大分県議会 > 2021-09-16 >
09月16日-04号

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  1. 大分県議会 2021-09-16
    09月16日-04号


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    令和 3年 第3回定例会(9月)     令和3年第3回大分県議会定例会会議録(第4号)令和3年9月16日(木曜日)  -------------------------------議事日程第4号            令和3年9月16日              午前10時開議第1 一般質問及び質疑  -------------------------------本日の会議に付した案件日程第1 一般質問及び質疑  -------------------------------出席議員 42名  議長        御手洗吉生  副議長       三浦正臣            井上伸史            吉竹 悟            清田哲也            今吉次郎            阿部長夫            太田正美            後藤慎太郎            衛藤博昭            森 誠一            大友栄二            井上明夫            鴛海 豊            木付親次            古手川正治            嶋 幸一            元吉俊博            麻生栄作            阿部英仁            成迫健児            浦野英樹            高橋 肇            木田 昇            羽野武男            二ノ宮健治            守永信幸            藤田正道            原田孝司            小嶋秀行            馬場 林            尾島保彦            玉田輝義            平岩純子            吉村哲彦            戸高賢史            河野成司            猿渡久子            堤 栄三            荒金信生            末宗秀雄            小川克己欠席議員 1名            志村 学  -------------------------------出席した県側関係者  知事        広瀬勝貞  副知事       尾野賢治  副知事       黒田秀郎  教育長       岡本天津男  代表監査委員    首藤博文  総務部長      和田雅晴  企画振興部長    大塚 浩  企業局長      浦辺裕二  病院局長      井上敏郎  警察本部長     松田哲也  福祉保健部長    山田雅文  生活環境部長    磯田 健  商工観光労働部長  高濱 航  農林水産部長    佐藤 章  土木建築部長    島津惠造  会計管理者兼会計管理局長            森山成夫  防災局長      梶原文男  観光局長      秋月久美  人事委員会事務局長 法華津敏郎  労働委員会事務局長 稲垣 守  -------------------------------     午前10時 開議 ○三浦正臣副議長 皆様おはようございます。 これより本日の会議を開きます。  ------------------------------- ○三浦正臣副議長 本日の議事は、お手元に配付の議事日程第4号により行います。  ------------------------------- △日程第1 一般質問及び質疑、委員会付託 ○三浦正臣副議長 日程第1、第74号議案から第102号議案まで及び第7号報告を一括議題とし、これより一般質問及び質疑に入ります。 発言の通告がありますので、順次これを許します。大友栄二君。  〔大友議員登壇〕(拍手) ◆大友栄二議員 11番、自由民主党、大友栄二です。今回も質問の機会を与えていただいた先輩同僚議員の皆様方に感謝申し上げ、早速質問に入ります。 人口増加対策についてです。 若者が夢と希望を持って未来に羽ばたいていくために我々大人が何を残していくか、いくつも解決すべき課題があります。まずは若者の夢をかなえることのできる社会を実現することが重要です。そうした社会とは、まず、安定した収入の確保、結婚、出産、育児を安心して行うことができ、子どもたちが夢に向かって努力できる施設、設備がある場所のことではないでしょか。地方創生は、こうした場所づくりの理念を持って行うことを目指しているものだと考えています。 今年6月に発表された令和2年の本県の合計特殊出生率は1.57で、4年ぶりに改善したものの、出生数自体は7,582人と9年連続で最低を更新し、人口はついに112万人を下回るという危機感を覚える数字がこのところ立て続けに発表されています。 県では昨年3月に人口ビジョンを改訂し、状況の変化に応じた改訂をしたと伺っています。この中において、人口の自然減対策として、合計特殊出生率の向上のため、広域的な出会いの場づくりをはじめ、妊娠、子育てに係る経済的負担の軽減、男性の子育て参画の促進等により2人目の壁の突破を図ることとし、合計特殊出生率を1.83まで引き上げるとしています。また、社会増に向けては、転出を防ぎ、転入を促進していくため、先端技術への挑戦を通じた若者にとって魅力ある仕事づくりや、若者の転出超過が大きい福岡県に設置する拠点施設、dot.を活用した情報発信の強化、女性の活躍促進などを進めることにより、令和7年までに社会増減の均衡を目指すとしています。 人口増対策について近道がないことはよく分かっていますが、地方創生の根幹をなす対策です。ビジョンにある2人目の壁の突破や仕事の場としての本県の魅力づくりなど、目的は明確ですが、それに対応する政策が直接的に人口増という効果に結び付いているのか、政策の効果測定も難しいところです。県としては、今年の国勢調査の速報値や合計特殊出生率、今年4月の人口減の状況を受け、人口の推移をどう見通しているのか、また、令和7年までの合計特殊出生率の引上げと社会増減の均衡を目指し、どのようなロードマップを考えているのか、人口増に向けた対策について知事の見解を伺います。 続いて、旧町村部の地方創生についてです。 地方創生においてもう一つ注目したいのは、平成の市町村合併後の旧町村部への対策です。 県が策定した人口ビジョンによると、平成28年から平成30年までの3年平均で県内市町村間の移動状況を見てみると、県内各市町村から大分市への人口集中が進んでいることが示されています。同様に、旧町村部から合併後の新市中心部への人口の流入も進んでいます。現に旧町村部において小中学校の統合は合併前に比べ大幅に進んでおり、若い世代の人口流出と少子化により旧町村部の縮小傾向に歯止めがかかりません。 現状、各自治体の投資は新市中心部への投資が優先されているような気がしています。一方で、私の地元であれば、中津南高耶馬渓校のように、せっかく地域に残った資源もあります。これまでの旧町村部対策は、どちらかといえば、旧町村部の全域に対する総花的な対策が多かったと思いますが、私はこうした旧町村部の地域に残った資源を活用し、集中的に投資をすることで、旧町村部を再生させる拠点としていく必要があると考えています。そのためには旧町村部のどこに政策を集中していくのかを各合併市が立案していく必要があり、地方創生の中で県振興局も一緒になって支援していくべきだと思っています。 合併市において、旧町村部の地域資源を今後どう活用していくつもりなのか、活路が見いだせない状況にあります。地方創生を考える場合に、各合併市の中心部だけではなく、旧町村部の在り方もあわせて考えていく必要があると考えます。合併当初に熟考した旧町村部に対する計画を今一度見直し、旧町村部の振興策を具体的に織り込んだ地方創生計画を市町村と連携して作成する必要があると思います。もちろん合併したからには各市において対応するものではありますが、県として広い意味でその方向性を示し、県土の大半を占める旧町村部の有効活用を含め、検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。企画振興部長の見解を伺います。 以下は対面席より質問します。  〔大友議員、対面演壇横の待機席へ移動〕 ○三浦正臣副議長 ただいまの大友栄二君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 大友栄二議員におかれては、地方創生の諸課題について御質問をいただきました。まず、私から人口増加対策についてお答えします。 本県では今世紀末に90万人から100万人の維持を目指す人口ビジョンを策定して、市町村と一体となって地方創生に取り組んでいます。 昨年の国勢調査では、本県の人口は速報値で112万4,597人となりました。全市町村で人口が減少し、5年間で約4万人減となり、人口減少が進んでいます。 また、新型コロナ感染症は、その後の人口動態に影響を及ぼしています。国の調査によると、昨年5月から本年4月までの本県の妊娠届は前年比5%の減となり、本年の出生数は大幅な減少が見込まれます。出生数は当面は厳しい状況が続くことも考えられますが、目標達成に向けて、ポストコロナを見据えた効果的な対策を講じていきます。 まずは出生数の減少に歯止めをかけることです。 合計特殊出生率は全国値の低下が続く中、本県では1.57と4年ぶりの上昇へと転じ、全国10位となりました。近年では有配偶出生率は伸びを見せていることから、まずは結婚の希望が最大限にかなえられるように出会いの応援に力を入れます。早速10月から出会いサポートセンターでオンラインお見合いを開始し、カップル誕生をサポートします。 加えて、結婚式を躊躇する方を後押しするため、ウエディング費用を助成するなど、出会いから結婚、妊娠・出産、子育てに至るまで、切れ目のない一貫した支援に取り組みます。 次に、社会増減の均衡です。 コロナにより入国制限を受けた外国人については、現状の転出超過から、収束後は転入超過に転じると予想しています。日本人についても、密な都会を離れ、暮らしやすい地方を目指す人の流れが生じており、今年の転出超過は過去5年で最少となっています。 このような流れを確かなものにするため、UIJターンの促進にしっかり取り組みます。本県への移住者は8月末時点で567人と、過去最多の昨年を上回るペースで推移しています。今年度開始したIT分野の技術習得から就職、移住までを支援する取組では、現時点で移住予定者が家族も含めて50人に上っており、非常に好調です。 また、リモートワークの浸透を受けて、都市部での仕事を続けたまま大分に移り住む人の誘致も進めています。本年3月に連携協定を締結した富士通株式会社からは、既に社員9人とその家族が移住しています。 この勢いに乗り、企業誘致や高校生などの県内就職の促進、外国人の受入環境の整備など、社会増に向けた施策を多様に展開していきます。 人口ビジョンの実現に向けて、人を大事にし、仕事をつくり、人と仕事の好循環で大分県を活性化していきます。 もう一つ、旧町村部の地方創生については担当部長から答弁します。 ○三浦正臣副議長 大塚企画振興部長。 ◎大塚浩企画振興部長 旧町村部の地方創生についてお答えします。 県では、魅力ある地域づくりを進めるため、地域活力づくり総合補助金などを活用して、市町村と一体となって地域住民の自主的、主体的な取組を支援しています。 例えば、佐伯市米水津では、廃校を改修し、レモンなど農産物の香りの研究施設を設置した企業が高校生向けに実習を行うなど、将来の地元雇用も見据えた人材を育成しています。中津市の耶馬渓ダムに設けられた水上スポーツ施設では大学の合宿などが行われており、期間中は地元の小中学生への指導など、交流が盛んに行われています。また、豊後大野市では温泉がないという地域特性を逆手に取り、若い移住者が中心となって、豊かな大自然を活用したアウトドアサウナを展開し、交流人口の増加につなげています。 こうした旧町村部の資源の活用などについて、地元の声を聞きながら議論する場として、振興局や管内の市町村、商工団体や関係者などをメンバーとするまち・ひと・しごと創生本部地域別部会をそれぞれの地域ごとに設置しています。 今後もこの部会なども活用しながら、県と市町村が一緒になり、旧町村部を含めた地域の振興策を検討し、進めていきます。 ○三浦正臣副議長 大友栄二君。 ◆大友栄二議員 人口増加対策は答弁の中でも希望の持てる部分もありましたが、現状、人口が減少していく中でどうしていくのかを考えていかなくてはいけないと思っています。 昨日の古手川議員の質問にも過疎法の話がありましたが、御承知のとおり、これまで姿、目的を変えながら、地域格差の是正を念頭に現行の過疎法に至っています。昭和45年からの過疎地域対策緊急措置法、昭和55年からの過疎地域振興特別措置法、平成2年からの過疎地域活性化特別措置法、平成12年からの過疎地域自立促進特別措置法、そして、現在は過疎地域の持続的発展を目的に制定をされています。 県の過疎計画を策定する中で、昨日の知事答弁の中にも人口ビジョンとの整合性を取っていくという話がありましたが、私はその中で、地域を維持するために適正な人口を考えていかなければいけないと考えています。現在でも各市町村単位で人口推計は出ていますが、それを人口分布として各地域に市町村の中で落とし込んでいるところは少ないと思っています。 今後、人口減少を免れない中で、減った人口の中でどう地域を残していくべきか、また、地域を残すためにはそこにどれだけの人が住むべきなのかという議論とか計画策定も必要だと考えています。その計画に沿った投資をしていくことこそ、地域が本当に生き残る道ではないかと私は捉えています。 知事がいつもおっしゃっているように、そこに住みたい人がいる限り、できる限りの支援をしていくということももちろん大切ですが、それと同時に、未来の子どもたちにこの地域をどのような形で残していくのかという議論も大切です。 住民も交えた中で、各市町村でこのような議論も始めていただきたいと思うし、本県をどのような形で残していくかという意味で、県がイニシアティブを取っていただきたいと考えますが、昨日答弁いただいた分もありますが、再度知事の見解をお聞かせください。 ○三浦正臣副議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 議員御指摘のとおりでして、今、国も地方もそうですが、長年の人口の流れの中で、人口構成というんですかね、そういうものができているわけです。それから見ると、しばらくは少子高齢化、人口減少が続かざるを得ないという状況であることは明らかなわけです。 したがって、議員御指摘のように、人口の見通しをつけながら、それに沿って投資をしていくのがより効率的ではないかというお話ですが、一見理解がしやすいような感じがしますが、そんなことをやっていると、大分県は自然体でいけば、2053年を待たず、2035年には100万人を切ります。2100年には46万人になります。それを見通して投資をやっていくということは、一見説得的だが、逆に言うと大変なことになるわけでして、大分県は本当に今の形を維持できないことはもちろんです。今の大分市よりも小さな県になってしまうということになるわけです。 したがって、国もそうですが、それでは大変だということでビジョンもつくって、国は世紀末に6千万人を切ると言われているが、それでは大変だと。何とか9千万人か1億人は確保したいというビジョンを持って地方創生を取り組んでいると。我々も1%県と言われています。人口においても、何とか国全体の1%ぐらいは維持したいということで、じっと46万人になるのを見るんではなくて、国がせっかく9千万人でいこうというならば、あるいは1億人でいこうというならば、90万人から100万人は確保しようではないかということで人口ビジョンをつくっているわけです。相当難しいことは分かっていますが、そのくらいの意気込みを持ってやらないと、将来の大分県、子どもたちに我々の大分県を残すことすらできないという危機感を持ってやっているわけです。それを将来の人口が減るのはしようがないんだから、それに合わせて投資をやり、公共投資も含めて、道路も造ったらいいではないかと言ったら、本当にほとんど主要な広域道路も造る必要がなくなるし、学校もどんどん減らしていっていいということになるだろうと思います。 まさかそうおっしゃっているわけではないと思います。やっぱり我々は理想的な人口の構成を見ながら、将来は少なくともこれぐらいは残しておきたいねと、こういう大分県でありたいねということを頭に置きながら、非常に難しい面はありますよ。だけれども、そういうことを残しながらやるというのが我々の人口ビジョンであり、地方創生だということを御理解願います。 ○三浦正臣副議長 大友栄二君。 ◆大友栄二議員 知事ありがとうございます。 この過疎の関係に関しては、知事の考えもよく分かるし、私自身、何が正解なのかと、毎日、自問自答しながら生活をしているような状況です。実際、現在の旧郡部へのいろんな投資は延命措置にすぎないんではないかと感じている県民、市民の方も多いようです。いずれなくなる地域ではなく、どのような姿にして残すのかという前向きな思いを県民の方々に持っていただきたいと感じています。 そのためには、住民が納得できるビジョンを示していくべきだと思うし、ビジョン策定の際に住民も交えて、その中で議論していただけると住民の方も納得いただけるのかなと感じています。 昨日、古手川議員も大分をモデルケースにと言われていましたが、私からも同様に、期待の意味も込めてお願いをして--では、知事お願いします。 ○三浦正臣副議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 そういう中で、今それぞれの地方を一律に考えるんではなくて、地域の特性を生かしながら、あるいは地域が持っている独特の地域資源があるので、こういったものを生かしながら、特色のある地域をつくっていくと、それがこの時代に大事なことではないかという御指摘だと思います。そのことは大賛成で、だからこそ、やっぱりネットワーク・コミュニティなんかの考え方も同じで、全部を残すわけにいけないから、ここは病院のある集落、こっちは学校のある集落、こっちは人が集まるスーパーマーケットのある集落とか、そういう形でお互いの集落がネットワークでつながりながら一つの地域をつくっていくということで、やっぱり特色のある地域づくりをやっていかないとなかなか難しいだろうと、これは議員のおっしゃることに大賛成です。 それからもう一つは、市町村が地域の皆さんとよく話合いをしながらという点ですが、これも非常に大事なことでして、地方創生はやっぱり長い目で見たら、住民の皆さんがその気になっていただかなければどうにもならないことですから、そういう意味では、私どもも実は今、地方創生について一番頭を悩ませ、そして、実態を知っておられるのは市町村長だろうと思います。 したがって、市町村長と知事が一緒になって、まち・ひと・しごと創生会議というのをつくって、機会あるごとに対面で、あるいはネットで会議をやって、意見交換、情報交換しています。そして、いろいろといいお話を横展開してほしいと思って情報交換をしているところがあり、市町村長はそれを聞いて議論をして、そして、今度はそれぞれの市町村に持ち帰って、住民の皆さんと非常に真剣な議論をやっていただいています。議員御指摘のとおりでして、そこのところなくしては地方創生はないので、一生懸命、現にそうやって市町村長には動いていただいているので、一言申し上げます。 ○三浦正臣副議長 大友栄二君。 ◆大友栄二議員 知事ありがとうございます。やっぱり目指すべきところは同じだと思っているので、これからも地方創生についてしっかり議論しながら、また取り組み、考えていきます。よろしくお願いします。 続いて、UIJターンの就労促進についてです。 地方創生を推し進めていく中で、人口の社会増対策の柱の一つになるのがUIJターンの促進です。平成26年より安倍内閣において地方創生を推し進めるようになって以来、全国各地でUIJターンに関する諸施策が展開され、様々な工夫がなされてきていると思います。 本県においても、さきほど申し上げたように、福岡へのdot.の設置、東京への移住コンシェルジュの配置による相談体制の確立、そのほかにも移住サポーターの配置など、移住希望者の大分に向けた間口を広げる対策がなされました。こうした取組もあって、平成29年以降、毎年千人を超える県内移住者を記録するなど、人口増に期待が持てるデータも発表されています。今後さらに進めていくためには、人口対策だけではなく、大分で現実に生活するための情報や就職に関する情報を提供し、移住後の展望が開けるような政策を展開する必要があります。 特に、企業への就職でUターンやIターンを進める場合、企業との連携、支援が大切になっていきます。現在行われている支援では、UIJターンで就職する個人への支援はしっかりしていると思います。一方で、コロナ禍により業績が悪化している企業においては採用を控える動きもあり、負担が大きい場合にはUIJターンの取組に参加しにくい状況も考えられます。企業が採用を控えざるを得ない状況は、かつての就職氷河期を思い起こすものであり、UIJターンだけではなく、県内産業の活力を損なうものであり、避けなければなりません。 順当に考えれば、負担がかかる遠距離での採用活動を控え、地元での採用活動に切り替えるところも出てくると思います。その意味で、企業が参加しやすいUIJターン政策を展開するべきと考えますが、いかがでしょうか。 企業と協働するUIJターンの就労促進策についてどのような考えか、お聞かせください。
    ○三浦正臣副議長 高濱商工観光労働部長。 ◎高濱航商工観光労働部長 コロナ禍で地方の魅力を再認識する人が増え、企業にとって人材確保の好機が訪れていますが、急激な環境変化に戸惑う企業も多いのも事実です。県では、学生等と直接会話できる機会がなく自社をアピールできないとの県内企業の声を受け、昨年度、オンライン採用セミナーの実施や企業PR動画の制作を支援しました。78社のオンラインによる採用活動を後押ししました。 さらに、自社のWebサイトを持たない企業でも求人情報等を掲載できる就職情報基盤サイトを開設しました。半年間で約12万回のアクセスがありました。 加えて、UIJターン就職の推進には、企業の魅力を深掘りし、アピールする取組も大事です。福岡のUIJターン拠点施設dot.では、県内企業の人事担当者や若手社員と学生がコミュニケーションを深める業界研究イベントを開催しました。参加企業は若者が求めるこれからの企業像について認識を新たにしたところです。 また、Webマガジン「オオイタカテテ!」では、これまで県内企業90社の若手社員のインタビューを配信し、企業や大分で働く魅力を伝えています。 UIJターンは相談体制の充実など、入口対策のみならず、受皿となる魅力的な企業の存在が不可欠です。引き続き共に取り組んでいきたいと考えています。 ○三浦正臣副議長 大友栄二君。 ◆大友栄二議員 企業との連携で多くの施策を実施していることは私も承知しているつもりです。予特の中で少し触れたんですが、就職等支援加速化事業を例に話をすると、面接とインターンで合計80人分の予算措置がされていましたが、私はこれは少ないと感じていたんですが、元年の実績は、面接27人、インターン37人の64人の申請であったということでした。企業としては、この助成を就職に来られる方に紹介するんですが、結局、個人で申請をしてもらえずに企業が負担するパターンが多いと伺っています。大変よい助成だとは思うんですが、使いにくい制度になっていないかなという部分も感じています。 現在ある助成がどのような目的で設定されているかを今一度考えて、利用しやすい環境をつくることが大切だと思いますが、いかがでしょうか。 ○三浦正臣副議長 高濱商工観光労働部長。 ◎高濱航商工観光労働部長 我々がこの事業において目指すべき大きな目標は、学生が希望する県内企業に就職することと考えています。そのため、本事業は県内企業への就職も視野にある県外学生等に対して、金銭的な問題でその思いが消えることがないよう支援するものです。 予算自体が少ないのではないのかという御指摘もいただきました。また、言及いただいたとおり、そもそも執行率が低いという状況です。これは正に実用性を高めるための改善が必要と考えています。その際、学生ではなく、例えばですが、企業側に申請してもらうことで執行率を上げるということも考えられますが、我々はこの制度はあくまで県外学生等に県内企業を選んでもらうための糸口であり、個別の企業の採用に係る支援とは若干線引きをしています。 ただ、いずれにせよ学生が希望する県内企業に就職することというビジョンの達成に向けて、どんな支援が適切なのか、その執行の仕方も含めて、今回の御指摘も踏まえ、しっかり検討していきたいと考えています。 ○三浦正臣副議長 大友栄二君。 ◆大友栄二議員 ありがとうございます。この助成に関しての目的も伺いましたが、幅広く活用してもらって、流入人口を増加させて、有能な人材に一人でも多く県内企業に来ていただきたいと、そのような目的も当然あるかと思っています。そういう目的を考えると、もっと利用されやすいように、ちょっと難しいようですが、企業を申請の窓口としたりとか、企業と共にPRしていくという作業が必要になってくるのかなと考えています。 ぜひとも利用しやすいような見直しをしていただいて、利用しやすくなれば当然数が増えてくるので、事業費の増額も検討していただいて、地域人材の確保に力を入れていただきたいということをお願いします。 次の質問に行きます。 全県一区入試制度についてです。 地域に暮らす子どもたちが、その地域にさらなる愛着を持って育っていくことで、将来の地域を担っていく人材づくりにつながります。 本県は高校入試制度について普通校の全県一区の入試制度を採用し13年になりますが、地方の高校は定員割れを起こす高校が増えていく中で、大分市等の都市部では多くの高校で志願者が定員をオーバーするという状況が見受けられています。全ての子どもたちに平等な教育の機会を与えていくという部分において大変よい制度だと思いますが、地域の人材をしっかり育てていくという意味で、地域の高校が今後もしっかりと維持できる工夫が必要であると考えます。 例えば、私の地元、中津市を例に取って話を進めると、県北3市を一区とした前学区制との比較をした場合、学区外からの流入、流出はあまり変化はありませんが、平成2年のときの各市町村単位であった学区制と比較をした場合は状況が大きく変わり、中津市出身の生徒の流入、流出はともに増加をしているんではないかと思います。 一概にその善悪の判断はできませんが、生まれ育った故郷で人材を育成するという意味では、今後の不安が残ります。地方創生と叫び、地域の活性化を目指す中で、地域に根付く人材づくりというものも大きなテーマになっていきます。県北地域よりも大分市への流入が大きいと思われる隣接市に関しては、今後、地元に残るという選択肢が、あの高校で学びたいという積極的な理由ではなく、仕方なく地元に残るというように変わっていくんではないかと、そういう部分を懸念しています。 私は今回、現在の制度が抱える問題点をどのように改善していけるかということを伺います。 現状としては、大分、別府の高校に志願が集中し、地方の高校が定員割れを起こしています。これを修正していくべきか、一極集中して切磋琢磨する方法を選ぶべきかは議論のあるところと思うし、教育委員会でも検討されていると思います。ただし、今後、令和8年度以降、生徒数が激減していくことが予想されています。こうした状況も考慮し、現在の制度を検証すべきと考えます。 全県一区入試制度の現状と課題及び今後の展望について教育長の見解を伺います。 次に、私学振興についてです。 私立学校についても、建学の精神の下、特色ある学校づくりを行っていただいています。県立、私立の違いはあれど、切磋琢磨の中、互いに高い教育水準を追い求めていくことが教育県大分の推進につながると考えています。 県内私学についても、長年努力をし、様々な結果も残していただきました。部活動の分野では、選抜高校野球大会準優勝の明豊高校、私の地元である中津市の東龍バレー部は全国上位の常連校です。文化部では、大分高校書道部なども全国レベルで活躍しています。看護科を設けているのも私学のみで、これまでも多くの卒業生が県内で活躍し、このコロナ禍の中で大分県の医療分野をしっかりと支え、ワクチン接種会場のボランティアも引き受けていただいたということも伺っています。 また、中学校段階で課題を抱えた生徒を積極的に受け入れ、卒業、進学、就職につなげている学校もあります。公立でカバーし切れない部分をしっかりと整備し、取り組んでこられた私学があるからこそ、本県の教育に幅が生まれ、多様なニーズに対応できたと言っても過言ではないと考えています。 引き続き公私の車輪の両輪が偏りなくうまく回るように、公費助成制度のさらなる充実を行っていくべきかと考えますが、今後の私学振興について考えを伺います。 ○三浦正臣副議長 岡本教育長。 ◎岡本天津男教育長 私からは全県一区入試制度についてお答えします。 全県一区は生徒の学校選択の自由を保障する観点から導入したものであり、生徒の願いを制度で縛らないという考えは引き続き大切にしていきたいと考えています。その上で、地域での充実した教育環境の整備や、魅力ある学校づくりは今後も並行して進めていきます。 現状では、中津市内から市外県立高校への進学者が10年前の8.1%から5.4%に減少、また、大分市内高校の1次入試の倍率が過去5年間1.3倍で推移するなど、必ずしも一極集中が進んでいるとは捉えていません。一方で、地域に人を残し、育てていくため、地域の高校の維持、活性化が課題であって、定員配置の工夫も含め、地元から理解と支持を得られる学校づくりが必要だと考えています。 本年度は中学校の教員を対象に、県内7市で地元高校の進路ガイダンスを実施し、131人が参加しました。地元の高校で何が学べるか理解できた、あるいは地域の高校のすばらしさを生徒に伝えたいなどの声があり、今後一層のPRが必要だと考えています。 今後、さらに少子化が進む中、人材育成の観点からも、地元中学校などと一層連携を図り、地域の高校の活性化に取り組んでいきたいと考えています。 ○三浦正臣副議長 磯田生活環境部長。 ◎磯田健生活環境部長 私学振興についてお答えします。 県では私学は公教育と並んで教育を支える車の両輪として大変重要と考え、私学振興のために必要な支援を行っています。 一つは、個性豊かで特色ある教育の充実のため、進学や就職支援の強化、文化・スポーツの振興など、各学校の特徴を生かした取組支援に関する予算について前年度を上回る額を措置しています。 二つ目は、教育の質の向上に向けた環境整備のため、電子黒板やネットワーク環境等、ICT機器、あるいはコロナ禍に対応したタブレット端末などのハード整備を支援しています。加えて、今年度は教員のICT活用スキル向上研修など、ソフト面でも支援しています。 三つ目は、保護者負担軽減のため、国の授業料無償化の対象にならない年収約590万円以上910万円未満の世帯に対しても、令和2年度から県独自の授業料減免制度を設け、月額1万円を支援しています。 今後とも、各校の建学の精神と自主性を尊重し、多様なニーズに対応した魅力ある私立学校づくりを積極的に後押しするため、支援の充実を図っていきます。 ○三浦正臣副議長 大友栄二君。 ◆大友栄二議員 入試制度の分ですね。数字上、入試制度の問題ではないということだと思うんですが、10年前の数字8.1%から5.4%になったと伺いましたが、比較対象がもっと前の--学区制というのは段階を踏んで変わっていっていると思うので、私は市単位での学区制だった頃と比較したら、かなり数字が変わるんではないかということを申したつもりでしたが、生徒数の減少もあるので、中学の卒業生の数で地域の定員を決めていきますよね。その中で、地域間でこんなに倍率の格差がある理由が読めない部分があります。私は現制度の否定をしているわけではなくて、課題の洗い出しをしていただきたいと思っています。 馬場議員の代表質問への答弁の中で、大分市内への学区外からの流入は9.4%ということで、全学区制の10%以内に収まっているという話もありましたが、平成17年までの学区制では10%ではなく3%以内という数字でしたし、平成6年までの学区制では市単位の各区でしたので、また状況は大きく変わってくると思います。 もっと長期的な期間を見て、推移を見て検証していくべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。 それと、さきほどの地方創生と同じで、これからどうなっていくんだろうと心配をされている県民の皆さんに、未来に希望を持てる明確なビジョンを示していくことが大事だと思っていますが、教育長の見解を伺います。 ○三浦正臣副議長 岡本教育長。 ◎岡本天津男教育長 さきほどお答えした観点だけではなく、議員御指摘のように、期間についても、短期、長期、複層的な観点、それから、学区制についても今の期間と連動することだと思いますが、しっかりその点を見ていきます。その点も含めて、ビジョンについてもまた今後考えていきたいと思います。 ○三浦正臣副議長 大友栄二君。 ◆大友栄二議員 ぜひとも長期で検証していただくようお願いします。 それと、特に地方の学校にとっては、各校の特色を生かした魅力ある学校づくりが重要になっていきます。私も再三いろんな場所で述べてきましたが、魅力、特色ある学校づくりをしていく上で、生徒たちにとっても、保護者にとっても重要視する部分の一部として、やはり出口がどうなのかという部分であると思っています。多くの授業を行って、生徒たちの成長につながっていると感じている反面、出口への魅力づくりに多少物足りなさも感じています。 今後、生徒たちに選ばれる学校になるために、特色ある出口づくりに力を注ぐべきかと感じますが、教育長の見解をお願いします。 ○三浦正臣副議長 岡本教育長。 ◎岡本天津男教育長 生徒の希望や適性に応じた進路実現に向けて全ての高校が取り組む中、特に地域では、地元でやりがいを見つけ、地域で活躍できる人材の育成にも力を入れています。例えば、議員も御紹介いただいた耶馬渓校の福祉コースの生徒は、地域の高齢者サロン活動での企画運営であったり、地元の福祉施設での職場体験を経て、卒業後は地元の関連就職へと進んでいる状況があります。この春、福祉コースを卒業したのは5人でしたが、そのうち4人が地元の福祉系の就職先に進み、地元を支える人材として活躍している状況です。 また、宇佐高校では、外国人観光客に英語での案内を体験した生徒が地域貢献への意欲が高まって県内大学の関連学部に進むなど、取組の成果が出始めているところもあります。 今後も中学生や保護者に対しては、高校卒業後の進路の状況や、そこで活躍する先輩の姿なども紹介し、あわせて、地元高校で学ぶ魅力や意義も伝えていきたいと考えています。 ○三浦正臣副議長 大友栄二君。 ◆大友栄二議員 ありがとうございます。魅力化として、いろんな事業をやっていて、私もすばらしいと思っているし、地域の皆さんも生徒の皆さんも大変喜んでいただいている部分は重々承知しています。 ただ、学校の魅力、特色づくりを続けてきた中でも、なかなか志願者、定員まで到達しないこともあるので、裏を返せば、選ばれる学校としての事業成果にはつながっていないと。また、それ以上の何かに取り組んでいかなければならない時期ではないかという気もしています。 生徒数の今後の減少は大変大きな課題です。それは私学にとっても共通することですが、しっかりと部局間で連携して、糸口を見つけ出していただきたいということをお願いします。 先日、公私協も行われましたが、県教育を支えていただいている私学、こっちにもしっかりと引き続きの、そして、さらなる支援をお願いして、次の質問に移ります。 スポーツ推進計画についてです。 歓喜と感動に包まれた東京オリンピック・パラリンピックが無事幕を閉じました。コロナ禍の影響で1年延期、さらには本年の開催も危ぶまれ、選手たちはモチベーション維持や試合に向けての調整が非常に難しい環境にあったと思います。その逆境の中、しっかり準備、調整をして、オリンピック・パラリンピックという大舞台で活躍する選手たちの姿に心を打たれた方も多かったと思いますが、特に、地元開催ということもあり、日本人の活躍がすばらしく、本県ゆかりの選手もオリンピックで9人、パラリンピックでは5人が出場し、世界を相手に堂々たる戦いぶりを見せてくれました。 こうした地元で育った選手の活躍は地域の誇りであり、若者や子どもたちは夢と希望を感じ取ってくれたのではないでしょうか。そして、我々にとっては、改めてスポーツが持つ力、スポーツの必要性を実感させられた、そんな大会であったと感じています。 県は本年4月、第2期のスポーツ推進計画を策定し、「県民総参加、スポーツ力を高め、明るく元気な大分の創造」を基本理念に、四つの基本目標を定めて政策を展開していますが、今回の東京オリンピック・パラリンピックを契機に、プロスポーツ、アマチュアスポーツ問わず、県民がスポーツに接する機会を拡大し、スポーツに親しむ機運を醸成するべきではないでしょうか。 スポーツ推進計画の各目標に向けてどのような政策展開を考えているのか、知事の見解を伺います。 続いて、アーバンスポーツについてです。 オリンピック競技の中でも、私が前回一般質問にも取り上げたスケートボード、BMX、3×3バスケットボール等のアーバンスポーツは初めて取り入れられた競技として注目度も高く、何より日本人の活躍がすばらしかったと感じています。特に、スケートボードストリートでは男子が金、女子が金と銅、スケートボードパークでは女子が金、銀を獲得する快挙を成し遂げてくれました。女子ストリートで銅メダルを獲得した16歳の中山選手は、地元富山にスケートボード施設ができたことが始めたきっかけであったそうです。 スケートボードやBMXの選手は自宅や地域に練習環境のある選手が多いということで、パークで金メダルを取った四十住選手は地元企業がサポートし、酒造会社が倉庫を提供して練習場を整備して、地域ぐるみで応援していたそうです。 やはり環境整備が大切であると改めて痛感したところですが、アーバンスポーツに関しては、本場アメリカには公的施設だけで3千を超える施設があるそうですが、日本は官民合わせて300程度の施設しかないそうです。オリンピックに心打たれて世界の舞台を目指したい若者も今後増えていくのではないかと思いますが、推進計画の中ではアーバンスポーツの位置づけは、「みる」スポーツとしてのイベントの開催としか記されていません。これだけの活躍と話題を生んだアーバンスポーツは、もはや見るだけのマイナースポーツではないと感じています。 今回のオリンピックを機に、今後、学校においても取り入れられる可能性も十分にあると思っています。企画振興部長と教育長の見解を伺います。 次に、スポーツ合宿の誘致についてです。 今回の東京オリンピック・パラリンピックでは、コロナ禍であり、自粛した形での合宿の受入れで、本来実施したかったおもてなしや選手との交流ができなかったと思います。受入れに向けて準備をしたが、空振りに終わった自治体もあると聞いています。大変残念なことですが、次に向けた展開も考えていくべきです。 コロナ禍での今回の東京オリンピック・パラリンピックでの合宿受入れの成果と課題、そして、今後の国際大会等でのスポーツ合宿誘致に向けた考え方について企画振興部長の見解を伺います。 ○三浦正臣副議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 初めに、私からスポーツ推進計画についてお答えします。 先日閉会した東京オリンピック・パラリンピックでは、本県出身選手が3人も出場した野球で金メダルがありました。中西麻耶選手の走り幅跳びも6位入賞といったものがありました。こういった方々の姿は多くの県民に勇気と感動を与えてくれ、改めてスポーツの持つ力を認識させてくれました。 今年4月に策定した第2期大分県スポーツ推進計画では、「県民総参加、スポーツ力を高め、明るく元気な大分の創造」の基本理念の下で、四つの基本目標を掲げてスポーツ推進施策に取り組むこととしています。 一つ目の基本目標は、生涯にわたってスポーツに親しむ機運の醸成です。 地域スポーツの担い手となる総合型地域スポーツクラブに対して、設立時の運営費支援や魅力ある運動プログラムの提供、スポーツ医科学の活用支援など、クラブの一層の充実に向けて支援していきます。 二つ目の基本目標は、県民スポーツを支える環境づくりの推進です。 地域ならではの自然環境や観光施設などの特色を生かしたスポーツプログラムの創出を支援し、スポーツに親しむ環境づくりを図っていきます。 三つ目の基本目標は、世界に羽ばたく選手の育成です。 東京オリンピックで活躍した本県ゆかりの選手を輩出した本県独自の強化体制の下で、今後も国内外において活躍できるトップレベルの選手を育成、強化していきます。 四つ目の基本目標であるスポーツによる地域の元気づくりでは、令和5年に自転車国際大会のツール・ド・九州を本県でも開催することが決定し、今後、開催地の日田市とも連携を加速していきます。 さらに、プロやトップチームの合宿誘致に取り組むとともに、ラグビーワールドカップ2019のレガシーをしっかりと継承しながら、県民にスポーツの魅力を伝え、地域活性化につなげていきます。 コロナ禍の中、スポーツを取り巻く環境は厳しい状況にあります。しかし、こんなときこそ県民誰もがライフステージに応じてスポーツに親しみ、スポーツの楽しさや感動を味わうことができるようなスポーツの振興に努めます。 ○三浦正臣副議長 大塚企画振興部長。 ◎大塚浩企画振興部長 私からは2点についてお答えします。 最初に、アーバンスポーツについてです。 新しいスポーツであるアーバンスポーツは、まずは認知度を高めていくことが重要と考えています。そのため、昨年度、大分スポーツ公園西口広場で3×3バスケットボールとスケートボードについて、プロ選手による公開演技を開催しました。さらに、今年度はスケートボードの魅力を紹介するとともに、マナーアップにもつなげるための動画を作成し、テレビCMなどで放映したところです。 また、県民への一層のPRを図るため、県の大分スポーツ公園アーバンスポーツエリアに加え、大分市のT-waveと日田市の大原公園スケートボード場の3施設の情報を県のホームページに掲載したところです。こうした施設では、子どもを対象にしたスケートボード教室を開催していると聞いています。 県としては、今後とも、スケートボードを「する」スポーツとして施設情報の発信に努めるとともに、関係団体等とも連携し、アーバンスポーツの振興を推進していきます。 次に、スポーツ合宿の誘致についてです。 東京2020オリパラ大会事前合宿は、新型コロナなどの影響で中止となるケースもありましたが、本県では8か国が実施しています。今回、県が受け入れたポルトガルの事前合宿では、リラックスできる環境や食事面など、できる限りのサポートを行ったところであり、選手からは最高の環境で練習ができたとのメッセージをいただいています。 選手との交流にも取り組み、選手と高校総体に出場する高校生をオンラインで結び、オリンピアンから直接技術指導を受ける交流会を開催しました。参加した高校生からは、的確なアドバイスをもらい、高校総体へのモチベーションが上がったなどの感想をもらい、コロナ禍の中でも一定の成果を得られたと思います。 一方、課題としては、今回のような海外チームの合宿を受け入れる上で、練習に必要な器具などをできるだけ具体的に聞き取り、選手に満足してもらえる体制をどう整えるかということなどが挙げられます。 今回の事前合宿で得た経験も生かしながら、引き続き市町村や競技団体と連携し、スポーツ合宿のさらなる誘致を推進していきます。 ○三浦正臣副議長 岡本教育長。 ◎岡本天津男教育長 アーバンスポーツについてお答えします。 本県における児童生徒のアーバンスポーツ人口はまだ少ない状況ですが、今回の東京オリンピックで一層脚光を浴びたこともあり、今後、やってみたいと思う児童生徒が増えることは予想されます。 学校教育の中にアーバンスポーツを取り入れるとなると、スケートボードなどにおいては、施設用具等の観点から検討を深める必要があると考えています。こういう中でも、新たに施設整備を必要としない3×3バスケットボールは、新しい部活動の形である楽しみ志向のゆる部活の一つとして普及する可能性はあると考えています。 また、学校外ながら、県内にはアーバンスポーツ関連施設が数か所あることから、例えば、施設近くの総合型地域スポーツクラブにおける教室の一つとして、気軽に取り組める環境がつくられていくことも考えられます。 アーバンスポーツは今後さらに人気が高まることが予想されることから、学校教育としての活動の可能性について検討していきたいと考えています。 ○三浦正臣副議長 大友栄二君。 ◆大友栄二議員 アーバンスポーツですが、もともと競技人口は、少ないですが、一定の数はいたんですよね。今回、このコロナ禍の中でかなり増えたと。それに追い打ちをかけて今回のオリンピックがあって、認知度も高まったんではないかと思いますが、まずは認知度を高めるということで、PRの話をいただきましたが、私はやってもらうことが一番PRになるんではないかと思っています。 今回、五輪で日本人が活躍できたのは、日本人がスケートボードを遊びではなくて競技としてしっかり打ち込むからではないかと解説の方が言われていました。安全にかつ競技と捉え打ち込める施設整備も大事になってくるんではないかと思いますが、部長いかがでしょうか。 ○三浦正臣副議長 大塚企画振興部長。 ◎大塚浩企画振興部長 施設整備についてです。 議員おっしゃるとおり、スポーツの振興というのは、見ることや実際にすることのできる環境を整えることが大事だとは思っています。そのため、このアーバンスポーツについても、公開演技の実施やテレビCMなどの放送に加え、大分スポーツ公園にアーバンスポーツエリアの設置を行い、今年4月からは利用時間を延長するなどの利便性向上などにも努めてきたところです。 新しいスポーツであるアーバンスポーツについては、見てみたい、やってみたいという県民の盛り上がりなども見ながら、まずはできることから取り組んでいきたいと考えています。 ○三浦正臣副議長 大友栄二君。 ◆大友栄二議員 今回、中津市議会の中でも2人の議員がスケートパークについて質問しています。これは定かではないんですが、日田市のスケートパークはたしか1,500万円ぐらいで施設ができたと伺っています。あんまり何億円もかかるもんではないので、施設整備も進めていただきたいと思うし、市に対してのバックアップも県でできるような検討もお願いしたいと思っています。 部活動はなかなか取り込みにくいところもあると思うんですが、今、全国的に取り入れているところはほとんどないと思うので、さきほど話した学校魅力化の一つにつながるんではないかと思っているので、教育委員会でもぜひ前向きに検討いただきたいと思います。 それと、施設整備とは逆に、できた施設の活用も忘れてはいけないと思っています。武道スポーツセンターが整備をされ、様々な活用がなされていますが、日本が誇る武道の各競技の技術力向上にも大いに期待しています。しかしながら、競技人口自体、伸び悩みを見せているのも事実です。 本県の今後の武道推進について考えをお聞かせください。 ○三浦正臣副議長 岡本教育長。 ◎岡本天津男教育長 武道競技の推進、大きく三つあると思っています。 一つは、武道競技の大規模大会の誘致です。そういった大会を誘致することで、武道に対する興味・関心を高め、武道競技自体の普及、振興につなげられると考えています。 それから二つ目は、具体の例として、武道教室を武道スポーツセンターで開催して、子どもたちが競技体験を通して武道を身近に感じることで競技人口の拡大が図れるのではないかと考えています。 それから三つ目ですが、今年度、インターハイにおいて大分西高校がなぎなた競技で優勝するなど、本県スポーツを牽引する活躍を見せてくれています。今後も競技力向上を進めていく取組が大事だと考えています。 これら取組を通し、武道を推進していきたいと考えています。 ○三浦正臣副議長 大友栄二君。 ◆大友栄二議員 武道スポーツセンターが出来上がったので、しっかりと活用して、武道推進にも努めていただくようお願いします。 今回、このスポーツ推進計画について伺ったのは、再三申していますが、東京オリパラに感動させられたことがきっかけでした。この議場にはオリンピアンの方もいらっしゃるし、マスターズ陸上出場選手も座っています。私は自称体育会系というだけなんで、私レベルでスポーツを語るのはおこがましいことですが、私自身、自分の人生を振り返ったときに、スポーツに助けられ、スポーツに育てられて今があると思っています。 県民の皆さんの中にも同じような気持ちの方も大変多いんではないかという気もしています。スポーツには言葉で表すことのできないくらいのすばらしさがあふれています。ぜひとも引き続き本県のスポーツ推進に御尽力いただきたいとお願いして、最後の質問に移ります。 高潮浸水対策についてです。 台風などによる高潮浸水想定区域が公表されましたが、多くの地域で防災拠点となる庁舎が浸水想定区域に入っています。災害の多い昨今、想定外と言われる災害に見舞われることも多く、発生の可能性が低いので対策ができていないでは済まされない時代に入っています。もちろん全ての地域で完全な防災体制を取ることは不可能なので、ソフト面での対策強化が重要になっていきます。 今後、高潮対策用のハザードマップも作成され、周知されていくと思いますが、最低限の緊急避難場所の確保、緊急避難経路の確保も重要になってきます。これらは市町村ごとの考え方になってくると思いますが、県として整備の基準を示し、促していくことも必要ではないかと考えます。 県民の命を守ることが第一前提ですが、ある企業に話を聞くと、立地の決め手は災害に遭う可能性が極めて低い若しくは防災の対策が高い水準で行われている地域だということです。産業の集積やまちづくり等も念頭に入れ、他県にはない防災の取組も必要と考えます。 特に、大分市内や県南地域などは南海トラフ地震による津波被害を予測し、避難場所の確保が進んでいますが、県北は地震から津波被害までのタイムラグがあり、危機感が薄いのが現状です。そのような中で、高潮被害は遠浅で干潟の大きい県北において、かなり大きな被害が予想されています。津波だけではなく、高潮という見方で考え方を改めていかなければなりません。 お配りした資料を基に、中津市の話をすると、両サイドを川で挟まれた数千人が住む浸水想定区域がありますが、住民が避難できそうな高台や高い建物は少なく、ハザードマップを見ても、津波や高潮で避難できる避難所は2か所のみです。朝夕は道路が渋滞する地域でもあるので、避難経路としても不安があります。最低限、避難場所の確保や避難道路の見直しが必要だと考えます。 高潮浸水想定区域の発表にあたり、こうした点をどのような考えか、土木建築部長の見解を伺います。 ○三浦正臣副議長 島津土木建築部長。 ◎島津惠造土木建築部長 今回公表した高潮浸水想定区域は、数百年に一回発生する最大級の台風が満潮時に県内に襲来する最悪の事態を想定し、策定しています。 策定にあたって、効果的な避難につなげるため、最大の浸水深さに加え、避難が困難となる50センチメートル以上の浸水が継続する時間もお示ししています。 今後は洪水や津波などに対して、市町村が既に策定している避難場所や避難経路が高潮の際に活用できるか精査した上で、新たに高潮ハザードマップを作成する必要があります。そのため、県として、市町村に対し、ハザードマップの作成費用を助成するとともに、避難場所の確保や避難経路の設定、見直しの考え方についても技術的な御相談に応じています。 高潮による浸水は台風等の勢力や進路により事前の備えが可能です。このため、ハザードマップやマイ・タイムラインの普及促進を図り、早期避難につなげていきたいと考えています。 ○三浦正臣副議長 大友栄二君。 ◆大友栄二議員 確かに高潮は予測できるので、避難に対しての時間の余裕はあります。しかしながら、安全にスムーズな避難ができるように、部長もよく御存じだと思いますが、確かに道路も渋滞するし、縦の線というか、海から逃げるラインの道路は大変少ないです。避難路の拡張、そして、新設もあわせて御検討いただければと思っています。 あと、市町村が中心になって取り組んでいくことですが、県の防災局としても災害に備えた指導も必要になってくるんではないかと考えています。防災局長の見解も伺います。 ○三浦正臣副議長 梶原防災局長。 ◎梶原文男防災局長 自分がどのような危険な区域に住んでいるかということを把握していることは大切なことだと思います。浸水の範囲とか深さなど、災害リスクとともに、津波や洪水、それから、高潮などの災害の種類ごとに避難場所が異なる場合があることを市町村と一緒に周知していきます。 それから、既に御利用していただいていますが、県のおおいた防災アプリには利用者の位置情報から、そのエリアにあるハザードマップを表示させることができます。高潮、それから、土砂災害、津波など、それによってハザードマップが選択できるようになっているし、最も近い避難所のルート表示も機能しています。今回、高潮の浸水区域が変わるので、当然ハザードマップも修正して、何よりも県民目線で使いやすいアプリに更新していきます。 危険箇所を確認して、あらかじめどこに避難するかとか、いつ避難するかとか、避難スイッチを決めておくマイ・タイムラインだとか、避難訓練だとか、そういったことにも積極的に支援をしていきます。何より安全な時期に安全なルートで安全な場所に避難することを最優先に、これからも取組を続けていきます。 ○三浦正臣副議長 大友栄二君。 ◆大友栄二議員 ありがとうございます。常に最悪の事態を想定して、部局間、そして、市町村とも連携をしていただいて、県民の命を守れる大分県づくりに御尽力いただきたいということを最後にお願いして、今回の一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○三浦正臣副議長 以上で大友栄二君の質問及び答弁は終わりました。河野成司君。  〔河野議員登壇〕(拍手) ◆河野成司議員 38番、公明党の河野成司です。 まず、新型コロナウイルス感染によりお亡くなりになられた方々の御冥福を心からお祈りするとともに、御遺族の方々へ謹んでお悔やみ申し上げます。また、感染により様々な辛い状況にある方々、まだまだ後遺症に苦しんでおられる方々へお見舞い申し上げます。 そこでまず、この新型コロナウイルス感染拡大対策について伺います。 県内の新型コロナウイルス感染状況が、特に第5波と呼ばれる拡大の波の中で、過去最大とという感染者数を連日更新し、県民に大きな不安が広がりました。今回の感染拡大の特徴は、感染力の強いデルタ株と呼ばれる変異株の猛威が叫ばれる中、ワクチン接種の進んだ高齢者層で重症化する方が減少した反面、40代以下の感染者数の増加が著しいと指摘されています。 重症化しやすい高齢者の感染が減少したことで、重篤な状態にある方への医療提供体制にゆとりができるかと見えた矢先に、1日当たりの感染者数の激増で、療養中の感染者総数も伸び、必然的に病床使用率が逼迫する事態にまで至りました。このことにより、入院調整や感染経路調査、自宅療養者の健康状態の確認作業を担う県内の保健所等の職員や、医療現場のスタッフにも疲弊が広がり、通常業務や一般診療への支障につながっていると伺っています。 そこで、具体的課題について伺いますが、昨年4月23日に大分県腎臓病協議会から知事に対して要望書の提出がありましたが、同協議会は本年7月からは県内自治体に対し、個別の要望活動を行い、透析患者へのワクチンの優先接種の要望について、既に多くの自治体で取り組まれていることも分かるという報告をいただいたところです。 しかし、報道によれば、感染拡大が激しい札幌市では、今年春以降の第4波において、先月上旬時点で、透析患者118人が感染し、そのうちの53%に当たる63人の方々が亡くなったことが札幌市保健所の調査で判明、当該保健所によると、透析治療を行う医療機関7か所でクラスターが発生して、長期入院患者や通院の患者に感染が広がったということで、ほとんどの患者は糖尿病や高血圧などの持病もあるため重症化のリスクが特に高かったとしています。対策に当たった札幌医科大学の小山雅之医師は、60代以下でも死亡のリスクは高く、治療法が限られる以上、予防を徹底するしかないと話し、各地で対策の強化を急ぐ必要性を強調しておられます。 こうした中、日本透析医会と日本透析医学会、それに日本腎臓学会は先月2日、人工透析を行う全国の医療機関に対し、人工透析を受けている患者が感染した場合の受入れや全ての年代の患者にワクチン接種を進めることを求める文書を出しました。これらの団体の調査によれば、人工透析を受けている患者で、これまでに新型コロナウイルスに感染したのは、少なくとも全国で2,441人、うち15.6%に当たる382人が亡くなられたということです。 そこで、本県の人工透析患者のワクチンの優先接種の実行状況と、人工透析患者のように、頻回に、かつ長時間にわたり医療行為を必要とする疾患を持つ方々が、新型コロナウイルスに感染した場合の医療提供体制について伺います。 後は対面席で行います。  〔河野議員、対面演壇横の待機席へ移動〕 ○三浦正臣副議長 ただいまの河野成司君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 河野成司議員から新型コロナウイルス感染拡大防止のための対策について御質問いただきました。 まず私から、人工透析患者等への感染対策と医療提供体制についてお答えします。 昨年来のコロナ禍にあって、長期にわたり医療行為を受けている透析患者や難病の方々は、御家族も含め、大変心配されておられます。 まず、透析患者へのワクチン接種についてです。 人工透析を受けている方は、糖尿病等の持病を有することもあり、一旦コロナに罹患すると、重症化しやすく、長期の療養となりかねません。加えて、使用できる治療薬にも一定の制限があることから、感染予防が特に求められます。 このため、県独自の判断として、ワクチンを優先接種できるよう、早くから透析関係団体と協議を進め、透析医療機関における接種体制の確保を要請するとともに、市町村にも早期の接種券の送付をお願いしたところです。この結果、大半の市町村が8月中に透析患者へのワクチン接種を終了しています。 次に、医療提供体制についてです。 本県では、透析患者や難病の方は、軽症、無症状であっても、最優先で入院療養としています。例えば、透析患者が感染した場合、その治療中も感染対策を講じた専用の設備やスタッフによる人工透析の継続が必要です。このため県では、透析専門医に入院調整をお願いし、速やかに入院先を決定させていただいています。 透析患者や難病の方には、容態の変化に特段の注意を払う必要があるため、保健所では当該医療機関からの定期の病状報告に加え、より丁寧に療養状況の聴き取りを行っています。 新型コロナウイルスの感染対策の切り札とされるワクチン接種は進んでいますが、感染の収束には時間を要します。今後とも透析患者や難病の方はもとより、その御家族にも安心していただけるよう、医療機関や関係団体と緊密に連携し、全力を挙げて取り組みます。 ○三浦正臣副議長 河野成司君。 ◆河野成司議員 ありがとうございます。 様々な御配慮をいただいて、正に感染によって重篤な状態になりやすい方々に対する支援がしっかり行われていることについては、非常に力強いメッセージになると思います。県民の中にも、そういった心配をされている方が多数おられるということで、これもしっかり伝えていきます。 続いて、ワクチン接種の推進対策について伺います。 県は11月までに希望者全員へのワクチン接種完了を目指すという目標を示していますが、さきほどの例のような方々のほかにも、特に配慮が必要な状態にある方々への接種に関する支援の実態について伺います。 中でも、妊婦及びその家族やパートナーへの優先接種については、先般、厚生労働省からワクチン接種を実施する自治体に対し、通知が発出されましたが、県下自治体における妊婦及びその家族等への優先接種が実際にどう対処されているかについて伺います。 続いて、県は連日の感染拡大への対策の重点として、若者向け対策となる夜間休日のワクチン接種会場を設けましたが、県内、特に感染拡大が著しい大分市での30代以下の接種状況及び世代別の接種済割合について伺います。 以上、3点とあわせ、現在のワクチン接種の進行状況や予約状況及び感染拡大の収束に向けた見通しについての御見解も伺います。 ○三浦正臣副議長 山田福祉保健部長。 ◎山田雅文福祉保健部長 私からワクチン接種の推進対策についてお答えします。 まず、妊婦とその御家族等への優先接種については、国の通知を受け、県からは産科医療機関に対し、妊婦等に早期のワクチン接種を呼びかけていただくよう依頼しました。 また、全市町村において、妊婦等に対し可能な限り優先接種を行っており、県営接種センターにおいても優先接種枠を設け、接種を進めています。 次に、大分市の世代別の接種率は、医療従事者等を除いた数字ですが、9月13日現在で50代は52.6%、40代は31.0%、30代以下は22.3%となっています。県全体では、医療従事者等を含め52.8%の方が2回目の接種を終えており、全国平均の51.5%を上回るペースとなっています。 今後、10月上旬までに県民の8割以上の方が2回接種できるワクチンが国から供給される見通しであり、全市町村で予約枠を拡大し、12歳以上の全ての方を対象に着実に接種が進捗しています。 あわせて、県内30会場での職域接種や県営接種センターでの接種も順調に進んでおり、14市町村では10月中に接種がおおむね完了する見込みです。希望する全ての県民が一日も早く2回の接種を完了し、感染拡大が収束できるよう、全力で取り組んでいきます。 ○三浦正臣副議長 河野成司君。 ◆河野成司議員 県内14市町村で10月までに接種がほぼ完了する見込みであるという話をいただきました。しかし、18市町村ありますから、特に遅れている大分市の状況が非常に気になります。この部分について再質問しますが、大分市は、JR大分駅前での抗原検査について、来年3月までの延長を今の市議会の中に予算を含めて諮っていると伺っています。この連日の県内感染者のうちの5割から多いときで8割を占める大分市在住者を対象とした重点対策を実施する必要性について県の見解を伺います。 また、県と大分市とが具体的な内容協議を行っているのなら、その協議内容について伺い、さらに対策に当たって、県市で役割分担、それから効果的な推進方策についても、どのように検討されているか伺います。 ○三浦正臣副議長 山田福祉保健部長。 ◎山田雅文福祉保健部長 議員御指摘のとおり、新規感染者数は、全体では落ち着いてきていますが、大分市の感染者数が、なかなか収まっていないのが現状です。市も同様の考えから、さきほどおっしゃった抗原検査センターの設置期間の延長などに取り組んでいくところです。 大分市保健所とは毎日、土日も含めて打合せ会議を開いています。個別事案の感染経路の特定やPCR検査の範囲など、積極的疫学調査について助言しています。しかし、何といっても感染収束の切り札となるのは、ワクチン接種ではないかと考えています。市のワクチン接種も今後大幅に拡大する予定と聞いています。また、7月から県営接種センターを開設していますが、県営接種センターの接種対象の大半は大分市民であり、これも大分の感染収束には有効と考えています。 また、大分商工会議所や企業群の職域接種も進展しているので、こういったものが相まって徐々に効果が現れてくるのではないかと期待しています。 ○三浦正臣副議長 河野成司君。 ◆河野成司議員 ありがとうございます。 確かに大分市の問題というのが、大分県内の感染者数の動向に非常に大きな影響を与えることは間違いないわけで、この点について、ぜひ積極的な対策を御協議いただき実施していただきたいと思います。 今、話にあった職域接種についても再質問しますが、この職域接種については、住民票を置く自治体がまちまちとなる人たちを対象とすることから、接種を済ませた住民の情報を住民票のある自治体へ送るためのVRS、ワクチン接種記録システムの入力作業が必須です。しかし、全国的には職域接種実施者側でスムーズに作業が進行しておらず、自治体のワクチン接種業務の計画的実施について課題が生じていると指摘されています。本県での状況や問題点の有無、問題があれば、その内容を伺います。 ○三浦正臣副議長 山田福祉保健部長。 ◎山田雅文福祉保健部長 職域接種を担当する厚生労働省から各企業等に対し、VRSへの小まめな入力作業を行うよう要請の通知が届いています。本県においては、大半の企業で接種の都度、入力作業がスムーズに行われているのが現状と聞いています。ただし、一部で入力作業が遅れている企業等も見受けられ、入力作業を外部に委託しているところで入力が遅れているということも伺っているので、こういった企業等に対し、接種後速やかに入力作業を行うよう、県からも改めてお願いしています。 ○三浦正臣副議長 河野成司君。 ◆河野成司議員 ありがとうございました。 このようなVRSへの入力作業がスムーズにいっていないことが、ワクチン不足と言われる一つの原因になったとも言われているので、しっかりとこの辺について、職域接種実施者に対しても御指導賜りますようお願いします。 それでは、続いて次の項目の自宅療養者の症状の重篤化予防や生活支援などの対応について伺います。 これまで県は、コロナ感染者のうち、自宅療養している方たちについては、入院や宿泊療養への調整のための短期の自宅待機や子どもさんたち等の世話で自宅を離れられないなどの個別事情のある有症状者であると説明してきましたが、第5波では感染者の急増で、懸命に病床数や宿泊療養施設を増やすなどしても自宅療養を行っている人が大きく増加しました。 このことについて、多くの県民の皆さんから、連日放送される都会での自宅療養者の孤独死のように、感染しても入院や宿泊療養ができず、重篤化して最悪の事態となることが本県でも生じかねないという強い不安の声が寄せられています。 このような不安を招かぬよう、県として入院先や宿泊療養先の調整のための自宅待機者や個人要望による自宅療養者の状況も県民に正しく適時に発信すべきと考えますが、見解を伺います。 また、先日の新聞報道によれば、全国34都府県では、自宅療養者の氏名や住所、連絡先等の個人情報を居住市町村に提供していないとされ、本県もそのうちの一つとされています。今後、本県でも自宅療養者が大きく増加した場合、保健所で毎日の健康状態確認等に支障が生じるおそれはないのでしょうか。特に単身者等では、長期の自宅療養となれば、症状の急変に気づかれないうちに命を落とす方が出ないとも限りません。全ての自宅療養者に血中酸素濃度を測定するパルスオキシメーターを配布することや買い物に行けない人への生活必需品の配布は当然としても、この際、県と市町村で自宅療養者の個人情報を共有し、保健所業務が逼迫するような状況となる場合には、自宅療養者支援業務を県と市町村で分担することも視野に入れるべきではないかと考えますが、見解を伺います。 あわせて、発症者の重篤化を抑える効果が認められている抗体カクテル療法について、厚生労働省は、医療機関入院者だけでなく、宿泊施設療養者にも実施できることとしましたが、我が党のプロジェクトチームは、自宅療養者に係る訪問診療時にも同療法や治療薬の投与が実施できるようにすべきとの緊急提言を政府に対して発出しています。本日の報道でも、菅総理から厚生労働省にこの件に関する検討指示がなされたことも報道されていますが、重篤化対策について、県内医療関係者の現場の声はどのようなものであるか、このような療法の提供体制確保の見通しについても伺います。 ○三浦正臣副議長 山田福祉保健部長。 ◎山田雅文福祉保健部長 自宅療養者の症状重篤化予防や生活支援等についてお答えします。 本県では、コロナ患者の療養は、入院または宿泊を原則としています。第5波のピーク時には、一時的に自宅療養者や自宅待機者が急増しましたが、宿泊療養施設の増設等により、現在は落ち着いています。 自宅待機者数については、当日公表者数と合算し、入院・宿泊療養準備者数として、自宅療養者数とともに、毎日ホームページで公表しています。 次に、自宅療養者の支援については、健康観察、食料等の提供、病状悪化時の入院調整などを保健所が一元的に行っています。 今回の感染者急増時も保健所へ応援職員を派遣することで対応しましたが、今後は必要に応じて市町村とも情報共有し、自宅療養者への支援の充実を図っていきます。 抗体カクテル療法については、医療現場での評価も高く、現在32の医療機関で実施可能となっており、既に300人を超える方に投与され、大きな効果を上げています。 ただし、抗体カクテル投与後は、少なくとも24時間の丁寧な健康観察が必要とされており、万全を期すため入院での使用が望ましいという声が医療現場の大勢を占めています。 ○三浦正臣副議長 河野成司君。 ◆河野成司議員 ありがとうございました。 実は、今朝メールをいただき、その内容は、抗体カクテル療法について、大分県内の実施体制はどうなっているんだという御質問でした。部長から32機関で提供体制があるという話がありましたが、正にさきほど申した様々な疾患をお持ちの重篤化しやすい方々については、こういった不安を持っておられるので、いざ感染した場合、そういったことがどこで受けられるのかという情報について敏感になっておられます。その辺については、積極的な情報提供、例えば、難病連であるとか、そういった患者団体の皆様に対し、お送りいただくようお願いします。 続いて、新たな変異株や感染症の出現に備えた県内感染症対策、医療体制の強化について伺います。 先日、新たなコロナウイルス変異株として、ミュー株感染者2人が国内で初めて確認されたと報道されました。このコロナウイルス感染症に関しては、感染が拡大する要因として、通常のインフルエンザウイルスと同様に、感染が繰り返される中で、ウイルスの遺伝子が突然変異した変異株が生じやすく、感染力が強力であったり症状が重篤化しやすかったりという新たな特性を持った変異株の出現により、感染拡大の波が繰り返されてきています。 このため、県民の根本的な不安は、これからも様々な感染症のパンデミックが起き、常に命の危険にさらされるのではないかという点にあると思われます。 そこで我が公明党は、政府に対し、感染症予防のためのワクチン及び治療薬の国内開発と供給体制整備を提言していますが、地方レベルでも今回の対応状況を検証し、今後の防疫体制、感染症発生時の自治体としての対策や県民に向けた報道指針等の策定などを進めておく必要があるのではないでしょうか、見解を伺います。 ちなみに政府は、2023年度中に、大学の医学部の入学定数に、感染症科枠や救急科枠を設ける方針を固めたとの報道もあり、このような感染症に対する新たな備えも踏まえ、今後想定される新興感染症について、どのような対策を検討しているか伺います。 ○三浦正臣副議長 山田福祉保健部長。 ◎山田雅文福祉保健部長 新興感染症への県内感染症対策についてお答えします。 新たな感染症に対する対策や行動指針等の策定に当たっては、保健、医療、福祉、教育、消防、検疫等の幅広い分野の関係者で新型コロナに係るこれまでの対応を検証する必要があります。こうした中、医師会や行政等で構成される大分県地域保健協議会においても、感染症対策小委員会を新たに設置し、議論を始めようとしています。 現時点で課題を一つ上げるとすれば、感染症分野での専門人材の不足や地域偏在などが考えられます。例えば、感染管理認定看護師には、クラスターが発生した医療機関や高齢者施設での感染対策に尽力いただいていますが、感染予防のための研修会の開催や実地指導は一部の地域にとどまった感があります。また、感染症の専門医も少なく、政府の大学医学部の定数見直しの動きには期待するところです。 新型コロナをはじめとする新興感染症対策には、こうした人材育成のほかにも様々な課題がありますが、関係者の英知を結集し、効果的な対策を早期検討していきたいと考えます。 ○三浦正臣副議長 河野成司君。 ◆河野成司議員 ありがとうございました。 この検討状況、また具体的な対策が一つ一つできたという段階には、県民に向け、しっかり情報発信していただければ、県民の不安も少しずつ解消につながっていくのではないかと思います。ぜひよろしくお願いします。 それでは、続いて大項目の二つ目、アフターコロナの県内経済の活性化策について伺います。 まず、観光関連産業の支援とインバウンド再開に向けた対策についてです。 本県の主要産業である観光業やこれと深く関連する交通産業について、今、仮にコロナが収束したとしても、これまでの経過の中で、経営資源が枯渇してきていたり、社会経済活動の緩やかな回復だけでは急速な業績回復を見込めないと考える経営者も増えていると業界関係者の皆さんから伺っています。 宿泊業、観光施設開設者、運輸事業者等からのこれまでの支援策では、事業継続困難という切実な現場の声を県としてどのように受け止め、対策を講じるのか、まず伺います。 また、産業基盤の支援とともに需要の呼び込みの準備も必要です。欧米を中心とした国々では、ワクチンの接種証明やPCR検査での陰性証明を示すことで、イベントの入場制限や飲食店での飲酒制限の緩和が行われてきたにもかかわらず、再び感染者の拡大が起こり、域内、域外への出入国制限が続いています。 しかし、個人の自由を重視する人々が規制の大幅な緩和を求める動きも顕在化しており、いずれ人流制限の緩和が現実味を帯びてくるものと思われます。そのときこそが本県観光産業の真の意味の復活の始まりとなると思われます。そのときに備えるには、空路から、海路からの入国者の検疫体制の拡充と、国内移動の追跡手段の確保が必要と考えられますが、九州沖縄各県で共通課題として、インバウンド環境の整備について、歩調を合わせて政府への要望を行うような考えはないでしょうか。 また、産業基盤の支援と需要獲得のための対策を観光振興の起爆剤となるように展開する考えはないでしょうか、知事の見解を伺います。 ○三浦正臣副議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 観光関連の産業支援とインバウンド再開への対策について御質問いただきました。 新型コロナウイルス感染症は、大分県の観光に長期にわたり深刻な影響を及ぼしています。令和2年の宿泊客は、コロナ禍前の56.3%に、本年上期は41.1%にとどまっています。観光事業者からは、これまでも厳しい不況はあったが、懸命に誘客のセールスをやって希望をつないできた。しかし、今度のコロナでは、そのセールス活動もできない。じっとしているほかにない。これが大変つらいという話を聞いています。大変状況は切実になってきていると思います。 これまでもこうした声に寄り添いながら、国の持続化給付金や雇用調整助成金、一時支援金などの積極的な活用を促して、経営の継続や雇用の維持を支えています。また、需要喚起のため、国のGoToトラベルの利用促進に加え、新しいおおいた旅割やおとなり割など、県独自に約40億円規模の割引支援を行っています。 さらに、宿泊事業者に対し、7月から感染症対策や新たな需要に対応する施設改修等への助成を開始し、既に140件を超える申請をいただいています。交通事業者には、旅行商品の造成や感染症対策に対する助成、港湾使用料の減免等による支援を行っています。 先週11日、赤羽国土交通大臣が来県された折、観光・交通事業者とともに地域の現状を訴え、おおいた旅割の九州圏域への拡大、交通事業者へのさらなる経営支援を強く要望しました。また、国でも検討が始まったワクチン接種等を条件とした行動制限の緩和についても、前向きな対応をお願いしました。 次に、インバウンドの復活への取組です。 日本政策投資銀行によると、コロナ後に旅行したい国、地域として、日本はトップクラスの人気だそうです。また、国際航空運送協会が2023年には世界の航空需要がコロナ禍前を超えると予測するなど、復活に向けた明るい兆しも見え始めています。 本県では、2022年に宇宙港の開港や東アジア文化都市事業、翌年にはツール・ド・九州等が予定されており、こうした機会やデジタルマーケティングなども最大限に活用し、攻めの誘客に転じます。 そのため情報発信と商品開発、地域の観光サービスの高付加価値化に力を入れます。宿泊施設の徹底した感染症対策や沸騰大分による観光素材等の動画配信を充実するとともに、Web説明会等でつながった海外の旅行会社に対し、積極的にツアー造成を働きかけます。 さらに、足下の課題のみならず、地域の観光関係者が一体となって顧客目線で観光課題を見つめ直し、長期的に効果が期待される困難な課題への挑戦を応援していきます。 検疫体制の強化について、これまでも県独自に、また九州知事会、あるいは全国知事会を通じて国に要望しており、今後も継続して取り組んでいきます。 観光は何といっても本県の基幹産業です。観光産業の基盤強化と誘客促進に知恵を絞り、汗をかいて、一日も早い復活を目指します。 ○三浦正臣副議長 河野成司君。 ◆河野成司議員 赤羽大臣への御要望という形、私も内容について聞いています。そういう意味で、本当に観光政策が我が国にとっても重要産業であるという御認識でした。そういったことから、しっかりした感染対策をした上で、海外の皆様においでいただける環境を何としてもつくりたいという話もあり、その意味で、私たちもこれから地域の皆様の中にある御不安も払拭しながら、海外の方々がお見えいただける環境をしっかりつくっていきます。ぜひ御協力よろしくお願いします。 それでは次の課題、リモートワークの拡大支援策についてです。 御案内のとおり、このコロナ禍にあってリモートワークが非常に推進されてきました。先日、富士通社員の大分県への移住が続々、そういう表題を掲げられた報道がありました。どれほどの人がと期待しましたが、6月時点では6人、現在でも9人ということでした。 本県と富士通株式会社との間で社員の移住に向けた協定が結ばれ、本年4月には社員向けの移住説明会も開催されたそうで、実際に移住した人によれば、業務面も移住前と何ら変わらない。テレワークが当たり前になっていたことに加え、業務がソフトウエア開発の担当で、客先へ出向く役割の部署ではなかったため、平日は仕事をし、週末は密を避けながら車で出かけるなど、めり張りのある毎日が楽しいという声も紹介されました。 その一方で、国内の主要企業を対象とした新聞社のアンケート調査で、新型コロナウイルスの感染拡大で普及が進むテレワークに課題を感じると回答した企業が約9割に上ったということです。このうち約4割がコロナ収束後にテレワークは縮小すると見ており、菅首相は、経団連などにテレワークによる出勤者7割減への協力を要請していますが、実現へのハードルは高そうと、この新聞記事は見立てをしています。 このテレワークに関する調査は、各業種を代表する主要企業121社を対象に、6月、7月に実施したものです。このうち117社からの回答中、テレワークの実施は、104社が1回目の緊急事態宣言の際に拡大、若しくは導入したと回答。今年6月1日時点の実施状況を1回目の宣言時と比べると、やや少ないが63社、実施して課題だと感じることがあったかを尋ねたところ、あったが49社、どちらかといえばあったが57社で、合わせて回答企業の約9割に上っています。 無論、居住地を変更する移住と職場への定期的な出勤を伴うテレワークやワーケーションは同一に論じられないとしても、テレワークやサテライトオフィスの浸透がそう簡単には進まないのではないかということが伺える調査ではないかと思われます。 また、別の報道では、リモートワークの普及にもかかわらず、東京一極集中が加速、移住は本社機能が集中する首都に隣接した関東圏がメイン、地方回帰は幻とまでいう表題がついた報道もありました。 県として、今回のコロナ禍による働き方の変化を、今後の県内移住やサテライトオフィスなどの誘致にどう生かしていくのか、また企業にとってのネガティブな評価をどう改善し、本県でのワーキングに結び付けていこうとするのかについて伺います。 ○三浦正臣副議長 高濱商工観光労働部長。 ◎高濱航商工観光労働部長 議員御指摘のとおり、テレワーク等はすぐに定着するものではありません。製造業や営業職など、導入が簡単ではない業種等もあります。そのため県内企業向けには、セミナーなどを開催し、事例を紹介しながら導入の意義や業務の切り出し方などをアドバイスしています。 また、県外企業向けには、仕事を持ったまま移住してもらう形のテレワーク導入に向け、誘致活動の中で首都圏本社企業にニーズ調査を実施するなど、試行錯誤しながら進めています。その調査結果に基づき、移住者の本社出張旅費への支援等を他県に先駆けて用意しました。 このような努力により、富士通株式会社との連携協定が実現し、僅か半年で9人の社員とその家族が移住したところです。 企業誘致や移住者の増は、かけ声だけで実現するものではありません。本県は4年連続1千人以上の移住を達成していますが、正にこれも県や市町村、関係団体の施策のたくさんの積み重ねの結果です。今後も大分に移住すれば、豊かな自然環境のみならず、東京と同じ水準で仕事ができるインフラ、またそのキャリアアップにつながる機会も用意されていることを地道に、また丁寧にPRし、富士通のような事例を増やしていきたいと考えています。 ○三浦正臣副議長 河野成司君。 ◆河野成司議員 急激な企業マインドの変更はなかなか難しい。とすれば、地道なセールスという形を展開されていくという話ですが、差別化という問題が常に生じるわけですね。どういった点が大分のアピールポイントなのかという部分について、しっかりと主張しなければなりません。そういった意味で地域間競争に打ち勝つための、正に戦略を必要とするかと思いますが、その辺、今、大分が行っている4年間連続で1千人以上の移住ということですが、これについて何か見直しとか、そういった部分は検討されていますか。 ○三浦正臣副議長 高濱商工観光労働部長。 ◎高濱航商工観光労働部長 さきほども少し申しましたが、現在は、あらゆる手段を用いて、まず移住の数を増やすところを取っています。県、市町村一緒になって取り組んでいるし、我々も県と企業と様々な意見交換をする中で、何が課題なのか、若しくは来ていただいた方は、どこに魅力を感じたのかというところを今、情報収集しています。 我々として、今、大きく方針を変えるところはありませんが、こういう地道な情報収集活動、また企業の声を集めながら検討していきます。 ○三浦正臣副議長 河野成司君。 ◆河野成司議員 ありがとうございます。 どうしても移住されてきた方の中には、また大分を離れてしまわれる方も出てくる可能性があります。そういった方の声こそが、実は重要ではないかと思うので、しっかりした聴き取り等もお願いします。 それでは、続いて大項目の三つ目です。子どもへの暴力撲滅について伺います。 政府は、子どもへの暴力撲滅に向け、初の行動計画をまとめました。国連が定めた持続可能な開発目標SDGsで、子どもに対する暴力の撲滅が掲げられていることを踏まえ、児童虐待などへの取組を盛り込んだ初めてての行動計画をまとめたものです。 政府がまとめた行動計画には、子どもに対する暴力が国内でも深刻な社会問題になっているとして、児童虐待、性的搾取や性暴力、いじめ、それに体罰の四つの分野を中心に2030年までに各省庁が取り組む施策が盛り込まれました。 具体的には、児童虐待を防ぐため、保健師などの健診等を通じ、乳幼児の状況把握に努めるとともに、虐待の早期発見に向け、児童相談所で24時間対応の相談ダイヤルの整備を推進していくなどとしているほか、学校でのいじめについては、教育委員会の生徒指導担当者や校長などの管理職に対する研修会の実施や、子どもを支援するスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置、推進などに取り組むとしています。 政府は、こうした施策を海外に発信し、各国の取組にも反映してもらうことを目指したいとしていますが、これだけではこれまでの対策を並べただけのように感じてしまいます。 そこで伺います。本県として虐待、いじめ、体罰等について、個別対策を講じてきていますが、国の行動計画の策定に呼応し、根本的な問題である子どもへの暴力をいかに家庭や地域、学校等から根絶していくかについての総合的かつ具体的な対応策が求められていると考えられます。この点についてどのような方針をお持ちですか。 ○三浦正臣副議長 磯田生活環境部長。 ◎磯田健生活環境部長 子どもへの暴力撲滅について、お答えします。 県では、青少年健全育成基本計画に基づき、豊かな心でよりよく生きるおおいたの青少年の育成を目指しています。その中で、子どもへの暴力撲滅については、五つ設けられており、青少年の被害、加害防止と保護というところをまとめています。それにより取り組んでいます。 具体的には、児童虐待を防止するため、市町村要保護児童対策地域協議会を中心に、関係機関と連携し、虐待の早期発見、早期対応に努めています。 また、児童ポルノ等の画像を求める行為を禁止し、青少年が自画撮り被害に遭わないよう、様々なメディアで注意喚起しています。 学校でのいじめについては、初期段階から積極的に認知することを徹底しています。また、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等の活用により、子どもが相談しやすい教育相談体制の充実を図っています。 昨年施行された改正児童虐待防止法で、保護者による児童への体罰は、しつけの一環であっても禁止とされたこともあり、体罰や暴言のない子育ての普及啓発に引き続き取り組んでいきます。 今後とも「家庭・地域・学校がつながり育つ・育てる・育ちあう」をキーワードとする基本計画の下、関係部局が連携して子どもへの暴力撲滅に取り組んでいきます。 ○三浦正臣副議長 河野成司君。 ◆河野成司議員 すみません、そこで再質問になりますが、警察本部長に伺います。 昨今、様々な報道をされる子どもに対する暴力事案が非常に心配になっており、様々な声をいただきます。 この子どもへの暴力事案については、繰り返される中で、その程度が加熱化して、最終的には命に及ぶような問題まで発展していることがあるわけで、このような犯罪に相当する事案を未然に防ぐため、様々な啓発活動も必要かと思います。ある意味でいえばこれは犯罪行為ですよという明確な線というか、そういった部分を示していくことも大事かなと思うわけです。子どもへの暴力は犯罪という形で、しっかりと県民啓発をしていただきたいと思いますが、その辺はいかがでしょうか。 ○三浦正臣副議長 松田警察本部長。 ◎松田哲也警察本部長 広報啓発ということでお話を伺いましたが、警察としては、まず一つは、起きた事案に対し、きっちりと対応していく。刑罰法令に触れる行為については、法的証拠に基づき適切な対応をしていく、そういったことを通じて、一個一個についてきちっとやっていくことを通じて、県民の皆様にこういった行為は許されないということをやっていくということもあるかなと思っています。 御指摘の広報啓発については、警察のみならず、関係機関と連携し、子どもに対する暴力は許されないということは警察にとっても大事なことだと考えているので、関係機関と連携し、しっかり対応していきます。 ○三浦正臣副議長 河野成司君。 ◆河野成司議員 ありがとうございます。 これまでの全国的な事案の報道によれば、警察への事前相談という形の中で、なかなか家庭内問題ということで入れないという回答を得て、結局、子どもさんの被害が防げなかったこともあるように聞いています。そういった部分はぜひ大分県内で発生しないよう、よろしくお願いします。 それでは最後に、大項目4番目、教育問題について伺います。 新学期から学校内や通学途上でのコロナ感染対策についてまず伺います。 新学期を迎え、学校や保育施設の現場からは、感染拡大防止とコロナ禍での教育の保障や保育提供継続に大きな不安の声が上がっています。特に子育て中の若い世代はワクチン接種未了者が多く、加えて昨今の県内における家庭内感染の増加もあって、保護者の家庭内での対策と通学、通園によるリスクにどう対処すべきか悩んでいるという声が多く寄せられています。そこで何点か伺います。 まず、県内学校等の教職員のワクチン接種状況についてです。 本来、ワクチン接種は個人の判断で行われるべきものではありますが、子どもたちの健康を守る責任を負う学校等の現場で、直接児童生徒と接する教職員のワクチン接種は極めて重要な対策ではないでしょうか。県立学校、市町村教育委員会所管の学校、幼稚園、その他私立学校等の教職員のワクチン接種状況について伺います。 次に、児童生徒の感染が確認された場合の措置について、文部科学省の臨時休校、休園等の休業の判断基準となるガイドラインが示されました。通常、学校設置自治体が地域を所管する保健所と協議して臨時休業の判断をするという方式から、感染拡大により保健所の業務が逼迫した場合には、事前に文科省が休業の判断基準を示すことにより、学校が保健所の調査の補助を行うことで、学校設置自治体等が迅速に臨時休業を判断できるようにするという措置だと聞いています。 この臨時休業の措置は、共働き家庭、特に小学校低学年以下の児童を抱えた家庭では、いざそういうことになってしまうと、夫婦どちらかが仕事を休まねばならない。今のコロナ禍の中でさらなる家計の逼迫につながりかねない心配もある上に、ひとり親家庭については、その影響はさらに甚大です。 そこで、県教委等と市町村等との学校設置者との間で、休業措置の実施について判断基準のすり合わせや休業時の子どもたちの見守り対策がどのように協議されているのかについて伺います。 ○三浦正臣副議長 岡本教育長。 ◎岡本天津男教育長 まず、教職員等のワクチン接種については、児童生徒を感染から守るため、県の方針として、優先的に行いました。9月1日現在、市町村立学校では、2回の接種完了者が約79%、県立学校、私立学校では、9月中の1回目接種を予約した者も含め、それぞれ約77%と約85%となっています。 次に、児童生徒等の感染が確認された場合の学校での対応について、先月、国からの通知を踏まえ、県教育委員会から各県立学校へガイドラインを示したところです。これは保健所業務が逼迫した際、保健所から要請があった場合の例外的な対応として、学校が濃厚接触者の候補者リストを作成し、保健所に提出することや、感染状況に応じた臨時休業の範囲の目安を整備したものです。臨時休業はあくまで各設置者ごとに判断するものですが、市町村教育委員会に対しても、県立学校の対応について周知しています。 学校の臨時休業は、子どもたちの学びだけではなく、議員御指摘のように各家庭にも影響を与え得るものであるため、保健所の見解も踏まえながら、感染状況に応じて必要な範囲を見極めつつ、迅速、適切に判断したいと考えています。 ○三浦正臣副議長 河野成司君。 ◆河野成司議員 学校がコロナ禍において長期にわたり休んでいた場合について、これまでも、例えば、学童保育とか、様々な対策が練られてきたわけで、そういったことがいざ、休業期間がどの程度になるかにもよりますが、ある意味でいえば、サポートが必要になってくる可能性もあるかと思っています。その意味で、教育委員会だけではなく、様々な部局におかれても、サポートの考え方を持っていただければと思います。以上要望です。 それでは最後に、高校の学習指導要領による新しい必須科目に対応できる教員の確保について伺います。 明年春から導入される高校の新必修科目「情報Ⅰ」は、これまで選択科目だったプログラミングだけでなく、データの活用についても必修化して、文系理系を問わず、全ての生徒が履修することとなります。 この情報科の科目は、小、中、高等学校の各教科等の指導を通じて行われる情報教育の中核として位置づけられる教科で、高校生全員が履修するものです。 この情報科担当教員の現状について、本年3月31日付の文科省資料によれば、情報免許状保有者は総数として全国で実際に情報科を担当している教員数5,072人を4,800人ほど超えた9,900人が全国でおられるという資料である反面、実際に教科を担当している教員のうち、1,233人が臨時免許状取得者、あるいは免許外教科担任であるとされています。 さらに「現代社会」の廃止に伴い、新たな必修科目となる「公共」については、社会に参画する際に必要となる知識や現状を理解し、実際の社会課題に向き合い、解決する力を身につけることを目指した科目とされています。 教員の人材不足ということが言われて久しいですが、新必修科目に対応可能な免許取得教員の必要人数及びその確保の見込みについて教育長に伺います。 ○三浦正臣副議長 岡本教育長。 ◎岡本天津男教育長 これまで情報科で9人、公民科で21人の教員を採用しており、他の教科で採用した教員も含め、担当可能な免許状保有者は、情報科が128人、公民科で171人います。 現在、実際に教科を担う情報科担当教員35人のうち、ほとんどは当該免許状保有者で対応できていますが、臨時免許状で2人、免許外教科担任で2人が担当している状況です。 また、公民科の担当教員は87人で、全員が必要な免許状保有者です。 来年度実施予定の新学習指導要領では、情報科の科目は「情報の科学」「社会と情報」から「情報Ⅰ」「情報Ⅱ」に変更されます。公民科の科目は「現代社会」から必修の「公共」に変更されますが、いずれも標準単位数に変更はなく、必要人数も変わらない見込みです。そのため、情報科、公民科に必要な教員免許状を保有する教員数は確保できていると考えており、丁寧な人事配置を行いたいと考えています。 このほか、新学習指導要領に導入される「情報Ⅰ」などに適切に対応するため、今年度から教育庁内に情報科の専任の指導主事を配置するとともに、全ての情報科担当教員にプログラミング研修を行っています。 ○三浦正臣副議長 河野成司君。 ◆河野成司議員 ありがとうございました。 情報科、デジタル科、特に遅れている日本という社会状況の中で、文科省が将来に向けたきちんとした人材養成という観点で、このような学習指導要領の改訂を行うと思っています。 その意味で、本県も正に新しい人材をしっかりと生み出していくためには、このような新しい情報科といったものに対する体制はしっかり設けていただきたいと思っています。 今回、コロナ禍における様々なワクチン接種だったり、あるいはアフターコロナの問題だったり、様々御質問をさせていただきましたが、総体として、我が大分県、しっかりと未来に向かって伸びていければと思います。本日は誠にありがとうございました。(拍手)
    ○三浦正臣副議長 以上で河野成司君の質問及び答弁は終わりました。 暫時休憩します。     午後0時10分 休憩  -------------------------------     午後1時 再開 ○御手洗吉生議長 休憩前に引き続き会議を開きます。 一般質問及び質疑を続けます。吉竹悟君。  〔吉竹議員登壇〕(拍手) ◆吉竹悟議員 3番、自由民主党、吉竹悟です。今定例会において一般質問の機会をいただいた自由民主党会派の諸先輩の皆様に心からお礼申し上げます。 初めての一般質問で、広瀬知事、担当部長には何かとお世話になると思いますが、よろしくお願いします。 本日は、地元竹田市からコロナ禍、そして繁忙期の中、後援会の代表の方にも傍聴に駆けつけていただきありがとうございます。 また、市議時代より何かと御指導いただいているお隣の豊後大野市の元気もりもり森県議の足下に近づけるよう一生懸命努力するので、よろしくお願いします。 それでは始めます。 県では、県民と共に築く安心・活力・発展の大分県を目指し、県民が主役、県民の多様な価値観の尊重、県民の発想と活動の支援を行う県政を推進するため、様々な政策を展開しています。しかしながら、少子高齢化の進展による人口減少、また、労働力低下による産業構造の変化、地球温暖化による豪雨等の災害の増加など、課題も多くあります。今回は、そういった中で、農業政策に特化した質問を5点します。 私の地元竹田市の最も主軸となる産業は農業です。平成30年度の農業産出額は、竹田市で221億8千万円です。実に県内農業産出額の約20%を占めています。内訳は耕種121億5千万円、畜産は100億3千万円でした。 県における総産出額は3年連続して減っていると聞いています。その要因の一つ目としては、農業従事者の高齢化、担い手不足、極めつけは跡を継ぐ後継者が育たないこと、もう一つは、高収益な園芸品目への生産転換の遅れだと考えています。 そこで農業政策について、まず、担い手確保への展望と親元就農支援の拡充について質問します。 担い手の確保については、親元就農者制度の拡充が不可欠だと考えます。現在、コロナ禍の中で職をリタイヤせざるを得ない若者等が多くいると報道されていました。こうした若者に対し、農業を継ぐために親元へ帰す施策を強化することが重要です。親元へUターンする場合、自分が育った場所ですから、安心して地域に溶け込むことができれば、その地域の担い手となれます。過疎化と高齢化が進行している周辺部、特に中山間地域にとっては、若い世代を呼び込み、人口の増加につながる重要な施策であると実感しています。今後、ますます厳しくなる産地間競争に打ち勝ち、産出額を向上させるためには、親元就農制度をしっかり支援していく必要があります。 県の制度である親元就農支援制度で100万円の支給も有効な施策だということは理解しています。竹田市においては、市の単独事業として月に5万円を支給する制度を構築しました。年間60万円、3年間で180万円の支給です。しかし、国の新規就農者制度、年間150万円、3年間で450万円には到底及びません。市の補助に対しては、ゼロ円よりはいいが、月に5万円では生活の足しにはならないとの声や、月5万円の補助があるから帰ってこないかとは言えないとの親の声もあります。 そこで、例えば、市が5万円、県が5万円、国が5万円といったような市、県、国が一体化した制度を構築し、県内就農者の受入強化を図ってはどうかと考えます。 県の基幹的農業従事者数を見ると、平成2年度では約5万3千人だったものが、令和2年度では約2万1,500人と、30年間で3万1,500人減少しています。率に換算すると60%の減少となります。これを年齢構成で見てみると、65歳以上の基幹的農業従事者数の割合は、平成2年度では約27%、令和2年度になると約77%となり、人口にすると約1万6,600人と大幅に割合が増えています。30年で減少と高齢化が進んでしまった基幹的農業従事者数ではありますが、新たな担い手を確保するためには、やはり親元就農を進めていくべきと考えます。 そこで、今後将来に向けた県の担い手確保への展望と親元就農支援拡充に向けた知事のお考えをお聞きします。 以下の質問は対面席で行います。  〔吉竹議員、対面演壇横の待機席へ移動〕 ○御手洗吉生議長 ただいまの吉竹悟君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 吉竹悟議員からは担い手確保への展望と親元就農支援の拡充について御質問いただきました。 本県農業の発展には、その原動力となる担い手の確保が大変重要です。これまで就農学校やファーマーズスクールなど、研修から就農までのきめ細かなサポート体制を強化してきました。その結果、令和2年度の新規就農者は290人と過去最高となっています。本年度からは、即時就農希望者や半農・半X等、多様な就農希望に応えられるよう、竹田市菅生に農業団地の整備も行っています。 議員御指摘のとおり、担い手のさらなる確保には、親元就農の推進も大変大事です。全国に先駆け、平成28年度から農家子弟の親元就農を後押しする県独自の親元就農給付金制度を創設し、令和2年度までの5年間で104人の方がこの制度を活用し、親元に就農しています。 農家子弟からは、給付金が就農のきっかけとなり、計画的な施設整備などに活用でき、ありがたく思うとの声も聞かれます。 一方、高齢化が顕著な中、農家には定年制がなく、親から子への継承が進んでいないことが課題となっています。親子であるがゆえ、かえって話合いが進めにくいことがあるようです。 そこで、今年度新たに経営継承コーディネーターを設置し、第三者を交えた親子間の話合いを通し、経営継承を推進する取組を始めました。 また、親元就農の在り方については、県農業の再生に向けて設置した農業総合戦略会議において、生産者から様々な意見をいただき、議論を重ねています。 父親から経営の一部門であるスイカなどを30代で引き継いだ日田市の農業青年がいます。農業青年組織の活動で切磋琢磨し、農業経営塾で学び、経営を任されることは自信につながったとの意見もあり、若い段階での経営の継承が重要だと感じています。 さらに、親元就農を含めた新たな担い手の確保には、産地自らが今後の規模拡大や担い手の確保、育成といった将来ビジョンを示し、求める担い手像を明確にすることが大事です。その上で、産地も受け入れたからには、技術支援はもとより、地域での生活支援、子どもの教育に関する悩み相談など、しっかりと継続的にサポートしていくことが大事です。県としても、そうした産地の取組を市町村とともに応援していきます。 このように、きっかけづくりから、学び、独立に至るまで、関係者一体となって支援に取り組み、担い手をしっかり確保していきます。 ○御手洗吉生議長 吉竹悟君。 ◆吉竹悟議員 知事から力強い答弁をいただきました。 私がさきほど申したように、親元に帰る、ふるさとに帰る、その子どもたちは、もう地域の人たちが皆さん知っているんですね。新たに来た人、新規就農者が悪いわけではありません。そういう方々が、地域の人にとって、将来的にその地域を守ってくれる担い手になるんだという感性が生まれ、みんなで育ててくれる、育成してくれる環境もあるので、そういうことを踏まえて今質問しました。 次に、農林水産部長に、県の親元就農給付金の利用状況についてお尋ねします。 平成28年度から竹田市の親元就農者制度の運用を始めて、毎年確実に成果を上げてきました。平成28年度の給付対象者は13人、平成29年度は4人、平成30年度は6人、令和元年度は7人、令和2年度では3人、合計33人が親元就農しています。 さらに、さきほど知事の話があったように、県の制度を利用した方は27人で、合わせて60人となっています。内容としては、トマト、ミニトマトに10人、ピーマンに3人、畜産に13人、その他30人となっています。県も28年度から実施し始めていると聞いています。この制度を活用した新規就農者の目標とする数値について、農林水産部長にお尋ねします。 ○御手洗吉生議長 佐藤農林水産部長。 ◎佐藤章農林水産部長 県の親元就農給付金を活用した新規就農者の目標数値というのは、具体的には定めていませんが、新規就農者全体としての目標数は毎年定めています。 令和2年度は、新規就農者は目標として268人としていますが、さきほど知事からも答弁しましたが、実績は290人と過去最高となっています。このうち、親元就農者は49人ということで17%となっています。毎年の新規就農者の2割程度が目標として親元就農の確保に努めていただいています。 議員おっしゃるとおり、やはり親元就農というのは、担い手の確保の中では大変大事と思っているので、今後とも引き続き親元就農について努力していきます。 ○御手洗吉生議長 吉竹悟君。 ◆吉竹悟議員 農林水産部長に答弁いただきました。 令和2年度290人、そのうち親元就農は49人と伺いました。あくまでも、これは私の主観ですが、新規就農者も大事な政策です。しかし、親元に帰ってくることをやはり私は一番にどうしても考えたいと思っています。親元就農が増えるよう、さらなる努力をしていただきたいと思うし、私も竹田市の中でそういう声を上げていきたいと思います。 それでは、次に農業の構造改革推進と農地集積について質問します。 もう一つの課題である園芸品目への転換に対して、県は、水田畑地化による収益性の高い品目の生産拡大を推進しています。地元竹田市はトマト学校を創設し、新規就農者を増やしてきました。現在は、ファーマーズスクールと進化させ、トマト、夏秋ピーマン、ニンジン等にも力を入れています。あわせて、菅生台地の畑に安定した水の供給を図るため、県による大蘇ダムを利用した畑地かんがい用水の整備も後押ししています。 加えて、8月から豊肥振興局の体制を強化し、今議会において、園芸産地農地確保緊急対策事業など、2億5千万円規模の補正予算を計上しています。知事の農地集積に向けた並々ならぬ決意を感じさせるものであり、県内畑作農業の中核をなす地元豊肥地区選出の県会議員として大変心強く感じています。 豊肥地区といっても、旧犬飼町から私の地元旧久住町まで標高差もあり、場所によっては気候も風土も異なり、適切な園芸品目を選定しなければ一大産地としてのロットを確保することが難しいと思います。 また、利水についても、よいところもあれば、悪いところもあります。ただし、この取組が成功すれば、県下の水田畑地化など畑作に向けた取組が一気に進み、産出額の増加にも期待が持てます。正に、起死回生の策だと思います。 今回、取組を成功させるためには、どのように構造改革を進め、強化した体制を具体的にどう活用していくお考えなのか、知事の御見解を伺います。 ○御手洗吉生議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 農業の構造改革推進と農地の集積について御質問いただきました。 本県農業は、農業産出額が3年連続減少するといった厳しい状況にあります。農業団体と共に、農業の再生に向け、現在、農業総合戦略会議において生産者の意見を幅広に聴取しながら、農業の構造改革について、真正面から議論しています。 そういった議論の中で、話題となったのが、これからの大分県農業を発展させるために、まずは県の顔となる品目を定め、機会を逃さず、短期集中的に支援し、県域での生産拡大を加速度的に進めることが必要です。 中でも、ねぎ類については、既に約60億円の産出額を有しており、短期集中的に総合支援することで、100億円を達成することも可能だと考えています。 本議会においても、農地の提供者に対する交付金や、農地交渉補助員の設置、広域育苗施設の整備など、白ねぎの産地拡大を強力に推し進める関連予算を提案しています。 また、生産者からも規模拡大に必要な優良農地の確保について、一定規模のまとまった農地が見つからない、自分たちで農地を確保するには限界があるといった切実な声が数多く寄せられています。早速、各振興局に農地確保のプロジェクトチームを設置し、取組を進めています。 特に、84ヘクタールの優良農地を確保する豊肥振興局については、新たに専任班を設け、スタッフの増員を行いました。今月から、竹田、豊後大野の両市から職員が派遣され、県、市が一体となって強力に農地確保を進めていく体制を整えたところです。 その上で、生産者の取組を下支えするための営農指導、販売強化に係る農協改革も進めます。 営農指導においては、これまでの反省に立ち、専任の営農指導員を確保し、生産者の期待に応える部会支援を核とした産地指導体制を確立します。 販売強化においては、県の顔となる品目の一元分荷、販売体制を構築し、有利販売につなげます。 一方、流通販売における重要な施設である集出荷施設や冷蔵施設が不足しており、生産拡大の障壁となっています。その整備についても農協、関係者等としっかり議論を進めています。 地域の風土に合って、マーケットニーズを捉えた品目を定め、農地の確保から流通、販売に至るまで、産地拡大を見据えた改革が必要です。生産者、農業団体、市町村、県が一体となった園芸産地拡大による構造改革に不退転の覚悟で取り組みます。 ○御手洗吉生議長 吉竹悟君。 ◆吉竹悟議員 ただいま知事から答弁をいただきました。 農業は生産があって、生産物が流通していく。農家の方々は、どうしても売場に弱いわけですね。だから、知事が今言われたように、作るもの、できたものをどうやってそこに出していくか、市場に乗せるか、やはりそこは専門的な人たちが必要だと思うので、何とかそこをやってほしいし、さきほどの答弁の中で、営農指導に専任を置く、それから、JAとタッグを組み、しっかり農業をサポートしていく。 ねぎも100億円プロジェクトをつくっているので、菅生台地に、また、そういうものができればありがたいと思うので、よろしくお願いします。 続いて、以上を踏まえながら、耕地の確保について質問します。 農業の構造改革で、耕作放棄地の活用や、新たな耕作放棄地を減らす効果がある程度期待できます。しかし、急速に進んできた後継者、担い手不足、高齢化に伴い、年々耕作放棄地が増加しており、この状況に歯止めがかからないのが現状です。地形等により農業に不向きな耕作地は仕方ないかもしれませんが、農業産出額を1,534億円とするためには、ある程度の耕地は維持していく必要があると思います。 現在、把握している耕作放棄地の現状について、これまで10年間でどのような状況になっているのでしょうか。また、耕作放棄地が増加する要因を県としてどのように分析しているのでしょうか。今後、どの程度の耕地を維持していくつもりなのか、その方針を含め、農林水産部長の見解をお聞きします。 ○御手洗吉生議長 佐藤農林水産部長。 ◎佐藤章農林水産部長 耕作放棄地を含めた荒廃農地の面積は、平成22年1万298ヘクタールでした。令和元年には1万2,041ヘクタールに拡大し、農用地区域の農地面積は5万1,804ヘクタールまで減少しています。耕作放棄地は、農業者の高齢化、労働力不足に加え、中山間地域等条件が悪く、適正な維持管理が困難となっていることが増加の要因となっています。 こうした中、現在、県農業総合戦略会議でも議論しているところで、県としては、農業生産の拡大のためには戦略をもって優良農地を確保することが重要であると考えています。 そのため、耕作放棄による農地面積の減少を抑制すべく、人・農地プランの実質化を通じた優良農地の承継や、担い手への農地利用の集積、集約を加速化します。 さらに、企業参入の推進や荒廃樹園地の再編整備等を図ることにより、耕作放棄地の解消に取り組み、優良農地を確保します。 ○御手洗吉生議長 吉竹悟君。 ◆吉竹悟議員 農林水産部長に答弁いただきました。 耕作放棄地は、恐らく皆さん方は気がつかないかもしれないですが、やはり年々増えています。 私が今一番危惧しているのは、地元竹田市では、基盤整備がかなり進行しています。基盤整備は、補助事業になるから、補助金で水田を広くしているわけです。そこが耕作放棄地にならないように切に願っています。 そこで、もう一点だけ農林水産部長に聞きます。 できた耕作放棄地を再び農地として利用できるようにするには、これは何倍も重労働です。現在復旧できる耕作放棄地があれば、助成制度を構築してでも挑戦すべきと思いますが、農林水産部長はどうお考えですか。 ○御手洗吉生議長 佐藤農林水産部長。 ◎佐藤章農林水産部長 耕作放棄地は、さきほど申したとおり、荒廃農地まで行ってしまうと、なかなか耕作に適した農地に戻すのは難しいところもあると思います。耕作を放棄した段階で、まず農地として戻すことができるような農地については、さきほどねぎについても申しましたが、やはり農地の集積、規模の拡大をするときに、そういった農地も取り込んで集積をし、ある程度一定の農地を確保するときに、そういった耕作放棄地についても取り込んでいくことも非常に大事だと思います。 やはり農地は財産ですので、個人の方が高齢化でおやめになって、そこで耕作放棄地になっていくのではなく、基盤整備した農地についても、その農地が人から人へ承継されていくことは非常に大事だと思うので、耕作放棄地をできるだけ活用し、優良農地に転換していく努力をしたいと思います。 ○御手洗吉生議長 吉竹悟君。 ◆吉竹悟議員 農林水産部長に答弁いただきました。 農地が農地であるために、やはり県もその出先機関を含め、しっかり市町村と連携を取りながら、まず増えないように政策の中でしっかり考えていただきたいと思うので、よろしくお願いします。 続いて、中山間地域等直接支払制度についてお尋ねします。 この制度は、高齢化や耕作放棄地の増加など、厳しい状況が続く中山間地域において、耕作面積や農業産出額が全体の4割を占め、水源の保全や洪水防止など、多面的機能を維持するため、農業を5年間継続してもらうことを条件に、集落単位で交付金を支給し、同地域の保全を図る非常に重要な役割である制度です。しかし、今年7月、集落間の住民同士でこの交付金の分配をめぐるトラブルが発生している旨の新聞報道がなされました。 報道によると交付金の使い道は、集落の農家同士の話合いで決められるため、一部有力者により私物化されているケースや、集落内の協定への参加を拒否されるケースも発生しているとのことです。また、これを監督すべき市町村の体制にも不備を指摘しており、集落任せの制度運営が限界を迎えているとの意見が掲載されていました。 中山間地域を維持していくために重要な制度であり、担い手の確保に腐心している県においても、この制度を通じて新規就農者による農業への参入を促している側面もあると思います。 私も現在、地域の代表を務めており、地元では平成18年度から63集落、うち、牧野9集落が久住中山間地域直接支払推進協議会を結成し、組織で事務方を雇用し、民間組織として役員一丸となり、事業に取り組んでいるので、問題が起きていることはないと承知しています。 前段で述べたように、私物化や村八分などの温床となる部分については、しっかりとメスを入れ、市町村に対し、公正な交付金制度の実行を指導していくべきと考えます。 県として、どのような対応を取っているのか、農林水産部長にお聞きします。 ○御手洗吉生議長 佐藤農林水産部長。 ◎佐藤章農林水産部長 本制度は、中山間地域等において、農業生産条件の不利を補正することにより、将来に向けて農業生産活動を維持するための取組を支援するものです。 令和2年度は、県内17市町において1,197の集落等に対し、約24億円を交付しています。このように多くの集落がこの制度に取り組んでおり、本県の中山間地域農業の維持、発展を支える制度として評価しています。 また、竹田市久住における協議会の取組は、参加集落の事務負担軽減や適切な事務処理の継続が図られる有意義な手法と捉えています。 県では、交付金が適切に活用されるよう、集落への助言、指導の役割や、活動状況の確認を担う市町に対し、担当者会議を開催するとともに、実施要領に基づく抽出検査などを行っています。 県の抽出検査では、実際に証拠書類などを確認し、取組や会計処理等が不十分な場合には、改善に向け、市町や集落を指導しています。 報道された事案については、現在調査中であり、その結果をしっかり検証し、適切に対処します。 ○御手洗吉生議長 吉竹悟君。 ◆吉竹悟議員 あくまでもいい制度ですから、その中にやはりおかしいことがないよう、クリアにやってほしいと思うので、よろしくお願いします。 続いて、大野川上流地域での営農振興についてお尋ねします。 さきほども質問で触れましたが、私の地元の竹田市は昔から水不足で悩まされた地域です。そのため畑作も盛んであり、今回の農地集積で白羽の矢が立ったのだと思います。 水不足解消のため、先人たちは様々な知恵を活用し、水をめぐる争いを解決してきました。円形分水に代表される農業遺産はそのことを今に伝えています。 その意味で、大蘇ダムに対して、地元では計画策定当時から大きな期待を抱いていました。しかし、昨年12月には漏水が再び判明し、いまだに100%の機能が果たせないダムとなっています。 今年3月に、九州農政局の説明会では、漏水の原因は不明であるが、1日1万トンの漏水があり、貯水量も有効貯水量を下回っているものの、10年に1度程度の渇水ではダムの水で農業用水を賄えるとの説明がありました。しかし、これまで地元も応分の負担を行い、ダムの機能を発揮できるよう期待しているだけに、当面大丈夫との回答だけでは満足できるものではありません。国に対しては、しっかりとダムの機能が当初からの想定どおりに発揮できるよう、徹底した原因調査と未来へつながる対策を実施してほしいと思っています。 県としても、これまで、この大蘇ダムの受益地域である大野川上流地域でダムの活用を念頭にパイプラインや畑地の整備など、様々な対策を実施してきています。農地集積を果たしていく上でも、大野川上流地域の営農振興はなくてはならないものです。今後、国と調整しながら、どのように当該地域の営農振興を図っていくお考えなのか、農林水産部長の考えをお聞きします。 ○御手洗吉生議長 佐藤農林水産部長。 ◎佐藤章農林水産部長 当地域では、畑かん用水の活用により、ニンジン、キャベツ、スイートコーンに加え、白ねぎなど、収量、品質の向上や作付拡大を図り、令和元年から10年間で農業産出額を20億円増加させ、50億円を目標とした営農振興に取り組んでいます。 県では、この目標達成に向けた取組を後押しするため、給水栓設置に係る農家負担を補助しています。あわせて、規模拡大に意欲のある農家などへの利用可能な農地の提案や、ニンジンをキャベツの裏作として作付するなど、高度利用も進めます。 また、菅生地域に選果場と低温貯蔵庫を整備し、品質の向上や出荷期間の拡大による販売強化につなげています。 さらに、即時就農希望者や半農・半Xなど、多様な担い手の確保、育成のため、当地域に農業団地の整備を進めています。 このような生産、流通体制及び担い手対策の強化に加え、安定的な用水の確保は、当地域の営農振興には不可欠です。このため、大蘇ダムについては、徹底した浸透原因の究明と安定した用水供給を国に引き続き求め、西日本有数の野菜産地に発展するよう関係機関と連携して取り組みます。 ○御手洗吉生議長 吉竹悟君。 ◆吉竹悟議員 農林水産部長に答弁いただきました。 そのことについては、市、それから受益者、あくまでもやはり受益者が一番苦労しているので、その方々と協議しながら、大蘇ダムについては、そこでしていただきたい。 ただし、菅生の畑が400ヘクタールぐらいあるんですかね。今、そこの担い手、若者が私の知っているだけでまだ5人ぐらいなんです。5人でその広さを全部カバーするのは大変だとおっしゃっていたので、そういうことを踏まえ、そこに移住定住含めた新規就農者も、それは当然そうでしょうし、親元就農を含めて精力的に入り込んでいただきたいと思うので、お願いしておきます。 それでは、次の質問に入ります。 鳥獣害対策について伺います。 さきほど来質問している耕作放棄地や高齢化、そういうことがこの鳥獣害対策にとって非常に関わっていると思うので、この質問をします。 農業の鳥獣被害については、毎年どの市町村も苦慮しています。県では、平成23年に大分県鳥獣被害対策本部会議を開催し、平成29年から予防・集落環境対策、捕獲対策、狩猟者確保対策、獣肉利活用対策の四つの対策に取り組んでいます。その効果として、鳥獣被害額は減少傾向にあり、関係者の御努力に感謝申し上げます。 しかし、予防対策により、農地を電気柵、防護柵で囲うため、20年ほど前に比べ、集落の景観は一変してきています。また、電気柵や防護柵には、受益者負担が当然あります。農作物の被害は減少したが、農家負担は増えているのが現状です。 私は個体数を積極的に減らすための捕獲体制を強化策として、時限を2年と設定した捕獲作戦を実施してはどうかと考えています。 竹田市では、イノシシの個体数減の強化策として、市の単独事業で平成27年度から猟期内にも3千円の捕獲報償金制度を構築しました。結果として、22年度から26年度まで5か年合計で920頭、平均捕獲数が184頭だったものが、27年度から令和2年度までの6か年合計で8,759頭、平均で1,459頭と、平均値では1,270頭を超える個体数の減少という成果が上がりました。 今後、高齢化により耕作放棄地の増加、それに伴いイノシシ等の居場所が増えることが予測されます。県でも、例えば、2年間で猟期外6千円から1万円、猟期内0円から5千円とするような思い切った施策を実施してはどうかと考えます。 田園や農村集落の景観は欧米でも観光資源として脚光を浴びています。そうした景観を保全するためにも電気柵で囲われていない農村の実現を図る必要があり、有害鳥獣の個体数を減らしていく必要があると思います。 また、有害鳥獣には、県境があるわけではありません。報償金制度を活用し、短期集中的に九州山地を共有する各県で協働した対策も効果的ではないでしょうか。農林水産部長の考えを伺います。 ○御手洗吉生議長 佐藤農林水産部長。 ◎佐藤章農林水産部長 議員御指摘のとおり、さらなる農作物被害の低減を目指して、四つの対策を実施しています。 特にイノシシは、年に4、5頭出産し、捕獲のみで生息頭数を減らすことは困難なことから、まず集落が一体となり、計画的に守るべき農地を防護柵等で覆うなど、予防対策を最優先に取り組んでいます。 そして、山の10頭より里の1頭と言われるように、県境を接する山間部の巻狩りより、農地に出没した個体を箱わな等で駆除することが効果的です。近年では、農家が狩猟免許を取得し、集落単位で自ら駆除を実施する機運も高まっています。そういった中、捕獲頭数については、全国3番目となっています。 また、鹿については年1頭の出産であり、捕獲に力を入れ、生息頭数を減らすことを最優先に取り組んでいます。捕獲報償金についても、他県に比べ大幅に増額し、年4万頭を超える全国で2番の捕獲頭数となっています。 効果は着実に上がっていることから、令和6年度までに目標の被害額1億4千万円以下を達成するよう、市町村や農林家、猟友会などとの連携を強化し、取り組んでいきます。 ○御手洗吉生議長 吉竹悟君。 ◆吉竹悟議員 捕獲頭数が確実に増えているということは、確実にイノシシも増えているということです。 さきほど答弁の中で、年に4頭、5頭生まれるのではないかと言われましたが、お産を年に2産、若しくは3産するのではないかという声を今地域の中では聞いています。年に1産ではないです。それだけ捕獲しても、なおかつその捕獲頭数があるということは、確実に増えているので、さきほど申したように、大分県だけでは無理な部分もあるので、何とか九州山地を囲むエリアの中でも声かけしながら、一緒になって時限立法でいいです。2年でもいいから一度やってみると、絶大な効果が上がると思っているので、そこを検討していただきたいと思っています。 それでは、その捕獲した獣肉の活用方法についてお尋ねします。 捕獲したイノシシや鹿については、やはり命の大切さを鑑みれば、獣肉を提供することを念頭に入れ、下処理をする施設の整備や活用方法などの周知をあらかじめ考えてこそ、鳥獣害対策と思います。報償金制度とあわせて検討を進めてはいかがでしょうか、農林水産部長の見解を伺います。 ○御手洗吉生議長 佐藤農林水産部長。 ◎佐藤章農林水産部長 鳥獣被害対策の四つの柱の一つとして、獣肉の利活用対策を実施しています。県、市町、獣肉処理施設、流通、卸業など40団体が参加して、平成29年度に大分ジビエ振興協議会を設立し、国産ジビエ認証の取得支援などを行い、安心・安全な供給体制の構築と消費拡大に取り組んでいます。 県内の獣肉処理施設については、31施設あり、九州で2番目となっています。平成30年度からは学校給食にジビエを活用しており、昨年は4トンを小中学校に提供し、食育活動を通じて被害対策を啓発しました。 さらに昨年、ジビエグルメマップを刷新し、スタンプラリーを実施し、広く県民にジビエに親しむ機会を提供しました。 鹿の捕獲報償金については、活用できる肉の量が少ないことから、平成30年度より流通量を増やすため、猟期内のジビエ利用の捕獲について2千円を上乗せしています。 猟期内のイノシシは既にジビエとして活用が進んでいるため、報償金の対象は肉の需要が少ない猟期外としています。 コロナ禍でジビエ利用も厳しい状況ですが、取扱店の拡大に向け、セミナー開催等引き続きジビエ利用の普及を図っていきます。 ○御手洗吉生議長 吉竹悟君。 ◆吉竹悟議員 部長から答弁をいただきました。 捕獲することはさきほど申したようにかなり増えています。今捕獲したイノシシ、鹿もそうですが、結局、山の中の現場で尻尾を切って、そのまま放置する例も少なくないと聞いています。さきほど申したように、命の尊さを考えれば、できるだけそれがジビエになり、そういう肉として流通するような方法、県内に何か所かあると聞きましたが、まだまだそれでは不足しているのではないかと思っています。十分な検討を加えていただきたいと申し上げて、次の質問に入ります。 河川災害対策の中で玉来ダムについて質問します。 現在は、数十年に一度といった言葉が全く意味をなさないほど、毎年大災害が頻発しています。 平成24年7月の九州北部豪雨においては、玉来川が増水し、国道57号をはじめ、多くの道路が寸断され、濁流に市街地が襲われ、浸水家屋217戸、死者2人といった大変甚大な被害が発生しました。 その後、地元とも協議していただき、玉来ダムを設置する運びとなりました。 29年4月には、本体工事着手、31年3月には定礎式を行い、来年度には完成の見込みと伺っています。地元を代表し、知事をはじめ、関係者の皆様の御尽力に心より感謝します。 地元の人たちは、雨が降るたびにあの悪夢を呼び起こします。先月の前線停滞による長雨の際にも、竹田市においてはレベル3、高齢者等避難が発令されました。24年豪雨の際の稲葉ダムによる稲葉川の治水効果は既に実証済みです。玉来川についても、一日も早い治水効果の発現に向けた工事の進捗に期待しています。 玉来ダムの完成に向けた工事進捗と期待される防災効果をどう分析しているのか、土木建築部長に伺います。 ○御手洗吉生議長 島津土木建築部長。 ◎島津惠造土木建築部長 竹田市において、昭和57年と平成2年に発生した大水害を契機に、平成3年度から稲葉、玉来の二つのダムを建設する竹田水害緊急治水ダム建設事業に着手しました。 平成24年7月の九州北部豪雨では、既に完成していた稲葉ダムが治水効果を発揮し、稲葉川では被害がほとんどなかった一方で、玉来川では甚大な被害が発生しました。このため、県では、抜本的な治水対策となる玉来ダムの早期完成を最重点に取り組んできました。 その結果、先月24日には約18万立方メートルの堤体コンクリート打設工事が完了し、過去の大水害の規模に対応できる治水機能が確保されました。 引き続き、貯水池周辺において、阿蘇火砕流特有の亀裂が多い岩盤への止水対策等を着実に進め、令和4年秋頃から試験湛水を行う予定です。 今後とも地域の皆様や関係機関の御協力をいただきながら、一日も早い完成に向け、全力で取り組みます。 ○御手洗吉生議長 吉竹悟君。 ◆吉竹悟議員 土木建築部長に答弁いただきました。 玉来ダム、稲葉ダムと同時に、その必要性あり、地域住民も切に願った、それが3年間遅れた、政権交代に伴い、コンクリートから人へという言葉の下に、24年災では尊い人命も失われました。地元の人たちはさきほど申したように、雨が降るたびに、やはりその不幸な出来事を思い起こしています。安全を確保できるために一日も早い完成を待ち望んでいるので、事故のないようにしっかりとしたダムを造っていただきたいと思うし、再来年の3月には完成と伺っているので、何とか工期、進捗が間に合うように期待しています。 それでは、続いて、竹田市内の河川整備についてお尋ねします。 昨年7月豪雨も大分県に大きな爪痕を残しました。竹田土木事務所が所管する河川は大野川水系39河川、大分川水系12河川があり、そのうち116か所が被災しました。被害額としては、大野川水系被害総額約12億5千万円、大分川水系被害総額約10億8千万円です。合計約23億3千万円でした。竹田土木事務所の早い対応で既に116か所全てが発注済みとなっており、このことには本当にありがたく感謝しています。 一方で、災害の傾向として、同じ箇所が再度被災することがあります。地域住民の声に前回と同じくらいの復旧では再び壊れるのではないかとか、護岸をかさ上げできないかといった声を最近よく伺います。 こうした地元の声を踏まえ、昨年7月豪雨を受け、竹田市内の河川の整備をどのように進めていくつもりか、土木建築部長の考えをお聞きします。 ○御手洗吉生議長 島津土木建築部長。 ◎島津惠造土木建築部長 大野川水系では、過去の大水害を契機に、抜本的な治水対策として、二つのダム建設に着手しました。あわせて、下流部の改良復旧にも取り組み、この改良復旧について、玉来川は平成9年度、稲葉川も12年度に完了しています。 また、24年の九州北部豪雨により被災した滝水川等についても改良復旧を行い、26年度に完了しています。30戸の浸水被害が発生した濁淵川については、29年度から築堤の整備など改修を進めています。 一方、大分川水系では、近年、流下能力を大幅に超える洪水は発生していませんが、昨年の豪雨では石積護岸の被災や部分的な浸水被害等が発生しています。このため、復旧に当たっては、コンクリートブロック積を採用するなど、護岸の機能強化を図り、再度災害防止に努めています。 さらに、局部的な越水対策として、市川や大石川では、護岸のかさ上げを実施し、芹川では河床掘削も行っています。 今後も地元の御意見を聞きながら、緊急度、優先度を考慮しつつ、安全・安心な河川の整備を進めていきます。 ○御手洗吉生議長 吉竹悟君。 ◆吉竹悟議員 大雨の状況は、もちろん市の職員、それから、県の職員、土木関係の職員ですね、そういう方々の目よりも先に地域住民のほうが先に見ます。その怖さはよく分かっています。その水が引いた後に見ることよりも、その状況をしっかり聞いて、同じところで同じような災害が二度と起こらないように、さきほど部長の答弁にあったようにパラペットを積むとか、そういう方法を工夫した災害予防を取り入れてやっていただきたいことを申し上げ、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○御手洗吉生議長 以上で吉竹悟君の質問及び答弁は終わりました。尾島保彦君。  〔尾島議員登壇〕(拍手) ◆尾島保彦議員 皆さんこんにちは。県民クラブの尾島保彦です。今日最後の質問者となりましたが、今回また、こうして質問の機会を与えていただいたことに感謝しながら、早速質問に入ります。 最初に、新しい治水対策についてです。 まず、流域治水対策について伺います。 近年、梅雨前線や台風による大雨によって、県下では甚大な被害を受けています。昨年も令和2年7月豪雨により、大きな被害を受けたばかりですが、今年もお盆前後の大雨では、県内をはじめ全国各地で大規模な被害が生じています。 被害を受けた地域の復旧復興はもちろん最優先で実施しなければなりませんが、何十年に一度と言われる豪雨が毎年のように生じている中、これまで大きな災害が起きていない場所についても、対策を見直し、想定外も想定する必要があると思います。 河床掘削、護岸整備、支障樹木伐採、橋梁架け替えなどの流す対策に加え、田んぼダム、ため池の貯留機能、遊水機能強化など、ためる対策、さらには、ハザードマップ、洪水時の情報発信、的確な避難など備える対策が重要であり、これらの組合せによる流域治水対策が求められていると考えます。 まだ台風シーズン真っ盛りと言える今、流域治水対策についての知事の考えを伺います。 次に、水田、ため池の雨水貯留機能についてです。今年度、県では、流域治水対策の一環として田んぼの一時貯水機能を活用した田んぼダムを推進していくとして、モデル圃場を設定し、貯水効果や洪水防止機能、営農への影響について分析する実証事業を行っています。 今年の田植直後から由布市、九重町、宇佐市において実践されていますが、これまでの実証効果について伺います。 あわせて、これまでの実証結果を踏まえた上で、取組拡大をされるとのことですが、将来的にどのような地域で水田の雨水貯留機能を活用していくのか伺います。 また、ため池貯留も重要ではないかと考えます。県内には2千か所余りの農業用のため池があります。台風や豪雨前の事前放流や台風期に期間放流することで、相当の貯留効果が期待できると考えます。 中山間地域の防災重点ため池を中心に豪雨災害に対する防災機能を強化することについて検討されてはいかがでしょうか。水田、ため池といった既存施設の新しい防災という観点からの機能展開について伺います。 以降は対面席にて質問します。  〔尾島議員、対面演壇横の待機席へ移動〕 ○御手洗吉生議長 ただいまの尾島保彦君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 尾島保彦議員から流域治水対策について御質問いただきました。 近年、全国各地で数十年に一度と言われる激しい雨が毎年のように降り、激甚な災害が発生しています。 先月の豪雨でも玖珠川では、再び久大本線が被災し、不通となるなど、県民生活に大きな影響を及ぼしました。私も被災直後に現地に伺い、災害に強い県土づくりの決意を新たにしたところです。県では、これまでダム建設や改良復旧等のハード対策に加え、水位計や河川監視カメラによる水害リスクの情報の提供等のソフト対策にも力を注いできました。 しかしながら、気候変動により頻発、激甚化する水害に対し、防災・減災が主流となる社会の実現に向けて取り組んでいく必要があります。このため、これまでの河川や下水道の各管理者が行う治水対策に加え、流域に関わる市町村や地域の企業、住民など、あらゆる関係者が協働して水害を軽減させる流域治水を推進していきます。 県内では、主要な河川の流域ごとに八つのエリアに分け、関係機関から成る流域治水協議会を設置し、治水対策の全体像を流域治水プロジェクトとして取りまとめ、公表したところです。このプロジェクトでは、議員御指摘の流す、ためる、備えるを深化させ、次の三つの視点から流域全体で総合的かつ多層的に対策を講じていきます。 まず1点目、氾濫をできるだけ防ぎ、減らす対策です。従来の河川や雨水管の整備を加速させるとともに、利水ダムやため池の事前放流、田んぼダム等の取組も進め、洪水調節機能を活用した流出抑制を図ります。 2点目は、被害対象を減少させる対策です。市町村と共に、浸水想定区域への立地抑制等を検討し、水害リスクが高い家屋等の減少を目指します。被害対象を減少させる対策です。 3点目は、被害の軽減と早期の復旧復興への対策です。中小河川での水害リスク情報の空白域が生じないように水位計や河川監視カメラ、ハザードマップの整備等を進めます。 これらの取組の実効性を高めるため、実施主体やロードマップを見える化した上で、協議会によるフォローアップも行います。 県としても、庁内で部局間連携の場を設け、定期的に進捗状況の確認を行うことにより、プロジェクトを着実に進めていきます。 気候変動の影響が顕在化している今、各流域の関係者が知恵を絞り、対策を着実に実行することは極めて重要であり、総力戦で流域治水対策に取り組んでいきます。 ○御手洗吉生議長 佐藤農林水産部長。 ◎佐藤章農林水産部長 私からは、水田、ため池の雨水貯留機能についてお答えします。 田んぼダムについては、さきの8月豪雨時における実証水田と通常の水田との田面水位の変化を比較すると、実証水田のほうがピークからの降下曲線が緩やかとなっており、水田の一時貯留機能を現地で確認できました。 また、大分大学では室内に田んぼダム実験モデルを製作し、最適な堰板の検討や田面水位と排水量との相関性の検証を行っています。 こうした現場での実証データや室内での実験結果に基づき、貯留及び洪水抑制効果の検証、さらに営農への影響度を踏まえ、本年度、田んぼダム推進指針を策定することとしています。 今後の推進にあたっては、浸水被害の発生状況等を踏まえ、その上流域の水田で地域ぐるみで農地保全に取り組む活動組織を中心に取組面積の拡大を図っていきます。 一方、ため池の貯留機能の活用に向けては、技術研修などを通じ、管理者等に対し、事前放流の手法など、指導助言を行っています。 今後とも中山間地域のみならず、県内各地にある防災重点農業用ため池において、市町村と連携を図りながら、事前放流の推進を図るとともに、洪水調節機能の強化に向けたハード整備についても検討していきます。 ○御手洗吉生議長 尾島保彦君。 ◆尾島保彦議員 ありがとうございました。 流域治水については八つのエリアで協議会をつくり、水系ごとの流域治水プロジェクトが完成したということで、まずは一安心しています。 対策の柱として、今三つ示されました。氾濫をできるだけ防ぐ、減らすための対策、そして被害の対象を減少させる、そして被害の軽減、復旧復興のための対策ということで、農地フォローアップ、あるいは庁内の対策の動向をしっかり見ながら、最後に知事から結びとして流域治水は総合力で進めていきたいという力強い言葉があり、大変いい答弁だったと、私なりに求めていた答弁だったと感じています。 ただ、これから対策の実施に向けては、やはりプログラムにあるように、できるだけ早く対策するもの、短期の対策、それからある程度中期、そして長いスパンで中長期と、こういった三つの対策が見込まれています。特に短期の対策については、現在、各被害を受けた河川等については災害復旧の真っただ中にある。ある意味、発注が全部できているようですが、中にはそういった工程が遅れて、業者の確保、あるいは財政的な面も含め、大変苦労なさっているのではないかと思います。こういった建設業者の確保、あるいは財政的な面で問題ないのかどうか、再質問します。 それから、ちょっと違いますが、治水対策に関連し、ダムの緊急放流について伺います。 昨年の7月豪雨で新聞で読みましたが、下筌ダムが1973年の建設以来、初めての緊急放流を行ったという記事が出ていました。5キロ下流には松原ダムがありますから、この松原ダムの容量が非常に低かったために下流へはほとんど影響がなく、この二つのダムのおかげで下流域の被害が軽減されたという評価の記事がありました。大雨時に緊急放流をすると、時としてこの緊急放流が原因で下流域の河川が氾濫し、被害を生じるという事例があちこちで発生しています。 今回質問したかったのは、こういった河川の緊急放流をやる際に、直接的には国交省の管理等のダムが多いですが、県管理のダム以外で県はどういった関わりを持っているのか、この点について伺います。 それから、さきほど田んぼダムの実証の話が出ました。これから指針をつくって本格導入されると思いますが、一方、ため池は、まずは事前放流の徹底をということですが、ため池の水を抜くのはそう簡単ではありません。御案内のように、ため池は一般的には底樋があって、底樋に取水のための斜樋があって、ここから取水するわけですが、たかだか10センチぐらいの穴が2、3か所あって、そこから水を抜きますから、緊急的に水を抜くのは難しいんですね。現在、設計指針で緊急放流施設が最近の改修ため池には全部ついているようですが、今まで改修したため池とか既存のため池にはこういった緊急放流施設がないので、そういったことについてどう考えるのか。 そしてまた、ため池の容量確保ということから考えると、掘削も重要ではないかと思うし、あるいは他県では洪水吐に、水が越水したときの新手で、洪水吐に切り欠けを設けて対策している例もありますが、こういった点はいかがお考えですか、再質問します。 ○御手洗吉生議長 島津土木建築部長。 ◎島津惠造土木建築部長 私から2点についてお答えします。 まず1点目に工事の業者、それから予算面の課題はないのかという御指摘です。 全国的に建設業の担い手不足が課題となる中、災害復旧をはじめとした安全・安心につながる工事をしっかり進めるためには、技術者等の確保も含め、工事を進める環境を整えることが非常に大切となっています。被災した地域の災害復旧工事等については、技術者の不足を補うために現場代理人の件も認めるなど、弾力的な運用にも努めています。 また、通常の事業については、限られた人員による生産性向上を図るため、施工時期の平準化に配慮しながら、計画的な発注に努めています。 また、予算面については、国の防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策等を積極的に活用し、着実に対策の進捗を図っていきたいと考えています。 引き続き、ダムの緊急放流についてお答えします。 緊急放流は大雨によりダムが満水になる場合に上流からの流入量を、それ以上ためられない場合にダムに流入した流量を下流に流すことを言います。ダムでは緊急放流を行う場合の操作規則があらかじめ定られています。緊急放流時はダムの下流で水位が上昇し氾濫するおそれがあることから、ダムの管理者はパトロールや放流警報などを事前に行うこととしています。 ダム管理者は入流量が計画の7割に達した場合や緊急放流の3時間前から関係機関に放流量等を通知することとなっています。 県はその報告を受け、下流域での水防警報の発令を行います。これを受けた市町村は避難指示などの発令を行うこととしています。 ○御手洗吉生議長 佐藤農林水産部長。 ◎佐藤章農林水産部長 3点御質問がありましたので、私からお答えします。 まず一つは、緊急放流施設、過去の改修でついていない分について追加整備が可能かということですが、緊急放流施設については地震発生時等において、早急に堤体の安全性を確保するため、ため池水位を所定の水位まで緊急降下させる必要があります。操作に当たっては、下流水路の通水状況等を確認しながら、慎重な操作を行っていく必要があります。 なお、改修済みのため池における緊急放流施設の追加整備については、決壊した場合の下流への影響度や老朽具合など、共に地元からの意見等も踏まえながら進めていきたいと考えています。 それから、2点目、ため池の堆積した土砂の除去は可能かということですが、洪水調整容量の確保に向けて、ため池の堆積土砂を浚渫することができる農業ため池等緊急対策事業を本年度創設しました。これを使うこと、あと、ため池を全面改修する場合においても、利水容量を維持しつつ、工事上、必要となる浚渫を行うことにより、ため池の洪水調節機能の強化を図っていきます。 最後に、ため池の洪水吐による切り欠けを設けて、洪水調整容量を確保することの検討についてです。 ため池の洪水調節機能を発揮させる手法としては、事前放流によるソフト対策と共に、洪水吐に切り欠けを設ける、いわゆるスリット化などのハード対策があります。スリットの設置は下流への影響度、洪水吐の規模、流水面積に対する貯水面積の割合など、条件を総合的に判断し、洪水調整効果を踏まえ、管理者の合意の上で実施することとなると思います。 今後、ため池整備において、堤体の改修に合わせて洪水吐のスリット化の検討を進めていきます。 ○御手洗吉生議長 尾島保彦君。 ◆尾島保彦議員 どうもありがとうございました。 知事がおっしゃったように、流域治水、総合治水は総合力でということでした。県や市町村、そして県民が協働して進めていく必要があると考えています。 他県では、例えば兵庫県、滋賀県といったところでは、名称は異なりますが、こういった流域治水、総合治水といった考え方の下、条例を制定しています。大分県も毎年のように豪雨災害に見舞われています。県民の意識を高め、施策に協力してもらうという観点から、今後条例の検討もしていただきたいと思いますが、知事、御見解をお願いします。 ○御手洗吉生議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 流域治水対策となると、関係者が考え方を持ち寄って、総合的に対策を打っていかなければならないわけですから、議員御提案のように条例等を定めていくことも大事かと思いますが、ただ、流域治水という考え方が今出てきて、ようやくみんなが関心を持ち始めた時期です。それぞれ具体的にこの流域ではどういうことをやらないといけないのか、あの流域ではどういうことをやるかということをいろいろ議論している最中です。 条例をつくるとなると、流域治水の理念を定めたり、あるいは行政の責任や県民の努力といったことをいろいろ定めるわけで、条例をつくる前にもう少しその辺の議論を深めていく、そしてみんなのコンセンサスができてきたらつくるということのほうが、むしろ効果的じゃないかと思っています。まずは条例をつくって、それからみんなに考えてもらうというよりも、逆のほうで盛り上げていったほうがいいのかなと思っています。 大変大事な御提案だと思うし、よく考えてみなければいけないと思いますが、今のところそういうことを思っています。 ○御手洗吉生議長 尾島保彦君。 ◆尾島保彦議員 知事ありがとうございました。将来の課題としてぜひお願いします。 それでは、次に移ります。 2項目めは宇佐市周辺の農業振興について伺います。 最初に、国営かんがい排水事業地区調査の推進状況についてです。 大分県一の耕地面積を誇る宇佐平野では、古くから農地に人工的に水を供給するかんがい事業に先人たちは力を注いできました。 幕末から明治にかけて活躍した南一郎平は、宇佐市金屋の出身で駅館川の水を宇佐市東部の台地に引いて、広大な水田地帯を開発するという難事業を成し遂げ、その後、全国のかんがい事業に関わることになりました。中でも、三大疎水と言われる安積、那須、琵琶湖の事業に携わったことから、日本三大疎水の父と呼ばれるようになりました。今、宇佐市では南一郎平をNHK朝ドラにと誘致活動が始まっており、市民一丸となって朝ドラ化実現を願って頑張っています。知事もぜひお力添えくださるようお願いします。 その南一郎平が手がけた広瀬井路を含む、宇佐のかんがい用水群は、世界かんがい施設遺産の候補施設としてICID、国際かんがい排水委員会本部に推薦されており、11月の遺産への登録を期待しています。 また、日本統治下の台湾南部の嘉南平野に建設された烏山頭ダムで八田興一の下、水路事業に従事した中島力男氏も宇佐市の出身で、その功績は台湾では高く評価され、生前墓が今もダムのほとりに残っています。 さて、現在の宇佐平野ですが、昭和39年度から昭和54年度にかけて、国営かんがい排水事業により、日出生ダムや日指ダム等の基幹的な農業用水利施設が整備されました。 時を同じくして、昭和41年から平成4年度にかけて4千ヘクタールに及ぶ大規模な県営圃場整備事業が実施されるなど、駅館川地区の総合開発により文字どおり県下随一の穀倉地帯となっています。 しかし、整備後40年以上が経過する中、水路の漏水や水利施設の老朽化が著しく、長寿命化対策では追いつかない状況となっています。 また、水田の畑地化など新たな水需要が見込まれる状況であり、これらの問題解決を図るため、営農と施設整備を統合した具体的な事業計画を国の調査を活用して策定し、駅館川地域の農業振興に向けた農業水利施設の再整備を目指すとして、駅館川地区の国営かんがい排水事業地区調査が始まっていますが、コロナ禍の影響もあって地区調査が計画どおりに進んでいないと聞きます。 現在、山間部の安心院地域では、園地の再造成をはじめとする約120億円の国営駅館川土地改良事業も実施中ですが、平野部においても再整備に対する期待が高まっています。 現在行われている地区調査の内容と進捗状況について伺います。 次に、駅館川地域の農業振興についてです。 県農業は、稲作依存が高く、米から高収益な園芸品目への転換を図ろうとしています。 平成29年に畑地化元年としてスタートした水田畑地化は、令和10年度の目標2千ヘクタールに向けて取組が進められています。 駅館川地域の農業は区画された農地、張りめぐらされた水路の恩恵によって米、麦、大豆等に加え、最近では新規需要米の作付けなど土地利用型農業が盛んに行われてきました。また、大区画化により1枚2.7ヘクタールの圃場も誕生し、先端技術を活用したスマート農業の取組も始まっています。 今回の国営かんがい排水地区調査においては、農業振興ビジョンが重要になっていると思われますが、県として駅館川地域の農業振興をどう考えているのか伺います。 ○御手洗吉生議長 佐藤農林水産部長。 ◎佐藤章農林水産部長 ただいま2点御質問いただきました。 まず、国営かんがい排水事業地区調査の推進状況についてお答えします。 県下最大の駅館川地域における農業の将来を見据えた農業水利システムの構築に向け、県などからの要望を踏まえ、令和元年度より国が地区調査に取り組んでいます。 この調査は、高収益作物の導入や農地のゾーニングなどを踏まえた営農計画及び農地の集積計画のほか、用水計画や水利施設の整備計画を作成した上で、事業費や事業効果の算定を行うものです。 進捗については、振興局も参加した地元の意向を聞くための集落座談会の実施や水利用の実態調査、施設の現状調査など、計画作成の基礎となる作業を終えたところです。 また、用水計画や水利施設の整備計画の土台となる営農計画を、現在、地元の意向を踏まえ、振興局や市を中心とした関係機関で検討中であり、県農業総合戦略会議の取りまとめ内容と整合を図りながら、作業を進めています。 駅館川水系の限られた用水の配分計画や園芸品目導入に向けたパイプライン化など、技術的な検討に時間を要する課題も残っていますが、地元や国、市、県でしっかりと協議、調整を進めていきます。 次に、駅館川地域の農業振興についてお答えします。 宇佐平野は県農業の構造改革を牽引する地域であり、もうかる農業を実現するため、二つの視点で農業振興を図ることが重要です。 第1は、園芸品目への転換です。園芸の導入に際しては、まず白ねぎなどマーケットニーズがあり、地域の風土に適した品目を的確に選定することが必要です。 その上で、園芸作物と水田作物とのゾーニングや農地の集積・集約化、さらには排水対策や土壌改良を徹底し、大規模で効率的な産地を形成していかなければなりません。 第2は、力強い経営体の育成です。意欲ある経営体による規模拡大をしっかりと後押しするとともに、新規就農者や参入企業の確保を推進することも大事です。このためには、大区画化や汎用化を進めるとともに、自動操舵つきのトラクターなどスマート農業の導入による効率化も進めていく必要があります。 現在検討している営農計画にこれらの視点を反映させることで、駅館川地域の農業がさらなる発展を遂げられるよう取り組んでいきます。 ○御手洗吉生議長 尾島保彦君。 ◆尾島保彦議員 ありがとうございました。 地区調査を速やかに終わらせていただき、これからその後、国営の事業はもちろんですが、県営の事業採択をしていただき、事業に着手をしていただきたいと期待しています。 今、農家の高齢化、あるいは耕作者離れが随分進んでいます。これは今後の課題になると思いますが、当然こういった事業を行うときには地元負担、あるいは個人負担が伴います。そういった意味では、さきほど申したように高齢化、あるいは地主がもうここにいない。こういったかんがい事業なんかは土地についてきますから、耕作者はいても地主がいないので、そういった意味では地元負担とか、こういった負担金について非常に躊躇される方もいるので、今後、軽減策も含めて、事業の計画を進めていただきたいと思います。 それから、農業振興についてですが、さきほど御指摘のように、宇佐地域は白ねぎやこねぎ、こういった意味では畑地化が随分進んでいます。大区画の圃場もできたということで、スマート農業も県下に先進的な事例として進められているのではないかと思いますが、やはりかんがい事業をこれから採択していただくわけですから、土地利用型の農業、これは宇佐市の特色です。この支援をしっかり考えていただきながら進めていただきたいと思っています。 次に進みます。 三つ目は、教育の諸課題について伺います。 県立学校教職員の人材育成についてです。 県教育委員会では大分県公立学校教職員の人材育成方針を策定し、学校教育の直接の担い手である教職員の一層の資質向上と意識改革を進めてこられましたが、県立学校に勤務する全ての職について網羅したものとはなっていません。 以前の私の質問に教育長は、豊かな教育の実現に向けて、教育活動を支援している教員以外の職員の育成も重要で学校長の意見も聞きながら、課題や問題点があれば、それぞれの職に応じた人材育成の在り方について検討していきたいと答弁しています。 しかし、現状を見ると、学校統廃合、専門科の縮小などで採用数が減ったり、採用試験自体が行われていない職もあり、臨時職員に依存している現実があります。 私の調査によると、学校司書は、新学習指導要領における探究活動においても重要な役割を担っていますが、44人中23人が臨時採用です。現業職の調理員は特別支援学校、定時制高校に配置されており、衛生管理等の責任の重い職種ですが、37人中27人が臨時採用です。介助員は、教育活動における生徒支援という多岐に及ぶ職務ですが、18人中15人が臨時採用です。農務技師は、生徒の農業実習を行うため、農場管理、農業関係機械のメンテナンスなど専門的な知識と経験が求められますが、13人中4人が臨時採用です。 実習教諭、特に理科の実習教諭は、新学習指導要領で理科実験を充実することが求められています。理科実験の内容を充実するためには、実験の準備や内容を提案できる経験と学習を積んだ実習教諭が必要ですが、現在30人中6人が臨時採用です。寄宿舎教師は、遠方から来ている特別支援学校の生徒の日常生活を支える責任ある職務ですが、29人中14人が臨時採用です。 学校事務は少し趣を異にしますが、学校のあらゆる活動を支える重要な役割があり、内容は多岐に及びます。それだけ経験が必要な職務になりますが、近年、知事部局との交流人事となっています。2年から3年で知事部局に帰っていくため、学校事務固有のノウハウが蓄積されません。全正規事務職員212人中、学校事務採用は71人で、最後の学校事務採用者も40歳を超えています。 今列挙した職はいずれも、教育の機会均等を堅持するとともに教育水準の維持、向上を図り、子どもたちの成長を支援するためにとても重要な職種です。 職員の高齢化も進んでおり、技能、技術、知識、教え方などの貴重な経験を継承していくためにも、必要な職種の採用試験を実施し、正規採用者を増やしていく必要があると考えますが、いかがでしょうか、教育長の見解を伺います。 2番目に業務量に見合った人員配置についてです。 子どもたちとしっかり向き合い、話し合える環境を確保するために、教職員の負担軽減について、全国的に議論されています。そんな中、本年度も様々な新規事業が県立高校で展開されています。 例えば、小規模高校におけるICTを活用した遠隔授業による科目増設の実証事業です。本年度、通級を本格実施し始めた中津南高校耶馬渓校に、地域社会に根ざした高等学校の学校間連携・協働ネットワーク構築事業を導入しました。大いなる挑戦ですが、同校は、教職員の人数も少なく、事務職員も1人しかいない小規模な学校です。この人数で業務がさばけるのか、思った効果が発揮できるのか、懸念されます。 また、くじゅうアグリ創生塾における研修等事業と全国募集によるくじゅう農業留学プロジェクト事業では、久住高原農業高校の教職員が、くじゅうアグリ創生塾と併任状況であり、責任を負える事務職員は実質2人しかいません。さらに竹田市が経営している寮とは併用施設も多く、費用の按分に加え、竹田市との連絡調整も担っています。 新規事業の開始は、そのまま教職員への負担につながっており、その業務量に見合った人員配置が不可欠です。学校教育を根幹からしっかりと支えていくためにも、新規事業を導入する場合はその業務量の精査と人員確保が重要と考えますが、どのようにお考えか伺います。 3番目に、県立学校における部活動改革についてです。 教職員の働き方を見ると、時間外勤務の上限である45時間を超えている人は、今年4月から6月を見ても県立学校の教員約3,100人中700人が上限を超過しており、その原因の大きな部分を占めているのは部活動指導です。 文部科学省が現場の教員に仕事の魅力を発信してもらおうと、今年3月に始めた#教師のバトンプロジェクトにも、部活動に関する悲痛なつぶやきが多く寄せられています。 部活動指導員制度の活用など、教職員の負担軽減に向けた取組は始まっていますが、人材確保が難しく、現場の教職員の涙ぐましい献身に頼らざるを得ない状況が続いています。 本年度、学校部活動改革サポート事業で部活動改革の調査、研究を行っていますが、人員配置の都合で、専門知識のない部活動の顧問を引き受けざるを得なかったといった、時間外勤務などのデータに表れない負担などについても、しっかり把握していただきたいと思います。実態調査を行い、現場の教職員の生の声を部活動改革に反映し、取組を加速するべきと考えますが、教育長のお考えを伺います。 4番目に、特別支援教育についてです。 県教育委員会では、平成30年2月に第3次大分県特別支援教育推進計画を策定し、障がいのある子どもの自立や社会参加に向け、一人一人の教育的ニーズに応える物的・質的環境を整え、インクルーシブ教育システムの構築を目指すという基本方針の下、聾学校の移転、来春開校するさくらの杜高等支援学校、さらには大分地区特別支援学校の再編整備に取り組まれています。 一方、令和2年6月に設置されたフォローアップ委員会が令和3年2月に公表した中間評価及び今後の特別支援教育の在り方に関する報告書では、別府地区特別支援学校の再編整備については、次期計画の検討において、別府支援学校の本校の存続を含め、再検討することとの意見が出されています。その理由として、発達障がい等の診断があり、環境要因等による二次的な適応障がいや鬱病等の精神疾患の診断を受け、継続した医療や生活規制が必要な病弱児童生徒が急増するなど、第3次推進計画策定時から状況に変化が生じていることを挙げています。 フォローアップ委員会の意見どおり、別府地区の再編整備については、次期計画に持ち越されるのでしょうか。 環境要因等による二次的な適応障がいや鬱病等の精神疾患の診断を受けた児童生徒は、特別支援学校以外の学校に通学していた人も多いと考えられます。インクルーシブな社会を構築する上での根幹的な課題だと考えますが、このような児童生徒がなぜ急増したのか、今後どのように対処していこうとしているのか伺います。 ○御手洗吉生議長 岡本教育長。 ◎岡本天津男教育長 4点についてお答えします。 まず、県立学校教職員の人材育成についてです。 学校の教育目標の達成に向けては、教員のみならず、様々な職が必要であり、それらの職の重要性は認識しています。 調理員、介助員、農務技師などのいわゆる現業職員については、行財政改革を進める中で、配置方針の見直しを行い、会計年度任用職員や業務委託で対応しています。司書などその他の一般職員については、生徒数や教科のバランスなどを見ながら、採用試験を実施しています。 また、県立学校の事務職員については、人材確保及び年齢構成の是正の観点から、平成21年度より採用を知事部局と一元化したところです。今後、児童生徒数の減少に伴い、職員定数も減少することが見込まれることから、一定数の臨時的任用職員や会計年度任用職員を配置せざるを得ないものと考えています。 正規職員の採用に当たっては、定年引上げの導入が予定されていることから、長期的な必要数の見込みなどを総合的に勘案しながら、計画的に行っていきたいと考えています。 2点目は、業務量に見合った人員配置についてです。 県教育委員会としては、新規事業等を通して魅力ある学校づくり、特色ある学校づくりを進めており、新規事業を行うに当たっては、既存事業のスクラップなど全体として業務量は大きく増えないようにしています。教職員の配置についても、各学校の規模、業務の状況などを考慮しています。 業務の状況等については、毎年、各学校にヒアリングを行い、繁忙の実態や予定されている新たな取組などについて把握しています。 今年度からCOREハイスクール・ネットワーク構想事業を導入した中津南高校耶馬渓校については、情報の正規教員1人を本校と兼務で新たに配置したところです。久住高原農業高校については、事務職員を標準法に基づく定数に比べ1人、会計年度任用職員も1人追加配置するなど、実情に応じた人員配置を行っています。 今後も教職員の配置については、業務量等を考慮しながら、適切に対応していきたいと考えています。 三つ目は、県立学校における部活動改革についてです。 令和元年度に中学校、高校それぞれの顧問、生徒、保護者を対象に実施した運動部活動の実態調査によると、中学、高校ともに50%強の顧問が部活動に負担を感じていることが分かっています。 また、今後の部活動の在り方については、教員が担うべきと地域へ移行すべきと回答した高校顧問はそれぞれ全体の30%強で、教員とは別に実技指導者を配置すべきと回答したのは20%強でした。こうした現場の声を踏まえ、高校においては、スポーツトレーナーを部活動指導員として活用する取組を行っており、課題である人材不足の解消とスポーツ医科学の専門的知見に基づく効果的な部活動指導につなげています。 また、中学校において、複数校の生徒が拠点となる学校で活動する拠点型運動部の拡充とともに、今年度、総合型地域スポーツクラブとの連携による部活動の地域移行に向けた調査、研究を始めたところです。この調査、研究は中学校を対象に実施していますが、高校における改革も見据えながら、成果や課題を検証し、県立学校の部活動改革を推進していきます。 それから、最後に特別支援教育についてです。 別府支援学校鶴見校及び石垣原校の施設は老朽化が著しく、重複障がいのある児童生徒に必要なオストメイト対応トイレなどの設備も不十分な状況です。そのため、次期計画を待たずに、できるだけ早く別府地区再編整備の方針を定めたいと考えています。 フォローアップ委員会からいただいた意見や今後、国が定める特別支援学校設置基準に基づき、詳細検討を進めたいと考えています。 病弱特別支援学校在籍者の増加は、全国的な傾向であり、その背景として、より専門的な教育を望む保護者が増えていることが挙げられます。 また、本県においても、精神疾患の診断を受けた場合の転学、それからその進学先として病弱特別支援学校が選択肢となっていることが考えられます。 発達障がいがあり、精神疾患の診断を受けた児童生徒の多様な学びの場と支援の在り方について、国の動向や他県の例も研究しながら、次期計画に対処方針を盛り込みたいと考えています。 ○御手洗吉生議長 尾島保彦君。 ◆尾島保彦議員 ありがとうございました。 人材育成についていろいろ説明いただきましたが、学校司書について質問します。 司書は行政職ということで、受験資格というか、一般の職員と比べて受験年齢が厳しいわけですよね。こういった臨時教諭を長く続けても、とうとう採用もなかったから受験資格を失ってしまったケースがあるわけです。こういったノウハウを持つ臨時職員の方がその力をさらに発揮できるように年齢制限の引上げが考えられないのか伺います。 埼玉県では就職氷河期世代の採用枠をつくって、報道によると35歳から50歳の職員を募集した記事がありましたが、こういった採用についてもどうお考えか御答弁いただきたいと思います。 それから、支援学校については、次期の計画を待たずにやりたいということですが、一部保護者の声を聞くと、この再編整備が遅れているのは事実で、どうなっているだろうかと不安の声を同僚の県議からも聞きました。そういった意味では今後の方針をはっきりしたときには、ぜひ保護者の方に経過を報告していただきたいと思います。 ○御手洗吉生議長 岡本教育長。 ◎岡本天津男教育長 学校司書について御質問をいただきました。 受験年齢についてですが、一定のキャリア形成を達成するためには、やはり長期間勤続することが望ましいことだと考えています。そういうこともあり、大学卒業程度の上級の行政、それから教育事務と同様に29歳までとしたところです。 それから、もう一つは県立図書館の司書と学校配属の司書の採用を一元化した平成24年度以降の司書の採用倍率、つまり直近10年の司書の採用倍率を見ると、平均で16.6倍となっており、一定数の倍率を確保できていると考えており、このため年齢制限の引上げは難しいと考えています。 それから、埼玉県で取り組まれている就職氷河期世代の採用枠ですが、今お話しした大きく2点の理由に加え、毎年の採用者数も少ないことから、就職氷河期の対応はなかなか難しい、困難と考えています。 ○御手洗吉生議長 尾島保彦君。 ◆尾島保彦議員 ありがとうございました。 それでは、最後の質問に移ります。 放置された集積産業廃棄物の処理についてです。 今回取り上げたいのは、産業廃棄物処理業者が処理の前段階として集積した廃棄物の処理についてです。 宇佐市の糸口地区の例を紹介すると、処理業者の撤退によって廃材などの産業廃棄物が野積みされたまま放置されており、今は草木が繁茂し、野生生物のすみかとなったりしています。また、そういった荒れた環境がさらなる荒廃を呼ぶのか、不法投棄もされるようになっており、景観も損なわれているため、近隣住民は大変困っています。宇佐市の例のように住家に近い場所では、住民の不安も大きいものがあります。業者の撤退によって権利関係も複雑で行政も対応に苦慮しているようですが、何か対策は考えられないのでしょうか。 また、県下に同じようなケースがどのくらいあるのか実態についても伺います。 ○御手洗吉生議長 磯田生活環境部長。 ◎磯田健生活環境部長 放置された集積産業廃棄物の処理についてお答えします。 廃棄物の処理及び清掃に関する法律では、事業者が産業廃棄物を保管する場合は、周囲への囲いの設置、飛散防止や害虫の発生防止等の措置が業務づけられています。 県では、産業廃棄物の不法投棄、不適正保管等の不適正事案については、現地調査するとともに改善指導を行い、指導に従わない場合には、改善命令等の行政処分を行うなど、地域の生活環境を守るため、厳正にこれまで対処してきたところです。 議員御指摘の事案については、県外に撤退した事業者に対し、放置された産業廃棄物を全量撤去するよう現在指導中です。現在、事業者から徴取した処理計画書を出させていますが、これが適正に履行されているか、監視活動を行っています。 県内には事業者の倒産や、関係者の失踪等で指導が長期化している事案が9件あります。事業者に処理能力がない場合は、排出事業者に撤去させるなど、個別に指導しています。 今後とも廃棄物が多量に飛散、流出する等により地域住民への影響が大きい事案に対しては、早期解決を図り、住民の不安解消に努めます。 ○御手洗吉生議長 尾島保彦君。 ◆尾島保彦議員 ありがとうございました。 行政が安易に撤去することは、場合によっては放っておけば行政が何とかしてくれるという誤ったメッセージに変わっていくので、これは避けねばならないと思いますが、こういった住民の生活圏に極めて近い場所での野積みは大変困りますから、何とか行政が実施することも御一考いただきたいと思っています。 以上で質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○御手洗吉生議長 以上で尾島保彦君の質問及び答弁は終わりました。 お諮りします。本日の一般質問及び質疑は、この程度にとどめたいと思います。これに御異議ありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○御手洗吉生議長 御異議なしと認めます。 よって、本日の一般質問及び質疑を終わります。 以上をもって本日の議事日程は終わりました。 次会は、明日定刻より開きます。 日程は決定次第通知します。  ------------------------------- ○御手洗吉生議長 本日は、これをもって散会します。     午後2時56分 散会...