令和4年 9月 定例会 第 2 号 (9月16日) 令和4年
熊本県議会9月
定例会会議録 第2号令和4年9月16日(金曜日
) ――――――――――――――――― 議事日程 第2号 令和4年9月16日(金曜日)午前10時開議 第1 代表質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について
) ―――――――――――――――――本日の会議に付した事件 議席の一部変更の件
議会運営委員辞任の件
議会運営委員の補欠選任の件 日程第1 代表質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について) ――――――○――――――
出席議員氏名(48人) 堤 泰 之 君 前 田 敬 介 君 城 戸 淳 君 本 田 雄 三 君 南 部 隼 平 君 坂 梨 剛 昭 君 荒 川 知 章 君 西 村 尚 武 君 島 田 稔 君 山 本 伸 裕 君 岩 田 智 子 君 池 永 幸 生 君 竹 﨑 和 虎 君 吉 田 孝 平 君 中 村 亮 彦 君 大 平 雄 一 君 髙 島 和 男 君 末 松 直 洋 君 松 村 秀 逸 君 岩 本 浩 治 君 西 山 宗 孝 君 河 津 修 司 君 濱 田 大 造 君 前 田 憲 秀 君 磯 田 毅 君 西 聖 一 君 楠 本 千 秋 君 橋 口 海 平 君 緒 方 勇 二 君 増 永 慎一郎 君 髙 木 健 次 君 髙 野 洋 介 君 内 野 幸 喜 君 山 口 裕 君 渕 上 陽 一 君 田 代 国 広 君 井 手 順 雄 君 城 下 広 作 君 鎌 田 聡 君 坂 田 孝 志 君 溝 口 幸 治 君 小早川 宗 弘 君 池 田 和 貴 君 吉 永 和 世 君 松 田 三 郎 君 藤 川 隆 夫 君 岩 下 栄 一 君 前 川 收 君
欠席議員氏名(なし
) ―――――――――――――――――説明のため出席した者の職氏名 知事 蒲 島 郁 夫 君 副知事 田 嶋 徹 君 副知事 木 村 敬 君
知事公室長 小 牧 裕 明 君 総務部長 平 井 宏 英 君
企画振興部長 高 橋 太 朗 君 理 事 水 谷 孝 司 君 理 事 小金丸 健 君
健康福祉部長 沼 川 敦 彦 君
環境生活部長 小 原 雅 之 君
商工労働部長 三 輪 孝 之 君
観光戦略部長 原 山 明 博 君
農林水産部長 竹 内 信 義 君 土木部長 亀 崎 直 隆 君
会計管理者 野 尾 晴一朗 君 企業局長 竹 田 尚 史 君 病院事業 渡 辺 克 淑 君 管理者 教育長 白 石 伸 一 君
警察本部長 山 口 寛 峰 君
人事委員会 西 尾 浩 明 君 事務局長 監査委員 藤 井 一 恵 君 ――
―――――――――――――――事務局職員出席者 事務局長 手 島 伸 介
事務局次長 村 田 竜 二 兼総務課長 議事課長 富 田 博 英 審議員兼 濱 田 浩 史
議事課長補佐 ――――――○―――――― 午前10時開議
○議長(溝口幸治君) これより本日の会議を開きます。 ――――――○―――――― 議席の一部変更の件
○議長(溝口幸治君) まず、お諮りいたします。 今回、議員に所属会派の異動
がありましたので、この際、議席の一部変更の件を日程に追加し、議題といたしたいと思います。これに御異議
ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(溝口幸治君) 御異議なしと認めます。よって、議席の一部変更の件を日程に追加し、議題とすることに決定いたしました。 議席の一部変更の件を議題といたします。 お諮りいたします。 会議規則第4条第3項の規定により、議席の一部を議席に配付の議席表のとおり変更いたしたいと思います。これに御異議
ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(溝口幸治君) 御異議なしと認めます。よって、議席の一部を議席表のとおり変更することに決定いたしました。 〔議席表は巻頭に掲載〕 ――――――○――――――
議会運営委員辞任の件
○議長(溝口幸治君) 次に、お諮りいたします。 井手順雄君から、
議会運営委員を辞任したい旨の申出
があっておりますので、この際、
委員会条例第10条の2の規定により、
議会運営委員辞任の件を日程に追加し、議題といたしたいと思います。これに御異議
ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(溝口幸治君) 御異議なしと認めます。よって、
議会運営委員辞任の件を日程に追加し、議題とすることに決定いたしました。
議会運営委員辞任の件を議題といたします。 お諮りいたします。 井手順雄君の
議会運営委員の辞任を許可することに御異議
ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(溝口幸治君) 御異議なしと認めます。よって、井手順雄君の
議会運営委員の辞任を許可することに決定いたしました。 ――――――○――――――
議会運営委員の補欠選任の件
○議長(溝口幸治君) 次に、お諮りいたします。 ただいま井手順雄君の
議会運営委員の辞任
が許可されたことに伴い、その補欠委員を選任する必要
があります。 この際、
議会運営委員の補欠選任の件を日程に追加し、議題といたしたいと思います。これに御異議
ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(溝口幸治君) 御異議なしと認めます。よって、
議会運営委員の補欠選任の件を日程に追加し、議題とすることに決定いたしました。
議会運営委員の補欠選任の件を議題といたします。 お諮りいたします。 委員選任につきまし
ては、
委員会条例第5条第1項の規定により、渕上陽一君を
議会運営委員に指名いたしたいと思います。これに御異議
ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(溝口幸治君) 御異議なしと認めます。よって、
議会運営委員に渕上陽一君を選任することに決定いたしました。 ――――――○――――――
△日程第1 代表質問
○議長(溝口幸治君) 次に、日程に従いまして、日程第1、代表質問を行います。 発言の通告
があっておりますので、これより順次質問を許します。 なお、質問時間は1人100分以内の質疑応答で
ありますので、さよう御承知願います。
自由民主党池田和貴君。 〔池田和貴君登壇〕(拍手)
◆(池田和貴君)
自由民主党・天草郡市選出の池田和貴でございます。本日は、代表質問の機会を与え
ていただきましたことを心から感謝申し上げたいと思います。 代表質問でございますので、今回の質問は、これまで県議会で長年取り組んできたことに加え、6月議会以降に起こりました課題、それと時代の変遷によって再考を求めるところ、さらには蒲島知事も出され
ております
が、安全保障に関する件、これについてお伺いをしたいというふうに思っ
ております。全部で13問
あるうちの11問
が知事に対する答弁を求めるものになっ
ております。蒲島知事におかれまし
ては、明確な御答弁をいただきますようにお願いを申し上げます。 それでは、通告に従いまして質問に入らせ
ていただきたいと思います。 まずは、今議会の冒頭に知事のほうから御発言
がございました
空港アクセス鉄道の
ルート選択についてお尋ねをいたします。
空港アクセス鉄道については、昨年の11月議会で、知事は、ルートの追加調査することを表明されました。追加調査の理由としては、
経済安全保障に関わる
国家的プロジェクトで
あるTSMCの進出決定を踏まえ
て、豊肥本線の
輸送力増強による
セミコンテクノパークへの
アクセス向上、さらには県内全域の
交通ネットワークの
利便性向上につながるよう、
三里木ルートのみならず、
原水ルート、
肥後大津ルートについても調査を実施し、より効率的で効果の高いルートについて比較検討を行うと説明され
ております。 そして、今
定例会初日の
議案等説明により、中間的な調査概要について報告
がありました。その中では、主に4つの項目
が示されたと認識をし
ております。 1つ目は、
概算事業費です。整備延長
が最も短い
肥後大津ルートが最も安い試算でした。2つ目は、需要予測です。中間駅の設置を予定し
ている三里木ルートが最も多い試算でした。3つ目は、事業の費用対効果を測るB/Cです。B/Cについては、
肥後大津ルートが最もよい試算でした。4つ目は、
収支採算性です。
三里木ルートと
肥後大津ルートの2つのルート
が40年以内に
累積資金収支の黒字転換
が可能で
あるとのことでした。 今回の調査概要から、
三里木ルート、
肥後大津ルートの2ルートに絞られ、
原水ルートは実現
が難しいとの結果になったと思います
が、三里木ルートと
肥後大津ルートについては、どちら
がより効果的なルートなのか、知事の考えは示され
ておりません。 特に、今回の調査概要で示された需要予測やB/Cは、国のマニュアルに基づき、あくまでも確定的な前提条件でしか反映できず、将来的な発展の見通しについては、なかなか数値化
が難しい調査と理解をし
ています。 しかしながら、この
経済安全保障の一翼を担う
ビッグプロジェクトは、熊本空港への
アクセス改善にとどまらず、熊本の発展につながる無限の可能性を秘めたもので
あり、熊本の将来の礎としてなく
てはならない取組で
あると確信をし
ています。そうした将来の可能性という観点も含め
て、最も効果的なルートを選択すべきだと考えます。 そこで、知事にお尋ねをいたします。 今回の調査概要を受け
て、知事はどちらのルート
がよいとお考えなのか。また、
空港アクセス鉄道の実現に向け
ては、財源確保の見通しをはじめ、整理すべき課題
があるとの説明
がありました
が、具体的にどのような課題
があると認識をされ
ているのか。 以上2点について、知事にお尋ねをいたします。 〔
知事蒲島郁夫君登壇〕
◎知事(蒲島郁夫君) まず、
空港アクセス鉄道については、事業として経営を成り立たせることはもちろん大事な点です
が、50年後、100年後の熊本の将来の発展の礎を築くという視点
が重要と認識し
ています。 今回の調査概要では、
概算事業費とB/Cにおいては
肥後大津ルートが、需要予測においては
三里木ルートが優位性
があるとの結果となっ
ております。
原水ルートは、
セミコンテクノパークに最も近い原水駅で分岐します
が、B/C
が1を大きく下回るなど、事業化は困難で
あるという結果になっ
ています。 一方、鉄道整備により期待される効果には、現段階では定量的に試算できないものも
あり、例えば
三里木ルートについては、これまでも御説明したとおり、
県民総合運動公園の
アクセス改善が図られるという効果
があります。
肥後大津ルートについては、まず、直通運行により肥後大津駅での乗換え
が不要となり、JR九州による豊肥本線や
鹿児島本線、
九州新幹線などとの一体的、効率的な運行管理や将来の機能強化といった効果
が期待できます。 次に、現在人口増加
が続い
ている沿線地域全体を一つの路線でカバーできるとともに、
TSMC進出に伴っ
て企業進出
が続く産業面での発展も広く取り込むこと
ができます。 さらに、観光面においても、
南阿蘇鉄道の肥後大津駅への乗入れ
が実現することにより、観光客の増加につながること
ができるものと考えます。 このような現段階では定量的に試算できない様々な効果までを含め
て考えると、私は、
肥後大津ルートに将来の発展性を感じ
ております。 しかし、解決すべき課題も残っ
ています。 1点目は、運行形態や費用負担についてのJR九州との協議です。
肥後大津ルートの直通運行の効果を最大化するためには、JR九州の主体的な参画
が不可欠です。これまでのJR九州との合意事項は、
三里木ルートを前提としたもので
あり、JR九州と再度協議し、改めて主体的に参画いただく必要
があると考え
ています。 2点目は、国の財政支援の実現です。 これまでも、国に対しては、機会
あるごとに事業費の3分の1の財政支援をいただくよう要望し
てまいりました
が、その実現に向け、今後も引き続き強く要望し
ていく必要
があります。 3点目は、
県民総合運動公園の
アクセス改善です。
三里木ルートでは、長年課題となっ
ていた
県民総合運動公園の
アクセス改善が図られます
が、肥後大津ルートで
あれば、改めて検討、整理し、対応策をお示しする必要
があると考え
ています。 今回お示しした中間的な調査概要で一定の方向性は見え
てきました
が、これらの課題について対応の方向性を整理し、県議会及び県民の皆様へ説明を尽くし
てまいります。 さらに、
空港アクセス検討委員会においても、十分な御議論をいただいた上で、県の方針を固め
てまいりたいと考え
ています。 〔池田和貴君登壇〕
◆(池田和貴君) ただいま蒲島知事から、事業として経営を成り立たせるということ、50年後、100年後の熊本の将来の発展を促す投資で
あるという2つの視点から、
肥後大津ルートに将来の発展性を感じるという御答弁をいただきました。
国家的プロジェクトで
あるTSMCの熊本進出と鉄道整備により期待される効果は、現段階では定量的に試算でき
ていない
が、50年後、100年後の熊本の将来を促す投資という視点から、今回の
肥後大津ルートに将来の発展性を感じ
ているという御答弁になられたのではないかというふうに思います。 ここで、9月7日に肥後銀行を傘下に置く
九州フィナンシャルグループが発表した
TSMC進出による
経済波及効果の試算を御紹介したいと思います。
TSMC進出による2022年から2031年までの10年間の本県の
経済波及効果は4兆2,900億円。あわせ
て、TSMC進出に伴い、80社
が県内に新拠点を建設するか工場の増設をすると想定し、その雇用効果は、TSMCを運営するJASMの約1,700名を含め
て7,500人と見込むとされました。加え
て、新たな企業進出
があれば、
経済波及効果はさらに大きくなるとの見解も示されたところで
あります。 このような経済的な将来への期待値
が今後の調査にどれくらい盛り込まれるのか、
経済安全保障の中核をなす
国家的プロジェクトによる
政治的重要性をどのように加味し
て政治判断を下されるのか、私自身、大変興味
がございます。 課題としては、JR九州の主体的参画、国の事業費の3分の1の財政支援の実現、
県民総合運動公園への
アクセス改善を挙げられました。3つとも大変重要な課題で
あります
が、これまでの経緯を踏まえると、
県民総合運動公園への
アクセス改善に期待し
ていた多くの県民のためにも、
県民総合運動公園への
アクセス改善は早急に進め
ていただきますよう、強く要望いたします。 我々
自民党県議団は、
空港アクセス鉄道の整備は必要との立場で、これまで県と連携しながら、一貫し
てこの課題に取り組んでまいりました。国の事業費の3分の1の財政支援の実現に向け
ても、これまで同様、県と連携し
て取り組んでまいるつもりでございます。 今後、県議会及び県民への説明を尽くし
ていくとおっしゃっ
ていただきました。私自身、
高速交通対策特別委員会や所管の予算を審議する
常任委員会での議論等を注視し
ていくつもりでございます。 今回の中間的な調査結果とただいまの知事の答弁で、
空港アクセス鉄道の早期実現に一歩近づいたと感じ
ております。残された課題を
スピード感を持っ
て整理し
ていただき、一日も早くルートの選択をし
ていただきますようお願いいたします。 次の質問に移らせ
ていただきます。 次は、
球磨川水系の治水対策と五木村の振興についてお尋ねをいたします。
球磨川流域を中心に甚大な被害をもたらした令和2年7月豪雨から2年2か月
が経過をいたしました。 発災直後、私は、
県議会議長として被災地に直接足を運び、土砂や流木、瓦礫などで埋め尽くされたすさまじい被害の爪痕を目の当たりにし、自然の脅威を痛感させられました。 なぜこのような被害
が起き
てしまったのか、どうすれば被害を防げたのか、そうした様々なじくじたる思いの下、被災地の復旧、復興に向け
て、蒲島知事とともに、当時の
安倍内閣総理大臣に
緊急要望書を手渡したことを昨日のことのように思い出します。 あれから2年
が経過をし、これまで被災地では、住民の皆様をはじめ、関係者の懸命な御努力により、住まいやなりわいの再建、新たな
まちづくりなど、復旧、復興は着実に進みつつ
あると感じ
ています。 しかしながら、いまだ8月末時点で2,030人の方
が仮設住宅などでの生活を余儀なくされるなど、復旧、復興はまだ道半ばです。引き続き、
被災市町村に寄り添いながら、復旧、復興の取組をさらに加速させ
ていかなければなりません。そのためにも、球磨川の治水対策を着実かつ迅速に進め
ていくこと
が何より重要です。 豪雨被害を受け、球磨川の治水対策に向け
ては、まず、国、県、
流域市町村が連携をし
て豪雨災害の検証に取り組まれ、洪水流量の想定や
川辺川ダムが存在した場合の効果など、丁寧かつ客観的な検証
が進められ
てきました。 その後、知事は、30回にわたる流域住民の皆様の御意見を直接お聴きになり、一昨年11月に、
県議会全員協議会の場において、
流水型ダムを含む緑の流域治水という新たな方向性を表明されました。 そして、その方向性の下、国、県、
流域市町村が一体となり、
流域治水プロジェクトの策定とそれに基づく治水対策の実施、さらには長期的な河川整備の方針となる
球磨川水系河川整備基本方針などの変更
が進められ
てきました。 先月9日には、
球磨川流域の具体的な河川整備の目標や内容を示す
球磨川水系河川整備計画が策定をされました。これにより新たな
流水型ダムが法的に位置づけられ、いよいよ
流水型ダム事業が本格的に動き出すことになります。 新たな
流水型ダムは、知事
が表明されたとおり、安全、安心を最大化するもので
あるとともに、球磨川の環境に極限まで配慮をし、清流を守るもので
ある必要
があると私も考えます。 このことについては、知事は、2年前の県議会の場で、法に基づく
環境アセスメントあるいはそれと同等の
環境アセスメントの実施を国に求めると表明されるとともに、球磨川の環境に極限まで配慮をし、清流を守る新たな
流水型ダムとして整備
が進められ
ているのか、県や
流域市町村だけではなく、流域住民とも一体となっ
て事業の方向性や進捗を確認し
ていく仕組みを構築し
ていくと表明され
ています。
環境アセスメントについては、現在、国において、法と同等の
環境アセスメントの手続
が進められ
ています
が、事業の方向性や進捗を確認し
ていく仕組みについては、いまだ全容
が明らかになっ
ておりません。 私は、国による
環境アセスメントの着実な実施とともに、県
がこの仕組みを効果的に活用することで、住民の不安解消や
流水型ダム事業への県民の理解
が進むのではないかと期待をし
ております。 そこで、この事業の方向性や進捗を確認し
ていく仕組みとは、どのようなものを想定し
ており、また、今後どのように進め
ていくのか、知事にお尋ねをいたします。 次に、五木村の振興についてお尋ねをいたします。
流水型ダムの整備を進め
ていく上で決して忘れ
てならないのは、半世紀以上にわたりダム問題に翻弄され続け
てきた五木村の歴史です。 五木村は、昭和41年の
川辺川ダム建設計画発表以来、村を挙げ
ての激しい反対運動やダム問題をめぐる村民の対立という苦難の歴史を経験されました。この間、人口の流出や産業の衰退により、村は、疲弊の一途をたどり、活力も失われ
てきました。そして、平成20年9月の蒲島知事の
川辺川ダムの白紙撤回の表明を受け、五木村は再び大きく混乱することになりました。 我が党も、五木村の歴史を十分に踏まえつつ、五木村の振興を強力に推進するため、平成20年12月に、
自民党県議団の提案により五木村振興推進条例を制定し、県議会としても、五木村の振興を県政の重要課題として取り組んでいく覚悟を示しました。 この条例によって、その後制定された五木村振興基金条例と両輪をなし
て、五木村の振興を後押ししたものと自負をし
ております。 令和2年7月の豪雨を受け、蒲島知事の
流水型ダムを含む緑の流域治水の決断により、再び五木村はダム問題に向き合うことになりました。今後、県としては、国と連携の下、
流水型ダムを前提とした新たな村の振興に取り組んでいく必要
があります。 6月5日には、蒲島知事自ら五木村を訪問され、午前、午後の2回にわたり、直接村民の皆様に知事の五木村の振興にかける決意と
流水型ダムを前提とした新たな振興の方向性を示されました。 その際、村民の皆様からは、いつまで我々は振り回されるのか、
流水型ダムが本当に観光振興につながるのかなど、ダム問題や今後の五木村の振興に対する様々な御意見
が出されたと聞い
ております。 そうした村民の不安や疑問を解消するために、県としては、国と五木村と連携をしながら、一日も早く村民の皆様に新たな五木村の振興計画をお示しし、五木村の振興を進め
ていく必要
があると考え
ています。 そこで、五木村の振興にかける知事の覚悟と決意を改めてお尋ねをいたします。 〔
知事蒲島郁夫君登壇〕
◎知事(蒲島郁夫君) まず、新たな
流水型ダムの事業の方向性、進捗を確認する仕組みについてお答えします。 私は、発災直後から幾度となく被災地へ伺い、直接住民の皆様の思いに触れ、対話を重ね
てまいりました。その中で、命と環境を共に守ることこそ
が全ての流域住民の願いで
あると受け止めました。 私は、その願いに応えるため、
球磨川流域の治水の方向性として、新たな
流水型ダムを含む緑の流域治水を進め
ていくことを、令和2年11月19日に、この議場において表明しました。 この命と環境の両立を成し遂げるためには、新たな
流水型ダムは、住民の命を守るもので
あるとともに、球磨川の環境に極限まで配慮し、清流を守るものでなければなりません。 そのため、
流水型ダムについては、国において、8月24日に
流水型ダム環境保全対策検討委員会
が開催されるなど、法と同等の
環境アセスメントが着実に進められ
ています。 同時に、私は、
流水型ダムについて、命と環境の両立
が図られ
ているかどうか、事業の方向性や進捗を確認する仕組みの構築をお約束しました。現在、この仕組みの構築に向け、具体的な検討を進め
ています。 仕組みについては、県や市町村だけでなく、流域住民の皆様とも一体となっ
て確認し
ていくこと
ができるよう、現在、どのような形で御参加いただくかを検討し
ています。 また、現在、国において、環境影響評価方法レポートの作成に向けた検討
が進められ
ており、今後、環境影響評価の内容も踏まえ
て、
流水型ダムの具体的な設計
が実施されると伺っ
ています。 こうした
環境アセスメント手続の動向を注視しながら、引き続き仕組みの速やかな構築に向け
て検討を進め
てまいります。 次に、五木村の振興にかける私の覚悟と決意についてお答えします。 14年前の
川辺川ダム白紙撤回の決断、そして一昨年11月の新たな
流水型ダムの決断、この2度の決断において、何よりも私の頭を離れなかったの
が五木村の皆様のことで
あります。 ダムの方向性
が2度にわたり大きく転換されたことは、長きにわたってダム問題に翻弄され
てきた五木村の皆様にとって、直ちには受け入れ難く、村の将来に不安を抱く方も多いと思います。 そのため、私は、本年6月5日に五木村にお伺いし、私の決断に至った経緯や思いについて直接説明するとともに、深くおわびを申し上げました。そして、五木村の振興に知事として責任と覚悟を持っ
て取り組んでいくことを、村民の皆様に改めてお誓い申し上げました。 その中で、新たな五木村の振興に向けた3つの私の思いをお伝えしました。 1つ目は、五木村の皆様への感謝です。 私は、
流水型ダムにより大きな影響を受ける五木村への感謝の気持ちを決して忘れ
てはならない、そしてこの感謝の気持ちを、下流域の人々とともに、五木村の振興につなげ
ていかなければならないと考え
ています。 今月2日の
川辺川ダム建設促進協議会の要望の際には、下流域の全ての市町村長から、五木村と
流水型ダムの建設予定地となる相良村への感謝と振興に向けた熱い思い
が示され、私も心強く感じました。 2つ目は、新たな
流水型ダムを五木村の振興に最大限活用するということです。
流水型ダムは、平常時には、湛水区域やその周辺地域の美しい自然、清流
が残されます。このメリットを生かした取組は、村の振興の重要な柱になると考え
ています。 3つ目は、五木村にしかない新たな宝の創造です。 五木村には、美しく雄大な山や谷、清流
があり、そこから生まれる豊かな恵み
があります。村のさらなる発展につなげるためには、今
ある宝を磨き上げ、五木村にしかない新たな宝を創り上げること
が重要です。 私は、この3つの思いを胸に、五木村の振興に全身全霊で取り組んでいく覚悟です。 新たな振興計画の策定に向け
ては、6月に例示した4つの方向性を踏まえ、国や村と一体となっ
て、村民や村内事業者の方々の御意見を丁寧に伺っ
ています。 これらを受け、現在、計画に盛り込む具体的な事業などを庁内各部局
が連携し
て検討を進め
ております。 この秋をめどに、今年度から取り組む具体的な事業等を含めた新たな振興計画を村にお示ししたいと考え
ています。 その上で、新たな
流水型ダムの完成後も見据えた中長期的な財源について、今後しっかりと検討したいと考え
ています。 五木村の振興については、県議会におかれまし
ても、議員提案による五木村振興推進条例の制定をはじめ、これまで一貫し
て、執行部と一体となっ
て御尽力いただきました。 今後とも、五木村への感謝の気持ちを忘れず、県議会の御支援をいただきながら、村の振興に不退転の決意で取り組んでまいります。 〔池田和貴君登壇〕
◆(池田和貴君) 事業の方向性や進捗を確認する仕組みについて、知事から、目的や内容、また、スケジュール等について御答弁をいただきました。 ダムは、生命、財産を守る洪水調節機能を有する治水施設の一つで
あります。事実、昨年8月の豪雨の際に、私の地元で
ある天草市でも、亀川ダムや路木ダムなどの洪水調節により河川の水位を低減させ、大きな被害を免れること
ができました。一方で、ダム
が環境に与える影響を不安視する声
が多く
あることも確かです。 特に、川辺川の
流水型ダムについては、これまでの歴史的な経緯を含め、流域住民の関心も高く、知事
が表明されたとおり、球磨川の環境に極限まで配慮し、清流を守る新たな
流水型ダムとして整備されること
が重要だと考えます。 そのためにも、今後、この仕組みにより流域住民や関係者と
流水型ダム事業の方向性と進捗を確認し
ていただくとともに、この仕組みを通じて
流水型ダムに対する県民の理解
が進むよう、しっかり取り組んでいただきたいと思います。 特に、五木村の皆様からは、
流水型ダムが湛水した後の流木や泥などの環境影響を心配する声
があるとお聞きをし
ております。県としても、管理者で
ある国とともに、連携し
て五木村の不安の解消に努め
ていただくようにお願いをいたします。 一方で、二度とあのような被害を起こさないためにも、住民の安全、安心の確保に向け
ては、一日も早い
流水型ダムの整備
が求められ
ています。 この仕組みは、あくまで
流水型ダムの事業の方向性と進捗を確認する場で
あり、決してダムの是非を議論する場で
あってはならないと思います。環境への配慮に向けた取組を丁寧に進めながらも、
流水型ダムの整備に向けたスケジュールに影響
がないよう進め
ていただくことを重ね
てお願いをいたします。 続きまし
て、五木村の振興について、五木村の振興に向けた知事の決意は、全身全霊をかけ
て取り組むと、そういった決意を御答弁し
ていただきました。 今後も、国とも連携をしながら、五木村の振興に全力を挙げ
て取り組んでいただくように強く要望いたします。 我々
自民党県議団としても、平成20年に五木村振興推進条例を議員提案により制定するなど、これまで執行部と一体となっ
て五木村の振興を強力に支援をし
てきたところで
あります。 また、御答弁いただいた知事の覚悟を受け止め、我が党としても、
流水型ダムを前提とした新たな五木村の振興を強力に推進するため、今後、五木村振興推進条例の改正も含め、最大限の支援を検討し
てまいりたいと考え
ております。 また、
流水型ダムの建設予定地となる相良村の振興も忘れ
てはなりません。相良村の振興に向け
ても、村の意向をお聴きしながらしっかりと取り組んでいただきますよう、併せ
てお願いをいたします。よろしくお願いいたします。 続きまし
て、次の質問に移らせ
ていただきます。 新型コロナウイルス感染症の対策についてで
あります。 本県の新型コロナウイルスの感染者は、6月下旬から増加傾向となり、7月5日に過去最多の1,588人を確認し
て以降、7月12日には2,330人と初めて2,000人を超えるなど、第7波
が到来したと言える状況になりました。 その後も感染者の増加の勢いは止まらず、8月18日には5,679人もの感染者を確認するなど、第7波では、第6波までの波と比較にならないほどの爆発的な増加
が見られました。 感染者
が急激に増加をしたことから、県内の新型コロナの入院患者を受け入れる医療機関でも、スタッフ
が感染するなどし
て欠勤になったり、発熱外来にも多くの患者
が殺到したところも
あると聞い
ています。 また、病床使用率も、8月上旬から中旬にかけては70%を超える高い水準
が続くなど、医療の現場で働かれ
ている方にとっては、非常に厳しい状況だったと思います。 また、県内のバス事業者においても、運転手
が感染者や濃厚接触者となり、減便
が発生するなど、第7波の影響は、公共交通機関といった社会インフラにまで及ぶ事態となりました。 このように、病床使用率も高く、医療の現場
が大変な状況に
あったことなどを踏まえ、県は、8月2日に対策本部を開き、熊本BA.5対策強化宣言を出されました。 その後、感染者数は、お盆の時期の後、一旦増加に転じました
が、現在では減少傾向
が見られ
ており、病床使用率も大分下がっ
てき
ているのではないかと思います。 そうした中、9月8日、国は、感染症法上の措置について、高齢者、重症化リスクの
ある者に対する適切な医療の提供を中心とする考え方に転換し、新型コロナウイルスへの対応と社会経済活動の両立をより強固なものとした、ウィズコロナに向けた新たな段階に移行することを新たに示しました。 その中では、患者の発生届の範囲を65歳以上、入院を要する方、重症化リスク
があり、治療薬投与等
が必要な方、妊娠し
ている方に限定する、いわゆる全数届出の見直しを、9月26日から全国一律で適用することを示しました。 そこで質問です。 まず、1点目として、今後、第7波のように感染者数
が非常に多い状況でも、県は、感染防止と社会経済活動の両立を目指されるのか。 2点目として、第7波において、医療機関等への負荷
が急速に高まった中で、保健医療提供体制の確保にどのように取り組まれたのかに加え
て、熊本BA.5対策強化宣言の取扱いや国
が示した全数届出の見直しについて、今後県としてどのように対応されるのか、知事にお尋ねをいたします。 次に、国は、社会経済活動との両立を図るため、オミクロン株に対応した新しいワクチンの接種について、専門家でつくる分科会を開き、具体的な対象者や進め方の方針を決めました。 それによりますと、新しいワクチンは、従来株に由来する成分とオミクロン株の一つで
あるBA.1の成分の2種類を組み合わせた2価ワクチンと呼ばれるもので、現在猛威を振るっ
ているBA.5に対しても、一定程度の効果
があると期待をされ
ています。 また、対象者は、2回までの接種を終えた12歳以上の全ての人とされ
ております。その上で、現在行われ
ている4回目接種の対象となっ
ている高齢者や医療従事者などのうち、まだ接種を受け
ていない人からオミクロン株に対応したワクチンに切り替え、10月半ばから予定され
ていた接種
が、早ければ前倒しで今月中から接種を開始するとされ
ています。 そこで、3点目の質問です。 オミクロン株に対応したワクチン接種について、市町村の接種
が前倒しされたことで、接種体制を早期に構築する必要
があります。市町村の支援を含め、運営体制の整備
が求められると思います
が、県としてはどう取り組んでいくのか、知事にお尋ねをいたします。 〔
知事蒲島郁夫君登壇〕
◎知事(蒲島郁夫君) まず、1点目の感染防止と社会経済活動の両立についてお答えします。 本年1月からの第6波以降は、重症化リスク
が相対的に低いオミクロン株による感染
が広がりました。 オミクロン株の感染力を踏まえ、国は、重症化のリスクの
ある高齢者等を守ることに重点を置きつつ、感染防止と社会経済活動の両立を図る観点から、新たな行動制限を行わない方針を示し
ています。 本県としても、感染拡大防止と地域経済の回復という2つの目標のベストバランスを追求し
てまいります。 そのためには、県民お一人お一人
が、感染しない、感染させないと意識し
て行動すること
が重要です。新しい生活様式の実践などによる感染防止対策の周知を図っ
てまいります。また、医療機関の適正な受診を改めてお願いし
てまいります。 一方、地域経済については、第7波による感染拡大により、飲食業や宿泊業を中心に、県内事業者に影響
が生じ
ています。 県としては、引き続き、県内事業者の事業継続を後押しするとともに、商工団体等と連携し
て、新型コロナによる県内経済への影響や国の動向等を注視し、必要な追加の対策を検討し
てまいります。 次に、2点目の第7波における保健医療提供体制確保についてお答えします。 第7波においては、受診希望者の大幅な増加と医療機関のスタッフの感染等により、一部の医療機関では受診や入院を断わるなど、医療現場は大変厳しい状況になりました。 そのため、7月22日に、熊本市長、県医師会長、県・市合同専門家会議座長との連名で、入院病床のさらなる確保、外来診療への協力などについて、医療機関に働きかけを行いました。 また、8月2日には、全国で最も早く熊本BA.5対策強化宣言を発令しました。この宣言により、県民や事業者の皆様への感染防止対策の徹底のお願いや医療機関の適正受診の呼びかけ、希望する医療機関等への抗原検査キットの配付などを行いました。 これらの対策の実施後、多くの医療機関から御協力をいただき、入院病床は、7月22日時点の855床から1,025床まで大幅に増加しました。 また、抗原検査キットを配付することにより、外来診療逼迫の解消に一定の効果
があったものと考え
ています。 このように、保健医療提供体制の確保に取り組んだ結果、昨日時点の病床使用率は32.4%まで下がりました。 そのため、熊本BA.5対策強化宣言の終了に向け
て、関係者との調整を進め
ており、本日の午後には発表したいと考え
ています。 さらに、全数届出の見直しについては、国
が全国一律で適用することとした9月26日から、本県も実施いたします。 なお、見直しに当たっては、自宅療養され
ている方の体調
が悪化したときに、連絡、相談し
ていただけるフォローアップ体制を整え、必要に応じ
て医療機関を案内するなど、安心し
て療養いただける環境を整備します。 最後に、3点目のオミクロン株に対応したワクチンの接種についてお答えします。 オミクロン株対応ワクチンについては、国の方針に沿っ
て迅速に接種できるよう、現在、市町村と連携し、早急に準備を進め
ているところです。 また、働い
ている世代の接種
が迅速に進むよう、夜間、休日に接種しやすい環境を整備する観点から、10月中の県民広域接種センターの再開に向け
て準備を進め
てまいります。 〔池田和貴君登壇〕
◆(池田和貴君) ただいま知事から、3点について御答弁をいただきました。 本当に、第7波はたくさんの方
が感染をされ
ております。私も、今回の代表質問に当たり、私自身
がこの日にもし感染をしたらとか、濃厚接触者になっ
てこの場に立てなかったらどうしようという実は心配をし
ておりまし
て、溝口議長にも、そのときの対応については考え
ておい
てくださいとお願いをし
てきました。私の心配も杞憂に終わっ
て、この場に立てたことをまず感謝したいというふうに思っ
ています。 知事のほうからは、感染防止と社会経済活動の両立については、知事も常々おっしゃっ
ております
が、これは非常に大事なことでございますので、多分国の動向を見ながらしっかり取り組んでいただけるものというふうに思っ
ております。 ただ、やはりそれをやるに当たっては、大きな影響を受ける方
がたくさん出
てまいります。この点については、今までも適切に私は処理をし
ていただいたというふうに思っ
ておりますし、我々県議会も、予算
が必要なときでも、事前の丁寧な説明を前提に、議会を開くことなく専決処分でやっ
ていただくこともお願いをし
てまいりました。今後とも、しっかりと、必要な対策
がある場合には取り組んでいただくことをお願い申し上げたいというふうに思っ
ています。 第7波における保健医療体制の確保については、御答弁にもございましたように、医療機関の皆様方の御理解も
あって、病床数も855から1,025まで増加をし
てまいりました。また、抗原検査キットの配付によって外来受診の逼迫の解消にも効果
があったというふうには考え
ております
が、やはりかなり数
が多かったものですから、それでも混乱
があったのは事実として受け止め
ていかなければいけないのではないかと思います。 今後に向け
て、次にどのような株
が流行するのか、まだ我々としては知る由もございません
が、今回の経験を生かし
て迅速に対応し
ていただくようにぜひお願いをしたいと思いますし、また、BA.5対策強化宣言についても、本日午後、専門家会議を開い
て発表するという知事の御答弁
がございました。多分、今の状況からすると、宣言はこれで終了じゃないかというふうに思います
が、さらに減少することを願っ
ております。 また、全数届出の見直しは、国
が全国一律適用した9月26日から実施するということでございます。知事も述べられましたように、やはり自宅療養者の方々、この方
が何か
あったときには相談をすぐできるような、そういった体制は、おっしゃっ
ていただいたように、大切だと思いますので、早急に立ち上げ
てやっ
ていただきたいというふうに思っ
ております。 また、新たなワクチンの接種については、10月中に県民広域接種センターの再開に向け
て、市町村をサポートする体制でやっ
ていくという御答弁でございました。 これも、どのくらいの方
が必要になるかというのは分かりません
が、やはり体制を整え
ていくということは大変重要なことだと思いますので、早急に体制を整え
ていただくよう準備を進め
ていただくことをお願い申し上げたいと思います。 今後とも、我々県議会も、執行部の皆さんと一体となっ
てコロナウイルスの感染症対策には取り組んでまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。 続きまし
て、次の質問に移らせ
ていただきます。 食料の安全保障についてでございます。 世界の食料需給は、世界の人口増加による食料需要の増大、異常気象の頻発による生産量の減少だけではなく、ロシアによるウクライナ侵略も
あり、原油や穀物等の国際価格は高水準で推移をし
ております。 食料や原材料を海外からの輸入に依存し
ている我が国にとって、食料安全保障のリスク
が大きくなっ
ている状況です。コロナウイルス感染症の感染
が拡大し
ていたときに、マスクや消毒液
が一斉に店頭から消えたように、食料を確保できなくなることも
あるのではないかと心配をし
ております。 このような世界的な混乱は、肥料や家畜飼料、農業用資材の価格高騰となっ
て、本県農業に影響
が見られ始め
ております。 地元農業者からは、農産物価格
が上がらない中でコスト
が上がり、所得
が確保できない、いわゆる就農を継続し
ていくことは非常に困難だというような話や、農業団体からは、営農継続
が危ぶまれるほどの甚大な影響を受け、安定生産に支障を来しかねない危機的な状況といった、飼料、燃料、肥料などの生産資材高騰対策や適正な農畜産物の価格形成を求める緊急要望を我々県議会も受けたところでございます。 特に、日本一のハウス面積を誇る本県農業に欠かすこと
ができない燃油については、国際的な経済の不透明感と円安による国力の低下も相まって、県内農業者の不安
がますます大きくなっ
ています。 国は、令和4年6月に、物価・賃金・生活総合対策本部を設置しました。会議の中で、岸田首相からは、輸入小麦の価格抑制や配合飼料と肥料原料価格等に対して、事業規模13兆円の緊急総合対策を実行し、物価高騰等の影響から国民生活や事業を守ること
が表明をされました。 また、8月には、飼料価格の動向を踏まえ
て畜産物の価格上昇の抑制を図るなど、食料品全般の価格上昇にきめ細かな対策を講じることも表明をされ
ております。 令和5年の概算要求においても、食料安全保障の強化に向けた対応に係る経費を事項要求として提出するなど、将来にわたる食料の安定供給確保に必要な総合的な対策を進め、国家レベルで食料安全保障の強化に向けた検討
が進められ
ています。 これまで、蒲島知事は、農業経験の
ある知事として、情熱を持っ
て本県の農業政策に取り組んでこられました。その情熱
が象徴された数字として農業産出額
があります。 知事に就任された平成20年の産出額は3,053億円で
あった本県の農業産出額は、就任後ほぼ右肩上がりに推移し、令和2年には3,407億円まで増加をさせ、本県を全国有数の農業県まで育てられました。 また、国の動きに先行し
て、昨年7月に、熊本の強みを生かした5つの安全保障の一つに食料の安全保障を掲げられました。 そこで、本県
が今後どのように食料の安全保障に貢献し
ていくのか、その認識を知事にお尋ねをいたします。 〔
知事蒲島郁夫君登壇〕
◎知事(蒲島郁夫君) 本県では、水稲、野菜、畜産など、多様な農畜産物
が生産され
ています。そして、全国有数の農業県として、国民の皆様に安全で質の高い農畜産物を安定し
てお届けし
ています。 私は、知事就任以来、本県の宝で
ある農業
が、持続的ななりわいとして確立されなければならないという強い思いを持っ
て農業政策を進め
てまいりました。 その1つは、稼げる農業の実現です。 具体的には、くまもとの赤など、くまモンの活用によるブランド化、収量
が多いイチゴ「ゆうべに」の普及など、生産量を向上させる取組、そして農地集積や広域農場による生産コストの削減、いわゆる価格P、生産量Q、コストC、いわゆるPQCの最適化に取り組んできました。 2つ目は、将来の本県農業を担う人材の育成です。 私は、若手農業者の経営管理能力を育成するため、くまもと農業経営塾を開設しました。この塾を修了された方々は、現在では本県農業を牽引するトップリーダーとして活躍され
ています。そして、将来にわたってもリーダーとして活躍されることでしょう。 3つ目は、環境を守る農業の実践です。 熊本の百年の礎を築く地下水と土を育む農業推進条例を制定しました。この条例の柱にくまもとグリーン農業を位置づけ、農薬や化学肥料の削減など、農業の力で地下水と土を守る取組を進め
てまいりました。 このような取組を進め
ていく中で、本県農業は、熊本地震、令和2年7月豪雨など、度重なる自然災害に見舞われました。この逆境に、私は、被災者の痛みの最小化と創造的復興を掲げ、様々な支援策を創設し、農業者や農業団体の皆様とともに乗り越え
てきました。 その結果、生産農業所得は、令和2年に1,495億円で全国3位となりました。 そして、この創造的復興の先に
ある地方創生の一つ
が食料の安全保障だと考え
ています。 現下の危機とも言える肥料や配合飼料等の価格高騰に対しても、国の地方創生臨時交付金を活用し、いち早く本県独自の負担軽減支援策に取り組んで
います。 全国有数の農業県という本県の強みを生かし
て、これまでの取組をさらに強化し、食料の安定供給を通して、日本の食料安全保障の一翼を担っ
てまいりたいと思います。 〔池田和貴君登壇〕
◆(池田和貴君) ただいま知事のほうからは、3つの観点からお答えをいただきまし
て、そして、地方創生のために必要で
あるということ、また、全国有数の農業県という本県の強みを生かし
て、国の食料安定供給を通して日本の食料安全保障の一翼を担っ
てまいるという決意を聞かせ
ていただきました。 私も、今回の質問をするに当たり、いろいろ調べ
てまいりました。その中で、知事
がやってこられた施策、そういったものも改めて見させ
ていただきました。非常に方向性として賛同もできるところで
ありますし、ただ、これを実行し
ていただく農家の皆さん方
がいなくなっ
てしまえば、幾ら旗を掲げ
てもなかなか量は増え
ていかない。食料として確保し
ていくことは難しい。必要な対策を打とうとしたときに、やはり本県の財政状況で、本県だけでは非常にやっぱり限られ
ているので、国の施策をうまく活用し
てやっ
ていくことで、本県の農業をしっかり下支えし
ていくということ
が大事だというふうに考えました。 ですから、今回の燃料や飼料の高騰対策について、団体のほうから要望
が出され
ております
が、そういったのにも迅速に対応し
ていただきますように――まあ、考え
ていただい
ているというふうには理解をし
ております
が、ぜひそういったこともやっ
ていただい
て、本県の農業者の皆さん方
が営農を継続し
て頑張っ
ていこうという気持ちになるようにやっ
ていただくことをお願い申し上げたいと思います。 それでは、次の質問に移らせ
ていただきます。 少し前の記事になります
が、本年の5月5日の熊日新聞の記事に「18歳まで医療費無償、県内の34市町村に」という見出しの記事
が掲載をされ
ていました。県内8割近くの市町村
が18歳までの医療費の無償化に取り組まれ
ていることは、子育て世帯の経済的負担への直接的な支援になるものと思います。 一方で、市町村への助成枠
が、通院の医療費助成
が4歳未満までで
ある県の取組について、全国的に見
て最低水準で
あること、さらに市町村担当者の、県
がせめて助成を未就学児や小学生まで拡大し
てくれたら、財政的な余裕も生まれ、年齢も拡大しやすくなるという声
が取り上げられ
ていました。 子供医療費助成制度は、1960年代に、高い乳幼児死亡率の漸減を目的に、全国の地方自治体で導入
が行われ
てまいりました。体調
が悪く
ても、金銭面の問題で病院に行けず、その結果重症化あるいは亡くなる割合
が高かった低所得者世帯への支援策で
あったそうです。 その後、各市町村長の選挙公約や自治体独自の政策として、対象年齢や所得要件等
が拡大され
てき
ており、現在では、子育て世帯への支援策や移住・定住促進策として捉えられ
ていると私も認識し
ています。 子供医療費助成制度については、これまで、本県議会においても、複数の先生方
が質問し
てこられました。その際、執行部は、仮に県
が助成対象を拡大したとしても、市町村の財政的な負担軽減にはなるものの、直接的な住民サービスの向上にはつながらないと説明をされ
ています。そして、限られた財源をより効果的な子育て支援策に活用するという考えの下、本県独自の様々な施策に取り組んで
いると答弁をされ
ています。 私自身、他県には例
がなく本県だけ
が実施し
ている事業や他県に先行し
て実施し
ている事業等に、令和4年当初予算で3億4,500万円
が予算措置をされ
ていて、本県の様々な子ども・子育て支援策は着実に成果を上げ
ていると理解をし
ています。 言うまでもなく、子ども・子育て支援策については、本来、子育て世帯の負担を軽減するだけではなく、子供を産み育てやすい環境を総合的に整備し、少子化対策につなげ
ていくことこそ
が最も重要なことだと考え
ています。 我が党は、かねがね、本県は先進的な子ども・子育て支援策を実施し
ている県で
あると考え
ており、全国と比較した場合に、本県の高い出生率
がそのあかしで
あるとも思っ
ています。 しかしながら、子供医療費助成制度
が、体調
が悪く
ても金銭面の問題で病院に行けない低所得者層への支援策から子育て世帯への支援策や移住・定住促進策として変遷し
ていることを考慮すると、子供医療費助成
が全国最低の水準で
あることも再考する必要
があるのではないかと思います。 来年度には、こども家庭庁
が発足することになります。今後は、少子化対策をはじめ、子ども・子育て施策のさらなる充実
が必要となっ
てきます。そのためには、県だけではなく、実際の子育ての現場で
ある市町村も含めた県全体の取組促進
が重要で、子供医療費助成はこのままでよいのかと考え
てしまいます。 そこで、今後の医療費助成に対する県の考え方について、知事にお尋ねをいたします。 〔
知事蒲島郁夫君登壇〕
◎知事(蒲島郁夫君) 子供医療費助成制度については、議員御指摘のとおり、既に全ての市町村
が上乗せ助成を行っ
ています。そのため、県では、限られた財源を有効に活用するため、様々な議論を重ね、本県独自の効果的な子ども・子育て施策に積極的に取り組んでまいりました。 例えば、平成24年度から取り組んで
いる子供の学習支援は、貧困の連鎖を教育で断つという強い決意の下、全国に先駆け
て始めたものです。 また、令和元年度には、結婚、妊娠、出産などの支援を市町村
が主体的に選択できるよう、パッケージで手厚く支援する総合交付金事業を、また、令和3年度には、本県の第3子以降の出生率
が高いという強みを生かし、3人以上の子供を持つ世帯を支援する事業を始めました。 さらに、今年度から、新生児の先天性疾患を発症前に発見し、早期治療につなげるための検査費用の助成を全国で初めて開始したところです。 このような中、来年度には、こども家庭庁
が発足します。このこども家庭庁は、常に子供の最善の利益を第一に考え、子供に関する取組、施策を真ん中に捉えるこどもまんなか社会の実現を目指し
ています。 国としては、来年度から、外国籍の子供の受入れ等の多様な保育の充実や妊娠期からの不安を支える伴走型の子育て支援など、市町村
が中心となっ
て取り組む新たな施策を打ち出そうとされ
ています。 県としては、市町村と一緒になっ
て子ども・子育て支援に取り組んでいくため、施策を総点検し、国の新たな施策と併せ
て再整理するよい機会だと考え
ています。 そこで、まずは、市町村
が既に取り組んで
いる施策や必要と判断し
ても財政運営上実施でき
ていない施策、さらには実施に必要となる費用等を把握するための調査を早急に実施いたします。 その調査を参考にしながら、より実効性の
ある子ども・子育て支援につなげ
ていくために、県と市町村の役割分担や必要となる新たな施策、その財源等について検討したいと考え
ています。 その中で、子供医療費助成制度の在り方について、方向性を固め
てまいります。 〔池田和貴君登壇〕
◆(池田和貴君) ただいま知事のほうからは、市町村の皆さん方に早急に調査をし
て、新たな方向性を固め
ていくというような御答弁
があったかというふうに考え
ております。 やはり、知事
が冒頭に御説明されたように、熊本県の施策としては、私は非常にいい面もたくさん
あるんだというふうに思っ
ております。ただ、残念ながら、政策をやる側と受け取る側、やっぱり分かりやすさというのも必要なのではないかというふうに思います。よく調べ
てみると非常によくやっ
ているんだけれども、でも
ある一面を捉えると、ちょっとそれ
が理解され
ていないというところ
があるんじゃないかというふうに思いますので、そういったことを踏まえ、こども家庭庁
が発足するに当たり、しっかりここは実際の子育ての現場で
ある市町村の皆さん方の意見を聴きながら、また、市町村の皆様方にこちらからいろんな提案をしながら、新たな制度の方向性をつくっ
ていただければ大変ありがたいというふうに思います。 これによりまして、大体入院、通院で小学校就学以前まで、全ての都道府県
が無償化をするというふうになりました。私自身、これ
が一番いいのは、全ての都道府県
がそういう状態になったので
あれば、ナショナルミニマムとしてここまでは国のほうでしっかりとやっ
ていただい
て、今まで自治体
が負担し
ていた分を新たな子育て支援策に進む、そういうような循環になっ
てもらえればいいんじゃないかなというふうに思っ
ております。 県としても、国のほうにその辺は要請され
ているというふうに聞い
ております
が、ぜひ全国知事会でも機会
があればそういった御提言もし
ていただい
て、議論し
ていただければ大変ありがたいというふうに思っ
ております。ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。 続きまし
て、次の質問に移らせ
ていただきたいと思います。 赤潮被害への対応についてでございます。 今年8月に発生した赤潮被害の対応についてお尋ねをいたします。 7月27日から8月31日にかけて八代海で発生したカレニアミキモトイ赤潮は、8月上旬には広範囲に拡大をし、マダイ、シマアジ、トラフグ、アコヤガイなどの養殖魚介類に多大な被害をもたらしました。 被害は、熊本県だけではなく、鹿児島県にも及び、特に本県では、魚類養殖業や真珠養殖業を中心に、被害総額19億円という、平成12年に次ぐ過去2番目の大きな被害となっ
ています。これは、令和2年の魚類養殖生産額の14%に当たる金額で
あります。 また、真珠養殖では、これから玉入れを行う母貝を中心に被害
が発生をし
ており、秋からの玉入れ作業への影響
が心配され
ています。被害に遭われた皆様方には、心からお見舞いを申し上げます。 また、魚類養殖業では、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、売上げ
が令和2年からの2年間で43億円も減少し
ており、今年になり回復基調になっ
てきたところです。 さらに、米中の覇権争いやロシアのウクライナ侵攻による経済環境の変化
が、燃油、餌、出荷資材の高騰によるコスト増加も経営に影響を与え
ております。 今回の赤潮被害は、苦難に直面し
ている養殖経営にさらに追い打ちをかけ
ているとともに、養殖業者の体力のみならず、経営継続の意欲まで失わせ
てしまいかねない状況で
あります。 9月8日には、2つの漁業団体の養殖業者の皆様方から、また、9月14日には、上天草市、天草市、芦北町、津奈木町の4市町から、それぞれ赤潮被害に対する支援について、要望書
が県議会及び県知事に提出をされ
ています。 平成22年に発生したシャットネラ赤潮による被害に対し、県では、国、関係市町と連携し
て、事業再開のための中間魚の導入や資金の利子補給などの支援
が行われ
てきました。 今回、平成22年を上回る被害
が養殖業者の皆様に与える影響は大きく、さらに大変厳しい状況では
あります。自助努力をする状態をも超え
ているというところではないかというふうに思っ
ております。 本県漁業生産額の44%を占めるノリを除いた養殖業は、生産額において、魚類養殖業
が全国6位、真珠養殖業
が全国4位の位置を占め
ており、輸出においても本県農林水産物の輸出額の26%を占めるなど、まさに本県水産業の大きな柱で
あります。 特に、天草・芦北地域において、水産業はとても重要な産業で
あり、直接的な雇用の場としてだけではなく、加工業や流通業も含めた裾野の広い産業で
あることから、早急な事業の再開
が必要です。 そこで、今回の赤潮被害に対し、県はどう対応され
てきたのか、また、被害を受けられた養殖業者への支援について、県としてどのように対応されるのか、知事にお尋ねをいたします。 〔
知事蒲島郁夫君登壇〕
◎知事(蒲島郁夫君) 県では、八代海において、カレニアミキモトイの発生
が基準値を上回ったため、7月27日に赤潮警報を発令し、漁業関係者へ餌止めなどの被害防止対策の徹底を呼びかけました。 しかし、8月8日には、赤潮による被害
が発生したため、直ちに水産関係危機管理対策本部を設置し、赤潮の動向や被害状況の把握に努め
てきました。 さらに、8月17日には、被害を受けられた養殖業者の皆様からの様々な相談に対応できるよう、ワンストップ相談窓口を設置し、これまでにへい死魚の処理や養殖技術などに関して7件の相談を受け
ています。 本県における赤潮被害では、平成22年に約16億円の大きな被害
が発生しました
が、当時の養殖共済の加入率は27%に満たない、極めて低い状況でした。 そこで、県では、地元市町とともに、漁業者の共済掛金への支援を継続的に実施するなど、セーフティーネットの構築を進め
てきました。その結果、令和3年度の養殖共済の加入率は77.6%まで向上しました。 しかし、養殖共済制度の対象は、へい死時点までの養殖に要した餌代や人件費等の経費のみで
あり、出荷で得られる利益まで
が補填されるものでは
ありません。 加え
て、近年の養殖業は、新型コロナの影響や飼料の高騰など厳しい状況の中に
あり、今回のような甚大な被害を漁業者の経営努力と共済制度の枠組みだけで乗り越え
ていくには、相当な困難
が伴います。 また、今週水曜日には、天草市長、上天草市長、芦北町長、津奈木町長
がそろっ
て要望に来られました
が、県とともに対策を講じ
ていくとの意向
が示されたところで
あります。 そこで、県では、関係市町、漁業団体と連携し
て、速やかに支援策を実施できるよう、今定例会に養殖業者の早期事業再開等に向けた支援のための予算を追加提案したいと考え
ています。 その内容は、被害を受けた養殖業者の経営再開に不可欠な中間魚の購入経費への支援、へい死魚処理に要した経費への支援及び次の赤潮発生時に備えた赤潮駆除剤の補充経費への支援です。 さらに、国に対して、漁業団体や関係市町からの要望も踏まえ、養殖共済制度のさらなる充実や赤潮の発生予測の技術開発など、県や市町だけでは対応困難なものへの支援を求め
てまいります。 今後とも、共済への加入を強力に促進するとともに、養殖業の皆様
が将来にわたり希望を持っ
て安心し
て事業を継続できるよう、関係市町と連携し
て取り組んでまいります。 〔池田和貴君登壇〕
◆(池田和貴君) 蒲島知事におかれまし
ては、先日の市町村や漁業団体の皆様方の要望を受け
て、早速補正予算を提案する用意
があるということで今御説明をいただきました。本当に迅速な対応をし
ていただきましたことに、心から感謝申し上げたいというふうに思っ
ております。 赤潮自体は、これは毎年実は起こっ
ております。我々水産振興議員連盟も、吉永会長を筆頭に、やっぱり毎年このことには心配をし、今回のことも、発生直後から取り組んでまいったところでございます。 毎年起こることですので、これは災害として考えた場合に、やっぱり初動
が大切だということは知事も常日頃からおっしゃられ
ておりますし、例えば鳥インフルエンザのときの県の感染対策の初動については、多くの皆さん方
が大変評価をされ
ているところでございます。 そういった意味では、この赤潮についても、その初動
が――本部会議をやることも、これはすぐやっ
ていただい
ているところでございます
が、最初のへい死魚の処理
がやっぱり一番現場としては大変なところでございますので、そういったところにも初動としてうまく機能できるようなことも併せ
て考え
ていただければ大変ありがたいというふうに思っ
ております。 また、経営のセーフティーネットとしては、漁業共済のほうを進め
てまいりました。これも、今後もやっぱり進め
ていくこと
が必要だというふうに思いますので、ぜひこの辺も併せ
て――まあ、支援するという御答弁
があります
が、ぜひよろしくお願いしたいと思います。 続きまし
て、次の質問に移らせ
ていただきたいと思います。 県では、昨年6月に熊本県新広域道路交通計画を策定し、150分構想、90分構想、10分・20分構想の実現に向け、県内の高規格道路ネットワークの整備に取り組むこととされ
ています。 150分構想については、熊本都市圏と九州各県主要都市を150分で結ぶ高速
交通ネットワークの構築を目指し、熊本と大分を結ぶ中九州横断道路と延岡を結ぶ九州中央自動車道では、未事業化区間
が相次いで事業化されるなど、整備は大きく前進をし
ております。 また、鹿児島を結ぶ南九州西回り自動車道と大牟田市や柳川市、佐賀市などを経
て佐賀県鹿島市につながる有明海沿岸道路においても、事業は着実に前進をし
ており、国の多大な御尽力により、150分構想の実現とともに、本県の拠点性はますます向上されること
が期待をされ
ております。 また、90分構想については、県内で唯一この構想を達成でき
ていない天草地域の移動時間の短縮に向け
て、熊本天草幹線道路の整備
が進められ
ております。 国の事業区間では、昨年度、宇土三角道路
が事業化をされ、宇土道路、熊本宇土道路と併せ
て、熊本市南区から宇城市三角町までの宇土半島全区間で事業に取り組まれ
ております。 県の事業区間では、上天草市の大矢野道路と天草市の本渡道路で整備
が進められ
ております。 平成31年度に事業化をされた大矢野道路では、区間最大の構造物で
ある新大矢野トンネルの工事着手に向けた入札手続
が進められ
ていると聞い
ております。 また、私も幾度となく質問を重ね
てきた本渡道路では、5月21日に仮称第二天草瀬戸大橋の上部工連結式
が開催され、全ての橋桁
がつながるなど、今年度開通に向け
ての道路の全容
が現れ
てまいりました。 さらに、私
が2月定例会で質問した新たな橋の名前についても、去る8月31日に検討会
が開催されるなど、開通に向けた準備
が着々と進んでおります。 そして、これらの高規格道路
が結集する熊本都市圏では、10分・20分構想の実現に向け
て、国の協力を得ながら、県、市
が連携し
て具体化に向けた検討
が進められ
ていると聞い
ております。 去る8月27日に、県選出国会議員をはじめ、県議会からも多くの議員
が出席の下、熊本都市圏の自治体や経済界から成る熊本都市圏3連絡道路建設促進協議会
が設立をされ、今後、構想の実現に向けた取組
が一層進められ
ていくこと
が期待をされ
ております。 このように、本県の高規格道路ネットワークの整備は大きく前進をし
ている中、熊本では、世界最大の半導体製造会社で
あるTSMC関連工場の進出という大きなプロジェクト
が進んで
います。 その進出効果を、県内はもとより全国に波及をさせ、熊本のさらなる発展につなげ
ていくためには、中九州横断道路をはじめとする高規格道路の整備を加速化するとともに、熊本都市圏の新たな高規格道路についても、計画の実現に向けた取組を着実に進め
ていく必要
があると考え
ています。 そこで、まず1点目として、本県の高規格道路ネットワーク整備に向けた取組によるこれまでの成果と熊本都市圏の道路を含めた今後の取組について、お考えを知事にお尋ねをいたします。 次に、先ほど御紹介しました
が、熊本天草幹線道路では、知事
が令和元年10月の熊本天草幹線道路の早期完成を求める天草島民集会でお約束をされた令和4年度の開通に向け
て、整備
が進められ
ております。 しかし、私は、熊本天草幹線道路の整備に尽力され
てきた園田博之先生
が天城橋の開通式でおっしゃいました、今日の開通をもっ
ても、いまだ道半ばに至っ
ていないという言葉
が耳から離れません。 本渡道路の開通で道半ばに至ったと思っ
ていただけるかどうかははかりかねます
が、私たち地元議員も一体となっ
て、金子代議士とともに、熊本天草幹線道路の整備を加速し
ていく必要
があると考え
ています。 県の事業区間においては、大矢野道路の整備を着実に進めることはもとより、今後、上天草市の大矢野から松島間約7キロメートル、そして天草市の有明から志柿間約11キロの合計18キロメートルについても、早期に事業化し、整備に取り組むこと
が必要です。 そのうち、本渡道路を含む天草市志柿町から港町に至る約4キロメートル区間については、平成21年に検討委員会
が設置をされ、住民の意見を伺い、ルート帯
が決定され
ているものの、本渡道路を除く志柿町区間約2.7キロは、いまだ事業化に至っ
ておりません。 天草地域の皆様方は、本渡道路の開通に向けた期待の高まりとともに、次の整備区間の事業化についても心待ちにされ
ております。 そこで、2点目の質問です。 熊本天草幹線道路・本渡道路の開通を見据え、90分構想の早期実現に向け
て、県
が取り組む次の事業化区間をどのように考えられ
ているのか、土木部長にお尋ねをいたします。 〔
知事蒲島郁夫君登壇〕
◎知事(蒲島郁夫君) 私は、本県
が九州の中心に位置する地理的優位性を最大限発揮するため、全ての道は熊本に通じるという考えの下、九州の縦軸、横軸となる高規格道路の整備を強力に推し進め
てまいりました。 中九州横断道路は、私
が知事に就任した当時、県内区間は全く整備に着手され
ておらず、先行き不明な状況に
ありました。 そのような中、平成24年の熊本広域大水害からの創造的復興を目指し、自ら国に働きかけた結果、滝室坂道路
が事業化されました。現在、トンネルの貫通に向け、掘削
が順調に進んで
います。そして、令和2年10月には、北側復旧道路
が県内で初めて開通し、中九州横断道路の一部となりました。これで阿蘇へのアクセス
が飛躍的に向上しました。さらに、竹田阿蘇道路と大津熊本道路も相次いで事業化されました。 九州中央自動車道は、小池高山から山都中島西間の平成30年開通に続き、その先の矢部までの区間も、来年度の開通
が予定され
ています。蘇陽五ヶ瀬道路と矢部清和道路の事業化も実現しました。 南九州西回り自動車道については、平成30年度までに水俣市までの区間
が開通し、有明海沿岸道路は、県内において初めての工事
が本年1月に開始されました。 また、熊本天草幹線道路は、天城橋の平成30年開通に続き、私
が令和4年度の開通をお約束した本渡道路完成に向け
て、整備
が順調に進んで
います。 このよき流れを止めることなく、熊本はもとより、九州全体の発展につなげ
ていくためには、高規格道路の整備を加速させること
が重要です。さらに、熊本都市圏の新たな高規格道路を早期に実現し、喫緊の課題で
ある熊本都市圏の渋滞解消を図る必要
があります。 これらの高規格道路の整備は、大規模災害に対応できる命の道、九州全体の経済を支える経済の道、そして沿線市町村の地方創生の道として、大きな効果を発揮すること
が期待されます。 また、これらの取組を進めること
が、日本経済の安全保障に貢献するTSMCの本県への進出効果をさらに広げ
ていくものと考え
ています。 今後も引き続き、50年後、100年後を見据えた熊本の礎を築くため、熊本都市圏の道路を含む県内の高規格道路ネットワークの早期実現に向け、私
が先頭に立っ
て全力で取り組んでまいります。 〔土木部長亀崎直隆君登壇〕
◎土木部長(亀崎直隆君) 熊本天草幹線道路の整備についてお答えします。 熊本天草幹線道路は、県土の横軸となる重要な路線で
あり、天草地域の90分構想の実現とともに、地方創生の取組を進める上で不可欠な道路です。 国においては、熊本市から宇城市三角町までの延長約32キロメートルのうち、宇土道路など24キロメートルの区間で整備
が進められ
ております。 また、県
が整備を担う宇城市三角町から天草市港町までの約38キロメートルの区間では、これまでに松島道路と松島有明道路及び天城橋を含む三角大矢野道路の合わせ
て17キロメートル
が開通し
ております。そして、現在、本渡道路と大矢野道路の整備を始め
ており、切れ目なく事業を展開し
ております。 議員御紹介の天草市志柿町から港町に至る約4キロメートルの区間につきまし
ては、住民の御意見を伺いながらルートを決定し、早期に効果を発揮させるため、そのうち天草市の上島と下島を結ぶ1.3キロメートル区間を、平成25年度に本渡道路として事業に着手いたしました。全ての橋桁
がつながり、現在、今年度内の開通に向けまし
て、舗装や安全施設等の工事を進め
ております。 この本渡道路の整備と併せ
て、残る志柿町区間の約2.8キロメートルについても、これまで事業化に必要な調査や検討を進め
てきたところです。 この区間を整備することにより、天草市中心部の渋滞解消や災害時の代替路確保など、本渡道路の開通効果
がさらに高まるものと考え
ております。 そのため、志柿町区間の令和5年度新規事業化を目指し、国庫補助事業として新規採択を国に強く要望し
ております。 県としては、今後とも、地元期成会や県議会、県選出国会議員の皆様のお力添えをいただきながら、引き続き、熊本天草幹線道路の整備にしっかりと取り組んでまいります。 〔池田和貴君登壇〕
◆(池田和貴君) 知事からは、このよき流れを止めないようにしっかりと取り組んでいくという決意を述べ
ていただきました。 本当、我々県議会としても、しっかり一緒に取り組んでいくつもりでございます。TSMCの進出を踏まえ
て、また大きく環境も変わっ
ておりますし、道路の整備というのは県民の皆さん方
が求めるものでもございますので、しっかり共に頑張っ
てまいりましょう。 また、熊本天草幹線道路につきまし
ては、県
がやっ
ていただい
ている中で、本渡道路の4キロ区間のうち残りの2.7キロ、令和5年度の事業化を目指し
て国のほうに申請をしたという御答弁をいただきました。しっかり継続し
て続け
ていただい
ていることを心から感謝を申し上げ
て、これ
が事業化するように、我々もしっかりと取り組んでいくことをお約束し
て、時間も
ありませんので、ちょっと次の質問に移らせ
ていただきたいと思います。 次は、
経済安全保障に対応した本県の産業振興についてお尋ねをいたします。 本県では、半導体関連及び自動車関連
が、製造品出荷額の40%以上を占める基幹産業となっ
ております。さらに、今後は、自動運転やEV化の進展など、半導体と自動車の結びつきはますます強まること
が想定され、2つの関連産業の集積
がある本県にとって、大きなチャンスで
あると認識をし
ています。 しかし、一方で、世界の経済状況は、この数年で大きく変わりました。アメリカと中国の対立やロシアのウクライナへの侵攻をきっかけに、新冷戦時代
が始まろうという中、日本の基幹インフラに対するサイバー攻撃や先端技術の流出
が心配をされ
ています。 また、物流の途絶や各国の輸出入の制限で、私たちの暮らしに欠かせない製品や材料
が手に入らなくなる事態も考えられます。コロナ禍でも、マスク、医薬品、それに半導体
が不足し、必需品をほかの国に大きく依存するリスクを痛感した方もいらっしゃると思います。 これまで、グローバル化
が進む中、各国
が経済関係を深めることこそ
が武力衝突を防ぐことにつながると期待をされ
てきました。しかし、実際には、デジタル化も進み、物の流れを止められたり、技術を盗まれたりするだけで、経済活動や国民生活に大きな打撃を受けるリスク
が高まっ
ています。 そのような中、国は、
経済安全保障の確立に向け、国内で半導体の生産能力を確保するため、受託生産で世界最大手の台湾のTSMCに工場進出を働きかけた結果、TSMCは、2021年10月14日に、熊本に工場を建設する方針を発表したことは皆様御承知のとおりでございます。 TSMCの進出により、国の安全保障の一翼を担う重要な拠点として、今後本県は、より
スピード感を持ち、賃金水準や再生可能エネルギー対応などでグローバルな基準への対応
が求められると思います。また、進出を県内産業の振興と県経済全体の成長に着実に結びつける必要
がございます。 世界中でのデジタル化の進展により、今や半導体は産業の米を超え、産業の脳として急激に需要
が高まっ
ています。 本県は、TSMCの進出という時の利とこれまで進め
てきた半導体や自動車産業の集積
が進んで
いる地の利、この2つの利を生かし、他の都道府県に先駆けた産業振興に取り組む必要
があります。 また、さらに、本県の拠点性を高め
ていくとともに、その波及効果を、県内全体はもとより、九州全体に広げる必要
があると思います。 また、TSMCの進出をきっかけに、地場企業にも人材不足
が叫ばれ
ている中、県においても、人材育成会議などを設立し
て解決策を模索し
ているところだと認識し
ています
が、併せ
て生産性の向上にもつながり、企業の競争力の強化も実現する、いわゆるDX化を推進し、県内産業を持続的に成長させ
ていくこと
が必要だと感じ
ております。 そこで、我が国の
経済安全保障の一翼を担うという、そういう立場になった本県の今後の産業振興について、知事にお尋ねをいたします。 次に、TSMCのRE100への対応についてお尋ねをいたします。 TSMCの工場を運営するJASМの堀田祐一社長は、熊日新聞との対談の中で、TSMC全体では、2050年までに再生可能エネルギー使用を100%にする方針だ
が、JASМは、2024年の操業開始時から再生100%で運営をし
ていく、非化石燃料で発電した電力を調達したり、カーボンクレジット、炭素排出枠を購入したりすることで達成する計画だと発言をされました。 TSMCの進出
が熊本にもたらす世界基準の一つ
がRE100だと思います。これは、先ほど述べたように、企業
が事業活動で消費するエネルギーを2050年までに100%再生可能エネルギーで調達することを目標とするものでございます。 さらに、サプライチェーンの構築について、地元での調達比率を高めるの
が基本的な考え方だ、条件
が合えば県内企業との取引も積極的に進めたいとの発言も
あります
が、その条件
が合えばという中にRE100も含まれるのではないかと考えるのは考え過ぎでしょうか。 TSMC立地による
経済波及効果を県内全体に広げるためには、このRE100への対応について、工場
が操業する2024年までに事前準備すること
が必要ではないかと私は考え
ております。これは、2050年にはカーボンニュートラルを目指す本県の方針とも合致するものです。県としては、県内企業の再生可能エネルギー導入推進のため、支援を強化する必要
があるのではないでしょうか。 そこで、世界におけるRE100の流れの中、RE100を志向するTSMCの需要にどのように応えるのか、そして県内企業における再生可能エネルギー導入をどのように促進し
ていくのか、
商工労働部長にお尋ねをいたします。 〔
知事蒲島郁夫君登壇〕
◎知事(蒲島郁夫君) 私は、熊本地震からの復旧・復興プランにおいて「世界とつながる新たな熊本の創造」を柱に掲げ
て創造的復興を推進し
てきました。 世界最先端の半導体企業で
あるTSMCの本県進出は、今後の熊本の産業の発展の礎になると確信し
ています。 最近では、半導体製造で重要な化学薬品を生産する東京応化工業
が菊池テクノパークに進出するなど、半導体関連企業を中心に企業集積
が加速し
ています。 そのため、県では、TSMCの進出等の優位性を生かし、企業誘致の受皿となる新たな工業団地の整備など、企業の進出を見越した政策を進め
ています。 また、今回、TSMCの進出に協力する中で、私は、世界標準の企業経営に触れ、意思決定の速さなどに大いに刺激を受け
ています。 この世界標準に対応できるよう、教育機関、市町村や商工団体などと連携し、世界で通用する産業人材の育成、誘致関係職員のレベルアップ、進出企業のニーズを捉えた県内企業の技術力向上などに取り組むことで、県全体の企業誘致の競争力を高め
てまいります。 県では、現在、今後の半導体関連産業振興施策の方針となるくまもと半導体産業推進ビジョンの策定を進め
ています。 策定に当たっては、国内トップレベルの有識者5名の方々から成るくまもと半導体産業推進ビジョン有識者懇話会を設置し、大所高所から御意見をいただきます。 TSMCの進出効果を県内産業の発展に向け最大限に活用するため、今年度中にビジョンを策定し、県や企業、大学等
が一丸となった取組を推進し
てまいります。 さらに、国
が主催する九州半導体人材育成等コンソーシアムとも連携し、その波及効果を九州全体に広げ
てまいります。 加え
て、少子高齢化により労働人口
が減少する中で、県内企業
が世界との競争に対応するためには、DXの実現を通した企業の生産性向上や省力化などのビジネス変革
が重要です。 デジタル技術活用に対する周知啓発や導入意欲の
ある企業への専門家チームの派遣、システム導入や設備投資に対する支援をきめ細かに進めることで、企業の新たな変革への取組を支援し
てまいります。 本県は、TSMCの進出を県経済全体の発展につなげるとともに、世界における本県の拠点性を高め
てまいります。 そして、我が国の
経済安全保障の一翼を熊本
が担えるよう、全力を挙げ
て取り組んでまいります。 〔
商工労働部長三輪孝之君登壇〕
◎
商工労働部長(三輪孝之君) まず、TSMCの再生可能エネルギー需要への対応についてお答えします。 近年、企業間の取引におけるサプライチェーン全体での脱炭素化
が進んでおり、TSMCも、可能な限り、エネルギー効率
が高く、炭素排出量
が低い企業との協力を優先するという方針を示され
ておられます。 今後、発電事業者
が円滑に再エネ発電を実施できる環境をしっかり整え、JASMなど脱炭素を目指す企業の需要に応え
てまいります。 JASMの再エネ調達に関する具体的な方法については、現時点では検討中で
あると伺っ
ております
が、今後もJASMから適宜検討状況を聴取しながら、県として必要な対応を迅速に実施し
てまいります。 次に、県内企業における再生可能エネルギー導入の促進についてお答えします。 県では、中小企業の経営相談窓口の相談員に対する再エネに関する施策の紹介やRE100の中小企業版で
あるREActionの参加促進に向けたアドバイザー派遣に取り組んで
います。 また、今年度、再エネ設備の導入等に向けた企業の取組を後押しするためのくまもとゼロカーボン資金を創設し
ています。 さらに、再エネ100%にチャレンジする工業団地等の形成をモデル的に支援し
ています。これらにより、県内企業の再生可能エネルギー導入の機運を高め
てまいります。 2050年県内CO2排出実質ゼロの実現に向け
て、引き続き、再生可能エネルギーの導入を全力で進め
てまいります。 〔池田和貴君登壇〕
◆(池田和貴君) 知事からは、
経済安全保障に対応した本県の産業振興について、積極的に取り組んでいくということで、いろいろお話を伺いました。 やはり熊本
が今までに経験したことのないような、そういった状況にTSMCの進出によって出た状況
がございます。 9月の13日と14日に、BSテレビ東京の日経プラス9、これに熊本の現状と日本の将来の半導体の在り方、
経済安全保障に関する半導体の在り方
があって、蒲島知事もインタビューとして当然登場され
ておりました。 非常に知事のお答え、今日の御答弁のとおり、この大きなうねりの中で、しっかりと熊本県を引っ張っ
ていくんだということと我々
がその大きなプレーヤーの一人としてやらなきゃいけないという決意を、本当、今回の答弁も含め
て感じたところでございます。しっかりとこの難局に取り組んでいただきますように、ぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。 あと、RE100への対応につきまし
ては、県のほうでもしっかりとそういった認識を持っ
て取り組んでいただい
ているというの
が御答弁で分かりました。 ただ、1つちょっと皆さん方に御紹介をしたいと思います
が、これは8月26日にアメリカの大手総合情報サービス会社ブルームバーグの配信されたニュースで
あります。 2020年のTSMCの電力消費は台湾全体の6%でした
が、25年までには12.5%まで拡大されると予想され
ております。最先端の半導体技術は大量の電力を要することから、TSMCの電力消費は、この会社1社で人口2,100万人のスリランカ全体の消費量を上回る見通しだということでございます。 これだけ大きなやはり電気を使うという会社でございますので、TSMCも含め
て、半導体製造セクターの電力消費
がこれだけ大きいということになると、当然、その温暖化防止の観点からは、やはりRE100を目指さざるを得ないということなんじゃないかと思いますし、これは本県にとってもよそごとではないというふうに考え
ているところでございます。 ぜひ、皆様方には、こういった新たな情報に対して、迅速に対応し
ていただくことを心からお願いを申し上げます。 こういうことになったのも、やはり安全保障の環境
が大きく変わっ
てきたということでございますし、こういった日本
が受ける安全保障の環境の中で、今までの歴代総理をはじめ、いろんな方
が努力をし
てまいりました
が、今は大きな環境変化の中に置かれ
ております。その中のお一人
が安倍元総理でございます。参議院選挙の期間中に、非業の死を遂げられました。 安倍元総理には、蒲島知事もコメントされ
ておりますように、熊本地震や令和2年7月豪雨災害のときに、本県の創造的復興に力強く後押しをし
ていただきましたし、そのこと
が多くの県民に勇気を与え
ていただいたのも事実でございます。また、県民の負担の最小化ということにも、しっかり保証するために御尽力もいただきました。 その安倍元総理の国葬
が、賛否両論
あります
が、9月27日に行われます。私自身は、当日は、感謝と心からの追悼の意を熊本の地からささげたいと思います。 この安倍元総理の襲撃事件の検証と今後の要人警護の在り方
が、8月末に警察庁のほうでまとめられたと伺っ
ております。 今後も警護対象者の来熊
がございますので、あのような悲劇
が二度とこの熊本の地で起こらないように、警護体制をしっかり整え
ていただきますように、県警本部長にはお願いをしたいと思います。 これで通告いたしました全ての質問
が終わりました。 明日から3連休です
が、台風14号
が連休中にこの九州に近づくということ
が言われ
ております。大きな被害
が出ないことを祈りまし
て、私の代表質問を終わらせ
ていただきたいと思います。 御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(溝口幸治君) 昼食のため、午後1時まで休憩いたします。 午前11時43分休憩 ――――――○―――――― 午後0時59分開議
○副議長(髙野洋介君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 立憲民主連合西聖一君。 〔西聖一君登壇〕(拍手)
◆(西聖一君) 立憲民主連合・熊本市第一選挙区の西聖一でございます。今日は、代表質問の時間をいただきまし
て、誠に感謝を申し上げます。 今年は、世界各地で、異常気象の影響か、干ばつや水害
が数多く発生し
ています。国内では、温暖化の影響からか、春先から夏日を記録し、8月の猛暑日も記録的なものでした。水害も各地で発生しました
が、中でも東北地方の水害は、本県で発災した令和2年7月豪雨災害
が再現され
ているようで、心
が痛みます。被災された皆様には、一日でも早い復旧、復興により、元の生活に戻れるよう祈念を申し上げます。 さて、本県では、例年ならば、藤崎宮の例大祭の頃には、随兵寒合と言われ、朝晩
が涼しくなり、秋の訪れを感じるようになります
が、今年は全くそれを感じません。例大祭は、既に13日から始まっ
ており、あさって18日には、随兵行列や飾り馬奉納により、祭りのクライマックスを迎えます
が、台風
が大変心配です。無事に開催され、実り多き熊本の秋を迎えられればと願うところでございます。 それでは、質問に移ります。 本日は、100分の代表質問で、多岐にわたります
が、皆様にはよろしくお付き合いをいただければというふうに思います。 緑の流域治水と
球磨川水系河川整備計画についてお尋ねいたします。 令和2年の人吉・球磨地域の豪雨災害を受け
て、知事は、命と環境を守る緑の流域治水に取り組まれ
ております。 災害直後は、混乱の中で、再びこのような豪雨災害を起こさないよう、河床掘削や堤防かさ上げ等の河川整備の強化を望む声は
ありました
が、大きな被害を受けた住民からも、ダムによる治水を求める声は極めてまれで
あったと思います。 そして、この2年間で、一定程度復旧
が進み、住民の暮らし
が落ち着きを取り戻し始め
てきた現在、改めて、今回の水害は
川辺川ダムがあっても防げなかったという意見
が多くなっ
ていると感じ
ています。 球磨川の河川整備計画案には、川辺川における
流水型ダム以外にも、地域ごとに堤防かさ上げや遊水地などの治水対策
が示され
ており、整備案に対して、地域ごとに公聴会や説明会
が実施され、住民との意見交換
がされ
ています。 例えば、今回の水害の状況と水害で亡くなられた方の因果関係は、流量計算値
が示され
ているが、当時の川辺川地域の降水量は少なかったのでは、球磨川の氾濫と一口に言っ
ても、様々な支流
が流れ込んでおり、支流における河川管理にも問題
があったのでは、今回の水害に対して、既存の市房ダム、瀬戸石ダムの関連性
が全く示され
ていないのでは、山の荒廃
が進んで
いること
が水害を助長したのではないか、巨大な流水ダム
が環境に優しいダムなのか、また、穴
が詰まれば、かえって危険を助長するのではなどの質問
が出され
ています。 これらの質問に対して、国、県の担当者からは、住民
が納得
ができるような回答
がなく、何のための公聴会の開催なのかというの
が参加した方の多くの意見です。 このように、住民の意見
がまとまっ
ていない中、知事は、7月28日に、国の河川整備計画案に異存なしという回答を国に示し、それを受け
て、国は、8月9日に、
球磨川水系河川整備計画を決定いたしました。あまりの
スピード感に、地域住民は、国や県に対して、大変不信感を持っ
ています。 私は、先日、9月3日に実施された被災地の現地検討会に参加し
て、改めて地域住民から示され
ている問題点をお伺いし、川辺川における
流水型ダムありきの現在の進め方に疑問を感じ
ています。 一方で、
スピード感を持っ
て県や市町村の復興計画を進めるためには、国の河川整備計画
が定まっ
ていること
が必要で
あるというジレンマ
があり、知事の悩まれる気持ち
が理解できないわけでは
ありません。 しかし、新たに打ち出した緑の流域治水を成功させるためには、やはりぎりぎりまで地域住民
が納得したものにする必要
があるのではないでしょうか。いま一度、丁寧な水害の検証作業を、国、県、有識者、流域住民と行うべきだと考えます。 また、私は、
川辺川ダムの費用対効果0.4という公共事業は、県政に大きな禍根を残すものではないかと懸念し
ています。 これから、県内においては、
空港アクセス鉄道や新都市間道路建設等、次々と大型公共インフラ整備事業も予定され
ています
が、公共事業の実施に当たって、税金の無駄遣いとならないように、費用対効果という指標は大変重要なもので
あり、先人の方々も、これをクリアするために大変な努力を重ね
てきた県行政の歴史
があります。 そのことを水の泡にしかねない前例をつくることはいかがなものかと思います
が、水害の検証実施と
川辺川ダムの費用対効果についてどのようにお考えなのか、知事にお尋ねいたします。 〔
知事蒲島郁夫君登壇〕
◎知事(蒲島郁夫君) 初めに、水害の検証についてお答えします。 県では、令和2年7月豪雨災害の発生後直ちに、命を救う活動に力を尽くすとともに、
流域市町村と連携しながら、被害状況の把握に全力で取り組んでまいりました。 その甚大な被害を目の当たりにし、私は、このような被害を二度と生じさせ
てはいけないという強い覚悟で復旧、復興を進めることを決意いたしました。 そして、その前提となる
球磨川流域の治水の方向性を決断するに当たり、まず、今回の豪雨災害を科学的、客観的に検証すること
が必要と考え、流域の安全に責任を負う国、県、
流域市町村で連携し、令和2年7月球磨川豪雨検証委員会を立ち上げました。 検証に際しては、国、県、
流域市町村が保有するデータのみならず、民間
が保有する写真や動画の収集、さらには市町村職員や地元住民への聞き取り調査を行うなど、情報収集に全力を尽くしました。 これらの情報を基に、委員会では、被害の状況、観測雨量、河川の観測水位、氾濫形態などに加え、これまで実施し
てきた治水対策の効果や初動対応などについて検証を行いました。この中で、球磨川本川に加え、県
が管理する主要な支川についても検証し
ています。 このように、国、県、
流域市町村が連携し、情報収集に全力を尽くした上で、科学的、客観的な検証を行いました。さらに、私自身
が被災地に出向き、30回にわたる意見交換を行った上で、命と環境の両方を守る緑の流域治水という
球磨川流域の治水の方向性を導き出し
ており、改めて検証を行うことは考え
ておりません。 これまでも、流域の方々の疑問に対しては丁寧に対応し
てきました。今後も、様々な機会を捉え、検証委員会での検証結果等について丁寧な説明を行いながら、緑の流域治水への理解
が深まるよう努め
てまいります。 次に、新たな
流水型ダムの費用対効果についてお答えします。 費用対効果、いわゆるB/Cは、公共事業評価において、今後の事業の対応方針を検討する際に用いる指標の一つです。これは、全国統一のマニュアルに基づい
て、経済的に評価可能な被害防止効果により算定する、事業の投資効率性を表すものです。 マニュアルでは、2つのB/Cを算定することとされ
ています。 1つは、事業の対応方針の判断に当たって、その材料として、今後必要となる事業費により算定するB/Cです。新たな
流水型ダムについては、国
が、今年6月に、今後
流水型ダムとして実施する事業の数値
が1.9となったことを示しました。 もう一つは、事業の透明性確保等を図るものとして、既投資額を含めた総事業費により算定するB/Cです。国は、同じく6月に、これまでの貯留型の
川辺川ダム計画に基づき実施し
てきた事業を加えた数値
が0.4となったことを示しました。 国は、これらのB/Cの数値に加え、最大孤立者数の軽減効果など、B/Cでは計測できない指標や事業の進捗の見込みといった複数の視点を踏まえ、事業継続との対応方針を示し、
球磨川水系学識者懇談会から了承を得た上で、九州地方整備局
が設置する事業評価監視委員会への報告を経
て、国土交通省
が決定し
ています。 県としては、B/Cの数値も含め、今回の事業評価
が妥当で
あると考え
ており、令和2年7月豪雨災害のような被害を二度と繰り返さないためにも、新たな
流水型ダムを含む緑の流域治水を推進し
てまいります。 〔西聖一君登壇〕
◆(西聖一君) 改めて検証を行うことは考え
ていない、そして今後も緑の流域治水への理解
が深まるようにという答弁です
が、知事の思いと被災された住民の声とは随分違います。これは、住民
が問題視し
ている水害の原因と国
が示した水害の要因の分析
が食い違うところから始まっ
ており、ここを解消し
ていかなければ、緑の流域治水の成功はおぼつかないことを私は再度申し上げたいと思います。
流水型ダムの費用対効果についての考えも示されました。道路建設のような公共事業とは異なり、費用対効果という言葉を使うこと
がこの場合適切なのか、私自身疑問に思います
が、多額の税金を投入するわけですから、無駄な公共事業にはならないよう、今後も精査をし
ていかなければならないと改めて申し上げ
て、この質問は終わります。 次に、水俣病問題についてお尋ねいたします。 令和4年7月22日に、山口環境相と水俣病患者・被害者8団体とのオンライン会議において、不知火海沿岸住民の健康調査の早期実現を求める要望
がされ
ています。 要望は、水俣湾と不知火海、天草の海はつながっ
ており、漁民は回遊した魚を毎日食べる生活をし
ていたことから、公健法で定める指定地域外の当時の住民にも水俣病と同様な症状
が発生し
ている方も多いとして、水俣病被害者救済特別措置法に基づく不知火海沿岸住民の健康調査の早期実施を求める内容です。 8月に入り、岸田総理の内閣改造で、新たに西村環境相
が就任しました
が、水俣病に関しては、客観的診断手法の開発について今秋をめどに示す予定で、被害者との具体的対話の予定
がないとするインタビュー記事に少しがっかりしました。 また、新たに就任した和田環境次官のインタビュー記事も拝見しました
が、あたう限り全ての人をという究極の目的のために、手法の客観性、科学性を示し、今年の秋には成果をまとめるという内容でした
が、もっと被害者の声を聴くなど、苦しんで
いる方に寄り添った対応
が取れないのかと思う次第で
あります。 特措法に基づく住民健康調査の診断手法については、脳磁計とMRIを使った客観的診断手法開発に向けた研究を進め、この手法を基に、健康調査を進めると伺っ
ています。 しかし、国
が検討し
ているこの手法は、被害者団体
が訴え
ているように、大規模な健康調査には全く不向きなものになることは容易に想像
がつきます。 1956年5月1日
が水俣病公式確認の日とされ
て、既に66年
が経過します
が、高齢化し
ている未認定の患者さん
がMRI等の施設を保有した病院で詳細な検診を受けなければ判定
ができないとする手法には、大変疑問を感じますし、仮にその手法
が確立し
ても、不知火海や天草海沿岸の住民の悉皆健康調査に適用させることは、さらに困難だと考えます。 水俣病
が政治の原点で
あるという蒲島知事におかれ
ては、今もなお、あたう限りの救済に取り組まれ
ていると存じます
が、今秋に示される国の住民健康調査の診断手法
が現場とあまりにもかけ離れたもので
あることに対して、知事はどのように受け止められ
ているのか、お尋ねいたします。 〔
知事蒲島郁夫君登壇〕
◎知事(蒲島郁夫君) 健康調査についてお答えをする前に、まず、これまでの水俣病問題に対する取組について述べたいと思います。 知事に就任した平成20年当時は、4,000人を超える方々
が公健法に基づく認定申請をされ
ており、裁判においても、多くの方々
が救済を求め
ておられました。 その切実な声に応えるため、県議会にも多大な御尽力をいただき、私は、特措法の成立に全力を傾けました。特措法の成立後は、あたう限りの救済を行うため、可能な限りの周知に取り組みました。その結果、本県だけでも3万7,000人を超える方々
が救済されました。 ただ、今も、公健法に基づく認定申請や裁判において救済を求める方
がおられます。 県としては、申請される方
がおられる限り、平成25年の最高裁判決を最大限尊重し、引き続き丁寧に審査を進め
てまいります。 また、救済の実施だけでなく、患者、被害者の安全、安心な暮らしの確保についても、御本人や家族の声を丁寧に酌み取りながら、継続し
て取り組んで
います。特に、胎児性・小児性患者の方々には、お一人お一人の気持ちに寄り添い、日常生活を支援し
ています。 御質問の健康調査については、国において、特措法に規定された調査研究を行うための手法の開発
が進められ
ています。昨年11月には、研究を担う国立水俣病総合研究センターにおいて、進捗状況の中間報告
が行われました。国は、今年の秋をめどに、これまでの成果を整理するとし
ています。 私は、調査研究においては、科学的な正当性を有する手法の確立
が重要と申し上げ
てきました。今回の手法の開発においては、医学統計の専門家の評価も取り入れ
て研究
が進められ
ていると聞い
ています。また、その後の調査についても、西村新環境大臣からは、手法の精度を上げ
ていく中で、その活用の仕方を検討するとの発言
がなされ
ております。今後も、健康調査の実施に向け
て、しっかりと研究を進め
ていただきたいと思います。 県としては、引き続き、国に対し健康調査に向けた取組の加速化を求め
ていくとともに、必要な協力を行っ
てまいります。 〔西聖一君登壇〕
◆(西聖一君) 手法については、正式に発表された後、また新たな議論
が生じることとなると考えます。 ただ、知事からの、国に対して、健康調査に向けた取組の加速化を求め
て、必要な協力を行っ
ていくという答弁に大いに期待をしたいと思います。 未認定の患者の時間の残り少ないことを念頭に、これからも
スピード感を持っ
て取り組んでいただきますようお願いいたします。 次に、旧統一教会問題への対応についてお尋ねをいたします。 7月8日に、元総理大臣の安倍氏
が凶弾に倒れるという痛ましい事件
が発生しました。お亡くなりになられた安倍氏には謹んで哀悼の意を表します。 選挙遊説中の出来事で
あり、選挙による民主主義に対する暴力による圧力ということで報道
が始まりました
が、その後の報道から、旧統一教会という組織
が事件の背景に大きく関わっ
ていること
が判明しました。 現在も、国会でこの問題についての議論
が伯仲し
ているところで
あり、これまでの日本の政治の根幹を揺るがしかねない事柄と認識し
ています。 立憲民主党は、この問題に対策本部を立ち上げ、旧統一教会関連の被害の実態調査と国会議員と旧統一教会との関係を検証し
ていくとし
ております。 また、岸田首相も、この問題をめぐり、国会議員の関わりを絶つことや被害者の救済の体制を充実させる考えを示し
ております。 今回の事件は、政党や国会議員だけの問題ではなく、私たち地方の行政や議員にも関係する問題で
あり、何よりも、被害を受け
ている県民もおられ、看過できない事件で
あることから質問をいたします。 まず、私自身、旧統一教会
が世界平和統一家庭連合という団体に名称変更し、様々な活動を実施し
ていることを改めて知った次第です。私は、42年前に九州大学に入学しました
が、入学当時の先輩方からは、原理研には近寄るなと教わり、そういう団体とは全く関わることはなく卒業しました
が、今回の事件で、原理研なるもの
が統一教会と大きく関係し
ていたことを今さらながら知ったという次第です。 今回の事件を受け
て、ピースロード事業の名義後援を行っ
ていた本県や各自治体及び報道会社
が急遽それらを取り下げるなど、慌ただしい対応となりました
が、県をはじめとする各自治体等
が、旧統一教会から名称を変更した世界平和統一家庭連合やその関連団体
が実施し
ている事業の名義後援や表彰等を行っ
ていた事実を改めて知るところとなりました。 また、日韓トンネル推進熊本県民会議やピュアフォーラムという団体も同団体の関連で
あったことは、本県にとっても残念なことになっ
てしまったと考えます。 このような経緯になった背景として、現在問題となっ
ている団体の実態の情報
が不足し
ていたこと
が原因の一つだと考えられます。 しかし、知らなかったから済むという話ではなく、知らなかったことで行政や議員
が広告塔に利用されること
が明らかとなったわけですし、反社会的組織
が姿形を変え
て、政治や国民の生活に侵入し
ている実態
が明らかとなっ
てきたわけですから、これらの組織と関わりを絶つために、また、同様な事件
が引き続き起こらないようにする対策
が必要だと考えます。 フランスでは、反セクト法というの
があるそうです
が、これは30年も前に統一教会の問題の対策から制定された法律と伺い、日本の対応
が遅れ
ていたのだと認識しました。 そういう日本でも、サリン事件を起こしたオウム真理教を破壊活動防止法の調査団体に追加することや、暴力団等の反社組織に対しては暴力団対策法を制定し、国民の生活を守る取組
がされ
ています。 また、本県では、振り込め詐欺に対して、令和3年に県民を振り込め詐欺被害から守る条例の一部を改正する条例を制定し
て、県民の暮らしを守る対応を積極的に取り組んでき
ているところですから、今回の問題に対しても何らかの対応
が進むことを期待し
ています。 知事は、今回の問題
が発生した時点での記者会見では、旧統一教会の関係はないと発言をされ
ています
が、これまで、知事自身、4回の知事選を経験し
てきた過程において、関連団体等を含め
て、選挙の推薦状などを受け取ることはなかったのでしょうか。 また、旧統一教会との関連団体と県の関わりについて全庁的な調査をされ、名義後援や職員の派遣
がされたとも聞い
ています。 そこで、今後の対応も含め
て、旧統一教会との関わり方について、知事の所感を伺います。 また、県民の不安も高まる中、消費生活センターに霊感商法や旧統一教会に関する問合せ
があるのではと思います
が、県内の相談の状況はどのようになっ
ているのでしょうか。 岸田総理も、9月を実態調査集中月間として、被害の実態調査を宣言され
ておられます。それらを踏まえ
て、今後被害者相談にどのように対処し
ていかれるのか、
環境生活部長に伺います。 また、県警本部長にお尋ねします
が、反社会的な組織から県民を守るために、日夜取り組まれ
ていることと存じます。犯罪の取締りはもちろんのことです
が、事件の未然防止も、警察の大きな役割と考え
ています。 今回の旧統一教会に関する被害者等からの警察に対しての相談等に対しては、これまでどのように取り扱っ
てこられたのでしょうか。 また、今回の問題で感じたのは、私たちに反社会的組織かどうかの判断をするための情報というの
が不足し
ていること
が原因の一つだと考えられます。 政治や行政に携わる者は、この事件を受け
て、より一層慎重な行動を求められ
ています
が、その相談先
がないの
が実情です。 そこで、改めて、県民に開かれた反社会的組織に対する情報提供や相談窓口を警察内の部署に設け
ていただきたいと考えます
が、いかがでしょうか。 以上、知事、
環境生活部長並びに県警本部長にお尋ねいたします。 〔
知事蒲島郁夫君登壇〕
◎知事(蒲島郁夫君) 旧統一教会をめぐっては、安倍元首相の銃撃事件をきっかけに、信者からの多額の献金の問題や政治や行政との関わりについて、全国的な注目を浴び
ています。 私は、これまでも申し上げ
ています
が、選挙を含む全ての政治活動において、旧統一教会及びその関連団体との関係は一切持っ
ておりません。 本県においては、議員御指摘のとおり、ピースロードの名義後援のほか、教育委員会においても、関連団体と言われ
ている団体
が関わる行事への名義後援や職員の派遣
が確認されました。 これは、県に提出された申請書類からは、行事内容の宗教性や主催者団体と旧統一教会との関連性について、当時は確認できなかったためで
あります。 私は、社会的に問題
が指摘され
ている団体に対して、県
が支援を行うべきではないと考えます。 今回の件を踏まえ、名義後援等の際は、可能な限り情報収集に努め、十分に精査するよう全庁的に指示しました。 今後、社会的に問題
が指摘され
ている団体に対しては、名義後援や職員派遣を行わないよう徹底し
てまいります。 〔
環境生活部長小原雅之君登壇〕
◎
環境生活部長(小原雅之君) 県内の消費生活センターに寄せられた旧統一教会関連を含む霊感商法や開運商法、いわゆる霊感商法等に関する相談の状況についてお答えいたします。 過去10年間で、霊感商法等に関して366件の相談
があり、最も多かった平成25年度には66件の相談
が寄せられ
ています。 相談内容は、霊
が取りつい
ている、この商品を買えば開運するなど消費者の不安をあおり、おはらいを強制された、あるいは開運商品を購入させられたというものや、家族
が新興宗教にのめり込み、借金
が心配といったものです。 消費生活センターでは、相談の内容に応じ、助言や事業者との間に立っ
て調整を行うあっせん等に努めるとともに、被害の未然防止のため、随時の注意喚起を行っ
ており、全体の相談件数は、直近5年間で、以前の6割程度に減少したところです。 しかしながら、令和3年度は、コロナ禍におけるインターネットを介した消費行動
が増えたことも
あり、相談件数は増加に転じ
ています。 県としては、今後とも、相談の内容に応じ、助言やあっせん等に努め
てまいります。また、国
が9月5日に開設した省庁の合同電話相談窓口と協力し、新たな相談内容を速やかに共有するとともに、旧統一教会問題関係省庁連絡会議における検討状況も注視しながら、国や市町村など関係機関と連携し、対応し
てまいります。 〔
警察本部長山口寛峰君登壇〕
◎
警察本部長(山口寛峰君) 県警察における相談体制についてお答えします。 個別の相談の取扱いの状況についてはお答えを差し控えます
が、一般論として申し上げれば、県警察では、県民の安全と平穏を確保するため、警察相談専用電話、シャープ9110をはじめ、警察本部、警察署に相談窓口を設け
ており、議員御指摘の相談を含め、その内容に応じ、関係機関等と連携の上、解決に向けた措置を講じるなど、適切に対応し
ているところです。 なお、旧統一教会の問題については、被害者救済に万全を期すため、国において、9月5日から当分の間、関係機関
が連携した「旧統一教会」問題相談集中強化期間
が設けられ、集中的に相談対応に当たることとされ
ており、県警察においても、これまで運用し
てきた相談窓口において適切に対処し
てまいります。 〔西聖一君登壇〕
◆(西聖一君) 知事からは、一切の関係を持っ
ていないと答弁をいただきました。県のトップに立たれる知事
が今回の事件と関わりなかったということは、県民に大きな安堵感を与えるものと思います。 ちなみに、私も一切関わっ
ていません。広告塔として利用されるほどの議員ではなかったと勝手に推察し
ております
が、今回の事例を踏まえ
て、反社会的な組織に対するアンテナをしっかり高く持たなければならないと考え
ています。 また、全庁的な調査の結果、名義後援や職員派遣
が確認されたことは残念なことでは
あります
が、答弁に
ありましたように、今後の適切な対応をお願いいたします。
環境生活部長からは、ここ10年間で県内の消費生活センターへの相談
が366件
あったこと
が報告されました。一旦は下げ止まったところが、また最近増え
ているということでございます。全て
が旧統一教会関連ではないでしょう
が、霊感商法等にこれだけの県民から被害
が寄せられ
ているということで
あります。恐らく、これは氷山の一角です。現在、国や弁護士会等も相談窓口を開設したことから、さらに件数は増え
てくるものと思われます。 立憲民主党は、次期国会にカルト被害防止・救済法案を提出することとし
ています。議員と団体の関係を絶つこともさることながら、被害者や家族等の救済措置をつくっ
ていくこと
が大変重要で
あり、国会での早期立法化を望むところです。 県警本部長からは、取扱いの状況は答えを差し控えるということです。それだけ取扱いは難しいものだと認識いたします。 また、相談については、警察相談専用電話、シャープ9110や、警察本部、警察署に相談窓口
があるということです。しかし、一般的に警察にお世話になるというのはなかなか難しいもの
があるのかなというふうに思います。答弁には
ありませんでした
が、執行部とのやり取りの中では、気軽にお近くの交番に相談し
てくださいということでした。県民の生命、財産を犯罪者から守るため、日常的に活動し
ていただく身近な交番は、本当に頼りになる拠点だと思います。 今回、広告塔として利用された私たちもそうです
が、反社会的組織は、姿形を変え
て私たちの日常に忍び込んでき
ていると思いますので、これからも、聞く耳を持った、県民に開かれた警察活動に期待をいたします。 それから、特に、今回の事件で、二世、三世や身内の深刻な状況
が報道され、私たちの知るところとなりました。当事者は、被害に対する自身の認識
が薄い方も多いと思われます。貧困やヤングケアラーの子供
が報道され、親ガチャという言葉もSNS等で浸透し
てきました
が、周囲の人々
が本人に気づき
ができるようにし
ていくこと
が、被害を軽減する一つの対策になるのではと私は考え
ています。 今回、相談窓口にちょっとこだわりましたけれども、やっぱり本人だけでなく周りの人からも、そういう情報、気づきをさせるような取組
が必要かなと今思っ
ております。 シャープ9110、なかなか覚えにくいんですけれども、考え
てみると、110番の前にシャープ9をつければいいんだなと思いますし、それから「いちはやく」という虐待に向け
ての電話番号も
ありますけれども、こういう霊感商法等の相談は188というの
があるそうです。「いやや」と言っ
て覚えるといいということでした
が、そういう連絡先をやっぱり県民の方にもしっかり知らしめ
ていくことも重要ではないかなというふうに思っ
ております。 続きまし
て、県職員の人材確保についてお尋ねいたします。 今、少子高齢化
が進む日本において、各産業で人材不足
が顕著となっ
てきました。 地元の就職先として人気の高い公務員においても、それ
が現実となっ
てき
ています。今年の県職員の大卒程度の採用試験結果を見ると、事務系で受験倍率は4.3倍、技術系で1.6倍しか
ありません。私
が受験した40数年前は10数倍という受験倍率で
あったと思っ
ています
が、こんなに人気
が落ちたのかと心配です。 ちなみに、教職員選考の受考倍率も、小学校教諭で1.3倍、昨年度は1.5倍、中学校教諭で2.9倍、昨年度は3.8倍、高等学校教諭で7.2倍、昨年度は11.4倍、特別支援学校教諭で2.5倍、昨年は4.5倍と、軒並み減少し
ています。教職員についても、過去においては10数倍も
あった受考倍率
が激減し
ていることで、教職員の採用についても、今後定員割れも起こるのではないかと危惧をし
ているところです。 こうした中で、県職員において、特に採用状況
が深刻なのは総合土木職で、採用予定者23人に対して受験者数
が18人、最終的な合格者は13人となっ
ています。土木技術職員は、熊本地震や令和2年7月豪雨災害などの大型災害
が続く県の事情も
あり、必要数の確保
が急がれ
ているはずです。 このような中で、以前は、一般土木と農業土木の部門に分かれ
て採用し
ていたものを、より採用しやすいように、平成30年度から総合土木職にしたにもかかわらず、定員割れを起こし
ているのです。 少子化による人口減少
が大きな要因でしょう
が、近年の公務員の過重な職場の状況や賃金等の処遇
が、若者に魅力
ある職場として映らなくなっ
てき
ているのではないかと推察いたします。 また、以前から問題視し
ている獣医師の確保です
が、今年度は19人の募集をし
ているそうです
が、応募者
が4人、うち合格者
が2人ということで、現場の必要人数を確保するには程遠い状況と伺っ
ています。 人事課も、健康福祉部や農林水産部の関係部局と一緒になっ
て、採用活動に当たっておられると伺っ
ています
が、一日でも早く充足し
ていかなければ、数少ない若手職員において慢性的な業務負荷等
が生じ、モチベーション
が低下し
てしまいます。中には、退職につながるケースも散見され、現場には危機感
が漂っ
ていると伺っ
ています。 さらに、県は、行政の垂直補完として、近年、技術系の職員を中心に、市町村に派遣するなどの支援を行うようになっ
ています
が、財政基盤の弱い市町村にとっては、技術系など専門性を有する職員の確保
がますます困難になっ
ており、県の果たす役割は大きなもの
があると考え
ています。 しかし、そのことで県の各職場の慢性的な職員不足を助長することになっ
てはいけません。県職員の確保は、本県及び自治体の機能にも関与する大きな問題だと私は考え
ております。 いろいろと申し上げました
が、人材確保の問題は、技術系職種に限らず、事務系職種を含めたどの職種においても、今後直面する課題で
あると大変危惧し
ております。 冒頭述べましたように、黙っ
ていても優秀な職員を確保できる時代は終わり、積極的な人材確保を目指し
ての取組
が必要だと考えます
が、今後の県職員の人材確保に向け
てどのように取り組まれ
ていかれるのでしょうか。 さらに、もう1点、令和2年度から会計年度任用職員制度
が導入され
ています
が、公務において果たす役割
が大きくなっ
ている会計年度任用職員の確保も重要となっ
ています。 しかしながら、今年度の人事院勧告では、常勤職員のボーナスについて勤勉手当のアップ
が勧告されました
が、会計年度任用職員には期末手当しか支給されないため、当該職員からすると、大変不満の
ある内容と思われます。このような職員の処遇改善にも目を向け
ていくことも大事なのではないでしょうか。 そこで、会計年度任用職員の処遇改善についてどのように取り組まれ
ていかれるのか、以上、総務部長にお尋ねをいたします。 〔総務部長平井宏英君登壇〕
◎総務部長(平井宏英君) まず、県職員の人材確保に向けた取組についてお答え申し上げます。 熊本地震や令和2年7月豪雨からの創造的復興、新型コロナウイルス感染症への対応に加え、TSMCの本県進出に伴う環境整備など、その時々の行政需要に対応し
ていくために、事務職、技術職を問わず、必要な人材を確保し
ていくこと
が重要でございます。 議員御指摘のとおり、採用予定数を満たすこと
ができ
ていない総合土木職や獣医師をはじめとして、本県職員の受験者数は、減少傾向に
あります。これは、国や他の都道府県においても同様の傾向で
あり、少子化による適齢人口の減少や民間企業による活発な採用活動
が影響し
ているものと考え
ております。 こうした状況を踏まえ、必要な職員数の確保はもちろんのこと、使命感を持っ
て働き、成果を上げること
ができる優秀な職員の確保に向け、関係部局や
人事委員会と連携し、様々な取組を進め
ております。 具体的には、対面による採用ガイダンスの実施に加え、時代の要請を踏まえたオンライン説明会の実施やSNS等を活用した情報発信など、様々な媒体を活用し、県職員の仕事のやりがいや魅力の発信に努め
ているところです。 加え
て、特に採用状況
が深刻な職種については、それぞれの職種
が抱える課題に応じた、よりきめ細かな取組も講じ
ております。 例えば、総合土木職においては、県民の安全、安心に直結する行政ならではのやりがいや魅力を学生に直接伝えるため、従来からのインターンシップや現場見学バスツアーに加え、近隣県の高校や大学での説明会に同校のOB、OGで
ある県職員をいわゆるリクルーターとして派遣したり、採用広報活動を今年度からは関東及び関西方面まで拡大したりし
ております。 また、獣医師については、今年度から初任給調整手当を全国トップレベルの4万5,000円に引き上げるとともに、今後は、民間人材にターゲットを特化した広報の展開や、熊本と東京に加え、試験会場を大阪にも拡大するなど、新たな取組も進め
ていく予定です。 なお、国においては、試験実施時期の前倒しなど、試験制度の見直しについても検討
が進められ
ております。県においても、こうした新たな対応について検討を進めたいと考え
ております。 今後も引き続き、創意工夫を凝らしながら、あらゆる手法を通じて、人材の確保に向け
て積極的に取り組んでまいります。 次に、会計年度任用職員の処遇改善についてお答えいたします。 会計年度任用職員につきまし
ては、令和2年度の制度導入に当たり、新たに期末手当の支給のほか、介護休暇や病気休暇の付与など、従来の臨時、非常勤職員に比べ、全体的な処遇改善を図りました。 このうち、期末手当につきまし
ては、会計年度任用職員
が勤勉手当の支給対象となっ
ていないということを踏まえまし
て、常勤職員の期末手当及び勤勉手当を合算した支給率、これに応じ
て改定することとし
ております。 県としては、引き続き、国における会計年度任用職員の在り方を踏まえまし
て、会計年度任用職員の適切な処遇に努め
てまいります。 〔西聖一君登壇〕
◆(西聖一君) 総務部長から様々な取組を実施し
ている答弁をいただきました
が、現実はやっぱりなかなか厳しい状況で
あります。担当の部局は大変でしょう
が、しっかりと職員を確保し
ていただきたいと思います。 また、会計年度任用職員の処遇についても、県独自の処遇改善を施し
ていることを理解いたしました。制度
が始まったばかりで、雇用の不安
が拭えない任用制度です。これからも安心し
て働ける制度に取組をお願いしたいと思います。 さて、福岡市では、労働時間について、勤務間インターバル宣言を行い、終業から始業まで11時間空ける働き方改革に着手したという記事を目にしました。公的機関のブラック的な働き方を改善する取組です。これはほんの一例です
が、若者
が魅力
ある職場となるよう、そして県政を牽引し
ていく力強い県組織となるよう、引き続き取り組んでいただきますようお願いをいたします。 続い
て、燃油、肥料、飼料価格高騰に対する今後の取組についてお尋ねをいたします。 ロシア・ウクライナ戦争
が始まり、戦争をやめさせる一つの方策として、NATO諸国は、ロシアに対して経済制裁を行いました。残念ながら、戦争は収まるどころか長期化の模様です。一刻も早く悲惨な戦争
が終わることを望むものです。 そして、この経済封鎖による反発で、資源国家ロシア
が世界に供給し
ていた原油、天然ガスや肥料の輸出制限を行っ
ています。加え
て、ウクライナの穀倉地帯からの小麦の輸出もストップし、世界的な小麦の値上がりを契機とした食料や様々な農産物、そして肥料、飼料の値上がり
が、世界及び日本の食料問題に大きな影をもたらし
ており、国民の間では、現状の食料自給率の低さから、将来の食料危機
が意識されるようになっ
てき
ています。 一方、生産を行っ
ている農畜産漁業者にも大きな打撃を与え
ていることは周知のとおりです。国内において農業や畜産業の生産に欠かせない燃油、肥料、飼料、資材などの生産資材の多く
が海外からの輸入に頼っ
ています。その価格は高騰の一途をたどっ
ています。このため、生産農家
が悲鳴を上げ
ており、営農の継続
が困難になっ
ている報道もされ
ていますし、私の周りの農家からも、何とか価格高騰を抑え
てくれという声
が届きます。 燃油や肥料の高騰に対する価格高騰対策は、国や県でも既に実施し
ています
が、今後も安定した供給と価格に落ち着くかどうかは疑問で
あるため、根本的な対策
が必要だと思っ
ています。 何といっ
ても、輸入に頼っ
ている燃料や資材そのもの
が世界的に不足し
ているわけですから、農業生産を維持し
ていくためには、その点の解消に向けた施策
が必要だと考えます。 折しも、昨年5月には、国において、みどりの食料システム戦略
が策定され、県においても、グリーン農業を一層進めるとともに、全国一の面積を誇る園芸用ハウスでのCO2排出実質ゼロに取り組むと、さきの定例会において末松議員の質問に答弁されたところで、その目指す姿は、まさしく今回の燃油、肥料、飼料高騰対策につながるものと考えます。 そこで、私は、これからも持続可能な本県農業を振興し
ていくために、提案を含め
てお尋ねしたいと思います。 まず1点目です
が、施設園芸に係る生産コストの削減です。 本県は、ハウス施設を利用したスイカ、メロン、トマト、ナス、キュウリ等の施設園芸
が盛んで、これからも変わらないと思います。 しかし、施設園芸の生産コストは年々増加し
ています。近年、施設は、補助事業を活用し
て台風に強い耐候性ハウス
が導入され
ています
が、資材価格の高騰により、1棟数千万円もするの
が現状です。 また、本県の主力で
あるトマトやナスは、冬場に重油加温機を利用した促成栽培
が行われ
ており、それに要する暖房費は、生産経費の中で大きな割合を占め
ています。これらのコストを削減し
ていくためには、低コストで整備可能なハウスや燃油をできるだけ使用しない技術を導入し
ていかなければならないと思います。 2点目は、原料を海外に過度に依存し
ている化学肥料を可能な限り減少させることです。 我が国では、肥料原料の多くを海外からの輸入に頼っ
ており、特に農産物の生産には欠かせない窒素、リン酸、カリの3成分については、原料のほとんどを海外から輸入し
ています。 このような中、本県においては、平成17年度から、化学肥料の使用量を低減するくまもとグリーン農業を他県に先駆け
て取り組まれ
ております。 また、本県は、有機農業の栽培面積
が全国3位となるなど、農家の方は、環境負荷軽減による持続性の高い農業にかなり取り組んで
います。 このことから、海外の肥料原料にできる限り依存しない農業を他県に先んじ
て実現することは可能だと思います。 3点目は、畜産の飼料自給率を上げることです。 農林水産省
が公表し
ている資料によると、家畜用の飼料自給率は25%となっ
ています。そのうち粗飼料
が76%で
あり、トウモロコシなど穀物を主原料とする濃厚飼料は僅か13%しかなく、多くを外国に依存し
ています。 このため、急激な円安の進行や穀物価格の高騰によって配合飼料は高騰し
ており、過去最高となっ
ていると伺っ
ています。 これまでも、畜産農家自ら飼料生産に取り組んでいらっしゃいます
が、配合飼料価格や輸入牧草の高騰を見ると、今まで以上の生産拡大
が必要と考えます。 そのためには、耕種農家の飼料作物栽培の拡大と、耕種農家の減化学肥料のための堆肥の利活用の促進という耕畜連携のさらなる強化
が重要ではないかと考えます。 以上3点
が本県農業を維持発展させるためには必要と考えます
が、今後の県の取組について、
農林水産部長にお尋ねいたします。 〔
農林水産部長竹内信義君登壇〕
◎
農林水産部長(竹内信義君) まず、1点目の施設園芸における生産コストの削減についてお答えいたします。 現在、栽培する作物や時期、労働力など営農形態に合った施設整備となるよう、補助事業の活用時に、収支計画書の妥当性や費用対効果の分析を行い、共有することで、農家の過剰投資を抑制し
ております。今後とも、この取組を強化し
てまいります。 また、加温栽培を行う農家に対しては、ハウス内への内張りカーテンや循環扇の設置など、省エネ資機材の導入を引き続き支援するとともに、国のセーフティーネットへの一層の加入促進を図っ
てまいります。一方で、3割の省エネ効果
が期待できるヒートポンプにつきまし
ては、今年度から現場レベルでの利用技術の実証を行っ
ており、得られた結果を基に導入を推進し
ていきます。 さらには、栽培時期の変更などによる暖房及びビニールの多重被覆に頼らない栽培方法や低温に強い品種の導入によるコスト削減も進め
てまいります。 次に、2点目の化学肥料の削減についてお答えいたします。 議員御指摘のとおり、肥料の原料を海外に過度に頼らず、肥料の地産地消を進め
ていくことは重要なことだと認識し
ております。 そこで、現在、輸入原料の代替として地域資源で
ある堆肥などを活用した混合肥料の開発に、肥料メーカーや農業団体等と連携し
て取り組んでおります。今後、収量や品質を低下させることなく、農家の使いやすい肥料
が普及できるよう、農業研究センターや現場レベルでの実証試験を実施し
てまいります。 また、スマート農業を取り入れたピンポイント施肥など効果の高い施肥の方法により、化学肥料の低減と省力化を進めます。さらに、化学肥料を用いない有機農業を拡大し
ていくため、水稲栽培で労働負担の大きい除草作業を省力化できるロボットの活用を実施し
てまいります。 最後に、3点目の畜産の飼料自給率を上げる取組についてお答えいたします。 自給率を上げるためには、稲WCSや青刈りトウモロコシ等の粗飼料に加え
て、輸入穀物の代替としての飼料用米等の生産拡大を加速し
ていく必要
があります。 そのため、耕種農家側
が飼料作物を生産、販売し、畜産農家側
が土づくりと減化学肥料のための堆肥を供給するといった耕畜連携のメリットを最大化する取組をこれまで以上に推進し
てまいります。 さらに、今年度から取り組んで
いる実だけを活用する子実用トウモロコシの生産拡大に向け
て、畑地での栽培に加え、水田における栽培技術を早急に確立し、普及し
てまいります。 このように、本県の農業の将来を見据えた取組を
スピード感を持っ
て進め、農家の皆さん
が将来にわたって意欲を持ち、安心し
て営農できるよう、時代の変化に対応した持続可能な熊本の農業を確立し
てまいります。 〔西聖一君登壇〕
◆(西聖一君)
農林水産部長には、いつもながら積極的、具体的な答弁をいただき、感心をいたします。 ヒートポンプの導入、低温に強い品種の導入、地域資源を生かした混合肥料の開発、スマート技術による省力化と化学肥料の低減、ロボットによる除草作業の省力化、そして子実用トウモロコシの生産拡大など、一日でも早く普及、定着を望むところです。 先日も、農業団体から、今般の価格高騰等に対する陳情
が上がっ
ています
が、今後も異常な円安傾向
が続くことは十分予想され、さらに燃油、肥料、飼料の不足や価格高騰
が顕在化し
てくると考えます。 コスト
が合わなければ生産をしないの
が経済の常識です
が、農業は、食料生産という命に関わる産業です。日本
が世界第2位の経済力で安価な海外の資材等をどんどん輸入できる時代は終わっ
ており、世界
が提唱し
ているSDGsの考え方に基づく循環型農業にシフトし
ていかざるを得ないと考えます。 繰り返しとなります
が、技術の開発、普及には時間
がかかるからこそ、今、司令塔となる農林水産部の取組を、本当に
スピード感を持っ
て対応し
ていただきたいとお願いをしたいと思います。 続い
て、アライグマ駆除対策についてお尋ねいたします。 近年、農作物の鳥獣被害
が問題になり、その被害防止の取組
が全国各地で行われ
ていることは周知のとおりです。 本県では、主にイノシシ、鹿、猿等です
が、そのほか、タヌキ、アナグマ、クリハラリス、カラス、そしてアライグマなども鳥獣被害を起こす動物です。中でも、アライグマ
が最近大幅に増加し
ており、今後の農作物等の被害を深めるおそれ
があります。 スクリーンを御覧ください。(資料を示す)こちらは、NPO法人くまもと未来ネットワーク
が作成し
ておりますアライグマの被害対策のパンフレットです。 アライグマは、北米原産で、農作物などに被害を与え、狂犬病等の感染症を媒介する可能性
があることから、平成17年に施行された外来生物法により特定外来生物に指定され、駆除による根絶の対象となっ
ています。 私たちの世代は、アニメの「あらいぐまラスカル」のイメージ
があり、写真のように、その風貌から愛らしい動物に見えます
が、実際は気性
が荒く、パンフレットの下部の写真のとおり、柱に爪跡を残し、鋭い爪で建造物を破壊するなど、危険な動物と認識しなければなりません。 年に3~6頭程度出産するようです
が、空き家や神社の屋根裏等人目につきにくい場所で、天敵も
いないことから、繁殖率も高いようです。また、移動範囲
が広く、発見したときに駆除しなければ、1か所で箱わなを設置し
ても、次々と隣地に移動し
ていくため、捕獲も容易でないようです。 そして、厄介なことに、箱わなで捕獲し
ても、鋭い爪や感染症を持っ
ている可能性
があるため、殺処分する際は素手では触れられないなど、慎重な対応
が求められますし、殺処分した後も、感染症予防のために、埋葬よりは焼却処分すること
が望ましいとされ
ており、焼却場と連携するなどの手続
が必要となっ
ています。 本県でも、法に基づき、現在、熊本市ほか15市町村
が防除の確認を受け
ているところです
が、近年、川辺川周辺や南小国周辺でも発見され
ていると伺っ
ています。 防除の対応を行っ
ているNPO法人の担当現場からは、今県下一斉に防除しなければ、今後相当数増え
ていくこと
が予想され、手に負えなくなる状況だそうです
が、自治体の対応は危機感に乏しいのではと懸念し
ているそうです。 九州では、長崎県で最初発見され、その後、佐賀、福岡、大分で広がり、この熊本でも、平成22年に発見され
てから、その生息範囲は広がっ
ています。それぞれの地域でも駆除を実施し
ています
が、根絶どころか生息範囲
が広がり続け
ている現状から、本県でのこれからの対応
が重要だと考えます。 県は、このアライグマ駆除について今後どのように進め
ていくのか、
環境生活部長にお尋ねいたします。 〔
環境生活部長小原雅之君登壇〕
◎
環境生活部長(小原雅之君) 本県におけるアライグマの捕獲数は、平成22年に初めて生息
が確認され
てから今までに19市町村で93頭と、福岡県や佐賀県に比べると少なく、農作物被害の報告も
ありません
が、24市町村で201頭の生息
が確認されるなど、生息数の増加と生息域の拡大
が進んでおり、速やかに防除対策を実施すること
が重要と認識し
ております。 県では、国、19の市町村及び有識者とで構成する熊本県アライグマ防除等連絡会議を設置し、防除実施計画策定への働きかけや先進的な取組事例の紹介、捕獲情報の共有化等を図っ
ています。 また、市町村に対し、防除研修を実施するとともに、生息状況調査やわなの設置などへの支援を行っ
ております。 今後は、これらの取組に加え、市町村
が行う捕獲従事者への研修や地域説明会の開催などへの支援を行うとともに、複数市町村共同の捕獲や生息
が確認され
ていない市町村に防除対策を働きかけるなど、県内体制の強化を図っ
てまいります。 これらの対策を着実に進め、将来的な根絶に向け
て、市町村、関係機関、地域の方々とも連携しながら、しっかりと取り組んでまいります。 〔西聖一君登壇〕
◆(西聖一君) しっかりとした対応を取っ
ていただけることで安心いたしました。 殺処分による駆除は、動物愛護の観点からは、かわいそうにという言葉
が聞こえ
てくるようです
が、アライグマは外来種で
あり、繁殖拡大
が日本固有の在来種で
ある様々な動植物の生態環境破壊につながっ
ていくことや、人体及び農作物への被害拡大防止のためにはやむを得ないことで
あります。 以前、宇土方面でタイワンリス、クリハラリス
が大発生したことも
ありました
が、その後の対策で抑え込むこと
ができた成功事例も
ありますので、今後の県の対応をしっかり期待し
てまいりたいと思っ
ております。 続い
て、日中国交回復50周年に関する県の対応についてお尋ねいたします。 今年は、日中国交正常化
が実現し
て50周年の記念すべき年です。 1972年9月29日、田中角榮首相と中華人民共和国・周恩来総理は固い握手を交わし、「日本側は、過去において日本国
が戦争を通じて中国国民に重大な損害を与えたことについての責任を痛感し、深く反省する。」と表明し、日中両国は国交を回復し、共同声明に署名をし
ています。 以降、1978年、日中平和友好条約、1998年、平和と発展のための友好協力パートナーシップの構築に関する日中共同宣言、2008年、「戦略的互恵関係」の包括的推進に関する日中共同声明を交わし、この50年間、社会制度
が異なるにもかかわらず、日中両国は、平和的に共存し、アジアの緊張緩和と安定に貢献し、共に繁栄の道をたどっ
てき
ています。 私も、かつて日中友好九州青年の船事業に青年団員として参加し
て以降、日中友好の活動に参加し
てきましたし、本県や熊本市
が友好都市提携を結んで
いる広西壮族自治区や桂林市にも古き友人
ができるほど、友好の絆
が深まったと認識し
ています。 近年、中国の経済力
が上がり、多くの中国人観光客
が日本に、そして本県にも訪れ
て、観光地もにぎわっ
ていました
が、新型コロナ感染症拡大のため、それ
がストップしたことで、県内の観光地の経済的打撃は大変大きなもの
があり、早くコロナ
が収束し
て、以前のようなにぎわい
が待たれるところです。 このように、日中の友好関係は良好に保たれ
てきました
が、アメリカのトランプ大統領
が進めた自国主義の台頭から、米中の対立
が際立っ
てきました。国内でも、尖閣や台湾有事問題により、反中の声
が大きくなるなど、日中両国の友好関係は以前より薄くなっ
てき
ていることは残念です。 一方で、昨年末、経団連は、中国の経済界と会談し、「双方は、本年10月に開催された岸田総理と習近平国家主席の電話会談を歓迎するとともに、来年迎える日中国交正常化50周年に際し、次の50年に向け、新たな時代にふさわしい建設的かつ安定的な日中関係構築にしかるべき貢献をし
ていくことで一致した。」との共同声明を出し
ています。 これからも、私は、友好平和を続け
ていくこと
が、両国の互恵、経済の発展につながると信じ
ています。 そこで、日中国交回復50周年の記念すべき年に当たり、友好都市提携を結んで
いる広西壮族自治区との交流をどのように考え
ておられるのか、知事にお尋ねいたします。 〔
知事蒲島郁夫君登壇〕
◎知事(蒲島郁夫君) 今年は、日中国交正常化50周年、そして、熊本県と広西壮族自治区との友好40周年という記念すべき年です。 本県と広西壮族自治区とは、1982年の友好提携締結以降、訪問団や青少年の相互交流をはじめ、経済、教育、文化など幅広い分野において友好関係を築い
てまいりました。 また、近年は、中国の経済発展の勢いを熊本の発展に取り込むべく、2012年に上海事務所、2015年に香港事務所を開設し、くまモンをフックとした観光プロモーションや県産品の販路拡大などの経済交流に取り組んでまいりました。 その結果、2012年と比べ
て、中国からの観光客数は、コロナ前の2019年には約9倍に、農林水産物等の輸出額は、2021年に約15倍となるなど、中国とのつながりはますます強くなっ
ています。 現在、国家間では難しい問題を抱え
ています
が、私は、このような時期だからこそ、これまで以上に自治体間での交流を強化し、両国の国民
がお互いを理解し、信頼を築き上げる土壌をつくること
が必要と考え
ています。 広西壮族自治区には、私も、これまで何度も訪問し、行政トップの方々と直接意見交換を行い、親交を深め
てきました。また、熊本地震や令和2年7月豪雨、新型コロナの感染拡大時には、お互いにお見舞いや支援物資を届けるなど、苦難のときも助け合っ
てきた深い絆
があります。 現在、新型コロナの影響で対面での交流
が難しい状況です
が、私と広西壮族自治区・藍主席との40周年祝賀レターの交換や双方の大学生によるオンラインでの学術・文化交流などを行っ
ています。また、藍主席とのオンラインによるトップ会談もぜひ行いたいと思っ
ています。 一方で、上海事務所
が、現地事務所の強みを生かし、広西壮族自治区で開催される中国-ASEAN博への出展や現地の学生向けに友好40周年記念講座を開講するなど、対面での交流もしっかりと進め
ています。 今後は、渡航制限
が解除され次第、私自ら現地を訪問し、互いの変わらぬ友情を確かめ合うとともに、さらなる交流促進につなげ
てまいります。 〔西聖一君登壇〕
◆(西聖一君) 国際派の知事ですから、期待どおりの答弁をいただきました。 コロナ感染症
が収まっ
ていれば、相互に訪問し合っ
て記念事業等の交流会
が実施されるところだと思います。当面は上海事務所の県職員
が頑張っ
ているとのことです
が、渡航制限の解除により訪問できる日
が来ることを私も楽しみにし
ています。対立からは何も生まれません。今後も、日中友好の絆を強くし
て、互恵の関係を保ち、両国の発展、そして本県も広西壮族との友好関係
がずっと続くことを心から期待をしたいと思っ
ております。 続い
て、マンガ県くまもとによる地方創生についてお尋ねいたします。 私は、アニメコンテンツの活用による熊本の活性化を幾度も取り上げさせ
ていただい
ています
が、今議会でも質問をさせ
ていただきます。 昨年の12月での質問で、マンガ県くまもとの発表を受け
て、さらなる産官学の連携の推進を提案させ
ていただきました。 その後、ONE PIECE熊本復興プロジェクトの取組
が、集英社さんの協力により、さらにアップグレードし、様々な企業との事業展開
が見られますし、伝統文化との連携で清和文楽とのコラボによる制作発表
がされました。 また、驚いたのは、県の教育長から、県立高校の高森高校にマンガ学科を設置すること
が昨年度発表されました
が、全生徒
が現在79名の高校の来年度の募集説明会に130名の参加
があったということです。うち、101名
がマンガ学科を希望し
ているようです。漫画、アニメに若者の関心の高さ
がうかがえますし、熊本の地方の高校に
あっても、進学する魅力
がそこには
あるということを示し
ていると考えられます。 その高森町には『ONE PIECE』の仲間、フランキー像も
あり、設置され
ている南阿蘇鉄道の高森駅構内には、数多くの漫画家から寄せられた色紙や世界の漫画家
が描いたサイレント漫画
が展示され
ており、訪れた家族連れの目を引い
ています。 そして、近年、096k熊本歌劇団の事務所も置かれるなど、アニメコンテンツの活用
が活発で
あり、高森高校のマンガ学科の設置も、そういう流れの一つなのかと思っ
ていました。 しかし、九州観光振興大会の講演で、元集英社「週刊少年ジャンプ」の編集者で、現在は株式会社コアミックスの代表取締役社長の堀江信彦氏の話を伺い、もっと戦略的な取組
がそこに
あること
が分かりました。 堀江氏によれば、高森高校に設置されるマンガ学科には、大学で教えるレベル以上の講師陣をそろえ、さらに大学誘致も視野に入れた漫画の人材育成を図る構想を持っ
て取り組んで
いること、あわせ
て女性だけで構成された096k熊本歌劇団の開設は女性
が集まる拠点となること、これらの相乗効果
が阿蘇の観光振興とも結びつい
て、定住人口や交流人口の増加による地方創生の構想
が視野に入っ
ているということです。 夢の
ある構想
が、県、当該自治体、民間
が協力をし
て、特に民間の力
が加わることによって加速化され
ていることを知りました。 これまでも、県は、マンガ県くまもとを掲げ、様々な事業に着手され
ているところです
が、現在の取組、そしてこれからの展開をどのように施策に盛り込まれ
ていかれるのか、
観光戦略部長にお尋ねいたします。 〔
観光戦略部長原山明博君登壇〕
◎
観光戦略部長(原山明博君) 県では、漫画、アニメ
が持つ、世代や距離を超え
て人々を元気にする力やいわゆる聖地巡礼など新しい観光を生み出す力を生かし、本県ゆかりの作品とタイアップし
て、交流人口拡大や地域の元気づくりに取り組んで
います。今年と来年は、『ONE PIECE』連載25周年をはじめ、これらの作品
が軒並み節目の年を迎えることから、作品本体の全国的なプロモーションと連動した取組を進め
ています。 まず、作者で
ある尾田栄一郎さんと集英社の御協力の下進め
てきたONE PIECE熊本復興プロジェクトでは、本年7月にジンベエ像を設置し、それに合わせた各像のミニフィギュアやコラボ商品の発売により、10体の像を巡る周遊
が促進され
ています。今後、清和文楽とのプロジェクトを皮切りに、伝統芸能や伝統工芸とコラボした新たな魅力の創出や公式ツアーの造成などにより、この周遊効果を県全体へと波及させ
てまいります。 次に、クレヨンしんちゃんについては、双葉社としんちゃん家族にゆかりの
ある埼玉県、秋田県、熊本県による家族都市協定を締結し、相互交流や3県連携による観光・物産PR等に取り組んで
います。 さらに、夏目友人帳については、アニメのモデル地となっ
ている人吉・球磨地域で今春実施したスタンプラリーに、県内外から多くの人
が訪れました。この流れを定着させ、地元への宿泊者増につなげるため、昼だけでなく、夜も楽しめる仕掛けづくりを進め
ています。 一方、産業界や教育界においても、コンテンツ産業の活性化に向けた取組
が進められ
ています。 産官学金で構成されるくまもとマンガ協議会では、漫画活用の幅を広げ
ていく取組として、県内の企業等と漫画家をマッチングする仕組みを研究し
ています。 また、来月には、熊本大学の国際マンガ学教育研究センター
が、そして来年4月には、高森高校のマンガ学科と平成音楽大学の声優コース
が相次いで開設されます。本県で学んだ若い世代
がキャリアを積んでいく中で、行く行くは、メイドイン熊本のアニメ制作も期待されます。 県としては、こうした県内の様々な動きも追い風にしながら、漫画、アニメを柱とした熊本ならではの観光コンテンツの造成、充実に力を注いでまいります。 その上で、来るべきインバウンドの本格再開もにらみ、SNS等により世界中のファン層に直接情報を発信し、熊本への観光客の拡大につなげたいと考え
ております。 引き続き、市町村や関係機関とともに、漫画、アニメの力を最大限に活用し、熊本の活力の創造に取り組んでまいります。 〔西聖一君登壇〕
◆(西聖一君)
観光戦略部長から夢
が広がる施策の展開を伺い、わくわく感を覚えます。 著名なアニメと県内各地域の連携による観光推進や、高森高校だけではなく、熊本大学や平成音楽大学も加わっ
て人材育成
が進むことは、関係地域や若者にますます夢を与え
ていくものと期待をいたします。 質問で引用させ
ていただいた堀江氏の講演では、令和のトキワ荘
が高森町にできるだろうと
ありました
が、部長答弁に
あったメイドイン熊本のアニメ作品
が制作されるのも、そう遠い将来ではないのかと思っ
ています。熊本ならではの観光コンテンツの造成、充実により、地方創生
が進むことを心から期待します。 私も、毎年、『ONE PIECE』の銅像、今10体になりましたけれども、巡っ
ています
が、ジンベエ像
ができるまでは5時間から6時間で回ること
ができました
が、ちょっとジンベエ像は、宇土のほうで離れ
ておりまし
て、1時間半から2時間余計時間
がかかるようになりまし
て、ちょっと1日で回るのは難しいかなあという気
がし
ています
が、そこはまたプロの感覚で、観光客をうまく周遊させるコース
ができれば面白いんじゃないかなというふうに思っ
ているところです。 また、話の中にも
ありました
が、麦わらの一味
が、これから空港やJRの出口に玄関でお迎えをするということで、これから秋のシーズンを迎える中で、観光客
がまた興味をそそられ
て県内各地を周遊し
てくれれば、さらに観光振興
が進むのではないかと期待をいたします。 次に、バドミントン国際大会開催についてお尋ねいたします。 私は、バドミントンスポーツの振興についても度々質問させ
ていただきます
が、今回も質問させ
ていただきます。 本県は、バドミントンをし
ている児童生徒数の割合
が全国でもトップクラスと伺っ
ていますし、男子の八代東高校や女子の玉名女子高校や八代白百合学園高校をはじめとする名立たる全国有数の実力を有し、何人ものオリンピックや世界で活躍する選手も輩出し
ています。 また、くまもと再春館製薬所バドミントンチームの山口茜選手や志田・松山ダブルスペアは、さきの世界大会でも優勝や上位入賞し、先日は試合状況も民放で放映されるなど、バドミントン競技もメジャーになっ
てき
ています。 これまでも、本県では、全国小学生ABCバドミントン大会
が、八代の体育館で12年間開催されたほか、インドネシアと友好協定を結ぶ中で、熊本の中高生の選手とインドネシアの選手との交流も行われ
てきました。 このような取組も功を奏したのか、今般、BWFワールドツアー、スーパー500の開催地として熊本県
が選ばれたことは、県バドミントン界にとって衝撃的な大変喜ばしい出来事だと思います。誘致に御尽力された皆様に敬意を表します。 御存じかと思います
が、バドミントンでは、オリンピックや世界大会に出場するためには、各試合で勝利ポイントを重ねた上位選手で
あること
が条件となります。 ファイナル、スーパー1000、スーパー750、スーパー500、スーパー300、スーパー100という大会ランクごとに獲得ポイント
が異なっ
ています
が、本県で開催されるスーパー500は、獲得ポイント
が高いとのことで、世界有数の選手
が出場されると伺っ
ています。 著名な選手の試合を間近に観戦できるということは、本当にすばらしいことで
あり、関係者にとってはまたとないチャンスです。この大会を絶対に成功させなく
てはならないと考えます。 ただ、会場となる県立総合体育館は、大会運営基準の施設として合格はし
ているようです
が、駐車場のスペース
が少ないことや公共交通機関のアクセス
があまりよくないこと、体育館のサブアリーナの空調施設
がないこと
が課題として考えられます。 世界中から選手や関係者、そして観客
が熊本にやってき
て、この会場は何だという不評を買うことになっ
ては元も子もないと思います。 これまで、バドミントンに関して、同一会場で16面以上のコート
が取れる体育館
が以前から関係者の間では要望され
ているところです。 私も国内の様々な体育館等施設に足を運んで
います
が、いずれも県立総合体育館よりも優れたもの
が多いの
が事実です。 本県にもこのような施設を今から建設しろと要望し
ても、大会に間に合うわけでは
ありません
が、ワールドツアー大会会場として、選手や観客に満足いただけるような受入れ環境の整備
が望まれます。 そこで、このすばらしい大会を成功裏に収めるためにどのような対応を行うのか、知事にお尋ねいたします。 〔
知事蒲島郁夫君登壇〕
◎知事(蒲島郁夫君) 世界のトップ選手
が参加する国際バドミントン大会の本県開催は、バドミントン王国熊本の長年の夢で
ありました。今回、世界バドミントン連盟のワールドツアー、スーパー500
が熊本において、2023年から4年間にわたり開催されること
が決まり、大変うれしく思っ
ています。 また、先日、その1回目となる2023年の大会日程
が、11月14日から19日までの6日間となること
が決定されました。 折しも、本県の再春館製薬所・山口茜選手
が世界選手権大会を2連覇し、ジャパンオープンで3度目の優勝を果たすなど、大変すばらしい成績を収め、熊本大会への注目もさらに高まっ
ています。 議員御指摘のとおり、世界を代表する選手たちに、熊本ですばらしいプレーをし
ていただくためには、国際大会の受入れ準備
が重要です。 今後、県バドミントン協会を中心に設立される実行委員会において、本県も、熊本市や関係団体としっかりと連携し
て、開催準備に取り組んでまいります。 具体的には、試合会場となる県立総合体育館の空調の問題、ホテルと試合会場間の円滑な移動手段の確保について検討を進めます。 このほか、観客の移動ストレスの軽減に向けた交通計画や移動前後の待ち時間を楽しむこと
ができるイベントの開催についても検討を行っ
てまいります。 また、大会の開催を本県への海外誘客に結びつけることも大変重要です。バドミントンは、特に、東アジアや東南アジアで大変な人気を誇っ
ています。そのため、これらの地域に対し、大会のみならず、本県の魅力をしっかりとPRしたいと思います。 さらに、滞在期間中県内各地を観光いただけるよう、ツアーの造成にも力を注いでまいります。 4年間にわたって開催するこの国際スポーツ大会を通して、熊本県のスポーツの振興と発展を図るとともに、国内外からの交流人口の拡大と経済効果の最大化に取り組んでまいります。 〔西聖一君登壇〕
◆(西聖一君) 開催に当たりまして、知事から力強い取組の答弁をいただき、安心をいたし
ております。 2019年のラグビーワールドカップ熊本大会や世界女子ハンドボール熊本大会のように、県民の盛り上がった大会になるよう、関係者のこれからの御尽力に期待をしたいと思います。 また、東アジアや東南アジアを含めた世界各国に熊本をしっかりPRし
て交流人口を拡大し、先ほど質問しましたマンガ県くまもととの相乗効果
が実現することを楽しみにし
ております。 あわせ
て、競技人口
が多い熊本の子供たちにも、世界のトッププレーヤーの試合を観戦できるようにし
てもらえばと願うところでございます。 最後に、要望を1点申し上げます。 JR在来線の駅整備に関する支援についてです。 9月23日に、JR九州の佐賀県の武雄駅から長崎県長崎市までの西
九州新幹線「かもめ」の開通を目前に控え
て、当該地域は大変盛り上がっ
ており、秋の観光シーズンに向け
ての目玉となっ
ているところです。 一方で、在来線に目を向けると、JR北海道では、利用率の悪い路線の廃止の論議
がされ
ていますし、JR九州でも路線区の収支
が公表される中で、関係の沿線自治体や住民からは、路線
が廃止されるのではという危機感
が強まっ
ています。 本県では、豪雨災害により運行不能となっ
ている肥薩線の復旧費
が、当初235億円程度かかる試算
が発表されたことで、廃線を心配する声
が上がっ
ています。 その後、沿線自治体からの存続に向け
ての強い要望
があり、国や自治体の支援を受けることで、JRの負担
が減ること
が再試算されたことで、JRの前向きに取り組む報道もされ
ております
が、予断は許されない状況だと思います。 肥薩線の復旧もさることながら、他の在来線の存続も地域住民にとって今後の問題だと考えます。 JRの方針によれば、経営
が非常に苦しいことに加え
て、コロナ禍により利用者数
が激減し
ていることから、採算事業の利益を不採算路線に充当する内部補助はもはや限界
があり、持続可能な政策への転換
が求められ
ているとし
ています。 そのため、利用者の多い新水前寺駅でも、コスト削減を目的として、窓口時間の短縮を実施し
ており、一時的に無人駅になっ
ています。このことによる利用者からの不満の声も報道に
あっています。 ところで、在来線の無人駅は、今に始まったわけでは
ありません。例えば、私の住んで
いる地域に西里駅
があります。近年、保健科学大学の学生
が通学に利用するため、利用者は大変増え
ています
が、駅のホームの屋根
が短いことやトイレもなく、駅の整備をし
ていただきたいと、地域の方からも要望を受け
ています。 一方で、近くに植木駅
があります
が、以前は寂しい駅でした。しかし、近年、地元の熱意により、トイレや駐車場の整備
が施され、大変明るい駅になっ
ています。利用者も増え
ていると伺いました。 このようなことから、在来線を存続させるためには、駅の整備を行っ
て、利用率を上げ
ていくこと
が大変有効ではないかと考え
ています。 佐賀県では、駅施設整備を
まちづくりの一環として、補助金を出す事業
が予算化されたと伺っ
ています。 ついては、本県でも、JR在来線の駅舎整備に、自治体と一緒になっ
て取り組む事業を創設し、在来線存続に向けた動きの取組を強化し
ていただきたいと要望いたします。 以上で本日の質問、そして要望を終わります。 時間
が少々余りましたので、少ししゃべりたいと思います
が、会場からの熱い、厳しい視線
があるので、一言だけ申し上げ
て終わります。 今年は、ロシア・ウクライナ紛争
が始まっ
てからというもの、景気のいい話はあまりなかったところです
が、このような中において、本県出身の村上選手
が、世界の王選手と並ぶ55号のホームランを達成しました。また、5打席連続ホームランの偉業も成し遂げ
ています。残り試合からすれば、王選手を超えるホームラン数と3冠王
が十分期待されるところで
あります。 県民に勇気と希望を与えた村上選手に、ぜひとも県民栄誉賞等の授与も検討され
てはというところで申し添えたいと思います。 長時間にわたる質問でした
が、執行部の皆様の真摯な答弁並びに議員の皆様の御清聴に心から感謝を申し上げまし
て、私自身、24回目の登壇となりました
が、無事終わることを御礼申し上げ
て、本日の質問を終わらさせ
ていただきます。 御清聴誠にありがとうございました。(拍手)
○副議長(髙野洋介君) 以上で本日の代表質問は終了いたしました。 明17日から19日までは、県の休日のため、休会で
ありますので、次の会議は、来る20日午前10時から開きます。 日程は、議席に配付の議事日程第3号のとおりといたします。 本日は、これをもって散会いたします。 午後2時32分散会...