• "号補正予算案"(/)
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  1. 宮城県議会 2022-06-01
    06月28日-05号


    取得元: 宮城県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-18
    令和 4年  6月 定例会(第384回)          第三百八十四回宮城県議会(定例会)会議録                              (第五号)令和四年六月二十八日(火曜日)  午前十時開会  午後三時三分散会      議長                     菊地恵一君      副議長                    外崎浩子君出席議員(五十八名)        第一番                  金田もとる君        第二番                  佐々木奈津江君        第四番                  石田一也君        第五番                  佐藤剛太君        第六番                  伏谷修一君        第七番                  松本由男君        第八番                  柏 佑賢君        第九番                  福井崇正君        第十番                  大内真理君       第十一番                  福島かずえ君       第十二番                  三浦ななみ君       第十三番                  枡 和也君       第十四番                  佐藤仁一君       第十五番                  渡邉重益君       第十六番                  わたなべ 拓君       第十七番                  伊藤吉浩君       第十八番                  八島利美君       第十九番                  瀬戸健治郎君       第二十番                  櫻井正人君      第二十一番                  村上久仁君      第二十二番                  高橋宗也君      第二十三番                  天下みゆき君      第二十四番                  三浦一敏君      第二十五番                  佐々木功悦君      第二十六番                  境 恒春君      第二十七番                  太田稔郎君      第二十八番                  高橋 啓君      第二十九番                  遠藤伸幸君       第三十番                  横山のぼる君      第三十一番                  庄田圭佑君      第三十二番                  遠藤隼人君      第三十三番                  渡辺勝幸君      第三十四番                  横山隆光君      第三十五番                  佐々木賢司君      第三十六番                  守屋守武君      第三十七番                  外崎浩子君      第三十八番                  池田憲彦君      第三十九番                  熊谷義彦君       第四十番                  岸田清実君      第四十一番                  渡辺忠悦君      第四十二番                  菅間 進君      第四十三番                  坂下 賢君      第四十四番                  ゆさみゆき君      第四十五番                  吉川寛康君      第四十六番                  伊藤和博君      第四十七番                  佐々木幸士君      第四十八番                  高橋伸二君      第四十九番                  菊地恵一君       第五十番                  佐々木喜藏君      第五十一番                  石川光次郎君      第五十二番                  中島源陽君      第五十三番                  本木忠一君      第五十四番                  中山耕一君      第五十五番                  安藤俊威君      第五十六番                  畠山和純君      第五十七番                  仁田和廣君      第五十八番                  藤倉知格君      第五十九番                  中沢幸男君欠員(一名)        第三番-----------------------------------説明のため出席した者      知事                     村井嘉浩君      副知事                    遠藤信哉君      公営企業管理者                佐藤達也君      総務部長                   志賀真幸君      復興・危機管理部長              佐藤達哉君      企画部長                   千葉 章君      環境生活部長                 佐藤靖彦君      保健福祉部長                 伊藤哲也君      経済商工観光部長               千葉隆政君      農政部長                   宮川耕一君      水産林政部長                 吉田信幸君      土木部長                   千葉 衛君      会計管理者兼出納局長             冨田政則君      総務部参事兼秘書課長             相澤一行君      総務部財政課長                大町久志君    教育委員会      教育長                    伊東昭代君      副教育長                   嘉藤俊雄君    選挙管理委員会      委員長                    皆川章太郎君      事務局長                   後藤和隆君    人事委員会      委員長                    千葉裕一君      事務局長                   千葉幸太郎君    公安委員会      委員長                    山口哲男君      警察本部長                  猪原誠司君      総務部長                   佐藤孝治君    労働委員会      事務局長                   小松直子君    監査委員      委員                     成田由加里君      事務局長                   武内浩行君-----------------------------------    議会事務局      事務局長                   阿部正直君      副事務局長兼総務課長             藤田信治君      議事課長                   菅原敏彦君      参事兼政務調査課長              川村 満君      総務課総括課長補佐              堀 喜昭君      議事課副参事兼総括課長補佐          二上秀幸君      政務調査課副参事兼総括課長補佐        千葉恵子君      議事課長補佐(班長)             我妻則之君      議事課主任主査(副班長)           狩野嘉孝君-----------------------------------    議事日程 第五号                令和四年六月二十八日(火)午前十時開議第一 会議録署名議員の指名第二 議第百三十五号議案 副知事の選任につき同意を求めることについて第三 議第百三十六号議案 人事委員会委員の選任につき同意を求めることについて第四 議第百三十七号議案 収用委員会委員及び予備委員の任命につき同意を求めることについて第五 議第百十三号議案ないし議第百三十二号議案及び報告第二十五号ないし報告第二十八号第六 一般質問  〔横山のぼる君、中島源陽君、佐藤仁一君、藤倉知格君〕第七 議第百三十三号議案 令和四年度宮城県一般会計補正予算第八 議第百三十四号議案 手数料条例の一部を改正する条例-----------------------------------    会議に付した事件一 日程第一 会議録署名議員の指名二 日程第二ないし日程第四 議第百三十五号議案ないし議第百三十七号議案三 日程第五 議第百十三号議案ないし議第百三十二号議案及び報告第二十五号ないし報告第二十八号四 日程第六 一般質問      〔横山のぼる君、中島源陽君、佐藤仁一君、藤倉知格君〕五 日程第七及び日程第八 議第百三十三号議案及び議第百三十四号議案----------------------------------- △開議(午前十時) ○議長(菊地恵一君) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は、お手元に配布のとおりであります。-----------------------------------会議録署名議員の指名 ○議長(菊地恵一君) 日程第一、会議録署名議員の指名を行います。 会議録署名議員に、三十六番守屋守武君、三十八番池田憲彦君を指名いたします。----------------------------------- △諸報告 ○議長(菊地恵一君) 御報告いたします。 六月十五日に配布いたしました諸報告一覧表に記載のものづくり産業の振興施策に関する令和三年度事業の実施状況及び令和四年度の主な取組に係る報告内容に誤りがありましたので、宮城県議会イントラネットシステムに修正後の資料を掲載いたします。 お手元に配布の諸報告一覧表のとおり、地方自治法第二百四十三条の三第二項の規定により、公益財団法人宮城国際化協会等の令和三年度事業報告書及び決算書並びに令和四年度事業計画書及び予算書の提出がありました。-----------------------------------発言取消し許可 ○議長(菊地恵一君) お諮りいたします。 宮城県議会会議規則第六十三条の規定により、大内真理君から六月二十三日の発言中、その一部を取り消したい旨の申出がありましたので、これを許可することに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(菊地恵一君) 御異議なしと認めます。 よって、さように決定いたしました。----------------------------------- △議第百三十五号議案ないし議第百三十七号議案 ○議長(菊地恵一君) 日程第二ないし日程第四、議第百三十五号議案、副知事の選任につき同意を求めることについて、議第百三十六号議案、人事委員会委員の選任につき同意を求めることについて及び議第百三十七号議案、収用委員会委員及び予備委員の任命につき同意を求めることについてを一括して議題といたします。 知事から追加提出議案の提案理由の説明を求めます。知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) ただいま追加上程されました議第百三十五号議案は、欠員となっております副知事に池田敬之さんを選任することについて、議第百三十六号議案は、七月十二日で任期満了となります人事委員会委員の千葉裕一さんの後任として、新たに西條力さんを選任することについて、議第百三十七号議案は、七月十三日で任期満了となります収用委員会委員の薩川昌則さんの後任として、新たに杉下泰彦さんを任命し、同委員会予備委員の佐々木昭男さん、戸澤均さんの後任として、新たに大内仁さん、長谷川光政さんを任命することについて、それぞれ御同意を得ようとするものであります。 何とぞ、御同意を賜りますようお願い申し上げます。 ○議長(菊地恵一君) これより質疑に入ります。 質疑はありませんか。--質疑なしと認めます。 お諮りいたします。 ただいま議題となっております各号議案につきましては、委員会の審査を省略することにいたしたいと思います。これに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(菊地恵一君) 御異議なしと認めます。 よって、委員会の審査を省略することに決定いたしました。 これより採決いたします。 初めに、副知事の選任に関する議第百三十五号議案について同意することに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(菊地恵一君) 御異議なしと認めます。 よって、同意することに決定いたしました。 次に、人事委員会委員の選任に関する議第百三十六号議案について同意することに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(菊地恵一君) 御異議なしと認めます。 よって、同意することに決定いたしました。 次に、収用委員会委員及び予備委員の任命に関する議第百三十七号議案について同意することに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(菊地恵一君) 御異議なしと認めます。 よって、同意することに決定いたしました。----------------------------------- △議第百十三号議案ないし議第百三十二号議案 △報告第二十五号ないし報告第二十八号・一般質問
    ○議長(菊地恵一君) 日程第五、議第百十三号議案ないし議第百三十二号議案及び報告第二十五号ないし報告第二十八号を議題とし、これらについての質疑と、日程第六、一般質問とを併せて行います。 六月二十四日の佐々木奈津江君に対する答弁について、警察本部長から発言の申出がありますので許します。警察本部長猪原誠司君。    〔警察本部長 猪原誠司君登壇〕 ◎警察本部長(猪原誠司君) 六月二十四日の佐々木奈津江議員の質問に対する私の回答で、令和四年度から警察官の再採用選考考査を実施していることを申し上げましたが、正しくは令和二年度からでございます。大変失礼いたしました。訂正させていただきます。 ○議長(菊地恵一君) 六月二十四日に引き続き、質疑、質問を継続いたします。三十番横山のぼる君。    〔三十番 横山のぼる君登壇〕 ◆三十番(横山のぼる君) おはようございます。公明党県議団横山のぼるでございます。大綱四点にわたり質問させていただきます。 大綱一、国際情勢の不安定化に伴う影響について。 ロシアのウクライナ侵略により、原油をはじめとするエネルギー価格や食料品などが高騰し、更に急激な円安が追い打ちをかけ、国民生活や中小・小規模事業者、農林漁業者などに深刻な影響が及んでおります。私たち公明党は、ウクライナ情勢の今後の展開次第では戦後最悪の経済危機に陥る可能性があるとの認識の下、三月末に国民生活総点検・緊急対策本部を設置し、国民、県民の暮らしや事業者等への影響を調査した上で、四月に政府に対し、新たな経済対策を求める提言を二度にわたり行いました。そして、さきの通常国会において、総額二兆七千億円の補正予算が可決・採決されました。この緊急対策では、地方創生臨時交付金が大幅に拡充され、新たに一兆円のコロナ禍における原油価格・物価高騰対応分が創設されました。本県には、市町村分と合わせて約百三十五億円の交付限度額が示されたところであります。それを受けて、公明党県議団として、五月二十日、県知事に物価高騰から県民生活を守る経済総合対策等に関する緊急提言を行いました。生活支援策としては、学校等の給食費負担の軽減、公共料金の負担軽減、フードバンク等民間団体への支援拡充など七項目、事業者支援策としては中小・小規模事業者への支援、バス・タクシー経営支援、運送業者における燃料等の高騰に関する支援、農林水産事業者への支援、ウクライナ難民への人道支援など九項目で、計十七項目にわたる要望内容です。今回の県の補正案の内容については、緊急提言で要望した内容がおおむね反映されており、物価高騰に関する施策の方向性は一致しているものと理解しております。このコロナ禍の中での物価高騰に加え、円安が拍車をかけるという未曽有の危機に対して、どのようなかじ取りを行っていくかは、今後県が持続的、永続的な発展をし続けるためには、非常に重要であると考えます。このたびの経済対策にしても、短期的には生活困窮者や物価高騰の直撃を受けている中小企業等へのセーフティーネットを広げ、緊急性、即効性のある対策を講じていくことが重要であります。中長期的には、原材料やコスト等の物価高が価格転嫁され、賃金上昇へと結びつき、経済が回っていく環境を創出し、デジタル化、グリーン化、省エネなどを進めるとともに、人への投資を通じて技術革新や生産性の向上を促していくこと。加えて、でき得る限り食料自給率のアップや地産地消を進めるとともに、原材料供給のサプライチェーンの構築強化につなげていく必要があります。特に、二十年以上のデフレスパイラルが続いてきた日本にとって、急激なインフレに加えての円安は、デフレ体質に慣れてしまった経済構造から価格転嫁や賃上げがうまく進んでいないと認識しております。国では「原材料価格、エネルギーコスト等の上昇に係る適切な価格転嫁等に関する下請事業者等に対する配慮について」、県を経由せずに、関係事業者、団体代表者に通知されております。また、みやぎ産業振興機構内に「下請かけこみ寺」を設置して価格転嫁に関する支援、相談を行うとしています。その相談件数や取組状況についてお伺いいたします。 また、関係事業者間における民間取引について、円滑な価格転嫁を行ってもらうという観点から、中小企業庁が行っている業界単位のみならず、個社ベースで、経営者自ら取引先と共存共栄を宣言・公表してもらうパートナーシップ構築宣言があります。二〇二二年六月現在、宣言企業は全国で約九千社、県内の宣言企業は八十四社と伺っております。民間企業において、価格転嫁しやすいように機運醸成を図っていくことは重要であると考えます。県としても、価格転嫁しやすいよう、民間企業の機運醸成の後押しをするべきと考えますが、県知事の御所見をお伺いいたします。 賃上げの実行性を上げるために、税制、補助金、最低賃金の底上げとその啓蒙など、あらゆる角度から総合的に施策展開していくべきものと考えます。国では業務改善助成金など、賃上げを促す制度がありますが、県においても小規模な事業者を支援する制度を設けることが必要であると思いますが、知事のお考えを伺います。 円安については、メリット・デメリットがありますが、輸出においては大きなメリットとなり得ます。この機を宮城県の農林水産物、工業製品の輸出拡大の好機と捉え、輸出戦略を強化していくことが重要だと思いますが、どのような分野や品目に重点を置いて、販路の拡大や輸出額の増加を考えているのか。あわせて、ソウル事務所、大連事務所の輸出体制の機能強化や人員加配のお考えがあるのか、県の御所見をお伺いいたします。 大綱第二、県民生活の向上について。 糖尿病の重症化予防の取組について伺います。 新型コロナウイルス感染症は、糖尿病の方では重症化リスクが高いことが明らかになっております。また、医療現場ではコロナ感染による入院時に、初めて糖尿病と診断される隠れ糖尿病の存在が注目されています。新型コロナの感染拡大により、特定健診などの健診未受診、健診での糖尿病の基準値を超えたにもかかわらず、医療機関の未受診、自己判断での治療中断が原因で糖尿病の血糖コントロールが悪化してしまうケースが出てきております。一方、米国糖尿病学会の見解では、糖尿病であっても血糖コントロールが良好であれば、新型コロナウイルス感染症による危険性は低くなる可能性があるとしています。新型コロナウイルス感染症対策のためにも、糖尿病の人は医療機関を受診し、良好な血糖コントロールを維持する必要があります。糖尿病は、放置すると網膜症・腎症・神経障害などの合併症を引き起こし、患者のQOL、生活の質を著しく低下させ、医療経済的に大きな負担を社会に強いることになるため対策は急務です。糖尿病の医療費は約一・二兆円に上ります。更に、糖尿病の合併症である糖尿病性腎症が原疾患の四割以上を占める人工透析には、一人月額四十万円、年間約一兆五千七百億円を要する等、医療費全体から見ても大きな課題となっております。また、糖尿病は長期・重症化する疾患として七十五歳以上の後期高齢者においても重要な問題です。令和元年の国民健康・栄養調査でも、糖尿病が強く疑われる者の割合は男性一九・七%、女性一〇・八%で、年齢が上がるとともに男女ともに有病者の増える傾向が、コロナ前から続いておりました。国は、令和二年度より、高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施を進めており、七十五歳で後期高齢者医療制度に切り替わっても、健康診断の結果や支援の内容の情報が途切れることなく、継続的な支援を行うことを求めています。糖尿病重症化予防の取組に関しても、国民健康保険が持つ特定健診や治療中断者のデータを断絶することなく、すべての糖尿病患者を重症化させないよう、後期高齢者を含めた一体的な事業運営が必要になっています。そこで伺います。本県の糖尿病患者の現状、人数と医療費及び透析患者数、透析にかかった医療費、また、糖尿病が原因で透析になってしまった方たちの割合を御教示ください。 県では、昨年度から国保データベースシステムによる糖尿病治療中断者の抽出を、県国保連合会へ委託し、糖尿病治療中断者リストを市町村に提供していると伺っております。昨年度の市町村の治療中断者へ受診勧奨している市町村はどのくらいあるのでしょうか。 治療中断者の受診勧奨において、市町村によっては特定健診受診者の治療中断者のみ受診勧奨の対象としている場合もあるようです。特定健診の受診率は、令和二年度で平均四二・〇%ですので、約六割の方にアプローチできていないことになります。特定健診未受診者の治療中断者も含めて、受診勧奨している市町村はどのくらいあるのか、伺います。 市町村に提供しています糖尿病治療中断者リストレセプトデータの提供期間についてお伺いいたします。 令和三年九月定例会でお伺いした際には、「レセプトデータの参照期間は有識者の助言を踏まえて過去一年間」との御答弁でした。レセプトデータは、過去五年間のデータが保存されていると聞いております。その後の聞き取り調査等で、一年だけではなくそれ以上の長い期間のデータ提供について、レセプトデータの提供を受けているどのくらいの市町村から要望されているのか、お聞きします。 治療中断期間が長くなるほど重症化のリスクは高くなり、透析へつながるケースが増え、医療費についても増大することになってしまいます。レセプトの参照期間が長いほど、多くの治療中断者への受診勧奨が可能となります。県がリーダーシップを発揮し、県内の全市町村において、五年間のレセプトデータを活用できるような支援体制を構築し、市町村に五年分のレセプトデータを活用した治療中断者への受診勧奨を促すべきと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。 国は、高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施を進めていますが、糖尿病重症化予防事業についても、国民健康保険から後期高齢者医療制度への移行の際に、糖尿病未受診者や治療中断者の情報が途切れることなく、継続的な保健事業を運営していくことが重要だと思います。すべての糖尿病患者を重症化させないよう、後期高齢者を含めた一体的な事業運営が必要になっていますが、本県における取組状況をお聞かせください。 続きまして、伊藤吉浩議員も取り上げておりましたが、ナトカリチャレンジについてお伺いします。 東北大学東北メディカル・メガバンク機構は、未曽有の東日本大震災の被害状況を受けて、医療復興と未来型医療の開発体制の構築を目的に、二〇一二年二月に設立されました。予防医学として、現代の大きな課題である高血圧対策の研究も行っています。高血圧の大きな原因の一つとして、塩分の取り過ぎと野菜不足があり、塩分に含まれるナトリウムは血圧を上昇させ、野菜や果物に含まれているカリウムは血圧を下げる効果があります。どちらも食べた量の大部分が尿に出るため、その尿から測定したナトリウムとカリウムのバランスを表す指標が尿ナトカリ比です。近年、尿ナトカリ比を簡便に測定できるナトカリ計が開発され、ナトリウムとカリウム比がすぐにその場で一目で分かるようになったということであります。この尿ナトカリ比測定を特定健診に導入し、市民・県民の意識を変え、高血圧予防につなげる取組を提唱しています。登米市では、東北大学東北メディカル・メガバンク機構と健診団体と三者協定を結び、二〇一七年から二〇一九年まで、特定健診時に尿ナトカリ比を測定するナトカリチャレンジをモデル的に実施しました。導入のきっかけは、健康寿命が宮城県内で低迷、脳血管疾患標準化死亡比が男女ともに県の中央値より高く、特定健診での高血圧要医療者も三割弱となっている現状から、待ったなしの課題であったとのことです。実証実験結果については、収縮血圧値は、国の十年で四下げるという目標を、実証実験において三年継続受診者で男性が三・四下がったとのことです。血圧値要医療者が年々減少傾向で、大きく改善し、国民健康保険医療費については六千万円の削減となり、驚きの成果になったとのことです。また、何よりも市民の意識が変わったということであります。これまで、高血圧予防、特に塩分について、長年啓発に努めてきたものの、尿ナトカリ比を見える化したことで新たな関心を引き出し、食生活を見直す機会になったとのことです。特定健診で実施したことで、働き盛りの世代や健康に無関心な層への啓発ができたとのことでありました。継続事業として今年度で六年目になるとのことであります。また、世界で初めて特定保健指導で活用した七ヶ浜町では、尿ナトカリ比測定後、八割の人が食事改善に対する意識に変化があったそうです。また、尿ナトカリ計を保健指導のツールの一つとして使いたいという声があったそうです。このように、県内の自治体においてナトカリチャレンジの取組は大きな成果を出しております。本県においても、令和二年十一月のみやぎ食育推進月間に合わせ、ナトリウムとカリウムのバランスを意識した食生活を送ることが健康維持につながるというナトカリの考え方を紹介するフェアを、カゴメ株式会社の協力により、県庁二階食堂で実施しております。自治体で成果を上げているナトカリチャレンジの取組を、県内の市町村に情報提供するとともに、各自治体での特定健診時の尿ナトカリ比測定の導入や、特定保健指導での活用ができるよう市町村に働きかけを行ってはいかがでしょうか。また、産官学の連携で運営しているスマートみやぎ健民会議において、ナトカリチャレンジの取組を加えることを提案してみてはいかがでしょうか。ナトカリ計が高額--一台二十一万円程度でありますので、市町村が購入する際の補助の検討をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 続きまして、津波浸水想定区域についてお伺いします。 宮城県津波浸水想定区域は、津波防災地域づくりに関する法律の基本的な指針に基づき、最大クラスの津波が悪条件下で発生した場合を想定していますが、この公表を受けて沿岸市町においては、地域防災計画の見直し、ハザードマップの作成・見直し、指定緊急避難場所・避難方法・避難経路の見直しなど、早急な対応を迫られることになりますが、県では津波避難計画の指針となる宮城県津波対策ガイドラインを示すこととしています。どのような点に留意して作成するのか、いつ頃まで市町村に示す予定なのか、その時期をお示しください。また、東日本大震災より津波浸水域が広がった市町においては、指定緊急避難場所、避難経路や避難方法の見直しを行った結果、避難行動の実行性が下がるようでは本末転倒になりますので、ハード整備計画も含んだ合理的な避難計画、つまり、高橋宗也議員が指摘したように、住民が納得できる避難計画の見直しとなるように県が市町に助言するべきだと思いますが、県知事の御所見をお伺いします。あわせて、市町の負担が軽減されるようにハード整備の財源負担を国に求めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 市町が津波避難対策緊急事業計画を策定した上で、ハード整備対策を行うことになると思いますが、時期的に逼迫性が高いと予想される津波被害箇所を優先してハード整備が進められるよう、県が市町に助言を行うことが大事だと思いますが、いかがでしょうか。 温暖化対策について伺います。 ブルーカーボン事業を活用した温暖化対策の取組について伺います。 堀正和氏、桑江朝比呂氏の共同著書のブルーカーボンによれば、生物が二酸化炭素を吸収していると言えば、多くの人は見上げるほど大きな樹木やそれら木々が構成する豊かな森林を想像するだろう。熱帯雨林やタイガなど、広大な森林や鬱蒼とした緑を形成している陸上植物を思い浮かべるはずである。そして、これら陸上植物が二酸化炭素を吸収し、温室効果ガスの緩和に貢献しているとの認識を持っているはずである。二〇〇九年、その認識を大きく変えることになる報告書が国連の環境計画部門、食糧農業機関及び教育科学文化機関との共同で出版された。その報告書ブルーカーボンレポートでは、地球上の生物が吸収する二酸化炭素のうち、実は陸上ではその半分弱しか吸収されておらず、残り半分強は海洋が吸収していること、更に海洋で貯留される炭素の半分以上はごく浅い沿岸部の生態系が吸収していることが提唱されたのである。この報告書で初めて使われた言葉、ブルーカーボンとは、海洋生物の作用によって海中に取り込まれた炭素のことであります。海洋が吸収した二酸化炭素の多くが、実はこの沿岸浅海域に蓄積されていたことを示唆した内容は、研究者にすら驚愕を与えることとなった、とのことです。その二酸化炭素を吸収する藻場は、全国的な減衰傾向にあり、本県においても平成二十七年度時点で、本県沿岸海域におけるアラメ等の岩礁性藻場の面積は約二千ヘクタールから令和元年度には約九百ヘクタールまで減少したことが確認されています。そのような状況を受け、宮城県藻場ビジョンが策定され、令和二年度から十年間において九百ヘクタールから一千八百ヘクタールまで拡大させる目標を掲げており、ウニの除去等のソフト対策とブロック等の藻類の着定基質の投入によるハード整備を一体的に推進し、高水温になっても消滅しない核となる藻場を造成し、藻場から種が拡散することで、周辺海域における藻場面積の拡大を図ることとしています。あわせて、宮城県ブルーカーボン事業の取組として、宮城県ブルーカーボン協議会の中で、技術開発、試験研究、試験研究モデル地区の実践、普及・指導・広報を三本柱として取組を進めています。宮城ブルーカーボンプロジェクトに基づくモデル地区での取組状況と今後の展開について、お伺いいたします。 続きまして、ブルーカーボンオフセットについてお伺いいたします。 横浜市が先駆的に取組を進めておりますが、本県においても令和三年十月に開催された第四十回全国豊かな海づくり大会に伴い発生した二酸化炭素排出量の一部をオフセットするため、同大会関連企業が松島湾内における種子散布などアマモ場の造成の取組を支援し、約二十四トンの二酸化炭素削減を見込んでおります。今後のブルーカーボンの取組として、藻場造成やウニ除去などの活動とともに、オフセット制度を念頭に産業へ貢献する全国に先駆けた取組をすると伺っておりますが、オフセット制度をどのように進めていくのか、オフセットを実用化するまでのスケジュールがあればお示し下さい。 カーボンニュートラルポート、CNPの今後の取組についてお伺いいたします。 国土交通省では、我が国の輸出入の九九・六%を取り扱い、CO2排出量の約六割を占める産業の多くが立地する港湾において、カーボンニュートラルポートの形成に取り組んでいます。現在、小名浜港、横浜港をはじめとして七つの港湾を事例としてCNP検討委員会が開催されており、港湾物流の高度化、水素・アンモニア等の利活用、港湾空間の高度化として、ブルーカーボンの生態系の活用可能性の検討を行い、カーボンニュートラルの実現に貢献しようとする取組がなされております。今後、県内の港湾において、積極的にCNPの取組を進めていただきたいと思いますが、どこの港湾が該当することになり、どのように進めるのか、県のお考えをお聞きします。 しゅんせつした土砂を利用した藻場の造成を行っている港湾があります。北海道の釧路港です。大型船入港のためのしゅんせつを行い、そのしゅんせつ土を活用して防波堤の港内側に藻場三千六百平方メートルの整備を行っています。県内において、港湾内のしゅんせつを現在行っている、また、今後行う予定はあるのか。また、しゅんせつを行う港内を利用しての藻場の整備を行うなどの検討をしていただきたいと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。 感染症対策について。 県内において、三回目のワクチン接種が県全体で七割を超え、高齢者においては九割を超えています。四回目のワクチン接種が県内の自治体で始まっています。新規感染者は減少傾向に徐々に転じてきており、クラスターの発生頻度の高い高齢者施設や障害者施設、保育現場、学校現場での感染予防対策に注力しつつ、国内製ワクチンと経口薬の開発、実用化を進めながら、後遺症対策に軸足を移していく時期になったのではないかと思います。六月七日放送のNHKの番組では、オミクロン株のコロナ後遺症の特徴は、デルタ株に比べ、嗅覚障害・味覚障害の割合は少なくなる傾向にありますが、倦怠感や咳の割合が多く、認知機能の低下などが見られ、長期化することも分かってきており、海外の最新のデータでは、症状が一年以上継続している人は、後遺症を患っている九百六十八人を対象にした調査では八五%にも上っているとのことです。平畑光一医師によれば、三千九百五十五人の後遺症患者を対象にしたデータでは、後遺症の重症度ランクを十段階に区分した場合、一般生活が難しくなるとされるレベル六を超える人が三分の一を超え、一千十二人が休職、百七十九人が退職や解雇を余儀なくされているとのことです。このデータから分かるように、感染力の強いオミクロン株は、後遺症も長期化し、認知機能の低下や強い倦怠感の症状が現れ、日常生活や社会生活を続けることが困難となることが従前株より多い結果になっております。後遺症の症状に多い認知機能の低下の治療法については、rTMSという脳卒中の治療が有効ではないかと期待されていますが、その治療を行えるのは全国で数か所しかない状況です。そこで県内の後遺症患者発生状況とその現在の対応をお聞きいたします。また、現在、県内の医療機関に後遺症外来についてのアンケートを行っているとの答弁がありましたが、アンケートの回答期限はいつまでを予定し、いつから後遺症外来の可能な医療機関をホームページ等で公開する予定なのか。また、アンケートの現時点での後遺症外来が可能な医療機関はどのくらいあり、最終的な見込み数が分かればお示し下さい。 以上をもちまして、壇上からの質問とさせていただきます。御清聴大変ありがとうございました。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) 横山のぼる議員の一般質問にお答えいたします。大綱四点ございました。 まず、大綱一点目、国際情勢の不安定化に伴う影響についての御質問にお答えいたします。 初めに、県における価格転嫁に対する機運醸成についてのお尋ねにお答えいたします。 今般の物価・原材料価格の高騰等に対して、事業者が適切に価格転嫁を行い、サプライチェーン全体でコストを負担していくことは、中小・下請事業者が健全な事業継続を行っていく上で重要であると認識しております。このことから、国ではパートナーシップ構築宣言をはじめ、関係団体への要請等、適切な価格転嫁に関する様々な取組を進めているところであります。県といたしましても国と連携しながら、関係機関への働きかけやインターネットを活用したPRなど、積極的な周知を図り、価格転嫁に対する機運の醸成に取り組んでまいりたいと思います。 次に、円安における輸出拡大についての御質問にお答えいたします。 県では、みやぎ国際戦略プランに基づき、海外市場に関心のある事業者への輸出支援を積極的に進めており、円安下においては、輸出拡大の可能性がより高まっているものと認識しております。農林水産物・食品については、宮城県農林水産物・食品輸出促進戦略で定める基幹五品目の輸出に重点的に取り組むとともに、製造業については医療機器等高度電子機械産業分野を中心に、技術的に国際的な競争力を有する企業の欧州への販路拡大等を支援しております。東日本大震災以降、韓国は水産物、中国は食品全般について、我が県からの輸入を停止しており、ソウル・大連両事務所においては、当面は現員で可能な品目の輸出支援やインバウンドの促進に取り組んでまいります。県といたしましては、ジェトロなどのネットワークを活用し、海外での商談会や展示会への参加機会の提供等を通じて、輸出に意欲的な事業者への支援を図ってまいりたいと考えております。 次に、大綱二点目、県民生活の向上についての御質問のうち、津波対策ガイドラインの内容と策定時期についてのお尋ねにお答えいたします。 津波対策ガイドラインは、平成十五年、学識経験者、沿岸市町、防災関係機関、県などで構成される宮城県津波対策連絡協議会において作成したもので、沿岸市町の津波避難計画策定の指針となるものであります。これまで、法改正や大規模な災害などを契機として、必要に応じ改正を行ってきておりますが、今回の津波浸水想定の公表に伴い、今月、沿岸十五の市町の担当者会議を開催し、それぞれの状況や課題を共有したところであります。今後は、引き続き担当者会議を開催し、避難対象地域や避難場所などの在り方について検討していくこととしておりますが、市町からはガイドラインの速やかな見直しを求める声もあることから、市町の意向を確認しながら改正に向けて取り組んでまいりたいと考えております。 次に、大綱三点目、温暖化対策についての御質問のうち、ブルーカーボンオフセット制度の導入についてのお尋ねにお答えいたします。 ブルーカーボンオフセット制度は、藻場造成等による二酸化炭素削減量をクレジット化し、活動資金とするものであり、漁業者等がブルーカーボンの取組を継続するための手法として有効であると認識しております。国内では、国の設立認可を受けたジャパンブルーエコノミー技術研究組合が、今年からオフセット制度の試行を開始したところであります。我が県がこの制度を活用するためには、クレジット化に必要な海藻の種類ごとの二酸化炭素吸収量やクレジットの対象となる藻場面積、海藻養殖の増産量の正確な把握などが課題となっております。県といたしましては、ブルーカーボン協議会の活動を中心として、課題解決のための技術開発や試験研究等を推進し、国内の動向も見据えながら、早期にブルーカーボンオフセット制度を導入できるよう、積極的に取り組んでまいります。 次に、大綱四点目、感染症対策についての御質問にお答えいたします。 県に相談のあった罹患後症状に悩む方の状況については、疲労感や倦怠感、息苦しさ、睡眠障害等の事例が多く、保健所への相談件数は直近一か月で百件程度となっております。罹患後症状への対応については、県ホームページに医療機関での対処方針を取りまとめた国の「診療の手引き」を掲載しているほか、保健所や受診・相談センター等に相談があった場合、かかりつけ医等への受診を勧めるなどの対応を行っております。また、県内の診療・検査医療機関等へのアンケート調査は回答期限を今月末としており、承諾が得られた医療機関については来月上旬を目途に、診療・相談が可能な症状や診療科目等のリストを県ホームページで公表し、その後も順次更新してまいります。回答状況については、今月二十日時点で回答のあった約百三十の医療機関のうち約九十の医療機関で罹患後症状の診療・相談が可能とのことであります。最終的には更に増えると見込んでおりますが、県といたしましては、地域の身近な医療機関で診療・相談ができるよう体制の整備を進めてまいります。また、より専門的な診療が必要な場合に、これらの診療・検査医療機関等から紹介できる専門外来についても、県内の総合病院の協力により体制を整備したところであります。 私からは、以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 復興・危機管理部長佐藤達哉君。    〔復興・危機管理部長 佐藤達哉君登壇〕 ◎復興・危機管理部長(佐藤達哉君) 大綱二点目、県民生活の向上についての御質問のうち、ハード整備も見込んだ住民の納得につながる避難計画となるよう市町に助言すべきとのお尋ねにお答えいたします。 沿岸市町においては、それぞれの避難計画策定に当たり、住民の皆様から地域の実情や御意見をお聞きするなど、納得をいただきながら進めることが重要であると認識しております。このため県では、避難施設整備に係る課題などを市町と共有するとともに、計画策定における住民参画の取組事例を市町に提供するほか、みやぎ防災フォーラムなどを活用し、津波からの避難の重要性について、県民の皆様の理解促進を図ることとしております。県といたしましては、災害時に適切な避難行動につながる避難計画となるよう市町を支援してまいります。 次に、被害の逼迫性が高いと予想される箇所を優先してハード整備に取り組むよう市町へ助言すべきとの御質問にお答えいたします。 国が、今年公表した海溝型地震の長期評価には、千島海溝沿い、日本海溝沿いにおける領域ごとの地震発生確率や平均発生間隔がそれぞれ示されておりますが、発生確率が高い領域の地震が先に起こるとは一概には言えないとされております。このことから、発生すれば甚大な被害をもたらす最大級の津波を想定した総合的な津波防災対策が必要であると考えております。ハード整備の優先順位については、地域の実情を考慮しながら、沿岸市町において検討されるものと考えておりますことから、県といたしましては、国の支援に関する情報の提供や関係機関との調整などに努めてまいります。 私からは、以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 保健福祉部長伊藤哲也君。    〔保健福祉部長 伊藤哲也君登壇〕 ◎保健福祉部長(伊藤哲也君) 大綱二点目、県民生活の向上についての御質問のうち、我が県の糖尿病・人工透析の患者数及び医療費の現状等についてのお尋ねにお答えいたします。 我が県の糖尿病患者は、平成二十九年度患者調査で約六万八千人、透析患者は、令和二年末時点で六千百十八人であります。県が把握している医療費としましては、令和元年分の国民健康保険及び後期高齢者医療制度加入者の糖尿病患者に係る医療費として約百二十三億円、透析治療の数字はありませんが、透析治療に至る割合が高い疾病である腎不全に係る医療費が約二百一億円となっております。糖尿病が原因で透析となっている方々の割合については、公益財団法人宮城県腎臓協会の調べによると約四割となっております。 次に、糖尿病治療中断者に対する市町村の受診勧奨の状況についての御質問にお答えいたします。 今月、各市町村の状況を調査したところ、予定を含めて三十四の市町村が特定健診の結果を踏まえ、治療中断者や未受診者に対する受診勧奨を行っており、二十七の市町村が特定健診を受けていない治療中断者や未受診者に対しても、受診勧奨を行っております。 次に、一年を超える期間のレセプトデータの提供に関する市町村からの要望状況と五年分のデータを活用した支援体制の構築・受診勧奨についての御質問にお答えいたします。 各市町村に確認したところ、二年から五年と幅はありますが、十八市町村が一年よりも長い期間でのデータ提供を希望しております。各市町村では、これまでの取組や実情を踏まえながら、治療中断者等への受診勧奨の取組を行ってきており、県としても、国保連合会と連携して研修等の強化を図り、中断者リストの作成に特化したマニュアルを整備するなどして、全市町村が国保データベースシステムレセプトデータを活用した受診勧奨が行えるよう支援してまいります。 次に、国保から後期高齢者医療制度へ移行する際の一体的運営についての御質問にお答えいたします。 令和二年四月から、後期高齢者医療広域連合が高齢者保健事業を国保事業及び介護予防の取組と一体的に実施する取組が開始され、広域連合はその実施を構成市町村に委託することができるとされています。国では、全市町村が令和六年度までに一体的な実施を展開することを目指しており、我が県では令和三年度において九市町が一体的取組を実施しております。取組内容は各市町村が地域の課題に応じて決定していますが、うち四市町が糖尿病性腎症の重症化予防の観点から取り組んでいるところであります。県としましては、効果的な事例を市町村と共有し、横展開を図るなどして支援してまいります。 次に、ナトカリチャレンジの取組についての御質問にお答えいたします。 登米市のナトカリチャレンジは、尿中ナトカリ比の測定により、野菜等カリウムの多い食品と塩分との摂取バランスに対する意識を高め、比を下げることにより、血圧の改善を期待する取組と承知しております。県では、こうした取組について、ベジプラス百&塩ecoの啓発資料等を通じて、市町村などに情報提供を行ってきたところです。また、現在、国で行われている実証事業の効果も踏まえながら、スマートみやぎ健民会議での取上げや、市町村における特定健診・特定保健指導での活用への働きかけ・支援について検討してまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 経済商工観光部長千葉隆政君。    〔経済商工観光部長 千葉隆政君登壇〕 ◎経済商工観光部長(千葉隆政君) 大綱一点目、国際情勢の不安定化に伴う影響についての御質問のうち、下請かけこみ寺についてのお尋ねにお答えいたします。 下請かけこみ寺は、国が下請取引の適正化を目的として、全国的に実施している事業であり、我が県においてはみやぎ産業振興機構が無料相談窓口を設置し、弁護士などの専門家が下請企業からの様々な相談に対応しております。今年度の相談件数は約八十件で、その内容の多くは契約問題や代金回収などとなっており、現時点では価格転嫁に関するものは寄せられていないと伺っております。 次に、賃金引上げに向けた取組を支援する制度についての御質問にお答えいたします。 国では、経済財政運営と改革の基本方針二〇二二の中で、多様な働き方の在り方等についての合意づくりと、適正な賃上げの在り方について検討を行い、できる限り早期に最低賃金の全国加重平均を時給一千円以上にすることを掲げております。現在国で実施している業務改善助成金制度は、事業場内最低賃金を一定額以上に引き上げる中小企業・小規模事業者に対し、その設備投資等に要した費用の一部を助成するものであり、中小企業・小規模事業者の従業員の賃金引上げが図られるものと考えております。県といたしましては、宮城労働局と連携し、この制度が積極的に活用されるよう、県ホームページや企業向けセミナー等を通じ周知に努めるとともに、国に対し中小企業の賃上げに向けた環境整備への支援を働きかけるなど、今後もしっかりと取り組んでまいります。 私からは、以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 水産林政部長吉田信幸君。    〔水産林政部長 吉田信幸君登壇〕 ◎水産林政部長(吉田信幸君) 大綱三点目、温暖化対策についての御質問のうち、宮城ブルーカーボンプロジェクトについてのお尋ねにお答えいたします。 海洋生物によって吸収・固定される炭素であるブルーカーボンは、温暖化対策における有効な吸収源として、世界的にも注目されているものと認識しております。県では、昨年度宮城県ブルーカーボン協議会を立ち上げ、社会実装に向けた取組を推進しており、県内二か所のモデル地区において、アラメ・ホソメコンブによる藻場の造成や海藻養殖の実証試験を開始しております。今後は定着状況等をモニタリングし、藻場造成・海藻養殖に必要な技術や二酸化炭素削減効果の評価手法などの開発を進めることとしております。県といたしましては、宮城ブルーカーボンプロジェクトを進めることで、藻場造成等の取組拡大や、漁業者をはじめ県民の理解を促進し、温暖化対策に貢献する環境と調和した持続可能な水産業の確立を図ってまいります。 私からは、以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 土木部長千葉衛君。    〔土木部長 千葉 衛君登壇〕 ◎土木部長(千葉衛君) 大綱二点目、県民生活の向上についての御質問のうち、津波避難に係るハード整備の財源を国に求めてはどうかについてのお尋ねにお答えいたします。 津波浸水想定の公表により、見直しが必要となる避難施設などのハード整備については、現行の補助制度では、国費率が二分の一であることから、整備に伴う地方負担が市町にとって大きな課題であると認識しております。一方、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法が先月改正され、今後、市町が特別強化地域に指定された場合、国費率が三分の二にかさ上げされる見込みとなっております。このため、県といたしましては、全ての沿岸市町が指定されることや整備財源の確保等について国に対して要望しており、今後も引き続き強く求めてまいります。 次に、大綱三点目、温暖化対策についての御質問のうち、カーボンニュートラルポートの形成に向けた取組についてのお尋ねにお答えいたします。 国では、二〇五〇年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略の中で、脱炭素社会に貢献するため、カーボンニュートラルポートの形成に向け、取り組むこととしており、昨年十二月にカーボンニュートラルポート形成計画策定マニュアルを作成したところです。この中で、国際拠点港湾や重要港湾において計画を策定することとされており、県内では仙台塩釜港がその対象となっております。このため県では、学識経験者や立地企業、関係団体などで構成する仙台塩釜港カーボンニュートラルポート協議会を今月八日に設置し、カーボンニュートラルポート形成計画の策定に着手したところです。今後、ブルーカーボン生態系の活用も含めた温室効果ガス削減計画や次世代エネルギーの受入れ環境の整備などについて、令和五年度の計画策定を目標に、検討を進めることとしております。県といたしましては、立地企業や関係団体などと連携を図りながら、カーボンニュートラルポート形成に向け、しっかりと取り組んでまいります。 次に、港湾内のしゅんせつ状況としゅんせつ土砂を利用した藻場整備についての御質問にお答えいたします。 県では、安全な船舶の航行や適正な航路の水深を確保するため、港湾区域のしゅんせつを計画的に行っているところであり、しゅんせつした土砂は石巻港区雲雀野地区の造成地などにおいて埋立材として有効利用を図っているところです。御提案のありましたしゅんせつ土砂を活用した藻場の整備につきましては、二酸化炭素を吸収するブルーカーボンの一つとして有効と考えておりますが、港湾区域においては、船舶の安全な航行の確保や周辺漁業活動への影響などが懸念されるため、場所の選定や造成方法などに課題があるものと考えております。県といたしましては、国における釧路港などでの取組状況を十分確認しながら、仙台塩釜港カーボンニュートラルポート協議会において検討してまいります。 以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 三十番横山のぼる君。 ◆三十番(横山のぼる君) 御答弁、大変ありがとうございました。幾つか再質問させていただきたいと思います。まず最初に、糖尿病の重症化予防についてですけれど、現在国保連に委託して、一年間のレセプトデータから治療中断者を抽出して、市町に提供しているという状況の中で、市町村に要望を取ったところ、十八の市町が二年から五年にかけてのレセプトデータの提供を要望しているという答弁でございました。そのような中で、研修の強化を行いながらマニュアルを作成して、市町村に活用してもらうことにするということで、大きな前進であると思います。せっかく作成いたしますので、多くの市町村で糖尿病の重症化予防が進み、なおかつ医療費が削減されるように、市町村から言われてからやるというのではなくて、しっかりと県が働きかけながら、できれば五年分のレセプトデータを活用した治療中断者の抽出を行いながら、受診勧奨を積極的にやっていただきたいと思いますが、再度いかがでしょうか。 ○議長(菊地恵一君) 保健福祉部長伊藤哲也君。 ◎保健福祉部長(伊藤哲也君) 市町村と連携して、できるだけ受診の中断等がないようにするという思いで対応してまいりたいと思っております。先ほど答弁いたしましたように、現在県では一年間のデータを提供しております。これは技術的に各市町村で一年間のデータが取れないということがありますので、その支援を行っておりますが、それ以上のデータについては、市町村で取得ができる環境にはありますけれども、研修等によって、実際に中断者リストの作成ができるようにするという意味で研修をしております。実は、今年度一度やったところでありまして、三十三の市町村から七十四人の職員の方に参加していただきました。今後とも研修等を充実させて、市町村が中断者のリスト化など受診勧奨が行える具体的な指導を県としてしっかり行ってまいります。 ○議長(菊地恵一君) 三十番横山のぼる君。 ◆三十番(横山のぼる君) ありがとうございます。国保連にやってもらっている委託に関し、一年から五年にするということはできないのでしょうか。 ○議長(菊地恵一君) 保健福祉部長伊藤哲也君。 ◎保健福祉部長(伊藤哲也君) 現在約三百万円で委託しておりますけれども、これが一年間のデータ提供でありますので、五年となると技術的にはできると思いますが、費用もその分かかることになります。 ○議長(菊地恵一君) 三十番横山のぼる君。 ◆三十番(横山のぼる君) マニュアルを作成して市町村にやってもらうということも大変よいことかと思うのですが、大分複雑だという話も聞いておりますし、なおかつ市町村の事務手続が増えるということもありますので、五年分のデータを提供するのが一番いいと思います。費用的に大分かかるという話も聞いておりますが、引き続き御検討をお願いしたいと思います。続きまして、ナトカリチャレンジについてお伺いいたします。東北大学東北メディカル・メガバンク機構が研究し、県内の自治体でも効果を上げているナトカリチャレンジについては、県がやらないという理由はないのではないかと思いますし、さきの仙台市議会でもナトカリチャレンジについての質問が行われて、仙台市もモデル事業として行うということを言っております。国の実証結果がどういうものか分からないのですけれども、実際、市町村でこれだけ成果を上げていることを考えれば、市町村と連携してやれるということもありますので、そういったことも含めてスマートみやぎ健民会議での紹介でしたり、メニューに加えるなど積極的にやっていただきたいと思いますが、知事、いかがでしょうか。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 同じように、こういう方法がいいなど、いろいろな提案があるわけでありますが、その中でナトカリというものが非常に注目されていることは十分承知しております。部長が先ほど答弁したように、ベジプラス百&塩ecoといったような啓発事業もやっておりますので、そうしたようなものとの関係をよく考えながら、スマートみやぎ健民会議での取上げなども検討してまいりたいと思っております。 ○議長(菊地恵一君) 三十番横山のぼる君。 ◆三十番(横山のぼる君) 今後、スマートみやぎ健民会議でも取り上げていただけるということでございました。県や市町村が様々な施策を打っているという中で、健康についてはベジプラス百&塩ecoとか県で施策を打っていますが、それを市町村と連携してやれるかというとなかなか難しいと思うのです。どちらかというと、スマートみやぎ健民会議のほうでは十五分歩くとか企業を中心に事業を行っていると思いますので、市町村がやってる取組プラス、横軸で企業のことをしっかりやれるというのが、スマートみやぎ健民会議なのではないかと私は思っています。ナトカリについては、市町村がしっかり実証結果を出しているということなので、市町村連携という部分が大きな鍵になるのではないかと思います。国の実証結果を待って県がやるとしても大した結果は得られないと私は思いますので、宮城モデルとしてナトカリはしっかり進めていただきたいと思います。登米市のナトカリチャレンジが八月頃に行われるときに知事も参加されるという話をお聞きしておりますが……、違うのですかね。いずれ市町村の取組をしっかりと県がフォローしながら健康増進に向けて取り組んでいただきたいと思ってございます。物価高についてなんですけれども、世界的には八%を超える物価高となっておりまして、日本においても四月、五月の消費者物価指数については二%を超えるという形になっていて、毎月二%上がっていくということなので、結局、今後、夏にかけてどうなるか分からないという状況でございます。国においては様々な施策を打っており、確かに県独自の施策というのはなかなか難しいかなと思うのですが、ただ、機運醸成でしたり、何といいますか、県がしっかりとメッセージを発していくと。国の施策に頼っているばかりではなくて、県としてしっかりとメッセージを発していくということが非常に大事だと思います。国と連携しながらやっていくという話でございましたが、物価上昇、価格転嫁、賃金上昇について、県としてもう一歩こうやっていくということがあれば、知事からお伺いしたいと思います。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 県の単独の力だけでは簡単にできないかと思いますが、全国知事会等と協力しながら、都道府県または市町村と協力して対策を取っていくということは非常に重要なことだと思っております。全部国任せ、丸投げということでは決してないと思っております。 ○議長(菊地恵一君) 三十番横山のぼる君。 ◆三十番(横山のぼる君) そうですね。この大きな危機に対して県がメッセージを発信しながら、しっかり対応していくということを要望して終わりたいと思います。大変ありがとうございました。 ○議長(菊地恵一君) 五十二番中島源陽君。    〔五十二番 中島源陽君登壇〕 ◆五十二番(中島源陽君) 鬼首地熱発電所建設予定地内では、轟音とともに大量の蒸気が沸き上がっていました。五月十七日、県議会再生可能エネルギー調査特別委員会の県内視察に同行させていただいたときの光景です。まさに、地球の持つエネルギーを間近に見た思いでした。説明によると、発電所の近隣となる鬼首地区の温泉に影響を与えないように、稼働前も稼働中も地域内の温泉の湧出量や泉質等を注意深く調査し続けているということであり、その真摯な姿勢は強く心に残りました。本県において、平成十四年に制定された宮城県再生可能エネルギー等・省エネルギー促進条例の目的において掲げている、現在及び未来の県民の健康で文化的な生活の確保をしっかりと踏まえた発電事業であると感じてきました。一般的に発電事業は、その事業性質上、発電施設の何らかの影響を受ける可能性のある立地地域に対して、その発電により恩恵を受ける地域の範囲は極めて広範囲となります。それゆえに、立地地域における健康で文化的な生活の確保は、より以上に配慮されなければならないと考えますが、知事はこうした原則論をどのようにお考えでしょうか、お伺いいたします。 また、昨今、本県では多くの太陽光発電事業及び風力発電事業等が、稼働または稼働を目指して許可申請中である一方、そうした事業に対して大きな不安を抱き、正確な情報を得ることや立地地域の声を届けること、更には一旦立ち止まることや事業の中止等を求めて活動している多くの団体があります。本県条例で定める健康で文化的な生活の確保という観点から、本県における再生可能エネルギーの発電事業に係る昨今の動きと、その動きに対しての立地地域を中心とした県民の活動状況等を踏まえた現状に対する、知事の認識を伺います。 今議会では、そうした様々な動きがある中で、住民に対する説明会の開催等の条項を新設する環境影響評価条例の一部を改正する条例が上程されています。そうした中、六月十二日に県内各地で新たな風力発電等の計画に対し、不安や疑問を持って活動されている七団体の方々の御意見をいただきました。本県の栗駒山系から奥羽山系に、風力発電事業は総計基数で三百十基、一万五千六百五十二ヘクタール、太陽光発電事業はパネル枚数で七十四万八千七百九十九枚、総面積七百二十一ヘクタールであり、国内陸地における最大規模の事業群である中での審議実態、累積的・複合的環境影響評価、地域住民の理解や合意形成等において十分ではないという指摘と、条例改正に対しても懸念と疑問からの指摘をいただきました。また、条例改正のパブリックコメントでは、四人の方より七件の御意見をいただきましたが、活動団体の方からは、そうしたパブリックコメントが行われていたこと自体知らなかったというお話もあります。知事は、衆知を集める県政を掲げていますが、こうした県民生活に直結する可能性のある事案に関しては、特に事前に衆知を集めるという取組が重要であると思いますが、知事の所見を伺います。 また、七団体よりいただいた御意見の中では特に、発電所の規模要件を引き上げていることに対しては、強い疑問を投げかけています。鳥取県が風力発電の規模要件を千五百キロワット以上にしていることは、環境アセス逃れを防止し、一基も漏れなく環境アセスにのせるためとのことであります。鳥取県の強い決意を感じるものであります。改めて、本県が規模要件を改正する理由と、環境アセス逃れのような事態の可能性についてどのように考えているのか、お伺いいたします。 更に、適切な周知による、適切な会場による、適切な方式による説明会の開催と、そうした場における住民意見の計画への反映等に関しても強い要望をいただきました。いただいた御意見から、これまでの説明会については適切な開催方式と認められる場合と、適切ではないと認められる場合があるように感じました。条例や条例を補完する規則等において、説明会について規定されていますが、これまでにおける説明会の実態に関しての認識と考え方をお伺いいたします。 私の地元である大崎市鳴子温泉川渡地域における、仮称六角牧場風力発電事業については、法における手続が進められています。その中で、令和三年五月二十七日付の梶山経済産業大臣あての仮称六角牧場風力発電環境影響評価方法書に対する意見の中で、知事は事業区域周辺の住民、立地する栗原市や大崎市及び観光関連事業者等の関係者に対して、環境影響に関する情報を積極的に提供するとともに、理解を得ながら進めることを意見として示しています。しかしながら、その意見を受けた経済産業大臣の事業者に対する勧告は、環境保全の観点から勧告を行うとされ、知事意見に位置づけられていた、理解を得ながら進めることの視点が欠落した内容となっています。私は、ここに大きな問題点があると考えますが、知事の所見を伺います。 前段で申し上げましたが、立地地域における健康で文化的な生活の確保の観点は、発電事業においては不可欠であり、再生可能エネルギーの拡大と健康で文化的な生活の確保の両立を明確にし、立地自治体の意思が適切に反映されるような法律へと見直していくべきと考えますが、所見を伺います。 六月十五日に開催された、みやぎ総合家畜市場において多くの畜産農家の方々とお会いしましたが、飼料と肥料の高騰対策についてのたくさんの御意見をいただきました。農協にお聞きしますと、昨年六月と今年六月を比較すると、ほとんどの飼料は一五%ほど値上がりし、特にトウモロコシは三二%ほどの値上がりとなっていて、七月一日でまた再値上げになるとのことであります。また、酪農組合にお邪魔すると、生乳代金収支の比較の資料をいただきながら説明を受けました。平均的な規模における生乳一キログラム当たりの乳代単価から必要経費を差し引くと、令和三年十一月以降の調査で、継続的な赤字状態となっていました。国では、配合飼料価格高騰緊急対策事業で農家等に補填金の交付を行うこととなっていますが、こうした価格高騰が続いていくと、直前一年間の平均で求める基準輸入原料価格も上昇することとなり、農家経営にとっては補填金の意味合いが薄くなることとなります。一方、国は経済産業省の激変緩和事業の物価高騰における緊急対策として、石油元売会社への補助金を交付しています。国民生活上、安定的なエネルギー確保は欠かせないという判断の下に行われていると考えますが、同じように国民の命のもととなる食料生産に欠かせない飼料や肥料も、そのほとんどを海外からの輸入に頼っている現実を踏まえれば、そうした分野にも飼料の安定基金制度とは別に、安定的な食料生産確保のための激変緩和措置が求められると考えますが、知事の所見を伺います。 ウクライナへのロシアによる侵攻は、世界中に大きな影響を与えていますが、その中で改めて日本のエネルギー、食糧、産業等における脆弱性が露呈したのではないでしょうか。そもそも日本は資源が少ないという前提があるので、ないものは危険分散を図りながら安定的に輸入する取組が欠かせませんが、一方で、あるものを循環するという取組も重要と考えます。農林水産省は品目別自給率として牛肉三六%、豚肉五〇%、鶏肉六六%としていますが、外国産飼料で育てられた分を差し引くと、自給率は牛肉九%、豚肉六%、鶏肉八%となり、外国産飼料に対する依存度が極めて高いことが分かります。今後の持続可能な農業を目指していく中では、食料自給率を支える飼料や肥料資材の県産供給力にしっかりと目を向けていくべきと考えますが、所見を伺います。 飼料の国産化の取組として、古川農協管内で九十二ヘクタールの子実用トウモロコシが作付されました。子実用トウモロコシは、大豆に対して五分の一ほどの労力で生産できるメリットがあるものの、価格的に不透明なところもあります。また、活用する側の養豚農家からは、価格が高い設定になると使うメリットがなくなってしまうとの声もあります。生産する側と活用する側がともに利点を確保できるよう、県としても適切な調整や支援を行っていくべきと考えますが、所見を伺います。 また、特に県内においては、家畜排せつ物による有機堆肥の活用可能性は大いに高いと考えます。現在も耕畜連携で多くの水田に堆肥が散布されていますが、あくまでも肥料養分的には補完的な活用であります。農林水産省の試算によれば、水田への肥料として鶏糞堆肥を活用した場合には、化成肥料を散布した場合の五割程度のコストになるとのことであります。家畜排せつ物の有機質肥料化を進め、補完的役割から中心的役割を果たせるよう具体的な取組を推進すべきと考えますが、所見を伺います。 この項の最後に、お米について伺います。 ひとめぼれが世に出てから約三十年となりました。大いに宮城の農業に貢献してきた品種と思いますが、誕生当時の平均気温十二・五度に対して、昨今の平均気温は十三・七度となり、一・二度の上昇が見られます。以前、本県の水産試験場を訪れた際に、研究員の方より「水産試験場近くで定点観測している海水温は、約百年で一度ほど上昇していて、これは魚や海洋植物にとっては大きな影響を与えます。」との説明を思い出しました。そうした観点から、古川農業試験場において、ひとめぼれと比べ高温条件下での玄米品質が優れ、障害型冷害に強く、収量・食味が同等の品種・系統を育成することを研究テーマに掲げていることは時宜を得ているものと考えますが、収量・食味が同等を目標にするということは、本県の主食用米戦略が将来においても変わらないことを意味してしまうのではないでしょうか。古川学園女子バレーボール部が全国制覇を何度もなし遂げていた当時の国分監督が、「全国大会に来て一回戦突破が目標ですと言っていたチームは優勝できなかった。」と言っていたように、目標を高く掲げることは極めて大切であります。同等という発想の延長での同等な戦略ではなく、目標を高く掲げた新たな米戦略を描くべきと考えますが、所見を伺います。 本県では、二〇二一年より新・宮城の将来ビジョンがスタートして、新たな視点としてSDGsの誰一人取り残さないという考え方を取り入れ、新たに社会全体で支える宮城の子ども・子育てを大きな柱に位置づけました。また、今年の県議会二月定例会において、みやぎ子ども・子育て県民条例の一部が改正されました。平成二十八年の教育機会確保法の制定を受け、条例の目的に、教育の機会を確保するという趣旨と、基本的施策等において、県として必要な取組を行うという趣旨を追加するなどの内容です。特に、必要な取組に込めた思いとして、学校に登校していない子供の事情や意思の把握と、学校に登校していない子供やその保護者の支援に関わる人材の育成を掲げ、計画において具現化されることを期待するとしています。県は今年度中に、みやぎ子ども・子育て幸福計画の見直し作業をするとのことでありますが、こうした背景を踏まえた条例見直しの意義と計画の見直しに当たっての基本的な考え方について、知事にお伺いいたします。 放課後における子供たちの居場所確保については、文部科学省の放課後子供教室と厚生労働省の放課後児童クラブが全国において開設されています。両施設が学校教育時間以降の時間帯で行われているのに対して、学校に登校していない子供たちを受け入れている民間のフリースクール等では、学校教育時間帯も含めて多様な活動が行われています。まずは、本県における放課後子供教室、放課後児童クラブ、フリースクール等の利用者数と運営に係る予算や補助の総額について、お伺いいたします。 併せて、フリースクール等における指導要録上の出席扱いを受けている児童生徒数についても伺います。 本年四月二十八日、会派の県外視察において、川崎市子ども夢パークを訪問してきました。川崎市子ども夢パークは平成十五年に、ありのままの自分でいられる場として川崎市が一億円を超える税金を投入して整備し、公設民営のフリースクール園も運営されていました。弁当とけがは自分持ちという精神が示すように、子供たちの主体性、まさに社会的自立に向けた生きる力を育んでいると思いました。所管としては教育行政の範疇ではありますが、当時の川崎市としての判断があったからこそ整備ができ、運営されてきているとのことでした。本県においては、民間のフリースクール等への直接的な財政支援には至っていませんが、学習支援員の派遣の仕組みを構築していただき、令和四年度からは大崎市内のフリースペースにも派遣されることとなりました。気仙沼市内のフリースペースに続いて二例目となり、両フリースペースの主催者は大いに感謝しておりました。このような教育行政側からの支援が一歩一歩進んでいることに併せて、福祉行政側からのフリースクール等支援策を構築していくことが求められているものと考えます。誰一人取り残さないというSDGsの精神と、みやぎ子ども・子育て県民条例の理念、そして、フリースクール等が多くの子供たちの居場所と学びを確保しているという実態と、放課後児童クラブ等子供の居場所確保には既に福祉行政において多くの公費が費やされていることを踏まえれば、県行政の決意として、フリースクール等支援策を子供・子育て支援策の一つとして計画に位置づけるよう検討していくべきと考えますが、知事のお考えを伺います。 五月二十四日、気仙沼市内の一般社団法人フリースペースつなぎにおいて、つなぎに通っている子供たちと直接お話をする機会をいただきました。学校に登校しなくなって困ったこと、つなぎに通うようになっての感想、そして最後に、不登校や不登校児童生徒と言われることに対しての思いをお聞きしました。特に最後の質問に対しては、あまり気にならないという声がある一方、使い方によっては嫌だ、不登校と自分が言われたときに周りの人にどう思われているのか気になる、という声もありました。不登校という言葉は、子供たちに何らかの心理的不安定をもたらしているのではないかと強く感じてきました。また、先日、文教警察委員会の視察で富谷市立富谷中学校西成田教室を視察させていただきましたが、説明の中で不登校という言葉を何とかして使わない知恵はないかと相当に議論して、新たな学びの場との表題に至ったとのことでした。こうした自治体での努力で一歩一歩前進する姿がある一方、児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査のように、意識改革が全く及ばない姿もあります。この調査の名称をよく読んで整理すると、学校に登校していない子供たちは生徒指導上の対象であることを示していて、指導の対象という考え方の根底には、学校に登校していないことは問題行動であるという発想が全く変わっていないということだと思います。名称を真正面に据えて問い直すことは本質を議論することであり、一人一人の意識改革につながり、ひいては社会全体の認識を変えていくことにつながるものと思っています。そうした意味において、意識を変える一歩として同調査を、児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸課題に関する調査と、学校に登校していない子供たちの実態調査に分けて実施すべきであり、国に対して正面から意見し、徹底した議論を行うべきと考えます。加えて、学校に登校していない子供たちの調査においては、学校に登校しているか、していないかという外形的な視点のみではなく、教育の機会を確保できているのか、いないのかという視点と、子供本人とその保護者の意思の把握を重視したものに変えていくべきと考えます。知事及び教育長の見解を伺います。 私の家から気仙沼市内まで、以前は二時間を要していましたが、三陸道が開通し、県北道路も開通したことにより、今では一時間十分ほどに短縮されました。圧倒的な利便性の向上であり、ほとんどが高速道路上の運転となり体力的、精神的負担が相当に軽減されたと感じています。縦軸と横軸を結んだ効果てきめんであります。宮城県の県土構造という観点でも、県北地域を横に結ぶとともに沿岸部と内陸部を結ぶという点でも、今後大いに期待したい路線であると思います。一方、石巻-酒田高規格道路については、国の地域高規格道路の候補路線となって以来、計画路線への昇格が全く見通せない状況が続いています。この二年ほど、コロナの影響もあり整備期成同盟会等の運動も休止を余儀なくされておりますが、縦軸横軸の県土構造をしっかり構築して、県全体としての強靱な経済構造を目指していくべきと考えます。まずは、現時点における現状についてお伺いいたします。 本県では、新・宮城の将来ビジョンにおいて、交通分野の基本方向の中で東北各県との広域連携の推進を明確に示し、また、令和三年度を初年度におおむね二十年から三十年間を対象とする、宮城県新広域道路交通ビジョンの広域道路ネットワークの基本方針において、中枢中核都市等を核としたブロック都市圏の形成を掲げています。しかしながら、そうした方針を具現化する最たる石巻-酒田地域高規格道路については、概況説明の中で未整備であると示されているのみであります。本来ならば、県自身が策定するビジョンの中に、その必要性と県の強い意志を明確に位置づけていくべきものと考えますが、所見を伺います。 国道百八号、花渕山バイパストンネル開通以降、鳴子温泉鬼首地区内の現道改良については格段の取組をいただき、地元の皆さんも大いに感謝をしているところであります。しかしながら、花渕山バイパストンネル開通以降も、特に厳寒期において特定の場所で大型トレーラー等が立ち往生となり、半日以上も全面通行止めとなる事案が発生しております。ふだん使っている道路が遮断されることの生活上の不便、精神上の負荷は極めて大きいものと思っています。毎年のように通行止めとなっている区間については、毎年度の道路改良予算の規模ではとても着手することが難しい区間と思われます。バイパストンネルを開通させた知事でありますので、全線が安全安心な道路となるよう毎年の道路改良予算とは別枠で、この通行止めとなる区間の改良整備についての検討を始めるべきと考えますが、所見を伺います。 以上で、壇上からの一般質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) 中島源陽議員の一般質問にお答えいたします。大綱四点ございました。 まず、大綱一点目、再生可能エネルギーのこれからについての御質問にお答えいたします。 初めに、発電事業の立地地域に対する配慮についてのお尋ねにお答えいたします。 健康で文化的な生活の確保については、平成十四年に施行された議員提案による宮城県再生可能エネルギー等・省エネルギー促進条例に掲げられており、地球規模で考え、地域に根差して行動するといった理念と併せて、近年の地球温暖化対策をめぐる国内外の動向を鑑みれば、二十年を経てもなお、その重要性がますます高まっているものと認識しております。この条例の効果もあり、地域と共生した再生可能エネルギーの導入が県内各地で進展してきたところであります。今後とも、導入促進に当たっては、発電施設の立地地域も含めて、全ての県民の皆様の健康で文化的な生活が損なわれることがないよう配慮してまいります。 次に、我が県の再生可能エネルギー発電施設の動向と地域住民の活動状況を踏まえた現状認識についての御質問にお答えいたします。 我が県では、固定価格買取制度、いわゆるFIT制度の創設以降、太陽光発電を中心に再生可能エネルギーの導入が進展し、直近の令和三年十二月末の国の公表データでは、約二百十六万キロワットが導入されております。また、ここ数年は風力発電の開発計画が増えており、山間部を中心に現在十六の事業で約百三十万キロワットの計画が環境影響評価の対象となり、手続が進んでおります。一部においては、事業予定地の住民から県に対し、事業の白紙撤回や一旦中止を求める反対要望が出されるなど、地域住民の不信感や環境影響に対する懸念が高まっており、地域と共生した再生可能エネルギーの導入が重要であると認識しております。このため、今回提出している環境影響評価条例の改正案では、法アセスと同様、初期の段階から関係市町村や地域住民に対して、計画の概要を説明し理解を求めていく手続を新たに追加するなど、地域とのコミュニケーションの機会の拡充を図ることとしております。 次に、我が県が規模要件を改正する理由とアセス逃れの可能性についての御質問にお答えいたします。 風力発電の規模要件については、法アセスの見直しを受け、国に準じて算定した結果をもとに見直しを行うこととしていたものであります。その後、地元首長をはじめ地域の方々から新たな風力発電の事業計画に対し、景観や環境面での懸念の声が高まっているほか、更には意図的に事業を対象規模未満にするアセス逃れへの懸念の指摘もあることから、風力発電の対象規模要件につきましては下限値を引き上げず、現行の要件を維持する方向で条例施行規則の改正を再検討したいと考えております。今後とも適切な環境影響評価の運用を図り、地域と共生した再生可能エネルギーの導入に努めてまいります。 次に、立地自治体の意思が適切に反映されるよう関係法律を見直すべきとの御質問にお答えいたします。 我が国では、FIT制度により再生可能エネルギーの導入拡大が急速に進んだ一方で、地域では大規模な森林伐採や土地開発に伴う災害の危険性及び環境に対する影響などの懸念や不安が高まっています。今後、再生可能エネルギーの主力電源化に向け、更なる導入を進めていくためには、地域との共生をこれまで以上に図っていくことが大変重要であると認識しているところであります。県といたしましては、引き続き環境影響評価制度に基づき関係自治体の意見を踏まえながら、地域住民に寄り添った意見を経済産業大臣にしっかりと申し入れていくとともに、環境影響評価法やFIT法等の関係法令について、より適切に地域の意見が反映される仕組みになるよう国に対し求めてまいります。 次に、大綱二点目、社会情勢の変化と農業政策についての御質問のうち、安定的な食料生産確保のための激変緩和措置についてのお尋ねにお答えいたします。 我が県の農畜産業の持続的な発展のためには、飼料や肥料の安定的な供給は極めて重要であると考えております。飼料については、国において配合飼料価格安定制度の基金が枯渇することのないよう、基金の積み増しや特別措置として異常補填発動基準を引き下げるなど、畜産農家への安定的な支払いに努めております。また、肥料については、国がグリーン農業と肥料高騰への大胆な支援を組み合わせた新しい支援金の創設を表明しており、具体化に向けて検討が進められているものと承知しております。これまでに地域の関係団体などから県に対しても、飼料や肥料の高騰対策について要請をいただいており、県といたしましても引き続き全国知事会等を通じて、国に支援制度の拡充について強く要望してまいります。更に、秋に向けて県独自の支援策についても検討してまいります。 次に、大綱三点目、誰一人取り残さない子供支援についての御質問にお答えいたします。 初めに、県民条例見直しの意義と幸福計画の見直しの考え方についてのお尋ねにお答えいたします。 かけがえのない存在である子供たちが一人の人として尊重され、家庭や地域の愛情に育まれて、心身ともに健やかに成長できるよう議員提案により制定された、みやぎ子ども・子育て県民条例に基づき、県では子育て支援施策を展開してまいりました。そのような中、学校に登校していない子供の教育機会の確保や支援の充実を図るため、昨年度、再び県議会において当事者や関係団体との意見交換を重ねながら条例見直しの議論が行われ、目的に子供の教育機会の確保が位置づけられたことは、社会全体で支える宮城の子供・子育ての観点からも大変意義のあるものと認識しております。今年度は、みやぎ子ども・子育て幸福計画の中間見直しの年に当たり、県教育委員会においても、これまでの取組を踏まえ、フリースクールなど関係団体との連携や保護者と支援者の情報交換会を開催し、取組を進めていくとのことであります。県といたしましても、県教育委員会や市町村と緊密に連携し、教育機会の確保や子供の居場所づくりに向けた取組など、計画に条例改正の趣旨を反映させてまいります。 次に、国の調査の名称及び登校していない子供たちの調査に対する認識についての御質問にお答えいたします。 文部科学省が実施する、児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査の名称につきましては、平成二十九年に児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査から改められており、不登校は問題行動ではないという国の認識に基づいた改称であると伺っております。我が県としては今後も、不登校は問題行動ではなく、子供の意思を尊重しながら支援をすることが大切であるということについて、社会全体で理解を深めていく必要があると考えております。また、登校していない子供たちに関する調査については、教育機会確保法の趣旨を踏まえて実施されることが重要であると認識しております。 私からは、以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 環境生活部長佐藤靖彦君。    〔環境生活部長 佐藤靖彦君登壇〕 ◎環境生活部長(佐藤靖彦君) 大綱一点目、再生可能エネルギーのこれからについての御質問のうち、事前に衆知を集める取組の重要性についてのお尋ねにお答えいたします。 環境影響評価制度は、環境への影響が著しい大規模な事業に係る環境への適正な配慮のための手続であり、県民生活に深く関わる可能性があることから、こうした条例改正については、広く県民の衆知を集めることが重要であると認識しております。今回の改正案については、県民の意見提出手続に関する要綱に基づき、県ホームページで公表するとともに県庁及び各地方振興事務所において縦覧し、パブリックコメントを行ったほか、環境審議会や環境影響評価技術審査会において専門家の意見を聞くとともに、市町村からの意見聴取も行ったところです。今後とも周知方法を工夫するなど、県民からの意見提出の機会が広く確保されるよう取り組んでまいります。 次に、これまでに開催された住民説明会の実態の認識についての御質問にお答えいたします。 環境影響評価制度における住民説明会については、法令や国のマニュアル等において、地域住民が参加しやすい開催日や場所の設定、官報や自治体広報紙、新聞への掲載等による周知の実施などが定められております。県では、これらの規定に基づき事業者を指導しており、その多くはルールどおり実施されていると考えておりますが、案件によっては参加者が少なかった会場もあったほか、住民が求める説明会の運営や説明内容について対応が不十分であった事例もあると承知しております。住民説明会は、事業者において、より丁寧な地域とのコミュニケーションが図られることが重要であると認識しており、県といたしましては、事業者に対し、関係する市町村等と協議しながら地域の意向に沿った運営がなされるよう指導してまいります。 次に、仮称六角牧場風力発電事業についての御質問にお答えいたします。 環境影響評価制度における経済産業大臣からの勧告や意見は、配慮書、方法書、準備書の各段階において、法でそれぞれの項目が定められております。今回の方法書段階では、大臣勧告の項目に住民理解に係る項目が規定されていないため、勧告には反映されなかったと国から説明を受けております。このことは、制度上の課題であると認識しておりますが、方法書及び準備書段階における知事意見は、大臣勧告に添付されて事業者に届くことから、県といたしましては、今後とも地元からの意見について、しっかりと大臣に申し入れてまいります。 私からは、以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 保健福祉部長伊藤哲也君。    〔保健福祉部長 伊藤哲也君登壇〕 ◎保健福祉部長(伊藤哲也君) 大綱三点目、誰一人取り残さない子供支援についての御質問のうち、福祉の観点からのフリースクール支援についてのお尋ねにお答えいたします。 御提案のありました川崎市の取組は、青少年教育施設を活用し、福祉の観点を取り入れた遊び場や居場所がない子供たちのフリースペースとして、NPO等が事業主体となって総合的に運営していると伺っております。また、仙台市でも子供・若者支援の立場からフリースペース・フリースクールを開設し、NPOに委託して実施していると伺っております。県ではこれまで、居場所のない子供たちの受皿にするとともに必要な支援につなぐため、子ども食堂や学習支援を組み合わせた子供の居場所づくりモデル事業などを実施し、市町村や地域における取組を支援しているところです。県といたしましては、市町村の取組状況や関係団体の御意見も伺いながら、今年度改定する、みやぎ子ども・子育て幸福計画への反映について検討してまいります。 私からは、以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 農政部長宮川耕一君。    〔農政部長 宮川耕一君登壇〕 ◎農政部長(宮川耕一君) 大綱二点目、社会情勢の変化と農業政策についての御質問のうち、県産飼料や肥料の供給力についてのお尋ねにお答えいたします。 世界的な穀物需要の増大に伴い、飼料や肥料の需給は今後も中長期的に逼迫するものと見込まれており、県産供給力の向上は、持続的な農業の推進や食料自給率の向上の観点からも重要と考えております。県産飼料の供給力の向上については、水田を活用した飼料用米等の生産のほか、新たに子実用トウモロコシの大規模実証栽培が開始されたところです。また、家畜排せつ物の堆肥については、県内二十六か所の有機センターで処理し、有効に活用している地域もございますが、主に畜産農家が堆肥化し自家利用しております。一方、飼料作物については栽培条件にばらつきがあり、収量や品質が安定しないこと、堆肥については耕種農家での利用促進を図る上で品質面や運搬、散布の手間がかかることなどが課題となっております。このため、県といたしましては、市町村、JA等と連携し、一つ一つ課題を解決するとともに耕畜連携による資源循環の事例を積み重ね、県産飼料の生産拡大と堆肥の利用拡大を更に推進してまいります。 次に、子実用トウモロコシについて、生産者と利用者の双方に利点がある調整や支援についての御質問にお答えいたします。 子実用トウモロコシについては、JA全農みやぎが中心となって水田での大規模な実証栽培が開始され、今年度の作付面積は県全体で約百五十ヘクタールとなっております。このうち、涌谷町の事例では栽培農家、町、畜産試験場、農業改良普及センターが連携し、飼料メーカーと養豚農家の協力を得ながら、生産費や労働時間、生産量などの基礎データを収集しております。また、子実用トウモロコシの安定的な収量や品質確保のためには、栽培期間を通じた排水や倒伏対策、収穫後の適正な乾燥や貯蔵への対策も重要となります。このため、県といたしましては、栽培から収穫、保管加工までの技術面及びコスト面での課題解決が図られるよう積極的に調整や支援を行い、栽培農家、畜産農家双方の利益となるよう取り組んでまいります。 次に、家畜排せつ物利用の具体的取組についての御質問にお答えいたします。 家畜排せつ物の堆肥としての利用は重要であり、特に現下の資材高騰下においてはコスト低減にも有効であると考えております。このため県では、試験研究機関において堆肥の品質向上試験や肥料コストの低減を図るため、堆肥と化学肥料との混合による肥料効果に関する試験などを行っております。また、大規模畜産農家にペレット成形機器の導入を支援し、耕種農家が利用しやすい形に加工することで、利用の幅を広げ広域流通への支援に努めております。県といたしましては、今後とも地域の実情に沿った耕畜連携への機運を高め、有機質肥料としての堆肥の利用が進むよう取り組んでまいります。 次に、目標を高く掲げた新たな主食用米の戦略についての御質問にお答えいたします。 我が県では、消費者や実需者の方々に長年愛されてきたひとめぼれやササニシキのほか、食感や機能性に優れただて正夢や金のいぶきなど、古川農業試験場で育成した多彩な良食味品種が生産され、県内外へ提供されております。一方で、食の多様化や消費者のライフスタイルの変化に伴い、中食・外食等のニーズに対応した品種や米加工品など新しい用途に適性のある品種等を育成し、生産と販売につなげていくことが求められていると認識しております。県といたしましては、実需者のニーズを的確に捉え、こうした新しい品種の育成にも取り組むとともに、玄米食など需要拡大が期待される健康食マーケット向けの米の生産やパック御飯など、消費者ニーズに対応した商品の生産等を支援し、需要に応じたみやぎ米の生産と活力ある水田農業の振興に取り組んでまいります。 私からは、以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 土木部長千葉衛君。    〔土木部長 千葉 衛君登壇〕 ◎土木部長(千葉衛君) 大綱四点目、県土の横軸整備についての御質問のうち、石巻・酒田間の地域高規格道路の現状と県のビジョンへの位置づけについてのお尋ねにお答えいたします。 石巻・酒田間地域高規格道路は、石巻市と山形県酒田市を結ぶ広域的な幹線道路であり、このうち、計画路線である山形県側の新庄酒田道路については、昨年度末までに約四割が開通しております。一方、宮城県側の石巻新庄道路については、平成十年に地域高規格道路の候補路線として指定されたものの、いまだ計画路線の指定には至っておりませんが、県としては太平洋側と日本海側を結ぶ重要な横断軸として、早期の整備が必要であると認識しております。このため昨年六月に、我が県の中長期的な広域道路網の整備方針を定めた宮城県新広域道路交通ビジョン及び、宮城県新広域道路交通計画を策定し、その中で石巻新庄道路を高いサービス水準を有する高規格道路に位置づけたところです。宮城・山形両県を結ぶ石巻新庄道路は、富県宮城を支える県内産業の持続的な成長促進と地域の産業、観光振興を牽引する路線であることから、県といたしましては引き続き、早期の事業化に向けて山形県や沿線市町、関係団体と連携しながら、国に対して強く働きかけてまいります。 次に、国道百八号の改良について検討を始めるべきとの御質問にお答えいたします。 国道百八号は、本県と秋田県を結ぶ通年通行が可能な唯一の主要幹線道路であり、広域的な防災道路ネットワークを形成する路線として緊急輸送道路に指定されているほか、大崎地域の観光振興や秋田県との文化・経済交流などの観点からも重要な役割を担う路線です。県ではこれまで、安全で円滑な交通を確保するため、国の直轄権限代行により花渕山バイパスの整備を進めてきたほか、現在、鳴子温泉鬼首の岡台地区で今年九月の完成供用を目指し道路拡幅工事を実施しており、今年度からは田野原地区において道路改良事業に着手したところであります。一方、柏木原地区では急カーブ・急勾配箇所が連続しており、冬期間に通行止めが度々発生していることから、整備の必要性は認識しておりますが、事業実施に当たっては、トンネル等の大規模な事業になることが想定されております。県といたしましては、冬期間の安全で安心な道路交通環境の確保に向けて、引き続き除融雪等の維持管理の徹底を図るとともに、部分的な拡幅などの必要な対策について、大崎市や地元の皆様の御意見を伺いながら検討してまいります。 私からは、以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 教育委員会教育長伊東昭代君。    〔教育委員会教育長 伊東昭代君登壇〕 ◎教育委員会教育長(伊東昭代君) 大綱三点目、誰一人取り残さない子供支援についての御質問のうち、放課後子供教室等の利用者数と運営に係る予算の状況や、出席扱いを受けているフリースクール等の児童生徒数についてのお尋ねにお答えいたします。 仙台市を含めた数値として、令和三年度の放課後子供教室の利用者数については延べ約八万人、放課後児童クラブの登録児童数については約三万人、フリースクール等民間施設の利用者数については令和三年六月現在、百五十二人と把握しております。また、それぞれの令和四年度事業予算額については、放課後子供教室が約三千五百万円、放課後児童クラブが約十七億四千万円となっております。民間施設については、県が市町村に助成している、みやぎ子どもの心のケアハウスの機能を民間団体に委託したり、ケアハウスからフリースクール等に支援員を派遣したりする仕組みにより支援しているところです。出席扱いを受けているフリースクール等の児童生徒の令和二年度の全国の人数は、小学校で利用者二千八百三十一人のうち九百七十二人、中学校で四千十六人のうち二千六十六人となっており、都道府県ごとの数値は非公表とされておりますが、我が県もほぼ同様の割合にあると認識しております。 次に、国の調査の名称及び登校していない子供たちの調査に対する認識についての御質問にお答えいたします。 国においては、平成二十八年度の教育機会確保法の施行を受け、その翌年度に、御指摘の調査について、児童生徒の問題行動と不登校とを分けて表す名称に変更しており、不登校は問題行動ではないなどの基本的な考え方は、都度、全国の教育委員会等に通知が出されております。教育機会の確保の状況については、県が独自に実施している長期欠席状況調査において、昨年度より、子供たちがどのような場で学んでいるかなどの項目について把握するとともに、児童生徒の心のサポート班が心のケアハウスやフリースクール等民間施設を訪問し、関係職員を通して子供たちや保護者の声を聞いているところです。今年度は新たに、各教育事務所においてフリースクール等民間施設と連携を図り、登校していない児童生徒の保護者の交流の場を設けることとしております。今後も市町村教育委員会や関係機関と一層連携を図り、どこにいても誰かとつながっていることを大切にした支援の充実に努めてまいります。 以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 五十二番中島源陽君。 ◆五十二番(中島源陽君) 御答弁ありがとうございました。知事の答弁では、風力発電の規模要件を実質的には変えないと理解したのですが、もう一度詳しく説明をお願いいたします。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 規模要件を緩和することによって、アセス逃れになる可能性があるのではないかということでありました。当初は、国の法アセスの見直しを受けて、規模要件を緩和しようという方向で検討しておりましたけれども、昨日、答弁調整をする中で、中島議員のおっしゃるとおりだという結論に至りまして、結果的に現行の要件を維持する形に決めました。近いうちに行われる環境審議会において、その旨を報告したいと考えております。 ○議長(菊地恵一君) 五十二番中島源陽君。 ◆五十二番(中島源陽君) 今回の環境影響評価条例の改正においては、どのようになるということでしょうか。 ○議長(菊地恵一君) 環境生活部長佐藤靖彦君。 ◎環境生活部長(佐藤靖彦君) 規模要件につきましては、規則で定めることとされておりますので、今回の条例改正の議案の中では、その部分に変更がないということでございます。 ○議長(菊地恵一君) 五十二番中島源陽君。 ◆五十二番(中島源陽君) 実質的には規模要件は変えないできちんと対応できるということで、まずは理解しておきたいと思いますが、今後も注視をしてまいりたいと思います。 もう一点、住民説明会の開催に関してですが、やはりいろんな声があるんです。いろんな事案、今も発生している事案もあるので、原則は地域住民の誰もが参加できることであり、きちんと公開されていることであり、きちんと周知されていることといった極めて当たり前の要件が絶対必要だと思うんです。例えば、そういうことがきちんと満たされていないで行われた説明会が法的または条例としての説明会と認定できるのかどうか、そこのチェックを誰がどのようにできるのか、この点に関して現状どのようにお考えでしょうか。 ○議長(菊地恵一君) 環境生活部長佐藤靖彦君。 ◎環境生活部長(佐藤靖彦君) 住民説明会の開催につきましては、ルールに基づいて行うということで先ほど御説明させていただいたところです。開き方につきましては、より開かれた形で広く開催されることが望ましいと我々も思っておりますので、引き続き事業者を指導してまいります。 ○議長(菊地恵一君) 五十二番中島源陽君。 ◆五十二番(中島源陽君) いろんな声があって、ちゃんとやっているのもあるんですが、一方で、あれっていうのもあるので、そこの指導はもちろん必要だと思うんですけども、どうチェックするのかっていうところをきちんと管理しておかないと、どうしても後になってから、こうだったんだとか、ああいう実態だったんだとかだけが漏れ伝わるようでは何の改善にもならないんです。やはり、どうチェックして報告を受けるのか、それについて改善をきちんと求めるのかっていう、そういう仕組みを県としても所掌する分についてはつくるべきだし、法律の部分に関しては、法律においてきちんと整えていくべきだと思うんですが、そこはいかがですか。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 非常に難しいのは、それを条例に書き込んだとしても、住民の理解というのを客観的に推しはかることができないということなんです。住民が理解をしていないと言っても、理解している住民も中にはいるかもしれません。そこをどのように判断していけばいいのかという非常に難しい問題です。無理にやってしまうと、今度はそれで事業者と裁判になってしまう可能性もありますので、我々としては裁判をやっても負けるわけにはいきませんので、そこをしっかり見ながら地域住民の皆さんの意向に沿った運営がなされるようにということ、住民の皆さんがまだ納得されていないということが我々に伝わっているということをしっかり伝えながら、その中で理解を求めていくように指導や要請をしていくということが重要だろうと思っています。非常に難しい問題です。住民説明会を公開でやってほしいということをお願いするのは十分可能なんですけれども、そこにいる人たちだけでいいのか、住民といってもどこまでのエリアでいいのか、そしてどこまでの人たちが賛成すればいいのか、そこを推しはかるのは非常に難しいってことも御理解いただきたいと思います。 ○議長(菊地恵一君) 五十二番中島源陽君。 ◆五十二番(中島源陽君) 私が今言っているのは説明会の開催方式の話ですので、そこをきちんと設定していただきたいと、そこをよく確認できるようにしていただきたいということですので、住民の理解の話ではなかったということは御理解いただきたいと思います。 それで、知事がこのことでいろんなコメントを求められて発言していて、ある場面では違和感があるというお話もありましたが、それを聞いた関係者の方からは、そうした発言自体に違和感があるというお話がありました。それはどういう意味かというと、それぞれの地域でそうやって活動している人たちはみんな、自分の地域で今行われている事業に対して違和感を持っているのです。だからいろんな活動をしているのです。その思いをぜひしっかりと理解していただきたいという意味ですので、そのことだけはお伝えしておきたいと思います。次に移ります。 肥料の関係で、いろいろ頑張るというお話をいただいて力強く思ったんですけれども、農業新聞にもありましたように、山形大学と山形県が七割の自給飼料を県内で確保する取組を始めるっていうことをしっかり打ち出しています。目標をしっかり打ち出して、明確なメッセージを発信して、具体的に取り組むことが必要だと思うのですが、その辺について御答弁をお願いします。 ○議長(菊地恵一君) 農政部長宮川耕一君。 ◎農政部長(宮川耕一君) 本県の場合は畜産も大変盛んですので、耕地全てを使って飼料作物を作付した場合でも、全量を賄うことはかなり厳しいと試算しております。そういった中でこうした状況でございますので、農耕飼料と配合飼料の双方とも自給率がより高まるように、一つ一つ取組を進めていきたいと思っております。 ○議長(菊地恵一君) 五十二番中島源陽君。 ◆五十二番(中島源陽君) 次に、フリースクール関係でございます。 今回の中間見直しがあるということで、教育行政分野と福祉行政分野の両方でカバーしていく姿が、私は宮城県として望ましいのかなと思っています。茨城県でフリースクールへの支援を教育行政分野の支援策として構築して、フリースクール本体への支援と保護者への支援の両方で賄っている例もありますけれども、やはり私は両方でカバーしていくほうが安定的な制度になっていくのではないかと思っております。そういう視点を持って見直していき、それを反映していくという理解をしましたので、ぜひそこはお願いしたいと思います。この条例の見直しに当たって私がこだわるのは、学校に登校していない子供たちとその保護者の事情と意思の把握、そして、そうした子供たちや保護者への支援に関わる人材の育成という部分を、議会の意思、想いとして条例改正に込めて具体的に反映させることを期待するということで、議案説明のときにも訴えさせていただきました。その部分をどう捉え、具現化するのかということについて、ぜひもう一度答弁いただきたいと思います。 ○議長(菊地恵一君) 保健福祉部長伊藤哲也君。 ◎保健福祉部長(伊藤哲也君) 先ほど知事の答弁でもありましたように、議会での御議論の趣旨をしっかり踏まえて対応したいと思っております。具体的には、例えば人材育成でありますとか、理解を深めるための広報、具体的な支援の在り方などについて、現在の子ども・子育て幸福計画の柱立ての在り方、その具体的な内容の追加などについて、進めているところであります。 ○議長(菊地恵一君) 五十二番中島源陽君。 ◆五十二番(中島源陽君) 最後に、花渕山バイパストンネル開通以降ということでお伺いした件ですが、一か所どうしても毎年何回か全面通行止めになる区域があって、その部分を改良しなければいけないという認識は十分持っているというお話もいただきましたし、トンネルによってそれを解消していく必要があるんだろうということについても御認識をいただいた上で検討するというお話もいただきました。それは基本的にはやらないことを前提に検討するということはあり得ないわけで、やることを前提に検討すると理解してよろしいでしょうか。 ○議長(菊地恵一君) 土木部長千葉衛君。 ◎土木部長(千葉衛君) 当該地区は、今年の二月にも通行止めになったところで、これまで四回も通行止めになっているということで、道路の現況について先ほど御説明したとおり、急勾配で幅員が狭小だということも十分認識しております。まずは、住民の方の意見を聞きながら検討を進めるということで、ある程度時間がかかると思いますので、それまでは除融雪をしっかりやることと、部分的な拡幅ですとか待避所の設置とか、そういったものをまずは考えていきたいと思います。長期的には、やはりあそこの部分の改良は私どもも必要だと思っていますので、しっかり検討してまいりたいと思います。 ○議長(菊地恵一君) 暫時休憩いたします。    午後零時六分休憩-----------------------------------    午後一時十分再開 ○議長(菊地恵一君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 質疑、質問を継続いたします。十四番佐藤仁一君。    〔十四番 佐藤仁一君登壇〕 ◆十四番(佐藤仁一君) みやぎ県民の声の佐藤仁一でございます。議長のお許しをいただきましたので、一般質問させていただきます。なお、パネル三枚を使用させていただきますが、議場の皆様にはパネルの写しを配布しておりますので、御参照いただければと思います。 大綱四点のうち一点目でありますが、崇高な青雲の志を持って防衛大学校の幹部候補生として国防に参画された村井知事に、昨今の国際情勢下での、宮城県知事として国際社会に発信したい平和観について、お伺いするものであります。 コロナ禍で県民の皆様は、長期にわたって我慢に我慢を重ねた社会活動や生活となり、そして医療、福祉、保健関係の方々は、大変な御苦労をされております。心から敬意を表する次第であります。更に、ロシアによるウクライナへの侵攻によって、相当数の犠牲者を出している国際社会の現実を思うと、一日も早い和解によるこの問題の落としどころが必要と思っております。世界平和について、もう一度我々は考えなければならないと思っております。いつの時代の戦争も、数え切れぬ悲劇や悲惨な犠牲を避けることはできません。我が国は、さきの太平洋戦争で想像を絶する犠牲が生まれました。本年、本土復帰五十年を迎えた沖縄県は、六十万もの同胞が祖国から引き離されました。一方、北方の島々では一万七千人もの方が、ソ連軍の銃剣によって故郷を追い出されたのであります。こうした戦争犠牲の苦しみを戦後の日本は有し、国民力を結集して今日の日本を迎えております。オーストリアのウイーンにおいて、核兵器禁止条約第一回締約国会議が六月二十一日から始まりました。ノーベル平和賞受賞者のサーロー節子さんは、ロシアのウクライナ侵攻で受ける恐怖とトラウマは、核兵器が各国に保険のように使われることを助長するのではないか恐れているとコメントしております。そうなれば、核廃絶という多くの日本人が望む大きな目標が後退するのではないかと懸念を示しました。私も一人の地球市民として、国際的な平和外交が軽視され、戦争抑止力として核兵器保有が互いに助長されていく懸念を覚えてならないのであります。そのような点から冒頭申し上げました、県民の命と暮らしに心を用いて日夜努力されている村井知事御自身の世界平和観をお聞かせください。 大綱の二点目でありますが、長期化する新型コロナ禍での物価高、円安等についてであります。 四月の消費者物価指数は、前年同月比で二・一%の上昇を記録し、消費税率引上げの影響を除けば、実に十三年七か月ぶりの上昇幅となりました。一方で、賃金の上昇が追いついていないことから、実質賃金はマイナスとなり、家計負担が増大する言わば物価高となっています。このような状況を受けて、政府は四月二十六日、コロナ禍における原油価格・物価高騰等総合緊急対策を決定し、これに基づき総額二・七兆円規模の令和四年度補正予算を編成いたしましたが、うち一・五兆円は既に支出した予備費の埋め戻しに充てられ、残る僅か一・二兆円が原油価格・物価高騰対策として措置されており、極めて不十分ではないかと心配いたしております。これでは、物価高騰や円安に苦しむ中小事業者、国民生活を支えることに不安を感じるわけであります。知事はこれらの予算を有効に活用し、今定例会に補正予算を追加提案する予定としております。五期目に入った村井知事には多くの県民が大きな期待を寄せ、村井カラーで県民の生活や事業者の経営維持のための政策を展開してくれるだろうと、私も同様に期待しております。 一方、これまでの富県戦略の中では、時代の変化とバランスして成長させた領域と、衰退を生んだ領域とが二極化しております。多選為政者として、衰退を産んだ課題についてはしっかり道筋をつけるべく、責任を負っていかなければなりません。そのような観点から私が特に取上げたいのは、地域商店街や温泉街の衰退であり、様々な影響を与えております。一つ目は、やはり何といいましても地域雇用であります。小さな事業者、商店のパート従業員として働いている方々が不安でならないという声があります。商店が閉店すれば子供たちが地域からいなくなり、地域の経済の循環がストップしてしまい、買物に不都合な生活に追いやられてしまうという地域環境になります。令和二年度宮城県商店街実態調査では、商店街の最近の景況について、繁栄しているがゼロ%、やや繁栄しているが三・一%であります。一方、衰退しているが四五・三%、やや衰退しているが四二・八%となり、合わせて八八・一%が衰退していると答えているのが現実であります。このような悲鳴にも近い商店街の声に、追加提出予定の四号補正予算案も含め、知事としてどのような地域活動を支援し、維持を図ろうとしているのか伺います。 二つ目として、宮城県における円安リスクが外国人労働者や留学生に与える影響の問題であります。 今、日本は深刻な人手不足に陥りつつあります。少子高齢化によって、労働供給が細っていると言われております。もはや、外国人労働者なしに日本経済、はたまた宮城県内の地域経済は成り立ちません。この二年間、コロナの影響で日本に働きに来ることはできませんでしたが、日本政府の水際対策の規制緩和によって、この春から少し動きが出てまいりました。先日、石巻市に参りまして状況を伺ったところ、水産加工等を含めた水産関係では、五月末で百六名の方が正式に働いているが、実態はこれよりも多いだろうというお話でございました。宮城県の留学生を含め、生活や仕事、学習に対してできるだけ、このたびの物価高や円安による影響が和らぐ手助けができないものかと考えてならないわけでございます。今後、外国人の雇用を増やし安定させるためにも、まず円安を阻止する必要がありますが、外国人労働者の方々や留学生に対する支援策について、知事は今後どのように展開するおつもりなのか伺います。 三つ目は、低所得者や生活困窮世帯、子育て世帯に対するきめ細かな支援であります。 今年に入ってからの食料品、エネルギー関連の値上げラッシュを考えると、生活費の負担は昨年より年間で約十五万円前後上昇するのではないかと論評されています。一時金支給に偏らない総合的な支援メニューの確立が必要ではないかと考えますが、県の既存の支援策と連動する今後の支援策等について、知事の考えを伺うものであります。 四つ目でありますが、先ほど中島源陽議員が数値をもって詳しく申し上げたとおり、農畜産業や水産養殖業等における餌や燃料費の高騰による経営危機の問題であります。 先ほどの中島源陽議員の質問にもありましたけれども、六月の和牛の子牛市場では、昨年同時期の市場平均価格との一頭当たりの差額が六万五千円の下落となりました。これは、今年に入り市場の平均値が毎月下がっておりまして、経営的な面でいくと中島源陽議員が申し上げた数値になります。また、餌についても先ほど中島源陽議員が申し上げたように、三月の肥育用配合飼料が、工場渡しで一トン当たり一六%増の約七万五千円値上がりいたしました。更に、夏場に向けて約七千円から一万円の値上がりを飼料業者から示されているとのことでございます。また、ギンザケ養殖業者の方々も同様の嘆きを私に伝えてまいりました。私の友人はギンザケ稚魚の飼育をやっておりましたが、今年の八月で廃業することを決定したようであります。知事、資源高や円安等が及ぼす影響は、第一次産業の小規模事業者の方々までこのような影響が出ており、今後の地域経済に与える影響が大変心配でなりません。重ねての質問になりますけれども、追加提出を予定している五十六億円に及ぶ第四号補正予算案、その後の見通しを含めた経済対策について、それぞれどうお考えなのか伺います。 大綱の三点目でございますが、本県におけるサケふ化放流事業の今後の実施方針とサケ資源造成に向けた考え方についてお伺いいたします。 サケは申し上げるまでもなく、内水面漁業と海面漁業のコラボレーションによって資源造成する四年回帰魚で、我が国の重要な水産資源の一つであります。回転寿司に行くと、消費が一番大きいのがサケだと伺っております。その資源は主に人工ふ化放流によって造成、維持されてまいりました。本県では、今から百年以上前の明治時代から、宮城県方式として人工ふ化放流が行われてきたと伺っております。この間、内水面漁業によるふ化、飼育、放流の関係者や、国、県、沿岸市町など多方面の関係者の努力によって継承されてまいりました。昭和六十一年には、宮城県で初めて六千万尾の稚魚を放流することに成功いたしました。この結果、サケの来遊尾数は平成四年度に二百万尾を突破し、平成二十年度には過去最高となる三百四十四万尾を記録いたしました。東日本大震災後は一時的に百五十万尾を下回る年もありましたが、平成二十五年度、平成二十六年度には再び二百万尾を超え、震災で甚大な被害を受けた沿岸漁業者や流通・加工業者など、沿岸地域の復旧・復興に希望を与える重要な資源としておりました。 しかしながら、近年、県内の沿岸来遊尾数は減少し続けており、令和三年度には僅か三万七千尾となり、サケ資源の恩恵を受けてきた沿岸漁業者や流通・加工業者はもとより、内水面ふ化放流団体においても非常に気落ちしているところでございます。そこで見ていただきたいのが、南三陸町から提供いただいた市場における秋サケの水揚げ推移であります。(パネルを示す)地元選出の議員の皆様は日頃からこの問題に取り組んでおられるわけでありますが、令和元年から極端過ぎるくらいの落ち込みなのであります。これでは、沿岸の水産加工業者は原料を確保できないという中で今日まで努力されているわけでありますが、令和三年度も僅か三万七千尾であります。このような状況の中で、四年回帰魚であるサケは、四年後、八年後と連動的な影響を受けているわけでございまして、特に宮城県を含んだ三陸沿岸は壊滅的な状況であり、青森県から福島県、茨城県に至るまで調査いたしましたけれども、同様の状況であります。先ほど示した南三陸町地方卸売市場では、十七億円から十八億円の売上げが市場運営上の損益分岐点でありますが、ここ三年は十五億円程度、昨年は十四億二千八百万円の売上げとなっており、二億円から三億円の赤字が生じているというのが現実であります。このような状況で、沿岸の水産加工業をはじめ元気を取り戻してもらうためには、開設者である南三陸町の努力だけでは到底できないわけです。県漁協と連携をとりながら県の支援をしっかりと確立する中で、サケのふ化放流事業をしっかり育てていかなければならないと思っております。昨年度の南三陸町地方卸売市場の売上げは十四億二千八百万円でありますが、そのうち十億円はギンザケでありまして、他の魚の売上げは四億二千八百万円しかないということでありますので、このあたりに意を用いていただいて、その点をお伺いします。 水産関係の二つ目でありますが、私の提案であります。 県内におけるサケ資源造成事業に経営と運営の機能分担を取り入れて、すなわち、ネットワーク経営体にして、サケ資源の造成を図るべきだと思っております。これは、東北電力株式会社の組織改編におけるネットワーク経営体であります。そのような形でいくときに、本県の水産技術面の振興を統括してやっております公益財団法人宮城県水産振興協会がございます。更には、東松島市の渥美巌市長が会長である宮城県さけます増殖協会がございます。その下に、水系ごとのふ化団体を抱える内水面漁協がございます。そのような観点から、経営にはこの宮城県水産振興協会とさけます増殖協会が当たり、ふ化、飼育、放流までの資源造成管理を作業面でそれぞれの内水面漁協が担い運営していくという形でのネットワーク化であります。宮城県のサケふ化放流事業に要する経費は、沿岸漁業者がサケの水揚げ金の一部を拠出する水揚げ協力金、国・県などの稚魚買上げ費、関係団体からの負担金などで賄われているのが現実であります。このうち、稚魚買上げ費については、宮城県議会の御協力もあり、国からの手厚い支援を受けてまいりましたが、それもいよいよ少なくなりつつあり、更には先ほど申し上げたとおり水揚げが少ないものですから、水揚げ協力金が年々下がっているわけでございます。水揚げ協力金は、宮城県さけます増殖協会と各水系のさけます増殖協会が一定割合で受入れ、稚魚の放流状況に応じて、各ふ化団体に配分しているわけでありますけれども、ふ化団体の八割は、経営が持ちこたえられない状況でございます。残る二割はどうして持ちこたえられているかというと、公設民営による事業運営を行っているからです。南三陸町の例を申し上げると、施設は町が建設しています。片や内陸部のふ化団体は民設民営でございますので、施設の維持管理や建設資金の返済等で大変な負担となっているのが、宮城県のサケ資源造成の実態であります。それを今申し上げたようなネットワーク経営体にすることによって、組合員の減少や高齢化により撤退しようとするふ化団体に事業継続の希望を与えることができますし、更には多角経営の選択肢も可能となります。ギンザケの稚魚飼育、更には釣り餌用の魚を養殖することで、多角的な経営に乗り出していける可能性も出てきて、自助努力でも経営再建できるのであります。なかなか県としてこれまで動いてこない、水揚げ協力金をはじめとする財政的な問題から効率的な使い方に至るまで、知事としてぜひ目を向けていただければと思っております。大きな支出を伴うものではありません。経営と運営を分離することによって、より安定した資源造成が図れることになります。 三点目でありますが、本来、サケには前期群と後期群の回帰があり、来遊期間に幅がありました。しかしながら、昨今の海洋環境の変化によりまして、前期群に全て集中するようになりました。前期群というのは、だいたい九月下旬から十一月十日頃までに来遊するサケをいいます。十一月十日以降に来遊するサケは後期群と申します。宮城県では前期群と後期群の幅があることによって、安定的な市場性を確保しようということでやってまいりましたが、次のパネルを見ていただきたいと思います。(パネルを示す)田代島周辺における年間平均の海面水温の変化であります。ここ三年間の海面水温の変化と、先ほど示したサケ水揚げの推移がバランスするわけです。ここ三年間の水揚高が極端に下がっているのは、この田代島周辺の海面水温との関係が大きく影響していることは、学者の一致した意見であります。しっかりとした解析を県は今までやってこれればよかったのですが、行政改革の中ではなかなか試験研究に予算や人の手当てができなかったという点もあります。この前期群の考え方について、知事の考えを問います。 大綱四点目、県制百五十周年記念事業についてであります。 いろいろ冠をつけた公募などにより、百二十近い提案をいただいておりますが、県制百五十周年を契機として、過去に学び、現代を評価し、未来を開花させようとする主体性がありません。(パネルを示す)このように、県立の自然公園が、県北部の内陸部には、旭山公園以外にない状況であります。大崎市がSDGs未来都市に選定されましたので、県制百五十周年記念事業として、大崎市を中心とした県立自然公園を設けてはいかがでしょうか。 以上で、壇上からの質問を終わります。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) 佐藤仁一議員の一般質問にお答えいたします。大綱四点ございました。 まず、大綱一点目、昨今の国際情勢についての御質問にお答えいたします。 今年二月、ロシアがウクライナに侵攻し、力を背景とした一方的な現状変更が行われようとしていることに衝撃を受けるとともに、これまでの国際秩序が揺らいでいることに大きな懸念を抱いております。こうした国際情勢にあって、これまで以上に自由、民主主義、基本的人権の尊重、法の支配といった普遍的価値やルールに基づく国際秩序の維持と、これを支える外交、安全保障が大切であると痛感しております。平和は県政の発展と県民の方々の幸福の基礎となるものであり、知事として、平和を守っていかなければならないとの思いを強くしております。 次に、大綱二点目、長期化する新型コロナ禍での物価高、円安等についての御質問のうち、第一次産業における飼料価格や燃料費の高騰に対する、第四号補正予算での対応についてのお尋ねにお答えいたします。 資源高、円安等の影響による飼料、肥料、資材、燃油等の価格高騰は、第一次産業においても経営に深刻な影響を及ぼしており、経営継続に向けた支援が極めて重要であると認識しております。農畜産業では、補正予算において基幹品目である水稲の関連施設の省エネルギー化等を支援し、燃油使用量の削減等により、生産者の経営を下支えすることとしております。また、水産業においては、遠洋漁船に対する国外給油費への助成など、燃油価格高騰に伴う影響緩和措置を講じることにより、漁業経営の維持に努めていくこととしております。県といたしましては、今後とも国の支援制度を活用しながら、地域の重要産業である第一次産業の経営安定化に向けて、しっかりと取り組んでまいります。 次に、大綱三点目、宮城県さけます増殖振興プランの見直しとサケ資源増殖振興についての御質問のうち、ふ化放流事業の方針についてのお尋ねにお答えいたします。 我が県におけるサケ来遊尾数は、放流時期の海水温上昇など海洋環境の変化等により、近年著しく減少しております。県では、平成二十九年度に策定した宮城県さけます増殖振興プランに基づき、サケふ化放流団体や海面漁業者などと連携しながら、持続的かつ安定的な資源造成が図られるよう努めてまいりました。しかしながら、急激な資源の減少により、現行のプランに沿った取組を進めていくことが困難な状況にあることから、現在、ふ化放流事業関係者との意見交換を重ねながら、その見直し作業を行っているところであります。県といたしましては、厳しい状況の中でもふ化放流事業を継続していくため、今年九月までにプランを見直し、今漁期からは、ふ化場間の連携や機能分担など新しい体制で、サケ資源の再造成に向けた取組を進めてまいりたいと考えております。 次に、大綱四点目、宮城県制百五十周年の記念事業についての御質問にお答えいたします。 自然環境保全地域や緑地環境保全地域については、優れた自然環境を維持している地域を、今後も極力、人為を加えずに後世に伝えることを目的に指定しており、また、自然公園については、自然風景地の保護と利用増進を目的に指定しております。これらの地域については、国立公園や国定公園とともに、いずれも我が県を代表する豊かな自然環境であり、県制百五十周年を経てもなお、次世代に引き継いでいくべき大切な財産であります。自然環境保全地域及び緑地環境保全地域においては、税制上の優遇措置があり、例えば加護坊山、崑岳山は、ほとんどが民有地であるなど、県立自然公園への指定については課題もありますが、御提案のありました各地域については、地域指定は維持しつつ、今後、県制百五十年、二百年と県民に愛され親しまれる地域であり続けるよう願っております。県といたしましては、県制百五十周年に当たり、改めて我々が先人から受け継いだ豊かな自然に感謝し、今後、脱炭素社会の構築を目指すためにも、県民の生存基盤であるかけがえのない自然を次世代に託すことができるよう、健全で恵み豊かな自然環境の保全と適正な利活用に取り組んでまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 保健福祉部長伊藤哲也君。    〔保健福祉部長 伊藤哲也君登壇〕 ◎保健福祉部長(伊藤哲也君) 大綱二点目、長期化する新型コロナ禍での物価高、円安等についての御質問のうち、低所得世帯や生活困窮世帯、子育て世帯に対する支援策についてのお尋ねにお答えいたします。 県では、低所得等で生活に困窮している方に対する新型コロナウイルス感染症生活困窮者自立支援金や、ひとり親世帯等に対する児童扶養手当などを支給しております。また、金銭給付のみではなく、今後の生活を維持するための支援として、生活困窮者自立相談支援センターでは一人一人の状況に応じた支援プランを作成し、関係機関と連携しながら生活支援や就労支援を行うとともに、離職や収入の減少により家賃の支払いが困難になった方への住居確保支援、家計に課題を抱えている方への家計改善支援も行っております。今後も、支援を必要とする方の生活が維持されるよう、きめ細かな支援を行ってまいります。 私からは、以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 経済商工観光部長千葉隆政君。    〔経済商工観光部長 千葉隆政君登壇〕 ◎経済商工観光部長(千葉隆政君) 大綱二点目、長期化する新型コロナ禍での物価高、円安等についての御質問のうち、地域の経済活動の維持についてのお尋ねにお答えいたします。 人口減少に伴う需要の縮小、郊外の大型店との競合に加え、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による外出自粛、イベントの中止等により、商店街を取り巻く環境は厳しさを増しているものと認識しております。県では、従来から後継者不足や空き店舗の解消など商店街の課題解決を図るため、消費者ニーズや環境の変化に適合した持続的で発展的な商店街形成への支援や、新たな担い手の掘り起こしを図ってまいりました。また、ウィズコロナ、アフターコロナに対応するため、コワーキング施設の整備やイベント開催への補助などにより、にぎわい創出に向けた取組を支援しているところです。第四号補正予算では原油価格、物価高騰の影響を受けた認証飲食店への支援等に要する予算を計上することとしており、当初予算に計上しているこれらの事業もしっかりと活用して、商店街の売上げや集客の回復を図り、地域経済の活性化につなげられるよう努めてまいります。 次に、外国人労働者や留学生への支援についての御質問にお答えいたします。 外国人労働者は、多くの産業で労働力不足が課題となる中、県内産業の維持・発展を支える重要な存在であり、国の水際対策の緩和により、県内においても入国が徐々に進み、多くの外国人が新たな生活を始めるものと期待しております。昨今の円安や不安定な国際情勢に伴う物価高騰は、外国人労働者や留学生にとっても不安要素の一つであると考えられることから、県国際化協会に設置している、みやぎ外国人相談センターでは、日常生活における様々な相談に応じるとともに、生活資金貸付けなど外国人の方も利用可能な各種支援制度の周知に努めているところです。また、安定した生活を継続するためには、就労の機会を得ることが重要であることから、合同企業説明会や企業訪問ツアーなど、留学生を中心とした在住外国人と県内企業とのマッチングの取組を強化しているところです。県といたしましては、引き続き関係機関と連携を図りながら、日常生活を支える様々な制度に関する相談対応の強化や、留学生の県内就職に向けた支援の充実など、外国人が安心して生活できる環境整備を進め、在住外国人の増加につなげてまいります。 私からは、以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 水産林政部長吉田信幸君。    〔水産林政部長 吉田信幸君登壇〕 ◎水産林政部長(吉田信幸君) 大綱三点目、宮城県さけます増殖振興プランの見直しとサケ資源増殖振興についての御質問のうち、ふ化放流団体の事業継続についてのお尋ねにお答えいたします。 我が県のサケふ化放流事業は、大幅な来遊数の減少により、種卵及び稚魚放流数の確保が困難になっているほか、海面漁業者からの水揚げ協力金も大幅に減少しており、それに伴い、各ふ化放流団体の運営も厳しい状況にあるものと認識しております。このため県では、国の事業を活用し、海産親魚からの種卵確保の支援拡充や、稚魚の全量買上げと単価の引上げなど、各ふ化放流団体への支援強化を行っております。一方で、ふ化放流事業を安定的に継続していくためには、ふ化場間の連携や機能分担等によるコスト低減のほか、水揚げ協力金の配分方法など、実施体制の見直しの検討が必要であると考えております。県といたしましては、国に対し、ふ化放流実施体制の抜本的な再構築に向けた取組の強化を引き続き要望していくほか、今後のサケ来遊状況や各団体の経営状態、宮城県さけます増殖協会など関係者の意向を踏まえながら、サケふ化放流事業の継続を図ってまいります。 次に、今後のサケ資源の造成についての御質問にお答えいたします。 我が県では、来遊時期に幅のあるバランスのとれたサケ資源の構成を目指してまいりましたが、震災前後に後期群が減少したことに加え、近年は前期群も減少し、全体として極めて厳しい状況にあると認識しております。各ふ化放流団体においては、河川ごとの特性に応じながら限られた種卵を最大限活用し、健全な種苗の生産に努めており、今後は海洋環境の変化を踏まえた放流に対応していく中で、資源構成への状況についても注視していく必要があると考えております。県といたしましては、国に対し、種苗の大型化を含む新しい種苗生産、放流技術の開発など、資源の回復に向けた対策の拡充を引き続き要望していくほか、研究機関、関係道県等と連携しながら、適期・適サイズ放流などの取組を進め、サケ資源の再造成を図ることで安定した漁獲量を確保できるよう努めてまいります。 以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 十四番佐藤仁一君。 ◆十四番(佐藤仁一君) 全然、危機感を感じていないですよ。まずもって、暖かい海流が流れてきているためにサケが北上していかないことが、来遊数が減っている原因なのです。その調査はどうなっていますか。 ○議長(菊地恵一君) 水産林政部長吉田信幸君。 ◎水産林政部長(吉田信幸君) 国と関係機関との調査によりまして、議員おっしゃるとおり、サケの稚魚が放流されてから北上する際に、その海域に暖水塊等があることで、北上しにくい状況にあるということを聞いております。 ○議長(菊地恵一君) 十四番佐藤仁一君。 ◆十四番(佐藤仁一君) 宮城県の北西部、志津川から北ですが、ここからは後期群なんです。北上川の前期群が岩手県から注目を浴びているんです。このあたりの把握はどうなっていますか。 ○議長(菊地恵一君) 水産林政部長吉田信幸君。 ◎水産林政部長(吉田信幸君) 議員御指摘のとおり、河川ごとに前期群や後期群といった特性がありますので、その特性や地域に応じた放流に努めていくということで進めていたわけですが、やはり後期群のほうが減少したということもありまして、種苗確保のためにいろいろ工夫を重ねながら放流を続けていると理解しております。 ○議長(菊地恵一君) 五十八番藤倉知格君。    〔五十八番 藤倉知格君登壇〕 ◆五十八番(藤倉知格君) 藤倉知格と申します。前者の質問と重複する部分もありますが、粛々淡々と通告の順に従って質問してまいりたいと思います。 私はこれまで、令和二年九月と翌年十一月の定例会において、地域医療構想の推進及び四病院統合・連携等について、課題や問題点を指摘し一般質問を行ってきましたが、今回はその第三弾として質問してまいります。 さて、仙台医療圏における病院の統合・合築に関しては、先月、名取市長、富谷市長から知事に対して具体に候補地の提案がなされました。今議会開会日の知事説明においても、具体的な検討材料の一つが得られたことにより、今後の議論にも弾みがつくものと期待すること、引き続き年度内の基本合意に向け関係者との調整に努める旨、表明がありました。両市によると、候補地提案に当たっては、地元のみではなく、医療圏、更には広域的な視点からも政策医療の課題解決に資する候補地として提案したとも報じられています。一方、仙台市長は、「多くの市民や医療関係者が不安や疑念を持っており、県は進捗状況について情報を開示する必要がある。」と、度々指摘。仙台市からは特に、救急医療をはじめとする県が目指す病院再編に懸念が示され続けています。これまでの県と仙台市のやりとりを振り返ると、県は仙台市を含む仙台医療圏全体の救急医療体制の強化に資する効果を期待する立場をとり、仙台市は市内の救急医療体制の機能低下を懸念する立場からの主張を繰り返す状況にあります。双方の主張を整理し、客観的かつ具体的に効果を比較検討できれば、相当程度、互いの主張の溝を埋めることが可能となるはずです。今回の候補地提案を受けて、救急医療の充実には患者を受け入れる病院の機能面での強化も欠かせません。富谷市への新病院には脳卒中センターの開設を目指し、名取市の新病院には仙台赤十字病院にある総合周産期母子医療センター機能を維持、高度化するとしていますが、新病院を整備することで仙台医療圏の救急医療をどのように充実させようとしているのか、以下、伺ってまいります。 まず、新病院が目指す救急医療について、現在の東北労災病院と仙台赤十字病院は仙台市の二次輪番も担っていますが、移転後はどのような機能を備えた病院を目指すお考えか、お聞かせください。 また、新病院の整備に当たっては、その機能が最大限発揮できる立地条件が望まれますが、両市の候補地をどのような視点から分析、評価、検討を進めていくのか、お示しください。 県は昨年十二月、仙台市内からの搬送も受け入れることで、仙台市内の負荷軽減に資する可能性を示しましたが、両市提案の候補地に移転した場合、どのような効果が見込めるのか、可能な限り具体にお聞かせください。 仙台市は、市内の救急医療の課題として、応需率の低さや後方病床となる回復期病床の不足の問題を指摘しています。仙台医療圏の救急医療体制の強化、諸課題の解決を目指そうとする県として、仙台市の指摘をどのように捉え対応していく考えか伺います。 救急医療は医療関係者、救急搬送は消防本部、初期救急や二次輪番などの体制は市町村というように、それぞれ多くの関係者が重層的に担っています。仙台医療圏は病院数も多く、消防本部は五つの組織、関係自治体は十四市町村で構成されています。県は、このように多数の関係者の複雑多岐にわたる調整を通じて、目指すべき方向にまとめ上げていくことが求められますが、どのように取り組んでいくのか、その調整と手順及び決意をお聞かせください。仙台医療圏再編構想の取組を通じて、目指す効果が確実に実現されることを強く期待するものであります。 公共関与による新たな産業廃棄物最終処分場をめぐっては、これまでの一般質問で二度取上げ、地元住民の様々な不安、懸念、疑問、課題等について指摘してきました。 さて、昨年六月、県は新たな産業廃棄物最終処分場の最有力候補地として、大和町鶴巣地区を選定。以後、県及び環境事業公社による地元説明会が行政区単位にまで広げ重ねられてきました。私自身、ほぼ全ての説明会に出席し、地元住民の赤裸々な生の声に耳を傾けてきたつもりです。地区住民は、基本的に処分場の必要性には理解を示しつつも、これまで四十三年間にわたって受け入れてきた鶴巣地区を再選定したことへの強い不満や戸惑い、地下水汚染、産業廃棄物事業の更なる集積等を懸念する声が特に多く聞かれました。一方、処分場整備に対する住民の拒否感は依然として根強い中にあって、処分場の安全対策や地域の生活環境をめぐる具体的な諸課題などについて、県と住民が一部、問題意識を共有する場面も見受けられるようになってきているのも事実であります。現在、三巡目にわたる住民説明会を経て、処分場の安全対策と地域課題の解決支援に特化し、各行政区役員との協議の段階に移行しています。 さて、本問題に関する肝となる以下三点に絞り、伺ってまいります。 前回の一般質問でも言及しましたが、昭和五十三年、現在のクリーンプラザみやぎの立地の際、県と環境事業公社と大和町が交わした廃棄物処分場の環境保全に関する協定書についてです。 暗黙の共通認識であった、おおむね二十年とされる埋立て期間の延長や周辺隣接地への拡張等に関する記述がなかったことから、結果として四十三年もの歳月が積み重なることとなりました。この教訓を受け、新処分場では、それらの項目を明記するとともに、三者のみではなく、これに立地対象地区を加えた四者による協定書の締結が必要と考えます。クリーンプラザみやぎがたどってきた経緯に照らし合わせたとき、地元住民の立場からすれば、四者協定による信頼感や安心感を担保することの重要性をしっかりと受け止める必要があるからです。同時に処分場跡地利用についても、環境事業公社と地元住民に丸投げするレベルではなく、県が積極的に関与する裏づけのある仕組みを協定書に書き込むなどの踏み込んだ対応が欠かせませんが、それぞれお答えください。 廃棄物運搬車両の搬出入経路についてです。 当初示された経路が、県道大和・松島線から町道を経由するルートに変更されましたが、近隣住民の不安や負担をしんしゃくすれば、居住地を通行しない取付け道路を新設するなど更なる検討が必要と考えますが、いかがでしょうか。 仙台市地下鉄南北線泉中央駅以北への地下鉄延伸をめぐり、富谷市は今年三月、第一回富谷市総合交通検討委員会を開催、PFI方式に関する調査結果の概要が報告されました。調査は、泉中央から明石台間に単線の地下鉄を二〇四〇年に開業すると仮定し、ルートと中間駅の数や位置に応じて五つの案を提示、整備費三百八億円から四百五億円、運行経費を年四億一千万円と見積りました。PFI方式導入により、交通事業者などが建設や施設の維持管理を手がけるケースと比較すると、建設費を一〇%、運営費を七%削減でき、運賃収入の五%に当たる運賃外収入を得られるとの見通しを示しています。富谷市の都市・地域総合交通戦略基本計画の進捗状況及び新たな都市交通システムの整備手法検討調査の概要には、地下鉄整備の基本計画及び採算性の検討、地下鉄のPFI事業による整備・運営手法の検討、今後の課題等が各種データと共に実に詳細かつ克明にまとめられ、報告されています。 さて、地下鉄延伸等に関しては、以前、仙台北部地域への鉄軌道構想と題し、一般質問を行った経過があり、その際、今からちょうど百年前、仙台軌道、後の仙台鉄道が開業し、仙台市通町から黒川地域を貫き、加美町中新田経由で現在のJR西古川駅付近までの十七駅、四十四・一キロメートルのいわゆる軽便鉄道が走っていた歴史を紹介しました。しかし、昭和二十二年以降、立て続けに大型台風が襲来、昭和二十五年、複数の鉄橋が破壊され、廃線を余儀なくされました。詳細は割愛しますが、その後、昭和四十七年、県総合計画に都市大量高速鉄道として、古川-岩沼線の新設と現在の地下鉄南北線が書き込まれ、それは第二次、第三次、第四次総合計画まで引き継がれました。平成五年、宮城県と当時の黒川郡四町村で組織する、緑の未来産業都市くろかわ建設推進協議会が発足、協議会はそれまでの県総合計画の構想を踏まえ、新交通システム事業化計画調査及び新しい公共交通システム、LRT等導入に関する検討調査を実施。その後も継続的な調査が行われており、つまり、富谷市の一連の取組は一朝一夕のものではなく、これまで積み上げてきた成果を継承、補強する形で熟度を高め、確実にバージョンアップしてきていると思っています。しかも、この取組は富谷市のみではなく、広く仙台北部地域にとって積年の悲願でもあります。緑の未来産業都市くろかわ建設推進協議会以降、実に三十年になんなんとする鉄軌道導入を目指すこのチャレンジについて、県としてどのように捉え、評価し、期待をしているのかお伺いいたします。 若生富谷市長は、市単独の整備ではなく、国や県の協力を念頭に、建設計画やスケジュール検討のための調査を進めたいとしています。富谷市総合交通検討委員会の委員として県の企画部と土木部からも出席していますが、PFI方式による調査結果の概要を県としてどのように評価し、今後の課題をどのように分析しているのか、伺います。 近年、富谷市をはじめとする黒川圏域は、セントラル自動車、東京エレクトロンに象徴されるトップ企業群の集中立地及びそれに伴う急激な人口増加と深刻な交通渋滞等の課題が生起し、日々発展的変貌を遂げているエリアです。昨今の泉中央駅以北の開発動向の実態を踏まえ、県としての現状認識と今後の展望について伺います。 世界の人口の爆発的増加に伴い、やがて食料危機が訪れると、以前から繰り返し警告が発せられてきました。一七九八年、イギリスの経済学者マルサスが、その著「人口論」の中で、やがて人口と食料生産のバランスが崩れ、飢えと貧困、悪徳が生まれると予言しました。一九一三年、窒素肥料の合成技術がドイツで開発され、食料増産に貢献しましたが、翌年、第一次世界大戦が勃発、ヨーロッパは食料難に苦しみました。それから半世紀後の一九七〇年、ローマクラブの「成長の限界」が地球上の資源に限界があることを認識させ、更にその二年後、世界の穀倉地帯を軒並み同時不作が襲ったことを契機に、開発途上国の人口爆発が加わり、マルサスの命題が再び思い起こされるようになりました。食料をめぐる世界の最新事情は、マルサス以来の危機感を強く反映しています。ちなみに、これは平成二十年六月定例会での一般質問冒頭のくだりです。以上のような食料をめぐる世界の構造的背景に加え、しょうけつを極めたコロナ禍及びロシアによるウクライナ侵略は、世界の厳しい食料事情を急激に悪化させています。国は、カロリーベースで自給率四五%を目標に掲げたものの、日本の食料自給率全体は二〇二〇年で三七%となり、米の緊急輸入が行われた一九九三年の大凶作のときと同じパーセンテージまで落ち込んでいます。世界的な食料危機の渦中にあっても、忘却の民よろしく、面目躍如たるものがあります。以上、るる指摘してきた国内外の食料事情をめぐる深刻な実態と課題について、基本的にまず県としてどのように受け止め、対応していくのか伺います。 さて、食料自給率の向上は消費拡大とセットであり、その核心は地産地消の取組の徹底にあると思っています。現行のJAグループ等とタイアップした宮城米の販売促進、みやぎ米ブランド化戦略に基づくPR等々を着実に進めながら、地産地消のネットワークを県、市町村レベルで構築する仕組みづくりが最も継続性、実効性があると思っています。全国的には、実際に成功事例も散見されます。現状と課題、今後の対応を伺います。 米粉用米の生産量は、令和三年産は、全国で主食用米に対する割合は一%未満にとどまっています。ウクライナ侵略に伴う影響のほか、主要生産国の米国やカナダでの不作などもあり、日本国内で消費する小麦の約九割を輸入に頼っており、小麦の代替として米粉の活用がかつてなく求められています。しかし、米粉の製粉コストは小麦粉に比べて一・五倍から七倍程度高い実態にあり、製粉や製品加工の技術開発、コスト低減、消費者が求める商品開発、販売意欲の醸成等々の構造的な課題があるとされます。国は、ここにきて、ウクライナ情勢等を踏まえ、食料安全保障に関するリスク検証の公表や、主要農産物の国産化や利用拡大に向け様々な緊急支援策を打ち出しています。県においても、米粉を利用した商品開発やPRなどのレベルにとどまらず、この際、より踏み込んだ消費拡大対策を検討すべき事態だと思っています。県の具体の施策について伺います。 このような食料自給率向上の取組の蓄積を通じて、ひいては食料の安全保障や自立できる国家への道筋が視野に入ってくることを願っています。 去る五月十七日、山口壯環境大臣は新聞各社のインタビューに応じ、東京電力福島第一原発事故で発生した国の基準、一キログラム当たり八千ベクレルを上回る指定廃棄物の処理について、宮城県内に最終処分場を設置する方針に変わりはないと繰り返し発言と報じられました。その際、地元でOKしてもらわないとしようがないなどと発言。十年以上の長きにわたり、何ら身を挺して火中の栗を拾う努力もせず、忘れた頃合いにふっと姿を現して、評論家然としたコメントをのたまうていたらくが続いています。国の無為無策ここに極まれりの感を深くしています。 さて、平成二十六年一月、国は一方的に栗原市、加美町、大和町の県内三か所を指定廃棄物最終処分場の詳細調査候補地に選定、三市町は各議会や住民と共に白紙撤回、候補地返上を強く訴える活動を展開。自民党会派内にも関連の議員の会を立ち上げ対応した経過がありました。その後、しばらく膠着状態が続く中、国の提案を受けて知事は、名称を最終処分場から長期管理施設への方針転換を表明。更に国に対して、候補地撤回要請に踏み切った局面もありました。所管大臣等による発言があるたび、知事は八千ベクレル以下の廃棄物処理に一定のめどがついた段階で、改めて市町村長会議などの場で議論を再開すると繰り返してきました。現在、八千ベクレル以下の汚染廃棄物を保管する市町村数とそのか所数及び当初の廃棄物総量に対するこれまでの処理量や処理の見通しと課題について伺います。 要は一日も早く汚染廃棄物処理を完了し、次の指定廃棄物の解決に向かわなければならないからであります。環境省によると、県内の指定廃棄物は二〇二一年末時点で約二千八百三十トンとされていますが、指定廃棄物を保管している市町村数とそのか所数及びその保管状況についてもお聞かせください。 放射能濃度、つまり放射性セシウムは、セシウム一三四とセシウム一三七の合計値です。研究室などでの理論上では、セシウム一三四の半減期は二年、セシウム一三七の半減期は三十年ですが、十年を経過したセシウムの自然界における減衰の実態把握の意義は極めて大きいと思っています。県は、改めて最新の指定廃棄物の放射能レベルの測定結果を踏まえ、静ひつな環境の下で分散保管の継続も視野に検討し、これを国に提案するなどの現実的な対応が求められるタイミングに来ていると思っています。知事の見解と今後の対応をお聞かせください。 以上をもちまして、演壇からの一般質問を終了させていただきます。 御清聴ありがとうございました。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) 藤倉知格議員の一般質問にお答えいたします。大綱五点ございました。 まず、大綱一点目、仙台医療圏再編構想についての御質問にお答えいたします。 初めに、移転後の新病院が担うべき機能についてのお尋ねにお答えいたします。 富谷市に整備を想定している新病院については、循環器内科に強みを持たせ、併せて脳卒中発症患者にも対応できる質の高い救急体制を目指してまいります。また、精神医療については、基幹病院である県立精神医療センターの移転により、県全体の体制を構築する視点で検討するとともに、東北労災病院と連携し、身体合併症への対応にも取り組んでまいります。 次に、名取市に整備を想定している新病院については、全県を視野に入れた高度な周産期医療の提供のほか、幅広くがん患者に最適ながん医療の提供を実現できるよう取り組んでまいります。県といたしましては、質の高い救急医療体制や周産期医療の確保、精神病患者の身体合併症への対応、災害医療及び感染症対応等、再編に関係する病院の強みや特徴を生かす視点で協議を重ねてまいります。 次に、仙台市の指摘に対する県の認識についての御質問にお答えいたします。 仙台市は、昨年開催した仙台市の医療提供体制に関する懇話会を踏まえ、救急医療の搬送時間の短縮には、医療機関の立場だけではなく、応需率の向上や回復期病床の確保も必要であるとしており、この点、県としても同様の認識を持っているところであります。まず、応需率の向上については、各種研修や救急搬送情報共有システムなどの従来の取組に加え、救急病院が受入れを断らない具体的な方策について検討してまいります。また、後方病床の確保については、回復期など不足する医療機能の病床整備を要請しているほか、急性期から回復期への病床転換に必要となる施設や設備整備などに対して支援を行っておりますが、今後、仙台市の有識者会議の中でも取り上げられると聞いており、仙台市と十分に連携しながら取り組んでまいります。 次に、大綱二点目、公共関与による新産廃最終処分場についての御質問にお答えいたします。 初めに、運用期間等と協定締結者についてのお尋ねにお答えいたします。 新たな最終処分場の運用期間については、全国の公共関与型最終処分場の計画埋立て期間の平均である二十年を目安としており、地元の皆様にも御説明しております。運用期間は、今後の景気動向や大規模災害の有無等により変動する可能性もありますが、今後、協定締結に至った際には、改めておおむねの期間を明記したいと考えております。また、最終処分場の整備範囲についても、住民説明会等でお示ししているとおりであります。更に、協定締結者については、現在も地元の皆様との意見交換を継続しており、具体的に議論できる段階には至っておりませんが、引き続き意見交換を重ね、地元の皆様の御理解を前提として、協定締結の望ましい方向性について、大和町ともよく相談し検討してまいります。 次に、最終処分場の跡地利用に対する県の関与についての御質問にお答えいたします。 現在の最終処分場であるグリーンプラザみやぎの跡地利用については、今年三月に、施設の管理運営主体である宮城県環境事業公社が計画案を策定し、地元の皆様との意見交換を開始したところであります。計画案では、環境保全・創出、地域交流・継承、地域活性化の三つを基本コンセプトに、整備時期を含めた実施計画や実施主体を明示し、地域ニーズや社会的動向の変化にも柔軟に対応していくこととしております。新たな最終処分場についても、まずは環境事業公社が地元の皆様との意見交換を通じて、跡地利用計画を立案、策定することとしております。地元の皆様には、県全体の発展と県民生活の安定に多大な御協力をお願いすることとなりますことから、県といたしましても地域の振興が着実に進められるよう、協定書の記載内容の検討を含め、環境事業公社と共にしっかりと取り組んでまいります。 次に、大綱四点目、米の消費拡大を核とする食料の自給率向上と安全保障についての御質問のうち、国内外の食料事情をめぐる実態と課題に対する受け止めについてのお尋ねにお答えいたします。 世界の食料需給は、人口の増加や経済発展に伴う畜産物の需要増加等が進んでいるほか、気候変動等が食料生産に影響を及ぼす可能性もあり、中長期的には逼迫が懸念されております。穀物など食料の多くを海外からの輸入に依存している我が国にとっては、食料安全保障上、輸入の安定化や多角化とともに、国内の農業生産の増大に向けた取組がますます重要になっております。我が県は、基幹作物である米をはじめ、大豆、麦類等の主産県であることから、国内における食料の確保と自給率の向上のため、水田を最大限に活用して小麦、大豆、飼料作物などの一層の生産拡大に取り組むとともに、需要に応じた米の生産に取り組むなど、積極的にその役割を果たしてまいります。 次に、大綱五点目、指定廃棄物の問題についての御質問のうち、指定廃棄物処理についての見解と今後の対応についてのお尋ねにお答えいたします。 指定廃棄物については、時間の経過とともに放射能濃度が減衰しておりますが、その多くが民有地に保管されていることから、長期にわたり保管を強いられている農家等の負担解消のためには、処理に道筋をつけることが何より重要であると認識しております。県といたしましては、市町村長会議での合意に基づき、現在市町が保管している八千ベクレル以下の汚染廃棄物の処理にめどがついた時点で、改めて指定廃棄物の処理の在り方を議論するための市町村長会議を開催し、県としての考えをまとめた上で国に対応を求めたいと考えておりますが、その際にはゼロベースでの幅広い議論を想定しております。 私からは、以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 企画部長千葉章君。    〔企画部長 千葉 章君〕
    ◎企画部長(千葉章君) 大綱三点目、地下鉄延伸に向けた富谷市の取組についての御質問のうち、富谷市の取組に対する評価と期待はどうかとのお尋ねにお答えいたします。 緑の未来産業都市くろかわ建設推進協議会においては、平成五年に設立されて以来、黒川圏域の豊かな資源を生かした均衡ある発展と生活・文化の向上を目指し、数次にわたり公共交通システム導入に関する調査などに取り組んできたと承知しております。このような取組を踏まえ、富谷市においては令和二年三月に都市・地域総合交通戦略を策定し、基幹公共交通の整備の具体的な検討を進めるとしており、このことは黒川圏域の発展にも寄与するものと認識しております。地下鉄を含む基幹公共交通の整備については、今後とも地域住民や関係機関等と意見交換を重ねながら、議論を深めていただきたいと考えております。 次に、PFI方式による調査結果への評価及び今後の課題についての御質問にお答えいたします。 富谷市が行った地下鉄のPFI方式による整備・運営手法の検討調査については、今年三月に開催された富谷市総合交通検討委員会において、その概要が報告されております。この調査の概要によれば、建設費の削減、工期短縮等においてPFI方式が従来方式よりも有利になること、民間のノウハウの活用によりサービスの質の向上が期待できることなどが示されており、事業化に向けて事業手法の選択肢が広がるものと認識しております。今後の課題といたしましては、ルートや駅の絞り込みのため更なる検討が必要であることや、交通分野におけるPFI方式の事例がないため具体的な事業者を想定した検討が必要であることなどを考えております。 次に、泉中央駅以北の開発動向の実態を踏まえた現状認識と今後の展望についての御質問にお答えいたします。 泉中央駅以北においては企業立地が進み、新たな住宅地が開発されたことに伴い人口や交通量が増加しており、黒川圏域でも交通渋滞の緩和や交通弱者の移動手段の確保等を観点とした交通体系の整備が必要であると認識しております。富谷市においては、市民本位の利用しやすい交通体系を目指し、都市・地域総合交通戦略を策定し、新たな軸となる基幹公共交通の整備等の調査検討を進めるとしており、県といたしましては、富谷市総合交通検討委員会や関係市町村の地域公共交通会議を通じ、情報共有を行うとともに交通体系の整備に向けて必要な助言を行ってまいります。 私からは、以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 環境生活部長佐藤靖彦君。    〔環境生活部長 佐藤靖彦君登壇〕 ◎環境生活部長(佐藤靖彦君) 大綱二点目、公共関与による新産廃最終処分場についての御質問のうち、廃棄物搬出入のための取付道路の新設等についてのお尋ねにお答えいたします。 最終処分場への廃棄物搬出入経路の選定は、地域の生活環境を守る上で大変重要であり、慎重に検討すべきものと認識しております。このため県では、当初の提示案に対する地元の御意見を幅広く伺い、住民の方々からいただいた不安や懸念を十分に考慮し、複数の経路を検討した上で、新たに住家連担区間や通学路指定区間を避けた経路に変更し再提案しているところであり、引き続き地元の御意見を丁寧に伺ってまいります。 次に、大綱五点目、指定廃棄物の問題についての御質問のうち、八千ベクレル以下の汚染廃棄物の状況についてのお尋ねにお答えいたします。 八千ベクレル以下の汚染廃棄物は、平成二十九年の市町村長会議での合意に基づき、各市町において処理が進められております。汚染廃棄物は現在、十三市町、四百七十六か所で保管されており、市町村からの情報によると、おおむね四割の処理が進んでいるものと認識しております。全量処理の見通しと課題については、焼却処理を進める市町ではおおむね処理の見通しが立っている一方、農林地還元を進める一部の市町では、圃場の確保等に苦労しており、処理の長期化が見込まれることから、地域の理解醸成や処理までの保管強化など、今後一層の促進に向けて更なる支援が必要であると考えております。 次に、指定廃棄物の状況についての御質問にお答えいたします。 指定廃棄物については、直近の保管か所数等は国から示されておりませんが、平成二十八年当時の国の公表資料では九市町、三十九か所となっており、現時点においてもおおむね変わっていないものと考えております。保管状況については、保管市町等が定期的に状況を確認しつつ、国のガイドラインに基づき飛散・流出防止策を講じるなど、適切に保管されていると認識しております。 私からは、以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 保健福祉部長伊藤哲也君。    〔保健福祉部長 伊藤哲也君登壇〕 ◎保健福祉部長(伊藤哲也君) 大綱一点目、仙台医療圏再編構想についての御質問のうち、整備候補地に対する分析・評価の視点についてのお尋ねにお答えいたします。 整備候補地の評価に際しては、交通アクセスの良さや敷地の規模などの適性を備えているかどうかをまず判断する必要があると考えております。更に、政策医療の課題解決を目指しておりますので、地域バランスがとれた適正な配置であるか、救急搬送時間の改善につながるかなどの点も重要であると考えております。 次に、提案された場所に移転した場合の効果についての御質問にお答えいたします。 先月、名取市長から提案された場所は、仙台東部道路の名取スマートインターチェンジとJR館腰駅から車で約三分の距離にあり、また、富谷市長から提案された場所も東北自動車道泉インターチェンジから車で約五分、地下鉄泉中央駅からバスで約十分の距離にあり、いずれの場所も交通アクセスに優れているものと受け止めております。これらの場所は、二次救急の視点では仙台医療圏北部及び南部における救急搬送時間の短縮のほか、仙台市内における救急受入れの負担軽減や仙台市からの利用も期待できるものと考えております。また、周産期医療や災害医療の面からも地域の課題解決につながる適地であると考えております。 次に、救急医療関係者との調整などについての御質問にお答えいたします。 救急医療が抱える課題解決のためには、救急医療協議会での議論や現場、専門家の意見をしっかり聞くことが重要と考えております。救急医療協議会は、各病院の救命救急センター長、仙台市医師会、仙台市消防局、塩釜地区消防事務組合消防本部、仙台市担当課など、仙台医療圏で救急医療に携わる機関の多くの方々にも御参加いただいております。県といたしましては、このような場で議論を深め、救急医療の改善に向け仙台市を含む関係者と緊密に連携していくことで、新病院がその機能を最大限に発揮して、仙台医療圏及び全県的な救急医療体制の強化、推進につながるよう役割を果たしてまいります。 私からは、以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 農政部長宮川耕一君。    〔農政部長 宮川耕一君登壇〕 ◎農政部長(宮川耕一君) 大綱四点目、米の消費拡大を核とする食料の自給率向上と安全保障についての御質問のうち、地産地消のネットワークを構築する仕組みづくりについてのお尋ねにお答えいたします。 米を中心とした地産地消の推進については、宮城米マーケティング推進機構において、県産米を提供する県内の飲食店を「おいしい宮城米米飯提供店」として指定し、消費拡大を推進しているほか、宮城県学校給食会とJAグループ等の連携による県内の学校給食での県産米米飯給食の取組、米粉パンの提供などが行われております。また、各産地においても生産者やJA、農産物直売所などがネットワークを構築して、米の地産地消に取り組んでおります。地産地消の取組の課題としては、年間を通して安定的な品ぞろえが必要であることや、地域で生産される米の情報を地域の関係者に十分に提供できていないことなどが挙げられます。県といたしましては、関係団体等と連携しながら飲食店等への県産米に関する情報発信、学校給食における米や米粉の利用推進、地域ブランド米を活用した地産地消活動など、米の消費拡大と地産地消の取組を支援してまいります。 次に、米粉の消費拡大対策の検討についての御質問にお答えいたします。 米粉は、ウクライナ情勢などによる近年の輸入小麦の価格高騰のほか、欧米を中心としたグルテンフリー市場の拡大、国による用途別基準の設定などにより、小麦代替としての需要の拡大が見込まれております。米粉の消費拡大を図るためには、実需者が求める品質や数量を安定的に供給する必要があること、特にこれまで小麦を主原料として製造されてきた商品に使用する場合は、それぞれの用途に適した高い品質基準を満たす製粉技術が求められること、小麦に比べて製粉コストが高いことなどの課題があり、これらに対応しながら体制を整えていく必要があります。県といたしましては、関係団体や食品事業者等と連携を図りながら、これらの課題解決に取り組むとともに安定した需要が見込める学校給食での一層の活用検討、生産体制の充実などに取り組み、米粉の需要創出と米粉用米の生産拡大を図ってまいります。 以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 五十八番藤倉知格君。 ◆五十八番(藤倉知格君) それぞれ御答弁ありがとうございました。大綱五点ですけれども、その中でも特に、公共関与による新産廃最終処分場についてです。 私が一般質問でも述べましたとおり、この問題については三点の肝に絞り込んで質問させていただきました。なぜかといいますと、昨年六月からの経過にも触れたとおり、これまで住民説明会等があり臨んできたわけでありますが、やはり地域として不安や懸念が相当深くあり、これまで払拭し切れていない。また、前段申し上げましたとおり、それでも地域課題等について、少しですが県と話がかみ合う部分も出てきたということも事実であります。そういった環境にあって、もう一歩二歩、地元住民の理解を得るためには、どうしても現状の住民説明会でのやりとり、あるいは今の知事と関係部長の答弁のレベルでは、なかなか至難の業ではないかと思い、様々な問題がある中で、あえて三点に絞り込んだ指摘をしてお聞きしたのです。町と県と環境事業公社との三者による協定が、かつてクリーンプラザみやぎの折にありました。それもあって、地元地区としても一枚二枚かむことによって安心感を確保したいという願望も物すごく強いのです。ですから、県としてはまだ説明会の最中であるからということで、もう少し時間を置きたい、あるいは様子見をしたいという本音もあるでしょうが、このタイミングくらいに、県として踏み込んだ腹を見せておくくらいの姿勢が、やはり私は必要ではないかと思って、あえて絞り込んだ質問をいたしました。その辺について所感などがあれば、ぜひ知事からお聞きしたいと思います。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 同じようなことが、ついこの間まで仙台空港の二十四時間化の問題でもございました。これも当然、住民の皆さんの中にいろんな御意見があって、賛成・反対いろいろあったんですけれども、結果的には県、名取市、岩沼市とでそういう形で覚書を結ばせていただいたわけであります。地域の住民が入ればという御意見ですけれども、今後も同じような課題が出てくることは間違いないわけでありまして、そのときに地域の代表というと、やはり県から見ると市町村ということになりますので、ここに住民の皆さんを入れるということについては、慎重に考えていく必要があるのではないかというのが私の考え方であります。当然、住民の皆さんから出た意見はできるだけ包含した形で、大和町が意思表示をされるものと思っておりますので、その上で大和町としっかり協定を結ぶことによって、住民の皆さんに御理解いただけるのではないかと、そこをまず目指して努力していきたいと思っております。 ○議長(菊地恵一君) 五十八番藤倉知格君。 ◆五十八番(藤倉知格君) 跡地利用についても同じような問題として協定書に書き込むくらいの扱いをしっかり県として担保することの必要性について、これは住民説明会でいろんな意見を聞いた切実で赤裸々な地域の声なんです。今後も住民説明会等が続くわけでありますので、そういったプロセスの中で、当然、県としてここ一番の決断を迫られる局面が出てくると思いますので、そういったこともしんしゃくしながら進めてほしいということは要望しておきたいと思います。 それから、指定廃棄物の件なんですけれども、東日本大震災でこの問題が発生してから十年が経過して、県の立場からすれば、今はあまり話題にもならない中で寝た子を起こすように、放射能レベルの再測定と言われても困るといった本音はあると思います。それはそうでしょう、行政側にしてみれば。しかし、産業廃棄物と同様に、この指定廃棄物の問題もやはり解決しなければならないんです。できれば大騒ぎしないで静ひつな環境の下で、解決に導くための一つの手法として、分散保管の継続ということも再検討しなければならないと思うんです。そのためのプロセスの一つとして、放射能レベルを測定して実態把握しなければならない。ですから、一般質問で今申し上げたわけですが、実験室や研究室のレベルでは、セシウムの半減期は二年だ三十年だと言いますけれども、専門家の話を聞きますと、自然界での風雪等の下では微妙な変化もあるそうです。ですから、十年が過ぎたこの段階でまずは測定してみて、その結果に応じて再検討に入っていくということが大事だと思うので、この測定の実施について、知事の所管をお伺いします。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) これは国が管理しているものでありますので、当然、定期的に調べるというのは必要なことだと思いますが、恐らく指定廃棄物の中でも八千ベクレル以下のものがありますので、大量に保管しておられる市町を回って、首長さんからお話を聞きまして、いよいよ八千ベクレル以下の農林業系廃棄物の処分が始まっておりますので、次の段階として、八千ベクレル以下の指定廃棄物をどうするのかという議論をしましょうと言ったんですけれども、まだ早過ぎると、その議論にはまだ入るわけにはいかないと言われましたので、今は足踏み状態が続いているということであります。自然界ではまた環境が違うと言われましても、濃度が濃くなることは常識としてあり得ないと、今より濃度が下がることはあっても上がることはないということでありますので、明日、あさってに調べなければならないというものではないだろうと思っております。ただ、藤倉議員のおっしゃることも筋が通っておりますので、やはり定期的に調べて、保管状況がしっかりされているかどうか、雨が当たっていないか、袋が破れていないか、そういうことを定期的に点検して、しっかり管理されているか確認しながら、全量ではなくてもそこにあるものがどれぐらいの濃度になっているか、減衰の状況がどうなっているのかということをしっかり調べてもらうということは必要だと思いますので、環境省の事務所のほうにしっかり伝えていきたいと思っております。 ○議長(菊地恵一君) 五十八番藤倉知格君。 ◆五十八番(藤倉知格君) 指定廃棄物の件なんですけれども、八千ベクレル超ということなんですが、ごく一部ですが、県内には万単位レベルの指定廃棄物もあったわけで、もちろんいろいろ問題が出るので地域名は指定しておりません。しかし、恐らく相当高いレベルがまだ保持されている部分もあるはずなんです。ただし、八千ベクレルという一つの基準の中で、もう既に汚染廃棄物に近いレベルまで濃度が下がっているものが大半だと思うんです。ごく一部に、当初のレベルで三万なにがしというものがあって、それから相当下がってはいるんですけれども、まだまだ高い部分もあると思います。それを一律に八千ベクレル超と称して指定廃棄物と同じ扱いにしているために、なかなか前に進まない、解決の糸口がつかめないっていうのは、私はおかしいと思うんです。やはり処理できるレベルのところから再測定していくという手法もあるのではないかと思うのですが、これについてはどうでしょうか、 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 私もその考え方に基づいて、特にたくさんの量を保管されておられる大崎市、登米市、栗原市、加美町、こういったところと話をしたのですが、皆さん異口同音に、まだ八千ベクレル以下の農林業系廃棄物を燃やし始めたばかりで、まだかなりの時間がかかるので、今の段階において指定廃棄物と一旦指定されたものについて議論するのは、時期尚早であるという御意見でありました。保管されている市町の首長さん方がそのようにおっしゃるのですから、当然、私が強制的に話を進めるわけにはいかないということで、分かりましたと申し上げましたが、もう少し時期を置いて、八千ベクレル以下の農林業系廃棄物の処理のめどが少し見えてきた段階でまた御相談申し上げますということで、帰ってきたということであります。私自身は、やはり放射性廃棄物の処理が終わって初めて震災からの復興が完遂したという形になるだろうと思っています。ハード面の整備が終わってもこの部分がまだ残っているということで、あの震災が起きたときの知事として責任を感じておりますので、何とか早く処理できるように引き続き努力してまいりたいと思っております。 ○議長(菊地恵一君) 五十八番藤倉知格君。 ◆五十八番(藤倉知格君) どうもありがとうございました。以上です。 ○議長(菊地恵一君) 以上をもって、質疑、質問を終結いたします。 お諮りいたします。 ただいま議題となっております各号議案中、議第百十三号議案につきましては、予算特別委員会に付託いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(菊地恵一君) 御異議なしと認めます。 よって、さように決定いたしました。 残余の各号議案は、お手元に配布の議案付託表のとおり、それぞれ所管の委員会に付託いたします。……………………………………………………………………………………………    議案付託表      第三百八十四回宮城県議会(六月定例会)令和四年六月二十八日議案番号件名提出年月日委員会議第百十三号議案令和四年度宮城県一般会計補正予算四・六・一五予算特別議第百十四号議案太陽光発電施設の設置等に関する条例同環境福祉議第百十五号議案手数料条例の一部を改正する条例同建設企業議第百十六号議案宮城県県税条例の一部を改正する条例同総務企画議第百十七号議案地方活力向上地域における県税の課税免除等に関する条例の一部を改正する条例同総務企画議第百十八号議案環境影響評価条例の一部を改正する条例同環境福祉議第百十九号議案民生委員の定数を定める条例の一部を改正する条例同環境福祉議第百二十号議案野営場条例等の一部を改正する条例同経済商工観光 文教警察議第百二十一号議案県営住宅条例の一部を改正する条例同建設企業議第百二十二号議案特定公共賃貸住宅条例の一部を改正する条例同建設企業議第百二十三号議案災害弔慰金等支給審査会条例を廃止する条例同総務企画議第百二十四号議案災害弔慰金等支給審査会等の事務の受託の廃止について同総務企画議第百二十五号議案公立大学法人宮城大学の定款変更について同総務企画議第百二十六号議案財産の取得について(電子プローブマイクロアナライザ一式)同経済商工観光議第百二十七号議案財産の取得について(情報通信機器(タブレット端末等)一式)同文教警察議第百二十八号議案工事請負契約の締結について(高砂三号ふ頭三号荷役機械設備工事)同建設企業議第百二十九号議案工事請負契約の締結について(仙台塩釜港塩釜港区防潮堤改良工事)四・六・一五建設企業議第百三十号議案工事請負変更契約の締結について(宮城県船形の郷居住棟改築工事)同環境福祉議第百三十一号議案工事請負変更契約の締結について(南部地区職業教育拠点校(仮称)校舎等新築工事)同文教警察議第百三十二号議案権利の放棄について同経済商工観光----------------------------------- △議第百三十三号議案・議第百三十四号議案 ○議長(菊地恵一君) 日程第七及び日程第八、議第百三十三号議案及び議第百三十四号議案を一括して議題といたします。 知事から追加提出議案の提案理由の説明を求めます。知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) 提出議案の概要を御説明申し上げます。 初めに、令和四年度一般会計補正予算案は、国が四月に決定したコロナ禍における「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」の内容を踏まえ、物価の高騰が県民生活や事業活動にもたらす影響を緩和するとともに、コロナ禍からの経済社会活動の回復に向け、速やかに対応すべき施策に要する経費を追加計上するものであります。 その主な内容ですが、事業活動の継続や回復に向けた支援のうち、燃油価格の高騰への対応としては、厳しい経営環境に置かれている交通事業者や貨物運送事業者に対し、事業継続に向けた支援を行います。また、国の燃料油価格激変緩和対策事業の対象とならない遠洋漁船の国外給油に要する費用の一部を支援するとともに、産地魚市場が水揚げ漁船に対して実施する燃油高騰対策への助成を行います。 省エネルギー化やコスト削減の実現に向けては、ものづくり企業による省エネ設備の導入や自家消費型発電設備の設置を進めるほか、社会福祉施設等に対しては、ICT設備の導入を併せて支援し、光熱費の抑制や業務の効率化を促します。また、コロナ対策の認証飲食店を対象として、省エネ設備への更新やデジタル機器の導入を支援するとともに、その利用促進に向けた広報活動を展開いたします。農業分野では、省エネ性能の高い穀類乾燥機の導入などにより、燃油高騰の影響を受けにくい生産体制を構築するほか、農業用水利施設の修繕や補修による機能回復を進め、生産者の負担軽減を図ります。 このほか、中小企業への対策として、新型コロナウイルス感染症の拡大により売上げが減少した事業者を対象に、販路開拓や生産性向上、感染防止対策に係る取組を広く支援するとともに、続可能な経営形態への転換などを促進する観点から、国の中小企業等事業再構築促進事業に採択された事業者に対する上乗せ支援を行います。 コロナ禍において物価高騰等の影響を受ける生活者への支援については、新型コロナウイルス感染症生活困窮者自立支援金の申請期限が延長されたことを踏まえ、予算の追加を行います。また、低所得の子育て世帯に対する生活支援特別給付金の支給に要する経費を計上するとともに、感染拡大の影響が長期化する中で、以前にも増して重要な役割を担うフードバンクや子ども食堂の活動を支援いたします。更に、保護者負担の軽減を図るため、県立学校及び私立学校における学校給食の食材価格高騰分への助成を行います。 また、ウクライナから本県に避難された方々に対して、ウクライナ語による相談体制の充実を図るほか、通訳の活用や日本語講座の受講などに要する経費を支援いたします。 今回の補正規模は、一般会計、総会計ともに五十六億八千九百余万円となり、財源は全額国庫支出金を充当しております。この結果、今年度の予算規模は、一般会計で一兆一千四百八十八億二千三百余万円、総計で一兆六千二百四十八億八千七百余万円となります。 次に、予算外議案でありますが、議第百三十四号議案は、教育職員免許法の改正に伴い、手数料条例について所要の改正を行おうとするものであります。 何とぞ、慎重に御審議を賜りまして可決されますようお願い申し上げます。 ○議長(菊地恵一君) 補正予算案に係る各部長説明要旨は、お手元に配布のとおりであります。 これより質疑に入ります。 質疑はありませんか。--質疑なしと認めます。 お諮りいたします。 ただいま議題となっております各号議案中、議第百三十三号議案につきましては、予算特別委員会に付託いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(菊地恵一君) 御異議なしと認めます。 よって、さように決定いたしました。 議第百三十四号議案につきましては、お手元に配布の議案付託表のとおり、文教警察委員会に付託いたします。……………………………………………………………………………………………    議案付託表      第三百八十四回宮城県議会(六月定例会)令和四年六月二十八日議案番号件名提出年月日委員会議第百三十三号議案令和四年度宮城県一般会計補正予算四・六・二八予算特別議第百三十四号議案手数料条例の一部を改正する条例同文教警察----------------------------------- △休会の決定 ○議長(菊地恵一君) お諮りいたします。 委員会審査のため、明日から七月四日まで六日間本会議を休会とし、七月五日再開することにいたしたいと思います。これに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(菊地恵一君) 御異議なしと認めます。 よって、明日から七月四日まで六日間本会議を休会とし、七月五日再開することに決定いたしました。 なお、ただいま御出席の諸君には改めて通知いたしませんから、御了承願います。----------------------------------- △散会 ○議長(菊地恵一君) 以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。 七月五日の議事日程は、追って配布いたします。 本日は、これをもって散会いたします。    午後三時三分散会...