札幌市議会 2023-03-01
令和 5年第一部予算特別委員会−03月01日-02号
令和 5年第一部
予算特別委員会−03月01日-02号令和 5年第一部
予算特別委員会
札幌市議会第一部
予算特別委員会記録(第2号)
令和5年(2023年)3月1日(水曜日)
――
――――――――――――――――――――――――――――――――
●議題 付託案件の審査
●出席委員 33名(欠は欠席者)
委 員 長 川田 ただひさ 副委員長 田 中 啓 介
委 員 武 市 憲 一 委 員 勝 木 勇 人
委 員 こんどう 和雄 委 員 山 田 一 仁
委 員 五十嵐 徳 美 委 員 こじま ゆ み
委 員 伴 良 隆 委 員 阿部 ひであき
委 員 松 井 隆 文 委 員 村 松 叶 啓
委 員 村 山 拓 司 委 員 三 神 英 彦
委 員 小 野 正 美 委 員 大 嶋 薫
委 員 ふじわら 広昭 委 員 桑 原 透
委 員 中 村 たけし 委 員 かんの 太 一
委 員 成 田 祐 樹 委 員 うるしはら直子
委 員 あおい ひろみ 委 員 田 島 央 一
委 員 福 田 浩太郎 委 員 國 安 政 典
欠 委 員 小 口 智 久 委 員 竹 内 孝 代
委 員 くまがい 誠一 委 員 太 田 秀 子
委 員 池 田 由 美 委 員 佐々木 明 美
委 員 佐 藤 綾 委 員 石 川 さわ子
――
――――――――――――――――――――――――――――――――
開 議 午後1時
――――――――――――――
○川田ただひさ 委員長 ただいまから、第一部
予算特別委員会を開会いたします。
報告事項でありますが、小口委員からは本日から3月9日まで欠席する旨、好井委員からは國安委員と交代する旨、それぞれ届出がありました。
議事に先立ち、審査方法について確認いたします。
発言は起立して行うこと、質疑及び討論は質問者席にて行うこと、答弁を行う部長及び課長は冒頭に職及び氏名を名のってから発言すること、なお、同一委員への答弁が続く場合は最初だけでよいこととします。また、質疑及び答弁は簡潔を旨とし、前置きなどは極力省き、内容の重複等も避けながら、定められた審査日程のとおり進めることのできるようご協力をお願い申し上げます。
それでは、議事に入ります。
議案第1号 令和5年度札幌市一般会計予算中関係分ほか、付託議案7件を議題といたします。
最初に、令和5年度札幌市一般会計予算中、歳入のうち一般財源、第2款 総務費 第1項 総務管理費中会計室及び財政局関係分、第3項 税務費、第9款 公債費 第1項 公債費、第10款 諸支出金 第1項 財産取得費、第2項 他会計繰出金中財政局関係分、第12款 予備費 第1項 予備費、議案第8号 令和5年度札幌市基金会計予算及び議案第9号 令和5年度札幌市公債会計予算について、一括して質疑を行います。
◆三神英彦 委員 私から、令和4年3定の
決算特別委員会に引き続き、稼ぐ力に関連して、3点質問をさせていただきます。
稼ぐ力の強化は、今後、地方行政にとってますます重要になると考え、財政局に対して、今後の財政運営の方向性について質問したところ、投資がさらなる投資を呼び、税収が増加する好循環を生み出す取組が重要であり、税源涵養の取組に財源を重点的に配分するとのご答弁でした。
令和5年度の市税予算額を見てみると、令和4年度予算との比較で税収は100億円程度増加しており、特に市民税、固定資産税などが顕著に増加しております。
一つ目の質問ですが、令和5年度の市税予算の状況と、令和4年度予算と比較して増加している要因について伺います。
◎大柿 税政部長 令和5年度の市税予算の状況と、令和4年度予算と比較して増加している要因についてでございます。
令和5年度の市税予算につきましては、令和4年度当初予算と比較いたしまして、102億円増の3,501億円を見込んでいるところでございます。
この増収の主な要因といたしましては、個人市民税では納税者数の増により約32億円の増、法人市民税では堅調な企業業績により約8億円の増、固定資産税では地価の上昇に係る負担調整措置や新増築家屋の増等により約43億円の増となっているところでございます。
◆三神英彦 委員 現時点で、税収面ではいい感じで増収を見込んでいるとのことですが、少し先を見通すと、人口減少によって納税者が今度は減少に転じるだとか、金利上昇だとか、物価の高騰感だとかという部分でいろいろな買物が減っていくという懸念、特に住宅などは額が大きいですね。そういったところで、税を取り巻く環境というのは、不透明で、楽観視できない状況なのだと思います。
今後も手を緩めることなく、税源涵養、稼ぐ力の強化を進めていく必要があり、それは短期、中期、長期とか、全てのスパンにおいてつじつまが合って、しかも、それが上手に回収可能なものである必要があると考えます。
次の質問ですが、税源涵養に資する具体的な取組について、令和5年度予算案にどう盛り込んだのかを伺います。
◎中澤 財政部長 令和5年度予算案におけます税源涵養に資する具体的な取組についてお答えいたします。
札幌市固有の財源であります市税の確保に向けまして、札幌の強みを生かした産業の育成や企業誘致、国内外の観光客誘致の強化などの税源涵養の取組を進めてきておりまして、特に、都市の魅力や活力を生み出す事業について積極的に予算計上をしてきたところでございます。
令和5年度予算案におきましては、札幌駅周辺における再開発事業や、
新幹線札幌駅東改札口の設置に向けた経費など、まちのリニューアルに関連する取組に重点的に予算を配分してございます。また、市内への本社機能移転や、IT・コンテンツ・
バイオ技術関連企業の立地促進に向けた補助制度を拡充いたしましたほか、新分野への進出など、事業再構築を行う事業者への支援策なども盛り込んでおります。さらには、札幌ならではの観光資源を活用した魅力的な
体験型コンテンツ造成への支援も予算に計上したところでございます。
こうした取組を着実に進めまして、投資がさらなる投資を呼び込み税収が増加する好循環を生み出せますよう、
次期アクションプランの策定におきましても、関連部署と連携いたしながら税源涵養に資する事業を構築し、財政局といたしましても財政基盤の強化に引き続き取り組んでまいりたいと考えてございます。
◆三神英彦 委員 目先の部分としては、
新型コロナウイルス感染症が5類に引下げとなるということもありまして、ウィズコロナだとか
アフターコロナに向けた動きというのが、特にゴールデンウイーク以降、加速してくるだろうと。社会経済が新しいステージに突入するという変わり目の時期にはなると思います。
この動きをしっかり読み取って、上手に変化を好機に捉えていって、経済面だとか、雇用促進だとか、効果的なものになるように財政、税政を行っていただきたいと思います。
今後、財政局としては、新年度早々に編成される肉づけ予算をはじめ、機動的な補正予算の編成を行っていくことが次の課題となると思うのですが、その財源を現時点でどの程度確保できているのか、気にかかるところです。
三つ目の質問ですが、財政調整基金も含め、今後の補正予算の財源を現時点でいかほど確保しているのか、伺います。
◎中澤 財政部長 今後の補正予算の財源確保の状況についてお答えいたします。
統一地方選挙後に編成します、いわゆる肉づけ予算への財源といたしましては、地方交付税を30億円留保しているところでございます。
過去の例といたしましては、平成31年度は20億円、平成27年度は50億円、平成23年度は30億円を留保してございまして、今回の留保額につきましても、これまでの統一地方選挙時と同程度となってございます。
また、令和5年度当初予算編成後の財政調整基金の残高見込みは、国の
地方創生臨時交付金の活用や事務事業の見直し等により財源を確保いたしますことで、
アクションプラン2019で定めました100億円を上回る136億円を確保したところでございます。
今後の補正予算の編成におきましては、これらの財源を活用いたしますとともに、社会情勢の動向を踏まえて、国への財源要望なども行ってまいりたいと考えてございます。
◆三神英彦 委員 要望したいことはたくさんあるのですが、簡潔にまとめます。
目先の課題としては、
新型コロナウイルスの話だったり、コロナ後にどうしていくのかという話だったり、あと、ここ何日かで気になるのは、路面が出てきたら例年にないぐらい道路、車道がひどいことになっているのかなということになると、また臨時でお金が出ていったりということも起こるのかなというふうに思うのですが、やっぱり、一番深刻なのは、今、国でも話が出ていますけれども、その人口動態に関してなのです。
私が選出させていただいた南区は、特に課題先進の感じで、人口減、特に生産年齢人口の減少、そのために相対的に高齢者比率が押し上げられているという部分が、では、どうやってその地域で稼げるようになっていくのかという部分に関しては、本当に関係する部局がたくさんあるんだと思います。
全体のバランスを取るのはまち政だったり総務だったりするのかもしれないんですけれど、それだけでなく、
デジタル戦略推進局だったり、経済観光局だとか、いろんな部局がちゃんと同じテーブルでこの大きな課題に対して議論を進めていくということが望ましいと思いますので、今後とも闊達な議論をよろしくお願いいたします。
◆ふじわら広昭 委員 私は、入札制度について、これまでの財政局などへの質問に関連して、6項目質問をいたします。
1項目めの質問は、工事の物価高騰対策についてです。
昨年の
決算特別委員会において、工事の物価高騰対策、単品スライドに関して質問しましたが、その後の対応について伺います。
札幌市
建設工事請負契約約款においては、工事契約後に急激な資材価格の高騰があった場合の対策として、主要な工事材料のうち、対象品目ごとに請負代金の1%を超える金額を受注者が請求できる
単品スライド条項が規定されております。
この条項については、企業の多くの方から、複数の資材価格が高騰していても、対象品目ごとに請負代金の1%を超えなければ対象にならない、請求が工期末の2か月前までになっているため、比較的工期の短い工事では請求が間に合わないため使用しにくいといった課題が指摘されております。
この単品スライドの条項の課題に対する札幌市の認識と今後の対応について質問したところ、工事管理室長から、今後とも、業界団体との意見交換や事業者との事前相談の場を利用して、
単品スライド条項の運用について理解を深める取組を行っていくとともに、札幌市の状況や課題を国や北海道とも情報共有を進め、受注者の過度な負担にならないよう努めていきたいとの答弁がありました。
そこで、質問ですが、
単品スライド条項の課題の解決に向けて、その後、どのような取組を行ってきたのか、また、その結果はどうであったのか、まず伺いたいと思います。
◎高松 工事管理室長
単品スライド条項のその後の取組と結果についてお答えいたします。
単品スライド条項のその後の取組としましては、業界団体との意見交換会を通じてさらなる制度の周知を図るとともに、受注者からの事前相談対応や手続のサポートに努めてきたところでございます。
また、国に対して、スライド条項の効果的、弾力的な運用を要望してきたところ、昨年12月に、
インフレスライド条項に関して、賃金水準の変更の有無にかかわらず、物価上昇による請負代金の変更が可能であるとの見解が国から示され、本市でも速やかに受注者への通知、
本市ホームページへの掲載など、周知に努めてきたところでございます。
その結果としまして、これまでのところ、国から示された見解に伴う
インフレスライド条項の請求についてはございませんが、
単品スライド条項につきましては、これは先週末の2月24日現在の数字でありますが、合成樹脂類、鋼材類、
アスファルト類など合わせて46件の請求があり、そのうちの34件が協議完了しているところでございます。
引き続き、スライド条項の適正な運用について理解を深める取組を行い、受注者の過度な負担にならないよう努めてまいりたいと考えております。
◆ふじわら広昭 委員 今の答弁で、直近で46件の請求があって、34件が協議を完了しているということでございます。残りの件数についてはどのような状況なのか、補償の対象になるのかならないのか、その辺の見通しも含めて、状況について再度説明をお願いしたいと思います。
◎高松 工事管理室長 今、46件のうちの34件が協議完了で、残りの15件についての状況ということでございます。
現在、年度末に向かいまして、それぞれ工事を竣工しておりますので、その中で残りのものについても、順次、協議が完了していくものというふうに考えておりますが、その46件のうちの1件につきましては、協議を進めてきたところ、その増額部分が僅かということで、受注者のほうで取りやめたということも伺っております。
そういう意味では、今のところ、残り15件のうちの14件について、今後、順次協議が完了していくものと考えております。
◆ふじわら広昭 委員 要望を申し上げて次の質問に移りますけれども、この制度としては、例えば元請の業者が1億円の工事を受注した場合に、セメントなど一つの品目、資材について100万円以上の値上げをしなければ対象にならない、そのうちの1%分は受注企業が負担をすることになって、それを除いた額について発注者が補償していくという内容であります。
現状といたしましては、先ほど46件ということがありましたけれども、1%を超えるものはなかなか数少ないわけであります。そういう意味では、こういう厳しい経済、物価高騰の状況でありますので、さらに国に対して、札幌市だけではなくて、政令指定都市の市長会などを含めた会合などでは、暫定的に0.5%以上というか、1%以上という数字など、暫定的な取扱いをできるような要望もぜひしていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
2項目めの質問は、
総合評価落札方式の技術評価項目における市内企業活用の施工計画に関する項目についてです。
札幌市の
総合評価落札方式における評価項目には、市内企業活用の施工計画に関する項目があり、1次下請で市内企業を選定し、その施工比率が高いほど優位な配点となる仕組みとなっています。
これまでの予算・
決算特別委員会において、工事の告示段階で入札参加資格として、元請は市内事業者であることを条件づけしているのに、さらに1次下請に市内企業活用に関する評価項目を設ける必要はないのではないかと述べてきたところであります。
これまでの札幌市の説明によりますと、市内企業活用の施工計画に関する評価項目は、任意項目であることから、1次下請として市内企業が十分に確保される見込みのない案件については評価項目から除外できることも可能となっているとのことでありました。その上で、評価項目の運用に当たっては、発注部局に対して市内企業の確保が十分に見込まれるか否かについて適切に判断するよう周知していきたいとの答弁がありました。
私は、これまでの委員会で、市内企業活用の評価項目について、様々な不合理があるので、実態をもっときちんと把握をし、速やかに見直しを実行していかなければならないと指摘をしてきたところであります。
具体的な例を申し上げますと、土木工事で
コンクリート構造物を造る際に、型枠という木製のものを使いますが、そうした型枠などを扱う一般的な土木工種を施工する企業が、高齢化などで職人の不足などから、事業の縮小や廃止などにより、やむを得ず札幌市内以外の企業に頼らざるを得ないケースが多くなっております。
また、特に下水道や水道の大きな管を地中に敷設する推進工事を行える企業は、札幌市内で2社から3社しかおらず、さらに、橋梁工事では、発注者側が工法を指定するケースがあり、道外の企業しかその取扱いができないなど、そもそも受注企業が市内企業を下請として選択すること自体ができない状況にあります。発注者側は、どの工種でどのような下請実態となっているかは、これまでの受注企業からの提出書類を見ればすぐ分かるはずであります。
それにもかかわらず、今年度の直近の
総合評価落札方式の入札案件で、明らかに1次下請として市内企業が確保される見込みのない工事であるのに評価項目が除外されていないケースがありました。具体的な工事名を申し上げますと、豊平川処理区の
下水道新設工事、2月14日開札、3月1日落札決定の案件であります。十分な実態の把握もせず、適切な判断も行わずに、これまでと同様に入札が繰り返し行われております。
そもそも札幌市は、元請は市内企業であることを条件づけし、さらに1次下請の割合を評価項目にしております。このようなことは、下請の選定まで札幌市が介入し、受注者の下請選定という自由な取引の権利を制限していることになると言えます。
他都市、例えば、大阪の大東市では、工事請負業者に対して、下請けへの地元企業の活用等についてという文書を送付しており、その内容は、下請施工をする場合、資材、機械の購入などをする場合は、できる限り地元企業を活用するよう配慮してくださいと、あくまでもお願いベースのものとなっており、これが発注者としての適切な対応の範囲ではないかと私は思います。
そこで、質問ですが、下請選定は、あくまでも受注者が決定する事項であり、発注者が関与すべきことではないことから、
総合評価落札方式における市内企業活用の施工計画については、速やかに評価項目から削除する措置を取るべきだと考えますがいかがか、伺いたいと思います。
◎有塚 管財部長 技術評価項目の中の市内企業活用の施工計画についてのご質問でございます。
この市内企業活用の施工計画につきましては、
総合評価落札方式における評価項目の一つでございますが、これは、市内企業中心の施工体制によって円滑な施工管理や緊急時の対応が期待されること、それから、市内企業の受注機会を確保する目的で平成25年4月以降に告示する工事から導入したものでございます。
この項目につきましては、先ほどの委員のお話にもございましたけれども、事案に応じて適用を除外できる任意項目でございまして、市内企業を十分に確保される見込みがない案件につきましては評価項目から除外をすることが可能となっているところでございます。一方で、昨年実施いたしました
事業者アンケートの結果では、この事案に応じて評価項目とする運用、これを希望する意見が多数を占めているところでありまして、今後さらに検討を進めつつ、この評価項目の在り方について適切に判断をしていきたいというふうに考えてございます。
◆ふじわら広昭 委員 以前と変わらない答弁でありますけれども、以前も同じような答弁をしたにもかかわらず、先ほど申し上げたように、下水道の工事の際に、やはり、しっかり調べていないでそうした仕様書をつくるものですから、先ほど申し上げたような状況になるわけですね。やはり、もう少し前向きにこれを捉えていかなければ駄目だと思います。
本来は再質問をしたいのですが、時間の関係もありますから、要望の中で申し上げますけれども、
総合評価落札方式において、市内企業の規定があるため、施工実績のある市内企業を選定しますが、施工能力が限られていることから、1次下請として現場責任者のみを雇用する場合が多いわけであります。このことで、直接、当該施工能力がある企業と契約する場合に比較し、二重の経費の増になっているという実態もあるわけであります。
そもそも、このような評価項目を加えること自体が問題であり、発注者が下請選定に関与すべきでないと考えます。評価項目から速やかに削除を求めるとともに、次期の新年度からしっかり適用すべきだというふうに思うわけであります。
1次下請の現場責任者のみを雇用するというのは、実際の作業員が札幌にいないわけですから、地元の下請という評価項目があるので、どうしても現場の責任者を地元の会社から選ばなければならない、しかし、実際にそこには仕事ができる人がもういない。先ほど申し上げたように、やはり、国や道や札幌や民間も含めて、いろいろな仕事が少なくなってはいますけれども、発注が出てきているわけでありますから、そういうときに型枠工とか様々な職種の人を札幌市内では確保できない、そういう状況をしっかり踏まえて、関係部局とも調整をして、できる限りこうした制度を廃止するような方向で取組を行っていただきたいということを強く求めておきたいと思います。
次に、3項目めの質問は、
最低制限価格設定の見直しについてです。
私はこれまで、予算・
決算特別委員会において、積雪寒冷地の大都市札幌の建設業における経営面及び技術者の育成、建設作業員の雇用確保をはじめ、冬期間の除排雪体制や自然災害による復旧作業などに対応するためには、建設業の経営体力を維持・向上していく必要があり、そのための施策の一つとして、札幌市の特殊性を考慮し、公共工事における最低制限価格の早期引上げをすべきと提言をしてきたところであります。
業界の皆さんからも、現在の92%という最低制限価格の上限比率をもう少し改善してほしいという要望が、毎年、札幌市や私ども各会派に出されております。
私が、昨年の
予算特別委員会において、今後どうすればこの上限比率92%を引き上げることができるのかと質問したところ、当時の管財部長から、今回、一般管理費などを65%から70%に引上げを行うので、この効果を見極めた上で、労働環境や事業者の経営環境などの状況等も考慮しながら総合的に判断していきたいとの答弁でした。
そこで、質問ですが、一般管理費などを65%から70%に引き上げた効果はどうであったのか、また、その効果を踏まえた上で、最低制限価格の引上げについてどのような検討を行ったのか、まず伺いたいと思います。
◎有塚 管財部長 最低制限価格の設定につきまして、大きく2点の質問がございました。
まず、1点目の見直しの効果についてでございますけれども、工事における
最低制限価格設定の見直しにつきましては、働き方改革などの諸課題の解決に資するよう、令和4年4月以降に発注する工事から、設計金額を構成する費目のうち、一般管理費等に乗じる率について、国を上回る水準に引き上げたところでございます。
この見直しの効果につきましては、年度途中ではございますけれども、令和4年11月末時点の平均落札率は91.51%でございまして、昨年度の91.14%より0.37ポイント上昇してございます。また、最低制限価格が90%以下の案件につきましては、そのほとんどが設計金額5,000万円未満の中小規模の工事でございますが、発注件数全体に占める割合が、令和3年度が51.8%、令和4年度が37.3%となってございまして、前年度から14.5ポイント減少しております。
こういったことから、これらの中小規模の工事を受注する
地元建設事業者の受注金額の底上げが図られており、一定の効果があったものというふうに考えてございます。
また、2点目の引上げについてのさらなる検討状況についてということでございますけれども、昨年4月に引き上げたところでございまして、現時点では見直す時期ではないというふうに考えてございます。
引き続き、今回の引上げの効果を注視しつつ、国ですとか、他の自治体の動向、それから、労働環境ですとか事業者の経営環境の状況などを考慮しながら総合的に判断をしていきたいというふうに考えてございます。
◆ふじわら広昭 委員 僅かながら上がっているということでありますけれども、冒頭、工事管理室にも質問しましたが、やはり、物価高騰によって、値上がった分の1%未満は元請企業がかぶらなければならない、そういう状況になっているのです。ましてや、1年後には、週休2日制とか週40時間労働、そして、建設業に働く若い人をなかなか確保できないという状況があるわけです。会社によって、それぞれ財政的な資金力の違いはあるわけでありますけれども、こうしたことを考えていけば、積雪寒冷地の札幌としては、やはり雪解けの4月から何ぼ頑張っても11月ぐらいまでしか仕事ができないわけですよね。例えば、道路の舗装工事でも気温が5度以下になったら行うべきでないという札幌市のルールがあったり、災害ですとか復旧工事は別でありますけれども、そうした地面を掘っていく工事についても制約をしているわけであります。
そういうことから考えますと、僅かに上がっているということは、その効果が少しはあるのでしょうけれども、全体的にこれから建設業がしっかりと札幌の社会資本を維持していくための体力を持てるのかというと、私は不十分だというふうに思いますので、ぜひとも、今後とも最低制限価格のお見直しをしっかり行っていただきたいということを求めて、次の質問に移ります。
4項目めの質問は、工事の発注見通しについてです。
札幌市では、今後の工事の発注見通しについて、札幌市工事情報として、毎年、3月下旬から翌年の1月下旬まで、2か月ごとに計6回公表しております。内容は、工事名、場所、入札及び契約方法、工期、入札時期、金額区分、変更が生じた場合の変更区分が示されております。
工事発注見通し情報の金額区分の扱いですが、現在公表されている金額区分1億円以上の工事例で見ますと、アルファベットのA、B、C、D、E、F、Gという7区分に分かれておりますけれども、E工事では発注規模が1億円から2億5,000万円未満、F工事では2億5,000万円以上5億円未満、G工事では5億円以上となっております。かなり大まかな区分であり、各区分内でも2倍の開きがあり、1億円と2億5,000万円の工事では配置技術者の数も当然異なることから、このような状況では、技術者の配置に目途が立たず、次の入札参加に大きく影響しているとの声が私どもの会派にも寄せられております。
北海道は、金額範囲を設定しておらず、概算工事金額を提示し、開発局は、金額の範囲はあるものの、極めて小さい範囲の提示となっており、受注計画が立てやすい状況となっております。
そこで、1点目の質問ですが、企業が適正な技術者の配置が可能となるよう、また、入札参加が容易となるために、現行の金額区分を発注ベースの概算工事額で示すべきと考えますがいかがか、伺いたいと思います。
◎有塚 管財部長 発注見通しにおける金額の提示についてということでございますけれども、札幌市では、北海道開発局などと発注見通し情報を統合し公表する取組を行っておりまして、毎年3月末に翌年度分を公表して、以後、2か月ごとに追加公表を行っているところでございます。
この公表段階では、設計が完了していない案件もありますことから、概算額につきましては、一定の金額区分とならざるを得ないところがございます。
また、工事の予定価格につきましては、事後公表ということとしておりますことから、見通しの段階においても概算額は一定の幅で公表するということが適切であるというふうに考えているところでございます。
◆ふじわら広昭 委員 答弁の中で、設計ができてないものもあるということでありますけれども、それはやり方次第でしっかり改善できるのではないかと私は思います。先ほど申し上げましたように、北海道などは概算額のもので出しているわけです。北海道庁でできるものが札幌市役所でできないわけがないと思うんですね。そこをしっかり部長は受け止めて、各発注部局に指導、指示をしていただかなければ困るというふうに思いますので、そのことを強く求めておきたいと思います。
次に、同じく発注見通し情報の変更などに係る点についてです。
昨年、発注見通しの公表があった特定共同企業体の工事、水道局発注の規模5億円以上の工事を例に説明を申し上げますと、当初、昨年7月の発注見通しでは、入札は10月下旬予定でしたけれども、9月の発注見通しでは、入札が11月下旬に変更となり、さらに11月の発注見通しでは入札が12月中旬に変更されるとともに、工事自体が中止となったわけであります。
いろいろと延期をせざるを得ない理由があったにしても、特定共同企業体を予定していた双方の企業は、結果として7月から4か月間以上も見通しがつかない状況に置かれたわけであります。
特定企業体を構成する企業は、配置予定技術者を確保し、作業員や資材の調達に向けた準備を行っていたと思います。この間、次の入札案件に当該配置技術者での参加はしないため、長期間にわたり見通しのないまま待機状態となることは、企業にとって非常に大きな痛手となっているわけであります。
そこで、3点質問いたします。
質問の1点目は、発注見通しを変更、中止する場合は、2か月ごとの発注見通しの時期に公表するのではなく、変更、中止を決定した時点で速やかに公表すべきだと思いますがいかがか、伺います。
質問の2点目は、発注見通しを変更する場合についても、工事内容なのか、工期、入札時期のどの部分の変更なのかをきちんと明示すべきと思いますがいかがか、お伺いします。
質問の3点目は、中止の場合は、今後の入札時期の見通しについても可能な限り公表すべきと考えますが、以上の3点について伺いたいと思います。
◎有塚 管財部長 発注見通しの変更等についての3点のご質問についてお答えいたします。
まず、1点目の変更、中止があった場合の速やかな公表についてということでございますが、発注見通しにつきましては、公共工事の品質確保の促進に関する法律に基づきます運用指針によりまして、原則として四半期ごとに公表すると定められておりますけれども、札幌市の情報は2か月ごとに公表しているところでございます。
この変更、中止の情報ですけれども、関連工事の進捗など対外的な要因によって影響を受けるため、一定の精度をもって示すためにはある程度の期間が必要なこと、また、他の発注機関とのバランスや利便性などを考慮いたしますと、定期的に情報をまとめて2か月ごとに公表する現在の取扱いは妥当なものというふうに考えているところでございます。
ただ、ご指摘の件につきましては、北海道地方として見通し情報を統合して公表しておりますことから、今後も北海道開発局ですとか北海道の動向などを注視していきたいというふうに考えてございます。
それから、2点目の変更部分の明示に関するご質問でございますけれども、札幌市の発注見通しにつきましては、入札情報を一元的に確認できるホームページ、入札情報サービスで提供しておりますほか、北海道開発局のホームページにおいても、統合様式により札幌市を含む北海道地方の発注見通しを公表しておりますけれども、この統合様式のほうでは、前回公表時からの変更箇所が表示をされているところでございます。
現在の札幌市の部分ではそこが分かりにくいということになってございますので、この変更部分の明示に関しましては、札幌市のホームページにおきましても、利便性が図られるよう、今後の対応を検討していきたいというふうに考えてございます。
それから、3点目の中止の場合における今後の入札時期の見通しについてのご質問でございますが、中止となる理由は多岐にわたりますことから、全ての案件において中止段階で今後の見通しを示すということは困難というふうに考えますけれども、公表することが可能な場合の対応方法については、今後、ちゃんと検討していきたいというふうに考えてございます。
◆ふじわら広昭 委員 受注する側としては、やはり、しっかりとした準備をして臨んでいきたいという考え方が常にあるわけです。いろいろな制約があって難しいとかできないというような趣旨の答弁が述べられていたわけでありますけれども、例えば、札幌市のホームページなどを活用して独自にでもそうしたことをやろうと思えばできると私は思うのです。ですから、そういうことをしっかりやって、発注者側の札幌市と受注者がしっかりと連携を取って、いい工事をしてもらう、品確法に基づいた工事をしてもらうという視点からいけば、少なくとも、今申し上げた3点の質問については、しっかりとこの4月1日から実施をしてもらいたい、このことを強く申し上げておきたいというふうに思います。
5項目めの質問は、フレックス工期の拡大についてです。
余裕期間制度、フレックス工期の拡大について質問いたします。
この制度は、発注者があらかじめ設定した全体工期内で受注者が工事の始期と終期を選択して契約を締結できる制度です。
この制度のメリットとしては、一つには、柔軟な工期設定などを通じて、受注者に技能労働者や建設資材などの確保を計画的に準備するなどの時間的な余裕が生じること、二つ目には、受注者が自ら工期を設定することにより、効率的で円滑な施工が可能となることなどが挙げられます。
このようなメリットがあるため、多くの自治体ではこの制度を適用しており、例えば、北海道建設部においては、2021年度における全落札件数に対する当該制度の実施率が97.8%に上っております。
札幌市においても、2018年、平成30年から当該制度を試行的に導入していますが、その実施率は北海道に比べて低い値となっております。
そこで、質問ですが、札幌市においても、特別な事情がある場合を除いて、発注工事全体に余裕期間制度、フレックス工期を適用すべきと考えますがいかがか、伺います。
◎高松 工事管理室長 フレックス工期の拡大についてお答えいたします。
フレックス工期につきましては、受注者の円滑な工事施工体制の確保などを図るため、地先要望や関連工事との関係などから、供用開始時期や工期に制約がある場合を除いて、積極的にフレックス工期を適用しているところでございます。
例えば、道路工事では、除雪体制が本格化する前までに完了する工事につきましては、原則、余裕期間を加えております。
本制度は、委員がご指摘のとおり、技術者や資材の計画的な確保に効果を発揮するものと理解しておりますので、関係部局と協議を行いながら、今後も可能な範囲で拡大に努めていきたいというふうに考えております。
◆ふじわら広昭 委員 具体的に札幌市としてどのくらいこのフレックス工期を導入しているのか。例えば、今年度、令和4年度の10月末の札幌市の工事発注状況を見ますと、競争入札に係る件数は1,135件の入札が行われているわけでありますけれども、この数字とは別にしても、現在まで、フレックス工期は何件を対象にしているのか、具体的な数字を明らかにしていただきたいと思います。
◎高松 工事管理室長 具体的な数字ということでございます。
今年度の12月末までのフレックス工期の導入状況は、契約ベースでございますが、178件という数字でございます。
◆ふじわら広昭 委員 先ほど申し上げたように、昨年の10月末段階の数字の競争入札の案件は1,135件です。ですから、この時期と重ならないかもしれないけれども、178件というのは極めて低い状況であり、私が3年前に質問したときも160件前後ですから、そんなにフレックス工期が増えている状況にはないわけであります。
室長の答弁によると、非常にたくさんやっているかのような状況でありますけれども、ぜひ、答弁内容と実態がかみ合うように、新年度に各発注部局に余裕期間制度、フレックス工期をしっかり拡大していくことを強く求めておきたいと思います。
最後の6項目めは、
総合評価落札方式の拡大についてです。
今日は建設局長にも出席をいただいておりますので、後ほど質問をしたいと思います。
昨年の
決算特別委員会において、札幌市が実施をしました
総合評価落札方式に係る入札参加者へのアンケートの実施結果について質問しましたが、その際、管財部長から、アンケートの結果では、
総合評価落札方式の拡大を希望するよりも、現状維持や縮小を希望する、拡大に否定的な意見が上回っている状況にあるとの答弁でした。
私は、
総合評価落札方式に参加していない企業が多い中で、こうしたアンケートを行った場合、否定的な意見が多くなるのは当然のことであると指摘をしたところであります。
また、
総合評価落札方式の拡大については、品確法に沿って公共工事の品質確保、多様な入札やその担い手の中長期的な育成、確保などの取組促進を図ることを目的としているものであり、企業アンケートなどによって拡大、縮小などの判断の方針を決定するものではないとも、申し上げてきたところであります。
このような問題点を含むアンケートに関して、管財部長からは、今後は、このアンケート結果の詳細をさらに分析をし、入札状況なども分析しつつ、さらなる検討が必要と考えているとの答弁がありました。
私は、これまでの予算・
決算特別委員会で
総合評価落札方式について取り上げてきましたけれども、長年にわたり試行実施を行ってきた経緯があるにもかかわらず、ここに来て、アンケート結果を詳細に分析して、さらなる検討が必要とは、元に戻すような議論で、結論先送りの姿勢にしか見えません。この間、きちんと検討してきたのか、甚だ疑問であります。
そこで、今日は、建設局長にも出席いただいて、発注部局と工事契約部局それぞれに
総合評価落札方式の考え方について伺いたいと思います。
まず、建設局に伺います。
建設局では、2020年5月に、建設産業の活性化を図り、将来の持続可能な体制につなげることを目指して、建設業界と札幌市が課題や目標を共有しながら取組を進めていく指針として、さっぽろ建設産業活性化プランを策定しております。
このプランの中で、入札契約制度の活用の方向性として、価格に加え、技術力などの要素も総合的に評価する
総合評価落札方式の充実などにより、技術力の向上や企業の人材確保の取組などに積極的に取り組む企業を支援しますと掲載されております。
そこで、1点目の質問ですが、さっぽろ建設産業活性化プランの中で、
総合評価落札方式の充実などにより企業を支援する旨の記載がありますが、この場合の充実とは具体的にどのような内容を意味するのか、まず伺いたいと思います。
◎天野 建設局長 さっぽろ建設産業活性化プランにおける
総合評価落札方式の充実の意味についてお答えいたします。
さっぽろ建設産業活性化プランは、地域の守り手である建設産業の健全な体制を確保するため、生産性向上や働き方改革などの取組を私ども行政と建設業界が両輪となって推進し、建設産業の活性化を図ることを目的に策定したものでございます。
同プランには、建設産業を支援するための様々な支援策を掲げており、このうち、総合評価額落札方式については、技術力の向上や人材確保に取り組む企業を支援するための多様な入札契約制度の活用策の一つとして記載をしております。
そこで、委員から質問いただきました
総合評価落札方式の充実の意味ですが、主には、各企業の技術力の向上や人材確保などの取組を適切に評価するために、必要に応じて評価内容を改善することなどであるというふうに認識してございます。
◆ふじわら広昭 委員 このプランに関する庁内の推進体制として、関係部局間での連携を図りつつ施策を推進することや、建設業界と札幌市との意見交換会を開催することなどが明記されております。
私は、
総合評価落札方式の充実については、財政局ばかりではなく、発注部局、特に建設産業活性化プランの実質的な幹事局であります建設局が中心となって、関係部局や建設業界と連携しながら推進を図る必要があると考えます。
また、同プランにおいては、
総合評価落札方式の充実に関して、いつまでにどの程度まで実施するかという具体的な内容が、全く記載されていない状況です。
そこで、2点目の質問ですが、さっぽろ建設産業活性化プランの策定から3年近くが経過しておりますけれども、
総合評価落札方式に関して、これまで関係部局とどのような協議が行われてきたのか、また、プランを推進する上で速やかに具体的な取組を示すべきだと考えますがいかがか、伺いたいと思います。
◎天野 建設局長 さっぽろ建設産業活性化プラン策定後の関係部局との協議や具体的な取組についてお答えいたします。
さっぽろ建設産業活性化プランを策定して以降、19の建設関連団体に参加をしていただき、さっぽろ建設産業活性化推進協議会を立ち上げ、各種施策に関して情報共有や議論を行っておりますほか、各団体との意見交換などを通して要望の把握に努め、取組やその改善などについて検討してきているところでございます。
こうした中で、まず、関係部局との協議についてでございますが、総合評価に関しましては、コロナ禍により防災訓練が開催できなかったことから、評価項目である災害活動実績の対象期間を延長するよう要望があり、関係部局と協議をし、評価項目を改善するに至った事例がございます。
また、昨冬の大雪を踏まえた対策の一環としまして、大雪等応援業務に係る表彰実績を評価項目に追加することについて、私ども建設局から財政局に対して見直しの申出を行いまして、当該落札方式の改善を図ってございます。
今後につきましても、様々な状況の変化ですとか建設関連団体の意見・要望なども踏まえまして、適宜、必要な改善について関係部局と協議してまいりたいと考えております。
◆ふじわら広昭 委員 コロナ禍によって災防協の訓練ができないので、その評価点が下がってしまうということは、私どもに各区の災防協の幹事会社から問合せがあって、こうしたことをしっかり弾力的に扱わないと駄目ですよということで配慮していただいた項目であって、必ずしもそちらが積極的にやったということではないわけであります。
私は後ほど財政局にも質問をいたしますけれども、やはり、総合評価の件数をしっかりとアップしていく、これからつくられる計画の中でアップしていくことが必要だというふうに思いますので、発注部局として、総合評価の拡大に向けた対応をしっかりしていただきたいというふうに申し上げておきたいと思います。
次に、財政局に質問をします。
先ほども申し上げましたけれども、全国的に、工事発注については、品確法に沿って国土交通省が推奨している
総合評価落札方式による入札が積極的に実施されており、北海道開発局では100%、北海道では7,000万円以上の全ての工事に適用し、実施しております。
一方、札幌市は、本格実施に至らない上に、実施率は約20%という低さです。札幌市だけに特殊事情があるわけでもないと思いますので、理解に苦しむところであります。
私は、これまで何度も実施率の拡大を要望してきましたけれども、一向に具体的な動きが見られません。札幌市が何らかの理由で実施率を約20%に抑えていると考えざるを得ません。
そこで、1点目の質問ですが、
総合評価落札方式の実施率が約20%にとどめられている実態が続いておりますが、この数字の根拠は何なのか、まず伺いたいと思います。
また、
総合評価落札方式は、国や北海道などは積極的に活用している状況にあるにもかかわらず、札幌市において拡大しない理由は何なのか、伺いたいと思います。
さらに、札幌市では、昨年度の大雪を踏まえて、
総合評価落札方式における評価区分に大雪等応援業務に係る表彰実績を今年の1月1日以降に告示する工事から適用することを追加したのは除排雪の体制維持として評価をしますが、そもそも
総合評価落札方式の実施率が約20%と低い状況では、評価点の加点による企業の入札参加への効果が期待できないと考えますが、いかがお考えなのか、まず、この点について財政局に伺います。
◎有塚 管財部長 総合評価の数値目標についての3点のご質問でございます。
まず、1点目の数値目標の根拠についてでございますけれども、工事における
総合評価落札方式の数値目標につきましては、
アクションプラン2019において初めて設定したものでございまして、競争入札に占める
総合評価落札方式の発注割合を20%と定めて取り組んでまいりました。
その結果、令和4年11月末現在の発注割合につきましては22.6%に達しておりまして、設定した数値目標を上回る結果となっているところでございます。
この数値目標の設定の根拠につきましては、設定する直前の年度であります平成30年度の発注割合は、市長部局で16.9%となってございまして、さらなる拡大を視野に20%を目指すということにしたものでございます。
次に、2点目の拡大をしない理由についてのご質問でございますが、
総合評価落札方式のさらなる拡大につきましては、
事業者アンケートを行っておりますけれども、その詳細分析などを進めつつ、本格実施に向けた検討の中で判断することとしておりまして、将来的な拡大を否定するということではございません。
それから、3点目の大雪等応援業務に係る表彰実績の新設に伴う入札参加者への効果についてのご質問でございますけれども、大雪等応援業務に係る表彰制度につきましては、記録的な大雪時における市民生活や経済活動への影響を最小限にとどめるべく緊急時の応援体制の構築を図る、こういった観点から新たに設けた評価項目でございまして、地域に貢献する企業に対してインセンティブを付与するものでございます。
総合評価落札方式における発注割合の拡大や入札参加者の効果につきましては、品質確保の観点から検討すべきものというふうに考えてございまして、本格実施に向けた検討の中で適切に判断をしていきたいというふうに考えてございます。
◆ふじわら広昭 委員 総合評価が市長部局からスタートして、そのときは16%台であったので、
アクションプラン2019では20%という目標にしたということでありますけれども、その20%というのはどういう具体的な根拠なのですか。もう少し具体的に札幌市の当時の考え方、総合評価の拡大に向けた一番根幹に関わる問題なので、20%にしたという根拠をもう少し分かりやすく説明していただきたいと思います。
◎有塚 管財部長 20%にしたというところでございますけれども、そこにつきましては、当時の現状を踏まえまして、
アクションプランの4年間の中でまずは20%を目指すというところで設定したものでございます。
◆ふじわら広昭 委員 全く根拠がない20%という設定でないかというふうに受け止めざるを得ません。
そこで、次の質問に移りますけれども、昨年の
決算特別委員会において、石川副市長は、
総合評価落札方式については、今後、品確法の趣旨に照らして、現行制度の抱える課題を洗い出した上で、本格実施に向けた検討を進めていきたい旨の答弁がされております。
そこで、2点目の質問ですが、昨年の
決算特別委員会以降、
総合評価落札方式の本格実施に向けてどのような検討を行ってきたのか、伺いたいと思います。
◎有塚 管財部長
総合評価落札方式の本格実施に向けた検討についてのご質問でございます。
こちらにつきましては、
事業者アンケートを取ってございますけれども、その結果では、拡大したほうがよいと回答した事業者が240者中50者、全体に占める割合が20.8%となってございまして、このことにつきまして詳細な分析を進めてきたところでございます。
その分析の結果でございますけれども、
総合評価落札方式に参加実績のない事業者では、拡大を希望する意見が5.4%となっておりました。これが参加実績のある事業者であっても、拡大に否定的な意見のほうが多く、拡大を希望する意見は34.4%となっておりました。
アンケートでは否定的な結果となっていることから、直ちに拡大する機運にはない一方で、くじ引き対策として有効な手段の一つであることから、
総合評価落札方式の本格実施に向けた検討の中で、そこは判断してまいりたいと考えてございます。
◆ふじわら広昭 委員 札幌市として主体的に判断していくという考え方が部長の答弁からは全く伝わってこないわけです。アンケート調査によって、総合評価をあまり拡大してほしくないという件数、パーセンテージが多いからというような趣旨に取れるのですけれども、例えば、先ほど質問したように、最低制限価格については、A1、A2とかBクラスの土木関係の会社がありますが、どこも最低制限価格を見直してほしいということが出されているわけですね、毎年、市長宛に。我々にもです。それにもかかわらず、そういうときには、最低制限価格をしっかりと見直して、積雪寒冷地である札幌の将来をちゃんと踏まえたようなものにしていかないで、今度は、自分たちに都合のいいところについては、総合評価は望まないというアンケートの結果が多いと。そういうことでは、札幌市の建設業界のしっかりとした基盤をつくることができないというふうに思います。そういう意味では、ぜひとも拡大に向けての検討をしていただきたいというふうに思います。
例えば、今後の戦略ビジョンのビジョン編ができていて、今年の秋ぐらいまでには戦略編がつくられて、戦略編は有識者の皆さんの意見も取り入れてつくっていくわけですけれども、それと同時に、遅くても今年の12月までには戦略編に基づく中期整備計画がつくられるわけです。
今までの歴代の部長の答弁は、今後、次期の
アクションプランの中でそれを検討していきたいということなのですけれども、4月に人事異動もありますから、仮に4月から検討したとしても、秋までとなると半年ぐらいしかないわけですね。毎日会議をやるわけではないですから、月に1回か2回しかできない状況の中で、総合評価を20%からどう拡大していくのか、そういうことを本当に検討できるのか、私は疑問を感じるところであります。
やはり、しっかりと札幌市の社会資本、インフラ整備をしていく、そして、災害時にも協力いただく企業がしっかりと存続できるためにもそうした取組をすべきだし、部長以外の方々には、例えば、Bクラスなどは総合評価をすぐにできるという状況にはほとんどないわけでありますから、札幌市としては、5年後にはBクラスを対象とした総合評価項目を設定しますので、今後4年間の間に必要な資格などをきっちり確保してくださいというような猶予期間を設けていかなければなりませんし、あるいは、A1やA2の中でも、そうした総合評価に点数が少し足りないという会社もあると思うのです。そういうあまり実績がないような会社を対象としたような工事をちゃんとつくって、そういう実績をつくるというようなことをやっていかなければ、いつまでたっても総合評価に対する考え方は変わっていかないというふうに思いますので、ぜひそうしたことに取り組んでいただきたいと思います。
最後に、石川副市長に質問をさせていただきます。
先ほども申しましたが、財政局においては、
総合評価落札方式の拡大に関する検討も結論の先送りの姿勢のように見えるわけであります。また、建設局は、建設産業の活性化を図り、将来の持続可能な体制につなげることを目指してさっぽろ建設産業活性化プランを策定し、関係部局間での連携を図りつつ施策を推進することとしていますが、策定後3年近く経過しているこのプランの実効性が問われていると私は考えます。具体的な目標が示されなければ、建設業界と札幌市が連携を図り、推進することもなかなか難しいのではないかと思います。
総合評価落札方式の拡大については、これまでも何度も申し上げてきたとおり、公共工事の品質確保はもちろん、企業の担い手確保に加え、地域経済や雇用を支える建設業が継続できる環境を整備するという重要な支援策であります。
そこで、質問ですが、昨年、
総合評価落札方式について、本格実施に向けた検討を進めたいとの答弁でしたが、企業の経営の安定化を図るため、札幌市の関係部局を挙げてその方向性と具体的な数値目標を早急に示すべきだと考えますが、副市長の考え方についてお伺いしたいと思います。
◎石川 副市長
決算特別委員会でもご答弁しましたとおり、
総合評価落札方式の本格実施に向けましては、まずは現行制度が抱える課題というものを洗い出した上で、さらなる品質の向上が図られるように、制度の在り方について議論すべきだというふうに考えておりまして、現在、関係部局間で鋭意検討を進めてもらっております。
また、関係団体等の意見も今後踏まえた上で、令和6年度の発注に間に合うように、今年の秋頃を目途に検討に取り組んでいきたいというふうに考えています。
数値目標につきましては、この本格実施に合わせて判断をしてまいります。
◆ふじわら広昭 委員 ぜひとも、数値目標の拡大を含めて、令和6年度からの実現に向けてしっかりと取り組んでいただきたいというふうに思います。
最後に、要望を申し上げて終わります。先ほども申し上げましたけれども、
総合評価落札方式の実施率が20%の低さで、かつ、工事参加対象になっていない格付の企業アンケートは信憑性に欠けると思います。
二つ目には、
総合評価落札方式の拡大については、あくまでも品確法に沿って国土交通省が推奨し、全国的にそれらに基づき各発注機関で実施されているものであり、企業アンケートで拡大、縮小の判断を決定するものではないことを強く指摘させていただきます。
三つ目には、平成18年3月に
総合評価落札方式の試行要綱を定め、これまで長期にわたり試行を続け、本格実施に向けた取組が実施されていないことは、札幌市が建設業の果たす役割やその重要性を認識していないのではないかと疑うところであります。
例えば、北海道が実施している格付に応じた品質確保を重視した簡易的な
総合評価落札方式など、札幌市においてもすぐ導入できる可能性があるわけであります。
関係部局が一丸となって行うことが大事でありますけれども、水道局や交通局のように独自に入札契約を実施しているところもあり、建設局、下水道河川局などがそれぞれの実態に基づき実施を検討することが必要であると考えます。
いずれにしても、
総合評価落札方式の拡大については、副市長からの答弁がありましたけれども、それを踏まえて、しっかりと私どもが求めている
総合評価落札方式の拡大を図ることを強く求めて、質問を終わります。
◆福田浩太郎 委員 私からは、財政局の質疑でありますけれども、物価高騰対策に関連してお尋ねをしたいというふうに思います。
我が会派は代表質問でも取り上げさせていただきましたが、物価高騰対策については、これまでも国や北海道と連動しながら、その時々の状況に応じて、本市の実情を踏まえた独自の取組を、国からの財源措置等も勘案しながら、機動的かつ柔軟に展開をしてきたところでございます。
この物価高騰の状況は世界的な需要増加やウクライナ情勢を踏まえると長引くことが想定されておりまして、今後も、市民や企業を支援する効果的な施策を機動的に展開していくということが必要でありまして、そのためには、改めて国や道との役割分担について整理し、備えておくことが必要と考えるところでございます。
そこで、1点目の質問でございますけれども、これまで行ってきた物価高騰対策における国、道、市の役割分担と今後の取組の考え方についてお尋ねいたします。
◎中澤 財政部長 これまでの物価高騰対策におきます国、北海道、市の役割分担と、今後の取組の考え方についてお答えいたします。
まず、役割分担についてでございますけれども、国におきましては、低所得世帯等への現金給付や、電気、ガス料金等の負担軽減策といった全国的な課題への対応が中心でございまして、また、北海道におきましては、国の施策を受けた旅行割の実施をはじめ、事業者の支援や広域にわたる課題への対応が中心であるというふうに認識してございます。
これに対して札幌市では、国や北海道の施策を踏まえまして、学校や保育所等における食材費高騰への支援や、子育て世帯等に対する札幌市独自の現金給付、また、幅広い市民を対象といたしました水道料金の減額など、市民生活に密着したきめ細やかな施策を展開してきたところでございます。
さらには、今議会に提案いたしました補正予算案におきましても、追加の支援策といたしまして、150万冊のプレミアム付商品券の発行を盛り込んだところでございます。
今後につきましては、国や北海道と連携の上、社会経済情勢や財源の状況を見極めながら、機動的に追加の対策などについて検討してまいりたいと考えてございます。
◆福田浩太郎 委員 お答えにありましたように、物価高騰対策については、これまで、国や道の施策に連動する形で、市民生活や事業者への支援に切れ目なく対応してきていただいているということで、我が会派としても一定の評価をしております。
先ほどのお答えにあった水道料金の減額につきましても、大変ご苦労があったということを承知しております。一方、今後も臨機応変に追加の物価高騰対策を実施していくためには、やはり国からの財源措置が必要不可欠であります。
昨日、我が党の山口代表は、追加策の必要性から、年度内に今年度予算の予備費の活用を決定したほうがよいとした上で、
地方創生臨時交付金の拡充を強く求めると表明したところでございます。
ただ、状況によっては十分な財源措置が受けられない場合も想定しておく必要がありまして、その際には、やはり札幌市の自主財源の投入も視野に入れておくべきというふうに考えるところでございます。
そこで、財政の指標を様々確認していきたいというふうに思うのですけれども、まず、
アクションプラン2019で見込んだ基金残高でございますが、現時点でどのような状況になっており、長期的にはどう見通しているのか、お尋ねをしたいと思います。
◎中澤 財政部長
アクションプラン2019で見込んだ基金残高の現時点での状況と長期的な見通しについてお答えいたします。
まず、基金残高の現時点での状況でございますけれども、
アクションプラン2019における中期財政フレームと長期的な財政見通しの試算におきましては、建設事業費や公債費の増に伴いまして、それぞれ一定規模の基金活用を見込んでいたところでございます。
計画当初におきます令和5年度の基金残高の見込額は466億円でございましたけれども、その後、毎年度の予算編成や予算執行の過程で、可能な限り活用額の抑制を図ってまいりましたことで、令和5年度末の現時点での残高見込みは921億円となってございます。
引き続き、物価高騰等の動向を見据えまして、必要な場合には、これらの財源を活用し、物価高騰対策にしっかりと取り組んでまいりたいと考えてございます。
次に、基金残高の長期的な見通しについてでございますけれども、今後の人口減少の加速化や公共施設の老朽化への対応、さらには、
新型コロナウイルス感染症や物価高騰の影響が長期化するといったような可能性などを踏まえますと、決して楽観視できるという状況ではないことから、今後とも基金の残高の適切な管理に努めてまいりたいと考えてございます。
◆福田浩太郎 委員 令和5年度末の基金残高については921億円ということでありまして、当初の見込みが466億円でございますので、それを455億円上回っているという水準でございますが、今後の見通しとして、人口減少の加速化や公共施設の老朽化、さらに
新型コロナウイルス感染症や物価高騰の影響を踏まえると、楽観視はできないということでございます。
私どもといたしましても、同様の認識でございます。喫緊の課題である物価高騰対策や
新型コロナウイルス感染症への対応はもちろんのこと、まちと人の未来に向けた支援、投資はちゅうちょなく行っていく一方で、将来世代に過度な負担を残さない、将来を見据えたバランスの取れた財政運営が重要であります。そのために、歳入歳出の改革、財政基盤の強化といった事務事業の見直しにも果敢に取り組んでいただいたというふうに考えております。
そこで、質問でございます。
アクションプラン2019で見込んだ見直しの状況、また、一般会計の市債残高の状況はどのようになっているのか、お尋ねをいたします。
◎中澤 財政部長
アクションプラン2019で見込んだ事務事業の見直しの状況と一般会計の市債残高の状況についてお答えいたします。
まず、事務事業の見直しの状況についてでございますけれども、
アクションプラン2019の策定時におきましては、歳入歳出の全般にわたる見直しを進めますとともに、市税等の自主財源を中心とした財政基盤の強化や、財産の戦略的な活用を進めることで、令和5年度までの5年間で432億円の効果額を見込んでいたところでございます。
令和5年度予算編成におきましては、コロナ禍を踏まえました事務事業の見直しや事業の再構築を進めたことによりまして14億円を捻出いたしますなど、見直し効果額は単年度で71億円となったところでございます。
この結果、これまでの5年間の効果額は396億円となりまして、これは計画策定時に見込んでおりました土地の売却の一部が後年次になったことで、当初の見込額432億円をやや下回っている状況にありますけれども、そうした状況を除いた部分ではおおむね達成できたものというふうに考えてございます。
次に、一般会計の市債残高についてでございますけれども、こちらは、計画期間中に適切な資産管理を行ったことによりまして、計画策定時に見込んでおりました令和5年度末見込額1兆2,288億円を832億円下回ります1兆1,456億円となっているところでございます。
今後、公共施設の更新需要が増えていく中にありましても、市債の残高を適正な水準に維持するなど、将来世代に過度な負担を残さない健全な財政運営を堅持してまいりたいというふうに考えてございます。
◆福田浩太郎 委員 事業の選択と集中、また、財政基盤の強化などに積極的に取り組んでいただいた結果、土地の売却などで若干ずれ込んでいるということでございますけれども、おおむね達成ということでございますし、また、基金残高を先ほど確認いたしましたし、市債残高も832億円下回るという状況でございまして、
アクションプランで想定した水準を維持できているということで、財政の健全性は現時点では確保されているということが確認されました。
来年度は、次期まちづくり戦略ビジョン(戦略編)、次期中期実施計画の策定、これらが本格化するというふうに思いますが、今後も難しい状況にはございますけれども、めり張りの利いた財政運営の継続に向けて、強い決意を持って取り組んでいただきたいと思います。
そして、最後に、ぜひ要望したいと思うのですけれども、私ども会派といたしましては、コロナ禍における物価高騰から市民生活を守るということが当面の最重要課題の一つと考えております。これまで以上に国や道の施策と連動しながら、札幌市の実情を踏まえ、一歩踏み込んだ独自の対策を検討していただくことも含め、機動的かつ柔軟に取り組んでいただくことを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
◆石川さわ子 委員 私は、昨年の1定の予特の財政局の質疑におきまして、財政運営に関する市民への情報提供についてというテーマで質問をさせていただき、今回は、若い世代への情報提供ということで伺いたいと思います。
まず、財政運営に関する若い世代への情報提供の取組状況について伺います。
現在、札幌市の財政に関する市民への情報提供については、広報さっぽろや予算、決算の概要、なまらわかる!財政のあらまし、そして、さっぽろのおサイフといった様々な資料を札幌市は作成し、ホームページや冊子などを通して市民に財政状況を公表しておりまして、一定の評価をしているところであります。
札幌市の財政運営におきましては、人口減少、超高齢化の進展に加えて、都市インフラや学校等の公共施設の一斉更新、さらには、
新型コロナウイルス感染症や原油高騰、物価高の長期化などへの対応が喫緊の課題であり、今後一層厳しくなることが予想されております。
そうした中、私たち市民が希望を持って安心して暮らし続けるためには、札幌市は、全庁的に市民が主体的に市政に参加できるように分かりやすく情報を提供することが必要不可欠でありまして、その一つが財政の情報であると考えております。
特に、未来を担う若い世代に対して丁寧に分かりやすく情報提供し、情報共有をすることは、札幌の未来のまちづくりに向け、欠かすことができないと感じております。
私は、昨年の
予算特別委員会におきまして、財政運営に関する財政提供の一つとしてさっぽろのおサイフの今後の活用方法について伺い、学校からの声を踏まえて、小学校6年生全員を対象に年度当初からパンフレットを配付するということや、また、コロナ禍の状況を勘案しながら出前講座の実施を検討する、そうした答弁があったところでありまして、今年度も引き続き、コロナ禍でありながらも、財政運営に関する情報提供についてどのように取り組んでこられたのか、注目をしていたところであります。
そこで、質問でありますが、若い世代に対しどのように財政状況について情報提供をしてこられたのか、今年度の取組状況について伺います。
◎中澤 財政部長 財政状況に関する若い世代への情報提供の今年度の取組についてお答えいたします。
若い世代に向けた情報発信の手段といたしましては、さっぽろのおサイフを中心に活用してございまして、年度当初に市内の小・中学校をはじめとして、区役所やまちづくりセンター等に配布、配架をしてきたところでございます。
特に今年度からは、委員のご質問にもございましたとおり、社会科における税の補助資料として活用していただけるよう、小学校6年生全員を対象にさっぽろのおサイフを配付したところでございます。
その結果、今年度行った全小・中学校の教員向けのアンケート調査に基づいた結果では、小学校を例に申し上げますけれども、前回、アンケートを行った令和2年度との比較では、さっぽろのおサイフを知っているという割合が50%から80%に、また、さっぽろのおサイフを授業で活用したことがあるという割合は15%から55%ということで、いずれも大きく上昇しているところでございます。
今回、配布方法などを工夫、拡大したことによりまして、これまで以上に認知され、活用していただけたものというふうに感じております。
また、コロナ禍ではございますけれども、小学校と中学校で各1校ずつ出前講座を実施することができました。未来を担う子どもたちへ、さっぽろのおサイフを用いながら分かりやすい情報提供に努め、理解を深めていただけるよい機会になったものというふうに考えてございます。
◆石川さわ子 委員 さっぽろのおサイフについては、そもそも学校現場で活用できるように、教員の方々からご意見をいただきながら、内容も吟味してきたというふうに伺ってきているところでありまして、今年度においては、答弁を伺いますと、札幌市が若い世代に向けた財政状況の発信に向けまして様々な工夫をし、さっぽろのおサイフが活用されて、その認知度も上がったということがアンケートの調査の結果からも理解をしたところであり、効果的な取組であったというふうに評価をするところであります。
特に、未来を担う若い世代に対して丁寧な情報提供を行い、情報共有をするということは、札幌の未来に向けて、共にまちづくりをしていく上で欠かすことができないというふうに私も常々考えているところです。財政状況が厳しい状況の中にあって、こうした情報共有はさらに重要度が増してくるというふうに思います。
また、答弁の中で、コロナ禍ではありましたものの、小学校や中学校でさっぽろのおサイフを用いて出前講座を行ったということをおっしゃられました。
そこで、質問でありますが、この出前講座では具体的にどのような成果が上がったのか、伺いをいたします。
◎中澤 財政部長 出前講座の具体的な成果につきましてお答えいたします。
今年度の出前講座につきましては、二十四軒小学校6年生の全クラスと平岡緑中学校3年生の全クラスを対象に実施をいたしました。
財政部の職員が実際にさっぽろのおサイフを用いて直接説明をいたしますことで、子どもたちにはなかなか理解がしづらい市債でありますとか、公共施設マネジメントの仕組みや考え方、こういったことについても、多くの小学生から、理解ができた、あるいは、やや理解ができたといった感想をいただいているところでございます。
また、限られた財源の中で市民満足度を向上させるためには、どのように予算配分を行えばよいのかといったことを理解する
予算編成シミュレーションをゲーム感覚で体験していただきました。このシミュレーションを通しまして、札幌市の財政運営が自分の生活につながる身近なものであると感じてもらい、これまで以上に興味を持っていただく機会となったという点で成果があったものというふうに考えてございます。
◆石川さわ子 委員 コロナ禍でありましても出前講座を行ったということで、その取組の成果について、今、確認をさせていただきましたが、私たちでも理解することがなかなか難しいような札幌市の市債などについても理解ができた、やや理解ができたなどの感想があったということであります。子どもたちから好評だったということで、一定の評価もするところであります。
私は、かねてより予算編成への市民参加ということを求めてきておりまして、さっぽろのおサイフを用いて子どもたちが予算編成のシミュレーションをゲーム感覚で体験ができたということも伺っておりますので、そうしたことについても評価をしているところであります。
しかし、今後ともさっぽろのおサイフによる情報発信や出前講座を実施していく上では、実際に活用している学校現場の声を聞き、反映するなど、より効果的な取組にする工夫を続けていくべきというふうに考えます。札幌が健全で持続可能な財政運営を堅持していくためにも、小・中学生をはじめ、将来を担う若い世代により分かりやすく情報提供、情報共有することは大変重要であると考えるところです。
そこで、質問ですが、学校からの意見を踏まえ、さっぽろのおサイフを今後どのように活用していくのか、伺います。
◎中澤 財政部長 学校からの意見を踏まえた今後のさっぽろのおサイフの活用についてお答えいたします。
先ほどお答えいたしました今年度のアンケートの意見の中には、例えば、さっぽろのおサイフを授業でも活用できるよう、ポイントを絞って短時間で説明できるような工夫ができないかといったような声がございました。
小学校や中学校など、実際に活用する現場ごとに重要視したい説明の内容は異なると考えられますので、次年度以降もこうした出前講座を進めていく中で、ニーズの把握に努めまして、それぞれの場面に応じてポイントを絞った効果的な授業ができるよう改善を図っていきたいというふうに考えてございます。
今後とも、学校からいただいた意見を参考にしながら、若い世代に向けたより分かりやすい情報提供に努めていきたいというふうに考えております。
◆石川さわ子 委員 今日の財政質疑の中でも札幌市の財政状況を様々確認することができましたけれども、2023年度の札幌市の予算は、一般会計で1兆1,922億円という大変規模の大きいものでありまして、市民感覚では理解、把握が非常に難しいというふうに感じております。
今回は、若い世代に向けた財政の情報共有の取組について確認をいたしましたけれども、今の答弁にありましたように、学校現場の声を反映して、授業で活用できるように新たなツールを検討するなど、積極的に今後も取組を進めていただきたいと求めておきます。
また、札幌市広報での特集ですとか、ホームページ等での財政の情報公開はされておりますけれども、財政状況や将来の見通しなどについての情報は、まだまだ市民にとって分かりやすさとか身近さというところに課題があるというふうに感じております。納税している市民の皆さんが主体的に予算編成へ参加をしていくことができるように、情報共有の方法の工夫をさらにしていただき、今後も取組を進めていただくことを強く求めまして、私の質問を終わります。
○川田ただひさ 委員長 以上で、歳入のうち一般財源等の質疑を終了いたします。
次に、第1款 議会費 第1項 議会費、第2款 総務費 第4項 選挙費、第5項 人事委員会費及び第6項 監査委員費の質疑を行いますが、いずれも通告がありませんので、質疑を終了いたします。
ここで、理事者交代のため、委員会を暫時休憩いたします。
――――――――――――――
休 憩 午後2時40分
再 開 午後2時43分
――――――――――――――
○川田ただひさ 委員長 委員会を再開いたします。
最後に、第2款 総務費 第2項 市民生活費中市民文化局関係分の質疑を行います。
◆あおいひろみ 委員 私からは、性的マイノリティーに関する取組について伺います。
まず、企業における性的マイノリティーの方々への理解促進の取組について伺います。
職場での理解促進に向けて、札幌市では、2017年10月のLGBTフレンドリー指標制度を他の政令市に先駆けて導入するなど、企業への理解促進にも着目し取り組んでいることは大変評価いたします。しかし一方で、就職活動に悩む当事者からは、LGBTフレンドリー指標制度の登録企業であっても、本当に自分のことを理解してもらえているのか不安があるという声が聞かれています。また、企業に勤めている方々からは、どうしたら当事者が働きやすい職場になるのか知りたいという声が我が会派にも届いております。
我が会派は、昨年の第4回定例市議会の代表質問において、LGBTフレンドリー指標制度のさらなる登録企業の拡大を図るべきであること、また、登録企業での取組が定着し継続していくようなフォローアップも重要であることを指摘していたところです。
そこで、質問ですが、企業における性的マイノリティーの方々への理解を広げるため、札幌市として登録企業の拡大やフォローアップに今後どのように取り組んでいくのか、伺います。
◎渡邉 男女共同参画室長 LGBTフレンドリー指標制度の登録企業の拡大とフォローアップについてのご質問でございます。
性的マイノリティーの方々の生きづらさの解消に向けては、職場での理解も不可欠であり、これまでも経営者向けの啓発セミナーや企業における取組のきっかけとなるよう、経済団体と連携するなどしてLGBTフレンドリー指標制度の登録勧奨を行ってきたところでございます。
来年度は、これまでの取組に加えまして、指標制度に登録している企業の業種などを参考に選定した企業に個別に訪問を行いまして、指標制度の登録を促すことでより直接的な働きかけを強化してまいりたいと考えております。
また、既に登録している企業に対しては、改めてアンケートを行い、課題やニーズをお聞きした上で、性的マイノリティーの方々からご意見やアドバイスをいただき、企業での取組に生かしてもらうよう働きかけるなど、フォローアップを積極的に行い、職場における理解のさらなる促進を図ってまいりたいと考えております。
◆あおいひろみ 委員 これまでも我が会派が要望してきました企業への積極的な働きかけを強化していくとのことでした。また、登録して終わりではなく、登録済みの企業への理解促進にも取り組むとのことで、この制度のブラッシュアップが図られることを期待いたします。
次に、パートナーシップ宣誓制度の充実について伺います。
本市は、2017年6月に政令指定都市の中でいち早くパートナーシップ宣誓制度を導入し、2023年1月末現在で178組が宣誓制度を利用しています。
昨年6月に北見市との自治体間連携をスタートし、その後、江別市、苫小牧市、岩見沢市の道内自治体と連携し、宣誓書類の継続利用が可能になりました。これは、当事者の声を受けて我が会派が求めていたことであり、評価いたします。
今後は、自治体間連携をさらに拡大していくとともに、宣誓制度の導入から5年を経過していることから、時代の変化に応じた制度の見直しや拡充も必要と考えます。
一方で、他の自治体で導入している、パートナーの子どもとの関係を証明する仕組みを求める声も我が会派に届いております。例えば、ファミリーシップ制度という名前で、パートナーとの関係だけではなく、パートナーに子どもがいる場合に、その子どもも宣誓し、家族として生活する関係であることを証明する制度としている自治体もあります。また、江別市や函館市のパートナーシップ宣誓制度のように、希望する方から届出があれば、宣誓書類に子どもの名前が記載できるように工夫をしている自治体などもあります。
こうした取組は、性的マイノリティーの方々が安心して暮らすことができる環境の整備に資するものと考えます。
昨年の第2回定例市議会の代表質問において、秋元市長からは、支援が充実する方向で可能な限り柔軟に対応していくとの答弁がありました。
そこで、質問ですが、子どもの名前の記載についても、札幌市は他都市の事例を参考に充実を図っていく必要があると考えますが、今後どのように取り組んでいくのか、伺います。
◎渡邉 男女共同参画室長 パートナーシップ宣誓制度の充実についてのご質問でございます。
性的マイノリティーの方々からは、第5次男女共同参画さっぽろプランの策定に向けた意見交換会などにおきまして、子どもも含めて家族として受け止めてもらえるよう、この制度で交付される書類に子どもの名前を記載してほしいといったご要望をいただいておりますほか、他自治体でも記載を可能とする事例が増えてきているところでございます。
こうしたことを踏まえまして、まずはお子様の名前も記載できるよう検討を進めるとともに、性的マイノリティーの方々の声や他自治体の事例などを参考にしながら、引き続き制度のさらなる拡充に向けた取組を進めまして、性的マイノリティーの方々の生きづらさを解消できるよう努めてまいりたいと考えております。
◆あおいひろみ 委員 最後に、要望です。
取組がまた一歩進んでいくことを大変うれしく感じております。性的マイノリティーに関する取組は、当事者の声や思いに応えるという意味合いだけではなく、未来を生きる子どもたちにも大きな影響を与えると考えます。
札幌市が互いの個性や多様性を認め合い、誰もが生きがいと誇りを持つことができるまちの実現を目指して取り組んでいる姿、性別やセクシュアリティーにかかわらず、全ての人が大切にされている姿は、子どもたちが安心して成長し自分のまちに誇りを持つことにもつながります。引き続き取組の充実を求めて、私からの質問を終わります。
◆竹内孝代 委員 私からは、令和5年度予算における町内会支援の考え方について、町内会への市職員の関わりについて、以上2点の質問をさせていただきます。
まず、令和5年度予算におきます町内会支援の考え方についてお聞きいたします。
4月1日から施行となります札幌市未来へつなぐ町内会ささえあい条例では、町内会の意義、また重要性を広く共有することと併せまして、札幌市が町内会支援に具体的に取り組んでいくことが規定をされており、いわゆる支援策につきましては、町内会の期待も大きいところであります。
我が会派は、これまで、地域住民の方や町内会活動に携わる方、また、役員をされておられる方々などから寄せられております様々なご意見、また、ご相談の声を踏まえて、札幌市における町内会支援策の強化について議会で繰り返し主張するとともに、新年度予算要望においても市長に具体的な政策提言をさせていただいております。
また、所属しております財政市民委員会では、条例制定までの間、様々な観点から必要な支援について議論を行ってきたところでもあります。
このたび、条例の趣旨を踏まえて、令和5年度予算においては様々な町内会支援予算が計上されておりますが、その中身を見てみますと、例えば、これまで我が会派が強く求めてまいりました住民組織助成金の増額や、ごみステーション助成金の引上げなどがなされていること、これとともに、集団資源回収奨励金の引上げや広報誌の配布謝礼の引上げなども想定されており、一歩前進であると一定の評価をしております。
そこでまず、質問ですけれども、条例施行初年度となる令和5年度の予算において、どのような考え方で町内会支援に係る予算編成を行ったのか示していただきたく、お伺いをいたします。
◎村椿 市民自治推進室長 令和5年度予算における町内会支援の考え方についてお答えいたします。
令和5年度は、札幌市未来へつなぐ町内会ささえあい条例に基づく町内会支援がスタートする年でありますことから、条例の検討過程において、町内会にお示ししてきた支援策案のうち、町内会活動への支援という観点と、町内会の財政基盤強化という二つの観点に基づく施策により、総合的に町内会支援を進めるという考え方で予算編成作業を行ったところでございます。
まず、活動への支援につきましては、住民組織助成金の制度拡充、町内会加入促進に向けた支援の強化、デジタル活用の促進に係る拡充を実施し、さらに、ボランティア活動の環境整備として、新たに町内会活動保険に市が一括で加入し、保険料の負担も行ってまいります。
また、財政基盤強化につきましては、私設街路灯への助成、ごみステーション管理器材への助成、集団資源回収の奨励金、広報誌の配布謝礼をそれぞれ拡充し、日常的な町内会活動への助成等を幅広く実施するほか、パートナーシップ排雪の地域支払い額を据え置くことで、町内会の負担軽減を図ってまいります。
◆竹内孝代 委員 町内会活動への支援という観点、また、町内会の財政基盤強化という二つの観点から総合的に支援を考えた予算であるということで、この条例制定を契機とした予算立ては、本当に、初年度の予算の考え方として理解をさせていただきました。
また、今、具体的に様々示していただきました支援策については、今後、順次実施がされていくと思われますけれども、町内会の負担軽減といった観点から、ぜひともこの具体的な検討を進め、速やかな実施を求めさせていただきます。
次に、町内会への市職員の関わりについてお聞きします。
町内会では、役員の高齢化、また、担い手不足に悩まされている現状から、市職員の町内会活動への積極的な参加を望む声があります。
実際、私たち議員にも、市組織のことを知っている職員OBや現役職員に町内会活動に携わっていただきたいけれども、何とかならないだろうか、こうしたご相談も寄せられております。
私も、政策調査に歩かせていただいて、幅広いご意見を伺ってまいりました。積極的に町内会活動を行ってくださっております職員OBの方、また、現役職員の方々がいらっしゃる一方で、こうした職員の方々からは、地域活動に参画する職員がもっと増えるような職場環境の改善であったり、意識改革は大変必要である、そういったお声をいただきました。また、町内会の役員をされている方々からは、職員OBや現役職員に何度お願いをしても断られてしまう、担い手不足に大変悩まされている、ぜひとも助けてもらいたい、そういったお声も伺いました。
この4月から施行となる条例の趣旨の一つとして、町内会の負担軽減を掲げていることから、市職員自ら町内会への理解を深めるとともに、一定程度、町内会活動へ関わっていくという姿勢を持てるような機会、また、活動に参画しやすい職場環境にしていくことが重要だと考えております。
そこで、質問ですが、この条例第8条第3項では、市は、職員が積極的に町内会の活動に参加することを促進するため、必要な措置を講ずるよう努めるものとするとの規定があります。ここで言う必要な措置とはどのようなものを考えておられるのか、具体的に示していただきたく、伺います。
◎村椿 市民自治推進室長 町内会への市職員の関わりについてお答えいたします。
町内会への市職員の関わりにつきましては、本市の職員研修や業務研修等を活用し、地域コミュニティーにおける町内会の意義や重要性の理解を深めるとともに、職員が自らの意思で積極的に町内会活動への関心を高めるための取組を行ってまいります。
具体的には、まず、職員の条例全般に対する理解を深めるため、新採用職員研修のタイミングで実施をするほか、全職員を希望対象とした研修を市民自治推進室が企画し実施することを考えております。
また、管理職に対しましては、職員が町内会活動へ参加をしやすい職場環境づくりを進めるよう促す通知を発出するなどして、多くの職員が積極的に町内会活動に関わるように、市全体の機運を醸成してまいります。
◆竹内孝代 委員 市長の公約でもありましたこの条例制定でありますので、今の答弁にございましたように、研修等を通じて町内会への理解、関心を深める取組、また、町内会活動を行うことへの職場気質の醸成、こうしたことにつきましては、ぜひとも、今、市民自治推進室長がお話しいただきましたけれども、特に、市長をはじめ、管理職の皆様にリードしていただいて、大きく前進するよう求めさせていただきます。
町内会は、地域コミュニティーの中心であります。住民生活に直結した活動を行っていることから、任意団体とはいえ、一定程度の公共・公益性を併せ持つ団体でもあります。そういった存在であるからこそ、同様に、市民生活を支えることを使命とする市職員一人一人が町内会への正しい理解とともに活動を下支えすることは大事なことであると私は思っております。
先日、現役時代から長年町内会の役員を務めておられます管理職OBの方からこのようなお声をいただきました。条例制定による効果を今後評価していくためには、抽出、また、無記名でもよいから役職員のアンケートを取るというのは効果的ではないか、例えば、町内会に加入しているか、活動に参加しているか、手伝いをしているか、また、役員をしているか程度の簡単な内容でもよいから、ぜひとも毎年行って、その変化を見える化していくことで条例制定による効果を示していけると思う、市長の本気度をそのような形で見せてほしいと願っている、このような先輩OBからの提案をいただきましたけれども、私も同感であります。
今後行う研修等の機会を活用するなど、ぜひともご検討いただき、また、自由記載の欄を設けることで職員の自由な声を聞くこともできるかと思っておりますので、ぜひともご検討をお願いいたします。
現在、1万4,000人が在職しております市職員が少しでも町内会活動へ積極的に参加し役員を担うようになれば、町内会にとってはこの上なく心強いことだと思います。ぜひとも、そういった職員が一人でも増えるよう、先ほどの答弁にもありました市全体の機運醸成の底上げを求めまして、私の質問を終わらせていただきます。
○川田ただひさ 委員長 ここで、およそ20分間、委員会を休憩いたします。
――――――――――――――
休 憩 午後3時2分
再 開 午後3時25分
――――――――――――――
○田中啓介 副委員長 委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、質疑を行います。
◆佐藤綾 委員 私からは、差別、ヘイトスピーチ等の解消に向けて、アイヌ女性や性的マイノリティーの方への差別に関わり、5点質問いたします。
2019年に施行されたアイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律で、初めてアイヌが先住民族と明記されました。本市では、2010年に策定した札幌市アイヌ施策推進計画を基に、アイヌ民族の誇りが尊重されるまちの実現を計画の目的として施策を進めております。
2016年2月にスイスで開かれた国連女性差別撤廃委員会会合に、女性の権利向上を目指して、世界各国からNGOや当事者団体が集いました。この札幌市からアイヌ協会の方が参加し、アイヌ女性の複合差別について発言されています。
その国連女性差別撤廃委員会に杉田衆議院議員が参加をして、大量の左翼軍団です、チマチョゴリやアイヌの民族衣装のコスプレおばさんまで登場、完全に品格に問題がありますなどとブログで発信をしていました。
このブログでの発言内容について、私は、札幌市民の一人として、アイヌ民族をおとしめ、差別する表現だと感じましたが、本市はどう受け止められたのか、認識を伺います。
◎渡邉 男女共同参画室長 元政府高官によるアイヌ民族への侮蔑的な発言についての認識でございます。
特定の民族や人種などを理由とした不当な差別的言動、いわゆるヘイトスピーチは、誠に恥ずべきものでございまして、決して許されるものではないという認識でございます。
◆佐藤綾 委員 私も本当にそう思っております。
当事者の方たちは、コスプレとやゆされた民族衣装は、フチから受け継いで誇りを持ってつくってきたもの、杉田議員の言動によって尊厳を傷つけられた、本来ならもっと早く苦痛と恐怖を感じてきたことを告発したかったが、そのことでさらに差別されることが怖かったと取材に答えておられます。
全国から批判を浴び、先ほどご答弁にありましたように、国会でも問題となって総務政務官を更迭されましたが、謝罪、撤回をしても、差別発言であったとは認めておりません。公の立場にいる人物の差別と偏見の言葉がSNS等で発信されることは、助長しかねず、影響が大きいのではないかと思います。
本市では、2010年代中頃に、雪まつりなど街頭でのヘイトスピーチが問題となりました。外国人観光客に罵声を浴びせるなど、看過できないものでした。市民のカウンター活動など、ヘイトスピーチは許さないという市民意識の広がりがあり、現在は目に見える形では少なくなったと感じるところもあります。しかし、SNS上では差別的な発言が続いております。
そこで、お聞きいたしますが、本市では法務局と連携し啓発を行っていますが、現在どういった施策を進めているのか、伺います。
◎渡邉 男女共同参画室長 ヘイトスピーチへの対策に当たって、札幌法務局と連携した取組についてのご質問でございます。
「ヘイトスピーチ、許さない。」という啓発ポスターを各地下鉄駅の掲示板に毎年掲出しておりますほか、ヘイトスピーチについて分かりやすく漫画で解説した啓発冊子を、人権週間に合わせて、区役所等の市有施設や市内中学校、高等学校等へ配付するなどの啓発を行っているところでございます。
また、札幌市と札幌法務局の連名でプロスポーツチームの情報誌に広告を掲載し、ヘイトスピーチ解消を訴えており、さらには、本年1月に行われたプロスポーツチームの試合に合わせて行った札幌法務局との共催による啓発活動では、「ヘイトスピーチ、許さない。」という啓発ポスターを貼り出し、いじめや差別をなくそうという会場アナウンスや、来場者にヘイトスピーチの禁止をはじめとする人権尊重のメッセージを寄せ書きしてもらうなど、差別の禁止を強く訴えたところでございます。
ヘイトスピーチをなくしていくためには、差別的な言動を許さないという意識の醸成が不可欠でございまして、今後とも粘り強く啓発活動に努めてまいりたいと考えております。
◆佐藤綾 委員 スポーツとの連携ですとか、また、学校への冊子の配付など、大変取組を広げているというふうに感じております。今、観光客も戻ってきておりますので、観光客にも見えるよう、地下鉄駅など目につくところにポスターを増やすことなども必要なのではないかと思います。
また、子どもたちや若い世代への啓発が重要です。若い世代は、SNSで偏見や差別的な発言等を目にすることが多いと思いますので、人権の尊重やヘイトスピーチなど、差別を許さないという今おっしゃいましたメッセージ、こうしたこともSNS上で発信するなど、ぜひ工夫して進めていただきたいと思います。
次に、性的マイノリティーに関わり伺います。
同性婚などを含むLGBT法案について、現在、国会で審議されているところです。日本は、主要7か国、G7の中で唯一同棲婚を法的に認めておらず、2019年2月に、結婚の自由を全ての人にと、裁判への訴えが全国で始まりました。
2021年3月、同性婚を認めないのは違憲と札幌地裁が初の判断をし、東京地裁は、2022年11月、同性パートナーと家族になる制度がないのは違憲状態にあると指摘しております。国民の多数は同性婚の法制化に賛成であると各メディアでの世論調査にも出ています。産経新聞とFNNの2月の調査では、特に若い世代、18歳から29歳は91.4%が賛成、全体では70%が賛成という結果です。
また、地方自治体では、パートナーシップ宣誓制度が広がっております。先ほど質疑もございましたけれども、本市は、パートナーシップ宣誓制度から今年で6年になります。市民や企業との連携、啓発に取り組み、また、現在、道内の自治体との連携についても本市が率先して進めているところです。
そこで、お聞きいたしますが、市民にも性的マイノリティーについての理解が徐々に広がってきていると感じますが、本市は、パートナーシップ宣誓制度の他自治体との連携を広げるため、どう働きかけてきたのでしょうか、伺います。
◎渡邉 男女共同参画室長 パートナーシップ宣誓制度の自治体間連携における札幌市の働きかけについてのご質問でございます。
昨年8月に開催いたしました道内中核都市市長意見交換会や連携中枢都市圏関係首長会議におきまして、既に制度を導入している自治体に対して連携を呼びかけるとともに、他の自治体には制度の導入について働きかけたところでございます。
今後も、制度の導入を検討している道内自治体に対しまして、積極的に情報提供を行うなどして、制度の導入や連携がさらに拡大することにより、性的マイノリティーの方々にさらなる安心感を持っていただけるよう取り組んでまいりたいと考えております。
◆佐藤綾 委員 札幌市がリーダーシップを取って積極的に進めてきたということでございました。自治体に広がるパートナーシップ宣誓制度などは、LGBTQ、性的マイノリティーへの理解を広げることにもつながっていくと思っております。
一方、2月1日の衆議院予算委員会で、岸田首相は、同性婚の法制化は家族観や価値観、社会が変わってしまう課題と答弁しました。それを受けて、4日に、首相秘書官が性的マイノリティーの方について、見るのも嫌だなどの発言があり、更迭をされました。政府の要職にある公の人物の発言に、市民の意識とあまりにもかけ離れていて、私も、大変驚き、怒りを感じました。しかし、LGBTQの方たちは、日々こうした偏見と差別にさらされており、支援をしている方も含め、発言やSNSなどで心に傷を受けているのではないでしょうか。
そこで、質問いたしますが、本市では、LGBTの相談窓口でのヘイトスピーチや差別への相談はどのようなものが寄せられているのか、お伺いいたします。
◎渡邉 男女共同参画室長 札幌市の相談窓口における性的マイノリティーに起因した差別や偏見に関する相談の具体的な内容についてのご質問でございます。
具体的な内容といたしましては、例えば、過去に経験した嫌な出来事を思い出し、そのつらさを共有してもらいたいといったことや、親や周囲の方々から性別に基づいた決めつけられた発言がつらいといったお悩みをいただいているところでございます。
◆佐藤綾 委員 なかなか理解が広まらないため、そうした悩みが寄せられていることが多いのかと思います。
相談窓口での対応で支援をするとともに、差別や偏見をなくすためには、法的な整備も必要だと感じております。
今回、アイヌ民族の女性とLGBTQなどマイノリティーの方々への差別やヘイトスピーチに関わり質問をしましたが、多様性が進む中で、ほかにも人種差別などの問題は本市では少なくありません。
昨年9月に、札幌弁護士会から、札幌市において人種差別やヘイトスピーチの根絶と人種に基づく差別意識解消のための実効的な条例の制定を求める意見書が出されております。国において2016年に制定されたヘイトスピーチ解消法を受け、札幌市としてもヘイトデモ等やインターネット上の差別に基づく誹謗中傷、人種差別意識の解消に向け、具体的な施策の実施などを盛り込むことなどを求めているものです。
また、東京都や川崎市をはじめ、各地で条例の制定が広がっているところです。
そこで、お聞きいたします。
本市として、ヘイトスピーチや差別意識をなくすための条例を制定することで、断固として差別やヘイトスピーチを許さないという発信にもなり、市民にも歓迎されると思いますが、どうお考えか、伺います。
◎渡邉 男女共同参画室長 ヘイトスピーチや差別、偏見などに関する条例の関係についてのご質問でございます。
共生社会の実現を目指す上で、互いの個性や多様性を認め合い、一人一人が尊重し合う人権意識を高めていくことが何より重要でございまして、そのために、国や地方自治体において様々な施策が進められているものと認識してございます。
札幌市におきましても、例えば、来年度からの第5次男女共同参画さっぽろプランでは、基本目標の1番目に、計画全体に通じる男女共同参画の実現や多様性を尊重する意識の醸成を掲げ、基本的な方向性の一つとして、人権の尊重と男女共同参画の視点に立った意識改革を位置づけることとしております。
今後とも、法令やそれに基づく計画等の考え方を踏まえまして、様々な取組の中で、ヘイトスピーチの解消をはじめ、人権の尊重や擁護に努めてまいりたいと考えております。
◆佐藤綾 委員 人権の尊重や擁護はとても大事なことですし、ヘイトスピーチをなくすためには、啓発を続けることと、また、考え方が変わらない人には、法律や条例などで抑止するという両輪が必要だと言われておりますので、さらなる検討を進められるよう申し上げまして、私の質問を終わります。
◆村松叶啓 委員 私からは、地方再犯防止推進計画の策定について伺わせていただきます。
国は、平成28年に再犯防止等の推進に関する法律を定め、地域の実情に応じた施策の策定、実施を地方公共団体の義務とするとともに、地方再犯防止推進計画の策定を努力義務としたところであります。
以降、各政令指定都市では、令和2年2月の川崎市を皮切りに、順次計画が策定され、千葉市の計画が今年度中に策定される予定となっていることにより、計画が策定されていないのは札幌市のみとなってしまいました。
札幌市における令和4年の犯罪認知件数は、9,651件となり、前年に比べて1,018件の増加となりました。コロナ禍前の令和元年の1万1,047件と比較すると低い水準であり、コロナ禍の影響でここ数年の犯罪認知件数が抑えられていた可能性はあるものの、犯罪認知件数が増加に転じるのは、平成13年のピーク時以降、実に21年ぶりのことで、犯罪認知件数に占める再犯者の割合が高いという近年の犯罪情勢の特徴を考えますと、札幌市においても、早急に再犯防止推進計画を策定し取組を進める必要があると考えます。
札幌市議会といたしましては、平成20年に超党派による札幌市議会更生保護事業を支援する議員協議会を結成し、更生保護団体の活動支援を続けており、令和元年には、関係団体とともに地方再犯防止推進計画の早期策定を要望してきたところであります。
我が会派といたしましても、これまで、計画の必要性や重要性を繰り返し訴えてきたところであり、令和4年第3回定例会の代表質問では、市長から、実効性のある計画となるよう取組を進めるとの答弁があったところでありますが、改めて、地方再犯防止推進計画の策定についてどうお考えか明らかにしていただきたく、お伺いいたします。
◎永澤 地域振興部長 地方再犯防止推進計画の策定についてお答えいたします。
昨今の再犯率の高さを鑑みますと、再犯防止の取組を進めることが、犯罪発生を抑止し、安全で安心な地域社会を実現するために重要と認識しているところです。犯罪や非行をした人の再犯を防ぐためには、それぞれの置かれた状況に応じた支援を切れ目なく行っていく必要があり、支援の内容や実施主体などを体系的に整理し、実行することが求められます。
そこで、札幌市においても、犯罪や非行をした人の立ち直りを社会全体で応援することで再犯を防ぐ環境を整え、新たな犯罪や犯罪被害者等を生まないことを目的として地方再犯防止推進計画を策定するものであり、令和5年度中の策定を目指して準備を進めているところです。
◆村松叶啓 委員 ご答弁では、札幌市における地方再犯防止推進計画は令和5年度中の策定を目指すという表明があったところでありますので、ぜひ成し遂げていただきたいというふうに思います。
再犯を防止するためには、これまで主にその役割を担ってきた刑務所などの矯正施設や保護観察所などの関係行政機関、保護司会や更生保護女性会などの更生保護団体に加えて、現在、国が検討を進めている第2次再犯防止推進計画においても、引き続き重要施策として掲げられている就労・住居の確保、保健・医療・福祉サービスの利用促進、学校と連携した就学支援などの諸課題に取り組む関係機関との連携が欠かせません。
これらの関係機関が一丸となって再犯防止に取り組む必要があり、計画段階から参画していく必要があると考えますが、計画策定に当たってどのような体制で検討をしていくのか、伺います。
◎永澤 地域振興部長 計画の検討体制についてお答えいたします。
再犯を防止するためには、保護観察所や矯正管区など国の関係機関や、保護司会、更生保護女性会、BBS会、更生保護協会、就労支援事業者機構、協力雇用主会などの更生保護団体に加え、雇用や住居、保健福祉、医療など多岐にわたる分野の関係機関が緊密に連携して取り組んでいく必要があると考えております。
このため、計画の検討には、これらの関係機関・団体のほか、学識経験者や就労・住居確保の支援、保健福祉サービスの提供、犯罪被害者支援に取り組む団体など、様々な立場の方々に参画していただき、広く意見を聴取しながら進めてまいります。
また、市内部においても、計画に関連する施策を実施している部局は多岐にわたるため、庁内推進会議を立ち上げ、連携して必要な施策の検討及び推進を行う予定です。
◆村松叶啓 委員 更生保護の関係団体に加え、再犯防止関連施策に関係する方々を含んだ体制を構築するとのことでありました。
多くの方々の意見を取り入れ、実効的な内容の計画にするとともに、特にこれまで献身的に更生保護活動に取り組んでこられた関係団体の方々の声に耳を傾け、より一層活動を充実させる支援を検討していただきたいと思います。
また、こうした関係団体との協議の場は、計画の策定段階にとどまらず、策定後においても計画を適宜見直して内容を深める上で継続的に必要であることから、この点もあらかじめしっかりと議論していただくよう求めて、質問を終わります。
◆ふじわら広昭 委員 私は、札幌市の文化事業並びに文化芸術基本計画改定などについて、6点質問いたします。
質問の1点目は、2022年度の市民を対象としました札幌市文化芸術鑑賞促進事業についてです。
同事業は、2021年度及び2022年度に新たに実施をされてきました。昨年の
決算特別委員会における文化部長の答弁で、2021年度は、本郷新記念札幌彫刻美術館の来館者数は1,611人、札幌市時計台は3万6,647人、豊平館では6,754人、いずれの施設も、本キャンペーン開始前との比較で来館者数を大きく上回り、来館者数は3館平均で約2.8倍となったとのことでありました。
そこで、質問ですが、2022年度の気軽に鑑賞できるコンサート4公演及び札幌芸術の森美術館の企画展や本郷新記年札幌彫刻美術館で行われた「野田弘志−真理のリアリズム」展など、文化芸術鑑賞促進事業の実施状況について、まず伺います。
◎柏原 文化部長 2022年度におきます文化芸術鑑賞促進事業の実施状況につきましてお答えいたします。
子どもから大人まで幅広い世代の皆様が低料金で気軽に鑑賞できるよう、公益財団法人札幌交響楽団と連携して実施した四つのコンサートでは、延べ4,955人の方にお越しをいただいたところです。
また、美術館の企画展では、札幌芸術の森美術館で実施をいたしました四つの企画展では、延べ4万8,953人、本郷新記念札幌彫刻美術館で実施をいたしました二つの企画展では、延べ3,620人の方にお越しをいただいたところでございまして、事業を通して市民の皆様が文化芸術と触れ合う機会の拡大につながったものと考えております。
◆ふじわら広昭 委員 2022年度の文化芸術鑑賞促進事業の実施状況について報告がありました。
私は、この事業が文化芸術を鑑賞するきっかけに大きく寄与し、鑑賞機会の拡大につながったものと考えており、新年度もこの事業をさらに継続して進めるべきだと思います。
文化芸術は、人々に元気、活力、勇気を与えてくれ、市民にとってなくてはならないものであります。とりわけ音楽は、非常に多くの市民に親しまれており、札幌コンサートホールKitaraをはじめ、各市内の文化施設などで様々な音楽が演奏され、人々の憩いの空間をつくり出していると思います。
札幌市は、2022年度に文化芸術鑑賞事業を実施し、オーケストラの演奏を低料金で気軽に鑑賞できるコンサートや、札幌芸術の森美術館などの企画展の入館料半額補助などに取り組んできたところであります。
私は、札幌市がこうした事業を行ったことは評価したいと思います。
私は、こうした取組が今後も継続するよう、昨年の
決算特別委員会で、子どもや家庭向け及び高齢者や市民が各地域の施設などで気軽に楽しめるコンサートを継続するよう、質問及び要望をしてきたところであります。
文化部長の答弁は、このようなコンサートの実施について、市民からも大変大きな需要があり、クラシック鑑賞者の裾野を広げる観点からも、こうしたコンサートの公演は大変重要だと認識しているとの答弁がありました。
一方、財政部は全ての局に新年度予算の政策経費の10%シーリングを求めてきたと思いますけれども、これまで札幌市が実施をしてきました子どもや家庭向け及び高齢者などを対象とした低料金コンサートなどについて、市民からもぜひ新年度も実施してほしいとの声が私どもの会派にも多く寄せられております。
そこで、質問ですが、新年度の低料金コンサートなどの実施予定について伺います。
また、札幌交響楽団などが出張する出前演奏会の企画についてはどのようになっているのか、併せて伺います。
◎柏原 文化部長 2点のお尋ねがございました。
まず、2023年度におきます低料金コンサートなどの実施予定につきましてお答えいたします。
文化芸術鑑賞促進事業は、主としてコロナ禍で減少した文化芸術の鑑賞機会の回復を目的として実施をしたものでございまして、市内文化施設の利用率が回復傾向にあることなどから、この事業は終了させていただいたところでございます。
しかし、今後も市民が心豊かに暮らせますよう、これまでも文化芸術に触れる機会が少なかった方や、次世代を担う子どもにも興味や親しみを持ってもらう機会の創出が必要であると考えております。
このため、引き続き札幌市と公益財団法人札幌市芸術文化財団とが連携いたしまして、2023年度もゼロ歳から入場できるコンサートなどを継続して実施するほか、これまで音楽に触れる機会が少なかった方にも興味を持ってもらえるよう、クラシック音楽と古典芸能を組み合わせたコンサートを新たに企画しているところでございます。
次に、札幌交響楽団などが出張する出前演奏会の企画につきましてお答えいたします。
まず、札幌交響楽団では、2022年度と同様に、児童養護施設や病院、老人ホーム、養護学校を訪問して、計9公演の出張コンサートを行う予定と伺っております。
また、出前演奏会につきましては、公益財団法人パシフィック・ミュージック・フェスティバル組織委員会におきましても、引き続きPMFの修了生や地域住民が気軽に楽しめるコンサートへ参加することを見込んでおります。
今後も、これらの団体と連携しながら、市民の方々が気軽に音楽に触れ、心豊かな時間を過ごすことができる機会の充実に努めてまいります。
◆ふじわら広昭 委員 新年度の取組の予定について答弁がありましたけれども、重ねて要望を申し上げたいと思います。
文化芸術鑑賞促進事業を今後もしっかりと継続していただきたいと思いますし、答弁の中にもありました札幌市文化芸術財団または公益財団法人パシフィック・ミュージック・フェスティバル組織委員会とも連携し、家庭向けの低料金コンサート、地域で気軽に楽しめるコンサートの実現をさらに継続していただきたいと思います。
二つ目の質問は、ストリートピアノについてです。
ストリートピアノは、駅やショッピングモールなど公共の場に設置され、誰でも演奏が可能なピアノで、2008年にイギリスから始まり、世界中に広がってきました。国内では、2011年に鹿児島市の商店街が地域の活性化につなげたいとの思いから常設のストリートピアノを設置したのが最初で、その後、常設では、各駅や空港、東京都庁の展望台など、全国各地に広がってきました。
札幌市内では、2019年12月に、JR札幌駅の地下パセオのイーストアベニューに設置され、その後、地下鉄大通駅のコンコースにも設置をされましたが、
新型コロナウイルス感染症拡大防止のために、2020年2月26日に終了しております。
そこで、質問ですが、札幌市内におけるこれまでのストリートピアノの実施状況について、まず伺います。
◎柏原 文化部長 札幌市内におきますこれまでのストリートピアノの実施状況につきましてお答えいたします。
まず、札幌市では、交通局が2019年度のクリスマスや雪まつりの時期に期間限定のイベントとして地下鉄大通駅コンコースで実施したものや、公益財団法人パシフィック・ミュージック・フェスティバル組織委員会が、2021年から、PMFの開催に合わせてサッポロファクトリーや赤れんがテラスなどで実施してきておるところでございます。
一方、常設のストリートピアノでございますけれども、ホームページなどで把握をする限り、道議会の議場や民間施設内のものが市内に少なくとも9か所ございまして、ショッピングセンターや観光施設など、市民や観光客が多く集まるところに設置をされておるところでございます。
◆ふじわら広昭 委員 札幌市内でも文化芸術活動が徐々に再開してきておりますが、継続して市民の誰もが文化芸術を楽しむきっかけづくりを創出していく必要があります。
また、
新型コロナウイルス感染症の第8波がまだ続いておりますが、新しい日常を取り戻すため、ウィズコロナの試みが模索されています。しかし、今後、
新型コロナウイルス感染症の5類化を契機に人々の外出や交流の機会がさらに増えていくと思われ、身近に音楽を演奏したり聞いたりできるストリートピアノは、そんなきっかけとして大変意義のある取組と思います。
先般、NHKで放映されていましたが、JR旭川駅のストリートピアノ、旭川どうぶつピアノが再開されています。札幌市でも、地下鉄大通駅や民間施設のストリートピアノを再開すべきだと思います。
そこで、質問ですが、札幌市内における本市が関わるストリートピアノの再開についてと再開後の開催場所などの情報発信についてどのように考えているのか、伺います。
◎柏原 文化部長 ストリートピアノの再開についてと再開後の開催場所等の情報発信につきましてお答えいたします。
まず、市が関わるイベントについてでございますけれども、今年も、PMFにつきましては、開催の時期に合わせてストリートピアノを実施するということで検討を進めております。
一方で、交通局からは、現時点では2023年度中の実施については未定と聞いてございまして、交通局とは引き続き情報交換を図ってまいりたいというふうに考えております。
それから、市内におけるストリートピアノの設置状況ですとかイベントなどの最新情報はインターネットやSNSなどで既に発信されておりますけれども、市といたしましても、情報提供の方法について今後検討してまいりたいというふうに考えております。
◆ふじわら広昭 委員 ストリートピアノの再開についてと開催場所の情報発信などについては、例えば、大通の地下歩行空間にあります大通情報ステーションでは、札幌市などからの情報提供などによって、市内の至るところで開催されている様々な文化芸術の情報が集められており、ホームページ、そしてまた、ウィークリープレスなどでそうしたものが市民に周知をされておりますので、特にお金をかけなくても、こうしたところを有効活用することによって、しっかりと情報発信ができると思いますので、そうしたことも含めて検討していただきたいというふうに思います。
次に、3番目の質問は、障がいのある方などのアート、いわゆるアール・ブリュットの作品を発表する機会の確保についてです。
2011年、平成23年に制定されました文化芸術の振興に関する基本的な方針の第3次基本方針では、文化芸術は、子ども・若者や高齢者、障がい者、失業者、在留外国人などにも社会参加の機会を開く社会的基盤となり得るものであり、社会包摂の機能を持つということが明示されました。
社会包摂は、一定の範囲の中に包み込まれるというふうな解釈がされておりますけれども、今申し上げましたような人方がしっかりとこういう中に含まれていく、そうした取組が今求められていると思います。
その後、文化芸術基本法においては、年齢、障がいの有無、経済的な状況、または、居住する地域にかかわらず、文化芸術の機会を享受することができるような環境の整備を図ることが基本理念として示されてきております。
北海道や札幌におきましては、北海道文化団体協議会という団体がありますが、以前、同協議会の会長を務めておられ、札幌市の子ども未来局長も経験され、退職後は札幌市芸術文化財団の副理事長として貢献された橋本道政さんは、2020年に急逝されましたけれども、北海道文化団体協議会の会長になられてから、特に障がい者などに特化したアール・ブリュットの取組に力を入れてこられております。
2019年からアール・ブリュット展を開催していますが、昨年は、8月19日から21日まで、札幌文化芸術交流センター、SCARTSの2階で、こどもアール・ブリュット北海道みらい作品展が開催されております。
私は、こうした取組を、今後、札幌市が芸術の森や札幌コンサートホールKitaraなどを有効活用し、絵画、陶芸以外に音楽、演劇、書道など、積極的に障がい児・者の文化芸術活動の推進を支援すべきだと考えております。
以前申し上げたように、既存の学校に行って知識を得たり技量を覚えたというだけではなく、人間本来の個性をしっかり発揮できる人、可能性を秘めた人がたくさん札幌市内にもいらっしゃると思います。札幌にはいろいろな部局がありますが、私は文化部の取組が極めて大切だと思います。
そこで、質問ですが、障がいのある方の文化芸術活動の支援について、新年度以降、文化部が主体となって進めるべきと思いますが、いかがお考えか、伺います。
◎柏原 文化部長 障がいのある方の文化芸術活動の支援について、新年度以降、文化部が主体となって進めるべきとのお尋ねでございます。
文化芸術は、人々が相互に理解をし、多様性を受け入れることができる心豊かな社会を形成する、委員からもご指摘ございましたけれども、社会包摂機能というものを有してございまして、本市では、子どもや高齢者、子育て世帯や障がいのある方など、あらゆる市民の方が気軽に文化芸術に触れることができる環境の充実を図ってきているところでございます。
これまで、文化部では、ボーダレスアート作品展、それから、障がい保健福祉部では、カラフルブレインアートフェスなどを実施するなど、各部において、関係団体と連携をしながら作品発表の場を創出することを通じまして、障がいのある方の文化芸術活動の支援を着実に実施してきております。
社会包摂の理念の実現に向けまして、これまでの取組を着実に実施するとともに、関係部局とも連携をしながら、あらゆる方への文化芸術活動の支援について、文化部としてもしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
◆ふじわら広昭 委員 ぜひともしっかりとした取組を期待しているところであります。
四つ目の質問は、文化芸術創造活動支援事業についてです。
私は、同事業が、札幌市文化芸術未来会議の議論を踏まえて今年度からスタートしておりますが、単年度で終了することは大変遺憾であると考えております。
そこで、質問ですが、今後の同事業の継続については新年度に検討することになっていますが、どのように事業検証を進めるのか、伺いたいと思います。
◎柏原 文化部長 文化芸術創造活動支援事業の事業検証の進め方についてお答えいたします。
創造活動支援事業につきましては、まず、事業の申請者である中間支援団体によるアーティストへの支援が、2月の末日で終了しておりますので、3月の末日までに各団体から市へ報告書が提出されることとなってございます。
市は、3月から4月にかけまして、今度は支援を受けたアーティストに対しましても公開でのアンケート実施をいたしまして、支援を実施した側、それから受けた側、両方から意見を聞くことといたしまして、夏ごろには公開での成果報告会を開催することとしてございます。
一方、団体からの報告書、それから、アーティストへのアンケートなどを基に、5月以降には当事業の選定・評価委員会がございますが、こちらによりまして、課題の整理、それから、補助金の効果などの検証を行う予定でございます。
こうした一連の検証作業におきまして事業の有効性が確認された場合には、2023年度に改定を予定しております札幌市文化芸術基本計画の中でさらに議論を深めてまいりたいと考えてございます。
◆ふじわら広昭 委員 期待を持てるような、また、この事業を令和6年度から再開できるのかちょっと不安なような答弁がありました。その効果が期待できたらということでありましたけれども、私は先ほどこの事業が単年度で終わることは遺憾であると述べました。やはり、こういう事業というのは、複数年継続して、その都度、その都度、検証していかなければならないと思います。
今回の単年度事業におきましても、三つのテーマがありましたけれども、やはり、点数が少し低いということで、挑戦的活動支援をテーマとする事業者が選出されなかったわけであります。今後、しっかりと事業を検証していくためには、少なくとも今回はちょっと点数が低かったとしても、三つのテーマの分野の団体などをしっかり選んだ上で検証していかなければ、今後の検証作業にはあまり効果がないのではないかなというふうに不安を感じているところでありますけれども、ぜひとも2024年度からこうした事業が再開できるように、しっかりと取組をしていただきたいと思います。
5番目の質問は、アーツカウンシル、芸術評議会についてです。
昨年の
決算特別委員会で、アーツカウンシル機能を有する自治体及び団体に設置目的や設置をした後の効果及び課題などに関するアンケートを実施し、8月に新潟市と長野県の団体を訪問してヒアリングを行い、10月には新たに設置された名古屋市への訪問調査などを行うとの答弁がありました。
そこで、質問ですが、各自治体及び団体の調査内容を踏まえ、どのように評価、分析をされているのか、伺いたいと思います。
◎柏原 文化部長 各自治体及び団体のアーツカウンシルに関する調査結果についての評価の分析につきましてお答えいたします。
昨年の8月から12月にかけまして、独立行政法人日本芸術文化振興会が設立いたしましたアーツカウンシル・ネットワークの会員及び新たな組織を設立予定の団体、これは全部で19ございますけれども、これを対象としたアンケートの調査を実施したところでございます。
このうち、アーツカウンシル新潟、信州アーツカウンシル、アーツカウンシルしずおか、クリエイティブ・リンク・ナゴヤの4団体につきましては、直接訪問してのヒアリングを実施したところでございます。
アーツカウンシルが有すべき機能の定義というものは、文化庁でも明確に示しておりませんけれども、私どもの調査の結果では、専門人材によるきめ細やかな活動支援に力を入れている団体や、アーティストの支援だけではなく、移住促進の取組に軸足を置いている団体もございました。また、アーツカウンシルの組織につきましては、組織を新たに設立したところ、既存の組織に機能を付加したところ、それから、行政による直営の大きく3通りに分かれておりました。
このように、各自治体におきましては、各地域の異なる課題を踏まえた上でアーツカウンシルの機能を検討しておりまして、その機能、組織というものは一律ではないということが判明したところでございます。
◆ふじわら広昭 委員 札幌市内にも、また、国内でもそうでありますけれども、芸術家、アーティストの現状やニーズを詳細に把握している専門家、専門性に富んだ民間団体や個人などがあるわけであります。ぜひとも、こうした団体なども活用しながら、アーツカウンシル、芸術評議会の札幌市における立ち上げの実現をしっかり図っていただきたいというふうに思います。
最後の質問は、札幌市文化芸術基本計画についてです。
新年度は、外部の有識者から成る委員会を立ち上げて、札幌市文化芸術基本計画の改定に関する議論を行うことになっております。
そこで、質問ですが、札幌市文化芸術基本計画の改定に向け、審議委員の構成及び審議の論点についてどのように考えているのか、伺います。また、審議の全体的なスケジュールはどのように考えているのか、併せて伺います。
◎柏原 文化部長 札幌市文化芸術基本計画の改定に向けた審議委員の構成及び審議の論点などにつきましてお答えいたします。
次期の計画におきましては、コロナ禍の影響や社会情勢の変化等も踏まえ、より幅広い視点から検討を行うことができますよう、文化芸術分野の学識経験者や文化財の専門家のほか、企業関係者など多様な分野の方々及び市民公募委員にご参加をいただきたいというふうに考えております。
審議の論点でございますけれども、例えば、第3期計画以降に顕在化をした創造活動支援事業を踏まえたアーティスト支援の在り方などが考えられるところでございまして、今後しっかりと議論を深めてまいりたいと考えております。
次に、審議の全体的なスケジュールについてでございますけれども、今年5月の連休明けをめどに1回目の検討委員会を開催したいというふうに考えてございまして、6回程度の検討委員会を行って骨子案を固めて、その後、財政市民委員会の皆様へのご報告を経まして、2023年度内にはパブリックコメントを実施したいと考えてございます。
◆ふじわら広昭 委員 要望を申し上げて、質問を終わりたいと思います。
札幌市文化芸術基本計画というのは、今後の札幌市の文化芸術に関わる重要な、要の計画となるわけであります。
そういう意味では、例えば、先ほども質問いたしました子ども向け、ファミリー向け、地域での様々なコンサートなどについては、コロナ禍だから、いわゆる施すという発想で取り組んではいなかったと思いますけれども、やはり、私が一番心配なのは、財政局がそういう視点で予算を切り落としていっては困るというふうに思うわけですね。
やはり、私が冒頭に申し上げたように、社会包摂の機能を持つということが極めて重要になってくるわけです。子どもも、若者も、高齢者も、障がい者も、失業者も、在留外国人など、幅広い人がしっかりとそこの中に包み込まれていく、そうした計画をつくってもらわなければならないと思うわけであります。
例えば、これまでの日本における文化芸術の社会包摂機能を調べてみますと、15年前ぐらいまでは、いわゆる専門の方々が舞台を確保して発表する、そして、劇場やホールなど鑑賞できる場所があればよいとされてきたわけでありますけれども、最近は考え方が違って、先ほど申し上げた2011年の文化芸術の振興に関する基本的な方針の中にしっかりと今後の文化芸術の在り方が指摘をされているわけであります。
そういう意味では、ぜひともファミリーコンサートをはじめとする地域のコンサート、そして、アーツカウンシル、芸術評議会の導入や組織化を札幌市の文化芸術基本計画の中にも明確に位置づけていかなければなりませんし、アール・ブリュット、障がい児・者の創作の支持、発展、創作の支援、そしてまた、発表や展示会の開催などについても基本計画の中にしっかりと位置づけていかなければいけないと思うわけであります。
ぜひとも、こうしたことを札幌市の文化芸術基本計画の中にしっかりと位置づけていただきたい。ただ単にコロナがあったから施す、一時的にそうした人たちに癒やしを与えるということではなくて、やはり、しっかりとこれからも幅広い皆さんが文化芸術に関わっていくという発想を、文化部は持っていると思いますけれども、財政局はそうした考え方が不足をしているように思われますので、ぜひともこうした考え方を札幌市全体の文化政策の中にしっかり反映できるような計画をつくっていただくことを期待して、質問を終わります。
◆村山拓司 委員 私からは、住民組織助成金について、そして、町内会活動保険についての2点をお伺いいたします。
まず、住民組織助成金についてでありますが、先ほど竹内委員の質問にもありましたけれども、札幌市未来へつなぐ町内会ささえあい条例が制定されたことによっての町内会活動の支援拡充、また強化において、住民組織助成金の増額は町内会にとって非常に大きな支援になると捉えております。
実際に私が地域の方々とお話しする中でも、助成金の増額を歓迎する声が多数ありまして、実効性のある条例の制定という視点で取り組んできた我々としても評価しているところであります。
今回の制度拡充は、助成金の算定基礎である世帯割の増額ということで、単位町内会においては、これまで1世帯当たり130円だったものが260円へと2倍になり、また、連合町内会においては、これまで1世帯当たり100円だったものが120円へと2割増しになっております。
また、令和5年度の住民組織助成金全体の予算は3億2,800万円ということで、令和4年度の予算と比較すると、予算規模で1.5倍、金額では1億円を超える予算の増額であり、札幌市の財政状況が厳しい中でも町内会のために手厚く予算づけを行っていただいた印象を受けております。
そこで、質問ですが、このたびの住民組織助成金の大幅な増額について、増額幅をどのような根拠や考え方に基づいて算定したのか、お伺いいたします。
◎村椿 市民自治推進室長 住民組織助成金の増額幅の算定根拠についてお答えいたします。
算定に当たりましては、全19政令市の状況等について調査を行ったところ、町内会に対する何らかの助成制度等を持っている16市のうち、8市が本市類似の助成金制度を持っており、残り8市は、助成金制度はないが、町内会に対する事務委託などの他制度や補助制度を持っている状況でございました。
この16市に関しまして、町内会への助成制度等に要する予算額を町内会加入世帯数で割り返すことで、各市における1世帯に対する助成に相当する額を算出し、本市助成金の世帯割額と比較をいたしました。
そうした比較を参考にした結果、世帯割の額を単位町内会については1世帯当たり130円から260円に倍増し、連合町内会については100円から120円へ2割増しとすることで、他都市の平均を上回る水準を確保することとしたものでございます。
◆村山拓司 委員 他都市の状況を調査して検討した結果、令和5年度予算においては他都市を上回る水準を確保したとのことでありまして、また、町内会ささえあい条例が施行と同時にこのような形で町内会を側面的に支援できるということは、非常に有意義なことというか、必要なことでありますので、今後もしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
住民組織助成金について、もう一点お伺いしたいと思いますけれども、今回の世帯割の引上げによって、単位町内会及び連合町内会について、それぞれ代表的な規模でどの程度の増額となるのか、具体的に試算モデルを示していただきたいと思います。
◎村椿 市民自治推進室長 町内会の規模に応じた住民組織助成金の試算についてお答えいたします。
本市の町内会の加入世帯数の規模は、単位町内会の場合、101世帯から200世帯規模の町内会が最多でございまして、このケースにおいて平均値となる150世帯を当てはめて試算をいたしますと、令和5年度の助成金は5万7,000円となり、令和4年度との比較では1.52倍になります。
同様に、2番目に多い規模の51世帯から100世帯の場合におきましては、平均値である75世帯を当てはめますと、令和5年度の助成金は3万1,500円で令和4年度との比較では1.44倍となります。
3番目に多い規模の201世帯から300世帯の場合において250世帯を当てはめますと、令和5年度の助成金は8万7,000円で、令和4年度との比較では1.59倍となり、全単位町内会の50%以上がこの三つのパターンに当てはまっております。
連合町内会の場合では、1万1世帯から1万1,000世帯の町内会が最多であり、平均値である1万500世帯で試算をいたしますと、令和5年度の助成金は135万円となり、令和4年度との比較では1.18倍となります。
同様に、2番目に多い規模の6,001世帯から7,000世帯の場合において、6,500世帯を当てはめますと、令和5年度の助成金は87万円で、令和4年度との比較では1.17倍となり、全連合町内会の60%以上がこの二つのパターンに当てはまっております。
このように、町内会の加入世帯数の多少による規模は違っても、助成金の増額幅はおおむね均一となっているところでございます。
◆村山拓司 委員 それぞれの町内会の世帯別の状況もお伺いした中で、町内会の規模が違っても等しく増額の恩恵が受けられるということが分かりました。住民組織助成金は、町内会活動の支援においてもとても重要なものでありますので、今後も必要に応じて見直しを検討していただきたいと思います。
次に、町内会活動保険についてお伺いいたします。
町内会では、それぞれの活動内容を考慮して、町内会活動を安心して行うために、例えば、北海道町内会連合会が取り扱う道町連共済に加入したり、また、社会福祉協議会のボランティア保険、あるいは、民間損保会社のレクリエーション保険を活用するなどして、活動中の事故などの補償に備えていたと伺っております。
このたびの予算案を見ますと、町内会活動総合支援費の中に町内会活動保険として730万円が計上されておりますが、令和5年度からは、札幌市が一括してボランティア保険に加入し、保険料の負担もするということでありまして、このことは、市民が町内会活動を安心してできる環境づくりを進める取組として非常に評価しておりますし、また、町内会関係者からも実際にありがたいというお声もお聞きしております。
そこで、質問ですけれども、町内会活動保険について、どのような補償内容となる見込みなのか、また、補償の開始はいつぐらいを想定しているのか、お伺いいたします。
◎村椿 市民自治推進室長 町内会活動保険についてお答えいたします。
条例制定を機に新たに実施をいたします町内会活動保険につきましては、町内会活動参加中にけがを負った場合の傷害補償のほか、お祭りのテントが強風にあおられて一般の通行人にけがを負わせたり、自動車に傷をつけたなど、町内会活動によって第三者に損害を与えた場合の対人・対物賠償責任補償を含む内容とすることが特色でありまして、現在、制度設計の検討を進めているところでございます。
補償の開始時期につきましては、令和5年度予算案の議決後に具体的な補償内容等に係る保険会社との協議や条件等を調整いたしまして、その後、契約に当たっての入札事務を進める手順となっておりますので、早くても7月以降の開始になるものと想定しております。
初年度となる令和5年度につきましては、保険の適用が年度途中となってしまうことから、保険内容や手続の詳細などが固まり次第、地域の皆様には丁寧にお知らせをし、混乱が生じないように対応してまいりたいというふうに考えております。
◆村山拓司 委員 これまでの町内会が活用していた保険の主な補償である傷害補償だけではなくて、第三者への損害賠償補償も含めた内容で検討を進めていただいているとのことでありましたので、新年度予算の議決後、具体的な交渉や契約事務に進んでいくものと思われますけれども、来年度は、コロナ禍も落ち着き、そして、町内会活動がこれまでよりも活発に行われると思いますので、できるだけ早期の補償開始となるように準備を進めていただきたいと思いますし、また、先ほども答弁にありましたけれども、町内会に対する周知をやはり丁寧に行っていただきたいなと。実際に入っているかどうかが分からない状況で活動するよりも、やっぱり安心につながると思いますので、ぜひともお願いしたいと思います。
それと、条例が4月1日から施行されますけれども、これら様々な支援策について、いろいろな効果などもしっかりと注視していきたいと思っておりますが、何分、4月に選挙がありまして、後ろにいる議員の皆さんもそうですけれども、このたびご勇退される先生もおりますが、いま一度、市民の皆様から審判をいただいた後に、また、この場で活発な議論を行うことができることをお誓い申し上げて、質問を終わります。
◆石川さわ子 委員 私からは、市民自治の取組についてと野外彫刻の保全について、2項目質問をさせていただきます。
まず、代表質問で、市民自治の取組において、市民参加条例の制定と市民参加の指標等について伺いましたので、それに関連し、まず、市民ワークショップについて伺いたいと思います。
現在、市民が市政に参加する機会としましては、出前講座やパブリックコメント、市民ワークショップなどがありますが、自治基本条例の施行から16年目であります現在、手法的な手詰まり感を私はかねてより感じておりまして、市政への市民参加をさらに進める、あるいは充実させるためには、市民参加の手法について、時代や社会情勢に即した改善や見直しを行っていくべきというふうに考えております。
また、そうした改善や見直しを行うに当たっては、参加の主体である市民の意見やアイデア、さらには、そうした考え方や感じ方を反映するべきという考え方から、行政が主導するのではなく、市民と行政が対等な立場で一緒に考えることが望ましいというふうにも考えております。
そうしたことからも、先週の2月25日に行われたと聞いております市民自治を考える市民ワークショップといった取組については、今後、札幌市が市民参加条例について検討を進めていく上でも、市民の意見や考え方を反映する機会として大変有効と考えるところであります。
そこで、質問でありますが、このたびの市民自治を考える市民ワークショップはどのようなことを目的として行ったのか、伺います。
◎村椿 市民自治推進室長 市民ワークショップの目的についてお答えいたします。
去る2月25日に行いました市民自治を考える市民ワークショップにつきましては、自治基本条例第31条に基づく市民自治によるまちづくりに関する施策等の評価の一環として、広く市民意見を聞くために、平成19年度から毎年実施をしているものでございます。
ワークショップのテーマは、毎年度変更しながら実施をしておりますが、大きくくくりますと、条例全般、情報共有、市民参加、身近な地域のまちづくりといったような市民自治の基本となるテーマを取り上げております。
今回の市民ワークショップにおきましては、第4次市民自治推進会議において、市民参加の適切な評価手法の確立に取り組むこととされた提言を踏まえまして、札幌の市民参加を高めるためにとのテーマに基づいて話し合っていただいたところでございます。
参加した市民には、話合いを通じて市民自治に関する理解を深めていただいており、本市としても、市民の視点による様々な意見をお伺いする貴重な機会と捉えております。
◆石川さわ子 委員 市民自治の取組を進めるために、これまでも、年に1回、市民ワークショップを開催していて、今回においては、第4次市民自治推進会議で取り上げられた適切な評価手法の確立を目的として話合いが進められたのだというお答えでありました。
私も、市民参加を進めていく上で、こうした市民の話合いが条例制定の機運醸成につながるというふうにも考えるところでありまして、こうしたワークショップは引き続き継続して、議論を進めることを加速していただきたいというふうにまず求めておきます。
市民参加をさらに進めていくためには、市民参加の手法について、参加しやすい、あるいは、意見の表明がしやすいというような観点でハードルが低い、そうした工夫が必要だというふうに思いますし、また、現役世代、例えば、そうした市民ワークショップに参加するに当たりましても、時間的な制約が厳しい方がいらっしゃったり、また、本来は若い方にも参加をしていただきたいわけでありますけれども、そうした方々が参加しやすいような工夫をして、札幌市が参加手法をそろえていくということも大事だというふうに思います。
また、市政への市民参加という観点では、代表質問でも申し上げましたけれども、情報なくして参加なしというふうに言われますように、市民が市政に関してしっかり考えられるような情報提供がなされるということが前提でありまして、今日のような社会情勢が大変目まぐるしく変わる中においては、市民の意思を定期的に確認していく必要を感じますし、さらには、積極的に市政に対しての意見を言っていくことが少ないような方々の意思も確認する、そうしたことも含めた仕組みが今後必要になってくるのではないかというふうに思うところであります。
こうしたことを考えますと、市民が本当に気軽に市政に参加できるようにするためには、自治基本条例が市民主体の議論を通して条例案というふうにその当時になったと聞いておりますように、様々な立場の方、世代の方、考えを持った方による議論を積み重ねていくことも一つの方法というふうに思うところであります。
そこで、質問でありますけれども、今回の市民ワークショップは、どのように札幌市が参加者を募り、どのような流れで議論や意見交換が実際に行われたのか、また、参加者からはどのような意見が聞かれたのか、伺います。
◎村椿 市民自治推進室長 市民ワークショップの実施内容についてお答えいたします。
今回のワークショップは、住民基本台帳を基に、本市の人口構成に合わせてランダムに抽出した市民2,000人に参加のご案内を送付いたしまして、参加希望があった10歳代から70歳代の市民35名のほか、日頃からボランティア活動などを行っている大学生にも参加を呼びかけた結果、合計で45名の市民のご参加をいただきました。
議論の流れとしては、初めに、本市から一般的な市民参加の形態や種類等について説明した後、ファシリテーターのリードの下、八つのグループに分かれてワークショップを開始し、おのおのにとって市民参加だと思うことや、市民参加の経験の有無などの話を通じて、市民参加のイメージを共有していただきました。
続きまして、市民参加をもっと盛んにする手法や、市民参加が盛んになるとどんなことが起こるのかといった市民参加を盛んにするアイデアについて話し合っていただき、最後にグループごとのワークショップの結果を発表していただき、終了いたしました。
参加した方々からは、SNSを活用した市民参加の方法や仕組みがあるとよいなどの意見がありまして、今後、市民の視点を取り入れた評価手法の確立に取り組んでいく上で大変貴重な機会であったと受け止めております。
◆石川さわ子 委員 ワークショップの内容を教えていただきまして、SNSを利用しての参加の仕方というのは、時代を反映している新しい取組であるなというふうに感じたところであります。札幌市においても、市民参加の在り方ですとか全体像を考えていく上で非常に貴重な機会であったというご感想もありましたし、市民参加の評価手法はもちろんのこと、市民が考える市民参加について、今回のワークショップだけに限らず、今後も何回も議論を重ねていって、市民参加条例の制定へと議論を成熟させていっていただきたいということを強く求めておきます。
次の質問に移ります。
職員のための情報共有・市民参加推進の手引きについてであります。
市民参加をさらに進めていくためには、市民が自らの意思表示や判断の材料とするに値する情報提供がなされていることが前提でありまして、これは、代表質問でも触れさせていただきました。
札幌市が行う情報提供や情報共有のガイドラインとして、2008年に職員のための情報共有・市民参加推進の手引きが作成されておりまして、職員が職務を遂行していく上で情報共有と市民参加を推進していくために必要な手順や考え方をまとめておりますが、作成されて以来、見直しが行われていないというふうに思います。
情報提供や情報共有については、情報を提供する側の姿勢、例えば、市民が聞いたことに対してどのように答えるのかということについても、市民から、何でそういうことを聞くのかとか、そういった前向きな、積極的な姿勢一つで情報提供の仕方も変わってくるというふうに私は思いまして、このガイドラインの改定が全く行われていないということについては、市民に対する情報提供が進んでいない一つの理由ではないかなというふうに考えるところです。
そこで、質問でありますが、職員のための情報共有・市民参加推進の手引きについて、今後改定の予定はどのように考えているのか、また、改定に当たっては、どのような観点で改定するのか、もしお考えがあれば、伺いたいと思います。
◎村椿 市民自治推進室長 職員のための情報共有・市民参加推進の手引きの改定の予定と、改定に当たっての観点についてお答えいたします。
職員のための情報共有・市民参加推進の手引きにつきましては、市民自治によるまちづくりを進める上で重要なポイントとなる情報共有と、市民参加を推進していくに当たり、職務を遂行するために必要な事柄をまとめたものであり、市民自治が実感できるまちを市民とともに考え、つくり上げていくことを目的に作成したものでございます。
ご質問のとおり、平成20年に作成してから改定を行っておらず、情報共有の仕方や市民参加の手法等について、インターネットやSNSの一般化などの社会環境の変化を踏まえた改定を行う必要があるものと認識しております。
改定に当たりましては、より市民が必要とする情報を共有することや、より市民参加しやすい手法等を取り入れるための手引とするという観点から、市民の視点に基づく意見を十分お聞きしながら進めてまいります。
◆石川さわ子 委員 手引を改定するに当たっては、市民の視点に注目していくというお話でありました。
この手引の巻頭の言葉は当時の副市長がまとめられておりまして、市民自治が実感できるまちを市民とともに考え、つくり上げていくために作成したというふうに書いてありまして、全庁一丸となって仕事の仕方を変えていきましょうというふうに呼びかけておりました。
この2008年の呼びかけがどこまで実現をしてきたのか、実現していないのか、検証していただきたいということをここで一つ求めておきたいと思いますし、見直しに当たってぜひ検証していただきたいと思います。
最後に、この質問についての要望でありますけれども、自治基本条例においては、市政への市民参加の推進を掲げ、市は、市政への市民参加を保障し、そのための制度の充実に努めなければならないことというふうに規定しておりまして、また、政策の各段階において、市民の参加を進め、市民の意見が適切に反映されることも規定をしております。
ぜひとも、市民参加の仕組みや手続などの整備といった市民参加条例の必要性についても市民議論を重ねていただき、市民が考える市民参加条例の制定に向けて取組を進めていただきたいと思います。あわせて、今後も様々な取組を通じて、札幌市の市民自治をさらに深め、成熟させていくことを要望して、この質問を終えたいと思います。
最後に、野外彫刻の保全について伺います。
野外彫刻は、公園や広場、道路などの公共空間や学校など、市内の様々な場所に設置されておりまして、市民や子ども、さらには観光客が優れた芸術作品に気軽に触れる貴重な機会を与えてくれるとともに、空間の魅力も高めてくれる札幌市の大切な財産であるというふうに認識しております。
その一方で、設置から長い年月が経過している彫刻が多く、風雪や老朽化などによる影響で破損や腐食が進んでしまっている彫刻も見られ、大変痛ましいと思っているところです。
野外彫刻の保全について、札幌市では、ボランティアで野外彫刻の清掃活動などを定期的に行い、さらに彫刻の状況に応じて市の彫刻の所管部局に修復の必要性などをアドバイスしていただいている市民団体がありまして、非常に心強いパートナーであるというふうに思います。
私はこれまで、2016年の
予算特別委員会、2019年の
決算特別委員会、そして、2020年の
予算特別委員会において、一貫して野外彫刻の計画的な補修や維持管理、また、保全における市民団体との協力の重要性などについて問題提起をしてきておりまして、本市においては、野外彫刻の状況を一点一点確認し、必要な修復を行うため、2019年度から2020年度にかけて、市が所管する野外彫刻について現況調査を行ったことは承知をしております。
この調査結果においては、市が所管する野外彫刻417点のうち、著しい劣化が認められるものが39点あることが判明し、多くの野外彫刻が修復を必要としている状況が明らかになりました。
そこで、最初の質問でありますが、現況調査実施後の野外彫刻の修復状況について伺います。
◎柏原 文化部長 現況調査実施後の野外彫刻の修復状況につきましてお答えいたします。
本市では、野外彫刻の現況調査におきまして、著しい劣化が認められる彫刻39点のうち、第三者への被害が懸念された9点につきましては、2020年度までに、全ての所管部局と調整いたしまして、作品の周囲を囲うなどの安全対策を実施したところでございます。
その上で、著しい劣化が認められる彫刻のうち、彫刻の所管部局と連携し、作家との修復方法の調整がついた彫刻から、順次、修復をすることといたしました。
2021年度でございますが、札幌駅南口正面に設置をしております牧歌の像など3点を修復しました。また、2022年度は、平岡南小学校に設置されております、光・花など3点の修復を行っているところでございます。
◆石川さわ子 委員 彫刻の保全、修復に向けての調査を行い、著しい劣化が認められる彫刻を中心に修復を進める方針の下、少しずつではありますけれども、修復が行われているということであります。
しかし、野外彫刻の一つ一つが芸術作品でありまして、修復が必要な彫刻は速やかに修復を実施すべきであると考えます。設置場所が学校ですとか公園、また、コミュニティセンターなど市民に大変身近な場所に設置をされているということもありますので、速やかに行うべきだと思います。
特に、著しい劣化が認められると分類されたものは、美観だけではなく、周囲への安全を確保するためにも、できる限り早急に修復するよう計画を立てて対応していくことが必要であると考えます。
そこで、質問でありますが、2023年度、令和5年度以降の野外彫刻の修復予定について伺います。
◎柏原 文化部長 2023年度以降の野外彫刻の修復予定につきましてお答えいたします。
2023年度は、手稲コミュニティセンターに設置をされております希望の原点などを優先的に修復する予定としてございます。
野外彫刻の安全性が確保され、彫刻本来の魅力を取り戻すことができますよう、次年度以降につきましても、できる限り早期に、かつ計画的に修繕を実施してまいりたいと考えております。
◆石川さわ子 委員 来年度の彫刻を修復する予定を伺いまして、答弁でおっしゃったとおり、ぜひスピード感を持って計画的に取り組んでいただきたいというふうに思います。
彫刻にはコンクリートですとかブロンズなど様々な素材が使用されているわけでありまして、さらに、修復に当たっては、専門的な知識が求められることが多いというふうに聞いております。その修復に当たって、地元である市内や道内には彫刻の修復ができる専門家が実は少ないという状況もあり、専門的な修復を行う場合は道外の業者にお願いすることが多いということも聞いております。
そうした道外の業者にお願いして修復をする場合、道内の業者に比べて、支払いの旅費や修復現場に到達するまでの移動時間などが余計にかかってしまうという問題があると聞いております。
私は、かねてから地元業者が野外彫刻の修繕の技術を共有し、修繕に対応できるようにその手法を標準化するとともに、地元の施工業者を要請することを要望してきたところでありまして、地元のものを地元で消費する地産地消という言葉もありますように、こういった彫刻の修復、修繕におきましても地元の業者が担うことができれば、地元業者に修復のノウハウが蓄積されまして、道外の業者にお願いをするよりも迅速かつ安価に修復することが可能になると考えるところです。
こうした修復体制の構築がされることになれば、今後、若手の芸術家が彫刻をつくる意欲にもつながるということを市民団体の皆さんからも伺っているところです。
そこで、質問でありますが、野外彫刻の修復において地元の業者をもっと活用すべきだと考えますがいかがか、伺います。
◎柏原 文化部長 野外彫刻の修復におきます地元業者の活用という点につきましてお答えいたします。
地元の業者が彫刻の修復を行うということは、地元業者の彫刻を修復する技術の蓄積ですとか修復の早期実施などの観点から望ましいものというふうに考えてございます。
一方、委員がご指摘のとおり、彫刻の修復には専門的な知識や技術が求められるところでございまして、これまで道外の業者に修復を依頼する事例が多かったところです。
また、彫刻には無断で改変されない著作者人格権というものがありますことから、修復に際しましては、作家や遺族の意向を踏まえて修復業者を決定しなければなりません。このため、作家などから修復業者の指定がない場合には、地元の業者が修復を担えるよう、これまでも専門的な知識を有します札幌芸術の森美術館や彫刻の清掃活動などに実績のある市民団体などと修復業者についての情報交換を行ってきたところでございます。
引き続き、これらの団体などと連携しながら、彫刻が修復できる地元の業者を探すなどいたしまして、札幌市の貴重な財産である野外彫刻の保全に取り組んでまいります。
◆石川さわ子 委員 芸森の方たちの指導などもいただきながら専門的な修復を行う、そうした業者をぜひとも市民団体の皆さんの情報などと併せて探していただいて、地産地消といいますか、地元の業者の手による修復が行えるような仕組みをぜひ確立していただきたいということを改めて求めておきます。
本市がこれまで行ってきました野外彫刻の調査事業に基づく内容ですとか結果というものは、それに基づく彫刻の修繕など保全の取組をしっかりと継続していくことで、彫刻の安全性だけではなく、今後の野外彫刻の保全に向けた全国的な指針になるのではないかと私は注目をしているところです。
そうした中で、修繕、修復する業者を地域の中で育て、活用していくということは、札幌市のまち中の美を守り続ける上で大変重要であり、必要不可欠なことだというふうに考えます。
大切な文化芸術を次世代につなぐ展望をしっかり持って、野外彫刻の必要な修繕をしっかりとやり遂げることなど、調査結果を生かす取組を、予算を確保しながら今後もしっかりと積極的に行っていくことを強く求めまして、私の質問を終わります。
○川田ただひさ 委員長 以上で、第2項 市民生活費中市民文化局関係分の質疑を終了いたします。
以上で、本日の質疑を終了いたします。
次回の委員会ですが、3月3日金曜日午後1時から、消防局、危機管理局、総務局及び
デジタル戦略推進局関係の質疑を行いますので、定刻までにご参集ください。
本日は、これをもちまして散会いたします。
――――――――――――――
散 会 午後4時59分...