• "高級魚"(/)
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  1. 山口県議会 2022-11-01
    12月09日-06号


    取得元: 山口県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-15
    令和 4年11月定例会   令和四年十一月山口県議会定例会会議録 第六号      令和四年十二月九日(金曜日)  ────────────────────        議事日程 第六号      令和四年十二月九日(金曜日)午前十時開議  第一 一般質問  第二 議案第一号から第二十五号まで(質疑)  ────────────────────        本日の会議に付した事件  日程第二 議案第一号から第二十五号まで                会議に出席した議員(四十五人)                          塩   満   久   雄 君                          林       哲   也 君                          木 佐 木   大   助 君                          先   城   憲   尚 君                          髙   瀬   利   也 君                          酒   本   哲   也 君                          平   岡       望 君                          西   本   健 治 郎 君                          二   木   健   治 君                          宮   本   輝   男 君                          藤   本   一   規 君                          高   井   智   子さん                          猶   野       克 君                          藤   生   通   陽 君                          合   志   栄   一 君                          小 田 村   克   彦 君                          曽   田       聡 君                          俵   田   祐   児 君                          吉   田   充   宏 君                          新   谷   和   彦 君                          岡       生   子 君                          島   田   教   明 君                          石   丸   典   子さん                          井   上       剛 君                          松   浦   多   紋 君                          守   田   宗   治 君                          森   繁   哲   也 君                          槙   本   利   光 君                          井   原   寿 加 子さん                          橋   本   尚   理 君                          山   手   康   弘 君                          畑   原   勇   太 君                          磯   部   登 志 恵さん                          河   野       亨 君                          笠   本   俊   也 君                          有   近   眞 知 子さん                          友   広       巌 君                          戸   倉   多 香 子さん                          上   岡   康   彦 君                          新   造   健 次 郎 君                          坂   本   心   次 君                          中   嶋   光   雄 君                          江   本   郁   夫 君                          柳   居   俊   学 君                          国   本   卓   也 君                会議に欠席した議員(二人)                          友   田       有 君                          森   中   克   彦 君                                議案等の説明のため会議に出席した者                    知事          村 岡 嗣 政 君                    副知事         平 屋 隆 之 君                    総務部長        内 海 隆 明 君                    総務部理事       近 藤 和 彦 君                    総合企画部長      松 岡 正 憲 君                    産業戦略部長      前 田 安 典 君                    環境生活部長      藤 田 昭 弘 君                    健康福祉部長      弘 田 隆 彦 君                    商工労働部長      小 関 浩 幸 君                    商工労働部理事     三 浦 健 治 君                    観光スポーツ文化部長  三 坂 啓 司 君                    農林水産部長      高 橋 博 史 君                    土木建築部長      和 田   卓 君                    会計管理局長      京 牟 礼英二 君                    財政課長        安 藤 公 浩 君                    公営企業管理者     正 司 尚 義 君                    企業局長        今 村 政 裕 君                    教育長         繁 吉 健 志 君                    副教育長        木 村 香 織 君                    公安委員長       今 村 孝 子さん                    警察本部長       中 西   章 君                    代表監査委員      河 村 邦 彦 君                    監査委員事務局長    本 多 昭 洋 君                    労働委員会事務局長   松 田 一 宏 君                    人事委員会事務局長   大 田 淳 夫 君                会議に出席した事務局職員                    事務局長        國 吉 宏 和 君                    事務局次長       原 田 和 生 君                    総務課長        嶋 田 英一郎 君                    議事調査課長      岡 本 正 敏 君                    政務企画室長      國 弘 敏 和 君                    秘書室長        植 木 啓一郎 君                    議事調査課主幹     作 本 真 得 君                    主査兼議事記録係長   益 本 悟 史 君                    主任          河 村 美也子さん                    主任          賀 山 智 江さん                    主事          佐 伯 和 樹 君   ─────────────    午前十時開議 ○議長(柳居俊学君) おはようございます。これより本日の会議を開きます。   ───────────── △日程第一一般質問 △日程第二議案第一号から第二十五号まで ○議長(柳居俊学君) 日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第二十五号までを議題とし、質疑に入ります。 一般質問及び質疑の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 俵田祐児君。    〔俵田祐児君登壇〕(拍手) ◆(俵田祐児君) 皆さん、おはようございます。自由民主党の俵田祐児でございます。 質問に先立ちまして一言申し上げます。 令和四年も早いもので残り一か月を切りました。毎年この時期になりますと、その年の世相を表す漢字一文字が選ばれ、発表されています。 この一年を振り返ってみますと、ロシアによるウクライナ侵略や度重なる北朝鮮によるミサイル発射など国際情勢の不安、いまだ収束の見通せない新型コロナ感染症への不安、物価高高騰による経済や生活への不安、そして衝撃であった安倍晋三元総理の銃撃事件と、国民・県民の暮らしの様々な面での安心・安全が脅かされ、大きな不安を抱かされる年であったと感じています。 一方で、多くの方々が日々の暮らしの安心・安全の大切さを改めて認識することにより、その実現を切実に望む声が高まり、国政や県政を動かし、暮らしを支える対策がこれまで以上に進んでいくことが期待されています。 こうした皆さんの声をしっかりとお聞きし、行政へとつなぎ、そして暮らしの安心・安全対策に反映させていく、その役割を大きく担っているのが我々議員であり、その責任は極めて大きいと感じています。 来年のことを言えば鬼が笑うと言いますが、来年のこの時期には多くの県民の方々が笑顔で今年は安らかでいい年だった、今年の漢字は安心・安全の「安」だと思える年になりますよう、私自身、これからも自らの責務を全うしていくことを誓い、通告に従い一般質問に入らさせていただきます。 まず初めに、農業試験場跡地の利活用についてお尋ねいたします。 来年四月、山口市にある農業試験場林業指導センターと防府市の農業大学校が統合され、即戦力人材の育成と先端技術の開発に一体的に取り組む、農林業の知と技の拠点が開設されます。 農業試験場は、山口の地に百二十年以上存置し、本県農業研究の中核であるだけでなく、地域の方々からも愛された施設でしたので、移転の時期が近づいてきますと、正直、寂しさを感じることもありますが、防府市で新たな拠点としてさらに機能を高め、本県農林業の活性化につなげていただきたいと思います。 かつて田園地帯であった農業試験場周辺は、現在は大型商業施設の進出や宅地開発が進む山口市の中核的な地域であることから、私は、こうした市街地における約十九ヘクタールという広大な跡地の利活用は、山口市のまちづくりと県央部の発展に大きな影響を及ぼすと同時に、未来に向けた県づくりの試金石になるとの思いで、県と市の緊密な連携が不可欠であるということを訴えてきました。 また、この地域の従来からの課題である慢性的な渋滞や雨水排水の対策、試験場跡地土壌調査への対応が、このプロジェクトの推進に必要不可欠であることも申し上げてきました。 県は、こうしたことや地域の声をしっかりと受け止め、山口市との間で協議を重ねられ、このたび、跡地利用に係る基本構想の素案を県と市の共同により示されました。 この中では、「未来のまち」の構想に向けて、生涯活躍のまちづくりスマートシティの実現、脱炭素化の推進など、国レベルの施策にも取り組むとされています。 また、地域住民から要望のある、既存緑地やグラウンドを含めた公園の整備や、先ほども申し上げた、この地域の諸課題への対応もしっかりと示されています。 令和二年十一月の一般質問において、私がこの問題を取り上げてから約二年を経て、将来の発展を見据えた跡地利用の大枠が見えてきたことを、私としても評価しています。 今後は、まず、この基本構想をしっかりと完成させた上で、具体的な計画策定を進めていかなければなりませんが、取り組むべき分野は、環境、福祉、土木、デジタルなど非常に多岐にわたることから、構想の具体化は、多角的な検討や調整が必要になります。 そして、これからの取組を強力に進めるため、素案の中で、やまぐちの未来のまち創造プロジェクトと掲げられているように、県と市の力を結集してプロジェクトを進めていただきたいと思います。 また、来年度からは農業試験場施設の解体も始まりますので、地元の喪失感が将来への希望へと転換されるよう、同時進行で新たな創造を着実に進めていただくとともに、渋滞緩和等の諸課題への対応については、一層のスピード感を持って取り組んでいただきたいと考えています。 そこでお尋ねいたします。農業試験場の跡地について、このたびの基本構想の素案をどのような考えで策定され、今後、その具体化にどのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、力強い農業の実現についてお尋ねいたします。 来年四月に開設される農林業の知と技の拠点では、来年度、農業大学校に土地利用学科が新設され、大規模水田農業に対応できる人材を育成されることになっていますが、この学科新設に対しては、現場の農家からも期待の声が上がっていますし、私自身も、これからの本県農業の中核となる人材育成に貢献するものと、大きな期待をしているところです。 一方、大規模な水田農業を展開していくためには、こうした人材育成に加え、その基盤となる圃場整備や水田の高機能化・汎用化を進めていくことが不可欠です。 本県においては、昭和三十年代から耕地区画や用排水路の整備が本格化し、令和三年度末までに約二万三千四百ヘクタールの圃場整備が行われるなど、水田農業生産性向上に寄与してきました。 現在においても、昭和の時代に整備を行った区画の再整備や、畑作物の安定した収量確保が可能となる水田機能の高度化へのニーズがさらに高まっていますが、その一方で、高齢化や不在地主の増加などにより、地域内の合意の難しさや金銭的負担への抵抗などから、事業への実施がちゅうちょされる地域も増えています。 こうした状況の中にあっても、本県の農業農村整備事業が円滑に進んでいるのは、地域内での話合いや事業実施の合意形成に向け、県職員の皆さんが何度も現場に出向き、土地改良事業団体連合会や市町の職員と一体となって様々な調整をされているからでもあります。 これは要望になりますが、県においては、農業農村整備事業を進める上で、専門的知見を持った技術職員の確保と育成に、引き続きしっかりと取り組んでいただくよう、お願いをしておきます。 これからの基盤整備は、水田の区画を地形や水系に合わせて広げるだけでなく、次代を担う若者たちが、少人数でも大規模経営が可能となるよう、スマート技術や機械を導入した際の効率性や実用性を考慮することが大切になってきます。 しかしながら、スマート農機等の性能が日々進化する一方で、基盤整備事業は地域の話合いから完了まで十年近い年数を要するなど、タイムラグが生じるという大きな課題があります。 また、今後、機械の大型化がさらに進んでいくことを考えれば、農地に直結する作業道や格納庫を設置する敷地を余裕を持って確保するなど、農地の有効活用だけでなく、効率性の観点を持つことも重要になります。 私は、食料安全保障の重要性が改めて認識されている今だからこそ、少人数でも効率的な経営が可能となる基盤の整備を進め、山口県の農業を力強いものにしていかなければならないと考えます。 そこでお尋ねいたします。力強い本県農業の実現に向け、スマート農業など効率的な経営が可能となる農業農村整備事業に今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、魅力ある中山間地域づくりについてお尋ねいたします。 中山間地域では、数多くの地域資源を有している上、多様な働き方を求める若者たちの受皿となるなど、これからの時代において、大きな可能性を秘めた地域でもあります。 それを証明するように、地方への定住・定着を図ることを目的に、平成二十一年度からスタートした国の支援制度である、地域おこし協力隊の隊員数は年々増加しており、昨年度では全国で六千十五人となっています。 本県においても、今年度、私の地元である山口市の十三名をはじめ、県下各地で七十名の隊員が活躍されていますが、私は、地域にとって本当に大切なことは、隊を卒業された後に彼らが地域に定着してくれるかどうかであると考えています。 この定着率の数値はホームページでも公表されていますが、全国が約六五%であるのに対し、本県では七七・四%と、全国よりも非常に高い数値となっています。 これは、隊員の皆さんをサポートする県や市町の職員の尽力によることはもちろんですが、本県の中山間地域の魅力や、移住者に対する地域住民の皆さんの温かい対応なども大きな理由になっていると思います。 しかしながら、こうした地域外からの若者たちの定住が進む一方で、中山間地域では、人口減少や高齢化に伴い、公共交通機関の衰退や医療・福祉サービスの不足、さらには集落機能の低下などの課題が顕在化しており、特に高齢者にとっては、生活の利便性が悪化している状況にあります。 こうした中、県では、やまぐち元気生活圏づくりの取組により、集落の枠を超えた広い範囲でサービスの拠点化と集落同士ネットワーク化を進め、周辺都市とも連携して、産業の振興や人口定住を進められるとともに、地域課題の整理や推進方針の作成、方針に位置づけた施設の導入など、地域の団体が活用可能なソフト・ハード両面での各種事業も整備されています。 こうした支援等もあり、山口市阿東地福のNPO法人ほほえみの郷トイトイのように、高齢者の買物支援、見守りや子供たち交流体験の場の創出、空き家のリノベーションによる地域資源化など、地域住民が主体となったすばらしい取組を展開される団体も出てきています。 一方、こうした地域活動が定着していくまでには、単年ではなく、複数年の時間を要することが通常です。 このため、中山間地域の活性化に取り組んでいる方々からは、取組の初期段階だけでなく、長期間の継続した支援を求める声も届いています。 岡山市では、中山間地域課題解決に向け、事業実施年度を五年程度に設定し、複数年の取組を対象にできる事業を創設しています。 私も、この岡山市の考え方に共感しており、中山間地域の支援に当たって、県は初期の支援のみで、その後は市町や地域に任せるというのではなく、一定の成果が上げられるまで地域や人に寄り添いながら、複数年かけて支援を行っていくという姿勢が大切だと感じています。 そこでお尋ねいたします。魅力ある中山間地域づくりに向けては、長期的な視点で地域の課題解決をサポートしていくことが重要と考えますが、県として、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、子供たちの豊かな学びを支える質の高い教育環境づくりについてお尋ねいたします。 新型コロナウイルス感染症は、今から三年前、令和元年十二月初旬に中国の武漢市で第一例目の感染症が報告されてから、僅か数か月ほどの間に、パンデミックと言われる世界的な流行となりました。 我が国においても、令和二年一月に最初の患者が確認された後、急速に感染が拡大し、三月には新型コロナウイルス対策特別措置法が成立、四月には全国で緊急事態宣言が出されるなど、社会全体で行動制限がかかり、学校も長期間にわたって臨時休業し、多くの学校行事が中止となりました。 その後の感染防止対策の徹底など関係者の努力もあり、最近は、各学校現場でも以前の日常が戻り、授業や多くの行事も実施されていることに、私も大変心強く感じています。 ただ、各学校の状況を親御さんにお尋ねすると、以前どおりとはいかないようで、ここ数年間実施できなかった行事を再開しても、例えば、運動会は半日のみの実施、修学旅行の日数を短縮する、合唱コンクール等は実施しないという学校もあるようです。 こうした中、先月二十五日に変更された、新型コロナウイルス感染症対策基本的対処方針では、学校・保育所等での感染対策については、子供の教育機会を可能な限り確保するとともに、子供や教育現場医療現場の負担に配慮して効果的・効率的な対策に取り組むとされ、二十九日には、文部科学省が、適切な感染防止対策を施せば、小中学校などでの給食時の児童生徒同士の会話が可能との通知を発出するなど、コロナ前の教育環境の確保に向けて状況が整いつつあります。 こうした動きを踏まえ、コロナと季節性インフルエンザの同時流行などを念頭に置く必要はありますが、子供たちの生活や学びをコロナ前の状態に戻し、より充実させていく必要があると考えます。 過去の結果としての現在を振り返ることはもちろん大事ですが、未来の原因としての現在にどう種をまき、取り組んでいくかはもっと大切です。今の子供たちが、コロナ禍のこの三年間で得られなかった知識や経験等があれば、今からでも、また、来年度、進級や進学した後でも得られるように、私ども大人が、そして、教育現場が積極的に工夫すべきと考えます。 そこでお尋ねいたします。コロナの影響を受けたこの期間が、子供たちにとって失われた三年間とならないよう、コロナ前にも増して、学習環境の充実や体験機会の確保など、子供たちの豊かな学びを支える質の高い教育環境づくりに努める必要があると考えますが、県教委としてどのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、地域の脱炭素ドミノ実現に向けた取組の推進についてお尋ねいたします。 先月一日、商店街、住民、企業、市の共創による市街地脱炭素化の実現を目指す山口市ゼロカーボン中心市街地の提案が、国の第二回脱炭素先行地域に選定されました。 第一回と合わせて、全国二十九道府県六十六市町村の四十六提案が選定される中、本県では初の選定となります。 市では、このたび、脱炭素先行地域の制度を生かして、民間と共同で地域新電力会社を設立し、中心商店街周辺エリアを中心に、アーケードへの太陽光発電の導入などにより調達した電気を公共施設や民間、店舗に供給することとしています。 あわせて、商店街で利用可能なエコポイントの導入により地域経済の好循環を生み出すとともに、EVシェアリングなどにより、町なか居住とウォーカブルなまちづくりを促進するなど、脱炭素化のみを目標に進めるのではなく、地域課題の解決と住民の暮らしの質の向上を実現しながら取り組むこととされています。 こうしたまちづくりと地域脱炭素を一体的に目指す山口市の取組は、他の地域のモデルケースとなり得るものであり、他の市町へ横展開を進めていくことが可能だと大いに期待しています。 今後、地域で次々と脱炭素を実現する脱炭素ドミノを本県においても生み出していくためには、まずは、山口市の事例のように、それぞれの地域が先行して進める脱炭素化の取組を応援し、しっかりと連携していくことが重要だと考えています。 また、脱炭素化の取組を円滑に進めるためには、関係者の理解が重要なポイントであり、まずは、ゼロカーボンシティ宣言をした自治体自らが具体的な脱炭素化の取組を実践することが重要だと考えます。 山口市では、国に提案するに当たり、昨年十二月に、山口市ゼロカーボンシティ宣言をし、推進体制の整備を行うとともに、EVを活用した脱炭素化等に関する連携協定を締結し、建設中の新本庁舎などに省エネ・再エネ整備導入を計画しています。 県では、再生可能エネルギーの地産地消、県内企業の環境意識の向上等を目的に、やまぐち維新でんきを創設されましたが、県有施設での再エネ電気の利用拡大はもちろん、さきの定例会の答弁の中で示された再エネ由来の水素ステーションについて、例えば県庁敷地内での運用を検討するなど、目に見える形で県民の皆さんに示していただきたいと考えています。 そこでお尋ねいたします。先週表明された二○五○年カーボンニュートラル宣言に、今後、具体的に取り組んでいくに当たり、本県においても、地域経済の活性化と地域課題の解決を図りつつ、脱炭素ドミノを生み出していくことが求められると考えますが、県の御所見をお伺いいたします。 最後に一言申し上げます。 私は、幼少の頃から流れる汗もいとわず、地域の発展に身をささげた祖父と父の背中を見て育ち、また、郷土の発展に情熱を注いだふるさと政治家吹田愰先生に師事し、先生の政策を実現する手腕や実行力を目の当たりにしてきました。そして私も、ふるさと山口市をよりよくするとの志を立て、政治家としての道を歩み始めました。 祖父と父と私と三代にわたる活動の間、ふるさと山口市は周辺町村との幾度もの合併を経て、現在は面積一千平方キロを超える県内随一の都市として発展を遂げ、山地から平野部、海にわたる多様な地形の中で、十九万人を超える市民が暮らしています。 その基盤となる山口市内の道路の延長は二千キロメートルを超え、縦横に張り巡らされた道路が市民の暮らしをはじめ経済や産業、交流など様々な活動を支え、地域の成長と発展に大きく貢献しています。 私は、これまで様々な機会を捉え、県央の中核としてふさわしい道路となるよう、高速道路や幹線道路、生活道路等に至る全ての道路が一体的に機能し、ネットワークとして最大限の効果を発揮するよう、道路整備の必要性をきめ細かく訴えてまいりました。 現在では、県内初となる湯田温泉スマートインターチェンジの開通や新山口駅長谷線の完成、泉町平川線の工事の全面展開など都市計画道路の事業促進、また、子供たちの安心・安全を守るための通学路の対策の強化など、道路整備は着実に前進し、目に見える成果を上げています。 一方で、市街地での渋滞や多発する事故、台風や豪雨時の災害による通行止め、荒天時の通行規制、橋やトンネル等の老朽化など、依然として多くの課題を抱えています。 私は、市民の皆さんの声や思いをお聞きしながら、こうした地域の課題をしっかりと把握するとともに、市役所の建て替えや農業試験場跡地の利活用など市内で進められている振興策との整合を図りながら、山口市が県央の中核都市としてさらに発展していくため、現在事業を進めている箇所の早期完成はもとより、国道二号台道から鋳銭司間や国道九号宮野上から阿東篠目間の早期事業化、市内の道の駅のリニューアルなどに力を尽くしてまいります。 加えて、私がかねてより実現を訴えてきた国道九号宮野上から阿東篠目間については、広域の産業・経済の発展や地域間の交流・連携の促進、安全・安心の確保を図るために不可欠な事業であることから、引き続き、私が先頭に立って必ず事業化につなげるとの決意を持って全力で取り組んでいくことを誓いまして、私の一般質問を終わらさせていただきます。 御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(柳居俊学君) 村岡知事。    〔知事 村岡嗣政君登壇〕 ◎知事(村岡嗣政君) 俵田議員の御質問のうち、私からは、農業試験場跡地の利活用についてのお尋ねにお答えします。 来年四月の防府市の農林業の知と技の拠点に移転・統合される農業試験場の跡地は、約十九ヘクタールの広大な敷地であることに加え、山口市と防府市を結ぶルート上に位置し、魅力あふれる県都づくりや県央部の広域的なまちづくりにつながる大きなポテンシャルを秘めています。 このため、農業試験場跡地の利活用を総合的かつ効果的に進めることができるよう、山口市と連携し、本年度中にその指針となる跡地利用基本構想を策定することとしたところです。 この基本構想の策定に当たっては、地域が抱える諸課題の解決や地元要望を踏まえた施設等の導入に加え、人口減少や少子高齢化が進展する中で、山口の新しい「未来のまち」モデルを構築することを念頭に、先進地を視察し、民間事業者の専門的な知見も活用しながら検討を進めてきました。 本構想の素案では、みんなで紡ぐ幸せのまちづくりをコンセプトに掲げ、生涯活躍のまちづくりスマートシティの実現、脱炭素化の推進の三つの政策テーマを融合させ、将来にわたり自立発展し、地域全体の価値が高まるまちの仕組みを構築・実証していきたいと考えています。 その核となる生涯活躍のまちづくりでは、高齢者、障害者、子育て世代など、多様な人々が個性を尊重し、能力を発揮することで、誰もが居場所と役割を持ってつながり、生涯を通じて活躍できる顔の分かるコミュニティを創造していきます。 あわせて、都市機能の最適化と暮らしの利便性・快適性の向上に向けたやまぐちDXの社会実装を進めるスマートシティの実現のほか、省エネルギーの取組や再生可能エネルギーの導入等による脱炭素化の推進も目指しています。 また、プロジェクトの具現化に当たっては、PFI事業等の民間活力の導入を念頭に、他地域への波及効果も見据えながら、新しい「未来のまち」の構築に向けた検討を進めてまいります。 今後、民間事業者や関係者と協議を進め、来年三月に基本構想を策定し、来年度からは本構想を踏まえ、導入する具体的な施設やゾーニング等を盛り込んだ基本計画の策定につなげていきます。 私は、引き続き、山口市と十分な連携の下、県議会でも御議論いただきながら、市全体のまちづくりの推進や、県央部の広域的な発展につながる効果的な跡地利用が図られるよう、スピード感を持って取組を進めてまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 ○議長(柳居俊学君) 高橋農林水産部長。    〔農林水産部長 高橋博史君登壇〕 ◎農林水産部長(高橋博史君) 力強い農業の実現についてのお尋ねにお答えします。 小規模経営が多い本県農業を持続的に発展させるためには、意欲ある担い手に農地を集積するとともに、多様な営農展開が可能となる生産基盤の整備が重要です。 このため、県では、担い手の安定的な確保に向け、地域農業の牽引役となる集落営農法人等の育成と農地整備の推進に一体的に取り組んできたところです。 こうした中、高齢化等の進行により将来的な担い手確保が懸念され、食料安全保障の重要性が一層増していることから、少人数でも規模拡大に向けた経営が展開できるよう、さらなる生産効率の向上を図るため、スマート農業に対応した基盤整備を積極的に進めてまいります。 具体的には、大型機械やスマート農機などの導入に向け、さらなる区画の拡大や移動・旋回がスムーズに行える農道の拡幅、スロープの整備、管理・保管する格納庫敷地の確保など、機械作業の効率性を高める区画整理を推進します。 加えて、水管理等の大幅な省力化が期待できる給排水栓の遠隔操作システムやラジコン式草刈り機等が利用可能となる幅の広い畦畔の整備など、管理労力の負担軽減を図ります。 あわせて、来年度、農業大学校に新設する土地利用学科において、大規模複合経営を担い、スマート農業技術を活用できる即戦力人材を育成します。 また、農地整備の実施に当たっては、農家を中心とした十分な話合いにより、地域農業の将来の在り方などを明確にしながら整備計画づくりを進めていくことが重要です。 このため、市町、関係団体等と連携し、デジタル地図を活用した将来像の可視化などにより合意形成の期間の短縮に努め、速やかな事業導入につなげていきます。 さらに、事業実施に際しては、国の補正予算等を積極的に活用して事業進捗を図るなど、スピード感を持って取り組みます。 県としては、持続可能な力強い農業の実現に向け、次代を担う農業者が効率的な経営が可能となる農業農村整備を積極的に推進してまいります。 ○議長(柳居俊学君) 松岡総合企画部長。    〔総合企画部長 松岡正憲君登壇〕 ◎総合企画部長(松岡正憲君) 魅力ある中山間地域づくりについてのお尋ねにお答えします。 中山間地域は、急速な人口減少や高齢化に伴い、地域や産業の担い手が不足し、集落機能の維持に支障を来す地域も生じるなど、大変厳しい状況にあります。 このため、県では、市町と連携し、集落の枠を超える広域的な範囲で集落機能や日常生活を支え合う、やまぐち元気生活圏づくりを積極的に進めており、推進方針を策定し取り組む地域は、昨年度までの四年間で二十三地域から七十地域へと大幅に増加しています。 しかしながら、人口減少には歯止めがかからず、また、長引くコロナ禍やデジタル社会の進展など、中山間地域を取り巻く環境も大きく変化しています。 こうした状況を踏まえ、県では、持続可能な中山間地域づくりを進めるため、条例に基づく基本計画である中山間地域づくりビジョンを改定することとし、このたび、素案を取りまとめたところです。 この素案では、人口減少下にあっても活力を維持・創出し続ける中山間地域の実現を基本目標に掲げ、デジタルなど新たな手法も活用しながら、中山間地域での暮らしを支え合う仕組みづくりの強化などに取り組むこととしています。 今後は、新たなビジョンの下で施策の推進を図りますが、お示しのとおり、地域活動の定着には時間を要することから、長期的な視点で取組を進める必要があります。 このため、まずは、地域を支える人材の育成を図ることとし、研修会の開催により、新たな担い手や活動の中心となるリーダー、地域を継続的にサポートする集落支援員の育成を進めるとともに、地域おこし協力隊など、意欲ある外部人材の導入を促進します。 また、元気生活圏づくりをサポートする専門家の派遣やソフト・ハード両面の事業により、地域の取組が実現できるよう継続的に支援するとともに、企業や大学生など、多様な主体との連携・協働による地域づくりを推進します。 さらに、お示しのほほえみの郷トイトイのように、経営の視点を持って、地域自らが課題の解決や生活サービスの充実に持続的に取り組む法人組織の設立を支援していきます。 県としては、今後とも、市町や関係団体等と緊密に連携し、地域に寄り添いながら魅力ある中山間地域づくりの推進に積極的に取り組んでまいります。 ○議長(柳居俊学君) 藤田環境生活部長。    〔環境生活部長 藤田昭弘君登壇〕 ◎環境生活部長(藤田昭弘君) 地域の脱炭素ドミノ実現に向けた取組の推進についてのお尋ねにお答えします。 地域の脱炭素化の取組は、新たな産業と雇用を生み、地域で経済を循環させることに加え、災害に強い地域づくり等に資することから、国は、昨年六月に策定した地域脱炭素ロードマップにおいて、モデル的な取組を全国に展開する脱炭素ドミノを起こすとしています。 こうした中、県では、先週二日、二○五○年カーボンニュートラル宣言を表明し、これを契機として、地球温暖化対策実行計画や産業脱炭素化戦略等の各種計画を具現化し、地域の脱炭素化の取組を幅広い主体との連携・協働により、全県的に広げていくこととしています。 このような脱炭素ドミノを県内で生み出していくには、地域課題の解決に主体的な役割を担う市町との連携が特に重要です。 このため、お示しのまちづくりと地域脱炭素を一体的に目指す山口市の取組をはじめ、全国の脱炭素先行地域の事例を紹介する市町向けのセミナーを国と連携して開催することなどにより、各市町の地域特性に応じた取組が進むよう支援していきます。 また、地域の脱炭素化の核となる再生可能エネルギーの導入促進については、県が率先して取り組む必要があると考えています。 このため、現在、県有施設への太陽光発電等の導入ポテンシャル調査を実施しているところであり、今年度中に策定する導入計画に基づき、再生可能エネルギー等の設備導入を進めるとともに、その効果等を広く公表し、市町や民間の施設に展開することとしています。 あわせて、県有施設への導入に当たっては、県産品の省・創・蓄エネ設備を活用するなど、地域経済の活性化につながるよう検討します。 また、お示しのやまぐち維新でんきの利用促進や、再生可能エネルギー由来の水素ステーションを活用した脱炭素モデルの構築などについては、産業脱炭素化戦略の具体的な施策に位置づけており、アクションプランに沿って計画的に進めてまいります。 県としては、今後とも、市町をはじめ、国や事業者等と緊密に連携しながら、地域における経済の活性化と課題の解決に資する地域脱炭素化に積極的に取り組んでまいります。 ○議長(柳居俊学君) 繁吉教育長。    〔教育長 繁吉健志君登壇〕 ◎教育長(繁吉健志君) 子供たちの豊かな学びを支える質の高い教育環境づくりについてのお尋ねにお答えします。 運動会や文化祭、修学旅行等の学校行事は、体験的な活動を通して主体的に集団や社会に参加し、人間関係をよりよく形成しようとする意欲や態度を育むなど、子供たちにとって有意義なものであり、こうした教育活動の機会を確保していくことは重要です。 しかしながら、新型コロナの感染が確認されて以来、多くの学校行事が中止や規模縮小での開催を余儀なくされるなど、子供たちにとってすてきな思い出ともなる学校内外での活動をふだんどおり実施することが難しい状況が続いてきました。 こうした中、感染確認からおよそ三年が経過し、教育活動が徐々に再開されるなど日常が戻りつつありますが、この間、子供たちが得ることができなかった知識や経験等をこれからでも得ることができるよう、お示しのように体験機会の確保をさらに進めるとともに、コロナ禍を契機とした学習環境の一層の充実を図ることが必要であると考えています。 このため、体験機会の確保については、学校が感染症対策を確実に講じた上で、保護者等の理解、協力を得ながら開催方法を工夫して行事等を実施できるよう、市町教委とも連携しながら支援してまいります。 また、本県の豊かな自然環境等をフィールドとして、企業や大学等と連携した体験活動の実施にも取り組んでいきたいと考えています。 学習環境の充実に向けては、子供たち一人一人に合った学びの実現や、海外・地域・他校との交流による新たな学びの機会の創出などを図るため、一人一台タブレット端末等のICT環境を効果的に活用して子供たちの可能性を広げる、やまぐちスマートスクール構想を一層推進していきます。 さらに、長引くコロナ禍の影響により停滞した地域連携教育の取組を加速させるため、コミュニティ・スクールを核として、希薄化した学校と地域とのつながりを取り戻し、子供も大人も学び合うことのできる環境づくりを進めてまいります。 県教委といたしましては、市町教委や関係機関等と緊密に連携・協力しながら、次代を担う子供たちの豊かな学びや育ちの実現に向けた教育環境の充実に全力で取り組んでまいります。 ○議長(柳居俊学君) 岡生子君。    〔岡生子君登壇〕(拍手) ◆(岡生子君) 皆さん、おはようございます。自由民主党の岡生子と申します。 まず初めに、村岡知事をはじめ県の職員の皆様におかれましては、いまだ収束が見通せないコロナ感染拡大防止と社会経済の両立を図るために、全力で県民の命と健康を守り抜く万全の対策を引き続き行っていただいていることに敬意を表しますとともに、経済再生では物価高騰による影響等にも的確に把握され、国の施策とも呼応しながら切れ目のない対策を実施していただいていることに感謝申し上げます。 それでは、私の一般質問をさせていただきます。 まず初めに、医療的ケアを必要とする子供の教育についてお尋ねいたします。 我が会派の平岡議員からも一般質問で御指摘のあったところですが、医療的ケア児を介護している御家族は、たんの吸引などのケアを昼夜問わず行わなければなりません。 その負担軽減に必要な子供たちの一時預かり施設や、福祉サービス事業所等が地域によっては不足しており、居住する地域にかかわらず、適切な支援が受けられるよう、環境整備やサポートする人材の育成など、県においてはしっかりと取組を進めていただきますよう、私からもお願いいたします。 その上で、私からは、医療的ケアを必要とする子供の教育について御質問させていただきます。 先日、ある保護者の方からお話を伺う機会がありました。現在、在籍している特別支援学校では、原則として医療的ケア児は通学バスで通学することができないため、保護者の方が毎日送迎されており、送迎できないときには学校を休まなければならないことや、ケースによっては仕事も辞めざるを得ない状況があること、また学校には看護師が配置されているものの非常勤であるため、日によって違う看護師と子供の状況等について情報共有を行う必要があることなど、医療的ケア児やその保護者への負担が大きいとの現状を伺いました。 また、別の保護者の方は、我が子は人工呼吸器の管理等の高度な医療的ケアを必要とするため、学校には週に一、二回の登校しかできない状況があり、他の子供たちと一緒に学ぶことができる環境の整備をしてほしいとのことでした。 昨年九月には、医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律が施行され、学校設置者は、保護者の付添いがなくても子供たちが適切なケアを受けられるよう、看護師等の配置など必要な措置を講ずることが求められています。 また、本県では、障害のある人もない人も共に暮らしやすい山口県づくり条例が十月に制定され、県民が障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個人を尊重し、支え合いながら共に暮らすことができる社会の実現を目指しています。 県教委においては、これまでも特別支援学校への看護師の配置など、医療的ケア児ができるだけ安心して身近な学校で学べるよう取組を進められてこられたところですが、私は、法の施行や条例の制定等も踏まえて、今後、より一層子供たちや保護者に寄り添いながら高度な医療的ケアを必要とする子供を含め、ケアを必要とする全ての子供やその保護者が不安を感じることなく、教育を受けられるための体制を整備していく必要があると考えています。 そこでお尋ねいたします。医療的ケア児が他の子供たちと同様に、それぞれの特性に応じ、学校で安心して教育を受けることができる体制の整備を進めていく必要があると考えますが、県教委として、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお尋ねいたします。 次に、中核病院についてお尋ねいたします。 現在、県内の他の医療圏と比較して中核的な病院を欠く萩市・阿武町地域においては、この地域の救急医療体制等などには市民の間にも大きな不安があります。 これを克服するためにも、藤道前市長の下で県とも連携しながら、中核的な病院の形成に取り組まれ、その結果、民間の都志見病院と公立の市民病院を統合し、新たな病院をつくることが決まりました。 しかしながら、現在の田中市長が当選直後に、この病院統合問題は一旦棚上げされ、もろもろの経緯の下に再度の取組がされることが決まりました。 この再度の取組自体は私も一定の評価をいたしますが、しかし、その後の経緯を見ると、統合は遅々として進んでいないように思われ、市民の間にも不安を訴える方も多いようです。 医療は生活の基盤のベースであり、私は、萩市・阿武町地域における医療体制の整備として、両病院の統合をベースとした中核的な病院の整備は進めるべきと考えています。 ただし、この統合は、まずは当事者となる萩市が積極的に取り組まなければ進まないと思います。 そこで、三点お尋ねいたします。 まず、昨年十一月に田中市長が村岡知事や柳居議長を訪ね、協力要請をされて以降、どのようになっているのか、現時点での状況をお尋ねいたします。 次に、萩市では、市議会に特別委員会の設置等をされていますが、萩市から県に対して両病院の統合に向けた何らかの動きがあったのか、今後、県から何らかの助言等をされる必要があるのか、お尋ねいたします。 その上で、両病院の統合による中核的な病院を形成する上での課題について、県としてはどのように認識されているのか、お尋ねいたします。 次に、農業振興について、二点お尋ねいたします。 まず、担い手の確保・育成対策についてです。 本県は、広大な森林と優良農地、有数規模の各地産地を形成しています。加えて、私の地元でもある萩・阿武地域では、県下でも有数規模の米の産地を形成しており、たくさんの農産物を生産しています。 しかしながら、農山村地域からの若者流出には歯止めがかからず、農業従事者の大半は高齢者である現状から、今後、高齢者の離職に伴う急速な生産力の低下や耕作放棄地の増加が懸念されています。 一方、二○二一年度新規就農者調査、農林水産省によりますと、四十九歳以下の新規雇用就農者は全国で八千五百四十人と過去最大になりました。新型コロナをきっかけに地方移住を志向する人も増え、農業への関心はますます高まっているようです。 本県では、担い手の減少・高齢化が進む中、中核経営体を中心とした強い農業の育成や、担い手支援日本一の取組による新規就業者の確保・育成に積極的に取り組まれています。 その一役を担う農業大学における学生の進路状況を見ますと、過去三年間で八十九名の卒業生に対し、五十四名の方が県内就業されています。 また、来年度からは農林業の知と技の拠点のスタートに合わせて、土地利用学科を新設されるなど、即戦力人材の育成に向け、学習内容の充実強化を図ることとされています。 これから輩出される先端的な技術や知識を身につけた金の卵と言える若い力が数多く県内で就業し、将来の山口県の農業・農村を牽引する人材となっていくことを私も大いに期待しているところですが、そのためにも学生の確保や地元の法人への就業支援といった入り口・出口対策にもしっかりと取り組んでいただきたいと思います。 そこでお尋ねいたします。今後、ますます厳しくなってくることが予測される農業経営基盤の強化のためには、それを支える担い手の確保や人材育成の取組の一層の充実が必要ではないかと考えますが、県は、今後、どのように取り組まれるのか、御所見をお尋ねいたします。 次に、県産農産物の安定供給に向けた種苗条例の制定についてお尋ねいたします。 さきの九月定例会の一般質問において、我が会派の笠本議員から、優良な種苗の安定的な確保に向けてどのように取り組むのかの質問に対し、知事から、条例の制定を検討するとの答弁がありました。 全国では、既に三十一の道県において、種苗の安定確保に向けた条例が制定されています。また、生産者団体からも、条例の制定に対する要望の声をお聞きしているところであり、種苗条例に対する農家の期待が高いことを感じております。 本県で取り組まれようとされている条例は、米、麦、大豆の主要作物の種子だけでなく、はなっこりーやせとみ、ユリやリンドウなどの県オリジナルの品種も含め、種苗の安定確保や知的財産権の保護等に資する本県独自の条例制定を検討されていると伺っています。 県内で安定的に食料を生産できる体制の確保や、競争力ある品質の確保がますます求められる中、県内の農家の方々が安心して生産活動に専念できる条例となるよう、現場の声もしっかりと反映していただきたいと思っています。 そこでお尋ねいたします。これまで開催された検討会においてどのような意見等が出され、それを踏まえて具体的にどのような条例を制定されようとしているのか、またこの条例の制定を契機として、本県の農業振興にどのように取り組んでいかれるのか、お尋ねいたします。 次に、企業誘致や移住につながるワーケーションの推進についてお尋ねいたします。 人口減少、少子高齢化が進む中でも、地域に活力を与え続けるには、県外から本県へと新たな人の流れをつくり出すことが重要となります。 ワーケーションの推進は、まさにこうした人口減少に歯止めをかける、また、地域に多くの人々を呼び込むための効果的な手段の一つと考えられます。 本県でも、コロナ禍によってテレワークなどの柔軟な働き方が普及したことを契機として、昨年八月に全国で初めて空港内にワーケーションの総合案内施設が整備されました。都市部のワーケーターの受入れに向けて、全国に先駆けた独自性のある取組が進められており、今後の取組にも期待しているところです。 一方で、現在、ワーケーションの推進に取り組む自治体数は五百を超えると言われており、地域間の誘致競争が激化しています。今後はさらに、本県の特色やメリットをしっかり打ち出して、他県との差別化を図っていくことが重要となります。 本年三月の国土交通省の調査において、企業のワーケーションに対する認知率が昨年から約二○%高まり、地域の方々との交流によって課題の解決を図っていく、地域課題解決型のワーケーションを導入した企業は約一八%増加したことの結果が出ています。 ワーケーションを単なる仕事とバカンスの両立にとどめることなく、地域の住民、企業との交流を通じて、イノベーションの創出や地域課題の解決などを図る新たな価値の創造ツールとして、都市部の企業や働き手に提供していくことが有効だと考えられます。 さらには、そうして生まれた新たな関わりを関係人口や地方移住といった、地域との持続的なつながりに発展させていくことが必要となるのです。 また、私の地元でも、ワーケーションという言葉はあまり浸透していなかった二○一八年頃から、当時の藤道市長の下、これまで六社の進出があったIT関係のサテライトオフィス誘致とも関連させた取組が進められてきました。 最近ではテレワーク移住者も見かけるようになり、地方での生活を満喫しながら、テレワークによって都会に勤務する光景も少しずつ増え始めています。 県におかれましては、豊かな自然や環境、歴史、文化など、本県のポテンシャルを余すことなく発揮しながら、企業のニーズに即した積極的なワーケーションの推進に取り組んでいただくと同時に、県内各地域の特色ある取組をしっかりと支援することで、地域の活性化や観光需要の拡大、さらには関係人口や移住人口の創出につなげていただきたいのです。 そこでお尋ねいたします。県は、こうした企業誘致や移住につながるワーケーションの推進に、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお尋ねいたします。 次に、文化財の保全・活用についてお尋ねいたします。 文化財は、その時々の時代の中で、人々の生活や風土との関わりにおいて生み出された地域の中で守り伝えられてきた貴重な財産です。この先人たちから引き継がれてきた日本の文化財は、世界でも高い評価を受けており、その魅力により、世界経済フォーラムの観光魅力度ランキングで日本が初めて世界一位になりました。 本県においても、古くは縄文・弥生時代の遺跡から江戸・幕末維新に至るまで、多くの寺社仏閣や建造物、美術品、資料などがあります。住吉神社本殿や瑠璃光寺五重塔といった有形文化財だけでも三百六十三件もあり、その数は毎年少しずつ増えています。 私の地元でも、東光寺や大照院など国指定の重要有形文化財をはじめ、世界文化遺産に登録された資産群、市内の四地区にある重要伝統的建造物群など、歴史的価値のある文化財に接することができ、それが地域の魅力を高めています。 しかし、こうした歴史的価値のある文化財ですが、少子高齢化や過疎化などにより、それを守り伝えてきた地域コミュニティーの機能低下や継承者不足など、年々その保全が難しくなってきています。 この先人たちが守り抜いてきた貴重な文化財を持続的に保全していくためには、文化財の重要性を県民に理解していただくため、取組ももちろん必要ですが、私は、地域で文化財を観光に活用し、活用によって生み出される経済的価値を保全へ還元させる、好循環を創出していくことが重要であると考えます。 全国に目を向ければ、歴史的建造物をリノベーションし、その地域の町並みに溶け込んだレストランやカフェ、ホテルなどとして利用したり、美術工芸などでは、VRやARなどのデジタル技術を活用して、その魅力を細部まで楽しむことを可能にする取組などにより、誘客拡大へとつなげている地域があります。 私は、こうした取組を本県に広くつなげていくためには、文化財を観光素材として磨き上げていく取組を県が支援していくことも必要であると考えます。 県では、今年度から文化財保全に関する事務の所管が、教育委員会から観光スポーツ文化部に移管されました。私は、観光スポーツ文化部という組織の特徴を生かし、文化財の保全と活用に一体的に取り組んでいただきたいと思うのです。 また、所管は外れましたが、教育委員会と連携し、教育の中で地域の文化財を活用した学習の促進などにより、次世代の関心を高めていくことが大切であることは忘れてはなりません。 そこでお尋ねいたします。県は、今後、文化財の保全と活用にどのように取り組んでいかれるのか、御所見をお尋ねいたします。 最後に、離島振興対策についてお尋ねいたします。 本県には、離島振興法の対象となる離島が二十一島あります。いずれも豊かな自然や独自の文化に恵まれており、魚介類や農産物の供給基地として重要な役割を担っています。 私の地元萩にも、見島、大島、櫃島、相島の四島が所在しており、島内では非日常的な美しい景観が数多く見られ、荒波によって彫刻された神秘的な海岸と海の透き通るコバルトブルーとの調和は、まさに自然が織りなす絶景です。 島によって状況は異なりますが、古くから伝わる文化財や伝統文化を今なお大切に継承されており、漁業をはじめ特徴ある農産物の生産にも熱心に取り組まれています。 離島における長年の課題は、やはり人口減少、高齢化による過疎化や後継者不足ですが、最近は島にお住まいの方々から、原油や物価の高騰に伴う生活費の上昇によって厳しい暮らしを強いられているとの切実な声もよくお聞きしています。 また、島の交通拠点である港と各所をつなぐ道路の整備についても、本土と比べて進捗に時間を要するとの御意見も頂戴しており、地域の実情に沿った産業基盤や生活環境の整備などの必要性を改めて痛感しているところです。 先月初め、喜ばしい報道を目にしました。俳優の山田孝之さんが、萩市の離島で自給自足を実践する活動をされているとの記事です。草木が茂った地を開拓し、自然農法で作物を栽培して既に初収穫も終えられたとのことですが、その行動力に驚きを感じていると同時に、本県の離島が持つ魅力や潜在力と可能性に改めて気づかされました。今後は、こうした若さと活力あふれる方々が、離島での新しい取組にチャレンジできる環境整備も必要だと思います。 今般、臨時国会において、離島振興法を改正する法案が成立し、十年間の延長が決まりました。この法律は、全国二百五十四の有人離島を離島振興対策実施地域に指定し、公共事業のかさ上げや交付金などの支援を行うものです。十年ぶりとなるこのたびの改正では、ドローンの活用、遠隔医療、遠隔教育などの取組を促進することで、本土からの隔絶性の解消を図ることなどが新たに盛り込まれています。 我が国の離島は、領海や排他的経済水域を保全する役割も担っていることから、離島が数多く所在する本県における離島振興は、国家的、国民的にも期待される取組です。 県におかれましては、今後も地域コミュニティーの維持に向けて、長い年月によって培われてきた産業や文化、伝統を守りながら生活しておられる方々や、離島での新たな一歩を踏み出そうとする方々が、希望と安心を持って生活できるよう、新たな国の政策とも十分呼応させながら、地域の実情に即した離島振興対策に取り組んでいただきたいと思うのです。 そこでお尋ねいたします。これまでの取組や成果、課題等を踏まえて、県は、今後、離島振興にどのように取り組まれるのか、御所見をお尋ねいたします。 以上、私の質問を終わらせていただきます。 御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(柳居俊学君) 村岡知事。    〔知事 村岡嗣政君登壇〕 ◎知事(村岡嗣政君) 岡議員の御質問のうち、私からは離島振興対策についてのお尋ねにお答えします。 本県は、三方が海に開け、日本海、瀬戸内海、響灘といった自然条件の異なる海洋に多様な風土を併せ持つ、個性豊かな二十一の有人離島を有しています。 これらの離島は、農水産物の安定供給や豊かな自然、固有の伝統文化が息づく、かけがえのない場所であるとともに、我が国の領海や排他的経済水域を保全する重要な役割を担っています。 その一方で、離島では、人口減少が長期にわたって継続し、高齢化が急速に進行するなど、他の地域と比較して厳しい条件下にあり、その振興を図ることは極めて重要です。 このため、県では、離島振興法に基づく県計画を策定し、住んでみたい、住み続けたい、活力に満ちた島づくりを離島振興の基本的な方向として掲げ、安心・安全で住みよい生活環境の整備など、三つの視点から施策を推進してきました。 その結果、定期船の更新・バリアフリー化による離島航路利用者の利便性向上や、患者搬送艇の整備などによる医療環境の充実など、住みよい生活環境の整備が図られてきたところです。 また、サツマイモやスダイダイなど、離島の地域資源を活用した特産品開発による産業振興、移住希望者の島暮らし体験や空き家活用など、定住者の確保に向けた新たな取組も進んでいます。 しかしながら、離島の人口減少、高齢化の進行には歯止めがかからず、地域や産業の担い手不足が顕在化するとともに、コロナ禍により島外との交流が停滞し、島内の経済活動が落ち込むなど、離島を取り巻く環境は厳しさを増しています。 このため、私は、今般、都道府県の責務が新設された改正離島振興法の趣旨等を踏まえ、新たな離島振興計画を策定し、国の政策とも呼応しながら、地域の実情に的確に対応した離島振興対策を進めていきたいと考えています。 具体的には、島民の皆様の安心・安全な暮らしを支えるため、引き続き、住環境や医療・介護サービスなど、ハード・ソフト両面における生活環境の充実を図るとともに、農水産物の高付加価値化など、地域特性に応じた持続可能な産業の育成に努めてまいります。 また、地域や産業の担い手不足に対応していくため、移住・定住対策のさらなる推進に加え、離島活性化の新たな力となる関係人口の創出・拡大に向けた取組を強化し、将来の定住人口につなげていきたいと考えています。 さらに、離島の距離的な制約の解消を図るため、物流におけるドローンの活用や暮らしを支える遠隔医療、遠隔教育など、デジタル技術の導入を促進してまいります。 私は、今後とも、関係市町と緊密に連携し、離島に暮らす皆様が将来にわたって安心して住み続けることができるよう、離島振興に全力で取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。
    ○議長(柳居俊学君) 弘田健康福祉部長。    〔健康福祉部長 弘田隆彦君登壇〕 ◎健康福祉部長(弘田隆彦君) 中核病院についての三点のお尋ねにお答えします。 県民が、住み慣れた地域で安心して暮らし続けていくためには、効率的で質の高い医療提供体制を確保することが重要であり、県では、地域医療構想を策定し、医療機関や受療者の代表者等で構成する地域医療構想調整会議における議論を通じて、その実現に向けて取組を進めているところです。 まず、昨年十一月に、萩市長が知事や議長に協力要請された以降の状況についてです。 お示しのとおり、萩市においては、市長交代に伴い、萩市民病院と都志見病院の統合による中核病院の形成についてゼロベースで見直すとされましたが、独自に設置した協議会での議論を踏まえ、改めて、既に調整会議で合意された方向性に沿って病院統合を進めていくとされ、知事及び議長へ中核病院形成に向けた協力要請がされたところです。 これを受けて、県では、本年二月、調整会議を開催し、萩市から方針変更と今後のスケジュールについて説明を受け、中核病院の形成に向けた取組を進めることとしたところです。 萩市からは、外部有識者等を交えた中核病院準備委員会を設置するとともに、病院統合に必要となる都志見病院との基本合意を進めるとの説明がありましたが、現時点、準備委員会は設置されておらず、基本合意も締結に至っていない状況です。 次に、病院統合に係る萩市から県への動き等についてですが、本年二月に、萩市が調整会議で説明した基本合意に向けた取組に関しては、現在までの十か月間、市から相談等は受けていません。 次に、病院統合による中核病院を形成する上での課題についてです。 病院統合に向けては、事業主体となる萩市が中心となって地域の関係者等の理解を得ながら取り組むことが必要と考えますが、そのための具体的な動きはなく、現時点、萩市が令和六年四月の開設を目指している中核病院形成については懸念せざるを得ないところです。 病院統合は、当事者間の主体的な取組が基本であることから、県としては、基本合意がなされた際には、調整会議で議論を進め、地域の医療提供体制の確保に向け取り組んでまいります。 ○議長(柳居俊学君) 高橋農林水産部長。    〔農林水産部長 高橋博史君登壇〕 ◎農林水産部長(高橋博史君) 農業振興についての二点のお尋ねにお答えします。 まず、担い手の確保・育成対策についてです。 担い手の減少や高齢化が進む中、本県農業を持続的に発展させるためには、新規就業者の安定的な確保が重要であることから、県では、これまで、日本一の担い手支援策を重点的に展開し、毎年百名を超える新規就業者が地域に定着しているところです。 一方、担い手の高齢化等が一層深刻化していることから、お示しのとおり、将来の本県農業・農村を牽引する先端的な技術や知識を身につけた若い人材を確保・育成していく必要があります。 特に、農業大学校においては、卒業生の約六割が県内農業を支える人材として就業し、活躍されていることから、学生を確保する入り口対策と、地元への就業を促進する出口対策を一体的に進めていくこととしています。 まず、入り口対策については、入学者の約六割を占める農業高校を中心に、県内外の高校へのリクルート活動や、高校生が農大を見学・体験できるオープンキャンパスなどの情報発信の取組を強化します。 次に、出口対策については、来年度、農大に新設する土地利用学科において、大規模複合経営を担い、スマート農機の活用ができる人材を育成し、集落営農法人等が求める即戦力人材を輩出していきます。 また、学生と法人等とのマッチングの機会が拡充されるよう、集落営農法人による学生との意見交換会や、法人等での仕事を体験するインターンシップの開催などを促進します。 さらに、農大の学生に加え、県内外から幅広い人材を確保できるよう、大都市圏での移住就農相談会の開催をはじめ、本格的な就農を目指した専門研修の実施や数か月の就農体験など、移住や就農を希望される方のニーズに沿ったきめ細かな対応を行います。 県としては、今後も、市町や関係団体と連携し、農業大学校の卒業生はもとより、本県農業の経営基盤を支え、農業・農村を牽引する若い担い手の確保・育成に積極的に取り組んでまいります。 次に、県産農産物の安定供給に向けた種苗条例の制定についてです。 県では、持続可能な農業振興や県民への農産物の安定供給に向け、優良な種苗の安定確保等を図るための条例の制定に着手し、お示しのとおり、現在検討を進めているところです。 また、条例の制定に当たっては、現場の声を反映させることが重要であることから、生産者団体をはじめ、流通、消費に関わる有識者八名を委員とする条例制定検討会を設置し、これまで二回の検討会を開催し、議論を深めてきました。 これまでの検討会において、委員の方々からは、種苗の安定供給は重要であることや県オリジナル品種は県民共有の財産で知的財産権の保護が必要であること、また、本県に適した品種開発への期待や県民の理解を促進すべきなど、多数の御意見を頂いているところです。 こうした御意見を踏まえ、条例の素案では、県民の誇りや共有財産、山口県らしさなどをキーワードとし、種苗の安定供給、知的財産権の保護、県民の理解促進の三つを主な柱としています。 まず、種苗の安定供給については、旧種子法で規定されていた米、麦、大豆に加え、野菜や果樹、花卉などの県オリジナル品種も対象とし、県の責務や種苗生産者等の役割などを明確にします。 次に、知的財産権の保護については、本県の気候や土壌に適し、新たな需要の創出につなげるために開発した品種や、独自性を有する生産技術に係る知的財産権の適切な管理や保護、活用について定めます。 さらに、県民の理解促進については、品種の開発や種苗の安定供給、知的財産権の保護などの重要性について、広報活動等を通じて県民の関心や理解を深める措置を講ずることとしています。 県としては、この条例の制定を契機に、県民の理解促進を図りながら、優良な種苗の安定供給や知的財産権の保護などの取組を強化するとともに、気候変動等に対応できる新たな品種の開発・普及など、本県農業の持続的な発展に向け、しっかりと取り組んでまいります。 ○議長(柳居俊学君) 松岡総合企画部長。    〔総合企画部長 松岡正憲君登壇〕 ◎総合企画部長(松岡正憲君) 企業誘致や移住につながるワーケーションの推進についてのお尋ねにお答えします。 コロナ禍を契機に、テレワークによる働き方の新しいスタイルが普及し、若い世代を中心に地方移住への関心が高まっていることを受け、本県では、新たな人の流れを創出するためのワーケーションを推進しています。 具体的には、山口宇部空港内に総合案内施設「YY!GATEWAY」を設置するとともに、三十八のモデルコースや八十を超える県内関連施設の情報を提供する総合案内サイトを開設しています。 また、観光やレジャーだけでなく、県内企業や地域との交流を通じて、企業の生産性向上やイノベーションの創出につなげる山口型ワーケーションを推進しており、県外企業等を対象とした体験ツアーを実施しているところです。 こうした中、ワーケーションを推進する自治体間の誘致競争が激化しており、他県とのさらなる差別化を図るためには、本県ならではの特色あるプログラムの提供や、山口型ワーケーションの認知度を一層高めていくことが必要です。 このため、今後は、地域での受入れ事業者の拡大等を目的に開催した、山口県ワーケーション塾の参加者や、新たな事業展開を図る事業者等と連携し、地域の魅力や特色を生かしたプログラム開発を促進していきます。 また、首都圏等における認知度を高めていくため、誘客のノウハウを有する民間事業者と連携し、ワーケーション推奨企業等への働きかけやSNSなどを活用したプロモーション活動を強化していきます。 こうした取組に加え、さらなる地域活性化につなげていくためには、ワーケーションで来県したテレワーカーや企業等を、移住や企業誘致へと誘導していくことが必要です。 このため、県内のテレワーク移住者やサテライトオフィスを開設した企業を紹介するウェブセミナーを開催し、山口ならではの豊かな暮らしの魅力や優れた立地環境などを発信していきます。 また、移住の裾野の拡大を図るため、首都圏に設置した山口つながる案内所を推進拠点として、本県と継続的に関わる関係人口の創出・拡大に向けた取組を強化していきます。 県としては、市町や関係団体等と連携し、企業誘致や移住につながるワーケーションの推進に積極的に取り組んでまいります。 ○議長(柳居俊学君) 三坂観光スポーツ文化部長。    〔観光スポーツ文化部長 三坂啓司君登壇〕 ◎観光スポーツ文化部長(三坂啓司君) 文化財の保全・活用についてのお尋ねにお答えします。 文化財は、長い年月をかけて地域で守り伝えられてきた貴重な財産であり、これを次世代に確実に引き継いでいくことが重要です。 しかしながら、お示しのように本県においても、文化財を守り伝えてきたコミュニティー機能の低下や文化財継承の担い手不足等により、文化財の保存が難しくなっています。 このため、県では、令和二年に策定した文化財の保存・活用の総合的な指針である山口県文化財保存活用大綱や、このたび策定する、やまぐち未来維新プランに基づき、観光振興の視点も踏まえ、地域一体となって文化財の保存・活用に積極的に取り組んでいくこととしています。 具体的には、国や市町等と連携して、文化財の修復等により、その価値の維持や魅力ある観光素材としての整備を進めるとともに、その活用によって生み出される経済効果をさらなる文化財の修復等に還元する好循環につなげてまいります。 また、子供たちをはじめ多くの県民に文化財の理解が一層深まるよう、学校や地域での出前講座の実施等の取組を進めるとともに、文化財の魅力をウェブサイトやSNS等により国内外に広く発信することとしています。 さらに、AIを活用した鷺流狂言の体験コーナーを県内三か所の文化施設に設置し、これを周辺の文化財等と合わせて観光案内アプリに掲載するとともに、今後増加が見込まれる訪日外国人旅行者に向けて、文化財の多言語解説等の環境整備を進め、国内外からの誘客促進に努めてまいります。 県としては、今後とも文化財を次世代に確実に引き継いでいけるよう、国や県教育委員会、市町、関係団体等と連携しながら、文化財の保存・活用に積極的に取り組んでまいります。 ○議長(柳居俊学君) 繁吉教育長。    〔教育長 繁吉健志君登壇〕 ◎教育長(繁吉健志君) 医療的ケアを必要とする子供の教育についてのお尋ねにお答えします。 学校における医療的ケアの実施は、通学日数の増加により授業の継続性が保たれ、教育内容が深まるなど、医療的ケア児への教育面、安全面で大きな意義を持つと考えています。 このため、県教委では、医療的ケア児が身近な地域で教育を受けることができるよう、在籍する全ての特別支援学校に看護師を配置し、保護者の協力を得ながら医療的ケアの実施に取り組んできたところです。 こうした中、人工呼吸器の管理等を必要とする子供が特別支援学校に在籍するようになってきており、高度な医療的ケアへの対応が求められています。 また、お示しの医療的ケア児支援法が施行されるなど、学校における医療的ケアの実施に当たって、保護者の不安や負担の軽減は必要な視点となっています。 このため、県教委では、特別支援学校における安全な医療的ケアの実施体制を充実させるとともに、保護者の負担軽減を図る取組を進めてまいります。 具体的には、医療的ケアの多様化や医療的ケア児の在籍状況を踏まえ、個々の状態に応じたきめ細かな支援が行えるよう、看護師の拡充に努めてまいります。 また、人工呼吸器の管理等、高度な医療的ケアに関する看護師研修を実施するとともに、保護者の安心につながるよう、学校における日常的な情報共有の在り方について、看護師と教職員が協議する場を設けることとしています。 加えて、通学を含め、学校外での学習活動における医療的ケアの実施には、安全性の配慮がより必要となることから、医療の専門家や保護者代表が参画する特別支援学校医療的ケア運営協議会において、安全かつ確実な医療的ケアの実施や、保護者の負担軽減につながる体制の充実について検討を進めてまいります。 県教委といたしましては、高度な医療的ケアを必要とする子供も含め、全ての障害のある子供が安心して教育を受けることができるよう取組を進めてまいります。   ───────────── ○議長(柳居俊学君) この際、暫時休憩をいたします。再開は、午後一時の予定でございます。    午前十一時三十六分休憩   ─────────────    午後一時開議 ○副議長(二木健治君) 休憩前に引き続き会議を開きます。   ───────────── △日程第一一般質問 △日程第二議案第一号から第二十五号まで ○副議長(二木健治君) 日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第二十五号までを議題とし、質疑の議事を継続いたします。 髙瀬利也君。    〔髙瀬利也君登壇〕(拍手) ◆(髙瀬利也君) 自由民主党の髙瀬利也でございます。まだまだ左側の口が麻痺残っております。それから、声にも力がありませんけれども、一生懸命質問したいと思います。お願いします。(拍手) まずは観光振興についてお尋ねいたします。 県では、これまで、コロナ禍がもたらした危機的状況に迅速に対応するために、山口県観光V字回復プランを策定し、国の旅行支援事業に加え、県独自の宿泊割引券による需要喚起や、ポストコロナを見据えた宿泊施設の高付加価値化の取組などにより、観光産業を支えてこられました。 こうした取組により、令和三年は、コロナ禍前の水準にまでは戻らなかったものの、本県の宿泊者数の減少率を全国最小に、また、客室稼働率は全国二位という成果を上げてこられたことを、私としても大変評価しております。 一時期は落ち着き始めたコロナ感染者数ですが、本県においても第八波の拡大も懸念されるなど、引き続き需要喚起策などで観光産業を支援していくことも必要ですが、今後は、コロナ禍で生じた社会変化に対応した観光振興に向け、コロナへの緊急対策から出口を見据えた、自ら稼ぐ力を高める施策へと取組を進めていかなければなりません。 こうした中、県は、やまぐち未来維新プランの維新プロジェクトの一つに、新たな観光県やまぐちの創造を掲げ、その目標を具現化するための新たな観光振興計画の策定を進められています。 長引くコロナ禍は人々の意識を大きく変え、旅行ニーズも変化しております。個人・少人数旅行へのシフト、アウトドア志向など自然環境の中での体験型旅行ニーズや近隣県を旅行するマイクロツーリズムの人気が高まり、長期滞在型観光にも注目が集まっております。また、リピーターとなって何度も同じ観光地へ旅行するケースも増えています。 このような変化を的確に捉え、各地域の有する強みを生かした観光地域づくりを進めていく必要があります。私の地元下関の奥座敷にあります川棚温泉地域では、コロナ禍で川棚の持つ穏やかで優しい風土の中での散策が人気であることに着目し、地域全体で周遊を促し、出湯や食などを楽しんでいただく、面的な観光地域づくりを進めています。 本県には、長門の俵山温泉や周南の湯野温泉など、コンパクトではありますが、魅力ある観光地域が多数あります。こうした地域にもスポットライトを当て、本県の多彩な魅力をPRしていくことも私は大切だと思います。 また、裾野の広い観光産業の多くの業種に利益が行き渡るよう、観光消費額向上にも取り組んでいくことは、本県観光産業が持続的に発展していくためにも極めて重要です。 私は、コロナ禍で生じた旅行ニーズの変化は、豊かな自然を有する、また多彩な文化資源を有する本県にとっては大きなチャンスでもあると思います。新たな計画の下で、こうした本県の魅力を伸ばし、観光産業のさらなる発展に向けて、しっかりと取り組んでいっていただきたいと思うのです。 また、本県の認知度はまだまだ低い傾向にあります。こうした厳しい現実にも目を向け、しっかりとプロモーションにも取り組んでいただくようお願いします。 そこでお尋ねします。コロナ禍がもたらしたニーズの変化を踏まえ、今後、観光振興にどのように取り組んでいくのか、御所見をお伺いいたします。 次に、漁業者の所得向上対策についてお尋ねいたします。 先日、山口県豊魚祭が三年ぶりに特牛港において開催されました。当日は、キジハタやトラフグ等の放流行事などが行われ、多くの人でにぎわっていました。 さて、私の地元川棚を含む豊浦・豊北地区が面している海、響灘は、豊かな漁場に恵まれ、古くから一本釣りや定置網などの漁などが盛んなところであり、漁業は地域の重要な産業の一つとして位置づけられています。 しかしながら、漁業就業者の高齢化の進行とともに、漁業就業者が減少しており、それに伴い漁業生産量も減少するなど、漁村地域の活力の低下が課題となっています。中でも湯玉地区では、平成二十二年に十五名いた正組合員が令和三年には八名に半減するなど、深刻な状況となっています。 このような中、漁村の活力を維持するため、この地区においては、新規就業者の確保・定着に力を入れており、毎年のように地区外から就業希望者を積極的に受け入れ、研修などを行っています。その結果、過去五年で十一名の方がこの地域で新たな漁師となり活躍するなど、県内でも定着率の高い地域です。 また、近年、高単価が期待される高級魚キジハタの漁獲量増加に向けた取組も積極的に行われております。種苗の大量放流や成長段階に応じた魚礁の設置、三十センチ未満の漁獲を禁止するなどの資源管理などに取り組まれており、漁業就業者の所得向上に向け、様々な取組が行われています。 このような中、近年、漁業を取り巻く環境は、地球温暖化の影響による海水温の上昇により、漁獲量の減少や捕れる魚の種類に変化が起こっていることが各地で問題になっています。地元の漁業者からも、いつもの漁場に行ってもイカがおらず、思うように漁はできなくなったなどという声も耳にしました。地球温暖化による海洋環境の変化により、これまでの常識が通用しなくなってきている状況となっています。 漁村を活性化させ、本県漁業の振興を図っていくためには、漁師を志す若者たちにとって魅力的であり、また、漁師を続けていくための安定した収入が確保できる環境を整備することが何よりも重要であります。 そのためには、これまでの取組に加え、地球温暖化の影響にも対応できる効率的な漁業の展開や新たな所得確保につながる対策を講じていくことが重要となってくるのではないでしょうか。 そこでお尋ねします。地球温暖化の影響などにより海洋環境が変化する中、漁業者の所得向上に向け、今後どのように取り組まれるのかお尋ねいたします。 次に、ダムによる治水対策についてお尋ねします。 近年、気候変動の影響等によって自然災害の激甚化が進行しており、今年八月には、東北地方や北陸地方を中心に、大雨による深刻な浸水被害が発生し、九月にも台風十四号による被害が九州を中心に発生しました。 山口県でも、七月の大雨や九月の台風十四号で、河川の氾濫による家屋等の浸水被害が発生しました。私としては、こうした浸水被害の未然防止を図っていくためには、ダムの整備をはじめ、堤防の強化や河道掘削を行うなど、治水対策を一層強化することが重要と考えます。 とりわけ、ダム整備については、下流域の浸水被害を防ぐ上でも極めて有効な治水対策であると考えており、現在、本県では平瀬ダムや大河内川ダムの建設工事が着実に進められています。 中でも、平瀬ダムについては、令和五年の出水期からの運用開始に向け、今年十月から試験湛水が実施されており、供用開始されれば、錦川流域の浸水被害について、大幅に軽減されることが見込まれます。 また、地元下関にあります木屋川ダムについても、かさ上げ工事着手に向け、長きにわたり実施計画調査が続けられていましたが、昨年度から現地測量を開始し、今年八月には、地元の地権者協議会と基本協定を締結されるなど、かさ上げ工事の着手に向け、一歩一歩事業が進捗しております。平成二十二年七月の大雨では、木屋川が氾濫し、流域で多数の浸水被害が発生していることから、ダムのかさ上げについて流域住民の期待は大きく、早期整備が求められているところです。 このように、各ダムの整備を進めていくのはもちろんですが、激甚化する自然災害に対応するため、既存ダムの有効活用を図っていくことも重要です。既存ダムの適切なメンテナンスや、老朽化した設備の更新を行っていくことも必要だと考えます。 また、ダムの洪水調節機能強化のため、本県の一級水系と二級水系に整備されているダムについては、既に事前放流の実施方針を定めた治水協定を締結されておられます。九月の台風十四号の襲来時には、協定に基づき、県内のダムでも事前放流が行われました。ただ、事前放流は利水者への影響が大きいことから、河川管理者やダム管理者、利水者などの関係者が十分に協議をした上で取組を進めていただきたいと思います。 そこでお尋ねいたします。浸水被害から県民の暮らしや安全を守るため、ダムによる治水対策について、今後どのように取り組んでいかれるのか、県の御所見をお伺いいたします。 次に、北朝鮮による日本人拉致問題についてお尋ねをいたします。 北朝鮮による日本人拉致は、国民の生命と安全に関わる重大な人権侵害問題であり、一日も早い解決が求められております。 本県でも、下関市の河田君江さんをはじめとして、拉致の可能性を排除できない方々が十一名いらっしゃいますが、拉致事件が発生したと思われる一九七○年代、八○年代からおよそ五十年の月日が流れ、そして初めて日本に拉致被害者が帰国してからも、はや二十年が経過しております。この間に、拉致被害者の御家族は高齢化が進み、一刻の猶予も許されない状況でございます。 こうした中で、拉致問題の解決を政治活動の中心に位置づけ、世界にも拉致問題の認識を広げるなど、解決に向けて大変な御尽力をされた安倍元総理が、この夏の参議院選挙の最中、凶弾により亡くなられました。 安倍元総理は、国会議員秘書時代から拉致問題に取り組まれ、拉致被害者の御家族の方々からも厚い信頼を得てこられました。先日行われました国葬儀の際にも、式壇には、被害者の救出を誓うブルーリボンバッジが御遺骨とともに安置され、遺影の胸元にもバッジが掲げられておりました。 国葬儀には、拉致被害者である横田めぐみさんのお母様、横田早紀江さんが参列されており、献花に臨む姿を拝見した私は、拉致問題の解決に当たり、被害者の御家族に寄り添った政治活動をされた安倍元総理に最大限の敬意を表すとともに、その御遺志をしっかりと引き継ぎまして、決して風化させることがあってはならないと身に誓ったところであります。 先日、北朝鮮向けラジオ放送を行う政府と特定失踪者問題調査会が共同で行う、北朝鮮向けラジオ放送「ふるさとの風」「しおかぜ」の共同公開収録が下関市で開催され、特定失踪者の御家族から、拉致被害者へ向けた心からのメッセージが発信されました。 以前にも、本議会において訴えさせていただきましたが、我々国民ができることで、最も大切なことは、拉致問題に対し絶えず関心を持ち続けることです。 一つ一つの活動を積み重ね、国民一人一人が全ての拉致被害者を必ず取り戻すという強い意志を持ち、一致団結して発信し続けていくことで、その声が国際社会を動かし、北朝鮮を動かすことにつながっていくのであり、県におかれても、それを後押しするような啓発を引き続き行っていただきたいと考えております。 そこでお尋ねします。県では、北朝鮮による拉致問題に対し、どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、上関原発建設計画についてお尋ねします。 エネルギーの安定的な確保は、我が国の根幹的な課題であり、私は、昨今の国際情勢や、将来の脱炭素社会を見据え、国が原子力を最大限活用していくという方針を示していることは、責任あるエネルギー政策として当然であると考えます。 先月二十八日、村岡知事は、上関原発建設計画に係る中国電力からの公有水面埋立免許の期間伸長許可申請に対し、竣功期限を令和九年六月六日までとする期間伸長を許可されました。 今回の許可処分の考え方と上関原発建設計画への対応についてただした今議会の我が会派の代表質問に対して、知事は、公有水面埋立法に基づき、竣功期限内に工事を竣功できなかった合理的な理由があること、今後埋立てを続行する土地需要があること、この二つの要件をいずれも満たし、正当な事由があると認められるときは許可しなければならないものであることから、埋立免許権者である知事として、期間伸長を許可したと答弁されるとともに、上関原発建設計画については、今後も、これまでと同様、地元上関町の政策選択や国のエネルギー政策を尊重するとの考えを改めて明らかにされました。 また、前町長が進めてこられた政策を継承し、十月二十三日の町長選挙で当選された西町長への向き合い方について問われた公明党の一般質問に対しても、知事は、まちづくりに対する町長の強い思いもしっかりと受け止めながら、適切に対処していく旨の答弁をされました。 私ども自民党会派は、こうした知事の法律に基づく埋立免許権者としての対応、西町長の思いも受け止めた上関原発建設計画に対する一貫した基本姿勢については、適切かつ妥当なものであると、この場で改めて評価させていただきます。また、私自身としても、民主主義の根幹である選挙において、七割という得票率により示された、西町長のまちづくりに対する地元上関町の民意は、しっかりと尊重されなければならないと考えます。 一方で、今議会の質問では、原発反対の立場の議員から、今後も海上ボーリング調査はできないのだから延長許可をしたのは裁量権の濫用であるとか、中国電力の一連の行動は訴訟のための証拠集めであるなどの、臆測だけの一方的な主張も見受けられました。 これらの発言は、あたかも知事が、中国電力の説明をうのみにしているだけの印象を与えようとしていると感じたのは、私だけではないと思います。 それぞれの立場の違いはあるにせよ、恣意的で一方的な主張を繰り返し、あくまでも法律の定めに沿った処理を行っている県の答弁に対し、異を唱え続ける発言に、共感を覚えることはできません。 そこで、これまでの本議会での議論も踏まえ、改めてお尋ねします。今回の期間伸長許可処分の考え方と、今後の上関原発建設計画への対応について、知事の御所見をお伺いいたします。 以上、用意した質問は以上でございますが、少し時間が余っておりますので、一言言わせていただきます。 六月の四日ですが、自宅で右の脳血管から出血をいたしまして、全く左側の手と足が動かなくなりました。なった瞬間に、すぐ救急車を呼んで病院に連れていっていただきましたが、本当にこれからどうしようかと絶望にたたき落とされまして、もう終わったな人生というふうに思いまして、大変落ち込みました。 おかげさまで、病院の中で懸命なリハビリをすることができまして、多少手と足が動くようになりまして、お医者さんからも、まだまだ動く可能性はあるから頑張りましょうという声を頂きまして、三か月ほど入院をいたしました。 六月の議会は全てお休みをさせていただきまして、委員会もお休みさせていただきました。所管の委員会でですが、教育長さんとか、それから県警の本部長さん、大変御迷惑かけました。 九月の議会には、はってでも行こうと思いまして、大変格好悪かったんですけども、足を引きながら、議会に出させていただきました。この議場も段差をなくしていただきましたりとか、また、電動の車椅子を用意していただきましたり、それから今ここに立派な椅子がありますけど、大変障害者に優しい議場づくりをしていただきまして、本当に感謝しております。ありがとうございます。 また、ここにいらっしゃる先生方、先輩議員、それから同僚議員はじめ、与野党問わず、皆さんから本当に温かいこと、お見舞いいただきました。本当にありがとうございます。これからリハビリする力になりました。大変皆様には御迷惑と御配慮いただきました。そして、御心配をおかけいたしました。改めましておわびと、また感謝の意を表します。本当にありがとうございました。 まだまだ回復は道途上でございまして、まだまだ一生懸命リハビリをしなきゃいけないと思います。元の体にはなかなか戻らないかなというふうには思いますけども、前の体に少しでも戻れるように、一生懸命また頑張っていきたいと思います。まだまだリハビリも頑張りますので、温かい目で見ていただきまして、優しくしてください。お願いします。 御感謝を申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○副議長(二木健治君) 村岡知事。    〔知事 村岡嗣政君登壇〕 ◎知事(村岡嗣政君) 髙瀬議員の御質問にお答えをしたいと思いますが、まず髙瀬議員、大変なリハビリを重ねられて、本当に驚異的に回復をしておられることに、心から敬意を表したいというふうに思いますし、これからますます、さらに回復されますことを心から応援をしております。頑張っていただきたいと思います。 まず、観光振興についてでございます。 コロナ禍の長期化に伴い、本県の観光産業が未曽有の危機に直面する中、私は、本県観光の一刻も早い回復に向け、昨年十月に策定した山口県観光V字回復プランに基づき、観光需要の喚起や宿泊施設の高付加価値化など、観光産業への総合的な支援に取り組んできたところです。 こうした中、県内の宿泊者数は着実に改善するとともに、インバウンドの本格的な回復の兆しも現れており、私は、この機会を逸することなく、本県の観光のV字回復の先を見据えた、新たな観光県やまぐちの創造につなげていきたいと考えています。 このため、コロナ禍により生じた観光の変化を踏まえた、中長期的な指針となる、新たな観光振興計画を策定することとしており、これに基づき、持続可能な観光地域づくりや、戦略的なプロモーションの展開などの取組を積極的に進めていくこととしています。 まず、持続可能な観光地域づくりについては、コロナ禍により多様化した旅行者のニーズに的確に対応するため、本県の強みである豊かな自然や、歴史、多彩な食などを生かした、本県ならではの新たなツーリズムの創出に取り組んでまいります。 また、観光地域の稼ぐ力の向上に向けて、観光客の年代や嗜好などの詳細なデータに基づく、効果的な観光地経営を支援するとともに、これを通じて、観光客の満足度を高める魅力的なコンテンツ造成を積極的に進めてまいります。 さらに、戦略的なプロモーションの展開については、本県の認知度向上に向けて、絶景やグルメなど、本県の優れた観光資源を活用し、観光客の心をつかむ新たなプロモーションの展開をするほか、JRと連携したデスティネーションキャンペーンの誘致も図ることとしています。 こうした取組に加え、本格的に回復するインバウンド需要を確実に取り込むため、海外の観光プロモーターによる重点的な誘客促進や、デジタル技術を活用した情報発信の強化を図るとともに、大阪・関西万博などを見据え、新たな観光コンテンツや周遊ルートの開発を進めていきます。 私は、市町や関係団体等と緊密に連携し、コロナ禍がもたらした観光ニーズの変化を的確に捉え、新たな時代をリードする本県観光の振興に全力で取り組んでまいります。 次に、上関原発建設計画についてのお尋ねにお答えします。 埋立免許の期間伸長の申請につきましては、埋立免許権者として、指定期間内に工事を竣功できなかったことについて合理的な理由があることと、土地需要があることの二点について、公有水面埋立法に基づき、どこまでも法令の規定に従って厳正に審査いたしました。 まず、竣功できなかった理由については、埋立工事に先立って実施する必要がある海上ボーリング調査について、調査地点付近で複数の船舶を停泊させるなどの行為が継続してあったことなどから調査を終了できず、工事を期限内に竣功できなかったこと、また、訴訟によりその解決を図ることが説明されており、合理的と認められます。 さらに、事業者から、調査を安全に進めるため、訴訟に要する期間が必要であるとの説明もされており、その期間を加えた四年五か月を妥当であると判断したところです。 また、土地需要については、上関原発に係る重要電源開発地点指定は引き続き有効であるとの国の見解を改めて得たことが示されており、土地需要があると認められます。 このように、私は、申請内容の的確な把握に努め、公正な立場で、適正に審査を行わなければならないとの考えの下、申請及び補足説明の内容について審査した結果、正当な事由があると認められたことから、埋立免許権者である知事として許可したものです。 次に、今後の対応についてでありますが、私は、国策である原発の立地については、県に権限が与えられていない中で、地方自治の原則から見て、住民に最も身近な地元市町の政策選択や意向を尊重すべきであると考えています。 地元上関町におかれては、原発立地によるまちづくりを進めたいという政策選択がなされていると理解しており、そのことは現在も変わっていないと認識しています。 私は、まちづくりに対する西町長の思いもしっかりと受け止めながら、上関原発建設計画に対しては、これまでと同様、地元上関町の政策選択や国のエネルギー政策を尊重するとともに、県民の皆様の安心と安全を守るという観点から適切に対応してまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 ○副議長(二木健治君) 高橋農林水産部長。    〔農林水産部長 高橋博史君登壇〕 ◎農林水産部長(高橋博史君) 漁業者の所得向上対策についてのお尋ねにお答えします。 漁業就業者の減少・高齢化や、漁業生産量の減少など、本県水産業が直面する課題を克服し、漁村を活性化させるためには、意欲ある担い手の定着に向けて、安定した収入を確保できる環境を整備することが重要です。 こうしたことから、県では、市場単価の高いキジハタ等の種苗放流や、新たな水産資源を確保するため、本県漁業調査船による漁場調査・開発に取り組んできたところです。 しかしながら、お示しのとおり、地球温暖化等を要因とした漁獲量の減少や魚種の変化が、近年顕著になっていることから、こうした変化にも対応できる効率的な漁業の展開や、新たな所得確保につながる対策を一層強化していく必要があります。 このため、効率的な漁業の展開に向けて、ICTによるケンサキイカなどの漁場形成予測の精度向上を図るとともに、はえ縄漁業などの操業場所や漁獲量、水温等の操業情報を蓄積・分析することで、科学的データに基づく操業支援システムの構築を進めます。 また、近年、海水温の上昇により漁獲量が増加傾向にある高級魚ハタ類の資源や回遊調査を進め、主要漁場ごとの資源量をデジタル化し、適正な漁獲量を管理することで持続的な利用を図り、漁業者の効率的な操業に向けた支援を強化します。 次に、新たな所得確保につながる対策については、水産大学校の専門的知見も活用し、一本釣り漁業とはえ縄漁業などの他の漁業を組み合わせた多角化経営への転換を支援することにより、所得の向上を図っていきます。 また、漁獲量の増大を図るため、環境の変化にも対応し、効果が見込める種苗を重点的に放流するとともに、生息環境の確保に向けた漁場整備を進めてまいります。 加えて、放流効果が最大限発揮されるよう、魚種ごとに最適な放流サイズや時期などを分析・検証し、小型魚保護等による資源管理と栽培漁業を一体的に推進していきます。 県としては、関係団体等と緊密に連携し、漁業が若者にとって魅力ある産業となるよう、海洋環境の変化にも的確に対応した所得向上対策にしっかりと取り組んでまいります。 ○副議長(二木健治君) 和田土木建築部長。    〔土木建築部長 和田卓君登壇〕 ◎土木建築部長(和田卓君) ダムによる治水対策についてのお尋ねにお答えします。 近年、気候変動に起因する記録的な集中豪雨等による水害が、全国で頻発・激甚化しており、こうした災害から県民の生命・財産を守るためには、河川やダムの整備等の治水対策は極めて重要であると考えています。 とりわけ、ダムは、洪水を貯留し、下流域の浸水被害を防止・軽減するという極めて有効な機能を有することから、県では、現在、河川整備計画に基づき、平瀬ダムなどの三つのダムについて整備を進めているところです。 具体的には、平瀬ダムについては、工事がおおむね完了し、来年の出水期からの運用開始に向け、試験湛水を行っており、大河内川ダムについては、付け替え道路の工事等を実施しています。 また、木屋川ダムについては、お示しのとおり、本年八月に地元の地権者協議会と事業を円滑に進めるための基本協定を締結し、九月から用地の測量や調査等に取りかかるなど、工事着手に向けた取組を着実に進めているところです。 一方、既存のダムについては、その機能を将来にわたって維持するため、長寿命化計画に基づき定期点検やダム本体の補修、管理に必要な機器の更新等を行っており、今年度から、新たにデジタル技術を活用した、ダム本体の変状調査を行うなど、維持管理の高度化・効率化にも取り組んでいます。 加えて、こうしたダムの整備等の効果をより高めるため、県が管理する十九ダムについて、利水者との協定の下、事前放流の基準を定めており、本年九月の台風十四号では、この基準に基づき五ダムで事前放流を実施し、浸水被害の防止や軽減を図ったところです。 なお、事前放流については、利水者の理解や協力が必要不可欠なことから、今後運用を開始する平瀬ダムなどについても、関係する利水者と十分に協議し、取組を進めていくこととしています。 県としましては、県民の安心・安全の確保のため、引き続き、国の補正予算も積極的に活用しながら、ダムの整備や老朽化対策を着実に進めるとともに、事前放流等のダムの整備効果を高める運用を行うことにより、治水機能の一層の強化に取り組んでまいります。 ○副議長(二木健治君) 弘田健康福祉部長。    〔健康福祉部長 弘田隆彦君登壇〕 ◎健康福祉部長(弘田隆彦君) 北朝鮮による日本人拉致問題についてのお尋ねにお答えします。 北朝鮮による日本人の拉致は、基本的人権の侵害はもとより、国家主権と国民の生命、安全に関する極めて重要な問題です。 本県には、拉致の可能性を排除できない方々が十一名おられ、長い年月が経過する中で、御本人や、その御家族の方々が高齢となられており、拉致問題の早期解決が強く望まれています。 このため県では、拉致被害者を救出する知事の会等を通じて、国に対し拉致問題の早期解決を要請しているところです。 また、拉致問題の解決に向けては、県民の関心を喚起していくことが大きな力となることから、十二月の北朝鮮人権侵害問題啓発週間のパネル展示をはじめ、人権ふれあいフェスティバルや県政ラジオ番組による啓発など、幅広い取組を展開しています。 さらに、一人でも多くの方に関心を持っていただけるよう、市町と連携し、身近な地域で実施される啓発行事の日程等を取りまとめ、県ホームページで発信しています。 加えて、政府と連携した啓発活動も効果的であることから、今年度は、お示しの内閣官房と特定失踪者調査会の主催により、下関市において開催された北朝鮮向けラジオ放送の公開収録に際して、知事による激励のビデオメッセージの上映を行ったところです。 こうした取組により、今年度の県政世論調査では、拉致問題に関心があると回答された方の割合が、昨年度と比較して高くなるなど、その成果も現れているものと考えており、引き続き、粘り強く啓発活動の充実に努めてまいります。 県としましては、今後とも、国や県議会、市町等と一体となり、拉致問題の一刻も早い解決に向けて、しっかりと取り組んでまいります。 ○副議長(二木健治君) これをもって、一般質問及び提出議案に対する質疑を終結いたします。   ──────────────────────    委員会付託 ○副議長(二木健治君) ただいま議題となっております議案第一号から第二十五号までをそれぞれ所管の常任委員会に付託いたします。 今期定例会において受理した請願は四件であります。これをお手元に配付の請願文書表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。   ──────────────────────    委員会審査の期限について ○副議長(二木健治君) ただいま常任委員会に付託いたしました議案及び請願については、十二月十四日までに審査を終わるよう期限をつけることにいたしたいと思います。これに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○副議長(二木健治君) 御異議なしと認めます。よって、議案及び請願については、十二月十四日までに審査を終わるよう期限をつけることに決定いたしました。   ─────────────    休会について ○副議長(二木健治君) 十二月十五日は、議事の都合により休会いたしたいと思います。これに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○副議長(二木健治君) 御異議なしと認めます。よって、十二月十五日は休会することに決定いたしました。   ───────────── ○副議長(二木健治君) 以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。 本日は、これをもって散会いたします。    午後一時四十四分散会   ─────────────     地方自治法第百二十三条第二項の規定によりここに署名する。             山口県議会 議     長   柳   居   俊   学                   副  議  長   二   木   健   治                   会議録署名議員   坂   本   心   次                   会議録署名議員   磯   部   登 志 恵...