鎌倉市は平成9年3月発行の
市民活動支援事業報告書の中で、「今後のまちづくりを考えると、市民参画によるまちづくりが基本になっていくと考えられます。それは、市民の声を広く取り入れた上で、市民活動の場の設定や
市民活動団体に対する有効な支援方法を検討すること、そして活動にまだ参加していない人たちを掘り起こし、市民活動のすそ野を広げて、市政への反映を促すことがとても大切なことだと考えています」と市民活動の重要性を位置づけています。鎌倉市では、平成8年度、公募により
市民活動団体の代表者を集め、鎌倉市
市民活動支援検討委員会、
愛称市民サポート委員会を組織し、市民活動への支援のあり方と方策の検討を行い、実行に移しています。
1つ目は、鎌倉市
市民センター、
愛称NPOセンターの設置であります。このセンターは、ことし5月1日に開所したもので、市役所の隣と
JR大船駅前の2カ所にあります。私は、新たに建物を建設したものと想像して鎌倉市に参りました。しかしながら、このセンターは既存の建物、すなわち使わなくなった市役所の会議室と市の出先機関の1室を活用しているものです。運営は市民で組織された
市民活動センター運営会議により行われているという全国初の公設民営の形態をとっています。
もう1つは、ことし5月1日に発表されたNPOに対する税制面の配慮であります。まず、市町村民税に関しては、地方税法第323 条と鎌倉市市税条例第36条、「市長は、市民税の納税者が次の各号の1に該当すると認めた場合は、その申請により市民税を減免することができる。(中略)1項の3 前各号のほか、特別の事由がある者」とする条項。固定資産税に関しては、地方税法第367 条と鎌倉市市税条例第56条「市長は次の各号の1に該当する固定資産税であつて、特に必要があると認めた場合は、納税者の申告によりその固定資産税を減免することができる。(中略)1項の4。前各号のほか、特別の事由のため減免を必要とする固定資産。軽自動車税に関しては、地方税法第454 条と鎌倉市市税条例第74条「市長は軽自動車税の納税者が次の各号のいずれかに該当すると認めた場合は、その申請により軽自動車税を減免することができる。1項の1 公益のため、直接専用する軽自動車等を法的な根拠として既存の条例を運用することにより、NPOに対する税の減免を図ろうとしています。
一方、青森市市税条例においては、次のような減免の規定があります。市民税については、第30条1項の8「前各号に掲げる者を除くほか、特別の理由がある者。」固定資産税に関しては、第45条1項の2「公益のために直接専用する固定資産(有料で使用させるものを除く)全額免除。」軽自動車税については、第73条1項、「市長は公益のために直接専用するものと認められる軽自動車等に対しては、軽自動車税を減免することができる。」と弾力的に運用することが可能な条項が織り込まれています。
周知のように、国会で特定非
営利活動促進法が審議される過程において、税制については結論が先送りされました。特定非
営利活動促進法による法人の設立申請に二の足を踏む団体が少なくありません。団体の多くは、人数、財政ともに小規模なものが多く、事務的な作業を行うことによる負担の増大に対して不安を抱いています。税制面の優遇は、こうした団体を支援するという意味において極めて重要であります。私の聞く範囲では、任意の
ボランティア団体で納税しているという話はありませんし、脱税で摘発されたという話も聞きません。多くの小規模な団体にとっては、現在の納税していない状態を是認することこそが現時点における大きな支援と言えます。
そこでお尋ねいたします。
NPO支援のために、鎌倉市
NPOセンターのように公設民営の施設を設置するべきだと思いますが、いかがでありましょうか。本市でも鎌倉市同様、市税条例を弾力的に運用し、NPO等の団体に対して市税の減免を行うべきだと思いますが、いかがでしょうか。
3番目は、
日本文化デザイン会議'98青森についてです。
ご案内のように、第21回
日本文化デザイン会議'98青森は、来る10月30日から11月1日までの3日間開催されます。このイベントは、参加型のものとして位置づけられています。前回定例会でも触れたように、「異話感の……。」をテーマにしており、この「異話感」をキーワードに、ことし1998年を21世紀へ向かう年としてとらえています。先月4日には
プログラム発表が行われました。全体プログラムは、リンゴの特産地青森にちなみ、歴史の節目に登場するリンゴの象徴性を手がかりに8つのカテゴリーに分けられ、異話感=多様性、複雑系、21世紀の感性などを論じながら展開いたします。
1つは「アダムとイヴのリンゴ」人間の異話感。2つには「ニュートンのリンゴ」地球の異話感。3つには「ロビンフッドのリンゴ」産業の異話感。4つには「白雪姫のリンゴ」心の異話感。5つには「マッキントッシュのリンゴ」デザインの異話感。6つには「リンゴ・スターのリンゴ」芸能の異話感。7つには「
ビッグアップル」都市の異話感。8つ目は「アップルパイ」家族の異話感であります。
プログラム総数は3日間で68が予定され、まさに多彩なイベントと言えます。
そこでお尋ねいたします。
このプログラムに対する感想と期待について市長からお聞かせ願いたいと思います。
4番目は、保育行政についてであります。
前の定例会の一般質問で申し上げましたように、児童福祉法が50年ぶりに改正されたことにより、入所、入園が行政による措置から保護者の選択に任されるようになるなど、保育所、保育園をめぐる環境が変化しています。私は、
定員外入所基準の緩和を求めましたが、これに対する答弁は「本市でも平成8年度から定員外入所を実施しております。しかし、これまでの状況を見ますと、年度途中の早い時期に定員外の入所枠がなくなった保育所の多かったことから、転勤者、転居者、産休、
育児明け職場復帰者、
緊急入院者等への対応が困難となり、途中入所希望者の門戸が閉ざされるという弊害が生じました。これらを解消するために、今年度から
定員外入所実施基準を定めたものであり……」というものでした。
一方、平成9年3月17日に行われた
全国児童福祉主管課長会議の席上、児童福祉法の改正について説明が行われました。
厚生省保育課長は「夫婦共働きが一般化してきているということでございます。そして、そういった
夫婦共働き家庭の保育、乳幼児保育の手段として保育所を利用すること自体が一般化してきているということでございます」「就学前児童の数自体は減っているということでございますけれども、全体の児童数の減少に比べますと、
保育所入所児童数の減少の割合は少ない。逆に、平成8年について見ますと、若干ではございますが、7年に比べて保育所の入所児童数はふえているということでございます」と述べています。
前の定例会における保育所の
定員外入所枠の緩和に関する再々質問に対する答弁は、「定員外の入所につきましては、本市では10%までは認めているところでございます。基準が厳しいとの御指摘でございますが、これはあくまでも特例の措置でございます」でありました。しかし、先ほど紹介した
全国児童福祉主管課長会議で、
厚生省保育課長は「1つの保育所について定員あるいは年度の途中で10%、15%ということでプラスアルファの定員の数の加算をやっておりますけれども、そういう評判のいい保育所で満杯にならない限りにおいては、当該保育所において、お子さんの保育を希望する当該保育所において保育を実施する、そういう責務を負うということでございます。市町村が
保育サービスについて責務を負うというのは、そこまでの意味を含んでおるというぐあいに考えているわけでございます」と述べています。定員外はあくまで特例などとする一連の答弁は、改正された児童福祉法の意図とは相入れないものではないでしょうか。
そこでお尋ねします。
厚生省はことし2月13日付で保育所への入所の円滑化についてという文書を発し、定員を超えている状況が恒常的にわたる場合には、定員の見直し等に積極的に取り組むよう促しているところですが、当市はこの文書についてどのように考えているのでしょうか。
厚生省からは10%、15%という基準が示されています。保護者あるいは出産を間近に控えた女性からは、保育所に入所させづらいので何とかしてほしいという訴えが寄せられています。頭数として認識されているかどうか定かではない1年生議員に対してこのように訴えなければならないという事態の深刻さを、理事者側は認識すべきであります。
定員超過許容枠を緩和する予定があるのかどうか伺います。
仕事をしていると、残業をしなければならないことが間々あります。小さい子供を持つ母親にとっては、長い時間、子供を預かってくれるという環境づくりが大切です。
延長保育等促進基盤整備事業についての考え方を伺います。
最後は、生涯学習についてであります。
生涯学習とは、人々が自己の充実、啓発や生活の向上のため、その自発的意思に基づき、必要に応じて自己に適した手段、方法を選んで行う学習のこととされ、その生涯学習のためにみずから学習する意欲と能力を養い、社会のさまざまな教育機能を相互の関連性を考慮しつつ、総合的に整備充実しようとする考え方とされる生涯教育を後に含んだものです。文部省がまとめた平成8年度我が国の文教施策においては、生涯学習社会の実現を目指した取り組みが第1部の特集として取り上げられました。その中で、生涯学習の実現が必要となってきた社会的背景として、いわゆる学歴社会の弊害を是正するためには、形式的な学習によらずに生涯の各時期の学習の成果が適切に評価される社会を目指すことが求められていること、所得水準の向上、自由時間の増大、高齢化等、社会の成熟に伴い、心の豊かさや生きがいのための学習需要が増大していること、科学技術の高度化、情報化、国際化、産業構造の変化等、我が国の経済や社会の直面する課題の変化に伴い、人々が絶えず新しい知識、技術を習得することが求められていることが指摘されていると分析しており、このような社会的背景のもとで生じる人々のさまざまな学習需要に対応するとともに、学校のみならず、多様な場で行われる学習の成果を適切に評価することが必要となっている。生涯学習の実現はこのような要請にこたえるものであるとしています。
青森県は、平成6年度から10年度を目標とした生涯
学習推進基本計画を策定しました。計画では、多様な学習機会の充実として、生涯の各時期、すなわち1つに乳幼児期、2つに青少年期、3つに成人期、4つには高齢期に応じた学習機会の充実、現代的な課題に関する学習機会の充実、
ボランティア活動の推進、
リカレント教育の4項目。学習機会を充実するための諸条件の整備充実として、拠点づくりなどのほか、市町村においても長期的な視点に立ち、総合的、体系的に生涯学習の推進に取り組むため、生涯
学習推進基本計画を策定するよう求めています。
一方、八戸市では、平成8年12月に生涯
学習推進基本計画をまとめました。計画では、1つ目の柱としては、多様な学習内容と学習機会の充実を挙げています。具体的な項目として、1つには、市民の
ライフステージ等に応じた学習機会の提供、2つには、世代間の相互理解、交流による学習機会の提供、3つには、暮らしを豊かにする学習機会の提供、4つには、共生社会のための学習機会の充実と提供、5つには、
国際交流推進のための学習機会の提供、6つには、高齢社会に対応するための学習機会の充実、7つには、地域を知り、生かすための学習機会の充実、8つには、専門性を高めるための学習機会の拡充と提供を挙げています。
2つ目の柱に学習情報の提供を挙げ、項目としては市民が求める学習情報の提供と
学習情報提供体制の整備を挙げています。
3つ目の柱は、
学習相談システムの整備として、相談窓口の整備と相談員の育成、確保。
4つ目の柱として、生涯学習の拠点整備を挙げています。
5つ目の柱には、生涯
学習推進体制の整備とされ、1つに、市生涯
学習推進本部の設置、2つに、市民参加による市生涯
学習推進協議会の組織、3つに、指導者の育成、確保、4つに、地域及び
団体活動支援体制の整備充実、5つに、地域における推進拠点としての公民館、6つに、
ネットワーク体制の構築、7つ目として、生涯学習成果の評価と活用を挙げているのであります。
青森市は「わたしたちのまち 青い森 21
世紀創造プラン」に盛り込まれている
市民センター構想に基づき、施設整備は進められています。特に
古川市民センターは、古川小学校の児童の減少を見込んで併設されています。厳しい財政事情の中で注目するべき取り組みであると思います。
そこでお尋ねいたします。
「わたしたちのまち 青い森 21
世紀創造プラン」には、生涯学習について触れられているものの、総花的であり、まだまだ肉づけが必要であります。独立した生涯
学習推進計画がいまだ策定されておりません。時代の要請である生涯学習の推進のため、可及的速やかな策定を求めます。
市民センターについては、郊外では比較的に整備が進んでいるものの、中心部、とりわけ人口が密集していると言われる佃、
浪館通り周辺地域に整備計画がありません。一例として、佃中学校は地域住民から新築を要望する声が上がっていますが、中学校にも
市民センターを併設する考えはお持ちでしょうか。
以上、質問してまいりました。市長を初めとする理事者の誠意ある回答を期待いたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
4 ◯議長(工藤徳信君) 答弁を求めます。佐々木市長。
〔
市長佐々木誠造君登壇〕
5 ◯市長(佐々木誠造君) 川村智議員の御質問にお答えいたします。
日本文化デザイン会議'98青森について、私からお答えいたします。
日本文化デザイン会議'98青森は、議員、御承知のとおり、来る10月30日から11月1日の3日間、当市において開催され、文学、デザイン、都市計画、映像など多彩なジャンルの専門家約130 名が参集し、
シンポジウム、講演、
ワークショップ、作品展示など、さまざまな催しが実施されるというふうになっております。今回のテーマは「異話感の……。」ということになっております。異話感の「異」を異なるという文字にしたのは、現在の経済、文化、
情報ネットワークや環境問題でもことごとく地球が1つになっている時代に、あえて人間や社会の豊かさの根源である多様性や複雑系の問題に光を当て、創造的な「異話感」こそ健全さのベースであるといった、新しい尺度のもとに21世紀を論じようということからのようであります。
このコンセプトのもとに、その
プログラム発表が去る8月4日に行われ、その内容といたしましては、青森市在住の方々を含めた各界の専門家が出演する
シンポジウムや講演、一般の方々がモデルとして参加するファッションショー、一流のデザイナーやアーチストとの共同作業による、いすづくりや版画スクール、市民がスタッフ、キャストを務める天井桟敷の市街劇、国際的に活躍する写真家とともに撮影会を開催する写真の
ワークショップなど、68にわたる本
会議イベントや
関連イベントが、同時進行で、ふくそう的に繰り広げられることになっております。このプログラムを拝見しますと、まことにテーマにマッチした創造性あふれるイベントが企画され、市民ともども貴重な体験ができるものと期待をいたしております。
私も、もののけ都市をテーマとしたフォーラムの中で、パネリストの1人として参加させていただく予定となっておりますが、その場におきまして、まちづくに対する思いを語り、各分野の専門家の方々からの御意見をちょうだいし、市民の皆様とともに、まちづくりへ向けた新たな糸口をつかんでみたいと考えております。また、プログラムは市民参加型のイベントが数多く盛り込まれているのが今回の特徴であると感じております。本市施策の柱の1つに掲げております市民参加のまちづくりを進める上でも、大変有意義な内容であると考えております。
本市では、市制100 周年の記念すべきことしを、新たな創造と飛躍を図るスタートの年と位置づけておることから、この会議を通じて、青森の魅力の再発見や広範な分野からの示唆、指針を得ることができるなど、ポスト100 年へ向けた本市のまちづくりを探る上で絶好の機会になるものと考えております。このような意味から、市といたしましても、開催準備にかかわる人的支援はもちろんのこと、開催費用の負担、市民への参加の呼びかけなど、会議の成功に向けて積極的に取り組んでいるところであります。
6 ◯議長(工藤徳信君) 総務部長。
〔
総務部長坂本健君登壇〕
7 ◯総務部長(坂本健君)
全国自治体トップアンケート98にどう回答したのか、また出版された本を読んでの感想についてのお尋ねにお答えを申し上げます。
平成9年10月に共同通信社から
全国自治体トップアンケートのお願いということで、地方分権の推進に関する意向を伺いたい旨の依頼がございました。このたびのアンケートは、地方分権が地域の自主性を向上させ、地域の課題は地域が解決をするといった真の地方自治の実現に寄与し、ひいては活力と潤いのある地域社会の構築や、まちづくりに主体的に取り組む好機であるとの観点から回答いたしたものでございます。
議員、御指摘のとおり、質問が22項目に及んでおりますので、個々の回答につきましては、時間の関係もございますので省略させていただきますが、今回のアンケートの項目のうち、最大の行政課題は何かという問いに対しましては、他都市同様、本市においてもさまざまな行政課題がございますが、特に
青森操車場跡地の利活用について、また
中心市街地活性化を含めたまちづくりを、また
地方分権権限委譲の推進に伴い、現状の体制で対応できるかとの問いに対しましては、対応できる旨お答えを申し上げたところでございます。
次に、
全国自治体トップアンケート98への感想についてのお尋ねでございますが、それぞれの地域、地方によって、あるいは規模の大小、産業構造等によって行政環境が異なりますことから、さまざまな意見が寄せられております。特に
介護保険制度の導入に当たりましては、本市同様、財源問題、人的資源の確保など先行きの不透明さも相まって、多くの自治体が何らかの不安要素を抱いているように感じたところでございます。いずれにいたしましても、それぞれの自治体によってさまざまな行政課題があり、それらを克服すべき取り組みとして、税財源の確保に裏づけられた地方分権の推進が必要不可欠なものと改めて認識したところでございます。
8 ◯議長(工藤徳信君) 企画財政部理事。
〔企画財政部理事小林正基君登壇〕
9 ◯企画財政部理事(小林正基君) NPOに対する施策についての御質問にお答えを申し上げます。
NPO、いわゆる民間非営利組織は、行政だけではカバーし切れないさまざまな分野や課題の解決に取り組み、社会に貢献するという点で、その意義はまことに大きいものと考えております。また、NPO活動につきましても、市民参加によるまちづくりに大いに関連することでございまして、その推進を図ることは、本市の重要な施策の1つであると認識いたしております。
このような状況のもと、去る3月に成立いたしましたNPO法を受けまして、県においては、現在、法人格の認証などに係る条例と
ボランティア活動などの環境整備に係る条例の制定に向けた作業に加え、法人県民税の均等割の課税免除などについても検討が進められていると聞いております。本市におきましても、現在、NPOの自主性や自立性、機動性などを最大限尊重いたしまして、かつ行政との対等な関係が保たれるよう配意しながら、議員、御提言の活動拠点面をも含めましたNPO活動の環境整備について、市民参加によるまちづくりの観点から、総合的に現在検討しているところでございます。
なお、議員、お尋ねのNPOに対する市税の取り扱いにつきましては、減免の方向で現在検討を進めているところでございます。
10 ◯議長(工藤徳信君) 保健福祉部理事。
〔保健福祉部理事板橋盟紀君登壇〕
11 ◯保健福祉部理事(板橋盟紀君) 保育行政について、3点の御質問にお答えを申し上げます。
最初に、厚生省児福3号文書についての市の考え方及び
定員超過許容枠緩和等の対策についてのお尋ねでございますが、関連がございますので、一括してお答えを申し上げます。
御指摘の平成10年2月13日付厚生省児福3号文書は、定員を超えて入所できる児童数の範囲等について定めた旨の通知ですが、それによりますと、定員外入所の範囲は原則としておおむね認可定員の15%までであり、保護者が産休明け、育児休業終了後であって、以前に入所していた保育所または上の子が既に入所している保育所へは認可定員の20%までの範囲で入所できるという内容であり、その実施についてはそれぞれの自治体にゆだねられております。
本市には公立11カ所、私立68カ所、合わせて79カ所の保育所がありますが、平成10年4月1日現在、定員を満たしている保育所は45カ所、定員割れが生じている保育所は34カ所となっており、当市においては全体的に見れば定員に満たない保育所も多いことから、国の通知どおりの定員外入所を実施した場合、今以上に入所児童数が偏ることにより、特定の保育所への優遇に結びつくということも懸念されます。このような状況を踏まえ、本市では今年度基準を定め、定員外入所については原則として認可定員の10%までの範囲、また産休明け、育児休業終了後の職場復帰等については15%までの範囲としたものであります。このようなことから、
定員超過許容枠緩和についても現時点では考えておりませんので、御理解を賜りたいと存じます。
次に、
延長保育等促進基盤整備事業についての考え方を述べよとのお尋ねにお答えを申し上げます。
延長保育等促進基盤整備事業は、これまでの延長保育、一時保育が特別保育事業として承認された施設のみが実施してきたことから、保護者の就労状況や緊急的な保育需要に対し、必ずしも弾力的に対応できるものとなっていなかったため、国においては今年度から保護者の利便の向上を図るため、保育所の自主的、弾力的な取り組みにより実施できるように改正し、その促進を図るよう創設された事業であります。
本市においても、保護者が利用しやすい延長保育等への取り組みを推進し、今年度は延長保育の実施箇所は10カ所から32カ所に、一時保育は2か所から17カ所にそれぞれ拡大され、保護者にとってより一層の利便性が図られたところであります。今後も保護者のニーズに十分こたえられるよう、延長保育、一時保育の充実、向上を図ってまいりたいと考えておりますので、御理解を賜りたいと存じます。
12 ◯議長(工藤徳信君) 生涯学習部長。
〔生涯学習部長齋藤勝君登壇〕
13 ◯生涯学習部長(齋藤勝君) 生涯学習基本計画の策定並びに
市民センターの中心部における整備の2点の御質問は、関連がございますので、一括してお答え申し上げます。
まず、本市における生涯学習基本計画の策定でございますが、生涯学習は教育委員会での事業にとどまらず、さらに広い範囲にわたる学習活動が展開されることから、より総合的に、また計画的に学習環境の整備や支援のあり方を策定していかなければならないものと考えております。現在、教育委員会事務局では鋭意その作業を進めながら、全庁的な組織化を行い、総合的な生涯学習に関する計画を策定してまいりたいと考えており、生涯学習基本計画の成案を得ながら、平成12年度をめどに青森市生涯学習基本計画の策定を目指しております。
次に、
市民センターの整備でありますが、公民館の整備を図る上で、昭和55年に対象地域の面積、人口、発展性、あるいは地域内の関連公共施設の有無並びに生活課題、地域課題、公民館の活動報告など地域の実情を考慮しながら公民館設置計画、いわゆる8館構想を策定しており、平成5年に開館いたしました油川
市民センターで終了したところであります。
しかし、その後の道路網の整備などに伴い、住宅化が進む中で社会教育活動を展開するための施設が皆無あるいは十分でない地域が見受けられることから、21
世紀創造プランの前期計画の中で
古川市民センター、荒川
市民センターが開館され、さらに平成11年度の完成に向け、(仮称)沖館
市民センターを建設することとしたものでございます。市中心部につきましては、現在の中央
市民センターのほか
市民センター分館、福祉館などの公共施設はもとより、佃地区は余裕教室の活用を図るためのモデル校でもあります佃小学校もございますので、これらの活用をお願いしたいものと考えてございます。
14 ◯議長(工藤徳信君) 5番川村智君。
15 ◯5番(川村智君) 水の件は失礼しました。次からは飲まないようにしたいと思います。
通告順に申し上げてまいります。
まず、共同通信社の本についての回答でございます。この中でいろいろございましたが、注目すべき点は、税財源の確保に裏づけられた地方分権が必要だという答弁がございました。この点は極めて重要なことだと考えております。なかなか市レベルだけでは取り組みづらい課題でございますが、一緒に勉強を深めていきたいなと思います。なお、回答内容につきましては、恐らくコピーを保存されていることと思いますので、後ほど提出をいただきたいと思います。ありがとうございました。
それから、NPOについてでございます。拠点も含め、拠点につきましては総合的に検討をされているということでございます。ぜひともこれにつきましては実現をしていただきたい、こういうふうに思っております。質問の中でも指摘しましたが、小規模な団体が多く、固定資産税を払うのはおろか、会費を集めるのすら大変だという実態がございます。これは何も青森県だけではございません。私、いろいろ大阪であるとか、NPOセミナーに参加をいたしましたが、その中で団体の皆様、一様に同じことをおっしゃっております。ぜひともこういう、ある意味ではこれまでの自治体の施策からすれば消極的なという分類になるかもしれませんが、こういう小さな部分の支援というのが非常に大切になってまいりますので、よろしくお願いをしたいと思います。
それから、減免につきましては、減免の方向で検討をされているということでございます。大変結構なことだと思います。県当局におかれましても検討しているわけでございますので、連携をとりながら、よりよい施策をお願いしたいと思います。
そこで、ちょっと紹介したいものがございますので、若干触れたいと思います。私の手元にありますのは、経済企画庁国民生活局がまとめました「日本のNPOの経済規模」という報告書であります。この中で、NPOについての経済規模というものについて試算を試みております。
ちょっと読んでみたいと思いますが、「ここで採用した民間非営利活動の定義は、活動団体が1)非営利性2)経済価値の創出性3)非政府性4)自発性を持つという基準を採用した。この結果、民間非営利活動団体全体の経済規模は、付加価値では約16兆円(対GDP比で3.3 %)、産出額では約28兆円(対国内総産出額比で3.0 %)となっていることが判明した。また、これから税法上、営利法人と同じ扱いをされている医療法人(特定医療法人以外)を除いても付加価値で約12兆円、産出額で約21兆円の経済規模になることが明らかになった。その規模の大小についての価値判断や時系列的な計数の推移については、本調査の範囲を越えるものであり、今後の課題であろう。しかし、既存の主要諸国の比較調査研究の数字との単純な対比でみると、日本の民間非営利活動団体の経済的な活動規模は既にかなりの規模に達していることは指摘できる。次に、今回アンケートを実施し、経済規模をはじめて把握した
市民活動団体については、推計方法によりかなりの金額の幅がある。中位の数値としては約7700億円となっていることが明らかになった。このうち、ボランティアなど貨幣で評価されない活動を仮定をおいて貨幣評価すると約6500億円となり、貨幣的に計測される経済規模約1200億円の5倍強あることが判明した」こういうふうになっております。
NPO活動は市民参加のまちづくりという側面もさることながら、このような経済的な側面もあるということにつきましても、市長におかれましては頭に入れていただきたいと、このように考えております。以上、NPOにつきましては要望といたします。
それから、文化デザイン会議についてでございます。
市長にもお忙しい中、時間を割いて参加していただけるということで、大変期待を申し上げているところでございます。ぜひとも成功させたいわけですが、きのうの東奥日報にちょっと気になる記事が出ておりましたので、ちょっとおさらいをしてみたいと思います。「チケット販売四苦八苦」ということで、県の職員が非常に冷やかであるという記事が5段抜きの見出しで載っております。チケットは3日間で1万円とちょっとお値段張るわけでございます。記事によりますと、何やら市役所は1000枚の割り当てがあるそうでございます。青森市職員におかれてはこのような冷やかな反応はないと確信をいたしておるところでございますが、地下の売店でも販売をいたしておりますので、皆様におかれましては、購入をされますようお願いを申し上げます。ありがとうございました。
それから、保育行政についてでございます。
答弁の中で、若干、かなり気になったところがございますので、指摘をしたいと思います。特定の保育所への優遇に結びつくという答弁がございました。多分そういう答弁が出るだろうと思っていたところ、2週間前ですか、財団法人松下政経塾の塾報が送られてまいりました。この中に、「全ての子供に保育を」という題で論文が掲載されております。この中で、「保育社会主義の弊害」と題する部分がございます。ちょっと読んでみたいと思います。
「日本の保育政策は矛盾と非合理に凝り固まっている。ここだけは純然たる社会主義の世界だ。実際共働きの核家族は、1日4時間しかやっていない幼稚園では子供を預けられず、保育の需要曲線を右にシフトさせる圧力となっている」「原因が量的な保育所の不足だけではなく、
保育サービスの質的な内容にもあるからだ。例えばその地域の認可保育所に自分の子供を預けるだけの空きがあったとしても、そこが1日8時間、朝の9時から夕方の5時までしか預かってくれないのであれば安心して子供を通園させることはできない。想像して欲しい。平均的な日本の企業に勤める共働きのサラリーマンのうちどれだけが、朝、子供を預けてから通勤時間も含めて8時間以内に引き取りに来ることができるだろうか?このように硬直した公立を中心とする認可保育所のあり方が、需要ギャップを拡大させている」というのが全国的な傾向だそうであります。答弁の中では、定員に満たない保育所、保育園があるというふうにおっしゃっていましたが、多分地域偏在の問題があるんだろうと思います。
この中では、また、この松下政経塾の塾報では、イギリスが保守党政権時代に行おうとしたバウチャー制度なるものの紹介も行われております。このバウチャー制度というのは、「政府は4歳以上の児童一人あたり1100ポンド(約26万円 98年7月)相当のバウチャーを支給する。」バウチャーとはチケットのことだそうであります。「親は公立・私立を問わず、また幼稚園でも保育所でも、さらにはベビーシッターでも政府がその資格を認めたところならば選択することができる」という制度だそうであります。ところが、これは1年余りでいろいろな事情で挫折を余儀なくされたそうでありますが、このような、ある意味でいえば経済学的にいう市場原理の導入というもので保育需要に積極的にこたえようとするという姿勢は評価すべき点が多いと、この論文では結んでおります。
保育制度は児童福祉法に定められた国の機関委任事務と位置づけられるような制度でございますので、青森市単独でバウチャー制度までというところは大変難しいと思いますが、現在の施策の中でも、まだまだ改善すべき余地はあると思います。ただいま指摘したように、前の定例会でも申し上げましたが、なかなか1日8時間で仕事を終わって帰るという家庭はそうは多くございません。民間企業は相当厳しい中で働いております。不況になればなるほど、皆さん大変お忙しい、こういう実態があるわけで、保育所の施策が実態に即しているのかどうかという認識についてあるか、その辺についてもう1回伺いたいと思います。
それから、生涯学習についてでございます。
12年度までに向けて作業を進めていらっしゃるということでございます。欲を言えば、もうちょっと早くならないかなという感じはいたしておりますけれども、中身についてどのような、総合的なというふうな表現がございましたが、21
世紀創造プランとは違う部分で、どういうところを強化したいのか、もし腹案をお持ちでしたらお聞かせ願いたいと思います。
それから、
市民センター整備につきましてでございます。
指摘しましたように、なかなか人口密集地で建設をされない、そういう地域での問題は、例えば所管は違いますが福祉館の老朽化であるとか、そういう拠点に対するいろいろな、もろもろな要求がこの
市民センターというものとして具現化をされているというふうに御理解をいただきたいと思います。いろいろ中心部につきましては、佃小学校の活用等もございますが、なかなか教室1つというのでは制約もございますし、例えばちょっとジュースでも飲みながら懇談したいという場合は、学校ではなかなかやりづらいという現象が発生をいたしております。その辺につきましてはどのようにお考えなのか。以上につきまして再質問といたします。
16 ◯議長(工藤徳信君) 保健福祉部理事。
17 ◯保健福祉部理事(板橋盟紀君) 再質問にお答えを申し上げます。
現在の本市の保育所は実態に即しているのかと、このようなお尋ねかと存じます。保育所は、保育を必要とする児童を保育する施設でありますが、施設の規模によって定員が定められております。したがいまして、入所希望が定員を下回る場合には全員が入所できますが、定員を超える場合には保護者の就労状況によりまして保育を必要とする度合いを判断し、定員の中で入所を決定しているところでございます。しかし、それでも入所できない場合には、特例として認められている定員外入所制度によりまして入所を決定しておりますが、それでも入所できない場合には入所待機となっているところであります。
9月1日現在の入所状況は、私立が104.14%、公立が67.83 %、全体では97.74 %となっております。その中で、定員外入所は、9月1日現在で52カ所に215 人が入所しております。待機児童は127 名となっております。この待機児童のうち、特定の保育所1カ所だけを希望している方が107 人で、全体の84.25 %になっております。その保護者の就労状況は、休職中や短時間の内職パートなど、比較的保育を必要とする度合いが低いと思われる方が119 人で、93.70 %となっております。このようなことから、今後は待機となっている方には何とか第2希望や第3希望を出していただきまして、極力全員が入所できるようにしてまいりたいと考えております。
ちなみに、待機児童が127 人に対し、9月1日現在の欠員状況は336 人となっているところでございます。このような実態から申し上げまして、保育所は十分実態に即しているのではないかと、このように考えているところでございます。御理解を賜りたいと存じます。
18 ◯議長(工藤徳信君) 生涯学習部長。
19 ◯生涯学習部長(齋藤勝君) 川村議員の再質問にお答え申し上げます。
まず、生涯学習計画の内容でございますが、現時点では具体的な内容につきましては定まっていない状況でございます。今後の作業の中ではっきりしてまいりたいと、このように考えております。
次に、
市民センターでございますが、
市民センターの今後の建設につきましては、現在の21
世紀創造プランの中には具体的な計画は掲げてございません。しかし、また佃中学校の改築計画も明確になっておりませんが、これからの計画のローリングの中で、実情を総合的に勘案しながら検討していくべきものと考えてございます。
20 ◯議長(工藤徳信君) 5番川村智君。
21 ◯5番(川村智君) ただいま保健福祉部理事からいろいろ数字の説明がございました。もうちょっと詳細なデータを知りたいと思いますので、後で控室でちょっと御相談をしたいと思います。
いろいろ申し上げたいこともございますが、時間内で間に合いそうにございませんので、12月議会でまたやりたいと思います。ありがとうございました。
午後5時2分散会
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