高知県議会 > 2022-10-04 >
10月04日-05号

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  1. 高知県議会 2022-10-04
    10月04日-05号


    取得元: 高知県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-16
    令和 4年  9月 定例会(第363回)-----------------------------------        令和4年10月4日(火曜日) 開議第5日-----------------------------------出席議員       1番  濱口涼子君       2番  槇尾絢子君       3番  桑鶴太朗君       4番  上治堂司君       5番  土森正一君       6番  上田貢太郎君       7番  今城誠司君       8番  金岡佳時君       9番  下村勝幸君       10番  田中 徹君       11番  土居 央君       12番  野町雅樹君       13番  横山文人君       14番  西内隆純君       15番  加藤 漠君       16番  西内 健君       17番  弘田兼一君       18番  明神健夫君       19番  桑名龍吾君       20番  森田英二君       21番  三石文隆君       23番  西森雅和君       24番  黒岩正好君       25番  依光美代子君       26番  大石 宗君       27番  武石利彦君       28番  田所裕介君       29番  石井 孝君       30番  橋本敏男君       31番  上田周五君       32番  坂本茂雄君       33番  岡田芳秀君       34番  中根佐知君       35番  吉良富彦君       36番  米田 稔君       37番  塚地佐智君欠席議員       なし-----------------------------------説明のため出席した者  知事         濱田省司君  副知事        井上浩之君  総務部長       徳重 覚君  危機管理部長     中岡誠二君  健康政策部長     家保英隆君  子ども・福祉政策部長 山地 和君  文化生活スポーツ部長 岡村昭一君  産業振興推進部長   沖本健二君  中山間振興・交通部長 中村 剛君  商工労働部長     松岡孝和君  観光振興部長     山脇 深君  農業振興部長     杉村充孝君  林業振興・環境部長  豊永大五君  水産振興部長     松村晃充君  土木部長       荻野宏之君  会計管理者      池上 香君  公営企業局長     笹岡 浩君  教育長        長岡幹泰君  人事委員長      門田純一君  人事委員会事務局長  澤田博睦君  公安委員長職務代理者 小田切泰禎君  警察本部長      江口寛章君  代表監査委員     五百藏誠一君  監査委員事務局長   高橋慎一君-----------------------------------事務局職員出席者  事務局長       山本和弘君  事務局次長      横田 聡君  議事課長       吉岡正勝君  政策調査課長     田渕史剛君  議事記録班長     松岡宏尚君  主幹         春井真美君  主査         宮崎由妃君-----------------------------------議事日程(第5号)   令和4年10月4日午前10時開議第1 第1号 令和4年度高知県一般会計補正予算 第2号 令和4年度高知県流通団地及び工業団地造成事業特別会計補正予算 第3号 令和4年度高知県電気事業会計補正予算 第4号 高知県個人情報の保護に関する法律施行条例議案 第5号 高知県職員の高齢者部分休業に関する条例議案 第6号 高知県四国カルスト県立自然公園公園施設の設置及び管理に関する条例議案 第7号 職員の定年等に関する条例等の一部を改正する条例議案 第8号 職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例議案 第9号 高知県国民健康保険法施行条例の一部を改正する条例議案 第10号 高知県公衆浴場法施行条例の一部を改正する条例議案 第11号 高知県旅館業法施行条例の一部を改正する条例議案 第12号 高知県民生委員定数条例の一部を改正する条例議案 第13号 高知県子ども・子育て支援会議設置条例の一部を改正する条例議案 第14号 高知県都市計画法施行条例の一部を改正する条例議案 第15号 高知県が当事者である和解に関する議案 第16号 県有財産(港湾荷役機械)の取得に関する議案 第17号 国道441号防災・安全交付金工事請負契約の締結に関する議案 第18号 県道本川大杉線(上吉野川橋)橋梁修繕工事請負契約の締結に関する議案 第19号 県道須崎仁ノ線防災・安全交付金(仁淀川河口大橋)工事請負契約の締結に関する議案 第20号 春遠ダム(春遠第1ダム)本体建設工事請負契約の締結に関する議案 第21号 令和3年度高知県電気事業会計未処分利益剰余金の処分に関する議案 第22号 令和3年度高知県工業用水道事業会計処分利益剰余金の処分に関する議案 報第1号 令和3年度高知県一般会計歳入歳出決算 報第2号 令和3年度高知県収入証紙等管理特別会計歳入歳出決算 報第3号 令和3年度高知県給与等集中管理特別会計歳入歳出決算 報第4号 令和3年度高知県旅費集中管理特別会計歳入歳出決算 報第5号 令和3年度高知県用品等調達特別会計歳入歳出決算 報第6号 令和3年度高知県会計事務集中管理特別会計歳入歳出決算 報第7号 令和3年度高知県県債管理特別会計歳入歳出決算 報第8号 令和3年度高知県土地取得事業特別会計歳入歳出決算 報第9号 令和3年度高知県国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算 報第10号 令和3年度高知県災害救助基金特別会計歳入歳出決算 報第11号 令和3年度高知県母子父子寡婦福祉資金特別会計歳入歳出決算 報第12号 令和3年度高知県中小企業近代化資金助成事業特別会計歳入歳出決算 報第13号 令和3年度高知県流通団地及び工業団地造成事業特別会計歳入歳出決算 報第14号 令和3年度高知県農業改良資金助成事業特別会計歳入歳出決算 報第15号 令和3年度高知県県営林事業特別会計歳入歳出決算 報第16号 令和3年度高知県林業・木材産業改善資金助成事業特別会計歳入歳出決算 報第17号 令和3年度高知県沿岸漁業改善資金助成事業特別会計歳入歳出決算 報第18号 令和3年度高知県港湾整備事業特別会計歳入歳出決算 報第19号 令和3年度高知県高等学校等奨学金特別会計歳入歳出決算 報第20号 令和3年度高知県流域下水道事業会計決算 報第21号 令和3年度高知県電気事業会計決算 報第22号 令和3年度高知県工業用水道事業会計決算 報第23号 令和3年度高知県病院事業会計決算第2 一般質問(一問一答形式による)-----------------------------------   午前10時開議 ○議長(明神健夫君) これより本日の会議を開きます。----------------------------------- △諸般の報告 ○議長(明神健夫君) 御報告いたします。 公安委員長古谷純代さんから、所用のため本日の会議を欠席し、公安委員小田切泰禎君を職務代理者として出席させたい旨の届出がありました。----------------------------------- △質疑並びに一般質問 ○議長(明神健夫君) これより日程に入ります。 日程第1、第1号「令和4年度高知県一般会計補正予算」から第22号「令和3年度高知県工業用水道事業会計処分利益剰余金の処分に関する議案」まで及び報第1号「令和3年度高知県一般会計歳入歳出決算」から報第23号「令和3年度高知県病院事業会計決算」まで、以上45件の議案を一括議題とし、これより議案に対する質疑並びに日程第2、一般質問を併せて行います。 質疑並びに一般質問は一問一答形式によることとします。 土居央君の持ち時間は50分です。 11番土居央君。 ◆11番(土居央君) 自由民主党の土居央でございます。皆様おはようございます。今日から2日間の一問一答方式の質問戦でございますけれども、先陣を切らせていただきたいと思います。早速質問に入らせていただきます。 私、今回はアフターコロナの高知県勢のV字回復を見据えての、高知の最大の強みであります食、これのブランド化を一つのテーマとして質問をさせていただきたいと思っております。 まずは、土佐酒についてであります。 さきの6月、大変うれしいニュースが入ってまいりました。今年の全国新酒鑑評会で本県蔵元の土佐酒12点中8点が金賞を受賞するとともに、ほか2点も入賞を果たし、最高位の金賞受賞率66.7%、入賞率83.3%で、ともに日本一になったということであります。 また、5月にはロンドンで開かれた世界最大級のワイン品評会、インターナショナル・ワイン・チャレンジ2022、SAKE部門で、本県の2つの蔵元が、純米吟醸、純米大吟醸、それぞれの部で2点が最高賞のトロフィーを獲得、ほかの2点も金賞を獲得しています。そのうち土佐町の蔵元は以前にも最優秀に選ばれておりますが、その原料米は、地元嶺北産の吟の夢であります。本県独自の酒造好適米である吟の夢は、世界でも通用することを証明しています。 さらに、つい最近ですが、先月米国で開催された全米日本酒歓評会におきまして、高知は24点中金賞12点、銀賞5点。これは全国40の県から出品がありまして、高知県は金賞率5位でございますけれども、これは出品数が少ない県は有利になりますので、15点以上出品している酒どころの中では、金賞率2位という好成績を収めています。 このように、本県の酒、土佐酒は、近年の国内外の品評会で非常に高い評価を得ております。また、去年から今年にかけて販売が始まりました土佐宇宙深海酒の誕生など、これらの成果は、御関係の皆様の並々ならぬ情熱と御努力のたまものと大変うれしく、また県民としても誇らしく思う次第であります。 さらに、今月県が発表した令和3年の貿易実態調査によりますと、酒を含めた県産食料品の輸出額は前年比16%増の18億8,000万円となり、そのうち土佐酒が前年比85.2%増の5億1,200万円と大幅に伸び、食料品輸出額の品目別で、ついにユズを抜いてトップになっています。今後の見通しを考えましても、県は食品の輸出拡大に向けた設備補助金で後押しをしておりまして、県内各社が輸出の拡大を目指した取組を進めていると伺っています。 このように、今や土佐酒は本県の食品産業の柱として成長を遂げていますとともに、国際的な評価の高まりと、それに応えるための生産拡大やブランド化の取組は、その他本県の農業や観光や文化など、広範囲な分野に大きな影響を及ぼすものと期待を寄せているところです。 そこで、この土佐酒を世界に通じる本県の誇るべき価値と捉え、今後本県の振興にどう生かしていくべきと考えるのか、まず知事の御見解をお聞きいたします。 ◎知事(濱田省司君) 議員からのお話もございましたように、土佐酒は世界各国で高い評価をいただいております。今後輸出におけます最も有望な品目と言って過言ではないというふうに思っております。 そして、この酒造メーカーの多くは中山間地域にございます。土佐酒の輸出拡大を図りますことは、こうした地域におけます酒米の増産あるいは雇用の拡大といった産業振興面での効果が見込まれますし、これのみならず中山間地域の活性化ということを考えましても、これに大きく寄与するというふうに考えております。 本県の酒蔵は18蔵ございます。この中には江戸時代から続く昔ながらの造り酒屋もございますし、近代的な設備が整いました酒造メーカーもあり、様々でございます。近年では、特にインバウンドの観光の方々に酒蔵ツーリズムが注目されているというような情報にも接しておりまして、そういった意味で、旅行商品の造成におきましても、この酒蔵巡りといったものに活用できるのではないかという思いも持っております。 このように、土佐酒は輸出の主要品目であるのみならず、地域の活性化あるいは観光振興、こういったものに非常に有望なツールになり得るというふうに考えておりまして、様々な分野で活用できる価値を有するというふうに考えております。 ◆11番(土居央君) ありがとうございます。 様々な価値があります。その価値を生かすためには、その価値を守り続けていかなければなりません。価値を証明するために問われるのが、日本酒の場合、品質であります。各種の品評会は、それを客観的に証明するものであり、そこでの評価は極めて重要です。品評会での評価が高い、高品質と証明されるからこそ、胸を張って酒どころと言えるのであり、輸出拡大が可能になるものと考えます。 そして、そうした品評会で土佐酒の高評価を支えているのが、高知方式と言われる工業技術センターと蔵元との連携・協力体制による成分分析と技術支援、そして情報共有の仕組みです。この高知方式の維持が、今後土佐酒の振興には非常に重要になります。 これは、工業技術センターの職員が毎年全18蔵を回って、酒米やこうじを持ち帰り、例えば同じ酵母で仕込んでいても、その年の酒米がそれに溶けやすいのか溶けにくいのかなど早い段階で調べて、分析結果を蔵元に情報提供する、そして指導する、そういう工程を酒造りの初期の段階で実施するとともに、情報を全蔵元で共有するというシステムです。こうした強力な連携体制を構築しているのは他県にはなく、今全国的にも注目されているとお聞きします。 この手法が土佐酒全体のレベルの底上げにつながっていることは、全蔵元の共通認識であり、高知方式を県としても大事にしていかなければならないと思いますが、これが維持できるか否かは、工業技術センターの職員さんにかかっていると言っても過言ではないと思います。 現在、工業技術センターでは、酒類担当者を2名から3名に増やし、またこれまで土佐酒を支えてきた上東さん、本人から御了解をいただいておりますので個人名を出しますけれども、高知酵母の生みの親で、土佐酒の研究者でありますけれども、その方も特別技術支援員として再任用するなど、体制の強化を図っておられることと承知をしており、これは高く評価をしたいと思います。 ただ、こうした体制を今後も維持していただきたいと思う次第です。といいますのは、今年の新酒鑑評会で行政の支援体制や蔵元との連携体制がいかに大事か、端的に示す事例があったからであります。具体的には、過去10年通算受賞率がトップクラスの県、これが今急激に順位を下げています。もともとの酒どころですので、本県とは違う形で工業技術センターのような機関があり、各蔵元に指導していたのですけれども、その担当者、また組織体制が変わったことで連携と指導が行き届かなくなり、全ての蔵元の品質の低下を招いたことが原因だという関係者の分析をお聞きしました。特に小さい蔵元ほどその影響を受けているとのことであります。 このことからも、本県も工業技術センターに一定の知識と技術を持っている人が常にいて、安心して分析でき、情報提供できる環境があること、つまり高知方式を今後も維持していくことが何より重要だと考えます。 そこで、土佐酒の品質を支える高知方式を将来にわたり維持することについて商工労働部長はどう考えておられるのか、お聞きをいたします。 ◎商工労働部長(松岡孝和君) 長年酒造業界の皆様と相協力し、培ってきました高知方式と言われるこの取組は、コンテストでの上位入賞などの実績を上げておりまして、今後さらなる外商に向けて維持することはもちろん、さらに発展させていくべきものと考えております。 万が一にも、お話のありましたように、担当者の異動などにより業界の皆様との連携が損なわれるようなことがあってはならないと認識しております。このため県では、お話にもありましたように、担当者の増員や若手職員の育成などに取り組んでいるところであります。 また、新たな土佐酒の開発などに必要な分析機器もほぼ毎年調達を行っておりまして、今後も業界のニーズをお聞きしながら、必要な機器を導入していきたいと考えております。今後も業界の皆様とより一層連携を密にしまして、さらなる土佐酒の品質の向上と外商の拡大に取り組んでまいります。 ◆11番(土居央君) ありがとうございます。 センターの施設面での課題につきましてもあるんですけれど、これは後ほど質問させていただきます。 次に、土佐酒のブランド化についての思いでございます。私は県議に初当選した平成27年、この初質問でも取り上げさせていただきまして、以来7年間ですけれども、全くその思いは変わっておりませんが、行政の土佐酒支援の環境は大きく向上したものと高く評価をしております。 例えば土佐酒振興プラットフォームの設置もそうですし、土佐酒振興プラットフォームが主催する酒米品評会、これは酒米生産農家、蔵元と関係団体が一体となって酒米の生産技術と品質向上を目的に、県内の全酒米生産者を対象とした品評会で、品質の高い生産者を表彰するとともに、当該年度の酒米生産の概況や品質についての情報提供、研究者の講演等を行っていまして、今年で第7回目を迎えています。 そこで、この酒米品評会の成果についてどのような手応えを感じているのか、農業振興部長にお聞きいたします。 ◎農業振興部長(杉村充孝君) 県では、酒造組合やJA、学識経験者の御協力の下、平成28年から県産酒米の品質向上を目指した酒米品評会を開催してまいりました。その品評会のこれまでの成果としまして、酒造りに適した酒米に含まれるたんぱく質の含有率の低さや発酵の進みやすさなどに着目し、新米を評価することで、蔵元が求める品質の高い生産への意識が生産者に高まっていると思っております。 また、品評会の上位入賞者の栽培技術を学ぶ現地検討会を開催することで、例えば酒米の中で生産量が最も多い吟の夢の1等米比率は、品評会を始めた平成28年に比べ昨年には12%向上するなど、審査の結果を今後の品質向上に生かしていると考えております。さらには、品評会に蔵元と生産者が一堂に会することで、お互いのつながりがより一層深まったなどの手応えを感じているところでございます。 今後も、土佐酒の輸出拡大に伴う県産酒米へのニーズの高まりに対応するため、引き続き品評会などを通じたさらなる品質向上と生産拡大に取り組んでまいります。 ◆11番(土居央君) ありがとうございました。酒米農家と蔵元の双方の理解が、これでより深まっているものと思っております。地元の酒米と水を使った土佐酒造りを進めるための環境づくりの第一歩として、今後も続けていっていただきたいと思っております。 次に、本県では今、土佐酒輸出拡大プロジェクトを掲げ、酒米の品質向上、安定生産から売れる商品づくり、そして生産体制の強化、外商の支援まで一貫して支援していく体制で、力強く土佐酒を支援してくれていることと承知をしています。 一方で、外商分野では、大手酒造メーカーに比べてまだまだ認知度が低いことが課題として認識をされています。つまり、ブランド力が弱いということでもあろうかと思いますが、土佐酒振興の議論をする際、ブランド化ということは、よく執行部の皆さんの説明でも出てまいります。 そこで、県の考える土佐酒のブランド化とは具体的にどういうことなのか、産業振興推進部長にお聞きいたします。 ◎産業振興推進部長(沖本健二君) 土佐酒のブランド化とは、端的に申しますと味や香りといった品質に関して高く評価をされ、数ある日本酒の中で土佐酒を選んでいただけるようになることだというふうに考えております。 日本酒のブランドとして真っ先に思い浮かびますのが山口県の獺祭でございますけれども、こちらは蔵元の明確なビジョンの下、原料となる酒米にこだわり、味にばらつきが出ないよう、徹底的なオートメーション化を実現しております。これにより多くの日本酒愛好家に受け入れられ、今日の地位を築いておられます。 現在、県内の酒蔵におかれましても日々奮闘しながら、品質の向上に取り組んでおられます。そうした中で、県産酵母CEL-24を使った土佐酒が海外で人気を博しております。こうした努力の積み重ねが消費者から評価され、土佐酒のブランド化につながっていくものと考えております。 ◆11番(土居央君) ありがとうございます。 それでは、そのブランド化のためには何が必要だと考えているのか、県の見解を産業振興推進部長にお聞きいたします。 ◎産業振興推進部長(沖本健二君) 先ほど触れました獺祭は、酔うため売るための酒ではなく、味わう酒を求めるという蔵元の確固たる信念の下、品質の高い酒米を精米歩合4分の1以下まで磨き上げるなど、原料や製法に徹底的にこだわって造られております。 土佐酒のブランド化のためには、消費者から高く評価されるよう、県外の産地との違いを明確にできるまで、原料や製法にこだわって酒造りを行うことが重要だというふうに考えております。そうした酒造りを個々の酒蔵が積み重ねていくことで、消費者から求められる商品が数多く生み出され、その結果、土佐酒全体のブランド化につながっていくものだというふうに考えております。 ◆11番(土居央君) ありがとうございます。県のお考えがよく分かりました。同じ思いなんですけれども、私としては、高品質でかつ差別化を図れること、これがやっぱりブランド化の非常にポイントではないかと思っています。その点高知はその酵母、独自酵母もございます。酒米も独自のブランドをつくりました。こういうことをさらに磨き上げていくということが、やっぱりブランド化への前進だと思っております。 そこで、次の質問でございますけれども、例えば工業技術センターを中心に産学官のグループの努力により実現した土佐宇宙深海酒、これは酵母に着目したブランド化の取組だと言えます。これも本県独自の酵母であり、県としてももっとPRすべきではないかと考えています。 そして、私は次の展開として、世界に通じる土佐酒のブランド化の実現には高知県独自の米、酒造好適米のブランド化、正確に言えば、高知県独自の酒造好適米で造った土佐酒のブランド化が必要だと思っています。 具体的な手法として、例えばこうした取組を全国に先駆けて取り組んできた山形県は、出羽燦々という独自の優秀な酒造好適米を開発しています。この酒米と山形県独自の酵母とこうじ菌を使うこと、また精米歩合55%以下にすることを条件として純米吟醸酒に対してDEWA33、こういう称号を与えまして、純正山形酒審査会認定証のラベルを貼っています。山形が開発した酒米を山形の農家が作り、山形の蔵元が山形が開発した酵母とこうじを使って、山形の水で醸す山形酒に対して、揺るぎない誇りと自信、そして責任を形として示すことで、山形酒のブランド化を図っているのであります。 土佐酒のブランド化としては、山形県にはない高知方式という手法による品質確保により、品評会での入賞率を高めることで、一定の成功を収めていると捉えることができます。また高知県酒造組合では、「TOSA NAKAMA SAKE」というコンセプトで土佐酒のブランド化を進める、高知らしいプロモーションを展開していますが、この先の展開を考えたとき、まず1つは、私はより具体的に本県独自の酒造好適米で造る土佐酒のブランド化を図るべきではないかと考えます。 そこで、本県独自の酒造好適米に着目したブランド化について、関係者で検討すべきときに来ているのではないかと考えますが、県の見解を産業振興推進部長にお聞きいたします。 ◎産業振興推進部長(沖本健二君) 今おっしゃいました山形県の取組は、酒米の地産地消の推進による農業振興という意味でも画期的な取組だというふうに考えております。酒造好適米に着目したブランド化を図りますためには、酒米自体が酒蔵の求める高い品質を有するとともに、出来上がった酒が消費者から高い評価をいただけるものとなる必要があるというふうに考えております。 本県の場合、現状では生産する地域によって酒米の品質にばらつきがあることに加えまして、酒蔵ごとに個別の販売戦略に基づいた酒造りを行われていますため、直ちに山形県のような取組を行うことは、現状では難しいのかなというふうに考えております。 今後は、酒米の品質向上を図りますとともに、多くの酒蔵に選んでもらえるよう、酒蔵や酒造組合の御意見も伺いながら、土佐酒輸出拡大プロジェクトを推進してまいりたいというふうに考えております。 ◆11番(土居央君) 土佐酒がこれからも品質を維持し、全国で優位に戦っていくためには、先ほど言いましたように、工業技術センターを拠点とした高知方式をしっかりと守っていくことが大事です。ただ、高知方式には、酒造過程における様々な分析結果を蔵元に情報提供、共有し指導するというサイクルだけではなくて、もう一つ、県内の酒造技術者に対して様々な研修を実施して、本県蔵元の酒造技術の向上を図るという大事なミッションがあります。 以前のように普通酒だけであれば、短期間の教育で一定程度の酒造りが行えていましたが、今日のように吟醸酒など高級酒造りが主流となった酒造りでは、これまで以上の専門的な知識や技術が求められ、さらに新たな醸造に関する科学的解明が進むことによって導入されてくる新技術にも対応していく能力が要求されるようになってきています。 特に、高級酒用のこうじ作りでは、高度な知識と技術を要する作業が行われており、蔵元が自社内だけでの教育や研修では十分な対応ができなくなっています。工業技術センターでの実習を伴う研修は、こういった人材育成には非常に有効な研修ですが、醸造関連の設備が弱く、特に製麹法の習得は酒造技術者育成に欠かせない実習項目であるにもかかわらず、その実習ができていない状況にあります。他県でも日本酒のブランド化に力を入れているところでは、工業技術センターのような施設の中に、小規模でも製麹室をはじめ酒造設備を構えて、県内技術者の育成に力を入れている県もあります。 そこで、今後も土佐酒が本県の強みであり続けるためにも、本県でも酒造関連の実習ができるハード環境の整備を図るべきだと思いますが、商工労働部長の見解をお聞きいたします。 ◎商工労働部長(松岡孝和君) 今後のさらなる土佐酒の品質の向上と外商拡大に向けましては、酒造業界における人材の確保・育成も大変重要であると認識しております。 お話のありました実習施設の整備につきましても選択肢の一つであると考えますが、整備を検討するに当たっては、その機能や規模、費用対効果、運営体制などの整理を行う必要がございます。この点につきましては、今月高知県中小企業団体中央会が中心となりまして、既に施設を整備している岩手県、秋田県、山形県、福島県、こちらを訪問しお話を伺うことになっておりまして、県の職員もこれに同行することとしております。 今後こうした他県の事例も参考にしながら、また何より業界の皆様のニーズをよくお聞きしながら、ハード環境の整備も含め、人材の確保・育成について共に検討してまいります。
    ◆11番(土居央君) ありがとうございます。ぜひ関係者と話合いをして、前向きに進めていただきたいと思います。高知の強みは食でありまして、強めている食はたくさんあるんですけれど、品質が客観的に日本一と証明される食というのは、そうそうないと思います。せっかく官民でここまで磨き上げてきたものですので、設備面につきましても画竜点睛を欠くようなことにならないように、しっかりと体制を整備していただきたいというのが私の思いであります。 次に、先ほど申したように、本県では今、酒米は農業振興部、酒造は商工労働部、外商は産業振興推進部と3つの部にまたがる土佐酒の振興というテーマに対し、土佐酒輸出拡大プロジェクトを立ち上げ、組織間連携を強化して伝統と技術革新に支えられた、おいしくて新しい土佐酒を官民一体で世界へ発信し、拡大再生産の好循環につなげることを目的としています。日本一の土佐酒としての誇りと関係者の思いが一つになっている今、さらなる高みを目指して、世界的な日本酒のブランドとして、土佐酒を押し上げる絶好のチャンスだと考えます。 そこで、当プロジェクトが目指すべき姿を形とするために、例えば土佐酒振興計画あるいは土佐酒世界ブランド化戦略のような形で具体化するべきだと考えますが、産業振興推進部長の見解をお聞きいたします。 ◎産業振興推進部長(沖本健二君) 土佐酒が非常にポテンシャルが高くて、これが産業振興につながる大きなツールになるという思いは、本当に議員と全く同じでございます。 今現状を申しますと、日本酒の国内出荷量は年々減少する一方で、海外におけます日本酒ブームなどを背景に、その輸出額というのは急増しておると、年々急増しておるということでございます。そのため、先ほど議員のお話にもございましたように、今年度から産業振興計画の中で土佐酒輸出拡大プロジェクトをしっかりと位置づけまして、土佐酒の輸出拡大に向けて、産学官民連携の下に取り組んでいるところでございます。 このプロジェクトは、まだ緒に就いたばかりですので、まずはこのプロジェクトをしっかりと軌道に乗せて、その次のステップとして、今輸出が中心になっておりますけれど、国内におけます販売拡大も含めまして、土佐酒の振興策というのを検討してまいりたいというふうに考えております。 ◆11番(土居央君) 分かりました。段階的にというか、順を追って成果を上げていかれるというようなこととして理解をいたしました。 この問題、土佐酒の振興についての最後の質問になりますけれども、まず私がこの土佐酒につきましてブランド化とか輸出拡大とか、あれこれ質問しているのは、決して土佐酒自体を多く売り出していくということ自体を目的にしているわけではありません。私は、土佐酒にはその先の大きな可能性を感じていまして、実現できないかと考えている構想があります。それは、土佐酒を中心とした高知の食文化のテロワール構想でございます。 フランス語で、主にワインの世界で用いられるテロワールとは、土壌、気候、人、文化など土地に関わる様々な要素と結びついた、その土地ならではのものを意味し、ワインの味わいはそうした要素により総合的に形成されるとの考えがあります。そうして完成されたワインは、まさにその土地の風土、文化の結晶であり、アイデンティティーでもあるわけであります。 土佐酒には、テロワールとして打ち出せる可能性があります。さらに言えば、私は土佐酒を中心とした土佐の食文化が、テロワールとしての条件を一定備えているのではないかと考えています。 高知県酒造組合の竹村昭彦理事長の言葉でございますが、基本的に土佐酒はその土地の気候風土や食べ物に合った味わいになっているもので、土佐の淡麗辛口の味わいは、カツオのタタキや皿鉢料理に代表される伝統的な土佐の食べ物に合うように、歴史的に形成されてきた味わいです。売れ筋を追求するあまり、地元の食文化や伝統と無関係の味わいにシフトするような酒造りはしていない。土佐の各蔵元は今でも淡麗辛口がベースにあり、これまで培われてきた酒造技術や優れた酵母により、様々なバリエーションの酒が造れるようになってきたが、他県が酒文化と別次元で売れる酒だけで戦っているのとは違い、土地の酒文化や伝統を大事にしてきた中での多くの受賞は、堂々と酒文化の国と胸を張れるというふうに話してくれました。 先ほどの山形県の事例のように、高知県が開発した酒米を高知の農家が作り、高知の蔵元がその県産米と高知県で開発された酵母やこうじを使って高知の水で醸すことができれば、土佐酒はさらに大変価値のあるものとなります。 また、本県には土佐酒以外にも昔ながらの豊かな食材があります。例えば、一本釣りで捕れたカツオや日本最後の清流と言われる四万十川や日本一の水質を誇る仁淀川のアユ、さらには江戸時代から続き、300年以上の歴史を誇る日曜市で購入できる旬の食材、また高知にルーツを持つ品種で、高知県で開発されたブンタンや新高梨のフルーツに加え、土佐あかうしやはちきん地鶏などの畜産物もあります。南は太平洋、北は四国山地に隔てられた本県では、太古の時代から先人たちが独自の食文化を育んでまいりました。時代の差はあれど、こうした食に関するDNAは、現代の我々にも脈絡と受け継がれているのであります。 私は、本県のこうした歴史と文化と風土に密接に根差してきた土佐酒と食文化を、テロワールとして世界に発信することができれば、世界の人々に対して非常に大きなアピールポイントになるものと考えます。要すれば、土佐酒を柱として、歴史的に独自の食文化が根づいている土地として、高知県そのものをテロワールとしてブランド化を図っていこうという考えでもありますが、こうした構想についての知事の御見解をお聞きいたします。 ◎知事(濱田省司君) 御指摘ありましたテロワールには様々な捉え方があると承知しておりますけれども、その土地の気候あるいは風土が育みましたその土地ならではの個性というふうに理解をいたしております。こうしたテロワールの概念を地域のブランド化の取組に生かしてはどうかという議員の御提案をいただきました。大変興味深く拝聴いたしたところでございます。 高知県は温暖な気候に恵まれまして自然豊かであります。本県には多種多様で、また滋味あふれる農水産物、またこれらを使いました加工食品が数多く存在しております。例えば、奇跡の清流と言われます仁淀川の伏流水を生かして醸した土佐酒でございますとか、面前に広がる土佐湾の海水を原料とした天日塩、お塩でありますが、といったもの、これがその典型であろうというふうに思っております。 現在、一般的な観光キャンペーンとしましても、リョーマの休日キャンペーンの中で高知の観光の強みとして、食を前面に押し出したキャンペーンを現在張っておりますけれども、言わばそれをさらに一歩進めまして、土佐酒はもちろんのことでありますが、高知の気候風土が育みます唯一無二の食というものを、本県ならではのテロワールとして磨き上げていくというのは、大変興味深い御提案というふうに感じております。 食文化や観光誘客の上で、このテロワールという考え方で有力なコンテンツとして活用ができないかということについて、検討してまいりたいというふうに考えております。 ◆11番(土居央君) ありがとうございます。ぜひ御活用いただけたらと思います。 特にインバウンドもそうですけれども、アドベンチャーツーリズム、これまで質問もしてきたんですけれども、これらも主なターゲットとなる層、観光客というのは、この観光とか商品にストーリー性のあるものを求める傾向が強いというふうにお聞きしておりまして、こういった面を文化のほうに当てはめますと、テロワールを前面に打ち出すという切り口といいますか、それが非常に有効ではないかと思いますので、よろしくお願いいたします。 続きまして、海のエコラベルにつきまして質問いたします。基本的に今回のテーマは、私は高知県が持つ世界に通じるブランド、これを創出していくために、個別具体的な項目を選んで質問させていただきますが、土佐酒とともに本県の食を支えるカツオについてお聞きしたいと思います。 カツオは高知県の魚に選定をされています。また、高知市民の世帯当たり年間購入量が全国1位、本県の観光政策の柱でもある伝統、食の中核を担う存在でもあります。本県が得意としている伝統的な食文化として打ち出す上には、一本釣りとカツオの組合せは欠かせない要素だと思います。 しかし、令和2年以降、本県の近海カツオ一本釣り漁船3隻が廃業もしくは休業の状態にあるとお聞きしました。本県の伝統の近海カツオ一本釣り漁業の縮小は本県の水産業の衰退、ひいては伝統の食文化の消滅にもつながる事態だと懸念しております。聞くところによりますと、県内の近海カツオ船はこの30年で4分の1に激減し、現在100トン以上の漁船7隻と、50トン前後の漁船2隻の9隻だということでございますが、残された漁師の皆様は、存続をかけた努力を続けているとお聞きをしております。 このように厳しい状況下にある本県の近海カツオ一本釣り漁業ですが、昨年6月に高知の近海カツオ一本釣り漁業が宮崎県の漁協と連携して、環境に優しい持続可能なエコ漁業としての国際認証、MSC認証、通称海のエコラベルを取得したことには希望を感じています。この海のエコラベルは、ロンドンに本部を置く非営利団体MSC--海洋管理協議会が運営し、違法漁業や乱獲ではない水産物であることを証明するもので、生カツオ漁では国内で初めての認証とのことです。 本県の伝統の近海カツオ一本釣り漁業は、世界的にサステーナビリティーという価値が認められたということですが、世界が持続可能性を追求している中で、土佐の伝統漁業がその価値を世界に認められたということは、大変意義のあることだと思います。 こうした状況を踏まえ、本県伝統のカツオ一本釣り漁業を守り、未来へつなぐということについて知事はどう考えられておられるのか、お聞きいたします。 ◎知事(濱田省司君) 本県の近海カツオ一本釣り漁業は、年間の生産額は30億円程度に上っておりまして、本県にとりましても重要な漁業の一形態となっております。また、お話がございましたように、カツオのタタキに代表されますような土佐のカツオは、観光あるいは食文化の面で、本県にとって極めて重要なかけがえのない資源だというふうに考えております。 御紹介いただきましたように、本県の近海カツオ一本釣り漁業がいわゆるMSC、海洋管理協議会の認証を受けまして、資源に優しい漁法として国際的に認められたことは、大変喜ばしいというふうに思っております。いわゆるまき網漁船で一網打尽に捕ってしまうのではなくて、一本一本釣っていくと、これがまさしくサステーナブルな漁法だということの認定がされたということだと考えております。 一方、近海カツオ一本釣り漁業は、資源状況が悪化をいたしましたり、燃油価格が高止まりにあるというような状況にありまして、その経営状況は非常に厳しい状況が続いております。県といたしましては、この主要な漁業であり、また観光、食文化などに波及効果の高い土佐のカツオ一本釣り漁業を、将来にわたってしっかりと存続させていく必要があると考えます。 このために、令和2年度にかつお・まぐろ漁業の振興策を取りまとめ、策定をいたしました。これに基づきまして、現在経営の継続に向けまして事業戦略を策定、実行していただくことを支援していく、あるいは操業の効率化をサポートするツールを開発していくといった取組を県として進めてまいっておるところでございます。伝統があります土佐のカツオ一本釣り漁業をしっかりと未来へつないでいけますように、取り組んでまいりたいと考えております。 ◆11番(土居央君) よろしくお願いいたします。 先ほど紹介しましたMSC認証ですけれども、これはそれだけで漁業に何か成果をもたらすものではありません。この認証が広く国民に認知され、エコラベルつきのカツオが流通し、量販店や飲食店で提供され、消費者の下に届いて初めて意味を持つものであります。 漁業認証であるMSC認証の水産物が非認証水産物と混じることなく、確実に消費者に届くようにすることを目的とした認証をCoC認証といいますが、具体的には、まずMSC認証を取得した漁船で釣ったカツオをMSC認証カツオとして、CoC認証を持った卸売業者、加工業者などが管理、流通し、CoC認証を持った小売店や飲食店で海のエコラベルをつけて提供するというシステムになっています。したがいまして、流通・加工業者や小売・飲食店の協力が鍵を握っていると言われています。 先ほど申しましたとおり、カツオは高知県の魚に選定されています。また、年間の消費量も高い状態です。高知市の年間世帯当たりが全国1位です。また、多くの観光客の皆様が高知でカツオを目当てにしているケースも多いのですが、このエコラベルを高知県内で目にすることは少ないのが現状だと思います。 そのため、海のエコラベルがついたカツオが県内で流通し、消費者が選べる環境づくりを進めていくために関係者で検討すべきではないかと考えますが、水産振興部長の見解をお聞きいたします。 ◎水産振興部長(松村晃充君) エコラベルのついたカツオを消費者に届けるためには、お話にありましたように、加工や小売などのそれぞれの段階において、エコラベルの認証を受けた水産物を適切に管理するCoC認証の取得が必要です。このため、関係者が一体となって取り組んでいく必要がございます。 加えまして、消費者にエコラベルの認証を受けた商品を選んでいただくためには、認証制度の趣旨を理解していただくことが重要でございます。本県では、大手の量販店など一部の店舗がCoC認証を取得しているといった状態でございます。ですので、お話にもありましたように、県内でエコラベルのついたカツオを目にすることは少ないという状況にございます。 このため、県内の漁業者団体や飲食店、小売事業者など様々な分野の方々が参画いたしております高知カツオ県民会議の皆様と、エコラベルの普及やCoCの認証取得について検討を行ってまいりたいというふうに考えております。 ◆11番(土居央君) ありがとうございます。よろしくお願いいたします。 私は、MSC認証を取得したカツオ一本釣り漁業をSDGsにも貢献する本県の食文化を支える漁法として、様々な機会を捉えて積極的に世界に発信するべきと考えます。そして、一本釣りカツオの認知度向上、ブランド化を図っていくべきではないかと考えます。 そこで、一本釣りカツオの認知度向上、ブランド化に向けて世界へ発信することについて水産振興部長のお考えをお聞きいたします。 ◎水産振興部長(松村晃充君) カツオは本県の食文化を語る上で欠かすことのできない資源であり、国内での認知度は高いものの、海外ではカツオのタタキをはじめとした食べ方は、まだまだ知られていない状況でございます。 一方で、これまで観光分野で行われました海外のメディアの方々を招いたモニターツアーでは、カツオのタタキ体験は好評であったことなど、海外の方に対しても訴求力のある素材であると考えております。 まずは、土佐のカツオの食文化を知っていただくことが大切だというふうに考えております。このため、国内外で行われます国際見本市での紹介や、海外からの観光客向けのPRなど、様々な場面において情報発信を行ってまいりたいと考えております。そうした際には、本県のカツオ一本釣りが資源に配慮した漁法であると国際的に認められたことを発信し、海外での認知度向上、ブランド化につなげていきたいと考えております。 ◆11番(土居央君) よろしくお願いします。それでは、次に参ります。 もう一つ、高知の食ブランドに一役買ってくれる存在がアユだと思います。先日、我が会派の土森議員も質問されました、あゆ王国高知振興ビジョンでございますけれども、今年3月にまとめられておりますが、その取組の進捗状況について、まず水産振興部長にお聞きいたします。 ◎水産振興部長(松村晃充君) 本年3月に策定いたしましたあゆ王国高知振興ビジョンを確実に進めていくために設置しました、あゆ王国高知振興ビジョン推進協議会の第1回目の会議におきまして、関係する団体などから提案のあった66の取組について実行していくことが確認されております。 具体的には、認知度の向上に向けた、まるごと高知でのメディアへのPRや、観光客を呼び込むためのSNSでのアユ釣り体験や食のPRなどを実施しております。加えまして、協議会では重要な課題や専門性の高い取組について検討を行うため、3つの作業部会を設置し、アユの集出荷の仕組みづくりや、効果的な情報発信などの取組を進めているところでございます。協議会で、進捗状況の確認や取組への助言をいただき、PDCAサイクルをしっかり回して、ビジョンを確実に実行してまいります。 ◆11番(土居央君) 分かりました。よろしくお願いいたします。 本県は、アユの年間漁獲量が30年で10分の1程度まで減少し、年間100から140トン程度だと聞いていますが、それでも全国では上位にいるようでございます。しかし、ほとんどが自家消費に回り、出荷量は10から20トンにとどまっているとのことで、振興ビジョンの柱の2、高知のアユで外貨を稼ぐということになりますと、自家消費から出荷へのシフトを促すか、そもそもの出荷量を増やす取組も必要になろうかと思います。また、都市圏での高知産アユの知名度を上げるという点からも、市場への出荷が重要になるのではないかと考えます。 高知産アユの出荷量を増やすことについて、県はどのように取り組んでおられるのか、水産振興部長にお聞きいたします。 ◎水産振興部長(松村晃充君) お話にありましたように、アユは近所や知人へのお裾分けや、自宅での消費が中心となっており、市場への出荷はごく一部にとどまっておるところでございます。そうしたことから、先ほど申し上げました協議会に設置をしました漁協や流通・販売事業者などで構成する流通・販売作業部会で、流通ルートが確立されていない県内の河川において、安定的にアユを集めて出荷する仕組みづくりに取り組んでいるところでございます。 あわせまして、県外でのメディアに向けたPRや、県内でアユを食べることができる飲食店情報の発信など、認知度の向上と消費の拡大に取り組んでおるところでございます。こうした取組を進めることで、本県のアユの出荷量の増加につなげてまいりたいと考えております。 ◆11番(土居央君) ありがとうございます。 また、高知産アユの知名度を上げることに関して、振興ビジョンではアユを活用した旅行商品提供のための仕組みづくり、また食を前面に出した観光キャンペーンへのアユの活用など、観光面での取組方針のほか、高知県のアユのブランド化と県外へのPR及び販売が取組方針として示されていますが、これらも県外と言わず、世界を見据えた取組をすべきではないかと思います。 アユの味の優劣を決める、いわゆる利きアユ大会では何を決めているのかというと、これは川を決めているわけであります。本県産アユは、四万十川や仁淀川、安田川に代表される全国でも屈指の知名度を誇る清流で育ちますが、これらの河川やその流域の歴史文化は、本県のインバウンド観光、例えば自然体験型、またサステーナブルツーリズム、グリーンツーリズム、アドベンチャーツーリズムなどでも有効なアピールポイントになっているからであります。 高知産アユの世界を見据えたブランディングという視点からはどう取り組んでいくのか、水産振興部長にお聞きいたします。 ◎水産振興部長(松村晃充君) ビジョンにおきましては、本県産のアユのブランド化に向けまして、訴求力のある商品づくりに取り組むこととしております。具体的には、火振り漁見学などの体験メニューづくりや、アユの加工品の開発、新たな食べ方の提案などを行うこととしております。 アユは、河川や流域の暮らしや文化に魅力を感じて訪れる海外の観光客に対しても有望な素材だと考えております。さらに、本県には四万十川や仁淀川などの清流と、それを育む豊かな自然があり、それが強みでございます。本県のアユを育む豊かな自然、多様な漁獲方法、食や文化などを生かして海外の方々にも喜んでいただける、訴求力のある商品づくりを進めていきたいと考えております。 ◆11番(土居央君) ありがとうございます。 このアユも先ほど説明したテロワールという切り口にぴったりはまってくるのではないかと考えていまして、カツオもそうなんですけれど、ぜひとも頑張っていただきたいというふうに思っております。 最後に、香り米十和の今後の支援についてお聞きしたいと思います。 米につきましても、今全国で地域活性化の期待を背負った新たなブランド米が各地で誕生しておりますけれども、産地間競争が激化する中で、良さや特徴を消費者にアピールできずに、存在感を示せない米も多いと聞いております。ただ、本県では近年、嶺北の天空の郷とか仁井田米、また、土佐市の土佐岩戸米など全国の食味の品評会で日本一あるいは優秀な賞を収めている米も出てきていまして、それぞれさらなるブランド化に向けて頑張っておられることと承知をしています。 そのような中、今年、仁井田米などにブレンドされる香り米、通称十和錦から選抜して、このたび正式に十和の名称で農林水産省に品種登録されました。新聞報道で初めて詳細を知ったんですが、この香り米十和は突然変異種であり、これまで通称扱いであったこと、それよりも、ある御夫婦が発見してから67年間守り続けてきた御努力のたまものであることなど、高知県として大事にしたいストーリー性のある米だと感じた次第です。 そこで、今後この香り米十和をどのように支援を行うのか、農業振興部長にお聞きいたします。 ◎農業振興部長(杉村充孝君) 香り米十和につきましては、お話がありましたように、67年前に四万十町の農家の方が発見され、過去には品種登録の動きがありましたが、原種の特定ができず、香りにばらつきがあったことなどから断念された経緯があります。 その後、2007年から地元の米穀店を中心に、静岡大学や地元農家の協力を受けまして、原種となる種もみの特定などに取り組まれた結果、今回農林水産省に十和の名称で品種登録が実現しました。これまでの長きにわたり関係者の方々が粘り強く取り組まれたことに対して敬意を表してございます。 今後の展開につきましては、品種登録に携わった米穀店にお聞きしましたところ、この香り米はほとんどが本県で生産され、希少性の高いお米であることを売りに、全国に向けて販売拡大をしていきたいということでございました。県産米のブランド化の一翼を担うものと大いに期待しているところでございます。今後、県としましてもこの全国に誇れる香り米十和の販路拡大に向けて、しっかり支援してまいりたいと考えております。 ◆11番(土居央君) ありがとうございます。 67年間の御関係の皆様の御努力に本当に敬意を申し上げたいと思います。ぜひとも県のほうの支援もしっかりお願いしたいと思います。 時間が少し余りました。私は今回も土佐酒の質問をメインにしました。何回もこうやってきているんですけれど、最初にした僕の質問の中で、米どころではない高知でいい酒が造れているのは、高知県の酵母のレベルが高いからで、その酵母は工業技術センター、一方酒造好適米は農業技術センター、つまり酒は工業と農業のコラボで造られている。それに高知の水、あと優れた杜氏、蔵元の職人が加わるのであり、自然と農業と工業と職人と、これらの技術の結晶によってこの土地の日本酒というものが誕生していくと。それを世界に打って出すことは、土佐人として大きなロマンを感じずにはいられないというような質問をしているんですけれど、まさにどんどんロマンが増大をしてきておりまして、もう本当に世界に誇れる日本酒を、土佐酒をアピールできるように官民挙げて頑張っていただきたいと思います。 結びになりますが、本県ならではの、小さいけれども世界に通じる地場産業といったものをしっかりこれからも産業振興計画の中でつくっていただきますことをお願いいたしまして、私の質問とさせていただきます。ありがとうございます。(拍手) ○議長(明神健夫君) 以上をもって、土居央君の質問は終わりました。 ここで10時55分まで休憩といたします。   午前10時51分休憩-----------------------------------   午前10時55分再開 ○議長(明神健夫君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 一問一答による議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 塚地佐智さんの持ち時間は40分です。 37番塚地佐智さん。 ◆37番(塚地佐智君) 日本共産党の塚地でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。 まず、学生支援について伺います。高校を卒業してから高知県で学び暮らす大学生や専門学校生は、本県の活性化にとっても、県経済にとっても重要な位置を占める存在だと思います。とりわけ4年制大学においては県外出身者の占める割合が高く、交流人口、関係人口は家族も含めると大きな影響力を持つ方々だとも思います。 まず、本県で学ぶ大学生数の県内、県外別の人数を文化生活スポーツ部長にお伺いいたします。 ◎文化生活スポーツ部長(岡村昭一君) 県内の国公立3大学と短期大学を含む3つの私立大学を合わせた6大学の学生数は、本年5月1日現在で9,885人、このうち県内出身者は3,638人で全体の36.8%、県外出身者は6,247人で全体の63.2%となっております。 ◆37番(塚地佐智君) 半分以上が県外から来られているという状態だと思います。 そうした県外から来られている学生が、本県の活性化にどのような効果をもたらせていると認識をされておられるか、知事にお伺いをいたします。 ◎知事(濱田省司君) ただいま部長からお答えいたしましたように、6,000人を超える県外出身の大学生が高知で学んでおられます。その効果は非常に大きなものがあると考えておりまして、例えば仮に1人当たりの消費額を月10万円ということで試算をいたしましても、本県への直接的なこの消費の経済効果だけで、年間約75億円というふうな数字が出てまいります。さらに、保護者の方などが県外から来高されるということによります観光関連産業へのプラス効果も大きいのではないかと考えます。 さらに、県内の人口減少、高齢化が進むという中で考えますと、学生アルバイトの方々が地域の産業を支える雇用を生み出しているという面でも大きな力になっているというふうに考えます。さらに、大学を卒業された後も県内で就職をされます学生が一定数おられますし、高知を離れたといたしましても、本県の応援団として一生の御縁が続くということが期待されるというふうに考えます。 このように、県外出身の大学生は本県の活性化に様々な面で大きな効果をもたらしているというふうに考えております。 ◆37番(塚地佐智君) 学生の方々の本当に大事な青春の時代をこの高知で過ごして、高知の活性化にも役立っていただいているというふうに知事のお話もありました。この高知県庁のホームページのトップにも、移住の促進、IターンやUターンを促すためのページがあります。精力的な取組がなされているわけです。 同時に、今お話のありました、既に高知県にゆかりの人となっている県内の学生へ、高知県で暮らし続けてもらうためのアプローチは極めて有効ではないかと思いますが、県としてどのような取組がなされているか、商工労働部長にお伺いいたします。 ◎商工労働部長(松岡孝和君) まず、県の内外を問わず、多くの大学生の方に本県で就職していただくため、県内企業の採用やインターンシップなどの情報をポータルサイトを通じて発信しているところです。また、コロナ禍を背景としまして、オンラインを活用した交流会や合同企業説明会を開催するなど、大学生と企業をつなぐ効果的な機会の提供にも努めているところであります。 こうした取組に加え、県内独自の取組として、大学連携まち・ひと・しごと創生推進本部の一員となって、地域への理解と愛情を深め、地域で働きたいという志を持った学生、いわゆる地方創生推進士の育成に取り組んでいるところであります。推進士の養成は、県内の大学と高専、計4校で実施しておりまして、昨年度までの6年間で201名の学生が認証を受けております。 この認証を受けました学生の県内の就職率は43%でございまして、県内4校全体の学生の県内就職率を16.5ポイントも上回っており、この取組は大変有効であると考えております。このため、今年度は取組を一歩進めまして、新たに大学生が県内企業を訪問、取材して、地元企業の理解を深める講座を高知大学と共同で行うことも始めております。 今後とも大学ともしっかりと連携しながら、県内学生の本県への定着に取り組んでまいります。 ◆37番(塚地佐智君) 今、高知大学の取組も御紹介をいただきましたが、県立大学でも、先日依光議員のほうからインターンシップへの補助制度ができないかという、私は大変有効な制度だと思いまして、ぜひそういったあらゆる面でアプローチをしていただいて、高知県にゆかりの学生の皆さんに、また高知県内の学生に定着してもらうという大事な取組を進めていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。 新型コロナウイルス感染症の感染拡大が進む中で進学をされた学生の多くは、対面授業もサークル活動も制約をされ、大学や先生方、学友や先輩とのつながりもつくることができず、孤立していた状態が長く続きました。相談に行こうとしても大学が閉鎖をされ、ネットでの対応で、これでは頼れないと感じた学生も少なくありませんでした。 そんな中、日本民主青年同盟高知県委員会が、バイトがなくなった、仕送りが減ったと困窮した学生への食料支援を開始。当初高知市朝倉地域で始まった支援活動は、県内各地で地域実行委員会もつくられるなど現在では県内6か所に広がり、物価高騰の影響もあり、利用学生は延べ1万人に届きます。 学生への食料支援をさきの議会で質問したところ、知事は、学生への支援の必要性は大学が判断すべきとの趣旨で答弁をされました。それを聞いていた大学生は、私たちは高知県に暮らしながら、高知家には入れてもらっていないのですねと肩を落としました。確かに、それぞれの大学等にある学生支援課、担当教員などが学生の様々な相談に対応するのが基本ではあります。同時に、高知県で暮らしている県民という側面から捉えることも必要なのではないかと思います。 コロナ感染症の急拡大の中、県外から来ている独り暮らしの学生が孤立をし、不安で深刻な状態で過ごしていたこと、この間の民青同盟高知県委員会が行った療養中の学生への食料支援、まんぷくEATSの取組の中で明らかになりました。 この取組は、当初コロナ感染防止のワクチン接種の副反応に苦しむ学生の支援のために始まりました。しかし、感染爆発が起こり、若者が発熱外来の受診から排除をされ、保健所とつながることもできず、感染したにもかかわらず薬も生活支援物資も届かないといった事態が広がり、8月一月だけで88名の学生の利用があり、9月に入っても申込みが相次ぎました。 利用した学生から寄せられたアンケートの一部を紹介します。具体的症状としては、40度の発熱、悪寒、関節が痛いなど幾つかの症状、その他ひどい下痢をしてしまったり、味覚症状もあり、体を起こすのがつらい、食欲がなく熱がある、固形物は食べるのが難しい、39度台までの発熱、せきや喉の痛みがひどいなどが寄せられ、思っていたより症状がきつかった、回復するか心配など若年層でもきつい症状が出ていることが分かります。 検査や病院へのアクセスについては、無料検査キットの配布やオンライン診療が役立ったという声が多くあります。それまでの期間は、症状が出てやっと5日目で病院が見つかった、車がないので、できるだけ近くを予約したが、暑さの中30分も歩かねばならず、きつかったなど、医療機関につながれなかった実態や、薬も手に入らなかった状況が寄せられ、療養中に不安だったことでは、頼るのは強いて言えば友達ですが、やはり少し言いづらいというのがある、とにかく外出できないので食料がないのと、独り暮らしなので何かあったときが怖いです、独り暮らしだと看病してくれる人もいない、いつ治るか不安など、孤立している学生の実態が明らかになりました。 このまんぷくEATSの取組は、自己責任で押し潰されそうな気持ちを励まし、心身の回復に一定の役割を果たしていると考えます。 この活動の報告を知事にも見ていただきましたが、どのようにお感じになったか、御所見をお伺いいたします。 ◎知事(濱田省司君) お話がございましたように、コロナ禍の中、家族と離れ、頼れる友人もいないといったような状況の中で、独り寂しく療養されていたという学生たちのことを考えますと、大変胸が痛む思いがいたします。保護者の方も、さぞかし御心配をされたことであろうというふうにお察しをします。また、そうした中で、お話がありましたように、学生たちがボランティアで食料の配達の支援を行っていただいたということは、大変ありがたいし、心強いというふうに感じたものでございます。 今回のアンケート結果を拝見いたしましたところ、お話もありましたように、特に初期におきまして診てくれる病院を探すのに苦労をした、検査の予約が取れない、あるいは療養中に外出できず食べ物の調達に苦労したといった声が多く寄せられたというふうに感じております。こうした傾向は大学生の方々に限らず、一般の方、とりわけ独り暮らしの自宅療養の方に共通した課題であったのではないかというふうに考えます。 こうした状況を踏まえまして、8月5日からは症状の軽い方が、外来の診療に替えまして、御自身で必要な検査ができますように、抗原定性検査キットの無料配布を開始いたしました。また、8月19日にはこの検査キットにより陽性となった方の確定診断のためのオンライン診療という道を開いております。さらに、9月26日からは、いわゆる全数把握の見直しに伴いまして、高知県陽性者フォローアップセンターを開設して、必要に応じまして、このセンターを通じて生活支援物資の配送などにも対応するという体制を整えております。 こうした取組によりまして、アンケートに記載のありました8月上旬の感染拡大の初期の状況に比べますと、時を経るにつれまして、独り暮らしの大学生の療養を支えます体制が整ってきたと言えるのではないかというふうに考えております。 ◆37番(塚地佐智君) 徐々に整っている、確かにそういう実感を私たちも持っております。この間、そうした学生の声で一定動いてきたとも私たちも感じているわけですけれども、この民青同盟が実施をしているまんぷくEATSの取組は、高知工科大学は全学生に、高知県立大学では相談のあった学生にメールなどで紹介がされ、利用が広がりました。 ボランティア頼みでは限界がありましたが、第7波の感染爆発の中、それぞれの大学ではコロナに感染した学生に対してどのような支援体制が取られてきていたのか、文化生活スポーツ部長にお伺いいたします。 ◎文化生活スポーツ部長(岡村昭一君) 高知県立大学や高知工科大学におきましては、学生一人一人の状況に応じた丁寧な対応が行えるよう、相談窓口の職員や担当指導教員らが連携し、情報を共有しながら、個々の学生に応じた支援を行う体制が取られているところであります。 とりわけ新型コロナウイルス感染症に関する支援につきましては、陽性が判明した学生はもとより、発熱などの症状を自覚した学生などからの大学への連絡を呼びかけ、それらの学生の状況を聞き取り、必要に応じた支援を行ってきているところであります。 第7波の際にも、例えば発熱などの症状が出た学生について、大学が受診可能な医療機関を探し出し、受診の調整を実施しております。また、独り暮らしの学生の医療機関や宿泊療養所への送迎を大学の教職員が実施しております。さらには、自宅での療養が必要となった学生につきまして、大学が保健所と調整し、食料などの療養支援物資を手配するといった支援が行われてきているところであります。 ◆37番(塚地佐智君) それぞれの丁寧な対応、県立大学、工科大学の対応をお伺いさせていただきました。 この対応と同時に、9月26日からの、先ほど知事からお話がありました高知県陽性者フォローアップセンターが開設をされまして、必要に応じて生活支援物資の配送が行われることになり、ボランティアで参加をしていた学生も大変喜んでいるところです。 しかし、県外からの新入生は学校を卒業したばかりで社会経験も少なく、孤立していたこの間の状況を見ると、丁寧なサポートがさらに必要な状況だと思います。先ほど紹介したアンケートでも、療養中につらかったこととして、4割の学生が孤独や精神的苦痛を挙げています。 陽性者のフォローアップセンターでの対応頼みでなく、先ほど大学からのお話もありましたが、さらに一歩進んで、保健センターや大学生活協同組合などそうした施設の活用なども含めて、県として各大学と協議をし、次期の感染拡大に備えた学生支援体制づくりをぜひ検討していただきたいと思いますけれども、知事にお伺いをいたします。 ◎知事(濱田省司君) ただいま部長からも答弁いたしましたが、高知県立大学あるいは高知工科大学におきましては、新型コロナウイルスに感染した学生の状況を把握し、聞き取り調査も実施をいたしまして、症状によっては医療機関への搬送も含めて丁寧な対応を行っておられたというふうに聞いております。 さらに、今般県として陽性者フォローアップセンターを設置いたしました。24時間体制での相談対応を行いますとともに、医療機関の紹介、あるいは生活支援物資の配送なども実施をする体制も整備したところでございます。 各大学におかれましては、学生が罹患をした場合に、少しでも安心ができますように、この県の設置をしましたフォローアップセンターの活用などの周知と併せまして、引き続ききめ細かな支援を行っていただくということを期待いたしておりますし、いろんな機会を通じまして、こうした我々の思いはお伝えをしたいと思っております。 ◆37番(塚地佐智君) ありがとうございました。 県内には6大学ありますので、県としては県立大学、工科大学というところになろうかと思いますけれども、先ほど県外から来て、暮らしている6,000人余りの県外生というのは、高知県で暮らしているという学生ですので、ぜひ知事のほうから、各大学にもそうした対応が取られるように要請をしていただけたらと思っております。 また、学生は県外から来たことで住民票がないというようなことで、このフォローアップセンターから、さらに食料支援といったことへの気持ちの上のハードルが結構あるというふうにも聞いております。知事のほうから、学生もぜひこのフォローアップセンターの登録、そして生活支援というのは我慢せずに使っていいというメッセージをぜひ出していただきたいと思いますが、その点はいかがでしょうか。 ◎知事(濱田省司君) ただいま議員から御指摘ありましたように、確かに大学生の皆さん、一部の方は住民票を親元に残されたままという方もおられると思います。特に、このフォローアップセンターをつくりました趣旨に鑑みますと、こういった仕組みをできるだけ広く周知いたしまして、必要な場合にはしっかりと活用いただきたいという思いがございますので、これも様々な機会にそういった趣旨をお伝えするように努めてまいりたいと思っております。 ◆37番(塚地佐智君) ありがとうございました。県民全体で、県外生だけでなく学生をやっぱり支えていく県政ということで進めていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 それでは、こども食堂についての質問に移ります。 2015年頃から高知県内で開催が広がってきたこども食堂は、現在設置数は20市町、92か所、県の登録団体は60団体、69か所となっています。 この9月15日には、高知県と高知県社会福祉協議会が主催をして、地域共生社会の実現に向けた「子ども食堂シンポジウム~みんなでつながる子ども食堂~」が開催をされ、「高知における子ども食堂の可能性と課題」と題した近畿大学講師野田満氏による講演と、5団体の実践報告によるシンポジウムが行われました。講演では、こども食堂実施団体に対するアンケート調査に基づく、こども食堂が担っている機能の評価、新型コロナウイルス感染拡大を見据えた今後の課題の分析など示唆に富んだものでした。 まず、このシンポジウムを開催し、県内のこども食堂の果たしている役割について、どのように認識を深められたか、子ども・福祉政策部長に伺います。 ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) こども食堂につきましては、食事の提供を通じた居場所としての機能を持つとともに、地域の方々が子供たちを守り、必要な支援につなげていく場としての役割を担っているものと認識をしております。 さらに、今回のシンポジウムを通じまして、こども食堂と学校が連携をしました食育の取組、また社会福祉法人によります地域における公益的な活動、子供たちが運営側にも参加することで子供同士の成長につながっている取組など、地域の様々な方々がつながり支え合う活動が、こども食堂を中心に広がっていると再認識したところでございます。 ◆37番(塚地佐智君) 本当に大変な中でボランティアの皆さんが、子供たちやその家族を支えて、頑張ってくださっている姿も明らかになったと思います。 本県が全国に先駆け、県としての子ども食堂支援基金を創設され、開設や運営に補助金が支出されています。現在、民間から寄せられた子ども食堂支援基金の総額、活用状況、残額はどのようになっているか、子ども・福祉政策部長にお伺いいたします。 ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) 子ども食堂支援基金を設置しました平成29年3月以降、令和3年度までに受け入れました寄附額は約3,600万円となっております。このうち約1,000万円を子ども食堂支援事業費補助金に活用しております。令和4年5月末時点での基金残高は、積立時の原資など約1,400万円と合わせまして、3,971万円余りとなっております。 ◆37番(塚地佐智君) 県の基金、そして皆さんの募金という形で3,900万円という大変な金額を積み上げていただいていると思います。この基金を活用した県の補助制度については、今回のシンポジウムの講師が実施したアンケートに寄せられた意見でも、食事だけでない、こども食堂ができる制度や支援をといった声や、使い道と使い方にいろいろ指定や制限があり心が萎えてやりくりが重荷になる、参加人数で金額を設定してほしいといった改善を求める声が挙がっています。 私も補助金交付要綱を見ましたが、行政実務に慣れていないボランティアの皆さんが作成するにはあまりに事細かく、担当できる人がおらず申請を諦めている団体があるのも実情で、寄附金を寄せていただいた方々への志に見合う活用になっていないのではないかとも思います。講演をされた講師からも、公的支援の在り方として、財的・物的支援の規模や使途の拡張、適切な動線づくりが提起をされています。 そこで、財的支援の拡張について、物価高を考慮した補助金単価の増額が必要だと思いますが、どのような検討がなされたか、子ども・福祉政策部長にお伺いをいたします。 ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) 補助金単価の見直しにつきましては、物価高騰を考慮しましたこども食堂の運営費の支援といたしまして、現行の補助基準額を上乗せする補正予算案を本議会にお諮りしているところでございます。具体的には、運営経費への補助を開催1回当たり6,500円から7,500円に、感染症対策の経費を1か所当たり10万円から10万8,000円に見直すこととしております。 ◆37番(塚地佐智君) 大変な物価高の中ですので、この金額でいいのかという御意見も一方ではあります。今回、補正予算ということで出されていますので、当面この金額で行かれるのだとは思いますけれども、現場の声はぜひ聞いていただきたいと要望しておきたいと思います。 煩雑な申請書類についての一層の簡素化、申請手続の支援体制の充実への取組はどうか、子ども・福祉政策部長にお伺いいたします。 ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) 子ども食堂支援事業費補助金の申請書類につきましては、令和元年度に見直しを行いまして、簡素化を図ったところでございます。また、申請手続につきましては、県社会福祉協議会に子どもの居場所づくりコーディネーターを配置いたしまして、個別にサポートを行っているところでございます。 しかしながら、こども食堂の実態に応じて補助メニューの拡充を行ったことなどによりまして、事務処理が煩雑となっているとの声もお聞きしているところでございます。そのため、補助メニューの統合や申請書類の簡素化、デジタル技術の活用など負担軽減に向けた検討を行ってまいります。 ◆37番(塚地佐智君) ありがとうございました。前向きな御答弁で、この基金がボランティアの皆さんに負担なく使えるということの取組をぜひお願いしておきたいと思います。 このシンポジウムに、県の子ども・福祉政策部子ども家庭課からは、こども食堂の現状と県としての課題意識に基づく取組の報告が行われました。今年度の取組として4つの柱を立て、主に子供の居場所づくり、支援機関へのつなぎなどを重点として進められています。こども食堂の役割として重要であることは理解をしていますし、そうした役割が果たせるよう支援も充実していただきたいと思っています。 と同時に、コロナ感染拡大の中で、集まって一緒に食事をすることができなくなったり、弁当を作る作業が困難になった中で、支援を続けるため全てを取りやめるのではなく、食材提供を実施したこども食堂があります。コロナ禍の収入減少、物価が高騰している中で支援を途切れさせないための取組です。 県内トップを切って、2017年から高知市中万々にある地域交流センター城北でこども食堂を始められた、こども食堂こうちは、コロナ感染拡大の中、食材提供に取り組んでいます。現在、火曜と金曜の午後3時半から午後4時半に開設、毎回子供のいる55世帯、約200人を超える利用者があり、取りに来られない家庭には主にボランティアの方、遠方の8件にはヤマト運輸さんの協力で食材を配達しています。 利用されている方々は、子供の感染で仕事を休まなくてはならず収入が減ったというシングルマザーや、パートの時間が減らされたが、夫が生活費を入れないので子供に十分な食料を買うことができないというDVの増加も見られると実情を訴えられています。地域の民生委員やスクールソーシャルワーカーなどと連携したこのような取組は、高知市鴨田地域のこども食堂などでも取り組まれ、家庭に届ける中で家庭の状況も分かり、支援につなげやすくなったとの声も多く聞かれています。 コロナ禍を経てこども食堂の果たす役割が、食事をすること、居場所づくりだけではなく、食材を子供のいる世帯に届ける活動の重要性が明らかになっていますが、この取組についてどのように評価をされるか、子ども・福祉政策部長にお伺いをいたします。 ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) コロナ禍によりまして、令和2年3月時点ではほとんどのこども食堂が中止となるなど、こども食堂の活動は大きく制約をされたところでございます。 コロナ禍を契機としまして、子供とのつながりや見守り活動のため、議員からお話のありました活動をはじめとしまして、市町村、社会福祉協議会やNPOなど様々な団体によります食材の配布や宅配に取り組む活動が広がっております。 こうした取組は、コロナ禍で人と接する機会が減少し、孤独感や不安感を抱える方々にとりましては、大変心強い活動だと評価をしております。 ◆37番(塚地佐智君) 今、大変評価をしているという御答弁をいただきました。しかし、子供のいる貧困世帯に食材を届けるという活動については、こども食堂ではないという見解で、県が寄附金によって創設をした子ども食堂支援基金を活用した補助金の交付が受けられていません。貧困な子供たちに食事を届け、支援につなぎたいとの思いで寄せられた寄附金を、こうした活動にも活用させてほしいとの要望は当然のことではないかとも思います。 県としての使途の拡充を求めるものですが、子ども・福祉政策部長にお伺いをいたします。 ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) コロナ禍の中、つながりを持つための食材を届ける活動は意義がある活動ではございますが、お話のように子ども食堂支援基金は食事の提供を通じた居場所づくりを支援するものであり、食材を届ける活動は対象とはしていないことから、現時点では困難と考えております。 しかしながら、このような活動はコロナ禍を契機にNPOや民間団体などに広がっているところであり、現在は高知県社会福祉協議会がフードバンク活動団体などと連携をして支援を行っているところでございます。県としましては、こうした活動への支援の在り方につきまして今後検討してまいりたいと考えております。 ◆37番(塚地佐智君) 現時点では困難というお話がございました。ただ、こども食堂は登録団体としてそれぞれが活動していまして、コロナ禍でその活動ができずに、それを途切れさせないための支援策として対応したものです。今後もそういうことがやっぱり考えられてくるというふうに思います。現時点ではというふうにおっしゃいましたので、今後検討をしていただけるんだと思います。ぜひよろしくお願いをしたいと思います。 さらに、NPOの皆さんなどに今国の支援事業などもありますので、そういったものの活用ということも御検討かとは思いますけれど、その場合、このこども食堂さんへの新たな実務負担ができない形も、ぜひ私は検討していただきたいというふうに思っております。そういう内容も含めて、ぜひ前向きに、できればこの支援基金がきちんと使えるということも検討をしていただきたいということをお願いしておきたいと思います。 それでは、質問の最後に校則の問題についてお伺いをさせていただきたいと思います。今回、学校の指導提要の見直しと校則問題について、以下伺いたいと思います。 文部科学省は、小学校から高校までの生徒指導の手引となる生徒指導提要を12年ぶりに改訂するため、有識者などでつくる協力者会議で議論を重ね、この8月にその案が取りまとめられました。 現行の生徒指導提要で触れられていない子供の権利を明記し、子供は自由に自分の意見を表明する権利を持っていることなどを教職員が理解するよう求めるなど、これまでの生徒指導の在り方を根本的に見直す内容となっています。 今回の改訂の中心点をどのように捉えておられるか、教育長にお伺いをいたします。 ◎教育長(長岡幹泰君) 今回の生徒指導提要の改訂につきましては、目の前の問題に対応するといった課題解決的な指導だけではなく、成長を促す指導など積極的な生徒指導の充実を図るといったこと、また社会環境の変化に伴って近年制定された新たな法律であります、いじめ防止対策推進法などを踏まえた具体的な支援方法の明示、また学習指導要領の考え方やチーム学校の考え方による、個に応じたきめ細やかな指導の充実などがポイントであり、時代の変化や流れを踏まえた上で、より子供の成長に資する内容への改訂になっているものと捉えております。 ◆37番(塚地佐智君) まさに今の時代に見合った形の子どもの権利条約も含めたものになっていると私は思っております。 このブラック校則の見直しを私たちは求めてまいりましたが、この協力者会議の議論の中でも校則の問題が取り上げられ、理不尽な校則は学校が見直す努力が必要との委員の指摘がありました。 昨年の2月県議会において、当時の浜田豪太県議が、校則の全面的な見直しを求める質問をされています。その質問に当時の伊藤教育長は、既に2020年から県立学校での見直しを県立学校長に指示して、間もなく各学校で校則の見直しが完了するというふうに御報告をされました。 そこで、まず各県立学校でどのような校則の規定が見直しの対象となり、どう見直しが行われたか、教育長にお伺いいたします。 ◎教育長(長岡幹泰君) 令和2年4月以降、全ての県立学校で校則の検討を実施しております。その中で、殊に服装や頭髪に関する内容を中心に改定がなされております。具体的には、女子生徒のスラックス着用を可能としたほか、靴下、タイツなどの色、また髪型に関する規定が緩和をされております。そして、校則の検討に際しましては、多くの学校でアンケート調査や生徒総会での話合いといったことを通して、生徒や保護者の参画も得ながら、この見直しを実施しております。 ◆37番(塚地佐智君) 先日、ある県立学校の女子生徒と話す機会がありまして、校則について男子の髪の長さの規定が細か過ぎる、靴下の規定も厳しいといった意見も述べておりました。昨年の見直しで変化をしているかもしれませんけれども、生徒の認識になっていないのも事実です。 自分たちの学校の校則を、生徒も教職員も保護者も知っていることが大事で、この校則の公表は生徒指導提要にも明記をされましたが、本県での県立学校での取組はどうなっているか、教育長にお伺いします。 ◎教育長(長岡幹泰君) 既にホームページで校則を公開しております県立学校は1校、また公開に向け準備をしている学校は4校となっております。 ◆37番(塚地佐智君) 公開されることで教職員の恣意的な運用に歯止めがかけられると同時に、見直しの必要性なども明らかになりますが、今後公開に向けた取組をどう推進されるか、教育長にお伺いをいたします。 ◎教育長(長岡幹泰君) 今回の生徒指導提要改訂案では、校則をホームページなどで公開することが望ましいとされております。また、ホームページ等で公開することで、生徒、保護者、地域の方々においても校則に関する意識が高まり、また生徒が校則の意味を考えたり、さらに必要な見直しを行うきっかけにつながるものと考えております。 まずは、県立学校に対してホームページ公開の意義を伝え、公開の取組が進むよう機会を捉えて話をしていきたいと考えております。 ◆37番(塚地佐智君) ぜひ公開することが見直しのさらなる前進につながるというふうに思いますので、そこは一つの見直しの姿勢の試金石に私はなると思います。ぜひ積極的に進めていただくようにお願いをしたいと思います。 今回の生徒指導提要の見直しの基本的な考え方、先ほど最初にお話をいただきましたが、これを現場に徹底する努力というのをぜひ教育長の決意をお伺いしたいと思います。 ◎教育長(長岡幹泰君) まず、本年度中に県立学校長会、また市町村教育長会、そして小中校長会役員会等におきまして、改訂された生徒指導提要の内容、趣旨、そしてこの提要に沿った指導の重要性につきまして確実に伝えてまいりたいと思います。 さらに、生徒指導提要の改訂に関わりました国の有識者の方をお招きし、国公私立の小・中・高全ての生徒指導主事に、改訂の基本的な考えや活用についての研修を実施する予定をしております。 今後、生徒指導提要の趣旨がしっかりと理解され、子供の成長を促す指導が充実するよう、様々な機会を捉えて周知徹底を図ってまいりたいと考えております。 ◆37番(塚地佐智君) ありがとうございました。今回の提要見直しの基本の中には、子供たちが人権の権利の主体であるということが大変大事な視点として入れられています。私は、今学校現場に何よりも求められている視点だと思いますので、そうした考え方も含めて、ぜひ徹底をお願いしたいと思います。(拍手) ○議長(明神健夫君) 以上をもって、塚地佐智さんの質問は終わりました。 暫時休憩いたします。   午前11時34分休憩-----------------------------------   午後1時再開 ○副議長(西内隆純君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 一問一答による議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 坂本茂雄君の持ち時間は45分です。 32番坂本茂雄君。 ◆32番(坂本茂雄君) お許しをいただきましたので、県民の会、坂本ですが、ただいまから質問をさせていただきます。 まず、新型コロナウイルス感染症第7波における知事の情報発信の在り方についてお尋ねします。 6月定例会での知事の提案説明における、ある程度の新規感染者の発生を許容しながら、社会経済活動における制約を段階的に緩和していくべき局面にあると捉えているとの言葉を受けて、私は危機管理文化厚生委員会で、ある程度の新規感染者の発生を許容する際の目安についてお尋ねした際、健康政策部長は注意のレベルで落ち着くことだと考えていると言われました。 しかし、特別警戒であっても、社会経済活動における制約をかけることもなく、人流のピークが過ぎた後の8月16日に特別対策に引き上げ、BA.5対策強化宣言を発しました。つまり、決して許容できるレベルではなかったにもかかわらず、社会経済活動における制約を段階的に緩和するかのように見られ、県民の皆さんに誤ったメッセージを発せられたのではないかと思われました。 これまで県民の会では、県民の行動変容につながるような知事の情報発信を求め、知事も2月定例会で、県民の皆さんに我が事として捉えていただけるようにメッセージを発していくことが大事だと考え、メッセージを受け取る方々の立場や思いを想像して、ここに想像力を働かせて、それに寄り添ったものとなるということが肝要だと考えている、今後もこうした点に留意をしながら、県民の皆さんと心を一つにして、コロナ禍を乗り越えていけますように、正確で、かつ分かりやすいメッセージの発信に努力していくと言われました。 第7波における情報発信の在り方は、早期に第7波をピークアウトさせることにつながったと考えられているのか、知事にお聞きします。 ◎知事(濱田省司君) 新型コロナウイルスに関します私からの情報発信につきましては、今御紹介もいただきましたけれども、県民の皆さんに我が事として受け止めていただきたいという考えに立ちまして、正確で分かりやすいメッセージとなるように心がけております。具体的な対応といたしましては、データやグラフ、イラストなども用いながら、必要な対策について説明をしてまいりますとともに、その対策の根拠については丁寧に説明するように努めてまいりました。 ピークアウトが早期に行われるために、どの程度貢献をしたかというお話がございましたが、ピークアウトに至った要因、いろんな要因があると思いますので、このメッセージの中身がどう貢献したかということを取り出して分析するのは難しいというふうに思います。ただ、第7波がおおむねピークアウトできたということに関しましては、県民の皆さんが私どものメッセージを御理解いただいて御協力いただいた、そうしたたまものであるというふうに考えております。 ◆32番(坂本茂雄君) メッセージを受け取る方々の立場や思いを想像して、ここに想像力を働かせて、それに寄り添ったメッセージであるかどうか、このことがやっぱり一番大事だったと思うんです。ですから、どのタイミングでとか、どういう頻度でとかというようなことも大事ではあろうかと思いますけれども、その中身だと思うんですね。 そういった意味で、例えばテレビ中継のときだけ鳴子踊りに知事が参加されていた、あの光景は非常に誤った情報発信をされたんではないかというふうに、私は感じました。確かに、県庁踊り子隊の皆さんも踊りますから、一緒に踊られる、そういうお気持ちもあったとは思うんですけれども、例えばあのときに、よさこい踊りを楽しまれる県民の方は、3年ぶりのよさこいを感染防止対策を徹底した上で楽しんでいただきたい、私も県庁踊り子隊の方々と共に踊りたいのは山々だが、今はコロナ対策に専念し一日も早い第7波のピークアウトを目指したいので、知事室で職務に専念させてもらいたいとでも言えば、それは県民の皆さんに思いが伝わったんではないか。そういうことでなしに、踊り子隊の先頭に立たれたことが、知事もああいうふうに踊られているからというメッセージになったりしたのではないかというふうに、実はあのときいろんな方からお声をいただきました。 そういった意味では、やっぱり今後もどういう姿勢で県民の皆さんに寄り添った思いでメッセージを発するか、このことに強い思いをいたしてメッセージを発していただきたいというふうに思うんですけれども、その点いかがでしょうか。 ◎知事(濱田省司君) お話がございましたよさこい祭りの際の対応に関しましては、私の耳にも、議員からお話がありましたように、特に医療従事者の方々から、もう少し感染防止のメッセージを知事からも出すべきではなかったかというような御意見はいただいたところでございます。その点は重く受け止めております。 ただ、大きな方向といたしまして、今回の局面に関しましては、社会経済活動との両立をできるだけ図っていくということが大命題としてあったというふうに理解いたしております。ただいま議員から御指摘のありました想像力という点に関して申しますと、恐らく県民の皆様方、特に旅行であったり会食を予定されているような方々が、これは予定どおり行っていいものかどうなのかということに、大変判断が迷われたような場面があるんではないかというような私も想像をいたしました。その場合には、必要な場合にはワクチンの接種もそうでありますが、例えば全員検査のような方法を取って、安心・安全を確保した上で両立を図っていただきたいと、そういったメッセージを出させていただいたつもりでございます。 ◆32番(坂本茂雄君) ぜひ今後はそういう、常に県民に思いを致すような形での情報発信をお願いしたいと思います。 続きまして、先ほどもお話しありました、知事から、医療従事者の方からお声をいただいたというようなことでしたが、その医療提供体制を支える医療従事者の方への支援についてお伺いします。 第7波による県内医療機関の逼迫度が高まっているときには、人員不足や業務増に加えクラスターが頻発し、県内医療機関のクラスターは7月に11件だったのが、8月は52件に急増するとともに、高齢者らの感染が増加し、人手がかかる中等症以上の患者も増えました。さらには、重症患者を受け入れる高知医療センターでは、職員にとっては過度とも思える行動自粛が強いられる中でも、感染や濃厚接触者になった職員の自宅待機が100人近くに上る中で、コロナ患者の看護体制と三次救急患者の受入れ体制を確保、維持するため、苦慮されていました。 そのような医療体制を支えてこられた医療従事者には、これまで新型コロナウイルス感染症に係る特殊勤務手当や、新型コロナウイルス感染症対応従事者慰労金が支給され、今年度は看護職員等処遇改善事業補助金を活用し、コロナ医療など一定の役割を担う医療機関など、対象医療機関の看護職員の賃金引上げに相当する額が手当てされてきました。しかし、この財源も10月からは診療報酬に組み込まれる中で、看護職員の処遇改善の仕組みがどのようになっていくのか、医療機関によって不安視されています。 今後は、医療従事者の就業意欲をさらに維持し、高める支援策は考えられないか、知事にお伺いします。 ◎知事(濱田省司君) 今回のコロナ禍におきます医療従事者の方々への処遇の問題でございます。今回のコロナ禍におきましては、医療を守るということ、そして過重な負担を強いられております医療従事者を迅速に支援するということを優先いたしまして、診療報酬の改定によらずに、特例的に国や県におきまして手当あるいは慰労金の支給などを行うという形を中心に対処してまいっております。加えまして、本年1月には、入院協力医療機関などに対して交付をいたしております病床確保料、いわゆる空きベッドの補償のための給付金でございますが、この一部を医療従事者の処遇改善に充てるべしという形で、交付要件も改正をされるという形での配慮が行われているところでございます。 今後もコロナ医療などの困難な患者対応に従事をされます医療従事者の処遇改善につきましては、全国レベルで検討をし、国において統一的に実施をされるべきものというふうに考えております。 県といたしましても、引き続き処遇改善などの国の動向を注視いたしますとともに、医療従事者のお声も伺いながら、必要に応じて全国知事会などを通じまして政策提言を行ってまいる考えであります。 ◆32番(坂本茂雄君) 医療従事者の方々は、新型コロナウイルス感染症拡大の長期化によって、社会経済活動における制約の緩和がされている県民の方々とは違って、厳しい行動自粛が継続されている医療機関も見受けられます。それは、行動自粛ではなく、むしろ行動制限あるいは制約となっている現状もあります。個人のプライベート時間を把握する過度なプライバシーへの介入、精神的な負担の蓄積、現場の逼迫を理由に、職員の事情を考慮せず勤務変更がされるなどの実態が強いられているとの声もあります。 改めて、過度な行動自粛の緩和や精神的負担の増大を解消する支援策、また本来であれば賃金が発生しない業務時間外の個人の時間を制限するのであれば、待機手当のような手当や慰労金のようなものについても支給されてしかるべきではないか、そういった御要望が多く上げられています。 そういったことについて、先ほど知事は、国が一律でということもありましたけれども、県独自でそんなことも考えていく、そういうふうなお考えはないでしょうか。 ◎知事(濱田省司君) この問題は、基本的には特にコロナの対応ということを想定いたしますと、高知県の地域問題というよりは、これは全国的な医療の制度、そして医療従事者に対する報酬の在り方の制度の問題だというふうに考えております。 最近でございますと、令和4年度、今年度から、救急医療機関などの看護師さんを中心としました賃金を月額平均で4,000円相当引き上げるという方策を、国のほうで取られるということでございまして、9月分までは補助金で、10月以降は診療報酬で対応していくという方針が出されておりますので、こういった形で国においてしっかりとした対応をしていただく。ただ、現場のいろいろな声などをお聞きした中で、足らざる部分があるとすれば、我々としてもそれをしっかり国に対して意見を申し上げていくと、そういう対応を取るべきものと考えております。 ◆32番(坂本茂雄君) 先ほど最後のほうで言われました、診療報酬改定の中で今後対応していくということにおいても、例えば県立病院などで言えば、看護職員だけにそういったものを処遇して、現場からの大きな声が--薬剤師等にもそういった適用がなぜされないのかというような声も上がっております。 そんなことも含めて、先ほど知事はいろいろこれからも現場の声も聞きながらということでしたが、国の対応でやれること、そしてそれを県の段階に落とし込むときに、ぜひ県内の現場の声を聞きながら対応していただきたいということを御要望させていただきたいと思います。 続きまして、コロナ禍における生活困窮者支援のこれからについてお聞きします。 現在に続くコロナ不況の下で、経済的に困窮した人たちを対象とする支援策が幾つか実施されてきましたが、そうした施策の中で幅広く利用され、かつコロナ禍の当初から利用されてきたのは、生活福祉資金の特例貸付であったと言えます。今回のコロナ禍での特例貸付は、住民税非課税世帯であれば償還免除とする方針が事前に示されていたり、貸付審査も大幅に簡略化され、申込みから貸付実行までの迅速化も図られたことなどが、利用の拡大につながったものだろうと思われます。 しかし、これから償還の開始が大きな課題となってまいります。2022年12月末日以前に償還が開始となる貸付けについて、据置期間が延長されましたが、来年1月からは返済が始まります。 本県における償還の状況について子ども・福祉政策部長にお尋ねします。 ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) 生活福祉資金の特例貸付は、コロナ禍の影響によりまして休業や失業等で生活資金にお困りの世帯に対して貸し付ける制度でございまして、申請の受付は令和4年9月末までで終了となっております。 これまでの貸付実績は、令和4年8月末現在で2万8,640件、約114億円となっております。そのうち令和5年1月から償還の始まります緊急小口資金につきましては、令和4年3月までに貸付けを申請したもので1万318件、平均償還金額は約17万7,000円となっております。また、総合支援資金初回貸付けにつきましても、同じく令和4年3月までに貸付けを申請したもので7,758件、平均償還金額は約52万8,000円となっております。 ◆32番(坂本茂雄君) そのうち償還免除となられる方はどれだけおられるのか、子ども・福祉政策部長にお尋ねします。 ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) 今回の償還免除の条件は、借受人と世帯主が令和3年度または令和4年度に住民税非課税の世帯などの方でございます。免除につきましては、特例貸付を受けた方からの申請が必要となっておりまして、その申請につきましての御案内を対象者全員に対して、県社会福祉協議会が本年6月に御案内の文書を送付しております。 9月22日現在の免除決定世帯数は、令和5年1月から償還開始対象の1万350世帯のうち4,372世帯で、42.2%となっております。 ◆32番(坂本茂雄君) 償還免除となられる方は、何とかしのいでいけるかとは思うんですけれども、昨年の2月定例会で、免除基準が低過ぎると生活再建が困難となることから、緊急小口資金の償還免除要件をさらに拡大し、総合支援資金の償還免除要件もできるだけ拡大することが望ましいとお聞きした際、当時の地域福祉部長は、貸付金の償還免除の要件を住民税非課税世帯に限定せずに、借受人の収入実態等に基づき判断するなど、さらに緩和するよう、全国知事会と共に国に提言していくと答えられていました。 償還免除の要件緩和はされてきたのか、知事にお聞きします。 ◎知事(濱田省司君) ただいまお話がありましたように、全国知事会を通じました提言活動なども繰り広げました結果、昨年の11月に生活保護受給者、あるいは障害をお持ちの方、さらには1年分の償還が滞った独り親世帯、こういった方々が償還免除の要件に加えられたところでございます。 そして、実際問題、意味が大きいと思いますのは、これに加えまして、1年以上償還が遅延をし、償還指導を実施しても償還の見込みがないと判断される場合などは、都道府県の社会福祉協議会におきまして、社協サイドの職権により償還免除ができるという規定も加えられたということでございます。この後段の部分で、かなり社協の判断、裁量によって、実態に即した判断ができる余地が生まれたということではないかと考えております。 具体的な運用の在り方につきましては、国のほうからまだ詳細が示されておりませんけれども、借受人の生活再建に資する取扱いが実現できますよう、まずは国の動きをしっかりと注視したいと考えております。 ◆32番(坂本茂雄君) ありがとうございました。最後に言われた点については、ぜひ、これから対応していく社協職員の皆さんにとっても、大変なことではあるかと思いますけれども、よろしくお願いしたいと思います。 緩和された要件を満たさなくても、将来の家計収支の見通しなども丁寧に聞かれて、償還免除をしたり、それぞれに柔軟な償還免除の対応などに努めていただきたいということもお願いしておきたいと思います。 続きまして、今回のコロナ不況における生活困窮者に対応する中で、生活困窮者に対して制度の対象ではないというふうに自治体窓口などで言って、それで終わるだけでは、自治体が相談を受ける意味がないということだろうというふうに感じました。むしろ声を上げることができない立場の弱い人から相談を受けた内容によって、ウイズ・アフターコロナ期において、どのような制度が必要なのかを国などに伝え、制度に反映させていくことが自治体の役割ではないかと思われます。 今回のコロナ禍が新たな形の生活困窮を引き起こしたというよりも、コロナ禍というショックによって、低所得だったり収入が不安定だったりする生活困窮が表面化したものであることから、アフターコロナの平時における生活困窮支援対策として、今後あらゆる制度を考えられることが必要ではないかと思っています。 まずは、生活保護制度の最低生活費を下回る収入の世帯に対して、資産調査なしで生活扶助相当額を給付する制度の創設などについて検討できないか、知事にお伺いします。 ◎知事(濱田省司君) 生活保護制度におきましては、最低生活費の考え方を用いられておりまして、資産、能力などあらゆるものを活用することを生活保護の前提としていると、そういう制度となっております。このため、収入が最低生活費を下回ったといたしましても、預貯金あるいは不動産などの資産の売却収入などがあれば、これを消費した後に保護適用となるという考え方が取られております。したがいまして、収入が最低生活費を下回っていることをもって、資産を考慮することなく生活扶助制度を創設するということは、生活保護制度とのバランスを著しく欠くことになるというふうに考えます。 こうした生活保護に至る言わば前段階の生活困窮の方々に関しましては、生活困窮者自立支援制度によりまして、就労や住居確保など自立に向けた総合的な支援を実施するという形で対応されるべきものと考えております。 ◆32番(坂本茂雄君) 制度としてはそうだろうと思います。ただ、例えばこのコロナ禍において厚生労働省は、生活保護の申請は国民の権利です、ためらわずに御相談くださいといったメッセージをウェブサイトのトップに掲げても、そうやって申請を促してきても、やはりこの間、生活保護の申請というか、受給は減っている状況にあるわけですね。そういった意味では、生活保護制度に対するスティグマなどの問題から、第2のセーフティーネットである、先ほど知事が言われた生活困窮者自立支援制度から、それからも漏れて、再度制度のはざまに陥ってしまうケースがこれから見受けられるのではないかというふうな心配をしています。 そういった意味で、ぜひ独自の制度、第2のセーフティーネットと第3のセーフティーネットの間にある、そういう制度のはざまに落ち込まないような方々への支援策というのを、これからは考えていく必要があるんではないかというふうに思いますけれども、県独自でということが難しいのであれば、ぜひまたこれらも知事会などで検討していただいて、国に声を上げていただきたいというふうに思っています。 続きまして、住居確保給付金、コロナ禍で大幅に活用が増加しました。この住居確保給付金の要件は2020年4月20日から、支給対象が新型コロナ感染症の影響による給与や事業収入が減少し、生活に困窮される場合も対象に含まれることとなりましたが、コロナ不況が鎮静化しても生活保護とのはざまに陥ってしまうことのないよう、要件の大幅拡大などについて検討できないか、知事にお尋ねします。 ◎知事(濱田省司君) お話がございました住居確保給付金でございますが、これは従来は離職あるいは廃業された方ということが要件でございました。ただ、今回特例的な対応といたしまして、コロナ禍で収入が減少した方に関しましても特例的な給付を認めるという扱いがされておりまして、この特例は本年12月で終了するという予定になっております。 県内のこの特例の活用状況を見ますと、令和2年度は695件、令和3年度は111件という形での特例の適用実績がございましたが、本年度に入りましては25件ということで、明らかに大幅な減少をしてきているということでございますから、特例貸付と同様に、言わば通常のモードに戻していくということに合理性はあるというような状況になっているのでないかというふうに考えます。 こうした特例措置が終了した後の生活困窮の方々への支援の在り方につきましては、生活再建、自立に向けました伴走型支援に軸足を移行していくと、こういう考え方の下の方向性で検討がされるべきものではないかと考えております。 ◆32番(坂本茂雄君) ただ、従来のモードに戻したら、従来のモードでは極めて少なかったという実態があるわけですね。コロナ禍で対象要件を緩和したことによってぐっと増えたというようなこともありますので、これがまた従来のモードに戻してしまうと、そのことで困ってしまう方々が出てくるんではないか。中にはこれから住居確保においては、住宅確保手当のようなものを支給するべきだというような議論も、社会福祉の分野ではされているという状況がありますので、そのことにつきましても、先ほどお話ししたように、第2のセーフティーネットと第3のセーフティーネットの間のはざまに落ち込まないような、そんな支援策の一つとして、このことについてもまた御検討をお願いしたいと思います。 現場の皆さんは、貸付けか生活保護かの二者択一を迫るような思いがしたという、社協の職員のつらい思いなんかも出されておりますので、ぜひそういったことにならないようにお願いをしておきたいというふうに思います。 続きまして、人権問題についてお尋ねします。 これは、代表質問で我が会派の田所議員が取り上げた、県内の被差別部落に関する資料がツイッター投稿されるという、計画的で確信犯的な差別事件についての答弁を踏まえて、私も質問をさせていただきます。 2021年10月の高知県の人権についての実態公表によりますと、インターネット上の差別的な書き込みへの対応として県人権課では、インターネット上の同和問題に関する差別を助長する書き込みについては、サイト管理者に対して削除を依頼しており、2020年度は計132件の書き込みと1件のスレッドについて削除を依頼していますとありました。そして、国の実態調査によりますと、インターネット上で部落差別関連情報を閲覧した者の一部には、差別的な動機がうかがわれると指摘されています。 さらに、2020年度高知市人権に関する市民の意識調査報告書では、同和地区や同和地区出身者ということを気にしたり、意識する場合の設問に対して、気にしたり意識することはないが最も多くなっていますが、自分自身や親族が結婚するときが28.8%であり、不動産を購入したり借りたりするときが11.4%、隣近所で生活するとき10.4%と、いまだ同和地区や同和地区出身者ということを気にしたり、意識せざるを得ない実態が明らかになっています。 そのような中、全国の探偵社などで戸籍等不正取得による戸籍の売買ビジネスが横行している実態などから、今回の県内の被差別部落に関する資料のツイッター投稿が、身元調査に悪用される可能性は極めて高いと言えます。 知事も田所議員に対して、断じて許されないと言い、差別に当たるネット上の情報について、削除要請や法務局への通報など必要な対応を行っているとのことでしたが、何が支障となって、いまだに削除に至らないのか、子ども・福祉政策部長にお尋ねします。 ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) お話の差別に当たるネット上の情報に対しましては、県としましても人権擁護機関であります法務局への通報を行いますとともに、直接ウェブサイトの管理者でありますツイッター社に対しまして、削除要請を行っているところでございます。また、市町村からも同様にツイッター社への削除要請を行っておりますが、強制力がないため、いまだに削除されていないという状況になっております。 ネット上の誹謗中傷を被害者から迅速に救済するための、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信情報の開示に関する法律につきましても、削除を義務づける制度とはなっておらず、最終的にはウェブサイトの管理者の判断となっていることが、削除に至らない要因となっているところです。 ◆32番(坂本茂雄君) 今おっしゃられたとおり、削除を義務づけるということがいまだできない、そういう今の法制度になっていること自体が問題ではないかというふうに思います。 私は、毎日この投稿が早く削除されないかとの思いで見られている方がおられると思うんですね。その方のことを思うと本当に胸が痛みます。 一日も早くこの削除をされるように願うとともに、県としても今後引き続き取組を強化していただきたいと思いますが、特に先ほど言われたこと以上に考えられる取組というのはないでしょうか。 ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) この案件の削除につきまして、1つは人権擁護機関であります法務局の通報、ただこの法務局での削除の取組につきましても、実際は削除に至っていないという案件も多くあるというふうにお伺いしております。非常に難しい問題ではあると思っておりますが、法務局等との連携を密にしまして、県としましてしっかり取り組んでまいりたいと考えております。 ◆32番(坂本茂雄君) よろしくお願いします。 続きまして、先日の答弁で知事は、来年度改定予定の高知県人権施策基本方針に、ネット上の誹謗中傷や差別を防止するための具体的な施策を適切に反映し、実効性のある取組を強化したいとの答弁をされましたが、どのようなことが想定されるのか、子ども・福祉政策部長にお尋ねします。 ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) 現在、本県では人権施策基本方針に、インターネットによる人権侵害を施策の一つに位置づけまして、予防のための教育、啓発などに取り組んでいるところでございます。 実効性のある取組の強化に向けまして、来年度に改定予定の基本方針の中で、被害に遭われた方々のために、弁護士等の専門家による相談体制の強化でありますとか、ネットを正しく活用する能力の向上に向けました県民向けの年代別の講座の開催、小・中・高等学校における情報モラル教育の充実、ネット上におけるモニタリングの強化などにつきまして、具体的な検討を行ってまいります。 ◆32番(坂本茂雄君) ぜひ被害を受けられた方の救援策、これをより強めていけるような、そんなこともまた先進事例などに学びながら、検討いただきたいということをお願いしておきたいと思います。 続きまして、南海トラフ地震をはじめとした災害対策についてお尋ねいたします。 まず、避難行動要支援者個別避難計画の漏れのない策定についてお尋ねします。知事は、今定例会の提案説明で、市町村における個別避難計画の策定支援に取り組んでおり、計画の策定には、要配慮者一人一人の事情を把握しているケアマネジャーなどに関わっていただくことが効果的ですが、こうした福祉専門職の参画が十分に進んでおらず、計画策定が思うように進捗していない市町村も見られると言及されました。 計画策定が十分に進んでいない理由は、福祉専門職の参画問題だけではないと思うのですが、知事は、どういうことがこの進んでいない理由だとお考えになりますか。 ◎知事(濱田省司君) お話がございました、いわゆる要配慮者のための個別避難計画の作成率でございますが、県全体では45.8%という水準でございます。この内訳を見ますと、高知市以外では70.8%と、一定程度進捗を見ておるのに対しまして、高知市内が7.8%と、かなり水準が低いまま低迷しているところでございます。 この実効性のある計画の作成を進めますためには、日頃から要配慮者の方々の状況を把握されております福祉専門職の参画が有効だと考えますが、高知市をはじめといたしましてこの参画が進んでいない市町村では、計画作成に遅れが見られるという傾向は確かにあるというふうに考えます。 加えまして、福祉専門職の参画をお願いするにしても、もともと仕事も抱えておられて、忙しい方も多いわけでございますから、一定程度の報酬をお支払いするといった財政的な負担も伴う場合があろうということでございますが、この辺の財政的な手当という点も、十分な手当が必ずしも講じられてこなかったというところも背景の一つとしてはあろうかと思います。 ただ、この財政面に関しましては、令和3年度から福祉専門職の参画に要する経費につきまして、市町村分の普通交付税でいわゆる交付税措置が始まりましたし、県におきましても、令和4年度から市町村への補助メニューに追加をするという形で、財政措置の充実を図ってまいったところでございます。 これに加えまして、現在の取組といたしましては、多忙な福祉専門職の方々が参画しやすいよう、県におきましてオンラインでの研修ですとか計画作成の手順づくりなどについて、福祉専門職の団体などと協議を進めているところでございます。 今後の計画の作成が全県的に迅速かつスムーズに進みますように、こうした関係団体との協議も踏まえながら取組を強化し、またただいま申し上げました財政措置について、市町村に対してのPRもしっかりと行ってまいりたいと考えております。 ◆32番(坂本茂雄君) 先ほど知事が答弁の中で言われました。福祉専門職の方自体も大変な繁忙の中で対応してくださるということになろうかと思います。それは、財政的な支援だけでなくて、もっといろんな形でバックアップしていくことも今後必要だろうとは思いますけれども、先ほど言われたようなことで、今年の取組状況を見させていただきたいというふうに思っています。 ただ、問題は、これまで私が質問してきた際に県のほうも言われてきたんですけれども、福祉の専門職とつながっていない方への対応、日頃から地域の見守り活動を行っている様々な方の理解と協力を得ることが重要と考えているというふうに、県のほうは答弁してまいりましたが、福祉専門職が現時点でもつながっていない避難行動要支援者がいるということへの配慮、これは大変重要ではないかというふうに思っています。ぜひその点についても今後考慮しながら進めていただきたいというふうに思っているところです。 続いて、その個別避難計画作成率の問題ですが、先ほど知事が数字的なものをおっしゃってくださいました。これは、6月定例会のときも加藤議員の質問に対してお答えになった部分だろうというふうに思います。問題は、優先度が高く、名簿情報提供の同意が取られた世帯のみを対象世帯としている場合は、不同意の方が計画策定から取り残されるということになるのではないか、誰一人取り残さない防災対策の最優先課題であるだけに、この課題にどのように取り組んでいかれるのか、子ども・福祉政策部長にお尋ねします。 ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) 個別避難計画の作成の優先度が高い方のうち、地域への名簿提供を同意されている方は県内で67.9%、一方で約3割の方は同意が得られていないという状況になっております。その中で、お話の不同意の意思表示をされた方の中には、周囲に御自身の情報を知られたくないといった方や、計画作成の必要性を十分に理解していない方が一定数おいでると考えております。 このため、県としましては、今後生活環境や心境の変化も考えられるため、定期的な情報確認の実施でありますとか、計画の必要性を丁寧に説明、場合によっては信頼関係がある福祉専門職等に同意の取得を依頼するといった対応を市町村に働きかけるとともに、計画作成につなげてまいりたいと考えております。 ◆32番(坂本茂雄君) 続きまして、介護事業所のBCP策定義務づけについてお尋ねします。2021年4月施行、令和3年度介護報酬改定における改定事項で、2024年から介護事業所でのBCP策定が義務づけられました。災害大国である日本で、介護事業所の利用者、職員を守るための計画策定や訓練を義務づけるものです。 本県において、対象となる介護事業所数に対して、BCPが策定できた事業所はどうなっているか、子ども・福祉政策部長にお尋ねします。 ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) 本年9月に県が行いました県内介護事業所のBCP策定状況の調査では、回答がありました462事業所のうち、災害時のBCPを策定済みは25%、策定中は53%となっております。また、感染症発生時のBCPを策定済みは17%、策定中は56%となっております。 ◆32番(坂本茂雄君) まだまだという感じがいたします。策定期限となる2023年度末までに、全ての介護事業所でBCPが策定されるようどのように取り組まれるのか、子ども・福祉政策部長にお聞きします。 ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) 介護事業所のBCP策定に向けましては、全施設を対象にした説明会や施設団体による研修会等で、事業所への周知を行ってきたところでございます。 本県では、これまでも災害時のBCPにつきましては、平成24年3月に県の社会福祉施設防災対策指針を策定し、施設団体と連携をして、全国に先駆けて取り組んできたところでございます。 令和5年度末の策定に向けて、引き続き施設団体や市町村との連携を強化いたしまして、国が作成したガイドラインの活用を施設に対しまして働きかけるとともに、研修会の開催や事業所への個別支援などを行ってまいります。 ◆32番(坂本茂雄君) この項の最後に、3年間の据置期間中、自らの事業所のBCP策定と並行して、避難行動要支援者の個別避難計画策定への参画が求められるということは、大きな負担になると思われます。 先ほどこの点について知事が少し触れられましたけれども、この負担軽減に当たって補助金による財政支援だけで可能なのか、子ども・福祉政策部長にお尋ねしたいと思います。 ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) お話のように、介護サービス事業所等では、令和5年度末のBCPの策定を求められている中、福祉専門職の日々の業務も多忙でありますことから、福祉専門職の個別避難計画の作成への参画に慎重な御意見もいただいておるところでございます。一方で、事業所、関係団体等との意見交換では、福祉専門職は多忙ではあるが、いざというときに利用者の命を守るためにも、作成作業への参画は必要と前向きな御意見もいただいているところでございます。 こうしたことから、負担感軽減のための財政支援に加えまして、例えばいつでも視聴できるオンラインによる研修の実施でありますとか、円滑な計画作成に向けた手順書の作成、そういったきめ細かな支援を行うことによりまして、負担感の軽減に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆32番(坂本茂雄君) いろいろと言いたいことはありますが、時間がありませんので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。 続きまして、福祉避難所についてです。個別避難計画等の作成プロセス等を通じて、要配慮者の意向や地域の実情を踏まえつつ、事前に福祉避難所ごとに受入れ対象者の調整等を行い、要配慮者が日頃から利用している施設へ直接の避難を促進することとされていますが、本県での調整は進んでいるのかどうか、子ども・福祉政策部長にお尋ねします。 ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) 令和3年5月に内閣府のガイドラインが改正されまして、福祉避難所等へ直接の避難を促進することが適当と示されたことから、県では市町村に対しまして、担当者会や各ブロック研修会等で直接避難の検討を働きかけてきたところでございます。 現在、3町村が直接避難の受入れ対象者の調整に着手をしており、17市町村で直接避難の手順等を検討中という状況でございます。市町村からは、受入れまでの時間が短いなど施設側の負担が大きいことや、対象者の絞り込みが困難、コロナ禍で施設の協議が難しいなどの課題が挙げられております。 今後は、施設の負担軽減に向けました具体的な課題の洗い出しや、個別避難計画作成、更新に合わせました直接避難の対象者の絞り込みなど、市町村に働きかけていくとともに、直接避難に向けました取組を支援してまいりたいと考えております。 ◆32番(坂本茂雄君) 続きまして、今回の台風14号で災害が発生するおそれがあるとして、本県はじめ9県が災害救助法の事前適用を行いました。この場合に、一般避難所だけでなく福祉避難所を設置された場合に、その費用にも国費は充当されるのか、子ども・福祉政策部長にお聞きします。 ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) 災害救助法の事前適用の対象となる経費は、一般の避難所につきましては、建物の使用料や光熱費等に限定されております。 一方で、福祉避難所につきましては、これらの経費に加えまして、ポータブルトイレなどの仮設設備の費用、また消耗器材等の購入費、支援に当たる介護員等の配置に要する経費が対象となることを国に確認しております。 ◆32番(坂本茂雄君) ぜひそういった意味では、一般避難所だけでなくて、福祉避難所も積極的に開設することを要望しておきたいと思います。 避難所における新型コロナウイルス感染症の自宅療養者対応ということで、今回のように自宅療養・待機者が多数に上った場合、その自宅エリアで避難指示や緊急安全確保が出される場合もなきにしもあらずです。 そういった場合に、今の避難所でのゾーニングでは適切ではないと考えますが、どのような対応が図られるか、危機管理部長にお尋ねします。 ◎危機管理部長(中岡誠二君) 台風や集中豪雨などのシーズンを控え、自宅療養者の避難が想定されたため、その対応について、各市町村長に対して7月8日に通知を発出しております。通知では、避難所において自宅療養者専用のスペースを確保するか、別の避難所を開設するようにお願い。また、自宅療養者への連絡や避難所情報を提供する方法のほか、避難所の衛生管理や病状が悪化した場合の対応などについて、事前に管轄する福祉保健所と協議することも併せてお願いしてございます。 9月の台風14号での対応について、避難所を開設した全市町村に調査しました結果、全ての市町村において自宅療養者専用のスペースを確保、または別の避難所を開設するように準備していたということでございました。ただし、実際に避難してきた自宅療養者はゼロでございまして、課題を把握するまでには至っておりません。 今後は、自宅療養者の避難に際して想定される課題などについて、市町村や保健所とも協議を行い、対応力の向上を図ってまいりたいと考えております。
    ◆32番(坂本茂雄君) 時間がないので、もう最後に行きます。 知事、国葬についての考え方で、先日の田所議員に対して、行政面でのプロセスに特段の瑕疵はなかったというふうに言われました。私はこのことに対して大変に疑問を感じております。 改めて、そういうふうにお考えなのか、岸田首相は改めて検証するということも言わざるを得ない状態になっていますが、今でも行政面でのプロセスに特段の瑕疵がなかったとお感じになっているのか、知事にお聞きします。 ◎知事(濱田省司君) 今回の国葬儀は、行政権の範疇に含まれる国の儀式という位置づけがされた、これを大前提といたしますと、それに従った手順はしっかりと行われたと考えておりますので、その意味で実施に当たっての手続、プロセスに特段の瑕疵はなかったというふうに考えているところであります。 ◆32番(坂本茂雄君) 終わります。いろいろ言いたいことはありますけれども、これで終わります。(拍手) ○副議長(西内隆純君) 以上をもって、坂本茂雄君の質問は終わりました。 ここで午後1時50分まで休憩といたします。   午後1時46分休憩-----------------------------------   午後1時50分再開 ○副議長(西内隆純君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 一問一答による議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 大石宗君の持ち時間は30分です。 26番大石宗君。 ◆26番(大石宗君) 一燈立志の会の大石宗でございます。ただいまお許しをいただきましたので、順次質問させていただきたいと思います。 まず、県経済の成長力についてであります。 この数年、新型コロナウイルス感染症で大変厳しい思いをしてきたわけですけれども、県政の重要な根幹は、やはり県民の命を守るということであります。そういう中で、やはり医療と経済というのが両輪であろうかと思いますけれども、先ほど来、医療の面に関しては、第7波でも大変医療従事者の皆さん、医療機関の皆さんに御苦労もかけたと、こういうお話がありました。感謝を私も申し上げたいというふうに思いますし、対策はしていかなければなりませんけれども、一方で先日の新型コロナウイルス感染症対策調査特別委員会では、第7波の傾向につきましては、例えば重症化率等々の数値も季節性インフルエンザとほとんど変わらないと、こういう部長の答弁もありました。 そういった中で、先ほど坂本議員から情報発信についてということで厳しい意見もありましたけれども、一方で今の高知県の景況を見たときに、9月の日本銀行高知支店の金融経済概況というのも緩やかに持ち直しているということがございます。観光が持ち直している、さらには個人消費が少し持ち直していると、この要因は、やはり人が動き出したということにあろうかというふうに思いますので、そういった意味での知事の姿勢というのは、私は評価もするというところであります。 そういった中でございますけれども、アフターコロナというのが近づいてきているというふうな認識に立てば、やはりこの県経済をいかに回復させていくのか、成長させていくのかというのが県政における一つの大変重要な政策であろうかと思います。そういった中で、県経済の状況を見ますと、一つ実質経済成長率というのを考えてみますと、コロナ前、特に産業振興計画を始めて以降、これまではマイナス成長だった高知県の経済が、少しずつプラスに転じてきたということがございます。筆頭は2013年度の4.1%の成長ということでありますけれども、その後も比較的成長基調でずっと来ていたということがございます。 しかしながら、コロナで今マイナス成長に恐らくなっていると、統計が取れていませんので分かりませんけれども、恐らくマイナス成長になっているというふうに思いますし、先日工業製品出荷額も非常に厳しい状況だというふうな報道もありました。そういった意味では押し下げ要因がかなりありますから、これから回復していくというには大変な御努力を要さなければならないというふうに思います。そういった中で今回関西戦略というので、関西の活力を取り戻すということで政策を立てられておりますけれども、例えばその大阪府においては2020年には、コロナ前の水準まで経済成長を戻すと、そして2025年までにはしっかり増やしていくという中で、年率平均2%の実質経済成長率を確保すると、こういう政策を大阪の再生・成長に向けた新戦略の中で立てておられるところであります。 高知県につきましては、この成長率の目標こそありませんけれども、そういった中で高知県の経済成長、どのようにこれから力強く果たしていかれるおつもりがあるのか、まず濱田知事の決意をお伺いしたいと思います。 ◎知事(濱田省司君) 私は、かねてから目指すべき県政の姿といたしまして、若者が希望と誇りを持って暮らし続けることができる、そうした元気な高知県を実現したいというふうに申し上げてまいりました。お話がございましたように、ここ数年はコロナ禍という逆風に直面をしておりまして、経済面で大きなダメージを受けてきたというのは事実でございます。これを、アフターコロナを展望して再び成長軌道に乗せていくと、そして県勢の浮揚を図っていくということが、県民の皆さんの御期待であると思いますし、私の使命であるというふうに考えております。 そのためには、新型コロナウイルス感染症前後で大きく社会構造、経済構造が変わってまいりますので、それを踏まえたところで本県の経済を新たな成長軌道に乗せていくというところが重要だと考えております。そういう意味で、各産業分野の成長を促す施策を進化させていくということが必要だと考えておりまして、そのためには、新しい時代の潮流を先取りしていくということが大事ではないかと思います。 その中で、いつも申し上げております3つのキーワードがございますが、特にデジタル化あるいはグリーン化という流れを、これを先取りしてイノベーションを図っていくということが大きな要因だというふうに思っておりますし、グローバル化によって縮小していく国内市場にとどまらずに海外に打って出ると、こういった取組も非常に大事ではないかというふうに考えております。 こうした方向に沿って、我が県の経済というのは進んでいくべきだというふうに考えており、このアフターコロナの時代におきまして持続的な経済成長を達成し得る、そうした高知県経済を目指して、精いっぱいの取組を進めてまいりたいと考えております。 ◆26番(大石宗君) そういった中で経済成長率、本県も回復させていくとしたときに、プラス要因とマイナス要因、それぞれ考えていく必要があると思いますけれども、押し下げの一つの要因は、やはり高知県経済はいわゆる輸入、入ってくるものが多い、外に出ていくものが少ないと、これが一つの要因であろうかと思います。そういった中で、この輸出入というのを改革していくという中で、一つ今円安基調にあるということで、これから輸出の拡大なども図っていかなければならないというふうなことがあろうかと思います。 そういった中で、港湾がやっていますINAPですけれども、濱田県政になってから実はまだINAP、開催をできておりません。これは1998年に始めたということ、当時の橋本知事が始められたということで、もう四半世紀になろうかとするわけですけれども、これは一つの通商という意味では重要な政策であったというふうに考えます。 今度しばらくできていないということもありますけれども、このINAPについて、これまでの成果も含めた総括について知事にお伺いをしたいと思います。 ◎知事(濱田省司君) 今御紹介ございましたように、INAPは平成10年に5か国の5港で発足をいたしまして、令和4年9月末現在で、このネットワークが7か国10港へと拡大をしたという状態でございます。このINAP加盟港の増加に伴いまして、高知港と直接の姉妹港あるいは友好港以外の港とも良好な関係を構築できてまいったということがございます。コンテナ取扱数世界第6位の青島港をはじめといたします世界有数の港の港湾関係者、あるいは行政関係者に対しまして高知県をPRできる絶好の場として活用してまいったところでございます。 高知県はこのINAPの設立以来、事務局として携わってまいりました。こうした経験を通じまして、国際感覚が求められる職員の育成に寄与したというふうに評価できると思いますし、本県の貿易振興あるいは国際観光を推進していくという面でも大変意義があったというふうに受け止めております。 特に、INAPに合わせて経済ミッション団を派遣するという取組も行われてまいっており、これは県内企業にとりまして、今お話がございました輸出入のきっかけをつかむ機会として、大きく貢献したというふうに評価をいたしております。 ◆26番(大石宗君) ありがとうございます。今様々評価をされているというお話がありましたけれども、しばらく休んでいたものをまた復帰させるときというのは、これまで以上のやはり熱量が必要になろうかと思います。これは、言わば橋本知事が政治的にといいますか、判断して始めたような政策で、尾崎知事もこれをやらないといけないということで、かなり力を入れてこられたと思います。濱田知事も今のお話を伺うと、やはりトップとしてこのINAPを大事にされていくと、そういう思いを伺いましたので、ぜひとも来年、また開催が力強くできるように取組を進めていただきたいとお願いをするところであります。 そして、もう一点、その輸出入ということで言いますと、今日は北朝鮮のミサイルで報道は持ち切りでありましたけれども、その中で安全保障というのは非常に重要だというふうな国内の議論が盛んに今なってきております。加えて、防衛の安全保障のみならず、食料安全保障とか自給率、こういったものも課題になってきておりますけれども、先般の6月議会では我が会派の武石議員から、国産の飼料による自給比率を高めるために飼料米の生産に取り組むべきだというお話がありまして、積極的に進めていくと、そういう御答弁もあったところであります。 今、円安で大変な苦しい農家の皆さんの状況が続いていまして、今回の補正予算でもそこを補填するという予算が出てきておりますけれども、一方で構造的にやはり中長期的に考えていくということも重要だというふうに思います。 そういう意味で、配合飼料に飼料米を利用するという確率の中で、それぞれ様々どれぐらいまで混ぜれるのか、こういうことがありますけれども、今の想定では、利用可能量というのが大体、迷惑をかけない範囲で言うと、約450万トンぐらいあると全国で言われているというふうに伺っております。 高知県の農家の皆さんがこういった飼料米入りの配合飼料に例えば置き換えた場合に、今コストの差も随分出てきていると思いますけれども、国産化をして置き換えた場合にどれぐらいのコストメリットが出てくるのか、農業振興部長にお伺いをしたいと思います。 ◎農業振興部長(杉村充孝君) 家畜に与えます配合飼料の原料は、約5割が輸入トウモロコシでありまして、この価格の高騰が今般の配合飼料の高騰の主な原因となってございます。この輸入トウモロコシよりも安価な飼料用米でございますが、代替飼料として各農協を通して集荷されまして、全農から配合飼料メーカーに一括して販売されております。現時点で配合飼料におけます飼料用米の割合は約5%程度となってございます。 飼料用米の配合割合は、国のほうから、家畜の健康や畜産物の品質に影響を与えない水準というのを示されておりまして、最も高いブロイラーで50%、最も低い肉牛で3%、全家畜平均で20%程度と言われております。仮に、この割合で飼料用米を配合した場合の本県における配合飼料費の削減効果としましては、全畜種平均で1トン当たり4,421円、県内全体で言えば年間で約1億1,500万円程度と試算されます。 ◆26番(大石宗君) ありがとうございます。今、新しいものをやはり使っていくということの難しさとか、様々課題があろうかと思いますけれども、コスト面でもやはり優位になってくるというのが今の御答弁でも明らかになったところでありますので、引き続きまた取組を進めていただけたらというふうに思います。 そして、経済成長という話で、先ほど知事の答弁で持続可能性のあるというお話があったというふうに思います。先ほどの実質経済成長率などは言わば短期的な需要の変動に負うところが大きいと思いますけれども、知事の先ほどのお話の持続可能性という意味では、中長期的に経済がどう動くのか、これは1つは潜在成長率という比率が一つのポイントだというふうに言われております。これは労働投入量、それから投資、それともう一つは生産性と、主にこの3つで構成されると言われておりますけれども、そういった意味では、今様々な社会的な要因があります。 高知県のこれからの経済を考えたときに、この潜在成長率を向上させる施策というのも非常に重要だと思いますけれども、この重要性についてどうお考えか、知事にお伺いをしたいと思います。 ◎知事(濱田省司君) お話がありましたように、潜在成長率は経済を供給能力の側面から見た指標ということでございまして、経済成長の土台となっていくものでございます。潜在成長率を向上させるということは、お話しいただきましたように、今後の持続的な経済成長につなげていくための基礎となると、非常に重要なものであるというふうに考えております。 この潜在成長率の要素でございますが、お話がございましたように3つの要素に分かれまして、1つが労働投入量ということでございます。この点は、先々我が国全体もそうでありますが、本県は全国に先駆けて人口減少が進んでいるということがございますから、この部分に多くを期待するのはなかなか難しいというのが正直なところだと思います。ただ、例えば高齢者の方々あるいは女性の方々にもっともっと活躍をいただくということで、この労働の投入量をできるだけ維持していく、減らないようにしていくということは一つのポイントかと思います。 そして、もう一つが資本投入に関してでございますが、これのうち、例えば民間の住宅投資などについても、ある意味これは人口減少の中でなかなか厳しいということだと思いますし、公共投資に関して申しますと、これは国の経済政策にかなり左右されるということでございまして、民間の設備投資をいかに確保していくかということがポイントになります。その際、我が県は中小企業が非常に多いということでございますから、中小企業が投資をしてもしっかり回収できるというような見通しを持てるような政策、そういった方向性が求められるということではないかというふうに考えます。 以上のように見てまいりますと、もう一つの要素であります生産性、ここが一番のポイントになってくるということだというふうに考えます。この生産性を高めていくためということを目指しまして、県の産業振興計画の戦略といたしましても、付加価値や労働生産性の高い産業を育むという目標を掲げ、この生産性向上に資するようなものとして、デジタル技術を導入していく、あるいは設備投資を促進していくといった施策を展開しようということで、現在鋭意取り組んでいるところでございます。 今後もこうした施策の方向性に沿って潜在成長率を高めていく、やはりその中では生産性を上げていく、少々高くても品質がいいから、これは高知の産品を買いたいと言っていただけるような、そうしたもうかる、稼げる製品を生み出していくというところに力を注いでいくということが肝要だと考えております。 ◆26番(大石宗君) ありがとうございます。労働、投資、生産性とそれぞれ答弁をいただいたわけですけれども、労働につきましても四銀地域経済研究所の9月の景況調査では、雇用BSIは全業種でマイナス37ということで、大変な圧迫感が出てきているというふうな状況もありますので、ぜひまた御留意いただきたいと思います。生産性という部分では、一応高知県は日銀の調査では全国よりもかなり生産性がまだ低いから伸び代があるんじゃないかと、こういうことでございますので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。その中で生産性を上げていくには様々な要因がありますけれども、一つこれは単純なお話かもしれませんけれども、経営陣、経営者が若返れば生産性は上がるというふうな側面があるということもございます。 そういう中で、高知県の経営者の年齢構成ですけれども、令和2年度の調査では、役員に関しては総数約1万4,000のうち7,615で約51%、そして従業員を雇っている経営者、これが9,352名中5,108名、約55%、そして個人事業主につきましては3万のうち1万9,000、約64%が60歳以上というふうな数値がございます。これからまた2年たっていますから、これは実は全国でも一番ぐらい、ある種高齢層の経営者が多いというのは我が高知県だというふうに言われておりますけれども、ここをやはり少し、これはもちろん企業の皆さんの御判断のところもありますけれども、流動化させていくという必要があろうかと思います。 この後継者、いわゆる世代交代が進まない要因についてどうお考えなのか、商工労働部長にお伺いをしたいと思います。 ◎商工労働部長(松岡孝和君) 世代交代に関する考えは、議員からもお話がありましたように、経営者個人個人で異なるものと思いますけれど、信用調査会社のレポートなどによりますと、親類や社内に引き継ぐ意思のある人や適任者がいない、適任者がいても自分が元気なうちはやり続けたいのでまだ考えていない、経営環境の厳しさなどから自分の代で終わるつもりであるといったことなどが、世代交代が進まない要因として挙げられます。 ◆26番(大石宗君) ありがとうございます。それでは、今後の対策についてどうお考えか、また商工労働部長にお伺いしたいと思います。 ◎商工労働部長(松岡孝和君) 一般的に事業承継は3年以上を要する割合が半数を上回ることなどから、これまでにも計画的に世代交代をしていく必要性などにつきまして、広報やセミナーによりまして周知を行っております。あわせて、後継者の有無など、各事業者の状況を把握するため、経営者が60歳以上の事業者を対象に、その状況の把握に努めているところです。 その中で、後継者がいる事業者に対しては、早めに事業承継に着手されるように、一方後継者がいない事業者に対しましては、後継者の選定方法や、改めて後継者の発掘に努めているところです。その上で、高知県事業承継・引継ぎ支援センターが中心となって、事業承継計画の策定から承継後の経営の安定化まで伴走型の支援も行っております。こうした一連の取組に加え、施策も今後充実しながら、経営者の世代交代を一層促してまいります。 ◆26番(大石宗君) ありがとうございます。ぜひともまた進めていただきたい。ノウハウの継承というものは、時間がなかなかないということもありますので、ぜひ進めていただきたいと思います。 次に、教育問題についてであります。 先般、総務委員会の県外調査で、島根県の県立隠岐島前高等学校に行ってまいりました。ここはもう廃校直前の学校が高校を魅力化し、そして加えて、県外から地方留学、地域留学する子供たちに声をかけて生徒を確保すると、こういう取組の日本で一番進んでいると言われている高校でありますけれども、ここで人の流れ、生徒数89名だったのが、2008年から約10年で184名まで増えた。さらに、魅力化したことによって地元高校への進学率も増えた。そして、その後の定着や、あるいは加えて経済効果、そして地方交付税などの増額、様々なプラス要因があるということを目の当たりにしてきたところであります。 そういった中で、県内の状況に目を転じますと、高等学校の全日制の生徒数ですけれども、平成30年度充足率76.1%が、令和4年度は68.7%、一気に7.4ポイントも減少しております。定時制につきましては31.8%から21.8%、一気に10ポイント減少しているということで、高知県の県立高校の、まさにこの生徒の数というのは大変深刻な状況にあろうかと思いますけれども、そういった中で、この高校の魅力化、そして地域みらい留学というのは大変重要な施策だというふうに考えます。 この地域みらい留学について、高知県が今後積極的に取り組んでいくという考え方について教育長のお考えを伺いたいと思います。 ◎教育長(長岡幹泰君) 全国から生徒を募集するこの地域みらい留学は大きなメリット、そして可能性があると考えております。地元の生徒にとっては、留学生との交流によって多様な考えや価値観に触れることになり、より深い学びが可能となります。留学生にとっては、地域を学びのフィールドにした現実的な、そして本質的な学びを行うことができると考えております。さらに、地域にとっては、生徒との交流の幅や機会が増えることで、活性化にもつながるものと思います。このようなことから、この地域みらい留学につきましては、引き続きしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えております。 ◆26番(大石宗君) ありがとうございます。参加したいという説明会の参加者数も2018年、1,100名から2021年度は4,000名と非常にニーズも高まっていますので、ぜひ取り組んでいただきたいと思いますけれども、その中での高校魅力化に関する一つのキーになる人物は、高校魅力化コーディネーターだというふうに言われております。 そういった中で、高校魅力化コーディネーター、高知県内では今3名おられるわけですけれども、率直に言うと、給与も約16万円とか、そういった報酬で仕事をされていると。しかしながら、この魅力化コーディネーターの力量というのが魅力化に対して大変重要だということを考えますと、今後この優秀な高校魅力化コーディネーターをどう確保していくか、育成していくか、これは大変重要になってくると思いますけれども、そこのお考えを教育長に伺いたいと思います。 ◎教育長(長岡幹泰君) この高等学校の魅力化を進めますためには、このコーディネーターの役割は非常に重要というふうに認識をしております。こうしたことから県教育委員会としましては、今年度から高等学校の魅力化に知見を有するアドバイザーを派遣し、それぞれの市町村が雇用するコーディネーターの育成と、実際の活動への支援を始めたところでございます。今後、この効果も見極めながら、より有効な対策を検討していきたいというふうに考えております。 ◆26番(大石宗君) ぜひ予算措置も含めて頑張っていただきたいなというふうに思っておりますので、お願いいたします。 そういった中で、この地域みらい留学、今はまず受け入れるためには住むところが必要だとか、あるいは地域との調整が必要だとか様々なことがございます。しかしながら、これは学校の定数の問題だけではなくて、地域全体を活性化するという一つの大きな政策だというふうに考えましたら、教育委員会のみならず、県を挙げて取り組んでいく体制をつくっていくというのも一つ重要なポイントであろうかと思いますけれども、濱田知事にそのお考えをお伺いしたいと思います。 ◎知事(濱田省司君) この地域みらい留学の対象となっております県内の高校に関しましては、私も県民座談会の機会に視察を多くさせていただいておりますが、この中山間地域の高等学校の活性化はもちろんでありますが、地域全体の活性化にもつながるものというふうに考えております。 実際にこの取組のトップランナーであります、御紹介もありました島根県の海士町などの例を見ますと、移住の促進にも大いにつながっているということでございますし、中山間地域の活性化に向けまして、産業振興、観光振興、さらには移住施策、こういったこととの関連を含め、全庁的に取り組んでいくということが大事であるというふうに考えております。 このため、県に置いております中山間総合対策本部の場を中心といたしまして、地域みらい留学に関して、具体的には特に移住政策との連動というのが当面大きく考えられると思いますが、そういったもの、さらに産業振興や観光振興にどうつなげていけるかといった点も含めまして、これを検討し、進めてまいる所存であります。 ◆26番(大石宗君) ぜひ強力に進めていただきたいとお願いをしておきます。その中で学校の魅力という意味で言いますと、図書室の活用というのが非常に重要でありますけれども、その中で図書購入費、先日も委員会で行ったときは各学校でいろいろ濃淡があったような気がいたしました。 そういった中で、この図書購入費の重要性について、まず教育長にお伺いしたいと思います。 ◎教育長(長岡幹泰君) 学校図書の充実ということにつきましては、子供たちの言語活動に寄与するだけではなく、豊かな心や人間性、そして教養、創造力などを育み、自主的、協働的な学習を行う上でも欠かせないものと認識をしておりまして、図書購入費は非常に重要なものであるというふうに考えております。 ◆26番(大石宗君) 大変重要だという御答弁をいただきましたけれども、その中で、各学校でどうしてそれほど濃淡があるのかということを少し調べたときに、これ図書予算というのは本来地方財政措置されているわけですけれども、この予算の組み方として消耗品費ということで各学校に配布をすると。その中でどれほど消耗品、備品に回すのか、図書に回すのかというのは各学校の裁量に任せられているということでありました。 本来これは、図書とほかの備品というのは別枠で私は扱うべきだというふうに思いますけれども、消耗品費に図書購入費を含まないことについてどうお考えか、教育長にお伺いしたいと思います。 ◎教育長(長岡幹泰君) この図書購入費につきましては、予算科目上、消耗品費に分類され、これまで県立高校には事務用品購入費などを含めた消耗品費の総額のみを示しておったところでございます。そうしたことから、各学校はそのうちの図書購入費の額を十分に把握できなかった、そういった状況にございました。 来年度以降につきましては、学校に予算を内示する際には、この消耗品費の内訳として図書購入費の予算額を明示いたしますとともに、積極的に図書を購入するように促してまいりたいというふうに考えております。 ◆26番(大石宗君) ありがとうございます。ある統計によると、私立に比べてもかなり公立高校は予算が厳しいというふうな話もありますので、ぜひまた頑張っていただけたらというふうにお願いをしておきます。 続きまして、次ちょっと災害対策についてであります。 農業用燃料タンクの耐震化について、平成26年から進めてまいりまして、10年で3,000基という目標でやってきたと思いますけれども、その進捗状況について農業振興部長にお伺いをしたいと思います。 ◎農業振興部長(杉村充孝君) 県では平成26年から補助事業を設けまして、南海トラフ地震の揺れや津波対策として対応させていただきました。その結果、令和3年度末までに1,372基が整備されておりまして、そのうち甚大な被害がもたらされると考えられておりますL1津波浸水区域においては321基が整備され、整備率は30%となっております。 ◆26番(大石宗君) ということは、計画よりも進んでいないという状況だと思いますけれども、現在の課題についても農業振興部長に伺いたいと思います。 ◎農業振興部長(杉村充孝君) 流出防止装置つきのタンクの置き換えにつきましては、やはり農業者にとってタンクの置き換えそのものが所得向上につながらないということで、前向きな投資になかなかなっていない、それと圃場によっては、防油堤を設置するスペースがなくて、ハウスの一部撤去が必要というようなこともあって、進んでいないという状況でございます。 そのため、特にL1津波浸水区域においては、燃料タンクを多く有している地域を重点地域として位置づけまして、研修会などを開催するなど、積極的に啓発を強化してまいりたいと考えております。 ◆26番(大石宗君) これは火災や土壌汚染など大変な被害につながりかねないということで、ぜひまた一つずつ進めていただけたらと思います。 そして、動物愛護についてです。 動物の愛護及び管理に関する法律違反の検挙が、前年は全国で過去最高を記録したということでありますけれども、令和3年の高知県内の検挙状況について警察本部長にお伺いをしたいと思います。 ◎警察本部長(江口寛章君) 昨年の高知県内における動物の愛護及び管理に関する法律違反検挙は3件でありまして、一昨年と同数となっております。昨年の検挙事件の内訳は、遺棄が2件、殺傷が1件となっております。 令和元年に動物愛護法が改正され、愛護動物虐待などに係る法定刑が引き上げられるなど、社会的関心が高まっていることは承知いたしております。県警察として、今後も県や市、小動物管理センターなどの関係機関・団体と連携を密にして、適切な対応を行っていく所存でございます。 ◆26番(大石宗君) ありがとうございます。この動物愛護法、いわゆる捨て犬とか捨て猫とか、こういうことがあろうかと思いますけれども、これがそもそも犯罪行為であり、場合によっては検挙もされるということについて、やはりこれは県民にも周知もしていかないといけないというふうに思いますし、今御答弁をいただきましたのでこれ以上言いませんけれども、また県内の県有施設の中でも遺棄というものがよく散見されるということであります。こういったこともぜひ注意喚起もしていただけたらというふうに思います。 そして、大変申し訳ありません。質問を予定していた項目のうち、文化生活スポーツ部長と教育長に高知県の小学生から高校生まで、これは今日隠岐島前高校の話をしましたけれども、これからの子供たちにやっぱり地域を愛してもらうという気持ちをいかに育むか、大変重要であろうかと思います。その中で県内の文化施設を県内の子供たちにどう活用してもらうかということで、大変前向きな御答弁をいただく予定でございましたけれども、時間がなくなりましたので、引き続き頑張っていただきたいということをお願い申し上げ、そしてせっかく構えていただいた県庁職員の皆さんに心よりおわびを申し上げまして、私の一切の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手) ○副議長(西内隆純君) 以上をもって、大石宗君の質問は終わりました。 ここで午後2時25分まで休憩といたします。   午後2時20分休憩-----------------------------------   午後2時25分再開 ○副議長(西内隆純君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 一問一答による議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 黒岩正好君の持ち時間は35分です。 24番黒岩正好君。 ◆24番(黒岩正好君) 公明党の黒岩でございます。早速質問に入りたいと思います。 まず初めに、土木部が発注をいたしました工事の入札の取消し等についてお伺いをしたいと思います。 高知県土木部では、年間1,700件余りの発注工事のうち、入札公告後、開札までの中止や、落札決定後に取消しをした業種別の件数はどのぐらいあるのか、土木部長に伺います。 ◎土木部長(荻野宏之君) 土木部の入札におきましては、入札の公正性を確保できないような積算の不備等が、入札公告後から開札までに見つかった場合は入札を中止し、落札決定後に見つかった場合は落札決定を取り消しております。 土木部が入札した建設工事のうち、入札手続の中止と落札決定取消しの合計件数は、令和3年度は土木一式工事は16件、電気工事が9件、舗装工事が3件、その他の4業種で12件の合わせて40件となっております。令和4年度は、8月末時点で土木一式工事が11件、塗装工事が8件、電気工事が3件、その他の3業種で4件の合わせて26件となっております。 ◆24番(黒岩正好君) この入札の公告後の中止や落札決定後に取消しをした理由として言われているのが、発注者側の設計内容の不備あるいは積算の不備がその主な要因のようでございます。その中でも、落札が決定後に取消しをされたというケースは、事業者にとっては様々な準備をした上でのことであり、多大な損害が発生をいたしております。 なぜこうした基本的なミスが発生するのか、土木部長に伺います。 ◎土木部長(荻野宏之君) 発注者側の要因によりまして事業者の皆様に御迷惑をおかけするケースがあることにつきましては、おわび申し上げたいと思います。 入札手続の中止と落札決定の取消しを行った主な理由は、積算における資材単価の誤りや設計図書の記載内容の不備によるものでございます。これらの要因につきましては、担当者の不注意や積算基準の理解不足によるものと考えております。 ◆24番(黒岩正好君) こうしたミスをなくするためには、今後どのように取り組んでいくのか、土木部長に伺います。 ◎土木部長(荻野宏之君) 土木部におきましては、これまでに発生した積算ミスの内容や原因を研修会などで周知徹底するとともに、明らかな入力ミスを防ぐ機能を積算システムに追加するなど、ミスの防止に向けて取り組んでおります。 また、積算金額を示した事後公表設計書を落札決定後に公表し、応札者がそれを見て積算金額に対して疑義を申し立てることができる制度を設けまして、誤った積算のまま契約することを防いでおります。 こうした取組によりまして、積算ミスなどは一定回避できるようになったと考えておりますけれども、今後も複数の職員による確認や、発生したミスの検証などを徹底し、積算や入札事務の誤りを減らすよう最大限の努力を重ねていきたいと考えてございます。 ◆24番(黒岩正好君) 民間事業者は大変な努力の中で取り組んでおられますので、ぜひともミスがないように努力をしていただきたいと思います。 それでは次に、新型コロナウイルス感染症の高知県経済への影響について伺いたいと思います。 新型コロナウイルス感染症の流行が始まって、はや3年近くとなりました。コロナの影響で大きく落ち込んだ本県の景気は、先月12日に公表されました日本銀行高知支店の金融経済概況では、緩やかに持ち直しているとされ、少し明るさが見え始めてきたと思われますが、個人消費については、一部で新型コロナウイルス感染症の再拡大による下押しも見受けられるとされております。今日の新聞報道でも、大変厳しい状況が続いているとも報道もされております。 また、高知財務事務所の法人企業景気予測調査の7月から9月にかけての景況感の指標において、全体ではマイナス7.5と前回より悪化し、特に非製造業は、飲食・宿泊サービスにおけるコロナによる客の減少や食材価格の高騰などの影響によりまして、マイナス10.2と前回と比べて大きく悪化をしております。 さらに、9月16日に開催をされました新型コロナウイルス感染症対策調査特別委員会で説明をいたしましたコロナの県内事業者への影響によると、8月の宿泊客については、よさこい祭りやインターハイの効果によりコロナ以前の水準まで持ち直しているものの、多くの業界においてコロナ以前の水準まで回復しておらず、厳しい状況が続いていると思われます。これに加えて、原油価格や物価の高騰により多くの県内事業者に影響が出ていると思われます。 そこで、こうした状況も踏まえて、現在の本県経済の状況をどのように捉えているのか、知事に伺いたいと思います。 ◎知事(濱田省司君) 本県経済は、御指摘もありましたように、新型コロナウイルス感染症の影響は落ち着きを取り戻しつつあるものの、原油あるいは原材料価格の高騰がこの景気回復の足かせになるということが懸念される、そういう状況であると考えます。 そうした中、今月は値上げラッシュがピークを迎えまして、食品、飲料品だけで6,500を超える品目で値上げが予定されており、これは県民の皆さんの消費マインドが冷え込むということに至ることが懸念される状況でございます。 今後、ウクライナ情勢に加えまして、新型コロナウイルス感染症や原材料価格の動向などの影響を受け、先行きが不確実な状況が続くということが予想されます。引き続き、国や日本銀行高知支店、各種業界の団体の方々とも連携をしながら、県内の経済状況については注視をしてまいる所存であります。 ◆24番(黒岩正好君) 県として8月上旬から、連日1,000人を超える感染者が発生をしたコロナの第7波において、飲食店への営業時間の短縮などの要請あるいは県民の行動制限は行わず、社会経済活動と感染拡大防止の両立を図っていくこととされました。しかし、感染者が急増し、医療現場が逼迫したことで、県の対応ステージも最も上位の特別対策となった状況で、行動制限はしないといっても、感染予防のために自主的に行動を制限した県民の方も多いと思われます。 このため、コロナが急拡大している状況において、社会経済活動と感染拡大防止の両立を図っていくのはなかなか難しかったのではと考えますが、第7波において、当初考えていたような社会経済活動と感染拡大防止の両立はできたと考えているのか、知事の認識を伺いたいと思います。 ◎知事(濱田省司君) お話がございましたように、今回の第7波におきましては、当初から基本的な感染防止対策を徹底した上で、本格的な行動制限は行わない、そして必要な社会経済活動は行っていきたいという考え方で対処してまいりました。非常に感染力が強いという第7波の特性によりまして、特に8月以降は感染が急拡大をいたしました。発熱外来、救急外来を中心に医療が逼迫をするという状況が見られましたために、BA.5対策強化宣言を発出するというような状況に至ったわけでございます。 その際には、高齢者の方々などに対しまして、対象者限定の形で、不要不急の外出自粛をお願いせざるを得なかった状況でございましたけれども、全体として見ますと、本格的な行動制限を行うことなく、新規感染者数を減少傾向に転じさせることができたというふうに考えております。 こうした状況を振り返りますと、感染防止対策と社会経済活動との両立は一定程度図れたのではないかというふうに考えております。 ◆24番(黒岩正好君) さて、コロナの影響により売上げが減少し、生活や経営が厳しくなった個人や事業者の支援を行うために、様々な融資制度が設けられました。その中で、県の社会福祉協議会が行っている生活福祉資金貸付制度の特例貸付の緊急小口資金と総合支援資金については、今年8月末現在で合わせて申請件数が約2万9,000件、申請額が約114億円とのことであります。 しかし、現在は貸付けの件数が減少していることから、特例貸付は先月末で廃止をし、本則での対応となりましたが、コロナが完全に収束せず、また県内の景気も十分には回復をしていない中で廃止することにより、今後生活に困る方が出てこないか危惧をしますが、子ども・福祉政策部長の認識を伺います。 ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) 生活福祉資金の特例貸付は令和2年3月から実施をしてきましたが、本年9月末で申請受付が終了となっております。今年度に入ってからは貸付件数も減少しておりまして、貸付申請期限となりました本年9月も駆け込みで申請が急増するということはございませんでした。 今後は、コロナ禍に限らず、生活に困窮する方に対しましては、従来の生活福祉資金貸付けによる経済的な支援や、生活困窮者自立支援制度による相談支援など、重層的な支援を行ってまいります。 ◆24番(黒岩正好君) この特例貸付を受けた方で、償還時においてなおこの所得の減少が続く住民税非課税の世帯については、償還免除が可能となっております。また、償還免除に該当しない方でも、一定の所得要件などに該当する世帯については、1年間分の償還を支援することとされております。さらに、この特例貸付を上限まで借りた方などで、収入などの要件を満たす方に対しては、生活困窮者自立支援金が支給されることとなっております。 しかし、貸付けを受けた生活困窮者の生活を守るためには、償還免除などを適切に受けられるよう、制度の周知や申請の勧奨が大事ですが、どのような対応を取られているのか、子ども・福祉政策部長に伺います。 ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) 県社会福祉協議会では、来年1月に償還開始となる特例貸付を受けた方全員に対しまして、償還免除の案内をする際に、氏名や金額等をあらかじめ印字しました償還免除申請書や、償還免除の手続を分かりやすく記載しましたフロー図を同封して送付することで、制度の周知を図っております。 そのほか、県社会福祉協議会から免除申請手続の窓口である市町村の社会福祉協議会に対しまして、免除の対象になりそうな方へ個別の声がけを行うよう依頼をしているところです。 また、県では6月補正予算によりまして、現時点で非課税世帯と同程度の経済状況である世帯につきましては、県独自の制度で1年分の償還支援を行うこととしており、この制度の対象世帯に対し、しっかりと周知してまいります。 ◆24番(黒岩正好君) 一方で、長引くコロナの影響によりまして、この特例貸付で借り入れた金額も最大で、決して少額とは言えない200万円まで増加していることから、今後の償還についても大丈夫なのかという心配もいたしております。 来年の1月以降、償還免除や償還支援制度に該当しない世帯の償還について、円滑に進めていくためにどのような手だてを考えているのか、知事にお伺いをしたいと思います。 ◎知事(濱田省司君) この特例貸付のこれまでの貸付実績が2万8,640件、約114億円となっておりまして、このうち一定の割合の部分は償還免除が適用される見込みでありますけれども、相当数の方が貸付金の償還が必要な状況であります。このため、償還状況の的確な把握に向けましたシステム改修を予定いたしておりますほか、お困り事への相談にきめ細かく対応するために、社会福祉協議会の体制を強化したところであります。 この貸付金の償還が生活再建の妨げにならないように、必要に応じまして生活困窮者自立支援制度によります家計の改善、あるいは就労支援に取り次いでいくといったことなどを通じて、お一人お一人に寄り添った対応を行ってまいります。 ◆24番(黒岩正好君) 次に、事業者に対するコロナ関係の融資でありますが、高知県信用保証協会の保証残高は、コロナの感染が始まる前の令和元年12月は1,059億円、令和4年8月は2,333億円となっており、コロナが始まって以降1,274億円も増加をいたしております。 そのうち、コロナの影響で営業時間の短縮などを求められました飲食店では、令和元年12月が40億円で令和4年8月は130億円と、90億円も増加をしております。また、宿泊業は16億円が44億円と28億円の増加、卸売業が126億円から315億円へ増加をしております。そのほかにも、建設業は221億円から467億円へ、医療・福祉業が87億円から187億円へというように、ほとんどの業種で保証残高が大きく増加をいたしております。 この保証残高の急増は、コロナ感染拡大と同時期であることから、ほぼ全てコロナの影響ではないかと考えられますが、建設業や医療・福祉業も含めて、ほとんどの業種で借入れが増加した理由をどのように分析しているのか、商工労働部長に伺います。 ◎商工労働部長(松岡孝和君) 保証残高が急増した理由は、新型コロナウイルス感染拡大というこれまでに経験したことのない事態に直面し、先行きの不透明感が高まり、資金繰り悪化に対する不安感から、多くの事業者が当面の手元資金を確保することを目的に借入れを行ったことによるものであると考えております。 お話のあった建設業や医療・福祉業について、金融機関などにお話をお聞きしますと、建設業では大手の建設会社が工事を一時停止したこと、医療・福祉業では患者や利用者が新型コロナウイルス感染症に感染することを危惧して受診などを控えたことなどから、資金繰りに余裕を持たせるために借入れを行ったものであるとお聞きしております。 ◆24番(黒岩正好君) コロナウイルスは、一旦収まったように見えてもまたすぐに急拡大することをこの3年間繰り返しており、景気もその都度大きく影響を受けていることから、コロナが始まる以前の水準まで事業者の経営が改善するには、かなり時間がかかると思われます。このため、飲食や宿泊業だけではなく、影響が及んでいる医療・福祉業や建設業も含め、急増した借入金を今後償還するための資金繰りがつかなくなることがないように対応する必要があると思います。 知事は、8月31日に開催をされました高知県・高知市連携会議の中で、高知市から償還期間の延長の申入れに対し、まずは早期の経済回復に努め、返済開始時点で回復が思わしくない場合は必要な支援策を検討すると述べられておられます。 据置期間が短い融資の償還が始まるまでにはそんなに時間的余裕はありませんが、当初9月5日から予定をしておりました「食べて!飲んで!高知家応援キャンペーン」を延期したように、景気回復のための事業もなかなか計画どおりに実施できない中で、社会経済活動とコロナ感染拡大防止の両立を図りながら、早期の経済回復にどのように取り組んでいくこととしているのか、知事に伺います。 ◎知事(濱田省司君) 県経済の早期の回復に向けましては、感染症の拡大により落ち込みました消費の回復を図るということがポイントとなります。そのため、裾野が広いと言われます飲食業あるいは観光業などの需要喚起策を、感染状況も見極めながら積極的に展開してまいります。 このうち飲食業に関しましては、お話もございました「食べて!飲んで!高知家応援キャンペーン」がスタートいたしまして、このプレミアムつきのクーポン券は順調に売上げを伸ばしておる状況でございます。これを多くの県民の皆さんに御活用いただくことによりまして、飲食店のみならず、例えば食材を供給する生産者など、関連いたします事業者の方々への支援につなげてまいりたいと考えております。 また、観光におきましては、国の全国旅行支援と併せまして、本県独自に交通費用の助成を行います、いわゆるリカバリーキャンペーンを引き続き実施する予定といたします。これにより、言わば遠隔地であるという本県のハンディを克服いたしまして、切れ目のない観光客の誘致を図ってまいりたいというふうに考えています。 今後も、県内事業者の方々の状況把握に努めまして、国の対策とも連動させながら、必要な対策を迅速かつ的確に講じてまいりたいと考えております。 ◆24番(黒岩正好君) 先月、県の旅館ホテル生活衛生同業組合からも、返済猶予期間の延長等について県や議会に要望書が提出をされていますが、経済回復が思わしくない事態となった際の償還などに対する支援策を返済が始まった時点で検討していたのでは、間に合わずに遅いと思います。 もっと早くから検討して、そういった事態に備えておくべきと思いますが、知事の御所見を伺います。 ◎知事(濱田省司君) 国、県のコロナ関係融資の返済開始が近づいております中で、これまでも直接的あるいは間接的に事業者の先行きへの不安の声をお聞きしております。また、本議会におきましても、いろいろな御指摘をいただいておるところでございます。 国や県の経済対策が今後功を奏しまして、融資の返済が本格的に始まるまでの間に経済状況が回復をする、そして約定どおりに返済が行えるような環境になるということが最も望ましい姿だとは思っております。しかしながら、エネルギーや物価の高騰、円安など、コロナ以外の影響も生じてまいっております。そういう意味で、御指摘もありましたように、十分に景気が回復していない場合の対策をあらかじめ検討しておく、このことは必要であると考えております。 このため、県といたしましては、これまでにも国のコロナ関係融資に関係いたしまして、償還期間等の延長、あるいは償還期間が15年を超えるような超長期の借換え融資制度の創設、こういった点を具体的に国に提言、提案いたしております。県の独自融資に関しましても、この国の政策提言と同様に、本県経済の状況をよく把握し、また事業者の皆さんの声もお聞きをするということを踏まえまして、対応について検討を深めていく考えでございます。 ◆24番(黒岩正好君) ぜひともよろしくお願いいたしたいと思います。 それでは次に、コロナ禍における高齢者の健康について伺います。 高齢者の健康には日常生活での人との交流、あるいは友達との運動、集いの場への参加、笑いのある生活などが効果的だと言われております。コロナ禍の中、感染を予防するために、地域の老人クラブなどが行ってきました旅行や趣味、スポーツなどの生きがい活動が長期間制限をされております。 このため、このような状況が今後も続いた場合、高齢者の健康が損なわれたり、フレイルになったりするおそれがあるのではないかと考えますが、コロナによる長期間の活動自粛が高齢者の健康に与える影響につきまして健康政策部長に伺います。 ◎健康政策部長(家保英隆君) 活動自粛の長期化は、フレイル予防の3つの柱、栄養、運動、社会参加のうち、運動と社会参加、特に社会参加の機会の減少に直結します。社会参加という人とのつながりを失うことがフレイルの最初の入り口になると言われており、外出の頻度や知人などとの会話が少なくなると、次第に心身に影響してまいります。令和2年のコロナ感染拡大期に、あったかふれあいセンターなどを対象に実施した調査では、認知機能の低下が見られた、転倒することが増えた、精神的に不安定になったなどの報告がございました。 このため、感染予防の工夫をしていただきながら、できるだけ社会活動を継続することが望ましいと考えております。 ◆24番(黒岩正好君) こういった老人クラブなどの中には、感染予防の工夫をしながら活動をしている団体もあるようでありますが、一方では市町村から活動の自粛を求められ、ほとんど活動を行っていないケースもあるようであります。しかし、単に活動の自粛を求めるだけではなく、コロナを適切に予防しながら、仲間と一緒に自分たちの好きなことを続けていただくことが、高齢者の健康寿命の延伸につながる大事なことだと思います。 このため、老人クラブなどが社会参加活動と感染予防の両立ができるよう、市町村と協力して助言していく必要があると考えますが、子ども・福祉政策部長の認識を伺います。 ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) 新型コロナウイルス感染症の拡大によりまして、老人クラブ活動も事業の中止など大きな影響を受けておりますが、一方で感染対策を行いながら活動を行っているクラブもあり、高知県老人クラブ連合会では、昨年7月に感染予防に十分注意した活動などを紹介する事例集を作成し、横展開を図っております。 例えば、梼原町老人クラブ連合会では、感染対策を行った上で、コロナ禍の運動会を開催しておりまして、会員でない方も参加したことで会員増にもつながっており、好事例として全国老人クラブ連合会の広報紙を通じて全国にも紹介をされております。 県としましては、市町村と連携をしながら、感染防止と社会参加の両立が図られるよう、高知県老人クラブ連合会とも連携を密に、広報の強化や好事例の横展開、感染対策の助言など活動を支援してまいります。 ◆24番(黒岩正好君) ありがとうございます。 本県は全国でも有数な高医療費県となっておりますが、国の医療費の地域差分析によると、特に70歳以降の高齢者の医療費が高くなっております。団塊の世代の方が後期高齢者となり、ますます高齢化が進む中で、医療費の増加を抑制していくためには、高齢者の方に健康でいていただくことが重要であります。 一方、長年地域において高齢者の健康づくりに貢献をしてきました老人クラブでは、ライフスタイルの変化やコロナの影響により会員の減少が続いております。 しかし、本県の医療費適正化からも、こうした団体が今後も高齢者の生きがいや健康などのために活発に活動を続け、高齢者が住み慣れた地域で、孤立せず元気に人生を楽しめるよう、市町村等と協力して支援を行っていく必要があると考えますが、知事の御所見を伺います。 ◎知事(濱田省司君) 県内の市町村の状況を見ますと、老人クラブの加入率が高い市町村におきましては後期高齢者の医療費が低いと、そういった傾向も出ております。生きがいや健康づくりといった取組によりまして医療費の上昇を抑える観点からも、重要なポイントだというふうに考えております。 お話がございましたように、老人クラブの数は全国的にも減少いたしております。県におきましては、これまでも老人クラブの活動費に対する助成を行ってまいりましたけれども、さらなる活動基盤の強化のために、国の事業におきまして新たに人員を配置し、企画面などの運営を支援すると、そういった枠組みを活用するということも今後検討いたしたいというふうに考えております。 加えて、市町村とも連携いたしまして、地域のイベントや子供の学びの場といった高齢者の知識や経験が生かせる活躍の場に、老人クラブの積極的な参画を促してまいりたいと考えております。 ◆24番(黒岩正好君) ありがとうございます。 次に、がん対策について伺います。 昨年の9月議会で、がん検診の受診率向上について伺いました。第3期高知県がん対策推進計画によると、本県の平成28年度のがんによる部位別死亡者数では、男女合計で第1位が肺、第2位が胃、第3位が大腸、第4位が肝・肝内胆管、第5位が膵臓となっております。 この中で、肺、胃、大腸については、それぞれ40歳以上の方を対象とするがん検診が行われておりますが、肝臓や膵臓の検診については、国のがん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針において定められていないこともあり、行われておりません。しかし、特に膵臓がんについては、初期の段階では自覚症状があまりないことから、発見されたときには既にかなり進行していることが多いと言われております。 私も、この4月に医者から膵臓にがんらしきものがあるということを言われまして、このままいくと将来、今現在は五分五分であるけれども、がんになる可能性もあるということで、早期発見という中でがん治療を行ってきました。そうした中で、7月には検査の中でそのがんらしきものが消えておりましたが、当初予定をしていた膵臓を3分の2切除いたしまして、なおその際に、膵臓の周辺の胆のうと脾臓を併せて除去すると、こういう手術をしたわけであります。こういう経験を通しまして、大変にがんというものが身近な問題として自分自身も認識をしたわけであります。 さて、国立がん研究センターの発表によると、治療後の5年生存率は、がん全体では60%を超えていますが、膵臓がんはがんの中でも最も低く10%を下回っております。また、肝臓がんについても、5年生存率は35%程度であまり高くありません。さらに、都道府県別、75歳未満人口に対する膵臓がんによる高知県の死亡率は、全国47都道府県中、平成30年が8位、令和元年が12位、令和2年が第3位と近年は全国の中でも高い割合となっております。 このような状況をどのように認識されているのか、健康政策部長に伺います。 ◎健康政策部長(家保英隆君) 膵臓がんについては、全国的に死亡率や罹患率が緩やかな増加傾向であり、とりわけ本県においては、近年全国より死亡率が高い傾向にあることから、発生動向や発症リスク、予防に関する啓発を強化していく必要があると認識しております。 ◆24番(黒岩正好君) また、その死亡率を下げるためには、膵臓がんや肝臓がんにならないための予防や早期発見の取組が大事でありますが、現在県民に対してどのような取組を行っているのか、健康政策部長に伺います。 ◎健康政策部長(家保英隆君) まず、肝臓がんについては、ウイルス性肝炎からの移行が多いため、肝炎ウイルス検査を推奨して、陽性者を治療につなげており、近年は死亡率が低下しております。 一方、膵臓がんは、市町村が行う住民全体を対象とし、死亡率の低減に寄与することを目的とする対策型がん検診の対象疾患とすべきとの科学的知見が得られておらず、体系立った取組は行われておりません。膵臓がんそのものではありませんが、日本一の健康長寿県構想において、膵臓がんの発症リスクとなる糖尿病や肥満の予防に向けて、食事や運動などの生活習慣の改善に取り組んでおります。 ◆24番(黒岩正好君) 国の指針にはありませんけれども、早期発見のためには膵臓がんや肝臓がんの検査として、腹部超音波検査を推奨することも考えてみたらどうかと思います。 そこで、今後どのようにして膵臓がんや肝臓がんの早期発見に努め、生存率を高めていこうと考えているのか、健康政策部長に伺います。 ◎健康政策部長(家保英隆君) 腹部超音波検査は、日本消化器がん検診学会などのマニュアルによりますと、超音波検査は装置、検者、それから被検者の状態により精度が変わること、超音波検査の最大の弱点は客観性の欠如と記載されております。ただ、学会におきましては家族歴のある方、例えばコントロール不良の糖尿病なり慢性膵炎の既往歴のある方、アミラーゼ等の膵臓の酵素の異常のある方などを対象に腹部超音波検査を実施する手順を示しており、対象者を絞り込めば、腹部超音波検査は有効な診断技術であると言われております。 膵臓がん、肝臓がんの早期発見に向け、これまで取り組んできた肝炎ウイルス検査と併せて、腹部超音波検査の有用性などについて、事業者や県民への情報提供を努めてまいりたいと考えております。 ◆24番(黒岩正好君) 日本一の健康長寿県の実現のためには、全てのがんの早期発見、それに向けた取組が必要だと思います。そこで、ぜひとも県がリーダーシップを取って、市町村だけではなく、協会けんぽなどの医療保険者とも連携をして、全てのがんの早期発見に向けた取組を進めていただきたいと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。 ◎知事(濱田省司君) がんは死因の第1位となっておりまして、生涯のうち2人に1人は罹患するとされております。全ての県民の方々に我が事として関心を持って、予防、早期発見に心がけていただきたいと思います。 早期発見のために、がん検診は市町村検診、事業所検診、または人間ドックの一部として実施をされておりますが、市町村、商工団体とも連携をいたしまして、受診促進に向けた啓発を実施してまいっております。今後は、協会けんぽなどの医療保険者とも連携をいたしまして、職場での受診率向上に向けた取組を進めてまいります。 また、御提案のありました腹部超音波検査などの任意型のがん検診に関する積極的な情報発信に努めまして、がんの早期発見につなげてまいりたいと考えます。 ◆24番(黒岩正好君) ありがとうございました。非常にがんというものが私自身も身近なものとなってまいりましたので、ぜひとも県民の皆さん方が安心して生活できるように取組を進めていただきたいと思います。2人に1人はがんにかかるという時代でありますし、特に男性は4人に3人がかかるとも言われておるがんでありますので、ぜひとも様々なことを生かして、推進をしていただきたいということをお願いいたしまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。(拍手) ○副議長(西内隆純君) 以上をもって、黒岩正好君の質問は終わりました。 ここで午後3時20分まで休憩といたします。   午後3時休憩-----------------------------------   午後3時20分再開 ○議長(明神健夫君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 一問一答による議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 田中徹君の持ち時間は40分です。 10番田中徹君。 ◆10番(田中徹君) 自由民主党の田中徹でございます。 今回、質問を作成するに当たりまして、新型コロナウイルス感染症の長期化による影響、そして原油価格や物価の高騰による影響への対策が喫緊の課題であり、ポストコロナ、本県経済の活性化に向けても重要と考え、新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰の影響と対策についてというテーマで質問をさせていただきます。私、本日質問も4日目となりましたので、重複する項目もあろうかと思いますが、どうぞよろしくお願いを申し上げます。 初めに、これから心配される新型コロナウイルス感染症と季節性インフルエンザの同時流行についてお伺いいたします。 質問初日には、今城議員より、新型コロナウイルス感染症の第8波と季節性インフルエンザの同時流行への備えについて質問されましたが、私も、今からこの同時流行した場合を想定し備えることが重要と考えますので、取り上げさせていただきました。 まず、検査体制についてお伺いします。御案内のとおり、新型コロナウイルス感染症と季節性インフルエンザは感染初期の症状が似ているため、感染の疑われる方は医療機関を受診し、検査を行うことになると思います。今後、同時流行を防ぐため、多くの方にワクチン接種をしていただくとともに、同時流行を想定し、新たな検査体制を構築することも考えなければならないと思います。 そこで、新型コロナウイルス感染症と季節性インフルエンザが同時流行した場合、どのような検査体制を想定されていらっしゃるのか、健康政策部長にお伺いいたします。 ◎健康政策部長(家保英隆君) 新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスに罹患した際の症状は似通っており、抗原検査キットなどで鑑別する必要があります。現在、新型コロナウイルス感染症の検査協力医療機関は262か所ありますが、おおむね双方の検査が可能な体制となっております。 新型コロナウイルス感染症の流行期では、一時期検査キットが不足する事態もありましたので、今後同時に流行することを見据えて、流通業者の協力を得てインフルエンザも含めた検査キットの県内での確保に努めてまいります。 引き続き、医療機関に対しては、新型コロナウイルス感染症と季節性インフルエンザを疑う場合は必要な検査、診療をしていただけるようにお願いしてまいります。 ◆10番(田中徹君) 御答弁ありがとうございました。しっかり対策をこれから備えていただきたいというふうに思います。 次に、特に高齢の方や基礎疾患をお持ちの方など、季節性インフルエンザに罹患した場合においても重症化する可能性がある方は、インフルエンザワクチンを接種していただくことが対策の柱になると考えますが、コロナワクチンと同時期に接種することに不安を感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。今後は、同時流行に備えるため、ワクチンの安全性や有効性などの情報を発信するとともに、接種しやすい環境を創出することが求められているのではないかと感じています。 そこで、同時流行への備えとして、インフルエンザワクチンの接種について、県として今後どのように取り組まれるのか、健康政策部長にお伺いいたします。 ◎健康政策部長(家保英隆君) インフルエンザワクチンは、新型コロナウイルス感染症との同時流行を想定して、過去最大だった一昨年の使用量と比較して約8%多い量が供給される予定でございます。接種を円滑に進めるために、市町村、医療機関に対しては、新型コロナウイルス感染症ワクチンとインフルエンザワクチンを含めて、それぞれのワクチンの有効性、安全性に係る丁寧な説明をお願いしております。 引き続き、市町村と連携して、定期接種の対象者である高齢者が早い時期に接種いただけるよう周知し、新型コロナウイルス感染症との同時流行に備えてまいります。 ◆10番(田中徹君) ありがとうございます。 次に、同時流行に備え、学校現場ではどのような想定がなされているのか、お伺いします。これまで、県内でも多くの児童生徒が新型コロナウイルスに感染したことが発表されています。第7波において私自身も経験いたしましたが、子供が感染しますと、家族の行動も制限され日常の生活にも支障を来します。また、家族の感染などによって濃厚接触者となり、学校に行くことができない児童生徒も多く発生をいたしました。 また、この後質問もいたしますが、長引く新型コロナウイルス感染症によって、児童生徒の心身にも大きな影響を及ぼしていると感じています。私は、コロナ禍前のような学校生活を送ってもらいたいと考えますが、今後は新型コロナウイルスへの感染対策とともに、季節性インフルエンザへの対策も考えていかなければなりません。 そこで、学校現場において同時流行に備えるために、今後どのような対策を行っていかれるのか、教育長にお伺いいたします。 ◎教育長(長岡幹泰君) 県内で季節性インフルエンザに罹患した児童生徒は、令和元年度は4,000名を超えておりました。しかし、令和2年度、3年度は一人も出ていない状況がございました。つまり、学校での新型コロナウイルス感染症への基本的な対策の徹底が、この季節性インフルエンザの感染予防にもつながったものと考えられます。 したがいまして、同時流行に備えても、学校におきましては、まず3密の回避やマスクの着用、手洗いなどの基本的対策を徹底していくことが重要と考えております。あわせまして、健康政策部と新型コロナウイルス感染症や季節性インフルエンザの情報を共有しながら、感染状況や予防対策等につきまして学校や御家庭にお知らせし、注意喚起も行ってまいりたいと考えます。 ◆10番(田中徹君) ぜひよろしくお願いを申し上げます。 次に、新型コロナウイルス感染症の学校現場への影響についてお伺いいたします。 先ほど少し触れましたように、この長引く新型コロナウイルス感染症によって、子供同士や保護者の人間関係が希薄になり、そのことによって学校現場に大きな影響を及ぼしていると感じています。私も、子育て世代の中にあって、南国市においては欠席する子供が増え、学習に集中できない子供がいたりするとお聞きをしています。 そこで、コロナ禍の影響で学校への出席を控えるなど、長期に欠席する子供が増えているのではないかと感じますが、児童生徒の欠席状況について教育長にお伺いいたします。 ◎教育長(長岡幹泰君) 本県の小中学校において4月から7月末時点の4か月の間に10日以上欠席した児童生徒の総数につきましては、昨年、令和3年は1,701人でありました。本年はその1.7倍の2,832人となっております。この中で、新型コロナウイルスの感染回避による10日以上の欠席者数は、令和3年が118人で、本年はその7.2倍の855人と大幅に増加をしております。 ◆10番(田中徹君) この令和4年が昨年に比べて非常に多いという数字を今公表いただいたんですけれども、一定第7波は落ち着きを見せている中で、これから本当に、先ほども申し上げましたように、コロナ以前のような子供たちの元気な学校での生活というものがいち早く取り戻せるように、市町村教育委員会とも連携されて、しっかり取り組んでいただきたいというふうに思います。 次に、今年、令和4年度の全国学力・学習状況調査の児童・生徒質問紙調査において気になる調査結果が出ていますので、お伺いしたいと思います。その調査結果によれば、自分にはよいところがあると肯定的に回答した割合が、中学校は全国よりも高く、年々増加傾向にあるものの、小学校においては全国よりも下回っています。また、将来の夢や目標を持っていると肯定的に回答した割合については、小学校、中学校ともに近年下降傾向が続いています。コロナ禍にあって、学習や遊び、部活動など、子供たちの学校生活を含め、社会生活にも様々な制約がある中で、友達との関わりや成功体験をする学びや行事が少なくなっていることが影響しているのではないでしょうか。 そこで、児童生徒の自尊感情を高めたり、夢や目標、志を持たせたりする取組が必要であると考えますが、教育長に御所見をお伺いいたします。 ◎教育長(長岡幹泰君) 児童生徒が粘り強く、かつ豊かに自分の人生を歩んでいくためには、人との触れ合いや頑張る体験、またその中での失敗や成功の経験、こうしたものを通して自分のよさを知り、夢や目標を持つ、そういったことが重要であると考えております。 そのためにも、友達など集団での活動や体験的な学び、また将来の夢や目標を形づくっていくキャリア教育、そして道徳教育などの取組や学習は非常に大切なものだと考えております。これからも感染対策を徹底しながら、各学校がこのような学習にしっかりと取り組んでいけますように、支援を行っていきたいと考えております。 ◆10番(田中徹君) この調査は、小学校6年生、また中学3年生だと思いますので、直接的な今回の結果には表れていないと思いますけれども、先ほどの質問の中でも、このコロナ禍によって10日間以上の欠席をされる児童生徒が増えているという傾向がございます。特に例えば今の小学3年生であれば、このコロナ禍になって小学校に入学された児童でございます。特に、この小学生の低学年、1年生から3年生については、こういった夢や目標を持っていただけるような取組を、ぜひ取り組んでいただきたいというふうにお願いを申し上げます。 次に、PTA活動の充実の必要性についてお伺いします。これまでも述べましたように、コロナ禍における行動制限や様々な活動の制約によって、保護者同士のつながり、子供たちや学校を支えているPTA活動などが希薄化しているのではないかと心配をしています。 そこで、PTA活動の充実を図ることが必要であると考えますが、教育長の御所見をお伺いいたします。 ◎教育長(長岡幹泰君) 子供たちの健やかな成長のため、保護者と教員が協力して学校運営を行うためのPTA活動の充実は大変重要なことと考えております。 このため、現在のコロナ禍にありましても、PTA活動の充実や活性化を図るためのPTAの協議会や研修会につきましては、オンラインの併用や会場分散などの工夫によりまして、関係機関と連携してできる限り開催をし、また支援にも努めていきたいというふうに考えております。 ◆10番(田中徹君) ありがとうございます。今回、PTA活動の充実ということで質問をさせていただいたわけでありますけれども、やはり学校というものは保護者、また地域との関係を構築していくことが大変重要ではないかと考えております。そういった意味で、このコロナ禍において保護者との関係、そしてまた地域との関係ということももう一度見詰め直していただいて、再構築していただきますようよろしくお願いを申し上げます。 次に、コロナ禍における本県の人口移動の状況についてお伺いいたします。 新型コロナウイルス感染症の影響により、テレワークの普及などが進み、東京など大都市から地方へ人の流れが加速しているといった報道をよく見聞きします。 そこで、まず本県におけるコロナ禍の人口移動の状況について産業振興推進部長にお伺いいたします。 ◎産業振興推進部長(沖本健二君) 総務省の住民基本台帳人口移動報告によりますと、令和3年の転出超過数は1,416人となっております。これは、コロナ禍前の令和元年の2,583人と比較しますと1,167人、45%縮小をしております。 このうち、転出超過数が最も縮小した都道府県は東京都で313人です。東京都から本県への転入は2割近く増加をしておりまして、増加率でいいますと、鳥取県、長野県に次いで全国第3位になっているという状況でございます。コロナ禍を契機とした都市部から地方への人の流れというのは、本県においても顕著になっているというふうに言えると思います。 ◆10番(田中徹君) では、その人口移動の傾向について産業振興推進部長にお伺いいたします。 ◎産業振興推進部長(沖本健二君) 令和3年の転出超過数を年齢階級別に見ますと、二十歳から24歳が1,142人と最も多く、次いで15歳から19歳が358人で、合わせますとちょうど1,500人になります。コロナ禍前の令和元年と比べますと520人縮小しているものの、依然として進学や就職による転出が多い若年層が多くを占めているということがございます。 また、男女別に申しますと、これまでも女性の転出超過が男性を上回っておりましたけれども、コロナ禍におきまして、その傾向が顕著になっております。転出超過に占める女性の割合は、令和元年が57%でありましたのに対しまして令和3年は67%と、10%増加をしているという状況でございます。このことから、女性は男性に比べるとコロナ禍を要因とします影響というのは少ないというふうに考えられると思います。 ◆10番(田中徹君) よく分かりました。女性が、これはコロナ禍以前からでもありますけれども、割合が高いということで、その割合が今現在コロナ禍にあって、もっと高くなっているというような御答弁だったというふうに思います。 まち・ひと・しごと創生総合戦略の第2期の令和5年度の社会増減均衡という高い目標があるわけで、今回コロナがありましたけれども、ぜひ、今縮小傾向、社会増減の縮小がされていますので、その高い目標に向かって取り組んでいただきたいというふうに思います。 次に、県内の雇用情勢等についてお伺いをいたします。 先月30日、高知労働局が公表した令和4年8月分の高知県の雇用失業情勢によれば、有効求人倍率の季節調整値は1.22倍で、前月を0.02ポイント上回り、21か月連続1倍台となっています。高知労働局によれば、企業の業績の好不調にかかわらず人手不足が続いている、引き続き雇用失業情勢は今の状態を維持するか、改善していく可能性があるということです。 他方で、今年度は本県の最低賃金が時給853円となり、昨年より33円引き上がり、過去最大の引上げ額となりました。今月9日から適用されることとなりますが、事業主の方からは厳しい経営状況であるといった御意見を多くお聞きします。 そこで、賃金の引上げに対する事業者の置かれている状況についてどういった声があるのか、商工労働部長にお伺いいたします。 ◎商工労働部長(松岡孝和君) 今年度の最低賃金の審議会の中で、使用者代表の委員からは、中小企業の経営を取り巻く環境は新型コロナウイルス感染症の再拡大による景気の低迷に加え、ロシアのウクライナ侵攻に対する金融制裁や天然ガス、石油等のエネルギー問題など国際経済情勢の変化の影響を大きく受け、先行きへの不安、懸念が高まっている、大幅な最低賃金の引上げは生産性向上を実現して賃上げ原資を確保する前に企業経営を直撃し、事業継続を危うくさせることとなるといった意見が出されているところです。 ◆10番(田中徹君) 一方で、働いている方からも、昨今の物価の高騰等によって生活が苦しいといった御意見もお聞きするところです。そこで、労働者の状況についてどのように捉えられておられるのか、商工労働部長にお伺いをいたします。 ◎商工労働部長(松岡孝和君) まず、9月の日本銀行の高知県金融経済概況によりますと、所得は緩やかに持ち直しているものの、先行きについては、新型コロナウイルス感染症や原材料価格の動向などの影響を受けて不確実の状況が続くと考えられ、所得などに与える影響については引き続き注視していく必要があるとされております。 次に、高知市の消費者物価指数を見ますと、今年2月以降、公表されている8月まで、前年同月比で7か月連続上昇の状況にございます。加えて、年内に値上げが見込まれる食品は約2万品目に及び、このうちこの10月からは3割を超える6,532品目が値上げされるとの報道があったところです。 こうした状況から、物やサービスの価格の上昇によりまして実質的に賃金が目減りしてきており、ますます家計が苦しい状況になってきていると認識しております。 ◆10番(田中徹君) ありがとうございます。 先ほどの質問になりますけれども事業主の方も、そしてまた働かれている方、労働者の方からも大変厳しいといった状況の中で、また今月からは社会保険の加入対象者が拡大をされるといったようなこともありますし、また雇用保険料の値上げが始まるということもありまして、双方にとって大変厳しいというか、大変苦しいような状況が今なお続いているんではないかなというふうに思っておりますけれども、やはりこの構造的なといいますか、賃金を上げていくということは重要でありますので、今後のこの動向というものもしっかり注視していただいて、賃上げが行われるような取組にもぜひ取り組んでいただきたいというふうに思っております。 次に、農業分野についてお伺いをいたします。 これまでも、新型コロナウイルスの感染拡大期の緊急事態宣言による飲食店の営業時間短縮要請などにより、シシトウやオオバ、小ナス、米ナス、花卉などの単価が下落するなど影響が出てまいりました。そして、昨今の原油の高騰や、肥料や資材の高騰などにより施設園芸を取り巻く環境は厳しさを増しています。様々な補助金や融資等によって営農を継続されていますが、将来への不安を口にされる農家の方が多くなってきています。このような状況から、私は農家の経営を改善するためにもIoPクラウド、SAWACHIに大きな期待を寄せているところです。 そこで、今城議員も質問されていましたが、改めてこのIoPクラウド、SAWACHIの利用者の拡大に向けてどのような目標を持ち取り組まれるのか、農業振興部長にお伺いをいたします。 ◎農業振興部長(杉村充孝君) 先月21日から本格運用を開始しましたIoPクラウド、SAWACHIは、既に500戸を超える方に御利用いただいております。令和9年度には、施設園芸農家の約8割に当たる4,000戸まで拡大することを目標としているところでございます。 現在の厳しい状況下にある農家の経営改善に向けましては、このIoPクラウドを核としたデータ駆動型農業の推進をすることで、収量増と経費削減の両面の効果を期待しているところでございます。このため、各農業振興センターやJAにおいて、IoPクラウド内に蓄積されたデータを活用した、きめ細かな栽培指導を徹底し、効果の最大化を図ってまいりたいと考えております。 また、利用拡大に向けましては、令和9年度の目標を達成するため、振興センターごとに毎年の利用者数の増加目標を定めまして、今後ハウス内の環境測定装置の導入促進と併せて、地域、品目ごとにSAWACHIの様々な便利機能やその効果を紹介する説明会を開催するなど、スピード感を持って取り組んでまいりたいと考えております。 ◆10番(田中徹君) 先ほど農業振興部長から御答弁いただきましたように、令和9年度に全体の8割に当たる4,000戸まで拡大をしていただけるという、これは高い目標数値だと思いますけれども、先ほど来申しましたように、もうこの施設園芸というものは本当になかなか厳しい。コロナはいろんな皆様方にお助けをいただいた中で、そしてまた今回の物価の高騰、資材、肥料の高騰、様々に皆様方からたくさんの声をいただくわけですけれども、私としてはこのIoPクラウド、SAWACHIに本当に期待を寄せているところであります。令和9年度に向けて取り組まれることはもちろんでありますけれども、本当にスピード感を持って、早く広く普及されることを望んでおりますので、どうぞお取組のほうよろしくお願いを申し上げます。 次に、青果物への価格転嫁についてお伺いいたします。燃油や物価の高騰による厳しい経営状況が続く中、生産者の所得を確保するためには、やはり作物への価格転嫁が求められています。なかなか難しい課題であることは承知しておりますが、少しでも価格転嫁できる方策が必要と考えます。このことについて農業振興部長に御所見をお伺いいたします。 ◎農業振興部長(杉村充孝君) 農産物は、その多くが市場取引による相場で価格が形成されております。燃油や資材価格などの高騰による生産コストの増加分を十分に価格転嫁できない状況となってございます。このため県としましては、少しでも価格がアップされるよう、JAグループが進めております国消国産運動や、国が展開しております「食から日本を考える。ニッポンフードシフト」など国民運動とも連動しまして、地産地消など県産農産物の消費拡大の取組を展開してまいります。 また、価格転嫁のためには、直接市場関係者に働きかけることも重要となってまいります。JAと連携しまして、生産者がバイヤーなどに現状を伝える機会を設けるなど、計画を立てているところでございます。 一方、国からは、コストに見合った価格を農産物に反映できるよう、環境整備を進めていくというような方針が示されておりますので、この動きを注視しまして、必要に応じて国に政策提言を行ってまいりたいと考えております。 ◆10番(田中徹君) 御答弁いただきましたこの市場原理といいますか、市場の関係で直接価格に転嫁することが大変難しいという中で、しかしながら先ほど来申し上げましたとおり、この状況でありますので、ぜひとも早く、何とか農家の方々を救うこの価格転嫁が達成されますようにお願いを申し上げたいというふうに思います。 次に、米価の状況についてお伺いをいたします。昨年9月定例会で、私は、食と農というテーマでお米一辺倒の質問をさせていただきました。あれから1年、県としても様々な取組を行っていただきましたが、残念ながら今年の米価は昨年より下落しています。 そこで、今年の米価の状況について農業振興部長にお伺いいたします。
    農業振興部長(杉村充孝君) JA高知県における米の生産者に仮払いをする概算金につきましては、銘柄や出荷時期、等級等により違いがございますけれども、令和4年産の早期水稲の1等米のコシヒカリでは、30キロ当たり8月時点で4,700円となっており、令和3年産米と比べて450円安い価格となっております。 多くの産地としまして全国的な話ですけれども、令和4年産米の概算金が令和3年産米よりも引き上げられておるという報道もございます。本県が下がっている要因としましては、他産地、他県の産地ですけれども、令和3年産の概算金を本県よりも大きく下げておったことのために、概算金が今年度は引上げに向かったという説明を受けておりますし、あと、令和3年産米が多く残っているというようなこともあって慎重な値づけになったというふうにお聞きしているところでございます。 ◆10番(田中徹君) 大変厳しい数字が示されたと思っておりますんで、もう来年に向けてどのように取り組んでいただくかが重要であると考えております。 そんな中、昨年の9月議会、私が知事に対して質問の中で、米の重要性についてどのように認識されているのか、御所見をお伺いしますということで質問させていただきました。抜粋でありますけれど、知事の御答弁では、ぜひ県民の皆様にもこの米の重要性というものを改めて再認識をしていただきまして、本県の県内産の米の消費拡大に向けて、ぜひ応援をしていただきたいというふうに考えておりますというような御答弁をいただきました。そこで、米の価格については、来年こそ下落を食い止め、適正な価格に戻ってもらいたいものと考えます。 そこで、米価の下落を食い止めるためには、より一層県民の皆さんに対し県産米の消費を促すことが必要と考えますが、どのように取り組まれていかれるのか、知事に御所見をお伺いいたします。 ◎知事(濱田省司君) 県産米の消費拡大に向けての取組でございますが、本年度の取組といたしましては、JAなどと協働いたしまして、1つには、10年ぶりのプレゼントキャンペーンを、新米を購入していただいた方々に実施しております。また、このキャンペーンと併せまして、テレビ、ラジオのコマーシャル、SNSなどによります広報を行っておりますほか、高知空港での新米の配布を本年も実施することとしております。 また、今年度中の新たな取組といたしまして、JAグループと県が共同で開設をいたしましたネット通販のサイトであります、とさごろにおきまして、県内各地で収穫をされる新米などを定期購入いただけますように準備を進めております。このほか、県と包括協定を締結しております企業の社員食堂などで県産米を利用いただきたいということを申し入れまして、近く企業に提案のために赴いてまいる予定といたしております。 さらに、来年度におきましては一層の取組の強化を図りたいと考えておりまして、現時点での計画といたしましては、例えば1つには、県内の米の取扱業者が一体となりまして、地産地消の共同キャンペーンを張るというようなこと、また本県出身の著名人に御協力をいただきまして、米の多様な食べ方の提案をするというような形で、県産米の県内での消費拡大に向けて効果的と考えられる方策について、プロモーションを行うということを検討中でございます。 私自身も、様々な機会を通じまして、県民の皆さんに県産米の消費を呼びかけてまいります。 ◆10番(田中徹君) 知事の前向きな御答弁をいただきまして、来年の価格というものに対して私は本当に期待をしておりますし、何とか適正な価格に戻していただかないと、農家が営農を続けられない。こういった状況で、その先には耕作放棄地の増加ということも考えられるわけで、なるべくといいますか、どうしても知事に先頭で旗を振っていただきまして、来年こそは適正な価格に戻っていただきますように、県庁挙げて--これはもう県民の皆さんも総動員でありますけれども、県民運動で来年の米の価格というものに対して、しっかりみんなで力を合わせて取り組んでいっていただきたいし、私も全力で取り組ませていただきますので、どうかよろしくお願いを申し上げます。 最後の項として、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金についてお伺いをします。 新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、本県経済の早期回復を図るためには、さらなる対策が求められています。私は、所得が全国より低い本県にあって、このたびの食料品の値上げなどにより家計への負担が増大することが見込まれることから、生活者支援を重視した対策を強化していただきたいと考えています。 また、今定例会にも6月議会に続き、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用した予算案が上程されています。 そこで、6月補正も含め、これまでの原油価格・物価高騰対策についてどのような点に留意され、取り組んでこられたのか、総務部長にお伺いをいたします。 ◎総務部長(徳重覚君) 原油価格・物価高騰対策につきましては、事業者や団体の声を広く聞くとともに、国や市町村の支援策を踏まえながら、必要な対策を迅速に講じてきたところでございます。具体的には、令和4年6月補正では、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を36億円余り活用いたしまして、原油価格や物価の高騰により影響を受けた事業者や生活困窮者などを幅広く支援する事業を計上しているところでございます。 また、今回の9月補正では、臨時交付金を14億円余り活用いたしまして、6月補正後の影響拡大を踏まえて、農業者の肥料購入費への支援や、医療施設、社会福祉施設の継続的なサービス提供に向けた支援など、必要な追加対策を計上しているところでございます。 ◆10番(田中徹君) 一方で、県内市町村においてもそれぞれこの交付金を活用した取組が進められていますが、県内市町村の交付金の活用状況について総務部長にお伺いいたします。 ◎総務部長(徳重覚君) 9月末時点における県内市町村の状況は、おおむね9月補正予算までに計上の上、取り組んでいる状況にございます。主な取組といたしましては、物価高騰対策として実施する地域振興券の交付や、学校給食などの負担軽減対策、子育て世帯などに対する給付金の支給といった生活者支援などを中心に活用がされている状況でございます。 また、9月20日に追加配分されました臨時交付金につきましては、既に臨時議会を経て地域振興券の交付事業などを追加した町もあるところでございます。その他の市町村におかれましても、これまでの取組の成果や、それぞれの地域の実情などを踏まえ、今後必要となる対策について補正予算の計上を行う予定と伺っているところでございます。 ◆10番(田中徹君) 初めのほうで、6月、9月の県としての活用状況についてお答えをいただきましたけれども、今後本県でこの交付金の活用可能額について総務部長にお伺いします。 ◎総務部長(徳重覚君) 地方創生臨時交付金の追加分につきましては、9月20日に約39億5,000万円が本県に配分されているところでございます。9月補正におきまして既にこの一部の約3億8,000万円を予算計上しており、今後の活用可能額としては約35億7,000万円となっております。 以上でございます。 ◆10番(田中徹君) 私としては、この物価の高騰等で様々に県民の皆様が影響を受けていると思います。先ほど市町村の状況もお伺いをいたしましたけれども、これまで県としては主に事業者支援、そして市町村としては生活支援というふうな形が取られてきたと思いますけれども、こういったときですので、ぜひ県としてもこういった生活者支援に重きを置いたといいますか、より重視した取組に交付金の活用をお願いしたいというふうに思っております。 そこで、最後に知事にお伺いいたします。今後の原油価格・物価高騰対策について、どのように交付金を活用される方針か、知事にお伺いをいたします。 ◎知事(濱田省司君) 今後の原油価格あるいは物価高騰対策につきましては、これまで講じてまいりました施策の効果がどうか、そして本県の経済動向がどうなっているか、そしてさらには、国は今月中に新しい総合経済対策を取りまとめるという方針と伺っておりますので、この中身がどうなるかといったことも見極めながら、地方創生臨時交付金を活用いたしまして、12月補正予算で対応したいというふうに考えております。 原油価格、物価の高騰の影響を受けておられます事業者の方あるいは生活者の方々に必要な支援を行えますよう、限られた財源ということになりますけれども、この中で効果的に対策が講じられることができますように、県内の状況、特に市町村との連携などもよく考えまして、しっかり取り組んでまいりたいと思います。 ◆10番(田中徹君) ありがとうございます。先ほど知事から最後に御答弁いただきました、まさにこの市町村との連携ということも、これから県内の経済の回復、また活性化に向けて非常に大事なキーワードではないかなというふうに思っておりますので、この臨時交付金のみならず、今後も引き続き県内市町村と緊密な連携を取られて、取り組んでいただきたいというふうに思います。 少し時間がありますので、今回少し紹介させていただきたいと思いますが、9月に明治安田生命がゼロ歳から6歳までの子供がいる男女に行った、子育てに関するアンケート調査というものが行われております。それで、物価高により子育て費用に負担を感じていると答えた人は85.2%に上ります。物価高により負担を感じている子育て費用の項目では、食費が58.4%、自宅の電気やガス代などが36.5%、おむつなど日用品が35.7%などとなっています。さらに、子供をさらに欲しいが難しいと答えた女性は34.4%となり、前年の29.8%から4.6ポイント上昇しています。このような状況の中、今回の物価の高騰によって、特に子育て世帯の方々には大きなしわ寄せが行っているのではないかなというふうに私も感じております。 先月、国のほうから低所得者に向けての5万円の給付も決まったところでありますけれども、実際にこの給付が届くのが11月、12月になるといった状況でありますので、この物価高の折、ぜひとも対策を早め早めに打っていただきたいというふうに思っております。 結びに、新型コロナウイルス感染症、またエネルギーや物価の高騰というこの難局を、知事を先頭に県民の皆さんと一丸となって乗り越えていきたいと思っております。 以上で、私の一切の質問とさせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手) ○議長(明神健夫君) 以上をもって、田中徹君の質問は終わりました。 ここで午後4時5分まで休憩といたします。   午後4時休憩-----------------------------------   午後4時5分再開 ○議長(明神健夫君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 一問一答による議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 吉良富彦君の持ち時間は40分です。 35番吉良富彦君。 ◆35番(吉良富彦君) 日本共産党の吉良富彦でございます。今日最後の質問となりました。皆さんお疲れと思いますけれども、どうかよろしくお願いいたします。 早速質問に入らせていただきます。 まず、ビキニ核被災船員の救済について質問させていただきます。 本年3月12日、県がビキニ環礁水爆実験健康被害支援に関する事業として、ビキニ環礁水爆実験に遭遇した元乗組員の被曝による健康被害に対する支援に向けた取組を行うことを目的とした、放射線被ばくを理解するためのシンポジウムが開催されました。コロナ禍などによって2年延期され、待ち望まれた集会であり、私も参加いたしました。 集会では、県の家保健康政策部長の挨拶に続き、被災船、第7大丸で通信士だった大黒藤兵衛さんの遺族、下本節子さんと、室戸地区で元マグロ漁船員の聞き取り調査に取り組んでいる太平洋核被災支援センター、濱田郁夫共同代表の発言がありました。 下本さんは、被曝したことを家族にも一言も言わずに胃がんを患い、その後、胆のうがんを発症し亡くなった父親のこと、そして室戸の被災船員の実情を報告し、二度と被爆者を出さないため核兵器禁止条約に署名すべき、核実験の被害者である船員と遺族の声に耳を傾けてほしいと述べました。 濱田さんは、太平洋海域での核実験は1946年から1963年まで140回を超え、1954年3月には多くの室戸の船が極めて放射線量の高い危険海域に20日間もとどまり操業していた、1954年当時室戸と室戸岬にはそれぞれ約70隻、合わせて140隻の遠洋漁船があり1隻当たり20から25人の船員で、約3,000人の漁船員がいた、今船員がまだ元気なうちにと複数の調査チームで年間100名の聞き取りに入っている、被災直後に被曝の初期症状と思われる急激な健康悪化を示している第7大丸の船員を一人ずつ丁寧に追うと、病歴が分かった13名のうち8名、62%というがん発症率であった、その他第7孝栄丸8人のうち5人で63%、第5明賀丸に至っては13人中10人、77%とがんの発症率は異常な高さを示しており、救済には早急な調査が必要だと訴えました。 次いで、鎌田七男広島大学名誉教授、2015年から2016年に県が開催した3度の健康相談会で講演と元漁船員の聞き取りを行った先生ですけれども、その鎌田先生と廣橋伸之広島大学教授、お二人の講演、その後県の川内健康対策課長をコーディネーターにパネルディスカッションが行われました。 鎌田先生は、黒い雨とビキニ被災はともに内部被曝であり、両者ともに政治的な側面によって、1、人体に影響はないと言われ、2、隠蔽され、3、放置され、4、ほかの被爆者と同等な扱いを受けず差別されてきたと述べられました。また、廣橋先生は、政治的背景が影響しデータが外され、こんなに長い間、闇に葬られ評価、補償がなされてこなかったと発言されました。 お二人の発言は、ともに政治的な力によって被曝が隠蔽されビキニ被災船員の救済がなされてこなかったことを指摘し、改めて今後の被災船員救済に向けた政治の責任を問うとともに、シンポジウムを開催した本県行政への期待を込めた発言だと感じました。 シンポジウムの成果を知事はどう受け止めていらっしゃるのか、まずお聞きいたします。 ◎知事(濱田省司君) 今回の放射線被ばくを理解するためのシンポジウムは、かつての水爆実験での被害の事実を知り、また理解を深めるということを目的に開催をされたものでございます。放射線被曝に関する正しい知識を普及するということとともに、ビキニ被災の歴史的な経緯を風化させず、伝承していくということが非常に重要だと考えています。 そういった意味で、今回のシンポジウムは県民の皆さんに対して一定の成果があったというふうに受け止めておりますし、今後も引き続き県民の皆さんへの周知に努めていきたいと考えております。 ◆35番(吉良富彦君) ぜひ、継続して被災船員に寄り添う企画、よろしくお願いいたしたいと思います。 2018年7月、ビキニ国家賠償請求訴訟で高知地方裁判所は原告25名の水爆実験による被曝を認め、立法と行政による救済の必要性に言及した判決を下しました。同年9月議会で私が県としての対応を問うた際、尾崎前知事は、判決において、原告らが被曝した事実が認められるとした上で立法府及び行政府による一層の検討に期待するほかないとされたことを踏まえ、私どもといたしまして、どのような法的枠組みがあれば救済に向けた取組が可能か検討したい、広島、長崎における救済の在り方などとも対比して考え、そしてもし理論構築ができれば、それに基づいて政策提言をしていくと答弁なさっています。これは、今回のシンポジウムでも鎌田、廣橋両先生がくしくも指摘された政治の責任に応える姿勢を示す見識ある答弁で、多くの県民、ビキニ被災船関係者を励ましました。 その後、救済に向けた法的枠組み等の検討作業はどう進められてきたのか、健康政策部長にお聞きいたします。 ◎健康政策部長(家保英隆君) ビキニ被災船員の方々への支援に関する法的枠組みを検討するため、令和元年度に庁内でワーキングチームを立ち上げ、原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律の枠組みなどについて議論することと併せて、太平洋核被災支援センターの方々との意見交換を行いました。 その後、これまでに複数回、厚生労働省関係部局に赴き、担当者と救済に向けた制度的対応の可能性について意見交換をしてまいりましたが、残念ながら進展はない状況でございます。 ◆35番(吉良富彦君) その法的枠組みを含めて、この間被爆者救済に関して大きな動きがあっております。鎌田先生が触れている黒い雨訴訟です。2020年7月29日、広島地方裁判所は、84人の原告全員に被爆者健康手帳を交付するように命ずる画期的な判決を言い渡しました。特筆すべき点は、放射性降下物、黒い雨は特別区域より広範囲で降ったとして区域規定を取り払ったこと、そして被曝原因を外部被曝だけでなく、放射性微粒子が混入した黒い雨にさらされたことや、井戸水や食料の摂取による内部被曝を認めたことです。これは、放射性微粒子が含まれる海水及びスコールを浴び、飲み、海洋で捕った魚を常食として摂取していたマグロ漁船員にも通じる判決だと言えます。 地裁判決を受け、被告の厚労省と広島県と広島市は控訴しましたが、2021年7月14日広島高等裁判所は控訴を棄却し、以下の2点において広島地裁判決よりさらに踏み込んだ判決を下しました。1つは、放射能により健康被害が生じることを否定できない場合には被爆者と認め、原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律の適用を受けられるとした点です。もう一つは、地裁判決は黒い雨にさらされ疾病の発症があることを適用条件としていましたが、広島高裁判決は疾病の発症を要件から除外した点です。これは、被爆者援護行政の根本的な見直しを迫る画期的な判決となり、2021年8月2日以降、原告らに被爆者健康手帳が交付されました。 この流れは、現在東京地方裁判所で全国健康保険協会船員保険部を被告に労災保険適用を求め、ビキニ被曝船員訴訟を闘っている14人の本県元マグロ漁船員と遺族にとって、追い風となっています。 一方、現在の被爆者援護法は高知地裁判決文の中で言うように、意識的に広島市及び長崎市の被爆者に対する限定して立法されたものなので、ビキニ環礁の核実験で被曝した高知の被災船員には適用されません。また、労災適用を勝ち取ったとしても、船員保険法には、原子力船むつの労働者に適用の検討がされたことはありますが、操業中の被曝による傷病を発症した際の適用項目がありません。これらへの対応が求められます。 1986年12月高知県議会で我が党の萩野郷一議員の質問に答え、厚生省と水産庁が資料はない、調査もできないと無視を決め込んでいた折であったにもかかわらず、県は各保健所に対して、申出があれば被爆者同様の検査をと通知を出す英断を下しています。同年に土佐清水市は県に準じ、自治体として初めて独自調査を実施し、267人の被災船員を把握したと報道されています。1988年5月には高知県ビキニ被災船員の会が結成されており、県知事に原爆医療法をビキニ水爆実験被災者にも適用などの4項目を政府に働きかけるよう求めています。 被災船員救済には、船員保険法や被爆者援護法の適用要件拡大などの改定を図る、あるいは核実験被曝者援護の特別措置法新設や、また現行の被爆者援護法に準じ、検査、受診などを支援する県独自の条例の制定などをも視野に入れた対応などが考えられますが、健康政策部長の所見をお聞きいたします。 ◎健康政策部長(家保英隆君) ワーキングでは、被爆者援護法を援用した枠組みなども検討してまいりましたが、核爆弾の威力や被災の範囲が広島、長崎の原爆と大きく異なり、被災の事実認定などを援用することは困難との認識に至っております。 また、県条例の制定についても同様の課題が生じるため、科学的知見の集積が乏しい都道府県レベルでの対応には限界があると考えております。このため、救済に向けた法的枠組みの検討は国主導で対応していただくべき事項であると考えております。 ◆35番(吉良富彦君) 先ほどのその指摘については、広島高裁の判決というのは非常に有利に働く判決内容だと思います。再度、それも含めて総合的な検討をお願いしたいと要請しておきたいと思います。 そしてまた、県独自の取組についても、国が動かなくても、県として我が県の被災船員、県民をどう守るのかということ、これは取組として追跡調査や、あるいは健康被害に対する救済は引き続きできると思います。もう一歩踏み込んだ取組をできるような法的な枠組みを考えていただけたらと思いますので、これも要請をしておきます。 次に、高知県議会は2016年3月18日、全会一致で、ビキニ水爆実験に関する元乗組員等への健康影響について国の公式見解を求める意見書を採択、知事はそれに先立つ2014年12月、私の質問に応えて、既に政府・厚労省に対し健康影響への検証、分析を要望していますが、本議会で上記意見書が採択された年の12月、再度検証のさらなる徹底を求める要望書を厚労省に出しています。 2020年7月16日、日本弁護士連合会がビキニ問題では初めての、太平洋・ビキニ環礁における水爆実験で被ばくした元漁船員らの健康被害に対する救済措置を求める意見書を発表し、以下の政策実現を求めています。 1、ビキニ事件に関する資料を保全、開示するとともに、被曝した元漁船員らの事態を把握するために調査を実施する。2、被害者らに対し、被曝による健康被害及び精神的被害に対する補償の支払いや生活支援などの金銭的補償を実施する。3、生存する元漁船員らに対して、専門医による健康相談を実施するとし、日本政府と国際連合に提出しています。 この機を捉え、本県が毎年行っている国への政策提言にこの日弁連意見書なども参考に、ビキニ被災船員救済を求める項目を設け、提出されるよう求めるものですが、知事のお考えをお聞きいたします。 ◎知事(濱田省司君) ただいま部長から答弁いたしましたように、この救済に向けた立法措置の在り方、これを都道府県レベルで示していくというのは困難であるというふうに考えます。やはり国におきましてこういったものを示していく、その前提としての健康影響に対する調査というものが求められる、これを国の責任で行うべきだということだと考えます。 お話もございましたように、平成30年7月の国家賠償訴訟の判決におきましては、判決文におきまして、立法府、行政府による救済の必要性について言及されております。こうしたことも踏まえまして、こうした対応を行う場合に前提となりますビキニ被災による健康影響に関する調査の継続について、国に対して粘り強く要望、提言をしてまいります。 ◆35番(吉良富彦君) ぜひ、毎年この政策提言にビキニの項目を入れて、国に要望していくということが必要だろうと思います。 今、漁船員の皆さん、本当に今までの私たちは国民として認められなかったんだという発言もありますけれども、そういう棄民的な政策に対して怒りを持っておりますので、その思いをしっかりとつかんで、それに寄り添う県の姿勢を示していくことが、私は知事としては必要だと思います。その点についてもう一度知事の御所見、お考えをお聞きいたします。 ◎知事(濱田省司君) お話がございましたように、今回この被曝をされております方々のお気持ちというものにしっかりと寄り添っていくということが、何よりも必要だというふうに考えております。そうした中で、国とのやり取りも続けてまいっておりますけれども、この被曝者の方々に寄り添うという、気持ちに寄り添うというところを基本にいたしまして、今後国との間におきましても、しっかりと提言あるいは要望をしてまいりたいと思っております。 ◆35番(吉良富彦君) 県民の皆さん、しっかり知事の動向を注視しておりますので、ぜひともよろしくお願いいたします。 さて、さきに述べた県シンポジウムとともに、県主催でビキニ被災船員の皆さんを対象にした健康相談会を行ってきています。県として初めて実施した健康相談会は、2015年から2016年にかけて室戸、土佐清水、高知の3か所で講演会と併せて開催されており、そのときは延べ30名の船員と家族の方々の参加があったと承知しています。一方、2019年からは、地域のかかりつけ医が船員の自宅に出向いて行う個別相談の形式に変更して行っていますが、昨年までの3年間で3名の相談にとどまっています。 健康相談会をどう総括しているのか、健康政策部長にお聞きいたします。 ◎健康政策部長(家保英隆君) 県としては、ビキニ環礁水爆実験による被災者を対象として、平成26年度から健康相談を実施してまいりました。相談の内容の多くは被災当時からの体調悪化や家族への影響、今後の生活における不安などを訴えられており、多くの課題を抱えて生活されている実態をお聞きしました。 令和元年度からは新型コロナウイルス感染症対策として、集合形式での開催から個別相談に変更いたしました。一方で、相談会を通じて同じ悩みを抱えている方々が相互に交流できる場としての効果もあることから、集合形式の相談会の再開も検討してまいります。 ◆35番(吉良富彦君) どうぞよろしくお願いいたします。 次に移ります。2020年に高知県文化賞を受けた山下正寿氏を事務局長とする太平洋核被災支援センターが、本年6月21日から23日にかけてオーストリア・ウィーンで開催された核兵器禁止条約の第1回目の締約国会議に笹島副代表を派遣し、締約国会議前夜のICAN核禁止フォーラム、メインステージで、以下のようなビキニ被災者の証言ビデオが上映されました。 米国がマーシャル諸島で核実験を行っている間に、太平洋で操業した漁船員たちは放射線にさらされました。第5福竜丸はよく知られていますが、ほかにも1万人以上の漁師たちが被曝していたのです。それは、米国からの和解金で政治決着させられました。1980年代から、地元の高校生が、被災者を訪問し被災者とその家族の証言を明らかにするプロジェクトに参加しています。日本政府は、被災船の検査の記録はないと主張してきましたが、2014年にようやく検査結果を公表しました。 映像とともにその説明の後、元船員の除本幸松さんの、三崎の船員たちは一人、また一人とがんで死んでいったという証言や、遺族の一人が父は精神的ダメージが大きかったと語り、その影響がどのように家族関係を破壊し、生存者をも自殺に追いやったのか、また乗組員たちの死について、国から核実験とは何の関係もないと言われたことへの不満などの証言が続き、乗組員生存者とその遺族は、いまだに見捨てられた状態にあり、彼らは核の犠牲者として闘いを続けていますと紹介。高知県の太平洋核被災支援センターが提供したビデオは、被災船員の埋もれた歴史に光を当てたと、国際的に高い評価を受けたと聞いています。 さらに、今年5月6日から8日まで、県の後援を受けて2022ビキニデーin高知が室戸市と高知市を会場に開催されました。主催は太平洋核被災支援センターを含む実行委員会で、昨年に引き続きの開催でした。その最終日、ロシアのウクライナ侵略で日夜超多忙な中であるにもかかわらず、中満泉国連事務次長・軍縮担当上級代表から、7分にもわたる以下の内容のビデオメッセージが届けられています。 核実験の遺産は破壊以外何もないのに、悲しいことにこの破壊的な核実験から約70年たった今、核兵器が使用されるかもしれない可能性が、冷戦の最盛期以来最も高くなっていると厳しい現状を指摘し、全ての核実験を禁止するために包括的核実験禁止条約、CTBTの早急な発効が必要で、6月の核兵器禁止条約第1回締約国会議がこの目標に貢献することを期待、ビキニ高知の会合はこの重要性を強調するタイムリーな機会だと期待を寄せると同時に、ビキニ高知の闘いが若者と一緒に被曝の事実を掘り起こし、活動を持続させてきたことを、国連軍縮部の軍縮のための若者たちイニシアチブと重ね合わせて評価するメッセージでした。国際的なステージでの評価に被災船員や遺族の皆さんは勇気づけられています。 核実験の被害者は世界中にたくさんいますが、その被害は検証されていません。核兵器禁止条約第6条はそういう人たちの救済を定めていますが、核実験の被災で補償を求めて闘っているのは兵士がほとんどです。国の命令で、軍の命令で核実験に関わって被曝したから補償せよという闘いです。操業中に核実験で被災した一般漁民が救済を求めて闘っているのは世界の中で高知だけです。 その高知で2015年、2016年に実施した健康相談会では、県が太平洋核被災支援センターと十分な事前打合せを行い、県作成のチラシを持ち、同センターの山下事務局長はじめ支援者たちが一軒一軒日頃から交流のある被災船員の自宅に足を運び、参加を促すきめ細かな取組を行い、さきに述べた30名の元マグロ漁船員が集まってくれています。市町村との連携を強化するとともに、太平洋核被災支援センターとの連携、官民連携の効果だと考えています。尾崎前知事は、県として追跡調査を実施していくことは困難だが、太平洋核被災支援センターなどが追跡調査を継続的に実施していけるような支援策を検討すると述べて、官民連携で被曝船員救済に向き合う姿勢を県内外に表明しました。 被災船員の高齢化が進んでいます。2017年に支援センターが出版した「ビキニ核被災ノート」、鎌田先生の提言によってまとめられた31人の証言ですけれども、そのうち15名がもう既に--調査して証言を得たんですけれども出版するときには15名が亡くなっており、出版後お元気だった16名中6名がもうお亡くなりになりました。 そして、2019年に高知県出版文化賞をはじめ国内の数々の賞を受けた、岡村啓佐支援センター副代表が日英2か国語で出版した写真集「NO NUKES」、皆さんにもお渡ししたと思いますけれども、御存命27名の元マグロ漁船員のうち既に12名が亡くなっています。被曝漁船員の実態を把握するための追跡調査は急務です。 尾崎前知事が明言した太平洋核被災支援センターなどが追跡調査を継続的に実施していけるような支援策の進展をどう図るのか、濱田知事にお聞きいたします。 ◎知事(濱田省司君) お話がございましたように、これまで太平洋核被災支援センターにおきまして、当時の資料あるいは被災船員の方々の証言など、大変な時間を費やしまして調査を実施されましたことに対して、改めて私としても敬意を表したいというふうに存じます。 今後も活動を継続されるに当たりまして、追跡調査に係ります関係団体への協力依頼といったものなど、県が側面から関与するということでスムーズに事業が進むものがあれば、引き続き協力をしてまいりたいと考えます。引き続き、県と太平洋核被災支援センターが連携することによりまして、被災者への支援の輪が広がっていくと、そういうことを期待いたしたいと考えます。 ◆35番(吉良富彦君) ありがとうございます。 この9月、核兵器禁止条約に5か国が署名して今91か国・地域となって、100か国・地域へ迫ろうとしています。先ほども申し上げました第1回締約国会議、ウィーン宣言でも、条約の実質的なまず第1課題として取り組もうとしているのは、核兵器の実験や、あるいは様々な核被災者の救済ということが第6条で言われておりましたけれども、それに向けて今動きが強まろうとしております。そうなると、現実的にその被災の実態を訴えて頑張っているのは高知なんですね。その実態について調査に入ってくるという動きが出てきています。 以前、私は、国連軍縮会議を高知で開いたらどうかと、そして核実験による被害を内外に高知から発信して、そして救済を求めていく、そういう契機にしたらどうかとお話ししたことがあるんですけれども、今回は世界の核実験被害者フォーラムというものが高知でなされようとしております。これは第3回の締約国会議、これを前にして、来年の11月から2月ぐらいまでなされるんじゃないかと思います。 県行政として他県にない被災船員に寄り添った取組をし、そして調査にも協力している本県として、ぜひ本決まりになれば、全面的なバックアップをしていただきたいと思いますけれども、知事、いかがでしょうか。 ◎知事(濱田省司君) ただいまお話のような会議を高知でというふうなお話が具体的に出てまいりまして、また県に対してどういった協力をお願いしたいという中身について、これが固まってまいりましたら、お話をお聞きいたしまして、できる限りの対応はさせていただきたいと考えております。 ◆35番(吉良富彦君) よろしくお願いいたします。 ビキニ問題の最後ですけれども、ビキニ問題は高知県が中心です、日本の中でも。当時の県のマグロ船は179隻を数え、被災船473隻の3分の1は高知船籍で、被災船員も2,000人を超す大事件です。 被曝後、直ちに漁民は室戸市長を筆頭にした芸東原水爆対策協議会を結成、原水爆禁止、被曝者の生活防衛をスローガンに打ち出した運動を展開し、ついに川村県知事を先頭とした高知県原水爆対策協議会、原水協を結成します。被災から3か月後、1954年6月には政府に原爆被害対策調査研究協議会を設置させ、母親たちの原水爆禁止運動も大きく広がります。1985年からは高校生により調査が始まり、それに呼応して被災船員の会が県下各地に結成され、救済運動が展開されていきます。これら他に類を見ないビキニ問題に関わる歴史を、高知県民の歴史として県史に編さんし、後世に伝えていかねばなりません。焼津市や三浦市はビキニ被災の資料冊子を編集、発行しています。 本県も、県史編さんの機会を捉え、今から資料調査を行い、県史の一つの項として取り上げていくべきと考えるものですが、知事のお考えをお聞きいたします。 ◎知事(濱田省司君) 県史の編さんに向けましては、大学教授あるいは学芸員などで構成いたします委員会を設置いたしまして、今年度から段階的に時代あるいは分野ごとの専門部会を立ち上げて、具体的な作業を進めるという段取りで進めております。 この中でも戦後の歴史に関しましては、来年度に現代部会を立ち上げまして、刊行内容の検討あるいは資料調査を開始する予定でございます。今後、どのような資料を調査して、どのような事項を県史に掲載していくか、これについてはこの現代部会で検討し、協議を進めるということとなります。本日議員からお話がございましたことにつきましては、来年度現代部会が設置をされました後、その委員の方々にもお伝えをいたします。 いずれにいたしましても、新たな県史におきましては、ビキニ被災の問題に限らず、本県にとって重要な戦後の歴史をしっかりと取り上げてまいりたいと考えております。 ◆35番(吉良富彦君) どうぞよろしくお願いします。 そしたら、次の項目に移ります。低空飛行訓練についてです。 今年8月16日、米空軍は米軍輸送機オスプレイCV22の飛行を当面停止する発表をしました。飛行中のクラッチの不具合による事故が過去6週間で2件、2017年以降で計4件発生したためとしています。もともと、オスプレイは機体の構造上の問題から事故が繰り返されており、今回の飛行中止措置は非常事態だったと考えられます。9月2日には解除しましたが、不具合の原因は特定できておらず、根本的な安全確保に至っていません。オスプレイの飛行はオレンジルート以外の市街地上空を含む県下各地で頻繁に目撃され、騒音や墜落への不安、ドクターヘリや防災ヘリの安全運航への支障など見過ごすことはできません。 この5年間の米軍機オスプレイを含む飛行訓練の回数について危機管理部長にお聞きいたします。 ◎危機管理部長(中岡誠二君) この5年間に県内で米軍機の可能性があると確認された航空機の飛行回数は、平成30年が23回、うちオスプレイはゼロ、令和元年が116回、うちオスプレイは14回、令和2年が252回、うちオスプレイが17回、令和3年が206回、うちオスプレイが3回、令和4年は6月末時点で41回、うちオスプレイは2回。令和元年以降は、報道によりますと、在日米軍再編の中で空母艦載機を岩国基地に移転した後、飛行回数が大幅に増加したというふうにされております。 ◆35番(吉良富彦君) ありがとうございます。4年前の2018年から比べると10倍以上、23回が250を超えるということで、まさに異常です。その間に、2016年には高知県沖にFA18が墜落しております。そして、2年後、2018年には室戸岬沖にFA18とKC130が墜落と、そして2019年には目撃の40分後にドクターヘリが同じ空域を飛ぶということになっています。 そういうふうにとどまりを知らない、傍若無人という飛行が行われております、危険を顧みずに。しかも、夜間が増えているんですね。夜間が例えば2018年は0回だったのが、2019年30回だとか、2020年、夜間に111回ですよ。こんなことは許されません。そうやって飛ぶ回数と同時に、新しく特徴的なのは、仁淀川水系、いの町や越知町、それから四万十川水系、要するに大きい川の水系へどんどん入ってきていると、四万十町含めて、これは何とも異常です。 そういう中で、全国的にもその被害を受けている地域が広がっている中、日米両政府は9月26日の日米合同委員会で、米海兵隊普天間基地所属のMV22オスプレイの飛行訓練の高度を150から90メートルにまで下げて、沖縄県を除く日本全土の山岳地域で訓練を行うと、ほんのこの間決めています。航空法第81条の定めた最低安全高度は、人口密集地などは最も高い障害物から300メートル、人や家屋がない場所は150メートルとしています。在日米軍は日米地位協定によって、もともと航空法適用を除外とされていますが、2012年の合同委員会で、航空法を念頭にオスプレイの最低高度を150メートルと下げていたものを、今回はさらに下げて90メートルとしたものです。 今回の訓練は9月27日から10月18日まで行うとしていますが、今回限りとはしておらず、常態化する可能性があります。嶺北の狭隘で曲がりくねった山間の地上90メートルのところを、重さ20トンを超える軍用機が異様な低周波轟音を立てて縫うように飛び、暮らしと命が脅かされることなど断じて容認できません。防衛省は日米同盟の抑止力、対処力を強化するものだとしていますが、日米同盟さえ掲げればどんな無法も許されるという姿勢は許されません。 一層の危険を押しつける今回のオスプレイ飛行訓練に対し、全国知事会にも働きかけ、中止を求める断固とした姿勢を国に示すべきと思いますが、知事にお聞きいたします。 ◎知事(濱田省司君) お話がございましたオスプレイを含みます米軍機の飛行訓練に関しましては、これまでも全国知事会を通じまして訓練ルートなどを事前に情報提供すること、あるいは地域住民の不安払拭に十分に配慮すること、こういったことについての要望をいたしております。また、県単独といたしましても、超低空飛行など異常な訓練を行わないように、私の知事就任以降だけでもこれまでに3回、外務大臣、防衛大臣、両大臣に対しまして要請をしてまいっております。 お話がございました、このたび日米合同委員会におきまして合意されました在日米軍の訓練につきましては、住宅、学校、病院等の上空では実施をしないということが条件とされているというふうに承知をしております。仮にこの合意事項に反するようなことが確認をされましたら、県といたしましては全国知事会とも連携をして訓練の中止を強く求めてまいります。 ◆35番(吉良富彦君) 時間がないので、先へ行きます。 騒音測定器を設置した香美市、本山町、大川村などからは具体的な騒音状況が県に報告されています。5月18日に4機のプロペラ機が飛来した本山町では、17時29分に77.5デシベル、6月3日11時半に83.5デシベル、7月6日14時10分に94.8デシベル等々、予告なしの突然の轟音が空から降ってくる状況が繰り返されていますが、その他多くの報告は測定器がないため、数値を示し中止を求めることができません。 オレンジルートやその周辺の市町村全てに騒音測定器を備え、実態を把握することが必要だと考えるものですが、知事の考えをお聞きします。 ◎知事(濱田省司君) 県におきましては、特に騒音の大きい戦闘機によります低空飛行訓練の頻度が高い5市町村に、お話にありましたような騒音測定器を設置し、騒音の数値を把握しております。その他の市町村におきましては、県民の皆さんから寄せられました目撃情報の中から、各市町村で騒音の程度を3段階に分類した上で報告を受けて把握をしております。 これによりまして、騒音の状況を把握できていると考えますけれども、今後未設置の市町村から設置の要望があった場合には、必要性から検討して判断をしてまいります。 ◆35番(吉良富彦君) 2021年12月議会の岡田芳秀議員の質問に答えて、防衛省中国四国防衛局が本山町の雁山に米軍機の低空飛行を観測する固定式の観測カメラを設置し、今年4月から運用されています。航空法違反の低空飛行の危険な実態を防衛局や米軍に示し、中止させることができると考えての設置要求でしたが、観測カメラの映像は私たち県民や本山町が見ることができないことになっています。 観測カメラの映像を地元自治体や県が共有し、チェックできる運用方法に変えるよう防衛局に要望すべきだと思いますが、これは危機管理部長にお聞きいたします。 ◎危機管理部長(中岡誠二君) 防衛省が本山町に設置した観測カメラについては、設置の計画段階から、撮影された映像データの提供を要請してきました。しかしながら、設置後に中国四国防衛局から、映像データは米軍の運用に関する情報が含まれており、米国側との信頼関係、米軍の運用の安全が損なわれるおそれがあることから、提供は差し控えさせていただくとの説明を受けております。 その際、県からは中国四国防衛局に対しまして、映像データを提供すること、高度が推測できるよう詳細な分析を早期に行うことを改めて要請したところです。 県としましては、引き続き国に対し映像データの提供などを求めてまいります。 ◆35番(吉良富彦君) 最後になりますけれども、大体275万円でカメラが設置できるということです。ぜひ、県民の安心・安全を確保するために県独自で設置すべきと思いますが、知事にお聞きいたします。 ◎知事(濱田省司君) 防衛局のほうで既にカメラを設置しているわけでございますので、この米軍との関係で支障がないような形で工夫をして提供していただきたいということで、引き続き国に求めてまいりたいと考えております。 ○議長(明神健夫君) 以上をもって、吉良富彦君の質問は終わりました。 以上で本日の議事日程は終了いたしました。 明5日の議事日程は、一問一答による議案に対する質疑並びに一般質問であります。開議時刻は午前10時、本日はこれにて散会いたします。   午後4時45分散会...