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令和3年6月定例会(第8日) 名簿
令和3年6月定例会(第8日) 本文

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  1. 福岡県議会 2021-06-08
    令和3年6月定例会(第8日) 本文


    取得元: 福岡県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-08
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯議長(吉松 源昭君) ただいまから本日の会議を開きます。  日程に従い代表質問を行います。順次発言を許可いたします。椛島徳博君。(拍手) *椛島議員質問 2 ◯二十九番(椛島 徳博君)登壇 皆さん、おはようございます。食と緑を守る緑友会福岡県議団の椛島徳博です。  このたび、新たに田中大士、栗原悠次両議員が会派に加わり、十一人の会派としてスタートすることになりました。今後、議会においても、井上会長の御指導の下、一致結束して努力してまいりますので、議員各位におかれましては倍旧の御指導を賜りますようによろしくお願い申し上げます。  さて、この三月、小川知事の突然の辞職によって、コロナ禍の真っただ中、二重の非常事態となりました。当時の服部副知事は、この困難に立ち向かい、知事職務代理者の重責を全うされました。その後、知事選への立候補から当選という激動の二か月間を戦い抜かれました。ここに改めて立候補の御英断に敬意を表しますとともに、知事就任の祝意を申し上げ、代表質問に入ります。  三月に発表された服部誠太郎政策集、未来の扉を開くの中には、八つの政策と三つの挑戦が掲げられています。この内容を踏まえ、以下、服部知事の政治姿勢についてお尋ねします。  まず、知事としてのあるべきリーダー像と県庁組織の運営について伺います。知事は、これまで十年近く副知事として県政運営に携わってこられました。しかし、今回、組織の最高かつ最終決定権者になられたわけであります。県知事には、通常の組織のリーダーとは根本的に異なる点があります。それは、県民によって直接選挙で選ばれることです。我々議員もこの点は同じでありますが、県民から直接負託を得るというのは非常に重たいことであります。  そこでまず、県知事の職責に対する認識をお尋ねします。  次に、目指すリーダー像についてお尋ねします。知事は、これまで亀井、奥田、麻生、小川と四人の知事の下で仕事をしてこられました。また、仕事柄、多くのリーダーに接し、自身のリーダー像を培ってこられたものだと思います。  そこで、知事の目指すリーダー像についてお聞かせください。県知事の決断は、県民の命に直結する極めて重たいものがあります。ぜひ知事の率直な思いを県民にお聞かせください。  次に、県庁組織の活性化についてお尋ねします。知事は、さきの四月臨時議会の挨拶の中で、様々な施策を展開するに当たり、まずは県庁組織の活性化に取り組む。さらに、職員の創意工夫やアイデアが生かされる風通しのよい元気な県庁をつくってまいりますと述べられました。  そこで、知事がリーダーとして取り組む県庁組織の活性化とはどのようなものなのか、何が必要なのかお尋ねします。  また、仕事のしやすい雰囲気づくり仕組みづくり、両方の観点からの取組が重要と考えますが、これまでなぜできなかったのかお尋ねします。その上で、今後具体的にどう取り組んでいくのかお聞かせください。  次に、県内各地域との連携についてお尋ねします。知事は、政策集や四月の臨時議会において、県内全ての市町村と連携を強化し、チーム福岡として力を発揮して、福岡県を元気に飛躍させると述べられました。まさに広域自治体として取り組むべき課題であり、県の存在価値そのものに関する施策であります。  そこで、以下伺います。まず、県内各地域に対する知事の認識についてお尋ねします。県内各地域、市町村がその一員として活躍をし、本県を飛躍させるためには、まずそれぞれの特性や強みを的確に把握した上で、全員がそれを遺憾なく発揮できるような仕組みを構築する必要があります。  そこでまず、県内各地域の特性や強みについて、知事はどのように認識をされているのか。また、今後どのように把握に努めていくのかお聞かせください。  知事は、さきの知事選でも県内をくまなく回り、新たな絆が生まれたように感じたと述べられています。これからもさらにたくさんの機会を持つべきだと思います。知事の所見をお聞かせください。  次に、知事が得た知識、経験、把握した各地の強みをどのように服部県政に反映をさせ、チーム福岡の力を発揮していくのか、市町村との連携の方法やチーム福岡としての仕組みづくりについてお聞かせください。就任早々、福岡市の高島市長と共同で新型コロナに関する会見を行うなど、目に見える変化をはっきりお示しいただきました。本県には二つの政令市がありますが、両政令市との緊密な関係づくりの方法にも触れながら御答弁をいただきたいと思います。  また、市町村との連携には、仕組みづくりに加え、各地の首長との人間関係づくりも重要であります。各市町村首長との人間関係づくりについて所見をお尋ねします。
     次に、地方分権への取組についてお尋ねします。最初に、国や各自治体が対応に苦慮している新型コロナウイルス感染症への今までの対応について、国と各自治体の判断とそれぞれの取組について地方分権の観点からどのような見解をお持ちでしょうか、お答えください。  地方分権への取組は、小川県政時代には目立った動きが認められなかった中で、このたび服部政策集に地方分権への取組を表明されたことは、会派一同大変心強く感じたところであります。  そこで伺います。四十四年間県行政に携わってこられた知事が経験された一連の地方分権の動きの中で、県行政に効果をもたらし、県民生活の向上に寄与したものがあればお示しください。  さらに、政策集では国と地方の税源の配分を六対四から五対五とすることが記載されています。税収割合の見直しは、地方が常々述べてきたことでありながら最も進んでいないことであります。  そこで伺います。頑として税収割合の見直しをしない国に対して、全国知事会とどのような連携をし、どのような働きかけをしてその実現を図っていかれるのか、知事の考えをお尋ねします。加えて、地方分権推進を公約に入れた知事の思いをお聞かせください。その上で、地方分権改革を目指す中、最初に実現を目指されるものは何か、併せてお答えください。  この項の最後に、九州における福岡県の存在、役割についてお尋ねします。四十七都道府県は、当然それぞれが独立し対等ですが、九州という地域で見た場合、やはり本県は九州のリーダー的な存在だと考えます。この点については知事は、政策集の中で九州をリードすると決意を述べられています。  そこで伺います。九州における本県の役割について、知事はどのように認識をしているのか、また九州各県との連携、協力についてどのように推進していくのかお答えください。その上で、具体的にどのように九州をリードしていくのかお聞かせください。  さらに、その先を見据えた道州制の実現について、知事はどのような考えをお持ちなのか、ぜひ御見解をお示しください。  次に、デジタル庁設置への対応についてお尋ねします。先月十二日、菅政権が重点分野として取り組むデジタル改革関連法案が国会で可決、成立、本年九月にデジタル庁が創設される運びとなりました。現在、開庁に向け、早速ウェブサイトが立ち上がっています。ところで、デジタル庁とは何をする省庁なのか。ウェブサイトのトップページには、誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化をとの言葉が大きく掲げられています。デジタルの活用により、一人一人のニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会を目指しますとも書かれ、さらにデジタル社会形成における十原則というものが記載されております。では、本県としては、このデジタル庁設置に対してどのように対応すべきとお考えなのでしょうか。  そこで伺います。まず、デジタル庁設置に対する受け止め、そして目指す社会についての率直な感想、さらにそのような国の動きにどう対応していくのか、知事の見解をお聞かせください。  この項の最後に、マイナンバーカード普及についてお尋ねします。デジタル庁が目指す政策を実現するには、国民一人一人をデジタル網でしっかりと把握することが重要であります。そのための肝になるのがマイナンバーカードの普及促進であります。本年五月一日現在の都道府県別交付率を見てみると、本県は二九・四%、全国二十一位となっています。県内市町村では、交付率一位は新宮町の四三・二%です。なお、行橋市では、普及促進のため、マイナンバーカードの交付を条件に五千円分の商品券を配付する取組を始めたところ、本年四月末、その時点での申請済率が五五%に急上昇、県内一となりました。マイナンバーカードの普及が、新型コロナをはじめ様々な施策実現の要になることは御承知のとおりです。給付金処理などもマイナンバーカードが全県民に行き渡っていれば段違いだったと考えます。  そこで伺います。県として、デジタル社会における施策実現のため、マイナンバーカードの重要性をどのように認識しているのかお答えください。また、県内市町村の普及促進のためどう取り組むのか、御見解も併せてお聞かせください。  次に、新型コロナウイルス感染リバウンド抑制医療提供体制強化の取組についてお尋ねします。知事は、何より取り組むべきは、コロナ危機を乗り越え、安心して生活できる社会を取り戻すことだと述べられています。そのためには、感染のリバウンドを防ぎ、医療提供体制を強化し、県民の皆さんにワクチン接種を円滑に進めること、また同時に打撃を受けた地域経済の立て直しであると決意を表明されています。一方、菅総理は、七月末までの高齢者接種完了目標を掲げ、内閣府と厚労省に加え、総務省までも調整に乗り出してきました。今後、急増する見通しのワクチンの供給に、各自治体がどこまで対応できるかも不透明の中、現場では大変混乱が生じてきました。本県も大規模接種会場として田川市の福岡県立大学とみやま市の保健医療経営大学の二か所に設置をしていただきました。  そこで伺います。まず、ワクチンの円滑な接種ですが、県内の高齢者の接種率について最新の情報をお聞かせください。そして、県内市町村が七月末までに高齢者接種を完了するに当たっての課題はどういうものがあるのか、またどう対応し解決するのか、併せてお尋ねをいたします。  また、知事は、開会日の議案説明の中で保育士や教職員など優先接種を検討すると述べられましたが、介護施設などの福祉施設に従事する方も優先接種の対象とすべきではないでしょうか。  そこで伺います。知事が優先接種を検討している対象や手法などについてお示しください。  次に、菅総理は五月七日午後、福岡県に緊急事態宣言を発出すると正式に発表しました。今年の一月、要請をしない中で発出された緊急事態宣言に続き、またしても私たちにとって寝耳に水となった緊急事態宣言でありました。この一連の動きの中で、私たちは、政府と福岡県との意思疎通が十分にできているのか心配したところであります。  そこで伺います。政府との関係や的確な情報収集と県民への情報発信の在り方について、知事の所見をお尋ねします。  次に、医療提供体制の強化について伺います。重症者、中等症者を受け入れる入院病床をさらに確保し、軽症者、無症状者を受け入れる宿泊療養施設の確保を掲げられています。具体的な数値目標と達成期間をお示しください。その確保目標の限界値はどのように想定されているのかも併せてお答えください。  次に、新規感染者の医療、検査能力の充実についてお尋ねします。まず、医療機関のECMOなどの医療設備整備の支援では、現在、医療機関からどのくらいの要請が上がっているのか、今後、県全体としてどのくらいの整備が必要と想定されているのかお尋ねします。  また、そのうち支援できる予算と整備内容をお尋ねします。同様に、検査機関の次世代シークエンサーなど検査機器整備支援についても併せてお尋ねします。  PCR検査体制については、現在、一日当たりの可能な検査数をお示しいただき、県としてはPCR検査数をどこまで引き上げようと考えているのか、その根拠もお答えください。  この項の最後に、久留米市に本社がある新型コロナウイルスの治療薬を開発しているボナック社についてお尋ねします。昨年五月、このボナック社は、新型コロナウイルス感染症に大きな効果が期待できる次世代治療薬を福岡県との共同開発でスタートさせました。その後治療薬の開発は順調に進み、今年の四月三十日、何と国の事業に採択をされました。五十億円の国のプロジェクトとして出発するというビッグなニュースに大変驚きました。多くの県民は、本県が支援するボナック社の治療薬が一日も早く承認され投与できるようになることを待ち望んでおります。コロナ危機を乗り越えるには、感染対策とワクチン接種を加速させることに加え、特効薬の開発は極めて重要だと考えます。福岡県発のこの治療薬プロジェクトに対する知事の意気込みをお尋ねし、この項の質問を終わります。  次に、コロナ禍における伝統芸能や文化芸術分野の影響と支援策についてお尋ねします。新型コロナウイルスの感染拡大によって、文化芸術の分野にも大きな影響が出ています。このままだと経営危機につながるおそれがあり、さらにアーティストが発表する場も失われていますから、文化の多様性が失われ、若い才能が育たなくなるのではないかと危惧しています。そのことは、ひいては将来の文化の衰退につながる問題だと考えます。施設の運営は言うに及ばず、アーティストへの金銭的支援は必要かつ切実な問題であります。感染拡大防止が最優先であります。しかし、感染は収まったものの、文化芸術は衰退したということは何としても避けなければなりません。  このコロナ禍の中、我が会派の神崎議員の地元添田町では、地元の演奏者の皆さんと一緒に音楽の力で添田町を盛り上げようと、第一回オークホール音楽祭を今年の八月二十二日に開催するそうです。一九八八年にオープンしたこのオークホールは、ピアノの名器スタインウェイが二台あり、西日本屈指の音響施設を誇る音楽ホールであります。この開催情報を聞いたプロの演奏家が神崎県議を通じて添田町を訪れました。また、ウィーンからもZoomで会議するなど、地方の活性化に寄与したいと申入れがあったそうであります。もとより文化や芸術は人の世をのどかにし、人の心を豊かにするものであります。コロナ禍でつらく苦しいときだからこそ、文化芸術に触れ合う機会の確保、これはとても大切なことだと考えます。  そこで伺います。文化芸術活動の継続に向け、関係者の現状に対する認識と具体的な支援策についてお聞かせください。  次に、コロナ感染者とその家族の人権への配慮についてお尋ねします。新型コロナ感染症は、変異株への置き換わりなどで、その蔓延に歯止めがかかっておりません。感染も夜の飲食店だけではなく、高齢者施設や学校など、およそ人間が社会活動を行うあらゆる場所で発生しております。コロナ対策は、感染経路を特定することが一番の感染防止対策ではありますが、その反面、感染者やその家族への差別や偏見につながることが懸念されています。  福岡県内で先月、新型コロナウイルスに感染した成人女性が自宅で自殺されました。その女性は、勤務先でうつしてしまったのではないかと悩む内容のメモを残していたそうです。東京都でも同様、一月、自宅療養中の女性が自殺しました。女性は夫と娘の三人暮らし、娘にうつしてしまったのではないかとのメモが発見されたそうであります。こうした最悪の事態を招かないためにも、コロナ感染者やその家族の人権に対する配慮は重要なことで、真剣に取り組む必要があります。  そこで知事にお尋ねします。コロナ感染者の自殺について、知事の率直な見解をお示しください。また、コロナを原因とした自殺対策の取組についても併せてお答えください。  次に、学校現場での児童生徒の感染の状況について教育長にお尋ねします。学校現場での感染の場合、感染した児童生徒へのいじめや差別が懸念されますが、そのような事例がこれまであったのか、またどのように対応したのか伺います。その上で、教育委員会として、感染した児童生徒や家族が感染した児童生徒への人権への配慮、そしてその取組についても併せてお答えください。  次に、児童虐待防止についてお尋ねします。コロナ禍の中、全国的に児童虐待が急増していることに憂慮しております。時に、本県ではここ数年、児童虐待での死亡事例が続いています。平成三十年十二月の田川市での一歳児死亡事例、令和二年四月の篠栗町での五歳児餓死事例、今年に入り、飯塚市、田川市と続けて三人の子供が虐待などによって亡くなる事例が発生しております。平成三十年十二月に発生した田川市の事例については、本年五月、児童虐待事例検証報告書の中で公表されています。当時一歳四か月の男児に対してエアガンを数回発射し、全治三週間のけがをさせています。また、医師による専門的な診療を受けさせず、自宅に置き去りにして外出するなどし、肺感染症によって死亡させたものであります。この報告書では、亡くなった男児とその兄弟の乳幼児健診の未受診が常態化していたのに、発育状況など確認をしなかった市や児童相談所の危機意識の欠如も指摘しています。  そこで、このような事例の再発防止のため、市町村と児童相談所が乳幼児健診を受けていない子供の安全を確認し、役割分担を明確にするルールを福岡ルールとして提言しました。まず、この福岡ルールとは具体的にどのようなものなのかお尋ねします。  また、報告書では、児童相談所と市町村が緊急性の認識や虐待リスクを共有できるよう、緊急度アセスメントシートや子供の安全確認チェックリストの活用を求めています。今後、二度とこのような痛ましい事件を起こさないよう、そのためには児童相談所と市町村の連携が何より重要であります。  そこで伺います。県ではどのようにしてこの取組の実施を市町村に促し、再発防止につなげていくのか、知事の考えをお示しください。  次に、商工問題についてお尋ねします。帝国データバンクによりますと、全国での新型コロナウイルス関連倒産は、令和三年六月十日時点で累計千五百八十九件になったとの発表がありました。内訳としまして、業種別上位は飲食店の二百六十五件、建設・工事業の百五十四件、ホテル・旅館の九十一件、アパレル小売の七十九件、食品卸の七十八件となっております。さらに、倒産扱いにならない廃業を選ぶ事業者も多く、事業の継続を諦める隠れ倒産は今後増え続けると見られております。  そこで伺います。まず、本県の現時点での新型コロナウイルス関連倒産数をお答えください。また、今後、隠れ倒産を含む倒産増加を食い止めるための継続的な支援が引き続き必要だと考えます。知事の御見解をお示しください。  次に、福岡県中小企業者等月次支援金についてお尋ねします。緊急事態宣言に伴う飲食店の営業時間短縮や不要不急の外出、移動の自粛によって、中小企業に及ぶ影響は計り知れないものがあります。そのため本県では、特に売上げが大きく減少している中小企業者等に対して、事業の継続を支援する一時支援金を給付することとしました。とりわけ酒類販売事業者に対しては、前年度または前々年度と比べ売上げ減少が五〇%以上の場合は、国の支援金に上乗せして県の支援金が受け取られるとのことでした。コロナ禍以降、甚大な経営被害を受けている酒類の販売事業者にとっては意義ある支援ではありますが、ここで一点お尋ねします。酒類販売事業者は、事業規模によって飲食店の酒類提供自粛による売上げの影響の格差が大きい業種であります。規模の大きな事業者は特に深刻な影響を受けています。今回の支援金については、給付上限額が法人二十万円、個人事業者十万円とされており、小規模な事業者と比べると、規模の大きな事業者にとっての支援は不十分ではないかと考えます。  そこで質問です。今回の酒類販売事業者に対する支援について、なぜこのような金額設定にされたのか、知事の考えをお示しください。  次に、補助金、協力金の不正受給についてお尋ねします。コロナ禍以降、企業活動や国民生活を守るため、過去に類を見ないほど大きな規模で様々な補助金、助成金制度が実施されています。支援がより迅速に多くの県民に行き渡るよう、各制度の手続や審査の簡素化などについては、我が会派としても議会において度々要望をしてきました。担当部局の御尽力によって改善されてきた反面、これらの対応は、一部では補助金の不正受給や制度を利用した詐欺の誘発にもつながっております。  そこで警察本部長に伺います。本県における補助金、助成金の不正受給による摘発件数をお答えください。  次に、福岡県感染拡大防止協力金不正受給対策についてお尋ねします。一つの例として、コロナ禍の影響で閉店した飲食店を居抜きで契約し、実働のないまま、計画的に協力金を不正受給されることに対する防止策がない場合、不正受給の拡大につながると考えられます。ましてや、暴力団がそれらを県内各地で横行した場合、県民の多額の血税が暴力団に流れることとなります。福岡県感染拡大防止協力金の支給においては万全を期して臨まなければなりませんが、本県として本課題に対しどのように取り組んでいくのか、知事並びに警察本部長の強い決意をお聞かせください。  次に、農林水産業の振興についてお尋ねします。知事は、農林水産業は本県の基幹産業であり、稼げる、魅力ある産業にすると述べられております。  まず、農業発展のための担い手の確保、中でも新規就農者の確保について伺います。本年四月、農林水産省は二〇二〇農林業センサスの確定値を公表しました。本県の基幹的農業従事者数は約三万八千人で、五年前の約四万六千人から約八千人、率にして二〇%余り減少しております。また、その平均年齢は六十六・七歳で、五年前の六十五・六歳から約一歳、高齢化が進んでいます。さらに、退職後、地域農業を支えてきた団塊の世代も七十歳を超え、いつまでも頼れる状況ではなく、将来の担い手となる新規就農者の確保は喫緊の課題であります。新規就農者を増やしていくためには、農家子弟に加え、農外からも広く新規参入者、そして雇用就農者を確保していく必要があります。農地も農業経験もない方々を確実に就農につなげていくためには、就農前は当然のことながら、就農後もきめ細やかに支援していくことが重要であります。  そこで伺います。知事は、新規就農者の確保にどのように取り組んでいるのか、また、今後どのように進めていくのか、近年の新規就農者数の推移も併せてお答えください。  次に、中山間地域の農業振興についてお尋ねします。国は、東京や神奈川など首都圏で生活する人を対象とした地方移住に関するアンケートの結果を公表しました。新型コロナウイルスの感染が拡大する直前の調査ではありますが、約半数の方が地方暮らしに興味を持っており、移住先でやりたい仕事として最も回答が多かったのが農業や林業でありました。地方や農林業に対するポジティブな意見が多い一方で、やはりネガティブな意見として多かったものが収入の減少であります。実際、県内に目を向けましても、福岡市など都市部に人口が集中している原因の一つは働く場の問題であり、この問題を解決しない限り、知事の目指す住み慣れたところで働き、暮らし、子供を産み育てることができる福岡県、このことを実現することは難しいのではないでしょうか。特に人口減少が止まらない中山間地域においては、農業が一番の基幹産業であり、この振興が特に重要であります。  そこで伺います。国は、食料・農業・農村基本計画の中で、農村振興の施策の一つに関係人口の創出や拡大を掲げております。また、図らずも新型コロナウイルスの感染拡大によって、テレワークや副業、また先ほど申しました移住といった新たな動きが出ており、こうした動きを前向きに捉え、中山間地域の農業振興を考える必要があるのではないでしょうか。中山間地域の農業振興にどのように取り組んでいかれるのかお答えください。  次に、水田の生産基盤の強化についてお尋ねします。米の需要が減少する中、水田農業の担い手が所得を確保していくためには、水田をフル活用し、麦や大豆、野菜といった品目を栽培していく必要があります。こうした品目の収量、品質を高め、効率的に機械を稼働させていくためには、圃場や暗渠排水はもとより、用排水路などの農業用水利施設も含めた水田農業の生産基盤がしっかりと機能していることが必要であります。しかしながら、本県の生産基盤は、整備後二十年も三十年もたち、老朽化した施設も多くなっております。老朽化した施設を抱える地域では、その施設の能力を発揮させるために、生産者の皆さんが施設の維持管理や補修に大変苦労されています。これから導入を進めていくロボットコンバインやロボットトラクターといったスマート農業機械は、しっかりとした生産基盤がなければその機能を十分に発揮することはできません。多額な機械への投資がそれこそ無駄になりかねません。知事は、スマート農業を推進していくためにも、圃場整備や老朽化した農業用水利施設の整備など、水田の生産基盤の強化にどのように取り組んでいかれるのかお答えください。  この項の最後に、コロナ禍における国内外での農林水産物の販売促進についてお尋ねします。新規感染者数が増減する中、ワクチン接種も進んできましたが、元の生活に戻るまでにはまだ時間がかかりそうです。このような状況下であり、業務用の農林水産物の需要についても当分厳しい状況が続きそうです。  そこで伺います。コロナ禍での本県農林水産物の販売促進について、どのように進めていかれるのかお聞かせください。また、こうした業務用需要の低迷は海外でも同様と聞いておりますので、輸出の取組についても併せてお答えください。  今回の代表質問の最後に、近年激甚化する豪雨災害の防災、減災対策についてお尋ねをします。まず、県管理河川の出水期前の対応について伺います。昨年十二月議会において我が会派では、令和二年七月豪雨災害を踏まえた水害対策として、県管理河川の整備、このことについてどのように進めていくのか質問をし、当時の知事からは、次期出水期までに河道掘削や堤防かさ上げなど早急に実施可能な対策を行っていくとの答弁でした。ところが、今年の梅雨入りは五月十五日と異常に早く、気象庁は一九五一年の統計開始以来、二番目に早い梅雨入りと発表しました。去る五月二十日、大雨によって一部の地域に避難指示が出るなど、本年も早々に豪雨災害に対する警戒が高まっています。  そこで伺います。まず、本年の県管理河川の出水期前の対応状況をお聞かせください。  次に、昨年の令和二年七月豪雨後、大牟田市に設置された第三者で構成される大牟田市令和二年七月豪雨災害検証委員会の提言についてお尋ねします。この検証委員会は、今般の豪雨災害の経過、原因及び課題などの整理を行い、今後の防災、減災に向けた対策などを取りまとめ、大牟田市に提言を行っております。この提言の中には、他の市町村の防災対策としても有用なものも含まれております。例えば住民説明会や避難訓練などでの継続的なハザードマップの周知については他市町村においても取り組まなければなりませんし、また住民が避難所の混雑状況をリアルタイムで把握できるシステムの検討、このことについても、コロナ禍における避難所運営において大変有効なことだと考えます。この提言を踏まえ、県はどのような対応を行うのかお聞かせください。  次に、災害対策基本法の改正についてお尋ねします。災害による被害を最小限にするためには、災害が発生するおそれがある段階で、住民が正確な避難情報などを把握し、適切かつ迅速な避難行動を取ることが何よりも重要であります。  そこでお尋ねします。今般、災害対策基本法が改正され、五月二十日から、避難情報のうち避難勧告が廃止され、避難指示に統一されましたが、この法改正の趣旨を御説明ください。  また、この改正によって、住民の避難行動にどのような影響があるのかお聞かせください。  さらに、この改正を踏まえ、避難情報の発令主体である市町村に対して、県はどのような助言を行ったのか、知事の所見をお尋ねします。  冒頭申し上げたとおり、今年の梅雨入りは極端に早かったこともあり、梅雨末期の豪雨災害が心配であります。知事には関係部局としっかりと連携を図っていただきまして、万全の体制で防災、減災対策に備えていただくようお願いを申し上げまして、代表質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 3 ◯議長(吉松 源昭君) 服部知事。 *知事答弁 4 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 皆さん、おはようございます。御答弁を申し上げます。  まず、県知事の職責についてでございます。私は、今回の選挙で多くの県民の皆様の御支持をいただき、福岡県知事に就任をさせていただきました。私の福岡県に対する思い、県政に対する考えを受け止めていただきました県民の皆様に大変感謝をいたしております。そして、県民の皆様の負託に応え、県政を担っていく責任の重さをひしひしと感じているところでございます。私は、今回の選挙を通じて県内各地を回り、県民の皆様と短い中でもいろいろなお話をさせていただきました。この中で新たな絆が生まれたように感じております。これからの四年間、この絆を大切にし、常に県民の皆様を真ん中に置いて、県民の皆様のために何をなすべきか、地に足をつけて考え、知事としての職責を誠実に果たしていきたいと考えております。  私の目指すリーダー像についてお尋ねがございました。私は、これまで仕えてまいりました四人の知事のことはもとより、政治家の方、あるいは企業経営者の方など多くのリーダーが様々な課題に対し判断を下し、決断をする場面を見てまいりました。組織のトップとして最終的な決断をするということは非常に重く、場合によってはつらいものであると感じております。私は、様々な政策課題について、県民の皆様にとってどうすることがベストであるのか、またはベターであるのかを最優先に考え、果断に決断をし、県民の皆様に進むべき方向性や方針を明確に指し示す、それがリーダーである知事の役割であると考えております。この決断を誤りなく行っていくためには、二元代表制の下、選挙で選ばれました県議会の皆様と様々な議論をさせていただき、また県民の皆様に最も身近な存在である市町村の皆さんと率直に意見交換を行っていくことが必要であると考えております。その上で、仲間である県庁の職員を信頼し、共に力を合わせ、誠実に、そして愚直に県政を推進していきたいと考えております。  県庁組織の活性化についてでございます。県において新しい様々な政策、挑戦を進めていくためには、まずは我々の県庁組織が元気でアグレッシブでなければなりません。そのためには、それぞれの職員の経験、能力を大いに生かしながら、県庁の組織としての力を高めていく必要がございます。特に若い職員からの様々なアイデアや提案を先輩の職員、上司がしっかりと受け止め、各職場でポジティブな議論を行うことで、若手の自由な発想を生かせる、チャレンジできる職場風土をつくっていくことが重要であると考えております。このような職員の創意工夫、アイデアを生かせる職場づくりを進めることで、風通しのよい元気な県庁をつくってまいります。  仕事のしやすい雰囲気づくり仕組みづくりについてでございます。県では、これまでも雰囲気づくりとして、職場の活性化等について職員全員で話し合い、改善に取り組む職場改善運動を実施するなど、日頃からのミーティングを通じ、職員間のコミュニケーションの促進を図り、風通しのよい職場づくりに取り組んでまいりました。また、仕組みづくりとしては、職員のアイデアを県行政に生かす職員提案制度や、組織を挙げて業務遂行に当たり優れた成果を上げた所属を表彰する職域表彰などによりまして、職場の活性化を図っているところでございます。一方で、せっかく職員からアイデアや提案が出されても、組織の固定観念や前例踏襲主義により十分生かされないというようなこともございます。このため、特に若手の自由な発想を生かし施策に反映させる、そのことが職員のモチベーションの向上につながる、このような好循環を生み出す新たな仕組みについて現在検討を行っておるところでございます。  地域の特性や強みの認識と把握についてお尋ねがございました。私は、県庁に入庁して以来四十四年間、本庁、出先、あるいは外郭団体で勤務をいたします中で、県内各地をつぶさに見、地域の皆様の声をお聞きしながら県行政に携わってきたところでございます。また、このたびの知事選挙でも県内をくまなく回り、県民の皆様方と言葉を交わさせていただき、先ほども申しましたが、新しい絆が生まれたように感じたところでございます。同時に、多様な産業の集積、緑豊かな自然と、生産者の皆様の努力で生み出される魅力あるすばらしい農林水産物、あるいは地域の方々が守り伝えてきた伝統、文化、環境、そしてそれらを支える地域に生きる多くの人々、そういった人や物に出会うことができました。我が県のそれぞれの地域がきらりと光る特性や強みを有していることを改めて認識したところでございます。今後、まずは二元代表制の下、県民の皆様から選挙で選ばれ、地域の事情に精通されていらっしゃる県議会の皆様と、信頼関係を基に緊張感を持って様々な議論をさせていただき、それぞれの地域のニーズとともに特性や強みを把握させていただきたいと考えております。また、地域の皆様に最も身近な存在である市町村の皆様と率直に意見交換を行い、このような把握も進めていきたいと思っております。さらに、私自身が様々な機会を通じ、地域の皆様の声をお聞きするよう努めることはもちろん、本庁、出先を含め、県庁の組織をフル活用して、各地域の強み、特性、そして地域が抱える様々な課題についてくみ上げ、把握していきたいと考えております。  市町村との連携についてでございます。私は、知事に就任後、直ちに北橋、高島両政令市長と面談を行いまして、今後の連携、協力を確認をいたしました。その後、両市長とは頻繁に連絡を取り合いまして、率直な意見交換を行っているところでございます。また、中核市久留米市はじめその他の市町村長に対しましても、電話やウェブ会議などを用い、昼夜を問わず連絡を取り、様々なお話を行ってまいりました。これからもトップ同士の連携を大切にしていきたいと思っております。そして、同様に大切なことは、県と市町村の職員同士が日頃からコミュニケーションを円滑にして、協力して共に仕事を組み上げていくことであると思います。今後とも県と市町村とのコミュニケーションを深め、より密接に連携することによって、チームとしての力を発揮し、課題の解決に向けて取り組んでまいります。  市町村長との人間関係づくりについてでございます。県では現在、様々な分野で市町村と連携を図っておるところでございます。特に喫緊の課題、新型コロナ対策につきましては、県、北九州市、福岡市、久留米市、市長会、町村会の六者によるウェブ会議や電話連絡を頻繁に行いまして、率直な意見交換、情報交換を行っております。四月十九日には高島市長と県庁で共同会見を開き、県民、事業者の皆様への呼びかけを行いました。五月一日にはこれら六者のトップによる共同会見を行いまして、県民の皆様への緊急メッセージを発信をいたしました。様々な行政課題に対して県と市町村が共に同じ方向を向いて考え、時にはぶつかることもあろうかと思いますが、率直な意見交換をして、互いの信頼関係を深めていくことが大切である、そのような考え方の下で市町村長の皆様との人間関係づくりに努めてまいりたいと思っております。  新型コロナウイルス感染症への対応についてでございます。国が基本的対処方針の作成や緊急事態宣言の発令など全国を視野に入れた対策を行う一方、全国の知事は、独自の警報、宣言、対策を打ち出しまして、事業者支援などそれぞれの地域の実情に応じた個別の施策を実施をしてまいったところでございます。今回の新型コロナへの対応を通し、改めて地方に任せられるものは地域の実情に精通した地方に任せる。そして、現場に近いところで判断をし、スピード感を持って事態に対応することが重要であると感じたところでございます。  地方分権の具体例についてでございます。これまで様々な地方分権改革が行われまして、県行政に大きな効果をもたらし、県民生活の向上に寄与してまいりました。まず、国の規制を緩和する義務づけ、枠づけの見直しでございます。その主なものとしては、公の施設の管理主体の見直しがあります。県立公園など公の施設の管理は、法律で公共団体等に限定をされておりましたが、この縛りが撤廃をされまして、指定管理者制度が導入されました。このことで民間事業者等が管理できるようになり、住民サービスの向上、経費の節減等が図られております。次に、国からの権限移譲でございます。主なものとして農地転用許可の見直しがございます。農地を確保しつつ、地域の実情に応じた主体的な土地利用を行う観点から、国から地方に権限が移譲をされました。これによりまして、転用事務手続が効率化し、企業誘致等に迅速に対応できるようになりました。さらには、法定外目的税の創設でございます。これまで自治体の条例で定めることができなかった法定外目的税を、地域の実情に応じて新設し、地域づくりに活用できるようになりました。本県でも産業廃棄物の排出量抑制やリサイクル促進という課題に対応するための産業廃棄物税を導入し、成果を上げております。また、観光資源の魅力向上、旅行者の受入れ環境の充実など観光振興を図るための宿泊税も導入をしたところでございます。  税収割合の見直しに関する国への働きかけについてでございます。現在、国と地方の税収割合は国六、地方四であります一方、歳出割合は国四、地方六と乖離がございます。国と地方の税源配分の見直しについて、これまでも全国知事会を通じ、国へ提言、要望をしてまいりました。今後、税源配分を五対五とすることを目標として、県選出の国会議員の皆様に協力をお願いしていきますとともに、全国知事会と連携しながら、国に対して強く求めてまいりたいと考えております。  地方分権改革推進への私の思いと目指すものについてお尋ねがございました。私は、地域の強みを生かし、地方創生の基本である誰もが住み慣れたところで働き、長く元気に暮らし、安心して子供を産み育てることができる、そういった地域づくりを着実に進めますとともに、世界を視野に置き、未来を見据え、福岡県の発展を目指して取り組んでいきたいと考えております。このような取組を進めていくためには、権限や財源の確保が必要であり、地方分権改革をさらに進めていかなければなりません。そのため、まずは自主財源比率を高めるための国との税源配分の見直しがぜひとも必要であると考えておるわけでございます。同時に、宇宙分野へのビジネス展開やバイオ産業の拠点化、あるいは半導体関連企業の誘致、集積、洋上風力発電の推進など、将来の発展の種をまき、芽を育てることで税源を涵養し、ポストコロナ時代の好循環をつくることで安定した県財政基盤の確立を目指してまいります。  九州における本県の役割についてでございます。私は、これからの日本の発展を引っ張っていくのは九州であると考えております。変革を恐れずスピード感を持った取組により、福岡県を元気に飛躍させ、九州のリーダーとして日本の発展を支えられる県にしていきたいと思っております。本県には充実した交通インフラがあり、アジアとの近接性、優れた技術を持つ多くの企業や豊富な人材、魅力的な農林水産物など大きな優位性があると考えております。今後ともこの優位性を生かし、九州地域戦略会議として取り組みます農林水産物の輸出の拡大、創業ベンチャー支援、外国人観光客の来訪促進などのプロジェクトのリーダーとして、各県や経済界と連携し、九州の発展に貢献をしてまいります。  道州制についてでございます。私は、国と地方の役割につきまして、国は外交、安全保障といった国家戦略に専念し、内政については、地域の実情に精通した地方に思い切って任せるといった地方分権型の国を目指していくことが必要であると考えております。そのため、まずは国と地方の役割分担を見直し、地方分権改革を着実に進めていきながら、その究極の姿として道州制を目指してまいりたいと考えております。  デジタル庁設置への対応についてお尋ねがございました。国は、昨年十二月にデジタル社会の実現に向けた改革の基本方針を閣議決定をいたしまして、デジタルの活用により一人一人のニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会を目指すビジョンとして掲げております。そのビジョンの実現を目指す司令塔として、様々なデジタル改革を迅速に推進していくため、今年九月、デジタル庁が設置をされます。それによりまして、省庁の垣根を越え、自治体や民間も連携することで、デジタル社会の形成に関する取組の抜本的強化が図られるものと思います。本県におきましても、地方創生の基本である地域づくりを進める上でデジタルの活用は不可欠であり、国が掲げるビジョンの実現に向け、国、地方、民間が連携し、しっかりと取り組んでいくことが重要であります。このような動きに的確に対応していくため、県では四月に、情報政策課内にデジタル戦略推進室を設置し、デジタル化に向けた取組を強化、加速させることといたしております。また、今年度、本県におけるデジタル社会の在り方を示します福岡県DX戦略を策定いたします。その中で、行政手続のオンライン化を強力に進める。ICTを高度に使いこなす次世代人材を育成する。最新技術を駆使した独創的なサービスの創出を支援する。さらには、デジタル化への対応が困難な県民に対してのフォロー等に取り組む。こういったことを考えているところでございます。  マイナンバーカードの普及についてでございます。確実に本人確認を行いますマイナンバーカードは、行政手続のオンライン化と相まって、様々な給付金や助成金の事務の迅速化、効率化につながるものでございます。また、将来は、健康保険証としての利用、運転免許証との一体化、カード機能のスマートフォンへの搭載なども計画されておりまして、デジタル社会の重要な基盤となるものであると考えております。県では市町村においてカード交付が円滑に行われますよう、市町村担当者の意見交換会を開催しまして、交付に関する好事例、例えば公民館や商業施設での申請を受け付ける、あるいは全ての来庁される方へカード申請を呼びかける、休日や夜間の申請受付を行うなどの取組を共有をいたしております。さらには、必要に応じて市町村を直接訪問いたしまして、課題の解決に向けた助言を行っておるところでございます。県民の皆様に対しましては、県の広報媒体やラジオ番組を通じまして、カードのメリット、申請方法について周知、広報を行っております。また、国に対しましては、市町村の円滑な交付に向けた支援などを要望をしておるところでございます。こういった取組をさらに進めまして、マイナンバーカードの普及を進めてまいります。  次に、新型コロナに関し、高齢者の皆さんへのワクチン接種についてでございます。本県の高齢者の皆さんへの接種率でございますが、六月九日時点で一回目の接種を終えられた方は三〇・六三%、二回目の接種を終えられた方は二・二二%となっております。市町村の一部におきましては、当初接種を行う医療従事者の確保に苦慮していると、ワクチンの供給計画が明らかでないので接種計画が立てられないということがございました。この医療従事者の確保につきましては、これまで県から県医師会及び県看護協会に対してワクチン接種業務に協力いただくよう依頼をいたしますとともに、市町村に対しては福岡県ナースセンターを活用するよう促してまいりました。今後、これらに加えまして、歯科医師にもワクチン接種業務に従事していただきますため、県医師会の御協力の下、筋肉内注射の研修会を実施をいたします。ワクチンの接種計画につきましては、国から全高齢者が二回接種できる量のワクチンが六月最終週までに配送される見込みということが示されまして、市町村が計画を立てることが可能となりました。また、今回、七月末までに高齢者へのワクチン接種完了が難しいと、あるいは県での集団接種の実施を希望するという申出をされました六つの市町を支援しますため、県内二か所に広域接種センターを設置し、六月七日から接種を開始したところでございます。さらに、八女市など他の市町から、計画どおりに接種が進まず、七月末までの接種完了は困難との声があったことから、改めて市町村の要望を調査いたしました。その結果、十六の市町から要望がございましたので、新たにセンターでの接種対象に追加することとし、県内全ての希望する六十五歳以上の高齢者の皆さんが七月末までにワクチン接種を受けられるよう、引き続き取り組んでまいります。  優先接種についてでございます。県では、クラスターが発生した場合の影響が大きい施設等の職員や、ワクチン接種の対象外となっている子供に業務上接触する機会が多い方を優先的に接種することといたしております。具体的には介護サービス事業所や障がい福祉サービス事業所、児童養護施設の職員の方、柔道整復師の方、これらのほか保育士や教職員、放課後児童クラブの職員、地域防災の要である消防団員など約十二万人を対象に準備を進めております。接種会場につきましては、利便性を考慮し、県内に六か所程度を設置し、また対象となる方が業務終了後に接種を受けることができやすいよう、平日の夜間や土曜、日曜の日中に接種することとして、七月上旬に受付を開始し、中旬頃から接種を開始する予定としております。この優先接種に係る必要な予算につきましては、今後速やかに追加提案をさせていただきたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。  この新型コロナに関する国との意思疎通についてお尋ねがございました。私は、知事就任以降、西村経済再生担当大臣や赤澤内閣府副大臣をはじめ、各省庁の幹部職員と直接連絡を取り、適宜意見交換を行っておるところでございます。五月一日に蔓延防止等重点措置の適用を国に要請する際には、西村大臣に対し、県内地域の感染状況に差があることを丁寧に御説明し、大臣からは、機動的に対処したい、今後とも連携して取り組んでいこうとの言葉をいただきました。五月七日の緊急事態措置の決定の前日には、西村大臣から、国の専門家会合で福岡県の感染状況について厳しい見解が示されたことを踏まえ、国としても大変難しい判断ではあるが、広域的な感染防止を図るため、本県に緊急事態宣言を適用する方向で調整を進めているとの連絡がございまして、受入れを判断したところでございます。国とは、日頃から県内の感染状況や県民、事業者への要請内容について共有をいたしておりまして、五月二十五日に私から緊急事態措置の延長を要請した際には、西村大臣からは、県の意見は理解できる、検討していきたいとの返事がございました。県民の皆様への情報発信につきましては、私自身、定例、臨時の記者会見、あるいはテレビ等の取材に積極的に臨み、本県の感染状況の説明や県民、事業者の皆様に協力を呼びかけてまいったところでございます。また、先ほども申し上げましたが、福岡市長との共同会見、あるいは政令市長等の六者による共同会見を行いまして、県民の皆様へメッセージを発信してきたところでございます。今後とも国と十分に意思疎通を図りながら、本県の状況に応じた適切な措置を実施いたしますとともに、県民の皆様に適時的確かつ丁寧な情報の発信を心がけてまいります。  新型コロナの患者の皆さんを受け入れる病床につきましては、この冬を上回る感染拡大時においても、一般医療との両立を図りながら、入院が必要な全ての患者の皆さんが入院できることを前提に、県医師会をはじめ医療関係者と協議を重ねてまいりました。その結果、確保病床、確保の目標は千二百二十床と設定をいたしまして、五月中の達成を目指したところでございます。この目標達成に向けまして、病院長の皆さんを集めた会議で私から直接お願いをするなど、医療機関への働きかけを続けてまいりました。五月二十五日には、目標を上回る千二百九十八床を確保することができました。さらに、一日当たりの新規陽性者数がこの冬の感染拡大時の最大数四百十一人の二倍、八百二十二人となりますが、こういった緊急時を見据えまして、その際に必要と想定される病床数を千四百八十床と置きまして、その千四百八十床の早期確保に向けて取り組んでまいりました。六月十日現在、千三百七十五床を確保しております。引き続き、医療機関への働きかけと調整を行ってまいります。宿泊療養施設につきましては、感染拡大時においては自宅療養を認めることや、これまでの入所実績等を踏まえまして、二千室を確保目標とし、宿泊事業者等との協議を進めてまいったところでございます。その結果、六月十日現在で目標を上回る二千百六室を確保をいたしております。  医療機関等に対する設備整備支援についてでございます。県では、この新型コロナの患者の皆さん等に対しまして、迅速、適切な医療を提供できる体制を確保する、このために診療あるいは入院の受入れを行います医療機関に対し、必要な設備の整備費用を補助をいたしております。主な対象となります設備は、空気清浄機、簡易診察室、人工呼吸器、ECMO等でございまして、昨年度は、延べ五百十九の医療機関に対し、約三十五億円を助成しております。また、新型コロナの検査体制を整備するため、検査を実施する検査機関や医療機関に対しまして、必要な設備の整備費用を補助をいたしております。対象は、PCR検査装置、抗原検査装置、次世代シークエンサーでございまして、昨年度は、延べ六十四の検査機関や医療機関に対し、約三億円を助成しております。なお、いずれも具体的な整備目標は定めておりませんが、新型コロナの患者の皆さん等に対する医療機関や検査機関における設備整備をさらに促進いたしますため、本年度も同様の補助を予定をいたしておりまして、予算といたしましては約七十七億円を計上しているところでございます。  PCR等の検査体制についてでございます。県では、今申しましたような検査機関や医療機関に対する設備整備の支援、また県保健所への抗原定量検査機器の導入などを進めておりまして、検査体制の強化を進めております。現在、県内における一日当たりのPCR等検査可能件数は約一万一千五百件となっております。陽性者が発生した場合は、保健所において速やかに積極的な疫学調査を実施し、検査が必要な方の把握と検査を行っておりまして、無症状者については、濃厚接触者に限らず、感染していると疑うに足りる正当な理由がある方を幅広く対象として検査を行っております。これらを含め、これまでの一日当たり最大検査件数は七千二百二十七件となっておりまして、検査の必要な方が検査を受けることができる体制を確保できていると考えております。なお、具体的なこの検査可能件数の引上げ目標というものは定めておりませんが、これまで以上に感染状況が悪化し、検査需要が急増した場合にも適切に対応できるよう、引き続き検査能力の強化に取り組んでまいる考えでございます。  新型コロナの治療薬の開発プロジェクトについての意気込みについてお尋ねがございました。このプロジェクトには三つの大きな意味があると考えております。一つは、新型コロナと闘うための有力な武器になるということでございます。今、接種を進めておりますワクチン、これはウイルスに対する盾であるか、あるいはよろいであるかといった役割は果たすわけでございますが、万一感染した場合には、刀、やりの役割を果たす治療薬が必要なわけでございますが、まだこれがございません。一日も早い開発が望まれております。二点目は、新興感染症への備えとして有望であるということでございます。我々が開発を進めております核酸医薬は、一旦開発に成功いたしますと、核酸の配列を変えるだけで短期間で新薬の開発が可能となる特徴がございまして、将来の新興感染症への備えという観点で極めて有効かつ重要であると考えております。三点目は、ワンヘルスの理念を象徴するプロジェクトであるということでございます。新型コロナをはじめ新興感染症の多くは人獣共通感染症でございます。ワンヘルスの観点からも、この治療薬開発は大きな意味を持つものと考えます。今、私たちは、新型コロナに対する大きな不安を抱えて暮らしております。苦しんでおられる患者の皆様のため、またこのコロナとの闘いに打ちかつため、関係者の皆様とタッグを組み、治療薬開発にしっかりと取り組んでまいります。  次に、文化芸術関係者の現状に対する認識と具体的な支援策についてでございます。新型コロナの流行によりまして、多くの公演が中止や延期、収容人数の制限を行っております。民間機関の全国調査では、一昨年から昨年にかけて、音楽、演劇などの公演に係る入場料総額は七割以上が失われたと言われております。こうしたことから、入場料収入を中心に事業を維持してきた多くの文化芸術関係者の経営環境は厳しい状況にあると考えております。県では、国の月次支援金と相まって事業者を県独自に幅広く支援するために創設いたしました福岡県中小企業者等月次支援金により、文化芸術活動を行う個人事業者やNPO法人に対しても支援を行うこととしたところでございます。また、文化芸術関係者も利用可能な保証料ゼロの緊急経済対策資金により資金繰りを支援しております。国におきましては、雇用調整助成金の特例措置が講じられておりまして、文化芸術関係の事業者においてもその活用が図られているところでございます。加えて第三次補正予算では、動画による公演の収録、配信、感染症防止に対応した公演や展覧会の実施など、文化芸術活動の継続に必要な経費に対する助成制度が創設をされたところでございます。今後も文化芸術関係者に対し、こういった各種支援制度を分かりやすく周知し、有効活用していただくことで活動の継続が図られるよう努めてまいります。  コロナに感染された方の自殺についてでございます。感染したことを思い悩んだ方が自ら命を絶たれたことは誠に残念であり、大変重く受け止めております。感染は誰のせいでもございません。自分が感染を広げたのではと思い悩み、自死に追い込まれてしまった御本人の苦しみ、御家族や周りの方々の大きな悲しみを思いますと、心が痛むばかりでございます。感染したことに自責の念を抱く方は少なくないと考えております。県では、自宅療養中の方に対して保健所が毎日体調の確認を行っておりますが、精神的に不安定な場合はしっかりと傾聴、いわゆるお話をお聞きして、気持ちを受け止め、状況把握をいたしております。必要に応じ宿泊療養施設に入所していただき、常駐いたしております医師や看護師が、症状によっては精神保健福祉センターの精神科医につなげたり、入院の調整を行うなど適切な対応を図っているところでございます。また、検査結果をお待ちの方や陽性が判明した方に配付をしているチラシに、感染は誰のせいでもないことや、ふくおか自殺予防ホットラインの電話番号を記載をいたしまして、保健所や診療、検査医療機関を通じて、自宅で療養される方にもお渡しをしております。こうした取組によりまして、自宅療養中の方だけでなく陽性となった全ての方が、感染したことを思い悩み、自殺に追い込まれるようなことのないよう努めてまいります。  次に児童虐待の防止に係る福岡ルールについてでございます。平成三十年十二月に田川市で当時一歳四か月の児童が死亡した事案では、乳幼児健診の未受診が続いておりましたが、市は、発育状況を確認することなく、児童相談所による安全確認も行われないまま、児童が保護者からの虐待により亡くなりました。この事案を契機に、市町村による家庭訪問から児童相談所による子供の安全確認、保護に至るまでの手順を定めたものが福岡ルールでございます。具体的には、定期的な乳幼児健診が未受診となった場合、市町村の保健師が約一か月の間に三回家庭訪問を行い、子供の状況を確認いたします。それでも子供に会えない場合、市町村は、虐待のおそれがあるとして児童相談所に通告をし、その後は児童相談所が主体となって家庭訪問や立入調査等を行いまして、子供の状況に応じては保護を行います。この福岡ルールにより、児童相談所と市町村それぞれの役割や責任を明確化し、連携の強化を図ってまいります。  この福岡ルールや緊急度アセスメントシートなどの市町村での活用についてお尋ねがございました。この五月に県では、児童相談所の管轄区域ごとに市町村の要保護児童対策地域協議会を担当する課長を集め、福岡ルール等の作成の経緯でありますとか、その趣旨を説明いたしますとともに、使用方法に係るマニュアルを示し、活用していただくよう強く要請をいたしました。今後は、児童相談所の職員と、要保護児童対策地域協議会で中心的な役割を担う市町村職員が、合同で具体的な事例を使った研修を実施してまいります。こうした取組を毎年継続して実施することによりまして、児童相談所及び市町村の対応力の強化を図り、虐待を見逃さず、虐待から子供を守ってまいります。  次に、商工問題につきまして、新型コロナウイルスの関連倒産数等についてでございます。東京商工リサーチによりますと、本県における昨年度の倒産数は二百五十五件でございまして、一昨年度の三百七十三件を約三割下回っております。また、休廃業、解散の件数につきましては前年並みとなっております。一方で、新型コロナウイルス関連倒産数は、影響が出始めました昨年の三月から毎月五件程度で推移をいたしておりまして、現在、累計で六十三件となっております。今後も厳しい経営環境が続くことが見込まれますことから、県では引き続き中小企業の事業継続を支援いたしますため、県が保証料を全額補填いたします緊急経済対策資金など県の制度融資の十分な融資枠の確保、また休業や営業時間の短縮の要請に応じていただきました飲食店等に対する協力金や、影響の出ている中小企業等を県独自に幅広く支援いたします県中小企業者等月次支援金の給付、さらにデリバリー、テークアウトなどの経営革新の取組に対する支援や、生産性の向上のための設備投資等への支援など強力に取り組んでまいります。これに加えまして、地域経済を活性化するため、商工会議所や商工会などが行いますプレミアムつきの地域商品券発行の支援、通販サイトを活用した福岡県ウェブ物産展の実施、さらに福岡の避密の旅観光キャンペーンによる県民向け宿泊助成の実施などによりまして消費需要の喚起を図ってまいります。  月次支援金による酒類販売事業者への支援についてでございます。このたびの緊急事態宣言発令に伴いまして、酒類を提供する飲食店に対し、休業や酒類提供の自粛を要請をいたしておりまして、その影響を受け、酒類販売事業者は厳しい経営を余儀なくされております。国は、酒類販売事業者に対する都道府県の支援を後押しするため、都道府県が国の月次支援金の上限額でございます法人二十万円、個人事業者十万円まで上乗せをする場合に財政支援する方針を打ち出しておりまして、県といたしましては、これを最大限に活用し、一月当たり法人二十万円、個人事業者十万円を上限として、国の月次支援金に上乗せして給付することとしたところでございます。一方、月次支援金は、事業者の売上げの減少額に応じて給付が決まるものでございますが、事業規模の大きな事業者は、給付上限額以上に売上げが減少をしております。このため全国知事会を通じ、国に対して給付額の上限引上げを要望をいたしております。今後、この制度の周知を十分に行いますとともに、支援金を迅速に給付することによりまして、厳しい経営環境にある酒類販売事業者を支援してまいります。  感染拡大防止協力金の不正受給についてでございます。申請に当たりましては、店舗の写真、営業許可証、確定申告書の写しなど営業実態が確認できる資料や、申請内容に虚偽がないことや、虚偽が判明した場合には協力金の返還及び違約金の支払い、申請者名の公表に同意すること、暴力団に該当しないことや暴力団員と密接な関係を有していないことについての誓約書、こういったものを求めておるところでございます。また、審査に当たりましては、福岡県警察に対して、申請者が暴力団員でないことを全て照会をいたしております。さらに、県の新型コロナ対策本部による飲食店の協力状況の調査結果を基に、改めて申請者に電話等で事実確認を行っております。加えまして、県ホームページや新聞広告により、不正受給は犯罪であるということについて周知を行っております。今後とも、事業者の皆様への迅速な協力金の給付に努めつつ、引き続き不正受給の防止にしっかりと取り組んでまいります。  次に、農林問題につきまして、新規就農者の確保についてでございます。本県の新規就農者は、四年連続で基本計画の目標であります三百八十名を超え、令和二年度は三百八十七名となっております。このうち非農家でございます新規参入者は、過去最多の百十九名となっておりまして増加傾向にございます。幅広く新規の就農者を確保いたしますために、農業に関心のある方を集め、セミナーや相談会を開催をし、就農された方の体験談、あるいは具体的な支援策の情報を提供をいたしております。加えまして、県内で活躍する若手農業者の就農に至った動機でありますとか経営の展望などを盛り込んだ動画をホームページで紹介をしております。また、就農希望者に対して、農業大学校において必要な知識や技術を習得できるよう講義や実習を行っております。また、新規就農者の多くが当面の生活費などに不安をお持ちでありますことから、国の交付金制度を活用し、就農前後の所得の確保を支援しております。就農されました後は、普及指導センターにおいて農業の基礎を学ぶ営農講座を開催いたしますとともに、個別に現地を巡回し、きめ細かな技術、経営指導を実施いたしております。今年度は、土作りや病害虫対策などの農業技術をより分かりやすく紹介するデジタルコンテンツを作成し、活用をすることといたしております。今後とも、こうした取組を通じて新規就農者を一人でも多く確保し、本県農業の次代を担う人材の育成に努めてまいります。  中山間地域の農業振興についてでございます。県では、これまで中山間地域の立地条件を生かしましたお茶や果樹などの生産振興に取り組みますとともに、国の中山間地域等直接支払制度を活用し、営農活動の継続を支援してまいりました。また、都市住民を呼び込み、消費を促すため、地域資源でございます棚田を活用した体験メニューの充実でありますとか、特産品の販路拡大などの取組を支援し、中山間地域の振興を図ってまいりました。今年度からは、コロナ禍にあって地方移住への関心が高まっている動きを捉えまして、農業を営みながら他の仕事にも関わり、双方で生活に必要な所得を確保する、いわゆる半農半Xの取組を推進をいたします。具体的には、添田町など八市町村におきまして、市町村、JA、地元農家に加え商工会も参画をいたしまして、受皿となる協議会を立ち上げ、半農半X希望者に対し、栽培技術の技術指導や企業への就職あっせん、住宅の確保などの支援を行ってまいります。今後ともこうした取組を総合的に進めまして、中山間地域の農業振興を図ってまいります。  水田の生産基盤の強化についてでございます。県では、これまで農業生産の安定と生産性の向上を図りますため、用水路などの農業水利施設や圃場整備といった生産基盤の整備に昭和五十年代後半から本格的に取り組んでまいりました。しかし、建設後、長期間が経過し、農業水利施設の多くは老朽化が進んでおります。本県の水田農業を維持発展させていくためには、こういった施設の機能を長期的に維持していくことが重要でございます。このため県では、老朽化いたしました農業水利施設について施設の点検、診断を行いまして、機能保全計画を策定した上で、水路のひび割れ補修、あるいは用水ポンプの更新といった対策を実施しております。また、スマート農業を進めていくためには、農地の大区画化を推進していく必要があると考えております。このため、農家の費用負担が生じない農地中間管理機構関連の農地整備事業に加えまして、今年度からは、農業者自身が行います畦畔の除去、いわゆるあぜ倒しというものでございますが──による区画拡大に対しても支援を行うことといたしました。こうした取組により、スマート農業にも対応できる水田の生産基盤の強化を図ってまいります。  農林水産物の販売促進についてでございます。新型コロナの感染拡大によりまして、国内外で飲食店などの業務用の需要が落ち込んでいることに加えまして、対面での販売促進活動が行えない状況でございます。こうした状況が今後も続くことが見込まれますため、ウェブの活用などコロナ禍に対応した販売促進に取り組んでおります。国内におきましては、楽天市場の福岡県ウェブ物産展におきまして、博多和牛や天然トラフグ、花などの販売を行っております。また、新たな販売促進方法といたしまして、食品卸売業者等のバイヤーが求める食材の規格、あるいは旬の情報、こういったものを掲載したサイトを開設しまして、そのサイト内で生産者とバイヤーがウェブ商談を行える仕組みの構築を進めますとともに、生産者がこういった商談に必要なスキルを習得できる講習会や専門家の派遣も実施をしてまいります。海外におきましては、巣籠もり消費によりまして、特にアジアで日本産食材の需要が高まっております。このため輸出先国の状況に応じて、現地の輸入業者と連携をしまして、量販店での販売促進フェアを開催いたしますとともに、販路開拓のためのウェブ商談会等を行っているところでございます。今年度は、これらの取組に加えまして、SNSやインフルエンサーを活用して県産農林水産物の魅力を広く発信し、販売促進につなげてまいります。こうした取組を通じまして、コロナ禍における県産農林水産物の販売促進を図ってまいります。  次に、防災、減災対策につきまして、県管理河川の出水期前の対応につきましてでございます。河川の管理施設につきましては、日常の巡視、点検を行うほか、出水期前にも再度点検を行いまして、護岸など対策が必要な箇所について対応しております。また、昨年浸水被害がございました三十七の河川につきましては、河道掘削や堤防かさ上げなど実施可能な水害対策は完了させております。さらに、浸水箇所で排水作業を行う排水ポンプ車を福岡、北九州、筑豊、筑後南部の四地域にそれぞれ一台、浸水被害が続いております筑後北部地域には二台目を配置をいたしまして、全県域において浸水被害の軽減に取り組める体制を構築いたしております。  次に、大牟田市検証委員会の提言を踏まえた対応についてでございます。ハザードマップの周知につきましては、市町村防災担当課長会議や防災担当者への個別ヒアリングにおきまして、住民への配布のみではなく、市町村の研修会、あるいは出前講座、避難訓練等を活用して周知を徹底していただくよう助言を行っております。また、県の出前講座や自主防災組織の役員等を対象とした研修、あるいは避難訓練におきましても積極的に周知を行っております。引き続きあらゆる機会を捉えて周知を徹底してまいりたいと思っております。コロナ禍における避難所運営や感染防止に有効な混雑状況を把握できるシステムにつきましては、現在、県の防災ホームページの改修を進めておりまして、避難所の開設状況に加え、リアルタイムでその混雑状況も掲載いたします。今月中旬に運用を開始する予定でございます。  最後に、避難情報に係る災害対策基本法改正についてでございます。過去の災害におきまして、行政における避難情報が分かりにくいという課題が明らかになったことに加え、避難しなかった、または避難が遅れたこと等による被災が多数発生をいたしました。このため今回の法改正によりまして、避難情報が分かりやすく整理され、警戒レベル四では避難指示に一本化されることになりました。避難指示等が発令された際には、危険な場所にいらっしゃる方は必ず避難していただくことが重要でございます。この法改正により、避難を開始すべきタイミングで円滑かつ迅速な避難行動が期待できるものと考えております。県では、今回の法改正の趣旨を住民にしっかりと理解していただくため、先月開催をいたしました副市町村長会議あるいは防災担当課長会議等におきまして改正内容を説明いたしますとともに、市町村の広報紙、あるいはホームページ、啓発ポスターなどを活用して、住民の皆さんへの周知を徹底していただきますよう助言をしているところでございます。引き続きあらゆる機会を捉えて、この法改正の内容、趣旨を徹底してまいりたいと考えております。 5 ◯議長(吉松 源昭君) 吉田教育長。 *教育長答弁 6 ◯教育長(吉田 法稔君)登壇 児童生徒の新型コロナウイルスの感染状況についてでございます。まず、昨年の状況でございますが、感染が判明した公立、私立学校の児童生徒数は、小学校では百十八名、中学校では七十九名、高校では百三十八名、特別支援学校では十二名の計三百四十七名となっております。本年一月から五月までの五か月間の状況につきましては、現在集計し、精査しているところでございますが、感染が判明した児童生徒数は計一千五百二十名となっております。
     新型コロナウイルス感染症に感染した児童生徒へのいじめや差別の事例と人権への配慮についてでございます。学校現場における新型コロナウイルス感染症に関するいじめや差別の事例につきましては、政令市を除く市町村教育委員会と県立学校を対象に毎月実態調査を実施しております。これまで感染した児童生徒へのいじめや差別に該当する事例は確認されておりませんが、どの学校でも起こり得る問題として、引き続き教育、啓発に取り組む必要があると考えております。このため県教育委員会では、市町村教育委員会及び県立学校に対し、新型コロナウイルス感染症に関する人権教育の取組への支援として、指導の留意点について周知するとともに、学習教材及び実践事例についての情報提供や教師用資料の配付等を行っております。また、児童生徒やその家族が実際に感染した場合においては、教職員が一体となって児童生徒の人権を守るという姿勢の下、本人や家族、関係者の不安の払拭に努めながら、いじめや差別の防止を徹底するよう管理職研修会などで指導をしております。今後とも、いじめや差別の未然防止とともに、感染した児童生徒等の人権に十分配慮した対応がなされるよう、学校に対する支援に取り組んでまいります。 7 ◯議長(吉松 源昭君) 野村警察本部長。 *警察本部長答弁 8 ◯警察本部長(野村 護君)登壇 初めに、新型コロナウイルス対策関連の補助金等に関する不正受給の現状についてお答えいたします。県警察では、議員御指摘の補助金等の不正受給に関し、本年五月末現在で約百七十件の警察相談等を受理いたしております。このうち検挙事例といたしましては、捜査第二課を中心とした特別捜査本部において、北九州市が実施している新しい生活様式の店舗助成事業を悪用した詐欺未遂事件で十一事件、十一名を、岡山県所在のコンサルタント会社による持続化給付金不正受給詐欺事件で十六事件、二十三名をそれぞれ検挙し、送致いたしております。また、現在も特別捜査本部や各警察署において、補助金等不正受給に関するその他の事件も捜査中であり、同種事件の全容解明に向け、引き続き捜査を推進してまいります。  次に、お尋ねの不正受給問題に対する県警察の取組についてでございますが、経済政策に伴う各種補助金等の制度は、真に必要とされている方に活用されるべきものであり、この制度を悪用することは決して許されるものではありません。県警察といたしましては、暴力団の関与も視野に入れつつ、御指摘の福岡県感染拡大防止協力金をはじめとする各種補助金等の不正受給事案につきましては、これらを見逃すことがないよう徹底した取締りを行い、社会正義の実現に努めてまいります。 9 ◯議長(吉松 源昭君) この際、しばらく休憩いたします。再開は午後一時五十分といたします。           午 後 零 時 四十二分  休 憩           午 後 一 時 五十一分  再 開 10 ◯副議長(江藤 秀之君) 再開いたします。  休憩前に引き続き代表質問を行います。発言を許可いたします。西尾耕治君。(拍手) *西尾議員質問 11 ◯三十二番(西尾 耕治君)登壇 皆さん、こんにちは。公明党の西尾でございます。それでは会派を代表して、知事との政策協定を基本にして質問いたします。  初めに、新型コロナウイルス感染症対策についてです。感染力の強い変異株が猛威を振るい、本県においても緊急事態宣言が延長されております。六十五歳以上の方たちのワクチン接種が、各自治体の工夫と努力の中で着実に少しずつ進んではおります。そして、今後始まる六十四歳以下をはじめ県民の皆さんの接種対象人数の圧倒的な増加について、複数の市町の職員や議員の方たちから、不安な気持ちの御意見をたくさん伺いました。  そこで、数点質問いたします。初めに、接種対象人数の増加に伴い、接種対象の拡大や新たな大規模会場の設置などワクチン接種を迅速、円滑に進めるための方策をお伺いします。  二点目に、対象者の年齢が下がっていくことで、勤務先が広域にまたがることが考えられることから、市町村の対応だけでは難しい状況になると思います。国のほうからも、職域接種を希望する企業、大学に対して、医療従事者や会場などを自ら確保の上、接種計画と基本チェックシートを作成し、県に提出することとなっております。今後、県の調整やアドバイスが重要になると思いますが、どのように進めていくのかお尋ねいたします。  三点目に、これらの状況に合わせ、医療従事者の対応も当然必要になると思いますが、医療従事者の確保、特に潜在看護師の掘り起こしによる人材の確保のサポート体制が重要です。どのように進めていくのかお聞かせください。  四点目として、接種予約の部分で質問いたします。現在、市町村でこの接種日時の予約のときに混乱すると、よく耳にします。そこで、県が今後設置する広域接種会場において、幾つかの自治体で成功したAIを使ったロボットコールの活用を検討、研究するべきと考えますが、いかがですか、お伺いいたします。  次に、福岡県内の宿泊療養施設、ホテル療養の医療体制について質問いたします。県内の新型コロナウイルス感染症の陽性者の宿泊療養施設への入所状況は博多グリーンホテル二号館、東横イン北九州空港など十か所の療養施設が利用されており、宿泊療養施設への新型コロナウイルス感染症の軽症者など入所者数の累計は昨年四月の開所以来一万四千百九十三名、退所者数累計一万三千七百四十六名と報告がされています。医療現場が病床使用率、重症病床使用率がステージ四と高止まりの逼迫した状況の中で宿泊療養施設は大変重要な役割を担っています。  先日、宿泊療養施設で勤務されている看護師さんから状況や問題点に関して直接話を聞く機会を得ました。この看護師さんは、最前線で患者の救済に当たりたいとの思いから宿泊療養施設医療従事者を志願されています。以下、入手した情報を紹介いたしますと、福岡県内の宿泊療養施設の医療スタッフは派遣会社に登録している看護師が療養施設に交代勤務で対応し、ホテル療養の医療班には県、市などからの常勤看護師、保健師がいない状況下で、県、市との連絡調整、対面での対応含む入所、退所時の対応、急変時の対応、入所者の健康観察、健康相談、クレーム対応、診察の介助、事務業務、配薬作業などを行っており、相当に苛酷な勤務状態があり、加えてホテル療養のスタッフとして派遣された方への指導業務も追加され、変異株が主流となってきた頃より病院同様にホテル療養もマンパワーが不足し、かなり逼迫している状況にあるようです。  さて、派遣看護師の中にはダブルワークでホテル療養に携わっている方も多数存在するようです。本業に支障がないよう本人の管理の下、勤務していたようですが、数か所の病院で問題視され、自主退職を余儀なくされたり、何らかの処分待ちの方が出てきており、本業はもちろんのこと、ホテル療養での勤務もできない状況にある看護師も存在するようです。また、一部の病院はダブルワークを認める方針に変更されたところもあるようですが、ホテル療養に携わるスタッフが集まりにくい状況にあるのではないかと思います。これらのことから、さらにホテル療養の看護師は不足し、逼迫度が増すのではないかと思います。コロナウイルスに感染された方々の不安の軽減、早期回復を図るためにも各医療機関に協力いただき、感染した方々の看護に志願しているダブルワークのスタッフたちの存在を認めて、応援していただける環境づくりをするべきだと思います。  そこで、何点か質問いたします。一点目、ホテル療養の役割、重要性について改めて伺います。  二点目、ダブルワークで療養施設に勤務する看護師の実態について県はどのように把握しているのかお聞きします。  三点目、派遣会社による看護師派遣契約においてダブルワークに対する県の取決めはどのようになっているのか伺います。  四点目、ホテル療養のスタッフ確保策について、今後どのように取り組まれるのかお聞きします。  五点目、ホテル療養のマニュアルは感染症に対応する上で極めて重要な指標であると思います。従事するスタッフに対して、今後どのようにマニュアル遵守を徹底されるのかお聞きいたします。  次に、本県の脱炭素社会に向けた取組について質問します。このままでは地球に住めなくなるという危機感から、二〇一五年のパリ協定で約二百の国と地域が、地球の平均気温を産業革命前から二度から一・五度以内に上昇を抑えることに賛同し、そのためには二〇五〇年までに二酸化炭素排出をゼロにするということに同意されました。日本の脱炭素対策は、EUなどに比べると大きく遅れていましたが、昨年九月、公明党と自民党の政権合意文書の中に、持続可能で強靱な脱炭素社会の構築に努めると定め、十月の菅首相の初めての所信表明演説の中で、二〇五〇年脱炭素社会の実現を宣言され、さらに世界のグリーン産業を牽引し経済と環境の好循環をつくり出すと表明されました。その直後から、日本の脱炭素に向けた歯車は大きく動き出しました。エネルギー分野の再エネの拡大は世界に大きく遅れていましたが、十二月に経産省と国交省が官民協議会を開き、二〇四〇年までに原発四十五基分の洋上風力発電を設置することを目標に置きました。九州電力は四月にいち早くカーボンニュートラルビジョン二〇五〇を公表しました。運輸分野においては、今年三月に自動車工業会の豊田会長が福島の水素製造事業に参加を表明し、これまで自動車は人件費の安いところで生産していたが、これからは脱炭素の国にシフトしていくと表明。製造部門では日本製鉄株式会社が、三月に二〇五〇年カーボンニュートラルのロードマップを公表しました。投資も変わり始めました。第一生命は三月に、二〇二三年までに七千億規模の株式売却などでCO2排出量が多い株を減らしていくという、投資家では初の中期目標を発表しました。世界経済は、三千兆円とも言われる環境投資が動き始めました。  まず、知事のカーボンニュートラルについての決意について伺います。公明党福岡県議団と服部誠太郎知事との間で行った政策協定の中で、福岡県は二〇五〇年カーボンニュートラルに名のりを上げ、水素社会の実現に向けエネルギー政策の人材育成、技術の集積を図り世界を牽引することという項目に合意しています。服部知事の二〇五〇年カーボンニュートラルに対する決意、認識をお聞かせください。  次に、今国会では、改正地球温暖化対策推進法が全会一致で成立しました。その基本理念には、二〇五〇年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする目標を盛り込み、脱炭素社会実現を明記されております。  初めに、改正温暖化対策法には、再エネ導入など具体的な目標を定めるよう義務づけられました。昨年十二月の我が会派の代表質問で小川知事は、今年度中に地球温暖化対策実行計画の見直しをすると答弁されました。二〇五〇年の脱炭素社会を達成するには、二〇三〇年にどのような姿を示すのか具体的な計画が重要となります。本県の再エネ導入の目標設定を含めた地球温暖化対策実行計画改定の進捗状況を知事にお聞きします。  次に、本県の庁舎や他施設で使う電力のうち、再生可能エネルギー由来の電力使用の実績と今後の取組についてお答えください。  次に、四月、公明党の石井幹事長が来福した際、九経連の瓜生副会長をはじめ意見交換をさせていただきました。その際、九州は二〇一九年度の電源構成比率で脱炭素の比率は既に五八%であり、国が定める二四%を十一年前倒しで達成している。いやドイツを抜いています。ぜひ九州を日本の脱炭素実現特区として指定していただき、ESG投資、グリーン調達の拡大に向けた環境整備をしていただきたいという要望がありました。九経連のゼロエミッションを先導する九州のエネルギー環境・産業の再構築という成長戦略は、今年十一月にイギリスで行われるCOP26も注目する事業です。知事は、九州知事会の一員として九州の脱炭素の実現を目指す九経連の特区などの取組についてどのような認識をお持ちかお答えください。  次に、脱炭素に対する意識啓発について質問します。今回、我が会派で福岡県の魅力を調査いたしました。その中で、福岡県内二千人、全国四千百六十八人の勤労者に福岡県のビジネス地域としてのイメージを聞いたところ、市場として魅力があるなど高いスコアが目立つ中、環境問題や再生可能エネルギーへの取組が先進的は二%、学術研究が盛んも三%しかありませんでした。本県の水素戦略、水素研究は間違いなく世界をリードしています。また、県のエネルギーに対する様々な事業、制度にも注力していますが、県内外に認知されていないという残念な結果でした。  まずは、県内での広報啓発について伺います。特に福岡県の水素戦略やイノベーションについて商工会議所の会員の皆さんに講演、若い方たちに向けた漫画、動画などを使って認知度を上げる広報啓発活動をすべきと考えますが、知事の答弁を求めます。  この項の最後に、水素の社会実装の拡大に必要な水素の供給コストの低減についての取組をどのようにお考えか知事にお聞きします。  次に、公明党と知事との政策協定の六番目、女性の地位向上を目指し、男女共同参画社会実現に向け取り組むの項目について質問いたします。女性の向上、男女共同参画が進まない理由は、その背景にミソジニーがあるからとよく言われます。ミソジニーは、男性にとっては女性蔑視、女性嫌悪であり、女性にとっては自己嫌悪です。女性の自己嫌悪の具体例としては、役職、公職への就任を断る理由として、責任が重い、知識や能力がないの理由が、女性が男性を上回っていることにも表れています。このようなミソジニーから派生した無意識の思い込み(アンコンシャスバイアス)の解消が必要と考えますが、どのような施策で実現するのか伺います。  本県では、次世代育成支援対策推進法及び女性の職業生浩における活躍の推進に関する法律に基づき、福岡県特定事業主行動計画を策定し、全庁的な取組を実施しています。本県の女性管理職の登用状況は年々向上し、令和二年度時点では一五・五%となっています。今年三月、新たな特定事業主行動計画が策定され、令和三年度から令和七年度までの五年間で本庁課長相当職に占める女性職員の割合を二〇%以上に、また同課長補佐相当職に占める女性職員の割合を三〇%以上にするなどの目標が定められました。この計画策定に当たり実施した職員アンケートでは、管理職への昇任について、自分の能力や経験に不安がある、仕事と家庭の両立が難しそうとの声が女性職員から聞かれたということで、本県の女性職員の管理職登用においても、まさしく固定的役割分担意識やアンコンシャスバイアスの克服が鍵になることを物語っています。  そこで、女性職員の昇任に対する不安の解消やワーク・ライフ・バランスの推進を図るためにどのような取組をしていくのか伺います。  次に、子供の人権、子供を守るという観点から質問します。新型コロナウイルス感染症は生活に大きな変化をもたらし、とりわけ子供への影響は顕著です。コロナ禍による雇用悪化で日常生活が苦しくなり、孤立する子供たちの増加、家庭での虐待にもつながりかねず、その対策は急務です。  初めに、県内の掌握している現在の実態をお伺いします。また、この状況の中で知事はどのように認識されているのか伺います。  二点目に、関係団体の連携と相談窓口についてです。政府は、データベースを活用した子供の貧困対策を自治体に求めていく方針です。これは自治体が保有する子供たちの学力、体力、生活保護の受給状況など様々な情報を一元化し、問題を抱えながらも声を上げられない子供たちを見つけ出す仕組みの導入を促すというものであります。  学校現場では、不登校やいじめ、保護者と教員間のトラブルなど、様々な問題が生じており、適切な判断を行う上で難しい状況が急増しています。さらに、法律上の知識が必要になることも多く、学校現場に理解のある弁護士が学校側の相談相手となるスクールロイヤー制度は、問題が生じる前の対処や、事態の悪化を未然に防ぐ効果が期待できます。  そこで三点目の質問は、教育長にお聞きします。このスクールロイヤー制度について、どのような所感をお持ちなのか、また本県における取組状況を伺います。  四点目に、法的な支援についてです。やはり、どのような支援についても法的根拠は必要です。そこで、子供に関する体系立てた総合的な法律として、子供基本条例の必要性を感じますが、どのような感想をお持ちなのかお聞かせください。また制定に向けて、ぜひ検討していただきたいとも望みますがいかがですか、お伺いいたします。  つまり、客観的データにより、外から気づきにくい家庭内の問題や変化を早期に発見し、適宜適切に行政支援を届ける狙いがあります。現場では、各自治体の教育委員会や、福祉、子育ての担当部門などに必要なデータが分散して保管され、支援が本当に必要な子供が見落とされているとの指摘もあります。このようなスクールロイヤー制度でございます。どのような御感想かお聞かせください。  次に、ケアラーの孤立についてです。家族や身近な人の介護や看護を行うケアラーについて実態調査を行うと、先行きが不安だとの声が多く出ています。ケアラーとして、介護する側の人たちの人生、生活を守ること、ケアラーの人格を尊重するとともに、孤立化させないことが重要だと思います。しかしながら、関連する介護保険制度は、介護を必要とする人を支援するもので、ケアラーが感じている健康や孤立、離職などの多様な課題を解決できるようになっていないことに問題があります。  そこで、認知症の高齢者などを介護しているケアラーについて質問します。初めに、ケアラーの孤立について、どのような認識をお持ちなのかお伺いします。  二点目に、ケアラーの相談窓口や、あるいはケアラー世帯を訪問するような政策はどのようになっているのかお尋ねいたします。  三点目に、ケアラー支援に関する取組を、ケアラーが適切に利用できるよう伝えることが重要だと考えますが、どのように行っているのか、また今後どのように進めていかれるのか伺います。また併せて、ケアラーが気軽に集まり交流できる場所の提供などはどのようになっているのかお聞かせください。  四点目に、市町村の担当者と地域の介護サービス事業者との連携が今後の重要なポイントになると考えますが、県はどのような関わりを持っていくのか伺います。  この項の最後に、昨年の九月の議会で、会派の高橋議員が関係条例の制定について質問しました。今後も、急速に進む介護の必要な人たちの増加に伴い、ケアラーの孤立の問題への対策も含めたケアラー支援条例は必要であると考えます。知事の見解を伺います。  知事との政策協定の最後、同性パートナーシップ条例制定など性的マイノリティーが生き難い社会を変革するための取組について伺います。今年四月に行われた東京レインボープライド二〇二一に、茨城県の大井川和彦知事がメッセージを寄せました。同県は都道府県で初めてパートナーシップ宣誓制度を導入した県ですが、同知事はメッセージの中で、そのときの状況についてこのように話しました。様々な抵抗があったのも事実です。反対する人の主張の多くは、まずは県民の理解を得てからやってもいいじゃないかというものでした。しかし、差別の問題、偏見の問題というのは理解がないからこそ起こるのであって、理解をしてからというのではなく、理解をしていただくために何ができるかということを考えるのが政治の重要な役割だと私は考えて、思い切って制度を導入しましたと、大変感銘を与えるメッセージでした。また、大井川知事は、同制度の下、四十組を超えるカップルが宣誓をし、公営住宅の入居や病院での手術の同意に加え、生命保険や自動車保険、携帯電話、住宅ローンなどについても家族と同様の扱いが認められるようになった、様々な分野での制度の適用が拡大していると紹介しました。LGBTの方々に大変な希望を与えるすばらしいコメントでした。政治家とはまさにこうあるべきだと考えさせられる内容でもありました。  服部知事は、知事職務代理者として出席したさきの県議会予算特別委員会において、我が県の同性パートナーシップ条例の導入について研究をしていくと答弁しました。これまでの小川知事の答弁を踏襲する内容です。東京都や佐賀県の知事が同性パートナーシップ制度の導入検討を表明する中、福岡県はいつまで研究を続けるのか、一定の結論をいつまでに出すのか、これまで何をどのように研究してきたのか、明示してください。また、LGBTの人たちへの差別、偏見の問題についてどのように考えているのか、その基本的な認識を問います。  茨城県の大井川知事が東京レインボープライド二〇二一に寄せたメッセージに、理解をしていただくために何ができるかと、重要な一言がありました。LGBTについて無理解な県民がどこにいて、どうすれば理解が進むのかを考えることが大事です。  そのことを考えるためのヒントとなる調査がありますので、御紹介します。二〇一二年、一五年、一八年とLGBT調査を実施してきた株式会社電通は昨年、LGBT以外の多様なセクシュアリティーについての認知も含め、LGBTQプラス調査と名称を改めて調査を実施し、今年四月、調査結果の一部を公表しました。この中で、ストレート層、異性愛者であり、生まれたときに割り当てられた性と性自認が一致する人に対し、LGBTQプラスに対してどのような考えを持っているのかを問う複数の質問を行い、因子を課題意識、配慮意識、生理的嫌悪、社会影響懸念、知識の五つから分析し、ストレート層を六つのクラスターに分けています。LGBTQプラスに対するストレート層の中で最も多かったのが、知識ある人ごと層で全体の三四・一%でした。この層の特徴は、知識はあるが当事者が身近にいないなど課題感を覚えるきっかけがない、現状維持派です。男性が六割を占め、十代は少なく、三十代から五十代までがほぼ均等に存在します。対して、課題意識が高く、積極的にサポートする姿勢があるアクティブサポーター層は二九・四%。この層は身近な当事者や海外コンテンツを通して理解を深めており、女性が約七割。当事者が家族や友人、知人にいる人が三四%です。このように、LGBTQの問題を自分ごととして課題を感じてもらうには、身近な存在に当事者がいることが大きな要因となります。一方で、今の日本社会は当事者がカミングアウトしやすい社会とは決して言えません。この矛盾を解決するためには、行政が積極的にLGBTQの問題を取り上げていくことです。県民に幅広く参加を呼びかけシンポジウムなどを開催したり、県広報で繰り返し課題を紹介していくことも大事だと考えます。  こうした点を踏まえ、LGBTの方々が生きやすい福岡県をつくるため、今後服部知事はどのような施策を取ろうとしているのか伺います。  次に、困窮女性への支援について伺います。経済的な理由で生理用品を買うことができない生理の貧困。コロナ禍で顕在化したこの問題の背景には、若者のアルバイト収入の減少などがあると見られ、民間団体の調査結果では、若者の五人に一人が金銭的理由や親のネグレクトから生理用品を買うことに苦労したと答えており、深刻な問題の一つとなっています。生理の貧困の解消は、経済的負担の軽減の観点からもジェンダーギャップという社会課題の不均等の是正にも寄与すると思われます。デリケートな問題ですし、健康に直接関係することなので、本件の実情や確実に困っている人が使えるよう実態調査を提案いたします。お答えください。  また、具体案として、取り組む方法は工夫していただき、まずは県庁をはじめ各出先機関など、県の施設にできるところから生理用品の設置を検討してはいかがでしょうか。  次に、教育長に伺います。学校現場において生理用品に思い悩んでいる児童生徒の把握に努め、児童生徒の健康相談などの一層の徹底を行い、生理用品の無償の配布も検討してはいかがでしょうか、お答えください。  次に、アマチュア無線の活用、連携について伺います。東日本大震災をはじめ毎年のように起こる災害に対して、市民レベルでの防災意識が高まる中、国においてアマチュア無線の災害時の有効活用が見直されています。災害時の通信手段としては、多くの自治体が防災行政無線を整備し、情報収集や住民への情報提供を行っており、本県も平成二十九年度から三か年かけ防災・行政情報通信ネットワークを整備しています。しかしながら、防災行政無線は東日本大震災では、機器の破損、流失で使用できなくなり、平成二十九年の九州北部豪雨では雨音で音声が聞き取りにくい事態が生じ、機能が十分に発揮できない障害もありました。なお、大規模災害時には、携帯電話も通信の集中によりパンク状態になったと指摘されました。  こうした中、アマチュア無線を行う団体は、東日本大震災時に非常通信を実施し、地方自治体に大きな貢献をしたことなどにより、その後も社会貢献活動が期待されるようになりました。国の防災基本計画では、国や地方公共団体は、災害時の情報通信手段について、アマチュア無線などによる移動通信系の活用体制を整備する旨が規定されています。また、電波法などの規制により、これまでは個人的な用途の活用に限定されており、特例として、災害時に有線通信を利用できないとき、人命の救助、災害の救援などのために行われる非常通信としてのみ活用できることとされていました。今般、総務省は、アマチュア無線の社会貢献活動への期待を踏まえ、今年の三月十日に電波法施行規則を改正、アマチュア無線を非常通信のみならず、災害ボランティアや社会貢献活動などで活用できるようにしました。先日、アマチュア無線愛好家の方たちからお話を伺う機会がありました。以前からのイメージとは程遠く、機械はコンパクトに小型化され、機能も革新的に性能アップ、画像を送ることも可能、印象としては大変にスマートでした。また、アマチュア無線を行っておられる愛好家の方たちの数もかなり多く、災害時の連絡手段として活用し、防災関係機関の活動に貢献したいとおっしゃっておられます。大変にありがたいことであり、また心強く思います。  そこで知事に質問いたします。県では、今般のアマチュア無線をめぐる省令の改正などをどのように認識していますか。また、アマチュア無線に携わる方々や団体との連携、活用についてはどのようにお考えですか、お答えください。  次に、福岡県の魅力再発見について伺います。前述しましたが、我が会派では、全国四千百六十八人と福岡県民二千人に観光と移住、定住及びビジネスエリアとしてのイメージに関するインターネット調査を実施しました。本調査の眼目の一つに、観光、定住策、企業誘致策に関わる全国と福岡県の意識を把握し、それらを総合した福岡県の魅力を明らかにするというものですが、結果として以下の興味深い事柄が浮かび上がりました。  一つは、福岡県の全国におけるプレゼンスの確かさです。観光、定住策、企業誘致策の総合評価指標において、三項目ともトップテンにランキングされたのは、北海道、沖縄県、京都府、大阪府、東京都、神奈川県、そして福岡県の七都道府県のみです。要約すると、トップセブンは二大都市圏と三大観光地と福岡県となっております。  二つ目は、九州・沖縄地方における福岡県の圧倒的な優位性です。特に定住と企業誘致はトップであり、詳細イメージでも、定住策では六項目中四項目で一位、二項目で二位、企業誘致では十項目中七項目で一位、三項目で二位となっています。九州・沖縄の各県民が意識レベルで、福岡県へ極めて高い評価を与えていることは、今後の各県との連携のよりどころになると思われます。  また、観光、定住、企業誘致の促進において、求められることに共通項が多いことが分かりました。それは食、成長性、交通網等のインフラ整備です。これら三つはキーワードとして密接に関連しており、観光を楽しむ、定住を集う、企業誘致を営むと言い換えれば、楽しみのあるところに人は集い、人が集うところに営みは生まれる。営みによって楽しみが生み出されると言えます。これが好循環を生んでいる数少ない地域であり、幸い福岡県はそれに属しています。  それでは、調査項目に従って説明します。初めに観光についてです。全国で都道府県の観光に関するイメージを聞きランキングを集計しました。総合的な評価指標として設定した、魅力があって行ってみたい観光地があるでは、北海道が五七%で一位、二位は沖縄県の四五%、三位京都府、四位大阪府、五位東京都で、福岡県は六位で二一%と上位にランキングされています。その他の質問七項目中、福岡県は伝統文化や祭りが魅力的、食べ物がおいしい、買物が楽しい、施設や商店のサービスが行き届いている、住民の人情や風土が魅力的の項目で十位以内に入っており、特に食べ物がおいしいは、大阪を僅差で抑えて北海道に次ぐ二位と高い評価を得ており、食は福岡というイメージが定着していることがうかがえます。県内の主要観光地の全国での認知度を見ますと、太宰府天満宮が六五%で最も高く、次いで福岡ペイペイドームが五六%、中洲、福岡と博多の屋台、天神と続きます。また、県内の行事や祭りの全国での知名度は、博多どんたくが六七%で際立って高く、次いで博多祇園山笠が三九%となっています。再訪問意向は太宰府天満宮が一八%で最も高く、次いで天神、中洲、福岡・博多の屋台の順となっています。これは、太宰府と福岡市内都市観光が福岡県観光の二本柱であることを示しており、県内各地の観光地がまだまだ認識されておらず、PRの必要性を強く感じるところです。一方で、評価が低かったのは、自然が豊かで景観に恵まれているの四十位、歴史が深く貴重な史跡などが多いが二十二位となっております。歴史や史跡で上位にランクされたのは、京都府や奈良県です。そして、歴史が比較的に新しい北海道が六位に、また出島やグラバー邸など近世のものが主である長崎県が福岡県よりも上位に位置しており、太宰府や世界遺産の宗像・沖ノ島を擁する福岡県民としては釈然としない結果となっています。本県には、明治日本の産業革命遺産製鉄・製鋼、造船、石炭産業と「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群の二つの世界遺産が所在しますが、その構成資産別の調査によると、全国の知名度は、沖ノ島が三一%で最も高く、官営八幡製鐵所が二八%、三池炭鉱、宗像大社が続き、さらなる知名度向上が課題となっております。また、福岡県の観光振興指針に関する調査においては、五〇%の方々が旅行者の県内各地への来訪促進を最も推進するべきであると回答しています。県内の一部の地区に集中している来訪者及び宿泊者を、県内各地域へ周遊させる取組に対する県民の期待の高さがうかがえるところであり、これはまさに、アフターコロナを見据えた、新しい旅のスタイルとして求められているものであります。  そこで、知事に三点お尋ねいたします。調査結果からも分かるとおり、県内に数多く存在する魅力的な観光資源が、全国的にはほとんど知られていない状況にあります。このような観光資源をもっと積極的にPRしていく必要があると思われますが、知事のお考えをお聞かせください。  また、本県が誇る明治日本の産業革命遺産と、「神宿る島」宗像・沖ノ島の二つの世界遺産について、まずは認知度を向上させた上で来訪者を増やしていく必要があると思いますが、お考えをお聞かせください。  三点目に、県内の一部の地区に集中している旅行者を県内各地域へ周遊させるためには、県内各地に、福岡都市部や太宰府市に次ぐ魅力のある新たな観光地をつくっていくことが重要だと考えます。県では、具体的にどのような取組を行っているのか、また今後どのように進めていかれるのか伺います。  次に、移住、定住についてです。総合的な評価指標である、住んでみたいでは、最もスコアが高かったのは沖縄県で、二位は北海道と東京都、四位神奈川県、五位京都府で、福岡県は六位となっております。そのほかは、食や景観などの自然環境に恵まれているが六位、教育環境がよいが九位、都市部周辺のベッドタウンが整備されていて交通の便もよく住みやすいが七位、経済活動が全般的に活発で発展性があり就業機会が多いが六位と高評価を得ていますが、治安がよいのみが三十七位と厳しい結果になっています。九州・沖縄で福岡県に住んでみたいと回答した人が三〇%と高いスコアを示しており、九州・沖縄での福岡県の強い存在感が表われた結果となっています。また、中国・四国で福岡県が同地方で広島より上回っていることにも注目すべきであると思います。  そこで、四点目の質問として、福岡県では福岡市内と東京都に、ふくおかよかとこ移住センターを設置し、首都圏を中心に移住促進に取り組まれています。これらは成果を上げていますが、評価指標である住んでみたいのスコアを地域別に見ると、高い順に九州・沖縄、中国・四国、近畿となっており、首都圏以外にもしっかりとニーズがあることが分かります。そこで今後は、首都圏に限らず幅広い地域からの移住策もより強化すべきと考えます。現在、しっかりと取り組んでおられることとは思いますが、改めてこれまでの取組と今後の進め方について伺います。  なお、福岡県では、住みやすい、住んでみたいが七六%と県民の満足度はかなり高いように見受けられます。しかし、これを県内地域別に見ると大きな差があることが分かります。この県内格差は県の総合的な発展のためにも是正すべき課題と言えます。  この項のまとめとして、今回の調査の結果、この恵まれた状況は県民の不断の努力と知恵によるものですが、今後も課題の解消と優位性の深化を図る必要があります。具体的には、県内格差の解消、治安の改善などの広報活動が必要です。各施策はおのおのの部署で推進され、相互に関連しており、全体を企画、調整する部署もしくは組織が重要です。特に、全体を包括する福岡県の魅力のブランディングが今後必要だと思います。また、そこには県民が本調査で推進すべき企業誘致策の一位に挙げている、若い人材の育成が長期的には欠かせないものになると考えます。  次に、教育問題について伺います。公立小学校一クラス当たりの上限人数を三十五人まで段階的に引き下げるための改正義務教育標準法が今年三月に成立いたしました。従来の上限人数は小二から小六が四十人で、小一のみ三十五人でしたが、二〇二五年度までに低学年から毎年一学年ずつ三十五人に移行します。小学校全体で引下げが行われるのは約四十年ぶりで、これに合わせ教職員定数も国全体で一万三千五百人程度増やされる方針です。公明党は、三十五人学級への取組に関して不登校やいじめなどの課題を解決する対策の一つとして、一九九九年に党の基本政策に盛り込むなど一貫して少人数学級を推進してきました。今回の三十五人学級の実現についても、昨年六月に当時の安倍首相に三十人以下の学級編制に取り組むよう要請し、その後、関係省庁にも働きかけ、実現をリードしてきました。引き続き、中学校も含めた三十五人学級の実現と、さらに少人数の三十人学級の実現に向け取り組んでいく考えです。  そこで教育長にお尋ねします。まず、今回の改正法による三十五人学級への上限人数引下げの意義をどのように受け止めておられるのか、御所見をお伺いいたします。  次に、本県の義務教育課程における三十五人学級の実施状況は現在どのようになっているのか、今後、国の方針に従い、公立小学校の全ての学年での三十五人学級の実現に向け、県としてはどのように取り組むのかお尋ねいたします。  さて、近年、特別支援教育を必要とする児童は増加傾向にあり、本県における義務教育段階の児童生徒数は、この五年の間に特別支援学校で六百六十四人、特別支援学級で六千八十五人、通級指導教室で千百四十八人増加しており、本年度全体で二万四千五百五十七人です。また、特別支援学級、通級指導教室の設置数についても、それぞれ九百二十四学級、八十六学級増加しており、本年度全体で三千五百三十四学級となっています。特別支援学校や特別支援学級、通級指導教室などでは、特に児童一人一人へのきめ細かな指導が必要であると考えますが、三十五人学級への移行に伴い、これらの教育現場の教員確保がおろそかになるようなことがあってはなりません。  そこで教育長に質問いたします。特別支援学級について、受け持つ児童の上限は八人と定められていますが、教育現場の声として、児童の事故を防止する観点から、各クラスに指導教員のほかに特別支援教育支援員や学校生活支援ボランティアをつけてもらいたいとの声があるものの、財政的な制約から困難な状況にあるとも聞き及びます。こうした実態に対し、県としてはどのように支援をしていくお考えなのかお尋ねいたします。  さらに、通級指導教室の設置に関しては、県全体のバランスを考慮して行われているとは思いますが、福岡市や北九州市といった大都市周辺の自治体において、特別支援教育における不公平感が出ないよう配慮する必要もあると思われます。そこで、通級指導教室の適切な設置の推進について教育長の御所見をお伺いいたします。  最後に、本県の警察行政について伺います。近年、性犯罪、DV、児童虐待、ストーカーなど女性が被害者となる事件や女性からの相談が増えております。殺人、強盗など重要犯罪では、女性が被害者となる事案が増加していることに強い憤りと不安を感じています。私は、警察がこれらの事案に的確に対処するためには、被害者女性が安心して事情聴取に応じられる体制づくりが重要ではないかと思います。  そこで何点か伺います。本県における女性警察官の割合は、一八年、一九年はワーストワン、そして二〇年度は全国ワーストツー。まず、その少ない理由と対応策の考えがあればお聞かせください。  また、警察業務の中で、もっと女性警察官の能力を生かす仕事が幅広くあると思われますが、本県女性警察官の配置状況及び今後の女性警察官の職域拡大について見解をお聞かせください。  併せて、本県女性警察官の警部補以上の幹部への登用状況についても現状をお聞かせください。  この項の最後に、女性に対する性犯罪やDVなどの事件、事故を根絶するための相談窓口の整備が必要だと思います。とりわけ、身近な存在である交番に女性警察官の配置は重要だと思います。そこで提案ですが、配置された交番に仮称女性安全ステーションなどの表示看板を掲げると、もっと気軽に訪問できると考えます。女性の心情やプライバシーにも配慮した交番にリニューアルしてはいかがでしょうか。警察本部長の見解をお聞かせください。  知事及び執行部の前向きな答弁を期待しております。以上で終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 12 ◯副議長(江藤 秀之君) 服部知事。 *知事答弁 13 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。  新型コロナワクチン接種を迅速、円滑に進める方策についてでございます。県では、ワクチン接種の対象外となっております子供に業務上接触する機会が多い方や、クラスターが発生した場合の影響が大きい施設等の職員を優先的に接種することといたしております。具体的には、保育士や教職員、放課後児童クラブの職員、地域防災の要でございます消防団員のほか、介護サービス事業所や障がい福祉サービス事業所、児童養護施設の職員、柔道整復師など約十二万人を対象に準備を進めておるところでございます。接種会場につきましては、利便性を考慮し、県内に六か所程度設置し、また対象となる方が業務終了後に接種を受けやすいよう、平日の夜間や土日の日中に接種することといたしまして、七月上旬に受付を開始し、中旬頃から接種を開始する予定でございます。このことにより、県民のワクチン接種を迅速、円滑に進めてまいります。  なお、この優先接種に係る必要な予算につきましては、今後速やかに追加提案させていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いを申し上げます。  職域接種における県の取組についてお尋ねがございました。ワクチン接種に係る自治体負担を軽減し、接種の加速化を図るため、六月二十一日から企業や大学等において職域単位での接種が可能となりました。今後、企業等が職域接種を希望する場合には、六月一日に新設いたしましたワクチン接種推進室を相談窓口として、医療従事者確保のための窓口の紹介やワクチン接種に必要となる備品、消耗品に関する情報提供などの支援をしてまいりたいと考えております。  潜在看護師の確保についてでございますが、県では福岡県ナースセンターにおいて、医療機関等に対する看護師の無料職業紹介を行っているところでございます。その結果、ワクチン接種関連業務につきましては、六月八日現在で十二施設百九十五人の求人に対し、三百三十四人が応募をされ、六十四人の方が就職されております。また、看護協会におきまして、潜在看護師が不安なく復職できるようワクチン接種の手法を学ぶ講習会を六月に計八回実施することといたしましたところ、定員を大きく超える受講希望がございました。このため県では、より多くの方が受講できるよう、七月中に同様の講習会の開催を大学に委託して計画をいたしておるところでございます。これによりまして多くの潜在看護師の早期復職を支援し、ワクチン接種に従事する医療従事者の確保を図ってまいります。  ロボットコールの活用についてでございます。このシステムは、コールセンター業務をオペレーターが対応するのではなく、自動音声のガイダンスに従って、接種券番号、生年月日、接種希望日、接種会場などを入力することで電話予約を行えるシステムでございます。このシステムを導入している市のお話をお伺いしますと、高齢者にとってインターネットより予約が簡単との評価がある一方で、ウェブなどのほかの予約受付システムとの連携ができず予約の重複が生じたとの課題も聞いております。県では、今後県が設置する広域接種会場において対象者の方が円滑に予約できますよう効果的な手法を検討いたしますが、その際、本システムについても研究をしてまいります。  宿泊療養の役割や重要性についてでございます。新型コロナウイルスの陽性になられた方につきましては、治療が必要な方は医療機関で、無症状者、軽症者は本県が確保しております宿泊療養施設でそれぞれ受け入れることにより、症状に応じた適切な医療、療養を提供いたしますとともに、感染の拡大を防止することを基本といたしております。本県では全ての施設に二十四時間体制で医師、看護師を常駐させておりまして、本人の症状が急変した場合でも迅速に対応することができます。また、自宅療養で懸念されるような家族や周囲の方々への感染リスクを減らすことができます。さらには、軽症者を宿泊療養施設へ受け入れることによりまして医療機関の負担軽減につながるなど、宿泊療養の役割は大きく、感染症対策上極めて重要であると考えております。  宿泊療養施設におけるダブルワークで働く看護師の実態についてでございます。宿泊療養施設に従事する看護師の方につきましては、県が契約をいたしております派遣会社から派遣をされておりまして、契約では派遣社員の業務内容や契約金額、就業時間等について定めておりますが、ダブルワークについては取り決めは行っておらず、本人の勤務先が了承しておれば特に支障はないものと考えております。今後の確保策につきましては、陽性者数の急増等により、さらなる看護師確保が困難な場合、派遣会社から募集をしやすいように、就労しやすい勤務時間帯を設定するなど募集要件を工夫することで対応をしてまいります。  宿泊療養施設におけるマニュアルの遵守の徹底についてでございます。この宿泊療養施設を運営するに当たりまして県では、業務の手順や従事者の感染防御に関する内容を記載したマニュアルを整備いたしておりまして、各宿泊療養施設に配置をいたしております。マニュアルの遵守を徹底するため、従事する職員全員を対象に、施設を開設する際、また再開する際にオリエンテーションを行い、個人防護具の着脱訓練等を行っております。併せて、県看護協会によるアドバイザーを派遣をいたしまして、感染防止や消毒、ゾーニングや動線等に係るマニュアルの遵守状況の確認を行っているところでございます。今後とも、この取組を継続して行いまして、マニュアルの遵守の徹底を図ってまいります。  次に、脱炭素社会に向けた取組といたしまして、二〇五〇年カーボンニュートラルに対する決意、認識についてお尋ねがございました。地球温暖化は豪雨による災害や熱中症の増加、農作物の品質低下など様々な分野で影響をもたらしておりまして、本県においても重要な課題となっております。国におきましては、菅総理が昨年十月、二〇五〇年のカーボンニュートラルを宣言し、本年四月には二〇三〇年度の温室効果ガス排出を、二〇一三年度比で四六%削減することを表明されました。県といたしましても、二〇五〇年カーボンニュートラルは県民の安全、安心を確保する上で達成しなければならない目標と考えております。この目標達成に資するよう、県といたしましても国と歩調を合わせて、今年度改定する地球温暖化対策実行計画において新たな目標を掲げることといたしております。この目標は、現行の目標を大きく引き上げるものでございまして、これまで以上の努力が求められますことから、エネルギーをはじめとして産業や県民生活に関わるあらゆる分野で取組を一層強化する必要がございます。このため、新たな計画には再生可能エネルギーの導入促進や省エネの推進など具体的な施策を盛り込み、県民、事業者の皆様と共にこれを着実に進めることでカーボンニュートラルの達成を目指してまいります。  本県の地球温暖化対策実行計画改定の進捗状況でございます。本年一月、県の環境審議会に計画の改定について諮問を行いまして、現在、同審議会に設置いたしました専門委員会において、計画の構成や施策の方向性について専門的なお立場から検討を行っていただいております。また、三月には各部施策の取りまとめや調整を行う全庁横断的な地球温暖化対策施策連絡調整会議を開催するなど、現在地球温暖化対策に資する施策の具体的な検討を行っております。今後もこれらの会議で議論を重ねまして、洋上風力発電をはじめとする再生可能エネルギーの導入促進、水素エネルギーの利活用、電気自動車の普及、住宅やビルの断熱化、家庭や事業所における省エネ設備の導入促進など様々な分野の施策や目標を盛り込んでまいります。計画の改定に当たりましては、国の地球温暖化対策計画あるいは県の総合計画との整合も図りながら、来年三月までに改定をすることといたしております。  本県の庁舎等で使用する再生可能エネルギー由来の電力についてでございます。県有施設で使用いたしております電力の令和元年度の実績は、全体で約二億百五十八万六千キロワットアワーとなっております。このうち再生可能エネルギー由来の電力は、契約している電力会社ごとの再生可能エネルギーの比率を用いて推計をいたしますと、約四千三百五十一万三千キロワットアワーでございまして、全体の約二一・六%となります。県有施設において県が率先して再生可能エネルギーの利用を進めていくことは、県内事業者の取組を促すという点で有効と考えます。このことから、まず来月から平尾台自然観察センターに再生可能エネルギー一〇〇%の電力を導入をいたします。再生可能エネルギーにつきましては、風力や太陽光発電の場合は天候や季節に左右されるといった供給の安定性の課題、また現時点では火力等による発電よりも割高であるといったコストの課題がございます。こういった課題も踏まえながら、さらに検討を進めてまいりたいと考えております。  次に、九州経済連合会の取組に対する認識についてでございます。九経連は、昨年の三月に再エネの拡大、有効利用や水素を活用したエネルギー貯蔵技術の社会実装などの戦略を発表されました。また、今年四月には再エネや高効率石炭火力発電などを使った脱炭素実現特区への支援について政府に要望されたとお聞きをいたしております。こうした九経連の取組は、カーボンニュートラルを目指すということで、経済と環境の好循環につなげていくものでございまして、水素や再エネを産業政策として推進し、九州を引っ張る本県といたしましても意義深いものであると考えております。
     水素に関する広報啓発についてでございます。県では、これまで国内外の先進プロジェクトや水素関連産業の最新動向を伝えるために、水素エネルギー戦略会議フォーラムを開催をいたしまして、毎年約二百名の経済団体や水素分野への参入を考える企業の皆様に参加いただいております。また、地域の未来を担う若者を対象といたしまして、九州大学の水素社会ショールームを活用した環境授業でありますとか、音楽フェスティバルを活用した水素燃料電池車から電力を供給するPRイベント、こういったものを開催をいたしまして、福岡の取組の先進性、水素燃料電池車への理解、こういったものを深めておるところでございます。県では、今年秋から北九州市と連携をいたしまして、太陽光発電や風力発電が集積しております響灘地区において再エネ由来の水素を製造し、県内各地域に運び、利用する実証事業を本格実施する予定でございます。この機会を捉え、若者や経済団体を対象とする実証事業の視察ツアーやフォーラム、啓発動画の配信などにも取り組んでまいります。今後も、若者から事業者、経済団体に至るまで広く県民の皆様に、来るべき水素社会の姿を理解していただくため広報啓発を強化してまいります。  この水素の供給コスト低減に関する所見でございます。水素を産業部門や輸送部門など幅広い分野で活用し、脱炭素社会を実現させていくためには、供給コストを低減させていくことが極めて重要でございます。国においても、昨年十二月に策定いたしましたグリーン成長戦略におきまして、二〇五〇年までに一ノルマル立方メートル当たりのコストを、現在の百円から二十円へと五分の一以下とする数値目標を設定し、この目標達成に向けてコスト低減を図る研究開発や普及のための実証事業を進める方針を打ち出しております。本県では、全国に先駆けて設立いたしました産学官連携組織でございます福岡水素エネルギー戦略会議を中心に、水素社会の実現に向けて水素コスト低減に関する研究開発や社会実証を進めてきたところでございます。具体的に申しますと、九州大学による高温水蒸気による高効率な水素製造技術開発や、燃料電池と水電解の機能を併せ持つ革新的な装置の開発、こういった最先端の研究開発、また国事業等を活用したCO2フリー水素の地域サプライチェーン構築に向けた実証事業に取り組んでおるところでございます。引き続き、国とも連携しながら、水素の普及、拡大に向けた取組を進めてまいります。  次に、女性の地位向上、男女共同参画社会の実現につきまして、アンコンシャスバイアスの解消に向けた施策についてお尋ねがございました。アンコンシャスバイアスは、男性は仕事、女性は家庭、重要な仕事のリーダーは男性にしかできない、女性だからとの理由で自分の能力を過少評価する、こういった無意識の思い込みでございまして、女性の地位向上と男女共同参画の推進を阻む大きな要因の一つと考えられます。県では、報道や広告の中に潜むアンコンシャスバイアスの問題点を共有いたしますとともに、ジェンダー平等の観点から報道や番組制作に必要な視点を考える勉強会を新聞社やテレビ局などのメディアと連携して開催をいたしております。参加したテレビ局がアンコンシャスバイアスをテーマとした番組を制作するなど、県民の気づきにもつながっているものと考えております。加えまして、動画やクイズを用い、アンコンシャスバイアスについて分かりやすく伝えますホームページを作成いたしますとともに、福岡県女性の活躍応援協議会の構成団体が配信いたしますメールマガジン等を通じ、傘下企業に対し活用を促しているところでございます。また、今年度からアンコンシャスバイアスの理解を深める取組に対する助成制度を設け、企業の行動を見直すきっかけづくりを支援をしております。今後も、メディアや女性の活躍応援協議会などと連携をいたしまして、アンコンシャスバイアスに対する理解を深め、気づきを促し、行動の変化につながるよう、引き続きその解消に向けた取組を進めてまいります。  女性の管理職登用に向けた取組についてでございます。女性職員の管理職への登用に向け、女性職員の昇任に対する不安を解消するためには、身近なロールモデルを見える化することが有効と考えます。そのため、県の様々な職場で働く女性管理職の活躍されている事例を啓発リーフレットに掲載して配付するなど、職員が自らのキャリア形成のイメージを持てるよう広く情報発信を行います。併せまして、既に管理職となっている先輩職員と、家庭生活との両立や仕事への向き合い方について話し合うことができる交流の機会をつくってまいります。また、職員のワーク・ライフ・バランスを推進するためには、男女全ての職員の働き方を見直し、仕事と家庭生活を両立しやすい職場環境の整備が求められます。このため、ICTの活用や業務の見直し等による働き方改革に取り組みますとともに、休暇の取得促進や時間外勤務の縮減、育児休業者の職場復帰支援などに取り組んでまいります。加えまして、このような取組を着実に進めていくためには、管理職の意識改革も必要でございます。このため、管理職の研修などの機会を捉え、女性活躍推進の必要性について啓発を行いますとともに、自らの組織マネジメントを振り返り、気づきを与えるための自己チェックシートを活用することによって、マネジメント能力の向上を図ってまいりたいと考えております。こうした取組によりまして、女性職員の昇任に対する不安の解消や、ワーク・ライフ・バランスの推進を図り、女性職員の管理職の登用を一層推進してまいります。  次に、新型コロナの子育て世帯への影響についてでございます。子育て世帯の相談窓口として県が設置しております子ども支援オフィスには、昨年度、一昨年度の二・五倍となります千四百十九件の相談が寄せられました。相談の内容は、収入、生活費に関するものが増えておりますほか、仕事、子育て、人間関係に関するものなど多岐にわたっております。県といたしましては、様々な課題を抱える世帯を早期に発見し、支援につなげることが重要であると考えております。そのため、子ども支援オフィスの職員の増員、町村での出張相談会の実施、福岡県こども食堂ネットワークとの連携などを進めまして、支援を必要とする子供を早期に発見する取組を強化してまいります。その上で、教育の支援、生活の安定のための支援、保護者に対する就労の支援及び経済的支援、この四つの柱によって施策を総合的に推進をしてまいります。  子供の支援に関する条例の制定についてお尋ねがございました。本県では、一人一人の子供が健やかに成長することができる社会の実現に寄与することを目的として制定をされました、子ども・子育て支援法及び次世代育成支援対策推進法に基づきふくおか子ども・子育て応援総合プランを策定をいたしております。このプランにおきまして、若者が結婚や子育てに夢や希望を持ち、子供を安心して産み育てることができ、子供の健やかな育ちと自立を応援する社会づくり、これを三つの柱に掲げまして、それぞれのライフステージに応じた子供に関する施策を総合的に推進をいたしております。一方で、本県では近年、子供が虐待等により亡くなる大変痛ましい事案が続けて発生しております。二度とこのようなことを起こしてはなりません。子供の命と権利を断固として守っていくため、虐待防止に特化した条例が早急に必要であると考えておりまして、来年二月議会への提案を目指して検討を進めているところでございます。  次に、認知症の高齢者などを介護しておられるケアラーの孤立についてでございます。認知症の高齢者などの介護に当たっておられる御家族の皆様は、身内の方の精神症状や行動を他人に打ち明けにくいことから、悩みや不安を一人で抱え込み、地域社会から孤立しやすい状況にございます。こうした方々に、お住まいの地域で安心して生活をしていただくためには、必要な相談支援がいつでも受けられ、専門家による適切な支援につなげるとともに、地域における交流や居場所づくりを進め、地域社会からの孤立を防ぐことが重要であると認識をいたしております。  このケアラーの相談窓口についてでございますが、県ではクローバープラザ内に認知症介護相談窓口を設置をいたしまして、認知症の方や御家族からの相談に応じております。また、市町村では地域包括支援センターが窓口となりまして、認知症に関することを含め、高齢者やその御家族からの相談に応じているところでございます。このほか、地域における認知症医療の中核となります県内十六か所の認知症医療センターにおいて、医療面での相談対応や医療機関の紹介などを行っております。  次に、ケアラー世帯を訪問する取組についてでございますが、市町村が設置いたします認知症初期集中支援チームにおきまして、医療、介護の専門家が家族等からの相談を受けて家庭を御訪問し、必要な医療、介護サービスの調整や御家族への支援などを集中的に行っておるところでございます。  ケアラーが適切に支援を受けられるようにする取組についてお尋ねがございました。認知症の方とその御家族に対しましては、進行予防や社会参加に重点を置いた初期段階から専門医療や介護が常に必要な重度の段階に至るまで、認知症の進行状況に応じた支援を行う必要がございます。このため県では、認知症の進行状況に合わせ、お住まいの地域でどのような支援が受けられるのかを示した認知症ケアパスを作成するよう市町村に促してきたところでございまして、今年三月末時点では五十四の市町が作成をいたしております。県といたしましては、全ての市町村で認知症ケアパスが作成され、適切な支援につなげていくことが重要と考えておりまして、未作成の六市町村に対し、作成事例を提供するなど個別に働きかけを行ってまいります。  ケアラーが交流できる場につきましては、認知症の方や御家族、医療や介護の専門職、地域住民など誰もが気軽に参加できる認知症カフェがございます。市町村や介護サービス事業者などによって設置、運営をされておるところでございます。県内には令和元年度末時点で五十四の市町村、二百四十九か所に設置されておりまして、認知症ケアパスと同様に未設置の六町村に対して個別に働きかけを行ってまいります。  市町村と介護サービス事業者との連携についてでございます。認知症の方の御家族が地域から孤立せず安心して生活をしていただくためには、地域の関係者が日頃から連携を深めておき、認知症の進行状況に合った支援を行っていくことが重要でございます。市町村や地域包括支援センターにおいては、介護サービス事業者や医療関係者など地域の関係者を含めた地域ケア会議を設置いたしまして、支援を必要とする高齢者の個別ケースの検討を行うことで、関係者相互の連携を深めているところでございます。県では、この地域ケア会議の運営を支援していくために、市町村や地域包括支援センターの職員を対象としたセミナーや研修を実施しております。また、地域ケア会議の運営に要する経費に対しまして、介護保険制度に基づく地域支援事業交付金を交付をいたしております。今後もこのような取組を通じまして、市町村と介護サービス事業者との連携を支援してまいりたいと考えております。  ケアラーの孤立の問題への対策を含めたケアラー支援のための条例についてお尋ねがございました。認知症の方の介護に当たっておられる御家族の皆様、先ほど来申し上げておりますように、やはり悩みあるいは不安を抱え、日々を過ごされております。これまで申し上げましたとおり、市町村や地域包括支援センター、認知症医療センターなどがそれぞれの役割を果たしながら、御家族の皆様が必要な支援を適切に受けられるよう様々な取組を進めておるところでございます。県といたしましては、まずはこうした取組をしっかりと進めることにより、介護に携わる御家族などの負担の軽減を図っていくことが重要であると考えているところでございます。  次に、LGBT支援策として、同性パートナーシップ制度についてでございます。県では、同性パートナーシップ制度を導入した自治体の運用状況や課題について先進地を訪問するなど聞き取り調査を行いまして、他の都道府県や県内市町村等の動向についても継続的に調査を行っているところでございます。都道府県では、茨城県、大阪府、群馬県に加えまして、今年九月に新たに三重県がパートナーシップ制度を導入する予定でございます。三重県では当初、条例による制度の導入を考えられておりましたが、県議会やパブリックコメントにおいて反対意見があり、新たな分断を生めば条例の趣旨とずれるという御判断から、条例ではなく要綱により制度が導入されることになったと伺っております。また、今年度に入り東京都と佐賀県が制度導入に向けた検討を表明されておりまして、東京都はまず当事者の悩みに関する実態調査から着手をする予定で、佐賀県はこれから検討に着手すると聞いております。県内市町村の動きといたしましては、昨年四月に導入いたしました古賀市が、保育園の送迎などに対応できるよう同性パートナーの同居の子供についても家族と同様に取り扱う制度改正を行いまして、今年七月から運用を開始する予定でございます。県内の他の市町村では、新たに制度を導入する動きは現在ございません。民間事業者の動きとしては、全国の地方銀行や信用金庫で性的少数者のカップルが住宅ローンを利用できるようにする動きが広がっておりますが、本県内ではまだこのような対応をスタートした事業所はございません。現在国では、超党派の国会議員によるLGBTに関する課題を考える議員連盟におきまして、性的少数者への理解増進を図る法案の提出に向けた協議が行われております。しかしながら、同議連案の、性的指向及び性自認を理由とする差別は許されないとの文言に対し、差別だと訴える訴訟が増えて社会が混乱するといった反対意見があり、今国会中の法案提出が見通せない状況となっております。県といたしましては、こうした国の動きも見極め、また制度を導入している自治体の運用状況等の調査を引き続き行いますとともに、有識者や県内市町村の意見もお伺いしながら研究を進めてまいりたいと考えております。  性的少数者の方への差別、偏見問題についてでございます。性的少数者の方々は、社会生活の中で、周囲の心ない好奇の目にさらされるなど性的指向や性自認を理由とした偏見や差別に苦しんでおられます。性的指向、性自認は、自らの意思に基づいて選択、変更できないものでございまして、これらを理由とした偏見や差別を受けることなく、誰もが自分らしく生きることができる社会の実現を目指していかなければならないと考えております。  性的少数者の方が生きやすい福岡県をつくるための施策についてお尋ねがございました。性的少数者の方々が安心して生活し、活躍できる社会を実現するためには、県民の皆様に性の多様性について正しい理解と認識を深めていただくことが重要でございます。県では、これまで春日市にございます人権啓発情報センターでの性的少数者当事者を講師とした県民講座の開催や、企業、公共施設、学校などでの研修会の開催、人権啓発ラジオ番組の放送など、当事者の声を直接県民の皆様に聞いていただき、啓発に取り組んでまいりました。また、昨年度から人権担当部局と当事者との意見交換を開始をいたしました。そこでいただいた御意見は、啓発動画や職員ガイドブックの作成に反映をさせているところでございます。啓発動画につきましては、昨年度は街頭ビジョンで放映をいたしました。今年度は映画館で放映をすることといたしております。また、当事者を講師に招き、全ての所属に配置をしております人権・同和問題啓発推進員を対象として、ガイドブックを活用した研修を先月開催したところでございます。今後も、性の多様性に対する県民の皆様の理解がさらに深まっていきますよう、今年度も当事者との意見交換会を実施し、そこでいただきました御意見を踏まえ、効果的な啓発に取り組んでまいります。  次に、生理の貧困に係る取組についてでございます。御提案がございました実態調査につきましては、今議会で早期議決いただきました、女性と社会のつながり支援事業において、コロナ禍で経済的困窮や社会からの孤立により不安を抱える女性に対する相談支援を実施することといたしておりまして、この相談支援の場において困難を抱える女性の実態を把握してまいります。また、生理用品につきましては、災害救助用備蓄生理用品の入替え時期に合わせ、県内の大学、短大、NPO法人を通じて、困難を抱える若年女性へ配布を行っているところでございます。さらに、より多くの女性が生理用品を入手できますように、来月から、この女性と社会のつながり支援事業を活用いたしまして女性支援を行う県の施設において配布をしてまいります。  次に、防災対策につきまして、アマチュア無線団体との連携活用についてでございます。今回の規則改正によりまして、災害ボランティア活動や地域の社会貢献活動等にアマチュア無線を活用できることとなりまして、通信手段の選択肢が広がったと認識をいたしております。県では、従来から地域防災計画において、災害が発生し、または発生するおそれがある場合で有線通信を利用することができない場合等に、非常通信としてアマチュア無線を活用することを規定しておりました。また、県総合防災訓練では、アマチュア無線団体に参加していただきまして、大規模災害であらゆる通信が途絶した場合を想定して、被害情報の収集、安否情報の伝達などの訓練を行っております。今回、こういった非常通信のみならず、避難所やボランティアセンターとの情報共有、消防団による防火パトロールあるいは遭難者の捜索時の連絡などでアマチュア無線が活用できることとなりましたので、今後アマチュア無線団体の協力をいただきまして訓練等を実施し、その有効性を確認いたしますとともに、活用方法を検討してまいります。  次に、福岡県の魅力再発見について、県内の魅力ある観光資源のPRについてのお尋ねがございました。県では、観光ホームページクロスロードふくおかにおきまして、トップページに桜やキャンプ場といった季節に応じたコーナーを設けまして、県内の観光情報を紹介をいたしております。また、インスタグラムを活用したプロモーションでございますディープフクオカにおきまして、地元の方しか知られていない魅力ある観光資源、例えば篠栗九大の森や浮羽の稲荷神社などを発信をいたしまして、誘客につなげてきたところでございます。昨年度はさらに、これまで取り上げてこなかった隠れた観光スポットを旅行者目線で紹介した観光PR動画、ふくおか避密の旅を制作いたしました。この動画では、女子旅、家族旅行といったストーリーの中で、北九州のおすし、岡垣町でのサイクリングなどを紹介したところでございます。テレビCMやSNSなどにより発信をいたしましたところ、動画の再生数は二百万回を超えたところでございます。今年度も引き続き、ふくおか避密の旅として全国の方々に知ってもらいたい県内の魅力ある観光スポットを盛り込んだ観光PR動画を制作し、多くの方に本県の新たな魅力を届け、誘客につなげてまいりたいと考えております。  次に、世界遺産の認知度向上と来訪促進についてでございます。世界遺産は、国や民族を超えて人類が共有すべき遺産でございまして、かけがえのない財産であります。このすばらしい遺産を確実に将来に引き継いでいくため、世界遺産としてふさわしい資産の保存を行う一方で、その価値を発信し、地域振興、地域活性化を図っていくことが重要であると考えます。県では、これまで地元の関係市と連携をいたしまして、世界遺産の価値を分かりやすく伝える映像や展示、多言語による紹介動画などを制作し、ガイダンス施設やウェブサイトで幅広く情報発信するなど、認知度の向上に取り組んでまいりました。また、沖ノ島を船の上から遥拝する遠望船の運航や遺産群を周遊するバスツアーの開催などにより来訪を促進してまいったところでございます。今年度は、明治日本の産業革命遺産の構成資産がある自治体と連携をしまして、世界遺産としての価値をウェブ上で一堂に紹介するデジタル企画展の開催、富士山世界遺産センターや堺市博物館等と連携した「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群のプロモーションの実施、両世界遺産の構成資産や関連施設を巡っていただく世界遺産スタンプラリーの開催など新たな取組を行いまして、認知度向上と来訪促進に取り組んでまいります。  次に、旅行者の県内各地への周遊の促進でございます。県内の各地に旅行者の方に周遊していただくためには、点在しております観光資源をテーマでつなぎ合わせた広域ルートを設定し、食べる、遊ぶ、泊まるを一体的に楽しめる新たな観光エリアをつくり出していくことが重要でございます。県では、昨年度から筑前玄海、八女・筑後など四エリアにおきまして、市町村や観光協会等と連携し、食、自然、歴史、文化などをテーマとした体験型の旅行商品の造成に取り組んでまいりました。その結果、宗像市大島で大自然を感じる乗馬体験や、久留米絣工房でのマスクの藍染め体験など二十八件の体験商品を造成をいたしまして、このうち十三件につきましては大手の旅行会社が順次販売を行っているところでございます。今年度は、四エリアの特色をさらに引き出すため、例えば筑前玄海であれば海の資源、八女・筑後であれば工芸というように、より具体的なテーマを設定する考えでございます。その上で、食の新メニューや新たな工芸体験といった魅力ある商品づくり、古民家を活用した個性ある宿泊施設の整備などを支援をいたしましてエリアの魅力を高めてまいります。このような取組によりまして、旅行者により長く滞在していただけるような新たな観光エリアをつくり出し、観光消費の拡大につなげてまいります。  最後に、移住、定住のこれまでの取組と今後の進め方についてでございます。県では、平成二十八年度に東京と福岡に移住相談窓口ふくおかよかとこ移住センターを設置をいたしまして、専任の相談員が各市町村における仕事や住宅、子育て支援等に関する情報を一体的に提供し、相談者のニーズに応じたきめ細かな対応を行っております。また、県の移住・定住ポータルサイトにおきましても、本県への移住に関する様々な情報を全国に発信をしております。こういった取組によりまして、センター開設以来これまで四百五十二組八百十三名がセンターを通じて本県への移住の決定をされております。移住元別の内訳を見ますと、関東圏が三百二十五組六百一人、その他の九州、関西をはじめ全国からでございますが百二十七組二百十二人となっております。新型コロナウイルス感染症の拡大を契機とした新しい働き方の広がりによりまして、都会から地方への新たな人の流れが生まれつつあります。この新たな動きをしっかりと受け止め、選ばれる福岡県を目指して、今年度から新たに東京事務所に専任の職員を配置し、企業や団体に対する積極的なプロモーションを実施いたしますとともに、二十四時間三百六十五日の問合せに対応するため、自動で返答できるAIチャットボットを導入してまいります。また、国の地方創生テレワーク交付金を活用いたしまして、本県内でテレワーク環境の整備に取り組む事業者の支援を行うなど相談体制や取組を強化してまいります。さらには、首都圏以外の移住希望者に向けた取組も強化をするため、今年度からは新たに大阪で移住相談会を開催いたしますとともに、移住支援金の支援対象を首都圏からの移住者だけでなく三大都市圏に拡大するなど全国からの一層の移住促進を図ってまいる考えでございます。 14 ◯副議長(江藤 秀之君) 吉田教育長。 *教育長答弁 15 ◯教育長(吉田 法稔君)登壇 スクールロイヤー制度についての所感及び本県における取組状況についてでございます。現在の学校においては、児童生徒間トラブルや外部からの過剰な要求など学校だけで対応することが困難な事案が生じております。このような場合に、スクールロイヤーとして初期段階から弁護士に関わってもらうことで事案の深刻化を予防し、速やかな問題解決につなげることができるものと認識しております。そのため県教育委員会では、福岡県弁護士会の協力を得て、学校長が弁護士から直接助言を受けることができる体制を構築するとともに、法的トラブル対応のためのガイドブックを作成をしております。このような取組を通じて、各学校の対応力を高め、適切な教育環境が維持されるよう支援してまいります。  生理用品に思い悩んでいる児童生徒の把握と対応についてでございます。各学校において定期的に実施している学校生活アンケートなどにより、生理用品に関する困窮の状況について、個々の状況の把握に努め、カウンセラーや養護教諭等による個別の健康相談を充実してまいります。現在、多くの学校では生理用品がない児童生徒には保健室に備えている生理用品を貸し出しておりますが、今後は小中高等学校において、家庭の事情により困窮した児童生徒には返却を求めない対応を進めてまいります。併せて、関係部局と連携し、今後の対応について検討してまいります。  三十五人学級実施の意義についてでございます。小学校の学級を三十五人以下とすることにつきましては、教員が児童と接する時間を多く確保できるため、児童一人一人の状況を把握しやすくなり、学習指導及び生徒指導の面で大きな効果があると考えております。併せて感染症予防など児童の安全性の観点からも重要な取組であると認識しております。また、こうした効果は教員の負担軽減にもつながるものであり、働き方改革の方向性にも合致するものと考えております。  三十五人学級の実施状況及び今後の取組についてでございます。本県では現在、市町村の判断で補助教員や加配定数等を活用した学級編制が行われており、今年度小学三年生以上のいずれかの学年で三十五人学級となっているのは五十市町村、そのうち小中学校の全ての学年が三十五人学級となっているのは十四市町村でございます。小学校における三十五人学級が令和七年度までに段階的に導入されることにより、毎年七十から九十人程度の定数増が見込まれることから、今後、定数全体の伸びや退職者数及び再任用者数等を推計した上で、必要となる新規教員の確保に努めてまいります。また、三十五人学級の導入に伴い普通教室が不足する場合は、各市町村において増改築や特別教室等を普通教室へ転用するなどの対応をすることになりますが、県としましては、国庫補助制度を含め必要な情報提供に努めてまいります。  特別支援学級への支援についてでございます。小中学校における特別支援教育支援員の配置経費につきましては、地方財政措置が市町村に対して講じられており、県教育委員会としては、積極的な配置を市町村へ要請するとともに、国に対してさらなる財政措置の拡充を要望してまいります。また、支援員の配置がない学校を含め各学校において、教員による適切な配慮の下に障がいの状態等に対応した教育が実施されるよう、引き続き研修や専門家による巡回相談などの充実を図ってまいります。  通級指導教室の適切な設置の推進についてでございます。通級担当教員につきましては、平成二十九年四月に施行された改正義務標準法により、令和八年度までに、これまでの加配方式から、対象の児童生徒十三人に対して教員一人を措置するという、いわゆる基礎定数方式に段階的に移行しているところでございます。なお、基礎定数基準に満たない市町村に対しましては、教員巡回型や複数市町村による共同設置など様々な通級の形態とその効果等について周知し、各地域の実態を踏まえた適切な通級指導の実施を推進してまいります。 16 ◯副議長(江藤 秀之君) 野村警察本部長。 *警察本部長答弁 17 ◯警察本部長(野村 護君)登壇 初めに、女性警察官の割合などについてお答えいたします。県警察における全警察官定員に占める女性警察官の割合は、本年四月一日現在で約八・八%でありますが、この数値は全国的には低い数値となっております。この原因につきましては、平成二十三年に警察庁から女性警察官の採用、登用の拡大計画の策定指示がなされましたが、その当時、全国警察の多くが、全警察官定員に占める女性警察官の割合を令和五年までに一〇%とする計画を策定いたしましたところ、本県警察におきましては、当時、総力を挙げた取組を行ってまいりました暴力団対策等の必要性から、一〇%の達成時期を令和十三年までとする計画を策定したことによるものでございます。しかしながら、その後増加傾向にあったストーカー、DV事案等に対応するため、本県警察では平成三十年に当時の計画を変更し、一〇%の達成時期を令和五年度までに前倒しいたしております。これに伴い、警察官採用者に占める女性の割合を毎年度二〇%以上とするよう採用を加速しており、今後も計画的な女性警察官の採用拡大に取り組んでまいります。  次に、女性警察官の配置状況及び今後の職域拡大についてお答えいたします。女性警察官の数は、採用、登用の拡大計画を策定いたしました平成二十三年には約五百五十人でありましたところ、現在は約九百九十人と約一・八倍に増加いたしております。その間、性犯罪をはじめ子供や女性の被害防止、支援対策等を強化するため、全ての警察署に性犯罪捜査に必要な教養を受けた性犯罪捜査官及び女性被害者に対する事情聴取、病院への付き添いやストーカー、DV事案の相談に対応する被害者支援要員として複数の女性警察官を配置しているほか、警察本部においても全ての部門に女性警察官を配置しております。また、現在は女性の活躍やキャリア形成を推進するため、警察本部の企画部門や捜査幹部等への登用を行っております。今後も、業務や職員の特性、社会のニーズ等に応じて配置するなど、女性警察官の活躍の場を拡大してまいります。  次に、女性警察官の幹部への登用状況についてお答えいたします。本年四月一日現在の警部補以上の幹部への女性警察官の登用状況につきましては、五年前の平成二十八年と比較しまして、警部補が五十一人増えて百二十六人、警部が八人増えて十一人、そして警視が二人増えて四人となっております。今後も女性幹部の育成に向けて各種キャリアアップ方策や仕事と家庭の両立を支援する制度のさらなる充実を図るとともに、若手職員のロールモデルとなるよう女性幹部を組織の中核となるポストに積極的に登用してまいります。  最後に、女性警察官の配置状況と女性の心情等に配慮した交番についてお答えいたします。議員御指摘のとおり、性犯罪被害等の相談窓口の整備は重要なことであり、県警察といたしましては性犯罪に特化した電話相談窓口の周知や被害者支援要員、性犯罪捜査官の配置などの取組を推進しております。このような中で交番につきましては、女性警察官を三十七か所の交番に合計約百人を配置し、そのうち三十三交番には交番の中に個別の相談室を設置し、相談しやすい環境づくりを行っております。今後も、交番が県民の皆様にとって身近で相談しやすい存在であるために、相談者等のプライバシー等に配意した相談室のさらなる整備促進に努めてまいります。また、議員御要望の女性安全ステーションなどの表示も含め、有効な取組について考えてまいりたいと存じます。 18 ◯副議長(江藤 秀之君) 以上で代表質問を終わります。  本日はこれをもって散会いたします。           午 後 三 時  三十分  散 会 Copyright © Fukuoka Prefecture All Rights Reserved. ↑ ページの先頭へ...