福岡県議会 2022-09-07
令和4年9月定例会(第7日) 本文
↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯議長(桐明 和久君) ただいまから本日の会議を開きます。
日程に従い代表質問を行います。順次発言を許可いたします。高橋義彦君。(拍手)
*高橋(義)議員質問
2 ◯十四番(高橋 義彦君)登壇 皆様、おはようございます。
自民党県議団、高橋義彦でございます。このたび会派を代表いたしまし
て質問に立つという大変光栄な機会をいただきましたことは、ひとえに日々御指導いただい
ております
自民党県議団藏内勇夫相談役、
松本國寛会長をはじめとする諸先輩方の御配慮のおかげと、心から改めて感謝申し上げます。
また、日頃から御支援をいただい
ております地元の皆様方の力強い応援、そしてその気持ちに感謝をし、
ふるさと福岡県の発展のためにしっかりと、元気よくただし
てまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、質問するに当たり、先週九月九日に、総理をトップとする物価・賃金・
生活総合対策本部が開かれ、食料品やエネルギーの
価格高騰の負担
が大きい
住民税非課税世帯を対象とした一
世帯当たり五万円の給付や、九月末に期限を迎える
ガソリン補助金の年末までの延長に加え、地方自治体の電力、ガス、食料品等の
価格高騰に対する取組を支援するため、電力・ガス・
食料品等価格高騰重点支援地方交付金の創設を決定しました。岸田総理は会合の席上、国民生活や事業活動を守り抜くことは政権の最優先課題の一つ、追加策を早急に実行に移すと述べられ
ております。
知事は、今議会において、
物価高騰対策に係る補正予算を提案され
ております
が、この創設された交付金を積極的に活用し、もう一段きめ細かく、電気代、
食料品価格等の高騰に苦しむ事業者などを支援するため、速やかに対策を実施すべきと考えます。この点、知事はどのようにお考えでしょうか。
続い
て、福岡県の今後の財政運営についてただし
てまいります。感染
が拡大し、収まったかと思えば、さらに大きな感染の波
がやってくる。そういったことの繰り返しの中で、本県は
コロナ対策に奔走するとともに、県民や事業者の皆さんには、度重なる
蔓延防止措置や
緊急事態措置、それに伴う行動制限を長い期間にわたり要請し、県民や事業者の積極的な協力を得
てまいりました。
感染拡大防止のためとはいえ、県民の皆さんには大変御心配と御苦労を強い
てきたことは、私をはじめ皆さんの記憶にも新しいところだと思います。
それでは、まず昨年度県会計の決算についてで
あります
が、決算見込みを見
てみますと、令和三年度の歳出の決算額は約二兆五千億円で、過去最大規模となっ
ています。この理由として、
新型コロナの
感染拡大防止のための検査及び
ワクチン接種体制の確保や、飲食店等への
時短協力金の支給、
医療提供体制の強化のための病床や
宿泊療養施設の確保、さらに事業者の事業継続や
地域経済の活性化のための様々な支援策などに八千億円という巨費を投じた結果だということは誰も
がうなずけるところで
あり、県の努力に一定の評価を与えるところでも
あります。
一方で、歳入に目を向け
てみますと、
県税収入は二年連続の増加で過去最高額の六千九百八億円となっ
ており、実質収支も八十八億円の黒字と過去最高となっ
ています。この結果は、一般の県民感覚から見ると誠に意外の感を免れません。二年以上にわたる
コロナ禍を経験し、
地域経済への悪影響を心配し
てきた私どもの肌感覚としては、異なるように感じられ
てならないからで
あります。
そこでまず、お尋ねします。令和三年度の
県税収入が二年連続で増加し、過去最高となった要因については、財政筋には極めて簡単明瞭なことかもしれません。しかし、多くの県民にとっては誠に意外で
あり、また私自身も十分な理解を得られてないこの数字、いや事実について、特に詳細を御説明願います。
さて、今年二月から始まったロシアによる
ウクライナ侵略は長期化し、その影響も
あって原油価格は高止まりし
ています。日本では金融緩和
が続い
ています
が、米国や欧州では、インフレに対処するために金融引締め
が行われ
ていると、
マスコミ等でその事情を知るところで
あります。このようなことも相まって、為替相場も一年前は一ドル百十円台前後だったもの
が、現在一ドル百四十円台と、円安への流れ
が止まらない状況です。また、我が国の
最大貿易国で
ある中国では厳しい防疫措置、いわゆるゼロ
コロナ政策の影響か、四月から六月期のGDPは、物価変動の影響を除いた
実質ベースで前年同期比〇・四%の増加となり、伸びは一月から三月期の四・八%から急減速し
ています。今後、世界的な
原材料価格の上昇や供給面での制約等により世界経済
が減速し
ていくのではないかと懸念されるところです。
足元では、政府は、今年四月から六月期の
速報値ベースでは
あります
が、国内総生産(GDP)は、年率換算で二・二%増だったと発表し
ています。
プラス成長は三
四半期連続で、
新型コロナウイルス対策の
蔓延防止等重点措置が三月下旬に解除されたため、GDPの半分以上を占める個人消費
が、旅行や外食などの活発化により持ち直したとのことです。また、
デジタル化に向けた
ソフトウエア投資の影響で、設備投資も二期ぶりに
プラス成長となっ
ています。
一方で、
報道ベースでは
あります
が、八月は
月間ベースで今年最多の二千品目以上
が値上げされ、特に
コロナ禍で人気の
家庭用冷凍食品は、大手五社
が八月一日に四百品目超を一斉に値上げ、秋以降にはビールや清涼飲料の値上げ
が予定され
ています。今後は消費者の節約志向
が高まり、個人消費
が冷え込むとともに、企業の販売利益
が落ち込むなど
本県経済への影響も心配になります。
こうした状況を見
ていると、我々県民として、もう一つ心配になっ
てくること
があります。それは、果たして今年度の
県税収入は大丈夫かということで
あります。知事は、我が会派の二月の代表質問で、今年度の
県税収入の見込みについて、法人への聞き取り調査等を踏まえ
て、本県の実情に即し
て適切に見込んでおり、当初予算に係る
県税収入は確保できるものと考え
ていると、その見通しを明らかにされ
ています。
そこでお尋ねします。今年度の
県税収入の見込みに変更はないのか、我々の心配は杞憂の思慮としていいものなのか。そこでまず、県経済のバロメーターとも言える主力の法人二税の現在の状況を示し、その論拠とも言えるべき点を併せ
てお答えください。
また、この
物価高騰等が続く中、
本県経済の現状と今後の動向をどのように見
ておられるのか、知事の考えをお聞かせ願います。
この項の終わりに、危機に強い財政についてお尋ねします。先ほど申しましたとおり、
決算見込みによれば、令和三年度の
県税収入が過去最高となっ
ているだけではなく、実質収支も過去最高の黒字となり、
県税収入の堅調さ
が表れたものとなっ
ております。それに伴い、令和三年度の
財政調整基金等三基金残高も五百八十八億円と、前
財政改革プランの目標で
あった四百五十億円を百億円以上上回る額となっ
ており、数値を見る限り、県財政
が好転したかのように思えます。しかしながら、我が会派
が数度にわたって指摘し
ているように、
県税収入を主体とする財源の確保
がなされなければ、この財政状況もたちまち悪化に転じることは、令和二年度の
コロナ禍を見
ても明らかで
あります。現在、
物価高騰等の影響
が続い
ています
が、まずは県民や事業者の皆様への影響をできるだけ取り除くこと
が肝要で
あることはもちろんのことで
あります。しかし、このような経済状況の変化は、今後も必ず起こるものです。本県の経済は、多くの
中小企業や
農林水産業者の皆さんに支えられ
ています。このようなときこそ、
本県経済の基盤を担っ
ている中小企業や
農林水産分野に対する未来への成長、発展に向けた特別な取組
が重要になると考えます。
先ほど申し上げたように、多くの県民や事業者の皆さん
がコロナ禍の中で傷つき、苦しい思いをされ、それは現在も続い
ています。このようなときで
あるからこそ、知事は、本県の発展の歩みを停滞させることは許されないと考えるのです。
コロナ禍で
あろう
が、どんな障害
があろう
が、本県の未来のためにしっかりとした財政基盤をつくる、そうすることで、今後県内の傷ついた方々に対する支援や、
本県経済の活性化による好循環を進めること
ができるのではないでしょうか。こうしたことこそ、知事
が日頃よく述べ
ておられる未来への道筋を明確にするものではないでしょうか。
今議会においても、危機に強い経済構造の実現について補正予算を提案され
ておられます
が、この九月補正予算に込められた知事のお考えをお聞かせください。
続い
て、ようやく感染者数減少の兆し
が見え
てきた
新型コロナの第七波についてです。岸田総理は、いわゆる
コロナ感染者数全数把握の見直しについて、九月二十六日から全国一律で実施するという方針を打ち出しました。知事は、福岡県でも国と時期を合わせ
て見直しを行うと述べ
ておられます
が、しかし、全数把握をやめることにはメリット、
デメリットの双方
があると報じられ
ています。
そこでお尋ねします。メリット、
デメリット、それぞれ具体的にどういった内容なのか、また
デメリットを最小限に抑えるために、どういった対策
が考えられるのかお聞かせください。
さらに、これから冬を迎えるに当たり、インフルエンザとの同時流行も十分予想されるところです。第七波では、各地で発熱外来に
検査希望者が殺到し、医療現場は大きく混乱、疲弊しました。これらの教訓から、早期に発熱外来を増やすなどし
て医療現場の逼迫を回避すべきと考えます
が、知事のお考えをお示しください。
次に、農林水産問題についてただします。我が国は、戦後先人たちのたゆまぬ努力により、荒廃した国土を立て直し、世界史上まれに見る奇跡的な経済発展を遂げ、世界有数の経済大国となりました。この
経済発展に伴い、我々日本人の食生活も急速に、それまでの米や魚、野菜を中心としたものから、肉や乳製品を多く摂取する欧米型の豊かな食生活へと大きく変化し
てきました。もちろん我が国の
農業生産についても、この間、品種の改良や生産技術の向上、生産基盤の整備などを進めたことにより、着実に生産性を向上させ
てきました
が、食料自給率
が長らく四〇%前後を推移し
ていることからも分かるとおり、その豊かさは小麦や大豆、牛肉など、多くの農畜産物を世界中の多くの国々からの輸入に依存することで成り立っ
ております。また、国内の
農畜産物生産についても、必要な肥料や燃油、家畜の餌など、生産資材の多くを輸入に依存することで成り立っ
ているの
が現状で
あります。こうした現状について、我々国民は、特に意識することなく日常を過ごし
ております
が、今回発生した
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大やロシアによる
ウクライナ侵攻などによる燃油、資材高騰は、我が国の
食料安全保障の脆弱性を浮き彫りにし、我々にそのことを強く認識させることになりました。
同様のことを、我々は僅か二年前に経験しました。
新型コロナウイルス感染拡大に伴う
マスク不足で
あります。しかし、こうした経験にもかかわらず、現在もマスクの国内生産のシェアは、あまり伸び
ていないの
が現状のようです。我々日本人は、このように、どうも喉元を過ぎ
てしまうと熱さを忘れる性質を持っ
ているようです
が、これ
が国民の生活や生命に直結する食料の話となると、そうも言っ
てはいられません。世界的な人口増加や
開発途上国の
経済発展等による食料需要の増大、気候変動による生産減少など、様々な要因によって食料供給に影響を及ぼす可能性
が指摘され
ています。今こそ、国民、そして県民に、国内、県内で農業を行うことの本当の意味やその価値を理解し、再認識し
てもらうこと
が重要で
あり、それにより初めて国産・県産農産物への支持へとつながり、価格への転嫁
が可能になるのではないでしょうか。
我々
が、現在の食生活を維持しながら、必要とする全ての農畜産物を完全に自給することは現実的では
ありません。そうで
あるなら、
食料安全保障の基本的な責任を持つ国には、今回の燃油や資材高騰、あるいは
サプライチェーンの混乱による輸入の途絶といった食料供給を脅かすリスクについて、平時から情報の収集と分析に努め、適切に対応するとともに、国内の
農業生産の増大を基本とし、輸入と備蓄を適切に組み合わせ、
食料安定供給に取り組んでもらう必要
があります。また、同様に
農業生産を担う県においても、県内での農畜産物の供給能力を高めるために、できる限りの努力を行うべきで
あり、現在の
価格高騰などのリスクを踏まえ、持続性や代替性を確保し、過度な輸入依存から脱却し
ていくこと
が必要と考えます。
そこでお伺いします。知事の
食料安全保障に対する所見と、また昨今の
価格高騰の状況を踏まえ、過度な輸入依存からの脱却に向け、県としてどのように取り組んでいくのかお答えください。
次に、物価高に悩む
中小企業への支援方策につい
てで
あります。今年八月、日銀
が発表した七月の
企業物価指数は一一四・五と、調査を開始し
て以来、一九六〇年以降では最も高い数値となったと聞き及んで
います。依然として続く
原油価格高騰や
ウクライナ危機の影響による小麦など穀物価格の高騰
が主要因のようだと聞い
ています。さらに、円安
が輸入価格を膨らませ、七月の
輸入物価指数は前年同月比で四八%の上昇とも伝えられ
ているところです。それだけに、平素こうした数字に疎い県民でも、これだけの数値の急上昇を示されると、さすがに危機感を募らせ、とりわけこの輸入価格、特に燃料価格の急上昇に直撃され
ているトラック運送業の経営者筋からは、収益悪化
が進み、荷主との運賃の
値上げ交渉が日を追って深刻となり、連日苦労させられ
ているといった声
が、私どものところにも多く寄せられ
ているところでも
あります。
もっともこうした状況にもかかわらず、全国における企業の
倒産件数そのものは、意外なことです
が、低い状況で推移し
ているようで、これは
コロナ禍に悩む企業
が無利子、無担保で融資を受けられる、通称ゼロゼロ融資
が下支えし
ているものと考えられます。しかし、その返済も既に一部企業で始まりつつ
あり、今後の推移
が懸念されます。
今年八月、帝国データバンク
が発表した調査結果によると、全国における七月の企業の
倒産件数は四百九十九件で、三か月連続で増加し
ており、このうち原材料費の上昇などの物価高を理由にした今年七月の
倒産件数は、前年同月比一・八倍の三十一件と急増し
ています。ちなみに、業種別では燃料高の影響に直面し
ている運輸業
がトップとなっ
ています。この
物価高倒産の約八割は、負債五億円未満の
中小企業が占め
ているとのことで
あり、収益悪化に直面する
中小企業の苦境
がうかがわれます。
もちろん本県における
倒産件数も全国と同様、目
が離せないことは十分承知し
ているところです。令和三年は二百八件と過去五十年間で最少でした
が、今年に入っ
てからは増加に転じ
ており、上半期の
倒産件数で比較すると、昨年の九十八件に対し、今年は百二十件と、三年ぶりに前年同期比で二二%超の増加となっ
ております。言うまでもなく、
中小企業は本県の雇用の八割を超え
て、本県経済の大宗を担い、成長の源泉とも言われる立場に
あります。その
中小企業が、長引く
コロナ禍に苦しめられ
てきたことに加え、急速に進む物価高など新たな課題に直面し
ていることは誠にゆゆしき事態とも思われ、迅速な対応
が求められ
ていることは言うまでもないところです。
そこで、県としては、一段と厳しくなっ
ている中小企業の経営環境を受け、これまでの
中小企業対策に加え、新たな連動性
ある支援に取り組むこと
が喫緊の課題と思うところです。見解並びに対策をお示しください。
ところで、今年は異例の早さで梅雨明け
が発表されたものの、後になっ
て大幅に見直されたように、天候
が不順となり、七月には前線
が日本付近に停滞したことで、東北地方を中心に豪雨による浸水被害
が発生しました。また、八月は前線や台風の影響により、全国各地で大雨となり、特に北海道や東北、北陸地方の広範囲で、甚大な浸水被害や土砂災害
が発生し
ています。本県では、七月五日に大牟田市で、八月二十四日に久留米市、うきは市、八女市で、記録的短時間大雨情報
が発表されました。また、八月十六日から十八日にかけては、県内全域で長時間の大雨となりました
が、幸いにも
大雨特別警報の発表はなく、大規模な浸水被害や土砂災害は発生し
ていません。しかし、本県では、平成二十九年の
九州北部豪雨以降、平成三十年の大雨など五年連続で
大雨特別警報が発表され、甚大な被害
が頻発し
ており、今も復旧や対策のための事業
が進められ
ているところです。
このように、近年、豪雨等による災害
が激甚化、頻発化し
ていることを受け、国は、命を守り、被害の防止、最小化等を図るため、防災・減災、
国土強靱化のための三か年
緊急対策を平成三十年十二月に閣議決定しました。この対策は防災のための、また国民経済や生活を支える
重要インフラ等の機能を維持する観点から、特に緊急に実施すべきソフト及び
ハード対策について、官民
が連携し
て取り組むこととなっ
ております。さらに、この三か年
緊急対策に引き続き、防災・減災、
国土強靱化のための五か年
加速化対策が令和二年十二月に閣議決定されました。対策の内容は、激甚化する風水害や切迫する大
規模地震等への対策、
予防保全型インフラメンテナンスへの転換に向けた
老朽化対策の加速、
国土強靱化に関する施策を効率的に進めるための
デジタル化等の推進の三つの分野について、取組のさらなる加速化、深化を図り、重点的かつ集中的に対策を講じることとし
ております。本年三月に公表されました福岡県総合計画におきましても、福岡県の目指す姿として、「被災地の復旧・復興を加速するとともに、気候変動の影響により激甚化する自然災害に対応するため、防災・減災や県土の強靱化に取り組んでいくこと
が重要となっ
ています。」と記載され
ています。
そこで知事に伺います。
水災害対策の最重要課題で
あります治水対策について、国
が推進し
ている三か年
緊急対策及び五か年
加速化対策において、
本県管理河川では、どのような治水対策を行っ
ているのかお答えください。
次に、
SDGsへの取組についてお伺いします。ここ数年の間に、この
SDGsという言葉を日常会話の中でよく耳にするようになりました。言うまでもなく、この
SDGsとは、持続可能な世界を実現するため、世界各国
が国連総会で合意した二〇三〇年までの国際社会全体の共通の目標とされ
ているものです。政府による二〇一六年十二月の
SDGs実施指針の決定から約六年
が経過し、
SDGsの浸透は一定程度は進んできました
が、とはいえ、
中小企業へのさらなる浸透
が、依然課題として残され
ています。
中小企業は、地域社会と
地域経済を支える存在で
あり、中小企業の方々の
SDGsへの取組を後押しすること
が重要です。
こうした現状を踏まえ、我が会派は、昨年十二月議会の代表質問において、県内企業
がSDGsに取り組む意義と支援の必要性について知事の考えをただしました。知事は、企業の取組を支援するため、
SDGs登録制度についての検討会を立ち上げ、検討を進め
ていくとお答えされました
が、その後約十か月
が経過し、検討会において、これまでどのような検討を行っ
てきたのか、またこれまでの検討状況を踏まえ、福岡県としてどのような登録制度を創設するのか、知事のお考えをお答えください。
さらに、持続可能な世界の実現には、人と動物の健康及び環境の健全性は一つのものとする
ワンヘルスの取組
が重要で
あると考えます。本年八月には、福岡県
ワンヘルス推進基本条例に基づく
ワンヘルス宣言事業者登録制度が開始されました
が、この制度との関係についてどのように考え
ているのか、併せ
てお答えください。
現在、県内企業を取り巻く状況は、
新型コロナウイルス感染症の再拡大や、ウクライナ情勢の長期化に伴う原油価格や物価の高騰など、予断を許さない状況に
あります。特に経営に不安を抱える
中小企業は、まず優先し
て経営基盤の強化、事業の継続、雇用維持に取り組まれ
ています。現在検討を進め
ておられる登録制度に企業の皆さんに参加し
てもらうためには、企業にとってこの制度
が魅力的な制度で
あり、さらに優遇措置
が設けられるなど、具体的なメリット
が必要です。
そこで知事にお伺いします。現在検討され
ている登録制度について、登録した企業に対しどのような支援を行っ
ていくのか、知事のお考えをお答えください。
企業
が行う
SDGsにつながる取組は幅広く、本業のビジネスを通じた貢献だけではなく、寄附やボランティアなどを通じた社会貢献など様々なゴールの設定
が考えられます。特に
中小企業におかれ
ては、これまでも
SDGsに貢献され
ていても、どうゴールとつながっ
ているのか、またその取組をどのようにし
てPRし
ていけばいいのか分からないといった経営者や担当者の方々も多いと思われます。
そこで知事にお伺いします。県内企業、特に
中小企業の方々に
SDGsへの理解を深め
ていただくために、これまでどのような取組を行っ
てきたのか、また登録制度への
中小企業の参加を促すため、どのような周知を行っ
ていくのか、知事のお考えをお答えください。
次に、ESG債の発行についてただします。ESG債は一般の債券とは異なり、資金使途
が限定され
ていることから、発行体としては環境問題や社会的課題への取組をアピールできますし、投資家としてもESG債への投資を通じ社会貢献につながるなど、双方にとってメリット
があるのではないかと思います。このようなことも相まって、年々地方自治体の発行も増加傾向となっ
ているようです。今年に入り、日米の金利格差の拡大に伴う急激な円安の進展など、金融市場を取り巻く環境は刻一刻と変化し
ています。福岡県としてESG債を発行するお考えはないのか、知事のお考えをお聞かせください。
次に、県民の間でも言葉自体はしっかりなじんできたマイナンバーカードの普及促進についてお聞きします。マイナンバーカードは、対面でも、オンラインでも、安全、確実に本人確認を行うこと
ができるデジタル社会の基盤となるツールと言われ
ています。例えば、健康保険証としても使え、全国どこに
いても医療機関や薬局で過去の服薬履歴や特定健診情報
が確認できます。また、確定申告をはじめ、子育てなどに関する手続もオンライン申請で便利に行えます。公金受取口座を登録することで、年金や児童手当など、今後申請をするときに口座情報の記入や通帳の写しなどを提出する必要
がなくなります。さらに、近年では
新型コロナワクチン接種証明書
がスマートフォンアプリで取得できるなど、その利活用シーンは拡大し
ています。
国は、令和四年度末までにはほぼ全国民に行き渡ることを目指し、政府全体で普及促進に取り組んで
います。岸田総理大臣自らマイナンバーカードの普及と利便性向上を強力に進めるよう指示され
ていると聞き及んで
いるところです。六月三十日からは、マイナポイント第二弾のポイント申込み
が始まりました。これは、マイナンバーカードの普及のみならず、キャッシュレス決済の拡大や消費の喚起を図る経済対策の一環として実施されるものです。国は、ポイント対象のカードの申請期限で
ある本年九月末までの間に、申請機会の拡大に重点的に取り組むことを自治体に要請し
ています。併せ
て、出張申請受付時の商品券配付を含む市町村の取組に対し、交付事務費補助金による手厚い支援策も講じられ
ているなど、国としては異例の意気込みのようです。
しかしながら、このように国を挙げ
てマイナンバーカードの普及促進に取り組んで
いるにもかかわらず、本年六月一日現在の全国の交付枚数は約五千六百六十万枚、人口に対する交付率は約四五%程度にとどまり、さらに全国約千七百の自治体ごとに見れば、八四・九%から一九・四%まで、取組次第で大きく差
が生じ
ているとも聞い
ております。
そこで、本県におけるマイナンバーカードの交付状況はどうなのか、本県においても市町村により大きな差
が生じ
ているのかどうか、実情をお示しください。
また、交付率
が高い市町村は、どのような取組を行っ
てきたのか、併せ
てお尋ねいたします。
国は、デジタル田園都市国家構想基本方針を本年六月七日に閣議決定いたしました。その中でもマイナンバーカードについては、「普及を強力に推進する。」と記載され
ています。一方で、同じ基本方針の中で気になる記述も
ありました。「二〇二三年度から、マイナンバーカードの普及状況等も踏まえつつ、マイナンバーカードの交付率を普通交付税における地域の
デジタル化に係る財政需要の算定に反映することについて検討する。」というものです。これによれば、カードの普及
が進んだ自治体は手厚い財政支援を受け、カードを活用した行政サービスなど地域の
デジタル化に係る取組をより一層展開できることになります。一方、カードの普及
が遅れた自治体は十分な財政支援
が受けられず、
デジタル化に関する自治体間の格差
が拡大する事態も危惧されるところです。県としては、全ての県民
が、その住んで
いる場所にかかわらず、行政サービスの利便性向上など
デジタル化の恩恵を受けられるようにする必要
があります。
デジタル化の取組において、自治体間の格差
が生まれること
がないよう、マイナンバーカードの普及促進を市町村にしっかり働きかけ
ていかなければなりません。
そこで、カードのより一層の普及を進め
ていくために、市町村に対してどのような働きかけを行っ
ているのかお尋ねします。
また、出張申請受付や申請サポートの実施など、カードの普及促進に取り組んで
いる市町村に対し、県としてどのような支援を行っ
ているのか、併せ
てお尋ねいたします。
次に、本県独自の青少年健全育成の取組で
ある青少年アンビシャス運動についてです。平成十三年に、当時の麻生知事
が、家庭や地域の教育力の低下、学校におけるいじめ問題や学校週五日制の実施などの青少年を取り巻く環境の変化を踏まえ、一人一人
が二十一世紀を担う豊かな心、幅広い視野、大きな志を持つたくましい青少年を育成する取組として提唱し、進め
てきました。しかしながら、運動開始から二十年
が経過し、その間少子、高齢化、国際化、情報化
が急激に進行するなど、青少年を取り巻く環境も大きく変化し
てき
ています。また、この数年は運動に対する県民の関心も下がり、盛り上がりに欠け
てき
ているのではないかと感じ
ているところです。
そこで服部知事にお聞きします。知事は、就任以来、新しい時代の県政を進めるに当たり、三つのことに挑戦し
ていきたいと述べられ
ており、その第一に、次代を担う人材の育成を掲げ
ておられます。運動開始から二十年
が経過した青少年アンビシャス運動について、次代を担う人財の育成という観点から見直しを行い、改めて服部カラーを前面に打ち出し、次のステージに進んでいくべきではないかと考えます
が、この点、知事はどのようにお考えでしょうか。
さて、青少年アンビシャス運動の取組の一つとして、子供の居場所づくりを進めるアンビシャス広場というもの
があります
が、その数は年々減少し
ています。一方で、福祉の観点から生まれた子供食堂は、厳しい家庭環境に
ある子供を支援するために食事の提供を行うなど、地域の大人たちを中心に子供の居場所づくりを進め、その数は年々増加し
ています。先日、子供食堂の運営者に直接話をお聞きする機会
がありました。子供食堂には、食事だけでなく調理体験、地域の大人との交流などを楽しみに通っ
てくる生活困窮家庭の子供も
いるとのことでした。また、厳しい家庭環境に
ある子供
が利用しやすいようにするために、生活困窮家庭の子供だけではなく、地域の子供
が、誰も
が利用できるようにし
ていると聞きました。
そこで知事にお尋ねします。子供食堂は、厳しい家庭環境に
ある子供を必要な支援につなげ
ていくという重要な役割を果たし
ていることから、県として支援すべきと考えます
が、いかがでしょうか。
また、地域において年齢の異なる多くの子供
が集まり、地域の大人たちと交流する場にもなっ
ていることから、子供食堂と連携し、青少年健全育成の取組を進め
てはいかがでしょうか。
それでは次に、教育問題についてただします。初めに、教員免許更新制廃止後の教員の資質向上対策と小中学校における教師不足への対応についてで
あります。昨今、小中学校における教師不足の問題
が新聞報道などで度々取り上げられ
ています。この問題の背景には、いわゆる団塊の世代大量退職に伴い大量採用
が行われ、講師と呼ばれる臨時的任用教員の多く
が正規教員として採用され
てしまい、その結果、講師として任用できる人の数
が減っ
ているという現状
があるようです。
昨年、文部科学省は、初めてとなる教師不足に関する実態調査を実施しました。この調査結果によりますと、本県では昨年五月一日現在、政令市以外の県域の小学校で六十九人、中学校で五十九人の欠員
が生じ
ていた実態
が明らかになりました。言わずとも、学校へ配置すべき教員を確保できなければ、学校のさらなる多忙化を助長し、先生方を疲弊させるだけにとどまらず、子供たちへしわ寄せ
が行きます。
このような中、国においては、教師不足を解消するための対策の一つとして、本年五月に教育職員免許法を改正し、平成二十一年四月に始まった教員免許更新制を廃止しました。具体的には、教員普通免許状の十年という有効期間を撤廃し、これに伴い、更新のために受講を義務づけられ
ていた三十時間の更新講習を廃止し
ています。教員免許更新制の下では、教員免許状を持ちながらも民間企業で働い
ている人など、これまで教壇に立っ
ていない人たち
が免許状の更新手続
ができずに未更新のままで
いるケース
が増え
ていたことも、近年教員を確保すること
が困難になっ
てき
ている要因の一つとも言われ
ています。今般、教員免許更新制
が廃止され、ブラックともやゆされ
ている学校で働く先生方にとっては、更新講習を受講する負担
がなくなり、ゆとり
が生まれることになります。また、昨今教師という職業のイメージ
が低下し
ているとも言われ
ている中、多少なりともその魅力アップを後押しすることにつながるかもしれません。その反面、教員の質の低下を招くのではという懸念の声も聞こえ
てきます。我が会派としても、教員免許更新制の廃止と教師不足の問題
が相まって、教員の質の低下につながることを大いに憂慮し
ているところで
あります。
そこで教育長に伺います。教員免許更新制の廃止に伴っ
て危惧される教員の資質低下についてはどのような見解を持ち、そのような事態を招かないためにも、本県教員の資質をどのようにし
て維持向上させ
ていかれるのか、方策的なものをお聞かせください。
さて、教師不足を解消するには、教師になるための前提となる資格で
ある教員免許状の取得を目指す学生を増やすこと
が、まず必要で
あります。本年六月に文部科学省
が公表したデータによりますと、近年、小学校の教員免許状取得者は増え
ておらず、中学校と高等学校の免許状取得者は減少し
ているということを伺っ
ています。そこでお聞きします
が、この教師不足については放置できるものではなく、現状
が常態化することは何とし
ても避けなければなりません。県教育委員会としては、今こそ総力を挙げ
てこの問題に取り組み、抜本的な方針を早急に打ち出すべきで
あります。
そこで教育長に伺います。今年度、県教委直轄の小中学校における教師不足の現状はどのようになっ
ているのか、また今後その解消に向け
てどのように取り組んでいかれるのかお聞かせください。
さて、私
が県議団を代表し
てこの質問を閉じるに当たり、本年、我が福岡県で開催予定のFAVA大会について述べ
ておきます。
新型コロナウイルスが猛威を振るう中、WHO
が七月下旬に緊急事態を宣言したサル痘の患者
が国内でも見つかるなど、まさに県民は人獣共通感染症の脅威を改めて感じ
ております。また、最近発生したエボラ出血熱やSARS、MERSなども、
新型コロナウイルスと同じく、人と動物の間を行き交う人獣共通感染症で、
ワンヘルスアプローチによる対応の重要性をひしひしと感じるところです。
こうした中、我が国で二十七年ぶりとなるアジア獣医師会連合大会、いわゆるFAVA大会
が本県で開催されます。大会に先駆け
て開催されるFAVA代表者会議では、FAVA日本事務所の設置場所についても正式決定され
ています。FAVA日本事務所の設置については、本年二月二十五日に、藏内日本獣医師会会長から服部知事に対し、福岡県への誘致に向け検討し
てもらいたいとした趣旨の要請
がなされました。これを受け、二月議会において、我が会派は国連ハビタット福岡本部を誘致した際と同様に、FAVA日本事務所の設置についても県民挙げ
てこれと取り組み、言わば県民運動的な誘致活動を展開すべきだと、県当局にその意気込みをただしたところです。その際知事からは、国連ハビタット福岡本部の誘致の取組を参考にし
て、FAVA日本事務所の本県への誘致について、県獣医師会、関係自治体、地元経済界の皆様とも相談をしながら取り組んでまいりたいと答弁をいただい
ております。
その後、県では、交通の利便性
が高く、MICE機能
が充実し
ており、またFAVA大会の開催地で
あるという理由から、設置場所の候補を福岡市として、同市をはじめ経済団体、関係団体と協議を進め、七月二十六日に、服部知事、桐明県議会議長、高島福岡市長、伊藤福岡市議会議長、倉富九州経済連合会会長、谷川福岡商工会議所会頭、蓮澤県医師会会長、草場県獣医師会会長の連名によるFAVA日本事務所の福岡市への設置要請書を藏内会長に手交されました。さらに、八月六日に開催されたFAVA執行部会議において、FAVAの次期会長でも
ある藏内会長
が、
ワンヘルスに特化したFAVA日本事務所の福岡市設置について提案され、FAVA執行部全員一致で了承されたと聞き及んで
いるところです。正式決定は、具体的な事務所の設置場所も含め
て、十一月のFAVA大会直前に開催されるFAVA代表者会議となるとのことですので、誘致を進め
てきた県としても、事務所をどこに設置するのかを早急に日本獣医師会、県獣医師会と詰め
ていく必要
があると考えます。
そこでお聞きします
が、アジア、そして世界における
ワンヘルス実践活動をリードするFAVA日本事務所の設置場所について、知事はどのような見解と見通しを持っ
ているのか、この際その所信をお示し願います。
次に、先月、藏内勇夫日本獣医師会会長
が、米国フィラデルフィアで開催されたアメリカ獣医師会総会にて挨拶され、アジア獣医師会連合に加盟し、共に
ワンヘルスに取り組んでいこうと呼びかけられました。また、福岡県とハワイ州の姉妹提携四十周年を記念し
て視察されたハワイ州立大学には
ワンヘルスの講座
があり、学生とも意見交換したとのことです
が、そのうち一人は医学生で
あり、
ワンヘルスのカリキュラムを履修することで、より広い視野を持っ
て社会に貢献したいと、熱い思いを話し
ていたそうです。
大学教育におけるこのような先進的な取組を、
ワンヘルスの先進地域で
ある福岡でも、例えば大学で開設する社会人講座の単位履修のような形で実現できないでしょうか。御存じのように、本県には県
が設立した三つの大学
があります。口腔の健康を学ぶ九州歯科大学、環境や食と健康を学ぶ福岡女子大学、看護や福祉を学ぶ福岡県立大学、これら県立三大学の資源を生かした
ワンヘルス教育の推進を提案します。
まず、知事には三大学における
ワンヘルス教育の推進について、所見を伺います。
一方、
ワンヘルスで活躍する人材は、
ワンヘルスに関する問題解決のために、広範な知識を備える必要
があると考えます。このため三大学を超えた複数の大学の連携
が必要となるなど、様々な課題も考えられます。
そこで、今回のハワイ大学での
ワンヘルス教育に関する調査の成果も踏まえ、三大学とハワイ大学との交流を進め
てはいかがでしょうか。
さらに、三大学における
ワンヘルス教育の実現に向け
てどのような課題
があり、県としてどう関わっ
ていくのか、知事に見解を求めます。
最後になります
が、今回のFAVA大会は、アジアからの
ワンヘルスアプローチをテーマに掲げ、ポストコロナ時代の幕開けとして、日常生活や経済活動の再出発を期す記念すべき大会で
あり、必ず成功させねばなりません。このFAVA大会に関し、知事は、今年の二月議会の我が会派からの質問に対し、この大会を契機に、本県
ワンヘルスの先進的な取組を国内外に発信し、県民の理解を促進し
ていきたいと答弁され、その代表例として、
ワンヘルスの理念に沿っ
て生産された農林水産物等を認証する
ワンヘルス認証制度の創設と、都市近郊に
ありながら豊かな自然を持つ四王寺県民の森の
ワンヘルスの森としての整備を挙げられました。我が会派としても、これらの取組は、日々の生活の中で県民
がワンヘルスの考え方や重要性に触れることで
ワンヘルスへの理解を深め、関心を高めること
ができる大変有意義なもので
あると評価し
ており、国内外から参考にされるような取組としていかなければならないと考え
ております。
既に始まっ
ているこうした取組も踏まえ
て、今回のFAVA大会は、福岡県を
ワンヘルスの先進県としてより進化させ
ていく大きな契機になるものと期待されます。あと二か月に迫ったFAVA大会の成功に向け、改めて取組内容と知事の決意をお答え願います。(拍手)
3 ◯議長(桐明 和久君) 服部知事。
*知事答弁
4 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 皆さん、おはようございます。御答弁を申し上げます。
まず、電気代高騰などへの支援策についてお尋ね
がございました。先般国は、物価・賃金・
生活総合対策本部を開催し、地方自治体
が地域の実情に応じた対策を講じること
ができるよう、電力・ガス・
食料品等価格高騰重点支援地方交付金を創設し、今後閣議決定
がなされる見込みでございます。県といたしまし
ては、積極的にこの交付金を活用し、電力、ガス、食料品等の物価高騰の影響を受け
ておられます医療機関、介護サービス事業所、障がい福祉サービス事業所、児童福祉施設、私立学校などに対する支援を速やかに実施いたしますため、その対策を盛り込んだ補正予算案を今議会中に提案させ
ていただきたいと考え
ておりますので、よろしくお願いを申し上げます。
また、現段階では見通せない情勢の変化も考えられますことから、引き続き
物価高騰等が県民、事業者に与える影響をつぶさに捉え、県議会の皆様とも御相談させ
ていただきながら、県民、事業者に寄り添い、機動的な対応を図っ
てまいります。
昨年度の
県税収入の決算についてでございます。昨年度の
県税収入の決算額は六千九百八億円でございまし
て、前年度決算比で九・三%、五百八十六億円の増となりました。
県税収入の増収の主な要因でございます
が、一つは、地方消費税
が原油価格の高騰等に伴い輸入額
が増加したこと、消費税率引上げの影響
が大きかったことによりまして、前年度決算比で三百二十二億円余の増収となったことで
あります。また、法人二税につきまし
ても、運輸業、宿泊業、飲食サービス業など、一部の業種では
コロナ禍前と比べ減収となっ
ている一方、巣籠もり需要の影響によりまして、小売業やクレジットカード業などのサービス業で大きく増収となっ
ておりますほか、半導体の需要増により電気機械器具製造業で増収となるなど、全体では前年度決算比で二百二十六億円の増収となったことによるものでございます。
次に、今年度の
県税収入の見込みについ
てでございます。今年度の当初予算におきましては、昨年度の
県税収入の状況を基に、地方財政計画、国の税制改正による影響額及び本県内の企業収益の動向等を勘案いたしまし
て、前年度決算比で九八・八%、八十二億円減の総額六千八百二十六億円を計上いたし
ております。七月末現在の
県税収入の実績額を見
てみますと、県税全体で前年度同月比一〇二・八%となっ
ております。法人二税につきまし
ても、企業業績
が堅調に推移し
ておりますことから、前年度同月比一〇四・〇%と当初予算を上回る水準で推移し
ておりますことから、現時点では
県税収入は確保できるものと考え
ております。しかしながら、海外景気の下振れ、物価上昇による家計や企業への影響や供給面での制約等による下振れリスクもございますことから、今後とも経済情勢を注視しながら、年度後半の
県税収入を左右いたします十一月における法人二税の中間申告の状況を注意深く見極め
てまいりたいと考え
ております。
次に、
本県経済の現状と今後の動向についてお尋ね
がございました。六月の鉱工業生産指数を見ますと、自動車や汎用・生産用機械等の回復によりまして、五か月ぶりに前月比プラスになりました。また、百貨店、スーパーの販売額
が七月まで十か月連続で前年同月比プラスとなるなど、家計消費も持ち直し
ております。これらのことから、県経済の現状は緩やかに持ち直し
ていると判断し
ておるところでございます。
一方で、日本銀行の企業短期経済観測調査、いわゆる日銀短観等によりますと、
原材料価格の販売価格への転嫁
が依然として十分には進んでおらず、農林水産業や製造業をはじめ様々な分野の事業者において、経営への影響
が及んで
いるものと認識いたし
ております。さらに、総務省
が発表いたしました七月の消費者物価指数を見ますと、全国では前年同月比二・四%の増、九州では二・二%の増となります
が、そのうち食料では、全国で四・四%増、九州で四・五%増、光熱水費は全国で一四・七%増、九州で九・七%増と生活に不可欠な商品、サービスの価格の上昇
が続い
ており、県民の皆様の負担感
が増し
ておるものと認識いたし
ております。
今後の動向につきまし
ては、経済社会活動の正常化
が進む中で、景気
が持ち直し
ていくこと
が期待されます
が、世界的な金融引締め等を背景とした海外景気の下振れ
が景気を下押しするリスクとなっ
ておりまし
て、物価上昇による企業や家計への影響や供給面での制約等に十分注意する必要
があると考え
ております。
次に、危機に強い経済構造を実現するための補正予算につい
てでございます。二年半以上に及びます
コロナ禍で打撃を受け、さらにロシアによるウクライナ軍事侵略による原油価格・物価高騰
が続く中におきましても、将来の産業や
経済発展のための種をまき、芽を育て
ていくことによって税源を涵養し、危機に強い財政基盤をつくること
が重要でございます。このため、提案中の九月補正予算におきましては、
本県経済の発展と活力の原動力で
あり、雇用の八割を担っ
ていただい
ております
中小企業の皆様を支えるため、デジタル技術を活用した生産性の向上や新技術、新製品開発等を支援し
てまいります。また、グリーンデバイス開発・生産拠点構想の実現に向けまし
て、県内の半導体関連企業では人材の確保
が喫緊の課題となっ
ておりますことから、県内外の理工系学生を対象としたプロモーションツアー等を新たに実施し
てまいります。さらに、二〇五〇年のカーボンニュートラルを目指す中、水素を動力源とするFCトラックの早期普及を図りますため、県内物流事業者への導入支援や運行データ等の情報発信によりまして、導入意欲の喚起を図っ
てまいります。本県の基幹産業でございます農業分野では、熟練農業者あまおうのたくみ
が持つ高品質、高収量のあまおう栽培技術を新規就農者に伝承し
てまいります。このような明日につながる投資によりまして、
コロナ禍における原油価格・物価高騰を乗り越えるだけではなく、本県の経済構造を社会経済情勢の変化に対して強靱で持続可能なものに変革し
てまいりたいと考え
ております。
次に、
新型コロナの全数届出の見直しについ
てでございます。現行の全数届出制度では、陽性者を診断した医療機関は発生届の作成に、発生届を受理した保健所は、その登録事務や重症化リスク
が高い方の抽出に追われ
ておりまし
て、いずれも事務作業
が大きな負担となっ
ております。見直し後は、発生届の対象の方
が限定され、これらの事務作業
が大幅に軽減いたしますため、医療機関は患者の診療に専念し
ていただき、保健所は重症化リスク
が高い方々の受診や入院の調整、健康観察、そして相談対応等をより丁寧に行い、こうした方々の命と健康を守ること
ができるようになります。
一方で、発生届の対象以外の方は、保健所から医療支援や生活支援の情報
が届かなくなりますことで、これまでどおりに支援
が受けられるのか、あるいはどこに相談すればよいのか、不安に感じること
が懸念されます。このため、対象以外の方にも安心し
て療養生活を過ごし
ていただけますよう、今、保健所等
が担っ
ております、療養中に症状
が悪化したときの相談対応、
宿泊療養施設の入所受付、食料品等
が入手困難な方への生活支援、自己検査で陽性となった方の陽性登録、こういった機能に、保健所に多数問合せ
が寄せられ
ております療養証明に関する相談対応、この機能を福岡県独自に新たに加えることといたしまし
て、これらをまとめ
て健康フォローアップセンターとして案内をし
てまいります。具体的には、医療機関で検査を受ける方には受診されるときに、県
が配付した検査キット等で陽性者登録をされる方には登録をされるときに、フォローアップセンターの各連絡先を御案内し、その後の支援に確実につなげ
てまいります。
コロナとインフルエンザとの同時流行への備えについてお尋ね
がございました。南半球のオーストラリアでは、三年ぶりにインフルエンザ
が流行いたしました。今後、我が国でもインフルエンザ
が流行し
てコロナの感染拡大と重なった場合には、発熱外来の逼迫を回避すること
が重要で
あります。そのためには、インフルエンザとコロナの検査を同時に受けられる診療・検査医療機関、いわゆる発熱外来のさらなる拡充
が不可欠でございます。このため発熱患者の外来診療等を行った場合の診療報酬の加算や簡易診察室の整備などの支援制度につきまし
て、県医師会や保健所等を通じ、全ての医療機関に改めて周知を行います。その上で、できるだけ多くの医療機関に発熱外来としての指定を受け
ていただけるよう要請を行っ
てまいります。また、第七波では、発熱外来の逼迫を回避するため、県
が配付したキット等で検査し、医療機関を受診せずに陽性者登録できる仕組みを構築いたしました。今後、インフルエンザとの同時流行
が見込まれる場合には、この取組の継続も検討をし
てまいります。加えまし
て、
新型コロナワクチンやインフルエンザワクチンの接種を、引き続き促進し
てまいります。
食料の安全保障強化につきまし
て、過度な輸入依存からの脱却に向けた取組についてお尋ね
がございました。県では、これまでも輸入に依存し
ております麦や大豆、畜産物の生産拡大に向け、高性能機械、施設や優良家畜の導入、またラーメン用小麦ラー麦やはかた地どりといった県独自の品種の開発などに取り組んでまいりました。この結果、麦は全国第二位、はかた地どりも九州一の出荷羽数となるなど、生産
が拡大をいたし
ております。こうした中で、昨今の穀物等の
価格高騰に鑑みまし
て、できる限り県内での生産を拡大し
ていくこと
が必要で
あるとの思いを強くしたところでございます。このため六月補正予算により、県産小麦の生産性と品質を向上させるため、農地の団地化やロボットトラクターなどスマート農業機械の導入を進め
ております。また、小麦の代替として期待でき、大豆と同様に転作作物として水田の維持、活用につながります米粉用米の利用拡大を図りますため、県産の米粉を使用した新商品の開発、販売拡大といった明日につながる取組を支援し
ております。
加えまし
て、農産物の生産に欠かせない化学肥料や家畜の餌となる飼料も、その原料のほとんどは輸入に依存をいたし
ております。このためリスクに強い体制への転換に向けまし
て、必要な予算を今議会に提案し
ているところでございます。具体的には、国に先駆け
て打ち出しました県独自の肥料
価格高騰対策は、その後に国の新たな対策
が示されました。このため国の対策を活用しつつ、その肥料購入助成の要件でございます二つの化学肥料低減の取組を上回る三つの取組を実施する農業者に対し、
ワンヘルスの推進にもつなげますため、県独自の上乗せ助成を新たに実施したいと考え
ております。また、飼料価格の急騰を受け、畜産農家の経営継続を図るため、県独自の支援策といたしまし
て、配合飼料や乾牧草の購入に対する助成を新たに実施するとともに、配合飼料原料の自給率向上に向け、収穫機械や飼料用粉砕機など、生産、加工に必要な機械の導入を支援し
てまいりたいと考え
ております。
県といたしまし
ては、今後とも必要な対策を適切に講じ、農業者の経営安定と県産農産物の生産拡大を図り、過度な輸入依存からの脱却を図っ
てまいります。
物価高における
中小企業への支援についてでございます。
中小企業は、雇用の八割を担っ
ていただい
ております
本県経済発展の原動力でございます。長引く
コロナ禍や原油価格・物価高騰の影響
が深刻化いたします中で、本県の
中小企業支援策につきまし
ては、事業継続の支援と危機に強い経済構造の実現、言わば明日につながる支援、この二つを柱に据え
て取り組んでおります。さきの六月議会におきましては、事業継続の支援といたしまし
て、プレミアムつき地域商品券の発行に対する支援や、本県を修学旅行の行程に組み込んだ県内外の学校に対するバス代の助成、明日につながる支援として、国の持続化補助金やものづくり補助金に対する上乗せ補助、経営革新計画の実現に取り組む
中小企業に対する新商品、新サービスの開発や経費削減への支援などにつきまし
て補正予算を御議決いただいたところでございます。
これに加え、さらなる原油価格・物価高騰に対応し
ていくための新たな対策といたしまし
て、今回の九月議会では、事業継続の支援として、県制度融資に保証料を全額県
が負担する物価高騰特別枠の創設、トラック運送事業者
が燃費向上のために行うエコタイヤの購入に対する助成制度の創設、先ほど申し上げました修学旅行のバス代助成の倍増、また明日につながる支援といたしまし
ては、デジタル技術を活用した生産性向上に必要な設備導入に対する支援の拡充、新技術、新製品の開発に対する助成や、工業技術センターにおける低コスト化製品開発促進のための機器整備などの補正予算をお願いし
ておるところでございます。今後とも、厳しい経営環境に
ある県内
中小企業の事業継続とさらなる成長発展に向け
て、しっかりと取り組んでまいります。
防災・減災、
国土強靱化のための三か年
緊急対策及び五か年
加速化対策における治水対策についてお尋ね
がございました。平成三十年度から取り組みました三か年
緊急対策では、豪雨災害
が激甚化、頻発化し
ておりますことから、緊急的かつ早期に事業効果を発揮する対策を実施し、令和二年度までに完了いたし
ております。具体的な
ハード対策として、福岡市の那珂川ほか三十五河川で約三十万立方メートルの河道掘削、大野城市の御笠川ほか十六河川で、河川の流れを阻害し
ております樹木の伐採を行い、河川の流下能力の向上を図りました。また、ソフト対策といたしまし
ては、災害時の避難行動や水防活動
が適切に実施できますよう、水位計を大川市の花宗川ほか四か所に設置し
ております。
次に、令和二年度から取り組んでおります五か年
加速化対策では、
国土強靱化をさらに加速化させるため、重点的、集中的に対策を実施することといたし
ております。
ハード対策としては、小郡市の宝満川などで河道掘削を進めますとともに、近年甚大な浸水被害
が発生いたしました久留米市の山ノ井川での堤防かさ上げや、池町川での地下調節池、地下放水路及び排水機場の整備といった河川整備のさらなる加速化に取り組んでおります。また、ソフト対策といたしまし
て、水位計、河川監視カメラの設置、洪水浸水想定区域図の作成も進め
ております。今後も五か年
加速化対策の予算などを活用しながら、早期に事業効果
が発揮されますよう治水対策を推進し、防災、減災、県土強靱化に取り組んでまいります。
SDGs登録制度の検討状況とその内容につい
てでございます。本県では今年一月、商工団体や金融機関などで構成いたします登録制度検討会を立ち上げまし
て、県内企業の皆さんの
SDGsへの取組
が一層促進され、
地域経済の活性化にもつながるような制度の創設に向け、どのような内容や方策
が効果的か議論を行っ
てまいりました。この検討を踏まえまし
て、今年十月をめどに制度を立ち上げたいと考え
ております。
登録制度の内容は、まず、社会、経済、環境の三つの側面から取り組むべき項目を具体的にチェックシートで示すことによりまして、多くの企業にとって分かりやすく、
SDGsに取り組むきっかけとなる制度、また各企業の取組を見える化をしまし
て、県民の皆様や取引先、金融機関等に広く知っ
ていただきますことで、新たなビジネス機会の創出や認知度、信用力の向上、人材確保にもつながるような実効性の高い制度にしたいと考え
ております。そして、脱炭素、感染症対策、ダイバーシティーなど、県としても進め
ております
SDGsの目標の達成に向けた取組を着実に前進させること
ができる制度を目指し
ております。
ワンヘルス宣言事業者登録制度との関係については、人と動物の健康及び環境の健全性は一つのものとする
ワンヘルスの理念の実践に関する課題を解決いたしますためには、
SDGsに即した行動
が重要でございます。このため、
ワンヘルスの取組でもございます食品ロス削減あるいは地産地消などを
SDGsの登録要件といたしますことによりまして、
ワンヘルスがSDGs達成に重要で
あることの理解を深め
ていただく考えでございまし
て、両登録制度の取組を着実に進め
てまいりたいと考え
ております。
この登録企業への支援についてお尋ね
がございました。
SDGsに積極的に取り組む企業を多くの皆様に知っ
ていただくこと
が何より大事でございます。このため、各企業
が申請し、県の審査を経ましたチェックシートと各企業の宣言書を、そのまま県ホームページに掲載をしまし
て、対外的に広くPRしたいと考え
ております。併せまし
て、新たにオリジナルのロゴマークを作成し、これを企業のホームページや社員の方の名刺などに活用し
ていただきますことで、登録企業で
あることをアピールできるようにし
てまいります。また、県の制度融資でございます、ふくおか県政推進サポート資金の対象とすることも検討し
ております。さらに、制度の立ち上げに向け、登録制度の検討会に参加いただい
ております商工団体や金融機関による独自の支援として、
SDGsに取り組む企業に対しどういったこと
ができるのか、現在協議をし
ておるところでございます。
SDGsへの理解及び登録制度への参加促進の取組につい
てでございます。県では現在、国の
SDGs未来都市に選定され
ております北九州市や大牟田市などと共に、県内各地域で
SDGsに関するセミナーを開催し
ておりまし
て、これまでに七十八社、四十一団体から二百名を超える参加をいただいたところでございます。このセミナーでは、企業の
SDGsへの取組に対する支援実績
がある金融機関に協力をいただきまし
て、
SDGsに取り組む意義やメリットなどについて説明し
ております。また、地元企業の様々な取組、例えば、AIやロボットを活用することで女性や障がいの
ある人など、多様な人材
が活躍できる環境整備の取組、廃棄されるパンの耳を材料としたビール製造の取組などの事例について紹介をしたところでございます。今後、登録制度への参加を促進いたしますため、県内四地域において説明会を開催いたしますとともに、商工会議所、商工会、事業協同組合などの会合に県の担当者
が直接出向きまし
て、丁寧に御説明したいと考え
ております。また、「福岡県だより」をはじめ県の様々な広報媒体を効果的に活用し、できるだけ多くの企業に登録し
ていただけるよう努め
てまいります。
次に、ESG債の発行についてお尋ね
がございました。近年、ESG投資
が注目を集め
ておりまし
て、直近の債券市場の動向を見
てみますと、日銀
が企業のESG債などへの投資促進のために金融機関に貸し付けますグリーンオペレーションの残高
が前年度の一・八倍に増加いたしますなど、ESG債に対する投資家の需要
が高まっ
ておるところでございます。また、現在日米の金利差
が拡大し
ておりまし
て、国債と地方債の金利差、今年三月の二倍となっ
ておるところでございます。こういったことから、今後ESG債の金利
が低くなると、低く発行できるということ
が期待できるところでございます。
このESG債の発行は、環境や社会課題解決への取組を積極的に推進し
ているということを投資家の皆様にPRする機会となりまし
て、これにより新たな投資家の確保
ができ、本県の資金調達基盤の強化につながること
が期待されますとともに、現在本県
が取り組んでおります国際金融機能の誘致にも資するもので
あると考え
ております。このため今後の債券市場の動向に応じ
て、ESG債を機動的に発行できますよう準備を進め
てまいります。
マイナンバーカードの交付状況についてお尋ね
がございました。県内の交付率は、今年の八月末現在で四七・九%となっ
ておりまし
て、全国平均四七・四%を上回っ
ております。市町村別に見
てみますと、最高は六一・二%、最低は二七・八%となっ
ておりまし
て、市町村によって交付率に差
が生じ
ておる状況でございます。交付率の高い市町村では、例えば、休日、夜間に申請受付を行うとか、あるいは地域の公民館や確定申告の会場、またはワクチンの接種会場で出張申請受付を行うとか、あるいは企業、商業施設など民間施設で出張申請受付を行う、またマイナンバーカードを取得した住民の方へ商品券を配付するなど、住民のニーズに応えながら創意工夫を凝らした取組を行っ
ておられるところでございます。
この市町村に対する働きかけと支援についてでございます。県では、マイナンバーカードの普及促進に向けまし
て、市町村を対象とした説明会や意見交換会を開催をいたしまし
て、商業施設における出張申請受付の実施などの依頼、また交付率
が高い市町村の取組事例の共有などを図っ
てきたところでございます。特に、カードの交付率
が伸び
ていない市町村につきまし
ては、トップダウンで強力に普及を進め
ていただきますため、六月以降、市町村振興局長
が市町村長等を直接訪問いたしまし
て、積極的な取組を促し
てきたところでございます。また、県内の高齢者施設や障
がい者施設、商工団体等に対し、市町村の出張申請受付の実施状況を取りまとめまし
て周知をいたしまし
て、その活用を呼びかけますなど、出張申請受付に取り組む市町村を支援し
ております。さらに、現在県では、大型商業施設と市町村との間を調整いたしますなど、いわゆる商業施設の立地市町村の周辺の市町村も含めた合同での出張申請受付を実現するよう協議を進め
ておるところでございます。加えまし
て、出張申請受付の場所、回数のさらなる拡大につきまし
て市町村に働きかけ、お住まいの場所にかかわらず希望する方
が円滑にカードを取得できるよう取り組んでまいります。
次に、青少年アンビシャス運動の見直しについてお尋ね
がございました。青少年アンビシャス運動では、子供同士
が切磋琢磨する体験活動を通じて子供たちの自尊感情を向上させ、将来の可能性を引き出し
ていくという考え方の下で取組を進め
てまいりました。これまで地域ボランティアの皆様により、異年齢の子供たち
が集い、様々な体験活動を行う場で
ありますアンビシャス広場
が県内各地につくられました。また、読書ボランティアを育成しましたことで、地域の子育てサロンにおける絵本の読み聞かせや学校における校内一斉読書活動など
が多く行われるようになりました。こういった成果
があったところでございます。
一方で、運動開始時にも憂慮され
ておりました、情報化社会の進展による子供たちの睡眠、読書、学習時間の減少、あるいは体験、交流活動の減少、こういった状況はますます深刻化し
ております。このような状況に鑑みますと、今後、運動で取り組まれ
てきました体験活動や読書活動などの成果を引き継ぎ、さらに発展させ
ていかなければならないと考え
ております。しかしながら、アンビシャス運動においては、青少年育成の取組における中心的な役割を果たし
ていただい
ております市町村の参画を求め
ておりませんで、県
が直接県民に呼びかけ
て取組を進め
てまいりましたことから、その勢い
が減速し
ているの
が現状でございます。今後は、放課後児童クラブや子供食堂など、異年齢の子供たち
が集まる場
が地域に増加し
ておりますことも踏まえまし
て、次代を担う人材育成施策全体の中で、市町村と連携しながら、全県下で様々な体験活動を子供たちに提供できるよう運動の見直しを進め
てまいります。
子供食堂に対する支援についてお尋ね
がございました。昨年五月、子供食堂間の交流や食堂運営に関する研修会の開催などを目的といたしまし
て、百二十九の団体
が加盟する福岡県こども食堂ネットワーク
が設立され、県は、その立ち上げや広報に協力したところでございます。設立後も、県は同ネットワークの広報支援や、新たな食堂の立ち上げに必要な情報の提供を行いまし
て、子供食堂同士の連携を進め
ております。その結果、参加いたします子供食堂の数は、先月末時点では百八十一団体に増加をし
ているところでございます。また、厳しい家庭環境に
ある子供を必要な支援につなぎますため、県内五か所の子ども支援オフィスの支援員
が子供食堂を順次訪問し
ております。今後も、このような取組を通じまして情報収集等を行い、この輪、ネットワークを広げ、子供食堂同士の連携
が促進されますよう支援を行っ
てまいります。さらに、最近では物価高騰に伴います光熱水費や食材輸送費の増加など
が、子供食堂の運営を圧迫し
ているとの意見
が寄せられ
ております。県といたしまし
ても、こうした実態について把握いたしますとともに、必要な支援の実施に係る予算を今議会に提案させ
ていただきたいと考え
ておるところでございます。
子供食堂と連携した青少年健全育成の取組についてお尋ね
がございました。子供食堂は厳しい家庭環境の子供を支援するだけではなく、子供
が地域の大人、あるいは異年齢の子供たちと広く関わりを持ち、心身ともに健やかな成長を育む場にもなり得ると考え
ております。現在、一部の子供食堂におきましては、食育や調理活動、農業体験、昔遊び体験などの体験を実施し
ておられまし
て、このような取組は、子供のチャレンジ精神、コミュニケーション能力、他者を思いやる心を育む上で効果
があるものと考え
ております。県といたしまし
ては、こういった取組をより多くの子供食堂で実施し
ていただきたいと考え
ておりまし
て、今後、運営し
ておられる皆様の御意向を伺いながら子供食堂との連携を図っ
てまいります。具体的な実施内容等につきまし
ては、青少年アンビシャス運動を見直す中で検討を行っ
てまいります。
FAVA日本事務所の設置場所につい
てでございます。この事務所は、
ワンヘルスに関するアジア・オセアニア各国における活動情報の収集と共有、FAVAや各国の獣医師会の大会等におけるプログラムの企画協力、国際セミナーの開催などの活動を行うこととされ
ております。また、アジア・太平洋地域における
開発途上国の居住環境の改善や気候変動対策などに取り組みます国連ハビタット福岡本部と連携した取組も検討され
ているところでございます。県といたしまし
ては、こうしたことを念頭に置きまし
て、FAVA日本事務所の活動や取組
が円滑に行える場所を検討の上、できるだけ早く日本獣医師会に対し御提案をしたいと考え
ております。
県立三大学における
ワンヘルス教育の推進に関する所見につい
てでございます。県立三大学には、地域医療や食育などを通じ、県民の健康や生活の質の向上に取り組みます歯科医療、看護、栄養、福祉の各分野、また生物多様性の理解などを通じ持続可能な社会づくりに取り組みます環境分野などにおきまして、
ワンヘルスの推進に関連した教育研究資源
がございます。さらに、
ワンヘルスのような複数の教育研究分野をまたぐ課題をグローバルに、かつ分野にとらわれず俯瞰的に考える教育システムも、福岡女子大学において構築され
ているところでございます。このような特色
ある資源を生かし、三大学
が、使命の一つでございます地域社会への貢献につながる
ワンヘルス教育に取り組みますことは、本県の
ワンヘルスの推進を担う人材育成の観点から有意義で
あると考え
ております。
県立三大学における
ワンヘルス教育の実現に向けた課題と県の関わりについてお尋ね
がございました。
まず初めに、先月の県議会によりますハワイ州への友好訪問団につきまし
て一言お礼を申し上げます。当初私は、ハワイ州との友好提携四十周年記念行事に参加をいたしますため、県議会の皆様方と一緒にハワイ州を訪問することといたし
ておりました。しかし、
新型コロナウイルス感染症対策本部長として任務を果たすこと
が必要となりましたため、訪問を見送らざるを得ませんでした。県議会におかれまし
ては、ポストコロナを見据えた交流を深めるため、同州に友好訪問団を派遣され、ハワイ大学での視察をはじめとする有意義な成果を得られました。また、私のイゲ州知事宛ての親書を、秋田訪問団団長から直接お渡しいただき、ハワイ州訪問
がかなわない中でも、両県州との友好関係を深めること
ができたものと考え
ております。この場をお借りいたしまし
て、改めて感謝を申し上げます。
先月、県議会友好訪問団は、ハワイ大学において開発されました分野横断型の
ワンヘルス教育プログラムの説明を受けますとともに、担当教授や学生と意見を交換されたと伺っ
ております。このハワイ大学のプログラムは、調査や実習による実践的な課題解決能力を養成するものでございまし
て、大学における教育の推進に当たって参考となる内容で
あると認識をいたし
ております。なお、説明を担当されましたサンドラ・チャン教授は、十一月のFAVA大会で講演を行われる予定でございます。
ワンヘルス教育に携わる方と接する貴重な機会となるものと期待をし
ておるところでございます。
さて、新たな教育に取り組む際は、社会状況、あるいは人材の受入先や学生の皆さんのニーズなどに基づきまし
て、育成する人材像を明確にする必要
がございます。その上で、その人材に必要な能力、知識、技術の習得
が可能なプログラム編成を検討し、併せ
てプログラムの実施に必要な三大学
が持つ人的、物的資源の活用や、三大学にはない資源を確保する、このための方策について具体的に検討を行う必要
がございます。このため、先行するハワイ大学との交流も含めまし
て、三大学において
ワンヘルス教育を実施し
ていくための方策について、三大学と共に調査や検討を進め
てまいりたいと考え
ております。
FAVA大会の成功に向けた取組と決意についてでございます。アジアからの
ワンヘルスアプローチをテーマに、本県でFAVA大会
が開催をされ、獣医学、医学、環境分野の関係者
が一堂に会することは大変意義深いものでございます。県ではこの機を捉え、
新型コロナをはじめとする人獣共通感染症等に対する
ワンヘルスアプローチによる解決を目指し、世界トップクラスの研究者
が、その研究成果を世界に向け
て発信いたします福岡県
ワンヘルス国際フォーラムを同時開催をいたしまし
て、本県の先進的な取組を国内外に発信をし
てまいります。また、農林水産物の
ワンヘルス認証制度につきまし
ては、大会の歓迎レセプションで認証農林水産物を披露いたしますとともに、料理の食材として提供いたしまし
て、国内外から参加される皆様に、全国初となるこの認証制度、取組をPRし
てまいります。
さらに、
ワンヘルスの森につきまし
ては、
ワンヘルスの理念などに関する多言語表記の解説板や、生息する動植物や森林浴の効能などを学べる展示物を十月末の完成に向け
て整備をし
ておりまし
て、大会におけるエクスカーションにおきまして、参加者をこの森にお招きし、展示物の見学、森林浴などを通じて
ワンヘルスを実感し
ていただきたいと考え
ております。
さらに、FAVA大会と国際フォーラムでは、県民の皆様に参加し
ていただくシンポジウムや県民講座を開催いたします。また、隣接する会場で同時開催をいたします福岡県農林水産まつりにおきましては、認証農林水産物の販売やPRに加え、
ワンヘルスと農林水産業との関わりなどを紹介をいたしまし
て、県民の皆様に
ワンヘルスへの理解を深め
ていただきたいと考え
ております。
私は、県政におけるチャレンジとして、
ワンヘルスの推進を掲げ
ており、実践を通じて本県
がワンヘルスの世界的先進地と認められますよう、大会の成功に全力を挙げ
てまいります。
5 ◯議長(桐明 和久君) 吉田教育長。
*教育長答弁
6 ◯教育長(吉田 法稔君)登壇 教員免許更新制の廃止に伴う本県教員の資質の維持向上の方策につい
てでございます。教員には、時代の進展に応じ
て継続的に最新の知識、技能を習得すること
が求められ
ており、免許更新制
が廃止され
ても、引き続き教員
が学び続ける仕組み
が必要で
あると考え
ております。県教育委員会としましては、教員のキャリアステージに応じ
て求められる資質、能力を明確にした教員育成指標を平成三十年度に策定し
ております
が、今年度中に特別な配慮や支援を必要とする児童生徒への対応、ICTや情報、教育データの利活用などに関する事項を盛り込む改定を行っ
てまいります。そして、これに基づく研修計画では、時代に即した実践的な学びの機会となるよう研修の質の向上を図るとともに、オンライン環境の活用も含め、効果的な実施手法を積極的に取り入れ
てまいります。また、様々な方策を研究しながら教員の資質の担保を図り、一方で、過度な負担となることのないよう、県としての取組を進め
てまいります。さらに、研修履歴を基に、教員の職責や経験に応じた研修の受講指導や自己研さんの奨励などによりまして、教職の生涯を通じた主体的な学びの実現に取り組んでまいります。
次に、小中学校における教師不足の現状と今後の取組につい
てでございます。今年度、小学校六十三校で六十六人、中学校三十七校で五十六人の定数欠講師の未配置
が生じ
ており、厳しい状況に
あると考え
ております。この解消のためには、新規採用者の確保
が重要で
あり、教員を志望する者を増やすために、県内外の大学生を対象とした出前講座の開催に加え、今年度から高校生に教職の魅力を発信する取組を実施し
ております。また、採用試験の合格者に対しては、教職生活のスタートを支援する事前研修の充実を図り、採用辞退の防止に努め
てまいります。併せ
て、講師を希望する者の確保を図るため、大学と連携した取組を強化し、新卒者の講師内定の早期化を図るとともに、退職者にも働きかけを行っ
てまいります。さらに、新たな取組として、国に対しまして大学の教員養成課程の定員の拡大を要望するとともに、採用試験の改善を図り、大学の推薦による特別選考の実施などを検討し
てまいります。県教育委員会としましては、こうした取組に加え、他県の取組など様々な方策を研究し、市町村教育委員会の御意見もお伺いしながら、全力を挙げ
て地域間格差を含め、教師不足の解消に努め
てまいります。
7 ◯議長(桐明 和久君) この際、しばらく休憩いたします。再開は午後一時三十分といたします。
午 後 零 時 三十一分 休 憩
午 後 一 時 三十一分 再 開
8 ◯副議長(井上 博隆君) 再開いたします。
休憩前に引き続き代表質問を行います。発言を許可いたします。新井富美子君。(拍手)
*新井議員質問
9 ◯十番(新井 富美子君)登壇 皆様、こんにちは。民主県政クラブ県議団、久留米市選出の新井富美子でございます。通告に従いまして、我が会派の代表質問を行います。よろしくお願いいたします。
まず、
新型コロナウイルス感染症対策について質問し
ていきます。七月に入り、
新型コロナウイルス感染症の陽性者
が急増し、全国の新規感染者は八月二日の約二十六万八千人をピークとし、その後、盆明けから次第に減少傾向を見せ、第七波も大きな山を越えたと見られ
ています。本県では、新規感染者
が八月十九日に最大の一万五千七百二十三人となり、自宅療養者は八月二十六日に十万八千人へと急増しました。本県においても感染状況はその後減少傾向となっ
ています
が、今月初めに感染者の累計は百万人を超え、県民の五人に一人
が感染したことになります。また、第七波の拡大後に死亡した方
が急増し、九月一日には過去最多の二十四名
が亡くなられ、県内で昨日までの死亡者の累計は千八百七十二名となっ
ております。医療、福祉機関においては現在も陽性者の対応に忙殺され
ており、コロナとの闘いは二年半を超えるものの、いまだ収束
が見通せません。このような中、岸田総理は九月六日に、ウイズコロナという新たな段階へ移行することを発表し、全数届出の簡略化を今月二十六日から全国一律に導入すること、療養期間の短縮化を行うことなどとしました。陽性者の発生の全数届出を見直すことに対しては、医療体制の崩壊を防ぐべきとの意見と、陽性者の生活支援
が必要だとの意見から、国の考えも二転三転し、こうした国の対応に地方自治体は翻弄され
てきました。
そこで一点目に、このような国の対応について知事の認識を伺うとともに、全数届出の見直しにおいて、医療関係者、保健所、陽性となった方に対し、どのような改善
が図られるべきか、お尋ねします。
また、知事は全国知事会において、全数届出を見直すことによって、発生届の対象外となる方を置き去りにするようなこと
があってはならないと発言されました。実際に、症状
が悪化した場合にどうすればよいのか、生活支援
がどのようになるのかという不安の声も多く聞かれます。
そこで二点目に、今後全国一律の見直し
が行われた後、新たに発生届の対象外となる方に対して、健康面の支援や生活支援物資の提供をどうされるのか、方針を伺います。
次に、入院と救急搬送の問題についてお聞きします。自宅療養を余儀なくされた方々からは、病院から診療、検査を断られた、陽性と診断された後の対応などの情報
が少なく、どうしてよいか分からなかったなどの声
が多く上がっ
ています。
そこで、まずお聞きします。本県では、入院、宿泊療養、自宅療養の判断基準はどのように行われ
ているのかお答えください。
また、容体
が悪化した方々で、救急搬送を依頼したにもかかわらず、病院への搬送
が困難となる事例
が多発し
ていること
が報道でも明らかとなっ
ています。やむを得ず自宅療養をせざるを得ない場合、療養環境
が整っ
ていない自宅では生命の危機につながる場合も
あると危惧します。また、長時間の救急車の待機によって、ほかに必要な救急搬送の運営にも大きな影響
が出
ていると容易に想像
ができます。本県ではこれらに対し、入院前の待機ステーション二十床での受入れを既に行っ
ているところです
が、十分に機能し
ているのか、検証も必要だと思います。
そこで二点目に、発熱や呼吸困難の症状を有するコロナ感染の疑い
がある患者の救急搬送において、搬送困難となった事例は、本年、何件発生したのかお答えください。
三点目に、コロナ患者の搬送困難の状況にどのように対応し
ているのかお示しいただくとともに、待機ステーション二十床の利用状況とその検証、また今後の取扱い方針をお聞きします。
次に、最低賃金改定に伴う本県の対応についてお聞きします。八月十二日に開催された福岡県最低賃金審議会において、本年度の本県最低賃金を三十円引き上げるとの答申
がありました。これで十月八日から、本県の最低賃金は九百円となります。しかし、この最低賃金では、仮に年間二千時間労働し
ても、年収では百八十万円、月収では十五万円で
あり、いわゆるワーキングプアと言われ
ている年収二百万円にも満たない状況です。この最低賃金は長らく四ランクに分けられ、本県はCランクとなっ
ており、全国加重平均の九百六十一円に比べ低い金額に甘んじ
ております。このランク分けによって、全国で最も高い東京都は千七十二円、最も低い沖縄などの十県では八百五十三円と、二百十九円もの地域間格差
が生じ
ています。また、昨年の最低賃金の改定では、ランクに関係なく、引上げ額の目安は一律二十八円と示され、ランク制度そのものの意味
がなくなっ
てき
ております。これらの問題を鑑み、県議会でも二〇二〇年十二月定例会において、最低賃金引上げに関する意見書を全会一致で採択し、着実な最低賃金引上げの継続と地域間格差の是正を図ることを国に求めました。最低賃金引上げに関しては、二〇一〇年に麻生知事
が最低賃金八百円以上の目標額を掲げ、続く小川知事も最低賃金を八百円以上とすべきで
あると、全国の知事会で唯一提言し
てきました。しかし、八百円を達成した後の目標については、二〇一七年九月定例会の我が会派の代表質問に対して、当時の知事職務代理者で
あった現在の知事で
ある服部知事
が、今後検討し
てまいると述べつつも、金額の明示等はその後行われ
ておりません。また、本県の非正規雇用労働者の割合
が二〇一七年時点で四〇%で
ある現状からも、最低賃金の引上げは多くの労働者に大きな影響を与えます。
そこで、以下三点について知事に質問いたします。一点目に、最低賃金の引上げ額についてです。本県以外の九州・沖縄各県は国の目安を上回る三十二円、三十三円の引上げとなる一方、本県は国の目安どおり三十円の引上げにとどまりました。また、本県の賃金は全国でも低いレベルに固定され
ています。この点について、知事はどのように認識し
ているのか、お聞きします。
二点目に、そもそも最低賃金の引上げにおけるランク分けについては、本県と全国との賃金格差の固定化を招くことから、廃止に向け取り組むべきだと考えます。知事はどのように認識し
ているのか、国に廃止を提言すべきだと思います
が、知事はどう取り組まれるのか、お答えください。
三点目に、麻生、小川両知事同様、服部知事も最低賃金の具体的な金額を指し示し国に提言すべきだと考えます
が、知事の見解をお尋ねいたします。
次に、育児休業制度の充実について伺います。改正育児・介護休業法の施行に伴い、本年四月より職場の環境整備と育休取得の意向確認の義務化
がスタートしました。来月十月からは、子供
が生まれた直後に取れる産後パパ育休制度も始まります。我が会派は二〇二一年十二月定例会の代表質問において、労働力人口の減少やコロナで働き方
が大きく変わった中、誰でもいつでも仕事とプライベートを両立できる社会の実現に向け、本県職員
が男性の育児参加を率先し、牽引し
ていくべきとして、男性の育児休暇取得の推進について質問いたしました。その中で、育休を取らない男性職員には、その理由を記載した不取得理由書を提出する制度を設け
てはいかがかとの提案も行ったところです。それに対し知事からは、今後は男性職員に育児休業をはじめ、より長期の休暇、休業の取得を促す観点からも、他県の事例も参考にしながら、より効果的な取組を行っ
ていくとの答弁
がありました。
そこで一点目に、その後の県庁における男性の育児休業取得促進に向け、どのような取組を行っ
ているのか、不取得理由書の件を含めお答えください。
また、十月からスタートする産後パパ育休制度の利用に向けた取組についてもお聞かせください。
次に、育児休業という名前についてです。本年四月、東京都は、育児休業を、仕事を休む期間と捉えるのではなく、社会の宝で
ある子供を育む期間で
あり、子供
が親と共に過ごす大切な期間と認識を変えること
が必要だとして、育児休業のイメージを一新するための愛称を募集し、育休を、育業とすることと決定しました。ドイツでは、既に二〇〇一年に、それまでの育児休業という意味の名称から、両親の時間という意味のものに変更し
ており、その結果、男性の取得
が以前に比べ三割増えたということです。これは、名称変更
が意識の変化を促した成功例でございます。意識の変化と制度の充実の両方を目指すこと
が必要です。
そこで二点目に、本県でも、育児休業の独自の愛称を提案し
てみ
てはいかがでしょうか、知事の認識を伺います。
次に、育児休業取得の現状について見
ていきますと、平成二十九年度仕事と育児の両立に関する実態把握のための調査研究事業報告書によれば、男性・正社員では、三日以内
が最も割合
が高く四三・一%、次いで四日から七日
が二五・八%となっ
ています。一方、女性・正社員では、七か月から一年以内の割合
が最も高く三九・二%、次いで一年から一年六か月以内
が二九・三%となっ
ています。このように、本来は性別に関係なく取得できるはずの育休
が、現実には女性の取得に偏ったものとなっ
ています。また、このことは少子化や待機児童などの大きな社会問題と強い関連性
があることから、男性育休を推進すること
が、これらの社会問題解決に大きく貢献すると考えます。
そこで三点目に、福岡県の男性の育児休業取得に関する目標値、またその取得日数の目標値について企業や県民に広く周知することで、男性
が育児休業を取りやすい福岡県を目指し
ていただきたいと考えます
が、知事の見解をお尋ねします。
次に、手話教育と手話通訳者の育成について質問いたします。我が会派は四月、久留米聴覚特別支援学校を視察いたしました。同校は二〇〇四年、県内の聴覚特別支援学校に先駆け言葉の森宣言を行い、手話を取り入れた教育に取り組んで
います。赴任当時に手話を習得し
ていない教員も
いることから、毎月教員向けに手話の研修会を開催し、現在では教員全員
が手話を使えるということでございます。しかし、県全体では手話を使える教員は限られ
ています。また、現在、久留米聴覚特別支援学校にて聴覚障がい当事者の教員は五名勤務し
ており、当事者としての経験を教育に生かし、活躍をされ
ておられます。
そこで一点目に教育長にお伺いいたします。県内政令市を除く県域の公立学校における聴覚障がい当事者の教員数をお示しいただき、聴覚障がい当事者の教員や手話のできる教員を配置する必要性についての教育長の認識をお答えください。また、手話技術を持つ教員の育成について、その取組をお答えください。
次に、手話通訳を担う人材育成について知事にお伺いいたします。現在、知事会見や国政選挙の政見放送など、多くの行政活動や地域の活動の際、手話通訳
が行われるようになりました。今後は、これまで以上に手話通訳
が一般化し
ていくべきですし、その人材も必要となります。現在、福岡県手話の会連合会に登録され県内で活動し
ている手話通訳者は百四十二名おられますけれども、六十歳以上の方
が半数を超え、今年の新規登録者は僅かに三名でございます。
そこで知事に伺います。本県のこれまで行っ
てきた手話通訳者育成の取組についてお答えください。また、手話通訳
が一般化すること
が望まれる一方で通訳の担い手
が少なく、かつ減少し
ていく見通しで
あるこの現状をどう認識し
ているのか、その原因への認識とともにお答えください。また、育成への新たな取組についてもお答えください。
以上、御答弁をお願いいたします。(拍手)
10 ◯副議長(井上 博隆君) 服部知事。
*知事答弁
11 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。
まず、
新型コロナの全数届出の見直しについてお尋ね
がございました。八月二十四日、国は、都道府県の判断で全数届出の見直しを実施できるようにするということを発表されました。県では、この発表
がありました直後から、医療現場の負担を軽減し、重症化リスクの高い方を守るため、北九州市、福岡市、久留米市の三市と共に、見直しの方向で検討を進め
てまいりました。その矢先に、国は突然、見直しを全国一律で行うとの発表を行われました。しかし、その内容や時期については、自治体に対して具体的な説明はございませんでした。このため、県
が見直しを行いました後に、間を置かずに国
が我々と違うやり方で見直しを行われました場合、医療現場や県民の皆様に混乱を招くおそれ
がありますことから、大変困惑をいたしたところでございます。現行制度では、陽性者を診断した医療機関は発生届の作成に、発生届を受理した保健所はその登録事務や重症化リスク
が高い方の抽出に追われ、いずれも事務作業
が大きな負担となっ
ております。見直し後は、発生届の対象の方
が限定をされ、これらの事務作業
が大幅に軽減をいたしますため、医療機関は患者の診療に専念し
ていただき、保健所は重症化リスク
が高い方々の受診や入院の調整、健康観察、相談対応等をより丁寧に行い、こうした方々の命と健康を守ること
ができるようになります。
この発生届対象外の方への支援についてでございます。全数届出の見直し
が実施されますと、発生届の対象外の方は、保健所から医療支援や生活支援の情報
が届かなくなりますことで、これまでどおりに支援
が受けられるのか、どこに相談すればよいのか不安に感じること
が懸念をされます。このため、対象外の方にも安心し
て療養生活を過ごし
ていただけますよう、保健所等
が担っ
ております療養中に症状
が悪化したときの相談対応、
宿泊療養施設の入所受付、食料品等
が入手困難な方への生活支援、自己検査で陽性となった方の陽性登録、この各機能に、さらに保健所に今、多数問合せ
が寄せられ
ております療養証明に関する相談対応、この機能を福岡県独自に新たに加えまし
て、これらをまとめ
て健康フォローアップセンターとして御案内をし
てまいります。具体的には、医療機関で検査を受ける方には受診時に、県
が配付した検査キット等で陽性者登録をされる方には登録されるときにフォローアップセンターの各連絡先を案内し、その後の支援に確実につなげ
てまいります。このように発生届対象外となる方につきまし
ても、引き続き健康面の支援や生活支援を実施し
てまいります。
次に、入院、宿泊療養、自宅療養の判断基準についてお尋ね
がございました。県では、コロナ陽性者の療養先の決定に当たりまして、重症度
が高い方
が確実に入院できますよう、酸素飽和度や病態に応じた県独自の判断基準を通常時と感染拡大時に分け
て設定をいたし
ております。現在は、感染拡大時の基準に基づき運用し
ております。具体的には、入院は酸素飽和度九三%以下、宿泊療養は九四%から九五%、自宅療養は九六%以上を目安といたし
ております。さらに、例えば酸素飽和度九四%から九五%の方に基礎疾患の悪化等
が見られる場合は、宿泊療養から入院に、病態を踏まえた変更を行っ
ております。その上で、保健所において、陽性者の療養環境や受入先の状況等を考慮しながら療養先を決定し
ているところでございます。
コロナ患者の方の搬送困難への対応についてお尋ね
がございました。今年一月三日から九月四日までの県内の救急搬送困難事案は二千二百三十四件でございます。その推移を見ますと、第六波での最多の週
が百六十件となった後、一旦一桁台まで低下、減少いたしました
が、六月下旬には再び増加をいたしまし
て、第七波では、八月八日から十四日までの週
が最多の二百三十四件となったところでございます。このため、救急搬送を円滑に行えますよう、コロナ病床の空き情報をリアルタイムで関係者間で共有するシステムを全ての消防本部に拡大いたしました。また、夜間及び休日に救急患者を受け入れる重点医療機関の受入れ体制を確保いたしますため、その他のコロナ患者受入れ医療機関に対し、平日の日中における入院調整に対して積極的に協力し
ていただきますよう要請を行いました。このほか、緊急性
が高い患者を優先的に搬送すること
ができますよう、コロナ
が疑われる方
が一一九番通報に悩まれる場合は、通報する前に、まずは受診・相談センターに御相談いただきますよう、県民の皆様に呼びかけを行ったところでございます。八月十七日からは、入院の必要な方
が自宅待機となること
がないよう、待機ステーションを開設をいたしました。開設期間中の利用は十二名、一日最大で四名でございまし
て、設置規模は適切で
あったと考え
ております。九月二日以降は受入れ要請
がなくなりましたことから、九月五日をもって閉所いたしました
が、今後の感染状況に応じ
て再開を検討し
てまいります。
次に、最低賃金の現状に対する認識についてでございます。今年度の地域別最低賃金の改定により、福岡県の最低賃金は、今年十月八日から、三十円引き上げられ九百円になること
が決定をされました。最低賃金の持続的な引上げは、全ての所得層での賃金上昇、消費の拡大、企業収益向上の好循環に資するものと考えます。本県の最低賃金につきまし
ては、福岡地方最低賃金審議会におきまして、中央最低賃金審議会
が示した目安額を参考とし、労働者の生計費、労働者の賃金、通常の事業の賃金支払い能力、この三つの要素を考慮しつつ、公労使の委員により地域の実情に応じ
て十分に調査、審議を尽くした結果として、九百円に決定されたものと認識をいたし
ております。
この最低賃金の改定におけるランク分けについてでございます。地域別最低賃金の審議に際しては、公労使から成る中央最低賃金審議会
が全都道府県を四つに分けまし
て改定額の目安を示すランク制度を用い
ております。このランク分けの基準につきまし
ては、県民所得あるいは消費、給与、企業経営の状況に関する十九の客観的指標を基に、各都道府県の経済実態を総合的に勘案し
て設定され
ておりまし
て、一定の合理性
があるものと認識いたし
ております。一方で、ランク区分ごとに改定額の目安
が示され
ておりますことから、県では今年六月、国に対し、これ以上最低賃金の地域間格差
が拡大することのないよう必要な措置を講ずることを求めたところでございます。現在、目安制度やランク制度などの在り方につきまし
て、国の目安制度の在り方に関する全員協議会で議論をされ
ております。県といたしまし
ては、この全員協議会における議論を注視いたしますとともに、より一層地域の実態に即した制度に見直し
がなされますよう、この秋にも国に対し要望を行っ
てまいります。
次に、最低賃金の目標額についてお尋ね
がございました。県では平成十九年度から、最低賃金と生活保護費、この保護基準ですね、との整合性を踏まえまし
て具体的な目標額を設定し
て、国に対し最低賃金の引上げを提言し
てまいったところでございます。その後、平成三十年度に、当時の目標額八百円を達成をいたしました。その後は、国の骨太の方針に掲げられました全国平均で千円以上という目標の達成を国に求め
てまいりました。現在も政府においては同じ目標額を掲げ
ておられますところでございまし
て、県といたしまし
ても、早期の千円以上の達成を目指し、着実な引上げを行うよう国に求め
てまいります。同時に、その実現に向け
て、県として、県内の雇用を支える
中小企業、小規模事業者に対し、生産性の向上や取引条件の改善、さらには国の業務改善助成金の積極的活用など総合的な支援に取り組みまし
て、最低賃金引上げの環境を整え
てまいります。
次に、男性職員の育児休業取得促進に向けた取組につい
てでございます。県では、男性職員
が育児に積極的に取り組むこと
ができますよう、今年八月から、一か月以上の休暇、休業の取得を促す新たな取組を始めました。具体的には、収入の減少を心配する職員に対して、有給の休暇や週休日などとこの育児休業を組み合わせました一か月以上の休暇、休業の取得パターンを紹介する、それから五日以上の出産、育児に係る休暇
が取得できなかった場合に加えまし
て、新たに、一か月以上の休暇、休業を計画しなかったり、計画したものの取得できなかった、こういう場合には、その所属長
がその理由を提出する、それから家事や育児の分担を夫婦の間で話し合っ
ていただくこと
ができますよう、家族ミーティングシートを配付する、こういった取組を行いますとともに、私からのメッセージを添えました男性の育児休業の取得促進を呼びかけますポスターを作成いたしまし
て、全所属に掲示したところでございます。十月一日からは、子供さん
が生まれ
てから八週間以内における育児休業の取得回数の制限
が二回までに緩和されまし
て、より育児休業
が取得しやすくなります。この制度の積極的な活用を促しますため、先ほど申し上げたポスターにその概要を記載をし、既に周知を行っ
ておるところでございます
が、今後は、仕事と子育ての両立支援ハンドブックや庁内のネットワークにおきまして、制度の周知を図っ
てまいります。
それから、育児休業に対する制度の充実と意識の変化、愛称についてお尋ね
がございました。今回の育児・介護休業法の改正では、男性の育児休業取得を促進いたしますため、より柔軟に取得できる産後パパ育休の創設や育児休業を取得しやすい雇用環境整備、個別の周知、意向確認の義務化などの改正
が行われまし
て、制度の充実
が図られました。県といたしまし
ては、この法改正を契機といたしまし
て、事業者、県民の皆様に、改めて男性の育児休業取得に対する意識を高め
ていただきますため、今年十月から二か月間にわたり、育休のススメ!パパ育フォーラム二〇二二の動画を配信いたします。このフォーラムでは、法改正の内容を解説をいたします
が、このほか、五人の子供さんの父でいらっしゃいます、つるの剛士さんの育児体験を紹介をいたしまし
て、これから育児休業を取得する男性をはじめとして、県民の皆様に対し、育児のすばらしさを伝え
ております。また、サイボウズ株式会社の青野慶久社長には私との対談を行っ
ていただきまし
て、多様化する社会の中で、男性の育児休業取得促進をはじめ、様々な人材
が働きやすい環境をつくること
が企業の人材戦略にとって重要で
あることを語っ
ていただい
ております。
育児休業の愛称については、東京都におかれまし
ては、都民の皆さん
が育児休業を気兼ねなく取得できるよう、愛称を工夫されたものと思います。一方で、育児休業あるいは育休という呼び名は社会的に定着し
ております。また、全国的に同じ制度を自治体ごとに異なる呼び名にいたしますことで、利用する方に戸惑いを与えかねない懸念もございますことから、慎重に検討をし
てまいりたいと思います。
男性の育児休業取得に関する目標につい
てでございます。今年三月に策定いたしました県の総合計画においては、子育て応援宣言企業における男性従業員の育児休業取得率を昨年度の二一・四%から、令和八年度までに三四・七%に引き上げるという数値目標を設定いたしました。育児休業の取得日数につきまし
ては、少なくとも一か月以上の取得を促し
ていく取組
が必要で
あると考え
ております。現状では、一か月以上取得した方の割合は、年々上昇はし
ております
が約二割、いまだ低水準にとどまっ
ておりまし
て、今回の育児・介護休業法の改正に伴い、取得しやすい環境を整え、より長期の取得を促し
ていくこと
が必要で
あると考え
ております。男性の育児休業取得は、育児や家事の負担を夫婦で分かち合うことで、女性の出産意欲の向上や、出産や育児を機に退職することなく働き続けたい女性の希望を実現することにもつながります。今後も、先ほど答弁したフォーラム、あるいは経済界のセミナーなど様々な機会を通じまし
て、男性の育児休業取得の先進事例等を企業あるいは県民の皆様に対し積極的に発信をし
てまいります。
次に、手話通訳者の育成についてでございます。手話通訳者につきまし
ては、県
が実施し
ております派遣事業だけではなく、民間企業
が主催する講演会やセミナー等への派遣要請も増加いたし
ておりまし
て、現在の体制では全てのニーズに対応し
ていくことは困難な状況にございます。これまで県では、手話通訳者を育成いたしますため、基礎、応用、実践、この三段階でそれぞれ五か月課程の研修を実施し
てまいりました。この研修は、ほぼ定員どおり二十人の受講
があります
が、研修後に実施いたします登録試験の難易度
が高いために、直近の合格者は、議員御指摘のように、三名と少ない状況でございます。今後は、丁寧な実技指導
ができる少人数研修を実施をいたしまし
て、登録試験の合格率アップを図っ
てまいります。また、報酬
が低いことも手話通訳者になろうとする方
が少ない要因の一つでございます。このため、既に登録された方に対し毎年実施し
ておりますスキルアップ研修で、同時通訳などのレベルの高い技術習得を支援をいたしまし
て、高い報酬を得ること
ができる人材の育成を進め
てまいります。さらに、若い世代の皆様の手話通訳への関心を高めることも重要でございます。今年度から、県内の大学で福祉を学ぶ学生の皆さんに、聴覚障がいの
ある方
がコミュニケーションに対する経験や思いを手話通訳を通じて伝える研修会を実施し
ているところでございます。
12 ◯副議長(井上 博隆君) 吉田教育長。
*教育長答弁
13 ◯教育長(吉田 法稔君)登壇 聴覚障がいの
ある教員等の配置と手話技術を持つ教員の育成についてでございます。今年度、小学校に一名、中学校に一名、特別支援学校に二十一名、聴覚障がいの
ある教員
が在籍いたし
ております。学校におきましては、手話のできる教員の配置により、児童生徒とのコミュニケーションの促進や授業内容の一層の理解
が図られるものと考え
ています。特に、聴覚障がいの
ある教員には、教員全体の手話技術の向上や児童生徒に対するロールモデルとしての効果
が期待できるところです。また現在、聴覚特別支援学校では、教員の手話技術に応じた研修の実施により技術の向上に努め
ております
が、小中学校等からの要請に応じ
て手話のできる教員を派遣するなど、手話技術を持つ教員の育成を支援をし
てまいります。
14 ◯副議長(井上 博隆君) 新井富美子君。
15 ◯十番(新井 富美子君)登壇 御答弁をいただきました。三項目について要望をいたします。
まず、男性の育児休業推進について要望をいたします。男性職員の育児休業取得推進に関しましては、国での法改正、そして福岡県でも、一か月以上の休暇、休業の取得
ができなかった場合、その理由の提出や知事のメッセージ発信など、ようやく土台
が整いました。今後は、このシステムを活用できる職場の環境づくり
が求められ
ています。知事には、県庁全体にどのような影響、成果
があったかといった情報発信や、各所属長に改めて育休取得の徹底を指導するなど、よりリーダーシップを発揮し、男性の育休取得を推進し
ていただくことを要望いたします。
次に、最低賃金に関して、要望いたします。本県においても早期に千円以上の達成を目指すべきという明確な数字
が服部知事としては初めて出され、併せ
て、このことを国に求め
ていくことにも言及
がありました。麻生、小川両知事に続く取組で
あり、高く評価するとともに、国への働きかけを強化し
ていただくよう要望いたします。
なお、本県の事務補助を行うフルタイム勤務の会計年度任用職員の一年目の時給は、本年度の月額を基に、年間の勤務日数二百四十三日と、一日の勤務時間で
ある七時間四十五分を割り戻し
て試算すると、時給は九百七十九円となります。本県
が雇用する職員についても、時給千円以上を早期に行うよう、併せ
て要望いたします。
次に、手話通訳者の育成について要望いたします。知事は、手話通訳者の報酬の低さに触れ、その上で高い報酬を得ること
ができる人材育成の推進について言及されました。しかし、報酬の低さそのものの問題とその対策については、残念ながら言及
がございませんでした。手話通訳者は、聴覚障
がい者の意思疎通に必要不可欠な存在で
あり、またその技術の習熟には長い経験
が必要です。しかし、ボランティア的な要素
がいまだに根強く
あることから、それに見合う地位や報酬は十分ではないように思います。今後は、手話通訳を担う方々の地位向上、報酬の在り方の再構築と支援などにも取り組んでいただけますよう、要望いたします。
それでは、質問を続け
てまいります。変革期を迎える自動車関連産業への対応についてお聞きします。北部九州における自動車産業は、百五十四万台の生産能力を有し
ており、開発、設計から生産までを一貫し
て担うこと
ができ、本県は、愛知県に次いで我が国を代表する自動車生産の一大拠点へと成長し
てきました。また、自動車産業は裾野
が広いことから、製造業への経済波及効果のみならず、労働者雇用の面にも大きく貢献し
ており、本県の基幹産業として今後も持続的に発展し
ていくこと
が望まれ
ています。一方で、世界に目を向けると、脱炭素化や、CASEと呼ばれる新しい領域での技術革新
が進むなど、自動車業界は今、百年に一度の変革期を迎え
ていると言われ
ており、北部九州を取り巻く環境も同様に大きく変化し
ています。こうした流れを受け、本県は、昨年度に学識経験者や地元自動車メーカーの代表者等から成る北部九州自動車産業新構想検討委員会を設置し、本年三月に提言を受けるとともに、五月には、北部九州自動車産業グリーン先進拠点推進構想を策定し
ております。ただ、これは文字を見る限り、二〇二一年まで
あった北部九州自動車産業アジア先進拠点推進構想のアジアからグリーンに文言を変えただけのようにも思われます。
そこで一点目に、北部九州自動車産業アジア先進拠点推進構想についての総括をお答えください。併せ
て、今回新構想を策定されることになった経緯や新構想の目指すところについてもお答えください。
次に、脱炭素化に取り組む
中小企業の支援についてお伺いします。これからの自動車関連産業においては、運転時のCO2 排出量の削減だけでなく、製造から、運輸、廃棄・リサイクルなど、各段階に応じたトータルでの脱炭素化
が必要で
あると言われ
ています。一方で、現状では、
中小企業がそれらを実現し
ていくには多くの課題を乗り越える必要
があり、全国有数の自動車生産県で
ある本県にとって、至上命題でも
あります。また、脱炭素化は、自動車関連産業に限らず全ての産業において求められ
ており、脱炭素化に取り組む他の
中小企業に対しても支援
が必要だと考えます。
そこで二点目に、自動車部品等を生産する
中小企業を含め、
中小企業の脱炭素化に対して、県としてどのような支援を行うのか、知事のお考えをお聞かせください。
次に、下請
中小企業への救済策についてお伺いいたします。今後生産
が拡大される電気自動車は、製造過程において普通自動車と比べ
て部品数
が三分の二となることから、これまで部品製造を請け負っ
てきた下請企業への影響
が考えられます。また、水素燃料電池車は、新規に高度な技術を必要とすることから、下請企業
が新たな技術を確立し
ていくための支援
が必要です。加え
て、今後不必要となる部品を、現在製造し
ている中小企業を他の事業分野へ誘導するなどの支援
が必要で
あると考えます。
そこで三点目に、このように自動車の電動化への対応を目指す
中小企業をどのように支援するのか、また他の事業分野への参入も考え
ている中小企業をどのような分野へ誘導し
ていくのか、知事の考えをお聞かせください。
四点目に、水素ステーションの整備についてお伺いします。現在、本県には十一基の水素ステーション
が設置され
ていると認識し
ています。しかし、地域偏在
があり、FCVやFCトラックなどの燃料電池モビリティー
が福岡県にあまねく普及するには困難な状況に
あると考えます。こうした課題を踏まえ、今後、どのように水素ステーションの整備を促進し
ていくのか、知事のお考えをお聞かせください。
次に、鳥獣被害、とりわけ鳥類による被害への対策について伺います。二〇二一年度において、鳥獣による農林水産物被害は総額七億四千万円余り、そのうちカラスやヒヨドリ、ハト、カワウなど鳥類による被害は二億七千万円以上で、全体の三七%を占め
ております。鳥獣対策は基本的に基礎自治体で
ある市町村
が行い、捕獲補助金やわな、侵入防止柵などへの補助金は国からの交付金を主な原資とし
ています
が、多くの自治体ではイノシシ、鹿など獣類への対策を重点化し
ています。しかし、カラスなどの鳥類による農林水産物被害は、さきに述べたように金額ベースで全体の四割近くに上り、加え
てカラス
がごみステーションを荒らしたり、ハト
がふんにより町を汚すなど、多くの県民にとって、鳥類による被害は、時にはイノシシや鹿による被害以上に強く感じられるものとなっ
ています。さらに、市街地でこれらの鳥類を駆除することは難しいため、農地や山間部に
ある鳥類のねぐら周辺での捕獲や駆除となり、困難を極めます。沖縄県の本島北部で、近年カラスによる果樹被害
が深刻化した際に、捕獲したカラス一羽当たりの市町村の補助金五百円に、二〇一三年から県
が五百円を上乗せするということで、捕獲率
が上昇いたしました。一方、福岡県のカラス一羽の捕獲補助金は、北九州市など多くの市町村で、国の捕獲補助金のみの僅か二百円にすぎず、猟友会の方によれば猟銃の弾丸代のほう
が高くつくとのことです。
そこで一点目に、現在、イノシシや鹿などの獣類への対策費
が多く配分され
ています
が、カラスやヒヨドリ、カワウ等の鳥類への対策費を増額し、市町村の取組を推進する必要
があると考えます。知事の認識と今後の方針をお聞かせください。
また、鳥類は移動範囲
が広く、結果的に被害は広範囲にわたります。他県の例です
が、鳥類被害に遭った農園で鳥の追い払い対策を実施したところ、その農園の被害は収まったものの、近隣の農園の被害
が急増したとのことでした。本県のイノシシ及び鹿については、県策定の五か年計画に基づい
て広域的な駆除等の対策を実施し
ていることは承知し
ています
が、鳥類対策においても、県
が主導しながら自治体の枠を超えた広域的な対策を実施し
ていくこと
が必要と考えます。さきに挙げました沖縄県では、二〇一四年に本島北部九市町村とJA、猟友会、沖縄県で広域協議会を設け、カラスの一斉捕獲や追い払い活動を連携し
て行うことで効果的な捕獲や被害軽減を実現し
ています。
そこで二点目に、行動域の広い鳥類による被害対策について、沖縄本島北部のカラスの対策のように、本県でも圏域ごとに市町村や猟友会と連携し
て一斉に捕獲を行うなど、県
が主導し
て総合的な鳥類対策
が行われること
が必要と思われます。知事の考えをお聞かせください。
次に、学校教育現場における性の多様性への配慮について、とりわけ、ジェンダーレス制服、学校指定水着について、知事及び教育長にお伺いいたします。県立学校における制服などの指定については、教育委員会
が主体性を発揮しなければ難しいと思います。二〇二〇年度より福岡市内、北九州市内の公立中学校も、選べる制服
が採用され
ています。学生服で有名なメーカーで
あるトンボは、ジェンダーレス制服をホームページで掲載し、選択の自由をアピールすべきで
あるとし
ています。また、水泳用品のメーカーで
あるフットマークは、学校現場でも広がるジェンダーレスの動きに対応し
て、男女兼用で、肌の露出の少ない長袖の上着とハーフパンツのセパレート型水着を開発し、話題となりました。LGBT等児童生徒の生きづらさをなくすために制服や学校指定水着に対して、配慮
が必要と考えます。
そこで一点目に、制服を指定し
ている県立学校及び私立学校における制服、水着の指定の現状とそれぞれの選択制導入の学校数について、お示しください。
そこで二点目に、制服及び水着の選択制について、私立学校を所管する知事の認識と、県立学校の設置者で
ある県教育委員会の今後の方針について、教育長はどのようなお考えか、お聞かせください。
次に、教員の定数未配置、いわゆる定数欠問題と教員採用の在り方についてお聞きします。本件について、我が会派は、度々教育長に対し、定数欠の早期解消をただすとともに、教員採用について抜本的な見直しを提言し
てきました。具体的には、二〇二一年度までに小中学校の正規教員率を九三・二%に増加させるとともに、新規採用年齢の上限の撤廃、常勤講師の給与改善などを提言し、いずれも現在取組
が進められ
ています。しかしながら、定数欠の問題は毎年のように発生し
ております。また、文部科学省
が初めて行った教師不足の実態調査によると、二〇二一年五月一日時点において教師不足
が発生した学校は小学校で六十一校、中学校で四十一校に上り、また不足教員数でも、福岡県は小学校で六十九名、中学校で五十九名に上り、不足率も全国平均を大きく上回るという極めて厳しい状況となっ
ております。そもそも教員定数は、その学校において必要な教員数を示したもので
あり、その人数
が足りないことに対して十分な対策を講じないことは、児童生徒の教育を大きく阻害することにつながりますから、決して看過できない問題です。
そこで一点目に、今年度、県内の小中学校及び県立学校において、五月一日時点の定数欠講師の未配置
が生じた学校の割合及びその人数はどのようになっ
ているのか、近年の傾向も含め、お答えください。
また、体育教員の方
が臨時免許状を発行され理科を教える、また本来担任を持たない主幹教諭の方
が担任を行うなどで、定数欠
が解消されたとし
ている現状も
あるやに聞い
ております。県内において、このような事例はどれほど
あるのかも併せ
てお答えください。
二点目に、採用計画に関してです。採用予定数の推移を見ると、小学校では二〇一六年の三百九十名から六百六十名へ、中学校でも同じく二百十名から二百九十名へ大幅に増員し
ています
が、今年度の正規教員率は小学校九二・六%で目標に比べ〇・六%低く、中学校は八八・五%と目標に比べ四・七%低いなど、目標に達し
ておらず、定数欠も解消し
ておりません。この正規教員率については、昨年六月定例会の我が会派の代表質問において、教育長は正規教員率
が計画どおりに進んで
いないことを述べた後、より精度の高い推計に基づき、新規採用を行っ
てまいると述べ
ておられます。
そこで教育長に質問です。県教育委員会の採用計画に落ち度はなかったのか、推計方法を明らかにした上で、認識をお尋ねいたします。
この項の最後に、教員採用の在り方についてお尋ねします。本県は、教員人事権を持つ北九州市、福岡市と二つの政令市を有し、教員採用において不利な状況となっ
ております。今こそ、採用の在り方について抜本的な見直し
が急務でございます。教員採用に関する新たな取組について、教育長の決意も併せ
てお答えください。
また学校現場では、ICT教育や小学校の専科制度の導入に伴い、より専門性の
ある多様な教育人材
が求められます。教育現場における多様な人材の活用を図るため、経験豊かな社会人を教員として積極的に採用するなど、抜本的に採用の仕組みを変えること
が必要だと思います
が、教育長の認識をお聞きいたします。
最後に、私の地元課題として、久留米市内の浸水対策と河川管理についてお聞きします。久留米市は、今や、大雨による浸水被害の多発地域として認識されつつ
あります。昨年の浸水被害以降は
大雨特別警報等の発令はなかったものの、今年八月二十四日の深夜から翌朝まで降り続いた大雨では、巨瀬川で氾濫危険水位を超える事態となり、久留米市の皆さんは不安な夜を過ごしました。現在、筑後川流域の浸水対策については、国、県、市による
緊急対策事業
が進められ
ており、県や久留米市の広報などで適宜お知らせ
があっています
が、やはり、雨
が降ると多くの皆さんから、筑後川のしゅんせつを中心に、
緊急対策事業の進捗状況や、その効果について問合せ
があっておるところでございます。久留米市の皆さんは、五年連続で被害に遭っ
ておられるわけですから、浸水対策の行方に対して大きな関心を寄せられるのも当然のことだと思います。
そこで一点目に、久留米市内の河川に係る浸水対策の取組は、国、県、市とも計画どおり進んで
いるのか、進捗状況をお示しください。
二点目に、先ほど述べたように、不安を抱える地域の皆さんの声に応えるためにも、事業について、これまで以上にきめ細やかな情報提供や広報を行うとともに、県
がその中心的な役割を担うべきだと思います
がいかがでしょうか。お答えください。
次に、筑後川流域における、本県の河川管理の在り方についてお聞きします。県は、筑後川を管理する国に対し、毎年、しゅんせつ事業の推進について要望し
ているところです。川幅を広げるなど河川そのものを大きくすることは極めて長い年月
がかかる一方、堆積した土砂を撤去するしゅんせつや将来計画に基づき川底などを掘削する河道掘削によって流下能力を向上させることは、浸水対策に関して即効性の
あるものとして、非常に重要な工事だとされ
ています。しかし、県
が行うしゅんせつや河道掘削を含む河川の維持管理予算は、県単独公共予算に含まれ、これは
財政改革プランの下、毎年二%程度の削減
が行われ
ています。国には河川のしゅんせつの推進を要望する一方で、その支川で
ある県管理河川のしゅんせつ等の予算を削減する県の姿勢は、矛盾し
ていると考えます。
そこで三点目に、国への要望と連動した対応を行うためにも、県単独の河川の維持管理予算を重点配分等により確保するべきで
あると考えます
が、知事の認識をお答えください。
四点目に、本年二月定例会においても、県単独公共予算の一律削減の問題点を知事にただしたところです
が、平成二十九年度以降の当初予算における河川の維持管理予算はどのように推移し
てきたのかお示しください。
特に水害対策として重要な河川のしゅんせつ等をしっかりと行うことは非常に重要で
あると考えます
が、久留米市内の県管理河川ではどの程度しゅんせつ等を実施し
てきたのかお示しいただきながら、県として、近年甚大な被害
が続い
ている筑後川水系の県管理河川の予算の確保に、今後、どのように取り組んでいかれるおつもりなのか知事のお考えをお答えください。
16 ◯副議長(井上 博隆君) 服部知事。
17 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁申し上げます。
まず、北部九州自動車産業アジア先進拠点推進構想の総括と新構想についてお尋ね
がございました。この構想では、生産台数百八十万台、地元調達率七〇%、開発機能の集積などを目標に掲げまし
て取り組んでまいりました。この結果、県内には六百七社の自動車関連企業
が集積し、構想策定時は六〇%でございました地元調達率は七〇%を超えました。また、トヨタ自動車九州のテクニカルセンターやダイハツの九州開発センターなど開発機能も集積をいたしまし
て、北部九州は百五十四万台の生産能力を持つ開発、設計から生産まで一貫し
て担うアジアにおける一大生産拠点へと成長をいたしました。一方で、議員からも御指摘
がございましたように、近年、自動車産業は脱炭素化に向けた電動化などへの対応や自動運転といったCASEと呼ばれる技術革新など、百年に一度と言われる大変革期を迎え
ております。このような大きな変化に対し、いち早く対応しなければなりません。このため、地元カーメーカーや有識者など産学官から成る検討委員会を設置し、新たな構想の検討を行ったところでございます。これを踏まえまし
て、一年前倒しで今年五月に、従来の生産台数拡大から、脱炭素化やCASEに重点を置く北部九州自動車産業グリーン先進拠点推進構想を策定したところでございます。今後は、この新たな構想の下で、地元サプライヤーの電動化分野への業態転換の促進、自動運転といった次世代技術への参入支援、生産工場のカーボンニュートラル化の促進、これらを支えるデジタル分野等での人材育成などに取り組みまし
て、北部九州自動車産業のグリーン先進拠点化を目指し
てまいります。
脱炭素化に取り組む
中小企業の支援についてでございます。県では、脱炭素化を促進いたしますため、
中小企業を対象とし、環境経営について先進企業の事例紹介を行います経営者向けの講座や、空調、照明などの機器の運用改善手法に関します技術者向けの講座、国の補助金活用に向けた工場、運輸、ビルなど業種別の補助金講座などの各種講座や相談会を開催をいたし
ております。また、事業場など、いわゆる現場に専門家を派遣いたしまし
て助言や提案を行います省エネ診断の実施や制度融資による再エネ、省エネ設備の導入等への融資を行っ
ているところでございます。さらに今年度からは、県
が実施いたします省エネ診断を受診いたしました
中小企業が省エネ効果
が期待できる空調、給湯設備などの更新やLED照明の導入などを行う際に、その経費の一部を補助することといたし
ておりまし
て、今年七月から申請受付を開始いたし
ております。こういった取組によりまして、
中小企業の脱炭素化に向けた取組を推進し
てまいります。
自動車産業の変化に伴う
中小企業への支援についてでございます。自動車メーカー各社は、EVやPHVなどの電動車の市場投入を相次いで進め
ております。EVの場合、エンジンやトランスミッション、クラッチなどの部品
が不要となりますため、これらを生産する
中小企業に影響
が及ぶ可能性
がございます。一方で、バッテリー、モーター、インバーターなどの部品の需要は拡大すると見込まれますことから、こういった部品に参入する
中小企業を増やし
ていく必要
があるところでございます。このため県では、EVの構造や部品などの最新情報を提供いたします自動車電動化部品研究会やEVの分解部品を使った技術講習などを行います自動車電動化技術道場を開催いたし
ております。さらに今年七月には、地元企業の電動化部品への参入を支援いたします自動車関連企業電動化参入支援センターを県
中小企業振興センタービル内に開設をいたしまし
て、電動化に関する相談や課題解決のための専門家派遣、さらには工業技術センターと連携した製品開発支援などに取り組んで
いるところでございます。今後は、こうした電動化分野に加えまし
て、燃料電池や水素ステーションの部品など水素関連産業への参入を促進し
てまいります。併せ
て、今後成長
が見込まれます風力発電産業への参入についても支援をし
てまいる考えでございます。
水素ステーションの整備促進についてお尋ね
がございました。水素ステーションの整備を促進するためには、初期投資や運営費などステーションの経営を考えますと、水素需要を拡大させること
が必要でございます。このため、FCVと比較いたしますと十数倍の水素利用量
が見込まれますFCトラックの普及
がその切り札として期待をされます。このため、今議会において、県内物流事業者のFCトラック導入を支援する予算をお願いいたしますとともに、業界全体の導入意欲を喚起いたしますため、県トラック協会と連携し
て運行データ等の情報を広く発信いたしますほか、試乗会を県内各地で行うことといたし
ております。今後、こうした取組を拡大することにより、広く県内全域の物流事業者への導入を促進し、本県
がFCトラックの先進拠点となることを目指し
てまいります。また、小規模な水素需要に対応できます整備費
が従来の半額程度に抑えられる小型水素ステーション
が開発され、注目を集め
ております。県では、水素需要の拡大と併せまし
て、地域のニーズに応じ、こうした小型ステーションも活用することによりまして、これまでステーション
がない地域に対しても整備を促進し
てまいります。
次に、有害鳥類対策の充実についてお尋ね
がございました。県では、国の交付金を活用しまし
て、市町村や狩猟者などで構成いたします協議会に対し、侵入防止対策として防鳥ネットや爆音機の整備に対する支援、捕獲対策として捕獲した羽数に応じた捕獲補助金の交付を行っ
ております。この結果、鳥類による農林水産物の被害額は、ピークでございました平成二十二年度の七億三千万円から、昨年度は二億七千万円まで減少し
ております
が、近年は横ばいで推移し
ている状況でございます。こうした中、国の捕獲補助金では割に合わないといった捕獲従事者の声や国からの予算配分
が少ないといった市町村の声
がございますことから、県では国に対して、捕獲補助金の単価の増額と十分な財源の確保について要望し
ております。また、市町村に対しましては、鳥類についても市町村
が国の捕獲補助金に上乗せし
て助成した場合は特別交付税
が措置されることを市町村に周知をいたしまし
て、この制度の活用を働きかけ
ておるところでございます。加え
て今年度からは、従来のイノシシ、鹿に加え、カラスの被害対策についても研修会を開催し、専用の捕獲わなや防鳥ネットの張り方などにつきまし
て指導を行いました。県といたしまし
ては、市町村に有害鳥類対策の重要性や手法を周知いたしますとともに、鳥類に関する研修会の開催回数を増やすなど取組を強化し、有害鳥類対策の充実を図っ
てまいります。
鳥類は行動範囲
が広いということで、行動域の広い鳥類の被害対策についてお尋ね
がございました。この行動範囲の広い鳥類による被害を減らしますためには、広域的な捕獲対策
が有効でございます。このため、県内の六農林事務所ごとに市町村や狩猟者などで構成いたします広域協議会を設置し、市町村をまたいだ捕獲計画を策定した上で、一斉捕獲を実施いたし
ております。また、この際に狩猟者
が使用した弾代や車の燃料代などに対し助成を行っ
ております。捕獲数を増やし
ていくためには、全県下での狩猟者の育成も必要でございます。このため県では、狩猟免許の取得者を対象に、わなの設置や猟銃の取扱いに関する研修会を開催し
てまいりました。これに加えまし
て本年度からは、新たに狩猟現場においてベテランの狩猟者
がマンツーマンで指導を行う取組を開始いたしました。県といたしまし
ては、こうした広域的な鳥類の捕獲対策を主体的に実施し捕獲数を増やすなど、農林水産物被害の軽減に努め
てまいります。
次に、私立学校における制服及び水着の指定の現状につい
てでございます。制服を指定し
ている私立学校におきまして選択制を導入し
ている学校は、小学校八校のうち一校
が導入済みで、三校
が導入予定、中学校二十六校のうち九校
が導入済みで、五校
が導入予定、高等学校六十校のうち三十七校
が導入済みで、十校
が導入予定となっ
ております。また、水着を指定し
ている小学校は九校、中学校は二十五校
あり、選択制を導入済みまたは導入予定の学校はございません。高等学校は四十五校
が指定し
ており、このうち一校
が選択制を導入済みで、導入予定の学校はございません。
私立学校における制服及び水着の選択制に対する認識についてでございます。県では、性的少数者の児童生徒へのきめ細かな対応の実施に関する国の通知を受けまし
て、各私立学校に対し、この周知を図っ
てまいったところでございます。制服や水着について児童生徒の選択の幅
が広がり、自分らしく安心し
て学校生活を送ること
ができることは大切なことで
あると考え
ております。県といたしまし
ては、公立、私立を問わず県内の学校における選択制の取組状況につきまし
て、私立学校に対し、この情報提供を行っ
てまいります。
久留米市内の浸水対策の進捗状況につい
てでございます。久留米市内では浸水被害
が甚大でございましたことから、国や市と共に設置いたしました浸水対策検討会におきまして総合内水対策計画を策定し、浸水対策に取り組んでおります。この計画に基づきまし
て、県ではこれまでに、金丸川、池町川及び下弓削川の堤防かさ上げを完了させ
ております。現在、池町川では、地下調節池の工事に着手いたしますとともに、地下放水路の工事を本議会において契約議案として提出させ
ていただい
ております。また、山ノ井川では堤防かさ上げと橋梁架け替えを、大刀洗川では護岸の整備を、陣屋川では橋梁架け替えを進め
ております。国におきましては、筑後川本川のしゅんせつ工事につきまし
て、合川地区ほか二地区で完了させまし
て、大杜地区ほか三地区で予定をいたし
ておりまし
て、築堤工事につきまし
ては、北野地区ほか二地区で進め
ておるところでございます。また、下弓削川におきましては、枝光排水機場の増強を終え、今年の出水期から運用を開始し
ております。金丸川においては、古賀坂排水機場の増強を進め
ているところでございます。久留米市におかれまし
ては、大学のグラウンドを活用した雨水の貯留施設や市管理河川の堤防かさ上げ、雨水幹線などの整備を進め
ておられます。今後も国や市と連携し、防災・減災、
国土強靱化のための五か年
加速化対策の予算などを活用し、引き続き計画的に浸水対策を進め
てまいります。
地域住民の皆様へのきめ細やかな情報提供や広報についてでございます。県では、国や久留米市と共に、実施箇所や事業の内容、効果について地元説明会やホームページでの情報発信、報道機関への情報提供などを行っ
ておるところでございます。特に、浸水被害の続い
ている地域では、住民の皆様から災害への不安の声
があり、事業への関心も高いことから、より丁寧に情報を提供するため、今年度から、新たにチラシの各戸配布などを行っ
ております。今後も、地域の皆様の声を聞きながら、必要に応じ
て情報提供の方法を見直し、よりきめ細かな対応に努め
てまいります。県管理河川の流域で実施いたします浸水対策につきまし
ては、引き続き国や市と緊密に連携を図りながら、県
が中心となっ
て、より丁寧に情報提供を行っ
てまいります。
最後に、筑後川水系の県管理河川の予算の確保についてお尋ね
がございました。河川の維持管理に係る県単独の当初予算は、平成二十九年度は四十三億八千万円余、令和四年度は三十九億八千万円余となっ
ておりまし
て、平均いたしますと一年当たり二%程度の減少で推移いたし
ております。しかしながら、しゅんせつ等の実施に当たりましては、県単独の予算に加え、財源面で有利な補助、交付金事業を最大限活用し、必要な事業規模を確保いたし
ております。こうした予算を活用し、近年被害
が頻発し
ております久留米市内におきましては、令和元年度から昨年度までに、陣屋川、広川、巨瀬川など十七河川において約十万立方メートル、一般的な二十五メートルプールでは約三百三十杯分に相当いたします規模のしゅんせつなどを実施したところでございます。引き続き、筑後川水系の浸水対策等に必要な予算の確保に努め、防災、減災、県土強靱化にしっかりと取り組んでまいります。
──失礼いたしました。一問答弁を飛ばし
ておりました。県単独の河川の維持管理予算の確保についてお尋ね
がございました。県管理河川の維持管理に係る当初予算は、土砂の堆積状況や地元の皆様の要望などを基にいたしまし
て、治水上の安全度、緊急性、さらに近年の浸水被害の状況を勘案をいたしまし
て、筑後川水系のしゅんせつなど、必要な箇所に重点的に配分をいたし
ております。さらに、大規模災害の発生時などには、土砂の堆積など被害状況に応じまし
て、議会の御承認をいただきながら必要な追加予算を確保し
てまいったところでございます。引き続き、国に対し筑後川のしゅんせつなどの要望を行いますとともに、流域全体の皆様の安全、安心を守るために必要な事業
が実施できますよう、予算の確保に努め
てまいります。
18 ◯副議長(井上 博隆君) 吉田教育長。
19 ◯教育長(吉田 法稔君)登壇 県立学校における制服及び水着の指定の現状につい
てでございます。本年度、制服を指定し
ている県立学校百十校のうち、スカートかスラックスかを選択できる学校は九十七校で
あり、来年度以降に導入予定の十校を含めますと、全体の九七%
が制服の選択制を実施することとなっ
ております。また、水着につきまし
ては、水泳の授業を実施し
ている県立学校四十七校のうち、セパレート型や長袖の水着などを自由に選択できる学校は三十九校でございます。残りの八校においては、男女別に水着の形を指定し
ております
が、個別に申出
があった場合には、その他の水着の着用を認め
ております。
制服等の選択制に関する今後の方針につい
てでございます。制服の在り方については、県教育委員会として、これまで児童生徒
が安全、安心な学校生活を送れるよう、温度調節や動きやすさなどの機能性、肌の露出を減らす防犯対策など幅広い観点からその見直しを図るよう学校に促し
てきたところで
あり、現在、ほとんどの学校で選択制
が実施され
ております。御指摘の水着に関しましても、同様の観点からその弾力化を進め
てまいります。今後とも、各学校において望ましい制服等の在り方
が検討され、不断の見直し
がなされるよう指導し
てまいりたいと考え
ております。
次に、学校における定数欠講師の未配置の状況につい
てでございます。今年度、必要な定数欠講師
が確保できず未配置となっ
ておりますのは、小学校の一四・四%に当たる六十三校で六十六人、中学校の一八・五%に当たる三十七校で五十六人、県立学校では、高校に未配置はなく、特別支援学校の二〇・〇%に当たる四校で五人となっ
ており、これはこれまで減少傾向に
ありました
が、昨年度から増加し、厳しい状況に
あると考え
ております。
また、定数欠講師のうち臨時免許状により対応し
ている人数は、小学校三百六人、中学校六十六人、高校十六人、特別支援学校三十七人となっ
ており、小学校で担任業務をし
ている主幹教諭等は三十一人となっ
ております。
採用計画における定数の推計についてでございます。小中学校における正規教員率につきまし
ては、昨年度まで上昇し
てき
ております
が、目標には至らなかったため、定数の推計をやり直し、過去三年間の特別支援学級の伸び率や中途退職者の人数を反映させるなど、より精度の高い推計に基づき今年度の新規採用を行ったところでございます。しかしながら、採用試験の志願者の減少や合格発表後の辞退
が見込みを上回り、採用予定数より百十人少ない八百四十人しか採用できなかったために、目標を達成できなかったと考え
ております。
今後の教員採用の在り方につい
てでございます。多様な専門性を持つ社会人を教員として採用することは、学校教育における新たな課題への対応のために効果的な方策で
あると考え
ております。このため、採用試験の年齢制限を段階的に引き上げますとともに、中学校及び高校の理科、英語、情報等の教科について、専門職経験者の特別選考を実施し、一次試験を免除することで社会人
が受験しやすくし
ております。また、教員を志望する者を増やすために、大学や企業と連携を深め、特別免許状の活用により社会人の受験を促す取組や県内外の学生への情報発信を強化するとともに、大学の推薦による特別選考の実施を検討するなど、質の高い教員の確保に向けた取組を推進をいたし
てまいります。
20 ◯副議長(井上 博隆君) 新井富美子君。
21 ◯十番(新井 富美子君)登壇 御答弁いただきました。二項目につき要望いたします。
まず、今後の水素戦略について、要望いたします。そもそも、本県商工部自動車・水素産業振興課という水素の名前
が入った課は、四十七都道府県で本県
が唯一で
あるとのことです。そして、この課をつくられたのは、服部知事で
あります。このことだけを見
ても、本県は水素戦略に並々ならぬ思いで臨んで
いること
が分かります。FCトラックの普及については、今後取組を拡大すること
が言及されました。FCトラックはもとより、他の四十六都道府県を凌駕するような取組によって、本県を全国有数の水素先進県へ牽引し
ていただきますよう要望をいたします。
次に、定数欠問題について教育長に要望いたします。本県の定数欠講師
が残念ながら大幅に増加し
ていること
が明らかとなりました。併せ
て明らかとなった定数欠講師に対する臨時免許状等の対応の人数を入れると、総数は五百八十三名に上ること
が分かりました。今後の対策として、特別免許状の活用や新たな選考についても言及されました
が、根本的には、教職員の長時間労働是正や、給特法の改正を行うことで、教育現場の労働問題を解決することに尽きると思います。この点は度々教育長をただし
てきたところです
が、引き続き取組を強化し
ていただきますよう、要望をいたします。
以上で代表質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
22 ◯副議長(井上 博隆君) 本日の代表質問はこれまでとし、残余は明日取り進めることにいたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午 後 三 時 零 分 散 会
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