福岡県議会 2004-09-09
平成16年9月定例会(第9日) 本文
↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯議長(井本 宗司君) ただいまから本日の会議を開きます。
*議案上程
このたび、知事から第一七二号議案「平成十六年度福岡県
一般会計補正予算」
が、お手元配付のとおり提出されましたので、これを日程に追加し、報告上程いたします。
──────────────────────────────────────────
第一七二号議案 平成十六年度福岡県
一般会計補正予算(第二号)
──────────────────────────────────────────
2 ◯議長(井本 宗司君) この際、知事から提案理由の説明を求めます。麻生知事。
*
知事提案理由説明
3 ◯知事(麻生 渡君)登壇 本日、追加提案いたしました議案は、平成十六年度
補正予算議案一件で
あります。今回の補正予算では、台風十六号、十八号による被害に早急に対応する必要
があるものについて、その
災害対策経費を計上し、一般会計で九億三千六百万円余を追加することといたし
ております。これにより、一般会計の総額は一兆五千百六十一億二千百万円余と相なっ
ております。
歳入は、
国庫支出金などの特定財源のほか、前年度からの繰越金を計上し
ております。
次に、主な項目について御説明申し上げます。
災害復旧事業では、二次災害を防止するための緊急的な
風倒木対策を初め、林道、港湾、県立高校及び
社会福祉施設などの
災害復旧費を計上し
ております。
その他の災害対策では、治山事業、
地すべり対策事業などの
補助公共事業を措置するとともに、被災農家に対する当面の金融上の支援を行うため、
農業災害対策資金の融資枠を拡大することとし
ております。
以上
が提出議案の概要で
あります
が、慎重御審議の上、議決くださいますようお願い申し上げます。
4 ◯議長(井本 宗司君) 知事の説明は終わりました。
日程に従い代表質問を行います。順次発言を許可いたします。冨原茂昭君。(拍手)
*
冨原議員質問
5 ◯二十五番(冨原 茂昭君)登壇 皆さん、こんにちは。
県政クラブ冨原茂昭でございます。本日は、またまた招かざる台風
がやってきました。来
てほしくない台風です
が、その二十一号
が九州に上陸しました。小中学校の臨時休校あるいは交通機関もストップをする、さらに被害も発生し
ているように報道され
ています。台風は、これで今月三個目になります。しかも、九州への年三個の台風上陸は、平成三年以来十一年ぶりのことだそうで
あります。ことしはその三個
がいずれもこの九月に上陸したことになります。大きな被害を及ぼさないことを心から願っ
ているところで
あります。
それでは、会派を代表し
て質問を行います。この二十一号台風の前に、二度にわたり本県を初め多くの都道府県を襲った台風十六号、十八号は、県下に大きなつめ跡を残しました。重軽傷者百十五名、家屋の被害はおよそ千八百棟、河川や道路の損壊も多くの箇所に上っ
ています。とりわけ農業被害は、総額約百四十億円、林業関係七十八億円にも上ると聞い
ています。緊急を要する復旧対策への対応などの補正予算
が先ほど追加提案されました。このほか、必要な緊急対策を積極的に推進し
ていただくことを要望いたしたいと思います。これまで被害に遭われました県民の皆様方に会派を代表し
て心からお見舞い申し上げ、復旧に力を合わせ
て取り組んでいく決意を表明いたします。
それでは質問です
が、初めに、県政推進の基本姿勢についてお尋ねします。
国と地方との税財源のあり方を見直す
三位一体改革の一環として、
全国知事会など地方六団体
がまとめた「
国庫補助負担金等に関する改革案」についての協議
が、国の
経済財政諮問会議を中心に進められ
ています。改革案は、十二都県
が反対の立場を表明した
義務教育費国庫負担金及び
公立養護学校教育費国庫負担金の取り扱いについては、なお十分な議論を必要と考えます
が、地方団体
が統一案をつくったことは画期的なことで
あり、分権改革の流れを大きく前進させるもので
あり、意義
ある取り組みで
あったと一定評価するもので
あります。麻生知事を初め、
改革案づくりに携わった関係者の方々の御努力に敬意を表します。
そこで知事に、初めは改革案全体に関してお尋ねします。
一点目に、改革案全体の評価及び改革案を政府に提出した意義について、どのような所見をお持ちなのかお尋ねします。
二点目に、平成十七年度及び十八年度に廃止し
て税源移譲すべき
国庫補助負担金として約百五十項目、平成十六年度の国の予算べースで三兆二千二百八十三億円余
が示され
ています
が、これを本県に当てはめると、廃止される
国庫補助負担金の総額は幾らになるのかお聞かせください。
三点目に、改革案では税源移譲に当たって
個人住民税の一〇%
比例税率化により、所得税から住民税に三兆円程度の税源移譲を実施することを求め
ています
が、この方法
が実施された場合、本県への移譲額は廃止される総額をどの程度満たす額になると考え
ておられるのかお伺いします。
四点目に、改革案では平成十九年度から二十一年度までの第二期改革として、三兆六千億円程度の
国庫補助負担金の廃止と
地方消費税分の引き上げによる税源移譲
が示され
ています。第二期改革の考え方及び実現の可能性、さらに実現までの道筋について、知事はどのように考え
ておられるかお尋ねします。
次に、
義務教育費国庫負担金の問題についてお尋ねします。
全国知事会の議論の中でも、この問題については、
義務教育は国の責任で
あり、一般財源化すると財政的な差により教育の質に地域格差
が生じかねない、とする強い懸念
が表明されました。また、同じ
義務教育でも小学校分は除外し、中学校分だけを対象とするなど、
税源移譲額との数合わせにすぎないとの指摘も
あります。言うまでもなく、
三位一体改革は分権改革を実現するための手段で
あり、その目的は国と地方の役割分担の明確化と、国の関与を見直し地方の裁量権を拡大することに
あります。今回の議論は、三兆円という数値目標の達成
が優先される余り、
義務教育費国庫負担金の問題については、
三位一体改革の本質
が見失われ
ているように思われ
てなりません。この問題は、
分権改革推進と
義務教育の充実という点から、将来に重大な影響をもたらす問題ですので、より十分な議論
が必要で
あると考えます。そこで、知事に質問します。
一点目に、
義務教育費国庫負担金制度については、この間幾度となく本議会で意見書を採択し
てきました
が、この制度に対する議会の意思について、どのようにお考えなのかお尋ねします。
二点目に、ことし四月から
義務教育費国庫負担金制度に
総額裁量制が導入され、地方の裁量権
が大幅に拡大され
ています。
義務教育費のような
義務的経費の場合は、国
が財源を保障しつつ、地方に裁量をゆだねるといった
総額裁量制の方
が、一般財源化よりも地方分権の趣旨に沿うと考えます
が、知事のお考えをお聞かせください。
三点目に、負担金を廃止し一般財源化した場合、教育の機会均等は保障されると考え
ているのか、また一般財源化した場合、教育の機会均等の保障や教育水準の維持向上のための予算措置としては、どのような具体的な保障を考え
ておられるのかお尋ねいたします。
次に、教育長にお尋ねします。
義務教育費国庫負担金制度の果たしてきた役割について、どのように評価され
ているのか、教育長のお考えをお聞かせください。
次に、
県立病院改革について質問します。知事は、九月十日に遠賀病院、朝倉病院の移譲先及び
太宰府病院の
指定管理者について内定し公表されました。今後、十七年春の移譲、公設民営に向け、詰めの作業
が本格化し
ていくものと思われます
が、公募の際の選定条件に
あったように、現在の医療
がしっかりと引き継がれ、新たに付加される小児医療や救急医療などに十分こたえること
ができるか
が問われ
ています。そのこと
がきちんと果たされ
てこそ、患者を初め地域住民や県民の皆さんに安心できる医療
が提供できるものと考えます。
そこで、知事にお尋ねします。移譲される遠賀病院、朝倉病院については、県立病院
が主として行っ
てきた医療を現在地で引き継ぐとともに、地域から要望の多い医療機能の充実に取り組み、長期にわたる
地域医療の確保に努めることとされ
ています。二病院とも施設、設備の更新
が大きな課題となっ
ています
が、事業計画の中で建てかえ計画など
がどのように示され
ているのか、また移譲時に小児医療や救急医療に対応できる態勢
が確保できるのか、具体的にお答えください。特に、遠賀病院の移譲先に内定し
ている団体は、事業実績
がないため医療体制の引き継ぎ
が最重要課題だと考えます
が、医療スタッフの確保対策は十分整っ
ているのかお尋ねします。
次に、
太宰府病院の
指定管理者に内定された団体については、選定理由に
あるように、大学や関係団体との連携
が期待できます
が、当該団体は精神医療の実績
がなく、これまで果たしてきた県の精神医療の中核機関としての役割を十分果たし
ていくためには、現在の
医療スタッフとの事前協議や委託後においての県の関与
が重要と考えます。これらのことについて、県はどのような形で行い、精神医療の質を確保し
ていくのか、それぞれ具体的にお答えください。
また、当面存続する嘉穂、柳川の二病院についても、労災病院の統廃合問題や医師の確保問題など地域住民の不安は大きく、
地元自治体からも
地域医療の確保を求める声
が多く県に寄せられ
ています。
そこでお尋ねします。知事は、これまで当面存続する二病院については、医療の充実や経営改善
が必要で
あり、必要な医療機器の整備や
地域医療機関との連携強化に努めると答弁され
ています
が、予算の確保を含め、その実現をどのような形で実行され
ていくおつもりなのか明快な答弁を求めます。
次に、環境問題について質問します。県は昨年十二月、「福岡県の公共関与による
産業廃棄物最終処分場の確保について」を策定し、
新宮処分場事業の中止と、国
が提唱する
広域的廃棄物処理センター構想に沿っ
て事業を推進し
ていくことを決定しました。同
センター構想は、国
が広域的な
産業廃棄物処理体制を目的として、
最終処分場を含む
廃棄物処理センターを、
北九州地区をモデルとして整備しようと検討され
ているものと聞い
ています。本県の産廃の状況は、
最終処分量が平成十二年度でおよそ百六十三万トンで
あり、このままの状況で推移すれば、平成二十二年度中に容量不足の状態に陥るという、逼迫した状況に
あります。それだけに、
センター構想の一日も早い実現と構想推進のための着実な取り組み
が強く求められ
ているものと考えます。
そこで、知事に三点について質問いたします。
一点目に、国の
センター構想は全国何カ所で考えられ
ているのか、また北九州を
モデル地区とする構想のエリアはどのようになっ
ているのかなど、この構想の内容についてお聞かせください。
二点目に、
センター構想の着手年次、構想の実現時期などの具体的な工程と構想実現に向けた方針についてお聞きします。
三点目に、
センター構想は、国、県、政令市
が連携し
て取り組む事業で
あると聞い
ています
が、この中で県はどのような役割を担うのか、国、政令市との役割分担はどのようになっ
ているのか、また
センター構想は、県域を越え
ての取り組みで
あると聞い
ています。西日本の県や政令市で、公共関与の
処分場確保について本県同様、
センター構想に沿っ
て行うことを方針とし
ているところ
があるのかお尋ねします。
次に、雇用対策及び今後の労働行政について質問します。
知事は、新規に八万人の雇用をつくり出すことを公約に上げ、その具体策の第一の柱に
北部九州自動車一〇〇万台生産拠点を平成十九年度までに達成することを目標にされ
ています。先月、大分県中津市に進出したダイハツ工業の
自動車組み立て工場が完成しました
が、ことし十二月から年間十二万台の生産に入ると聞い
ています。また、これも先月のことです
が、宮田町の
トヨタ九州工場が二年後には四十万台体制に移行する増産計画を発表しました。苅田町の日産工場は既に五十万台の生産体制に
ありますので、これで一〇〇万台生産拠点
が平成十九年度までに実現することになりました。改めて、この成果を高く評価したいと思います。
そこで、知事にお尋ねします。
一点目に、いよいよ一〇〇万台生産拠点
が実現するわけです
が、これによって新たにどれくらいの雇用
が生み出されると考え
ておられるのか、お聞きいたします。
二点目は、
労働コスト削減に伴う雇用形態の問題です。総務省の調査によれば、この五年間に正規の雇用者は約四百万人減少し、かわっ
てパートや契約、嘱託社員などの非正規の雇用者
が急増、就業者全体の三分の一を占め、特に若年者に限っ
て見れば、非
正規雇用者の割合は四割にも上っ
ています。また
経済産業省の調査によると、製造業の生産現場では、
労働基準法により規制
がかかる雇用契約にかわっ
て業務請負契約が活用され、これらの労働者の数はおよそ百万人、
生産労働者の十数%に相当すると言われ
ています。私は、このようにせっかく新規に生み出される雇用は、正規のいわゆる正社員と呼ばれる雇用で
あるべきと考えます
が、知事はその実現についてどのようにお考えなのかお尋ねします。
三点目は、
本県労働行政における非
正規労働者の位置づけと支援策についてです。雇用形態の多様化とそれに伴う非
正規雇用者の増大は、今後も確実に続くものと判断できます。生活給や長期的な雇用
が保障されない非
正規雇用者の増大は、我が国の
社会保障制度への影響を初め、社会格差の拡大などさまざまな問題を生じさせること
が懸念されます。
正規雇用者を念頭に置い
てきた労働行政は、今大きな節目を迎え
ていると思います。そこでお尋ねします。
今後、非
正規雇用者に対しては、労働相談や事業主への啓発、
職業能力開発などの支援策の充実
が必要だと考えます
が、いか
がお考えでしょうか。
四点目は、教育長にお尋ねします。
厚生労働省は、九月十日に
労働経済白書を発表しました
が、その中で、社会問題となっ
ている仕事も求職もしない、通学もしない、
家事手伝いでもない、そのような
若年無業者が五十二万人に達し
ている、このこと
が明らかになりました。若者の職業能力の向上や
就職サポートの充実とともに、教育現場での職業観の醸成、形成
が必要と考えます。どのように取り組まれるのかお尋ねします。
次に、水産問題についてお尋ねします。福岡県は、筑前海、豊前海、有明海の三つの性質
が異なる海域を有し、それぞれの海域からは、四季を通じて新鮮でおいしい魚介類
が県民に提供され
ています。しかし残念なことに、県の水産白書によりますと、近年は各海域とも生産量
が減少傾向になっ
ています。この原因はさまざまな要因
が考えられます
が、近年、様子
がおかしいと言われ
ています福岡湾を例にとって幾つかお尋ねします。
かつて福岡湾は、筑前海という外海に
ありながら、その特異な地形条件によって、穏やかで魚の育成に適した生産性の高い海域で
あったことから、カレイやクルマエビなど
がたくさんとれるすばらしい漁場でした。ところが、近年は赤潮や
貧酸素水塊が多発し、アサリヘの影響など大きな被害を及ぼし
ています。そこで、質問いたします。
現在の福岡湾における海域環境や赤潮発生の状況はどのようになっ
ているのかお聞かせください。
また、赤潮の発生状況など海域の環境変化を広く関係者に通知するシステム
が必要ではないかと思います
が、その現状と今後の取り組みについてお尋ねします。
また現在、福岡湾を初め筑前海の海域環境の保全、改善にどのように取り組んでおられるのか具体的にお聞かせください。
この項の最後に、海は海だけで存在し
ているのではなく、大きな自然環境の中でつながっ
ています。海をよくするためには陸での対応も不可欠ですし、海と陸をつなぐ河川
が十分に守られなければならないと思います。そこで、福岡湾に流れ込む河川の水質の現状や監視体制はどのようになっ
ているのか。また近年、海の環境保全にとって山林の保全、育成も必要で
あると言われ
ています
が、海を生かす山林の保全、育成について、どのような対策をとっ
ているのかお尋ねします。
次に、有明海問題に対して知事の考えをお尋ねします。
去る八月二十六日佐賀地裁は、
有明海漁民が求めた
諫早湾干拓工事差しとめ仮処分の申請に対して、本事業
が有明海で生じた漁業被害の唯一の原因とまでは言えない
が、一定程度の因果関係は認められる、として漁民の主張を認め、漁民の中に不安
が広がっ
ています。平成十二年のノリ大不作以降今日まで、覆砂などの事業や
有明海特措法の制定による
有明海再生計画が取り組まれ
ています
が、貧酸素水塊の解消、
底生生物分布の改善、ヘドロ化の解消など、有明海の環境は依然として改善され
ていません。ノリ生産も十三年度は少し持ち直したにもかかわらず、十四、十五年度は再び大きく生産量
が減少し
ています。また、四年ぶりに再開できた
タイラギ漁業も漁獲高は約六千万円で、最盛期の半分以下と伸びませんでした。本年のタイラギの生息状況は、例年八月ごろから始まっ
ていたへい死
が、ことしは六月ごろから見られ、ほぼ全滅状態ではないかと見られ
ています。そこで質問します。
第一は、佐賀地裁
が行った
諫早干拓工事差しと
め仮処分決定が行われ、漁民は大きな不安を抱い
ています。有明海の再生に向け
て国
が示した調査や対策をどのように思われ
ているのかお伺いします。
第二は、環境悪化の
原因調査状況と今後の見通しについては、どのように考え
ておられるのか。
第三は、今日まで約七十億円かけ
て覆砂事業など
環境改善事業を行っ
てきました
が、その効果についてどのように評価され
ているのか。
第四は、全国の大学教授らでつくる有明海・
八代海研究者会議は、二枚貝など
底生生物資源管理のため保護区の設定などの第一次取りまとめを行いました。資源保護のため保護区の設定なども重要と考えます
が、県としての取り組みについてお伺いします。
第五は、国の
有明海再生計画を受け
て策定されることになっ
ている県の
年次実施計画を明らかにし
てください。
第六は、有明海の環境調査や水産振興などを図るため、国を含めた研究態勢の整備、強化についてお伺いします。
次に、筑豊産炭地域の振興の現状と今後の見通しについてお尋ねします。
旧産炭地域の振興対策として、
産炭地域振興臨時措置法など
が平成十三年度に失効し、現在五年間の
激変緩和措置が実施され
ています。福岡県は、平成十四年度から
激変緩和策としての
財団法人福岡県産
炭地域振興センターに造成された産炭地域新
産業創造等基金制度を活用し
て地域の振興を推進され
ています。この計画は、田川、直鞍・中遠、嘉飯山、大牟田の四地域に編成され、地域ごとの課題と振興策
がまとめられ
ています。現在三年目に入っ
ており、ちょうど中間点に当たります
が、しっかりした成果
が出され
ているのか、現状はどうなっ
ているかなど、推進状況のチェックと計画の見直しも必要ではないかと思います。特に、田川地域は厳しい状況
が続い
ています。平成十四年度に九州日通工、九州岩通など四社、そして十五年度は、三井鉱山及び香春太平洋セメントなど三社の撤退、倒産により、多くの女性や中高年労働者
が職場をなくしました。現在の田川の有効求人倍率は、全国平均
が〇・八三、福岡県平均
が〇・六九なのに対し、田川地区は〇・四一と半分以下の厳しい数字になっ
ています。生活保護率では全国
が九・八パーミル、福岡県一六・九パーミルに対して、田川郡は何と一〇三・八パーミルで
あり、全国の十倍、福岡県の六倍となっ
ています。こんな中で、明るいニュースも
あります。添田町に複合木材工場
が誘致されます。九月九日に古河機械金属株式会社と添田町
が、麻生知事の立ち会いのもとで立地協定の締結
がなされました。間伐材や廃プラスチックを原料にし
て複合木材を製造するものです。環境型産業として将来性の望める産業で
あり、地元の雇用の拡大にも大いに期待できるものです。県や添田町の大変な努力
があったもので、敬意を表します。
そこで、現在推進され
ている旧産炭地域四地域ごとの振興対策の具体的な成果と課題、今後の見通しについて、知事の認識と考えをお示しください。
この項の最後に、田川市に設置され
ているヤングワークFUKUOKAの売却問題について質問します。
ヤングワークFUKUOKAは、若年層の離転職率
が高まっ
ていることから、職業意識の高揚と情報提供を行うための専用施設として雇用開発機構
が設置し、県
が運営し
ている施設です。県内全域から多くの県民
が利用し
ています
が、雇用開発機構から売却の方針
が出され
ています。そこで知事にお尋ねします。
一点目に、ヤングワーク事業のこれまでの成果について、どのようにお考えなのか。
二点目に、事業の成果を今後どのような形で引き継いでいかれるのか。
三点目に、今後の施設の活用については、田川地域全体の浮揚を十分考慮し、県も積極的に協力と支援を行っ
ていくべきだと考えます
が、知事はいか
がお考えでしょうか。
次に、教育長に教育問題について質問します。
初めに、高校再編問題について教育長にお尋ねします。福岡県高等学校生徒受け入れの長期計画策定協議会は、九月六日、平成十七年度以降の高等学校生徒受け入れの十カ年長期計画を発表しました。生徒の受け入れは、これまで同様、公立六十、私立四十とすること
が計画の柱になっ
ています。これまでの実績に基づいた受け入れ比率は、公立と私立
が相互に協調し、連携し
て高等学校教育の充実に努めることを前提としたもので、今年度中に明らかにされる高校再編第二次計画にも影響を与えると考えます。その高校再編計画は、来年度田川地区の総合型産業高校など五校の開校で、計画は第二次の段階に移行します。そこで、教育長に今後の高校再編計画についてお伺いします。
最初に、これまでの高校再編第一次実施計画の果たした役割についてお尋ねします。県立高校
が百十一校から九十六校になり、中高一貫校など特色
ある学校十四校
が生まれた第一次の成果と課題、第一に、特色
ある学校づくりとしての高校全体に与えた影響。第二に、高校を受験する中学生と進路指導をする中学校側に与えた課題。第三に、基本設計の早期設定要求や地域からの要望などについて明らかにし
てください。
また、再編に伴う新高校の設置は限られた教育予算の中で実施されたもので
あるだけに、既存の他の高校に財政的なしわ寄せをし
ているのではないかとの心配
が起こっ
ています。現状はどうなっ
ているのかお尋ねします。
次に、第一次計画を生かした第二次実施計画についてお尋ねします。
最初に、第一次計画の成果と課題を生かした第二次計画の基本姿勢をお示しください。
次に、高校再編期間中の学級減についてお尋ねします。生徒受け入れを今後十年間、公立六十、私立四十とする長期計画は、生徒の減少傾向に歯どめ
がかからない中、県立高校の学級減も意味します。第二次実施期間中の平成二十年度までに県立高校全体で何クラスの学級減になるのか、また第一次実施計画で開校した新高校十四校へ及ぼす学級減と生徒減の影響、さらにはこれから実施する第二次計画に与える影響を明らかにし
てください。
最後に、今年度中に策定される第二次実施計画についてお尋ねします。第一次実施計画は、来年十七年度開校分で計画は区切りをつけます
が、再編前の高校の在校生
がいる平成十八年度まで
が第一次計画の終了となります。そのことを含め、第二次実施計画の実行開始時期とその根拠を明らかにし
てください。
次に、県立高校の再編整備に伴い、定時制高校を適切な時期に再編成するとの方針
が示され
ています。定時制高校は、さまざまな事情により高校で学べなかった人に教育を受ける権利を保障することはもちろん、最近では学校や社会で傷つき、問題を抱えた子供たちの最後の受け皿となっ
ています。定時制高校の再編成に当たっては、これらのことを勘案し、学びの場の保障と定時制教育の充実を念頭に取り組むべきだと考えます。そこで教育長にお尋ねします。
定時制高校の役割と意義について、どのような所見をお持ちなのか。また、再編成の具体案はいつごろ示される予定なのか。さらに、再編成については、どのような考えを基本に取り組まれるのかお尋ねします。
次に、警察行政について県警本部長にお尋ねします。
最初は、捜査費流用問題についてです。県警は七月、平成十年度から十五年度までの銃器対策課における捜査費、捜査報償費及び旅費の執行状況と、会計課
が銃器対策課など十四課から天引きし
ていたいわゆる基本経費についての調査結果を発表しました。総額約三千八百万円に上る組織的な不適正支出
があったことを認めるとともに、これを国と県に返還すると聞い
ています。しかし、県民の多くは、第三者を入れないいわば身内の調査で
あるだけに、調査そのものに対する信用性や不適正支出の使途などについて、なお疑念を持っ
ています。全部署の捜査費などの執行状況は現在調査中で、年内に結果
が発表されると聞い
ています。この問題については、今後外部調査を含むより厳格な調査を行い、一日も早く警察に対する県民の信頼を取り戻し
ていただくよう強く要望し
ておきます。
次に、交番、駐在所の再編についてお尋ねします。再編はパトロールの強化や交番、駐在所の確実な在駐などにより治安の回復を図ることを目的に行われました。再編前後の犯罪発生及び検挙状況、同じく再編前後の街頭犯罪等の発生状況を含め、一年間を経過した現時点において、再編をどのように評価され
ているのかお尋ねします。
また、交番の新たな設置要求についてはどのようにこたえ
ていくのかお尋ねします。
次に、暴力団対策と発砲事件等の凶悪犯罪に対する取り組みについてお伺いします。
昨年八月、北九州市の飲食店に暴力団組員によって手投げ弾
が投げ込まれ、爆発によって従業員
が重軽傷を負うという悪質かつ卑劣な事件
が発生しました。本議会においても、昨年の九月議会で「暴力事件根絶と暴力団壊滅に関する決議」を採択し、県民一丸となっ
て暴力追放と暴力団壊滅に向け、全力を尽くすことを宣言したところです。しかし本県においては、その後も今日まで発砲事件
が十数件に及ぶなど凶悪な暴力事件
が続い
ています。このような犯行は、県民の安心、安全な暮らしを脅かし、法と社会に対する重大な挑戦で
あり、根絶に向けた一層の強化対策
が強く求められます。この一年間の暴力団対策の取り組みと発砲事件に対する取り組みについて、それぞれの取り組みの経過と現状、また今後どのように取り組んでいかれるのかお尋ねします。
最後に、糟屋郡久山町に進出計画
が明らかにされたパラマウント・ムービー・スタジオ・パーク構想についてお聞きします。
先ごろ日本プロ野球再編をめぐって、九月十八、十九日に日本プロ野球史上初めてストライキ
が実施され、その結果、再編、新規参入等について合意を見ました。スト決定に先立ち、二つの企業
が参入を表明し、そのフランチャイズを宮城県仙台市と表明しました。そのことは、宮城県知事
が早々と会談の中で、新球団の歓迎と受け入れを表明した結果で
あると考えます。翻っ
て、久山町におけるテーマパーク構想に対する麻生知事の反応は、積極的にかかわる意思表明はなく、リスクのみを強調されたことは全く遺憾で
あり、残念なことで
あります。聞くところによると、開発者側は福岡県に対して、特段の支援を要請し
ているわけではないようです。そうした状況に
ありながら、積極的に対応されないことは、理解に苦しむところで
あります。福岡県は、アジアに最も近い西日本を代表する国際拠点都市づくりを標榜し
ています。そのような県
が、今回のような対応で今後に禍根を残すことにならないのか心配で
あります。久山町のテーマパーク構想については、この秋には国内のゼネコンやメーカーなど
が研究会やあるいは準備会社を設立し、事業計画や収支資金計画を作成する見通しになっ
ていると伝えられ
ています。今日まで、県としてこのテーマパーク構想について、どのようなかかわりを持っ
てこられたのか。また、知事の方針としては、この経緯を待っ
て何らかの対応を考えられるのか、ベンチャー企業育成には特段の見識、豊富な知識を持つ知事にふさわしい見解をお示しください。
以上、誠意のこもった答弁を期待をいたしまし
て最初の質問を終わります。(拍手)
6 ◯議長(井本 宗司君) 麻生知事。
*知事答弁
7 ◯知事(麻生 渡君)登壇 第一点は、今回の
国庫補助負担金などに関する地方側の改革案についてでございます。今回の
三位一体改革の進め方でございます
が、これはまず麻生総務大臣の方から税源移譲を先に決めるというやり方、いわゆる麻生プラン
が示されました。これを受けまし
て、骨太の方針で国から地方へ三兆円規模の税源移譲を目指すということ
が明示をされまし
て、これを前提としまして国の方から地方に対しまして
国庫補助負担金改革の具体案の取りまとめをするようにということ
が要請されたわけでございます。国から地方への本格的な税源移譲を実現する、そして地方分権を進め
ていく、このためにはこのような国からの要請に対しまして地方側できちっとした答えを用意する、これ
が不可欠で
あるというふうに考え
ております。
改革案の中身につきまし
ては、いろんな議論
がありました。多くの議論を経た末に地方案としてまとめ、国に対しましてボールを投げ返すということ
ができたということは、真の意味での
三位一体改革を進め
ていく上で非常に有意義で
あるというふうに考え
ております。
次に、本県におきます
国庫補助負担金の廃止された場合の総額でございますけれども、これは平成十六年度の予算ベースで試算をし
てみますと、おおむね六百五十億円程度になるというふうに見積もられます。一方、税源移譲の見込みについ
てでございます
が、今考えられ
ておりますのは、所得税を減税をいたしまし
て、
個人住民税をふやし
ていくというやり方でございまし
て、これによりまして三兆円規模の税源移譲を目指すということになっ
ております。その場合に、都道府県と市町村との間で移譲税源
がどのように配分されるかということは今後の問題となっ
ているわけでございます。したがいまし
て、計算といたしまし
ては、県分と市町村と両方合わせた数字でございますけれども、これはおおむね一千億程度になるというふうに見込まれるわけで
あります。
次に、第一期、第二期の改革という考え方を地方側の改革案は示し
ているわけでございます。これの基本的な考え方で
ありますけれども、我が国全体の財政の状況を見ますと、最終の支出につきまし
ては、国と地方の比率は国
が二、地方
が三になっ
ているわけで
あります。一方、税源の配分という点から見ますと、これは逆転をし
ておりまし
て、国
が三、地方
が二という状況になっ
ておる。つまり、支出と税源というものの間に大きな乖離
が生じ
ているわけで
あります。我々
が本当の意味で地方分権、自主的な活動をし、自立的な財政運用を行いますためには、国の方から地方へ税源移譲を行いまし
て、このような乖離を埋める必要
があるというふうに考え
ております。このような基本的な考え方のもとに、今回の案では国
が地方に要請しました十八年度までの改革だけではなく
て、さらに十九年度以降につきまし
ても第二期の改革だという全体としての構成をとっ
ております。そして、第二期改革でございます
が、第一期改革を実現するということに今全力を挙げなければいけないわけで
ありますけれども、第二期につきまし
てもその後の展望といたしまし
て今後とも我々地方
が一体となりまし
て、その実現のために国に求め
ていくあるいは全国的な知事会活動を強化するということをやっ
てまいらなければいけないと考え
ております。
次に、
義務教育費国庫負担制度につい
てでございます。御質問の中にも
ありました
が、この点につきましては、議会の方で幅広い視野から慎重に対処するようにという意見も提出をされ
ております。このようなことも考えながら、この問題に対処し
てまいりました。この
義務教育費の国庫負担制度につきまし
ては、全国で一定水準の教員の配置を確保し
ていく、この地域間の均衡を保っ
ていくということを通じまして
義務教育の機会の均等あるいは教育水準の維持向上に役割を果たし
てき
ております。今後は、
義務教育におきましても国
が最低限の基準として定めるもの、教員配置あるいは学力の水準、それの上にそれぞれの地方
が独自の教育の考え方、創意工夫を凝らし
て多様な人材を育て
ていくということ
が非常に重要で
あるというふうに考え
ております。したがいまし
て、地方六団体側におきましても幅広い議論をいろんな点から行っ
てき
ておりますけれども、このような基本的な考え方のもとに、改革案の中に
義務教育費国庫負担金を対象とするということになったわけでございます。
総額裁量制でどうだという点についてでございます。
総額裁量制なんですけれども、結局これは都道府県への国庫負担金の配分、これを国の方
が決めるわけで
あります。それとともに、その使途につきまし
ていろんな制約を国
が課すという基本的な構造は変わらないというふうに考え
ております。例えば、我々地方側でいろんな給与等について工夫をし
ていく、効率的な執行態勢をとっ
ていく、このようなことをやりまし
ても依然としてこれに相当する国庫負担金、これは人件費という形で使わなければ返還をするということ
が必要になっ
てくるというような基本的な制約を受けるということになりまし
て、これではやはり中途半端な改革ではないかというふうに考え
ております。先ほども申しましたけれども、やはり私どもは一つの考え方によって同じような教育を全国一律にするという点はある程度の水準までで、そこから先はやはりこの教育というのはいろんな考え方、方法
があるわけですから、それを地方
が独自の考え方を工夫し
てやっ
ていける、それによってやはり今からますます大事になっ
てまいります多様な能力を持つ、あるいはエネルギーを持つ人材を育て
ていくということ
が必要で
あると思っ
ているわけで
ありまし
て、このためにもこの
義務教育費国庫負担金につきまし
ては、基本的には全額を廃止し
て税源移譲をする、地方の裁量をもっと思い切っ
て広げるということに移行すべきで
あるというふうに考えたわけで
あります。
その場合に、
義務教育の機会均等とか教育水準は維持できるのかという御質問でございます。これは、今の高等学校の制度
が非常に参考になるというふうに考え
ております。高等学校につきまし
ては、これはまさに一般財源で我々は運営をいたし
ております。高等学校の進学率は九七%でございまし
て、実質的に
義務教育と同じような実態で
あります。これにつきまし
ては、国の方で教育の内容に関します最低限の達成目標基準を設け、教員定数の標準を定め
ているわけで
あります。その上に、各地域
がそれぞれの工夫をいたしまし
て教育を実施をいたし
ております。本県の高等学校も立派な成果を上げ
ておるというふうに考え
ているわけで
ありまし
て、地方の一般財源によりまして必要な教育水準は確保できるというふうに考えられます。また、今回このような一般財源化を中学にまで広げようということでございます
が、これは高等学校という上の部分からさらに中学というところまでその幅を広げ
ていこうという考え方でございまし
て、先ほど申しましたような国の方
が基準を定め、そしてまた税源移譲
がきちっと行われれば教育というのは水準を維持できるというふうに思っ
ております。
それから、県立病院問題につい
てでございます。
まず第一の、朝倉病院、遠賀病院の建物につい
てでございます
が、これはいずれも建てまし
て三十七年を経過をいたしまし
て、老朽化
が著しいわけで
あります。譲渡先の団体として内定をいたし
ております甘木朝倉医師会あるいは遠賀中間医師会とも譲渡を受けました後には、改築をするということで計画
が提示され
ております。
また、次の小児医療とか救急医療につい
てでございます
が、これは地域全体との協力、連携
が重要でございます。その意味で、内定しましたこの二つの団体、いずれも医師会でございまし
て、病診連携ということ
が非常にとりやすいという立場に
あるわけでございます。このようなことを考えたわけでございます
が、県といたしまし
ても小児医療あるいは救急体制、これにつきまし
てはきちっとした体制充実
が図られますように今後とも指導をし
てまいる考えでございます。
遠賀中間医師会については、
医療スタッフなど大丈夫かという御質問でございます。確かにこの医師会は直接医師会として病院経営の実績はございません。しかし、医師会員の多くの方々は医療機関、病院、診療所の経営者で
あります。こういう経営の経験も持っ
ておりますから、十分病院経営もでき、円滑な引き継ぎ
ができるものというふうに考え
ております。また、新病院の
医療スタッフの確保につきまし
ては、県といたしまし
ても積極的に協力をし
てまいる考えでございます。
次に、
太宰府病院につい
てでございます。この
指定管理者につきまし
ては、財団法人でございます医療・介護・教育研究財団に内定をいたしました。この財団で
ありますけれども、役員につきまし
ては、県内の四大学病院の病院長さんなども含まれ
ております。大学の関係者あるいは関係団体とのいろんな協力、協議
が進めやすいという性格を持った財団でございます。そして、県全体としての精神医療の向上
がここを拠点として期待される、あるいは経営面におきましても堅実な経営目標
が設定をされ
ております。収支の改善
が図られるものと考え
ております。このようなことから、県といたしまし
てはこれに内定したわけでございます
が、
太宰府病院は中核的な精神医療機関という性格を持っ
ておりますから、この役割を果たしながらいろんな経営改善もし
ていくということのために
指定管理者と協力、指導をし
てまいる考えで
あります。
残る二病院、柳川、嘉穂についてでございます
が、これは経営環境
がさらに厳しくなるということ
が想定されます。移譲されるまでの間、引き続き経営改善の努力をし
ていかなければいけません。このために、
地域医療機関との連携、救急患者の受け入れを進めますとともに、患者サービスの向上に努める。また同時に、いろんな費用についての見直しも行っ
ていきたいと考え
ております。御心配
がございました医療機能を維持する上でも必要な医療機器につきまし
ては、必要なものについては今後とも整備を図っ
てまいる考えでございます。
環境問題につい
てで
あります
が、広域的な
廃棄物処理センター構想についてでございます。この構想は、複数の地域で考えようということで出発をいたし
ております
が、現在具体的な形で検討
が進んでおるというのは、
北九州地区が中心でございます。その意味で、まさに先行プロジェクトということになります。この構想の考え方でございます
が、これはエコタウン事業
が北九州で進んでおります。また、リサイクル産業
が集積をし
ておる、このような北九州という地域の特性を生かしまし
て廃棄物のリサイクル、最終処分を県境を越えた広域的な形で一体的に行うというシステム、これをつくっ
ていこうという考え方で国の方から提唱され、検討
がなされ
ておるというものでございます。
この構想の具体化についてでございます
が、これは建設場所、規模、処理対象の範囲、事業採算性といった課題を具体的に検討をしなければいけません。今後は、国
がその前提となりますいろんな調査を行っ
ておりますから、その調査結果を活用しながら国、関係自治体と幅広く協議を進め
てまいりたいと思います。そして、廃棄物の適正処理に支障
が生じないように構想の実現に努め
てまいる考えでございます。
この構想を進めるに当たりまして、県の役割でございます。これは、都道府県域を越えた広域的な廃棄物処理を行おうという事業でございます。したがいまし
て、基本的には国
が参加自治体の調整の役割を担うわけでございます
が、当然、立場上福岡県もその調整という点では大きな役割を果たさなければいけないと考え
ております。
同時に、この構想については近隣の自治体でもいろんな形で検討
がなされ
ておりますから、その協力も図っ
ていく必要
があると考え
ております。
次に、雇用対策についてで
あります。
まず、自動車一〇〇万台生産拠点構想についてでございます
が、これはトヨタの方
が増産体制をとるということになりました。これだけを考えまし
ても、倍増されれば現在三千人ですから相当大きな直接雇用
が生まれるということでございます。ダイハツの中津の工場も積極的に採用を始め
ておりますし、日産九州工場も増産の方向に
あります。このような直接雇用
が増加し
ていくということでございます。
次に、関連の部品、材料企業の新しい立地も進んでおります。これらの新企業群によります雇用の増加も進んでおります。また、地場企業
が新たに参入するとか、我々は地元調達を大幅にふやし
てもらいたいということを強く求め
ております
が、これもその方向で努力
がなされ
ております。こういう点からも新たな雇用
が生み出されるというふうに考え
ております。このようなことでございまし
て、八万人雇用計画では、自動車の分野では一万三千人を期待をし
ておるわけでございます
が、この目標は、予定をし
ております期間内に何とか実現できるんではないか、また実現しなければいけないというふうに思っ
ているわけで
あります。
次に、正規の雇用と非正規雇用についてどのように考え、支援するかという点でございます。このパートとか契約社員といういわゆる非
正規雇用者が増加をし
ておりますけれども、その背景には産業構造
が変わっ
てき
ておる、特にサービス産業のウエート
が非常に高くなっ
ておる、あるいは国によりまして雇用関係の法令の規制緩和
が行われ
ておるということ
がございます。一方で、多様な働き方を求める勤労者の意識の変化ということも大きいわけでございます。県の方では、雇用形態にかかわりなくだれも
が安心し
て働くこと
ができるという労働環境の整備を行わなければいけない。そして、いわゆるフリーターといった定職になかなかつくこと
ができない若年者に対する支援、これを特に重視し実施し
ていく考えでございます。このため、労働条件や雇用上のいろんなトラブル、これにつきまし
て積極的に労働相談を実施をし
てまいります。また、各種のセミナーの開催、いろんな資料の配布などを事業主に行いまし
て啓発をし
てまいります。また、七月に開設をいたしました若年者しごとサポートセンターにおきましても職業能力教育を集中的に進めることによりまして若者の就職促進を図っ
てまいる考えでございます。
水産対策についてで
あります。
まず、博多湾の最近の状況でございます
が、博多湾の水質とか底質につきまし
ては、近年大きな変化はないわけでございますけれども、湾の奥の一部では
貧酸素水塊の発生
が見られるという状況でございます。また、近年の赤潮発生件数は減少いたし
ております。しかし、その中で漁業に影響を及ぼすような種類のもの
が見られるというような状況でございます。
赤潮情報で
ありますけれども、これは関係漁協、市町村へ速やかに通報いたし
ております。また、県のホームページ、携帯電話でもいつでも見られるようにいたし
ております。また、特に福岡湾につきまし
ては、福岡湾赤潮発生情報として掲載をいたし
ております。また、漁業に影響を及ぼすような赤潮
が発生しました場合には、このような方法に加えまし
てマスコミ等にも積極的に情報の提供を行っ
ているわけでございまし
て、このような多様な情報提供、適切な情報提供を行っ
てまいる考えで
あります。
筑前海の海域の環境保全についてでございます。定期的に水質、底質のモニターを県は実施をいたし
ております。今申し上げましたように、赤潮の観測
が行われました場合には、海域環境の把握に努め
ているわけで
あります。環境の悪化した漁場につきまし
ては、覆砂によります底質の改善、堆積物の除去などを行いまし
て海域の環境の改善を行っ
ております。
博多湾に流れ込みます河川の水質でございます
が、水質測定計画を策定をいたし
ておりまし
て、県と福岡市
が協力をいたしまし
て定期的に水質検査を行っ
ております。下水道の整備によりまして生活排水対策
がずっと進んでまいりました。その結果、有機物の汚濁指標で
あります生物化学的酸素要求量という難しい名前で
あります
が、これにつきまし
ては二十三カ所の環境基準点のうち、平成十五年度は二十カ所で環境に適合いたし
ておりまし
て、適合率は八七%になっ
ています。だんだんこれは改善の方向に
あります。
次に、海の保全と森林保全との関係についてでございます。森林そのものにつきまし
ては、直接的には水源涵養機能を持つということでございます。同時に、森林
が保全される、その結果肥沃な土壌に含まれますミネラルといった栄養素
が河川を通じまして海に供給をされる、これ
がいろんな栄養となりまし
て豊かな海をはぐくむということになる循環でございます。したがいまし
て、森林整備の促進、啓発の意味から、そしてまた海との関係を考えまし
て、植林ボランティアの一環として漁業者
が行っ
ております植樹活動に対しましても支援を行っ
ているわけで
あります。
有明海再生問題につい
てで
あります。国
がこのために示し
ております調査、対策でございます
が、これは私ども県、漁業者に対しまして、もう少し具体的な説明、協議
が必要というふうに考え
ているわけでございます。県の方では、これらの内容、調査
が明らかになり次第、この内容についての当然いろんな検討を行います。また関係者と検討を行いまし
て対応をし
ていきたいと考え
ております。いずれにしまし
ても、有明海の再生ということは、一つはやはり漁業者
が理解をするということ、あるいは漁業者の協力
が得られるということでございます。このためにも、いろんな原因究明調査とそしてまた再生のための各種対策を総合的に講じ
ていかなければいけないというふうに考え
ております。
次に、有明海の環境調査で
ありますけれども、これは国と有明海沿岸の四県で連携をし
て行っ
ております。潮位の差、流速の減少、あるいはタイラギといった二枚貝に悪影響を与える
貧酸素水塊の状況、そして小潮時に発生しますこの水塊の発生状況、こういうことについてずっと調査をいたし
ております。また、本県の方では特に潮流とノリの色の関係を研究をし
てまいりました。これも積極的に実際の漁場で利用し、改善をし
ておるわけでございます。今後ともこのようないろんな海域の実態究明調査は有明海全体を入れまし
て四県の連携及び国との協力、こういうことを図りながら進め
てまいる考えでございます。
覆砂事業など
環境改善事業についてどうかということでございます
が、覆砂事業の効果でございます
が、底質の汚濁指標で
ありますCOD──先ほど難しい言葉で言ったあの生物……の状況でございます
が──、それから生物にとりまして有害な硫化物の量、これ
が大幅に減少するということ
が見られ
ています。そしてまた、色落ちの原因となりますプランクトンの発生あるいは
貧酸素水塊の発生、これも抑制されるという観測結果になっ
ております。さらに、アサリといった有用な底生生物
が増加をし
ていくということ、こういうことを通じまして漁業生産の向上、水質の浄化に役立つものというふうに考え
ております。
二枚貝などの保護区の設定についてでございます。二枚貝は重要な水産資源で
あります。アサリにつきまし
ては、昨年度から本県の地先に区画漁業権を設定をいたしました。サルボウにつきまし
ては、天然採苗技術の指導を行いまし
て漁業者みずから資源の増大管理に取り組んでおります。また、アゲマキの方でございます
が、これは漁業法に基づきまし
て塩塚川の河口域に保護区を設けまし
て資源の増大を図っ
ております。
県の有明海再生のための
年次実施計画でございます。この計画に基づきます具体的な事業でございます
が、これは毎年度見直しを行い、下水道の整備、浄化槽の普及促進、底質改善のための覆砂事業の重点的な実施、低栄養に強い新しいノリ品種の開発、クルマエビの共同放流などによります資源の回復に鋭意取り組んでおります。今後とも、このような対策を総合的にそしてまた計画的に推進をし
てまいります。
有明海におきます研究態勢につい
てでございます
が、先ほど申しましたように、四県での協力
が不可欠で
ありますし、また研究態勢、しっかりしたものを持っ
ていかなければいけないと考え
ております。昨年七月には国の機関でございますけれども、西海区水産研究所の中に特に有明海と八代海の漁業環境研究センター
が設けられ
ております。このセンターと我々四県の研究機関、これ
が研究調整をし、またお互いにデータを交換をし、共通のデータベースを構築しようというような取り組みも行っ
ているわけでございます。このようなことでございまし
て、機動的な研究
ができますように協力態勢あるいは研究態勢の充実を図っ
ているわけで
あります。
産炭地域の振興対策についてでございます。四つの地域ごとにどうだという御質問でございます
が、まず大牟田地域で
ありますけれども、これは環境リサイクル産業いわゆるエコタウン事業をやっ
ております。これの結果といたしまし
て、新しい創業あるいは関連企業の立地
が進みつつ
あります。さらに、基幹的な交通網の整備、港の整備を進めながらテクノパークへの企業誘致、こういうものを促進をし
ていく必要
があると考え
ております。
筑豊地域で
あります
が、まず嘉飯山、直鞍地域で
ありますけれども、この地域は、一つは情報関連企業
が非常に活発に活動をし
ておるという状況でございます。加えまし
て自動車関連企業、これ
が非常に、トヨタ
が増産をするとかあるいは関連企業
が立地をし
てくるという活発な動きになっ
てき
ております。全体として非常に明るい方向に進んで
いると判断をいたし
ております。一方、田川地域でございます
が、コールセンターとかあるいは県立大学
が中心になりまし
て福祉用具の開発というような動きも見られるわけで
あります
が、一方でセメント製造工場の相次ぐ閉鎖ということ
がございます。こういったこと
がございまし
て、非常に厳しいという状況でございます。
筑豊地域の今後でございますけれども、先ほどのような自動車を中心としました立地促進またその地域内で新しい企業をつくっ
ていくという活動
が飯塚を中心に活発でございます
が、それの支援を行っ
ていく、同時に関係の道路、インフラを整備するということを積極的にやっ
てまいる考えでございます。同時に、観光とか農業という点、ここにも大きな可能性
があるというふうに考え
ておりまし
て、その可能性の実現を目指しまし
ていろんな研究、あるいは地域との協力を図っ
てまいる考えでございます。同時に、産
炭地域振興センターの基金、これ
が非常に有効なものとして
あるわけでございますから、これを活用しながら関係の市町村の意欲を一層喚起をする、その前向きな努力を促しながら地域一体となっ
て振興を進め
ていく考えでございます。
ヤングワークFUKUOKAの問題につい
てでございます。このヤングワークFUKUOKAは、田川で実施し
ておる事業でございます
が、これは筑豊地域におきます若年者の職業観の形成のための適職診断、情報提供を総合的に行っ
てまいりました。若年者の就業促進はもとよりでございますけれども、職業教育の重要性に関しましての理解、促進に一定の成果を上げたということでございます。今回、このような考え方のもとに、国におきましては施設の売却方針
が出され
ているものでございます。県といたしまし
ては、今後このヤングワークFUKUOKA事業のこれまでの取り組みも参考にしながら、全県的な視野に立ちまし
て、七月に若年者しごとサポートセンターを設けました。ここでは、就業支援あるいは職業教育に加えまし
て、職業観というものをしっかり身につけ
てもらおうという活動も行っ
ているわけでございます。
譲渡後の施設の活用につきまし
ては、田川市の考え方も十分聞きながらどういう支援、協力
が可能かということにつきまして検討をし
てまいる考えでございます。
パラマウント・ムービーによりますテーマパーク構想についてでございます。このテーマパーク構想、これ
が実現をいたしますと、新しい観光、集客産業
ができるわけでございまし
て、これに寄与し、その経済波及効果、雇用創出効果は広範なものになるというふうに期待をします。今後、この事業化に向けまし
て研究会
がつくられまし
て、事業主体あるいは事業計画などについての検討
がなされるというふうに聞い
ておりますから、その状況について情報収集に努め
てまいる考えで
あります。
8 ◯議長(井本 宗司君) 森山教育長。
*教育長答弁
9 ◯教育長(森山 良一君)登壇 まず、
義務教育費国庫負担金制度の役割につい
てでございます。本制度は、すべての小中学校に必要とされる標準的な教職員の配置を確保することによりまして、
義務教育の機会均等と全国的な教育水準の維持向上に大きな役割を果たしてきたと認識をいたし
ております。
次に、教育現場での職業観形成の取り組みについ
てでございます。今日の若者の就職状況にかんがみますと、学校教育におきまして小学校段階から発達段階に応じ
て系統的に職業観の育成に努めることは極めて重要な課題で
あるというふうに考え
ております。これまでも、小中学校のやるキッズボランティア活動とか、職場体験、あるいは高校でのインターンシップとか、社会人特別講師の招聘、あるいは進路別のガイダンスの実施などのさまざまな取り組みを行っ
てきたところでございます。今後は、労働局など関係機関との連携を一層深めまし
て働くことの意義を理解をさせるとともに、将来の職業人としての資質、能力を高めるキャリア教育のより一層の充実に努め
てまいる所存でございます。
次に、高校再編
が高校全体に与えた影響についてでございます。県立高校の再編整備は、魅力
ある教育内容を整備した特色
ある学校づくりを推進するものでございまし
て、再編の対象校のみならずすべての高校に共通の課題で
あります。このため、各学校それぞれで教育内容や指導方法の工夫改善等に取り組んでおりますけれども、さらに再編により誕生した新高校の取り組みに触発されまし
て、より一層の特色づくり、魅力づくりの機運
が高まっ
ているところでございます。このような点につきまし
て、高校再編は県立高校教職員の意識改革を促しまし
て、全体として学校の特色化、活性化につながっ
ていると考え
ております。
次に、高校再編
が中学校に与えた影響についてでございます。平成十五年度に開校をいたしました新高校におきましては、地域における広報活動を行う際に、再編そのものに対する理解を得ることに重点を置いたことから、新しい教育内容等についてのアピール
が不足をし
て、その結果中学生一人一人に対しまして進路選択に必要な情報
が十分に行き渡らなかったという指摘
があったと受けとめ
ております。こうした課題を踏まえまし
て、十六年度以降の開校分につきまし
ては、教育内容等に関する広報活動の充実に努め
てきたところでございます。
次に、新高校の基本設計についてでございます。基本設計の早期実施という地域の要望につきまし
ては、しっかりと受けとめ
ておりますけれども、新高校の開校に当たりましては、準備委員会での検討を経まし
て開校の二年前に教育内容の概要及び設置場所を定めた後に開校前年度に基本設計の中で具体的な整備内容を検討し、さらにカリキュラムの実施に支障のないように年次計画を立てた上で施設の整備を進め
てきたところで
ありますところから、その実現はなかなか難しい面
があるわけでございます。これからの開校作業に当たりましては、可能な限り要望に沿えるよう努力をし
てまいる所存でございます。
次に、既設校の施設整備の現状につい
てでございます。高校再編整備計画に伴う新高校の施設整備に要する予算につきまし
ては、既設校の施設整備とは別途に措置いたし
ておるところでございます。したがいまし
て、再編校を除く既設校の老朽化に伴う校舎等の改修や危険箇所の修繕などにつきまし
ては、計画的な施設整備に努め
ておるところでございまし
て、今後とも厳しい財政事情の中では
ありますけれども、児童生徒の安全確保に最大限の配慮を行いながら、その充実に努め
てまいりたいと考え
ております。
次に、第二次実施計画の基本姿勢につい
てでございます。県立高校の再編整備につきまし
ては、今後の中卒者数の推移等を踏まえながら第二次実施計画を策定し
ていく必要
があるわけでございます。その策定に当たりましては、第一次計画の成果と課題を踏まえまし
て、校長を初め教職員のさらなる意識改革を徹底をいたしまし
て、広報活動を効果的に行うとともに、それによって中学生や地域の理解促進に努めるとともに、開校準備の計画的な進行を図りまし
て教育諸条件の整備に適切に対応をし
てまいりたいと考え
ております。
次に、高校再編期間中の学級減についてでございます。今後、地区や年度によりまして多少の増減は
ありますけれども、平成十七年度から二十年度にかけまして公立高校全体でおよそ二十学級程度の学級減
が見込まれ
ております。現行の高校再編基本計画は、二十年度までの生徒数を見越し
て策定をいたしたものでございまし
て、計画策定当時の推計と今回の推計との間にも大きな違いはないということから、基本計画を修正するほどの影響は生じ
ては
いないと考え
ております。なお、地区によりましては相当な学級減
が必要な年度も
ありまし
て、再編までの必要はないものの、既設校だけでは対応できない場合には新高校でも学級減を行う必要
があると考え
ております。
次に、第二次実施計画の開始時期についてでございます。第二次実施計画につきまし
ては、第一次計画の進捗状況等を踏まえながら本年度内を目途に策定をいたしたいと考え
ております。実施時期等の具体的な内容につきまし
ては、計画策定後に設置をいたします新高校準備委員会における検討の成果等を踏まえ
て決定をすることといたし
ておるところでございます。なお、その際には第一次計画における課題を踏まえまし
て地域や中学生等に対する十分な広報、周知、計画的な施設整備の実施等に配慮をいたしまし
て、開校時期を適切に設定をいたしたいと考え
ております。
次に、定時制の役割と意義につい
てでございます。現在、定時制高校は勤労青少年に就学の機会を提供する場で
あるとともに、高校中退者等さまざまな学習歴や生活条件を持つ生徒の学習の場としての役割も担うようになっ
てき
ております。県教育委員会といたしまし
ては、こうした状況に適切に対応するために定通併修とか修業年限の弾力化、あるいは単位制の導入など生徒の多様化に応じた柔軟な学習システムへの転換に取り組んでき
ておりまし
て、今後ともさらに充実を図っ
てまいりたいと考え
ております。
最後に、定時制の再編成についてでございます。定時制の再編成につきまし
ては、このたびの高校再編基本計画の中で、普通科を各学区におおむね一校程度とする方向性を定め
ておりまし
て、今後もこの方針に沿っ
て進め
ていくことといたし
ております。その具体的取り組みに当たりましては、近年中卒者の減少にかかわりませず一部の定時制には志願者の増加
が見られるということ、それから高校中退者の入学など学習ニーズ
が多様化し
ておるということなどから、高校再編に伴う生徒の進学動向の変化等も踏まえまし
て検討し
ていく必要
があると考え
ております。なお、具体の内容につきまし
ては、入学希望者等への周知期間の確保を考慮いたしまし
て、適切な時期にお示しできるように配慮し
てまいりたいと考え
ております。
10 ◯議長(井本 宗司君) 廣畑警察本部長。
*警察本部長答弁
11 ◯警察本部長(廣畑 史朗君)登壇 まず、交番、駐在所の再編後の状況についてお答えします。昨年八月の交番、駐在所の再編後一年間の犯罪情勢は、前年同期に比べ刑法犯認知件数は一二%減少で、マイナス一万九千九十件、検挙件数は一九・八%増加で、プラス六千五百三十二件、検挙率は二八・二%で七・四ポイントの増加となっ
ており、県民
が身近に不安を感じる車上ねらいやひったくりなどの街頭犯罪等についても認知件数は一九・一%減少し
ております。また、県民の皆様からはパトカーや制服警察官の巡回をよく見かける、夜間の巡回をし
てもらい安全だ、安心だ、地域住民の共同パトロールに参加し
てもらい心強い、といった声
が多く寄せられ
ており、全体として一応の評価は得
ているものと考え
ております。しかし、一部には交番、駐在所
がなくなっ
て不安だ、再編後も交番にだれも
いないこと
がある、巡回をもっと頻繁に行っ
てほしいとの声
があることも承知し
ており、これらの意見や要望を真摯に受けとめながらパトロール活動等のさらなる強化を図り、安全で安心し
て暮らせる地域社会の実現に今後とも努め
てまいりたいと考え
ております。
また、交番の新たな設置要望に対する考え方につい
てで
あります
が、今後それぞれの地域における治安情勢の変化などを総合的に勘案し、検討し
ていくこととし
ております。
次に、この一年間の暴力団対策と発砲事件等に対する取り組みについてお答えします。
まず、暴力団対策の取り組みについ
てで
あります
が、県民の安全で安心な生活を確保する上において、暴力団対策は極めて重要で
あるとの認識のもと県警察の最重要課題の一つに掲げ、継続した取り締まりと、行政、地域住民等と連携した暴力団排除活動を強力に推進し
ているところで
あります。特に、
北九州地区における工藤会対策につきまし
ては、昨年八月、小倉北区内において発生した手りゅう弾投てき事件以降、堺町特別対策隊を設置するとともに、これまでに十三回に及ぶ集中取り締まりを実施し、工藤会本部事務所など延べ四百三十二カ所に対する捜索を行い、組長を含む幹部など延べ三百四十七人を検挙し
ているところで
あります。
最後に、発砲事件等に対する取り組みについ
てで
あります
が、本年九月現在、既に十五件発生し
ているところから、関係各部門の有機的連携のもと、組幹部の検挙に向けた突き上げ捜査等を行っ
ているところで
あり、これまで二件について暴力団組長など十人を検挙し
ているところで
あります。今後とも、県警察では発砲事件の検挙を図ることはもとより、暴力犯罪の根絶を目指し、総力を結集した取り締まりを継続するとともに、暴力団関係者の公共工事からの排除、地域、職域を巻き込んだ暴排活動など多面的な暴力団排除活動についてもより一層強力に推進し
ていく所存で
あります。
12 ◯議長(井本 宗司君) 冨原茂昭君。(拍手)
13 ◯二十五番(冨原 茂昭君)登壇 御答弁ありがとうございました。残り時間
が少ないようですので、絞っ
て再質問させ
ていただきます。
一つは、
義務教育費国庫負担金についてです。知事は、現在の高等学校
がこの制度の参考になるというふうにお答えになりました
が、高等学校は全体の四割
が私立の高校
が補完し
ているし、その高等学校と義務制を比較をするところには問題
があるんじゃないか、同列には論じられないんじゃないかというふうに疑問を持ちます。そういうことで、これについてもっと根拠を明示し
て説明をいただきたいと思います。
二つ目に、国
が設定した基準を税源移譲等によって適切な財源処置
があればということで、
義務教育の機会均等や水準
が十分確保できるというふうに言われ
ています
が、適切な財源措置というあいまいな言葉、これで本当に確保できるのかということ
が疑問で
あります。そういうことで、適切な財源措置はどのようにし
て担保するのか、そのことについて知事の考えをお聞かせください。
三つ目に、産炭地問題です。この旧産炭地筑豊の中で、現状では地理的な条件
が最も悪い田川地域の振興、これは福岡県にとっても大きな課題ではないかというふうに思っ
ています。その田川では、高校、大学を卒業し
て地元で働きたい、地元で暮らし
ていきたいという若者はたくさん
いるわけです。しかし、先ほど申しましたように、求人は県内の各地区に比べまし
ても極めて厳しい状況に
あります。田川地区の振興のためには、次代を担う若者たち
が地元で生き生きと働ける、暮らし
ていける、そのための職場をつくり出し
ていくこと
が何よりも重要だというふうに思います。そのような現状の田川について、麻生知事は田川地区の振興についてどのような見通しを持ち、今何
が必要というふうに考え
ておられるのか、知事の思いを聞かせ
ていただきたいというふうに思います。
最後に、教育長に再度お尋ねします。今年度中に策定される高校再編第二次計画、第一次の成果と課題、そして地域の要望を生かし
て計画し
ていくというふうに答弁をされ、その強い意思を受けとめること
ができました。それならば、新高校の施設設備の基本設計にその声
が最大限生かされるべきだというふうに思います。その基本設計
が第一次の計画と二次でも同じように、開校の一年前からのままになっ
ている。これでは、開校後に生徒
が入学し
ても常に校舎改築工事
が行われ、生徒の学校生活と授業に大きな影響を与えることは当然で
あります。そのことを解消するためには、余裕を持っ
て二年前から基本設計に取り組めば校舎の改築、おおむね終了するんではないか、なぜそのような改善
ができないのか、その理由についてもっと明確にし
ていただきたいというふうに思います。そして、さらに開校作業は可能な限り要望にこたえるよう努力すると答弁をされ
ています。ぜひ今度設置される新高校準備委員会
が二年前からの基本設計をやれ、望むというような要望
が出された場合、どのように対応し
ていくのか、教育長のこのことに対する明確な答弁をお願いし
て再質問を終わらせ
ていただきます。(拍手)
14 ◯議長(井本 宗司君) 麻生知事。
15 ◯知事(麻生 渡君)登壇 第一点は、
義務教育費国庫負担金の問題につい
てで
あります。高等学校教育でやっ
ておるじゃないかということについて、高等学校は私立の比率
が非常に多いので、中学と同列に論じられないという点ですね。確かに、大体六対四ということで私立の比率
が大きいわけで
あります。ただ、中学でもですね、ちゃんと中学校には私立学校
があるんですね。問題はですね、公立の我々の高等学校
がどういうやり方で運営され
ておるかというと、先ほど申し上げましたように一般財源で、しかし教育の水準、教員の定員配置は最低限ここまでやるんだというはっきりした国全体としての一定の水準の明示
があって、そこから先はいろいろ工夫してやろうというやり方ですね。そういうやり方で私どもの高等学校はしっかりやっ
ておるという実際の実態
があるわけですから、それを考えれば中学にそれを及ぼし
ても必ずやれるはずで
あると、そのような同じようなシステムでやれるはずで
あるというふうに考え
ておりますし、それだけの能力は我々は持っ
ておるんじゃないかというふうに思うんですけどね。
それから、二番目の財源措置は大丈夫かということについてでございますけれども、今回の改革案でまさにそこ
が非常に大事な点なんですね。今回の場合には、先に国の方で約三兆円のこういうやり方で税源移譲をやるんだという、それ
が先に出
てき
てます。それとの対応で我々の国庫負担金の廃止という案を出し
ておるわけです
が、出すに当たりましては、当然のことですけれども、繰り返し、第一は税源移譲
がちゃんと行われるということ
が一体でなきゃいかぬ。それから、もう一つは負担金を廃止し
て税源移譲
が行われるわけですけれども、税収の実際の確保という点では、地方公共団体の間で相当格差
が生じ
ているという現実
がある。これは、交付税によりまして調整をするというまさに三位一体のパッケージとしての改革をするんだ、それを求め
ておりますし、改革案にもちろん明示し
ておりますし、またそれを実現するように特に国との協議機関を設け
て今協議を具体的にやっ
ておるという状況で
あります。これを我々は支援をするとか、あるいはそのための環境をつくっ
ていく、これをやっ
ていかなければいけないと思っ
てます。
それから、田川地域の振興の問題につい
てでございます
が、県としまし
てもですね、田川地域は非常にやらないかぬということでやっ
てまいりました。特に、県立大学に看護学部をつくる、学生も千人を超える態勢をつくっ
ていこう、そして小なりといえども県立大学を一つの総合的な大学にし
ていくと、これはまさに県として非常に大きな投資をし、努力をし
ているわけなんですけれども、これは大学というもの、若者というもの
がいかに大事で
あるかということを考え
てあのような県立大学の拡充ということをやっ
てまいりました。加えまし
て交通網の整備、あるいは今度新しい車両の購入問題も
あります
が、平成鉄道、基礎的な交通機関として不可欠だということで、これの支援もいろいろやってき
ております。また、活性化センターをつくるというようなこともやってき
ておるわけですね。今後もこういうことで一生懸命県としてやっ
てまいります。特に、新しい分野としまして環境分野あるいは農業、観光というところに新しい可能性を見出したいという努力をいたし
ているわけで
あります。やっ
てまいります
が、ぜひ地元側もですね、やっぱり主体的に取り組んでもらいたいし、もう少しやっぱり力を合わせるということをやっ
てもらいたいというふうに思っ
ているわけでございまし
て、地元の努力と我々の努力を両々合わせ
てぜひ田川地区をよい地区にし
ていきたいと思っ
ております。
16 ◯議長(井本 宗司君) 森山教育長。
17 ◯教育長(森山 良一君)登壇 高校再編におきます基本設計の問題につい
てでございます。
高校再編に当たりましては、まず新しい教育内容をしっかりと固めるということ
が必要で
ありまし
て、これを踏まえまし
て施設等の基本設計に着手をし
て、新しい学校づくりを進め
てきたところで
あります。その際は、新しい教育内容につきまし
ては、これまでのその学校の教育上の成果を引き継ぎますとともに、地域や関係者等の理解を得たものとする必要
がありますために、その検討の過程におきまして検討状況を示しながら幅広く意見を聞い
て、その意見を踏まえながらまた検討を練り直すという作業を繰り返し
てきたところから、この検討には時間を要したこと
があるわけでございます。また、新しい高校は既設校の施設を活用するということを基本といたし
ております。このため、学校現場におきましては新高校の開校と前後いたしまし
て新入生と同じ敷地、同じ校舎で既設校の生徒も学び続け
ておりまし
て、この既設校の生徒にも最後まで学習の場をきちんと提供する責任
があるわけでございまし
て、このことからこのような教育課程
が異なる生徒同士
が支障なく学習活動を行うことにも十分配慮する必要
があるわけでございます。
他方、新高校のカリキュラムは年次進行で進んでいきますので、新しい施設につきまし
ては、必要な年次に整備することによって支障
がないようにし
てきたところでございます。このようなところから、基本設計の前倒しということに関する要望の御趣旨は十分理解をいたし
ております
が、これまではなかなか難しい状況に
あったわけでございます。しかしながら、今後はこうした点を踏まえますとともに、新高校準備委員会の要望等を十分にくみ取りながら、新高校の開校に向けた準備作業の計画的な進行に努めまし
て、少しでも早い時期での基本設計
ができないかどうか検討をし
てまいりたいと思っ
ております。
また、施設の整備に当たりましても、入学し
てくる生徒の学習活動に支障
がないように、安全対策や騒音対策にも極力配慮をいたしまし
て、適切に対応をし
てまいりたいと考え
ております。
18 ◯議長(井本 宗司君) この際、しばらく休憩いたします。再開は午後二時五十分といたします。
午 後 一 時 五十一分 休 憩
午 後 二 時 五十二分 再 開
19 ◯副議長(重野 正敏君) 再開いたします。
休憩前に引き続き代表質問を行います。発言を許可いたします。上岡孝生君。(拍手)
*上岡議員質問
20 ◯三十八番(上岡 孝生君)登壇 公明党の上岡孝生でございます。
本年は非常に台風
が多く、台風の当たり年と言われ
ております
が、特に十六号、十八号台風で被害に遭われた方々には心からお見舞いを申し上げます。また、けさ台風二十一号
が九州に上陸をしました。被害
が大きくならないように祈るばかりで
あります。本日は早めに帰られますよう、代表質問も迅速に行っ
てまいりますので、知事の納得できる答弁を期待し、通告に従い会派を代表し
て質問いたします。
初めに、ゲノムと久山研究についてお尋ねをします。
健康は、人々
が生きがいを持ち、楽しく日々の生活を送るための礎で
あります。我が国のように歴史上、例を見ないスピードで高齢化社会を迎える国においては、国民の健康を支える基盤をどのような形で構築できるか
が問われ
ています。長寿化
が進み、現在では男女とも世界最高レベルの平均寿命に達した今、長寿は万人の強い願望で
あるし、生きがいでも
あります。健康で
あってこその人生で
あり、単に寿命の長短だけではないと思います。個人個人の人生観、価値観に応じた人生を送ることを多くの人は強く望んで
いるのではないでしょうか。そのため、我が国では学校、地方自治体、職場等において定期的に集団健診や人間ドックを行い、全国レベルで早期発見、早期治療等を進め
てきました。こうした集団健診等に対する医療経済上の有効性についてはさまざまな研究
が行われ
ています
が、我が国の平均寿命
が世界最高レベルに達した現在、健康寿命を一層伸ばし
ていくためには、個人の体質に応じた健康管理
が不可欠で
あります。これまでの集団で行う健康診断に加え
て自己責任、管理を前提とした疾病予防、健康増進を重視した取り組み
が重要になっ
てき
ているのではないでしょうか。今後さらに国民の健康寿命を延ばし、豊かな経済社会の実現を目指し
ていくためには、何よりも自分の健康は自分で管理し、自分で守るとの意識改革
が重要です。しかしながら、個人
が生活の質を向上させるために自分に合った健康サービスや食事、運動プログラムなどを得ようと思っ
ても、なかなか満足のいくもの
が得られないという状況に
あると思われます。一方、情報技術の飛躍的な進歩に伴い、個人の健康情報の管理や必要なデータの分析、提供、健康サービス提供者間の情報共有、連携等
が容易になっ
てき
ており、情報技術を活用することによって個人の希望する新しい健康サービスや食事、運動プログラムを利用すること
が可能になりつつ
あります。健康の維持、増進に係る国民のニーズ
がますます多様化する中で、一人一人
が自分に合った健康サービスをみずから主体的に選択し、組み合わせ、楽しみながら継続的、効果的に取り組むことを可能とするためには、保健、医療、福祉のトータルヘルスケアシステムの形成に加え
て、スポーツ、ビューティーケア、生涯学習などを含めた幅広い健康サービス産業
が連携した新しい健康づくりプラットホームを地域において構築し
ていくこと
が重要で
あると考えます。個人の健康状態は、遺伝子、周辺環境、生活習慣等のさまざまな要因の影響を受け
ております
が、現在までのところ、これらの関係は科学的に十分な解明
がなされ
ていません。このため、健康に関心を有する多くの人々は、膨大な健康に関する情報の中で、何
が自分にとって本当に有効なのかについて科学的な根拠なしに判断せざるを得ないケース
が多く、根拠に基づく医療と同様に、健康サービス分野においても根拠に基づく健康増進を確立すること
が可能になるものと確信いたします。
久山町のゲノム研究の大事な仕事の一つ
が、健診した住民の追跡調査で
あります。だれ
が、
いつ、どんな病気になったか、健診を受けた住民
が死亡するまで継続し
て健康状態の調査
が行われました。この追跡調査には例外を設けず、たとえ駆け落ちで町外へ引っ越しし
ても移転先を確認する等徹底したものでした。これまでの七千人の追跡対象者のうち、行方不明者は五人だけだそうで
あります。研究スタッフの一人は、大学病院と違っ
て診察で偉そうな態度をする医師を見たこと
がない、医師は人と人とのつながり
が最も大事だということをこの町で学んだ、先輩医師
が積み上げ
てきた住民との信頼関係の重みをかみしめ
ていると、実体験を語っ
ておりました。健康こそ
が福祉の原点、健康で
あること
が一番の幸せとの信念に基づき、生活習慣病の予防のために開かれる教室はバラエティーに富んで
います。住民の一人は、日ごろから健康管理や食事を気遣っ
ているから私たちにはダイエット食品なんて必要ないと、また薬
が体質に合わなく
て苦しんだこと
がある、ぜひとも研究に協力したい、そして孫の時代にはこの町でオーダーメード医療
が実現するかもしれない、家族のために役に立つなら。このようにし
て一人一人の理解を得
て、世界でも例を見ないゲノム疫学研究
がスタートし、現在に至っ
ています。この町では、いつの日かゲノム
が生む利益で介護保険料も医療費も無料になれば、とメンバーの一人は言っ
ていました。医学とともに歩んだ町の大きな夢を実現するためにも、本県の強力なバックアップ
が必要だと思っ
ております。
医学は随分進んで
いると思われるかもしれません
が、原因不明の病気はたくさん
あります。原因を解明しないと、根本から治療することはできません。そのために、患者さんの協力を得
て遺伝子情報を集め、原因を明らかにし
て、それに基づい
て新しい治療法の開発につなげたいと思っ
ています。そして、患者さん一人一人に合わせた治療を行い、将来的には病気の予防や重症化を防ぐことを目指し
ています。それをオーダーメード治療と言い、いわゆるオーダーメード医療とは、洋服に例えれば、これまで同じサイズしかなかった服を個々人に合わせ
てぴったりの服を提供しようということで
あります。そうすれば、その人に合う効果的な薬を処方できるし、副作用を避けること
ができるとのことです。
一九九六年に成人病を生活習慣病と呼びかえること
が提唱されるまで、医療の対象は病人ばかりで、健康な人は対象外でした。しかし、健康な人を研究しないと病気はわかりません。九州大学医学部第二内科による久山研究は、四十年も前からこのような見地に立っ
てきました。久山町ヘルスC&Cセンター長の尾前博士は、久山町の仕事で学んだことの一つは、人間の生命はどうして維持されるのかという問題で、病理解剖し
てみると、はっきりした病気
がないのに亡くなる高齢者の方
がおられる。これこそ本当の老衰で、病名のつけよう
がありません。私は、全身の諸臓器
が調和し
て働い
ているところに生命
があり、その調和
がなくなるとき生命
がなくなると考え
ています。その調和、調節は、やはり脳の働きですので脳の役割
が非常に大きいと考え
ています。脳の働きは高齢者には特に大切です。生きがい、生きる喜びの大切さも、これで納得できる気
がします、と言われ
ていました。知事も尾前博士との対談の中で、はつらつとした高齢化社会を実現するために、まず高齢者の皆さんに、家から出
て地域や県全体の行事に参加し
て健康づくりに励み、たくさんの友達づくりを実践し、これまでの人生経験を特に子供に伝えることなどで生きがいづくりに取り組んでいただくことを大きな柱とし
ている、と言っ
ておられました。介護を必要としない元気な高齢者をふやすには、四十年に及ぶ久山町研究は貴重なデータとなっ
ていますねと。また、県としても四十年にわたる医学的に検証された研究結果を生かし
て健康づくりに融合させ
ていくこと
が可能になっ
ていくとも言われました。そこでお尋ねをします。
まず一つは、久山町研究を県としてどう評価し、具体的に生かし
ていく考え
があるのでしょうか聞かせ
てください。そのために膨大な遺伝子情報を蓄積しなければなりません。これは研究者だけでなく、患者や医師
が三位一体となっ
て進める必要
があります。こうした研究
が始まったのは、ゲノム研究という分野の発展
が背景に
あります。ゲノムというのは生命の設計図、どうして人は人の形をし
ているのか。それは種特有のゲノム
があるから。人の場合は染色体という形で見ること
ができます。A、G、C、Tというわずか四種類の遺伝暗号文字
が三十億つながり、設計図として働い
ています。そして、三百万人から千カ所
が個人によって異なっ
ているということです。この違いを利用し
て私たちは病気の原因を見つけようとし
ております。この四つの化学文字
が三十億ペアで一ゲノムを構成し
ているそうで
あります。遺伝子暗号解読の第一人者で
ある村上筑波大学名誉教授は、思い
が遺伝子の動きを変え、生き生き、わくわくする、喜ぶ、笑うといったポジティブな刺激によって遺伝子のスイッチ
が入るとの仮説に立ち、笑いと遺伝子のスイッチの関係を研究し
ておられます。このことで、糖尿病患者をモニターに、笑うことでどのくらい血糖値上昇
が抑えられるかを実験した。同じ条件下で、食後にかたい講義とお笑いを聞いたときの血糖値を比べると、かたい講義の後では平均百二十三だったの
が、お笑いの後は平均七十七で、その差は四十六となり、笑いは血糖値の上昇を抑える効果
があるとの結果を得たそうです。先ほども述べました
が、ヒトゲノムDNAは人の設計図と言われ
ています。一九五三年にDNAの二重らせん構造
が発見され
て以来五十年にわたり研究
が重ねられ、二〇〇三年四月、ついに三十億に上ると言われるヒトゲノムDNAの塩基配列
が日米英仏独中の六カ国の科学者によって解読されました。疾患と遺伝子の関係を明かすためには、健康人を含む全一般住民を対象として膨大な臨床データと遺伝子データを比較分析する疫学研究
が必要となります。
そこで、すでに四十年間にわたって約八割の住民の詳細な健康診断疫学データを蓄積し
ている久山町で、住民の協力のもとに遺伝子情報を収集し、我が国初の本格的なゲノム疫学の研究プロジェクト
がスタートし
ています。動き出したゲノム疫学研究
が確かな成果を上げるためには、引き続き住民の協力のもとに綿密な調査研究を進める体制づくり
が必要になります。さらに、その成果を広く内外に提示し、人類全体の財産として活用し
ていくためには、さまざまな研究機関や民間企業との連携のもとに実用化、産業化の道を開かなく
てはならないと思います
が、知事の所感をお伺いしたい。
このプロジェクトを通じて、多くの人々を苦しめる生活習慣病の発生メカニズム
が解明されると、その予防法、治療法や治療薬の開発
が大きく前進し、医療や健康問題に革命的な進歩をもたらします。さらに、明確な科学的根拠に基づく医療の確立、遺伝子レベルの情報から一人一人の体質に合った医療、予防をデザインするオーダーメード医療、予防も可能となり、その波及効果及び貢献は人類規模のものになると思います。久山町の生活習慣病予防対策は一九六一年(昭和三十六年)の成人健康診断から始まります。日本人に多い脳卒中の実態を解明し、欧米の症例と比較することによって成人病の原因を追求しようという九州大学医学部勝木教授とそのスタッフによって取り組み
が始まり、自来四十五年間も続けられた臨床実験
が今、久山スタディーと称される研究なので
あります。受診者は延べ四万九千人、病理解剖のための献体は約千九百体で、毎年死亡者の八〇%
が病理解剖によって医学の教科書となっ
て役に立っ
ています。今までに培っ
てきた久山研究の結果をゲノム研究につなぐため、遺伝子のデータべース化へ取り組むことで
あります。
九州大学では二〇〇二年、文科省科学技術振興調整費の予算を受け
て約六億円、及び二十一世紀型革新的先端ライフサイエンス技術開発プロジェクトにおけるゲノム疫学に基づくEBMデータべースの開発とテーラーメード医療のため約四億円など、本格的なゲノム研究へと発展し
ているところです。また東京大学医科学研究所の協力で、研究員の交流や情報技術の交換など九州大学以外の研究機関や大学との交流実績も着々と進んで
いるので
あります。
昨年、研究スタッフは研究実績に基づく成果品として、久山元気予報を発表したところで
あります。これは一定のデータを挿入すると、健康状態や生活習慣病の発見、治療をアドバイスすることになっ
ている画期的なものとしてこれから普及を図ることにし
ており、実用化に向かっ
て特許の申請をするなど研究も着々と進んで
いるところで
あります。久山スタディーは日常の生活習慣病対策にとどまらず、オーダーメード医療やEBMデータに基づく新薬の開発など世界レベルの先端医療や技術の開発を目指し
ており、このためには産学官
が提携し
て取り組む必要
があります。文科省など国の援助には限度
があり、研究のスキームに垣根
があったり、自由な研究
が阻害されるなどの障害を除去するためにも、別途オールマイティーな支援組織を立ち上げるべきだと考えます。九州大学も、せっかく今まで取り組んできた久山スタディーを世界レベルの研究にのし上げ、九州大学最大のサイエンスとしたい意向のようで
あります。久山町としてもゲノム研究に対する期待
が大きいだけに、これまでの研究成果を宝の持ちぐされに終わらせる理由は
ありません。そこで、久山町では町全体を特区にすることも視野に入れ
て、ゲノム研究を全面的に支援する財団法人の設立を検討し
ているところで
あります。そこで、この久山町の考えで
ある特区また財団法人設立について知事はどう考え
ているのかお聞かせください。
地方分権や構造改革のねらいは、権限と財源を国から地方に移譲する傍ら、民間でできるものは極力官から民へ移行することに
あります。また、官でできないもの、民でやる方
がふさわしいもの
があります。今久山町で考え
ている方向
がまさに民の力の発揚に最もふさわしい組織で
あり、これ以外に方法はないと思っ
ています
が、ほかに方法
があればあわせ
て知事にお答えをいただきたいと思います。
東京や大阪などでは、自治体の支援や関与によって研究
が成り立っ
ているプロジェクト
が数多く
あります。例えば、大阪では地盤沈下
が続く大阪経済再生の切り札としてバイオの国際拠点をつくるために、大阪府北部の茨木市と箕面市にまたがる丘陵地帯に二〇〇四年の町開きを目指す国際文化公園都市のライフサイエンスパークに厚労省の医薬基盤技術研究所を建設し、最先端のゲノムのたんぱく質科学を生かし
て画期的な新薬の基盤研究を行いバイオメディカル・クラスター創成特区の中核施設を目指すことにし
ているそうで
あります。東京大学や徳州会など
が三十万人の遺伝子を集め
て解析し、病気との因果関係を調べる大規模な研究も、参加病院の患者から採血したものを調査するもので、遺伝子研究では英国の五十万人に次ぐ世界でも最大級の研究となるものです
が、求められた遺伝子は病院の患者のもので、健康な人間の遺伝子では
ありません。病気になる原因は健康な人を診なければわからないと言われるように、遺伝子研究のサンプルも健康な人のもの
が必要で
あり、そのサンプルこそ
が久山研究のサンプルそのものなのです。このまま推移するならば、私も含め
て久山町民の思いも実現しないし、麻生知事
が尾前博士らとこれまで議論いただいた、久山研究の世界的な展開の話もむなしく響くばかりで
あります。久山研究の基礎は町民のこれまでの健診データとインフォームド・コンセントの協力
が核となる知的財産で
あり、宝で
あります。しかも、久山町の財産は県にとっても貴重な宝で
あるはずで
あります。宝の持ちぐされという言葉
があります。立派な宝を持ちながら、東京や大阪に先を越され、ただ茫然と看過するのでしょうか。本県には二〇〇一年、福岡県バイオ産業拠点推進会議
が設立され、バイオ産業の集積を目指したバイオバレープロジェクト
が進められ
ています。既に多くのバイオベンチャー
ができ
ているとも聞き及んで
いるところです。久山ゲノム研究も同じバイオで
あり、その成果はバイオバレープロジェクトにも大いに活用できるもので
あると考えられます。バイオの基礎研究として広がりの
あるこのゲノム研究を、県としても強力に推進することを強く要望するものです。
医療費を抑えるとするならば、病気にかからないようにするしか
ありません。その解決は、遺伝子の解析とゲノム研究にまつ以外にないので
あります。オーダーメード医療も遺伝子の研究
がなければ実現しません。創薬の開発も不可能で
あります。久山町民
が営々と蓄積し
てきた健診の実績
が金の卵となるのか、それとも一片の資料に終わるのか、今岐路に立たされ
ています。麻生知事の英断、決断に期待し、この項の質問を終わります。
次に、福祉問題、障害者差別の禁止条例の制定についてお尋ねします。
昨十五年四月より、障害の
ある方々
がどのようなサービスを利用し、どのように暮らし
ていくかについて、みずから選択し決定する支援費制度
が始まるなど、障害者を取り巻く環境は大きく変化し、そのニーズも多様化し
てきました。また障害の種類も身体、知的、精神などと障害別に分かれた障害者手帳を持った人たちだけでなく、交通事故の後遺症などによる記憶障害などの高次脳機能障害や、周囲とのコミュニケーション
がとりにくいなどの高機能自閉症などで支援
が必要な人々
が目につい
てき
ています。そうした方々に対して、福祉や医療、保健等の社会資源を効率的に提供し
ていくのは当然とし
て、一方で障害者
が住みなれた地域社会の中で自立し、障害の有無にかかわらず自分らしく暮らせる社会をいかに築い
ていくこと
ができるか、障害者を受け入れる地域社会の意識
が問われ
ていると言わざるを得ません。事実、障害を有すること
が周辺の人々に認識されない
がために、不本意にも偏見や差別を受け、就労の機会を奪われたり、
ある市の旅館では、例えば盲聾者
が障害を理由に宿泊を断られる問題
が発生するなど、残念ながら差別の壁は根強いもの
があります。ただ、健常者と障害者
が対立するのではなく、ともに生活できる社会をつくっ
ていくためには、障害者差別問題に対する県民的な関心を巻き起こし
ていくこと
が重要で
あると痛感します。千葉県では障害者への差別を禁止する条例を来年度成立させる方針を表明しました。本年六月四日、さきの国会で障害者の差別禁止の理念を初めて明示した障害者基本法改正
が公布、施行されたことを受け、本県としても障害者の差別を禁止する条例を制定すべきで
あると考えます。知事の見解を求めます。
次に、国と地方の税財政改革いわゆる
三位一体改革について伺います。
去る八月十九日、
全国知事会は約三兆二千億円の補助金削減案を、異例の挙手による採決の末、賛成多数で可決し、地方六団体
が小泉首相に提出しました。
三位一体改革は、国の補助金を廃止し、税源を地方に移譲し、地方の裁量権をふやすことによって地方の実情に合った行政
ができるようにすること
がねらいです。知事は今回の案について、詳細を見ればいろいろ意見は
あるだろう
が、地方分権を進めるには地方側の答えを出すこと
が不可欠と述べ
ています。しかし、福岡県の本年度予算編成では、昨年は税源移譲
が不十分で
あったため、基金を取り崩し、かろうじて予算編成を行うという苦い経験をしたのは、つい半年前のことで
あることを忘れ
てはなりません。今回の改革案の中には、移譲対象補助金の一覧
があります。社会保障四十五項目、文教、科学振興十五項目、公共事業三十三項目、その他五十五項目、合計すると百四十八項目
あります。知事に伺います。本県ではどのような影響
があるか試算し
ていますか、お答えください。
また、地方六団体の改革案の中には、改革案の提示の前提条件として地方交付税による確実な財源措置を行うよう条件づけ
ています
が、国は、地方交付税の財源調整機能は残すものの財源保障機能については地方
が単独で行う事業などについて財源保障から外そうという意見
があります。もし外された場合、本県ではどのくらいの財政的影響
があると考えますかお示しください。
気になるのは、県民の生活に直結した医療、福祉、教育などの補助金も削減され一般財源化するわけです
が、知事は生活関連事業についてどのようにしようとお考えですかお答えください。
知事は、この削減項目に具体的な事業
がどのくらいぶら下がっ
ているか御存じでしょうか。公明党は、福祉に対して全力で取り組んできた会派として、伺っ
ておかなければならないこと
があります。児童保護費等負担金、児童福祉事業対策費等補助金の中に児童虐待対策費も含まれます。今回の改革で児童虐待対策
が今よりも一歩でも進むことを願うばかりで
あります。この事業は地方の裁量に任されることになるからで
あります。知事は本県の児童虐待対策は、現状からどのように変わるべきだとお考えでしょうかお答えください。
さらに、
義務教育費国庫負担金の中学校分は本県では約三百二十八億九千万円、これは人件費です。知事は、今の教育行政について地域の創意工夫を反映できる教育を行う必要
があると述べられ
ています。そのところは評価できるところで
あります。知事は、福岡県の
義務教育はどのように
あるべきだと考えますかお答えください。
次に、本県の行政システム改革、なかんずく人事給与システムの改革などについてお尋ねいたします。
本県の行政システム改革
が三次に及ぶ審議会の答申を踏まえ、平成十四年度から十八年度の五カ年間にわたって推進され
ていることは周知のとおりで
あります。今回の改革は、IT化や経済のグローバル化など急激な経済社会情勢の変化に対応できる二十一世紀型の組織、制度を構築し、これを担うすぐれた人材の育成を図るとして進められ
ている極めて大事なもので
あります。また、自主、自立の風土づくりと自主、自立の人づくりを理念に、民間経営手法の導入、対話と協働の推進、県民起点の政策マンの育成を改革の視点とし、七つの戦略のもと、百三十項目に上る改革事項を実現させようとする、県政史上まれに見る大規模な改革でも
あります。
そこで伺います。改革大綱では、改革の期間を十四年度から十八年度までの五年間と定め進行管理を行っ
ています
が、今年度はその中間年でも
あります。改革全体の進捗状況はいかがなものか、まずお答え願いたい。
また、後半二年への取り組みはいかがなものか、不退転の決意で総力を挙げなければ達成は困難と思われます
が、計画の見直しの可能性も含め、取り組みのほどをお答えいただきたい。
次に、改革の進捗状況を概観し
て感じることは、新しい人事給与システムの立ち上げと職員の意識改革のおくれで
あります。平成十四年十月に策定された第二次改革大綱では、意欲、能力を引き出す人事給与システムの項目を上げ、能力、職責、業績
が適切に反映される新たな人事給与制度を十八年度を目標に導入するとし
ています。そして、具体的には能力評価や業績評価から成る評価制度を整備するとともに、評価者訓練や職員からの苦情に対応する仕組みを立ち上げたいとし
ています。
そこで伺います。この十八年度導入は必達目標なのか、努力目標なのか、まずお答えください。
公務員制度改革を進め
ている国でも、次の臨時国会には評価制度を導入した新しい人事給与法案を提出するようで
あります。私どもは、評価のない、競争のない組織は必ずや衰退し
ていくと考え
ています。ましてや今日の競争社会で
あります。その意味で、審議会答申や行革大綱にうたわれた方向での十八年度導入は賛成で
あり、ぜひ職員の育成や活用をベースに評価と処遇と
が連動したトータルな人事システムを構築し
てほしいと考えます。十八年度導入
が必達目標で
あれば、職員の理解と協力を得るためにも、そろそろその輪郭
が見え
てこなければなりません。現在における取り組みについてお答えいただくとともに、具体的には定期昇給や手当の見直しを抜本的に行うべきだと考えます
が、いかがなものかお答えください。
また、評価制度の前提には職員の目標管理制度
が機能し
ていること
が大切で
あります。このことは審議会でも職員提案制度とあわせ
て必要性を強調し
ているところで
あります
が、目標管理制度をどのように取り込んでいくのかお答えください。
この質問事項の最後に、職員の意識改革についてお尋ねします。審議会の答申も指摘するように、お役所文化になれ親しんできた意識は一遍の研修会や単なる制度改革などでは簡単に変わるものでは
ありません。改革のビジョンや方針、さらには具体的な目標などを全職員
が共有するとともに、下からの盛り上がりを大事にすべきで
あります。その意味で、情報の共有化を一層進めるとともに、知事みずから
が多くの職員と直接対話し、ビジョンなどを大いに語り、意識を喚起させることも極めて有意義で
あります。知事の決意のほどを聞かせ
てください。
次に、八月九日に起こった関西電力美浜原子力発電所での配管破裂事故に関連し、九州電力玄海原子力発電所の安全性及び本県との防災協定のあり方などについて質問します。
美浜原発三号機の事故は、放射能汚染され
ていない二次系と呼ばれる配管
が破裂し、十気圧百四十度の蒸気
が噴出したもので、作業員十一人
が死傷し
ております。原因は、配管の肉厚
が最小で〇・六ミリにまで減少し
ていたためで
あり、これは、同原発
が管理指針に定められた配管の定期点検を怠っ
ていたためで
あること
がわかっ
ています。この事故では、これまでの原発事故にはない新たな問題点
が指摘され
ています。最も重要な点は、日本の原発で初めて死亡者を出したことです。ちなみに、一九九九年九月三十日に茨城県東海村で発生した臨界事故は、ウラン燃料加工施設(JCO)で起こった事故で
あり、原発内での事故では
ありませんでした。この臨界事故では死亡者
が出たわけです
が、原子力安全基盤機構の一人は、事故直後に原発では厳重な安全審査や運転管理
がなされ
ているため絶対に大丈夫で
あり、現に一人も死亡者を出し
ていないと明言し
ておりました
が、それ
が今回崩れたわけです。二番目に重要なことは、美浜三号機と同型同出力のアメリカのサリー二号機
が一九八六年に同様の事故を起こし、当時の通産省
が関係各社に対し、配管の肉厚測定をするなど管理を強化し、同様の事故を防止するように行政指導をし
ていたことです。にもかかわらず今回の事故
が発生したのは、電力会社
が技術評価から点検修理に至るまで下請けに丸投げし
ていたことと人為的ミス
が重なったこと
が指摘され
ており、これ
が三番目に重要なことです。さらに事故後、関西電力
が経済産業省の調査や県警の捜査を理由に情報公開を渋り続けた姿勢も問題視され
ています。
私たち公明党福岡県議団は、今回の事故を重視し、八月二十四日、福岡県に隣接する玄海原発で同様の事故
が起こる可能性
がないか現地で説明を求めるとともに、美浜原発事故と同じ場所の配管を視察、調査し
てきました。これに対し九州電力と同原発は、玄海原発一号機から四号機は美浜原発三号機と同型の加圧水型軽水炉だ
が、二次系の点検作業は定期点検の中で慎重に行っ
ており、配管の肉厚
が減少し
ているものについてはより耐食性の
ある配管に取りかえ
ているなどと説明し
ておりました。しかし、まことに残念ながら、昭和五十年の運転開始から二十九年になる玄海原発一号機では、落雷や故障、配管漏えいにより自動停止
が二回、手動停止
が二回の合計四回の事故
が起こっ
ています。また、つい先日は四号機で初めて二次系に故障
が発生し、手動停止をし
ております。四号機は運転を開始し
てからわずか七年です。これまでは災害にはなっ
ていないわけです
が、大きな事件、災害
が発生する可能性はだれにも否定できないと考えます。
そこで、これに対する福岡県の対応です
が、まず玄海原子力発電所異常時福岡県への情報連絡についてと題する覚書のようなもの
が、本県と九電原子力管理部との間で交わされ
ております。この内容は、連絡対象事項、連絡時期、連絡内容、連絡方法を記しただけの実に簡略なものです。何か事故
が発生した際には、これに基づき原子力管理部から県の消防防災課に通報
が入るようになっ
ております。また県は、地域防災計画の中に放射線災害予防計画、放射線災害応急対策計画を規定し
ており、このマニュアルに沿っ
て行動することになっ
ております。一方、玄海原発
がある佐賀県に対しては九電は通報義務
があり、これは玄海町、またその隣接市町村に対しても同様です。したがって、佐賀県、玄海町と九電とは原子力発電所の安全確保に関する協定書を結び、原発の周辺住民への安全確保を図っ
ております。内容は全十三条から成るもので
あり、この協定書に基づいた覚書も作成され
ております。佐賀県と福岡県にこのような違い
がある根拠は、放射線災害
が発生した場合に緊急に対策を実施すべき範囲として、国の原子力安全委員会
が定めたEPZ(防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲)で
あります。このEPZは、原子炉施設から八キロから十キロと定められ
ており、福岡県二丈町のように玄海原発から非常に近い距離に
ありながらEPZの範囲にはないということで、全く違った対応となっ
ているの
が現状なわけです。
そこで質問します。福岡県と九電原子力管理部の間で結んで
いる異常時情報連絡についての性格、法的拘束力などについて教え
てください。また、この情報連絡に基づき、これまでどのような連絡
がどのようなタイミングで本県に
ありましたでしょうか、主なものを示し
てください。
次に、この情報連絡についての内容は、先ほど指摘しましたように、いかにも脆弱で
あります。本県と九電との約束事として、もう少し充実した内容にできないものかと考えます
が、知事の御所見を伺います。
また、今回の玄海原発四号機の手動停止事故のように、何らかの事故
が発生した場合、本県は九電や玄海原発に対してどのような対応を行っ
てきたのでしょうか。一たん事
あれば重大な影響をこうむる隣接県として積極的な対応を望むものです
が、いかがでしょうか。
最後に関連しまし
て、さきの美浜原発での事故箇所と同様の配管構造を火力発電所でも有し
ております。むしろ、気圧や蒸気の温度などは火力発電所の方
が大きい場合
が多いと聞い
ております。本県内に
ある新小倉一号機から五号機、苅田一、二号機、豊前一、二号機の各火力発電所の安全確保について、どのような対策をとられ
ているのか伺います。
次に、九州地域戦略会議についてお伺いします。昨年十月に、九州は一つのテーマのもと、九州地方知事会を初め九州・山口経済連合会、九州商工会議所連合会、九州経済同友会など各県の経済界の代表
が入っ
てつくられたこの会議は、中央から地方へのいわゆる地方分権の流れの中、今後の九州のあり方を議論することは、時期を得た大変に意義
あるものだと高く評価します。同会議設立趣意書の中に、「今やアジアの時代で
ある。アセアン諸国の勃興に引き続き、中国は世界の工場になっ
ている。今後もアジアは世界経済における重要な核で
あり続けるで
あろう。九州は飛躍への大きなチャンスに恵まれ
ている。古来よりアジアの玄関口としての役割を果たしてきた九州は、今再び、日本を牽引する力強い地域として発展すること
ができる。GDP三千七百億ドル、千五百万人の市場
が急速に形成されつつ
ある。九州新幹線や循環型高速交通網の整備はその流れをさらに加速させるで
あろう。一国に匹敵する経済規模を持つ九州
が、発展するアジア諸国と競争・協力・共生し
ていくためには、今こそ独自の発展戦略を構築しなければならない。官民一体となっ
て激化する地域間競争に打ち勝っ
ていかなければならない。」と
あります。
そこでまず、単刀直入にお尋ねします。この会議の最大のねらい、目的は何ですか、また設立月日は
あります
が、いつまでこの会議を行うのか期限
が定まってないようです
が、知事の見解をお聞かせください。
次に、組織構成は、九州知事会と九州・山口経済連合会を初めとする官民一体の陣立てになっ
ています。この組織構成
が会議の最高決定機関で
あるならば、この中に学識者も加え
ておく方
がよりよい戦略
がつくられるのではないかと考えます
が、いかがでしょうか。
次に、本年八月に宮崎で行われた第一回夏季セミナーには、各県知事や経済界幹部、大学関係者ら九州の産学官のリーダー約百二十人
が率直な議論を重ね、具体的に観光事業において短期計画
が策定され、来年九月に九州観光推進機構設置
が決まったと報道され
ておりました。近年、九州全体の観光事業の沈滞は聞き及んで
いるところです
が、この短期計画のターゲットはアジア諸国だと承知し
ております。そこで、具体的にはどの国を主に想定し
てのプランなのか、またこのプランを作成したスタッフには想定したところの国の方は参画し
ておりますかお答えください。
最後に、地域振興の観点から九州・山口の知事会
が地域の代表の位置づけで
あることはもちろん承知し
ております。しかしながら、地域振興策を図る上で、本県の両政令市は九州経済の中心で
あり、重要な地位を占め
ていることは言うまでも
ありません。今後の会議の継続性も考えあわせ、両政令市長も加えるべきではないでしょうか。同会議の議長で
ある麻生知事の所見をお聞かせください。
以上で、第一回目の質問を終わらせ
ていただきます。ありがとうございました。(拍手)
21 ◯副議長(重野 正敏君) 麻生知事。
*知事答弁
22 ◯知事(麻生 渡君)登壇 まず、久山町のいわゆる久山研究の評価あるいはこの成果の活用方法につい
てで
あります。この久山研究でございます
が、御質問の中にもございましたけれども、九州大学と久山町民
が長い間協力をいたしまし
て、住民の健診データの収集そして追跡を行っ
てきたもので
あります。それは四十年にわたっておるということでございまし
て、これは三世代ぐらいにまたがっ
て追跡
ができるというものでございます。加えまし
て、平成十四年度からは健診項目をさらに追加いたし
ておりますし、血液も採取するということになりました。これによりまして遺伝子解析の具体的な資料
が得られるわけでございまし
て、これを総合しますとゲノム疫学の研究として発展をし
てまいりました極めて画期的な、非常に貴重な研究成果で
あるというふうに考え
ております。
これはどういうふうに活用されるのかという点で
あります
が、今一般的に言われ
ておりますのは、生活習慣病の予防あるいはその治療、これを開発するために使えるんではないかと、またそのような研究開発の結果としましての新しい薬あるいは機能性食品の開発、それを行うためのデータとして十分使えるんじゃないかと、こういうことを通じまして、我々の保健医療の水準向上に大きな貢献
ができ得る成果で
あるというふうに考え
ております。
二番目に、そのような現実の久山研究
があり、データ
があるわけで
あります
が、それを今申し上げたような形で具体的に使うということにした場合に、何よりも今非常に大切なことは、このようなデータをやはりデータベース化しまし
て、そしていろんな目的に使えるようにし
ていくということで
あります。これ
がなければ、現実にはいろんな研究に使えないということになるわけで
あります。この点につきましては、これも質問の中にるるございましたけれども、九州大学
がかち得
ておりますCOE──センター・オブ・エクセレンス──という、全国の大学の中でも特にすぐれたものにつきまし
て重点的な、国としての研究開発予算をつけ
ております
が、その一つの重要なテーマでございます。これは十三、十四、…十六年までの計画で相当多額な国の予算を集中的に投入いたしまし
て、今データベースをつくるという作業をやっ
ている最中でございます。このデータベース作業は同時に、これも質問の中に
ありましたけれども、国全体のゲノム開発計画、研究、これといろいろ連絡をつけ、あるいはその分野との分担をするとの考え方のもとに進められ
ているわけでございます。したがいまし
て、このデータベース作業でどのような使い方
が可能で
あるか、その有効性は何かということ、これは九大の医学部の先生方を中心に全国的な専門家
が集まっ
てデータベース構築の設計をし、研究用途の想定をしながら進め
てき
ておるわけです
が、その成果
がある程度出
てくるということ
が、ぜひ不可欠で
あるというふうに思っ
ています。
そしてその次に、最後の点で
あります
が、このような久山の研究をどういうふうに地元として推進をするのかという点で
ありますけれども、これについては早く推進をしますための財団法人をつくるべしという議論
が非常に強く行われ
ています。私もそれは何回も聞い
ております。地元の皆さんからも聞い
ておる状況で
あります。ただ、どんな財団、どんな活動をし、どういう構成によって財団をつくるべきか、その資金なりはどのような形で調達し、研究を支援するのかということになりますと、これはやはり今進められ
ておりますデータベース
がどのような方面で、どういう有効性を持った形で使い得るのかということ
がある程度めど
がつかなければ、財団法人の必要性を主張し、あるいは組織の形態、関係機関、参加者、こういうことについて明確な方針
が打ち出せないという状況に
あるというふうに判断をいたし
ておりますから、財団法人という考え方はるる聞い
ておりますけれども、もう少し現在のデータベース構築作業というものの成果を見る必要
があるんじゃないかというふうに考え
てきたわけでございます。決して地元としての応援態勢をつくらないとか、あるいは必要ないという考え方をし
ているわけでは
ありません。
それからその場合にもう一つ、特区をつくったらどうかということでございます
が、特区をつくらなければいけない可能性は
あり得ると思っ
ております。研究開発を進め
ていく、あるいは創薬を進め
ていくという過程におきまして、外国とのいろんな協力あるいは実験のやり方等々を考えますと、特区という方法で規制緩和ということ
が必要になる場合も
あり得ると思っ
ています。そういうことも視野に入れ
て、今後検討を進め
ていきたいというふうに思っ
ています。
次に、障害者差別禁止条例につい
てでございます。ことしの六月四日に障害者基本法の一部改正
が施行されました。差別の禁止という理念、それから国及び我々地方公共団体の責務
が明示をされたわけで
あります。県の方ではことしの三月に新しい福岡県障害者福祉長期計画を策定をいたし
ております
が、この計画に基づきまし
て障害者の皆さんに関する県民の皆さんの一層の理解の促進を図る、このために啓発広報活動、権利擁護事業を重点的な施策として定め
ておりまし
て、その積極的な推進を図っ
てまいる、取り組んで
いるわけで
あります。また、国におきまして障害者差別禁止に向けた取り組み、次の段階でどうしていくのかということ
がございます。これを見きわめながら、今後の施策のあり方につきまし
て研究をし
てまいりたいと思っ
ております。
三位一体改革についてでございます。今回の
三位一体改革で
国庫補助負担金が廃止される、その場合の影響額でございますけれども、平成十六年度の本県の予算ベースで計算をいたしますと、おおむね六百五十億円程度になると見込んで
いるわけでございます。他方、税源の移譲額の方でございます
が、これは今予定され
ておりますのは、所得税の方を減税いたしまし
て住民税を強化し
ていくということでございます
が、これで三兆円規模の税源移譲を目指すということになっ
ておりますけれども、その場合の具体的な都道府県、市町村の間でこの移譲の税源をどういうふうに分けるのかということについては、まだはっきりしてない、というより今からの問題でございます。そういうことでございますから、県分だけというわけにまいりませんで、県と市町村分を合わせた数字で
ありますけれども、おおむね一千億円程度で
あるというふうに考え
ております。
地方交付税の財源保障機能ということについてで
あります。我々は地方交付税の財源調整機能、それから財源保障機能、これは表裏一体のもので
あるというふうに思っ
ておりまし
て、これを一体不可分のものとして交付税制度は機能させなければいけないと思っ
ています。現実には、税源
が移譲されまし
ても国庫負担金なり補助金の廃止に見合う実際の税収
が上がらないという地方公共団体も出
てくるわけでございまし
て、そういう団体に対しましては、地方交付税の財源調整機能、保障機能、これを一体として機能させ
ていくということによりまして、それぞれの公共団体
がちゃんと活動できるということにしなければいけない。また我々の改革案はそれを明確に主張をいたし
ておるということで
あります。
一般財源化された後の医療とか福祉とか教育といった、いわば生活関連の今後の施策はどうなっ
ていくのかということでございます。このような県民生活に関連の深い教育とかあるいは福祉とかいう分野につきまし
て、国庫負担金補助金
が廃止される、その場合には我々は当然で
ありますけれども、移譲された税源を使いまし
て、この財源を活用し
て本県としてそれぞれの事業、これについて必要な事業をちゃんと引き続き実施し
ていくということになっ
てまいります。その場合には本県としての考え方あるいは地域特性そういうことを十分に考慮し
ていく、あるいは事業の効果というようなこともきちっと点検をする必要
があります。その意味で
三位一体改革が実際に実施されましたら、非常に我々としての政策形成能力、評価能力、実行能力というの
が非常に強く、高い水準で求められ
ていくということになるというふうに思っ
ております。
今後の児童虐待対策についてで
あります。児童虐待ということは、子供の人権侵害というだけではございません。生涯にわたって心身に深い傷を残し
てしまう、最悪の場合には命まで奪っ
てしまうという非常に大きな問題で
あります。その件数も平成十二年度以降ずっと増加し
ておるという状況に
あり、深刻で
あるというふうに認識をいたし
ております。その対策でございます
が、発生防止から早期発見、早期対応、再発防止、こういう一連の対応策について総合的に実施をしなければいけないと思っ
ております。このような観点から、今後とも市町村あるいは関係機関と連携をとりながら、一連の総合的な施策の実施に積極的に取り組んでまいります。
義務教育についてどう考え
ておるのかという、何といいましょうかね、難しい質問を受けたわけで
あります
が、
義務教育についていろんな考え方
があろうと思います
が、私は第一には、やはり物事を考え判断をする、このためにはやはり知識ということ
が不可欠で
あります。人間は知識
がなく
てはいろんな判断、ものを考えるということはできないわけで
あります。その意味で、やはり
義務教育の時代から将来にわたっていろいろなこと
が考えられるような基礎的な知識、学力を身につけさせるということで
あります。二番目は、何といいまし
ても健康な体をつくる、健康な身体の発育を図るということで
あります。三番目は、友達と交わり、よく遊び、できるだけ体験というものをふやし
て社会性というものを、社会力というものを身につけさせるということで
あります。それから四番目は、これはアンビシャス運動で特に強調し目指し
ておりますけれども、やはりそれぞれの子供たちのよいところを見つけ出し
て、努力、その成果をやっぱり褒める、伸ばし
てやるということに大きな力点を置きまし
て、人間としての自信とか誇りとかいうことを持たせるというような教育をするということ
が非常に大事で
あると考え
ております。そして、このような考え方で
あったとしても、実際の実現し
ていく方法というのは、これまたいろいろやり方
があるわけでございます
が、本県としましてはこのような
義務教育のあり方ということを考えながら、本県としての特色の
ある教育を進め
ていっ
て、しっかりした人材、同時に多様な変化に対応できる多様な人材を育て
ていくということ
が大事で
あるというふうに思っ
ています。
行政改革の点についてでございます。行政改革につきまし
ては、現在、行政システム改革大綱というのをつくっ
ております
が、これによりましてアウトソーシング、外郭団体の統廃合、電子県庁の構築あるいは民間からの人材登用等百三十に上る改革事項を定めました。そして今、そのうちの約九割を具体的に実践をいたし
ております。今後さらに、残された改革項目
があるわけでございます
が、これをちゃんと実現するように全力で取り組んでまいります。
新しい人事給与制度の導入の時期でございますけれども、これは十八年度の導入を目標として検討いたし
ております。その場合に、前提となりますのは国家公務員を含めました公務員制度の改革ということ
が行われなければ、いわゆる業績などを重視した人事給与制度の改革はできないわけでございます。その意味で、今公務員制度改革、具体的な法案づくり
が行われ
ておりますけれども、その中身を見きわめながら導入をし
てまいりたいと考え
ております。
現在の人事給与システムの改革についての取り組みでございますけれども、業績といったもの
が適切に反映されるような人事あるいは給与の制度、これを導入します場合に一番大切なのは、その前提となります公正、バランスのとれた人事評価をし
ていくということで
あります。現在、評価の手続、評価の項目、評価の基準につきまし
てモデル組織を選定いたしました。そこで具体的に、試行的に実施をし
ておりまし
て、問題点を整理をいたし
ております。また定期昇給、手当の見直し、これは先ほど申しましたような公務員制度全体の、もっと弾力的な制度
がとれるような改革
がなされなければいけませんから、その内容を踏まえながら検討し
てまいりたいと考え
ております。
目標管理制度
がどうなっ
ておるかということで
あります
が、目標管理制度は、これは職員の業績を評価する一つの方法として考え
ているわけでございます
が、これは職員の自主性とか、あるいは自発的にいろんなものに取り組んでいくということを促すという意味でも効果
が期待されます。ただ、目標設定制度を実際にやった場合の多くの課題
が指摘され
ておりますけれども、目標設定のやり方によってはかえって逆効果になるというようなこともございますから、この点につきましては十分検討をし
ていきたいと考え
ております。
このようなことでございまし
て、今目標管理制度につきまし
てはメリットと、それからやり方によっては弊害を起こし
ていくという要素を整理をしまし
て、制度
が本当に役に立つといいましょうか、効果を上げる制度になるように検討を進め
ています。
もっと意識改革をするために知事は対話をしろと、職員と対話をしろというお話でございます。意識改革はどの点でやらなきゃいかぬのかということなんですけれども、一つは、我々は何のために仕事をし
ておるのか、何のために存在し
ておるのかという原点、これを明確に認識するということなんですけれども、これは事
があるたびに、県庁というものあるいは県庁職員というのは、県民の福祉、幸福のために存在するんで、それ以外の何物でもないんだということで
あり、県民ということに目を向け、少しでも楽しく豊かに活気を持っ
て生活できるような条件をつくると、そのために何
ができるかという、そこから出発し
て物を考えるようにということを繰り返し言っ
ておるんです
が、なかなか浸透し
てませんですかね。
ただもう一つ、実は意識改革上、非常に重要な点は、これも先ほど申しましたけれども、例えば今回の
三位一体改革がなされるということになりますと、今まで補助制度でやっ
ておった国の事業を、我々はどこを選択し
てやるかということなんです
が、補助金
が廃止され
て一般財源化しますと、今度は今までやっ
ておった制度をそのままやっ
ていくのか、新しくつくりかえ
てやるのかということまで含めますと、自分たちで政策を形成する能力
が非常に大事になっ
てくる。したがって、意識改革の大事な点は、政策形成能力をちゃんと身につけるということでございます。これはなかなかすぐできない。長い間、機関委任事務でやっ
てましたから、その習慣
がつい
てしまっ
ておるということ
があります
が、これは随分いろいろやかましく言っ
て、大分よくなっ
てき
ておるように思います
が、一層努力をし
てまいる考えでございます。
次に、原子力発電所の安全性の問題につい
てで
あります。
まず、異常
が起こった際の九電からの情報連絡についてでございます。この点につきましては、本県と九州電力との間で「異常時福岡県への情報連絡について」という合意文書
がございます。これに基づきまし
て我々の方に情報連絡
が行われ
ておるという状況でございます。今回の場合には、炉の停止事故を初めとすること、あるいは原子炉の定期点検、その結果につきまし
て我々の方に原子力情報連絡票というの
があるんです
が、それによりまして速やかに報告
がなされ
ております。
それから、原子力発電事故
が起こった場合に、本県としてどういう対応をするのかという点でございます。まず今回の玄海原子力発電所四号機の事故、これは発電機に使います冷却用の水素ガス、これの補給量に異常
が認められたということで発電を停止したわけでございます。そして、点検のための調査を行うこととしたという旨の報告を受け
ております。その場合に、環境への放射能の影響はないという報告でございます。仮に本県に影響を与えかねないような事故
が起こった場合、これは迅速に災害体制を整え
てまいりまし
て、避難とか救護などの措置をとっ
てまいります。
火力発電所の場合にはどうかということでございます
が、火力発電所の施設設備の安全、これは電気事業法などに基づきまし
て経済産業省がその監督責任を持っ
ております。したがいまし
て、各事業所に対しましては、同省から必要な点検等についての指示
がなされるということでございまし
て、現在その点検
が行われ
ているところでございます。
九州地域戦略会議についてで
あります
が、この会議は、だんだんだんだん地域間競争、これも国内ばかりでございませんで国際的な競争にさらされ
ておる、また新幹線
が半分できたというようなことで、九州のいろんな意味での一体化も進んでおる、こういうような中で九州全体の発展戦略、これを官民一体でまず考え
ていこうではないかということでございます。その場合に基本的な理念は、九州は一つということでございまし
て、九州地域という、これを一つの単位と考え
て自立的また一体となっ
ての発展方向を考え
ていこう、また必要な施策については実践をし
ていこうということでございます。この会議の目的はこのようなものでございますから、いつこれを終わるのかという終わる時期については、まだ明示いたし
ておりません。
会議への学識者の参加についてでございます
が、具体的な政策を検討するという場合には、テーマによりましては学識経験者の当然いろんな意見、知見を聞く必要
がございます。したがいまし
て、テーマに応じまし
て提言やあるいは意見を聞くというやり方で頭脳をおかりしたいと思っ
ておるわけで
あります。また、夏の夏季セミナーで
ありますけれども、これは大学の先生方も出席をされました。そして九州全体の発展の課題についてフリーな議論をいたしたわけでございます
が、いわば産学官連携の形のセミナーでございます。産学官連携をさらに進め
ていこうという方向
が確認をされたわけでございます。このようなことでございまし
て、必要なテーマ、課題に応じまし
て多様な皆さんの参加を求め
ていくということでやっ
ていこうということでございます。
それから、九州観光戦略につい
てでございます
が、まず、海外に向け
てどのような地域を目標にし
ておるかということでございます。これはビザの発給の緩和なども随分行われ
てまいりました。そして成長
が著しい韓国、中国、台湾、香港といった東アジア地域を大きな目標地域にいたし
ております。そしてこの戦略策定に当たりましては、韓国、中国の総領事にアドバイザーとしてはっきり参加いただき、いろんな意見をいただきましたし、また留学生へのヒアリング、現地でのヒアリング調査を実施し、また国のいろんな海外市場の調査結果
がございます、このようなことを活用しながら、それぞれの地域の実情に合いニーズに的確に合った戦略を策定するということで作業を進め
ております。
九州地域戦略会議に両政令市長に参加し
てもらったらどうかということでございます。これは今のところは九州全体
が取り組むべき課題ということで、県境を越えた広域的な協力、調整、こういうことを考え、一体となっ
て進め
ていこうということでございまし
て、とりあえずそれを直接担いますのは県でございますから、県を中心に今活動を始め
ております。今後、内容によりましては市町村と一緒に実施しなきゃいかぬ、うまくいかないというテーマも当然出
てくると想定されますから、そのような必要に応じまし
て市町村の代表の皆さんの参加も検討し
てまいりたいと思っ
ております。
23 ◯副議長(重野 正敏君) 上岡孝生君。
24 ◯三十八番(上岡 孝生君)登壇 まず、麻生知事、答弁ありがとうございました。再質問をします。
まず、ゲノム研究についてで
ありますけれども、久山のゲノム研究に対する評価、財団設立などについて知事の考えを聞かせ
ていただきましたけれども、一応の評価はしたいと思います。しかし、この研究の成果の大きさ、つまり世界に誇れる遺産でも
あることを考えると、何とし
ても発展させる方向では対応し
てほしいというの
が我々の、そしてきょう来
てありますけれども地元の強い願いで
あります。その不退転の決意を、最後に披瀝し
てほしいと思います。
次に、人事給与システムの改革についてで
あります。国の動向を見ながら、とする姿勢はわからないことも
ありませんし、当然と言えば当然で
あります。しかし、その国も十八年度実施をめどに具体的な作業に入っ
ています。本県も改革の全体像とスケジュールを示し、県民を初め職員の理解と協力を得
ていかなければ、時期を誤っ
てしまうおそれ
があります。また、職員の意識改革に対する知事の対応にし
ても、研修を初めさまざまな取り組み
がなされ
ていることは評価します。しかし、最も肝心なことは、トップ
が改革の旗を上げ、熱い思いを語っ
て相手を触発し
ていく対話の連続で
あることを再度申し述べ
ておきたいと思います。
以上、久山研究に対する知事の決意と人事給与システムの改革に対する取り組みとをお聞きし、再質問を終わります。以上でございます。ありがとうございました。(拍手)
25 ◯副議長(重野 正敏君) 麻生知事。
26 ◯知事(麻生 渡君)登壇 久山研究についてで
ありますけれども、今お話
がございましたように、この四十年有余にわたります非常に息の長い研究あるいは健診データの集積というのは、世界的に見まし
てもそんなにないという、極めて重要なもので
あるというふうに考えられます。したがいまし
て、これだけの長い研究成果を、実際の我々のゲノムあるいは環境、それからまた世代を通じての遺伝子というようなことに使えるという可能性は非常に大きいというふうにされ
ておるわけで
あります
が、その可能性
がぜひ具体的に使われるようになるように、これはしっかりしろということで
あります
が、可能性を生かし
ていく、実現するように全力を挙げ
て県としても取り組んでいきたいと思います。
それから、新しい人事給与制度の導入の時期でございます。これについては、十八年度ということを目標にいたし
ておりまし
て、これに必要ないろんな評価システムを中心としました試験的な実施等々の準備を進め
ております。一方では、さっきも申し上げましたけれども、公務員制度のいろんな中身
がどういうふうになっ
ていくのか、なかなか国の方でも公務員制度の全体改革をすると言いながら、少し行ったり来たりし
ておるという現状でございます。そういうことでございますから、やはり制度
が改正されなければ我々の自由度
が非常に狭いということで
ありますから、それの動向も見ながら、具体的な実施に向け
ての検討を鋭意進め
てまいる考えで
あります。
27 ◯副議長(重野 正敏君) 本日の代表質問はこれまでとし、残余は明日取り進めることといたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午 後 四 時 十 分 散 会
Copyright © Fukuoka Prefecture All Rights Reserved. ↑ ページの先頭へ...