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  1. 青森県議会 2011-03-02
    平成23年第265回定例会(第2号)  本文 開催日: 2011-03-02


    取得元: 青森県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-08
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯議長(長尾忠行) ただいまより会議を開きます。    ──────────────────────       ◎ 議   会   報   告    ────────────────────── 2 ◯議長(長尾忠行) 議会報告として、第五号「地方公務員法第五条第二項の規定による意見について」をお手元に配付してあります。    ──────────────────────       ◎ 県政に対する一般質問    ────────────────────── 3 ◯議長(長尾忠行) 一般質問を行います。  三十八番阿部広悦議員の登壇を許可いたします。──阿部議員。 4 ◯三十八番(阿部広悦) おはようございます。自由民主党の阿部であります。  第二百六十五回定例会において、党を代表して質問をしてまいります。  志をもって言を発し、言をもって信を出す、信をもって志を立つ。志をもって言葉を発し、その言葉をもって信頼を得る、その信頼をもって志を立てる、そういうことだろうと思います。どのような道を進むに当たりましても、志を立て、それに向かっていくものであります。特に、我々が歩んでいるこの政治の道に、その志ある言葉が大切、大事ではなかろうかなと思っております。今、中央政界のリーダーたる人たちの言葉の軽さが政治に対し信頼を失わせている元凶だと、私はそう思っております。信頼を得られることのできる志ある言葉をもって質問をしてまいりますので、知事におかれましても、自分の言葉で、志ある言葉で御答弁を願いたいと思います。  それでは、現在の国政の混乱や県政のこれまでの歩みなどを振り返り、所感を申し述べさせていただき、質問してまいります。  まず、国政、民主党政権についてであります。  政権交代から一年以上経過した今、感じるに、日本国の行く末に憂慮を感じ得ません。新政権下で二名の総理が任につきましたが、その両総理の国際会議での勝手な発言、突然のCO2二五%削減発言、あるいは、まだ結論は出ていませんがTPP参加発言、あるいは安全保障にかかわる基本的問題である沖縄普天間の無責任発言、尖閣諸島での処理の誤りなどなど、国際的な日本の国威の失墜はおろか、国内にあっても政権の支持率は二〇%を切るありさまであります。  また、この一、二年で地方が急速に活力を失った要因は、民主党の大揺れに揺れ、ぶれている地方軽視の政策にほかなりません。タイミングを逸した景気対策を初め、地方にとって必要な事業も事業仕分けという名のもとに容赦なく切り捨ててきました。民主党マニフェストは今や色あせ、多くの国民はこんなはずじゃなかったと落胆しているのではないでしょうか。子ども手当、農家の戸別所得補償制度高速道路無料化、高校授業料の無償化のいわゆるばらまき4Kと言われる民主党の政策は、財源の裏づけが明確でなく、政策効果が極めて薄いと言わざるを得ません。  政権交代後、「コンクリートから人へ」のかけ声のもとに行われた公共事業費の急激な削減により、地方の建設業者は壊滅的な打撃を受けました。本県にあっては、建設業者が倒産、廃業してしまい、このたびの大雪被害では除雪に対応できないという事態まで発生しております。さらに、公共事業削減の影響を受け、自前で重機を所有する業者が減少している状況です。このことは、突発的に来る災害時に即応できない局面を招き、人命を危機に陥れていることを認識すべきであります。コンクリートで人を守っている地域もあることを認識すべきであります。  マニフェストの目玉政策である子ども手当は、制度として破綻しているにもかかわらず、地方に負担を押しつけることで取り繕っており、多くの地方自治体から、約束どおり全額国費として計上すべきとの声も上がっております。財源の当てがない子ども手当制度は早急に撤回すべきであります。  我が自由民主党は、景気回復はまず地方を元気にとの認識で、地域の雇用を守るだけでなく、創出することで、活力と独自性、安全な地域で暮らせる社会の実現を目指しております。将来の安心のためには財政規律の確立が急務であり、過去の反省を踏まえ、未来に責任を果たすため、財政健全化責任法案を提案しているところであります。
     続いて、三村知事の県政運営の採点であります。  知事就任の平成十五年当時の地方経済は、バブル崩壊後の長引く景気低迷による瀕死の状態にありました。その後、ようやく落ちつきの兆しが見られたのもつかの間、米国発の金融危機に端を発した百年に一度と言われる世界的な経済不況や昨今の円高デフレ不況なども加えた外的要因が今も本県の経済・雇用情勢に大きな影を落としております。  このように経済面での成長が望めない時期にあっても、知事は、就任以来、地域が変われば日本が変わる、青森県をより一層元気にし、暮らしやすさではどこにも負けない地域とし、産業振興や雇用の拡大に取り組み、新たなシステムづくりを進めてきました。この結果、農林水産業においては、県産品取引数量の拡大、農林水産物輸出額の大幅増を初め、経済情勢が厳しい中にあって、企業誘致・増設の数は二百件に達し、延べ三千人の新規雇用を創出し、最近では、東北新幹線の全線開業に合わせた集中的な取り組みにより県内観光施設の入り込み数が増加するなど、さまざまな成果があらわれてきております。  昨年末に新聞社が行った企業アンケート調査によれば、三村県政の経済政策に対する支持率は五〇%を超え、七〇%以上の企業が新幹線開業効果に期待を寄せているとのことであります。また、知事は、青森県を絶対につぶさないといった強い決意のもと、多額の財源不足に対処し、財政再建団体への転落を回避するばかりか、元金ベースでのプライマリーバランスを実質的に黒字転換させ、さらには、二十三年度当初予算において、目標を一年前倒しする形で実質的な収支均衡を達成させました。このことは賞賛に値するものと思っております。  私は、常々、予算というものは入りをもって出るをはかる、つまり、時々の収入をしっかりと把握した上で支出先を決めていくことが最も大事であると考えております。今、菅政権が行っている子ども手当などの財源なきばらまきは、入りもはからず出るに任せるといった状況であります。これまで地に足のついた財政構造改革を行ってきた県政とは比べるには余りあるものと思います。  しかし、手厳しく申し上げれば、社会の動きが右下がりの中、どうしようもない状況とは思いますが、知事就任以来、県債がふえているのは事実であります。基金が確実に減ってきているのも事実であります。財政改革と地域振興施策は、もとより矛盾を大いに含むものですが、そのバランスをとるところに政治の妙があるものだと思っております。  政治指導者に求められるのは、成熟したバランス感覚であり、冷徹な現実判断であると言われております。  さて、知事は、さきの定例会において、我が自由民主党会派の成田一憲議員の質問に対し、本年六月の次期青森県知事選挙への出馬を表明いたしました。  去る一月七日には、我々自由民主党との間で十項目から成る政策協定を締結し、これまでの取り組みに花を咲かせ、果実を収穫する三期目に向けて走り出しました。知事には、公正公平を旨に、誠心誠意の努力を傾注して、これからも未来の青森県づくりに邁進していただくようお願いするとともに、私どももこの場で御一緒することをお約束申し上げます。  以上の観点から、通告に従い、順次質問いたします。  最初は、平成二十三年度当初予算の内容と特徴についてでございます。  平成二十三年度の国の一般会計予算規模は過去最高の九十二兆四千億余円、国債発行予定額は四十四兆二千億余円で、国債依存度がさらに高まり、仮にこのまま成立いたしますと、平成二十三年度末の公債残高は六百六十八兆円に達し、対GDP比で一三八%と世界の先進国の中でもワーストの水準であります。  また、平成二十三年度の地方財政計画は八十二兆五千億余円と〇・五%増加しておりますが、社会保障関係費や生活保護費などに対応する部分が増加分の大宗を占めており、逆に投資的経費はマイナス五・一%まで切り詰められるなど、依然として厳しい財政状況のままであります。  徹底的な無駄削減によって九・一兆円の財源を捻出すると豪語していた民主党政権でありましたが、あの政治ショーと化した事業仕分けの削減額を寄せ集めても一兆円にも届きませんでした。それでいながら、子ども手当や高速道路の無料化など総額四兆円を超える財源が必要となるマニフェスト関連にこだわった予算編成を行ったのであります。その結果、御案内のとおり、予算関連法案の成立は風前のともしびなのであります。  こうした中で、県の二十三年度予算編成には大変な御苦労があったものと拝察いたします。国政の動向が不透明な中、また、依然として税収の見通しが不透明な中にあって、昨年度に引き続き前年比〇・一%増のプラス予算を確保し、さらには、事実上の収支均衡予算を達成したものと伺っております。  我が自由民主党会派といたしましては、財政健全化にも配慮しながら、景気、雇用への対応など前向きな施策を取り上げた予算であると受けとめたところでございます。  そこで、まず、次の二点についてお伺いいたします。  一点目として、平成二十三年度当初予算の編成に当たっての基本的な考え方と、仕上がった予算に対する知事の評価をお伺いいたします。  二点目として、実質的に収支均衡を達成したとされていますが、今後の財政運営についてはどのように進めていく考えなのか、知事の決意をお伺いいたします。  続いて、我々自民党との政策協定と二十三年度当初予算の関係について質問してまいります。  まず、景気・雇用対策についてであります。  本年二月の月例経済報告によると、最近の我が国経済は、持ち直しに向けた動きが見られ、足踏み状態を脱しつつあるとされているところでありますが、それが本県に波及するまでには至っておらず、本県の経済情勢はいまだ非常に厳しい状況にあると言わざるを得ないのであります。  雇用情勢についても、有効求人倍率は低水準にとどまり、高等学校新規学卒者の就職内定状況などを見ても、若年者の就職状況などは依然として憂慮すべき状況にあり、県内における雇用の場の確保が喫緊の大きな課題となっております。私は、このような厳しい経済情勢が続く中にあってこそ、景気・雇用対策を最重点で取り組むことが極めて重要であると考えております。  知事は、我が自由民主党県連と締結した政策協定について、十項目の基本政策を大切にしながらしっかり取り組んでいきたいと決意を表明いたしました。この政策協定においては、一つ、元気な青森をつくり出すために積極的な景気対策を進めることとし、特に、本県の地域資源を生かし、東北新幹線全線開業のメリットを最大限に活用した戦略的な観光産業の振興を図ること、一つ、生活安定と生きがいのために雇用対策を実現することとし、特に、本県の将来を担う新規学卒者等への対応を急ぐことなどを基本政策としており、お互いに協力をして青森県の発展と県民福祉の向上に努めることで合意を見たところであります。  私は、知事に、この政策協定の締結を重く受けとめ、スピード感を持って目に見える形で取り組むことを強く求めるとともに、力強い県政のかじ取りを大いに期待するものであります。  そこで伺いますが、厳しい経済情勢が続く中、平成二十三年度当初予算における未来への挑戦推進事業では、景気・雇用対策について、自由民主党との政策協定をどのように反映させたのかお伺いいたします。  さて、我々自由民主党は、政策を実行するに当たっては、公正公平を旨に合意形成を怠らず、努力を傾注して県民の負託にこたえることが何より大切だと考えております。もちろん、知事がこれまで挙げてきた持続可能な財政構造の確立は重要でありますが、厳しい財政環境にあっても、県民の視座に立ち、時には果敢な対応も必要であります。  特に、地域インフラ整備広域ネットワークの整備は一時に多額の経費が必要となりますが、県民福祉の向上のためには重点的な予算配分による果敢な政策の実行が必要であります。例えば、屋内スケート場の建設について、知事が常々消さないと言っている希望の灯は、極めて小さなともしびではあったのですが、今回、ゆらゆらと燃え上がろうとしていると思っております。  西北五地域保健医療圏自治体病院についても、一昨年の四月、自由民主党政権下での経済危機対策において地域医療再生臨時特例交付金を都道府県に交付することを決定しておりましたが、その後、現政権が行った補正予算の執行見直しにより七百五十億円が執行停止とされ、当初百億円を見込んでいた交付金が二十五億円まで減額された経緯があります。支援の見通しがなければ、西北五地域保健医療圏の機能再編はストップしてしまうのであります。  また、大間─函館航路については、存続の合意がされたと聞いておりますが、東北新幹線が全線開業し、さらに北海道新幹線新函館開業を五年後に控える中、北海道道南地域を含めた広域観光を推進していくためにも、本航路への支援は必要でございます。  このような視点で今回提案された当初予算を見てみますと、これまでの対応から一歩踏み込んだ提案がされているように受けとめます。  そこで、西北五地域保健医療圏自治体病院機能再編整備費補助について、一つ、スポーツ振興基盤整備検討調査費について、一つ、屋内スケート場立地適性調査事業費について、一つ、弘前地域研究所整備調査検討事業費について、一つ、大間・函館航路新船建造費補助について、以上五施策について、今後どのように進めていくのか、県の見解をお伺いいたします。  質問の二番目は、本県の農林水産業の振興についてであります。  まず、連日のように新聞紙上をにぎわせている環太平洋連携協定(TPP)についてであります。  我が国は、私が申すまでもなく、貿易立国であります。確かに、戦後の高度成長期を経て、これまで、アメリカを初めとする諸外国に自動車など工業製品を輸出することで我が国は大いに潤い、その恩恵で先進国の仲間入りをすることができました。私は、自由貿易それ自体を否定するものではございません。しかしながら、高度経済成長を陰で支えたのは、都会や工業地帯に食料を供給し続けた地方の農業者や漁業者の苦労だったのであります。  我が国の食料自給率は、今や四〇%と先進諸国の中では極めて低い水準にあります。政府は、昨年三月、これを五〇%にまで高めるとし、新たに食料・農業・農村基本計画に明記いたしました。しかし、その一方で、同じ政府が突如、例外なき関税の撤廃を目指すTPP交渉への参加に向け、各国との協議を開始するとしたのであります。果たして、食料自給率の向上とTPPへの参加は両立するのでしょうか。答えはノーであります。  何ら対策を示さず、地方の意見も聞かず、十分な論議もないまま、平成の開国と称し、まるで我が国が鎖国でもしているかのように宣伝し、交渉参加ありきといった前のめりの姿勢を打ち出していることは、極めて遺憾で、無責任と言わざるを得ません。仮に、TPP協定に参加し、関税が撤廃された場合、米を初め海外から安価な農畜産物が押し寄せ、本県はもとより国内農業が壊滅的な打撃を受けることは明らかでございます。我が国の食を支えてきた本県農林水産業に与えるダメージははかり知れず、三村県政が推進する食品製造業の振興を初め、流通業など関連産業も大きな打撃を受けることは必至であります。  そこで、質問でございます。  政権が進める環太平洋連携協定(TPP)への参加には断固反対すべきと考えますが、知事の見解を伺います。  次に、農業農村整備予算の確保についてお尋ねいたします。  今さら申し上げるまでもなく、本県は、我が国有数の食料供給県として確固たる地位を築いてまいりました。この大きな要因としては、緑豊かな森林、広大で生産力の高い農地、多くの資源に恵まれた漁場などの環境のもとで、安全・安心ですぐれた農林水産物が生産されてきたことにあります。  私は、国民の食料と環境を守る視点から、今後とも国の責務において農林水産業の生産基盤を維持していくことが極めて重要だと考えておりますが、国の予算状況を見ると、とりわけ農業農村整備事業予算が大幅に削減されています。今こそ、知事が提唱する環境公共の推進が、農山漁村が求めている地域コミュニティーの再生、さらには循環型社会の実現に向けた社会資本の整備に大きく貢献するものと考えます。  そこで、国レベルで大幅に削減されている農業農村整備事業予算を確保するためには環境公共型の事業を推進すべきと考えますが、県はどのように進めていくのかお伺いいたします。  三番目の質問は、県民の命を守る医療の充実についてでございます。  一点目として、がん対策についてお伺いいたします。  がんは本県の死亡原因の第一位であり、毎年四千名を超える方々ががんで亡くなっております。また、平均寿命、そしてがん年齢調整死亡率全国最下位レベルに低迷している本県にとって、がん対策は重要な課題でございます。  県では、平成二十年に青森県がん対策推進計画を策定し、がんの予防、早期発見、がん医療対策といった総合的な対策を医療機関関係者や県民が一丸となって推進することとしたほか、青森県基本計画未来への挑戦においても、がんの克服を初めとした健康寿命アップの推進を政策の柱に位置づけ、がん対策先進県の実現を図ることとされています。また、昨今の県の動向を見ますと、がん情報サイト「青森県がん情報サービス」のオープンや、新年度からのがん・生活習慣病対策課の発足など、新たな動きも見られます。  そこで、がん対策については、これからの本県の健康・医療政策の中で非常に重要な位置を占めるものと考えますので、がん対策先進県の実現に向けた県の取り組みについてお伺いいたします。  次に、重粒子線がん治療施設についてであります。  重粒子線治療については、短時間、短期間での治療が可能であるなど、そのメリットは、がんによる死亡者数が多い本県にとって大いに魅力的であると考えております。  そのような中、弘前大学で重粒子線治療施設の整備計画があると伺い、我が自由民主党会派では、昨年九月に、弘前大学の医学部教授佐藤先生を初め三名の担当者の方々にお越しいただき、当該施設の概要や施設整備のメリットについて御説明をいただき、勉強をさせていただきました。重粒子線治療は、現時点で厚生労働省から先進医療として認められていないことや施設整備に多額の経費がかかるなどハードルが高いことも認識をいたしておりますが、医師確保や産学官連携等の場面で県と緊密な関係にある弘前大学が前向きに計画しているものでありますので、私は、県としてもこの重粒子線がん治療施設整備の実現に支援すべきではないかと考えております。県の見解をお伺いいたします。  質問の四番目は、未来を担う人づくりについてであります。  一年の計を立てるなら麦を植えろ、十年の計を立てるなら木を植えろ、百年の計を立てるなら人を植えろというふうに、人づくりに対しましては、やはり百年の計というものを持ちながら計画を立てていくものだろうと思っております。  まず最初に、学力向上のための小学校と中学校の連携についてお尋ねしてまいります。  本県では、田子地域とむつ地域において連携型中高一貫教育が、また、県立三本木高等学校と附属中学校においては併設型中高一貫教育が実施されております。これら中高一貫教育を行っている学校では、生徒が自分の力や適性に応じて進路を選択し、それぞれの進路の希望が達成されるなど、その特徴を生かした取り組みがされていると伺っております。  私は、子供の学力向上を図るためには、このような中高一貫教育に加え、小学校と中学校が連携していくことが極めて重要であると考えております。このため、本県の子供たちの学力を高めていくためには、小・中学校の連携に関するモデル校を指定し、実践研究を行うべきだと考えておりますが、このことについて県教育委員会の見解をお尋ねいたします。  次に、子供の規範意識を向上させるための取り組みについてお尋ね申し上げます。  昨今、いじめ、不登校、児童生徒の問題行動などがテレビや新聞で毎日のように報道され、子供たちを取り巻く状況は極めて深刻であると思います。この要因としては、少子化、情報化といった社会情勢の大きな変化が挙げられますが、とりわけ、最低限の決まりを守るという子供たちの意識が低下している実態があり、子供たちの規範意識を向上させる取り組みが今最も求められているものと考えております。  この課題を解決するには、学校、家庭、地域がこれまで以上に連携を深め、子供たちに向き合い、協働して子供を育てていくことが必要であります。特に、子供たちの教育の中核である学校現場においてこそ道徳教育の一層の充実が求められ、その担い手である教員の役割がますます高くなってくると思うのであります。  そこで、道徳教育に係る教育長の見解と、教育委員会では教員の資質向上策をどのように図っていくのかお尋ねを申し上げる次第でございます。  質問の五番目は、児童虐待防止への取り組みについてでございます。  平成十二年に児童虐待防止法が制定され、各地域において児童虐待を防止する枠組みが構築されました。しかしながら、法律施行後も数々の事件が起こっております。これは、児童相談所、自治体、警察の連携がうまく機能していなかったことが問題として挙げられています。かけがえのない小さな命を救うためには、児童虐待防止法がきちんと有効に運用されることが大事であります。  まず、児童虐待の通告があってから、児童相談所では、児童福祉司が四十八時間以内に子供たちの安否を目視で確認することとされております。児童虐待にかかわる相談がふえている中、児童福祉司はそのすべてに的確に対応していかなければなりません。このためには、児童相談所が専門性を高めていくことも必要ですし、子供や家庭を支援していただく保健、医療などに携わる方々が児童虐待についての理解を深めていただくことも必要でございます。そして、子供が危険な状況にあった場合、親と分離して一時保護をすることとなりますが、子供の安全を確保するためには警察の支援も必要であり、ふだんから警察との連携も整えておく必要がございます。  昨年六月大阪で発生した、母親が二人の幼い子供をマンションに放置し死亡させた事件。痛々しいというよりも、なぜ防ぐことができなかったのか、同種の育児放棄事件を経験していて、そして何度も何度もこれを繰り返す社会の冷たさを私は感じたものであります。密室で起こる身内の、しかも、本来助けを求められる側の母が鬼と変わる。助けを求めた小さな手がむなしく空をさまよう。人の子を食らう鬼子母神ですら自分の子には乳を含ませるものをと思えば思うほどいたたまれない。それも、きょうだい二人が、どちらが先に眠ったかはわかりませんが、息をしなくなった弟を見詰めたお姉さんなのか、それとも変わり果てた姉にすがり寄って意識がだんだん薄れていった男の子なのか今は知るすべもありませんが、悲しい悲しい事件であります。絶対忘れてはならない事件であります。冷たい社会であってはならぬのであります。  しかし、その事件の芽が今も身近にあるのかもわかりません。虐待を受けている子供ほどその親をかばうとも言われております。救いの手が届かないまま子供の命が失われております。私たちにできることは何だろうと自問をしながら、次の八点についてお伺いいたします。  第一に、県内の児童福祉司の配置状況と児童虐待相談対応件数を伺います。あわせて、今後の児童虐待防止への取り組みについてお伺いいたします。  次に、児童相談所職員や児童養護施設等の施設職員、保健・医療などの関係機関向けの児童虐待に関する研修の実施状況についてお伺いいたします。  第三に、児童相談所や一時保護所における教員や警察OB、児童福祉司OBの配置状況についてお伺いいたします。  第四に、児童虐待の通告があった場合の児童の安全確認の実施状況についてお伺いいたします。また、安全確認ができない場合、どのように対応するのかもお伺いいたします。  第五に、児童相談所から警察への援助要請及び警察から児童相談所への虐待通告の状況についてお伺いいたします。あわせて、児童相談所と警察との情報交換、人事交流の状況についてお伺いいたします。  第六に、一時保護所の入所率と、入所率が高い場合の対応策についてお伺いいたします。あわせて、一時保護所の居室の整備など、環境改善のための取り組みについてお伺いいたします。  第七に、里親委託率の目標と推移、里親支援機関の活用状況、里親制度の広報、交流会の実施等の取り組み状況についてお伺いいたします。  第八に、児童養護施設等を退所した児童の職業的自立は虐待や貧困の連鎖を防ぐ観点からも重要な課題であると考えますが、入所児童の自立支援の取り組みについてお伺いいたします。  最後に、北海道新幹線の建設費増額対策等についてお伺いしてまいります。  北海道新幹線新青森─新函館間の建設工事は、平成十七年五月の着工以来、平成二十七年度末の開業に向けて着々と進められています。一方、北海道新幹線の開業により新青森駅は通過駅となり、新幹線効果は半減してしまうのではないかとの不安の声をよく耳にいたします。  こうした北海道新幹線に対して本県は毎年毎年多額の建設費を負担しており、その金額は、現在の総事業費四千六百七十億円に対して約七百二十億円にも達するとのことであります。これだけ多額の負担を伴う北海道新幹線ですが、二つの大きな課題を抱えたままとなっております。  その第一が建設費の増額問題であります。平成二十一年一月、国は約九百億円もの増額を提案してきました。財政状況が逼迫する中、これほど多額の工事費増額が必要とはどういうことなんでしょう。県においては、増額の内容を十分精査するのはもちろんのこと、コスト縮減や負担軽減を強く求める必要があると思います。  第二の課題は、青函トンネル内の新幹線と貨物列車との共用走行です。昨年二月に開かれた会議で、国は、知事の言葉をかりますと、唐突に、未定稿のままで五つの案を示しました。その中には、五千億円をかけて新たなトンネルを建設するとか、一千六百億円で上下線の間に壁を設置するなど、非現実的で極めて稚拙な案も含まれております。こうした国の方針は全く理解に苦しむものであり、多くの県民も同様だと思います。  このような北海道新幹線の課題解決に向けて、知事は断固たる態度で臨む必要があると思います。そこで、国から提示された建設費増額案や青函共用走行区間の運行案にその後どう対応しているのか、知事にお伺いいたします。  冒頭、立志の書を引用させていただきました。我々政治家にとってその発する言葉というのはいかに大事なものかというようなことで、その立志の書を紹介いたしました。先般の某新聞の社説にもございましたが、知事の言葉が聞こえてこないというような社説でありました。まさに、考えてみますと、高レベル海外返還廃棄物等に関すること、核燃サイクル事業延期に関すること、桔梗野工業団地に関すること、そしてクリスタルバレイ事業の破綻のこと、これらについて、私は今回質問に取り上げませんでしたが、知事の、まさに言葉が聞こえてこない。そういうところの中で、知事自身の志ある言葉を発していただきたい、そういうことが今課せられる問題だろうと思っております。  以上で壇上からの質問を終わります。 5 ◯議長(長尾忠行) 三村知事。 6 ◯知事(三村申吾) おはようございます。  阿部議員にお答えします。  まず、私からは、一点目の二十三年度当初予算編成に当たっての基本的な考え方等であります。  知事就任以来、私は、ふるさと青森県の再生・新生を心に誓い、持続可能な青森型社会の実現を目指して、県民の皆様方とともに考え、行動する県政を進めてきました。  行財政基盤の安定なくして県政なしという強い思いのもとで徹底した行財政改革を進めてきた結果、本県財政は、厳しい歳入環境が続く中にあっても、多額の財源不足に対処し、財政再建団体への転落を回避するとともに、元金ベースでのプライマリーバランスを実質的に黒字転換させ、県政史上初めての通常の県債残高を減少局面に導くことができました。そして、平成二十三年度当初予算においては、収支均衡、すなわち基金に頼らない財政運営の実現にめどが立ち、次世代にしっかりと引き継いでいくための財政構造の確立を果たすことができました。  また、こうして強化された行財政基盤に支えられ、産業・雇用と県民生活の安全・安心を守るためのシステムづくりを着実に進め、本県発展のための基盤づくりを全力で進めてきました。  大変に厳しい社会経済情勢が続いておりますが、私は、本県ならではの資源を生かし、あらゆる分野でのイノベーションを促進し、元気な地域づくりを進め、青森県の元気、日本の元気につなげていかなければならないと考えているところであります。  そこで、平成二十三年度当初予算におきましては、これまで皆様方とともに築き上げてきた土台をもとに、持てる資源を集中し、新幹線全線開業効果を確実に生かしながら、本県の新たな地平を切り開いていく所存であります。  具体的には、地域資源を最大限に活用した雇用の場の創出、拡大を図るため、あおもり食産業のさらなる充実強化を図るとともに、低炭素社会を見据えた環境・エネルギー産業の振興等に取り組みます。  また、東北新幹線全線開業という絶好のチャンスを生かし、あらゆる産業の振興と地域の活性化につなげていくために、創業、起業を初め、新産業の創出、企業誘致等を積極的に進めて産業振興を図り、ブランド力の強化や情報通信技術の活用を促進するなど、新たな時代の元気創出に向け、集中的に取り組みます。  また、観光産業においては、観光客数の拡大のみならず、経営力強化、競争力の向上に努め、持続的な利益獲得につなげます。さらに、経済成長が著しい東アジアをターゲットに、企業の海外展開や輸出の拡大促進、外国人観光客の誘致などを強力に進めます。  また、県民が地域において適切な医療が受けられる仕組みづくりに積極的に取り組むこととし、良医を育むグランドデザインを踏まえ、医育環境の充実等を推進するとともに、ドクターヘリの運航や県立中央病院の新たな救命救急センターの開設など救急医療体制の整備を図るほか、西北五地域保健医療圏において進められております自治体病院機能再編成計画に関しては、新中核病院の施設整備費に対し財政支援を行うこととしております。  さらに、喫緊の課題であります若年者の就職支援対策、とりわけ新規高等学校卒業予定者に係る就職支援対策について積極的に取り組むこととしております。  自主自立の青森県づくりを進め、生活創造社会を実現していく上で最も基本となりますのは人財──人の財(たから)であり、人財の育成は未来の青森県づくりの礎でございます。  こうした考え方に基づき、平成十四年度から実施しております小学校一・二年生及び中学校一年生を対象とした三十三人による少人数学級編制につきましては、平成二十三年度からこれを小学校三年生まで拡充することとし、次代の青森県を担う子供たちの教育環境の整備に取り組むこととしております。  これまで八年間、県民の皆様方とともにまいてきた種が、今、多くの芽を出し、徐々に広がりを見せつつあります。これらの芽をしっかり育て、青森県の未来を切り開いていくことこそが私に課せられた使命であり、責務であると考え、今後とも青森の元気・活力創出にしっかりと取り組んでまいる所存であります。  続きまして、今後の財政運営についての決意であります。  先ほど申し上げましたが、私は、知事就任以来八年間、行財政基盤の安定なくして県政なしという強い思いのもと、徹底した行財政改革を続けてきた結果、平成二十三年度当初予算におきまして実質的収支均衡予算を達成することができました。
     また、今回の予算編成を踏まえた財政の中期的な見通しにおいては、当面、収支均衡予算は維持できるものと見込まれます。しかし、少子高齢化の進行に伴います社会保障関係費のさらなる負担の増大や国家財政の悪化に伴います地方交付税等地方財政への影響が懸念されるなど、明るい見通しだけを持つ環境にはなれないことから、持続可能な青森型社会の実現のためには、引き続き行財政全般にわたりましての改革努力の継続は必要であると考えるところです。  改めて申すまでもなく、行財政基盤の安定は、産業・雇用、そして県民生活の安全・安心を支えるための取り組みであり、また、未来を担う子供たちの可能性を広げるための取り組みでありますから、今後の青森県づくりを支える持続可能な財政構造の確立に向け、引き続き努力していきたいと考えます。  続きまして、未来への挑戦推進事業における景気・雇用対策につきましての自由民主党との政策協定の反映であります。  平成二十三年度未来への挑戦推進事業を編成するに当たりましては、四つの戦略キーワードを掲げて施策の重点化を図りますとともに、各事業の構築に当たっては、県民の暮らしの安定のために、景気・雇用対策にも十分留意し、合計で約百七十六億円と今年度を上回る予算規模を確保したところであります。  中でも、戦略キーワード「雇用の創出・拡大」におきましては、本県の強みであります食・エネルギー分野を生かし、攻めの農林水産業の加速化、農商工連携による食産業の充実強化、環境・エネルギー産業の振興などに約三十六億円を、「はやぶさ時代の元気創出」におきましては、東北新幹線全線開業効果を最大限活用し、観光産業を初めとするあらゆる産業の振興と地域活性化への取り組みや、アジア圏をターゲットに青森を売り込む、青森に呼び込む取り組みなどに約六十五億円を、また、「あおもり型セーフティネット」においては、雇用のセーフティーネットとして、新規学卒者等への就職支援対策を初め、厳しい雇用情勢に対応したあらゆる角度からの就労支援に約十一億円と、合わせて未来への挑戦推進事業費の全体の六割を超える百十二億円の景気・雇用対策予算を計上したところでございます。さらには、「未来を支える人財育成と地域力再生」として、産業の担い手の育成、ベンチャー支援や起業家の育成などにも取り組むとともに、国の交付金を活用した雇用創出事業を約百億円規模で実施し、約七千二百人の雇用の創出を見込んでおります。  以上のとおり、新年度は景気・雇用対策を強力に推し進めることとしており、これは自由民主党青森県支部連合会と締結しました政策協定書の中の元気な青森をつくりだすための景気対策の推進、生活安定と生きがいのための雇用対策の実現などについて、その方向性を同じくするものであります。これからも、私として、青森の元気、活力を引き出すため、しっかりと取り組んでいきたいと考えます。  続いて、西北五地域保健医療圏自治体病院機能再編整備費補助についてであります。  私は、知事就任以来、限りある医療資源のもとで地域医療の確保を図るため、自治体病院機能再編成と医師確保対策を両輪として取り組んできました。  西北五地域保健医療圏では、平成十二年度から自治体病院機能再編成に取り組んできました。その中で、新中核病院への医療機能の集約化、高度・専門化を図りながら、圏域の五医療機関を広域連合で一体的に運営していくとともに、ネットワーク化を図るという抜本的な取り組みを平成二十五年度をめどとして実現していくこととしております。  私といたしましては、この取り組みは、国や県の指針にも合致し、全国的にも先駆的な事例となる抜本的なものでありますとともに、限りある医療資源のもとで地域医療を守るためのモデルとして県内の他の地域にも波及し、県全体の医療の確保につながっていくことが期待されます。そのことから、成功に向け万全を期す必要があると判断したものでございます。  このため、今般、この取り組みを進める上でかなめとなります新中核病院の建設が平成二十三年度に着工されるに当たり、医療機能の集約化、高度・専門化に対応した施設整備が着実に図られるよう、つがる西北五広域連合に対し、平成二十三年度から三年間で合計二十五億円を上限に支援することを決断したものであります。  TPPに対しての見解であります。  青森県は、我が国有数の食料に強い県であります。また、本県の農林水産業は、地域経済・社会を支える基幹産業であります。このため、私は、知事就任以来一貫して、販売を重視し関係者の収益性向上を目指す攻めの農林水産業を県政の柱に据え、農林水産業の生産はもとより、加工、流通・販売など食に関連する産業の充実強化に積極的に取り組んできております。  このような中で、国は、環太平洋パートナーシップ協定、いわゆるTPPについて関係国との協議を開始するとし、本年六月をめどに農林水産業対策の基本方針を決定するとしております。  私は、国がこの貿易交渉を進めるに当たりましては、これまで我が国がWTO農業交渉において提案してきた各国の多様な農業が共存できることを基本理念として、農業・農村の多面的機能の維持や食料安全保障の確保を図るという方針を堅持し、食の安全・安定供給、食料自給率の向上、国内農林水産業、農山漁村の振興を損なうことのないよう、守るべきものは守るという確固たる姿勢を貫くべきであると考えております。TPPへの参加につきましては、国が我が国の農林水産業振興に対する明確な将来展望と具体策を示し、農林水産業関係者や国民の理解と合意が得られない限り、慎重にならざるを得ないという立場を堅持することを明確にしておきたいと思います。  なお、今後の農林水産業の将来展望について、私どもとして、県議会とともに、去る二月十八日、農林水産業が持続的に発展し、農林漁業者が安心して経営に取り組めるよう、将来を担う経営体を育成、確保していく仕組みづくりや、農林漁業者の経営安定、所得確保に向けたセーフティーネットの構築などの政策等につきまして国に提案したところであります。  がん対策先進県の実現に向けた取り組みであります。  がんは、私ども青森県の死因の第一位を占めております。県民が健やかで安心して生活するためには、がん対策の推進が喫緊の課題となります。そこで、私は、当時国立がんセンター東病院長でありました吉田茂昭先生を県立病院事業管理者にお迎えし、県立中央病院のがん診療センターの整備やがん診療連携拠点病院の機能強化など、本県のがん医療水準の高度化を図ってきました。  また、平成二十年五月には青森県がん対策推進計画を本県のがん対策の基本方針として策定し、行政のみならず関係者が一丸となって体系的、計画的にその対策に取り組んできたところであります。  具体的には、喫煙率の減少や生活習慣の改善などの一次予防対策、企業等との連携や県民への広報によるがん検診受診率向上などの二次予防対策、がん診療連携拠点病院を中心とする医療体制の充実などの医療対策、がん登録の促進を進めてきたところであります。  また、県民みずからががんにつきましての正しい知識を持ち、がんにかからないという意識を高めて、県民一人一人が行動を起こしていくことが非常に重要であります。そのことから、がんにつきましての正しい知識を広く県民に発信しますとともに、医療機関等の関係機関に対しまして情報提供を強化するため、がん情報サイト「青森県がん情報サービス」を昨日三月一日から開設したところであります。  これらの取り組みを継続、充実していくことに加えまして、私としては、がんの克服と生活習慣病の改善に向けた医療・予防対策の一体的な推進が重要であるとの思いから、平成二十三年度にがん・生活習慣病対策課の新設を決定し、がん対策の取り組みを今まで以上に強力に推し進めることといたしました。  児童虐待防止関係の取り組みについて、私からの部分であります。  児童虐待は、子供の心身の成長及び人格の形成に重大な影響を与えるものであり、深刻な問題であると考えます。このため、私は、これまでも、児童虐待の早期発見、児童の早期保護のための相談体制を強化するとともに、虐待が起きた家庭や虐待を受けた子供に対する支援に取り組んできました。  平成二十三年度におきましても、引き続き、児童福祉司を適切に配置するとともに、児童福祉司等をサポートする児童福祉司等補助職員も配置しまして、虐待を受けたことが疑われる児童の速やかな安全確認など、児童虐待に対応いたします。  さらに、児童虐待対応は市町村の役割としても位置づけられております。そのことから、市町村や市町村が設置しております子供を守る地域ネットワークである市町村要保護児童対策地域協議会の強化を図るための取り組みも引き続き展開いたします。  北海道新幹線の建設費増額案、青函共用走行区間の運行案についてのその後であります。  一昨年一月に国及び鉄道・運輸機構から提示のありました北海道新幹線建設費の総額九百四億円もの増額案につきましては、その後二年以上にわたり、見直しと本県負担の軽減を強く主張してきました。その結果、本年一月に至り、国及び鉄道・運輸機構から、将来の建設物価上昇分三百二十億円は見込まないこととするほか、営業主体でありますJR北海道等の費用負担を導入するなど、大幅な経費縮減と本県負担の軽減を図るとの方向性が示されたところであります。  また、青函トンネルを含む共用走行区間の運行につきましては、国が昨年二月に、議員からもお話がございましたが、私も出席した会議の席上、新たなトンネルの建設や上下線分離のための隔壁の設置などを含む未定稿の運行案を唐突に示したことに対しまして、これまで、私どもから、国が責任を持って早期に対処方策を示すこと及び新たな地方負担を生じないようにすることを強く求めてきたところです。  これまでの協議の結果、国におきましては、新たな大規模施設の整備によることなく、ダイヤを調整して新幹線と貨物列車のすれ違いを回避し、開業時には高速走行を一部で確保する方向で現在関係事業者と調整を進めている状況にあるということであります。また、将来的にすれ違い時の高速走行を可能にするため、トレイン・オン・トレイン等の開発を加速するというふうにも聞いております。  このように、建設費増額、青函共用走行区間の運行いずれにつきましても、おおむね青森県の主張に沿って見直しが進められております。私としては、県議会の皆様方の御協力もいただきながら、引き続き、北海道新幹線に関する諸課題の解決、とりわけ本県負担の軽減に向けて強い意思を持って取り組んでまいります。  私からは以上であります。 7 ◯議長(長尾忠行) 佐々木企画政策部長。 8 ◯企画政策部長(佐々木郁夫) 御質問二点にお答えします。  まず、屋内スケート場立地適性調査事業費についてです。  屋内スケート場については、これまで、県と八戸市の職員による勉強会や先進施設の調査等を行い、将来の整備に向けた多角的な検討を行ってきたところです。  今議会において予算計上し御審議いただいている屋内スケート場立地適性調査事業費は、これまでの課題の検討状況を踏まえ、現地長根運動公園の状況を調査し、将来の整備に向けた検討を行うためのものです。  具体的には、長根運動公園内候補地のボーリングを含む地質調査、大会開催時等における公共交通機関の利用を含めた広域的利用とアクセスに関する調査、さらには土地利用の制約を踏まえた施設の規模、構造等の調査検討を行うこととしています。  今回の調査は、現行の青森県行財政改革大綱の考え方に沿って行う将来の整備に向けた検討調査ですが、具体に現地の状況を調査するなど、これまでの八戸市との勉強会等における多角的検討を一歩前に進めるものであり、本調査を踏まえ、将来の整備に向けてさまざまな課題を整理し、可能性を検討していくこととしております。  次に、大間・函館航路新船建造費補助についてです。  大間─函館フェリー航路については、一昨年十二月から行われてきた津軽海峡フェリー株式会社、大間町、県の三者による事務レベル協議で存続策を検討してきたところですが、本年一月六日に三者によるトップ会談を開催し、老朽化している「ばあゆ」にかわる新造船を大間町が建造し、津軽海峡フェリー株式会社が運航するなどといった今後の取り扱いについて合意を得たところです。  この合意の中で、県は新造船の建造費の一部に限り大間町に支援することとしましたが、これは、大間─函館航路が原子力関連施設の集中する下北地域における防災上の避難航路としての役割を有する航路であること、また、東北新幹線全線開業を契機にした北海道道南地域との広域観光に必要な航路であること、さらには、下北総合開発期成同盟会からの支援要請があるなど、航路存続は大間町のみならず下北地域全体の振興にも不可欠であることなど、当該航路に特有の事情を踏まえたものであります。  財政支援の規模については、新船建造の総投資額が二十七億円と多額であり、この財源として、大間町では、公的な管理機関を介在させるため鉄道・運輸機構の共有船制度を五億円活用するほか、過疎債を発行して調達することを予定しています。このため、県では、大間町の安定的な財政運営に資するよう、資金需要期である平成二十三年度及び二十四年度にそれぞれ二億五千万円を補助することとしたものです。  いずれにしましても、今後新船就航までの間に決定していかなければならない詳細事項はまだ数多く残っており、県としては、大間町のさらなる主体性の発揮をいただきながら、地域住民の安全・安心の確保、広域観光や下北地域全体の振興という観点からも、大間町に対する財政支援だけではなく、引き続き事務レベル協議に参画して、航路の存続に向けてかかわってまいります。 9 ◯議長(長尾忠行) 一瀬健康福祉部長。 10 ◯健康福祉部長(一瀬 篤) 初めに、重粒子線がん治療施設についてお答えいたします。  重粒子線によるがん治療は、がん細胞の周囲にある正常な細胞まで傷つけてしまうエックス線などほかの放射線治療に比べ、体内の深い部分にある病巣を限定的に破壊できるため、患者の肉体的負担が軽く、また、がん細胞を壊す効果が高いといった特性を有しており、治療後の生活の質を考えると大きな効果があると言われております。  一方で、重粒子線治療そのものがまだ研究段階にあることから、重粒子線治療の対象となるがん患者の範囲が極めて限定されており、青森県でがん死亡数の多い胃がんや大腸がんは適応外とされ、肺がんもすべての肺がん患者に適応できるわけではありません。また、治療費の自己負担が約三百万円と高額であること、百五十億円程度の建設費と年間約二十一億円程度の維持費が必要であること、専門の技術者や医師の確保が必要なことなど、多くの課題も挙げられています。  県としましては、将来にわたって安定的運営が可能な計画の策定が必要であると考えておりますので、青森県の地域医療の確保に並々ならぬ御尽力をいただいております弘前大学がこれらの課題について検討を進めていく際には、現在国が取り組みを進めている総合特区制度の活用など、制度的な枠組みの中での実現可能性等について情報の収集や提供を行うなど、可能な限りの協力を行っていきたいと考えております。  次に、児童虐待の防止への取り組みについてです。  児童福祉司の配置状況につきましては、平成二十二年四月現在、県内六カ所の児童相談所に配置した児童福祉司三十七名と、児童福祉司の資格はないものの児童相談に携わる職員八名を合わせました四十五名が、児童虐待を初め児童の処遇に対応しております。また、児童相談所が対応した虐待相談対応件数は、平成二十一年度四百七十五件となっています。  続いて、児童虐待に関する研修の実施状況についてです。  県では、今年度からの二年間で、子どもを守る地域ネットワーク強化支援事業としまして、各市町村の児童福祉、母子保健、保育所等関係機関の連携を強化するための研修や、児童相談所職員を対象とした市町村のバックアップ力を向上するための研修、市町村職員を対象とした専門性の向上を図るための研修を実施しています。  また、児童相談所では、所内での研修に加えまして、学識経験者など専門家による専門性を高めるための研修を受講しているところです。児童養護施設等では、施設職員を対象に、児童相談所からの支援により、虐待を受けた児童への対応の方法などについての研修を実施しているところです。  次に、教員OBや警察OB、児童福祉司OBの配置状況についてです。  県では、中央児童相談所に一時保護所を設置しており、現在、その一時保護所には、一時保護児童の学習指導や児童指導員の補助等を行う一時保護対応協力員として教員OBが一名配置されています。また、八戸、五所川原の二児童相談所に、児童家庭相談に係る市町村への支援を行う市町村児童家庭相談支援員として教員OBがそれぞれ一名配置されています。  このほかにも、児童福祉司等を補助して児童の安全確認を行う児童福祉司等補助職員として、中央児童相談所に児童福祉司OBが一名、むつ児童相談所に教員OBが一名配置されています。児童相談所及び一時保護所への警察OBの配置はありません。  次に、児童の安全確認の実施状況等についてです。  児童相談所では、虐待の通告を受理した場合は、原則として四十八時間以内に職員が家庭訪問などを行い、目視により児童の安全確認を行うほか、必要に応じて一時保護などを行っています。また、家庭訪問などを行っても児童の安全確認ができない場合は、虐待の疑いのある保護者に対し出頭要求、立入調査、再出頭要求、臨検・捜索により安全確認することとなります。  続いて、虐待通告の状況等についてです。  児童虐待防止法では、児童の安全確認や一時保護を行おうとする場合において、必要があると認められるときは、警察署長に援助を求めることができるとされております。  平成二十一年度において、児童相談所から警察への援助要請は、立入調査等の際に行った二件となっています。警察から児童相談所への虐待通告は百四十件となっており、主な内容は、児童がDVを目撃したことによる心理的虐待となっております。  また、本年一月には、こどもみらい課、中央児童相談所、警察本部少年課、教育庁学校教育課で情報交換会を行ったほか、人事交流につきましては、平成二十年度から平成二十一年度において、警察本部からの出向によりこどもみらい課に職員を一名配置し、業務を推進したところであります。  次に、一時保護所の入所状況等についてです。  一時保護所の入所定員は十五名となっており、一日平均の一時保護人員を見ますと、平成二十一年度は八・四人で、平成十七年度の五・七人と比べますと二・七人の増加となっています。  入所定員を上回って一時保護が集中するなどして一時保護所への一時保護が実施できない場合には、児童養護施設等への委託一時保護を行うなどして対応することとなります。また、一時保護所には児童指導員を配置して、児童の抱える問題や特性を把握し、適切に処遇しているほか、学習指導や生活指導のため、一時保護対応協力員や心理職員を配置して対応しております。  次に、里親委託率等についてです。  県では、青森県次世代育成支援行動計画「わくわくあおもり子育てプラン」(後期計画)において、要保護児童のうち里親家庭等に委託された割合をあらわす里親等委託率を平成二十六年度までに国に準じ一六%にすることを目標として掲げています。里親等委託率の推移を見ますと、平成十八年度の一〇・七%から、平成二十一年度は一三・〇%と二・三ポイント伸びています。  また、県では、国の里親支援機関事業を活用して、里親経験者による講演会や里親制度の説明会などの広報活動、養育里親や専門里親になるための研修、子供に最も適合する養育里親との調整等を行い、里親委託を総合的に推進する里親委託支援、子供が委託されている里親への定期的な訪問による支援、里親や里親を希望する人などが集い、養育について話し合い、情報交換を行う相互交流を実施しているところであります。  最後に、入所児童の自立支援への取り組みについてです。  児童養護施設等入所児童が就職するため、または大学等へ進学するため施設を退所する場合、県では、支度費としまして一人当たり七万七千円を支給しておりますほか、自動車運転免許の取得に要する経費及び大学等への進学に伴う入学金等の経費につきまして、それぞれ一人当たり二十万円を限度に助成するなど、入所児童の自立支援を図っております。 11 ◯議長(長尾忠行) 櫻庭商工労働部長。 12 ◯商工労働部長(櫻庭洋一) 弘前地域研究所整備調査検討事業費についてお答えいたします。  地方独立行政法人青森県産業技術センター弘前地域研究所は、大正十一年に青森県工業試験場として創設以来、地域中小企業の技術面におけるサポートを通じまして産業振興と地域経済の活性化に貢献してまいりました。  本県は、東北新幹線全線開業という大きなビジネスチャンスを迎え、その強みである食を初めとした豊富な地域資源を最大限活用してこのチャンスを確実な成果につなげていくことや、国内外の市場で独自性を発揮し、地域間競争を勝ち抜いていくことが求められており、地域資源の高付加価値化のための研究拠点である弘前地域研究所の役割はますます重要となっております。しかしながら、現在の研究所は建築後約四十年近くが経過しておりまして、耐震構造上あるいは機能面からも対策が必要であると認識しております。  そこで、来年度、弘前地域研究所を利用する県内企業を初め、大学や金融機関なども含めました産学官金で構成する検討委員会を設置し、研究所に求められる機能について、ハードとソフトの両面からのニーズを把握した上で、あるべき姿を調査検討し、将来の整備に反映させてまいりたいと考えております。 13 ◯議長(長尾忠行) 有馬農林水産部長。 14 ◯農林水産部長(有馬喜代史) 農林水産業の振興に関しまして、国の農業農村整備事業予算確保に向けた環境公共型事業推進についてお答えいたします。  県では、平成十九年度から、環境を公共財と位置づけ、地域の協働を促進しながら、農林水産業や農山漁村の基盤づくりのための投資を通じて環境保全を図ることを環境公共という新たな公共投資の仕組みとして提唱し、その実践に取り組んでいるところです。  このような中、国が本年度創設した農山漁村地域整備交付金においては、環境公共の取り組みの一つである公共事業の構想から実施に至る地域ぐるみでの協働活動が新たに事業対象となる具体的な動きも見られてきました。  県としましては、農業農村整備事業に係る国の予算が今後とも厳しい状況が続くものと懸念されるものの、環境公共の成果を広く周知し、こうした活動に対する予算の配分を引き続き国に働きかけていくほか、環境公共を基盤としてきれいな水を保全し、これによって生産、製造される食料品を供給する取り組みの提案や、農地と水、環境を守るさまざまな団体で構成する環境公共学会の設立による情報発信などを通じて、環境公共への取り組みを国の予算確保につなげていくこととしています。 15 ◯議長(長尾忠行) 橋本教育長。 16 ◯教育長(橋本 都) 御質問三点にお答えいたします。  まず、スポーツ振興基盤整備検討調査費についてです。  スポーツは、心身の健全な発達を促し、生活に生きがいや潤いをもたらすとともに、明るく豊かで活力に満ちた社会の形成に寄与するものであり、人々が生涯にわたってスポーツに親しむことは極めて大きな意義を有しています。  県教育委員会では、これまでも、県民が生涯にわたり気軽にスポーツに親しむことができる環境づくりや本県の競技力の総合的な向上を図ってまいりました。その一方で、子供たちの体力低下や指導者不足などの課題があり、さらには、国民体育大会等、県民に夢や感動を与える大規模な大会を開催するための県有体育施設は、建築後四十年以上経過し、老朽化が進んでおります。  このような状況を受け、本県のスポーツ振興を継続的、計画的に推進するため、体力向上を初め、選手、指導者の育成、将来の施設の整備等について調査検討などを行うこととし、来年度、新たに、スポーツ振興基盤整備検討調査費として本定例会に所要の予算を計上し、御審議いただいているところであります。  今後とも、県教育委員会では、県民の生涯にわたる豊かなスポーツライフの実現を目指すとともに、スポーツ環境のさらなる充実に努めてまいります。  次に、小・中学校の連携についての見解であります。  県教育委員会では、教育は人づくりという視点に立ち、個を生かし、生きる力と夢をはぐくむ学校教育の推進に努めており、その一環として、小・中学校の連携による、確かな学力と豊かな人間性をはぐくむ教育の充実を図ってきたところです。また、県内の市町村においても、九年間を見通した教育課程編成に基づく小中一貫教育を導入するなど、さまざまな取り組みがなされております。  県教育委員会では、このような小・中学校の連携にさらに高等学校も加えた十二年間を見通した系統性と連続性のある取り組み、いわゆる縦の連携が極めて重要であるととらえており、平成二十一・二十二年度においては、学習習慣形成のための校種間連携教育推進事業を実施したところです。  この成果を生かし、平成二十三・二十四年度は、県内六地区において学校を指定し、小・中・高等学校が連携して英語教育の充実を図るために世界へはばたけあおもりっ子外国語教育推進事業を、キャリア教育の充実を図るために明日へはばたけあおもりっ子キャリア教育推進事業を実施することとし、本定例会に所要の経費を計上し、御審議いただいているところであります。  県教育委員会としましては、今後も、市町村教育委員会と連携し、子供たちの確かな学力の向上に努めてまいります。  最後に、道徳教育に係る見解と教員の資質向上策についてであります。  近年、児童生徒の規範意識や人間関係を形成する力の低下などが指摘されており、地域や家庭における教育は言うまでもなく、学校教育においても、生命をたっとぶとともに、相手を思いやる心など、規範意識等の確立の根底となる道徳教育の一層の充実が求められていると認識しております。このため、各学校においては、各教科、道徳の時間のみならず、例えばボランティア活動や自然体験活動などを通し、子供たちの規範意識の向上に努めているところです。  これらをさらに充実させるためには教員の指導力向上が求められており、県教育委員会では、道徳教育に関する実践研究の成果等を報告書に取りまとめ、県内すべての小・中学校等へ配布することにより活用を図っております。  また、各教育事務所管内で毎年道徳教育研究協議会を開催し、道徳教育実施上の諸問題を研究協議するとともに、県総合学校教育センターにおいて心に響く道徳教育講座を開催するなど、教員の実践的指導力の向上を図っております。  県教育委員会としましては、引き続き、市町村教育委員会と連携し、道徳教育の質の向上とその一層の充実に努めてまいります。 17 ◯議長(長尾忠行) 阿部議員。 18 ◯三十八番(阿部広悦) 今御答弁いただいた、自分で走り書きをしていまして大変あれですが、再質問を四点させていただきます。
     まず、先ほど壇上からも申し上げましたけれども、知事の言葉が聞こえてこないというような部分の中で、しようがないのかなということも思うんだけれども、例えばTPPに関して。  当時、この問題が提起されたとき、新聞の名前は忘れましたけれども、全国紙でアンケートをとった。そのとき、北海道、鹿児島、沖縄の知事は、絶対反対だということの中でアピールした。壇上でも言っていますけれども、我が県そのものも食料供給県、そして、我々が試算したところによれば、やはり一千億からのマイナス部分になっていくんだというようなこともありながら、我が県の知事は、そういうことのところではなく──まあ、東北の知事さんはみんなそうなったようだけれども。  そして、今御答弁にありました「慎重にならざるを得ない」。言葉はわかりますよ。しかし、現実、TPPそのものがどういうふうになっていくのかわかりませんけれども、わからない問題を含んでいますけれども、慎重にならざるを得ないというのはどういうことなのか、もう一回答えてください。  次に、これも知事の答弁の中で、がん情報サービスが三月一日に開設したというようなことでありました。しからば、そこで、これはプリントしたんですけれども、非常に他県ではもっともっと進んでいる──がん情報のサービス云々ということはやっている。しかし、他県でやっているから本県ということでもなく、本県独自のものがここにあるのかということです。  そして、やっぱり患者さんが望む、それが県民というふうに言われてもしようがないけれども──県民が望んでいるんですけれども、患者が、いろいろな情報の提供というふうなことの中で、やはりその部分の関係、このサービスセンターと患者さんとの関係、こういう部分のところで県独自でどういう形をとるのかということを、ここは部長になるんでしょうけれどもね。  そして、がんに対するイメージもありますし、いろんなもの、図書なんかがいっぱい出ていますよね。そういうところを集積して、がんに関する図書をいっぱい集めている図書室を持っている、そういうサービスセンター等々もあるというようなことも聞いていますし、そういう、なるほどなと思う展開をしているわけですね。ですから、具体的なものの中で何かしら県独自のものがあるのかどうなのかということをお聞きします。  それから、重粒子線のことを答弁──いろいろ言っていました。金がかかる云々だかんぬんだと言っています。しかし、まだ研究している状態だと言っていますけれども、群馬大そのものが今日本で一番北限のところだと言われていますね。群馬大では今やっています。そういうところの中で、さっきも部長の答弁の中で、専門の技術者とか医師確保というようなことの部分があるということを話していましたけれども、これはまさしく弘前大学そのものがこの機関なわけですよ。研究機関なわけですよ。ですから、弘大がこれをやるんだと言っています。技術者も育てるんだ、医師確保もするんだというふうに、弘大のほうでは佐藤教授がそんな話をしていましたよ。  まず質問をしますけれども、弘大と意見交換をする場をつくることが必要だと思うんだけれども、そういう場づくりはするのかしないのか、予定はあるのかないのか、そういうことをお聞きします。  それから、児童虐待問題であります。  いろいろこの問題が提起されたときは保護司そのものが四十一名だったというふうに記憶しています。今、部長答弁で三十七名になっているということは、県全体の職員を減らしていっているという部分になっているんだろうと思う。しかし、現実、虐待のこの問題というのは件数はふえているわけです。件数がふえていながら、そこの問題に対応する──答弁はいいよ。答弁はいい答弁をするけれども、実態はもうまさに減っていっている。  それから、先ほど、教員のOBを一名配置しているとか云々とか、たった一名でいいのかというようなこともある。しかし、それでも配置していると言うから、この部分は言わない。しかし、警察官のそういうものがないと言っている。さっき、ないという答弁だった。この実態をいろいろ見ていただきたいんですよ。いろいろ報告は上がっていると思う。警察権がなければ──まあ、踏み込んでいけるという法律的な云々もできるでしょう。しかし、面談したそのところの中で、保護者そのものとの中で、そのときの踏み込みのところが非常に緩くなっていく。教育上の中できっちりやっていますよ、云々ですよと保護者が言う。その中で帰らさってしまうという実態が、他の県でもそういう実態が起きているんです。そして、結果が事件につながっていっているというようなこと。この警察のOBとか、そういうのがなくていいのかということです。  それから、さっき、健康福祉部のほうと警察・公安のほうと人事交流があったというふうに聞いていますけれども、今現在もあるのか、予定もあるのかどうなのか、その辺をちょっとお聞かせ願いたいと思います。  教育については、きょうは言いたいことはいっぱいあるんですけれども、道徳についての教員研修はやっているとか云々とかと言っています、教育長。しかし、新聞紙上で懲戒免職とか懲戒の云々とかというのは教育委員会のほうは多いよ。こういう、身の入っていない研修だったのではないのかなという気がしてならないというようなことの中で、生徒の教育もそうだ、しかし、教員の規範、そういうものも抱えていて大変難しいと思いますけれども、これは質問にはしませんけれども、そういうところの中で、やっぱりしっかりした──子供たちは先生と呼ばられねえ。そういうところの中で、大変なことが本県でもいろいろ問題提起されていたこともあるけれども、そういうところの中できちっとした指導をよろしくお願いしたいと思います。  以上です。 19 ◯議長(長尾忠行) 知事。 20 ◯知事(三村申吾) 阿部議員の再質問にお答えいたします。  慎重にならざるを得ないということにつきまして、今回、余り慎重でない答え方というのも変ですけれども、お答えしたいと思います。  私は、自分で言うのもなんでございますが、攻めの農林水産業の三村であります。この「攻め」ということで、我々の、いや、この日本の国の農林水産業のあり方というものを提起してきた人間でございます。したがって、最初にTPPの話がぐちゅぐちゅっと出たときに、何をまた言っているんだというのは、もちろんそういうことは思うわけですけれども、ここで申し上げたいことは、国文学もやってきましたし、本もつくってきたんですけれども、日本の言葉と表現と行動というものは、非常に、いわば慎重にならざるを得ないべきときがあると思うのであります。  例えばの話でございますが、わっと打ったとき──剣道、柔道、相撲。要するに、間合い、見合いというものをとり、そこにおいて次のステップを踏むということが私どものこの国の言葉にあるわけでございます。いわゆる欧米とかコンピューターのゼロ、一、ゼロ、一でないところにおいてこそ非常に強い意思を示す、これが日本の言葉であると私は確信しております。  そこで、「慎重にならざるを得ない」という表現は、実は非常に、はっきり言えば強い意思の表示なのでありますが、日本語としては非常に意思の強い表現なのでございますけれども、いわゆるぱっと見た目に、あれ、おとなしいかなということでございますが、慎重にならざるを得ないと、わっと見合いをとっているということでございます。攻めの農林水産業の三村であると、このことを決してお忘れなくいただきたいと思います。そのために戦ってきたということで、よろしく、お返事とさせていただきます。 21 ◯議長(長尾忠行) 健康福祉部長。 22 ◯健康福祉部長(一瀬 篤) 再質問三点にお答えいたします。  まず初めに、がん情報サービス、本県独自のものということでございますけれども、まず、がんに特化したウエブサイトということでは、東北圏内では都道府県としては初めてのものでございます。また、このがん情報サービス、がんの患者さんでありますとか患者家族の皆様方に情報を提供するということで、がんを体験されました患者さんの生の声を聞くことができます。生の声を、文字ではなくて、実際にしゃべっているものを音声で聞くことができるというのは行政では日本で初めてのものでございます。そのように、いろんな心配事でありますとか──治療に限らず、生活等の心配事、そういったものにつきましても、できるだけわかりやすく、使いやすいサイトにしていきたいというふうに考えてございます。  次に、重粒子線のほうの弘前大学との意見交換の場づくりをという話でございますが、もう既に始まっておりまして、昨年の六月から、青森県の職員と弘前大学の職員のほうで勉強会を開催させていただいております。  それと、虐待に関しまして警察本部との人事交流というお話でございましたが、二十年度から二十一年度にかけまして、県警本部のほうからこどもみらい課に一名配置しておりました。そのこどもみらい課に配置した職員の警察官としての知識を生かして、虐待対応のための研修でありますとか、児童相談所及び市町村に対しましてそういったものを行ってまいりました。そのことによりまして、児童相談所、市町村の対応力の向上が図られたものと考えております。  また、今年度におきましても県警察本部を含めました情報交換会を実施しているところでありまして、警察本部とは引き続き適切な連携を継続してまいりたいと考えております。  また、どうしても限られた人数での対応となってまいります。そういった中で、できる限り、最大限、虐待に対応されます市町村と協力しながら、適正に人員を配置しつつ虐待対応を進めてまいりたいと考えてございます。  以上でございます。 23 ◯議長(長尾忠行) 午さんのため、暫時休憩いたします。 午後零時十一分休憩    ────────────────────── 午後一時十五分再開 24 ◯副議長(中谷純逸) 休憩前に引き続いて会議を開きます。  一般質問を続行いたします。  三十四番山内崇議員の登壇を許可いたします。──山内議員。 25 ◯三十四番(山内 崇) 民主党の山内崇です。  民主党を代表して一般質問を行います。  現在の日本は第三の危機と言われています。第一の危機は、言うまでもなく幕末・維新の時代であり、黒船来航により開国を迫られ、一歩間違えば欧米列強の植民地になりかねない危機の時代に遭遇するのであります。昨年の大河ドラマ「龍馬伝」にもそのあたりは描かれていましたが、龍馬たちの働きもあり、大政奉還から明治維新へと時代が転換し、そこから近代日本の歩みを始めたのであります。明治を迎えた日本のありさまは、司馬遼太郎さんの小説「坂の上の雲」に、当時の日本人の物の考え方、時代の空気まで見事に描写されています。その後、日本は、日清、日露の戦いを経て、日中戦争、第二次大戦へと突入していくのであります。  第二の危機である敗戦からの奇跡とも言える復興をなし遂げ、高度成長を経て、一九六八年以降は世界第二位の経済大国へと上り詰めたのであります。右肩上がりの成長を続けることが日本人にとって当たり前となり、ついにはバブル経済へと突き進み、見事にはじけたのはついきのうのように思われます。  一九九〇年からの空白の二十年を経て、日本は今、第三の危機を迎えています。その危機とは、年間予算の十倍にも及ぶ財政赤字、債務超過率は二〇〇%にも達し、経済危機に陥ったギリシャをもはるかにしのぐ水準であります。さらに、これまで世界のどの国も経験したことのないスピードで人口減少と高齢化社会へと向かっているのであります。これこそ第三の危機であります。  東アジアの情勢をこの二十年で見ますと、中国は毎年一〇%前後の成長を続け、GDPでついに日本を抜きました。韓国、台湾も五ないし七%程度の成長を続け、人口一人当たりGDPでは、台湾は既に日本を抜き、韓国もあと八年程度で日本を抜くという推計もあります。この間、日本はずっと停滞し続けているのであります。IMD(国際経営開発研究所)の国際競争力調査では、かつて世界第一位であった日本が今や二十七位にまでランクを下げている、一人当たりGDPで二位だった日本は今は十九位。世界の中で日本の経済的な地位が低下していくことへの危機感は国民に広く共有されていると思います。  昨今の中国、ロシアとの領土問題の背景には日本の経済力の低下も影響しているのではないかとの指摘もありますが、国力の源泉は何といっても経済であります。かつて日本が北方領土交渉を行っていた当時、ロシアの経済はかなり疲弊しており、そのことが日本の交渉力を高めていたのではないかと思われます。しかし、現在のロシアは、資源国として国際的なプレゼンスを高め、日本の経済力なしでも持続的な成長が可能となっています。対照的に、日本の経済力は低下し、世界における存在感が薄まってきており、日中間の尖閣諸島をめぐる問題でも同じようなことが起きている。強い経済の復活は、これからの日本にとって不可欠のテーマであります。青森県にとっても同様であります。  以上申し上げ、質問に入っていくことといたします。  まず、地域主権改革と地方財政の充実についてであります。  国が地方に優越する上下の関係から対等なパートナーシップの関係へと転換するとともに、明治以来の中央集権体質からの脱却、この国の形を大きく変えていくものであります。地域主権改革が進展すれば、おのずと地方公共団体の行政サービスは差が生じてくるものであり、首長や議員を選ぶ住民の判断と責任も今以上に重くなります。この改革は、単なる制度の改革ではなく、地域住民がみずから住む地域をみずからの責任でつくっていくという責任の改革の側面を有するものであり、首長や議員のあり方や住民の責任そのものが変わっていく可能性が極めて高い。これまでの依存と分配の仕組みから自立と創造の仕組みへの変化を促すものであります。  地域主権戦略大綱は、おおむね二、三年を見据えた改革の取り組み方針を明らかにしています。具体的には、義務づけ、枠づけの見直しと条例制定権の拡大、基礎自治体への権限移譲、国の出先機関の原則廃止、ひもつき補助金の一括交付金化、地方税財源の充実・確保、直轄事業負担金の廃止などが実行に移される課題であります。  さて、地域主権改革以前の状況は、地方財政を例に挙げるならば、三位一体改革により地方交付税総額が平成十五年度の二十三・九兆円から毎年削減され続け、平成十九年度には十七・八兆円、平成十五年度に比較すると、実に六・一兆円、二五%もの削減が行われました。  この結果、地方自治体の財政はほとんどの自治体において財政破綻一歩手前の状態に陥り、地方の経済、国民生活が大きく疲弊するに至ったのであります。その後、政権交代が起き、民主党政権が編成した平成二十二年度予算では、交付税総額は二十四・六兆円まで回復しています。来年度予算では、臨時財政対策債に依存しない体質への転換を図るため、臨時財政対策債を約二割削減するなど、地方の借金をこれ以上ふやさないための対策を講じ、地方財政の安定と充実を目指した内容となっています。  そこで、地方交付税の充実と県債残高について伺います。  民主党政権となって以降、地方交付税を初めとする地方財政の充実が図られてきています。このことについての県の見解を伺います。  また、プライマリーバランスとともに最も重要な数字の一つである県債残高とその償還の見通しについても伺います。  次に、ひもつき補助金の一括交付金化についてであります。  一括交付金とは、国が使途を限定するひもつき補助金の一部を自治体が自由に使えるようにするもので、地方が自由裁量によって必要な事業をみずから選択し、重点的な投資ができるようにするものであります。当面、継続事業があるうちはその事業に充てられますが、事業終了後からは、各府省の枠にとらわれることなく、自由な事業選択が可能となります。  来年度は、既存事業のうち五千百二十億円が一括交付金化されます。二十四年度からは市町村にも適用され、約一兆円へと段階的に拡大することになります。現在、各都道府県では、配分額が示されないため、当初予算へは従来の補助金として計上されており、一括交付金としては補正予算で対応する見通しとなっているようであります。  そこで質問ですが、ひもつき補助金の一括交付金化に対する県の見解を伺います。  次に、地域活性化交付金についてであります。  この交付金のうち二千五百億円がきめ細かな交付金として計上され、内閣府所管のもと、各府省に移しかえて執行されるものであります。第一次交付分は都道府県分八百億円、市町村分一千五百億円であり、残り二百億円について、都道府県からの実施計画をもとに配分されたのであります。青森県分としては、一次交付に加え、二次交付分約九億三千万円が配分されました。この額は全国で三番目に多いものであり、二次交付分に陸奥湾のホタテ高水温被害対策三億円が反映されたものであります。この問題は、民主党陳情要請対策本部へ最重要要望の一つとして要請してきたものであり、昨年十二月二十四日には、県漁連、むつ湾漁業振興会からの強い要請を受け、県も速やかに対応し、青山副知事と私が農林水産省に筒井農水副大臣を訪ね、重ねて要望してきたものであります。  そこで質問ですが、地域活性化交付金及びその配分額について、県の所感を伺います。  次に、総合特区制度による地域活性化についてであります。  現在、世界には、百三十五の国と地域に約三千の経済特区があると言われています。中国の経済発展も、改革開放政策における経済特区に支えられた側面があると見られ、韓国も同様に経済特区を設けています。これらの多くが、規制緩和だけでなく、税制・財政・金融上の支援も行ったものとなっています。  日本の総合特区制度は昨年六月に閣議決定された新成長戦略に基づくもので、特区では同様の支援措置が総合的にパッケージ化されて実施される予定となっています。国では特区指定に向けて調査に入っており、全国四百五十の提案に対し、早ければことし七月にも決定される見通しのようであります。ちなみに、青森県からの提案は二件にとどまっております。  成長分野として現在期待されている医療・介護・健康分野について本県として取り組んでいくべきと考えます。具体的には、弘前大学を中心とする医療資源を核とした先進医療地域を目指す医療総合特区構想であります。全国一の短命県を返上するだけではなくて、医療と観光を組み合わせ、地域の経済の振興に結びつけるためにも全力で取り組むべきと考えます。  また、地域主権改革の観点から見ても、総合特区内での規制緩和は県条例によって政省令を書きかえられるという画期的なものであり、これまでに考えられなかった制度であります。  そこで質問ですが、総合特区制度への評価と、指定に向けてどのように取り組んでいくのか伺います。  次に、平成二十三年度予算に措置された電源三法交付金制度の充実についてであります。  原子力関連施設の立地に伴う地域振興については、中長期的には原子力を地域の主要な産業として育成し、地域の産業振興、雇用の場としていくことが必要と考えます。一方、短期的には、電源三法交付金を活用して、生活基盤・産業基盤整備はもとより、県民福祉の向上と、特に社会保障の充実を図ることが大切と思います。このため、国の原子力政策に貢献してきている本県に対して交付金が適切に交付されてきているのか、常に検証し、確認する必要があります。  このため、昨年八月十日、民主党県連を代表して田名部、中野渡両衆議院議員が経済産業省の政務三役に対し、地域振興、特に電源三法交付金制度の充実を要請し、核燃サイクル施設に対する交付金充実への端緒を開くとともに、経済産業省の概算要求を後押ししたものであります。  一方、昨年十月の電源立地対策費に係る事業仕分けにおいて予算が圧縮されかねない事態も考えられたところでありますが、この際にも、蝦名副知事からの要請があり、県の緊急要望活動に対して最大限の仲介、協力をしてきたものであります。さらに、民主党県連としても、十一月二十四日、私と松尾地域戦略局長が、仕分け人も務められた当時の枝野民主党幹事長代理、現官房長官に対し、交付金制度の堅持、拡充、具体的には全県適用を求めてきたところであります。  いずれにしても、こうした経緯をたどり、年末の政府予算案では本県の核燃料サイクル施設における交付金制度について充実される方向となりました。これは、制度創設以来初めてと言うべき抜本的な交付金の増額であります。  そこで質問ですが、今般の電源三法交付金制度の充実による県分の効果額と県の評価について伺います。  次に、並行在来線についてであります。  並行在来線への国の支援策については、電源三法交付金、ホタテ被害対策とともに民主党県連として最重点要望項目に掲げ、民主党陳情要請対策本部に強く要請してきたところであります。その結果、ようやく、鉄道建設・運輸施設整備支援機構の特例業務勘定の利益剰余金を活用した並行在来線への支援拡充の方針が、昨年末、国から発表されました。このことについては、民主党政権でもあり、県連としても最大限取り組んできたものでありますが、やはり、県議会、県当局の長年にわたる要望活動の成果と言うべきでありましょう。貨物線路使用料の見直しは貨物の走行実態を踏まえたものとなり、毎年の県費負担は、これまでの想定額十六億円から十億円の軽減が図られ、六億円まで減額となる見通しであります。  そこで、まず、国において貨物調整金制度の拡充が決定されたことについて、県の見解を伺います。  さらに、開業後の青い森鉄道の運行に目を向けてみますと、開業以降、大雪などによるおくれ、運休が相次いで発生しました。今のところ鉄道施設への深刻な被害の発生はありませんが、百二十一・九キロの営業区間となったことで、自然災害のリスクも高まっています。一たび災害が発生すれば復旧に大きな費用がかかることから、復旧への手だてを今から用意しておくことが必要と考えます。  そこで、二点目として、自然災害により青い森鉄道に被害が発生した場合、国の補助金の適用等は大丈夫なのか、見解を伺います。  次に、産業振興による雇用の確保についてであります。  青森労働局によると、新規高等学校卒業予定者の一月末の就職内定状況は七五・六%と昨年度より二%改善しているものの、依然として厳しい状況が続いています。中でも、弘前市、五所川原市、黒石安定所管内の内定率が低いなど、県南地域に比べ津軽地域の就職状況が悪くなっています。県は、十一月の補正予算等で追加対策を講じていますが、引き続き積極的に就職支援に取り組む必要があります。  そこで、新規高等学校卒業予定者及び若年者の就職支援等について伺います。  次に、基金事業による雇用の創出について。  平成二十二年十二月の本県の有効求人倍率は〇・四二倍で、前月よりも〇・〇二%改善し、若干ではありますが、三カ月連続の改善となりました。県は、国の交付金による緊急雇用創出対策事業及びふるさと雇用再生特別対策事業による雇用機会の創出を目指していますが、これが県内の雇用の下支えとして十分機能しているのかどうか検証してみる必要があります。  そこで質問ですが、県内において今後雇用増大が見込まれる分野や重点的に取り組むべき分野について、基金事業を積極的に活用し、雇用創出につなげていくべきと考えますが、県の見解を伺います。  さらに、県内中小企業の海外展開支援についてですが、青森県にも、中国を初め海外に進出する企業が見え始めています。県は今後どのように支援していくのか伺います。  次に、子育て支援と就学機会確保のための支援策の充実についてであります。  県教委の二十一年度調査によりますと、今、青森県内に学ぶ小・中学生は約十一万八千人います。そのうちの一六%、約一万九千人近い児童生徒が就学援助を受けています。就学援助とは、学用品や通学用品、校外活動費、修学旅行などの費用を市町村が補助することをいいます。就学援助は、学校教育法に基づく制度で、生活保護を受けている要保護世帯及びそれに準ずると市町村教委が判断した準要保護世帯の児童生徒が対象になっています。要保護者には国が経費の一部を補助していますが、準要保護者への補助は〇五年度から三位一体改革によって廃止され、一般財源化され、その結果、準要保護者の認定基準の厳格化、援助支給額の減額が行われています。青森県の小・中学生はこの五年間で約一万一千人近く減少していますが、就学援助を受ける児童生徒は逆に二千人以上ふえています。小・中学生の約六人に一人が対象になっていることになります。  就学援助受給者数の増加の原因は、経済的な要因もさることながら、保護者としての責任感や規範意識の欠如も大きいとの指摘もあります。一見豊かに見える日本の国の中で就学困難な状況を抱えている子供たちがふえている現実を我々はしっかりと受けとめる必要があります。憲法が保障する教育を受ける権利、義務教育無償制の理念は、公立小・中学校における授業料と教科書代の無償にとどまっています。教育の機会均等の趣旨からしても、子供の貧困に対応する就学援助制度の運用のほとんどが市町村に任せられている現状には問題があります。再考が必要であると思います。  質問の一点目は、各市町村による就学援助制度の内容と対象児童生徒数の推移について。  二点目に、就学援助の中身について市町村間に格差が生じていることから、格差是正のための対策を県が講じるべきと考えますが、見解を伺います。  次に、奨学金制度について伺います。  日本の教育への公的支出はOECD加盟国の中でも最低レベルにあります。家庭の負担は重く、高等教育に占める私費負担率は六割を超えると言われています。義務教育期間中の親の負担は、小学校で年約十万円、中学校で約十七万円と言われています。昨年から高校授業料無償化がスタートしましたが、高校での親の負担はさらに重いものとなっています。青森県内における無償化前の授業料減免は、生徒総数三万三千人に対し一四・八%、約五千人に上っています。青森県育英奨学会の高校奨学金を活用する県内生徒数も現在三千人を超えると伺っています。  そこで、奨学金の利用と返済の状況について伺います。  二点目として、貸与月額の増額の必要性、また、希望者に対して貸与人数枠は十分に確保されているのか。  三点目として、大学入学時における入学一時金等教育資金の借り入れへの支援策が必要と考えますが、見解を伺います。  次に、保育料について。  県では、第三子以降の子供の保育料を軽減する保育料軽減事業を平成八年十月から行ってきていますが、このことについて伺います。  まず一点目として、平成十七年以降見直しが行われ、補助率の減に加え、三歳以上の児童を対象外としてきていますが、その経緯と見直しの考え方について伺います。  二点目として、県内十市における保育料の滞納額が、〇九年度末現在、前年度末に比較して六千万円の増、約七億三千万円に及ぶとの報道がなされましたが、県はこの状況を把握しているのか、また、滞納額がふえている現状について見解を伺います。  次に、医療費について伺います。  県では乳幼児等医療費助成を行っていますが、その現状について、また、他県においては小学生、中学生に対しても医療費助成が行われており、県内自治体でも実施するところが出てきています。県の見解を伺います。  次に、地域医療再生に向けた保健医療の充実についてであります。  保健医療の分野は、都道府県による格差に加え、各地域間格差も顕著になっています。その原因に挙げられるのは、何といっても、マンパワー、医療人材の不足であります。さらに、保健医療水準の低い地域はおおむね過疎化、高齢化の地域であり、財政的にも弱い地域となっています。当然ながら、こうした地域は、民間の医療機関の層も薄く、保健医療サービスの多くを自治体病院などによって公的に提供せざるを得ない地域でもあります。
     結果として、マンパワーの不足、保健医療水準の低さ、財政的困難、保健医療体制の再生困難、今あるマンパワーへの負荷増大、公的医療現場からの離脱、マンパワーのさらなる不足という悪循環に陥っているのであります。  これに該当すると思われるのが西北五圏域であります。まず、がん、心疾患、脳血管疾患という三大成人病の死亡率が県平均を上回っています。平均寿命は男女ともに低く、特に男性は、全国ワースト三十市町村に全市町村が入っています。鰺ヶ沢町は男性が全国ワースト三位、五所川原市が四位、中泊町が九位、また、圏域の一般病床における入院患者の何と約三五%が、弘前、青森といった他圏域に入院しています。人口十万対医師数は九十五・七人で、これは県平均の百七十四・四人を大きく下回り、全国平均二百十二・九人の半分以下の低水準です。特に、県全体としては人口十万対医師数が漸増傾向にあるにもかかわらず、ここだけは減少を示しています。看護師数においても、当然のごとく県平均、全国平均を下回っています。  さらに、がん診療機能も脆弱であり、心臓・脳血管疾患については、専門医がいないか内科、外科どちらかのみなど、専門医療機能が非常に弱い。療養病床の利用率は県平均の二倍以上と極めて高く、回復期のリハビリの機能が低いことを示しており、多くの寝たきりが生じているということであります。  西北五圏域にとって、医療水準を引き上げ、地域医療の再生を図ることは待ったなしの課題であります。その意味で、このたびの西北五圏域に対する県からの補助については前向きに評価してよいと考えます。  質問に移ります。  まず、がん対策の推進を図るため、県病のがん診療センターの機能強化を図るべきと考えますが、見解を伺います。  二点目として、地域の医療機関の病床活用の弾力運用について。  三点目として、自治体病院の整備に係る国の財政支援については民間病院に比べ見劣りする内容となっています。自治体病院向けのメニューの拡充を求めるべきと考えますが、見解を伺います。  次に、本県の農林水産業の振興についてであります。  まず、農地法の改正と企業等の農業参入について伺います。  日本は、米など主要な農産物に高い関税をかけ、同時に生産調整も行い、国内の農業を守ってきました。しかし、今日の現状は、農地面積、農業就業人口、農業生産額などすべての指標において右肩下がりの状況であります。このままでは、日本の農業、とりわけ米に代表される土地利用型の農業は厳しいと言わざるを得ません。戦後の農政を支えてきた農地制度。一九五二年に制定された農地法は、小規模農家の保護を目的に、耕作者が農地を所有する自作農主義を基本理念とし、当初は生産力増強に役立ったとされています。  その後、大規模化や新規参入を阻む弊害が目立つようになり、二〇〇九年に改正されたのであります。その結果、農地の賃貸借期間を最長二十年から五十年に延長し、農地を所有できる農業生産法人への企業の出資規制も緩和されました。しかし、改正後にあっても、旧農地法の農地は耕作者が所有することが最も適当という考え方を引きずっていることから、農地の賃貸による大規模化が進まない、見直しは不十分であり、農地法の廃止も視野にわかりやすい制度をつくり直してはとの指摘もあり、政府において再検証しているところであります。  そこで、二点伺います。  まず、平成二十一年の農地法の改正による農業への企業の参入状況と今後の課題について。  また、農業従事者の高齢化が進む中、本県農業の維持発展には中小企業の農業参入が必要と考えますが、その取り組みについて伺います。  次に、農林水産品の輸出促進についてであります。  先進各国の経済の先行きに不透明感が高まっているのとは対照的に、新興国経済は力強く成長しています。こうした中、日本は、世界経済の成長センターと言われる東アジアの東端に位置しているわけで、地政学的に極めて恵まれていることを認識すべきであります。  つまり、アジア貿易圏三十五億人、さらにアジア太平洋貿易圏四十億人という人口が生み出す需要を、日本はいわゆる内需として取り込むチャンスに遭遇しているのであります。日本の農業は、農業従事者の高齢化や後継者難、低収益性など、このままでは将来の存続が危ぶまれる状況にあります。今後も国内農業が持続して発展するためには、企業の参入、法人化の促進だけではなくて、需要を海外に求めていく政策、農業の成長産業化を図る政策が不可欠となっています。  現在、日本の農業生産額は八兆円程度であり、そのうち約四千五百億円が輸出に向けられています。これを伸ばすには、アジアの富裕層向けに日本の農産物輸出をふやす必要があります。実際に、富裕層と言われる人々は、経産省のデータによれば、中国、韓国、台湾だけで現在約四千万人いるとされています。これが二〇二〇年には一億八千万人までふえると予測されています。生活水準の向上につれ、安全・安心な食料を求める傾向が一層顕著になることは必然であります。日本の農家の水準は世界一と言っていい。中でも青森は農業の先進地域であります。これだけ安心でおいしい農産物をつくれる地域は世界を見渡しても極めて少なく、日本の農産物のブランド力はかなり高い。これに加工を加え、食材として輸出すれば、六次産業化が進み、雇用にもプラスに働くと考えられます。  いずれにせよ、平均年齢約六十六歳、青森県でも六十三歳、農業収入もピーク時の半分という日本の農業の将来はこのままでは暗いと言わざるを得ません。今こそ、日本の農業、青森県の農業が世界に打って出られるような政策と具体的な支援策が求められています。  同時に、全国に対し、特に農業分野においては青森県が日本の先頭に立つという強いメッセージを発信しなければなりません。二月二十六日、先週の土曜に鹿野農林水産大臣が来県いたしました。その折、大臣から直接承った話として、世界トップレベルの安全と品質を誇る農林水産物、我々はみずからの産品の持つ力を理解し、世界に向け羽ばたくときを迎えている。特に中国市場は拡大し、大きな夢のある市場となる。鹿野大臣主導の取り組みとして、中国の農業分野で最大規模を誇る中国農業発展集団総公司と連携を進めるとのこと。ちなみに、この中国農業発展集団とは、中国国務院が管理する国営企業であり、従業員八万人、海外に一万人、資産総額百五十億元、約二千億円、海外四十以上の支店を有し、八十の国、地域と貿易取引があるとのことであります。  筒井副大臣の中国訪問の際には、米、果実、野菜、牛肉、乳製品の輸入に強い関心がある旨中国側から説明があり、展示即売館を北京等数カ所に設置すること、技術交流も図りたいことの提案がなされています。特に米については、薫蒸等の問題をクリアすれば、当面二十万トン、将来的には百万トンの輸入を目指したいとの表明がありました。  三点質問いたします。  まず、中国向け農林水産品の輸出拡大に当たっての課題とその対策について。  次に、中国農業発展集団と連携して輸出に関する活動を展開する中国輸出促進協議会が設立される見通しにあります。情報収集を進め、具体的に参加を検討すべきと考えますが、見解を伺います。  さらに、県で考える農林水産品の輸出促進戦略について、どのように進めるのか伺います。  次に、戸別所得補償制度についてであります。  穀物市場への国際投機資金の流入、バイオ燃料需要の急増、中国を初め途上国の需要の増大、世界各地の異常気象などにより、世界の穀物需給は逼迫しています。その中で国内生産力を確保していくことは、国民の食料を確保していく観点から見ても、国家戦略として極めて重要であります。国内農産物の安定供給のため、産業としての持続性を回復し、農業、農村の再生をしっかりと図っていくことが急務であります。本年度からスタートした戸別所得補償制度はその要請にこたえるものであり、戦後農政の転換を図る歴史的一歩であります。  ことしの十アール当たり交付額は、定額分一万五千円に加え、変動部分一万五千百円、計三万百円となりました。来年度からは、これに十アール当たり二万円の規模拡大加算などの措置も加えられるほか、畑作物への所得補償も本格スタートいたします。  そこで質問ですが、県は、今年度の所得補償制度に基づく交付額について、昨年度の転作助成金と比較してどう評価しているのか伺います。  二点目として、今年度の実施状況を踏まえた本制度に対する県の見解を伺います。  次に、入札制度改革と知事の関連会社についてであります。  昨年九月の定例会、一般質問最終日の九月三十日、この日、県議会が三村興業社の問題から五時間四十五分にわたって空転したのは記憶に新しいところであります。我が党の渋谷哲一議員の質問に端を発し明らかになった内容は驚くべきものでありました。  三八地域県民局が発注した百石漁港の地域水産物供給基盤整備工事における過去五十件の発注工事のうち二十四件を三村興業社が落札し、請負総額約三十六億二千三百万円のうち同社の落札額は約二十八億四千万円に上り、全体の七八・四%を占めるという事実であります。つまり、金額にして全体の八割近くを、ほかの建設会社を差しおいて一社が独占的に受注している。公共工事が減り続ける中、周辺市町村の建設会社から、やり過ぎ、不公平、あり得ないとの声が上がるのも無理からぬところであります。  この問題について言えることは、一件を除いて落札率が九〇%を超えており、ほとんど競争状態になっていないと推測されること。なっていれば、かなりの確率で八〇%台まで落札率は下がる。また、指名競争入札は新規参入者が制限される傾向があり、メンバーが固定化される。一般競争入札についても、地域要件など参加条件の見直しが必要。いずれにしても、第三者に競争の結果であると胸を張って言える入札制度を県は県民に示す必要があります。  さらに、発注者と受注者をめぐる問題もあります。かつて社長を務めていて、その後も株主を続け、加えて発注者であるという構図。入札が適正かどうかの問題ではなく、道義的・倫理的責任を問われるのは、今の時代、当たり前のことではないでしょうか。知事職にある者として、あなたは説明を尽くしてきたと言い切れますか。  質問いたします。  一般競争入札の導入など入札制度改革をどのように進めるのか。  さらに、三村興業社の受注状況について県民から厳しい目が向けられていますが、株式の問題を含め、知事の見解を伺います。  最後に、クリスタルバレイ構想破綻への対応についてであります。  昨年十一月二十九日、クリスタルバレイ構想の立地第一号の企業として平成十三年にむつ小川原地区に進出したエーアイエス株式会社が破綻いたしました。その衝撃が走る同じ日、知事が三選出馬を表明しましたが、何とも形容しがたい皮肉な日として記憶に残りました。次世代産業育成を目指したクリスタルバレイ構想は、知事出馬表明のその日、事実上、終えんに向かったのであります。  クリスタルバレイ構想は、平成十二年三月に民間から提案を受け、行政としては異例のスピードと言えるわずか四カ月後の同年七月に中間提言が行われ、その中でオーダーメード型貸し工場制度について提言があり、これまた異例の速さで制度が実現しました。平成十三年五月にオーダーメード型貸し工場に係る損失補償契約が締結され、エーアイエス株式会社が操業を開始した。その後、フラットパネルディスプレーの研究開発を初め多額の税金が投入されたにもかかわらず、構想に基づく企業の進出は全く見られず、ようやく二番目の東北デバイス株式会社が操業を開始したのは五年後の平成十八年四月からであり、既にこの時点で構想はほころびを見せていたと判断すべきであります。  エーアイエスの親会社であるアンデス電気が平成二十一年一月に民事再生手続を開始したのを皮切りに、平成二十二年七月には東北デバイスが、そして十一月にはエーアイエスが自己破産し、クリスタルバレイ構想は完全に破綻し、県民負担だけが残りました。  アンデス電気に対しては約六十億円の債権放棄をし、構想推進のため県費約十一億円が費やされ、報道によれば、今回さらに約三十億円近い県費が投入されようとしています。これは税金であります。アンデス電気の破綻、クリスタルバレイ構想の破綻に至っても、県は、百年に一度の不況の影響だとか、韓国、台湾など海外企業の躍進など外的要因ばかりを並べるだけで、だれ一人として責任をとらないばかりか、構想が破綻したことの原因究明も検証も進んでいません。さきの県議会での反省は何だったのか。県民に対しての誠実な対応と言えるのでしょうか。県の対応は、民間企業であれば許されることではありません。当然、しかるべき立場の人間が責任を明確にして、身を処している問題であります。ましてや、県民の税金を投入してきていることからすれば、それ以上の倫理が求められるのは当然であります。  十一月末にエーアイエスが破産申請して三カ月が経過し、新たな企業の進出が報道されていますが、県はしっかりと検証できているのでしょうか。報道にある企業の経営に問題はないのか、県民には知るすべもなく、全く雲をつかむような話であります。二十億円の損失補償に加え、今回新たに十億円近い追加投資を行うとのことですが、金融機関であれば、十分な調査、審査なくして融資することは絶対にあり得ません。  今の県政には、政策推進に当たって必要な内部牽制は働いているのでしょうか。リーダーシップはどこにあるのか。だれかの一言で物事が決まってしまうような組織であってはなりません。責任の所在を明確にし、貸付金の回収に問題がないと県民の皆様に判断していただける説明を尽くすことが先であります。単に追加提案して議案を通せば済むという、そういう問題ではありません。県民に向き合う知事としての根本の政治姿勢が問われているのです。  三点質問いたします。  まず、エーアイエス株式会社が破綻して三カ月が経過しましたが、企業進出の見込みについて──これは通告時点での内容です。ですから、今申し上げたことを加味して答弁していただきたいと思います。  二点目として、クリスタルバレイ構想に係る十分な反省と検証が必要と考えるが、どのように進めていくのか。  三点目として、構想の破綻、エーアイエスを初めとする液晶関連各社の経営破綻及び多額の県民負担に対しどのように責任をとるのか、知事の見解を伺います。  以上で壇上からの質問を終わります。 26 ◯副議長(中谷純逸) 知事。 27 ◯知事(三村申吾) 山内崇議員にお答えいたします。  まず、民主党政権になって以降の地財対策に対しての評価であります。  平成十六年度の三位一体改革以降、本県財政は数年間にわたり厳しい歳入環境にございましたが、地方財政の充実強化を働きかけてきた本県を初め地方の声を受け、国においては、平成二十年度から特別枠の創設により地方交付税の増額を図るなど、近年、地方財政の充実が図られたところであります。  平成二十三年度の本県の地方一般財源総額は、県税収入等が増加する一方で、臨時財政対策債を含む地方交付税総額が減少することから、前年度当初予算と同規模となるものと見込まれますが、こういった中で、実質的な収支均衡を達成するなど、持続可能な財政構造の確立に大きく前進することができたところであります。  こうした成果を上げられたことは、行財政基盤の安定なくして県政なしという強い意思のもと、財政改革プランに基づき取り組んできた行財政改革努力によるものと考えており、これまで御協力いただきました県民の皆様方を初め関係者の皆様方の御理解、御協力に改めて感謝を申し上げるところであります。  少子高齢化の進行に伴う社会保障関係費のさらなる負担の増大や国家財政の悪化に伴う地方交付税等地方財政への影響が懸念されるなど、今後の本県財政は明るい見通しだけを持つ環境にはないことから、持続可能な青森型社会の実現のために、引き続き行財政全般にわたる改革努力を継続してまいりたいと考えております。  地域活性化交付金の配分に対してであります。  国においては、平成二十年度の経済対策関連の補正予算において、今回のように地域がそれぞれの実情に応じて創意工夫することで地域の活性化を図るための交付金を創設し、それ以降、数次にわたり予算措置されており、地域の現場を預かる者として、地域活性化、このことにしっかり役立てていきたいと、そう考えているところであります。  今回のきめ細やかな交付金の配分に当たりましては、平成二十二年度の特殊事情でありますホタテガイ高水温被害への対応や、県内ものづくり企業による先進的かつ高度な技術を活用した新産業、新事業の創出のための支援、さらには県内の厳しい経済・雇用情勢を踏まえたきめ細やかな公共事業など、本県が必要とする喫緊の課題について機会をとらえて説明、提案してきたわけでございますが、これに対応されたものと御礼申し上げるところであります。  本交付金については、御審議いただいております平成二十三年度当初予算と一体編成した平成二十二年度二月補正予算案に計上されているところであり、切れ目ない予算執行のため、本県の厳しい経済・雇用情勢と県民生活の安全・安心のために最大限対応したいと考えるところであります。  並行在来線の貨物調整金制度の拡充に対しての評価であります。  並行在来線に対する国の支援につきましては、昨年末に国から、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構の特例業務勘定の利益剰余金を活用した並行在来線への支援拡充の方針が示され、これまで線路使用料の算定に当たり旅客と貨物の走行量に応じて案分していたものから、より貨物の走行実態、すなわち車両数を反映するよう車両キロに算定指標を見直すとともに、JRからの譲渡資産であります既存資産につきましても算定対象とすることとされました。  国では、この方針に基づき、支援の拡充に向けた制度設計を関係県などと協議しながら進めているところであります。県としても、拡充後の線路使用料について、これまでの国との協議等を踏まえつつ積算の上、平成二十三年度当初予算に歳入計上したところです。その結果、貨物線路使用料の額は従前のルールで計算した場合に比べおよそ十億円の増となることが見込まれ、県の負担はその分軽減されることとなるものであります。  貨物の走行実態を踏まえた線路使用料の増額については、これまで、本県と県議会が全国の先導役となり、長年にわたって国に粘り強く働きかけてきたものであります。今回の支援拡充の結果は、まさに並行在来線の安定的な維持、存続に大きく寄与するものと評価するものであり、国の関係者はもとより、ここに至るまで御協力をいただきました県議会の皆様や国会議員の皆様を初め、多くの関係者の方々に感謝申し上げたいと思っております。  新規高等学校卒業予定者及び若年者の就職支援策であります。  少子高齢化社会が進む中で本県経済社会の活力を維持発展させていくためには、次代を担う若い世代が、私ども青森県内で意欲を持って就業し、安定した生活基盤を築いていくことが極めて重要であります。そのために、私は、知事就任以来、産業・雇用分野を県政の最重要課題と位置づけ、若年者の就職支援に積極的に取り組んできました。  新規学卒者の就職状況については、これらの取り組みの成果もあり、県内企業については昨年を大幅に上回る求人数となっておりますものの、県外の求人が大幅に減少したことで、全体として見れば、昨年に引き続き厳しい状況でございます。  このような状況を改善するため、県特別保証融資制度、雇用創出特別支援枠を拡充の上で再度実施いたしております。企業の求人提出を金融面から支援する方策でございますが、二月二十五日現在でありますが、受け付け及び承諾分を合わせた融資実績は約二十二億八千万円、新規雇用予定数二百七名で、うち新規学卒者が八十名となっております。  また、年度末までに就職が決まらない未就職者については、基金事業を活用した就職支援事業や職業訓練などの各種対策について十一月補正予算に計上し、合計七百名以上の規模の学卒未就職者対策を年度内から実施しているところであります。  また、新規学卒者以外の若年者につきましても、ジョブカフェあおもりにおいて、隣接いたしますハローワークヤングプラザと連携し、一貫した就職支援を行っておりますほか、基金事業を活用した雇用機会の創出や人材育成等も行うこととしており、引き続き、一人でも多くの若者が県内就職を果たせるよう、関係機関と連携し、全力で取り組んでいきます。  中小企業の農業参入についての取り組みであります。  本県農業は、生産技術が高く、夏季冷涼な気象条件下にあることや耕地面積が広いなど優位性を発揮できる分野でありますことから、中小企業が農業に参入することにより雇用の維持確保が図られるほか、農業、商業、工業の連携による新しい経営の展開も期待されるところであります。  現在、建設業や食品製造業を主体に四十社程度が農業経営に取り組んでおりまして、これらの企業に対する調査によりますと、生産技術の習得が不十分であることや、機械、施設に係る資金調達が必要なことなどが課題となっております。  このため、これまで、地域県民局に相談窓口を設置いたしましたほか、農業経営アドバイザーが企業訪問し、経営アドバイスや技術指導等を行ってきたところであります。今後は、中小企業が農業参入する際は、生産にとどまらず加工、販売に取り組み、収益性の確保を図る必要がありますことから、特に加工分野への参入に対する情報提供や販路開拓に向けた指導を強化することといたしております。  さらに、企業の農業参入を金融面から支援するため、中小企業が農業に参入する際に利用可能なアグリチャレンジ資金を新たに創設することとし、本議会に所要の予算を計上し、御審議いただいているところであります。  農林水産品の輸出戦略であります。  私は、本県がアジアの著しい経済成長を取り込み、外貨を獲得し、地域経済を安定成長へ導いていくことは極めて重要な戦略と考えております。世界とつながる青森、これを意識して、企業の海外展開や県産品の輸出促進・拡大、外国人観光客の誘致などを強力に進めるため、平成二十三年度、新たに観光国際戦略局を設置し、国際的な経済交流活動に積極果敢に取り組みたいと考えております。  特に農林水産品の輸出につきましては、昨年十一月に策定いたしました青森県農林水産品輸出促進戦略において、中国を中心とした東アジアとベトナムなど東南アジアを重点対象地域に設定し、本県の強みを発揮できますリンゴ、ホタテ、ナガイモ、米、リンゴジュース等の戦略品目に加え、サバなどの水産物、黒ニンニクなどの加工品、畜産物などの売り込み拡大を目指します。これによりまして、平成二十五年度までに二百十億円の輸出額達成に向けた活動を展開することといたしております。  具体的には、来年度は、アジアの海外企業に対し農林水産品の売り込みを行う輸出コーディネーターを配置して県内事業者等とのマッチングを図りますほか、国内外からの輸出入に携わるバイヤーを招聘しての産地商談会及び八月に香港で開催予定の見本市出展、シンガポールなどでの県産品フェアの開催やインターネット等各種メディアの活用、海外向けシンボルマークを活用したPRなどに取り組むこととし、本議会に所要の予算を計上し、御審議いただいております。  エーアイエス関連の貸し工場への企業の進出見込みであります。  県では、技術者の雇用維持を図る観点から、また、損失補償契約による県民負担を生じさせないためにも、財団法人21あおもり産業総合支援センターと連携しながら、貸し工場の早期活用に向け、クリーンルームを活用し得るさまざまな企業に対して貸し工場の利用を働きかけてきたところでございます。  その結果、貸し工場の一部を使用し生産を行いたい意向を示している企業や貸し工場の活用に関心を持っている企業が出てきておりまして、現在、それらの企業と貸し工場の利用方法の全体的な調整を行っている状況にございます。  今後、利用予定企業と工場利用に係る諸条件について協議していきますとともに、工場のフル稼働を目指し、引き続き企業折衝に努める所存でございます。  私からは以上です。 28 ◯副議長(中谷純逸) 病院事業管理者。 29 ◯病院事業管理者(吉田茂昭) 県立中央病院がん診療センターの機能強化に関する考え方についての御質問にお答えいたします。  県立中央病院の医療機能につきましては、県の政策医療、とりわけ四疾病五事業の中心的な担い手となるべく、院内の診療体制を整備してきたところであります。とりわけ死亡率の高いがんにつきましては、疾病の初期段階から重篤な症状を呈する時期まで包括的かつ集中的な医療を提供するため、平成二十年四月にがん診療センターを開設し、その対応を図ることといたしております。  本センターは、消化器内科、呼吸器科、血液内科、外科、腫瘍放射線科等の九診療科で構成され、各診療科の医師たちが連携を密にすることでがん診療の充実強化を図っているところです。また、平成二十一年度には最新鋭の放射線治療システム「ライナック」二台を更新させていただき、IMRT──強度変調放射線治療と呼びますが、これなどを初めとする最新の放射線治療を展開中ですが、さらに、薬物療法との併用による切らずに治すがん治療についても鋭意取り組んでいるところであります。  また、がん患者さんにおける生活の質の向上を図るため、患者・家族相談支援室、がん相談外来、緩和ケアチームなどを設置し、それぞれの活動の幅を広げつつあります。  今後の方向性でございますが、当院といたしましては、機器整備もさることながら、都道府県がん診療連携拠点病院として県全体のがん医療を向上させ、がん患者さんがどの地域にあっても質の高いがん医療を受けられるような医療体制を構築することが喫緊の課題であると考えており、人員配置を含めた医療連携部門の強化に努め、地域がん診療連携拠点病院などとの一層の連携を図りつつ、各種の研修、がん登録の推進、がん地域連携パスの整備等に取り組んでまいりたいと考えております。 30 ◯副議長(中谷純逸) 総務部長。 31 ◯総務部長(田辺康彦) まず、県債残高とその償還の見通しについてでございます。  平成二十三年度当初予算においては、臨時財政対策債が大幅に減額となるほか、臨時財政対策債以外の通常の県債についても新規発行の抑制に努めた結果、前年度以下となり、将来世代の負担の軽減が図られたところです。  今後の県債残高の見通しについては、新幹線鉄道整備事業費負担金及び県境不法投棄対策事業は事業計画に基づき、また、これらの県債を除き、臨時財政対策債を含めたそのほかの県債の発行総額を平成二十三年度当初予算と同程度と見込んだ試算では、今後、一兆三千億円台で推移することが見込まれる一方で、臨時財政対策債を除いたベースでは減少傾向で推移いたします。  また、公債費については、今後数年間一千百億円程度で推移するものの、残高同様に臨時財政対策債以外の分は着実に減少していくことが見込まれます。  ということでございますので、今後の臨時財政対策債の発行次第では、県債全体の残高につきましても減少局面に転換し得る状況になっているところでございます。  次に、一括交付金についてでございます。  国庫補助負担金の一括交付金化に当たっては、地方がみずからの裁量で地域の実情に合った行政サービスをこれまで以上に提供できるよう、地方にとって自由度が高く、使い勝手のよいものとすることが重要であると考えております。
     また、住民サービスの低下を招かないよう、総額を確保することに加え、財政力や社会資本の整備状況等の地域間格差の是正のため、配分方法も十分に検討していただく必要があると認識しております。  平成二十三年度におきましては、議員御指摘のとおり、投資補助金の一部が一括交付金化の対象とされているものの、配分方法を含め制度の詳細が明らかになっていない状況にあることから、二十三年度当初予算においては既存の国庫補助金として計上しているところでございますが、今後判明する内容に基づき適切に対応することといたしております。 32 ◯副議長(中谷純逸) 企画政策部長。 33 ◯企画政策部長(佐々木郁夫) 御質問二点にお答えします。  まず、総合特区制度への評価と今後の取り組みについてです。  総合特区制度は、これまでの構造改革特区制度と異なり、規制の特例措置だけではなく、税制・財政・金融上の支援措置等をパッケージ化して実施するものであり、地域の自立的な取り組みに基づく個性ある地域の活性化に資するものとして期待しているところです。  本県においては、本制度を大いに活用して地域の活性化を図っていくため、本県の強みである食料やエネルギー、水資源などの地域資源を最大限活用した取り組みの提案をしています。  具体的には、昨年九月に実施された制度設計のための提案募集において、国際戦略総合特区として、戦略的グリーンITパーク設立構想を六ヶ所村、新むつ小川原株式会社と共同で、また、地域活性化総合特区として、「環境公共」を基盤とした「きれいな水」食料特区を提案したところです。  現在は、平成二十三年度に予定されている本申請に向け、関係省庁等の御協力も得ながら鋭意ブラッシュアップに努めているほか、新たな案件の提案についても庁内各部局に検討するよう依頼するとともに、市町村に対しましても制度の周知を図っているところです。  総合特区は、政策課題の解決に向けた地域の本気度が試されている制度であり、県としましても、食やエネルギーなどの本県の強みと、これらの強みを生かすための攻めの農林水産業を初めとしたこれまでの取り組みの実績をアピールするなど、総合特区の指定に向け働きかけを強めていくこととしております。  次に、自然災害により青い森鉄道線が被災した場合の対応についてです。  地震などの自然災害が発生し、鉄道施設などに大きな被害が生じた場合には、直ちに災害復旧を行うための財源の確保が必要とされるところです。この財源の一つとして、一般的には、国の鉄道軌道整備法に基づく災害復旧事業費補助の活用が考えられるところですが、第三種鉄道事業者である本県に対してもこの補助制度が適用されるよう、これまで要望してきたところです。  この補助制度は、経営困難な鉄軌道事業者が大規模な災害を受けた場合に、その復旧に要する経費の四分の一を国が助成する制度で、復旧費が当該路線の運輸収入の一割以上となる災害に適用されるものですが、国において要望を踏まえ検討していただいたところ、第三種鉄道事業者である本県でも適用できることとされ、また、線路使用料の一割以上となる災害が対象となることを確認しているところです。  また、県は、自然災害などが発生した場合の鉄道施設の損害への対応として、線路、トンネル及び橋梁等を対象とした土木構造物保険、電路設備及び通信ケーブル等を対象とした火災保険に加入しています。このことから、自然災害により青い森鉄道線に被害が発生した場合には、その規模に応じて、災害保険による対応、災害保険だけで対応できないような大規模な災害については、国の補助制度も活用することを想定しているところです。  なお、災害等異常時の応急対策に当たっては鉄道事業者間の連携が必要と考えられますことから、東日本旅客鉄道株式会社、IGRいわて銀河鉄道株式会社、青い森鉄道株式会社及び青森県の四者においては、自然災害等により所有する車両や設備に事故または故障が発生した場合の応援出動や復旧機材の手配等について協定を締結しているところであります。 34 ◯副議長(中谷純逸) 健康福祉部長。 35 ◯健康福祉部長(一瀬 篤) 初めに、保育料の軽減についてお答えいたします。  県では、保育所に入所する児童の保護者の経済的負担を軽減し、安心して子供を産み育てる環境づくりを進めるため、平成八年十月から、市町村が第三子以降の児童の保育料を軽減した場合に県が独自に助成する青森県保育料軽減事業を実施しています。  制度開始当初は、児童の年齢にかかわらず、第三子以降の保育料をすべて軽減の対象としていました。しかしながら、平成十五年度に本事業の事務事業効果を検証しましたところ、多子世帯の育児にかかる経済的負担の軽減には一定の効果があったものの、出生率向上の効果は明確でなかったことから、全国の実施状況等も踏まえ、平成十七年度から事業内容を段階的に見直しし、平成十九年度以降は、第三子以降の三歳未満児に限り軽減の対象としております。  次に、保育料の滞納についてです。  市町村における保育料滞納額について、県では把握しておりません。  保育所における児童の保育に要する費用は公費と保護者が負担する保育料によって賄われており、保育料の滞納は、保育料を納めている保護者との公平性の問題はもとより、市町村のほかの予算から補てんするなど他者に負担が生じたり、保育所の安定的な運営に影響を及ぼし、保育所に入所する児童の健やかな育成が損なわれるおそれがあるなど、重大な問題があると考えています。  このため、市町村においては、保護者の方々に応分の負担をしていただくことの必要性について十分に説明し、理解と協力を求めるなど、滞納が発生しないよう適切に対応していただく必要があるものと考えています。  次に、乳幼児等医療費助成事業についてです。  県では、乳幼児の健康保持増進、保護者の経済的負担の軽減を図ることなどを目的として、小学校就学前の乳幼児の医療費を助成する青森県乳幼児はつらつ育成事業を実施しています。  当事業では、実施主体である市町村が乳幼児医療費の自己負担分を給付した場合、その二分の一を県が補助しています。  給付対象は、入院、通院とも小学校就学前までで、また、所得制限を設けています。四歳以上については、入院一日につき五百円、通院一月につき千五百円の自己負担があり、給付方法は、国民健康保険の乳児を除いて原則償還払いとなっています。  平成二十一年度の事業実績としましては、四十市町村に対して五億八千万円余を補助しています。  また、県としては、本事業をすべての市町村で実施していただくことが重要と考えておりますが、すべての市町村で小学生、中学生に対して医療費助成を拡大することは困難であると考えています。  なお、乳幼児医療費の無料化については、全国共通の安定した制度とするためにもこれまでも国へ要望してきたところであり、今後もさまざまな機会をとらえ、国へ働きかけていくこととしています。  次に、医療機関の病床活用についてです。  医療機関の療養及び一般病床については、医療法等において、国の定める算定方法に従い、二次医療圏ごとに基準病床数を定めることとされています。  これにより、既存の病床数が基準病床数を超える医療圏においては、病床の新設、増床の許可申請があった場合に、都道府県は許可を与えないことができるとされています。  なお、高度な医療や周産期医療など国が定めた特定の病床については、国に対する協議を行い、必要と認められた場合には病床の新設、増床の許可ができるとされていますが、多くの時間と事務処理を要することから、地域のニーズに合わせた医療機能の確保を迅速に図るためには大きな課題となっています。  そこで、県では、全国知事会からの特区共同提案や全国衛生部長会からの要望を通じて、他の都道府県とも連携しながら、国に対し、基準病床数の設定について、都道府県の裁量による弾力的運用を認めるよう要請を行ってきたところです。また、一昨日開催されました国の医療計画の見直し等に関する検討会におきましても都道府県としての医療計画に関する意見が求められましたので、この機会を利用しさらなる要請を行ったところであり、地域の医療資源の効果的活用と医療機能の確保を図るため、今後も引き続き国に対する要請を行っていきたいと考えております。  最後に、自治体病院向け補助メニューについてです。  これまでの国庫補助制度は、特定の疾患や分野ごとの補助メニューとなっていますが、本県のみならず、我が国全体として地域の実情に即した医療の提供体制の改革が必要となっていますことから、これを促進する総合的な支援策が求められています。  これに対し、国では、昨年度及び本年度と地域医療再生臨時特例交付金を創設し、地域における改革への取り組みを支援することとしていますが、その期間が平成二十五年度までと短期的なものにとどまっています。  医療提供体制の再構築に当たっては、中長期的に取り組む必要があると考えており、このような視点からの制度を確立するよう、さまざまな機会を通じて国に提案していきたいと考えております。 36 ◯副議長(中谷純逸) 商工労働部長。 37 ◯商工労働部長(櫻庭洋一) 御質問四点にお答えいたします。  まず、基金事業による雇用創出についてでございます。  県では、喫緊の課題である雇用の場の確保について、ふるさと雇用再生特別対策事業と緊急雇用創出対策事業を最大限活用し、市町村と連携し、雇用機会の創出に取り組んでおります。  基金事業につきましては原則平成二十三年度で終了の予定となっていることから、県としては、一過性の雇用機会に終わらせることなく、県内の産業の育成、振興など中長期的な雇用創出につながるよう、県内において今後雇用の増大が期待される分野などで積極的に活用することとしております。  特に、昨年度創設されました重点分野雇用創造事業につきましては、介護、医療、観光、農林水産、環境・エネルギーなど今後雇用が期待される重点分野において雇用創出や人材育成を行うもので、県では、国の指定分野に加えまして、東北新幹線全線開業対策、産業・雇用など四分野を指定し、今年度から重点的に事業を実施しているところでございます。  また、ふるさと雇用再生特別対策事業におきましても、産業振興・農林水産・観光分野などにおいて、地域資源を用いた新商品の開発、販路開拓等に積極的に活用しており、これらの分野での基金事業の活用を推進しながら県内の雇用創出に取り組んでまいります。  次に、県内中小企業の海外展開支援についてでございます。  経済のグローバル化や人口減少に伴い国内市場が縮小する中で中小企業が成長、発展していくためには、海外市場をターゲットに事業展開することが重要であると考えております。  そのため、県では、特に経済成長が著しい中国、香港及び台湾の中華圏への県産品の輸出拡大と観光客の誘致を一体的かつ強力に進めるため、青森県中華圏取組戦略を策定したところでございます。平成二十三年度から、この戦略に基づきまして、これまでの現地商談会の開催等に加えまして、新たに、中国企業の有力者等を招聘し、県産品の生産・製造現場や観光資源など本県の魅力を紹介するビジネスツアーを実施するほか、県内企業と現地パートナー企業との橋渡し役をするコーディネーターを現地に設置するなどの取り組みを進めることとしております。  また、海外見本市出展経費の補助対象を拡充するとともに、海外事業の展開でインターネット活用の重要性が増していることから、外国語ホームページ作成経費や企業間国際取引サイトへの出展料の一部を新たに助成するなど、海外展開に意欲的な県内企業に対する支援の拡充を図ることとしております。  今後とも、これまで構築したネットワークを積極的に活用して現地ニーズの把握に努めるとともに、ジェトロ青森などの関係機関等と連携して、県内中小企業の海外事業展開の支援に取り組んでいきたいと考えております。  次に、クリスタルバレイ構想に係る検証等についてでございます。  平成十三年の構想の策定から十年目という節目を迎えまして、現在、構想策定時の背景から、策定の経緯、策定後の経済環境の変化とその対応、具体的な取り組みと成果などを踏まえまして、課題等について整理を進めているところでございます。  県としては、これらの整理結果について、年度内に取りまとめ、公表したいと考えております。  最後に、エーアイエス株式会社を初めとする液晶関連各社の経営破綻及び多額の県民負担に対する責任についてでございます。  エーアイエス株式会社を初めとする液晶関連企業の経営破綻等に関し、県議会並びに県民の皆様に御心配をおかけしていることにつきましては、深くおわび申し上げたいと考えております。  オーダーメード型貸し工場については、平成十三年度に、建物約三十九億円、機械設備約五十億円、合わせて約八十九億円の損失補償契約を金融機関と締結しましたが、これまで約六十九億円の返済が進み、現在、約二十億円の残高となっております。このため、オーダーメード型貸し工場の活用につきましては、技術の継続と技術者の雇用の確保を図る観点から、財団法人21あおもり産業総合支援センターと連携しながら工場を早期にフル稼働させ、計画的なリース料の回収により県民負担を生じさせないことが大切であると考えております。  また、東北デバイス株式会社の事業につきましては、株式会社カネカの支援によりOLED青森株式会社のもとで再生し、今後は有機EL分野で発展していくものと考えております。  クリスタルバレイ構想は、構想策定以降の急激な産業構造の変化の中にあっても、立地企業、研究開発による新技術、そして人財及びネットワークなど、今後の本県の産業振興につながる貴重な財産をもたらしております。  県としては、これらの財産を積極的に活用するとともに、倒産により失業を余儀なくされた事態を重く受けとめ、本県の喫緊の課題である産業・雇用の創出に全力で取り組んでまいります。 38 ◯副議長(中谷純逸) 農林水産部長。 39 ◯農林水産部長(有馬喜代史) 御質問六点にお答えいたします。  最初に、農地法改正に伴う農業への企業参入の状況についてです。  平成二十一年の農地法改正では、企業の農業参入に関する規制が緩和され、農地を所有できる農業生産法人については、企業などの出資割合が十分の一以下に制限されていたものが、最大二分の一未満まで引き上げられたところです。  また、農地を借り入れて企業が農業に参入する場合には、それまで必要であった企業と市町村長との協定締結は不要となり、農業用水の利用や病害虫防除などにおいて地元と協調して実施することなどの条件のもとで、農地の所有者と直接貸借契約を結ぶことが可能となりました。  この結果、本県では、農業に参入した企業数は、平成二十一年の三十一法人から、平成二十二年十二月末現在では四十二法人となっています。  次に、中国向け農林水産品の輸出拡大についてです。  中国への輸出拡大の主な課題としては、商品代金の決済期間が長いなど我が国の商習慣と異なること、現在日本から中国へ輸出できる農業物はリンゴ、ナシ、米に限られ、品目の拡大が必要なこと、水産品や加工食品の通関にあっては長期間にわたる場合があることなどが挙げられます。  県としては、これらの課題を解決するため、中国の商習慣を理解している台湾の貿易業者と連携した輸出ルートの活用や中国バイヤーを招聘した商談会などにより信頼できる取引業者を確保するほか、国に対して、輸出品目拡大に向け、植物検疫等の緩和に向けた政府間の協議を早急に進展させることや輸入手続の迅速化を要望しています。  また、中国での県産品の認知度向上と販売拡大に向けて、フェアの開催や、青森りんごの知識を持った販売員の育成、メディアを活用したPRなどに加え、加工食品については、食品添加物の規制や賞味期限などの面で中国への輸出に適合した商品づくりのセミナー開催などにも取り組んでまいります。  次に、中国輸出促進協議会設立の動きに対する県の対応についてです。  国では、農林水産分野で生産から販売を行う中国国営の最大企業、中国農業発展集団総公司と連携して農林水産品の輸出拡大を図ることとし、この推進母体として、行政や企業が参加する中国輸出促進協議会──仮称でございますが、この協議会の設立を目指しているところです。  県としては、現在のところ、同協議会の位置づけや具体的な事業内容などが明らかでないことから、農林水産省からの情報収集に努めているところです。中国は本県の農林水産品の輸出先としての可能性が大きいものと認識しており、機会を逃さずにその取り組みを加速させる必要があると考えています。  次に、戸別所得補償モデル対策の助成額に関しての評価についてです。  今年度の戸別所得補償モデル対策における本県への交付見込み額は、主食用米については、作付面積において支払われる定額部分と販売価格が標準価格を下回った場合に支払われる変動部分を合わせて約百一億五千万円となる予定です。なお、主食用米の助成については、今年度初めて実施されるものです。  また、転作作物への助成である水田利活用自給力向上事業交付金については、飼料用米などの増加により約六十八億円となっていますが、昨年度と比較して、麦や大豆、飼料用米等の転作作物について、生産者と加工業者との生産・流通計画の策定や、共同出荷などに取り組んだ場合に交付される助成金約二十一億円が交付されなくなったことから、全体として約十八億円の減額となっています。  次に、戸別所得補償モデル対策に対する県の見解についてです。  本県における米の戸別所得補償モデル事業については、加入面積が三万六千四十一ヘクタールで、対象面積の目安である水稲共済加入面積の七九・八%となり、一定の普及が図られたと考えています。  また、水田利活用自給力向上事業により、飼料用米や米粉用米などの新規需要米に対し十アール当たり八万円が交付されることになったことから、本県では、飼料用米が昨年度の六倍以上の約八百四十ヘクタール、米粉用米が昨年度の三倍以上の約百ヘクタールと大幅に増加しました。  県としては、転作への助成と主食用米の作付への助成から成るこの対策については、本県の水田農業経営に資したものと受けとめています。  しかし、飼料用米や米粉用米については、これまでも、食料自給率向上につながる持続的な仕組みとなるよう、麦や大豆と同様の所得補償交付金の対象作物とし、また、生産実績に基づく補償体系を構築することを国に提案してきたところであり、今後とも引き続き働きかけていく必要があると考えています。  最後に、百石漁港整備事業に係る受注状況等についてです。  県では、工事の発注に当たって、青森県建設工事条件付き一般競争入札事務取扱要領及び建設工事総合評価競争入札事務取扱要領など県の入札発注制度に定められた規則、要領にのっとり適正かつ厳正に執行しており、それに基づいた結果であると認識しています。  なお、知事が受注した会社の株主であったことについては、地方自治法では「普通地方公共団体の長は、当該普通地方公共団体に対し請負をする者及びその支配人又は主として同一の行為をする法人の無限責任社員、取締役、執行役若しくは監査役若しくはこれらに準ずべき者、支配人及び清算人たることができない」とされています。  知事は当該建設企業の役員等とはなっていないことから、この企業が県の工事を受注することに問題はありません。 40 ◯副議長(中谷純逸) 県土整備部長。 41 ◯県土整備部長(竹内春繁) 入札制度改革の取り組みについてお答えいたします。  建設工事における一般競争入札の拡大については、平成十九年十二月に青森県公共調達改革推進委員会から、優良な企業を適正に評価した上で総合評価方式の拡充や適切なダンピング受注対策などを実施し、その効果を検証、確認しながら段階的に一般競争入札を拡大していくべきであるとの提言を受けたところでございます。  この提言を受けまして、平成二十年七月から、総合評価方式の拡大や低入札価格調査制度における失格基準の引き上げなどのダンピング受注対策を実施した上で、一般競争入札の対象となる建設工事を従前の設計額四億円以上から五千万円以上のものまで拡大いたしました。しかしながら、その後も低入札の増加や落札率の低下などが見られたため、総合評価方式のさらなる拡大や入札ボンドの導入、低入札工事の受注制限などのダンピング受注対策を実施しているところでございます。一般競争入札の拡大につきましては、その効果を検証、確認しながら今後も適切に対処してまいります。 42 ◯副議長(中谷純逸) エネルギー総合対策局長。 43 ◯エネルギー総合対策局長(阿部耕造) 今般の電源三法交付金制度の充実によります県分の効果額と県の評価についてお答えいたします。  国の来年度予算におきまして、核燃料サイクル施設が全国に一つしかない重要な施設であるという特殊な事情にかんがみ、核燃料サイクル施設に係る電源立地地域対策交付金制度の充実強化が図られたところでございます。  具体的には、これまで県が活用できる電源立地地域対策交付金としては電力移出県等交付金相当部分がございましたが、交付金の算定に当たって核燃料サイクル施設の評価が原子力発電所と比べ低いなどの課題があったところでございます。今般の国の制度改正によりますと、発電施設向けとは別建てで、新たに核燃料サイクル施設向け交付金相当部分が創設され、より施設の稼働実態を勘案して算定されることとなったところでございまして、その結果、これら二つの交付金を合算したベースで平成二十二年度と比較した場合、平成二十三年度は約十一・八億円の増額が見込まれるところでございます。  また、施設の新増設の際に立地及び周辺市町村に交付されます電源立地促進対策交付金相当部分につきましても、核燃料サイクル施設に限り──中間貯蔵は除かれますけれども、県にも交付されることになり、MOX燃料工場等の着工により、総額約五十八億円の交付が新たに見込まれるものでございます。  核燃料サイクル施設の実態に見合った交付金制度の充実については、知事がこれまでも機会をとらえて経済産業大臣に対して直接要望してきたほか、昨年十一月に開催された核燃料サイクル協議会の場においても知事から強く求めたところであり、経済産業大臣からは、地域振興につながるようしっかり対応する旨の回答をいただいていたところでございます。今回の新たな交付金制度の創設は、県の要望も踏まえて国において積極的に対応していただいたものと評価するとともに、本県における電源地域の振興、さらには全県振興を進める上で大変重要なものであると受けとめております。 44 ◯副議長(中谷純逸) 教育長。 45 ◯教育長(橋本 都) 御質問五点にお答えいたします。  初めに、各市町村による就学援助制度の内容と対象児童生徒数の推移についてです。  就学援助制度は、学校教育法等の規定に基づき、経済的理由により就学困難と認められる要保護及び準要保護児童生徒の保護者に対して市町村が必要な援助を行うものであります。  このうち準要保護児童生徒に係る就学援助制度については、それまで国庫補助の対象となっていたものが平成十七年度から一般財源化されたところであり、市町村単独事業として、各市町村が独自に認定基準や援助内容を定めることとなっております。
     次に、対象児童生徒数の推移についてですが、平成十六年度の一万六千七十一名に対し平成二十一年度は一万九千二百五十二名となっており、これを県内公立小・中学校児童生徒数に対する就学援助対象児童生徒数の割合で見ると、平成十六年度の一二・三%に対し平成二十一年度は一六・三%と、いずれも増加しております。  次に、市町村間の格差への見解であります。  先ほど御説明したとおり、準要保護児童生徒に係る就学援助制度については、市町村単独事業として各市町村が独自に認定基準や援助内容を定めることとなっていることから、各市町村がそれぞれの実情に応じて取り組んでいるところであります。  県教育委員会としましては、就学援助制度は教育の機会均等のための重要な制度であると認識しており、各市町村が就学援助を適切に実施できるよう、各市町村に対する情報提供等を行ってまいりたいと考えております。  次に、青森県育英奨学会高校奨学金の貸与状況と返還状況についてです。  高校奨学金は、従前、国の特殊法人である日本育英会が実施しておりましたが、特殊法人等整理合理化計画による日本育英会の廃止に伴い、都道府県に移管されました。それを受け、本県では、平成十七年度から、財団法人青森県育英奨学会が、国の交付金を貸付金原資とし、貸与事業を実施しております。  貸与人数については、平成十七年度が九百四人、十八年度が千九百十人、十九年度が三千五十三人、二十年度が三千五十六人、二十一年度が三千四十人、二十二年度が二千五百八人となっております。  返還状況については、平成十七年度から貸与事業を実施後、本格的な返還は平成二十一年度から始まっており、平成二十一年度の返還予定額一億一千七十五万八千三百四十円に対し返還された額は一億三百八十八万八千二百九十五円で、返還予定額の九三・八%となっております。  次に、貸与月額の増額の必要性と貸与人数枠についてです。  高校奨学金の貸与月額は、公立・私立別にそれぞれ自宅、自宅外の四種類に区分されており、国公立の自宅通学者が一万八千円、自宅外通学者が二万三千円、私立の自宅通学者が三万円、自宅外通学者が三万五千円となっております。  貸与月額の改定については、今年度から公立高等学校の授業料無償化及び国立・私立高等学校等の就学支援制度が実施されたこともあり、今後、その状況を見守りながら慎重に検討してまいりたいと考えております。  また、高校奨学生の募集については、平成十七年度から毎年度中学三年生を対象に募集する予約採用、高校入学後四月に募集する定期採用、保護者の失業など家庭状況が急変したことによる緊急採用を実施しており、合わせて約千二百人の募集となっております。これまで、いずれの年度においても、貸与基準を満たしている申込者全員が奨学生として採用となっております。  次に、大学入学時における支援策についての見解であります。  財団法人青森県育英奨学会では大学奨学金貸与事業を実施しておりますが、現在、返還金を貸与原資として事業を実施しており、応募者全員に貸与できていない状況を考慮すれば、入学一時金等の支援策の実施は現状では難しいものと考えております。  なお、国の独立行政法人日本学生支援機構においては、大学等に進学する学生を対象とした奨学金貸与事業を実施しており、さらに、希望者には、入学時に増額して貸与を受けることができる入学時特別増額貸与奨学金の制度があり、これまで、希望した学生全員に貸与されていると伺っております。 46 ◯副議長(中谷純逸) 山内議員。 47 ◯三十四番(山内 崇) やっぱり肝心なところは答えてもらえなかったんですけれども、肉声はもちろん聞こえませんでしたが──何からいきましょうかね。  まず、子育てのところからいきますけれども、保育料の滞納の関係は調査していないということで、把握していないということですが、私は調査すべきだと思いますが、これについて再質問いたします。  それから、医療費について。これを小・中学生にも広げたらどうかという考え方がありますが、助成は困難だというふうなお答えでしたので、これを、市町村の負担を伴わないで、県が、例えば後期高齢者並みに──今、小学生、中学生は三割負担になっていますけれども、もしこれを二割負担にする、市町村の負担を抜きにして県の補助においてこれを実施した場合、県内で幾らの財源があればできるのか、多分試算を持っていると思いますけれども、これについてお答えください。  それから、就学援助ですけれども、要は、情報提供とかどうのという話が教育長からありましたけれども、私が問題にしているのは市町村の間で格差があるということです。要するに、援助の対象となるメニューとそうでないものがある。つまり、何度も言いますけれども、子供たちが暮らしている地域、市町村によって格差があるということ。それに対して、県としてこれを是正するために支援をするということは大事だと思うんですね。これについてもう一回お答えいただきたいと思います。  これらの、いわゆる子供たちのことというのはすごく大事だ、人財は大事だと、知事は日ごろから、今回の予算の提案でも強くおっしゃっていますけれども、現実にそれを裏づける施策というものが、県政の中身を検証してみたときに、これは不足していないだろうかと。そういう点で、今回この質問の中で取り上げさせていただきました。  電源三法交付金が今こういう形で増額となった。一時金の部分でも六十億円近いものが入ってくる。そして、さらに、県に対しても、十億を超える──恒久的に入ると言ってもいい、そういう部分もある。これを何に使っていくのか、そこが一番の問題ではないでしょうか。私は、こちらのこうした子育ての問題だとか、そういうことに予算を振り向けるということが大切ではないかと思いますので、今のことについて再質問させていただいたわけであります。  とにかく、子育ての問題でも、少子化には余り貢献しなかったということをおっしゃっていますけれども、今は、そういうことではなくて、子育てをどうするのかと。この事業──保育料の軽減事業を入れたとき、その時代とはまた状況が違っているわけです。それにあわせて、三位一体のときに予算がなくなって削った。それはいっときやむを得ないにしても、今のこの環境下でこれにもう一度光を当てるということを考えてもらっていいんじゃないかなと思っているわけです。  それから、順番はちょっと後先になりますけれども、青山副知事、この前はどうも大変お疲れさまでしたが、鹿野大臣からも青山副知事には直接、立ち話ではありましたけれども、中国農業発展集団の協議会について、ぜひ青森県のような県が参加をして先頭に立ってやってほしいと、そういう趣旨の話だったと思うんですよ。ですから、あの話を受けて──どうも今はまだ情報収集で余り気が進まないというふうな感じでしたけれども、もし副知事のコメントがあれば。  で、三村県政に対して申しますけれども、私は、三村県政のいいところはいいと素直に認めていいと思っています。だから、壇上の質問の中でも、いいところはいいと言ったはずです、少なかったかもしれませんけれども。  ただ、どうも感じるのは、県政は、今の政権に対して、半身というか、斜めに構えていはしないだろうかと、そういう感じがしてならないわけです。交付税についても、今しっかり対応してきていますし、ほかの交付金制度についても決して青森県に冷たくしているわけでもない。並行在来線を見ても、今まで解決できなかった問題を、百点満点ではないにしても、しっかりやってきている。こういうことを考えたときに、今の政治でありますので、もう少し腹を大きく持ってこれに対応したらどうなのかなと私は思っております。  それと、大切なことは、今回の予算について一言言わせてもらうならば、いかにも総花的というか、確かにきれいに盛りつけてありますけれども、本当の意味での政治の意思というのはどこにあるのかと。今大切なのは、政治家がどういう方向に世の中を持っていきたいのか、どういう方向性を出していくのか、この意思を明確に示すことが大事なのであります。そこが、きれいに盛りつけてあるだけで、どうも中身を見ると、先ほど申し上げたような点に対しての配慮が足りないと私は思っております。  そこで、知事に直接聞いた部分があったわけですけれども、どうしてもお答えいただけなかったわけです。まず入札の問題ですけれども、農林水産部長から適正な入札だから何も問題がないという趣旨の話がありましたけれども、今までと答弁は変わっておりません。これは当たり前の話なんです。適正でなきゃ困るんです。私が問題にしているのは、そういう話ではなくて、公職にある政治家として、発注者、受注者の関係を含めて、株式の問題も含めてどうなったんですかと、それを聞いているわけです。  それは、知事は、何の問題もないのであれば堂々とお答えすればいいわけであって、株式の問題についても云々かんぬんと前にありましたけれども、その後どうなったのか私どもは聞いておりませんけれども、そういうことについてやはりしっかりお答えいただきたい。株はどうなったんでしょうか、本人から伺いたいと思っております。  それから、クリスタルバレイですけれども、クリスタルバレイについては報道にあることは事実なんですか、伺います。報道では、具体的な企業名まで挙げて、合弁会社をつくってやるということでありましたけれども、これは事実なんですか、お答えください。  それから、私は、県民負担というか、県費がこれに相当投入されていくという問題からして、どのような責任の果たし方があるのかなと思って質問しましたけれども、個人のというか、だれがという話はしていなかったつもりですけれども、ここまで来て、もし検証もできていない──部長答弁では、しっかりした検証は年度末になると。しかし、報道にあることが事実であれば、追加提案されて、この問題については予算提案してくるわけですよね、まあ、しないならいいけれども。するのであれば、その検証より前に我々に判断を求めるということですよね。つまり、これまでのことについてはだれにも責任がないということでいいのか、この責任問題は存在しないということで理解してよろしいんですか、お答えください。  さきの蝦名副知事の答弁からも、今の県議会での状況というのは後退しているではありませんか。蝦名さんからは、この前は、この問題について副知事としてのお話をしっかりといただいたと思っております。蝦名さんの存在抜きにしてこのクリスタルバレイのスピード感というのはなかったと私は思っておりますので、副知事は非常に頑張ってきているし、今も、周りから見れば、この問題をだれが進めているのか、知事が最終責任者なのか、副知事なのか、部長なのか、どこがリーダーシップをとっているのか、そこら辺が明確に伝わってこないわけでございます。  これに関して、もしこれから本当にクリスタルバレイを進めていきたいと──私は破綻していると思いますけれども、後処理として、何とか傷口を広げたくないということであるならば、普通、民間であれば、さらに資金を投入してやるということはかなり考えにくいわけですけれども、あえてそれに進むと──まだ本人は言っていないですけれども。ですが、ここまで大きく一面に取り上げられている問題について、知事の責任でこれからは進めていくというふうに理解してよろしいのかどうかお答えいただきたいと思います。まさか副知事の責任でやっているということではないと思いますので、そのことについてもお答えいただきたいと思います。  次に、こういうことは──ここまで聞くつもりはなかったんですけれども、要は、私は、都合の悪いことは答えない、これはまずいと。難しい問題こそ、知事、あなたがトップになってやらなきゃいけないんですよ。だから、議員への答弁というのは、県民に対しての──我々個人に答えているわけではなくて、この議場を通じて青森県民に答弁していることなんですよ。だからしっかり答えてほしいと言っている。そのことを踏まえて、今の私の再質問に対して知事の答弁を求めます。 48 ◯副議長(中谷純逸) 知事。 49 ◯知事(三村申吾) 山内崇議員の再質問にお答えします。  いわゆる方向性等を含めて、しっかりと答弁すべきものは私として答弁してきたという思いがございます。  まず、産業政策等も含めて、でございますが、県政全般ということに私が知事職として責任を持って仕事を進めているということでございます。  続きまして、株式のことでございますが、十一月に今議員にお答えしてあったんですけれども、処分するということで十二月の末に取締役会等で承認を得ましたので、年明けに書きかえ等を終了しているという状況でございます。  私からは以上です。 50 ◯副議長(中谷純逸) 蝦名副知事。 51 ◯副知事(蝦名 武) クリスタルバレイ構想にかかわる問題につきまして、二社が破綻いたしまして県民に大変御心配をかけておりますけれども、東北デバイスにつきましては、有機ELというすばらしい研究技術がございまして、その技術と技術者を活用してこれを世界に広げていきたいというカネカの方針に基づいて今着々と進んでいるところでございます。  また、エーアイエスに関しましては、先ほども部長から答弁がありましたように八十九億の損失補償でありましたけれども、六十八億かそこらはもう既に返済しておりまして、今二十億七千万円あるわけでありますけれども、これについて、まだ県の負担が生じたわけではありません。我々としては、十一月二十九日に破綻しまして、議会が終了しましてから、私だとか櫻庭部長、工業振興課長、あるいは21財団の専務等々とさまざま東奔西走いたしました。そのときに、一番大事──発注する企業の姿勢は、あそこに技術があるということと、その技術をやるための技術者がいるということが高く評価されておりまして、これにつきましては、さまざま事情がございましてあれでございますけれども、今、破産管財人と最終的な詰めを行っているところでございます。破産管財人からは本当は二月までに何とかなるのじゃなかろうかという話もありましたけれども、今着々と進んでおりまして、その破産管財人並びに金融団、シンジケートの了解もほぼ得ております。  したがって、金融機関のそれぞれの事務手続の段階に入っているということでございまして、さまざま進んでいるところでございます。そのエーアイエスの残した技術あるいは技術者が非常に高く評価されているということを、私はいろいろ走り回りながら大変感じたところでございます。  そして、その責任の問題につきましては、このものにつきまして、まずその技術と技術者をきちんと雇用して確保して、県民の負担が生じないように、そういう仕組みをつくり上げていくことが私の最大の責任であると思って、今一生懸命取り組んでいるところでございます。  追加議案につきましては四日の提案になると思いますけれども、それまでにそういうもろもろのものを解決して何とか提案をし、御理解をいただいて、そして、県の負担が生じないように最大限の努力をしていきたいと、こう考えております。 52 ◯副議長(中谷純逸) 青山副知事。 53 ◯副知事(青山祐治) 中国輸出促進協議会──仮称でありますけれども、先般二月二十六日に鹿野農林水産大臣が本県に参りましたときにこのお話がございました。もう一つ、農業農村整備事業についてもさまざまお話をさせていただいたわけでございますが、この協議会への参加につきましては、先ほど有馬部長からお答えしたとおりでありまして、現在のところ、同協議会の位置づけとか具体的な事業内容がまだ明らかになっていないということで、現在、農林水産省のほうから情報収集に努めているところであります。  中国は本県の農林水産品の輸出先としての可能性が非常に大きいものと認識しており、機会を逃さずにその取り組みを加速させる必要があると考えておりますので、御理解賜りたいと思います。 54 ◯副議長(中谷純逸) 健康福祉部長。 55 ◯健康福祉部長(一瀬 篤) 初めに、保育料滞納の件でございます。  市町村における保育料滞納につきましては、市町村の責任において把握するものであります。地域の実情等を踏まえまして、滞納額を減らすために、家庭訪問等による相談、納付の呼びかけ等、各市町村が適切に対応すべきものと考えております。  次に、小・中学生に対する医療費助成でございますが、非常にあらあらな積算になりますが、少なくとも二億五千万円程度は必要になるかと積算しております。 56 ◯副議長(中谷純逸) 教育長。 57 ◯教育長(橋本 都) 就学援助に関して、市町村の格差是正のための対策を県が講じるべきではないかということについての再質問であったというふうに思います。  就学援助の対象者は近年全国的にも増加傾向にありまして、現在、文部科学省において有識者による児童生徒の修学支援に関する検討会議が組織されまして就学援助のあり方について検討がなされているところであり、私どもとしましては、今後の動向を注視するとともに、この制度、特に準要保護児童生徒に係る就学援助について、この事業を適切に実施するように、情報提供を機会あるごとに行ってまいりたいと考えております。 58 ◯副議長(中谷純逸) 以上をもって本日の議事は終了いたしました。  明日は午前十時三十分から本会議を開き、一般質問を継続いたします。  本日はこれをもって散会いたします。 午後三時十四分散会 Copyright © Aomori Prefecture, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...