札幌市議会 2023-05-29
令和 5年冬季オリンピック・パラリンピック調査特別委員会−05月29日-記録
○林清治 委員長 ただいまの動議のとおり、
藤田稔人委員を副委員長とすることにご異議ございませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○林清治 委員長 異議なしと認め、副委員長には、
藤田稔人委員が選任されました。
それでは、副委員長席にご移動の上、就任のご挨拶をお願いいたします。
○藤田稔人 副委員長 ただいま副委員長に選任いただきました藤田稔人でございます。
冬季オリンピック・
パラリンピック招致は、本市の未来にとって大変重要な課題でございます。
林委員長とともに、この委員会を円滑に運営できるよう、私もしっかりと努力してまいります。
どうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)
○林清治 委員長 次に、理事制の設置についてお諮りいたします。
委員会の効率的な運営のため、理事制を設置することにご異議ございませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○林清治 委員長 異議なしと認め、理事制を設置することに決定されました。
それでは、各会派の理事の氏名を申し出願います。
(「自由民主党・
和田勝也委員」「
民主市民連合・
篠原すみれ委員」「公明党・
森山由美子委員」「日本共産党・佐藤 綾委員」「維新・大地・
荒井勇雄委員」と呼ぶ者あり)
○林清治 委員長 それでは、理事は、自由民主党・
和田勝也委員、
民主市民連合・
篠原すみれ委員、公明党・
森山由美子委員、日本共産党・佐藤 綾委員、維新・大地・
荒井勇雄委員、以上5名ということで確認させていただきます。
次に、本委員会の運営方針についてお諮りいたします。
運営方針については、先般、
理事予定者会議を開催し、各理事のご了解をいただいているところですが、本日、お手元に配付しております原案のとおり、基本方針は、市制施行100年を迎えた本市が、
冬季オリンピック・
パラリンピックを契機として、より魅力的で活力あふれるまちへと成長し、未来へ向けてさらなる飛躍を図るため、関係する本市施策等について必要な事項を調査することを目的とするといたします。
また、必要に応じて、参考人を招いた懇談会の開催や行政視察を行うとともに、意見書の提出などを行いたいと思います。
運営方針については、原案のとおりとすることにご異議ございませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○林清治 委員長 異議なしと認め、運営方針は原案のとおり決定されました。
なお、運営の詳細については、理事会にご一任願います。
最後に、
冬季オリンピック・
パラリンピック招致に係るこれまでの活動状況及び大会運営に係る
見直し検討状況についてを議題とし、資料に基づき、理事者から説明を受けます。
◎梅田
スポーツ局長 本日は、これまでの大会招致に係る取組と大会概要(案)の更新版、そして、大会運営に係る
見直し検討状況についてご説明をさせていただきます。
現在、札幌市は、IOCとの継続的な対話という段階でありますけれども、開催地の選出につきましては、昨年12月の
IOC理事会において、2023年秋と予定していた
スケジュールを、事実上、先送りすることを発表いたしました。
また、招致活動につきましては、昨年の夏以降、東京2020大会を巡る贈収賄事件や談合疑惑の影響を受けまして、市民の不安や不信感が増大しているという状況でございます。
こうしたことから、今後、クリーンで新しい形の大会運営に向けた見直し案をお示しし、改めて、大会の開催意義や効果といったことを含めて、本委員会における議論、そして、市民の皆様との対応に努めてまいりたいというふうに考えてございます。
それでは、詳細を
招致推進部長よりご説明させていただきます。
◎里
招致推進部長 私から、これまでの大会招致に係る取組と、大会概要(案)更新版、そして、大会運営に係る
見直し検討についてご説明をさせていただきます。
それでは、お手元の資料に基づきましてご説明をさせていただきます。
初めに、資料1、2030
オリンピック・
パラリンピック冬季競技大会の招致活動についてご説明をいたします。
まず、これまでの活動の概要でございます。
左側の年表をご覧ください。
札幌市は、2014年の2026年
大会招致表明後、IOCと協議を続けてまいりましたが、2018年の地震の影響などを踏まえまして、2026年大会の招致活動を終了し、2030年大会へ向けて活動を継続することといたしました。
その後、IOCとの継続的な対話を開始し、昨年3月の意向調査では過半数の賛成を得て、市議会におきましても招致決議が可決され、5月には
プロモーション委員会を設立いたしました。
9月には、夏頃に発覚した東京大会を巡る
受託収賄疑惑を受け、JOCとともにクリーンな大会の実現に向けた共同宣言を公表し、その後、
プロモーション委員会での議論なども踏まえ、11月に大会概要(案)更新版を公表いたしました。
一方、9月の
受託収賄疑惑に加え、11月以降に発覚した東京大会を巡る談合疑惑の影響や、12月の
IOC理事会で2030年
大会開催地決定が先送りとなったということも踏まえまして、
競技運営体制の見直しや
ガバナンス体制の検討、積極的な
機運醸成活動の休止ということを表明し、今年3月には
スポーツ庁などの
プロジェクトチームによる
ガバナンス体制などに関する指針が公表されたところであります。
次に、左下ですけれども、IOCが定める
招致プロセスについてでございます。
大会の開催地につきましては、IOCの将来
開催地委員会との2段階の
対話プロセスを経た後、IOC総会で決定することになっております。
下の図のとおり、現在、札幌市は、第1段階にあります継続的な対話を行っておりまして、次の狙いを定めた対話への移行を目指しているところにおります。
また、IOCは、昨年12月の理事会において、2030年大会の開催地の決定を先送りする旨を公表しておりますけれども、その後の具体的な
決定スケジュールはまだ示されていないという状況でございます。
次に、資料の右側の理解促進・
機運醸成活動についてご説明いたします。
最初に、北海道・札幌2030
オリンピック・
パラリンピックプロモーション委員会の設立についてです。
プロモーション委員会は、大会の開催意義を伝え、多くの理解と共感を得ながら、
オールジャパンで招致を推進するため、JOCと共同で昨年5月に設立いたしました。
札幌商工会議所の岩田会頭を会長に、ご覧の記載の役員を含む32名の委員で構成されておりまして、設置からこれまで5回の会議を開催し、大会の開催意義の検討や全国的な機運醸成に取り組んできたところでございます。
次に、市民との対話、民間との連携についてでございます。
2021年11月に大会概要(案)を公表して以降、大会招致に対する市民の声の把握と大会計画の理解促進を目的に、町内会や企業などに対して
オリパラ出前講座を実施しております。
また、小学生から高校生を対象とした
子どもワークショップや10代から20代の若い世代を対象とした
若者ワークショップを開催するなど、幅広い世代の方々と対話を重ね、そこでいただいたたくさんのご意見を大会概要(案)更新版に反映しております。
最後に、
冬季オリンピック・
パラリンピック札幌招致期成会についてでございます。
札幌招致期成会は、2015年に
札幌商工会議所を中心に設立され、国や関係機関への要請活動のほか、
各種イベントや広報活動を通じた招致機運の醸成を行っております。
最近の主な活動といたしましては、
大会招致実現に向けた活動を盛り上げようと、サポーターズクラブを立ち上げたほか、官民連携による
機運醸成プロジェクトチームを設置し、都市装飾や
イベントPR活動を行ってきたところでございます。
続いて、資料2をご覧ください。
北海道・札幌2030
オリンピック・
パラリンピック冬季競技大会概要(案)の更新版についてご説明をさせていただきます。
大会概要(案)更新版は、2021年11月に大会概要(案)を公表いたしましたけれども、その後に実施いたしました
市民対話事業や、昨年3月の意向調査などで得られました市民の大会に対する期待ですとか懸念の声などに加えまして、市議会での議論、あるいは
プロモーション委員会における開催意義の議論というものを反映させて、昨年、2022年の11月に公表したものであります。
まず、
大会ビジョンを「札幌らしい持続可能な
オリンピック・
パラリンピック〜人と地球と未来にやさしい大会で新たなレガシーを〜」としまして、大会の目指すべき方向性を定めております。
そして、
大会レガシーの四つの分野と第2次札幌市
まちづくり戦略ビジョンの重要概念は密接に関連しておりまして、大会の開催は本市が目指す
まちづくりの加速化や早期実現につながるということを示しております。
例えば、
大会レガシーのスポーツ・健康という分野では、日常の運動量増加に向けた取組強化や、子どもの
運動習慣づくりなどの
まちづくりの取組が大会を契機に加速をし、ウォーキングにとどまらず、
冬季スポーツの参加人口の増加につながり、ひいては健康寿命が延伸するというレガシーを実現してまいります。
ほかの分野におきましても、様々な取組やレガシーを設定しておりますので、併せてご確認をいただければと存じます。
また、札幌・北海道から広がるレガシーといたしまして、
気候変動対策の取組の世界への発信や、日本を世界における冬の観光立国に押し上げるなどの効果が期待できます。
次に、資料右上の競技についてでございます。
オリンピックは2030年2月、
パラリンピックは2030年3月にそれぞれ実施することを想定しております。
会場配置計画は、都心近くでウインタースポーツを楽しめる札幌の特徴を生かしながら、既存施設を最大限活用することをコンセプトとしており、既存施設の割合は17施設中16施設で94%を超えております。残りの1施設も、大会の有無にかかわらず、建て替えが計画されている月寒体育館の
建て替え事業ということでございまして、大会のための新設会場はゼロということになります。
続いて、
施設整備費についてです。
施設整備費は、大会後も継続して利用する施設設備の改修や建て替えなどの費用でありまして、所有者が負担するものとなっております。
合計770億円ですけれども、国の交付金等の活用を想定しておりまして、札幌市の実質負担額は490億円と試算をしているところです。
続いて、
大会運営費についてです。
IOCの負担金や
スポンサー収入、
チケット売上収入などで構成されておりまして、原則、税金は投入されず、民間資金で賄う計画というふうになっております。収入に見合った効率的な大会運営に努めることといたしまして、総額2,200億円から2,400億円と試算をしております。
なお、これらは、公表時におけます物価変動や為替変動の中長期的な予測数値に基づいて試算をしたものとなっております。
最後に、
経済波及効果についてです。
招致決定から大会終了までの取組による直接的効果が約7,500億円、大会開催によるインバウンドの増加など、大会後10年間に引き続き得られる
レガシー効果を約2兆5,000億円と試算しております。
最後に、資料3をご覧ください。
大会運営に係る
見直し検討についてご説明をさせていただきます。
資料の左上をご覧ください。
まずは、
見直し案検討の背景でございます。
昨年3月の
市民意向調査結果ですとか市議会の招致決議を受けまして
機運醸成活動を強化してまいりましたけれども、7月に
東京大会組織委員会元理事による
受託収賄容疑が発覚をし、市民などの大会への不安や不信感が高まるところとなりました。
これを受けまして、昨年9月にはクリーンな大会の実現に向けたJOCとの共同宣言のほか、11月には市民意見などを反映させた大会概要(案)更新版を公表し、さらなる機運醸成を目指してきたところでありますけれども、その直後に東京大会に係る談合疑惑が新たに発覚するということになりました。
こうした東京大会に係る事案に加えまして、12月には、2030年大会の
開催地決定の先送りがIOCから発表されたということもあり、時間的な猶予が生まれたということもありまして、本市とJOCでは積極的な
機運醸成活動を休止し、
競技運営体制の見直しや
ガバナンス体制の検討に注力をすることとしたところでございます。
本市といたしましては、大会招致の実現に向けて、まずは大会への信頼回復が急務であるというふうに考えておりまして、そのためにも、東京大会とは異なるクリーンで新しい形の大会運営に関する具体的な見直し案を早期に示していく必要があるというふうに考えております。
次に、
見直し検討の経過についてでございます。
今年の3月30日、本市もオブザーバーとして参加をしておりました国の
プロジェクトチームによりまして、大規模大会の
組織委員会などにおける
ガバナンス体制等に関する指針というものが策定、公表されました。
本市におきましては、国のこの検討と並行いたしまして、過去の大会ですとか、今後開催予定の大規模大会などの運営体制に関する情報収集を行ってまいりましたほか、各方面の専門家からの意見聴取も実施してまいりまして、加えて、去る22日には、見直し案に関する
検討委員会というものを設置、開催したところでございます。
資料の右上段でございますけれども、この
検討委員会につきましては、
見直し案策定に当たって、有識者等から意見を伺い、より広い視野での課題提起や専門性の高い議論を行うことを目的として開催しているものでございます。
委員は、弁護士、公認会計士及び学識経験者のほか、競技関係者や地元経済界から選任いたしました。
第1回目の
検討委員会では、例えば、抜本的でインパクトのある、市民にとって分かりやすい結論を出す必要があるですとか、事前の内部統制やリスクの洗い出しが重要、事後の情報公開と監査にも牽制機能が十分あるといったご意見を委員から頂戴したところでございます。
最後に、下段のほうですけれども、今後の進め方についてでございます。
今後は、先ほど申し上げました国の指針を踏まえまして、東京大会の一連の事案に係る司法手続の状況を注視しながら、
検討委員会での議論を重ねた上で見直し案を策定、公表してまいります。
見直し案の策定に当たりましては、7月上旬にも、再度、
調査特別委員会を開いていただきまして、まずは中間報告をさせていただいた上で、それを基に大会の開催意義も含めて市民との対話を重ね、そこで出た意見などを反映してまいりたいと考えているところでございます。
○林清治 委員長 それでは、質疑を行います。
◆和田勝也 委員 私から、大会経費について質問をさせていただきます。
4月に初めて当選をさせていただきました。
昨年までは一市民として、また、議員を志す身として、この
オリパラ招致の動向について注目をさせていただきました。
今回の選挙戦を通じて、市民の
オリパラ招致への関心の高さを感じたのと同時に、市民の根強い不信感を肌で感じたところでございます。
東京2020大会の事案により損なわれたオリパラに対するイメージを回復するため、大会運営の見直しを行い、市民にアピールしていくことが重要だと認識をしております。
一方、今回、私自身の選挙活動を通じて、多くの方から、大会に多くの税金が投入されるのではないか、また、昨今の物価高騰、電気代高騰で市民の生活は逼迫されている中、多額の開催経費を除雪や福祉など、ほかの施策にお金を回してほしいという声を多く聞いており、市民は大会経費に市税が投入されることへの強い懸念があることを改めて感じたところでございます。
先ほどの大会概要(案)の説明やこれまでの議論において、
施設整備費については、大会のためだけの施設整備は行わず、大会の有無にかかわらず、今後とも長く市民に使われるために、近い将来にかかる経費であること、また、
大会運営費につきましては、民間資金による運営を行い、市税の投入を行わないとの説明があったところでございます。
しかしながら、いまだに市民の間には、招致決定後に経費が増大した東京2020大会のイメージが先行して伝わっており、札幌で開催した場合にも、経費が増大し、結局は市税を投入する事態にならざるを得ないのではないかという懸念が強くございます。
つまるところ、大会経費の試算方法が市民に信頼、そして理解されていないことが課題だと認識しております。
そこで、質問です。
大会経費についてどのように試算しているか、伺います。
◎里
招致推進部長 大会経費についてでございますけれども、本市で試算しております大会経費につきましては、東京2020大会における招致決定後の予算、いわゆる立候補時点から経費が増大した後の予算に基づいて積算をしているところでございます。
また、物価や為替の変動リスクについても、金融機関の予測に基づきまして加味をしているところでございまして、さらには、不測の事態への備えとして予備費も計上しているところでございます。
こうした財政計画につきましては、東京2020大会のときの
招致プロセスとは現在は異なっておりまして、招致決定前の今の段階からIOCとは対話を重ねながら検討を進めているものでございます。招致決定後に大幅な増加が生じることはないものというふうに考えております。
◆和田勝也 委員 今ほどご説明がありました、大会経費がしっかりとした根拠に基づいて試算されており、市民が懸念するような招致後の大幅な増加のおそれがないという考えをお聞きしました。
今後、より多くの市民、道民、国民から大会招致に関して賛同を得ていくためには、マスコミともうまく連携しながら、より分かりやすく、正確に、大会経費について市民に伝えていただきたいと思います。
また、大会招致に伴う札幌市の
経済波及効果については、招致決定から大会後10年間で、約7,500億円、約6万5,000人の雇用効果が見込まれるとのことであり、これに併せて税収の増加も期待できるとお聞きしております。市民は大会経費に市税が投入されることへの強い懸念を抱いているところでありますが、
オリパラ大会後の税収が増加し、除雪や福祉など市民が求めるほか施策の充実につながるのではないかと思います。このほかにも、大会を開催することで、札幌市財政への様々な影響があると思われますが、こういうことを、マスコミと連携し、積極的に市民へ発信する努力が必要と考えます。
そこで、質問ですが、大会招致に伴い、札幌市財政にどのような影響が想定されるかを伺います。
◎里
招致推進部長 大会招致による市財政への影響についてというご質問でございます。
大会開催を契機といたしまして、雇用の創出やスノーリゾートシティの
ブランド確立による観光客の増加、それから、民間投資の誘発によってホテルの新規開業が見込まれたり、あるいは、既存建物の建替更新の促進などで、税収効果が見込まれるところでございます。
また、東京2020大会では、
国家プロジェクトということで、会場整備に係る特別な財源措置が行われたということもあります。あるいは、制度改正などによりまして、バリアフリーが推進されるなど、大会の開催に向けて国などの支援が重点的に行われたところでございます。
現在、本市におきましても、こうした東京2020大会で活用された財源に加えまして、競技会場となる新月寒体育館ですとか
大倉山ジャンプ競技場の改築、改修について、国へ
補助メニューの拡充などの要望も行っているところでありまして、大会招致に合わせて整備を行うことが市の財政的なメリットにもつながっていくものというふうに認識をしているところでございます。
このように、大会招致によって市財政への様々な好影響を想定しているところでありまして、この辺りにつきましては、市民の皆様にも分かりやすくお伝えしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
◆和田勝也 委員 今後、大会運営の見直し案に係る市民との対話、理解促進を進めるとのことでありました。これは、国民、道民、市民の不安や不信感を払拭する上で避けて通れない重要な取組でありますが、あくまでも、ただいまのマイナスのイメージをゼロに戻すためのものと考えます。より多くの人の賛同を得ていくためには、大会運営の見直し内容のみならず、ご答弁いただいた大会経費の不信感の払拭や市財政にもたらされる影響についてもしっかりと理解してもらうことが重要と考えます。ぜひ、マスコミとの連携など、発信の媒体、指標、
プロモーションも含めて検討し、取り組んでいただくことを要望して、私の質問を終えます。
◆
篠原すみれ 委員 私からは、
大会運営見直し案の検討の進め方について、2点質問をいたします。
まず1点目、
大会運営見直し案の考え方についてです。
東京2020大会の不祥事や大会経費が当初の予算より膨らんだ件などは、市民に
オリンピック・
パラリンピックそのものへの不信感を生じさせるものとなりました。札幌で開催した場合も同じようなことが起きるのではないかという懸念は、市民に不安を与えています。
さきの
統一地方選挙では、秋元市長に対して、
オリンピック反対を公約とする候補者が出るなど、市民の関心は大きなものとなっています。
オリンピック・
パラリンピックを開催することは、
スポーツ競技者のみならず、まちのリニューアルに大きく貢献し、誰もが暮らしやすいまちへ大きくかじを切るきっかけになります。
東京大会の不祥事の影響でマイナスのイメージが市民に浸透してしまい、
オリンピック・
パラリンピックが本来有しているプラス面に目を向けていただけなくなっている今、市民の招致への理解は、相当しっかりしたものを提示しなければ、招致の可能性は低いと考えます。
3月に
スポーツ庁とJOCが共同で設置した
プロジェクトチームにおいて策定された指針は、東京大会の関係者にヒアリングを行うなどの調査を実施した上で、様々な観点から、大規模な
国際競技大会等の
組織委員会が守るべき原則や規範が示されたものであると認識しています。
しかし、指針の内容は、市民理解を大きく得られるとは言いがたく、札幌版に落とし込むためには、さらなる工夫が必要ではないかと考えます。
そこで、質問ですが、国の
プロジェクトチームの指針を踏まえ、どのような考えで見直し案を検討していくのか、伺います。
◎米森 調整担当部長
大会運営見直し案の考え方についてお答えいたします。
東京2020大会の事案により生じた市民の不安や不信感を払拭するためには、東京2020大会の運営方法から具体的にどういう部分を見直すのか、市民に分かりやすく示していく必要があると考えております。
国の
プロジェクトチームによる指針は、
オリンピック・
パラリンピックに限らず、今後国内で開催される様々な大規模競技大会の
組織委員会等を対象として、汎用的な原則を示したものでございます。そのため、見直し案の検討に当たっては、指針で示された視点に基づき、2030年大会におけるガバナンス確保の体制について具体化していくことを想定しております。
例えば、不正や不祥事を防止するための組織体制や人員配置、スポンサー選定や調達手続、情報公開の在り方などについて、実際の大会運営を想定しながら、実効性のある見直し案を検討しているところでございます。
◆
篠原すみれ 委員 ただいま、市民の理解を得るために、具体的な、また、分かりやすい説明があり、そして、あらゆる具体策をご提示いただきました。これからもぜひ期待したいところでございますので、よろしくお願いいたします。
続きまして、2点目は、
大会運営見直し案の中間報告について伺います。
見直し案策定の最終的な目的が市民の不安や不信感の払拭であることからすると、見直し案は、市民にとって分かりやすいものとする必要性が高く、市民理解を深める内容とすることが大事だと考えます。
また、いつの間にか進んでいた、知らなかったと思う市民がいないよう、先ほど冒頭で説明にありました中間報告の実施や市民対話を十分重ねながら、市民意見を尊重した見直し案を策定すべきと考えます。
このたび、札幌市では、
大会運営見直し案に関する
検討委員会を立ち上げ、5月22日に第1回会議が開催されたところであり、委員の有識者からは、早速、見直しに向けた課題が提起されたところでございます。
そこで、質問ですが、今後の
検討委員会での議論や市民対話のベースとなる中間報告はどのような内容を想定しているのか、伺います。
◎米森 調整担当部長
大会運営見直し案の中間報告についてお答えいたします。
中間報告においては、まずは、その時点で把握している情報に基づき、東京2020大会の事案の背景や要因を分析した上で、解決すべき課題を整理したいと考えております。
また、東京2020大会の事案の影響により、どのような不安や懸念が市民に生じているのか、札幌市としての認識をまとめ、それらの解消に向けた見直し案の基本的な考え方をお示しすることを想定しております。
その上で、国の
プロジェクトチームの指針で示された理事会、利益相反管理、マーケティング事業、調達、情報開示の5分野に沿って、その時点における具体的な見直し内容をできるだけわかりやすい形でお示ししたいと考えております。
◆
篠原すみれ 委員 分析した上で解決策を示していただける、また、今後の意見反映を私たち会派としても取り組んでまいりたいと思っております。
最後に、一言申し上げます。
東京大会の不祥事が、
オリンピックそのものを夢と感動から遠ざけるものとなりました。本来であれば、東京大会の不祥事は、国として検証を進めるべきですが、札幌市としてもしっかりと情報収集に努めていただきたいです。
見直し案の目的は、市民の不安や不信感を払拭し、
オリンピックが本来持つ意義、そして、スポーツと市民が一体となって、まちが、人が未来に向かうわくわく感を理解して一緒に応援していこうという気持ちになるべきものであると私も考えます。
市民に中身がしっかりと伝わる見直し案を策定することを求めて、私の質問を終わります。
◆森山由美子 委員 私からは、今後のさらなる市民理解促進に向けた観点から質問を行います。
冬季オリンピック・
パラリンピックの招致について、これまで札幌市では、先ほど一部説明のあったとおり、様々な機会を捉えて、市民との対話を重ねるとともに、昨年2月の意向確認も含め、市民理解の促進に努めてきたとのことでございました。
しかしながら、さきに委員からもお話がありましたけれども、私も、今回の
統一地方選挙を通じて、大会の開催意義や開催経費などについて、市民に様々な懸念の声が少なくないことを改めて実感したところでございます。
例えば、札幌市が策定した大会開催概要案では、
大会運営費は、原則としてIOC負担金やスポンサー及びチケット収入等で賄う計画となっておりますが、今でもなお、多額の税金が投入されると理解をしている市民も少なくありません。これには、各種メディアを通じて発信される情報において、経費負担をはじめとした課題や懸念に関する報道が先行し、開催の意義や効果などの発信が不足していることも背景にあると考えており、そういう意味で、札幌市の情報発信や理解促進活動が十分ではなかったと言わざるを得ないと感じております。
今後、市民理解を広げていくためには、開催意義やその効果を分かりやすい形で広く発信し、市民の理解を確実に得ていく必要があるものと考えており、メディアを意識した情報提供への工夫も必要と思うところです。
そこで、質問でありますが、今後、市民が有している不安や懸念を解消するため、メディアへの情報提供も含め、今後の市民対話をどのように進めていくのか、札幌市の認識を伺います。
◎奥村 渉外担当部長 メディアへの情報提供を含めた市民対話の進め方についてお答えいたします。
大会招致への理解促進を図る上で、まずは東京大会の一連の事案に係る大会運営の
見直し検討に注力し、できるだけ早期に中間報告をお示した上で、情報発信や市民対話の機会を通じて、見直し案はもとより、大会の開催意義や大会経費等の懸念に対する説明を改めて行っていく考えであります。
その上で、多くの市民は、日々のメディア報道を通じて招致に関する情報を得ていることから、メディアを通じた情報発信は、招致について市民にご理解をいただく上で大変重要であり、かつ、市民にとって分かりやすい情報提供が求められていると認識をしているところでございます。
このため、メディアに対し、的確かつタイムリーに情報提供することはもちろん、大会の開催意義や効果の発信によりつながるよう、十分な情報提供に取り組んでまいります。
あわせて、招致に対する市民の理解が深まるよう、例えば、開催意義や市民の懸念について深く議論することを目的とした討論会をメディアとも連携して実施する、あるいは、市民に身近な場所で丁寧に説明する場を設けていくなど、市民理解の促進に向けた取組を進めてまいります。
◆森山由美子 委員 市民への情報伝達の方法によって
オリンピック・
パラリンピックの捉え方が大きく変わるため、うまくメディアを活用しながら、公正で効果的な情報発信を進めていただくことを求めます。
また、例えば、公式LINE等の導入で直接LINE上での対話形式も成立させる、また、第三者の著名人の考えを聞く機会を設けるなど、様々な試みにも挑戦されることも重ねてご検討いただきたいと思います。
さて、情報発信に当たっては、
オリンピック・
パラリンピックの開催により、札幌のまちがどう変わるのか、市民にとってどのような恩恵があるのかということを具体的かつ実感できる形で示すことが肝要と考えます。
我が会派では、かねてより、共生社会の実現に向けて、大会招致を契機として、ハード・ソフトの両面からバリアフリーを大きく推進させることを強く要望しているところであります。東京2020大会においては、交通機関やホテル等のバリアフリー化や、共生社会への理解促進が実現するなど、日常生活においても実感できる形でその効果が伝わっており、大会後の意識調査等においても、大会の効果として、バリアフリーの進展を挙げる都民が実際に多くいました。このように、市民が身近に実感できる効果を発信することが大会への理解促進にもつながるものと考えます。
そこで、質問ですが、大会の効果をより実感できる形で理解をしていただくため、どのように市民理解の促進に向けた取組を進めていくのか、伺います。
◎奥村 渉外担当部長 大会の効果をより実感できるような市民理解の促進に向けた取組についてお答えをいたします。
市民理解の促進に向けましては、大会の効果をより多くの市民の皆様が身近に実感できるよう、分かりやすく伝えていくことが重要と認識しております。
このため、昨年11月に更新した大会概要(案)などにおいて、共生社会の実現をはじめ、スポーツ・健康、経済・
まちづくり、環境という四つの分野に分類して、大会の効果やレガシーを具体的に取り上げて説明してきたところでございます。
このうち、共生社会の実現では、行政民間投資の誘発による施設のバリアフリー改修、あるいはICTを活用したバリアフリー情報の発信の充実、さらには大会前後のパラアスリートとの交流等を通じて心のバリアフリーへの理解を促進することなどを挙げております。
このように、具体的に札幌のまちがどう変わるのか、そして、市民生活がどのように向上するかなどを市民にイメージしていただけるよう、例えばパンフレットや動画といった視覚に訴える資料を効果的に活用することなどを検討してまいります。
その上で、大会がもたらす効果を、メディアの活用や市民対話などを通じて、市民の皆様に見える形で情報発信していきたいと考えております。
◆森山由美子 委員 多様性が重要とされている今、誰一人取り残さないとの観点からも札幌市が共生社会の実現を大きく進展させるということは、全ての市民にとって、また、将来の市民にとっても非常に大事な受け継がれるレガシーとなります。我が会派に寄せられる声の中にも、まちのバリアフリーの課題やソフト面の課題についての要望は決して少なくありません。市制100周年を超え、市長が目指す六つの道標の一つ、誰もが自分らしく活躍できる持続可能な
まちづくりに向けて、スポーツ局はもちろん、札幌市が一丸となり、市民が心から納得をし、開催効果を着々と肌身で感じられる情熱ある取組と情報発信に期待をし、私の質問を終わります。
◆佐藤綾 委員 私は、大会運営の
見直し検討について、4点質問いたします。
東京
オリパラ大会での受託贈収賄汚職に談合事件、この全容解明と検証なくしてクリーンな大会運営は遠いと感じております。
しかし、国も東京都も、解明が不足のまま、この
プロジェクトチームの指針が示されており、それをベースとして本市での検討となっておりますので、市民の信頼を得ることは難しいと思うところです。
そこで、不正の解明と
見直し検討についてお聞きいたします。
不正を受け、東京都は外部有識者のチームで調査を行いました。しかし、大会運営局の局長は都の派遣職員であり、さらに次長の1名も都の派遣職員という、統括部署で起こった疑惑でありながら、都職員100名への聞き取り調査の結果は報告書に含まれておりません。調査チームの責任者は、利害関係にある元オリパラ準備局長であった副知事であり、実態は内部調査にすぎない、事実関係などに踏み込んでいないと指摘をされております。
また、談合事件で起訴されている森泰夫
組織委員会元次長の当時の上司、大会準備運営第一局長井上恵嗣氏は、国、文部科学省からの出向であったということですけれども、談合事件に関わり、この方に聞き取りをしたかどうか、それすら、5月15日の参議院行政監査委員会で、紙 智子参議の質問に対し、答弁がされませんでした。
利権にまみれた不正やその責任がうやむやにされることはあってはなりませんし、国や開催した東京都において、徹底した調査と検証、公表は必要ではないでしょうか。
本市での大会運営見直しは、不正防止のためと認識をしております。
そこで、お聞きをいたします。
東京五輪では、国や都の職員、公務員が
組織委員会に多数派遣され、関わる中で不正が行われていたのですから、聞き取り調査などの調査内容を明らかにし、解明することが、このたびの本市の見直し案の策定にも大きく関わると思いますが、いかがお考えか、伺います。
◎米森 調整担当部長
大会運営見直し案の策定に当たっての職員の調査に関するご質問にお答えいたします。
東京大会の事案が解明されることは、本市における
見直し案策定にとっても重要であると考えております。このことから、引き続き、司法手続や東京都の調査状況を注視するなど、情報収集に努めてまいりたいと考えております。
◆佐藤綾 委員 大変重要と考えておられるということでございました。
私も、この不正の解明なくして招致はあり得ないというふうに思っております。ぜひ国や東京都のほうにも札幌市のほうから解明するようにと提案するような形でも出していただきたいというふうにも思っております。
次に、利益相反の管理についてお聞きをいたします。
東京五輪では、電通が
組織委員会に大量に社員を派遣し、五輪テスト大会の業者選定を押し切りました。そして、
組織委員会よりも会社の利益を優先し談合に至っただけに、改革は必須であるわけです。
プロジェクトチームの指針は、利益相反を規制し管理することが柱の一つですが、出向元企業と密接な関連がある部署に配置しないとする一方で、人材配置のルールを定めればよいと認めています。
また、当該部署の長にしないとしつつ、注釈で直接雇用も考えられるとあります。抜け道とも言えるものを示しているわけです。
そして、第三者による審査制度の導入は見送られております。
プロジェクトチームの資料によりますと、海外では監査や監視を政府や議会が積極的に行っております。2012年のロンドンでは、開催決定の翌年から、下院議員決算委員会が監査を実施し、毎年公聴会を開き報告をしていますし、2024年のパリ五輪では、国の腐敗行為防止庁による監督等が規定され、
組織委員会の監査委員などに国会議員が加わり、監査機能を強化しているとのことです。
こうした海外で行われている監査や監視の制度は、不正防止のために必要ではないかと考えます。
そこで、お聞きをいたします。
本市としては、第三者による審査制度の導入の必要をどうお考えか、伺います。
◎米森 調整担当部長 第三者による審査制度に関するご質問にお答えいたします。
国の指針において、監視機能の強化のための方策として、内部監査部署や会計監査人を必ず設置することが求められているほか、有識者等により構成される外部の委員会等を設置することも一案として示されているところでございます。
先日の
検討委員会においても、外部に監査組織を持つことで透明性を確保することが必要とのご意見をいただいており、
大会運営見直し案の策定に向けては、
組織委員会をしっかりチェックし、公正性を確保するための組織体制の在り方についても検討してまいりたいと考えております。
◆佐藤綾 委員 準備委員会や
組織委員会に国のほうで設置をするように、そうしたことが望ましいということが書かれていると思うのですけれども、不正の後に調査をしたり、また、東京委員会でも内部に全くなかったというわけではない、そうしたことがありますが、明らかにされないことが続いております。最初から監督する第三者による監査制度導入を国のほうで見送るというのは、これだけ大きな不正の後に出された指針としては不十分であるとしか言いようがありません。
そこで、今の質問に関連してお聞きいたします。
本市として、第三者による審査制度導入を提案する、そういう意思はございますかどうか、お聞きいたします。
◎米森 調整担当部長 その辺も含めまして、今後、
検討委員会等でもご意見をいただきながら検討してまいりたいとこのように考えております。
◆佐藤綾 委員 ぜひ、国のほうにも提案、提言をしていくような形にしていただきたいというふうに思っております。
そして、東京五輪では、スポンサー集めを専任代理店契約で電通に丸投げし、汚職・談合事件となりましたが、
プロジェクトチームの指針では、専任代理店契約も一律に排除されるものとはなっておりません。
東京五輪の費用は、報告された1兆4,238億円が、会計検査院の調査によって1兆6,989億円と2割増えました。国民に費用を小さく見せようということではないか、そして、招致のときから2倍以上の費用となった中には、汚職・談合事件が経費を押し上げた一端だとも言えるわけです。
今年7月に、福岡市で開催予定の世界水泳では、福岡市が2017年に招致した際の経費100億円だったものが225億円と2倍に、市の負担も40億円程度から130億円程度と3倍となっているのに、委託の業務と中身が明らかにされず、議員が提出を求めた業務委託契約書はほぼ黒塗りとなって出されております。
それを私が入手いたしましたけれども、このように、もう真っ黒という中身なんですね。
そして、この契約先、電通とグループ会社である電通九州ですが、一体でマーケティング専任代理店業務委託をされております。東京五輪の不正で問題となったマーケティング専任代理店業務委託は、大会への協賛、スポンサー契約などが決まるのに応じて報酬を受け取るものですが、福岡市では、その契約1本当たりの手数料を、ノウハウに関わるため非公開とし、さらに契約額自体が決まっていないということです。費用の増大や、電通に委託され不透明、こうした状況がまた見られるならば、クリーンな大会と言っても空虚に聞こえます。市民の不信は募るばかりです。
本市の
見直し検討から、体制の在り方などを提案していくとお聞きをしております。
そこで、質問いたしますが、不正のないように、専任代理店契約が一律に排除されることや、透明性を高めるために、どの段階でも市民に情報を公開することを盛り込むことは不可欠であると考えますがいかがか、伺います。
◎米森 調整担当部長 専任代理店契約の排除や情報公開の充実に関するご質問にお答えさせていただきます。
専任代理店方式を含めたマーケティング業務の第三者の委託の在り方については、国の指針において、大会の実情に応じて判断すべきとされており、各マーケティング手法のメリット、デメリットなどを慎重に検討することが求められております。
2030年大会に向けては、今後行われる
検討委員会での議論なども踏まえ、適切なマーケティング事業の在り方について検討してまいりたいと考えております。
また、市民への情報公開の充実については、
検討委員会の委員から、情報開示の重要性についてもご意見をいただいております。透明性の確保に向けた情報開示の在り方についても検討してまいりたいと考えております。
◆佐藤綾 委員 この専任代理店契約が汚職の温床となったのですから、制限することは当然であると思うのです。それを、国の
プロジェクトチームの中では、条件を設けて、また、その契約の実情に応じていいのだというふうに示されているんですね。これは、反省に立っているのかと疑わざるを得ないんです。
組織委員会が公益財団法人であることを盾に契約内容を非公開にする、そうした不透明さが不正の原因ともなったわけです。徹底的な透明性の確保は、最低限、必要であると申し上げておきたいと思います。
最後に、民意についてお聞きをいたします。
4月の市長選挙では、44%が五輪招致反対の対立候補に投票し、秋元市長に投票した市民にも反対は少なくなかったこと、マスコミの出口調査では、投票全体での招致反対は6割に上ったと報道されております。
招致に当たっては、住民の賛成が圧倒的多数であることが不可欠であります。しかし、これまで機運醸成を多額のお金もかけて長年続けてきましたけれども、それに反して、年々、賛成の声が低下していると言わざるを得ません。汚職・談合事件はもちろん、これまでの
オリンピックの商業主義で、契約の中では開催地よりIOCが優先され、IOCの利益となるテレビ放映権などの収入を優先しての開催や、運営費の増大などから、五輪の在り方に疑問があって、不信となって出ているわけです。しかし、本市は招致を続ける方針を変えておりません。招致に反対の市民の声はどうお考えなのか、白紙にしてもおかしくない状況です。
そこで、お聞きいたします。
見直し案公表後、民意の確認をされると資料にございます。住民投票をすべきですが、どうお考えか、伺います。また、民意を確認して、結果によって招致から撤退するお考えはあるのか、伺います。
◎奥村 渉外担当部長 民意の確認を住民投票で行うべきではないか、また、結果によって招致から撤退をすべきではないかというご質問にお答えをいたします。
民意の確認に関しましては、その実施に先立ち、まずは、東京大会の事件の司法手続の状況も踏まえながら、大会運営の
見直し検討を進めるとともに、その上で、市民対話や理解促進を十分に重ねていくことが必要と認識しております。そうしたプロセスを経た上で民意の確認を行う考えでございまして、現段階で具体的な手法については決まっておりません。
また、住民投票につきましては、市民の意思表示の手法の一つではありますが、市としてどのような場合に住民投票を行うべきかなどについて、今後、議論が必要なものと認識しております。
いずれにいたしましても、大会招致につきましては、市民の意向を踏まえつつ、議会と議論をしながら進めていくべきものと考えております。
◆佐藤綾 委員 これは、昨年度のお答えとほぼ変わっていらっしゃらないというふうに思います。
今回、選挙を通じて、やはり民意の反映というものが、一定、明らかになったわけですよね。そうしたこともしっかりと踏まえた上でのご答弁をしていただきたいと思っております。
市長は、クリーンな大会にする決意に立って招致を進めるとおっしゃっておりますけれども、これは市民の理解を得られておりません。選挙結果を真摯に受け止めるならば、白紙にすべきだと、民意を確認するならば住民投票をすべきだということを申し上げまして、私の質問を終わります。
◆荒井勇雄 委員 質疑前に、私より、一言、ご挨拶を申し上げます。
維新・大地の荒井と申します。
さて、まちの声としまして、
オリンピック・
パラリンピックに対する市民の関心の高さを実感しているところでございます。
東京2020大会のたび重なる贈収賄疑惑、談合報道により、とりわけ、大会に対する不安、懸念の声が多く上がっていることはご承知のとおりでございます。
しかしながら、過去に、私は、海外生活、仕事を通して、長年、世界各地の方々に札幌市についてイメージをお伺いしてまいりました。札幌といえば、サッポロビール、そして、1972年の
オリンピック開催で有名な都市とのお答えを世界中の方々からいただきました。
オリンピック開催により、短期間のうちに多大なる発展を遂げた数少ない大都市として、国内だけではなく、世界的にも多くの方々に認知されていることは紛れもない事実でございます。
また、大会の開催には、札幌市の都市としての知名度向上に寄与することは間違いなく、大会後も国内外から観光客が増加する
レガシー効果が大いに期待できますし、長期的な札幌の経済の活性化、ひいては市税の増収につながることは自明の理でございます。
このため、大会の負の側面だけでなく、大会の効果、意義を含め、市民の皆様に、深く、正しく全体像をご理解いただいた上で、ご判断、ご意見を賜るのが民主主義の基本理念であり、我々為政者としての務めである、私はこのように考えます。
そこで、質問でございますが、200万人都市札幌が、世界都市、国際都市として発展を目指すに当たり、大会を開催した場合、どのような効果を持たせることができるのか、改めてお教えください。
◎里
招致推進部長 世界都市、国際都市としての発展に向けた大会開催の効果についてというご質問でございます。
札幌市は、1972年大会の開催をきっかけに知名度が向上し、それから、さっぽろ雪まつりの様子が大会映像とともに流れ注目を集めたところでありまして、国内外から多くの観光客が訪れる都市に発展したと思っております。
オリンピック・
パラリンピックは、今なお、世界で最大級のスポーツイベントとして大きな発信力を有しておりまして、開催都市としての知名度の向上だけではなく、雪景色の美しいまち並みですとか、豊富な雪が積もる競技会場などが全世界に映像として届けられることで、改めて、世界中の人々へ、札幌のまちのすばらしさや、この貴重な環境を認識してもらえる絶好の機会になるものというふうに考えております。
このことは、札幌のまちを世界的な大都市スノーリゾートの地位へと押し上げるとともに、道内のスキー場との連携によって、北海道全体の一大スノーリゾートエリアとしての世界的ブランドの確立につながることが期待できるものでございます。
なお、大会の開催を通じまして、北海道、札幌の認知度が飛躍的に向上し、観光消費や食品輸出の増加につながることによりまして、大会開催後10年間の
レガシー効果として、北海道全体で約1兆4,000億円、札幌市で約4,000億円の
経済波及効果を見込んでいるところでございます。
◆荒井勇雄 委員 札幌市が作成した開催概要によれば、
オリンピック・
パラリンピックは、北海道と札幌の魅力を世界に発信する絶好の機会であり、その開催効果は、単に開催都市としての知名度の向上のみならず、経済的な観点、北海道全体のブランディングや観光客の増加が見込まれることを改めて理解いたしました。
しかしながら、北海道と札幌にとって、経済・観光分野をはじめ、多大なる効果があるにもかかわらず、それが札幌市民にはほとんど伝わっていないのが現状であるように見受けられてなりません。その反面、東京2020大会を巡る種々の報道等を通じて、大会経費の増加や財政負担問題など、負の側面ばかりが過剰にクローズアップされ、札幌大会でも多額の税金が投入されるかのような印象を抱いている市民も誠に多いのではないでしょうか。
現状、札幌市は、計画の中で開催効果や経費について説明しようと試みているとは思いますが、より市民に両者の意見を客観的に深く理解してもらえるよう、もっと具体的に分かりやすく情報を発信していかなければ、市民には伝わらないと思うのであります。
そこで、質問でございますが、今後、大会招致の是非を議論する上で、経済効果をはじめとする大会の開催意義や、大会経費について市民にご理解いただくため、札幌市として今後はどのように工夫をしていくべきだとお考えでしょうか、お伺いいたします。
◎奥村 渉外担当部長 経済効果などの開催意義、それから、大会経費に関する情報発信の工夫についてお答えをいたします。
大会の開催意義と大会経費の考え方をより多くの市民に分かりやすく伝えていくことは非常に重要と考えております。
大会経費につきましては、
施設整備費と
大会運営費に分けた上で、
施設整備費は大会の有無にかかわらず必要となる施設の更新等の経費、また、
大会運営費は原則税金を投入しないという説明を行ってまいりましたが、東京大会の事例もあり、大会開催には多額の財政負担が必要というイメージが先行し、市民に正しく伝え切れていないものと認識をしております。
今後は、大会経費自体の丁寧な説明に加え、将来の
まちづくりへの投資の観点から、経費と経済効果を併せて説明し、理解をいただくことや、経済効果につきましても、よりよく、分かりやすく解説をするため、例えばパンフレットや動画といった視覚に訴える資料の活用などを検討してまいります。
また、経済や人的交流の活性化が促進されるという大会効果につきましては、地元経済界の関心も高いことから、討論会や説明会などの今後の理解促進の活動におきましては、経済界からも積極的に発信をしていただくなど、連携しながら、大会の開催意義を訴えていきたいというふうに考えております。
◆荒井勇雄 委員 ぜひ、今後の理解促進活動においては、経済効果及び開催意義を分かりやすく伝えていただき、市民の理解を深めていただくようお願いいたします。
続いて、その先に想定される民意の確認についてお伺いいたします。
民意の確認手法については様々な意見があると承知しているところでございますが、我が会派としては、大会の招致に当たって、市民との対話の機会を増やすなど、理解促進を図り、様々な市民の意向の把握に努めた上でその是非を検討すべきと考えております。
そこで、質問ですが、民意の確認に係る経費に関しまして、昨年3月に実施した意向調査に要した費用が幾らだったのか、また、昨今、話題に上がっている住民投票を実施するとした場合、費用をどの程度見込んでいるのか、お教えください。
◎奥村 渉外担当部長 民意の確認に要する費用につきましてお答えをいたします。
札幌市が昨年3月に市民、道民を対象に行いました意向調査の実績額は、郵送調査、インターネット調査、街頭調査を合わせまして、総額で約840万円となっております。
一方、住民投票の経費につきましては、これまで札幌市で試算をしたことがなく、数字を持ち合わせておりませんが、参考事例として、直近で行われました選挙の経費について申し上げますと、本年4月に4単位の投票が行われました
統一地方選挙では、予算額12億1,200万円、昨年7月に2単位の投票が行われました参議院議員選挙では、予算額7億1,800万円となっております。
また、他の自治体の住民投票の例をご紹介しますと、大阪府が令和2年11月に行いました都構想に係る住民投票では、実績額で6億8,710万円となっております。
◆荒井勇雄 委員 札幌市が昨年実施したアンケート調査で、その経費が840万円程度であったのに対し、全有権者を対象とした選挙の経費は約7億円から12億円、また、令和2年の大阪都構想における住民投票では6億8,700万円と、実施には多額の費用がかかることを改めて認識いたしました。
我が会派としましては、行財政改革の徹底、身を切る改革を強く訴えております。アンケート調査の費用ならまだしも、招致の是非を問うという名目だけで住民投票を約7億円の費用をかけてまで行うというのは、多大なる負担を市民の皆様に強いることになりますので、慎重にならざるを得ません。
民意の確認については、札幌市外の競技施設の抱える地域の住民にも広く意向を確認し、意見を賜ることも考慮に入れる必要があると考えているところでございます。
さて、先ほどの大会招致によって観光客の来札が見込まれるとの件でございますが、平成27年より始まったSapporo City Wi−Fi、まち中の接続が困難で、利用を諦めてしまったという声が多数上がっております。私自身、複数の都市で調査、複数の知人を通じて他国の都市でヒアリングを行いましたが、札幌の通信環境は世界水準とは言い難いです。昨今、観光においてインターネットの接続はなくてはならない必要不可欠なインフラでございますから、ぜひとも関係部局と協議し改善をお願いいたします。
大変長きにわたる質疑、おわび申し上げます。
最後になりますが、東京2020大会の開会式の際、故安倍元首相が、子どもの頃、当時の東京
オリンピックの憧れを語っておりました。私は、令和に生きる子どもたちにも、
オリンピック・
パラリンピックを通して、勝負に多大なる努力を惜しまず、ひたむきに励む選手の姿勢に感動、感銘を覚え、夢と希望を抱いていただきたいと率直に思っております。
また、選手生命をかけて戦う選手もいらっしゃるわけでございますから、そこには汚職や利権等の大人の事情は一切排除しなければならないと考えております。
また、もし仮に招致を行うというのであれば、世界平和にかじを取るきっかけとなるかもしれない国際イベントになるよう、平和の祭典
オリンピックとしての意義を、
オリンピック憲章を踏まえ、いま一度考えていただきますよう、ご判断をお願いいただけますよう申し上げて、私の質疑を終わらせていただきます。
◆米倉みな子 委員 私からは、まず、札幌市とJOC、日本
オリンピック委員会、IOC、国際
オリンピック委員会との関係性について伺います。
東京
オリンピック・
パラリンピックにおいては、2020年から新型コロナウイルス感染が世界的に拡大し、同年7月に予定どおり開催することが難しい状況になりました。日本国内では、医療崩壊にあると言われていた病院関係者から、延期や中止を求める声が多く上がり、また、インターネット上でも中止を求める署名活動が行われました。
しかし、このような厳しい状況にあっても、IOCは、ウイルス拡散対策を万全にして大会を開催し、成功させると表明、一方で、各国の
オリンピック委員会や競技団体から延期を求める要請が相次ぎ、その声に押される形で、ようやく東京大会の延期が決まりました。
オリンピックを開催する当事国が大変な状況にあっても、何も言えない立場にあることが明らかになりました。IOCの有無を言わせぬ高圧的な対応が批判されていましたが、今、札幌市に対しても同様の対応なのではないかと懸念しております。
そこで、質問ですが、札幌市は、IOC、JOCと対等に協議ができる立場にあるのか、伺います。
◎奥村 渉外担当部長 札幌市がIOC、JOCと対等に協議を行える立場にあるのかというご質問にお答えをいたします。
オリンピックの招致におきましては、開催に関心がある都市は、国内
オリンピック委員会とともに招致活動を行うこととなっており、札幌市とJOCは、相互に密接に連携をしながら、大会概要(案)の策定や理解促進活動などを行ってきたところでございます。
また、2019年に導入されましたIOCの現在の
招致プロセスでは、2段階の対話を行った上で開催都市を決定するという対話を重視したものとなっており、札幌市は、現在、JOCとともに、第1段階の継続的な対話に参加し、IOCと対等な立場で大会計画の策定等の協議を行っているところです。
今後、より具体的な協議を行う第2段階の狙いを定めた対話に進んだ際には、将来開催地質問状への回答や保証書、開催地契約等に関する協議を行うことが想定されており、IOCと引き続きしっかり協議を行ってまいりたいと考えております。
◆米倉みな子 委員 IOCと、対話を重視し、対等な立場にあるとのお答えをいただきました。IOCに対して市民の不安や懸念もしっかりと伝えていただくことを要望し、次の質問に移ります。
市民の声に対する受け止めについて伺います。
東京大会で明らかになった汚職や談合などの事件に対して、市民の不信感は根強いです。夢と希望を与えるはずのスポーツの大会の裏で、不正が行われていたり、私腹を肥やす人たちがいることに、大いに失望し、憤りを感じています。
私は、地域を回って皆さんの意見を聞きましたが、
オリンピックよりも、今の苦しい生活のことをもっと考えてほしい、除雪など市民生活に直結することのために税金を使ってほしいという声が多数でした。私が会った市民の皆さんの中に、
オリンピック招致に賛成の方はいませんでした。
また、2022年の記録的な大雪のさなかに札幌市が機運醸成の活動を盛んに行っていたことも反感を買っていました。現在も根強くこうした市民意見があると私は感じています。
そこで、質問ですが、
オリンピック招致に向け、こうした声をどのように受け止めているのか、伺います。
◎里
招致推進部長 市民の声に対する受け止めというご質問でございます。
先ほど来、やり取りもございましたとおり、
大会運営費については税金を投入しない計画としております。本市としては、市民に負担がかからない大会運営を目指しているところでございますけれども、
オリンピック・
パラリンピックの開催は、札幌のまちが魅力を保ち続けることによって、経済が活性化するといった大会の効果を通じて、暮らしやすい社会を実現しようというふうに取り組んでいる施策でございます。こうした内容を、これまでも、市民対話などを通じまして、丁寧に説明をしてきたところでございますけれども、これが十分に伝え切れていないものというふうに受け止めているところでございます。
◆米倉みな子 委員 一般の市民の暮らしがいかに厳しいものであるか、市民が日々の暮らしに求めているものは何なのか、こうした声を真摯に受け止め、対応することを要望し、次の質問をいたします。
大会運営見直しに向けての今後の進め方について伺います。
大会運営見直し案の中間報告については、7月に行われる2回目の
調査特別委員会で示され、その後、市民対話を重ね、意見を募集するとのことです。
さきに述べましたが、対話や意見の中には、招致賛成だけではなく、反対のものもあると思われます。
そこで、質問ですが、見直し案に市民意見を反映とありますが、具体的にどのように反映しようとしているのか、伺います。
◎米森 調整担当部長 市民意見の見直し案への反映についてのご質問かと存じます。
大会運営の
見直し検討に当たりまして、市民の声を反映させていくため、中間報告をお示しした段階で、広報誌やメディアとの連携など、様々な形で情報を発信し、また、市民に身近な場所で丁寧に説明する場を設けるなど、市民対話の取組を進めることで、広く市民の声を把握してまいりたいと考えております。
こうした取組を通じて市民の不安や懸念などの声に向き合い、それらを解決するためには、何をどのように見直せばよいのかを、いただいたご意見を踏まえながら、
検討委員会でもご議論をいただき、見直し案を取りまとめてまいりたいと考えております。
◆米倉みな子 委員 広報誌やメディア等で丁寧に発信していかれるというご答弁をいただきましたが、対話の結果や、いただいた意見等は、偏りなく公平に反映されることを求め、最後に民意の確認について伺います。
IOCが今年の12月にも開催都市を内定する可能性があるとのことです。札幌市がそこでの内定を目指すとなると、それまでの期間が大変短いため、今まで質問してきました市民対話や意見の反映などは駆け足で行わざるを得ないのではないでしょうか。丁寧な対話がなされず、最初から招致ありきの民意の確認になってしまわないかと大変危惧しております。
そこで、質問ですが、民意の確認は、いつ頃、どのように行うのか、伺います。
◎奥村 渉外担当部長 民意の確認につきまして、いつ頃、どのように行うのかとのご質問にお答えをいたします。
民意の確認に関しましては、その実施に先立ち、まずは、東京大会の事件の司法手続の状況も踏まえながら、大会運営の
見直し検討を進めていくとともに、その上で、市民対話や理解促進を十分に重ねていくことが必要と認識しております。
そうしたプロセスを経た上で、最終的に改めて民意の確認を行う考えでございまして、時期や手法につきましては、現段階で具体的に申し上げる段階にはございませんが、今後、議会とも議論を重ねながら検討してまいりたいと考えております。
◆米倉みな子 委員 自治基本条例第22条には、市政に関する重要な事項については住民投票を実施することができるとあります。
オリンピック・
パラリンピックは、国際的なスポーツの大会です。多額のお金が動いて、経済に影響があるのはもちろんですが、札幌市民の生活への影響も大きいと考えます。仮に、オリパラを開催したときに、昨年の大雪のような状況になると、市民生活は二の次となり、置き去りにされることを懸念いたします。平時であっても滞りなく大会運営を進めるため、特に競技場周辺の住民は制約を強いられる場面があるでしょう。オリパラが市政にとって、市民にとって重要な事項であることは明白です。
市民ネットは、これまでも、市政に市民意見を反映するため、住民投票の実施を求めてきました。今回の見直し案において、市民の意見を反映するというのであれば、本市が市政運営で重要視している自治基本条例に基づき、やはり住民投票は行うべきであることを改めて強く求めて、私の質問を終わります。
◆小竹とも子 委員 質問は簡潔を旨にしておりますけれども、質疑に入らせていただきます前に1点だけ、関連することかと思いまして、前置きをさせていただきます。
先週のことなのですけれども、ある懇親会で私の向かいに座っている方から、私の議員バッジを見て、これは1972年札幌
冬季オリンピックのシンボルですよねということを聞かれました。不意な質問でございましたので、私もバッジを外して自分の手に取り、改めて見てみますと、
オリンピックを経験している世代ですので、そうだ、同じだと思いました。
1972年札幌
オリンピックのバッジというのでしょうか、シンボル、ロゴは、日の丸と雪の結晶と1972の五輪のマークが三つつながって、一連となって表現されているものでございまして、赤いビロードの上に黄色の雪の結晶がデザインされております。
このものは、今も
オリンピックの競技施設などに掲示などされておりますけれども、改めて議会事務局に調査をしていただきました。
そうしますと、1972年、昭和47年、
オリンピックが終わった直後の3月16日に告示がありまして、今のこのデザインに変更をされたということでありました。私はそれに初めて気づいた次第なのですけれども、札幌は、アジアで初めて
冬季オリンピックが開催された都市であり、そして、札幌市議会議員のバッジとして、このシンボルというか、権利の関係があって今は雪の結晶という表現になっているようですけれども、私の中では、これは
オリンピックを開催した札幌市の市議会議員のバッジであると思いまして、非常に誇りに思いますし、また、その重みを感じながら質疑をさせていただきたいと存じます。
私たち自民党会派では、これまでも、代表質問や本委員会におきまして、場面に応じて同様の質問をしてまいりました。また、今日も、森山委員、荒井委員のほうからも似たような質問があったかと思いますけれども、ご勘弁いただきたいと思います。
大きな観点で、改めて、大会の開催意義とその効果について、2点質問をさせていただきます。
まずは、
オリンピックの持つ価値について質問いたします。
最近、メディアで流れる
オリンピック・
パラリンピック関連の報道といえば、先ほどからありますように、東京2020大会の収賄・談合疑惑に関するものなど、札幌2030大会への不安をかき立てるものばかりが伝えられておりまして、大会の開催意義や札幌市にもたらされる効果など、本来、議論すべき内容が置き去りにされていると感じております。賛成・反対、様々な意見があることは承知しておりますが、このような状況ですので、自国で、私たちの住むまち札幌でぜひとも開催してほしいとする
賛成派の方々が声を上げづらく、何か萎縮してしまうという声を、私は実際に何人もの方々から聞いております。
先週、ちょうど1週間前になるかと思いますけれども、第1回
大会運営見直し案に関する
検討委員会が開催されまして、私も、これをオンラインにて視聴をいたしました。これに関しましても、子どもたちのためにも、開催に向けて前向きな検討をといった趣旨の発言をされた委員の方がいらっしゃったかと思いますけれども、この発言についても、私も全部の報道を確認したわけではありませんけれども、ほとんど報道されなかったのではないかと残念に思っているところであります。
その一方で、記憶にも新しいFIFAワールドカップやワールドベースボールクラシックの大変な盛り上がりを見ますと、選手たちの活躍が多くの人々、特に、子どもたちに勇気や感動を与えること、また、その影響力は計り知れず、スポーツが、やるものだけではなく、見る、支える、応援するという一つの文化になっていること、また、そこから生まれるスポーツの力、あるいは、スポーツが持つ力を改めて再認識しているところであります。
オリンピック・
パラリンピックは、世界最大級のスポーツイベントであり、大会がもたらす勇気や感動は非常に大きなものであり、開催地ともなれば、大会の雰囲気をじかに味わうことができ、市民、とりわけ子どもたちにとってもかけがえのない体験になるであろうと私は期待をしております。
また、IOCが、招致合戦の抑制や、既存施設の活用による大会規模の適正化などの改革を進め、多くの人が思い描く大会の姿から脱却を図っていることも、まだまだ多くの市民の方々が認識されてはいないことだと考えております。東京2020大会によりもたらされた負のイメージを払拭することは最低限必要であると思いますが、
オリンピック・
パラリンピックの本来の意義や目指す姿についても広く周知していくことが不可欠であると考えております。
そこで、質問をいたします。
いま一度、原点に立ち返り、
オリンピック・
パラリンピックの持つ価値をどのように捉えているのかを伺います。
◎里
招致推進部長 オリンピック・
パラリンピックの持つ価値についてのご質問にお答えいたします。
オリンピックの目的は、
オリンピック憲章におきまして、人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会の推進を目指すために、人類の調和の取れた発展にスポーツを役立てることと掲げられております。4年に一度、様々な種目の各国の代表の選手が集うスポーツの祭典でありまして、大会を通じて、人種や性別、国籍の垣根を越えた人々の思いを束ねるとともに、その高い注目度から新しい技術が開発、導入され、よりよい社会の実現にも寄与するということが
オリンピック・
パラリンピックの魅力の一つであろうというふうに考えております。
特に、
パラリンピックにつきましては、多様性を認め合い、誰もが個性や能力を発揮し活躍できる共生社会を具現化するツールとして、その価値を誰もが認めているところではないかというふうに考えております。
このように、
オリンピック・
パラリンピックは、単なる一過性のスポーツイベントということにとどまらず、大会の開催を通じて社会の変革ですとか課題解決に寄与することが大きな価値だというふうに認識をしております。
◆小竹とも子 委員 単なる一過性のスポーツイベントにはとどまらない、成熟した都市としてさらに発展していくため、その課題解決にも寄与していくということ、それらが価値であると私も考えます。
このほかにも、
オリンピック・
パラリンピックの開催地となることで得られる効果はまだまだたくさんあると考えております。先ほど、札幌市にもたらされる財政及び経済面における効果を説明いただいたところではありますが、日本中、世界中に札幌のまちがPRされ、継続的に観光客が増加することや、
パラリンピック開催によって、心のバリアフリーも含めたまち全体のバリアフリーが促進され、障がい者に優しいまちは高齢者にも子育て世代にも優しいまち、そのような人に優しい
まちづくりが加速するなど、有形無形の様々な効果が期待できるところであります。
大会概要(案)更新版においても、
まちづくりへの影響や、大会のレガシーと具体的な取組などを取りまとめていただいているところではありますが、札幌市が開催を目指す意義や効果について、市民の理解が十分に進んでいないように感じております。
そこで、最後の質問ですが、札幌で大会を開催する意義及び開催によってもたらされる効果について伺います。
◎里
招致推進部長 札幌で開催する意義と効果についてというご質問にお答えいたします。
オリンピック・
パラリンピックは、世界最大級のイベントということで、国内外に大きな発信力を持つものでございます。
大会には、札幌市が人口減少、少子高齢化の局面を迎える中にあって、天然雪に恵まれた豊かな自然と、都市機能が融合した札幌ならではの魅力を維持、発信し、市民が愛着と誇りを持ち、誰もが憧れるようなまちをつくり上げる力があるというふうに考えております。
大会開催によりまして、子どもたちが世界最高峰の競技を目の当たりにし、夢や希望を抱く機会を創出するといったスポーツそのものの力による効果に加えまして、観光振興や共生社会の実現、環境問題の解決など、幅広い分野への波及効果があるものというふうに認識をしております。
このように大会を契機といたしまして、
まちづくりの取組が加速化することで、50年後、100年後の未来を見据えた
まちづくりに寄与するものであるというふうに考えております。
◆小竹とも子 委員 改めて、私たちが住む札幌のまちで
オリンピック・
パラリンピックが開催される意義、効果についてお聞きをしました。
しかし、繰り返しではありますけれども、残念なことに、開催の意義や価値、そして、その効果をしっかり市民に理解していただけていないことが、現在の
オリンピック・
パラリンピックが置かれている状況につながっていると感じております。
海外のウインタースポーツ都市を幾つも見てこられたオリンピアンや関係者の方々は、皆さん口をそろえて札幌を称賛しておられます。札幌の雪質、積雪量、その環境、充実した都市機能、治安のよさ、美しいまち並み、
オリンピック・
パラリンピックの開催は、こんなにすばらしい札幌、ポテンシャルを持った札幌を世界に発信できる絶好の機会であり、これを取り逃がすことは非常にもったいないと私は強く思っております。
最近の報道によりますと、早ければ年内に2030大会の次の招致ステージに進む都市が決定する可能性があるとのことであります。残された時間は少ないと言えると思いますけれども、この思いが実現するよう自民党会派も市に協力をしていく考えであります。
そして、ご答弁にあった50年後、100年後の未来を見据えたしっかりとした対応をしていただくことを強く求めまして、私の質問を終わります。
◆ふじわら広昭 議員 いろいろな委員の方の質疑を聞いて、今後、札幌市スポーツ局、そしてまた、専門家から成る
検討委員会で少し議論を深めていただきたいという意見、要望を申し上げておきたいというふうに思います。
1点目は、あまりにも過度な商業主義的な
オリンピックと言われておりますけれども、やはり、札幌が本当に招致をしていくのであれば、こうしたものから脱却していくようなしっかりとした考え方が、もう少し専門家なども含めた中や、札幌市の中でも議論を深めていただきたいということが1点目です。
2点目は、
組織委員会の最終的な収支を公開していただきたい、このことを専門家から成る
検討委員会の中でも問題提起をしていただきたいと思います。
3点目は、民主主義にはお金がかかるということが言われておりますけれども、やはり、私は、5,000人や1万人程度のアンケート意向調査ではなくて、もっとしっかり民意が確認できるようなもので議論を深めていくべきだというふうに考えております。
最後の4点目は、先ほど、答弁の中で、札幌市内の
経済波及効果として約4,000億円の効果が見込まれるということでありましたけれども、これは、経済効果は4,000億円ですが、では、札幌市の税収としてどのくらい見込めるのかということも、しっかり市の内部で検討していただいて、次の
調査特別委員会の中でも議論が深まるようにしていただきたい、このことを札幌市と
検討委員会に求めて、私の意見、要望に代えさせていきます。
○林清治 委員長 ふじわら議員、質問ではないのですか。
◆ふじわら広昭 議員 もし答えられる部分があれば、答えていただきたい。
◎梅田
スポーツ局長 オリパラ
調査特別委員会において、8年間にわたって、これまで議論をして、これから9年目の議論ということになりますけれども、今、ふじわら議員からご指摘のあった点は、まさに、
検討委員会において、しっかりと札幌市としても議論をしていきたいというふうに思ってございます。
商業主義、商業主義というふうに言われていますけれども、1984年ロサンゼルス
オリンピック、ここから始まったと言われていますが、非常にその時点では優れた制度であったのかなというふうに私としては認識をしてございます。ただ、それが行き過ぎたものになっているということであれば、そこは修正を図っていかなければいけないというふうに私も考えてございます。
それから、情報公開についてですけれども、
組織委員会というのは時限的な組織で、これは行政組織ではないのですが、
オリンピック・
パラリンピックに関して、国税あるいは市税といった税が、直接、間接を問わず、何らかの形で投入されるということでありますので、そこにおける収支というものについては、一定程度、出せるものは積極的に出していかなければ国民の理解は得られないというふうに思ってございます。
そういった様々な点について、これから
検討委員会において議論をさせていただいて、議論の過程をまた市議会の皆様に提示をさせていただきながら、市議会でも議論を深めてまいりたいというふうに考えてございますので、よろしくお願いいたします。
○林清治 委員長 ほかに質疑はございませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○林清治 委員長 なければ、質疑を終了いたします。
以上で、委員会を閉会いたします。
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閉 会 午後3時37分...