令和 4年 第4回定例会(12月) 令和4年第4回
大分県議会定例会会議録(第2号)令和4年12月5日(月曜日
) -------------------------------議事日程第2号 令和4年12月5日 午前10時開議第1 第117号議案 (議題、提出者の説明)第2 第84号議案から第98号議案まで (議題、
決算特別委員長の報告、質疑、討論、採決)第3 一般質問及び
質疑 -------------------------------本日の会議に付した案件日程第1 第117号議案 (議題、提出者の説明)日程第2 第84号議案から第98号議案まで (議題、
決算特別委員長の報告、質疑、討論、採決)日程第3 一般質問及び
質疑 -------------------------------出席議員 42名 議長 御手洗吉生 副議長 古手川正治 志村 学 井上伸史 吉竹 悟 清田哲也 今吉次郎 阿部長夫 太田正美 後藤慎太郎 衛藤博昭 森 誠一 大友栄二 井上明夫 鴛海 豊 木付親次 麻生栄作 三浦正臣 嶋 幸一 元吉俊博 阿部英仁 成迫健児 浦野英樹 木田 昇 羽野武男 二ノ宮健治 守永信幸 藤田正道 原田孝司 小嶋秀行 馬場 林 尾島保彦 玉田輝義 平岩純子 吉村哲彦 戸高賢史 河野成司 猿渡久子 堤 栄三 荒金信生 末宗秀雄
小川克己欠席議員 1名 高橋 肇
-------------------------------出席した県側関係者 知事 広瀬勝貞 副知事 尾野賢治 副知事 吉田一生 教育長 岡本天津男 代表監査委員 長谷尾雅通 総務部長 若林 拓 企画振興部長 大塚 浩 企業局長 磯田 健 病院局長 井上敏郎 警察本部長 種田英明 福祉保健部長 山田雅文 生活環境部長 高橋 強
商工観光労働部長 利光秀方 農林水産部長 佐藤 章 土木建築部長 島津惠造 会計管理者兼
会計管理局長 廣末 隆 防災局長 岡本文雄 観光局長 秋月久美
人事委員会事務局長 後藤 豊
労働委員会事務局長 田邉隆司
------------------------------- 午前10時 開議
○
御手洗吉生議長 おはようございます。 これより本日の会議を開きます。
-------------------------------
○
御手洗吉生議長 本日の議事は、議事日程第2号により行います。
-------------------------------
△日程第1 第117号議案(議題、提出者の説明)
○
御手洗吉生議長 日程第1、第117号議案を議題とします。
-------------------------------第117号議案 令和4年度大分県
一般会計補正予算(第4号)
-------------------------------
○
御手洗吉生議長 提出者の説明を求めます。広瀬知事。 〔広瀬知事登壇〕
◎広瀬勝貞知事 ただいま追加提案した第117号議案令和4年度大分県
一般会計補正予算(第4号)について説明します。 本議案は、国の
総合経済対策に呼応した諸施策を措置するものです。補正額は400億2,107万2千円であり、これに既決予算額を合わせると7,747億1,711万円となります。 以下、主なものを説明します。 はじめに、エネルギーや食料品などの価格高騰に見舞われている生活者、事業者への支援です。ウィズコロナの下、社会経済活動の正常化が徐々に進みつつある中、物価高で消費や事業活動が抑制され、持ち直しを見せている景気が腰折れしないためにも、十分な対策を講じなければなりません。 そこで、今回、県全体としては3度目となる
プレミアム商品券を発行することとし、もう一段の消費喚起を図ります。市町村による上乗せ分を含め、プレミアム率は30%、発行額は130億円程度を予定しています。 また、事業回復期にある中、中小企業などの資金繰りを応援すべく、いわゆるゼロゼロ融資の借換え等に対応可能な融資限度額1億円の県制度資金を創設します。 高止まりする
エネルギー価格が、家計や事業者の経営を圧迫しています。そこで、太陽光発電や蓄電池などの整備に対する補助事業を拡充し、家庭や中小企業・
小規模事業者、
社会福祉施設等における
エコエネルギーへの転換を促進します。 農林水産業に関しても、施設園芸農家などに対して
省エネ型電照機器等の導入費用を助成します。土地改良区が管理する揚水機場など、基幹的な農業水利施設の省エネ化に向けては、まずは様々なソフト、ハード対策に関する費用対効果の調査と、それを踏まえた省エネ化計画の策定を支援します。 肥料価格の高騰も続いており、その影響を緩和するには畜産堆肥の活用が効果的です。これを促進しようと、本年9月、JAグループを主軸とした
耕畜連携マッチングチームが動き出しました。この枠組みの下、耕種・畜産農家間での資源循環の輪が大きく広がるよう、堆肥導入にあたっての圃場診断や堆肥の散布経費などに対する助成額を拡大します。 地域の稼ぐ力も強化していきます。そのためには、やはり裾野の広い観光業を復活軌道へと乗せていかなければなりません。お陰様で現在、県内の
日本人宿泊者数は、コロナ禍前と同水準にまで回復しています。これを確かなものにしようと、今月27日までを期限に、新しい大分旅割第2弾を実施中ですが、割引率等を見直した上で、年明け以降も続けて展開すべく、その原資を約35億円分追加で措置します。さらに、こうした全国旅行支援の終了後も、特にオフシーズンの観光需要を底上げするため、県独自の旅行支援も実施することとし、その準備に着手します。また、令和6年春のデスティネーションキャンペーンに向け、おんせんおおいたWi-Fiの高速大容量化や公衆トイレ等の環境改善に対し助成するほか、観光案内標識などの改修を行います。 インバウンドは、この10月、県内の
外国人宿泊者数がコロナ禍以降、初めて1万人を超えました。待ち望まれる
インバウンド回復の兆しがようやく見えてきたところであり、その動きに弾みを付けていかなければなりません。このため、韓国や東南アジア、欧州等に設置している
戦略パートナーとも連携を密に、現地での誘客対策はもちろん、外国人観光客を引き付ける竹細工や臼杵の食文化、耶馬溪等でのサイクリングといった
体験型コンテンツなどを盛り込んだ高付加価値な旅行商品の造成、セールスを実施します。この先、令和7年には、大阪・関西万博が開催されます。海外からも多くの来場者が見込まれており、大型化、快適化されるフェリーさんふらわあなどを関西方面からの移動手段として活用してもらいながら、ぜひとも訪日客をおんせん県おおいたに引き込んでいきたいところです。 相次ぐ災害に屈しない県土づくりも着実に前進させなければなりません。そこで、国土強靱化5か年
加速化対策等に関連する公共事業費約300億円を追加で措置します。これにより、
大分臨海コンビナートの護岸改良や
西国東干拓地域の地盤改良などの進捗率を上げていきます。 また、盛土災害の発生を防ぐため、盛土規制法に基づく規制区域の指定に向けた基礎調査を開始します。なお、政府に対しては、この国土強靱化5か年加速化対策が終了した後も、中長期的な見通しの下、引き続き必要十分な予算を安定的に確保するよう、既に要請しています。 災害対策の関係では、本年9月の台風第14号に際して、赤潮の影響による被害にも見舞われた
ブリ類養殖業者の事業回復を支援するため、今期出荷予定であった養殖魚の死亡に伴う減収の一部を補填します。あわせて、今後の出荷量確保に資する中間魚の導入なども応援すべく、現在、無利子の緊急融資を発動しています。 安全・安心の観点から今忘れてならないのは、幼稚園等に通う子どもの安全管理です。静岡県牧之原市で起こったような送迎用バスでの
置き去り死亡事故を繰り返してはなりません。このため、各施設には、降車時の車内確認などを盛り込んだマニュアルの作成とその実行を個別に指導しています。加えて、今回、送迎用バスへの安全装置の導入に対する財政支援を講じ、幼稚園、保育所や
放課後児童クラブ、私立小学校などに早期の対応を求めていきます。 なお、
特別支援学校のスクールバスについても、同様に安全装置を急ぎ整備します。 子ども・子育て関係では、ほかにも妊娠時から出産、子育て期まで一貫した伴走型の相談対応にあわせ、妊娠届のときに5万円、出生届の際には新生児一人当たり5万円相当の経済的支援を行います。 以上をもって提出した議案の説明を終わります。 何とぞ慎重御審議の上、御賛同いただくようお願いします。
○
御手洗吉生議長 以上で提出者の説明は終わりました。
-------------------------------
△日程第2 第84号議案から第98号議案まで(議題、
決算特別委員長の報告、質疑、討論、採決)
○
御手洗吉生議長 日程第2、第84号議案から第98号議案までの各決算議案を一括議題とし、これより委員長の報告を求めます。
決算特別委員長河野成司君。 〔河野議員登壇〕
◆
河野成司決算特別委員長 決算特別委員会の審査の経過と結果について御報告します。 本委員会で審査した案件は、第3回定例会で付託を受けた第84号議案令和3年度大分県
病院事業会計決算の認定について、第85号議案令和3年度大分県
電気事業会計利益の処分及び決算の認定について、第86号議案令和3年度大分県
工業用水道事業会計利益の処分及び決算の認定について、第87号議案令和3年度大分県
一般会計歳入歳出決算の認定について及び第88号議案から第98号議案までの令和3年度各
特別会計歳入歳出決算の認定についての議案15件です。 委員会は、9月16日から11月8日までの間に8回開催し、会計管理者及び監査委員ほか関係者の出席、説明を求め、予算の執行が適正かつ効果的に行われたか、また、その結果、どのような事業効果がもたらされたかなどについて、慎重に審査しました。 その結果、各般の事務事業等は、議決の趣旨に沿って、おおむね適正な執行が行われており、総じて順調な成果を収めているものとの結論に至り、第84号議案、第88号議案から第91号議案まで、第93号議案から第95号議案まで及び第98号議案については全会一致をもって、第87号議案、第92号議案、第96号議案及び第97号議案については賛成多数をもって認定すべきものと決定しました。 また、第85号議案については全会一致をもって、第86号議案については賛成多数をもって可決及び認定すべきものと決定しました。 なお、決算審査の結果、お手元に配布の
決算特別委員会審査報告書のとおり、改善、あるいは検討を求める事項について取りまとめたところです。 その全ての朗読は省略しますが、いくつかの項目について申し述べます。 まず、財政運営の健全化についてです。 令和3年度
普通会計決算においては、経常収支比率の大幅な改善や、
財政調整用基金残高の回復などが見られますが、近年の相次ぐ大規模災害や、エネルギーを始めとする原材料価格の高騰など、財政環境は予断を許さない状況であるため、事務事業のスクラップ・アンド・ビルドや、さらなる行財政改革の推進により、より一層の行財政運営の効率化、健全化に尽力していただきたいと思います。 次に、収入未済の解消についてです。 県税における徴収強化や早期の滞納整理の実施のほか、各機関の努力により、収入未済額は前年度に比べ減少していますが、収入未済額全体としては依然として多額であることから、今後も引き続き、収入未済の解消と、新たな発生防止に努めていただきたいと思います。 次に、個別事項について、次の10項目を挙げています。 ①行政手続の電子化及び文書の電子化推進と県民の利便性について、②在来線の維持確保と東九州新幹線について、
③子ども子育て支援の充実について、④介護人材の確保について、⑤災害対応における高
機能共同指令センターの活用について、
⑥公益社団法人ツーリズムおおいたへの委託事業ついて、⑦県
産品EC販売拡大について、
⑧農業システム再生に向けた行動宣言及び農業を巡る情勢変化への対応について、⑨住宅政策について、
⑩学校部活動改革サポート事業について、当委員会でまとめた事項については、今後の事業執行及び来年度の予算編成に反映させるなど、適時適切な対応を講じられるよう要望して、
決算特別委員会の報告とします。
○
御手洗吉生議長 以上で委員長の報告は終わりました。 これより委員長の報告に対する質疑に入ります。 別に御質疑もないようですので、質疑を終結し、これより討論に入ります。 発言の通告がありますので、これを許します。堤栄三君。 〔堤議員登壇〕
◆堤栄三議員 おはようございます。日本共産党の堤栄三です。私は、第87号議案2021年度大分県
一般会計歳入歳出決算の認定について、反対の立場から討論を行います。 まず、歳入全体についてです。今回の
一般会計歳入決算は7,964億9,827万円となり、
新型コロナウイルス感染症対策関連決算など当然必要なものも含まれています。施策ごとの賛否を問えない以上、以下の意見を付して反対討論します。 コロナ対策や災害復旧などにより県債が増えるのはやむを得ない場合もありますが、将来的な公債費の増加は結局県民負担となってしまうので、さらなる発行抑制に努めるべきです。 県税の歳入決算では2021年度で不納欠損が4.7億円、収入未済が9.6億円となっています。主に個人県民税が占めていますが、アベノミクスによる異常な金融緩和による円安の続行やコロナ禍、ロシアの
ウクライナ侵略戦争による食料品など輸入品のさらなる値上げの
トリプルパンチによって事業者の経営が厳しく廃業に至っているケースも多々見受けられます。また、県税事務所の窓口で納税困難者に対しては、納期内に納めている人との公平性、安易な適用でモラルハサードになるなどの考えで対応してはなりません。滞納させないためにも徴収猶予や換価の猶予などの制度の積極的な活用を図ることが大切です。 そして、景気対策としての消費税の減税や、零細事業者に過大な負担を押し付ける来年10月からの
インボイス制度の中止を国に求めるべきです。 以下、歳出決算について反対の理由を具体的に述べていきます。
新型コロナウイルス感染症拡大防止対策及び県民の暮らしや福祉応援の予算へ。
新型コロナウイルス感染症も3年目を迎えています。PCR検査の拡充や無料検査の拡充など積極的な対策も見受けられますが、誰でも、いつでも、無料で受けられる体制への構築が必要です。さらに
コロナ感染症が第8波到来かと言われるように感染拡大傾向に突入しています。県内の中小企業や零細事業者は
コロナ感染症拡大や異常な円安等で景気後退の中、塗炭の苦しみにあえいでいます。国の経済対策でも約29兆円もの補正予算が成立しましたが、内容はガソリンやガス代等に対する元売企業への補助金であり、中小企業に対する直接支援策がないのが実態です。また、軍事費拡大のための軍事予算も含まれており、許せるものではありません。 国による
マイナンバーカードと健康保険証とのひも付けを2024年10月までに原則義務化と突如打ち出したことに怒りの声が上がっています。しかし、11月13日で県内の
オンライン資格確認導入医療機関は全体の37.1%であり、国民健康保険被保険者については、10月17日時点で一体化に申請登録した人は県内で僅か23%でしかありません。県としても一体化できない人に対する現行の医療制度が守れるよう国に要望していますが、ぜひひも付けを中止するよう求めるべきです。 また、県として
マイナンバーカードの普及にも取り組んでいますが、様々なポイントを付けるなど利益誘導して取得させようとしていますが、それでも10月末で51.4%となっているのが実情です。多くの県民は
マイナンバー制度による様々なひも付けで、国による一元管理されることや
プロファイリングに利用されること、情報の流出など危惧しているため取得しないのが実態です。強制のような
マイナンバーカード取得は直ちに中止するよう求めるべきです。 また、現行コロナ禍で福祉保健部の職員が奮闘していることは理解していますが、長時間の時間外勤務が存在し、職員の健康面からも大変心配されます。保健所の職員を9人増やしたことは評価します。しかし、統合前から比べれば全体の職員は減少しているのが実態です。県立病院の医療スタッフも含め、今後新たなウイルスによるパンデミックに対応するためにも、福祉保健部門の職員増が必須です。来年度予算ではぜひ職員増を実施するように求めるものです。 次に、補助金漬けの企業立地優先から
県内中小企業支援策へ。そして、正規労働が当たり前のルールをつくること。2021年度は68件の企業誘致を行っています。誘致のために
工業団地造成等に約26億3千万円、
企業立地促進事業として約2億6千万円を支出しています。企業の立地基準は補助金の多さではなく、労働力や地理的・自然的条件が立地のための基準となっています。大企業などへの補助金は直ちにやめ、コロナ禍で困っている県内99.9%の中小企業にこそ支援策を講ずるべきです。大分県の地域経済を担っている多くの中小企業やコロナ禍で疲弊している方々に対して固定費などの支援策を講ずるようにしていただきたい。 進出大企業は直接の正規雇用ではなく常用雇用となっているのが実態です。不安定雇用は働く人にとっても大分県にとっても安心できる働き方ではありません。県は企業訪問の際、正規雇用と要請しているだけであり、立地協定書に正規雇用を明記すべきです。来る当てのない企業のために団地造成するのではなく、疲弊している県民の暮らしや福祉応援のためにこそ税金を使うべきです。来年度予算では、ぜひこの立場に立つことを強く求めます。
県内中小企業支援策としての公共事業も必要なものです。災害復旧や急
傾斜地崩壊対策事業、生活環境の保全や生活道路の利便性向上などのための地域の
安心基盤づくりサポート事業や、身近な道改善事業など生活に密着した公共工事等もあります。ぜひこれらの事業について来年度予算を増額し、安心して暮らしていける住環境をつくるように要望します。 また、台風第14号等、災害による住家の被害について、国や県の制度とあわせて一般的な
リフォーム助成制度を創設し推進すべきです。創設すれば、家の長寿命化やCO2削減にも大きく貢献します。中小企業の仕事拡大による地域経済の活性化にも大きく貢献します。来年度予算に組み入れるべきです。 しかし、今回の決算でも、
東九州新幹線推進事業については機運醸成のためとして、シンポジウムの開催で推進だけの意見表明が大きく取り上げられているのが実態です。並行在来線も含めた危惧を表明する人も参加させ、聞いている県民が公平に判断できるようにするべきです。そのようなことを行わず、ただ単に利便性等が向上するだけの事業への支出はすべきではありません。さらに
豊予海峡ルート構想については、推進協議会に78万円支出していますが、国ですら全く推進の意図のないものへの支出は中止すべきです。 次に、日出生台での海兵隊の演習中止と同和関連の支出は中止すること。 今年度の
日出生台演習場での米海兵隊の演習では、事前の情報も外出の情報も県民には全く知らされないまま行われました。高
機動ロケット砲システムのハイマースが今回初めて使用され、正に演習の拡大と言わざるを得ません。来年度以降、米軍の演習は中止するよう国に求めるべきです。 また、相変わらず部落差別の事象があると言っていますが、実態は
大分地方法務局では3年間で14件、自治体の相談では47件と僅かな件数でしかありません。また
県民アンケートでは、4割近くが差別意識を持っているとして、生活相談などを運動団体に委託していますが、憲法19条にも抵触する可能性のある
同和対策関連事業はいい加減に廃止すべきであり、来年度予算に計上しないよう求めるものです。 また、教育分野でも同和対策としての教育の推進や、ずさんな貸付けによる
地域改善対策奨学金貸付の焦げ付きなど、負の遺産となっており、
同和教育関係予算は全廃すべきです。 次に、農林水産業の振興についてです。 昨年、大分県
農業非常事態宣言を発出し、その改革の取組をして危機を脱していくと言っていますが、現実には九州の中でも、これまで農林水産業の
生産額は最低、あるいは低いのが実態です。大規模化や企業化等に支援を特化し、日本古来の家族農業を潰してきたこと、食料は外国から買えばよいとして日本国内農業の振興を怠ってきた結果等です。 さらにTPP11、日EU・EPA、日米FTAなど相次いで外国農産物の輸入に道を広げてきたことや、最近では円安や
ウクライナ侵略戦争によって食料品の輸入が滞り、国民に耐え難い値上げが強いられています。国に対し日本農業潰しの悪政をやめるよう強く求めるべきです。 次に、教育予算の充実で学校教育条件の整備、充実を図ること。 現在、学校の先生の働き方がブラックと言われ、新任教員のなり手が少なくなっているという根本的な問題があります。小中学校現場では、先生が今年10月1日で48人の欠員であり、今後35人学級の拡大により90人の先生が必要となる見込みです。先生のなり手を増やすこととあわせて、新任の先生の10年3地区の異動という大分県独自のやり方が若い先生に大きな負担を与えています。いくら本人の希望に沿うといっても、それを言えない環境も問題です。このような問題があるとして
県教育委員会もようやくその見直しの議論を始めています。廃止するようにすべきです。抜本的にはブラックと言われる働き方を是正し、少人数学級の高校までの拡大で、先生等の定数を増やすことです。国がやらなければ県独自にでも前倒しで小学校全学年への30人学級や中2年、3年、高校への段階的実施をすることが、将来の大分県を担う子どもたちをつくる前提です。 また、教育現場でICT推進により、タブレット一人1台体制を実施しています。やはりセキュリティーの問題はあります。外部とインターネットを遮断したとしても機械は100%安全ではなく、人為的ミスも生じてしまいます。このような危惧の中で、また現場の声を十分聞かないで推進することには反対です。 最後に、2016年大分県で問題になった隠しカメラ事件では、大分県警察が団体の出入りを監視していたことに使われたビデオカメラのリース代が496万円で、2022年3月末で55台所有していることが明らかになりました。 また最近問題となった商業衛星の画像を購入し捜査に利用していることも明らかになりました。全く歯止めがない捜査手段の拡大につながる危惧があり、あわせて大分県警察が昨年実施した件数は捜査上の問題であり公表しないという隠蔽体質も明らかになりました。これでは大分県警察に対して安心して信用できることにはなりません。このようなものに対する支出を認めるわけにはいきません。 日本共産党として今回の一般会計決算について、県民の暮らしと福祉の充実で県民の所得を向上させ、コロナ禍の不安を解消し、安心して大分県で暮らせる予算への転換、大企業の身勝手な大量解雇に反対し雇用を守る県政へ。そして、大企業に補助金を出すのではなく、疲弊が進む地元中小企業者への支援、農林水産業の振興等を県政の中心に据えることを求めるものであり、それを来年度予算に反映させることを強く求め、反対討論とします。 以下、特別会計決算等についての反対討論です。 まず、第1番目、第86号議案2021年度大分県
工業用水道事業会計利益の処分及び決算の認定について、電気・工業用水道事業会計における内部留保も、各々2021年度、約57億円、約65億円となっています。今後のリニューアル等に経費がかかるにしても、県の一般会計への繰り出しを企業誘致等に限定するのではなく、県民の暮らし、福祉を応援するための繰り出しとすべきです。 また、今後、消費税
インボイス制度が実施されると、免除事業者から課税事業者への転化などが問題になってきます。企業局として入札参加が全て課税事業者であっても、その1次から3次下請が免税事業者であることも考えられます。企業局として工事元請事業者が下請免税事業者に対して、強引な課税事業者への転換をすることがないよう指導すべきであることを指摘しておきます。 次に、第92号議案2021年度大分県流通業務団地造成事業
特別会計歳入歳出決算の認定についてです。 負の遺産を少しでも減少させるためには売却を進めるべきと考えます。しかし、当初計画では2003年度に完売予定でありましたが、それができなく、今では2028年度に延長しています。当然売却が進まなければ利子の負担ばかり増えてしまいます。企業が来るであろうと造成した事業が全く計画どおりに進んでいないのが現状であり、売却が進まなければ負の遺産が増えるだけです。 第96号議案2021年度大分県臨海工業地帯建設事業
特別会計歳入歳出決算の認定についてです。 今回の決算で、造成費に係る減債基金や償還金として約16億円支出しており、特に6号地C-2地区は進出企業のために造成しましたが、結局進出はなく、県としてセールスを行い、ようやく販売のめどが立ったという負の遺産であす。 第97号議案2021年度大分県港湾施設整備事業
特別会計歳入歳出決算の認定についても、港湾施設整備事業費に約43億円支出しており、これまでも反対理由を述べてきたように、大企業優遇等の決算であり反対します。 以上で各決算議案に対する討論を終わります。
○
御手洗吉生議長 以上で通告による討論は終わりました。 これをもって討論を終結し、これより採決に入ります。 まず、第84号議案、第88号議案から第91号議案まで、第93号議案から第95号議案まで及び第98号議案について採決します。 各決算は委員長の報告のとおり認定することに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○
御手洗吉生議長 御異議なしと認めます。 よって、各決算は委員長の報告のとおり認定することに決定しました。 次に、第85号議案について採決します。 本案は、委員長の報告のとおり可決及び認定することに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○
御手洗吉生議長 御異議なしと認めます。 よって、本案は委員長の報告のとおり可決及び認定することに決定しました。 次に、第86号議案について、起立により採決します。 本案に対する委員長の報告は、可決及び認定であります。 本案は、委員長の報告のとおり可決及び認定することに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○
御手洗吉生議長 起立多数であります。 よって、本案は委員長の報告のとおり、可決及び認定することに決定しました。 次に、第87号議案、第92号議案、第96号議案及び第97号議案について、起立により採決します。 各決算に対する委員長の報告は認定であります。 各決算は、委員長の報告のとおり認定することに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○
御手洗吉生議長 起立多数であります。 よって、各決算は委員長の報告のとおり認定することに決定しました。
-------------------------------
△日程第3 一般質問及び質疑
○
御手洗吉生議長 日程第3、第102号議案から第117号議案まで並びに第5号報告及び第6号報告を一括議題とし、これより一般質問及び質疑に入ります。 発言の通告がありますので、順次これを許します。三浦正臣君。 〔三浦議員登壇〕(拍手)
◆三浦正臣議員 皆様おはようございます。16番、自由民主党、三浦正臣です。早速、一般質問に入ります。 まず初めに、広瀬知事就任以来5期20年の県政運営の総括について伺います。 広瀬知事におかれては、本年10月の記者会見において、来年の県知事選挙へは出馬せず、今任期をもって勇退すると表明されました。県民の皆さんも大変残念な気持ちだと思います。5期20年にわたって卓越した行政手腕を存分に発揮され、県政の発展に尽力いただいたことに対して、深く敬意を表し、感謝申し上げるところです。 さて、広瀬県政も残すところ5か月足らずとなりましたが、知事におかれては就任以来、県民中心の県政を基本とし、県政ふれあいトークなどにより、各地域の県民の思いや課題の把握に積極的に努められ、安心・活力・発展の大分県づくりに一貫して取り組んでこられました。こうした県民と共に、誰もが安心して心豊かに暮らし、知恵と努力が報われ、将来とも発展可能性豊かな大分県をつくっていこうとする知事の姿勢に、多くの県民が期待を寄せ、正に未来を託してきました。 この20年間を振り返ってみると、危機的な財政状況に直面する中での聖域なき行財政改革に始まり、教育委員会の不祥事を契機とした教育改革や平成の大合併など、様々な困難な課題にも正面から取り組み、大きな成果を挙げてこられました。 また、頻発・激甚化する自然災害に何度も遭遇しながらも、知事自ら先頭に立って懸命に指揮を取り、迅速な復旧、復興を成し遂げてきたことは、私たちも心から敬意を表する次第です。 あわせて、本県最大の課題である地方創生の実現に向けて、子育て満足度、健康寿命、障がい者雇用率の三つの日本一の実現や、地域に雇用の場を生み出す企業誘致の促進等の産業振興などに、力強く取り組んでこられました。 他方、このような間も、人口減少・少子高齢化の流れはなかなか止まらず、地域の活力が失われてしまうことが心配されるなど、我々には厳しい現実が突き付けられています。こうした困難な時代の中にあって、今後の大分県の発展を考えると、地方創生の加速前進はもとより、今後の発展の基盤となる新たな産業の創出など、県民が将来に夢と希望を抱ける大分県づくりの必要性がますます高まっていると考えています。 そこで、知事に伺います。5期20年の県政を振り返って、これまでの県政運営をどのように総括し、次の時代にどうつなげていこうとしているのか、知事の考えをお聞かせください。 以降は対面より質問します。 〔三浦議員、対面演壇横の待機席へ移動〕
○
御手洗吉生議長 ただいまの三浦正臣君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。 〔広瀬知事登壇〕
◎広瀬勝貞知事 三浦正臣議員の御質問にお答えします。 私は就任以来、県民中心の県政を基本姿勢とし、安心・活力・発展の大分県づくりを目標にしてきました。県民の県政に寄せる気持ちをよく理解するために、県内をくまなく回り、しっかりと思いを伺ってきました。例えば、県政ふれあいトークでは、延べ881か所、1万7,324人の皆さんと対話を重ねてきたところです。県民の心を心として県政を担ってきたことが、県民の支援と協力につながったのではないかと考えています。 大分県は県民の皆さんにとって、暮らしの場であり、仕事の拠点です。この大分県を、安心して心豊かに暮らし、生き生きと仕事ができ、将来にわたって発展可能性豊かなものにしていくことが大変大事だと思ってきました。 安心の分野では、三つの日本一を目指してきました。子育て支援では、出会い・結婚から、妊娠・出産、子育てまで切れ目のない支援を行ってきました。障がい者雇用では、障がいに対する企業側の理解促進に努めてきました。また、健康寿命では、県民総参加の健康づくりを進めた結果、お陰様で、男性全国1位、女性4位に躍進したところです。 活力の分野では、知恵と努力が報われる活力あふれる大分県を目指して、人と仕事の好循環に取り組んできました。中小企業の振興はもとより、新たな活力を生み出すベンチャーの育成や創業を支援してきました。うれしいことに、創業は年間500件を超え、このうち女性の割合が約3割に達しています。また、企業誘致にも力を入れ、昨年度までに延べ587件の誘致を実現しました。2万2,347人の新規雇用を創出したところです。 さらに、発展著しい先端技術を活用した新産業の創出の支援や、世界的に伸びゆく宇宙分野にも果敢に挑戦しています。 発展の分野では、平成20年の教育委員会不祥事を契機に、教育委員会や現場の先生も一体となって教育改革に取り組んできました。今や小中学校の学力、体力は九州トップレベルとなっており、県民の信頼も取り戻せたのではないかと思います。また、大分県にとっては、交通ネットワークや防災など、社会資本整備も大変大事です。国の5か年加速化対策予算を積極的に活用して、県土強靱化や交通ネットワークの充実に取り組んできました。 以上のとおりです。 浅学非才ながら、何とかこれまでやってこれたのは、県民の皆様の御理解、御協力と、当県議会議員各位の御指導のたまものだと、改めて深く感謝申し上げる次第です。 これから大分県、またこれまでのようにいろんな課題が出てくると思いますが、県民が力を合わせてしっかり取り組んで、また新たな明るい未来を切り開いていただきたいと思っています。
○
御手洗吉生議長 三浦正臣君。
◆三浦正臣議員 知事、御丁寧な御答弁ありがとうございました。正に様々なことがあった激動の20年だったと思います。災害や
新型コロナウイルス感染症など、県民の安全・安心を守るために取り組んでいただいたことはもちろん、ラグビーワールドカップや国民文化祭など、夢と希望をもたらす大きなイベントにも積極的に取り組んでいただき、誠に敬服する次第です。また、本議会開会日、知事からは残りの任期も諸課題が解決へと近づくよう、緊張感を持って職務を全うするとの御発言もありました。私も同様に任期満了まで緊張感を持って職責を全うしていきます。どうか引き続きよろしくお願いします。 それでは次に、円安及び物価等の高騰による県経済への影響について質問します。 歴史的な円安が進む中、日銀が10月に発表した全国企業短期経済観測調査では大企業製造業の業況判断指数が3期連続で悪化しています。かつて円安は日本経済の追い風でしたが、構造変化で恩恵が広がりにくくなっています。 円安は輸出企業に輸出量の拡大や利益の改善をもたらしますが、多くの企業にとっては輸入物価の上昇でコスト増要因となります。販売価格も上がってきてはいますが、価格転嫁は道半ばです。加えて、新型コロナ関連融資の返済負担ものしかかってきています。中小企業を中心とした生産性、収益力の向上が急務となっています。 一方で消費者側に目を転じると、10月の全国消費者物価指数は前年同月比3.6%上昇し、40年8か月ぶりの高い伸び率となりました。政府と日銀が掲げる2%の物価上昇目標の2倍近い水準となったものの、物価変動を考慮した実質賃金はマイナスに沈んでおり、十分な賃上げを伴っておらず、日本経済にとってはマイナスの状況が続いています。特にこの10月からは、食品の値上げが約6,600品目にも達するなど値上げの波が重荷となっており、消費者は節約志向を強めています。個人消費の低迷が景気の減速につながりかねません。 このような中、政府は10月28日に、国民生活や事業活動をしっかりと支え、未来に向けて日本経済を持続的に成長させるため、物価高騰・賃上げへの取組、円安を活かした地域の『稼ぐ力』の回復・強化、『新しい資本主義』の加速、国民の安全・安心の確保を四つの柱とした新たな
総合経済対策を閣議決定しました。 電気料金高騰による家計や企業への負担軽減策や観光需要喚起策、子育て支援など、正に時宜を得た対策であると思いますが、県でもこれと歩調を合わせて、早急な対策を講じる必要があると考えます。 正に本日、補正予算案が追加提案されましたが、今後も状況を勘案しながらの弾力的な対応が求められると思います。 そこで、円安や物価等の高騰を踏まえ、中小企業や消費者への影響をどのように分析し、また、特に消費の落ち込みを防ぐために今後どのように対策を講じていくのか、知事の見解をお聞かせください。
○
御手洗吉生議長 広瀬知事。
◎広瀬勝貞知事 円安及び物価高騰による県経済への影響と対策について御心配いただきました。 ウクライナ情勢や円安等に伴うエネルギー・原材料価格の高騰は、なお続いており、事業活動や県民生活に影響を及ぼしています。 日銀大分支店は、直近の景気判断を持ち直しているに引き上げたものの、県が実施している秋の500社企業訪問調査では、約7割の企業が物価高騰の影響への懸念を持っており、先行きには不安が残ります。 個人消費についても、先行きは必ずしも明るくありません。例えば、大分市の10月の消費者物価指数は、前年同月比で2.8%まで上昇しており、これから家計の消費マインドに与える影響を一層注視していく必要があると思います。 先日、国が発表した
総合経済対策には、ガソリンなどの価格を抑制する補助制度の延長のほか、新たに電気や都市ガス等の料金を抑制するための補助制度の創設が盛り込まれました。これらの
エネルギー価格の高騰は今後も継続することが懸念され、本補助制度による負担軽減の効果が期待されるところです。 他方、価格の上昇は、エネルギーのみならず、日常生活に欠かせない食料品や日用品にまで広がっています。これらの消費全体を下支えしていくことが重要になってきました。 県では、これまで2度にわたり、市町村と連携し、
プレミアム商品券を発行してきました。発行総額は約207億円、発行冊数は約190万冊と多くの県民に利用され、小売、飲食など幅広い事業者から売上げの回復に役立っているとの声をいただいています。 また、12月27日まで延長された新しいおおいた旅割第2弾の中でも、地域の飲食店や土産物店などで利用可能なクーポン券を発行しており、消費の活性化に一役買っています。引き続き、発行総額が130億円程度になる
プレミアム商品券の第3弾や、旅行者向けのクーポン券の追加配布を実施して、足下の消費を切れ目なく支えていきます。 また、より長い時間軸で、消費の活性化を考えていく場合には、やはり賃上げは欠かせないと思います。賃上げを行える企業体質の強化には、やはり生産性の向上が重要です。国の
総合経済対策では、事業再構築補助金や生産性革命推進事業の拡充など、手厚い支援策が用意されています。県でも、商工団体などの支援機関と連携して、県内企業による活用をしっかりと促していきます。 もう一つは、価格転嫁の促進です。賃金の引上げ分や、原材料の値上がり分を、事業者が価格に転嫁できることが必要です。消費需要を下支えしつつ、企業間取引の適正化への働きかけを強めることにより、価格転嫁しやすい環境をつくり出していきます。 こうした複層的な取組により、経済を民需主導の自律的な成長路線へと戻していきたいと考えています。
○
御手洗吉生議長 三浦正臣君。
◆三浦正臣議員 知事、ありがとうございました。正に経済への影響が懸念されていましたが、本日、国の
総合経済対策に呼応した400億2,107万2千円の補正予算がさきほど提案されました。今後も弾力的かつ切れ目のない迅速な対応を引き続いてお願いします。 次に、東アジア文化都市事業の成果と今後の展開について質問します。 本県が今年1月から取り組んできた東アジア文化都市事業も今月末で取組期間が終了します。先月、11月6日には、韓国慶州市の訪問団も迎えて閉幕式典が開催されました。式典では、これまでの取組を総括するとともに、次期開催都市である静岡県への引継ぎも行われました。 本県の東アジア文化都市事業は、「県民総参加で『おおいた』の文化を発信し、東アジアとの交流によって新たな文化を切り拓く」を開催テーマに掲げ、県内の芸術文化団体や市町村とも連携しながら取り組んできました。音楽演奏、絵画展示を始め、中国、韓国との文化交流イベントなど、魅力的な催しが県内各地で行われ、様々な分野の芸術文化活動の機会が創出されました。このような取組は、これまでコロナ禍の中で、芸術文化活動や鑑賞機会が少なくなっていた方々にとっては、大変良い機会になったと思います。また、中国、韓国の文化に直接触れることで、国際交流に関心が高まった方も数多くいたのではないでしょうか。 大切なことは、こうした取組を一過性のものとしないことであり、今後の発展にどのようにつなげていくかが、これからの大きな課題になると思います。 東アジア文化都市事業の基本構想において、人を育ていかす、地域を創造する、東アジアの相互理解と多様性の尊重に貢献するという三つの事業目標を掲げています。これは、人材育成や、芸術文化の産業への活用、国際交流、相互理解促進など、現状における芸術文化振興における課題とも言えます。東アジア文化都市事業の取組を契機として文化都市として発展していくためには、切れ目なく対策を講じていくことが肝要です。 そこで、知事に伺います。東アジア文化都市事業の具体的な成果と、その成果に基づく今後の展開についてお聞かせください。
○
御手洗吉生議長 広瀬知事。
◎広瀬勝貞知事 先日、閉幕式を迎えた東アジア文化都市事業について御質問いただきました。 東アジア文化都市事業では、県民総参加のテーマの下、県内各地で様々な公演やイベントが開催され、本県芸術文化の懐の深さを示すことができたと考えています。 コア事業のアーティスト・イン・レジデンスの取組では、別府市において、交流都市である中国温州市と韓国慶州市からのアーティストによる作品制作とともに、ワークショップを通じた地域交流にも取り組みました。 また、大分アジア彫刻展では、温州市と慶州市で初めての海外展示会を開催し、彫刻展の国際発信力を一段と高めることができました。 さらに、和太鼓集団DRUM TAOは、久住高原のTAOの丘で日中韓のコラボライブを行い、各国の伝統音楽が一体となる様子は、東アジアの新たな文化を切り開く可能性を大いに感じさせてくれました。 こうしたコア事業に加え、県内の芸術文化団体による活動も活発に行われました。100を超えるイベントが各地で開催されました。これらの活動は、県内の枠にとどまらず、中国、韓国との草の根交流としても着実に進展しました。 例えば、地場産業の下駄を履いてダンスパフォーマンスを行う日田もりあ下駄いの皆さんは、慶州市でのイベントに出演して、ステージを大いに盛り上げたと伺っています。 このように、今年は、コロナ禍の中という難しさはありましたが、大分県の芸術文化の情熱が各地で大いに沸き上がりました。県としては、これから次の三つの観点からさらなる展開を図っていきたいと考えています。 一つは、アートマネジメント人材の育成です。芸術文化活動を継続、発展させるためには、アーティストの意図を的確に酌み取り、芸術活動を社会に広げる必要があります。そのため、芸術文化と経済活動・産業とを橋渡しし、アピールしていく人材を育てていきたいと考えています。 現に、このたびの東アジア文化都市事業においても、県内外のアートマネジメント人材が大変活躍して、アーティストと大分県の地域社会とを結んでくれました。非常にこういったものがこれからは有効だと思いました。こういう人材を育てていきます。 二つは、地域を活性化することです。芸術文化がもたらす感動や感性に訴える力を活用して、そのエネルギーを社会経済の新たな活力につなげていきます。 三つは、草の根交流のさらなる推進です。国際文化交流は言葉の壁がある中、交流先の情報入手やアポイントメントを取ることも容易でないなど、交流の継続には様々なハードルがあります。できるだけこうしたハードルに丁寧に対応しながら、芸術文化のみならず、産業や観光での国際交流も活性化させていきたいと考えています。 今後もこうした課題に向き合って、東アジア文化都市事業で得た成果をしっかりといかして、「創造県おおいた」をさらに前に進めていきます。
○
御手洗吉生議長 三浦正臣君。
◆三浦正臣議員 知事、ありがとうございました。今後は三つの観点で、アートマネジメント人材の育成、地域に活性化をもたらしていく、草の根の交流をさらに深めていくということでした。正にこれからが本番であると思います。さきほど知事からもあったように、今後は都市間交流が文化面にとどまらず、観光や産業振興など幅広い分野で地域の発展につながるよう、ぜひ努めていただきたいと思います。 それでは次に、商工観光行政をめぐる諸課題について、まず、海外販路の開拓について質問します。 さきほども触れましたが、円安により原油などの輸入物価が大きく上昇しており、コロナ禍からの回復を目指す企業にとって重い足かせとなっています。日本と外国の物価上昇の差や、カーボンニュートラルのすう勢などを考えれば、ある程度の物価上昇は今後も続いていく可能性があります。企業は物価上昇の時代に対応すべく、事業の再構築を進めていかねばなりません。 円安は、企業の経営にとって、輸入物価の上昇という面では確かに打撃となりますが、逆に海外に商品を売るという面においては、チャンスでもあります。経済産業省によれば、アマゾンなどのECサイトを使ってアメリカや中国などの海外に商品を売る越境ECは、コロナ禍において着実に増加しています。 本県でも、人の動きが制限され、リアル店舗の顧客が減少する中で、おんせん県おおいたオンラインショップを活用して、ECで域外に活路を見いだそうとする事業者を増やそうと努力されていると思います。また、これまで輸出になじみのなかった食品販売事業者が、輸出にチャレンジすることをサポートする事業も新たに始めていると伺っています。 コロナ禍、物価高騰を乗り切り、アフターコロナの時代に進んでいくためにも、円安を好機と捉え、海外への販路開拓に取り組む事業者を増やしていくことは大変重要だと思います。海外販路の開拓については、県内企業の現状と今後の県の取組について
商工観光労働部長にお尋ねします。 次に、誘客対策についてです。 観光産業の再活性化に向け、10月11日から新しいおおいた旅割の対象が九州、隣県から全国に拡大されました。国の制度変更に伴う全国的な措置であり、エリアの拡大とあわせて、1泊旅行の地域クーポンを含む補助上限額が7千円から1万1千円に引き上げられました。また、補正予算では約61億円が追加され、当面の支援の原資が確保されています。活性化の起爆剤として、大変有効な支援策と考えていますが、コロナ禍で観光産業が受けた打撃の大きさや、いまだに拡大と収束を繰り返しているコロナの不安定な状況を考えれば、今後の不安は尽きません。 また、コロナ前に盛んに言われていた観光の成長産業化の視点も忘れてはなりません。成長産業化のためには、他産業に比べ低いと言われる生産性の向上が不可欠ですが、その阻害要因の一つに、顧客数の季節差や休日、平日の差が大きいという不安定なビジネス環境があります。コロナ前はインバウンドが顧客の平準化に貢献している側面がありましたが、インバウンドが本格化し、コロナ前の水準に戻るまではもう少し時間がかかるのではないかと思われます。観光事業者の創意工夫はもちろん必要ですが、こうした観光業の特性を踏まえた支援があってもよいのではないかと思うところです。 もう一つの課題として、観光消費の拡大もあります。宿泊業だけでなく、飲食、小売、レジャーなどの観光サービスでの消費をいかに増やしていくかという視点も忘れてはなりません。 コロナ禍で大きくつまずきましたが、本県の観光産業は、製造業に続く基幹産業となる可能性を秘めた産業であることは間違いないと思います。観光業界の皆さんが一丸となって取り組む目標として福岡・大分デスティネーションキャンペーンの準備も始まりました。観光産業のコロナ禍からの回復に加え、成長産業化に向けた再スタートを切るためにも、もう一段の支援が必要と考えます。観光産業の復活とさらなる発展に向けた誘客対策について、観光局長の見解を伺います。
○
御手洗吉生議長 利光
商工観光労働部長。
◎利光秀方
商工観光労働部長 海外販路の開拓についてお答えします。 海外販路の開拓は、現下の円安状況をいかして地域の稼ぐ力を回復し、強化することができる重要な課題と認識しています。 大分税関が調査した県内港における鉄鋼や事務用機器など主要品目の令和3年輸出額は7,736億円と、コロナ前の平成30年と同水準まで回復しています。本年上半期も、前年同期比約15%増の4,459億円と着実に増加しています。 また、県の調査では、中小企業が多くを占める食品加工産業の昨年度の輸出額も前年度比121%と拡大しています。 県ではこれまでも、ジェトロと連携した現地フェアの開催、大分県LSIクラスター形成推進会議での海外企業とのマッチング、食品加工産業を対象とした越境ECでの商品提案や商談のサポートなど、県内企業を幅広く支援してきました。 今後とも、ウィズコロナの下、リアルとオンラインを併用した商談機会の拡大や、海外で活躍する県内大学卒業生と連携した新市場開拓など、関係機関などとしっかり連携した支援を強化して、県内企業の海外販路開拓を後押ししていきます。
◎秋月久美観光局長 私からは誘客対策についてお答えします。 県はこれまで旅割などの需要喚起策に加え、宿泊施設の自動精算システムの導入や現場リーダーの育成など、事業者の生産性向上を下支えしてきました。 こうした取組もあり、本年10月の
日本人宿泊者数は、コロナ禍前と同水準にまで回復しました。さらに、事業者が生産性向上のために、資本の壁を越えて地域で連携する取組を支援しており、例えば、国東地域ではアメニティの共同購入システムの導入に向け準備を進めています。 加えて、宿泊者データを自らの経営戦略にいかすためのDXも進めています。 また、観光消費の拡大には、滞在日数の延長やリピート頻度の向上が重要です。グランピングでの星空観賞や湯けむりナイトウォークなどの
体験型コンテンツの開発に取り組む事業者をこれまで支援してきました。 現在、本県の豊かな自然をいかしたアドベンチャーツーリズムやサイクルツーリズム、宇宙港など、新たな観光コンテンツの創出に加え、これらも含めた魅力発信のためのデジタルマーケティングを展開しています。 ポストコロナを見据え、引き続き観光需要の喚起と観光事業者の生産性向上に取り組んでいきます。
○
御手洗吉生議長 三浦正臣君。
◆三浦正臣議員 ありがとうございます。まず、海外販路の開拓ですが、正に今、世界のEC市場は急成長を続けています。本県のおんせん県おおいたオンラインショップも平成30年3月から本格稼働していると思います。一時、コロナで休止していたようですが、しっかりこれまでの取組の成果や課題を分析して次につなげていただきたいと思います。他県では、同様にかなり積極的に補助等、セミナー等も開催しながら行っている県もあるので、ぜひ本県の取組と比較していただければと思います。 誘客対策、今御答弁あったように、10月の
日本人宿泊者数、コロナ前と同水準まで回復したということです。今後の感染状況を考えると、非常に楽観視できないと考えます。特に、さきほども言いましたが、季節差、休日、平日の差が大きいという不安定なビジネス環境にあります。成長産業化に向けた再スタートを切るためにも、もう一段の支援が必要ではないかと考えますが、観光局長、いかがでしょうか。
○
御手洗吉生議長 秋月観光局長。
◎秋月久美観光局長 観光需要の回復を確かなものにするためには、今現在、年内を期限に実行している新しいおおいた旅割の第2弾に加え、一層の支援が必要と考えています。そのため、年明け以降も割引率等を見直した上で、全国旅行支援を継続実施するとともに、全国旅行支援終了後も、特に閑散期の観光需要喚起策として県独自の旅行支援を実施するために、今回必要な予算を追加上程したところです。 今後も観光需要の急激な変動緩和を図りつつ、県内事業者をしっかりと支援していきたいと考えています。
○
御手洗吉生議長 三浦正臣君。
◆三浦正臣議員 ありがとうございます。正に今御答弁あったように、閑散期や平日にどうお客様を呼び込むかがとても大事だと思います。ぜひ引き続きお願いします。 次に、今後を見据えた取組の強化の一つとして、そして、新しい資本主義の実現の原動力ともなる人材の育成に焦点を当てて質問します。 隣の熊本県に半導体受託生産の世界最大手のTSMCが工場建設を進める中、半導体製造等に携わる人材の育成が急務となっています。 国はデジタル田園都市国家構想基本方針において、構想の実現に不可欠であるデジタル推進人材について、2026年度末までに230万人の育成を目指すことを打ち出しており、DX人材の育成は喫緊の課題となっています。 お膝元の熊本県では、熊本大学に半導体人材を育成する学部相当の情報基盤融合学環(仮称)を新設する予定のほか、本県でも県立工科短期大学校において令和5年度から電気エネルギー制御科を創設することとしており、デジタル人材育成の環境整備の兆しが見られます。 一方で、さらに裾野が広い高校生の段階からも今後の産業界に必要不可欠なデジタル人材の育成が急務であると考えます。大学や企業との連携による最先端技術を取り入れた授業の展開のほか、郷土愛を持ち、地域ビジネスなど社会の発展に貢献できる人材の育成も大切です。 折しも教育委員会では、県立高校未来創生ビジョン策定にあたり、全ての高校の魅力向上のための議論を進めているようですが、急速に進むデジタル化を踏まえ、県立高校において、新しい時代に対応するデジタル人材の育成に向けてどのように取り組んでいかれるのか、教育長に伺います。 次に、人材を育成する上で大切な児童生徒の学力について伺います。 文部科学省が実施する全国学力・学習状況調査は、その目的を、一つ、義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から、全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握・分析し、教育施策の成果と課題を検証し改善を図ること、二つ、学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の改善等に役立てること、三つに、教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立することとして平成19年度から実施されています。 開始当時の本県の学力調査結果は、特に小学校において、全ての教科で全国の平均正答率を下回り、同年第4回定例会の教育長答弁で、厳しい結果となったとの答弁もありました。その後、努力を重ねてきたこともあり、ここ数年の調査結果は、小学校、中学校とも、全国の平均正答率と同率、又は上回る結果が表れてきています。 一方で、2年連続で全教科の正答率が全国平均を超えた小中学校数は前年度より下回っており、コロナ禍での授業計画の変更等もあいまって不安な要素もあるところです。 そこでお尋ねします。人材育成に大切な児童生徒の学力の向上については、これまでの取組を総括するとともに、今後さらなる向上に向け、どのように取り組んでいくのか、教育長に伺います。 次に、競技力向上対策について伺います。 新型コロナの影響により、これまで様々なスポーツ大会が延期、中止を余儀なくされてきました。こうした中、国内最大級のスポーツの祭典である国民体育大会が、栃木県において、いちご一会とちぎ国体として3年ぶりに開催されました。スポーツ界にとどまらず、社会全体にも明るいニュースを届けてくれたと思います。 大会を振り返ると、本県代表選手団であるチーム大分は、目標である天皇杯得点1千点にこそ届きませんでしたが、989点を獲得し、目標まで僅か11点の健闘を見せてくれました。 中でも目を引いたのは成年選手の活躍です。サッカーやフェンシング成年男子、空手道成年男女、ライフル射撃や、陸上競技成年女子で優勝するなど、チーム大分躍進の原動力となりました。また、少年においても、なぎなたやアーチェリー少年女子、テニス少年男子が優勝しました。2年連続の中止により、少年選手にとって初めての国体であったにもかかわらず、臆することなく堂々とプレーしている姿はとても頼もしく思いました。 私は、スポーツは勝ち負けが全てであるとは思いません。しかし、スポーツ活動に伴う競争や勝敗、そこで生まれる交流は、公平、公正を尊び、他者を尊重し協調する精神を育み、お互いを認め合いながら支え合う、きずなの強い社会の実現につながると考えています。 3年ぶりに開催された今回の国体を通して、地元選手の活躍を身近に感じることができ、改めてスポーツの魅力を実感し、県民に勇気と感動を与えてくれる素晴らしい大会だと感じました。 そこでお尋ねします。国体の結果を振り返り、成果や課題をどのように今後の競技力向上にいかしていくのか、教育長に伺います。
◎岡本天津男教育長 3点についてお答えします。 まず、県立高校におけるデジタル人材の育成についてです。 デジタル人材の育成は喫緊の課題であり、県立高校ではこれまでもオートバックスセブンや大分大学を始めとする、県内外の企業や大学との連携を推進しており、これを加速、充実させるため、来年度、学科改編等を行うこととしています。 将来の半導体製造等に携わる人材育成も急務であり、そのため大分工業高校の電子科の定員を40人から80人に倍増し、県内半導体人材の確保に努めます。 情報科学高校では、県内初の情報系学科のデジタル創造科を新設し、工業、商業の科目も含め、情報の知識等を幅広く学ぶ環境を提供します。 AIテクノロジー科とビジネスソリューション科では、情報科目の充実に加え、情報セキュリティーやコンテンツ制作など、実践的な学びを導入します。 津久見高校には、地域みらいビジネス科を設置し、観光ビジネスやマーケティングなどの学びにデータ活用を取り入れ、地域ビジネスの活性化に寄与できる人材育成に取り組みます。 これらの学科、コースにおける教育活動が円滑に行えるよう取組を進めていきます。 次に、学力向上対策についてです。 調査を開始した当初、本県の平均正答率は、小中学校ともに全国平均に及ばず、九州でも下位で、課題は組織的な授業改善にありました。そのため、先進県を参考に、低学力層の底上げに主眼を置いた授業改善の指針を示し、校長や学力向上支援教員等を対象とした研修会、あるいは芯の通った学校組織の推進により、全県一体で授業改善に取り組みました。今では、県内全ての小中学校で新大分スタンダードに基づく組織的な授業改善が進められています。 議員御指摘の全教科の正答率が全国平均を2年連続で超えた学校数の減少については、全都道府県で教育水準の底上げが図られ、結果として基準を満たすハードルが高くなったことが主な要因と捉えています。 今後は、小学校教科担任制など、これまでの取組に加え、国が進める令和の日本型学校教育において重視されているICTを活用した個別最適な学び、協働的な学びも取り入れ、児童生徒のさらなる学力向上を目指します。 最後に、競技力向上対策についてお答えします。 今回の好成績につながった要因としては、2年以上続くコロナ禍により活動制限などがあった中ですが、継続的に取り組んできた強化施策が成果となって現れたことが挙げられます。 具体的には、次世代を担う大分育ちのジュニア選手の発掘を目的とした育成事業です。中でもアーチェリー競技では、この事業により才能を見いだされた選手が各種別で活躍し、競技別総合優勝の原動力となりました。 また、トップアスリートの就職支援事業で仕事に就いた選手の活躍を始め、ライフル射撃の野畑美咲さんなど、大分育ちの新たなふるさと選手の獲得、ヴェルスパ大分など県内企業チームとの連携による選手強化が、成年種別の過去10年間での最高得点につながりました。 他方、課題は少年種別の得点の減少です。少年の競技力は成年の競技力に直結するので、少年選手の育成強化が重要です。 今後は、単年だけではなく、中長期の視点に立った少年選手の育成強化と、これまでの強化施策の一層の充実を図ることによって、競技力のさらなる向上に努めていきたいと考えています。
○
御手洗吉生議長 三浦正臣君。
◆三浦正臣議員 教育長、ありがとうございました。さきほども触れたように、国では2026年度末までにデジタル人材の育成、230万人を育成すると打ち出しています。新年度から大分工業高校、情報科学高校、津久見高校で新たな学科の再編ということで、時代の流れはとても速いので、その流れに遅れないように、ぜひ力強く進めていっていただきたいと思います。 学力向上の分で1点お聞きします。小中学校は、ICTやタブレットの活用が今既に日常的になっています。しかしながら、一部では自宅への持ち帰りが不可になっているなど、その利活用が十分にされていないとも伺います。 学力向上に向けたICTやタブレット利活用について、教育長の考えをお聞かせいただきたいと思います。
○
御手洗吉生議長 岡本教育長。
◎岡本天津男教育長 今年7月と9月、1学期と2学期に、市町村の端末の持ち帰り状況がどうなっているか調査しました。ほぼ毎日持ち帰りができている学校も増えてはきていますが、単一の市町村の中でも学校によって取扱いにばらつきが見られる実態が見えています。そういった学校がある市町村に対しては、持ち帰りを実施する計画書を定め、持ち帰りに努めるよう求めています。 授業と家庭学習の両方が効果的に連動された学習指導を進めて、学力向上につなげていきたいと考えています。
○
御手洗吉生議長 三浦正臣君。
◆三浦正臣議員 ありがとうございました。このICTのタブレット利活用等は、都市部では必要不可欠で、やはり大分県はまだまだ遅れているのではないかと実感しています。当然、学校の先生方は様々な専門の方を呼び研修等をされていると思いますが、まずは先生方がタブレットを使う楽しさとか便利さを実感していただくことが大事だと思います。少し遅いのですが、ぜひ大分の子どもたちの教育のためにという原点に立ち返って、しっかり取り組んでいただきたいと思います。 また、今、小中学生に触れましたが、高校生においても一人1台タブレットが前提になっている中、県立高校ではタブレット整備が進んできましたが、私立学校ではまだ整備が十分でない学校も見受けられます。タブレットの配備が目的でなく、スタートラインです。その利活用に今焦点が移っている中、タブレットの整備は前提条件です。これもぜひ県として検討していただきたいと思います。 さきほど競技力向上に少し触れていなかったので、目標の天皇杯得点1千点に11点届きませんでしたが、私は最後に、本当にチーム大分の底力を見せてくれたと思います。今年の成果、課題をしっかり共有し、来年の鹿児島国体はぜひ目標を達成するように、また大分でもブロック国体が開催されるので、各競技への支援をお願いします。 また、少年の選手育成がとても大事ということでしたので、先日、23日別府で行われた、チーム大分ジュニア発掘事業、アーチェリー競技を私も拝見しました。未来のオリンピアンを早い時期から育成していくことはとても重要であり、意義のある事業だと実感しています。この事業は、アーチェリー、ボート、カヌー、ウエイトリフティング、ライフル射撃、フェンシングの6競技で構成されていますが、ぜひこの事業終了後も、6競技の団体や関係者の皆様と協力し、引き続きチーム大分の未来を見据えて子どもたちの競技力向上を後押ししていただくようにお願いします。 それでは最後に、日出町における産業振興について質問します。 我が町日出町は、令和2年国勢調査で人口が転入超過となりました。県内では豊後高田市、中津市、別府市と並び4市町のみとなっています。中でも子育て世代でもある30歳代が増加しており、活気のあるまちづくりに向け、これからが楽しみな状況となっています。 その要因を考えてみると、一つには産業の集積が挙げられると思います。皆さんおなじみの麦焼酎のメーカー、二階堂酒造を始め、半導体の開発を行っている企業や車載用の半導体を製造している企業などの製造業も集積しています。 最近では、電気を通したり切ったりすることで、曇りガラスと透明ガラスを切り替えることができるフィルム、機能性液晶フィルムを開発した企業にも注目が集まっています。 このように産業の集積が集積を呼び、そして新しい雇用を生み出していくことが、正に産業振興の真髄と考えます。 こうしたことを踏まえ、日出町における産業振興についてどのように評価し、県内全域への展開も含め、今後どのように地域の産業振興に取り組んでいくのか、
商工観光労働部長に伺います。 次に、ハーモニーパークの今後の展開について質問します。 昨年30周年を迎えたハーモニーパークは、楽しみながら創造性も磨ける参加学習型の都市公園として、平成3年に供用を開始しました。有料エリアである約6ヘクタールのハーモニーランドと、実証展示林と呼ばれる竹林を含む無料エリア約25ヘクタールのフリーゾーンで形成されています。 ハーモニーランドは、現在の指定管理者でもあり、企画力、演出力、運営ノウハウを有した株式会社サンリオエンターテイメントにより、魅力のある施設をそろえ、地域文化に触れながら楽しい一日を過ごせるような施設となることを目指して設立されました。 現在まで約1,600万人が来園し、大分県経済の活性化等にも貢献するなど、県内外から愛されている施設です。コロナ禍前は年間入園者数が50万人を超えていましたが、新型コロナウイルスの影響で、令和2年度は21万人、令和3年度は36万人と入園者数が大きく落ち込んでいます。 一方、ハーモニーランドに隣接するフリーゾーンについては、人と自然が触れ合うことができ、ゆっくりと時間が流れる憩いの空間として、県が遊具やイベントを行うステージなどの整備を行っているほか、約8ヘクタールに及ぶ実証展示林では竹林の散策などを楽しむことができます。しかしながら、フリーゾーンについても、さらなる利活用が望まれており、特に利用者の少ない実証展示林は、整備やPRが必要でないかと考えます。 本県では、令和6年度に福岡・大分デスティネーションキャンペーンが開催されることから、県内外の多くの観光客が訪れるチャンスであると考えます。この機を捉え、ハーモニーランドはもちろんのこと、フリーゾーンの整備とPRを行い、誘客に努めるべきであると考えます。ハーモニーパーク全体の今後の展開について、土木建築部長に伺います。
○
御手洗吉生議長 利光
商工観光労働部長。
◎利光秀方
商工観光労働部長 日出町における産業振興についてお答えします。 議員御指摘のとおり、地域の産業振興には、産業集積の促進が重要と考えます。県としては、企業誘致や現地調達の促進などに地道に取り組んできました。 日出町には、大分県LSIクラスター形成推進会議の会員が大分市に次ぐ11社あり、半導体関連産業が集積しています。さらなる市場拡大が期待される中、県内企業がこの機会を逃さずビジネスチャンスを広げられるよう、販路拡大などを継続的に支援していきます。 また、昨年、機能性液晶フィルムの優れた技術を有する日出町の企業を地域牽引企業に選定しました。地元での雇用拡大などが期待されます。 また、観光業も、宿泊や飲食、物販、交通など裾野が広く、地域経済を支える重要な産業です。旅割などの需要喚起策により、さきほどの観光局長の答弁の中でもあったとおり、10月の
日本人宿泊者数はコロナ禍前と同水準にまで回復してきました。日出町には、県内屈指の誘客力を誇るハーモニーランドのほか、別府湾に面した美しい自然や、日出藩以来の歴史、文化をいかしたひじはくを展開しています。デスティネーションキャンペーンに向けて、さらに観光素材の磨き上げを進めていきます。 引き続き日出町を始め、県内各地域の産業振興に向けて、各市町村とも連携した上でしっかりと取り組んでいきます。
○
御手洗吉生議長 島津土木建築部長。
◎島津惠造土木建築部長 私からは、ハーモニーパークの今後の展開についてお答えします。 まず、ハーモニーランドについては、コロナ禍で入園者数が減少しているものの、ハローキティに会える数少ないテーマパークの一つとして、根強い人気を誇っています。 サンリオエンターテイメントでは、さらなる集客に向けて幅広い世代を対象としたイベント等を磨き上げながら、SDGsに造詣の深い小巻社長の主導で、環境教育につながるショーを行うなど、新たな価値の創造にも取り組んでいます。 一方、フリーゾーンでは、ハーモニーランドと調和の取れた大型複合遊具を県が新設したところ、利用者の増加につながっており、今後も家族で触れ合える憩いの空間を順次整備していきます。 課題の実証展示林については、その活用に向け、今年度新たに日出町や竹事業者、APU等とプロジェクトチームを結成しました。京都嵐山をイメージした竹林散策エリアや、竹細工等体験学習が可能なエリアなど、多面的な活用を深掘りして検討しています。 コロナ禍で高まる自然回帰の潮流を捉え、今後も知恵を出しながら、ハーモニーパーク全体の利活用と、デスティネーションキャンペーンを契機とした効果的な情報発信に取り組んでいきます。
○
御手洗吉生議長 三浦正臣君。
◆三浦正臣議員 ありがとうございました。ハーモニーパークをめぐっては、今、土木建築部長からあったように様々な議論があるのは私も伺っています。例えば、キャンプやドッグラン、グランピング等ができる施設が整備されると夢が広がります。また、竹林もあることから、将来ビジョンに合った竹の利活用にも期待しています。ぜひ積極的な利活用の議論を進めていっていただきたいと思います。 日出町には、元気の良い企業がたくさん立地しています。こうした日出町における産業振興の評価について、ぜひ知事から一言いただきたいと思います。
○
御手洗吉生議長 広瀬知事。
◎広瀬勝貞知事 今、議員がこれまで言われたように、日出町は別府、それから杵築に隣接する大変すばらしい住宅地として発展してきましたし、あわせて、大分県民が大変頼りにしている酒造メーカーもあります。それから、お話があったように、日本テキサス・インスツルメンツの伝統ではないかと思いますが、関連の電子機器産業、特に最近は半導体関連の企業、LSIクラスター形成推進会議のメンバーが大分市に次いで多く集積しています。 そういった日出町の状況を考えると、やはりこれからすばらしい住宅地として発展と加えて、そこにある企業としては、半導体関連の知識集約的な産業が発展しやすい状況にあるのではないかと思っています。現に、パルスオキシメーターの話ですが、あれなどは今度のコロナの中で大変活躍してくれたのですが、ああいうすばらしいものが半導体関係の企業の中から出てくるとか、あるいは液晶の非常に新しい技術を使った窓ガラスもできるとか、そういったものが出てくるということで、伝統をいかしながら随分いいものができているのではないかと思っています。 半導体関連の産業は、これから非常に多様に展開していく可能性があるので、そういったものを中心に集積があることは、日出町にとっては大変大きな資産を持っているのではないかと思います。こういったものをうまくいかしながら、特に県内には、さきほど話があったLSIクラスター形成推進会議や、あるいは東九州メディカルバレー構想のための企業間の協議会がありますから、そういったものと手を結んでしっかりやっていったらいいのではないかと大変期待しています。
○
御手洗吉生議長 三浦正臣君。
◆三浦正臣議員 知事、ありがとうございました。今、知事の温かい御答弁をいただいて、日出町の方も多分喜んでいただいていると思います。本当にありがとうございました。 以上で私の一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○
御手洗吉生議長 以上で三浦正臣君の質問及び答弁は終わりました。二ノ宮健治君。 〔二ノ宮議員登壇〕(拍手)
◆二ノ宮健治議員 皆様おはようございます。27番、県民クラブの二ノ宮健治です。今回は県民クラブの皆さんに無理をお願いし、一般質問の機会をいただき、ありがとうございます。広瀬知事が今期限りで勇退するという話を伺い、どうしても公の場でお礼を申し上げたかったからです。また、今日は多くの傍聴をしていただいている皆さん、コロナ禍であり、大変お忙しい中をありがとうございます。少し時間が下がり申し訳なく思っています。 早速質問に入りますが、知事、そして、執行部の皆さんよろしくお願いします。 まず、大分県版地方創生についてです。 私が県議に初当選したのは、2015年のことです。前年の12月27日に地方創生を実行するためのまち・ひと・しごと創生総合戦略が閣議決定されました。田舎に住む私は、地域の疲弊を肌で感じていたことから、ようやく国や県も地方を元気にする取組を始めたと歓喜したことを今思い出しています。 大分県においては、広瀬知事4期目の初年度の年でもあり、大分県長期総合計画2015の中では、時代の要請を踏まえ、分野施策として大分県版地方創生の加速前進がうたわれました。具体的には、少子高齢化・人口減少に正面から向き合い、減少カーブを緩やかにし、歯止めをかけて、地域の持続的な発展を目指すとあります。 早いもので計画策定から7年が経過しましたが、この間、私も地方創生、地方創生と機会あるごとに叫び続けてきましたが、本日は原点に返り、地方創生とは何か、そして、なぜ政府主導で進めなければならなかったかについて改めて整理してみます。 策定当初のまち・ひと・しごと創生総合戦略では、大きく2点の戦略が示されました。一つは人口減少の解消、二つ目は東京一極集中の解消です。このことが解決されれば地方が創生する、地方が元気になり、日本の衰退を食い止めることができるとの説明だったと記憶しています。 大分県版地方創生においては、地方に人をつくり、人を育て、仕事をつくり、仕事を呼び、人と仕事の好循環で地域を活性化していくと分かりやすく整理され、大分県長期総合計画2015の中で具体的に施策化され、多くの取組がなされてきました。8年間にわたり広瀬知事の県政運営を共に考え行動できたことは、私の財産であり、誇りであると思っています。議員からの一般質問に対して真摯で積極的な解決に向けて取り組んでいただいたことも含め、県民の皆さん同様に、私からもこれまでの県政運営を高く評価したいと存じます。 ただ、政府が推進する地方創生が始動してから8年が経過しようとしているが、大きく日本の現状はどうでしょうか。地方創生戦略の肝である人口減少はさらに進み、東京一極集中も解消されず、地方の疲弊は加速するばかりです。頑張ってきた地方ではありますが、このまま現行の地方創生戦略を続けても、地方は衰えて消滅の危機に陥ることが私の中では現実味を帯びてきています。 2019年末から流行している新型コロナウイルスにより、思いがけず時代は転換点を迎えました。時代の変化を前向きに捉え、積極的に新たな施策を打ち出していくことが重要であると考えます。これからあらゆる課題を攻略し、さらなる地方創生を推進していくために、ぜひ広瀬県政8年間の地方創生の取組をどのように総括しているのか、お聞かせください。 以下は対面席から行います。 〔二ノ宮議員、対面演壇横の待機席へ移動〕
○
御手洗吉生議長 ただいまの二ノ宮健治君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。 〔広瀬知事登壇〕
◎広瀬勝貞知事 二ノ宮健治議員から大分県版地方創生についてどう総括するかと、大変難しい御質問をいただきました。 私は知事就任以来、県民中心の県政の基本に立ち、安心・活力・発展の大分県づくりに全力を挙げてきました。時あたかも少子高齢化・人口減少が全国的に進行する中、平成27年度から国・地方挙げた地方創生の取組が始まったところです。どちらかというと、大分県は地方創生については国よりも先に手がけていたという自負があり、大分県としては、国が始めた地方創生、むしろ地方創生は大分県からという気概で取り組んできました。 大分県版地方創生は、次の三つを柱として推進してきました。 一つは、やはり人を大事にし、人を育てる取組です。子育て満足度、健康寿命、障がい者雇用率の三つの日本一に向けて、子育て満足度では、出会いサポートセンターや子ども医療費助成など、出会い・結婚から妊娠・出産、子育てまで切れ目のない支援を拡充してきました。また、健康寿命は官民挙げて取り組んで、全国順位が男性1位、女性4位に躍進したところです。 二つは、仕事をつくり、仕事を呼ぶという取組です。地域の隅々にまで仕事をつくり出す農林水産業の構造改革や、事業者の99%を占める中小企業の支援、企業誘致、観光産業の振興等に力を入れました。また、時代の要請であるDX、デジタルトランスフォーメーションはもとより、地方から世界に通じる産業、サービスの創造のため、アバターやドローンなどの先端技術に加え、宇宙産業へも挑戦しています。 三つは、基盤を整え、地域を活性化する取組です。県土の強靱化とともに、本県の発展を支える九州の東の玄関口としての拠点化や中九州横断道路、中津日田道路など、広域交通ネットワークの充実も着々と進んでいます。 移住施策にも大いに力を入れて、平成26年度には僅か292人であった移住者が、コロナ禍で地方回帰の動きも追い風となり、令和3年度には過去最多の1,416人となったところです。 こうした移住施策を始め、これまでの地方創生の取組に加え、水際対策緩和による外国人の流入により、本年10月1日時点での人口推計では15年ぶりの社会増となりました。しかも、1,393人の転入超過は人口推計を開始した昭和56年以降では過去最多です。 一方で、自然減は歯止めがかからず、苦戦が続いていますが、今日の少子高齢化は、議員も御存じのとおり、言わば半世紀の長い年月をかけて形成された人口構成に起因しています。回復には相当な期間がかかるわけです。自然増、なかなか時間がかかって、自然減がしばらく続くと思います。さきほど言ったように、それを社会増で補いながら、人口減少を緩和しながらいくというのがしばらくやらなければならない戦略で、ようやくこの社会増についても1,393人の転入超過が実現できたということでして、だいぶ先が見えてきたのではないかなと思っています。 地方創生は大変長い道のりですが、少しずつ成果が上がってきており、我々の方向は間違っていなかったと考えています。 折しも本年6月、国においてデジタル田園都市国家構想基本方針が閣議決定されました。地方創生についても、デジタルトランスフォーメーションによる新たな変革の時代を迎えています。この潮流を的確に捉え、大分県版地方創生もDXで加速しながら、全力で進めていきます。
○
御手洗吉生議長 二ノ宮健治君。
◆二ノ宮健治議員 ありがとうございます。少し角度を変えて再質問してみます。 この7年間、今、知事が言われたように、県や市町村は地方創生に向けた積極的な取組をしてきました。しかし、国の示した地方創生の肝である人口減少の解消、東京一極集中の解消は、その兆しさえ見えません。なぜ地方創生が進まなかったのか、私は次のように考えています。 国が示す地方創生戦略の基本的な考え方は、人口減少と地域経済縮小の克服です。この構造的な課題の解決に国が先頭に立ってやると思っていたのですが、いつの時代も日本を支えてきたのは地方であり、地方が自ら考え、責任を持って取り組むことが何よりも重要であるとして、都道府県及び市町村の前向きな姿勢を求めています。簡単に言えば、地方でやれと言っているのだと思っています。私はどのように考えても、人口減少の解消、東京一極集中の解消は地方が主体でできる課題ではなく、国家戦略でも難しいと思っています。この後の質問でも取り上げますが、地方は食料の供給基地の役割、そして、日本人の食料確保の観点からも、国家戦略としての価格保障制度の導入など、農業への手厚い保護により農業で生活できる環境を整えることから、農村から都市への人口流出に歯止めをかけ、都市から人を呼び込む唯一の方法だと考えています。 大分県でも工業化による都市部への一極集中が進んでいます。地方、農村を活性化するためには、国策としての農業への手厚い保護政策が必要と考えます。こうした地方創生をめぐる経過を鑑みるにつけ、国主導のこの地方創生は進まなかったと考えますが、知事の考えはどうでしょうか、再度質問します。
○
御手洗吉生議長 広瀬知事。
◎広瀬勝貞知事 議員御指摘のところは、よく分かるわけです。例えば、今、日本が一番地方創生の中で悩んでいるのは、少子高齢化・人口減少です。女性の出産を指標に取った子どもの合計特殊出生率というのがありますが、合計特殊出生率の高い地域は地方です。一番低いのは東京都です。一番高いのは沖縄県で、正に子どもを産み育てているのは地方だと思います。 高齢化率も一番高いのは、やっぱり地方です。これも大変名誉なことでして、地方はやっぱり高齢の方と共に暮らしながらお世話もさせていただいているということです。 したがって、少子高齢化で一番日本が取り組まなければならない、この問題について、やっぱり地方が一番大きな貢献をしているのは事実です。しかし、だから、国が主体でこういうことは取り組まなければいけないかというと、これまでこういった問題への取組は、正に中央集権、国が中心になって取り組んできたわけです。今度の問題は、地方が自ら元気を出していかなければならない問題だと。地方の問題として、地方が主体的に元気を出して取り組む、だから、名前も地方創生となっているのだと我々は理解しています。したがって、地方が、やっぱり地方のそれぞれの課題に対応しながら、そして、主体的に対応していく姿を、一番それがいいのだろうと考えています。 しかし、それでできるかというと、なかなか地方だけではできないと。例えば、大学は23区以内につくるなと、新たにつくるなといったような規制も一時やっていたわけですが、そうは言っても、やっぱり大学に地方から集まると。それから、23区がだめならば、東京都内の23区以外のところに大学をつくろうではないかということで、つくるなと言ったって、どうしてもやっぱり地方に大学はできないということになる。それはやっぱり大学をつくる人口が、若い人がいないと、あるいはまた大学をつくるだけの力がまだ地方にはないということになるわけですから、そういうことで、地方に力を付けないで、国がとにかく強制的にどんどん中央から人を排除するというやり方でやっても、なかなか元気は出ないなと。地方は地方でやっぱり力を付けながら創生して、元気を付けていく、活力を付けていくのが地方創生の真意ではないかなと思っています。 そのために必要な予算とかなんとか、もっともっとお金を付けて、もっともっと人員を知恵の面でも応援してくれるというようなことは必要かもしれませんが、やっぱり今度こそ国が、地方が責任を持ってどんどんやってくださいよと、何か国がお手伝いすることがあれば何でもやりますよという姿勢で本当はやってくれるとありがたいのではないかなと思っています。 問題の本質は、やっぱり東京都が解決策を持っているのではなくて、地方の連中が少子高齢化問題に対して、さきほど冒頭言ったようなことで、実態的には地方がやっていることも踏まえて、やっぱり地方主体でこれからやっていくのが大変大事ではないかと思っています。
○
御手洗吉生議長 二ノ宮健治君。
◆二ノ宮健治議員 ありがとうございます。ちょっと知事と考え方は違いますが、今のような地方創生のやり方をしたら、間違いなく私は地方は消滅していくのではないかと心配しています。ヨーロッパの人口が増えた国、そういう施策をやっていかないと大変なことになるのではないかと思っています。 そういう中で、少し具体的に農業政策について大きく2点について質問します。 ちょっと長くなりますが、まず、食料自給率と農業の振興についてです。 今、世界人口の急激な増加や、世界中で頻発する干ばつや洪水などの異常気象で、食料が不足するとの懸念が高まっています。このため、気候変動や戦争などの不測の事態に備えて、食料確保のための危機管理を徹底する、いわゆる食料安保の取組が多くの国で強化されています。 食料を安定的に確保するためには、食料輸入国との友好関係を築くことが重要ですが、今回の新型コロナウイルス禍やロシアのウクライナ侵略等で明らかになったのは、このような危機に遭遇すると世界中の食料価格が上昇し、さらに、自国民を守るために、小麦やトウモロコシなどを防衛的に輸出制限する国が増加し、ますます食料の確保が難しくなるということです。 日本の食料自給率は、ここ数年、カロリーベースでは37%前後で推移しているが、例えば、大豆は6%、小麦も15%の自給率しかなく、このような状況が深刻化すれば、日本の食卓から、みそやしょうゆ、うどんなどが姿を消す日が来るのではないかと心配しています。もちろん牛肉や牛乳、卵などについても、その他の食品についても同じようなことが言えます。 また、農業生産に必要な燃料、肥料、飼料の高騰が農家経営を直撃しています。特に深刻なのが化学肥料で、原料のリン酸アンモニウム、塩化カリウムが100%、尿素が96%を輸入に頼っています。来年以降、化学肥料が農家に供給できない状況になるのではと不安視する見方もあり、自給率97%の米にも影響が出ることが想定されます。 そもそも食料自給率が低いとなぜ悪いのか。もちろん食べるものが自前ではなくなることですが、これに加えて、日本の食料生産力が衰退していくからだと言われています。また、安価な輸入品の増加や肥料価格の高騰により農家がもうからなくなり、農家が減少し、農地が荒れるという悪循環を起こし、ついには農村が崩壊し、食料の生産基盤がなくなるという大きな危険性をはらんでおり、自給率の向上は重要な国家戦略として捉えるべき課題です。 前置きが長くなりましたが、そこで、知事にお聞きします。さきほど述べたように、食料の確保が困難になることや化学肥料が十分に供給できなくなることは、そう遠くない将来に必ず起こる問題であり、県としても県農業、県民の食料を守る観点からも重要な課題だと考えます。全国的には、飼料米への転換、堆肥肥料の見直し、牛の放牧推進など新たな取組、そして、一番重要な国産農産物の消費拡大、地産地消を促す取組も進められています。こうしたことを踏まえて、知事として本県の食料自給率をどのように捉え、また、本県の農業についてどのように振興していくのか、お聞きします。 次は米の生産・消費拡大の具体策として、ここでも2点質問します。 まず、米粉ですが、先日、中部振興局のお世話で、由布市の農政と総合政策の担当者と共に大分市野津原町にある米粉の製粉メーカー、ライスアルバ株式会社を訪ねました。少量の製粉でも受け付ける全国でも珍しい工場で、32ミクロンの微細粉の米粉を製粉でき、これまで難しいと言われていたパン用の米粉も製造できる画期的な工場でした。 現在、世界の小麦の供給が不安定になったため、価格が高騰しています。国産で一番自給率の高い米が代替品になれば、小麦アレルギー対策など、一石三鳥となることから、県を挙げて普及促進に取り組んでいただきたいと思います。 次に、なつほのかについてですが、本県の今年の水稲の作況指数は99と平年並みでした。北海道は106の良を見るに、これも地球温暖化の影響ではないかと心配しています。 その水稲の高温障がい対策として、今年から県の奨励認定品種として導入したなつほのかの作付けが本格的に始まりました。県内の作付面積は1,152ヘクタールで、初年度としては良い滑り出しだと思います。私も50アールの田になつほのかの作付けをしましたが、豊作と言える収量で、食味もおおむねヒノヒカリに劣らないおいしさと好評でした。茎も強く、もみもきれいで、作りやすい品種と思いましたが、課題は価格の安さとネームバリューの不足です。例えば、価格はJAおおいたの概算金単価一等米30キログラムで比較すると、ヒノヒカリが5,400円、つや姫が5,610円、なつほのかは5,160円で、3品種の中では断トツに安い価格です。もちろん初年度ですから仕方ない面もありますが、来年度以降、なつほのかを大分県の主要品種として勝負するなら、売り込み戦略が重要だと考えます。 そこで質問です。米粉利用における国の方針と現状について、そして、本県における米粉の利用状況と今後の普及促進の計画について伺います。 また、なつほのかについて、今年度どのようなPR活動を展開したのか、そして、来年度に向けた普及、売り込み戦略をどのように考えているのか、あわせて教えてください。
○
御手洗吉生議長 広瀬知事。
◎広瀬勝貞知事 まず、私から食料自給率と農業の振興についてお答えします。 食料自給率は、国民が国内外の多様な食材をそれぞれの嗜好から選び、消費する結果という側面もあるが、食料安定供給の中心は国内の生産でして、国も食料自給率の向上を基本政策に掲げています。それは議員御指摘のとおりです。 そうした中、大分県は
生産額ベースの自給率が108%です。むしろ食料の供給サイドという立場にあります。国全体の自給率の向上にも寄与していることから、本県農業の振興に取り組んでいくことで、さらなる自給率向上に貢献ができると考えています。 また、昨今、ウクライナ情勢等を契機に、食料安全保障への関心が高まっています。食料安全保障にとって重要なことは、有事における食料供給の担い手や農地、水利施設などの生産基盤をいつでも利用できるように平時から確保することです。人手と農業生産基盤をちゃんとつくっておくということです。そのためにも、マーケットインを軸とした強い産地の育成など、これまでの政策を着実に進めていく必要があります。 まず、産地の育成に向けた基本方針としては、市場ニーズが高い園芸品目を中心に、就農や規模拡大への個別的な支援から、農地集積や畑地化、流通拠点の整備など、産地ベースの支援まで切れ目なく取り組んでいます。加えて、本年度の補正予算において、燃油や肥料等をめぐる情勢を見通して、施設園芸の省エネ化、耕畜連携の推進や自給飼料の増産などについて一層踏み込んで支援するなど、持続性の高い経営環境の実現を進めています。 このような取組は、県土の大部分を占める中山間地域における担い手の育成にもつなげていくことが重要です。このため、現在、農業総合戦略会議において、その中心的な担い手である集落営農法人と議論を重ねています。法人からは、持続的に農地を守るためにこそ、園芸品目の導入など、次の世代にバトンを渡せるような経営基盤の強化が必要といった意見を伺っており、今後は市町村とも連携し、持続可能な経営への転換を後押しします。 さらに、こうした担い手が存分に力を発揮できるように、効率的で生産性の高い農地や水利施設の整備にも取り組んでいきます。 先日、本格供用を開始した大蘇ダムの受益地で開催された土地改良振興大会に参加しました。会の中で、若い青年農業者からの発言ですが、いつでも水が使える、したがって、自分たち若い生産者が増えつつあるのだと。あるいはまた、規模を拡大し、もうかる農業を自分たちは目指したいといったような言葉がありました。大蘇ダムを整備した効果を実感し、本県農業がさらに発展できるのではないかと。農地を整備し、そして、もうかる農業の可能性を開いていけば、若い人も入ってくると実感した次第です。 現在、農業を取り巻く環境は厳しさを増しているが、これを乗り越えていくことで、成長への大きなアドバンテージが得られるチャンスでもあります。今後も成長、発展への意欲ある担い手と産地を後押しし、農業の成長産業化を図っていきたい。農業の成長産業化を図ることによって、やる気のある若者が入ってくる。そのことによって自給率の向上が図られることになるのではないかと思っています。
○
御手洗吉生議長 佐藤農林水産部長。
◎佐藤章農林水産部長 米の生産、消費拡大についてお答えします。 国は需要が減少する主食用米の新しい用途での利用を促進しており、米粉用米の生産量も増加傾向にあります。令和3年度は4万1千トンとなっています。 本県では、パン用米粉を製造できる製粉会社があるので、主にパン用として学校給食等で利用されています。今後もこうした実需者ニーズに対応した推進を図っていきます。 次に、気候変化に対応できる品種として導入を進めていますなつほのかですが、食味の面でも生産者から高い評価をいただいています。県では、農業関係団体と共に販売促進等に取り組む協議会を設立し、CMや情報番組等での紹介、また、なつほのかのロゴマークを作成し、商品パッケージに掲示するなど、認知度向上に取り組んでいます。 初年度の価格は、認知度の影響もあり、つや姫の初年度と同じくヒノヒカリを下回りましたが、今後、販売促進や特A米の取組などを積極的に進めることで、認知度と単価の向上を図っていきます。
○
御手洗吉生議長 二ノ宮健治君。
◆二ノ宮健治議員 ありがとうございます。質問項目が多いので、少し整理してみます。 まず、食料自給率と農業の振興について、今、知事から答弁いただきました。特に、米の代替品として、米粉の利用促進が食料自給率の向上につながるのではないかということの中、そういうことを含めて、農林水産部長に再度質問します。 大分県の令和2年度の食料自給率はカロリーベースで40%ですが、県農業を進める中で、食料自給率という考え方は少なく、農業算出額の引上げが中心となっています。今回の質問は、これまで以上に地産地消による農産物の県産物の消費拡大に取り組み、特に、米の消費拡大による食料自給率の引上げの提案です。 戦後、アメリカの余剰農産物の処理先として日本がターゲットになったと言われ、パンの学校給食などにより日本人の食生活が欧米化へと進み、米離れが年々加速しています。その反面、欧米では日本食の良さが評価され、特に小麦に含まれるグルテンによって様々な体調不良が引き起こされるグルテン不耐症が問題になり、小麦を中心とした食の見直しが始まっています。 この機会に、全国に先駆け、大分県から食料自給率を高め、米の消費拡大の観点から、米中心の食生活を推進し、米の消費拡大を図ってはいかがでしょうか。農林水産部長に伺います。
○
御手洗吉生議長 佐藤農林水産部長。
◎佐藤章農林水産部長 米の消費拡大ということです。さきほど知事から答弁もありましたが、国民の方は、県民も含めて、何を食べるかはある程度本人たちの嗜好があって、その中で、食料自給率が現在37%、大分県は40%ですが、そうなっていると思います。ただ、やはり米についても、おいしいものを作るのは大変大事だと思っているので、本県においても、なつほのか、一昨年、令和2年が8ヘクタールで栽培を開始して、令和4年に1千ヘクタールを超えるということで、やはりおいしい米を作っていくのが米の消費拡大には大事なことだと考えています。
○
御手洗吉生議長 二ノ宮健治君。
◆二ノ宮健治議員 おいしい米を作るのは当たり前です。が、今提案しているのは、その米がなかなか消費されないということなのです。だから、そういう中で、米粉の良さが見直されて、そういう動きになっている中で、やはり行政としても、そういうものを積極的に推進するべきではないかという提案です。 少し具体的に質問します。米粉の利用促進についてですが、この利用が伸びない要因の一つに、製粉料が大変高いことを感じています。これに対して、県の補助制度の導入ができないかを伺います。 それから、さきほど学校給食が出たのですが、まだまだ不十分です。それというのも、やはり製粉料が高い。30キログラムで9千円ぐらいかかるのですね、野津原に持っていくと。本当に米の消費拡大、まだ言えば米粉の良さを推進するのであれば、そういうところからやっていかなければならないのではないかと思っています。 それから、なつほのかについて4点お聞きします。 まず、なつほのかの名前を戦略的な名前に変えることができないのか。 それから、全国版になるには、やはり米食味ランキングで特Aが望ましいが、取れる可能性は。また、どのような評価で決まるのかをお聞きします。 このなつほのかは鹿児島県で生まれ、長崎県で特Aを取っている。全国的な評価は今どのようになっているかということ、それから、ふるなび等が行っているお米のふるさと納税返礼品ランキングでは、佐賀県、熊本県、長崎県のお米がずっと上位にランクされていますが、残念ながら大分県産は入っていません。県内市町村のふるさと納税返礼品に米を使用することで、消費拡大を広げていく取組が必要ではないかと考えますが、農林水産部長の見解を伺います。
○
御手洗吉生議長 佐藤農林水産部長。
◎佐藤章農林水産部長 まず、米の需要拡大での米粉の消費、それに向けての県の補助制度の検討はということだと思います。 米粉の製粉料金の低減につながる効率的な機械の導入については、県ではこれまでも農山漁村振興交付金などを活用し支援を行ってきたところです。さらに、実需者ニーズに応じた生産ができるように、米粉用米に対する水田活用の直接支払交付金、これを活用した生産面での支援も行っています。 こうした取組に加え、国の補正予算においても、今回、米粉の利用拡大支援対策事業が実施されることとなっているので、これらの活用についても実需者にしっかりとPRしていきます。 それから、なつほのかについて4点ほど御質問をいただきました。 一つが、名前を戦略的な名前に変えられないかということです。さきほど言ったとおり、なつほのかですね、今やっと本県においても拡大しているということで、今年は1千ヘクタールを超えると。来年度はもっと増やしていきたいと思っていますが、そういった中で、今あえて大分県独自で名前を付けて販売するよりも、やはり高温に強く食味もいいなつほのか、この特性をいかして、他県も含めてブランド化を図る方が、より効果的にブランドを確立することができるのではないかと考えています。 それから、食味ランキング、これで特Aを取る可能性についてですが、特Aなどの食味評価を行う日本穀物検定協会というところがあります。ここで炊飯した白米を外観、香り、味、粘りなど、六つの項目において基準米となるお米と対象産地の品種を比べ、専門家の方、約20人と聞いていますが、実際に食べてみて評価を行っています。 なつほのかについては、今回初出品となるため、ハードルは高いと考えていますが、特A獲得に向けて、これまで県内の篤農家やJA、それから、県の普及指導員、関係者が一丸となって品質向上に取り組んできたところなので、特A獲得に向けては厳しい審査になろうと思いますが、高い評価を受ける必要があります。動向を期待しています。 それから、なつほのかの全国的な評価ということですが、温暖化が進む中、高温に強い特徴を持つなつほのかについては、やはり九州においては重要な品種だと考えています。また、令和2年には長崎県産のなつほのかが特Aを取っているので、大分県もぜひ特Aを取れるように頑張って、九州全体での主力品種となると考えていますし、そのように頑張っていきます。 それから、ふるさと納税、これの県内市町村での採用、それから、消費拡大につなげる取組はということだと思います。 現在、津久見市と姫島村、この二つを除く16の市町でふるさと納税の返礼品にお米がなっています。そのうち、宇佐市、臼杵市、大分市、それから別府市では、なつほのかを返礼品として取扱いしています。 このように、県内の市町村においてもふるさと納税にお米を採用しています。ランキングについては、分析はなかなか難しいところはあるのですが、大分県の市町村、様々な魅力ある返礼品を御用意されているのも一因ではないかと思います。
○
御手洗吉生議長 二ノ宮健治君。
◆二ノ宮健治議員 ありがとうございます。米粉、本当に魅力的なものだと思っています。なつほのかについても、本当にすばらしい品種だと思います。ぜひ力を入れていただきたいと思っています。 次に、中山間地域等における小学校の在り方についてお聞きします。 私は由布市の中山間地域に住んでいますが、母校である谷小学校校区を中心に、市単独の交付金事業による地方創生に向けた取組が行われています。この事業のコンセプトが谷小学校を複式学校、廃校にしないことと単純で分かりやすく、地域のハード整備やソフト事業を行い、魅力ある地域にすることにより、生徒数の増加、複式学級の解消、ひいては学校存続を目指しています。この好循環を地域につくっていきたいと、地域住民一体となって取り組んでいます。 地域、とりわけ中山間地域では小学校の存続が地域活性化の命綱であり、近くに学ぶ場所がない地域には人が集まりにくいのではないかと考えています。このようなことから、小学校の存続に向けた取組は、学校、行政、地域、地区民の地域に小学校が絶対に必要だとの熱意がなければ難しいと感じています。 学校基本調査によると、県内の小学校の複式学級数は2022年5月時点で101となっており、これは全国的にも決して少ない数字ではありません。また、廃校数にしても2002年から2020年までの間に廃校となった小学校は実に149校に上り、地域から学びの場が失われている様がうかがえます。 そこで、中山間地域の県内の小学校の複式学級校、廃校の現状を踏まえ、県としてこうした状況の解消に向けてどのように取り組んでいるのか、教育長に伺います。 また、課題等についてもあわせて伺います。
○
御手洗吉生議長 岡本教育長。
◎岡本天津男教育長 少子化により学校の小規模化が進むと、集団の中で切磋琢磨する機会の確保や社会性の育成など、教育上の諸課題が懸念されます。あくまでも児童等の教育条件改善の観点を中心に据えながら、地域の実情に応じて学校規模の適正化の検討がなされることが重要だと考えています。 統廃合を検討する場合には、御指摘にもあるとおり、学校が地域コミュニティの中で果たしてきた役割や意義を十分に踏まえ、保護者や地域住民の理解と協力を得て行うことが重要です。学校を存続する場合は、少人数指導など、小規模校のメリットをいかしながら、ICTの活用によってデメリットの緩和を図ることが考えられます。 そのような点を考慮しつつ、市町村立学校の統廃合については、設置者である市町村が自らの責任において判断し、決定するものですが、県教委としても必要な情報提供や助言などをしています。 また、複式学級への対応については、県単独教員を配置し、国の編制基準より手厚く複式の解消に取り組んでいます。 加えて、地方創生の観点から、地域と共にある学校づくりは重要であり、学校、家庭、地域の連携協働の推進にも取り組んでいます。
○
御手洗吉生議長 二ノ宮健治君。
◆二ノ宮健治議員 ありがとうございます。2点について再質問します。 一つは、現行制度の中で小規模特認校制度があります。これが統廃合対象の学校を救う一つの方法だと言われていますが、県内の状況についてお聞きします。 全体として制度が有効活用されていないように感じていますが、課題等があれば教えてください。 2点目は、複式学級の設置基準が上下の学年を合わせて、国の基準では16人以下、県の基準では14人以下、市町村の基準では10人以下で複式学級になり、国の基準以下は県、市町村が加配教員を配置して実施しているのが現状です。 少子化の中で、この基準ラインの学校が多く、市町村の負担が増加しているのではないかと思っています。県の基準を12人以下に下げるべきだと考えますが、2点について、教育長よろしくお願いします。
○
御手洗吉生議長 岡本教育長。
◎岡本天津男教育長 まず、最初の御質問ですが、いわゆる小規模特認校制度ですが、従来の通学区域は残したまま、特定の学校について当該市町村内のどこからでも就学を認める特認校制を小規模校において取り入れたものです。県内では10市20の小規模小中学校で実施されており、現在、小中合わせて約270人の児童生徒に適用されています。 課題としては、通学区域が広範囲になるので児童生徒の通学の負担が発生する、あるいは校区外から通学している子どもにとっては、自分の住んでいる地域での友人関係が希薄になりやすいなどが指摘されています。 それから、二つ目の基準の話ですが、しっかり実態を見た上で対応を検討したいと考えています。
○
御手洗吉生議長 二ノ宮健治君。
◆二ノ宮健治議員 ありがとうございます。特認校は大変いい制度だと思いますが、なかなか成果が出ていません。うちの挾間町にとってみると、大規模が2校あって、小規模が2校あります。小規模は両方とも特認校を取っていますが、大規模に集中して、来年、また教室を増やさなければならないような状況なんですね。何かその辺の兼ね合いがうまくいくといいのですが、ぜひ県教委も力を貸していただきたいと思っています。 それから、さきほど谷小学校のことを言ったのですが、今から小規模校を解消するには、やはり教育委員会だけではなくて、行政としてこういう取組をしなければならないのではないかと思っています。そういうことで、この谷地域での取組を複式学級解消モデル地区として、県、市を挙げての取組ができないでしょうか、お願いします。
○
御手洗吉生議長 岡本教育長。
◎岡本天津男教育長 地域の活性化、それから、地方創生といった観点からも、地域と共にある学校への転換が重要であると考えており、コミュニティ・スクールと地域学校協働活動の一体的な推進によって、学校、家庭、地域の連携協働の促進に取り組んでいます。例えば、このような体制を活用し、地域課題の解決に向けた取組を行うことで、子どもたちが地域社会の一員としての自覚や地域への愛着を持つことや、学校が地域の学びの場となるなど、地域づくりの核となり得る様々な効果が期待できると考えています。 御紹介いただいた谷地域での取組も参考にしながら、好事例の発信や地域コーディネーターの配置支援などを通じて、地域と共にある学校づくりを加速させていきます。
○
御手洗吉生議長 二ノ宮健治君。
◆二ノ宮健治議員 すみません、事前に通告していなかったので、よろしくお願いします。 では最後に、県民の安全・安心について、まず、防災教育の普及についてです。 2018年第4回定例会で、県防災教育センターの設置について質問しました。知事からは、災害に対して自助、共助、公助の必要性、特に自助の力を身に付けておくことが大切で、県も9月の防災週間などで自助の意識の醸成を図っていくとの回答がありました。さらに、防災局長からは、疑似体験による防災教育が防災意識の醸成には有効であり、防災教育センター設置の促進という議員の意見も踏まえ、どのような方策があるか検討していくとの回答がありました。 この質問から4年しか経っていませんが、この間、2019年の台風第8号と8月の豪雨災害、2020年には1月の暴風災害、7月の豪雨災害、そして台風第10号、2021年には8月の大雨災害、今年になって台風第14号と、毎年のように大災害に見舞われています。気象予報士の花宮さんの、災害は忘れた頃でなく、忘れる暇なくやってくるとの言葉どおりとなっています。 そして、この間に死者、行方不明者は8人、重軽症の方も27人に上っており、改めて御冥福をお祈りします。この方々や関係者のつらい思いを無駄にしないためにも、県民の防災意識を向上させる取組の根本的な見直しが重要ではないかと考えています。 そこで質問です。これまでの防災意識向上の取組の成果と今後の課題について防災局長にお聞きします。 また、防災教育センター設置の可能性についてあわせてお聞かせください。 次に、大分川水系における治水対策についてです。 今年5月、大分川水系のうち、県が管理する挾間町鬼崎からの上流域を整備する大分川水系上流圏域河川整備計画が策定されました。さきにも触れましたが、大分川水系では、2020年7月の豪雨災害、今年の台風第14号災害で、死者5人を含む甚大でいたたまれない被害が発生し、現在も懸命に復旧、復興に取り組んでいただいています。 この計画では、特に災害の常襲地域を中心に、堤防の整備、河道掘削などの整備を行い、流下能力を確保して大分川上流域の治水安全度の向上を図るとあります。 今年の台風第14号では、災害の常襲地域であった小野屋商店街や同尻地域でも、濁流が堤防をオーバーする寸前でしたが、大きな被害を免れました。これは5月以降、早速危険地域の河道掘削などの応急工事を始めていただいた効果であり、深く感謝を申し上げます。 ただ、湯布院町宮川周辺流域では、今回も広い地域で床上浸水の被害が発生し、たび重なる被害に地域の人の悲痛な声を聞いています。 そこで、3点質問します。 まずは、湯布院町宮川周辺流域整備についてです。 この地域は地形的に被害常襲地域ですが、土砂の堆積、加えて外来種水草であるオオセキショウモの繁茂が流下能力を低下させており、被害が拡大しているとの声もあります。県もこのことは十分把握していると聞いていますが、河川拡幅など、抜本的な改修が急がれます。しかし、緊急措置として、堆積した土砂の撤去、オオセキショウモの除去、撲滅から始めていきたいと思いますが、土木建築部長の見解を伺います。 次に、大分川・大野川水系流域治水協議会が設置されていますが、その活動状況と、協議会が策定した流域治水プロジェクトの推進状況についてお示しください。 また、降雨時におけるダム管理は大変難しい問題で、判断を誤れば下流域に重大な被害が起きます。大分川水系に設置されている既存ダムの洪水調節機能強化に係る協議会の現状と、特に2020年7月の豪雨災害時にどのように機能したのかについてあわせてお聞かせください。
○
御手洗吉生議長 岡本防災局長。
◎岡本文雄防災局長 私から防災教育の普及についてお答えします。 県では、災害の恐ろしさや早期避難の重要性をより多くの方々に伝えるため、防災気象講演会や地震体験車などに加え、令和元年度からは災害の疑似体験ができるVR動画や啓発動画の制作、普及に取り組んでいます。これらの動画はユーチューブでも配信しており、現在の総視聴回数は110万回を超えています。 今後の課題は、人的被害ゼロを目指し、早期避難の定着に向けた取組の強化であると考えています。大分大学が実施した令和2年7月豪雨に関する実態調査では、避難のきっかけとして、自らの判断のほか、家族など他者からの声かけが有効であることが分かりました。そのため、おおいた防災アプリを改修し、避難スイッチをあらかじめ決めておくマイ・タイムライン作成機能や、遠方の家族から避難を促す家族グループ機能を今年度中に追加することとしています。また、高校生、大学生による効果的な啓発方法の検討や、減災シンポジウムでの提言発表など、若年層の防災教育にも取り組みます。 防災教育センターの設置については、一定の効果はあるものの、まずはこれらの取組を積極的に推進していきます。
○
御手洗吉生議長 島津土木建築部長。
◎島津惠造土木建築部長 私からは大分川水系における治水対策について3点お答えします。 まず、1点目の宮川に繁茂したオオセキショウモについては、河川環境の悪化や流下阻害が懸念されるため、これまで県と地元の皆さんが協働しながら駆除を行っており、今年度完了見込みです。 なお、繁殖力が強いため、再繁茂の状況を今後も注視していきます。 また、宮川と大分川の合流点付近においては、堆積土砂の撤去も今年度予定しています。 2点目の流域治水協議会については、令和2年度に策定した流域治水プロジェクトの進捗管理を毎年行いながら、大分川を始めとした河川改修や由布市挾間町三船地区での田んぼダムの実証実験等、計画的に推進しています。 3点目の洪水調節機能協議会は、降雨予測に基づき、ダム管理者に事前放流を促すことを目的に、芹川ダムやななせダムなど、四つのダムについて2年度に治水協定を締結しています。 令和2年7月豪雨では、事前放流の基準雨量に達する前に、それぞれのダム管理者が治水に対する意識を持って貯水位をあらかじめ低下させたことにより、下流域の被害軽減に一定の効果があったと考えています。 水害が頻発化、激甚化する中、流域のあらゆる関係者がこのように能動的に取り組む流域治水を一層推進していきます。
○
御手洗吉生議長 二ノ宮健治君。
◆二ノ宮健治議員 ありがとうございます。資料の裏面を御覧ください。これは知事の4期、5期の8年間に建設した公共施設です。建設にあたっては、本当にいつも財政状況を勘案しながら、県民ニーズも大切にして、私は全て必要不可欠な施設であると評価しています。 さきほど言ったように、そろそろ防災教育センターがくるのかなと期待していたのですが、今そうはなりませんでした。記憶が今薄れかけていますが、東北大震災のときに、宮城県の石巻市の旧大川小学校、それと同じく釜石小学校の差がずっと報道されました。残念なことに、大川小学校では児童の8割が亡くなりました。そして、釜石小学校ではほとんど被害がなかったということです。その中で、訓練の積み重ねやその地域の言い伝えに従ったからだと、身を守ることができるのだと言っていました。小さいときから災害に対して本当に身をもって経験する中で、やはり私は防災教育センターが必要だと思いますが、防災局長、いかがでしょうか。
○
御手洗吉生議長 岡本防災局長。
◎岡本文雄防災局長 他県の防災教育センターを調査したところ、その多くが地震体験や図上訓練のほか、パネル展示、研修などの機能を有しています。 本県においては、センター機能と同様の防災教育を地震体験車による疑似体験、アドバイザー派遣による訓練、学習会の支援など、アウトリーチで展開しています。このため、さきほど言ったとおり、まずは現在の防災教育ツールや派遣制度、広報啓発活動などを積極的に展開し、県内全体の防災知識、意識の向上を図っていきます。
○
御手洗吉生議長 二ノ宮健治君。
◆二ノ宮健治議員 今から恐らく計画されていくのではないかと思いますが、もしつくる場合は、財政的な面とか効果面から見て、消防学校の併設をぜひ検討しておいていただきたいと思っています。ちょいちょい行くのですが、あそこならいいなと思っています。 土木建築部長に聞きます。ダム管理は大変難しいのですが、さきほど言われたように、国の基準に基づいてやっているということで安心しました。 オオセキショウモですが、完了予定だと話を今聞きましたが、そこの資料にも載っているように、特に大分川と宮川の合流点はものすごいのですよ。だから、今確かにゆふいん豊水会の皆さんが除去して、在来種ができているとも聞いていますが、まだまだだと私は思っています。しかし、宮川の合流点等の土石流というか、土砂等をのけていただけるということで、ぜひ早急にお願いします。本当に3年間に2度も床上浸水になっているのですよ。この間、現地に行ったのですが、20人ぐらいの人が集まって、何とかしてくれということでした。ぜひこのことについてお願いします。 まだ時間があるのですが、だいぶ下がりました。広瀬知事、まだ4か月ありますが、私にとっては今回が最後の公での質問になるので、最後にお礼の言葉を贈らせていただきたいと思っています。 先日、由布市の保健師と由布市議の皆さんと雑談していました。突然、保健師が皆さん何歳まで生きたいですかとの質問をされました。それぞれに85歳、90歳、95歳と答えていましたが、私は100歳と答えました。二ノ宮さん、すばらしいと変なところで褒められ、保健師さんいわく、人間はその思いをいつも口に出していれば、それに近い年まで元気で生きられるとのことでした。広瀬知事、もしこのように聞かれたら、ぜひ105歳までと答え、これからもお元気で末永く大分県政に御助言をお願いします。 少し長くなったのですが、私の質問をこれで終わります。どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)
○
御手洗吉生議長 以上で二ノ宮健治君の質問及び答弁は終わりました。 暫時休憩します。 午後0時47分 休憩
------------------------------- 午後1時46分再開
○古手川正治副議長 休憩前に引き続き会議を開きます。 一般質問及び質疑を続けます。大友栄二君。 〔大友議員登壇〕(拍手)
◆大友栄二議員 11番、自由民主党、大友栄二です。今回も質問の機会を与えていただいた先輩、同僚議員に感謝し、早速、質問に入ります。 先端技術の活用についてです。 令和2年1月に新型コロナウイルスが確認され、世界中に影響を及ぼしながら、はや3年が経過しようとしています。この間、感染拡大の防止のために海外との往来が減り、経済活動も世界で大きく制限されてきました。コロナ禍の経済的な影響は非常に大きく、また最近はウクライナ情勢などに伴う原油価格や物価の高騰がさらなる追い打ちをかけ、経済を取り巻く環境は大きな変革のときを迎えています。 そうした中でも、コロナ禍以前から広瀬県政では産業の活力を向上させるため、ものづくり分野を始めとした様々な挑戦を進めてきました。 産学官が共同して、医療分野に加え看護・介護・福祉分野も含めた医療関連機器産業の集積を図るため、東九州メディカルバレー構想を宮崎県と連携して取り組んできたほか、コンビナートや半導体、自動車の関連企業も集積させる取組を進めてきました。 加えて近年、特に力を入れてきたのが先端技術への挑戦です。ICTなどとともに様々な先端技術が創り出され、世の中のありようまで変えようとしています。本県でも先端技術が多方面の地域課題の解決に活用され、またその過程で先端技術を中核とする新しいビジネスも生まれてきています。ドローンやアバターなど、これまでにはなかった技術を活用し様々な実験はもちろんのこと、ビジネス化に向け県内企業の取組を支援してきました。 また、宇宙港として大分空港から航空機を使用して人工衛星を打ち上げることとしており、それを契機に衛星データの活用など宇宙産業へも挑戦を進めています。 このほかにも脱炭素社会に向けては、グリーンエネルギーの開発や活用が求められており、こういった分野にも先端技術の導入が進められています。 今後は経済活動も再活性化していく中で、この先端技術への挑戦を加速化させ、それらを商業ベースに乗せ、強靱な県経済を構築していく必要があります。 特に、AIやロボットなど目覚ましい発展を遂げている技術分野にも目を向け、新たな産業の芽を育てていく必要があると考えます。 そこで伺います。これまでの先端技術への挑戦に対する様々な施策をどう評価し、今後さらなる新産業の創出に向けどのように取り組んでいくのか、知事の見解を伺います。 以下は対面席より質問します。 〔大友議員、対面演壇横の待機席へ移動〕
○古手川正治副議長 ただいまの大友栄二君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。 〔広瀬知事登壇〕
◎広瀬勝貞知事 大友栄二議員からは、先端技術による新産業の創出について御質問いただきました。 先端技術への挑戦においては、ドローンやアバター、AIなど、発展著しい先端技術を活用し地域課題の解決を図るとともに、これをシーズに新産業をつくり出していく視点が大変重要だと思っています。 本県では、これまで様々な分野で積極的に取組を進めてきた結果、他県に先駆けるような事例も生まれており、今後の全国的なビジネス展開が期待されています。 例えば、県は民間企業と共同してドローンの飛行性能を評価できるドローンアナライザーを開発しました。本日からドローンの機体認証制度が始まりましたが、今後、この制度に合致した性能試験手法を確立し、実績を重ねることで、ドローン産業の拠点化につながるものと期待しています。 遠隔操作ロボットアバターでは、避難所や遠隔授業などアバターの活用事例も増えており、昨年、アバタービジネスを手掛ける企業から、アバターの製造パートナーとして県内企業が選ばれ、量産が開始されています。 AIについては、例えば、従業員の高齢化が進む食品加工工場で、県内企業3社が得意分野で連携し、目視による異物混入の検査の代わりに、AI技術を活用した自動判別装置を開発するなど、ビジネス化が進んでいます。 防災・減災の分野では、地場企業と大分大学、世界的なIT企業が開発を進めてきた、防災・減災のための災害情報活用プラットフォームEDiSON(エジソン)の本格運用が始まりました。本県の防災対策にはもちろん、民間企業の防災力向上への活用も始まっています。 さらに、次なるフロンティアにおける新産業の創出にも積極的に取り組んでいます。 重要度が増すカーボンニュートラルに向けて、様々なチャレンジが県下に沸き起こっています。例えば、九重町では豊富な地熱等を活用したグリーン水素の製造実証が進展しています。貯蔵、運搬から利活用に至る、大分県版水素サプライチェーンの構築が期待されます。 世界的に伸びゆく宇宙産業では、衛星データを活用した農作物の育成状況の分析など、県内でも取組事例が増えてきました。アジア初となる水平型宇宙港の実現に向けた取組とともに、宇宙港を核とした関連産業の創出への可能性が広がっています。 活力ある大分県づくりには、引き続き先端技術に果敢に挑戦し、新たな産業を持続的に創出し、集積させていくことが重要です。 そのために、先端技術活用の普及、啓発を行うとともに、県内企業による先端技術を活用したプロジェクトの事業化を支援するなど、これからも県内企業の挑戦を切れ目なく応援していきます。
○古手川正治副議長 大友栄二君。
◆大友栄二議員 様々な取組を行っていただいていますが、今日は先端技術の中でもいくつかピックアップして伺います。 まずは、今後到来するであろう未来のWebの世界への備えということで、Web3.0への対応について伺います。 世界から遅れを取っている感が拭えない我が国のデジタル技術の活用の取組ですが、昨年9月にデジタル庁が新設され、デジタル田園都市構想を始めとしたDXの推進、次世代のインターネットと呼ばれるWeb3.0への対応が急がれています。今年6月7日に閣議決定したデジタル社会の実現に向けた重点計画等において、NFTなどの技術を用いたデジタル資産の法的位置付けの明確化や特定プラットフォームに依存しない本人確認・資格証明の利用環境整備などを重点政策とし、ブロックチェーン技術を基盤とするNFTの利用等のWeb3.0の推進に向けた環境整備が盛り込まれたことを踏まえ、デジタル庁にはWeb3.0研究会も設置されました。 有識者会議であるWeb3.0研究会も既に数回の会合が開催されており、関係府省庁も施策や対応の検討を進めていますが、地方自治体においても仙台市が政府に仮想通貨の課税緩和などのWeb3.0規制改革案を提出するなど、その対応が進みつつあります。 Webの世界は通信速度の高速化に伴い、現在、Web3.0と言われる時代に突入し、新たな世界が広がろうとしています。Web1.0とはメールやインターネットが始まった時代、Web2.0ではEコマースやSNSから拡大し、4Gのインターネット接続が可能となったことで多種多様なものからデータを集めるIoT、大量データを解析するAI、決済手段の多様化といった用途にまで発展し現在に至っています。ここまではいわゆるGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)といったIT大手企業に管理されてきたネットワークの世界であり、中央集権型であったのに対し、これから広がるWeb3.0の世界はブロックチェーン技術の発展により分散型、非中央集権型へと移行すると言われています。 現在、Web3.0の世界でよく耳にするものは仮想通貨やNFT、メタバースといったものがありますが、自治体においても活用が進んでいる事例もあります。NFTにおいては、大阪府泉佐野市のふるさと納税返礼品へのNFTの採用、北海道の観光×NFTの実証実験、兵庫県尼崎市の非公認御当地キャラクターのNFTへの参戦等が挙げられ、地方創生に関する活用が進められています。メタバースについては、天草メタバース計画、バーチャルOKINAWA等、県産品のメタバース上での販売等が挙げられます。 本県においてはいち早くアバター活用の実証実験等を行い、デジタル技術を活用した取組を行っていますが、デジタルサービスは新しい付加価値を生み出す源泉であり、地方が直面する少子高齢化や過疎化といった課題を解決するための鍵でもあります。 こうしたことを踏まえ、新たな付加価値の創出に向け、本県としてNFTやメタバースなど、Web3.0を始めとした新たなデジタル技術活用の取組をどのように進めていくのか、
商工観光労働部長に伺います。
○古手川正治副議長 利光
商工観光労働部長。
◎利光秀方
商工観光労働部長 Web3.0は、データ保有の分散などを通じて従来のインターネットの在り方を変え、社会変革につながる可能性を有しているものと認識しています。既に、ブロックチェーンを基盤とした暗号資産、NFTやメタバースなどのデジタル技術を活用して、経済社会の中核を成す金融、資産・取引、組織などにおいて、新たなサービスがグローバルに広がっています。 Web3.0の普及に伴い、メタバースの世界市場は2030年に6,788億ドルと10年間で17倍になると予想されており、新たな成長市場と期待されています。 国は、新しいデジタル技術を社会課題解決のためのツールにするとともに、経済成長につなげるという基本的な考えの下で、Web3.0推進の環境整備などの検討を開始しています。Web3.0の未来像を描きながら、暗号資産、メタバースなどの便益やリスク、社会への影響などについて議論が重ねられているものと承知しています。 本県でも、県内学生が仮想空間で国際宇宙ステーションを体験できるTHE ISS METAVERSE in 大分というイベントを本年9月に開催するなど、人材育成などの分野で活用や検討を進めています。 今後も国の動向なども注視し、様々な分野での活用や地域課題解決の可能性を検証していきます。
○古手川正治副議長 大友栄二君。
◆大友栄二議員 今後、対応、対策を進めていく場合、アドバイザーとしての専門家や有識者を招くことはもちろん、県の関係部署内の担当者の教育、育成が必要だと思われますが、その計画、準備等はあるのか伺います。
○古手川正治副議長 利光
商工観光労働部長。
◎利光秀方
商工観光労働部長 本県では現在、AIやICTに精通した専門家を戦略アドバイザーとして委嘱し、県施策に関する支援や助言をいただいています。また、庁内全部局に担当を任命した上で、庁内先端技術ワーキンググループを設置し、戦略アドバイザーなどからの先端技術に関する情報を随時共有しています。 デジタル技術の進歩は目覚ましく、常に最新動向を捉えておくことが重要であり、引き続き有識者の力も借りながら、庁内担当者の育成に努めます。
○古手川正治副議長 大友栄二君。
◆大友栄二議員 ありがとうございます。この分野は、ようやく国でも動き始めた分野であるので、まだまだ認知度も低いし、この分野以外にもDXの推進とか通信環境の整備とか、先に取り組まなければいけないものが山積していると感じています。 実はまだまだ私も理解し切れていない部分も多いのですが、上京した際に国会議員との意見交換会とか講習会とかいろいろ受けている際に、これらのワードを耳にすることが増えてきたので、ぜひとも本県においても活用を検討すべきではと感じて質問に取り上げました。 まだまだ事例の少ない分野ですが、いずれ到来するであろうものに対する認識と準備はしっかりと進めていただいて、先端技術への挑戦を掲げる本県が先進県となって取組を進めていただくようにお願いします。 続いて、ドローン物流の社会実装について質問します。 さきほどは次世代の先端技術に関する質問をしましたが、次に本県が掲げる先端技術の活用の中で現在取組が進められているドローン技術の活用について伺います。 ドローン技術が一般的となった昨今、様々な分野でドローンが活用されています。災害時や土木現場での調査、農薬散布などでの活用はもちろん、個人でもトイドローンなどで空撮を楽しんだり、ドローンサッカーのように遊びとしても活用されています。これまで規制が曖昧だった部分も多かったのですが、本年6月から重量100グラム以上の機体が無人航空機の扱いに変わり、飛行許可承認申請手続を含む、航空法の規制対象になることなど様々な対応が進められています。 本県においてはいち早くドローン技術に着目し、実社会の中で一歩進んだ活用方法を模索し、多くの実証実験を重ねてきました。ドローンを活用した物流については、平成29年度に全国初の取組として10キログラムの重量物を山越えで配送し、以降2点間のドローン定期便や離島への長距離海上配送を始め、最近では各地域で企業と連携しながら社会実装に向けて取り組むなど、実現すれば物流の利便性が大きく向上すると期待が膨らみます。しかしながら、あくまで期間や費用負担等のスキームを限定したいわゆる実証実験の要素が強く、社会実装化される見通しが見えてこないのが現状です。当然、実証実験の中で多くの課題が挙げられ、課題解決に向け歩みを続けているところだと思いますが、現在挙げられている成果や課題、そして、それらを解決し、社会実装できるまでの見通しについて、
商工観光労働部長に伺います。