに宿を確保しなければならない私にとっては、仙台エリアにおける
ビジネスホテルの予約が取りにくかったり、価格も高騰していることから、大変ではありますが、経済の動きを肌身で感じるところであります。このような状況は、地方の観光関係にも若干反映されてきたかなと感じます。しかしながら、今までも、地方は経済や景気の波が都市部と同時に来るというようなことではございませんでした。政府から企業への賃上げ要請で大手企業は対応できましたが、地方ではすぐには実行できないというのが現状であります。依然、
エネルギー価格をはじめ物価の高騰が続いており、産業界及び消費者にとって、いまだ厳しい状況にあることを御認識いただきたいと思います。そこで、今回の補正内容を見ますと、学校関係の給食費や低所得世帯を対象とした支援及びフードバンクや子ども食堂などの助成は十二か月対応であり、的を得たものと感謝するところであります。一方で、産業系に関する支援策については、ほとんどが半年または三か月を期限としております。国庫を財源としていることから、その中で様々に配慮して編成したものと思いますが、さきに述べたように、傷んだ地方の経済回復には時間がかかります。と同時に、人口減少、後継者問題などの課題から、多くの経営者は事業継続に奮闘し、かつ悩んでおられます。本来であれば一年のサイクルで確実な支援が必要なときであると思いますが、今回補正予算の方向性について伺います。 また、知事の地方経済の認識と、今後、地方における経済・産業が反転攻勢に向かうべく、考え方について伺います。 次に、宮城県の農林水産物・
食品輸出促進戦略について伺います。 日本の国内の人口減少と高齢化の加速により、今後、国内の食品市場の縮小は避けられない状況であります。我が県においても、農林水産業及び食品産業が発展するためには、更なる輸出拡大が不可欠であり、今般、み
やぎ国際戦略プラン第五期の策定に併せて、新たな課題に対応すべく改定し取り組んでいるとのことであります。国内の状況を見ますと、昨年一年間の農林水産物と食品の輸出額は一兆四千百四十八億円で、前年より一四%上回り、過去最高となりました。中でもホタテは、前年より四〇%以上増えて九百十億円とのことであります。宮城県の二〇二二年の貿易概況では、魚介類及び同調製品の輸出は、仙台空港が十一億三千三百万円で前年比二〇%のプラス、気仙沼港は一億千六百万円で前年比一八%のプラスとなっており、全体で約十二億四千九百万円の実績でございます。みやぎ登米農協は、平成三十年から米を輸出しており、令和二年度は二千トン、令和三年度は目標とした三千トンを達成するなど、単協では国内最大級の輸出量となりました。大変すばらしい取組であると思います。県は、令和五年度の輸出関係に約三千九百万円の予算規模の事業を組みましたが、円安でもあり、
マーケットインによる需要獲得を積極的に取り組むべきではありませんか。農林水産物の輸出戦略についての知事のお考えを伺います。 また、ホタテに次いで大きく伸びたのが日本酒であり、前年比二一・五%増えました。やはりコロナ禍からの回復期であること、また、円安であるこの時期を逃さず、積極的に輸出戦略に取り組むべきであり、輸出品目の生産・改良等に関しても指導や支援を充実すべきではないでしょうか、伺います。 続きまして、ホヤ、カキの輸出の取組について伺います。 宮城県は、震災前、ホヤの収穫量は年九千トン前後あり、その七割ほどが韓国への輸出でしたが、震災後、福島第一原発事故に伴う韓国の禁輸措置で販売が絶たれ、その後は需要に合わせて生産調整をし、令和二年は約四千三百トンの水揚げとなっております。今年五月三日には、宮城げんき市ほや祭りが四年ぶりに勾当台公園で開催され、大いに盛り上がったようです。我々は四月に日台交流議連で台湾を訪れ、メトロポリタンプレミア台北に宿泊した際に、社長以下幹部の皆さんと情報交換をさせていただきました。このときに、ホテルのシェフにホヤはどうなのか伺ったところ、「ぜひ使いたい。現在は輸入できていないので。」とのことでありました。台湾へのホヤのアプローチは、二月に県の国際ビジネス推進室で台北市のシェフ三人を招いて養殖場の視察や試食会を行い、高い関心であったことから、この夏にも輸出がスタートするとの報道でございました。県では、令和五年度の当初予算において、ホヤ海外販路開拓事業とカキ海外販路開拓事業に共に千百三十万九千円の予算を措置しております。台湾にはホヤがそれほど流通していないことから、今後の展開次第では大きなマーケットとなる可能性があります。また、カキにおいては、更に取り扱いやすいものと考えております。県の現在の取組状況と、生産者、加工業者との関係性について伺います。 また、ホヤはアメリカのコリアンタウンには輸出した経緯もあるようですが、台湾以外についてのアプローチはどうなのか伺います。 また、今朝は本木先生のほうから、雄勝の蒸しホヤ、桑ノ浜の佐藤さんの作った大変立派なホヤを頂戴いたしまして、食べさせていただきました。肉厚で、多分我々が言う四年子のホヤだと思います。こういう立派なホヤは、ぜひ海外の方にも食べていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。後で行くんだと思いますけれども。 続きまして、仙台牛、仙台黒毛和牛などの県の畜産輸出の現状について伺います。 平成二十九年に宮城県で開催された第十一回全国和牛能力共進会では、登米市の小野寺正人さんが二区で一席のすばらしい成績を収められ、宮城の畜産に勢いをつけました。折しも我が国は、コロナ前には年間三千二百万人のインバウンドが訪れる最盛期を迎えておりました。このような社会情勢の中で、畜産関係も好調に進んでいたところでありましたが、二〇二〇年の新型コロナ感染症流行以来、経済は大きな打撃を受け、更に、ロシアのウクライナ侵攻により、飼料価格の高騰など、畜産事業は厳しい経営状況となりました。今年五月のコロナ対策の緩和により、国内市場が持ち直すとともに、インバウンドの再開で消費動向に復調の兆しは見えてきたものの、決して安心できる状況ではないことから、今後とも現場に寄り添った支援が求められます。 そこで、仙台牛の輸出について伺います。 先日、気仙沼の知人から、台湾から仙台牛を欲しいと注文を頂いたのだけれども、宮城県で出していないんだねとのことでありました。現在、仙台食肉市場からは、タイ、ベトナム、マカオには出荷できるのですが、それ以外の国には輸出できない状況であり、輸出する際には、岩手県の株式会社いわちくさんで処理をして対応していかなければなりません。今、仙台牛の需要を伸ばしてきたのは台湾であり、コロナ禍の令和二年には千三十六キログラムだったのが、令和三年には一万千四百六十五キログラム、令和四年には二万五百六十九キログラムとなり、海外輸出国では一番に近い成績となっております。また、他の国も合わせた輸送総量では四万六千十八キログラムとなり、海外の和牛人気が伸びていることが分かります。このような状況から、仙台食肉市場との兼ね合いもありますが、我が県において、輸出先国の求める衛生基準に適合した食肉処理施設の整備を進めるとともに、できればEU基準をクリアできるような取組が必要ではないかと思います。県の取組について伺います。 また、世界の中でも少子高齢化の進展で人口減少が著しい日本においては、牛肉のみならず、市場規模の縮小は喫緊の課題と言えます。海外戦略へのシフトは生産者にとっても重要であると思いますので、県の考え方、方針について伺います。 次に、我が県の杉苗木生産について伺います。 先週の河北新報に「スギ花粉三十年後に半減」の見出しがありました。政府が五月三十日に花粉症に関する関係閣僚会議を首相官邸で開き、三十年後に花粉の発生量の半減を目指すなど、健康被害を抑えるための政策を公表しました。花粉発生源の
杉人工林の伐採規模を現在の約五万ヘクタールから七万ヘクタールに拡大し、十年後の苗木の生産の九割以上を花粉飛散の少ない品種に植えなおす、植え替えも進めるというものであります。花粉症に悩まされている私にとっては、大変な朗報であります。このような状況でスギ花粉発生源対策推進方針が改訂され、宮城県でも見直したプランで進めることとしております。宮城県の令和四年の少花粉種子生産量は〇・〇八八キログラムであり、これは種子がない状況に等しく、十六・五キログラムを生産している岩手県に大きく後れを取っております。我が県の少花粉杉苗木生産に向けた見通しについて伺います。 次に、地元の苗木業者は、令和五年から挿し木苗生産を休止したとのことでありました。その理由は、購入発根穂木に幹部だけでなく枝部穂木が見られることや、差し木は直通でないと、雪解け後、つるなどに引っ張られて曲がったり、実生苗と比べ成長が遅く雪で折れるなどのため、造林業者から不評であるとのことであります。岩手県の国有林では挿し木苗は使われていないとのことや、山形県でも既に二十年前にやめているとのことであります。このような状況から、他県から実生苗を取り寄せている状況であり、県としては、現状を鑑み、他県との流通等を積極的に支援するべきではないか、伺います。 次に、林業用苗畑実態調査の実施について伺います。 この調査は、昭和五十三年当時に県と生産者で苗畑共済事業基金が行われていたため、県が昭和五十四年より実施してきたとのことであります。しかしながら、平成二十二年に基金が解散しており、調査を実施する理由が見当たらない。また、他県ではおおむね生産者の申告制としているのにもかかわらず、現在もほぼ同じ内容で調査が行われており、苗木の出荷時期と調査が重なったときの生産者の負担は大きいとのことであります。調査を実施する法的な根拠も見当たらないため、申告制にすべきであり、県は別の形で生産者と接する機会を設け、積極的に生産現場の状況や実情を把握し、優良苗の生産に協力するべきではないでしょうか。県の考え方を伺います。 次に、少花粉杉には挿し木苗と実生苗がありますが、現在、県内流通の中心は少花粉杉の挿し木苗となっており、初期段階の生長が遅いので、下刈りを最低年一回は必要とのことでありますが、下草刈りの補助が削減されたことにより、杉の成長にも悪影響が出ているとのことであります。現状を精査して費用の見直しを図るべきではないのか伺います。 続きまして、持続可能な沿岸漁業の在り方について伺います。 水産庁では、水産政策の改革として、水産資源の適切な管理と水産業の成長産業化を両立させ、漁業者の所得向上と年齢バランスの取れた漁業就業構造を確立することを目指し、取組を行っております。その柱として漁業法等を改正し、平成三十年十二月に漁業法等の一部を改正する等の法律が公布され、令和二年十二月に施行されました。いわゆる改正漁業法であります。端的な表現だと「水産資源の持続的な利用を確保するとともに、水面の総合的な利用を図り、もって漁業生産力を発展させることを目的とする」としており、歯止めのかからない漁業者の減少と高齢化が進む中で、漁場が有効活用されていない現状があり、海面を適切かつ有効に活用することを目的として、改正されたものと考えます。我が県では、昨年、ノリ養殖やワカメ養殖などは他の生産地の不作等から高値取引となり、なおかつ燃料や資材、飼料の高騰などに対しても、県・市町において適宜補正等の支援を打ち出していただいたことで、何とか乗り越えた感があります。令和五年度は漁業権の一斉切替えにも当たっておりますが、課題の一つである漁場の適切かつ有効活用について、県の認識と見解を伺います。 次に、後継者育成に関して、さきの議会での質問で、漁師カレッジにおける取組の説明と、思うような成果は出ていない旨の回答を頂きました。私も浜に出て生産者と話をしていて感じるところであります。後継者育成に当たっても、漁場の活用や資材の調達、船の確保と、何よりも漁業権の獲得など、ハードルが高い分野と感じます。国では、海業の振興を図り、地域の所得向上と雇用機会の確保を図るとしております。このような観点からも、総合的な人材確保や支援の在り方について、県の方針を伺います。 次に、子供の成長とスポーツについて伺います。 危機的な少子化時代を迎えている今日、子供たちと運動、スポーツの関係から見てみました。まず、こんなデータがあります。兄弟姉妹の中で、最も運動能力が高いのは誰か。逆に最も低いのは一人っ子、次いで第一子、そして最も高いのは第二子でありました。運動能力伸び盛りの幼児期に、一人っ子や第一子の場合は、周囲にいるのは大人ばかりの環境です。対して、最も能力が高いのは、兄弟姉妹三人以上の中間子で、小さいときには上の子に引きずり回され、次は下の子たちを連れ出す。すなわち、常に同年代と群れて活動している環境にあることが要因と言われております。このようなデータから、幼児期に集団で遊び、スポーツをすることに様々なメリットがあることが判明しております。例としては、体力アップ以外にも、運動によってカルシウムが骨に変わり、体が丈夫になる。また、意欲や思いやり、協調性など、数値で測れない非認知能力が養われ、脳が活性化し、社会性が育まれるというものであります。更に、全国二百人の体力・運動能力と学力の関連を調査した結果、運動している子供ほど試験の正答率も高いとの調査結果が出ております。ここで誤解してほしくないのは、単に運動すれば勉強ができるようになる、または、勉強に打ち込むと運動ができるようになるというわけではなく、運動やスポーツを楽しむ中で非認知能力が養われ、子供たちが自発的に運動とスポーツ、勉強にメリハリをつけて取り組むようになることが効果として出てくるんだと分析されております。 さて、我が県の二〇二二年の体力テストの結果は、小五男子は全国四十一位、女子は三十六位であり、学力は小六、国語で三十三位、数学が四十六位、理科は四十二位という成績であります。ちなみに、福井県や秋田県は体力・学力ともに常に五位以内にランクインしておりますから、これまでの運動や体力・学力の関係性の調査結果と一致するところであります。同じように宮城県も一致しております。加えて宮城県は、子供の肥満率が高いこと、深刻なのは、不登校の増加と低年齢化であります。これらの課題に対して、これまで述べてきた、幼児期から集団での運動遊びの環境づくりが予防策の一つとして考えられております。その手段の一つに、幼稚園、保育所から小学校低学年に向けたアクティブ・チャイルド・プログラムが有効であり、県の推奨するルルブルをより具体化することができるのではないかと思いますが、この点について伺います。 スポーツ少年団では、先日、日本スポーツ少年団の泉本部長に御講演を頂きました。講演では、今まで小学校で卒団していたことを改め、十八歳まで活動する方向性を示し、三歳から十八歳までのジュニア・ユース世代を対象に「一人でも多くの青少年にスポーツの歓びを提供する」などの理念に基づき、生涯スポーツの入り口としての役割を強調しておられました。また、各競技団体なども、幼児段階での受入れを始めたところであります。このような幼児期の運動遊びの導入については、保護者の理解と協力が欠かせません。県としても政策的な取組が求められますので、考え方について伺います。 次に、部活動の地域移行について伺います。 スポーツ庁は、公立中学校の部活動の地域移行について、本年度、二〇二三年度から三年間を改革集中期間と定めて、体制整備に百二億円を要求しておりました。中でも、中学校と移行先や指導者をつなぐコーディネーターは、二三年度に三千人を予定していたのですが、受皿組織の問題や指導者不足の声が各自治体から上がり、昨年十二月に急にトーンダウンし、明確な期限を設けないこととしました。このことから、予算も二十四億円程度に縮小され、取組を進めていた地域からは不満の声も出ましたが、ほとんどの自治体では一息ついた思いではないでしょうか。ただし、地域移行は、少子化や教員の働き改革などの観点から地域を巻き込んだ大きな機構改革であり、進めていかなければならない事業であります。本県の少子化の進行は、東日本大震災の被災自治体ほど著しい状況にあり、小中学校の統廃合が進められる中で、部活動の地域移行の有無にかかわらず、合同部活動や地域部活動、部活動指導員の活用における生徒の活動環境の確保は、喫緊の課題となっております。その調整役として、コーディネーターは教育委員会ごとの配置が必要ではないでしょうか。県の考え方を伺います。あわせて、必要経費についても予算化するべきではないでしょうか、伺います。 今回の移行期間の対応が期限を定めないとしながらも、現状は移行へと進めなくてはなりません。今回、予算を大幅縮小されたことは、経済的に厳しい御家庭にとって、大きな不安材料であります。さきに議会でも述べましたが、平日は学校で休日は地域とし、地域活動には個別の保険対応を求めておりますが、移行期間に関しては、災害共済給付制度の対象とすべきではないでしょうか、伺います。 次に、中体連では今回、地域活動、いわゆるスポーツ少年団としての参加も一部認めていただきました。心より感謝いたします。中体連の運営については、担当の先生方に大きな負担をかけていることも承知しております。そのような中で、地方における合同部活動や地域クラブが多数中体連に参加できる状況となることが想定されます。その際に、中体連の運営に地域部活動やスポーツ少年団、競技団体などからも協力する体制づくりも検討する必要があるのではないでしょうか。既にスポ少や種目別の競技団体から審判など協力している種目もあります。これからの中体連の運営の在り方について伺います。 地域移行については、文化部がなかなか難しいのではないかと話に聞きます。例えば吹奏楽などは、コンクールに参加する中学校は全国で七千団体を超え、地域移行はこれらの団体の活動をどのように保証するのか、また、吹奏楽の楽器を練習のために移動することとなれば大きな費用がかかるし、楽器そのものはどのような取扱いにするのか、保管場所や整備も含めて大変な負担となることが容易に想像できます。このような状況についての認識と、現在どのように考えているのか伺います。 以上で壇上からの質問を終わります。誠意のある回答を求めます。どうぞよろしくお願いいたします。
○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。 〔知事 村井嘉浩君登壇〕
◎知事(村井嘉浩君) 守屋守武議員の一般質問にお答えいたします。大綱六点ございました。 まず、大綱一点目、補正予算の考え方についての御質問にお答えいたします。 初めに、今回の補正予算の考え方についてのお尋ねにお答えいたします。 今回の補正予算は、生活者や事業者の皆様に対する幅広い物価高騰対策として、特に速やかな対応が求められる施策について、国の予備費で措置された電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金等を活用し、編成いたしました。物価高の克服に向けては、国において様々な対策が講じられており、特に、電気・都市ガス・燃料油価格の激変緩和対策は、今年九月までの支援とされております。また、議会での議論や県民、企業等からの要望を踏まえ、交付金の交付限度額を最大限に活用し、きめ細かく速やかに支援を行う観点から、光熱費や燃料費などの負担軽減策については、今年四月から九月までの六か月間を集中的に支援することとしたところであります。現在、物価高騰により県民生活に大きな影響が生じていることから、先日の政府要望におきましても、私自ら、地方創生臨時交付金の追加配分や、国の激減緩和対策の十月以降の継続実施について要望いたしました。引き続き様々な場面において、国の適時適切な物価高騰対策を求めてまいりたいと考えております。 次に、地方経済の認識と反転攻勢の考え方についての御質問にお答えいたします。 我が県の地域経済については、東日本大震災で大きな被害を受け、産業・なりわいがいまだ回復しない中、三年にわたる
新型コロナウイルス感染症の影響とエネルギー等の価格高騰や物価高騰により、あらゆる産業が大きな影響を受けており、地域の事業者は大変厳しい状況にあります。今後、早期に県内経済全体を立て直していくために、先進的技術の活用等を通じた県内産業の生産性向上とイノベーションの創出による高付加価値構造への転換を図るとともに、ものづくり産業などの地域経済の核となる企業の育成を推進してまいります。また、国内のみならず海外も含め、産業人材の育成・確保、県内企業の取引拡大や観光客の獲得による交流人口の拡大を図り、地域経済の好循環を生み出し、地域ににぎわいを取り戻すためのあらゆる取組を積極的に進めてまいります。 次に、大綱二点目、農林水産物の輸出戦略についての御質問のうち、
マーケットインによる需要獲得についてのお尋ねにお答えいたします。 県産品の海外販路拡大については、宮城県農林水産物・
食品輸出促進戦略において、水産物、米、牛肉、イチゴ、日本酒の五品目を輸出基幹品目と定め、積極的な輸出促進施策を展開しております。全国的に輸出量が伸びている日本酒については、韓国や香港を中心とした輸出に加え、近年は新たに欧州への販路開拓を進めており、昨年度において新たにイタリアで構築したバリューチェーンを糸口に、宮城県産の日本酒の一層の浸透と販路拡大を図ってまいりたいと考えております。また、東北一の生産量を誇るイチゴについては、タイに向けて空輸による定期・定量の輸出を開始したところであり、引き続き、タイや香港、シンガポールなど、広く海外市場の需要に応え、輸出量の拡大に取り組んでまいります。県としては、今後とも、
マーケットインの視点で、海外市場のニーズを踏まえた商品づくりや新たなバリューチェーンの構築など、輸出に関する諸課題の解決を支援するとともに、新たに輸出に取り組む事業者や品目の掘り起こしを積極的に行い、県産品の輸出拡大に取り組んでまいります。 次に、大綱四点目、持続可能な沿岸漁業の在り方についての御質問のうち、漁場の適切かつ有効な活用についてのお尋ねにお答えいたします。 令和二年に施行された改正漁業法では、免許を受けた漁協等の責務として、漁場を適切かつ有効に活用することが新たに規定されており、漁業者の減少や高齢化が進む中、漁場を総合的に利用することは、漁業生産力を発展させる上でも重要であると認識しております。このため県では、今年九月一日に予定している漁業権一斉切替えに伴う海区漁場計画の作成に際して、既存漁場の統合や拡大を進めたほか、免許期間中に養殖品目を柔軟に変更できるようにするなど、新たな工夫も取り入れたところです。また、県では、漁場を利用する上で漁協が作成する漁業権行使規則に基づいて、より多くの意欲的な漁業者が、漁場を利用できるよう必要な指導を行い、更なる有効活用に向けて取り組んでいるところであります。県としては、漁業権切替え後においても、毎年、漁業権の行使状況報告を漁協等に求め、漁場の適切かつ有効な活用が図られるよう、継続的に指導してまいります。 私からは、以上でございます。
○議長(菊地恵一君) 企画部長武者光明君。 〔企画部長 武者光明君登壇〕
◎企画部長(武者光明君) 大綱五点目、子供の成長とスポーツについての御質問のうち、幼児期の運動遊びの導入に対する取組についてのお尋ねにお答えいたします。 幼児期から運動やスポーツの習慣を身につけるためには、保護者が幼児期の運動遊びの大切さを理解することが重要であると認識しています。このため、県では、県スポーツ協会や県スポーツ少年団と連携し、親子体操やフライングディスクなどのニュースポーツの体験事業を行っているほか、東京二〇二〇大会のレガシーとして、地元出身のオリンピアンと一緒に、親子で運動遊びを楽しむ事業を実施しております。県としては、こうしたイベントをきっかけに、子供たちに体を動かす喜びを感じていただくことで、保護者の理解が深まり、幼児期からの運動習慣が定着するよう、スポーツ少年団の協力をいただきながら、幼児期の運動遊びの普及促進に取り組んでまいります。 私からは、以上でございます。
○議長(菊地恵一君)
経済商工観光部長梶村和秀君。 〔
経済商工観光部長 梶村和秀君登壇〕
◎
経済商工観光部長(梶村和秀君) 大綱二点目、農林水産物の輸出戦略についての御質問のうち、輸出品目の生産・改良に関する指導や支援についてのお尋ねにお答えいたします。 農林水産物や食品の輸出を一層促進していくためには、海外の市場で求められる商品の量や品質、規格等をクリアしながら、これを継続的に生産し、輸出する体制を整えることが重要であると認識しております。一方で、例えば農産物に関しては、農薬成分の残留基準値が輸出先と我が国とでは異なるため、国内の基準値を満たしていても、輸出先の残留農薬検査で基準値を超え、輸出ができないというような事例も見られており、県では、残留農薬基準に適合するイチゴの生産を支援するため、実証圃場の設置や技術支援などを行っております。また、水産物の輸出についても、HACCPなど輸出相手先の基準に対応するための支援を行っているところです。海外への販路開拓については、相手先の経済情勢や法令等の変更などが輸出の成否に大きく影響することから、今後とも輸出に取り組む生産者や関係機関との連携を密にしながら、必要な指導や支援を行ってまいります。 次に、ホヤ及びカキの輸出に関する取組状況についての御質問にお答えします。 東日本大震災により甚大な影響を受けた水産物の中でも、特にホヤ及びカキについては、県の復興基金を活用し、新たな輸出先の開拓や販路拡大に取り組んでいるところです。海外の消費者にとってなじみのない食材を輸出する場合には、商品への理解や食べ方の提案など、まず需要の創出から取り組むことが重要であり、昨年度のホヤの販路開拓事業では、これまで輸出実績のない台湾へのアプローチを試みました。全国二位の生産量を誇るカキの輸出については、同じく第一位の広島県と連携し、マレーシアにおいてプロモーションを実施したほか、香港やシンガポールなど、主にアジア地域への輸出を進めております。ホヤやカキについては、多くが殻むきや冷凍などの加工を経て輸出されることから、販路の拡大に向けては、生産者や加工業者と連携し、企画や提案を頂きながら取組を進めているところです。また、台湾以外のホヤの輸出の取組については、平成二十九年度から三十一年度にかけてアメリカのコリアタウン市場や日本食レストラン向けに、更に、令和二年度と三年度にはベトナムの現地レストラン向けに輸出を行い、ホヤを使ったメニューの提供などを実施してきたところでございます。 次に、海外戦略へのシフトについての御質問にお答えいたします。 日本国内の人口減少は更に加速していくものと見込まれており、農林水産物に関する国内市場規模の縮小は避けられない状況です。このような中で、畜産業をはじめ、我が県の農林水産業や食品産業が発展していくためには、更なる輸出拡大が必要であり、宮城県農林水産物・
食品輸出促進戦略に掲げる輸出基幹品目に限らず、海外市場での販路開拓は重要であると認識しております。一方で、物流や検疫等にかかる手間とコストを考慮すると、輸出で利益を出すことが困難であることも事実であり、輸出によって生産者や食品製造業者が潤う仕組みづくりが重要と考えております。県といたしましては、生産者の利益と安定的な輸出が両立できるよう、関係機関と連携しながら、宮城県産品のブランド力向上に努めるとともに、生産から流通・加工・販売までのバリューチェーン構築を支援してまいります。 私からは、以上でございます。
○議長(菊地恵一君) 農政部長橋本和博君。 〔農政部長 橋本和博君登壇〕
◎農政部長(橋本和博君) 大綱二点目、農林水産物の輸出戦略についての御質問のうち、輸出基準に適合した食肉処理施設の整備についてのお尋ねにお答えいたします。 昨年度の仙台牛等の輸出量は、コロナ禍前の水準である約四十六トンまで回復したところですが、県産牛肉生産量に占める輸出の割合は一%未満であることから、相手国の求める衛生基準に適合した県内外の食肉処理施設から輸出しております。現在、県では、仙台牛銘柄推進協議会と協議を進めており、EU基準をクリアする食肉処理施設を含め、仙台牛の新たな認定施設を増やしながら、輸出の拡大を進めることとしております。県といたしましては、これまで取り組んできた台湾や香港などアジアに向けた輸出に加えて、今年度は更に、日本酒のプロモーションと併せて、欧州への販路拡大を図ることとしており、これらの活動を通じて、仙台牛等の更なる輸出量の拡大に向けて取り組んでまいります。 私からは、以上でございます。
○議長(菊地恵一君) 水産林政部長吉田信幸君。 〔水産林政部長 吉田信幸君登壇〕
◎水産林政部長(吉田信幸君) 大綱三点目、宮城県の杉苗木生産についての御質問のうち、少花粉杉苗木生産の見通しについてのお尋ねにお答えいたします。 杉花粉症は、多くの県民を悩ませている社会的な問題となっており、花粉の少ない苗木への植え替えが、対策を進める上で最も重要であると認識しております。このため、県では、平成十八年度に宮城県スギ花粉発生源対策推進プランを策定し、挿し木苗の供給体制を構築したほか、令和元年度に策定した第二期プランに基づき、実生苗の増産に向け、採種園の整備や母樹の育成等に取り組んでいるところです。今後は、令和七年度から種子の本格供給が始まる見通しですが、令和九年度には県内に流通する杉苗木の半数となる四十万本を、令和十四年度までには全量となる八十万本を、花粉の少ない苗木に置き換えることを目標としております。県といたしましては、花粉の少ない苗木の早期増産に向け、多くの種子を生産している他県の先行事例等も参考としながら、取組を進めてまいります。 次に、杉実生苗の流通についての御質問にお答えいたします。 我が県における花粉の少ない苗木は、これまで、母樹の特性が確実に引き継がれる挿し木苗を中心に生産されており、他県から実生苗を取り寄せている生産者もいることは承知しております。今回、県では、実生苗の増産に向け、県外産種子の移入が可能かどうか、他都府県を調査したところ、一部の県からは、種子の提供が可能であるとの回答を得ております。県といたしましては、今後、宮城県農林種苗農業協同組合や生産者等の意向を確認し、関係機関との調整を図りながら、県外産種子の活用も含め、花粉の少ない杉苗木の確保に取り組んでまいります。 次に、林業用苗畑実態調査についての御質問にお答えいたします。 苗畑実態調査につきましては、国の林業用優良種苗生産流通推進要綱に基づき、造林の円滑な実施を推進するため、都道府県が苗木生産者を対象に、種苗の生産量を調査するものであります。県では、この要綱に基づき、苗畑実態調査として苗木生産者からの調査票の提出を受け、春・秋年二回の現地調査を行うほか、林業普及指導員の巡回などにより、生産状況の把握に努めてまいりました。今回、種子生産量の調査に合わせまして、他県の状況を照会したところ、現地調査によらずに、生産者からの書面報告をもって生産量を把握するなど、幾つかの手法があることを確認したところです。県といたしましては、当該調査が苗木生産者の負担になっているとの声もあることから、宮城県農林種苗農業協同組合など関係者の意見を伺いながら、生産者の負担とならない調査方法を検討してまいります。 次に、挿し木苗の生長と下刈り回数の見直しについての御質問にお答えいたします。 挿し木苗については、初期生長に劣るものの、母樹の特性を確実に引き継ぐことができる利点があり、我が県では、これまで花粉の少ない苗木供給の主力として取り組んでまいりました。また、補助の対象となる下刈りの回数につきましては、再造林の低コスト化を推進するため、伐採から造林までを一貫作業として行う場合の補助率かさ上げなどとともに、令和三年度から原則三回までと見直したものであります。しかしながら、挿し木苗も含め、生長の度合いや現場の条件により下刈りの回数が異なることから、必要に応じて四回目以降につきましても補助の対象とするなど、柔軟な運用としているところです。県といたしましては、今後、初期生長に優れる特定母樹由来の苗木を普及させることで、下刈りの低コスト化を推進するほか、現場の意見を踏まえながら、我が県の森林施業の効率化を更に進めてまいります。 次に、大綱四点目、持続可能な沿岸漁業の在り方についての御質問のうち、総合的な人材確保についてのお尋ねにお答えいたします。 本県の沿岸漁業者数は、後継者不足や高齢化により急激に減少していることから、後継者の育成、新規就業者の確保が急務であると認識しております。このため、県では、平成二十八年度からワンストップ相談窓口を開設するとともに、みやぎ漁師カレッジ研修などを開催し、新規就業者の確保に努めているほか、雇用の拡大につなげるため、漁業経営の基盤強化に向けた専門家派遣などの支援を行っております。一方、国の水産基本計画では、地域資源と漁港施設を最大限に活用し、水産業と相互に補完し合う海業等の産業を育成することで、地域の所得と雇用機会の確保を図ることとしております。県といたしましても、漁港を活用し水産物の消費拡大や交流人口の増大を図ることは重要であると認識しており、漁業後継者対策の充実に加えて、地域活性化の担い手など、漁村における幅広い人材の確保・育成に努めてまいります。 私からは、以上でございます。
○議長(菊地恵一君) 教育委員会教育長佐藤靖彦君。 〔教育委員会教育長 佐藤靖彦君登壇〕
◎教育委員会教育長(佐藤靖彦君) 大綱五点目、子供の成長とスポーツについての御質問のうち、幼児期から集団での運動遊びの環境づくりについてのお尋ねにお答えいたします。 幼児が集団の中で友達と関わりながら、体を動かして遊ぶことは、自己と他者の違いに気づき、他者への思いやりを深め、自立性を身につけていくという観点から重要であり、そのための環境づくりも必要な取組と認識しております。アクティブ・チャイルド・プログラムでは、親子で取り組むものから集団で行うものまで様々なメニューが提供されており、家庭や学校等で活用することも可能であることから、ルルブルエコチャレンジシートで情報発信するなど、子供たちやその保護者に対し周知を図ってきたところです。県教育委員会といたしましては、今後とも、関係部局と連携し、市町村教育委員会に積極的な活用を促しながら、ルルブルの理念である子供の健やかな成長につなげてまいりたいと考えております。 次に、大綱六点目、部活動の地域移行についての御質問のうち、コーディネーターの配置等についてのお尋ねにお答えいたします。 休日の部活動の地域移行については、現在、教育庁保健体育安全課、生涯学習課、企画部スポーツ振興課の三つの課が連携し、今年三月に策定した学校部活動と地域のクラブ活動等のガイドラインを踏まえ、市町村に対するアンケート調査や直接訪問などを実施し、課題や進捗状況の確認及び情報共有を行っているところです。国は、当初、令和五年度から三年間で休日の地域移行を完成するとしていましたが、昨年十二月に、達成時期を一律に定めず、可能な限り早期の実現を目指すこととし、コーディネーターの配置に係る予算についても見送られたところです。県教育委員会といたしましては、運営団体や地域指導者と学校をつなぐコーディネーターは、市町村の目指す地域移行の形により様々になると考えており、市町村ごとに円滑な調整が図られるよう、来年度以降の必要な経費について把握するとともに、国の動向を注視しながら検討を行ってまいります。 次に、地域活動の保険加入についての御質問にお答えいたします。 現在、学校教育活動の一環として実施している部活動は、日本スポーツ振興センターの災害共済給付制度の対象となっておりますが、学校教育から移行されるこれからの地域クラブ活動では、それぞれが個々に傷害保険に加入する受益者負担の考え方が示されております。我が県のガイドラインでは、移行期間において、市町村の実情により体制整備が困難な場合は、学校教育活動としての合同部活動から取組を始め、保護者の経済的な負担を軽減しながら、段階的に移行を進めていく手法を示しております。県教育委員会としましては、将来的な平日も含めた完全移行も見据えつつ、市町村の検討状況を把握し、その実情に応じた事例の紹介や助言などを行うとともに、引き続き、経済的に厳しい家庭への支援も含めて、この部活動改革を進めていくための必要な財政支援について、国に対して求めてまいります。 次に、中体連の運営の在り方についての御質問にお答えいたします。 宮城県中学校体育連盟が主催する中学校総合体育大会は、学校運動部に所属している生徒の成果発表の場としてだけでなく、学校やその保護者にとっても、大切な行事として実施されてまいりました。今年度から、地域移行の取組に伴って、学校に部がなく、地域クラブで活動している生徒の参加が認められ、二十団体が登録されました。また、地域移行の準備が整った市町村の地域クラブも参加が可能となりました。今後、地域移行が進むことにより、更に参加団体が増えることが予想され、大会の運営に当たっては、参加する地域クラブや競技団体の協力が必要になると認識しており、県中体連においても、宮城県スポーツ協会や競技団体と、大会参加要件や運営の在り方について検討を行う予定と伺っております。県教育委員会といたしましても、これまで以上に、県中体連との連携を深めるとともに、生徒が希望するスポーツ活動に継続して親しむことのできる機会の確保に向けて、関係部局と協力して支援を行ってまいります。 次に、文化部の地域移行についての御質問にお答えいたします。 文化部活動の地域移行に当たっては、子供たちが文化芸術活動に継続的に親しむことのできる体制整備を進めていくことが重要であると考えております。また、専門的な知識・技能を持つ指導者や練習場所の確保のほか、特に吹奏楽については、楽器の準備や運搬・保管などの課題があると認識しております。これまで、学校部活動と地域のクラブ活動等のガイドラインを作成し、市町村を対象に説明会を行うとともに、現在は、市町村教育委員会を訪問し、地域移行に関わる中学校の対応やスケジュールなどについて周知を図っているところです。また、モデル地域での実証事業の実施や、先進地域の事例紹介などを行うフォーラムの開催のほか、学識経験者や学校、関係団体等による部活動の地域移行に関する協議会を立ち上げ、吹奏楽をはじめとした文化部の課題についても、意見交換を行っていくこととしております。県教育委員会といたしましては、学校や地域、文化芸術団体等と連携しながら、引き続き、子供たちが地域で文化芸術活動に親しむための環境整備に努めてまいります。 以上でございます。
○議長(菊地恵一君) 三十六番守屋守武君。
◆三十六番(守屋守武君) ありがとうございました。 まず、ホヤについては、台湾にそもそも食文化がないんですね。だけども、メトロポリタンのように、日系企業が結構入っています。そういったことを足がかりにして、しっかりとここに予算を割いて力を入れるべきだというふうに思うんですよ。ですから、そこのところは力の入れ方だと思います。開拓してプラスにする。向こうのシェフは使いたいという話をしているわけでありますから、ここのところのホヤを入れるための基準・規格はまだできていないんですよね。それは今水産庁でやっているという話でありますから、そのことをしっかりと生かして取り組んでください。 和牛でありますけれども、これは物すごい人気になっているんですね。部長の話で「一%だから、おらほでは。ほか頼んでやるから」みたいに聞こえるわけですよ。これで将来いいんですかって話なんです。仙台食肉市場でなかなかクリアできないから、じゃあ今これだけ多くの畜産事業者がいるのに、おらほは外に回しますよと。これはいろいろ調べてみると、なかなか大変ですよね。A5で評価される部分もあれば、そうでない部分はではどうするのというようなことで、輸出に関しては様々あるようです。あるからこそ、ここに県がしっかり力を入れるべきなんだというふうに思うんですよ。その辺はどうなんですか。これ、民間事業者頼りになっていますよね。
○議長(菊地恵一君) 農政部長橋本和博君。
◎農政部長(橋本和博君) 仙台牛の輸出についてですけれども、先ほど御答弁申し上げた形で、仙台中央食肉卸市場で年間処理しております牛肉の重量が、約六千六百トンあります。それに対しまして、輸出重量が四十六トンということで、食肉処理施設の導入につきましては東北六県だけでもなかなか難しくて、東日本の各県と連携しながら導入を検討するというふうなことになります。その一方、今、国内におきましては、食肉加工業者さんが独自に輸出ルートを確保されて、食肉処理施設を整備する計画が今も三つぐらい上がってきております。そういった中で、県といたしましては、まず新たに整備される施設の運用状況等も見ながら、県産牛肉の輸出拡大手法を検討してまいりたいと考えておるところでございます。
○議長(菊地恵一君) 三十六番守屋守武君。
◆三十六番(守屋守武君) 状況は多分そうだと思うんですよ。だけども、本当にこのまま、例えば、市場はどんどん小さくなるのではないですかと言ったときに、そこだけでいいんですかって話になります。そこ頼りではなくて、県がしっかりと中心的に、そこはサポートしていくべきなんだろうなというふうに思いますので、もう少し力を入れてやっていただきたいと思います。 それから、杉の苗木のほう、部長、よく分かりました。いろんな見直しもすると。そしてなおかつ、宮城県の種苗生産、ちょっと遅れているんですよ。だから他県からきちっと県が窓口になって入れて、造林業者は挿し木苗では駄目だと言っているのだから、そこはしっかりと切り替えていくということを進めていただきたいと思います。 沿岸漁業の話になりますけれども、漁場を弾力的にしっかり使えていかないと、後継者を呼び込めないんですよ。だって制限がかかっているところで、自分のうちの土地のような感覚がまだまだあります。したがって今、空き漁場も随分あります。活用できないでおります。こういったところをしっかり活用して、規模を大きくして、人を雇って、そこの中に新たな人を採用していくというようなことを図っていかないと、なかなか難しいのではないかと思います。五年後の漁業後継者、大変ですよ。その辺の取組、どうですか。
○議長(菊地恵一君) 水産林政部長吉田信幸君。
◎水産林政部長(吉田信幸君) 今回、漁業権の一斉切替えに際しまして、漁業法の改正がございますものですから、海面の漁場の有効活用ということで指導をしてございます。お話がございましたとおり、空いている理由というのが、支所ごとに管理しているというような側面もございまして、十分に活用がされていないのではないかというふうに見えるところもあると。実際にはいろいろ事情があって十分に使えていない部分がありますので、その辺りはございますけれども、ただ、いずれにしても有効活用ということで、支所間の調整等は、やはりそれぞれの漁業者の理解がポイントになると思いますので、その辺り、いずれ有効活用に向けまして、漁業者の状況をよく確認しながら、県としても調整なり指導ということで取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(菊地恵一君) 三十六番守屋守武君。
◆三十六番(守屋守武君) 漁業者の関係性がよく分かりますから、県のほうが音頭を取らないと駄目なんだろうなと思って、こうして質問しております。漁協が合併してきまして、それぞれやはり縄張がありますから、適正活用できるように、今後とも指導をよろしくお願いしたいと思います。 それから、学力と運動の関係とかってこうずっと話をさせていただいているんだけれども、これは、要は保健福祉部と教育庁、それから企画部が一体になって、どういう政策でやったらいいかということをやらないと駄目だと思います。その点についていかがですか。
○議長(菊地恵一君) 企画部長武者光明君。
◎企画部長(武者光明君) 幼児期の運動遊び、スポーツといったものを定着することは非常に重要と考えております。これにつきましては、今御指摘いただきましたように、企画部、それから保健福祉部、教育庁、三部一緒になって力を合わせて対応していきたいと思っております。本当に、保護者に対しての意識を変えていくこと、それに伴って小さいときから運動していくこと、とても大事なことだと考えております。
○議長(菊地恵一君) 三十六番守屋守武君。
◆三十六番(守屋守武君) 部活動の地域移行は、今が一番大変なときなんですよ。全部地域に移行してしまえば、企画部の担当になる。今が一番大変なときで、ここをしっかりサポートしなければならないと考えております。その点について、例えばコーディネーターの費用であったり、それから吹奏楽なんかとても大変ですよ。ここの感覚、どうですか教育長。
○議長(菊地恵一君) 教育委員会教育長佐藤靖彦君。
◎教育委員会教育長(佐藤靖彦君) 議員がお話しのとおり、吹奏楽につきましては、現状を申し上げますと、やはり楽器自体を学校のものをお借りしていたり、場所も学校でやっているということで、場所の確保、運搬なども含めて、非常に課題が多いものと思っております。今、各県で少しずつ動き出している事例などもありますので、その辺もしっかり勉強しながら支援してまいりたいというふうに考えております。
◆三十六番(守屋守武君) 終わります。ありがとうございました。
○議長(菊地恵一君) 二十三番天下みゆき君。 〔二十三番 天下みゆき君登壇〕
◆二十三番(天下みゆき君) 最初に、四病院再編構想について伺います。 長く県立精神医療センターで働き、その後も名取市で精神医療を担ってきた医師から、お話を伺いました。「精神医療センターは一九五七年に名取病院として設立以来、県南各市町に指導医を派遣し、訪問活動や相談事業、保健師への精神科患者への接し方の指導を行う中で、患者会、家族会、作業所ができ、精神科患者への保健師の訪問活動が日本一多くなり、宮城方式と呼ばれて評価されました。治療方法の進歩により病状が改善し、退院可能な患者が増えたが、退院先がなくて退院できない患者が増えたことから、グループホームを二〇〇〇年までに五軒、病院職員の活動で設立し、維持してきました。病院への通院のために周辺に住む患者が増え、患者会やデイケアを設立し、二〇一四年には訪問看護ステーションを設立した」とのことでした。知事、六十数年間かけて精神医療センターの医師や職員が患者さんやその家族、行政関係者、地域の作業所やグループホームなどの関係者と一緒に築いてきた地域ケアシステムを、どのように評価しているのか伺います。また、富谷市への移転は、名取市におけるこの地域ケアシステムを壊してしまうのではないですか、お答えください。 五月三十一日の精神保健福祉審議会を傍聴しました。その議論を踏まえて、以下質問いたします。 審議会では、南の病院は外来だけ診ていて、入院は富谷では現実的でない。二十五キロメートルある。入院に納得していない人を簡単に運べないという指摘がありました。そこで、外来受診した患者が病状悪化で入院する場合、富谷の病院にどうやって行くのか伺います。また、県の提案では、デイケアや訪問看護は「民間医療機関との役割分担について検討」するとありますが、民間医療機関ではどのくらいの受入れが可能なのか、お答えください。 次に、県が労災病院と合築する理由としている、身体合併症への対応について伺います。 審議会では、運営母体の違う病院で、身体合併症の患者に対して日常業務として毎日回診するのは難しいという指摘がありました。知事は、岩手県立磐井病院と南光病院の例を挙げて合築のメリットを強調していますが、二つの病院は、いずれも岩手の県立病院です。日本共産党県議団も視察いたしましたが、運営主体が同じであることが、カルテの統一や診療システムをつくる上で大きかったと思います。岩手県の教訓を生かすとすれば、宮城県でも県立がんセンターと県立精神医療センターを近接地に建設し、身体合併症の対応ができる体制をつくるほうがずっと現実的だと思いますが、いかがですか。また、審議会では、身体合併症に対する対応について、内科医の配置やCTスキャンの活用などが指摘されましたが、センターの角藤院長は、「内科医体制は十分でない。CTは導入したが技師がおらず、がんセンターから週三回派遣してもらっている」とのことでした。現在の内科医体制がどうなっているのか、CTはいつ導入したのか伺います。お答えください。 また、審議会では、現在の精神医療センターが老朽化して、雨漏りや病室にカビ、水道管破裂などが相次ぎ、耐震構造でないことなども問題となりました。いずれにしても、建て替えには最短でも五、六年かかりますので、直ちに補修や耐震補強について予算化することを求めます。いかがですか。 審議会では、富合移転に対する批判が相次ぎ、富田会長は議論を総括して、現在の提案では県の考え、すなわち富谷市明石台において精神医療センターの移転整備を進めたいという考えを、審議会として認めることはできないとまとめました。これは、知事が任命した精神保健福祉審議会による知事への重大な意見の具申であり、重く受け止めるべきです。知事の受け止めを伺います。 審議会の最後に、志賀保健福祉部長は、関係者のヒアリングは継続する、三十回くらい意見を聞いていると言いましたが、問題は、聞いた意見を尊重せず、富谷市移転ありきで進めてきたことです。障害者権利条約では、「私たちのことを私たち抜きに決めないで」と、障害者に関する施策の意思決定過程から障害者を積極的に関与させることが定められています。また、障害者基本法第十条第二項では、国及び地方公共団体は「施策を講ずるに当たっては、障害者その他の関係者の意見を聴き、その意見を尊重するよう努めなければならない」としています。これまでの知事の進め方は、障害者権利条約にも、障害者基本法にも反しています。そこで、富谷市移転は白紙に戻し、当事者と精神医療・福祉関係者も含めて、精神医療センターの構想議論を再構築することを求めます。お答えください。 次に、県立がんセンターについて伺います。 知事のこれまでの御答弁を概括すると、研究所機能や希少がん・難治がんなどは東北大学病院に移管し、都道府県がん診療連携拠点病院から地域がん診療連携拠点病院に変更する。設置者及び運営主体は未定ですが、日本赤十字社となる可能性も検討されていると思われます。県立がんセンターの存続と、宮城県のがん医療の質、地域の医療連携の在り方にも関わる問題です。よって、この方向性については、日本赤十字社との基本合意の前に、県立がんセンターの医師集団や職員、宮城県がん対策推進協議会などの専門家と十分に協議することが必要だと思いますが、現在の協議状況及び今後の協議の進め方についてお答えください。 二〇一九年十二月の県立がんセンターのあり方検討会議報告書の「目指すべき方向性」では、「高度・先進医療(希少がん・難治がん、放射線治療等)を含むがん医療機能を維持し、宮城県の責任においてがん医療に特色を持たせた病院とするべきである」、「研究所が持つ高度な機能については、移転となった場合でも、がんゲノム医療など、今後急速に変化が見込まれるがん医療に対応できる形で継続すべきである」と、県立がんセンターとして希少がん・難治がんなどの高度医療や研究所機能は維持・継続することを提言しています。東北大学への移管は、あり方検討会議の議論の到達に反すると思いますが、いかがですか。 仙台赤十字病院や東北労災病院の職員や患者さん、地域住民も不安を募らせています。仙台市議会では、今年の三月十四日に、四病院再編構想に関する決議が採択されました。内容は、宮城県において今後の協議を進めるに当たり、仙台市民や関係者の理解を得ながら進めることが不可欠であることを認識の上、十分な情報開示や説明、関係者との意見交換を行うなどしながら、慎重に検討するよう求めるものです。県として、この決議を受け止め、具体化すべきです。いかがですか。 株式会社日本経営がまとめた「仙台医療圏の医療提供体制に関するデータ分析及び課題の整理」を読んで、非常に違和感を持ちました。仙台医療圏について、総人口は減少するが、六十五歳以上の人口増で入院患者数は二〇四〇年にかけて増加すると予測される。一方、生産年齢人口が減少するため、働き手、医療従事者が不足する。この需要と供給のギャップを解消するために、急性期病床から人員配置の配置基準の少ない回復期病床や在宅等への移行を進めるというものです。 そこでお聞きします。第一に、高齢者の救急搬送件数が増えていますが、急性期病床を減らすと、救急車の受入れが困難になると思いますが、どうするのですか。第二に、何よりも医師・看護師等の確保を加速すべきなのに、「県の枠を減らしても県内の医療需要は十分に満たせる」と言って、東北医科薬科大学医学部の修学資金制度の宮城枠の定員を三十人から十人に減らしたことは、矛盾するのではないですか。以上二点についてお答えください。 次に、誰もが安心してかかれる医療をめざして。 最初に、マイナ保険証について伺います。 相次ぐトラブルがマイナンバーカードの信頼を揺るがす中、マイナ保険証を国民に強要し、来年秋に保険証を廃止する法律が国会で成立いたしました。マイナ保険証に別人の情報が登録されていた誤りは七千三百件を超えると報道されていますが、医療事故を起こしかねない、命に関わる重大問題です。また、高齢者施設などの管理者からは、カードの保管や暗証番号の管理はとても困難だという声が上がっているのに、見切り発車です。負担割合が正しく表示されず、十割負担を請求された事例も多数報道されています。まさに命を脅かし、国民皆保険制度を揺るがす大問題です。 そこで、知事に以下二点を国に強く要望することを求めます。第一に、マイナ保険証の拙速な推進を一旦止めて、トラブルの徹底調査と解明を優先して行うこと。第二に、来年秋の保険証廃止をやめること。以上、お答えください。 次に、国民健康保険について伺います。 全日本民主医療機関連合会が、毎年、経済的事由による手遅れ死亡調査を行っています。これは、国保税・料などの滞納により、無保険若しくは資格証明書、短期保険証発行により病状が悪化し死亡に至ったと考えられる事例や、正規保険証を保持しながらも、経済的事由により受診が遅れ死亡に至ったと考えられる事例をまとめたものです。二〇二二年は全国で四十六事例が報告されました。これは氷山の一角にすぎません。経済的に困難に陥っても医療が受けられる仕組みをつくることが重要です。 そのために、以下の具体化を求めます。第一に、十割負担となる資格証明書を廃止し、実質無保険となる短期保険証の留め置きをやめること。第二に、国保の保険料・税や一部負担金の減免制度を拡充し、住民に周知することです。新型コロナによる所得減を除くと、災害、病気、失業、収入減、低所得に対する保険料の減免については、仙台市以外はごく僅かしか活用されていません。仙台市は収入減に対して千六百二十三件、低所得に対して二万四千百八十四件減免しており、ほかの市町村にも普及することを求めます。また、一部負担金の減免は、福島からの原発避難者を除くと、年間全県で五件程度と、ごく僅かです。第三に、経済的に困窮している方が、無料または低額な料金で診療を受けることができる無料低額診療事業を行っている医療機関が、県内にも六病院四診療所ありますが、更に拡充するよう働きかけること。まずは、県立病院で導入することを求めます。以上三点について、お答えください。 東日本大震災以降、災害で保険料と一部負担金が全県的に減免になったのは、令和元年台風十九号による被害のみでした。二〇二二年三月の福島県沖地震では亘理町と山元町が、同年七月の大雨被害で涌谷町と美里町が、それぞれ町独自で減免措置を行いました。本来、全半壊、床上浸水など、同等の被害には同じ支援を行うべきです。今後、国の支援対象とならない災害でも、被災者生活再建支援制度の県独自の支援と合わせて、国保の保険料や一部負担金の減免を市町村と連携して宮城県が行うことを求めます。いかがですか。 国民健康保険の均等割は、子供が一人生まれるたびに負担が増える仕組みで、子育て世帯に重い負担です。国民の声の広がりを受けて、国は、二〇二二年四月から子供の均等割の負担軽減を開始しましたが、対象は未就学児だけで、補助も半額にとどまっています。これに対して、仙台市や石巻市など十市町が独自減免を行い、そのうち十八歳まで均等割ゼロは、亘理町、山元町、松島町、涌谷町、美里町の五町となっています。宮城県は、合計特殊出生率が過去最低を更新し、全国ワースト二位と、大変深刻です。子供の均等割は、少子化対策にとって大きな障害です。宮城県が十八歳までの均等割額の半分を市町村に支援することを求めます。いかがですか。 高い国保税、国保料の引下げは、県民の切実な願いです。ところが、市町村から県に納める今年度の納付金は、県平均で一人当たり八・四八%増と、二〇一八年の県単位化以来最高の引上げでした。こうした中で、ある自治体では、昨年度の被保険者の所得が畜産経営危機などで下がり、国保税の収入額が減少したために、一人当たり一五%を超える国保税の増税が迫られています。上昇額を抑えるための市の財政調整基金の残高も減少してきており、今後も更なる値上げが予定されています。県単位化の前は、各自治体の判断で一般会計からの繰入れを行い、国保税の引上げを抑えてきました。ところが県単位化後は、法定外一般会計繰入れを行うと、保険者努力支援制度の得点が減点され、当該自治体及び都道府県に対する国の交付金が減額されるという、とんでもない制度ができました。 そこで、第一に、二〇二一年度までの宮城県国保の余剰金八億円を、今年度、更なる激変緩和措置として、保険料が上がる自治体に配分すること。第二に、法定外一般会計繰入れを行うと国の交付金が減額される仕組みをやめるよう、国に強く求めること。第三に、一兆円の公費投入で国保税・料を協会けんぽ並みに引き下げるよう、国に求めること。以上三点についてお答えください。 次に、障害者医療費助成制度について伺います。 宮城県は償還払いで、窓口で医療費を支払って二、三か月後に償還される仕組みです。二〇二二年四月一日時点の全国の状況を見ますと、現物給付、窓口無料が二十四都道府県、現物給付と償還払いの併用が十五県で、三十九都道府県が現物給付を導入しています。残り八県のうち二県は自動償還払いで、宮城県は償還払いの残り六県の一つです。東北六県では、秋田県と山形県が現物給付、青森県と岩手県、福島県は現物給付と償還払いの併用となっています。東北で償還払いというのは宮城県だけです。毎年、障害者団体から強い要望が出されており、障害を持つ方が安心して医療を受けられるように、障害者医療費助成制度の窓口無料化を求めます。知事、お答えください。 また、宮城県はこの間、現物給付に踏み切らない理由として、国民健康保険の国庫負担金の減額措置、いわゆるペナルティーが市町村の財政負担となることを挙げていますが、県がペナルティーの二分の一を負担して市町村を支え、国には子ども医療費同様、ペナルティーの廃止を強く求めるべきです。いかがですか。 同様に、母子・父子家庭医療費助成制度も現物給付とすること、また、通院千円、入院二千円の自己負担を廃止することを求めます。お答えください。 次に、広域防災拠点事業について伺います。 当初、供用開始予定が二〇二〇年度とされていましたが、その後、三回も工事期間が延長となり、現在、整備完了時期は二〇三二年度と、十二年間も延びました。総合政策課によると、記録が残っている一九九九年から二〇二一年までの間に、大規模事業評価の対象となった事業は全部で二十七件ありましたが、ほかは事業期間が延びても長くて二年程度だそうで、広域防災拠点は突出しておりました。総事業費についても、もともと巨額の二百九十五億円から三百二十四億円に膨らみ、今年度、更に増加する見込みです。まさに知事肝煎りの創造的復興事業である広域防災拠点事業は、事業としての妥当性が問われ、宮城県政史上前代未聞の大失政と言わざるを得ません。知事はどのように責任を取るつもりなのか伺います。お答えください。 事業が十二年間も遅れ、巨額な総事業費が更に膨らんだ原因は、貨物ターミナル駅の移転の遅れと、その補償費の増額です。そもそも、宮城県広域防災拠点基本構想・計画では、移転補償については全く言及されておらず、大規模事業評価の際は、移転先の用地買収の難航のリスクは指摘されていましたが、ターミナル駅そのものの移転に関わる問題については議論されていませんでした。宮城野原ありきが先行して、移転補償の妥当性の調査・検討を怠り、ずさんな事業計画になったのではないですか、お答えください。 次に、宮城野原の二ヘクタールの暫定整備地について伺います。 三月に、日本共産党県議団で宮城野原のターミナル駅を視察しました。ところが、昨年四月から運用開始されたはずの二ヘクタールの暫定整備地の敷地には、何と貨物列車のコンテナが大量に並んでいたではありませんか。都市計画課に問い合わせたところ、二〇二二年三月十一日に県とJR貨物で結んだ覚書により、暫定整備地はJR貨物に無料で使用を認めていること、大規模災害時に災害対策本部から使用依頼があったときは調整の上で使用させることができること、ただしその際は県が現貨物駅付近の代替地を提供するものとするとのことでした。JR貨物に至れり尽くせりであり、これではとても運用開始とは言えないのではないでしょうか。二ヘクタールの暫定整備地は復興枠分の予算を執行するためのつじつま合わせと言わざるを得ませんが、いかがですか。 事業着手から十年以内に完了が見込まれないことから、今年度公共事業再評価を実施し、事業継続か、休止か、中止かが問われることになりました。 そこで、以下三点についてお答えください。第一に、広域防災拠点事業の再評価のスケジュールをお示しください。第二に、再評価に当たっては、JR貨物の公共補償費の内訳、積算根拠を明らかにし、移転補償の妥当性についても検証すること。第三に、県民の意見をしっかりと聞くことが重要ですので、パブリックコメントのアナウンスを徹底すること。いかがですか。 宮城野原の広域防災拠点事業は、長町‐利府線断層帯地震などの際に機能しない恐れがあることは払拭されておりません。最後に、事業の妥当性が問われる広域防災拠点整備事業は中止すべきであり、ましてや、これ以上県民の税金を投入することは認められないことを表明し、壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。 〔知事 村井嘉浩君登壇〕
◎知事(村井嘉浩君) 天下みゆき議員の一般質問にお答えいたします。大綱三点ございました。 まず、大綱一点目、四病院再編構想撤回を求めることについての御質問にお答えいたします。 初めに、県立精神医療センターが築いてきた地域ケアシステムに対する評価についてのお尋ねにお答えいたします。 県立精神医療センターは、全県を対象とした精神科救急医療などとともに、主に県南部においては、外来から入院、退院後まで、訪問看護事業や地域のグループホーム、市町の保健福祉活動等を含めた多様な職種・職域と連携した体制により、地域生活を支えるサポート機能を展開してきたものと認識しております。精神医療センターが富谷市へ移転した場合、これまで地域を支えた体制が手薄になるとの懸念の声があることは承知しており、名取市の新病院への精神科外来機能の整備について協議を行うこととしたところであります。県としては、民間病院や事業者、患者・家族との意見交換を継続しながら、名取市の新病院に整備を想定している精神科外来機能を含めた地域ケアシステムの在り方について検討を進め、患者や家族、関係者の方々の不安の払拭に努めてまいります。 次に、精神保健福祉審議会の意見に対する受け止めについての御質問にお答えいたします。 先月の審議会におきましては、当事者や関係団体からの御意見を踏まえ、精神科外来機能をはじめ、デイケアや訪問看護も含めた県立精神医療センター移転後の体制について県から提示をいたしました。協議の過程であることから、具体的な姿が十分に提示できず、現時点においては、患者が安心できる状況にないと受け止められたものと理解しており、引き続き当事者等から意見を伺い、真摯に対応してまいります。 次に、精神医療センターの構想議論を再構築すべきとの御質問にお答えいたします。 県では、今年二月の協議確認書の取り交わしを踏まえ、県立精神医療センターの移転・建て替えについての県の考えを整理し、懸念される事項について、医療や福祉などの関係団体や、精神医療センターを利用している患者・家族をはじめとした関係者との意見交換を重ねてまいりました。県としては、今後も丁寧に意見交換を継続しながら、移転に関する具体的な対応策について十分に検討し、関係機関等との協議に臨んでまいります。 次に、東北大学への移管はあり方検討会議での議論に反するのではないかとの御質問にお答えいたします。 今回の再編については、あり方検討会議で示された、がんを総合的に診療できる機能を有する病院の実現を目指すものであり、難治がん・希少がん対応への役割分担について東北大学と協議をしております。また、研究所の機能については、東北大学を中心とした機能分担と連携を図り、その成果を県全体のがん医療に生かしたいと考えており、具体的な方向性につきましては、引き続き協議してまいります。 次に、仙台市議会の決議を具体化すべきとの御質問にお答えいたします。 県では、これまでも仙台医療圏の市町村長会議や医療関係者の会議といった公開の場で意見交換を行うとともに、仙台市に対して資料の提供や説明を行うなど、できる限り丁寧な進め方に努めてまいりました。今後も引き続き、関係者からの意見を聞きながら議論を進めるとともに、県のホームページや県政だよりなど、様々な方法で情報発信を行い、県民の方々に病院再編の必要性を理解していただけるよう努めてまいります。 次に、大綱三点目、事業の妥当性が問われる広域防災拠点整備事業についての御質問のうち、事業の遅れ等に対する責任についてのお尋ねにお答えいたします。 県では、東日本大震災の教訓を踏まえ、傷病者の域外搬送拠点機能の充実強化、広域支援部隊の一時集結場所やベースキャンプ用地の確保、物資輸送中継拠点の整備等が必要であると強く認識したことから、県内唯一の基幹災害拠点病院に近接するなど、地理的優位性が高い宮城野原地区に広域防災拠点を整備することにしたものであります。これまでの完了時期の遅れや総事業費の増額は、事業着手後に生じた文化財調査や現場条件の変更による追加対策、鉄道事業者による詳細設計を踏まえた精査等によるものであります。宮城野原地区の広域防災拠点は、県内全域をカバーする防災拠点として中核的な役割を担うものであり、我が県が進める防災体制の構築に極めて重要な施設であることから、引き続き、一日も早い供用に向けしっかりと取り組んでいくことが、私の責務であると考えております。 私からは、以上でございます。
○議長(菊地恵一君) 企画部長武者光明君。 〔企画部長 武者光明君登壇〕
◎企画部長(武者光明君) 大綱二点目、誰もが安心してかかれる医療をめざしてについての御質問のうち、マイナンバーカードと健康保険証についてのお尋ねにお答えいたします。 マイナンバーカードに関して、健康保険証とのひもづけを誤って登録するなどの事案が相次ぎ発生していることは、マイナンバー制度に対する国民の信頼を損ないかねないものと大変危惧しております。このため、先般、全国知事会を通じ、国に対して、適切な対策を講じるよう緊急提言を行っており、国においては、現在、安心してマイナンバーカードを利用できるよう、実態把握と再発防止に向けた総点検を行っているところであります。また、健康保険証との一体化についても、安全性と信頼性の面も含め、国民の理解が広く得られるよう、他の都道府県と連携し、機会を捉えて、国に働きかけてまいります。 次に、大綱三点目、事業の妥当性が問われる広域防災拠点整備事業についての御質問のうち、公共事業再評価についてのお尋ねにお答えいたします。 広域防災拠点整備事業の再評価については、今年十一月頃を目途に行政評価委員会へ評価原案を諮問し、外部有識者による審議等を経て、来年の一月末頃までには答申をいただく予定であり、二月議会において評価結果を報告することとしております。再評価の実施に当たっては、評価基準に基づき、事業の進捗状況や事業を取り巻く社会経済情勢等の変化、事業の費用対効果などを踏まえて、総合的に判断することとなっております。また、パブリックコメントについては、募集期間をしっかりと確保した上で、県ホームページ、新聞、ラジオ等の各種媒体への掲載など手だてを講じてアナウンスを行い、県民の皆様の御意見を伺ってまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。
○議長(菊地恵一君) 保健福祉部長志賀慎治君。 〔保健福祉部長 志賀慎治君登壇〕
◎保健福祉部長(志賀慎治君) 大綱一点目、四病院再編構想撤回を求めるについての御質問のうち、富谷市の病院までの移動手段と、デイケアや訪問看護に関する民間医療機関との役割分担についてのお尋ねにお答えいたします。 名取市の新病院の精神科外来に通院される患者の病状が悪化し、入院が必要になった場合、基本的には、富谷市に移転することを検討している新たな精神医療センターへの入院を想定しております。移動手段については、措置入院などの場合を除き、県内のほかのエリアの患者と同様に、基本的には御家族などにより送迎をしていただく必要があると認識しておりますが、入院に係る連携についての協議の中で、具体的な調整を図ってまいります。また、デイケア・訪問看護については、これまでの関係団体等へのヒアリングにおいて、症状が落ち着いており、民間病院・事業者への移行が可能な患者が一定数いる一方で、民間では対応困難な患者については、精神医療センターが受け入れている現状にあると伺っております。県としましては、関係団体等へのヒアリングを継続し、デイケア・訪問看護を利用する患者の意向等も踏まえながら、民間における受入れ体制について精査してまいります。 次に、県立がんセンターと県立精神医療センターの近接地での建設や、精神医療センターの内科医体制等の御質問にお答えいたします。 仙台医療圏の病院再編は、仙台赤十字病院と県立がんセンターとの統合及び東北労災病院と県立精神医療センターとの合築による再編を通して、我が県の政策医療の課題解決を目指すものであります。御提案のありました、がんセンターと精神医療センターの組合せについてですが、がんセンターのあり方検討会議で示された「がんを総合的に診療できる機能を有する病院」の実現につながらず、地域医療構想を推進する上で求められている急性期病床の削減にも寄与しないものと考えております。なお、運営主体が異なる中での身体合併症への対応につきましては、検査機器や電子カルテの共有など、他の事例も踏まえながら、引き続き検討を進めてまいります。また、精神医療センターでは、内科医が不在のため、二週間に一度、他の医療機関に内科医の派遣を依頼し、入院患者の診察に当たっております。CT撮影装置については、今年三月に整備したところであり、今月中旬から稼働しております。 次に、精神医療センターの補修や耐震補強に係る予算化についての御質問にお答えします。 県立精神医療センターでは、令和二年度から三年度にかけて大規模修繕工事を実施するとともに、中期計画に基づき、医療機器や施設の整備を行っております。県としては、県立病院機構と協議の上、当該計画に沿った資金貸付けを行い、適切な施設・設備の整備を行ってまいります。 次に、県立がんセンターに関する協議状況及び今後の協議の進め方についての御質問にお答えいたします。 県立がんセンターの今後の方向性については、設置者である県と日本赤十字社のほか、県立病院機構を加えた形で仙台赤十字病院との統合に関する協議を進めており、また、研究所機能については、東北大学と協議しているところです。今後の進め方については、県内のがん政策において必要な機能を維持する観点から、専門家や各病院の意見を聞きながら検討を進めてまいります。 次に、急性期病床を減らすと救急車の受入れが困難になるのではないかとの御質問にお答えいたします。 高齢者の搬送数の増加への対応としては、医療機関の機能分担や連携強化による円滑な救急受入れ体制の構築が重要と考えております。今回の病院再編は、仙台医療圏の北部と南部における急性期機能の集約・拠点化により、救急の受入れ能力の向上を目指すものであり、実現に向けた具体的な協議を進めてまいります。 次に、東北医科薬科大学医学部県内枠の定員についての御質問にお答えいたします。 東北医科薬科大学医学部の県内枠の定員については、新専門医制度の開始など、医学部開設後に医療提供体制を取り巻く環境が大きく変化したこと等を踏まえ、東北医科薬科大学において、設立の趣旨である東北全体の地域医療への貢献という観点から見直しが行われたものと認識しております。県としては、国から示されている将来的な必要医師数や、医師の需給推計などから、宮城枠の定員を変更しても、我が県の医師需要については十分に満たすことができると考えております。なお、生産年齢人口の減少に伴い、全体的な医療従事者の不足が見込まれることから、医療に携わる人材の育成・確保に今後とも努めてまいります。 次に、大綱二点目、誰もが安心してかかれる医療をめざしてについての御質問のうち、国民健康保険における生活困窮者への対応等についてのお尋ねにお答えいたします。 被保険者資格証明書及び短期被保険者証は、保険料・税を滞納している世帯主に対して、各市町村が個々の事情等を勘案し交付しております。県では、短期被保険者証・被保険者資格証明書の交付に関する指針を策定し、市町村に適切な交付を指導しており、短期被保険者証の留め置きに関しても、一定の条件の下での郵送等の活用を助言しております。また、国民健康保険料・税や医療費の一部負担金の減免は、各市町村が地域の実情などを勘案して判断しており、ホームページや広報誌等を活用して、住民への周知を図っているところです。県といたしましては、仙台市の取組など、県内での減免制度の実施状況について、市町村との情報共有を図ってまいります。更に、無料低額診療事業の実施については、個々の医療機関において判断されるものであることから、県立病院を含め、県内の各医療機関に対し、制度の周知を図ってまいります。 次に、被災者生活再建支援制度の県独自の支援と、保険料等の減免を県が行うことについての御質問にお答えいたします。 被災者生活再建支援制度に係る県の独自支援については、十分な財源の確保に加え、法に基づく支援の適用など、支援が求められる特別な事情について、発災の都度、慎重に見極めていくべきものと考えております。国民健康保険料・税等の減免は、国民健康保険法等に基づき、市町村が条例等の定めるところにより実施するものであり、各市町村が被災状況などを勘案して個別に判断すべきものと考えております。 次に、子供の均等割に対する県の財政支援についての御質問にお答えいたします。 子供に係る国民保険料・税の均等割の軽減措置については、子育て世帯の経済的負担の軽減という観点から、全国共通で取り組むべき事項であり、国が責任を持って対応すべきものと認識しております。国の制度改正により、昨年四月から、未就学児を対象とした均等割額の五割減額が措置されておりますが、県といたしましては、全国知事会等を通じて、対象範囲及び軽減割合の更なる拡充について、国に要望してまいります。 次に、国保税の引下げについての御質問にお答えいたします。 国の制度改正に伴い、昨年度から、都道府県の国民健康保険特別会計の決算剰余金を基金に積立て、市町村の負担を軽減する財源に充てることが可能となりました。今後は、市町村との協議を踏まえ、必要に応じて基金への積立て等を行ってまいります。また、一般会計からの法定外繰入れについては、原則、解消すべきものと考えておりますが、各種指標に応じて交付金が加算または減算される国の保険者努力支援制度については、各市町村の実情に応じた柔軟な運用が図られるよう、全国知事会等を通じて、国に要望してまいります。更に、国民健康保険料・税を全国健康保険協会、いわゆる協会けんぽ並みに引き下げるなど、医療保険制度間の給付・負担の公平と持続可能な制度を構築していくためには、全ての医療保険制度の全国レベルでの一元化が必要であると考えております。このため、県としましては、全国知事会等を通じ、国の責任において一元化に向けた具体的道筋を提示するとともに、それまでの間、国民健康保険財政の安定を図るため、国庫負担の割合を高めるよう要望してまいります。 次に、障害者医療費助成制度についての御質問にお答えいたします。 障害者医療費助成制度に償還払い方式を採用した場合、最終的には医療費を負担することなく受診できますが、一時的に窓口負担が生じることから、現物給付による窓口無料化は利用者の利便性向上に寄与するものと認識しております。一方で、国民健康保険の国庫負担金の減額措置は、県の負担の有無にかかわらず、市町村に更なる財政負担が生じることを考慮すべきと考えております。県が今年二月に実施した調査では、多数の市町村において、財政負担の在り方を踏まえた検討には至っておらず、現物給付化には更なる検討が必要な状況と認識しております。県としては、引き続き、市町村の意向を確認しながら、国庫負担金減額措置の廃止について、全国知事会など様々な機会を通じて、国に対して強く要望を行ってまいります。 次に、母子・父子家庭医療費助成制度に係る現物給付等についての御質問にお答えいたします。 母子・父子家庭医療費助成の助成制度につきましても、現物給付方式を採用した場合、国民健康保険の国庫負担金が減額措置されることなどによる、市町村の更なる財政負担への影響が懸念されております。県としましては、市町村の意向把握に努めるとともに、国に対しては、国庫負担金減額措置の廃止を引き続き要望してまいります。また、母子・父子家庭医療費助成制度の一部自己負担につきましては、三十二の都道府県で実施されていることもあり、一定の自己負担は必要と認識しておりますが、今後とも市町村の意向を十分踏まえながら、負担の在り方を検討してまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。
○議長(菊地恵一君) 土木部長千葉衛君。 〔土木部長 千葉 衛君登壇〕
◎土木部長(千葉衛君) 大綱三点目、事業の妥当性が問われる広域防災拠点整備場についての御質問のうち、事業計画についてのお尋ねにお答えいたします。 平成二十五年に実施した広域防災拠点整備事業の大規模事業評価においては、JR貨物から示された補償費を含む事業費や整備スケジュールを基に、公共補償基準等により内容を精査した上で、事業計画を示したものであり、行政評価委員会より「事業を実施することは妥当」との答申を受け、平成二十六年度に着手したものであります。その後、整備の前提となる仙台貨物ターミナル駅移転について、鉄道事業者が追加で実施した現地調査や詳細設計を基に、事業内容及び工程を精査した結果、移転完了時期が令和十一年度となる見込みとなったものであり、全体事業費についても、現在、補償費や施設整備費の再算定を行っているところです。県といたしましては、全体事業費を早期に確定させた上で、今年度中に公共事業再評価を実施することとしており、このような再評価を含め様々な機会を通じて、広域防災拠点の重要性について広く県民の皆様に御理解いただくよう、引き続き丁寧な説明に努めてまいります。 次に、宮城野原地区の暫定整備地についての御質問にお答えいたします。 宮城野原地区のJR貨物仙台貨物ターミナル駅用地は、平成二十八年十月にJR貨物と土地売買契約を締結し、平成二十八年十一月に県への所有権移転登記を行っており、一般的な用地契約と同様に、貨物ターミナル駅が岩切地区へ移転し、土地が引き渡されるまでの間は、鉄道事業者であるJR貨物が、引き続き無償で使用できることとなっております。また、約二ヘクタールの暫定整備地については、大規模災害時に広域支援部隊の一時集結場所やベースキャンプ用地の確保など、防災機能の早期発現を図るため、昨年三月までに整備を行い、四月より運用開始したものであります。なお、当該暫定整備地は、県災害対策本部からの要請に応じ使用することとしており、その際は、通常時に使用している駅構内関係者の車両やJR貨物のコンテナ等を、速やかに区域外に移動させるよう覚書を取り交わしていることから、確実にその機能を発揮できるものと認識しております。 以上でございます。
○議長(菊地恵一君) 二十三番天下みゆき君。
◆二十三番(天下みゆき君) 御答弁ありがとうございました。再質問を行います。 最初に、広域防災拠点事業について伺います。 先ほどの御答弁で、公共事業再評価は十一月から開始するということでございました。その前に議会に債務負担行為の金額変更の提案が必要ですが、そうしたら九月議会に出されるということでよろしいのですね。確認です。
○議長(菊地恵一君) 土木部長千葉衛君。
◎土木部長(千葉衛君) 今、鋭意、先ほど御説明したように、事業費については精査を進めているところでございまして、できるだけ早く確定させた上で議会にかけたいと思っております。今のところは、何月にかけるかはまだ詰めているところでございますので、分かり次第、皆様にお知らせしたいというふうに思っております。
○議長(菊地恵一君) 二十三番天下みゆき君。
◆二十三番(天下みゆき君) 議会に変更の議案が出されるわけですよね。JR貨物の公共補償費百十二億円がどのように変わるのか、変更前と変更後の内訳も含めて、きちんと説明をしていただく。これが大事だと思うのです。先ほどの知事の御答弁でも、結局、このJR貨物の公共補償費の内訳もきちんと明らかにせよといったところは、十分な説明がございませんでした。ここについてどうするのか、もう一度御答弁をお願いします。
○議長(菊地恵一君) 土木部長千葉衛君。
◎土木部長(千葉衛君) 前回増額させていただいたときも、ある程度の内訳を中でお示しさせていただきました。詳しい一つ一つの内訳を出していきますと、実はJR貨物のほうでこれから工事を発注するものも出てきまして、入札等に影響が大きく生じるということですので、まだその発注前の段階で全て細かくお見せするのはなかなか難しい部分がございます。できる限り分かりやすく、前回同様に説明書をお示しさせていただきたいというふうに思っております。
○議長(菊地恵一君) 二十三番天下みゆき君。
◆二十三番(天下みゆき君) この百十二億円がもっと増えようとしているわけですよね。そういう意味では、これは県民の税金、国民の税金でやっているわけですから、やはり中身がどうなのか、そこがしっかりと精査されてこそ、この妥当性というもの、それから事業期間が本当にどうなのかということも含めて検討できると思いますので、そこはしっかり出していただくことを改めて求めていきたいと思います。知事いかがですか。
○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) そのようになるように、最大限努力をしていきたいというふうに思っております。
○議長(菊地恵一君) 二十三番天下みゆき君。
◆二十三番(天下みゆき君) 今回の広域防災拠点事業は、私たちから見ると、出発の段階で、やはり公共補償費の部分が十分に精査されていなかったのではないか、だから二〇二〇年が二〇三二年まで延びるということになったのではないかと。こういったずさんな計画に多額の税金を投入して、当初の計画が全く破綻していると言わざるを得ません。公共事業再評価で、また同じことを繰り返さないためにも、繰り返しになりますが、JR貨物への公共補償費の内訳を明らかにして、その妥当性を検証すると、再評価でもきちんと検証するということをちゃんとおっしゃっていただきたいのですが、いかがですか。
○議長(菊地恵一君) 企画部長武者光明君。
◎企画部長(武者光明君) 公共事業の再評価につきましては、事業費に変更があった際には、事業担当課が作成する再評価調書に、その状況と要因を具体的に記載することとなっております。評価委員会がその内容を確認し、必要に応じて、事業担当課に対して追加の資料や説明を求めていくこととなります。その説明に合理性があるかどうか、そして事業の継続が妥当かどうかについて、審議会としては総合的に判断していくものであります。
○議長(菊地恵一君) 二十三番天下みゆき君。
◆二十三番(天下みゆき君) 知事が創造的復興事業と言って、宮城野原ありきで推進してきた知事の責任は非常に大きいと思います。責任を曖昧にすることは許されないということを改めて申し上げて、四病院の問題に行きます。 身体合併症への対応についてですが、精神医療センターの内科医体制は、二週間に一回の診察。これでは全く不十分だと思います。新病院建設を待たずに、まずは内科医あるいは総合診療医の常勤配置を行うとともに、CT検査が六月から本格稼働ということですので、放射線技師の常勤を確保すべきと考えますが、いかがですか。
○議長(菊地恵一君) 保健福祉部長志賀慎治君。
◎保健福祉部長(志賀慎治君) 身体合併症の対応については、まさにそれが現状の大きな課題になっていまして、再編に関して総合病院等と合築をすることによって、そういった方向性で解消を目指していくといったことが打ち出されております。また、それまでの間につきましても、当然ながら、CTの導入等もいたしましたので、その稼働に支障がないような形の人員配置等につきましては、県立病院機構と協議してまいりたいと思います。
○議長(菊地恵一君) 二十三番天下みゆき君。
◆二十三番(天下みゆき君) 知事は記者会見で、南の病院に外来をつくれば問題ないとか、訪問看護は民間に誘導するなどと言っています。さっきの説明でもそうでした。医療現場の実態を知らない乱暴な発言です。現在、精神医療センターでは、入院中から自治体の保健師や相談事業所、ヘルパーさん、訪問看護などとの関係づくりを支援し、医師は退院後も外来や訪問看護、デイケアなどに主治医として関わっています。精神医療は、患者さんと医師や医療従事者との信頼関係が大切です。入院・外来・訪問看護・デイケアは、継ぎはぎのばらばらでは駄目なのです。このことを知事はどう考えていますか。
○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 入院・通院・訪問看護・デイケア、こういったようなもの、一連のものであるということは重々承知しております。前もお話ししたかもしれませんけれども、患者さん一人一人によって状況が違いますので、今後、話が具体的に進んでまいりましたならば、一人一人に合った体制をしっかり考えていかなければいけないだろうというふうに思っております。
○議長(菊地恵一君) 二十三番天下みゆき君。
◆二十三番(天下みゆき君) 富谷の新センターが一日三十人程度の外来、そして南の病院は一日九十人程度の外来にすると。精神科外来ですね。事前レクで伺っています。一方、精神医療体制が移転後更に薄くなる県南の穴を埋めて、県北の民間病院との競合を避けるために、県は、富谷の新センターの入院は県南の患者を多く受け入れるという方針です。それならば、富谷に行く必要はないと思います。名取で建て替えて、外来も入院も継続すればよいと思いますが、いかがですか。
○議長(菊地恵一君) 保健福祉部長志賀慎治君。
◎保健福祉部長(志賀慎治君) 人数のシミュレーションは、現状百二十人、名取の精神医療センターに通院していらっしゃる。お住まいの地域でもって、まず三十人程度は富谷近辺のほうにお住まいの方が来ていらっしゃるということですので、それで三十人。残りの九十人は、引き続き南のほうで診療していく必要があるのでないかといった形で、現状仮置きのようなところから検討をスタートしているところですが、具体的な規模感なり内容等につきましては、今後、具体的な検討を更に進めることによって明らかにしてまいりたいというところでございます。それにいたしましても、ある程度人数的には、バランス的にも、県南のほうの患者さんをどのようにケアしていくのかということは非常に肝要になってまいりますので、御指摘の訪問看護やデイケアも含めた総合的な体制、これは福祉にも含めた体制もといったことも指摘されておりますので、しっかりと対応を考えてまいりたいと思っております。
○議長(菊地恵一君) 二十三番天下みゆき君。
◆二十三番(天下みゆき君) 私は、そもそも入院と外来が二十五キロメートルも離れて診療すること自体が現実的でないと思います。入院するたびに生ずる先ほどの移動手段の問題や、医師体制と主治医制の問題など、次々と課題が出てきます。患者さんは不安が増して病状が悪化し、夜間の救急対応などで、それでなくても忙しい医師たちは、名取と富谷の往復で更に疲弊して大混乱するのではないですか。どうこの辺を見ていますか、お答えください。
○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) そういった課題もあるだろうと思っております。今、基本合意に向けていろいろ話合いを進めておりまして、基本合意で全てが決まるわけでありませんから、まず大きな枠組みが定まりましたならば、更に踏み込んでよく考えていきたいというふうに思っております。天下議員のおっしゃるような問題点があることは十分に認識しているつもりでございます。あと、南でつくったらいいのではないかということでありますけれども、精神科の病院をただ単につくるだけではなくて、富谷のほうに総合病院をつくるというのが大きな目的の一つでもあるということです。富谷につくりましたならば、救急搬送時間、黒川郡も非常に遅いということがありますので、そういったような解消にもつながると。そして、併せて総合病院と精神医療センターを一つにすることによって、合併症の解決にもつながるだろうと。あの場所はもう既に土地の造成がほぼ終わっている段階ですので、すぐにでも工事に着手できるような状況であるといったようなことも、総合的に全体を勘案しながら判断したということでございます。患者さん一人一人、いろいろ御不便をおかけするのは事実でありますので、そういったことをどうやったら解消できるのかを、今全庁を挙げて検討を進めているところでございます。
○議長(菊地恵一君) 二十三番天下みゆき君。
◆二十三番(天下みゆき君) 精神保健福祉審議会の総意として県の考えを認めることはできないとまとめたことに対して、先ほど知事は、外来だとかそういう部分がきちんと整備されてないからだろうと、まだこれからだというようなお話がありましたが、これは審議会の議論のすり替えだと思います。私も傍聴しておりましたが、審議会ではまず会長から、必ずしも富谷移転が決定しているという理解ではないという御発言がありました。委員からも、病院整備の確実性が高い富谷市明石台において精神医療センターの移転整備を進めたいという、この文章には承服できないといった強い意見も何人かから出されていました。家族会や当事者からは、移転に反対、精神医療センターは名取に必要といった声も相次ぎました。審議会の議論をすり替えずに、名取での建て替えも含めて検討すべきではないですか、どうですか。
○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 今、全ての皆さんが否定的な意見というふうなお話でしたけれども、決してそうではございませんで、肯定的な意見も中にはあったと私は受け止めております。そして、記者会見で申し上げましたけれども、まだ病院は富谷に完全に決まったわけではなくて、富谷に移転を中心に、今議論を進めているということでございます。まだ基本合意もできていない段階ですので、あの段階で詳細について県として何も説明ができないわけでございますから、現時点においては承服することができないというのは、私は当然の御意見ではなかろうかなというふうに思って受け止めました。これからしっかりと詳細を詰めていって、今議員がおっしゃった課題等も一つずつ克服できるような案を示すことができるようになれば、御理解も深まっていくのではないかなと思っております。段階を追って順々に説明をしていっているということです。非常に、私としては、乱暴ではなく丁寧にやっているつもりでございます。
○議長(菊地恵一君) 二十三番天下みゆき君。
◆二十三番(天下みゆき君) まだ富谷に決まっていないという御発言がありましたが、それでは、皆さんの御意見を聞いて、富谷ではなくて名取で建てるということも、今後選択肢としてあるという認識ですか、どうですか。
○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) まだ何も最終的に決まったわけでありませんので、全ての可能性を否定するわけでは当然ないのですけれども、しかし私といたしましては、精神医療センターと東北労災病院を一つにして、富谷市明石台でという考えを持って、これからも粘り強く交渉し、また、住民の皆さんに説明をしてまいりたいというふうに考えております。
○議長(菊地恵一君) 二十三番天下みゆき君。
◆二十三番(天下みゆき君) 今最大の問題は、知事が何だかんだ意見を聞くとは言っても、結局富谷移転を前提として意見を聞くと言っていることだと思うんですね。この知事の姿勢は、意見を聞くことになりません。知事の意見の押しつけです。四つの病院全体に言えることですが、病院はそれぞれの地域に根ざした命の砦です。だから移転に反対という声が出ているのです。全体の利益優先と知事は言いますが、現在病院にかかっている患者さんたちの医療を奪う権利は知事にはないと思います。いかがですか。
○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 治療を受ける権利を奪うつもりは全くございませんで、しっかりとよりよい環境で治療を受けていただけるように、よく考えてまいりたいというふうに思っております。
◆二十三番(天下みゆき君) 四病院再編は白紙に戻すことを求めて、終わります。ありがとうございました。
○議長(菊地恵一君) 暫時休憩いたします。 午後零時三分休憩
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○副議長(池田憲彦君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑、質問を継続いたします。七番松本由男君。 〔七番 松本由男君登壇〕
◆七番(松本由男君) 松本由男です。県政全般に係る諸課題の解決のため、五点について、順次、一石を投じてまいります。 まず、県民の命を守るための備えとして、地震予測システム「S-CAST」と衛星通信「スターリンク」の二つのシステム導入について質問します。 我が国は、地形、地質、気象等の国土条件から、歴史的にも自然災害による甚大な被害に見舞われてきました。日本列島には多くの活断層やプレート境界が分布しており、気象庁によれば、世界におけるマグニチュード六以上の大規模地震の約二割が、我が国で発生しております。まさしく地震大国と言われるゆえんであります。一九五〇年から二〇二一年までに震度六以上の地震は四十八回を記録し、そのうち四十回が二〇〇〇年代に発生しており、二〇一一年には、あの東日本大震災であります。今月十二日は、みやぎ防災の日、二十八人が犠牲となり、一万人以上が負傷した宮城県沖地震から四十五年が経過しました。南海トラフ地震や首都直下地震をはじめ、我が県のそばでは、日本海溝・千島海溝周辺地震や宮城県沖地震が今起きてもおかしくない状況にあります。このような大規模地震が起こることを前もって予測できれば、大規模災害時の指揮体制の確保、災害弱者への事前避難勧告、地震災害用備蓄品コストの削減、宿泊場所の確保、船の沖出し等、経済活動を含めて被害の局限が期待できます。この予測を可能としているのが、民間会社、大学、研究機関が共同開発し、二〇二〇年に特許取得した地震予測システム「S-CAST」と呼ばれるものであります。法人名は伏せますが、予測の仕組みは、自前の観測設備などにより、電離層電子密度の観測や大気中ラドンの濃度など、十三種類の観測手法を組み合わせるなど、地震の前に発生する電磁気や地球物理学の現象を解析することで、数日から約十日前に事前発生の告知・メール配信を行うものであります。地震該当率は、二〇二一年から一年間で約九〇%を超えております。このシステムを活用している自治体は、茨城県つくば市、埼玉県秩父市、葛飾区、和歌山県白浜町、高知県黒潮町、企業では、東急不動産、国内保険会社、官公庁では、大使館、教育機関等、その他、和歌山県南漁協等、個人を含めて千件を超えております。県が入手したこの情報を県内三十五市町村と共有すれば、基礎自治体にとっても有益と認識します。 二つ目は、大規模災害時に通信インフラの基地局などが機能停止となった場合の、スマートフォンなどの個人携帯電話のバックアップであります。東日本大震災では、約二万九千の基地局が機能停止となりました。停止の主な原因は、長時間にわたる停電、大勢の使用者による許容量オーバー、そして通信会社による通信規制と言われております。知事の推し進めるDXやデジタル化には、スマホなどの稼働なくして成り立ちません。特に、避難所におけるアプリ活用によるQRコードの読み取りなどの取組は、大変効果的なものと認識しております。しかし、この取組は、避難者一人一人のスマホ等が立ち上がっていることが大前提であります。スマホの電源は、避難所に備付けの太陽光パネルや蓄電池により対応できますが、回線をつなぐための基地局の代替手段の備えが重要になります。その代替となるのが、小さなアンテナ一台で約百三十名に対応できる衛星通信のスターリンクというものであります。スターリンクとは、高度五百キロメートル程度の低い高度を回る衛星を使って通信網を構築した衛星通信サービスで、スペースXが手がけております。数十基ある通常の衛星ではなく、三千基以上の衛星により、幅広い地域で高速通信を提供できるものであります。二〇二〇年からアメリカなどでサービス提供を開始していましたが、通信インフラが破壊されたウクライナに無償提供されたことで一躍有名になり、我が国でも昨年十月からサービスが開始されました。スターリンクの最大の特徴は、アンテナ上空が開いた場所ならば、どこでもインターネット等の利用ができ、光回線や携帯電話の電波が届かないエリアでもネットに接続できるという点であります。また、価格も手頃であります。バックアップとして各避難所に数台あれば、避難者全員のスマホ等の通信環境が確保されるため、知事が推進するDXの活用による避難者への支援により実効性が高まり、いざというときの備えになります。 以上、今回紹介した二件のシステムについては、BCP、事業継続計画も、より確かなものになります。常に前向きな知事や危機管理部局も、多忙な時間を割いて、このシステムについて勉強されたと聞き及んでおります。県民の命を預かる行政として、地震予測システム「S-CAST」、衛星通信「スターリンク」のようなシステムの活用について、検討してみることを提案するものであります。知事の御見解を伺います。 次に、物流二〇二四年問題について伺います。 二〇二四年問題には、流通、医療、電子機器、自動車、化学業界などがありますが、今回は、物流について質問します。 今月二日に我が国の物流革新に関する関係閣僚会議において、物流革新に向けた政策パッケージの枠組みが示されました。物流は、国民生活や経済を支える社会インフラですが、担い手不足、カーボンニュートラルへの対応等、様々な課題が、更には物流産業を魅力ある職場とするため、トラックドライバーの働き方改革に関する法律が二〇二四年四月から適用されるほか、物流の停滞が懸念される二〇二四年問題に直面します。何も対策を講じなければ、二〇二四年度には一四%、二〇三〇年度には三四%の輸送能力が不足すると言われ、特に東北と四国といった地方部が逼迫すると言われております。政府は、荷主企業、運送・倉庫等の物流事業者、一般消費者が協力して、我が国の物流を支えるための環境整備に向けて、商慣行の見直し、物流の効率化、荷主・消費者の行動変容について、抜本的・総合的な対策を政策パッケージとして策定しました。現在の物流業界の抱える課題は、勤務時間減少による賃金低下などによる人材不足、再配達の増加や翌日配達などによる労働の長時間化、通販サイトなどの普及による物流量の増加、一九九〇年に施行された貨物自動車運送事業法による免許制から許可制への変更による過当競争を上げております。本県としても、宮城県トラック協会に対して、貨物運輸振興事業費補助金を交付し、交通安全対策事業、環境対策事業のほか、価格転嫁を促すコマーシャルや二〇二四年問題に関する研修を、先月には、県、国、経済団体、労働団体により、価格転嫁の円滑化に関する協定を締結し、取引先との共存共栄のためのパートナーシップ構築宣言を推進するなどの取組を行っていることは、高く評価するところであります。そこで、二点の質問です。 第一は、去る四月二十五日に、宮城県トラック協会から県に、燃料価格高騰に関する要望書が出されたと伺っております。その骨子は、「平素から公共物流の担い手として日夜懸命に努力しており、災害時には各自治体から支援物資輸送に総力を挙げている。新型コロナ感染拡大に係る影響はいまだ大きく、燃料価格高騰は悪化の一途であり、九九%を占める中小事業者の存続の危機であり、国の燃料価格激変緩和補助金では対応できない。この危機を早期に打開するため、更なる運送事業者への経営支援を要望する。」とされております。早速、今議会の補正予算では、運送事業者原油高騰緊急支援事業として、五億二千七百万円が計上されました。具体的な質疑は
予算特別委員会でなされますが、物流二〇二四年問題に対しては、更なる取組が必要ではないかと危惧されます。産業や生活を支える基盤である物流の課題解決に向け、今後、県としての支援の取組の方向性について、伺います。 第二は、これまで述べてきたように、物流に関わる広報の推進。特に、我々一人一人の消費者の意識改革、行動変容が大前提であると認識します。村井知事による積極的なトップセールス、広報を提案するものですが、御見解を伺います。 次に、国民病とも言われる杉花粉症対策について、午前中の守屋議員と重複しますが、私からも伺っていきます。 かく言う私も、岩手から関東への転勤を機に、杉花粉症歴約三十年であり、花粉症対策を後押しする、超党派の「ハクション撲滅議連」を立ち上げたいくらいの強い思いがあります。日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会のデータによれば、花粉症全体の有病率は約十年ごとに一〇ポイントずつ増加し、二〇一九年現在で約四三%、杉花粉症は約四〇%台であり、国民の二人に一人が罹患していることになります。また、政府によれば、花粉症による経済損失は、保険診療費で約三千六百億円、市販薬で約四百億円と試算しております。このような実態を踏まえ、政府は先月三十日、花粉症に関する関係閣僚会議において、花粉症対策の全体像を示しました。花粉症対策の三本柱は、発生源対策、飛散対策、発症・暴露対策であります。発生源対策は、十年後には
杉人工林を約二割減少させ、三十年後には半減を目指す取組であります。具体的には、
杉人工林の伐採、需要拡大、花粉の少ない苗木の植え替えなどを加速することであります。飛散対策では、杉花粉飛散量の予測と飛散防止であります。精度の高いデータを民間事業者に提供し、花粉飛散量の精度向上を支援します。発症・暴露対策においては、花粉症の治療・対策製品の開発や予防行動を周知するとしております。本県においても、これまで花粉発生源対策としては、林業技術総合センターにおいて花粉の少ない杉品種の生産体制の強化をするなど、計画的に御尽力いただいており、農林水産委員会でも県内調査を行ったところであります。当該センターの施設整備は今年度でほぼ終了し、これから本格的に生産量を増やし、十年後には八十万本まで増産し、県内に流通する全ての苗木を杉花粉症対策に資する苗木に置き換えることを目標にしていると聞いております。そこで、二点の質問であります。 第一は、杉花粉症が本県に与える影響をどのように捉えておられるのか、経済損失や健康への影響も含めて伺います。 第二は、今後の息の長い取組を見据えた対応の在り方についてであります。花粉症対策は、これまで述べてきたように、水産林政部のみではなく、部局横断的に様々な対策を効果的に組み合せていくことが実効性を高めます。どの部局がどのような取組を担当するのか、主なものを伺います。 次に、民主主義の根幹でもある、主権者教育について伺います。 主権者教育とは、総務省によれば、主権者たる国民が政治や社会での出来事について我が事として捉え、主体的に行動できるようにするための教育としております。広い意味では、年齢を問わず全ての有権者に向けた啓発活動で、狭い意味では、小中学生を含む児童や高校生、二十代の若年層に対して、政治的な教養を醸成するための教育を指します。改めて、主権者教育の目的は、選挙だけに関する教育ではないことを初めに確認しておきます。 これまで、本県では、教育委員会や
選挙管理委員会などで様々な取組が行われてきましたが、主権者教育の一部として、データで測れる投票率や無投票の現状を見ると、我が国の民主主義の根幹を揺るがす危機とも捉えられます。総務省によれば、昨年の参議院選挙の投票率は、十八歳で約四〇%、十九歳で約三〇%であります。二十歳以上の投票率については五〇%前後と、民主主義の危機であります。直近の国政選挙などで投票率が毎回全国トップの山形県があります。トップとなっている背景の一つが、若者の投票率の高さであります。そこで、全国的に注目されているのが、日本海に面し、鳥海山が一望できる自然豊かな人口およそ一万三千人の遊佐町の少年議会の取組であります。町の中高生およそ六百人が少年町長と少年議員に立候補し、選挙公報も発行し、自ら考えた政策をアピールして、中高生が主役となって投票で選ばれ、少年議会用に議会承認された町の四十五万円の予算を元に、政策を立案・議論し、地域の課題について身をもって実現させる取組で、今年で二十回を数えるとのことであります。遊佐町教育委員会では、「この取組の認知度も上がり、立候補する人数も増えている。実際に投票を行った生徒たちは、少年議会を通じて行政や選挙が身近なものになっている。若い世代からリアルな選挙を経験することで、政治行政に関心を持つようになり、結果として投票率アップの一因となっている」と分析しております。そこで、二点の質問です。 第一は、憲法でもうたう国民主権の観点から、民主主義の根幹となる主権者教育の在り方について、執行部で唯一、県民から選挙で選ばれて負託を受けている知事の御所見を伺います。 第二は、これまで紹介したように、大人になってからの取組では効果が低いと考えます。例えば、山形県遊佐町の少年議会のような、必ず通過する義務教育の段階から実際的な取組ができるように、県内市町村に支援金を毎年配分し、実効性ある主権者教育の取組を提案するものですが、いかがでしょうか。教育長、そして
選挙管理委員会委員長の御見解を伺います。 最後に、いわゆる成育基本法の成育医療に基づいた、成育過程にある乳幼児などの早期発見について。特に、弱視、側弯症、先天性難聴対策と産後ケア法案に基づいた産後うつ対策について伺います。 この件は、これまで我が会派の渡辺勝幸議員や公明党県議団も取り上げ、着実に対策が講じられてきましたが、改めて周知・広報の観点から質問いたします。 政府は、成育過程にある乳幼児等を取り巻く環境が大きく変化している中で、成育医療の提供に当たっては、医療、保健、教育、福祉など、より幅広い関係分野での取組の推進が必要であることから、各分野における施策の相互連携を図りながら、その需要に的確に対応し、子供の権利を尊重した成育医療等が提供されるよう、成育過程にある者などに対して、横断的な視点と総合的に取り組む方針を示しました。今月十日、我が自民党・県民会議の全員で構成する、石川光次郎議員を長とする医療福祉議員連盟では、宮城県医師会主催で、小児科専門医でもある内閣府大臣政務官自見はなこ参議院議員との勉強会・意見交換を行いました。一言で、国による様々な施策が事業化されているが、自治体の努力義務となっている事業にあっては、自治体ごとにまちまちであり、事業そのものを知らない自治体もあり、周知・広報が必要であるといった内容であります。 まず、弱視について。弱視とは、眼鏡やコンタクトレンズで矯正しても、視力一・〇が見えない病気です。子供の百人に二人が弱視と言われていますが、三歳児健診で多くの弱視が見逃されており、従来の視力検査だけでは発見できない、自治体間で検査精度に大きな偏りがあると指摘されております。三歳で発見・治療すれば、就学時までに視力一・〇にできるとのことであります。このことを踏まえ、国は昨年四月から、自治体への屈折検査機導入への補助が始まっております。 次に、側弯症について。側弯症とは、背骨が横方向に曲がりねじれる病気で、進行するとストレス、背中や腰の痛み、呼吸障害などを伴います。思春期の女子に多い側弯症は、学校医の目視では見逃しが多く、悪化してからの診断では手術を回避できないこともあるため、検査機器の導入により正確に早期発見できます。これを踏まえ、政府は二〇二一年に、学校健診での早期発見・支援につなげる環境整備を明記するとともに、昨年度予算には、検査機器を用いた検診の仕組みの調査・実証研究費が計上されました。 次に、千人に一人と言われる先天性難聴赤ちゃんへの対策です。多くの難聴児が早期発見・介入・療育開始の機会を逃しており、新生児聴覚検査に公費負担する自治体は、全国でたったの二二・六%であります。生後五日目には検査が可能であり、人工内耳などの適切な治療で音声言語獲得の可能性が高まります。これを踏まえ、政府は二〇二〇年度予算から、これまでの四千九百万円から十二倍の六億円に増額しました。 最後に、二〇一九年に成立した改正母子保健法、いわゆる産後ケア法案に基づいた産後うつ、自殺から妊婦を守るための産後ケア事業についてであります。小児科医でもある自見はなこ議員は、虐待、産後うつ、妊婦の自殺に多く出会ってきたとのことであります。同議員は特に、ゼロ歳児で虐待死する赤ちゃんが一番多く、核家族化、晩婚化、若年妊婦等の孤独・不安な母親を救うことが急務として、法改正に尽力されたとのことでありました。この法改正を受け、二〇二一年四月から産後ケア事業は市町村の努力義務となり、対象も出産後四か月までから、出産後一年以内に拡大されたと伺っております。そこで、二点の質問であります。 第一は、これまで紹介した弱視、側弯症をはじめとしたそれぞれの取組は、県の関係部局や市町村、関係機関の御尽力により着実に進んでいるとのことですが、一部の基礎自治体では取組が進んでいないと聞き及んでおります。現状はどのようになっているのか、本県と県内三十五市町村の取組状況についてお聞かせください。 第二は、政府は、向こう三年間の「異次元のこども・子育て支援プラン」を示しておりますが、これに連動した乳幼児等の成育医療に関わる本県独自の異次元の取組はあるのか、伺います。 以上、大綱五点、県民のためになる前向きな答弁を求めて、壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
○副議長(池田憲彦君) 知事村井嘉浩君。 〔知事 村井嘉浩君登壇〕
◎知事(村井嘉浩君) 松本由男議員の一般質問にお答えいたします。大綱五点ございました。 まず、大綱一点目、災害用システムの有効活用についての御質問のうち、衛星通信システムの活用についてのお尋ねにお答えいたします。 大規模災害時の通信システムにつきましては、現在、県や市町村が所有する衛星携帯電話の活用をはじめ、各通信事業者との協定等に基づき、衛星を利用した災害対策用通信設備の設置などにより、スマートフォン等の通信回線の暫定復旧を行うこととしており、今年度のみやぎ県民防災の日、総合防災訓練においても、衛星通信が有効であることを確認しているところであります。スターリンクに関しましては、低軌道の人工衛星を活用し、通信網が未整備の地域や災害等でインフラが損壊した場合でも、大容量のデータ通信が可能となるなど、大規模災害時における有効な通信システムの一つになり得ると認識をしております。県としては、先進的な通信技術に関する情報の収集に努め、実用化の可能性を探るとともに、引き続き災害時における通信システムのさらなる強化を図ってまいりたいと考えております。 次に、大綱二点目、物流二〇二四年問題への対応についての御質問にお答えいたします。 初めに、今後の支援の方向性についてのお尋ねにお答えいたします。 トラックドライバーの働き方改革に伴い、物流機能の停滞が懸念される二〇二四年問題は、我が県のみならず、全国的な問題であると認識をしております。物流は県民生活を支える重要な社会基盤であり、県ではこれまで、貨物運輸振興事業を通じて、二〇二四年問題対策研修会などの取組を支援してまいりました。更に県の制度融資による金融支援に加え、取引先との共存共栄を図るパートナーシップ構築宣言の推進や、中小事業者の経営改善に向けた、デジタル化の支援にも取り組んでいるところであります。また、国においては、今月、物流革新に向けた政策パッケージを取りまとめたところであり、今後、法制化が進められるものと聞いております。県としては引き続き、国の動向を注視し関係団体と連携をしながら、二〇二四年問題に適切に対応してまいります。 次に、物流革新に向けた広報についての御質問にお答えいたします。 御指摘のありましたとおり、物流革新のためには、トラック事業者をはじめとした物流業界だけでなく、消費者一人一人の意識改革が重要と認識しております。県ではこれまで、県トラック協会への補助金を通じた標準的な運賃に関するテレビコマーシャルの放映や、ラジオ放送などを実施しているほか、パートナーシップ構築宣言を行っているところでありますが、今後も、荷主・消費者ともに、物流革新への理解醸成を更に広める必要があると考えております。御提案をいただきましたトップセールスにつきましては、県政ラジオ放送などを通じ、私が先頭に立って物流に関わる消費者の意識改革について、積極的にPRを行ってまいりたいと考えております。 次に、大綱三点目、杉花粉症の撲滅対策についての御質問のうち、花粉症対策に係る関係部局の役割分担についてのお尋ねにお答えいたします。 今年五月に開催された花粉症に関する関係閣僚会議で示された三本柱のうち、発生源対策については、これまで水産林政部が中心となり、各種施策に取り組んでまいりました。特に花粉の少ない苗木の生産拡大については、令和元年度に策定した宮城県スギ花粉発生源対策推進プランに基づき、林業技術総合センターが中心となって、苗木生産と普及に努めているほか、杉材需要の拡大策として、県産材を活用した新築木造住宅への支援等を行っているところであります。また保健福祉部においては、ホームページ等による、花粉症対策に関する情報の周知や花粉への暴露を軽減するための予防行動、症状が出た際の受診の目安等の助言を行っております。県といたしましては、今後、国が策定した、花粉症対策の全体像に基づき、各省庁から出される対策を踏まえ、庁内関係部局が分担・連携しながら、花粉量の削減に向けた取組を積極的に進めてまいります。 次に、大綱四点目、民主主義の根幹たる実効性ある主権者教育についての御質問のうち、主権者教育の在り方についてのお尋ねにお答えいたします。 総務省の有識者会議によれば、主権者教育とは、国や社会の問題を自分の問題として捉え、自ら考え自ら判断し、行動していく、主権者を育成していくこととされており、子供の頃から意識醸成を図っていくことが重要であると認識しております。そのため教育委員会では、小・中学校段階において、児童生徒が自分の意見と異なる意見を整理し、議論を交わしたり、他者の意見と折り合いをつけたりすることで、社会の構成員としての素養を身につけるほか、高校では、必修科目である公共での授業や、生徒会活動、学校行事などを通じて政治的教養を高めるなど、発達段階に応じて主権者として求められる資質・能力の涵養に努めていると伺っております。また
選挙管理委員会では、高校生など若年層に対する出前講座等の実施を通じ、政治や選挙に対する関心を高めていると伺っております。このように主権者教育は、一貫した息の長い取組が必要であり、私といたしましても、これらの取組により、県民の政治意識の向上が図られていくものと考えております。 私からは、以上でございます。
○副議長(池田憲彦君) 復興・危機管理部長千葉章君。 〔復興・危機管理部長 千葉 章君登壇〕
◎復興・危機管理部長(千葉章君) 大綱一点目、災害用システムの有効活用についての御質問のうち、地震予測システムについてのお尋ねにお答えいたします。 近年、全国的に地震が頻発しており、一たび大規模な地震が発生すれば甚大な被害が想定される中、地震への備えは大変重要であると認識しております。地震予測システム「S-CAST」は、大気等を複合的に観測し、その結果から地震予測を行う新しい知見に基づくものであり、同システムの説明資料によると、予測該当率は高いと伺っておりますが、対象とする地震は、国内で年間約二千回発生する震度一以上であるほか、気象庁によれば、現在の科学的知見からは、精度の高い地震予測は困難とされていることもあり、県として直ちに活用することは難しいものと考えております。県といたしましては、北海道・三陸沖後発地震注意情報など、国からの情報に基づき、県民の皆様に的確な情報提供を行い、引き続き、防災・減災に取り組んでまいります。 私からは、以上でございます。
○副議長(池田憲彦君) 保健福祉部長志賀慎治君。 〔保健福祉部長 志賀慎治君登壇〕
◎保健福祉部長(志賀慎治君) 大綱五点目、成育期乳幼児の弱視・側弯症・先天性難聴の早期発見と産後ケアについての御質問のうち、我が県と市町村の取組状況についてのお尋ねにお答えいたします。 弱視や先天性難聴などの早期発見のため、乳幼児期における検査が重要だと認識しており、県ではこれまでも、視覚の屈折検査機器の操作研修会や、宮城県新生児聴覚検査療育体制検討会など、市町村における検査体制の早期確立に向けた支援を行ってまいりました。弱視対策については、今年度中に三十の市町村で三歳児健診における屈折検査を実施する予定です。また、先天性難聴対策については、昨年度末時点で、全ての市町村において新生児聴覚検査が実施されており、三十三市町村で公費負担が行われているところです。産後ケア事業については、昨年度末時点において三十市町村で行われており、実施方法ごとに、宿泊型が十市町、通所型が二十六市町村、訪問型は二十二市町で実施され、利用者負担の軽減を図っている市町村には、県から独自の補助を行っております。なお、学校における側弯症への対応は、学校保健安全法に基づき、定期健康診断の検査項目として、全ての学校で実施されており、家庭による保健調査票等の情報を参考に学校医が健診を行い、疾病等が疑われる場合は、医療機関での検診を勧め専門医の判定を受けるものと承知しております。 次に、乳幼児等の成育医療に係る我が県独自の取組についての御質問にお答えいたします。 今月、国が示したこども未来戦略方針では、三つの基本理念の一つとして、全てのこども・子育て世帯を切れ目なく支援することが掲げられ、今後三年間で取り組む具体的な施策として、伴走型相談支援の制度化の検討や、産後ケア事業の拡充などが盛り込まれております。県ではこれまでも、市町村が実施する妊娠・出産・子育てに関する相談体制及び情報発信の充実などに対し、次世代育成・応援基金を活用して、独自の補助を行ってきたところです。今後は、国の方針に掲げる妊娠期からの切れ目ない支援と産前・産後ケアの拡充に向け、当該基金の更なる活用を図るなど、広域的な視点から市町村母子保健事業の支援の強化に努めてまいります。 私からは、以上でございます。
○副議長(池田憲彦君) 水産林政部長吉田信幸君。 〔水産林政部長 吉田信幸君登壇〕
◎水産林政部長(吉田信幸君) 大綱三点目、杉花粉症の撲滅対策についての御質問のうち、我が県に与える影響についてのお尋ねにお答えいたします。 花粉症は、アレルギー疾患の一つとされており、いまだ多くの国民を悩ませ続けている社会問題であります。我が県における杉花粉症の有病率は、全国とほぼ同様の約四〇%であり、多くの県民が杉花粉症により、健康面に支障が出ているものと考えております。また、経済面への影響では、全国との人口比から換算すると、医療費支出は約七十二億円になると推計しており、更に、花粉の飛散時期には、花粉症患者を中心に外出が控えられ、レジャーや小売、外食関連等の個人消費支出が全国的に低下することが、民間の研究機関から指摘されております。このように杉花粉症が、我が県の経済や県民の健康に与える影響は大きいものと認識しております。 私からは、以上でございます。
○副議長(池田憲彦君) 教育委員会教育長佐藤靖彦君。 〔教育委員会教育長 佐藤靖彦君登壇〕
◎教育委員会教育長(佐藤靖彦君) 大綱四点目、民主主義の根幹たる実効性ある主権者教育についての御質問のうち、義務教育段階の取組についてのお尋ねにお答えいたします。 選挙権年齢や成年年齢の引下げなどの社会の変化を受け、子供たちに主権者として必要な資質能力を身につけていくことは、これまで以上に重要であると認識しております。小中学校においては、児童生徒自身が生活上の課題を発見し、課題解決のための活動を計画運営することを通して、主体的に社会参画することの意義や価値を、発達の段階に応じて身につける学習を行うことで、主権者教育の充実に努めているところです。御提案がありました少年議会のような取組については、主体的な社会参画に必要な資質能力の育成に有効であると捉えております。また、県内においても、小中学生が、地域課題解決のための市長への提言や商品の開発、販売を企画立案するなど、地域の実態に応じた社会参画の活動が進められていることから、少年議会の取組と併せ、市町村へ情報提供してまいります。県教育委員会といたしましては、児童生徒が将来の社会を担う主権者として必要な知識・技能及び態度を段階的・系統的に身につけられるよう、より実効性を持った取組について、市町村教育委員会と連携しながら工夫を重ねてまいります。 私からは、以上でございます。
○副議長(池田憲彦君)
選挙管理委員会委員長皆川章太郎君。 〔
選挙管理委員会委員長 皆川章太郎君登壇〕
◎
選挙管理委員会委員長(皆川章太郎君) 大綱四点目、民主主義の根幹たる実効性ある主権者教育についての御質問のうち、義務教育段階からの実効的な主権者教育の取組についてのお尋ねにお答えいたします。 県
選挙管理委員会では、平成二十八年六月に施行されました選挙権年齢の十八歳への引下げなどに伴い、高校生等を対象に選挙制度の概要説明や模擬投票を行う出前講座を実施するとともに、小・中・高校生などを対象にリーフレットや冊子を配布してまいりました。令和三年からは、新たに高校生による選挙啓発活動サポート事業を実施し、主権者教育の更なる充実を図ってきたところでございます。御指摘のありました山形県遊佐町のような先進的な事例につきましては、これまでも機会を捉えて、県内市区町村
選挙管理委員会に事例紹介を行ってきたところでございますけれども、県
選挙管理委員会といたしましても、今後とも、関係部局とも連携を図りながら、引き続き積極的な取組を働きかけてまいります。 以上でございます。
○副議長(池田憲彦君) 七番松本由男君。
◆七番(松本由男君) ありがとうございます。順次再質問いたします。 災害用のシステムの関連でございます。まずスターリンクについては、知事から前向きな御答弁ということで、御検討していただけるということでよろしくお願いします。一方で「S-CAST」のほうですね、非常に……復興・危機管理部長--直ちにの活用が難しいと、びしっと言われたんですけれども、いろんな資料を集めて、いろんなデータを集めて状況判断、決心する、知事は特に自衛隊出身ですけれども、そういうものだと私は思って、費用の話もしました、行政にとっては低価格だと。そういう話でいくと、活用していってというか、活用することを検討してもいいのではないかと私は思うわけです。百歩譲って市町村まで提供しなくてもいいし、県民までも提供しなくてもいい。いわゆる対策本部というか、知事以下部局長以上、指揮機能を有する方だけが知っているだけでも私は全然違うんだと思うんですね。そういう点でいかがでしょうか。
○副議長(池田憲彦君) 復興・危機管理部長千葉章君。
◎復興・危機管理部長(千葉章君) 特定の商品、一社のですね、特許を取っている特定の商品なので、なかなか詳しい商品内容というのは答えづらいのですけれども、震度一以上の地震の予測というのは、高いということの説明を受けておりますが、実際に災害対策するような震度五以上のものになると、該当率はかなり低くなってしまうというお話も聞いております。まだ研究途上だということもあるかと思います。また、震度一以上で「注意してください、注意してください」というのが、十日から二週間くらいの範囲で来るんですけれども、それが何回も何回も来ると、なかなか我々としてもその扱いに苦慮するということもございまして、もうちょっと研究成果を見ながら、活用なども検討させていただきたいというふうに思っております。
○副議長(池田憲彦君) 七番松本由男君。
◆七番(松本由男君) ぜひ前向きに、県民の命を守るシステムですから、御検討いただければと思います。 次、物流二〇二四年問題の対応でございます。知事からは、トップセールスをやっていただけるということで、ありがとうございます。できればラジオじゃなくて画像で、知事お得意のパフォーマンスをやっていただけると、もっと効果があるのかなと思っていますので、よろしくお願いします。そこで、今回の支援事業の中で非常に気になったこと、
予算特別委員会で審議されると思うのですが、支援対象が、中小企業の中に入っているみなし大企業を除くと、いわゆるグループ企業だと思うのですが、現場の声を聞くと、中小企業と全く一緒なんだと。車の台数も多いし、そこら辺はどうなっているのか、なぜ、みなし大企業は除くとしているのかとかですね。あとは、みなし大企業が占める割合をお尋ねします。
○副議長(池田憲彦君)
経済商工観光部長梶村和秀君。
◎
経済商工観光部長(梶村和秀君) 支援の対象としてみなし大企業を入れないという話でございますけれども、これにつきまして、やはり我々としまして中小企業をより救いたいという思いがありまして、前回、昨年度の制度設計時に、みなし大企業を入れないという方針を定めました。一方で、今手持ちはないのですけれども、その占める割合につきましては、後ほど御回答させていただければと思います。
○副議長(池田憲彦君) 七番松本由男君。
◆七番(松本由男君) ぜひ現場の声を聞いて、きめ細やかにやっていただければと思いますので、お願いします。 次に、杉花粉症関連ですね。一生懸命取り組んでいただいております。ありがとうございます。ただし、現場の声が、例えば苗の研究だとか、育てる、そういう話はあるんですけれども、非常に、もっと早くできないのかと。半年でも一年でもいいからという話が多いんですね。いかがなものでしょうか。
○副議長(池田憲彦君) 水産林政部長吉田信幸君。
◎水産林政部長(吉田信幸君) 花粉の少ない花粉症対策苗木の供給につきましては、林業技術総合センターを中心に、今、鋭意、早く供給できるように取り組んでおります。基本的に、挿し木苗を多く提供してきたという経過がございまして、種のほうの供給を今進めようと努力しているところでございますので、なるべく一日も早く供給できるように取り組んでまいりたいと思います。
○副議長(池田憲彦君) 七番松本由男君。
◆七番(松本由男君) 半年でも一年でも早くなるよう、よろしくお願いします。 次に、民主主義の根幹たる実効性ある主権者教育の件でございます。知事から所見ということで、ありがとうございます。一方で、教育長と
選挙管理委員会委員長ございました。教育委員会だとか
選挙管理委員会だけの話ではないのは重々承知で御質問します。データによると、投票率だけ取ると、山形県でこの前約六二%、宮城県で四八%の投票率なんですね。東北でも宮城県は最下位、北海道を入れても最下位。全国で見ても真ん中よりも下とかです。これがずっと続いているわけですね。早速、県議選とかいろいろあるんですけど、ここら辺、前向きに、選挙管理委員長、取り組みますという話があるんですけど、やはりもっと真剣に、真剣にやっておられるのですが、もっと力を入れて、予算の話もしました、そういうことをやられたらよろしいかと思うのですが、いかがでしょうか。
○副議長(池田憲彦君)
選挙管理委員会委員長皆川章太郎君。
◎
選挙管理委員会委員長(皆川章太郎君) 御指摘の点は、私ども
選挙管理委員会でも皆共通の認識でございます。何とかこの、具体的には投票率アップということについて、しっかりと、終始、今まで以上に徹底して、効率を高めていきたいという思いでおります。そして、先日も、選挙期日、投票日、日程を発表いたしましたけれども、差し迫って十月の二十二日ということに決定しているわけでございますので、それに向かって
選挙管理委員会では邁進していこうということで統一しております。
○副議長(池田憲彦君) 七番松本由男君。
◆七番(松本由男君) 選挙管理委員長の強い決意を伺いましたので、必ず実行していただけると思います。この件で、予算を配分したらという話をしました、三十五市町村にですね。実は全体として、知事部局というか知事にお伺いしたのは、予算をお持ちなのは知事部局だからなんです。
選挙管理委員会も教育委員会も基本的にはないわけですね。そういう意味で、やはり横の連携というか、そういう理解がないと駄目だと思うんです。そこら辺いかがでしょうか。
○副議長(池田憲彦君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) これは誰かの責任というものではなくて、やはり連携すべき立場の者が皆で連携していくということが極めて重要だというふうに思っております。またこれは県だけの問題ではなくて、やはり市町村の
選挙管理委員会といったようなものとか、あるいは市町村の首長さんの考え方というのは非常に大きく影響してくると思いますので、山形県遊佐町の事例を紹介いただきましたけれども、そういった先進的な事例をしっかりと情報収集いたしまして、市町村と連携しながら、少しでも投票率が上がるように、また、主権者意識を持っていただけるように、努めてまいりたいというふうに思います。
○副議長(池田憲彦君) 七番松本由男君。
◆七番(松本由男君) 我々議員も頑張りますので、よろしくお願いします。 最後です。私の毎回の質問の根っこにあるのは、国と基礎自治体との間にある県の立ち位置、役割についてであります。地方自治法にある住民自治や団体自治の観点からは、それぞれの自治体の自治になるわけですけれども、だからといって、県が知らんぷりでは、県の存在意義が自己否定になります。県民と直接接して対応していただいている市町村の現場が、取組がしやすいような広域連携の取組を、県の執行部に改めて求めて、質問を終わります。ありがとうございました。
○副議長(池田憲彦君) 十八番八島利美君。 〔十八番 八島利美君登壇〕
◆十八番(八島利美君) 自由民主党・県民会議の八島利美でございます。議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、大綱五点について、一般質問させていただきます。 大綱一点目、農業生産資材等高騰対策について、以下四点質問いたします。 一点目ですが、今般の燃料や配合飼料等の生産資材価格の高止まりにより、畜産経営が危ぶまれるほどの甚大な影響を受けています。本県では、昨年九月補正、十一月補正並びに二月補正で、畜産生産資材価格高騰対策緊急経営支援事業で影響緩和策を講じているものの、本年もいまだこの厳しい状況の収束が見通せないことから、継続した支援策が必要だと思いますが、知事の所見を伺います。 二点目ですが、国は、輸入依存の高い飼料用トウモロコシ等の濃厚飼料の生産拡大と国内増産を図るため、新たな支援策等を創設しています。本県としても、畜産県であることから、畜産農家のコスト削減のために、この飼料トウモロコシや牧草、ホールクロップサイレージ等の飼料自給率向上に向けた取組を加速するべきだと考えます。また、単なる水田転作のみならず、畜産振興における生産基盤としての草地、飼料用畑等をしっかり位置づけ、関係施設・機械導入支援を含め推進していく必要があると思いますが、知事の所見を伺います。 三点目ですが、輸入粗飼料価格の高騰に加え、ヌレ子などの副産物価格の下落や需給緩和の影響から高水準の脱脂粉乳在庫など、酪農経営が危機的な状況に追い込まれています。過般の日本農業新聞等の報道にもあるとおり、大半の酪農経営者が赤字経営に陥っており、廃業に向けて飼養頭数を減らしている生産者もおり、本県でも例外ではない状況にあります。改めて、生乳の需給緩和対策として、学校給食以外でも集団飲用、例えば、老人ホーム、幼稚園、病院、公共施設等への飲用促進・支援策等を講じるべきだと思いますが、知事の所見を伺います。 四点目ですが、生産現場では、肥料・飼料・燃料高騰に加え、電気料金の値上げが大きな課題となっています。昨年十一月補正で、カントリーエレベーター及び青果物集出荷予冷施設に係る電気料金等の緊急対策事業を講じていただき、関係団体からは高い評価を頂きました。関係団体の調査によれば、共同利用施設に係る電気代上昇額は、今後、県全体で一億四千万円まで跳ね上がると見込んでおり、この電気料上昇分の経費は、農産物価格に転嫁できず、最終的には、生産者の施設利用料へ負荷せざるを得ない状況になっています。改めて、生産者が肥料・飼料等の資材高騰で厳しい経営に陥っており、収束が見通せないことを鑑み、この電気料金についても、農業生産等の負担軽減を図る観点から事業継続が必要と思われますが、知事の所見を伺います。 大綱二点目、持続可能な林業振興について、質問します。 本県では、みやぎ森と緑の県民条例基本計画の下で、素材生産量の増加や、新たな建築部材としてCLTを活用したスマート林業の導入など、新たな取組が進展しております。また、SDGsへの貢献やカーボンニュートラル実現を見据えた、森林の有する多面的機能、林業の持続的かつ健全な発展、そして、林産物の供給及び利用の拡大等、脱炭素社会推進に向けた取組が今後も活性化し、これからの林業・木材産業の成長産業化と、森林の公的機能の発揮に向けて、森林・林業・木材産業の果たすべき役割も一層高まっています。一方、
新型コロナウイルス感染拡大や、ロシアのウクライナ侵攻、更には円安なども重なり、世界的な経済の不透明感が増す中、住宅着工数や木材需要の減少など、木材産業に対する悪影響が懸念されます。また、地球温暖化の影響と思われる全国的な豪雨災害等の多発・激甚化などにより、安全・安心な国土の構築に対する県民の不安が高まっています。更に、本県の人口が減少している中、地域の林業の担い手不足や、木材の安定的・効率的な生産供給体制の停滞による地域経済の危機が懸念されます。このため、森林の公益的機能を維持しつつ、また、SDGsに貢献する森林・林業・木材産業を目指すため、森林資源の適切な管理や担い手の育成確保、持続可能な林業経営を目指すとともに、県産材の更なる需要拡大と安定供給を進めることが必要です。このような状況を踏まえて、以下の質問をいたします。 最初に、森林資源の循環利用と持続可能な林業経営に対する支援策の推進について、三点質問いたします。 一点目ですが、循環型林業の推進のため、間伐施業や皆伐再造林・保育事業への予算の確保について伺います。 二点目ですが、再造林に必要なカラマツ採種園の整備によるカラマツ種子等の早期供給と苗木生産資材の確保への支援について伺います。 三点目ですが、鹿等による森林病虫獣害への対策強化・拡充について伺います。 次に、みやぎ森林・林業未来創造機構等による担い手対策の拡充について、二点質問いたします。 一点目ですが、若い世代が安心して就業できる森林・林業の実現に向けた取組について伺います。 二点目ですが、緑の雇用等を活用した林業技術者の確保・育成・定着への支援について伺います。 次に、森林環境譲与税を活用した森林経営管理制度の円滑な推進について、二点質問いたします。 一点目ですが、適切な森林管理に向けた森林経営管理制度の推進について伺います。 二点目ですが、市町村に対する事業実施体制の支援強化について伺います。 次に、新しい林業に向けた施設整備の推進について、三点質問いたします。 一点目ですが、生産性向上のための路網整備の推進と高性能林業機械の導入促進に関する予算の確保について伺います。 二点目ですが、県産材の安定供給体制の構築を図るための、中小事業者の木材加工流通施設の整備の推進について伺います。 三点目ですが、スマート林業促進のための機器導入に対する支援、並びに森林情報の整備・利活用の促進について伺います。 次に、安全・安心な緑の県土強靱化に向けた対策の拡充・強化について、二点質問いたします。 一点目ですが、山地災害の未然防止に向けた、適切な森林整備・治山事業の拡充や海岸防災林の保育管理に対する予算の確保について伺います。 二点目ですが、SDGs・低炭素社会の構築に貢献する木材利用の普及啓発について伺います。 最後に、令和七年度開催決定の第四十八回全国育樹祭の機運醸成に向けた取組について伺います。 大綱三点目、中山間地域の農地保全と農村型地域運営組織、農村RMOの形成促進について質問します。 中山間地域のような条件不利地域ほど人口減少は顕著であり、集落内の戸数減少は著しい状況です。集落の総戸数が十戸を下回ると、農地の保全等を含む集落活動の実施率が急激に低下します。今後の人口動態を踏まえると、中山間地域での集落活動実施率は更に低下し、食料供給機能や多面的機能の維持・発揮に支障が生じるおそれがあります。中山間地域では、高齢化・人口減少の進行により、農業生産活動のみならず、地域資源、農地・水路等の保全や生活、買物・子育てなど、集落維持に必要な機能が弱体化しています。農家、非農家が一体となり、生産、生活扶助、資源管理に取り組むことで、地域コミュニティーの機能を維持・強化することが必要です。そこで、生産、生活扶助、資源管理の三つの集落機能を補完する地域運営組織、RMOが必要ではないかと考えます。地域運営組織とは、地域の生活や暮らしを守るため、地域で暮らす人々が中心となって形成され、地域内の様々な関係主体が参加する協議組織が定めた地域経営の指針に基づき、地域課題の解決に向けた取組を持続的に実践する組織です。地域運営組織の現状と課題は、近年、地域運営組織の形成数は、二〇一七年の四千百七十七団体が、二〇二一年には六千六十四団体と、全国的には増加傾向にありますが、一方で、農業に関する活動は僅かであります。総務省の調査によると、市町村の一般行政職員は、二〇〇四年の四十二万七千七百七十九人から二〇二一年の三十七万九千五百九十九人と、十七年間で一一・二%減少しており、特に農林水産担当は四万千四百九十四人から三万五人で二七・六%と、減少幅が大きくなっています。また、農村型地域運営組織のイメージとしては、複数の集落による集落協定や農業法人など農業者を母体とした組織と自治会、社会福祉協議会など多様な地域の関係者とが連携して協議会を設立し、農村RMOの活動の基礎となる農用地等の保全、地域資源の活用、農村漁村の生活支援に係る将来ビジョンを策定し、これに基づき各事業を実施しています。このような状況を踏まえて、以下二点について質問いたします。 一点目ですが、本県でも中山間地域の農地保全等のため、農村型地域運営組織の形成を積極的に進めるべきだと思いますが、現状と今後の取組について、知事の所見を伺います。 二点目ですが、国の事業で、農山漁村振興交付金、中山間地農業推進対策のうち「農村型地域運営組織形成推進事業~地域で支え合うむらづくりの推進~」がありますが、このような事業を活用し、市町村と連携して地域運営組織の形成を促進するべきだと思いますが、知事の所見を伺います。 大綱四点目、持続可能な観光振興について、質問します。 最初に、観光地域づくり法人、DMOの活用策について質問します。 観光地域づくり法人は、地域の稼ぐ力を引き出すとともに、地域への誇りと愛着を醸成する地域経営の視点に立った観光地域づくりの司令塔として、多様な関係者と協同しながら、明確なコンセプトに基づいた観光地域づくりを実現するための戦略を策定するとともに、戦略を着実に実施するための調整機能を備えた法人です。また、観光地域づくり法人は、地域と旅行者の双方が観光のメリットを実感できる観光地を持続可能な形で実現していくなど、観光地域全体のマネジメントの観点での取組も必要であり、更に、災害時等の非常時におけるインバウンド等への情報発信や安全・安心対策について、自治体等連携して取り組むことも必要となります。地域の官民の関係者との効果的な役割分担をした上で、例えば、着地型旅行商品の造成・販売やランドオペレーター業務を実施する事業者等が地域内で不在の場合など地域の実情に応じて、観光地域づくり法人が観光地域づくりの一主体として個別事業を積極的に実施することも考えられますが、観光地域づくり法人の現状と今後の具体的な活用策について伺います。 次に、観光DX、デジタルトランスフォーメーションの推進について、質問します。 観光DXとは、業務のデジタル化により効率化を図るだけではなく、デジタル化によって収集されるデータの分析・利活用により、ビジネス戦略の再検討や、新たなビジネスモデルの創出といった変革を行うものと位置づけられています。観光地においては、
新型コロナウイルス感染症の影響による観光需要の減少により厳しい状況が続いています。このような状況からの脱却や、観光地が抱える課題解決に向けて、地域や関係事業者と連携を図りつつ、DXに取り組んでいくことが大切です。DX対応については、旅行者に対する利便性の向上による消費機会の拡大、観光地域づくり法人DMO・地方公共団体による観光地経営の高度化、宿泊業における情報管理の高度化による観光産業の生産性の向上、それらを支える観光デジタル人材の育成・活用の観点を踏まえ、地域の実情に応じて推進していくことが重要です。今後の観光DXの推進策及びデジタル人材の育成・活用について伺います。 次に、丸森町観光振興計画の重点戦略の実現に向けた支援について、二点質問いたします。 一点目ですが、本年三月に策定された丸森町観光振興計画において、重点戦略が設定されました。更なる観光振興に向け、特に重点的に取り組む内容を重点戦略と位置づけ、本計画の基本戦略の中で、施策体系にとらわれることなく、横断的かつ重点的に取り組むことで、観光振興に大きな効果が期待される施策で、町民・民間事業者・行政がともに連携し、積極的に事業を推進するものです。重点プロジェクト一の「斎理屋敷を含めた周辺整備プロジェクト」の主な取組の一つに、斎理屋敷前の道路のモール化の実現があります。具体的には、斎理屋敷前の主要地方道丸森霊山線の町道化と無電柱化です。町道木沼竹谷線の未整備区間が解消し、県道として求められる機能を満たしたことから、町道と現県道との機能交換により、斎理屋敷前の道路の町道化を図ります。更に、歩車道境界ブロックの撤去やカラー舗装等により、買物客等の駐車スペースの確保、そして町並み散策エリアの整備などであり、実現するには県の協力が不可欠です。県としてどのように支援をしていくのか伺います。 二点目ですが、重点プロジェクト二の「水辺の交流拠点整備プロジェクト」への支援についてです。丸森町では、大規模災害の際に防災活動の拠点となる河川防災ステーションの整備に向け、検討を進めています。本来の水防センター機能に加え、平常時は町の観光交流拠点の機能を担うとともに、町中心に位置する斎理屋敷や丸森物産いちば八雄館をはじめとした、町内の観光交流施設や農産直売所等の観光資源とのつながりを強化し、更に町内のみならず、近隣の角田市、白石市、山元町、村田町などの道の駅や直売所、震災遺構などとも連携し、防災教育を含めた広域観光拠点として、新たな観光周遊ルートを形成することにより、広域的な観光振興の推進及び地域活性化が期待されております。現在、丸森地区河川防災ステーションの平常時の利活用については、防災訓練や防災教育の場、及びにぎわい創出や地域コミュニティーの場、そして観光交流拠点等、多岐にわたり検討されていますが、県としてどのように支援をしていくのか伺います。 大綱五点目、阿武隈急行線存続に向けての取組について、質問いたします。 まずは、写真を御覧ください(パネルを示す)。こちらはポケモンのラプラスとラッキーのラッピング列車と、四季折々の阿武隈急行線の写真でございます。自然豊かな風景は、撮り鉄の皆さんにもとても人気のローカル線になっております。とはいえ、阿武隈急行線は、人口減少による利用者の減少に加え、度重なる自然災害やコロナ禍の影響、更には、施設の老朽化に伴う修繕費の増加等により、厳しい経営状況にあります。赤字拡大を抑制するための抜本的な経営改善方策等について議論するため、阿武隈急行線在り方検討会を設置し、第一回目の検討会が令和五年三月二十九日に開催されました。検討会資料によると、阿武隈急行線の輸送人員は、平成七年度の三百二十五万人をピークに、令和三年度では百七十万人と四八%の減少。業績は、平成九年度の三千万円の黒字をピークに、令和三年度は六億二千万円の赤字。今後、施設・設備の修繕費は、多くの施設が耐用年数を超過し、修繕費の増加が見込まれます。在り方検討会では、一、増収策、利用促進策等、二、経営体制の変更、上下分離方式等、三、民間人の常勤役員起用、四、輸送モードの合理化、五、運行ダイヤの合理化、六、車両更新数、七、経常経費の妥当性、八、その他経営改善に資する取組について、抜本的な経営改善等を提案し、おおむね二か月に一回程度の検討会を実施し、令和七年三月までに経営改善策を取りまとめ、その後、再生支援協議会へ回答するとあります。運営は非常に厳しい状況ではありますが、阿武隈急行株式会社としても、営業努力を怠っていたわけではありません。最近では、鉄印帳と人気ゲーム桃太郎電鉄がコラボした桃鉄印、桃鉄印帳の阿武隈急行バージョンを福島駅で販売中です。ほかにも、あぶQウォーク二〇二三を四月から十一月にかけて全十回開催予定ですし、桜の季節には櫻めぐり切符、自転車を無料で車内に持ち込める阿武隈サイクルトレイン、冒頭で紹介したポケモン人気キャラクターのラプラスとラッキーのラッピング列車、阿武隈ライン舟下りの乗船券をセットにした阿武隈川満喫きっぷ、列車内での横浜シンフォニエッタによるミニコンサート、地ビールで有名なシンケンファクトリーとコラボしたランチ付き乗車券、受験シーズンには合格を祈願したGO!かくだ切符の販売など、様々な企画を実施しながら営業努力を続けてまいりました。そのおかげで徐々に利用客も増えていると聞いております。更に、阿武隈急行の菅原前社長が校長先生を務めている熱中小学校丸森復興分校のボランティア部の皆さんや地域の皆さんが、あぶくま駅のペンキ塗り替え作業や丸森駅周辺の清掃活動を定期的に実施しているなど、地域の皆さんに愛されているローカル鉄道です。貴重な地域の足ということもあるので、何が何でも存続させなければなりません。そのような状況を踏まえて、次の二点について、質問いたします。 一点目ですが、在り方検討会の現在の検討内容及び進捗状況について伺います。 二点目ですが、阿武隈急行株式会社単独の営業努力だけでの業績の回復はなかなか困難な状況でありますので、県や沿線市町とも連携した増収策、利用促進策等が必要です。阿武隈急行線存続に向けての今後の取組について伺います。 以上で壇上からの質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
○副議長(池田憲彦君) 知事村井嘉浩君。 〔知事 村井嘉浩君登壇〕
◎知事(村井嘉浩君) 八島利美議員の一般質問にお答えいたします。大綱五点ございました。 まず、大綱一点目、農業生産資材等高騰対策についての御質問のうち、畜産生産資材価格高騰対策の継続支援についてのお尋ねにお答えいたします。 畜産生産資材価格については、国際情勢や円安などの要因により、依然として高止まりしており、畜産経営に深刻な影響を及ぼしております。このため、県では、昨年度、国の配合飼料価格安定制度では補い切れない飼料購入費の一部を支援したほか、光熱動力費の負担割合が大きい酪農経営に対し、掛かり増し経費の一部を支援してまいりました。しかしながら、畜産農家の経営は今もなお厳しい状況が続いており、更なる支援が必要と考え、国に対し配合飼料価格安定制度の拡充について要望するとともに、本定例会において、予算の増額を提案しております。県としては、今後とも畜産生産資材等の価格高騰や、個々の農業者の経営状況、国や県の支援事業の効果などをきめ細かく把握しながら、必要な対策を講じるよう努めてまいります。 次に、大綱二点目、持続可能な林業振興についての御質問にお答えいたします。 初めに、森林経営管理制度の推進と市町村に対する支援強化についてのお尋ねにお答えいたします。 県内市町村の森林経営管理制度の進捗については、昨年度までに、二十五の市町で森林所有者の意向調査が行われ、うち九つの市町で経営管理権集積計画が策定されております。制度推進に当たっては、意向調査後の集積計画や配分計画の策定に向けた取組が課題となっており、市町村ごとに進捗や実情が異なる状況にあります。このため県では、今年度から、市町村職員を対象に行う研修について、進捗状況に合わせた実務的な演習形式を導入するほか、県内外の先進事例や、制度推進方策を共有する意見交換会を開催するなど、市町村への支援を強化することとしております。今後とも、森林経営管理サポートセンターや地域林政アドバイザーと連携し、市町村に寄り添いながら制度の推進に向けて取り組んでまいります。 次に、第四十八回全国育樹祭の機運醸成についての御質問にお答えいたします。 全国育樹祭の開催に向けては、今月下旬から大会テーマ等の公募を行うほか、公式ホームページを開設するなど、大会の広報・PRを進めることとしております。また、市町村、関係団体等から成る実行委員会を八月に設置し、年度内には、県民の関心を高めるような関連行事の実施を含む、基本計画を策定する予定であります。今後も関係機関等と連携し、育樹祭開催の機運醸成に向けて取り組んでまいります。 次に、大綱三点目、中山間地域の農地保全と、農村型地域運営組織の形成促進についての御質問のうち、地域運営組織の形成を促進すべきとのお尋ねにお答えいたします。 県では、地域の課題を協働で解決する組織づくりを支援するため、今年度からみやぎ・いなか・トランスフォーメーション推進事業に取り組むこととしたところです。具体的には、農山漁村地域の地域運営組織を対象に、活動状況調査を行うほか、地域課題の解決に資する研修会を行うこととしております。県としては、市町村と連携し、農山漁村の課題解決に意欲的に取り組める組織の掘り起こしを行うとともに、国の事業も活用しながら、農村型地域運営組織の形成に向けて取り組んでまいります。 次に、大綱四点目、持続可能な観光振興についての御質問のうち、斎理屋敷前の道路のモール化の実現についてのお尋ねにお答えいたします。 丸森町の市街地を南北に通過する県道丸森霊山線の沿線は、国の登録有形文化財である斎理屋敷をはじめ、多くの観光客が訪れる重要な観光エリアであり、町が掲げる道路のモール化については、観光客が安全・安心に周遊できる取組として、観光振興の面からも大きな効果があると認識しております。県としては、モール化の実現に向け、県道と町道の組替えについて課題を整理していくとともに、現道のカラー舗装化をはじめ、にぎわいのある道路空間の構築が図られるよう、国が創設したほこみち制度などの活用を含め、町の意向を踏まえながらしっかりと支援してまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。
○副議長(池田憲彦君) 企画部長武者光明君。 〔企画部長 武者光明君登壇〕
◎企画部長(武者光明君) 大綱五点目、阿武隈急行線存続に向けての取組についての御質問のうち、在り方検討会の現在の検討状況についてのお尋ねにお答えいたします。 阿武隈急行線は、人口減少による利用者の減少に加え、度重なる自然災害やコロナ禍の影響などにより、非常に厳しい経営状況にある中、県南地域の沿線住民の生活を支える交通手段として、非常に重要な役割を担っております。令和五年三月、阿武隈急行株式会社の抜本的な経営改善策を検討するために設置した阿武隈急行線在り方検討会においては、これまで二回の会議を開催し、運行ダイヤの改善など、利用者確保に向けた方策について話合いを行っております。この検討会では、引き続き、令和七年三月までの二年間で増収策や経費削減策など経営改善に向けた新たな方策の協議を重ね、今後の方向性を取りまとめていくこととしております。 次に、増収策や利用促進策などの今後の取組についての御質問にお答えいたします。 阿武隈急行線の利用促進については、阿武隈急行と沿線市町及び県が連携して観光客に向けたあぶQウォークの開催や企画乗車券の販売などプロモーション活動を行っているほか、通勤・通学者の定期券購入費助成など創意工夫を凝らした多種多様な取組を行っているところです。こうした取組に加え、今年度は、
新型コロナウイルス感染症が五類に移行したことを受け、ビールや地元の食材を楽しめるイベント列車を再開するほか、旅行会社とタイアップした運転体験ツアーの企画などに積極的に取り組むこととしております。県としては、沿線市町の協調関係の下、現在開催している阿武隈急行線在り方検討会において知恵を出し合いながら、更なる利用促進に取り組んでまいります。 私からは、以上でございます。
○副議長(池田憲彦君)
経済商工観光部長梶村和秀君。 〔
経済商工観光部長 梶村和秀君登壇〕
◎
経済商工観光部長(梶村和秀君) 大綱四点目、持続可能な観光振興についての御質問のうち、DMOの現状と活用策についてのお尋ねにお答えいたします。 現在、県内をマネジメントエリアとするDMOは、県南四市九町を対象とする一般社団法人宮城創生DMOをはじめ五団体あり、それぞれ、地域観光資源の発掘・磨き上げ、着地型旅行商品の造成、外国人観光客受入れ環境整備などに取り組んでいるところです。県では、これまで、県内のDMOに対し、ガイド人材育成、地域周遊型ツーリズムや体験型学習プログラムの造成を委託するなど、地域の稼ぐ力を引き出す施策を実施してまいりました。非常時の情報発信も含め、観光人材の育成や、高付加価値化した体験コンテンツの造成など、魅力的な観光地域づくりを進めていくためには、DMOの果たす役割は大きいことから、県としても、引き続き連携の強化に努めてまいります。 次に、観光DXの推進についての御質問にお答えいたします。 観光分野のDXを推進し、旅行者の消費拡大や観光業の生産性向上等を図るとともに、地域のデジタル人材を育成・確保していくことは大変重要であると認識しております。県では、昨年度策定した第五期みやぎ観光戦略プランにおいて観光DXの推進を掲げ、データに基づく誘客プロモーションや、宿泊・観光施設の受入れ体制強化、デジタル技術を活用した周遊促進等に取り組んできたほか、宿泊施設向けのセミナー開催等を通じて事業者のデジタル化に向けた意識醸成を図ってまいりました。県としては、引き続き、観光デジタル人材の育成も含め、デジタルを活用した効果的な誘客や旅行者の利便性向上等に取り組むこととしております。具体的には、インバウンド向けウェブサイト、VisitMIYAGIを活用した旅ナカの情報発信強化のため、対象エリアを拡大したプッシュ広告の配信やモデルコースの提案などを展開することとしており、今後も、観光DXによる持続可能な観光地づくりを強力に推進してまいります。 私からは、以上でございます。
○副議長(池田憲彦君) 農政部長橋本和博君。 〔農政部長 橋本和博君登壇〕
◎農政部長(橋本和博君) 大綱一点目、農業生産資材等高騰対策についての御質問のうち、飼料自給率向上に向けた取組の加速化と関係施設・機械導入に対する支援についてのお尋ねにお答えいたします。 自給飼料の生産拡大や生産性の向上など、飼料自給率向上に向けた取組は、大変重要であると認識をしております。そのため、県では、水田での稲ホールクロップサイレージや、子実用トウモロコシなどの作付拡大を進めるとともに、畑地における牧草等の生産性向上を図るため、草地更新に必要な生産資材費の一部を支援しております。また、生産基盤の強化に向けて、国の畜産クラスター事業等を活用し、飼料生産関係施設や機械の導入支援も行っております。県としては、これらの施策により、飼料自給率の向上にしっかりと取り組んでまいります。 次に、牛乳の飲用促進支援についての御質問にお答えいたします。 牛乳の消費拡大対策については、全国的な課題であり、国では、訪日外国人観光客や子ども食堂を対象に、牛乳等を提供するなどの取組を行っております。また、県では、昨年度、需要が低迷する冬期に、宮城県牛乳普及協会と連携し、消費拡大キャンペーンを実施したところです。学校給食以外での飲用促進については、既に県内の大半の幼稚園や保育所で牛乳が提供されていると承知しております。県としては、今後の需給動向を把握しながら、牛乳の消費拡大に向けた対策や情報発信にしっかりと取り組んでまいります。 次に、カントリーエレベーターなどの電気料金高騰への支援についての御質問にお答えいたします。 今回の補正予算では、より緊急性と重要性が高く、上半期に対策が必要なものに対して集中的に支援することとしております。電気料金高騰に対する支援については、特に影響が大きい酪農や園芸への対策を講ずることで、営農の継続と農業経営の安定を図ることとしたところです。県としては、電気料金高騰の影響は長期化が見込まれることから、国に対して財源措置の継続を要望していくとともに、農業者等の負担軽減を図るため、引き続き必要な支援策を講じるよう努めてまいります。 次に、大綱三点目、中山間地域の農地保全と農村型地域運営組織の形成促進についての御質問のうち、農村型地域運営組織の形成に向けた現状と今後の取組についてのお尋ねにお答えいたします。 我が県の中山間地域においては、中山間地域等直接支払交付金や多面的機能支払交付金を活用しながら、地域内農地の約六割に相当する一万五千ヘクタールの保全活動に取り組んでおります。しかしながら、人口減少や高齢化の進展に伴い、担い手が不足してきており、今後の農地等の保全や、日常生活における扶助活動の衰退など、農村集落機能の低下が懸念されます。そのため、県におきましては、このような機能の低下が見られる集落に対し、複数の集落が共同して行う農地保全への誘導のほか、地域資源の活用や生活支援なども行う農村型地域運営組織の形成が必要と認識しており、現在、その支援に取り組んでいるところです。 私からは、以上でございます。
○副議長(池田憲彦君) 水産林政部長吉田信幸君。 〔水産林政部長 吉田信幸君登壇〕
◎水産林政部長(吉田信幸君) 大綱二点目、持続可能な林業振興についての御質問のうち、循環型林業の推進に係る予算確保の状況についてのお尋ねにお答えいたします。 循環型林業を推進するため、県では、木材利用の拡大とともに、森林組合など林業事業体からの要望を踏まえ、国の補助事業やみやぎ環境税の予算を活用し、間伐や再造林などの森林整備に取り組んでおります。特に、再造林につきましては、低コストな取組に対し手厚く支援する、チャレンジ!みやぎ五百万本造林事業を創設するなど、対策の強化を図っているところです。今年度は、林業事業体等からの要望に沿った予算をおおむね確保したところですが、今後とも、必要な予算の確保と効率的な運用に努め、森林資源の循環利用の推進に取り組んでまいります。 次に、カラマツ種子の早期供給等についての御質問にお答えいたします。 カラマツ林の造成は、森林資源の多様化や伐採サイクルの短縮による循環利用を推進していく上で重要な課題と認識しております。このため県では、種子の供給に向けてカラマツ採種園の造成に着手したほか、採種が本格化するまでの期間は、山取りによるカラマツ種子の確保も検討しております。また、県内の苗木生産者を対象に、生産を効率化する資機材の購入についても要望を聞きながら支援しているところです。県としては、引き続き、カラマツ種子の早期の供給に努めるとともに、苗木の生産性向上に向けて取り組んでまいります。 次に、鹿等による森林病虫獣害への対応強化・拡充についての御質問にお答えいたします。 県では、近年生息域が拡大している鹿による植栽木への食害を防止するため、国の補助事業やみやぎ環境税事業により、防護柵設置等に対して支援を行ってまいりました。また、昨年度からは、伐採に引き続き植栽と防護柵の設置を一体的に実施した場合について、補助率のかさ上げを行うなど、支援の拡充を図ったところです。県としては、引き続き森林組合など現場の意見を踏まえながら、森林病虫獣害への対策を進めてまいります。 次に、若い世代が安心して就業できる森林・林業の実現に向けた取組についての御質問にお答えいたします。 県では、林業事業体における就業環境の向上を図るため、令和二年十二月に関係団体等で構成する、みやぎ森林・林業未来創造機構を設立し、所得の向上や労働安全衛生の確保などに取り組んでいるところです。また、ICTを活用した資源情報の把握や流通管理のほか、生産性向上のための高性能林業機械の導入支援など、総合的な取組を進めることで、若い世代が安心して就業できる森林・林業の実現を目指してまいります。 次に、緑の雇用等を活用した林業技術者の確保等への支援についての御質問にお答えいたします。 緑の雇用は、林業事業体の新規就業者を対象として、基礎的な知識や技能習得に向けた体系的な研修を行う国の事業で、担い手育成の効果的なプログラムとして定着しております。このため、昨年四月に開校した、みやぎ森林・林業未来創造カレッジの林業技能者コースにおきましては、緑の雇用事業を核として、関連する技能研修を組み合わせ、より実践的な人材育成を目指しているところです。県としては、今後も、受講生や事業体の意見・要望を踏まえ、研修体系の充実を図りながら、林業技術者の確保と育成、定着を支援してまいります。 次に、路網整備の推進などに係る予算確保の状況についての御質問にお答えいたします。 林業の生産性を向上させるためには、木材搬出用の路網整備と高性能林業機械の導入が重要であると認識しております。このため、路網の整備については、現在、県営林道三路線の新規開設を行っているほか、作業道の整備についても、森林育成事業や温暖化防止間伐推進事業などで支援しており、おおむね林業事業体の要望に応じた予算を確保しております。また、高性能林業機械の導入促進については、国の交付金のほか、コロナ関連予算等を活用した県独自の支援により、県内林業事業体の要望に沿うよう取り組んでいるところです。 次に、県産材の安定供給体制の構築についての御質問にお答えいたします。 県産材を安定的に供給するため、県では、国の交付金などを活用し、県産材の加工に取り組む製材工場や合板工場などの施設導入を支援しており、本年度は、登米市の製材工場新設と、石巻市の合板製造ラインの増設を進めているところです。県としては、今後も県内事業者の要望を踏まえ、必要な予算の確保に努め、県産材の安定した流通体制の構築に取り組んでまいります。 次に、スマート林業促進についての御質問にお答えいたします。 スマート林業の推進については、県内の林業事業体においては、県の支援を含め、昨年度までにドローン二十三台が導入され、森林の調査や苗木の運搬などで活用が進められております。また、森林情報の整備・利活用の促進については、県において、森林整備の基礎資料となる森林計画図を、地籍図に合わせて修正する作業を進めているところです。今後とも、関係者との連携を一層強化し、ICT技術の活用によるスマート林業が着実に普及、定着するよう取り組んでまいります。 次に、山地災害の未然防止や海岸防災林の管理についての御質問にお答えいたします。 山地災害を未然に防止するため、県では、間伐などの森林整備や山地災害危険地区における治山事業について、国の防災、減災・国土強靱化のための五か年加速化対策予算などを活用し、危険度の高い箇所から優先的に実施しております。また、海岸防災林については、下刈りに加え本数調整伐などに必要な予算を確保し、適切な保育管理に取り組んでいるところです。県としては、引き続き、森林の持つ国土保全などの公益機能が十分に発揮されるよう、必要な予算の確保に努め、計画的に事業を進めてまいります。 次に、木材利用の普及啓発についての御質問にお答えいたします。 木材は、再生産可能な資源であり、炭素の固定効果を有することから、その利用を広めることは、SDGsや低炭素社会の実現に大きく貢献するものと認識しております。このため、県では、みやぎ環境税を活用し、木育に取り組む企業や団体などの活動を支援するほか、みやぎの木づかい運動を展開し、関係団体と連携したイベントなどを開催しております。今年度は、これまでの取組に加え、県内で製造される木製品の展示会や、企業と連携した木育イベントを開催するなど、様々な主体と協働し、木材利用の普及啓発を積極的に進めてまいります。 私からは、以上でございます。
○副議長(池田憲彦君) 土木部長千葉衛君。 〔土木部長 千葉 衛君登壇〕
◎土木部長(千葉衛君) 大綱四点目、持続可能な観光振興についての御質問のうち、丸森地区河川防災ステーションの平常時の利活用についてのお尋ねにお答えいたします。 丸森地区河川防災ステーションについては、令和七年度の一部供用を目指し、現在、国において造成工事が進められております。また、丸森町では、国、県及び有識者が参画する丸森地区河川防災ステーション利活用検討委員会を立ち上げ、町が建設予定の水防センターの整備方針や町内への回遊性向上なども考慮した平常時の利活用について検討が進められております。県としては、利活用検討委員会の検討結果を踏まえ、市町村振興補助事業や国の支援制度の活用に向けて支援するほか、防災学習への活用や、仙台・宮城観光キャンペーン推進協議会等と連携し、積極的な情報発信にも取り組んでまいります。 以上でございます。
○副議長(池田憲彦君) 十八番八島利美君。
◆十八番(八島利美君) 丁寧な御答弁ありがとうございました。また再質問をさせていただきます。 まず、農業生産資材等高騰対策について再質問でございます。ただいまの御答弁のとおり、きちっと現状を把握していただきまして、必要なところにまた今議会でも補正を組んでいただいたということで御答弁いただきました。大変ありがとうございます。農家の皆さん、資材の高騰でありますとか、燃油、あとは電気料が非常に高くなっておりまして、本当に厳しい状況が続いておりますので、今回の補正も生かさせていただきながら、経営安定に向けて活用させていただきたいと思いますし、今後もこのような状況をまた見定めていただいて、支援のほうをお願いしたいと思いますが、そういった点ではいかがでしょうか。
○副議長(池田憲彦君) 農政部長橋本和博君。
◎農政部長(橋本和博君) 先ほども若干触れさせていただきました。今回は上半期を中心にというふうなことと、緊急的・重点的な方を対象に支援策を組ませていただきました。十月以降、先ほどありましたカントリーエレベーター等も含めて秋以降に必要になる支援もあろうかと思いますので、国にまずは予算をつけていただくようお願いしながら、しっかりと検討してまいりたいと考えております。
○副議長(池田憲彦君) 十八番八島利美君。
◆十八番(八島利美君) ありがとうございます。それでは十月以降もきちっと見定めていただきながら、必要に応じて予算を組んでいただくということで、どうぞよろしくお願いしたいと思います。 それから、持続可能な林業振興ということで、森林環境譲与税の活用がやはり大事なのかなというふうに思っております。この予算がついても、なかなか今各市町村で使い切れていないというのが現状なのではないのかなと思っておりまして、市町村の職員さんでやはり林業の専門の職員がなかなかいらっしゃらないというふうなことが一つの原因かなと思っております。予算があってもなかなかどういうふうに使っていいか分からないという現状もありますので、ここは先ほどの答弁にもあったのですが、研修を重ねていただくとか、あとはサポートをしていただく、例えば県の専門の職員の方とか、森林組合の専門の方とかにやはり指導いただきながら、市町村と連携してどういうふうな形で活用していくかということを実際に進めていくことが大事かと思うのですけれども、その辺の取組についていかがでしょうか。
○副議長(池田憲彦君) 水産林政部長吉田信幸君。
◎水産林政部長(吉田信幸君) 森林環境譲与税も活用しながら森林経営管理制度を進めていかなければならないというふうな状況にございます。森林経営管理制度の手続的には、意向調査を行い、集積計画、あとは配分計画を行った上で、意欲ある事業者に実施権を配分していくことになるのですけれども、現在、集積計画までは行っておるのですが、その先がなかなか、経営に適する集約化が地域によって進みにくいという側面がございます。また、市町村によって進捗の度合いが違っておりますので、先ほど申し上げましたとおり、それぞれのグループごと、進捗に合わせたグループに分けた研修のようなものとか、いろいろ組合せながら支援をしてまいりたいと考えております。また、県の職員の支援、あるいは森林経営サポートセンターを設置してございますけれども、そちらの職員とも連携しながら支援に当たってまいりたいというふうに考えております。
○副議長(池田憲彦君) 十八番八島利美君。
◆十八番(八島利美君) ありがとうございます。どうぞその辺の協力体制、よろしくお願いしたいと思います。 それから、次の中山間地域の農村型地域運営組織の形成ということで、先ほどの答弁にもありましたように、既に県の内部ではいろいろとやられておりますし、必要性を感じていただいておりますので、これからの支援をしていただいて、進めていくというような答弁ありがとうございました。中山間地域は、先ほどもお話ししたとおり、もう人口減少が著しいという現状がございます。今後の農地の管理を含めて生活の扶助も大変な状況が続いているというようなこともありますので、こちらのほうの運営組織の確立、よろしくお願いしたいと思います。 時間がなくなってしまいましたので、最後の阿武隈急行線存続に向けての取組ということで、先ほどもお話ししましたように、存続をありきで、この在り方検討会というのがあるものだと私は信じております。存続するためにどんな形でやっていくかということを、皆さん知恵を絞っていただきながら、いろいろと改善していくところは改善していくというふうに思っているのですが、知事の意気込みを聞かせていただきたいのですが、よろしくお願いします。
○副議長(池田憲彦君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 地元の皆さんにとって本当に貴重な足でありますので、なくすわけにはいかないというふうに思っております。まず、宮城県が主導的にというよりも、角田、丸森、柴田それぞれの首長さんと一緒になって、また、どのようにするかは全くまだ私としても俯瞰があるわけではありませんけれども、足としてなくすことのないように、しっかりと連携しながら検討してまいりたいと思いますし、国の支援というものは時には必要なってくると思いますので、国への協力などを求めながら、住民の皆さんから足がなくなったと言われることのないようにしてまいりたいというふうに思っております。
○副議長(池田憲彦君) 十八番八島利美君。
◆十八番(八島利美君) 大変心強い答弁ありがとうございました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。 以上で終わります。ありがとうございました。
○副議長(池田憲彦君) 残余の質疑、質問は、明日に継続することにいたします。
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△散会
○副議長(池田憲彦君) 以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。 明日の議事日程は、追って配布いたします。 本日は、これをもって散会いたします。 午後二時五十五分散会...