大分県議会 > 2019-12-03 >
12月03日-03号

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  1. 大分県議会 2019-12-03
    12月03日-03号


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    令和 1年 第4回定例会(12月)     令和元年第4回大分県議会定例会会議録(第3号)令和元年12月3日(火曜日)  -------------------------------議事日程第3号            令和元年12月3日              午前10時開議第1 一般質問及び質疑  -------------------------------本日の会議に付した案件日程第1 一般質問及び質疑  -------------------------------出席議員 42名  議長        麻生栄作  副議長       土居昌弘            志村 学            井上伸史            清田哲也            今吉次郎            阿部長夫            太田正美            衛藤博昭            森 誠一            大友栄二            井上明夫            鴛海 豊            木付親次            三浦正臣            古手川正治            嶋 幸一            濱田 洋            元吉俊博            御手洗吉生            阿部英仁            浦野英樹            高橋 肇            木田 昇            羽野武男            二ノ宮健治            守永信幸            藤田正道            原田孝司            小嶋秀行            馬場 林            尾島保彦            玉田輝義            平岩純子            吉村哲彦            戸高賢史            河野成司            猿渡久子            堤 栄三            荒金信生            末宗秀雄            後藤慎太郎欠席議員  1名            成迫健児  -------------------------------出席した県側関係者  知事        広瀬勝貞  副知事       尾野賢治  教育長       工藤利明  代表監査委員    首藤博文  総務部長      和田雅晴  企画振興部長    中島英司  企業局長      岡本天津男  病院局長      田代英哉  警察本部長     石川泰三  福祉保健部長    廣瀬高博  生活環境部長    宮迫敏郎  商工観光労働部長  高濱 航  農林水産部長    大友進一  土木建築部長    湯地三子弘  会計管理者会計管理局長            山本修司  防災局長      牧 敏弘  人事委員会事務局長 藤原隆司  労働委員会事務局長 後藤素子  財政課長      佐藤 章  知事室長      山田雅文  -------------------------------     午前10時 開議 ○土居昌弘副議長 おはようございます。 これより本日の会議を開きます。  ------------------------------- ○土居昌弘副議長 本日の議事は、お手元に配付の議事日程第3号により行います。  ------------------------------- △日程第1 一般質問及び質疑 ○土居昌弘副議長 日程第1、第108号議案から第123号議案までを一括議題とし、これより一般質問及び質疑に入ります。 発言の通告がありますので、順次これを許します。 木田昇君。  〔木田議員登壇〕(拍手) ◆木田昇議員 おはようございます。 25番、県民クラブの木田昇です。 今日は大変年末のお忙しい中にも関わらず、地域の皆さん、地元の皆さんにたくさんお集まりいただき、誠にありがとうございます。これから一生懸命頑張ってまいりますので、どうぞ引き続きよろしくお願いいたします。 質問に入る前に、私もラグビーワールドカップの今回の感動について、一つお話させていただきたいと思っています。 特別な感動を味わうことができました。実は、昨年、県議会からの派遣ということで、知事からの親書をいただいて、オーストラリアラグビー協会を訪問しました。そのとき、あちらのラグビー協会ワールドカップツアー担当のピーター・ギブソンさんというゼネラルマネジャーにお会いして、ぜひ大分に来てくださいという、知事からのインビテーションをお渡ししました。今回の大分の試合にピーターさんがお見えになるということで、議長に配慮していただいて、私も再会することができ、本当に感動しました。お会いして、Thank you for your coming.ということで御挨拶して、去年オーストラリアに伺った者ですがとお話ししたら、ピーターさんは覚えてくださっていて、「おお、約束を守ったよ」ということで、オーストラリアから1,800人連れてきたというお話をいただき、ええっと思って大変感動しました。 当初、大分に宿泊するというのは、1年以上前だったので、かなり難しいという状況はあったんですが、「1,800人のうち8割は大分と別府に泊まっているよ」と。そして、「申し訳ないけれども、2割は福岡なんだよな」というお話をいただきましたが、それだけ誘客していただいたということ。ピーターさんが開口一番、そういうお話をしてくださったということに非常に感動して、もう本当に感極まりました。 来年7月にイングランドと日本の代表戦が大分の会場で開催されるということですので、ぜひイギリスに行って、向こうからチャーター便を手配していただいて、大分にたくさんのお客さんをお招きいただきたいと思います。チャーター便は出発側で企画しないといけないので、こちらから交渉のため向こうに行く必要があると思いますけれども、ぜひ国際色あふれるこの大分の感動を、もう一回来年味わうことができればと思っていますので、ぜひよろしくお願いします。 通告に従って大分県の新たな地方創生について質問します。 まず、まち・ひと・しごと創生総合戦略について質問します。 本県では、平成27年10月に人口減少に歯止めをかけるとともに、人口減少社会に対応することを目指し、同時期に策定した、大分県人口ビジョンを踏まえ、市町村等との連携も図りながら、実効性のある地方創生の取組を進めていくため、まち・ひと・しごと創生大分県総合戦略を策定しました。 あれから4年が経過する中、人口ビジョンの進捗状況を勘案しつつ、現在第2期の総合戦略の策定に向け、見直しが進められています。 今定例会においては、その概要等が報告されていますが、まず、これまで4年間の総合戦略の進捗状況を伺います。あわせて、地方創生の加速前進に向け、新たな戦略づくりに取り組む知事の意気込みをお聞かせください。 次に、関係人口の創出・拡大についてお尋ねします。 本年6月に閣議決定された、まち・ひと・しごと創生基本方針2019、いわゆる地方創生第2期に向けた基本方針では、いくつかの新たな視点が設定され、その中の一つに、関係人口の創出・拡大が盛り込まれています。関係人口とは、定住には至らないものの、継続的に特定の地域との関わりを持つ人たちのことで、この施策が進むことにより、それらの方々の将来的な移住につながるきっかけとなるほか、地域課題の解決に結び付くといった効果も期待されています。 そこでお伺いします。地方の暮らしや地方における課題にゆかりのない大都市圏出身者に対し、地方とのつながりを作り、移住に向けた裾野を広げることにもなる関係人口の創出・拡大の取組は、工夫次第では地域活性化にも大いに貢献することと思いますが、現在見直しが行われている、まち・ひと・しごと創生総合戦略において、関係人口の創出・拡大をどのように位置付け、取り組んでいくのか、県の考えをお聞かせください。 続いて、今ほど述べた関係人口の創出・拡大に関連し、ワーケーションについてお尋ねします。 ワーケーションとは、職場以外で働くテレワークの一種で、仕事、ワークと休暇、バケーションを組み合わせた造語です。これは休暇中の滞在先でパソコンなどを使ってリモートワークをすることですが、あくまでも休暇が主で、勤務割合は休暇全体の中の一部であることが必要とされるため、働き方改革の一つとしても注目されています。また、社員の生産性、モチベーションの向上につながるほか、受入先となる自治体にとっては、観光業などの経済効果だけでなく、都市から地方への新しい人の流れが生まれることで様々な地域の活性化効果ももたらすと期待されています。 ワーケーションでは、滞在施設や仕事を行う拠点、地域での受入体制等の整備が必要となりますが、テレワーク等の拠点整備には、自治体に対する国の財政措置があります。 そこでお伺いします。豊かな自然、温泉、また魅力ある食に恵まれる本県は、ワーケーションを行うには最適な地であり、また、その推進は関係人口の創出・拡大にもつながる有効な手段だと思いますが、ワーケーションに対する県の見解をお聞かせください。 以降は対面で行います。  〔木田議員、対面演壇横の待機席へ移動〕 ○土居昌弘副議長 ただいまの木田昇君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 冒頭、木田昇議員はじめ、大分県議会の皆さん方に大洋州を訪問していただいて、ラグビーワールドカップ大分開催への誘客活動をしていただいたときのお話がありました。木田議員のおかげで1,800人の誘客をゲットできたということでした。改めて御礼を申し上げる次第でございます。 本日は、まち・ひと・しごと創生総合戦略について御質問をいただきました。 大分県では、国の人口ビジョンも勘案しながら、今世紀末でも100万人程度の人口を維持するというビジョンを策定して、総合戦略に基づいて、人、仕事、地域、基盤、この四つを柱に、市町村とともに全力で地方創生に取り組んできました。 しかしながら、今年10月1日現在の本県の人口は113万4千人で、この1年間の人口動態は全体で8,512人の減少ということになりました。自然増減については、ビジョンの見通しにおおむね沿った動きとなっていますが、社会増減は直近で892人の改善が見られたものの、依然として転出超過が大きい状況が続いており、当初の目標だった2020年に社会増減を均衡させようという目標の達成が難しくなっているという状況です。 こうした状況を踏まえて、新たに目指すビジョンでは、まず合計特殊出生率については、現行の目標設定と同様に、2030年に2.0、2040年に2.3まで高めたいと思っています。一方、社会増減については、残念ながら増減均衡を5年先延ばしして、2025年までに均衡させるということにしたいと思います。そして、今世紀末までには人口増加に転じて、90万人から100万人の人口維持を引き続き目指していきたいと思います。 この目標の達成に向けて、新たな総合戦略では、これまで積み上げてきた実績の上に新しい施策を積み上げて果敢に挑戦し、人口減少に歯止めをかけていきたいと考えています。 まず、自然増対策では、子育て満足度日本一の実現に向けて、出会いから結婚、妊娠、出産、育児まで切れ目のない、きめ細かな支援を行っていきます。結婚を希望する若者を後押しするとともに、10月からスタートした3歳未満の第2子保育料の全額免除により、第2子の壁の突破を強力に支援したいと思います。また、地域の子育て応援体制の充実や、さらには不妊治療費助成制度の充実を図りたいと思います。 健康寿命日本一に向けては、データヘルスに基づく生活習慣病対策など、県民総ぐるみでの健康づくりに取り組みます。 社会増対策では、農林水産業の構造改革、商工業、観光・ツーリズムの振興をはじめ、創業、起業や企業誘致を促進することにより、様々な魅力ある仕事の場を確保し、人を呼び込みます。また、5Gの活用やAIによる次世代モビリティサービスなど、先端技術による地域課題の解決とともに、新たな産業の創出にも取り組みます。 さらに、女性が輝き、活躍できる環境づくりに力を入れます。 こうした環境を整えながら、福岡市に新設する交流拠点も活用して、情報発信の強化や県内企業とのマッチングなどにより、UIJターンを加速します。 地方創生は大分県からという気概の下で、課題にひるまず、高い志を持って、新しい大分を切り拓いていきたいと思っています。 その他御質問をいただきましたが、この点については、担当部長からお答えします。 ○土居昌弘副議長 中島企画振興部長。 ◎中島英司企画振興部長 関係人口の創出・拡大についてお答えします。 関係人口の創出・拡大は、地域課題の解決や将来の移住者確保の観点から有効な取組であり、次期総合戦略にも盛り込みたいと考えています。 これまでも安心院の農泊の取組や、大学生の県内各地でのフィールドワーク、小規模集落応援隊など、様々な取組を行ってきています。また、地域おこし協力隊は、県外から県内各地に多数来ていただいていることから、交流促進や相談体制の強化などにより、任期終了後も関係が維持できるよう、ネットワーク作りを図っています。このほか、都市部の若者などが一定期間地域に滞在し、働きながら収入を得て、地域住民との交流などを通して関わりを深めるふるさとワーキングホリデーの検討も進めているところです。 このような、県外の方々と県内各地域の関わりを深め、将来の移住に向けた裾野を拡大していきたいと考えています。 ○土居昌弘副議長 高濱商工観光労働部長。 ◎高濱航商工観光労働部長 ワーケーションについて御質問をいただきました。 ワーケーションは、企業の生産性向上やイノベーション、個人のワークライフバランス改善等につながると考えられ、最近よく聞く言葉になっていると認識しています。 このような観点から様々な取組が始まっていますが、例えば、IT関連企業では、通信環境が整備された場所で、自然などに魅力のある地方への進出機運が高まっているところです。そうした企業に誘致をかけ、姫島や国東、佐伯市宇目のサテライトオフィスへの進出が実現しました。 別府市では、新たな人の流れやアイデア、サービスの創出などを期待し、旅をしながら仕事ができる拠点として、元旅館を活用し、住民と旅行者等との交流が可能なコワーキングスペースを設置したところです。 また、農山漁村に滞在し、農業体験や地域の人と交流を図るグリーンツーリズムでは、ワーケーションを組み入れた旅行商品も出てきていると認識しています。県内にはリピーターの多い安心院の農村民泊など、高いポテンシャルがあるため、新たな誘客などへの広がりが期待できます。 企業ニーズや働き方などを注視しながら、このような取組により、県外から企業や人を呼び込み、地方創生につなげることが大事だと認識しています。 ○土居昌弘副議長 木田昇君。 ◆木田昇議員 知事、答弁ありがとうございました。 人口ビジョン達成に向けての第2期の総合戦略の策定作業はこれからということですので、しっかり練り上げていただきたいと思います。 やっぱり一番大きな課題は社会減対策、流出になかなか歯止めがかからない状況です。果敢にチャレンジする、取り組んでいくということです。今日の私の質問は、ほぼ地方創生関連でラインナップして、質問項目を取りまとめています。いろいろと提案させていただきますので、ぜひ第2期総合戦略の中でくみ上げて、検討していただきたいと思います。ぜひよろしくお願いします。 また、関係人口の創出・拡大を、第2期で取り上げていくということで安心していますけれども、その中で今回は具体的な提案ということでワーキングホリデーを提案しています。今、和歌山県はじめ、南紀白浜とか、かなりの自治体の参加をたくさん募って、ワーケーション受入れ自治体連合というのも発足して、新しいビジネスモデルとして進められているようです。和歌山県いわく、「移住未満、観光以上」の取組を目指すというキャッチフレーズでやっているようですので、そういったところも参考にしていただきたいと思います。 ワーケーションは、個人単位でのワーケーションもあると思いますが、できればやはり企業単位で誘致、PRしていくことがいいのではないかということで、インセンティブをどう付けるのかということ、そして、魅力をどう伝えるかということがポイントになると思います。そういうポイントをつかみながら、東京、大阪、福岡事務所がありますし、今度福岡には新しくUIJターンの拠点の箇所も設けられるということですので、いろんな箇所を使いながら、ぜひワーケーションの誘致、PRに努めていただきたいと思います。よろしくお願いします。 そして、一つだけ再質問します。企画振興部長になると思いますけれども、第2期総合戦略は、今1期が半分折り返しということ、今、前半部分にかかっています。 私もこの4年間見てきて、施策の成果の評価というのが非常に難しいものだと、決算のときなどに思うわけです。KPIの設定ですね。重要業績評価指標が、全体でかなり多く設定されますが、果たしてこの設定でいいんだろうかと、感じる項目もこの4年間にあったわけです。 統計の数字というのは、捉えようによって非常にいろんな見え方があります。例えば今回、日米の貿易交渉がありましたが、関税撤廃率を品目ベースではじくのと、金額ベースではじくというのは大きな違いが出ます。指標の設定というのは、非常に難しいと思います。全体でいくらを目指すとか、平均でいくらを目指すとかいう設定も、それはあるんですけれども、項目によっては、それだけでは施策の評価、測定評価が非常に難しいものもあるのではないかということは、この間、成果の報告の場面で感じたことがあります。 今回、主要施策の成果の評価の仕方というか、報告の仕方を変えるという見直しも進んでいるようですが、KPI自体の設定を変えるのがいいのか、全体の評価の仕方を変えるのがいいのか、そこはまだ研究する必要があると思います。 そういった指標、あるいは成果の測定について、見直しについてどう考えるか、部長の見解を伺いたいと思います。 ○土居昌弘副議長 中島企画振興部長。 ◎中島英司企画振興部長 議員御指摘のとおり、KPIの設定の仕方は大変難しいと、私どもも実感しているところです。 例えば社会増減で、移住については、直接移住に結びつく政策がある一方で、仕事づくりをやって、結果として移住につながるといった事業もあります。それから、人口増の自然増については、なかなかカウントしづらいという側面もあります。 そういったところを考えて、どういったことをどういったやり方でやっていこうかと言うと、例えば、転入増何人ということを目標に置くと、それを果たすための事業はこんなものがありますと、KPIを全部並べていって、そして、なるべく人口増の数字を予測する、想定するといった作業をやって、毎年の転入増加の目標、毎年の人口増加の目標、これに対して事業をしっかりひもづけて、そして、それでまず1年間やってみる。その結果がどうだったかというところをしっかり評価していく。そういったPDCAを毎年、あるいはもっと早い段階で回しながらやっていくということで、成果の実効性を高めていきたいと思っています。 ○土居昌弘副議長 木田昇君。 ◆木田昇議員 議会側にもそういった成果の測定評価がしやすいやり方を、ぜひ提示していただきたいと思います。 全体の目標をどうするのか、達成すればいいのかということとあわせて、では個々の県民の満足度、充足度と言うか幸福感はどうなのかということは、また別だと思いますので、そういったところが分かるような、年を追うごとの変化が見えるようになるといいかと感じています。ぜひよろしくお願いします。 全国都道府県幸福度ランキングという本もあります。あの指標が正しいとは思いませんが、相対的にはああいったことになるのかなという感じですが、そういった分かりやすい指標づくりをぜひお願いします。 冒頭、ラグビーのお話を申し上げました。Thank you for your comingということでお話をしました。実は、ピーターさんは日本語がとても堪能で、それ以降の会話は全て日本語でしています。全て英会話でないということをあらかじめお話しして、英会話をもっと磨かなきゃいけないと感じています。ぜひイングランドの観客誘致に向けて、力を入れていただきたいと思っています。 今日の地方創生関連で、次の質問がありますので、進めます。 二つ目は、企業版ふるさと納税についてです。 政府は、地方創生を実現するためには、いわゆる産官学金労言士の参画と協力が必要であるし、中でも産業界の役割は非常に大きいものがあるとの考えを示しています。こうした考え方に基づき、地方創生の志の高い民間企業から積極的に寄附を募るため、平成28年度税制改正において、地方創生応援税制として、企業版ふるさと納税を創設しました。 本県の企業版ふるさと納税の受入状況を見ると、平成30年度の寄附額が3件70万円のみとなっており、この制度を十分に活用できていない状況がうかがえます。今年度末で特例措置の期限が終了する企業版ふるさと納税制度は、企業の地方への投資がより進むよう、寄附に伴う税の軽減効果の拡充や期限の延長について、国が検討していると聞いています。 この制度の見直しが実現すれば、企業側のメリットは大きくなりますが、実際に寄附が集まるかどうかは自治体の本気度によります。地域の課題解決や、新たな価値を生み出す事業に挑戦しようとしている自治体を、企業は寄附で応援したいと考えるのではないでしょうか。 そこで、来年度に向けて、企業版ふるさと納税に対し、県としてどう取り組むのか見解をお聞かせください。 ○土居昌弘副議長 中島企画振興部長。 ◎中島英司企画振興部長 現在、国では、企業版ふるさと納税に係る税負担の軽減割合を、現行の6割から9割へと引き上げ、認定手続についても簡素化するなど、活用促進に向けた議論がなされています。 県では、こうした動きを捉え、先月、内閣府から担当者を招き、市町村と合同の勉強会を開催したところです。この改正が実現すれば、制度の活用が進み、地方創生の後押しになるものと期待しています。 企業版ふるさと納税を活用するポイントは、まずは企業にこの制度の趣旨をよく分かっていただくこと、そして、企業が積極的に応援したくなるような事業やプロジェクトをいかに構築するかだと思います。このため、まずは誘致企業や本県にゆかりのある県外企業などへ制度の周知を図るとともに、企業がどういった分野で地域貢献をしたいのかといった情報を収集し、事業構築につなげていきたいと考えています。さらに、これらの取組で得られたノウハウを市町村と共有し、本制度の活用促進を図ります。 国の制度改正の動きをよく見極め、早期に事業化できるように取り組んでいきたいと考えています。
    ○土居昌弘副議長 木田昇君。 ◆木田昇議員 ありがとうございます。素早い対応をとっていただいているということで安心しています。企業側の実質負担が1割になるということになれば、かなり進むんだろうと思います。 政府の地方創生第2期の方針の中でも、企業による地方への寄附、投資を用いた地方への資金の流れを強化するというのが入れられていますけれども、これは多分その一つなんだろうと思います。 今、企業の内部留保が460兆円と言われていますが、そういったものも政府としては地方に動かしたいという思いの中で、今回、制度を拡充するのではないかと思います。 難しいのは、どういったプロジェクトを作ってマッチングさせていくのかというところが、一番の課題になってくると思います。今回、全国でいろんな自治体が、この企業版ふるさと納税の争奪というか、キャンペーンに動くと思いますので、ぜひ県としても積極的に取り組んでいただきたいと思います。あわせて、これ以降の質問で、私からもこの企業版ふるさと納税の活用企画、プロジェクトはこういうのがあるんじゃないですかという提案をしたいと思いますので、この後、質問を続けます。 次に、3項目、先端技術への挑戦ということで、先端技術企業の誘致による地域活性化についてです。 先般、千葉県・幕張メッセで開催された、IoTを活用した超スマート社会、Society5.0の実現を趣旨とした、CEATEC2019を視察してきました。展示会の様子は、お手元に参考資料として配付していますが、県が協力して開発しているANAホールディングスのアバター事業も、ちょうどそのとき紹介されていました。そのANAのアバター事業は、この資料の左下がその写真です。幕張にこの釣りざおがあり、向こうに映っている映像が佐伯市蒲江のいかだの生簀ですね、釣堀になっています。この女性の方が釣りをして、実際、タイが釣れているのが下の写真です。こういうのが実演されていたので、私もちょうどいいタイミングで見られてよかったなと思います。釣れて、この後、このタイが幕張で食べられると、そこまでいくとかなりすごい先端技術なんだとも感じていますが、こういった形で、いろんな先端技術の紹介展示を拝見したところです。 ICT、IoT、VR、ドローンなど、現在開発中の最先端の技術を拝見し、ここまで進んでいるのかと大変驚き、刺激を受けたところです。私は、そうした最先端技術に挑戦している数多くの企業を積極的に誘致し、本県を先端技術の開発拠点に成長させてはどうかと思っています。 過疎地域、特に中山間地域は、一般的に企業誘致においては条件不利地域と言われ、また、人口減少により地域の商店の消滅、学校の統廃合や空き家の増加、公共交通の撤廃などが起き、生活環境が悪化しているところも少なくありません。 先端技術への挑戦は、今後も県政における重点課題になると捉えています。 県と姫島村で姫島をITアイランドと銘打ってPRし、条件不利地域における企業誘致のモデル事例として、これまでIT企業2社の誘致に成功しています。この成功を機として、次は過疎地域や中山間地域において、先端技術企業の誘致による地域活性化策を展開してみてはどうか考えますが、知事の見解を伺います。 続いて、IT技術者の育成・確保についてです。 将来的にあらゆる産業や日常生活において、ITは必要不可欠なものとなり、重要度がさらに増すことは確実です。一方、経済産業省が委託し、本年3月にみずほ情報総研が公表した調査報告書によると、2030年には、日本のIT人材が最大で約79万人不足するとされており、IT技術者の育成、確保は喫緊の課題となっていますが、大都市圏と異なり、地方ではITを使った様々な先端技術に触れる機会が少ないため、ITに取り組もうとする若者の意欲を引き出すことが難しく、互いに知識や技術を切磋琢磨する環境にもありません。 先端技術への挑戦にあたっては、言うまでもなく、県内の人材育成が重要です。これからの先端技術の発展を担う人たちが、必要なスキルを身に着ける場を設け、また、先端技術に触れる機会を増やすこと等により、IT技術者の育成、確保に取り組む必要があると考えますが、県の見解をお伺いします。 続いて、子どもたちの科学体験についてお尋ねします。 本県では、かねてより、「大分に科学館を」との声が出されており、いくつかの団体が確かな科学的思考と豊かな感性に支えられた子どもを育てようと、科学館の設立を目指す取組を行っています。 また、最近の他県の例を見ると、高知県において、平成30年7月に、高知みらい科学館がオープンしており、ここは、図書館と点字図書館が併設された複合施設となっています。 ただ、あまりに大規模な箱物となると、初期投資や維持費など、財政面において多様な議論が必要となり、時間もかかると思います。そこで、まずは小規模でいいので、AR、VR、MRなどの、いわゆるXRというIT技術を駆使した機器を導入し、例えば私が視察したCEATEC2019で体感した先端技術が体験できるような「おおいたサイエンスミュージアム」として常設を検討してはどうかと考えます。ITに興味、関心がある子どもや若者たちが先端技術を身近で体験できれば、先端技術へ挑戦するきっかけにもなりますし、将来のIT技術者に育つ可能性も大きくなります。 すぐに建設の判断を、とは問いませんが、そうした、いつでも先端技術などの科学体験ができる拠点づくりに向け、研究会あるいは検討会を立ち上げてはどうかと思いますが、県の見解を伺います。 ○土居昌弘副議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 先端技術への挑戦ということでいろいろ御質問をいただきました。まず、私から、先端技術の誘致による地域活性化についてお答えします。 冒頭、木田議員から、先端技術の見本市、CEATEC2019の御案内がありました。大変興味深く拝見しましたが、その中で、ロボット、アバターによる蒲江の釣堀の案内が出ていましたが、私、いつもANAホールディングスさんにお願いしているのは、このアバターによる釣堀体験、ぜひ最後は惜しいところで釣り落とすようにしてくれと、そうすると、必ず蒲江に来てくれるようになるんじゃないかと、こう言っているんです。企業誘致もそうですけれども、とにかくいろんな意味で先端技術を活用しながら、PRとかいろんなことに、大分県の活性化に活用していくというのは、非常に大事な時期に来ていると思っているところです。 議員から、これを利用して企業誘致をやったらどうだということでしたけれども、大分県では好調な景気の後押しもあり、これまで集積効果が特に発揮され、この4年間は毎年過去最高の誘致件数を達成しているところです。 中でもIT関連企業の誘致は、昨年度過去最高の8件となるなど増加傾向にありますが、うれしいことに、情報関連技術の進展や、柔軟で多様な働き方を求める動きなどから、これまで誘致の進んでいなかった地域においても、IT関連企業の進出の可能性が高まっているところです。都市部ということではなくて、いろんな地域に可能性が出てきたということです。 一昨年、姫島村に進出したIT企業2社では、現在10人の技術者を雇用しており、東京からの移住のみならず、姫島出身者のUターンの受皿にもなっています。先月22日には、佐伯市宇目に整備したサテライトオフィスに東京のIT企業が進出を表明しました。進出する企業は積極的な地元雇用だけではなく、地元産品のECサイトでの販売など、地域の振興に積極的に貢献する意欲を示しており、大変期待しているところです。 このような好機を逃さないことが大切ですが、誘致の進んでいない地域では、拠点となる場所が少ないとか、エンジニアの雇用が難しいのではないかなどの課題がありますので、引き続き、拠点となるサテライトオフィスの整備を市町村とともに進め、さらに人材確保の支援についても積極的に取り組んでいきたいと思っています。 他方、企業誘致は地域間の競争でもあり、先端分野の企業を中山間地域等の条件不利地域に呼ぶことは、そう簡単ではありません。 今後の企業誘致では、IT化の波はもちろんですが、5Gの実用化やAI技術の進展、また、SDGsやBCPへの対応など、世の中の動きを踏まえた企業ニーズを的確に捉えて進めていくことが大変大事だと思っています。 また、人手不足の中、いかに優秀な人材を確保するかということは、企業の主要な課題となっています。姫島や宇目のように自然豊かな地域の魅力を、雇用確保に有利という売りで誘致していくということも一案であろうかと思います。ワーケーションの考え方等で生きていくと思います。 本県では、高速道路の霧対策に係る県外企業との5Gを活用した実証実験や、防災・減災対策の情報活用に係る世界的なソフトウエア企業との連携など、先端分野における様々なプロジェクトを実施しているところです。 議員が視察された、東京からでも蒲江の釣り体験ができるようなアバター事業にも、ANAや県外のベンチャー企業が参加しており、世の中の新たなニーズを捉えて、それを技術の面で地域活性化につなげていこうと考えているところです。 先端技術企業の誘致は、一筋縄ではいかない難しい挑戦でもありますが、県外企業やグローバル企業との連携を通じて、大分の中にいるだけではなかなか見えづらい世の中のニーズや変化を把握するとともに、立地が進んでいない地域が持つポテンシャルと企業ニーズがどうマッチするかということも大変考えどころでして、ぜひそういう点も探って進めていきたいと思っているところです。 ○土居昌弘副議長 高濱商工観光労働部長。 ◎高濱航商工観光労働部長 IT技術者の育成、確保について御質問をいただきました。 本県では、先端技術への挑戦を下支えする取組として、IT技術者の育成、確保に取り組んでいます。 まずは、若い世代に興味を持ってもらうことが重要です。このため、小中学生を対象としたプログラミング教室や、高校でのIT企業の紹介等を行っています。IT企業の紹介で実際に先端技術に触れ、刺激を受ける生徒も多いところです。 次に、興味を持った若者を一人前の技術者とするため、県内のIT企業が共同でプログラミングを教える取組を支援しています。さらに、既にIT技術者となった人材が技術を磨いていくため、県内IT企業の社員等が、ワークショップ等を通じて、IT技術に関して広く学ぶ、おおいたIT人材塾や、県内企業が県外企業と開発合宿等を行い刺激し合う交流事業に支援しています。 また、県外の人材を呼び込むことも必要です。このため、おおいた県IT部を立ち上げ、首都圏の若者などに対し、温泉や食といった本県の環境の良さやIT業界の魅力などを、口コミやSNS、ウェブサイト等で発信しています。 今後もこれらの取組を充実させることで、IT技術者の育成、確保に努めていきたいと考えています。 ○土居昌弘副議長 工藤教育長。 ◎工藤利明教育長 子どもたちの科学体験についてお答えします。 科学体験の拠点の必要性については、つとに県議会でも議論され、商工労働部とともに検討を重ねて、平成22年7月から少年少女科学体験スペースO-Laboを開設して、現在10年目を迎えたところです。人気は年々高まり、参加者数は開設当初の1,914人から昨年度は5,865人と約3倍に拡大しました。 最近のIT技術の進展に合わせて、プログラミングやドローン講座を開設したり、昨年の国民文化祭のレガシーを継承して、JAXA、JAMSTECと連携した講座や展示を企画したりするなど、時代の変化に対応した柔軟な取組を継続的に行ってきています。 少子化の続く中、科学や技術に触れられる機会を持続的に提供しながら、子どもの将来における自己実現を支える仕組みづくりを目指した本県の取組は、子どもたちや保護者からも一定の評価を得ているところです。 今後もO-Laboのさらなる充実に取り組むとともに、県内各地の地元企業や高校、大学などとも連携して、先進的、専門的科学技術に触れる機会を多く提供して、子どもたちの科学やIT産業への関心を高めていきたいと考えています。 ○土居昌弘副議長 木田昇君。 ◆木田昇議員 ありがとうございます。先端技術企業の誘致についてですが、最近テレビ放送でも首都直下地震の特番が組まれていますが、企業の中では、バックアップオフィスとして地方に拠点を設けるのも一つの手法じゃないかとの声も実際聞いたことがあります。そういったところも踏まえていただきたいと思います。 そして、サテライトオフィスに伺っていろんな話を聞いたんですが、これから5G時代、そして、4Kの映像も東京とやりとりするんだということで、通信回線が、バックボーンがちょっと弱いんじゃないか、細いんじゃないかということも聞いています。通信回線のしっかりしたものを準備していただきたいという声も、サテライトオフィスの企業からはあるようです。サテライトオフィスは一時的なものなので、そこから大分に本格的な企業を設けてもらう手前の施設という位置付けもあるので、そういったインフラ整備も心がけていただきたいと申し上げておきます。姫島で海のITが成功したので、次は山のITを何とかしてほしいという声が出ています。ぜひよろしく。今回、宇目にできていますが、ぜひ広げていただきたいと思っています。 そして、人材育成、確保のことで、沖縄県の事例を紹介します。第2期の戦略でも、先端技術への挑戦は大きな柱ですけれども、こういう取組がやはり挑戦につながるんだろうという事例です。沖縄県は、沖縄ITイノベーション戦略センターをつくって、ITのビジネスマッチング、国際見本市の招聘、商談会もしていますし、人材育成、確保の支援、大学との連携等もしていますし、新ビジネスの起業支援といった取組をするということで、官民協働で県も出資して戦略センターを設置しています。県庁から4人の職員が出向し、民間からは7人が出向して取り組んでいるということですが、こういった沖縄の取組について、商工観光労働部長は御存じかどうかお尋ねします。 ○土居昌弘副議長 高濱商工観光労働部長。 ◎高濱航商工観光労働部長 沖縄ITイノベーション戦略センター、そこは認識しています。議員が言及された、沖縄ITイノベーション戦略センターは、正に世界の最先端の動きを捉え、それを踏まえた施策を立案し、そして、その施策を県民にも分かりやすい形で発信していくという、そういった機能だと認識しています。 ○土居昌弘副議長 木田昇君。 ◆木田昇議員 私も今回この質問にあたって、そういう沖縄の取組を知り得たわけですけれども、いつか機会があったら、現地を視察したいと思います。ホームページを見ただけでも、かなりすごい取組をしていると認識していますので、こういった取組を、ぜひ強化していただきたいと思います。 世界でもIT人材不足で、今、数百万人不足しているということです。先日、新聞報道にあったんですが、中国のファーウェイは、新卒の学生を年収2,600万円で採用すると。そこまでしないと集まらないということだそうです。ファーウェイ日本企業では、新卒月給40万円と記載がありましたが、それだけやはり人材確保に躍起になっているということが世界の流れだと解しました。ぜひこの沖縄ITイノベーション戦略センターの取組を参考に、強化していただきたいと思っています。 そして、ここで一つ、ふるさと納税の関係ですが、石川県の加賀市は、企業版ふるさと納税ではないとは思うんですが、2千万円を募ってIT施設をつくったのですが、やはり人材育成とかそういった面で機能が不足だということで、機能拡充を図るために、また、ふるさと納税で2千万円を募集して機能強化するということがあります。ぜひ参考にしていただきたいと思います。ぜひそういった先端技術の戦略センターが、大分にもできるといいと思っています。 そして、科学館の関係、今、戦略センターの話もしましたが、そういった施設との併設でもいいんじゃないかと思います。大分の環境というのは、映画館ではまだ3D映画しかないわけですね。4D映画は博多まで行かないと見られないというのが大分の現状です。なかなかCEATECのような展示会も大分であるわけもなく、ぜひ子どもたちがそういう科学技術を目の当たりにできる、常設の施設を検討してはどうかということをお尋ねします。 先日、ホルトホールであったサイエンスフェス2019に行って、小学生の皆さんがいろんな科学実験やプログラミングなどを体験しているのを見ました。これはいいことだと感じています。教育長、検討会、研究会というのを、もう一度検討の場を設けて、どういった科学体験の場があるべきなのかという議論をしていただきたいということが質問の趣旨です。そのことについてお答えください。 ○土居昌弘副議長 工藤教育長。 ◎工藤利明教育長 御質問の中にあったように、現在、大変なスピードでいろいろなものが進んでいます。そして、もう既に10年も経過しているではないかという状況もあろうと思います。そういった面についてもしっかりアンテナを高くして、またいろんな情報を集めて、我々も勉強していきたいと思っています。 ○土居昌弘副議長 木田昇君。 ◆木田昇議員 高知県でも、県市協力して、昨年オープンしたということです。今の時代、どういったものが必要なのかということは、いろんな人材育成から考えると、部局を越えた判断が必要と思いますので、ぜひ検討いただきたいと思います。よろしくお願いします。 それでは、4点目、MaaSについてお尋ねします。 MaaSとは、モビリティ・アズ・ア・サービスの頭文字をあらわしたもので、北欧のフィンランドで生まれた新しいモビリティサービスの概念です。いろいろな解釈がありますが、ICTを用いて公共交通機関等による移動をシームレスにつなぐことを言います。 具体的なイメージとしては、スマートフォンのアプリケーション等を使って、目的地までの最適な経路の検索から移動手段の予約、料金決済までを一度に行えるようにするもので、移動の効率化により都市部での交通渋滞や環境問題、地方での交通弱者問題などの解決に役立つものと期待されています。また、本県では、来県者の二次交通の課題もあるため、このサービスの活用により、彼らの移動の最適化にも大きく寄与するものと思われます。 既に多くの自治体でMaaSの導入や実証実験が始まっており、国土交通省は、2023年度までに、全ての都道府県でのMaaSの実現を目指すとしていますが、県のMaaSに対する見解と、今後どのように取組を進めていくのか、その方針についてお聞かせください。 ○土居昌弘副議長 高濱商工観光労働部長。 ◎高濱航商工観光労働部長 MaaSについて御質問をいただきました。 MaaSを含む次世代のモビリティサービスは、過疎地の移動手段の確保、観光地域や大規模イベント施設へのアクセス対策など、移動や交通に係る様々な地域課題の解決と地域の活性化に貢献すると考えています。 県では、7月に次世代モビリティサービスの在り方に関する検討会を立ち上げ、地元交通事業者等とともに地域の幅広い交通課題に対して先端技術を活用した解決策の検討を開始しているところです。また、この検討会の中で県全体として、次世代モビリティサービスの実装に向け、MaaSを含めた全国の導入事例の紹介や交通事業者、システム事業者へのヒアリングも行っているところです。 今後も移動の最適化や利便性、効率性の向上のみならず、新たな経済価値を生み出す仕組みづくりなど、各地域における次世代モビリティサービスの検討の中で、MaaSも重要なテーマの一つとして、議論していきたいと考えています。 ○土居昌弘副議長 木田昇君。 ◆木田昇議員 ありがとうございます。このMaaSについても、政府の第2期総合戦略の方針に位置付けられていると捉えています。大分県での、この二次交通の課題というのもあると思います。例えば大分空港から国宝富貴寺に行くとルート検索したときに、果たしてこのルートが今正しく出るかどうかということが大きな課題になると思うんですが、それをこのMaaSで解決しようということになってくると思います。 国が全都道府県でMaaSを実現するということですが、私はまだ、国交省がどういった方針なのか、把握、承知していません。国はどのレベルの、MaaSは5段階、レベル4までありますので、国としては、どの年度にMaaSレベル3を目指すのか、2まで行きなさいというような方針を持っているのか、あるいは大分県として、どのようなMaaSレベルを目指して、これから議論していこうとしているのか、その考え方をお聞かせください。 ○土居昌弘副議長 高濱商工観光労働部長。 ◎高濱航商工観光労働部長 国がどのようなMaaSを各地方でやろうとしているかというところは、現在承知していません。 県としては、MaaSの動き、国全体の動きもあります。また、これは別に我々が整備しないと進まない話でもなくて、きちっと環境さえできれば、民間の方がどんどんMaaSとして各地域で始めていきます。実際、全国各地で行われているMaaSでは、自治体が主導してつくり上げているものもあるんですが、それよりも、環境がそろっているところは民間がどんどん入り込んでMaaSをやっているというところもあります。 県としてどういうMaaSを目指すべきか、そこはさきほど申し上げましたが、今議論しているところです。単なる移動の効率性のみならず、やっぱりそこに新たな経済価値を生み出すといったものが、大分県として目指すべきMaaS、次世代モビリティサービスではないかということで、今検討しているところです。 いずれにしろ、MaaSといった動きをしっかりとられるように、環境の整備はしっかり進めていきたいと考えています。 ○土居昌弘副議長 木田昇君。 ◆木田昇議員 分かりました。大分としてオリジナルのMaaSの組立てをしていきたいという思いだと思います。 MaaSは移動サービスの統合レベルを表すいうことでゼロから4まであります。大分はまだ1までいっていないという感覚です。さきほどの空港から富貴寺までを調べたときに出ないというのは、まだ1まで到達していないということですね。1は移動手段と経路はしっかり出て、料金も表示される。決済までできるとレベル2までいきます。ドイツがレベル2で、フィンランドは今レベル3までいっているということです。 国はどこまでのレベルを目指しているのか分かりませんが、大分県はネットワーク・コミュニティをやっていくということで、その中で住民の移動手段を確保することが必要なことだと思うので、そういったMaaSを考えているのだろうと思います。利用するたびにいくら取るのかということ。流行語大賞に入りませんでしたが、サブスクリプション、定額利用といった考え方もあります。そういった、安心で便利で使いやすい交通体系をつくっていくことが、MaaSの一つの基本的な目標だと思いますので、ぜひこれから交通の利便性をしっかりと考えていただきたいと思います。 地方部は公共交通が脆弱になってきていますので、実は今回の項目、交通財政の確立をどうするのかということまで踏み込みたかったのですが、項目数が多かったので、次回また質問したいと思います。そういう将来的な財政の問題も出てくると思いますので、公共交通を、住民の移動手段を保障するということをしっかりと考えていただきたいと思います。 最後の質問に入ります。歴史遺産としての城の活用についてです。 本県では、南北朝の時代から江戸時代に至るまで、山城、守護館や近世城郭など、多くの城が県内全域に築かれてきました。本年5月にNHKで放送されたテレビ番組「日本「最強の城」スペシャル第3弾」で竹田市の岡城が最強の城として選ばれたことは記憶に新しいところですが、それぞれ当時の城づくりの技術や、歴史上の人物の面影を感じることのできる価値ある遺跡となっています。 遺産を観光資源として活用するヘリテージツーリズムという考え方がありますが、近年、日本は空前の城ブームで、各地の城や城跡を巡る人が増えています。最盛期に九州6か国を制した豊後大友氏の一族が築いた城のほか、小藩分立の時代にも多くの近世城郭が築かれていることは、本県の特筆に値する特徴だと言えます。 このように、日本の城が改めて注目される中、貴重な歴史遺産である城を後世へ受け継ぐため、その保存に取り組むことは言うまでもありませんが、今後はその活用が求められていくのではないでしょうか。 そこで、大分の歴史遺産としての城の活用について、県の見解を伺います。 ○土居昌弘副議長 工藤教育長。 ◎工藤利明教育長 歴史遺産としての城の活用についてお答えします。 熊本城の損壊や首里城の焼失は大きな衝撃を与えました。それは、城が地域の歴史を物語り、シンボルとして大切に守られて、愛されてきたあかしであり、城跡もまたしかりだと思います。 現在県内には、岡城、角牟礼城や近々国指定史跡となる杵築城をはじめ、12件の国、県指定の城跡、櫓門などがあり、判明しているだけで569件の城跡があります。定期的に清掃や草刈りが行われており、大名行列や観月祭など、四季折々お祭りの舞台としても使われています。中津市では、黒田官兵衛ゆかりの平田城、一ツ戸城、長岩城を目指すウオーキング会の取組や、穴太(あのう)積みの中津城の石垣を堪能できるカフェが売りの歴史博物館が先月オープンするなど、徐々に活用に向けた取組も盛んになってきています。 県教育委員会としては、文化財の保存、継承、活用に向けた大綱を来年度までに策定するとともに、市町村には、これを踏まえて、保存活用地域計画の策定を促すこととしており、多くの城跡の活用に向けた取組にもつなげていきたいと考えています。 ○土居昌弘副議長 木田昇君。 ◆木田昇議員 ありがとうございます。ちょうど先週、NHKのBS番組「英雄たちの選択」で大友宗麟が取り上げられました。これも知事が大河ドラマの関係でNHKを訪問してくださって、その結果として、今回放送になったと思います。大変いいイメージで、新たな大友宗麟公像が出て良かったと、あの番組を見て思いました。ちょうどローマ教皇が来日されたということで、このタイミングで放送されたのだと思いますが、いいイメージで紹介されたと思っています。 今回の質問で、岡城が日本最強の城ということで紹介されたことをお話ししましたが、今、キャッスルアートとか、歴女とか、城ガールというように、城が女性にかなり人気のようです。温泉と組み合わせた城のPRというのがホームページでも紹介されていますが、観光面でもぜひお城も取り上げて、活性化に結びつけていただきたいと思います。 もう時間がありませんが、第2期総合戦略をこれから策定するということですので、ぜひ今日の提案もいろいろと酌み取っていただき、練り上げて、これからワンチーム、ワン大分で取り組んで、大分創生に向けて力いっぱい一緒に頑張っていきたいと思います。よろしくお願いします。ありがとうございました。(拍手) ○土居昌弘副議長 以上で木田昇君の質問及び答弁は終わりました。 清田哲也君。  〔清田議員登壇〕(拍手) ◆清田哲也議員 皆さん、おはようございます。3番、自由民主党、清田哲也です。 令和元年度、2回目の一般質問です。機会をいただきました先輩議員の皆さん、感謝申し上げます。 また、今日は、佐伯より多方面、第一線で活躍されている皆様方、傍聴に来ていただき誠にありがとうございます。 この12月定例会が終わると、一気にお正月が近付いてくる気がしますけれども、年が明けると、すぐにセンター試験があり、我が家にも受験生が1人います。また、来年、令和2年に、大分県内の受験生全員が桜の花の下、志望校に合格できるよう、桜色のネクタイに思いを込めて、子育て環境の整備について、まず質問に入ります。 発達障がい児への支援についてです。 発達障がいとは、「自閉症、アスペルガー症候群その他の広範性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの」と、発達障害者支援法第2条に定義されています。一般的な病気とは異なり、生まれつきの脳機能の障がいであり、コミュニケーションや想像力を働かせることなどが苦手であるといった特徴があります。発達障がいでない人と比べ苦手なことが多い反面、得意なことは人並み以上にできるため、発達でこぼこと呼ばれたりもします。 平成24年度に文部科学省が実施した「通常の学級に在籍する発達障がいの可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査」によると、小中学校の通常の学級において、このように学習面又は行動面において著しい困難を示す児童生徒の割合は6.5%と推定されていますが、これは一クラス30人で換算すると、そのうちの2人は発達障がいの可能性があるということであり、私はこうした児童生徒への支援が喫緊の課題であると考えています。 現在、発達障がいなのかどうかという判断は、1歳6か月、3歳の乳幼児健診や市町村が任意で実施する5歳児健診等で行われていますが、学習障がいに関しては、就学後でなければ確定診断が難しいという特徴があります。早期の診断、発見で適切な療育をいち早くかつ継続的に受けることが症状の改善には不可欠です。 そうした中、本県では、発達障がい児の早期発見、早期支援の取組として、保護者、保育園、幼稚園の職員など、身近な方々に子どもの障がいにいち早く気づいてもらえるよう、発達障がい者支援専門員の派遣や、5歳児健診等における発見率向上のため、一部自治体での健診や発達相談に専門員を派遣するなどの支援を実施しています。また、どの地域においても一定水準の発達障がいへの対応ができるよう、小児科、精神科、内科等の医療機関の従事者を対象にした対応力向上研修にも昨年度から取り組んでいます。 ひきこもりや不登校の子どもたちの中には、未診断で適切な支援を受けたことのない発達障がいであったというケースが多くあると言われており、二次障がいの予防という面でも発達障がいの早期発見、早期支援の重要性は今後ますます高まっていくことから、今まで以上に医療、福祉、教育、就労等の各分野の関係機関が相互に連携し、一人一人の発達障がい児に寄り添い、ライフステージを通じた切れ目のない支援が重要だと考えますが、知事の見解をお伺いします。以降は対面席にて。  〔清田議員、対面演壇横の待機席へ移動〕 ○土居昌弘副議長 ただいまの清田哲也君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 清田哲也議員から、発達障がい児への支援について御質問をいただきました。 10月に日出町の子育て支援センターHUGくみを訪問した際に、発達障がい児の親の会の方から、「子どもが自立するまで家族も含めて支えてくれる環境づくりをお願いしたい」との切実な声をいただきました。発達障がいのある方々への支援は大変重要な課題だと認識しているところです。 本県では、障がい児福祉計画により、成長段階に応じた切れ目のない支援体制の構築を柱として、次の三つの点に力を入れています。 1点目は、早期発見、早期支援です。 まずは、乳幼児期に適切な支援につなぐため、市町村が行う5歳児健診等への専門医の派遣をはじめ、小児科医、精神科医等を対象とした研修会の開催や、地域で発達障がいに関する相談に応じ、適切な支援につなぐ専門員の養成と派遣等に取り組んできました。また、保育所や認定こども園で早期発見に重要な役割を果たす保育コーディネーターを、昨年度までに490人養成したところです。 2点目は、切れ目のない支援のための基盤づくりです。 これまで地域で障がい児やその家族に対して専門療育等を行う児童発達支援センターを、県内6圏域に15か所整備してきました。 また、発達障がい児がその成長段階に応じて継続的に支援を受けられることが重要です。そこで、発達障がいの専門相談機関である発達障がい者支援センターECOALで市町村、保育所、学校、医療機関等をつなぐ連絡協議会を開催して、連携強化を図っているところです。さらに、保護者と学校など、関係機関相互の情報共有と確実な引継ぎのため、市町村教育委員会が中心となって、本人の生育歴や支援内容等を記録した相談支援ファイルの一層の活用も進められています。就労についても、発達障がい者等を採用する際に職場指導員を配置する企業に県単独で助成しています。 3点目は、家庭への支援です。 悩みや不安を抱える保護者に対して、同じ立場で傾聴するペアレントメンターの養成や派遣を行うとともに、昨年度から子どもの特性への理解や関わり方を学ぶ研修会を6圏域で開催しました。家庭に寄り添った支援を強化しています。 加えて、本年度から障がいのある子を持つ親の「自分たちが世話ができなくなったらどうなるのか」という不安にきめ細かに対応する、親なきあと相談員の養成も始めたところです。 このような取組を進め、発達障がいのある子どもとその御家族が、その特性に応じた支援を切れ目なく受けて、地域で心豊かに育ち、学び、働けるように、一層力を注いでいきたいと考えています。 ○土居昌弘副議長 清田哲也君。 ◆清田哲也議員 ありがとうございます。 私たちが子どもの頃は、こういう発達障がいという言葉もなくて、それが故に症状に苦しんでいた同世代の方もいらっしゃるんじゃないかと思います。 また、知事の答弁にもあったように、近年、県が非常に多彩な取組をしている中で、いわゆる早期発見という部分が、かなり功を奏してきている。また、基盤づくりという点でも、近年頑張っていただいている中ですが、ただ、やっぱりニーズがその基盤づくりをちょっと追い越している状況というのが一つあります。 また、福祉保健部長にお尋ねしますけれども、利用されていた方からのお話の中で、そういう疑いがあるから初診を受けて療育をという勧めを受けた方が、別府の療育センターを紹介されました。そこで申込みをしてから、初診を受けるまでに順番待ちの状態が半年あったということです。そういった現状があって、その半年間に非常に不安を感じたという意見をいただきました。また今後、療育施設、診療施設の充実に向けたさらなる取組を非常に期待したいところですが、それについての見解をお聞かせください。 ○土居昌弘副議長 廣瀬福祉保健部長。 ◎廣瀬高博福祉保健部長 療育を行う施設がやっぱり少ないのではないかということだと思います。 まず、発達障がいの診断に加えて、言語療法等も可能な専門医療機関は、今、県内に8か所あります。ただ、これらの機関に受診希望が集中するため、議員がおっしゃったとおり、初診の場合、申込みから診察までに1か月から半年程度お待ちいただくという状態が生じている状況です。 これを改善するためには、地域で発達障がいの診察や相談に応じる医師を増やした上で、まずは各地域での受診を促し、その方は専門的医療機関での受診が望ましいのか、又は市町村につないで、地域の児童発達支援センター等で療育を行うのがいいのか等をまず見極めることで、専門医療機関への集中を緩和していくという支援の流れをつくることが必要だと考えています。 しかし、発達障がい児への対応は専門性が高く、高度な知識と技術が必要とされるので、昨年度から、さきほど答弁にあったように、県内全体の小児科医や精神科医等を対象にして、発達障がい支援の対応力向上研修を開催しており、現在までに47医療機関57人の医師がこの研修を修了して、発達障がい児への受診体制の充実を図っているところです。ちなみに議員の出身の佐伯では、杉谷診療所の井上医師がその研修を受けています。 さらに昨年度、地域でスムーズな受診につながるように、発達障がい者支援センターECOALにコーディネーターを配置して、専門医療機関の受診状況等を小児科や市町村担当課に情報提供しています。 今後も引き続き、これらの取組を推進するとともに、市町村、専門医療機関、医師会等と連携しながら、各地域における受診機会の充実を図っていきます。 ○土居昌弘副議長 清田哲也君。 ◆清田哲也議員 ありがとうございます。精神科にかかわらず、小児科とか、気軽にふだん行くところで相談等を受けられる体制に非常に期待していますので、よろしくお願いします。 そして、また、知事の答弁にもあった支援ファイルについてですが、ライフステージに応じた一貫した支援体制確立のためということで、幼稚園、小学校、中学校、高校と成長段階に応じた対応を教育現場で受けられるように、学校現場との情報共有を推進するために非常に不可欠な支援ファイルだと思います。有効だと思っていますが、この相談支援ファイルの教育現場における活用の状況やファイルの周知に関して、現状どうなっているのかお伺いします。 ○土居昌弘副議長 工藤教育長。 ◎工藤利明教育長 相談支援ファイルの活用状況や、周知の状況についてお答えします。 県教育委員会では、相談支援ファイルの配布窓口や役割などを周知するためにパンフレットを作成して、平成29年度から3年間で、公私立の保育園などから高等学校まで、全ての幼児、児童生徒の保護者に約19万部を配布しました。 相談支援ファイルは、例えば佐伯市では、平成22年度から各機関で配布を開始して、現在253人が所有しています。小中学校では、保護者が学校作成の個別の教育支援計画などをファイルにとじて、関係者が集まって支援内容を検討するケース会議で情報を共有する、又は進学した際の引継ぎ資料にするなどの活用が図られています。また、学齢中は学校で保管して活用している竹田市の例もあります。 今後も乳幼児期から就労後まで切れ目ない支援が行われるように、相談支援ファイルに必要な情報を記載し、関係者間で共有を図るなど、ファイルの周知、活用に努めていきたいと考えています。 ○土居昌弘副議長 清田哲也君。 ◆清田哲也議員 ありがとうございます。一層の周知、活用をよろしくお願いします。 そして、相談窓口の件ですが、さきほど答弁にあったように、小児科とか、そういうところで気軽に相談できる体制が今後整っていくんだろうと思います。現状、診断された後ではなくて、最初の段階で、「ひょっとしたらうちの子、そういうのがあるのか」と、不安に思われている方がまず行くところはどういうところがあるのかと見たら、大体、各自治体の担当課が窓口という記載がありました。そうなると、なかなか気軽に相談に行きづらいと、そういう声も聞きます。 その中で、さきほどの支援者の講習など、そういうものが今後広まっていけば解決していくんだろうとは思うんですが、小児科とか、保育園、幼稚園、できれば地域の児童館とか放課後児童クラブとか公民館等でも、気軽に、ちょっと親御さんの相談が受けられるような支援体制の確立というところまでも視野に入れていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。 ○土居昌弘副議長 廣瀬福祉保健部長。 ◎廣瀬高博福祉保健部長 ちょっと気になるけれどもどうだろうというときに、相談窓口が自治体だと敷居が高いということです。 子どもの発達が気になる保護者が、身近で安心して相談できる体制をつくるために、発達障がい児の特性に関わりがある方を増やしていく、理解していただける方をたくさん増やしていくことが大切なことだと考えています。 そのため県では、さきほど申し上げたように、地域の小児科医を対象にした研修会とか、福祉事業所職員、教員などを対象とした発達障がい者支援専門員の育成、そして、保育所や認定こども園の保育士を対象とした保育コーディネーターの養成、また、発達障がいの子どもを育てた経験のある方の意見やお話も大切だと思いますので、そうした保護者の方の意見を聞けるようなペアレントメンターの育成を行っています。各地域のいろんな場面において、保護者の方が相談できるよう、発達障がい者の支援者を増やしていくという考え方でやっています。 これらの取組を継続して、市町村の障がい福祉の担当課だけではなく、例えば、市町村母子保健とか子育て担当課、そうした担当課をはじめ、保護者にとってより身近な地域の小児科とか内科などかかりつけの医師、保育所や認定こども園など、気軽に相談しやすい体制づくりに取り組んでいきたいと考えています。 ○土居昌弘副議長 清田哲也君。 ◆清田哲也議員 その取組に期待したいと思います。 一時期よりだいぶ認知と言うか、PTAなどでも保護者の皆さんも、ちょっと知識が入ってきているという気はします。周りのフォローで、しっかり地域で子育てをしていくということにもつながりますので、よろしくお願いします。 続いて、障がいのある3歳未満児への支援について伺います。 本年10月から、国の幼児教育・保育の無償化制度が開始され、3歳から5歳までの幼稚園、保育所、認定こども園などを利用する全ての子どもたちの利用料が無償化されたほか、同じく3歳から5歳までの障がいのある子どもたちの児童発達支援等の利用者負担についても無料となりました。また、3歳未満の子どもたちについては、住民税非課税世帯を対象として利用料の無償化が実現したところです。 この国の無償化制度の開始に合わせ、子育て満足度日本一を目指す本県では、大分にこにこ保育支援事業を拡充し、3歳未満の第2子の利用料を半額免除から全額免除としていただきました。大変ありがたい施策だと感謝しているところです。 しかしながら、障がいがあるため、障がい児施設や児童発達支援センター等に通って保育を受けている3歳未満の子どもの療育費については、この無償化の対象になっていません。私はこうした支援があってこそ、障がいのある子どもと親御さんが安心して暮らせる社会の実現につながると考えますが、県の考えをお聞かせください。 ○土居昌弘副議長 廣瀬福祉保健部長。 ◎廣瀬高博福祉保健部長 障がいのある3歳未満児への支援についてお答えします。 10月から始まった幼児教育・保育の無償化は、子育て家庭の経済的負担の軽減を図る少子化対策として制度化されたものであり、3歳から5歳児の保育料を無償化の対象としています。これに合わせる形で、障がい児の発達支援についても、3歳になった後の4月から小学校入学までの3年間を対象に無償化されたところです。 現在、県内で発達支援のサービスを利用している0から2歳の児童の約3分の2にあたる約120人の方が無償化の対象とはなっていません。 無償化の対象を年齢で区分するというのは、できるだけ早期の療育が必要な発達障がい児の立場から見ると、やはり課題があるのではないかと考えますので、まずは、国へ制度の改善を要望していきたいと考えています。 なお、児童発達支援の利用者に対する、にこにこ保育支援事業のような本県独自の負担軽減については、児童発達支援の実施主体である市町村の意見も伺いながら、研究していきたいと考えています。 ○土居昌弘副議長 清田哲也君。 ◆清田哲也議員 市町村では独自にこの制度を取り入れているところもあると聞いているので、また、今後の研究、検討をよろしくお願いします。 また、その中で、障がい、健常者関係なく、施設では、福祉人材確保が今、課題となっています。県で実施している保育士の就業準備金貸付事業は、障がい児保育を実施している児童発達支援センターや障がい児入所施設等で従事する保育士がその対象となっていない現状があります。また、離職介護人材再就職準備貸付事業も、障がい児・者施設で従事する介護福祉士等の職員が対象外となっています。こうした障がい児保育及び障がい者施設においても、現場では人材確保が非常に困難を極めている状況があります。この検討も今後の課題として加えていっていただけたらと思います。 次の質問にまいります。中学校と高校の連携についてです。 小学校と中学校の連携は、中1に進学した際に、新しい環境での学習や生活にうまく適応できないといった、いわゆる中1ギャップの解消という面からも大変大切であり、現在、小中一貫教育をはじめ、各市町村の教育委員会、各校PTAを中心に様々な取組がなされています。 佐伯管内では、市町村合併以降、旧町村部で小中学校の統廃合が進んだ結果、新設の小学校と中学校が同一の敷地内若しくは隣接して建てられ、現在では8校において小中一貫教育の環境が整っています。これは少子化というマイナス要因が、教育環境の充実という観点では逆にプラスに転じたものと、私は感じています。 また、統廃合されていない市街地の小中学校においても、相互が学校訪問や授業見学を実施するなど、施設整備は伴いませんが、小中の連携を深める取組が行われています。 私は、こうした小中の連携と同様に、中高の連携を深める取組も重要だと考えています。中高連携では、まず中学校側から見ると、教員にとっては高校入学までに生徒がどのような力を身に付けておくべきか分かることによって、今後の授業に役立てることができますし、生徒も自分の進路を真剣に考える機会を得ることができます。また、高校にとっても中学生に選んでもらえるよう、魅力ある学校づくりに取り組むインセンティブにもなります。 そこで、県では、これまで中高連携会議の開催をはじめ、様々な取組を行っていますが、中高連携に関しての現状と課題、そして今後の対応について、教育長の見解を伺います。 ○土居昌弘副議長 工藤教育長。 ◎工藤利明教育長 中学校と高校の連携についてお答えします。 生徒の発達段階に応じた計画的、継続的な学習指導や生徒指導、将来の進路選択につながるキャリア教育の推進など、多くの点で中高の密接な連携が大変重要です。 現在、各高校では、春、秋の年2回、生徒出身中学校との連絡会や、入学希望者への進路説明会、オープンスクールの開催など、情報提供に努めているところです。また、例えば佐伯豊南高校のフラワーアレンジや手話などの小中学校への出前講座、佐伯鶴城高校の科学部の生徒による科学実験講座の開催など、様々なアプローチに取り組んでいます。 校種を越えた教員などで構成する、中高の学びをつなぐ連携協議会では、高校入試結果を踏まえて、学力の定着、向上を図る授業改善なども議論されています。 地域の高校の定員割れが課題となる中で、地域課題に係る研究発表会を中高合同で開催するなど、地域ごとの連携も進んでいます。高校の維持存続を図るためには、中高連携をさらに強化する必要があり、今後は高校魅力化の事業において、中高連携を採択要件とするなどによって、連携を一層促進させていきたいと考えています。 ○土居昌弘副議長 清田哲也君。 ◆清田哲也議員 教育長、大変心強い答弁、ありがとうございます。 一つ事例を紹介させていただきたいと思います。佐伯鶴城高校1年生で、将来教育学部を志望する生徒が、昨年、佐伯市教育委員会の小学校における研究授業を見学して、さらにその後の先生方が参加する研究授業についてのディスカッションの場にも参加させてもらいました。実際に教員の仕事場を実体験することができ、将来の進路選択にとって大変有意義で、生徒たちも大きな刺激を受けたとのことでした。 このように、逆に高校のために各市町村の教育委員会ができることもあろうかと思います。地域の高校では、公立、私学を問わず、生徒数の確保が大きな課題となっており、地域の高校を残し、発展させるためにどうするか、現役生徒の保護者はもとより、同窓会、市町村も大きな課題として捉えています。 佐伯鶴城高校においては、ほかにも校長先生と語る会というのもあります。私もずっと、約6年間参加していましたが、これは校長先生をはじめ各教科担任、部活動の先生方が、PTA役員とともに各中学校区に出向いて、高校の取組、部活動の様子、進路の状況などを、小中学生とその保護者に対して説明するものです。佐伯市では大分市に進学する生徒もいますが、延岡市に行く生徒もまあまあいるわけであって、この地元の学校の魅力をいかに伝え、生徒をいかに確保していくかということが、県立、私立共通の課題であり、お互いが特色を磨きながら発展していくことが地域の発展だろうと思っています。 また、先般、自民党の私学振興調査会で、東京の英語教育に特化したところを見ました。もちろんその英語教育はすばらしかったです。男子校、共学、女子校と見ました。そのときに思ったのが、英語教育だけではなく全般の、もちろん中高一貫でやっていますので、そのメリットはあるんですが、私が感じたのは、将来同級生の大分の子たちとこの子らが、どこかで競い合う場が来るんだろうと。例えば同じ会社に入るとか、何か同じ試験を受けたときに、これはなかなか厳しい戦いになるという思いがしました。負けちゃおられんというところで、今後、より一層の中高連携で、その分をカバーできるような形で、また、各市町村の教育委員会と教育庁とが連携しながら、しっかりたくましい大分の人材を育てていっていただきたいと、そういう思いですので、よろしくお願いします。 次の質問で、大分県安全・安心まちづくり条例の一部改正についてお伺いします。 誘拐、通り魔、交通事故など、子どもたちを巻き込んだ痛ましいニュースを聞くと胸が痛みます。いつもどおりの通学路や遊び場が事件現場、事故現場に変わる可能性を排除していくためには、教職員や保護者等の目の届かない時間、場所でどうすれば子どもたちの安全を確保することができるかということを考えなければなりません。 現在、老人クラブ、PTA、経済団体などが各地域において、パトロールや登下校時の交通指導を行いながら、子どもたちを見守ってくれていますが、私は学校と所管の警察署、地域の3者の連携を深め、情報を共有することが犯罪に強い地域社会の確立の第一歩になるだろうと考えています。 そうした中、今定例会において、県は大分県安全・安心まちづくり条例の一部改正議案を提案しています。改正内容を見ると、第26条に規定している通学路等における児童等の安全の確保について、実施主体をこれまでの警察署長から警察署長、通学路等の管理者、地域住民、児童等の保護者並びに学校等の管理者に改め、全ての関係者が連携して取り組むこととしています。また、具体的な取組については、指針を定める旨もあわせて規定されています。 そこで、今回の条例改正を踏まえ、犯罪や交通事故から子どもたちを守るため、今後どのように地域や関係機関との連携を促進し、安全確保に取り組んでいくのか、知事の考えをお伺いします。 ○土居昌弘副議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 清田議員が御心配のように、次代を担う子どもたちの安全を確保するということは、大人の責任であり、社会全体で子どもたちを守っていくという姿勢を示して取り組んでいくことが重要だと思っています。 5月の川崎市の事件がありましたけれども、犯人の動機も判明していませんし、先月は八戸市で少年が加害者になる事件が発生するなど、対応が非常に難しい問題でもあります。 県では、子どもたちの安全確保に向けて、川崎での事件発生後、速やかに開催した臨時部長会議で、見守りの目を増やす、大人が声をかける、すぐに逃げることを子どもたちに教える、不審者情報の共有の4点を確認して、具体的に取組を進めているところです。 こうした取組をより効果的に進めるためには、行政や関係機関、団体のみならず、県民、事業者を含め、それぞれが意識を高めながら、地域社会全体で取り組むことが肝要です。このため今般条例を改正して、関係者の役割を明確にするとともに、具体的な活動や連携についての指針を新たに策定して、取組を進めていくことにしています。 例えば、見守りの目を増やし、大人が声をかけるでは、散歩や仕事をしながら子どもたちを見守る、ながら見守りを普及します。金融機関やタクシー会社等の事業者に直接協力を依頼するとともに、県内139か所の交番、駐在所に設置されている連絡協議会等を通じて、住民への参加を呼びかけたいと思います。 すぐに逃げることを子どもたちに教えるでは、防犯教育を充実します。危機回避の力を養う地域安全マップづくりにあたっては、子どもたちと地域の方が一緒に街に出て、危険箇所や緊急時に駆け込むことができるこども連絡所を確認するなど、地域でのコミュニケーションを深めて、子どもたちが声を出しやすい環境づくりを進めます。 不審者情報の共有については、住民と接する様々な機会を通じて、まもめーるの登録をお願いするとともに、不審者情報などの速やかな通報を呼びかけて、子どもたちの安全のために共有すべき情報の充実を図っていきます。 また、県内では、中学校区ごとに、学校、警察、保護者、行政、地域住民等の関係者が集まって、子どもたちの見守りについて意見や情報を交換し、活動している事例があります。このような優れた取組を積極的に紹介して、県内各地域での好事例の横展開で、関係機関と地域との連携強化につなげていきます。 こうした取組を丁寧に展開して、子どもたちを守る大人の意識を高めるとともに、地域社会のネットワークの再構築につなげることによって、安全で安心なまちづくりの実現に努めていきたいと思っているところです。川崎の事件を、大分県の子どもを守る対策にぜひ生かしていきたいと思っています。 ○土居昌弘副議長 清田哲也君。 ◆清田哲也議員 知事、ありがとうございます。 正に警察だけに任せるのではなくて、しっかり連携をとりながら、地域でいかに守っていくかということをうたい込んだ非常にいい条例だと思っています。 その中で、交通安全の部分に関して触れさせていただきたいと思います。おもてなし予算というのがラグビーのおかげであります。平成29年度と30年度の比較で、佐伯署管内では、横断歩道の線が薄くなった部分の更新箇所が、29年度は12か所でしたが、30年度は127か所更新していただいて、非常に運転しやすくなったという市民の皆さんの声を多く聞きます。 ただ、まだまだ佐伯だけではなく、大分県全域の各警察署管内で、横断歩道を新しく引き直さないと薄くなっていて危ないというところは多くあると思います。このおもてなし予算なき後の、今後の横断歩道の標示更新をどうするのかということをお伺いします。 ○土居昌弘副議長 石川警察本部長。 ◎石川泰三警察本部長 県警では、平成30年度から令和2年度までの3か年については、例年の交通安全施設整備費に加えて、さきほど議員御指摘のおもてなしの交通環境整備事業によって、計画的に横断歩道の更新などを行うこととしています。県下の全横断歩道は平成30年度末で1万3,570本ありますが、この3か年で、その約半数にあたる約6,600本の更新を終える予定としています。 横断歩道の摩耗状態は、横断歩道上を通過する車両の通行量などによっても異なることから、今後も引き続き県民の皆様からの意見要望も踏まえつつ、状況を精査して、横断歩道などの交通安全施設を適切に管理して、令和3年度以降も計画的に更新していきたいと考えています。 ○土居昌弘副議長 清田哲也君。 ◆清田哲也議員 限られた予算ですので、なかなか全て満足いくようにはいかないと思いますが、要望を聞きながら、各警察署管内での適時な更新をよろしくお願いします。 次に、知事の答弁にもあった見守りということで、配付したこの資料を見ながら聞いていただきたいと思います。佐伯市では、ちょっと先駆けた見守り活動で、佐伯法人会青年部が仕事をしながら子どもたちを見守る、ながら見守り隊を発足させています。佐伯警察署としっかり連携をとった中、また、防犯協会との連携の中です。会員企業150社が資料にあるこのステッカーを車に貼って、仕事中も移動中も子どもたちを見守っています。非常に台数が多く、佐伯市内を走っていると、このステッカーを貼っている車と大体すれ違います。さらに、12月には防犯協会としっかり連携をとりながら、会員企業の車、約100台にドライブレコーダーの積載も行い、見守りの内容をさらにグレードアップさせます。そして、これはいわゆる犯罪抑止力、また、交通事故のときに企業防衛にもなります。非常に台数が多くあるので、このステッカーを貼った車には、1日何台もすれ違いますし、校区単位での見守り活動に加えて、会員数の多い団体が一斉に見守り活動に参加することで、広域的な犯罪抑止効果が期待できる。 このながら見守り隊のような経済団体と連携をとった見守りを、さきほど知事の答弁にもあった横展開ということで、しっかり県下全域のほかの管内にも紹介していただき、広げていってみてはいかがでしょうかと御提案します。いかがでしょうか。 ○土居昌弘副議長 宮迫生活環境部長。 ◎宮迫敏郎生活環境部長 ありがとうございます。ながら見守りは、ウオーキングや犬の散歩、ごみ出しなど、日常活動に防犯の視点を加えて見守り活動を行うものです。少ない負担で見守りの担い手の裾野を広げ、地域の防犯力を高めていこうとするもので、事業者団体の取組として、今、佐伯の法人会青年部の例を御紹介いただきました。こうしたながら見守りに事業者、団体の協力が得られるということは、住民の防犯意識を高めて、地域の防犯力を高めることにつながると考えています。 今後、警察、防犯協会とも連携しながら、ながら見守りに賛同し、取り組んでいただける事業者、団体等の拡大に努めていきたいと考えています。どうもありがとうございました。 ○土居昌弘副議長 清田哲也君。 ◆清田哲也議員 では、次の質問に入ります。県南地域の養殖業の振興についてです。 豊後水道に面した佐伯市は、県内随一のまき網や底引き網、定置網などの漁船漁業があり、その生産量は平成29年度の九州農林水産統計年報によると、1万7,783トンで、県内の56%を占めています。加えてリアス式海岸の地形を生かした養殖も各地で盛んで、特に全国第2位の生産量を誇るブリや全国第1位のヒラメなど、魚類養殖業の生産量は1万7,747トンと県全体の80%を占め、本県の水産業を支える重要な地域となっており、全国有数の産地として県内外に知られています。 また、大分県産のかぼすを餌にまぜ、色や香りについて他県産地と差別化を図ったかぼすブリ、かぼすヒラメは多くの方に知られるようになり、全国にも出荷され、好評であると伺っています。さらに佐伯湾で平成20年頃に始まったクロマグロ養殖については、昨年12月から日本で初めてEU向けに生の完全養殖クロマグロの輸出を開始し、その出荷量も徐々に増えているほか、今年春は「佐伯まぐろ春の贅沢三貫まつり」と銘打って、地元のお寿司屋さんで佐伯産クロマグロが提供されるなど、今後クロマグロが食のまち佐伯を支える新たな顔として定着することを願っています。 加えて、大入島周辺でもカキ養殖が本格的に始まるなど、佐伯湾の新たな養殖の導入とそれによる地域の活性化に大きな期待が寄せられています。 このように、好材料の多い佐伯の養殖業ではありますが、一方では解決していかなくてはならない課題も抱えています。その一つが赤潮被害です。県内では近年赤潮が各地で頻発し、幸い今年度の被害は少なかったものの、昨年度は県全体で3億円弱、一昨年度は約6億円の被害が発生し、そのうち蒲江入津湾、佐伯湾などでは、天然のアワビ、サザエや養殖のブリ、クロマグロ、ヒラメなどがへい死しました。私は漁業関係者にとって、せっかく育てた魚を出荷前に赤潮で失ってしまうことは、経済面だけではなく精神的にもダメージを受けることに加え、「佐伯の殿様、浦でもつ」と昔から言われてきた水産業全体の安定生産が脅かされるのではないかと危惧しています。 県は、今年度、農林水産業振興計画の中間見直しを行うと伺っていますが、その水産分野における目標達成のために、県内の大部分を占める県南の養殖業を今後いかにして発展させていくのか、赤潮被害防止対策をはじめとする生産対策と、消費拡大に向けた流通対策について、知事の見解をお伺いします。 ○土居昌弘副議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 水産業を取り巻く環境が年々変化しており、そんな中で県南地域の養殖業を持続的に発展させるために生産、流通両面から取組を進めています。 まず、生産面ですが、ICTを活用した養殖ブリの自動体側システムや緑色LEDによるヒラメ養殖など、生産性の向上や経営効率化に向けた先端技術の実証、導入を進めています。 また、赤潮は経営に甚大な影響を与えることから、被害防止に向けた対策を強化します。赤潮に対処するためには、早期発見、早期対策が有効であり、従来の調査員による定点観測に加えて、佐伯湾等に自動観測装置を設置して、24時間、リアルタイムの情報を漁業者に提供できる体制を整えました。これによって、養殖ブリの被害額は近年減少傾向にあります。陸上で養殖するヒラメは、赤潮を水槽に入れないということが重要であり、そのため、赤潮発生時には取水を停止し、酸素供給装置や井戸からの地下海水の導入で飼育環境を維持します。 他方、大分の新たな顔として期待の高まる養殖クロマグロは、養殖ブリと比較して赤潮に弱く、被害防止に向けた抜本的な対策を急ぐ必要があります。そこで、全国に先駆けて、赤潮が広く分布する表層、中層での養殖を避けることのできる大分方式の深層生簀を活用した飼育技術を開発中であり、これがうまくいくと、安定供給体制を確立することができるのではないかと期待しているところです。 次に、流通面では、消費拡大に向けた国内外のニーズやその動向を的確に把握して、新たな需要を掘り起こすことが重要です。例えば、マーケットインの発想で生み出したかぼすブリは、味よし、香りよし、見た目よしの品質が高く評価され、販売開始10年で生産量は約7倍になりました。こうした中、関東圏はブリの1人あたり消費量が少ない地域でしたが、近年増加傾向が見られます。これをチャンスに関東方面の大手量販店とのつながりの深い商社と連携して、かぼすブリをリーディングブランドに、大消費地での県産魚の販売を拡大させていきたいと思います。 国内の消費市場が縮小する中、輸出拡大に向けた取組も重要です。EU向けの養殖クロマグロや中国向けの養殖ブリなども輸出が活発化していますが、商機を逃すことのないように、衛生証明書等の迅速な発行体制を整備するなど、環境を整えていきたいと思います。 今回のラグビーワールドカップでは、完全養殖クロマグロのステーキや大分版フィッシュアンドチップスを海外の皆さんに提供し、高い評価を得たところであり、この実績を輸出拡大につなげられるように取組を前進させていきたいと思います。こうした取組を総合的に実施して、県南地域の養殖業の振興を図っていきたいと思います。 ○土居昌弘副議長 清田哲也君。 ◆清田哲也議員 知事、ありがとうございます。 特に上浦はクロマグロが、もう上浦地域自体が自分たちはマグロの町にしていこう、「マグロと花の町上浦」という、一つのまちおこしのお題も持っているようです。また、特にマグロは1尾の単価が高く、赤潮被害となると、非常に甚大な被害額になるので、深層の新たな網の開発と、また生簀の逃げ場も用意していただいているということで非常に助かっているんではないかと思います。今後、販路の拡大、また、生産体制の支援を、よろしくお願いします。 そして、赤潮の件ですが、入津湾では、こんな話があるんです。昔、真珠の養殖が蒲江入津湾で盛んで、真珠貝がプランクトンを食べるから赤潮が出なかったという話もありました。さきほど申し上げた、カキ養殖の生産拡大、これも貝ですから、プランクトンを食べるので、新たな県南地域の柱となると同時に、赤潮の抑制にもつながるんじゃないかとも思います。それについて、部長の答弁をいただければと思います。 ○土居昌弘副議長 大友農林水産部長。 ◎大友進一農林水産部長 貝類と赤潮の関係ということで、特にマガキは、1日1個あたりドラム缶1本分の海水をろ過すると言われています。そういった意味で、養殖カキの増産というのは、赤潮のプランクトンそのものを除去する効果が期待されます。また、あわせて海中の窒素、リンといった栄養塩をカキが吸収するので、継続的な赤潮の発生の抑制効果も期待できると思います。 そういったことから、特に赤潮が初期発生する地域において、カキ養殖の生産拡大をすることが赤潮の発生、被害防止につながると考えているので、カキ生産者の後押しを今後検討していきたいと思っています。 ○土居昌弘副議長 清田哲也君。 ◆清田哲也議員 ぜひよろしくお願いします。 また、知事の答弁にあった、かぼすブリの関東地域に向けた販路なんですが、関東地域を基盤とした量販店で、かぼすブリフェアを行ったと聞き及んでいますが、そのときのお客様の反応、また、今後の販路拡大の可能性について、その見解があれば教えてください。 ○土居昌弘副議長 大友農林水産部長。 ◎大友進一農林水産部長 ブリの販路開拓ですが、さきほど知事の答弁にありましたが、かぼすブリは、順調に生産拡大が進んでいます。昨年は647トンで、これまでの最高を記録しています。 また、販路開拓も重要と思っていますので、今年1月から2月の約23日間、関東圏での商圏を持つ商社のルートを通じて、110の店舗を展開している量販店において、かぼすブリ!オススメキャンペーンを行いました。関東圏は、どちらかというとサケ文化が中心なので、ブリはあまり食べない傾向もあったんですが、最近それが少し増えてきているということです。今回1月に開催したフェアでは、5,500尾、27トンの販売ができて、非常に手応えを感じています。また来年2月にも、同じようにその量販店を通じたフェアを開催したいと思っています。また、ほかの量販店においても、パートナーシップ店舗ということで、そういったことを視野に入れながら販路拡大を進めていきたいと思っています。 ○土居昌弘副議長 清田哲也君。 ◆清田哲也議員 今後ともかぼすブリ、よろしくお願いします。 次の質問に。汚水処理人口普及率の向上についてです。 本県の汚水処理人口普及率は、平成30年度末で76.9%と九州では最下位です。残念ですけれども。全国平均の91.4%からは大きな開きもあります。 これまで県では、生活排水による公共用水域の水質汚濁の防止を図る施策を総合的かつ計画的に実施するため、平成17年に大分県生活排水対策基本方針を定めるとともに、この基本方針に基づき、平成28年には、大分県生活排水処理施設整備構想2015を策定しています。その整備構想の中の記述にもありますが、少子高齢化をはじめとする地域社会構造の変化や、合併による行政区域の再編、各市町村の財政状況などから鑑みると、公共下水道、農業、漁業、集落排水等の大きな整備費を要する集合処理施設の建設は計画どおりに進め難い状況となっています。 このような状況下において、計画処理区域の縮小や廃止を決断し、合併浄化槽での処理を促進する市町村もありますが、汚水処理人口普及率向上に向けたこれまでの取組や課題とあわせて、今後の県の対応方針についてお伺いします。 ○土居昌弘副議長 湯地土木建築部長。 ◎湯地三子弘土木建築部長 汚水処理人口普及率の向上についてお答えします。 これまで家屋が点在するなど、採算性の悪い下水道計画区域を、佐伯市など5市が約590ヘクタール縮小し、合併処理浄化槽整備区域に変更しています。合併処理浄化槽への転換に対しては、国の補助基準に上乗せした補助を行うなど、県としても積極的に支援し、汚水処理人口普及率の向上に取り組んでいます。 しかしながら、厳しい地形条件などのため、平成30年度末の普及率は目標を1.2%下回る76.9%となっているところです。効率的に事業を進めるため、別府市など6市町で下水道計画区域の縮小を促しています。 また、今年度から合併処理浄化槽への転換に対して、宅地内の配管工事に補助制度を創設しました。さらに県下全市町村を訪問して、市長などに直接事業の促進を働きかけるとともに、市町村が行うふるさと祭りなどでのPR活動、小学校を訪問しての出張教室などの啓発活動にも取り組んでいるところです。 今後も市町村との連携を密にし、普及率の向上を図っていきます。 ○土居昌弘副議長 清田哲也君。 ◆清田哲也議員 正に私が住んでいる地域が見直しで下水道計画がなくなったところです。それはちゃんと住民アンケートもとって、住民ニーズを把握した上でやったんですが、皆さん、ほぼ合併浄化槽を入れているんですね。 さきほど御答弁があった、県が行っている合併浄化槽の上乗せの補助制度は非常に好評であり、各市町村の担当者から継続の声が強く上がっていることを、私自身も佐伯市役所から聞いています。この上乗せ補助制度の継続をぜひともお願いしたいところですが、いかがでしょうか。 ○土居昌弘副議長 湯地土木建築部長。 ◎湯地三子弘土木建築部長 さきほど申し上げたように、普及率を向上させるためには、公共下水道の全体区域を見直して、浄化槽区域へ変更を促しているところです。 そうした折に、浄化槽転換に対する上乗せ補助の継続を望む声もたくさん聞いているので、引き続き関係部局と協議を進めていきたいと思っています。 ○土居昌弘副議長 清田哲也君。 ◆清田哲也議員 今、知事もしっかりメモをとっていただけましたので、大丈夫かと思います。よろしくお願いします。 では、最後の質問に入ります。ケーブルテレビ伝送路の活用についてです。 現在、県内のほとんどの市町村には、民間又は市町村が保有するケーブルテレビ伝送路が整備されています。地域によって格差はありますが、同軸ケーブルから幹線を光ファイバーへ更新した施設、若しくはさらに進んで、幹線から個人宅までの全区間を光ファイバーに置き換える、いわゆるFTTH化まで完了している施設もあります。 FTTH化されると、施設への引込みに同軸ケーブルを用いているHFC方式と比較して、通信速度が2~3.3倍の速度となった例もあります。5Gとの比較はよく言われますが、5Gは基本的に電波ですので、障害物や遮蔽物で通信安定性が左右されますし、県内全域を網羅するにはまだまだ時間がかかります。 そうした中、私は、既存のケーブルテレビ伝送路を活用した新たな施策として、例えば遠隔医療や、不登校の児童生徒に対する遠隔授業の実施等を検討できないかと考えています。 地域公共交通の維持が困難な状況下において、高齢者にとって通院の際の足の確保は喫緊の課題となっています。また、増加する不登校児童生徒や病気療養児など、通学して教育を受けることが困難な児童生徒にとって、学習機会の確保は重要な課題であることから、文部科学省においても昨年9月に、遠隔教育の推進に向けた施策方針を定めたほか、全国各地で実証研究も進められています。 そこで、かかりつけ医の診察が自宅にいながら受けられるシステムや、同じく不登校の児童生徒が自宅にいながら学校の授業が受けられるシステムの導入について、FTTH化されたケーブルテレビ伝送路を活用すれば可能となるのではないかと考えますが、県の考えをお聞かせください。 ○土居昌弘副議長 高濱商工観光労働部長。 ◎高濱航商工観光労働部長 ケーブルテレビ伝送路の活用について御質問をいただきました。 ケーブルテレビ網に限らず、様々なネットワークを活用した取組として、議員言及の医療分野では、昨年度からオンライン診療、すなわち医師が情報通信機器を用いて離れた場所にいる患者を診察する行為が、新たに診療報酬制度に位置付けられたところです。県内では11月時点で豊後大野市、杵築市、国東市などで8つの医療機関がオンラインによる診療を行っています。 また、教育分野では、不登校児童生徒の学ぶ機会の確保に向け、ICT活用による支援を県としても検討しているところで、国の遠隔授業の導入実証研究の動向も注視している状況です。 議員が言及されたケーブルテレビ伝送路をファイバー化するFTTHは、このような取組を進めていく上で必須というわけではありませんが、これらのサービスを高度化していくという観点からは重要な視点と考えています。また、5Gなど今後の先端技術を支える通信インフラとしても期待されます。 このため県としてもケーブルテレビ伝送路のFTTH化に向け、ルートの一部として県が保有、運営している豊の国ハイパーネットワークの空いている部分等を貸し出すなどの支援を通じて、活用拡大を支援、推進していくところです。 ○土居昌弘副議長 清田哲也君。 ◆清田哲也議員 ちょうどいいということではないんですが、同軸が老朽化してきて、今、光にやりかえている自治体も多くあると思います。実際、佐伯市もそうです。民間のケーブルテレビ佐伯エリアは、既にFTTHが全て終わっています。これは会社が独自の投資でやりました。今、その佐伯市も国から予算をもらいながら、老朽化している部分から光化を進めています。 さきほど木田議員の質問・答弁にもあったように、宇目になぜIT企業が来るのか。正にこの光ケーブルの幹線、ケーブルテレビの伝送路があるからです。宇目の、田舎と言うとちょっと怒られるかもしれませんが、そういう地域でも仕事ができるということですので、今後ますますの促進、よろしくお願いします。 それでは、令和元年師走の一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○土居昌弘副議長 以上で清田哲也君の質問及び答弁は終わりました。 暫時休憩します。     午後0時08分 休憩  -------------------------------     午後1時10分 再開 ○麻生栄作議長 休憩前に引き続き会議を開きます。 一般質問及び質疑を続けます。尾島保彦君。  〔尾島議員登壇〕(拍手) ◆尾島保彦議員 皆さん、こんにちは。33番、県民クラブの尾島保彦です。 今回、少し欲張りましたが、7項目14点について質問したいと思っています。質問の機会を与えていただき、感謝を申し上げたいと思います。 まず、農業産出額について質問します。 本県の農業産出額を見ると、ここ10年ほど、多少の増減はあるものの、ほぼ横ばいの状態が続いています。直近の平成29年実績は1,273億円で、全国順位は25位となっています。水稲や園芸、畜産などの作物別割合についても、これも多少の変動はあるものの、ほぼ横ばいの状態で、大きな変化は見てとれません。 そうした中で、県では戦略品目を中心にマーケットインの商品(もの)づくりを推進しています。以前の私の質問に対して、本県は米の作付割合が九州で最も高く、農業の構造改革を進める上で、主食用米から高収益作物への転換促進が喫緊の課題となっているとした上で、平成29年度を水田畑地化元年と位置付け、米から高収益な園芸品目への転換を本格化させたいと、知事が答弁なさっています。今正に、田から高収益を生み出す水田畑地化が進められています。 県はこうした基盤づくりを前提に、昨年2月、令和5年度産出額目標を上方修正しています。農業人口の減少や担い手不足等、多くの課題を抱える中で、農業産出額をどのように伸ばしていくのか、県の考え方をお伺いします。 以下、対面席から質問します。  〔尾島議員、対面演壇横の待機席へ移動〕 ○麻生栄作議長 ただいまの尾島保彦君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 尾島保彦議員から、農業産出額について御質問をいただきました。 申すまでもありませんが、魅力ある農業の実現には、産出額を伸ばして農家所得を向上させることが大変重要であり、そのために、構造改革をさらに加速していきます。 一つは、生産基盤の強化です。高収益な園芸品目の生産拡大に向けて、水田の畑地化や畑地の再編整備を進め、大規模な生産団地を育成します。 いち早く動き出した宇佐市のニンニクの生産組合では、5ヘクタール規模の経営を目指して、現在、畑地化された水田2.2ヘクタールに作付けしており、こうした動きを全県に広げていきたいと思います。 本県の水稲作付割合は41%と、九州で最も高くなっており、今年のように米の作況が全国で2番目に低い85となると、この収穫量の減だけで、産出額は約30億円程度の大幅減が試算されます。そうしたことからも、米から園芸品目への転換を急がなければならないと思っています。 こうした中、来年4月には大蘇ダムからの用水供給が開始され、県内有数の畑作地帯である大野川上流地域でのニンジンなど、大規模で収益性の高い営農の展開が期待されます。 産出額の3割強を占める畜産では、増頭に向けた大規模畜舎の整備などに加えて、ゲノム育種価を活用した高能力牛の造成、枝肉重量や肉質に重点を置いた生産指導の徹底のほか、飼料価格の引下げに取り組みます。 二つは、マーケットインの商品づくりです。 国内消費の縮小などによって産地間競争が激しくなる中、マーケット基点の発想でベリーツなどの生産拡大を進めるほか、食品企業と連携した産地づくりなどを支援します。 また、流通対策も重要です。国内流通では大分青果センターやRORO船の活用によって、複数品目を混載し、大ロットで適時に、しかも低コストで県外出荷が可能となりました。関東方面への白ねぎや水耕こねぎなどの本格出荷なども始まっており、今後、物流拠点の機能をさらに強化していきます。 海外輸出では、相手国、品目、取引量の三つの拡大を基本に、米国等に対するおおいた和牛や、アジア諸国へのなし、高糖度かんしょ甘太くんなどの売り込みも強化します。 三つ目は、こうした取組を支える担い手の確保、育成です。 就農準備段階から経営開始までの一貫支援をてこに、新規就農者や参入企業を呼び込んで、経営感覚と実践力を持つ経営体への成長を伴走型で後押ししていきたいと思います。 また、労働力不足が顕在化する中、生産性を維持、向上させるため、生産から加工、流通まで、スマート技術の実装を推進します。 現在進めているプランの見直しでも、こうした施策方針等について、市町村や農業団体などとの意見交換も重ねており、産出額の反転増加に向けて知恵を出し合い、認識を一にして、一丸となって取り組んでいきたいと思っています。 ○麻生栄作議長 尾島保彦君。 ◆尾島保彦議員 知事、どうもありがとうございました。 今回、農業振興全体に関わるような大きな問題として、農業産出額向上策について質問しました。 私が、これを聞いてみようと思ったきっかけは二つあり、一つは、29年度の農業産出額が残念ながら九州で最下位になったということ。二つ目には、さきほどの知事の答弁にもあったように、おおいた農林水産業活力創出プラン2015のちょうど中間年、見直しの年ということもあり取り上げました。 産出額については、九州では鹿児島が5千億円、あるいは畜産に非常に強い宮崎県、野菜に強い熊本県、この2県は3,500億円ですから、九州は総じて農業地域と評価されています。その中にあって、当面、佐賀県とライバル状態にあると思いますので、少し佐賀県が伸びた理由があるのではないかということで、実は佐賀県の農林水産部にも問い合わせてみました。残念ながらこれといった理由はありませんでした。佐賀県も近年、水稲からの脱却ということで、園芸作物に非常に力を入れている。特に広い耕地があるので、例えば路地のタマネギ。ところが、これも16、17年と、べと病が多発したそうで、そういった影響もあって思うように伸びていない。それから、佐賀県は水稲依存がやっぱり大分県と同じように高いんですが、御案内のように今年は台風や害虫の影響があって、全国一低い63という作況を記録して、大分県は83で全国2位だったんですけれども。そういった意味では佐賀県は耕種作物の割合が少し高いんですね。耕種というのは田んぼを耕したり、果樹も含めてそうなんですが、大分県の割合は、耕種は3分の2、畜産が3分の1なんですが、佐賀県は耕種が4分の3で畜産が4分の1という状況で、非常に天候に左右されやすい耕種に依存しているということもあるようです。 ただ、御案内のように、29年度はそうでしたが、27年度にも一度、佐賀県に抜かれていますし、以前の統計を見ると、佐賀県に抜かれた年もあるので、九州最下位になったからといって一憂することはないと思います。 これからも、さきほど知事が話したように、まず構造改革、そして基盤づくりをしっかりやる。市場の要求に応じた作物を作っていく。そして、若い人、担い手を育成していく。こういったことを地道にやりながら、その上で県の大きな目標である農業産出額の達成に向けて取り組んでいただければと思っています。 見直しによって産出額が1,432億円に引き上げられています。ただ、平成12年度を見ると1,520億円という産出を記録しているので、決して難しい数字ではないと思いますが、現在は農家戸数の減少、あるいは高齢化も含めて、やっぱり農業の持つ基盤、力が衰えているので、そういった意味では今後、プランをしっかりと見直していただいて、農業振興を図っていただきたいということで、質問はしません。要望で結構です。 2番目、防災・減災対策についてです。 さきほど質問したのは農業問題ですが、農業問題と並んで大きな課題となっているのが災害対策です。 昨日、小嶋議員の質問で詳しく説明があった台風第19号ですが、10月12日夕刻、大型で強い勢力を維持したまま伊豆半島に上陸し、神奈川県箱根町で降り始めからの雨量が1千ミリを超えるなど、関東地方や甲信地方、東北地方を中心に記録的な大雨をもたらし、各地で河川氾濫や大規模な浸水被害を発生させました。 この台風では、急激な増水の速さに対応できず、多くの方が自宅にいたまま、あるいは車での移動中に流され、亡くなられました。また、河川の氾濫が夜中に発生した地域では、堤防の決壊や越水の状況がすぐに把握できなかったため、行政による情報発信やその後の対策の遅れにつながったことも指摘されています。 そこで質問ですが、このような場合、本県においては災害発生前、あるいは災害発生時の河川の氾濫に関する情報をどのように把握し、関係市町村や住民に発信しているのかお伺いします。 これも昨日、小嶋議員に対して知事より御答弁がありましたが、洪水ハザードマップの作成について改めてお伺いしたいと思います。 近年は豪雨災害や台風災害が毎年のように発生するようになりました。河川氾濫を未然に防ぐ方法としては、まず護岸の改修、増強や、河床掘削などのハード対策があげられますが、予算にも限界がありますし、工事に時間もかかることから、ソフト対策としてのハザードマップ作成の重要性がますます高まっていると言えます。 県は今年度、想定し得る最大規模の降雨での洪水浸水想定区域図を作成しました。現在、この区域図を基に、該当する市町村において洪水ハザードマップの作成が進められていると聞いていますが、その進捗状況をお聞かせください。 ○麻生栄作議長 湯地土木建築部長
    ◎湯地三子弘土木建築部長 防災・減災対策について、2点御質問をいただきました。 まず、河川氾濫情報についてお答えします。 県管理河川については、現在、84河川に水位計を、そのうち20河川に22基の監視カメラも設置し、夜間を含め常時水位情報を把握しています。今年度はさらに河川監視カメラを60基増設し、防災機能の強化を図ることとしています。 これらは県のホームページで公開しており、洪水被害のおそれがある水位に達した場合は、氾濫警戒情報、氾濫危険情報として、県民安全安心メールで通知しているところです。 流域の大きい河川では、この情報に加えて氾濫発生情報を発表することとなっており、国が管理する大野川や大分川のほか、県が管理する河川は駅館川を指定しています。 氾濫発生情報については、水防団や住民などからの情報を基に状況を確認し、気象台と共同で氾濫箇所や水位などを市町村や報道機関に通知することとなっています。 河川の氾濫に関する情報は、自らの命を守る避難行動や迅速な水防活動を行う上で極めて重要な情報と考えます。このため、現在進めている県の水防計画の見直しの中で、対象河川の拡大や情報の伝達方法の充実などを早急に検討していきます。 次に、洪水ハザードマップの作成についてお答えします。 平成27年の水防法改正により、洪水により相当な損害のおそれがある区域について、想定最大規模降雨を反映した洪水ハザードマップを市町村が作成し、公表することが義務付けられました。県では早期の作成を促すため、技術的な支援や経費の一部補助を行っているところです。 ハザードマップの作成状況は、該当する16市町のうち大分、佐伯、由布の3市が既に作成し、公表しています。また、日田市、玖珠町、九重町を除く10市では今年度末までに、さきほどの3市町も来年度末までに作成し、公表する予定と聞いています。 ○麻生栄作議長 尾島保彦君。 ◆尾島保彦議員 ありがとうございました。 ハザードマップ関連で2点ほど質問したいと思います。 水防法に基づいて、高潮被害についてもハザードマップの義務付けがされていると思うんですが、高潮浸水想定区域図に基づくハザードマップの作成状況についてお伺いします。 それから、今回の台風第19号は、一つの台風としては一番大きな被害をもたらした土砂災害の台風と言われています。一つの災害で一番大きかったのは、昨年の西日本豪雨だそうで、このように昨年、今年と、大きな土砂災害を伴う降雨災害があったわけです。今、県では、いわゆる基礎調査が進められています。今年度中に完成するということですが、こういった災害の発生状況から見て、この基礎調査を終えた区域の一日も早い警戒区域の指定、あるいはハザードマップの作成を加速するべきではないかと考えますので、現状の取組についてお伺いしたいと思います。 ○麻生栄作議長 湯地土木建築部長。 ◎湯地三子弘土木建築部長 ハザードマップについて、2点御質問をいただきました。 まず、高潮浸水想定区域に基づくハザードマップについてですが、平成27年の水防法改正によって、高潮により相当な損害のおそれがある海岸について、想定最大規模による高潮浸水想定区域図を県が公表し、市町村がハザードマップを作成し、公表することが義務付けられています。 現在、県では、高潮浸水想定区域図を作成中であり、来年度公表できるよう、作業を進めています。遅くとも令和3年度からは市町村がハザードマップを作成できることとなるので、市町村には、その後できるだけ早めに作成してくださいという要請も行っています。技術的な支援等も行っていきたいと思っています。 もう1点、土砂災害のハザードマップですが、土砂災害発生のおそれがある県内約2万か所の基礎調査を今、進めており、11月末で約9割完成しています。今年度中に確実に調査を終わらせる予定です。 基礎調査が終わった都度、土砂災害警戒区域等の指定手続を行っていますが、指定も来年末には終わらせたいということです。 なお、基礎調査の結果についても県のホームページで速やかに公表しています。 また、市町村が作成する土砂災害ハザードマップについては、今年度末までに約3分の2、1万6千区域ほど作成を終える予定と伺っています。来年度末までの完成を目指して、助成制度の活用や技術的な支援等も行っていきたいと思っています。 ○麻生栄作議長 尾島保彦君。 ◆尾島保彦議員 ありがとうございました。 次に、教育問題について質問したいと思います。 大学入試センター試験の後継である大学入学共通テストが2020年度から実施されますが、その際、導入される予定であった英語民間試験については延期することになりました。 この共通テストは、国語、数学の記述式問題の在り方等についても国会での議論になるなど、多くの課題を抱えていますが、社会的注目を集めるようになったのは、萩生田文部科学大臣の、「自分の身の丈に合わせて、勝負して頑張ってもらえれば」という、いわゆる身の丈発言に端を発しています。この身の丈発言は、格差容認、地域軽視の発言であり、決して許されるものではありません。教育委員会として、この身の丈発言をどう受け止めているのでしょうか。 また、突然の英語民間試験の導入延期は、学校現場にどのような影響をもたらしたのでしょうか。教育長にお伺いします。 次に、部活動の在り方についてです。 教職員の長時間労働の一因としてあげられている部活動指導については、11月15日に衆議院本会議で可決した、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法改正案の附帯決議にも、「政府は教育職員の負担軽減を実現する観点から、部活動を学校単位から地域単位の取組とし、学校以外の主体が担うことについて検討を行い、早期に実現すること」と盛り込まれているように、大きな変革が求められています。 県教育委員会においても、学校における働き方改革として、部活動指導員の配置拡充や部活動の在り方に関する方針の策定等による適切な部活動運営を通じて、部活動の改革に取り組んでいると伺っています。 そこで、教職員の負担軽減につながる部活動の在り方に関する改革について、どのような課題があり、どのような対策を講じていくのか、教育長の見解を伺います。 ○麻生栄作議長 工藤教育長。 ◎工藤利明教育長 大学入試と部活動の2点について御質問をいただきました。 まず、大学入試における英語民間試験についてです。 文部科学大臣の発言の真意ははかりかねますが、11月1日、大学入学者選抜に英語民間検定試験の結果を用いるシステムの突然の導入延期が発表され、大変驚いたところです。 各高等学校からは、県内の試験会場が定まらないことへの不安の声が寄せられていましたが、今のところ、学校現場に大きな混乱は生じていないと聞いています。 多くの大学で入試に英語成績提供システムを使用する以上、経済的な状況や居住地域に左右されず受験機会が確保されるよう、円滑な実施に向けて、この際、仕組みや在り方について綿密な検討が行われることを望みます。 システム導入の延期に関わらず、読む、聞く、話す、書くの英語4技能を伸長させることは必要であり、日々の授業やグローバルリーダー育成塾の取組などを通じて高校生の英語力向上を図っていきたいと考えています。 次に、部活動の在り方についてお答えします。 県の方針に基づいて、県内全ての中学校、高校では、部活動の在り方に関する方針を定め、本年4月から運用されていますが、教職員の負担軽減を図るための部活動指導員の確保が課題です。そのため、中学校には部活動指導員の配置に係る経費の一部を補助し、昨年度は42人、本年度は73人を配置して、また、高校では昨年度からモデル的に3校に8人を配置しています。 また、今年度からは新たに総合型地域スポーツクラブによる指導者の派遣や、活動の場の提供事例を生かして、クラブ指導者が部活動指導員として学校と連携する、新たな部活動のモデルづくりに取り組んでいるところです。 これからも生徒にとって望ましい文化・スポーツ環境を提供するという観点に立ちつつ、部活動の多様な在り方を構築する中で、教職員の負担軽減を図っていきたいと考えています。 ○麻生栄作議長 尾島保彦君。 ◆尾島保彦議員 ありがとうございました。 特に働き方改革の中で部活動指導が非常に大きなウエイトを占める場面があると思いますので、今ほど教育長が述べられたように、これから外部の人材も登用しながら、できるだけ教職員の負担を軽減して、かつやっぱり地域のスポーツ振興を図っていく場だと考えますので、その点、よろしくお願いしたいと思います。 続けて、教育委員会に質問です。 県立歴史博物館の利用促進についてお伺いします。 県立歴史博物館は、宇佐市駅館川右岸の丘陵部に広がる史跡公園、宇佐風土記の丘に昭和56年に開設された、県内唯一の歴史と文化に関する総合博物館です。今年1月から8月にかけて、観覧者の安全確保のため、つり天井部分の耐震工事が行われ、休館していましたが、8月16日にリニューアルオープンしたところです。 最近の状況を見ると、年間の利用者数は7万人から8万人前後で、平成29年度には累計利用者数が200万人を突破しています。郷土大分の歴史資料を収集、調査、研究し、その成果を展示、公開している、本県の誇るべき施設としては、もっと多くの人に利用されるべきだと私は考えています。 今年はラグビーワールドカップの開催に合わせて、豊の国を訪れた人々を題材にした特別展、「来豊者」、豊の国に来た人を示しているわけですが、「彼らが見たおおいた」という、大変すばらしい催しが開催されました。また、この特別展では、未来に続く大分の発展に願いを込めたロゴマークもお披露目されたところです。 県立歴史博物館は、再来年2021年に開館40周年の節目を迎えます。今後の歴史博物館の利用促進についての展望をお聞かせください。 10月31日未明、世界遺産である首里城跡で火災が発生し、正殿、北殿、南殿などが全焼しました。この火災では、建物被害だけにとどまらず、琉球王国時代のものも含め、多くの貴重な文化財が焼失したと見られています。長い歴史の中でたび重なる散逸にさらされた沖縄の宝を収集する取組が続いていただけに、関係者の間では落胆の声が広がっていると聞いています。 県立歴史博物館は、国の指定文化財が免ヶ平古墳出土品など4件、県指定の文化財が21件、そのほか1万4,897件の所蔵資料と80件の寄託資料を有していますが、万一火災が起これば、こうした大分の宝を一挙に失うことになりかねません。今回の首里城火災を受けて、改めて全国各地で文化財の防火設備の緊急点検などが行われていますが、県立博物館における防火対策や初期消火などの防火体制についてお伺いします。 ○麻生栄作議長 工藤教育長。 ◎工藤利明教育長 県立歴史博物館の利用促進と防火対策の2点についてお答えします。 まず、利用促進についてですが、歴史博物館は3世紀からの豪族墳墓が集中する川部・高森古墳群がある史跡公園内にあり、宇佐・国東の歴史と文化をテーマとした展示や調査研究を行ってきました。 10年目の国宝地蔵菩薩立像を公開した法隆寺の世界展など、節目には9回の記念特別展を開催してきました。また、田染荘の重要文化的景観の選定につながった調査研究など、学術的な成果もあげてきました。開館40周年に向けて、四季折々の富貴寺大堂を紹介するプロジェクションマッピングや、造営時の古墳を体感できるAR風土記の丘など、最新の映像技術を活用した展示の整備を進めているところです。 さらに最近、豪族居館跡が発見されて、園内の赤塚古墳埋葬者との関連がうかがわれる、駅館川を挟んだ対岸にある環濠集落小部遺跡とを結ぶサイクリングコースの設定など、新たな目玉づくりも進めていきたいと考えています。 次に、歴史博物館の防火対策についてです。 同博物館は、消防法で義務付けられた消防用設備を完備する施設であり、館内の自動火災報知設備や11か所の消火栓はもとより、展示室及び収蔵庫にはガス消火設備を備えています。これらの設備は年2回の専門業者による法定点検や職員の日常点検によって、その機能を維持しています。 また、館内には多くの警備カメラを設置して24時間体制で監視を行うとともに、19ヘクタールに及ぶ園内も毎日2回、警備員による巡回パトロールを行っています。 毎年、消防署員を招いて来館者の避難誘導訓練や、AEDを使った救命講習などを行っており、今年はさらに文化財の持ち出し訓練も行うこととしています。 これらの取組を通じて、来館者の安全を確保するとともに、貴重な文化財の保全に万全を期していきたいと考えています。 ○麻生栄作議長 尾島保彦君。 ◆尾島保彦議員 どうもありがとうございました。 来館者を増やすために、今後は映像技術も使って取組をされるということですが、今、そういったバーチャルの世界というのは非常に広がっているので、そういった意味では楽しみにしたいと思います。 あと防火体制については、今お聞きしたところ、日常訓練も含めて万全とお聞きしたので、ぜひ今後とも緩むことなく、怠ることなく、お願いしたいと思います。 1点だけ、再質問をさせてください。 調査研究機能の充実ということでお伺いします。 博物館にとって、資料収集や調査研究は重要な任務です。そこで必要なのが、その任務にあたる学芸員、研究員の確保と人材の育成です。今後、退職等により、学芸員や研究員が不足してくる状況が生じるのではないかと心配されます。博物館の命ともいうべき学芸員、研究員の人材確保について、現状と今後の方針についてお伺いします。 ○麻生栄作議長 工藤教育長。 ◎工藤利明教育長 人材確保についてお答えします。 歴史博物館には、近世史、近世絵画、保存科学の学芸員や、考古学、近世、さらに地理の研究員、計7名の専門職員を配置しています。平成24年度には退職に伴い新たに採用を行うなど、体制を維持しており、今後とも専門職員の退職や全体の配置状況等も総合的に勘案しながら、人材確保に努めていきたいと考えています。 ○麻生栄作議長 尾島保彦君。 ◆尾島保彦議員 ありがとうございました。 次に、交通事故対策について質問します。 本県における昨年の人身事故発生件数は3,610件で、14年連続して減少しているものの、人身事故に占める追突事故の割合、いわゆる追突事故率は約4割と極めて高く、全国順位を見ても平成28年が2位、29年が1位、昨年が2位、今年も9月末現在で2位となっています。 その全国順位によると、追突事故の発生は信号機や交通量の多い都市部では低く、地方ほど高い状況にありますが、ここ数年、佐賀県とワーストを争う状況から抜け出せず、全国平均に比べておよそ10ポイントも高い現状を改善しなければなりません。前方不注意などが主な原因と言われていますが、追突事故防止対策についてどう取り組んでいくのか、お伺いします。 人身事故が減少する中にあって、駐車場等公道以外の場所での人身事故件数は横ばいの状況にあります。昨年の状況を見ると、人身事故のうち5.4%、物件事故3万1,753件のうち3割程度が駐車場等で発生しており、交通事故全体の約3割が公道以外で発生している状況です。 駐車場での事故は軽微なケースも多いようですが、時として重大な事故も発生しています。道路交通法の適用を受けない場所も多く、交通取締りに限界もあるようですが、所有者や管理者への啓発のほか、後ろ向きでの駐車の習慣付けなど、県民への呼びかけも必要ではないでしょうか。駐車場や私道等における事故防止対策についてどう取り組んでいくのか、見解を伺います。 3番目には、ラウンドアバウトの導入について質問します。 10月29日、宇佐市安心院町で県内初となるラウンドアバウト、環状交差点の社会実験がスタートしました。時計回りの一方通行で、信号や一時停止の規制を受けないラウンドアバウトは、交差点内での事故発生率も極めて低く、また、信号がないため、災害時などの停電の影響も受けない等の利点があり、全国で導入が進んでいます。 安心院の社会実験は、来年9月までの約1年間実施されます。その後、県内でも設置箇所が増えていくものと予想されますが、初めて通行する運転者が戸惑うことがないように、しっかり準備を進めていく必要があります。社会実験の検証も踏まえてのことになるかとは思いますが、ラウンドアバウトの導入について、県民に対しどのように周知していくのか、県の考えをお聞かせください。 ○麻生栄作議長 石川警察本部長。 ◎石川泰三警察本部長 まず、追突事故防止対策についてお答えします。 大分県において人身事故の中に占める追突事故の割合が他府県に比べ高いというのは、議員御指摘のとおりです。追突事故の発生件数は、平成16年以降14年連続で減少はしていますが、他の事故形態と比べて減少率が低いことから、今後の対策が課題と認識しています。 県警においては、民間の御協力も得て、ロードリーダーに指定した事業所の保有車両に、3秒間の車間距離と表示したマグネットシートを貼っていただくなど、適正な車間距離確保を広く啓発する活動を推進しています。 あわせて、前方不注視に起因する追突事故などを防止するため、運転中に携帯電話などを通話のために使用したり、また、その画面を注視したりする行為の取締りを鋭意行っているところです。 さらには、関係団体の御協力を得て、追突事故防止に有効な自動ブレーキなどを登載した安全運転サポート車の普及啓発活動も促進しています。 今後も前方注視の徹底を呼びかけるなど、追突事故防止に努めていきたいと考えています。 続いて、駐車場などにおける事故防止対策ですが、県下の物件事故を含む交通事故の総量は昨年1年間で3万5千件を超えており、議員御指摘のとおり、その3割近くが公道以外の駐車場等で発生しています。 こうした駐車場等の多くは私有地であるため、まずは管理者、あるいは利用者に対する広報啓発活動などが必要であるということは、議員と全く同感です。 あわせて、現在、県警では駐車場等で発生した物件事故を含む交通事故総量抑止対策に取り組んでいるところです。具体的には、警察署ごと、あるいは交番などの管轄ごとに人身事故と物件事故の発生状況を分析して、それに応じて事故多発時間帯にパトカーの駐留や立ち寄り警戒などを行っているほか、管理者の協力を得て、利用者に対して後ろ向きに駐車して前向きに発進をすることを直接呼びかける活動なども行っているところです。 今後も積極的に広報啓発活動を推進して、交通事故総量抑止に努めていきたいと考えています。 ○麻生栄作議長 湯地土木建築部長。 ◎湯地三子弘土木建築部長 私からは、ラウンドアバウト導入に向けた県民への周知についてお答えします。 今回、安心院の社会実験では、開始に先立ち、ラウンドアバウトの導入効果や通行方法を周知するため、市報への掲載や、地元の自治会、関係団体などと意見交換を重ねてきました。 利用機会の多くなる近隣の小中高校生や住民に対しては、通行方法を分かりやすく体験してもらうため、学校のグラウンドを利用した事前指導を県警とともに実施しました。また、県や宇佐市のホームページ、ラジオの道路交通情報、県警ツイッターなど、様々な方法で県民に広く周知しているところです。 今後、ラウンドアバウトを県下で展開していく際は、これまでの取組や今回の社会実験での実証結果を踏まえ、あらゆる機会、情報ツールを活用して、より効果的に広く周知していきたいと思っています。 ○麻生栄作議長 尾島保彦君。 ◆尾島保彦議員 ありがとうございました。 本部長、追突事故防止で3秒のゆとりという話をよく聞くんですが、会派の中でも話したんですが、3秒といえば時速36キロで30メートルなんですよね。それで、50キロになると40メートル、42メートルぐらい。私たちの運転でいくと、あまり現実的でないというか、前の車と町中で40メートルも離れて運転するわけですから、逆に割り込みがあったりして、かえって危ないんじゃないか。そんなことがあって、その辺、非常に徹底されていると思うんですが、3秒の呼びかけがいいのかどうかというのは、ちょっと疑問に感じましたので、一言申し添えます。 ラウンドアバウトですが、ちょうど3日ほど前に警察庁が調査した記事が載っていました。全国では既に87か所設置されていて、そのうち昨年3月までに設置された66か所を調査して、その結果を見ると事故が半減しているということです。効果が出ているということですが、信号機がない、それから中で回るわけですが、非常に速度を落として回りますから、ほとんど音が出ない。そういったことから、視覚障がい者の方が非常に不安があるという記事が載っていました。この点についていかがでしょうか。 それから、追突事故の現状を見ると、昨年、新車販売の8割近くが既に自動ブレーキを装着している。今後、国も義務化の方針を出すので、どんどん追突事故そのものは減ってくると思うんですが、冒頭指摘したように、全国平均に比べてやっぱり10%も高い。この事故というのも、発生の状況がはっきりしていますから、そういった意味では引き続いて取り組んでいただきたいと思っています。 ○麻生栄作議長 湯地土木建築部長。 ◎湯地三子弘土木建築部長 ラウンドアバウトにおける視覚障がい者への安全対策についてです。 今回の安心院のケースでは、まず、視覚障がい者の団体の方と一緒に、設置前に北九州の実例の視察に行ってきました。視覚障がい者が音で認識できるようにという御要望がありましたので、ラウンドアバウトに流入する側は、路面に塗装系で音が出るような点字ブロックを設置して、また、交差点から出る方には、グルービングという、舗装に細い溝をいくつも切って、これもまた音が出るので、そういうものを設置しました。信号はありませんが、視覚障がい者の方にも音で認識していただくような工夫をしたところです。 ○麻生栄作議長 尾島保彦君。 ◆尾島保彦議員 次に民生・児童委員についてです。 民生委員は民生委員法に基づいて厚生労働大臣から委嘱され、また、児童委員は児童福祉法により民生委員が兼務しています。任期は3年で、今年12月1日に一斉改選されました。 今回の改選を前に、民生・児童委員の担い手の確保が全国的に難しいという状況を知りました。3年前の平成28年度改選結果を見ると、全国定数23万8,352人に対し委嘱数は22万9,541人で、充足率は96.3%、本県では定数2,085人に対し委嘱数2,051人で、欠員が34人、充足率は98.4%となっています。 民生委員・児童委員は特別職の地方公務員との位置付けで、活動費は県から支給されていますが、給与は支給されていません。また、資格は、「市町村の議会の議員の選挙権を有する者のうち、人格識見高く、広く社会の実情に通じ、かつ社会福祉の増進に熱意のある者」とされており、誰もがなれるというものではありません。職務は、住民の生活状態の把握、生活に関する相談、助言、福祉サービスの利用に必要な情報提供、活動支援、行政への協力等となっていますが、そうした職務に加え、各種研修やボランティア活動、行事参加など、実に多様な地域での活動もあります。責任感や使命感が強く意欲的な人ほど、それらが負担となり、結局はそれが担い手の確保を難しくしている一因になっているのではないでしょうか。 そこで、本県における民生委員・児童委員の確保状況と確保に向けた対策、負担軽減策について見解を伺います。 また、近年、高齢化に伴う独居、子どもの貧困、児童虐待、外国人の子どもの増加、さらには相次ぐ大規模災害の対応など、民生委員・児童委員に期待される役割は従来の地域福祉分野を越え、ますます多様化し、重要性も増しています。県として、次の改選の3年後に向け、委員1人あたりの負担軽減のためにも、定数を増やすことを検討してはどうかと考えますが、県の見解をお聞かせください。 民生委員・児童委員の中には、児童福祉に関する事項を専門的に担当する主任児童委員がいます。市町村や福祉事務所、児童相談所との連携、区域担当の民生委員・児童委員のサポートなどを行っていますが、民生委員・児童委員とは異なり特定の区域を担当しないため、中には2、3小学校区が活動区域という主任児童委員もいます。定数は民生委員協議会ごとに決められており、本県では今回の一斉改選時で全委員数2,088人のうち主任児童委員は214人となっています。 児童を取り巻く問題が複雑多様化する中、主任児童委員の果たす役割も大きくなっています。広域ではなく、地域事情に精通した主任児童委員を増やしてほしいとの声を聞きます。こうした声も踏まえて、定数増についての考えをお聞かせください。 ○麻生栄作議長 廣瀬福祉保健部長。 ◎廣瀬高博福祉保健部長 2点御質問をいただきました。 まず、民生委員・児童委員についてです。 本県の今回の一斉改選における民生委員・児童委員の確保状況については、中核市である大分市を除いた定数2,088人に対し、委嘱数は2,033人であり、充足率は97.4%となっています。 次に、民生委員・児童委員の確保策及び負担軽減策については、新任の委員が不安なく円滑に業務に従事できるように、手引書やQ&A集を配布するとともに、委員全体のスキルアップを図るため、経験年数に応じた研修等を地域別に実施しています。 また、今回の改選にあたっては、担当地区の世帯数増加や民生委員の負担軽減を考慮し、定数を3人増員したところです。 次期改選にあたっても、状況の変化や市町村の意見等を十分に勘案しながら、適切な定数について検討したいと考えています。 続いて、主任児童委員についてです。 主任児童委員は、児童委員の活動に対する援助や協力とともに、児童委員と児童福祉関係機関との連絡調整を行うなど、重要な役割を担っていると認識しています。 例えば近年、全国的に児童虐待事案が増加する中で、児童虐待の状況に気付いた場合には、児童委員と連携して市町村や児童相談所等の関係機関へ連絡し、発生予防や早期対応などに尽力していただいています。 主任児童委員の定数については、市町村の意見を聞いて、小学校区ごとや中学校区などの民生委員協議会ごとに定めており、今回の一斉改選では、地域の実情や市町村の意見等を踏まえ、据置きとしたところです。 今後とも児童を取り巻く状況の変化や市町村の意見等を十分に勘案しながら、次回の改選に向けて検討したいと考えています。 ○麻生栄作議長 尾島保彦君。 ◆尾島保彦議員 ありがとうございました。 今回の一斉改選の結果が発表されました。2,088人に対して2,033人、55人の欠員で、充足率が97.4%ということです。前回から見るとやはり欠員が増えて、当然、充足率も下がっているということです。いろんな今後の対策もあると思うんですが、ぜひ3年後を見据えて、改善、負担軽減をぜひ図っていただきたいと思っています。 それでは、最後の質問になります。 不妊治療についてです。特定不妊治療についてです。 日本では、実際に不妊の検査や治療を受けたことがある夫婦は5.5組に1組と言われています。また、平成29年に実施された体外受精や顕微授精などによって生まれた子どもの数は5万6,617人と、その年の出生児全体のおよそ16人に1人が不妊治療を経て生まれています。 特定不妊治療は非常に高額で保険適用外のため、国による助成制度が設けられていますが、夫婦の所得制限が730万円とされています。本県では全国トップレベルの上乗せ助成を行っており、全国的にも評価が高いと聞いていますが、NPO法人の調査によれば、体外受精で1回あたり50万円以上かかった人の割合が約10年間で2.7倍に増えるなど、治療費は高額化しており、また、所得制限を撤廃してほしいとの要望も耳にします。 晩婚化や非婚化により、少子化や出生数の減少が大きな課題となる中で、子どもが欲しいと願う夫婦を応援する特定不妊治療費助成の重要性は高まっています。人口減少、少子化の流れに歯止めをかけるためにも、助成制度のさらなる拡充を図ってはどうかと考えますが、本県の特定不妊治療の現状と所得制限の撤廃についての考えをお聞かせください。 次に、不妊治療と仕事の両立支援についてです。 また、不妊治療は期間が長期にわたることや通院回数の多さから、治療と仕事の両立が難しく、仕事を辞めたり、逆に治療を諦めたりする人が多いと言われています。厚生労働省の企業アンケート結果を見ても、不妊治療に特化した何らかの支援制度が設けられている企業はわずかです。 仕事と不妊治療の両立支援に向け、県としてどう取り組んでいくのでしょうか。見解を伺います。 ○麻生栄作議長 廣瀬福祉保健部長。 ◎廣瀬高博福祉保健部長 不妊治療について、2点御質問をいただきました。 まず、特定不妊治療についてです。 全国的に特定不妊治療件数が年々増加する中、本県の特定不妊治療への助成件数も平成30年度には1,367件と、前年度の1,225件に対し約1割増となっています。 本県の助成制度は、収入面での余裕があまりない若い夫婦が必要な時期に治療を受けられるよう、経済的負担の軽減を目的としています。その中で、自己負担が公的保険並みの3割程度となるように、27年度から市町村と協力して国の制度に大幅な上乗せを行い、その上乗せ額は全国トップレベルとなっています。 県としては、助成制度の拡充について、全国知事会を通じ、不妊治療の公的保険適用なども含めて国に要望しているところです。 今後も県民の、子どもを持ちたい希望をさらに後押しし、理想の子ども数を実現できるよう、どのような制度の在り方が望ましいか、検討していきたいと考えています。 続いて、不妊治療と仕事の両立支援についてです。 厚生労働省が行った両立支援のための調査によると、プライバシーへの配慮もあり、企業の約7割が従業員が不妊治療をしているかどうかを把握しておらず、また、支援制度を設けたり個別対応している企業は全体の3割にとどまっています。さらに、不妊治療経験者の16%が両立を諦めて離職しています。 この調査を受け、厚生労働省では本年度、不妊治療と仕事の両立を支援するための企業向けマニュアルと、不妊治療への理解を深めるパンフレットを作成しているところです。 本県の不妊専門相談センターでも、仕事との両立に悩む相談が全体の1割を超えており、企業が有能な人材を確保するという点でも、重要な課題と考えています。 そこで、経済界とも連携し、健康経営事業所や、しごと子育てサポート企業などの協力も得ながら、不妊治療と仕事の両立に向けた支援の在り方について研究したいと考えています。 ○麻生栄作議長 尾島保彦君。 ◆尾島保彦議員 ありがとうございました。 不妊治療ですが、1983年に我が国で初めて、特定不妊治療によって子どもが誕生したそうです。データを見ると、1986年にはその年の出生数のうち、8万6千人に1人が不妊治療によって生まれていたものが、10年後の1995年には208人に1人、そして20年後の2005年には55人に1人、さきほど申したように現在、16人に1人という数になっています。こういった特定不妊治療による出生児が急激に増えたことが分かります。16人に1人となると、今のクラスに置きかえると、30人の児童生徒がいれば、2人ぐらいはこういった治療によって生まれているという現状があるわけです。 お伺いしたいのは、データがあればで結構なんですが、大分県で、喫緊、昨年でも一昨年でも結構ですから、何人ぐらいがこの治療によって誕生したのか。もし年度集計がなければ、全体的な累計でも結構ですので。というのは、治療と出生の年度が合わずに難しいというのを聞いているので。分かれば結構ですから、教えてください。 それと、所得制限ですが、東京都は今年4月、所得制限を730万円から905万円に引き上げました。そういうところもあるんですが、私は、神戸市のように所得制限を撤廃してはどうかと思います。しかし所得制限を撤廃しても、730万円を超える人については助成を半額にするとか、こういうやり方をよそではやっています。 いずれにしても、子どもは宝となっている現在ですから、知事、1人でも多くの方に、子どもが欲しいと望む方に手を差し伸べる、そういった施策をぜひやっていただきたいと思います。 ○麻生栄作議長 廣瀬福祉保健部長。 ◎廣瀬高博福祉保健部長 まず、大分県における特定不妊治療出生児数についてです。 県内の特定不妊治療を受けた方の全ての出生児数の把握はなかなか難しいところがありますが、県の事業による治療費の助成を受けられた方のうち、現在把握できる限りでは、毎年、年間250人程度が出生しています。 また、議員がおっしゃった神戸市の件ですが、神戸市が所得制限を撤廃したということです。今現在、730万円未満という所得制限を全国のほぼ全てで設けていますが、これは夫婦世帯の収入ベースで考えると、1千万円を少し超える程度となります。 実は、神戸市では所得制限を撤廃したものの、撤廃された方については国の制度の半額の助成となっています。神戸市では所得が730万円未満の夫婦の場合は、国の制度への上乗せは最大でも5万円程度であり、その結果、助成額は1回目が30万円、2回目以降は20万円となっています。 本県の今の制度では、国の制度に最大24万円の上乗せを行っているので、助成額は1回から6回目まで一律に、最大39万円であり、この助成額は、やはり全国トップレベルを維持していると自負しています。 このように、本県としては、まず考えなければいけないのは、経済的に余裕があまりない若い夫婦が、できるだけ早く、必要な時期に治療を受けられるように取り組んでいくことが必要だと思っているので、何とぞ御理解をいただきたいと思っています。 ○麻生栄作議長 尾島保彦君。 ◆尾島保彦議員 ありがとうございました。 非常に多岐にわたる質問で、ちょっと私も早口になりましたが、ありがとうございました。(拍手) ○麻生栄作議長 以上で尾島保彦君の質問及び答弁は終わりました。衛藤博昭君。  〔衛藤議員登壇〕(拍手) ◆衛藤博昭議員 皆様、こんにちは。7番、自由民主党の衛藤博昭です。 初めに、このたびの定例会においても貴重な一般質問の機会を与えていただき、誠にありがとうございます。議会の諸先輩方、同僚諸氏に、そして傍聴にお越しいただいた皆様、日頃の活動を支えていただき、議会に送り出していただいた支援者の皆様に、この場をお借りして厚く感謝、御礼申し上げます。大変ありがとうございます。 それでは、早速一般質問に入りたいと思います。 初めに、東九州新幹線について伺います。 本年10月に開催された東九州新幹線のシンポジウムを拝聴しましたが、全体を通じて勉強になる、すばらしいシンポジウムでした。知事の冒頭の御挨拶も大変すばらしいものでしたが、その中でもとりわけ印象的だったのが、パネルディスカッションの際に登壇された別府の観光案内所の方のお話でした。 それは、別府の観光案内所における観光客の一般的な行動の流れについて説明されたものでした。別府の観光案内所は、博多から日帰りで大分県を訪れて、別府で観光案内を求められる方が多いそうです。案内所を訪問される方が込み合うピークの時間は午前11時頃になるとのことでした。なぜ11時なのか。博多のホテルに泊まってゆっくりと朝食をとった後、ソニックで移動すると、移動時間が大体2時間ほどかかるので、別府駅に着くのが11時頃になるそうです。また、日帰りで博多に戻る場合、大分で夕食をとると博多へ戻る時間が、22時から23時頃と遅くなってしまうため、17時には大分を出なければならないという方が大半で、11時からの限られた時間の中では、別府地獄めぐりを中心とした御案内になりやすいという話でした。 現在はこうした動態が多いようですが、東九州新幹線の建設によって、大分と福岡間の移動時間を現在から約50分短縮し、移動時間を大きく縮めることができれば、日帰りの観光客の行動にも大きな影響、そして変化を与えることが可能になります。例えば、今まで17時には大分を離れて博多に戻っていた観光客が、移動時間が短縮できた分、大分で夕食をとれるようになります。また、滞在時間を延ばすことができるので、今まで別府市でとどまっていた観光客が、ほかの市町村まで足を伸ばすことも可能になります。 東九州新幹線の調査におけるB/C効果には、このような経済波及効果は含まれていないのではないでしょうか。確かに具体的な金額の試算は非常に困難かと思いますが、こうした本県特有の期待できる効果についても、どんどんと積極的に積み上げて、国土交通省への働きかけを強めていただければと思います。 そこで、東九州新幹線建設促進に向けた知事のお考えを改めて聞かせてください。 以降は対面席より質問をさせていただきます。  〔衛藤議員、対面演壇横の待機席へ移動〕 ○麻生栄作議長 ただいまの衛藤博昭君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 衛藤博昭議員から、東九州新幹線について御質問をいただきました。 東九州新幹線は、九州のみならず西日本エリアからも広く産業や人材を呼び込み、本県の活性化のために必要不可欠な交通インフラだと考えています。そのため、県では平成28年に推進期成会を立ち上げ、早期実現に向けて、国への働きかけや県民の機運醸成に取り組んでいるところです。 新幹線の整備は長い道のりになるので、とりわけ将来を担う若い世代の方々にしっかりと議論していただくことが重要です。そこで、本年度は別府大学でシンポジウムを開催し、約200人の参加者に東九州新幹線の理解を深めていただいたところです。基調講演では、大阪産業大学の波床教授から、新幹線は沿線地域の人口増加や産業集積に大きく寄与するものであり、本県が将来にわたって発展していくためには必要不可欠との認識が示されたところです。 また、パネルディスカッションでは、観光やビジネスの分野で活躍されている方々や別府大学の学生から、「観光客の滞在時間が延びて、より多くの観光地を巡ることが可能になる」とか、「ビジネス圏が拡大し、企業立地の追い風になる」とか、「若者の地元就職や都市圏からの移住が進む」など、東九州新幹線に期待する意見が数多く出されました。 平成27年度に実施した調査では、小倉-大分間で現在の特急では83分かかるところが31分と短縮され、52分も余裕ができます。また、費用対効果は1.07で、さらに人口減少に歯止めがかかった場合には1.36まで効果が高まるという結果が出ています。 この費用対効果は、国のマニュアルを参考に算出していますが、議員御指摘の、観光客の滞在時間延長による経済波及効果は含まれていません。現在、国においても、交流人口の増加に伴う税収の増加などを加味した新たな算出方法が検討されています。県としても、その結果やパネルディスカッションでの意見を踏まえて、理論武装しながら、推進期成会や九州地方知事会による要望活動などを通じて、国への働きかけを強めていきたいと思っています。 東九州新幹線は昭和48年に基本計画路線に位置付けられたものの、その後の進捗がありません。一方で、同年に整備計画が決定された5路線は、全ての路線でルートが決定し、開業までの道筋が見えてきたところです。 次の整備計画路線への格上げの議論がいつ本格化してもおかしくない時期に来ています。そのタイミングに乗り遅れてはなりません。いよいよ勝負のときが近づいてきたという気持ちで、県民の力を結集して、東九州新幹線の実現に向けて取り組んでいかなければならないと考えているところです。 ○麻生栄作議長 衛藤博昭君。 ◆衛藤博昭議員 知事の前向きな、心強い意気込みを伺うことができ、大変心強い限りです。 先週の11月26日に、県議会自民党会派をあげて、県選出の自民党国会議員とともに国交省の青木副大臣を訪問して、東九州新幹線建設促進の要望活動も行ってまいりました。今後とも実現に向けて、自民党も一丸となって取り組んでいきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。 次に、欧米・大洋州を中心とした個人旅行客の誘客について伺います。 知事は、ラグビーワールドカップ2019大分開催のレガシーの一つとして、これを契機に、欧米・大洋州にもインバウンドのウイングを広げると述べています。 今回のラグビーワールドカップでは、欧米・大洋州から多くの観戦客が本県を訪れました。今後はこうした地域からの観光客を増やしていくことが課題となりますが、団体旅行が中心となる韓国や中国からの観光客とは異なり、欧米・大洋州の観光客は、Foreign Independent Tour、頭文字を略してFITと呼ばれる個人旅行が中心になります。一般に団体旅行よりも個人旅行の方が1人あたりの消費額が大きいため、マーケティングの観点からも積極的にこの層を狙っていく価値があると思います。 しかしながら、FITに関しては、ゴールデンルートと呼ばれる東京から広島、そこから、広島から西への誘客が進んでいないという課題を本県のみならず九州全体としても抱えています。 開幕まであと8か月を切った東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会にも、海外から多くの方が観戦に来られることが予想されます。これを機に海外からの観光客を、ぜひこの九州、そして大分へと誘客するための取組が必要と考えますが、県としてこうした課題をどのように克服し、欧米・大洋州を中心とした個人旅行客を増やしていくのでしょうか。現状の欧米・大洋州からの観光客数並びにこの先の数値目標も踏まえて、見解を伺います。 ○麻生栄作議長 高濱商工観光労働部長。 ◎高濱航商工観光労働部長 東京オリンピック・パラリンピックを見据えた誘客について御質問をいただきました。 今回のワールドカップでは、多くの海外観戦客が数週間にわたり国内各地を周遊しましたが、「大分のおもてなしに感動した」との声も多く寄せられ、この知名度向上を機として、今後さらなる海外誘客につなげていきたいと考えています。 欧米・大洋州からの観戦客は、来年のオリパラの際にも国内での長期滞在が見込めることから、県ではオリパラ開催期間の前後も含め誘客対策を講じているところです。 例えば、開催地東京都や京都府と連携して、旅先の選択に影響力のある海外メディアを招請し、本県の魅力をSNS等を通じて情報発信し、ゴールデンルートから本県への誘客を喚起しているところです。 また、神戸市、広島県等、瀬戸内の自治体と連携し、個人旅行中心の欧米・大洋州の方を含めた海外富裕層向けのクルーズ船誘致にも力を入れています。 なお、ワールドカップを開催した10月の欧米・大洋州の県内宿泊客は、県の速報値では約3.4万人に上り、昨年の年間総数をもう既に上回っています。本年度策定したツーリズム戦略では、2021年には欧米・大洋州の年間宿泊数4万人を目標として取り組んでいるところです。 ○麻生栄作議長 衛藤博昭君。 ◆衛藤博昭議員 今、欧米・大洋州の目標数値が2021年には4万人というお話があったんですが、現状はどれぐらい来ているんでしょうか。 ○麻生栄作議長 高濱商工観光労働部長。 ◎高濱航商工観光労働部長 今、手元に数字があるのは、ワールドカップを開催した、この10月だけで速報値として3.4万人。これは昨年の、年間総数をもう上回っているところです。すみません、昨年の数字は今、手元には持っていませんが、数字的には3.4万人は、今年としては取りあえずもう達成しているという状況です。 ○麻生栄作議長 衛藤博昭君。 ◆衛藤博昭議員 ワールドカップの期間中というのはちょっとはね上がるところがあるので、通常の期間として今これだけあって、次に4万人の水準に増やしていくというところの参考値としては、ワールドカップの期間は、私は外した方がいいと思います。その元の数字が分からないと、4万人という目標が非常に高いのか、それともある程度、実現可能性が高いのか、その辺が分からないので、また改めて、そこは教えていただければと思います。 そのあたりを聞く理由というのは、一つは、これから戦略が必要だと思います。その目標に対して一つ一つ具体的な手を打っていく必要があり、現状、そして目標との間、それを知るための数字を知れたらと思っているので、また改めて教えてください。 さきほどの御答弁でも少しあったんですが、近年、FITの対策として、例えばグーグルなどのWEBの検索広告やフェイスブックなどのSNS広告といった、デジタルマーケティングの手法を用いる事例が行われます。 しかしながら、このようなデジタルマーケティングは、実際の来訪につながりづらいという課題に、現在、直面しています。 まず、日本各地でインバウンド需要が高まっていることに伴い、広告のクリック単価が高騰してきたというところがあります。クリック単価というのは、広告費をその広告に対してクリックした回数で割った数字です。このクリック単価が低いほど費用対効果が良く、高いほど費用対効果が悪いという数字ですが、欧米、豪のこういったデジタルマーケティングでは、1クリックあたりの平均クリック単価が、数百円から、ひどい場合は数千円にまではね上がっているとのことです。 また、旅行を検討する前の外国人にもリーチするので、余計な投資が発生してしまいます。最後に関心まで持たせることができても、実際の訪問にはつながりづらいという結果が今、課題として出てきています。 このような現状の課題を考えれば、デジタルマーケティングに予算を集中投資するということは費用対効果の観点からもリスクも高いと考えていますが、デジタルマーケティングについてどのように評価していますか。 ○麻生栄作議長 高濱商工観光労働部長。 ◎高濱航商工観光労働部長 県としての認識は、デジタルマーケティングは、別に全てをデジタル化するというところではなく、自分たちの作った広告がしっかり届いて、どのような行動につながったかというところをしっかりと分析することが一番のポイントだと認識しています。 我々が今考えているのは、当然、デジタルでやるものはしっかりデジタルでやり、紙媒体若しくは観光博覧会等、そこはしっかりやりつつ、大事なのは、そこがどう行動に変容したか、どう届いたかというところをしっかり分析していく。そういった観点で、予算はしっかり積み上げていきたいと思っています。 ○麻生栄作議長 衛藤博昭君。 ◆衛藤博昭議員 欧米・大洋州を中心とした個人旅行客の誘客において、これから重視しなければいけないキーワードは、行動変容という言葉だと思っています。行動変容とは、言葉のとおり、観光客が当初の予定を変えて行動すること、行動を変容することを意味します。 FITの特徴の一つで、行動変容を起こしやすい人が多いという点があります。滞在中の予定が決まっておらず、予定を持て余している人がこの層には多くいらっしゃいます。JR西日本の調査では、約75%はこれに該当するという結果が出ています。 このような層は、日本に来て、その中でどこに行けばより楽しいかということが分かっていない人も多く、行動変容を起こしやすい人が多いという特徴があります。 行動変容において重要となるのは、観光案内所です。観光庁の有識者会議においても、外国人が観光案内所に求めているサービスと、実際に提供されるサービスにギャップがあるという調査結果が示されています。 この点に着目して、観光案内所の抱える課題を解決するサービスも提供されるようになってきました。これからの案内所では、プランを提案することで行動変容を起こして満足度を上げることが重要になります。これが結果として消費につながっていきます。大切なのは、訪日客の満足度を上げ、街の良さを理解して、その街を大好きになって帰国してもらっているかどうかです。 また、観光案内所を連携させることによって、例えば東京渋谷の案内所で紹介を受けて別府の案内所を訪問したという事例も出てきています。決め手となるのは、信頼できるスタッフからの提案です。 現在、ゴールデンルートの広島から西の地域が、欧米・大洋州からの観光客を取り込みきれていない状況を考えると、大分への取り込みを図る有用な方策だと思っています。東京や大阪、京都、広島といったFITが集まる案内所から、九州大分の案内所に送り込むネットワークの構築がこれから必要になってくると考えています。 令和2年度の県政推進指針の中に、県内周遊の促進に向けた観光案内所の総合誘客を可能とするネットワークの構築といった記載がありますが、発想は同じで、それをより広域化した考え方になると思います。 さきほどデジタルマーケティングの課題を述べましたが、重視すべきは、行動変容と満足度の高い体験の積み上げによるリピーターの獲得になります。このようなアナログでの体験の積み上げを行った先に、デジタルの力を使って拡散していくべきではないでしょうか。 それでは、次に、大分港大在コンテナターミナルの能力強化について伺います。 大分港大在コンテナターミナルは、九州の東の玄関口としての拠点化戦略において、物の流れの基幹拠点として位置付けられています。特に外航については、拠点化戦略の中に以下のような記述があります。国際拠点港湾である博多港や北九州港などを利用する企業の貨物を利用転換させ、取扱貨物量の増加による輸送コスト低減につなげ、港の競争力を強化するとされています。 現在は外貿定期コンテナ航路として韓国航路が週2便、中国航路、韓国・中国航路及び台湾航路がそれぞれ週1便と、4航路で週5便が就航しています。 コンテナの取扱量は、内航、外航合わせて平成10年に20フィートコンテナ換算で5,398本であったものが、平成30年には7万1,307本にまで増加し、この20年間で13倍、私は、この13倍は非常に大きい数字だと、1.3倍でもすごいんですが、10倍を超える13倍という、非常に大きな取扱量にはね上がる、大きな大きな成長を遂げています。 そうした中で、近隣各港を見ると、松山港や伊万里港、広島港などは、限られたスペースで多くのコンテナを取り扱えるように、コンテナの足の部分、四隅に置く足の部分、ここをコンクリートや鉄板で補強して、中身が入った実入りのコンテナを3段まで積むことでスペースを有効活用して、取扱量が増えても対応できるような整備を行っています。 その一方で、大分港の大在コンテナターミナルは、地盤強度の観点から、実入りコンテナは現在、2段積みまでとなっており、近年の取扱量の増加に対応すべく、今後、実入りコンテナの3段積みができる蔵置場の補強が待たれるところです。 そこで、このようなコンテナ取扱量の増加に対応する蔵置場の補強について、県の見解を伺います。 ○麻生栄作議長 湯地土木建築部長。 ◎湯地三子弘土木建築部長 大分港大在コンテナターミナルについてお答えします。 大分港は、臨海部に位置するコンビナート企業の原料調達や製品出荷などを支える物流拠点として、地域経済を牽引しています。中でも大在地区は効率的な輸送形態であるコンテナ貨物を取り扱う、輸出入拠点として重要な役割を担っています。 この大在コンテナターミナルでは、東九州自動車道の開通など広域交通ネットワークの充実や、様々な助成制度を含めたポートセールスの強化などにより、昨年のコンテナ取扱量は、過去最高となる7万本を超え、現在も順調に伸びて、蔵置場の空きスペースが減少してきています。 県としては、九州の東の玄関口としての拠点化を進めていることから、増加する取扱量に対して蔵置能力を高めるため、実入りコンテナの3段積みについて、他県の実例も参考にしながら検討してきたところです。 今後は3段積みに向けた蔵置場の補強対策を計画的に進め、取扱量の増加に対応したコンテナターミナルの機能強化を図っていきたいと思っています。 ○麻生栄作議長 衛藤博昭君。 ◆衛藤博昭議員 非常に前向きな御答弁をいただき、本当にありがとうございます。 港湾計画の変更が今、進んでいる中で、大分港はRORO船に強くスポットライトが当たっていますが、この20年間で10倍以上に取扱量を増やして大きく成長しているこのコンテナ物流についても、ぜひもっともっと光を当てていただきたいと私は思っています。 税収面での貢献も、RORO船よりコンテナ物流の方が大きいということも重視していただき、ぜひ積極的な整備を進めていただければと思います。 続いて、憲法25条についての憲法観を伺いたいと思います。 憲法第25条第1項は、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と定めています。 この第1項の趣旨を実現するため、第2項は、「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と規定し、国に生存権の具体化について努力する義務を課しています。それを受けて、生活保護法、児童福祉法、精神保健福祉法などの社会福祉立法、国民健康保険法、国民年金法などの社会保険立法等の社会保障制度が設けられ、また、環境基本法など公衆衛生のための制度も整備されています。 現在では、この社会福祉や社会保障、公衆衛生に関して、地方自治体に権限移譲が進んでおり、第2項に規定されている国には、地方自治体も含まれるといった解釈があります。 そこで、憲法第25条を踏まえ、県の果たす役割について知事の考えをお聞かせください。 ○麻生栄作議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 憲法第25条を踏まえた社会福祉保健行政についてという御質問でした。 憲法の第25条は、いわゆる社会権の中でも基本的な権利である生存権の保障について規定するとともに、国に対して生存権を具体化する施策を行うよう義務を課しているものです。 憲法の定める生存権を具体化した社会福祉等の施策による恩恵を全ての国民が享受できるように、国と地方公共団体が相互に連携、協力しながら、それぞれの責務をしっかりと果たしていくということが大事だと考えています。 福祉保健行政については、生活保護や、子ども、高齢者、障がい者等の社会福祉のほか、介護保険や国民健康保険などの社会保険、疾病予防や感染症対策などの公衆衛生など、業務が多岐にわたるとともに、県民生活に直結した非常に重要な分野であると認識しています。 こうした福祉保健行政を、安定的かつ機動的に運営していくにあたり、県が果たす役割は、次の二つがあると考えています。 一つは、広域での対応が必要であり、また、一般の市町村では難しい高度な技術力や専門的な能力が要求される業務を担う役割です。 例えば、一時保護や児童福祉施設への入所措置などの専門的な機能を有して、熟練のスキルを要する児童相談所の業務のほかに、災害時などの感染症対策などを担っており、必要に応じて市町村や圏域を越えて処理しています。 二つは、県民ニーズが多様化、複雑化する中で、国の制度だけではカバーできない部分について、必要に応じて市町村と連携して県独自の施策を展開する役割です。 例えば平成18年度の障害者自立支援法の施行に伴って、障害者福祉サービスの利用者負担が大幅に増加し、低所得者の方のサービスの利用中止や利用控えが発生したために、従来どおり安心して利用できるように、全国に先駆けて緊急の負担軽減策を県として講じたところです。同時に、国に対しては、強く改善を求めた結果、翌年度以降にようやく国で大幅な制度改正があったというようなことがありました。 また、子どもを産み育てやすい環境を整備するため、国の制度の足らざる部分について、子ども医療費やひとり親家庭医療費助成などの県単独の制度で手当てをして、時々のニーズに応じて拡充も図ってきたほか、不妊治療費助成については、国の制度に上乗せして全国トップレベルまで充実させているところです。 こうした取組により、県民ニーズに適宜応えてきたと考えていますが、県としては引き続き、全ての県民が安心して心豊かに暮らしていただけるように、国や市町村との連携を密にしながら、福祉保健行政をしっかりと遂行していきたいと考えています。 ○麻生栄作議長 衛藤博昭君。 ◆衛藤博昭議員 ありがとうございます。 なぜ今回の一般質問で、この憲法第25条についての質問をしたのか。 この福祉保健行政というものは、憲法を根拠とする行政であり、その中で行政にはその責務をしっかりと果たす義務があるということを、この後に続く質問の議論の前提として確認する必要があると思ったからです。 憲法上定められた、本来は行政が担うべきものを、社会福祉法人ですらない民間事業者にだけ負担させていないでしょうか。そのような点を、これから続く質問で掘り下げていきたいと思います。 ○麻生栄作議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 せっかくの憲法のお話について、追加的な御質問でしたから、私も申し上げておきたいと思いますが、憲法第25条第2項は、生存権の保障について、本来的に国に対して義務を課しているものです。 なお、この項の国には地方公共団体も含まれるという見解もありますけれども、多数説ではありません。 したがって、いずれにしても、私がさきほど申し上げたように、憲法からのものではなくて、地方公共団体は住民福祉の増進に向けて、国と相互に協力しながら、生存権の保障について、国との連携、協力を図っていくということをやっていくということでありまして、議員とそこのところはちょっと見解が異なる。つまり、憲法上の義務としてやっているわけでは決してありません。そうではなくて、やはり地方公共団体として県民の福祉向上について責任があるということを考えながらやっていくと思っているところです。地方自治法もそういう書き方ではなかったかと思います。 ○麻生栄作議長 衛藤博昭君。 ◆衛藤博昭議員 分かりました。 今、知事のお話の中にあった多数説、少数説という問題はあるんですけれども、ここについてはまだ議論としては決着がついていないところですので、それぞれの見解として置いておければと思っています。 精神障がい者の社会参加について伺いたいと思います。 昨年4月から、精神障がい者のバス運賃割引が本県でも開始され、直後に行われたアンケートによれば、乗車回数は約1.2倍に増加するなど、精神障害がある方の社会参加の機会が増加していることが分かりました。昨年第4回定例会の答弁でも、「出かけることが増える」、「いろいろなことにチャレンジしていきたい」等の利用者の声を紹介していただくとともに、今後はバスの利用促進に向けてしっかり取り組むとの考えを示されたところですが、まず、その後の関係者による利用促進の取組や、精神障がい者の利用状況についてお聞かせください。 その一方で、割引による運賃の減収は、バス事業者が全て負担しています。総務省九州管区行政評価局が、精神障がい者の御家族の方からの行政相談を受け設置した、民間の有識者で構成する行政苦情救済推進会議では、「運賃割引に伴う運賃の減収分を行政と民間事業者とがどのように負担するか、検討する余地がある」との意見も出されるなど、精神障がい者の社会参加の促進のためには、県も含めて社会全体で支えていくスキームを構築していく必要があります。 バスをはじめとした地域公共交通事業は、それ自体がやはり収益性が低い事業です。制度の継続という観点から、バス事業者単体で担うのではなく、行政苦情救済推進会議でも意見が出されたように、行政としても支援していく必要があると思いますが、県の考えを伺います。 ○麻生栄作議長 廣瀬福祉保健部長。 ◎廣瀬高博福祉保健部長 精神障がい者の社会参加についてお尋ねです。 バス運賃の割引については、これまでの身体・知的障がい者に続いて、精神障がい者に対象が拡大されたことは、家族会などからの長年の要望に応えたバス事業者の合理的配慮の現れであり、その御英断に大変感謝しています。 この制度を生かして精神障がい者のバス利用を増やすことが、その社会参加を促進する上でも、また、バス事業者にとっても重要であると考えています。 そこで、家族会などへの割引制度の周知に加え、今年度からバス事業者と病院の協力によるバスの乗り方教室を、デイケア通所者等約200人を対象に県内8か所で開催中です。 開催済みの3か所における参加者アンケートによると、バスを利用したことがある3割の方は利用回数が約2倍となり、利用経験のない残りの7割の方のうち半数の方が今後利用したいと回答しています。 今後は病院以外の福祉事業所での開催も検討するとともに、2年ごとの精神障害者手帳の更新や病院の退院時に割引制度の周知を行うよう、市町村等に働きかけていきます。 こうした取組などを通じて、障がい者の社会参加とバス利用の促進に一層努めていきます。 ○麻生栄作議長 衛藤博昭君。 ◆衛藤博昭議員 行政苦情救済推進会議でも意見が出されたように、社会福祉に対する民間事業者と行政との負担に関して、ここはしっかりと、これから引き続き議論が必要になっていくと思っています。 事業者側においても、例えばICカードを活用して利用状況を正確に把握するなどの努力もこれからは必要になってくると思いますし、障がい者の社会参画を社会全体で支えていくスキームの構築に向けた検討と議論を引き続き行っていければと思っています。 続いて、障がい児者の歯科診療について伺います。 昨年3月に大分県歯科医師会により、障がい児者を主な対象とした大分県口腔保健センターが開設されました。センターの開設にあたっては、議会においても、障がい児者を対象とした高次歯科診療機関の数が不足していることから、設立を求める議論がたびたびなされた中で、ついに開設にこぎつけた経緯があります。 センターの開設を最も喜んでいるのは、障がい者の御家族、関係団体、施設関係者など多くの皆様方です。私も本当にたくさんの方々から、県行政、そして歯科医師会に対する感謝の言葉を伝えられました。 センターにおける診療は予約制で、1時間に1人の診療という形を標準としています。障がい者に対する歯科診療には、おのずと健常者とは異なる対応が必要になります。歯医者に行くのが苦手という方もいらっしゃいますが、障がい者の場合はなおさらで、まず初診の段階で口を開ける練習や診療台に乗る練習といった、診療を受けるための慣れの時間が必要となります。そしてやっと治療に入っても、今度は患者の障がいの程度や知的発達の状況に応じて、ぬいぐるみやイラストなどを使って恐怖心を薄めながら、ゆっくりと治療を進めていく必要があるため、総じて1人あたりの治療時間が長くかかります。 そのため、経営的な観点から各県の障がい者歯科センターを見ると、すべからく収支は赤字となっており、行政からの補助金や委託料で赤字を補填し運営しているのが現状です。これは経営努力が足りないからではありません。健常者の歯科診療であれば15分から20分程度で済むものも、障がい者の場合は1時間かかります。診療報酬は出来高ベースになるので、現在の診療報酬体系の下では構造的に赤字が発生するため、各県のセンターでは様々な形で行政からの支援を受けています。大分県口腔保健センターも今年度は赤字となっていますが、他県と異なり、赤字部分は全て運営主体が抱えている状況です。 そこで、今後のセンターの運営とそのサポート体制について、県はどのようにお考えか、見解を伺います。 ○麻生栄作議長 廣瀬福祉保健部長。 ◎廣瀬高博福祉保健部長 障がい児者の歯科診療についてお答えします。 昨年3月の大分県口腔保健センターの開設までは、県内に障がい児者のための高次歯科診療施設が1か所しかなかったため、受診まで6か月近く待ったり、全身麻酔での抜歯のために県外の施設を受診するケースもあるという状況でした。 口腔保健センターの開設には、こうした長年の課題を解決することが期待され、その施設整備に対して県も支援したところです。 開設にあたって、県歯科医師会による収支試算では、1日の外来患者が相当程度確保できれば収支がとれるとの見込みであると伺っていました。しかしながら、議員御指摘のとおり、障がい児者の歯科診療は1人あたりの治療時間が長くかかることから、現状で収支がとれていないという状況です。そのため、口腔保健センターの経営の安定化と設立目的の達成に向け、現在、県歯科医師会等と協議を重ねているところです。 県としては、障がいのある方が安心して歯科治療を受けられる体制づくりのために、どのような支援ができるかを検討していきたいと考えています。 ○麻生栄作議長 衛藤博昭君。 ◆衛藤博昭議員 障がい児者の歯科診療は単なる歯科診療事業ではなくて、障がい者歯科診療事業と障がい福祉事業の二つの性質を持ったものです。 現在の運営は歯科診療の報酬体系の下で行われていますが、障がい者1人を診察する時間で健常者を3、4人は診察できることから、通常の歯科診療事業では収支が合わないという問題があります。 確かに加算はあります、障がい児者の歯科診療の加算はあるんですけれども、その加算と負担のバランスが取れていないこともあって、なかなか地域医療の中でも広がっていかないという問題があります。 歯科診療報酬の障害加算に対する改定も待たれるところですが、これは先週の11月26日に自民党会派をあげて加藤厚生労働大臣を訪ねて、この問題も訴えてきました。 しかしながら、地域で受入可能な診療機関がなくて、困っている方々が現に存在しています。そのためにも大分県口腔保健センターが継続していけるよう、県のサポートを重ねてお願いしたいところです。 ある歯科医師の先生から、障がい児者の歯科診療に目が行っているんですが、実は認知症の御高齢の方の需要も非常に多いというお話を伺っています。認知症を発症してなかなか診療台に座れなくなったり、口が開けづらくなったり、診療がしにくいということで、そういった方も歯科医にかかれずに困っているという話があります。 この大分県口腔保健センターという名前の中に、障がい者、障がい児という言葉は含まれていません。これは、障がい者だけに絞るのではなく、将来的にはそういったところまで取り込むことも考えて、この名前にされたという思いも伺っています。 一点心配されるのは、障がい者の歯科診療機関が足りない現状の中で、認知症の方まで大きく取り込んでいくと、逆に障がい者がクラウディングアウト、はじき出されてしまうおそれがある。ここは将来的にどういった形で、そういった方々までカバーするか、そういったことも含めて、大きな視野で、これからしっかりと検討を進めていく必要があると思っています。ぜひこの点も引き続き御検討をお願いします。 次に、ヘルプマークについて伺います。 義足や人工関節を使用している方、内部障がいや難病の方など、外見からは容易に判断が難しいハンディのある方が、周囲に援助や配慮が必要であることを知らせるヘルプマーク及びそのマークを配したヘルプカードについて、本県でも昨年3月からヘルプカードを作成し、県や市町村の福祉担当窓口において配布しています。 先般、大分県難病・疾病団体協議会の方々と意見交換を行いました。団体からも、手助けが必要な方にもっと活用していただけるよう、現在のカードという形から、かばんなどに付けることができて見えやすいキーホルダーやバッジなど、ほかの形に変えていただければという声もいただいています。 特に難病の方は病状を記載する必要もあるので、プライバシーに配慮した形でのヘルプマークの作成も望まれるところです。県の今後のヘルプマーク導入に向けた対応についてお伺いします。 ○麻生栄作議長 廣瀬福祉保健部長。 ◎廣瀬高博福祉保健部長 ヘルプマークについてお答えします。 県ではこれまで、障がい者や高齢者などが必要に応じて合理的配慮を求め、また、周囲の人が手助けをするきっかけとなるヘルプカードを作成し、市町村を通じて配布するとともに、その普及に努めてきました。 加えて、カードの普及を行いながら、さらなる環境整備の必要性について、大分県難病・疾病団体協議会をはじめとする関係団体や市町村、障がい者当事者の意見もお聞きしながら、検討を進めてきたところです。 議員御指摘のとおり、「カード型ではかばんの中に入れて持ち歩くために外からは見えない」とか、「一目で分かりプライバシー保護にも有効なストラップ型のヘルプマークもあるとうれしい」とか、「もっと広報してほしい」などの意見をいただいています。 このような状況を踏まえ、県としては、手助けが必要な方々の視認性をさらに向上させることが大切であると考えて、今後、ヘルプマークの導入も視野に検討したいと考えています。 あわせて、公共交通機関や公共施設等を活用した周知などにもしっかりと取り組み、共生社会づくりを後押ししていきます。 ○麻生栄作議長 衛藤博昭君。 ◆衛藤博昭議員 ヘルプマークの議論の際に、どうしても障がいや高齢の方が、かなり前面に出がちなんですが、こういった難病の方々からの要請も非常に大きい分野です。 難病の方々が外出先で具合が悪くなった場合、現在のカード形式では、財布などに入れていると、すぐに取り出しにくく、周囲の方に助けを求める際に分かりにくいという声も伺っています。 ヘルプマークの導入にあたっては、このような方々からもしっかりと引き続き意見を聞いていただき、使い勝手のよいものにしていただければとお願いします。 以上で一般質問を終わりたいと思います。大変ありがとうございました。(拍手) ○麻生栄作議長 以上で衛藤博昭君の質問及び答弁は終わりました。 お諮りいたします。本日の一般質問及び質疑は、この程度にとどめたいと思います。これに御異議ありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○麻生栄作議長 御異議なしと認めます。 よって、本日の一般質問及び質疑を終わります。  ------------------------------- ○麻生栄作議長 以上をもって本日の議事日程は終わりました。 次会は、明日定刻より開きます。 日程は、決定次第通知します。  ------------------------------- ○麻生栄作議長 本日は、これをもって散会します。     午後3時05分 散会...