高知県議会 > 2021-06-29 >
06月29日-02号

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  1. 高知県議会 2021-06-29
    06月29日-02号


    取得元: 高知県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-16
    令和 3年  6月 定例会(第358回)-----------------------------------        令和3年6月29日(火曜日) 開議第2日-----------------------------------出席議員       1番  上治堂司君       2番  土森正一君       3番  上田貢太郎君       4番  今城誠司君       5番  金岡佳時君       6番  下村勝幸君       7番  田中 徹君       8番  土居 央君       9番  野町雅樹君       10番  浜田豪太君       11番  横山文人君       12番  西内隆純君       13番  加藤 漠君       14番  西内 健君       15番  弘田兼一君       16番  明神健夫君       17番  依光晃一郎君       18番  梶原大介君       19番  桑名龍吾君       20番  森田英二君       21番  三石文隆君       22番  山崎正恭君       23番  西森雅和君       24番  黒岩正好君       25番  大石 宗君       26番  武石利彦君       27番  田所裕介君       28番  石井 孝君       29番  大野辰哉君       30番  橋本敏男君       31番  上田周五君       32番  坂本茂雄君       33番  岡田芳秀君       34番  中根佐知君       35番  吉良富彦君       36番  米田 稔君       37番  塚地佐智君欠席議員       なし-----------------------------------説明のため出席した者  知事         濱田省司君  副知事        井上浩之君  総務部長       徳重 覚君  危機管理部長     浦田敏郎君  健康政策部長     家保英隆君  子ども・福祉政策部長 山地 和君  文化生活スポーツ部長 岡村昭一君  産業振興推進部長   沖本健二君  中山間振興・交通部長 尾下一次君  商工労働部長     松岡孝和君  観光振興部長     山脇 深君  農業振興部長     杉村充孝君  林業振興・環境部長  中村 剛君  水産振興部長     松村晃充君  土木部長       森田徹雄君  会計管理者      井上達男君  公営企業局長     橋口欣二君  教育長        伊藤博明君  人事委員長      秋元厚志君  人事委員会事務局長  澤田博睦君  公安委員長職務代理者 小田切泰禎君  警察本部長      熊坂 隆君  代表監査委員     植田 茂君  監査委員事務局長   中村知佐君-----------------------------------事務局職員出席者  事務局長       行宗昭一君  事務局次長      山本和弘君  議事課長       吉岡正勝君  政策調査課長     川村和敏君  議事課長補佐     杉本健治君  主幹         春井真美君  主査         久保淳一君-----------------------------------議事日程(第2号)   令和3年6月29日午前10時開議第1 第1号 令和3年度高知県一般会計補正予算 第2号 高知県過疎地域における県税の課税免除に関する条例議案 第3号 高知県保護施設の設備及び運営に関する基準を定める条例議案 第4号 高知県婦人保護施設の設備及び運営に関する基準を定める条例議案 第5号 高知県個人情報保護条例及び高知県行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律に基づく個人番号の利用並びに特定個人情報の利用及び提供に関する条例の一部を改正する条例議案 第6号 職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例議案 第7号 高知県税条例の一部を改正する条例議案 第8号 半島振興対策実施地域における県税の不均一課税に関する条例の一部を改正する条例議案 第9号 高知県手数料徴収条例の一部を改正する条例議案 第10号 高知県介護福祉士等修学資金貸与条例及び高知県認定こども園条例の一部を改正する条例議案 第11号 高知県介護保険財政安定化基金条例の一部を改正する条例議案 第12号 高知県指定障害児通所支援事業者等が行う障害児通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例及び高知県指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例議案 第13号 高知県の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例議案 第14号 高知県特定非営利活動促進法施行条例の一部を改正する条例議案 第15号 高知県高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に係る特定道路の構造、特定公園施設の設置及び信号機等に関する基準を定める条例の一部を改正する条例議案 第16号 高知県公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例の一部を改正する条例議案 第17号 県有財産(航空機)の取得に関する議案 第18号 県有財産(教学機器)の取得に関する議案 第19号 都市計画道路高知駅秦南町線防災・安全交付金(久万川橋耐震・補強)工事請負契約の締結に関する議案 第20号 国道493号(北川道路)道路改築(和田トンネル)工事請負契約の一部を変更する契約の締結に関する議案 報第1号 令和2年度高知県一般会計補正予算の専決処分報告 報第2号 令和3年度高知県一般会計補正予算の専決処分報告 報第3号 令和3年度高知県一般会計補正予算の専決処分報告 報第4号 高知県税条例等の一部を改正する条例の専決処分報告 議発第1号 高知県新型コロナウイルス感染症の感染拡大から県民を守るための条例議案 議発第2号 高知県新型コロナウイルス感染症に関する条例議案第2 一般質問   (3人)-----------------------------------   午前10時開議 ○議長(森田英二君) これより本日の会議を開きます。----------------------------------- △諸般の報告 ○議長(森田英二君) 御報告いたします。 公安委員長西山彰一君から、所用のため本日の会議を欠席し、公安委員小田切泰禎君を職務代理者として出席させたい旨の届出がありました。 次に、第6号議案については、地方公務員法第5条第2項の規定に基づき人事委員会に意見を求めてありましたところ、法律の改正に伴うものであり、適当であると判断する旨の回答書が提出されました。その写しをお手元にお配りいたしてありますので御了承願います。   〔人事委員会回答書 巻末232ページに掲載〕----------------------------------- △質疑並びに一般質問 ○議長(森田英二君) これより日程に入ります。 日程第1、第1号「令和3年度高知県一般会計補正予算」から第20号「国道493号(北川道路)道路改築(和田トンネル)工事請負契約の一部を変更する契約の締結に関する議案」まで及び報第1号「令和2年度高知県一般会計補正予算の専決処分報告」から報第4号「高知県税条例等の一部を改正する条例の専決処分報告」まで並びに議発第1号「高知県新型コロナウイルス感染症の感染拡大から県民を守るための条例議案」及び議発第2号「高知県新型コロナウイルス感染症に関する条例議案」、以上26件の議案を一括議題とし、これより議案に対する質疑並びに日程第2、一般質問を併せて行います。 通告がありますので、順次発言を許します。 16番明神健夫君。   (16番明神健夫君登壇) ◆16番(明神健夫君) それでは、自由民主党を代表し、通告に従いまして一般質問を行います。 新型コロナウイルス感染症への対応についてであります。 先月中旬以降、本県でも全国的に第4波と言われる新型コロナウイルスの感染の急拡大により、過去最高となる1日当たり38人の感染者を記録するなど、再び非常に厳しい状況に置かれました。最近の感染状況はピークを越えたとはいえ、下げ止まりから微増傾向にあり、依然予断を許さない状況にあるものと認識しているところです。 こうした状況の中、コロナ対策の切り札となるワクチン接種が全国的に進んでおり、本県においても市町村の懸命の御努力により、7月末の高齢者接種完了のめどが見通せるようになりました。今後は一般接種の加速が大きな焦点となっており、職域接種の拡大をはじめ各自治体でも様々な工夫が行われるなど、ワクチン接種加速の動きが全国的に拡大しております。 本県においても、職域接種支援プロジェクトを立ち上げ、7月中旬には高知市に県営接種会場を設置し、職域ごとに接種を進めることや、企業等における職場接種の支援を行うことにより、県全体の接種の加速化を図るとされています。官民が連携することによって一層の加速が期待されるところであります。 一方で、国が行っている職域接種の受付については、ワクチン配付可能量などの問題から、現在一時休止されています。そこで、このことによる本県への影響と対応について知事にお伺いをいたします。 次に、飲食店におけるクラスターの発生が全国的に報告されております。どうしてもマスクを外す飲食の場面で感染のリスクが高くなり、本県においても飲食店での感染事例が出ています。こうした中、今回提案された補正予算案では、感染症対策に取り組む飲食店を第三者が認証する、高知家あんしん会食推進の店認証制度の創設が盛り込まれております。またあわせて、認証を受けた店舗への応援金の支給も提案されております。 こうした認証制度の創設や応援金の支給について、どういった狙いを持って実施することとしたのか、制度の実施スケジュールと併せて知事にお伺いをいたします。 また、ワクチン接種が完了するまでの間、県内経済状況に応じた対策を実施していくことも重要と考えるが、知事の思いをお伺いします。 続きまして、高知工科大学の新学群設置構想についてであります。 現在、我が国においてはSociety5.0の実現によるさらなる経済成長や生産性の向上に向け、社会全体のデジタル化が不可欠となっております。本県においても、ウイズコロナ、アフターコロナの時代における社会構造の変化に対応し、県民生活の利便性や生産性を飛躍的に向上させるために、AIやIoTといったデジタル技術の活用についての取組を進めているところであり、産業振興計画のバージョンアップを行うとともに、医療・福祉分野、教育分野、行政分野など様々な分野におけるデジタル化の加速の取組を展開しようとしているものと承知しております。 こうした中、同大学では、将来社会において求められる様々なシステムの開発、新たな産業やビジネスの創成に向け、デジタル技術によるデータの分析や、経済、経営、マネジメントなど幅広い知識に基づいて行うことができる人材を育成、輩出するため、新たな学群、データ&イノベーション学群設置構想の取組を進めており、本年の2月議会の本会議において、この構想への知事の御所見について質問があったところであります。 私も、この構想自体は専門人材が不足している本県において、県が取り組む様々な分野のデジタル化の推進に大きく貢献する可能性があるものと考えております。ただ一方で、同大学は直近3年間の卒業生の就職先を見ましても、県内への就職者の割合が約17%にとどまるなど、県内のほかの大学と比較しても極めて低い数値となっております。中でも、在学生の7割以上を占める県外出身者においては、僅か5%程度にとどまっている現状であります。さらに、研究開発や企業支援などに関しても、同大学が本県の産業、経済に対し、どのように貢献しているのかということが、県民あるいは経済界に十分に伝わっていないのではないかとも感じているところであります。 そこで、まず高知工科大学の卒業者の進路や県内への貢献度などの現状について知事に御所見をお伺いします。 こうした現状を踏まえれば、実際に本県にとってどのようなメリットがあるのかという点からも、まずは新学群の設置ありきではなく、本県の各産業分野における具体的なニーズなどをしっかりと把握するとともに、新学群の必要性や期待される効果とそのニーズにどう応えていくのか、さらに多額の県費を投じるのであればその財源などについても、県議会での議論も踏まえながら、慎重かつ丁寧に検討を進めていくべきであると考えます。 知事は、本年2月県議会定例会において、新学群の設置構想の方向性は、デジタル化の時代の流れに沿ったものであると評価された一方で、今後構想の具体化に当たっては、本県の産業界が具体的に求めている人材や研究開発への支援などのニーズをしっかりと把握し、それに応えるためにはどのような学群とすべきかなどのさらに掘り下げた検討を進めた上で、高知県公立大学法人と具体的な議論を行うといったお考えを答弁されました。 そういった中で、今月20日付の日本経済新聞に高知工科大学から新学群教員募集の広告がされております。表題には、データ&イノベーション学群新設の教育講師とされ、あたかも新学群の設置が決定事項であるかの誤解を与えかねないものであると言わざるを得ません。さらに、大学のホームページ上でも告知をされております。また、これまでにおいてもこの新学群構想が、将来地域社会に貢献できる人材の輩出、教育研究の成果を地域社会に還元するという目的より、あたかも新学群の設置ありきと捉えられかねない点が見受けられます。 そこで、高知県公立大学法人の運営の在り方や姿勢について何点かお伺いします。まず、新学群構想が具体化する前の段階である昨年時点において、定員や規模についての議論が行われていない中で、新学群を設置するために多額の費用を伴う用地の取得について、同法人側から近隣の土地の所有者に土地購入の打診があったと聞いております。 事前の協議はあったのか、また高知県公立大学法人運営費交付金交付要綱に基づき運営に必要な経費を精査し、県の予算より交付を行っている県としてどのように捉えているのか、知事に御所見をお伺いします。 そして、2月議会で知事は、同法人においてもまずは本県の産業界がどういう人材を求めているのかなどのニーズ把握を行った上で、どのような学群とするかの検討をしてもらいたいと答弁されております。 その後、同法人においてどの程度の検討がされたのか、また県には報告があったのかについて知事にお伺いします。 また、知事は、これだけ大きな改革となると、同法人の設立者である県として、中期目標の改定等が必要になってくるとも答えられております。地方独立行政法人法では、「設立団体の長は、中期目標を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、評価委員会の意見を聴くとともに、議会の議決を経なければならない。」とされております。このような状況の中で新設の新学群の教員募集を行うことや、これまでの同法人の一連の新学群設置構想の進め方については、設置ありきといった姿勢が見受けられると言わざるを得ません。 今後においては、設立者である県と高知県公立大学法人が現状や問題点についてしっかりと協議を行い、正すべきところを正した上で、新学群についての認識を共有していくべきであると思いますが、知事の御所見をお伺いします。 続きまして、温室効果ガス排出削減についてであります。まず、この質問は、年号ではなく全て西暦で行います。 温暖化対策に後ろ向きで、温暖化の国際枠組み協定を脱退したトランプ政権から一転、バイデン政権は協定に復帰しました。そして、バイデン大統領主催の気候変動に関するオンライン首脳会合、気候変動サミットが、2021年4月22日から23日の2日間の日程で開催されました。最大の温室効果ガス排出国である中国をはじめ主要排出国や、地球温暖化の被害を受ける発展途上国まで、招待された40の国と地域の首脳全員が出席してこの問題に真剣に取り組む姿勢を示したことで、対策強化の機運が高まりました。 最大のテーマは、各国が掲げる温室効果ガス排出削減目標の引上げであります。バイデン大統領は冒頭の演説で、気候変動を我々の生存に関わる危機だ、世界の気温上昇を1.5度までに抑えるため行動しなくてはならないと強調し、どの国も一国では解決できない、経済大国は取組を強化しなければならないと各国に訴えました。 日本の二酸化炭素、CO2排出量は、G7の中でアメリカに次いで2番目に多いけれども、従来の温室効果ガス削減目標は2030年度に2013年度比26%減と消極的でありました。一方、イギリスは2021年4月20日に、2035年までに1990年比で78%削減すると新目標を打ち出しました。アメリカは2021年4月22日に、2030年に2005年比で50から52%削減するとの意欲的な新目標を発表しました。 こうした中、日本はアメリカ、イギリスから、これに追随して意欲的な削減目標を表明するよう迫られておりました。こうしたこともあって、菅首相は2021年4月22日、気侯変動サミットで、日本の2030年度の温室効果ガス排出削減目標について、2013年度比で26%という削減目標を46%に引き上げることを表明されました。同時に、50%に向けた挑戦を続けることを表明し、さらなる削減に向かう意思を示しました。 日本の政府内では2030年目標について、世界の脱炭素化でリーダーシップを取るため、45ないし50%減の大幅上積みに前向きな環境省と、具体的な対策の積み上げを重視し35%減を妥当とする経済産業省との意見が分かれたようであります。 海面の上昇や激しさを増す自然災害など、温暖化に関連すると見られる問題に対処するため、日本はこれまでにどのような自国の温室効果ガス排出削減目標を掲げ取り組んできたのか。振り返ってみますと、最初の目標は1997年に採択されました京都議定書というルールの中に盛り込まれました。京都議定書は、日本やアメリカなど先進国に削減を義務づけ、先進国全体で2008年から2012年の5年間の平均を1990年より5%減らすと決めました。各国の目標は国同士の交渉で決まり、日本は2008年から2012年度に1990年度の排出量よりも6%減らすことになりました。 排出削減のため、政府は、チーム・マイナス6%という国民運動を開始し、冷房の設定温度を上げることや、夏に軽装で過ごすクールビズなどを呼びかけました。取組の結果、5年間で1990年度より排出量が少なかったのは、リーマンショックと呼ばれる世界的な金融危機の翌年の2009年度だけでありました。しかし、議定書では、森林がCO2を吸収した分や、日本が資金を出して途上国での排出削減に貢献した分などを差し引くことを認めていました。これらを含めると6%削減の目標に達しており、環境省は2016年に正式に達成したと発表しました。 それ以降は、ほかの国との交渉ではなく、日本の目標は日本国内で決めてきました。2009年9月の政権交代後、当時の鳩山首相は1990年度より25%減らすと表明されましたが、2011年の東京電力福島第一原子力発電所事故後に全国の原発が停止し、CO2排出量の多い火力発電に頼るようになったため削減が難しくなり、25%減という目標は撤回することになりました。その後は、CO2を排出しない再生可能エネルギーの導入が進んだり、原発を再稼働させたりしたことが影響して、2013年度をピークに一貫して減少し続けています。 以上述べましたように、温室効果ガス排出削減6%でも達成するのが大変でしたのに、46%削減は決して容易ではありません。この新しい目標を実現するために、CO2を減らす量を分かりやすく申しますと、例えば2019年度に冷暖房や給湯、照明など日本の全家庭から排出したCO2、1億5,900万トンの約4倍に相当すると言われております。 濱田知事は、令和2年12月県議会において、2050年のカーボンニュートラル実現を目指して取り組んでいくことを宣言されました。今年度は、その実現に向けたアクションプランを策定されるということですが、菅首相が2030年度に2013年度比で46%削減を目指す、同時に50%に向けた挑戦を続けると表明されたことを踏まえ、県としても高い目標値を掲げ、その実現を目指して取り組んでいかれるのか、お伺いします。 関連して、農林水産省は5月12日、農業の環境負荷低減と生産基盤強化を目指す意欲的な目標を盛り込んだ政策方針、みどりの食料システム戦略を正式決定されました。戦略は、2050年までに農林水産業の二酸化炭素排出量を実質ゼロにする、有機農業を全農地の25%、100万ヘクタールに拡大する、化学農薬の使用量を半減する、化学肥料の使用量を3割減とする、化石燃料を使わない園芸施設に完全移行する、2040年までに農業機械の電化、水素化に関する技術を確立するなどの目標を掲げております。 また、稲作や家畜のげっぷから出るメタンは、国内農林水産分野ではCO2よりも温室効果ガスに占める割合が高く、その排出抑制にも取り組むとしております。工程表は、2050年と2030年度までの工程で、これらの数値目標の達成を目指し、研究開発や普及を進める技術を盛り込んでおります。 一方、経済産業省は2030年度の温室効果ガス排出量を、2013年度比で46%削減する政府目標の実施に向け、発電時に二酸化炭素を出さない再生可能エネルギーの導入を、現行目標22から24%程度から、36から38%を軸に大幅に引き上げる検討をしております。 国内の二酸化炭素排出量の削減では、排出量全体の4割を占める電力部門の取組が鍵となっています。二酸化炭素を排出しない再生可能エネルギーと原子力の合計が電源に占める割合を、現行目標の4割台から6割程度へと増やす、一方で火力の比率は56%程度から4割程度へ縮小する方向で検討中で、今後有識者会議で詰めの協議を行い、電源構成を盛り込んだエネルギー基本計画は、今年夏の閣議決定を目指すとしております。 今年度、県がカーボンニュートラル実現に向けたアクションプランを策定される際、前述の農林水産省並びに経済産業省の二酸化炭素排出量削減に向けた取組をどのように取り扱われるのか、知事にお伺いをいたします。 続きまして、フレイル予防活動の早期普及についてであります。 フレイルとは、健常な状態と要介護状態の中間に位置し、年を取り体力や気力、社会的なつながりが弱くなった状態であります。そのまま放置しますと要介護状態になる可能性があります。 我が国の高齢化率は、現在世界1位であります。しかも、2025年には、年齢別で見た我が国人口の最大の集団であります団塊の世代が後期高齢期に入ります。そして、高齢者人口が史上最高に達する2040年頃にかけて85歳以上の人口が急増します。 一方、少子化傾向が続く中で、我が国の人口は平成20年に人口減少に転じ、総人口は減少し続けています。少子化対策を講じ、人口減少に歯止めをかける努力は不可欠でありますが、当面の超高齢化の進行と人口減少という事態を我が国がどのように迎えていくのかについて、世界が注目しています。 もとより、我が国社会は人生100年時代と言われるように、かつて想像できなかったような長生きができるようになりました。これも医療技術の発展や公衆衛生の向上、生活環境の改善など、先人の皆さんのたゆまぬ努力のたまものであります。しかしながら、延長された人生をより豊かに快活な時間にできるのか、すなわち長生きの内容が問われております。 特に、誰も経験したことのない未曽有の超高齢・人口減少社会に突入した日本では、健康長寿社会の実現が急がれています。地域社会を持続可能なものとするには、地域住民を支える包括的なケアシステムの在り方はもちろん、地域住民自身が主体的に地域の課題解決に向けて力を集約し、健康長寿のまちづくりを目指すことが、今まさに求められています。一人一人の地域住民の高齢期の日常生活機能の維持・向上を目的とする仕組みづくりは、健康長寿のまちづくりの核心部分であります。 このような視点に立って、東京大学高齢社会総合研究機構が行ってきた大規模高齢者虚弱予防研究の研究成果と、そこから誕生した住民主体のフレイル予防活動、栄養、運動、社会参加のフレイルチェックとそのデータの活用を本県も取り入れ、健康長寿の県づくりに取り組んでおりますことを高く評価します。 高齢期の虚弱といえば、身体機能の衰えのみを示すわけではなく、社会的孤立や支援の欠如、経済的困窮などの社会的機能の衰えや、抑鬱傾向といった精神・心理的機能の衰え、軽度認知機能低下が併存した認知的虚弱等の多面的な衰えを指します。 東京大学高齢社会総合研究機構が生み出した新知見の一つに、これらの多面的な側面を持つフレイルを防ぐ重要な3つの柱があります。具体的には、「栄養 食・口腔機能」と「運動 身体活動・運動など」、「社会参加 趣味・ボランティア・就労など」が、どれか一つでも欠けてはならない3つの柱であることが分かりました。 また、同機構が生み出したフレイル予防の一つに指輪っかテストがあります。このテストは、両手の親指と人差し指で指輪っかを作り、椅子に腰かけ前かがみとなり、利き足とは逆のふくらはぎの最太部をそっと囲むだけのテストであります。指輪っかで囲めないほどふくらはぎが太い人に比べると、囲める人は加齢性筋肉減弱症の発症リスクが約3倍も高いことが分かりました。さらに、指輪っかで隙間ができるほどふくらはぎが細い人は、加齢性筋肉減弱症どころか、要介護のリスクが高かったことが分かりました。このようなシンプルかつ有効な方法を県広報なども活用して啓発することも重要だと考えております。 令和元年の国民生活基礎調査では、要支援や要介護になった原因の3番目がフレイルでありました。全国に10年先行して高齢化が進んでいる本県では、介護を必要とせず自立した生活を送る健康寿命を延ばすため、フレイル予防活動の実現が急務となっております。 ついては、住民主体のフレイル予防活動、栄養、運動、社会参加のフレイルチェックをいつまでに全市町村へ普及させ、その成果を上げていくのか、県広報の活用を含め、健康政策部長にお伺いをします。 次に、家族の介護や世話をする子供についてであります。 令和元年6月定例会の一般質問で取り上げましたヤングケアラー、病気や障害があったり高齢だったりする家族の介護、世話をしている18歳未満の子供をめぐり、政府は4月12日、全国の教育現場に対する初の実態調査結果を発表しました。 調査は、昨年12月から今年1月、47都道府県の人口に応じて、全体の1割に当たる公立中学校1,000校の中2、約10万人、公立の全日制高校350校の高2、約6万8,000人にウェブ上で回答を求めました。回答者数は中2が5,558人、高2が7,407人でありました。 公立中学2年生の5.7%、約17人に1人、公立の全日制高校2年生の4.1%、約24人に1人が世話をしている家族がいると回答し、1学級につき1ないし2人のヤングケアラーがいる可能性があることが判明しました。 世話をする家族、これは複数回答の内訳でありますが、中2がきょうだい61.8%、父母が23.5%、祖父母が14.7%、高2はきょうだい44.3%、父母29.6%、祖父母22.5%。世話の理由としては、きょうだいが幼いこと、父母は身体障害や精神疾患、祖父母は高齢や要介護状態などが多くありました。 中2、高2ともに世話をする頻度は、ほぼ毎日が4割強を占め、週3ないし5日、週1ないし2日が各1割台でありました。平日1日当たりの世話をする時間は平均約4時間で、7時間以上と答えた生徒も約1割おりました。世話をする内容は、食事や掃除、洗濯などの家事、保育園などの送迎、障害や精神疾患のある家族の感情面のサポート、外出の付添い、入浴、トイレの介助など多岐にわたっています。 ヤングケアラーの1ないし2割の生徒が、宿題や勉強の時間が取れない、自分の時間がない、精神的にきついと訴え、睡眠不足や進路を変更するなどの影響も出ています。誰にも相談した経験がないのは、中2で67%、高2は64%でありました。誰にも相談せず孤立しがちな実態や、健康、学業への悪影響も全国的に初めて裏づけられました。 一方、同時に行われました回答者の生徒が在籍する学校への調査に回答した公立中学校754校、全日制高校249校のうち、ヤングケアラーが在学していると答えたのは、中学で46.6%、高校で49.8%と、各半数が把握しておりました。しかし、生徒の調査で判明しました1学級につき1ないし2人のヤングケアラーがいる可能性があることに対して、学校側の認識には大きな落差がありました。また、中学・高校側が、ヤングケアラーという言葉を知らない、言葉は聞いたことがあるが具体的には知らないは約4割を占め、逆に学校として意識して対応しているは中学で20.2%、高校は9.6%にとどまり、学校側の理解不足が顕著になりました。 こうした実態を踏まえ、ヤングケアラーへの支援策を検討してきました厚生労働省と文部科学省の共同プロジェクトチームは、5月17日に開催されました会合で支援策などを盛り込んだ報告書を取りまとめ、公表されました。報告書には、子供らしい暮らしができずにつらい思いをしているヤングケアラーにとって青春は一度きりであり、施策についてスピード感を持って取り組むと記されております。 会合で山本厚生労働副大臣は、誰にも相談できず孤独に耐えている子供を救いたい、丹羽文部科学副大臣は、家庭環境に左右されずに安心して教育を受けられることが重要などと述べ、施策の早期実施に意欲を見せました。政府は、6月18日に策定した経済財政運営と改革の基本方針2021、骨太の方針にヤングケアラーの支援を明記しました。 両省がまとめたヤングケアラー対策では、早期発見、ケアラー支援、認知度向上の3本柱で対策を進めるべきだと提言しております。 早期発見では、ヤングケアラーは潜在化しやすいとして、都道府県による地方の実態調査を推進し、早期発見を目指す。ヤングケアラーは地域の目で発見することが重要として、自治体による福祉、介護、医療、教育、子ども食堂などの現場で、ヤングケアラーに関する研修などを推進する。 ケアラー支援では、SNS、オンラインなど、子供が話しやすい相談支援体制を支援者団体と連携してつくる自治体を支援する。幼い兄弟を世話するヤングケアラーがいる家庭の家事や子育てなどの支援の在り方を検討する。提言された対策を有効に機能させるため、子供に関わる様々な職種が連携できるように支援マニュアルを作成する。介護保険などの福祉サービスなどを提供する際は、ヤングケアラーを家族内の介護力とみなさずに、サービス内容を決めるよう自治体や現場に周知する。 認知度向上では、子供自身が支援を受けられる可能性や必要性を理解するため、令和4年度からの3年間をヤングケアラー認知度向上の集中取組期間と位置づけ、現在2割に満たない中高生の認知度を5割に上げることなどを盛り込みました。 ヤングケアラーの過度なケア負担の問題は、介護や看病、貧困など様々な家庭環境が関係しております。特に、新型コロナウイルス感染症による雇用の悪化で生活が苦しい世帯が増え、手助けなく孤立する子供の増加や、家族の介護や世話をする子供の増加、また不登校の増加、さらには家庭での虐待にもつながりかねず、対策は急務であります。 こうした中、自治体の教育・福祉・子育て・介護・保健師・生活保護・税務担当部門、学校、スクールソーシャルワーカー、民生委員・児童委員、児童相談所・心の教育センター・精神保健福祉センターなどの相談機関、医療機関、保育園・幼稚園など、子供に関わる様々な職種にデータが分散して保管され、支援が必要な子供が見落とされているとの指摘が出ております。 状況打開のため、県と市町村が共同チームを立ち上げ、各自治体で家族の介護や世話をする子供に関して、また子供の貧困や不登校に関してどのような情報を現在保有しているか、調査を実施します。その上で、どのような情報が子供への支援の必要性判断に有効かなどを専門家の意見を交えながら検討し、データベース化すべき項目を決定します。その情報は、自治体が縦割り行政を解消して一元管理をします。 そして、データベースで支援が必要と判断された子供には、SOSが出されていない段階から学校での見守りを強化したり、また利用可能な行政の支援制度につなげるなど、早期発見、早期支援ができるよう、本県独自の実効性を高める仕組みづくりに取り組んではどうでしょうか、子ども・福祉政策部長にお伺いをします。 続きまして、住み続けられる農村振興についてであります。 令和3年3月23日、新たな土地改良長期計画が閣議決定されました。昨年決定されました食料・農業・農村基本計画と同様、5年ごとに土地改良事業の展開方向を示すマスタープランであります。基本計画に規定します食料の安定供給と自給率向上、食料安全保障の確立を実現するため、土地改良事業の観点から生産基盤強化による農業の成長産業化、多様な人が住み続けられる農村の振興、農業・農村の強靱化の3つの政策課題について、政策目標や数値目標などが定められております。 土地改良事業に限らず公共事業には、かつて予算配分の硬直性や財政事情にこだわらず進められている無駄遣いの象徴として、北風が吹いた時代がありました。特に、土地改良事業については、道路や河川、港湾整備などに比べて事業の成果が国民の目に見えにくく、事業内容や費用負担に関する誤解に基づく批判も多くありました。 平成21年、民主党政権においては、コンクリートから人へという不思議なキャッチコピーの下で公共事業が悪者にされました。特に、農業農村整備事業については、農業者戸別所得補償制度の振替財源として、対前年度比63%減という憂き目にも遭いました。地元関係者が意向の取りまとめから同意取付けまで長い年月をかけて調整した事業が、突然の予算削減により着工が延期されたり、また既存地区でも工事の延伸が相次ぎました。 平成24年の再度の政権交代以降、前年の東日本大震災など大災害への備えの必要性が再認識され、公共事業予算の回復が図られる中で、かつての当初予算金額を補正予算込みで何とか上回る状況になったと聞いております。 ついては、深刻だった本県既存事業の遅れは解消されたのか、解消されていなければその進捗状況を農業振興部長にお伺いします。 今般の土地改良長期計画を契機に、予算額に一喜一憂することなく、産業政策の中心事業としても、住みよい村づくりのための地域政策としても、有意義な事業推進が必要であります。昨今、産業政策というとロボットや人工知能、AI、モノのインターネット、IoTなどの先端技術を活用したスマート農業が喧伝されがちであります。しかし、スマート農業は、令和元年から全国各地の生産現場で実際に展開し、経営分析を行いながら情報発信をするスマート農業実証プロジェクトを開始するとともに、同年6月には農業新技術の現場実装推進プログラムを策定し、その推進に当たっているところであり、まだまだ投資コストに見合う農業収益向上につながってはおりません。 少子高齢化、人口減少による農業者の減少及び農村集落機能の低下が進む中で、国民への食料の安定供給、農業が有する多面的機能の発揮を将来にわたって確保していくため、多様な担い手に支えられた農業生産現場と多くの人が行き交うぬくもりのある農村集落が維持できるように、狭義の土地改良事業だけでなく、農村の生活環境整備も含めた地域政策の要として農業農村整備事業の展開を期待しております。 新たな土地改良長期計画に対する知事の御所見をお伺いします。 続きまして、新たな管理型産業廃棄物最終処分場の整備についてであります。 県内事業者の悲願であった管理型最終処分場であるエコサイクルセンターが、日高村で平成23年10月に操業を開始してから、今年で丸10年を迎えることになります。この間、エコサイクルセンターは、県内の産業振興や経済活性化を下支えする極めて重要な施設となっており、佐川町で整備を進めている新処分場に、その役割をしっかりと引き継いでいかなければなりません。 新処分場につきましては、本年4月の業務概要委員会において施設本体の基本設計の概要について説明があり、新聞報道もされたところですが、基本設計の最終時点での事業費は、昨年の6月議会で報告のあった概算事業費を大幅に上回っている状況にあるとお聞きしています。県をはじめとする公共関与で整備、運営する施設ですので、県民の理解はもとより、事業費の一部を負担していただく各市町村の理解を得るためにも、安全・安心を大前提としつつ、コスト削減に向けた検討をしっかり行っていくことが望まれます。一方、そうした場合においても、最終的には当然エコサイクルセンターの埋立終了に合わせる形で、新処分場を完成させる必要があります。 現時点でのエコサイクルセンターの埋立終了時期の見込みや、コスト削減に向けた取組について林業振興・環境部長にお伺いをします。 続きまして、新たな森林・林業基本計画についてであります。 今後20年程度を見通して、森林・林業・木材産業に関する各種施策の基本的な方向性を明示した新たな森林・林業基本計画が6月15日に閣議決定されました。以下、再造林に関して基本的な方向性が示されているところのみを抜粋して申し上げます。 まず、前書きの中では、「平成28年5月に閣議決定された森林・林業基本計画の下では、十分な成長量と森林蓄積を維持しつつ木材供給量は拡大し、林業産出額や従事者給与の増加を実現するなど一定の成果を上げてきた。他方、その過程において、伐採しやすい箇所に皆伐が偏り、再造林がなされない森林が見受けられる。豪雨の増加等により山地災害が頻発するといった、多面的機能の発揮に支障を及ぼしかねない新たな課題も生じている」としています。 次に、前基本計画に基づく施策の評価等の中では、「近年の主伐面積に対する再造林面積の割合は約3割にとどまっており、林業に適し、将来にわたり維持すべき育成単層林において、人工林資源が再造成されていない」としています。 次に、森林及び林業をめぐる情勢変化等を踏まえた対応方向の中の森林資源の適正な管理及び利用の中では、「人工林資源の循環利用を推進しつつ、我が国の森林を多様で健全な姿へと誘導していく。このため、林業適地の育成単層林については、適正な伐採と再造林の確保を図る」としています。 次に、森林及び林業に関し、政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策の中の森林計画制度の下での適切な施業の推進の中では、「指向する森林の状態を見据えた多様で健全な森林を育成していくため、森林計画制度の下で森林所有者等による造林、保育、伐採その他森林施業の適切な実施を推進していく必要がある。このため、地域森林計画や市町村森林整備計画において、地域ごとに目標とする主伐量や造林量、発揮が期待される機能に応じたゾーニング等を定める。とりわけ、木材需要が増加し、主伐が増加している中で、再造林の実施をより効果的に促進するため、新たに特に植栽による更新に適した区域の設定や、森林資源の保続が可能な主伐量の上限の検討を進めるよう促す」としています。 このほか、再造林の実施に不可欠な優良種苗の安定的な供給体制の整備や、レーザ測量などを活用し、再造林適地を抽出する技術の高度化とこれらの技術の普及に取り組む、また2050年カーボンニュートラルの実現に貢献するため、中長期的な森林吸収量の確保、強化を図るため、間伐等特措法に基づく新たな措置を活用し、エリートツリー等の再造林を促進するなどとしています。 次に、林業の持続的かつ健全な発展に関する施策の中の再造林の実施体制の整備の中では、「森林資源を持続的に利用するには、再造林を確実に行うことが必要である。このため、再造林の実施体制の整備に向けて、伐採と造林の一貫作業を通じた素材生産者と造林者のマッチング、協業化の促進、造林作業手の育成・確保、主伐・再造林型の施業提案能力の向上を図る」としています。 本県の再造林率も3割から4割で推移しており、この状況が続くと、将来の人工林資源の減少や林業・木材産業の縮小などが危惧されています。 前述の再造林の確保に向けた政府の新たな指針を踏まえ、指導的立場にある県として今後どのような取組を展開し、再造林の実効性を高めていかれるのか、林業振興・環境部長にお伺いします。 次に、改正漁業法についてであります。 日本の排他的経済水域は、世界第6位の面積であります。広いだけでなく暖流、黒潮と寒流、親潮が交わり、プランクトンの生産が豊富で、世界有数の好漁場となっています。水産に関して言うと、日本は世界有数の資源国であります。この恵まれた漁場を生かし、かつて世界一の生産量を誇った日本の漁業は、昭和63年頃から行き詰まり、衰退の一途をたどっています。漁業生産の減少、漁業従事者の減少、高齢化など、どの統計を見ましても右肩下がりという状況が何十年も続いています。 一方で、多くの先進国では、漁業が成長産業となって利益を伸ばしています。なぜこのような差がついたのか。それは世界の漁業は、昭和55年頃から平成2年頃にかけて大きな転換をしました。それまでは日本と同じように場当たり的に捕れるだけ捕ってきた漁業から、資源管理へと転換し、厳しい漁獲規制の下で、乱獲を防ぎ水産資源を回復させて、海洋生態系の保全を行いながら、持続的に最大の利益を引き出す漁業にしたのです。 こうした中、ようやく日本も適切な資源管理と水産業の成長産業化を両立させるよう、かじを切りました。平成30年12月14日、漁業法等の一部を改正する等の法律が公布され、令和2年12月から改正漁業法が発効されました。実に70年ぶりの漁業法の改正で、最も大きな変更が加えられたのは資源管理であります。 昭和の漁業法は、食料難という時代背景から、水産資源の持続可能性についての配慮が不十分でありました。改正漁業法では、国が責任を持って水産資源を持続的に管理する枠組みになっています。資源管理の基本原則としては、資源管理は資源評価に基づき漁獲可能量による管理を行い、持続可能な資源水準に維持・回復させることを基本とする、漁獲可能量の管理は個別の漁獲割当てによる管理を基本とするとしています。 改正漁業法の資源管理の仕組みは、国が主導して個別漁獲枠方式の出口規制を導入されました。日本はこれまで8つの魚種にしか漁獲枠が設定されていませんでした。ニュージーランドは約100魚種に漁獲枠を設定しているのと比較しますと、その少なさが分かります。 改正漁業法では、それぞれの管理対象魚種について、国が全体の漁獲枠を設定することになっておりますが、管理対象魚種の数について水産振興部長にお伺いします。 全体の漁獲枠は、大臣許可漁業と知事許可漁業に配分されます。知事許可漁業については、都道府県ごとに枠を配分し、そこから先は知事の権限で調整することになっています。漁業法の改正では、これまで以上に資源管理や漁業調整に関する大きな役割が期待されているのが都道府県であります。より現場に近い都道府県が地元の声を反映させながら、その地域の実情に合った漁獲枠の配分を行う必要があります。 高知県に漁獲枠が配分された魚種は何か、また漁獲枠の配分調整などに対する漁業者の声をどのように聞いていくのか、さらに日々の個別漁獲枠の消化はどのように確認するのか、水産振興部長にお伺いします。 次に、カツオ漁業は、漁業法の改正によって資源管理の仕組みが変わったのか、また日本は中西部太平洋まぐろ類委員会でカツオの漁獲規制強化を訴えていますが、その進捗状況を水産振興部長にお伺いしまして、私の1問とさせていただきます。   (知事濱田省司君登壇) ◎知事(濱田省司君) 明神議員の御質問にお答えをいたします。 まず、新型コロナウイルスワクチンの職域接種についてお尋ねがございました。 県におきましては、国の目標といたします本年10月から11月にかけてワクチン接種を完了させるということを目指しまして、職域接種により県全体の接種を加速化したいというふうに考えております。こうした中、先週23日でございましたが、自治体が行います大規模会場や企業などで行います職域接種の新規の申請につきまして、国から受付を一時休止するという旨の方針が示されたところであります。 こうした状況を受けまして、急遽県のほうでは、事前に申請について御相談があり、23日時点では未申請でありました企業あるいは団体に個別に御連絡をいたしまして、期限までの申請を呼びかけるといった取組を行ったところでございます。 その結果、県営大規模会場及び17の企業、団体の約5万3,000人分の申請が受付をされましたけれども、本日現在、国から承認された部分は一部にとどまっているところでございます。また、ワクチンの供給量あるいは配給時期も示されていないなど、今後の見通しは不透明な状況となっております。 このため、国に対しまして必要となりますワクチンの確保あるいは申請の早期の承認などを強く求めることと併せまして、県営会場の部分につきましては、配給の見通しが示され次第、接種が開始できるように、並行して事前の準備も進めているところであります。 具体的には、先行接種の対象といたしております公立学校の教職員や警察官につきまして、接種希望者の取りまとめや医療従事者の確保などについて関係機関との調整を進めております。職域接種につきましては、高知市をはじめとする関係市町村などとも連携をしながら、今後の状況に応じた機動的な対応が必要であると考えておりまして、こうした考え方に立って対応を図ってまいりたいと考えております。 次に、飲食店の第三者認証制度についてお尋ねがございました。 本県では、これまで飲食店事業者が自主的に各団体の定めたガイドラインに沿った感染対策を進めておりまして、県もこの取組を積極的に後押ししてまいったところであります。 今回、さらに一定の基準に基づきまして第三者が客観的に評価をする、そしてその結果を公表するということによりまして、あんしん会食を推進する制度を新たに創設することといたしました。これによりまして、飲食店の感染対策がさらに向上をし、感染拡大リスクの低減にもつながり、県内外のお客様に安心して御利用いただけるというものと考えております。また、認証店への一律10万円の応援金支給によりまして、基準に沿った環境の整備・維持が図られますとともに、この制度の円滑な導入、加速化につながるものと期待をいたしております。 今後、本議会で予算について承認をいただきましたら、直ちに委託事業者の選定をした上で、できるだけ早期に受付を開始いたしまして、8月中にも認証が開始できるように取り組んでまいります。 次に、県内経済の状況に応じた対策についてお尋ねがございました。 新型コロナウイルスの感染拡大によりまして、厳しい経営環境にある事業者の方々の事業の継続、雇用の維持を何としても下支えしたい、そしてさらに早期の経済回復を図りたいという思いの下で、これまでも様々な経済対策を実施してまいりました。今議会におきましても、地産地消を促進いたします高知家応援プロジェクトでございますとか、事業者の方々の新たな挑戦を支援いたします補助金など、総額で57億円の経済対策予算を提案いたしているところであります。 また、飲食店などへの協力金に加えまして、営業時間短縮要請などにより影響を受けました飲食店の取引先などを対象とした給付金を支給いたします。この給付金では、飲食店への協力金と同様に、事業者の売上規模に応じた支援を行うということといたしまして、1事業者当たり上限25万円から75万円を給付することとしております。あわせまして、従業員を多数抱えられる事業者を支援してきました新型コロナウイルス感染症対策雇用維持臨時支援給付金につきましても、1か月単位の申請を可能にするという改善を図りました上で、5月と6月を給付の対象期間とするということといたしました。 加えまして、資金繰りに苦慮する企業が増加をすることが懸念をされております。こうしたことから、今後は県の制度融資におきまして、資金繰り対策を強化していきたいというふうに考えているところであります。具体的には、安心実現のための高知県緊急融資の制度などにつきまして、据置期間、償還期間を延長いたします。また、新規貸付けの償還額につきましては、売上高の回復などの段階に応じて償還額を増やしていくことができるようにする、いわゆるステップアップ償還の制度なども取り入れていきたいというふうに考えております。 今後とも引き続き、県内事業者の経営環境、ニーズを的確に把握いたしました上で、県経済の早期の回復に向けて必要な対策をしっかりと実施してまいります。 次に、高知工科大学の卒業者の進路あるいは県内への貢献度などの現状についてお尋ねがございました。 高知工科大学は、高知県公立大学法人が設置をしております大学であります。このため、この大学への県民の皆さんの期待のポイントは、本県の各分野で貢献をできる人材の育成、あるいは県内の企業、団体などへの支援といったことではないかというふうに考えております。 このうち人材の育成に関しましては、県といたしましてもこの大学に対し、中期目標におきまして、学生が望む進路実現に向けた支援を実施するとともに、県内企業への就職を促進するということを指示いたしているところでございます。 こうした中、議員のお話にもあったとおりでございますけれども、高知工科大学の卒業生の就職先は、直近3年の平均値で、県内就職者の割合が17.3%という数字にとどまっております。この数値は、高知県立大学の38.2%、あるいは高知大学の28.1%と比較いたしましても、極めて低い水準となっていることは事実でございます。 また、これまで大学におきましては、県のマリンイノベーションの取組への参画のほか、歯の治療に用います接着剤の開発といった企業との共同研究に取り組んでおります。しかしながら、現時点では本県の産業、経済への貢献のアピールが不足をしているということは、言わざるを得ないというふうに考えておりまして、その点、県民の皆さんにも十分に伝わっていないのではないかという御指摘も、否定できないものというふうに受け止めております。 法人の設立者であります県といたしましても、県民の皆さんの御期待に沿えるように、県内への就職者の割合あるいは企業等への貢献度を高めることなどにつきまして、法人と連携をして取り組んでいかなければならないというふうに考えております。 次に、高知県公立大学法人によります用地の取得についてお尋ねがございました。 高知県公立大学法人が、永国寺キャンパスは手狭であるという理由から、将来的な施設整備に向けまして、近隣の土地を購入したいという意向があるというお話はお聞きをしていたところでございます。仮に、法人が有します現預金ですとか債券、不動産、こういった様々な資産の構成につきまして、将来の利活用を考えて、この構成の最適化を図っていくといった意味合いでの土地の購入であれば、法人が独自に進めていくということに一定の合理性は認められるというふうに言えるとは思います。 しかしながら、仮にこの土地の購入が、新学群の設置と密接不可分のものでありまして、かつ施設の整備に県費の負担や支援を求めることを想定しているというようなものであるとすれば、その定員や規模、整備に要する金額や財源などにつきまして、事前に県に対して協議をしていただいた上で、両者で慎重に検討していくというのが筋であるというふうに考えております。 したがいまして、この土地の購入が新学群の設置を目的とするというものでありましたら、法人におきまして、県との協議の進展状況を踏まえながら慎重に判断をしていただく必要があるというふうに考えております。 次に、高知工科大学によります本県の産業界のニーズ把握と、それを踏まえた検討につきましてお尋ねがございました。 高知工科大学におきましては、本県の商工業団体の役員の方々を中心といたしまして、多くの方々を訪問し、新学群の構想の概略を御説明し、御意見をいただいたという報告は受けているところであります。しかしながら、大学側が把握をいたしました産業界のニーズは、総論的なものにとどまっているというふうに受け止めております。どのような人材や企業貢献が求められているかといった具体的なニーズの把握にまでは、まだ至っていないというふうに受け止めているところでございます。 また、具体的なニーズの把握が十分でない中、そうしたニーズを踏まえた検討の結果というものについて、現段階ではまだ大学の側から私のほうに御報告をいただくことはできていないという状況にございます。 次に、新学群に関します高知県公立大学法人との認識の共有につきましてお尋ねがございました。 高知工科大学の新学群の設置、運営につきましては、多額の県費負担が見込まれる事業であるということは申すまでもございません。アフターコロナ禍の厳しい行財政環境の中で、この事業の推進を図るといたしますとすれば、県民の皆様、そして議会の皆様の御理解をいただきながら検討を進めていくということが何より肝要であるというふうに考えております。県と法人、大学との間で、改めてこの認識を共有いたしたいというふうに考えているところでございます。 今後の進め方につきましては、議員からの御指摘も踏まえまして、法人や大学が進めてこられましたこれまでの準備作業を一旦白紙に戻したいというふうに考えます。その上で、新学群の設置につきまして、具体的な必要性があるのか、期待される効果が得られるのか、財源はどうするのかといった点につきまして、県主導で改めて検討してまいりたいというふうに考えております。その際には、節目節目で県議会に議論の状況などを御報告いたしまして、御意見を賜ってまいりたいと考えております。 次に、2050年のカーボンニュートラルを目指したアクションプランにつきまして、県として高い目標値を掲げ、その実現を目指して取り組んでいくのかというお尋ねがございました。 本県におきましては、本年3月に改定をいたしました高知県地球温暖化対策実行計画におきまして、2030年の削減目標を2013年度比で29%以上削減することと定めております。今回、国におきまして非常に野心的かつ高い目標が表明をされました。こうしたことから、本県の目標につきましても、より高いものに見直していく必要があるというふうに考えております。 この目標値の見直しに当たりましては、現在国において検討がなされております2030年の電源構成を基にいたしました、二酸化炭素の排出係数が必要となりますが、これがまだ明らかでございませんので、現状では具体的な目標数値を掲げるという段階には至っておりません。 今後、国におきまして、夏以降でございますが、エネルギー基本計画あるいは地球温暖化対策計画の見直しが行われるというふうに見込まれております。県のアクションプランの策定に当たりましては、こうした動向も見極めながら、国が表明をした高い目標を念頭に置きまして、温室効果ガスの大幅な削減を目指してまいりたいと考えております。 この実現に向けましては、市町村や事業者、関係団体など様々な方々のお知恵や御協力を賜りまして、共に目標の達成を目指していくことが必要であります。今後示されます国の新たな支援策を積極的に取り入れることはもとよりでございますが、オール高知であらゆる施策を動員し、目標の達成に向けて挑戦をしてまいる覚悟であります。 次に、アクションプランを策定する際に、農林水産省及び経済産業省の取組をどのように取り扱うのか、お尋ねがございました。 両省の取組は、国の取組の方向性を示したものでございまして、本県がカーボンニュートラルを目指す上で、これらの方向性も踏まえてしっかりと検討していくということが重要であるというふうに考えております。 このうち、現在経済産業省において見直しが行われておりますエネルギー基本計画におきましては、再生可能エネルギーの主力電源化に向けたさらなる導入促進が検討されております。県といたしましても、アクションプラン再生可能エネルギーのさらなる導入促進を位置づけまして、エネルギーの脱炭素化に向けた取組を進めてまいります。 また、農林水産省のみどりの食料システム戦略の中には、例えば2050年までの園芸施設の化石燃料を使用しない施設への完全移行が掲げられております。現在、本県におきましても、施設園芸へのバイオマスボイラーやヒートポンプなどの導入に取り組んでいるところです。こうした取組もアクションプランに位置づけまして、さらなる導入促進を図ってまいります。 カーボンニュートラルの実現に向けましては、幅広く国の施策を活用し、本県の取組を加速していく必要がございます。このため、アクションプランには、この両省に限らず、幅広い分野の国の施策を取り入れまして、カーボンニュートラルの実現に向けた取組を強化してまいる考えであります。 最後に、新たな土地改良長期計画に対する所見につきましてお尋ねがございました。 今回策定をされました土地改良長期計画は、農業・農村が直面する様々な課題への対応のみならず、コロナ時代の新たな日常やSociety5.0、SDGsといった新しい時代の到来を見据えたものとなっております。また、我が国の農業・農村の目指すべき姿といたしまして、人口減少下で持続的に発展する農業、そして多様な人々が住み続けられる農村を掲げております。 こうした点は、県勢浮揚を目指して取組を進めております産業振興計画あるいは中山間対策など、県の政策の方向性と合致をいたしておりまして、本県の取組を大いに後押しいただけるものと期待をいたしているところでございます。 また、コロナ禍を契機として生まれつつあります新しい人の流れを地方に、特に中山間地域に呼び込むことにつながるものというふうに考えております。そのためにも、国におきましては、議員のお話にありましたとおり、狭義の土地改良事業のみならず、農業農村整備事業の一層の充実と予算の確保を図っていただきたいというふうに考えております。 県といたしましては、国の事業を積極的に活用いたしまして、各種の施策を総合的かつ効果的に推進し、多様な人が住み続けられる魅力ある農村の実現を目指してまいります。 私からは以上でございます。   (健康政策部長家保英隆君登壇) ◎健康政策部長(家保英隆君) フレイル予防活動についてお尋ねがございました。 県内におけるフレイル予防の取組につきましては、議員からお話のありました東京大学高齢社会総合研究機構のプログラムを活用した住民主体のフレイルチェック活動が、令和元年度から仁淀川町で実施されております。 県では、このフレイルチェック活動を県内全域へ広めていくため、昨年度同機構から講師をお招きし、四万十市をはじめ県内7市町において、県民の皆様などを対象にフレイル予防講演会を実施いたしました。さらに、高知県フレイル予防推進ガイドラインを策定し、県内で取組がスタートできるよう支援してまいりました。 その結果、本年度新たに南国市など3市町において、このフレイルチェック活動の実施が予定されています。一方、国の高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施におけるフレイル予防の取組につきましては、令和6年度までに全ての市町村で実施することとされております。 県としましては、今後も引き続き講演会の開催やガイドラインの活用などにより、各市町村での取組を支援してまいります。また、フレイル予防の推進には、住民が主体となった取組が重要であるため、お話のありました指輪っかテストを含めて県広報の積極的な活用などにより、住民の皆様方への普及啓発に一層取り組んでまいります。   (子ども・福祉政策部長山地和君登壇) ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) ヤングケアラーの早期発見、早期支援につながる仕組みづくりについてお尋ねがございました。 本来、大人や社会が担うべき家族のケアを日常的に行っている子供、いわゆるヤングケアラーの問題につきましては、子供が安心して健全に成長できる環境づくりの観点から、早期に発見し、早期の支援に適切につなぐことが重要です。 一方、こうした事案は、家庭内のデリケートな問題であることや、当事者である子供や保護者等の認識が希薄であることなどから、表面化しづらいことが課題となっております。そのため、御提案にあったように、福祉、介護、医療、教育といった様々な分野が制度の枠を超えて連携し、情報を共有することで、潜在化するヤングケアラーやその家族の課題発見につなげることは、大変有効な手法であると考えます。 県としましても、高知版ネウボラの取組を中心に、市町村の母子保健や児童福祉、子育て支援に関する関係機関の連携の強化、特に学校の窓口となるスクールソーシャルワーカーと児童福祉との連携の強化を支援しており、こうした関係機関のネットワークを生かして、ヤングケアラーの把握と課題の解決に向けた取組を支援しているところです。 また、ヤングケアラーの早期発見には、周囲の見守りが重要となりますので、高知県地域福祉支援計画において高齢や障害、子供、生活困窮などの専門機関が一体となった市町村における包括的な支援体制の構築に取り組んでいるところです。あわせて、地域住民や民生委員・児童委員、本県独自の地域福祉の拠点であるあったかふれあいセンター等による地域の見守りネットワークの強化を進めてまいります。 他方、様々な関係機関が個人情報を共有するためには、本人の同意が原則であることから、同意がないために情報共有が進まず、支援に結びつかないといった課題がございます。こうした中、本年4月に施行された改正社会福祉法により、重層的支援体制整備事業が創設され、法で定めた支援会議の構成員、例えば福祉、保健、教育、生活困窮などの支援機関の代表者に守秘義務をかけることで、本人同意がなくても、問題が疑われるようなケースの情報共有が可能となりました。 今年度は、重層的支援体制整備事業の移行準備に、県内6つの市と町が取り組んでおります。県としましても、この取組を他の市町村に横展開できるよう、市町村の地域福祉計画の改定の機会などを通じて積極的に支援するとともに、ヤングケアラーの疑いのある子供や家庭を、福祉、介護、医療、学校等の地域のネットワークで早期発見、早期支援につなげることができるように、市町村と共に取り組んでまいります。   (農業振興部長杉村充孝君登壇) ◎農業振興部長(杉村充孝君) 平成22年度の国の農業農村整備事業予算の大幅な削減に伴う本県既存事業への影響についてお尋ねがございました。 平成22年度の国の農業農村整備事業予算は、対前年度比で37%となり、それに伴い本県の農業基盤関連当初予算は、対前年度比47%にまで落ち込みました。このため、既存事業に関しましては圃場整備やため池整備の事業期間が、通常であれば5年程度のものが最大で10年かかりましたし、また新規地区の着手も抑制せざるを得ない状況となり、平成28年度まで事業の執行に影響がありました。 こうした状況を解消するため、国に対しまして予算確保に関する政策提言を繰り返し行ってまいりました。その結果、現在では当初予算と補正予算の総額で削減以前の水準にまで回復しており、それに伴い、本県の継続事業の遅れは解消され、毎年の事業執行に必要な予算は確保できている状況でございます。 しかしながら、本県は全国と比べて圃場整備が大幅に遅れている状況にあるため、第4期産業振興計画における農業分野の新たな柱に、農業全体を下支えする基盤整備の推進を位置づけ、圃場整備を積極的に推進しております。 また、平成30年7月豪雨を受け対策が強化された、ため池の防災対策や、施設の老朽化に伴う基幹的農業水利施設の長寿命化対策など、今後対策をさらに加速する必要があり、これまで以上に予算の確保が必要となります。加えて、補正予算を活用する場合には、さらなる予算の繰越しができないことから、大規模な工事では工期の確保が困難となり、入札不調が発生するなどの課題も出てきております。 このため、国において農業農村整備事業の当初予算での十分な予算確保をしていただけるよう、引き続き政策提言を行ってまいります。   (林業振興・環境部長中村剛君登壇) ◎林業振興・環境部長(中村剛君) まず、日高村のエコサイクルセンターの埋立終了時期の見込みと、佐川町の新処分場の整備に係るコスト削減に向けた取組についてお尋ねがございました。 現行施設の埋立終了の時期につきましては、管理、運営を行っている公益財団法人エコサイクル高知が昨年度実施した埋立計画及び廃止計画に係る検討委託事業によりますと、今後の埋立てが新処分場の埋立推計量の年間8,600立方メートルで進む場合は、令和5年8月に満杯となる見込みとなっております。一方、廃石膏ボードのリサイクルが進展し、受入れの量が大幅に減少した令和元年度の実績値、年間約6,000立方メートルで埋立てが進む場合は、さらに1年以上後ろ倒しになることが見込まれております。 また、新処分場のコスト削減に向けた取組につきましては、基本設計の内容について、4月以降、実施設計の中で一つずつ丁寧に見直しを行っているところです。この見直しに当たっては、本体工事費のおよそ7割を占める処分場の被覆施設と浸出水処理施設の事業費をいかに圧縮していくかが大きなポイントとなります。 この被覆施設については実際の現地の地形や地質、浸出水処理施設については搬入される廃棄物の種類やその割合などによって、施設の規模や構造が大きく変わってまいります。このため、実施設計の受注業者との協議において詳細な調査を踏まえた数量や仕様の見直しや、複数の専門メーカーへの見積依頼やヒアリングなどによるコスト削減に精力的に取り組んでおります。 これまでの見直し作業の中で、事業費の圧縮に一定の手応えを感じておりますが、安全性をしっかり確保することを大前提としながら、さらなるコストの削減に向け、可能な限り時間をかけてしっかりと検討を進めてまいります。 次に、再造林の実効性を高めていくための今後の取組についてお尋ねがございました。 産業振興計画においては、持続的な林業・木材産業の経営に必要となる森林資源量を考慮いたしまして、再造林の目標面積を約630ヘクタール、率にして70%としております。一方、現状の再造林率は、議員御指摘のとおり、30%台で推移しており、直近の実績値である令和元年度においても36%にとどまっております。このため県では、再造林への補助率を最高95%にかさ上げするとともに、主伐と再造林の一体的な実施やドローンを活用した苗木運搬などのコスト低減に向けた取組への支援を行っております。 また、令和元年度からは6林業事務所ごとに増産・再造林推進協議会を設置し、地域ぐるみでの再造林の促進に取り組んでおります。その結果、新たに掘り起こした再造林面積は、令和元年度は約16ヘクタール、令和2年度は約63ヘクタールとなるなど、着実に成果が上がってきております。この再造林をさらに推進し、産業振興計画の目標達成につなげていくためには、森林所有者が次への投資意欲を持っていただけるような収益を確保していくことが必要です。 そのため、再造林率が高い県外の優良事例などを調査し、路網の配置や搬出手法など、より効率的な作業方法について、林業関係者の御意見を伺いながら検討してまいります。あわせて、ICT等を活用したスマート林業の推進による流通の効率化などのコスト縮減策により、森林所有者への収益還元を高めていきたいと考えております。 また、再造林の実効性を高めるためには、素材生産事業者と造林事業者のマッチングや、造林を行う担い手の育成も必要でございます。このため県は、増産・再造林推進協議会を通じた事業者間のマッチングや、林業大学校での担い手の育成に引き続き取り組んでまいります。市町村におきましても、こうした取組に今まで以上に積極的に関わっていただき、県との強い連携の下、林業・木材産業の活性化を図ってまいります。   (水産振興部長松村晃充君登壇) ◎水産振興部長(松村晃充君) まず、改正漁業法における資源の管理対象魚種の数についてお尋ねがございました。 昨年12月に施行された改正漁業法では、水産資源の科学的な調査や評価に基づいて設定された魚種ごとの漁獲可能量によって資源管理を行うこととされております。 漁獲可能量による管理の対象魚種、いわゆるTAC魚種は、お話にありましたように現在8魚種で、アジ、サバ類、クロマグロなどが対象となっております。国は、今後漁獲量の多い魚種を中心に、資源の調査や評価の進捗状況を踏まえて、令和5年度中を目途に漁獲量ベースで8割がTAC管理の対象となるよう、順次魚種を拡大していくこととされております。 次に、本県に漁獲枠が配分された魚種は何か、また漁獲枠の配分調整などに対する漁業者の声をどのように聞いていくのか、さらには日々の個別漁獲枠の消化の確認についてお尋ねがございました。 本県に漁獲枠が配分されている魚種は、マイワシ、マアジ、サバ類、スルメイカ、サンマ、クロマグロの6魚種となっております。このうち漁獲枠が具体的な数量で配分されているのは、クロマグロのみとなっております。 クロマグロの県内での漁獲量の管理につきましては、県全体で月ごとに漁獲可能量を定めて行うこととしております。各月への配分割合につきましては、過去の漁獲実績を踏まえ、説明会や意見交換会を通じて漁業者の御意見を伺い、漁業者の代表や有識者などで構成される海区漁業調整委員会にお諮りをした上で決定しております。 今後、国はTAC魚種を順次拡大していくこととしており、新たにTAC魚種が追加され、本県に漁獲枠が数量で配分された場合には、クロマグロと同様の手続によって県内での配分を決定していきたいと考えております。その中で、説明会や意見交換会などを通じて、漁業者の声をしっかりとお聞きしてまいります。 また、日々の漁獲量の確認につきましては、現状は漁協からのメールやファクスにより随時報告を受け、漁獲枠の管理を行っているところでございます。現在、国において水産資源の評価や管理を適切かつ確実に行うため、全国の漁協や産地市場から直接日々の漁獲データを収集するシステムを構築しております。県もこのシステムを利用することが可能でございますので、今後このシステムを活用し、効率的な漁獲量の管理を行ってまいります。 最後に、漁業法の改正によりカツオ漁業の資源管理の仕組みが変わったのか、また中西部太平洋まぐろ類委員会でのカツオの漁獲規制強化の進捗状況についてお尋ねがございました。 広い海域を回遊し、複数の国によって漁獲される魚は、国際的な枠組みで資源が管理されており、我が国周辺のカツオやマグロについては、中西部太平洋まぐろ類委員会、WCPFCで資源の評価や管理措置について議論がされております。漁業法の改正後も、カツオはこれまでと同様に、こうした国際的な枠組みで管理が行われているところでございます。 現在のところ、カツオは数量管理は行われておりませんが、WCPFCにおいてカツオ資源が減少したとの評価がなされ、各国に漁獲可能量が割当てをされれば、クロマグロと同様、国内でTACの対象として数量管理が行われることとなります。 また、WCPFCでのカツオの漁獲規制につきましては、国は熱帯域での過剰な漁獲が日本近海への来遊量の減少の原因であるとの認識の下、WCPFCの場で、我が国周辺への十分なカツオの来遊が見込まれる水準に資源管理目標を引き上げるべきと主張をしております。 一方で、WCPFCで多数を占めます太平洋島嶼国は、カツオ資源の状態は良好であり、日本近海のカツオの不漁は熱帯域でのカツオの漁獲とは関係なく、資源管理措置の強化は必要ないとの立場を取っており、我が国の主張が受け入れられていない状況にあります。これらの国の理解を得るためには、科学的知見に基づいた主張を行うことが必要でありますことから、国においては、熱帯域などで標識をつけたカツオを放流し回遊経路を明らかにする調査や、稚魚の分布域の調査などに取り組んでいただいております。 県といたしましても、国と歩調を合わせまして、国が実施する調査への協力を行うなど、引き続き国の国際交渉の後押しを行ってまいります。 ◆16番(明神健夫君) それぞれ丁寧な御答弁ありがとうございました。 2問目の質問はありませんが、ワクチンの供給不足について要請をしておきます。政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身会長は、接種した人が半分ぐらいになると感染が広がりにくく、集団免疫の効果が出始め、医療体制の負荷も軽減されるのではないかとの見方を示しております。早期の集団免疫効果の発現を目指して、自治体はワクチン接種を加速しておりますので、自治体へのワクチン配分で希望量を大幅に下回ることのないように、また職場接種の一時休止が長期化しないように、全国知事会から政府に緊急提言していただきますことを要請いたしまして、私の一切の質問とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手) ○議長(森田英二君) 暫時休憩いたします。   午前11時29分休憩-----------------------------------   午後1時再開 ○副議長(加藤漠君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 31番上田周五君。   (31番上田周五君登壇) ◆31番(上田周五君) 県民の会の上田周五でございます。議長のお許しをいただきました。それでは、県民の会を代表し、通告に従い順次質問いたします。 初めに、新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになられました方々に哀悼の意を表しますとともに、現在この感染症のために入院治療や療養などなさっておられる皆様方が、一日も早く御回復されますことを心からお祈り申し上げます。 それでは、観客を入れての開催が決まりました東京オリンピック・パラリンピックについてお聞きいたします。 今月21日、政府、大会組織委員会、東京都などは5者協議を開き、観客数について、全ての会場で定員の50%以内で1万人を上限とすると決めました。メディア各社が今月19日と20日の両日に行った世論調査によると、五輪開催でコロナウイルスの感染拡大に不安を感じるは8割に上りました。また、中止が32%、再延期が30%となっています。そして、無観客で行うべきが53%となっています。 また、高知新聞社が今月21日と22日の両日に約300人を対象に行った東京五輪開催に係るアンケート調査では、観客数を制限して開催が23.1%、無観客で開催が26.4%、中止すべきだが42.7%となり、県民の五輪開催への賛否は割れています。ただ、五輪をきっかけとしたコロナ感染拡大を不安視する声が目立っています。 知事は、これまでも感染防止は非常に重要なテーマだとしつつ、一方で社会経済活動をできる限り両立させていかなければならないとの考え方の下で、東京五輪の開催には前向きに捉えられています。 そこで、今回国民の日常生活が制約される中、不安が払拭されないまま東京五輪が開催されることになりましたが、このことについて知事の御所見をお聞きいたします。 次に、海外選手の受入れの在り方についてお聞きいたします。東京五輪ウガンダ選手団でコロナ感染が判明し、海外選手の受入れの在り方について、ホストタウンに不安や困惑が広がっています。来月中旬には、週に100を超える選手団が事前合宿のために入国予定となっています。本県は、チェコとシンガポールの選手団約80名を7月11日から30日まで受け入れます。多くの県民が五輪をきっかけとしたコロナ感染拡大を懸念されている中での今回の感染判明であります。ですので、多くの県民はどこに来るのか、感染対策は大丈夫かなど不安視されているものと存じます。 そこで、事前合宿の受入れに係る感染症対策については万全を期すべきだと考えますが、知事にお聞きをいたします。 次に、高齢者向けのワクチン接種について、政府は今月17日自治体の準備状況に関する調査結果を公表し、全国1,741自治体全てが7月末までに接種完了をできると答えたことを明らかにしました。県内でのワクチン接種については、5月中旬時点では7市町村が8月にずれ込むとの見通しを示していましたが、県の応援もあり、1日当たりの接種人数を増やす方向で地元の医療機関と調整できたり、医療機関での受入れ増に加え、一部の集団接種会場で医師を増やすことで接種を加速させたりしたことなどで、全市町村で7月末までに終えられる見通しが立っています。そして、7月からは64歳以下に対象が広がります。 県は、高知市のワクチン接種を支援するため、7月中旬から高知新港で大規模な職場接種を始めます。市内に勤務する教職員や保育士、中小企業の従業員ら約2万人が対象で、1日最大1,200人に接種する計画であります。知事は、教職員や警察官を取っかかりに県全体の接種加速を図っていきたいと述べられています。感染力の強いインド変異株の拡大速度からすれば、さらなる接種のスピードアップは欠かせないものと存じますが、その分、実施主体である市町村の負担が今よりも相当重くなることが予想されます。 よって、県には刻々変化する接種状況を見極めつつ、柔軟に市町村への支援策を打ち出してほしいと考えますが、健康政策部長にお聞きをいたします。 次に、高齢者ワクチン接種に関する国及び県の対応についてであります。コロナ危機の究極のリスクは医療崩壊による死者の急増であり、ワクチンの早期接種は医療崩壊を防ぐための最も有効な手段であると考えます。去る4月23日の会見で首相は、希望する高齢者に7月末を念頭に各自治体が2回の接種を終えることができるよう、政府を挙げて取り組むと語りました。国が1つの目標を立てて取り組まれることに異論はございませんが、一方で首相の7月末完了の号令下で、完了が8月以降の予定になるとした県内市町村に対し、ワクチンとは畑違いの総務省職員から直接早期完了を求める電話があり、政府の圧力に違和感があったとする首長もいました。 このように地方分権に逆行するような上意下達のようなことがあってはならないと存じますが、今回の国の対応について健康政策部長にお聞きをいたします。 次に、知事自らがコロナ感染防止を呼びかける重要性についてお聞きをいたします。先月29日は、日本で初めてコロナ感染者が確認されてからちょうど500日となる日でした。この日のNHK四国のニュースでコロナ関連のニュースが流れていました。番組の中で、他の3県の知事は自らその日のコロナ感染状況を説明されていました。私は、本県の感染状況がその日も25人確認されており、5日連続で20人を超え、直近7日間の新規感染者数が181人、病床の占有率も68.8%と非常事態を優に超えていること、また県内感染症の第一人者である吉川医師が前日に、変異株は感染力が強く、重症化リスクが高いウイルスが市中に広がり、感染者数が急カーブで増えている、今後四国他県で起きたような感染拡大があるかもしれないと懸念しているとの指摘もされていたことから、番組を通じて知事自らが注意喚起を促したらよかったのになあと思いました。 今月16日の高知新聞の「声 ひろば」欄に県内在住の方から「知事のコロナ特別声明を」と題し、県民に向かって収束に向けた注意や提案を早急に広く呼びかけられることを期待したいとの投稿があっています。先ほどコロナ500日と申し上げましたが、県民は毎日息の詰まるような生活を続けているものと存じます。こうした状況だからこそトップリーダーの一言は相当重みがあり、勇気づけられ、行動変容にもつながっていくものと信じています。 知事には知事のお考えがあろうかと存じますが、先ほどの県民の声にもありますように、コロナ禍が長期化する今だからこそ、もっともっと公共メディアを活用された啓発が必要と考えますが、知事にお聞きをいたします。 この項最後に、営業時間短縮要請協力金についてお聞きいたします。県内における新型コロナウイルス感染症の急拡大を踏まえ、高知市、四万十市において、5月26日から6月8日までの間、また高知市については感染が高止まりしていることから、さらに6月20日まで延長し、飲食店などの事業者に対して営業時間の短縮を要請しています。要請期間中に協力をいただける事業者には、1店舗当たり、四万十市では最大35万円から105万円まで、高知市では最大65万円から195万円までの協力金が支給されます。 支給スケジュール等の予定は、申請受付開始が5月31日、そして高知市の期間延長分は6月14日からであり、協力金の支給開始は6月中旬からになっています。コロナ禍が長期化する中で、飲食業などは厳しい経営環境が続いており、協力金については、できる限り早期の給付が強く求められています。 今回の県の時短要請に応じた店舗の割合は、高知市が2,478軒のうち2,401軒の96.9%、四万十市が248軒のうち246軒の99.2%となっております。このことは、多くの店舗の協力で新規感染者の減少につながったものと強く認識しています。 そこで、これまでに申請のあった店側に支払った協力金の給付状況及び協力いただいた全ての店舗に協力金が行き渡るよう、制度の周知徹底について商工労働部長にお聞きをいたします。 次に、経済の活性化に関連し、高知県まち・ひと・しごと創生総合戦略についてお聞きいたします。日本世論調査会が昨年11月から12月にかけて実施した全国郵送世論調査結果では、政府が2014年に打ち出した地方創生政策が進んでいますかといった問いに対し、89%が進んでいないと答えています。また、東京一極集中を是正すべきと思いますかといった問いに対しては、是正すべきだとの回答が79%に上っています。 そうした中、今年1月第1期高知県まち・ひと・しごと創生総合戦略の数値目標及びKPIの達成状況が示されました。それによると、198の評価項目のうち目標を達成したもの、あるいは目標をほぼ達成したものが140項目あり、達成率は70.7%となっています。このように個別の政策では一定の成果は上がっていますが、一方で人口の社会増減をゼロにする項目及び合計特殊出生率の項目、そして林業や水産業の振興などの項目で十分な進展が見られなかったり、同戦略の開始時と比べて数値を維持できなかったものが見受けられます。 そこで、第1期総合戦略の取組の結果を分析し、市町村や企業、NPOとの連携を一層強化し、第2期高知県まち・ひと・しごと創生総合戦略の成果につなげていくべきだと考えますが、知事の御所見をお聞きいたします。 次に、経済の活性化の取組で、知事が特に力を入れているのが関西戦略であります。その知事が政策の目玉に掲げられています関西圏との経済連携の強化についてお聞きいたします。本年3月、関西圏と本県との経済連携の方策を総合的に取りまとめた高知県関西・高知経済連携強化戦略が策定されました。本県と大阪をはじめとする兵庫、京都など関西圏とのつながりは、昭和の時代から相当深いものがあると認識しています。製紙業など産業面、観光及び教育面でのつながりであります。 今般策定された強化戦略の大きな柱の一つになっているのが万博・IR連携プロジェクトの推進であります。大阪・関西万博やIRなどの大規模プロジェクトを契機に関西圏を訪れる国内外の観光客をターゲットとして、本県への誘致を促進するとともに、新たに設置されるプロジェクト関連施設への県産品等の外商拡大の取組を進めるというものであります。要するに、本戦略は2025年の大阪・関西万博の開催や大阪IRの全面開業を見据えた戦略が中心になっているものと認識しています。 ところが、開幕まで4年を切った大阪・関西万博ですが、ここに来てコロナの感染拡大は外国の招請活動に大きな障壁となっています。一昨日の読売新聞によりますと、万博への参加国が目標に達しておらず、政府は今月末までのパビリオン出展申請期限を延長する検討に入ったということであります。また、サテライト会場となる関西各地の自治体の動きを鈍くしたりしています。そして、万博開催中に見込まれている2,820万人の来場者数について、日本国際博覧会協会の事務総長が、コロナの影響が長引けば見直しが必要と言及されています。 さらに、不安材料は、大阪府・市が夢洲地区に誘致を自指すIRの実施方針案を今年2月に修正し、全面開業時期を白紙に戻したことであります。このことで、IRに関しては来場者の見通しも不透明になり、鉄道の延伸投資にも影響が予想されるなど、近畿圏での年間7,600億円の経済波及効果は、当初は目減りしてスタートする公算が大きくなっています。 そこで、全面開業時期が白紙となり、大阪IRの開業時期が見通せないことなどを考えたとき、強化戦略に影響が出るのは必至だと思いますが、知事の御所見をお聞きいたします。 次に、大阪高知県人会が解散したことによる関西戦略への影響についてお聞きいたします。関西の主要県人会である大阪高知県人会が先月末をもって解散しました。高齢化で会員数が減る中、昨年から新型コロナウイルスの影響で総会も開けず、活動が困難になったためだということであります。同県人会は、30年前のピーク時には500人の会員がおり、会員一人一人の人脈などで、本県と大阪を中心とした関西圏との経済活動などにおいて、大きな橋渡し役を担ってきたと強く認識しています。 私も、伊野町役場時代に複数回、県人会の催しに参加したことがありますが、その当時を思い出しますと、同県人会の皆様がふるさと高知のことを熱く語られていたことが強く印象に残っています。 そこで、この県人会の解散が、今後の関西戦略を進めていく上で大きな痛手となると考えますが、知事にお聞きをいたします。 次に、デジタル化の推進についてお聞きをいたします。 デジタル化の推進は、菅首相がデジタル社会の実現を政策の柱に据えたこともあり、もともと自治体にとっても重要な政策テーマでありましたが、コロナ禍がその取組を加速させたものと認識しています。本県においては、コロナ禍による社会構造の変化や国のあらゆる分野のデジタル化を推進する方針を踏まえ、行政サービスデジタル化推進計画を、より総合的な高知県デジタル化推進計画としてバージョンアップされました。そして、令和3年度はウイズコロナ、アフターコロナにおける社会構造の変化も見据え、行政分野をはじめ第1次産業分野などのデジタル化に取り組む予算を確保し、スピード感を持って展開していくとされています。 ところで、デジタル化の加速で行政手続や医療機関の診療などでオンライン化が進むと思われますが、不慣れな県民は生活にも影響が出てくることが予想されます。いわゆるデジタルディバイド、デジタル技術を扱うことができる人とできない人との間に生じる格差の問題であります。内閣府の昨年の調査では、70歳以上の57.9%、60歳代の25.7%がスマホやタブレットを使っておらず、またスマホを使っていない高齢者らは約2,000万人はいると見られています。 県民にあまねくデジタル化の恩恵を施すには、特に高齢者への普及啓発が必要であると思います。今般策定された高知県デジタル化推進計画においても、県民サービスの向上としてデジタルディバイドへの配慮を掲げています。例えば、県と市町村で構成するデジタル化推進協議会を設け、デジタルディバイド解消に向けた具体的な取組を検討されてはと存じます。 いずれにしても、誰一人取り残さないといった観点から、この課題を克服していかなければならないと考えますが、総務部長の御所見をお聞きいたします。 次に、市町村のデジタル化の支援についてお聞きいたします。今後四、五年間は、新型コロナウイルスの影響で極めて厳しい行財政の運営が見込まれます。そうしたことでデジタル化による行政サービスの効率アップや、事業の選択と集中のさらなる徹底が強く求められています。 デジタル化の推進、特に行政手続のオンライン化など行政分野については、県内市町村と県が歩調を合わせながら取り組まなければならないと存じます。しかしながら、市町村の現状は平成の合併以降、マンパワー不足や財源不足問題など、大変厳しい環境にあります。 そこで、デジタル化を推進する市町村への支援について総務部長の御所見をお聞きいたします。 次に、県庁職員への期待などについてお聞きいたします。 言うまでもなく、民生の安定と県民福祉の向上、そして県勢浮揚の推進力となりますのは、知事を支える3,400人余りの職員であります。コロナ禍の長期化にあって、県民の県庁に対する見方は以前にも増して厳しさが増しているように感じますし、職員の働き方も随分変わってきたと思います。そして、デジタル化の推進で行政を取り巻く環境も激変するものと予想されます。そうした意味で、今後は県の役割そのものがますます大きくなってくるものと認識しています。 さて、令和3年4月1日時点の知事部局の職員数は3,403人であります。うち女性職員は1,177人で、全体の34.6%を占めています。また、令和3年の新規採用職員149名のうち女性職員は71名で、その割合は47.7%となっています。このように今後も女性職員の割合は増加していくことが見込まれます。コロナ収束後の県政の在り方を考えたとき、私は女性職員の活躍が大きな鍵を握っているように感じています。 そこで、女性職員への期待について知事にお聞きをいたします。また、民間企業等で培った経験や能力を生かし、即戦力となり得る社会人経験者である職員への期待についても併せてお聞きいたします。 さらに、近年職員の大量退職に伴い、世代交代の流れが加速化する中、ウイズコロナ、アフターコロナの時代における県庁職員のあるべき姿をどのように描いておるのか、知事にお聞きをいたします。 次に、ウイズコロナ、アフターコロナの時代における県の行財政運営についてお聞きいたします。 コロナ禍の長期化で日本経済が大きな打撃を被っています。今月8日に発表された2021年1月から3月期の実質GDPは、3四半期ぶりに減少し、2020年10月から12月期に比べて1.0%減、このペースが1年間続くと仮定した年率換算で3.9%減のマイナス成長となっています。市場関係者からは、4月から6月期もマイナス成長になるとの見方が出ています。この先、本格的な景気回復には、ワクチン接種が着実に進むことが鍵になるものと存じます。 こうした状況下で地方自治体の税収は減り、各自治体は財政運営に大変苦慮されています。高知県においても例外でなく、県の税収は令和3年度当初予算ベースで前年度比6.2%減、金額にして41億7,000万円の減となっています。そして、先頃公表された2020年国勢調査結果の速報値で、本県の人口は27年度比で3万6,000人余り減っており、今後の地方交付税の算定にも多分に影響してくるものと存じます。 また、政府の新型コロナウイルスへの対応により巨額の財政出動が行われる中、2022年度以降の地方財源が十分に確保できるのか、大きな不安が残っています。これまでのように国からの手厚い支援も望めない状況ではないかと危惧されます。また、日本世論調査会が昨年11月から12月にかけて実施しました全国郵送世論調査では、人口減で自分が住む市区町村の運営が将来難しくなる可能性を感じると答えた人は53%に上っています。 一方、本県は人口減少が加速化する中においても、課題解決先進県として、経済の活性化、高齢者や若者世代への対応、南海トラフ地震対策及びインフラの整備と充実、さらに中山間対策などなど避けては通れない課題が山積しております。そんな中で、県民サービスを低下させずに県行財政運営を円滑に進めていくには、周到な準備と相当の覚悟が必要だと存じます。 そこで、ウイズコロナ、アフターコロナの時代の県の行財政運営についてどのようにかじ取りをなさっていくのか、知事の御所見をお聞きいたします。 次に、新型コロナウイルス収束後の市町村の行財政運営についてお聞きをいたします。県内市町村の地方税収も、県と同様に新型コロナの影響で個人住民税や法人住民税、固定資産税などで減少し、3年度当初予算ベースで前年度比4.2%減、35億5,600万円の減少となっています。また、虎の子である財政調整的基金を取り崩して予算編成する自治体も多く、基金も5年連続で減少しています。 こうしたことから、市町村においても県と同様、今後の行財政運営が相当きつくなるものと存じます。既にそういったことを見据えて、行革に取り組んでいる自治体もあるやに伺っております。 そこで、県として各自治体の財政状況を注視しながら、その運営についてどのように助言、そして支援されていくのか、この項は総務部長にお聞きをいたします。 次に、森林・林業行政についてお聞きいたします。 今年4月、令和2年2月1日に実施された2020年農林業センサス・農林業経営体調査の確報があり、林業分野では経営体数は前回調査に比べて1,246、率にして58.6%の経営体が減少し、882経営体に、また保有山林面積も3万6,020ヘクタール、率にして37.2%が減少し、6万747ヘクタールとなっています。一方、素材生産量は、森林施業の集約化や生産向上などの取組により2万7,495立方メートル、5.0%増加し、57万2,006立方メートルとなっています。 このような中で、森林・林業行政の第一線に立つ市町村では、林業技術者としての知見及び経験を備えた専門職員が不足しており、人工林が本格的な利用期を迎えている中で、森林の有する多面的機能の発揮に向けた森林整備への取組など課題が山積しています。加えて、平成30年5月に可決、成立し、31年4月に施行された森林経営管理法に基づく森林経営管理制度に係る事務の拡大、及び令和元年度から市町村に譲与されることとなった森林環境譲与税の適切な活用の取組などで、一層マンパワー不足に悩まされているのが現状であります。 森林環境譲与税は使途が法令で定められており、市町村においては、経営管理がされていない杉やヒノキといった人工林の間伐など、森林整備関係や林業の人材育成、担い手対策、そして木材利用、普及啓発に使われることとなっています。そして、令和2年度には県内全市町村へ配分されており、総額は12億900万円余であります。 そこで、県内市町村における森林環境譲与税の使途状況について林業振興・環境部長にお聞きをいたします。 また、森林環境譲与税は県にも2億1,300万円余が配分されています。県に対しては、市町村の支援に使用するよう定められておりますが、その使途について特に市町村のマンパワー不足に対してどのように活用していくのか、併せて林業振興・環境部長にお聞きをいたします。 次に、これからの森林・林業行政の進め方についてであります。林業部門が世界農林業センサスに含まれたのは1960年の調査からであります。昭和30年代の前半は、林政が戦後の資源政策から経済政策への転換期に当たり、従来軽視されがちであった林業生産主体並びに地域林業に対する積極的施策の確立が必要とされ、新たにセンサス方式による林業の生産構造を把握する調査を実施する必要があったからであります。現在でも林業政策について、市町村行政における位置づけが低いと指摘される方がいらっしゃいます。 そのような中、令和3年度の県行政における林業分野では、原木生産の拡大、木材産業のイノベーション、木材利用の拡大、担い手の育成・確保の4本柱により、木材利用の拡大に取り組むとされています。いずれにしても、原木生産の拡大などを進めていくためには、市町村及び林業経営体との緊密な連携が不可欠であります。市町村からは、森林環境譲与税が導入されたから県が市町村を支援するとかではなく、平素から寄り添った林政にしてほしいとの話も聞こえてきます。また、第1期まち・ひと・しごと創生総合戦略の数値目標の達成状況を見ても、原木生産量の拡大や林業就業者数増加の項目で未達成となっており、林業分野での県政課題が山積しています。 そこで、そうしたことなどを踏まえて、今後は林業の活性化なくして高知県の活性化なしとの思いを持たれ、森林・林業行政を進めてほしいと考えますが、知事にお聞きをいたします。 次に、高知の子供の貧困対策についてお聞きいたします。 土佐の未来を担う子供たちが心身ともに健全に育ちますよう、よりよい環境を整えるのが私ども大人、そして社会の責任ではないでしょうか。厚生労働省が実施する国民生活基礎調査によれば、日本の子供の貧困率は平成24年に16.3%となり、過去最悪を更新しました。そして、平成27年のそれは13.9%まで改善は見られていますが、約7人に1人の子供が貧困の状態にあり、依然として高い水準にあります。中でも、子供がいる現役世帯のうち大人が1人の世帯の貧困率は50.8%と、大人が2人以上の世帯の10.7%と比べ非常に高い水準となっており、独り親家庭の子供たちが経済的に大変厳しい状況にあることがうかがえます。 このような中、本県では平成28年度に高知県子どもの生活実態調査を実施し、生活困難世帯の割合を調査しています。この調査は小学1年生と5年生、中学2年生、そして高校2年生を対象としており、結果は小学5年生が35.9%で最も高く、生活困難世帯の割合は全体で約33%となっています。こうしたことから、県では新たに第2期高知家の子どもの貧困対策推進計画を策定し、厳しい環境にある子供たちへの支援をより一層充実させるため、全庁挙げて取り組んでいます。 さて、第1期計画の指標及び目標の達成状況は、多くの指標で目標値である全国平均または県全体の平均レベルに達するなど、一定の成果は現れています。一方、厳しい環境にある子供たちへの支援策を強化したにもかかわらず、1,000人当たりの小中学校の不登校児童生徒数と刑法犯少年の再非行率が全国平均より高くなっていることが分かりました。 そこで、全国平均よりも高くなっている2つの指標について今後どのように目標値に持っていくのか、その取組について教育長と警察本部長にお聞きをいたします。 次に、ヤングケアラーについてお聞きいたします。午前中の明神議員の質問と重複する部分があろうかと存じますけれども、御答弁よろしくお願いをいたします。 ヤングケアラーとは、法律上の定義はございませんが、大人が担うような家事や家族の世話を日常的に行っている18歳未満の子供をいいます。障害や病気がある親や祖父母、兄弟の世話や家事に追われて学業が滞ったり、体調が悪くなったりするケースがあるようです。 ヤングケアラーについては、厚生労働省と文部科学省による初の全国実態調査が中学2年と高校2年を対象に、令和2年12月から令和3年1月に実施され、公立中754校と全日制の高校249校、中学生5,558人と高校生7,407人から回答がありました。その結果、中学2年生が5.7%で約17人に1人、高校2年生が4.1%、約24人に1人いたことが分かりました。クラスに1人ないし2人いる計算で、うち二、三割が父母を世話し、理由は身体障害が多く、厚労省の担当者は予想以上に多いとしています。 ヤングケアラーは、学業や進路への影響だけでなく、同世代からの孤立を招くとも指摘されています。こうしたことから、独自の実態調査に乗り出した自治体も出てきました。厚生労働省と文部科学省では、福祉につなぐ仕組みを整理し、先月相談窓口拡充など支援策をまとめられたところです。 そこで、ヤングケアラーについて、日本一の健康長寿県づくりを進める中で、県内の実態把握に努めるとともに、課題意識を持って取り組むべきと考えますが、子ども・福祉政策部長の御所見をお聞きいたします。 次に、無形の文化の継承についてお聞きいたします。 笛や太鼓に合わせ、鬼の面や豪華な衣装を身につけた舞い手が華やかに舞う仁淀川町池川地区の神楽は、国指定の重要無形民俗文化財として歴史がある伝統芸能であり、しかも地域住民の生活の一部となっています。その池川神楽が地域の高齢化や過疎化に加え、コロナ禍で深刻な影響を受けています。池川神楽保存会の馬詰さんは、例年数回あった町内外での奉納や公演がコロナ禍で昨年は1回のみとなった、町から補助金は頂いているが運営費が足りない状況だ、また一番の課題は会員の確保ですと今後の活動を不安視されています。 県内では、7つの市町で9つの神楽が土佐の神楽として国の重要無形民俗文化財に指定されていますが、活動の状況は池川神楽と同様に厳しいものがあろうかと存じます。神楽には不思議な魅力があり、根強いファンが相当います。毎年秋に行われています高知城秋のお城まつりや新年に県立美術館能楽堂で披露されます神楽には、1,000人近い聴衆が集まります。 さて、本県では平成29年3月新たに高知県文化芸術振興ビジョンを策定し、その基本方針に、地域固有の伝統芸能などがさらに活用されるよう具体的施策が明記されています。 このような中、本年4月16日無形文化財と無形民俗文化財に、既存の指定制度より基準が緩やかな登録制度を新設する改正文化財保護法が参議院本会議で可決、成立しました。担い手不足やコロナウイルスの影響による活動の制約で、継承が危ぶまれる地域の祭りや郷土料理など幅広く保護対象とし、保存、活用を図るもので、今月14日に施行されています。文化庁は具体的な基準を詰め、本年度内に数件程度の登録をする意向であります。今回の無形文化財登録制新設は、文化財の知名度を高め、新型コロナウイルスの感染拡大や後継者不足に悩む様々な文化活動の後押しになるものと期待されています。 そこで、無形の文化財を後押しするため新設された登録制度をきっかけに、県として神楽など地域固有の文化継承及び活用について今後どのように取り組んでいくのか、文化芸術振興ビジョンを所管する文化生活スポーツ部長にお聞きをいたします。 次に、茶業及びお茶の文化の振興についてお聞きをいたします。 今から1,200年以上前に中国から伝えられたお茶は、長い歳月を経て日常生活に定着し、日本人の生活と文化にとって不可欠な存在となっています。さて、お茶の振興に関しては、国において平成23年にお茶の振興に関する法律が定められています。この法律は、茶業及びお茶の文化の振興を図るため、お茶の生産者の経営の安定、お茶の消費の拡大及びこれに資するお茶を活用した食育の推進並びにお茶の輸出の促進に関する措置、さらにお茶の伝統に関する知識等の普及の措置等を講じ、もって茶業の健全な発展及び豊かで健康的な国民生活の実現に寄与することを目的としております。 法律の第2条第1項は、「農林水産大臣は、お茶の生産、加工又は販売の事業及びお茶の文化の振興に関する基本方針を定めるものとする。」と規定されています。こうしたことから、農林水産省は茶業及びお茶の文化の振興に関する基本方針を令和2年4月に策定しています。また、法律の第3条第1項は、「都道府県は、基本方針に即し、当該都道府県における茶業及びお茶の文化の振興に関する計画を定めるよう努めなければならない。」として、都道府県に努力義務を求めています。 そこで、本県はこの法律に基づく振興計画を策定されているのか、未策定なら策定の予定はあるのか、農業振興部長にお聞きをいたします。 次に、茶業の振興についてお聞きをいたします。土佐茶は、本県中山間地域において重要な基幹作物として栽培されています。茶業の振興なくして中山間地域の活性化なしと言っても言い過ぎではないと存じます。 しかしながら、土佐茶の現状は、ペットボトル飲料やティーバッグ消費の拡大など、消費者ニーズの多様化で煎茶の消費量が減少していることから、平成12年以降荒茶価格は下落しています。また、平成16年にお茶で原料原産地の表示が義務づけされ、主に静岡茶のブレンドに使われていた土佐茶の価格はさらに低下したこともあって、生産量、栽培面積が急激に減少してきました。 それを受けて県では、産業振興計画に土佐茶の振興を位置づけて荒茶での出荷が主体であったものを、付加価値をつけた仕上げ茶販売を強化することで、生産者の所得向上を図ってきましたが、生産者の高齢化による放棄茶園の増加、茶樹の高樹齢化による樹勢低下など、今後の生産の維持が懸念されます。 そこで、こうした現状で、今後の茶業を振興する上での施策の展開について農業振興部長にお聞きをいたします。 この項最後に、お茶の文化の振興についてお聞きをいたします。土佐茶を振興していくためには、生産と販売の強化とともに、お茶の文化に関する理解を深める取組が重要であると存じます。県内には表千家同門会の高知県支部など茶道に携わる県民の皆様が多くいます。そして、お茶の文化への理解を深めようと小中学校に出向き、児童生徒にお茶やお茶の文化に触れる機会を提供されている方々もおられ、さらに自治体などが実施されます文化祭や健康まつりなどのイベントへ積極的に参加し、お茶の文化や魅力を広められている方々もたくさんおります。 そこで、お茶の文化の振興のために今後どういった取組を実施していくのか、農業振興部長にお聞きをいたします。 最後に、仁淀川流域の観光政策についてお聞きいたします。 高知県の観光振興につきましては、ワクチン接種が行き渡り、全国の感染状況が落ち着きを見せるようになれば、すぐさま本県の観光需要の回復が図れますよう、これまでの取組を一段と強化しておくことが重要かと存じます。本県の観光振興は、県内6つの広域圏で展開されている地域観光が大きなウエートを占めているものと思っています。その一翼を担っているのが仁淀川広域観光ではないでしょうか。最近人気急上昇中なのが、日本一の水質を誇り、仁淀ブルーの愛称で親しまれ、奇跡の清流の異名を持つ仁淀川であります。コロナ禍が長期化する中でも、アウトドア活動にはもってこいの場所であり、今年のゴールデンウイーク期間中も流域の観光スポットでは多くの県内外の観光客でにぎわいを見せていました。 それに拍車をかけるのではないかと期待されているのが、来月16日公開予定の細田守監督のアニメ映画竜とそばかすの姫であります。映画の劇中に仁淀川流域が登場するため、映画封切り直後から聖地巡礼による観光客がどっと押し寄せることが予想されています。配給会社のお話では、過去の細田監督作品で聖地巡礼となっている自治体では、数年間に及ぶ観光客数の増加の実績があっているということであります。 一方、迎え入れる地元自治体の状況ですが、観光客の増加により仁淀ブルーのブランド力のアップやコンテンツツーリズムによる経済効果が期待されますが、同時に私有地への無断立入りや周辺道路の混雑、そして違法駐車や騒音などといった問題が心配されます。 こうしたことから、関係自治体では地元住民の生活を守った上で、観光客に気持ちよく楽しんでいただくよう、聖地となる地域周辺の整備の強化や、聖地までの送迎を行うことなどの対応を検討されています。また、聖地への中心的なアクセス道となる県道伊野仁淀線の早急な整備も求めています。 そこで、アニメ映画竜とそばかすの姫聖地巡礼による仁淀川流域の地域観光振興を考えたとき、県としてソフト・ハード面にわたる力強い支援が必要だと考えますが、観光振興部長及び土木部長にお聞きをいたしまして、私の1問とさせていただきます。   (知事濱田省司君登壇) ◎知事(濱田省司君) 上田議員の御質問にお答えをいたします。 まず、東京オリンピック・パラリンピックの開催についてお尋ねがございました。 国民の皆さんには、大会の開催によります新型コロナウイルスの感染拡大への不安の声が多いことは承知をいたしております。しかし、私は感染症対策と社会経済活動は二者択一ということではなく、いかにその両立を図るかということが重要であるというふうに考えております。オリンピック・パラリンピックも、その大きな命題の一つだというふうに受け止めているところであります。感染症対策を徹底し、全ての参加者や国民にとりまして、安全で安心な大会が開催できることを期待いたしております。不安払拭のために、できる限りの準備を進めていただくことが必要だというふうに考えている次第です。 大会組織委員会は、具体的には全ての会場で観客数を制限すると同時に、今後の感染状況に応じまして、無観客も含めた対応を検討するというふうにいたしております。また、観客向けのガイドラインを作成され、会場内でのマスクの常時着用、大声での応援の禁止の徹底、会場への直行、直帰など様々な協力を求めておられます。さらに、参加者が遵守すべき行動ルールを強化すると同時に、ルールに違反した選手などへの制裁措置を明確にするということなど、専門家の科学的知見に基づく対策も新たに示されているところでございます。 こうした大会運営に当たってのルールを徹底し、国内外の関係者が感染症対策に協力をして対応するということによりまして、安全で安心な大会の開催につなげていただくということを心から期待いたしております。 次に、事前合宿の受入れに係ります感染症対策につきましてお尋ねがございました。 本県では、チェコ共和国、そしてシンガポール共和国の2か国から、陸上、水泳などの5競技の選手団を、南国市、高知市、須崎市で受け入れることとなっております。合宿期間中の感染症対策といたしましては、入国時には選手団全員がスクリーニング検査を受けますとともに、空港内は一般の方とは分離した方法で移動するということとされております。 また、県内におきましては、期間中毎日スクリーニング検査を行いますとともに、専用車両での移動、宿泊施設のフロアや練習会場の貸切りなど、一般の方とは接触をしないように、動線を分ける形で行動いたします。陽性者が出た場合には、保健所の指示に従いまして、症状に応じて宿泊療養施設などへの隔離あるいは感染症指定医療機関への入院といった形などで、一般の方と同様の対応をするということとされております。 こうした対策を確実に実施いたしますため、受入れ自治体、宿泊施設、練習施設などで構成をいたします東京オリンピック事前合宿2021受入連絡協議会におきまして詳細な対応について確認をし、準備を進めているところであります。受入れ対応に当たるスタッフには、選手などとの一定の接触がございますので、接触度合いに応じて定期的にスクリーニングの検査を実施いたします。これら受入れ側の関係者の皆様には御負担をおかけいたしますので、県としてもしっかりサポートさせていただきたいというふうに考えております。 選手や関係者、また県民の皆さんにとって安心・安全な受入れができますように、受入れマニュアルに基づきまして、しっかりとした感染症対策を講じるなど、万全を期してまいりたいと考えております。 次に、公共メディアを活用いたしました新型コロナウイルス対策の啓発についてお尋ねがございました。 県におきましては、昨年2月に高知県新型コロナウイルス感染症対策本部を設置いたしました。それ以来これまでおおよそ一月に2回のペースで本部会議を開催してまいりました。本部会議におきましては、県内の感染状況に応じました県の対応方針や、感染拡大防止に向けました県民の皆さんあるいは事業者の皆様への協力要請の内容などを決定いたしているところでございます。 この本部で決定いたしました方針あるいは県民の皆様へのメッセージにつきましては、この本部会議の場で、私自ら県民の皆様にマスメディアを通じて発信をしてまいりました。ちょうど昨日も都合26回目となります本部会議を開催いたしまして、県内の感染状況も踏まえ、ワクチン接種後に注意をいただきたい点なども含めまして、私のメッセージとしてお伝えをいたしたところであります。 また、県民の皆様への注意喚起が特に必要であると判断をいたしました場合には、臨時の記者会見を行うといった形で、様々な場におきまして自ら情報発信に努めてまいったつもりでございます。こうしたマスメディアを通じました情報発信に加えまして、動画配信やSNSの活用、県のホームページへの掲載など、幅広く啓発を行っているところでございます。 今後につきましても、正確で分かりやすい情報発信に意を用いながら、県民の皆様と心を一つにして、この対策を前に進めていけるようなメッセージを、時宜を捉えて発信をしてまいりたいと考えております。 次に、経済の活性化に関連をいたしまして、第1期総合戦略の結果分析と市町村などとの連携強化によりまして、第2期の戦略の成果につなげるということにつきましてお尋ねがございました。 本県の経済は、人口減少下におきましても拡大をする経済へと構造転換を果たしつつあるということなど、経済成長の面におきましては、第1期戦略において成果を出してきたというふうに考えています。一方で、議員から御指摘がございましたように、例えば社会増減の均衡でございますとか合計特殊出生率といった、目標を達成するに至らなかった項目もございます。 このため、第2期の戦略におきましては、さらなる若者の定着、増加と出生率の向上に向けて、施策を強化いたしますとともに、今年の3月には戦略の改定も行ったところでございます。 こうした戦略による取組を進めます上では、新たな統計データなどを踏まえまして、随時検証や見直しを行うといったことなどで、迅速に対応していくということが重要であります。そのため、今後も引き続き市町村、企業、NPOといった関係の皆様との連携を一層強化いたしまして、目指すべき方向、進捗状況を共有いたしますとともに、課題の洗い出しにも取り組んでまいります。 また、9月に開催を予定しております総合戦略推進委員会におきましては、これまでの現状分析あるいは課題などを御報告させていただきまして、委員の方々から様々な御意見を頂戴して、今後の方向を検討してまいりたいと考えております。 こうした取組を通じて、各施策の実効性が高まりますような対策を講じていくということによりまして、各施策の目標が達成をできるように全力で取り組んでまいります。 次に、大阪IRの開業時期が関西戦略に及ぼす影響についてお尋ねがございました。 関西戦略につきましては、大阪・関西万博あるいは大阪IRなどの大規模プロジェクトを契機として、関西圏の経済活力が高まりを見せていると。これを踏まえまして、本県の経済の活性化につなげるという考え方で策定をいたしております。具体的には、1つには観光推進、2つには食品等の外商拡大、3つには万博・IR連携の3つのプロジェクトで構成をいたしております。 観光推進プロジェクトにおきましては、大阪観光局と連携し、コロナ収束後の国内外の観光客の誘致に向けまして、関西圏での観光PR、そして関西と高知を結ぶ新たな観光ルートの開発などを進めております。 また、食品等外商拡大プロジェクトにおきましては、大阪市の中心部におきます大規模な再開発をターゲットとした外商活動あるいはコロナ禍におきましても販売が堅調であります地域の量販店などへの販路開拓に取り組んでいるところでございます。 さらに、万博・IR連携プロジェクトにおきましては、万博の開催あるいはIRの開業を契機といたしまして、観光誘客の推進あるいは県産品などの外商拡大につなげていくというような中身となっております。 このうち、議員からお話がございましたように、大阪IRに関しましては、開業時期あるいは全体規模に関して一部不透明な部分も出てまいっております。一方で、大阪府、大阪市におきましては、来年4月の区域整備計画の認定の申請に向けて、本年9月には実施事業者を決定する予定であるということを公表されております。このため、現在準備状況などの情報収集に努めているところでございまして、県産品の活用に向けた営業活動においても、時期を逸することなく進めてまいる考えであります。 こうした3つのプロジェクトを積極的に推進していくということで、着実に関西圏の経済活力を本県に取り込みまして、県勢の浮揚につなげてまいりたいと考えております。 次に、大阪高知県人会解散によります関西戦略への影響についてお尋ねがございました。 この関西戦略をスタートさせた矢先ということだけに、今回の解散は大変残念でございます。ただ、京都をはじめといたします5つの県人会と、これらの連合組織であります近畿連合会は、引き続き活動を続けられております。このほかにも、市町村ごとの出身者で構成をされますふるさと会あるいは学校単位の校友会など、様々なネットワークが関西方面にはございます。また、県の大阪事務所をはじめといたしまして各産業振興に関わる部局では、関西のキーマンとなる方々とのネットワークを構築いたしまして、各分野において様々な御支援、御協力をいただいております。 さらに、今回の戦略を策定する過程におきましても、アドバイザーの皆様からの紹介によりまして、在阪の領事館の方々あるいは関西経済界の方々との新たなネットワークも生まれているところでございます。こうしたネットワークに加えまして、市町村が独自でお持ちの人脈も共有をさせていただくということなど、市町村とのより一層の連携を図りまして、関西戦略の実効性を高めてまいりたいと考えております。 次に、県庁の女性職員あるいは社会人経験のある職員への期待についてお尋ねがございました。 まず、女性職員につきましては、知事部局におきます女性職員の割合は直近10年間で約6ポイント増加をいたしております。県勢浮揚に向けました各施策を進める上で、女性職員が活躍する機会は年々高まっておりまして、その能力が様々な場面で発揮されることは、県として大変重要だというふうに考えております。 本年4月には、女性の管理職の占める割合につきまして目標値を引上げいたしました。以前の10%以上という目標から大幅に引き上げまして、令和7年度に18%以上という高い数値を設定いたしました。その上で、本年度の課長補佐級の新任研修におきましては、私自身が女性職員のキャリアアップについて呼びかけを行うといった形で、活躍を後押ししようということで取り組んでおります。女性職員の皆さんが県勢浮揚に向けました大きな推進力となることを期待いたしているところでございます。 次に、社会人経験のある職員につきましては、民間企業などで培った多様な能力を持つ人材の確保を目的として、平成20年度から社会人経験者を対象とした採用試験を実施してまいりまして、累計で245名を採用いたしております。即戦力としての活躍あるいは外部からの人材が加わることによります組織の活性化、こういったことを期待いたしております。デジタル化やグリーン化といった新たな課題にスピード感を持って取り組むというためにも、こうした職員の活用を図っていきたいというふうに考えているところでございます。 社会が多様化する中で、変化に対応し、組織として創造性を高めていくためには、多様な人材が活躍する組織であるということが大事であるというふうに考えております。今後とも女性職員や社会人経験者を含めまして、全ての職員がその能力を最大限に発揮できますように、職場の環境づくり、人材育成、適材適所の人材配置、こういったことに努めてまいりたいと考えております。 次に、ウイズコロナ、アフターコロナ時代におきます県の職員のあるべき姿はどうかというお尋ねがございました。 今回の感染症は、我々に大変厳しい試練を与える一方で、デジタル技術を活用いたしました柔軟な働き方あるいは環境問題への意識の高まりなど、未来に向けた変化が大きく動き始めているということではないかと考えます。県といたしましても、今後も感染症対策には万全を期しながら、こうした社会の大きな変化にスピード感を持って、そして果敢に対応していくということ、そして各施策をさらに進化させていく必要があるというふうに考えているところでございます。 そのためには、まずは職員一人一人が、課題に対しまして真正面から立ち向かっていく姿勢を持つことが重要であると考えます。その上で、アンテナを高く広く張りまして、社会の動きを見極めながら、県民の皆さんがどう考え何を求めているのか、そういった点について想像力を働かせて、先手先手を打っていくといったことが大事ではないかと思います。あわせまして、デジタル化などの時代の潮流を捉えました新たな取組に果敢に挑戦をしていくということが職員に求められているということ、こういったことを常に意識していただきたいというふうに考えております。 職員の皆さんには、こうした姿勢を取りながら各政策を進化させていくということ、そしてその成果を県民の皆様に実感していただけるように、私と共に全力で取り組んでもらいたいというふうに考えているところであります。 次に、県の行財政運営のかじ取りはどうかというお尋ねがございました。 ウイズコロナ、アフターコロナの時代におきまして、時代の潮流のキーワードは、1つにはデジタル化、2つにはグリーン化、3つにはグローバル化ということを考えなければいけないというふうに思っております。そのために、今年度はこの3つの視点を踏まえまして、従来から行っております5つの基本政策、そして3つの横断的な政策の内容を強化しているところでございます。まずは、これらに全力で取り組むことによりまして、具体的な成果につなげることができるように努力をしてまいります。 また、このような県勢浮揚に必要な施策を着実に実行していくためには、安定的な財源の確保などによりまして、県財政の持続可能性を図っていくということも大変重要だと考えております。このためには、引き続き国の有利な財源を積極的に活用していくということのほかに、事業のスクラップ・アンド・ビルドを徹底するといったことによりまして、マンパワーと財源の確保に取り組んでまいります。 さらに、本県の財政運営は国の動向などに大きく左右をされる傾向がございます。税収への影響などを注視しながら、全国知事会などと連携をいたしまして、国に対し地方交付税などの財源確保について提言をしてまいります。 このような取組を通じまして財源の確保を図りますとともに、新しい時代におきます経済や社会の構造変化に速やかに対応し、私自身が先頭に立って県勢の浮揚に取り組んでまいる所存であります。 最後に、森林・林業行政についてお尋ねがございました。 本県は森林率が全国1位の84%、そして中山間地域の割合が93%という状況にあります。こうした高知県が持続的な成長を実現いたすためには、中山間地域の豊かな森林資源を最大限に生かしました林業の振興が必要不可欠であるというのは、御指摘のとおりだと考えております。まさに、林業の振興なくして中山間地域の再生なし、中山間の再生なくして高知県の活性化なしとの強い思いの下で、林業振興に取り組んでまいったところでございます。 産業振興計画におきましては、林業振興を施策の柱として位置づけ、これまで構築をしてきました川上から川下までの仕組みを生かしまして、木材生産・流通の最適化を目指した取組を進めております。また、未来の林業を担います人材の育成・確保や施業の効率化、労働環境の改善に向けましたスマート林業にも取り組んでいるところであります。 こうした取組の結果、原木の生産量で見ますと、第1期の計画を策定したときに比べまして1.5倍に増加をするということになってございますし、林業就業者数につきましても、全体の人口減少が進む中で若干の増という結果となっております。 一方で、計画で掲げております、山で若者が働く全国有数の国産材産地を実現していくためには、乗り越えるべき課題もまだまだ数多くあるというふうに認識しております。新規就業者の確保、原木のさらなる増産でございますとか、再造林の推進などの取組をさらに強化いたしまして、国の交付金も活用し、実効性の高い施策をスピード感を持って実行していく必要があると考えております。 このため、改めまして林業振興を県の産業政策の中心に位置づけ、市町村や森林組合、関係団体の皆さんと共に一丸となって全力で取り組んでまいる覚悟であります。 私からは以上でございます。   (健康政策部長家保英隆君登壇) ◎健康政策部長(家保英隆君) まず、ワクチン接種における市町村への支援策についてお尋ねがありました。 県ではワクチン接種推進監と同推進室を設置し、市町村担当者だけでなく、市町村長とも情報交換を密に行ってまいりました。その中で、現在市町村から寄せられている要望の多くはワクチンの供給量の確保でございます。これは、市町村における接種スピードが加速される一方で、7月以降のワクチンの供給量が全国的に6月までの約7割に減少するなど、現場の需要に国の供給が追いつかない状況になりつつあるものと受け止めております。 このため、県としても危機感を持った対応が必要と考えており、全国知事会を通じて現場のスケジュールに合わせたワクチン供給を求めており、先週金曜日には知事会として国への緊急申入れが行われたところでございます。今後も市町村と連携しながら、速やかなワクチン接種に向けて努めてまいります。 次に、高齢者へのワクチン接種に関する国の対応についてお尋ねがありました。 ワクチン接種を希望される高齢者の7月末完了を目指して、国においてはワクチンの供給時期の提示を一定前倒しするとともに、時間外、休日の接種費用の上乗せなどの措置が講じられております。お話にもありました総務省職員からの連絡については、そうした一連の措置の周知と併せて、接種計画の前倒しに向けた現場の課題の聞き取りが行われたものと理解いたしております。 本県からも市町村に7月末の完了に向けた課題をお伺いし、医療従事者の確保をはじめ、市町村と連携し諸課題の解消に努め、高齢者の接種については一定めどが立ったと考えております。 希望される方への接種をできるだけ速やかに行うことは、国や我々地方公共団体の責務と考えますが、今回の高齢者の7月末完了の方針は、既に8月以降の完了を予定した市町村にとっては難しい調整が必要になったと、県としても支援をしないといけないなというような思いを感じておりました。   (商工労働部長松岡孝和君登壇) ◎商工労働部長(松岡孝和君) 営業時間短縮要請協力金の給付状況と制度の周知徹底についてお尋ねがございました。 このたびの営業時間短縮要請につきましても多くの事業者の皆様に御協力いただき、心から感謝しているところです。まず、給付状況については、現段階では延べ2,561件の申請を受理しているところです。これに対しまして、6月11日から給付を開始し、これまでの給付件数は883件、支給額は約3億3,300万円となっております。 次に、周知の徹底につきましては、ホームページや新聞広告による情報発信に加え、市町村、商工会、商工会議所、金融機関などに情報をお届けいただくようお願いもしているところです。加えまして、今回は食品衛生法による飲食店の営業許可を基に、高知市、四万十市の全ての営業所に対しダイレクトメールを送付し、本制度の周知に努めたところです。 なお、それでも伝わらない場合も想定されますので、今後テレビ、ラジオで定期的な広報も行ってまいります。引き続き、周知の徹底と迅速な支給に努めてまいります。   (総務部長徳重覚君登壇)
    ◎総務部長(徳重覚君) まず、デジタルディバイドの課題の克服についてお尋ねがございました。 高齢者が多い本県においては、誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化を進めていく上で、デジタル技術に不慣れな高齢者への支援が不可欠であると考えております。そのため、本年3月にバージョンアップしたデジタル化推進計画では、デジタルディバイド対策によってデジタル技術の利用拡大を図ることとしており、本年度は、高齢者等を対象としたスマホ教室を開催する国の事業を活用することとしております。 お話にございました市町村との連携につきましては、昨年度立ち上げた県と市町村で構成するデジタル化推進ワーキンググループで、先進事例の紹介や、複数の市町村間で共通する課題の解決などに引き続き取り組んでまいります。今後ともデジタルディバイドの解消のため、携帯電話会社などの通信事業者や市町村とも連携を深め、取組を進めてまいります。 次に、デジタル化を推進する市町村への支援についてお尋ねがございました。 県民生活において最も身近な行政主体である市町村の行政サービスにおいてデジタル化に取り組むことにより、県民の利便性向上を図る意義は大きいと感じております。行政手続のオンライン化に当たっては、導入・運営コストの軽減と、デジタル人材の確保と育成の両面が課題となっていると考えております。 このため、導入・運営コストの軽減につきましては、本年度から県の電子申請システムを市町村と共同利用することとしており、8月に7市町村、10月には15市町村が開始する予定でございます。残る市町村についても、来年度以降の開始に向けて支援してまいります。 また、デジタル人材の確保と育成につきましては、今年度改編したデジタル政策課に市町村支援のための専門チームを新たに設けており、国の事業も活用しながら、市町村ごとにきめ細やかな支援を行ってまいります。 最後に、新型コロナウイルス感染症収束後の市町村の行財政運営について、県としてどのように助言、支援していくのかについてお尋ねがございました。 県内市町村の令和3年度当初予算では、新型コロナウイルス感染症の影響により税収が減少した一方、臨時財政対策債を含めた実質的な地方交付税の増により、一般財源総額では前年度並みの水準を確保できております。 しかしながら、議員御指摘のとおり、県内市町村の財政調整的基金は近年減少傾向にございます。また、今後は新型コロナウイルス収束後を見据え、デジタル化の推進をはじめとする様々な課題への取組が求められる中で、財政面では南海トラフ地震対策などによる公債費の上昇や、人口減少に伴う税収等の減少といった厳しい状況が見込まれます。 このような市町村の行財政運営を支援していくに当たっては、各市町村の実情を的確に把握し、個別の状況に応じた的確な対応をしていくことが重要であり、昨年度は各市町村への訪問やヒアリング等の様々な機会を設けてきました。 今後も、各市町村の課題や状況を把握するとともに、国や県からの補助金の効果的な活用や、より有利な交付税措置のある地方債の紹介といった助言に引き続き取り組んでまいります。加えて、財政指標の分析に基づき、課題が見えてきた市町村に対する早期の助言を行うなど、より丁寧な支援を心がけてまいります。   (林業振興・環境部長中村剛君登壇) ◎林業振興・環境部長(中村剛君) まず、県内市町村における森林環境譲与税の使途状況についてお尋ねがございました。 市町村に配分される森林環境譲与税の使途は、御指摘のように大きく3つ、1つには森林経営管理制度に基づく森林整備、2つには人材育成、担い手の確保、3つには木材利用の促進や普及啓発等の費用に充てることとされております。 先日、国が実施した森林環境譲与税に関する市町村の令和2年度の決算状況調査によりますと、まず森林整備に関しましては31の市町村が譲与税を活用し、森林経営管理制度に基づく森林所有者の意向調査の実施や、間伐など施業の実施に取り組んでおります。 また、人材育成、担い手の確保に関しましては、12の市町村が地域の林業後継者や林業就業者を育成するための研修の開催や、事業体の新規就業者に対する助成などに取り組んでおります。 3つ目の木材利用の促進や普及啓発等に関しましては、13の市町村が公共施設の内装の木質化や木製品の配布、普及啓発イベントの開催などに取り組んでおります。また、このほか将来の森林整備に備えた基金の積立ても32の市町村で行われております。 次に、県に配分された森林環境譲与税の使途について、市町村の支援、特に市町村のマンパワー不足に対する活用方法についてお尋ねがございました。 市町村では林務担当者が他の業務を兼務していることが多く、議員御指摘のとおり、マンパワー不足が森林経営管理制度などを推進していく上での課題の一つと認識しております。こうした中、県としましては、市町村職員に対するサポート体制の構築、林業に関する業務の習得支援、意向調査等に係る業務の効率化支援が重要と考えており、森林環境譲与税を活用した様々な取組を進めております。 まず、サポート体制の構築につきましては、制度の始まった令和元年度から本庁と林業事務所で構成する支援チームや、林業事務所単位のワーキンググループを設置いたしました。この中に、専任の会計年度任用職員を新たに配置するなど、市町村が制度を運用する際の課題の把握や意向調査の実施などの支援を行っています。 また、林業に関する業務の習得支援につきましては、市町村職員向けの研修会を開催し、森林計画制度等の基礎的知識を学ぶ座学研修や、ドローンを活用した森林調査などの現地研修を行っております。 意向調査等に係る業務の効率化支援につきましては、航空レーザ計測データを基にした地形や森林資源の情報を整備し、市町村と共有化することで、市町村職員が机上で森林情報を把握できるよう取り組んでいるところでございます。 今後も市町村のマンパワー不足に対応できるよう、市町村の御意見も伺いながら、森林環境譲与税を活用した効果的な市町村支援に取り組んでまいります。   (教育長伊藤博明君登壇) ◎教育長(伊藤博明君) 1,000人当たりの小中学校の不登校児童生徒数の指標について、目標値に向けた取組についてお尋ねがございました。 小中学校の不登校出現率は、平成25年度から全国、高知県ともに増加傾向が続いております。高知県の1,000人当たりの不登校児童生徒の割合は、全国平均に比べて3から4ポイント高い状態となっております。本県の特徴としましては、特に不登校の新規発生率が高く、未然防止と初期対応の充実を図る必要があり、学校と市町村の教育支援センター、そして県の心の教育センターでの重層的な支援体制の強化を図ってまいりました。 加えて、令和2年度より全ての小中学校に組織的な不登校対策の中心的な役割を担う教員を職務として位置づけ、そのうち不登校出現率が高い20校には専任の教員を配置しました。こうした体制により、学校では校務支援システムによる不登校の兆しの早期発見や、スクールカウンセラーなどの専門的な知見を活用した校内支援会の充実が図られてきました。 特に、専任の教員を配置しました小学校では、学級担任による個別対応であったものが、専任の教員を中心として、兆しの見られる子供への対応が徹底され、組織的な未然防止の取組により新規発生率を減少させた学校が多く見られてきました。今後、これらの成果を取りまとめ、校長会などを通じて県内の小中学校へ展開をしてまいります。 また、登校ができても教室に入りづらい子供の対応として、本年度から4中学校をモデル校とし、校内の空き教室を活用してコーディネーターの教員が常駐し、不登校が本格化、長期化しないための初期における支援や個別最適な学びの実現に取り組んでおります。あわせて、登校することが困難な子供の学習機会の確保に向けて、市町村の教育支援センターと連携し、タブレット端末を活用した効果的な自主学習など、自立支援に向けた研究を進めております。 このような未然防止、初期対応、自立支援の各段階で必要とされる不登校対策を推進することで、令和5年度末までの本県の取組指標としている不登校出現率全国平均以下を目指してまいります。   (警察本部長熊坂隆君登壇) ◎警察本部長(熊坂隆君) 刑法犯少年の再非行率について、目標値に向けた今後の取組についてお尋ねがありました。 県警察では、平成25年から知事部局、県教育委員会と連携した少年非行防止対策、高知家の子ども見守りプランを推進しており、その中で刑法犯少年の再非行防止に取り組んでおります。同プランが開始された平成25年に県警察が刑法犯で検挙、補導した少年は518人でありますが、令和2年の刑法犯少年は128人で、75.3%の減少となっております。また、平成25年の再非行少年は207人、再非行率は40%でしたが、令和2年の再非行少年は40人、再非行率は31.3%といずれも減少しております。 少年が非行を繰り返す要因は、少年自身の性格や家庭環境、交友関係など様々であり、今後さらに再非行少年を減少させるための取組の一つとして、少年サポートセンターによる非行少年や不登校児童などの少年一人一人に応じた立ち直り支援活動を続けております。また、各警察署では、万引きなどで対応した少年やその保護者に対して助言や指導を行う再非行防止サポート面接を実施し、継続した補導活動に努めております。これらの取組によりまして少年たちが抱える非行の要因を解消し、引き続き再非行少年の人数も減少させてまいりたいと考えております。   (子ども・福祉政策部長山地和君登壇) ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) ヤングケアラーの県内の実態把握に努め、課題意識を持って取り組むべきとのお尋ねがございました。 心身の健やかな成長と発達が重要な時期にある子供たちが、大人や社会が担うべき家族のケアのために重い責任や負担を担い、本人の育ちや教育に影響が生じているヤングケアラーの問題は、速やかに取り組むべき課題と認識しております。ヤングケアラーに対しては、福祉、介護、医療、教育などの関係機関が切れ目なく連携し、できる限り早い段階で課題を把握し、適切な支援につなげていくことが必要です。 このため、日本一の健康長寿県構想において、高知版ネウボラの取組を推進し、妊娠期から子育て期までの切れ目のない総合的な支援体制の構築を進める中で、子育て家庭のリスクの早期把握と支援の強化を図ってまいります。 具体的には、就学前にあっては、保健師等が母子健康手帳交付時の面談や乳幼児健診、乳幼児訪問等を通じて、その家庭のリスクの早期把握に努め、妊娠期から全ての家庭のリスクに応じた支援に取り組んでおります。加えて、就学後は学校において家庭支援を中心に担うスクールソーシャルワーカーと、各市町村の児童福祉の窓口との連携強化を図り、気になる子供の情報を相互に共有しながら、ヤングケアラーの家庭を必要な支援につなげる仕組みづくりを進めているところです。 また、ヤングケアラーの早期発見には、周囲の大人がその存在について理解を深めることが重要です。国において、来年度から3年間を社会的認知度向上のための集中取組期間とし、ヤングケアラー認知度向上キャンペーンを実施するとのことですので、県においても国の広報素材を活用した県民の皆様への周知・啓発などの取組を進めてまいります。 県としましては、市町村や関係機関と連携し、日本一の健康長寿県構想におけるこれらの取組を確実に進めていくことで、様々な課題を抱える子供と家庭をしっかりと支援してまいります。   (文化生活スポーツ部長岡村昭一君登壇) ◎文化生活スポーツ部長(岡村昭一君) 地域固有の文化の継承と活用に係る今後の取組についてお尋ねがございました。 県では、本県固有の文化のさらなる振興を図りますため、平成29年3月に高知県文化芸術振興ビジョンを策定いたしまして、このビジョンに基づく10年間の基本方針や施策の方向性に沿って、文化芸術の力で心豊かに暮らせる高知県の実現に向けて取り組んでいるところであります。 ビジョンでは、基本方針の一つとして高知の固有の文化の継承及び活用を掲げ、地域に伝わる文化財の保存と継承を目指しまして、神楽などの伝統芸能の活動に対する財政的な支援や、郷土芸能大会の開催などによる発表の場の創出などに取り組んでおります。しかしながら、高齢化や過疎化が進む全国の他の地域と同様、本県におきましても、技能の伝承や後継者の育成などが課題となっている状況であります。 こうした中、今月施行されました改正文化財保護法では、伝統的な技術などの無形文化財と、地域において伝承されてきた芸能などの無形民俗文化財に関する登録制度が新設されるなど、無形の文化の継承を後押しするものと期待されているところであります。 県では、本年度が高知県文化芸術振興ビジョンの計画期間の中間年となりますことから、これまでの成果と課題を踏まえ、ビジョンの見直しを行うこととしております。見直しに当たりましては、神楽など地域固有の文化の継承と活用につきましても、改正文化財保護法に基づく制度の活用も含めまして、より効果的な取組が行えるよう、関係部局ともしっかりと連携しながら検討してまいりたいと考えております。   (農業振興部長杉村充孝君登壇) ◎農業振興部長(杉村充孝君) まず、お茶の振興計画についてお尋ねがございました。 国においては、昨年法律に基づく茶業及びお茶の文化の振興を図るための基本方針が策定され、都道府県においては努力義務ではありますが、この基本方針に即した振興計画の策定が求められております。 このため、本県では、生産者やJA、市町村で構成する土佐茶振興協議会において、本年5月から計画策定に向けた検討を始めたところでございます。今後は、土佐茶を取り巻く現状と課題、対策につきまして、流通業者やお茶の魅力を積極的に発信している方々など、多くの関係者の御意見も聞きながら、今年度末をめどに本県の振興計画を策定してまいります。 次に、今後のお茶の振興施策の展開についてお尋ねがございました。 これまでの産業振興計画の取組では、従来の荒茶主体の販売から付加価値のある仕上げ茶の販売を強化し、産地の維持・拡大につなげる好循環の実現を目指して取り組んできた結果、仕上げ茶販売額は平成20年の7,500万円から、令和元年には約3倍の2億2,000万円になるなど、一定の成果が現れております。しかしながら、議員のお話にもありましたように、土佐茶をめぐる情勢は、高齢化による生産者や栽培面積の減少、仕上げ茶販売額の頭打ちといった依然として厳しい状況が続いており、もう一段取組を充実強化していく必要があると考えております。 その取組の強化ポイントとしましては、生産面では高樹齢化している茶園の若返りや、省力化のためのスマート農業の導入の促進、また加工面では、消費者ニーズに対応したティーバッグやスイーツなどの商品開発、さらに販売面では地消の強化や、日本茶の需要が拡大しているアメリカあるいはEUへの輸出の拡大などが挙げられます。こうした視点も踏まえた取組の強化策を今年度末までに策定します振興計画に盛り込み、生産者やJAなどの関係者と一丸となって取り組んでまいります。 最後に、お茶の文化の振興のための取組についてお尋ねがございました。 近年、薄れつつある日本のお茶の文化を後世に引き継いでいくためには、日頃からお茶を飲み、お客様にはお茶を出して、もてなすといった日本人の生活に不可欠なお茶の文化の大切さを、再認識していただくことが重要であると考えております。 県では、これまで土佐茶振興協議会を中心に、小学校や企業、ホテルや旅館でのお茶の入れ方教室や、量販店のバイヤーを対象にした土佐茶の特徴を説明する講座などを開催してまいりました。また、生産者によるスイーツの商品開発やお茶をメインにしたカフェの開設、新茶の飲み比べセットの販売など、お茶の文化や魅力を広める取組は広がりつつあります。 今後は、さらにお茶の文化の振興を図るため、茶摘みに始まり茶もみや釜煎りなどの茶畑ツアーの開催や、生産者等による小中学校での出前授業などを拡充してまいります。また、先進的な生産者グループでは、お茶を片手に茶畑や観光地を巡り、地域で宿泊し、生産農家と共にお茶を楽しむ、土佐茶の文化を丸ごと体験できるツアーを企画しているところでございます。 県としましても関係機関等と連携し、より一層多くの県民の皆様にお茶の文化の大切さを理解していただけるよう、お茶の文化に触れる機会を増やしてまいります。   (観光振興部長山脇深君登壇) ◎観光振興部長(山脇深君) 映画竜とそばかすの姫の舞台となります仁淀川流域に対する県の支援につきましてお尋ねがございました。 この映画の上映をきっかけに、仁淀川流域には多くのアニメファンが訪れることが期待されますが、一方でロケ地での混雑も懸念されております。このため、流域の市町村におかれましては、感染症対策を十分に施した上で、送迎バスの運行や警備員の配置、案内板の設置など、様々な混雑緩和対策が講じられておりまして、県としてもできる限りの支援をしてまいります。 また、流域全体の観光振興を図るためには、ロケ地だけがにぎわうといったことにならないよう、より広く周遊していただき、経済効果を高めていくといった取組が大変重要だと考えております。このため、広域観光を担う仁淀ブルー観光協議会が中心となりまして、ロケ地と観光スポットを組み合わせた巡回ツアーや巡回パネル展など、様々な周遊促進策が準備されております。あわせて、県の観光コンベンション協会でもロケ地マップの作成や、JR伊野駅などからタクシーを利用する旅行商品の造成などにも取り組んできたところでございます。 今回の映画の上映は、コロナ禍で落ち込んだ本県の観光需要の回復や仁淀川のブランド力の向上はもとより、インバウンドや移住の促進といったことにもつながる、本県にとって非常に大きなチャンスだと捉えております。今後、さらに地元市町村や広域観光組織などとしっかりと連携をいたしまして、魅力ある観光地づくりに努めますとともに、積極的に情報発信を行い国内外からの誘客を推進してまいります。   (土木部長森田徹雄君登壇) ◎土木部長(森田徹雄君) 映画竜とそばかすの姫の聖地巡礼に関するハード面での支援についてお尋ねがございました。 議員のお話にありました、聖地巡礼のアクセス道となります県道伊野仁淀線は、地域住民の日常生活を支えるための重要な路線でありますとともに、最近では、滞在・体験型観光の拠点づくりを目指した仁淀川流域のキャンプ場へのアクセス道にもなってございます。来月の映画の公開に先立ちまして、先月には仁淀川流域の6市町村からも、聖地へのアクセス道について早急な整備の要望をお受けしたところでございます。 しかしながら、県道伊野仁淀線は急峻な地形のため、未改良区間の現道拡幅が難しく、県ではバイパスによる整備に取り組んでおりますが、完成までには一定の期間が必要となってまいります。映画の公開により、県内外からの観光客がより一層この県道を利用することが想定されますので、今年度は地元からの要望もありました狭隘な箇所に待避所の整備を行い、円滑な通行を確保したいと考えております。 一方、バイパス整備につきましては、地元との調整などを行いながら、一日も早い完成に向けましてしっかりと取り組んでまいります。 ◆31番(上田周五君) それぞれ御丁寧な御答弁ありがとうございました。 2問目ということですが、少し1問だけお願いしたいと思います。あとは1つ、2つちょっと要請をさせていただきたいんですが、質問としては、仁淀川流域の観光政策でございます。 先ほど部長から本当に前向きな御答弁をいただきました。ありがとうございます。また、今議会へも3,800万円プロモーションの展開ということで、首都圏とか関西圏を中心にPRをしていただくということでありがとうございます。 そんな中で、来月16日公開されるわけですが、私どもが思っている以上に人気が高いアニメ映画ということでございます。そうした中で、先ほど部長からもありましたが、地元の自治体はコロナ対策などを踏まえまして、警備員の配置とか、そういったことで観光客の受入れ体制を急ピッチで進めています。そんな中で、1つ地元ではコロナ後を見据えて、やはり仁淀川が映画の聖地として新たな観光スポットになるということで、ぜひ仁淀川ブランドというか、新しい商品の開発をできたらということで考えているようですが、このあたりもぜひ県も一緒になって力強く進んでいっていただきたいと思いますが、それ1つ観光振興部長、御答弁をお願いします。 それから、これ要請にしますが、総務省からの電話の件です。先ほど部長から御答弁で、現場の課題の聞き取りが目的だったというような趣旨の御答弁があったんですが、ちょっとどうかなと思いますけれど、現実にこのことで、結局今まで県と連携してしっかり、ワクチン供給が見通せない段階でもうスケジュールを組んで、とにかくワクチンを打たれた方が副反応が出ないように、そういう祈る思いでやってきた中で、市町村の中で混乱が起こっているのも事実です。この件は、この6月議会の町村議会でもテーマとして取り上げられているようです。 そこで、お願いといいますか、ぜひとも機会を見つけて、今後こういうことがないように、国のほうへ県としてもしっかり御要請をしていただきたいと思います。 それから、関西戦略ですが、知事から御答弁いただきました。その開業が見通せないということで、3月に策定した戦略の中にも、大規模プロジェクトでこの大阪IRのみ年度が空欄になっています。そういったことでございまして、知事からも御答弁があったんですが、大阪府・市が9月に事業者を決定すると。それまで来月ですか、これは新聞報道ですけれど、その日本企業とアメリカの事業者がタッグを組んで申請して流れていくんですが、いずれにしてもそういった今後の動向が注目されると思いますので、知事からも先ほど情報収集に努めていきますよと御答弁あったんですが、ここはしっかりとそういった流れといいますか、情報をキャッチして戦略を立てていっていただきたいと思いますし、今年度の予算で、トータルで5億6,000万円を投じてこの戦略を進めていきますよということでございますので、そこらあたりよろしくお願いをいたします。 以上です。 ◎観光振興部長(山脇深君) 細田守監督の過去の作品を見ましても、一過性に終わることなく、その効果がかなりの期間続くといった傾向もありまして、この機会にいろんな商品を開発、製造していくといったことも、県もしっかり後押しをしていきたいと思っております。 産業振興推進地域本部のほうで様々な支援のメニューを紹介もできると思いますし、県全体でもそういったアドバイザーの派遣ですとか、新たな商品づくりについての支援ができる体制が整っていると思っておりますので、きめ細かくしっかり対応して、このチャンスを地域の経済波及につなげていきたいというふうに思っております。 ◆31番(上田周五君) どうもありがとうございます。 最後に、要請というか、このワクチン接種、これから64歳以下、既に一部始まっていますが、本格的に来月から始まります。ぜひそのワクチンの供給が云々ということもありますが、今後は接種ペースとともに接種完了率が少しでも上がるように願っております。 以上で終わります。ありがとうございました。(拍手) ○副議長(加藤漠君) 暫時休憩いたします。   午後2時48分休憩-----------------------------------   午後3時10分再開 ○議長(森田英二君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 37番塚地佐智さん。   (37番塚地佐智君登壇) ◆37番(塚地佐智君) 私は日本共産党を代表いたしまして、以下質問をさせていただきます。 昨年は、温暖化対策の国際的枠組みを決めたパリ協定の本格的スタートの年でした。今年は、パリ協定の目標も含むSDGs達成に向けた取組を拡大、加速するための行動の10年の最初の年となっており、様々な場面でSDGsの言葉が飛び交っています。 SDGs、パリ協定の意義をつかむには、地球の限界、プラネタリーバウンダリーという概念を理解することが不可欠と言われています。現在、人類が地球システムに与えている圧力は飽和状態に達しており、気候、水環境、生態系などが本来持つ回復力の限界を超えると、不可逆的状態に突入してしまう。そのため人類が生存できる限界を把握することにより、壊滅的変化を回避しようという考え方です。 そのために、SDGsでは脱炭素、工業的農業からの脱却など各種の目標と期限が設定をされています。2018年の国連気候変動に関する政府間パネルの1.5℃特別報告書では、1.5度目標を実現するために、CO2排出量を2030年までに2010年の水準から約45%削減、2050年頃までに実質ゼロとする必要があり、2030年までの削減の取組が決定的に重要であるとしています。特別報告書に関する記者会見では、今すぐ行動を起こし、今後10年間でCO2排出量を大幅に減らさなければ、気温上昇を1.5度以下に抑えることが極めて困難になると語っています。2050年にゼロにすればよいのではなく、2030年目標の達成が重要なのです。この10年は未来への分岐点とも表現をされています。 4月、バイデン政権主催の気候変動サミットで、菅首相は2030年度の日本の温室効果ガス削減目標を、従来の2013年度比で26%減から46%にすると表明しました。が、これは世界平均45%とほぼ変わらず、世界第5位の排出国である日本としては、より高い削減目標が求められます。しかも、何ら具体的裏づけがあるわけではありません。小泉環境大臣が報道番組で、おぼろげながら浮かんできた数字だと述べたことに、イギリス、フィナンシャル・タイムズ紙の社説は、政府の計画性のなさを象徴するコメントだとやゆする始末です。 EUは55%、米国は50から52%の削減目標を掲げ、達成のためにエネルギー政策などを根本から転換を進めています。この点について、政府をはじめ認識、取組が弱いのではないかと思います。今年改定をされた高知県地球温暖化対策実行計画においても、2030年の位置づけがあまりに低いと思います。 地球の限界点、未来への分岐点と言われる2030年までの取組が非常に重要だと思いますが、どう理解されているか、知事にお聞きをいたします。 環境問題、気候変動の取組について、欧米では環境正義、気候正義という概念が使われています。これは、公害、環境汚染の被害は、人々にひとしく降り注ぐのではなく、貧困層、社会的弱者と、その居住する地域に集中して現れることから、そこには不正義が存在していると捉える概念です。気候変動による食料危機などの被害も、貧困層と富裕層では影響が違います。また、現在の世代が利便性を享受した結果、将来世代がその不利益の影響をまともに受けるという世代間での不正義も視野に入れた概念です。当時15歳のグレタ・トゥーンベリさんが始めた行動が、未来のための金曜日行動として若者に広がっているのは、この不正義をなくせ、未来を奪うなという訴えです。 SDGs、パリ協定の目標は、人として、地球の生きる者としての正義の追求であり、未来の世代への責任です。2030年に向けては、県の施策と県民が共通認識を持って取り組んでいくことが非常に重要であり、そのためには、環境正義、気候正義の考え方の普及を図ることが必要ではないかと思いますが、知事の認識をお聞きいたします。 未来の主権者を育てる教育にとっても極めて重要な視点だと思いますが、この点は教育長にお伺いをいたします。 日本でも世界でも、記録的な高温や台風などの強大化、豪雨、大洪水、大規模な山火事、深刻化する干ばつなど、気候変動の影響が顕在化し、被害者や死者数も増大をしています。このような危機的な状況に気候非常事態宣言を出し、緊急行動を呼びかける自治体が増えています。世界では既に1,000を超える自治体が気候非常事態宣言を出していますが、日本でも北海道、岩手県、長野県、東京都、神奈川県、沖縄県など100を超える自治体が取り組んでいます。 気候非常事態宣言を高知県として行うべきだと思いますが、知事にお聞きをいたします。 次に、五輪開催について知事に伺います。 菅政権は、沖縄を除く9都道府県の緊急事態宣言を6月20日の期限で解除し、7都道府県を7月11日までのまん延防止等重点措置に切り替えました。五輪が開催される東京は下げ止まりが指摘され、NHKも東京都の緊急事態宣言、安心して解除できる感染者数に至らず、都内の感染者数、前回解除時の約1.3倍と報じました。2度目の緊急事態宣言を感染者が十分減らないまま解除し、感染再拡大を招いた誤りを繰り返すことになるのは目に見えています。既に、懸念していたように感染者が再び増加をしています。 政府の感染対策が支離滅裂になっているのは、五輪開催を前提にしているからです。政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長も、今の状況でやるというのは普通はないと国会で答弁をされました。6月16日に開かれた厚労省の専門家組織、アドバイザリーボードの会合後の記者会見では、インドで見つかった変異株、デルタ株の広がりによっては、7月前半あるいは五輪期間中にも東京でまた緊急事態宣言が必要になる可能性があるとの試算を示しました。宣言を出さずに五輪に観客を入れた場合、無観客時と比べ、感染者が累計で最大1万人以上増えるおそれも指摘をいたしました。 しかし、政府は警告を無視し、感染症専門家にリスク評価を諮問することもなく開催に突き進んでいます。諮問されない下で分科会の専門家26人が、開催の可否には触れなかったものの、開催するならば無観客開催が望ましいと提言をしていましたが、それも無視をされました。 政府など5者協議は、会場定員の50%以内、1万人を上限で観客ありでの開催方針を示しました。五輪は全42会場で、各会場を合計すれば1日最大20万人を見込み、チケットは再抽せんでも約272万枚になります。そのほかに五輪ファミリーを含む関係者や小中学生の学校連携観戦は1万人の枠内に入っていません。 政府の説明は、専門家による科学的知見に基づく警告に対し、合理的な説明をしていると思うか、知事にお聞きをいたします。 先日は、ワクチンを打ち、事前の検査をしていたにもかかわらず、ウガンダ選手団9名のうち2名の陽性者が確認をされています。政府が抑えなければならないと言っている人流をわざわざ大量につくり出し、感染とその対策の状況が大きく異なる世界各国から9万人と言われる人々を、五輪特例で軽減された入国隔離で進めるわけです。多くの人が感染拡大に不安を感じるのは当然です。共同通信社の世論調査では、開催の場合に感染が再拡大する不安を感じるとの回答が、6月21日付東京新聞、86.7%に上りました。 五輪開催によって新たに亡くなる人が増えることなどあってはなりません。国民の命を危険にさらしてまで五輪をやる理由はないと思うが、知事の認識をお伺いいたします。 次に、新型コロナ感染症対策について伺います。 新型コロナ感染症拡大は、RNAワクチン接種が成人の7割を超えたイスラエル、5割を超えたアメリカでも顕著な抑制効果が発揮されるなど、一部に明るさが見えてきていますが、そのイスラエルで、より感染力が高く、ワクチンを擦り抜ける力の強いデルタ株による感染が拡大しており、新型コロナウイルスとの闘いの難しさが改めて浮かび上がっています。 世界的規模でワクチン接種が完了するのにはまだまだ長い期間が必要ですし、デルタ株などのような新たな脅威となる変異株の出現も懸念をされます。ワクチン接種を確実に進めるとともに、無症状の感染者を発見し保護し、感染拡大を抑制する大規模な検査の推進、医療体制の確保と人の移動の抑制のためにも、減収補填などしっかりした補償、休業支援が求められています。 私たち県議団は4月28日、県内第4波の兆候が来している実態と、さらに県が県内旅行を施策として推奨していることが感染拡大を助長しかねず、県民の命と健康を守り、さらには経済への打撃を回避するために、トク割キャンペーンの中止、大規模検査の実施などの感染拡大防止のための緊急要望を知事に対して行いました。また、要望の際には、慶應義塾大学商学部の濱岡豊教授が、都道府県のコロナ対策の取組を4指標で評価した研究で1位となった鳥取県の取組についての具体的資料も手渡し、研究してほしい旨を伝えさせていただいたところです。 その後、5月の感染者数は昨年12月の512人に次ぐ441人で、4月末までの累積感染者数1,052人の半分にも達する規模となり、5月24日には対応レベルを特別警戒に引き上げ、観光トク割キャンペーンの停止、高知市、四万十市への営業短縮要請を行う事態という残念な結果となってしまいました。 一方、この間の取組と補正予算の内容には、要望してきた中身が少なからず反映をしています。予防的大規模検査の実施の要望については、県は5月の県体の実施に向け、6,000名を超える規模で抗原検査を実施し、感染防止に努めながら、高校生の学び成長する機会を確保する努力を実施したこと、6月には高知市の飲食店で働く無症状の人を対象にした集中的なPCR検査を1,020人に実施しています。 また、国の指針に基づいた県の検査計画で、高知市の感染者が基準を上回ったことで、高知市は高齢者施設などで働くおよそ1,000人を対象に、集中的なPCR検査を実施することを明らかにしました。無症状者のスプレッダーを大規模検査で発見し保護し、感染拡大を防止するという積極的立場に踏み込んだことを評価するものです。 積極的で大規模な検査では、6月22日時点で鳥取県では陽性者466人に対し累計検査数は8万1,812件、1人の陽性者を発見するために175件の検査を実施しています。高知県は、陽性者1,749人、累計検査数5万2,697件と、1人の陽性者当たり約30回と検査の範囲が狭く、結果として感染者が広がったことが分かります。ワクチン接種終了までまだかなりの期間を要しますし、また本県でも4月以降、ワクチン接種した人のうち21人の感染が確認されたという発表を考えれば、積極的な検査は引き続き重要です。 さらに、ウイルス量の多さに注目した対策を追加すべきだと思います。PCR検査は、ざっくり言えば採取した検体中のウイルスの遺伝子を増幅させて、その量で陽性、陰性を判定するものですが、日本はその回数が40回、2の40乗という高い精度、Ct値40で設定をしています。一方、世田谷区新型コロナウイルス感染症対策本部会議で、他人に感染させるウイルス量は、増幅回数が33回以下だと指摘されています。鳥取県では、Ct値25以下の感染者が確認された場合に、その周辺を徹底して検査する方針を取っています。 ウイルス量、感染力の高さに着目した対策が必要ではないか、健康政策部長にお聞きいたします。 高齢者・障害者施設、保育、教員への社会的検査の実施を強く求めるものですが、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、ワクチン接種について健康政策部長にお聞きをいたします。まず、全力で取り組んでいる関係者の皆さんに敬意を表します。6月19日には、全国知事会として、ワクチン接種の推進を含め国への緊急要望を実施していますが、県としても状況をしっかり把握し、市町村の支援をしていただきたいと強く要望をいたします。さらに、今日ワクチンの供給に大問題も起こっていますから、この点もしっかり対応していただきたいと思います。 また、潜在看護師さんの力を発揮してもらうために、医療職がワクチン接種業務に従事したことによる給与収入については、収入確認の際には収入に算定しない特例を設けたことを周知徹底することも求めておきたいと思います。 64歳以下への接種では、接種が急がれる職種に訪問介護や通所介護など在宅サービス従事者を含めることが必要と思いますが、いかがでしょうか。 また、飲食、宿泊、運輸業等は優先となっていますが、この間理美容関係でのクラスターもあり、理美容など人と密接に接する仕事の従事者を対象にすべきと思いますが、どう対応されるか、お聞きをいたします。 加えて、学生のワクチン接種も、就職活動での県外との往来や現場での研修などもあり、社会的効果は高いものと考えられます。希望する学生が残らずワクチン接種を受けられるよう、きめ細やかな支援が必要と考えますが、御所見をお伺いいたします。 ワクチン接種では、社会的に不利な立場に置かれている人を取り残さない対応が求められています。情報格差が懸念される障害者、移動の手段がない方、病気などで外出が制限されている方、住民票の住所と実際の居住地が違っており自治体からクーポンが届かない方などへのきめ細やかな対応が必要です。自治体によっては予約を支援する窓口、スタッフの配置、接種場へのタクシー代の補助、リフトつきタクシーによる送迎支援などの努力もされています。 誰一人取り残さない立場から、県として現状と課題をどう認識されているのか、また県内自治体の取組を共有し、それを県が支援して充実させていくような仕組みが必要だと思いますが、お聞きをいたします。 ワクチンの効果、副反応についての正確な情報提供がますます必要になっています。1つは、ワクチン接種によって感染、重症化防止につながりますが、感染しないわけではありません。多くの国民が免疫を持たない段階は、引き続き感染防止対策が重要です。 また、今後現役世代、親元を離れて一人暮らしをする大学生、また12歳以上の子供も接種対象になっていることから、副反応とその対応策について、正確な情報発信とともに気軽に相談できる体制の強化が、接種率を上げていく上でますます重要となっています。同時に、副反応の心配から接種していない人、体質、病状から接種できない人が差別、誹謗中傷などで不利益を受けることもあってはならず、そうした事例への対応も必要です。 県として、正確かつ県民の疑問に丁寧に答える情報発信、そして相談体制の強化が必要と思いますが、課題意識と対応について、この項は知事にお伺いをいたします。 事業者支援では、営業時間短縮要請対応臨時給付金、いわゆる営業時短要請等に関わって影響を受けた事業者への給付金について、予算額の半分ほどしか申請がされていません。今回の施策では、売上金額に応じた給付額を設定するなど改善はされましたが、申請の少なさは業者の実態を反映していないことも原因ではないでしょうか。 小規模零細業者は、コロナ禍以前からぎりぎりの状態で経営を続けていたところが少なくありません。固定客、常連客を中心としているため、給付金、協力金の基準となるような50%、30%減に届かず、制度は利用できないが、事業を継続できるかどうかの厳しい状況に置かれており、私も数多くの相談を受けてきました。 売上減30%未満の事業者の状況についてどう認識をされているか、そうした事業者への支援策を新たに考えるべきと思いますが、商工労働部長にお聞きをいたします。 また、制度の名称が、時短要請の対象事業者や関連事業者に対する制度との誤解を与えていることも指摘をしてきましたが、制度の周知に当たってどのような工夫をなされるおつもりか、併せて商工労働部長にお聞きをいたします。 次に、大学生、専門学校生等学生への支援についてお伺いをいたします。高知県内の大学で、いわゆる県内第4波に伴う感染が複数名報告をされています。特に、現在主流となっている変異株、いわゆるアルファ株は若年層への感染力も強く、今後より感染力の強いデルタ株の拡大も懸念をされます。 5月26日以降15名以上の感染が確認をされた高知大学では、朝倉キャンパスの立入禁止の措置を実施しました。感染拡大防止のため、やむを得ないものとは考えますが、学生の大きな負担となることも事実です。学生への食料支援ボランティアが行った緊急アンケートでは、休校になると実験を進めることができない、オンライン授業を受ける際ネット環境が悪くて困る、図書館の利用ができないなど、学業への悪影響が出されています。このような学生の困難に光を当てた取組が必要です。 そこで、まず検査の必要性についてお伺いをいたします。鳥取県では、5月半ばから鳥取大学など県内5つの大学・高専にPCR検査の検体容器を常時配備し、体調などに不安があり、かかりつけ医などがいない学生等に対して、無料でPCR検査を実施する体制を整えています。平井鳥取県知事は会見で、全国で大学等でのクラスターが課題になっている、里帰りをされたり他地域との交流がある、大学というのはそういうものだと思います、中には調子を崩される方がいますがこういう方をいち早く見つける必要があるとして、かかりつけ医での検査体制も十分に環境整備した上で、さらに学内で身近に検査を受けられる施策を進めています。 さきに紹介したアンケートでは、回答を寄せた61人中22人が、大学でPCR検査などを無料で受けられるようにしてほしいと答えています。学生は就職活動などを通じ、やむを得ず県外との往来をしなければなりません。また、学校や医療現場での実習を伴う場合もあります。これらの学生が身近に検査を受けられる仕組みの構築が必要です。 県の責任において大学等に働きかけ、学内でPCR検査にかかることのできる体制を構築する必要があると考えますが、文化生活スポーツ部長の御所見を伺います。 次に、深刻な状況に落ち込んでいる学生の暮らしへの支援についてお聞きします。徳島県は、5月補正予算として県内学生とくしまぐらし応援プロジェクト、1,200万円を計上し、徳島県内事業者から県産食料品を購入し大学等を通じて配布する、県内学生への食料支援を始めています。6月18日から開始し3か月間、各大学計6回の配布予定です。 県内では、土佐町、いの町などで出身学生への10万円の給付金を支給しています。さきのアンケートで最も要望が多かった項目は、県や市としても食料支援もしくは学生への給付金などの検討をしてほしいというもので、61人中38人が回答しています。この公助を求める学生の切実な声を重く受け止めなければなりません。 今回の補正予算を見ても、感染拡大により大きな影響を受けている県畜産物や水産物の学校給食への提供が1億7,000万円余りの予算で計上されています。県が物産品を買い上げることで生産者への支援ともなり、高い政策的効果を望めます。本県でも実施しているこういった取組のスキームを、学生への食料支援として広げることは十分に可能です。 また、仮に徳島県と同程度の規模を考え、1,200万円の予算とすれば、これまで高知県が実施してきた新型コロナウイルス感染症緊急対策全体の規模1,185億円の0.01%です。予算規模としても全く障害にはなりません。学生の食料支援をするのかしないのか、県としての意思の問題です。 この間、日本共産党県議団も学生の厳しい状況と切実な声を受けて、県に学生への食料支援実施を要望し、また議場の場でも求めてきました。しかしながら、学生への食料支援は、県としての公助の取組がなされないまま、1年以上にわたってボランティアによる共助が続けられているのが現状です。学生の深刻な実態をあまりに軽んじているのではないでしょうか。ボランティアによる食料支援を続けている学生たちからは、公的な食料支援が行われないことに、行政に対する失望の声も出されています。 高知県は、高知は一つの大家族やきと、高知家と銘打って施策を進めています。高知家の公式ページでは、濱田知事は高知県には都会で失われかけている人と人とのつながりが息づいていますと述べられ、そのメッセージは家族の温かさを感じてくださいと結ばれています。学生には、知事の言う高知家の家族の温かさを感じてほしいと思います。コロナ禍の中、オンライン授業への移行や課外活動などの減少で孤独感を感じている学生たちに、都会で失われかけている人と人とのつながりを、今高知県が示すときではないでしょうか。 今年2月4日、日本共産党高知県委員会と私ども県議団は県に対して、新型コロナウイルス感染症への対策強化を申し入れ、公助としての食料支援実施を求めました。翌5日の高知新聞では、当時の岩城副知事が新型コロナの影響で需要が減少している1次産品の地産地消の利用方法として考えてみたいと応じたことが報じられています。 県として学生への食料支援について、この間どのような検討がなされてきたのか、またその必要性をどのように認識し、今後学生食料支援にどう取り組むおつもりなのか、知事にお伺いをいたします。 次に、生理の貧困問題についてお聞きをいたします。 2021年度からの国の第5次男女共同参画基本計画では、女性の心身の状態は年代によって大きく変化する特性から、女性への生涯にわたる健康支援として、女性にとっての基本的権利並びに尊厳、性と生殖に関する健康と権利を重要視しています。その中でも、生涯にわたる健康の基盤となる10から20代前半の重要な時期に対して、月経を含めた保健の充実の推進が明記をされています。 既に世界では生理をめぐる不平等に目を向け、ジェンダー平等を実現していこうとの声が広がっています。2013年に国際NGO団体が月経衛生を政治の課題にと提唱し、翌年から全ての人の月経衛生と健康を促進するための日として、5月28日を世界月経衛生デーといたしました。生理の貧困の3つの要素である、生理用品の購入費が不足、月経衛生・健康についての教育の欠如、生理にまつわる羞恥心、スティグマ--負の烙印やタブーの存在の解消を目指す取組が始まっています。 今年3月4日、コロナウイルス感染拡大が吹き荒れる中で、20代の皆さんでつくるハッシュタグみんなの生理が公表したオンラインアンケートが報道され、日本社会に衝撃を与えました。学生の5人に1人が金銭的理由で生理用品を買うのに苦労しているというのです。これは学生だけに限った話ではありません。 これを機に、国会でも地方議会でも議論が活発になり、国は4月12日、地域女性活躍推進交付金交付要綱を改正し、時限的に国の補助率を引き上げました。同時に、文部科学省初等中等教育局健康教育・食育課名で、内閣府が実施する女性の相談支援及び子供の居場所づくり等に係る交付金の活用促進の周知を図る事務連絡を県に送り、児童生徒が抱える不安や困難に応じた適切な支援を受けられるよう、必要な対応についても検討いただきたいとしています。 今議会に交付金を使った予算案が提出をされていますが、事業の具体的な取組内容について子ども・福祉政策部長にお伺いをいたします。 生理の貧困問題にどのような認識を持たれているのか、男女共同参画本部長である知事にお伺いをいたします。 政府の交付金は時限的なものです。しかし、生理の貧困の課題は簡単に解消されるものではなく、恒久的な取組が必要になってきます。学校や公園、公共施設のトイレにトイレットペーパーが設置されているのが当たり前になっているように、女性用・多目的トイレに生理用品があって当たり前の状況をつくることが求められています。 全国の学校現場では、既に生理の貧困解消に取り組む活動がスタートしています。人口24万人の神奈川県大和市では4月26日、市立小中学校28校、147か所のトイレに、ナプキン10枚程度を巾着袋に入れて洗面台付近にフックでつるしておく措置を取りました。必要枚数は年間2万9,400枚と想定をし、必要な予算は37万円、在庫は保健室で管理をし、トイレ当番の児童生徒が補充するとしています。中学、高校になると、夜用と昼用のナプキンを仕切りのあるケースに分けて置き、持ち帰り用の紙袋を用意する配慮をする学校など、様々な工夫がなされています。 また、生理の貧困は、経済的貧困だけが原因ではありません。残念なことに、日本の社会では生理が恥ずかしいことという誤った認識がまだまだ定着をしています。DVや養育放棄、父子家庭の場合父親から理解が得られず入手ができない、また羞恥心から堂々と購入することができないというケースもあります。コロナ禍の中で浮かび上がった実態を、本当の意味でジェンダー平等の視点で解消していけるよう、正しい認識を持つべきときに来ています。 全国の学校現場では、既に生理用品の配付も始まっています。高知県でも性教育の取組と併せ具体化が求められていますが、今後の対応について教育長にお伺いをいたします。 今後の予算措置を含め、女性にとっての健康と基本的権利として、生理の貧困解消に積極的に取り組むよう求めるものですが、知事にお聞きをいたします。 次に、高知市鏡吉原地区で計画をされている石灰石鉱山開発計画について伺います。 昨年12月議会でこの問題を質問させていただきましたが、その後計画の大きな変更があったとのことで、その点を踏まえて改めてお伺いをいたします。当初、開発事業者はこの夏にも四国経済産業局から営業許可を得るべく、昨年8月から鏡地区での説明会を開催していました。しかし、説明会の中で計画案の具体的な実態が明らかになるにつけ、地元、周辺住民の方々から様々な不安や怒りの声が上がり、住民団体、鏡川を守る会も結成されることとなりました。 そうした中、5月28日の高知市鏡区長会において開発事業者社員から、県道6号線の拡幅が難しいという回答が県からあったので計画を見直す、どんな方法があるか知恵を絞りたいという発言があり、これまで説明をしてきた計画については撤回されることが明らかになりました。 今回事業者から提案をされていた計画案の最大の問題点は、石灰石を運搬するための計画にあることを私は昨年の12月議会で指摘しました。その指摘を県が正面から受け止め、検討していただいた結果、事業者がこの計画の前提に位置づけていた県道6号線の2車線化という要望を県が受け入れなかったことに敬意を表したいと思います。 その上で、住民の皆さんからは、どのような経過を経て、事業者が計画の前提として住民に説明までしていた県道6号線の2車線化が事業化されないことになったのかを確認したいとの声があります。 そこで、土地基本条例に基づき、この開発計画を正式に受け取り、協議も進めていたと思いますが、この事業の前提と位置づけられていた県道6号線の2車線化について、県としてどのような調査と議論によって判断を行い、事業者にどのような説明をされたのか、知事にお伺いをいたします。 日本共産党高知市議団が情報公開で得た、令和2年6月23日付事業計画に関する課題等の資料で、高知市と事業者との協議の内容が明らかになっています。それによると、高知市への事業者からの回答欄には次のように記されています。県道につきましては10年以上前から県に陳情してまいりましたが一向に進まない、本気度を証明するためには実際に行動するしかなく、県道拡幅を待たずに、少々強引ではありますが、既成事実をつくっていく方針に移ることを余儀なくされた次第でありますとの回答です。 既成事実をつくって、難色を示している県に県道の拡幅を認めさせようとし、住民説明会はそのための地ならしであったと言わざるを得ません。自社の事業のために多額の県費投入による県道拡幅を、強引な手法で認めさせようとする企業倫理には、大きな問題があると指摘しなくてはなりません。 この開発事業をめぐって、私たちは県としての産業振興の基本的な考え方を明確にしておく必要性を改めて感じています。それは、さきのエネルギー問題でも指摘をしたように、2030年までの9年間が地球環境にとって重要な期間となり、SDGsへの取組をあらゆる県事業に位置づける必要性の認識が極めて不十分だと感じたからです。 今回の石灰石の採掘事業の計画は、昭和30年に鉱業権が設定されたもので、自然保護や環境問題が社会的にも問題視されていない時点のものです。今日、自然環境保護の重要性は未来への責任として様々な法整備も進み、高知市において鏡川清流保全条例、それに基づく鏡川清流保全基本計画もつくられています。 この石灰石鉱山予定地周辺地域は、生物多様性センターによる特定植物群落に選定されていることに加え、雄大な地形等から景観面においても評価できるものとされ、自然環境保全区域の候補地案として鏡川清流保全審議会から提言を受けています。しかも、高知市が取得した水源涵養林5.5ヘクタールも含まれているのです。保護が求められる貴重な自然環境を開発によって破壊させてよいのか、さらには石灰石の運搬に事業者の説明でも、将来1分30秒に1台のダンプトラックが走行することによる排気ガスの問題も軽視することはできません。 開発と保護には相反する要素があるのは自明の理です。だからこそ、県としての基本姿勢を明確にする必要があると思います。2050年までにカーボンニュートラル宣言をした知事にふさわしい姿勢を示していただきたいと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。 最後に、県土の軍事化について知事に伺います。 昨年7月14日の自民党中谷元衆議院議員、中西哲参議院議員のオスプレイの宿毛誘致進言について、多くの反対と不安の声が引き続き広がっています。宿毛市等の自衛隊誘致陳情に同席し、当時の河野太郎防衛大臣に、陸上自衛隊輸送機オスプレイの配備難航を念頭に、佐賀空港で受け入れられない場合宿毛への配備は可能性として考えられるのではないか、宿毛でも引き受けられるなど進言したことが報道されたからです。 直ちに私たち県議団は7月16日、宿毛市へのオスプレイ受入れ発言に断固抗議し撤回を求める声明を発表し、議員事務所に届けました。7月24日付地元新聞には、宿毛市出身、関西在住の79歳の方からの投書が掲載をされ、市長や議員諸氏が人口の減少や地元経済の不振に危機感を抱くのはよく分かるが、自衛隊誘致、オスプレイへと短絡するのは市民の生活環境の激変を招く危険な賭けである、一度基地ができればもう元には戻れない、誤った道に踏み込まぬよう想像力が必要であると述べられ、宿毛にオスプレイNoと訴えていました。 また、市民有志が8月、オスプレイに反対する宿毛市民の会を立ち上げ、9月17日には配備反対を訴える署名2,209人分を中平宿毛市長に提出しています。中平市長は、現時点で配備計画は一切なく、議論する段階にすら来ていない、不安についてはしっかりと受け止めたいと話されたと報道されています。その後も署名活動が進められ、今年4月30日現在、合計4,609筆に上り追加提出をされていますし、濱田省司高知県知事宛ての要請署名にも取り組まれ、今月19日現在、1,326筆の署名が寄せられています。 署名趣旨には、市長が提出した要望書にはオスプレイの記載はないものの、宿毛には西南空港予定地があり海上・航空・地上部隊編成、訓練の最適地であるとし、同行の国会議員による宿毛へのオスプレイ受入れ可能とする直談判は住民意思を無視した地方自治への背徳行為であり、私たちは決して許すことはできません、オスプレイは爆音や墜落、落下物の危険といった住民被害を多発し、高温の排気熱と強力な下降気流で災害救助救援には問題があり、悪天候時の運用にも適さない、そんな佐賀空港で受け入れられないものを宿毛で受け入れられるはずがありません、私たちは宿毛の海、山、地域住民の生活と健康を守るためオスプレイ配備に断固反対しますと呼びかけ、自然豊かな宿毛の海、山、私たちの生活を壊さないでください、宿毛の空を危険地帯にしないでくださいと訴えているのです。 知事は、オスプレイ配備に対する宿毛市民、県民の不安、反対の声をどう受け止めておられるのか伺います。また、県内選出の国会議員のオスプレイ誘致発言に対しては、県民の命、県土の安全に責任を負う知事として物を言うべきではありませんか、お伺いをいたします。 知事は去年7月15日、陸上自衛隊オスプレイ誘致発言を受けての記者会見で、県民の不安を受け止めているとする一方で、宿毛湾港への自衛隊誘致活動について、一理ある取組だと思う、少し行政面でどういったメリットあるいは課題があるかというところを詰めてみたいと発言をされていますが、知事の本意をお聞きいたします。また、宿毛市長、宿毛市議会議長、宿毛商工会議所名による、重要港湾宿毛湾港等の利活用についてとする国への要望には慎重に対応し、県民に親しまれる平和な港を宣言した県政の立場を堅持すべきと考えますが、知事の見解をお伺いいたしまして、私の第1問といたします。   (知事濱田省司君登壇) ◎知事(濱田省司君) 塚地議員の御質問にお答えをいたします。 まず、地球温暖化対策に関連をいたしまして、2030年までの取組の重要性についてお尋ねがございました。 将来の平均気温上昇を1.5度を大きく超えないよう抑えるためには、世界全体で2050年カーボンニュートラルを達成することが求められているところでございます。また、御指摘もございましたように、国連の1.5℃特別報告書では、この1.5度目標を実現するためには、2030年までに温室効果ガスの大幅な削減が必要であるというふうにされております。 本県も、地方自治体としての責務を果たすために、昨年カーボンニュートラルを宣言いたしました。県といたしましても、2050年に向けました中間目標となります2030年までの取組が極めて重要なものとなるというふうに認識をしているところでございます。 このため、本年度内にアクションプランを策定いたしまして、カーボンニュートラルに向けた取組を加速してまいります。このアクションプランでは、温暖化対策実行計画で定めました目標をより高いものに見直しますとともに、その達成に向け、あらゆる施策を動員し取り組んでまいる考えであります。 次に、環境正義、気候正義の考え方の普及を図ることの認識についてお尋ねがございました。 環境正義、気候正義は、環境保全と社会的正義の同時追求の必要性を示すといった概念であるというふうに承知をいたしております。こうした概念は、誰一人取り残さない持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現を目指すという、SDGsの考え方に包含をされるのではないかというふうに考えられます。 また、このSDGsのほうにも、気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じることや、各国内あるいは各国間の不平等を是正することということなどが、2030年の目標として掲げられているという関係にあります。こうしたSDGsの考え方を普及し、県民の皆さんの共通認識としていくということが大変重要であるというふうに考えております。 このため、アクションプランにおきましては、SDGsを意識した取組の促進を柱に位置づけまして、普及啓発あるいは学習機会の充実などに取り組んでまいる考えであります。 次に、気候非常事態宣言についてお尋ねがございました。 御指摘がありました気候非常事態宣言は、気候変動が異常な状況であることを認識し、この危機的な状況を克服していく決意を宣言するといった趣旨のものであるというふうに理解をいたします。 本県は、まさしく世界的な課題である気候変動問題に対する責務と、あるいは危機感を県民全体で共有していくというために、昨年12月に、形としてはカーボンニュートラル宣言という形でございましたが、こういった危機感も併せて前提として、カーボンニュートラル宣言という形で表明をさせていただいたということでございます。この宣言に基づき、県民の皆さんの具体的な行動を促すためのアクションプランを策定いたしまして、オール高知で取組を進めてまいる考えであります。 次に、オリンピック・パラリンピックの開催に関します政府の説明についてお尋ねがございました。 組織委員会や政府など5者が合意をいたしました方針におきましては、観客数の上限を収容定員50%以内で1万人とするといったことのほか、感染拡大等の場合は無観客も含め速やかに対応を検討するというふうにしております。 こうした取扱いについて政府からは、専門家からは無観客開催が望ましいとする一方で、観客を入れる場合の対応も想定した提言がなされているということ、またこれまでも国の内外におきまして、徹底した感染症対策を講じ、観客を入れた上で国際大会やプロスポーツが開催をされてきているということ、さらにこれにより得られた知見も踏まえまして、関係者間で議論を積み重ねて合意されたものと承知しているということといった一定の説明がなされているというふうに承知をしております。 5者合意の具体的な内容の根拠がどうだといったような点に関する疑問につきましては、政府、組織委員会などにおきまして、より丁寧に説明をされることが必要だというふうに考えております。 次に、オリンピック・パラリンピックの開催自体についてどう考えるのかというお尋ねがございました。 スポーツの価値や魅力を再認識する、そして将来を担う子供たちに夢や希望を与えると、こういった効果を考えますと、オリンピック・パラリンピックの開催の意義は大きいものと考えています。ただし、当然のことながら、全ての方にとって安全で安心な大会であるということが大前提でありまして、国内の感染症対策、医療提供体制に大きな支障を来すようなことがあってはならないというふうに考えています。 このことに関しましては、組織委員会、政府などが、先ほど申し上げました合意をした方針におきまして、感染状況や医療状況に急激な変化が生じた場合には無観客も含め速やかに対応を検討するというふうに明記をされておりまして、必要な対応が取られるものというふうに考えております。 選手やスタッフなどの関係者の皆さんあるいは観客の皆さんが協力をして、感染症対策をしっかり行うということによりまして、全ての参加者の皆さんあるいは日本国民にとって、安全で安心な大会となることを期待いたしているところでございます。 次に、新型コロナウイルス対策といたしまして、高齢者・障害者施設、保育、教員への社会的検査の実施に関してお尋ねがございました。 県におきましては、感染拡大のリスク評価という観点、そして検査前に考えられる陽性率という観点、この2つの観点に基づきまして検査対象を分類いたします国の基本的な考え方を踏まえまして、検査を実施してまいっております。 具体的には、検査前に陽性の確率が高いと想定をされます濃厚接触者だけではなく、感染拡大のリスクが高いと想定される場合には、感染者の周辺について幅広く検査を実施するという方針で対応してまいりました。特に、重症化リスクが高く、クラスターが発生した場合の影響が極めて大きい高齢者施設などで感染が確認をされた場合には、入所者、従事者などの検査を幅広く実施するという方針で対応してきております。 お尋ねがございました一定の範囲の方に一律に検査を実施していくいわゆる社会的検査につきましては、検査前に考えられる、想定される陽性率が低い場合に実施をいたしますと、偽陽性ないしは偽陰性の発生という問題、そしてコスト面での問題などが指摘をされているところでございます。そうしたことがございますので、感染拡大していない段階から一律にPCR検査を実施するという考え方は取っておりません。 一方で、地域全体の陽性確率が高くなった場合には、高知県におきましては、議員からもお話しいただきましたように、保健所単位などで高齢者施設などの従事者等への集中的検査を実施しておるところでございます。こうした施設におけます集団感染の未然防止によりまして、重症患者発生の抑制、医療現場の負担軽減という効果が期待できるものでございますので、今後もこうした方針に沿って対応してまいりたいと考えております。 次に、新型コロナウイルスワクチン接種におきます県民への情報発信、相談体制の強化に対する課題意識と計画についてお尋ねがございました。 多くの県民の皆さんに安心してワクチンを接種していただくためにも、ワクチンに関する正確な情報発信や相談体制を整えるということが極めて重要であるというふうに考えております。このため、県におきましてはこれまでテレビやラジオ番組、新聞広報などを通じまして、ワクチンの意義や効果、副反応などに関します情報を周知、広報してまいりました。 あわせまして、新型コロナウイルスワクチン専門相談電話を設置いたしまして、直接県民の皆さんから接種後の副反応などの相談を、看護師などの専門職がお受けする体制を取っております。この相談電話にはこれまでに約4,300件の相談を受けるなど、市町村の相談窓口と連携をいたしました相談体制によりまして、県民の皆さんの不安感の解消に努めているところであります。 今後の新たな課題といたしましては、接種に対して消極的であるというふうに言われております若年層、若い方々への対応ではないかというふうに考えております。変異株の出現によりまして、県内でも若年層への感染も広がっておりますし、以前と比べまして、家族間での感染リスクも高くなっているというふうに受け止めております。こうした情報も加味をしながら、若年層に対するワクチン接種の理解の促進、そして不安感の解消に努めてまいりたいと考えております。 あわせまして、御指摘もありましたが、接種しないことをもって差別的な取扱いを受けるというようなことが決してないようにすること、これも非常に大切なことだと考えておりまして、引き続き積極的に啓発を行ってまいります。 次に、学生への食料支援に関してお尋ねがございました。 今年の2月4日に、御紹介ございましたように日本共産党高知県委員会、共産党県議団の皆様から県に申入れをいただいて以降、学生への食料支援につきましては、1次産品の地産地消の利用方法として検討してまいりました。検討に当たりましては、関係団体などに御協力をお願いいたすとともに、各大学との協議を重ね、4月から5月にかけまして県内3大学の4キャンパスで大学生への食材支援プロジェクトが実施をされたところであります。その際には、JA高知県をはじめといたしまして多くの生産者、事業者の皆さんから食材を御提供いただきましたほか、NPO法人地域サポートの会さわやか高知に御協力をいただきました。 他方、各大学におきましては、様々な団体や後援会などから食材などの無償提供を受けておりまして、必要な学生に支援を行っているというふうにお聞きをいたしております。 今後、コロナウイルスの感染の影響によりまして、経済的に困窮する学生が増え、学生への食料支援に関してニーズが高まるような状況が確認をできましたら、国への提言なども含めて、必要な取組を検討してまいる考えであります。 次に、いわゆる生理の貧困に関する認識についてお尋ねがございました。 生理の貧困につきましては、経済的な理由などで生理用品を十分に使えないということによりまして、女性の行動が制限をされたり、活躍の機会を失う可能性があるということなど、重要な課題として受け止めております。 このことは、これまでも存在をしていた課題が、コロナ禍による経済状況の悪化などにより表面化をしてきた、あるいは深刻化をしてきたものというふうに捉えております。これまで言い出しにくかった女性特有の問題でございましても、社会全体の問題として取り組んでいくことの必要性が改めて認識をされたものというふうに考えております。 次に、この生理の貧困解消につきましてお尋ねがございました。 生理の貧困の解消に関しまして、国のほうでは、女性活躍・男女共同参画の重点方針2021におきまして、生理の貧困への支援を掲げているところであります。この中で、地域女性活躍推進交付金によります生理用品の提供と、生理の貧困にあります背景や事情に寄り添った相談支援を充実すること、あるいは相談機関の周知などを行うということが掲げられているところでございます。 県におきましても、この国の交付金を活用いたしまして、生理用品の提供、そしてそれを一つのきっかけといたしまして、支援を必要とする女性に寄り添い、きめ細かな相談支援につないでいくと、そうした取組を進めていきたいと考えております。今回の事業では、こうした考え方から、地域の支援機関などのネットワークを活用させていただきまして、行政だけではなかなか手が届かないようなきめ細かな支援も期待をいたしているところであります。 生理の貧困解消には、困難を抱える女性に対しまして必要な支援が届くこと、また孤独、孤立で不安を抱える女性がつながりを回復するということが非常に重要だと考えておりますので、行政や学校、関係機関が連携した取組を進めてまいりたいと考えております。 次に、県道6号線の2車線化につきまして、県の判断と事業者にどのような説明をしたのかというお尋ねがございました。 県道6号高知伊予三島線は、沿線住民にとりまして日々の暮らしを支える重要な路線であります。地元の住民の方々あるいは高知市、いの町、土佐町などからも道路整備の要望をいただいております。このため、現在高知市鏡草峰地区から吉原地区の間で、地域の実情に合った1.5車線的道路整備を行っているところであります。 この鉱山開発のための2車線改良につきましては、平成25年頃に事業者から、また令和元年9月に事業者が所属をいたします高知県鉱業会などから御要望がありました。この御要望に対しまして令和元年12月の段階で副知事から、事業者が希望する搬出開始時期までに、概算で130億円を要する道路の整備を行うことは困難であるという考え方をお伝えしたところでございます。 その後、令和2年2月になりまして事業者のほうから、ダンプトラックの走行に支障を来す狭い箇所に限って、優先的に道路整備を進めてもらえないかという要望が改めてあったところでございます。このため、県としまして再度調査検討を行いましたけれども、ダンプトラックと地域住民の皆さんの安全な通行を確保するというためには、やはり局所的な改良だけではなくて、連続をした2車線改良によります整備が必要だというふうに判断をしたところでございます。 また、この地区の地形が非常に急峻なところでありますので、2車線改良を現実に行うためには、全面通行止めでの工事を行わざるを得ないということも判明をいたしまして、その場合には、対岸に迂回路等を設置する必要があるということも新たに判明をしたという事情がございました。 このため、想定される工事費はさらに増大をし、要する期間も非常に長くなるということが見込まれましたので、いずれにいたしましても要望にお応えすることは困難であるという判断をいたしまして、今年の3月に改めて副知事から事業者に対して、その旨の御説明をさせていただいたと、そうした経緯をたどっているところでございます。 次に、開発と保護に関する基本姿勢はどうかというお尋ねがございました。 本県経済の活性化を図っていくためには、様々な分野での産業振興を図ることが肝要であるというふうに考えております。他方で、本県の誇る豊かな自然環境を守り、次世代に残していくということは我々に課せられた責務であるというふうにも考えております。 こうした産業振興を図ることと自然環境の保護を図ること、この2つは時折相対することがありますけれども、二者択一ということではなく、法令などに基づきながら、また様々な御意見を伺いながら検討を重ねて、両者の調和を取って進めていくということが重要であると考えております。先ほどのカーボンニュートラル宣言に関しましても、気候変動への対応と産業振興、経済活動の両立を目指していこうとするものであるというふうに考えております。 今回の鉱山開発に関しましても、産業振興と自然環境の保護との調和を取っていくという考え方に立ちまして、土地基本条例などに基づきます手続を通じまして、高知市や事業者と協議を重ねてまいりました。引き続きこうした基本姿勢の下、様々な取組を進めまして、本県の持続的な発展を図ってまいりたいというふうに考えております。 次に、オスプレイの配備に対します県民の不安や反対の声に対する受け止めあるいはオスプレイの誘致に関する発言についてのお尋ねがございました。 オスプレイにつきましては、以前より事故率は下がっているということはありますけれども、過去に事故が相次いだという事実もありまして、県民の皆さんの不安感はまだまだ払拭されていないというふうに、本日の御質問をお聞きして改めて感じているところでございます。一方で、オスプレイの県内配備の提案に関しましては、御指摘もありましたように、昨年7月に宿毛市長などが自衛隊誘致の要望のために防衛省を訪問した際に、県選出の国会議員の方々から発言があったものというふうに承知をしております。 私といたしましては、こうした国会議員の方々の自衛隊を誘致したいという熱心さの表れから、こうした発言をされたのではないかというふうに受け止めております。また、御本人たちも述べられておりますとおり、あくまで一国会議員として発言されたものだというふうに認識をしておりますので、議員に対し私のほうから今の時点で特に何かを申し上げるという考えはございません。 最後に、宿毛市への自衛隊誘致に関する記者会見の本意と港湾の平和利用に関する見解についてお尋ねがございました。 自衛隊の県内への配備につきましては、大規模災害時においては応急救助活動や物資輸送といいました防災の面で非常に大きな効果が期待できるということ、また地域経済への波及効果が期待できるということなど、こうした大きなメリットがあるというふうに考えます。このため、宿毛市が官民を挙げて取り組まれております自衛隊の誘致活動につきましては、住民の皆様の様々な意見も伺いながら、地元の取組を応援するというスタンスで対応してまいりたいというふうに考えております。 しかしながら、具体的な誘致計画の策定には、市や地元のほうでは至っていないという段階にあるようでございますので、この宿毛市への自衛隊誘致に関しましては、先ほど申し上げましたようなメリットが期待されるという意味で、一理があるということは考えられますが、この具体的な計画がまだないという意味で、メリットや課題を詰めてみたいというような発言をさせていただいたというような経緯でございます。 一方で、宿毛湾港は四国西南地域で唯一、水深13メートルの岸壁を有しまして、クルーズ船や石炭運搬船のような比較的大きな船舶が接岸可能となっております。宿毛市ではその特徴を生かしまして、宿毛商工会議所などの民間団体と一緒になりまして、自衛艦の寄港誘致にも取り組んでおられます。 自衛艦の寄港は、港ににぎわいをもたらします。また、地域の活性化にもつながるというふうに考えますので、平和利用の趣旨に反するものではないというふうに考えられます。県といたしましては、港湾の利活用を進めるという観点からも、地元の取組を応援してまいりたいというふうに考えている次第であります。 私からは以上であります。   (教育長伊藤博明君登壇) ◎教育長(伊藤博明君) まず、未来の主権者を育てる教育にとっての環境正義と気候正義の考え方についてお尋ねがございました。 環境問題は地球規模での課題であり、本県の学校教育においても環境問題を児童生徒が主体的に考え、解決する態度を育むことは重要であるため、小・中・高等学校にわたって環境教育に取り組んできております。 例えば、小学校6年生の理科では、人の暮らしが環境に及ぼす影響を考えていく中で、地球温暖化に触れ、環境を守りながら暮らすための工夫について学ぶようになっています。また、中学校では、社会科においてSDGsに示された課題のうちから、生徒が地理的な事象として捉えやすい地球環境問題や資源・エネルギー問題、人口・食料問題、居住・都市問題などに関わる課題を取り上げ、探究的に学ぶようになっております。 さらに、高等学校では、多くの学校が地域の魅力化などの課題解決学習に取り組んでおり、近年ではSDGsの環境の分野や貧困をテーマとした探究的な活動を進める学校も増えてきております。また、来年度からスタートする新学習指導要領において、家庭科では消費活動と環境を一層関連させて学習させることとなっております。 このように、小・中・高等学校の系統的な学びの充実を通して、よりよい社会の形成に主体的に参画しようとする意識や態度を養うとともに、多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越え、持続可能な社会のつくり手となるための人材育成に今後とも取り組んでまいります。 次に、性教育の取組と併せた生理用品の配付の具体化についてお尋ねがございました。 議員からお話がありましたように、子供たちが生理に関する正しい知識を身につけるとともに、経済的な事情にかかわらず、必要としている子供が生理用品を利用できるようにすることは、大変重要だと考えております。 また、生理に関する知識や課題については、子供や女性教員だけでなく、男性教員も正しく理解し、学校全体で誰もが適切な指導や支援ができることが必要となります。県教育委員会では、2年間にわたって産婦人科医など専門家の意見もお聞きしながら、教員誰もが生理の内容も含めて系統的に性に関する指導ができるように、本年2月に性に関する指導の手引きを策定し、県内全ての小・中・高等学校に配付して取組を進めております。 この手引では、例えば小学校4年生の体育や特別活動の時間において、二次性徴や月経時の体調管理と処置の仕方について学習するほか、中学や高校段階においても、男女の体の仕組みや二次性徴などについて繰り返し学習するなど、生理に関しても理解を深めていくことにしております。 また、学校における生理用品の配付に向けては、知事部局や市町村教育委員会と連携し、体制を整備するとともに、県教育委員会において配付に当たっての配慮事項をまとめ、校内研修会等を通じて全教職員であらかじめ共有してもらうなど、児童生徒が受け取りやすい環境整備について取り組んでまいります。   (健康政策部長家保英隆君登壇) ◎健康政策部長(家保英隆君) 新型コロナウイルス感染症対策に関して、ウイルス量、感染力の高さに着目した対策の必要性についてお尋ねがございました。 PCR検査は、患者からの検体に含まれる微量の新型コロナウイルスのRNA--リボ核酸になりますが--を繰り返して増幅させて検出するものであり、検出可能な量に達する増幅回数をCt値と呼んでおります。したがって、Ct値が小さいほど検体に含まれるウイルス量が多いと判定できることから、保健所での積極的疫学調査において、患者の感染拡大のリスクを評価する項目の一つとして、濃厚接触者等の選定の際に利用しております。 ただし、十分な検体量を採取できなかったり、発症から検査までの期間が長い場合は検体のウイルス量が少なくなり、Ct値が高くなる傾向があることから、1度のPCR検査の結果では評価が難しいことに留意しないといけません。このため、患者の感染リスクの評価においては、患者の行動履歴、それから症状などの経過を注意深く聞き取った上で、総合的に判断することを重視して、保健所では積極的疫学調査に取り組んでいるところでございます。 次に、新型コロナウイルスワクチン接種における在宅福祉サービスや理美容などの従事者について、優先順位の考え方のお尋ねがございました。関連しますので、併せてお答えいたします。 まず、訪問介護や通所介護などの在宅福祉サービス従事者につきましては、当初国において、濃厚接触者等に対してサービスを提供する意向がある場合、市町村の判断により高齢者施設等の従事者と同様に、優先接種の対象とすることが可能とされておりました。 そして、現在では高齢者接種の7月末完了を条件に、優先順位の考え方が弾力化され、市町村独自の優先枠を設けてよいという取扱いになっております。県からも在宅福祉サービスでのクラスター発生を受けて、改めてそれらの従事者の方への積極的なワクチン接種を各市町村にお願いしているところでございます。 また、理美容など感染リスクの高い仕事の従事者については、県営の大規模会場での優先的な接種対象として、関係団体の意向も確認し、準備を進めております。なお、対象とする職域については、並行して行われる市町村での接種の進捗状況を見ながら、対象者を順次拡大していくことも考えており、今後柔軟に検討してまいりたいと考えております。 次に、学生へのワクチン接種への支援についてお尋ねがございました。 学生を対象としたワクチン接種については、現在県内の大学等が合同で国に職域接種の申請をしておりますほか、県内の専門学校が申請するなど、積極的な対応を行っていただいております。しかしながら、現在国において申請の承認を受けているところは一部にとどまっていることから、国に対しては必要なワクチンの確保と早期の承認を強く求めてまいります。あわせまして、国において申請が再開された場合に、申請を希望する学校等については、個別に申請に向けた相談支援等を行ってまいりたいと考えております。 次に、誰一人取り残さない立場から、ワクチン接種に関する現状と課題に対する認識と、支援する仕組みについてお尋ねがございました。 議員の御指摘のとおり、ワクチンの予約ができない、移動手段がないなど、ワクチン接種に至るまでに様々なハードルがある方がおられると承知しております。こうしたことが原因で接種を断念することがない環境を整備することが重要となりますが、市町村によって対応に濃淡があることも事実でございます。このため、国からは参考とすべき全国の取扱い事例の情報提供がされていますし、県からも県内市町村の工夫している取組を情報提供しているところでございます。 各市町村においては地域特性などを踏まえ、様々な工夫を凝らして接種を進めていただいております。引き続き、県内のみならず全国の取組事例を共有することにより、接種を希望される全ての方が円滑に接種を受けられるよう取り組んでまいります。   (商工労働部長松岡孝和君登壇) ◎商工労働部長(松岡孝和君) まず、売上減30%未満の事業者についての認識と支援策についてお尋ねがございました。 売上額減少が30%未満であったとしても、その経営環境は非常に厳しいものと認識しております。特に、感染症の影響が長期化しており、影響を受けている事業者の皆様においてはダメージが蓄積していることから、今後は資金繰りがより厳しくなってくると考えます。 このため、今議会に提案している経済対策などに加えて、安心実現のための高知県緊急融資などの県の既存融資制度について、償還期間や据置期間の延長を行ってまいります。また、新規の貸付金については、償還額を徐々に増やしていけるステップアップ償還の制度についても取り入れてまいります。 次に、営業時間短縮要請対応臨時給付金の制度の周知に当たっての工夫についてお尋ねがございました。 給付金の名称が誤解を与えているというお話を聞きましたので、これまでの給付金についても、広報の表現に気を配って真意が伝わるように周知を図っているところです。例えば、ホームページでは、営業時間短縮要請の対象外の事業者を支援という文章を大きな赤文字で強調するといった工夫をしております。また、テレビやラジオ広報では時短要請の文字を出さず、人出の減少により売上げに影響を受けた事業者が幅広く対象となることが伝わるような表現に見直しを行ったところです。さらに、関係団体や金融機関に対し、誤解をしている場合があることをお伝えし、対象となりそうな事業者にはお声がけをお願いすることなど、制度の一層の周知に取り組んでいるところです。 5月、6月を対象とした今回の給付金につきましても、制度の内容を正しく理解していただけますよう、引き続き文章表現を工夫するとともに、県や関係団体の広報紙などを活用した情報発信の強化にも取り組んでまいります。   (文化生活スポーツ部長岡村昭一君登壇) ◎文化生活スポーツ部長(岡村昭一君) 大学などの学内でのPCR検査体制の構築についてお尋ねがございました。 議員のお話にありました鳥取県における大学などの学内でのPCR検査につきましては、県が保健所の判断の下実施している行政検査の中で行われているものであり、検査の対象は、体調などに不安があるが、かかりつけ医のない学生などに限られ、無症状者、症状のない方や、単に検査を希望する方は対象とされていないとお聞きしております。また、本県におきまして、感染拡大していない段階から、一律にPCR検査を実施するという考え方は取られておりません。 こうした状況でありますが、他方、現在高知県立大学や高知工科大学では、学生の健康管理をサポートする部署である健康管理センターや健康相談室が窓口となって、学生からの相談に対応するとともに、学内で感染が疑われる学生が発生した際には、新型コロナウイルス健康相談センターや近隣の検査協力医療機関に協力を求め、PCR検査を受けられる体制が取られております。 県といたしましては、各大学に対しこうした体制についての学生へのさらなる周知や、きめ細かな相談対応を要請してまいります。   (子ども・福祉政策部長山地和君登壇) ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) 地域女性活躍推進交付金を活用した事業の具体的な取組についてお尋ねがございました。 この事業は、孤独や孤立、貧困などで不安を抱える女性が社会との絆やつながりを回復することができるよう、委託を予定している高知県社会福祉協議会が持つ地域福祉のネットワークを活用して、困難を抱える女性に寄り添った支援を行うことを目的としています。 具体的には、委託先が生理用品を購入し、市町村役場や市町村社会福祉協議会、学校などを通じて、生理用品の入手が困難な状況にある女性に提供します。その際に、相談窓口や支援機関を明記したカードを一緒にお渡しするなど、その方のプライバシーに配慮しながら、孤独、孤立、困窮など困難を抱える女性を、市町村や社会福祉協議会などの相談支援機関へつなげてまいります。 また、周知のための情報発信や、相談や支援を行う方々を対象としたセミナーの開催を予定しております。なお、提供する生理用品は、約1万3,000パックを予定しております。 ◆37番(塚地佐智君) それぞれ御答弁いただきましてありがとうございました。2問を行わさせていただきたいと思います。 まず、鏡の吉原地区での県道の拡幅の問題で、知事からこの間の事業者への説明の御答弁をいただきました。その中で、まず第1は部分改良では安全運行ができないんだということがまず前提なんだということだったと思います。その上で、2車線化でなければ安全性が保てないということでした。 その2車線化にするとすれば、どれほどの事業費がかかるのかと。以前の12月の議会での御答弁では、概算130億円というお話をいただいておりましたけれども、それ以上に予算が必要なんだという知事の御答弁だったと思うんです。ひょっと数字がお分かりになったら、どの金額を想定されたのかということを教えていただきたいと思います。 2つ目の問題が学生への食料支援です。知事の御答弁の中では、いかにも県も協力をして1次産品の食料支援をやったというように聞けましたけれども、ここには一円の県費も投入されていないですよね。予算は全く投じられていないと。ボランティア団体の皆さんにやっていただいて、県が御協力をしたという形にすぎないと思います。 ニーズが高まったら考えていくというふうにおっしゃいましたけれど、もうニーズはずっとあるんです。そのときのさわやか高知さんがやられましたときも、約1,000人の学生さんが訪れられて、本当に喜んで持って帰ったということになっているんですね。ほっとまんぷくプロジェクトがやっている事業も、この1年間で約5,000人の学生さんたちが雨の日も並んで食料を取りに来る、医学生などはバイトが禁止をされるので、もう収入がなくなったという悲痛な面持ちで、この食料支援に参加しているわけです。 1回食料支援を県も一応関わってやられたわけで、実績はあるわけですね。なので、ぜひこのスキームをつくっていただきたい。支援したい人もあるし、支援される人もある、県として予算化もする、そういうスキームをぜひとも大学と相談をしてつくっていただきたいということで、知事にもう一度御答弁をいただきたいと思います。 以上、2問といたします。 ◎知事(濱田省司君) 塚地議員の再質問にお答えいたします。 まず、県道の拡幅に要します事業費の問題でございます。ただいま申し上げましたように、迂回路も必要になる、あるいは残土処理も必要になるということを前提としました場合、幅がある数字で恐縮でございますけれども、190億円から250億円といった数字の規模になるというふうに報告を受けているところでございます。 2点目につきまして、学生の皆さんへの食料支援についてでございます。今回、ただいま答弁をさせていただきましたように、県のほうといたしましても呼びかけをいたしまして、JAさん、生産者の皆さん、こういった方々の御協力を得て、県として予算を計上していないではないかと言われればそのとおりでございますけれども、受領いただく学生さんにしてみれば、それは県の予算からであれ、JAさんからの寄贈であれ、同じ意味があるということだと思いますので、こういった形でできるところから支援をしていこうということで取り組んでいるところでございます。 この学生の皆さんのニーズというのは、まず大学当局が学生課などを通じて一番御存じだということだと思いますので、大学の当局の皆さんとも御相談をしながら、さらに必要だということになれば--もう一つは、私自身は、行政がいろんな関わり合いをやっていく中では、この大学教育で高等教育の部分で、国、県、市町村、ここがどういった役割分担をするかという問題もやはり吟味しなきゃいけないという思いはございますが、いずれにいたしましても、大学の当局の皆さんの御意見もお聞きをして、必要がございましたら検討させていただきたいというふうに考えております。 ◆37番(塚地佐智君) 250億円という道路予算にはちょっと驚きまして、これは到底無理な事業だなということを改めて確認させていただきたいと思います。 食料支援につきましては、ぜひ県が音頭を取って、今国、県、市の役割分担とおっしゃいましたけれども、県立大学もございますので、ぜひ県立大学から先頭を切ってでも構いません。スキームをぜひつくっていただきたいと思うんです。既に1回実施されていた経験を生かしたスキームづくりを進めていただきたいということは、強く要請しておきたいと思います。 るる御答弁いただきまして本当にありがとうございました。新たな経済対策も何とか知恵を使ってやろうとしている県の努力も分かります。でも、県の財政にも限界もある。そういう中で、地域でどんな声が上がっているかというと、自分たちの行き先が見えないのにオリンピックで喜べと言われたって、喜びようがないんだという痛切な声です。予算も、そして人材もオリンピックやパラリンピックでなくて、今、明日を生きる私たちの暮らしとなりわいに回してほしいという県民の強い声があります。 私は、ぜひそういう声もしっかり耳に受けて、国にも届けて、頑張っていただきたいと思いますし、次なる支援をしっかり国にも要望していただきたいということを強く要請いたしまして、一切の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(森田英二君) 以上をもって、本日の議事日程は終了いたしました。 明30日の議事日程は、議案に対する質疑並びに一般質問であります。開議時刻は午前10時、本日はこれにて散会いたします。   午後4時42分散会...