平成28年 2月 定例会(第355回) 第三百五十五回宮城県議会(定例会)会議録 (第三号)平成二十八年二月二十四日(水曜日) 午前十時開議 午後四時五分散会 議長 安部 孝君 副議長 長谷川洋一君出席議員(五十九名) 第一番 大内真理君 第二番 角野達也君 第三番 内藤隆司君 第四番 高橋 啓君 第五番 鎌田さゆり君 第六番 遠藤伸幸君 第七番 庄田圭佑君 第八番 深谷晃祐君 第九番 遠藤隼人君 第十番 中嶋 廉君 第十一番 福島かずえ君 第十二番 天下みゆき君 第十三番 三浦一敏君 第十四番 佐々木功悦君 第十五番 境 恒春君 第十六番 太田稔郎君 第十七番 横山のぼる君 第十八番 渡辺勝幸君 第十九番 横山隆光君 第二十番 佐々木賢司君 第二十一番 守屋守武君 第二十二番 石川利一君 第二十三番 熊谷義彦君 第二十四番 渡辺忠悦君 第二十五番 遠藤いく子君 第二十六番 すどう 哲君 第二十七番 吉川寛康君 第二十八番 伊藤和博君 第二十九番 長谷川 敦君 第三十番 佐々木幸士君 第三十一番 村上智行君 第三十二番 細川雄一君 第三十三番 高橋伸二君 第三十四番 菊地恵一君 第三十五番 只野九十九君 第三十六番 佐々木喜藏君 第三十七番 石川光次郎君 第三十八番 佐藤光樹君 第三十九番 中島源陽君 第四十番 岸田清実君 第四十一番 菅間 進君 第四十二番 坂下 賢君 第四十三番 ゆさみゆき君 第四十四番 藤原のりすけ君 第四十五番 坂下やすこ君 第四十六番 庄子賢一君 第四十七番 本木忠一君 第四十八番 中山耕一君 第四十九番 長谷川洋一君 第五十番 安部 孝君 第五十一番 齋藤正美君 第五十二番 安藤俊威君 第五十三番 渥美 巖君 第五十四番 畠山和純君 第五十五番 仁田和廣君 第五十六番 藤倉知格君 第五十七番 相沢光哉君 第五十八番 中沢幸男君 第五十九番 渡辺和喜君
-----------------------------------説明のため出席した者 知事 村井嘉浩君 副知事 三浦秀一君 副知事 若生正博君 公営企業管理者 犬飼 章君 総務部長 山田義輝君 震災復興・企画部長 大塚大輔君 環境生活部長 佐野好昭君 保健福祉部長 伊東昭代君 経済商工観光部長 吉田祐幸君 農林水産部長 後藤康宏君 土木部長 遠藤信哉君 会計管理者兼出納局長 宮原賢一君 総務部参事兼秘書課長 平間英博君 総務部財政課長 齋藤元彦君 教育委員会 委員長 伊藤 均君 教育長 高橋 仁君 教育次長 西村晃一君 選挙管理委員会 委員長 菊地光輝君 事務局長 冨田政則君 人事委員会 委員長 小川竹男君 事務局長 谷関邦康君 公安委員会 警察本部長 中尾克彦君 総務部長 岡崎良則君 労働委員会 事務局長 武藤伸子君 監査委員 委員 工藤鏡子君 事務局長 大内
仁君----------------------------------- 議会事務局 局長 西條 力君 次長兼総務課長 半沢 章君 参事兼議事課長 菅原幹寛君 政務調査課長 泉 洋一君 副参事兼総務課長補佐 菅原 正君 副参事兼議事課長補佐 川村 満君 議事課長補佐(班長) 布田惠子君 議事課長補佐 菅原 厚君
----------------------------------- 議事日程 第三号 平成二十八年二月二十四日(水)午前十時開議第一 会議録署名議員の指名第二 議第一号議案ないし議第五十三号議案及び議第百二十一号議案第三 議第百二十二号議案 平成二十七年度宮城県一般会計補正予算第四 議第百二十三号議案 平成二十七年度宮城県公債費特別会計補正予算第五 議第百二十四号議案 平成二十七年度宮城県
母子父子寡婦福祉資金特別会計補正予算第六 議第百二十五号議案 平成二十七年度宮城県
中小企業高度化資金特別会計補正予算第七 議第百二十六号議案 平成二十七年度宮城県農業改良資金特別会計補正予算第八 議第百二十七号議案 平成二十七年度宮城県
沿岸漁業改善資金特別会計補正予算第九 議第百二十八号議案 平成二十七年度宮城県林業・
木材産業改善資金特別会計補正予算第十 議第百二十九号議案 平成二十七年度宮城県県有林特別会計補正予算第十一 議第百三十号議案 平成二十七年度宮城県土地取得特別会計補正予算第十二 議第百三十一号議案 平成二十七年度宮城県
土地区画整理事業特別会計補正予算第十三 議第百三十二号議案 平成二十七年度宮城県流域下水道事業特別会計補正予算第十四 議第百三十三号議案 平成二十七年度宮城県港湾整備事業特別会計補正予算第十五 議第百三十四号議案 平成二十七年度宮城県水道用水供給事業会計補正予算第十六 議第百三十五号議案 平成二十七年度宮城県工業用水道事業会計補正予算第十七 議第百三十六号議案 平成二十七年度宮城県地域整備事業会計補正予算第十八 議第百三十七号議案 国民健康保険財政安定化基金条例第十九 議第百三十八号議案 手数料条例の一部を改正する条例第二十 議第百三十九号議案 住民基本台帳法施行条例の一部を改正する条例第二十一 議第百四十号議案 地域環境保全特別基金条例の一部を改正する条例第二十二 議第百四十一号議案 食品衛生取締条例等の一部を改正する条例第二十三 議第百四十二号議案 消費者行政活性化基金条例の一部を改正する条例第二十四 議第百四十三号議案 地域医療再生臨時特例基金条例の一部を改正する条例第二十五 議第百四十四号議案 自殺対策緊急強化基金条例の一部を改正する条例第二十六 議第百四十五号議案 森林整備担い手対策基金条例の一部を改正する条例第二十七 議第百四十六号議案 一級河川の指定及び変更について(名取川水系川内沢川及び杉の沢川)第二十八 議第百四十七号議案 訴えの提起について第二十九 議第百四十八号議案 民事調停の申立て及び調停の目的が達成されなかった場合における訴えの提起について第三十 議第百四十九号議案 工事請負変更契約の締結について(宮城県立こども病院等改修工事)第三十一 議第百五十号議案 工事請負変更契約の締結について(五ヶ村堀排水機場建設工事)第三十二 議第百五十一号議案 権利の放棄について(生活保護費の徴収金に係る債権)第三十三 議第百五十二号議案 権利の放棄について(農業改良資金貸付金の償還金の支払いの不履行による違約金に係る債権)第三十四 議第百五十三号議案 権利の放棄について(林業改善資金貸付金の償還金の支払いの不履行による違約金に係る債権)第三十五 議第百五十四号議案 権利の放棄について(県営住宅の滞納家賃等に係る債権)第三十六 議第百五十五号議案 平成二十七年度流域下水道事業受益負担金の変更について第三十七 報告第一号 専決処分の報告について(寒風沢地区海岸堤防災害復旧工事(その一)の請負契約の変更)第三十八 報告第二号 専決処分の報告について(寒風沢地区海岸堤防災害復旧工事(その二)の請負契約の変更)第三十九 報告第三号 専決処分の報告について(
宮戸地区海岸堤防等災害復旧工事(その四)の請負契約の変更)第四十 報告第四号 専決処分の報告について(寒風沢地区海岸堤防災害復旧工事(その三)の請負契約の変更)第四十一 報告第五号 専決処分の報告について(荒浜第一排水機場機械設備工事の請負契約の変更)第四十二 報告第六号 専決処分の報告について(五ヶ村堀排水機場機械設備工事の請負契約の変更)第四十三 報告第七号 専決処分の報告について(荒浜北部地区区画整理工事の請負契約の変更)第四十四 報告第八号 専決処分の報告について(吉田中部地区区画整理工事の請負契約の変更)第四十五 報告第九号 専決処分の報告について(吉田東部一期地区区画整理工事の請負契約の変更)第四十六 報告第十号 専決処分の報告について(在郷工区農地災害復旧及び区画整理工事の請負契約の変更)第四十七 報告第十一号 専決処分の報告について(吉田南部地区区画整理工事(その二)の請負契約の変更)第四十八 報告第十二号 専決処分の報告について(吉田南部地区区画整理工事(その三)の請負契約の変更)第四十九 報告第十三号 専決処分の報告について(岩沼地区農地災害復旧及び区画整理工事(その一)の請負契約の変更)第五十 報告第十四号 専決処分の報告について(岩沼地区農地災害復旧及び区画整理工事(その二)の請負契約の変更)第五十一 報告第十五号 専決処分の報告について(岩沼地区農地災害復旧及び区画整理工事(その三)の請負契約の変更)第五十二 報告第十六号 専決処分の報告について(高島・鳥屋崎地区農地災害復旧及び区画整理工事の請負契約の変更)第五十三 報告第十七号 専決処分の報告について(吉田西部地区区画整理工事(その二)の請負契約の変更)第五十四 報告第十八号 専決処分の報告について(最知工区農地災害復旧及び区画整理工事の請負契約の変更)第五十五 報告第十九号 専決処分の報告について(西戸川工区農地災害復旧及び区画整理工事の請負契約の変更)第五十六 報告第二十号 専決処分の報告について(
大曲浜林地荒廃防止施設災害復旧工事(その二)の請負契約の変更)第五十七 報告第二十一号 専決処分の報告について(
長須賀林地荒廃防止施設災害復旧工事の請負契約の変更)第五十八 報告第二十二号 専決処分の報告について(
大曲浜林地荒廃防止施設災害復旧工事(その三)の請負契約の変更)第五十九 報告第二十三号 専決処分の報告について(
浜市林地荒廃防止施設災害復旧工事の請負契約の変更)第六十 報告第二十四号 専決処分の報告について(十八
成等林地荒廃防止施設災害復旧工事の請負契約の変更)第六十一 報告第二十五号 専決処分の報告について(
崎野林地荒廃防止施設災害復旧工事の請負契約の変更)第六十二 報告第二十六号 専決処分の報告について(万石浦沿岸漁場整備工事(その二)の請負契約の変更)第六十三 報告第二十七号 専決処分の報告について(荒浜漁港泊地災害復旧及び鳥の海沿岸漁場整備工事の請負契約の変更)第六十四 報告第二十八号 専決処分の報告について(閖上漁港岸壁等災害復旧工事の請負契約の変更)第六十五 報告第二十九号 専決処分の報告について(石巻漁港桟橋等災害復旧工事の請負契約の変更)第六十六 報告第三十号 専決処分の報告について(
石巻漁港雨水排水ポンプ場建設工事の請負契約の変更)第六十七 報告第三十一号 専決処分の報告について(浦の浜漁港桟橋等災害復旧工事の請負契約の変更)第六十八 報告第三十二号 専決処分の報告について(石巻漁港防波堤災害復旧工事(その三)の請負契約の変更)第六十九 報告第三十三号 専決処分の報告について(波路上漁港防波堤等災害復旧工事の請負契約の変更)第七十 報告第三十四号 専決処分の報告について(雄勝漁港岸壁等災害復旧工事の請負契約の変更)第七十一 報告第三十五号 専決処分の報告について(
志津川漁港防潮堤等災害復旧工事の請負契約の変更)第七十二 報告第三十六号 専決処分の報告について(
志津川漁港防潮堤等災害復旧工事(その二)の請負契約の変更)第七十三 報告第三十七号 専決処分の報告について(志津川漁港防潮堤災害復旧工事の請負契約の変更)第七十四 報告第三十八号 専決処分の報告について(
石巻漁港雨水排水ポンプ場機械設備等工事の請負契約の変更)第七十五 報告第三十九号 専決処分の報告について(渡波漁港護岸等災害復旧及び赤堀地区海岸堤防新設工事の請負契約の変更)第七十六 報告第四十号 専決処分の報告について(石巻漁港桟橋災害復旧工事(その三)の請負契約の変更)第七十七 報告第四十一号 専決処分の報告について(仁斗田漁港岸壁等災害復旧及び野積場補修工事の請負契約の変更)第七十八 報告第四十二号 専決処分の報告について(荒浜漁港導流堤等災害復旧並びに新築及び改築工事の請負契約の変更)第七十九 報告第四十三号 専決処分の報告について(塩釜漁港桟橋等災害復旧及び改築工事の請負契約の変更)第八十 報告第四十四号 専決処分の報告について(渡波漁港桟橋等災害復旧工事(その二)の請負契約の変更)第八十一 報告第四十五号 専決処分の報告について(閖上漁港防潮堤新築工事の請負契約の変更)第八十二 報告第四十六号 専決処分の報告について(波路上漁港防潮堤災害復旧工事の請負契約の変更)第八十三 報告第四十七号 専決処分の報告について(気仙沼漁港防潮堤等災害復旧及び野積場補修工事の請負契約の変更)第八十四 報告第四十八号 専決処分の報告について(石巻漁港護岸等災害復旧及び新築工事の請負契約の変更)第八十五 報告第四十九号 専決処分の報告について(波路上漁港防潮堤災害復旧工事(その二)の請負契約の変更)第八十六 報告第五十号 専決処分の報告について(塩釜漁港桟橋等災害復旧及び改築工事(その二)の請負契約の変更)第八十七 報告第五十一号 専決処分の報告について(渡波漁港防潮堤災害復旧工事の請負契約の変更)第八十八 報告第五十二号 専決処分の報告について(波路上漁港物揚場等災害復旧工事の請負契約の変更)第八十九 報告第五十三号 専決処分の報告について(一般国道三百九十八号新北上大橋災害復旧工事の請負契約の変更)第九十 報告第五十四号 専決処分の報告について(一般国道三百九十八号内海橋(仮称)災害復旧工事の請負契約の変更)第九十一 報告第五十五号 専決処分の報告について(一般国道三百九十八号大和田橋(仮称)新設(下部工)工事の請負契約の変更)第九十二 報告第五十六号 専決処分の報告について(一般国道三百九十八号真野川橋(仮称)新設(下部工)工事の請負契約の変更)第九十三 報告第五十七号 専決処分の報告について(
一般県道大島浪板線小々汐道路改良工事の請負契約の変更)第九十四 報告第五十八号 専決処分の報告について(一般国道三百九十八号大和田川橋(仮称)新設(上部工)工事の請負契約の変更)第九十五 報告第五十九号 専決処分の報告について(一般国道三百九十八号真野川橋(仮称)新設(上部工)工事の請負契約の変更)第九十六 報告第六十号 専決処分の報告について(
主要地方道塩釜亘理線亘理大橋橋梁耐震補強(下部工)工事(その二)の請負契約の変更)第九十七 報告第六十一号 専決処分の報告について(
主要地方道奥松島松島公園線宮戸道路改築工事の請負契約の変更)第九十八 報告第六十二号 専決処分の報告について(
主要地方道岩沼蔵王線姥ヶ懐トンネル(仮称)工事の請負契約の変更)第九十九 報告第六十三号 専決処分の報告について(長塩谷・
立神地区海岸護岸等災害復旧工事の請負契約の変更)第百 報告第六十四号 専決処分の報告について(高城川護岸災害復旧工事の請負契約の変更)第百一 報告第六十五号 専決処分の報告について(小
白浜地区海岸護岸等災害復旧工事の請負契約の変更)第百二 報告第六十六号 専決処分の報告について(北上運河護岸等災害復旧工事の請負契約の変更)第百三 報告第六十七号 専決処分の報告について(富士川護岸等災害復旧工事(その三)の請負契約の変更)第百四 報告第六十八号 専決処分の報告について(富士川護岸等災害復旧工事(その四)の請負契約の変更)第百五 報告第六十九号 専決処分の報告について(
浦戸地区海岸等堤防等災害復旧工事の請負契約の変更)第百六 報告第七十号 専決処分の報告について(定川護岸等災害復旧工事(その一)の請負契約の変更)第百七 報告第七十一号 専決処分の報告について(定川護岸等災害復旧工事(その二)の請負契約の変更)第百八 報告第七十二号 専決処分の報告について(鹿折川護岸等災害復旧工事の請負契約の変更)第百九 報告第七十三号 専決処分の報告について(大谷地区海岸離岸堤災害復旧工事の請負契約の変更)第百十 報告第七十四号 専決処分の報告について(五間堀川護岸等災害復旧工事(その一)の請負契約の変更)第百十一 報告第七十五号 専決処分の報告について(桜川護岸等災害復旧工事の請負契約の変更)第百十二 報告第七十六号 専決処分の報告について(砂押川等護岸等災害復旧工事の請負契約の変更)第百十三 報告第七十七号 専決処分の報告について(
長須賀地区海岸等護岸等災害復旧工事の請負契約の変更)第百十四 報告第七十八号 専決処分の報告について(
館浜地区海岸等護岸等災害復旧工事の請負契約の変更)第百十五 報告第七十九号 専決処分の報告について(
戸倉地区海岸等護岸等災害復旧工事の請負契約の変更)第百十六 報告第八十号 専決処分の報告について(
東名地区海岸護岸等災害復旧工事(その三)の請負契約の変更)第百十七 報告第八十一号 専決処分の報告について(北上運河護岸等災害復旧工事(その三)の請負契約の変更)第百十八 報告第八十二号 専決処分の報告について(大川護岸等災害復旧工事の請負契約の変更)第百十九 報告第八十三号 専決処分の報告について(定川護岸等災害復旧工事(その四)の請負契約の変更)第百二十 報告第八十四号 専決処分の報告について(砂押川等護岸等災害復旧工事(その二)の請負契約の変更)第百二十一 報告第八十五号 専決処分の報告について(七北田川護岸等災害復旧工事の請負契約の変更)第百二十二 報告第八十六号 専決処分の報告について(
横須賀地区海岸護岸等災害復旧工事(その二)の請負契約の変更)第百二十三 報告第八十七号 専決処分の報告について(
片浜地区海岸堤防等災害復旧工事の請負契約の変更)第百二十四 報告第八十八号 専決処分の報告について(後
馬場地区海岸等護岸等災害復旧工事の請負契約の変更)第百二十五 報告第八十九号 専決処分の報告について(五間堀川護岸等災害復旧工事(その八)の請負契約の変更)第百二十六 報告第九十号 専決処分の報告について(旧砂押川護岸等災害復旧工事の請負契約の変更)第百二十七 報告第九十一号 専決処分の報告について(南貞山運河護岸等災害復旧工事(その三)の請負契約の変更)第百二十八 報告第九十二号 専決処分の報告について(八幡川等護岸等災害復旧工事の請負契約の変更)第百二十九 報告第九十三号 専決処分の報告について(折立川護岸等災害復旧工事の請負契約の変更)第百三十 報告第九十四号 専決処分の報告について(
清水田地区海岸等堤防等災害復旧工事の請負契約の変更)第百三十一 報告第九十五号 専決処分の報告について(坂元川等護岸等災害復旧工事の請負契約の変更)第百三十二 報告第九十六号 専決処分の報告について(青野沢川護岸等災害復旧工事の請負契約の変更)第百三十三 報告第九十七号 専決処分の報告について(大川等護岸等災害復旧工事の請負契約の変更)第百三十四 報告第九十八号 専決処分の報告について(水戸辺川等護岸等災害復旧工事の請負契約の変更)第百三十五 報告第九十九号 専決処分の報告について(大谷川地区海岸等護岸等災害復旧工事の請負契約の変更)第百三十六 報告第百号 専決処分の報告について(戸花川護岸等災害復旧工事(その一)の請負契約の変更)第百三十七 報告第百一号 専決処分の報告について(中貞山運河護岸等災害復旧工事(その二)の請負契約の変更)第百三十八 報告第百二号 専決処分の報告について(青野沢川護岸等災害復旧工事(その二)の請負契約の変更)第百三十九 報告第百三号 専決処分の報告について(坂元川等護岸等災害復旧工事(その二)の請負契約の変更)第百四十 報告第百四号 専決処分の報告について(南貞山運河護岸等災害復旧工事(その五)の請負契約の変更)第百四十一 報告第百五号 専決処分の報告について(七北田川護岸等災害復旧工事(その四)の請負契約の変更)第百四十二 報告第百六号 専決処分の報告について(登米沢地区海岸護岸等新設工事の請負契約の変更)第百四十三 報告第百七号 専決処分の報告について(五間堀川等堤防等改良工事の請負契約の変更)第百四十四 報告第百八号 専決処分の報告について(八幡川護岸等災害復旧工事の請負契約の変更)第百四十五 報告第百九号 専決処分の報告について(女川護岸等災害復旧工事の請負契約の変更)第百四十六 報告第百十号 専決処分の報告について(気仙沼港岸壁等災害復旧工事の請負契約の変更)第百四十七 報告第百十一号 専決処分の報告について(気仙沼港胸壁等災害復旧工事の請負契約の変更)第百四十八 報告第百十二号 専決処分の報告について(女川港防波堤災害復旧工事(その五)の請負契約の変更)第百四十九 報告第百十三号 専決処分の報告について(仙台塩釜港石巻港区防潮堤等災害復旧工事の請負契約の変更)第百五十 報告第百十四号 専決処分の報告について(仙台塩釜港塩釜港区桟橋災害復旧工事の請負契約の変更)第百五十一 報告第百十五号 専決処分の報告について(仙台塩釜港石巻港区防潮堤建設工事(その三)の請負契約の変更)第百五十二 報告第百十六号 専決処分の報告について(仙台塩釜港石巻港区防潮堤災害復旧及び建設工事の請負契約の変更)第百五十三 報告第百十七号 専決処分の報告について(仙台塩釜港石巻港区防潮堤災害復旧工事(その三)の請負契約の変更)第百五十四 報告第百十八号 専決処分の報告について(雄勝港防潮堤災害復旧工事の請負契約の変更)第百五十五 報告第百十九号 専決処分の報告について(気仙沼港護岸等災害復旧工事の請負契約の変更)第百五十六 報告第百二十号 専決処分の報告について(仙台塩釜港石巻港区防潮堤建設工事(その四)の請負契約の変更)第百五十七 報告第百二十一号 専決処分の報告について(仙台塩釜港石巻港区防潮堤建設工事(その五)の請負契約の変更)第百五十八 報告第百二十二号 専決処分の報告について(仙台塩釜港塩釜港区胸壁等災害復旧工事(その三)の請負契約の変更)第百五十九 報告第百二十三号 専決処分の報告について(雄勝港防潮堤災害復旧工事(その二)の請負契約の変更)第百六十 報告第百二十四号 専決処分の報告について(仙台塩釜港塩釜港区桟橋等災害復旧工事(その三)の請負契約の変更)第百六十一 報告第百二十五号 専決処分の報告について(雄勝港防潮堤災害復旧工事(その三)の請負契約の変更)第百六十二 報告第百二十六号 専決処分の報告について(雄勝港防潮堤災害復旧工事(その四)の請負契約の変更)第百六十三 報告第百二十七号 専決処分の報告について(仙台塩釜港塩釜港区護岸等災害復旧工事の請負契約の変更)第百六十四 報告第百二十八号 専決処分の報告について(仙台塩釜港仙台港区津波漂流物対策施設建設工事の請負契約の変更)第百六十五 報告第百二十九号 専決処分の報告について(仙台塩釜港塩釜港区物揚場等災害復旧及び防潮堤建設工事の請負契約の変更)第百六十六 報告第百三十号 専決処分の報告について(都市計画道路門脇流留線魚町道路改築工事の請負契約の変更)第百六十七 報告第百三十一号 専決処分の報告について(石巻市新蛇田A-二街区地区災害公営住宅新築工事の請負契約の変更)第百六十八 報告第百三十二号 専決処分の報告について(石巻市新蛇田D街区地区災害公営住宅新築工事の請負契約の変更)第百六十九 報告第百三十三号 専決処分の報告について(南三陸町伊里前地区災害公営住宅新築工事の請負契約の変更)第百七十 報告第百三十四号 専決処分の報告について(南三陸町戸倉地区災害公営住宅新築工事の請負契約の変更)第百七十一 報告第百三十五号 専決処分の報告について(石巻市新蛇田南B街区地区災害公営住宅新築工事(その一)の請負契約の変更)第百七十二 報告第百三十六号 専決処分の報告について(石巻市新蛇田南B街区地区災害公営住宅新築工事(その二)の請負契約の変更)第百七十三 報告第百三十七号 専決処分の報告について(南三陸町志津川西地区災害公営住宅新築工事の請負契約の変更)第百七十四 報告第百三十八号 専決処分の報告について(塩竈市北浜地区第一期災害公営住宅新築工事の請負契約の変更)第百七十五 報告第百三十九号 専決処分の報告について(宮城県名取高等学校校舎改築工事(その一)の請負契約の変更)第百七十六 報告第百四十号 専決処分の報告について(宮城県名取高等学校校舎改築工事(その二)の請負契約の変更)第百七十七 報告第百四十一号 専決処分の報告について(宮城県気仙沼警察署庁舎災害復旧及び新築工事の請負契約の変更)第百七十八 報告第百四十二号 専決処分の報告について(和解及び損害賠償の額の決定)第百七十九 報告第百四十三号 専決処分の報告について(県営住宅等の明渡請求等に係る訴えの提起)第百八十 報告第百四十四号 専決処分の報告について(交通事故に係る和解及び損害賠償の額の決定)第百八十一 一般質問(代表) 〔中島源陽君、藤原のりすけ君、遠藤いく子君〕----------------------------------- 会議に付した事件一 日程第一 会議録署名議員の指名二 日程第二ないし日程第百八十 議第一号議案ないし議第五十三号議案及び議第百二十一号議案並びに議第百二十二号議案ないし議第百五十五号議案及び報告第一号ないし報告第百四十四号三 日程第百八十一 一般質問(代表) 〔中島源陽君、藤原のりすけ君、遠藤いく子君〕-----------------------------------
△開議(午前十時)
○議長(安部孝君) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は、お手元に配布のとおりであります。-----------------------------------
△会議録署名議員の指名
○議長(安部孝君) 日程第一、会議録署名議員の指名を行います。 会議録署名議員に、二十一番守屋守武君、二十二番石川利一君を指名いたします。-----------------------------------
△議第一号議案ないし議第五十三号議案・議第百二十一号議案
△議第百二十二号議案ないし議第百五十五号議案
△報告第一号ないし報告第百四十四号・一般質問(代表)
○議長(安部孝君) 日程第二ないし日程第百八十、議第一号議案ないし議第五十三号議案及び議第百二十一号議案並びに議第百二十二号議案ないし議第百五十五号議案及び報告第一号ないし報告第百四十四号を一括して議題といたします。 知事から追加提出議案の提案理由の説明を求めます。知事村井嘉浩君。 〔知事 村井嘉浩君登壇〕
◎知事(村井嘉浩君) ただいま追加上程されました平成二十七年度一般会計補正予算案を初め提出議案の概要を御説明申し上げます。 宮城県震災復興計画に定めた十年間は、間もなく折り返しを迎えようとしております。私にとりましてこの五年間は長くもありそして短くもあったというのが、今の正直な実感であります。 現在もなお約五万人もの方々が応急仮設住宅や県外の避難先などで不自由な暮らしを余儀なくされておりますが、これだけ多くの皆様を長い間お待たせしていることに対しましては、大変申し訳なく思っております。どうしても予定どおりに進められない事業があったこともあり、復興を待ちわびてこられた方々には、余りにも長い五年間であったものと私自身受けとめているところであります。 また、同時に、これまで毎日のように難しい課題や新たな事態に直面し、私といたしましては、その対応に全力を注ぎ込んできたつもりであり、時間が大変短く感じられるほど密度の濃い五年間でもありました。少しずつではありますが着実に復興の姿を示し始めるまでに至りましたのも、議員各位を初め県民の皆様の御協力はもとより、国内外からのたくさんの温かい御支援があったたまものであり、心から厚く御礼申し上げる次第であります。 今年度もたくさんの方々とお会いし、御意見を伺う機会がありました。その中でひしひしと感じましたのは、ハード面での復興が進むに従い、心に大きな傷を抱えた方々には孤独感や喪失感がむしろ増してきているのではないかという懸念であり、また、県外の方々の間では東日本大震災の記憶が次第に薄れつつあるのではないかという危惧であります。被災された方々に寄り添い、気持ちの上でもしっかりと支えていくことが何よりも大事であるとの思いを強くすると同時に、被災地の実情を繰り返し発信し続けていくことがますます重要になっていると痛感した次第であります。すべての県民の皆様の心の復興なくして我が県の真の復興はありませんし、未曾有の災害の教訓が国内外の方々の心の中にしっかりと根づき、次の災害で生かされることがなければ、私たちの復興への取り組みが真に実を結んだとは言えないものであります。 今年度で国の定める五年間の集中復興期間が終了し、来年度からは復興・創生期間という新たな五年間がスタートいたします。この名称にもふさわしく、今後は、人と人とのきずなを取り戻し、充実した暮らしをつくり上げていく施策にもこれまで以上に力を注ぎ、必ずや県民の皆様が誇りを感じ、内外の皆様が支援してよかったと思えるような我が県の復興を成し遂げてまいる所存でありますので、なお一層の御理解と御協力をお願い申し上げます。 さて、今年度の財政運営についてでありますが、復興事業を進めるための財源については、国からの支援を初めとしてほぼ必要な額を確保することができました。また、県税収入が当初の見込みを上回るなどの状況から、各種の事業について支障なく取り組むことができ、とりわけ、昨年九月には関東・東北豪雨により大きな被害に見舞われたものの、応急的な対策から災害に強い川づくりなど抜本的な対策まで、腰を据えて対応することができたものと考えております。 今回の補正予算案では、関東・東北豪雨や東日本大震災への対応として必要となる追加的な予算措置を講じますとともに、事業費や財源の確定見込みに伴う計数整理を踏まえて、退職手当債など元利償還への財源措置のない県債の発行を取りやめるほか、特定目的基金の残高を確保し、今後必要となる財政負担に備えることとして編成したものであります。 補正予算案の主な内容ですが、まず、関東・東北豪雨関連事業としましては、災害査定などの結果を踏まえ、国から予算の追加内示があったことから、河川や農地などの復旧を急ぐとともに、県管理河川において堤防の決壊や越水を防ぐため、災害に強い川づくりを強力に推進してまいります。また、被災された農業者の農業用施設や機械の再取得に要する経費に対して補助するほか、特に甚大な被害が生じた大崎市が行う被災者支援事業等に対し、県独自の財政支援を行います。 東日本大震災関連事業としては、震災で親を亡くした子供たちのためにお寄せいただいた御厚意を東日本大震災みやぎこども育英基金に追加して積み立てるとともに、先月国に第十四回目となる申請を行った復興交付金を基金に積み立て、来年度の財源として活用してまいります。また、県が保有していた仙台空港ビルと仙台エアカーゴターミナルの全株式について、空港運営権者である仙台国際空港株式会社に売却いたしましたので、その収入を地域整備推進基金に積み立て、今後の空港関連の振興策に活用してまいります。更に、気仙沼市立病院の移転新築について、建設費の高騰に伴い補助金を増額するほか、県産材利用エコ住宅についてもニーズに合わせて補助の枠を百三十棟分ふやします。 その他の事業としては、貧困や障害などさまざまな困難を抱えている方々への支援に今後重点的に取り組むための財源として社会福祉基金の充実を図るとともに、農林水産業全般にわたる担い手の確保を一層強化するため、新たに農林水産業担い手対策基金に所要の財源を積み立てます。また、県有施設の更新や長寿命化を計画的に進めるための基金、地域の環境保全を図るための基金にも積み増しを行うほか、平成三十年度に予定されている市町村国民健康保険の都道府県単位化に備えて、新設する国民健康保険財政安定化基金に国からの交付金を積み立ててまいります。 以上、補正予算案の主な内容について御説明申し上げましたが、今回の補正額は一般会計で六百一億八千四百余万円の減額、総計では五百七十四億二千二百余万円の減額となります。財源としては、県税百四十四億円、地方消費税清算金百四十三億四千六百万円などを追加する一方、諸収入四百二十七億六千二百余万円、県債百七十八億六千五百余万円、国庫支出金百三十一億二千八百余万円などを減額しております。この結果、今年度の予算規模は、一般会計で一兆四千七百十六億五千五百余万円、総計で一兆八千三百十九億七千余万円となります。 予算外議案については、条例議案九件、条例外議案十件を提案しておりますが、そのうち主なものについて概要を御説明申し上げます。 まず、条例議案でありますが、議第百三十七号議案は、国民健康保険財政安定化基金を設置しようとするものであります。また、議第百三十八号議案は、長期優良住宅に係る認定申請手数料を定めようとするもの、議第百四十号議案及び議第百四十二号議案ないし議第百四十四号議案は、基金の失効期日を延長しようとするもの、議第百四十一号議案は、東日本大震災により被害を受けた者に係る手数料の免除の期間を延長しようとするもの、議第百四十五号議案は、森林整備担い手対策基金を農林水産業担い手対策基金に改めようとするものであります。 次に、条例外議案でありますが、議第百四十六号議案は、一級河川の指定及び変更について、議第百四十七号議案は、応急仮設住宅等の明渡しを求める訴えの提起について、議第百四十八号議案は、交通事故の損害賠償額に係る民事調停の申立て及び訴えの提起について、議第百四十九号議案及び議第百五十号議案は、工事請負変更契約の締結について、議第百五十一号議案ないし議第百五十四号議案は、県営住宅の滞納家賃等に係る債権の放棄について、議第百五十五号議案は、流域下水道事業の維持管理に係る市町村受益負担金の変更について、それぞれ議会の議決を受けようとするものであります。 以上をもちまして、提出議案に係る概要の説明を終わりますが、何とぞ慎重に御審議を賜りまして可決されますようお願い申し上げます。
○議長(安部孝君) 補正予算案に係る各部局長説明要旨は、お手元に配布のとおりであります。 地方公務員法第五条第二項の規定により、関係議案について県人事委員会の意見を求めましたところ、お手元に配布のとおり意見が提出されました。……………………………………………………………………………………………宮人委第297号 平成28年2月19日 宮城県議会議長 安部 孝殿 宮城県人事委員会 委員長 小川竹男 条例案に対する意見について 平成28年2月16日付け宮議第434号で意見を求められた条例案に対する意見については,下記のとおりです。 記 「議第19号議案 地方公務員法及び地方独立行政法人法の一部を改正する法律の施行に伴う関係条例の整理に関する条例」 この条例案は,地方公務員法(昭和25年法律第261号)の一部改正に伴い,外国の地方公共団体の機関等に派遣される職員の処遇等に関する条例,公益的法人等への職員の派遣等に関する条例,人事行政の運営等の状況の公表に関する条例,職員の退職手当に関する条例,義務教育諸学校等の教育職員の給与等の特別措置に関する条例,職員の勤務時間,休暇等に関する条例学校職員の勤務時間・休暇等に関する条例及び職員の特殊勤務手当に関する条例について,所要の改正を行うものであり,適当と認めます。 「議第20号議案 学校教育法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係条例の整理等に関する条例」 この条例案中第1条については,学校教育法(昭和22年法律第26号)の一部改正に伴い,職員の勤務時間,休暇等に関する条例及び学校職員の勤務時間,休暇等に関する条例について,所要の改正を行うものであり,適当と認めます。 「議第21号議案 職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例」 この条例案は,地方公務員法(昭和25年法律第261号)の一部改正に伴い施行される等級別基準職務表に関する規定に基づき,職員の給与に関する条例,一般職の任期付職員の採用等に関する条例及び一般職の任期付研究員の採用等に関する条例について,所要の改正を行うものであり,適当と認めます。……………………………………………………………………………………………
○議長(安部孝君) ただいま議題となっております各号議案についての質疑と、日程第百八十一、一般質問とをあわせて行います。 質疑、質問は、順序に従い許します。三十九番中島源陽君。 〔三十九番 中島源陽君登壇〕
◆三十九番(中島源陽君) おはようございます。議長のお許しをいただきましたので、自由民主党・県民会議を代表して質問をさせていただきます。 大綱一点、創造的復興の現状と展望についてであります。 あの東日本大震災より、ことしの三月十一日で丸五年を経過することとなります。何年たったとしても、肉親や身近な方を失い、生きてきたあかしとしてのふるさとの姿が一変したつらく悲しい思いは消えることはありません。改めての弔意とお見舞いの意を表したいと思います。また、一方では、そうした思いを心に秘めながらも、それぞれの学校での学びやスポーツに全力を傾けている子供たち、仕事の場を再生するために汗を流している方々、地域のつながりを復活すべくさまざまな活動を展開している方々のように、あの大震災を乗り越えようとしている力強いたくさんの姿があります。時として大自然は人間の想像をはるかに超える現象を引き起こし大きな試練を与えますが、人間もまた大自然の中で生き抜いてきた歴史が証明するように、人間としての愛や知恵や勇気が必ず次の時代を切り開いてきました。今に生きる私たちも、先人が引き継いできたように、必ずやすばらしい宮城として復興し、未来へと引き継いでいくことを確信しているところであります。 現在、本県では震災復興計画の再生期に入っており、二月十一日の復興の進捗状況によれば、約二万戸の応急仮設住宅に四万五千人余の方が住まいしております。一方、災害公営住宅は、計画戸数一万五千九百十七戸に対して、工事の着手率は九一%になっているものの、完成率は五一%であります。また、防災集団移転事業に関しては建築可能割合が七二%となり、これから徐々に住宅等の建設が進むものと思います。また、そうした暮らしの場を守る防潮堤に関しては、海岸保全施設、港湾施設、漁港等、それぞれの管轄で工事が進められているところでありますが、完成率は五〇%を大きく下回っている状況にあります。このほかにも、道路、河川、治山などさまざまな社会基盤の復興整備や産業復興が進められているところであります。 創造的復興を掲げてきた村井知事は、この復旧・復興の五年間をどのように総括されているのか、改めて所見を伺います。 また、被災した一人一人が安心できる日常生活を再生していくためには、心と健康の問題は極めて重要であります。県としても、仮設住宅サポートセンター、みやぎ心のケアセンター、子どもの心のケアチーム、仮設住宅等の入居者の健康調査、聴覚に障害を持つ方々のためのみみサポみやぎなど、さまざまな支援策を実施しておりますが、教育委員会の調査によれば、不登校の原因として震災の影響を受けている子供の割合は五ないし一〇%と、年数を経過しても一定の割合になっています。また、心のケアセンターの累計相談件数は一万九千件を超えており、大人にとっても心の問題は深刻な状況が続いています。以前お邪魔した仮設住宅の方とお話しした際にも、部屋から出たくないという人もいて、孤立の長期化も心配されています。そうした意味においては、これまで以上に被災した一人一人に心を向けた支援が継続的に求められているものと思います。 県としての被災した方々の心と健康の現状に対する認識と新年度における取り組み方針について改めて伺います。 将来に向けた本県における防災機能を確保していくための施設として宮城野原地区に整備予定している広域防災拠点と県内七圏域に予定している圏域防災拠点の整備に関して、新年度予算でもそれぞれに調査費や資機材整備等の経費が計上されているところであります。備えあれば憂いなしと言われるように、いかなる災害に対しても万全な体制を整えていくことは重要なことと思いますが、災害はいつ、どこで、どのような規模で発生するのかを予測することは難しいのが現実であります。こうした点を踏まえ、県としての防災拠点を整備する以上、考えられるだけの災害種別で、最大の規模で、最大の地域で、最大の被害を想定することもまた不可欠であり、そうした場合の広域防災拠点及び圏域防災拠点等の役割と実際の運営シミュレーションを確立しておく責任もあります。 平成二十六年二月、県は、宮城県広域防災拠点基本構想・計画を取りまとめていますが、その中で最大課題は、計画地の前提としている仙台貨物ターミナル駅の移転であります。更には、計画の中では市町村との連携など、多くの課題についても記載しています。計画策定以降、この二年間で課題解決の状況と、そうした点を踏まえた知事の現状認識について伺います。 一月二十一日、東日本大震災からの教訓を共有するために開催された二十一世紀文明シンポジウムに参加してきました。その中で、県内首長さんとしては唯一、東松島市の阿部秀保市長さんがパネラーとして参加しておりました。その発言の中で、大震災発生時、津波襲来避難時、一時避難生活が続いた時期、仮設住宅に避難した時期、そして新たな災害公営住宅への移転が始まった時期、すべての時期を通じて、市内八カ所にある地域市民センターを中心とした地域力のおかげで、大きな混乱もなくスムーズに対応できたのではないかとのお話は、極めて示唆に富むものと思いました。その数日後、東松島市を訪れ、海岸部では視界を遮るほどの巨大な防潮堤が建設途上であり、その背後には高盛土とした道路での多重防御機能の向上を図るとのことでありました。こうしたハード面での減災機能強化はもちろん大切でありますが、一方では、阿部市長さんが言う地域力もまた欠かせないものと思い、東松島市大曲市民センターにお邪魔して、日ごろからの地域づくりや公民館活動を通じた人づくりについてお話を伺ってきました。大曲市民センターはいわゆる公民館であり、市からの指定管理により、大曲まちづくり協議会が管理運営を行っています。総会資料を見せていただきながらお話を聞きましたが、年を通じての活動が極めて充実しており、何よりも市民センターに集う方々が楽しく活動している雰囲気が十分に伝わってきました。こうした地道な人と人をつなぎ、東松島市民であるとともに大曲地区民であるという郷土愛を育ててきたことが、結果として、阿部市長さんが言う着実なる避難、復旧・復興へとつながっていったのだと思いました。 しかしながら、課題としては今後の協議会を担う若い世代の参加が不足しているとのことでした。このことは東松島市に限ることではなく、全県的共通課題であり、将来にわたって安心な地域づくりを進める上での最大のかぎを握る点と思います。また、東松島市のみならず、全県的に地域公民館は指定管理され、地域住民の方が運営しているケースもふえてきており、公民館によっての活動内容に違いが生じているのも現実です。また、人口減少社会の中で、小学校も統廃合が進んできている市町村もあり、小学校がなくなった後に地域の中心的役割を果たしていかなければならないのが、やはり地区公民館であると思います。先日、大崎市内の地区公民館の館長さんや職員の方々と公民館活動に関心を持つ有志の方々が定期的に集まり、正面から公民館のあり方や可能性を勉強している会に参加させていただきました。それぞれの地区公民館の運営や活動は日々暗中模索ということでしたが、共通していることは、地域の方々の確かなよりどころになっているということだと思います。 そうしたことを含め、東日本大震災を経験したからこその防災という視点での地域拠点でもあり、地方創生を実現していく地域づくりの、地域拠点という意味で、県としても、地域公民館のあり方、役割について大いに学び、ともに意識を高め、県下全域における公民館活動の活性化に向けて取り組みを強化すべきと考えますが、所見を伺います。 次に、大綱二点、本県における地方創生についてであります。 先日、新たなる町のシンボルとして商店街のシーパルピア女川がオープンしたということもあり、久々に女川町にお邪魔して、須田町長さんと復旧・復興の進捗についてお話をしてきました。その中で、ハード面の復興事業についてはそれぞれにおくれはあるものの、着々と進むレールに乗っているので、確実に数年後には全く新しい女川の町ができ上がるという展望と、一方では、ハード面の復興が完了した後のまちづくりの方が極めて重要になってきているとのお話でした。そして更に、そのときにこそ、女川を何とかしたいという熱い思いの未来を担う人がいなければならないと言葉を続けました。私は大いに共感し、まさに自分の生まれ育った地域を愛する心を育てることこそが女川の未来へと続く発展と県全域としての地方創生を実現していくための根幹的な視点ではないかと思いました。 昨年十月策定された本県の地方創生総合戦略の基本目標としては、安定した雇用、移住・定住、結婚・子育て・出産、地域・暮らしという視点を柱にしています。一つ一つ地方創生には欠かせないテーマと思いますが、私は、それぞれのテーマの土台として、自分の生まれ育った地域を愛する心を育てるという視点を位置づけるべきと考えます。知事としての地方創生における根幹的な視点をお伺いいたします。 二月四日開催された北海道・東北六県議会議員研究交流大会において、法政大学、岡崎昌之名誉教授より地方創生と新しい地方経営と題して講演をいただきました。その中で、これまで以上に市町村からの声をしっかりと国に訴えていく県の役割は大きくなる。そして市町村を見ていく際には集落の変化まで見ることが必要であるとの御指摘をいただきました。 私の住まいする大崎市もことしで合併十周年を迎えますが、昨年の国勢調査速報値に基づき、旧岩出山町の十年前と現在で五つの小学校区ごとに人口推移の比較をしてみました。中心部地区が百人ほどの減少に対して、周辺部の四地区は二百人から三百人以上の減少となっていました。このことは一例でありますが、合併市町いかんにかかわらず、どの自治体も人口は周辺部ほど大幅に減少している現実があります。高知県では、全市町村に県職員を派遣して、市町村の地域レベルの現状や要望等を常に県施策と連動させる仕組みをつくっているとのことでした。そうした意味において、本県における地方創生を進める上で、市町村ごとの細やかな地域状況をこれまで以上に把握していくための取り組みが求められるのだと思いますが、所見を伺います。 また、県は、地方創生総合戦略の中で、国に対して地方財政の充実と地方分権の推進を求めていますが、このことは市町村から見れば、そのまま県に要請する内容と同じに映ると思います。 まずは、県としての地方創生を推進するという意味において一層の県内地方分権を進めるべきと考えますが、知事のお考えをお聞きいたします。 また、宮城県地方創生総合戦略の中では、特に現状の人口分析において、仙台都市圏と仙台都市圏以外における人口推移を比較し、これまでの二十五年間で仙台都市圏は二十二万人余が増加し、一方、仙台都市圏以外では十四万人余が減少していることを示しています。本県が抱える構造的な問題が顕著にあらわれている数字と思います。仙台の都市機能の強化や発信力の向上は本県としても重要な課題でありますが、一方では、人口減少が続く仙台都市圏以外の地方創生は県としての大きな責任を有する重要課題でもあります。そうしたことを踏まえたときに、地域と地域のつながる手段としての県土構造は極めて重要であります。本県では仙台を中心とした環状高速道路が整備され、県南においては沿岸部の東部道路と内陸部の東北道が走り、県北においても同じように沿岸部では三陸道が着々と北進し、みやぎ県北高速幹線道路は三陸道と東北道を実質的につなぎ、残すは石巻と酒田を結ぶ県土横軸の整備であります。特に国道百八号線は、昨年、大崎市鳴子温泉地内で花渕山バイパスが完成したことにより、秋田県側との交通量が日々増加している状況にもあり、ますますもって、太平洋側と日本海側を結ぶ路線としての石巻・酒田間地域高規格道路の期待は高まるものであります。過日、石巻・酒田間地域高規格道路整備に関する地元選出国会議員との懇談会が東京にて開催され、遅々として進まない現状に対する危機感を改めて共有したところであります。県としても、地方創生における不可欠な県土軸としての石巻・酒田間地域高規格道路の横軸整備に関して、実現のレールに乗せる県としてのあらゆる努力が求められているものと思います。知事としての県土軸に対する考え方と、石巻-酒田間横軸の整備に関しての考え方をお伺いいたします。 知事の掲げる富県戦略は産業面における地方創生でもあると思います。平成二十五年県民経済計算年報によれば、実質県内総生産は九兆四千六百億円となり、知事の掲げてきた十兆円にまた一歩近づいてきました。このことは、みやぎ発展税の活用などにより、大型企業の誘致により、更には連動して中小企業の誘致も順調であったことも大きな要因であり、今後もまた、その流れを拡大していく必要があります。しかし、一方では、地域の商店街の店舗数の減少、温泉観光地における宿泊者数の減少など、県全域を俯瞰した場合には、必ずしもすべてが順調というわけではありません。そうした意味においては、目指せ十兆円という量的目標とともに、業種別、地域別における県内産業の弱い点にしっかりと目を向け、それぞれに再生するという質的目標を実現する取り組みが求められていると思いますが、知事の所見を伺います。 あわせて、特に今例示しました地域商店街と温泉観光地は厳しさを増している現状であり、地方創生を実現する意味での活性化策についても伺います。 二月十四日、東京池袋サンシャインシティにて、「いいね!地方の暮らしフェア」が開催され、本県からもブースで参加し、石巻市や大崎市、丸森町が移住・定住の相談会を行っていました。私が会場に着いたときは、ちょうど主催者である日本創生のための将来世代応援知事同盟の九県の知事が自分の県こそが移住・定住の最高の地であるというアピールをしていました。徳島県知事は十万人当たりの幼稚園数が日本一、高知県知事は管理職や企業家に占める女性の割合が日本一、宮崎県知事は結婚の満足度日本一、長野県知事は移住したい県日本一など、それぞれにアピールポイントを絞っていました。 翻って、我が県のテーマは、「ちょうどいい、宮城県。」であります。このちょうどいいというフレーズには主語がありません。つまり何においてちょうどいいのかということを前面に打ち出していかなければ、移住・定住希望者の心に響いていかないのではないでしょうか。村井知事は、本県のどのような点をアピールいたしますか、お伺いいたします。 また、当日のイベント会場では市町村ブースと企業ブースが設置されていて、どちらもひっきりなしの来場という状況ではありませんでしたが、一時間以上にわたってじっくりと話し込んでいる姿もありました。市町の方とお話をして、来場者の傾向を伺いますと、明確に何かを求めている人と漠然としながらも田舎での生活を希望している人など、移住・定住の動機は極めて多様であるということでした。しかしながら、共通する第一の問題はやはり住宅であります。昨年度一年間で一千七百人以上が移住・定住した岡山県の移住・定住に関するホームページでは、官民共同での空き家情報サイトや市町村ごとの空き家サイトは極めて充実している状況にあります。一方、本県ではまだまだ緒についたばかりの発信状況でありますので、今後、住まいに関する情報集約と発信に相当に力を入れるべきと考えますが、取り組み方針を改めて伺います。 最後に、大綱三点、県政の諸課題についてであります。 昨年の九月十一日、豪雨災害は、山間地、中山間地、低平地等それぞれの地勢による特徴を示しながら、多くの被害をもたらしました。最大の要因は短時間の豪雨による急激な水位の上昇であることはもちろんですが、やはり河川の管理状況の不備を直視しないわけにはいかないと思います。こうした中で、平成二十八年度当初予算において、災害に強い川づくり緊急対策費二十七億円余、さきの関東・東北豪雨災害の災害復旧費三十八億円余を確保しており、今後に向けた安心県土づくりの推進を期待するところであります。一方、これまでも河床しゅんせつや河川敷内の草木の伐採など、さまざまな地元要望があっても、予算の関係上、こたえ切れてこなかった現実があります。そうした意味においては、今回は特に平成三十二年度を目標に河川維持管理を強化しようとするところでありますが、河川は常に土砂が堆積し、木々が生い茂り続けているものであり、今回の取り組みが災害対応という一過性の対応ではなく、永続的に適正な河川管理をしていく第一歩となることを期待するものです。知事の永続的な河川管理に対する決意を伺います。 このたび、環境省は、県内に保管されている放射能指定廃棄物の放射能濃度を測定し、その結果を公表しました。全体の数量三千四百四トンに対して約三分の一、一千九十トンが指定基準の八千ベクレルを上回っているとのことでした。この結果を受けて、環境省は、指定基準を超えるものはこれまで同様の一カ所での一括管理方針を示しつつも、指定基準を下回ったものに関しては指定解除を進め、一般廃棄物として地元自治体などにおいて処理するという新たな処理方針を示しました。まず、こうした国の新たな考え方について知事の所見を伺います。 また、今後いずれかの時期に県内市町村長会議を開催し、情報の共有と今後に向けた意見交換を行うともお聞きしますが、現時点での見通しについて伺います。 更に、八千ベクレル以下の放射能汚染物質は四万七千トンもあり、こちらもほとんど処理されず、一時保管されている状況にあります。この八千ベクレル以下の汚染物質の処理については、岩手県では日々混焼による処理を進めているところであり、現実に周辺環境には影響を与えない管理の中で処理されています。本県としても、十分に周辺環境に配慮し、地域への説明責任を果たす中で、しっかりと処理が進むよう市町村と連携していくべきと考えますが、いかがお考えなのか、伺います。 国の示す農業分野のTPP対策については、現在の農業・農村の現状からすれば、TPPの批准いかんにかかわらず、必要不可欠な農業振興策であると思います。年々、農家が減少し、担い手が減少し、農地が減少し、農業生産高が減少し、将来にわたって一体だれが日本人の命のもとを保障していくのか、農地を農地として活用していくのかという切実な現実を踏まえた取り組みが求められているのだと思います。農業を魅力ある産業にしていくことにより担い手が育っていくという意味において、攻めの農業という発想は極めて重要と思います。東北には高品質を売りにして着々と輸出拡大している青森リンゴ、本県でも日本酒の輸出や大規模イチゴ団地など、今後の農林水産業活性化に通じる幾つかの先行事例も誕生しています。本県としての攻めの農林水産業についてどう展望を描いているのか。そして、何よりも農産物中最大の生産額を持つお米の海外への攻める戦略についても所見を伺います。 また、昨今のお米事情ということで話題を集めているのが、非コシヒカリ系と言われる新潟県の新品種、新之助であります。これまでのもちもち感を売りにしてきたコシヒカリ系ではなく、あっさり系の品種であります。つまり、一つのトレンドとして、ササニシキの持つあっさり系の特性が見直されてきているとのことであります。そうした意味においては、本県が育成した東北百九十四号は極めて貴重な品種になってきたということだと思います。しかしながら、大崎市では、ささ結、加美よつば農協では、ささゆた香というように、それぞれに独自の名称をもって生産、販売に取り組む状況となっています。しかも、生産基準もそれぞれであります。大崎市の担当の方によれば、栽培方法と品質基準をクリアしたお米のみをささ結として出荷することで実需者より高い評価を受け、生産が不足するのではないかとのことであります。県として東北百九十四号をしっかりと本県の基幹品種に育てていく責任があるものと思いますが、その所見と取り組み方針を改めて伺います。 先日の北海道・東北六県議員研究交流大会の農山漁村の維持・活性化についての分科会において、秋田県の取り組みとして、元気な中山間農業応援プロジェクトが報告され、中山間地域の水田基盤整備の地元負担分を県として負担する仕組みなど、極めて中山間地域の地勢的、立地的不利を克服するために県として力強く後押しする姿勢があらわれていました。本県としても、中山間地での基盤整備負担軽減策やカントリーエレベーターの整備支援、農産物の付加価値向上対策や交流人口の拡大など、条件不利地域の農業振興策が強く求められていると思いますが、知事の所見を伺います。 平成二十九年九月七日より、全国和牛能力共進会が夢メッセを主会場に開催されます。さきの長崎大会終了時はあと五年と思っていたのですが、もう既に来年の開催という時期になりました。出品牛も誕生してきており、実質的に大会が始まっていると言っても過言ではありません。二月二日、県内の和牛繁殖農家二百人以上が集まっての和牛改良の集いにおいては、特に鹿児島県経済連の肉用牛部長さんより講演をいただき、虎視たんたんと日本一をねらっている緻密な取り組みの実態を伺いました。迎え撃つ本県の出品牛対策も一つ一つ着実に進めているところであり、これからの育成、選定に期待がかかるところであります。一方、全国から宮城県に来てよかったと思っていただけるような大会運営や世界から仙台牛の価値に触れていただけるような仕掛けなど、宮城ならではの大会戦略も重要であります。交通運輸も含めた大会運営の基本戦略と仙台牛の県内消費や世界への輸出に関してどう戦略を描いているのか、改めて伺います。 東日本大震災を経験した宮城県においては、だれもがこれまで以上に命の大切さを痛感しているのではないでしょうか。健康であり続けること、安全であり続けることは、だれしもの願いでありますが、だれもが急激な症状があらわれる病気や突然の事故や自然災害によるけがなど、さまざまな事態が想定される中で、救命救急センターがそれぞれの地域にあって、いつでも診療を受けられる体制は、宮城県のみならず、全国どこにおいても必要不可欠な社会基盤となっています。その中でも、特に重篤な患者を受け入れる三次救急を担う救命救急センターは、命にとっての最後のとりでとなっています。本県においても、第六次宮城県地域医療計画において、三次救急医療体制については、救急専門医を育成し、救命救急センターの安定的運営の確保に努めますと、県としての役割を定めています。しかしながら、今般の予算計画においては、県北、県南それぞれの救命救急センターへの補助金が大幅に減額となっています。この件については、以前より公立病院に対する救命救急センター運営費補助は三位一体の改革により税源移譲され、国庫補助の対象外になったことが指摘されてきましたが、私が問いたいのは、県としての救命救急センターの安定的運営に努めますとした覚悟であります。税源移譲されているのはそのとおりでありますが、センターとしての収支の現実は、毎年のように赤字を重ね、関係自治体の相当な負担金によって維持運営されている実態があります。私は、宮城県として県内四医療圏それぞれに三次救急を担う救命救急センターを確実に整備、維持していく責任があり、補助する立場ではなく、ともに負担を分かち合う立場であると思っています。そうした意味においては、補助金の金額の問題以前に、救命救急センターにおける県と市町村のそれぞれの役割と責任についてじっくりと協議し、共通理解を得た上で新たな仕組みを導入するという基本に立ち返るべきと思っています。知事の所見を伺います。 最後に、いじめ、不登校対策についてであります。 本県では、いじめの認知件数及び不登校の発現率は極めて深刻な状況になっています。そうした中、先日、児童館の設置に関して検討をしている地域住民の皆さんの会合に参加をさせていただいた際に、小学生のお子さんを持つお母さんより、何人かの子供が集まって、それぞれにゲーム機を手にしてそれぞれに画面を食い入るように見ながら、会話もなく遊んでいる姿を例にして、ゲームによる遊びの孤立化についての問題提起がありました。私は、そのお話を聞いて、遊びの孤立化による子供同士の関係の希薄化といじめや不登校の問題は大いに関連があるのではないかと思いました。本県ではいじめ、不登校対策として多くの取り組みを行っているところでありますが、子供自身が強く、優しく育っていくための子供同士の関係を強めるという根本対策が弱いと感じているのは私だけではないと思います。もちろん、そのすべてを学校にゆだねるということではなく、子供たちの生活するあらゆる場面にかかわる大人がそうした意識を共有することが不可欠であります。 その中で、私は、特に子供たちの放課後活動における仲間との遊びに注目したいと思っています。現在、子供たちにとっての放課後は、放課後子ども教室、放課後児童クラブ、児童館及び児童センターなど、さまざまな活動の場があります。しかしながら、放課後子ども教室は運営側の体制が弱いこと、放課後児童クラブは利用に条件があること、児童館は設置そのものが限られていることなど、それぞれに問題を抱えており、子供たちの放課後活動が十分に保障されている状況ではありません。理想的には、いつでも、だれでも自由に利用でき、集団遊びができることが望ましいと思います。児童館が最もそうした希望をかなえる施設ということになるのだと思いますが、自治体としては、財政的な制約からここ数年来、県内では拡充していない現実があります。私はだれもが子供時代に遊びを通して、お互いに対する思いやりや一緒に何かをすることの楽しさを体で覚えていくのだと思っています。その結果として、いじめや不登校が発生しにくい環境がつくられていくのではないでしょうか。そうした意味において、児童館は市町村行政という第三者的とらえ方ではなく、遊びを通じて子供同士の関係性を育てる拠点として、児童館又は児童館機能を発揮できる環境づくりを県として強力に推進していくことが求められていると思います。教育長の所見を伺います。 子供たちのすこやかなる成長を願いつつ、壇上からの質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。
○議長(安部孝君) 知事村井嘉浩君。 〔知事 村井嘉浩君登壇〕
◎知事(村井嘉浩君) 中島源陽議員の代表質問にお答えをいたします。大綱三点ございました。 まず、大綱一点目、創造的復興の現状と展望についての御質問にお答えをいたします。 初めに、復旧・復興の五年間の総括についてのお尋ねにお答えをいたします。 東日本大震災が発生してから間もなく五年が経過いたしますが、震災で大切な人を亡くされた方、住みなれた家などを失われた方々のことを思いますと、今も胸に熱いものがこみ上げてまいります。あの壊滅的な被害からの復旧・復興に当たっては、これまで、国内外から多くの御支援を賜りながら、県民の皆様とともに全力で取り組んでまいりました。その結果、道路や橋梁等の交通基盤を初め、病院や学校、保育所等の復旧が進展したほか、仙台空港民営化や医学部の新設など、将来を見据えた取り組みを含め、震災からの復興は着実に進んできたものと考えております。一方、災害公営住宅の整備や防災集団移転促進事業等のまちづくりについては全体として進展しつつありますが、地域により進捗状況に差が見られるほか、コミュニティーの再構築や心のケア等に加え、失われた販路や観光客の回復など、さまざまな課題も残されております。今後とも、これらの状況を踏まえ、被災者の生活再建と産業再生に向けた取り組みを加速させるとともに、創造的復興の取り組みもあわせて推進し、我が県の復興をなし遂げてまいりたいと考えております。 次に、被災者の心と健康に対する現状認識と新年度における取り組み方針についての御質問にお答えをいたします。 県では、仮設住宅や災害公営住宅において、市町と共同で健康調査を実施しており、健康面で課題を抱える方々に対して、必要な支援に結びつける取り組みを行ってまいりました。 調査結果では、心の問題で支援が必要な方の割合は改善傾向にはあるものの、全国平均よりも高い状況にあるほか、社会参加の機会が少ない方や飲酒の量、回数が多い方などの割合が増加していることなどから、引き続き心身の健康状態を注視していく必要があるものと認識をしております。今後、仮設住宅における生活の長期化や、恒久住宅への転居による環境の変化などに起因して健康状況が悪化することも懸念されることから、新年度におきましても、被災した方々の心身の健康の維持と改善を最優先に、市町村や関係団体などと一体となって、被災者に寄り添った健康支援の取り組みに力を注いでまいります。 次に、防災拠点の課題解決の状況と現状認識についての御質問にお答えをいたします。 広域防災拠点の整備を円滑に進めるためには、仙台貨物ターミナル駅の移転先を速やかに確保する必要があります。 このため、一昨年の五月に、県とJR貨物との共催で岩切地区の代表者を対象とする説明会を開催し、これを契機に、JR貨物においては環境アセスメント等の調査や鉄道施設の基本設計を進め、道路、水路等の施設管理者との協議も重ねてまいりました。先般、新しい貨物駅の概要が固まったことから、昨年十二月に岩切地区の住民を対象とする説明会を行い、ことし一月には地権者への説明も行ったところであります。現在、JR貨物との間で、貨物駅移転に向けた詰めの協議を行っているところであり、速やかに宮城野原地区の用地を取得できるよう鋭意取り組んでまいります。また、基本構想・計画において課題としていた市町村との連携や有事の際の運営体制、活動シミュレーションについては、圏域防災拠点を選定したほか、開設運営マニュアルの作成などの体制整備を進めております。更に、自衛隊基地との連携では、情報連絡体制を構築し、既存公共施設の利活用等では適切な機能分担を図り、相互応援では、八道県協定を活用した広域応援計画の作成を進めております。県としては、今後とも、県民並びに議会の皆様の御理解を得ながら、着実に県内における広域防災拠点の整備を推進し、いかなる災害に対しましても万全な体制を整えてまいりたいと考えております。 次に、公民館の活性化についての御質問にお答えをいたします。 市町村においては、地域ごとに公民館や市民センターなどが設置され、住民の学びの場やコミュニティーの拠点として活用されており、東日本大震災の際には、避難所や被災者の生活支援の拠点として大きな役割を果たしたところであります。震災後の地域コミュニティーの再生や地方創生にもつながるものとして、今後、公民館が多くの機能を果たしていくためには、地域の若者からシニア世代まで幅広くより多くの方々がかかわっていくことが重要であり、県としても活動現場のニーズを踏まえた支援ができるよう、市町村とともに取り組んでまいりたいと考えております。 次に、大綱二点目、本県における地方創生についての御質問にお答えをいたします。 初めに、地方創生における根幹的視点についてのお尋ねにお答えをいたします。 地方創生を推進していくためには、各施策に共通する基本的な考え方を明確にし、その大きな方向性に基づき、具体的な施策を展開していくことが重要と認識しております。このため、昨年策定した我が県の総合戦略においては、地域を担う人材を育成し、多様な主体が地域の経営に関与することを基本姿勢の一つとして掲げており、この中で、みずからの地域を思い、地域で活躍していく人材を育成し、支えていく視点が極めて重要と明記しております。御指摘のとおり、若者の地元定着の促進など、地方創生の観点から、みずからが生まれ育った地域を愛する心を育てていくことは非常に大切であると考えており、これまでも、学校教育において、宮城の先人の功績や生き方をまとめた、みやぎの先人集「未来への架け橋」を活用し、ふるさとを愛する子供たちの育成に努めてまいりました。今後とも、若者の人材育成等を初めとする具体的施策の推進に際しましては、このような視点に十分配慮し、市町村等とも連携をしながら、より実効性の高い取り組みを推進してまいりたいと考えております。 次に、市町村ごとの細やかな地域状況を把握する取り組みについての御質問にお答えをいたします。 我が県の地方創生を実現するためには、市町村が抱える地域ごとの現状や課題について、県を初め関係団体等が認識を共有して取り組むことが重要と考えております。 今年度は、市町村を訪問しての地方創生に関する意見交換や、市町村連絡会議等における情報提供、個別相談のほか、地方振興事務所職員の総合戦略策定組織への参画などにより、状況把握に努めてまいりました。新年度には、これまでの取り組みに加え、例えば小さな拠点などの地域課題に対応したテーマについて、市町村と共同で事例検討の場を設けるなど、市町村の状況をより的確に把握し、今後の施策に生かしてまいりたいと考えております。 次に、地方創生の推進に向けて県内でも地方分権を一層進めるべきとの御質問にお答えをいたします。 地方創生の推進に当たっては、地方の自主性、自立性を高め、みずからの判断と責任において具体的な施策を推進できる体制を構築していくことが重要であり、特にその主役である市町村が地域の実情に即した施策を展開できるよう支援していくことが必要と考えております。そのためには、市町村への権限移譲を積極的に推進すべきであることから、県では、法律によるもののほか、事務処理の特例に関する条例に基づき、市町村の希望による権限の移譲を行っているところであります。また、あわせて、市町村の創意ある取り組みの実現に向けて、地方交付税等の財源の安定確保に努めてきたところであります。県といたしましては、地方創生の推進と地方分権社会の実現に向け、国に対して、地方への大幅な権限や財源の移譲を要望していくとともに、県から市町村への権限移譲につきましても引き続き推進してまいります。 次に、石巻・酒田間地域高規格道路の整備についての御質問にお答えをいたします。 県では、さきの大震災を踏まえ、三陸縦貫自動車道や東北縦貫自動車道などの縦軸とともに、沿岸部と内陸部及び日本海側を連絡する横軸の重要性を強く認識したことから、国と連携しながら、防災道路ネットワークの整備を進めているところであります。 宮城県地方創生総合戦略の実現に向けても、仙台都市圏と各圏域がそれぞれの機能を高め合う連携型の地域構造を構築する上で、これら県土軸の整備が必要不可欠であると考えております。石巻-酒田間における地域高規格道路は、宮城、山形両県の物流や産業、観光振興などに重要な役割を担う県土軸を構成する路線であり、昨年十月には、三陸自動車道の石巻女川インターチェンジが供用されたことから、整備に向けた機運が一層高まっております。一方、山形県側の新庄酒田道路が既に事業化されているのに対し、石巻新庄道路は、いまだ地域高規格道路の候補路線であることから、県といたしましては、計画路線への早期格上げを要望するとともに、現在、国が進めている国道百八号古川東バイパスの整備促進に加え、石巻河南バイパスの早期事業化に向けて、沿線市町や関係機関と連携しながら、引き続き国に対し強く働きかけてまいりたいと思います。 次に、富県戦略の実現に向け、業種別、地域別に産業再生を実現する取り組みについての御質問にお答えをいたします。 震災からの時間の経過に伴い、水産加工業の売り上げ回復のおくれや、観光客がなかなか戻らない地域があるなど、個々の業種や地域の課題はさまざまとなっていることから、これらにしっかりと向き合い、産業を再生していくことが重要と考えております。 県では、自動車関連産業など八分野について重点的に誘致し、産業集積を進める一方で、農林水産業や観光など分野別の振興計画を策定しているほか、来月には、中小企業・小規模事業者振興基本計画を策定することとしており、それぞれの業種が抱える課題の解決に向けて、商工会などの関係機関と連携し、事業者に寄り添った支援を進めてまいります。また、各地域においては、地方振興事務所が地方振興指針を策定し、地域の実情に応じた産業振興を図っているところであり、今後とも、本庁、地方機関一体となった企業訪問等により、きめ細かく現場の声を伺い、しっかりと施策に反映させ、地域産業の再生に取り組んでまいりたいと考えております。 次に、地域商店街と温泉観光地の活性化策についての御質問にお答えをいたします。 地域商店街の活性化については、共同施設の整備、空き店舗を活用した創業や集客施設整備、商店街のにぎわい創出のための計画策定、イベントの実施などができるよう、商店街振興組合や商工団体に対するハード、ソフト両面の支援を行っております。更に、沿岸部においては、仮設店舗入居者が本設店舗へ円滑に移行できるよう、復旧経費の助成等を引き続き実施してまいります。また、温泉観光地については、これまでデスティネーションキャンペーン等の取り組みを通じて、地域ならではの観光資源を磨き上げ、着地型観光の情報発信に努めてきたほか、今年度実施したふるさと旅行割引では、県内温泉地を優先的に補助対象としてまいりました。今後とも、多様化している旅行需要に応じて、我が県が誇る多彩な温泉や食の楽しみに加え、体験など温泉観光地の総合的な魅力を高めてまいります。県といたしましては、地域の実情の把握に努めるとともに、市町村や関係事業者等と連携し、これらの支援をきめ細かく行い、地域商店街と温泉観光地の活性化を図ってまいります。 次に、我が県のアピールポイントについての御質問にお答えいたします。 首都圏等から移住・定住の流れをつくる上では、移住先として宮城の魅力を強く訴えていくことが重要と考えております。 我が県は、良質な農産物を生み出す肥沃な耕土、多彩な水産資源を誇る海などの豊かな自然とともに、夏は暑過ぎず、冬は寒過ぎず、過ごしやすい気候にも恵まれております。また、仙台-東京間が新幹線で約九十分で行き来できるほか、東北自動車道や仙台空港など、交通網の充実度は他県に引けをとりません。このような暮らしやすさや生活上のほどよい利便性の高さが、移住を推進する上での強みであると考え、「ちょうどいい、宮城県。」をキャッチコピーとしたところであります。更に、震災時のボランティア活動などを契機に我が県に移住された方の中には、復興支援や地域づくり活動に積極的に取り組んでいる方が多数おられ、沿岸被災地域においても移住促進の機運が高まりつつあります。こうした皆様にも協力をいただきながら、住みやすさやライフスタイルなどを発信し、移住先としての宮城ブランドの確立に向けて市町村とも連携をしながら取り組んでまいりたいと考えております。先ほど御質問の中で、他県の知事が我が県は何々について日本一と言っているにもかかわらず、宮城県は「ちょうどいい、宮城」じゃないかということでしたけれども、それはキャッチコピーと、それぞれの知事の発言が違うということでありまして、先ほど紹介あった四県のキャッチコピーをちょっと調べてみました。高知県、「高知家で暮らす。」がキャッチコピー。徳島県、「住んでみんで徳島で!」、方言だと思います。宮崎県、「日本のひなた宮崎県」。長野県、「楽園信州」。宮城県は「ちょうどいい、宮城県。」ということで、五十歩百歩じゃないかなというふうに思います。私も当然、ほかの県に行ったときには、宮城がいかに日本一かということをどんどんPRしておりますので、その点は負けていないというふうに自負しておりますので、御理解いただきたいというふうに思います。 次に、住まいに関する情報集約と発信についての御質問にお答えをいたします。 御指摘のとおり、我が県への移住を働きかけていく上で、仕事や暮らしやすさなどの情報をきめ細かく提供していくことが必要であり、特に、生活の基盤としての住まいに関する情報は重要と考えております。 このため、ことし一月に開催した第二回みやぎ移住・定住推進県民会議においても、移住・定住の決断に資する情報を有機的に連携させて発信していくことを行動宣言として打ち出したところであります。 今後、県内市町村や関係団体等と協力し、宮城移住サポートセンターや専用ウェブサイトみやぎ移住ガイドにおいて、住まいに関する情報発信の強化、拡充に努めてまいります。 次に、大綱三点目、県政の諸課題についての御質問にお答えをいたします。 初めに、永続的な河川管理に関する決意はどうかとのお尋ねにお答えをいたします。 昨年の豪雨により、県内各地において、県管理河川の堤防が決壊するなど、甚大な被害が発生したことから、十二月に、水害常襲河川の解消に向けたハード整備、円滑な避難に向けたソフト対策の充実強化、適切な維持管理による流下能力の確保の三つの取り組みを柱として、平成三十二年度まで緊急かつ集中的に治水対策を推進する災害に強い川づくり緊急対策事業計画を作成したところであります。 県では、これまでも限られた予算の中で、計画的な河川の維持管理に努めてまいりましたが、昨年の豪雨災害を踏まえ、補正予算により、堤防の緊急点検や堆積土砂の撤去を実施するとともに、重点管理区間やパトロールの方法等の見直しを図る河川維持管理計画の改定に取り組んでおり、今年度中に策定することとしております。今年度中に策定いたします。今後は、新しい河川維持管理計画に基づき、必要な予算を確保しながら、災害の未然防止に向け、堤防の強化や河道の確保など、永続的に適正な河川管理に取り組んでまいります。 次に、指定廃棄物及び放射能汚染物質の国の新たな処理方針についての御質問にお答えいたします。 今月十七日に井上環境副大臣が来県され、国が実施した放射能濃度の再測定結果と、それを踏まえた今後の方針についての説明がありました。県内の指定廃棄物の約三分の二については、減衰により既に八千ベクレルを下回っており、既存施設での処理を進めていきたいこと、また、どうしても一定量残る高濃度のものについては、県内一カ所の集約の方針を引き続き堅持したいとのことでございました。県内の指定廃棄物の処理については、今後、市町村長会議において議論していくことになりますが、焼却灰などの性状が安定した廃棄物が多い茨城県と、稲わらが多い我が県とでは状況が異なりますので、国には、我が県の状況をしっかりと認識した上で対応していただきたいと考えております。 次に、市町村長会議の見通しについての御質問にお答えをいたします。 次の市町村長会議は年度内に開催できるよう調整しているところでありますが、会議では、今回示された新たな国の方針を説明し、八千ベクレルを超える未指定の廃棄物や八千ベクレル以下となった廃棄物も含め、どのように処理を進めていくべきかについて、まずは忌憚のない御意見を伺うことになるものと考えております。会議では、さまざまな御意見をいただくことになると思いますが、早期に廃棄物の処理が進むよう議論を重ねてまいりたいと考えております。まずは、御意見を賜りたいと思っております。 次に、八千ベクレル以下の放射能汚染物質を市町村と連携して的確に処理すべきとの御質問にお答えをいたします。 八千ベクレル以下の牧草など農林業系廃棄物は一般廃棄物に区分され、市町村や広域行政事務組合が処理することとなりますが、我が県では、施設の処理能力の問題や住民理解の難しさなどから、一部の市町村を除いて、ほとんど処理が進んでいない現状にあります。 また、指定廃棄物について、今後、国が指定を解除する制度を創設した場合には、指定が解除された廃棄物の処理についてもあわせて検討する必要が生じることになります。県といたしましては、県内で大量に保管されている八千ベクレル以下の農林業系廃棄物について、今後も国や市町村等と連携し、地域への説明責任を果たしながら、一刻も早い処理を進めていきたいと考えております。 次に、攻めの農林水産業の展望と米の輸出戦略についての御質問にお答えをいたします。 TPPの影響に関する現場の不安や懸念を払拭し、成長産業としての力強い農林水産業をつくり上げていくためには、生産性や収益性を高めるための取り組みを一層推進していく必要があるものと認識しております。 このため、県といたしましては、今議会に上程しております、みやぎ食と農の県民条例基本計画において、農地集積や大区画化による大規模経営体の育成、農畜産物の輸出促進、六次産業化などを重点施策に位置づけ、攻めの農業を展開していくこととしております。 特に、農畜産物の輸出については、輸出基幹品目の海外でのプロモーションを重点的に実施するなど、新しい海外販路の開拓を目指すこととしておりますが、この秋にも公表される国の海外展開に関する政策なども踏まえながら、県内事業者の海外販路開拓を支援してまいります。また、宮城米の輸出に当たっては、相手国における日本食の普及状況や購買層に応じて品種と用途を明確にした販売戦略が重要となることから、直播栽培や多収性品種の導入による低コスト米の生産を支援するとともに、富裕層向けの高級スーパーや飲食店でのブランド米の販売などを支援し、宮城米の海外輸出を着実に進めたいと考えております。 次に、東北百九十四号についての御質問にお答えをいたします。 東北百九十四号は、栽培方法や炊飯の仕方によって食味に差が出ることから、基幹品種であるササニシキを補完する特定品種として奨励品種に採用いたしました。 このため、例えば大崎市においては、品種の特徴を最大限に引き出すことのできる生産者とプロの料理人など実需者が連携し、地域独自にささ結の名称をつけ、特色あるブランド米として生産、販売されております。県では、東北百九十四号の品種特性を考慮し、流通量の限られた米のブランド化には、このような地域ごとの取り組みが有効であると考えております。県としては、県産米の三本柱として位置づけるササニシキ、ひとめぼれ、新品種東北二百十号の生産販売戦略を構築、展開するほか、こうした地域ブランド米の取り組みも引き続き支援し、宮城米の評価向上と売れる米づくりを推進してまいります。 次に、条件不利地域における農業振興についての御質問にお答えをいたします。 中山間地域は、農業生産活動による県土の保全や水源涵養など多面的な機能を有し、重要な役割を担っておりますが、生産条件の格差から、担い手の減少や耕作放棄地の拡大などが進んでおります。 このため、地域農業の将来像を明確にした上で、多面的機能の維持に向けた活動や、農産物、伝統文化及び自然環境などの地域資源を活用した取り組みによる農村経済の活性化を図ることが重要であると考えております。中山間地域の農地整備については、国庫補助事業において、地元負担が一般地域より五%軽減されているほか、農地集積の達成割合に応じて促進費が交付されるなど、負担軽減が講じられているところであります。県といたしましては、このような国庫補助事業の採択や農地集積の促進に努めるとともに、新たに地方創生交付金を活用した事業の創設などにより、都市と農村の交流を促進するほか、地域資源を生かした六次産業化を推進してまいります。今後とも、中山間地域のニーズを把握しながら必要な対策を検討するなど、条件不利地域における農業の持続的な発展と活力ある農村の構築を図ってまいります。 次に、全国和牛能力共進会宮城大会運営の基本戦略と仙台牛の消費拡大についての御質問にお答えをいたします。 宮城大会においては、仙台牛のおいしさを引き出す新しい食べ方の提案や提供など行うとともに、すべての市町村の特色ある食、物産、観光等をバランスよく展示することなどにより、我が県の魅力を来場者に実感していただける運営を目指してまいります。 加えて、交通運輸対策も重要であることから、安全に来場いただける環境整備や渋滞対策にもしっかりと取り組んでまいります。また、今年度からみやぎの肉用牛イメージアップ事業を全共宮城大会が開催される平成二十九年度まで実施することとしており、仙台牛を初めとする県産牛肉の飲食店マップの作成や消費拡大キャンペーンを実施するとともに、今後、外国語版のリーフレットなどを作成することにしております。更に、全共宮城大会においては、全国唯一最高等級を対象とする仙台牛の価値を国内外の来場者に伝えるため、通訳を配置したPRブースを設置し、輸出にもつなげる対応を進めてまいりたいと考えております。これら取り組みを通じて仙台牛の魅力を広く発信するとともに、全国から訪れる多くの来場者が満足し、再び我が県を訪れていただけるよう、万全の準備を進めてまいります。 次に、救命救急センターの補助金について、県と市町村の役割を協議し、共通理解を得た上で、新たな仕組みを導入すべきとの御質問にお答えをいたします。 三次救急医療体制については、第六次宮城県地域医療計画において、救急科専門医を養成し、救命救急センターの安定的運営の確保に努めることとしておりますが、そのためには、救急科専門医の養成、配置に加え、初期及び二次の救急医療機関との機能分化を図り、三次救急としての機能が十分発揮されるような体制構築を進めていくことが重要であり、県の大きな役割であると考えております。 一方、公立病院に対する救命救急センター運営費補助は、平成十八年度の三位一体の改革により税源移譲されたところでありますが、県としては、一定の支援が必要であると考え、大崎市民病院、石巻赤十字病院、みやぎ県南中核病院の三病院に対して補助を行ってまいりました。しかし、救命救急センターの設置時期がそれぞれ違うこともあり、異なった補助基準での支援となっていることから、基準の統一化が求められており、また、補助の財源として活用してきた地域医療再生基金の計画期間が今年度で終了するため、今回、支援のあり方を見直し、公的病院に対する国庫補助基準を用いることにより、各センターに対し統一的な支援を行うこととしたところであります。県としては、今後、各救命救急センターや病院の経営状況等を更に見きわめながら、救命救急センターに対する支援のあり方や、初期及び二次救急医療機関との役割分担等について関係する市町と十分に協議し、各医療圏の救命救急センターの安定的な運営の確保に努めてまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。
○議長(安部孝君) 教育長高橋仁君。 〔教育長 高橋 仁君登壇〕
◎教育長(高橋仁君) 大綱三点目、県政の諸課題についての御質問のうち、いじめ問題や不登校対策など、子供たちの健全育成に、児童館や児童館機能を発揮できる環境づくりを県として推進すべきとのお尋ねにお答えいたします。 現在、県教育委員会では、さまざまな形で、いじめ問題や不登校対策に取り組んでおりますが、いわゆる対症療法的な対策とともに、根本的な取り組みとして、子供たちが人と適切にかかわる力や思いやる心を身につけていくことができるよう、教師からの働きかけや環境の整備が重要であると考えております。 学校の授業を中心とした教育活動のみならず、放課後の子供同士のさまざまな活動が大切な学びの場になると考えており、この点において、児童館等の果たす役割は大きいと認識しております。このことを踏まえ、県教育委員会としましては、学校と児童館等がこれまで以上に連携した取り組みを行うことができるよう、市町村教育委員会に対して働きかけてまいります。 以上でございます。
○議長(安部孝君) 三十九番中島源陽君。
◆三十九番(中島源陽君) 御答弁ありがとうございました。 一番最後のところから順次、再質問戻っていきたいなと思うんですが、今、救命救急センターのお話、御回答ありました。 私の質問の中でも説明したように、国の三位一体改革の問題、または基金の問題というようなことが背景としてはあったということでありますが、私がここで問いたいのは、いわゆる県は補助する立場でありますという立場なんですか、それとも県民の命を守るという意味で市町村とともに負担を分かち合う立場なんですか、そのどちらの立場に立っているのかということをまず問いたいんです。いかがですか。
○議長(安部孝君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) これに限らず、市町村がやってる事業であったとしても国がやっている事業といたしましても、当然これは県として深くかかわらなければならない大切な事業であるというふうに私は考えております。 特に医療の関係というのは命にかかわるものでありますし、救命救急というのは、まさに一番大切な分野であろうというふうに思います。ただし、いわゆる役割というものがこの世の中にはどうしてもありまして、国の役割、県の役割、市町村の役割と、それを足りない部分をお互いが補管をし合いながら助け合ってやっていくというのが望ましい姿だというふうに思っておりまして、そういった意味で、県として、他県はほとんどやってないんですけれども、宮城県は独自にこれ優先的にやるべきだということで、来年度も、額は大崎については減ったわけでありますけども、継続をさしていただくことにしたということでございます。
○議長(安部孝君) 三十九番中島源陽君。
◆三十九番(中島源陽君) 私、ことしの額だけをとらえて言ってるんではなくて、やはり県民の皆さんが利用している、大崎市民だけではない、県南でも同じであります。そこの病院所在地の町民、市民の方だけが利用してるんではなくて、広く県民の方が利用しているという、命を助けていただいているという意味で、補助する立場ではなくて、県として県民の命を守る意味で負担を分かち合う立場ではないですかということを私は言ってるんですが、いかがですか。
○議長(安部孝君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) そういう意味で、負担を分かち合ったつもりでございます。
○議長(安部孝君) 三十九番中島源陽君。
◆三十九番(中島源陽君) そういう意思を持っているということについては確認をさしていただきたいと思いますし、更に、市町村と県の意思疎通の問題というのが私背景として非常に今回の点についても大きいというふうに思っています。 県はいろんな場面で理解をいただいていくと、理解を得ていくということをよくおっしゃるんですけれども、それはもう県としての方針が決まっていて、そのことにとにかく了解してくれという話になっているのではないかと。そういう意味では、今、状況を見きわめながら市町村と十分に協議していきますという御答弁いただきました。そういう意味では、今回はこういう一つの予算的な結論かもしれませんが、今後についてはじっくりとそれぞれの役割や責任の果たし方について協議をしていくと、その先についても県としてこんなふうに決めてますということはなしで、きちんと協議していくというふうにとらえていいですか。
○議長(安部孝君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 当然、県としての方針を持った上で協議をしていくということになります。いわば市町村が言えばそのとおりにするということでは決してございません。それぞれの自治体病院、どこも経営厳しいんです。県も病院を四つ持っておりますけれども、経営が決して楽ではない。苦しいんですけれども、その中で歯を食いしばって一般財源を補てんしながらやっているというのが実態でございます。救命救急センターについては先ほども答弁いたしましたけども、ほかの県では三位一体改革で、これは市町村の事業だと、交付税の措置もしっかりされるようになったということで割と厳しく対応しているところが多いんですが、宮城県の場合は、特に救命救急医療について重要だということで、特別に予算措置を継続したということであります。まずは三年間、今回の制度を様子を見ながら、その後については改めてよく考えていきたいというふうに考えております。
○議長(安部孝君) 三十九番中島源陽君。
◆三十九番(中島源陽君) 改めて考えていくということでありますので、県としての責任は一切果たしませんよということを前提にしているわけではないというふうに理解をしたいというふうに思います。 それでは、最後の質問で、教育長から児童館の答弁いただきましたけれども、私としては、公民館についても教育長の見解をいただきたいと思ってるんです。社会教育の分野において、やはり公民館というものが位置づけられていて今回の震災の問題、又は小学校がなくなるということなど例示しましたけれども、地域の中での役割というのは極めて大きくて、ただ、非常に今、現場現場ではどんなふうにやって行くんだろうという、私、会議に出てみて本当に指定管理になったところ、なっていないところが混在していて、指定管理の状況も非常に人材が豊富でどんどん館長さん、職員の方が新しく補充される地域もあれば、なかなかそうでない地域もあって、非常に苦悩しております。そういう中で本来どうあるべきかということの理念の部分や、そうしたことをしっかり県としてももう一度現場に立ち返って検討していくという必要があるんじゃないかなというふうにずっと思ったんですけれども、その辺を含めていかがですか。
○議長(安部孝君) 教育長高橋仁君。
◎教育長(高橋仁君) 今回の大震災で、改めて公民館の果たす役割の大きさというのが再認識されてきているというふうに我々としても思っております。特に最近は若い世代もこういった公民館や市民センターでの活動に参加するようになってきております。ただ、一方、今、議員から御指摘のあったような担い手の不足というようなところもあわせてありますので、来年度から市町村のサポート事業というのを担当課の方で取り組みをすることにしておりまして、これによって直接現場に我々が入っていって、いろいろな悩み、困ったことに相談に乗ると、そういった取り組みを進めることとしております。
○議長(安部孝君) 三十九番中嶋源陽君。
◆三十九番(中島源陽君) よろしくお願いいたします。 次に、先ほどの横軸の問題でありますが、例えば、つい昨年オープン開通しました花渕山バイパストンネルは二十七年間かかりました。六・数キロのトンネルでありますけれども、二十七年間かかりました。そのことがどれだけ地域に対して非常に重くのしかかっていたのかということを考えると、この石巻-酒田間の問題も計画路線にもうなかなか上がらないという中で、ずっと地元地元で運動をずっと継続しております。そういう意味では、県としても何年には計画路線に上げるんだという強い見通し、意思というものがないと、何か毎年毎年同じように要請は当然要望事項としてあがるわけですけれども、きちっとした見通しを立てる時期、もうとうに本来は過ぎてると思いますが、きちっといつもまでっていう期限を切って、きっちり運動していただきたいと思いますが、いかがですか。
○議長(安部孝君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 先ほども答弁いたしましたように、できるだけ早くやりたいという思いを持っておりますが、たびたびこれ国には要望しておりまして、早くやりたいという思いは本当に持っているんですが、国の方がなかなか首を縦に振ってくれないという事情もございます。ぜひ、県議会の皆さんとも一体となって、この要望活動を更に強固にしていきたいというふうに思ってますので、御支援よろしくお願い申し上げます。
○議長(安部孝君) 三十九番中島源陽君。
◆三十九番(中島源陽君) ぜひ知事としてのリーダーシップも存分に発揮をいただきたいというふうに思います。 それでは、先ほどの農業関係の答弁の中でも、中山間地域にはいろんな特別の支援もありますよというお話もありました。しかしながら、そうした特別な軽減があってさえも、そうした基盤整備にはとてもとても手が挙げられないという、そこまで非常に苦しい状況にあるということや、また、先ほどのお米の海外進出も含めてのお話の中でも、実は地元でも、お米をロイズのチョコレートとコラボして六次化産業として海外に売り出していこうということで、お米に関して、そうした今、計画段階というんでしょうか、発想も出てきております。そういう一つ一つの現場の部分の声というものがなかなか十分届いてないんではないのかと。先ほどの答弁だけ聞いてると何か国の制度はそうなってますからできるんですというふうに思っているように聞こえるんであります。そうではなくて、現場はもっともっと非常に困っている部分と、または今、お米の海外、お菓子ロイズと一緒にという新しい目をあるというふうなことも含めて、もっと地域の市町村だけでない、いろんな情報に関して目を向けていただきたいと思いますが、いかがですか。
○議長(安部孝君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) おっしゃることはそのとおりだというふうに思います。県としては、基本的に方向としては大規模化をして集約化をして、しっかりと担い手を育てていく、そして付加価値の高いものをつくっていくというのが大前提でありますが、同時に、中山間地域といったような農業不利地域、こういったところにしっかりと光を当てていくというのが重要だというふうに思ってます。先ほどは、こういう制度もありますよというような御紹介をさしていただきましたけれども、それに頼るだけではなくて一つ一つ細かい点まで目配りをしていくというのが重要だというふうに思っております。特に鬼首・鳴子地区などは、私もよく伺いますけれども、非常によく頑張っておられまして、おいしいお米をつくっておられます。大崎としても、ささ結といったようなものを一生懸命取り組んでおられますので、そういったやる気のあるところに特に力を注いでいって、モデルとなるような形にしていければというふうに思っております。 以上でございます。
○議長(安部孝君) 暫時休憩いたします。 午前十一時二十八分休憩----------------------------------- 午後一時再開
○議長(安部孝君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 質疑、質問を継続いたします。四十四番藤原のりすけ君。 〔四十四番 藤原のりすけ君登壇〕
◆四十四番(藤原のりすけ君) 新しく当選されました皆さん、まことにおめでとうございます。心からお祝い申し上げます。私は、みやぎ県民の声の藤原のりすけといいます。何とぞよろしくお願い申し上げます。 それでは、代表質問をさせていただきます。 厚生労働省が一月二十九日に発表した二〇一五年十二月の東北六県の有効求人倍率は一・二四倍であり、東北が全国平均一・二七倍を下回ったのは四年ぶりであることから、東日本大震災の復興事業に伴う求人が落ちつき始めたことを示しているとの見方があります。宮城県は〇・〇二ポイント低下の一・三四倍であり、三カ月連続の低下になりました。復興事業を担う建設業の求人が減少してきているのが要因のようです。県外から宮城県への転入者数も急激に減っており、地元経済を活性化させるため、ポスト復興の雇用創出の必要性が高まっています。宮城県に帰郷する意向のある世帯の希望の住居形態の直近の調査結果を見ますと、五五・四%の方が災害公営住宅を、一〇・二%の方が防災集団移転事業などによる再建を希望されています。東日本大震災の被災者向けに各市町が建設する災害公営住宅の完成戸数が一月末で五〇・七%にとどまっています。特に名取市一二・八%、気仙沼市二一・二%、南三陸町二三・六%、女川町二九・九%と大幅におくれています。 また、防災集団移転促進事業は予定どおり進んでいるのでしょうか。住宅再建がおくれれば仮設住宅での生活が更に長期化し、高齢の被災者は高血圧や心臓病などの持病を抱えている人が多く、阪神大震災のときも仮設住宅に取り残された高齢者の孤独死が多かったと聞きます。医療や介護、心のケアに努める人材の手当てについてお聞かせください。制度に被災地を当てはめるのではなく、被災地の状況に応じた対応こそ復興に取り組む原点であるにもかかわらず、震災から五年がたち、中央省庁の硬直的な対応が目立ち始めたとの声がありますが、いかがでしょうか。 平成二十六年の総世帯の消費支出は、一世帯当たり一カ月平均二十五万一千四百八十一円で、実質で三・二%の減少になりました。全国の貧困世帯数は、平成四年の三百八十五万世帯から五年ごとの数値で四百六十六万世帯、七百二十三万世帯、七百五十二万世帯とふえています。多くの人が貧困に陥る原因として、老後の資金不足、非正規雇用、精神疾患、ひとり親、親の介護、教育費の増大、事故や病気、会社の倒産やリストラなどが挙げられます。本県の貯蓄ゼロ世帯の割合は、平成十七年一・九%が二十六年八・一%に、生活被保護世帯数が平成十二年度七千九百九十世帯が平成二十六年度には一万九千七百八十六世帯にふえ、国民健康保険料滞納世帯数は全世帯数の一六・五%であり、学校給食費が払えなかった児童生徒のいた小学校の割合は四一・五パーセント、中学校は五八・五%となっています。人は定職を持ち、家族を得ることによって安定した生活を送ることができます。二世代以上の成人が同居する家庭のことを多世代世帯といいますが、ふえているようです。働く意欲を持たずに親のすねをかじる若者をパラサイトシングルといいますが、働き口が見つからず、パートや派遣職員など非正規に従事する若者がふえています。本県の正規の職員、従業員数は、平成四年六十九万四千人から十年ごとの数値で六十三万二千人、五十九万二千人と減り、一方、非正規の職員、従業員数は平成四年十四万一千人から三十万一千人、三十八万三千人とふえています。グローバル競争が激しさを増す中、企業は即戦力を採用する傾向を強めており、ファーストジョブ、最初の仕事が失われつつあります。非正規雇用が四割を超え、結婚率も正社員の二分の一であり、女性が初めてつく職は非正規が五割、年収四百万円以下の世帯の大学進学率は三割、子供は六人に一人が、そしてひとり親世帯の半分が貧困状態にあると言われています。結果として、初婚年齢は上昇し、結婚率は低下しており、日本で少子高齢化が進行している原因の一つになっています。地方経済の発展なくして内需の懐は埋まりませんし、高齢化、人口減少の影響は地方経済において顕著にあらわれます。働く人が経済的に豊かになることと企業が成長することとは矛盾しません。より高い賃金を働く人に払い、生産性の上昇分を還元して購買力と消費意欲を高めることが経済を活性化させます。内需の柱である個人消費を腰の強いものにするために、労働分配率を高めるべきだと考えます。安倍政権の経済政策は消費者に比べ企業に、その中でも特に大企業に偏重しているのではないでしょうか。大企業は円安でもうけたにもかかわらず、雇用もふやさず、賃金も上げず、内部留保をふやしただけでした。株価連動内閣ともやゆされ、株価維持に力を注いできましたが、私たちの大切な年金基金を勝手に使っていいものでしょうか。 史上最高額の国債発行が続いています。財政規律はどこへ行ったのでしょうか。日銀はまるでボクシングのようだ。最初はジャブ、ジャブで、やがてボディーブローのようにきいてくると言う人がいますが、心配しているのは私だけではないと思いますが、いかがでしょうか。 現役世代が若年層あるいはこれから生まれてくる将来世代に、社会保障費などの財政負担を押しつけることを財政的幼児虐待と言いますが、これはその解消は喫緊の課題であると考えます。また、貧困投資は一人当たり七千万円から一億円の社会的利益を生むと言われます。だれかが貧困になれば、生活保護を初めとするいろいろな社会的給付が必要になります。逆にその人が平均的な就労をすれば納税をします。支えられる側から支える側に回ってもらうことができます。貧困者の救済は犯罪率の低下にもつながりますし、医療費の抑制にもつながります。以上の点についての知事の所感をお聞かせください。 障害者の雇用の場として農業を活用しようという農福連携の取り組みが広がっています。担い手不足や高齢化に苦しむ農業サイドと、低就職率や低賃金に悩む福祉サイドが連携により課題を解決しようというものであり、厚労省も予算を組んで支援する自治体がふえています。本県の取り組みをお聞かせください。 安倍政権の一億総活躍社会実現へ向けた新・三本の矢は、出生率一・八、介護離職ゼロ、名目国内総生産GDP六百兆円の実現です。この一億総活躍社会は、イギリス労働党のトニー・ブレア元首相が掲げた第三の道を思い出させると言う人がいます。その理論家であるアンソニー・ギデンズは自由主義と福祉国家の結合を考え、国民すべてがそれぞれに自分の能力を発揮し、社会に参加できるシステムの構築を目指すとともに、ケインズ主義に立った労働党や小さな政府と市場経済のサッチャーの保守党のどちらでもない、新たな民主社会主義としての第三の道を目指しました。国民全員参加によって、社会全体の活力を引き出そうという目標は共通しているようです。これからの日本の成長率は、人口減少要因で〇・五%、人口構成要因で〇・五%それぞれ押し下げられ、人口要因全体としては一%程度の成長率低下要因となるようです。したがって、人口減少下における成長戦略は、一、一人当たりGDPを成長目標にする、二、女性、高齢者、外国人などの労働参加率を高める、三、労働生産性を引き上げることに重点を置くべきだと考えますが、いかがでしょうか。 新・三本の矢の中心は出生率の引き上げだと考えますが、家庭でも社会でも男女が平等に扱われる国は出生率が高いようです。男女平等の指数としては、世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数が有名ですが、二〇一五年のデータでは、日本は世界ランクで百四十五カ国中百一位です。政治分野は百四位、経済分野は百六位、教育分野は八十四位、健康分野は四十二位となっています。以上から考えても、活用されていない人的資本の第一は女性ではないでしょうか。女性がキャリアアップするには幾つかの壁があります。育休からの復帰を阻む壁、子供が小学校に上がる際の小一の壁、学童保育で預かってもらえなくなる小四の壁に加えて、キャリアアップの壁、離職後の再就職の壁、女性の就業を短時間に抑える百三万円の壁、百三十万円の壁などの税制、社会保障制度の壁があり、壁の背後には男性の意識の壁があるとの指摘があります。女性の活躍を後押しするためには、男性が長時間労働や休暇をとりづらい環境を是正して、イクメンをふやす必要があり、そのためには、経営者、管理者の意識改革を進め、イクボスを育てることが必要かもしれません。安倍政権は、政権発足後、生命と女性の手帳を打ち出し、三年間自宅で子供を抱っこし放題を掲げて、三年育休や待機児童の解消策もあわせて打ち出しました。私は、労働市場のゆがみを是正するために、正社員への道を閉ざされたフリーターや、元気で働く意欲を持っているシニア層にもっと雇用機会を提供することに力を入れるべきだと考えますが、いかがでしょうか。 介護のために離職する人は年間約十万人と言われます。離職する人も大変ですが、働き盛りの社員が離職すれば、企業にとっても大きな損失になります。仕事と介護の両立に向け、育児・介護休業法を見直すべきではないでしょうか。例えば介護休業は、通算九十三日以内なら三回まで分割できるようにするとか、介護休業とは別に短時間勤務を可能にするとか、介護期間中は申し出れば残業が免除されるとか、半日単位でも取得できるようにするなどの方策が考えられます。改正を待つまでもなく、本県あるいは県庁でできることはないのでしょうか。神奈川県では、施設などへの介護ロボット、パロやリハビリ医療介護ロボット、ハルを導入しています。本県でも検討されてはいかがでしょうか。以上の点について知事の見解をお示しください。 日本は世界でもまれに見る人口高齢化に直面しており、六十五歳以上の人口の増加は二〇四〇年ごろまで続くので、二〇四〇年問題と言われています。国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、多くの地域で大幅な人口減少が生じ、過疎化が進展し、小規模自治体は財政基盤が弱体化するので、行政コストが高くなります。高齢化の進展は地域で大きな差があらわれますが、高齢化の進展と高齢者の増加を区別する必要があり、地方では高齢化が進みますが、高齢者がそれほどふえず、一方、都市部では高齢者が大幅にふえ、医療介護のための施設や人材を整備する必要があります。最近でも既にそうした兆候があらわれていますが、いずれ雇用の確保以上に人手不足の確保が課題になると考えられます。地方創生は、まち・ひと・しごとの好循環をつくることであると言われます。仕事の創生は、若い世代が安心して働ける相応の賃金、ひとの創生では、結婚から妊娠・出産・子育てまでの切れ目のない支援、まちの創生では、地域の特性に応じた対応が必要です。中山間地帯では地域のきずなを大切にした安全安心な環境、地方都市では都市のコンパクト化、大都市圏では高齢化と単身化問題や災害への備えなどが課題であるとの意見があり、私もそう考えますが、いかがでしょうか。 岡山大学大学院の中村良平教授は、地域を支える産業には、町の外を主な販売市場とする基盤産業、例えば農林水産業や鉱工業そして宿泊業などのサービス業と、域内を主な市場とする金融、保険業や不動産業などの非基幹産業があり、基盤産業の強さは非基盤産業に大きな影響を与え、基盤産業の従事者一人に対し、非基盤産業の従事者は五・五人となり、地域全体の就業者は基盤産業の従事者のおよそ六・五倍になるので、就業者一人が平均して二人の生活を支えていると考えると、地域の人口を一万人ふやすためには、基盤産業の雇用を新たに約七百七十人分創出すればいいと述べていますが、この考え方についても参考にしてはいかがでしょうか。 多くの自治体では、公民館、図書館、体育館といった公共施設は需要のピークを過ぎ、自治体の合併に伴って重複施設の余剰が出るなど箱物は過剰になっており、維持管理費だけでなく老朽化した施設の改修や建てかえが財政を圧迫しています。本県の基本的な考え方をお示しください。 世界的な食料争奪戦の中で、農産物の内外価格差が縮小する一方、日本の農産物への需要が増加しています。この機会に、一、水田耕作の基盤を強化し、食料の過度な海外依存を改める、二、農産物の内外価格差を縮小し、消費者の負担を軽減する、三、生産者の所得改善を進め、農家経営の安定と後継者を育成することを明確な政策目標にすべきだと考えますが、いかがでしょうか。 また、一次産業、二次産業、三次産業の融合により、農林水産物に新たな価値を生み出す、六次産業化にもっと力を入れるべきだと考えますが、いかがでしょうか。 TPPについてお伺いします。 政府は昨年の十二月二十四日、TPPの経済効果を十三兆六千億円とする試算結果を発表しました。これは平成二十五年三月に発表されました政府統一試算の三・二兆円を大きく上回るものでした。農業分野については前回三兆円とされた農林水産物生産額の減少が、今回は千三百から二千百億円の減少にとどまるとの結果になっています。すなわち、経済効果は十兆円上乗せし、減少幅は二兆八千億円に及びました。本県は、国の試算で示された生産減少額から全国の生産額減少率を推計し、本県の産出額等に掛けて影響額を算出しています。その結果、米と麦は短期的には影響はない、牛肉、鳥肉、鶏卵などの影響は限定的と考えられるとしています。一方、JAグループ宮城はTPP断固反対を強く訴えています。その理由は、安い外国産農産物が流入し、価格競争で太刀打ちできないので、国内農業は大打撃を受け、食料自給率は低下する。農業分野だけではなく、食の安全、地域の雇用、医療制度など暮らしのあらゆる分野に影響を及ぼすとの主張ですが、この危機感の違いはどこから来るのでしょうか。宮城県はこの程度の危機感で果たしていいのでしょうか。これらが本当であれば、影響は限定的と見込まれるとは言えないのではないでしょうか。知事の認識をお示しください。 私は、これまで民意を反映した効率的な自治体経営の実現をライフワークの一つとして取り組んできました。知事を本部長とする対策本部の数は現在三十七組織ありますが、そのうち平成二十七年度に開催されたのは十七組織であり、二十組織は一度も開催されていませんが、その理由をお聞かせください。 県が二五%以上出資している公社等外郭団体の累積債務、すなわち長期借入金は平成十八年度に比べて二百三十九億一千二百万円ふえていますが、どうしてでしょうか。未利用の遊休県有地については、県財政の健全化と民間での社会資本として、土地の有効活用を図るため公表し処分の推進が図られており、これまでの実績は五百五十三件、三百四十二億九千九百九十六万六千円となっているようですが、今後の見通しをお示しください。 利用料金収入により運営している県直営施設は六施設ですが、そのうち四施設は赤字になっています。中には必要経費の三・八%しか回収できていないものもあります。改善の余地があると考えますが、いかがでしょうか。 宮城県の知事決裁は、担当、班長、課長補佐、課長、次長、部長、副知事、知事の八段階になる場合があったと理解していますが、現在はどうなっているのでしょうか。本格的な人口減少を迎える中、自治体が抱える公共施設の集約化や複合化、転用、廃止をどう進めるかが課題になっています。総務省は公共施設等総合管理計画を策定するよう求めており、二〇一六年度はその最終年度になりますが、本県の策定は順調に進んでいるのでしょうか。 厚生労働省は、全国の四百二十六自治体を対象に二〇一三年度末時点の水道管の状況を調査した結果、全国の二割に当たる九十事業体が経年化率と更新率において全国平均以下であり、老朽化対策が大幅におくれていることが判明したと発表しています。本県は大丈夫なのでしょうか。 ここ数年、自動車メーカーのリコール隠し、病院における医療ミス、食品の産地偽装などが続いていましたが、最近になって大企業の粉飾決算や手抜きマンションなどのニュースが続きました。こうしたケースにおいては、内部通報がきっかけとなって発覚し、結果として被害の拡大を防止できたり責任追及が可能になっています。上司が不正を行ったときに衝突することで出世コースからはじかれることを恐れて、部下が見て見ぬふりをすることを背信の階段と言います。内部告発者は警笛を鳴らす人、正義のために笛を吹いて警告を発する人ということで、ホイッスルブロアーと言うようです。我が国においては、平成十八年四月、公益通報者保護法が施行され、みずからが勤務する会社や役所での反社会的、不正行為を内部告発した人を保護する仕組みができました。長期不況のときのリストラや必ずしも公平とは言えない成果主義人事などで、社員の帰属意識は急速に薄れています。会社が人件費削減をねらい、派遣社員やパート社員の採用をふやしました。一方、業績が低迷する業界を中心として、役員や中間管理職が手柄を立てようと不正に手を染めるケースも見られます。告発した人が勇気を持って告発してもそれが受けとめられない、これ以上どうしたらいいんだろう、逆恨みが怖い、犯人捜しだけされて、嫌がらせをされて、結局はうやむやにされることのないように、公益通報者保護制度の実効を上げるにはどうすればよいとお考えでしょうか。 職場の三大ハラスメントとして挙げられるセクハラ、パワハラ、マタハラの撲滅へ向けての決意とともに、お聞かせください。 政治は経済、経済は経世済民、世を治め人々の救うことにあります。自治の語源はギリシャ語のアウトノミアであり、みずから治めるという意味であることは、ジェームズ・ブライスの民主主義の源泉たる地方自治、地方自治は民主主義の学校であるという言葉とともによく知られていると思います。国の場合は、国民によって選出された国会議員による首班指名により総理大臣が選出されますが、地方では、知事や市長などの首長と議員はそれぞれ別個に選出されますので、二元代表制と言われています。首長を初めとした執行機関は、予算を初め重要事項については議会の議決を経て初めて執行できるものなので、有名なド・ロルムの「議会は、女を男にし、男を女にする以外は何でもできる」という言葉があるぐらいですが、実際は、執行部提案の議案の追認機関あるいはラバースタンプになっていると指摘する声があります。私は、地方議員の役割は県民の民生の安定と福祉の向上、そして県政の発展を目指してチェックと提言を行うことであると考えています。二〇〇五年六月二十日発行の日経グローカルは、地方議会ランキングを恐らく我が国で初めて発表しました。都道府県の一位は宮城県議会、二位は三重県議会でした。今回、多くの新人の方々が当選されました。政治活動を始めてことしで五十年を迎え、とうが立ってきた私にとって、宮城県政の更なる発展へ向けての新たな牽引役として御活躍を祈念するものですが、議員経験もある知事の二元代表制への思いをお聞かせください。 以上をもって、壇上からの質問を終わります。 御清聴まことにありがとうございました。
○議長(安部孝君) 知事村井嘉浩君。 〔知事 村井嘉浩君登壇〕
◎知事(村井嘉浩君) 藤原のりすけ議員の代表質問にお答えをいたします。大綱六点ございました。 まず、大綱一点目、復興へ向けての課題についての御質問にお答えをいたします。 初めに、防災集団移転促進事業の進捗状況についてのお尋ねにお答えをいたします。 東日本大震災の大津波により被災した市町では、これまで住まいの再建に全力で取り組んできており、防災集団移転促進事業については、用地取得や造成工事に時間を要した地区もありましたが、今年度末には、計画されている百九十五団地のうち百六十四団地での建築が可能となるなど着実に整備が進んできております。県としては早期に被災者への住宅地の引き渡しが可能となるよう、引き続き市町を積極的に支援してまいります。 次に、仮設住宅における医療や介護、心のケアに係る人材の確保についての御質問にお答えをいたします。 県では、仮設住宅での生活が長期化する中で、被災者の心身の健康の維持と改善を最優先にさまざまな取り組みを進めてまいりました。高齢者など被災者の健康状況の悪化を防ぐために必要な人材の確保については、被災地における医療人材の流出防止に努めるとともに、医師、看護師の確保対策を講じたほか、介護分野については、新規職員を採用する介護事業所への助成や、働きながら介護の資格を取得できるよう支援を行うなど、多様な人材の参入促進に取り組んできております。また、被災者の心のケアに的確に対応できるよう、みやぎ心のケアセンターなどの関係機関と連携し、支援に必要な精神保健福祉士などの専門職の確保に努めております。県としては、今もなお多くの被災者が仮設住宅での生活を余儀なくされている中で、見守りによる安否確認や生活相談などの取り組みを支援していくとともに、被災者が必要な医療サービスや福祉的ケアを受けられるよう、医療・福祉提供体制の確保に引き続き努めてまいります。 次に、震災から五年が経過し、中央省庁の硬直的な対応が目立ち始めたのではないかとの御質問にお答えをいたします。 東日本大震災からの復旧・復興については、国から過去に例のない手厚い支援をいただき、この五年間全力で取り組んでまいりました。県ではこれまで政府要望など、さまざまな機会をとらえ、被災市町の実情を強く訴えてきた結果、各種制度の見直しや改善が図られたほか、復興・創生期間において一部事業に導入される地方負担の割合についても、自治体の財政や復興の進捗に影響のない程度に抑えられたところであります。また平成二十八年度の政府予算案や、現在国が策定を進めております復興・創生期間における東日本大震災からの復興の基本方針においても、我が県が要望してきた事項がおおむね反映されており、被災地の実情に配慮していただいているものと認識しております。今後も復興の進捗に応じて生じるさまざまな課題に的確に対応し、被災された方々が一日も早く落ちついた暮らしを取り戻すことができるよう、国に対し引き続き柔軟な対応を求めるとともに、被災市町と一体となって復興の更なる加速化に努めてまいります。 次に、大綱二点目、すべての人に居場所のある社会についての御質問にお答えをいたします。 初めに、安倍政権の経済政策等についてのお尋ねにお答えをいたします。 安倍政権の経済政策については、デフレ脱却を確かなものとし、大企業のみならず、中小企業も含めた地方の経済力の全体的な底上げを目指すものであり、全国的な倒産件数の減少や卒業予定者の就職率の上昇等にもその成果が見られるものと認識をしております。その一方、首都圏への人口流出が継続しており、都市と地方の格差の拡大や地域の中小企業への経済波及効果が十分との懸念も示されております。このような状況を踏まえ、国においては、財政健全化に向けて、今年度策定した経済・財政再生計画の着実な推進とあわせ、更なる雇用の改善や賃上げを実現するなど、経済の好循環が全国津々浦々まで行き渡るよう、引き続き万全の対策を講じていただきたいと考えております。また近年、生活保護受給者が過去最高を更新し続け、非正規雇用の増大や子供の貧困等がクローズアップされるなど、貧困が社会問題となっております。このため国では、生活困窮者自立支援法や子どもの貧困対策の推進に関する法律を制定し、貧困からの脱却や貧困の連鎖を防止するための施策を推進しているところであります。県としても、生活困窮者自立支援制度に基づく就労支援などに取り組んでおり、今後とも子供の貧困対策を含め各種施策の拡充を図りながら、必要な支援に努めてまいります。 次に、農福連携についての御質問にお答えをいたします。 農業分野においては、高齢化による担い手不足や耕作放棄地の増加などの課題があり、また、福祉分野においては、障害者の就労の場の確保などの課題がありますことから、近年、両分野が連携してこれらの課題に取り組む農福連携が注目されており、県内でも障害者就労支援事業所と農業者の連携した取り組みが始まっております。県といたしましても、障害者の就労が農業分野においても促進され、障害者の職域や収入が拡大されるよう、国の事業を活用しながら、農福連携のための研修会の開催や障害者就労支援事業所等に対する農業の専門家派遣などに県庁内の農業部門と福祉部門が連携しながら取り組んでまいりたいと考えております。 次に、大綱三点目、一億総活躍社会についての御質問にお答えをいたします。 初めに、人口減少下における成長戦略についてのお尋ねにお答えをいたします。 国が掲げる一億総活躍社会については、若者や女性だけでなく、高齢者や障害者など、国民すべての方々が活躍できる社会であり、一人一人が個性と多様性を尊重され、それぞれの能力を発揮でき、生きがいを感じることができる社会を目指すものと位置づけられております。昨年策定した我が県の地方創生総合戦略においても、安定した雇用の創出に向けて、年齢や性別、障害の有無にかかわらず活躍できる環境の整備等を進めていくこととしております。先月発表した平成二十五年度宮城県民経済計算によれば、我が県の一人当たりの県民所得は初めて全国平均を上回りましたが、今後更に人口減少が進むと見込まれていることから、御指摘のとおり、女性や高齢者等の働きやすい環境の整備とあわせ、技術革新やICT等による労働生産性の向上のための取り組みが重要と認識しており、引き続き富県宮城の実現に向けて全力で取り組んでまいります。 次に、フリーターやシニア層への雇用機会提供についての御質問にお答えをいたします。 生産年齢人口が減少する中、良質な労働力の確保と地域経済の成長を両立していくためには、勤労意欲がありながら希望の就労がかなわない若年層やシニア層に対し、さまざまな雇用の場の創出と適切な能力開発の機会、更には雇用対策を総合的に組み合わせて講じていくことが重要であると認識しております。このため県といたしましては、引き続き、企業誘致や県内企業の取引拡大を通じた雇用機会の新規創出を図るとともに、みやぎジョブカフェでのフリーターなど若年層への就職支援や、中高年齢者を雇用する中小企業やシルバー人材センターに対する助成を行うほか、宮城労働局と連携した職業訓練やマッチング支援などの取り組みを強化し、フリーターやシニア層に対する雇用機会の拡大を積極的に推進してまいります。 次に、育児・介護休業法の改正を待たずに我が県や県庁でできることはないのかとの御質問にお答えをいたします。 家族の介護や看護を理由に離職や転職を余儀なくされている状況は大きな課題となっており、仕事と介護を両立できる制度の整備が急務であると考えております。現在、介護離職の防止に向けて、育児・介護休業法の改正案が国会で審議されていることから、その動向を注視してまいります。県としては、介護休業制度の普及啓発に合わせ、セミナーの開催や相談窓口の設置、社会保険労務士の企業への派遣、金融支援などに取り組んでおり、あわせて、宮城労働局との協定に基づき、取り組み企業に対して適切な指導、監督、計画提出がなされるよう働きかけてまいります。また、県庁の介護休業制度については、国家公務員に準じ、取得可能期間を連続六カ月とするなど、育児・介護休業法に定める介護休業制度を上回る取り扱いとしております。なお、分割取得を認めることなどについては、国の動向を踏まえ対応してまいりたいと考えております。 次に、施設などへの介護ロボットの導入についての御質問にお答えをいたします。 介護ロボットについては、現状では機種が限定されていることに加え、価格が高価であることや、安全な使用への不安などから導入が進んでいない状況にあります。こうした中で、国においては二〇二〇年ごろを目標に、介護ロボットの研究開発を促進するほか、来年度からは効果的な活用方法を構築するためのモデル事業の実施や、市町村を通じた交付金による導入促進を図ることとしております。県といたしましても、介護ロボットの活用が介護職員の負担軽減につながるものと認識しており、国のモデル事業の実施状況などを市町村に情報提供するとともに、介護研修センター等を通じて施設などへの普及啓発に努めてまいります。 次に、大綱四点目、地域創生についての御質問にお答えをいたします。 初めに、地域の特性に応じた課題に関するお尋ねにお答えをいたします。 御指摘のとおり、中山間地域や地方都市、大都市圏のいずれの地域においても、人口減少や少子高齢化に伴い、さまざまな課題を抱えていると認識しております。このため、県の地方創生総合戦略では、時代に合った地域をつくり、安全安心な暮らしを守るを基本目標の一つに掲げ、コンパクトシティーの考え方なども踏まえながら、医療・介護・福祉・交通ネットワークなどの充実を図るとともに、自治会やボランティア、NPO法人などによるコミュニティーづくりや地域包括ケアシステムの構築など、地域の特性を生かした生活機能を整備することとしております。県内各地域において、だれもが安心した生活が送れるよう、市町村や民間団体等と連携して持続可能な地域づくりを推進してまいります。 次に、地域の人口増加に向けた基盤産業による雇用創出についての御質問にお答えをいたします。 地域の産業を域外を主たる市場とする基盤産業と域内とする非基盤産業に分けて分析を行う経済基盤モデルでは、基盤産業が発展すれば非基盤産業も誘発され、地域全体の生産や雇用の増加につながるとされております。我が県では、人口の維持、定着、更に安定した雇用の創出のためには、県外の需要を獲得することが必要と考え、自動車関連産業を初めとした製造業の育成や中部以西や外国からの観光客の取り組みなど、高い競争力のある基盤産業の振興に取り組んでまいりました。今後ともこうした考え方のもと、富県宮城の実現に向けて、関連企業の誘致や地元企業の技術力向上による製造業の集積促進、観光資源の磨き上げや、顧客ニーズを意識した情報発信による観光産業の振興、農業資源を生かした付加価値の高いアグリビジネスの育成等により一層取り組んでまいります。 次に、自治体の公共施設の維持管理費や建てかえ経費についての御質問にお答えをいたします。 各自治体の学校、公民館等の公共施設については、今後人口減少等によりその利用需要が変化していくことが予想され、更に厳しい財政状況が続く中、維持管理や老朽化対策が喫緊の課題であると認識しております。このため各市町村では、公共施設等の全体を把握し、長期的な視点を持って更新や統廃合、長寿命化などを総合的かつ計画的に行うことにより、財政負担を軽減、平準化することが求められており、現在公共施設等総合管理計画の策定を進めているところであります。県としては、市町村が早期に計画を策定し、それに基づく公共施設等の適切な更新や統廃合等が推進されるよう、国の財政支援措置の活用や情報提供、研修会の開催などを通して支援をしてまいります。 次に、農家経営の安定と後継者育成などを明確な政策目標にすべきとの御質問にお答えをいたします。 食料は私たちの生命の維持に欠かすことのできない重要なものであり、良質な食料が適正な価格で安定的に供給されることが必要であります。県では、みやぎ食と農の県民条例に基づく基本計画を策定しており、その中では、県民に安全で安心な食料が安定的に供給されることや、次代の農業者を育成しつつ農業が持続的に営まれることなどを目標に掲げております。その達成に向けて経営基盤の強化を図るため、農地の大区画化や汎用化を進めながら、担い手への農地集積による低コスト化などに向けた取り組みを推進しております。また、地域農業の維持発展を図るため、認定農業者や新規就労者の確保、育成、法人化など効率的かつ安定的な農業経営体の育成に向けた支援を展開しております。県といたしましては、引き続き、我が県農業の持続的な発展と活力ある農村の構築に向けて取り組んでまいります。 次に、六次産業化の推進についての御質問にお答えをいたします。 六次産業化については、農林漁業者が地域特有の資源を活用し、農林漁業の付加価値を高めながら、地域に雇用と所得を生み出す極めて重要な取り組みであると認識しております。このため、宮城県六次産業化サポートセンターを設置し、さまざまな課題の解決のために専門家を派遣するほか、新商品やサービスの開発その販路開拓等の取り組みを支援しているところであります。この結果、六次産業化のための総合化事業計画の認定者数が東北一になるなど、数多くの取り組みがスタートしており、例えば石巻市でカキの養殖を行う漁業者が仙台市内にオイスターバーを開店し、店で提供したカキの評価が広まったことによって、販路が全国に拡大したという事例も生まれております。県としては、金融機関を初めとする関係機関との連携を強化しながら、売れる商品づくりを加速させ、地域の新しい雇用の創出や地域活性化が図られるよう、きめ細かな支援を行ってまいりたいと考えております。 次に、TPP協定による我が県農林水産業への影響と認識についての御質問にお答えをいたします。 TPP協定による農林水産業への影響については、国が公表した影響試算で示されたデータを用いて県影響額を七十八億円と算出し、影響評価を行ったところです。この影響評価は、TPPによる影響をとらえるため、関税削減分を生産減少額とするほか、国の講じる国内対策の効果を踏まえたものとなっており、こうした前提のもと、県独自の要因、背景についての分析を加えて影響評価を行ったところ、多くの品目において見込まれる影響が限定的となったものであります。しかしながら、我が県の基幹的な産業である農林水産業については、生産物の価格低迷、担い手の減少、高齢化などさまざまな課題を抱えているところであり、TPPによる影響を最小限にとどめるとともに、現場の不安や懸念の払拭のためにも、農林水産業の体質強化は喫緊の課題であると認識しております。県といたしましては、今後とも、JAグループ宮城を初めとする関係団体との情報共有、意見交換に努めるほか、農林水産業を将来にわたり維持発展させるため、国が実施する体質強化対策等も十分に活用しながら、収益性の高い競争力のある農林水産業の実現を目指してまいります。 次に、大綱五点目、民意を反映した効率的な自治体経営についての御質問にお答えをいたします。 初めに、私が本部長となっている対策本部の未開催理由についてのお尋ねにお答えをいたします。 複数の部局が連携して対応しなければならない課題については、庁内横断的組織として対策本部を設置して取り組んでいるところであり、御指摘のとおり、私が本部長となっている対策本部は現在三十七組織ございます。これらの対策本部は恒常的に開催するものもございますが、計画策定時に開催するものや、対応を要する案件が発生する都度開催するものも多く、結果として今年度は二十組織について開催されなかったものでございます。中には十七回開かれたものもございますが、例えば口蹄疫対策本部といったようなものは、開く必要がないということで開いていないということでございます。 次に、公社等外郭団体の長期借入金が平成十八年度よりもふえているのはなぜかとの御質問にお答えをいたします。 県が二五%以上出資している公社等外郭団体における長期借入金の合計は、平成二十六年度末時点で約一千三百七十八億円であり、平成十八年度末よりも確かに約二百三十九億円増加しております。この主な要因でございますが、東日本大震災で被災した中小企業等に対して、施設や設備の復旧整備を支援する無利子貸付事業の原資として、公益財団法人みやぎ産業振興機構に対し、県が平成二十六年度末時点で約八百六十九億円を貸し付けていることによるものでございます。みやぎ産業振興機構に対する当該貸付額を差し引いた場合、公社等外郭団体の長期借入金残高は約五百九億円となり、平成十八年度末と比べますと約六百三十億円の減となっております。 次に、未利用遊休県有地の処分に係る今後の見通しについての御質問にお答えをいたします。 未利用県有地については、一般競争入札等による処分に努めているところであります。平成二十六年二月に公表したみやぎ財政運営戦略において、平成二十六年度から平成二十九年度までの四カ年間で十一億円程度の収入を目標としており、現在売り払い手続を進めている案件も含め、平成二十六年度と今年度の二カ年で約十二億円の歳入を見込んでおります。また平成二十八年度は約七億六千万円の歳入を見込んでおります。歳入の増加に大きく結びつく物件は少なくなっておりますが、県財政の健全化と未利用地の有効活用を図るため、今後とも適正な処分を推進してまいります。 次に、県直営施設の赤字改善についての御質問にお答えをいたします。 御指摘のありました施設のうち、県美術館及び東北歴史博物館については、展示事業の主な財源に観覧料収入を充て、収支の均衡がとれる企画となるよう努めているところであり、今後とも、多彩で魅力あふれる展示を行い、観覧者の増加を図ってまいります。 また、リハビリテーション支援センターについては、障害者更生相談所の機能にリハビリテーション医療などの機能を一体化しているものであり、その設置目的上、基本的には一般財源により運営すべきところ、診療等に対する一部負担を求める観点から使用料を徴収しているものであります。公の施設についてはこのように、使用料等の収入により運営費のすべてを賄うことが難しい施設もありますが、引き続き効率的な運営に努めてまいります。 なお、拓桃医療療育センターについては、平成二十七年四月に地方独立行政法人宮城県立こども病院の運営としたところであり、評価委員会による業績評価などを通じて、適正な業務運営がなされるように努めてまいります。 次に、知事決裁の現状についての御質問にお答えをいたします。 我が県ではこれまでも効率的な行政運営を確保する観点から、事務委任規則や事務決裁規程を定め、知事の権限に属する事務の多くを部長や課長、事務所長などが意思決定できるように取り組んできております。東日本大震災以降では、土木事務所長などが実施できる工事の権限を三億円未満から五億円未満に引き上げ、復旧・復興の迅速化を図ってきたところであります。近年もその拡大を進めているところであり、平成二十六年四月には、地方機関の長が行うことができる工事に係る中間検査や完了検査の権限を起工額二千万円未満から四千万円未満に拡充したほか、平成二十七年九月には、建設工事に係る下請承認の手続が地方機関で完結できるよう制度を改正したところであります。今後とも、事務事業の円滑な推進の観点から適切な権限配分に留意しつつ、可能な限り現場に権限を移譲し、効率的な行政運営に努めてまいりたいと思います。 次に、公共施設等総合管理計画の策定についての御質問にお答えをいたします。 国では、各地方公共団体に対し、今後の公共施設等の管理に係る基本的かつ総合的な方針に関する計画を平成二十八年度までに策定するよう要請しているところであります。我が県におきましても、公共施設等の管理に関する基本的な方針等について、庁内に設置したワーキンググループにおいて検討を進めており、来年度の早い時期に策定、公表することとしております。 次に、水道管の老朽化対策についての御質問にお答えをいたします。 昨年十一月に厚生労働省が作成した水道施設の耐震化に関する資料において、大臣認可水道事業体の老朽化の状況等を示す指標が記載されております。県内では、上水道事業及び用水供給事業を運営する水道事業体が大臣認可十二団体、知事認可二十三団体、合計三十五団体あります。このうち四十年を経過した水道管路の割合を示す経年化率及び単年度に更新した水道管路の割合を示す更新率のいずれも全国平均に及ばない事業体は、三十五団体のうち二割の七団体であり、国の調査と同様の傾向にあります。県といたしましては、水道経営の持続性確保の観点から、計画的な管路の更新は極めて重要な課題の一つととらえており、今後、各水道事業体に対してアセットマネジメントの導入や水道事業ビジョン策定への働きかけを強化するとともに、水道事業体の要請に応じて必要な支援を行ってまいります。 次に、公益通報者保護制度とハラスメントについての御質問にお答えをいたします。 公益通報者保護制度の実効性を高めるためには、通報者の保護を十分に確保しながら、迅速かつ正確な調査を実施し、通報者に対し的確にこたえていくことが重要と考えております。県においては、要綱等を整備し対応しているところでありますが、今後とも、より信頼される体制の改善を図りながら、公益通報による県民の利益の保護と通報者の保護に努めてまいります。 なお、各種のハラスメントは、個人の尊厳や人格を不当に侵害し、職員の執務能力や職場秩序に悪影響を与える重大な問題であることから、今後ともハラスメントの防止に向けて、私を先頭としてしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。 次に、大綱六点目、二元代表制の活性化についての御質問にお答えをいたします。 二元代表制については、議決機関としての議会が地方公共団体の意思を決定する機能や執行機関を監視する機能などを担い、執行機関としての長と対等の立場で牽制し合うことにより、地方自治の適正な運営を図るものであり、長い歴史の中で先人たちの努力と英知により築き上げられてきたすぐれた制度であると認識をしております。 現在、宮城県議会は全国的にも先進的な議会として、県民からの負託にこたえ、みずからの判断と責任において地域の諸課題の解決に向けて精力的に取り組んでいるところであります。今後とも、よりよい緊張関係の中、互いに切磋琢磨し、二元代表制のあるべき姿を目指してまいりたいと考えておりますので、引き続き、議員各位の大所高所からの御提言を賜りますようお願い申し上げます。 私からは、以上でございます。
○議長(安部孝君) 四十四番藤原のりすけ君。
◆四十四番(藤原のりすけ君) 御丁寧な、余り気持ちのこもってない答弁ありがとうございました。 知事、効率的な、むだのない民意を反映したシステムというのは非常に重要だと思うんですよね。ジンギスカンの参謀で有名な耶律楚材、この人のモットーは「一利を興すは一害を除くに如かず」でした。新しいことを一つやるよりは一つむだなことを省いた方がいい。大蔵省とか今ありませんけど、財務省とか総務省の省は行政組織がほうっておくと、予算も機構もどんどん膨張するので、それを戒めるために省くということで省とやったということは御存じでしたか。
○議長(安部孝君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 済みません、知りませんでした。
○議長(安部孝君) 四十四番藤原のりすけ君。
◆四十四番(藤原のりすけ君) それは失礼しました。知らないと思わないもので。 それから、意思決定はやっぱり迅速が基本だと思うんです。やっぱりフラットな組織であるべきだと思うんですよ。パーキンソンの法則というのがありましたですよね。どんどんいわゆる部下をつくっていくという。中間管理職ばかりふやしてどうするんですか。
○議長(安部孝君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 私といたしましては、必要な人材を必要なポジションにつけているということで、中間管理職をふやすために役職をつくっているというつもりはございません。
○議長(安部孝君) 四十四番藤原のりすけ君。
◆四十四番(藤原のりすけ君) よく話が県庁のことになると、県庁は県民のための県庁なのか県職員のための県庁なのかわからないという声もあります。声もあります。その辺はどうですか。
○議長(安部孝君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 間違いなく、県民のための組織であります。
○議長(安部孝君) 四十四番藤原のりすけ君。
◆四十四番(藤原のりすけ君) 例えば私がいろんな質問をするために聞きますよね。そうすると、そこの班長とか担当だと非常にわかりやすい、詳しいし。隘路もわかるわけですよ。だんだん上にいくに従って何を言いたいんだかよくわけがわかんなくなってきて、要するに言質をとられないということだけに集中して、県政の前向きな発想がないような気がしますが、知事はいかがですか。
○議長(安部孝君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) その頂点におります私が時々あっぺとっぺな答弁をしているんじゃないかと思って反省をしなきゃいけないなと思っております。本当は全部掌握しなきゃいけないんですが、どうしても仕事量がふえますので、全体を全部を把握するということはどうしても難しいと思いますが、やはりそれぞれ、つかさつかさ努力して、できる限り理解に努め、そして自分で方針を示し、部下に示して、しっかりといろんなことにお答えできるようにしていくということは重要なことだろうというふうに思っております。私自身、反省の意味も込めて答弁をさせていただきました。
○議長(安部孝君) 四十四番藤原のりすけ君。
◆四十四番(藤原のりすけ君) 内需の柱である個人消費を強くするためには、労働分配率を高めるべきだと。これは非常にわかりやすい話だと思うんですよね、私の最初の質問に入れましたけども。この言葉は、八年前に出された二〇〇八年の経済白書の記述なんですよね。政府の記述が八年前に既に、個人消費を強くするためには労働分配率を高めるべきだと。政府の経済白書が言っていて、知事としては実感として進んでいると思われますか。
○議長(安部孝君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) アベノミクスの効果等もありまして、経済全体としては上向きの方向にあると思いますけれども、なかなか労働分配率、富がある程度一定のところに固まってしまっているということも実際ありまして、先ほど答弁したように、なかなか中小企業にその恩恵が行き渡っていないわけでございます。そういう観点からいきますと、労働分配率が上がって個人消費が上がっているとはなかなか言えないのではないかと、これが実態だというふうに私は思います。
○議長(安部孝君) 四十四番藤原のりすけ君。
◆四十四番(藤原のりすけ君) 私もそう思いますけれども、特に宮城県を見ると、宮城県の企業のうち、大企業は〇・二%、九九・八%が中小企業。そのうち、八五%が小規模企業が占めています。かつて日本商工会議所の永野重雄会頭は、江戸城の石垣を眺めながら、城壁を真に支えているのは大きな石の合間合間を埋めている無数の小石たちだと語ったそうですが、中小企業の活性化なくして内需の喚起はできないと私は考えますが、知事はいかがでしょうか。
○議長(安部孝君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) おっしゃるとおりで、中小企業の活性化というのは、日本全体の経済を活性化する意味で重要だというふうに思います。しかし一方、やはり外貨を稼がなければ、資源がないこの国ではやせ細っていってしまいますので、国全体がやせ細っていってしまいますので、大企業に対しましてのある程度の支援をして、外貨を稼げるようにしていくというのも同時にしていかなければならないと。どちらかがだけが重要だということではなくて両方、バランスよくしていかなければいけないのではないかというふうに思います。
○議長(安部孝君) 四十四番藤原のりすけ君。
◆四十四番(藤原のりすけ君) 長く円安が続いて、ここちょっと円高に振れてますけども、円安の恩恵は結局、〇・二%の大企業と国民の八人に一人しか持ってない株を持ってる人にしか行かなかったので、中小企業、小規模企業には行かなかったので、早い話がトリクルダウンは生まれなかったと思いますが、いかがですか。
○議長(安部孝君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 確かに、先ほども答弁をしたように、一部の方たちに、一部の企業にアベノミクスの効果、また日銀が行いました金融政策の恩恵が行き渡らなかったというのは間違いない事実だというふうに思いますが、しかし、日本全体といたしましてはそれだけ力をつけたということにも言えまして、これが次第次第にいろんなところに波及をしていくということが望ましいと。それがなかなかこう見えてこないもんですから、どうしてもジレンマを感じていると、これはもう私も正直そのように感じているところでございます。
○議長(安部孝君) 四十四番藤原のりすけ君。
◆四十四番(藤原のりすけ君) 貧しい人が随分ふえていって、貧困の救済についてですが、本当の正義とは何かという、やなせたかしさんのメッセージは、正義の味方というのであればまず飢えている人を救わなくてはならないと考えて、アンパンマンは自分の顔をちぎってみんなに分け与える。現在、世界で上位六十二人の人の所得が、地球上の残り三十六億人の人の所得と同じだと言われます。これについての感想があれば、お聞かせください。
○議長(安部孝君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 資本主義、ほとんどこの世の中は世界じゅう資本主義でございますので、そういった市場原理に基づいて経済が成り立っている以上、やはりどうしても一部の方に富が偏るというのはやむを得ないことかもしれませんが、しかし、上位六十二人に三十六億人分の所得が集まっているというのはやや行き過ぎではないかというふうに思います。そういった観点から、日本は、比較的大金持ちという人もそれほどいませんし、それほどそういった世界的な規模で見ますと、格差は比較的ないのではないかと、そのようにとらえてもいいのではないかと思います。
○議長(安部孝君) 四十四番藤原のりすけ君。
◆四十四番(藤原のりすけ君) 九月の議会でも問題提起の意味で質問さしてもらいましたが、世代間の格差というのがすごくあるんです。いわゆる財政的幼児虐待、例えば、政府から受け取る社会保険や公共サービスなどの受益と自分が払う税金や社会保険料などの負担を見ると、六十歳以上、私なんかはそうですけども、六十歳以上の人は四千万円得するんですよ、生涯に四千万円。ところが二十歳代の人は千百万円損をする。それ以降の人は八千三百万円の損になるという試算を平成十七年に内閣府が出してるんです。これはやはり行政、政治に携わる人としては問題意識を持つべきだと思いますが、いかがですか。
○議長(安部孝君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 私も、県政を運営している者の一人として、そこを一番注意しなきゃいけないというふうに思ってます。今いる人たちのことだけを考えて県政運営をしてはいけないということから、私は復興しながらやはり財政規律をしっかりと維持して、少しでも借金を返していかなきゃいけないと、一見矛盾してるんですけれども、その二律背反するようなことをやりながら復興をやっていこうというふうに思ってます。その分、時に厳しい批判もありますけれども、そういう思いで、財政的幼児虐待といったようなことに将来の人から批判を受けないようにしていきたいというふうに思っております。
○議長(安部孝君) 四十四番藤原のりすけ君。
◆四十四番(藤原のりすけ君) どうもありがとうございます。率直な意見で。 もう一つ、関連で政策提案になるんですけども、いわゆる貧困投資。二十歳から六十五歳まで生活保護を受給した場合、コストは五千万円から六千万かかるわけです、国や行政の持ち出しがです。ところが、職業訓練などの支援プログラムを二年間実行すると、職業訓練の費用は四百六十万円かかりますけれども、その人が六十五歳まで働き続けてくれれば、本人が払う税金や社会保険料の合計額との差は、非正規の人でさえ七千万円の行政、国のプラス、正規であれば七千万円から一億円のメリットが生まれると。これが今貧困投資というのが非常に注目を浴びてるんですが、これについていかがでしょうか。
○議長(安部孝君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 極めて重要な、理にかなった御指摘だというふうに思います。私は常に言い続けているのは、自分で立ち上がろうとしてもらいたいと。じっとしていて、もちろん動けない人は別ですけれども、動ける人はやはり外に出て、社会の役割を果たしてもらいたいと、自分の使命を果たしていただきたいと。それを行政としてできない部分をお手伝いするのが何よりも重要だと。それが私の行政の考え方、基本的な考え方であり、福祉の考え方であることであることをずっと言い続けております。そういった意味では、投資という表現がいいかどうかわかりませんが、しかし、貧しい人たちを、なかなか貧困から脱却できない人を脱却できるようにお手伝いをする、そういった、そして意思を持っていただくようなお手伝いをするということは本当に重要なことだというふうに思ってます。生活保護受給者が年々増加しているということは、やはり改善をしていかなければいけないだろうと。それは受給者だけに非があるのではなくて、我々にも非があるのではないかというふうな思いを持っております。
○議長(安部孝君) 四十四番藤原のりすけ君。
◆四十四番(藤原のりすけ君) よく知られてることですけども、貧困は連鎖するわけです、世代を超えて。それで貧しいから大学にも行けない、いいとこにも勤められない、それでいわゆるパートとか非正規でそれでずっと非正規でつないでいって、だんだん年をとっていくと。そうすると、最近はより収入をふやすよりも、今の収入の中で人生をいかに充実したものにするかという人たちがふえているそうです。それをダウンシフターと言うようなんですけれども。もう一つ、政策としてすべての個人に対して、生活に最低限必要な所得を無条件に給付する社会政策をベーシックインカムと言いますが、私はこれは考えるべき政策だと思いますが、いかがでしょうか。
○議長(安部孝君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) それぞれ個人の生き方、ライフスタイルがございますので、生活水準を低下させても自分の満足できるライフスタイルを選ぶというダウンシフターという方がおられる、これはもう本人の自由だというふうに思います。実際、この間もテレビを見ておりましたら、そういう生き方をされている人たちがいたと、それで本人は充実していると、満足だというふうな方がおられました。したがって、それを否定するものではございませんが、しかしそういう人たちばかりでありませんので、いろんな社会のニーズにこたえていくということも重要だろうと思います。そうした中で、ベーシックインカム、政府が国民に対して最低限の生活を送るのに必要とされる額の現金を無条件で定期的に支給をするという考え方でございます。それが実現できるようであれば、皆さんに、ここにおられます皆さんにも年金額を支給するようなものでございますから、それはそれで一つすばらしい政策だと思いますが、そのためには大変な財源が必要になりますので、これはよく考えながら検討する必要があるだろうというふうに思っております。
○議長(安部孝君) 四十四番藤原のりすけ君。
◆四十四番(藤原のりすけ君) アベノミクスに関してもうちょっとお伺いしたいと思います。 私は、アベノミクスが出てきたときに、政治がインフレを政策目標にするのは悪魔の手法である、これは自民党の与謝野馨さんが言いました。それから、日本銀行は鎮守の森でなければならない、これは一万田尚人元日銀総裁が言いました。私はそれを聞いたときにもっともだなと思いましたが、いかがでしょうか。 更に、経済にも春夏秋冬、春夏秋冬の循環があるというのがこれ一般の常識なんですよ。常に常夏にしようという、金をどんどん出してじゃぶじゃぶにしてというのは、そういうふうにすることでもって経済の自立的なシステムが壊れたんじゃないかと言う人がいますが、私もそう思いますが、いかがでしょうか。
○議長(安部孝君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 日銀の政策であり、政府の考え方でありますので、それに対して私が是非を言うのは控えたいと思いますが、ただ、非常に心配しておりますのは、この政策をいつどこでだれがやめるかということでして、これやめるのは大変な勇気が要ります。やめたときに恐らくかなり大きな混乱、そして景気の減速あるいは逆走する可能性もありますので、これをやるのは、踏み込むのは簡単ですけども、立ちどまる、やめる、この決断をだれがいつどこでするのかというのは、非常に私としても関心を持っております。一方、同時に心配をしているということでございます。
○議長(安部孝君) 四十四番藤原のりすけ君。
◆四十四番(藤原のりすけ君) 先ほど知事から財政規律の話がありました。まず非常に気を使ってると、考えてると。財源なくして政策なしというの、これは当たり前のことなんです。財源なくして政策なし。財政危機に悩むあのイタリアでさえ、あのイタリアでさえ、オブリコ・コペルツーラの原則、すなわち新たな支出についてはその財源を示さなければならないという原則を憲法に規定しています。どう思われますか。
○議長(安部孝君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) こういったようなことを憲法に書き込むというのは非常に私は意義があると思います。今のように、赤字国債を頻発してもいいという、それが何か当たり前のようになっているということに非常に危機感を持っておりまして、こういった憲法に書き込んでいるイタリアの姿勢には敬意を表したいというふうに思いますし、こういった考え方を少なくとも、一自治体ではありますけども、宮城県は持っていかなければいけないだろうというふうに思っております。
○議長(安部孝君) 四十四番藤原のりすけ君。
◆四十四番(藤原のりすけ君) 知事はいつも率直な答弁で、そこがなかなかすばらしいなといつも思っていて、大変そういう点はすごく評価しているんですけども。 TPPの影響なんですけども、東京大学の鈴木宣弘教授、この人も大変な権威らしいんですが、内閣府と同じモデルを使って試算したところ、今回の合意によるGDPの押し上げ効果はプラス五千億円の〇・七%にしかならず、一方で、農林水産分野の生産額は控え目に見ても一兆円のマイナスであり、食品加工生産額も一兆五千億円減る見通しであると述べていますが、どうお考えになりますか。
○議長(安部孝君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) これは試算でございますので、いろいろな方がいろんな試算をされているのだというふうに思います。県は、先ほど答弁したように、国の試算方法というものをベースに計算をしました。特に米については輸入分を買い取るというようなこともあって、影響額がないというふうに言っておりますけれども、それが実際どういうことになるのかということについてはしっかりと経過を見ていかなければならないだろうというふうに思います。少なくとも海外から安い農林水産物が入ってくるということになれば、影響は出てくるだろうと思いますので、早目早目に国の考え方をとらえながら、政策をとらえながら県としての対応策も打っていきたいというふうに思ってます。農協とはよく話し合いをしていきたいというふうに思っております。
○議長(安部孝君) 四十四番藤原のりすけ君。
◆四十四番(藤原のりすけ君) それで、鈴木教授の計算では、最も深刻な影響を受けるのは畜産農家、輸入牛肉価格も連動して下がるので、国内の牛肉生産額は二千億から三千億円減る可能性があると言っています。もしそうであれば、本県の記述のように影響は限定的と見込まれるとは言えないんではないんですか。
○議長(安部孝君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 早速、鈴木教授の試算のやり方というものを担当の方によく研究させてみたいというふうに思います。私どもは国の試算というものをベースにどうしてもやらざるを得ないという問題もございますので、今のところは影響はないと見ておりますけれども、やはり厳し目の試算というものをベースに考えていくというのが重要だというふうに思いますので、早速担当課の方に勉強をさせてみたいというふうに思います。
○議長(安部孝君) 四十四番藤原のりすけ君。
◆四十四番(藤原のりすけ君) 数値よりも表現を気をつけてほしいんですよ。限定的とか短期的には大したことないと書かれたんじゃ、生産者とか県民に危機感が出ないと思うんですよね。もう少し表現を気をつけていただきたいと思います。 それから、二元代表制で一つですね。片山善博さん、例の総務大臣に直接聞いた話なんですけども、総務大臣のときに、地方議会は重要だということで、総務省に地方議会課をつくろうとしたそうです。でも、それはそうはいかなかったので、地方議会担当を設けて、二元代表制なので、都道府県の首長に送る通達を同時に都道府県議会議長あてに送ったんですけども、そのことは御存じですか。
○議長(安部孝君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 済みません。存じ上げておりませんでした。
○議長(安部孝君) 四十四番藤原のりすけ君。
◆四十四番(藤原のりすけ君) これは、現在も来てるんです。これ言ったとき、そのときの議長は余り関心を示さなかったんですけども、これは大変なことだと思うんです。執行部にこういうのが行ってるよというのが来るということで。私は、二元代表制、知事と前進していきたいと思いますが二元代表制が二元対立制にならないようにお互いに努力していきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○議長(安部孝君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 私もそれが最も望ましい姿だというふうに思っております。 以上でございます。
○議長(安部孝君) 暫時休憩いたします。 午後二時二十分休憩----------------------------------- 午後二時五十分再開
○議長(安部孝君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 質疑、質問を継続いたします。二十五番遠藤いく子君。 〔二十五番 遠藤いく子君登壇〕
◆二十五番(遠藤いく子君) 日本共産党県会議員団の遠藤いく子です。私は、県政史上初めて日本共産党の代表質問を行う機会をいただきました。これは、昨年の県議選で四議席から八議席へと倍加をさせていただいたことによるものです。そこに込められた被災者の方々の五年間の思い、そして暮らしの向上を願う県民の方々の思いをしっかりと抱えて、力を尽くしていく決意でございます。 それでは、知事の県政運営の基本について入りたいと思います。 冒頭、お伺いします。 安倍内閣の閣僚らによる失言や暴言、政治と金の問題や不祥事など、厳しい批判が出ておりますが、このような政治家の品格について、知事はどのような感想をお持ちでしょうか。 宮城県政が最優先で取り組むべき課題、それは大震災からの復興と県民の暮らしを守ることです。その視点で見たとき、復興の障害となり、あるいは足かせとなることが懸念される問題を中心に伺います。 安倍内閣は、消費税を二〇一七年四月にも一〇%に引き上げる計画です。増税による新たな負担は一人当たり二万二千円ともなっています。増税分は社会保障のために使うと公言していますが、安倍内閣の三年間は、社会保障の自然増を毎年三千億円から五千億円抑制したことで、その規模は小泉政権時代をはるかに超えるものでした。また、食料品などを据え置く軽減税率を導入しても、それ以外は一〇%ですから、大増税以外の何物でもありません。低所得者ほど負担が重くなる、消費税の逆進性は更に強まります。その一方で、黒字大企業を潤す減税を進めましたが、大企業減税を行っても、内部留保はふえるものの賃金に回らないことが、過去の事実で明らかになりました。 被災者の暮らしに大きな困難をもたらす、ひいては復興の足かせになる消費税一〇%は中止を求めるべきと考えます。被災地の知事としてぜひお答えください。 次に、TPPについて伺います。 国会は、TPP交渉参加に当たって、重要五品目を関税撤廃の例外とする衆参ともに全会一致で決議を上げましたが、その三割は関税撤廃に追い込まれました。米に対しては、特別輸入枠が押しつけられました。農林水産物全体では八割を超す品目の関税が撤廃され、発効から七年経過すれば、更なる関税撤廃の協議が義務づけられています。安倍政権は、協定の中身がまだ公表されていない昨年十二月、農林水産物の影響試算を行いましたが、二年前の試算と比較すると、GDP増加額は四倍に、農林水産物の生産減少額は二十分の一に、前代未聞の試算となりました。国に準じた宮城県の試算でも一千三十一億円から七十八億円へと、実に九二・四%も影響額が減少しています。TPPの農林水産物への深刻な影響を知事はどのように考えますか。 更に、GDP試算が四倍にふえる理由は、トリクルダウンによる経済拡大効果と説明されています。しかし、米国タフツ大学はGDPが減少し、雇用は世界で七十七万人減少という真逆の試算を出しました。安倍政権の発足前と比べて大企業の利益は四割ふえましたが、国民の実質賃金は五%ものマイナスです。トリクルダウンはあり得ないと思いますが、知事、お答えください。 安倍首相は、憲法の条文そのものを改定する明文改憲発言を通常国会で繰り返しています。二月三日の予算委員会では、七割の憲法学者が自衛隊に違憲の疑いを持っていることを引き合いに出して、憲法違反の疑いを持っている状況をなくすべきだとして、憲法九条二項の削除に言及しました。安保関連法の成立によって、自衛隊の海外における活動は大きく拡大します。憲法九条と矛盾する状況が出たからと、憲法の方を変えるというのは逆ではないかと考えます。このような首相発言に対して、知事はどのような所感をお持ちですか。 次に、創造的復興について伺います。 亡くなられた方と行方不明の方は一万七百八十八人という未曾有の大災害でした。知事は、だれもが誇りに思える復興をなし遂げると創造的復興を掲げてこられましたが、しかし、日本共産党県議団は、これが復興に値するのかと知事の基本姿勢を批判してまいりました。被災者の生活再建を中心にすることを求めてきたところです。 創造的復興の一つ、広域防災拠点についてまず伺います。 平成二十三年十月に策定された県の復興計画には、広域防災拠点の位置づけは全くありませんでした。初めに宮城野原ありきとも言われ、経過の不透明さが浮き彫りになっています。加えて事業費は三百億円と想定され、社会資本整備総合交付金と復興枠を充当し、なおかつ県負担は百四十億円に上るという巨大プロジェクトです。復興計画にもなかった巨大プロジェクトが突然浮上して創造的復興のシンボルとなり、予算までついたのは、通常の事業感覚としては考えられません。その起点は、平成二十五年一月の四者会議とされていますが、前年十二月には知事レクが行われています。一月の四者会議の協議呼びかけはどこが行ったのか、また、事業の必要性や妥当性はいつどこで確認されたのか、該当する国の補助事業が明らかになったのはいつかなど、知事、お答えください。 次に、仙台空港民営化について伺います。 既に国管理空港の民営化第一号として、二月には仙台国際空港株式会社によりターミナルビルと航空貨物取り扱いの事業が始まり、六月には本格的運用がスタートいたします。仙台空港ターミナルビル、国際貨物ターミナル等々、国が管理する滑走路、駐機場と一元化して、管理運営を民間企業に委託するものです。しかし、鉄道事業は一元化には含まれませんでした。いわば赤字の鉄道事業は今までどおり第三セクターに、黒字部分は民間の利益にと、実にあからさまな民営化だと私は思いますが、知事、いかがでしょうか。 先月のサポーター会議では五百五十万人・二・五万トンという目標数値が示され、以前の六百万人・五万トンが実は現実的な目標ではなかったことが明らかになりました。また、運用時間の延長がLCC誘致には不可欠として、早朝と夜間の運用拡大が示されました。空港周辺の住民に大きな負担を与えることになるわけで、住民への説明、当該自治体の合意を得ているのか、伺います。 続いて、水素利活用について伺います。 知事は、東北における水素社会先駆けの地を実現するとして、昨年六月、みやぎ水素エネルギー利活用推進ビジョンを策定し、スマートステーション整備と燃料電池車、FCV購入を県みずからが行う経費約二億円を補正しました。更に、来年度は新規事業として、民間が行う商用ステーション整備約九億円のうち、国は対象設備分五億円の二分の一、国の対象とならない四億円の三分の一を県が独自に助成するという内容です。LPガスや都市ガス、天然ガスで水素を製造した場合には、FCVの二酸化炭素排出量は、ハイブリッド車とほぼ同じであり、FCVが優位となるのは、風力発電や水など再生可能エネルギーからの製造ができるようになったときです。しかも、その製造方法確立は将来の課題となっているのではありませんか。しかも、来年度県内でのFCV納入は三台程度と聞きました。三台のために多額を使い、ステーションを整備する意味はどこにあるのでしょうか。県外の需要を見込んで県予算を使うということですか。知事、お答えください。 更に、FCVを製造販売するトヨタ自動車の一年間の営業利益は二兆三千億円。研究開発減税はトヨタ一社で一千億円を超えています。FCV製造企業がみずから普及の先頭に立つのは当たり前で、県費を投入する必然性はないと断じます。知事の答弁を求めます。 このFCVは一台七百二十万円、国が二百万円の助成を決めており、県が単独で百万円上乗せをする方針です。目を被災地に転ずれば、住まいの確保のため悩み迷っている方や、仮設から本設に移行できず苦しんでいる中小零細企業の方々がたくさんいます。復興という看板を掲げ、大企業の利益のために行う復興事業は中止すべきと求めますが、知事、いかがでしょうか。 県内の指定廃棄物は、環境省の再測定の結果により、八千ベクレルの基準値を上回ったものが全体の三分の一に減り、下回ったのは二千三百十四トン。環境省推計の二・五倍になったと報じられ、翌日には、二年後に基準値を超える廃棄物は当初の七%に当たる二百五十トンになるとの試算結果が判明いたしました。しかし、環境省は、一カ所の集約管理、処分場の面積に変更なしと従来からの主張を踏襲する方針です。再測定結果を直視すれば、今必要なことは処理方針の再検討に踏み出すことであり、知事は環境省に再検討を求めるべきと思いますが、いかがですか。 加えて、八千ベクレル以下の廃棄物を一般廃棄物として市町にその処理を押しつけるのには無理があります。管理と処分のあり方をこちらも再検討するべきと思いますが、御答弁ください。 大震災から五年、被災者の生活再建を最優先で進めるために伺います。 今回は、緊急の課題となっている被災者医療・介護免除措置の継続と仮設住宅から恒久的住宅への移転に絞って質問をいたします。 初めに、医療・介護問題です。 現在、国民健康保険と後期高齢者医療制度に加入する一部の人々に限定して、一部負担金が免除されています。市町が減免を続ければ、国の八割支援は継続します。追加支援について、日本共産党の政府交渉では、検討中である、確定は平成二十八年十二月ごろ全国の動向を見て決めるとの回答でした。国の追加支援決定を待たず続ける自治体と、断念した自治体と決めかねている自治体に分かれ、沿岸十五市町で見れば、継続は八市町にとどまっています。また、後期高齢者医療制度の免除が打ち切られることになれば、新たな矛盾をつくり出すのではないかと危惧されます。県内の医師の団体である保険医協会が昨年からことしにかけて仮設住宅と災害公営住宅入居者を対象に行った調査では、八五・九%が現在医療機関で受診をしており、免除が終了した場合、回数を減らすと受診をやめると答えた方々が計三六・八%、実に四割近くに上ることが明らかになりました。同じ所得の水準で医療費免除措置がばらばらという事態を打開するには、広域自治体である県の対応が決定的です。免除制度を継続する保険者の負担する二割について半分を県が持つなど、支援のイニシアチブを県が発揮すれば、市町を励まし、格差を是正することができます。それに要する額は対象者を限定している現行継続の場合、医療・介護合わせても七億五千万円で可能です。知事の決断にかかっていることをはっきり申し上げます。県が支援すると判断されますか。知事、お答えください。 被災者の住宅確保の問題です。 安心して日常を送ることのできる住まいの確保は、人間らしい暮らしの根本要件です。直近のデータでは、被災者生活再建支援金決定件数は、基礎支援金で約十三万件、加算支援金、建設、購入、補修、賃貸住宅合わせて八万三千件です。加算支援金の申請が少ないのは、どのような方法で再建するかまだ決められない方が大勢いるからではないでしょうか。災害公営住宅の整備状況はどうか。進捗率は全体で五〇・七%ですが、市町ごとのばらつきも目立ちます。防災集団移転事業で建築物を建てられるところに着手した箇所は百九十五カ所中、百四十カ所、完成年度が最も遅いところでは平成三十一年になるのではないかとの状況もあります。仙台市では、市外から移転してきた被災者を数に入れず整備戸数を決めました。入居希望が三千八百四十四世帯いたのに、三千二百戸の整備計画で六百四十四戸足りません。いわゆる「市外被災者」と呼ばれる方々が不利な抽せん方法となっているため、復興住宅に入居しにくくなっています。仙台の仮設入居者の中で、再建方針未定は三百二十三世帯と言われていますが、実にその七六・八%を市外で被災して仙台に移転した方々が占めており、再建がおくれていることが明らかになりました。更に、災害公営住宅の入居資格なしとされた被災者は希望することさえかないません。この中には、半壊の住宅をそのまま残している方や一部損壊の罹災証明だが住宅を滅失処分している人や市税の滞納などそれぞれ事情があり、石巻では八百七十五世帯と言っています。防災集団移転事業で高台に移転した場合、一番心配なのは買い物や医療機関受診の課題です。団地の世帯数がさほど大きくないところは、巡回する移動販売車や買い物や受診のための市街地に出る足の確保、緊急切実なことがいっぱいあります。県が被災者の住宅確保支援を委託しているパーソナルサポートセンターが、昨年みなし仮設入居者を対象に実施した調査では、そのまま入居を希望する人が五一%、その九割が家賃補助を必要と回答していると報じられました。震災後つくってきたコミュニティーの中で暮らせる支援がとても大切です。また、仮設住宅の孤独死について、十一月議会で福島かずえ議員が質問いたしましたが、県は、その定義を検討すると言われました。報道によれば孤独死が年々ふえており、被災三県のうち、宮城の孤独死が三県の半数近くを占めていること、六十五歳未満の方々が四五%もいて、今後、災害公営住宅に移る中で更にふえる懸念があるとのことです。 そこで、知事に伺います。 再建未定の被災者が多数いる中で、仮設供与が終了する状況、五つの市町が五年で終わりです。その状況をどのように受けとめていますか。生活を再建する場所が決まらぬまま仮設を追い出されるような事態は絶対つくらないと約束できますか。現状打開のため、みなし仮設を借り上げて公営住宅にする考えはありますか。民間賃貸住宅への家賃補助という仕組みを取り入れるお気持ちはありますか。広域自治体の役割を果たし、受託ではなく、ニーズを把握して必要戸数を県営災害公営住宅として整備するべきと改めて求めますが、知事、いかがでしょうか。 次に、県民の暮らしを守るための諸課題について伺います。 まず、子供医療費です。 宮城の通院、二歳まで、入院、就学前までという水準は、昨年まで大阪と並んで最低クラスでしたが、今年度、大阪府が対象年齢を通院で就学前まで引き上げたため、文字どおりのワーストワンになりました。年齢を拡充すべきと何度もこの場から求めてきましたが、この願いになぜこたえられないのか、知事に改めて伺います。 アベノミクスのもとで、格差と貧困は全国で拡大しました。とりわけ子育て支援、子育て家庭の貧困世帯が増加したこと、これが山形大学戸室准教授の研究で明らかになりました。研究によれば、この二十年間で子育て世帯の貧困率は五・四%から一三・八%に、実に二・六倍の増加となりました。宮城においては全国平均より更に高く、一五・三%、七世帯に一世帯の割合となっています。子育て世帯の厳しい状況に対して、子供医療費の年齢拡充は、知事がよく言われる、宮城に生まれてよかった、育ってよかった、実現の切り札ではありませんか。知事、お答えください。 子育て世代だけではありません。県民の暮らしは、今、大きな困難に直面しています。県内総生産や県民所得、そして雇用者報酬を震災前と最高時比で見てみます。平成二十六年実質県内総生産は、震災前の八兆二千五百十二万円から九兆二千五百三万円に、一・一二倍となりました。富県戦略目標に近づいています。県民所得もふえて、震災前の一・一二倍です。ところが、雇用者報酬で見ると、震災前には戻らず、〇・九八であり、平成十三年の最高時から見ると、何と八割という厳しい状況、そしてリーマン・ショックのころにも戻っていません。県内総生産十兆円を目指す富県戦略が県民の暮らしを本当に豊かにしたのか。ここに一つの答えが出ているのではないでしょうか。大企業が豊かになれば、やがて県民の暮らしに回るというのは幻想にすぎないことが、宮城でも明らかになりました。知事、いかがでしょうか。御答弁を求めます。 今、県政に必要なこと、それは県民の暮らしを直接温める数々の施策です。子供医療費助成の拡充はもちろんのこと、私学助成の充実、返還不要の奨学金制度の創設、特別養護老人ホームの建設など、最優先の課題に直接力を注ぐことだと改めて求めます。 国の緊急雇用創出事業を活用して全国にコールセンターを展開したDIOジャパンの問題について、次にお伺いします。 県内でも登米市、気仙沼市、美里町が事業を委託してきました。賃金未払いや事業所閉鎖が相次ぎ、補助金の不正受給が明らかになりました。厚労省は今後の処理方針として、本来は関連子会社又はDIOジャパンから返還させるべきものとしながら、破産等により返還が見込まれないと、三市町に不適正支出額の返還を求めています。その返還額は一億二千六百六万円。概算払い、過払い金などを含めた損失額は二億円を超える事態です。これではDIOの不正行為の全責任を市町に押しつけることになります。不適正支出の内容はリース契約が多くを占めています。国のリース契約に関する方針は当初明確ではなかった。平成二十五年初めて通知が出されたもので、国と県には責任があります。緊急雇用創出事業制度の不備は、国の責任、県の指導性も問われます。加えて、知事と副知事が立地協定締結式に同席するなど、DIO進出に最大限の協力をしてこられました。関係市町に全責任を負わせるのではなく、その負担を軽減させるため、国と県は役割を果たすこと、また、知事自身は責任を感じていらっしゃるのか、改めて伺いたいと思います。 私は、ここで、県にはお金ないという問題について伺います。 日本共産党県議団では、従来から、復旧や復興、県民の暮らしに活用可能な基金についてただし、復旧と復興のために使える地域整備推進基金復興分、復旧分、そして復興基金、また財政調整機能を持ち、県の判断があれば何でも使える財政調整基金、県債管理基金一般分、それに土地基金現金分などを加えれば、平成二十七年九月末残高は合計で一千百八十二億円になることを確認してきました。今回提案の当初予算に使ったとして、五基金の平成二十八年末残高見込みをどのくらいと見ているのか、伺います。 更に、この間、地方交付税の振りかわりとして臨時財政対策債が発行されてきました。これは地方が借金する形をとりながら、地方財源の不足の一部を国が最終的に措置するものであり、交付税分として発行するものです。平成十三年から始まり、発行可能額が毎年示されてきました。全国的には可能額全額を発行している都道府県が圧倒的ですが、宮城県は、震災後、二十三年度、二十五年度、二十六年度は可能額を大幅に下回る発行になっています。発行可能額満額を発行していないから問題だと言っているのではありません。臨時財政対策債で対応しなくても資金的に回るという判断に立っていたからではありませんか。それは私どもが以前から指摘してきたとおり、財源不足と議会や県民に示し、通常事業や震災対応を厳しく査定しながら、実は余裕を持って臨んでいたということをあらわしているのではないか、この疑問にしっかりと根拠を持ってお答えいただきたいと思います。 最後に、東日本大震災みやぎこども育英基金について伺います。 条例の一部改正では、支援の対象範囲と事業内容に遺児・孤児以外の子供たちの心のケアや健全育成事業を含め、使途の拡大を図るものですが、私は、この改正案には反対の立場で質問いたします。 この基金は国内外の寄附によって設置されたものであり、遺児・孤児に対するその心からの思いによって支えられています。使途を拡充する場合でも、可能な限りその子供たちのために活用するということが大前提ではないですか。対象児童に給付する額は三十四億円、そして、ほかに使うというのが五十五億円を超えています。月額や一時金の根拠となったのは、教育庁総務課が算出した学校教育費です。その結果、岩手や福島の約半分の給付となってしまいました。給付の額を隣県並みに引き上げ、その上で使途の拡充を考えるべきではありませんか。本来一般会計で支出するべきものを、寄附をもとにした基金から安易に崩すべきではありません。また、寄附者の意向も踏まえていません。撤回を求めます。いかがでしょうか。 以上で、壇上からの質問といたします。 御清聴ありがとうございました。
○議長(安部孝君) 知事村井嘉浩君。 〔知事 村井嘉浩君登壇〕
◎知事(村井嘉浩君) 遠藤いく子議員の代表質問にお答えをいたします。大綱四点ございました。 まず、大綱一点目、県政運営の基本についての御質問にお答えをいたします。 初めに、政治家の品格のなさについてのお尋ねにお答えをいたします。 政治家がみずからの発言や行動に責任を持たなければならないことは当然であります。特に大臣等社会的影響力のある方は、その責任の重さを十分考慮すべきであります。失言や暴言、政治と金の問題などについて国民に疑念を抱かせないよう、より襟を正して職務に専念していただきたいと思います。 次に、消費税引き上げについての御質問にお答えをいたします。 消費税の一〇%への引き上げについては、少子高齢化社会を迎え、社会保障の財源を確保することが大きな理由であり、大変重要な改革であると認識しております。消費税には逆進性があるとされておりますが、その引き上げに当たっては、食料品への軽減税率の導入など、低所得者、低所得世帯への配慮もなされるものと承知しております。消費税の引き上げによる財源の確保は、日本の将来のためには避けては通れない課題であり、先送りは望ましくないものと考えております。 次に、TPP協定による我が県農林水産業への影響についての御質問にお答えをいたします。 平成二十五年四月に公表した我が県農林水産業に係る影響額一千三十一億円については、すべての関税が即時撤廃され、追加的な国内対策も行われず、競合する国産品は原則輸入品に置きかわるとの前提のもと試算を行ったものであります。一方、さきに公表した影響額七十八億円については、TPPによる影響をとらえるため、関税削減分を生産減少額とするほか、国の講じる国内対策の効果を踏まえて試算したものとなっており、前回公表の影響額とは大きく異なっているところでありますが、生産物価格の低下など、一定の影響が出るものと認識しております。農林水産業は我が県の基幹的な産業であることから、現場の不安や懸念を払拭し、TPPによる影響を最小限にとどめるためにも、体質強化対策にしっかりと取り組んでいく必要があると考えております。県といたしましては、農林漁業者が将来にわたり意欲と希望を持って経営に取り組めるよう、体質強化につながる施策の実施を通じて、農林水産業の発展に努めてまいります。 次に、TPPに関する経済効果分析とトリクルダウンについての御質問にお答えいたします。 国が昨年十二月に公表したTPP協定の経済効果分析については、関税以外の投資、サービスに係るコスト削減、貿易促進効果、生産性の向上等も含めた総合的な経済効果分析となっております。このため、平成二十五年の関税撤廃効果のみの試算と比べ、その効果額が大きくなったものであり、御指摘の内容とは異なるものと考えております。TPPの経済効果分析についてはさまざまな機関から公表されておりますが、世界銀行がことし一月に公表した試算によれば、我が国に関しては加盟十二カ国中の中でも高い効果が見込まれているところであります。県といたしましては、今後ともこれらの経済効果についての情報収集に努めるとともに、TPPに伴う第一次産業への影響等も視野に入れ、生産性の向上や経営の効率化等に係る取り組みを推進してまいります。 次に、憲法改正に関する首相の発言についての御質問にお答えをいたします。 安倍首相の発言は、自民党の憲法改正草案の内容に関してのものであると認識しております。各政党がそれぞれの政治理念に従って憲法を論じ、その改正の要、不要や理由について、国民の前にわかりやすく明確に示した上で理解と判断を仰ぐことは、当然の姿であると考えております。 次に、広域防災拠点整備事業についての御質問にお答えをいたします。 広域防災拠点の整備については、県の呼びかけにより、平成二十五年一月に、仙台市、仙台医療センター、JR貨物が一堂に会し、宮城野原地区の利活用に関する基本的な考え方について合意が得られたことから検討が始まったものであります。事業の必要性や妥当性については、有識者会議やパブリックコメント、市町村からの意見聴取を通じた十分な議論を踏まえた上で、平成二十五年十二月に基本構想・計画を策定したところであり、二十六年二月には、大規模事業評価の答申において事業を実施することが適切であると判断されたものであります。国の補助事業については、基本構想・計画の具体化に当たって、国土交通省所管の都市公園事業により基盤整備を実施する必要があることから、社会資本整備総合交付金等の活用を前提とし、予算獲得に向けた国への要望を行ってきたところであり、その結果、平成二十六年三月に、国の交付金事業として採択されたものであります。県といたしましては、今後とも県民並びに議会の皆様の御理解を得ながら、着実に広域防災拠点整備事業を推進してまいります。 次に、仙台空港の民営化に鉄道事業が含まれなかったことについての御質問にお答えをいたします。 仙台空港アクセス鉄道については、民活空港運営法に基づく国管理空港等運営事業が空港用地内の事業に限られていることから、事業の対象とはなりませんでした。 なお、国が定めた実施方針において、アクセス鉄道との一体的運営に関して運営権者が国と事前に協議し、その承認を得た上でこれを実施することを妨げないものとされており、将来的には一体運営が可能なスキームとなっております。 次に、運用時間の延長に関する住民への説明や自治体との合意についての御質問にお答えをいたします。 先月開催された仙台空港六百万人・五万トン実現サポーター会議において、航空会社からの意見として、LCCなどの航空会社の路線拡大を図るためには、運用時間の延長が不可欠であるとの提案がなされたところであり、県としても、航空旅客及び貨物を飛躍的に増加させるためには、航空会社のニーズに応じた空港運用を行うことが重要であると考えております。このため、県としては、仙台国際空港株式会社と協調して、周辺自治体とも意見交換をしてまいりたいと考えております。 次に、多額の予算を投じてステーションを整備する意味についての御質問にお答えをいたします。 商用水素ステーションはFCVの普及拡大に不可欠な施設でありますが、その整備には九億円から十億円程度かかるとされており、現状の国の補助金の交付を受けてもなお七億円近い多額の事業者負担が生じることになります。このような状況で商用水素ステーションを我が県に導入するためには、長期的な経営の安定に資するため、初期投資における国と協調した支援が必要だと考えており、来年度納入されるFCVのためだけではなく、今後の県内外の需要も含め、長期的な普及を見据えた支援ととらえております。現段階では水素社会の実現に向けた先行投資ではありますが、本事業を通じて県内における本格的な水素エネルギーの利活用が促進されるものと期待をしております。 次に、FCVの普及に県費を投じる必然性はなく、大企業のための復興事業は中止すべきとの御質問にお答えをいたします。 東日本大震災からの復興途上にある我が県においては、災害対応能力の強化はもとより、環境負荷の低減や経済波及効果が期待できる水素エネルギーの利活用は積極的に取り組むべき施策であると認識しております。FCVの本格普及は二〇二五年ごろと見込まれておりますが、普及初期段階にある現状では、県民の経済的負担が大きいため、県におきましても、国と協調した財政支援が必要だと考えており、大企業の利益のために行うものではございません。引き続き、県民の理解や民間企業の協力を得ながら、水素エネルギーの利活用促進に取り組み、東北における水素社会先駆けの地の実現に向けて努力してまいります。 次に、指定廃棄物の処理方針について国に再検討を求めるべきとの御質問にお答えをいたします。 国が行った再測定の結果、県内の指定廃棄物の約三分の二が減衰により既に八千ベクレルを下回っていることが判明いたしました。しかしながら、一定量残る高濃度のものがあることに加え、我が県で多く発生している稲わらなどの腐敗性の廃棄物については、八千ベクレル以下のものでも、その焼却灰が濃縮によって基準を超える可能性があるため、国は、県内一カ所集約の方針を引き続き堅持していきたいとのことでございました。県といたしましては、未指定の廃棄物も含め、県内の汚染廃棄物を具体的にどう処理するかにより必要な対応が変わってまいりますので、まずは次の市町村長会議で忌憚のない御意見を賜りたいと考えております。 次に、八千ベクレル以下を一般廃棄物として市町に処理させるのは無理があり、管理と処分のあり方を再検討すべきとの御質問にお答えをいたします。 国が現在検討している指定解除の制度は、一時保管者や解除後に処理責任を負う者との間で協議が整うことを前提として解除を行うと伺っておりますので、仮に制度ができたといたしましても、一方的に処理責任が市町村に移ることはないものと考えております。しかしながら、そもそも県内には八千ベクレル以下の牧草などの農林業系廃棄物が大量に保管されており、一部の市町村を除いてほとんど処理が進んでいないのは事実でありますので、県としては、どうすれば一刻も早い処理ができるのか、国や市町村と議論を重ねてまいりたいと考えております。 次に、大綱二点目、被災者の生活再建を最優先で進めることについての御質問にお答えをいたします。 初めに、医療・介護の免除措置について、県として支援のイニシアチブを発揮すべきとのお尋ねにお答えをいたします。 被災者の医療費の一部負担や介護保険利用料の免除を実施するかどうかについては、保険者である市町村や後期高齢者医療広域連合において決定されるべきものであります。さきに実施した意向調査によると、免除を継続する市町村と継続しない市町村がありますが、これは、地域の復興状況が異なってきている中で、住民に最も身近な自治体であるそれぞれの市町村が、被災された方々の生活再建の状況や保険財政の状況等を踏まえて総合的に判断したものであり、その判断を尊重すべきであるものと考えております。 次に、仮設住宅の供与終了に対する受けとめと住宅再建についての御質問にお答えをいたします。 応急仮設住宅についてはあくまで仮の住まいであり、市町の復旧・復興により、被災者の住宅需要に応ずるに足りる住宅が不足する状況が解消された段階で、供与が終了することになります。このため県といたしましては、供与期間終了に向けて、入居世帯個々の再建計画について市町とともに把握し、必要な支援を行うことが重要であると考えております。再建計画が未定で自力では居住先の確保が困難な場合、県では、昨年七月に設置した被災者転居支援センターなどを通じて、入居者の住宅再建を支援してまいりました。今後とも、被災者が一日も早く恒久的住宅に移行できるよう、早い段階から市町と連携し、必要な支援策をきめ細かに講じながら、供与期間が終了するまでに住まいを確保できるように適切に対応してまいります。 次に、みなし仮設住宅を借り上げて災害公営住宅にする考えについての御質問にお答えをいたします。 災害公営住宅への入居は公募が原則とされていることから、みなし仮設住宅を被災者が住み続けられる災害公営住宅として借り上げる場合においても、公平性確保の観点から、地域の実情を踏まえた慎重な検討が必要なものと認識をしております。 次に、民間賃貸住宅への家賃補助についての御質問にお答えをいたします。 被災者の民間賃貸住宅への入居に対する支援としては、被災者生活再建支援金制度において、加算支援金が一時金として一律に支給されております。既に約一万三千件が支給されており、再建に向けて取り組みが進んでいることから、新たな家賃補助の導入は考えておりません。 次に、県営災害公営住宅の整備についての御質問にお答えをいたします。 災害公営住宅の整備については、地域の実情に精通した市町が事業主体となり、継続的に被災者の意向調査や戸別訪問等を実施して必要戸数を精査し、約一万六千戸の整備を進めるとしたところであります。こうしたことから、県といたしましては、受託による支援を継続していくとともに、一日でも早い全戸完成に向け、最大限市町を支援してまいる所存であります。 次に、大綱三点目、県民の暮らしを守る県政の課題についての御質問にお答えをいたします。 乳幼児医療費助成の年齢拡充についてのお尋ねにお答えをいたします。 乳幼児医療費助成制度については、本来、社会保障制度の一環として国が責任を持って対応すべきものであると考えており、我が県としては、また全国知事会においても、国に対し、新たな子供の医療費助成制度を創設するよう強く要望しているところであります。こうした状況を踏まえ、厚生労働省は、昨年、子どもの医療制度の在り方等に関する検討会を立ち上げ、子供の医療費の自己負担のあり方や国民健康保険の国庫負担の減額調整措置について検討の上、結果を取りまとめることとしております。県としては、こうした国の検討状況も注視してまいりますが、増加する社会保障経費への対応が迫られている現状を考えますと、拡充は難しいものと判断したところであります。貧困など、さまざまな困難を抱える方々への支援については、子供の貧困対策を含め当初予算に盛り込んだところであり、今後ともしっかりと取り組んでまいります。 次に、県内総生産の増加により県民の暮らしが豊かになるのかとの御質問にお答えをいたします。 私は知事就任以来、「富県共創 活力とやすらぎの邦づくり」を県政運営の理念とし、安心と活力に満ちた地域づくりなどに向けた施策を推進してまいりました。その結果、自動車関連産業などを初めとしたものづくり産業の集積が進んでいるほか、先月公表されました平成二十五年度宮城県民経済計算によれば、我が県の一人当たりの県民所得は初めて全国平均を上回りました。また、県経済が好調に推移していることは県税収入にも反映されており、今年度は初の三千億円台がほぼ確実となっております。このような状況の中、来年度においては、復興の推進に加え、地方創生や災害に強い県土づくりなどとあわせて、貧困や障害などさまざまな困難を抱えている方々への支援にも重点的に取り組んでいくこととしております。今後ともこれらの取り組みを充実し、県民一人一人が幸福を実感し、安心して暮らしていけるよう、富県宮城の実現等に向けた取り組みを推進してまいります。先ほど、県民雇用者報酬が平成二十二年と比較し〇・九八倍ということでしたが、これは二十五年度のデータと比較してでございます。現在二十七年度でございまして、恐らく二十六年度ぐらいからは、一を軽く超えているんじゃないかなと。それは税収等にもあらわれているというふうに思っておりますので、新しいデータを楽しみにお待ちいただければと思います。 次に、DIOジャパンの不適正支出返還についての御質問にお答えをいたします。 この不適切な支出につきましては、関連法令に基づき、DIOジャパン又は関係子会社は市町村に、市町村は県に、県は国に、それぞれ返還する責任を負うものであります。しかしながら、DIOジャパン及び関連子会社が破産し、結果として三つの市町は同社から返還を見込めないことから、最終的に三つの市町が負担せざるを得ない状況となっております。また、リース契約については、県としても、平成二十五年の国の通知以前から財産取得はできない旨指導に努めてまいりましたが、この事案では、契約締結時に財産取得を目的とした譲渡特約が結ばれ、固定資産台帳にも計上されており、返還の対象となったものです。 なお、誘致に当たっての県の関与は、情報提供などの協力のほか、市町が開催した立地協定締結式への出席にとどまっております。県といたしましては、不適切支出に伴う返還という性質上、県が市町に直接的に財政支援を行うことは困難と考えておりますが、返還期限が平成二十九年度末までとなっていることから、どのような支援ができるのか、引き続き、市町の意見を伺いながら検討してまいります。 次に、財政調整基金等の五つの基金の平成二十八年度末における残高見込みについての御質問にお答えをいたします。 御質問のありました五つの基金の来年度当初予算を編成した後の残高につきましては、財政調整基金で約八十五億円、県債管理基金の一般分で約百九十七億円、東日本大震災復興基金で約二百三十九億円、地域整備推進基金の復興事業分及び災害復旧事業分で約百六十九億円、土地基金の現金分で約百五億円となり、五つの基金の合計では約七百九十五億円となる見込みであります。五つの基金のうち、財政調整基金及び県債管理基金一般分につきましては、財源不足解消等の財政調整機能を有する基金として管理しておりますが、先日公表いたしました中期的な財政見通しでは、構造的な財源不足により、平成三十一年度には枯渇する見通しとなっております。また、東日本大震災復興基金や地域整備推進基金につきましては、被災者、被災事業者等の自己負担の軽減や震災復興事業等に活用し、土地基金につきましては、原則として公用又は公共用に供する土地を先行取得する場合に活用するということになっております。今後とも、これらの基金の設置目的に従い、適切に活用していかなければならないと考えてございます。それぞれの基金には設置目的がありますので、先ほど何でも使えるとおっしゃいましたけれども、そんな生易しいものではないということでございます。 次に、過去の臨時財政対策債の発行抑制についての御質問にお答えをいたします。 臨時財政対策債は、地方交付税の振りかわりとして毎年度発行可能額が算定されるものですが、我が県では、御指摘のありました平成二十三年度、平成二十五年度及び平成二十六年度において発行を抑制しております。これは年度末における県税等の歳入の状況や事業の執行状況等を踏まえ、将来負担の軽減を図る観点から、臨時財政対策債の発行を抑制したものであります。また、先日公表いたしました中期的な財政見通しのとおり、毎年度財源不足が発生し、平成三十一年度には財政調整関係基金が枯渇し、百億円を超える解消できない財源不足が生じる可能性があるということでございます。県財政は引き続き厳しい状況が続くものと懸念をしております。ということもありまして、財源確保対策等には引き続き努めてまいります。 次に、大綱四点目、東日本大震災みやぎこども育英基金についての御質問にお答えをいたします。 育英基金については、被災地に暮らす子供たちのために有効に活用できないかとの検討を重ねてきたところであり、今回使途拡充の方針策定に当たっては、有識者会議において御意見をちょうだいするとともに、寄附者への説明に努めてまいりました。多くの寄附者の方々からは、時間の経過とともに変化する子供たちへの支援ニーズを踏まえた今回の拡充方針について御理解と御賛同をいただいたものと認識しており、今後とも、被災地に暮らす子供たちの課題を解消するためにしっかりと活用してまいりたいと考えております。 なお、給付金の額につきましては、文部科学省による子供の学習費調査の数値や県内の主な公立、私立学校の入学時経費等を参考に積算したものであり、引き続き、震災遺児・孤児が希望する進路を選択できるよう支援してまいりたいと考えております。 以上でございます。
○議長(安部孝君) 二十五番遠藤いく子君。
◆二十五番(遠藤いく子君) 御答弁ありがとうございました。 初めに、広域防災拠点についてお伺いしたいんですけど、平成二十五年の一月に四者会議をやってそこからスタートしたということなんですが、資料を見てみますと、前年の十二月十七日に知事レクを行っております。そこで宮城野原の利活用についてという文書を出して確認しているんです。それが十二月十七日です。そのとき既に文書が出されているということは起点はもっと前ではないかというふうに思っているんですけれども、その点はいかがですか。
○議長(安部孝君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 時系列、かなり時間たってますので、詳細なことについては部長から答弁させます。
○議長(安部孝君) 土木部長遠藤信哉君。
◎土木部長(遠藤信哉君) 今お話しのとおり、平成二十四年の十二月十七日に庁内でのレクチャーを行っております。そのときに、前提は関係する方々との合意形成というのがあるんですが、方向性として事業化に向けて検討するというようなことが庁内の内部で話があって、それを受けて、翌年の二十五年の一月に四者会議を開催させていただいた。これは県だけが事業を進めるのではなくて、関係する医療センターであったり、当然、JR貨物等との方向性の一致が必要だということで、そういった会議を開かせていただいた結果、合意形成がなされたということでございます。
○議長(安部孝君) 二十五番遠藤いく子君。
◆二十五番(遠藤いく子君) ですから、もう宮城野原でやるというのはこの時点で決まってるんですよ。十二月十七日のときもう決まってんですよ。その前はどこで議論したんですかということを聞きたいんです。だって、復興計画には一切ないんだから、二十三年の十月のときに。それが突然出てきて。そこのところをもう一回言ってください。
○議長(安部孝君) 土木部長遠藤信哉君。
◎土木部長(遠藤信哉君) 宮城県震災復興計画については、たしか平成二十三年の当該の年の九月か十月だったと思いますが、そこで作成されております。そのときに広域防災拠点にかかわる中核的な広域防災拠点を含むような記載はされておりまして、その後の検討の中で、宮城県内における広域防災拠点の必要性というものの検討がなされた中で、最終的には二十五年の一月の会議まで至ったということだと思います。
○議長(安部孝君) 二十五番遠藤いく子君。
◆二十五番(遠藤いく子君) 今そういうお話があったんで改めて聞きますけれども、確かに、基幹的防災拠点というのが当初の宮城県の防災拠点の基本で、エリアは東北全体だったわけです。それがいつの間にか宮城野原に広域防災と県レベルのというふうに変わったんです。変わる過程で、庁内では基幹的防災拠点の場所がどこかということも含めて、平成二十一年ごろ検討したじゃないですか。そのときの資料をちょっと見させてもらいましたが、それによれば、場所は五つ選んだそうですけど、一番は三本木、二番は利府、宮城野原は最下位と、こういう点数をつけて基幹的防災拠点は三本木がヘッドクオーターなんだというふうになったと聞いてるんですけど、その経過間違いないですか。
○議長(安部孝君) 土木部長遠藤信哉君。
◎土木部長(遠藤信哉君) 手元に資料ありませんが、確か二十一年に、土木部の職員有志によりまして、中核的広域防災拠点を選定していくための検討会というんですか、検討のグループで検討されたというのがあります。これは、東北圏広域地方計画の中で、東北地方整備局がいわゆる東北地方の中核的な広域防災拠点を選定していくというプロセスの中で、宮城県としてどこを推薦していくというか、手を挙げるとすればどこかということでの検討をしたということになると思います。そのときは、今おっしゃったように、三本木初め宮城野原も含めて検討はしておるわけですが、当時平成二十一年ですので、まだ東日本大震災を経験する前ということになります。しかも、宮城野原については、今の宮城野原の総合運動場だけを対象として比較検討したというふうに承知しております。その関係で、東日本大震災経験しまして実際に宮城野原がどうだったかということも含め、またもう一つ対象になってました、宮城県の総合運動公園、グランディですね、利府の総合公園も含めてもう一度総合的に評価をし直したのが、たしか二十五年の六月だったと思いますが、そこで検討し直した結果として、そのときには今度は今の貨物ターミナルを含めた宮城野原を対象地として検討した結果、今度は宮城県の広域防災拠点としての候補地として宮城野原がふさわしいというふうに選んだというふうに記憶しております。
○議長(安部孝君) 二十五番遠藤いく子君。
◆二十五番(遠藤いく子君) じゃ、知事に聞くから。ずっと経過的に資料を見てみて、二十四年の十二月十七日の知事レクのときの文書では、国の何らかの事業を目指すと書いてあるんですよ。だから、このときは何も具体的な補助の仕組みとか、そういうのはなかったときです。そして、その後、一月十日に国に要望書を出されたというのを見ました。このときには、整備する場合に財源支援措置をしてほしいと。ここにもスキームはないんです。ただ何とかお金出してくれと、こういうことだったと。さっきちょっと聞きましたけど、いつから当該の補助事業ができたんですかと東北地方整備局に確認しましたら、これは二十五年の五月です、都市公園が対象になるとなったのは。だから、私はそれでますますおかしくなったの。だって、三百億のプロジェクトですよ。それをどうするかというときに、スキームも何もない状態で絶対これやるんだみたいにしてどんどん話を進めるというのは、通常の事業感覚ではあり得ないというのはそういう意味なんです。違いますか。
○議長(安部孝君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 創造的な復興ということで、当然復興計画に書いてなかったじゃないかという御指摘もありましたけれども、医学部もたしか書き込まれてなかったというふうに思います。当然、歩きながら、走りながらいろんなことをやっていってる。議論していって、県庁内で議論してそしていろんなことを復興庁にぶつけていっております。うまくいったものもあればうまくいってないものもあるわけでありまして、最初から宮城野原ありきでは決してなかったんですが、部長が答弁したように、当初の計画と我々が国に提出した案と、今回出したものの間に、東日本大震災という本当に未曾有の被害、震災があったということです。災害拠点病院があの近くにあるということ、そして土地がJR貨物の用地が広がるというようなこと、また自衛隊がすぐそばにあるということ、自衛隊も多賀城駐屯地や松島基地が津波で流されてしまったわけですね。そういったことを考えると、内陸のそういったものが集積しやすいような場所にそういうものが必要であるという、そういった議論がだんだん積み上がっていって、そして、国にいかがでしょうかというような御相談を申し上げたということでございます。 この事業にかかわらず、いろんな事業、次々やっておりますけれども、プロセスが全部書面に残っているものもあれば、私の部屋で打ち合わせをして、残らなかったようなものも当然出てくるわけでございますので、その点は信頼して御理解をいただければと思います。
○議長(安部孝君) 二十五番遠藤いく子君。
◆二十五番(遠藤いく子君) 限定されてる時間なんで、もう少しお話聞きたいこともありまして、ただ、経過は不鮮明だと思う。だから、具体的などういうふうに機能を果たすのかという点でもいろいろ課題が出てるんですけれども、私はやはり県民の中で三百億円使って巨大プロジェクトでやるというときに、これがどうなのかというところを、やはりこれからも経過を確認していきたいというふうに思います。 それから、被災者の生活の問題で、医療費なんですけれども、市町がやるべきだと、市町の判断を尊重するとおっしゃいましたけど、ただ、この医療費の問題については市町はうんと悩んだんです。私は沿岸の町直接お訪ねして、やるって決めた場合でもやらないって決めた場合でも、すごく悩んだんですよ。そういうときに、宮城県がこういうふうな県としての広域自治体ですからね、イニシアチブを発揮するというのは必要なんじゃないですか。市町の判断を尊重するって、言葉はきれいだけど、知らんふりだっていうことじゃないんですか。そういうふうにしか思えないんですけど。
○議長(安部孝君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) そういう質問だけ聞くと、切り取ると、血も涙もない人間のように聞こえますけれども、決してそうではなくて、これは保険者がどこなのかというと、市町村なんですよ、国保。それを県が出せとか出すとかそういうようなことを、それは我々の方で口を挟むべき問題ではない、挟めないということです。
○議長(安部孝君) 二十五番遠藤いく子君。
◆二十五番(遠藤いく子君) 出せ、出すなと言ってほしいと言ったんじゃないんですよ。出すということを判断してほしいということを言ってるんです。大体水素ステーションで国が出してるやつを、全然仕組みもないのにそれを出すって、それは出すけど医療費の命にかかわることは出さないというのは、ちょっと違うんじゃないですかね。むしろ今、震災五年たって、本当にここで生きてきてこれからどうしていくかと悩んで、そして、せめて医療費の今の分だけでも減免してもらえたらと思ってる人、実際たくさんいるんですよ。それは御存じなんでしょう。だとしたら、せめてそこのところ--矛盾はありますよ、いろいろ。協会けんぽがどうなのかとか言い出せば切りがないけど。でも、一番困難なところにそういうふうにするというのは、私は知事の心として言ってほしい。言ってください。
○議長(安部孝君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 当然私のところには、遠藤議員がおっしゃるような声も届いてますが、一方で、国保の対象者だけがそういう恩恵を受けていいのかと。我々は受けてないと。同じように被災者じゃないかという声もまた届いているのも事実でございます。そういったようなことを総合的に判断をして、それぞれの市や町が継続するかどうかということを判断をなさったということでございます。県としては、もう少し踏み込んで話をすれば、今検討しておりますのは、国保財政がそれぞれ市町村によってかなりばらつきがあって、これを無料化をやりたいと思っても、残念ながらやれないといったような、ほとんど枯渇してしまっているような自治体もある。逆に言うと、若干余裕があるからもう一年継続しましょうかというところもあるということです。だから、遠藤議員は継続するしないにかかわらず、全部出せということなんですけども、我々としては、継続できるところはいいんですけども、やりたくてもやれないようなところに対して、これは内陸も含めてですけれども、そういったところに対してどういう手当てができるのかということをよく考えていかなければならないだろうというふうに考えてまして、それぞれ自治体の国保財政をよく見て、国保財政をなるべくならすような形にしていくということが県としての役割ではないかなと考えてます。 あと、水素ステーションについて巨額なお金をっておっしゃいます。確かに大きな金額であることは間違いないというふうに思いますが、事業者は丸もうけではなくて、これから車が数台しかない中で、ランニングコストをずっと出し続けなきゃいけない。恐らく十年も十五年も大赤字になるというふうに思います。それをその中で宮城県に進出してもらわなければ、関東圏等にある車が宮城県に車が出てくることもできないということなんです。したがって、県外からも多くの方に来ていただくためにも、一つでも水素ステーションがないと難しいということで、今回思い切って踏み切ったということでございます。遠藤議員のおっしゃる気持ちもよくわかるんですけれども、その優先順位の中で、私は今回はそちらの方を優先させていただいたというふうなことでございます。御理解いただきたいと思います。
○議長(安部孝君) 二十五番遠藤いく子君。
◆二十五番(遠藤いく子君) 優先から言ったら、命の方が優先だと私は思います。 住まいの問題、ちょっとお伺いしますけれども、私が今実際に困っている方の声を伝えてもらったのは、例えば、三十代の息子と同居しているが、災害公営住宅を三回申し込んですべて外れた。仮設にいる人ですよ。震災時の借家が一部損壊判定で災害公営住宅に申し込めない。市営住宅を申し込んだが、四回外れた。要介護の家族と同居予定で家賃と間取りが合わなくて、もう四月退去なんだけれども先が決まらないと。こういう方たちがいるわけです。それぞれ事情を抱えているわけです。そういう方たちに対して、さっき知事がおっしゃった転居支援センターはどうしてるのかということですけど、今、転居支援センターには二百八十世帯ぐらい支援対象というのが集まってるんです。ですけど、今言った個別な事情がそれぞれ違う中でどうするかというときに、今の状態では、とても対応して、寄り添ってという対応できないということを私は思って、実態を改善する必要があると思います。それから、県の震災援護室が今やってるのは、明け渡し日と転居先の確認のはがきを送ってます。そして、去年の十二月には、三月期限の百七十七人に送ったと。三カ月前に送る。ことしの一月には、四月期限の九百三十八人に送ったと。二月には、五月期限の五百八十人にこれから送るそうです。そうすると、何千人という人数でしょう。そういう中で行き先が決まらないとなったときに、そういう人たちをいわゆる転居支援センターに送りますからって、これでは済まないですよ。期限が来てしまいます。そこのところを具体的な対応を全力を挙げて考えてほしいと思いますが、いかがですか。
○議長(安部孝君) 保健福祉部長伊東昭代君。
◎保健福祉部長(伊東昭代君) 今お話しのとおり、各市町の状況によっては供与期間が終了するところが出てまいります。災害公営住宅などに入るということでそれがおくれているというところについては特定延長ということで、延長はされるという状況でございます。先ほど知事からも答弁いたしましたとおり、再建計画というのを今、把握をしておりまして、その状況を見ますと、少しずつ、市町でしっかりと対応していただいて、未定、未把握の部分は減ってきている状況がございます。そういう中でも寄り添ってしっかりと一緒に恒久的な住宅を探していかなければならないところについては、お話ししましたとおり、宮城県の被災者転居支援センターで対応していくというふうなことで考えております。この期間が終了する前にしっかりと住宅が探せるようにということで、市町とともにしっかり取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(安部孝君) 二十五番遠藤いく子君。
◆二十五番(遠藤いく子君) 五年間で供与が終わるのは、仙台、多賀城、亘理、山元、七ヶ浜の五つです。これはもう後ろはすっかりそういう意味で線が引かれてるということをぜひ念頭に入れてください。 それから、知事、災害公営のことですけど、県独自のというのはつくらないということなんですが、岩手が今検討してることは御存じでしょうか。結局、今まで来て、内陸に避難した被災者向けに住宅整備が必要かどうかということを検討してるんです。ただし、移るということになれば、沿岸被災地の方々の人口減少問題もあるでしょう。だから、沿岸被災地に相談して意見を聞いて、そして一致したところでつくるということをやってるわけです。気仙沼にも相談あったって言いましたよ。そういうことを宮城県がもっと内陸に被災した人たちのことを考えてやるべきじゃないんですか。県営住宅、県としての災害公営住宅を建てる問題について、きちんと再検討してほしいと。
○議長(安部孝君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) たびたび共産党県議団として、県営でということでありましたけれども、我々は、まず市町村にやっていただいて、足りない分は力の応援ですよね、それをさしていただくということでやってました。被災者目線で見ると、県営でできようが市営でやろうが町営でやろうが、できたものは同じです。そしてスピードも県がやれば早くなるということであれば、県がやっていいと思うんですけど、県がやっても市町村がやってもスピードは変わりません。もし力が足りないという分については県がやってますので、被災者目線でやれば、同じ建物、見た目同じものができて、そして入居できる時期も一緒だということになりますので、まずは市町村の方をしっかりと応援することを優先させていただきたいというふうに考えております。
○議長(安部孝君) 残余の質疑、質問は、明日に継続することにいたします。-----------------------------------
△散会
○議長(安部孝君) 以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。 明日の議事日程は、追って配布いたします。 本日は、これをもって散会いたします。 午後四時五分散会...