大分県議会 > 2022-12-07 >
12月07日-04号

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  1. 大分県議会 2022-12-07
    12月07日-04号


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    令和 4年 第4回定例会(12月)     令和4年第4回大分県議会定例会会議録(第4号)令和4年12月7日(水曜日)  -------------------------------議事日程第4号            令和4年12月7日              午前10時開議第1 一般質問及び質疑、委員会付託  -------------------------------本日の会議に付した案件日程第1 一般質問及び質疑、委員会付託  -------------------------------出席議員 41名  議長        御手洗吉生  副議長       古手川正治            井上伸史            吉竹 悟            清田哲也            今吉次郎            阿部長夫            太田正美            後藤慎太郎            衛藤博昭            森 誠一            大友栄二            井上明夫            鴛海 豊            木付親次            麻生栄作            三浦正臣            嶋 幸一            元吉俊博            阿部英仁            成迫健児            浦野英樹            木田 昇            羽野武男            二ノ宮健治            守永信幸            藤田正道            原田孝司            小嶋秀行            馬場 林            尾島保彦            玉田輝義            平岩純子            吉村哲彦            戸高賢史            河野成司            猿渡久子            堤 栄三            荒金信生            末宗秀雄            小川克己欠席議員 2名            志村 学            高橋 肇  -------------------------------出席した県側関係者  知事        広瀬勝貞  副知事       尾野賢治  教育長       岡本天津男  代表監査委員    長谷尾雅通  総務部長      若林 拓  企画振興部長    大塚 浩  企業局長      磯田 健  病院局長      井上敏郎  警察本部長     種田英明  福祉保健部長    山田雅文  生活環境部長    高橋 強  商工観光労働部長  利光秀方  農林水産部長    佐藤 章  土木建築部長    島津惠造  会計管理者兼会計管理局長            廣末 隆  防災局長      岡本文雄  観光局長      秋月久美  人事委員会事務局長 後藤 豊  労働委員会事務局長 田邉隆司  -------------------------------     午前10時 開議 ○御手洗吉生議長 これより本日の会議を開きます。  ------------------------------- △諸般の報告 ○御手洗吉生議長 日程に入るに先立ち、諸般の報告をします。 まず、監査委員から、地方自治法第199条第9項の規定により、知事室など141か所の定期監査の結果について、東部振興局日出水利耕地事務所など23か所の臨時監査の結果について、それぞれ文書をもって報告がありました。 なお、調書は朗読を省略します。 次に、第106号議案職員の給与に関する条例等の一部改正等について、地方公務員法第5条第2項の規定により、人事委員会の意見を聴取した結果、適当と考える旨、文書をもって回答がありました。 以上、報告を終わります。  -------------------------------御手洗吉生議長 本日の議事は、議事日程第4号により行います。  ------------------------------- △日程第1 一般質問及び質疑 ○御手洗吉生議長 日程第1、第102号議案から第117号議案まで並びに第5号報告及び第6号報告を一括議題とし、これより一般質問及び質疑に入ります。 発言の通告がありますので、順次これを許します。衛藤博昭君。  〔衛藤議員登壇〕(拍手) ◆衛藤博昭議員 おはようございます。9番、自由民主党の衛藤博昭です。このたびの定例会においても貴重な一般質問の機会を与えていただき、誠にありがとうございます。 議会の諸先輩、同僚諸氏に、そして、中継を御覧いただいている皆様、日頃の活動を支えていただき、議会に送り出していただいている支援者の皆様に感謝、御礼申し上げます。 振り返ると、私が初当選した平成27年は、大分駅ビルと県立美術館が開業し、大分のまちが大きく変貌を遂げ、大分がこれから変わっていくという期待にあふれていました。翌平成28年には熊本地震が起きました。本県でも大きな被害が発生し、危機的な状況でしたが、広瀬知事におかれては、九州地方知事会長としてのリーダーシップも発揮されながら、完璧な危機管理で乗り越え、そして、一時的に落ち込んだ観光誘客もⅤ字回復を遂げました。平成30年には国民文化祭、全国障害者芸術・文化祭を開催し、令和元年にはラグビーワールドカップが開催されました。知事のリーダーシップの下で官民一体となり練り上げられた誘致活動がなければ、あれだけのカードが大分で開催されることはなかったと思います。 この頃の大分県は、希望で輝いていました。今日よりも明日が良くなる、バブル崩壊後の失われた30年。斜陽の国で育った我々の世代が、初めて明るい未来を描けた時代でもありました。県議会の立場から、広瀬県政という歴史に残る時代に立ち会えた幸運に感謝します。 結びに、広瀬知事をこれまで支えてこられました夫人に心より敬意を表します。 選挙の洗礼を受ける政治家の家族は、政治家本人に面と向かって言えないことを周囲から言われたり、時につらい思いをすることもあります。選挙になれば、本人に成り代わり家族が代理で駆り出されることもあります。そのような中で、陰にひなたに知事を支えてこられた奥様あってこその20年間の広瀬県政でもあったのではないでしょうか。 不出馬を表明された記者会見で、知事を引かれた後は第2のふるさと、スペインに行きたいと述べられたと伺っています。ぜひ奥様と一緒にスペインを旅し、得意料理と評判のパエリアにますます磨きをかけていただければと思います。ありがとうございました。 それでは、改めて一般質問に入ります。 初めに、県職員のエンゲージメントについて伺います。 県議会議員に当選以来、多くの県職員と様々な政策議論をしてきました。優秀な職員に接し、地方自治の多くを学びました。時に意見が激しくぶつかることもありましたが、大分県をよりよくしたいという思いは共通し、共有できていたと思います。 近年、若手職員を中心に離職が増えているという話を伺います。自分自身も仕事で関わった優秀な若手職員が何人か退職していくのを見てきました。人口減少が進む中、有望な人材の奪い合いに大分県庁もますます直面しているように感じます。最近の部長会議でもこの問題がテーマになったと仄聞しています。 少子高齢化の下、人的資本の価値が高まる中で、個人と組織の成長の方向性が連動し、互いに貢献し合える関係という意味のエンゲージメントという概念が注目されています。 知事は職員のエンゲージメントについてどのように考え、20年間県政のかじ取りをしてこられたのか、そして、活力ある県庁のためにトップはどうあるべきか、考えを伺います。 以降は対面席より質問します。  〔衛藤議員、対面演壇横の待機席へ移動〕 ○御手洗吉生議長 ただいまの衛藤博昭君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 ただいま衛藤博昭議員から大変温かい慰労の言葉をいただき、恐縮でありました。ありがとうございます。ただ、お言葉の中で我が家のパートナーについての言及もありましたが、こちらは我が家の大変強力な家庭内野党としていつも言いたいことを言われており、こちらが対応に大わらわだったことを一言申し添えます。 それでは、県職員のエンゲージメントについてお答えします。 私は就任以来、県の仕事に対する姿勢とその仕事で目指す目的について、県職員が思いを共有することが非常に大事だと考えて、新規採用職員訓示式や職員研修などには毎年出席し、公務員として、県勢を発展させ、県民を幸せにするために仕事をすることに誇りと自負を持って職務に励んでほしいと繰り返し伝えてきました。当時はまだそんなことはありませんでしたが、今でいうエンゲージメントの向上には役立ったのではないかと思っています。 県庁の中で机の前に座って仕事をしているだけでは何も進みません。現場に出かけていって、県民の皆さんの悩みを直接聞き、どこにニーズがあるのかを知る現場主義が重要であるとも言ってきました。 また、ただ悩みを聞けばいいというわけでもない。しっかりと思いを聞いた上で、公務員として培ってきた専門知識をいかして、その悩みを解決し、それに喜びを感じるようになることが大事だとも訴えてきました。 こうした具体的なやり方を職員に話し、理解していただくことも大変大事だと思っています。 令和元年の大分県職員の20代以下の離職率は2.0%であり、民間企業の離職率17.6%と比較して大きく下回っています。これは、職場環境を整えるだけではなくて、訓示や研修を通じて、県庁が組織として職員一人一人と県の仕事の姿勢や目的を共有し、職員が同じ方向性を持って施策を進めてきた成果だと考えています。 今後もエンゲージメントの高い職場であり続けるためには、これから県庁に入る人たちにも、しっかりとした職業観を持って入ってもらうことが重要だと思っています。 若い人たちの中には、自分がどう生きるか、何のために仕事をするのか、それが分からずに立ち止まってしまう人たちも多くいます。そうならないためにも、学生の頃からのキャリア教育により、家庭や学校で仕事について話をし、自分が将来何をやりたいか、そのためにどんな仕事を選ぶのかについて考え、努力することが大事だと思います。 教育委員会も、そういった意味でキャリア教育についても力を入れて最近考えていただいています。 ○御手洗吉生議長 衛藤博昭君。 ◆衛藤博昭議員 ありがとうございます。大分県庁という職場が、やりがいや愛着、思い入れを持てる職場になっているか、組織としてのセルフチェックもこれから大事な要素になってくると思います。自分が役に立っていると実感できる職場づくりができているか、自由に意見を言えるかなど、若手職員の働きがい、エンゲージメントを高める工夫も、これからの時代はますます重要になってくるかと思います。 この7年半、県議会での仕事を通じて、数多くの立派な職員に接してきました。改めて、今後も活力ある大分県庁であってほしいと強く願っています。 次に、新型コロナウイルス対策について伺います。 新型コロナウイルス感染症については、全国的に新規感染者数が増加傾向にあります。南半球でインフルエンザ新型コロナウイルスの同時流行が先行的に発生した中で、今後、年末年始に向けた人流の増加や季節性インフルエンザとの同時流行により、これまで以上に保健・医療提供体制が逼迫することが懸念されます。 インフルエンザ新型コロナウイルスは症状に類似点が多い一方で、感染症の分類の違いから隔離基準など罹患時の対応も異なります。 仮に新型コロナが今夏のような流行規模となり、かつインフルエンザが過去7年間で最大となった2018年と同じ規模であった場合、県内における患者数は、合わせて最大で1日約7千人と想定されるとの発表があり、外来医療体制の逼迫が懸念されます。特に、平日の診察能力の確保はもとより、大半の医療機関が休業する土日や祝日には発熱外来等が逼迫するおそれがあるため、その対策が必要です。 また、検査体制の強化も重要です。検査による迅速な診断がより一層求められる中で、新型コロナウイルス感染症季節性インフルエンザを同時に検出できる抗原検査キットなどの検査用品を十分に確保し、検査体制を強化しておくことも重要です。加えて、高齢者施設等、クラスターが発生しやすい施設における感染対策も忘れてはなりません。 令和2年3月に県内で初めてコロナウイルス感染症への感染が確認されてから、早くも3年余りが経過しようとしています。本県では、時には国と歩調を合わせ、時には独自の対策を講じながら、コロナウイルス感染症へ立ち向かってきました。これまでの対策を総括するとともに、これらの知見をいかして、第8波にどのように対応していくのか、知事に伺います。 次に、救急搬送対応について伺います。 第7波では、第6波までを大きく上回る感染者の急増による病床圧迫と、医療機関でのクラスターの発生や濃厚接触者の急増による医療従事者の不足もあり、救急医療体制もまた危機に瀕する状況が発生し、救急搬送の困難事例が増加しました。 報道でも取り上げられましたが、高熱、ふらつき、意識障がいで救急要請のあった県内の50代の女性が、11の病院に合計14回の受入要請を行ったが受入れを断られ、12番目の病院でようやく搬送ができたものの、翌朝死亡するというショッキングな事例がありました。この女性は、発熱はありましたが、コロナは陰性で死因は熱中症でした。 管外搬送を想定した広域搬送のさらなる強化が必要となりますが、本事案を受け、第8波における救急搬送困難事例を減らすため、どのような対応を県として行っているか、福祉保健部長に伺います。 また、救急搬送困難事例への対応は、病院、救急、医療行政を始め、多くの関係者の協議と調整が必要になります。本来であれば、関係者が集まり、意見や情報を吸い上げ、対応を検討する場として、大分県新型コロナウイルス感染症対策協議会が設置されていましたが、第4波を最後に開催されていないと伺っています。協議会が第4波以降開催されていないのはなぜなのでしょうか。救急搬送関係者との協議の状況について、あわせて伺います。 次に、長期化する入院患者への対応について伺います。 第7波の病態の特徴として、感染によって発熱や倦怠感、食欲の減退、咽頭痛により食事が取れなくなり、体力が低下し、夏場の気温の上昇による脱水、意識障がいを起こす事例が多く見られました。特に、高齢者で症状が悪化する方が多く、それまでは元気だった方がコロナ感染によって体力が低下し、入院中に介護が必要な状態になってしまうものの、コロナの症状が回復しても自宅に介護体制がないため、病院から先の受入先が見付からず入院が長期化しコロナ病床が不足するという問題が発生しました。 このようなケースに対応するために後方支援病床という制度を設けていますが、残念ながら効果的に機能していないのが実態です。コロナ病床の入院の長期化を抑え、入院が必要とされるのに入院できない方を減らすため、どのように取り組んでいくのか、福祉保健部長に伺います。 ○御手洗吉生議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 まず私から、新型コロナウイルス対策のこれまでの総括と今後の感染拡大防止についてお答えします。 令和2年3月に県内で初めて感染者が確認されて以来、これまで7度にわたって大きな波が押し寄せてきました。この間、県では、検査や医療提供体制の整備、ワクチン接種などに全力を挙げて取り組んできました。 検査体制については、1日最大2万件余りの検査能力を確保したほか、無料検査場の整備や検査キットの配布も行っています。 医療提供体制については、入院病床を最大56病院552床、宿泊療養施設も最大11棟、1,370室まで拡大しました。加えて、診療・検査医療機関も561か所と全国6位の水準まで確保しています。 ワクチン接種については、市町村と連携して1日最大1万人の接種体制を整えており、県営接種センターでは、平日夜間や休日の接種機会を提供し、好評いただいています。 また、長期にわたるコロナ禍にあって疲弊した経済の立て直しも急務であることから、感染拡大防止に対応しながら、あわせて社会経済の再活性化を図っていく必要があります。 このため、オミクロン株の流行下では、感染の中心が飲食の場から高齢者施設や学校、家庭内へと変わってきたことから、営業時間短縮などの行動制限は効果が薄いと判断し、換気対策の徹底へと軸足を移しました。 この冬はコロナとインフルエンザの同時流行が危惧されますが、経済を止めることなく、次の対策に取り組んでいきます。 まずは、診療・検査医療機関をさらに追加するとともに、診療時間の拡大等を図り、平日の診療能力を約1万人として、十分な外来医療体制を確保していきます。 加えて、日曜・祝日対策としては、医師会等の協力をいただき、ドライブスルー方式の発熱外来等を実施する予定です。 また、高齢者施設等クラスター対策としては、約6,700の施設に抗原検査キットを268万個配布し、職員の定期検査を促しています。 なお、コロナとインフルエンザ同時検査キットについては、医療機関向けに十分な量が確保されており、自己検査用に一般販売も解禁されました。 感染拡大防止には、何よりも県民一人一人の取組が欠かせません。換気を始めとする基本的な感染対策の徹底や乳幼児なども含めたワクチン接種等について、引き続き呼びかけていきます。 今後も、感染状況に応じた対策を臨機に講じながら、感染拡大防止に万全を期していきます。 ○御手洗吉生議長 山田福祉保健部長。 ◎山田雅文福祉保健部長 私からは2点お答えします。 1点目は、救急搬送体制についてです。 8月中旬の1週間当たりの搬送困難件数は、それまでの最多件数を11件上回る48件となり、議員御指摘の死亡事案はこの時期に発生したものです。 感染の有無がその場で把握できれば、搬送時間の短縮につながる可能性がありますが、現行法では救急救命士は抗原検査を行うことができません。 このため、県では、消防や救急病院、医師会等と検討を重ねた結果、救急車に抗原検査キットを準備し、患者や家族の同意の下、自己検査する方法で対応することとしました。 具体的には、コロナの疑いがあり2回受入れを断られた場合に実施することとします。本日12月7日から、搬送件数の多い大分市、別府市で試行を開始し、効果を検証した上で他地域への横展開を検討することとしています。 なお、御指摘のあった新型コロナ感染症対策協議会は、流行初期に、幅広い関係者により、コロナ対策の基本方針等を諮るために開催したものです。 一方、個別分野に特化した迅速性が求められる課題については、下部組織の専門部会に諮るほか、今回のように必要な関係者を緊急に招集して協議し、方針を決定することとしています。 続いて、2点目の長期化する入院患者への対応についてです。 議員御指摘のとおり、限られたコロナ病床を効率的に運用していくためには、後方支援病院の役割は大変重要と認識しています。 第7波においては、1日に3千人を超える新規感染者が発生するなど、これまでに比べ桁違いの流行となったため、県ではコロナ病床の確保と宿泊療養施設の拡充を優先的に進めてきました。 この結果、コロナ病床を10病院44床上積みし、56病院552床とこれまでの最大規模を確保しましたが、上積みした10病院のうち、6病院はやむを得ず後方支援病院からの転換で賄ったため、17か所あった後方支援病院が11か所に減少したものです。 後方支援病院の確保は全国的な課題となっていることから、さらなる確保に向け国に対し、全国知事会を通じて、後方支援病院への財政支援の拡充を要望しています。 引き続きコロナ患者が安心して療養できる体制づくりに努めていきます。 ○御手洗吉生議長 衛藤博昭君。 ◆衛藤博昭議員 ありがとうございます。救急搬送困難事例の問題は、現行法を踏まえた独自対応をされているということで大変感謝しています。 現場の医療機関、救急、消防など、多くの関係者がしっかりと協議、調整する場を設けていただき、現場の最前線で働く方々が納得感を得られる体制を整えていくことを切に望みます。 後方支援病床の問題は、御答弁のように、コロナ病床確保が最優先であることは理解していますが、第4波の頃、1年半以上前から十分に機能していないとの指摘が現場からなされています。有効な改善が行われないまま、ここまで来ているところもあります。 最大の課題は、患者の費用負担とその財源だと思いますが、令和3年度決算を見ると、新型コロナウイルス感染症療養体制確保事業費は、予算に対して12億2,800万円の未使用がありました。国庫事業として要件等もあるとは思いますが、このような未使用の財源などを基に、新たに老健施設なども活用してコロナ病床の回転率を上げて、第7波で問題になった入院長期化の解消を図っていくことができればと思います。国への働きかけも含め、後方支援病床の問題にもしっかり御対応いただくよう、よろしくお願いします。 続いて、新たな産業の基盤づくりに向けた人材育成について伺います。 米中対立の激化や、新型コロナによるパンデミック、ロシアのウクライナ侵攻など、近年、グローバル化した経済を揺さぶる事態が相次いでいます。多くのグローバル企業では、様々なリスクを念頭に置いたサプライチェーンの見直しが進んでおり、米国や欧州などでは、基幹産業の核心となる半導体や蓄電池などの域内投資が活発になっています。 日本でもお隣の熊本県において、世界最大の半導体メーカーとも言える台湾のTSMCが新しい工場の建設を開始しています。企業の投資先の選定には、人材の確保も重要なファクターの一つだと思います。 TSMCの工場建設が進む熊本県では、熊本大学とTSMCの共同研究施設の開設や、熊本大学における半導体人材を育成する学部の新設が相次いで発表されています。高専についても、国立高等専門学校機構の旗振りの下、熊本高専と佐世保高専において、半導体に特化したカリキュラムがスタートしています。また、国でも、シリコンアイランド九州の復活を目指し、九州半導体人材育成等コンソーシアムを設立し、こうした動きを熊本県にとどまらず九州全域に広げようとしています。 また、全国に目を転じれば、半導体だけではなく、関西ではカーボンニュートラルのキーテクノロジーである蓄電池に着目し、蓄電池製造に関わる人材の育成、確保を目的とした産学官のコンソーシアムが発足しています。これから高専や工業高校で、そのための教育カリキュラムの導入などが検討されていくようです。 このように、各地で次の時代の地域産業の基盤づくりに向け、産学官の連携による人材育成の動きが加速しようとしています。半導体については、本県の経済を支えてきた重要な産業の一つであり、いまだ大企業の工場も健在です。また、大企業に育てられた中小企業も、半導体にとどまらず新たなビジネスに挑戦するなど、県経済の活力を支える存在となっています。 本県においても、こうした企業を核に、さらなる投資を呼び込んでいくためにも、大学や高専と連携した人材育成を強化していく必要があるのではないかと思います。こうしたことを踏まえ、新たな産業の基盤づくりに向けた産学官連携による人材育成について知事に伺います。 次に、企業立地適地について伺います。 米中対立を背景とした世界的なサプライチェーンの再構築が進む中で、本県もこの機会を逃さずに企業誘致に結び付けていく必要があります。 今後、企業誘致を積極的に進めようとする中で気がかりな点が二つあります。 一つは、用地の問題です。さきの令和4年第2回定例会の一般質問でも伺いましたが、流通業務団地が全て商談に入り、最も企業側からのニーズが高い大分市において大型の用地が不足しています。大分市も含めた県内の企業立地適地確保の状況について商工観光労働部長に伺います。特に大分市について協議も踏まえた最新の状況をあわせて御教示願います。 次に、新規誘致に向けた工業用水の確保について伺います。 半導体産業の重要性が一層高まる以前から、本県は広瀬知事のリーダーシップの下、LSIクラスター事業など、かなり早い段階から半導体産業の集積に努めてきました。 米中経済戦争と呼ばれる現状で半導体がその中心となっているところを見るに、世界情勢まで先読みして布石を打ってこられた知事の御慧眼に感服するばかりです。 さきの令和4年第2回定例会の一般質問においても、サプライチェーンの再構築の中での企業誘致で半導体産業や自動車産業の企業が多いとの話でした。 ここに来て心配されるのが、工業用水の確保の問題です。とりわけ半導体産業は、その製造工程で大量の水を使用することで知られています。一方で、直近では、企業局の提供する工業用水の契約率が99%を超えたとの話も伺っています。今後、新規誘致を加速する必要がある中で、誘致の話が進む一方で、必要とする工業用水が提供できないために破談になることがあってはいけないと懸念しています。 企業局の契約水量が100%に近い水準を迎えている今、どのように対応する考えでしょうか。持続可能なものづくり環境の構築を目指し、新規誘致に向け工業用水をどのように確保していくのか、商工観光労働部長に伺います。 ○御手洗吉生議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 まず私から、新たな産業の基盤づくりに向けた人材育成についてお答えします。 新たな産業の基盤づくりを担う人材の育成は、大分県のものづくり産業を支えるとともに、産業構造の転換に対応して、本県が持続的に成長するために大変大事な課題です。 そのため、ものづくり未来会議おおいたにおいて、2030年、2050年を見据えた産業の在りたい姿に思いを巡らせて、それを実現するための人材育成等の議論を深めています。 会議では、ものづくり現場が必要とするその具体的な人材像や、その育成、確保に向けた産学官の連携による効果的な人材育成のアイデアなど、様々な御意見をいただいています。 国においても、DX等の成長分野を推進していくためには、特にデジタル人材等の高度専門人材の育成が必要だとの強い危機感の下で、文部科学省や経済産業省等の関係省庁が一体となって取り組んでいます。私も全国知事会等を通じ、デジタル人材の育成体制の強化を強く要望してきました。その結果、国の第2次補正予算で、大学の学部再編等による成長分野への転換等のため、基金が3,002億円もの規模で創設されました。 県としては、産学官が連携した人材育成をこれまでも重点的に進めてきましたが、産業界や大学等の新たなニーズに応え、できる取組を既に開始しています。 例えば、本年9月には大分大学理工学部教員とLSIクラスター形成推進会議の会員企業が一堂に会して、大学の研究と企業の技術とのマッチングや意見交換を行いました。さらなる連携についても議論を進めています。せっかく基金ができたので、そういうものの活用方法としても、大学としてさらなる議論を進めて前に持っていきます。 また、大分高専では、イメージセンサーやパワーデバイス等の半導体技術の実用例について、半導体関連企業の現役のエンジニアによる授業の実施に向け、調整を図っています。1月から一部の授業を開始できる見込みとなっています。 さらに、県立工科短期大学校では、来年度に学科を再編し、製造ラインへのIoT導入等に対応できる人材を育成します。その際、自動車メーカーのエンジニアを講師に招いて、業界ニーズも踏まえた技術指導等を行います。 半導体人材の育成は、大分県に限らず、シリコンアイランド九州の各県が共有する課題です。このため、産学官で九州半導体人材育成等コンソーシアムを本年立ち上げ、必要とされる人材像の調査や、産学官が連携した講座の検討等を進めています。本県も、他県に先駆けて設立した企業会の強みをいかして、コンソーシアムの議論をリードしていきます。 今後も、産業界や大学、高専等との連携を一層強化して、本県のものづくり産業を将来にわたって支えていく人材の育成にしっかりと取り組んでいきます。
    御手洗吉生議長 利光商工観光労働部長。 ◎利光秀方商工観光労働部長 企業立地適地についての御質問と、新規誘致に向けた用水の確保についての御質問にお答えします。 まず、企業立地適地についてです。 企業誘致には、多様化する企業の要望にタイムリーに対応できる適地が欠かせません。大分市の流通業務団地は、ほぼ完売の状況ですが、玖珠町、豊後高田市の北部中核工業団地に加え、宇佐市や中津市も新たに適地を整備しています。 特にニーズが高まっている大規模工業用地については、臼杵市が整備中の野津東部工業用地に加え、今年度から拡充した補助金を杵築市に早速活用いただき、地質調査などが始まっています。適地確保に向けた動きがこのように各地で進展している状況です。 県も様々な取組に対し、相談や助言、加えて民間開発事業者への営業活動の強化など、引き続き支援していきます。 大分市とは企業誘致に向けた議論を重ねてきましたが、用地を開発、分譲する民間事業者向けの補助金を大分市が創設し、本年10月から公募しています。県も県外事務所を含め、周知に努めています。 現在開催中のものづくり未来会議おおいたの場などを通じ、企業の意見や要望をしっかりと受け止めた上で、市町村と引き続き連携しながら、受入環境の整備を通じたさらなる企業誘致に全力で取り組んでいきます。 続いて、新規誘致に向けた用水の確保についてです。 新たな企業誘致にあたっては、用水の安定的な確保も重要なポイントです。河川を水源とするには流量などの調査や許認可等の手続、供給体制の整備など、時間も費用も必要です。そのため、9月補正で県内河川の用水確保可能量調査にまず着手しました。 企業局の工業用水については、新規企業の申込みに備え、供給余力を確保するには大規模な施設整備が必要となるので、既存利用者の料金値上げにつながりかねない状況です。 これまで新規申込みには、既存利用者と使用料を調整して対応してきました。今後とも既存利用者の操業に支障がないよう対応していきます。 しかしながら、さらなる企業誘致に備えた工業用水確保は、引き続き県と大分市が連携して取り組むべき課題です。河川以外の水源確保の検討も重要であり、排水の再資源化などの可能性について市と協議しています。 大分市以外も用水確保に苦慮している状況です。用水不足を理由に本県に関心を持つ企業が投資を断念することがないよう、引き続きしっかりと対策を講じていきます。 ○御手洗吉生議長 衛藤博昭君。 ◆衛藤博昭議員 ありがとうございます。企業誘致については、国内の他都道府県との競争のみならず、海外との立地競争にも勝ち残っていけるような環境整備を今後ともどうぞよろしくお願いします。 次に、放課後児童クラブの待機児童について伺います。 学童期の保育機能を支える放課後児童クラブは、安心して子育ても仕事もできる環境づくりを目指す本県において重要な存在であり、御夫婦で働く家庭からも強いニーズがあります。施設数は年々増加するなど行政側も努力していると伺っていますが、それを超えて希望者も増加し、待機児童が多く発生していると伺っています。 国全体では、放課後児童クラブの待機児童数は10年前の1.8倍に増えていますが、本県における放課後児童クラブの待機児童数の現状を福祉保健部長に伺います。 また、未就学児の認定こども園、幼稚園、保育所の待機児童数との比較状況もあわせて御教示ください。 次に、放課後児童クラブの運営について伺います。 放課後児童クラブは運営上いくつかの課題を抱えています。 一つ目が開所時間です。18時半までに閉所してしまう施設が全体の約4割を占め、夏休みなど長期休暇中の預かり開始が8時以降の施設が6割以上を占めるなど、働く保護者のニーズと乖離が生じています。このため、フルタイム就労ができず転職を迫られるケースも発生するなど、ニーズに合わせた開所時間で対応できる施設が限られているという課題があります。 次に、保護者負担です。月の利用料が6千円未満の施設が46%であるのに対して、6千円以上1万2千円未満の施設が44%を占めるなど、施設ごとの利用料に格差が生じています。過疎地では放課後児童クラブを利用していないと遊び相手がいないとの声もある中で、住む地域によって利用料を払える、払えないという問題が生じています。 最後に、職員の確保難です。責任の割に給与が低い、職員が高齢化し、先が見通せない、不定期シフトが対応可能で、夏休み対応の可能などの人材が集まらないといった課題を抱えています。このような待遇と勤務内容のミスマッチは、施設の自助努力だけでは限界があります。 国による運営支援を比較すると、令和4年の当初予算ベースでは、認定こども園、幼稚園、保育所の1か所当たりの支援額が3,048万円に対して、放課後児童クラブは1か所当たり364万3千円と約8倍の差があります。運営形態が違うので単純な比較は難しいですが、保護者負担や職員の確保難などに対する負担の軽減や財政支援の強化は、放課後児童クラブの待機児童解消にもつながるし、多くの子育て世帯から強く求められています。 こうしたことを踏まえ、放課後児童クラブを取り巻くこれらの課題をどのように認識し、今後どのように対応していく考えなのか、福祉保健部長の見解を伺います。 次に、プレコンセプションケアについて伺います。 卵子は、女性が生まれる前から持っており、胎生期が最も多く、その後は新たに作られることなく、年齢を重ねるとともに卵子の数は減っていきます。また、年齢が高くなるにつれて、卵子の老化が起こることが分かっています。特に、30代以降は徐々に老化が進み、妊娠率が下がるとともに、子どもの染色体異常の発生率も上昇していきます。 こうしたことから、最近は、妊娠前からのケアを意味するプレコンセプションケアが注目を集めています。 他の自治体では、その考え方の普及にとどまらず、一歩踏み込んだ支援を行う事例も出てきました。福岡市では、その取組の一つとして、クーポンを利用して医療機関で血液検査を受け、その検査結果とともに、医師から健康づくりに関わるアドバイスを受けることができる支援を自己負担額500円で実施しています。また、国東市でも県内初としてプレコンセプションケア健診費助成事業を本年8月から開始しています。 本県でも不妊検査費助成事業において、将来子どもを望む夫婦が早期に検査を受け、必要に応じ早期に治療へ誘導するための支援を行っているものの、不妊検査では心理的なハードルも高く、なかなか気軽な受診に結び付かないのではないかと懸念しています。 本県は子育て満足度日本一を目指して子育て政策を充実させてきました。単なる普及啓発だけではなく、このような実効性のある取組を進めることが出生数の増にもつながっていくのではないでしょうか。将来の妊娠を考えながら健康に向き合うプレコンセプションケアの推進について、福祉保健部長の見解を伺います。 ○御手洗吉生議長 山田福祉保健部長。 ◎山田雅文福祉保健部長 3点お答えします。 まず1点目は、放課後児童クラブの待機児童についてです。 放課後児童クラブは、子どもの健全な育成や共働き家庭等の支援に重要な役割を担っています。 県内の待機児童は、法改正で平成27年度から利用対象年齢が引き上げられたため、単純な比較はできませんが、10年前の平成23年度の18人から平成28年度の189人をピークに減少に転じ、令和3年度は32人となっています。 また、保育所や認定こども園における待機児童は、平成23年度の24人から、平成27年度には求職中の家庭の子どもも対象に加えられたため536人まで増加しましたが、令和3年度からはゼロとなっています。 放課後児童クラブにおける待機児童は、保育所と同様に、ピーク時からは減少しているものの、解消するまでには至っていません。 引き続き市町村と連携して、放課後児童クラブの施設整備や放課後児童支援員の育成に取り組み、一日も早く待機児童を解消できるよう、利用ニーズに見合う受皿の整備に努めていきます。 2点目は、放課後児童クラブの運営についてです。 開所時間については、限られた人材の中、地域の保護者ニーズ等を踏まえた運営に努めていただいており、県では、長時間の開所等に対する運営費の加算措置を行って支援しています。 保護者負担については、大分県内では利用料が6千円未満のクラブが9割を超え、全国と比較しても低廉となっています。また、低所得者向けに本県独自の減免事業も実施しています。 職員の確保については、放課後児童支援員の養成研修を行うほか、希望するクラブへの社会保険労務士の派遣を通じた労働環境の改善や賃金向上等に向けた取組を支援しています。 しかしながら、夏休みなど時期により就業時間が異なるというクラブ運営の特性もあり、依然、人材の確保、育成は大きな課題であると認識しています。 そのため、処遇改善につながる運営費補助単価の拡充等について引き続き国に要望するとともに、就業支援サイトの活用によるマッチング支援など、放課後児童クラブの人材確保をしっかりと応援していきます。 3点目は、プレコンセプションケアについてです。 若いうちから男女ともに、将来の妊娠等に備えて、健康に関する正しい知識や習慣を身に付けることは大変重要と考えます。 このため本県では、自身の健康やライフプランを考えるきっかけとなるよう、高校生等を対象に、出前講座の開催や啓発冊子の配布を行っています。 また、妊娠を希望する夫婦の早期の不妊検査を促すために、県独自で妊活応援検診助成制度として3万円を限度に支援しており、この対象には、福岡市が実施する抗ミュラー管ホルモン検査も含まれています。 しかしながら、この検査は卵子の数を血液検査で測定するものですが、得られる情報が限られるため、本県では医師が受診者の要望等に応じて、必要と判断する超音波検査や内分泌検査などに対しても幅広く助成することとしています。 今後も若い世代への普及啓発や助成制度の周知に力を入れ、将来の健やかな妊娠・出産を含めた希望するプランの実現に向けて、しっかり支援していきます。 ○御手洗吉生議長 衛藤博昭君。 ◆衛藤博昭議員 放課後児童クラブの問題については、自民党会派としても先日、厚労省を訪問して加藤勝信大臣に直接要望してきました。共働き、働き盛りの御夫婦にとっては、未就学児の保育のみならず、小学校入学後の放課後児童クラブも非常にニーズが大きいことを、改めて社会全体で共有していく必要があると思っています。 放課後児童クラブは、保育の延長線上にある、正に学童期の保育です。生産年齢人口が減少する中で、いかに働きたい人が働ける環境をつくっていくか、放課後児童クラブに代表される学童期の保育の充実は、その鍵を握っていると思います。 一時期、保育所の待機児童の問題が全国的に大きく取り沙汰された時期がありました。この問題は、国や地方自治体の努力もあって、徐々に解消されてきましたが、今後は学童期の保育、放課後児童クラブの充実にも一層取り組んでいただければと思います。 プレコンセプションケアは、答弁を伺うと不妊治療の文脈の中で語られていますが、私はむしろ、本来はライフデザインの話ではないかと思います。結婚の有無にかかわらず、ライフデザインを考える、希望される方が広く検査の対象となるような位置付けの見直しも今後御検討いただければと思います。 最後に、大分市内の渋滞対策について伺います。 大分市東部の渋滞対策については、私が県議会議員に当選して、初めて臨んだ一般質問の場でも取り上げました。 その年に、東部地区の渋滞対策として事業化された国道197号鶴崎拡幅については、新しい乙津橋の橋脚ができるなど、この7年半の間に、目に見えて進捗が図られており、地元の景色も変わり始めました。これも地域の皆様の御協力のお陰です。今後数年の間に新しい橋梁が完成し、渋滞の緩和といった事業効果を体感できることを期待しています。 一方で、大分市内全域に目を向けると、いまだ97か所もの主要渋滞箇所が残されています。朝夕を中心に、大分市街地を通過する国道10号や210号、県道大分臼杵線などの各交差点における渋滞はもとより、大分川や大野川を渡る橋梁部周辺の渋滞は依然として深刻です。 渋滞は、県民に時間の損失を与えるだけでなく、物流を始めとする経済活動にも大きな影響を及ぼします。これまで県議会でも、渋滞対策の必要性、重要性について、多くの議員が取り上げられてきました。 私も前回の一般質問の際に、国道197号バイパスの渋滞対策について見解を伺いましたが、東九州自動車道の4車線化や今後整備が進められるであろう中九州横断道路の宮河内接続などを考えると、大分市内全域でさらに渋滞が激しくなるのではないかと懸念します。 そこで、大分市内の渋滞解消のために、現在の交通の状況をどのように捉え、将来に向けたネットワーク整備をどのように進めていくのか、土木建築部長に伺います。 ○御手洗吉生議長 島津土木建築部長。 ◎島津惠造土木建築部長 高度経済成長期以降のモータリゼーションの進展に伴う道路整備の需要に対し、本県では国道10号や210号を始めとした幹線道路の整備を計画的に進めてきました。近年では、1日当たり2万5千台が通行する宗麟大橋の開通に伴い、周辺の橋梁等において渋滞緩和の効果が認められています。 一方で、県都大分市では、活発な社会経済活動の下、朝夕を中心に、議員御指摘のとおり、多くの渋滞箇所が残っています。 このため、まずは都市間連携軸として、国道197号鶴崎拡幅や庄の原佐野線など、周辺への大きな波及効果が期待される区間を重点的に整備しています。 こうした中、九州の東西を直結する中九州横断道路の宮河内接続は、広域的な物流や人流の活性化に大きく貢献するとともに、市内各所で車の流れを変化させると考えられます。 今後、長期的な交通動態を見定めつつ、都市計画決定済みの国道197号バイパスの4車線化や交差点の立体化を始めとした各所の渋滞対策について、整備効果や優先度を見極めながら、国や大分市と連携し、しっかりと取り組んでいきます。 ○御手洗吉生議長 衛藤博昭君。 ◆衛藤博昭議員 ありがとうございます。県議会議員として活動する中で、各地各所で地域からの切実な声として渋滞対策の問題を伺います。地域住民の安全・安心のみならず、大分県経済の発展にも大きな影響を及ぼす問題です。今後ともお力添えいただくよう、何とぞよろしくお願いします。 以上で一般質問を終わります。大変ありがとうございました。(拍手) ○御手洗吉生議長 以上で衛藤博昭君の質問及び答弁は終わりました。戸高賢史君。  〔戸高議員登壇〕(拍手) ◆戸高賢史議員 おはようございます。公明党の戸高賢史です。一般質問の機会をいただきありがとうございます。まずは、環境を巡る諸課題について質問します。 本県は緑豊かな山野、清らかな河川、変化に富んだ海岸線など豊かな自然に恵まれています。このような大分の恵み豊かな自然環境を守り、将来に継承するため、身近なごみ問題から地球温暖化といった地球規模に至る環境課題の解決に向け、環境活動を通じて地域を活性化する県民運動、おおいたうつくし作戦を展開してきました。県民の環境に対する意識の醸成と、持続可能な活動の基盤づくりに一定の成果を挙げてきたものと考えます。 例えば、企業やNPO法人、学識経験者など多様な団体で構成されるおおいたうつくし作戦県民会議を設置するとともに、県民一斉美化活動を始め、県内各地におおいたうつくし推進隊を組織し、活動基盤の強化を図ってきました。また、おおいたうつくし感謝祭などのイベントを通じて、幅広い世代に対し取組を展開しています。 こうした取組を継続して行っていくことは、資源の消費を抑制し、環境への負荷が少ない循環型社会の実現には不可欠であり、循環を基調とした地域社会を構築していくことは、本県にとっても大きな課題であると考えます。 また、県民一人一人が自らの問題として環境に関心を持ち、環境保全活動について自ら考え、主体的に行動することが必要であり、あらゆる世代やあらゆる場における環境教育がますます重要となってきます。 知事は就任以来、県民総参加型の取組であるごみゼロおおいた作戦を皮切りに、その成果をいかし、地域活性化型の環境保全活動にステップアップさせたおおいたうつくし作戦などを通じ、恵まれた環境の未来への継承に心を砕いてこられました。 こうしたことを踏まえ、就任以来この20年間の環境政策をどのように評価し、また、恵まれた環境の未来への継承に向け、今後どのように取り組んでいくのか、知事に伺います。 以下は対面より行います。  〔戸高議員、対面演壇横の待機席へ移動〕 ○御手洗吉生議長 ただいまの戸高賢史君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 戸高賢史議員から、環境の未来への継承について御質問いただきました。 本県は、全国に誇れる豊かな天然自然や恵まれた環境を有しています。このかけがえのない財産を将来にわたって確実に継承していくため、私は知事就任以来、県民の皆さんと共に、三つのことに力を入れてきました。 一つは、県民総参加による美しく快適な大分県づくりです。県民の声を広く環境施策に反映させたいという思いから、事業者やNPO法人、ボランティア団体などによる県民会議を創設しました。また県民運動として、自発的な活動を結集してクリーンな大分県を実現するごみゼロおおいた作戦を展開してきました。 作戦を支える推進隊は、今ではお陰様で225団体、2万3千人を超え、地域に密着した活動は県内各地に広がっています。平成28年度からは、この取組を喫緊の課題である大分県版地方創生につなげていくため、身近な美化活動を深化し、地域活性化を目指すおおいたうつくし作戦に発展させました。 例えば、杵築市の奈狩江地区では、荒廃していた松林を再生するだけでなく、地場産品を販売する奈多マルシェを開催するなど、地域のにぎわいづくりにつながっています。 環境教育にも力を入れました。環境分野の専門家をアドバイザーとして学校や地域に派遣し、その受講生は平成16年度の制度開始以来10万人を超えました。 環境を守り、継承していく二つ目の取組は、循環型社会に向けた仕組みづくりです。平成17年度に産業廃棄物税を導入して、事業者のリサイクル設備への支援などを行ってきたところ、令和2年度の再生利用率は69.1%と全国の53.4%を大きく上回っています。 あわせて、プラスチックごみ対策にも取り組み、平成21年度から国に先駆けて実施した県域でのレジ袋の無料配布中止は、その後の法整備につながったと考えています。 そして、三つ目の取組は、環境保全を本県の魅力につなげていくことです。美しい自然と快適な環境を守る努力は、地域に新しい価値を生み、活力と自信を育てます。これまで日本ジオパークの認定やユネスコエコパークの登録を通じて、ブランド力を高め、大分固有の魅力を発信してきました。また、さきのラグビーワールドカップ2019では、県民が一つになって環境美化などおもてなしに取り組み、国内外の観戦客から高い評価を得ました。再来年の福岡・大分デスティネーションキャンペーンに向けてもしっかりと準備を進めていきます。 地球温暖化や海洋プラスチックごみなど、世界的な環境問題にも果敢に挑戦し、引き続き大分の恵み豊かな自然環境を守り、次世代に継承できるようにしっかりと取り組んでいきます。 ○御手洗吉生議長 戸高賢史君。 ◆戸高賢史議員 知事、ありがとうございました。知事の20年間の様々な施策の中でも、こうした地球環境を守る、また、県民の意識醸成を高める、長きにわたる継続した取組は非常に評価できるものではないかと思っています。そういう意味では、さきほどラグビーワールドカップでのおもてなしの話もありましたが、サッカーのワールドカップの激戦の舞台裏では、日本人サポーターがごみを拾う。そして、それが世界に高く評価された。本当に日本の価値を高めるとともに、そういった行動を当たり前に行える日本のサポーターの行動は本当に誇りに思います。そういった方が次の世代に継承していくこと、そして、こういった県民の取組が、また未来の世代に継承していくこと、そうしたことを本当に期待していきたいと思っています。 もう一点、環境をめぐる諸課題で温泉資源の保護と適正利用の推進について伺います。 源泉数、湧出量ともに日本一を誇る本県の温泉資源は、おんせん県おおいたを支える大きな財産です。発電など地熱、温泉熱の利用が増加する一方で、地域によっては温泉資源の衰退が懸念されています。 別府市では温泉温度の低下や噴気、沸騰泉の減少が確認されており、県と別府市は平成30年から令和2年まで、別府市の全泉源を対象とした温泉現況調査と、将来の温泉資源量を予測する温泉賦存量調査を実施しました。 調査データを基に作成した地下構造のモデルと、今後の温泉利用のシミュレーションにより、将来の温泉資源量の予測を行う中で、本年4月から新たに二つのエリアについて新規掘削を認めない特別保護地域に指定しています。 既設泉の増掘等も行われることから、継続したモニタリング調査等、今後の温泉資源の保護推進が必要と考えます。貴重な資源である温泉の持続可能な利用に向け、県として温泉資源の保護と適正利用の推進についてどのように取り組んでいくのか、生活環境部長に伺います。 ○御手洗吉生議長 高橋生活環境部長。 ◎高橋強生活環境部長 温泉は本県にとってかけがえのない財産です。そのため、将来にわたり温泉を利用していけるよう、科学的根拠に基づき、掘削する場所と湧出量に着目し、保護に努めています。 まず、掘削する場所については、新たにこれを認めない特別保護地域や、既存の温泉から一定の範囲内で掘削を認めない保護地域等を指定し、規制を行っています。 次に、湧出量についてですが、用途や種類に応じて管の口径を指定するなど、過度の湧出にならないよう制限を行っています。 これらにあわせて、県下34地点で温度、湧出量、成分等のモニタリングを行い、状況変化を早期に把握するよう努力しています。 一方、適正利用については、県環境審議会温泉部会において、専門家の知見、あるいはエビデンスに基づき、地域の実情、周辺環境への影響等も勘案しながら、掘削の可否等を判断しています。 本県には、多くの研究者の協力で得られた貴重なデータや文献等の蓄積があります。これらもしっかり活用しながら、保護と利用の両面をバランスよく進めていきます。 ○御手洗吉生議長 戸高賢史君。 ◆戸高賢史議員 賦存量調査については、今後行われる掘削、また増掘、そういったことも加味されてのデータであると思いますが、やはりモニタリングがきちっとデータどおりいっているのか、また変化があっているのか、そういったことの継続したモニタリング調査は必要と思うので、ぜひお願いします。 もう一点、管理の部分で聞きますが、この温泉掘削の許可については、温泉資源の保護の観点から距離や申請する場所を確認する必要がありますが、現状では字図などから周辺状況を調査して、紙の温泉台帳を閲覧して、必要となる付近の線図を作成する必要があって、申請者の大きな負担となっています。 一方、保健所においても、紙の温泉台帳が住所、所有権、採取権者、地図による検索、そういったことができないために、閲覧者が必要とする温泉台帳を提示するまでにすごく時間がかかるという問題があります。本県は、特に鉱泉地の所有権の流動性が高くて、温泉採取権が鉱泉地の従物という扱いではなくて、別個の独立した権利として扱われるために、不動産取引の際に関係者個々の温泉採取権の取扱いを失念するケースが発生しやすくなります。土地の売買は行われても、それがまだ残っているということで、これが期間が経つと手続がすごく大変で、そういったことが課題としてあります。 こうしたことから、申請者及び保健所の手続事務効率化のために温泉台帳の電子化を行ってはどうかと考えますが、生活環境部長の見解をお願いします。 ○御手洗吉生議長 高橋生活環境部長。 ◎高橋強生活環境部長 温泉台帳の電子化についてお答えします。 温泉台帳は、議員御指摘のとおり、源泉の所在地、採取権者、土地の所有者といった重要なデータを記載しているものであり、県、それから温泉所有者にとっても非常に重要なものと考えています。正に紙で管理しているものですから、地図からの検索が直接できないということで、申請者が必要とする台帳を特定するまでに時間がかかっているという問題があると認識しています。閲覧上の課題があります。 現在、県でも全庁を挙げてDX化を進めています。その中で温泉台帳の電子化についても課題として検討を進めています。 今後、利用者の利便性の向上、あるいは事務の効率化といった部分でも、より効果的なやり方がないか今検討しています。そうしたことで進めていきます。 ○御手洗吉生議長 戸高賢史君。 ◆戸高賢史議員 さきほど言った保護の観点からも、正確な源泉の調査がまず第一だと思うし、紙を見たら分かると思いますが、昔の漢字というか、手書きで非常に分かりにくい台帳になっています。そういったものは本当に効率よくやって、管理も正確にする意味では、早急に進める必要があるのではないかと思っているので、ぜひ検討をお願いします。 次に、防災力のさらなる強化について。 本年9月に発生した台風第14号は、中心気圧が2000年以降の日本で最も低い935ヘクトパスカルで鹿児島県に上陸し、九州各地で豪雨や暴風による猛威を振るいました。特に、大雨特別警報が発表された宮崎県では、降り始めからの総雨量が山沿いの地域で1千ミリメートルを超過し、土砂災害や冠水により3人の方が犠牲になるなど、人的被害を伴う大災害となりました。本県でも、11人の負傷者や500件以上の建物被害が発生するなど、改めて自然災害の恐ろしさを痛感しました。 今回のような台風や今後30年以内の発生確率が70から80%とされる南海トラフ地震などの大規模な自然災害ともなれば、市町村だけでの応急対策は困難であり、国や県、関係機関が一体となった迅速な対応が求められます。 また、市町村にとって最も身近な県の振興局が中心となって運営する地区災害対策本部は、管内市町村への支援や協力、情報収集など重要な役割を担っていることから、平時からの顔の見える関係づくりや災害発生時に派遣する情報連絡員のスキルアップは欠かすことができません。 加えて、大分大学等が開発中の、防災・減災のための災害情報活用プラットフォームEDiSON(エジソン)など、先端技術の活用により防災行政、災害対応を高度化する取組も必要です。 近年の自然災害の頻発・激甚化に対し、本県ではハード、ソフト両面から県土強靱化を進めてきました。国土強靱化5か年加速化対策事業の活用などにより、道路や河川、砂防等のハード面での整備は着実に進んでいますが、同時に、市町村、国、関係機関との連携強化や地区災害対策本部等の防災体制の強化はもとより、産学官が一体となった防災のDX化などソフトの面でも防災体制の充実を進めていく必要があると思います。 こうしたことを踏まえ、県民の命と暮らしを守る防災力のさらなる強化について、知事に伺います。 ○御手洗吉生議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 防災力のさらなる強化について御質問いただきました。 線状降水帯による豪雨など、近年、自然災害が頻発・激甚化しており、活力ある地域づくりの基盤として、県土強靱化は一段と重要性を増しています。9月の台風第14号では、事前避難の徹底に加え、ダムの洪水調節や河川改修などが功を奏し、人的被害を最小限に食い止めることができました。国の組織等に対して感謝しています。 こうした防災力をさらに強めるべく、国土強靱化5か年加速化対策の活用によりハード対策を着実に進めるとともに、ソフト対策を充実させていきたいと考えています。 一つは、地区災害対策本部の強化です。 議員御指摘のとおり、地区災害対策本部は、県防災の最前線で重要な役割を担っており、即応力の強化が必要です。 このため、市町村との合同による防災気象情報研修やシステム操作研修等で、情報連絡員など職員のスキルアップを図っています。 また、関係機関で構成する地域防災ネットワーク会議等を通じて、顔の見える関係づくりにも取り組んでいます。今後とも、市町村からの声に耳を傾けて、職員の対応能力の向上に努めていきます。 二つは、関係機関との連携強化です。 10月に実施した3年ぶりの県総合防災訓練には、72機関、約600人が参加しました。今回の訓練は、野外救護やドローンを使った孤立地域の状況確認、アバターの活用による避難所での健康管理など、より実践に近い形で行い、役割の相互理解や連携の重要性を再認識しました。引き続き、訓練等で得た成果や課題を関係機関と共有、検証し、迅速な応急体制の構築を図っていきます。 三つは、産学官が一体となった災害対応のさらなる高度化です。 議員から御指摘があったように、EDiSON(エジソン)による災害発生リスク予測や、県災害対応支援システムのドローン映像の共有は、台風第14号においても市町村の早期の避難情報発令等につながりました。 また、行政だけにとどまらず民間企業の防災力向上を図る仕組みづくりも進めています。先般、奄美大島で開催された九州地方知事会議でこの取組を紹介しましたが、九州、全国の防災力を高めるプラットフォームとなることを期待しています。 今後は、EDiSON(エジソン)との連携を深めて、防災分野における衛星データの有用性の検証やドローンによる情報収集体制の充実、複雑化する災害対応業務のDX化など、先端技術を活用してさらなる高度化に取り組んでいきます。 自助、共助の推進はもとより、防災関係機関の組織力と産学官の英知を結集して公助の一層の強化を図り、県民の命と日々の暮らしを守っていきます。 ○御手洗吉生議長 戸高賢史君。 ◆戸高賢史議員 ありがとうございました。防災DX自体が初動体制に生かされることを本当に期待しているし、まず、何よりも住民の情報インプットはすごく大事だと思います。自分の地域で発生し得る災害リスクが分かっているか分かっていないかで、住民の行動自体が大きく変わってくると思うし、今情報発信をしていただいていますが、これは更新が必要なので、そうした正確な情報の発信と更新を今後もお願いして、次の質問に移ります。 新型コロナウイルス感染症への対応についてです。 まず、今後の感染症の蔓延に備えて、大規模病院などに病床確保を義務付ける感染症法改正法が成立しました。新型コロナウイルスの流行で病床が逼迫した教訓を踏まえたものであり、改正では、都道府県が病床確保数などを定めた計画を策定した上で、感染拡大時の患者の受入れなどについて医療機関と事前協定を結び、医療提供を義務付ける改正などが盛り込まれています。 医療提供の義務化は、公立・公的医療機関を始め、高度医療を提供する特定機能病院、そして、入院、救急医療など地域医療の中核を担う地域医療支援病院が対象となり、知事は医療機関に対し、協定どおり対応するよう勧告や指示を行い、従わなかった病院名を公表できます。一方で、民間の医療機関については、協定の締結を義務付けないものの、協定締結に向けた協議に応じる義務を課しています。 改正の背景には、これまでのコロナの流行で病床逼迫が繰り返され、医療提供体制の脆弱さが浮き彫りとなったことがあり、感染拡大への備えを平時から整えていくことが大事であり、こうしたことを踏まえ、改正法の施行も見据えた本県の今後の医療提供体制について、福祉保健部長に伺います。 ○御手洗吉生議長 山田福祉保健部長。 ◎山田雅文福祉保健部長 新型コロナの医療提供体制については、これまで入院病床を552床、宿泊療養施設を11棟1,370室確保するなど、感染者が安心して療養できるよう強化を図ってきました。 このような体制を整備できたのは、医療機関や医師会、病院協会などの関係者に個別、丁寧に説明し、御理解いただいたことによるものと考えています。 今回の改正法では、新たな感染症の流行初期に、一般診療を制限することに伴う経営リスクを考慮し、財政的な支援を行う仕組みを導入した上で、公立・公的病院等への受入義務などが課されることとなっています。 令和6年4月の施行に向け、医療関係者としっかり協議し、十分な理解を得た上で、新たな感染症の流行に迅速、的確に対応できる医療提供体制の整備を進めていきます。 ○御手洗吉生議長 戸高賢史君。 ◆戸高賢史議員 ありがとうございました。法の仕組みは全国一律ですが、大分県の病床使用率などの実態にこれが見合ったものになっているのか、それに伴う課題が今分かれば教えてください。 ○御手洗吉生議長 山田福祉保健部長。 ◎山田雅文福祉保健部長 今回の改正では、病床確保の義務付けの対象となる公立・公的医療機関が全病院の2割にすぎないということで、これが必要な病床数に足りるのかという懸念の声があるようです。 ちなみに、本県内の公立・公的病院は20あり、全体の13%程度ですが、これまでのコロナ対応に関しては大変積極的な御協力をいただいているのはさきほど答弁したとおりです。全国では、コロナ患者を受け入れているのは公的病院の7割、それから、公立病院の約半数と言われていますが、本県では全ての公立・公的病院で御協力いただいており、確保病床数の3分の2が公立・公的病院になっています。 そういったことから、この点に関しては引き続き今後も協定締結に御協力いただけるものと期待しています。 課題としては、コロナの対処方針についてはある程度知見が蓄積してきていますが、問題となるのは今後の新しい感染症に対してどう対処するかということで、未知なる感染症にも対応できるような人材の育成がやはり急務である。平時のうちからしっかりとその辺の人材育成を進めていく必要があると考えています。 また、感染が大規模になった場合は、公立・公的病院だけでは足りません。やはり民間の病院の協力が必要になるので、その民間協力病院に対する財政的な支援措置をしっかり確保することが大事であり、その辺が課題ではないかと考えています。 ○御手洗吉生議長 戸高賢史君。 ◆戸高賢史議員 県内の医療機関は全て御協力いただいており、特に、これは公的と公立、同一視したこと自体、すごく違和感を感じるというか、逆に知事が特定機能病院の承認を取り消すことがあってはならないと思うし、実際すごく協力していただいているので、そういった事態は多分招かないと思いますが、そうしたことが予想される場合には、ぜひ相談しながら進めていただきたいと思っています。 もう一つがワクチンの接種の促進です。 ワクチン接種が重要であるということで促進が要であると思いますが、既にオミクロン株に対応した2価ワクチンの接種が始まっており、国ではBA.1対応とBA.5対応型のどちらも従来の1価ワクチンを上回る効果があって、今後の変異株にも有効であるとされています。 あわせて、5歳から11歳までの小児や生後6か月から4歳までの乳幼児についても、重症化するケースがあることから接種が推奨されており、この冬はインフルエンザとコロナの同時流行も懸念されているために、インフルエンザの予防接種も急ぎ促進していく必要があります。 こうしたことを踏まえて、特に一番大事な高齢者や重症化しやすい患者への接種も含め、本県でのワクチン接種の現状と接種促進策について、福祉保健部長に伺います。 ○御手洗吉生議長 山田福祉保健部長。 ◎山田雅文福祉保健部長 現在、高齢者や重症化リスクのある基礎疾患を有する方を中心に接種が進んでおり、60歳以上の4回目接種率は75%を超えているほか、高齢者施設等における5回目接種も促進しています。 9月下旬からはオミクロン株対応ワクチンの接種も始め、多い日は約8千人が接種しています。接種の促進にあたっては、接種間隔を5か月から3か月へ短縮したこと、小児用ワクチン接種の努力義務化と乳幼児への拡大、インフルエンザワクチンとの同時接種が可能なことなど、最新の情報を確実に県民に伝えることが重要です。 そのため、知事の会見や日々の公表資料、ホームページや新聞、SNSなど各種媒体を活用した広報を通じて正確な情報を発信し、接種の促進を図っています。また、県民の利便性を考慮して、県営接種センターを木曜、金曜の夜間や土曜日に開設し、好評を得ています。 ワクチン接種は新型コロナの感染拡大防止策の要であり、引き続き市町村や医師会、薬剤師会等と緊密に連携しながら接種促進を図っていきます。 ○御手洗吉生議長 戸高賢史君。 ◆戸高賢史議員 子どもの接種については、なかなかやっぱりためらっている方も多いと思うので、正確な情報提供を今後とも続けていただきたいと思います。 そんな中、昨日、インフルエンザワクチンとコロナワクチンの誤接種について報道発表がありました。こういった事態にならないようにする取組はやってきたと思いますが、どうしても医師が確認不足ということでこういった事態が起こりました。この再発防止策について、福祉保健部長、何かコメントがあればお願いします。 ○御手洗吉生議長 山田福祉保健部長。 ◎山田雅文福祉保健部長 ただいま話があったように、あってはならない事故であったと思います。これは本当に現場の不注意というか、ヒューマンエラーで、現場の接種する医師だけではなく、それをサポートする看護師等の医療スタッフも含めて、気を引き締めて緊張感を持って対応することが大事ではないかと思っているので、今回の事案について、接種を行う各市町村に対して通知等で十分注意喚起を図っていきます。 ○御手洗吉生議長 戸高賢史君。 ◆戸高賢史議員 大事なことなので、ぜひ県がしっかり関与して再発防止に努めていただきたいと思うので、よろしくお願いします。 後遺症への対応についてです。 前回も質問しましたが、コロナが感染拡大し、後遺症と思われる症状を訴える方が増えています。この複合的な支援体制が必要であると思っています。 様々な症状、目に見える症状だけでなく、集中力の低下や抑鬱などの精神的症状も伴っていることから、家庭や仕事への影響にも目配りが必要で、多彩な症状に対応するために、幅広い分野の専門医と、かかりつけ医が連携して対応できる体制づくりが必要であると思っています。職場の中では、気のせいだと言われたり、さぼっていると言われるケースがあると聞いています。症状が悪化するケースも報告されているし、後遺症に関する理解を広める必要があります。 本県でも、11月から後遺症の診療協力医療機関を公表するなど、少しずつ取組が進んできていますが、第8波ではさらにこういった事例が広がるケースがあると思います。 この後遺症への対応をどのように進めるのか、福祉保健部長の見解を伺います。 ○御手洗吉生議長 山田福祉保健部長。 ◎山田雅文福祉保健部長 本県の新型コロナ感染者は累計で20万人を超え、後遺症に苦しむ方の増加も懸念されます。 このため、県のホームページにおいて、後遺症の診療体制等について情報提供しています。具体的には、まずはかかりつけ医に相談することとし、かかりつけ医がいない方に対しては、後遺症の診療協力医療機関96か所をホームページに掲載しています。それでもなお、受診が難しい方については、管轄の保健所に相談していただくこととしています。 また、後遺症への理解促進に向けては、この夏実施した県内医療機関における後遺症の診療状況の調査結果を公表しています。 加えて、大分大学や県立看護科学大学の協力を得て、現在、2千人を超える感染者を対象に、後遺症の発生状況や生活への影響等の実態調査を実施しています。この結果についても、今年度中に取りまとめて、県民に分かりやすく提供する予定です。 こうした取組により、後遺症に悩む方への支援の充実に努めていきます。 ○御手洗吉生議長 戸高賢史君。 ◆戸高賢史議員 その2千人の調査の現状はまだ上がってきていないですか。何か報告できるものがあればお願いします。 ○御手洗吉生議長 山田福祉保健部長。 ◎山田雅文福祉保健部長 現時点では、大分大学医学部、それから、県立看護科学大学で調査した調査票の中身を分析しているところで、まだお答えできる、公表できる内容はありません。 ○御手洗吉生議長 戸高賢史君。 ◆戸高賢史議員 分かりました。認知度を上げるのが生活、仕事をする上でも大事だと思うので、ぜひそういった取組もお願いします。 次に、先端医療が受けられる環境整備についてです。 血液の逆流を防ぐ心臓弁が正常に働かなくなる心臓弁膜症は、加齢や血管の動脈硬化などが原因で発症し、徐々に進行して心臓の筋肉、心筋にも障がいが生じ、最終的には心不全という状態に陥ります。 県内で透析生活を続けている患者が、数年前から弁膜症の疑いで心エコー検査を定期的に行っていましたが、今年の精密検査の結果、大動脈弁閉鎖不全症との診断で手術が必要となりました。透析患者は血管が傷んでおり、どの手術法もとても心配でなかなか選択することができなかった中で、透析患者にとって有効性、安全性が高いとされている自己心膜等を用いた大動脈弁再建術、いわゆる尾崎法を紹介されました。一般的となっている手術の弁は人工弁や動物の生体弁が用いられますが、それらは血栓などを起こしやすくて、免疫抑制剤が必要とされます。 今回、大分大学から尾崎先生が所属する東邦大学につないでいただき、尾崎先生がわざわざ大分に来県されて執刀していただいたと聞きました。術後10日で退院し、退院翌日から毎日1時間のウォーキング、ストレッチなどが可能となるまで回復しています。 先日、11月27日に東邦大学医療センター大橋病院にて今回の再建術を中心としたシンポジウムが開催されて、尾崎教授、また、大分大学の宮本教授や和田准教授、そして、今回、大分で手術を受けた大分県腎臓病協議会の池邉会長も演者として出席され、報告されました。 現在、人工弁を使用しない大動脈弁再建術は、小児心臓血管外科領域でもかなり注目されており、人工弁の適応するサイズがない小児においても今後広まる期待があります。 患者のQOLの向上には術後の負担を抑えることが重要であり、今後こうした先端医療を受けられる機会、患者が治療を選択できる環境整備が必要と考えます。大分県でもそういった研修等に要する費用の助成等も行っていただいていますが、県内で先端医療が受けられる環境整備について、福祉保健部長に伺います。 ○御手洗吉生議長 山田福祉保健部長。 ◎山田雅文福祉保健部長 自己心膜による大動脈弁再建術は、さきほど御紹介があったとおり、東邦大学で開発された治療法で、全国50施設で臨床応用が進められています。県内では、大分大学医学部の医師が治療法を学び、12年前から大学附属病院で手術することが可能となっており、ここ数年は年間5例程度の手術が行われています。 県では、地域の中核病院等の医師が先端医療を学び、その成果を地域に還元できるよう、平成20年度から国内外での留学研修を支援する制度を設けています。これまでに、海外の病院で難治性てんかん患者に対する外科治療を学んだ小児科医など、45人の医師がこの制度を活用しています。 また、先端医療には、医師だけでなく、臨床工学技士等の専門人材の育成も重要です。来年4月に医療系の学部、学科が新設される大分大学や日本文理大学とも一層の連携を図り、県民の皆さんが最先端の質の高い医療を受けられるよう体制の充実に努めていきます。 ○御手洗吉生議長 戸高賢史君。 ◆戸高賢史議員 さきほど言われたように、2010年から大分大学が尾崎法の手術を、術式を取り入れられているということで、最近は5例程度ということですが、カテーテルを活用した手術が大勢を占めているということでした。 今回、池邉会長が手術したのは大切開ではなく小切開です。それがすごく患者負担が軽減されているということで、尾崎先生自らが執刀していただいたと聞いています。患者のQOLを向上させるために、そういった先端医療が受けられる体制整備を今後とも構築していただきたいと思っているので、よろしくお願いします。大分県でそういう研修補助が出ているのは、尾崎先生もすごく評価していました。 次に、海外との航空ネットワークについてです。 個人の海外旅行を解禁した成果が徐々に現れて、本県でも外国人観光客が増加しています。本格的な回復には国際線の再開が必須となりますが、コロナ前は3路線運航されていた国際線も、現在は全ての路線で運休が続いています。 県内のコロナ前のインバウンド需要の約半数は韓国からによるもので、まずは韓国路線の再開が短期的な課題として挙げられると思っています。受入体制の準備を進めながら再開に向けた取組が必要であると思います。また長期的には、経済成長が著しい東南アジア諸国への路線開拓も重要なテーマです。 こうしたことを踏まえて、今後の航空ネットワークの拡充に向けた施策の方向性と具体的な取組について、企画振興部長に伺います。 ○御手洗吉生議長 大塚企画振興部長。 ◎大塚浩企画振興部長 本県の地方創生を加速させるためには、国際線の拡充に向けた取組を戦略的に推し進めることが必要です。 まずは韓国路線の早期再開に向けて、航空会社を訪問し、運航再開の働きかけを行っています。韓国路線の再開に向けては、本格的な需要の回復と空港側の受入体制の再整備が課題となっています。現在、訪日需要が本格的に回復すれば、すぐにでも運航再開につなげられるよう、体制が縮小した空港の保安検査や地上支援業務、新たな対応が必要となった検疫の体制充実に向けて、関係者と調整を続けています。 あわせて、新規の路線誘致も重要です。本県への来訪実績が多い台湾、中国・香港の航空会社の訪問等を強化し、新規就航を働きかけていきます。 また、中長期的には東南アジア諸国の航路誘致も視野に入れ、温泉や豊かな天然自然、食、アクティビティーなど本県の魅力をしっかりとPRしながらエアポートセールスを展開していきます。 ○御手洗吉生議長 戸高賢史君。 ◆戸高賢史議員 ありがとうございました。実際には今、韓国からのお客さんはものすごく多い。それで、これは大事なのですが、受入れの聞き取りをきちっとしていただかないと、なぜかというと、人手が足りない。知り合いに言って福岡から旅館に従業員を雇っている状況で、コロナによってかなり従業員の体制も変わってきた。こういった聞き取りをしっかりしながら、旅割の再生も、企画振興部長に言ってもあれですが、連携を取ってお願いします。 6番目に、教育DXについて伺います。 学校現場でもDXの推進が進んでいるということですが、先日、プログラミングやデータ分析を学ぶ高校の必修教科、情報の指導体制が整っていないとの報道がありました。全国の公立高校の担当教員4,756人のうち、今年5月時点で796人、率にして16%が正規免許を持っていないことが文部科学省の調査で判明しました。 情報科は2022年度導入の学習指導要領で再編され、プログラミングやデータ分析を学ぶ必修の情報Ⅰが25年1月実施の大学入学共通テストで初出題されます。 高校生のうちにデジタル技術の基礎知識を身に付け、情報リテラシーを養う狙いがある中、指導体制が整わなければ、授業内容に地域差が生じる懸念があります。 こうしたことを踏まえ、本県における高等学校情報科指導体制の現状とその充実に向けどのように取り組むのか伺います。 ○御手洗吉生議長 岡本教育長。 ◎岡本天津男教育長 本県では、これまで情報科担当教員の計画的な採用を行い、指導体制の充実に取り組んできました。 その結果、文部科学省の調査時点において、情報科担当教員29人のうち93%となる27人が正規免許状を所有しています。所有していない割合でいくと、全国16%に対して、本県は7%という状況です。 また、昨年度から情報科専任の指導主事を配置するとともに、全ての情報科担当教員にプログラミング研修などを行っています。 さらに、今年度から、情報科の若手や中堅教員からなる6人のチームを編成し、東京学芸大学と連携して、探究的な学びの要素を組み込んだ授業づくりに関する高校探究プロジェクトにも取り組んでいます。 その中で指導案の検討や授業研究会を実施し、県内各校に波及させることによって、県全体として情報科の授業改善を図っています。 今後も、このような取組を行い、指導体制の一層の充実を図っていきます。 ○御手洗吉生議長 戸高賢史君。 ◆戸高賢史議員 ありがとうございました。学校で、今授業でデジタル教材を活用した取組などが進んでおり、授業参観に行った方からすごく高い評価をいただきました。本当に分かりやすくて、使いこなされているなというのがありました。一方で、まだ教員については、指導もずっと週に2回とか行っていただいていますが、なかなかやっぱり御本人の得意、不得意はあると思います。 そういう中で、近隣校で情報共有して、オンラインで授業をつなぎながらでもいいと思います。分かるような形で、目に見える形で、授業の状況の情報交換といった仕組みができれば学校の授業もやりやすくなると思うので、ぜひ進めていただきたいと思います。 もう一点、教育長お願いします。 県では、いじめや虐待等から児童生徒を守る取組として相談窓口や連絡サイトを活用するとともに、人間関係づくりプログラムを導入し、未然に防ぐ取組を行っていますが、児童生徒を取り巻く環境は日に日に変化しているだけではなく、教職員の業務も多忙であることから、事前にいじめ等の兆候を把握することが困難な場合もあると聞きます。 そのような中、AIによってその兆候を見抜くといった取組がなされています。AIヘルスチェッカーと呼ばれるようですが、児童生徒の一人1台端末に導入し、端末のカメラ機能を使い、生徒の顔映像からメンタル面の状態をAIが自動分析、学校が生徒のメンタル面の状況を把握、分析、早期に支援するための補強ツールとして活用するものです。 本県でも中津南高校、日出総合高校、臼杵高校、由布高校、豊府中学校で試験導入しており、今後、結果を検証の上、実施校の拡大検討を行うとのことですが、最近は不登校の児童生徒も増えており、新たな不登校を生まない未然防止対策としても非常に有効であると考えますが、こうした取組の現状について、教育長に伺います。 ○御手洗吉生議長 岡本教育長。 ◎岡本天津男教育長 AIヘルスチェッカーは、生徒自身が心の状態を客観的に把握し、心の健康管理に役立てることを目的とし、また、生徒の心の不安を発見し、教員が早期支援につなげる補助ツールとして、今年度、県立学校5校で試験導入しています。 個人情報となることから、保護者、本人の同意が得られた約1,600人の生徒が夏休み明けから使用しています。疲れなどが的中していて驚いた、あるいは、自分では気付いていなかったストレスにもいち早く気付くことができたなど肯定的な生徒の声があります。 一方で、同意が得られない生徒もいて、校内で一斉に行うことができないという声もあって、課題として認識しています。 今後、導入校の活用状況をさらに調査して、学校の状況に応じた実施方法などを工夫しながら、不登校防止対策の観点も含め、効果的な活用について研究していきたいと考えています。 ○御手洗吉生議長 戸高賢史君。 ◆戸高賢史議員 ありがとうございました。本当に有効と判断されれば、全校にそういった取組の補助ツールとして活用していただきたいと思っています。 最後になりますが、県庁の職場環境の改善について伺います。 現在、県庁を訪ねてみると、執務室の課題が目に付きます。打合せやWeb会議スペースの不足はもとより、紙資料を基本とした業務スタイルや有線LAN主体の固定した席の配置など、時代に合わなくなってきているのではないかと心配しています。 最近、民間企業ではフリーアドレス制の導入など、いわゆるオフィス改革が先行しています。もちろん、県庁では個人情報を扱う部署や紙を主体とした慎重な審査をする部署もあるなど多種多様な業務を行っており、一律的には適用できないかもしれませんが、職員自らが各業務に最適な環境で働くことができるオフィス環境を検討、整備することは大切だと考えます。 11月に総務企画委員会の調査で総務省の行政管理局に伺い、オフィス環境の改修後の状況について伺いました。 この改修のポイントは、ペーパーレス化とコミュニケーションの活性化です。フリーアドレス制を導入し、チームで仕事を行うことを重視したデスク配置によって、コミュニケーションの増加や意思決定の迅速化を促進しました。情報の電子共有を推進した結果、個人周辺の文書の8割が削減され、紙のコピーは半減し、用紙やインク、電気代などのコスト削減と印刷やコピーにかかっていた手間も少なくなっているとのことでした。 組織のパフォーマンスを向上させ、職場を活性化して、職員一人一人がこれまで以上に活躍できる少数精鋭かつ質の高い組織の実現が求められる中にあって、このような行政のワークスタイル変革を模索していく必要があると思いますが、県庁の職場環境の改善についてどのように取り組むのか伺います。 ○御手洗吉生議長 若林総務部長。 ◎若林拓総務部長 県庁の職場環境の改善についての御質問でした。 新型コロナ感染拡大、またデジタル化の進展により、働き方が変化している中、多様で柔軟な働き方を選択できる職場環境を整えていくことは重要と考えています。 県では、令和3年10月にオフィス改革推進のためのプロジェクトチームをつくっており、その場で執務環境に関する意識調査や若手職員によるデザインシンキング等を行っています。その中では、打合せやWeb会議スペースの確保によるコミュニケーションを活性化することや、紙文化からの脱却、また、時間や場所を選ばない働き方等、様々な必要性も出てきて、我々もそれを確認しました。 これまでも電子決裁の推進や電子申請を導入することによって紙資料の削減、また、大型モニターを配備することによりWebによる会議環境の改善等に取り組んできましたが、こうした流れをさらに加速していく観点から、フリーアドレス等を含めて、その方策の取組について検討しています。 実際導入するにあたっては、各所属の業務に適性があるかどうか判断する必要があることや、無線LANなどの設備の導入も必要になります。そのため、多様な業務特性に応じて効果が上がるかどうかを丁寧に検証していきながら、職員の能力を十分に発揮できる職場環境となるように取り組んでいきます。 ○御手洗吉生議長 戸高賢史君。 ◆戸高賢史議員 ありがとうございました。資料が今ここにないのですが、皆さんに配布している行政管理局の分と、下にちょっとごちゃごちゃした総務部の資料を送ってもらいたかったのですが、結構きれいな写真が送られてきました。本当に頑張ってさきほど言った県の取組も進められているということですので、ぜひモデル的にでもやっていただきたい。これは県庁全体、一律業務が違うので、同じ形ではできないとも言われましたが、それぞれの仕事の機能がスムーズにできるような職場環境づくりも自らが考えながらやっていけば、本当に職場環境が良くなると思います。他から来た部長はすごく喜んでいましたが、他に行ったところは最悪だという声もあったので、ぜひそういった取組もお願いします。 以上で終わります。(拍手) ○御手洗吉生議長 以上で戸高賢史君の質問及び答弁は終わりました。 暫時休憩します。     午前11時58分 休憩  -------------------------------     午後1時 再開 ○古手川正治副議長 休憩前に引き続き会議を開きます。 一般質問及び質疑を続けます。阿部長夫君。  〔阿部(長)議員登壇〕(拍手) ◆阿部長夫議員 6番、自由民主党、阿部長夫です。本日また質問の機会をいただきました。先輩、同僚議員の皆さん、大変ありがとうございます。感謝します。また、杵築の方から少人数でいただきありがとうございます。 今期限りで引退される広瀬知事、これまで大変お疲れ様でした。私が知事と初めてお会いしたのは、平成18年、杵築で青年会議所の大分ブロック幹事大会が開催され、知事が来賓として出席されたときでした。その際の知事の胸にめじろんバッチが付けられており、知事、バッチがいいですねと言ったら、よかったら君にあげるよ、こう言ってバッチを外してくれました。知事の気さくな人柄に、私はそのときから知事のファンになりました。 知事はこれまで5期、大分県のトップリーダーとして行財政改革を行いながら、大分県の発展のため御尽力いただきました。県民中心を掲げ、県政に全力を傾けた知事の行政手腕はすばらしいものがあり、知事の功績は、引退後も長く伝えられることと思います。広瀬知事、これまで本当にお疲れ様でした。ありがとうございました。まだ残任期は5か月弱ですが、最後までよろしくお願いします。 それでは、質問に入ります。 畜産共進会を踏まえた今後の畜産振興について伺います。 10月に鹿児島で第12回全国和牛能力共進会鹿児島大会、いわゆる全共が開催されました。全共は、5年に1度開催される国内最大の畜産共進会で和牛のオリンピックとも呼ばれています。大会は回を重ねるごとに注目度が上がり、本大会には過去最多の41道府県から九つの区に、438頭の優秀な牛が集いました。期間中は、各県が改良の成果を示すとともに、この機会にブランド力向上を図ろうと、あらゆる面でしのぎを削る大変激しい大会となり、会場は大いに盛り上がりました。 そのような中、本県出品牛は種牛の部第2区の若雌の1において、農林水産大臣賞に輝くとともに、全ての審査区において優等賞を受賞するという大変素晴らしい成果を収めました。これは生産者を始め関係者が一体となって改良や飼養管理技術の向上に、日夜研さんを積まれた結果であり、改めて敬意を表する次第です。私自身も県代表の皆さんの激励のため、我が自民党調査会同僚議員と鹿児島の会場を訪れましたが、現地での関係者と意見交換を通じて、生産者の皆様の意気込みの強さに直に触れ、今後の本県畜産業の可能性を大いに感じたところです。 改めて言うまでもなく、今後は、こうした熱気をしっかりと生産振興につなげていくことが大事です。上位となった鹿児島、宮崎両県が大生産地であることから考えても、今後おおいた和牛がさらなる躍進を目指す上では、やはり裾野の拡大、つまり生産基盤の強化が重要です。令和9年には第13回北海道大会が開催されます。大会に向けた強化に重点的に取り組み、次回、令和9年の大会において、おおいた和牛が名実ともに日本一となることを大いに期待しています。 そこで、知事にお尋ねします。 第12回鹿児島全共の成果についてどう捉え、今後の畜産振興にどのようにつなげていくのか伺います。 続いて、おおいた和牛について伺います。 さきほど全共の結果を踏まえた今後の展開について質問しましたが、その振興の前提となる部分でどうしても気になっていることがあります。 百年の歴史を有するおおいた豊後牛の先頭に立って、生産・流通の両面で豊後牛の全体を引っ張っていく新たなリーディングブランドおおいた和牛が平成30年9月に立ち上げられ、早くも5年目を迎えています。肉質4等級以上であることや飼料用米、又はビールかすの給餌といった要件を満たす、最高級の豊後牛に限定してネーミングを使用することとしているようですが、消費者から見れば、豊後牛とおおいた和牛という二つのブランドがあり、非常に分かりにくいというのが本当のところです。また、そうしたことから、生産者に対する浸透という面でも課題があるのではないかと感じています。 そこでまず、豊後牛に加えて、おおいた和牛というブランドを導入するにあたって、どのような課題認識を持ち、どういった手順で導入を進めてきたのか伺います。その上で今回の全共の結果を機に、私としては改めて関係者間で協議を進め、ブランド名を急ぎ統一していくべきではないかと思いますが、あわせて農林水産部長に伺います。 次は、本県で開催される第43回全国豊かな海づくり大会に関して質問します。 去る10月3日に実行委員会が設立され、いよいよ令和6年の開催に向けた準備が本格化しています。実行委員会では、大会の基本方針、基本理念とともに、式典会場が大分市、海上歓迎・放流行事が別府市で行われることが決定しました。海づくり大会は、昭和56年に本県で第1回目が開かれて以来、43年ぶりの開催となります。本大会が大分県で開催されることを歓迎する声を耳にするなど、県民の期待も高まってきており、私自身も大きな期待をしています。 本大会について、昨年の第4回定例会において、知事からは大会を通じて漁業者には新たな取組の契機とし、県民には水産業や環境保全への理解と関心を持つ機会として今後の水産業の発展につながるよう、準備を進めていくとの答弁でした。 そうした中で定められた大会の基本方針ですが、資源保護と管理の推進、自然環境保全、水産物の消費拡大、県の魅力発信の四つが柱とされています。中でも、森と海をつなぐ取組は、林業、水産業共に盛んな本県にふさわしいものであり、こういった考えを広めることが、海のない市町や私の地元の杵築市のように、開催地ではない市町村も巻き込んだ取組へのステップになると思います。 今後、準備が本格化していくと思いますが、こうした取組を強化することで、43年ぶりのこの栄えある大会を、開催地だけでなく、大会成功に向けて県民総参加で盛り上げていくことが必要であると思います。 そこで、どのようにして本大会を県全体での水産業への理解の醸成、振興につなげていくのか、農林水産部長に伺います。 あとは、対面席から。  〔阿部(長)議員、対面演壇横の待機席へ移動〕 ○古手川正治副議長 ただいまの阿部長夫君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 阿部長夫議員から、農林水産業をめぐる諸課題について御質問いただきました。 まず、私から、畜産共進会を踏まえた今後の畜産振興についてお答えします。 阿部長夫議員からは、鹿児島全共の成績についてお褒めの言葉をいただきましたが、私としては、前回、宮城全共で日本一を獲得した本県の実績からして、やはり物足りなさを感じています。生産者の皆さんの御努力、御奮闘に対して、私ども行政や畜産関係団体の力不足もあったのではないかと反省するとともに、大変申し訳なく思っています。 全国和牛能力共進会は、その結果がブランド力に大きく影響する畜産振興にとって大変重要な大会です。今回の結果を真摯に受け止め、5年後に北海道全共での日本一奪還を目標に、全力で取り組みます。鹿児島全共で見えてきた課題は二つ。これからそれをしっかりと解決していきます。 一つは、肉牛の生産技術の向上です。本県は、宮城全共において、種牛の部で日本一を獲得しました。今回の鹿児島全共では、名実ともに日本一になるべく、肉牛の部でもトップを目指してきましたが、肉質面では高評価を得たものの、歩留まりの評価が低く、最優秀賞を逃す結果となりました。 鹿児島全共では、消費者ニーズに応じ、オレイン酸を重視した審査基準が新たに導入されました。次回大会では、サシ重視から肉本来のおいしさを求める流れが、さらに強まると予想されます。 そこで、こうしたニーズに応えた改良を目指して、ゲノム育種価の活用による種雄牛造成や歩留まりに影響を与える子牛段階からの一貫した育成、肥育マニュアルの見直し等に、県畜産研究部で責任を持って取り組みたいと思います。 現場への普及については、畜産関係団体が主体となって、基本的な管理技術に加え、高度な育成ノウハウを継承する場を提供するなど、全共に向け、積極的に取り組んでいただきたいと思います。 二つは、それを支える生産基盤の強化です。さらなる躍進には、産地規模の拡大が必須であることから、施設整備や繁殖雌牛の導入を積極的に支援するなど、多様な形態に合わせた増頭支援策を展開します。 大会に向けては、現場で実践する若い担い手や技術者のさらなる奮起が何よりも重要です。全共後に地域で開催された反省会では、若い生産者から、今日をスタートに、次回大会では自分たちが中心となって日本一を取ると力強い声が出たと伺い、大変頼もしく感じています。こうした声に応えるべく、早速改良に向けた重要な資料となる県内雌牛の登録データを収集するとともに、今月14日には、生産者、関係団体を交えた戦略会議を開催します。 5年後の北海道全共における日本一の奪還に向け、生産者、関係団体、県が、我が事と捉え、全力で取り組んでいきます。 ○古手川正治副議長 佐藤農林水産部長。 ◎佐藤章農林水産部長 まず、おおいた和牛についてお答えします。 豊後牛の平成29年度の出荷頭数は2,831頭とロットが小さく、県外流通におけるブランド確立の大きな課題となっていました。このため、県では施設整備等の支援により、肥育牛頭数の増頭を図るとともに、関係者と連携し、県外取扱店舗の拡大などのPRを強化してきました。 そうした中、県外の卸業者からは、豊後という呼称では大分のイメージに結び付かず、地域としてのブランドが生かせない。また、直接消費者に提供する飲食店からも、豊後牛では産地が分からないなどの意見がありました。このような声を受け、平成30年9月に生産者の代表や県内外の流通関係者、飲食業者などと協議を進め、新たにリーディングブランドを、おおいた和牛に統一したところです。 現在、ほとんどの肥育農家がおおいた和牛の参画農場になり、出荷可能頭数も増加し、直近の見込みでは約5,300頭に達しています。また、県外認知度も平成30年度の4%から令和3年度には16.3%へと着実に向上しています。 今後も、関係者一丸となって、議員が御心配なさっていることを払拭できるよう、おおいた和牛の拡大を進めていきます。 続いて、全国豊かな海づくり大会による水産業の振興についてお答えします。 本県の豊かな海や川を次代へ引き継いでいくという基本理念を支える四つの基本方針を達成するためには、漁業者はもとより、県全体の機運を高めていくことが重要です。そのため、杵築市農林水産祭などの県下各地で開催される様々なイベントに出向き、大会のPRをしていきます。来年には1年前プレイベントを開催し、基本方針に沿った企画展示や体験コーナー等を通じ、水産業や環境問題等について広く県民へ発信していきたいと思います。 また、沿岸部のみならず、内陸部の河川においても稚魚を放流するリレー放流や水産教室等を開催し、子どもたちへ、つくり育てる漁業の重要性や、森から川、海へとつながる自然環境を守る大切さを伝えていきます。 さらに、大会当日には開催地以外でも、別府港とリモートでつないだ放流イベントや関連行事を開催してもらえるよう、関係市町村に検討していただくこととしています。 このような場を通じて、水産業や消費拡大について県内外に直接アピールし、交流することで生産者のやる気を喚起し、今後の水産振興につなげる大会としていきます。 ○古手川正治副議長 阿部長夫君。 ◆阿部長夫議員 知事ありがとうございました。肉牛の生産技術の向上、それから生産基盤の強化をしっかりとやって、大分の和牛の能力を高めるということでした。ぜひお願いします。 そういう中で若者も頑張っているので、若い人をしっかりと経営ができるように、応援していただきたいと思っています。 それと、おおいた和牛の件ですが、JAさがと宮崎県の和牛、これも確認させていただきました。佐賀牛というのは肉質が4等級以上で脂肪交雑7以上、これを佐賀牛と呼ぶ。それ以下は佐賀産和牛と言うらしいのですね。 宮崎牛は、肉質等級は日本食肉格付協会の格付において、格付4等級以上の牛肉のことのようですが、それ以下は、宮崎和牛と言うようです。 つまり、佐賀牛、それから宮崎牛でもブランドが統一されているということですね。特に佐賀県の畜産振興課に確認させていただきましたら、JAさがが意匠登録して進めているということですが、やはり生産者のうちの9割ぐらいが佐賀牛と、佐賀産和牛ということになっているようです。 したがって、大分においても豊後牛のこだわりはあるのかもしれませんが、出口のところでおおいた和牛を全国的に売り出す必要があるのではないかな。難しいところもあるかもしれませんが、ぜひ協議を進めていただきたい。 それからまた、豊かな海づくり大会は水産振興が目的の一つでもあるし、大会を契機に漁業者のやる気がいかに醸成されるかということだろうと思います。さきほど農林水産部長の答弁でもあったように、各地においていろんなイベントをしていただけるということですが、漁師の皆さんがそこでいかに参加するか、参加していることが大事だろうと思うので、しっかりと漁師の皆さんがやる気を起こすようなイベントにしていただきたいと思います。 次の質問に移ります。 社会インフラの老朽化対策について伺います。 道路や河川などの社会インフラは、社会経済活動の基盤として県民の安心・安全を守り、本県が将来にわたって発展していくための活力源でもあります。 広瀬知事が平成15年に就任して、これまでを振り返ると、東九州自動車道、中津日田道路などの広域道路ネットワークや地方の活力となる国・県道の地域道路ネットワークを始め、過去3度の大水害から竹田市民を守る治水の要、稲葉・玉来ダム、さらには土石流から被害を軽減する砂防ダムなど、その整備は大幅に進んできました。このように、社会インフラが整っていく中、その総量は着実に増加しているほか、既存の施設については高度経済成長期に集中的に建設されていることから、概ね50年が経過し、近年、その老朽化対策が喫緊の課題となっています。昨年10月に和歌山市において水道橋が老朽化で崩落し、約6万世帯が1週間にわたり断水となった事故は記憶に新しいところだと思います。 とりわけ、道路については県民生活に及ぼす影響が大きく、日頃は何気なく車で運転しているが、橋梁が損傷などにより一たび通行止めとなれば人々の暮らしは混乱し、大きな経済損失をもたらします。そのため、社会インフラは、当たり前のようにその機能を持続的に発揮していくことが非常に重要です。 国においても、法律改正による定期点検の義務付けや予算の重点化などの対応を行っているところですが、限られた状況の中で、いかに効率的・効果的に対策を講じていくか、また、対応する土木技術者の技術力をどうやって高めていくかなど、様々な課題に取り組んでいかなければなりません。市町村においても、その課題は県と同様です。財政面の問題もありますが、加えて、技術力不足は深刻であり、中には事務職の職員が土木の業務を行っているところもあるようです。施設規模は小さいものの、県より数が多く、道路橋は市町村全体で8,142橋と、県の3倍以上です。これらの橋梁を適切に維持管理していくためには、健全度判定や対策工法の選定などの技術的判断が重要であり、県が積極的に技術支援を行っていくべきと考えます。 こうしたことを踏まえ、技術的難易度が高く、社会的影響が大きい橋梁を始めとする社会インフラの老朽化対策について、今後どのように進めていくのか、知事の考えを伺います。 ○古手川正治副議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 社会インフラの老朽化対策について御質問いただきました。大変大事なテーマです。 社会インフラは、安心・活力・発展の大分県づくりを支える重要な役割を担っており、必要な整備を積極的に進めるとともに、維持管理を適切に行いながら、健全な状態で次世代に継承していかなければいけないと考えています。 とりわけ、高度経済成長期に集中して建設された施設の老朽化が進展する中で、その対応は重要な課題です。次の三つの視点で取組を進めています。 一つは、更新時期の集中を回避し、予算を平準化する長寿命化計画の策定とその着実な実施です。 本県では、平成22年度の橋梁を皮切りに、トンネル、舗装など順次策定を進め、令和元年度に主要18施設の策定を完了させました。 今後も、定期的な点検診断を着実に行いながら、ライフサイクルコストの縮減につながる予防保全型の対策を講じていきます。壊れるまで待っているのではなくて、予防保全でいきたいということです。 二つは、この計画を実行するために必要な予算の確保です。 今後、急増するインフラの維持管理、更新需要を踏まえ、国は、3年度からの防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策に、老朽化対策を追加したところです。これは大変ありがたかったわけです。本県においてはこれを積極的に活用して、計画に基づき、対策工事を鋭意実施しています。国土強靱化は息の長い取組が必要であり、あらゆる機会を捉え、関係機関にその推進を訴えてきました。先月も、全国知事会国土交通・観光常任委員長として、5か年対策の完了後においても、継続、推進してもらうように、必要な予算を確保するよう、直接、総理大臣にお願いする機会を得たところです。こうして確保した予算を効率的、効果的に活用するため、ドローンやAI等の先端技術を導入した点検等にも積極的に取り組みます。 三つは、人材育成と技術力の向上です。 県では、建設技術センターと連携し、新技術に関する講座の充実や点検の現場研修を行いながら、官民双方の技術力向上を図っています。 議員御指摘の市町村技術職員の減少や技術力向上については、県としても大きな課題と認識しています。 このため、市町村と議論を重ね、まずは技術者不足への対応として、JRをまたぐ市町村管理の橋梁を、県が実施する点検とあわせて発注する取組を2市町で試行しています。 このように、橋梁の点検業務を県、市町村合同で行うことは、市町村職員の技術力向上にもつながるものと期待しています。引き続き、市町村のニーズを見極めながら、必要な支援体制を構築していきます。 今後とも、県民生活を支える社会インフラの老朽化対策を着実に進めていかなければならないと思っています。 ○古手川正治副議長 阿部長夫君。 ◆阿部長夫議員 知事ありがとうございます。 ただいま老朽化対策として予防保全しながら長寿命化を図っていく。そしてまた、しっかりと予算を確保していく。そして、人材の育成、技術力を向上する、正に老朽化対策にはこれが必要ではないかと思います。特に市町村においては技術力が不足している中、県の支援をいただきながら点検等を進めて、本当に対策が必要かどうかという診断はやはり技術力がないとできないと思うので、しっかりと県の支援を各市町村にお願いします。 それでは、次の質問に移ります。 児童養護施設入所児童生徒へのケアについて伺います。 先日、児童養護施設の方から話を伺う機会がありましたが、いじめ防止のために関係者が尽力されている中、やはり当事者の子ども同士では、特に施設に入っている子どもとして違う目で見られたり、嫌がらせを受けたりする例も少なくないとのことでした。 常に子どもの最善の利益を第一に考え、子どもに関する取組、政策を社会の真ん中に据え、子どもの視点で、子どもを取り巻くあらゆる環境を視野に入れ、子どもの権利を保障し、誰一人取り残さず、健やかな成長を社会全体で後押しする新たな司令塔として、こども家庭庁がいよいよ創設されます。 今後のこども政策の基本理念は、子どもの視点、子育て当事者の視点に立った政策立案、誰一人取り残さず、抜け落ちることのない支援、子どもや家庭が抱える様々な複合する課題に対し、制度や組織による縦割りの壁、年齢の壁を克服した切れ目ない包括的な支援、待ちの支援から、予防的な関わりを強化するとともに、必要な子ども・家庭に支援が確実に届くようプッシュ型支援、アウトリーチ型支援に転換などとされており、正に頼もしい限りです。 この機に、県でもこれまで制度の谷間に陥りやすかったケースにもきちんと連携しながらケアしていくことが大切です。特に虐待等によって傷つき情緒不安を抱えた子ども、発達障がい等により関わりの難しい子どもの教育と発達、安心できる生活と治療的ケアを保証するためには、福祉保健部と教育委員会、そして児童福祉と障がい者福祉など、これまでの枠を超え、正にこどもまんなか社会を目指した横の連携が大変重要です。 そのための一歩として、児童養護施設と学校との協力体制が必要です。社会的養育施設の子どもが多く通学する小学校、中学校に対し、冒頭のような不幸なことが起こらないように、チームティーチングなどのための教員の加配等、きめ細かな配慮が必要と考えますが、学校における児童養護施設入所児童生徒へのケアについて教育長の見解を伺います。 次に、子育て短期支援について伺います。 保護者の病気や仕事などにより子どもの養育が一時的に困難となった場合や、育児不安や育児疲れ、慢性疾患児の看病疲れなどの身体的・精神的負担の軽減が必要な場合に、児童養護施設などで一定期間子どもを預かる事業として、市町村が実施する子育て短期支援事業、いわゆるショートステイです。県内では、姫島村を除く各市町で利用が可能となっており、令和3年度は、延べ1,681人が利用し、いざというときに助かったという声を聞いています。 冠婚葬祭や学校等の公的行事等の社会的な事由でも利用できるという点で利便性は高いのですが、受け入れる施設側は通常の職員体制のまま一時的に受け入れるため、おのずと受入人数が限られてきます。利用したいときに利用できなかったとの声も聞いており、受入体制の充実は不可欠です。 国の令和3年度補正予算において、その取組を支援する補助金も用意されているようですが、実施主体である市町村の取組が進まず、なかなか受入拡大までは行き着いていないのが現状です。 このようなときに、さきほども言いましたが、これまでの枠を超え、こどもまんなか社会を目指した県と市町村の連携が大変重要です。施設の受入拡大に向け、子育て家庭へのサポートが充実するよう市町村と連携して取り組むことが大切だと考えますが、子育て短期支援の充実について福祉保健部長の見解を伺います。 続いて、通園バスの置き去り防止対策について伺います。 今年9月、静岡県牧之原市でまたもや不幸な通園バス置き去り死事件が発生しました。事故で浮上したのは安全管理のずさんさでした。降車後に車内を点検する園のルールは守られず、乗車名簿には園児の降車を確認する欄もなかったとのことでした。 本県でも9月に県内全631の幼児・保育施設を対象に実施した緊急調査結果では、通園バスを運行している97施設のうち、約2割が乗降時に子どもの人数、名前などの確認や記録を徹底していませんでした。また半数以上の施設が、降車時の車内確認などの手順を定めた安全管理マニュアルを策定していないことも分かったとのことでした。車内にセンサーを付けるなど、園児が残されていないか見落としを防ぐシステムを導入済みの施設は現状ではないとのことでしたが、国が再発防止の緊急対策として、来年4月からブザーなど安全装置を義務化する方針を示し、今回その設置のための補助経費が補正予算案として提案されていることは、今後の再発防止策として大いに期待できるところです。 本県でも実際に今年6月には、登園時に子ども1人が3分間、通園バスに取り残された事件が発生しました。施設独自のマニュアルは設けていたものの徹底されていなかったとのことで、やはり装置の設置とともに、運営に携わる方々の二重三重にわたるチェックなど、その取扱いの徹底が大切であることは言うまでもありません。 こうしたことを踏まえ、今後、通園バスの置き去り防止対策をどのように進めていくのか、福祉保健部長に伺います。 ○古手川正治副議長 岡本教育長。 ◎岡本天津男教育長 児童養護施設入所児童生徒へのケアについてお答えします。 県内9か所の児童養護施設には、本年4月1日現在で282人の児童生徒が入所し、それぞれ近隣の小中学校等に通学しています。その中には、保護者がいない、あるいは虐待を受けているなど、複雑な事情を抱えている児童生徒もいます。 特に虐待を受けた子どもは、大人への不信感や恐怖心を抱いていたり、自己肯定感が著しく低いこともあるため、その言動の背景を理解した上で対応することが大事になります。 教職員には、これら児童生徒の気持ちに寄り添い、学校には、落ち着いて過ごすことができる居場所としての役割が求められます。学校は、児童養護施設との定期情報交換会や個別事案の検討会のほか、要保護児童対策地域協議会での情報共有など、関係機関と密接な連携を図っています。 県教委では、実情に応じて児童生徒支援加配等の教員を配置したり、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーを活用した心のケアなど、きめ細かな支援も行っています。 今後も、児童生徒が安心して学校生活を送れるよう、課題を抱える児童生徒に対し、適切な支援に取り組んでいきます。 ○古手川正治副議長 山田福祉保健部長。 ◎山田雅文福祉保健部長 私からは2点お答えします。 1点目は、子育て短期支援についてです。 県内の各市町では、乳児院や児童養護施設、児童家庭支援センター等に委託して子育て短期支援、いわゆるショートステイを実施しており、利用実績は、平成28年度の延べ797件から昨年度の1,681件へと、5年間で2倍以上に増加しています。 一方、議員御指摘のとおり、地域によっては、身近な場所に受入可能施設がない、満室で空きがない、施設の人員不足により受入れの余力がないといった声があると承知しています。 そのため県では、昨年度、施設のない日田市と佐伯市で児童家庭支援センターの開設を支援したほか、新たに受入先として制度化された里親への委託を推進し、今年度、大分市で6組の里親による受入れが可能となりました。 また、昨年度、国が追加した補助メニューについては、現在、専用施設の整備を1市で、専従職員の配置を2市で検討しています。さらなる活用に向け、引き続き市町村に働きかけていきます。 今後とも、市町村や関係機関と連携しながら、困りを抱える子育て家庭が適時に必要な支援を受けられるよう、子育て短期支援の充実に努めていきます。 2点目は、通園バスの置き去り防止対策についてです。 県では、市町村と協力して、送迎バスを運行している97の幼児教育・保育施設への実地調査を、当初計画を前倒しして先月末までに急ぎ実施しました。その結果、乗降時の人数や名前の確認が常に行われている施設は、9月の緊急点検時の約8割から9割に増加し、マニュアル等を策定済みの施設も、約5割から6割に増えるなど、一定の改善が確認されました。 さらに、園児に対してクラクションを押す訓練を実施したり、園児が助けを求めるために押すブザーをバス内に設置するなど、静岡県の事案を受け、独自の対策を講じている園があることも確認できたところです。 今議会に補正予算案を提出している安全装置の設置費用の助成については、送迎バスを有する全ての幼稚園等に活用を促し、早期の導入を図っていきます。 加えて、市町村との連携の下、点呼等による所在確認の徹底など、重層的なチェック体制についても指導を行い、幼稚園、認定こども園、保育所等が子どもたちにとって安全で安心な場所となるよう、万全を期していきます。 ○古手川正治副議長 阿部長夫君。 ◆阿部長夫議員 ありがとうございました。 送迎バスの事故は、本当にあってはならない事故だったと思います。しっかりと御指導ください。 また、教育委員会は施設と学校との連携で支援されているようです。ただ、私が行ったところではそれが行き届いていないのかなという感じもしました。様々な理由で家庭を離れて児童養護施設で生活せざるを得なくなった子どもたちが、自分ではどうすることもできない理由でいじめに遭ったりする、そういうことはあってはならないと思っています。施設から同じ小中学校に何人も通うわけですから、私が訪問した施設は、小学校に23人、そして中学校に10人通っているということです。これだけの人数であると、やはりそういった子どもたちに対する先生の目が行き届きにくいようです。施設に入っているというだけでいじめに遭ったり、不利益を被らないように、そういった支援をしっかりとお願いしたいと園長は言っていました。 加配の支援をしていただいて、スクールソーシャルワーカー等を派遣していただいているということですが、実態をもう少し把握していただいて、目が届いた指導、支援を行っていただきたいと思っています。 また、子育て支援について様々な取組をしていただいているようですが、やはり利用者のニーズが多いというところで、利用したいときに利用できないという声が上がっています。市町村ごとのマンパワーの確保が難しいということであれば、国の子育て短期支援臨時特例事業を使って、県が市町村の間に入ってこういった事業を進めていっていただきたい、支援を広げていただきたい。 別府市の担当課に確認したのですが、来年はその施設、短期入所支援加配を国の事業を使って県にお願いしたいと。大分市も何か取組をしようとしているようですが、別府市の担当者が、県が補助金を出していただければと言っていました。どうかよろしくお願いします。 それでは、次の質問に移ります。 ホーバー就航に伴う陸上アクセスについて伺います。 大分空港と大分市を結ぶ海上交通として、来年度中に復活を予定するホーバークラフトの船体デザインが10月末に発表されました。大分空港が航空機を使った小型人工衛星の打ち上げ拠点に選ばれた宇宙港がモチーフとなっており、未来や夢を感じさせ、開業への期待が高まってきました。 期待が高まる一方で、少し心配になる点もあります。現在、大分空港への足となっている空港バスエアライナーとの乗客の奪い合いとなり、エアライナー運行に係る収支にも大きな影響を与えるのではないかと懸念しています。仮に、収益の悪化のためにエアライナーが減便され、車両の売却などにより運行基盤が一旦失われると、なかなか復活には厳しいものがあり、それは利便性の低下に直結します。 空港アクセスの利便性向上やアクセスの多重化の観点から、陸路であるエアライナーと海路であるホーバークラフトの両方を安定的に維持していくことが重要です。また、近接するJR杵築駅や大分空港道路なども活用しながら、ホーバー欠航時の対策を講じておくことも忘れてはなりません。 現在国内では運航していないホーバークラフトが復活することで期待は高まるのですが、あわせて、こうした諸課題も整理していく必要があろうかと考えます。 こうしたことを踏まえ、ホーバー就航に伴う陸上アクセスの課題について、県としてどのような対策を考えているのか伺います。 ○古手川正治副議長 大塚企画振興部長。 ◎大塚浩企画振興部長 ホーバークラフトの導入にあたっては、発着地となる西大分に500台程度の無料駐車場を整備し、自家用車やレンタカーからの転換を主に図りたいと考えていますが、一部、空港バスからの転換も予想されています。 議員御指摘のとおり、大分空港の利便性を高めるためには、空港アクセスとして、陸路と海路の両ネットワークが安定的に維持されるよう取り組むことが重要です。そのため、県としては、国際線を含めた新規路線の誘致等による航空ネットワークの拡充や宇宙港の実現などによる新たな需要の創出により、空港利用者数そのものを増加させるための取組をあわせて進めていくこととしています。 また、荒天などによるホーバー欠航時には、運航情報をホームページ等でリアルタイムに発信するとともに、予約者には、個別にメールや電話等で連絡を行い、空港バスの利用を促していく予定です。他の代替策についても、バス事業者と検討していきたいと考えています。 空港利便性を低下させることがないよう、バス事業者などの関係者と緊密に連携して取組を進めていきます。 ○古手川正治副議長 阿部長夫君。 ◆阿部長夫議員 ありがとうございました。 ただ、空港アクセスがホーバーによって増えることは非常にいいことだと思いますし、また、空港の利用客を増やす対策はぜひ取っていただきたいと思います。 そういう中で、一番打撃を受けるのはやはり空港エアライナーではないかと思っています。その辺の支援もしっかりと検討していただきたいと思いますし、また、以前にお尋ねしたことですが、ホーバー欠航時の対策としてJR杵築駅と相原パーキングを結ぶことを考えていただけないか。相原パーキングとJR杵築駅、シャトルバスでこういったことが考えられないかと伺いました。 また、パーク・アンド・ライド方式で空港バスをJR杵築駅に停車させて空港に向かうルートをつくってはどうか。悪天候時の代替手段だけではなく、県内各地からJR杵築駅を利用したルートの多様化を図る観点から、相原パーキング経由の空港輸送も検討してはいかがでしょうか。見解を伺います。 ○古手川正治副議長 大塚企画振興部長。 ◎大塚浩企画振興部長 大分空港の利便性を高めるためには、多様なルートでアクセスできることが大変重要です。 その中で、議員御提案のJR杵築駅を利用したアクセスも、将来的な選択肢の一つとして検討の余地はあるのではないかとは考えています。 一方で、具体的なアクセスとして導入を考えるにあたっては、やはり一定程度の安定提供な利用者ニーズということも大事です。 そういうことなので、まず、私どもとしては大分空港そのものの利用者数を増やしていく取組をしっかりと行っていきたいと思います。 ○古手川正治副議長 阿部長夫君。
    ◆阿部長夫議員 将来的な検討ではなくて、直ちに検討に入っていただきたいとお願いして、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○古手川正治副議長 以上で阿部長夫君の質問及び答弁は終わりました。玉田輝義君。  〔玉田議員登壇〕(拍手) ◆玉田輝義議員 皆さんこんにちは。34番、県民クラブの玉田です。最後、3日目の4番目ですが、よろしくお願いします。 まず、10月4日に、早いもので2か月経ちますが、広瀬知事が次期の県知事選挙に出馬しないと表明されました。私もそうですが、多くの県民は驚いており、引き続き県政運営に当たってほしいという声もあります。特に人口減少、過疎、大規模自然災害の頻発、国際情勢の不安定化、新たな感染症、そして、ポストコロナの社会づくりなどの多くの課題がある中で、続投を望む声は、これまでの知事のリーダーシップに対する評価と私は受け止めています。 同時に、知事が長年にわたり本県のリーダーとして、日々、重要な判断を迫られてきたことを思うと、心身への御負担はいかばかりだったかと推察します。これまでの御尽力に対し、改めて心からの敬意を表します。 それでは、早速、質問に入ります。 まず一つ目は、三つの日本一に向けた取組についてです。 知事は、2015年に今後10年間の県政運営の道しるべとして、大分県長期総合計画、安心・活力・発展プラン2015を策定し、特に安心の分野では、子育て満足度、障がい者雇用率、健康寿命の三つの日本一の実現を目指し、県政運営に当たってこられました。 まだ、計画の最終年ではありませんが、現時点の成果として、子育て満足度については、重要指標の一つである合計特殊出生率が、2015年の1.59から、2021年に1.54と低下。障がい者雇用率についても、全国順位が2014年の2位から、2021年には7位と、これも順位が低下したものの、健康寿命については、2016年に男性36位、女性12位から、2021年に発表された2019年時点の順位は男性が1位、女性が4位と、飛躍的に順位を伸ばしました。 これら三つの日本一を目指す取組により、どのような大分県を創造しようとしてこられたのか、知事の思いと、これまでの成果に対する評価について伺います。 以下は対面席で行います。  〔玉田議員、対面演壇横の待機席へ移動〕 ○古手川正治副議長 ただいまの玉田輝義君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 玉田輝義議員から、大分県が目指す三つの日本一に向けた取組について質問いただきました。 私が就任した平成15年は、一方で少子高齢化の進行、他方で長期にわたる景気低迷のトンネルの中、先行きが見通しにくい時期でした。 そうしたときであっても、この大分県は県民の皆さんにとっては大事な生活の場であり、仕事の拠点でもあることから、求められているのは、やはり安心・活力・発展の大分県づくりであると考えました。三つの日本一は安心の礎として、プラン2015において枢要な施策に位置付けられています。 まず、子育て満足度日本一です。 御指摘の合計特殊出生率も重要な指標ですが、この目標に込めた思いは、若い世代が安心して子どもを産み育てられ、子どもが心身ともに健やかに育つ大分県づくりです。 着任後には早速、国に先駆けた県独自の不妊治療費助成や総合周産期母子医療センターの開設、小児救急医療体制の充実などに着手しました。その後、第2子以降の保育料や子ども医療費の助成も拡充するなど、一貫して妊娠・出産、子育てまでの切れ目のない支援に力を入れてきました。 あわせて、児童相談所の職員増員や城崎分室の設置などの児童虐待対策はもとより、子ども食堂やヤングケアラーへの支援などにもきめ細かく対応しています。 次に、健康寿命日本一では、県民が総ぐるみで健康づくり運動を展開し、一人一人が健康で活力あふれる人生を送ることができる社会の構築を目指しています。 各界トップが結集した健康寿命日本一おおいた創造会議を中心に、官民一体となって、県民が自然に無理なく健康増進に取り組める環境づくりを推進しています。 特に、働く世代と高齢者への対策は重要と考え、健康経営事業所の拡充や日本一を誇る通いの場への参加率向上等に努めてきました。そうした中での昨年の快挙は、これまでの県民の努力が結実したものと考えています。 三つ目の障がい者雇用率日本一の目指すところは、障がいのある方も自分が望む地域で自立して暮らすことができる社会の実現です。 これまで、雇用アドバイザーによる企業とのマッチング支援や、法定雇用率未達成企業への重点訪問等に取り組んできた結果、雇用率自体は上昇傾向にあり、昨年度の県内の一般就労者数は、過去最多となりました。 最近では、農業やIT分野で活躍する方も増えており、多様な就労の場が広がってきています。 三つの日本一の実現には道半ばですが、県民と共に一歩ずつ歩んできたことで、目指す社会へ着実に近づいてきたのではないかと考えています。 ○古手川正治副議長 玉田輝義君。 ◆玉田輝義議員 知事、ありがとうございました。今の答弁で、知事が就任以来、安心については非常に思い入れが強く進めてこられたことが分かりました。 就任当時は決して、今もそうですが、財政状況が良くない中で、しかも安心はどうしても公共セクターというか、公の税金で何とかしようという当時の機運があった中で、行財政改革を進めながら安心を確保するということで、非常に御苦労されたのではないかと思っています。 そういう中で、私も今回この質問を考えながら思ったのですが、もちろん結果数値に上下はありますが、三つの日本一という目標を掲げて、そして、県民運動としてこの間取り組まれたのは非常に大きなことだったと私自身も思っています。 ただ、これからやはり安心・活力・発展の安心というのは、その後の活力・発展の土台の部分なので、これはまたこの先ぐらぐらしては困ると思っています。私は勝手に、知事の安心ファーストの県政をこの間、安心の中でやられてきたと思っていますが、この安心ファーストの理念をこれからどう継承していくか、ここがやっぱりこれから激動する社会の中で大きな課題ではないかと思いますが、知事のその辺の思いがあれば、ぜひ答弁願います。 ○古手川正治副議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 思い起こすと、私が最初に知事になったときに積極的に言ってきたのは、選挙公約として安心・活力・発展の大分県をつくることですが、行革は実は不勉強で、最初はそういうことは考えておらず、行革というのは後ろ向きの政策ですし、どちらかというと、反対勢力に遭うと決まっていますから、やりたくない話なので、考えていなかったのですが、実際に知事になって、さて、これからいろいろなことをやらなきゃいけないというので財政を調べてみたら、これはすぐに財政再建団体というか、民間でいえば企業倒産に陥ると分かったものですから、それで慌てて行革をやろうとなったわけです。逆になっていたら安心ということが言えたかどうか分かりませんが、そんな経緯がありました。 しかし、安心というのは、今、議員が言われるように、この大分県は県民にとっては暮らしの場であり、子どもを育てる場であり、そして、仕事をする拠点、大事な大事なふるさとです。そのふるさとに一番大事なのは、やっぱり安心して心豊かに暮らすことができる基盤ではないかと思います。 そんな思いで20年間、これは県民どなたでも思うに違いない。このことを曲げてはいけないという気持ちで、ずっと一貫して守らせていただいたような次第です。そういう思いでやってきました。県民の皆さんもきっと、そこのところは同じような気持ちではないかと思っています。 したがって、これから立派な方が後任として選ばれるに違いありませんが、そういう方も必ずこの安心については同じような気持ちで対応してくれるのではないかと思っています。 ○古手川正治副議長 玉田輝義君。 ◆玉田輝義議員 ありがとうございました。私も継承されることを非常に期待していますし、そのためにはやはり我々自身もそれに向かって声を上げていかなくてはならないとも思っています。 あわせて、知事に大分県の次世代を担う子どもたちへのメッセージをいただけたらと思いますが、私は今いろんなところで、自分の年齢に28を足してみてくださいと言っています。28という数字は、2050年までの数字です。あわせて、家族とか近くに住んでいる方の年齢に28を足してみると、2050年の周りの姿が大体見えるのではないかと思っていますが、2050年といえば、政府が気候変動問題の解決に向けてカーボンニュートラルを目指すと宣言した期限です。これから子どもたちが地球規模の大きな問題に向き合わなければならない一方で、国内にも大きな問題を抱えています。2050年に向かって子どもたちがどのような28年間を過ごしていくのか、正確に予想することは難しいですが、想像することはできるのではないか。 例えば、人口減少が進む中で、2025年以降、高齢者の急増から現役世代の急減に局面が変化すると言われており、喫緊の問題として、介護職員の不足が懸念されます。また、2040年頃には消滅可能性都市が現実のものになり、機能を維持できない自治体が現れ始め、2045年には人工知能が人間の知能を凌駕するのではと言われています。これらを経験した後に2050年の社会があります。 今の小学校6年生が28年後にはちょうど40歳になって、社会の中枢を担うことを考えると、その社会を生きる中心は彼らの世代です。困難な時代を生き抜いていかなければならない子どもたちに対し、知事はどのようなメッセージを寄せるのかと思うので、どうかよろしくお願いします。 ○古手川正治副議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 いろいろ考えると、なかなか将来は厳しいものがあり、子どもや孫の世代は大変難しい時代になるだろうなという心配もありますが、他方、大人たちもそういう見通しのままにこの時代を次の世代に引き継ぐつもりは全くなくて、少しでも打開への道を切り開いておこうと努力するはずです。 地球温暖化の問題にしても、大変厳しい見通しですが、カーボンニュートラルに向けて、いくつかの取っかかりはつくりながら、時代を切り開いていって、次の世代に渡す努力をするだろうし、そういった意味で、我々も自信を持っていいのではないかと思うし、そして、子どもたちが自分たちで明るい未来を切り開いていけるような基盤をつくってここまで進んだという決意が皆さんあるのではないかと思います。 そういう意味で、時代を担う子どもたちの未来については、私はそんなに悲観的ではなく、むしろ現代は、グローバル化の進展等により、世界経済が急速な成長を遂げるとともに、技術革新も目覚ましく、ドローンやアバターやAIなどの先端技術が世の中のありようまで変える勢いで進んでいます。 また、日本では少子高齢化・人口減少が進んでいますが、世界的にはむしろ人口増加が進み、まだまだ世の中もにぎやかになっていくわけですから、そのグローバルな世界の中で考えてみると、我々だけ110万人、120万人から46万人の世界に取り残されるということではなくて、こういう世界の爆発する人口をどうやってうまく取り入れながらやっていくか、そう考えていけばいいのではないか。 こうした変革の著しい時代ですが、歴史を振り返ると、いつの時代も先人たちは夢を持って、英知を結集して、たゆまぬ努力を重ねて、明るい未来を切り開いてきたわけです。子どもたちにもそんな気持ちで夢を描きながら、大きく羽ばたいてほしいと思っています。 今年の宇宙技術および科学の国際シンポジウム(ISTS)ですが、1月に開幕イベントがありました。宇宙飛行士の山崎直子さんは、好きが最大のエネルギー源だと。自分の興味があることにとことん力を注いだから宇宙飛行士になれたと述べています。子どもたちには、自分の夢に向かって、可能性を信じて、前向きに取り組んでいただきたいと思います。 大分県は今、宇宙港の実現に向けて挑み続けています。水平型の人工衛星の打ち上げとか、あるいは宇宙往還機での地上と宇宙ステーションの往来の実現は、あと一歩のところまで近づいています。これは私どもの世代の夢かもしれません。さらにその先には、例えば、宇宙経由で大分とニューヨークを30分ほどで結ぶ高速2地点間の移動という大変すばらしい冒険が待っています。あるいは惑星に向けた旅行など、夢が広がります。 大分の子どもたちも、それぞれの夢に向けて、遠慮なく夢を追い続けてもらってはどうかと思います。 令和2年度から次世代プログラマー発掘コンテストを開催しています。先端技術人材の発掘、育成を行っていますが、全国大会でグランプリを獲得した小学生を始め、参加した子どもたちは、失敗と挑戦を何度も繰り返しながら、懸命に工夫を重ねていました。私も大変頼もしく感じたところであり、こうした発想力や課題の発見力、そしてチャレンジ精神を持ち合わせた人材が、子どもたちが新たな未来を牽引していくだろうと思っています。 言うまでもありませんが、子どもたちは社会の宝であり、将来を担う大きな希望です。 今後とも、子どもたちが無限の可能性を信じて挑戦していけるように、夢を大きく広げて進んでもらいたいと思いますし、そういう子どもたちの環境をつくってやるのが我々の生きがいではないかと思っています。 ○古手川正治副議長 玉田輝義君。 ◆玉田輝義議員 ありがとうございます。1962年生まれの私は、2001年、21世紀になるのが未来だったのですね。それがもう20年以上経ってしまって、2050年という数字を聞くと、ああ、これはどういう時代になるのかなと思うわけです。 先般、豊後大野市立菅尾小学校の6年生に、出前県議会で行って、意見交換する機会がありました。君たちが40歳になったらどんな社会になっているかと聞いたら、車で空を飛んでいる、そういう答えが返ってくるのですね。それから、今県政で一番どんなことをやっていますかという中で、宇宙港の話をしたら、非常に皆さん興味深く話を聞いてくれるわけです。 彼らが成長して子育て世代になったときにどういう世界が広がっているかを我々も想像しながら、さきほど知事が言ったように、基盤をしっかりとつくっていく。駅伝でいうと、我々はたすきをつないでいる方で、次の世代にどうたすきをつないでいくかが非常に重要なことだと思いますが、そういう意味では、夢の実現のための可能性という部分では、やはり教育も含めて、いろんな基盤を整備しなくてはならないと思いました。そういう社会をこれから我々もしっかりと責任を持って現役世代としてつくっていかなくてはならないと思っています。 それでは、次の質問に入ります。 介護人材の確保についてです。急に現実的な話になりますが。 今年度の決算特別委員会の審査報告書にも記載されていますが、本県における介護人材は、2025年時点で1,200人程度、2040年には6千人程度不足すると推計されています。これまでも一般質問等で取り上げられているように、高齢化が進む中で要介護者等の増加を見据えた介護人材の確保は大きな課題だと考えます。 まず一つは、介護人材の確保のためには、介護事業所が魅力ある職場であることが重要です。そのような中で、10月28日に、働きやすく、やりがいのある介護職場に県がお墨付きを与えるふくふく認証の交付式があり、県内の3事業者の代表に知事から認証書が手渡されたという報道がありました。そこでまず、この認証の狙いと効果について伺います。 また、介護事業所の魅力の中で重要なのは賃金の問題です。介護業界の働き手でつくる労働組合によると、これまで介護職は全産業平均賃金と比べ月額4万円ほど賃金が低い実態にあるとされており、職場の過酷さとあいまって人材の確保に苦労しています。 そのような中、国は、2022年2月から介護職員処遇改善支援補助金を創設し、介護職の給料アップを図ろうとしています。しかし、本県での補助実績が見込みを大幅に下回っているようです。そこで、補助実績が見込みを下回っている理由について伺います。 また、補助を受けた事業所について、実際に職員の賃金がどれくらい上がっているのか、また、賃金引上げ以外に補助金がどのように使われたのか伺います。あわせて、補助の申請に至らなかった介護事業所について、申請しなかった主な理由についても伺います。 さらに、第8期介護保険事業支援計画にない今回の処遇改善は、税金を投入して行うものですから、その効果を検証する仕組みが必要と考えます。どのようにして効果を検証するのでしょうか。以上の点について、少し多いですが、福祉保健部長の見解を伺います。 ○古手川正治副議長 山田福祉保健部長。 ◎山田雅文福祉保健部長 2点についてお答えします。 1点目は、介護現場の認証制度についてです。 要介護者の増加に伴い介護人材の不足が見込まれる中、介護現場の職員が将来に夢と希望を持ち、働き続けることができる、魅力ある職場づくりの推進が求められています。 このため県では、やりがいと働きやすさの両立に向けた取組を実践する介護事業者の増加を目指し、事業者や職員はもとより、求職者や利用者にもメリットのある認証制度を今年度創設しました。 早速、先月末までに52の事業者が基準に沿った取組を推進することを宣言し、そのうち、資格取得支援や労働時間短縮の取組等、24の評価項目をクリアした3事業者をこのたび認証しました。 認証を受けた事業者にとっては、よりよい職場環境の実現に加え、積極的なPRを通じたイメージ向上により、人材確保につながることも期待されます。求職者にとっても本人が望む職場を探しやすくなります。 加えて、職員のモチベーションアップにより、利用者に対する介護サービスの質の向上も期待できると考えています。 今後とも、ふくふく認証制度の普及を通じた魅力ある介護の職場づくりに努めていきます。 2点目は、介護事業所における処遇改善についてです。 今回の処遇改善支援補助金の実績は、補助要件を満たした法人数ベースでは77.8%ですが、事業所数ベースでは52.7%にとどまっており、制度の活用が十分とは言えません。 未活用の理由としては、短期間での賃金規程の整備が困難だった例や、医療機関と介護事業所を両方運営する医療法人において、双方の職員の賃金のバランスを保つため引上げを見送った例があると伺っています。 また、施設によっては、申請時期がコロナ対策に忙殺された時期と重なったことも影響していると考えられます。 この補助金の使途は賃金のみで、介護職員1人当たり月額9千円相当が交付されていますが、各事業所の判断で介護職員以外の職員も対象に加えることができます。 申請のあった事業所に聞き取りを行ったところ、実際の賃金改善額は、多くの事業所で月額9千円を下回っており、他の職種にも配分されていることがうかがえます。 事業効果については、処遇改善支援補助金の後継として本年10月から制度化されたベースアップ等支援加算も含め、国が今月から調査を予定しており、その結果を注視したいと考えています。 ○古手川正治副議長 玉田輝義君。 ◆玉田輝義議員 ありがとうございます。まず、ふくふく認証制度について要望を少し言いますが、今、福祉保健部長から、現在52事業者が登録しているということで、もちろんスタートしたばかりなので、まだまだこれから増えていくと思います。 ただ、今のところ認証を受けることで事業者が介護人材の確保を期待しているものの、まだそこまでに至っていない状況なので、事業者としては人材確保につながる何かもう一工夫欲しいという思いもあるようなので、この事業を検証する中で、確実に人材確保につながるように事業を進めてもらいたいと要望します。 それから、さきほど答弁があった処遇改善についてですが、処遇改善支援補助金の後継制度として、本年度、今年10月からベースアップ等支援加算について始まっていますが、さきほど部長から52%程度にとどまっているという話もありましたが、現在その申請状況についてどのようになっているか教えてください。 ○古手川正治副議長 山田福祉保健部長。 ◎山田雅文福祉保健部長 このベースアップ等支援加算については、今年10月以降の賃金のアップ、9千円相当が想定されていますが、それを目指した施策ですが、申請済みの事業所は11月末時点で全事業所の83%となっており、処遇改善支援補助金を申請しなかった事業所においても、こちらの申請は進んでいます。 ○古手川正治副議長 玉田輝義君。 ◆玉田輝義議員 ありがとうございます。83%ということで、この事業を進めることで、最終的には介護人材の確保というか、賃金アップにつながるように、ぜひ進めてもらいたいと思っています。 来年度、2023年度が介護保険事業計画の、そして、県では支援計画の見直しの年です。今回、言わばカンフル剤的な処遇改善事業でしたが、さきほど国が効果を検証するという話がありましたが、そういう効果をしっかり検証して、そして、介護人材の確保というか、一つはやっぱり、4万円の差があるところを今9千円ということで、しかもその9千円は丸々行っているわけではないので、1円でも上がるように、何か知恵を絞っていかなくてはならないと思っています。 ただ、介護報酬自体が、介護保険税とか、そういうことで賄われるので、報酬の決定等に随分と人件費は左右されますが、そういう中で、介護人材の確保について、ぜひ議論して進めていただきたいと思っています。よろしくお願いします。 それでは次に、気候変動対策について伺います。 11月6日から20日まで、COP27(国連気候変動枠組条約第27回締約国会議)がエジプトで開催され、気候変動により引き起こされた洪水や干ばつなどの途上国の被害に対し、支援基金の創設が合意されました。 あわせて、期間中、日本は世界の環境団体から、地球温暖化対策に消極的な国であるとして、化石賞に3回連続で選ばれるという不名誉なニュースもありました。 さて、国内では、2050年までの二酸化炭素排出ゼロを宣言した自治体が10月31日現在、797自治体に上っており、大分県も2020年3月にゼロ宣言を行っています。 また、11月9日現在、全国129の自治体で気候非常事態宣言を行っており、本県議会でも令和2年第1回定例会で気候非常事態宣言を求める請願を全会一致で可決しましたが、執行部では実質的な政策を積み重ねるとの理由で、宣言は行っておらず、気候危機に対する政策の緊急度が私は余り感じられません。 こうした中、本年度、国が推進する脱炭素先行地域の枠組みを活用しながら、農業大学校の農地や加温ハウスに太陽光発電設備を試験的に設置し、農業生産との両立について、その可能性を検証する事業が予定されていました。 この事業は、カーボンニュートラル社会における農業の方向性を示すとともに、農業大学校で学ぶ学生のモチベーション向上にもつながり、また燃油高騰対策としても、本県の農業の将来にとって非常に重要な事業だと考えていました。 しかし、本年度の環境省の脱炭素先行地域の選定には、結果として申請できておらず、事業内容が画期的と私は思っていただけに、なぜという思いがあります。話を聞いてみると、地域として一定の広がりや規模の確保が不十分などの理由で、申請しても採択の見込みが薄いためとのことでした。 今回、この事業が申請に至らなかった一因としては、市町村に計画策定の努力義務が課されている地球温暖化対策実行計画について、県内では6市の策定にとどまっており、まだ、本気で自分のこととして、県全体で気候変動対策に取り組むという機運が醸成されていないことにあるのではないかと思っています。そこで、今後どのように当該事業を進めるのか、まず伺います。 また、地球温暖化対策実行計画について、本県では今年度見直しが行われていますが、計画未策定の市町村に対しては、今後どのようにして計画策定を促していくのか伺います。 そして最後に、県全体で気候変動対策に取り組むという強い姿勢を打ち出す意味からも、気候非常事態宣言を行うことは大変意義のあることと私は考えますが、以上の点について生活環境部長の見解を伺います。 ○古手川正治副議長 高橋生活環境部長。 ◎高橋強生活環境部長 脱炭素先行地域事業は、その採択状況を見ると、エリアの広がりや住民、行政、事業者等との連携した取組が求められています。今回計画した事業は、県単独で再エネ施設を設置する効果を検証するものであったため、申請を見送ったものです。 現在、事業内容の見直しや他の枠組みの活用などを幅広に検討しています。 市町村の計画策定にあたっては、専門知識の不足や財源といった課題があります。そのため、国の専門家を招聘した担当者研修会の開催や各種調査などに関する国庫補助制度の活用等を働きかけていきます。 気候非常事態宣言は、国や自治体などが気候変動への危機感を示し、行動を呼びかけるものと理解しています。本県では、その趣旨と意義をしっかり踏まえた上で、危機感を持って、具体的な方向性を掲げる2050年温室効果ガス排出実質ゼロを令和2年3月に表明しました。 引き続き、県民、事業者、行政が主体的に行動し、脱炭素社会の実現に向けて一体的に取り組んでいきます。 ○古手川正治副議長 玉田輝義君。 ◆玉田輝義議員 非常事態宣言についてはそういう答弁だろうと思っていますが、先般、常任委員会で長野県の地球温暖化防止の取組を見ました。当然、情報が生活環境部長にも行っていると思いますが。長野県では2019年12月に、気候非常事態宣言-2050ゼロカーボンへの決意-を行っています。御案内のとおりだと思います。 その中で、今年度は2050信州ゼロカーボンチャレンジ、信州スマートムーブ通勤ウィーク、再配達削減キャンペーンなど、県民運動でそういう脱炭素の取組を行っています。本県でも様々な事業に取り組んでいますが、さらに、さきほどの安心ではありませんが、県民運動として進化させていく、取り組んでいくことができればいいなと、随分進むと思っています。その意味でも、非常事態宣言もぜひ引き続き、ここでぷつっと切るのではなくて、検討していただければと思っています。 そしてまた、市町村に対する計画策定も、やはりどうしても周辺部、私の地元、豊後大野市もそうですが、むしろ二酸化炭素を吸収しているのだという思いがどうしてもあるのですよね、僕らもそうですが。ただ、そうは言うが、市民運動、県民運動の一環だという意味でも、こういう計画策定について、ぜひ県からも促していただきたいと思っています。これは要望です。 あと、一つ再質問ですが、農業大学校で画期的だなと僕が思ったのは、農業生産の現場における脱炭素をこれからやっていくということで、それを学べるというところが画期的だなと思ったのですが、これから農業生産分野においても脱炭素化に取り組むことが大事だと思っています。それは共通だと思いますが、知事が先般の提案理由で、脱炭素社会に向けた対応として、これからの産業振興にあたっては、カーボンニュートラルの実現が不可避の命題であり、いずれの業界も厳しいかじ取りが迫られているということで、大分コンビナートについて事業継続と脱炭素の両立は今後の県政発展に関わる死活問題だと言われています。 産業界の取組に対する覚悟を私も感じましたが、製造業に限らず、本県の基幹産業である農業についても、事業継続、脱炭素の両立が今後の県政発展に関わる大きな課題だと思っています。 そういうことを踏まえて、農業生産分野においてどのように脱炭素に取り組んでいくのか、農林水産部長の見解を伺います。 ○古手川正治副議長 佐藤農林水産部長。 ◎佐藤章農林水産部長 やはり持続可能な農業生産を行っていくということであれば、今問題となっている脱炭素化への取組は大変重要な取組だと思っています。そういった意味では、化学肥料とか化学農薬を使うことの削減、それから、耕畜連携の推進、省エネ機関の導入などに今後とも取り組んでいくことは推進していくべきだと思っています。 それから、農大についても、今年、ドローンを活用して農業を行うということで、先端的な農業を今後の担い手である農大の生徒には学んでいただきたいということで今整備していますが、脱炭素化に向けても、やはりそういった必要となる学びのための取組は非常に大事になってくると思っています。 ○古手川正治副議長 玉田輝義君。 ◆玉田輝義議員 佐藤農林水産部長、ありがとうございました。 農業分野での脱炭素の問題は、やっぱり一つ、日本とは逆に、世界中の人口増を含めて大きな課題になっていることは皆さんの方が御案内だと思います。 私がちょっと、心配まではいかないんですが、今、新規就農者とか若い人たちに農業参入をどんどん求めていって、そこに若い人がいろいろ装置、生産体制に投資するわけですよね。その投資したものが、今度2050年に向かって脱炭素の生産体制に変わっていったときに、また新たな投資をせざるを得ないような、社会のど真ん中でこれから子育てになったときに、また新たな投資が必要というか、価値観が変わってしまったということになるのではないかと、ちょっとそこが私は心配で、そういう意味で、さきほど農林水産部長が言われた部分も大事で、それから先の部分も少し懐を広くして、そして、対応を考えるようなところで農業生産の脱炭素化も本県農業については大事ではないかと思っているので、そういう意味で伺ったので、どうか御検討をお願いします。 それでは、次に行きます。 芸術等の文化を活用した誘客対策で、福岡・大分デスティネーションキャンペーンに関連して伺います。 県立美術館が開館して7年が経過し、県外からも多くの来館者にお越しいただいた結果、通算の来館者数は370万人を超え、すっかり大分県の芸術の中心施設として、芸術と観光が融合した施設にもなりました。芸術の情報発信場所が観光振興につながっていることを改めて感じています。 さて、2015年夏以来9年ぶり、2024年春に予定されている福岡・大分デスティネーションキャンペーンについても、本県の観光振興につながるビッグイベントとして大きな期待がかかっています。これは知事もずっと答弁で答えておられました。 現在、実行委員会において検討が行われていると伺っていますが、県立美術館を始め、県内の美術館等を誘客場所として広く取り込むなど、すばらしい企画を期待しています。 そこで提案ですが、今回のDCでは、観光施設に加えて、県内のJR駅舎を活用した企画もぜひ考えてもらいたいと思っています。例えば、第16回を数える大分アジア彫刻展の歴代入賞作品を、大分駅から豊後荻駅までの豊肥本線の駅舎に展示し、それをきっかけにして、沿線の朝倉文夫記念館など文化施設への誘客を図ってはいかがでしょうか。無人駅での展示物をどう管理するかという大きな問題がありますが、課題をクリアすれば、赤字にあえぐ路線の魅力を再発見する機会になるのではないかと思います。 また、今回は福岡県と共同のDCとなっています。キャッチコピーも「至福の旅!大吉の旅!福岡・大分」に決まり、両県が連携した企画が特に重要になります。 そこで、もう一つ提案ですが、両県ゆかりの戦国武将である大友宗麟や黒田官兵衛と同じ時代を生きた武将に関係する史跡巡りや、鉄道開業150年の歴史を観光資源とし、JRを使って両県を巡る誘客などを図ってはいかがでしょうか。 こうしたことを踏まえ、DCを契機とした、芸術や歴史などの文化を活用した誘客対策について、観光局長の見解を伺います。 ○古手川正治副議長 秋月観光局長。 ◎秋月久美観光局長 県では、国民文化祭等を契機に芸術文化と地域の様々な魅力を融合するカルチャーツーリズムの推進に取り組んできました。現在、OPAMで開催中の相国寺展と宇佐神宮参拝をセットにした福岡からのツアーが好評を得るなど、カルチャーツーリズムへの関心は高く、今回のDCにおける重要なテーマの一つと考えています。 また、DCの基本方針の一つに福岡大分連携による感動の最大化を掲げており、両県の異なる魅力を掛け合わせたり、議員から御提案いただいたような関連する素材を一つの物語として提案したりすることで新たな価値を創出し、満足度の向上を目指していきます。 そのために商品開発部会では、その期間しか鑑賞できない文化財の特別公開や地域で活動する若手アーティストによるワークショップなど、芸術文化の様々なコンテンツの掘り起こしと物語化を県内の市町村や福岡県と今進めています。 また、こうしたコンテンツを巡る周遊方策について交通事業者と連携して検討を進めています。 大分アジア彫刻展の入賞作品の活用など、議員の御提案も含め、市町村や芸術文化関係者等とさらに協議を深め、魅力あるカルチャーツーリズムを全国の方に楽しんでいただけるように取り組んでいきます。 ○古手川正治副議長 玉田輝義君。 ◆玉田輝義議員 ありがとうございます。ちなみに、来年は朝倉文夫氏の生誕140年の節目の年で、朝倉記念館も非常に、どういう企画を練ろうかと、観光局長も御存じだと思いますが、そういうことをやられているみたいですし、それから、駅そのものを素材にするという意味では、JRグループが今、鉄道開業150年を記念して、ツイッターで好きなJRの駅名と思い出などを募集して、それをサイトにアップしています。例えば、県内の駅の思い出の場所とか、思い出のツイートをDCの期間中、展示するとか、さきほど言われたように物語をつくってみるのは非常に大事だと思います。 それから、11月27日に大野町で大友能直800回忌法要が行われました。これは大友の初代の子孫の方ですが、その800回忌法要で、これは合同新聞にも報道されていますが、そういう大友氏をしのぶ活動も息づいており、これも資源の一つだなと思います。というのが、連絡を取っているのは柳川市の立花宗茂のところとか、それから、福岡県新宮町の戸次道雪のお城があったところとか、戸次道雪自体が大野町というか、鎧ヶ岳城のどこかにお城があったのではないかと言われていますが、そういうことで市民レベルでいろいろつながっているので、その辺もうまく連絡を取りながらやってほしいと思いますし、それから、観光振興とあわせて、DCの後もJRの利用客が固定するというか、増えるというか、そういう仕掛けもぜひ考えていただきたいと思います。これは要望ですが、ぜひよろしくお願いします。 それでは最後ですが、芯の通った学校組織の取組の成果について伺います。 芯の通った学校組織の件ですが、2050年の大分県に住む人々が安心して暮らしていくためには、次世代を担う子どもたちへの教育の投資が重要だと思います。 本県は、2012年から芯の通った学校組織の構築による教育改革を進めており、取組開始から10年が経ち、子どもたちの学力、体力は全国上位クラスになりました。 その一方で、県内の不登校の児童生徒数は2021年に3,254人となり、データのある1999年以降、最多となっています。2021年から3千人台に急増したことは、新型コロナの影響が一因と考えられますが、既にコロナ禍前の2017年には、初めて2千人台を超えており、今後も増加傾向にあるのではないか、その背景には、子どもたちが将来に希望を見いだせなくなっているのではないかと私は心配です。 さて、先頃、芯の通った学校組織について、総括する会議が行われたと伺いました。学力や体力の向上と同じくらい大切なことは、自分のやりたいことを、たとえ失敗しても何度でも挑戦できる学校づくりであり、そこで教育を受けた子どもたちが、地元愛を形成し、大分県に住み続けたいと思えるかに集約されると思っています。 教育県大分を創造しても、高校を卒業後、地域によっては大部分の生徒が地元から転出してしまう実態がある中で、一時的に転出したとしても、いずれは戻って地元のためにと思わなければ、2050年の大分県はどうなっているでしょうか。 芯の通った学校組織の取組の成果として、教育水準が向上し、子どもたちが卒業後、県外で存分に活躍していることは、もちろん誇るべきことです。しかし、それだけではなく、学校が子どもたちにとって、失敗しても何度も挑戦できる場所であって、学校が楽しい、地元が好きと感じられるかが重要だと思います。 こうしたことを踏まえ、これまでの芯の通った学校組織の取組の成果と今後の課題について、教育長に伺います。 ○古手川正治副議長 岡本教育長。 ◎岡本天津男教育長 明確な目標の下、学校全体で組織的に教育活動に取り組む芯の通った学校組織の確立による学校改革を平成24年度から開始し、働き方改革など、時々の政策課題も踏まえながら進めてきました。 学校の組織的課題解決力は着実に向上し、小中学生の学力や体力は全国に誇れる水準まで向上するなど、教職員一人一人のたゆまぬ努力の成果が、子どもたちの力となって着実に現れてきたと認識しています。 その一方で、御指摘のとおり、子どもの挑戦意欲を伸ばすこと、地域を支える人材を育成することは重要であり、例えば、将来の夢や目標を持っていると回答する子どもが減少傾向にあるなど課題も見られます。 県教育委員会では、今年度の重点方針として、子どもの力と意欲の向上に向けた組織的取組の推進や、地域を担う人づくりの推進を掲げ、様々な取組を行っています。 今後も大分の将来を担う本県の全ての子どもたちが未来を切り開く力と意欲を身に付けることかできるよう、教育県大分の創造に向けて不断の努力を継続していきます。 ○古手川正治副議長 玉田輝義君。 ◆玉田輝義議員 まず、教育長、不登校の件については昨日の答弁で、中学校3年生のときに増えているが、高校の段階になると随分減っている。やはり現場の方の努力が非常にあるなと私も昨日、答弁を聞いて思いました。ただ、それでもやはり不登校の方は増えている。総体ですね、総数が。ということで、これから子どもたちにとって、居場所である学校で居場所がなくなってくるのは非常に僕らもつらいなと思うので、一人一人に光を当てた、十分そこは認識されているでしょうが、改めてそういうことを言いたいと思っています。 先般、11月6日に豊後大野市で、地元出身の小説家で今脚光を浴びていますが、乙野四方字さんの講演会があり、終わった後に少し意見交換させてもらいました。これはさきほどの知事のメッセージも関わることですが、こんなふうに言われていました。僕は、乙野さんは小説一本でずっと来たと思っていたのです。ところが、彼は音楽とか演劇とかいろんなことにチャレンジして、今残っているのが執筆活動だと言われるのですね。いろいろ話を聞きながら、これまでいろんなチャレンジをして、いろんな壁にぶつかって、それでもやっぱり頑張ってきて、一つ残ったのを大切にしながら今があるのだなと思いました。 様々なチャレンジの結果、今、彼がそうあるとすれば、これからの子どもたちもそうあってほしいなと思うし、いずれ組織はその構成員を守るのではなくて、組織を守り始めるというか、時間が経つと、そういう転機があるときがあるので、そうではなくて、そこは重々御承知だと思いますが、繰り返しますが、誰一人も取り残さない、一人一人に光が当たるような学校組織として、さらに進化させていただきたいと思います。そういう要望というか、意見を付して、ぜひ取り組んでいただきたいと思っています。 これで私の一般質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手) ○古手川正治副議長 以上で玉田輝義君の質問及び答弁は終わりました。 これをもって一般質問及び質疑を終わります。 ただいま議題となっている各案件は、お手元に配布の付託表のとおり、所管の常任委員会に付託します。 なお、他の委員会にも関連のある案については、合い議をお願いします。  -------------------------------付託表件名付託委員会第102号議案令和4年度大分県電気事業会計補正予算(第1号)商工観光労働企業第103号議案大分県個人情報保護法施行条例の制定について総務企画第104号議案個人情報の保護に関する法律の一部改正等に伴う関係条例の整備について総務企画第105号議案大分県職員定数条例の一部改正について総務企画第106号議案職員の給与に関する条例等の一部改正等について総務企画第107号議案当せん金付証票の発売について総務企画第108号議案大分県の事務処理の特例に関する条例等の一部改正について総務企画第109号議案公の施設の指定管理者の指定について総務企画第110号議案大分県病院事業の設置等に関する条例の一部改正について福祉保健生活環境第111号議案公の施設の指定管理者の指定について土木建築第112号議案工事請負契約の締結について土木建築第113号議案工事請負契約の変更について土木建築第114号議案大分県県営住宅等の設置及び管理に関する条例の一部改正について土木建築第115号議案警察署の名称、位置及び管轄区域条例の一部改正について文教警察第116号議案財産の取得について文教警察第117号議案令和4年度大分県一般会計補正予算(第4号)全委員会第5号報告令和4年度大分県一般会計補正予算(第3号)について総務企画 商工観光労働企業第6号報告反訴の提起について商工観光労働企業  ------------------------------- ○古手川正治副議長 以上をもって本日の議事日程は終わりました。 お諮りします。8日、9日及び12日は常任委員会のため、13日は議事整理のため、それぞれ休会としたいと思います。これに異議ありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○古手川正治副議長 異議なしと認めます。 よって、8日、9日、12日及び13日は休会と決定しました。 なお、10日及び11日は県の休日のため休会とします。 次会は、14日定刻より開きます。日程は、決定次第通知します。  ------------------------------- ○古手川正治副議長 本日はこれをもって散会します。     午後2時49分 散会...