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09月30日-03号

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  1. 高知県議会 2021-09-30
    09月30日-03号


    取得元: 高知県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-16
    令和 3年  9月 定例会(第359回)-----------------------------------        令和3年9月30日(木曜日) 開議第3日-----------------------------------出席議員       1番  上治堂司君       2番  土森正一君       3番  上田貢太郎君       4番  今城誠司君       5番  金岡佳時君       6番  下村勝幸君       7番  田中 徹君       8番  土居 央君       9番  野町雅樹君       10番  浜田豪太君       11番  横山文人君       12番  西内隆純君       13番  加藤 漠君       14番  西内 健君       15番  弘田兼一君       16番  明神健夫君       17番  依光晃一郎君       18番  梶原大介君       19番  桑名龍吾君       20番  森田英二君       21番  三石文隆君       23番  西森雅和君       24番  黒岩正好君       25番  大石 宗君       26番  武石利彦君       27番  田所裕介君       28番  石井 孝君       30番  橋本敏男君       31番  上田周五君       32番  坂本茂雄君       33番  岡田芳秀君       34番  中根佐知君       35番  吉良富彦君       36番  米田 稔君       37番  塚地佐智君       38番  桑鶴太朗君欠席議員       なし-----------------------------------説明のため出席した者  知事         濱田省司君  副知事        井上浩之君  総務部長       徳重 覚君  危機管理部長     浦田敏郎君  健康政策部長     家保英隆君  子ども・福祉政策部長 山地 和君  文化生活スポーツ部長 岡村昭一君  産業振興推進部長   沖本健二君  中山間振興・交通部長 尾下一次君  商工労働部長     松岡孝和君  観光振興部長     山脇 深君  農業振興部長     杉村充孝君  林業振興・環境部長  中村 剛君  水産振興部長     松村晃充君  土木部長       森田徹雄君  会計管理者      井上達男君  公営企業局長     橋口欣二君  教育長        伊藤博明君  人事委員長      秋元厚志君  人事委員会事務局長  澤田博睦君  公安委員長職務代理者 古谷純代君  警察本部長      熊坂 隆君  代表監査委員     植田 茂君  監査委員事務局長   中村知佐君  選挙管理委員長    土居秀喜君-----------------------------------事務局職員出席者  事務局長       行宗昭一君  事務局次長      山本和弘君  議事課長       吉岡正勝君  政策調査課長     川村和敏君  議事課長補佐     杉本健治君  主幹         春井真美君  主査         久保淳一君-----------------------------------議事日程(第3号)   令和3年9月30日午前10時開議第1 第1号 令和3年度高知県一般会計補正予算 第2号 令和3年度高知県病院事業会計補正予算 第3号 高知県税条例の一部を改正する条例議案 第4号 高知県行政手続等における情報通信の技術の利用に関する条例の一部を改正する条例議案 第5号 森林総合センターの設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例議案 第6号 高知県流域下水道条例の一部を改正する条例議案 第7号 権利の放棄に関する議案 第8号 県有財産(教学機器)の取得に関する議案 第9号 県有財産(教学機器)の取得に関する議案 第10号 牧野植物園新研究棟建築主体工事請負契約の締結に関する議案 第11号 県道窪川船戸線社会資本整備総合交付金((仮称)久万秋2号橋)工事請負契約の締結に関する議案 第12号 国道493号(北川道路)道路改築(和田トンネル)工事請負契約の一部を変更する契約の締結に関する議案 第13号 和食ダム本体建設工事請負契約の一部を変更する契約の締結に関する議案 第14号 令和2年度高知県電気事業会計未処分利益剰余金の処分に関する議案 第15号 令和2年度高知県工業用水道事業会計処分利益剰余金の処分に関する議案 第16号 令和2年度高知県病院事業会計資本剰余金の処分に関する議案 報第1号 令和2年度高知県一般会計歳入歳出決算 報第2号 令和2年度高知県収入証紙等管理特別会計歳入歳出決算 報第3号 令和2年度高知県給与等集中管理特別会計歳入歳出決算 報第4号 令和2年度高知県旅費集中管理特別会計歳入歳出決算 報第5号 令和2年度高知県用品等調達特別会計歳入歳出決算 報第6号 令和2年度高知県会計事務集中管理特別会計歳入歳出決算 報第7号 令和2年度高知県県債管理特別会計歳入歳出決算 報第8号 令和2年度高知県土地取得事業特別会計歳入歳出決算 報第9号 令和2年度高知県国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算 報第10号 令和2年度高知県災害救助基金特別会計歳入歳出決算 報第11号 令和2年度高知県母子父子寡婦福祉資金特別会計歳入歳出決算 報第12号 令和2年度高知県中小企業近代化資金助成事業特別会計歳入歳出決算 報第13号 令和2年度高知県流通団地及び工業団地造成事業特別会計歳入歳出決算 報第14号 令和2年度高知県農業改良資金助成事業特別会計歳入歳出決算 報第15号 令和2年度高知県県営林事業特別会計歳入歳出決算 報第16号 令和2年度高知県林業・木材産業改善資金助成事業特別会計歳入歳出決算 報第17号 令和2年度高知県沿岸漁業改善資金助成事業特別会計歳入歳出決算 報第18号 令和2年度高知県港湾整備事業特別会計歳入歳出決算 報第19号 令和2年度高知県高等学校等奨学金特別会計歳入歳出決算 報第20号 令和2年度高知県流域下水道事業会計決算 報第21号 令和2年度高知県電気事業会計決算 報第22号 令和2年度高知県工業用水道事業会計決算 報第23号 令和2年度高知県病院事業会計決算 報第24号 令和3年度高知県一般会計補正予算の専決処分報告 報第25号 令和3年度高知県一般会計補正予算の専決処分報告 報第26号 令和3年度高知県一般会計補正予算の専決処分報告 報第27号 令和3年度高知県一般会計補正予算の専決処分報告 報第28号 令和3年度高知県一般会計補正予算の専決処分報告第2 一般質問   (3人)-----------------------------------   午前10時開議 ○議長(森田英二君) これより本日の会議を開きます。----------------------------------- △諸般の報告 ○議長(森田英二君) 御報告いたします。 公安委員長西山彰一君から、所用のため本日の会議を欠席し、公安委員古谷純代さんを職務代理者として出席させたい旨の届出がありました。----------------------------------- △質疑並びに一般質問 ○議長(森田英二君) これより日程に入ります。 日程第1、第1号「令和3年度高知県一般会計補正予算」から第16号「令和2年度高知県病院事業会計資本剰余金の処分に関する議案」まで及び報第1号「令和2年度高知県一般会計歳入歳出決算」から報第28号「令和3年度高知県一般会計補正予算の専決処分報告」まで、以上44件の議案を一括議題とし、これより議案に対する質疑並びに日程第2、一般質問を併せて行います。 23番西森雅和君。   (23番西森雅和君登壇) ◆23番(西森雅和君) 皆さんおはようございます。公明党を代表して、通告に従い知事はじめ執行部に質問をいたします。 初めに、知事の政治姿勢についてであります。 昨日、自由民主党の総裁選挙が行われ、新たな総裁として岸田文雄新総裁が誕生いたしました。改めてお祝いを申し上げますとともに、御期待を申し上げるところであります。 そして、昨年9月からの菅政権は間もなく幕を下ろすこととなります。菅政権のこの1年を振り返ってみますと、様々な面で成果のあった1年だったと思います。とりわけ脱炭素社会の実現とデジタル化の加速という2つの大きな道筋をつけたことは、特筆すべきことであったと思います。 菅首相が昨年の10月に2050年までの温室効果ガス排出量の実質ゼロ、いわゆるカーボンニュートラルを宣言し、今年4月には2030年度の温室効果ガス排出量の目標を2013年度比で46%削減するとしたことで、脱炭素社会の実現に向けた取組が大きく前進することとなりました。また、デジタル化の推進では、司令塔となるデジタル庁の設置を昨年9月に決定し、僅か1年で発足までこぎ着けたスピード感はまさに首相の強いリーダーシップの表れでありました。 そのほかにも、菅首相が就任当初に掲げて実現した携帯電話料金の値下げや、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」、そして来年度から始まるとされている不妊治療への保険適用など、菅首相が我が国の課題と向き合い、着実に結果を出してきたことに間違いはありません。 さらに、新型コロナウイルス感染症対策では、今年4月に渡米した菅首相自らがファイザー社のCEOに話をつけ、我が国におけるワクチン接種希望者への供給のめどを確実にしました。このことは、全国知事会会長平井鳥取県知事が、スピードアップは首相が引っ張ったと評価しているとおりであります。そして、現在我が国のワクチン接種人数、接種率ともに世界トップレベルとなっています。 こうしたことを一つ一つ見てみましても、この1年の菅政権は大いに評価できる1年であったと思います。 そこで、知事にお伺いいたしますが、この1年の菅政権をどのように評価するのか、改めてお伺いをいたしたいと思います。 さて、冒頭申し上げましたが、昨日自由民主党の岸田文雄新総裁が誕生しました。今後、公明党と自由民主党とで新たな連立政権の合意が結ばれることと思います。そして、いよいよ衆議院選挙へと向かうことになります。衆議院選挙は、どこが政権を担うのかという政権選択選挙であります。私ども公明党は、来るべき衆議院選挙を自公で勝利し、今まで進めてきた取組をさらに進めていただきたいと願うものであります。 そこで、知事に、高知県知事として新しい政権に最も期待することは何か、お伺いをいたします。 次に、新型コロナウイルス感染症対策について伺います。 初めに、ワクチン接種についてであります。国内におけるワクチン接種の状況は、9月26日現在、2回のワクチン接種を終えた人は国民の約62%に当たる約7,093万人、また1回目のワクチン接種を終えた人は国民の約74%に当たる約8,514万7,000人となっています。そして、このまま順調にいくと、政府が目標としている11月にはワクチン接種を希望する人全員に2回目の接種を終えられるという状況が見えてくるのではないかと思います。 一方、本県においても9月26日現在、2回目のワクチン接種率は約68%を超えており、全国を上回るペースで進んでいます。改めて、県職員、市町村職員、医療従事者をはじめ全ての関係者に感謝と敬意を申し上げるところであります。 そして、本県も順調にワクチン接種が進めば、先日の知事の提案説明にもありましたが、11月には希望者全員の2回の接種が完了するということであります。こうした中、県内の地域によってはワクチン接種の進捗状況に差が出ているという実態もあります。 そこで、健康政策部長にお伺いをいたしますが、県内の市町村におけるワクチン接種の進捗状況の差をどのように捉えているのか、また進捗状況に差が出た要因と、それに対する市町村への県のサポート状況について、併せてお伺いをいたします。 ワクチン接種に関しては、重症化、死亡のリスクが高い高齢者の接種を7月末までに完了することを目指して、国、都道府県、市町村、医療関係者が一丸となって取り組んできました。厚生労働省は、高齢者の接種を優先した結果として、7月から8月にかけて10万人以上の感染を防ぎ、8,000人以上の死者を減らせた可能性があるとしています。 そこで、健康政策部長に、県内における感染者とワクチン接種の関係性、及び県内の高齢者のワクチン接種と感染率、重症者率との関係性についてお聞きいたします。また、他県と比べて特徴は出ているのか、併せてお伺いをいたします。 ワクチン接種における今後の課題は、若い世代の接種率をどうすれば上げることができるのかということであります。現在、本県では、新規感染者の約9割を50代以下が占め、中でも20代以下が約5割を占めるなど、若者世代の感染が課題となっています。また、若い世代ほどワクチン接種を希望しない人の割合も多いと言われています。 今年7月、東京感染症対策センターが行ったアンケートの結果によると、コロナワクチンを恐らく接種しない、絶対に接種しないと回答した人の割合は、20代の男性で19.0%、20代の女性で18.8%に上り、高齢者と比べるとその割合は圧倒的に多いという調査結果が出ています。 ワクチン接種には実際アレルギーや病気を持っていて、ワクチンが接種できない人もいます。一方で、接種できるのにためらっているという人もいます。若者が利用するSNSなどで、接種するワクチンで遺伝子が操作される、接種でマイクロチップが埋め込まれる、妊婦が接種すると流産する、ワクチンで不妊になるといったうわさが出回っており、それらを信じてしまい、接種に不安を抱く人もいます。こうした科学的根拠に基づかないうそやデマについては、国内外の保健当局が明確に否定していますし、政府もSNSなどで流されるデマやうそに対して注意を喚起しています。 知事も提案説明で、ワクチンの発症予防効果や重症化のリスクの低減効果や副反応などに関する正しい知識について、あらゆる機会を通じて発信していくとしています。 ここで大事になってくることは、若者をはじめワクチンの接種を希望しない人が、どんな理由でワクチン接種をためらっているのかを知ることであると思います。例えば、副反応に不安を持っているのか、ワクチンの効果に疑問を感じているのか、また接種するのが面倒なのか、接種の時間が取れないのかといった実態を県としてしっかり把握することが大事になってきます。 そこで、健康政策部長に伺いますが、県としてワクチン接種を希望しない人の理由を把握しているのか、そしてそれを踏まえたワクチン接種促進への取組を今後どのように進めていくのか、お伺いをいたします。 2回目の接種を終えた人の中にも感染する人が若干出てきています。ワクチン接種をしてもその予防効果を突破して感染する、いわゆるブレークスルー感染と言われるものであります。厚生労働省の資料によると、ワクチンを2回接種した人のブレークスルー感染は10万人当たり4人とされています。こうしたブレークスルー感染はワクチン接種が進んでいる諸外国、例えばイスラエルやイギリスにおいても見られ、またシンガポールでも接種が8割に進んでいるにもかかわらず、感染が増えているという報告もなされています。 こうした中、2回目の接種を終えた人の免疫を強化するための3回目のワクチン接種、いわゆるブースター接種について、政府では既に検討が始まっております。そして、3回目の接種に必要なワクチンの入手費用は、予備費などを充てる手だても講じているといいます。3回目の接種のタイミングについては、2回目接種後の8か月後の実施が検討されているといいます。4月に高齢者接種が始まってから8か月後といいますと、今年の12月ということになります。11月に接種希望者の2回目が完了する予定ですので、早ければその終了後あたりから3回目の接種ということになるかもしれません。 そこで、高知県として3回目のワクチン接種が行われるに当たっては、1回目、2回目のワクチン接種の様々な経験を踏まえて、3回目の接種が安全で安心して速やかに行われるように、万全の体制で臨んでいただきたいということを要請しておきたいと思います。 次に、抗体カクテル療法について伺います。新型コロナウイルスに感染した軽症・中等症患者の症状改善に、抗体カクテル療法が効果を上げています。厚生労働省によると、この抗体カクテル療法を行う施設の整備も全国的にも進んでおり、現在国内の約2,000施設で実施され、入院や外来で投与された人は今までに3万2,000人に上ると見込まれています。 抗体カクテル療法は、ウイルスなどの異物を排除するたんぱく質である2つの抗体を組み合わせたロナプリーブという中和抗体薬を点滴で投与するもので、2つの抗体でウイルスの細胞への侵入を阻止するというものであります。海外の臨床試験では、入院や死亡のリスクを約7割減らすことが確認されていますし、国内でも東京都の分析では、投与から14日以上経過している420人のうち、実に95.2%に当たる400人の症状が改善したといいます。この抗体カクテル療法は、症状の早い段階で実施すれば、より効果が高いとされています。 本県でも、昨日の知事の答弁でもありましたとおり、抗体カクテル療法は百数十人に対して実施され、高い効果があったとのことであります。この抗体カクテル療法の治療薬は7月に特例承認されています。承認当初、この治療薬の使用は投与後の副反応に対応できるよう、入院患者への使用に限られていましたが、今月17日に厚生労働省は抗体カクテル療法について、自宅療養者に対する往診での実施も認めております。 そこで、健康政策部長に伺います。今後のさらなる感染拡大への備えとして、本県でもこの抗体カクテル療法が入院患者だけでなく、宿泊療養施設や自宅での療養者に対しても実施できる体制をつくっておく必要があるのではないかと考えますが、御所見をお伺いいたします。 次に、新型コロナウイルス感染症の市町村への情報提供について伺います。新型コロナウイルス感染者の自宅療養に対する生活支援強化に向けて、厚生労働省は先月、都道府県に対して市町村と連携していくよう要請しています。そして、今月6日には再度都道府県に対して、支援実施に必要な自宅療養者の名前や住所などの個人情報を市町村に提供することを促しています。この今月の通知では、個人情報保護条例に定める個人情報の利用及び提供制限の例外規定の適用の検討をお願いしますとし、より踏み込んだ形で市町村への個人情報提供に向けた取組を要請しています。 そこで、健康政策部長に、県から市町村への感染者の個人情報の提供について、現状がどのようになっているのか、また個人情報を提供する際の取扱方法など、どのようなルールづくりがされているのか、併せてお伺いをいたします。 さて、新型コロナによる死者数は、9月27日現在、世界で474万4,000人、我が国でも1万7,000人を超えています。命を守りながら経済活動を回復させる切り札は、何といってもワクチンと治療薬であります。中でも待たれるのは国産ワクチンの開発であります。 現在、国産ワクチンの開発が進められていますが、このワクチン開発に関しては課題があることも承知しております。ワクチン開発の最終段階の治験、いわゆる第3相試験の実施には、世界中で先行するワクチンの接種が進み、免疫を持った人が増えている中、免疫を持っていない被験者を数万人単位で集める必要があり、こうしたことが国産ワクチン開発の壁になっているとも言われています。ほかにも研究拠点の整備促進や必要な研究費を配分する仕組みづくりも課題として挙げられます。 こうした中、国産のワクチン開発が待たれる理由が幾つかあります。1つは、医療の安全保障の観点からであります。万が一、日本特有の変異株が発生した場合、海外の製薬企業が対応してくれない場合も想定しておく必要があります。2つ目は、国の財政の観点であります。現在、海外のワクチンを国費で購入していますが、国産ワクチンなら収益は法人税などにより国や地方に還元されます。3つ目は、国際貢献の観点からであります。東南アジアなどの国々は医療・健康支援に関する実績と信頼の上から、日本のワクチン供給を求めています。以上のようなことから、国産ワクチンの開発が急がれます。 そこで、全国知事会の新型コロナウイルス緊急対策本部ワクチンチームリーダーに就任した濱田知事に、国産ワクチンの早期開発の加速化を全国知事会などを通じて、さらに強く要望すべきではないかと考えますが、御所見をお伺いいたします。 次に、新型コロナウイルス感染症の後遺症についてお伺いをいたします。厚生労働省研究班は、コロナ後遺症に関する中間報告をまとめています。これは、昨年1月から今年の2月にかけて、陽性が確認されて入院した男女522人を対象に実施した調査結果をまとめたものであります。それによりますと、コロナ感染の後遺症の症状は疲労感や倦怠感が多く、頭痛や息苦しさ、味覚や嗅覚の障害、脱毛、思考力、集中力の低下など様々であり、こうした症状は高齢者に限らず若い人にも見られ、感染時の軽症、中等症、重症といった症状の重さとは関係していないといいます。 コロナの後遺症については、今のところ確立した治療法はないと言われていますが、原因不明の慢性疾患である筋痛性脳脊髄炎慢性疲労症候群、いわゆるME/CFSとの関係が指摘されています。このME/CFSの症状が先ほど申し上げましたようなコロナ後遺症と似ており、コロナ後遺症が疑われた患者の中でME/CFSと診断されたケースも出てきているといいます。過去においてもSARSなどウイルス疾患の流行後にME/CFSが集団で発症した例があり、ウイルスや細菌が免疫系に作用することが発症に関係しているのではないかとも考えられています。今後のさらなる調査研究による発生のメカニズムの解明と治療法の発見に期待するところであります。 さて、このコロナによる後遺症につきましては、昨年の9月議会でも県内のコロナ後遺症の実態についてお聞きいたしました。本県では、退院した133人に対して味覚障害や倦怠感、関節痛などの症状があった人が26人で、退院後4週間経過した時点でその状況が継続していた人が7人いたとの答弁がありました。そして、県内感染者の退院後のフォロー体制を整えていくとのことでありました。 そこで、健康政策部長に、現在の県内における新型コロナウイルス感染症の後遺症の実態と退院後のフォロー体制についてお伺いをいたします。 後遺症によって仕事や学校を長期間休まざるを得なくなったり、周囲に理解されずに孤立感を深めたりする場合もあると聞きます。全国的にもこのコロナ後遺症に対する認知度はまだまだ低く、専門の外来を設けている医療機関も少ないのが実態です。そして、現在県内には後遺症の専門外来はありません。 そこで、健康政策部長に、県内での新型コロナウイルス感染症の後遺症に対する専門外来の設置の必要性について御所見をお伺いいたします。 また、都道府県の中にはコロナ後遺症相談窓口を開設し、電話による無料相談を受けているところもあります。相談窓口の利用者からは、相談を通じて自分以外にも同じような症状の人がいることを知って安心したなどといった声があったと聞きます。県内におけるコロナ後遺症に苦しむ方々の不安に寄り添う相談窓口の必要性を感じるところであります。 そこで、健康政策部長に、新型コロナウイルス感染症の後遺症に対する相談窓口を県内でも設置してはどうかと考えますが、お伺いをいたします。 次に、新型コロナ病棟や宿泊療養施設の消毒・清掃業務について伺います。新型コロナウイルスに感染した入院患者を受け入れる医療機関における病室、病床などの消毒、清掃、リネンの交換などの業務は、受け入れる医療機関によってその対応は様々であります。幡多けんみん病院では、消毒、清掃からリネンの交換までの全てを看護師が行い、高知医療センターでは感染者が入院中はこれらの業務を看護師が行い、退院後は清掃業者が行っていると聞きました。感染者が多く、医療が逼迫している都市部などでは、こうした消毒・清掃業務などが看護師にとって大きな負担になっているとも言われています。 そこで、健康政策部長に、新型コロナウイルスに感染した入院患者を受け入れる医療機関や宿泊療養施設の消毒・清掃業務における現状と課題及び今後の対応についてお伺いをいたします。 次に、新型コロナウイルス感染者の選挙における郵便等投票について伺います。感染者が医療機関に入院している場合は、選挙における投票は不在者投票ができますが、一方で感染者が宿泊療養施設や自宅療養という外出制限がある状況においては、憲法が保障する投票権を行使するための環境整備が課題となっておりました。 こうした中、今年6月、宿泊療養施設や自宅で療養する新型コロナウイルスの感染者が郵便等投票で選挙ができるという特例法が成立いたしました。これまで郵便等投票は重度の身体障害者の人たちに限られていましたが、今回の特定患者等の郵便等を用いて行う投票方法の特例に関する法律では、これに加えて当面の間コロナ療養者についても郵便等投票が利用できるというもので、7月に行われた東京都議会議員選挙から適用となっています。7月以降、高知県内においても市町村の首長選挙も行われましたし、先日は県議会議員の補欠選挙も行われました。また、目の前には衆議院選挙も迫っています。しかしながら、このコロナ感染者の特例郵便等投票について認知度はあまり高くありません。 そこで、選挙管理委員長にお伺いいたしますが、新型コロナウイルス感染者においては、宿泊療養施設や自宅療養という外出制限がある中で、選挙で投票する場合の特例郵便等投票の具体的な流れはどのようなものか、そしてその特例郵便等投票を今後どのようにして県民に周知していくのか、併せてお聞きをいたします。 次に、脱炭素社会の実現について伺います。質問冒頭申し上げましたが、昨年の10月菅首相が2050年までの温室効果ガス排出量実質ゼロの宣言を行いました。これを受けて、今年5月我が国として、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするという目標が盛り込まれた改正地球温暖化対策の推進に関する法律が可決、成立いたしました。これによって、脱炭素社会の実現が法的に位置づけられるということになりました。 さて、ここで世界及び我が国の地球温暖化への取組について少し振り返ってみたいと思います。温室効果ガスの中で地球温暖化の最も大きな原因は、二酸化炭素の排出であります。18世紀に始まった産業革命以降、石炭、石油、天然ガスなどの化石燃料の使用が急増し、太古の昔から地中に蓄積されていた二酸化炭素が大気中に大量に放出されてきました。その結果、産業革命前と比べて世界の平均気温は1.2度上昇し、日本の平均気温も100年前と比べて1.26度上昇してきています。1995年、国連の気候変動に関する政府間パネル、IPCCは、このまま温室効果ガスが排出され続けると、2100年には1990年に比べて地球の地表大気温度は2度上昇し、海面の水位は約50センチメートル上昇するという内容の報告書を発表しています。 地球温暖化の影響が表面化する中、1992年、平成4年、ブラジルのリオデジャネイロで開催された地球サミットでは、地球温暖化がもたらす様々な悪影響を防止するために、気候変動に関する国際連合枠組条約が採択されました。我が国は翌1993年、平成5年にこの条約を批准、気候変動枠組条約は1994年、平成6年に発効となりました。 1997年、平成9年にこの条約に基づいた気候変動枠組条約第3回締約国会議、いわゆるCOP3が京都で開催されました。ここで、先進国の温室効果ガス排出量について、法的拘束力のある各国ごとの具体的な数値目標が定められ、採択されました。いわゆる京都議定書であります。これを受け、我が国としても国、地方公共団体、事業者、国民が一体となって地球温暖化対策に取り組むための枠組みを定めた地球温暖化対策推進法が1998年、平成10年に成立。ここから我が国において、法律に基づいた様々な地球温暖化対策の取組が始まっていきます。 2002年、平成14年には、我が国は京都議定書を批准。このことによって我が国は、京都議定書の第1約束期間である2008年度、平成20年度から2012年度、平成24年度までの期間中に温室効果ガスの排出量を1990年度、平成2年度比で6%削減するという義務を負うこととなりました。そして、その結果は、森林吸収源及び他国からの排出量の購入など、いわゆる京都メカニズムを加味することにより、1990年比で温室効果ガスの排出量は8.4%の削減となり、京都議定書の目標は達成されています。 その後、我が国は、2011年に発生した東日本大震災における福島第一原子力発電所の事故の影響などにより、エネルギー政策を大きく変動することとなります。2014年、平成26年には福島第一原発をきっかけとしたエネルギーをめぐる環境の変化に対応するため、政府はエネルギー基本計画の改正を閣議決定しました。このエネルギー基本計画の改正は、原発依存度を可能な限り低減させ、再生可能エネルギー導入を加速させる方針を明確に示すものとなりました。 さて、世界に目を戻しますと、2015年、平成27年にフランスで開催されたCOP21において、気候変動枠組条約に参加する196か国・地域の全てが温室効果ガス削減に協調して取り組む国際的な枠組みとして、パリ協定が採択されました。このパリ協定は、京都議定書と同様に法的拘束力を持ち、産業革命以降の世界の気温上昇を2度未満、できれば1.5度未満に抑えることを目標に掲げ、各国に削減目標の提出、更新を義務づけています。 パリ協定の採択を受け、我が国は2016年、平成28年に地球温暖化対策計画を策定、この計画には我が国の温室効果ガスの排出量を2030年度に2013年度比で26%削減し、2050年度には80%削減することを明確な目標として掲げました。その後、地球温暖化問題へのさらなる世界的な意識の高まりと取組が加速する中、昨年10月菅首相が2050年までの温室効果ガス排出量の実質ゼロを宣言したことは、さきに述べたとおりであります。 そして、今年4月には2050年までの中期目標となる2030年度の温室効果ガス排出量を、2013年度比を26%から46%へと大きく削減するという新たな方針を発表。そして、今年5月、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする目標を盛り込んだ改正地球温暖化対策推進法が成立し、脱炭素社会の実現に向けた取組は、今後さらに加速していくこととなりました。 さて、こうした中、我が高知県はといいますと、知事が昨年12月定例県議会において2050年の温室効果ガス排出量の実質ゼロ、いわゆるカーボンニュートラルを宣言し、その実現に向けた取組が進み出しています。今年3月に改定した高知県地球温暖化対策実行計画と高知県新エネルギービジョン、また今年4月に策定した高知県環境基本計画第5次計画にも、高知県における2050年のカーボンニュートラルが明確に示されており、知事のリーダーシップの下で地球温暖化防止に向けた今後の取組に大いに期待するところであります。 そこで、知事に、2050年の脱炭素社会に向けた決意を改めてお伺いいたしたいと思います。 さて、県では、2050年のカーボンニュートラルの実現を目指して、この4月にプロジェクトチームを立ち上げ、現在高知県脱炭素社会推進アクションプランの策定を進めています。 ここで、カーボンニュートラルについて確認をしておきたいと思います。カーボンニュートラルとは、排出するカーボン、炭素の量から吸収量を差し引いた合計をニュートラル--中立、いわゆるゼロにするということであります。現在、高知県において排出されている温室効果ガスの排出量は2018年、平成30年で約818万トン、一方森林吸収量は約112万トンとなっていますので、排出量から吸収量を差し引くと818万トン引く112万トンで、その差は706万トンということになります。 日本一の森林面積割合を持つ我が県の森林状況を見ると、これ以上森林を増やすということはなかなか難しいのではないかと思われます。そうすると、カーボンニュートラルにするには温室効果ガスの排出量約706万トンをゼロにするしかないということになります。 そこで、知事にお伺いいたしますが、県内のカーボンニュートラルに向けて具体的にどのようなビジョンを持って進めようとされているのか、お伺いをいたします。 我が国、我が県の温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする目標達成の期限は、2050年までと明確になりました。しかし、脱炭素社会の実現は容易ではありません。徹底した省エネに加えて再生可能エネルギーの主力電源化の推進、そして技術革新いわゆるイノベーションの創出など政策を総動員する必要があります。 とりわけ重要なことは、太陽光や風力といった再生可能エネルギーの主力電源化であります。我が国では、10年前に起きた東京電力福島第一原発事故以来、二酸化炭素を排出する火力発電が増加し、2019年度の電力に占める火力発電の比率は76%と、先進国の中でもその割合は高くなっています。一方、電力に占める再生可能エネルギーの比率はというと、約18%にすぎません。 我が国のエネルギー需給に関する中長期的な政策の基本指針は、エネルギー基本計画に示されていますが、このエネルギー基本計画の改正案が現在検討されています。今回のエネルギー基本計画の改正案の大きなポイントは、再生可能エネルギーの主力電源化を徹底し、最優先で取り組むということであると言われています。 具体的には、2030年度の電源構成を見直し、電力に占める再生可能エネルギーの比率を従来の22から24%という計画から、36から38%まで引き上げるとしています。これは2019年度実績の約2倍に当たる野心的な目標値であります。そして、温室効果ガスの排出削減へ、火力発電の比率を従来の計画の56%から41%まで大幅に引き下げるとし、石炭火力は発電量が不安定な再生可能エネルギー拡大を進めるための調整電源と位置づけています。また、燃焼時に温室効果ガスを出さないアンモニアや水素による火力発電の技術開発も進め、再生可能エネルギーとは別枠で1%の導入を目指すとしています。 ここで注目すべきは、太陽光や風力といった再生可能エネルギーの比率をどのようにして引き上げるのかということであります。これについて政府は、エネルギー基本計画の改正案で、再生可能エネルギーの中でも洋上風力発電を主力電源化の切り札として推進していくとしています。洋上風力発電は、海の上の風を受けてタービンを回し、電力を生み出す仕組みで、陸上より風力が安定し、大型風車1基で1万キロワット以上の発電が可能で、政府は2040年までに最大で原発の45基分の導入を目指すとしています。 洋上風力発電には、海底に固定する着床式と、海の上に浮かべた構造物の上に設備を建設する浮体式の2種類があります。採算性の面で水深50メートルまでの場合は着床式、それより深くなると浮体式の風力発電機になるということであります。高知県の目の前には大きな海が広がっています。 そこで、林業振興・環境部長に、高知県における洋上風力発電の地理的な可能性についてお伺いをいたします。 大規模な洋上風力発電には多くの課題もあります。洋上発電機周辺での漁業や船の行き来などに対する地元の理解も必要ですし、魚や鳥、海など自然への影響も考えなければなりません。 一方で、洋上風力発電の拡大は、産業の育成の側面も併せ持っています。発電設備に必要な部品数が数万点に及ぶため、関連産業が多く、メンテナンスや修理などを含めると裾野の広い産業で、雇用や地域活性化など経済効果の面でも大いに期待されています。 現在、全国では5か所を洋上風力発電の促進区域として、いよいよ洋上風力発電事業が本格化しようとしています。そして、このほかにも今後の促進区域指定に向けて一定の準備段階に進んでいる区域もあります。あわせて、国はさらなる浮体式洋上風力実証事業なども進めようとしています。 そこで、林業振興・環境部長に、脱炭素社会への一歩として、高知県における洋上風力の導入についてお伺いをいたします。 今後の再生可能エネルギーの拡大に向けては、送電網の確保といった課題もあります。先行している火力発電が送電線を優先的に使用していることによって、再生可能エネルギーで発電したとしても、容量オーバーになって電力を送れないといった課題であります。これに対して、エネルギー基本計画改正案では、再生可能エネルギーの最大限の導入に向けて、再生可能エネルギーのポテンシャルの大きい地域と大規模消費地を結ぶ系統容量の確保や、太陽光や風力といった自然変動電源の出力変動への対応、電源脱落時の緊急時における系統の安全性といった系統制約の克服も非常に重要であり、最大限に取り組んでいくとしています。 さて、もう一つ、脱炭素社会の実現に向けて鍵を握るのが水素の活用であると言われています。水素は、酸素との化学反応によって発電したり、燃やして熱エネルギーとして利用することができます。その際、二酸化炭素を排出しません。また、水素は長期間にわたって貯蔵できる特徴があります。この特徴を生かして、水を電気分解して生成した水素としてためておくこともできます。 場合によっては、再生可能エネルギーによってつくられた電気が余る可能性があります。その場合、この余剰電力を活用して水素をつくり貯蔵しておく。そして、再生可能エネルギーが不足する局面になったとき、燃料電池を使って、ためておいた水素を空気中の酸素と組み合わせてエネルギーを生み出す。そこで発生した水を再び電気分解して生成した水素として貯蔵し、燃料電池で活用すれば、発電を繰り返すことができます。さらに、水素は科学的な物質のため、輸送することもできます。海外では広大な砂漠にメガソーラーパネルを取り付け、そこで生み出した再生可能エネルギーでグリーン水素を生成して、それを輸出する戦略を描く国もあります。 このように、水素は再生可能エネルギーを使いこなすための戦略的な物質として、脱炭素社会実現の鍵となっています。国もこの水素の供給に関して、カーボンニュートラル実現に向けた実行計画であるグリーン成長戦略において、2030年に最大300万トン、2050年には2,000万トンの供給を目指す方針を示しており、今後さらに水素の活用が本格化してくると思われます。 そこで、林業振興・環境部長にお伺いいたしますが、県内における水素活用の現状を踏まえて、今後策定する脱炭素社会推進アクションプランへの水素活用の位置づけをどのように考えているのか、お聞きをいたします。 次に、ウッドショックにおける県内への影響についてお伺いをいたします。 木材価格が急激に高騰するウッドショックが国際的に深刻化しています。このウッドショックの背景には、米国における木材需要の高まりがあります。米国では新型コロナウイルスの拡大と低金利政策が重なり、郊外に住宅を購入する人が急増しているといいます。これに反応して、ヨーロッパやカナダなどの国が米国向けの木材供給を増やした結果、日本向けの供給量が減り、日本国内の木材価格が急騰しています。 また、コロナ禍で海外からの木材輸送に使われるコンテナが世界的に不足していることも、輸入木材の価格を押し上げている原因となっています。さらに、コロナ禍からの経済回復が進む中国でも木材需要が伸びるなど、その要因は複雑に絡まっています。 林野庁のまとめでは、住宅用部材に幅広く使われるホワイトウッドと呼ばれるヨーロッパ産木材を使用した10.5センチメートル角の集成材の柱1立方メートル当たりの価格は、今年1月の5万1,000円から、8月には10万円とほぼ倍増しています。これと同時に、代替品として国産材の需要も高まり、柱などに使われる10.5センチメートル角の杉の乾燥材の価格は、今年1月の5万3,000円であったものが8月には12万円へと跳ね上がっています。 こうした影響は、県内の中小工務店にとっても深刻な問題となっています。ある工務店で伺った話では、施主さんと契約をして数か月後に着工するにしても、木材価格が毎月のように上がっており、そのときの価格は読めないため見積りも出せないといった戸惑いの声や、ここ数か月で1棟当たりの住宅建築金額が100万円も上がり結局は工務店がその上がった分をかぶるしかないといった悲鳴にも似た声も聞きました。 そこで、知事にお伺いいたしますが、現在のウッドショックの状況と県内事業者への影響をどのように捉えているのか、お聞きをいたします。 また、ウッドショックにおける県内への影響を踏まえ、木材の安定供給と木造住宅建築を円滑に進めるための支援についてどのように考えているのか、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、危険な盛土対策について伺います。 静岡県熱海市で発生した土石流災害から間もなく3か月になろうとしています。26人の貴い命が奪われ、現在依然として1人が行方不明となっています。改めて亡くなられた方々の御冥福をお祈りいたします。 この土石流災害は国土交通省などの調査によると、過去の地形データと比較した結果、山の谷間に開発された盛土が崩落の起点となって、標高約400メートル付近から海岸線までのおよそ2キロメートルにわたって土石流が一気に駆け下りたということであります。 今回の災害現場の崩落の起点となったこの場所は、別の面での問題も指摘されています。それは、不適切に処理された盛土が被害を拡大させたのではないかということであります。静岡県の担当者によると、森林開発のために盛土が行われ、その高さは市に提出された計画の3倍を超える52メートルだったことが判明しています。そして、各地の建設現場で使用されなかった残土を業者が安い価格で買い取り、ここで不適切に処理していた疑いがあるとも言われています。市や県が条例に基づいて指導や命令を行っていたが、改善は見られなかったといいます。 さて、盛土の危険性ということに話を戻しますと、谷や斜面に土を盛った盛土造成地が豪雨や地震などによって地滑りを起こし、大きな被害が発生したということは今までにも各地で起こっています。こうした盛土による災害を防止するために重要なことは、まず危険な盛土の実態を明らかにすることであります。知事は提案説明で、現在国から示された盛土による災害防止のための総点検の方針に基づき、市町村と連携しながら危険な盛土箇所の点検を早急に進めており、その結果を年内にまとめ、災害の危険性が判明した場合には、法令に従い工事停止命令や是正勧告など必要な措置を講じるとしています。 県民の安全・安心のため、盛土における排水設備の有無や湧き水の異常を含む盛土崩壊の兆候がないかなど、きめ細かいチェックをお願いしたいと思いますし、万が一危険と判断されれば、速やかな対応をお願いするものであります。 現在、高知県では盛土の規制に関しては、高知県土砂等の埋立て等の規制に関する条例の下で、生活環境の保全を図るとともに、県民の生活の安全を確保するとしていますが、盛土を災害防止という観点から見たとき、危険な盛土を規制するということに特化した条例の必要性を感じるわけであります。 知事に御所見をお伺いいたしまして、第1問といたします。   (知事濱田省司君登壇) ◎知事(濱田省司君) 西森議員の御質問にお答えをいたします。 まず、菅政権への評価と新しい政権に最も期待することについてお尋ねがございました。関連いたしますので、併せてお答えをいたします。 菅政権は、新型コロナウイルス感染症の対応をはじめといたしまして、我が国の中長期展望を見据えた政策から国民目線に立った政策まで、幅広くスピード感を持って推進をしてこられました。特に、議員のお話にもありましたように、この感染症対策におきましては菅総理の強いリーダーシップの下、ワクチン接種が加速をし、今やアメリカを上回る接種率となっております。加えて、デジタル化の推進や脱炭素社会の実現など、新たな成長の原動力となる政策についても具体的に動き始めております。さらには、未来を担う世代への取組といたしまして、不妊治療の保険適用や、40年ぶりとなります35人学級の拡大などを実現されました。 こうした菅政権が取り組まれましたデジタル化、脱炭素化といった政策は、本県にとりましても県勢浮揚に向けた取組の大きな追い風となっております。例えば、産業振興計画では第1次産業分野を中心として、デジタル技術を活用した生産性向上などの取組につきまして、国の支援を活用し加速化を図ることができております。さらには、現在脱炭素化に伴います社会経済構造の変化を経済成長につなげるべく、国のグリーン成長戦略も踏まえながら、具体的なアクションプランを策定しているところであります。このほか、南海トラフ地震対策をはじめといたします防災・減災対策に関しましても、御指摘もありましたように国土強靱化のための新たな5か年対策を最大限活用することで、大いに前進をさせることができております。 このように菅政権におきます政策は、本県をはじめとする地方の課題解決に向けた取組を大きく後押しするものと評価をいたしております。 菅政権の後を受けまして、間もなく発足をする予定の新政権は、新型コロナウイルス感染症という難局に立ち向かいながら、我が国の将来を見据えたかじ取りを行うこととなります。 こうした状況の下、私が新政権に最も期待をいたしますことは、まずは地方とのパートナーシップを重視しながら、感染症への対応など喫緊の課題に取り組んでいただくということであります。国と地方が一層密に連携を取りまして、感染拡大防止対策やワクチン接種の推進をしていくということ、あわせまして疲弊した経済を早期に回復させるべく、地域の実情に応じた対策を進めていくという必要があると考えております。また、デジタル化や脱炭素化といった菅政権の取組についても継承、発展をさせまして、本県の県勢浮揚に向けた施策を力強く引き続き後押ししていただくことを期待いたしております。 さらには、地方創生や国土強靱化など我が国の将来に関わる重要な政策につきましても、継続をして前に進めていただくことが大切であると考えます。本県におきましても、地産外商のさらなる推進、中山間地域の振興、南海トラフ地震対策など、まだまだ立ち向かうべき課題が数多くございます。新政権の政策が本県の課題解決に向けた取組の大きな後押しとなりますように、引き続き全国知事会などとも連携をいたしまして、時期を捉えた政策提言を積極的に行ってまいります。 次に、国産ワクチンの早期開発についてお尋ねがございました。 現在、国内で承認をされております3つのワクチンは、いずれも海外の製薬会社が開発したものでありますが、高い発症予防効果が確認をされております。また、安全性についても接種に影響する重大な問題はないということが確認をされているわけであります。 しかしながら、2月に接種をスタートして以来、全国的にワクチンの供給不足により混乱も生じたところでありまして、海外製薬会社のワクチンに頼るという現状は、危機管理上も、また御指摘ありました安全保障上という観点に照らしましても、好ましい状況とは言えないというふうに考えております。 一方、現在国内におきましては、国の支援も受けて、5つの事業者がワクチンの開発を進めておられまして、それぞれ臨床試験を行っている段階というふうにお聞きをしております。臨床試験の進捗状況は、事業者により状況が異なっているということでございますが、現段階におきましては国への承認申請にまで至った事業者はおられないというふうに承知をしております。 お話がありましたように、私自身も全国知事会のワクチンチームリーダーという立場でもございます。このため、このチームリーダーといたしまして、国産ワクチンの早期の開発に向けた研究費への支援、そして薬事申請後の審査期間の短縮などによりました製造・販売の迅速な承認につきまして、国に対して提言を行ってまいりたいと考えております。 次に、2050年の脱炭素社会の実現に向けました決意についてお尋ねがございました。 気候変動の問題は、世界全体で取り組んでいかなければならない課題でございます。また、我々自身も自らのこととして認識をし、一人一人が取り組まなければならない課題でございます。このため、本県としても果たすべき役割をしっかりと果たしていくというために、2050年のカーボンニュートラルを目指していくということを昨年12月に宣言させていただきました。この点は御指摘いただいたとおりでございます。 2050年カーボンニュートラルの実現は非常に高い目標、チャレンジングな目標であるというふうに考えておりますが、しかし挑戦をしていかなければならない目標であります。この目標の達成に向けまして、まずは幅広い方々の御意見、御要望もお伺いをしながら、具体的な取組の道筋を示すアクションプランを本年度中に策定いたします。このアクションプランには、森林率全国1位という強みを生かした都市の脱炭素化や、持続可能な林業振興を通じた吸収源対策を盛り込んでまいります。 また、豊富な日照量、水資源などを生かしました再生可能エネルギーの導入を促進し、エネルギーの脱炭素化も図ってまいります。さらに、環境価値の高い物づくりを支援することなどによりまして、本県産業のグリーン化を進めるということと併せまして、新たな成長の芽となる産業の育成にも取り組んでまいりたいと考えております。 こうした取組を総合的に、また強力に推進いたしまして、2050年のカーボンニュートラルを実現していくためには、多くの方々の御理解、また御協力をいただき、県民が一丸となって取り組んでいく必要があるというふうに考えております。このため、私自身県民の皆さんの先頭に立ちながら、オール高知での取組を進めまして、目標の達成に向けて挑戦をしてまいる決意でございます。 次に、カーボンニュートラルの実現に向けました具体的なビジョンはどうかというお尋ねがございました。 2050年カーボンニュートラルの実現に向けましては、ちょうど中間年となります2030年度までの取組が極めて重要なものになるというふうに考えております。このため、具体的な取組の道筋を示すアクションプランにおきましても、この2030年の中期目標を掲げて、この達成に向けた取組を推進していくということといたしております。 策定するアクションプランにおきましては、温室効果ガスの削減に向けて、3つの視点により取組を進めてまいります。1つ目は、高効率機器の導入、スマート化などによりまして使用するエネルギーを減らします、いわゆる省エネ化の取組でございます。2つ目は、使用するエネルギーを二酸化炭素を排出しないエネルギーへと置き換えていく、エネルギーの脱炭素化の取組であります。3つ目は、二酸化炭素の吸収源対策ということになります。こうした3つの視点の下に1次産業のスマート化、あるいは再生可能エネルギーの導入促進、持続可能な林業振興などの取組を強力に進めまして、2030年の中期目標の達成を目指してまいります。 また、さらに高い目標となります2050年カーボンニュートラルの実現に向けましては、既存の技術を活用した取組だけでは足りませんで、新たな技術開発というのが必要になるというふうに考えております。現在、国におきましてはグリーン成長戦略を通じまして、カーボンニュートラルに資する様々な技術の開発を促していくということといたしております。その中には、例えばバイオマスや廃プラスチックなどの地域資源を利用したプロパンガスや再生プラスチックの製造などといいました、化石燃料に依存しない物質循環を目指す技術も含まれているということでございます。こういったことも視野に入れまして、今後は豊富な森林資源を有する本県の優位性を生かして、こうした技術開発の実証実験などにも積極的に参画していきたいというふうに考えております。 このような新技術の本県への導入や、これまでの取組のさらなる強化を通じまして、最終的に2050年カーボンニュートラルの実現を目指してまいる考えであります。 次に、現在のウッドショックの状況と県内事業者への影響、また木材の安定供給と木造住宅の建築への支援についてお尋ねがございました。関連をいたしますので、併せてお答えをいたします。 これまで長期にわたって低迷をいたしておりました国産材の市況は、輸入材が不足をし、木材全体の価格が上昇いたします、いわゆる最近のウッドショックの影響によりまして、住宅の構造材を中心に、逆に国産材の市況が急騰しているという状況にございます。 一方、海外におきましては、アメリカの需要急増によりまして、昨年の夏から急騰いたしました木材の製材市況が5月をピークに急落をいたしまして、コロナ禍以前と同レベルまで低下をしているというふうに聞いております。ただ、日本の主要な輸入元でございます欧州の製材品は、アメリカにシフトをしたままという状況でございまして、日本への入荷状況は改善されていないというふうにお聞きをしております。今後、アメリカの需要は10年程度は続くとの意見もございまして、木材需給の今後のバランスは見通しをしにくい状況にあるというふうに考えております。 一方、このウッドショックによります県内製材事業者への影響につきましては、主要な15社に調査を行っております。多くの事業者から前年同期比で製品出荷量が増加をし、価格も上昇したという回答がございます。また、生産に使用する原木が不足をし、チャンスロスが生じているとの御意見もございました。 一方、建設事業者への影響についてでございますが、国の分析によりますと、大手のハウスメーカーが年間契約などによりまして製材品を確保する一方で、中小工務店では厳しい状況が続いているというふうにされております。このため、9月に入りまして県内の中小工務店などに聞き取りを行いましたわけでありますが、それによりますと、製材品の入荷には一部遅れがあるものの、何とか確保しているというようなお答えがございました。一方で、価格は急騰していると、そして契約済みの物件では、その上昇分を建築主に追加で転嫁をするということができずに、自社で増加分を負担せざるを得ないと、そういった状況であるというようなお答えも聞かれたところでございます。 この製材品の安定供給に向けましては、まず原木の安定供給が必要となるということでございます。したがいまして、本年の6月補正予算において、協定に基づき県産原木の調達を行う製材事業者への緊急的な支援について措置をいたしまして、この事業を開始いたしたところでございます。 さらに、現在提案をさせていただいております9月補正予算におきましては、輸入材を代替いたします製材品を増産し、安定的に供給をしていくと、この目的のために木材乾燥施設の整備などへの支援を盛り込み、提案をさせていただいているところでございます。 これら一連の施策によりまして、県内ではこれまでより製材品が入手しやすい状況になってくるというふうに考えておりますけれども、先ほど申し上げましたように、今後の需給の見通しは不透明なところもございます。このため、引き続き県内の状況を定期的に伺い、モニターをいたしまして、現行の支援メニューの充実など必要な対策を取ってまいりたいというふうに考えております。 最後に、危険な盛土を規制するということに特化をした条例が必要ではないかというお尋ねがございました。 お話がございました静岡県熱海市の土石流災害におきましては、上流部にありました不適切な盛土の崩壊が被害を拡大させた要因の一つとされており、こうした盛土を規制する法制度の不備が明らかになったものと考えております。 一方で、盛土を規制していくというためには、指導や命令の基となります技術基準が必要不可欠となりますが、これを新たに定めていくというためには幅広い知見、そして高度な技術力が必要となるという事情がございます。また、地方自治法で規定されております条例の罰則は、上限100万円以下にとどまっているということを考えますと、不適切な盛土を実効性を持って規制していくためには、条例という形式では十分ではないというふうに考えているところでございます。 こうした状況もございまして、全国知事会におきましては、国において、より拘束力の強い法整備によります全国統一の基準や規制を早急に設けるように要望いたしているところでございます。県といたしましても、今後の国の規制強化への動きなどを注視しながら、不適切な盛土を防止できるように、まずは実効性のある法整備を国に対して強力に要請してまいる考えであります。 私からは以上でございます。   (健康政策部長家保英隆君登壇) ◎健康政策部長(家保英隆君) まず、県内市町村のワクチン接種の進捗状況に差が出た要因と県の支援についてお尋ねがございました。 現時点における県内市町村の接種状況は、各市町村や医療関係機関の御努力によりまして、全国と比較しても順調に接種が進んでいると認識しております。ただ、市町村ごとに医療体制が異なることや、12歳以上の住民を対象に短期間でワクチン接種をすることなどから、特に高知市など人口規模が大きい都市部においては、他の市町村に比べ相対的に接種スピードが遅くなる傾向にあります。 このため、県としては、高知新港に県営の接種会場を設けて、高知市近辺の人口が集中する地域の接種の加速化を図ってまいりました。具体的には、7月17日から接種を開始し、前半は教職員や警察官などの職域の接種、後半は中小企業の従業員への接種を進めながら、予約状況により対象を拡大し、現在では県内全域の全年齢層を対象としており、これまでに約1万7,000回の接種を終えたところでございます。 また、8月以降は一部の市町村では2回目の接種が既に完了するなど、市町村間の進捗状況に大きな差が生じてきました。このため県としましては、市町村が必要とするワクチン量と保有量を勘案し、円滑な接種ができるよう市町村間のワクチンの融通を進めております。 こうした取組を含めまして、引き続き県と市町村が連携し、11月中の接種完了を目指してまいります。 次に、感染者とワクチン接種の関係性についてお尋ねがございました。 今月16日に、県の8月の新規感染者とワクチン接種の関係に係る調査結果を公表いたしました。未接種の方と2回接種後2週間経過した方を比べますと、感染率が39分の1に低下しました。また、8月中に重症となった15名の方は全てワクチン未接種でした。全国調査においてもサンプル数の違いによる数値の違いはありますが、接種の有無により感染率に大きな差異が出ており、おおむね本県と同様の結果と受け止めております。感染者に占める高齢者の割合について、まだワクチンを行っていなかった昨年末の第3波と、約9割の高齢者の接種が進んだ第5波とを比べると、26%から6%へと大きく減少しています。 これらのことから、本県におきましても、ワクチン接種による感染防止効果と重症化予防効果が数字上明らかになったものと考えております。 次に、接種を希望しない理由の把握と、それを踏まえた取組についてお尋ねがございました。 現在実施しております県民世論調査において、ワクチン接種に関する県民の皆様の考えをお聞きしております。現時点における速報値では、回答総数1,795人中、接種を希望しないと回答した方は77人と全体の4.3%となります。希望しない方の理由をお聞きしますと、副反応を心配している、または安全性に問題があると答えた方が77人のうちの6割程度いることが分かりました。 接種においては、多くの方が発熱などの副反応が出ますが、接種後1日、2日で軽快することがほとんどであり、過度に心配する必要はないと考えます。また、ファイザー社やモデルナ社のワクチンで使われているメッセンジャーRNAについては、一般的に体内に入って数時間から数日で分解されると言われており、長期的な影響は考えにくいとされております。一方、先ほど申し上げたとおり、接種による感染予防効果や重症化予防効果は非常に大きく、こういった正しい知識を提供し、理解していただくことが重要であると考えております。 このため、県としましては、こうした接種を検討する際に必要となるメリットやデメリットなどの正確な情報について、テレビ、広報紙やホームページなどあらゆる媒体を活用し、広報を進めてまいります。 次に、抗体カクテル療法の宿泊療養施設や自宅での実施についてお尋ねがございました。 抗体カクテル療法については、重症化を抑える効果があることから、高血圧や肥満あるいは喫煙習慣のある方など、重症化リスクのある対象者には積極的に治療を受けていただきたいと考えております。この治療薬を含めましてモノクローナル抗体製剤の投与中や投与開始後24時間以内には、インフュージョンリアクションと呼ばれる発熱、悪寒、それから不整脈などの副作用が多く現れることから、夜間を含めまして24時間以内について、患者の病態の悪化の有無を確認できる体制が国から求められております。 そのため、医師を含めた医療従事者が常駐している入院医療機関や、現在検討を進めています臨時医療施設での実施が望ましいと考えています。その上で、宿泊療養施設や自宅での抗体カクテル療法の実施については、感染拡大時における医療提供体制を整理する中で、その必要性と24時間の医師対応の実現可能性を含め、関係機関からの御意見を伺いながら検討してまいりたいと考えております。 次に、県から市町村への感染者の個人情報の提供についてお尋ねがございました。 新型コロナウイルス感染症患者への支援は、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律に基づく行政権限を有する県及び高知市が主体となって実施しており、これまで患者の個人情報を市町村に提供した事例はなく、また市町村から情報提供の要請を受けたこともありません。しかしながら、患者の療養支援につながる取組を行っていただける市町村がある場合は、当該市町村からの要請により患者の個人情報を市町村と共有することは重要であると考えます。 市町村に患者の個人情報を提供する際には、患者との信頼関係を維持する観点から、事前に当該患者からの同意を得た上で提供するのが原則であると考えております。今後、新型コロナウイルス感染症患者の個人情報の共有に係る手続等を明確にした上で市町村に通知し、患者の支援に係る市町村との連携を進めてまいりたいと考えております。 次に、県内における新型コロナウイルス感染者の後遺症の実態と退院後のフォロー体制についてお尋ねがございました。 まず、退院後のフォロー体制としては、新型コロナウイルス感染症の退院基準を満たして療養が終了してから4週間後を目途に、保健所が体調を確認しております。その中で、長期にわたり症状が続いている、または後遺症があると認められる場合には、最初に診断を行った医療機関やかかりつけ医への受診を勧めております。 また、そうした退院後のフォローの中で把握した県内における後遺症の実態として、本年3月上旬から7月下旬に広がった第4波における患者で、4週間後の状況が確認できました869人のうち、18.5%に当たる161人に後遺症と思われる症状が認められ、内訳としては、味覚・嗅覚障害が51人、5.9%、せきが40人、4.6%、倦怠感が29人、3.3%などとなっています。 次に、県内での新型コロナウイルス感染症の後遺症に対する専門外来の設置の必要性についてお尋ねがございました。 新型コロナウイルス感染症の後遺症の症状は多種多様ですが、多くは軽微なものであり、まずは新型コロナウイルス感染症の診断を行った医療機関やかかりつけ医にフォローアップを行っていただくことが適当と考えております。しかしながら、後遺症が複数の診療領域にわたっている場合や、重い症状が認められる場合には、かかりつけ医からの紹介を受けて専門的な診療を行うことができる体制を確保しておく必要があると考えております。 現在、高知大学医学部附属病院と専門外来の設置について協議を重ねているところでございます。今後、高知大学医学部附属病院での診療体制や、かかりつけ医からの紹介手続等の手続面での整備が整い次第、開設いただけるということになっております。あわせて、保健所における相談やかかりつけ医による診断の後、必要に応じてそのような専門外来へ紹介いただくという流れにのっとって、各医療機関がフォローアップいただけるよう、県医師会と連携して各医療機関に働きかけを行うとともに、県民の皆様への周知を図ってまいりたいと考えております。 次に、新型コロナウイルス感染症の後遺症に対する相談窓口の県内での設置についてお尋ねがございました。 先ほどお答えしましたように、現在各保健所において新型コロナウイルス感染症の療養が終了した方についても、引き続き個別の相談をお受けするなどフォローしております。この枠組みを生かし、後遺症についての相談は、まずは保健所でお受けし、必要に応じてかかりつけ医への受診や専門外来への紹介につなげていくことが適当であると考えています。こうした保健所の相談体制について県民の皆様への周知を図るとともに、医師会や関係医療機関などとの連携により、後遺症に悩む方への支援を強化してまいりたいと考えております。 最後に、医療機関や宿泊療養施設の消毒・清掃業務における現状、課題、今後の対応についてお尋ねがございました。 多くの入院協力医療機関では感染拡大のリスクを少なくするため、看護職員などが自ら消毒や清掃、リネン交換を行い、専門業者による消毒、清掃は病室内の感染リスクが低くなる全ての患者の退院後に行っております。そのため、コロナ患者の対応に当たる看護職員などは、感染防護対応に加え、薬剤による拭き取り消毒など、通常の入院対応では行わない業務が負担となっております。 こうした負担を軽減するために、県や国の補助制度により紫外線滅菌装置などの購入経費や、専門業者への委託経費などを支援してきたところでございます。コロナ対応が長期化する中で、改めてこの補助制度の活用について周知徹底に努めてまいります。 また、宿泊療養施設の消毒・清掃業務は、従事者の感染防止の観点からフロア単位で行っており、業界団体のルールとして、消毒は感染者が退所して48時間経過後、清掃業務は消毒終了後24時間経過後に実施するとされております。ワンフロア単位で一定の時間を確保した上で消毒・清掃作業を行うことから、入所者が退所し、空き室となってもすぐに利用できないことが課題となっております。作業中の感染者との接触を未然に防止する上で、一定やむを得ない措置ではないかと思いますが、今後さらに効率的、効果的に運用ができないか、事業者の方々と協議をしてまいります。   (選挙管理委員長土居秀喜君登壇) ◎選挙管理委員長(土居秀喜君) 新型コロナウイルス感染者の特例郵便等投票の手続とその周知に関してお尋ねがございました。 本制度において対象となる方は、新型コロナウイルス感染症により宿泊・自宅療養等をされている方で、外出自粛要請等の期間が投票しようとする選挙の選挙期間にかかると見込まれる方でございます。 本制度の基本的な流れについて申し上げますと、対象となる方で活用を希望される方は、まず選挙人名簿登録地の市町村選挙管理委員会に電話等で連絡し、投票用紙などの請求書を取り寄せます。請求書が届きましたら、投票日当日の4日前までに、請求書と原則として外出自粛要請等の書面を封筒に入れて市町村選挙管理委員会宛てに送付します。そうしますと、市町村選挙管理委員会から投票用紙等が送られてきますので、その投票用紙に候補者名等を自書し、封筒に入れて市町村選挙管理委員会へ送付することで投票することができます。 なお、感染拡大の防止のため、これら一連の手続をする際には手洗い、消毒をすることや、ファスナーつき透明ケース等に封筒を入れて送付することなどが求められております。 次に、本制度の周知につきましては、対象となる方に対し、保健所等を通じて制度や手続を記載したチラシを配布し、周知・啓発を行っているところでございます。あわせて、県選挙管理委員会ホームページに制度の概要を掲載し、対象者のみならず広く県民の皆様に対しても周知を行っております。 今後も、こうした取組と併せ、関係部署や市町村選挙管理委員会とも連携して制度周知に努め、対象となる方の投票機会を確保してまいります。   (林業振興・環境部長中村剛君登壇) ◎林業振興・環境部長(中村剛君) まず、本県における洋上風力発電の地理的な可能性についてお尋ねがございました。 国の海洋再生可能エネルギー発電設備整備促進区域指定ガイドラインの指定基準によりますと、洋上風力発電の事業性が確保できる見込みがある風況、風の状況といたしまして、平均風速毎秒7メートルが示されております。本県におきましては、室戸岬沖や足摺岬沖などがこの目安を満たすエリアに当たり、風況の点からは洋上風力発電導入の可能性はあるものと考えております。 一方で、その他の地理的条件からくる制約といたしまして、室戸岬沖、足摺岬沖とも水深が深く、欧州で確立されました技術であります着床式での導入が困難であること、また両地域とも優良な漁場を有することなども考えられるところでございます。 次に、本県における洋上風力の導入についてお尋ねがございました。 2050年カーボンニュートラルの実現に向けましては、再生可能エネルギーの主力電源化が必要であり、その導入を加速していく必要がございます。平地が少なく海に囲まれた我が国におきましては、洋上風力発電は再生可能エネルギーを大量に導入できる手法として大変注目されております。 また、洋上風力発電は、議員の御指摘にありましたように、関連産業が多い裾野の広い産業でございまして、雇用などの経済効果も期待できる産業でございます。一方で、本県における洋上風力発電の実現に向けましては、先ほど申しました地理的条件による制約に加えて、現時点では系統容量に余裕がないことなどの課題もございます。また、着床式での導入が困難である本県では、浮体式によります設置となりますが、事業化に向けては、そのための技術の確立とコストの削減という課題がございます。しかしながら、国におきましてこの課題の解決に向け、風車、浮体、ケーブル、係留等の一体設計を進めまして、早ければ2023年から実証実験を開始すると伺っております。 こうした中、今後は本県においても洋上風力発電は再生可能エネルギー導入の選択肢の一つとなってくると考えておりますので、技術開発の状況や先行地域等の情報収集も行いながら、その可能性について研究を続けてまいります。 最後に、脱炭素社会推進アクションプランへの水素活用の位置づけについてお尋ねがございました。 国におきましては、水素をカーボンニュートラルのキーテクノロジーと位置づけまして、発電や製鉄技術、トラック輸送への活用など様々な技術開発を進めていくこととしております。こうした新たな技術開発には一定時間がかかりますことから、現時点におきましては家庭用の水素発電あるいは燃料電池車の燃料としての利用が大半であると承知しております。 一方で、本県におきましては、家庭用の水素発電設備の設置は2019年度までの累計で482台にとどまっております。また、県内に水素ステーションがないことから、燃料電池車での燃料としての利用はされていないという状況にございます。 こうした中、国におきましては2030年までに1,000基程度の水素ステーションを整備するということを掲げまして、燃料電池車等の普及による温室効果ガスの削減、これを目指すこととしております。これらの状況を踏まえまして、本県におきましても今後策定するアクションプランにおいて、再生可能エネルギー等の導入促進あるいは運輸部門の脱炭素化の取組の一つといたしまして、水素の活用を位置づけてまいりたいと考えております。 その上で、民間事業者による水素ステーションの設置に向けた支援の在り方につきましても検討を始めまして、早期の水素ステーション整備を目指してまいりたいと考えております。今後におきましても引き続き国の技術革新の動向等も注視しながら、本県における水素活用の新たな位置づけにつきまして検討を続けてまいりたいと考えております。 ◆23番(西森雅和君) それぞれ御答弁をいただきました。ありがとうございます。 脱炭素社会に向けての知事の決意も改めてお伺いをいたしたところでございます。洋上風力発電、また水素の話、提案をさせていただいたところでありますけれども、やはり私が思いますのは、高知県の発展ということを考えていったときに、国の国策、これにやっぱり連なっていくことができるかどうかというのが、非常に県の発展にとっては大事になってくるんだろうというふうに思います。 今、洋上風力発電にしても、また水素の活用にしても、国は大きく進めようとしていっております。こうした中にあって、先ほども洋上風力も選択肢の一つであるというお話もいただきましたし、また水素の活用もぜひ今後さらに進めていっていただきたいというふうに思います。特に、洋上風力は、これはやっぱり時間が結構かかりまして、国も2030年というよりも、やっぱり2050年を見据えた施策として考えているということもございますので、県としても今後アンテナを張りながら、さらに取組を進めていっていただきたいと思います。 あと抗体カクテル療法に関しましては、医療機関が望ましいというお話もございました。十分理解したところでありますけれども、診療報酬もおとといですか、改定になりまして、5倍になったという話もございますので、またよろしくお願いいたしたいと思います。 以上で、一切の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(森田英二君) 暫時休憩いたします。   午前11時32分休憩-----------------------------------   午後1時再開 ○副議長(加藤漠君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 11番横山文人君。   (11番横山文人君登壇) ◆11番(横山文人君) 自由民主党の横山文人です。議長のお許しをいただきましたので、早速質問に入らせていただきます。 初めに、知事の政治姿勢についてお聞きいたします。 未曽有のパンデミックとなりました新型コロナウイルス感染症が世界で猛威を振るい、日本全体、そして本県も大きなダメージを受けたところであります。ここまで国と地方はコロナ対応に明け暮れることとなり、政策資源もコロナ対策に大きく振り分けることを余儀なくされるなど、まさにコロナ一色の2年間だったと言えます。とりわけ濱田知事はじめ県執行部の皆様は、昼夜を問わず対策に奔走されるとともに、感染拡大防止と社会経済活動の両立という大変な難題に対し、アクセルとブレーキを踏み分けながら県政のかじ取りを担われてきました。また、医療従事者をはじめとするエッセンシャルワーカーの皆様の最前線での御労苦のおかげで、現在県内の感染状況は落ち着きを見せております。加えて、時短要請に協力していただいた事業者、また自粛や基本的対策の徹底を通じて感染防止に努めていただいた県民の皆様全ての御協力のたまものだと存じます。 現在、ワクチン接種が進む中社会経済活動の本格再開に向け、接種証明、ワクチン・検査パッケージ導入の議論が始まっております。今後も第6波への備えや日常の感染予防など対策を怠ってはなりませんが、国内での活用はイベントや観光などの経済活動を活性化させる起爆剤になるとも期待されております。 しかしながら、これで一気に回復するというわけではなく、自粛慣れやリモートの普及など新たな生活様式の中で、観光関連産業などダメージを受けた業界が回復していくには、まだまだ時間がかかるものと思われます。この接種の有無による差別や不公平感を生じさせることのないように配慮も必要であります。今後は、ゲームチェンジの切り札となるワクチンの普及に合わせ、コロナ対応のフェーズと新たな局面を的確に捉えながら、Go To事業など従来の支援策も継続し、かつワクチン・検査パッケージといったポストコロナの支援策も組み合わせた息の長い取組が必要と考えます。 そこで、従来のコロナ経済影響対策と併せ、今後進むワクチン・検査パッケージの活用を見据えたポストコロナの需要喚起策を講じていく必要があると考えますが、知事の御所見をお聞きいたします。 先日、高知県産業振興計画フォローアップ委員会が開かれ、第4期産業振興計画ver.3に向けた見直し案が示されました。デジタル化、グリーン化、グローバル化を重点化するとともに、分野別連携及び産学官民連携による取組を加速化することや、イノベーションの推進、SDGsを意識した産業の転換などの視点が盛り込まれたところであります。特に、イノベーションの推進においては、国の骨太方針においてポストコロナの持続的な成長基盤をつくっていくということを明記されたことを受け、高知発の新しい産業を創出していくという意欲が述べられました。 ここでイノベーションについて触れてみますと、一般的にイノベーションは技術革新と解釈されがちですが、イノベーションの提唱者であるシュンペーターは、イノベーションを新結合と定義し、この新結合の概念を一橋大学名誉教授の米倉氏は5つの解釈によって説明しました。これは、新しい製品の導入、新しい生産手段の導入、新しいマーケットの発見、新しい原料や半製品の導入、新しい組織の導入の5つであります。これを高知県の産業振興におけるイノベーションに当てはめてみますと、新しい製品は産学官民連携による新たな地場産品、新しい生産手段はIoPなどデジタルやスマート技術を用いた第1次産業、新しいマーケットは関西戦略による販路開拓やグローバル市場への輸出拡大、新しい素材は大学や企業との連携による半製品の開発、新しい組織は連携テーマとプロジェクトの促進に向けた組織間連携などが挙げられます。 ここで重要なことは、これらを組み合わせていくことがシュンペーターの言う新結合、すなわちイノベーションであり、これからの時代にはこの5つの解釈の横串を刺すものとして、デジタル・グリーン・グローバル化が必要不可欠になると考えます。 また、高知工科大学名誉教授、初代起業家コース長の加納氏は、イノベーションについて、コンドラチェフの波にあるように、技術は50年周期でピークに達することから、衰退期に入っても生き残るための源泉こそがイノベーションであると述べております。したがって、現在が衰退期と捉えるわけではないものの、コロナ禍というダメージから県経済を回復していくためには、ポストコロナのイノベーションを推進することは必須であると言えます。 そこで、イノベーションの推進をはじめ、第4期産業振興計画ver.3に向けた見直しにより、ポストコロナの県勢浮揚をどのように図っていくのか、知事にお伺いいたします。 また、フォローアップ委員会の中では、産業振興計画の見直しの背景として、県際収支がマイナス5,930億円に上る現状について触れられました。これは、最低賃金の格差にも少なからず影響を及ぼしているのではないかと考えます。 こうした中、高知労働局は今月2日、本県の最低賃金を現行の792円から820円に改正し、来月2日から適用すると発表しました。政府は、骨太の方針に地方創生に向けた賃上げを通じた経済の底上げを明記し、全国平均の最低賃金を早期に時給1,000円に引き上げ、都市部から地方への新たな人の流れを促進することとしております。確かに、最低賃金の引上げは社会のセーフティーネットの根幹として、また都市部と地方の生活水準の格差を埋める重要なものであります。 一方、県商工会連合会など県内経済4団体は長引くコロナ禍の中、飲食・宿泊業などを中心に業況が厳しい中で、中央最低賃金審議会が示した引上げ額にとらわれない、慎重な議論を求める異例の声明を発表しており、都市部に比べ中小・小規模事業者の多い本県にとって、最低賃金の引上げは、経営者側の事業の存続と雇用の維持にとり大きなハードルであることがうかがえます。 地方創生の柱として打ち出された最低賃金の引上げについては、改正してもなお全国平均の930円とは110円の差があり、最も高い東京都は1,041円であります。賃上げについては都市と地方の格差を是正し、地方への人の流れを起こすことに加え、セーフティーネットの確保や生活向上のため、今後も検討していただきたいですが、国は単に早期の全国1,000円以上を目指すということだけでなく、ウイズコロナ、アフターコロナにおける地域地域の実情や業況を的確に捉えた事業者支援を講じ、企業の足腰を強くしながら賃上げを行わなければ、事業の継続と雇用の維持は困難となり、本末転倒の結果を招きかねません。したがって、これまでコロナ禍で取り組んできた経済影響対策に加え、このたびはこれからの最低賃金引上げを見据えた事業者への支援策を講じる必要があると考えます。 そこで、今回の最低賃金引上げについての御所見と、引上げに伴う県内事業者への支援について知事にお聞きいたします。 次に、わいせつ教員の根絶についてお聞きします。 自民、公明両党は今年3月、わいせつ教員根絶立法検討ワーキングチームを設立し、その後は与野党で協議を重ね、議員立法として5月28日の参議院本会議に提出、教員による児童生徒への性暴力対策を強化する、教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律が全会一致をもって可決、成立いたしました。 教員という優越的な立場や上下関係を悪用し、子供たちに一生消えない深い傷を負わせるわいせつ行為には、怒りを禁じ得ないとともに、子供たちは先生を選ぶことができず、わいせつ教員の根絶は日本の将来を担う子供、若者の健全な育成において早急に解決していかなければならない課題だと言えます。 与党のワーキングチームが発足してから約3か月でのスピード決着となった背景には、免職となった教員が別の教委に採用され、再犯した事例が問題となり、新法を望む世論が強まったことが1つ挙げられます。また、わいせつ行為やセクハラで懲戒処分を受けた公立中・高校の教員が、平成22年度には175人だったものが平成31年度は273人と、過去2番目に多くなるなど増加傾向にあることに加え、小児わいせつの特徴として、他の性犯罪と比較しても再犯率と常習性が極めて高く、法務省の調査によれば、小児わいせつの5年以内の再犯率は9.5%、また性犯罪前科2回以上の者のうち、性犯罪小児わいせつは84.6%と早急な対応が必要となっていました。 新法制定を機に児童生徒の安心・安全の保障が重視され、後を絶たない教員からの性暴力根絶が期待されます。子供たちへの教育という国家百年の大計に携わるには、最も不適格な人物が再び教壇に立つことは許されず、免許の再更新を厳格化するのは当然のことと考えます。 このたびのわいせつ教員対策法に踏み込んだポイントとしては、第1に、教員による児童生徒へのわいせつ行為などを児童生徒性暴力として定義し、同意の有無にかかわらず禁止する、教員による児童生徒へのわいせつ行為を法律上許されない行為であることを明確にしたこと、また第2に、採用時の基準となるのを想定し、わいせつ行為で懲戒免職となった教員のデータベースを国が整備することで、処分決定から官報に掲載されるまで数か月のタイムラグをなくし、他県の学校でのわいせつ行為を繰り返すことが防げること、3点目に、教員免許法の特例として、教員免許を授与する都道府県教育委員会に裁量的拒絶権を認めました。 これは新法の柱となるもので、これまでは児童生徒へのわいせつ行為による懲戒免職処分で教員免許が失効してから3年たてば、所定の手続をすると免許が自動的に更新されていたものが、今後は都道府県教委に設置する第三者機関の教員免許再授与審査会の意見を聞いた上で、加害行為の重大性や更生の度合いを見極め、再交付するか判断することとなります。 教育現場のわいせつ事案で一番の被害者は、当然ながら子供たちですが、さきに述べたように子供への性犯罪は再犯率が高く、加害者も現場へ戻り再び罪を犯せば実刑判決を受けることとなります。筑波大学犯罪心理学の原田教授は、加害者がどれだけ反省しても再び子供と接する職場に戻れば再犯をするリスクは高まる、子供が安全に教育を受ける権利を守ろうとすれば、わいせつ行為で教員免許を失効した教員に再取得を認めないのもやむを得ないのではないかと述べております。一度失敗したからといって二度と戻れないのは厳し過ぎる、更生する場合もあるといった声があるのは事実ですが、未来ある子供の人生に少なからず影響を与える職責である限り、その考えは当てはまるものではないと感じております。 また、現状ではわいせつ行為で処分される教員は氷山の一角とされ、学校特有の上下関係や恥ずかしさなどから、被害を訴えられない児童生徒も多いと言われております。被害者が声を上げやすい環境整備や早期発見、そして新法の制定により、わいせつ教員が再び教壇に立つことがないよう、教員の適性を厳しくチェックしていくことが求められます。 そこで、教育現場での子供への性暴力を根絶するため制定された新法について知事の御所見をお聞きいたします。 また、本県教育現場におけるわいせつ事案はどれぐらい起こっているのか、また懲戒処分を受けた教員が再雇用はどれぐらいされているのか、教育長にお聞きします。 こうした事件を起こさせないため、新法が制定されたわけでありますが、さきに述べたポイントである児童生徒性暴力の定義、国のデータベース管理、そして第三者機関による裁量的拒絶権というわいせつ教員の根絶に向けた新たな動きを踏まえ、どのように取り組むのか、教育長にお聞きします。 また、新法の趣旨と内容を市町村教育委員会まで周知し、徹底することについてどのように対応を図っていくのか、教育長にお尋ねします。 教員側への抑止効果とチェック体制はもとより、子供たちが声を上げやすい環境として第三者窓口の設置も必要と考えます。また、加害が疑われる者が同じ学校の教員であった場合、その学校に通報、相談することは難しいと思われます。被害者が通報、相談しやすいようにするための工夫も併せて考えていかなければなりません。 そこで、通報しやすい工夫と児童生徒、保護者への周知徹底も含め、相談体制の整備について教育長にお聞きします。 次に、高齢、障害を持つ被疑者等に対して早い段階から支援する、いわゆる入り口支援についてお聞きします。発達障害など障害がある方や、不登校、ひきこもりなど何らかの生きづらさを抱える人が増える現代、本県においては高齢化が全国より10年進んでいると言われる人口構造に加え、コロナ禍により人と人との出会いや触れ合いの機会も激減し、孤独を感じやすい社会にあると言っても過言ではありません。 県民の安心・安全な暮らしを脅かす犯罪情勢を見ますと、刑法犯検挙は高齢者や障害者が増加傾向にあり、令和2年の犯罪白書によりますと、令和元年の一般刑法犯のうち、65歳以上の高齢者は4万2,463人に上り、全体の22%を占め、割合は年々高まっております。また、刑務所の新規受刑者の4人から5人に1人は、疑いも含め知的障害を持つ者とされております。 近年は、犯罪認知件数が戦後最少となるものの、再犯率は上昇しており、願わくば高齢者や障害者が犯罪に手を染めない環境を整え、それでも罪を犯した高齢者等が再犯しないよう、社会的に孤立させない支援を構築していくことが必要かつ重要であると言えるのではないでしょうか。 そうした中で、国は高齢・障害被疑者等への支援として、各都道府県に設置されている地域生活定着支援センターの機能を拡充し、犯罪の入り口段階で早期支援をすることによって、再犯防止につなげる新たな事業に乗り出したところであります。これは、福祉の網から漏れ、生活苦や孤立無援などが原因で犯罪行為に及んだ高齢者や障害者を、起訴前の被疑者の段階や執行猶予の段階から支援に入り、釈放後に福祉など適切なサービスにつなげる取組で、関連事業の拡充分を含め、本年度予算に5億円近くを計上し、体制が整ったセンターから順次全国へ展開していくこととされております。 これは、政府が進める地域共生社会づくりや孤独・孤立対策の一環であると同時に、認知症高齢者や社会生活に困難を抱える知的・発達・精神障害者が万引きや無銭飲食などで逮捕された後に、適切な支援を受けられないまま釈放され、再び罪を犯してしまい、社会と刑務所を往復するといった再犯のスパイラルが社会問題として表面化してきたことが背景にあります。 この業務を行う地域生活定着支援センターでは、これまで罪を犯した高齢者や障害者の社会復帰を支える出口段階での支援に取り組んできましたが、このたびの国の方針を受けて、入り口支援にも乗り出すこととなりました。既に他県では専任職員を配置するなど、従前なかなか進まなかった入り口支援を確立すべく、県が予算措置を講じているところもあります。厚生労働省は、この入り口支援を地域生活定着支援センターの正規事業と位置づけ、人員増に対する予算化をすることで全国のセンターに実施を促していますが、残念ながら本県ではまだ実施されておりません。 翻って、今年4月県では犯罪被害者支援を拡充しており、途切れない支援で被害者負担を軽減し、一日でも早い回復につなげたいという思いで積極的に取り組んでいますが、るる述べてまいりました高齢、障害を持つ被疑者等の入り口支援を適切に行うことにより、犯罪被害者が減ることも期待されることから、未然防止策として本県がいち早く着手すべき課題だと考えます。県民の誰もが犯罪の被害に遭うことなく、悲しい思いを持ち続けなくてよい、濱田知事の描く安心・安全な高知を目指すためにも、必要不可欠な取組であると確信しております。 また、現場に携わる方からお聞きした話ですが、触法者の中には本人や家族が軽度の発達障害や知的障害など、自身の障害に気づかないまま罪を犯してしまうケースもあるようです。近年、「ケーキの切れない非行少年たち」という本がベストセラーになりましたが、こういった場合にも分かりづらい特性に気づき、障害福祉サービスや生活保護など適切なセーフティーネットを確保することが重要になってくると感じました。 こうした課題を解決するため、さきに述べたように国は今年度から地域生活定着促進事業の新たな取組として、刑事司法手続の入り口段階にある被疑者、被告人等で高齢または障害により自立した生活を営むことが困難な者に対して、釈放後直ちに福祉サービス等を利用できるように支援を行う、高齢・障害被疑者等支援業務の予算措置を講じることとしております。高齢先進県である本県だからこそ、早急かつ丁寧にコーディネートしていくべきかと考えます。 そこで、入り口支援に対する国の新たな事業について本県としてどのように取り組むのか、知事の御所見をお聞きいたします。 そして、この高齢・障害被疑者等支援業務をしっかり行っていくためには、司法と福祉の連携、すなわち検察庁、保護観察所、弁護士等司法関係機関から地域生活定着支援センターへの速やかな橋渡しが重要になってまいります。 また、本県でも国に準じて高知県再犯防止推進計画を策定しておりますが、この計画では高齢者や障害者等への支援の現状と課題として、特別調整や更生緊急保護を希望しない者や、要介護認定、障害者手帳を取得するほどではないが支援が必要な者等への対応、刑事司法手続における高齢者、障害者の状況把握と支援体制が不十分といった問題点が挙げられており、福祉的なサービスが必要な人に対して適切な支援が行われるよう、関係機関との連携や情報共有が必要とされております。 県においては、地域生活定着支援センターが中心となって、関係機関連絡会を年2回程度開催し、情報共有の場を設けているとのことでありますが、多様化する犯罪の根底が別の部分にあると分かってきた今、入り口段階での支援の必要性から、これまで以上に司法と福祉の密な関係性が問われているのではないでしょうか。 そこで、高齢・障害被疑者等支援業務を行うに当たって、どのように司法関係機関と地域生活定着支援センターとの連携を強化していくのか、子ども・福祉政策部長にお聞きします。 その上で、触法障害者の立ち直りを支援する入り口支援においては、孤独、孤立させない受入れ環境の整備も大切になってまいります。私は、この7月に安芸市で行われた農福連携高知県サミットinあきの翌日に開かれた勉強会に参加してまいりました。理念の提唱者でもあるJA共済総合研究所調査研究部の濱田健司氏にお話をお聞きしたところ、濱田氏がスウェーデンで、とある会社の農福連携活動を視察した際、社員の多くが元受刑者であったことに触れ、スウェーデンでは犯罪の多くが環境因子とされており、個人だけの問題ではなく、新しい社会システムを構築していくことの重要性を感じたと述べられておりました。そして、障害触法者の入り口支援にも農福連携の可能性を認め、高知モデルとして地域連携の新しい形になり得るものだと期待も示されました。 そこで、県としては犯罪者雇用に優遇措置を図るなど、就労に向けた取組も行っていますが、一方入り口段階での支援として、触法障害者の農福連携を進めていくことについて子ども・福祉政策部長の御所見をお伺いします。 次に、通学路の安全対策についてお聞きします。 6月28日、千葉県八街市の市道で、歩いて下校中の児童の列に飲酒運転のトラックが突っ込み、5人が死傷するという悲惨な事故が発生したことは記憶に新しいことと存じます。原因は飲酒運転という悪辣極まりない言語道断の行為がもたらしたものでありますが、一方地元ではいつ事故が起きてもおかしくないという危険な通学路でもありました。過去にPTAからガードレール設置の要望があったこの通学路は、用地買収等の問題で実現しなかった経緯があり、防ごうと思えば防げたかもしれない事故だけに、無念の思いが募るばかりであります。 そして、このように小さな子供たちの命が常に危険と隣り合わせの通学路は、全国に無数に上ると考えられます。こうした中で、国は9月末までの通学路の安全点検、10月末までの対策案の検討、作成を都道府県の教育委員会などに要請しました。 そこで、千葉県八街市の事故を受けて実施している通学路の安全点検と対策案の検討について今後通学路の安全対策にどのように取り組んでいくのか、教育長と警察本部長にお聞きします。 主要7か国の中で日本は生活道における事故リスクが高いとされ、その原因は日本の生活道の狭さにあるとされております。狭い道路は、人と車が接触しやすく、逃げ場もありませんし、そこに制限速度を超えた車が突っ込んでくれば、痛ましい事故になりかねません。私の地元いの町におきましても、住宅地である枝川地区の保護者から、朝の通勤時に重機を載せたトラックが抜け道として通学路である町道を走り抜けて、大変不安を感じているとの声をお聞きしました。こうした生活道の交通事故を防ぐ上で、ゾーン30による速度規制が有効とされています。しかしながら、ゾーン30による速度規制をかけても、道路のハード側の改善が不十分であれば確実な対策とはなりません。 そこで、実効性のある対策としては、道路上に盛り上がった部分を設置するハンプがあります。ハンプの設置には、ゾーン30のような速度規制にはかからない施工の費用など財源の問題もありますが、最近は国土交通省がレンタル用の可搬式ハンプを保有し、社会実験などでの試行設置を支援しており、今後はゾーン30区域にハンプを設置するケースも増えるのではないかと期待されております。 そこで、後悔先に立たずの通学路安全対策を進めるためには、ゾーン30にハンプなどの物理的デバイスを含めた効果的な対策を一層講じていく必要があると思いますが、警察本部長の御所見をお聞きします。 次に、茶業振興についてお聞きします。 私は先月、地元仁淀川町の茶農家の組合の皆様から、茶業の現状と課題についてお話を伺ってきたところであります。仁淀川町はお茶の生産量は県内一であり、雄大な自然の中に広がる茶畑は町のシンボルとして広く県民に親しまれてきました。また、これまでお茶は中山間地域の基幹品目として有望な換金作物でありました。 一方、全国的な茶葉の価格低下という課題は仁淀川町の茶農家も同様であり、産地のほとんどが急傾斜地という条件不利地でもあることに加え、高齢化や人口の流出も相まって、町の代名詞と言える雄大な茶畑の維持はかなり困難な状況であるとの窮状を訴えられました。 このような中で、県として早急に取り組まなければならない課題は以下の3点と考えます。まず、茶農家の経営安定に向けた収益の向上であります。茶農家の実際の収益がどのようなものになっているかといえば、例えば10アール、1反の面積で茶栽培をすると、およそ生葉が250キログラム摘採されます。その250キログラムの生葉を製茶工場で加工し、出来上がった荒茶は歩留り20%、50キログラムとなります。市場価格3,000円の場合を基に、JAの経費と工場での加工経費等を差し引くと、生葉単価446円というものが割り出されます。この生葉単価に生葉重量を掛けると、実質の農家収入11万1,500円となりますが、これから肥料や消毒代、労務費などの年間の経費が約10万5,000円ほどかかります。したがって、農家収入11万5,000円から、栽培から摘採までの年間経費10万5,000円を差し引くと、手元に残るお金は僅か6,500円になってしまいます。 加えて、生葉単価の基となる市場価格を3,000円として計算をしましたが、これは市場価格として高いほうであり、実際はこれより低い値段で多くの茶葉が取引をされております。この計算例も多少の幅はありますが、厳しいということには大差なく、茶農家専業では生計が成り立たないと言わざるを得ない、極めて厳しい収益状況にあります。後に触れますが、小売や輸出など新たな販路の拡大と付加価値の促進により、販売価格の向上に取りかからなければ、本県茶農家の持続可能性が見込めないということを示唆しております。 そのような収益面の課題から、茶業への若手参入が進まず、担い手の確保ができていないことが第2の課題であります。中山間地域の担い手として、若者を茶農家に呼び込んでこようとしても、さきのような収益状況を考えると大変厳しく、中山間地域の基幹品目と位置づけながらも、茶業は現役世代の若手が参入できる分野ではなく、現役を引退した方や副業・兼業の一環として行うものとなりつつあります。しかしながら、このような課題を解決し、茶業の振興と若い担い手を確保することは、すなわち中山間の課題を解決することにほかなりません。この悪循環を断ち切り、第2の課題である若手茶農家の担い手確保策も早急に講じていかなければならないと感じております。 実際に、池川茶業組合の品原組合長は、梨を栽培したり、プロパンガスの配達をしたりしながら、何とか茶農家として産地を守っております。また、沢渡茶生産組合の岸本副組合長にしても、茶生産のみでは先行きの見通しが立たないため、ビバ沢渡を中心とした6次産業化にチャレンジし、先輩たちから受け継いだ仁淀の沢渡茶ブランドを守り抜こうとしております。両人はともに仁淀川町へのIターン、Uターンであり、自分たちが移住し、農業を始めた原風景である茶畑を何としても残したいと口をそろえておっしゃってくださり、頼もしくも感じました。 そして、第3の課題は、今後高齢化や担い手の不足により進むことが予想される茶畑の荒廃をいかに防いでいくか、言い換えると、茶畑を中山間のシンボルとしてしっかり維持するということであります。この茶畑を守るという第3の課題は、第1、第2の課題を解決することで達成され得るものではありますが、年々茶農家の高齢化が進む中、県と関係市町村が連携し、早急に実効性のある支援策を講じていかなければならないことを指摘するものであります。 知事は、仁淀川町での「濱田が参りました」の意見交換会において、前述の品原組合長から、担い手の不足や若手に茶業への参入を呼びかけることができない現場の厳しさを直接お聞きしたことと存じます。濱田県政では中山間地域での展開を特に意識することとしており、まさに茶業の振興は担い手確保と高知の自然、景観の保全という有形無形の中山間振興と捉えることができると思っております。前知事もCMに出演するなど、土佐茶の振興やブランド力向上に汗をかいてきました。 濱田知事にも引き続き、またさらに茶業の振興に取り組んでいただきたいと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。 こうした中で、国は令和2年4月、新たな茶業及びお茶の文化の振興に関する基本方針を策定し、消費者ニーズに対応した品質、付加価値の向上の促進、輸出の拡大、生産者の経営の安定、消費の拡大を柱とした茶業振興のための施策を取りまとめております。これに伴い各府県も振興計画を策定し、本県では土佐茶振興計画の策定に着手していますが、先ほど述べました収益面並びに若い担い手の確保、茶畑を守るという課題に対し、このたび策定される振興計画を起点とし、実効性のある支援策として取り組まれるよう切に願うものであります。 そこで、土佐茶振興計画の策定状況と実効性を持たせるためどのように取り組んでいくのか、農業振興部長にお聞きします。 また、こうした厳しい茶業の現状の中で、輸出により活路を開こうとする動きが広がってきております。お茶どころの静岡では、静岡市とJAなどで構成する静岡市茶業振興協議会が静岡市産のお茶の輸出拡大に向け、茶葉の生産から輸出までを関係者一丸となって取り組むための体制を構築する検討を重ね、今年度中に静岡市輸出サプライチェーンを設立するとのことであります。取組としては、市内生産者の栽培状況などをまとめ、輸出先国をマッチング、生産者や茶商、日本茶輸出組合、ジェトロなどと連携を図りプロモーションを実施し、商談会への出展など輸出量増加に乗り出す考えを示しております。本県においても土佐茶振興協議会などで議論が進められているとお聞きしますが、国内での相場低迷が進む中、輸出という新たな販路を拡大することは、茶業の振興にとり必要不可欠であると考えます。 そこで、さきに述べた他県の取組事例も踏まえ、輸出拡大に向け本県としてどのように取り組んでいくのか、農業振興部長にお聞きします。 最後に、盛土規制の在り方と土砂災害の防止についてお聞きします。 7月3日午前、日本有数の温泉地として名高い静岡県熱海市で大規模な土石流が発生し、死者26名、行方不明者1名、流された家屋等、建物被害は128棟を数える甚大な災害となりました。お亡くなりになられた方々に心からお悔やみ申し上げますとともに、被害に遭われた皆様にお見舞いを申し上げます。 熱海土石流と題して特集を組んだ日経コンストラクション8月号では、崩壊メカニズムを下部から段階的に崩れる連鎖崩壊と見られること、計画を大幅に超える盛土に対し再三の指導が実らなかった実情を踏まえ、条例で阻止できなかった違法盛土であったと断じており、豪雨に人的要因が複合的に重なって土石流が生じたことが明らかになっております。このような悪質な業者による盛土や造成によって、一瞬のうちに人命と財産が奪われたこの土石流災害に強い憤りと、自分たちのところは大丈夫なのかと心配に思った住民も少なくないと思われます。 こうした中で政府は8月10日、盛土の安全対策に関する関係省庁連絡会議を設置し、初会合では土砂災害や地滑りが起きるおそれがある地域を対象に、年内をめどに崩落など危険性を総点検し、結果を取りまとめることとしております。 7月8日付高知新聞によれば、専門家の声として、被害を拡大したと見られる盛土は、本県にも似たような地形があると指摘しており、短時間強雨など雨の降り方が変わったと言われる近年、本県においても点検と対策を早急に講じていかなければなりません。 一方、南海トラフ地震や大雨豪雨災害など激甚化、頻発化する自然災害に備え、国土強靱化の加速化も重要となってまいります。防災・減災のための公共事業では、河川やダムのしゅんせつをはじめ大量の残土が排出されることとなります。したがって、今後の法規制等の内容によっては、事業進捗への影響が懸念されるのではないかと感じております。 そこで、盛土による土砂災害を踏まえ、公共事業における建設残土の適切な処分と盛土規制の両立が必要と考えますが、知事の御所見をお聞きいたします。 熱海市で起こった土石流災害は、人的要因も重なった複合的災害でありますが、近年激甚化、頻発化する大雨豪雨災害から県民の生命と財産を守るためには、土砂災害防止に対するハード・ソフト両面からの整備を進めていかなければなりません。県は、現在砂防設備等緊急改築事業等において、既存の砂防設備及び地滑り防止施設について緊急改築を行うことで、既存の砂防関係施設を有効活用し、土砂災害における安心・安全の向上を図っておりますが、雨の降り方も変わってきている昨今、県内に約3,500か所で整備された砂防関係施設に対して、さらに加速化を図っていかなければならないと考えます。 現在、県では土砂災害警戒区域を指定し、早期避難に対するソフトの取組を進めておりますが、中山間地域の多い本県にとり、山間部にお住まいの方々の生命と財産を守るためには、国が進める防災・減災、国土強靱化策も最大限活用しながら、土砂災害防止の加速化に努めていかなければなりません。 そこで、現在国が進める「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」も踏まえ、県内の砂防関係施設の安全性の向上と長寿命化にどのように取り組んでいくのか、土木部長にお聞きしまして、私の第1問といたします。   (知事濱田省司君登壇) ◎知事(濱田省司君) 横山議員の御質問にお答えをいたします。 まず、ワクチン・検査パッケージの活用を見据えた需要喚起策を講ずることについてお尋ねがございました。 全国的に過去最大の感染拡大となりました新型コロナウイルスの第5波につきましては、ここに来て収束の方向が見えてまいりましたことから、この局面を捉えて早急に対策を講じる必要があると考えております。 そうした中、政府からワクチン・検査パッケージや飲食店のいわゆる第三者認証を活用いたしました飲食、イベント、人の移動などに関します行動制限の緩和についての考え方が示されました。その内容は、第三者認証を受けました飲食店におきます営業時間などの制限の緩和でございますとか、ワクチン・検査パッケージを利用したグループの会食におけます人数制限の緩和といったものであります。こうした行動制限の緩和が実現をいたしますと、緊急事態措置の宣言下であっても、感染対策と日常生活の回復に向けた取組の両立が可能となるということになりまして、経済回復に期待が持てるところであります。 他方、こうした様々な行動制限の緩和の取組を進めるに当たりましては、特にワクチンを接種していない方々、できない方々が不利益を被ることがないように、十分配慮する必要があるというふうにされております。さらに、ワクチン接種後も感染をいたします、いわゆるブレークスルー感染などの課題への対応も懸念の対象となっているところでございます。 今後、国からは社会経済活動の回復に向けまして、各分野における制限緩和の具体的な方針が示されますとともに、新たな経済対策が打ち出されるものと想定がされます。こうした国の対策に呼応しながら、先ほど申し上げましたような懸念材料には十分に配慮しつつ、感染対策と日常生活の回復が両立をできますように、本県の実情に合った対策を速やかに検討し、実行に移してまいりたいと考えております。 次に、ポストコロナの県勢浮揚をどのように図っていくのかについてお尋ねがございました。 議員からのお話にございましたように、コロナ禍というダメージから県経済を回復していくためには、イノベーションの推進ということが不可欠であり、キーになるというふうに考えております。来年度の産業振興計画の改定に向けましては、コロナ禍でも成長が期待できますデジタル化、グリーン化、そしてグローバル化を掲げて、それぞれの分野でイノベーションに取り組むということを検討いたしております。 こうした取組を進めます上では、いわゆるIoPプロジェクトやマリンイノベーションの取組のように、産業分野の垣根を越えました一層の連携を図り、また産学官民一体となって進めていくということが重要となってまいります。このため、多くの有識者あるいは関係者の参画をいただきながら、それぞれのテーマごとにプロジェクトを立ち上げて進めていきたいというふうに考えております。 これらのプロジェクトにおきましては、豊かな自然や豊富な森林資源といいました高知の特性を生かした新しい産業づくりにもチャレンジをし、イノベーションを推進してまいります。また、世界の潮流となっておりますSDGsを目指した持続可能な産業へと転換が図られますように、脱炭素化への対応あるいは資源循環型社会の構築などにも取り組んでまいります。 こうしたイノベーションに果敢に挑戦をいたしますとともに、グローバル化を推進して、海外市場への販路拡大に取り組んでいく、こうしたことでポストコロナにおきます県勢浮揚を図ってまいりたいと考えております。 次に、最低賃金引上げについての所見と県内事業者への支援についてお尋ねがございました。 今回の最低賃金の引上げにつきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により広がった賃金格差を是正し、消費の拡大につなげていく、そして経済の好循環を実現すると、そういった意図で実施をされたものと承知をしております。この方向性そのものについては一定理解ができるというふうに考えております。 ただ、一方で御指摘もありましたように、中小企業あるいは小規模事業者が大多数を占めます本県において、経済団体からは大幅な最低賃金の引上げは経営に大きく影響するといった懸念の声もお聞きをしているところであります。大幅な最低賃金の引上げと経営の安定化、これら2つを実現していくためには、本県経済をより強い経済に成長させていく、そして労働生産性を高めていくということが不可欠であるというふうに考えております。 このために、まずは新型コロナウイルス感染症の影響から早期の経済回復に努めてまいりたいと考えております。あわせまして、デジタル技術の活用でございますとか、生産性の向上などの支援といったことにより、産業振興計画をしっかりと推進していくということによりまして、事業者の収益の向上、経営基盤の強化を図ってまいります。 また、国の支援策といたしまして、生産性を向上させ、賃金の引上げを行います事業者を支援いたします業務改善助成金といった仕組みがございます。こういった仕組みを最大限活用されるように、しっかりと周知に努めてまいります。あわせまして、こうした制度の充実強化などについても、必要に応じまして国に政策提言を行ってまいりたいと考えております。 コロナ関係での経済への影響対策と産業振興計画を一体的に強力に実施していくということによりまして、県内の事業所で働きます方々の賃金の引上げ、そして経営の安定化を目指してまいりたいと考えております。 次に、新しい法律であります教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律についての所見についてお尋ねがございました。 教育職員等によります児童生徒への性暴力などにつきましては、児童生徒の権利を著しく侵害し、生涯にわたって回復し難い心理的外傷などの重大な影響を与えるものであり、決してあってはならないと考えております。しかしながら、一部の教育職員等によるものとはいいましても、児童生徒への性暴力等は全国的に後を絶たない状況があるということも事実であります。このたび、この根絶に向けて新たな法律が制定されたこと、この点につきまして教育委員会及び教育職員等は極めて重く受け止める必要があるというふうに考えております。 この法律によりましては、児童生徒等の尊厳を守るために、教育職員等による児童生徒への性暴力等の防止に関する施策を推進して、その権利利益を擁護するということを目的として掲げておられます。その上で、教育職員等によります児童生徒性暴力等を明確に禁止し、その防止等に関する具体的な措置あるいは教員免許失効者への免許状の再授与の厳格化などを規定しているということでございまして、こういった点については議員から御指摘あったとおりでございます。 今後、法律の趣旨でございますとか、国が法律に基づきまして定めます基本指針などを踏まえ、県及び市町村の教育委員会におきましては、関係者が一丸となって、教育職員等による児童生徒性暴力等の根絶に全力で取り組んでいただきたいというふうに考えます。 そして、何より教育職員一人一人が児童生徒を守り育てる立場であるということを改めて心に刻み、その責任を全うするということが重要だというふうに考えております。私自身も総合教育会議などの場を通じまして、性暴力等の防止に関します各施策が適切に推進をされますよう、しっかりと意を用いてまいりたいと考えております。 次に、高齢等の事情によりまして福祉サービスが必要な犯罪被疑者などへの支援、特にこのうちいわゆる入り口支援に対する国の事業についてどう取り組むのかというお尋ねがございました。 県におきましては、誰もが犯罪被害を受けることなく、地域で安心して暮らせる社会の実現を目指し、平成30年度に再犯防止推進計画を策定し、取組を進めております。 平成23年度には、高齢や障害により支援が必要な方の再犯を防ぐために、御指摘にもありました地域生活定着支援センターを設置いたしまして、主に刑務所等から出所した方への支援であります、いわゆる出口支援を行ってまいっております。このセンターにおいては平成29年度から令和2年度までの4年間に44名、延べにいたしますと186名になりますが、こうした方々に対しまして、例えば住まいの確保でございますとか、福祉サービスの利用などの自立した生活へ向けた支援を実施いたしているところでございます。 このうち、再び犯罪を犯しまして刑務所等に入所した方の割合は15.9%となっております。全国におきます出所受刑者の5年以内の入所率が37.5%となっておりますので、この水準の半分以下にとどまっておりまして、こうした支援の効果がうかがえるのではないかというふうに受け止めております。 一方で、高齢等の理由によりまして福祉サービスを必要とする犯罪被疑者が、起訴猶予などにより刑務所等へ入所することなく拘束を解かれた、こうした場合については、御質問にございましたように、刑務所に入る前という意味で入り口支援というふうに言われておりますが、この取組も再犯防止に有効な取組だと考えております。現在では、検察庁が主となりまして、この入り口支援に当たっており、今年度は23名の支援が必要な方を把握し、福祉サービスにつなぐといった取組がされておられるというふうに認識しております。 今年度、御指摘ございましたように、国におきましては都道府県のセンターに対する入り口支援実施の補助メニューが新たに設けられまして、再犯防止の取組をもう一段強化するという方向が示されたところであります。このため、来年度からのセンターにおきます入り口支援の実施に向けて、本県におきましても職員の増員あるいはアセスメント力の向上といった支援体制の強化について、国事業の活用を検討してまいりたいと考えております。こうしたことによりまして、地域で安心して暮らせる社会の実現に向け、再犯防止の取組をさらに推進してまいりたいと考えております。 次に、茶業の振興についてお尋ねがございました。 お茶は、御指摘もありましたように中山間地域におきます基幹品目でもあります。これまで産業振興計画に位置づけまして、生産から加工・流通・販売までを総合的に支援をいたしてまいりました。一例を申しますと、ブレンド用の原料茶よりも製品茶で販売をしたほうが単価が高いということはございますから、こうした販売にシフトをしていくための加工設備を導入していくという取組あるいはお茶を使用したスイーツの開発を支援していくと、こういった取組などに代表されますような、付加価値の向上に取り組んでまいったところであります。 しかしながら、近年消費者ニーズの変化に伴いまして、全国的にお茶の消費量は減少傾向にあり、原料茶の価格も低下をしてきております。こうした要因もありまして、本県では生産者の高齢化という要素も相まって、栽培面積、生産者がさらに減少するという悪循環に陥っているという面がございます。 御紹介もいただきましたけれども、昨年11月の県民座談会「濱田が参りました」におきましては、池川の茶業組合長さんから、お茶だけで生計を立てることは難しいという状況あるいは若手のお茶の農家は数えるぐらいしかいないんだといった切実なお声をお聞きしたところでございます。 こうした厳しい状況を克服していくために、これも御紹介ございましたお茶の振興に関する法律に基づきまして、本年度本県では新たに土佐茶振興計画の策定を予定いたしており、この計画に基づきまして、実効性のある対策を講じてまいりたいと考えております。 具体的には、多様化いたします消費者ニーズに対応した商品開発あるいはお茶の魅力の発信、地産地消の面での取組、さらには担い手の確保策など、もう一段対策の強化が必要だというふうに考えているところであります。加えて、新たな取組といたしまして、省力化や品質向上のためのスマート技術の導入を促進していくということ、そして輸出にも挑戦をしていくといったこと、こういった取組を考えているところでございます。 県といたしましては、この計画に基づき、お茶農家の所得向上、そして産地の維持・発展に向けまして、しっかりと茶業の振興に取り組んでまいりたいと考えております。 最後に、盛土によります今般の土砂災害を踏まえまして、公共事業における建設残土の適切な処分と盛土規制の両立が必要ではないかといった点についてお尋ねがございました。 現在、本県におきましては、国の「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」を最大限に活用して、防災・減災に資するインフラの整備を重点的に進めております。また、この点も御紹介いただきましたが、近年激甚化、頻発化をしております豪雨への備えといたしまして、有利な地方債の制度も活用して、河川などの土砂のしゅんせつといった取組も集中的に進めておるところでございます。 こうした公共事業で発生をいたします建設残土については、土砂を必要といたします他の工事に活用していくといったようなこと、こうしたリサイクルの取組などを通じまして処分量の抑制に努めた上で、崩落や流出のおそれのない場所に搬出をしているというところでございます。 一方、今回国は熱海市におきます土石流災害を受けまして、不適切な盛土を防ぐための土地利用規制などを検討するという動きがございます。熱海市におきますような不適切な盛土が持つ危険性ということを考えますと、この規制の強化は必要なものだというふうに考えておりますが、他方で崩落や流出のおそれのない処分場でございますとか、盛土工事にまで一律に規制がかかってくるということは合理性を欠くということでございますので、こういったことは避けなければいけないという認識を持っております。 こうした視点を持ちまして、今後の国の検討状況を注視して、必要な場合には、こうした視点から国に対して働きかけを行ってまいりたいと考えております。 私からは以上であります。   (教育長伊藤博明君登壇) ◎教育長(伊藤博明君) まず、本県教育現場におけるわいせつ事案の発生件数及び懲戒処分を受けた教員の再雇用の状況についてお尋ねがございました。 高知県公立学校教員による過去10年間のわいせつ事案に係る懲戒処分件数は、小・中・高・特別支援学校を合わせて20件となっております。そのうち児童生徒に対するわいせつ等に係る懲戒処分件数は12件で、その内訳は懲戒免職が9件、停職が2件、減給が1件となっております。 また、県教育委員会では、これまでわいせつ行為により懲戒処分を受けた教員を退職後に再び採用、または再任用しておりません。他県で懲戒処分を受けた教員が本県の教員採用審査を受審する場合には、申告書において懲戒処分歴を自己申告させております。これまでのところ、過去にわいせつ行為により懲戒処分を受けていたという教員は確認されておりません。 次に、教員免許状の失効者等に係るデータベースや第三者機関による免許状再授与の厳格化といった新たな動きを踏まえ、どのように取り組むのかとのお尋ねがございました。 これまで免許状失効者等の失効事由等につきましては、文部科学省が提供する官報情報検索ツールによりまして、懲戒免職処分を受けたこと自体は確認できましたが、当該処分の理由についての情報は得られませんでした。それが本年4月からは児童生徒へのわいせつ行為など、懲戒免職処分理由の主な類型が官報の公告事項となり、検索ツールで確認できるようになったところでございます。さらに、今回制定された新たな法律では、国が免許状失効者等の失効または取上げの原因となった事実等の情報を把握するための措置を講ずることとされておりますので、今後はより一層免許状失効者等に関する正確な情報が得られるものと考えております。 また、免許状失効者等に対する免許状の再授与に当たっては、都道府県の教育委員会に設置することになります教育職員免許状再授与審査会において、免許状の失効または取上げの原因となった性暴力の内容等を踏まえ、改善更生の状況、その他の事情により再び免許状を授与することが適当であるかについて、厳格な審査が行われることになります。新法に規定されたデータベースの整備や第三者機関による免許状再授与の厳格化は、この法律の実効性を高める重要な取組だと理解しております。 県教育委員会としましては、今後こうした取組を適切に運用することはもちろんですが、何よりもこの法律の制定に至った経緯を全ての教育関係者が重く受け止め、市町村教育委員会をはじめ各関係機関等としっかり連携しながら、教育職員等による児童生徒への性暴力という、決してあってはならない事態の根絶に向けて全力で取り組んでまいります。 次に、新法の趣旨と内容を市町村教育委員会まで周知し、徹底することについてお尋ねがございました。 県教育委員会では、全体の奉仕者である教育公務員としての自覚をさらに深めるとともに、非違行為の未然防止及び抑止を図るため、令和2年3月に教職員の懲戒処分指針を策定し、市町村教育委員会及び学校に周知いたしました。その中で、特に児童生徒に対するわいせつ行為を行った者は原則懲戒免職とするなど、厳正に対処することを明示しております。 議員お尋ねの教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律につきましては、本年7月7日付で国からの通知文書や関連する資料を添えて、各市町村教育委員会及び県立学校に通知し、法の趣旨やその概要についての周知徹底を行いました。また、本年8月末から9月初旬に行われました各教育事務所管内における人事に関する会議において、各市町村教育長に対して、本県における過去のわいせつ行為を含む不祥事事案を説明し、不祥事の根絶と服務規律のさらなる徹底を図るための研修の開催や、風通しのよい職場づくりの推進について要請したところです。 小中学校における不祥事の根絶と服務規律の徹底については、教職員の服務監督権者である市町村教育委員会が、より主体性を持って取り組んでいただくことが必要になります。そのため、県教育委員会として、本年10月に予定されている市町村教育長会におきまして、改めて今回の法律の趣旨と内容についてしっかりと説明してまいります。 加えて、今後児童生徒へのわいせつ行為によって教員免許状を失効した教員への再交付に係る県と市の考え方や、その運用などを定めていく段階で、適宜市町村教育委員会に周知する機会を設けるなど、連携した取組を進めてまいります。 次に、被害者が通報しやすい工夫と相談体制の整備についてお尋ねがございました。 県教育委員会では、今年2月に性に関する指導の手引きを作成し、児童生徒が性に関するトラブルに対して正しい知識を持ち、適切に行動選択や対処ができるよう、小学生から高校生まで系統的に指導の充実を図っているところです。具体的には、小学校低学年では水着で隠れる部分はほかの人が見たり触ったりすることはいけないこと、高学年では安全なインターネット利用、中学生ではSNSを通じた出会いの危険性、高校生では性をめぐるトラブルへの対処など、発達段階に応じた学習を行うこととしております。 また、各学校においては児童生徒が不安や悩みを抱えたときに、まずは身近な存在である学級担任や養護教諭などに相談してもらえるよう、日頃から教員と子供の信頼関係を築くとともに、スクールカウンセラー等の専門職による相談体制の充実を図っています。 あわせて、児童生徒や保護者が相談できる学校外の相談窓口としまして、心の教育センターや24時間子供SOSダイヤル、メール相談などを開設しており、多様な相談ニーズに対応しております。また、県内の高校生などを対象にしました、こうち高校生LINE相談も開設しており、SNSを活用した、より気軽に相談できる体制も整えております。 さらに、今後児童生徒の1人1台端末を立ち上げた際のトップページを活用し、困ったときの対応として、まずは身近で信頼できる大人への相談が大切であることや、相談窓口の一覧やメール相談へのリンクを掲載するなど、児童生徒にとって、より相談しやすい体制づくりに努めてまいります。 こうした相談体制に加え、現在全ての公立学校で児童生徒を対象に年2回以上実施しております学校生活アンケートにおきまして、児童生徒が性被害等のトラブルに遭っていないかどうかを把握できるよう、調査項目や実施方法を見直してまいります。今後も市町村教育委員会や学校と連携しながら、さらに効果的な相談体制や周知の方法について検討してまいります。 最後に、通学路の安全対策についてお尋ねがございました。 通学路の安全点検につきましては、これまでにも平成24年に登校中の児童生徒が死傷する重大な交通事故が全国で相次いだことを受け、学校、市町村教育委員会、警察署、道路管理者等の関係機関による合同点検が全国一斉に実施されております。 本県においては、この合同点検により639か所の対策必要箇所が確認され、各関係機関が順次対策を実施した結果、平成29年度までに応急的な措置を含め安全対策は完了しております。今回、本年6月に発生した千葉県八街市の事故を受け、車の速度が上がりやすい箇所や大型車の進入が多い箇所といった新たな観点で合同点検を実施いたしました。 この結果、公立小学校と小学部のある特別支援学校を合わせました200校の通学路のうち、対策が必要な箇所としまして、現時点で500か所余りが報告されているところです。これらの箇所につきましては、現在関係機関の連携の下、具体的な対応方法を検討しているところであり、10月末をめどに対策案を作成した上で、道路環境の整備などのハード対策、また交通規制の実施や通学路の見直し、見守り活動の強化などのソフト対策を各関係機関が順次実施していく予定となっております。 県教育委員会としましては、こうした通学路の安全対策が確実かつ効果的に実施されますよう、市町村教育委員会や警察署、道路管理者などで構成します通学路安全推進委員会などで対策の実施状況を確認、共有するなど、関係機関と連携しながら通学路の安全確保に取り組んでまいります。   (子ども・福祉政策部長山地和君登壇) ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) まず、高齢・障害被疑者等支援業務を行うに当たっての司法機関との連携強化についてお尋ねがございました。 高齢・障害被疑者等支援業務は、刑事司法手続の入り口段階にある犯罪被疑者等で、高齢や障害により自立した生活を営むことが困難な方に対し、釈放後直ちに福祉サービスを利用できるようにする取組です。こうした入り口支援の実施に際しましては、検察庁など司法機関や福祉サービスを担う関係機関との連携が非常に重要となってまいります。 これまで県では、高齢や障害により支援が必要な方の再犯を防ぐため、地域生活定着支援センターを設置し、司法などの関係機関との連絡会などを通じて情報共有に取り組んできたところです。今後、高齢・障害被疑者等支援業務を実施していくために、司法などの関係機関との連携をもう一段強化していきたいと考えております。 具体的には、県、検察庁、保護観察所、地域生活定着支援センターの4者による連絡会議を定期的に開催し、顔の見える関係を築いてまいります。会議では個別の対応事例を基に、支援におけるそれぞれの機関の役割の明確化や情報共有の在り方、連携の仕組みづくりなどの協議を行い、円滑な支援の実施を図るとともに、この場で得られた知見や課題を今後の再犯防止施策に生かしてまいります。 また、支援現場では、検察庁が福祉的な支援が必要と思われる方に対して行う初期の面談から地域生活定着支援センターが参加するなど、一体的な支援活動を行ってまいります。こうした取組を通じて司法機関との連携を強化し、再犯防止の取組を進めてまいります。 次に、入り口段階での支援として、触法障害者の農福連携を進めていくことについてお尋ねがございました。 農福連携は、農業分野の担い手確保とともに、障害のある方やひきこもりの方などの経済的自立や社会参加につながることから、県として積極的に取り組んでいるところです。また、農作業に従事することで、障害のある方などの表情が明るくなったといった報告も多くあり、精神面や情緒面においてもよい影響があると考えております。 国の再犯防止推進計画では、仕事に就いていない方の再犯率は、仕事に就いている方と比べ約3倍高く、再犯の防止には就労支援が重要であり、農福連携はその選択肢の一つであると考えております。 一方で、触法障害者の農福連携を円滑に進めていく上では、農業や福祉の関係者が、触法障害者に対する理解とその特性を踏まえた対応のノウハウを持つことが、ミスマッチを起こさないためにも大変重要となってまいります。 このため、農福連携サミットなどの場を活用し、農業や福祉の関係者に対して、触法障害者への理解の促進に取り組んでまいります。また、司法、農業、福祉の各分野の関係者が相互に交流する機会を確保することで、連携の強化を図ってまいります。こうした取組を通じまして、触法障害者の農福連携の事例や関係者のノウハウを蓄積していくことで、取組を着実に進めてまいります。   (警察本部長熊坂隆君登壇) ◎警察本部長(熊坂隆君) 通学路の安全点検と対策について、今後どのように取り組んでいくのかについてお尋ねがございました。 県警察では、これまでも教育委員会や道路管理者等の関係機関と連携し、通学路の合同点検を行い、横断歩道や一時停止規制の整備など必要な安全対策を講じてきたところであります。 御指摘の今回の事故を受けまして、改めて関係機関と連携して、従来より幅広い視点から通学路の合同点検を行い、必要な対策を講じるよう警察庁から指示がなされ、県内の通学路の危険箇所を点検しているところであり、今後対策が必要な箇所を抽出していくこととしております。 県警察が行う具体的な交通安全対策は、現在検討中でございますが、抽出された課題につきまして、各警察署と一体となって進めてまいります。今後、点検結果を踏まえ、県警察として必要な予算を確保していくとともに、道路管理者等関係機関と十分な連携を図りながら、必要な交通安全施設の整備について積極的に取り組んでまいります。 次に、ゾーン30にハンプなど物理的デバイスを含めた効果的な対策を一層講じていくことについてお尋ねがございました。 先ほど議員から御説明のあったハンプは、路面を盛り上げ段差をつけるもので、車両が通過する際、上下の振動が発生するため、運転者に減速を促すことができることから、生活道路において効果的な対策だというふうに認識しております。 一方で、車両がハンプを通過する際、段差による身体、車体への衝撃が生じることから、設置場所に制限があるほか、騒音の問題から地域住民の理解が必要となります。今後、このような特性も踏まえて、ゾーン30における交通安全対策については、地域住民等の理解を求めるとともに、道路管理者等、関係機関と連携しながら、ハンプなど物理的デバイスや道路のカラー化などの整備を進めてまいりたいと考えております。   (農業振興部長杉村充孝君登壇) ◎農業振興部長(杉村充孝君) まず、土佐茶振興計画の策定状況と実効性を持たせるための取組についてお尋ねがございました。 振興計画の策定状況としましては、生産者やJAなどの関係者で構成する土佐茶振興協議会において、今年5月に計画策定の趣旨やスケジュールなどについて共有し、現在お茶の生産者や流通・販売に関わる方々に、土佐茶の現状や課題、強化すべき対策について聞き取り調査を実施しているところでございます。今後、この調査結果を踏まえ、強化すべき対策を検討し、年度末をめどに振興計画を策定してまいります。次に、振興計画の実効性を持たせるための取組につきましては、品質向上や省力化のためのスマート技術の導入などの生産対策、新たな商品開発や輸出などの販売対策、茶園の流動化などの担い手確保対策を強化したいと考えております。 また、計画策定後は県として振興計画に盛り込んだ対策について、生産者やJA、市町村などの関係者の皆様とこれまで以上に連携して取り組んでまいります。加えて、その取組状況や新たな課題などについて、土佐茶振興協議会で共有、確認を行い、必要に応じて振興計画の見直しを行いながら、実効性ある取組を実施してまいりたいと考えております。 次に、輸出の拡大についてお尋ねがございました。 近年、国内でのお茶の消費が低迷する一方で、海外では日本食ブームや健康志向の高まりなどにより、お茶の消費量が増加しておりますことから、輸出により土佐茶の販路を拡大するチャンスではないかと考えております。 県内では、JA高知県と池川茶業組合の2団体がお茶の輸出に意欲を示しており、昨年度国においてお茶の輸出に重点的に取り組む産地として選定されたところです。この2つの団体では、年度内をめどに生産から流通・販売までの課題と対策を盛り込んだ輸出事業計画を策定することとしており、現在県ではその策定を支援しております。 一方、県が本年度末に策定する予定の土佐茶振興計画におきましても、輸出を計画の柱として位置づけることとしております。この振興計画には、先ほどの2つの団体が策定する輸出事業計画の実行を後押しできるよう、輸出相手国の輸入条件に対応した茶園の確保や生産体制の確立、海外市場の開拓などの対策を盛り込むことを検討しております。 また、輸出拡大に向けた体制面では、お話にありましたように生産から流通・販売までを見通したサプライチェーンを構築することが重要と考えておりますので、来年度これらに関係する方々で構成する組織の設立と、県や市町村、支援機関から成るサポートチームを設置し、連携を図ってまいります。 県としましては、日本の食文化への関心が高く、日本料理店が最も多いアメリカやヨーロッパへの輸出をスタートさせたいと考えているところでございます。この実現に向けまして、新たに構築する体制の下、関係者と一体となって全力で取り組んでまいります。   (土木部長森田徹雄君登壇)
    ◎土木部長(森田徹雄君) 国が進める5か年加速化対策も踏まえた砂防施設の安全性の向上と長寿命化にどのように取り組んでいくのかとのお尋ねがございました。 本県では、砂防関係施設の維持修繕、改築などを適切かつ計画的に実施するため、平成31年3月に砂防関係施設長寿命化計画を策定しました。この計画に基づき令和元年度から定期点検を実施し、各施設の健全度の評価を行うとともに、現行基準との適合状況や、砂防堰堤における土砂の堆積状況を把握しているところでございます。 これまでの点検結果を踏まえ、5か年加速化対策の重点メニューであります砂防設備等緊急改築事業による砂防堰堤の改築や土砂の撤去、また公共施設等適正管理推進事業債などの有利な起債による急傾斜地崩壊防止施設の改修など、砂防関係施設の安全性の向上に取り組んでいるところでございます。こうした取組と併せて、砂防堰堤本体の基礎の洗掘対策など、施設の損傷が軽微な段階に修繕を実施することで、トータルコストの縮減を図る予防保全型の維持管理により、施設の長寿命化にも取り組んでいるところでございます。 今後も引き続き、適正な点検を行うとともに、5か年加速化対策などの有利な財源を活用し、計画的な施設の維持修繕、改築などに取り組み、地域の安全性の向上に努めてまいります。 ◆11番(横山文人君) それぞれ丁寧かつ前向きな御答弁をいただきありがとうございました。 2問目はいたしませんが、改めてこれまでのコロナ対応に感謝と敬意を申し上げますとともに、今後はポストコロナ時代の新たな日常の回復に向け、鋭意頑張っていただきたいと存じます。 また、ポストコロナの県勢浮揚には、質問でも議論しましたように、デジタル化、グリーン化、グローバル化、そしてイノベーションが欠かせないんだろうと感じております。しかしながら、コロナ禍により世の中がニューノーマルとなった現代だからこそ、いま一度立場の弱く小さな人々にも目を向ける、光の届きにくいところにしっかり手を差し伸べていく、そんな血の通った県政が求められているのではないでしょうか。血の通った県政、それはまさに濱田知事の掲げる共感と前進の県政であり、デジタルやグリーンとともに、ポストコロナ時代のキーワードになるものだと私は感じております。 私としましても、次回はさらに血の通った議論ができますように汗をかいてまいる所存です。どうか知事はじめ執行部の皆様には御自愛の上、県民生活向上に一層の御尽力を賜りますようお願いを申し上げ、私の一切の質問といたします。ありがとうございました。(拍手) ○副議長(加藤漠君) 暫時休憩いたします。   午後2時22分休憩-----------------------------------   午後2時50分再開 ○議長(森田英二君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 27番田所裕介君。   (27番田所裕介君登壇) ◆27番(田所裕介君) 県民の会の田所裕介でございます。議長にお許しをいただきましたので、順次質問をさせていただきます。 まず初めに、ヤングケアラーへの支援についてお伺いいたします。 少子高齢化や過疎化など多様な社会課題を抱える現在、子供が健康的に成長できる環境づくりの重要性が増しており、本年の骨太の方針においても未来を担う子供の安心の確保のための環境づくり、児童虐待対策という項目が盛り込まれました。 様々な子供政策の中でも取組を要するのが、本年2月議会において質問させていただいたヤングケアラーの問題です。令和3年に取りまとめられたヤングケアラーの実態に関する初の全国的な調査研究では、世話をしている家族がいると回答した子供は中学2年生で5.7%、全日制高校2年生で4.1%という結果でした。ヤングケアラーの課題は、教育や福祉といった特定の分野にとらわれず、教育、福祉、医療など様々な分野の課題が複雑に関連していることが特徴です。そのため、ヤングケアラー支援において重要なのが、教育、医療、福祉、行政、民間、様々な専門家が垣根を越えて連携していくことになります。 そこで、お伺いします。分野、そして行政、民間の垣根を越えたヤングケアラーの支援体制を県としてどのように構築していくのか、知事にお伺いをします。 ヤングケアラーに対しての取組を加速させていくには、地方自治体での現状やニーズをまず把握する必要があり、ヤングケアラーの支援に向けた福祉・介護・医療・教育の連携プロジェクトチームの取りまとめ報告書においても、地方自治体単位で実態調査を行うことが有効であるとしております。また、ヤングケアラーの支援に向けた令和4年度予算概算要求の概要において、新設されるヤングケアラー支援体制強化事業の創設の中の一つとして、ヤングケアラーの実態調査が含まれております。 そこで、お伺いします。国からの補助も受けながら、ヤングケアラーの実態や課題をどのようにつかんでいくのか、実態調査の検討へのお考えも含め、子ども・福祉政策部長にお伺いをします。 ヤングケアラーへの施策を講じていく上で、まずヤングケアラーという言葉の周知が必要となります。ヤングケアラーの実態に関する調査研究によると、ヤングケアラーの実態を把握していない理由として、ヤングケアラーである子供自身やその家族がヤングケアラーという問題を認識していないと66.8%が回答しており、また要保護児童対策地域協議会の構成員においてヤングケアラーの概念や支援対象としての認識が不足していると約30%が回答しています。令和4年度予算概算要求の概要では、令和4年度から令和6年度までの3年間を集中取組期間として、中高生の認知度5割を目指し、ヤングケアラーの社会的認知度の向上に向けた集中的な広報啓発を実施とされています。 そこで、お伺いします。どのように県民に対して、また地域協議会の構成員においてヤングケアラーという概念の認知度の向上を行っていくのか、現在及びこれからの取組について子ども・福祉政策部長にお伺いをいたします。 ヤングケアラーは、家族内のことで問題が顕在化しづらく、様々な場所で早期発見し、支援につなげる必要があります。プロジェクトチームの取りまとめ報告書では、1に学校、2に医療機関、福祉事業者、3に児童委員やこども食堂など地域や民間の目、この3点から早期発見をすることが重要であるとしています。 そこで、お伺いをいたします。学校以外の医療機関、福祉事業者、児童委員などからヤングケアラーを早期発見するためにどのように取り組んでいくのか、子ども・福祉政策部長にお伺いをいたします。 ヤングケアラーの実態に関する調査研究によると、世話をしている家族がいると回答した中高生に対し、必要な支援について質問したところ、学校の勉強や受験勉強など学習のサポートが2割程度ありました。国は、教育委員会におけるスクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラーの配置を支援し、必要な支援につなぐための教育相談体制の充実を図るとともに、民間を活用した学習支援事業と学校との情報交換や連携を促し、学習支援を通じたヤングケアラーの見守り等を行う活動を支援するとしています。 そこで、お伺いをいたします。学習支援を必要とするヤングケアラーに対してどのような学習支援体制を整えていくのか、教育長にお伺いをいたします。 また、調査研究によると、世話をしている家族の内訳としてきょうだいが最も多く、その内容としては見守り、家事、世話や保育園等への送迎などとなっており、とりわけ独り親家庭ではこれらの割合が高く、ヤングケアラーが親に代わって幼いきょうだいのケアをしていることが分かります。こうした家庭に対しては、令和4年度予算概算要求の概要に含まれているような、子育て世帯訪問支援モデル事業の創設など、支援が必要な独り親家庭に対する生活支援の推進や、困難な状況にある家庭に対する傾聴による相談支援、家事・育児支援等も必要です。 これらのヤングケアラーへの支援を行うに当たっては、独り親家庭への支援、育児支援なども必要ですが、これらの支援をどのように行っているのか、その取組、今後の取組について子ども・福祉政策部長にお伺いをいたします。 次に、就職氷河期世代の支援についてお伺いをいたします。本年7月に発表された骨太の方針においても、就職氷河期支援は重要施策として言及されており、地域就職氷河期世代支援加速化交付金を活用して、2020年度から3年間、地方自治体を強力に後押しし、地域における取組を広げていくとしています。 本県では令和3年度、就職氷河期世代活躍支援事業、就職氷河期世代のひきこもり対策推進事業、若者サポートステーション事業に係る就職氷河期世代支援、高知県女性就労支援事業に係る就職氷河期世代支援に対する、地域就職氷河期世代支援加速化交付金を獲得し、施策を推進しています。就職氷河期世代の方々の課題を調査し、支援施策を検討するため、昨年10月に就職氷河期世代実態調査を行いましたが、これらに加え、雇用する企業側の意見、課題やニーズの把握が必要です。就職氷河期世代は十分な就労機会に恵まれず、キャリア形成が難しく、即戦力を求める企業では採用に至らない背景も否定できません。企業側のニーズや採用に当たって、職業訓練などどのような支援を行政に求めているのかについて実態把握が必要です。 昨年の実態調査では、氷河期世代の実態を調査しましたが、本県の企業の氷河期世代の人に対する見解や、雇用するに際して求めることなどどのように把握し、施策に生かしていくのか、商工労働部長に具体的にお伺いをいたします。 また、女性の就職氷河期世代は潜在的な課題と考えられています。女性のひきこもりや就職氷河期の支援を必要とする方は、これまで実態調査で捉え切れず、顕在化しづらかったという背景があります。 2020年3月、北九州市立男女共同参画センター・ムーブが全国で初めて、ひきこもりや生きづらさに悩む女性の視点での行政による調査を行い、女性のひきこもりが家事手伝いや専業主婦のカテゴリーに分類されているケースが多く、通常の実態調査では実態がつかみづらく、支援も行き届かないことが明らかとなりました。本県は、さきに述べたように、国からの交付金を獲得しており、女性の就職氷河期世代の支援に全国に先んじて取り組む姿勢が表れています。まず、潜在化しやすい就職氷河期世代の女性を拾い上げ、その課題やニーズを把握することが必要となります。 そこで、お伺いをします。昨年行った就職氷河期世代の実態調査で、女性の就職氷河期世代の課題やニーズに関してどのようなことが明らかになったのか、子ども・福祉政策部長に具体的にお伺いします。 そして、これらの調査結果を踏まえ、地域就職氷河期世代支援加速化交付金を使用し、具体的にどのような女性就労支援に関わる就職氷河期世代支援を行っていこうとしているのか、子ども・福祉政策部長に具体的にお伺いをいたします。 これら女性への支援の難しさの一因が、これまで日本社会が抱えてきたジェンダー観であることは否定をできません。女性は、無職で家にいる場合でも家事手伝いという言葉で片づけられる、非正規で働いている人は子育て中でそれを自ら選んでいるというような先入観が日本社会には根強く残っています。また、社会構造も出産後に女性の正規雇用比率が低下する、いわゆるL字カーブになっている現状があり、日本社会の構造的問題であります。これからの時代、ジェンダー観に対する意識の改革が必要です。教育は、次世代を担う人材のジェンダー観を育み、男女共同参画が可能な社会をつくる上で重要な役割を果たします。 そこで、お伺いをいたします。教育がジェンダー観の形成に与える影響をどのように捉え、どのように教育を行っていくのか、教育長にお伺いをいたします。 次に、新型コロナウイルス感染症対策についてお伺いをいたします。 改正新型インフルエンザ等対策特別措置法及び改正感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律が2月13日に施行され、本県でも感染者の増加に伴い、8月27日から9月12日まで、まん延防止等重点措置の対象地域に指定をされました。第5波はこれまでにない感染拡大となり、新型コロナウイルス感染者に対応できる医療体制の必要性が再認識をされました。また、先日政府が、ワクチン接種が進む中における日常生活回復に向けた考え方を取りまとめ、経済活動と感染防止を両立する体制づくりの加速化が予測され、本県でも感染防止に努めながら、出口戦略について真剣に協議をする段階です。 全国知事会は9月11日、国への緊急提言をまとめました。濱田知事もワクチンチームリーダーに就任されており、地方自治体の代表として国と地方自治体との協議において重要な役割を果たされております。その緊急提言では出口戦略について言及しており、出口戦略ロードマップ等の検討、早期策定に向けて、国は速やかに全国知事会など自治体と十分に協議することができる場をつくることを求めています。それ以外にも行動緩和の内容や地域を精査すべきと指摘し、飲食店に関しては、感染対策を判定する第三者認証における制度の統一や基準の明確化が必要だとしております。地域の実情を踏まえ、地方自治体が国と協議をしながら、地域実情に応じた出口戦略を練っていくことが重要です。 全国知事会で、行動制限緩和など出口戦略について自治体との協議の場を設けるよう求めており、また地域を精査すべきであると要請している背景を踏まえ、今後高知県においての経済活動と感染抑止を並行して行っていくために、知事として国との協議で国に対し何を要請していくのか、お伺いをいたします。 今回のまん延防止等重点措置適用時には、事業主に対して要請に協力していただけているのかを調査し、調査店舗3,787件、うち協力店が2,013、非協力店が16、その他が1,758件であったことが明らかになりました。その他に分類されている事業主が調査店舗の約半分と多く、貼り紙がない、店舗移転、廃業などの問題があったとされており、要請を守っていたにもかかわらず、その他に分類された店などもあるとも考えられ、要請に協力していただいている店舗を適切に把握できない可能性も排除できません。再度、まん延防止重点措置や緊急事態宣言の対象地域に指定される可能性はないとは言えず、今回の経験を踏まえ、調査方法の課題と再検討も行う必要があるのではないでしょうか。 そこで、お伺いします。今回のまん延防止措置の適用経験より、要請に対して協力を得られているかどうかの調査においてどのような課題があると認識し、今後再び適用となった際に備え調査方法をどのように再検討していくのか、危機管理部長にお伺いをいたします。 また、要請に応じていただけない事業主に対し、命令を行うことができます。そして、命令を受けた事業主を公表するかどうかの判断は県に任されています。事業主にとっては公表するかどうかの県の基本方針は、経営にも影響を与えると考えられ、県の方針を事業主に対してあらかじめ周知しておくことは必要であると考えています。 本県における命令並びに公表に対する基本方針について危機管理部長にお伺いをいたします。 第5波においては、児童の感染や家庭内感染の問題がより深刻になっています。両親が感染し入院をせざるを得なくなり、子供が取り残されるという事例が報告をされています。また、学校や保育所で感染者が発生した場合、一定期間を休校や休園にせざるを得ない事例も相次いでいます。両親が入院している間、面倒を見てくれる親族がいない、休校や休園になった場合、子供を預けられる環境がないなど、これらの背景を鑑み、子供の居場所づくりに取り組む必要があります。 本県において両親が感染した場合に、ほかに頼る場所のない子供への支援、また休校や休園になった際に子供を預ける場所のない保護者への支援をどのように行っていくのか、子ども・福祉政策部長と教育長にお伺いをいたします。 次に、午前中に西森議員も御質問されておりましたが、私の観点から新型コロナウイルス後遺症についてお伺いをさせていただきます。 新型コロナウイルス感染症対策として、病床や宿泊療養施設の確保、検査体制の充実、そしてワクチン接種と、本県においても医療体制の整備を行ってきました。これらに加え、今後真剣に取り組んでいく必要があるのがコロナ後遺症、いわゆるロングコビッドについてです。 今年7月に英医学誌ランセットで発表された論文によると、後遺症の数は報告されているだけで少なくとも203種類に上るとされています。最も多くの感染者が経験していた後遺症は、倦怠感、ブレーンフォグ、軽い身体的・精神的活動の12から24時間以内にひどい倦怠感、その他の症状に見舞われる通称PEMだと明らかになりました。日本においても新型コロナウイルスの後遺症は早い段階で指摘をされており、昨年より厚生労働省がコロナ後遺症の調査に着手し、第39回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードにおいて調査が報告されました。肺に見られる長期的影響、不安や抑鬱、睡眠障害によるQOLの低下、味覚障害が報告されています。 国に加え、地方自治体での調査も行われており、働き世代がコロナ後遺症に悩んでいること、そして後遺症の若年化が分かってきました。和歌山県が昨年行った調査では、30代の有症状者の割合が77%と高いことが明らかになり、また大阪府が公表した今年7月8日から31日に寄せられたコロナ後遺症の相談件数は、30代、40代、50代の働き世代が約58.6%を占めています。後遺症が長期にわたった場合、休職せざるを得ない状態なども考えられます。また、10代や10歳未満が国内でも目立つようになっています。さきに述べた大阪府に寄せられた相談では、約4.3%が10代以下の児童であったとされています。 そこで、お伺いをいたします。本県において10代以下の若年層や働き世代にコロナ後遺症がどのくらいあり、どのような症状が多いのか、健康政策部長に具体的にお伺いをいたします。 新型コロナウイルス後遺症の課題の一つが、コロナ後遺症、いわゆるロングコビッドについて、十分な理解と認知がまだ進んでおらず、症状に悩まされていても、それが後遺症であることに気づいていない、周囲の人も理解できないことが挙げられます。また、感染症に悩む人がやむを得ず休職する可能性も考えられ、そのような場合、周囲の理解も必要となります。そして、特に児童の場合、周囲の大人が後遺症に対する適切な知識を持ち、気づくことが非常に重要になってきます。感染しても軽症や無症状で済むことが多い子供の後遺症は、周囲の大人が気づかない場合、家庭内で見落とされる可能性があります。新型コロナウイルス後遺症について広く一般への周知と理解促進に取り組む必要があります。 そこで、お伺いをいたします。新型コロナウイルス感染症の後遺症の広く一般への周知や理解の促進をどのように行っていくのか、健康政策部長に具体的にお伺いをいたします。 新型コロナウイルス後遺症では、診療科を幅広くまたがる複合的な症状、治療方法が体系化されていないことを考えれば、専門外来などの専門医療機関の設置が必要となり、本県でも当然専門外来の設置は検討するべき課題です。その一方、全ての後遺症に悩む患者が外来を直ちに受診するということは想定されておらず、まずはかかりつけ医が診察を行い、必要であれば専門外来につなぐという形となります。 コロナ後遺症は、今後生活習慣病のように我々のすぐ近くに存在する疾患になる可能性も否定はできず、かかりつけ医の果たす役割は重要になります。かかりつけ医と保健所、専門外来が連携し取り組む環境整備をしていくことが今後一層重要となってきます。そしてまた、新型コロナウイルス後遺症の問題は、それを独立して捉えるのではなく、入院や宿泊療養の延長線上に位置づけることが必要です。入院患者の場合は退院後のサポート体制の整備、宿泊療養の人に対するその後のサポート体制など、切れ目ない支援体制づくりに取り組んでいく必要があります。 そこで、お伺いをいたします。かかりつけ医など、地域の医療機関から必要な患者を適切に専門外来につないでいくためには、保健所、かかりつけ医、専門外来の役割分担が重要と考えますが、入院や宿泊療養からその後の後遺症のサポートまで、切れ目ない支援が行える体制整備へ向けてどのように取り組んでいくのか、健康政策部長にお伺いをいたします。 次に、認知症に対する医療・地域包括ケアシステムの整備についてお伺いをいたします。 新型コロナウイルスは様々な面で我々の生活に影響を与えており、高齢者も例外ではありません。その中でも懸念されるのが認知症への影響であります。本年の骨太の方針においても、令和元年6月に取りまとめられた認知症施策推進大綱に基づく施策を実施することが明記されており、取組の強化が期待をされます。広島大学では、昨年全国945の高齢者医療・介護施設、751人の介護支援専門員を対象にオンライン調査を実施し、新型コロナウイルス感染症の拡大下において、認知症の方や家族に与える影響を調査しました。その結果、約4割の施設、約4割の介護支援専門員が認知症者に影響が生じたと回答し、具体的には行動心理症状の出現・悪化、認知機能の低下、身体活動量の低下などが挙げられました。 そこで、お伺いをいたします。新型コロナウイルスが認知症の人に与える影響に対して、県内の実態はどうなのか、それを踏まえ県としてどのような認識を持っているのか、健康政策部長にお伺いをいたします。 認知症施策推進大綱において、都道府県は二次医療圏ごとに地域の医療計画との整合性を図り、認知症疾患医療センターを計画的に整備する役割が明記されております。認知症の人に対する相談、診断等の対応を効果的、効率的に行うには、かかりつけ医や地域の相談拠点と専門医療機関が連携した体制の構築が必要であり、中心となる認知症疾患医療センターの役割が不可欠であるとされています。 そこで、お伺いします。認知症疾患医療センターを中心に、かかりつけ医や地域相談拠点と専門医療機関が連携した体制の整備をどのように進めていくのか、今後の取組も含め健康政策部長に具体的にお伺いをします。 今年の骨太の方針では、成年後見制度の利用促進が明記されています。全国どの地域に居住していても、成年後見制度を必要とする人が制度を利用できるよう、成年後見制度利用促進基本計画に基づく市町村の権利擁護センター等を含む中核機関の整備や、市町村計画の策定が推進されています。成年被後見人等の利益や生活の質の向上のための財産利用、身上保護に資する支援ができるよう、成年後見人等に対する意思決定支援の研修の全国的な実施を図ることが必要とされ、また任意後見、補助、保佐制度の広報、相談体制の強化や、市民後見人、親族後見人への専門的バックアップ体制の強化を図る必要があり、県を挙げて取り組む必要があります。 本県の市町村において、成年後見制度利用促進基本計画に基づく市町村の中核機関の整備や、市町村計画の策定の進捗はどうなっているのか、子ども・福祉政策部長に具体的にお伺いをいたします。 また、市町村がこれらの整備を行っていく上で、県も重要な役割を果たすと考えるが、どのように支援を行っていくのか、子ども・福祉政策部長にお伺いをいたします。 また、認知症と関連する重要な課題がセルフネグレクトであります。セルフネグレクトとは、生活環境や栄養状態が悪化しているのに、それを改善しようという気力を失い、周囲に助けを求めない状態を指します。その要因は、認知症、精神的・身体的障害、心理的要因など様々です。セルフネグレクトは周囲に自ら助けを求めないため、発見が難しく、予防的に関わり、早期発見が必要となります。精神的・身体的障害、心理的要因、認知症などの潜在的リスクを抱える高齢者に対し、地域での見守りの量と支援の質を強化し、重層的、包括的にシステム化して実施していく必要があります。 セルフネグレクトに陥っている可能性のある高齢者を早期発見するために、市町村や関連団体と連携し、どのような支援体制を構築していくのか、これまでの取組も含め、子ども・福祉政策部長にお伺いをいたします。 次に、事業承継の支援についてお伺いをいたします。 2025年までに70歳を超える中小企業・小規模事業者の経営者は約245万人と見込まれますが、うち約半数の約127万人の後継者がいまだ決まっていない状況にあります。中小企業・小規模事業者の有する技術、ノウハウなどの経営資源や雇用を喪失させないためには、次世代への適切かつ円滑な事業承継が必要です。高齢化が進む本県においても、2020年に高知県内で休廃業、解散した企業が前年比64件増の321件となっています。これはリーマンショック後の2010年からの推移と比較しても多く、その要因を安易にコロナに関連づけるのではなく、丁寧に背景を分析し、施策に反映させる必要があると考えます。 これらを踏まえ、県内企業に対し事業承継に関する現状をどのように把握し、事業承継の取組を進めていくのかについて商工労働部長にお伺いをします。 事業承継に対して施策が必要な業種の中でも、迅速な取組が必要となるのが建設・建築業界の事業承継です。建設業の廃業検討率が2021年3月は4.9%と、20社に1社が廃業を検討している状況です。建設業の事業承継においては、他業種に比べて課題が多くあります。代表的な課題には許可の引継ぎと経営業務の管理責任者の不足があり、今後しっかりと支援を行うことが必要です。そして、建設業、建築業の事業継続において重要なのが人材の確保です。人材を確保するためには、デジタル化により建設業界の働き方を改革し、より多くの人が働きたいと思える環境をつくっていく必要があります。 デジタル化を促進していくことをどのように建設業界の働き方改革につなげていくのか、そしてひいては建設業界の人材確保につなげていくのか、土木部長にお伺いをいたします。 また、事業承継の課題として挙げられるのが、事業を継ぎたいという意思がないということであり、事業に将来性が持てるような環境づくりも必要となります。2019年、日本政策金融公庫総合研究所の調査によると、廃業理由で最も多いのが、誰かに継いでもらいたいと思っていないの43.2%であり、その次に多いのが事業に将来性がないであり24.4%の人が理由として挙げています。事業承継に将来性が持てる環境づくりが必要であり、市場の変化に合わせた新たな事業の展開など、柔軟性のある施策が求められます。 事業承継において新たな事業の展開に対する支援をどのように行っていくのか、商工労働部長にお伺いをいたします。 次に、サプライチェーンの強靱化についてお伺いをいたします。 国土強靱化計画において、サプライチェーンの強靱化は既に議論されてきましたが、その重要性は新型コロナウイルス感染症の拡大によって再認識をされました。電機メーカー、半導体メーカー、建築業においても木材や部品の流通において長期的に影響が懸念されます。新型コロナウイルス感染症、そして地震、豪雨災害などの自然災害においては、サプライチェーンの維持が何より日常生活を取り戻すために重要であります。昨年9月議会において、本県におけるBCP策定、特に感染症に対応できるBCPの策定、BCMについてお伺いをいたしました。 そこで、お伺いをいたします。この1年で本県におけるBCP策定への取組及び進捗について、産業別及び企業規模別の情報も含め詳しく危機管理部長にお伺いをいたします。 また、本県産業のうち事業者数、従業員数が多い卸・小売業及び製造業などの商工分野におけるこの1年でのBCMへの取組及び進捗について商工労働部長にお伺いをいたします。 同じく、商工業分野において、感染症BCP策定に対してこの1年でどのような施策を行ったのか、その取組及び今後の課題について商工労働部長にお伺いをいたします。 サプライチェーンの強靱化では、5つの要素が要件として求められます。1つに、サプライチェーン上の潜在的なリスクを想定し、複数のシナリオの準備を行うバリューチェーンシナリオプランニング、2つ目に、有事の際の影響を最小限にとどめるため、代替候補の確保を指すレジリエンス、3つ目に、サプライヤー、生産拠点などの状況変化に対応するアジリティー、4つ目に、デジタル技術を活用し、自動化とリモート対応を通し効率化を図るデジタル化、5つ目に、オペレーションの標準化や高度化、コスト削減を意味するソリディティーであります。そのためにIoTやAIなどのデジタル化を活用しながら、サプライチェーンを調達から生産・販売まで一元的に管理するサプライチェーンマネジメント、SCM部門を整備することが重要となります。 本県において、デジタル化の促進を生かし、中小企業も含め、どのようにサプライチェーンの強化を行っていくのか、またひいては感染症や自然災害におけるレジリエンスを向上させていくのか、商工労働部長にお伺いをいたします。 サプライチェーンの問題で喫緊の課題が木材であります。アメリカや中国での投資の高まりにより輸入材価格が高騰し、入手が難しいという状況が発生をしております。国産材の流通ルートを持っている企業は影響が小さかったということも報じられており、リスク回避という意味でも、市場価格が維持できないなどの構造的な問題もありますが、輸入材に過剰に頼らず、国内で国産材の安定供給を実現するサプライチェーンの構築を検討することも重要となります。 そこで、お伺いをいたします。本県において木材のサプライチェーン強化に向けてどのように取り組み、需要に応じた県産材の安定供給へ尽力していくのか、林業振興・環境部長に具体的にお伺いをし、第1問といたします。   (知事濱田省司君登壇) ◎知事(濱田省司君) 田所議員の御質問にお答えをいたします。 まず、県としての分野を超えたヤングケアラーの支援体制についてお尋ねがございました。 本来、大人が担うような家事でありますとか家族のケアを日常的に子供が担っているという、いわゆるヤングケアラーをめぐる問題に関しましては、子供自身が声を上げにくいと、そういった構図にあるということに留意が必要だというふうに認識しております。このため、解決に向けましては周囲の大人が対象となる子供を早期に発見し、適切な支援につなげていくということが必要であります。 こうした観点に立ちまして、御指摘のありましたような国の令和4年度予算に計上が予想される事業の活用も含め、福祉、教育、介護、医療の各分野におきまして、ヤングケアラーの問題に対します社会的認知度の向上あるいは早期の発見、支援の取組の強化を図ってまいりたいと考えております。 具体的には、県におきましてプロジェクトチームを10月には立ち上げ、啓発活動や研修、実態の調査、福祉サービスの適切な運用などについて検討を進めてまいりたいと考えております。今後、これらの対策を本県の日本一の健康長寿県構想にも位置づけまして、福祉、教育、介護、医療の各分野におきます取組のPDCAをしっかり回してまいりたいと考えております。 次に、新型コロナウイルス感染症対策のいわゆる出口戦略につきまして、国に対して何を要請していくのかというお尋ねがございました。 お話もございましたとおり、今月9日に国から、ワクチン接種が進む中における日常生活回復に向けた考え方というものが示されました。国におきましては、いわゆるワクチン・検査パッケージなどを活用いたしました行動制限の緩和策の検討を進め、希望者へのワクチン接種が行き渡ります11月頃から適用したいという考えであります。 このパッケージは、可能な限り制約のない日常生活に戻していくというために必要なものと考えますけれども、整理をしなければならない多くの課題もあるというふうに認識しております。例えばということで申しますと、緊急事態宣言を解除する際の新たな基準は示されたわけでありますけれども、それ以下のステージにおきます対応を判断する際の基準の見直しは、今のところ行われておりません。 このため、高知県のように比較的感染が早期に収束をしたという県で、この問題を考えていくという立場からいたしますと、まずは国の分科会におきまして、いわゆるステージ3以下の区分を判断する際の新たな基準でございますとか、このステージごとに求められる標準的な制限、制約の内容を見直しまして、早急に示していただきたい、地方が様々な判断をする際の目安を提示してもらいたいという思いを持っているところでございます。 また、具体的にワクチン・検査パッケージなどを進めていくという局面を考えますと、特に病気などが原因でワクチンを受けたくても受けられない方に対する配慮が欠かせないというふうに考えております。このため、公平に機会が与えられるべき、例えば選挙ですとか入学試験といったパッケージの活用が適当でない場面、分野を具体的にガイドラインなどの形で例示しておくことが必要ではないかというふうに考えております。 また、こうした方々は例えば会食ですとか、旅行の参加という際には、検査を求められるということになるわけでありますので、こうした方々への検査機会の確保でございますとか、陰性証明書などの費用の負担をどういう形で行っていくかということも大きな課題ではないかという問題意識を持っているところでございます。 このほか、市町村におきます証明事務の負担の軽減などの問題を含め、課題への対応や問題点の解消に向けまして、国との協議の中で要請をしてまいりたいと考えている次第でございます。 私からは以上であります。   (子ども・福祉政策部長山地和君登壇) ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) まず、ヤングケアラーの実態や課題を把握する手法についてお尋ねがございました。 ヤングケアラーは、家庭内のデリケートな問題であること、本人や家族に自覚がないといった理由から表面化しにくい課題であるため、福祉、教育、介護、医療の各分野が連携してヤングケアラーを把握し、支援を行うことが大切です。そのためには、当事者の実情や課題を分析した上で、具体的な支援策を検討していくことが必要と考えております。 国の概算要求におきましても、自治体による実態調査を後押しする方向性が示されておりますので、その目的に沿って今後県内の中高生に対してインターネットを活用した実態把握のための調査を行うことを検討してまいります。こうした調査の実施により、中高生におけるヤングケアラーの概念の認知度や、当事者が担っているケアの内容、課題などを把握、分析することで、具体的な支援に向けた取組に生かしてまいります。 次に、県民や各市町村の要保護児童対策地域協議会の構成員に対する認知度向上の取組、また医療機関、福祉事業者、児童委員等が早期に発見するための取組についてお尋ねがございました。関連しますので、併せてお答えいたします。 ヤングケアラーへの支援に当たりましては、県民の皆様や各分野の関係者が、ヤングケアラーの問題についての認識を深めていただき、それぞれの活動の中で早期に発見し、必要に応じて各市町村の児童福祉担当部署につないでいただくことが重要です。そのため、認知度の向上に向けて研修等による啓発に取り組んでおり、来年1月からは医療機関や福祉事業所等に協力を依頼し、ポスターの掲示などを行う予定となっております。国は、来年度からの3か年を集中取組期間として認知度向上に取り組むとのことですので、県におきましても国の広報素材も活用し、広報活動等を積極的に展開してまいります。 子供の支援や家族のケアに関わる要保護児童対策地域協議会の構成員となります福祉、教育、介護、医療の行政関係者や事業者、民生委員・児童委員に対しましては、様々な機会を捉え、周知・啓発や研修を行っております。また、各市町村では課題を抱えている方を早期に発見し、必要な支援につなげるため、こういった方々が一体となった包括的な支援体制の構築に取り組んでいるところであり、県としましても高知県社会福祉協議会など関係機関と連携して、市町村への支援を行っているところです。 これらの取組に加え、10月から立ち上げる庁内のプロジェクトチームにおいて、各分野の専門職に対するヤングケアラーに関する研修の充実や、当事者や支援関係者を対象としたフォーラムの開催など、具体的な施策の検討を進めてまいります。 今後、認知度の向上や早期発見の取組を日本一の健康長寿県構想に位置づけ、各分野における取組のPDCAをしっかりと回してまいります。 次に、独り親家庭のヤングケアラーへの支援や育児支援の取組についてお尋ねがございました。 お話のように、育児等に対する不安や負担を抱える家庭に、不安や悩みを傾聴する相談支援や、家事、育児に関する支援を行うことは、家庭を支え、虐待リスクの高まりを未然に防ぐために大変有効な取組だと考えております。 現在、ヤングケアラーの家庭への支援につきましては、市町村の児童福祉担当部署と母子保健担当部署とが連携し、相談支援や家事、育児へのサポートを実施しています。県では、困難な状況にある家庭に対する支援力を強化するため、各市町村に対し子ども家庭総合支援拠点の設置を進めております。現在、9市町村が設置しており、令和4年度中に7割以上の市町村で設置されるよう取り組んでおります。 育児の支援につきましては、12の市町村がファミリー・サポート・センター事業を実施し、幼いきょうだいの保育所などへの送迎や預かり支援のサービスを行っています。令和2年度末で育児を援助する会員の登録者は858名となっており、令和6年度に1,000名の登録を目指して取り組んでまいります。また、保護者に養育上の支援が必要な場合は、養育支援訪問事業によるヘルパー派遣サービスを実施している市町村もありますが、サービスを担える事業者がいない地域やファミリー・サポート・センターが未設置の地域も多くあります。お話のあったモデル事業など、国においてもヤングケアラーがいる家庭などに対する相談支援や、家事・育児支援の在り方が検討されていることから、県におきましても家事や育児の負担を担うヤングケアラーへの支援について検討してまいります。 次に、就職氷河期世代の実態調査において明らかになった女性の就労に関する課題やニーズと、これらの世代の女性に対する就労支援についてお尋ねがございました。関連しますので、併せてお答えいたします。 昨年度実施した調査では、就職活動をしていない理由として、年齢が壁になり採用されなさそうが27.8%、希望する仕事がありそうにないが24.3%、知識・能力に自信がないが20%となっています。また、就職や転職をする場合に必要な資格やスキルについては、経理・OA事務関係が35.5%で最も高く、以下IT関係、介護・福祉関係となっておりますが、分からないとの回答が34.6%と2番目に高くなっております。 今回の調査で、自分に自信が持てないことや年齢などから就職活動を諦めたり、どのように就職活動を行えばよいか分からないといった課題がうかがえました。また、専門家による相談や職場訓練、職場見学といった就職支援に求めるニーズも見えてまいりました。 女性の就労支援につきましては、平成26年に開設をいたしました高知家の女性しごと応援室が支援を行っており、昨年度の就職者数は117名となっております。今回の調査で明らかになりました自信が持てないといった課題を踏まえ、しごと応援室では経験豊富なキャリアコンサルタントが相談者との面談を通じて、相談者の持つ強みや仕事に対する適性など、丁寧なアドバイスを行っております。また、面接の指導や職場見学への同行など、きめ細かな就労支援にも取り組んでいるところです。 令和3年度からは地域就職氷河期世代支援加速化交付金を活用し、しごと応援室に公認心理師を新たに配置し、就職活動に係る心のケアなど、心理面のサポートにも取り組んでおります。さらに、ジョブカフェこうちや若者サポートステーションにおいても、相談者に寄り添った就労支援を引き続き行っているところです。 今後ともこれらの相談機関やハローワーク、関係機関とも連携しながら、就職氷河期世代の女性の就労支援にしっかりと取り組んでまいります。 次に、両親が新型コロナウイルスに感染した場合に、ほかに頼る場所のない児童への支援についてお尋ねがございました。 保護者が感染により入院し、家族や親族など、ほかに養育できる方がいない濃厚接触児童につきましては、児童相談所の一時保護所で他の児童と接触しないよう、専用のスペースで受け入れる体制を整えております。また、一時保護所で受入れができない場合は、希望が丘学園に本年6月に設置をしました多機能型の簡易型居室で対応することとしております。 次に、市町村における成年後見制度利用促進基本計画に基づく中核機関の整備や計画策定の状況について、また県の支援についてお尋ねがございました。関連しますので、併せてお答えをいたします。 成年後見制度は、認知症や精神障害などの理由で判断能力の不十分な方々を保護し、支援する制度であり、中核機関は成年後見制度の利用を促すために市町村に設置することとなっております。 県内市町村の中核機関の設置状況は、設置済みが8市町、今後設置予定が13市町村、未定が13市町村となっています。また、市町村計画の策定状況は、策定済みが10市町、今後策定予定が20市町村、未定が4町村となっています。県では市町村への助言などを通じて成年後見制度の体制整備を支援してきたところですが、弁護士、司法書士、社会福祉士などの専門職をはじめとする人的資源が不足する中、中核機関の設置は十分に進んでいない状況となっております。 成年後見制度の利用促進については、国の基本計画において都道府県が家庭裁判所や都道府県社会福祉協議会、関係団体等との連携の下、市町村の体制整備の支援や働きかけを行うなど、広域的な観点から市町村の体制整備についての主導的な役割を果たすことが期待されているところです。 こうした中、県も参加をしている権利擁護の支援体制整備に向けた検討会では、司法と福祉の専門職や関係機関などが一体となった、市町村を後方支援する広域ネットワークが必要との議論が進んでいるところです。県としましてはこうした議論を踏まえ、市町村への後方支援の在り方も含めた具体的な検討を進めていくとともに、専門職団体や関係機関と連携して、市町村における成年後見制度の利用促進が加速されるよう取り組んでまいります。 最後に、セルフネグレクトの状態にある高齢者を早期に発見するための県の支援体制についてお尋ねがございました。 お話のように、介護や医療のサービスを拒否することなどにより社会から孤立し、生活や健康の維持が十分にできなくなっている、いわゆるセルフネグレクト状態にある高齢者は、生命や身体に重大な危険が生じるおそれがありますので、早期に発見し、必要な支援につなげることが大変重要となっております。各市町村では、地域の見守りネットワークの活用や地域包括支援センター、民生委員・児童委員の活動などを通じて、セルフネグレクトの状態にある方の早期発見に努めています。 しかしながら、セルフネグレクトの状態にある方は認知症や精神疾患、障害、アルコール関連の問題を有していると思われるケースが多くございます。こうした方にあっては、自ら支援を求めない、また家族や第三者からの支援の申出に対して、困っていない、支援してほしくないなどと支援を拒否する傾向にあるため、発見が難しいケースが多くあります。また、その方が抱える課題は身体的、精神的だけでなく、生活困窮など複雑多様化することも少なくありません。そのため、福祉、介護、医療、教育といった様々な分野が制度の枠を超えて連携し、情報を共有することで、潜在化しているセルフネグレクトの発見につなげることは有効な手法の一つであると考えます。 県としましては、高齢や障害、子供、生活困窮などの専門機関が一体となった、市町村における包括的な支援体制の構築に取り組んでいるところであり、市町村の地域福祉計画改定の機会などを通じて、体制の構築を支援してまいります。あわせて、早期発見、早期支援につなげることができるように、民生委員・児童委員をはじめ、地域の医療や福祉関係者などへのセルフネグレクトの認知度を高める研修の実施により、地域の見守りネットワークの強化に取り組んでまいります。   (教育長伊藤博明君登壇) ◎教育長(伊藤博明君) まず、ヤングケアラーに対する学習支援体制についてお尋ねがありました。 教職員は子供と長時間接するため、ヤングケアラーを発見しやすい立場にあると言われています。しかしながら、学校においてはヤングケアラーの概念や、その対応についての周知がまだ十分ではないことから、現在全ての校種の教員を対象として計画的に研修を行っているところです。 学校では、遅刻や欠席の増加や授業中のささいな態度の変化に加え、学校行事など保護者と接する機会を捉えて、子供の生活状況をできる限り把握し、ヤングケアラーなど支援を必要とする子供の早期発見と対応に努めております。そんな中で学習支援を必要とする子供がいる場合には、一人一人の状況に応じて学校教育活動の内外を通じた支援を行う必要があると考えております。 現在、県教育委員会では、県立学校34校において個別学習のための学習支援員を配置しております。加えて、市町村が行っている放課後等学習支援員の配置や、放課後子ども教室等での学習支援に対して財政的支援を実施しております。また、厳しい環境にある子供の学びを保障するために、県内では小中学生にいわゆる学習塾のような個別支援を行ったり、私塾に委託し、高校生へ学力保障の場を提供したりするなど、様々な学習支援が行われている市町村もあります。 今後、ヤングケアラーへの学習支援に向け、登校できる子供にはこのような既存の学習支援を確実に受けることができるよう、市町村教育委員会や学校と連携してまいります。また、登校することができていない子供については、福祉機関等と連携し、可能な保障を必要な家庭に届けることで、子供のケア負担を少しでも軽減し、学習のための時間確保ができるよう取組を進めてまいります。あわせて、持ち帰りのタブレット端末を活用した家庭での補習や個別学習についての研究を進めてまいります。 次に、教育がジェンダー観の形成に与える影響についてお尋ねがありました。 県教育委員会としましては、ジェンダー観の形成に向けて教育の役割は大きいものと認識しております。女性の人権については、平成10年から県民に身近な7つの人権課題の一つに位置づけ、児童生徒に対して継続的な人権学習を進めてきました。また、各学校においても男女混合名簿の実施率を高める取組などを行い、平成21年度は各校種での実施率が50%前後であったものが、令和2年度には県立学校では100%に、小中学校でも90%を超える状況となり、組織的な取組も進んできております。 しかしながら、学校の児童生徒の日常会話からは、男のくせにや、女のくせにといった発言や、調理は女子が行うものであるといった固定的な性別役割分担意識がまだ残っている現状も見られます。こうした性差に関する人権課題の解決を図るためには、人権教育の確実な推進が重要となってまいります。そのため、昨年度には人権教育指導資料の学校教育編の改訂に当たり、デートDVを含む女性の人権に関する学習指導事例を掲載し、人権教育主任連絡協議会や校内研修の場で周知を行い、各学校での活用を進めております。 また、人権教育資料集の乳幼児教育編の改訂においても、女性の人権に関する資料や実践例を掲載し、保育者研修や親育ち支援研修などで活用して、幼少期から、男だから、女だからという固定的な性別役割にとらわれない感覚を育むための教育、保育の実践及び充実を図っております。 今後、令和2年3月に改定しました高知県人権教育推進プランに示す取組を着実に推進するために、有識者から成る高知県人権教育推進協議会におきまして、就学前教育、学校教育、社会教育、関係機関との連携の分野別に協議を行い、令和4年3月をめどに提言をいただくことになっております。こうした提言を踏まえ、女性の人権を含む人権教育のさらなる充実を図ってまいります。 最後に、休校や休園になった際に子供を預ける場所のない保護者への支援をどのように行っていくのかとのお尋ねがありました。 小学校や保育所が休校、休園となった場合は、基本的には休暇取得などにより御家庭で対応されることが望ましいと考えておりますが、仕事の都合や家庭の状況などによっては難しい場合もあり、そうした保護者への支援は課題だと受け止めております。特に、休校、休園が長期化する場合には保護者の負担も増しますことから、その支援の必要性はより高まると考えております。これまでも本県においては、例えば昨年の一斉休校の際に小学校と放課後児童クラブが連携して、一日を通して子供の見守りを行った事例や、家庭での保育が困難な子供を特別に預かった事例など、市町村において状況に応じて対応が行われてきております。 また、国からは休校、休園時の代替措置として、ファミリー・サポート・センターを活用した預け先の確保などが例示されているところです。加えて、国におきましては休園による保護者への影響に鑑み、年内をめどに保育所など児童福祉施設における感染防止マニュアルや、開園を続けていくための業務継続計画のガイドラインが策定される予定とお聞きしております。 県教育委員会としましては、こうした国の動きに合わせて、県内の保育所に対して業務継続計画の策定を働きかけるとともに、休校、休園時の対応に関する県内外の事例をできるだけ把握し、各市町村が実情に応じて保護者への支援を行えるよう、適切に情報提供や助言を行っていきたいと考えております。   (商工労働部長松岡孝和君登壇) ◎商工労働部長(松岡孝和君) まず、本県企業の就職氷河期世代に対する見解の把握などについてお尋ねがございました。 就職氷河期世代の方々の就職を実現していくためには、就職氷河期世代の方々のニーズをしっかりと把握するとともに、雇い入れる企業側のニーズも把握し、マッチングしていくことが重要と認識しております。このため、これまでも就職氷河期世代の雇用に意欲的な就職氷河期世代チャレンジ応援団に御登録いただいている企業からお話を伺うなどしてまいりました。例えば、採用、育成に対する支援を望む企業には、国の特定求職者雇用開発助成金などを御紹介しております。また、雇用する前に適性を見極めたいという企業には、職場体験講習やジョブチャレンジなどの施策を御活用いただいているところです。 今後、より多くの就職氷河期世代の方の就職を実現していくためには、さらに多くの企業とのマッチングを進めていく必要があると考えております。このため、企業へのアンケート調査を10月に行い、改めて企業ニーズを把握し、施策をブラッシュアップしてまいります。また、アンケートに合わせまして、就職氷河期世代チャレンジ応援団を紹介するなどして、登録企業の増加も図ってまいります。 次に、事業承継に関する現状の把握と取組についてお尋ねがございました。 地域の経済と雇用を支える重要な役割を担っている中小企業者の事業承継は、大変重要なものと認識しており、これまでも産業振興計画の中で大きな柱の一つとして取り組んできたところです。昨年4月からは商工会、商工会議所の経営指導員等が、経営者が60歳以上の事業者を対象に、事業承継に係る支援の必要性の診断、把握に努めております。具体的には、後継者の有無などについてヒアリングするとともに、事業承継の支援策を紹介しているところです。 これまでの関係機関による診断件数は、昨年度は1,283件、今年度は8月末時点で前年同期の2倍以上となる742件となっており、診断により事業承継が必要な事業者の掘り起こしは進んできていると考えております。 引き続き、事業者の実態把握に努めますとともに、診断の結果、後継者が不在の事業者については、事業承継が進むよう経営指導員が個別に訪問し、お話を伺い、最終的には高知県事業承継・引継ぎ支援センターへつなげてまいります。このように関係機関と連携し、個別事業者の課題に応じきめ細かく対応していくことで、さらに多くの事業承継につなげてまいります。 次に、事業承継における新たな事業展開についてお尋ねがございました。 事業承継は、承継が済めばそれで終わりではなく、事業を承継した方が事業を確実に継続し、発展していただくことが何より大切です。このため、事業承継を契機とする新たな取組による設備投資や販路開拓等の費用への補助制度や、産学官民連携センターのココプラビジネスチャレンジサポートなどの支援制度を現在も紹介しているところです。あわせまして、商工会、商工会議所で事業承継を行った事業者の伴走支援も行っているところです。 今後とも事業者ごとの状況に応じまして、きめ細かく支援を行うことで、事業を承継した事業者の事業の継続、発展を支えてまいります。 次に、この1年でのBCMへの取組及び進捗についてお尋ねがございました。 策定したBCPをより実効性の高いものとするためには、定期的に訓練や従業員教育を行い、計画の内容を見直すBCMの取組が重要です。このため県では、令和元年度からBCMの取組を促すことを目的に、BCPの見直しにつながる図上訓練の手法を学ぶ講座を実施しており、昨年度は講座を2回開催し、39社、66人に御参加いただいたところです。こうした取組の結果、昨年度は前年度の1.5倍を超える85社が訓練を実施しており、徐々に取組が広がってきているところです。 しかしながら、さらに取組を進めていかなければならないと考えているところです。そのためには、まずBCPを策定する事業者を増やすことが必要です。特に、小規模事業者においてはBCPの策定が進んでいないことから、事業の規模に応じた事業継続のための簡易な計画の策定も支援してまいりたいと考えております。その上で、BCP策定支援の際にBCMにつなげるための講座を案内するなど周知徹底を図りまして、BCMに取り組む事業者も増やしてまいります。 次に、商工業分野における感染症BCP策定についてお尋ねがございました。 感染症が事業活動にもたらす影響は、発生時点で事業への影響が最も大きくなる自然災害に比べ、時間軸や地理的な範囲、さらには制約を受ける内容などが大きく異なることから、あらかじめ感染症のBCPを策定しておくことは重要です。このため県では、昨年から感染症BCPの策定の必要性を周知し、意識の醸成を図ってきているところです。また、今年度はBCPの専門家に策定のための手引と文書ひな形を作成いただき、より多くの事業者に御活用いただきますよう、ホームページで公開しているところです。 今後は、より多くの事業者に感染症BCPを作成していただきたいと考えており、その必要性についてのさらなる理解の促進や周知が当面の課題になると考えております。まずは、10月に高知市及び四万十市において計3回の策定支援講座を実施する予定で、現在メディアやインターネット、チラシなどを活用し、講座参加者の募集を行っているところです。今後とも商工会、商工会議所、産業振興センターなどの関係団体と連携し、感染症BCP策定の取組を加速してまいります。 最後に、デジタル化の促進を生かしたサプライチェーンの強化についてお尋ねがございました。 企業にとって原材料の調達から物流・販売までのサプライチェーンを構築し、さらに強化していくことは、事業を安定的に継続していく上で非常に重要であると考えております。このため県では、これまでも事業戦略などの策定を通じて、サプライチェーンの構築、強化の支援も行ってきたところです。 こうした中、デジタル技術の活用はサプライチェーンの強化に向けても非常に有効な手段だと考えております。例えば、生産や販売の部門間でリアルタイムの情報共有を行うことにより、原材料の調達から製造、出荷までの一連の流れを強化することが可能となります。さらに、事故や災害の発生時における生産再開に向けた迅速な対応にもつながってまいります。 こうしたことから、本年4月に産業振興センターに設置したデジタル化推進部など、関係機関とより一層連携しまして、デジタル技術の活用をさらに促し、県内企業のサプライチェーンの構築、強化を進めてまいります。また、その際には感染症や自然災害などの災害時にも生かすことを想定し、取り組んでまいります。   (危機管理部長浦田敏郎君登壇) ◎危機管理部長(浦田敏郎君) まず、飲食店等に対する営業時間短縮への協力状況の調査についてお尋ねがございました。 まん延防止等重点措置の期間中に行いました飲食店等の調査は、要請に応じていない店舗を把握し、こうした店舗に対する個別の要請等につなげることを目的に実施したものです。調査は、民間事業者に委託をし、店舗でのトラブルを避けるため、外観目視の方法で行っています。このため、明かりがついていても片づけ中なのか営業をしているのか、またテークアウトのみなのか、店内での飲食もさせているのか、こういった判断が1度では困難であり、複数回の巡回が必要であったとの報告を受けております。 また、店は閉まっているが、県の要請に応じているという趣旨の貼り紙がない店舗や、そもそも20時以降は営業していなかった店舗、既に廃業していた店舗などは協力店ではなく、その他の店舗として分類をしています。そのため、その数が多くなっておりますが、いずれも20時以降に営業していないことを確認しています。 今後、委託事業者から調査時における課題についてヒアリングを行うとともに、他県の事例なども参考にしながら、より精度の高い調査方法について検討を行いたいと考えております。 次に、要請に応じない事業主への命令、公表に対する基本方針についてお尋ねがございました。 新型インフルエンザ等対策特別措置法では、営業時間短縮の要請等に正当な理由なく応じない場合、知事は事業を行う者に対して命令をすることができ、命令をしたときにはその旨を公表することができるとされています。県としましては、要請に応じていただけていない事業者に対しましては、まずは任意での協力を粘り強く働きかけていくこととしています。それでもなお要請に応じていただけない場合には、その他の事業者との公平性の観点から、法の趣旨や国の手続に従って命令を行ってまいりたいと考えています。 一方で、公表に関しましては、国の事務連絡におきまして、公表により、かえって多くの利用者が集まることが想定される場合には公表しないこともできるとされています。このため、他県におきましても感染拡大防止の観点から逆効果になることを懸念し、非公表としている事例も見受けられるところです。県といたしましては、命令を行った場合は基本的には公表するべきであると考えていますが、こうしたデメリットも勘案しながら、状況に応じて慎重に判断していく必要があるものと考えています。 最後に、BCP策定への取組や進捗についてお尋ねがございました。 県では、県内事業者のBCP策定率の向上に向けて、民間保険会社などと連携した策定支援のほか、産業別にBCP講習会の開催や先進事例の周知などを行っているところです。この1年間の取組の成果として、病院ではBCP講演会の開催、事務長会や病院立入検査の際に必要性や支援制度について周知を行い、策定率は52%から60%となりました。従業員50人以上の商工業者では、BCP策定講座や策定のフォローアップを行い、策定率は69%から76%となっております。 一方、社会福祉施設や宿泊施設では、従業員50人以上の事業者のBCP策定がほぼ完了しているため、従業員49人以下の事業者での策定を推進しています。具体的には、社会福祉施設では民間保険会社と連携した講習会の実施や、施設の状況に応じた策定のノウハウの提供、個別の働きかけを行った結果、策定率は62%から76%となりました。宿泊施設につきましては、対象事業者数が約600と多いため、昨年度から外部委託による個別の策定支援を実施することで、新たに13事業者の策定が完了し、策定率は7%から10%となりました。また、個人経営や小規模事業者が多い建築事業者については、策定講座や業界団体への働きかけなどを行い、策定率は23%から25%となっております。 これらの取組により、BCPの策定は着実に進んでいますが、小規模な事業者が多い産業分野では、短期間で策定を進めることが難しい状況であります。このため、講習会の開催や外部委託による個別の策定支援など、一定の効果があったこれまでの取組を継続していくことで、事業者のBCP策定を支援してまいります。   (健康政策部長家保英隆君登壇) ◎健康政策部長(家保英隆君) まず、本県における若年層や働き世代のコロナ後遺症の現状についてお尋ねがございました。 療養後のフォローの中で把握した県内における後遺症の実態として、本年3月上旬から7月下旬に広がった第4波における患者で、4週間後の状況が確認できました869人のうち、18.5%に当たる161人に後遺症と思われる症状が認められました。 年代別には、10代以下の年齢層では、141人のうち10.6%に当たる15人が症状を訴えており、症状としては味覚・嗅覚障害、発熱、せきなどがございます。一方、働き盛り世代とされる30歳代、40歳代では、290人のうち23.8%に当たる69人が症状を訴えられており、症状としては味覚・嗅覚障害、せきの症状以外に、倦怠感や疲れやすいといった症状がございます。 次に、新型コロナウイルス感染症の後遺症に係る周知や理解促進をどのように行っていくかについてお尋ねがございました。 県内にも新型コロナウイルス感染症の後遺症と気づかずに療養後の生活を送っている方々がおられると思います。このため、今後県のウェブサイトなどを通じて、後遺症としての多様な症状や国の研究成果を紹介することなどによりまして、県民の理解と周知を図ってまいります。その際には、議員から御指摘があったように、後遺症を持ちながら仕事や学業を継続していくことへの支援も重要であることから、産業保健や学校保健の分野とも連携しながら、職場や教育現場における周知と理解を進めてまいります。 次に、コロナ後遺症について、切れ目のない支援を行える体制の整備についてお尋ねがございました。 入院や宿泊療養などが終了された患者さんに対しては、おおむね4週間後に保健所が体調等の確認を行うこととしております。後遺症の症状が認められる場合には、保健所と診断を行った医療機関やかかりつけ医などが連携したフォローアップが重要と考えております。新型コロナウイルス感染症の後遺症の症状は多種多様ですが、多くは軽微なものであり、まずは新型コロナウイルス感染症の診断を行った医療機関やかかりつけ医にフォローアップを行っていただくことが適当と考えております。 しかしながら、後遺症が複数の診療科領域にわたっている場合や、重い症状が認められる場合には、かかりつけ医からの紹介を受けて専門的な診療を行うことができる体制を確保しておく必要があると考えます。このため、現在高知大学医学部附属病院と専門外来の設置に向けて協議をしております。おおむね設置は合意いただいておりますが、詳細な手続がまだ詰めている最中でございますので、それが判明しましてから実際の紹介になると思います。 各医療機関からの必要に応じて専門外来へ紹介いただく流れなど、療養の終了後から後遺症に係る支援が円滑に行われるよう、県医師会などと連携して調整を進めてまいります。 次に、新型コロナウイルス感染症が認知症の人に与える影響等についてお尋ねがございました。 高齢者の方が感染を恐れて社会参加の自粛など、生活全般の活動が低下することで、認知機能をはじめ心身の機能が低下するリスクが高くなることが懸念されます。ショートステイや通所系の介護サービスについては、一時期提供が控えられた時期もございましたが、高齢者や施設職員のワクチン接種も進む中、現在は十分な感染防止対策を実施した上で、継続的にサービスが提供されている状況でございます。 一方、認知症カフェなどの日常の集いの場については、感染拡大の時期において中止となったことで、県内市町村の地域包括支援センターの職員などからは、認知機能の低下が見られたり、不穏な状態になった方もいたとお聞きしております。その対応といたしましては、地域包括支援センターやあったかふれあいセンターの職員が、訪問や電話などにより健康状態や生活状況を確認するなど、認知症高齢者の方やその御家族の方々の不安の解消に努めております。 県としましても、今後とも市町村や関係団体から情報収集をしながら実態の把握に努めますとともに、認知症の家族の方々からの様々な相談に対応する認知症コールセンターなどのさらなる周知を図ってまいります。 最後に、認知症疾患医療センターを中心とした体制の構築についてお尋ねがございました。 県内の認知症疾患医療センターは平成22年度より整備を進め、現在は各二次医療圏域に地域型を1か所、また基幹型を県内1か所の合計5か所に設置しており、認知症の速やかな鑑別診断や専門医療相談などを実施しているところです。 令和3年3月に取りまとめました高知県認知症施策推進計画では、基本的施策の中の一つに認知症の早期発見・医療体制の充実を掲げ、認知症疾患医療センターに日常生活支援のための相談員を配置するなど、体制強化を図っております。また、各市町村には認知症の方々やその御家族などを複数の専門職が訪問し、相談対応や状況観察を行う認知症初期集中支援チームが設置されており、必要に応じて認知症疾患医療センターにつなげるなどの活動を行っております。 県といたしましては、この認知症初期集中支援チームへのアドバイザー派遣や、かかりつけ医、歯科医師、薬剤師、看護師などを対象とする認知症対応力向上研修を実施しております。今後ともこうした取組を通じて認知症疾患医療センターを中心として、各地域の地域包括支援センターや認知症初期集中支援チーム、介護サービス事業所など関係機関の連携強化を図り、認知症ケアの向上に努めてまいります。   (土木部長森田徹雄君登壇) ◎土木部長(森田徹雄君) デジタル化の促進による建設業界の働き方改革と人材確保についてお尋ねがございました。 南海トラフ地震や豪雨などの自然災害への対応やインフラの維持管理など、建設業に求められる社会的役割は、より重要性を増しております。しかしながら、建設業界は従事者が大きく減少し、若者をはじめとする入職者も少ないなど、人材確保が喫緊の課題となっております。 現在、県では、人材確保策の強化と建設現場のデジタル化による生産性向上の推進を柱として、建設業活性化プランの見直しを行っております。このうちデジタル化については、今年度高知県建設業デジタル化促進モデル事業を創設し、県内建設事業者を対象にICT関連機器の導入経費を支援するなど、ICTの活用を県内全域に広げる取組を行っております。こうした取組を通じ、ドローンを用いた測量や3次元設計データを活用したICT施工などを普及させ、建設現場の生産性の向上による労働時間の縮減や休日の確保など、働き方改革の実現を目指してまいります。 このようにデジタル化による働き方改革を進めることで、建設業が魅力ある産業であるということを、若者を中心とした幅広い層にPRし、建設業の人材確保につなげていきたいと考えております。   (林業振興・環境部長中村剛君登壇) ◎林業振興・環境部長(中村剛君) 木材のサプライチェーン強化に向けてどう取り組み、需要に応じた県産材の安定供給に尽力していくのかにつきましてお尋ねがございました。 いわゆるウッドショックの影響により不足しております輸入材の代替として、国産材、特に建築用製材品の需要が急増しておりますが、現在はその生産に必要な原木が入手しづらい状況となっております。今般のような急激な需要の増加にも対応し、県産材を安定的に供給するためには、川上、山側の素材生産事業者から製材事業者に至るサプライチェーンを強化する必要がございます。このため、6月補正予算により緊急的に製材事業者が原木の生産や流通事業者と協定を締結し、その協定に基づき県内産の原木を安定的に調達する取組を支援することといたしました。 林業、木材産業の持続的発展のためには、サプライチェーンを強化する取組が今後ますます重要になってまいります。また、その構築に当たりましては、最終の需要先である建築事業者などにも参加していただくことが、その広がりの点からも、また川下のニーズを川上の生産に直接つなげるという点からも、より効果的であります。 このため、川上から川下までの事業者により立ち上げました高知県SCM推進フォーラムでは、サプライチェーンの構築に向けた意見交換を重ねていただいております。また、仁淀川地域で具体的に進められている、情報システムにより原木流通を管理するモデル的なサプライチェーンの取組を支援しております。 この9月には、こうした川上から川下に至る連携をさらに強化するため、関係3課長から成るタスクフォースを部内に立ち上げました。このタスクフォースによりまして、本年度のサプライチェーンマネジメントの取組を確実に進捗させるとともに、林業、木材産業全体の成長産業化に向けた政策を検討し、その中で次年度に向けた川上から川下の連携強化の取組につきましても、さらにバージョンアップしてまいります。 ◆27番(田所裕介君) 御答弁ありがとうございました。2問目に移らさせていただきたいと思います。 まず、要請でございますが、ヤングケアラーの支援についてでございます。様々、なかなか概算要求が出たばかりで、これから取組を検討もしていかなければならないという中で、非常に前向きな答弁をいただいたと理解をしておるところでございます。ただ、このヤングケアラーの問題ですね、6月議会からもそうですが、様々な先生方が御質問されていると思うんです。やっぱりこの問題は、一見最近出てきた問題のように取られていますけれど、実はそうではなくて、なかなか顕在化していなかったと、そういう背景がございます。やっぱりこういう特性といいますか、これを把握していく、まず施策を立てていく、それと既に施策がいろいろあると思いますので、そこへつなぐ体制づくりというのが非常に重要になってくると思います。 その中でアンケート調査を実施されて、まず実態把握をと検討されるというようなお話でございましたので、ぜひとも前向きにそれを進めていただきたい。実態を把握して、それから施策に生かしていくというような形でお願いできればと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。 次に、女性の就職氷河期支援についてでございますが、本県がこの補助金を獲得して、全国に先駆けてこの施策を講じている姿勢であるというふうに感じておるところでございます。また、男女共同参画の問題とか、女性の就職氷河期問題を捉えづらいのは、やっぱりジェンダー観と深く関係していると私は考えているところでございます。特に教育長お答えいただきましたが、やはり教育で幼い頃からジェンダー観について学んでいくということの大切さ、これは非常に重要になってくると私は思っているところでございます。 これらの教育とそれ以外の施策というものを両立させながら、女性の氷河期世代支援、そして男女共同参画を推進していただきたいと思います。これは要請でございます。 次に、新型コロナウイルス後遺症の件でございますが、この後遺症、やっぱりずっと前から日本ではかなり危機感を持って話題にも上がっておったところでございます。先ほどのお話の中で、高知県でも全国的な影響と変わらないような状況にあって、大体結構な数が確認をされておるというふうにお見受けしたところでございます。 また、先ほど専門外来のお話もされておったと思います。もちろん専門外来の整備も当然ながら必要なことであるんですが、やっぱり今のお話で言うと、子供であったり、あと働き世代ですね、こういうところに、なかなかかかりつけ医というところもつながっていないところもございます。そういうところと専門外来と、あとかかりつけ医、保健所がしっかり連携していけるような、地域の医療機関とやっぱり連携していくというような体制をつくって、言うたら切れ目ない支援を目指していただきたいと思うところでございます。 次ですが、サプライチェーンのお話でございます。特に、この新型コロナウイルス感染症の拡大によって、やっぱり認識した課題の一つがサプライチェーンの重要性であると思っております。御答弁の中にBCPに限らずBCM、また感染症BCPの取組も、周知も含めて始められたというところで、そこは個人的には大きく評価をしているところでございます。まだこれから小規模事業者、本県の経済状況によって小規模事業者の周知を進めていくということは、なかなかハードルも高うございますが、そこをしっかりと伴走支援でできるような形でやっていただきたいと思うところでございます。 それと、最後にこれは2問目にさせていただきますが、出口戦略について知事から御答弁をいただいたところでございます。この出口戦略というのは、やっぱり感染防止と経済回復というところを両立してやっていくというようなところが、今回打ち出しをされたところでございます。知事がおっしゃるとおり、ワクチン・検査パッケージの話であったり、あとステージにおける基準がないこと、国へ協議をしていくということを全国知事会が要請しておるので、そこでしっかりと要請をされているということだと思うんですが、その中でもう一つ、ワクチンを受けれない人に対してどのように支援をしていくのか、打ちたくても打てない状況の方とか、一定おられると思いますので、その方への支援というのは、やっぱりしっかり国とも協議しながら考えていただきたいというのがあります。 先ほども申しましたが、やっぱり感染防止、出口戦略に対してまだ大きな枠組みといいますか、打ち出しがまだ少ないですけれど、ワクチンパッケージ、感染防止と経済回復というのを両輪でやっていくという中で、それが両立していかないと、なかなか出口戦略としては難しいのかなと思っています。その中で全国知事会も指摘をしておりますが、ワクチンパッケージのことと、それと第三者認証のことですね。これが実情今なかなか自治体、都道府県において少しばらつきがあるということで、全国知事会もこれの基準の統一化とか、そういうことを要請されておるという背景もございます。 本県においても第三者認証制度で進められていくことかと思いますが、こういう背景を受けて、本県として出口戦略を描いていくに当たって、感染防止と、そして経済の回復、これを両立させながらどのように出口戦略に対して取り組んでいくのか、知事のお考えをお聞きして、第2問としたいと思います。 ◎知事(濱田省司君) 田所議員の再質問にお答えをいたします。 お話がありましたように、今後感染防止と社会経済活動の回復、この両立をいよいよ図っていくというような局面に移りつつあるということだと考えております。そうした中で、ただいま御指摘いただきましたように、有力なその際のツールといいますか、1つはワクチン・検査パッケージということだと思います。この点は、ただいまも答弁申し上げましたとおりでございますが、国の動向にもよく注意をいたしまして、県としての意見も申し上げて、これを活用していくということでございます。 もう一点、特にいわゆる第三者認証の話を伺ったところでございます。これも非常に両立を図っていくという意味では大事な制度といいますか、スキームであるというふうに考えております。県としても今まで、もともと制度をつくる前からいわゆるGo To Eatのような取組については、第三者認証の認定の対象となった店のみに適用していくと--方向性としてはですね、今後の話として--というような形での支援策といいますか、促進策も考えたわけでございます。 現実に国のほうから、第三者認証の店に関しましては、特に今後仮にまた時短要請などをせざるを得ないような場合にも営業時間のより延長ができるとか、ないしは酒類の提供を一般的には停止を要請するときにも対象外にするといったような形で、取組を後押ししていくという方向性も出ておりますので、他県での取組、現実に行われているものなども参考にしながら、第三者認証の制度を生かしていくことで取り組んでまいりたいというふうに考えております。 そうした中で、現状8月から申請を始めまして、一昨日で見ますと、申請数が1,800件、認証数が189施設というところまで来ているということでございます。できるだけ多くの飲食店の皆さんに申請をいただき、また認定をできるだけ作業も急いでいくということは必要だと考えておりますので、引き続き関係部の取組を督励してまいりたいと考えております。 ◆27番(田所裕介君) 丁寧な御答弁本当にありがとうございました。先ほどの話でもありました、本県これからまた新たなフェーズに向かっていくんだなと思うところでありますし、やっぱりしっかりと経済活動と感染抑制を、まさに両輪でかじ取りをしていくことが必要になってくると思います。もちろんのことでありますけれど、まずは県民の命を守って、そして県民が安心して暮らしていける社会を守ることを第一に、引き続き対策を講じていただきたいとお願いをするところでございます。 今、新型コロナウイルス感染症に対して、必死で対応していただいている知事並びに執行部、県職員の皆様に対して敬意と感謝を申し上げるとともに、またこれからの社会に向けた施策に御期待を申し上げ、私からの一切の質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手) ○議長(森田英二君) 以上をもって、本日の議事日程は終了いたしました。 明10月1日の議事日程は、議案に対する質疑並びに一般質問であります。開議時刻は午前10時、本日はこれにて散会いたします。   午後4時28分散会...