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4 ◯議長(高樋 憲)
一般質問を継続いたします。
本日、
一般質問を予定しておりました
寺田達也議員より、都合により
一般質問を取りやめたいとの申し出があり、これを認めることといたしました。
四十八番
相馬しょういち議員の登壇を許可いたします。――
相馬議員。
5 ◯四十八番(
相馬しょういち) 初めに、
県立弘前中央高等学校定時制の募集停止及び閉課程について、第二百六十七回定例会における私の質問に対する知事、教育長の答弁の問題点をただすものであります。
本県に初めての
弘前中央高等学校、
黒石高等学校及び
尾上総合高等学校の三校統合による三部制の
定時制高等学校が計画され、その
統合計画について
高等学校グランドデザイン会議を組織し、一年六カ月の期間にわたり検討してきたと言われております。この一年六カ月、何を調査し、何をどのように検討してきたのか、計画案を見る限り全くわからない。それが知事、教育長の答弁で明らかになりました。
そこで、私は、改めて議会の会議録を読み返して、驚くとともに、あきれてしまったのであります。私の質問によって、知事、教育長のとんでもない考え方が判明し、そのとんでもない考え方で進められている
夜間定時制の
統合計画の問題点を機会あるごとに県民に詳しく説明し、文書にもしてきました。その結果、多くの
定通教育に関係した方々や、その他
教育関係者、そして多くの県民からいろいろな情報が寄せられております。同時に激励もされています。答弁の
一つ一つに反論し、正しい方向で検討し直すことを含めてただしていきます。
本県初の三校統合による三部制の
定時制高等学校が計画され、その
統合計画を検討する組織として
高等学校グランドデザイン会議を立ち上げ、一年半の期間で計画を作成していますが、この
グランドデザイン会議に、定時制、通信制、特に
夜間定時制の精通者は一人も含まれていないと指摘しておきましたが、その後多くの
教育関係者から寄せられた情報によると、私の
指摘どおり一人も含まれていないことが明らかになりました。したがって、
グランドデザイン会議の会議録に
夜間定時制のことはほとんど出ていないことからも、これらの証言を裏づけるものとなりました。
教育長は、私の指摘に対して、第三次
実施計画策定に当たっては、
実施計画案の公表時に
パブリックコメントを実施するとともに、県内六地区で説明会を開催したほか、個別の学校の
関係者等からの要望に基づく説明会及び存続に係る要望書や署名などにより、県民の皆様から数多くの御意見や要望をちょうだいいたしましたとし、さらに、
パブリックコメント及び説明会でちょうだいした御意見につきましては、その
一つ一つについて
教育委員会が行っている説明会で検討させていただき、すべての意見に対して
教育委員会の考え方をお示しするとともに、計画案に必要な修正を加えて第三次
実施計画を決定したところでありますということで、いかにも多くの声を聞いたことにはなっていますが、
夜間定時制の実態に詳しい人はいないし、修正することもなく進んでおり、計画の実施に当たっても、いただいた御意見について十分検討してまいりたいと考えておりますと答えているが、
説明会等での意見を聞き入れた形跡はなく、一方的に
教育委員会の計画を説明するだけで、このようなことから、教育長の答弁は詭弁にすぎず、会合を開いて声を聞いたという形式を整えるだけのものでしかないのであります。
また、なぜ
尾上総合高等学校に三部制の
定時制高等学校を設置するのかについての質問に対し、知事は、
教育環境の整備という言葉を使って答弁しているが、昼働き夜学ぶ生徒は経済的に苦しく、出費も多くなり、同時に通学に時間を要することから通学できないことになり、通学したとしても、単位が取れず卒業できないことになるのであります。それ以外にも、
夜間定時制高等学校の場所として余りにも多くの問題があることは以前に詳しく指摘してありますが、それでも
尾上総合高等学校に三部制の
定時制高等学校を設置するということは
教育環境の整備に該当するのか、私には信じられないことであります。
以前に申し述べてあるように、私が調査した秋田県の
明徳館高等学校、山形県の
霞城学園高等学校、福島県の
郡山萌世高等学校の三校はいかにも
教育環境の整備に値するものでありますが、本県の場合はだれのためのものであるのか。
県教育委員会の結論ありきの
計画どおりであることから、
教育環境の整備と評価しているように思えてならないのであります。
特に申し上げたいのは、通学のための交通手段及び通学に要する費用、時間、そして周囲に民家はなく、田んぼの中にあり、学校の前には大きな
ビニールハウスが二棟あり、かつ、
自動車道路になっており、
夜間定時制にあっては、夜遅く、街灯も暗いことから、通学する
女子生徒にとって犯罪に巻き込まれる最も危険な場所であり、これについても指摘してありますが、このような場所をもって
教育環境の整備とは全く異常なことであり、このような場所に学校を設置することを
教育環境の整備と言いますか。多くの県民も同様に心配しております。
教育長、あなたも、三部制の
定時制高等学校を
尾上総合高等学校に設置することについて決してよい環境でないことを認めています。あなたは私の再質問に対する答弁で、通学に関する安全・安心な通学路の確保ということにつきましてはどこの学校においても大変重要なことだと認識していると答えているが、これは至極当然のことであります。そして、それは、実施の際に、教職員の安全指導などを含め、平川市初め、地域の
関係機関の方々の御協力で安全確保を図っていきたいと考えていると述べているが、この答弁では、他人任せで、実現の可能性は全く感じられません。
統合する
高等学校の
設置場所は、このような問題がないところに設置すべきものでありますが、最初からすべて悪条件に対する対応は人任せで、よくこのようなとんでもない場所に決定したものであります。
教育委員会は何のためにこの場所を選定したのか、なぜ強引にこの場所にしたのか、裏に何があるのか疑わざるを得ません。
次に、
夜間定時制に入学する生徒は経済的に苦しい生徒が多く、できれば、定時制に入ってすぐ就職したいが、現実の
社会経済環境は厳しく、
中学校卒業後直ちに就職できる環境にないことから、入学後
アルバイトで就職することが多くなっている。このことは、調査した三県の
高等学校も同様である。教育長はこのことに対してとんでもない答弁をしている。それは、朝、昼、晩の三部制だから生徒がそれぞれの時間帯を選択すればよいとしているが、世の中そんなに甘くはない。
アルバイトの生徒にそのような選択権はない。三部制が万能のようなことを言っているが、それは
教育委員会が勝手に考えていることであって、その勝手は相手には通用しないことさえわかっていないのである。
このように、社会の現実を知らない、そして世の中は自分らの思い通りになると勘違いしている人たちで計画したものだから、どうしようもない
欠陥だらけ、
問題だらけの計画になっているのであります。
私に指摘されるまで調査もせず、適地との思い込みであったとしか考えられない。教育長、世の中は
教育委員会のために動いているのではない。それも知らずにこの場所を適地とした
教育委員会の責任は重大である。あなたの答弁は
教育関係者をもがっかりさせるものであった。
尾上総合高等学校は全日制課程で
総合学科の実績もありと答えているが、教育は校舎が行うものではない。そこに勤める教職員が行うもので、とんでもない答弁をしている。
次に、昼働いている生徒は、
尾上総合高等学校の場所では、通学に要する時間で毎日一時間目におくれ、単位が取れず、卒業できない状況にあることは明らかでありますとの指摘に対して、あなたは、単位不足のところは三年で
通信教育で単位を取ればよいと、これまた生徒の実態を知らない他人事のような言い方をしている。通学する生徒も生身の人間です。今まで以上に通学に時間を要することと、授業を終えて電車に要する時間も、弘前駅から自宅に帰る時間も要することから相当遅くなり、単位不足を補う
通信教育で勉強をする、そして資格を取得する時間をつくり出すことはできない状況にあります。
夜間定時制で学ぶ生徒の健康も考えず、平気で
通信教育で単位を取ればよいとの発言は、恵まれない環境で苦労して勉学に励む生徒を何と思っているのか。最初から
通信教育で単位を取らなければならないような場所に学校を設置するなど、無謀きわまりないことと言わざるを得ないのであります。教育をつかさどる立場であるならば、十分配慮の上
設置場所を決めるべきではないでしょうか。
私が調査した三県の
高等学校は、すべて生徒が学ぶ利便性を最優先に統合校舎の場所を決定しているのである。それに比べて、本県は、一年六カ月の期間何をしていたのか。きっと、あの場所に比較的新しい校舎があるからという単純で結論ありきの計画であるように思えてならないのであります。
そこで、具体的にただすことにします。
第二百六十七回定例会で、
定通教育の実態を話し、先進県三校の三部
制高等学校の調査による内容もよく話してあることから、第一点は、知事が、
弘前中央高等学校定時制、
黒石高等学校定時制、そして
尾上総合高等学校の三校を統合し、
尾上総合高等学校に三部制の
定時制高等学校を設置することにした理由について問いただしたことに対する答弁は、
教育環境の整備のためとのことであるが、その
教育環境の整備とは具体的にはどのようなことを言うのか答えていただきたい。
次に、
グランドデザイン会議に
夜間定時制に精通した人を入れなかったのはなぜか。
三点目は、
教育長自身、三部
制定時制高等学校の
設置場所である
尾上総合高等学校は適当な場所でないことを認めているが、本県初の三校統合の校舎は理想に近いものが当然であるのにもかかわらず、なぜこのような問題のある場所を選定したのか、定時制・
通信制高等学校はどうでもよいとの考えであるのか、このことに対する答弁を求めます。
四点目は、
設置場所として計画されているところは田んぼの中で、付近に民家もなく、校舎の向かいには大型の
ビニールハウスが二棟もあり、自動車の往来もあることから、
夜間定時制高等学校に通う
女子生徒にとって犯罪の被害に遭うおそれのある最も危険な場所であります。
女子生徒に対する被害対策とその責任の所在を問うものであります。
第五点は、
教育委員会は、
尾上総合高等学校が問題のある場所であることから、安全確保のために地域団体の協力を前提としているが、
教育委員会がそう考えているほど容易なことではない。こんなことで
教育環境の整備だとどうして言えるのでしょうか。
第六点は、就職している生徒は、現実に電車通学をすれば、仕事を午後五時に終わって、五時半の電車で駆けつけても始業時間には一時間おくれることになり、単位の取得にも影響が出て、卒業も難しくなる。教育長、あなたは、足りない単位を
通信教育で取ればと言うが、先ほども述べましたように、
通信教育で単位を取得する時間はない状態であり、生身の生徒のこのような状態をどのようにして解消しようとしているのかお答えいただきたい。
第七点は、
夜間定時制に学ぶ生徒には経済的に苦しい人が多く、その人にとって、
アルバイトでも職につかなければならないのに、弘前ならまだしも、平川市では働く場もないことから、入学してから就職することは期待できない状態である。なぜ働く場のあるところに設置できないのか。
第八点は、私の質問に対して教育長は、さまざまな意見について検討していくと答弁したが、どのようなことを検討しているのか答えていただきたい。
第九点は、今回行われた
高等学校第三次
実施計画に関する
地区説明会における意見等に対してどのように対応していくのか。
最後に、定時制・通信制の
高等学校は、もともと働きながら学ぶ
高等学校として昭和二十三年に発足した制度である。
弘前中央高等学校定時制課程の募集停止、閉課程は、働きながら学ぼうとする青少年の修学の機会を踏みにじる行為であることから直ちに見直すべきであると思うが、県はどのように考えているのか。
次に、
オーダーメード型貸し工場の
利用企業についてであります。
これで三度目の質問になりますが、第一に、テレビの不況等で
大手電機メーカーが大赤字を出して大変厳しい
経営状況に陥っていることから、
FPD関連産業を取り巻く環境が厳しさを増している状況にある中で、
株式会社ANOVAが安定した経営を維持できるのか。過去に厳しく指摘したとおり大いに疑問であります。県はどのように認識しているのか。
第二点は、報道によると、
株式会社ANOVAに対する
大手電機メーカー等の出資がおくれているようであるが、出資の見込みはあるのか伺いたい。
第三点は、
貸し工場の
利用企業について
点検機関を設けたようであるが、どんなメンバーで構成し、何をどのように検討するのか。また、その
点検機関は十分機能すると考えているのか伺いたい。
三項目めは、
県立美術館の運営についてですが、まず、
県立美術館の魅力を高めるため今後どのように取り組んでいくのか伺いたい。
また、来年度予定している企画展があれば、その開催内容について。
また、美術館が収蔵している作品の中に、美術館の目玉となる国宝や
重要文化財、そして
重要美術品があるのか。
最後に、今後、
県立美術館の作品の収集方針である近現代の作品に限って展示するのか伺いたい。
以上で壇上からの質問を終わります。
6 ◯議長(高樋 憲) 知事。
7 ◯知事(
三村申吾)
相馬議員にお答えいたします。
まず、私からは、
定時制教育の
教育環境の整備といった関連についてでございます。全体論を含めましてお話しさせていただきたいと思います。
定時制課程は、中学校を卒業して就職するなどの理由で全日
制高等学校に進めない青少年に対し、全日制課程と同等の教育を行い、同一の資格を与える
勤労青少年の
教育機関として平成二十三年(後刻「昭和二十三年」に訂正)に発足した制度であると、議員も御指摘のとおり、私も認識しております。
しかしながら、経済の発展や社会の変化ということに伴い、全日
制高等学校への進学率の向上とともに
中学校卒業者の就職率が低下し、
定時制課程への進学者が減少してまいりました。
近年はさらに状況が変化し、現在の
定時制課程は、生徒の多様な
教育的ニーズにこたえる場としても、また、生涯学習の場としても大切な役割を担っているものと認識しております。したがいまして、今後もこれらのニーズに適切に対応していくことという意味においての
教育環境の整備ということが重要であると考えている次第でございます。
続きまして、
県立美術館につきまして私のほうからお話しさせていただきます。
県立美術館の魅力を高める方向性でございます。
県立美術館は、平成十八年七月の開館以来、青森の風土に根差した地域独自の文化を育成、振興し、新たな価値を創出するとともに、それらを国内外へ情報発信するため、本県の豊かな芸術風土を展示いたします常設展あるいは国内外のすぐれた美術作品の鑑賞機会を提供する企画展――昨年の印象派展のようなものでございますが、あるいは、いわゆるパフォーミングアーツと申しておりますが、ダンスや演劇、そしてまた音楽などの
舞台芸術活動などを実施し、また
教育活動も実施しておりますが、県民の皆様方の豊かな感性や創造力をはぐくむ総合的な事業ということでこれを展開してきました。
今後は、開館五周年ということになりますので、これを契機として、これまでの活動を踏まえながら、国内外からの誘客や文化、芸術を通じた国際交流に、より一層重要な役割を果たしていくよう積極的に取り組んでいきたいと考えておる次第でございます。
具体的には、来年度でございますが、美術館の魅力をさらに高めるため、収蔵作品のほか、
建物そのもの、あるいはサインなど、
県立美術館ならではの独自性や魅力というものを戦略的に広報展開し、
美術館自体の
ブランドイメージというものを確立していきたいと考えております。そのほか、十和田市に
現代美術館がございますが、十和田市
現代美術館など、県内他施設との連携による
共同イベント、このことも実施しまして、それぞれがネットワークを組むことでの文化・観光拠点としての機能強化を目指したいと思っております。
また、
県立美術館の新たなコンテンツといたしまして、日本、中国、韓国の文化の相互理解を深める
国際共同演劇作品の制作、このことの事業も実施することといたしております。
一点訂正をさせていただきます。
先ほど定時制の発足につきまして、昭和二十三年と申し上げるべきところを、つい今年度、平成と申し上げました。昭和二十三年と訂正いたします。申しわけございませんでした。
私からは以上でございます。
8 ◯議長(高樋 憲)
商工労働部長。
9
◯商工労働部長(櫻庭洋一)
オーダーメード型貸し工場に係る御質問三点にお答え申し上げます。
まず最初に、
株式会社ANOVAが安定経営を維持できるのか大いに疑問であるが、県の認識についてでございます。
株式会社ANOVAは、昨年十二月より業務を開始し、百名近い従業員を雇用して、これまで毎月一億円以上の売り上げを確保しながらおおむね順調に経営していると聞いております。
当社を取り巻く環境は、大規模な企業再編や円高基調が続く中で、グローバル化した競争により、将来的には製品需要の減少や価格が下落する可能性がないわけではないことから、当社が有する研究開発や生産能力の強化のほか、当社に出資した企業の技術力、営業力などの経営資源も最大限に活用し、今後需要の拡大が期待される車載用の
静電容量式タッチパネルの製造販売を増強していくなど、変化の激しい
事業環境に的確に対応していくこととしております。
県としても、財団法人21あ
おもり産業総合支援センターと連携し、
オーダーメイド型貸
工場事業経営状況等点検会議を通じまして、当社の
経営状況や
生産状況などに係る経営上の課題等について指導、助言等を行うほか、業界に精通した県の
企業誘致顧問や
アドバイザー等の協力を得ながら、業界動向に係る情報収集や
事業環境の変化に対応した
生産体制等についてアドバイスを行っていくなど、今後も当社の経営の安定化が図られるよう適切に支援してまいります。
次に、
株式会社ANOVAに対する
大手電機メーカー等の出資の見込みについてでございます。
大手電機メーカー等三社からの出資につきましては、去る二月二十九日付で出資に係る諸契約の締結を終え、三月中にはそれぞれ出資金五百万円を払い込みすることとなっていると聞いております。
また、
株式会社カネカに対しても出資の要請を行っており、現在、当社内において検討がなされていると聞いております。
最後に、
貸し工場の利用に係る
点検機関についてどのようなメンバーで構成し、何を検討するのか。また、その
点検機関は十分機能すると考えているのかについてでございます。
オーダーメイド型貸
工場事業経営等点検会議につきましては、
液晶関連の専門家や税理士のほか、財団法人21あ
おもり産業総合支援センター、県の関係課長の五名で構成し、
貸し工場利用企業の
経営状況や
生産状況につきまして点検評価、情報の共有及び
意見交換等を行い、
貸し工場の円滑な運営に資するため設置したところでございます。
具体的には、
貸し工場利用企業から、
液晶関連の
事業環境を踏まえた今後の生産方針、生産活動に係る状況、
事業計画及び
資金計画等について報告を受けた上で、その内容を点検評価し、経営課題等について意見交換を行い、
利用企業に対して、助言、指導のほか、経営課題等の対応について検討していくこととしております。
この会議は、第一回会議を去る二月二十八日に開催し、
貸し工場利用企業の
生産状況等について報告を受け、
意見交換等を行ったところですが、今後も、定期的に、また状況に応じては随時開催することも検討しながら、
貸し工場利用企業が安定的に経営されるよう適切な助言、指導等を行っていくこととしております。
10 ◯議長(高樋 憲) 観光国際戦略局長。
11 ◯観光国際戦略局長(馬場良夫)
県立美術館に関します御質問三点についてお答え申し上げます。
まず、来年度予定している企画展の開催内容でございます。
県立美術館では、県民の皆様にすぐれた芸術を体感できる機会を提供するために、国内外のさまざまなテーマを取り上げた企画展を年三回開催することを基本方針としております。
平成二十四年度に予定しております企画展の第一弾は、世界に大きな影響を与えたフィンランドのモダンデザインをテーマに、フィンランドの自然や風土、ライフスタイルを絵画や彫刻、童話「ムーミン」の挿絵原画を通して紹介する「フィンランドのくらしとデザイン・ムーミンが住む森の生活展」を来る四月七日から開催するほか、第二弾は、夏休みの企画として、「Art and Air展」を開催いたしまして、空を飛ぶという人類の夢への挑戦、失敗、そして成功の歴史の中で、空と飛行機に対して人々が描いた思いや欲望をさまざまな作品や資料で紹介することとしております。さらに、第三弾は、県出身作家を取り上げる企画展として、国内外で活躍されております弘前市出身の美術家、奈良美智氏の新境地を切り開く展覧会「奈良美智展」を十月から三カ月にわたって開催することとしております。
次に、
県立美術館での国宝、
重要文化財、
重要美術品等の所有についてでございます。
国宝及び
重要文化財は、文化財保護法により、我が国にとって歴史上または芸術上価値の高いもの等が指定されているところでございます。
また、
重要美術品は、昭和八年に公布、施行されました
重要美術品等ノ保存ニ関スル法律により、我が国の貴重な美術品等の海外流出を防止するために認定されたものでございます。
現在、
県立美術館では、近代、現代の本県並びに国内外の美術の流れを展望するにふさわしいコレクションの形成を目指しておりまして、そういう美術作品を収集しておりますが、国宝、
重要文化財及び
重要美術品については所有していないところでございます。
次に、最後でございますが、
県立美術館におきます作品の収集についてでございます。
美術資料の収集、購入等につきましては、美術資料収集方針に従いまして、青森県美術資料収集評価委員会に、購入あるいは寄贈を受ける作品等について諮問いたしまして、青森県ゆかりの作家を中心に、国内外の近代美術の状況を理解するために必要と思われる作品を収集してきているところでございます。開館まで、美術館の基礎コレクションを構成するために購入を行い、以降は寄贈という形で作品の収集に努めているところでございます。
なお、展示に関しましては、企画展等におきまして、近代、現代だけではなく、例えば「ウィーン美術史美術館展」、これは平成二十一年度に行いましたが、十七世紀の絵画等を主に扱うということもございまして、企画展につきましては、近代、現代に限定した形での開催と限定しているところではないという状況にございます。
以上でございます。
12 ◯議長(高樋 憲) 教育長。
13 ◯教育長(橋本 都) 御質問九点にお答えいたします。
まず初めに、
夜間定時制に精通した人が検討委に入っていないのではないかというような御質問でございます。
高等学校グランドデザイン会議を総括する検討会議及び専門委員会、地区部会の委員には、
定時制教育に携わった者及び
定時制課程を持つ
高等学校の関係者も含めており、
定時制課程の配置についての見直しや、三部制定時制の独立校の設置などについて、志願・入学状況や在学者の現状等を踏まえた検討をしていただいたところであります。
なお、具体的な数字を申し上げますと、関係者は、検討会議は十九人中五人、専門委員会の委員二十六人中六人、地区部会三十人中三人となっております。
現任ではわからないかもしれませんが、過去にそういう教諭の経験等を持っているというようなことでございます。
次に、なぜ尾上総合高校に統合することになったのかということについてであります。
県立
高等学校教育改革第三次
実施計画では、
高等学校グランドデザイン会議の答申を踏まえ、教育の機会均等の観点から、六地区に普通課程の
定時制課程を各一校配置することを基本としております。
弘前中央高校、黒石高校の両校とも定員割れが続いており、今後も
中学校卒業予定者数の減少が見込まれるため、全日制課程と同等の教育を行うという
定時制課程における教育水準の維持向上を図る観点から集約することとしております。
集約に当たりましては、生徒が自分の学習スタイルに合わせて、午前、午後、夜間の時間帯を選択することができる三部制を導入し、中南地区にある県立学校の施設の中で、中南地区の三市から通学が可能であること、あるいは多様な
教育活動の展開が可能であることなどから尾上総合高校に三部制とすることとしたものでございます。
なお、これまでの弘前中央高校、黒石高校、尾上総合高校の三校の
定時制課程を合わせた生徒数で見ますと、出身市町村の割合はおおむね弘前市三五%、黒石市三〇%、平川市一五%、その他二〇%となっておりまして、三部制移行後も、三市を初め、中南地区それぞれから入学者があるものと予想を立てております。
次に、生徒の通学における安全確保についてであります。
先ほど議員から、そのような危ないことがあったというお話がございました。そして、地域の方が協力していただけるのかというふうなことでございましたが、実際、学校からは、平成十五年の夏に尾上高校前駅の付近で少女に暴行を加えた犯人を、その悲鳴を聞きつけた尾上高校の男子生徒が取り押さえた事件が発生しているということは聞いております。ただ、それ以来は聞いていないということで、また、実測として、前回の議会で四百メートルほどというふうに申し上げましたが、実測してみましたら三百五十メートルの距離でございました。
どの市街地の学校においても、田園地帯の学校においても、やはり安全確保は大事なことでありますので、今後とも生徒の下校時に、例えば、電車の時間が決まっておりますので、教職員が下校指導を行う。あるいは街灯について平川市にも協議をお願いして、より明るくできるように努める。また、防犯協会等と連携しまして、通学路の安全を含めた学校の安全体制の強化を図っていくなどの対応に努めたいと考えております。
次に、
教育環境の整備ということでございます。
だれのための
教育環境なのかということですが、
高等学校教育改革第三次
実施計画は、社会の変化や
中学校卒業予定者数のさらなる減少が予想される中にあって、現在、小学校や中学校で学んでいる子供たちが夢をはぐくみ、進路実現に向けた
高等学校教育を受けることができるよう策定したものでございます。
なお、
弘前中央高等学校で募集停止をしたとしても、在籍生徒については卒業まで同校で指導することとしております。
次に、働きながら学ぶ生徒の通学環境の整備と、あるいは
通信教育を併修するということはとてもできない状況にある、そういう実態を理解しているのかということでございます。
定時制課程の生徒の入学動機や、
アルバイトも含めた就業状況につきましては毎年確認させていただいております。弘前中央高校の定時制では、正規社員一人のほか、
アルバイトを含めますと、五月よりも少しふえ、十二月末時点では二十一人になっているというふうに聞いております。
三部制の学校を実施しています北斗高校、八戸中央高校の状況ですが、北斗高校の場合、午前部二八・二%、午後部一一・六%、夜間部二二・六%、八戸中央高校の午前部四三・一%、午後部一七・二%、夜間部三一・五%となっております。
なお、入学前に既に
アルバイト等をしている生徒につきましては、三部制の導入により就業時間に応じた学習時間を選択して受験することが可能でございます。
次に、働く場となる町に学校があるべきだということについてであります。
議長のお許しを得て、質問と答弁がちょっと食い違いましたので、お許しをいただいて、もう一度答弁させていただきます。
先ほど、働きながら学ぶ環境整備ということで、
通信教育で取れないというようなことでございましたので、そのことについての答弁をさせていただきます。
県内の
夜間定時制では、五校、通信制も併修しております。現在、弘前中央高校でも通信制の併修に取り組んでおり、定時制の時間割りの中に通信制の併修を組み込むことにより三年間で卒業できるようにしております。このことから、生徒の実態に応じてきめ細かな指導ができるよう検討してまいります。
次に、九月議会においてさまざまな意見について検討していくというふうな答弁であったが、どのようなことを検討しているのかということでございます。
尾上総合高等学校を定時制三部制に移行することに関しましては、中南地区の三部制高校の
設置場所、弘前市内で働く生徒の通学、不登校生徒等の学ぶ場所、
尾上総合高等学校の周辺の環境、通学費用の増加などについての御意見をいただいているところです。
これらの御意見等を踏まえまして、
尾上総合高等学校の教育内容の充実のほか、働きながら学習することのできる環境の整備、不登校などのさまざまな課題を抱えた生徒が学習することのできる環境の整備、夜間下校時の生徒の安全確保、経済的な理由により修学が困難な生徒への対応などについて検討しているところです。
次に、今回行われた
地区説明会の意見等に対してどのように対応するのかということです。
本年一月下旬から二月上旬にかけて県内十カ所で開催しました
高等学校教育改革第三次
実施計画に関する
地区説明会は、平成二十六年度からの後期
実施計画の実施期間の変更や地区ごとの
中学校卒業予定者数の減少に対する学校配置の方向性等について現段階での検討内容を説明し、県民の皆様から御意見をいただいたものであります。
中南地区においては、弘前市と黒石市の二会場で開催し、後期
実施計画の学校配置の方向性に関する御意見のほか、前期
実施計画における中南地区の
定時制課程に関しましても御意見をいただいたところです。
これまでにいただいている県民の皆様からの御意見に加えて、今回の
地区説明会における御意見や現在実施している意見募集にお寄せいただいた御意見も含めましてさらに検討してまいります。
最後に、
弘前中央高等学校定時制課程の閉課程は見直すべきであるということについての見解であります。
尾上総合高等学校への定時制三部制の導入並びに
弘前中央高等学校及び
黒石高等学校の
定時制課程の募集停止は平成二十五年度を計画していることから、現在実施している平成二十四年度
高等学校入学者選抜の状況を含め、志願・入学状況や生徒の状況について確認してまいります。
また、働きながら学ぼうとする生徒の修学機会が確保されるよう、県民の皆様からいただいた御意見も参考にしながら
関係機関と協議を行い、さらに検討してまいります。
以上でございます。
14 ◯議長(高樋 憲)
相馬議員。
15 ◯四十八番(
相馬しょういち) まず、
夜間定時制の問題からちょっとただしてみたいと思いますが、さっき定員割れという話がありますけれども、定時制で定員を満たすところがどこにありますか。北斗ぐらいのものでしょう。あとはなかなか、最初から一次で定員を満たすというのはほとんどない。ですから、その後、全日制の試験が終わった後、さらに二次のほうから入ってくるというのが一般的なんですよね。
そんなことですから、定数に満たないから云々という話は、もしどうしても定数に満たないのであれば定数を減らせばいいことであって、なくするという物の考え方は許されることではない。これは教育の機会均等のために絶対必要なことだということで、わざわざ昭和二十三年にこの制度を法律でつくったわけですよ。ただ、今確かに生徒は多様化していますが、やっぱり一番気を使っていかなきゃならないのは、就職している生徒のことなんです。そうでなければ、教育長が言っているように、時間を朝、昼、晩、それぞれ自分の状況に合わせればいいんですが、勤めている人はそうはいきませんよ。だれもそんな、好き勝手に、きょうは午後、あしたは午前なんていう人をだれも使いません。そういうものですから、やっぱりそういう勤めている生徒のことをもっと中心に考えていかなければだめなんですよ。一番問題のあるのはそこなんです。
ところが、どうもそれが欠落しているし、省いたほうがやりやすいからね。就職している人のことを考えないでやれば自由になりますよ。朝であれ、午後であれ、晩であれね。それではいけない。さっき私は壇上で申し上げましたが、もともとこの学校は、なぜ定通制ができたか。働きながら学ぶということだったんですよ。ところが、世の中が変わってきて、知事もさっき答えていますけれども、全日制に入ったけれどもなじめなくて定時制に転校する、こういうのもあります。ですから、もとになるのは、基本になるのは、働いている、就職している生徒なんです。それが今の場合に一番大変なことになっている。
通うにも時間がかかる。遠い。金もかかる。弘前駅からうちへ帰るのにも相当時間がかかる。そうすると、
通信教育の勉強をする時間がありますか。生身の人間ですよ。ロボットじゃない。
ですから、そういうことを十分考えた上で、私が言っている秋田県、山形県、福島県、みんなそういうことを十分に考慮して、通う生徒のために駅の隣のビルに入っているというようなこと、あるいは、秋田であれば歩いて五分ぐらいの場所に、市街地の五分ぐらいで通える場所に学校をつくっていくとしているわけですが、青森県の場合は――これはお金がないで済まないんですよ。お金がないから、あそこに校舎があるからあそこへ持っていくなんていうのは、そんな単純なものではない。しかし、今回のやり方を見ていると、あそこに校舎があるから、まことに単純にやっただけだろうと思いますよ。何か今度岩木高校の話が出ていますでしょう。岩木高校というのは弘前ですよ。弘前の市街地からもすぐの場所です。
なぜそういうようなことを考えないのか。行政というのは弱い立場の人に重点を置いてやるべきものなんですよ。強い者には行政は力をかす必要も何にもない。弱い者に行政が力をかしていく。だから行政があるんですよ。そんなことでなかったら行政は何も要らないんです。だから、弱い者に光を当てて、そしてやっていくのが行政の務めなんです。それが全然外れてしまっている。どちらかというと強い者のほうに目を向けているような感じさえするわけですが、これは絶対改めなきゃならないことだと、こういうふうに思います。
とにかく大変な場所であるということ。今までであれば、事故が起きたのは、女性に対する危害を加えようとしたのは、あそこは全日制ですよね。定時制も昼間定時制ですから。今度は、
夜間定時制は夜だけ通うわけですよね。もちろん昼間定時制は夜暗くなってからということはほとんどないわけですからね。そういうことで、これからも十分考えて、なぜ定通制ができたかということをもう一度考えて。今世の中が変わってきてはいるけれども、そのことをもう一度よく考えていただきたい。
それから、
貸し工場の件ですが、これは大丈夫ですか。こんな委員会を設けたって、これは後で何かあったときの口実に使う委員会でしょう。検討委員会でしょう。こういうのをやったんだけれどもなかなか思うように行かなかった。あのメンバーを見たって、経営のことに詳しい人がいますか。だから非常に危険だ。まして大手のメーカーもなかなか、やっと先月の二十九日に出資に応じた。しかし、前にも私が言ったように、たかが五百万です。私の五円よりもまだ少ない。だから、青森県から話があったんだからつき合っておこうということでしょう。
それからもう一つは、翔栄が一億は出しているけれども、常勤役員は出していない。これだって半分足を抜いていますよ。もしものことがあれば、常勤役員が出ていると責任の問題があるから最初から足を抜いておいたほうがいい。そういうことです。
ですから、その委員は、五人のメンバーだそうですが、どれだけ経営のことがわかるんですか。それは出てきた決算書を見ることは、税理士も入っているようですけれども、それは見ることは可能ですが、それで防げますか。そんなものじゃないですよ。そういう意味ではまだまだ危険な状態にある。予言するわけじゃないが、あの合弁のときに私が言ったとおりになっちゃった。これもそうなっては困るんですけれども、そうならないように、よほど腹を据えてかからないとだめだと思います。そんなに詳しい人はいないんだもの。どれだけあの委員会でいろいろ検討したことを聞くかどうか。聞く保証はないわけだ。民間の経営ですからね。そういうようなことです。
それから、美術館。
国宝も
重要文化財も
重要美術品もない。だから魅力のない美術館なんですよ。全く魅力のない美術館。日本画あるいは洋画の大家たちの展覧会をなぜもっとやらないんですか。外国からのあれは名画でないよ。名画は入っていません。私も全部、すぐ本を買って調べました。名画でないんです。だから、絵の裏から電気をやってね、あんなことをやったって全く子供だまし。県民は子供だましにあっているわけです。そうではなくて、もっと立派な美術品、日本の国内にあるでしょう。日本画だって、洋画だってありますよ。横山大観でも、竹内栖鳳でも、川合玉堂でも、いっぱいあるわけです。ですから、そういうことにもっと力を入れるべきだ。
それから、さっき私は近現代の話をしましたが、古いところでもすごい作品があるんですよ。今ちょうど京都の思文閣で出している本の中に弘前出身の建部綾足の絵が出ていました。これは値段はあえて私は申し上げませんが、飛び抜けた値段がついています。初めて私も見ました。思文閣に電話して確認しようと思っていましたけれどもね。
ですから、いろんなそういうものを――例えば美術館で、どこにだれが持っているかわからないでしょう、青森県内だって。もう少しきちっと調査をして、展覧会に役立つように。やっぱり地元の人たち、それから日本の人たちが持っているいろんな作品を――それはそれぞれの美術館でも持っていますよ。そういうものをやって県民に見せるということ。ムーミンだの、それはだめだと言いませんよ。何か美術館でないよね、最近ね。芸術館ですか、名称を変更したほうがいいかもしれませんけれども、そんなものばかりやっている。もっと肝心なものをやってくださいよ。例えば、洋画だって黒田清輝だとか梅原龍三郎だとかいっぱいあるんですよ。残念ですよ。もう少しそういうものに力を入れて。県民は関心を持っているんです。津軽家で持っておった紅白梅図、今、仙台できのうから始まりました。あれも本当はよそへ貸さないということだったんですが、今回は特別にあそこへ貸していたようですけれども、ですから、いろんなものがあるということで、そういうものにもっと配慮していただきたい。
終わります。
16 ◯議長(高樋 憲) 午さんのため、暫時休憩いたします。
午前十一時二十八分休憩
──────────────────────
午後一時再開
17 ◯副議長(相川正光) 休憩前に引き続いて会議を開きます。
一般質問を続行いたします。
六番工藤義春議員の登壇を許可いたします。――工藤議員。
18 ◯六番(工藤義春) 自由民主党の工藤義春でございます。
このたび、新人ながら今年度二回目の
一般質問の機会を与えてくださいました会派の諸先輩方に心から感謝を申し上げたいと思います。
早いもので、昨年の三・一一東日本大震災並びに福島第一原発事故からもうすぐ一年となりますが、お亡くなりになった方々に哀悼の意を表するとともに、いまだに避難されている方々にも心からお見舞いを申し上げたいと思います。
核燃料サイクル政策を含めた原子力政策については、私も五点ほど質問しようと思ったのですが、先般の代表質問で大先輩の阿部広悦議員がそれこそきめ細やかに質問なされ、その内容が私とほとんどダブっておりましたので、私はその質問することを取りやめました。そのことによって七、八分から十分ほど私の質問時間が非常に短くなったわけで、それでもこのままでいいかなと一たんは思ったんです。ところがです。同会派の先日の三橋一三先輩議員の言葉が私の脳裏をよぎりました。百三十六万人掛ける三十分、これは非常に貴重な時間である。そういうことで、私も、このままじゃいけない。少し何か自分の所感を述べよう、そういうふうに思ったわけであります。
そこで、原子力政策についても、私としての意見といいましょうか、所感を少し述べたいと思います。
日本がそもそも原子力政策に踏み込んだ理由、原点とはどこにあったんでしょうか。日本という国は原油や化石等の資源がほとんどない国でありまして、ほとんど輸入に頼っている国であります。輸入に左右されず、環境問題やコストの面などいろんなことを考慮し、将来にわたり常に安定的にエネルギーを国民に供給するため、そのことが一番大きな要因であり、選択肢だったと私は考えています。
今、福島第一原発事故により避難している福島県民の心情を察する余り脱原発が大きく取りざたされていますが、この想定外の今回の事故の問題と原子力政策は切り離して考えなきゃいけない問題だと私自身は思っています。なぜなら、今回はそれこそ想定外の未曾有の天災であり、確かに未曾有の地震と津波のせいで福島原発事故が起きました。もっときちんと安全対策をやっていれば防げたということで、これは人災だよと言う方もいらっしゃいますが、それはそうかもしれません。ただ、そのときは過去のデータや専門家によって築き上げられたものであり、それを超えたからこそ想定外なわけであります。想定外の天災というのには打ちかつことはできません。
しかし、それに打ちかつための努力はできます。人災は人間の努力と技術の進歩で改善できるんです。福島原発により避難している福島県民の心情を考えればという言葉がよく使われますが、それじゃ、東日本沿岸部で津波でお亡くなりになった方や家族を失った方々、避難されている方々は、その怒りをだれにぶつければいいんでしょう。ぶつける相手がいないんです。ただ、この事態への国の対応の遅さにみんなが不満をぶつけているんです。
心情を察すればというこの言葉を使うのであればですよ、もし脱原発ということになれば、これまで受け入れてきた立地地域のことを考えたことがあるでしょうか。そこの関連会社や、また雇用されている方々、そこで商売をやっている方々、いろんなことを考えるに、それこそ、脱原発と言ったら、そこの立地地域の自治体までもが破綻する可能性だってあるんです。
今、東京電力は火力発電を稼働させ、輸入による原油、化石等が非常に高騰しております。そのせいで、今度は企業に対し、電気料金一七%ぐらいですか、お願いしています。そのうち国民にもお願いするでしょう。この一七%の値上げ、それこそ、やっとの思いで経営をしている中小企業にとっては大変なことであり、ことごとく破綻しかねません。それこそ輸入に頼らなければいけない火力発電こそが依存度軽減を図っていかなきゃいけないと私は思っているわけであります。それが原子力政策を取り入れた原点であるんです。
総合資源エネルギーのベストミックスの実現に向けた方針には、私もどちらかというと賛成であります。大いにエネルギーを確保し、節電を強いられることもなく、電気料も安定したコストで供給されるのが一番望ましいことでもありますが、それは非常に長期的なことで、その間エネルギー不足はどうするのか。半世紀もの間取り組んできた原子力発電にこれからもその間は頼るしかないのではないでしょうか。政府は原子力に取り組んできた原点をしっかりと見きわめていただき、ぶれない方針を打ち出してほしいと思うわけであります。
三村知事におかれましても、最大限の安全対策が絶対条件のもとではありますが、これまでの経緯と立地県であることを踏まえ、これからも国へ筋を求めていってほしいと願う一人であります。
少し前口上が長くなりましたが、それでは、通告に従って質問に入らせていただきます。
最初に、一番目として、誘致企業の事業拡大について次のことをお伺いいたします。
一点目として、この不況の中、有効求人倍率は少し上向いてまいりましたが、かといって、県内の新卒者の就職率を見てもこれでいいということはないわけでありまして、県としてもこれまで企業誘致にはかなりの力を注いでまいったわけですが、今年度の企業誘致の実績についてお伺いしたいと思います。
二つ目として、これまでの本県に立地した誘致企業における雇用者数の現状についてもお伺いいたします。
次に、三点目として、誘致企業の事業拡大は、雇用創出はもちろんのこと、県内企業への発注増加にもつながることであり、相乗効果によって地元企業にもかなりの影響をもたらすと考えます。誘致企業はそのままのつながりで県外への発注が多いと思いますが、県内の企業でも対応できるところがあると考えます。ただ、お互いに知らない場合も多いでしょう。輸送のコスト等を考えたとき、県内発注のほうが絶対有利なことでありまして、県としても、橋渡しも含め積極的に支援すべきと考えますが、支援策なども含めた県の基本的な認識をお伺いしたいと思います。
次に、二番目として、
オーダーメード型貸し工場の利用状況についてであります。
これは午前中
相馬議員も質問なされましたが、ダブるかもしれませんけれども、これまでいろいろと話題にされてきた
オーダーメード型貸し工場も、ようやく新しい枠組みで昨年の十二月ANOVAとして合弁会社が誕生いたしました。これまでの経緯は再三議論されていますので省略いたしますが、そこで、次の三点についてお伺いしたいと思います。
まず、一点目として、
株式会社ANOVAの現状と来年度の売り上げ見込みについてお伺いいたします。
二点目として、
大手電機メーカーの資本参加の現状と、さらにふえるかもしれない見通し、そしてこの参加による経営上の効果についてお伺いいたします。
三点目として、私としては今度は順調に行くような気もするんですが、何せ二十九億円回収するには長い年月がかかります。決して安心してはいけないと思います。
株式会社ANOVAの
経営状況については、県は責任を持って監視していくべきと考えますが、今後どう取り組んでいくのかお伺いしたいと思います。
三番目として、今冬の豪雪被害と対策について幾らか質問いたします。
まず、一番目、防災体制について、次の二点についてお伺いいたします。
一点目、県も自治体も県民も豪雪で悲鳴を上げている状況ですが、今冬の除雪作業に伴う人的被害の状況についてお伺いします。また、地域別で見るとどうなのか、その辺もお伺いしたいと思います。
二点目として、豪雪被害の実態を踏まえ、例えば二月一日から二日にかけての国道二百七十九号線の通行どめした際の消防、警察、地域住民等の連携、温かいもてなし等の経験を踏まえて、雪害対策の強化に当たっては、防災
関係機関や地域住民との連携がいかに重要であるかと考えますが、県の見解をお伺いしたいと思います。
次に、リンゴ生産への豪雪による影響について二点ほどお伺いいたします。
豪雪のためリンゴ園へ足を踏み入れることができないため、枝折れ等の被害が多くなっているわけですが、次の二点について質問いたします。
一つ目として、リンゴ樹の枝折れ等の被害状況とその対策について本当は伺おうと思ったんですが、これについてはもう既に何人か質問しておりまして、農林水産部長も、雪解けしてからでないとはっきりした被害状況がつかめないと答弁しております。ですから、これに対する答弁は必要ありません。
二点目として、豪雪によるリンゴ生産への影響について、今後の気候等の影響もあると思いますが、そのリンゴ生産への影響をどういうふうに県は考えているのか伺いたいと思います。
三つ目として、施設栽培への影響について、次の二点についてお伺いいたします。
農業用パイプハウスの倒壊被害の現状と、特に中南地域に集中しているわけですが、この考えられる要因をお伺いいたします。
二点目として、パイプハウスは大体百坪規模で約百五十万円ぐらいかかると言われています。取り組んでいる方も、大体三棟から四棟、五棟、このくらいの規模で抱えております。それが崩壊したとなると、せっかく県の指導で冬の農業に取り組んできたのに、やる気が失われます。
そこで、農業用パイプハウスの復旧支援について県はどのように考えているのかお伺いいたします。
四番目として、除雪体制の確保について二点お伺いします。
一点目として、去る二月一日から二日にかけて、暴風雪により国道二百七十九号で立ち往生する車は数百台となり、中には三百台、五百台、いろいろな意見がありますが、大変な事態となったわけであります。確かに生活道路や幹線道路の通行どめのそのときの判断は大変難しいことではあると思います。県は、この経験を踏まえ、幹線道路の通行どめについて今後どのように検討し、また、体制を見直していくのかお伺いいたします。
二点目として、冬期閉鎖されている路線が幾つかありますが、災害はいつ起こるかわかりません。災害時の迂回路としてこの路線は必要なんじゃないかとか、活用できる場合もあると考えますが、通年通行に向けた検討について県の考え方をお伺いいたします。
大きい四番目として、新しい道路維持管理体制についてお伺いいたします。
次年度の四月から試行する下北地域における地域道路維持型方式による道路維持業務について、その概要と効果についてお伺いいたします。
二点目として、私は、この方式──共同企業体に委託するこの方式なんですが、道路維持業務を、下北地域だけじゃなく、早急に県内各地域で実施したほうがよいのではないかと考えますが、県の今後の取り組み方針についてお伺いしたいと思います。
次に、五番目であります。
地域全体で子供の安心・安全を守るための取り組みについて、次の二点ほどお伺いします。
私は地元の小学校の評議員をしております。会議の中でよく出てくる言葉は、学校と家庭と地域が連携して子供を守るということであります。学校では、交通事故や犯罪、災害等から子供を守るために、防犯教育、安全教育、防災訓練等いろいろと一生懸命取り組んでいるわけであります。ただ、近年、子供を取り巻く環境が非常に複雑多様化している中、パソコンや携帯電話の普及でネット上でのいじめや有害情報等の問題が生じているとのことであります。これに対し、学校のみでは対応が大変困難である状況にあります。
そこで、次の二点についてお伺いします。
一点目として、地域における子供の見守り活動に関する取り組みについてお伺いしたいと思います。
二点目として、子供たちのネット上のいじめや有害情報等の問題に対し、それこそ学校、保護者である家庭、地域が連携した対応が必要だと思いますが、
県教育委員会の取り組みについてお伺いしたいと思います。
次に、六番目であります。
県内市町村の財政健全化について二点ほど質問したいと思います。
本日は、大鰐町から、山田町長初め、何人かの議員さんも傍聴しておられます。
大鰐町は、バブル期のリゾート開発の破綻により、結論から言いますと、約六十六億円を三十年かけて、そういう長い年月をかけて返済していく計画となったわけですが、そこで、県に支援を求めてきた際に、県としては考慮しますが、ただし、前提としては町の自助努力が必要としたわけであります。大鰐町も早期財政健全化の計画方針のもと、いろいろとかなりの努力をしております。
先般、大鰐町への支援が報道されました。町長以下、地域住民が大変喜んでいることと思います。ただ、予算が通ってほしいと願うわけでありますが、そこで、県内唯一の財政健全化団体である大鰐町に対し、県ではどのような支援を行うのかお伺いしたいと思います。
二点目として、個々の団体で異なるとは思うんですが、県では、この財政状況が厳しい市町村に対し、今後どのような指導、支援を行っていくのかお伺いしたいと思います。
以上をもちまして、私からの壇上での質問を終わらせていただきます。
19 ◯副議長(相川正光) 知事。
20 ◯知事(
三村申吾) 工藤義春議員にお答えいたします。
まず、私からは、今年度の企業誘致実績についてでございます。
企業誘致は、地域の雇用や産業に直接的な効果を与えるなど、本県経済の活性化の有効な手段であると考えておりますが、全国的に国内の製造拠点の閉鎖や海外展開が相次ぐなど、企業誘致を取り巻く環境は非常に厳しい状況が続いております。
このような中にあって、今年度の企業誘致件数は、平成二十四年二月末時点ということになりますが、十二件を数え、三年ぶりに十件を超えるとともに、雇用計画も約七百八十人に達するなど、着実に成果を上げているものと考えております。分野別に見ますと、情報通信関連産業四件、農工ベストミックス関連産業三件となっており、本県の優位性が生かされた結果となっております。
今後、三月下旬には、FDAの青森―名古屋線が一日二便に増便されるほか、二十四年度末には上北道路の開通も予定されているなど、交通アクセスが向上し、本県の立地環境が一層整備されることから、企業誘致促進の絶好の機会ととらえ、企業誘致推進体制の充実を図りながら、私自身先頭に立ちまして、積極的かつ果敢に取り組んでいきます。
誘致企業の事業拡大に対しての支援の考え方であります。
県では、将来的にも雇用効果の高い企業の誘致に努めるとともに、立地後においても地元企業への波及効果を高めるため、誘致企業と地元企業との受発注促進や地元企業の技術力向上、人財育成に取り組んできたところであります。
私は、新たな企業の誘致と企業をとめ置くことの両面からの思い切った施策が必要であると考え、今年度新たに、誘致企業の事業拡大による雇用の創出と県内企業の受注増加につなげるための事業を行うこととし、本定例会に所要の予算を計上し、御審議をいただいているところであります。
具体的には、新たに一定の従業員を雇用した誘致企業に対する雇用奨励金事業を行うほか、県内の取引企業への発注額の合計が一億円以上増加し、かつ、その取引企業が新たに一定の従業員を雇用した場合、誘致企業に対し奨励金を支給することとしております。これらにより、百人を超える雇用創出と三億円以上の県内企業への発注増加が期待されるところでございます。
今後とも、先ほどもお話しいたしましたが、私みずから先頭に立って、新規立地はもとより、既に進出した誘致企業に対し事業拡大を積極的に働きかけ、本県の産業振興、雇用促進に寄与していきたいと考えております。
新しい道路維持管理体制についての概要と効果についてであります。
私は、青森県基本計画未来への挑戦におきまして、災害や危機に強い地域づくりを政策として掲げております。災害に強い安全・安心な県土づくりに向けて取り組んでいるところでございます。
その取り組みにおいて、地域の建設業は、災害対応、除雪、インフラの維持管理など、地域社会の維持に不可欠な役割を担っていると認識いたしております。
四月から下北地方で試行することとしております地域道路維持型方式による道路維持業務は、この地域の担い手であります建設業者に、これまで業務内容ごとに発注しておりました夏場の道路維持管理業務や冬場の除雪業務を、広域的に包括して、年間を通して新たな管理体制として取り組むこととするものでございます。
この新たな管理体制では、道路維持業務がその地域に精通した複数の建設業者で行われることになりますことから、平常時の道路維持管理はもとより、災害時の対応や豪雪時の除排雪にもその機動力や体制効果が発揮され、地域の方々の安全で安心な道路交通の確保に大いに資するものと期待しているところであります。
今後、下北地域での試行結果を踏まえ、課題や改善点等を検討していきます。
さて、大鰐町に対する支援でございます。
大鰐町では、昨年、第三セクター等改革推進債の活用により、財政運営上の長年の懸案でございました第三セクター等の債務を処理し、行財政運営の新たなスタートを切った次第でございます。
しかしながら、平成三十二年度まで実質公債費比率等が早期健全化基準を超えると見込まれるなど、特に、三セク債償還の初期段階において厳しい財政運営を強いられるものと見込まれております。
私は、元気なあおもり、個性と活力あふれる地域づくりを進め、人々が安心して暮らしていくためにも、市町村が持続可能な財政構造を確立し、安定した財政運営を行っていかなくてはならないと考えております。それは町長経験者としての思いでもございます。
このため、大鰐町みずからが一層の財政健全化に向けた自助努力をこれまで以上に進めていただくことを前提といたしまして、県としても、第三セクター等の処理に当たり、関係金融機関等において大鰐町の財政負担の軽減に向けた対策が講じられたこと、また、町が少しでも早く財政健全化団体を脱却し、将来にわたって持続的かつ安定的な財政運営を行っていく必要があること等から、町の財政健全化計画の実施状況等を踏まえながら、今後、十年間にわたり三セク債の利子償還額の二分の一に対し総額約二億八千万円の助成を行いたいとし、今定例会に平成二十四年度所要の予算案を上程し、御審議をいただいているところでございます。
私からは以上でございます。
21 ◯副議長(相川正光) 総務部長。
22 ◯総務部長(田辺康彦) 財政状況が厳しい市町村に対する支援についてでございます。
県では、これまでも、市町村振興資金の貸し付けに当たり、財政収支の悪化に対し改善努力をしている団体については、低利貸し付けによる財政支援を行ってきたほか、昨年度から、地方公共団体の財政の健全化に関する法律に定める健全化指標の状況が特に厳しい市町村に対しては、長期・無利子貸し付けによる支援を行っているところでございます。
さらに、全市町村を対象とする市町村元気事業費補助について、今定例会に所要の予算案を上程し、御審議いただいているところでありますが、当該事業においては、特に財政力の弱い団体に対する補助等を手厚くするほか、来年度は復興対策として一億円を追加するなど、財政状況が厳しい市町村を支援することとしております。
また、健全化判断比率が早期健全化基準に近い団体等に対しては、財政の健全化が図られるよう、公営企業等も含めた財政運営計画の策定を求め、財政の早期健全化に向けた取り組みを促してきたところでもございます。
今後も、これらの支援制度を活用しながら、市町村財政の健全化が着実に実施されるよう、その時々の個別課題への対応も含め、市町村の普通会計、公営
企業会計、さらには第三セクター等までも含めた市町村行財政運営全般についてきめ細かな助言を行ってまいります。
23 ◯副議長(相川正光) 行政改革・危機管理監。
24 ◯行政改革・危機管理監(小寺 謙) 防災体制の強化に関する御質問二点にお答えいたします。
初めに、今冬の除雪作業等に伴う人的被害の状況についてです。
県では、道路交通の確保を初めとした豪雪対策に万全を期すため、去る一月十三日に青森県豪雪対策本部を設置しましたが、今冬は、昨年十二月からまとまった降雪が続いていることから、除雪作業等に伴う事故が多発しているところです。
県内の人的被害の状況は、平成二十四年三月五日現在、死者十五名、負傷者二百六十名となっており、前年同期と比べ、死者は十二名、負傷者は百三十九名の増加となっております。
これを原因別で見ますと、除雪作業や屋根の雪おろし作業中の転落によるものが死者十二名、負傷者二百四名、屋根雪等の落下によるものが死者三名、負傷者五十三名などとなっています。また、発生地域別で見ますと、青森市が最も多く、死者、負傷者全体の約四割を占め、次いで、弘前市、五所川原市となっており、約八五%が津軽地域で発生しております。
次に、雪害対策の強化に向けた防災
関係機関や地域住民との連携についてです。
今冬の大雪により除雪作業等に伴う事故が多数発生するなど、県民生活に大きな影響が生じておりますが、県豪雪対策本部では、被害状況等の情報収集や除雪作業中の事故防止に向けた注意喚起等を行うとともに、適時適切な応急対策が実施できるよう、消防、警察、自衛隊等との緊密な連携をとっております。
去る二月一日から二日にかけて発生した暴風雪による国道二百七十九号の交通障害の際には、むつ市や横浜町では避難所が開設され、自治体職員や消防団、消防、警察、県職員等が、立ち往生した自動車の乗員の安否確認や避難誘導などを実施しましたが、悪天候の中、交通渋滞が大規模に及んだため、横浜町からの要求に基づき自衛隊に対して災害派遣を要請いたしました。
また、沿線の住民や事業者の方々が自主的に食料や毛布を提供し、住宅や店舗を一時避難場所として開放するなど、地域のきずなが大きな力を発揮いたしました。
災害発生時には、県や市町村が防災
関係機関と連携して速やかに応急対策を実施することが重要ですが、地域住民によるこうした活動が災害対応に大きな力を発揮することが改めて示されたことから、県としても地域防災力の強化に向けた取り組みを一層推進してまいります。
25 ◯副議長(相川正光)
商工労働部長。
26
◯商工労働部長(櫻庭洋一) 御質問四点にお答えいたします。
最初に、本県に立地した誘致企業における雇用者数の現状についてでございます。
本県誘致企業の従業員数につきましては、平成二十三年三月末現在、合計で約二万七千人となっております。特に製造業の従業員数に限ると、誘致企業合計で約二万二千人となっており、これは県全体の約三七%を占めております。
県では、誘致企業が本県の雇用の確保に重要な役割を果たしているものと認識しており、引き続き雇用効果の高い企業の誘致に努めるとともに、誘致企業の事業拡大等に対する支援にも積極的に取り組んでまいります。
次に、
株式会社ANOVAの現状と来年度の売り上げ見込みについてでございます。
昨年十二月から
オーダーメード型貸し工場を利用している
株式会社ANOVAでは、現在、カラーフィルターを中心に生産しており、従業員が九十八名、売り上げが毎月一億円余りとなるなど、おおむね順調に経営していると聞いております。また、
貸し工場のリース料についても、当社から財団法人21あ
おもり産業総合支援センターに毎月
計画どおり支払われております。
来年度につきましては、カラーフィルターのほか、より収益性の高いタッチパネルの生産、販売の拡大を図り、今年度以上に売り上げを伸ばしていく計画と聞いております。
次に、
大手電機メーカーの資本参加の見通しと参加による経営上の効果についてでございます。
株式会社ANOVAに対する
大手電機メーカーからの出資につきましては、去る二月二十九日付で、
株式会社ANOVAと三菱電機株式会社、株式会社日立プラントテクノロジー及び東芝プラントシステム株式会社との間で、それぞれ出資に係る諸契約が締結され、今月中には三社からそれぞれ出資金五百万円が払い込みされると聞いております。また、
株式会社カネカへの出資要請についても、現在カネカで検討をいただいているところでございます。
この出資によりまして、当社との新規取引や取引拡大、新たなビジネスに向けた技術連携や支援が期待され、ANOVAの一層の経営基盤の安定化や営業力、技術力の強化につながるものと考えております。
最後に、
株式会社ANOVAの
経営状況について県として責任を持って監視していくべきと考えるが、今後の取り組みについてでございます。
オーダーメイド型貸工場事業の実施主体である財団法人21あ
おもり産業総合支援センターにおきましては、県と連携し、
貸し工場の円滑な運営を図ることを目的として、専門家や
関係機関等で構成する
オーダーメイド型貸
工場事業経営状況等点検会議を設置し、去る二月二十八日に第一回会議を開催いたしました。
この会議では、
株式会社ANOVAより、
液晶関連の
事業環境を踏まえた今後の生産方針、生産活動に係る状況、
事業計画及び
資金計画等について御報告があり、委員からは、競争が激化している業界の中で安定した経営をしていくために、利益率の高いタッチパネルの製造販売等を拡大するとともに、最新の業界情報を得ながら、さらなる営業力、技術力の強化を図っていく必要があるなどのアドバイスがあったほか、経営計画につきまして、管理システムを活用したチェック体制づくりを行うべきという提案がありました。当会議では、今後とも定期的に開催し、当社に対する助言、指導等を行っていくこととしております。
このほか、業界に精通した県の
企業誘致顧問や
アドバイザー等の協力を得ながら、業界動向に係る情報提供や
事業環境の変化に対応した運営体制についてのアドバイス等も行っていくこととしております。
県としては、これらの取り組みを通じましてANOVAの経営の安定化が図られるよう、適切なチェック体制の強化等に努めてまいります。
27 ◯副議長(相川正光) 農林水産部長。
28 ◯農林水産部長(渋谷義仁) 今冬の豪雪被害と対策に関する御質問三点についてお答えいたします。
最初に、豪雪によるリンゴ生産への影響についてであります。
豪雪によるリンゴ生産への影響については、平成十七年の豪雪などの例を見ますと、矮化樹の枝折れや普通樹の主幹の裂開などの樹体被害による収量への影響に加え、消雪がおくれることにより、長期間雪に埋もれていた下枝の花芽の生育がおくれ、下枝の果実肥大が劣るなど、品質への影響も予想されます。
今冬の積雪は、平成十七年の豪雪時と状況が類似しており、自然消雪は四月になることも想定されることから、県では、融雪促進剤の積極的な散布により園内を均一に早目に消雪させることが重要であると考え、二月下旬から生産者向けに融雪促進のチラシを作成配布したほか、去る二月二十八日には、平川市広船で無人ヘリ利用による融雪促進剤散布の実演会を開催するなど、生産者に対し園地の融雪促進の啓発に努めているところでございます。
次に、農業用パイプハウスの被害が中南地域に集中している要因についてであります。
今冬の豪雪による農業用パイプハウスの被害は、三月五日現在、県全体で三百四十二棟、被害額は約一億一千万円に上り、このうち中南地域が百九十五棟、約六千八百万円と過半数を占めております。また、被害程度別では、補修不可能な全壊が県全体で二百二十三棟で、このうち中南地域が百四十九棟、さらに平川市が八十一棟と、全体の約四割を占めております。
中南地域に被害が集中した要因としては、他の地域と比較して、一月下旬から雪が断続して降ったことに加え、記録的な氷点下の気温が連続したことで、農業者による除排雪が間に合わなかったこと、農業用パイプハウスの上に積もった雪が滑り落ちなかったことなどが被害を拡大したものと考えられております。
また、平川市で全壊などの被害が多かったのは、周辺の市町村と比較して例年は積雪が少ないため、冬期間においても野菜や花卉などの生産が盛んなことから、ビニールを被覆したままの農業用パイプハウスが多かったことなどによるものと考えております。
最後に、農業用パイプハウスの復旧支援についてであります。
今冬の豪雪については、平成十七年及び十八年など、過去において被害を受けた教訓が生かされ、農業者の昼夜たがわぬ懸命な雪おろしや、除排雪のためハウス間隔を広げる工夫などにより、県内の多くのハウスでは被害の発生を防止することができました。
しかし、雪おろしなどが間に合わず、被害を受けた農業者については、まず、低利な融資制度や園芸施設共済金の活用により復旧することが必要と考え、関係団体へ手続が円滑に進むよう働きかけたところでございます。
また、現在、市町村や関係団体と連携して被害調査を進めているところであり、県としては、今後、リンゴなども含めて、県全体の被害の実態を正確に把握した上で必要に応じて国へ要請するなど、迅速かつ的確に対応してまいりたいと考えております。
以上でございます。
29 ◯副議長(相川正光) 県土整備部長。
30 ◯県土整備部長(大澤健治) 御質問三点についてお答えいたします。
まず、国道二百七十九号等を通行どめとした経験を踏まえての幹線道路の通行どめについての検討、体制見直しについてでございます。
県では、二月一日から二日にかけて、国道二百七十九号を含む八路線十一カ所を通行どめとしました。現在は、県内の各地域県民局、庁内関係課、県警察本部等と幹線道路の通行どめに関する連絡会議を設置し、その中で、国、市町村などの関係機関との連携、マスコミや被災者への情報提供のあり方、情報収集の体制などについて検証しているところです。
今後は、代替路線のない幹線道路の通行どめを判断する場合に考慮すべき事項、早期通行どめとした場合の影響や
関係機関への連絡体制、周辺道路の交通状況確認など、広域的な視点が必要な冬期間の道路管理のあり方について鋭意検討してまいります。
次に、冬期閉鎖されている路線の災害時の迂回路としての通年通行に向けた検討についてでございます。
県では、積雪が多いなど気象条件が厳しい区間、急カーブや急勾配など道路状況が厳しい区間、また、交通量が少ない区間などを基本とし、地元や
関係機関と調整を図り冬期閉鎖区間を設定しております。
冬期閉鎖路線の見直しにつきましては、現状での交通量などを勘案していく必要がありまして、今後の検討課題とさせていただきます。
最後に、地域道路維持型方式について県内全域で実施すべきと考えるが、今後の取り組み方針についてでございます。
四月から下北地域で試行する地域道路維持型方式による道路維持業務は、道路維持管理の担い手である地域建設業者による夏場の道路維持管理や、除草、冬の除雪など、複数業務を広域的に包括し、年間を通した新たな道路維持管理体制として取り組むものであります。
この地域道路維持型方式につきましては、国においてもその導入を提案しているものですが、長期間契約によることなどにより、先ほど知事がお答えした効果のほかにも、雇用の平準化、計画的な人員、機械の確保、技能の継承などが図られ、建設業者の経営の安定化にも寄与する効果が見込めるものとされております。
今後は、下北地域での試行結果を踏まえ、これらの効果を検証しつつ、課題や改善点等を整理した上で、県内各地域での導入の可能性について検討してまいりたいと考えております。
31 ◯副議長(相川正光) 教育長。
32 ◯教育長(橋本 都) 御質問二点にお答えいたします。
初めに、地域における子供の見守り活動に関する
県教育委員会の取り組みについてです。
子供の安全・安心を守るためには、学校、家庭、地域が連携して取り組むことが重要であると考えております。
このため、
県教育委員会では、平成二十二、二十三年度の二カ年にわたり、子どもを見守るみんなの目推進事業を実施して、地域の安全・安心は地域でつくり出していくという機運の向上に努めてきたところです。
具体的には、二年間で約四万七千人の県民が子供を見守るための行動宣言を行い、夏休み明けの二週間を集中行動期間として、各地域の学校、PTA、町内会や民間企業等が連携し、あいさつ、声かけ運動や登下校時の防犯パトロールなどを実施しました。このような活動を通じて、地域全体で子供を見守る活動の輪が広がり始めています。
来年度は、PTAや防犯協会等、各団体との連携をさらに強化するとともに、ワークショップを開催し、子供の危険回避能力を引き出すことを目指した地域みんなでつくる子どもの安全・安心実践事業を実施することとしております。
県教育委員会としましては、今後とも、地域に暮らすより多くの方々の協力を得ながら子供の見守り活動を推進してまいります。
次に、ネット上のいじめや有害情報等の問題に対し、学校、家庭、地域が連携した取り組みということについてです。
携帯電話やパソコンの普及により、子供を取り巻く環境が変化し、ネット上のいじめや有害情報等の問題も生じてきております。
このため、
県教育委員会では、平成二十二、二十三年度の二カ年にわたり、ネット見守り体制推進事業を実施し、学校非公式サイトなど、ネット上の実態について保護者や地域住民の理解促進を図るとともに、地域全体が一体となり、子供たちの健全育成に取り組む体制づくりに努めてまいりました。
具体的には、今年度は、県内六地区で中学校及び
高等学校各一校を指定し、学校、家庭、地域ボランティア等によるネットパトロール隊を組織して、ネット見守り活動や保護者等への啓発活動を行ってまいりました。この取り組みを通して、子供の健全育成に強い意識づけを図ることができた、子供のネット上のいじめや問題サイトの利用の抑止につながったなどの報告を受けております。
来年度は、家庭、地域と連携したネット見守り体制の普及や、子供たちのネットモラルの一層の向上などを目指して、新たにいじめのない学校づくり推進事業を実施するため、本定例会に所要の予算を計上し、御審議いただいているところであります。
以上です。
33 ◯副議長(相川正光) 工藤義春議員。
34 ◯六番(工藤義春) 再質問はございませんが、二、三要望したいと思います。
まず、豪雪による被害状況、リンゴの枝折れとパイプハウス、まだはっきりと把握されていないんですが、パイプハウスのほうは大体この辺でもつかめるのかなと。一刻も早い県の御指導、御支援、それを本当に農家の人たちは困っておりますので、何とかその辺はよろしくお願いしたいと思います。
あともう一つ、下北半島のほうで試行的に実施されます新しい道路維持管理体制なんですが、これは十七年とか十八年の豪雪のとき、こういういい方式が出てこなかったのかなと、そう感じます。とにかくこれは業者にとっても通年で仕事があるし、非常にいいことだと私は思っています。ぜひともこれは、下北に限らず、今回試行で一年間見るわけですけれども、よかったら、次から次へと各地域に広めてほしいなと、そう思っております。
最後の三番目の要望です。
大鰐町のことでありますけれども、この十年間という温かい御支援、本当にうれしく思うわけでありますが、かといって、まだこれからでも大鰐町としては厳しい財政が続くわけでして、今後とも、県としても、御指導、御支援、見守りながらそういうところをきちんと考えていってくれればなと。一刻も早く健全化団体から脱却させて、この気持ちは皆さん一緒じゃないかと思いますので、その辺はひとつよろしくお願いして、要望を終わります。
35 ◯副議長(相川正光) 四十六番中村寿文議員の登壇を許可いたします。――中村議員。
36 ◯四十六番(中村寿文) 民主党会派の中村寿文でございます。
所見を申し上げながら質問いたします。なお、議長のお許しをいただき、これまでの
一般質問で重複した部分については割愛をしていきます。
今、長引く不況に、東日本大震災が追い打ちをかけるとともに、ギリシャを初めとした欧州債務危機を背景とする世界経済の減速、円高による海外生産へのシフト、さらには原発の停止による燃料輸入の大幅な増加等により、我が国の貿易収支は、オイルショック以来三十七年ぶりの赤字となっております。
輸出産業の停滞は、我が国の経済成長に大きな影を落とすことも懸念されております。我が国を取り巻く環境がこのような状況にある中にあっても、東日本大震災からの復旧・復興に向け、東北は一歩一歩着実に前進しております。