• "高橋富士男"(1/1)
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  1. 宮城県議会 1979-02-01
    03月01日-05号


    取得元: 宮城県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-18
    昭和54年  2月 定例会(第185回)    第百八十五回宮城県議会(定例会)会議録                     (第五号)昭和五十四年三月一日(木曜日)  午後一時八分開議  午後三時四分散会議長                  佐々木源左エ門君副議長                 千葉松三郎君出席議員(四十九名)     第一番            山田 元君     第二番            菅原保雄君     第三番            金沢哲男君     第四番            中村健一君     第五番            佐藤清吉君     第六番            佐藤寅之助君     第七番            亀谷博昭君     第八番            佐藤儀左エ門君     第九番            斎藤 堯君     第十番            大宮芳郎君    第十一番            舘股 巴君    第十二番            遠藤雄三君    第十三番            櫻庭健朔君    第十四番            三上良喜君    第十五番            金子哲郎君    第十六番            沖 直子君    第十七番            石黒達也君    第十八番            錦戸弦一君    第十九番            大沼茂三君   第二十一番            和田鉄夫君   第二十二番            小野寺信雄君   第二十四番            後藤三郎君   第二十五番            安住仁太郎君   第二十六番            米沢清勝君   第二十七番            野口考吉君    第三十番            畠山 孝君   第三十一番            木村幸男君   第三十二番            猪股春雄君   第三十三番            曽根冨二男君   第三十四番            坂下清賢君   第三十五番            田畑忠雄君   第三十六番            奥山紀一君   第三十七番            高橋富士男君   第三十八番            杉岡広明君   第三十九番            佐竹二郎君   第四十一番            森  康君   第四十二番            斎藤栄夫君   第四十三番            斎藤 惇君   第四十四番            桜井亮英君   第四十五番            佐藤常之助君   第四十六番            菊地辰夫君   第四十七番            武藤洋一君   第四十八番            阿部 蕃君   第四十九番            門馬重義君    第五十番            星 長治君   第五十二番            佐々木照男君   第五十三番            木村喜代助君   第五十四番            千葉松三郎君   第五十六番            佐々木源左エ門君欠席議員(五名)    第二十番            飯塚森雄君   第二十三番            文屋 公君   第二十八番            佐々木敬一君   第二十九番            須藤正夫君   第五十五番            木村幸四郎君欠員(三名)    第四十番   第五十一番   第五十七番    ------------------------------説明のため出席した者      知事            山本壮一郎君      副知事           大槻七郎君      副知事           石井 亨君      出納長           麻生卓哉君      公営企業管理者       羽田光雄君      総務郎長    事務吏員  津軽芳三郎君      企画部長    事務吏員  鷲尾 潔君      生活環境部長  事務吏員  佐藤幸紀君      民生部長    事務吏員  千田敬司君      衛生部長    技術吏員  見沢修己君      商工労働部長  事務吏員  佐藤卓郎君      水産林業部長  事務吏員  斎藤 博君      土木部長    技術吏員  小林郁夫君      出納局長    事務吏員  鈴木 淳君      企業局長    事務吏員  太田直之君      総務部秘書課長 事務吏員  郷古康郎君  宮城県教育委員会      委員長           永野為武君      教育長           北村 潮君      教育次長          大沼直治君  宮城県選挙管理委員会      事務局長          三浦 徹君  宮城県人事委員会      委員長           渡辺鉱助君      事務局長          加藤 悟君  宮城県公安委員会      委員長           加藤多喜雄君      警察本部長         島本耕之介君      警務部長          小森谷宏君      総務室長          佐々木丈夫君宮城県地方労働委員会      事務局長          渡辺 亮君宮城県監査委員      委員            今泉徳衛君      委員            木村要蔵君      事務局長          斎藤謙一君    ------------------------------宮城県議会事務局      局長            門伝勝二郎君      次長兼総務課長       斎藤斎男君      議事課長          大浦 稔君      調査課長          佐藤多利夫君      総務課長補佐        早坂源之進君      議事課長補佐        鈴木次雄君      調査課長補佐        松田新平君      主幹兼記録係長       藤田雄英君      議事係長          瀬川光雄君      主事(速記)        佐藤 昭君      嘱託(速記)        今野裕敏君      嘱託(速記)        江川 泰君    ------------------------------    議事日程       第五号            昭和五十四年三月一日(木)午後一時開議第一 会議録署名議員指名第二 義第一号議案ないし議第六十四号議案並びに報告第一号及び報告二号〔質疑〕第三 一般質問〔杉岡広明君・後藤三郎君・櫻庭健朔君〕    ------------------------------    会議に付した事件一 日程第一 会議録署名議員指名二 日程第二 議第一号議案ないし議第六十四号議案並びに報告第一号及び報告第二号三 日程第三 一般質問〔杉岡広明君・後藤三郎君・櫻庭健朔君〕    ------------------------------ △開議(午後一時八分) ○議長(佐々木源左エ門君) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は、お手元に配布のとおりであります。    ------------------------------会議録署名議員指名 ○議長(佐々木源左エ門君) 日程第一、会議録署名議員の指名を行います。会議録署名議員に四十九番門馬重義君、五十番星長治君の御両名を指名いたします。    ------------------------------ △諸報告 ○議長(佐々木源左エ門君) 御報告いたします。お手元に配布の印刷物のとおり、質疑、質問通告に追加がありましたので御了承願います。 なお、選挙管理委員会委員長松坂清君は所用のため、また農政部長佐々木七郎君は公務出張のため、それぞれ欠席する旨の届け出がありました。    ------------------------------ △議第一号議案ないし議第六十四号議案 △報告第一号 △報告第二号 △一般質問 ○議長(佐々木源左エ門君) 日程第二、議第一号議案ないし議第六十四号議案並びに報告第一号及び報告第二号を議題とし、これらについての質疑と、日程第三、一般質問とをあわせて行います。 前日に引き続き質疑、質問を継続いたします。三十八番杉岡広明君。  〔三十八番 杉岡広明君登壇〕 ◆三十八番(杉岡広明君) お許しをいただきましたので、私は、通告をいたしておりました二つの問題について、御質問を申し上げたいと思います。 まず初めに、新しいふるさとづくりと国際化への対応についてであります。二百海里問題、円高あるいは資源エネルギー問題など、我が国を取り巻いております国際環境はまことに厳しいものがあるということは、国民のだれしもが深く認識をいたしておるところでありまして、この現実を無視いたしまして、我が国の将来というものはどうしても考えられないのであります。このことは本県におきましても同様でありまして、国際化への対応を無視して新しいふるさとづくりは考えられない時代を迎えていると言つても、過言ではないと思います。こうした折から、最近仙台空港の国際空港化、あるいはまた仙台港の国際貿易港としての整備拡張の問題等、次々とクローズアツプされてきておりますことは、国際化への対応として、特に東北ブロツク中枢的役割りを担つております本県、その中でもまた広域仙台都市圏といたしましては、これは当然のことと考えられるのであります。一昨日来種々論議がありましたように、定住圏構想の先取りと自負をいたしておりますこの新しいふるさとづくりと国際化への対応という問題は、新長期総合計画を拝見いたしますと、概念的な方向づけは示されておるのでありますが、これを今後どのように具体化していくかということが、極めて重要な課題になろうかと思います。国際化への対応と言つても、もちろんこの問題は、ハードな側面、そしてまたソフトな側面、両面から考えていかなきやならないことは当然といたしましても、特に国際化への対応として、玄関口、結節点としての役割りを担つております仙台空港並びに仙台港を抱えております広域仙台都市圏の位置づけというもの、そしてまた、その受けざらとしての体制づくりというものを明確にして、その未来像を一日も早く県民に提示をいたしまして、県民の合意は言うまでもなく、東北ブロツクの総合意を求めながら推進をしなければならないと考えておるものであります。 そこで知事の所信と見解を伺いたいのでありますが、まず第一に、仙台湾地区の新産都市建設という問題。当初の目標年次でありました昭和五十年の段階を経て、生活関連施設の整備等の立ちおくれも若干ありましたことから、五十一年に基本計画の改定を行いまして、昭和五十五年を目標年次といたしましての計画になつたわけであります。その五十五年もいよいよ明年に迎えておりまして、この新産都市建設計画というものは、いわゆる詰めの段階に入つてきたと、このように考えられるわけであります。そこでこの新産都市計画の改定の中でも、項目的には触れられております仙台空港の整備を図ること、あるいは仙台港を総合港として整備を図る、こうした項目的なことは述べられてあるわけでありますが、この仙台空港なり仙台港の整備拡張という問題、いわゆる国際化への条件整備というこの計画というものは、いわゆるこの新産都市計画の枠組みの中で、とうてい実現はむずかしいだろうと、こういうふうに私は考えるものでありますが、いわゆる五十六年以降への問題として、いわゆる仙台空港なり仙台港の条件整備というものをどのようにとらえていくのか、この辺が非常に今後大事な問題でもあり、またこの新産都市建設計画の今後の進捗状況といいますか、また五十五年で果たしてその目標が達成できるかどうかということとも関連いたしまして、非常に大事な問題であります。いずれにしましても、現行の新産都市建設基本計画あるいは県の土地利用基本計画とのかかわりからも重要な問題でありますので、知事の所信を伺いたいのであります。 第二に、本県の国際化への対応というものは、ひとり本県のみならず、地方の時代の幕あけを迎えます東北全体にとつても極めて重要な意義を持つものであることは言うまでもありません。したがいまして、東北各県の合意と協力のもとに、現在国土庁の方で考えております東北開発促進計画とのかかわりから、本県としましても、かなり具体的な国際化への条件整備という問題についての構想なり方針というものを、早い時期に提示をいたしまして、更にこれを東北の総意として、政府の施策に反映させなければならない段階にきているのではないか、このように考えるわけですが、知事の見解をお示しいただきたいのであります。 第三に、この重要なこれらの課題につきましては、関係市町村並びに地域住民との合意が必要であるということは申し上げるまでもありませんが、特に関係地域住民の生活権を守る立場から、仙台空港並びに仙台港周辺の地区住民の生活基盤、生産基盤をどうするかという、この点については十分な合意が求められるところであります。あの成田空港のようなああいう悲惨な混乱した事態を、どんなことがあつてもこれは避けなければならないと、このように考えるわけであります。またこれらの地域につきましては、慎重な環境アセスが求められますし、それによります環境管理体制というものをしつかりと考えておかなければならないかと思います。更にこの仙台港なり仙台空港の国際化への条件整備として、特にいわゆるこの陸・海・空三位一体の条件整備という問題、これについては十分な配慮がなされなければならないと、このように考えるわけであります。したがいまして、この空港と港、これに加えて例えば仙台東バイパス、あるいは常磐三陸自動車道の構想なども、いわゆる陸上交通体系の整備として、今後これが相当早い時期に、やはり実現への方向に向けて進められなければならないのではないかというふうに考えられるわけであります。いわゆる先進国際都市と言われる地域に見られますような交通事情の混乱といつたもの、こういつたものは未然に防止しなければならないと考えるのでありますが、知事の見解をお示しいただきたいのであります。 国際化への対応という問題は、経済的な交流なり、地域経済の発展という面だけではなく、精神文化の側面から、より重要な意義を持つているということは、また申し上げるまでもないことでありまして、今日国際的な諸情勢、特に今日見るアジアにおける悲惨な戦乱の様相を見ますとき、かつて多くの戦争犠牲者を出しました本県として、県民ひとしく平和というこの言葉の重みというものをもう一度深く考え直さなければならないときであろうかと思うのであります。したがいまして、新しいふるさとづくりにおけるところの国際化への対応という問題、新しいふるさとづくりに活力を与えるということとあわせて、国際平和にどれだけ寄与するか、こういう観点から極めて重要な意義を持つものであることを確認いたしたいのであります。藩祖政宗公が、遠くメキシコを経てローマに平和友好の使節を派遣したという、本県におけるこの歴史的な事実からいたしましても、本県が将来国際平和へのキーステーシヨンとして、国際化に積極的に取り組み、伝統的な平和への精神風土として二十一世紀に伝える責任と使命というものがあると、このように私は考えているのであります。したがいまして国際化への対応として、精神文化なり科学文化の交流の場、あるいは受けざらづくりというものを今後どのように築き上げていくかということにつきまして、若干の提言を申し上げまして、知事の見解を伺いたいのであります。 まず第一に、青少年の国際交流、あるいは文化諸団体の国際交流というもの、今日までも数少ないながら積み上げてきたことは存じ上げておりますし、また仙台市を初めいわゆる国際姉妹都市の交流、これも徐々に活発になつてきたことも、知事も御承知のことと思います。こうしたいわゆる青少年を主体にしたこれからの国際交流という問題、あるいは海外協力の青年隊の問題と、いろいろこれから県の施策の中でも本格的な取り組みをすべきではないかと考えるわけであります。また県の職員の海外研修、この問題もこれからの県政の国際化への対応という問題を考えますと、どうしても若手の技術職員なり、あるいは中堅幹部職員というものが、どんどん海外の研修をしておかなければいけない、こういう時代になろうかと思いますので、この辺に対する提言を申し上げておきたいわけであります。 第二に、仮称「県立国際文化研修センター」というようなものを設置いたしまして、県民に幅広く国際的な認識と理解を深めるための研修、また諸外国から来訪される方々との相互理解の場を提供するという、こうしたことも非常に大事になろうかと思います。とかく日本人は、外国語に弱いという評価がなされてきたところであります。子供から大人まで、やはりこれから語学力あるいは会話力というようなものをつけるための研修ができるような、そういう機会と場を与えるということ、これも非常に大事な問題だと思います。更にこうした研修の中から、いわゆる県土に育つた青少年、いわゆる各国語に堪能な、通訳として活躍できるような、この通訳の養成なども考えてはどうかと思うのであります。 第三に、当初デベロツパー委員会等の構想として浮かび上がりました国際研究学園都市の構想であります。こうした県政の中での国際化への対応ということになりまして、精神文化、科学文化交流の、いわゆる学術的な拠点としての国際研究学園都市の構想というものを再び復活をきせて、これを具体化するということも極めて大事なことではないかと、こう思うのであります。 第四に、青少年のための健全な国際スポーツ交流の場としての、総合的なスポーツ施設の整備計画を進めるということであります。これも非常に最近の国際的なスポーツ交流というものが、国際平和に寄与する面でも大きな役割りを果たしていることは御案内のとおりでありまして、本県におきましても近い将来、例えばユニバーシアードなど、こうした各種国際スポーツ大会の誘致も当然図るべきではないかと考えているものであります。 第五に、芸術文化あるいは音楽等の国際交流を活発にするという、その機会と場をどのようにつくつていくかという問題であります。これにつきましては、昨日も質疑の中で、知事も触れられておりますように、例えば建設予定の県立美術館、これを国際的なものにしていきたいという、これは当然でありましよう。したがつて美術館の機能と運営につきましても、国際交流の観点からも十分配慮されなければならないと考えております。また動く芸術文化と申しますか、こうしたものに対する殿堂も、どうしてもやはり必要になろうかと思います。現在の県民会館なり、あるいは仙台市の持つ市民会館、少なくともこれらの会館の倍の規模はどうしてもやはり必要になつてまいりますし、多角的な機能を持たせたものが必要になろうかと思います。そこで身近に考えられることは、全国の主要な都市にいま設置されております二千三百席の規模を持つ大ホール、すなわち厚生年金ホールの誘致を早期に実現できるよう、知事として特段の御配慮をお願いできないかという問題であります。 以上、当面取り組んでいただきたい問題の提言を含めまして、精神文化、科学文化などの国際交流についての知事の所見と見解を求めたいのであります。 次に、養殖漁業と漁場水域の保全について質問を申し上げたいと思います。 去る一月の二十日、七ケ浜町七漁業協同組合から、仙台市南蒲生下水排水の公害防止についての陳情があつたことは御案内のとおりでありますが、その陳情を拝見いたしてみますと、昨年十月十七日ころからノリ芽脱落現象が発生、その範囲が、仙台市南蒲生下水処理場の前面海域から七ケ浜町菖蒲田浜、花測浜の前面海域に及んでおりまして、ノリの秋芽生産はおろか冷蔵網の大半が生産皆無という状況で、その被害、いかだ台数にして六千二百八十三台、総被害額二十二億五千万円の莫大なものであるということを漁協側は訴えているのであります。漁協側は、このノリ芽脱落の主要な原因は、仙台市の下水処理場の排水にあるものとして、仙台市に対しまして、更生対策と被害補償を強く要求いたしております。関係養殖漁民は、生活と経営の窮状から、昨年末県信用漁業協同組合から一億二千七百万円ほどの生活資金の融資を受け、その利子補給を仙台市、七ケ浜町並びに県に対して要請をいたしておることは御案内のとおりであります。更に本年に入りまして、仙台市漁協の関係漁民からも、同様に生活資金五千四百万円の融資と利子補給を要請いたしているところであります。この問題につきまして、関係漁協は、今後仙台市に対して被害補償を強く要求する意向を固めておるようでありまして、事態の進展いかんでは排水口の封鎖という強行手段も辞さないという、最悪の事態も引き起こしかねない状態にあるのであります。一方この利子補給の問題につきましても、仙台市がその半分の四%を負担するということについて、仙台市がやはりこの下水処理場の排水による因果関係が主体的であるというような判断ができたかどうか、この辺が非常に疑問でありますけれども、現状においては半分の四%負担もやむを得ないだろうということのようでありまして、これにつきましては、仙台市議会筋におきましてもいろいろ異議のあるところであるというふうにも聞いておるのであります。いずれにしましても、この海域の養殖漁業というものが、浮き流しノリ養殖技術の普及によりまして、外洋漁場として生産基盤を形成してきたところでありますが、下水処理場簡易処理方式で操業を始めたのが昭和三十九年、その後四十二年から同処理場の前面海域において、ノリ養殖に被害が出始めまして、四十九年ころからノリ芽脱落現象が顕著になつたと言われておるのであります。仙台市は、四十七年度から第二次下水道整備計画の中で、重点事業としてこの処理場の高級処理化に取り組みをいたしてまいりました。このほど活性汚泥方式による処理施設一系列が完成をいたしまして、この二月に試験操業に入り、六月から本操業に入ることが予定されているのであります。この間関係漁協は、市当局の取り組みは全く怠慢である、このように市当局の責任を追及してきたところでありますが、仙台市は、同処理場からの排水は、下水道法第八条に規定された水質基準に適合しておると、またアンモニア性窒素濃度も著しく低下をいたしておりまして、ノリ生育には支障はないものと、こうした判断もあつたようでありますが、暫定的な措置としてオイルフエンスの設置などをいたしてきたところであります。昨年十月被害発生の段階におきまして、仙台市、七ケ浜町、県公害衛生検査センターの共同によりまして、処理場前面漁場水域の水質及び底質調査を実施したのでありますが、これまでの調査結果からは、決定的な被害についての因果関係が明らかにされておりません。一方漁協側は、財団法人ノリ増殖振興会が、日本環境衛生センターに委託調査いたしましたその結果のデータから、同海域はノリ養殖を行える状態にはない、このように主張いたしまして、仙台市当局に迫つているわけでありますが、これにつきまして、仙台市当局も現状としては全く戸惑いを感じている段階であろうかと思います。今回のこの被害につきまして、市当局が明確な補償の回答を示さない限り、事態は今後混乱を招くことが予想されますし、最終的には、公害紛争処理法に基づくところの調停なり、裁定に持ち込まれることは必至と考えられるのであります。水産行政指導の責任を持つ県当局は、ノリ芽脱落現象が顕著になり始めた四十九年以降、こうした事態に対してどのような指導を行つてきたのか。また、当面ノリ養殖漁業の被害補償と被害漁民の救済にどのように対処されるおつもりなのか、お示しをいただきたいのであります。 次に、今後のこの漁場水域の保全にどう対処され、ノリ養殖漁業の指導育成に当たられるかという問題について、お尋ねをしたいのであります。この漁場水域は、仙台市の下水処理場からの排水のほかに、七北田川、砂押川、貞山堀からそれぞれの流入と、一部操業を開始した仙塩流域下水道の処理場からの排水、それぞれ同水域の水質と底質に因果関係を持つていることは、これは当然考えられるところであります。更に、火力発電所からの温排水の拡散という問題、これもそのときどきの海況によりまして、どのような変化をするのか、この辺にも問題があろうかと思います。またあの長大な仙台港南防波堤のあの位置の問題につきましても、これは沿岸流との関係から決して無関係とは言えないのではないかと、このように思うわけであります。そのほか暖水塊の北上など、異常海象なども考えられますし、いずれにしてもこの水域の水質、底質の複合汚染という現段階におけるこの考え方、複雑に絡み合つたこの海況、更に今後計画達成の段階における市の下水処理場と仙塩流域下水道の処理場からの排出水量は、日量八十五万トン近くになろうかと予想されておりますし、淡水過剰という問題も今後無視できない状態になります。したがつて三次処理の問題も含め、同漁業水域の保全には今後とも多くの難問が残されていると考えられるのであります。また将来仙台港の国際貿易港としての整備拡張の段階におきましても、種々問題が出てくることが予想されますし、いずれにしても、同水域のノリ養殖漁業を取り巻く環境というものは、今後とも厳しい状態に置かれるかと思うのでありまして、県当局は、同水域の保全に今後どう対処され、ノリ養殖漁民の生活と生産基盤をどのようにして守つていくのか、明確な対応を迫られている段階にきておろうかと考えるのでありますが、これについての知事の御見解と今後の方針に対する考え方などを、おありでありましたらお示しをいただきたいと、かように存ずる次第であります。 以上をもちまして、二つの問題についての質問を終わらしていただきます。 御清聴ありがとうございました。 ○議長(佐々木源左エ門君) 知事山本壮一郎君。  〔知事 山本壮一郎君登壇〕 ◎知事(山本壮一郎君) 杉岡議員にお答えを申し上げますが、お話のとおり来るべき八〇年代を想定いたしますときに、今後の県政の中で、あらゆる面から国際化に対応してまいらなければならない、この点は御指摘のとおりでございます。したがいまして、新長期総合計画におきましても、仙台空港あるいは仙台港、それぞれ国際的な機能を持たすようにと、こういうふうな構想でもつてつくつたつもりでございますが、第一点の、例えば仙台港を国際港にする、国際貿易港にすると、その具体の計画は、お話のように、いまの延長されました新産の計画には入つていないわけでございますので、これを新産計画の延長としてやろうということになりますと、当然この計画の延長と財政特例法等々の延長の問題が出てまいりますので、そういう方向で今後政府の方に働きかけをいたしてまいりたい。同時にまたそれをいたしますには、いま進めております調査を急ぎ、かつ具体のフイジカルプランをつくらなければなりませんので、これにはやはり若干の時間をおかしいただきたい。ある程度の、御注意もございましたように、関係住民等のコンセンサスの問題もございます。若干の時間はかかろうかと思いますが、できるだけ早くそういうものを、大体の構想をまとめまして、そして新産都市の事業の延長でやる場合には、この計画あるいは法律の延長が必要になつてこようかと存じます。もちろんこういう貿易港にしろ、空港にしろ、東北全体のやはり結節点としての役割りを果たすわけでございますので、例えば東北開発計画、こういう中で明らかにする段階におきまして、東北各県の十分の御理解をいただく。また東北経済連合会等々、東北全体を単位にいたしております機構、組織等を通じまして、東北全体の御理解をいただき、今後の建設に御協力をいただく、そういう措置をとつてまいるつもりでございます。当然こういう事業を将来行います場合には、所在の市町村、あるいは関係されます住民の方々の御理解をいただかなければなりませんし、この場合に環境の問題、これはアセスを前提にいたしました十分な環境管理対策を講じた上で、新しい港湾なり新しい空港との関連におきましての生活なり生産なりの事業を用意することも、また当然のことであろうかと存じます。 なお、港や空港と同時に、陸路の整備の必要なこともお話のとおりでございます。例えば東バイパスの問題につきましては、今回の予算で五十四年度から調査をしようということで予算をお願いいたしておりますので、ぜひ御審議を賜りたいと存じます。なお、常磐自動車道の延長につきましては、残念ながらまだ計画の中に入つておりませんが、これは早急に国土縦貫自動車道全体の計画の中で正式に取り上げていただく、この運動を引き続いて強力に進めてまいるつもりでございます。 こういう道路、港湾、空港等々の、いわゆるハードウエアとあわせてソフトウエアの面でもいろんな事業が必要である。国際間の文化交流等に積極的な役割りを果たしていくということは当然必要なことでございます。そういう中で、御指示をいただきましたように、職員の海外研修、これも前々からやつておりますが、昭和五十年の財政危機以来かなり数も減つておりますので、技術者、学校の先生等々、あるいはお話のとおり若手の職員、財政の許す限り今後数をふやしてまいるつもりでございます。 それから、仮称としてお話がございました文化研修センター的なもの。実は新計画では国際文化会館、国際会議場的なものをぜひつくりたいと、誘致をしたいと、こういうことを挙げております。私どもの考えでは、この国際会館的な施設は、国際会議あるいは国際的な学会、あるいはまた国際的なセミナー、こういうものを行いますと同時に、ここでは当然語学の研修とか、お話のような通訳の養成等の事業もあわせてできるような施設ということを頭において誘致を図りたいということを考えておるわけでございますが、なおこの内容につきましては、各方面の御意見を伺いまして、文字どおり国際化の時代にふさわしい一つのセンター的な施設をぜひ本県に誘致をいたしたいものである。議員の各位の格段のひとつ御協力をお願い申し上げたいと存じます。 それから、国際研究学園都市でございますけれどもいまいろいろ議論されております東北開発計画の中で、更に引き続いてこの点を明記してもらいたいということを働きかけております。実は学園都市につきましては、御承知のように山形と両県にわたります一定の地域に、学者にお願いしましてフイジカルプランをつくつていただいたんでありますが、その後国連大学の話が持ち上がり、私どもはこの国連大学の誘致が、国際研究学園都市をつくる一つのいい方法ではなかろうかというので取り組んでみたんですけれども、実はこの国連大学というのは、一定のキヤンパスを持ちました、いわゆる我々が考えておりました従来の大学とは違うようでございますので、国際研究学園都市をつくる一つのアプローチといたしまして、できるだけ国際的な研究機能をここにひとつ誘致をする。そういうものの誘致の蓄積の中から学園都市的なものをだんだんつくり上げていくと、こういう方法が一番いいのではあるまいか。幸い本県には東北大学を中心にしまして、大変に機能の高い国際研究的な施設がございますので、こういうものと相関連いたしまして、たとえて言いますと、最近日本の学術会議で自然保護研究に対するセンターをつくるべきであると、こういう提案があるわけでございます。この方はまだ学術会議の提案で、政府としては具体にどうするこうするというところまでいつておりませんが、私どもは例えばこういう機能の高い、しかもこれは国際的な研究センターになるはずでございます。あるいは、まあエネルギーに関する研究機構でございますとか、そういうものを個々にやはり誘致し、そして大学その他の既存の機能とあわせて国際研究学園都市をだんだんにつくり上げていこうと、こういうアプローチの仕方をいま考えておりますので、この点につきましてもひとつ御理解をいただきたいと存じます。 なお、スポーツの施設につきましても、当然現施設をより高度なものにしていく、そして将来できれば国際的なスポーツの大会を誘致する。あるいはまた、昨日もお話はいたしましたが、美術館等は当然国際的な文化・芸術の交流の拠点として、それにふさわしいものにしてまいらなければなりませんし、また収蔵品等につきましても、そういうものも考えたいという構想でおるわけでございます。 厚生年金ホールを誘致するようにと、こういう御提案でございますが、いま全国で五カ所でございます。何か年金会館の建設は、その後計画が中断されておるようでございますけれども、ぜひこの問題につきましても強く働きかけをいたしまして、当地方に誘致ができますように努力をいたしてまいるつもりでございます。 それから、第二点の仙台湾におけるノリ養殖の被害の問題でございますけれども、お話のとおり蒲生の沖の養殖ノリの脱落現象、昭和四十九年ごろから出ておるようでございまして、その後年々範囲が広がつておる。そしてその範囲は、おおむね仙台市の南蒲生の下水処理場の排水口を中心にしまして、北の方に半円形を呈しておる。そこで排水口に一番近い仙台市の漁協が、昭和五十年に被害処理の対策金として一億数千万、六千万円でございましたか、仙台市から交付を受けた経緯がございます。その後被害範囲がだんだん七ケ浜町の関係の漁協の方に広がつてまいりまして、漁場の環境の調査、つまり被害の原因調査につきましては、県と仙台市との水産あるいは公害担当の研究機関、更には七ケ浜並びに関係の漁業団体、四者によりまして合同調査を進めてまいつたのでございますが、残念ながらいまだにこの原因究明につきまして結論に至つていない。そうこういたしておりますうちに、五十三年度のノリの生産が実に被害が大きかつたというので、緊急越年資金二億を用意したようなことでございます。私どもといたしましては、これまでの関係機関で原因究明を明らかにし得なかつたということは大変残念でございますけれども、関係の漁協におきましては、この間、仙台市に対しまして被害補償の申し入れをいたしておりましたが、今回七ケ浜の東宮浜漁協外六漁協と仙台市の合議によりまして、いわゆる第三者機関、公害紛争処理法によります第三者機関に対する原因裁定の申請を近くするようでございます。市もそれに合議をいたしておるということのようでございますので、私どもといたしましても、この原因裁定の申請はやむを得ないものであると受けとめておりますし、かつこの第三者機関によりまして、早急に原因の究明をしていただきたいと、このように期待をかけておるものでございます。お話のように、仙台市の立場に立つてみましても、補償するにいたしましても、やはり原因がはつきりしないと、これはなかなか補償しにくい。こういう点もあろうかと思いますので、この機関におきます原因の究明を急いでいただくことを期待したいと、かように存じております。 なお、原因についていろいろお話のように、単に下水の処理場からの排水だけではないんではないかと、こういう考え方もあろうかと思います。ただ仙台のこの火力発電所の温排水につきましては、ノリ漁場に影響を与えないように公害防止協定を締結いたしておりまして、夏期は、夏の間は外港へ流す、冬期の間は内港へ流しておると、放流先も変えておりますし、現在のところその影響は漁場には及んでいないというのが一般の見方でございます。なお、流域下水道の方も、実はこれは外洋へは流しておりません、港内に流しております。仙台港内の全体の水質の総量規制の範囲、BODが一四PPmでございますが、現状は三PPmで済んでおる。こういうことでございますので、これらが原因になつておるとは考えにくいのでございますけれども、いずれにいたしましても、いま申し上げましたように、せつかく権威ある第三者の機関に皆さんがその裁定をお願いしようと、こういうことになつておりますので、原因の究明をしていただき、その究明の結果、補償の問題を解決するために我々もでき得る限りの努力をしなければならないと思います。あるいはお話のように、その原因からいろいろと、例えば新しい漁場の再生、整理のための対策ということも考えてまいらなければならない、かように存じております。 将来、仙台の貿易港等々の問題が出てまいります場合には、これは当然海域等を大きく使うわけでございますので、これは漁民とのお話し合いによりまして、漁場の消滅あるいは補償の問題等が出てこようかと思いますので、この際は抜本的な対策、そしてその際の代替の漁場をどうするかということを決めまして、改めて御相談をしなければならないと、かように考えております。 ○議長(佐々木源左エ門君) 二十四番後藤三郎君。  〔二十四番 後藤三郎君登壇〕 ◆二十四番(後藤三郎君) 私は、去る二月二十四日未明突然この地方を襲いました低気圧による沿岸の水産被害の概況について述べ、その対策について県の御助力を得る立場での質問をさせていただきます。なお、本日追加質問を要請しましてお許しを得ました仙台空港の拡大整備について、第二点として質問をさせていただきます。 二月二十三日の宵は、二月の夜としては気温も高く、どんよりとした空模様で、漁師たちの勘で、天気が崩れるとだれしもが考え、テレビの天気図にも気をつけておりましたが、まさか宵越しに風速二十メートル以上の風を伴つたしけが襲うとは、だれもが考えも及ばなかつたのであります。  〔議長退席・副議長着席〕 ◆二十四番(後藤三郎君) (続)私は二十四日早朝、人との約束で石巻まで参ることになつており、風雨の中を車で出かけましたが、車窓からながめた海面は大変厳しいもので、この分では養殖に大きな被害が出ることが予想されました。昼近く石巻を立ち帰路に向かいましたが、正午のニユースで志津川湾に大きな貨物船が避難しようとして座礁したことを知り、急いで帰つてみますと、驚いたことに、私の漁協事務所から五百メートルも離れない松崎という岬の鼻に巨大な貨物船が座礁しておる姿が見えました。瞬間私の頭に浮かんだのは重油の流出のことでした。このことについては、県を初め保安庁や各海事関係者、地元漁民等の配慮により、最大の心配でありました重油流出事故だけは食いとめることができ、私もこの議会で緊急質問の要もない事態で現場処理できましたので、御助成くださいました各位に心から感謝申し上げる次第でございます。そこでまず初めに、このたびの二・二四低気圧による沿岸養殖施設の被害について、その次二といたしまして、外国船による沿岸漁業災害という二つの水産問題について質問させていただきます。 このたびの低気圧は、いわゆる台湾坊主とも、寒明けのしけとも言われる一年のサイクルの中で来るべくして来るしけではありますが、近年では大雪を伴つたものがありましたが、強風を伴つたものがありませんでした。台風と違うのは、発生場所が本土に近いということ、突然襲いかかるということ、強風を伴つた場合、波長の短い鋭角の波が沿岸の施設に大きな被害をもたらすこと等であります。被害の状況については、いま私のところへ県漁連を通じて届いているものは、波がおさまらず、船を出せない場所等もありまして、まことに概略的なものでございますが、北部地区としてはワカメ、カキ、その他として二億一千四百四十三万円、中部地区としてはワカメ、ホヤ、コンブ、その他として三億四百七十六万円、南部地区としてはノリとして一億三千八百八十五万円と、詳しいことは、各漁協単位の概略的な数字は出ておりますが、それは一応省略させていただきますが、以上のように、しけによつて災害をこうむつておるようでございます。ことしは北部、中部沿岸においてまだエサダも浮きず、水揚げがなく、南部においても春漁がなく、心配されているところへ、かようなしけの被害で、漁民は近年その行動範囲を拡大しなければ、海面漁業における漁民間の競合を招くという立場で漁船の大型化を図つており、近代化資金等の借り入れによつてプラスチツク船を建造し、一人当たり一千万、二千万の借金を抱えて苦しんでいる現状に、更にこのたびの低気圧によりカキ、ワカメ、ノリ等に被害をこうむり、その打撃のほどが憂慮されておるわけでございます。そこで県にお願いいたしますが、宮城、岩手という二県単位の被害であれば、激甚災の指定があるわけでもなし、国や県からストレートの助成をといつてもむずかしい段階でありましようから、せめて水産金融の面において十分の配慮をくだされ、なおそれらに対して五十四年度補正において、応分の利子補給等が望ましいと考えられますが、県の御意向を伺う次第でございます。 なお、私はこうした漁業災害対策として、漁業共済制度へのてこ入れを叫び続け、一昨年より県漁業共済組合へ二千万円の範囲で無事戻し助成を実現してもらいましたが、昨年においては計算上一千三百万円の助成にとどまり、今次災害に際しましても、補償額の十分なる還元として生かされない面もありますので、今後に向かいまして前向きでの検討をお願いいたしたいのでございますが、その辺のことについてもお伺いできれば幸いでございます。 第二といたしまして、外国船による沿岸漁業被害の防止についてでございますが、これについては去る五十年二月二十二日フイリピンの貨物船ドナ・パシタ号が女川町江の島の岩礁に座礁し、重油を流出させて、付近の水族に大きな被害を与えた事実がありますが、このたびの低気圧にも志津川湾に招かざる客の訪問を受け、養殖施設及び定置網等に多大の被害を与えました。それはパナマ国籍、台北海運会社所属アリシヤン号九千トンで、船長の名は馮汝宝--ウオンジンボウと読むのでしようか、ちよつと台湾の字で書いてありますのでよくわかりませんが、英文の航海日誌を、戸倉中学校の教頭で英語の先生をしている木村という先生に翻訳したのを聞きますと、「新潟港よりクローム鉱石二千トンを積み、川崎港に向かう途中二十三日の夜半、東よりの強風を受け操船困難となつたので、海図を見て志津川湾に避難することにし、五時三十分湾口に至り、湾内に避難する際に、波浪により養殖施設のブイが確認できず、施設の中に投錨したが、いかりがもたず流されて座礁した。」と書いてありました。座礁の場所は志津川町字戸倉、通称松崎浜と呼ぶ戸倉漁協裏桟橋から四百メートル、私の家からも直線で四百メートルぐらいの水深四・八メートルの岩礁に乗り上げたのでした。私は午後一時ごろ対策本部設置のために戸倉漁協へ駆けつけますと、組合員多数を初め、町よりも町長以下、水産事務所より関係者が集まり、私を待つていました。早速町長を本部長とする対策本部を設置し、まず第一にオイルフエンスの準備を申しつけました。もしも船底が破れ、重油が流れ出したら何十億の補償金をもらつたところで問に合わないからでございます。幸いに翌二十五日九時、私もうねりの高い現場に出、十数メートルのなわばしごをよじ登り、アリシヤン号上の人となり、メガホンを持つて指揮をすること五時間、午後二時間近に保安庁のタグボート二隻にけん引させて無事離礁させましたが、引いた百五十メートルのアンカーチエーンに巻きついた施設の綱が、直径が何と一メートル以上もあり、除去するのが大変なので、また沖合いがまだ相当のしけで、このまま出て行くと途中で必ず二次災害を起こすから、一夜停泊してアンカーチエーンに巻いた綱を酸素霧ハーナーで除去してやるから、あすの日中出港することを勧めたのですが、船長はどうしても今夕出ると言つて聞かないのです。保安庁の所長に相談しますと、一応の取り調べが終われば、無理にとどめるわけにもまいらぬということで、馳けつけた海事検定協会の社員が中に入り、補償させるための英文、和文の証書を各三通作成、船長の署名をさせ、町が原本、両漁協が控えを保持することとし、運航は保安庁がめんどうを見、水先案内は戸倉漁協の持船青島丸にさせることで出航を了承したのですが、私は、船長が最後まで自力で運航できると言い張りましたが、喫水五メートルの船が水深四・八メートルの岩礁に乗り上げ、うねりのたびにごつんごつんと衝撃を受け、百五十メートルの巨体がよじれるほどの事故を受けた船が、とも周り等に故障が生じてないわけはないと考え、点検のための停泊を何度も勧めましたが、船長は出るの一点張りで、巻きついた綱のために途中までしか上がらないアンカーをぶらさげたまま、私が考えたようにエンジンはかかるがスクリユーが回らないということで、二隻のタグボートに引かれて出航しました。しかし案の定、湾口を出る前に日が暮れ、ぶら下げたいかりを定置網やワカメ施設にひつかけ、二次災害を生じせしめたまま、ワカメ漁場の真ん中に投錨して一夜を明かしたのであります。船長は、通訳の話では昭和二年台北生まれだというのです。一九二七年生まれと言つていないのです。そのころの台湾は日本領で、五十二歳の台北生まれが、日本語を話せないわけはないのですが、片言も日本語を言わないのです。それでいてこちらの話は全部マスターしているのですから、逃げの一手に出たと考えられますが。そこで申し上げたいのでございますが、税金が安いから船籍はパナマ、人件費が安いから海運会社は台湾、その船を日本の企業が使用し、事故保険はロンドンの保険会社というのです。こうした船が私どもの住む三陸の沿岸を毎日何十そうとなく往航しているのです。風光明媚な生産の現場に安住しながらも、三陸の漁民は常にかような危険にさらされている事実を私は関係者に知つてもらいたいのでございます。現地関係者は、同じ海に生きる者の立場として事故を最小限度に食いとめる策に協力したにもかかわらず、アリシヤン号側からは、海事検定協会という海の示談屋を差し向けたままで、荷主やその他の関係から迷惑をかけましての「メ」の字の電報も届いていないありさまでございます。高度の管理社会では、社会的倫理に裏づけされた仁義すらも失われようとしている現状で、私ども漁民はまことに悲憤にたえない思いでいる次第でございます。事故の処理につきましては、漁政課が窓口となりまして、真剣にアドバイスをいたすことになつておりまして、きようも午前中から地元関係者と協議をいたしておりますので、改めてお願いを申すまでもありませんが、補償解決までにはなお半歳の歳月と裁判という場に持ち込まれることも予想され、相当の困難がつきまとうと考えられますので、何とぞ最後までのごめんどうをお願いいたしますとともに、今後外国船の運航に関し、注意を喚起させるための配慮を国に働きかけるべきと思いますが、その辺についての知事のお考えをお聞きいたしたい次第でございます。 以上で水産被害の質問を終わりますが、次に、追加要請をいたしてお許しを得ました仙台空港の拡大整備について質問させていただきますが、私の前に杉岡議員から、新しいふるさとづくりと国際化への対応についてという段で、種々空港の拡大整備などにも触れてお話がありましたから、私からはごく簡単に質問をさせていただきます。 五十四年二月二十七日夕刊の河北抄というコラム欄に、こういう文章が載つております。「仙台空港の国際空港化を、政府の東北開発推進計画に盛り込めという地元経済界の要望は、運輸省の抵抗によつて葬り去られようとしておる。きのう東京で開かれた自民党の国土開発東北地方委員会で、国土庁側は悲観的答弁をし、出席の各委員から反撃を受けた。東北開発促進計画は六十年代までの諸事業を方向づけるもので、そこに頭を出さないと、その事実は永久に日の目を見ないおそれがある。」云々と書かれておりまして、仙台空港が今後国際空港への歩みがあるのにもかかわらず、政府は、三全総で地方定住圏構想の重点地域は東北であり、仙台が国際的機能を付与するなどと表現をしておきながら、具体化の段階でこのような姿勢を示すことは、東北人を欺くにひとしいというような文面で河北新報が論説をしておる次第でございます。 そこで、空港拡大についての資料など私の手元にたくさん届いております。これについて一々話をしておると長くなりますから、ごく要約して申し上げますが、仙台空港にジエツト機が就航したのは昭和四十七年で、その年三十七万八千人であつたものが、五十二年度には八十三万八千人、五十三年では百万人を超えるのではないかと、こういうような見通しの中で、いまだ仙台の空港には二千メートルの滑走路しかないと、ジエツト機、しかもジヤンボを飛ばすのには少なくとも二千五百メートルから三千メートル、三千五百メートルの滑走路が必要なのであるけれども、そうしたものについて、まだ政府の段階では全くその先が見えないと、こういうことでございます。その他の関係についても、空港道路の整備であるとか、いろいろと地方を便利にするための策定あるいはその意見が書かれた資料が私の手元にございますが、要は、私はこの仙台の空港の整備は、やつぱり早急に宮城県、仙台市として考えなければならないことではなかろうかと、こう考えられる次第でございます。五十五年度以降新幹線も走るだろうし、これ以上世の中を便利にさせてどうするかという考え方もあるでしよう。私もそういう考え方なきにしもあらずでございますが、しかしながらやはり百万都市となる仙台市、そして明治以来東北の表玄関と言われた宮城県及び仙台市が、他県でやる以上のことをやるという基本的な立場に立つて、空港の国際化への整備を進める必要にいま迫られておるのではなかろうかと、こう感ずる次第でございます。杉岡議員への答弁によりまして、知事が考えております地方の開発へのアウトラインはわかりましたけれども、来年からにも香港にチヤーター機でジヤンボが就航しようとしておるこの仙台空港が、いまのままでそうした便が発着した場合において、事故のおそれにつながらないという保証も何一つありませんので、その辺も篤と御検討の上、今後仙台空港の拡大整備について、知事がどのようなお考えをお持ちであるか、お伺いいたしまして、私の一般質問を終わらせていただきます。 ○副議長(千葉松三郎君) 知事山本壮一郎君。  〔知事 山本壮一郎君登壇〕 ◎知事(山本壮一郎君) 後藤議員にお答えを申し上げますが、まず第一点の先般の低気圧によります漁業被害でございます。お話のように二十三、二十四日の両日、本県沖合いを通過いたしました低気圧によりまして、沿岸の漁業に大変大きな被害を受けております。現在その被害状況を鋭意調査中でございますが、今日把握いたしておりますところでは、養殖施設で約六億、水族関係で十三億、合わせて二十億近い被害があるのではなかろうか、こういうふうに受けとめておるわけでございます。 なお、これとは別に、先ほどお話がございましたパナマ国籍のアリシヤン号ですが、これが志津川湾に入りまして大変大きな被害を出しておるようでございます、この方もただいま被害を調査中でございますが、少なくとも三億以上の被害があるのではないのか、こういうふうに言われておるわけでございます。被害をお受けになりました関係の皆様方には、この席をかりまして心からお見舞いを申し上げたいと存じます。と同時に、その対策でございますが、岩手県の被害がどういう状況になつておるのか、いまのところつまびらかにしておりませんが、仮に両県に被害がわたつておりますれば、これは天災融資法の発動の対象にもなるわけでございます。仮にならない場合におきましても、これはお話のとおり大きな災害によります被害でございますので、できるだけ有利な金融面でのお世話を申し上げる。あるいはまた利子補給をすることによりまして、その負担の軽減を図る。また将来にわたりまして、この漁業共済を強化していく。こういう点につきましては、財政の許す限り十分努力をしてまいるつもりでございます。なお、当面の対策といたしましては、必要に応じましてつなぎ資金等も用意をしなければいけないだろう、かように考えております。いずれにいたしましても被害の実態を明らかにいたしました上で、早急に必要な手を打つてまいるつもりでございますので、御了解をいただきたいと存じます。 特に、いま後藤議員から詳しくお話がございました外国船の志津川湾への闖入の状況でございますが、大変招かれざる迷惑な客に対しまして、漁民の皆さん方が重油の流出防止、あるいはまた離礁を初め、石巻への曳航に大変献身的に御協力をされた。前回のドナ・パシタ号の遭難のときもそうでございましたけれども、こういう漁民の方々の外国船に対する温かい御援助、御協力に対しまして、本当に頭の下がる思いがするわけでございます。にもかかわらず、お話によりますと、船側の態度は、一口で言いますとけしからぬものがあつたというような点は大変に残念に存じますが、いずれにいたしましても被害の補償の問題は、前回と同様に、この船が入つております保険によりまして処理せざるを得ない。そこでこれらの問題を誤りなく解決をいたしますために、関係の漁協の代表の弁護士を立てまして、そして県も応援する体制をとりまして、十分な事後処理ができますように努力をいたしてまいるつもりでございます。もちろんこの補償の解決までには、若干の時間といろんな困難な問題が出てこようかと思いますけれども、前回の経験もあることでもございますので、十分に県としましては努力をいたしてまいりますことをお約束申し上げておきたいと存じます。 こういう事故が漁業地域において起こるということは、大変残念なことでございまして、もちろん海上保安庁におきましても、例えば漁具の定置個所の一覧図、こういうものを発行いたしまして、沖合いを通ります船には、必ず外国船には持たすという要請をしておるようでございます。また各地区の海難防止協会の中に外国船舶の安全対策部会がございますが、これを通しまして、その周知徹底を図つておるところでございますけれども、なお、今回のような事故が起こるというようなこの現実を踏まえまして、更に強い措置を、保安庁を通じまして関係者に要請をいたすつもりでございます。 それから、仙台空港の整備の問題につきましては、先ほどもお答えを申し上げたとおりでございますけれども、この仙台の空港が、一つは、文字どおり東北の中心の空港として機能を果たすようにと、近く新潟との便が就航するはずでございます。それから秋田の空港が整備できますと、秋田-仙台間の便もできることに、全日空との間に話、了解がついております。それ以外に、東京以外北海道の便、名古屋の便、大阪の便、福岡の便、こういう便がいま飛んでおりますが、それ以外の国内便をできるだけ数多く飛ばすということと同時に、最近東北全体で東南アジア等海外へ出られる方も非常に多いわけでございますので、例えばチヤーター便を仙台から出す、これは一々成田まで行つておりますと大変でございますので、その場合に、仙台から出ました便が、例えば福岡あるいは大阪等で出国の手続を済ます。まあ一時間か二時間あれば済むわけでございますので、帰りは例えば沖総でそういう手続をしてくる。暫定的にはこういうことによりまして、いわゆる国際便的な、国際空港的な実績を積み上げていく。一方施設そのものの拡大の問題、滑走路の延長の問題につきましては、地元の御協力、御理解をいただきながら進めなければならない問題でございますし、同時にまた、いま審議されております東北開発計画の中でも明らかにされなければいけない。いまの東北開発計画には、長期的な計画課題として取り組んでいくということになつておるわけですけれども、私どもはむしろ具体のプロジエクトを各論の中にこれを入れなさいということを主張しておりますので、そういう線で東北開発計画ができますように今後努力をしてまいるつもりでございます。しかし滑走路の延長ということになりますと、やはり地元の方々の御協力ということが大変に大事な要件になつてまいりますことは、ほかの空港におきますいろんな事例を見ましても御理解いただけると思うのです。そういう意味では、幸い大宮議員さんが前回の拡張のときも非常に地元として御協力をいただきましたことを御報告申し上げ、今回もまたぜひ大宮議員さんの御指導と御協力をいただきながら進めてまいりたい、この点を皆様方にも御理解をいただきたい、かように存じます。
    ○副議長(千葉松三郎君) 十三番櫻庭健朔君。  〔十三番 櫻庭健朔君登壇〕 ◆十三番(櫻庭健朔君) 運輸大臣の諮問機関である運輸政策審議会地方交通問題小委員会は、去る一月二十四日、約一年有余の歳月をけみして、国鉄地方線五千六十四キロを国鉄経営から分離するという答申を行いましたが、これは昭和五十二年十二月二十九日の閣議了解事項となつておる日本国有鉄道の再建の基本方針に基づき、十万人以上の都市間旅客輸送、政令都市を含めた大都市圏旅客輸送等、いわば営業係数が低く、国鉄として採算が合う路線を除き効率性が高くなく、国鉄の自立経営上負担となつている路線を対象に、これをバス輸送に切りかえたり、あるいは地方自治体などの第三セクターに経営を移譲するという、いわゆる国鉄ローカル線廃止を前提とした、私どもにとりましては、まさに看過し得ない重大な内容を持つ答申案であります。今日、国鉄が区分している幹線と地方交通線の内訳を調べてみますと、幹線は七十八線区一万三千二百キロ、うち一日一キロ当たりの乗車密度八千人未満の線区二十四、地方交通線は百六十五線区九千二百キロ、うち乗車密度八千人以下が百五十八線区となつており、国鉄が採算上の基準としている乗車密度八千人に満たない線区は、全国で百八十二、総延長で一万一千二十三キロに達しているのであります。ところがこの答申案は、関係地域住民の反対運動を恐れてか、具体的な線区を明示しておりませんが、中央大学大島教授の解析によれば、答申案の定義部分とこれを補足した運輸省鉄道監督局長の記者会見の発言を基礎に、宮城県内の地方線区をA、B、Cのランクに分類して摘出すると、A仙山線、B石巻線・陸羽東線・大船渡線、C丸森線・気仙沼線に分けられることが明らかになつたのであります。ここで言うAとは、鉄道輸送自体が相対的にコストが低く、Bは、鉄道輸送は相対的にコストが高いけれども、豪雪、道路事情などによりバス代替えが困難であるが、Cは、鉄道を廃止してバス輸送に転換するか、又は地方自治体などの第三セクターに経営を移管するという内容のものでありますが、ちなみに昭和五十二年度の国有鉄道決算書に基づく県内の国鉄地方路線の営業係数、乗車密度は、仙山線二一七、五千五百五十五人、石巻線四〇七、四千四百七十四人、陸羽東線三七三、四千四百十七人、大船渡線三三六、三千二百三十人、丸森線一一四〇千百四十二人、気仙沼線は途中開通でございましたけれども、営業係数四五〇、乗車密度八百六十八人となつておりまして、答申案が採算上の基準として策定している乗車密度八千人には、いずれも遠く及ばない数字を示しているのは否定できない事実になつているのであります。しかしながら、もともと国鉄ローカル線は、明治以来四季を通じて、みちのくの風土とノスタルジーを運び、住民の限りない哀歓と対話を乗せながら、東北地方の経済の発展と地域開発を進める上で、私どもの生活基盤にどつかと定着し続けてきたことは、衆目の見るところ何人も否定し得ない事実でありまして、特に丸森線の開通に熱意を燃やす仙南の人たちや、苦節八十年の悲願が実り、陸の孤島から脱却した三陸沿岸の県民の喜びを逆なでするような今回の答申案、今日民間バス企業が採算を超越してデマンドバスやフリーバスを導入して、乗客確保に積極的な姿勢を示しているのと対比して、単に営業係数が高く、乗車密度が低いゆえをもつてローカル線を廃止するという今回の答申案は、まさに安直にすぎるというそしりを免れないものと批判せざるを得ないのであります。いま町村では、自治体バス一台を運行するといたしましても、その出費は莫大であると伝えられているのでありますが、ましてや、例えば七十四・一キロの気仙沼線を維持管理しつつ正常な運行タイヤを確保して地域住民の利便に供し、かつはまた観光開発の一翼を担うという事業を、単に沿線市町村のみの負担において行うということは不可能に近く、さればと言つて、国鉄が投げ出したものを、火中の栗を拾うがごとく県が引き取ることは、財政的な許容の限度を超えるものと断ぜざるを得ません。知事は一昨日の佐藤清吉議員の質問に答えられ「答中案の内容が明確でないので、いずれ政府、国会内で十分論議してもらつた上で対処したい。」と述べられておりますが、この種の問題は早いうちに芽を摘んでおかなければ、悔いを千載に残すことになりはしないかと懸念するものであります。もつとも類似の答申案は、昭和四十三年にもせに問われたことがありましたが、時あたかも田中内閣が誕生し、日本列島改造論がびまんして経済的にも高度成長を遂げつつあつた折だけに、ついに日の目を見なかつたいきさつはありましたものの、今日の低成長時代にあつては視程を同じうして論ずることは得策ではないと思います。愚かなよこしまな芽は若いうちに刈り取るのが上策であります。いまこそ東北知事会などが先鞭をつけ、反対の意思表示を鮮明にするとともに、現在静観を持していると伝えられている沿線の関係市町村にも呼びかけられ、政府・国会に対しいち早く世論を喚起すべきだと考えるのでありますが、いかがでしようか。もともと国有鉄道とは、読んで字のごとく国の所有であり、ローカル線と言い条、国の責任において国民の足を守るための施策を推進しなければならぬものと思います。特に昨今、打ち続く運賃値上げによる国鉄離れの現象が際立つているとき、政府の思い切つた国鉄への助成策こそ待望してやまないところであり、ローカル線を持つ私どものひたむきな願いでもあるわけであります。 次に、東北新幹線の始発駅問題についてお尋ねいたします。東北新幹線の早期完成につきましては、本議場におきましても多くの同僚議員からそれぞれの意見の開陳がなされ、私もまた幾たびか本問題を取り上げた記憶を持つものでありますが、特に国鉄当局が東北新幹線の始発駅を東京から暫定的に上野に設置するという方針に対し、私は五十二年九月議会におきまして「上野が暫定駅でなく恒久駅になる要素が強く、日本縦断を本旨とする新幹線の機能上問題がある。」との懸念から、東京駅始発を放棄すべきでないことを訴え、知事もまた「東北新幹線の始発駅はあくまで東京駅でなければならない。これは絶対に譲ることのできない大前提である。ただこの前提の上に立つて、五十六年度開通のために、暫定的に上野に駅をつくるというならあえて反対はしない。」と答えられ、従来の方針を堅持する態度を貫かれたのであります。しかるに本年に入つた去る一月十九日の記者会見の席上、高木国鉄総裁は、大宮以南の用買が一向に進展しないことに触れ「国鉄の都合ばかりも言つておられない。五十六年開業の計画を実現する上で大宮始発問題については、いずれ検討の時期がくるかもしれない。」と述べ、必ずしも大宮始発を否定しなかつたばかりでなく、越えて二月十五日の衆議院運輸委員会においては、あくまで上野始発が基本であるとしながらも「統一地方選挙が終了した段階で地元との折衝に入り、おそくとも本年夏ごろまでには結論を出したい。それが五十六年開業のタイムリミツトである。」と表明いたしておるのであります。東北新幹線の総工費は二兆一千七百二十億円、昭和四十六年十一月起工式を行つてから今日まで、昭和五十四年度予算総額三千八百二十億円を含めた累計では一兆七千百二十二億円を数え、総工費の七九%に達しているのみか、一月二十四日には沿線各市町の十七首長による栃木県石橋から埼玉県久喜に至る四十二・八キロについての試乗を行つたほか、三月二十日には岩手に引き続き宮城においても瀬峰を起点としてレール敷設の起工式が行われるなど、大宮以北盛岡までについては、五十五年度内完成はほぼ確定的であると言われているのにかかわらず、昭和四十七年以降今日まで八年間、大宮以南の用買すら全くその緒についていない現状にかんがみるとき、四月下旬から八月あたりにかけてのわずか四カ月間において反対住民とのコンセンサスが果たして得られるものかどうか、極めて疑問とせざるを得ないのであります。特に浦和、与野、戸田三市の情勢は、マスコミを通じてのみおぼろげながら把握しているのでありまするが、四カ月間ぐらいの説得や話し合いで打開できるほど好転しているのでありましようか。反対の急先鋒に立つ与野市の住民は、ついに昨年秋から一坪運動を展開しているとも伝えられているのでありますが、第一点として、大宮以南の反対運動の帰趨、それに対する国鉄側の対応につき、知り得る範囲内において、この際県民の前に明らかにしていただきたいと思うのであります。 二つ目は、五十六年開通を金科玉条とする国鉄当局は、最終的に大宮始発盛岡終着を策定図とした東北新幹線開業をもくろみ、国鉄としてのメンツを立てるのではないかとのうがつた見方をする人々もおりますが、そもそも運輸審議会などの議を経て決定された日本全土を縦断する新幹線計画のうち、東海道・山陽線などは比較的スムーズに完工されているのにかかわらず、ひとり東北新幹線のみが国鉄総裁の一存により始発駅が東京から上野へ、上野から大宮へと、言うならば後向き三段跳びの様相を呈していること自体了解に苦しむものであります。仮に東北新幹線が大宮始発となつた場合はどうなるでありましようか。大宮-東京間は三十八・二キロありますが、これは現在の東北線になぞらえば、特急はつかりを利用して仙台を目指した青森からの乗客が、鹿島台で下車させられ、所要時間四十八分を費して普通列車で仙台にたどり着くということと同じでありまして、これでは高速縦貫鉄道という新幹線の機能から外れた低速寸断鉄道と言うほかはなく、加えて新幹線により多量に運ばれてきた乗客をスムーズに東京に輸送できるほど大宮-東京間の普通列車は閑散ではないのであります。したがつて大宮始発を阻止するためには、あたかも原告と被告の様相を呈して先鋭的な対立を続けている国鉄と大宮以南住民との、当事者という厚い壁を越えて、政治的な背景のもとに解決を図ることこそ、肝要ではなかろうかと思うのであります。知事が二月十三日、大平総理と会談された際、強く大宮始発反対を進言されたとの新聞報道に接しましたが、これに対する首相の態度は「よく理解している。」と答えられた由でありますけれども、何と弱々しい表現でありましようか。私どもから見ますと、余り緊急性もないと思われる本・四架橋建設などには、すさまじいばかりの熱意を燃やしている政府が、事東北ということになりますと、いささかならず冷ややかだとの感をぬぐい去ることができないのであります。これではせつかくの田園都市構想も、本議会でしばしば論議のあつた定住圏構想も泣くというものであります。いまこそ単に国鉄と大宮以南住民との折衝を見守るという垣を越えて、自治体同士の話し合い、必要ならば埼玉県議会に我々議会側も赴いて突破口を見つけ出す、そういう時期にきているのではなかろうかと思うのでありますが、いかがでございましようか。 三つ目には、大宮駅が始発駅となつて五十六年開業となつた場合、国鉄のメンツは立つでありましようが、それは反対運動が効を奏したという結果となつて、もはや大宮駅は永久的に東北新幹線の始発駅として君臨することは必定であります。したがつて先を急いで五十六年開業を実現するよりも、多少おくれても上野駅始発を確保するという方策こそ、より得策ではなかろうかと思うのでありますが、知事の所見を承りたいと思います。 次に、追加の質問要旨として提出しております不況地域指定の関係についてお尋ねいたします。本議場におきましても、しばしば論議されましたように、県内における造船・鉄鋼・繊維などの相次ぐ倒産、加えて非鉄金属鉱山などの産業的衰退は、構造不況をもろに受けた典型的所産として、私どももこれが解決を迫られているのでありますが、県当局の働きかけにより一月中旬、石巻、塩釜、鶯沢の三市町が自治省による特定不況地域に指定され、今後三年間政府の財政援助を受けられることになつて、既に当該市町にはそれぞれ昭和五十三年度の特別交付金もおりていると伝えられているのでありまするけれども、そもそもこれら三市町に対する政府からの財政援助の内容は、制度的にどうなつているのでありましようか。これが全く定かではありませんので、まずお伺いいたしたいと思います。平常、交付税そのものは、需要額から収入額を差し引いた金額が基準となり、それはそのまま一般財源となり得る性格のものでありますが、特別交付税そのものはそのような性格を持つものではありません。したがつて、不況による失業者の増大に起因する地方税の減収分の補てんや、あるいは特定不況業種企業への貸付金に見合う金額などは、不況地域に指定されなくとも国からの援助はあるとも伝えられているのでありますが、今回指定された三市町は財政的にどのようなメリツトがあるのか、今後の特別交付金の算定基準はどういうことになるのか、お聞かせいただきたいと思います。また指定を受けた当該自治体が道路を直したり、橋をかけたりなどという、いわゆる建設事業費はすべて起債によると言われているのでありますが、これとても政府債か縁故債かということも決まつていないとも聞いているのでありますが、これはぜひ政府債を利用さすべきであり、幾らかでも雇用創出の一助に資する方向で、県としても積極的に行政指導を強めるべきであると考えられるのであります。 最後に、北根一念防地区の地震災害の対策につきお尋ねいたします。仙台市北根一念防地域の被害地は、緑ケ丘の被害地と同様、第一種の危険区域の指定を受け、地震発生以来、関係当局の御配慮により現在地域の地すべり防止のためのパイル打ち込み工事をぼつぼつ実施しているところであります。しかしながら、この北根一念防地区の被害地につきましては、県住宅供給公社が造成した住宅団地の被害として、昨年六月定例議会において同僚議員がこの対策並びに公社のあり方につき尋ねたところでありますが、知事はこれに答えられ、「県の公社が造成した団地は、公社の責任においてとり得る措置はとり、たとえ基準にかない、法律上の責任問題はともかくとして、県の公社らしい措置をとらせるという姿勢で取り組んでゆく。」旨の前向きの御発言があつたことも周知のとおりであります。その後仙台市を初め公社等の調査結果に基づいて、集団移転までの深刻な事態には至りませんでしたが、何らかの措置によつて住宅地としての活用がある程度できるという結果から、仙台市が市道部分を、公社ががけ地の下の方をパイル打ち込みによつて地すべりを防ごうということになり今日に至つているのであります。私が先日現地を訪れ、その被害の大きさに驚いたわけでありますが、がけ地の擁壁は崩れかかつたままのもの、住むに住めない住宅、既に解体整理したもの、又は復旧中のものと、さまざまの状況でありました。解体された宅地内に十メートル以上のパイルが山と積まれておるものもあり、なるほど知事の御答弁の効果がこういう形で実現されておるものと思い、その御主人にお尋ねしたところ、「この土地は十メートル以上に及ぶ沢地の埋立地で、このパイル打ち込みをしなければ仙台市からの建築許可がなされないので、やむなく借金してパイル打ち込みだけを先行しておき、都合つき次第住宅の設計から借金の対策を考えてゆきたいと思つています。しかしこのパイルの上に自分の家が建つのはいつのことかと考えると、目の前が暗くなります。きようまで何年となく温かい隣人関係にあつた私たちでしたが、地震を境にお互いに重苦しい関係を生じていることは、他入ごととは言いながら何とかならないものでしようか。解体したら、このとおりこぶしのような石ころがぞろぞろ、ぞろぞろと落ち込んでゆきます。この地割れを、知事さんにでも見てもらいたいと思つて残しておきます。」と、心なしかさびしく土を握り、地割れに流しておつたのであります。確かに本議会におきましても、再三現地調査を実施し、地震災害調査特別委員会の調査結果報告におきましても、第一に「個人災害の復旧に対して債務償還関係を含め関係当局の積極的援助と強力な指導を行うこと。」と、個人災害の救済を当局に強く要請しているわけであり、パイル打ち込みをしなければ宅地としての利用ができないという土地を、当局はこれを宅地と判断されておられるのかどうか、問題であります。また一連の擁壁の崩壊が、調査の結果すべてかつての沢地を埋め立てした場所だけに発生している事実は、公社はもちろん関係当局も確認しているところであります。この事実から、この災害を天災であり、この復旧は生活用水の排水も含めて、当然個人で一切なすべきものと当局は判断されているのかどうか、この際明確にお答えを願いたいのであります。地震発生以来既に十カ月、あの悲惨な状況も忘れ去られようとしているとき、個人負担で擁壁もパイル打ち込みも行い、更には家を建て直すなどということは、とても不可能に近いと、北根を去つたまま戻るに戻れぬ人々が、私の知る範囲でも十五人以上確認されているところでありますので、知事のきめ細かい御配慮の一端をぜひお聞かせいただき、これら被災地の人々に一筋の希望をお与えくださいますよう心からお願い申し上げまして、私の質問を終わる次第であります。 ○副議長(千葉松三郎君) 知事山本壮一郎君。  〔知事 山本壮一郎君登壇〕 ◎知事(山本壮一郎君) 桜庭議員にお答えを申し上げますが、第一点は国鉄ローカル線の問題でございます。お話のように運輸政策審議会が一つの答申を出したと、この点はこの間佐藤議員にお答え申し上げたとおりでございますが、この政策審議会の答申をどう具体化するかと、当然これは法律の改正を要する問題になつてこようかと思います。私がこの前国会で議論してもらいたいということを申し上げたのはですね、なぜこれが出てきたのか、国鉄が赤字であり運輸省が大蔵省から十分の援助がとれないと。この政策審議会も運輸政策審議会なんで、まさに桜庭議員がおつしやるとおり、国鉄というのは国民の足なんで、ただ経営採算が合うか合わないか、こういうことだけで議論しておつたんではこの問題は解決しないだろうと。おつしやるように地方の時代、定住圏あるいは田園都市なんという構想が一方で出てきながら、そういうものをつくる有力な戦略手段であるローカル線が打ち切られようとしておる。あるいは地方で勝手にやんなさいと言われようとしておる。一方地方の方は、これはこの間から議論されておりますように、地方財源の赤字が限界にきておる。ですから、これはもう少し広い範囲で、地方財源の問題も含め、地方財政の問題も含め、そして鉄道というものが、これはまたバスと違つて、いまお話のように全国共通で通用する国民の足であり、また、同時に明治以来百年間国民になじまれた運輸手段である。もちろん当局の経営面での努力もしていただかなければなりませんし、政府からの援助も強めてもらわなければいけない。あるいはまた場合によつては、若干の利用者の負担ということについても、国民の理解を得なければいけないだろう。この三者相まつて、そしてローカル線を守つていくということを、幅広い国民的な視野で、国会の場で徹底的に議論していただく必要があるであろう。実は先般当地で参議院の予算委員会の公聴会がありましたときにも、私はそういう意味でこの運輸政策審議会の出した案には反対である、ローカル線の打ち切りには地方としては反対であります。知事会におきましても、先般この問題議論しまして反対の方向を決めております。第一自治省としましても、赤字地方財政の折から、地方に負担をかけるような今回のこの政策審議会の答申を、仮に運輸省が具体化しようとしても反対しますと、こういうことで態勢はできつつあるわけでございますが、なおお話のように、私どもも関係の沿線の皆様方ともども、こういうものが法律化されたり、国会の場に持ち出されたりしないように、あるいはそういうケースがありました場合にも、地方ローカル線が従来どおり残るように強力な反対運動をいたしてまいりたい。たまたま皆さん方もお入りいただいております、議長さんが会長でいらつしやいますか、在来線の整備に関する協議会もあるはずでございますが、相ともに力を合わせまして地方の鉄道を守つていくという方向で努力をしてまいりたい、かように存じます。国鉄が赤字であるということについて、議論しなきやいけないと思いますことは、例えば港湾とか、さつきお話の空港などは、これは公雲共事業でつくるわけです。気仙沼線がなぜ赤字なのかと、丸森線の赤字係数が非常に高いと。これは丸森線の場合は線路がまだ半分しかできていないということで、利用者が少ないということもありますけれども、鉄建公団でつくりましたものは、元利を償還する経費が入つて、あれは千百幾らになつておるわけでございます。国鉄の場合だつて鉄道をつくるのは自前でつくると、こういうことになりますから、例えば港湾とか空港に比べまして、その点が経営上非常に苦しいということも踏まえていろいろと議論をしていただきたい。あるいはまた資源・エネルギーの問題が非常に将来心配である。バスに頼る、あるいは自家用車に頼ると、そういうことではなしに、やはり省エネルギーの運輸機関である鉄道というものを見直す、そういうことも含めまして、単なる採算という問題だけではなしに、もつと広い立場から議論をしていただきたいというのが、私がこの間申し上げた国会の場で国民的な観点からの議論を期待したのでございますので、この点につきましてもひとつ御理解をいただきたいと存じます。 それから、新幹線の始発駅でございますけれども、これは私どもはあくまでも東京が始発が原則でありますけれども、今日の段階では上野を暫定始発駅としまして、五十六年春、五十五年度中の開業ということで運動を続けておるつもりでございますし、また今後もそういう線で強力にお願いを続けてまいるつもりでございます。お話のように自治体同士の話し合いということもございましよう。しかし関係の自治体は、埼玉の知事・議会を初め県南の三市も、自治体側の姿勢は我々が期待する方向に変わつてきておりまして、まあここだけの話でございますけれども、沿線に土地を持つておられるごく少数の方々、それは反対は強うございましようが--にだんだん局限されつつある。関係の自治体としては賛成をするための条件を出されて、国鉄・政府はそれをのんでおるというのが実態でございます。五十六年春の開業、そして始発はあくまで暫定上野、つまり大宮で仮に始発ということになりますと、お話のように大宮-東京間の交通が非常に混雑する。これはこちらから利用する側にとつても不便であると同時に、首都圏にとつても非常に不便である。また国鉄の経営上からいいましても、これは高木総裁自身がいつかの記者会見かなんかで言つておりますけれども、こういうことになると、現在の東北線の急行や特急をそのまま走らしておかなければいけない。こういうことを考えましても、国鉄にとりましても大変不便なことになるわけでございます。で、桜庭さんおつしやるように、五十六年の春か、大宮始発か、これを二者択一の場合には、多少おくれても始発を措置すべきである、それは私もそのお考えには賛成でございます。何でもかんでも五十五年度にこだわつて暫定大宮始発などというものは私はとりたくない。物理的に予定が一カ月、二カ月おくれても大宮始発でない、つまり暫定上野始発、こちらを重点に今後運動を続けるべきである、そういう考え方でございます。しかしいまのこの段階で、五十五年度開業がおくれてもいいということはまだ言えませんので、まだ早うございますので、この点は外には言わないで、気持ちとしては御意見と全く同じ方向で今後運動を続けてまいるつもりでございます。 それから、特定不況地域の問題でございますが、たびたび御報告も申し上げておりますように、残念ながら通産省の指定を受けます場合には、昨年の段階で、例えば求人倍率等々指定基準に達しない、そこで今回もお願いいたしておりますように、それと同じような制度を県単独事業でやつていこうと。しかし、自治省が通産省とは別の観点から、つまり不況地域が特別に不況対策あるいは雇用対策を講じる場合に、特別交付税等で考慮をすると、同時にまたいろんな事業をやります場合に、起債のお世話をしようと、こういう意味での総合的な対策について、地域指定といいますか、これは俗にいわゆる地域指定という考え方を打ち出しましたので、強力に働きかけをいたしまして、県内ではお話の三地域の指定を受けたわけでございます。この場合の特定事業と申しておりますが、例えば石巻、塩釜あるいは鶯沢、不況対策のために生活関連の街路事業でありますとか、あるいは生産関連の水産流通施設でありますとか、漁港の整備でありますとか、いろんな仕事をやつております。不況地域でなければやらなくても済んだであろういろんな仕事、こういう仕事を対象に、あるものは特交の対象にすると、あるものは起債の対象にして、財政的な面から御援助をしようという制度でございまして、お話のように、この場合の起債はできるだけ有利なものになるように我々も努力をいたしてまいるつもりでございます。 それから、北根一念防の住宅供給公社の造成いたしました地震の災害対策でございますけれども、お話のように仙台市と協力をいたしまして、がけ地の崩壊防止のための地盤強化事業、市道に面したところは市でやつていただく、私道につきましては公社がやる、こういうことで約六百メートルにわたりまして鋼管パイルを打ち込もうと、この事業は四月上旬には完了する予定でございます。また排水施設の整備につきましても、これも仙台市の排水施設との関連もございますので、両者で十分協議をいたしまして、できるだけの御協力を申し上げようと、また住宅宅地の擁壁の被害の復旧でございますが、これらの点につきましては、原則としては、やはり天災によります個人被害ということでございますけれども、いつかも申し上げましたように、住宅供給公社でもございますので、例えば利子補給等も講ずることによりまして、できるだけ誠意をもつて御援助を申し上げたい、そういう線で指導をいたしておりますので、被害者の方々とこれからも誠意をもつてお話し合いをいたしてまいるつもりでございます。 ○副議長(千葉松三郎君) 残余の質疑、質問は、明日に継続することにいたします。    ------------------------------ △散会 ○副議長(千葉松三郎君) 以上をもつて、本日の日程は全部終了いたしました。 明日の議事日程は、追つて配布いたします。 本日は、これをもつて散会いたします。  午後三時四分散会...