昭和58年 2月 定例会(第202回) 第二百二回宮城県議会(定例会)会議録 (第三号)昭和五十八年三月一日(火曜日) 午後一時三分開議 午後四時五十一分散会議長 佐藤常之助君副議長 菊地辰夫君出席議員(五十七名) 第一番 長谷川 正君 第二番 千葉龍一君 第三番 武田 誠君 第四番 佐々木久壽君 第五番 黒須光男君 第六番 佐藤 勲君 第七番 佐藤光輔君 第八番 武藤英光君 第九番 木村国芳君 第十番 庄司久治君 第十一番 渡辺 浩君 第十二番 及川一栄君 第十三番 山田 元君 第十四番 金沢哲男君 第十五番 菅原保雄君 第十六番 沖 直子君 第十七番 神谷 一君 第十八番 石黒達也君 第十九番 錦戸弦一君 第二十番 四ノ宮正一君 第二十一番 庄子駒次君 第二十二番 高橋健輔君 第二十三番 高橋善幸君 第二十四番 舘股 巴君 第二十五番 亀谷博昭君 第二十六番 佐藤清吉君 第二十七番 中村健一君 第二十八番 斎藤 堯君 第三十番 大宮芳郎君 第三十一番 遠藤雄三君 第三十二番 小野寺信雄君 第三十三番 櫻庭健朔君 第三十四番 金子哲郎君 第三十五番 三上良喜君 第三十六番 奥山紀一君 第三十七番 坂下清賢君 第三十八番 猪股春雄君 第三十九番 高橋正次郎君 第四十番 杉岡広明君 第四十一番 佐竹二郎君 第四十二番 木村幸男君 第四十三番 文屋 公君 第四十四番 佐々木敬一君 第四十五番 須藤正夫君 第四十六番 野口考吉君 第四十七番 畠山 孝君 第四十八番 後藤三郎君 第四十九番 安住仁太郎君 第五十番 森 康君 第五十一番 斎藤栄夫君 第五十二番 門馬重義君 第五十三番 星 長治君 第五十四番 佐々木照男君 第五十六番 桜井亮英君 第五十七番
佐々木源左エ門君 第五十八番 菊地辰夫君 第五十九番 佐藤常之助君欠員(二名) 第二十九番 第五十五番
------------------------------説明のため出席した者 知事 山本壮一郎君 副知事 石井 亨君 副知事 津軽芳三郎君 出納長 鈴木 淳君
公営企業管理者 羽田光男君 総務部長 事務吏員 浅野大三郎君 企画部長 事務吏員 渡辺 亮君 生活福祉部長 事務吏員 大沼直治君 保険環境部長 技術吏員 高野 昭君 商工労働部長 事務吏員 石岡義雄君 農政部長 事務吏員 萱場喜代志君 水産林業部長 事務吏員 八巻國郎君 土木部長 技術吏員 芳賀幸夫君 出納局長 事務吏員 佐藤千代人君 企業局長 技術吏員 岩井宏造君 総務部次長 事務吏員 若生 修君
総務部秘書課長 事務吏員 遠藤己巳夫君
総務部財政課長 事務吏員 鈴木新司君 教育委員会 委員長 永野為武君 教育長 三浦 徹君 教育次長 本田 浩君
選挙管理委員会 委員長 松坂 清君 事務局長 長澤純一君 人事委員会 委員長 渡辺鉱助君 事務局長 小畑英勝君 公安委員会 委員長 氏家栄一君 警察本部長 池田和顕君 警務部長 上田 清君 総務室長 阿部東治君
地方労働委員会 事務局長 曽我敬司君 監査委員 委員 佐藤幸紀君 委員 斎藤謙一君 事務局長 斎 英男君
------------------------------ 議会事務局 局長 佐藤正郎君 次長兼総務課長 山下忠之君 議事課長 熊谷 政君 調査課長 渋谷 孝君
議事課長補佐 氏家健一君
議事課長補佐 藤田雄英君 議事係長 阿部迪夫君 委員会第一係長 柏葉伊夫君 委員会第二係長 品川源司君 主事 佐藤 昭君 主事 山内恵子君
------------------------------ 議事日程 第三号 昭和五十八年三月一日(火)午後一時開議第一
会録署名議員指名第二 議第一号議案ないし議第五十五号議案並びに報告第一号ないし報告第四号第三 一般質問 〔佐竹二郎君・木村幸男君・佐藤光輔君・野口考吉君〕
------------------------------ 会議に付した事件一 日程第一
会議録署名議員指名二 日程第二 議第一号議案ないし議第五十五号議案並びに報告第一号ないし報告第四号三 日程第三 一般質問 〔佐竹二郎君・木村幸男君・佐藤光輔君・野口考吉君〕
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△開議(午後一時三分)
○議長(佐藤常之助君) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は、お手元に配布のとおりであります。
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△
会議録署名議員指名
○議長(佐藤常之助君) 日程第一、
会議録署名議員の指名を行います。
会議録署名議員に十番庄司久治君、十一番渡辺 浩君の御両名を指名いたします。
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△議第一号議案ないし議第五十五号議案
△報告第一号ないし報告第四号
△一般質問
○議長(佐藤常之助君) 日程第二、議第一号議案ないし議第五十五号議案並びに報告第一号ないし報告第四号を議題とし、これらについての質疑と、日程第三、一般質問とをあわせて行います。 前日に引き続き質疑、質問を継続いたします。四十一番佐竹二郎君。 〔四十一番 佐竹二郎君登壇〕
◆四十一番(佐竹二郎君) 私はお許しを得ましたので、通告に従つて質問いたします。 第一は、東北開発と工業再配置についてであります。戦前戦後を通じ、東北は食糧と豊富な資源と労働力の供給基地として、
我が国経済発展に大きな役割りを果たしてまいりましたにもかかわらず、産業構造の高度化から大きく立ちおくれ、東北は常にローカルであり、その東北の後進性、後発性は、その原因として基幹交通整備の立ちおくれが原因であることは間違いないのであります。待望久しい東北新幹線の本格的な開業によりまして、ようやく
縦断基幹交通体系も推進され、東北開発が国際化の対応とともに大きくスタートする第一年目を迎えたわけであります。いかにして東北の整備開発にいどむか、いま東北にとつて大きな試練と転機に立たされていると言つても過言ではありません。昭和五十二年を基点とする六十二年までの開発計画の三全総は、当時地方への定住構想を基本とする国土整備計画でありましたが、四十八年のオイルシヨツク以来、低成長の経済推移の中で、工場再配置、人口の地方分散にブレーキがかかり、計画途中にして挫折したのであります。政府は新しく四全総の策定に入ろうとしておりますが、東北のこれからの開発整備の方向は、東北みずからの英知の結集でつくり上げた
東北開発特別委員会の最終答申の政策提言を具体に推進することが、東北の開発戦略手段と考えます。この考え方については、宮城県自体のこれからの新しいふるさとづくり、県土整備開発についても、その推進のあり方を具体にプログラムとしてセツトされるべきでありましよう。昭和五十三年度を基点とする新長期総合計画も、本年度が三カ年ローリングの最終年次でもあります。東北地方の整備発展の基本は、新しい経済社会に対応した工業再配置をいかに成功させるかにかかつております。いま東北の中核県としての宮城県の果たす役割りは何なのか、答申の政策提言を受けた受け皿づくりの策定が急務であり、宮城県開発促進計画なるものを鮮明にすべきであろうと思いますが、知事のまず御所見をお伺いしたいのであります。 次に、工業再配置の問題で、東北開発の課題として重要な先端産業導入についてであります。知事は予算案の提案の中で、新しい
産業振興体制づくりのために、先端技術の産業立地を促進し、技術革新時代に対応した産業の高度化を図ると、強い意欲を示していただきました。
東北開発特別委員会の答申では、地方の活性化を図る基本的方策の第一として、
先端技術産業を初め
加工組み立て産業等、海外企業との誘致をも含めて導入展開し、その集積を図るべきだと提言され、県がこの問題に前向きに取り組む姿勢は評価できるのであります。通産省は、先端産業の二十一世紀に向けての見通しとして、八〇年代の
先端技術産業は、国民総生産、GNPの二%にすぎないが、九〇年代には一五%から二〇%の基幹産業に成長するだろうと見ており、将来的には有望な産業であると折り紙をつけておるわけでございますが、いま全国の地方自治体が、かつての石油依存の鉄鋼、アルミ、石油化学等の基礎素材型の臨海工業が、地域経済への波及効果の少ないことに気づき、産業基盤を
先端知識集積産業に転換しようと、懸命に取り組んでいるのであります。本県では八〇年代、九〇年代の先端産業の中で、これまでの誘致に対する環境のおくれと受け入れ条件の整備の出おくれを理由に、九〇年代の先端産業に目標を定め、その対策として
先端技術研究会費、
仙台北部中核都市新基本構想と
先端技術推進対策費について、初めての予算措置をされておりますが、当面八〇年代の対応策にどう取り組むのか、鮮明にしていないのであります。新年度政府予算の中で
仙台北部中核工業団地の工事着工が認められ、五十八年度より本格的に造成工事にかかるようでありますが、これまでに至る経過は四十四年からで、かなり長い歴史がありましたが、変貌する経済社会の対応に振り回された感じもしないわけでもありません。新長期総合計画では、
仙台北部中核工業都市は、単なる職住接近の
内陸型工業団地としての位置づけ、性格づけであつて、産業構造の変化に対応できなかつた現在において、
仙台北部中核都市新基本構想は、九〇年代の
先端技術産業の再配置というタイミングに整合性を持たせるための構想の変更ではないのかと思量するものであります。秋田県、青森県が、通産省のテクノポリスの第一次の指定地として候補に上つているだけに、本県が出おくれ、立ちおくれではならないと思うのであります。私は
仙台北部中核工業都市は、通産省の定義に
沿つたテクノポリスとして性格、位置づけを明確にすべきと思います。また、その意味では、政策、発想の転換の立ちおくれと言われてもやむを得ないのではないかと思いますが、知事の御見解を伺いたいのであります。 次に、工場立地の促進についてお尋ねいたします。雇用の創出と地域経済の成長率を高め、県土の均衡ある発展を図るための施策は、企業誘致と工場立地が最大の効果を生み出すことにつきましては、どなたも論を差しはさむものではありません。本県といたしましても、その受け入れ体制として、内陸工業開発の拠点として既に村田、築館の農工団地、その他都市部の中小工場の集団移転を目指した利府工業団地の造成が促進されておりますが、全国の多くの地方自治体が頭をかかえているのは、工業団地の売れ行き不振の問題であります。本県でもその例外ではなく、これまでの立地企業の推移は、昭和四十七年度で五十一社、四十八年で三十社、四十九年で十四社、五十年で十社と、年々下向きの傾向にあり、石油シヨツク以来下降線をたどつているのでありますが、五十四年のピークを境に再び上昇の傾向をたどり、五十六年では二十社、五十七年十二月現在で八社という状況であります。地方の時代、定住構想、工業再配置とはうらはらに、産業構造の変化とともに景気の停滞が一層企業の誘致を困難にしているのであります。そのために多くの自治体は、企業の誘致にはある程度の財政負担もやむを得ないとしているのでありますが、本県でも従来の
雇用促進助成金制度、土地取得の資金援助といたしまして、年七・五%、十年償還の低利長期の融資制度等、それなりの資金援助の手だてをしているのでありますが、企業側としては、景気の先行き不安ということで、立地に慎重にならざるを得ないのが実情であります。村田団地には富士通が本年度張りついたのでありますが、私は率直に申し上げて、一般企業、工場の誘致がなかなか進まないところに、果たして
先端技術産業の誘致が計画どおり進むのかどうか不安を持つものであります。経済効率最優先とする資本の論理から見ても、企業が工業再配置法に基づいて立地を進めるにしても、経済効率に合わない地域に対しては、いかに恩典や優遇策を講じても、しよせん企業の立地は期待できないのではないかと思うのであります。したがいまして、
立地受け入れ側としても、空港、新幹線駅、
東北自動車道等の基幹交通の拠点までの
交通ネツトワークの整備促進、これまでの造成済みの団地についても、交通体系、立地の環境条件、手軽に労働力を確保しやすい場所ということが要求されるのではないかと思います。知事は、企業誘致の進まない背景が、単に不況という理由のほかに何があるのか、どうとらえられているか、お聞かせいただきたいのであります。 比較的企業の立地が進んでいる山形県では、東京事務所内に企業立地課を常設し、課長以下四名のスタツフを配置し、毎日企業訪問を精力的に行い、
マン・ツウ・マン作戦が企業誘致に成功していると聞いております。また、北陸の石川県では、
県内工業出荷額の七〇%を占める基幹産業の繊維と機械工業にとつてかわる電子産業、航空機等のシステム産業、製薬・情報産業の研究施設の、いわゆる
知識集約型産業誘致に本腰を入れ、先端産業等の立地促進条例を県議会に提案し、企業の内容によつて、一企業当たり十億円までの助成措置を講ずる等の思い切つた対応を示し、行政側の並み並みならぬ誘致に対する努力の姿が見受けられるのであります。行政側として誘致に大変に苦労をなさつていることは理解されるのでありますが、あと一歩の積極的姿勢を願つてやみません。最近企業は、景気回復が見込みなしと見て、設備投資を控えていることは事実でありますので、企業立地の上で、土地取得までに至らない企業の財政事情を考慮し、土地賃貸制度を制度化し、一定期間土地の賃貸契約で立地させ、契約解除の時点で分割支払いで土地を取得させるという、思い切つた施策を採用してはいかがかと思いますが、知事の御所見を求めたいのであります。分譲の予想もつかない土地団地を放置しないで、少しでも県の財源確保に役立たせることであり、また雇用の拡大に即効性がありますので、ひとつ検討されてはどうかということであります。 最後に、中小企業大学の誘致についてであります。この問題につきましては、昨年の二月定例議会におきまして、その見通しについて御質問申し上げておるのでありますが、これからの産業構造の変化とともに、
先端知識集約型産業時代の到来は必至であります。情報にあふれ、ハイレベルの技術とともに、すぐれた知識と応用が要請される時代となつて、企業は人なり、企業に携わる人材の育成教育が最も急務でありましよう。秋田、岩手県でも誘致に強い意欲を示し、通産省では、東北地方に一カ所という構想のため、調整に難航を示していると伺つており、場合によつては、東北地方に対しては凍結もあり得るとのおそれもあり、県御当局の強い姿勢での取り組みを期待いたします。その現状はどうなつているのか、お伺いしたいのであります。 質問の第二として、当面する交通問題につきまして、要望も含め若干お尋ねいたします。 本県の
縦貫的交通体系は、新幹線の開通によつて一応整つたのであります。県土の整備開発に欠かせないのが県内交通体系、すなわち横断道の整備、自動車道のアクセス道路のネツトワークの整備であり、公共投資の中でも最重点に取り組む必要があろうかと思います。この問題は、東北地方全体にも通ずることで、
東北地方開発発展の最大のかぎでありましよう。六十一年青函トンネルの開業は、東北、北海道の距離が短縮され、国際的によく知られている札幌市との連携で、海外からの東北に対する注目が強まり、国際化の機運も急速に高まつてくることでありましよう。仙台市が札幌市に次ぐ国際都市、文化都市としての形態を一日も早く整えなければならないと思います。シンガポールで開催された
国際民間航空機関の
アジア太平洋地域航空会議で仙台空港が不定期の国際空港に認定され、六十九年には
世界ユネスコ大会が宮城県で開催が本決まり、また
国際ビールス学会も仙台で開催されると伺つておりますが、その受け入れとして、国際会議場、
セミナーハウス設置も急がれておりますが、その全体像が示されておりませんし、仙台空港の
滑走路延長整備も依然としておくれていることを指摘せざるを得ません。国直轄事業の滑走路かさ上げ工事も、本年は完成の見込みで、
中型ジエツト機の就航も可能となつて、空港整備も着々進んでいることは理解できるのでありますが、滑走路二千五百メーターの延長が、そのために運輸省の指定がおくれているのか、あるいは地元の滑走路延長への協力が得られないまま宙に浮いているのか、この際明確にしていただきたいし、五十九年度工事着工への見通しはどうなのか、知事の御答弁を求めます。 昨日の代表質問の中で触れられ、重複することをお話しいただきまして、仙台-小松間の新空路開設についてお尋ねいたします。 石川県にとつて、仙台-小松便の新規路線開設は、県政の重要課題の一つとして、昭和五十三年より取り組まれていたのであります。本県への協力の要請のため、陳情訪問は五十四年以来継続的に行われている経緯があり、金沢市と仙台市との
城下町伝統文化交流と産業経済の地域交流を促進するためという理由づけであります。現在東北六県と北陸三県との人口の動きは、一日当たり八百人以上と見込んでおり、陸上交通では、上越・東北新幹線を利用しても七時間半も要し、地の利の不便さも強調しているのであります。新規路線開設に当たつては、B七二七型機一日一往復の需要は十分に可能であり、極めて前向きに取り組んでおられますが、本県議会といたしましても、石川県と同一歩調で実現方に取り組んでいるわけでありますが、石川県と本県の観光交流にも果たす役割りは極めて大きいと思います。現在小松-東京便は、
スーパージヤンボB七四七SR機五百人乗りが二往復、
トライスターL一〇一一機三百二十六人乗りが三往復しており、そのほか札幌便、福岡便をそれぞれ一往復しております。本県といたしましても、新幹線による航空機客離れの傾向がますます強まる中で、空港の
地方ローカル線の拡張にこたえ、もちろん航空会社の採算制にもかかわる問題ではありますが、県御当局に強い姿勢を要望するものであります。 次は、国鉄丸森線の第三セクター設立の問題についてであります。
赤字ローカル線として廃止対象になりました国鉄丸森線問題につきましては、本議会において、地元選出県議を先頭に、しばしば本会議においてその存続を訴えられてまいりましたが、結局廃止を避けるために第三
セクター方式によつて存続させる方向で結論が一致し、本県と福島県との間で合意を見たのであります。第三
セクター方式の試案では、新会社設立を年度内と目標を定め、会社設立のための払い込み資本は三億円を、宮城県が六、福島県が四の比率で分担するということで、
丸森線運営協議会事務局がその準備作業を進めてまいつたのでありますが、問題は、丸森線と営業で競合する路線を持つている福島交通は、丸森線復活は最初から絶対反対の姿勢を取り崩しておらず、年間三億円の収入を見込んでいる同社としては、壊滅的打撃をこうむるとして、福島県との話し合いが不調に終わり、年度内設立は不可能という事態に追い込まれたのであります。したがいまして、会社設立は新年度に持ち越された形になつておりますが、今後の交渉の推移いかんによつては、第三
セクター方式の丸森線復活も厳しいものと見なければなりません。福島県側が、丸森線問題については最初から消極的であつたということを聞くのでありますが、存続廃止の決定が五十九年二月ですので、余すところ一年であります。一日も早い結論を期待している沿線自治体、住民にとつても、その衝撃は大きいのでありますだけに、この問題は福島県のみに任せておけないのではないか。背後には政治的圧力もかかりかねない事情もあるやに巷間うわさされておりますが、知事のこの問題に対する取り組み、また見通しについても、率直な御見解を承りたいのであります。最悪の場合、丸森線廃止やむなしという事態があり得ないのかどうか、あわせて御答弁いただきたいのであります。 最後に、仙石線の地下化についてお伺いいたします。仙石線は、仙台-石巻間で市街地を中断する形で全線運転しているために、市街地の健全な発展を阻害し、市内の交通渋滞に拍車をかけ、高架化若しくは地下化の要請が多く、また、通学通勤を含め石巻市民にとつてはスピードアツプによる仙台までの時間的距離の縮小と、そのための全線複線化、駅舎の統合等、鉄道整備のために沿線自治体一体となつて強力な陳情請願運動を展開してまいりました。さきに西塩釜-東塩釜駅間の高架化も供用開始しており、仙台市内の仙台-陸前原ノ町間の地下化も現実のものとなつてまいりました。今後都市計画の決定を踏まえ、本年秋までに着工をしたいとしておりますが、基本的には、仙台東口駅、西口駅の二駅設置することが決定し、東口駅から西口駅までの延長区間の事業費負担の問題で、仙台市と県側の意見に食い違いがあり、仙台市としては、この区間はあくまで地下化事業の延長分として県側が負担すべきものとしております。県側は、東西線の新規計画路線の中に含む区間として入るので、仙台市の負担とする主張のようでありますが、両者の意見調整にどう決着をつけるのか、その結果いかんによつては、仙石線の地下化事業が更に先に延びるという事態は、ぜひ避けるべきであろうと思います。現在仙石線仙台駅と陸前原ノ町駅間には、榴ケ岡駅、宮城野原駅が供用されておりますが、現在どおり残置するのかどうか、地下化のルートにおいて、現在地とどのように変わるのか、都市計画の全体についてもお示しいただきたいと思います。 質問の第三は、情報公開と文書管理についてであります。 昭和五十一年二月アメリカ議会において、ロツキード事件が暴露され、国民の知る権利という問題に深いかかわりを持ち始め、情報公開という日本の民主主義にとつて、これまでの歴史の中で新しい問題として深い関心が寄せられるに至つたのであります。住民総参加による地方自治の確立を標榜する地方自治体において、国に先駆け情報公開制度の必要を認めながらも、調査検討で時間を要し、制度化の実施にはまだ熟していないと思量されるものであります。昨年は山形県最上郡の金山町議会が、全国の地方自治体のトツプで情報公開制度が可決され、神奈川県、埼玉県でも、いち早く県議会で条例案が可決され、その他静岡、大分県の町議会でも条例の実施に踏み切つたことは、御案内のとおりであります。宮城県議会におきましても、五十六年二月の定例議会におきまして、社会、公明、民社の各会派から情報公開制度について論議が展開された経緯があり、本県といたしましても、実施に至るまでになお多くの課題と、並み並みならぬ担当者の御苦労をうかがい知るのでありますが、情報公開条例の策定について、現在どの程度の進捗をしているのか、部内に情報公開制度準備委員会あるいは準備室の設置をも含め、どのように具体的に対応されているのか、お伺いしたいのであります。 次に、情報公開制度の前提として、公文書の管理、公文書館の設置についてお尋ねいたします。県庁舎敷地の西側一角に保存文書管理室のあることは御案内のとおりであります。およそ一般県民、市民にとつてなじみのないところでありますが、行政側にとつては、公文書の保存管理の所管事務として極めて重要なかかわりを持つものであります。本来公文書とは、公務員が行政の執行に当たり必要なためにその都度作成された書類と、簡単に理解するのでありますが、管理という面からとらえますと、保存ということが第一義に取り扱われ、これが公開が前提となりますと、閲覧するとか、あるいは利用するという、管理まで加わつてまいりますので、公文書の性格も、公務員の執務用の情報源としてとらえた、言つてみれば行政財産ということも、情報公開が前提とすれば、公文書も県民共有の財産ということになり、公文書管理が複雑にして慎重さが要求されてくるのであります。そうなりますと、公文書というものの定義は何なのか、管理機能をどうするのか、職員配置は十分なのか、文書量の増大に伴う管理場所の狭隘が管理を混乱させないのか、行政各部局課と県警本部、教育委員会の公文書管理のあり方、図書館の保存とのかかわりの問題、公文書との引き継ぎ移管の問題で管理体制を明確にする必要があろうかと思います。県庁舎建設基本設計の中では、議会棟北側に文書庫として位置づけられておりますが、単なる文書庫でなく、先ほどから申し上げておりますように、情報公開を前提とした管理内容の充実した公文書館としての位置づけをどのように考えておられますか。また、公文書保存法をもとにした公文書保存条例を策定し、公文書管理について、県庁舎竣工まで粗漏のないよう配慮すべきと思いますが、いかなるものでしようか、知事の御所見をお伺いいたします。 最後に、八五年仙台マラソンの開催についてであります。これまでの質問がハードの面にかかわる問題に偏りましたので、ソフトな問題として、八五年仙台マラソンを宮城県内で開催することを提唱申し上げ、県御当局の取り組みについてお尋ねいたしたいのであります。 ロサンゼルス五輪を来年に控え、各種のマラソン大会が国内随所で展開されております。大会の模様が新聞運動・社会面で大々的に報道され、テレビの実況ではいろいろと深く印象に残る場面を見せてくれました。八三年大阪マラソンでは、日本のホープ増田明美が、体調の不調のためか、期待に反して、スタートから約四分の一地点で転倒、途中で棄権。東京マラソンでは瀬古選手が、二時間八分三十八秒で日本最高記録で優勝、世界十傑の中の堂々四位に躍進、日本マラソン界がロス五輪に明るい希望をつないでくれたのであります。中でも京都市で行われた第一回全国都道府県対抗女子駅伝競走大会では、千五百メーター日本記録保持者である築館女子校教員の今野美加代選手をキヤプテンに、中学一年までという九名編成の宮城県勢が第七位で敢闘したのであります。中でも七区四キロ走者の大河原商業校二年の中坪光子選手は、十三分四十一秒で区間最高記録をマークし、その健闘ぶりは称賛に値するものであり、今後とも大いに期待される選手団でありました。本県女子マラソンに希望を与えてくれ、選手団の強化育成に大きくはずみをつけたのでありますが、教育委員会保健体育課のこれまでの御努力に対し深く敬意を表するものでございます。何はともあれ、テレビを通して、選手一人一人が体調に気を配り、自己のペースに挑戦し、黙々として走り続ける孤独の戦いに触れながら、私は何とも言えない感動を覚えるのであります。また、合間合間に開催地の町並み、沿道沿いでの盛んに声援を送る市民の姿、交通遮断にドライバーの惜しみない無言の協力等、映像に変化を与えてくれる風景の一こまも楽しみの一つであります。私は、いつも考えますことは、宮城県を舞台とした全国レベルのマラソン大会、国際イベントが開催できないものか、それとも無理なのか、こうした大会が宮城県で開催できたとすれば、東北・みちのくの姿、宮城県の大きなPR、紹介ができるし、各種のスポーツ振興、育成強化と、選手に奮起と希望を与えてくれることになり、選手育成にも大きな成果を得るものと思います。これが国際イベントということになれば、東北の国際化対応の環境づくりとなり、基盤づくりとなることの意義がもつと大きいものとなるかもしれません。定例的に行われる毎年の全国大会あるいは世界大会を持たないところは、四国と東北だけと言われております。別府、福岡、東京、大阪、名古屋、今度の京都の大会等、札幌市は冬季オリンピツク、ジヤンプ大会、アイスホツケー、雪祭り等の国際イベントで世界によく知られております。大相撲の九州場所等開催されているにもかかわらず、順送りで引き受けた以外では、全国的あるいは国際的イベントが全くないのが東北と言われることは、東北の文化のおくれにも通ずるのではないかと考えられるのであります。東北の中核県として、本県がまず発想の転換を図るべきでありましよう。こうした全国レベルの大会、国際的イベントの宮城県開催について、問題は何なのか、スポンサーの問題、選手招待の経費としての財源の捻出、コースの設定の問題、交通事情等数々あり、また、東北の宮城県の秋から三月までの気候、気象条件等、難題を多く抱えているだけに、開催については消極にならざるを得ないという諸条件を、県がイニシアチブをとり、ただいまからマラソン大会のため下地づくり、環境づくりに取り組むべきであると思考するものであります。京都市の第一回全国都道府県対抗女子駅伝競走大会は、女子陸上競技の中・長距離選手育成を目的とし、主催は財団法人日本陸上競技連盟の京都新聞社、後援として京都府、京都市、NHK、区間四十二・一九五キロコースということでありますが、六十年春には……。
○議長(佐藤常之助君) 簡潔に願います。
◆四十一番(佐竹二郎君) (続)新幹線も待望久しい上野駅まで二時間、直通で乗り入れが実現する記念すべき年であり、仙台市地下鉄工事も順調に進めば秋には南北幹線の運転開始も可能で、一九八五年は東北にとつて開発史上歴史に残る意義ある年となることでありましよう。知事は、この意義ある年を祝福するためにも、二百万県民への最大級の贈り物として、八五年仙台マラソンの実現を目指し、報道機関、県内の財界、経済界、各種スポーツ団体、協会に向けて、体制づくりに取り組む決意がおありかどうか。八五年仙台マラソン宮城県内開催を提唱を申し上げ、知事の御所見を求めまして、私の一般質問を終わります。
○議長(佐藤常之助君) 知事山本壮一郎君。 〔知事 山本壮一郎君登壇〕
◎知事(山本壮一郎君) 佐竹議員にお答えを申し上げますが、第一点の東北の開発への対応の仕方でございます。お話がございましたように先般の国土開発審議会の答申等々、新しい東北の開発にいまスタートをしなければならない大事な時期でございます。そこで、こういう新しい東北開発の重要なプロジエクトを県の計画の中で明らかにすべきではないかと、こういう御指摘でございますが、確かにいまの県の計画そのものにつきましても、若干その後のいろんな動きとの関係から言いますと、見直しをする必要が出てまいつておるのでございます。しかし、先ほど佐竹議員もお話がございましたように、国土計画、いわゆる三全総についていまいろんな観点から見直しが行われまして、これが四全総というかつこうで出てくるのかどうか、その辺のところがひとつ検討課題だと思われるのでございます。恐らく三全総で考えております人口の増加そのもの、あるいはまた地方への分散状況、あるいは高齢化の進みぐあい、そういう基本の点におきまして、三全総の想定がかなり狂つておるわけでございますので、定住圏構想という基本の理念は変わらないといたしましても、またそういう中で北海道や東北を重視するという、地方を重視するという姿勢は変わらないにいたしましても、恐らく四全総というものがつくられる可能性というものが非常に高いと思われますので、県の計画を本格的に見直すということになりますれば、やはり四全総の動きというものを見ながら考えた方がいいのではなかろうか。そういう意味におきましては、県の計画としては、先ほどお話がございましたように、毎年やつております年間の実施計画の策定の中で、新しい東北開発のための大きなプロジエクトもこの中に適切に組み込んでいく。もう一つは、これは当然のことではございますが、東北全体の開発に関する重要な意味を持つプロジエクトでございますので、例えば東北開発推進協議会等の場におきまして、こういうプロジエクトの推進について十分議論をしながら、東北が一つになつて開発をしなければいけないと、こういう御指摘も最近強く出てまいつております。そういう意味で、例えば東北の知事会と経済連合会等が、もつともつと密接な協力体制をつくり上げていくと、あるいはまた、知事会そのものがもつと活発に動けるように、例えば企画部長の段階での連絡協調を強めていくと、こういうことを考えながら、誤りのない推進を期してまいるつもりでございます。 そこで、今後の県の工業の開発の中で、お話がございましたように
先端技術産業、あるいは加工組み立て産業、こういうものが時代をリードしていくものと予想いたしておるわけでございます。本県におきましても、大きな成長が期待されます、いわゆるこういう
先端技術産業の導入、集積というものを核にいたしまして、今後の地域技術の開発、展開を図るべきである、こういう考えを持つておるものでございます。で、九〇年代を展望いたしました長期的な視点で、先端技術の研究開発の動向なり、また将来の発展性、可能性等を踏まえまして、今後本県におきまして、あるべき工業開発の方向を見出すべく積極的に取り組んでいこう、こういうふうに考えております。また御発言の中にもございましたように、当然八〇年代におきましては、エレクトロニクスあるいはメカトロニクスなり、新素材産業、こういう分野が急激な成長を見せるものと思われます。特に第三の素材として大きな脚光を浴びております、例えばフアインセラミツクス、これは恐らく九〇年代の初めには数兆円の市場規模になると、単に自動車エンジンだけではなしに、あらゆる分野の素材として活用されるであろうというふうに言われておるわけでございますので、例えばこういう分野につきまして、産、学、官の有機的な連係を図りながら、研究開発機構と同時に生産の機能を持つた、そういうひとつ仕組みをぜひ早急につくり上げたいと、大学の御指導もいただき、また民間の協力もいただき、また、後ほどお触れになりましたように、工業の誘導策におきまして、例えば用地の賃貸制度等を導入すると、こういう御提案がございましたが、そういうことも含めまして、新しい研究開発機構、そして生産の機構等々、しかも時代を誘導するようなものにつきましては、場合によつちや県も出資ということも考えると、戦略としてはそういう積極的な対応をいたしてまいりたいと考えておる次第でございます。いずれ具体にそういう問題が出てまいりました場合には、議会にも十分御相談を申し上げてまいるつもりでございます。 なお、仙台の北部工業団地でございますが、実は計画をいたしましてから着工までかなり年月がたつたわけでございますが、いよいよ本年五十八年度から着工となるわけでございます。もちろんここの工業団地につきましては、いわゆるテクノポリスとしての明確な性格づけ、そういう性格のものでなければならないと思います。更にこのテクノポリス構想を導入いたしますとともに、国際化に対応した、例えばこの地域にセミナーハウスをつくるとか、情報化に対応いたします情報処理センター、学術研究開発機構等をあわせて設置をいたしたい。そして機能の高い先端技術工業の中心地であり、また同時に機能の高い都市づくりを目指していこうと、その具体化を図りますために、仮称でございますが、宮城県先端技術研究会の御意見等をいただきたいということで、北部中核都市の基本構想を見直すことにいたしまして、所要の予算を今回御提案申し上げておりますので、ぜひ御審議を賜りたいと存じます。 先ほどもちよつと触れましたように、最近不況の影響もございますし、各県それぞれ工場誘致の優遇策といいますか、誘導策にはいろいろ努力をいたしておるところでございます。本県におけるすぐれました立地条件を更に生かしながら、我々が期待いたします新しい時代をリードするような企業の誘致のために、私ども自身も努力をいたしますし、また財界の方々の御協力もいただくと同時に、またお話がございました県の行政面、財政面でも、誘導措置もより一層効果的なものにしていくと、こういう姿勢の中から誘致の実を上げてまいるつもりでございます。 なお、中小企業大学につきましては、いつかも御報告申し上げましたが、東北ブロツクの中に、とりあえず仙台通産局におきましては一校を設置する方針をとつております。各県それぞれ熱心な誘致活動が出ておりまして、通産局でもどこにすればいいのかということで、昨年七月に地点を選定するための専門部会の委員さんによります、いま手を挙げております六県の現地調査をお願いをいたしまして、その結果が実は出ておるわけでございます。この結果では、当然だと思いますけれども、本県の候補地が一番優位になつておるわけでございます。したがいまして、この結果をもとに通産局が決めればいいんですけれども、何かお互い話し合いで決めてくれというような、極めて私から言いますと遠慮したような姿勢なもんですから、いまだに決まつていないのが現状でございますが、せつかく専門委員会の視察をいただいた調査結果もあるわけでございますので、その線で早急に物事が決まりますように、今後強くお願いをいたしてまいりたい。ただ考えられますことは、いまちようど地方選挙の時期を控えまして、各県それぞれいろんな思惑も、政治的な思惑もあろうかと思いますので、若干時期をずらせば、私どもが考えておりますお願いもうまくいくのではあるまいかと、こういう考え方のもとに、今後強力な運動を展開いたしてまいるつもりでございます。 それから仙台空港の問題につきましては、昨日もお答え申し上げたところでございますけれども、御承知のように国の第四次の空港整備計画の中で、滑走路の延長の問題につきましては取り上げられておるわけでございます。ただ五十八年度の新規の地方空港の着工は、いまだジエツト機が就航してない飛行場と離島等の、言うなら整備の大変おくれております空港だけにしぼりまして国の方は予算をつけた、こういうことでございますので、ぜひ来年度の着工採択をしていただきますように、いまからお願いをいたしておるところでございます。もちろん地元の対策につきましてもいろいろございますので、これらにつきましても、あわせて万遺漏なきを期してまいるつもりでございます。 また、新幹線の開業によりまして、航空輸送客が、例えば東京との間では当然減つてまいりますことが予想できるわけでございますので、他の空港、他の地域との路線を新しく開発するということは大変大事なことでございます。そういう意味で、小松との間の新しい航空路の設定につきましては、まあ旅客数の見方等で、航空会社がいまのところ若干ヘジテートしておるような面もございますけれども、両県が力を合わせまして、共同で協力しながら関係方面にお願いをすると、また幸い議会におかれましても、大変御熱心に取り組んでいただいておりますので、今後とも議会ともども努力をいたしてまいるつもりでございます。 なお、丸森線につきましては、これも昨日お答え申し上げましたように、福島県側の意見調整がなお年度内でできそうにもないような現状でございますが、しかし私からもたびたび福島県知事に対しまして、一緒に第三セクターでやるべきであると、やろうではないかということにつきまして申し入れをいたし、知事もそのつもりで努力をしてくれておりますので、いましばらくこの福島側の対応を見守つてまいりたい。もちろんこの問題を解決していただきますために働いていただけそうな政治家の方々にはお願いをいたしておるところでございますので、いましばらくお時間をおかしいただきたい。御懸念のような最悪の事態にならないような対策を、方策をとつてまいるつもりでございます。 なお、仙石線の立体交差事業の全体像を示せと、こういうお話のようでございますが、この問題、この案件は、御承知のように仙台駅から陸前原ノ町駅までの区間、約三・四キロでございます。市街地整備の一環として地下化をしようとする事業でございます。現在そのルートなり在来線との接続方法あるいは踏切除去の技術的手法につきまして検討を進めておるところでございます。したがいまして、この段階で全体計画を詳細お示しできないことを申しわけなく存じますが、いましばらくお時間をおかしいただきたいと存じます。 なお、お話の榴ケ岡の駅につきましては、存続させることにいたしておりますが、その位置につきましても、いま進めております検討の中で決定をしてまいることにいたしておりますし、また仙台駅につきましては、さんざん関係者で議論いたしました結果、東口駅と西口駅と二つの駅をつくると、こういう点につきましては、国鉄、県、仙台市で意見の一致を見ておるところでございます。この東口駅と西口駅との間の事業を、だれがどういう方法でやるかということにつきましては、建設省初め国鉄、仙台市など、いま関係者で協議を進めておるところでございます。早急に決定をいたすつもりでございます。これの決定のおくれのために全体の事業がおくれるということのないように、今後関係者で一層精力的に努力をいたしてまいるつもりでございます。 なお、情報公開制度でございますが、かねがね御要望をいただきまして、行政情報問題調査研究会を設置をいたしまして、制度化に当たつて解決しなければならない課題について種々検討、勉強をいたし、その結果の取りまとめを急いでおるところでございます。ただ情報公開制度を実施いたしますためには、その前提といたしまして、県民の求めに応じていつでも迅速かつ適確に行政情報を提供し得るような、そういう情報の管理体制の整備が不可欠になるわけでございます。ところが本県の場合、特に行政情報の大半を占める公文書が、例えば会計帳票等一部のものを除きまして、とじ込み式の方式で編集されたり、製本されたりしておりますし、その保管方法につきましても、それぞれの課・所に分散管理されておる。公開に対応できるシステムがまだとれてないのが実情でございます。で五十八年度におきましては、情報公開制度の円滑な実施のためには、公文書の一元的管理が確保されなければならないと同時に公開の窓口が一元化される必要がある、そういうことでございますので、ちようど県庁舎の建てかえの計画もあることでございます。御提言がございましたように、公文書センターと申しますか、文書管理の中枢的機能の充実を図ることが必要になろうかと思いますので、こういう点につきましては、ぜひこの新庁舎建設の設計の中で、御期待に沿えるように生かしてまいるつもりでございます。 それから、最後に御提案がございました、例えば八五年に仙台でマラソン大会を開催してはどうかという御提案、私も個人的にはそういうイベントをぜひやつてみたいものであると、特に先般の、お話がございました各県対抗女子駅伝ですばらしい成績を上げてくれております本県の選手もおることでもございます。ただ、だんだん調べてみますと、国際レベルのマラソンにつきましては、現在そのスケジユールが大変過密になつておるという指摘がございます。もちろん費用の問題もありますが、これは仮に別にいたしましても、国際レベルのマラソンは、しかも同一のコースで毎年開催しなければならないという原則があるんだそうでございます。つまり単発では成り立たない、成り立たないといいますか、大変この開催はむずかしいんだそうでございます。もう一つ、先ほど申し上げましたマラソン大会が過密であるということを受けまして、日本の陸連が、選手の健康管理等の観点から、その調整をいろいろやつておるというのが現状だそうでございます。そういう中で、新しい国際的なマラソンを本県で新規にやることについて、陸連その他の賛成が得られるかどうかということにつきましては、基本的なそういう問題があるということを、この機会にまず御認識を賜つておきたいと存じますが、もう一つ、しかも将来のことを考えますと、県内にはいまフルコースが三つと、三十キロコースが松島にございまして、松島のマラソンというのは、KHBでございましたか、後援のもとに毎年だんだん盛んになつておると。例えば現在やつておりますそういうマラソンを、松島コースでいまのようなやり方でやるのがいいのか、更に仙台の陸上競技場を出発しまして、天下の名勝松島を折り返して帰つてくるようなフルコースがとれないかどうか。またそういうコースをとつた場合に、この交通規制その他ができるのかどうか。こういうこともあわせまして、そのコースの問題、あるいはまた陸連のそういう基本の考え、同時に御賛同いただけるスポンサーの方々等の協力をあわせまして、私も個人的には、できることなら本県においてもこういう大きな大会を持ちたいという気持ちを強く持つております。今後もひとつ検討をさせていただくつもりでございます。
○議長(佐藤常之助君) 四十一番。
◆四十一番(佐竹二郎君) ただいまいろいろ私の質問に対しまして、知事から御丁重な御答弁をいただいたわけでございますが、ただ一点、企業の立地にかかわる問題で、土地の取得に関する土地賃貸制度、これは新しい制度であろうと思いますが、この面について、果たして法的にできるものなのかどうか、この辺の御答弁がなかつたように思いますので、もう一度ひとつ御答弁をいただければと思います。
○議長(佐藤常之助君) 知事山本壮一郎君。 〔知事 山本壮一郎君登壇〕
◎知事(山本壮一郎君) 土地の賃貸につきましては、例えばこれから外国の企業の誘致等を考えます場合に、外国の企業は土地の賃貸を強く条件として出してくる傾向があると、こういうことも聞いておりますので、お話の法制上の問題を含めまして、これが実現できるような方向で検討しなければいけないと、そして許されることならば、そういうことも含めまして、積極的に企業誘致に当たつてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
○議長(佐藤常之助君) 四十二番木村幸男君。 〔四十二番 木村幸男君登壇〕
◆四十二番(木村幸男君) お許しをいただきまして、今期最後の議会に当たりまして質問を申し上げるのでございますけれども、私にとりましては、昭和四十二年の九月、百二十九回の議会に初登壇いたしましてから、ちようど数えてみますと四十六回目の登壇になりまして、まことに感無量なものがあるのであります。 御案内のとおり、ちようど四十二年を起点といたしました県勢発展計画が策定されました。以来、宮城県の長期総合計画そして更に宮城県の新長期総合計画にかわりまして、そのベースを多少ローリングしながらではありますけれども、県政がきようまで着実に伸びてまいつたと思いつつも、同時に限りなき、そして終わりなき未来に向けての県政の道の厳しさというものをいたく締めつけられるのであります。ちようど長期計画の最終年度が六十五年でございますから、半ばも過ぎたのであります。同時に、振り返つてみますと、これらの計画のベースは脱線することなく、多少のローリングをしながらも着実に進んでまいつたのでありますから、ちようどいまごろは、積み立て過ぎた財調金を目の前にいたしまして、どのようにユートピアを建設するか、というバラ色の論議がなされてしかるべきはずにもかかわらず、今議会に当たりまして知事は、まさに内外の景気の停滞、そして財政的にはもう国も地方も破綻的な状況だととらえながら、全く内外ともに出口のない閉塞的な状況だと言わざるを得なかつたということは、まさに冷厳な現実でもあるわけであります。そして、この閉塞された状態から出口を求めながら脱出する、その推進力となるのは何と言つても財政だろうと、このように考えます。本県の財政は、だれが名づけたのかわかりませんけれども、病める県財政そのものでありまして、端的に申し上げますと、県民一人当たり、老若男女、赤ん坊まで、一人当たり大体十三万八千円の借金、それを背負いながら、歳出面では、いやおうなしに一日一億円の利子払いというのが現在であります。財政問題につきましては、多くの先生方が触れられましたので、省略をさしていただきたいと思うのであります。 何はともあれ、このような病める財政でございまして、いまここに景気の浮揚対策について論じても、なかなか大変だろうということは、十分承知をいたしておるのでありますけれども、私は、その中の一つとして、工場誘致というものをもう一度やはり考え直し、取り組んでいかなければならないのではないかと、強く要望するものであります。まさに輸出の伸び悩み、個人消費あるいは民間設備投資の手控えなど、殊に三年連続の冷害というものは、いやおうなしに農村地帯を冷やしきつてしまつたわけであります。県商工連合会が、この三年続きの不作などの影響で、農村部の小規模の建設業者、特に非常にその影響を受けるだろう、深刻だと言われるところの農村経済との関連が深い零細企業約五百六十八社を対象にして、これは栗原郡下を選んだそうでありますけれども、調査の結果を発表いたしておるのであります。その結果を見ますと、まさに六割強が赤字あるいは収益ゼロというのが実態だそうであります。これは栗原郡下だけではなくして、いわゆる米作を基幹産業とする本県各地の状態だろうと言つてもいいと思うのであります。 また一方、宮城県の企業振興協会が、一月に主要発注登録企業者の動向調査を発表しているのでありますけれども、これを見ましても、全くこれからの操業の現況や発注等の見通しについては、お先真つ暗ということがはつきり打ち出されているのであります。まさに知事が言われましたとおり、八方ふさがりというのがまさに現状のようでございます。だからといつて、やはり手をこまねいて傍観するだけでは、解決にならないだろうと思います。ある人は言つております。「どんな困難な難問題でも、人の前にころがり込んでくるときには、必ず解決の糸口も同じように持つてくる」このように言つております。とするならば、やはり知事もよく言われる、県民の英知を結集しながら、この糸口を模索すること、それはひとりまたそのときの政治に参加したものの責任だろうと、私はそう考えております。そのために、私はその解決の糸口の一つとして、言い古された言葉でありますけれども、工場誘致というものを特に提起したいと思います。それは、このたび大崎・栗原が定住圏の構想地域に指定を受けながら、国、県の配慮を受けながら創造センター等の設備等着々準備を進めておるのでありますけれども、最も目玉としております新幹線の古川駅の停車あるいは縦貫のインター等、全国高速ネツトワークに出入口はつながつたのでありますけれども、これらに対応したいわゆる工場誘致等というものは、県が、昨年度村田、古川に特別な配慮をいただいたにもかかわらず、殊にまた地元古川市におきましても、工場誘致担当専門家を配置しながら、極力努力いたしておるのでありますけれども、なかなか前途が暗いというのが現状であります。定住するためにはまず職場、職場にはまず工場の誘致、それが私は定住圏への大きなひとつのステツプとなると思うのであります。この際ひとつこの工場誘致というものを基本的に見直しながら、戦略的な配置の上に立つて、ぜひともひとつ力を入れて、特別な配慮をいただきながら工場誘致に御配慮願いたい、こう要望申し上げながら、知事の見解を伺いたいと思うのであります。 次に、県の後継者育成の対策についてであります。 我が家の後継ぎは、できるなら自分の子供にさせたい、こう願うのは、人の親の気持ちであるかもしれませんし、とするならば、この宮城県の次の時代を背負うのは、やはり現在の宮城県の青少年であるはずでありましよう。より心豊かな健全な後継者を育成するということは、その時代の大人の課せられた大きな責任であり、その時代の行政に参加する者の最大な責任であろうと、私はこのように考えております。しかるに、昨今の新聞の報道は、きのう後藤議員さんも触れられたとおり、全く憂慮すべきを通り越して、シヨツキングな出来事の連続であります。「職員室に乱入 五教師を殴る 中学三年二人逮捕」だとか、あるいは「女生徒十二人が下級生をぶん殴る」あるいは「生徒を投げ飛ばして重傷 胸ぐらをとらえられて防衛手段か」あるいは「口論注意され教師に乱暴」これはつい二十七日の朝日新聞の九版第十九面から拾つた見出しであります。まさに中学生の校内暴力事件というのは、日常茶飯事化してしまつたのではないでしようか。しかし、国でも、あまりの事態にやつと本腰を上げたようでございます。そして家庭政策とあわせて、文部省だけでなく、内閣全体で具体的に検討することといたしまして、首相みずからが、「少年非行については、断腸の思いが続いているが、これは教育、試験地獄からきているもので、根本的見直しが必要」とした上で、政府としては、これまでの文部省が担当しておりました六・三制度の再検討という形で進めてまいつたのを、今度は内閣でみずから取り組んでいくということ、あるいは予算成立後は、なるべく早く具体策をまとめたい。三番目には、両親、隣人に対する愛情や、うそのつかないなど、人間としての生きる基本を教える必要があると強調しながら、従来ありましたところの青少年問題協議会をベースとして取り組んでいきたい旨のことを表明されたのであります。 また一方、少年の暴力非行の原因とその対策を探るところの文部省の有識者懇談会が、二十一日会議を開いたのでありますけれども、いろんな問題の提起はあつたのだそうでありますけれども、最終的には「荒れる中学生に妙案なし」ということで、会議が終わつたそうであります。 しかしこれらの少年たちの非行というのは、ひとりよその国のことではありません。本県においても、まことに残念でありますが、今議会で質問をいたしました西多賀中学校の校内暴力事件が、再びまた本会議から質問をしなければならないということは、まことに残念でなりません。 県警本部の発表によりますと、五十七年度の少年非行というのは、五十七年中の検挙、補導した非行少年は、一万九千九百七十八人だそうであります。前年度に比べまして千三百七十四人がふえております。約七・四%の増加だそうであります。そして最高記録を保持したそうであります。また全刑法犯あるいは検挙人員の中に占める割合というのは、少年たちの犯罪が五二・三%と、もう大人たちの犯罪を二年連続上回つてしまつたというのが、現在の状況なようであります。そして特色というのは校内暴力の増加、そして一番残念な中学生によるところの対教師の暴力事件が激増してるという現況なのであります。校内暴力の発生件数は五十二件であります。前年度に比べまして十九件ふえております。また、教師に対する中学生の暴力事件は、中学校において三十二件発生いたしまして、前年に比べて二十四件の増、三〇〇%の増というのが実態にございます。更に憂慮をすべきことは、これらの少年の非行というのは年々年齢が低下をしてることが、非常に顕著な傾向を表してるということでありまして、まさにこれらの非行は、中学校の生徒に集中をしてるということを示しているのであります。まさに本県にとりましては、非常事態であります。関係者がどうだ、だれが悪いという論はもう既に必要はありません。これは、県民がすべて立ち上がりながら、これらに対応して、そして行動開始をしなければいけないときだろう、このように思つております。殊に本県の生涯教育を担当し、あるいは学校教育そして在学少年たちの教育の担当分野にある教育長が、この西多賀の再発した暴力事件の経過なり、それをとらえた分析なり、それを踏まえて、今後本県としてどのように対応しようとするのか、お伺いをしたいと思うのであります。 いま申し上げたように、県内においては、少年非行が激増しております。御案内のとおりでありますけれども、古川署では、新幹線の開通に伴いまして、駅前が防犯の指定区域になつたのを機会に、管内のすべての機関あるいは組織そして家庭一軒一軒の家庭ぐるみの呼びかけをいたしまして、少年非行化防止総決起大会が開かれました。まさに会員が、もう入りきれないという盛況だつたのであります。そしてこれからの少年非行化防止に、地域ぐるみで取り組もうということを誓い合い、以来古川市の千田署長を陣頭指揮としまして、担当の防犯課はもちろんでありますけれども、全署員が挙げて、昼夜を問わずこの問題に取り組んだのであります。そのせいでありましようか、このような非行増加の中にあつて、古川管内では、虞犯少年の不良行為は若干ふえているのでありますけれども、犯罪少年は百五十四、うち女子三十八人、触法少年が四十二人、女子十人と、計百九十九人でありまして、前年より百十一人減つてるというすばらしい成果を上げているのであります。この成果は、私は高く評価すべきだろうと思います。陣頭指揮にあつた千田古川署長は、多くは語りませんでしたけれども、さりげなく、「これは家庭ぐるみで巻き込んだ作戦が図に当たつたのでしよう」このようにぼつりとおつしやつてました。私は、この一言こそこれからのこれらの激増する少年非行犯罪に大きな決め手になるのではないかな、このように受けとめてまいつたのでありますけれども、これらを踏まえながらこの増加する少年非行そして年齢が低下をしてる現況を、県警察としてはどのようにこれをとらえているのか、そしてこれをどう対応しようとするのか、県警本部長の所見を伺いたいと思います。 次に、これは再三触れてまいつたのでありますけれども、このような大事な青少年すなわち後継者の教育というものは、縦割りのせいもあるのでありましようか、窓口が多くて、効果上がらずというのが現状であり、再三これは提起をいたしておるのであります。このような状況を踏まえたならば、職能教育、もちろん職能後継者の育成も含ませながら、ひとつ宮城県の後継者の育成という立場に立つて、既に山口県が実施をしてると承つておりますところの、財団法人の県後継者育成事業団でも結成し、組織的に全力を挙げて、私はもう取り組む時期ではないかと思いますので、この県後継者育成事業団の設置を提言し、知事の所見を伺いたいと思うのであります。 最後に、農政の基本的な展開についてでありますけれども、通告いたしました農業基本法の改正に伴う問題については、情報と資料が不足でありましたので、次回に譲らしていただきたいと思います。 いまこそ三年続きのこの冷害不作を、何としてでも返上しなかつたならば、宮城県の農家経済は破滅するでありましよう。このためには、県民の持てるすべての力と知恵を結集して対応しなければならないと思います。 いま、県下各地では、それぞれの分野において、それぞれの熱心な、冷害に対応するための研究会やら検討会が開かれているのであります。まことに心強いことであり、その成果に大いに期待するものであります。「忘れられた農の心を、冷害の不作の一因にとらえ、基本に忠実に、そして調和の取れた土づくりを」という中心テーマにして、真剣に論じられたのが、八日古川合庁で開かれました米づくり見直しの研修会でもありました。 なお、三年続きの冷害不作を返上して、ことしこそ六百どりを目指そうと、二十四日県の農協ビルで、初めて宮城県農協米づくり推進総決起集会が開かれたと承つております。そして米づくりの見直しを、運動をお互いに誓い合つたということであります。従来までもこの種の研究会や検討会が開かれておりまして、決して物珍しいものではありません。しかし、ともすればきようまで長い間米価の問題であるとか、あるいは減反政策等にかかわる問題で、非常に国に対する農政不信の念が非常に強かつたわけであります。これがいつの間にか行政と農業者の間に、みぞをつくつてしまつたのではないでしようか。そして農業をやつて、結果の悪いことはすべて、野菜が安いのも、豚が安いのも、米がとれないのも、冷害になるのも、いつかはこれみな農政が悪いというような風潮になりつつあることは否めない事実だろう、このように考えております。それは当然でありましよう。従来までの日本の農政を振り返つてみるならば、ネコの目のように変わると表現されながら、揺れ動いたことを考えるならば、農業者の政府に対する不信は、私はやむを得ないことだろうと思うのであります。しかし将来に向けて、このような風潮というものは、決してプラスになりません。非常に私は懸念をしておつたのは、この点でございます。この冷害に、対応に取り組むためには、農業者みずからが、失つた農の心をひとつのいわゆる不況の原因ととらえて、そして原点を求めながら取り組もうとする姿。報道によれば、この米づくり決起大会においては、その席上、農協の指導を担当している協議会の副会長さんも、不作は我々の力の不足によるものでまことに残念だと、これからは責任をもつて農家の指導に当たろう、そういう反省の上に立つて決意が述べられたとするこの大会、いまこそ農業者そして農業団体、行政が初めて一体となつての米づくり見直し大会、冷害対策の対応ができたということは、かつてなかつたことであり、まさに心の防御線が確立されたものとして、高くこれを評価し、そしてこれからの推進と、その活動と、その成果を期待するものであります。 萱場農政部長がはせ参じて、そして行政と農協が一緒になつて米増産運動の決意を表明し誓い合つたのは初めてだと、指導陣が一致団結してスローガンの実現に取り組み、稲作の新しい道を開こうと激励したということも、まさにその心中を察して余りあるのであります。どうぞ御案内のとおり、耕作者が耕作者としての果たさなければならない分、それを自覚して、果たしていく。農業団体は農業団体としての使命があります。行政には行政としての使命があるはずであります。これらの分をお互いに尽くしながら、三位一体となつて、冷害対策に総合戦力として対応したならば、いかなる冷害にも対応できるだろうし、災害を最小限度私は食いとめることができるだろうと私は信じているのでありますが、この点について知事の所見を伺いたいと思います。 それならば、いま、きよう、県行政の分野として、何をなさねばならぬか。それはたくさんあるでありましよう。私はその一つとして、おいしくて、たくさんとれて、どんな冷害にも負けない耐冷品種のいわゆる早期育成だろうと、このように考えているのであります。知事は大英断をもつて、さきに葯培養の施設を導入をされました。古川農業試験場に、本当に大英断をもつて取り入れられました。冷害にあえぐ農村青少年たちに大きな夢と希望を与えたのであります。報道によりますと、北海道、東北の農業団体の幹部たちが、わざわざ古川農業試験場を訪れて、葯培養をつぶさに視察されたと聞いております。そして耐冷品種の育成に努力する本県の面目をほどこしたと聞いているのであります。 御案内のとおり、このほど一年性植物のクローン化が成功したと、いわゆる広島大学理学部の付属植物の遺伝子保管実験施設で成功したと報道されまして、非常に話題となつております。このクローン化というのは、別に新しいことではありません。既に一九六二年のイギリスのJ・B・ガードン博士が、アフリカツメガエルを実験いたしまして、初めてクローン化に成功をしているのであります。これはもう御案内のとおり雄と雌とが全く交じり合わないで、親そつくりのものをつくり出すというのが特色でございます。素人の私にはむずかしいことはわかりません。しかし一年性植物に成功したということは、稲も一年性植物であります。稲の生長点に物理的な力を加えることで、増殖し続ける細胞の集塊をつくり出すことに成功をしたということは、稲も交配をなしにして、そういうプロセスを経ないで、試験管の中でいわゆる苗ができるということであります。同研究施設の試算によりますと、一個の径長から、理論的には少なくとも年間に二千七百万本の苗がとれるということを言つているのであります。これがもし稲の品種改良に使えるとするならば、すばらしいことだろうと思います。素人なりに原理的にこれを考えますと、何も二千ルツクスから約九千ルツクスのいわゆる発光装置とあるいは回転を与える装置を除けば、ほとんど我が本県が誇る原種苗センターにあるところの既存施設で十分間に合うはずであります。もちろん技術的な問題は別であるのであります。どうぞひとつこの点を十分御検討くださいまして、可能でありますならば、いわゆる耐冷品種の一日も早い育成が可能とするならば、ひとつ早急にこのクローン化の栽培装置の導入について知事に御提言を申し上げ、知事の所見を伺つて、私の一般質問を終わります。御清聴どうもありがとうございました。