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  1. 宮城県議会 1983-02-01
    03月01日-03号


    取得元: 宮城県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-18
    昭和58年  2月 定例会(第202回)     第二百二回宮城県議会(定例会)会議録                       (第三号)昭和五十八年三月一日(火曜日)  午後一時三分開議  午後四時五十一分散会議長                     佐藤常之助君副議長                    菊地辰夫君出席議員(五十七名)        第一番            長谷川 正君        第二番            千葉龍一君        第三番            武田 誠君        第四番            佐々木久壽君        第五番            黒須光男君        第六番            佐藤 勲君        第七番            佐藤光輔君        第八番            武藤英光君        第九番            木村国芳君        第十番            庄司久治君       第十一番            渡辺 浩君       第十二番            及川一栄君       第十三番            山田 元君       第十四番            金沢哲男君       第十五番            菅原保雄君       第十六番            沖 直子君       第十七番            神谷 一君       第十八番            石黒達也君       第十九番            錦戸弦一君       第二十番            四ノ宮正一君      第二十一番            庄子駒次君      第二十二番            高橋健輔君      第二十三番            高橋善幸君      第二十四番            舘股 巴君      第二十五番            亀谷博昭君      第二十六番            佐藤清吉君      第二十七番            中村健一君      第二十八番            斎藤 堯君       第三十番            大宮芳郎君      第三十一番            遠藤雄三君      第三十二番            小野寺信雄君      第三十三番            櫻庭健朔君      第三十四番            金子哲郎君      第三十五番            三上良喜君      第三十六番            奥山紀一君      第三十七番            坂下清賢君      第三十八番            猪股春雄君      第三十九番            高橋正次郎君       第四十番            杉岡広明君      第四十一番            佐竹二郎君      第四十二番            木村幸男君      第四十三番            文屋 公君      第四十四番            佐々木敬一君      第四十五番            須藤正夫君      第四十六番            野口考吉君      第四十七番            畠山 孝君      第四十八番            後藤三郎君      第四十九番            安住仁太郎君       第五十番            森  康君      第五十一番            斎藤栄夫君      第五十二番            門馬重義君      第五十三番            星 長治君      第五十四番            佐々木照男君      第五十六番            桜井亮英君      第五十七番            佐々木源左エ門君      第五十八番            菊地辰夫君      第五十九番            佐藤常之助君欠員(二名)      第二十九番      第五十五番    ------------------------------説明のため出席した者      知事               山本壮一郎君      副知事              石井 亨君      副知事              津軽芳三郎君      出納長              鈴木 淳君      公営企業管理者          羽田光男君      総務部長       事務吏員  浅野大三郎君      企画部長       事務吏員  渡辺 亮君      生活福祉部長     事務吏員  大沼直治君      保険環境部長     技術吏員  高野 昭君      商工労働部長     事務吏員  石岡義雄君      農政部長       事務吏員  萱場喜代志君      水産林業部長     事務吏員  八巻國郎君      土木部長       技術吏員  芳賀幸夫君      出納局長       事務吏員  佐藤千代人君      企業局長       技術吏員  岩井宏造君      総務部次長      事務吏員  若生 修君      総務部秘書課長    事務吏員  遠藤己巳夫君      総務部財政課長    事務吏員  鈴木新司君    教育委員会      委員長              永野為武君      教育長              三浦 徹君      教育次長             本田 浩君    選挙管理委員会      委員長              松坂 清君      事務局長             長澤純一君    人事委員会      委員長              渡辺鉱助君      事務局長             小畑英勝君    公安委員会      委員長              氏家栄一君      警察本部長            池田和顕君      警務部長             上田 清君      総務室長             阿部東治君    地方労働委員会      事務局長             曽我敬司君    監査委員      委員               佐藤幸紀君      委員               斎藤謙一君      事務局長             斎 英男君    ------------------------------    議会事務局      局長               佐藤正郎君      次長兼総務課長          山下忠之君      議事課長             熊谷 政君      調査課長             渋谷 孝君      議事課長補佐           氏家健一君      議事課長補佐           藤田雄英君      議事係長             阿部迪夫君      委員会第一係長          柏葉伊夫君      委員会第二係長          品川源司君      主事               佐藤 昭君      主事               山内恵子君    ------------------------------    議事日程      第三号           昭和五十八年三月一日(火)午後一時開議第一 会録署名議員指名第二 議第一号議案ないし議第五十五号議案並びに報告第一号ないし報告第四号第三 一般質問   〔佐竹二郎君・木村幸男君・佐藤光輔君・野口考吉君〕    ------------------------------    会議に付した事件一 日程第一 会議録署名議員指名二 日程第二 議第一号議案ないし議第五十五号議案並びに報告第一号ないし報告第四号三 日程第三 一般質問       〔佐竹二郎君・木村幸男君・佐藤光輔君・野口考吉君〕    ------------------------------ △開議(午後一時三分) ○議長(佐藤常之助君) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は、お手元に配布のとおりであります。    ------------------------------会議録署名議員指名 ○議長(佐藤常之助君) 日程第一、会議録署名議員の指名を行います。会議録署名議員に十番庄司久治君、十一番渡辺 浩君の御両名を指名いたします。    ------------------------------ △議第一号議案ないし議第五十五号議案 △報告第一号ないし報告第四号 △一般質問 ○議長(佐藤常之助君) 日程第二、議第一号議案ないし議第五十五号議案並びに報告第一号ないし報告第四号を議題とし、これらについての質疑と、日程第三、一般質問とをあわせて行います。 前日に引き続き質疑、質問を継続いたします。四十一番佐竹二郎君。  〔四十一番 佐竹二郎君登壇〕 ◆四十一番(佐竹二郎君) 私はお許しを得ましたので、通告に従つて質問いたします。 第一は、東北開発と工業再配置についてであります。戦前戦後を通じ、東北は食糧と豊富な資源と労働力の供給基地として、我が国経済発展に大きな役割りを果たしてまいりましたにもかかわらず、産業構造の高度化から大きく立ちおくれ、東北は常にローカルであり、その東北の後進性、後発性は、その原因として基幹交通整備の立ちおくれが原因であることは間違いないのであります。待望久しい東北新幹線の本格的な開業によりまして、ようやく縦断基幹交通体系も推進され、東北開発が国際化の対応とともに大きくスタートする第一年目を迎えたわけであります。いかにして東北の整備開発にいどむか、いま東北にとつて大きな試練と転機に立たされていると言つても過言ではありません。昭和五十二年を基点とする六十二年までの開発計画の三全総は、当時地方への定住構想を基本とする国土整備計画でありましたが、四十八年のオイルシヨツク以来、低成長の経済推移の中で、工場再配置、人口の地方分散にブレーキがかかり、計画途中にして挫折したのであります。政府は新しく四全総の策定に入ろうとしておりますが、東北のこれからの開発整備の方向は、東北みずからの英知の結集でつくり上げた東北開発特別委員会の最終答申の政策提言を具体に推進することが、東北の開発戦略手段と考えます。この考え方については、宮城県自体のこれからの新しいふるさとづくり、県土整備開発についても、その推進のあり方を具体にプログラムとしてセツトされるべきでありましよう。昭和五十三年度を基点とする新長期総合計画も、本年度が三カ年ローリングの最終年次でもあります。東北地方の整備発展の基本は、新しい経済社会に対応した工業再配置をいかに成功させるかにかかつております。いま東北の中核県としての宮城県の果たす役割りは何なのか、答申の政策提言を受けた受け皿づくりの策定が急務であり、宮城県開発促進計画なるものを鮮明にすべきであろうと思いますが、知事のまず御所見をお伺いしたいのであります。 次に、工業再配置の問題で、東北開発の課題として重要な先端産業導入についてであります。知事は予算案の提案の中で、新しい産業振興体制づくりのために、先端技術の産業立地を促進し、技術革新時代に対応した産業の高度化を図ると、強い意欲を示していただきました。東北開発特別委員会の答申では、地方の活性化を図る基本的方策の第一として、先端技術産業を初め加工組み立て産業等、海外企業との誘致をも含めて導入展開し、その集積を図るべきだと提言され、県がこの問題に前向きに取り組む姿勢は評価できるのであります。通産省は、先端産業の二十一世紀に向けての見通しとして、八〇年代の先端技術産業は、国民総生産、GNPの二%にすぎないが、九〇年代には一五%から二〇%の基幹産業に成長するだろうと見ており、将来的には有望な産業であると折り紙をつけておるわけでございますが、いま全国の地方自治体が、かつての石油依存の鉄鋼、アルミ、石油化学等の基礎素材型の臨海工業が、地域経済への波及効果の少ないことに気づき、産業基盤を先端知識集積産業に転換しようと、懸命に取り組んでいるのであります。本県では八〇年代、九〇年代の先端産業の中で、これまでの誘致に対する環境のおくれと受け入れ条件の整備の出おくれを理由に、九〇年代の先端産業に目標を定め、その対策として先端技術研究会費仙台北部中核都市新基本構想と先端技術推進対策費について、初めての予算措置をされておりますが、当面八〇年代の対応策にどう取り組むのか、鮮明にしていないのであります。新年度政府予算の中で仙台北部中核工業団地の工事着工が認められ、五十八年度より本格的に造成工事にかかるようでありますが、これまでに至る経過は四十四年からで、かなり長い歴史がありましたが、変貌する経済社会の対応に振り回された感じもしないわけでもありません。新長期総合計画では、仙台北部中核工業都市は、単なる職住接近の内陸型工業団地としての位置づけ、性格づけであつて、産業構造の変化に対応できなかつた現在において、仙台北部中核都市新基本構想は、九〇年代の先端技術産業の再配置というタイミングに整合性を持たせるための構想の変更ではないのかと思量するものであります。秋田県、青森県が、通産省のテクノポリスの第一次の指定地として候補に上つているだけに、本県が出おくれ、立ちおくれではならないと思うのであります。私は仙台北部中核工業都市は、通産省の定義に沿つたテクノポリスとして性格、位置づけを明確にすべきと思います。また、その意味では、政策、発想の転換の立ちおくれと言われてもやむを得ないのではないかと思いますが、知事の御見解を伺いたいのであります。 次に、工場立地の促進についてお尋ねいたします。雇用の創出と地域経済の成長率を高め、県土の均衡ある発展を図るための施策は、企業誘致と工場立地が最大の効果を生み出すことにつきましては、どなたも論を差しはさむものではありません。本県といたしましても、その受け入れ体制として、内陸工業開発の拠点として既に村田、築館の農工団地、その他都市部の中小工場の集団移転を目指した利府工業団地の造成が促進されておりますが、全国の多くの地方自治体が頭をかかえているのは、工業団地の売れ行き不振の問題であります。本県でもその例外ではなく、これまでの立地企業の推移は、昭和四十七年度で五十一社、四十八年で三十社、四十九年で十四社、五十年で十社と、年々下向きの傾向にあり、石油シヨツク以来下降線をたどつているのでありますが、五十四年のピークを境に再び上昇の傾向をたどり、五十六年では二十社、五十七年十二月現在で八社という状況であります。地方の時代、定住構想、工業再配置とはうらはらに、産業構造の変化とともに景気の停滞が一層企業の誘致を困難にしているのであります。そのために多くの自治体は、企業の誘致にはある程度の財政負担もやむを得ないとしているのでありますが、本県でも従来の雇用促進助成金制度、土地取得の資金援助といたしまして、年七・五%、十年償還の低利長期の融資制度等、それなりの資金援助の手だてをしているのでありますが、企業側としては、景気の先行き不安ということで、立地に慎重にならざるを得ないのが実情であります。村田団地には富士通が本年度張りついたのでありますが、私は率直に申し上げて、一般企業、工場の誘致がなかなか進まないところに、果たして先端技術産業の誘致が計画どおり進むのかどうか不安を持つものであります。経済効率最優先とする資本の論理から見ても、企業が工業再配置法に基づいて立地を進めるにしても、経済効率に合わない地域に対しては、いかに恩典や優遇策を講じても、しよせん企業の立地は期待できないのではないかと思うのであります。したがいまして、立地受け入れ側としても、空港、新幹線駅、東北自動車道等の基幹交通の拠点までの交通ネツトワークの整備促進、これまでの造成済みの団地についても、交通体系、立地の環境条件、手軽に労働力を確保しやすい場所ということが要求されるのではないかと思います。知事は、企業誘致の進まない背景が、単に不況という理由のほかに何があるのか、どうとらえられているか、お聞かせいただきたいのであります。 比較的企業の立地が進んでいる山形県では、東京事務所内に企業立地課を常設し、課長以下四名のスタツフを配置し、毎日企業訪問を精力的に行い、マン・ツウ・マン作戦が企業誘致に成功していると聞いております。また、北陸の石川県では、県内工業出荷額の七〇%を占める基幹産業の繊維と機械工業にとつてかわる電子産業、航空機等のシステム産業、製薬・情報産業の研究施設の、いわゆる知識集約型産業誘致に本腰を入れ、先端産業等の立地促進条例を県議会に提案し、企業の内容によつて、一企業当たり十億円までの助成措置を講ずる等の思い切つた対応を示し、行政側の並み並みならぬ誘致に対する努力の姿が見受けられるのであります。行政側として誘致に大変に苦労をなさつていることは理解されるのでありますが、あと一歩の積極的姿勢を願つてやみません。最近企業は、景気回復が見込みなしと見て、設備投資を控えていることは事実でありますので、企業立地の上で、土地取得までに至らない企業の財政事情を考慮し、土地賃貸制度を制度化し、一定期間土地の賃貸契約で立地させ、契約解除の時点で分割支払いで土地を取得させるという、思い切つた施策を採用してはいかがかと思いますが、知事の御所見を求めたいのであります。分譲の予想もつかない土地団地を放置しないで、少しでも県の財源確保に役立たせることであり、また雇用の拡大に即効性がありますので、ひとつ検討されてはどうかということであります。 最後に、中小企業大学の誘致についてであります。この問題につきましては、昨年の二月定例議会におきまして、その見通しについて御質問申し上げておるのでありますが、これからの産業構造の変化とともに、先端知識集約型産業時代の到来は必至であります。情報にあふれ、ハイレベルの技術とともに、すぐれた知識と応用が要請される時代となつて、企業は人なり、企業に携わる人材の育成教育が最も急務でありましよう。秋田、岩手県でも誘致に強い意欲を示し、通産省では、東北地方に一カ所という構想のため、調整に難航を示していると伺つており、場合によつては、東北地方に対しては凍結もあり得るとのおそれもあり、県御当局の強い姿勢での取り組みを期待いたします。その現状はどうなつているのか、お伺いしたいのであります。 質問の第二として、当面する交通問題につきまして、要望も含め若干お尋ねいたします。 本県の縦貫的交通体系は、新幹線の開通によつて一応整つたのであります。県土の整備開発に欠かせないのが県内交通体系、すなわち横断道の整備、自動車道のアクセス道路のネツトワークの整備であり、公共投資の中でも最重点に取り組む必要があろうかと思います。この問題は、東北地方全体にも通ずることで、東北地方開発発展の最大のかぎでありましよう。六十一年青函トンネルの開業は、東北、北海道の距離が短縮され、国際的によく知られている札幌市との連携で、海外からの東北に対する注目が強まり、国際化の機運も急速に高まつてくることでありましよう。仙台市が札幌市に次ぐ国際都市、文化都市としての形態を一日も早く整えなければならないと思います。シンガポールで開催された国際民間航空機関アジア太平洋地域航空会議で仙台空港が不定期の国際空港に認定され、六十九年には世界ユネスコ大会が宮城県で開催が本決まり、また国際ビールス学会も仙台で開催されると伺つておりますが、その受け入れとして、国際会議場、セミナーハウス設置も急がれておりますが、その全体像が示されておりませんし、仙台空港の滑走路延長整備も依然としておくれていることを指摘せざるを得ません。国直轄事業の滑走路かさ上げ工事も、本年は完成の見込みで、中型ジエツト機の就航も可能となつて、空港整備も着々進んでいることは理解できるのでありますが、滑走路二千五百メーターの延長が、そのために運輸省の指定がおくれているのか、あるいは地元の滑走路延長への協力が得られないまま宙に浮いているのか、この際明確にしていただきたいし、五十九年度工事着工への見通しはどうなのか、知事の御答弁を求めます。 昨日の代表質問の中で触れられ、重複することをお話しいただきまして、仙台-小松間の新空路開設についてお尋ねいたします。 石川県にとつて、仙台-小松便の新規路線開設は、県政の重要課題の一つとして、昭和五十三年より取り組まれていたのであります。本県への協力の要請のため、陳情訪問は五十四年以来継続的に行われている経緯があり、金沢市と仙台市との城下町伝統文化交流と産業経済の地域交流を促進するためという理由づけであります。現在東北六県と北陸三県との人口の動きは、一日当たり八百人以上と見込んでおり、陸上交通では、上越・東北新幹線を利用しても七時間半も要し、地の利の不便さも強調しているのであります。新規路線開設に当たつては、B七二七型機一日一往復の需要は十分に可能であり、極めて前向きに取り組んでおられますが、本県議会といたしましても、石川県と同一歩調で実現方に取り組んでいるわけでありますが、石川県と本県の観光交流にも果たす役割りは極めて大きいと思います。現在小松-東京便は、スーパージヤンボB七四七SR機五百人乗りが二往復、トライスターL一〇一一機三百二十六人乗りが三往復しており、そのほか札幌便、福岡便をそれぞれ一往復しております。本県といたしましても、新幹線による航空機客離れの傾向がますます強まる中で、空港の地方ローカル線の拡張にこたえ、もちろん航空会社の採算制にもかかわる問題ではありますが、県御当局に強い姿勢を要望するものであります。 次は、国鉄丸森線の第三セクター設立の問題についてであります。赤字ローカル線として廃止対象になりました国鉄丸森線問題につきましては、本議会において、地元選出県議を先頭に、しばしば本会議においてその存続を訴えられてまいりましたが、結局廃止を避けるために第三セクター方式によつて存続させる方向で結論が一致し、本県と福島県との間で合意を見たのであります。第三セクター方式の試案では、新会社設立を年度内と目標を定め、会社設立のための払い込み資本は三億円を、宮城県が六、福島県が四の比率で分担するということで、丸森線運営協議会事務局がその準備作業を進めてまいつたのでありますが、問題は、丸森線と営業で競合する路線を持つている福島交通は、丸森線復活は最初から絶対反対の姿勢を取り崩しておらず、年間三億円の収入を見込んでいる同社としては、壊滅的打撃をこうむるとして、福島県との話し合いが不調に終わり、年度内設立は不可能という事態に追い込まれたのであります。したがいまして、会社設立は新年度に持ち越された形になつておりますが、今後の交渉の推移いかんによつては、第三セクター方式の丸森線復活も厳しいものと見なければなりません。福島県側が、丸森線問題については最初から消極的であつたということを聞くのでありますが、存続廃止の決定が五十九年二月ですので、余すところ一年であります。一日も早い結論を期待している沿線自治体、住民にとつても、その衝撃は大きいのでありますだけに、この問題は福島県のみに任せておけないのではないか。背後には政治的圧力もかかりかねない事情もあるやに巷間うわさされておりますが、知事のこの問題に対する取り組み、また見通しについても、率直な御見解を承りたいのであります。最悪の場合、丸森線廃止やむなしという事態があり得ないのかどうか、あわせて御答弁いただきたいのであります。 最後に、仙石線の地下化についてお伺いいたします。仙石線は、仙台-石巻間で市街地を中断する形で全線運転しているために、市街地の健全な発展を阻害し、市内の交通渋滞に拍車をかけ、高架化若しくは地下化の要請が多く、また、通学通勤を含め石巻市民にとつてはスピードアツプによる仙台までの時間的距離の縮小と、そのための全線複線化、駅舎の統合等、鉄道整備のために沿線自治体一体となつて強力な陳情請願運動を展開してまいりました。さきに西塩釜-東塩釜駅間の高架化も供用開始しており、仙台市内の仙台-陸前原ノ町間の地下化も現実のものとなつてまいりました。今後都市計画の決定を踏まえ、本年秋までに着工をしたいとしておりますが、基本的には、仙台東口駅、西口駅の二駅設置することが決定し、東口駅から西口駅までの延長区間の事業費負担の問題で、仙台市と県側の意見に食い違いがあり、仙台市としては、この区間はあくまで地下化事業の延長分として県側が負担すべきものとしております。県側は、東西線の新規計画路線の中に含む区間として入るので、仙台市の負担とする主張のようでありますが、両者の意見調整にどう決着をつけるのか、その結果いかんによつては、仙石線の地下化事業が更に先に延びるという事態は、ぜひ避けるべきであろうと思います。現在仙石線仙台駅と陸前原ノ町駅間には、榴ケ岡駅、宮城野原駅が供用されておりますが、現在どおり残置するのかどうか、地下化のルートにおいて、現在地とどのように変わるのか、都市計画の全体についてもお示しいただきたいと思います。 質問の第三は、情報公開と文書管理についてであります。 昭和五十一年二月アメリカ議会において、ロツキード事件が暴露され、国民の知る権利という問題に深いかかわりを持ち始め、情報公開という日本の民主主義にとつて、これまでの歴史の中で新しい問題として深い関心が寄せられるに至つたのであります。住民総参加による地方自治の確立を標榜する地方自治体において、国に先駆け情報公開制度の必要を認めながらも、調査検討で時間を要し、制度化の実施にはまだ熟していないと思量されるものであります。昨年は山形県最上郡の金山町議会が、全国の地方自治体のトツプで情報公開制度が可決され、神奈川県、埼玉県でも、いち早く県議会で条例案が可決され、その他静岡、大分県の町議会でも条例の実施に踏み切つたことは、御案内のとおりであります。宮城県議会におきましても、五十六年二月の定例議会におきまして、社会、公明、民社の各会派から情報公開制度について論議が展開された経緯があり、本県といたしましても、実施に至るまでになお多くの課題と、並み並みならぬ担当者の御苦労をうかがい知るのでありますが、情報公開条例の策定について、現在どの程度の進捗をしているのか、部内に情報公開制度準備委員会あるいは準備室の設置をも含め、どのように具体的に対応されているのか、お伺いしたいのであります。 次に、情報公開制度の前提として、公文書の管理、公文書館の設置についてお尋ねいたします。県庁舎敷地の西側一角に保存文書管理室のあることは御案内のとおりであります。およそ一般県民、市民にとつてなじみのないところでありますが、行政側にとつては、公文書の保存管理の所管事務として極めて重要なかかわりを持つものであります。本来公文書とは、公務員が行政の執行に当たり必要なためにその都度作成された書類と、簡単に理解するのでありますが、管理という面からとらえますと、保存ということが第一義に取り扱われ、これが公開が前提となりますと、閲覧するとか、あるいは利用するという、管理まで加わつてまいりますので、公文書の性格も、公務員の執務用の情報源としてとらえた、言つてみれば行政財産ということも、情報公開が前提とすれば、公文書も県民共有の財産ということになり、公文書管理が複雑にして慎重さが要求されてくるのであります。そうなりますと、公文書というものの定義は何なのか、管理機能をどうするのか、職員配置は十分なのか、文書量の増大に伴う管理場所の狭隘が管理を混乱させないのか、行政各部局課と県警本部、教育委員会の公文書管理のあり方、図書館の保存とのかかわりの問題、公文書との引き継ぎ移管の問題で管理体制を明確にする必要があろうかと思います。県庁舎建設基本設計の中では、議会棟北側に文書庫として位置づけられておりますが、単なる文書庫でなく、先ほどから申し上げておりますように、情報公開を前提とした管理内容の充実した公文書館としての位置づけをどのように考えておられますか。また、公文書保存法をもとにした公文書保存条例を策定し、公文書管理について、県庁舎竣工まで粗漏のないよう配慮すべきと思いますが、いかなるものでしようか、知事の御所見をお伺いいたします。 最後に、八五年仙台マラソンの開催についてであります。これまでの質問がハードの面にかかわる問題に偏りましたので、ソフトな問題として、八五年仙台マラソンを宮城県内で開催することを提唱申し上げ、県御当局の取り組みについてお尋ねいたしたいのであります。 ロサンゼルス五輪を来年に控え、各種のマラソン大会が国内随所で展開されております。大会の模様が新聞運動・社会面で大々的に報道され、テレビの実況ではいろいろと深く印象に残る場面を見せてくれました。八三年大阪マラソンでは、日本のホープ増田明美が、体調の不調のためか、期待に反して、スタートから約四分の一地点で転倒、途中で棄権。東京マラソンでは瀬古選手が、二時間八分三十八秒で日本最高記録で優勝、世界十傑の中の堂々四位に躍進、日本マラソン界がロス五輪に明るい希望をつないでくれたのであります。中でも京都市で行われた第一回全国都道府県対抗女子駅伝競走大会では、千五百メーター日本記録保持者である築館女子校教員の今野美加代選手をキヤプテンに、中学一年までという九名編成の宮城県勢が第七位で敢闘したのであります。中でも七区四キロ走者の大河原商業校二年の中坪光子選手は、十三分四十一秒で区間最高記録をマークし、その健闘ぶりは称賛に値するものであり、今後とも大いに期待される選手団でありました。本県女子マラソンに希望を与えてくれ、選手団の強化育成に大きくはずみをつけたのでありますが、教育委員会保健体育課のこれまでの御努力に対し深く敬意を表するものでございます。何はともあれ、テレビを通して、選手一人一人が体調に気を配り、自己のペースに挑戦し、黙々として走り続ける孤独の戦いに触れながら、私は何とも言えない感動を覚えるのであります。また、合間合間に開催地の町並み、沿道沿いでの盛んに声援を送る市民の姿、交通遮断にドライバーの惜しみない無言の協力等、映像に変化を与えてくれる風景の一こまも楽しみの一つであります。私は、いつも考えますことは、宮城県を舞台とした全国レベルのマラソン大会、国際イベントが開催できないものか、それとも無理なのか、こうした大会が宮城県で開催できたとすれば、東北・みちのくの姿、宮城県の大きなPR、紹介ができるし、各種のスポーツ振興、育成強化と、選手に奮起と希望を与えてくれることになり、選手育成にも大きな成果を得るものと思います。これが国際イベントということになれば、東北の国際化対応の環境づくりとなり、基盤づくりとなることの意義がもつと大きいものとなるかもしれません。定例的に行われる毎年の全国大会あるいは世界大会を持たないところは、四国と東北だけと言われております。別府、福岡、東京、大阪、名古屋、今度の京都の大会等、札幌市は冬季オリンピツク、ジヤンプ大会、アイスホツケー、雪祭り等の国際イベントで世界によく知られております。大相撲の九州場所等開催されているにもかかわらず、順送りで引き受けた以外では、全国的あるいは国際的イベントが全くないのが東北と言われることは、東北の文化のおくれにも通ずるのではないかと考えられるのであります。東北の中核県として、本県がまず発想の転換を図るべきでありましよう。こうした全国レベルの大会、国際的イベントの宮城県開催について、問題は何なのか、スポンサーの問題、選手招待の経費としての財源の捻出、コースの設定の問題、交通事情等数々あり、また、東北の宮城県の秋から三月までの気候、気象条件等、難題を多く抱えているだけに、開催については消極にならざるを得ないという諸条件を、県がイニシアチブをとり、ただいまからマラソン大会のため下地づくり、環境づくりに取り組むべきであると思考するものであります。京都市の第一回全国都道府県対抗女子駅伝競走大会は、女子陸上競技の中・長距離選手育成を目的とし、主催は財団法人日本陸上競技連盟の京都新聞社、後援として京都府、京都市、NHK、区間四十二・一九五キロコースということでありますが、六十年春には……。 ○議長(佐藤常之助君) 簡潔に願います。 ◆四十一番(佐竹二郎君) (続)新幹線も待望久しい上野駅まで二時間、直通で乗り入れが実現する記念すべき年であり、仙台市地下鉄工事も順調に進めば秋には南北幹線の運転開始も可能で、一九八五年は東北にとつて開発史上歴史に残る意義ある年となることでありましよう。知事は、この意義ある年を祝福するためにも、二百万県民への最大級の贈り物として、八五年仙台マラソンの実現を目指し、報道機関、県内の財界、経済界、各種スポーツ団体、協会に向けて、体制づくりに取り組む決意がおありかどうか。八五年仙台マラソン宮城県内開催を提唱を申し上げ、知事の御所見を求めまして、私の一般質問を終わります。 ○議長(佐藤常之助君) 知事山本壮一郎君。  〔知事 山本壮一郎君登壇〕 ◎知事(山本壮一郎君) 佐竹議員にお答えを申し上げますが、第一点の東北の開発への対応の仕方でございます。お話がございましたように先般の国土開発審議会の答申等々、新しい東北の開発にいまスタートをしなければならない大事な時期でございます。そこで、こういう新しい東北開発の重要なプロジエクトを県の計画の中で明らかにすべきではないかと、こういう御指摘でございますが、確かにいまの県の計画そのものにつきましても、若干その後のいろんな動きとの関係から言いますと、見直しをする必要が出てまいつておるのでございます。しかし、先ほど佐竹議員もお話がございましたように、国土計画、いわゆる三全総についていまいろんな観点から見直しが行われまして、これが四全総というかつこうで出てくるのかどうか、その辺のところがひとつ検討課題だと思われるのでございます。恐らく三全総で考えております人口の増加そのもの、あるいはまた地方への分散状況、あるいは高齢化の進みぐあい、そういう基本の点におきまして、三全総の想定がかなり狂つておるわけでございますので、定住圏構想という基本の理念は変わらないといたしましても、またそういう中で北海道や東北を重視するという、地方を重視するという姿勢は変わらないにいたしましても、恐らく四全総というものがつくられる可能性というものが非常に高いと思われますので、県の計画を本格的に見直すということになりますれば、やはり四全総の動きというものを見ながら考えた方がいいのではなかろうか。そういう意味におきましては、県の計画としては、先ほどお話がございましたように、毎年やつております年間の実施計画の策定の中で、新しい東北開発のための大きなプロジエクトもこの中に適切に組み込んでいく。もう一つは、これは当然のことではございますが、東北全体の開発に関する重要な意味を持つプロジエクトでございますので、例えば東北開発推進協議会等の場におきまして、こういうプロジエクトの推進について十分議論をしながら、東北が一つになつて開発をしなければいけないと、こういう御指摘も最近強く出てまいつております。そういう意味で、例えば東北の知事会と経済連合会等が、もつともつと密接な協力体制をつくり上げていくと、あるいはまた、知事会そのものがもつと活発に動けるように、例えば企画部長の段階での連絡協調を強めていくと、こういうことを考えながら、誤りのない推進を期してまいるつもりでございます。 そこで、今後の県の工業の開発の中で、お話がございましたように先端技術産業、あるいは加工組み立て産業、こういうものが時代をリードしていくものと予想いたしておるわけでございます。本県におきましても、大きな成長が期待されます、いわゆるこういう先端技術産業の導入、集積というものを核にいたしまして、今後の地域技術の開発、展開を図るべきである、こういう考えを持つておるものでございます。で、九〇年代を展望いたしました長期的な視点で、先端技術の研究開発の動向なり、また将来の発展性、可能性等を踏まえまして、今後本県におきまして、あるべき工業開発の方向を見出すべく積極的に取り組んでいこう、こういうふうに考えております。また御発言の中にもございましたように、当然八〇年代におきましては、エレクトロニクスあるいはメカトロニクスなり、新素材産業、こういう分野が急激な成長を見せるものと思われます。特に第三の素材として大きな脚光を浴びております、例えばフアインセラミツクス、これは恐らく九〇年代の初めには数兆円の市場規模になると、単に自動車エンジンだけではなしに、あらゆる分野の素材として活用されるであろうというふうに言われておるわけでございますので、例えばこういう分野につきまして、産、学、官の有機的な連係を図りながら、研究開発機構と同時に生産の機能を持つた、そういうひとつ仕組みをぜひ早急につくり上げたいと、大学の御指導もいただき、また民間の協力もいただき、また、後ほどお触れになりましたように、工業の誘導策におきまして、例えば用地の賃貸制度等を導入すると、こういう御提案がございましたが、そういうことも含めまして、新しい研究開発機構、そして生産の機構等々、しかも時代を誘導するようなものにつきましては、場合によつちや県も出資ということも考えると、戦略としてはそういう積極的な対応をいたしてまいりたいと考えておる次第でございます。いずれ具体にそういう問題が出てまいりました場合には、議会にも十分御相談を申し上げてまいるつもりでございます。 なお、仙台の北部工業団地でございますが、実は計画をいたしましてから着工までかなり年月がたつたわけでございますが、いよいよ本年五十八年度から着工となるわけでございます。もちろんここの工業団地につきましては、いわゆるテクノポリスとしての明確な性格づけ、そういう性格のものでなければならないと思います。更にこのテクノポリス構想を導入いたしますとともに、国際化に対応した、例えばこの地域にセミナーハウスをつくるとか、情報化に対応いたします情報処理センター、学術研究開発機構等をあわせて設置をいたしたい。そして機能の高い先端技術工業の中心地であり、また同時に機能の高い都市づくりを目指していこうと、その具体化を図りますために、仮称でございますが、宮城県先端技術研究会の御意見等をいただきたいということで、北部中核都市の基本構想を見直すことにいたしまして、所要の予算を今回御提案申し上げておりますので、ぜひ御審議を賜りたいと存じます。 先ほどもちよつと触れましたように、最近不況の影響もございますし、各県それぞれ工場誘致の優遇策といいますか、誘導策にはいろいろ努力をいたしておるところでございます。本県におけるすぐれました立地条件を更に生かしながら、我々が期待いたします新しい時代をリードするような企業の誘致のために、私ども自身も努力をいたしますし、また財界の方々の御協力もいただくと同時に、またお話がございました県の行政面、財政面でも、誘導措置もより一層効果的なものにしていくと、こういう姿勢の中から誘致の実を上げてまいるつもりでございます。 なお、中小企業大学につきましては、いつかも御報告申し上げましたが、東北ブロツクの中に、とりあえず仙台通産局におきましては一校を設置する方針をとつております。各県それぞれ熱心な誘致活動が出ておりまして、通産局でもどこにすればいいのかということで、昨年七月に地点を選定するための専門部会の委員さんによります、いま手を挙げております六県の現地調査をお願いをいたしまして、その結果が実は出ておるわけでございます。この結果では、当然だと思いますけれども、本県の候補地が一番優位になつておるわけでございます。したがいまして、この結果をもとに通産局が決めればいいんですけれども、何かお互い話し合いで決めてくれというような、極めて私から言いますと遠慮したような姿勢なもんですから、いまだに決まつていないのが現状でございますが、せつかく専門委員会の視察をいただいた調査結果もあるわけでございますので、その線で早急に物事が決まりますように、今後強くお願いをいたしてまいりたい。ただ考えられますことは、いまちようど地方選挙の時期を控えまして、各県それぞれいろんな思惑も、政治的な思惑もあろうかと思いますので、若干時期をずらせば、私どもが考えておりますお願いもうまくいくのではあるまいかと、こういう考え方のもとに、今後強力な運動を展開いたしてまいるつもりでございます。 それから仙台空港の問題につきましては、昨日もお答え申し上げたところでございますけれども、御承知のように国の第四次の空港整備計画の中で、滑走路の延長の問題につきましては取り上げられておるわけでございます。ただ五十八年度の新規の地方空港の着工は、いまだジエツト機が就航してない飛行場と離島等の、言うなら整備の大変おくれております空港だけにしぼりまして国の方は予算をつけた、こういうことでございますので、ぜひ来年度の着工採択をしていただきますように、いまからお願いをいたしておるところでございます。もちろん地元の対策につきましてもいろいろございますので、これらにつきましても、あわせて万遺漏なきを期してまいるつもりでございます。 また、新幹線の開業によりまして、航空輸送客が、例えば東京との間では当然減つてまいりますことが予想できるわけでございますので、他の空港、他の地域との路線を新しく開発するということは大変大事なことでございます。そういう意味で、小松との間の新しい航空路の設定につきましては、まあ旅客数の見方等で、航空会社がいまのところ若干ヘジテートしておるような面もございますけれども、両県が力を合わせまして、共同で協力しながら関係方面にお願いをすると、また幸い議会におかれましても、大変御熱心に取り組んでいただいておりますので、今後とも議会ともども努力をいたしてまいるつもりでございます。 なお、丸森線につきましては、これも昨日お答え申し上げましたように、福島県側の意見調整がなお年度内でできそうにもないような現状でございますが、しかし私からもたびたび福島県知事に対しまして、一緒に第三セクターでやるべきであると、やろうではないかということにつきまして申し入れをいたし、知事もそのつもりで努力をしてくれておりますので、いましばらくこの福島側の対応を見守つてまいりたい。もちろんこの問題を解決していただきますために働いていただけそうな政治家の方々にはお願いをいたしておるところでございますので、いましばらくお時間をおかしいただきたい。御懸念のような最悪の事態にならないような対策を、方策をとつてまいるつもりでございます。 なお、仙石線の立体交差事業の全体像を示せと、こういうお話のようでございますが、この問題、この案件は、御承知のように仙台駅から陸前原ノ町駅までの区間、約三・四キロでございます。市街地整備の一環として地下化をしようとする事業でございます。現在そのルートなり在来線との接続方法あるいは踏切除去の技術的手法につきまして検討を進めておるところでございます。したがいまして、この段階で全体計画を詳細お示しできないことを申しわけなく存じますが、いましばらくお時間をおかしいただきたいと存じます。 なお、お話の榴ケ岡の駅につきましては、存続させることにいたしておりますが、その位置につきましても、いま進めております検討の中で決定をしてまいることにいたしておりますし、また仙台駅につきましては、さんざん関係者で議論いたしました結果、東口駅と西口駅と二つの駅をつくると、こういう点につきましては、国鉄、県、仙台市で意見の一致を見ておるところでございます。この東口駅と西口駅との間の事業を、だれがどういう方法でやるかということにつきましては、建設省初め国鉄、仙台市など、いま関係者で協議を進めておるところでございます。早急に決定をいたすつもりでございます。これの決定のおくれのために全体の事業がおくれるということのないように、今後関係者で一層精力的に努力をいたしてまいるつもりでございます。 なお、情報公開制度でございますが、かねがね御要望をいただきまして、行政情報問題調査研究会を設置をいたしまして、制度化に当たつて解決しなければならない課題について種々検討、勉強をいたし、その結果の取りまとめを急いでおるところでございます。ただ情報公開制度を実施いたしますためには、その前提といたしまして、県民の求めに応じていつでも迅速かつ適確に行政情報を提供し得るような、そういう情報の管理体制の整備が不可欠になるわけでございます。ところが本県の場合、特に行政情報の大半を占める公文書が、例えば会計帳票等一部のものを除きまして、とじ込み式の方式で編集されたり、製本されたりしておりますし、その保管方法につきましても、それぞれの課・所に分散管理されておる。公開に対応できるシステムがまだとれてないのが実情でございます。で五十八年度におきましては、情報公開制度の円滑な実施のためには、公文書の一元的管理が確保されなければならないと同時に公開の窓口が一元化される必要がある、そういうことでございますので、ちようど県庁舎の建てかえの計画もあることでございます。御提言がございましたように、公文書センターと申しますか、文書管理の中枢的機能の充実を図ることが必要になろうかと思いますので、こういう点につきましては、ぜひこの新庁舎建設の設計の中で、御期待に沿えるように生かしてまいるつもりでございます。 それから、最後に御提案がございました、例えば八五年に仙台でマラソン大会を開催してはどうかという御提案、私も個人的にはそういうイベントをぜひやつてみたいものであると、特に先般の、お話がございました各県対抗女子駅伝ですばらしい成績を上げてくれております本県の選手もおることでもございます。ただ、だんだん調べてみますと、国際レベルのマラソンにつきましては、現在そのスケジユールが大変過密になつておるという指摘がございます。もちろん費用の問題もありますが、これは仮に別にいたしましても、国際レベルのマラソンは、しかも同一のコースで毎年開催しなければならないという原則があるんだそうでございます。つまり単発では成り立たない、成り立たないといいますか、大変この開催はむずかしいんだそうでございます。もう一つ、先ほど申し上げましたマラソン大会が過密であるということを受けまして、日本の陸連が、選手の健康管理等の観点から、その調整をいろいろやつておるというのが現状だそうでございます。そういう中で、新しい国際的なマラソンを本県で新規にやることについて、陸連その他の賛成が得られるかどうかということにつきましては、基本的なそういう問題があるということを、この機会にまず御認識を賜つておきたいと存じますが、もう一つ、しかも将来のことを考えますと、県内にはいまフルコースが三つと、三十キロコースが松島にございまして、松島のマラソンというのは、KHBでございましたか、後援のもとに毎年だんだん盛んになつておると。例えば現在やつておりますそういうマラソンを、松島コースでいまのようなやり方でやるのがいいのか、更に仙台の陸上競技場を出発しまして、天下の名勝松島を折り返して帰つてくるようなフルコースがとれないかどうか。またそういうコースをとつた場合に、この交通規制その他ができるのかどうか。こういうこともあわせまして、そのコースの問題、あるいはまた陸連のそういう基本の考え、同時に御賛同いただけるスポンサーの方々等の協力をあわせまして、私も個人的には、できることなら本県においてもこういう大きな大会を持ちたいという気持ちを強く持つております。今後もひとつ検討をさせていただくつもりでございます。 ○議長(佐藤常之助君) 四十一番。 ◆四十一番(佐竹二郎君) ただいまいろいろ私の質問に対しまして、知事から御丁重な御答弁をいただいたわけでございますが、ただ一点、企業の立地にかかわる問題で、土地の取得に関する土地賃貸制度、これは新しい制度であろうと思いますが、この面について、果たして法的にできるものなのかどうか、この辺の御答弁がなかつたように思いますので、もう一度ひとつ御答弁をいただければと思います。 ○議長(佐藤常之助君) 知事山本壮一郎君。  〔知事 山本壮一郎君登壇〕 ◎知事(山本壮一郎君) 土地の賃貸につきましては、例えばこれから外国の企業の誘致等を考えます場合に、外国の企業は土地の賃貸を強く条件として出してくる傾向があると、こういうことも聞いておりますので、お話の法制上の問題を含めまして、これが実現できるような方向で検討しなければいけないと、そして許されることならば、そういうことも含めまして、積極的に企業誘致に当たつてまいりたい、このように考えておる次第でございます。 ○議長(佐藤常之助君) 四十二番木村幸男君。  〔四十二番 木村幸男君登壇〕 ◆四十二番(木村幸男君) お許しをいただきまして、今期最後の議会に当たりまして質問を申し上げるのでございますけれども、私にとりましては、昭和四十二年の九月、百二十九回の議会に初登壇いたしましてから、ちようど数えてみますと四十六回目の登壇になりまして、まことに感無量なものがあるのであります。 御案内のとおり、ちようど四十二年を起点といたしました県勢発展計画が策定されました。以来、宮城県の長期総合計画そして更に宮城県の新長期総合計画にかわりまして、そのベースを多少ローリングしながらではありますけれども、県政がきようまで着実に伸びてまいつたと思いつつも、同時に限りなき、そして終わりなき未来に向けての県政の道の厳しさというものをいたく締めつけられるのであります。ちようど長期計画の最終年度が六十五年でございますから、半ばも過ぎたのであります。同時に、振り返つてみますと、これらの計画のベースは脱線することなく、多少のローリングをしながらも着実に進んでまいつたのでありますから、ちようどいまごろは、積み立て過ぎた財調金を目の前にいたしまして、どのようにユートピアを建設するか、というバラ色の論議がなされてしかるべきはずにもかかわらず、今議会に当たりまして知事は、まさに内外の景気の停滞、そして財政的にはもう国も地方も破綻的な状況だととらえながら、全く内外ともに出口のない閉塞的な状況だと言わざるを得なかつたということは、まさに冷厳な現実でもあるわけであります。そして、この閉塞された状態から出口を求めながら脱出する、その推進力となるのは何と言つても財政だろうと、このように考えます。本県の財政は、だれが名づけたのかわかりませんけれども、病める県財政そのものでありまして、端的に申し上げますと、県民一人当たり、老若男女、赤ん坊まで、一人当たり大体十三万八千円の借金、それを背負いながら、歳出面では、いやおうなしに一日一億円の利子払いというのが現在であります。財政問題につきましては、多くの先生方が触れられましたので、省略をさしていただきたいと思うのであります。 何はともあれ、このような病める財政でございまして、いまここに景気の浮揚対策について論じても、なかなか大変だろうということは、十分承知をいたしておるのでありますけれども、私は、その中の一つとして、工場誘致というものをもう一度やはり考え直し、取り組んでいかなければならないのではないかと、強く要望するものであります。まさに輸出の伸び悩み、個人消費あるいは民間設備投資の手控えなど、殊に三年連続の冷害というものは、いやおうなしに農村地帯を冷やしきつてしまつたわけであります。県商工連合会が、この三年続きの不作などの影響で、農村部の小規模の建設業者、特に非常にその影響を受けるだろう、深刻だと言われるところの農村経済との関連が深い零細企業約五百六十八社を対象にして、これは栗原郡下を選んだそうでありますけれども、調査の結果を発表いたしておるのであります。その結果を見ますと、まさに六割強が赤字あるいは収益ゼロというのが実態だそうであります。これは栗原郡下だけではなくして、いわゆる米作を基幹産業とする本県各地の状態だろうと言つてもいいと思うのであります。 また一方、宮城県の企業振興協会が、一月に主要発注登録企業者の動向調査を発表しているのでありますけれども、これを見ましても、全くこれからの操業の現況や発注等の見通しについては、お先真つ暗ということがはつきり打ち出されているのであります。まさに知事が言われましたとおり、八方ふさがりというのがまさに現状のようでございます。だからといつて、やはり手をこまねいて傍観するだけでは、解決にならないだろうと思います。ある人は言つております。「どんな困難な難問題でも、人の前にころがり込んでくるときには、必ず解決の糸口も同じように持つてくる」このように言つております。とするならば、やはり知事もよく言われる、県民の英知を結集しながら、この糸口を模索すること、それはひとりまたそのときの政治に参加したものの責任だろうと、私はそう考えております。そのために、私はその解決の糸口の一つとして、言い古された言葉でありますけれども、工場誘致というものを特に提起したいと思います。それは、このたび大崎・栗原が定住圏の構想地域に指定を受けながら、国、県の配慮を受けながら創造センター等の設備等着々準備を進めておるのでありますけれども、最も目玉としております新幹線の古川駅の停車あるいは縦貫のインター等、全国高速ネツトワークに出入口はつながつたのでありますけれども、これらに対応したいわゆる工場誘致等というものは、県が、昨年度村田、古川に特別な配慮をいただいたにもかかわらず、殊にまた地元古川市におきましても、工場誘致担当専門家を配置しながら、極力努力いたしておるのでありますけれども、なかなか前途が暗いというのが現状であります。定住するためにはまず職場、職場にはまず工場の誘致、それが私は定住圏への大きなひとつのステツプとなると思うのであります。この際ひとつこの工場誘致というものを基本的に見直しながら、戦略的な配置の上に立つて、ぜひともひとつ力を入れて、特別な配慮をいただきながら工場誘致に御配慮願いたい、こう要望申し上げながら、知事の見解を伺いたいと思うのであります。 次に、県の後継者育成の対策についてであります。 我が家の後継ぎは、できるなら自分の子供にさせたい、こう願うのは、人の親の気持ちであるかもしれませんし、とするならば、この宮城県の次の時代を背負うのは、やはり現在の宮城県の青少年であるはずでありましよう。より心豊かな健全な後継者を育成するということは、その時代の大人の課せられた大きな責任であり、その時代の行政に参加する者の最大な責任であろうと、私はこのように考えております。しかるに、昨今の新聞の報道は、きのう後藤議員さんも触れられたとおり、全く憂慮すべきを通り越して、シヨツキングな出来事の連続であります。「職員室に乱入 五教師を殴る 中学三年二人逮捕」だとか、あるいは「女生徒十二人が下級生をぶん殴る」あるいは「生徒を投げ飛ばして重傷 胸ぐらをとらえられて防衛手段か」あるいは「口論注意され教師に乱暴」これはつい二十七日の朝日新聞の九版第十九面から拾つた見出しであります。まさに中学生の校内暴力事件というのは、日常茶飯事化してしまつたのではないでしようか。しかし、国でも、あまりの事態にやつと本腰を上げたようでございます。そして家庭政策とあわせて、文部省だけでなく、内閣全体で具体的に検討することといたしまして、首相みずからが、「少年非行については、断腸の思いが続いているが、これは教育、試験地獄からきているもので、根本的見直しが必要」とした上で、政府としては、これまでの文部省が担当しておりました六・三制度の再検討という形で進めてまいつたのを、今度は内閣でみずから取り組んでいくということ、あるいは予算成立後は、なるべく早く具体策をまとめたい。三番目には、両親、隣人に対する愛情や、うそのつかないなど、人間としての生きる基本を教える必要があると強調しながら、従来ありましたところの青少年問題協議会をベースとして取り組んでいきたい旨のことを表明されたのであります。 また一方、少年の暴力非行の原因とその対策を探るところの文部省の有識者懇談会が、二十一日会議を開いたのでありますけれども、いろんな問題の提起はあつたのだそうでありますけれども、最終的には「荒れる中学生に妙案なし」ということで、会議が終わつたそうであります。 しかしこれらの少年たちの非行というのは、ひとりよその国のことではありません。本県においても、まことに残念でありますが、今議会で質問をいたしました西多賀中学校の校内暴力事件が、再びまた本会議から質問をしなければならないということは、まことに残念でなりません。 県警本部の発表によりますと、五十七年度の少年非行というのは、五十七年中の検挙、補導した非行少年は、一万九千九百七十八人だそうであります。前年度に比べまして千三百七十四人がふえております。約七・四%の増加だそうであります。そして最高記録を保持したそうであります。また全刑法犯あるいは検挙人員の中に占める割合というのは、少年たちの犯罪が五二・三%と、もう大人たちの犯罪を二年連続上回つてしまつたというのが、現在の状況なようであります。そして特色というのは校内暴力の増加、そして一番残念な中学生によるところの対教師の暴力事件が激増してるという現況なのであります。校内暴力の発生件数は五十二件であります。前年度に比べまして十九件ふえております。また、教師に対する中学生の暴力事件は、中学校において三十二件発生いたしまして、前年に比べて二十四件の増、三〇〇%の増というのが実態にございます。更に憂慮をすべきことは、これらの少年の非行というのは年々年齢が低下をしてることが、非常に顕著な傾向を表してるということでありまして、まさにこれらの非行は、中学校の生徒に集中をしてるということを示しているのであります。まさに本県にとりましては、非常事態であります。関係者がどうだ、だれが悪いという論はもう既に必要はありません。これは、県民がすべて立ち上がりながら、これらに対応して、そして行動開始をしなければいけないときだろう、このように思つております。殊に本県の生涯教育を担当し、あるいは学校教育そして在学少年たちの教育の担当分野にある教育長が、この西多賀の再発した暴力事件の経過なり、それをとらえた分析なり、それを踏まえて、今後本県としてどのように対応しようとするのか、お伺いをしたいと思うのであります。 いま申し上げたように、県内においては、少年非行が激増しております。御案内のとおりでありますけれども、古川署では、新幹線の開通に伴いまして、駅前が防犯の指定区域になつたのを機会に、管内のすべての機関あるいは組織そして家庭一軒一軒の家庭ぐるみの呼びかけをいたしまして、少年非行化防止総決起大会が開かれました。まさに会員が、もう入りきれないという盛況だつたのであります。そしてこれからの少年非行化防止に、地域ぐるみで取り組もうということを誓い合い、以来古川市の千田署長を陣頭指揮としまして、担当の防犯課はもちろんでありますけれども、全署員が挙げて、昼夜を問わずこの問題に取り組んだのであります。そのせいでありましようか、このような非行増加の中にあつて、古川管内では、虞犯少年の不良行為は若干ふえているのでありますけれども、犯罪少年は百五十四、うち女子三十八人、触法少年が四十二人、女子十人と、計百九十九人でありまして、前年より百十一人減つてるというすばらしい成果を上げているのであります。この成果は、私は高く評価すべきだろうと思います。陣頭指揮にあつた千田古川署長は、多くは語りませんでしたけれども、さりげなく、「これは家庭ぐるみで巻き込んだ作戦が図に当たつたのでしよう」このようにぼつりとおつしやつてました。私は、この一言こそこれからのこれらの激増する少年非行犯罪に大きな決め手になるのではないかな、このように受けとめてまいつたのでありますけれども、これらを踏まえながらこの増加する少年非行そして年齢が低下をしてる現況を、県警察としてはどのようにこれをとらえているのか、そしてこれをどう対応しようとするのか、県警本部長の所見を伺いたいと思います。 次に、これは再三触れてまいつたのでありますけれども、このような大事な青少年すなわち後継者の教育というものは、縦割りのせいもあるのでありましようか、窓口が多くて、効果上がらずというのが現状であり、再三これは提起をいたしておるのであります。このような状況を踏まえたならば、職能教育、もちろん職能後継者の育成も含ませながら、ひとつ宮城県の後継者の育成という立場に立つて、既に山口県が実施をしてると承つておりますところの、財団法人の県後継者育成事業団でも結成し、組織的に全力を挙げて、私はもう取り組む時期ではないかと思いますので、この県後継者育成事業団の設置を提言し、知事の所見を伺いたいと思うのであります。 最後に、農政の基本的な展開についてでありますけれども、通告いたしました農業基本法の改正に伴う問題については、情報と資料が不足でありましたので、次回に譲らしていただきたいと思います。 いまこそ三年続きのこの冷害不作を、何としてでも返上しなかつたならば、宮城県の農家経済は破滅するでありましよう。このためには、県民の持てるすべての力と知恵を結集して対応しなければならないと思います。 いま、県下各地では、それぞれの分野において、それぞれの熱心な、冷害に対応するための研究会やら検討会が開かれているのであります。まことに心強いことであり、その成果に大いに期待するものであります。「忘れられた農の心を、冷害の不作の一因にとらえ、基本に忠実に、そして調和の取れた土づくりを」という中心テーマにして、真剣に論じられたのが、八日古川合庁で開かれました米づくり見直しの研修会でもありました。 なお、三年続きの冷害不作を返上して、ことしこそ六百どりを目指そうと、二十四日県の農協ビルで、初めて宮城県農協米づくり推進総決起集会が開かれたと承つております。そして米づくりの見直しを、運動をお互いに誓い合つたということであります。従来までもこの種の研究会や検討会が開かれておりまして、決して物珍しいものではありません。しかし、ともすればきようまで長い間米価の問題であるとか、あるいは減反政策等にかかわる問題で、非常に国に対する農政不信の念が非常に強かつたわけであります。これがいつの間にか行政と農業者の間に、みぞをつくつてしまつたのではないでしようか。そして農業をやつて、結果の悪いことはすべて、野菜が安いのも、豚が安いのも、米がとれないのも、冷害になるのも、いつかはこれみな農政が悪いというような風潮になりつつあることは否めない事実だろう、このように考えております。それは当然でありましよう。従来までの日本の農政を振り返つてみるならば、ネコの目のように変わると表現されながら、揺れ動いたことを考えるならば、農業者の政府に対する不信は、私はやむを得ないことだろうと思うのであります。しかし将来に向けて、このような風潮というものは、決してプラスになりません。非常に私は懸念をしておつたのは、この点でございます。この冷害に、対応に取り組むためには、農業者みずからが、失つた農の心をひとつのいわゆる不況の原因ととらえて、そして原点を求めながら取り組もうとする姿。報道によれば、この米づくり決起大会においては、その席上、農協の指導を担当している協議会の副会長さんも、不作は我々の力の不足によるものでまことに残念だと、これからは責任をもつて農家の指導に当たろう、そういう反省の上に立つて決意が述べられたとするこの大会、いまこそ農業者そして農業団体、行政が初めて一体となつての米づくり見直し大会、冷害対策の対応ができたということは、かつてなかつたことであり、まさに心の防御線が確立されたものとして、高くこれを評価し、そしてこれからの推進と、その活動と、その成果を期待するものであります。 萱場農政部長がはせ参じて、そして行政と農協が一緒になつて米増産運動の決意を表明し誓い合つたのは初めてだと、指導陣が一致団結してスローガンの実現に取り組み、稲作の新しい道を開こうと激励したということも、まさにその心中を察して余りあるのであります。どうぞ御案内のとおり、耕作者が耕作者としての果たさなければならない分、それを自覚して、果たしていく。農業団体は農業団体としての使命があります。行政には行政としての使命があるはずであります。これらの分をお互いに尽くしながら、三位一体となつて、冷害対策に総合戦力として対応したならば、いかなる冷害にも対応できるだろうし、災害を最小限度私は食いとめることができるだろうと私は信じているのでありますが、この点について知事の所見を伺いたいと思います。 それならば、いま、きよう、県行政の分野として、何をなさねばならぬか。それはたくさんあるでありましよう。私はその一つとして、おいしくて、たくさんとれて、どんな冷害にも負けない耐冷品種のいわゆる早期育成だろうと、このように考えているのであります。知事は大英断をもつて、さきに葯培養の施設を導入をされました。古川農業試験場に、本当に大英断をもつて取り入れられました。冷害にあえぐ農村青少年たちに大きな夢と希望を与えたのであります。報道によりますと、北海道、東北の農業団体の幹部たちが、わざわざ古川農業試験場を訪れて、葯培養をつぶさに視察されたと聞いております。そして耐冷品種の育成に努力する本県の面目をほどこしたと聞いているのであります。 御案内のとおり、このほど一年性植物のクローン化が成功したと、いわゆる広島大学理学部の付属植物の遺伝子保管実験施設で成功したと報道されまして、非常に話題となつております。このクローン化というのは、別に新しいことではありません。既に一九六二年のイギリスのJ・B・ガードン博士が、アフリカツメガエルを実験いたしまして、初めてクローン化に成功をしているのであります。これはもう御案内のとおり雄と雌とが全く交じり合わないで、親そつくりのものをつくり出すというのが特色でございます。素人の私にはむずかしいことはわかりません。しかし一年性植物に成功したということは、稲も一年性植物であります。稲の生長点に物理的な力を加えることで、増殖し続ける細胞の集塊をつくり出すことに成功をしたということは、稲も交配をなしにして、そういうプロセスを経ないで、試験管の中でいわゆる苗ができるということであります。同研究施設の試算によりますと、一個の径長から、理論的には少なくとも年間に二千七百万本の苗がとれるということを言つているのであります。これがもし稲の品種改良に使えるとするならば、すばらしいことだろうと思います。素人なりに原理的にこれを考えますと、何も二千ルツクスから約九千ルツクスのいわゆる発光装置とあるいは回転を与える装置を除けば、ほとんど我が本県が誇る原種苗センターにあるところの既存施設で十分間に合うはずであります。もちろん技術的な問題は別であるのであります。どうぞひとつこの点を十分御検討くださいまして、可能でありますならば、いわゆる耐冷品種の一日も早い育成が可能とするならば、ひとつ早急にこのクローン化の栽培装置の導入について知事に御提言を申し上げ、知事の所見を伺つて、私の一般質問を終わります。御清聴どうもありがとうございました。
    ○議長(佐藤常之助君) 知事山本壮一郎君。  〔知事 山本壮一郎君登壇〕 ◎知事(山本壮一郎君) 木村議員にお答えを申し上げますが、第一点の工場誘致につきましては、先ほど佐竹議員にもお答えを申し上げましたように、一貫いたしまして、本県の地域開発のひとつの主要課題として取り組んでまいつたところでございます。そういう中で仙台港が開港し、あるいは仙台の空港がジエツト化され、そしていま新幹線、高速自動車道時代を迎えたわけでありますが、先ほども申し上げましたように、産業構造そのものが、そういう中でどんどん変わりつつある。八〇年代、九〇年代、次代を担う産業として、いわゆる先端技術産業の分野が今後伸びていくであろう、こういう予測がもたれるわけでございますので、この際ぜひそういうものに積極的に取り組んでいこう。北部の工業団地がひとつの核になるわけでございますけれども、もちろん県内各地にそれぞれ適切な新しい時代にふさわしい工業の立地を進める。これが安定した雇用の場の確保になると同時に、地域の活性化、地域の開発の戦略手段として有効であろう、こういう考え方で、これまで以上に新しい環境にふさわしい工場誘致に熱意を入れてまいるつもりでございます。 と同時に、それぞれの地域で産出されます資源、これを加工いたしますことによります地場産業の振興あるいは新しい地場産業の育成、一・五次産業と俗に言われますけれども、この一・五次産業の振興、地場産業の振興とあわせまして、新しい工場の誘致、この両面立てで工業の開発というものを進めていくのが本県にふさわしいやり方であろう。常にこの両面を見ながら、多様な雇用の場、多様な付加価値を高める方策、これについての努力をしてまいりたいと存じますし、そのための条件の整備、交通体系の整備もございましようし、あるいは水の手当ての問題もございましようし、あるいはまた先ほど佐竹議員が強調されましたような誘導政策の充実の問題、あわせまして、万遺漏なきを期してまいりたい。特に大崎、古川は、新幹線の駅もできたところでもございます。大崎・栗原のモデル定住圏の構想もあるわけでございますが、今後ともこの地域の工業の発展のために、県としてあらゆる努力をいたしてまいるつもりでございます。 それから、中学校における暴力を中心にした最近の少年の非行、まことに目に余るものがあるわけでございますが、これらの対応につきましては、教育長なり警察本部長からお答えをいただきますが、しかしお話がございましたように、問題は、学校は学校なりに厳しい対応を改めてしていただかなければなりませんし、また警察にもいろいろ御苦労をいただかなければならぬわけでありますけれども、考えてみますと、中学生が非行に走る、あるいは学校で暴れ回ると、しかし中学生が中学生になるまで、生まれてから幼児期があり小学校の時代があつたわけでございますので、そういう意味におきましては、ただ中学校の先生、ただ警察が取り締まると、これだけでは問題が解決しないわけでございます。特に最近の教育の現場で、私どもはよく存じませんが、報道等を見ておりますと、偏差値などという我々のかつて経験したことのない、知らないような仕組みがまさに大手を振りまして、それによつて子供たちを差別をしておる。まあ差別といいますか、それがすべてであるかのごとく先生の方も、また親の方も偏差値を上げるためだけを子供にかけるような傾向がある。こういうことでは、人間らしい子供は育つわけがないんであります。やはり小さいときからのしつけ教育、家庭における役割り、ひとり母親のみならず父親の役割り、責任も大きいものがあるんではないのか。また、そういう自己規制のない子供を育てた社会全体の責任もあろうかと思います。そういう意味におきまして、中曽根総理が、内閣を挙げて教育のいまの現状を含めて対応策に取り組むと、こういう指示を出されたことは、これまでの不沈空母等々の発言とは違つて大変高く評価されていいことではなかろうか。まさにこれは、政府は各省挙げまして取り組んでくれなければ一学校、一警察だけで解決できない問題であると。しかし、古川の警察署の例のお話もありましたが、とりあえずは、やはりそれぞれの学校で対応していただき、それぞれの地域で地域ぐるみで最小限度に暴力行為が起こらないような、起こさないような県民総ぐるみの取り組みが必要であろうかと思われますので、これらの問題につきましては、これまでもやつてまいりましたが、今後一層それぞれの地域での適切な対応をしていただくように努力をしてまいりたいと存じます。 また、事業団という御提案がございましたが、もしほかの県にあるならば、その点につきまして十分検討いたしまして、青少年の今後健全な育成のために活用をしてまいりたいと考えております。 なお、農政の問題について御提案がございましたように、農民も、農業団体も、もちろん行政もでございますが、それぞれがやはりたてまえだけの議論を捨てて、いまやこういう厳しい中、しかも三年も連続で冷害に見舞われておる。やはり本音の議論を闘わし合う、本心をさらけ出してお互いに機能を分担しながら協力しなければこの難局を乗り切れないと、この点は御提案のとおりでございます。私も、かねがね農業団体の方、特にあすを担う、例えば農協青年部の諸君とは、ひとつ君たちはもうたてまえの議論はやめなさい、本音でお互い話し合おうじやないかということで、この数年懇談を重ねてきておりますし、彼らもそういうことで、農業の持つ厳しさと同時に、将来にわたつて何を考え、何をしなければいけないのかということを真剣に考えてくれておると、そういう空気が出てまいつております。そういう中で、先般は農業団体が中心になられまして、冷害克服のための六百キロどりでございますか、ことしは少々気象が悪くてもそれに負けないで、米づくりの基本に立つて努力しようと、こういう決意を表明されましたことは、まことに心強い限りでございます。これがあれば、これがあれば私は、行政が技術指導をすることによりまして本県の農業の立て直しはできる。逆に言いますならば、それなくして、おつしやいますように、あらゆる問題はすべて政治が悪い、行政が悪いと、こういうことでは農業は衰退するんではなかろうかと、こういう懸念をいたしておつたのでございますけれども、大変にうれしい傾向が出てまいつたことを喜びますとともに、これからもひとつ農業団体、また私ども行政が一体になりまして農家の本音のひとつ御要望にこたえていく、また農家におかれましても、農業の持つ心というものに立脚した営農をやつていただくという姿勢でお取り組みをいただきたいと念願するものでございます。 なお、そういう中で、我々行政の役割りとして冷害に強い新品種の開発、これは急がなければなりませんし、現に努力をいたしておるところでございますが、御提言のクローン栽培によります新しい品種の開発につきましては、現在農業センターにおきましてはイチゴとかカーネーシヨンの増殖に既にクローン栽培方法を利用しておるようでございますので、せつかくの御提案でございますので、水稲の新品種増殖法としてこの技術を取り入れることにつきまして、今後専門家とも十分検討いたしまして努力をいたしてまいりたい、このように存ずる次第でございます。 ○議長(佐藤常之助君) 教育長三浦徹君。  〔教育長 三浦 徹君登壇〕 ◎教育長(三浦徹君) 木村議員の御質問にお答えを申し上げます。 警察統計を資料といたしましての、青少年非行万般にわたる御指摘がございました。残念ながら私どもの手元にございます「在学青少年の非行についての分析結果」とほぼ傾向的には同じであると申し上げざるを得ないのでございますが、その中で、最近顕著な傾向といたしましては、非行の全体の項目の中で、窃盗でありますとか、飲酒、喫煙でありますとか、こういう項目は減つているのは事実でございますけれども、逆に金銭を強要したり、それからいわゆる校内暴力、特に対教師に対する暴力行為、一口に言えば、悪質粗暴な行為が件数としてふえておるということは事実でございます。それともうひとつ、同じ学校での同じ特定の生徒あるいは同一のグループによる反復、繰り返すという件数が顕著にふえているということは、傾向として明らかに指摘できる事実でございます。 ただ、非常に残念なことでございましたけれども、西多賀中の御指摘がございました、二年余り以前から、再び不幸な事件が起きたということについては、まことに遺憾に存ずるところでございますが、ただ、一部報道された事柄と違うということは、この際明らかに申し上げておきたいのでございます。何が違うかと申し上げますと、特定数人の子供の暴力に対して、周りにおつた生徒が良識をもつて懸命にこれを制止しようとした事実がある。それからもうひとつ、教師の側も勇気をもつて、喫煙を注意した若い女性教師を狐立させることなしに、集団で協力して、しかも終始冷静に、力をもつて制圧するということじやなしに、大変にじみな説得行為によつて、問題の解決に結びつけたということでございまして、二年余り前の教訓をこの西多賀中学、みごとに生かしてくれた、私はそのように評価をいたしているものでございます。 大方の学校、大部分の教師が、子供に対する愛情を持つて、子供は教師を信頼して、正常な学校教育が行われているものと、私は認識をいたしておるものでございますが、ただ残念ながら、一部に心を痛める行為が後を絶たないということもまた事実でございます。私どもといたしましては、米づくりに基本の作業が欠かせないのと同じように、過去の不幸な事件から得た教訓を踏まえて、基本の動作に欠けることがないかということについて常時反省をいたしながら、毎回申し上げておるようでございますが、学校が学校として対応に欠けることなかりしかという謙虚な常の反省、それから教師集団が常に全員一致で事に当たるという、それからまた家庭の側も、みずからの人育てに欠けることなかりしか。このことについて十分反省をしていただくとともに、双方で両方を非難し合うことからは解決の糸口がないということで、何ができるのか、このことについて、具体の対応策を考えて、行動に移していただく。同時にまた地域全体のお力をいただきながら、警察当局を初め関係機関団体との協力も含めて全体の連係動作の中で、この問題に引き続き力を発揮できますような、じみちな努力を傾けてまいる所存でございます。 ○議長(佐藤常之助君) 警察本部長池田和顕君。  〔警察本部長 池田和顕君登壇〕 ◎警察本部長(池田和顕君) 木村議員の御質問にお答えいたします。 青少年非行の状況につきましては、いま御指摘のとおりでありまして、若干敷衍いたしますと、刑法犯少年につきましては、高校生、小学生が減少しておるのにかかわらず、中学生がふえているという状況にありますし、これも九・二%増加しているわけであります。また、虞犯不良少年につきましても、小学生は減少しておりますが、高校生は四%増加しております。それに加えて、中学生が八%増加しているということであります。 また、校内暴力事犯でありますが、五十二件中、四十九件が中学生にかかわるものでありまして、その内容は、生徒間暴力が十四件で前年対比八件減少し、施設の損壊が三件で前年対比一件の増となつており、特に対教師暴力が、前年八件であつたものが三十二件と、四倍という状況に相なつておるわけであります。警察といたしましては、昨年六月「少年非行総合対策要綱」を制定しまして、少年非行の抑止活動を強力に推進してきたところであります。御指摘のように古川署非常に熱心にやつておりまして、大変おほめをいただきまして士気も大変上がると思いますので、心からお礼申し上げます。 ただ、最近における異常とも言える少年非行にかんがみまして、警察といたしましては補導活動を更に強化し、増勢に歯どめをかけるとともに、学校が無法地帯であるということは絶対に許されないというふうに考えますので、特に教育委員会、学校との緊密な連携のもとに、軽微な兆候段階であつても毅然とした態度で臨むことにしております。 また、校内暴力事犯の多い仙台市につきましては、昨日二月二十八日、仙台市教育委員会との打ち合わせ会議を行つたところであります。警察といたしましては、先生御指摘のとおり、学校、家庭、地域社会が、文字どおりそれぞれ密接な連携のもとに、一丸となつて総合的な非行防止対策を推進することが最も必要であるというふうに考えております。 ○議長(佐藤常之助君) 暫時休憩いたします。  午後二時五十三分休憩    ------------------------------  午後三時二十三分再開 ○副議長(菊地辰夫君) 休憩前に引き続き会議を開きます。質疑、質問を継続いたします。七番佐藤光輔君。  〔七番 佐藤光輔君登壇〕 ◆七番(佐藤光輔君) 第二百二回宮城県議会におきまして、私は、一、参加行政を支える情報公開と情報提供制度の制定促進について一、迫り来る高齢化社会での県民の生きがい対策について一、技術革新に呼応した、活力のある地場産業の振興について一、全天候型、浅海漁業の早期実現について一、圧密現象による地盤沈下地域の救済対策の現状について  (塩釜市新浜町塩釜水産加工団地地区について)一、港湾行政について(塩釜港再開発について) 以上六項目にわたり、知事の所見を伺うものであります。 一、参加行政を支える情報公開と情報提供制度の制定促進について。 さきの佐竹議員の質問要旨と一部重複いたしますが私の考えを述べさせていただきます。 行政に関するさまざまな情報の資料というものを、地域住民が行政当局に要求するという機運が、次第に全国的に多く出てまいつております。それは、消費者行政に関する分野であるとか、あるいは公害問題、日照権問題、土地の境界問題等、日常生活にかかわるものを契機といたしまして、地域住民が地方行政に対して参加をし発言をしたいとの願い、そのために情報の資料を要求することがきつかけとなつてきたためと思量いたします。 また、行政の不正、疑惑に対し、地域住民が監視の目を光らせる行政の公正性の確保のためにも、住民サイドからは、情報の公開が必要になつてきたのであります。反面、行政サイドから見ましても、行政運営をスムーズに運ぶためには、使い古された密室的根回し手法から脱皮をして、積極的に情報を提供し、公開をしていく手法への転換を図る方が効率的であると認識されてまいつておることにもよります。人によりましては、憲法上の国民の知る権利で説明される方もおられるようでございますが、それはそれといたしまして、一つの方法論としておきましよう。 先般発表されました、政府の第二臨調第二部会報告によりますと、地方自治体、とりわけ四十七の都道府県における情報公開制度の検討状況は、本県も含めて、四十三団体、九一・五%が検討中であるとのことです。また、昭和五十八年度に条例化実施予定団体として埼玉県、神奈川県が、昭和五十九年度中には長野県及び東京都が実施に向けて試案を発表いたしております。そのほか、条例制定準備段階に入つている団体といたしましては、福井県、滋賀県、兵庫県等が挙げられております。ちなみに、情報公開制度の先進二県についてみますと、いずれも行政運営の基本理念といたしまして、県政を県民との共同作品とし、参加型行政の推進を図らねばならないと考えております。そうなりますと、「情報なくして参加なし」ということが言われておりますので、そのための手段として、情報の公開ということが当然必要になつてまいるわけでございます。また、県民の共有財産でもあります県政に関する情報が公開をされますと、行政全体に緊張感が高まり、一層公正な執行が期待ができ、県政に対する県民の信頼が堅固なものとなつてまいる大きなメリツトがございます。情報提供につきましても、広報ないし窓口体制の充実整備と並行いたしまして、お知らせ広報から、問題提起広報へと、一段進めてまいろうとする試みのようでございます。 こういうことを見てまいりますと、当然県民総参加の県政を骨幹とする、新しいふるさとづくりの推進にも欠かせない制度であろうかと思量されるわけでございます。 本県におきましても、既にプロジエクトチームが編成をされておるやに聞いております。冬眠状態のように見受けられますが、それでは進歩がございません。新しい制度の創設には、解決をしなければならないさまざまな問題が出会うものでございますが、この制度は、法制上の問題はそんなに大きな隘路ではなくて、むしろ制度運営の仕方そのものの詰めが非常に重要だと言われております。ただ、財政難に苦しみ、行財政改革のさなかにあつて制度創設は、職員の労力やOA機器導入等にも相当の費用を要することでもありましよう。また、現庁舎のスペースや新庁舎建設時期とも関連をしてまいりますので、慎重を期されることは無論理解いたしますが、大局的な展望をもつて促進されるよう御提案をさせていただく次第でございます。 続きまして、一といたします、迫り来る高齢化社会での県民生きがい対策について。 本年も、県内で約三十五万人の青年たちが新成人として祝福を受けられました。私の住む塩釜におきましても、約千名の新成人がおります。彼らが、将来社会の中堅として活躍される時期が、ちようど二十一世紀に入る時期でもございます。また、彼らの十年前を振り返つてみますと、それは県政百年のときであり、新しいふるさとづくりの長期総合計画ができた年でもありました。更に、その十年前には、県北地震が静かな田園地帯を襲いましたが、一方、高度経済成長の緒についたときでもございました。わずか二十年の歳月は、急テンポで移り変わつてまいりました。しかしながら、これらの十年先、二十年先に、我々の社会がどのような状況に立ち至つているか、また、そのとき、人々はどのような価値感に基づいて、どのような生活をしているのか、的確に予測することは至難のわざであり、ましてやそれへの対応を積極的に取り組むことは、行政サイド、住民サイドを区々別々にしてはでき得ないことも明らかでございます。相互に知恵を、そして力を出し合つて、一体となつて推進をしなければなりません。 ここにひとつの手がかりがございます。昭和五十七年十一月、人口問題研究所で出しました新しい推計値です。それは、我が国の高齢化が、従来見込まれていたより一層高速かつ高率で進展することを明らかにいたして、世間の注目を促しております。新しい推計値によりますと、六十五歳以上の老齢人口の割合は、一九八〇年で千五十二万人、九%でありましたが、十年後の一九九〇年には千四百二十五万人、一一・六%とアメリカの水準に達し、二十年後の二〇〇〇年には二千万人、一五%となりスウエーデンと並びます。そしてその後二十年間は更に加速をいたし、二〇二〇年には老齢人口が二二%となり、世界のトツプレベルに到達をすると予測をされております。日本人の四ないし五人に一人が六十五歳以上の高齢者で占められるということは、何ともすざまじい情景ではありませんか。係る高齢化社会においては、健康、福祉、年金、雇用等の生活面や生きがいを求める人間性の面など、さまざまな種類の切実な問題が取り上げられましよう。ここで私は、特に生きがいを求める人間性の面について考え、その中で果たす行政の役割り、とりわけ県民に対する県政の役割りについてお伺いをいたしたいと存じます。 本県では、既に各界各層の英知を結集した、高齢化社会問題懇談会の格調高い提言を受けて、昭和五十六年度から高齢化社会対策関連事業をそれぞれの分野で積極的に実施されており、県民からは期待と好感をもつて迎えられております。そのことに批判を加えようとするものではございません。 私が思量いたしますには、人生志を立てて勉強いたし、体験をして、人それぞれの器量に応じて社会に尽くし、それに応じた生活を守り、子供を育て孫ができ、ふと気がつくと、老いの潮がひたひたと足元を濡らしてきていることに気がつくと、いよいよ海は深くなり、その波のかなたに流れ行くことが人間の運命なのではないでしようか。これにあわてて浮き輪はないか、ボートはないかと言つても、しよせんそれははかないもがきでしかございません。海辺に残る人々のために、自分が没するまで何かを尽くしていくことを目標にして、それに向かつて努力をすること、そのことが年老いた者にとつてのすばらしい人間的な生きがいであると考えるものでございます。それは地域社会に何かを尽くすといいましようか、例えば女性であれば、孫の衣類を編み続けることでもよいのではないでしようか。国が何かしてくれるのは当然であり、地方自治体がもつとやつてくれないものかとばかり考える待ちの気持ではなく、何かを尽くしてやる気を持つたところに、本当の生きがいは生まれるものであろうと考えるものでございます。生きがいは、本来個人の問題であり、行政の役割りはそのための条件づくりにすぎないと思量いたします。その条件づくりにいたしましても、余暇活動として楽しみの場を提供することだと考え、レクリエーシヨン活動的なものが主流を占めている昨今の傾向は、果たしていかがなものでございましようか。 そこで、私は、六十歳以上の方々のために教育施設、高齢者大学校の創設を提案をいたします。はからずも、山本知事ゆかりの地兵庫県加古川市に、「いなみ野学園」という兵庫県立のモデル施設がございます。昭和四十四年七月開校ですから、既に十三年の実績を誇り、在学年限四年といたしまして、三千二百余名の方々が学習にいそしんでおられるそうでございます。 当初修学年限は一年制の予定でございましたが、留年志願の要望から二年制、三年制、そして四年制へと、県の理解ある対応で発展をし、名実ともに四年制の老人大学となつたものであります。すなわち、そこは生涯教育の総仕上げをする場と申し上げても過言ではございません。この大学を卒業したからといつて、就職に関しては心配の必要もございません。長年にわたつて身についた知識や技能を大いに地域社会に役立ててもらえば、それでよいのでございます。そのような意味で、地域の老人クラブや高齢者教室の運営に、献身的に携わる卒業生が決して少なくないそうでございます。「いなみ野学園」は、いわば高齢化社会の中核として、どつしりと地域に根をおろしておるのでございます。 「少にして学べば、則ち壮に為すあり、壮にして学べば、則ち老いて衰えず、老いて学べば、則ち死して朽ちず」という佐藤一斉の言葉に見られる生涯教育、生涯学習にこそ生きがいの真髄があり、山本県政の大きな柱の一つとなつておると考えるものでございます。ぜひとも、「青年の船」「農業実践大学校」「県立美術館」そして「地域産業創造センター」に続く新しいふるさとづくりのモニユメントにしていただきたく、知事の御英断を期待いたします。 一、技術革新に呼応した活力ある地場産業の振興について。 一九六〇年に言われた、投資が投資を呼んで、各業界、各企業ともに繁栄するといつた黄金の六〇年代を再生する可能性は、皆無と見てよいのではないでしようか。「ヨーロツパはノーベル賞はとれるが、デミング賞はとれない。日本は逆で、デミング賞はとれるが、ノーベル賞は困難ではないだろうか。あるいは、アメリカは両方とれる」と言われておるようでございます。デミング賞は、品質の管理向上に、すぐれた業績を上げた者に与えられるのでございます。今後日本は、ノーベル賞という人類の共同財産を、全部外国に依存することなく独自の貢献を図るように努めなければ、いつまでも国際摩擦の標的から脱却することはでき得ません。ここにも発想の転換と申しましようか、いわゆる転換の論理が指摘されておるのでございます。同じ論理を、日進月歩の勢いで発展し続ける技術革新に呼応して、本県産業経済の活性化を図る政策転換のてことしなければならないのではないでしようか。例えば、企業立地についてみましても年々減少し、その歯どめをして、助成、融資等の手厚い受け入れを呼びかけても、新規立地は期待どおりにはいかないのが現況でございましよう。 そこで、長年の風土と伝統に育まれてきた地場産業の振興や特産物に付加価値を加えた一・五次産業の掘り起こしに努力されておられます。それも大切ですが、一方、更にこれからの先端技術とのドツキングによつて新しい市場の創出を図る試みに挑戦することも必要かと考えます。幸い、本県は高速交通体系は出そろい、豊富な水、良質な労働力にも事欠かない極めて好条件下にあり、情報や技術交流等の面でも、高度に中核都市機能を持つ東北の中心都市を抱えておりますので、あとは県の総合調整能力をフルに動かし、創意工夫に努めればそれが可能となると考えます。先般開催されました産学の権威を集められての先端技術懇談会は、摸索の第一段階であろうと理解をいたしております。この問題に関しての知事の展望あるいは構想をお伺いいたしたいと思います。 また、企業誘致についての手厚い受け入れにつきましては、断念されることなく、引き続き努力されることでしようが、過日、新聞で拝見いたしましたが、福岡県と九州電力とが二人三脚で企業誘致活動を強化していくとの記事のような手法で、本県産業経済振興に民間の積極的参加を求めていくことなどについて、いかがお考えかあわせてお伺いを申し上げます。 次に、全天候型浅海漁業の早期実現について。 次に、地元関連の問題につきまして、御質問を申し上げます。 沖合遠洋漁業の国際的な規制処置とオイルシヨツクは、本県水産業界に未曽有の打撃を与え、それが契機で沿岸海域の漁業生産力増大への政策転換を余儀なくされてまいりました。その結果、八百四十キロメートルの海岸延長を持つ本県にとりまして、御承知のように、水産業全体を見た構造改善が実施されてまいつております。それは資源培養型漁業を志向しての資源の保護管理、漁場環境の適正化、漁業規制の徹底等に努めてまいつたわけでありまして、その労は多としながらも、第一次産業の宿命である気象状況に左右される脆弱体質はいかんともしがたく、特に浅海養殖漁業においては、五十五年、五十六年、五十七年と、三年連続して低気圧、異常気象、暴風雨等の打撃をもろに受け、多大な被害をこうむりましたことは記憶に新しいところでございます。 そこで、耐波性に強い外洋漁場の開発であるとか、また波浪抵抗の少ない中層養殖施設の開発等を促進され、付加価値の高い中・高級魚介類や高品質な海藻類の養殖、生産を目指していくところの足腰の強い全天候型浅海漁業の早期実現について、県の指導性が切望されておるところでございます。これらについての今後の対応策について、お伺いをいたします。 一、圧密現象による地盤沈下地域の救済対策の現況について(塩釜市新浜町塩釜水産加工団地地区について)。 私は、昭和五十六年の六月の議会、昭和五十七年の三月のそれぞれの議会におきまして質問させていただきました地盤沈下対策について、あえて三たびお伺いを申し上げます。 この地区は、昭和四十九年から五十六年まで、水準測量によりますと、この間四十三センチの沈下が見られ、昭和五十五年新浜、この地域は五・四センチと、全国のワースト四位に位置をいたしております。そこで、この地域に立地をいたしておりますところの塩釜市の団地水産加工業協同組合が指導的な役割りを果たしました。その立地をいたしておりますところの工場について、いろいろなアンケートをとりました。その結果、地盤沈下の原因別調査については、盛り土の舗装が必要な件数が四十八件、金額が八千七百十九万、かさ上げの修理及び新築が三十件、一億八千八百十九万、壁の亀裂等六件、五百三十二万、機械設備、修理あるいは高圧電線、排水管等を含みますこの改修に三十一件、五千五百八十三万、給排水その他が二十九件、合計をいたしますと、百四十四件、四億一千百九十七万の費用が必要であり、一部はこの地域で独自の資金による改修策を図つていらつしやいます。この地域は、知事も御存じのとおり、塩釜市の基幹産業の中心的な加工場群であり、地場産業の振興の上からも、ぜひこれらの救済について、県並びに市の配慮を必要とすることを、ここで改めてお願いを申し上げる次第でございます。原因の究明やあるいは対応それから救済等については、国の立法制度へのお願いの仕方、これがどうしても必要でございまするが、例えば、県独自の県公害防止等融資制度要綱の拡大適用などを含めた県独自の、これらの地域に対する融資なり助成、利子補給等のための制度化について、いかが検討結果が得られておられますか、お尋ねを申し上げる次第でございます。 最後に、港湾行政について。塩釜港の再開発についてお尋ねをいたします。 塩釜港区の再開発問題につきまして、新年度から本格的な現況の調査を実施していただくべく予算措置を講じられましたことに、心からの感謝を申し上げます。新しい調査結果を踏まえられて、塩釜港の再開発ビジヨンが描かれることになろうかと存じますが、基本的なお考えをお尋ねいたしたいと存じます。また、塩釜市民も港湾の再開発につきましては、昨年の四月から十月までの長期にわたり、塩釜商工会議所の主導で産、学、官一体となつて展開され、日を追つて市民の関心が高まつてまいりましたところの経済振興シンポジウムにおきまして、活発な、そして建設的な意見が交換をされました。塩釜の持つ今日的課題を基本に、発展、飛躍の可能性について知恵を出し合つたわけでございますが、それは、港湾の整備、背後地の再編、商店街の再編成、観光の振興、湾内の埋め立てあるいは貨物ヤードの撤去等、言うなれば塩釜の新しい町づくりに、市民の総参加で取り組んでおります。その根幹をなすのが、どうしても港湾の再開発にほかならないのでございます。このシンポジウムにつきましての県の関係者の方々が、すばらしい御助言をしてくださいました。私は、これらの活用をお願いをいたしますとともに、塩釜港区が、かつての栄光を取り戻すための再開発のスタートでありますように心からお願いを申し上げ、私の一般質問を終わらせていただきます。 ○副議長(菊地辰夫君) 知事山本壮一郎君。  〔知事 山本壮一郎君登壇〕 ◎知事(山本壮一郎君) 佐藤議員にお答えを申し上げますが、第一点の情報公開あるいは情報の提供、住民参加の地方自治を推進する上におきまして、大変に大事な制度でございます。情報公開制度につきましては、先ほど佐竹議員にお答え申し上げましたとおり、これが具体化に当たりまして、まず公文書等の情報管理体制の整備が前提になり、この体制の整備が不可欠でございます。現在、この前提になります体制整備に全力を挙げておるところでございまして、早期にこの制度の発足を見ますように、これからもあらゆる努力を続けてまいるつもりでございます。 なお、情報の提供制度でございますが、これはやはり私どもの方から県民に情報を提供申し上げ、情報の公開、つまり県民の皆さん方から求められる情報の提供と相まちまして、真の情報公開が実現するもの、また住民参加が実現するもの、このように受けとめておる次第でございます。後者につきましては、これまでも広聴広報活動あるいは統計資料、図書館等の窓口における情報提供の拡充、更には消費者行政や環境行政の分野で制度的に行つております情報提供、それぞれ今後も更に整備をいたし、充実を図つてまいるつもりでございますが、ただお話がございましたように、急速に展開いたします情報化社会でございます。住民の行政情報に対するニーズもますます高まつてまいろうかと思われますので、この情報提供の分野におきましても、より精度の高い、また住民のニーズにこたえる提供に今後一層努力をいたしてまいるつもりでございます。 第二点の、高齢化社会への対応につきましては、数多くの課題があるわけでございまして、既に懇談会等からいろいろ御指摘をいただき、できるものから実現を図つていこう、こういう姿勢で取り組んでおるつもりでございますが、特にお話がございましたように、老後を生きがいをもつて送つていただく生きがい対策、これは大変に大事な仕事であり、また大変にむずかしい課題でもあるわけでございまして、生きがいというのはなかなか人が与えるものではない。みずからその気になつて手に入れていただかなければならないわけでございます。我々行政は、それを手に入れていただく多様な環境条件を整備しなければいけない。そういう中で「いなみ野学園」でございますか、こういう所における高齢者の生きがい高揚に果たしております役割りは高く評価しなければならないと存じますし、本県におきましても、県もいろいろ御援助を申し上げ、多くの市町村で多様な高齢者教室が設けられております。県といたしましても、生涯教育の一環として高齢者大学事業を推進しておるわけでございますが、御提案がございました問題につきましては、幸い今回の予算でも、その具体的な建設にかかる予算を御提案申し上げております、例の大規模年金保養基地の基本設計の中で、ぜひこの基地の中核的機能として、いま御提案がございましたような施設を考えてまいりたいと。また、この施設が中心になりまして、それぞれの市町村の高齢者の学習の中核になると、こういう構想をぜひ実現をさせてまいりたいと、このように考えておる次第でございます。 なお、第三点の先端技術の導入あるいは研究開発の必要性につきましては、先般来たびたび御意見があり、また県といたしましても積極的にこれに対応すると、こういうことを申し上げておるところでございます。幸い本県には東北大学を初めすばらしい研究所、研究機能の集積がございますので、既に県内の地場企業の中で、大学の技術指導を受けながら、高度な技術力を備えまして先端技術関連の新製品を関発しつつある方も出てきておるわけでございます。こういう方々を更に育成してまいると、同時により機能の高い新しい企業の誘致を図る。物を生産する企業、工場だけではなしに、ぜひその場合に、研究開発機能も一緒に持つたものを誘致いたしたい、そして大学の指導を継続的に受けながら、新しい技術開発をしながら新製品をつくつていただく。そういう機構といいますか、仕組みをぜひ考えて実現をしてまいりたい。また、それが中心になりまして、すそ野に数多くの先端技術関連の企業が発展すると、こういう方向での今後の工業の開発を考えておるところでございます。 先般行いました先端技術の関係懇談会におきましても、今後のこういう技術開発あるいは先端技術工業の立地を進める上におきまして、県は、一体何ができるのかと、何をすべきであるのか、こういうことにつきまして、いろいろ忌憚のない御意見をいただいております。そういうことを参考にしながら、この分野の発展のために、努力をいたしてまいるつもりでございます。 また、企業誘致に当たりましては、福岡の例を御紹介いただきましたが、もちろん県内の民間の方々、産業界と協力をいたしますことは当然でございますが、私どもは、東京に工場誘致連盟、東京で御活躍をいただいております本県ゆかりの方々にもメンバーに入つていただきまして、早い話が、日経連の大槻会長などにお願いいたしまして、企業誘致のいろんな情報も提供していただき、また具体の問題について御協力をいただく体制を既につくつておるところでございます。 それから、全天候型の浅海漁業の早期実現という御注文でございました。これは釈迦に説法になりますけれども、漁業というのは、言うまでもなく、気象海況に大きく影響される産業でございます。しかも海上に施設を設けます養殖漁業におきましては、自然の災害を克服するという課題、これは何としても避けて通れない大事な問題であると、そういう考え方に立ちまして、県ではかねがね東北大学の先生方にお願いを申し上げまして、耐波性の大きな養殖施設の開発、研究をお願いを申し上げ、以来施設の改良には努力をしてまいつたところでございます。したがいまして、施設もだんだん沖合い養殖関係の施設ができつつあると、漁場の外延拡大、生産の安定伸長に大きな成果を上げておるところでございます。しかし、農業でもそうでございましようが、漁業におきましても、今後も、技術の改良を加えることによりまして、より安全な、より生産性の高い施設の改良に努力をしなければならないわけでございますけれども、自然の力というものは、恐らく人間が考える技術をはるかに越えて、大きなものがあるということも同時に忘れてはならない、このように思うわけでございまして、私どもといたしましては、願わくば全天候型の養殖漁業の技術体系の確立を急ぎたい、図りたい、こういう念願で、今後とも専門家の方々の御指導をいただきながら、新しい養殖施設のより高度な発展のためにあらゆる努力をいたしてまいるつもりでございますけれども、同時に漁業経営に当たられます方におかれましては、やはり不時の災害に備えて漁業共済、安全のための共済に入つていただく、そのことによりましてより安定した経営を図つていただく、この点につきましても、蛇足ながらあわせてお願いを申し上げ、佐藤議員が強調されておられますように、文字どおり足腰の強い養殖漁業経営の確立を目指しまして、努力をいたしてまいるつもりでございます。 なお、新浜地区の地盤沈下につきましては、その後も監視、原因の究明に努めておるところでございますけれども、いま御提案がございましたように、県の地盤沈下防止対策要綱に基づきます地域指定を拡大することによりまして、救済対策を含め現在検討をいたしておるところでございます。この要綱の適用があれば指定地域内の事業者を対象としました融資並びに利子補給の制度がございますので、とりあえずはこの制度を活用することによりまして対応をいたしてまいりたい。なお、基本的、本格的には国の方の総合法の成立に待ちたいという考えでおる次第でございます。 最後に、塩釜港につきましては、これはもう佐藤議員がよく御承知のように、貨物の取り扱いトン数あるいはまた入港の船舶トン数におきましても、減少の傾向にございます。これの原因は、ひとり仙台港が整備できたと、そういう面もございますけれども、基本的にはやはり現在の大型船舶に対応できないように、いまの塩釜港が施設の面でちようど老朽化を来しておるところに原因があると、このように考えられるわけでございます。そういう考え方に立ちまして、我々県といたしましては昭和五十四年度から、仙台港の港湾計画調べの中で塩釜港の位置づけなど、基礎的な調査をいたしてまいつたところでございますけれども、昭和五十八年度からいよいよ本格的に運輸省の第二港湾建設局とともに、新たに塩釜港の現況及び再開発効果など、塩釜港の再開発調査を実施することにいたしておるのでございます。二、三年で調査を終えまして、新しい開発に取りかかりたい。もちろん、今後の再開発の目標といたしましては、塩釜港が商港として、あるいはまた観光港として、より高い機能を果たし得るような整備を果たしていただけるような港の活性化を図つてまいりたいと念願をいたしておるものでございます。これらの調査に当たりましては、いまお話がございました塩釜商工会議所等が中心になられまして、市民参加のもとに塩釜港の将来を考えるシンポジウム等、大変御熱心に御討議が行われておりますので、そういう貴重な御意見も十分この調査並びに将来のビジヨンに反映さすように努力をいたすつもりでございます。御了承を賜りたいと存じます。 ○副議長(菊地辰夫君) 四十六番野口考吉君。  〔四十六番 野口考吉君登壇〕 ◆四十六番(野口考吉君) 私は、お許しいただきまして、質問の要旨に従いまして知事の所信をお伺いいたします。 第一点、財政問題について。五十八年度の当初予算規模は、一般会計で四千四百五十八億円余り、特別会計や企業各会計を含めた総計で、五千三十九億八千七百万と、一般会計の伸び率は五十七年度当初予算比二・三%、各会計総額でも三・二%の伸びにとどまり、国は五十七年度歳入欠陥が六兆円、五十八年度国家予算もかつてない厳しいものであり、この財政危機をどう克服するのか、一方、臨調答申に基づく財政全般の見直し等、じわりじわりと地方自治体にも厳しさを増す一方であります。この財政環境の中で、県財政の基本をなす県税は、景気の底冷えで伸びが期待できず、不足財源は起債と財政調整基金から取り崩して埋め合わせるという苦しいやりくりの予算の内容と言えます。県財政が慢性的な財源不足に陥つていることを示しております。県財政は異常事態に立ち至つたと言えます。私が五十一年二月定例会において、五十一年度予算について質問しておりますが、当時、県税収の一年分以上の約七百八十七億円の県債であつたが、私はこれ以上県債をふやすことのないようにこの壇上で申し上げておりましたけれども、五十八年度、現在は約三・六倍という膨大な県債を発行しておる現状であります。県債依存度は、五十七年度当初の六・一%から九・六%に三・五%も上がり、これにより県債残高は、五十八年度末には二千八百八十億という膨大な数字になります。これは借金体質に一段と拍車がかかり、県財政は出口のないトンネルに踏み込んだようなものであります。 私は、国の財政なり、あるいは地方の不況なりはまだまだ続くものと思考されます。そこで、本年は国からの地方交付税だけでも百数十億という膨大な財政不足を来しておる現状であります。こうした中で、私は何とか県自体で財源を確保するような政策が必要じやなかろうか、こう考えるものであります。そこで、何か抜本的な公的企業を起こし、そこから県の財源を確保すべきだと思いますけれども、そのことにつきましての新規事業の構想なり、また方向性なりをお伺いいたしたいと思います。また県債の償還がますます増大する一方であり、税の増収はなかなか考えられるものではございませんけれども、財政再建の見通しが立つのか、具体的にお答えを願います。 なお、財政困難の中から、私が八年前からこの壇上より要請してまいりました県立瀬峰病院改築の計画決定をいただき、御礼を申し上げますが、全体の構想の計画、総予算等何ほどかかるのかをお伺いいたします。 第二点、農政問題について。五十八年度の農政は、「土づくりと人づくり」という農業本来の姿にようやく手をつけるというほど遠い農政が重点に志向されておりますが、私はこの農政問題につきまして、昭和四十九年九月の定例会を含めて、六回もこの議場で農業のあり方について訴えております。食糧基地としての宮城県の農業のあり方をただしてまいりました。国の政策がネコの目のように変わり、県もこれが対応に最善を尽くして推進しておりますが、農政不在という極論まで農家から出たくらいであります。国の政策を尊重することはもちろんでありますが、県独自の明確な農政の指針が確立されていないきらいがあつたと思考されます。農政の長期的計画について抜本的な姿勢を示し、農家の努力と相まつて安定した営農ができることを農政の本筋と考えます。このことについて具体的な回答をお願いいたします。 五十八年度の農政関係予算案には、土づくりを主体とした七千四百万円が計上され、土づくり講習会、堆肥舎設置ほか冷害対策、人づくりと、これら、施策は後手後手といつた感が深いのであります。これは十年も前から施策に組み入れて実施すべきであつたと痛感するものであります。農業後継者問題を初めとして、農政のあるべき姿を提言して十年になります。いまや県内農家は、三年続きの冷水害という不作に見舞われ、戦後最大の痛手も深く、借金返済に農地売買が一段と加えてきた現状も十分くみ取る必要がありましよう。地域経済に及ぼす影響も甚大であります。商店街も閑古鳥といつた現状です。岩出山町の農家の佐藤さんが、農政に対する質問をされておりますが、この内容は「農産物輸入を考えても、土地利用型農業は一定の面積をまとめなければならず、コストを下げるのに、何と言つても基盤整備が必要だ。畜産面でも、自給飼料増産のための里山整備に力を入れてほしい。堆肥とわらの交換がスムーズにいくよう県が配慮してくれるとありがたい。」という提言であります。この提言は、私も全く同感であります。五十七年二月定例会において、農政について訴えたものと同じであります。この提言は、佐藤さんのみならず県内農家の声として受けとめるべきでありましよう。この提言にどうお答えするのか、この場でお伺いするものであります。五十八年度の農政施策を出発点として、新しい農業のあり方を具体的にお答えをいただきます。 第三点、産業経済関連問題について。五十八年度予算案の中身は、まず国際化時代や高齢化社会に向けた対応、三年続きの冷害を教訓とした新しい農業の確立、地場産業の振興といつた柱をもつて、低迷する景気のてこ入れが施策として明らかになりました。県政が抱える数多くの難問題に取り組むわけでありますが、産業経済の発展は遅々とし、きめ細かい施策が絶対必要であります。国際的不況がもたらす我が国の景気回復も見通しがつかず、模索の状態であります。県内商工業を初めあらゆる業種が不安定と不安の中に置かれている今日であります。私はいつも訴えておりますが、県民に格差のない生活圏をつくつてやることが最大の根本であると思います。仙南圏、仙北圏に比較して、仙北から仙南を見た場合、軒並みと言つていいほどの工場が進出しており、一番多い某工場は千五百人という、栗原圏内から見ますというと全く見違えるような工場であります。その格差をぜひなくしていただきたいと思います。そのためには、何としても築館工場団地の造成と工場誘致に力を入れていただきまして、我が郡部の発展を期していただきたいと思います。 更に、鶯沢町にある細倉鉱山についてであります。開山以来三百年の歴史を持つておりますが、いまこの鉱山に危機感がみなぎつております。累積赤字十三億五千万円、特に亜鉛製錬部門の電気料金は月三千万円、年間三億六千万ということであります。電力供給について、現在の料金であれば何とか維持ができるが、油の値上げ等によつて電気料金が上がりますというと、亜鉛製錬はどうしても閉鎖を余儀なくされておる現状であります。そういたしますというと、百名以上の人員整理が行われるという現状でありますので、失業対策のためにも、厳しい財政下ではありますけれども、何とか県でこうした問題を援助をしながら、この鉱山の存続ができますようお願い申し上げる次第であります。 なお、中間駅のことについて、前にも質問しておりますけれども、最近町村が何とか受けざらを考えようということで下準備をしていらつしやるようでございますけれども、なかなか問題点があるようでございますけれども、知事さんにいい方途がありましたらばお聞かせ願いたいと思います。 第四点は、観光開発問題についてであります。いまや東北は新幹線が開業し、東北縦貫高速道も青森県まで開通の見通しがつき、高速交通時代の東北は変貌しつつあります。この中で、特に宮城県が一番おくれているのは観光開発そのものであります。私は一昨年十一月県外調査に参つたときに、三重県に参りました。三重県の観光局と我が宮城県とを比べますというと、大体宮城県は三分の一弱という現状であり、新幹線に伴いまして、県は奮起いたしまして何とかあらゆる方策を講じながら、この観光の推進に力を入れていくべきと思います。そのためには、やはり本年は観光振興事業費として五億四千五百万が計上され、そのうち観光宣伝事業費に六千二百万円、気仙沼市が建設の観光物産センター助成費として二千万円、自然公園施設整備費として二億一千二百万円、唐桑半島ビジターセンター建設費一億四千九百万円と観光拠点となる施設整備を重点に置かれての予算編成のようであります。まず観光宮城をPRするための最も重要なことは、足元の県民がこぞつて観光意識を高め、観光客を県民で誘致しなければならないと思います--観光宮城が育成されるのではないでしようか。県民の意識高揚にいかなる具体策があるのかお伺いいたします。 次に、観光PRでありますが、まずもつて新幹線の起点となる東京また上野、現在は大宮でありますが、新幹線を利用し上京しても、東北、特に宮城の観光案内板はあまり見えないという現状であります。県内の観光施設の整備でありますが、これと同時にPRも並行して進めるべきと思考されます。この点について、PRの現状にお答え願います。 観光事業は、東北全体として考えるべきが本来の姿であるが、その中で宮城県が果たす観光資源は、一体何をもつて売り出すのか、いまだ漠然としている現状ではないでしようか。全国で名の知れた京都、奈良は別といたしましても、宮城県としての観光資源をどう開発し具体化されるのか。限られたいまの観光地だけではお粗末であります。埋もれた観光資源も無尽蔵にあるわけです。五十八年度予算案には、観光振興では国際観光地としての受け入れ体制づくりや宣伝事業を本格化させる計画もありますが、要は、受け入れの器は一体どうなつているのでしよう。県内のホテル、旅館の従業員を対象とした研修等に力を入れて、接客に自信を持つことも重要であります。東北の観光地に来て、もう一度東北を訪ねてみたいという印象を長く持たれる歓迎こそ真の受け入れ体制が観光客の増加に直結することは明らかであります。県民意識の高揚にほかならぬものと思考されますが、この点についてどんな具体的施策があるのかお伺いいたします。 私が四十六年六月の定例会において観光開発について質問しておりますが、私の質問要旨は、栗原郡栗駒山を、秋田、岩手、宮城と三県つながる道路の整備についてでございますけれども、そのときに知事は、岩手、秋田とよく話し合いながらその実現に邁進するというような答弁をしておることを忘れてはいないと思いますけれども、ところがいま十二年たつた現在、まだ着工の運びになつておりません。秋田は小安から有料道路を切りまして須川までやつておりますけれども、宮城県側はまだその運びになつておりませんので、その点につきましてもぜひまず宮城、岩手、秋田と三県にまたがる雄大な自然を俗化しないためにも、どうか私の発言を機といたしまして、はち巻き的に、くるつと回るように、つながるようにお願い申し上げたいと思います。その点についての、十年間たつた現在の知事の見解をお伺いいたします。 最後に、第五点、ホテル火災問題について、きようまでデパート火災、大型ホテルの火災と、安心して買い物や休養の場を求める、しかも心身の疲れをいやす施設であるべき旅館が、強く要請されておる現在、買い物客、観光客に不安をつのらせる火災という、まことにもつて痛ましい惨事を招いた蔵王温泉のこのたびの火災、十一名というとうとい犠牲者を出しております。犠牲者に対して心から御冥福を祈る次第であります。更に群馬県の万座ホテル火災、その現場検証等によりますと、幾つかの疑問が生ずるのは明白であります。火災現場には、はかり知れない悪条件があつたとはいえ、適マークが交付されていながら災害に至つたことは、重大な問題であります。適マークの見直しを含め、旅館、デパート、民宿施設の安全徹底を切に望むものであります。適マークは建物の規模によつて規則が異なつており、一定基準に達していれば交付される現状でありますが、これは消防法関係だけであつて、建物自体にかかわる建築基準法の項目は対象外であるところに問題があり、対応が十分になされていない事実であります。惨事が起きると、必ずと言つてよいほど招いた原因が指摘されるのでありますが、蔵王温泉の場合は、適マークでも安心して泊まれる施設でなかつたと皮肉られている実情です。宮城県においても、各観光地にはこれに類似したホテル、民宿が多数建設されております。県といたしまして、このような実情に真剣に取り組み、これらの轍を踏むことなく、具体的に、しかも観光客が安心して宿泊できるための査察、適マークの交付について、施設だけでなくすべてにわたる安全について、宮城県だけでは絶対にこの種の災害を起こさないという自信をもつて県としての対応の具体的な施策を、知事の所信としてお伺いするものであります。 また、これからの旅館、ホテルの私の考えといたしましては、建築に当たり、まず一つは新建材あるいは塗料を多くしないこと。できるならば、改築、新築に伴いましては、木材そのままで改築なり、あるいは内装なりをさせるべきだと思います。また、常時非常用のエレベーターとか網ハシゴ、その他の設備によつて万全を期するような施設もこれからの問題として提言したいと思います。こういう問題につきまして、県当局のお考えをお伺いいたしまして私の質問を終わります。 ○副議長(菊地辰夫君) 知事山本壮一郎君。  〔知事 山本壮一郎君登壇〕 ◎知事(山本壮一郎君) 野口議員にお答えを申し上げますが、第一点お話の財政の現状でございますが、これはたびたび申し上げておりますように、構造的に大変悪い状況になつております。昭和五十一年ですか、これ以上起債をふやすなと言つておるのにずいぶんふやしておるじやないかと、こういう御指摘でございますが、御承知のように、その後減収補てん債でございますとか、財源対策債でございますとか、地方財政対策として、言うならば制度的に起債が使われておる。そういう中で本県だけが例外であることはできない、こういう事態をひとつ御理解いただきたいのでございます。そういう中ではございますけれども、財政の健全化にはできるだけ努力をしなければならないことも当然のことでございます。たびたび申し上げておりますように、事務事業等の徹底的な見直し、あるいは経費の節減、財源の重点配分、こういう中から新しい必要な事業、最低限度の財源を確保すると同時に、先般来皆様方から御指摘いただいておりますように、企業誘致あるいは県内の経済の活性化によります財政力の回復、こういうことについて努力をいたしてまいるつもりでございますが、野口議員からお尋ねがございました、県自体で財源対策のための公的企業の具体案という御質問でございますが、逆に私の方から何か具体にこういうものをやれば、大いに財政上助かるよということ、いいお知恵があるならばぜひお聞かせをいただきたいと、このようにお願いを申し上げたいと存じます。 なお、瀬峰病院でございますが、ことしから六十年まで三カ年計画で、総事業費三十六億七千万円ぐらいを考えておるわけでございまして、循環器系統を中心に呼吸器など六科、病床数は二百床を想定いたしております。仙北の中核病院として活躍をすることを期待しておるわけでございます。 農政につきまして、基本的な取り組みをどうするんだと、こういうお話でございますが、農政全般につきましてここで全部申し上げる時間はございませんけれども、大ざつぱに分けますと、一つは土地改良など農業基盤の整備を図つてまいりたい。そうして複合経営の推進や構造改善事業等によりまして、農業の生産の再編を進めてまいらなければならないと考えております。特に本年度は、重点施策としてふるさと農業の担い手育成事業、土づくりの推進、山間高冷やませ地帯対策、特産物の農産加工、一・五次産業的なものの推進、優良系統豚造成の推進、受精卵移植技術の促進等々を中心に、いま申し上げますように、生産体制の整備を図つてまいる。 それから、お話がございましたように、いまの農業、外国の農産物の輸入というむずかしい外圧の問題を抱えております。また、同時に野菜等におきましては産地間競争に耐えていかなければいけない。そのためにも基盤整備、経営規模の拡大、あるいはお話がございましたように、畜産におきましては里山の活用や、あるいは飼料の自給率の向上を図りますために、畜産農家と耕種農家との交換体制を確立すると、これによりまして堆厩肥をつくると、こういう体制の確立のためにも一層努力をしなければならないと存じます。特に、集落ごとに地域農業の指標をつくりまして、これをもとに地域ぐるみの集団営農体制の確立を図つてまいるつもりでございます。 なお、築館の工業団地の造成につきましては、この地域の人口の定住を図る上で、お話のように極めて大事な事業になろうかと思いますので、モデル定住圏計画の中で位置づけておりますように、昭和五十八年度は基本計画の策定及び環境影響評価調査を実施することにいたしております。 なお、工業団地の造成につきましては、関係市町村の御協力を得ながら、関連の公共施設の整備を進めますとともに、企業の立地動向等を見きわめながら、できるだけ早い機会に実現するよう努力をいたすつもりでございます。 細倉鉱山につきましては、かねがね議会にもお願いを申し上げまして、その極めて厳しい現状に立たされております中で、高品位の鉱床の発見が急務であると、そこで新鉱床の探査事業資金として一億五千万、探鉱探査事業の補助六千万等を計上しておりますほかに、金属鉱業事業団が実施いたします精密調査の負担金として二千万ほど上程申し上げておるわけでございます。山の従業員の方も大変苦しい中で一生懸命に山を守ろうという努力をしておられます様子を拝見いたしますと、何としてもこの厳しい環境の中から生き残つてもらいたいと、新しい活路を見出してもらいたいと、そのために県としてできるだけの御援助、御協力をこれからもしてまいりたい、こういう気持ちでおるわけでございますが、まあ御懸念の電力料金の値上げは、逆に最近の石油価格の値下げの傾向が出てまいつておりますので、電力料金の値が上がるということは当分考える必要はないかと思われますので、逆にああいう構造的に非常に悪い業界には、むしろ特例の電力料金等ができればと、私は個人的にはそのように考えておる次第でございます。 それから、一関-古川の中間駅の誘致について何かいい知恵はないかと、こういうお尋ねでございますが、前回も申し上げましたように、国鉄としては立地条件--技術的な立地条件のほかに、建設費の全額地元負担と、駅周辺の市街化の整備と、採算性と、この三つを前提条件にしております。前回も申し上げましたように、やはり地元が一体になつて燃えるような熱意でもつて、地元負担は、全額地元で負担するよと、こういう気勢をお上げになるのが一番手つ取り早い方法ではあるまいかと、あえて知恵と言えばそれぐらいしか、大変申しわけございませんが、いま持ち合わせていないような次第でございます。 なお、観光開発についていろいろ御提案をいただきましたけれども、第一点お話がございましたように、県民がやはり宮城県の観光について深い認識を持ち、意識の高揚を図る、これは大変大事なことでございまして、たまたま県外からお見えになる方にも口コミで宣伝をしていただく、こういう県民の意識を高揚していただきますために、県民挙げて観光絵はがきによる誘客作戦を去年ですか、展開いたしたところでございます。 また、ふるさと宮城文化百選の一環といたしまして、まずまつり百選を取り上げまして、これも県の観光に大いに役立たせようと、こういうふうに考えておるわけでございます。 なお、観光事業に従事しておられる方々には、シンボルマークのワツペンを着けていただいて、--これは六万五千枚ばかりをつくりまして、いわゆるふれあい運動を県下一円に働きかけたのでございます。それ以外にも観光連盟を通じまして県内の写真コンクール、あるいは観光功労者の表彰等を実施することによりまして、県民の意識高揚を図つておるつもりでございます。 また、観光宣伝でございますが、これは東北新幹線の開業時に合わせまして、東京、上野、大宮各駅に本県の観光を兼ねました、いわゆる歓迎広告塔を設置いたしましたほかに、東京駅の構内や名古屋、大阪の各駅のシヨーケースを利用いたしまして、観光コルトンを常時設置いたしまして宣伝をしておる。また、首都圏におきましてはすべての国電での車内広告、劇場スポツト広告、テレピスポツト広告等を有機的に組み合わせまして宣伝に努めておるところでございます。その他県外の観光案内所での宣伝、あるいは九州、関西、四国方面での観光客誘致懇談会の開催等々、あらゆる機会を利用しながら本県の観光の宣伝に努めておるつもりでございますし、またお話がございましたように、受け入れ体制の整備、特に観光従事者のサービスの充実のための講習会等々には、これまた毎年努力をいたしておりますが、今後一層この方面の充実を図つてまいるつもりでございます。 なお、栗駒山を今後山岳観光地として整備をいたしてまいる上におきまして、お話のように道路の整備が重要でございます。これにつきましては、基幹道路として築館-岩鏡平間の栗駒公園線、この栗駒公園線に加えまして、築館-花山-秋田・湯沢を通ります国道三百九十八号線が開通されております。したがつて、今後は二本の東西幹線を軸にいたしまして、平泉-栗駒山-花山地区-鬼首リゾート地区-鳴子温泉を結びます南北道路網の整備、この件につきましては、一昨年運輸省が実施いたしました大崎・栗原定住圏における観光資源の活用についての調査におきましても緊急な課題として指摘されておりますので、この整備によりまして栗駒山ろく地区を中心とした広域観光ルートが完備されることとなりますので、この整備に今後鋭意取り組んでまいるつもりでございます。 最後に、先般の山形蔵王温泉の火災でございますが、大変にお気の毒な事故でございますし、私からも事故に遭われました方々に心からお見舞いを申し上げたいと存じますが、ああいう悲惨な事故が起こりました原因を調査いたしてみますと、一つは防火管理体制の欠陥、もう一つは消防用施設がありながらその施設の維持管理の不備、この二つが浮かんでくるようでございます。したがいまして、適マークそのものの交付基準は、その基準を変えるということよりも、この適マークの基準に合つたところにおいても、つまり適マークをもらつておりましても、ソフトの面の従業員の管理体制が悪いと、あるいは消火器があつても、あるいは通報装置があつてもそのスイツチが切られておるとかですね、要するに防火管理体制の欠陥と消防用の施設整備の維持管理の不備、この二つにどうも原因が尽きるんではなかろうかと、こういう気がいたすのでございます。で現在の適マークの交付基準につきましては、旅館・ホテルで収容人員三十人以上、階数が三階以上を原則に、消防法の関係の二十一項目と建築基準法の関係の三項目の、合計二十四項目について適合したものに交付しておりますが、ただ今回のように、木造三階建て以上のものにつきましては、建築基準法に適合していないことから、消防法関係の二十一項目に加えまして、特例措置といたしまして二方向に避難路が確保できるとか、暖房器具等の規制など、九項目の特例基準に適合したものについて適マークが交付されておる。まあ専門家の意見を聞きましても、この基準そのものについていま直ちに、あの事故から変えるところまで問題にする必要がないんではなかろうかと。何度も申し上げるようですが、基準そのものよりも実際の管理体制に問題があつたと考えられるのでございます。本県でも今回の事故を契機にいたしまして、県下各消防機関に対しまして、すべての旅館・ホテルについて査察を強化し、防火管理体制の確立と消防用施設等の設備等の維持管理の徹底を期するよう強く指導をいたしておるところでございます。 なお、最後にお話がございました新建材等を使わないように、避難場所等をできるだけ置くようにと、こういう点につきましても今後十分注意をいたしてまいるつもりでございます。 ○副議長(菊地辰夫君) 残余の質疑、質問は、明日に継続することにいたします。    ------------------------------ △散会 ○副議長(菊地辰夫君) 明日の議事日程は、追つて配布いたします。 本日は、これをもつて散会いたします。  午後四時五十一分散会...