• "高森みどり中学校"(/)
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  1. 山口県議会 2015-09-01
    09月28日-02号


    取得元: 山口県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-15
    平成 27年 9月定例会   平成二十七年九月山口県議会定例会会議録 第二号      平成二十七年九月二十八日(月曜日)  ────────────────────        議事日程 第二号      平成二十七年九月二十八日(月曜日)午前十時開議  第一 代表質問  第二 議案第一号から第十三号まで(質疑)  ────────────────────        本日の会議に付した事件  日程第二 議案第一号から第十三号まで                会議に出席した議員(四十七人)                          塩   満   久   雄 君                          林       哲   也 君                          木 佐 木   大   助 君                          先   城   憲   尚 君                          友   田       有 君                          曽   田       聡 君                          髙   瀬   利   也 君                          平   岡       望 君                          西   本   健 治 郎 君                          佐 々 木   明   美さん                          小   泉   利   治 君                          岡   村   精   二 君                          二   木   健   治 君                          篠   﨑   圭   二 君                          藤   生   通   陽 君                          合   志   栄   一 君                          西   嶋   裕   作 君                          河   合   喜   代さん                          俵   田   祐   児 君                          吉   田   充   宏 君                          新   谷   和   彦 君                          田   中   文   夫 君                          澁   谷       正 君                          島   田   教   明 君                          石   丸   典   子さん                          井   上       剛 君                          国   井   益   雄 君                          守   田   宗   治 君                          槙   本   利   光 君                          畑   原   基   成 君                          井   原   寿 加 子さん                          橋   本   尚   理 君                          山   手   康   弘 君                          秋   野   哲   範 君                          河   野       亨 君                          笠   本   俊   也 君                          星   出   拓   也 君                          森   中   克   彦 君                          河   村   敏   夫 君                          藤   井   律   子さん                          戸   倉   多 香 子さん                          上   岡   康   彦 君                          新   造   健 次 郎 君                          中   嶋   光   雄 君                          江   本   郁   夫 君                          柳   居   俊   学 君                          吉   井   利   行 君                会議に欠席した議員(なし)                議案等の説明のため会議に出席した者                    知事          村 岡 嗣 政 君                    副知事         藤 部 秀 則 君                    総務部長        渡 邉 繁 樹 君                    総務部理事       大 谷 恒 雄 君                    総合企画部長      上 野   清 君                    産業戦略部長      宮 地   理 君                    環境生活部長      秋 貞 憲 治 君                    健康福祉部長      小 松 一 彦 君                    商工労働部長      阿 野 徹 生 君                    農林水産部長      野 村 雅 史 君                    土木建築部長      前 田 陽 一 君                    会計管理局長      豊 嶋 和 博 君                    財政課長        松 本 典 久 君                    公営企業管理者     弘 中 勝 久 君                    企業局長        市 原 充 之 君                    教育長         浅 原   司 君                    教育次長        原 田   尚 君                    公安委員長       弘 田   公 君                    警察本部長       藤 村 博 之 君                    代表監査委員      河 嶌 繁 太 君                    監査委員事務局長    高 杉 和 典 君                    労働委員会事務局長   藤 井   勝 君                    人事委員会事務局長   守 田 正 史 君                    選挙管理委員長     中 村 正 昭 君                会議に出席した事務局職員                    事務局長        河 村 邦 彦 君                    事務局次長       田 中   肇 君                    総務課長        田 平   隆 君                    議事調査課長      瀧   隆 明 君                    政務企画室長      岡 村 達 也 君                    秘書室長        繁 吉 健 志 君                    議事調査課主幹     山 本 秀 樹 君                    議事記録係長      三 好   政 君                    主事          竹 井 由利香さん                    主事          福 田 直 也 君                    主事          岡 村 恵 子さん   ─────────────    午前十時開議 ○議長(畑原基成君) これより本日の会議を開きます。   ───────────── △日程第一代表質問 △日程第二議案第一号から第十三号まで ○議長(畑原基成君) 日程第一、代表質問を行い、日程第二、議案第一号から第十三号までを議題とし、質疑に入ります。 代表質問及び質疑の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 守田宗治君。    〔守田宗治君登壇〕(拍手) ◆(守田宗治君) おはようございます。自由民主党の守田宗治であります。平成二十七年九月定例県議会に当たり、自由民主党会派を代表いたしまして、県政の諸課題について、知事、教育長並びに警察本部長に質問をいたします。 質問に先立ち一言申し上げます。 先日の自由民主党総裁選挙において、本県選出の安倍総理が無投票により総裁に再選されました。 内外の懸案解決を通じて日本を立て直すための取り組みに全力を傾注しておられる安倍総理の再選は、私どもにとりましてこの上ない喜びでありますとともに、我が国のかじ取り役たる自由民主党の挙党一致体制を改めて内外に示すことができたということに大きな意味がありました。 再選に当たり、安倍総理は、継続は力とされ、結果を出すことで責任を果たすと述べておられます。今後三年の任期を見据え、安倍政権の大きな柱である経済再生や地方創生を初めとした政策課題への取り組みをさらに力強く進めていただきたいと願っております。 私ども自民党県連は、山積する諸課題の解決に果敢に挑戦される総理を一致団結してお支えするとともに、安倍政権が進める政策と軌を一にした活動を精力的に展開していく決意を改めて申し述べさせていただきます。 こうした中、今月十八日には、集中審議が進められてきた平和安全法制関連法案が、自民党、公明党を初めとした与野党五党の賛成により参議院本会議で可決、成立いたしました。 平和安全法制は、我が国をめぐる脅威や危機を減じ、日本の平和と安全をいかに守るかという現実の政策論であるにもかかわらず、国会論戦において、民主党などの一部野党は、審議時間を無為に費やし、我が国が直面する危機に目をつむって、国民の安全に責任を負うこととはかけ離れた批判に終始したあげく、参議院特別委員会や本会議での採決をめぐっては、議事を妨害することのみに固執した行動を繰り返しました。 一部野党は、採決を強行した暴挙と一方的に主張していますが、国会ルールにのっとった正当な手続でありますし、混乱した状況を招いたのは、ルールを無視した一部野党の妨害行為にほかならないのであります。 こうした対応は、国民を守る立場の政党としての責務を放棄し、政府案に反対するばかりの抵抗野党というそしりを免れないと思うのであります。 国民を守るべき立場の政党として今なすべきことは、厳しさを増す安全保障環境の中で、現実の脅威を直視し、抑止力を高め、平和を維持することであり、今回の法制の成立は、まさに、国と国民を守り抜くという責務を果たそうとする政府・与党の確固たる決意が結実したものであります。 今後、この法制に基づき、抑止力を高め、争いを未然に防ぐための体制整備等に、国を挙げて取り組んでいただくことが重要でありますし、こうした取り組みを通じて、本法制に対する国民の幅広い理解を得るための努力も引き続き重ねていただきたいと思うのであります。 さて、去る八月十四日に、戦後七十年談話が閣議決定されました。 安倍総理は会見の中で、「戦後八十年、九十年、百年に向け、どのような日本をつくり上げていくか。それを世界に向けて発信したい。できるだけ多くの国民と共有できる談話をつくっていくよう心がけた」と述べておられます。 私どもは、今回の談話を、さきの大戦に深い悔悟の念を示し、不戦の誓いや歴史的事実を丁寧に述べながら、積極的平和主義の旗のもとで、世界の平和と繁栄にこれまで以上に貢献していく決意を披瀝し、未来志向に基調を置いた戦後七十年の節目にふさわしいものであると受けとめております。 その上で、今回の談話で特徴的なことは、これまでにない新たなメッセージが盛り込まれていることです。それは、戦後生まれの世代が全体の八割を超える時代になっていることを踏まえ、「あの戦争には何らかかわりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子供たちに、謝罪を続ける宿命を負わせてはなりません」と語られていることであります。 今を生きる私たちは、このメッセージをしっかりと胸に刻み、次代を担う子供たちが使命感と誇りを持てる国づくりに全力で取り組まなければならないという思いを改めて強くしたところであります。 それでは通告に従い、順次質問をいたします。 最初に、地方創生についてお尋ねいたします。 現在、我が国は人口減少局面に突入しており、平成二十六年の合計特殊出生率は前年から九年ぶりに低下し、年間出生数は過去最低を記録するなど、人口減少に歯どめがかからない厳しい状況が続いております。 加えて、地方においては、大都市圏への人口移動が一貫して続いているため、人口の大幅な減少が地域経済の疲弊や地域の活力低下を招き、その結果、人口減少に拍車をかけるという負の連鎖が生じております。 このような中、本県においては、「元気創出やまぐち!未来開拓チャレンジプラン」が進める新たな県づくりと、国の進める地方創生の方向性は、軌を一にするとの認識のもと、プランの中でまち・ひと・しごとの創生に資する施策を推進するため、山口県版の総合戦略の策定に取り組まれ、このたび最終案を公表されたところであります。 今回公表された最終案では、素案では未設定であった基本目標ごとの目標数値が設定され、総合戦略の計画期間内に人口流出の半減を目指すという目標を掲げられるなど、地方創生に意欲的に取り組む姿勢が伝わる計画となっており、高く評価いたします。 しかしながら、これまでさまざまな施策に取り組みながらも、とめられなかった人口減少問題に対応する上では、国の取り組みにしっかりと呼応しつつ、全国との地域間競争を勝ち抜き、本県の取り組みを成功に導くことが重要であり、そのためには、総合戦略に掲げた諸施策を具現化していくことにより、将来にわたって成長する力を取り戻すことが必要であります。 先月には、安倍総理大臣が来県され、本県の地方創生の取り組みや国への要望内容について説明を受けられましたが、その内容について御理解いただいた上で前向きに対応する旨の発言をされたとお聞きしております。 我々自由民主党といたしましても、本県の人口減少に歯どめがかかり、若者が将来に夢や希望を持てる個性豊かな地方創生が実現できるよう、今議会で設置が予定されている地方創生推進特別委員会の中でも、大いに調査研究を重ねるなどしながら、全力で取り組んでまいる所存であります。 そこでお尋ねいたします。国においても地方創生の取り組みが本格化する中、このたび策定された総合戦略を踏まえ、本県の最重要課題である地方創生や人口減少問題の克服をなし遂げるため、どのような施策に取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、産業戦略の推進についてお尋ねいたします。 知事は、就任以来、「活力みなぎる山口県」の実現を県づくりの目標に掲げられ、その推進基盤である産業力の強化に積極的に取り組んでこられました。地域の活力源となる強い産業を創出するため、司令塔である産業戦略本部の本部長として、「やまぐち産業戦略推進計画」に沿って本県の強みである瀬戸内産業の再生・強化を初め、医療、環境・エネルギーなどの次世代産業の育成・集積、地域の資源を生かした農林水産業や観光の振興などに取り組まれており、着実な成果が上がりつつあることに、産業界からも高い評価の声をいただいているところであります。 こうした中、知事は、推進計画が後半期を迎えるに当たり、目標達成に向けた取り組みを強化するため、本年三月の第二次改定において四つのプロジェクトを創設されました。まず、県経済を支える瀬戸内産業について、港湾等のハード整備に加えソフト面の取り組みを展開することで国際競争力の一層の強化を目指すコンビナート企業間の連携促進、また、成長分野への展開に必要な人材の確保を進めるため、奨学金返還補助制度の創設による高度産業人材等の還流促進、さらには本県の魅力を国内外に発信し売り込みを図る二つの売り込み展開プロジェクトであります。 改定後、半年が過ぎ、各プロジェクトとも着実に具現化しつつあります。 例えば、コンビナート企業間の連携促進では、知事をトップとする全県の連携会議を開催されるとともに、各地域においてコンビナート企業による具体的な連携に係る検討が始まっております。 また、海外に向けた売り込み展開では、関係支援機関で構成する海外展開推進協議会の設置やフォーラムの開催、さらには、八月に村岡知事や畑原議長を初めとした山口県代表団が、日本・ベトナム友好促進議員連盟の訪問団とともに、ASEANの一角であるベトナムを訪問されるなど、目に見える形での取り組みが進みつつあります。改めて知事の実行力に敬意を表するものであります。 さきに述べましたように、国、地方挙げて地方創生の取り組みが本格化しており、本県においても総合戦略の最終案が公表されたところでありますが、申し上げるまでもなく、強い産業は、雇用の創出や所得の向上を図る重要な基盤となります。 本県が直面する人口減少を克服し、地域の活性化を図るために、産業戦略の果たすべき役割は、今後も極めて重要であり、知事におかれましては、推進計画の目標達成に向け、引き続き、しっかりと取り組んでいただきたいと考えます。 そこでお尋ねします。新たなプロジェクトの推進を初め、知事は、本県の産業戦略をどのように進めていくおつもりか、御所見をお伺いします。 次に、観光振興についてお尋ねいたします。 毎週放送されているNHK大河ドラマ「花燃ゆ」では、物語の舞台は幕末から明治へと移りつつあり、時代の荒波を強く生き抜く主人公、美和の姿に共感を覚える視聴者もいると思います。 ことし六月に国が公表した日本再興戦略改訂二○一五や、観光立国実現に向けたアクション・プログラム二○一五では、サブタイトルに、未来への投資や二千万人時代の早期実現を掲げられるなど、大河ドラマの主人公に重ね合わせるように、新しい時代に向けた政策を、勇気を持って真摯に取り組んでいくことが求められていると思います。観光についても、地域経済を牽引する基幹産業へと成長させるため、観光地域づくり観光推進体制の強化、攻めの受け入れ環境整備に積極的に取り組むこととされています。 こうした中、本年七月には、「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」が世界遺産に登録されましたし、去る九月四日には、Mine秋吉台ジオパークが、貴重な地質遺産を保護しながら教育や地域振興に生かす日本ジオパークに認定されるという、うれしいニュースもありました。 また、先日、知事は十二月から翌年三月まで、山口宇部空港と韓国の仁川国際空港との間において、アシアナ航空が国際連続チャーター便を運航すると発表されたところであり、今後はさらなるチャーター便の運航拡大や国際定期便化が期待されます。 さらには、今年度中に、全県を挙げた観光振興の機運醸成に向けた条例も制定されると聞いております。 我々自由民主党といたしましては、チャレンジプラン及び産業戦略推進計画に基づく観光力強化に向けた取り組みを高く評価しているところであり、各種施策を今後さらに強力に推進していただきたいと考えております。 そこでお尋ねいたします。こうした国における観光に対する期待の高まりや、本県観光を取り巻く情勢の大きな変化にしっかりと対応するため、新たな時代における観光振興を進めていく必要があると考えますが、知事の御所見をお伺いします。 次に、ねんりんピックの開催についてお尋ねいたします。 ねんりんピックの愛称で親しまれている全国健康福祉祭が、本県において、いよいよ来月十七日から四日間の日程で開催され、高齢者による卓球や水泳など二十五種目の競技から、芸術や伝統芸能まで、健康や福祉、スポーツ、文化に関するさまざまなイベントが行われます。 大会には、全国から選手・役員約一万人、観客などを含めますと延べ約五十万人もの参加者が見込まれ、本県を全国にアピールするチャンスにもなると期待しております。 参加選手の全国最高齢は九十六歳、山口県選手団の最高齢も九十五歳と、かなり高齢の方も選手として参加されるとのことであります。 こうした方々も、六十歳以上の高齢者による都道府県予選などを勝ち抜いての出場ですので、本当にすばらしいことだと思います。 県では、市町や関係団体等との連携のもと、二年以上も前から、交流大会や式典などの準備を進められてきたとのことですが、今月十七日には山口県選手団の結団式が、二十日には大会会場のクリーンアップが行われ、さらに、松下村塾などで採火した大会の炬火も萩往還を通って山口に到着するなど、大会が間近に迫ってきたと感じられるようになってまいりました。 多くの県民の方々も、ボランティアやアトラクションへの出演などに協力していただくことになっており、大会に向けて練習会などが行われるなど、本番に向け、機運と期待が高まってきております。 そこでお尋ねいたします。大会開催まで、いよいよあと十九日となりましたが、ねんりんピックの成功に向けて、どのように取り組まれ、また、どのような大会にしたいのか、知事の意気込みをお伺いいたします。 次に、明治百五十年に向けた取り組みについてお尋ねいたします。 先ほども申しましたように、本年七月、近代化の思想的な原点になったとして推薦された松下村塾など、萩市の五つの資産を含む、明治日本の産業革命遺産が世界遺産に登録されました。登録後は、多くの皆様が各資産を訪れているとのことで、今、我が国の近代化の歩みと、その原点となった明治維新に国内のみならず、国外からも注目が集まっているものと考えます。 こうした中、三年後の平成三十年には、明治改元から百五十年という節目の年を迎えることとなります。 昭和四十三年に迎えた明治百年の際に、政府主催による記念式典などの記念行事が開催されたほか、都市公園や自然公園などの整備事業や国土緑化事業等、全国各地でさまざまな記念事業が実施され、本県では維新百年記念公園が整備されております。 来る明治百五十年に向けて、知事は、先月、安倍総理が県庁を訪問された際、記念式典の開催や記念施設の整備などを検討していただくよう、総理に要望されたとのことであります。 特に、明治百五十年のシンボルとなる記念施設につきましては、老朽化への対応が急がれている県立山口博物館の問題もあり、本県の歴史文化の情報発信・交流の核となるよう、その整備に大いなる期待をいたしております。 知事におかれましては、明治百年と同様に、国家プロジェクトとしてさまざまな取り組みが進められるよう、国に強く働きかけていただきたいと考えております。 自由民主党といたしましても、その実現に向けて、全力で支援してまいる所存であります。 また、今月の定例記者会見においては、知事が平成三十年の全国都市緑化フェア開催に向けて、準備を進めていくことを表明されたこともあり、県民の期待はいよいよ高まってきたと感じております。 言うまでもなく、本県は、明治維新の原動力となった多くの志士を輩出した、まさに明治維新発祥の地であり、本県を全国にアピールできる大きなチャンスとなりますことから、国や市町等とも連携しながら、積極的に取り組みを進めていく必要があると考えます。 そこでお尋ねいたします。三年後に迫った明治百五十年に向けて、今後、知事は、施設整備等に関する国への要望や全国都市緑化フェア開催など、どのように取り組みを進められていくのか、御所見をお伺いいたします。 次に、教育行政について、二点お尋ねいたします。 まず、小中学校における学力向上への取り組みについてであります。 先月二十五日に、小学校六年生と中学校三年生を対象に実施された全国学力・学習状況調査の結果が発表されました。県内の小中学生の平均正答率は三年連続で全国平均を上回ったとのことであります。 この調査が始まった当初には、小学校の成績が全国平均を下回り、順位についても四十位台で報道されたことがあったと記憶しております。当時の議会においても、さまざまな観点から、学力向上が喫緊の課題であるとの認識が示されたところですが、ここ数年の状況を見る限り、県教委の主導のもと、児童生徒に対するきめ細かな学習指導体制等を確立するための、さまざまな取り組みの成果があらわれてきているものと思われます。 私は、義務教育というものは、生きる力を育むための基礎を培う大切なものであると考えますことから、短期的な、目先の成績向上のみにとらわれた対策ではなく、やはり各自治体、各学校におけるしっかりとした取り組みを通じて、教育指導の充実や学習状況の改善が進み、問題の解決力や思考力が養われた上で、児童生徒の成績が伸びるというものがあるべき姿であると思います。 県教委におかれましては、学校、家庭、地域と一体となって、児童生徒、一人一人の確かな学力の定着に向けての取り組みを着実に進めてこられています。その成果があらわれてきている中、もう一歩前に進めるためには何が必要なのか、しっかりとした視点で考えていく必要があります。 この調査結果には、児童生徒が課題を設定し、解決に向けて話し合い、実現する等の学習活動の有用性や、家庭学習の習慣化、生活習慣の改善等の重要性も示されており、それらも、今後しっかりと進めていくべき施策の方向性の一つであると考えます。 そこでお尋ねしますが、県教委は、最近の全国学力・学習状況調査の結果等も踏まえながら、今後、小中学校におけるさらなる学力向上に向けてどのように取り組まれるのか、御所見をお伺いします。 次に、通学区域の全県一区化についてであります。 平成二十八年度から、いよいよ高校の全日制普通科の通学区域が、全県一区となります。私は、中学生が高校を選ぶ際には、可能な限り幅広い学校の中から選択できるようにすべきとの思いから、二十年ほど前から、高校の通学区域を広域的に考えるべきであると、県教委に対して意見を述べてまいりました。そういうこともありまして、従来の二十六学区から現在の七学区への変更、学区外の入学枠の拡大を経て、ようやく来年度から全県一区の実現を迎えるということについて、私自身も、感慨深いものがあります。 二学期も始まり、ちょうど生徒の進路選択や、保護者や学校も含めた進路相談等も本格化してくる時期であると思いますが、県教委におかれましては、中学生がみずからの興味や関心に応じて、行きたい学校を主体的に選ぶことができるよう、魅力ある学校づくりに取り組んでこられたことと思います。 そこでお尋ねしますが、来年度から始まる通学区域の全県一区化に当たり、中学生が今まで以上に広い視野で、学校を選択し、受験できる体制が整えられているのか、お伺いをいたします。 最後に、警察行政についてお尋ねいたします。 県民の安心・安全のバロメーターである、県内における昨年の刑法犯認知件数は八千六百九十五件で、平成十五年以降、十二年連続で減少し、戦後最少の記録を更新するとともに、本年も現在のところ、減少傾向とのことであります。 これはひとえに県警察が、平素から犯罪の捜査はもとより、安心・安全を実現するための防犯的な施策等を展開し、検挙と予防の両面にわたる取り組みを継続してこられた成果であると高く評価いたします。 また、本年六月からは、振り込め詐欺などについて、うそ電話詐欺という、わかりやすいフレーズの浸透を図るなどの工夫を凝らしたPR活動を推進されており、こうした広く県民の防犯意識を高める取り組み姿勢に対しましても、敬意を表するものであります。 しかし、刑法犯の認知総数が減少したとはいえ、残念ながら、安心・安全が以前より増したと認識している県民は多くないように見受けられます。特に、子供や女性、高齢者の方々が被害を受ける事件や、悪質・凶悪な犯罪が一たび発生すれば、御本人や御家族だけでなく、県民生活にも大きな不安が生じてしまうことは明白であります。 こうしたことから、犯人の検挙はもちろんですが、その前に、犯罪を発生させない取り組みを、さらに進めていただくことこそが、県民誰もが治安のよさを実感できる、地域社会の実現につながるものと考えます。 そこでお尋ねいたします。犯罪の起きにくい社会づくりという使命を担う県警察におかれましては、改めて県民の目線に立ち、素早く、きめ細かく、その組織力とリーダーシップを発揮していただきたいと思いますが、今後、安心・安全な社会の実現に向けて、どのように取り組んでいかれるのか、警察本部長の御所見をお伺いいたしまして、代表質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(畑原基成君) 村岡知事。    〔知事 村岡嗣政君登壇〕 ◎知事(村岡嗣政君) 守田議員の代表質問にお答えします。 まず、地方創生についてのお尋ねです。 このたびお示しした山口県人口ビジョンでは、十年後に人口流出と流入を均衡させ、十五年後には若者の結婚・出産等に係る希望出生率一・九を実現し、さらに、その後、合計特殊出生率二・○七を達成することができれば、おおむね五十年後の県人口は百万人程度となり、将来的には人口が安定的に推移すると見込んでいるところです。 こうした将来展望のもと、「山口県まち・ひと・しごと創生総合戦略」では、人口減少の主な要因である社会減を断ち切り、少子化の流れを変えていけるよう、計画期間の五年間に、若者六千人の雇用の場を確保すること、人口の転出超過を現在より半減すること、希望出生率の実現に向け合計特殊出生率を一・六五まで向上させることなど四つの基本目標を掲げ、その達成に向けて諸施策を重点的に進めることとしています。 特に、人口の社会減の抑制のためには若者を県内にとどめていくことが重要であり、その受け皿となる魅力ある雇用の場を創出するため、本県の強みを生かした産業振興や医療・環境等の成長産業の育成、重点的な企業誘致や企業の本社機能の移転、中堅企業の成長や創業支援などに積極的に取り組んでまいります。あわせて、大学や企業などと協働し、大学生等の県内就職割合五○%以上を目指すなど県内定着の促進に努めてまいることとしています。 また、若い世代の結婚や出産などの希望をかなえていけるよう、やまぐち結婚応縁センターによる結婚相談から成婚までの一貫した支援や、全国トップ水準の不妊治療助成、多子世帯への経済的負担の軽減、社会総ぐるみでの子育て支援などに積極的に取り組み、少子化に歯どめをかけていきたいと考えています。 さらに、確かな成果を得ていくために、施策分野ごとに合計百二十二の評価指標を設け、その進捗を図り、PDCAサイクルを徹底することにより、実効ある取り組みを進めてまいります。 私は、地方創生の道筋を示す総合戦略に即し、県議会の御意見もしっかりとお聞きし、また、国の新たな対策とも呼応しながら、思い切った施策を講じ、市町はもとより団体、企業、そして県民の皆様が同じ方向を目指し、オール山口県で果敢に取り組むことにより、人口減少問題を克服し、将来にわたって成長する力を高めていくことができるよう、全力を尽くしてまいります。 次に、産業戦略の推進についてのお尋ねにお答えします。 本県の最重要課題である人口減少を克服し、「活力みなぎる山口県」を実現するためには、地域の活力源である強い産業をつくることが極めて重要です。 このため、産業戦略本部を中心に、指針である「やまぐち産業戦略推進計画」の充実を図りながら、本県の強みを生かす産業戦略を推進しており、国際バルク戦略港湾の計画的な整備、工業用水の安定的な供給体制の構築、医療等の成長分野における研究開発の進展など、着実に成果が上がりつつあります。 こうした中、地方創生を実現していくためには、私は、その推進基盤となる本県産業をより力強いものとしなければならないと考えており、産業戦略の中核をなす、瀬戸内産業の再生・強化や次世代産業の育成・集積を初め、県下全域における農林水産業や観光の振興等について、産業戦略関連予算の効果的な執行や国の政策の活用等により、さらなる成果につなげてまいります。 また、これまでの取り組みにおける課題や企業ニーズ等を踏まえ創設した、お示しの新たなプロジェクトについても早期具現化に努めてまいります。 例えば、コンビナート企業間の連携促進については、港湾等のハード整備に加え、企業のソフト面の連携により国際競争力の強化を図るため、五月に私をトップとする全県会議を立ち上げるとともに、八月以降、岩国・大竹、周南、そして、宇部・山陽小野田の三地域に設置された地元企業の連携検討会議において、人材育成や安全・防災等をテーマとした検討が始まっており、その具体化が進むよう支援することとしています。 また、海外に向けた売り込みについては、海外市場の開拓に挑戦し、世界の活力を本県に取り込むため、ミラノ国際博覧会への出展、ベトナム・ビンズン省への代表団派遣、台湾での総合フェアの開催など、私みずから先頭に立った売り込み活動を、県議会とも連携して展開しており、こうした取り組みと並行し、新たな海外展開方針の策定を、関係機関との連携のもと、年度内を目途に進めてまいります。 今後とも、地域と雇用を支える強い産業をつくるため、成長分野を担う高度産業人材の確保や、首都圏等への戦略的な売り込み等にも取り組みながら、産業戦略本部を中心に、地元産業界のニーズを踏まえた産業戦略を強力に推進してまいります。 次に、観光振興についてのお尋ねにお答えします。 観光の振興は、地域活力の向上や経済の活性化に大きく寄与することから、人口減少や少子高齢化が進展する本県においては、これまでも、交流人口の拡大に向けて、戦略的なプロモーションや国内外に誇れる観光資源の創出などを強力に進めてきたところです。 こうした中、国においては、お示しのアクション・プログラムの中で、訪日観光客の旅行消費の拡大を背景として、観光を、日本経済を牽引する基幹産業に飛躍させるとともに、新たな広域観光ルートなどにより観光客の流れを戦略的に創出し、観光による地方創生を進めることや、住民みずからが地域の価値を再認識し誇りに思う質の高い観光立国を目指すとしています。 本県では、こうした観光への期待が高まる中、明治日本の産業革命遺産の世界文化遺産への登録や、維新ゆかりの四県による平成の薩長土肥連合の設立、また、瀬戸内地域の広域観光周遊ルートの国よる認定や、韓国からの国際連続チャーター便の増便などの新たな取り組みにより、国内外からの注目度が高まってきています。 私は、この絶好の機会を逃すことなく、観光客の誘致を拡大するため、現在、今年度中の制定に向け検討を進めている観光振興に関する条例に、新たな雇用の創出や地域の魅力向上を通じた定住人口の拡大という理念を掲げ、観光振興の取り組みを一層推進してまいりたいと考えています。 具体的には、まず、観光の経済効果に着目し、食やサービスなどの観光コンテンツの高付加価値化や観光人材の育成などを進めることにより、観光産業の活性化を図り、県内経済の好循環につなげてまいります。 また、旅行ニーズが多様化する中、本県への来訪意欲が高まるよう、さまざまな関係者が一体となり、マーケティングに基づく戦略を策定し、その実現に取り組む観光地経営の視点に立った観光地域づくりを促進していきます。 さらに、地域への誇りや愛着に根差した心のこもったおもてなしに県民総がかりで取り組んでいくことにより、観光客と県民双方の感動と満足度を高め、観光地域としての魅力を向上させていきます。 私は、本県観光を取り巻く情勢の変化に的確に対応しながら、市町、観光関係団体、民間事業者及び県民と一体となって、こうした観光による地方創生の取り組みを推進することにより、「活力みなぎる山口県」を実現してまいります。 次に「ねんりんピックおいでませ!山口二○一五」の開催についてのお尋ねにお答えします。 ねんりんピックの開催は、高齢者が活躍できる地域社会の実現を図るとともに、広く健康長寿や生きがいの大切さを再認識する上で、大きな契機となるものであり、また、本県のすばらしさを全国にアピールする大きなチャンスでもあります。 したがって、私は、この大会の成功のためには、高齢者のみならず多くの県民の皆様にこの大会に参加していただくとともに、積極的な情報発信と全国からの参加者を心のこもったおもてなしでお迎えをすることが、何より重要であると考えています。 このため、一人でも多くの県民の皆様が、さまざまな形で大会に参加できるよう、ねんりんピック最多となる二十五種目のスポーツ・文化交流大会を、史上初めて県内全市町で開催するほか、高齢者がみずから企画・運営する地域文化伝承館の開催、運営を支える大会ボランティアや総合開会式のアトラクションへの参加など、県民参加の取り組みを積極的に進めてきたところです。 また、県民の皆様の心のこもったおもてなしで、参加者を温かくお迎えできるよう、クリーンアップ運動や選手団への「おいでませ!」の声かけ運動の推進、総合開会式における地元小学生と選手団との交流、全ての会場におけるおもてなしコーナーの設置などに取り組んでいるところです。 さらには、選手・役員約一万人、観客等を含め延べ五十万人が参加するというこの好機を生かし、本県の多彩な魅力をしっかりと発信するため、総合開会式・閉会式や関連イベントにおいて、本県伝統芸能やNHK大河ドラマ「花燃ゆ」を積極的に活用し、山口らしいイベントを実施するほか、イベント会場への本県観光・物産コーナーの設置、選手団を対象とした独自観光ツアーなども実施することとしております。 大会まであと十九日となりましたが、私は、市町や関係団体と協力しながら、万全の体制を整え、この大会が県民総参加によるすばらしい大会となり、また、山口らしい魅力とおもてなしの心があふれる大会となるよう、全力で取り組んでまいります。 次に、明治百五十年に向けた取り組みについてのお尋ねにお答えします。 三年後の平成三十年には明治改元から百五十年という大きな節目の年を迎える中、改めて、明治維新の歴史的意義や近代日本の歩みを見詰め直し、後世に伝えていくことが重要であり、私は、明治維新胎動の地として、山口県から、明治百五十年に向け国民全体の機運を高めていくとともに、これを契機として交流の拡大を図り、地域経済の活性化につなげることができるよう、取り組んでいく必要があると考えています。 このため、県議会とともに、これまで政府要望やさきの総理来県の際に、まずは、国が主体となり、国家プロジェクトとして、記念式典を初めさまざまな百五十年記念事業に取り組んでいただくことや、維新から今日までの道のりを次代に継承し、広く発信できるような記念施設の整備についても国に求めてきたところです。 今後、記念事業についてはできるだけ早くその実施を決定されるよう、要望活動を強めるとともに、具体的な記念施設については、県立山口博物館のあり方も含め、本県の歴史文化資源の保存と活用、効果的な情報発信や活発な交流促進などの観点から検討を重ね、国への提案を行っていく考えです。 同時に、県内での機運を高めていくことも重要であることから、市町と連携体制を整えた上で、近く開催するシンポジウムを皮切りに、やまぐち幕末ISHIN祭とも連動しながら県全体での取り組みへと広げ、そして、さきに四県で盟約締結した平成の薩長土肥連合での広域的な活動も活用しながら、全国的な盛り上げにつなげていきたいと考えています。 また、平成三十年の開催を目指す全国都市緑化フェアについては、県民の力を結集した緑化活動の新たな展開につながるよう、基本構想を策定し、市町との連携や国との協議などを進め、県内外から多くの皆様を迎えるこのフェアを、明治百五十年の節目に本県の魅力を全国に発信する大きな舞台にしていきたいと考えています。 私は、明治日本の産業革命遺産の世界遺産登録も追い風にし、県議会の御協力もいただきながら、山口県から明治百五十年に向けた取り組みを先導的に進め、国を挙げての力強い動きとなるよう、積極的に取り組んでまいります。 ○議長(畑原基成君) 浅原教育長。    〔教育長 浅原司君登壇〕 ◎教育長(浅原司君) 教育行政についての二点のお尋ねにお答えします。 まず、小中学校における学力向上の取り組みについてです。 次代を担う子供たちに生きる力を育むためには、一人一人に確かな学力を育成することが重要であり、県教委では、市町教委と連携して、指導の充実や学習状況の改善に取り組んできたところです。 こうした中、お示しのように、全国学力・学習状況調査における本県小中学校の平均正答率は、三年連続して全国平均を上回っておりますが、さらなる学力の向上に向けましては、学習内容の確実な定着や学習習慣の確立といった点などに、課題が見られるところです。 また、変化の激しいこれからの社会を生きる上で必要な力を育むためには、子供たちがみずから課題を設定し、解決を図る学習活動をより充実することが重要であります。 このため、全国学力・学習状況調査や本県独自の学力定着状況確認問題を活用した学力向上の取り組みを引き続き推進するとともに、今後は、子供たちが主体的・協働的に学ぶ学習の充実に向け、各種研修会の実施や、すぐれた指導力を持つ学力向上推進リーダー・推進教員の活用などにより、個々の教員の授業力の向上に一層努めてまいります。 また、コミュニティ・スクールの仕組みを活用し、家庭や地域と連携して生活習慣の改善や学習習慣の確立を図るとともに、本年十一月には、学力向上に向けた機運を醸成するため、学校関係者や地域住民を対象とした学力向上推進フォーラムを新たに開催することとしております。 県教委といたしましては、今後とも、市町教委と一体となって、社会総がかりで全国トップクラスの学力を目指す取り組みの充実を図ってまいります。 次に、全日制普通科の通学区域全県化についてです。 県教委では、中学生が自分の興味・関心、能力・適性等に応じて主体的に学校を選択できるよう、お示しのありましたように、通学区域の改善を段階的に行い、平成二十八年度入学者選抜から、全日制普通科の通学区域を県内全域といたします。 全県化に当たりましては、各高校の個性化・多様化を図る特色づくりを推進しながら、学校の魅力をこれまで以上に広く周知する必要がありますことから、昨年度から新たに、中学生や保護者が現在の通学区域を越えて参加できる高校説明会を開催するとともに、ことし七月には、中学生のための学校紹介のウエブページを、全ての公立高校の特色が容易に検索できるよう大幅に改訂するなど、積極的な情報発信に努めてきたところです。 こうした取り組みの積み重ねにより、各高校の特色や通学区域改善の趣旨についての理解を深めた上で、中学校や市町教委とのきめ細かな情報交換等を通して中学校の進路指導の充実を図ってきており、中学生の受験に向けての体制は着実に整ってきたものと考えております。 県教委といたしましては、高校のさらなる特色づくりと情報提供に努め、引き続き、中学生の確かな学校選択を支援してまいります。 ○議長(畑原基成君) 藤村警察本部長。    〔警察本部長 藤村博之君登壇〕 ◎警察本部長(藤村博之君) 警察行政についてのお尋ねにお答えします。 県内の治安情勢は、議員お示しのとおり、刑法犯認知件数が十二年連続して減少するなど、着実に改善していますが、凶悪犯罪の前兆とも見られる声かけ・つきまとい事案や、ストーカー・配偶者暴力事案が依然として多発しているほか、うそ電話詐欺の被害も予断を許さない状況にあり、いまだ、県民が真に安全・安心を実感するまでには至っておらず、こうした県民生活に大きな不安と脅威を与え、深刻な事態が予測される治安事象に的確に対処することが重要であると考えています。 このため、県警察では、これまでの犯罪の総量を抑制するための取り組みにとどまらず、現在の治安事象をきめ細かく分析するとともに、自治体や地域住民、防犯ボランティアなどと連携しながら、犯罪の起きにくい社会づくりに向けて、重層的な防犯ネットワークの構築や地域の防犯意識の向上と抵抗力の強化等に取り組んでいます。 中でも、犯罪等の被害に遭いやすい子供、女性、高齢者を守る対策については、県警察の活動重点の最重点として取り組んでいるところです。 その主な取り組みとしては、子供や女性の安全を確保するため、声かけ事案等不審者情報を認知した場合には、素早く多くの警察官を動員して、行為者を特定し、検挙または警告の措置を講じる、先制・予防的活動を推進するとともに、被害対象に応じた情報発信や防犯ボランティアとの協働による見守り活動などの被害防止対策を推進しています。 また、凶悪犯罪に発展するおそれのある、ストーカー事案などに対しても、被害者の安全確保を最優先に、積極的な検挙と保護対策を講じています。 さらには、高齢者が被害に遭いやすいうそ電話詐欺については、県民に対する被害防止のさらなる啓発を図るため、知事を初め各市長等にも御協力をいただいて緊急メッセージを発信したほか、高齢者を守るためのネットワークを活用した戸別訪問活動を推進するなど、県民総ぐるみによる詐欺撲滅運動を展開しているところです。 県警察としては、今後とも、関係機関・団体等との連携強化を図るとともに、組織の総力を挙げて、治安事象に即応した、きめ細かい対策を推進し、安全・安心な社会の実現に向け、全力を注いでまいります。 以上でございます。 ○議長(畑原基成君) 先城憲尚君。    〔先城憲尚君登壇〕(拍手) ◆(先城憲尚君) 公明党の先城憲尚でございます。 さて、平和安全法制は、六十日ルールを使うことなく参議院でも可決されました。戦後七十年、科学技術の進歩や国際情勢の変化によって、日本の防衛体制には多くのほころびが発生しています。憲法の範囲内であいたすき間を埋め、戦争そのものを発生させない、そういった状況をつくるには極めて重要な法案であります。 にもかかわらず、一部の野党は議論を避け、戦争法案、あるいは徴兵制などと不安をあおるだけのレッテル張りに終始されました。まことに残念でした。もし、法の不備ゆえに不測の事態が発生したら、どう対処するお考えだったのでしょうか。 審議時間を見ても、衆院は百十六時間、参院も百時間で、国論を二分した、あのPKO法案を超え、さらに審議時間の配分を見ると、衆院で与党が一四%に対し野党は八四%、参院でも与党の二三%に対し野党は七七%に上り、野党には十分な審議時間が確保されています。過分と言っていいほどの配慮をしているにもかかわらず、成立阻止へ驚きの戦術に出られたことには、首をかしげざるを得ません。 そもそも誰一人、戦争したい人間などいません。あくまでも備えであり、我々も引き続き経済交流、災害支援、国際貢献活動など、あくまでも対話を基調とした平和外交に取り組んでいくことは言うまでもないことであります。 今、再び平和への行動を決意し、代表質問に入らせていただきます。 まず初めに、地域医療構想の策定についてお尋ねいたします。 団塊の世代が七十五歳を迎える二○二五年に、どのような体制で医療を提供するのかを示す地域医療構想の策定作業が、現在、全国の都道府県で本格化しています。 この構想は、複数の市町村からなる二次医療圏を基本に十年後の医療需要を推計し、必要な病床数を、救急対応の高度急性期、重症患者の急性期、リハビリ患者の回復期、長期療養の慢性期の四つの機能ごとに定めるものです。 現在、全国の医療機関の病床は約百三十五万床となっています。そのうち、高度急性期と急性期を合わせると六割に達しますが、回復期は一割にすぎません。どうも現状とマッチしていないようです。 しかし今後、人口の高齢化に伴い、回復期の病床の需要が伸びると予想される一方で、人口減少等に伴う高度急性期や急性期の病床数削減も議論となるはずです。内閣官房は検討材料として、全国で最大二十万床、四十一の道府県で病床が削減になるとの推計を公表しています。 山口県も例外ではありません。平成二十五年に国が実施した人口推計によりますと、二○一○年、百四十五万一千人であった山口県の人口総数は、二○二五年には百二十七万五千人と一二%も減少するにもかかわらず、七十五歳以上の人口は逆に二十一万一千人から二十七万八千人と三一%も増加する予想となっていることから対応が急がれます。 超高齢化が加速する二○二五年に備え、ニーズに応じた医療体制の再構築は避けては通れない課題です。 ただし、各病床の再編は、病院の経営に直接絡む問題でもあり、都道府県や医療関係者らが協議する地域医療構想調整会議の場で、粘り強く合意を形成する主体的な関与が欠かせません。 そこで、療養病床などは必ずしも医療の必要度の高くない患者も入院していること等を踏まえ、医療の必要度に応じた病床の再編成を行う必要があります。 つまり、医療度の低い病床は、入院患者を退院させずに、老人保健施設や特別養護老人ホーム等の介護施設に転換していく必要がありますし、加えて、在宅療養などの受け皿づくりが不可欠となります。 病床数が不足して、行き場を失う患者が出るようなことがあっては本末転倒です。一部のマスコミには、行き場のない患者が相次ぐと不安視する報道も見られますが、当然ながら、そのような事態があってはなりません。 こうした構想を無理なく実現するために、病床転換等に必要な財源を確保することとし、各都道府県に設置されたのが地域医療介護総合確保基金であります。平成二十七年度、国はこの基金として医療分九百四億円を計上しました。 そこで、三点、お尋ねいたします。 まず第一点目に、二○二五年の医療提供体制を示す地域医療構想は、地域の声に十分に耳を傾け、地域の実情を踏まえたものとすることが重要であると考えますが、山口県ではどのように策定に取り組まれるのか。 第二点目に、二○二五年に必要となる医療提供体制を構築していくためには、医療関係者等と行政が連携し、幅広い取り組みが必要であると考えますが、構想の実現に向けて、山口県では地域医療介護総合確保基金をどのように活用しようとしておられるのか。 第三点目は、国においても、医療と介護の連携が進む中、山口県においても、医療体制の再構築に伴い、病床が不足し、行き場を失う患者が出ることがないよう、介護施設等への転換や、在宅療養の受け皿づくりなど、在宅医療等の体制の構築にどのように取り組むのか、県の所感をお伺いいたします。 続きまして、乳幼児医療費助成制度についてお尋ねをいたします。 この制度は、日本全国の自治体において、昭和の時代から地方単独の事業として実施されてきており、山口県も例外でなく昭和四十八年から導入しています。その多くは、都道府県の事業として市町村と共同で実施されており、国の医療保険制度の自己負担部分を助成するものであります。 近年の傾向としては、少子化対策の一環として、対象年齢の引き上げなどが多くの自治体で進められています。昨九月二日、私の地元、下関市においても、小児科医会は、通院、入院とも医療費の無料化を小学校六年生まで拡充するよう求める要望書を市議会に提出しています。 ところが、こうした地方単独の医療費助成制度に対して、患者の負担金を軽減すれば受診しやすくなるため、いわゆるコンビニ受診が増加し医療費が増嵩する懸念があると考えられています。その波及増加部分については自治体が負担すべきものとされ、税金の公平な配分という観点から、自治体に対し、現物給付方式の場合に限って国民健康保険の国庫負担の減額調整措置がとられています。つまり、国は地方単独の助成事業にペナルティーを科しているのです。 この減額調整措置は、昭和五十九年から実施されているものですが、この間、乳幼児医療助成費等は、事業内容に若干の差はあるものの、全国全ての自治体で実施されるようになったことから、全国の自治体から廃止要求が今なお続けられています。 そのような中、本年二月十八日、参議院本会議代表質問で、公明党の山口代表は、「今後、人口減少問題への意欲的、自発的取り組みを促し、国保の財政運営が都道府県に移行する方向であることに鑑み、こういったペナルティーは見直すべきである」と指摘しました。 また、三月十七日、参議院予算委員会において、公明党の西田参議院議員が、同様の趣旨の指摘を行ったところ、塩崎厚労大臣は、「今後、少子社会における子供の医療のあり方等を検討する場を設け、関係者も交えつつ議論し、しっかり考えていきたい」と答弁しています。つまり、厚労省としても、少子高齢化が進行する中、子育て支援、地方創生、地域包括ケア等の観点から実効性のある施策を行うことが重要であるとの思いを共有しているものと考えられます。 ここで、参考までに、群馬県のデータを示しておきたいと思います。群馬県も、通院医療費無料化の対象年齢拡大に際し、安易な時間外受診が増加する懸念があったため、レセプトにより通常時間帯以外の受診件数を確認したところ、時間外、休日、深夜等の診察が前年比で減少しており、必要以上の頻繁な受診は見られなかったことが判明しています。 さらに、群馬県の小児救急電話相談事業の患者数を見ると、救急電話相談、いわゆる#八○○○番の相談件数の増加に反比例して、小児救急患者の取り扱いが減少していることも判明しています。ちなみに、相談件数は、平成十九年度三千三百五十五件から七年後の平成二十六年度には二万一千八百七十九件に急増していますが、救急患者自体は、この間、二万百九十二人から一万九百六十一人まで大幅な減少となっています。ここにも、ヒントがあるのではないでしょうか。 また、平成二十六年度補正予算で地方創生先行型交付金千四百億円が実行されていますが、金額は大きくないものの、七十四の市町村で、医療費助成の年齢制限の緩和や、通院までの拡大などに活用されており、いかに地方が苦労しているかがわかります。 加えて、平成三十年から国保は都道府県が財政運営の責任主体となることから、県の指導性を発揮すべきときが近づいていますが、七月の二十八日、全国知事会としても地方創生にかかわる緊急要請の中で、「全ての子供を対象にした子供の医療費助成制度を創設するとともに、創設されるまでの間の子供の医療費助成に係る国民健康保険の国庫負担の減額制度の廃止を行うべきである」と決議しています。 国保基盤強化協議会においても、ペナルティー廃止をさらに検討するとしていますし、九月二日には、厚労省の有識者検討会の初会合が開かれ、ペナルティーの見直しを含め、子供の医療費制度について来年夏を目途に報告書をまとめることとしています。 そこでお尋ねいたします。県としても、国における検討状況を見ながら、乳幼児の医療費助成制度のあり方について、検討を進めるべきと考えますが、県の所見をお伺いいたします。 続いて、若者の雇用条件改善についてお尋ねをいたします。 政労使会議の地方版がいよいよ現実のものになりそうです。八月十日の参院予算委員会で公明党の谷合参議院議員が実現を求めたのに対し、安倍総理は「労使を初めとする地域の関係者が集まる会議を設置する検討を進めたい」と明言しました。 そもそも、政労使会議は、政府、労働界、経済界の各代表で雇用環境の改善などを話し合う場です。国レベルでは二○一三年に設置されて以来、着実に企業の賃上げを促してきました。連合が七月にまとめた春闘の最終結果によりますと、定期昇給を含む賃上げ率は二・二%、二年連続で前年同時期を上回っています。 しかしながら、景気回復の効果は家計や地方まで行き渡っているとは言えない状況です。八月十七日に発表された四月から六月期のGDP速報値は、企業業績が過去最高水準であるにもかかわらず、個人消費が振るわず、実質で三・四半期ぶりのマイナス成長になりました。 確かに、賃上げの内訳を見ると、組合員数が千人以上の組合は賃上げ率二・三一%でしたが、九十九人以下の小規模組合は一・七六%と、組織規模によって賃上げの幅に開きがあります。小規模企業が全企業の八六・五%を占める山口県では、東京などの都市圏と比べて景気回復の実感が乏しいのもうなずけます。 こうした点を踏まえ私たちは、政労使会議を各都道府県にも設置し、特に若者の所得拡大や処遇改善をきめ細かく進めるべきだと主張しています。若者の労働条件がよくなれば、都市部への人口流出に歯どめがかかり、結婚や出産などを希望する人の選択肢も広がると見られます。 地方版政労使会議を設ける素地はできつつあります。ことし一月から各都道府県労働局に設けられた働き方改革推進本部は、関係者と協力し長時間労働の削減に力を入れ始めました。 実際、二○○九年には神奈川県がリーマン・ショックに対応するため独自に政労使会議を設け、雇用の維持・創出やミスマッチの解消に向けて合意を取り交わしています。参考までに神奈川県で合意に署名した人は、県知事、神奈川労働局長、県商工会議所連合会などの経済団体の代表、連合神奈川会長となっています。その結果、四千人以上の雇用を生み出すという成果を上げています。 また、長時間労働の改善等も含めて、若者世代の安定的な昇給や子育て世代への重点的な賃金配分など議論する場としての可能性を秘めていると考えられます。 国の主導で賃上げの大きな流れはできました。今度は地方の出番です。地域の実情を誰よりも知る地元の政労使が力を合わせて賃上げ、雇用環境の改善に取り組んでもらいたいし、若者の働き方改革にもつなげてほしいと考えています。 そこでお尋ねいたします。賃上げの流れを地方にも波及させ、若者の所得拡大や処遇改善に向けて、地方が主体となって推進すべきときが来ていると考えますが、県としてどのように取り組まれるのか所見をお伺いいたします。 続いて、マイナンバー制度についてお尋ねをいたします。 いよいよマイナンバー制度がスタートします。来月から各個人にマイナンバーが通知され、来年一月以降、可能な範囲から番号の利用が始まり、同時に、希望される方にはICカードが交付されます。 マイナンバーとは複数の機関にある個人の情報を一元化するためのインフラ、つまり社会基盤です。社会保障や税の効率性・透明性を確保し、利便性が高く公平な社会の実現に向けて、国民全員に固有の個人番号を割り当てる制度です。 そもそも、マイナンバーがつくられるもとになった原点は、社会保険庁が引き起こした消えた年金記録問題にあります。持ち主が判明しない年金が五千万件もあることが二○○七年に発覚し、政権を揺さぶる大問題になりました。 費やした費用は三千八百億円。もし、そのとき、マイナンバーがあれば年金が消えることはありませんでした。 既に、海外のほとんどの国は番号制度があります。自由の国アメリカでも、ヨーロッパやアジア諸国にも古くから番号制度が利用されています。実は、番号制度については、日本は後進国なのです。 しかし、現在では、急激な少子高齢化により、社会保障財源の問題となって、避けては通れない状況です。 さらに、申請主義という行政のあり方も問題です。例えば、地域住民の皆さんが、なぜ役所に行くのかというと、その多くは何かを申請するためです。年金も黙っていてはもらえません。超高齢化社会を考えると、申請主義はもう限界に来ているのではないでしょうか。本来、受けられる行政サービスを知らないために受けられないという人たちを減らすことが大切です。 子供が生まれると保育園はどうするのか、予防接種はいつ受けたらいいか、この悩みはどの部署に相談行けばいいかといったサポートが、将来的にマイナンバー制度で可能になるかもしれません。 韓国の例ですが、自分のスマホに税務当局から「あなたの去年の所得はこうですね。税金は以下のとおりですけど、間違いはありませんか」というメールが届きます。それを見てクリックしたら、もうそれで終わりです。日本も、これぐらいはできるはずです。 また、高齢者がふえると医療や介護の相互乗り入れで、セットで提供することが必要になりますが、その運用にはマイナンバーは欠かせません。 マイナンバーは、導入後、特に、社会保障、税、災害対策の三つの分野を中心に、システム化・自動化が一気に進むものと思われます。 さらに、安全対策についても、住基ネットを超えるシステムを構築しています。 社会保障、税、災害対策等、限られた分野からスタートする、厳しい安全管理のルールと重い罰則を準備する、情報を分散管理する、自分の情報を確認できるポータルサイトを立ち上げるなどなどです。世界では後発組であることを逆に利用することで、日本のマイナンバーは、かなり安全な仕組みを立ち上げています。 以上、マイナンバー制度について述べてきましたが、導入するに当たっては、県が果たすべき役割は何か、十分に検討しておいてほしいと思います。 業務フローの見直し、市町への指導、事務の効率化・電子化、住民からの相談対応、福祉や税務関係機関との連携、警察、人権相談窓口、医療機関などへの協力要請、独自広報の立ち上げ、必要な条例改正、情報セキュリティーの確保、システム改修についての契約金額の適正化などなどが考えられます。 そこで、県は、マイナンバー制度を円滑に導入し、有効な活用をするためにどのような方針で臨まれるのか、お伺いをいたします。 次に、市町におけるまち・ひと・しごと創生総合戦略の推進支援についてお尋ねをいたします。 我が国の未来を左右する人口減少・人口流出の問題が国全体で広く共有されているところとなり、現在、国、地方を挙げて、人口減少に歯どめをかけ、将来にわたって活力ある社会を目指す地方創生の取り組みが進められています。 本県でも、県で総合戦略の最終案の段階に至り、県内各市町においても、企業や団体などとも連携しながら、また地域住民の意見等も聞きながら、総合戦略の策定に向けた取り組みが進められているところです。 そこで、まず、県下各市町における地方創生の取り組みが、国、県としっかり連携したものとなるよう、各市町における総合戦略の策定や地方創生の取り組み推進に対して、県としてどのようにかかわり、支援していくのか。 その上で、地方が地域の実情に応じた取り組みを進めていくためには、やはり財源確保も重要となります。 その中心となるのは、平成二十八年度から創設される新型交付金です。県や各市町がそれぞれの実情に応じて、柔軟に活用できる制度として地方の期待も大きく、先般締め切られた国の概算要求には千八十億円が盛り込まれています。 このほか、国の概算要求を見ますと、新型交付金以外にも、各省庁から二百を超えるまち・ひと・しごと創生関連事業が盛り込まれており、その要求総額は七千七百六十三億円に上っています。これを使わない手はありません。 そのうちの一つだけ紹介しますと、例えば、総務省が提供する地域経済循環創造事業交付金、いわゆるローカル一万プロジェクト。 地域密着型企業の雇用拡大につながる設備投資に対し、五千万円を上限に補助するものであります。残りの費用は地方銀行や信用金庫等の地元金融機関が融資し、無担保無保証などの条件はありますが、一億円の設備投資が五千万円で済めば企業はロケットスタートが可能になります。来年度の概算要求ベースでは本年交付金総額四十億円となっていますが、企業や金融機関、行政が積極的に取り組む地域に補助金は集中しがちで、都道府県や市町村によって大きな開きが出てしまいます。最終的に、総務省としては一万件やろうというものでありますから、早くから取り組みを企業に促すことも大事でありましょう。 この例のように、県はもとより、各市町が国の事業を効果的に活用しながら地方創生の取り組みを進めていくためには、今後の国の平成二十八年度予算に計上されていく各省庁に及ぶ幅広い関連事業の内容を市町が十分に把握し、事業導入の可否についてしっかり検討できるようにしていかなければならないと思います。 そのためには、事業を直接所管する関係省庁は当然のことながら、県としても事業内容の周知・情報提供や導入検討等の支援の面で、調整機能の役割を果たしていく必要があるのではないかと考えますが、県としてどのように取り組まれるのかお伺いをいたします。 最後に、十八歳選挙権への対応についてお尋ねをいたします。 選挙権年齢を現在の二十歳から十八歳以上に引き下げる改正公職選挙法が、去る六月十七日の参院本会議において全会一致で可決、成立しました。さて、十八歳選挙権で選挙はどう変わるのでしょうか。 選挙権を十八歳に引き下げる改正公職選挙法は、成立の翌々日、六月十九日に公布され、施行日は公布から一年後の来年六月十九日となります。 十八歳選挙権の実現で新たに有権者となる十八歳、十九歳の未成年者は、平成二十二年の国勢調査によりますと約二百四十万人で、これは、全有権者の二%に当たり、山口県では二万三千七百八十七人となります。 その後に行われる地方自治体の首長や議会の選挙などでも投票ができるようになります。国政選挙では、来年夏の参院選から実現する見通しです。 さて、海外ではどうでしょうか。百九十一カ国・地域のうち、十八歳までに選挙権を付与しているのは百七十六カ国となっており、九二%に上っています。 日本はかなりおくれていましたが、今回の改正で、ようやく世界水準に追いついたと言えます。 しかし、幾つか課題もあります。高校を卒業したての大学生の多くは、住民票を移動してないケースが多く、選挙の仕組みを理解して投票するには、親子ともども意識を高く持たねばなりません。 また同時に、選挙運動や政治活動も認められるようになりますが、このため改正法の附則には、買収など重大な選挙犯罪にかかわった場合は、少年法の特例措置として成人と同様に処罰されると明記しています。成人の自覚が要求されるのです。 また、若者の投票率を上げるには、若者の一人一人に着目した投票機会の創出や利便性の向上も検討すべき課題でしょう。教育現場でも、多くの配慮が必要になります。 来年の参院選からの実現となれば、来年十八歳、十九歳を迎える現在の高校二、三年生などの未成年者が投票を初体験することになります。クラスの中に有権者と非有権者が同時に存在するという、なかなか複雑な状況でもあります。 また、国政選挙の争点としては、今後も、安全保障や消費税、原子力発電など世論を二分するテーマが予想されます。どのような資料をそろえ、どのように指導すれば政治的中立性が保たれるか、教える側の良識ある判断が求められています。 初めて選挙を経験する高校生など未成年者のために、地域の教育委員会によるガイドラインの作成や、それに基づく学校の自主規制などのルールづくりが焦点となるでしょう。まさに現場の校長や教員が、学校教育の場である点に留意しつつ、高校生の適正な政治活動のあり方を考える必要があります。県教委の新たな指針が期待されています。 このように、十八歳への選挙年齢の引き下げを機に、若者の意識向上や投票率の向上に取り組むときが来ています。我々議員も率先して行動を起こしていかなければいけません。 そこでお尋ねいたします。今回の今の日本が抱える政治課題は若者の未来と直結しています。若者の声に耳を傾け、未来を見据えた政策をつくっていく社会となることが求められている今、十八歳への選挙権年齢の引き下げの実施に向け、県及び県教委はどのように対応される方針なのか所見をお伺いをいたしまして、私の代表質問とさせていただきます。 御清聴大変にありがとうございました。(拍手) ○議長(畑原基成君) 村岡知事。    〔知事 村岡嗣政君登壇〕 ◎知事(村岡嗣政君) 先城議員の代表質問にお答えします。 最初に、地域医療構想の策定についての三点のお尋ねにお答えします。 まず、構想策定に向けた取り組みについてです。 高齢化の進行に伴う医療需要の増大に対応するためには、地域にふさわしいバランスのとれた医療提供体制を構築することが重要であり、その実現に向け、各医療圏に、医療機関、住民、保険者等からなる協議会を設置し、地域の医療提供体制の将来のあるべき姿を示す地域医療構想の策定に取り組んでいるところです。 こうした中、将来の医療提供体制について、より具体的に検討を進めるため、国から示されたデータ等に基づき、医療需要の推計を行ったところ、リハビリ等を行う回復期機能の充実や、長期療養を行う慢性期機能の一部の在宅医療等への移行などが必要であることを示す結果となったところです。 今後、この推計結果等をもとに、各協議会の場において議論を重ねながら、地域で必要とされる医療提供体制とその実現に向けた施策等について検討を進めてまいります。 次に、地域医療介護総合確保基金の活用についてです。 地域で必要とされる医療提供体制の構築を図るためには、医療機関等による自主的な取り組みが不可欠であることから、県では、医療関係者等の意見・要望を踏まえ、昨年度から新たに地域医療介護総合確保基金を活用した事業を実施しているところです。 しかしながら、去る七月の当該基金の国からの内示は、事業費を大幅に下回るものであったことから、全国知事会等を通じ、さらに私みずから国に対して、十分な事業費の確保と、地域の実情を踏まえた柔軟な運用について要望を行ったところです。 今後も、医療関係者等から幅広く事業提案を求め、必要な基金の確保に努めるとともに、これを活用して、病床機能の分化・連携に向けた医療機関の施設設備の整備、在宅医療の推進、医療従事者の確保に関する取り組みを進めてまいります。 次に、在宅医療等の体制の構築についてです。 医療提供体制の再構築を図る上では、介護との連携も踏まえつつ、在宅医療等の受け皿の確保を図ることが重要です。 このため、在宅医療の充実に向け、引き続き、かかりつけ医に対する研修会等により、訪問診療に取り組む医療機関の拡大を図るとともに、医師、看護師、介護支援専門員等の多職種の連携会議の開催など、医療と介護の連携体制づくりを推進してまいります。 また、お示しの療養病床から介護施設等への転換については、現在、国において、療養病床のあり方についての検討が行われていることから、この動向を注視し、医療・介護関係者等の意見を踏まえ、患者がその状態に応じて、地域で安心して療養を受けられるよう、必要な支援等の検討を行ってまいります。 私は、こうした取り組みを通じて、医療機能の分化・連携、在宅医療等を推進し、将来にわたって持続可能な、効率的で質の高い医療提供体制の構築に取り組んでまいります。 次に、乳幼児医療費助成制度についてのお尋ねにお答えします。 本県の乳幼児医療費助成制度は、乳幼児を安心して育てることができるよう、国の医療保険制度を補完し、一定の福祉医療の水準を確保するため、市町と共同して、医療費の自己負担分に対する助成措置として創設したものです。 制度を創設して以来、社会情勢の変化や県民のニーズ等を踏まえ、子育て支援の観点から、逐次、その内容の充実を図ってきましたが、非常に厳しい財政状況の中、将来にわたって持続可能な制度とするため、給付と負担のバランスなど制度のあり方を見直し、三歳未満児を無料とした上で、中国地方で最も低額な一部負担金を平成二十一年度に導入し、現在に至っています。 このような子供の医療費助成は、全国の地方自治体において、それぞれ単独事業として実施されているという状況を踏まえると、私は、抜本的な少子化対策の一環として、子育ての経済的負担を軽減する観点から、国が統一的に実施すべきであると考えています。 このため、全国知事会や日本創生のための将来世代応援知事同盟を通じて、国に対して子供の医療費への新たな助成制度の創設を要望するとともに、お示しの国民健康保険における国庫負担の減額調整措置を速やかに廃止をするよう要望を行っているところです。 こうした中、国においては、今月、検討会を設置し、子供の医療費の自己負担のあり方や国保の国庫負担のあり方など、子供の医療分野において幅広い議論を開始したところであり、来年夏ごろを目途に報告を取りまとめるとされています。 私としましては、今後の国の検討状況を踏まえながら、現行の乳幼児医療費助成制度の維持を基本とし、引き続き国における制度の創設などについて要望してまいります。 次に、若者の雇用条件改善についてのお尋ねにお答えします。 私は、本県の最重要課題である人口減少問題を克服し、将来にわたって活力ある社会を築いていくためには、若い世代の人口流出を食いとめることが必要であり、そのためには、強い産業を育て、新たな雇用を創出し、その雇用の場を生かして、就業段階の若者を本県にとどめるとともに、県外へ進学した若者の県内就職や幅広い世代のUJIターン就職を促進していくことが重要であると考えています。 お示しのように、国においては、景気回復の動きを経済の好循環へ確実につなげるため、一昨年九月に経済の好循環実現に向けた政労使会議を設置し、賃金上昇に向けた取り組み、中小企業等の事業革新や設備投資等を促進する取り組みなどについて、政府、労働界、経済界が協力して取り組んでいくことが合意され、今春の賃上げの労使交渉の結果、引き続き賃金が引き上げられるなど、成果を上げているとされています。 お尋ねの若者の所得拡大や処遇改善を進めることは、若者の定住の促進につながるものであることから、県においても、まず、五月の求人確保促進月間には、私を先頭に、県内企業を訪問し、新規学卒者の正規採用枠の確保やワーク・ライフ・バランスの推進について要請を行ったところです。その結果、企業の採用意欲の高まりとも相まって、県内のハローワークで受理した来春の新規高卒者への求人数は、八月末現在、十八年ぶりの高水準となっています。 また、労使の代表者と学識経験者で構成される山口県労働審議会において、若者の処遇改善等について意見交換などを行うとともに、本年一月に山口労働局が設置した働き方改革推進本部に労使の代表者と県が参画し、長時間労働を前提としたこれまでの労使慣行を変え、所定外労働時間の短縮や休暇の取得などが進むよう、企業・団体に対し積極的に働きかけているところです。 こうしたことから、私は、お示しの地方版政労使会議については、国の動向を注視しながら対応してまいりますが、若者の処遇改善等の促進に向けては、引き続き、これらの審議会等の場を活用して関係機関への働きかけを強めることとし、一人でも多くの若者が県内企業に就職し、本県産業を支える人材として活躍できるよう、積極的に取り組んでまいります。 次に、マイナンバー制度についてのお尋ねにお答えします。 社会保障・税番号制度、いわゆるマイナンバー制度は、現在その対象とされている社会保障や税、災害対策の分野での社会基盤となる国家的な制度です。 したがって、その導入に当たっては、国において、個人情報の漏えいや不正利用に係る国民の不安を払拭し、制度への信頼を確保することが重要であり、これまでも、全国知事会等を通じ、不断の検証を重ねた個人情報保護方針の確立と、制度の安全性や信頼性に関する国民への丁寧かつ十分な説明を国に求めてきたところです。 また、制度の円滑な導入のためには、何よりも国民の十分な理解が不可欠であることから、国においてしっかりと対応していただくことが必要であり、同時に、県としても、国と連携し、県民や事業者への広報を行うとともに、各市町を対象とした説明会の開催等により、その体制整備を支援しながら、市町と協働し、県民への相談対応にも努めています。 さらに、来年一月に迫った制度の利用開始に向けて、県においても、個人番号を利用する事務の実施者として、また、特定個人情報の管理・提供を行う役割を踏まえ、必要な条例の改正や既存システムの改修、新たな業務フローの作成や手続の簡素化・効率化の検討など、鋭意諸準備を進めているところです。 これらに加え、平成二十九年七月からは、国と地方との情報連携が開始される予定であり、これに伴う新たなシステムの構築を進める必要があり、今後、社会保障や税などの各種システムとの連携テスト等も行いながら、運用面や安全面での確認を重ね、適切な実施体制を整えていくこととしています。 このような中、マイナンバー制度は、今後、さまざまな分野での活用が広がるものであり、既に、国においては、現行の社会保障、税、災害対策以外の行政分野での活用や、民間利用等についても検討が進められており、県としても、その動向等を注視し、また、個人情報の保護と制度の安定的な運営に万全を期していきながら、さらなる活用方策について検討を重ねていきたいと考えています。 私は、こうした考え方のもとで、マイナンバー制度が県民生活を支える確かな社会基盤となるよう、国、市町と一層緊密に連携しながら、制度の円滑な導入と有効な活用に取り組んでまいります。 次に、市町における総合戦略の推進支援についてのお尋ねにお答えします。 人口減少を克服し、地方創生の実現をなし遂げていくためには、県と市町が認識を共有しながら、地域課題の解決に向け、同じ方向を目指し、総力を挙げた取り組みを進めていくことが重要です。 このため、今後の地方創生の道筋となる総合戦略については、市町長と直接意見交換する場や、県と市町との連絡会議の開催等を精力的に行うなど、それぞれの総合戦略の策定段階からしっかりと連携を図るとともに、各市町が設置する地方創生推進組織へ県職員を参画させることなどにより、県の取り組み状況や新たな国の事業・制度等について情報提供や助言などに努めてきたところです。 県としては、市町の総合戦略の策定に向け、引き続き必要な支援を行うとともに、具体的な施策の推進に当たっても、県内への移住・定住の促進、子育て環境の整備、中山間地域でのやまぐち元気生活圏の形成促進などの施策分野で、市町との連携をさらに深めながら、実効ある取り組みを進め、確かな成果に結びつけていきたいと考えています。 また、こうした総合戦略に即した地方創生の主体的な取り組みを継続的に進めるためには、地方での財源の確保が不可欠であり、国においては、所要の財政措置を講じていただいた上で、地方はそれを積極的に活用していく必要があると考えています。 こうした中で、平成二十八年度の国の概算要求において、地方創生に係る新型交付金の創設が事項要求ではなく金額を明記して要求されたことは、地方の要望に応えるものとして評価できるものであり、私は、来年度の国の予算化に向け、県や市町が創意工夫を発揮した自主的な取り組みを一層進めることができるよう、柔軟に活用できる制度設計や、その規模のさらなる拡大などを、引き続き国に求めていく考えです。 また、お示しの地域経済循環創造事業などの各省庁での地方創生関連事業についても、地方がより使いやすいものとなるよう、さらなる改善を国に要望するとともに、こうした国の見直し状況なども注視しながら、多岐にわたる事業内容の詳細な把握を行い、市町への導入支援に努めていきたいと考えています。 私は、こうした考え方のもと、市町がそれぞれの総合戦略に基づき、地域の実情に即した先駆的な取り組みが進み、地方創生に向けた力強い動きをつくり出していけるよう、市町の取り組みをしっかりと支援してまいります。 ○議長(畑原基成君) 中村選挙管理委員長。    〔選挙管理委員長 中村正昭君登壇〕 ◎選挙管理委員長(中村正昭君) 十八歳選挙権への対応についてのお尋ねにお答えします。 私は、このたびの公職選挙法の改正により、選挙権年齢が十八歳以上に引き下げられ、諸外国においては十八歳以上の国が多い中、我が国においても十八歳と十九歳の方の声が政治に反映されることとなりましたことは、大変意義深いものであると考えております。 この選挙権年齢の引き下げに向けては、広く国民にその意義が浸透するよう周知啓発を行うとともに、新たに選挙権を有することとなる高校生や大学生など若年層の政治意識の向上に取り組むことが重要です。 このため、県選挙管理委員会としては、国や市町とも連携しながら、広報誌等各種媒体を活用して周知啓発を行うとともに、県教育委員会等と連携し、高校生を対象に、選挙の意義や重要性の理解を深めるために、今年度も実施している出前授業を、今後も拡大をし、あわせて、本県独自の取り組みである青年法政大学を、大学生を重点に開催するなど若年層の政治意識向上に積極的に取り組んでまいります。 また、新たな有権者が確実に選挙権を行使でき、かつ、選挙違反を犯すこととならないよう、お示しの住民票の移動を含む選挙の仕組みや、重大な選挙犯罪にかかわった場合の少年法の特例措置などの選挙のルールについて、県選管ホームページに掲載するとともに、大学など関係機関と連携しながら、周知徹底を図ってまいります。 さらに、お示しの投票機会の創出や利便性の向上を図ることも、若年層の投票率向上に向けた取り組みとして重要です。 このため、山口市において実施している、若年層が集まる商業施設や大学に期日前投票所を設置する取り組みが県内に広がるよう、引き続き、設置権限のある市町選管に助言するなど、投票環境のさらなる向上に努めてまいります。 県選管としては、引き続き、一人でも多くの方、とりわけ、新たな有権者が投票に参加されますよう、選挙啓発と投票しやすい環境づくりにしっかりと取り組んでまいります。 ○議長(畑原基成君) 浅原教育長。    〔教育長 浅原司君登壇〕 ◎教育長(浅原司君) 十八歳選挙権への県教委の対応に関するお尋ねにお答えいたします。 選挙権年齢が満十八歳以上に引き下げられることとなり、国政選挙では、来年夏の参議院議員選挙から高校三年生の一部が有権者となる見通しでありますことから、高校生等の主権者としての自覚と社会参画の力を育む主権者教育の一層の充実が急務となっております。 このため、国においては、高等学校における政治的教養に関する教育や、生徒の政治的活動に関する取り扱いを示した昭和四十四年の通知の見直しを進めるとともに、高校生向けの主権者教育の副教材及び教師用指導資料を作成し、近く公開する予定と聞いております。 こうした中、県教委においても、各学校が教育の根底にある政治的中立性をしっかりと押さえながら、主権者教育を積極的に推進できるよう、今後出される国の通知や副教材等の内容を踏まえて、主権者教育の効果的な手法や授業の進め方、政治的中立性の確保などの留意事項、生徒の政治的活動の取り扱いなどを内容とする指針を示すことが必要であると考えており、現在、庁内の関係各課等で協議し、本年度中の作成を目途に検討を進めているところであります。 また、公民科の授業等において、我が国の民主政治や議会の仕組み、政治参加の重要性や選挙の意義などについて理解を深めるとともに、県選挙管理委員会等との連携による実効性のある取り組みを進めることにより、高校生の主権者としての自覚を促してまいります。 さらに、地域社会におけるボランティア活動、地元企業におけるインターンシップなど、キャリア教育や地域と連携した教育活動の展開により、高校生の社会参画意識を喚起していくこととしております。 県教委といたしましては、高校生の政治への興味・関心を高めることはもとより、山口県の未来を担う子供たちが社会の中で自立し、他者と連携・協働しながら、生涯にわたって生き抜く力や地域の課題解決に主体的に取り組むことができる力を身につけられるよう、今後とも、主権者教育の一層の充実を図ってまいります。   ─────────────
    ○議長(畑原基成君) この際、暫時休憩いたします。再開は、午後一時の予定でございます。    午前十一時四十九分休憩   ─────────────    午後一時開議 ○副議長(塩満久雄君) 休憩前に引き続き会議を開きます。   ───────────── △日程第一代表質問 △日程第二議案第一号から第十三号まで ○副議長(塩満久雄君) 日程第一、代表質問を行い、日程第二、議案第一号から第十三号までを議題とし、質疑の議事を継続いたします。 橋本尚理君。    〔橋本尚理君登壇〕(拍手) ◆(橋本尚理君) 私は、自由民主党新生会の橋本尚理でございます。平成二十七年九月定例会に当たり、会派を代表いたしまして質問をさせていただきます。 質問に先立ち、二点、所感を申し述べさせていただきます。 まずは、昨日閉会されました第百八十九回通常国会では、九十五日間という戦後最長となる会期の延長がなされ、民主主義のルールを遵守した上で十九日未明に、参議院で、安全保障関連法案が可決され、成立をいたしました。 この法律は、一部の方々が声高に騒いでいる戦争法ではなく、平和安全法であり、国際平和支援法であることを、まずは、県民の皆様に誤解を与えないよう、改めて強く申し上げておきます。 私も、大いに関心がありましたので、一連のテレビ報道を見ておりましたが、法案成立阻止を狙う野党議員の方々がとられた行動が、余りにも稚拙で、これは子供たちにはとても見せられるものではないなと寂しくて悲しい気持ちになってしまいました。 国家の独立を維持するためには、経済力と軍事力、この二つが不可欠な絶対条件であります。 このたびの安全保障関連法の制定は、集団的自衛権を限定的とはいえ認めたことにより、日米同盟がより一層強固なものとなり、結果として、国際ルールを無視し、覇権主義に突き進む国々への大きな抑止力となり、これから先、終戦後百年に至るまで我が国の独立と平和を守り続けていける一つの大きな担保を確立したと言えるのではないでしょうか。 これでやっと、日本が普通の国に一歩近づくことができました。これからは我々自由民主党結党以来の党是である自主憲法制定に向け、さらなる歩みを安倍総理総裁の強いリーダーシップのもとに進めていかなければならないと、今、改めて強く覚悟をいたしているところであります。 もう一点、先般、県教委は、来年度から県立高森みどり中学校と下関中等教育学校で四年間使われる歴史及び公民の教科書に育鵬社を採択されました。これらの教科書は、伝統ある防長教育に最もふさわしく、何ら政治的な偏りのないすばらしい教科書であります。 四年前の岩国・和木採択区に続き、県立中学校及び防府市でも採択され、来年度から県下二十九校の新入生に無償配付されることとなります。県教委の正当なる御判断に心からなる敬意と感謝を申し述べさせていただきます。 それでは、通告に従い順次質問をさせていただきます。 知事はこのたび、本県人口の将来展望を示す山口県人口ビジョンを策定されました。その中で、基本的視点の一つに、社会減の流れを断ち切るため、人口の県外流出抑制と県内回帰を実現するとされておられます。 そこで、県外流出を抑制し県内回帰を実現するためには、何より、雇用の場の確保であるとの思いから、まずは、若者の雇用の場の確保についてお尋ねをさせていただきます。 近年、本県では、県外転出者が県内転入者を上回る、いわゆる社会減の状況が続いており、特に若年層の人口流出が深刻な問題となっております。平成二十六年の総務省統計によりますと、五歳階級では、二十歳から二十四歳までの区分が最も悪く、県全体で二千二百九十三人、次いで、十五歳から十九歳の区分が六百十三人の転出超過となっていることからも、本県では、高校卒業あるいは大学卒業の年齢に当たる若年層が、社会減の過半を占めていることが推測できます。 特に、岩国市では、十五歳から十九歳の区分の転出超過が、県内市町で最も多く、唯一百人の大台を超え二百十三人となっております。このことから、高校卒業時点での県外流出という点においては、岩国市は県内で最悪の地域となっているのであります。 県は、これまでも、若者の県内就職の促進を図るため、県内企業と若者との結びつきの強化を目的とした積極的な情報提供を通じて、地域や業種による雇用のミスマッチの解消等に努めてこられ、高校生の就職内定率も高水準を取り戻してきております。 しかしながら、個々人の立場にあっては、高校卒業時点での就職が難しいケースや、将来の展望が決め切れない場合など、若者が安易に県外進学を選択している実態は以前から指摘されているところであり、こうした潜在的な需要を含めれば、我が県においては、若者の就職先が十分に確保できているとはとても言えない現状であると言わざるを得ません。 先日、知事は国に対し、三つの政府関係機関の山口県内への移転に向けた提案をなされました。このうち、防衛省技術研究本部艦艇装備研究所は、岩国市への移転を目指すものであり、職員やその家族といった人口転入のみならず、関連民間企業の集積が促進されるものと大いに期待しております。 私は、知事の提案を高く評価するとともに、若者の流出が県下最悪となっている岩国地域において、若者の就職の場を確保するという観点からも、非常に大きなチャンスであり、ぜひとも実現させたいと願うところであります。 そもそも岩国市には、自衛隊及び米軍基地が共存しているというプラス要素があります。今後見込まれる空母艦載機部隊の米軍岩国基地への移駐についても、とかく負の側面ばかりが強調されますが、過去私が何度も議場で申し上げてきましたように、岩国には基地があるゆえに、大きな経済効果が期待でき、基地関連の民間企業等の誘致を推進するには、他地域にはない優位性があると言えるのではないでしょうか。 さらには、岩国市に限らず、県下の他地域においても、こうした隠れた優位性や潜在的な需要というものが見過ごされているのではないかとの懸念も私は抱いております。 そこでお尋ねをいたします。人口減少問題を克服していくためには、若者の雇用の場を確保し、若年層の人口流出を食いとめることが重要であり、それぞれの地域が持つ優位性を最大限に生かして地域間競争に勝ち抜き、企業誘致をさらに強力に推進していくことが求められますが、今後、どのように若者の雇用の場の確保に取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、中山間地域の振興についてお尋ねいたします。 山口県は、人口の減少や高齢化が全国に比べても速いスピードで進んでおり、とりわけ、県土の七割を占める中山間地域においては特に深刻であり、産業活動の低迷や深刻な担い手不足、耕作放棄地の増大、鳥獣被害、さらには集落単位での地域活動の維持が困難になりつつ地域も生じております。 こうした中、国においては、地方創生に関する今後の方向を取りまとめた、まち・ひと・しごと創生基本方針二○一五の中で、中山間地域の振興について、小さな拠点の形成に向けた将来像の合意形成を図り、集落生活圏において必要な生活サービスの提供、収入を得るための事業が、将来にわたって継続できる持続的な仕組みを構築することと示されております。 一方、本県においては、基幹的集落を中心とする複数集落で構成する、やまぐち元気生活圏の形成を目指し、取り組みを本格的にスタートされているほか、地域資源の活用等による新たなビジネスの創出や地域が取り組む事業者の誘致を支援するなど、底力のある地域づくりを進めておられます。 また、このたび公表された、本県版総合戦略の最終案においても、基本目標に、持続可能で元気な地域社会の形成を掲げ、活力ある中山間地域づくりを今後もしっかりと推進する内容となっており、県の取り組みに大いに期待をするものであります。 中山間地域の活力のある地域社会を次代に継承していくためには、市町や地域としっかり連携・協働を行った上で、集落機能の維持活性化や安心して住み続けることができる生活環境の整備、さらには、地域の資源や特性を生かした多様な働き口の定着支援について、国が進める地方創生の動向を踏まえながらも、県として積極的に取り組みを加速化していくことが重要であると考えております。 そこでお尋ねをいたしますが、国、地方を挙げた地方創生の取り組みが本格化する中、県は、中山間地域の振興を今後どのように進めていかれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、児童虐待の防止対策と社会的養護の充実についてお尋ねいたします。 近年、子供への虐待が深刻の度合いを増しております。本県における児童虐待への相談対応件数は、平成二十六年が二百七十件で、近年横ばい状態で推移はしておりますが、決して少ない数字ではありません。 また、県内における虐待内容の内訳を見ると、全体の四○%に当たる百八人が心理的な虐待を受けており、一昨年の同期より四十人増加しております。心理虐待の中でも特徴は、DVが子供の前で行われる面前DVが最近急増しているそうであります。そのほかにも、身体への虐待が七十九人、育児放棄などネグレクトが七十六人と、状況を看過することはできないのであります。 こうした中、ことし七月から子供たちや子育てに悩む保護者のSOSの声をいち早くキャッチすることができるよう、二十四時間体制で「いちはやく」相談を受け付ける全国共通の電話番号「一八九(いちはやく)」の運用が始まりました。 一八九とプッシュしますと、近くの児童相談所につながり、家族や近隣住民など虐待の可能性を感じた人による通報や、子育てがつらくて子供に当たってしまうと悩む保護者からの相談に対し、職員が即座に対応されます。番号も覚えやすく、利用しやすくなり、非常によいことであるとは思いますが、一方で、相談件数がふえることが予想されます。 そこで今後は、相談件数の増加に対処できるよう、児童相談所の相談受け付け体制や相談内容に適切に対応するための関係機関との連携、さらには、平日・休日、昼夜間を問わず迅速な緊急対応ができる体制が、十分に図られる必要があると考えられます。 さて、虐待を受けた児童は、児童養護施設などの施設や里親に預けられ、養護と生活などの援助を受けることになります。 私は、被虐待児は、より家庭に近い少人数の雰囲気の中で生活することが重要であり、特に、家庭的なぬくもりの中で育つことができる里親委託の推進は、非常に大切であると常々訴えております。 私が知る里親の方にも、本当に頑張っておられる方がたくさんいらっしゃいます。同時期に複数の子供を預かり、子供の年齢や特徴がそれぞれ異なる中、その特徴に合わせ、親身に対応される里親には、心から敬服いたすところでありますが、御苦労話もよく耳にします。 児童養護施設がない地域では、乳幼児など一時保護された児童を、里親が預かることも少なくなく、特に大変であるとのことであります。この話を聞き、これからは里親に対するケアが、今以上に必要であると痛感をいたしております。 里親の存在は、地域の福祉に欠かすことはできません。今後は、こうした頑張る里親の数をふやし、里親委託を進め、さらには、児童養護施設の小規模化を進めていくことが、虐待など、家庭において適切な養育を受けることができない不幸な子供たちを、社会が公的な責任のもとで育てるという社会的養護を進める上で、重要であると考えます。 そこでお尋ねいたしますが、県では、児童虐待をなくし、また虐待を受けた子供を含む全ての子供たちが、より家庭的な養育環境で育つことができるよう、児童虐待防止対策と社会的養護の充実にどのように取り組まれているのか、お伺いいたします。 次に、循環型社会の形成についてお尋ねいたします。 私たちの生活は、少なからず、環境へさまざまな影響を及ぼしています。とりわけ、世界における廃棄物の発生量については、経済成長や人口増加に伴って、二○五○年には、二○一○年の二倍以上になるとの見通しもあります。 このような状況の中、我が国では、かつての大量生産・大量消費・大量廃棄型の経済社会システムから、天然資源の消費を抑制し、環境への負荷をできる限り減らした循環を基調とするシステムに変革を遂げようとしています。 本県においても、平成十六年に循環型社会形成推進条例を制定し、県民、事業者、関係機関等との連携・協働による先駆的な取り組みを展開されてきたところであります。 中でも、ごみ焼却灰をセメント原料としてリサイクルする仕組みの導入は、本県の産業特性を生かした全国にも誇れる取り組みとなり、一般廃棄物のリサイクル率を全国トップクラスに押し上げているほか、レジ袋の無料配布の中止、食品ロスの削減、使用済み小型家電の回収など、リデュース、リユース、リサイクルの三Rの取り組みも着実に成果を上げておられます。 また、安全で信頼性の高い公共関与による広域の産業廃棄物最終処分場を宇部市と周南市に整備され、廃棄物の適正処理の推進だけでなく、県内における事業活動の下支えになっておりますが、県内産業の振興を図りつつも、限りある資源を可能な限り循環させ、より一層最終処分量を削減していくことが、これからの我々に与えられた責務ではないでしょうか。 現在、県では、山口県循環型社会形成推進基本計画の改定作業に着手されており、知事も、県政の指針となるチャレンジプランの中で、これまでの取り組みを継承しつつ、加えて資源循環型産業の育成といった新たな視点からの施策も盛り込んでおられます。 そこでお尋ねいたしますが、山口県循環型社会形成推進基本計画の改定に当たり、これまでの取り組みの成果等も踏まえ、今後、循環型社会の形成にどのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、豊かな森林づくりについてお尋ねいたします。 昨年八月の豪雨災害では、岩国市において死者二名、多数の土砂崩れなどの被害がありました。また先日、関東・東北地方を襲った豪雨では、鬼怒川が決壊するなど、住宅や田畑に非常に大きな被害をもたらしました。まずもって、被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。 本県では、ことしは大きな災害は起きておりませんが、近年の異常気象により、災害はいつどこで起こってもおかしくない状況であり、あすは我が身でございます。 さて、大雨による土砂崩れを防止するには、砂防ダムや急傾斜地対策、治山ダムなどハード施策が有効ではありますが、山そのものを災害に強くする施策を講じることも重要であると考えられます。 そうはいっても、全ての山をコンクリートで覆うわけには到底いきません。大雨を吸収し、そして保水をし、ゆっくりと河川に流すという森林の持つ機能を最大限に発揮させる山を育てることが必要なのであります。 かつて、日本の山には、森林がほとんどなかったため、大雨が降ると、雨水はそのまま山肌を一気に流れ、麓に大きな被害をもたらしていました。そこで、終戦後、復興と建築資材の調達のためにと、国を挙げて山に杉やヒノキを植林してまいりました。結果、森林は、緑豊かな景観をもたらし、土壌の崩壊を防止するなど、国土の保全に寄与してきたのであります。 しかし、その後五十年余り、安価な輸入木材の普及や、住宅着工数の減少などにより国産材の需要は激減し、今では、全国的に伐採期を迎えた木が活用されずに放置された荒れ山や、伐採された後も植樹されていない山が多く見受けられ、本県もその例外ではありません。 適切な管理をされずに荒廃した山は、水源涵養機能を失い、防災機能が著しく低下した山となり、木を伐採しても再度植樹しないと、水害の頻発する山となってしまいます。 森林資源を有効に活用しながら、再植林による循環システムを構築すると同時に、森林環境を保全し、災害に強い森林を維持しなければならないのであります。 そこでお尋ねいたしますが、森林は、災害被害の軽減はもちろんのこと、地球温暖化防止や県土の保全に重要な役割を果たします。今後、豊かな森林づくりにどのように取り組んでいかれるのか、お伺いをいたします。 次に、世界スカウトジャンボリーについてお尋ねをいたします。 第二十三回世界スカウトジャンボリーが、七月、きらら浜にて開催されました。百五十五の国と地域から約三万四千人が参加したこの大会は、皇太子殿下の行啓を賜り、好天にも恵まれて成功裏に終わりました。 私も、開会式に参加しましたが、やはり聞くと見るとでは大違いでありました。三万人を超える若者を目の当たりにしたとき、彼らのエネルギーに圧倒され、まさに、世界規模の大会が山口県で行われていると強い感動を覚えたのであります。 県内十九市町で企画された地域プログラムや、県内全ての学校への訪問により、各国のスカウトが、多くの県民との交流を深め、日本の伝統文化を通じたさまざまな国際交流が展開されたと聞いております。 また、県主催の国際交流イベント、やまぐちジャンボリーフェスタにも、国内外から多くの来場者があり、国籍や言葉の壁を越えての国際交流が行われ、中でもボランティアスタッフとして、会場内の案内等を行うおもてなし隊に、延べ六百人が、スカウトとの交流を助ける語学ボランティアには、一千人を超える方々が参加され、まさに県民の力、地域の力が発揮されたすばらしい大会になったと確信をしております。 ここで、世界スカウトジャンボリーの誘致に御尽力いただきました、村上元県教育委員会委員長に心からお礼を申し上げさせていただきます。 さて、私は、この大会にかかわった一人一人の若者が、それぞれに感じ取ったものを、これからの時代を力強く生き抜く力へとつなげていく必要があると考えます。 この大会の成功により、青少年の国際理解と健全育成を通じたグローバル人材の育成はもちろんのことですが、郷土への誇りや愛着、さらにはさまざまな形で結実した県民力は、今後、地域の教育力として、本県の教育振興に大きな力になるものであり、これらの成果を大切に継承していくことこそが重要だと思います。 そこでお尋ねをいたします。教育長は、このたびの世界スカウトジャンボリー開催の成果をどのように総括し、それを次代に継承しながら、本県教育の推進にどのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 最後に、暴力団対策についてお尋ねをいたします。 暴力団などの反社会的勢力をめぐっては、神戸市に総本部を置く、指定暴力団山口組の分裂問題が、今、取り沙汰されています。 山口組から脱退した十四の団体が、新たに神戸山口組として、その発足を宣言する文書を発出したことが報じられるなど、双方がその組織強化や、活動資金の獲得などをめぐり、対立を深めていくことが懸念されています。 こうした中、警察庁は、暴力団の対立抗争に無関係な市民が巻き込まれることのないよう、情報収集と警戒活動を徹底すること、さらに、これらの組織による違法行為の取り締まりを強化することなどを、全国の都道府県警察に対して指示をしたとのことであり、県警察にとりましても、新たな局面を迎えたものと拝察いたします。 県警察においては、昨年も、暴力団構成員等による薬物犯罪、暴行・傷害事件の被疑者を多数検挙しておられるほか、いわゆる暴対法なども適用し、暴力団への資金源を断つための取り締まりを推進され、事業者等と連携して、暴力団を排除する地域基盤の確立に向けた取り組みも進められているとのことであり、大変心強く感じるとともに、こうした情勢の中でも、効果的な対策を素早く講じていかれるものと期待をしております。 しかしながら、多くの県民にとっては、このたびの山口組の分裂騒動が、生活にどのような影響を及ぼすのか予測しがたい事態であり、暴力団の動きが活発になることによる治安の悪化や、それに伴う県民の不安が一層大きくなることが懸念されています。 それだけに、県警察には、こうした県民の不安を早期に払拭することが求められており、県民の安心・安全の確保を最優先に、暴力団に対して、毅然たる取り締まりと封じ込めに向けた取り組みを、これまで以上に強力に推し進めていただきたいと願うものであります。 そこでお尋ねをいたします。県警察は、山口組の分裂騒動による県内への影響をどのように認識されておられるのか、あわせて今後、暴力団の壊滅と県民の安全確保に向けてどのように取り組んでいかれるのか、警察本部長に御所見をお伺いいたします。 終わりに、先日、私は、知事・議長ともどもベトナム訪問団に参加をいたしました。その折、ホーチミン市の戦争証跡博物館、戦争記念館を視察いたしました。ベトナム戦争時の悲惨で目を覆いたくなるような写真や資料を数々見るにつけ、私たちは、二度と戦争を起こしてはならないと、かたく誓ったところであります。 そこで、二十代のベトナム人女性に、「四十年前の戦争で枯葉剤を初めこのようなひどいことをしたアメリカをあなたは今でも恨んでいますか」と尋ねましたところ、彼女は「いいえ、私たちはアメリカを恨んでいません。今、アメリカは、私たちベトナムに大変な支援をしてくれています。私たち戦争を知らない世代は、むしろアメリカに感謝をしています」と笑顔で答えてくれたのであります。 さまざまな主義・主張を持たれる全ての人々に、彼女のこの一言一言を深くかみしめ、いま一度熟考していただき、我が国の戦後に区切りをつけ、よりよき未来を切り開いていただきますようお願いを申し上げまして、私の代表質問を終わらせていただきます。 御清聴まことにありがとうございました。(拍手) ○副議長(塩満久雄君) 村岡知事。    〔知事 村岡嗣政君登壇〕 ◎知事(村岡嗣政君) 橋本議員の代表質問にお答えします。 まず、若者の雇用の場の確保についてのお尋ねです。 お示しのとおり、本県においては、若者の流出などによる人口減少が大きな課題となっており、この流れに歯どめをかけ、「活力みなぎる山口県」を実現するためには、地域経済の活性化を図り、若者がそれぞれの能力を発揮でき、やりがいが感じられる魅力ある就業の場の確保に積極的に取り組んでいかなければなりません。 中でも、企業立地は、本県経済の活性化や就業の場の確保・拡大など幅広い経済波及効果が期待できることから、「山口県まち・ひと・しごと創生総合戦略」において、五年間で新規投資二百五十社以上という高い目標を掲げ、「立地するなら山口県」を合い言葉に、地震の少なさやすぐれた産業インフラ・産業人材などの立地環境の優位性に加え、本県の強みを生かした戦略的な取り組みを展開しているところです。 具体的には、基礎素材型産業の集積、全国第二位を誇る原薬製造や大量に生成される高純度の水素といった強みを生かし、今後成長が期待される医療関連や環境・エネルギー分野を戦略産業分野として、独自の支援制度の充実や積極的なトップセールス等による情報発信、企業誘致推進体制の強化など、重点的な誘致活動に積極的に取り組んでいます。 このような取り組みを通じて、大手医療機器メーカーや中・四国、九州では初の液化水素製造工場などの誘致を実現し、若者の雇用の場を創出しているところです。 加えて、県内各地域の特性や優位性を生かした取り組みを地元市町と一体となって積極的に進めており、お示しの岩国市においては、市街地に近接した岩国錦帯橋空港の優位性を生かし、大手企業の研究機関や情報関連企業の誘致が実現し、また、防府市では、自動車メーカーの増産を契機とした部品メーカー、宇部市では、県産業技術センターとの共同研究成果の事業化に向けた産業機械製造企業などの誘致を実現したところです。 私は、今後とも、みずから先頭に立って地元市町と連携しつつ、それぞれの地域が持つ魅力や強みを最大限活用することによって、一社でも多くの優良企業の誘致の実現に全力で取り組み、若者の雇用の場の確保につなげてまいります。 次に、中山間地域の振興についてのお尋ねにお答えします。 このたび、取りまとめた本県の地方創生の方向性を示す総合戦略では、人口減少の克服に向けて社会減の流れを断ち切り、少子化の流れを変えていくとともに、人口減少社会にあっても、安心して住み続けることができる地域社会をつくっていくための取り組みを重点的に進めることとしています。 とりわけ、人口減少が先行して進む中山間地域では、集落機能の維持や買い物・通院等の日常生活に支障を来す地域も生じるなど厳しい状況にあることから、私は、複数の集落で集落機能や日常生活を支え合う、やまぐち元気生活圏の形成に向け、中山間地域を抱える全ての市町において、その推進方針を策定し、できるだけ早く圏域の形成を図り、実践的な地域活動につなげていくことが重要であると考えています。 このため、お示しの、国の小さな拠点形成関連事業等も活用しながら、圏域内の基幹的な集落に買い物や子育て支援などのさまざまなサービスや機能の拠点化を図るとともに、デマンド型交通の確保等による周辺地域とのネットワークの強化を図り、圏域内の全ての集落が日常生活に必要なサービスを共有できるよう、市町や地域の主体的な取り組みをきめ細やかに支援していく考えです。 また、元気生活圏を担う中核的な組織を育成していくため、地域づくりリーダーの確保や、そのスキルアップを図るとともに、専門人材や地域おこし協力隊等の外部人材の活用を一層促進することにより、地域運営や経営を行う地域コミュニティー組織づくりを強化してまいります。 さらに、圏域において、地域ならではの産業を振興し、新たな雇用の創出につなげていけるよう、金融機関や関係団体などとも緊密に連携し、地域資源を生かした六次産業化の促進や交流ビジネスの創出とともに、地域コミュニティー組織等による生活支援サービスの事業化などの自主的な取り組みに対して、積極的な支援を行っていきたいと考えています。 私は、活力と魅力ある地域社会をつくることは、県内に人をとどめ、呼び込む上での土台となるものであると考えており、今後とも市町や地域等との連携・協働を一層強化しながら、中山間地域の振興に全力で取り組んでまいります。 次に、児童虐待の防止対策と社会的養護の充実についてのお尋ねにお答えします。 児童虐待など子供をめぐる事件が増加する中、お示しの児童虐待防止対策や社会的養護の充実を進め、本県の次代を担う子供を守る環境を整備することは、極めて重要です。 まず、児童虐待は、子供の人権や命にかかわる深刻な問題であることから、その根絶に向けて宇部児童相談所を新設するとともに、児童福祉司など専門職員を計画的に増員するなど、複雑・多様化する相談に迅速かつきめ細かく対応できるよう、児童相談所の体制の強化を進めています。 また、休日・夜間を問わない迅速な緊急対応に向けては、一八九制度の普及啓発に引き続き努めるとともに、児童相談所間の連携やスーパーバイザーを中心とした緊急連絡体制により、二十四時間三百六十五日対応できる体制を確保しているところです。 さらに、早期発見・早期対応に向けては、児童相談所や市町、学校などによる具体的ケースをもとにした実践的トレーニングや警察との合同による立入調査の実務研修を実施するなど、関係機関の連携強化に努めているところです。 次に、虐待などにより社会的養護が必要な児童は、できる限り家庭的な環境において安定した人間関係のもとで養育されることが望ましいことから、本年三月、家庭的養護の推進に向けた山口県推進計画を策定し、施設の小規模化・地域分散化や、里親・ファミリーホームを推進することとしています。 具体的には、施設の小規模化等については、引き続きユニット化やグループホームに必要な施設整備に対する助成を行うとともに、新たに小規模養育に対応した職員の資質向上に向けた研修を実施するなど、ハード・ソフト両面からの支援を行うこととしています。 また、里親等については、広報活動や県内各地での説明会の開催など、県民の理解を深めるための普及啓発を強化し、新規開拓を進めるとともに、既に里親登録されている方に対して研修会や里親同士の交流会を開催するなど、そのフォローアップ体制を充実してまいります。 私は、今後とも、こうした取り組みを通じ、市町や関係機関・団体と連携して、本県の将来を担う子供の安全を確保し、健やかに成長できる環境の整備に積極的に取り組んでまいります。 次に、循環型社会の形成についてのお尋ねにお答えします。 本県の健全で恵み豊かな環境を将来の世代に引き継いでいくためには、環境負荷が少ない循環型社会づくりを推進することが重要であり、県では、お示しのとおり、循環型社会形成推進条例を制定し、県民や事業者、市町と連携・協働しながらさまざまな取り組みを進めています。 この結果、県内で発生する廃棄物の最終処分量は、過去五年間で約三割減少するとともに、一般廃棄物においては、全国初となるごみ焼却灰のセメント原料化や、全国第二位のリサイクル率、第三位のレジ袋辞退率など、全国に誇れる成果を上げています。 しかしながら、依然として、全国平均を上回る県民一人当たりのごみ排出量や、廃棄物の不法投棄、野外焼却などの不適正処理の課題もあります。 このため、私は、現在策定中の第三次の循環型社会形成推進基本計画において、3R県民運動や優良産廃処理業者の育成などに一層取り組むことにより、廃棄物の発生抑制・適正処理を進めていく考えです。 さらに、限りある資源やエネルギーの循環・効率化を図るため、チャレンジプランの重点施策に掲げる資源循環型産業の育成・支援を新たな項目として計画に盛り込み、製造から消費、廃棄に至る各段階において、技術開発、施設整備、製品の認定・普及など、切れ目のない支援を推進してまいります。 例えば、廃棄物を循環資源として活用する観点では、県内の製鉄・製鋼企業から大量に発生する鉄鋼スラグを土木用資材として活用するために、産学公の連携により、事業化に向けた検討を進めるなど、民間ニーズを的確に把握しながら支援に努めてまいります。 また、次期計画では、本年七月の廃棄物処理法の一部改正を踏まえ、巨大地震等を見据えた災害廃棄物の適正かつ迅速な処理についても新たに規定し、広域的な連携・協力体制が確保されるよう、処理体制の整備促進等を図っていきたいと考えています。 私は、今後とも、県民、事業者、市町等各主体の適切な役割分担のもと、しっかりと連携・協働して各種施策を総合的に実施しながら、環境負荷の少ない循環型社会づくりに積極的に取り組んでまいります。 次に、豊かな森林づくりについてのお尋ねにお答えします。 森林は、木材の生産を初め、山地災害の防止や水源の涵養、地球温暖化の防止など、多様な機能を有しており、本県の活力ある未来を開くためには、県土の七割を占める森林を適切に整備し、その機能を最大限に発揮させることが必要です。 また、お示しのように、近年、異常気象による災害が多発傾向にあり、森林整備の重要性が改めて認識されています。 このため、私は、チャレンジプランの「突破プロジェクト」の中で、森林づくりの取り組みをしっかりと位置づけ、森林づくり県民税を五年間延長し、森林の機能回復に向けて、奥山等の荒廃した人工林の再生や繁茂竹林の伐採を重点的に推進するとともに、新たに、集落周辺の里山など県民生活に身近な森林の整備も図ってまいります。 加えて、今年度から緊急的に、山地災害危険度調査を実施し、治山対策や治山施設の長寿命化対策を計画的に推進するとともに、保安林の指定や整備を進め、森林の機能保全に努めてまいります。 一方、豊かな森林づくりのためには、森林資源の利用拡大を進め、林業の振興を図ることも重要です。 このため、県では、住宅建築からエネルギー利用にわたる多様な分野で森林資源の活用に取り組んでおり、特に、全国に先駆けた森林バイオマスの利活用については、これまでの実績を踏まえ、防府市への石炭混焼バイオマス発電所や山陽小野田市への世界初となる竹バイオマス発電所の誘致など、大きく進展しており、今後も、森林資源の利用拡大に積極的に取り組んでまいります。 あわせて、低コストで効率的な木材生産体制を構築するため、施業の集約化や林内路網の整備、高性能林業機械の活用、人材の育成など、林業の収益性の向上と活性化を図るとともに、伐採跡地の再造林を推進し、森林資源の循環利用と森林の適切な管理につなげていきたいと考えています。 また、こうした取り組みをさらに進めるため、国への要望活動等を通じて、関連予算の確保など、国との連携・協力を一層深め、林業の成長産業化に向けた取り組みを加速化してまいります。 私は、豊かな森林づくりを進めるため、今後とも、国や市町、関係団体と緊密に連携を図りながら、森林の適切な整備と林業の活力強化に積極的に取り組んでまいります。 ○副議長(塩満久雄君) 浅原教育長。    〔教育長 浅原司君登壇〕 ◎教育長(浅原司君) 世界スカウトジャンボリーの成果と継承についてのお尋ねにお答えします。 皇太子殿下の御臨席を仰ぎ開催された本大会は、国内外から多くのスカウトが参加され、成功のうちに幕を閉じました。 ここに、開会式等でスカウトたちを激励いただいた県議会議員の皆様を初め、県民総参加によるすばらしい大会に盛り上げていただきました県民の皆様に対し、心から感謝を申し上げます。 大会を主管したボーイスカウト日本連盟からも、「県内各地で県民の皆様に歓迎され、スカウトにとって、今回のジャンボリーは生涯心に残る大会となった」と感謝の言葉をいただいており、これを契機に、参加したスカウトたちが将来再び山口県を訪れ、新たな交流が生まれることを期待しています。 お示しのありましたように、スカウトが県内十九市町を訪問し、地域の方々や小・中・高等学校・特別支援学校計五百四十八校の児童生徒と交流した地域プログラムは、ジャンボリー史上初の試みでありましたが、約九万二千人もの方が参加され、各地で歓迎行事やさまざまな体験活動などにより、日本の和の文化や山口県のおもてなしの心を国内外の青少年に伝える貴重な機会となりました。 また、市町や関係企業、県民活動団体等による出展や参加のもと開催した、やまぐちジャンボリーフェスタも、県民の皆様やスカウト、国内外からのお客様も含め、約二十五万人もの方々の御来場をいただき、県民とスカウトとの国際交流を促進するとともに、産業、観光、文化など本県の多彩な魅力を発信する大きな舞台となりました。 さらには、語学ボランティアや運営ボランティアの活躍も加わり、県民の力・地域の力が遺憾なく発揮された大会となり、交流に携わった全ての県民の皆様はもとより、県にとりましても、将来に向けての大きな財産となったと考えています。 県教委といたしましては、この大会を一過性のイベントとして終わらせることなく、市町、学校を初め、地域や関係団体等ともしっかり連携しながら、グローバル人材の育成など大会の成果を生かした取り組みを進め、次代を担う青少年の国際理解と健全育成を一層推進し、今後の本県教育の振興につなげてまいります。 ○副議長(塩満久雄君) 藤村警察本部長。    〔警察本部長 藤村博之君登壇〕 ◎警察本部長(藤村博之君) 暴力団対策についてお答えします。 議員お示しのとおり、六代目山口組を離脱した一部の組織が、新たに神戸山口組と称する組織を立ち上げており、今後、双方がその組織の維持・強化や資金獲得などをめぐり、対立を深めていくことが懸念されます。 そのため、現在、全国警察を挙げて情報収集や分析を行っているところですが、それぞれの組織構成などは、いまだ傘下組織を含め流動的な情勢にあります。 県内においても、山口組の傘下組織として三組織、約九十人の勢力を把握しており、県警察としても、これら組織の動向や実態の把握を最重点に取り組んでいるところです。 山口組については、過去にもこうした場合に、構成員同士による対立抗争事件を引き起こし、一般市民が巻き込まれる事態が発生していることから、県内でも予断を許さない情勢にあるものと認識しています。 そのため、八月二十八日に県下の各警察署に対して通達を発出するとともに、九月十一日に開催した警察署長会議において、関係箇所の警戒や情報収集の強化について指示したところであり、対立抗争事件に発展するような前兆事案を認知した場合には、速やかに捜査に着手し、未然防止を徹底することとしています。 また、県内には、山口組を含め、合田一家や工藤會などの暴力団勢力二十四組織、約四百十人を把握しており、これらの組織については、警察の取り締まりを逃れるため、その実態を不透明化させるとともに、資金獲得活動などを巧妙化・潜在化させています。 このため、県警察では、資金源の遮断を重点とした取り締まりを徹底し、八月末現在で前年同期と比べ二人増の六十人の暴力団員等を検挙するとともに、一般市民に対し、不当な金銭要求を行うなどの暴力的要求行為について、暴力団対策法による中止命令を四件発出しています。 さらに、地方公共団体、事業者、地域住民等と連携して、社会全体から暴力団を排除する活動にも力を入れているところです。 今後とも、暴力団の壊滅に向け、こうした取り組みを強化するとともに、暴力団排除に取り組む方々の保護対策にも万全を期し、県民の安全・安心の確保に全力で取り組んでまいります。 以上です。 ○副議長(塩満久雄君) 戸倉多香子さん。    〔戸倉多香子さん登壇〕(拍手) ◆(戸倉多香子さん) 民主・連合の会の戸倉多香子です。平成二十七年九月議会に当たり、県政の諸課題について会派を代表して質問させていただきます。 初めに、「活力みなぎる山口県」の実現についてお尋ねいたします。 村岡知事は、チャレンジプランの中で、人口減少・少子高齢社会にあっても、元気な産業や活気ある地域の中で、県民誰もがはつらつと暮らせる「活力みなぎる山口県」の実現を目指すとされています。 国でも、人口減少問題と地域間格差に総力を挙げて取り組むため、一、東京一極集中の是正、二、若い世代の就労・結婚・子育ての希望の実現、三、地域の特性に即した地域課題の解決、この三つの基本的視点から取り組むまち・ひと・しごと創生総合戦略がまとめられました。 東京一極集中の是正は、団塊の世代が七十五歳を迎え、医療介護の供給不足が深刻となる二○二五年問題や東京圏の出生率が全国平均に比べて極端に低い点など、東京圏が解決しなければならない課題と、都市部への人口流出や過疎化が課題の地方とが力を合わせて取り組むべき、日本全体の大きな課題です。 県もUJIターンの推進などに取り組んでおられますが、山口県へ人の還流や移住を促進するためには、働く場、雇用の場が必要です。 先日、商工労働委員会の視察で、企業誘致により宇部の工業団地に進出された企業の代表の方にお話をお聞きする機会がありました。多くの地方自治体から誘致を受けた中で、なぜ山口県を選んだのかをお尋ねすると、「山口県の担当職員さんが余りにも熱心に誘ってくださり、それに心を打たれて山口県に決めた」と話され、大変うれしく思いました。 知事を初め、職員の皆さんも一丸となって努力いただいていることに心から敬意を表します。 県では、東京二十三区から本社機能を山口県に移転する企業には、常用雇用者一人当たり五十万円の補助を行う地方分散支援補助金の制度を創設するなど、意欲的に取り組まれていますが、当初、大変期待された政府のオフィス減税や雇用促進税制など、地方拠点強化税制に法人全体の雇用もふえなければ該当しないなどの厳しい条件がつけられており、使い勝手が悪いのは許せない思いです。政府は本気で東京一極集中是正に取り組むつもりがあるのかどうか、疑ってしまいます。 また、今月十五日の報道では、とっても残念な現実が紹介されました。経団連の調査で、東京に本社を置く企業四百五十五社を対象に本社機能の地方移転を検討しているか尋ねたアンケートの結果では、回答した百四十七社のうち、移転について検討中と答えたのは二社、可能性があるとしたのは九社にとどまり、九二・五%に当たる百三十六社が検討していないと回答したそうです。 その理由として、最も多かったのは、東京の機能・利便性となっていました。人口減少を原因として、ますます機能・利便性が失われていく地方には厳しい現実です。まさに、鶏が先か卵が先かという気がしますが、山口県の場合は、人口減少問題とは別に、分散型都市構造という県の特徴からくる課題もあります。職場と住む場所が近い、渋滞が少なくゆとりがあるなどの利点もありますが、その半面、都市機能や利便性が不足しているという問題を抱えています。 利便性という視点では、新幹線の県内駅停車をふやしたり、飛行機の増便、そして広域的な道路ネットワークの形成には、大変努力いただいていますが、鉄道やバスなどの公共交通のネットワークは、人口減少が進む中、現状維持も難しく、ましてや、今後さらに利便性を上げていくのは困難だと、県民も諦めてしまっているように思えます。 しかし、昨年五月に改正された地域公共交通活性化再生法は、民間事業者の事業運営に依存した形の従来の枠組みから脱却し、地方公共団体が先頭に立つことを求めています。その趣旨を酌み取り、地域公共交通網形成計画策定は、市町が中心になるとはいえ、中山間地域も含めた分散型都市構造の山口県にあっては、交通拠点からのネットワークを市町の枠を超えて、利便性をどのように構築していくのかという視点を強力に打ち出し、県が積極的に踏み込んで取り組むべきなのではないかと考えますが、知事のお考えをお尋ねいたします。 「山口県まち・ひと・しごと創生総合戦略」の最終案には、にぎわいや交流を生み出す、まちの活性化を掲げられていますが、駅などの交通拠点の周辺に集積する都市機能や公共交通の利便性向上などについて、もう一段高い目標を掲げる拠点づくりに取り組む必要があると考えます。 文化、娯楽、買い物なども含めた都市機能は、公共事業だけでは整備できないと思います。県が大変力を入れておられる、医療関連分野、環境・エネルギー関連分野などの工場の誘致と同じような、全国トップクラスの支援策を、都市機能や利便性向上のための業種にも広げて、企業誘致に取り組んでいただき、人口減少・少子高齢社会にあっても、誰もが住みなれたこの山口県に住み続けたいと思える、「活力みなぎる山口県」の実現に取り組んでいただきたいと考えますが、知事はどのようにお考えでしょうか。 次に、中小企業・小規模事業者支援についてお尋ねいたします。 中小企業白書によりますと、山口県内の企業数は四万二千二百二十八企業で、そのうち大企業の数はわずか五十六企業であり、残りの九九・九%が中小企業です。山口県の産業は、中小企業が支えていると言っても過言ではありません。そして、地域の雇用の重要な担い手でもある中小企業への支援は、大変重要な課題です。 やまぐち商工業推進計画では、経営環境の変化に伴い、複雑化・高度化する企業の経営課題の解決に向け、やまぐち産業振興財団を中核に、産業技術センターなどの支援機関が連携し、的確な支援策を迅速に、かつ、切れ目なく提供できる体制を構築することが必要とされ、さまざまなニーズを踏まえたきめ細やかな支援体制の拡充が進められていますが、中小企業のうちの八六・五%は従業員二十人以下の小規模事業者、商業・サービス業では、従業員五人以下とされていますが、そういった小規模事業者で、事業主側も労働者側も高齢化の問題を抱えていたり、厳しい経済状況が続く中、現在の雇用や経営基盤を維持することだけで精いっぱいだという中小企業や小規模事業者も多くいらっしゃいます。 民主党の暮らしを守る研究会での昨年の講演録に、中小企業支援に力を入れておられる信用金庫の理事長のお話があり、「政府が今用意している中小企業関係の補助金等は一兆二千億円を上回ります。しかし、完全には使われずに残っています。その一番の理由は、中小企業がその内容を知らないことです。百三十の支援策があり、約三千種の補助金、助成金があります。これをもっとシンプルにすべきです。また、支援機関のレベルアップも必要です」とありました。 私も平成二十四年の九月議会で、同様のことを指摘したことがありましたが、支援を求めている中小企業や小規模事業者はたくさんあるはずなのに、完全には使われずに残ってしまう補助金等は、余りにももったいない話です。 県は、きめ細やかな支援策を御用意いただいていると思いますが、日々現場で汗をかいておられる中小企業や小規模事業者の事業主の方へ、本当に必要な支援が届くように、さらに取り組んでいく必要があると考えます。 民主党では、今月九日に中小企業社会保険料負担軽減法案を衆議院に提出しました。この法律案の内容は、中小企業が正社員をふやせる環境を整備するため、法施行後五年以内に正社員を増加させた中小企業に助成金を支給するもので、具体的には、新たに雇い入れた正社員ごとに社会保険料の事業主負担分の二分の一に相当する額を十年間にわたって助成金として支給するという法案です。 中小企業が人手不足であるにもかかわらず、なかなか思い切って正社員を雇用できない理由として、アンケート等によりますと、社会保険料の事業主負担が重いことを挙げる中小企業が多くおられますが、これらを直接支援するシンプルな支援策だと思います。中小企業や小規模事業者が希望を持って未来へ投資することができるよう、正社員を新たに雇い入れた場合の社会保険料の負担軽減策が必要であると思います。 そこでお尋ねしますが、中小企業や小規模事業者においては、人手不足の中、正社員を雇い入れたくても雇い入れられない現実があります。今こそ、中小企業や小規模事業者への支援が必要であると考えます。中小企業・小規模事業者への支援策の積極的な活用の促進を初め、中小企業・小規模事業者の経営基盤の強化、雇用の場の拡大に向けた成長支援にどう取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。 次に、生活困窮者自立支援法についてお尋ねいたします。 ことし四月から施行された生活困窮者自立支援法は、もともと民主党政権で生活保護の手前の第二のセーフティーネットを充実させようと議論がされてきたものですが、残念ながら、自民党が政権に返り咲いた後、法制化される過程で内容が縮小され、社会的孤立者が抜け落ちてしまいました。 また、支援内容が就労支援に限定され、支援の対象も就労できそうな層に絞られ、就労が見込めない高齢者や障害者は排除されてしまうのではないかと危惧される御意見もあります。 生活困窮者自立支援法では、自立相談支援事業と住居確保給付金の支給の二つは必須事業ですが、ほかは任意事業です。 地方自治体の任意事業の実施割合は、就労準備支援事業は二八%、家計相談支援事業は二三%、一時生活支援事業は一九%、子供の学習支援事業は三三%程度にとどまり、今後の動向も必ずしも十分でないなど、法の実効性確保が懸念されています。 山口県では、六事業とも実施されているのは、下関市と宇部市だけです。支援内容に地域格差が生じるのは問題だと思います。任意事業が必須事業とともに実施されるよう、地域の生活困窮者、貧困家庭の子供たちの実態を把握し、支援を確実に行うことが必要だと思います。 今後は、庁内の関係部署との連絡組織等の設置や庁外関係機関との連携体制を構築され、支援の充実はもとより、支援を必要とする方の早期発見のための情報共有やプライバシーの保護等、課題の解決に努めていただきたいと考えます。 さらには、自立が重視される余り、本来なら生活保護を受けるべき人たちまでもが、受給できなくなるのではないかという懸念も広がっています。そのような結果を招かないよう、市町へ徹底していただきたいと思います。 県の役割として、法律の本来の趣旨が生きて、実際に生活困窮者の支援が充実するよう、自治体の実施体制の強化や人材育成、委託先の民間団体やNPO等への支援を行うことが必要と考えますが、どのようにお考えか、お尋ねいたします。 次に、男女共同参画の推進についてお尋ねします。 男女共同参画の推進のお尋ねの前に、昨年の十月十一日に防府市で開催された男女共同参画フォーラムで、実行委員会により小宮山洋子さんに決まっていた講師を、開催日の五日前の十月六日になって、急遽、ほかの方にかえたことについて、知事のお考えを確認させていただきたいと思います。 小宮山さんは、厚生労働省で初の女性大臣を務められ、幼保一体化を中心とする子ども・子育て新システムの整備や児童虐待防止、そして少子化対策にも、担当大臣として取り組まれた方です。また、NHKのアナウンサー時代は、一貫して報道番組を担当され、女性問題、家族問題などの解説委員も務められた経歴の持ち主です。 政界を引退したと表明されていますが、小宮山さんが政治団体を主宰していることが問題視され、講師としてふさわしくないとされたそうですが、政治団体には、いわゆる政策研究団体やほかの方を支援する団体も含まれ、政治団体の代表だからといって、必ずしも政治家とは言えません。また、県には講師選定の明確な基準はなかったと聞きました。さらに、小宮山さんは、ほかの県の男女共同参画の講演会では講師をされています。 男女共同参画の大切な行事を、直前になって県が覆すなどあってはならないと思いますし、多くの県民が、学びの場として、経験に基づいた講演を楽しみにされていたはずです。このような事態を招いたことについて、知事はどのようにお考えか、お聞きします。 これまで山口県は、女性の副知事を迎え、男女共同参画推進条例を全国で三番目に策定するなど、大変熱心に男女共同参画に取り組んでこられました。今後もしっかりと取り組んでいただきたいと考えています。 ことしは、女性差別撤廃条約の批准から三十年、そして、北京で開催された第四回世界女性会議から二十年の年に当たります。 また、五年ごとにつくられる男女共同参画基本計画が策定される年でもあります。二○一○年に民主党政権のもとで策定された第三次基本計画は、女性差別、男女不平等の実態や格差、貧困を直視し、踏み込んだ施策と成果目標を掲げて大変充実した内容となったと評価されていますが、第四次基本計画では、こうした点が後退するのではないかと懸念されています。 昨年の日本の男女平等の度合いを示すジェンダーギャップ指数は世界の百四位で、先進国の中で最低水準であり、世界の潮流から取り残されています。社会のあらゆる分野において、二○二○年までに、指導的地位に女性が占める割合が、少なくとも三○%程度になるよう期待するとの目標、いわゆる二○二○三○の達成に向けて、取り組みの強化、加速が不可欠です。 このたび、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律が、民主、自民、公明三党の共同修正案により成立したところですが、事業所における取り組みが前進することを期待しています。 政治分野においても、超党派の議員連盟により、議員候補者の一定割合を女性に割り当てるクオータ制導入のための法案が検討されています。 こうした中、県では、山口県男女共同参画基本計画の改定に取り組まれているところです。今や、私たちは、女性の選挙権をかち取るために声を上げる必要はなくなりました。しかし、本当の意味で、誰もが、その人らしく、輝き、活躍できる社会にするためには、私も含めて一人一人の心の中に乗り越えるべき壁が残っていると感じます。 その壁を乗り越えるのか、壊すのか、それぞれの方法で構わないと思いますが、そんな一人一人の努力や思いを後押ししてくれる山口県男女共同参画基本計画となるよう期待しています。知事はどのように取り組まれるのか、お尋ねいたします。 五番目に、公有水面埋立免許延長申請についてお尋ねいたします。 上関原発予定地の公有水面埋立免許延長申請について、県は六月二十二日に一年後を期限に七度目の補足説明を中国電力に求めることを決定されましたので、知事に確認の意味も込めてお尋ねいたします。 これまでもこだわって質問してきたところですが、公有水面埋立免許の延長申請が出された時点で、正当な事由があるかないかを審査するという点について、少し具体的に確認させてください。 昨年九月にお尋ねした際、知事は、「実際に申請があった時点において審査する。申請時点のみならず、将来においても、上関原発が国のエネルギー政策に位置づけられていることが、事業者の主張を通じて説明できているかどうかを確認しなければ、正当な事由の有無を判断できない」と答弁されていますが、実際に延長申請があった二○一二年十月五日は、これまでも主張してきたとおり、今後のエネルギー・環境政策については、「原発の新設・増設は行わない」と明記された革新的エネルギー・環境戦略を踏まえて、関係自治体や国際社会などと責任ある議論を行い、国民の理解を得つつ、柔軟性を持って不断の検証と見直しを行いながら遂行すると閣議決定された二○一二年九月十九日の約半月後ということになります。 それから四日後の十月九日には、当時の枝野経産大臣が、記者とのやりとりで、上関原発の埋立延長申請について問われ、新増設はしないということをはっきり言われているのが、経産省のホームページで確認できます。 また、ことしの三月六日の衆議院の予算委員会で、宮沢経産大臣は、「政府としては従来より申し上げてきておりますけれども、現段階では新増設、リプレースは想定しておりません」とはっきりと答弁されました。 また、六月十日の経産委員会でも、「現段階におきまして、原発につきまして新増設、リプレースは想定していないという立場に変更は一切ございません」と答弁されています。安倍総理も、五月十五日、衆議院の経産委員会で同じように答弁されています。 公有水面埋立免許の延長申請が出されてから、今日までの間には、再度政権交代がなされ、二○一三年一月三十一日、安倍総理が通常国会の本会議で、エネルギー政策について「前政権のエネルギー・環境戦略についてはゼロベースで見直し、責任あるエネルギー政策を構築していく」と発言されました。実際に二○一四年四月に新しいエネルギー基本計画が閣議決定されましたし、本年七月には、長期エネルギー需給見通しも発表されましたが、新増設についての記載はありませんでした。 事業者である中国電力からは、上関原発を位置づける国の重要電源開発地点の指定について、現時点に至るまで何ら変更はないとの主張がされていると、知事は答弁されていますが、新増設は想定していないという宮沢経産大臣の発言との矛盾について国に確認されたのでしょうか。 上関原発は、二○○一年に電源開発基本計画に組み入れられましたが、二○○三年に電源開発促進法が廃止され、その法的根拠がなくなりました。電源開発基本計画が担ってきた、地方公共団体に対する電源三法交付金の割り増しなどの意義や機能は、二○○四年九月十日の電源開発に係る地点の指定についてという閣議了解により承継され、上関原発は改めて重要電源開発地点に指定されました。 閣議了解を根拠とした制度となっても、原子炉設置許可申請手続のような法的手続ではないものの、その指定により、その後の国の許認可プロセスの出発点として、一般に原発立地・建設手続における着手と言われ、後続手続も進むと考えられてきたため、山口県が二○○八年に、公有水面埋め立ての免許をされたことは、ある意味自然だったのかもしれません。 しかし、三・一一東日本大震災以降、原子力発電所の安全審査に関する制度が大きく変わり、重要電源開発地点の指定以降の安全審査手続も大変厳しいものとなりました。 総理も経産大臣も「原発の新増設は想定していない」と言われていることも含めて考慮すると、現在、そして、埋立免許延長申請のあった二○一二年十月五日時点も、国の重要電源開発地点の指定が何ら変更がないとしても、それをもって上関原発が国のエネルギー政策に位置づけられているとまでは言えないことは明らかです。一刻も早く、埋立免許延長申請の正当な理由があるかないかについての判断をしていただきたいと考えますが、知事のお考えをお聞かせください。 最後に、岩国基地問題についてお尋ねいたします。 安全保障関連法が十九日未明の参議院本会議で可決、成立したことについて、沖縄県の翁長知事は、「基地負担がふえるだろうということは容易に推測することができる」と述べられ、在日米軍基地が過度に集中していることを念頭に沖縄への影響の懸念を表明されたと報道されています。 安保関連法をめぐっては、米軍と自衛隊の一体性が強まる可能性があり、合同訓練の増加など新たな基地負担が懸念されますが、岩国基地を抱える山口県では、その影響について分析されているのでしょうか。私は、基地負担もふえるし、危険も増すと思いますが、知事はどのようにお考えでしょうか。 また、沖縄県の翁長知事は、二○一三年十二月に仲井眞前知事が承認された公有水面埋め立てについて、「第三者委員会の検証結果報告を受け、関係部局で精査してきた結果、承認には取り消すべき瑕疵がある」として、九月十四日、名護市辺野古での米軍基地建設について、埋め立て承認を取り消すことを表明され、法廷闘争の準備にも取りかかっているそうです。 翁長知事は、二十一日には、スイス・ジュネーブでの国連人権理事会で登壇され、県民の多数が反対する米軍普天間飛行場の辺野古への移設が日米両政府によって進められている現状について、「沖縄の人々の自己決定権がないがしろにされている状況を、世界中から関心を持って見てください」と訴えられました。さらに、「日本政府は、昨年、沖縄で行われた全ての選挙で示された民意を一顧だにせず、美しい海を埋め立てて辺野古の新基地建設作業を強行しようとしています。私は、あらゆる手段を使って新基地建設をとめる覚悟です」と国際社会にアピールされました。 こういった流れの中で、県は、これまで普天間基地移設の見通しが立たないうちに、空母艦載機の移駐のみを切り離して進めることは認められないというこれまでの基本スタンスを堅持されてきましたが、このことについて変わることはないのか、確認させていただきたいと思います。 以上で私の代表質問を終わらせていただきますけれども、最後に一言申し上げます。 午前中から先ほどの質問でも自民党、公明党の先輩議員より、このたび憲法違反で強行採決により成立しました安保法制について、称賛される御意見がありました。そして私たち民主党を初めとする野党が、国民の声を受けて、一生懸命これを阻止しようとするその姿勢を批判される御意見がありました。このことについては、この狭い山口県議会の中では多数であるかもしれませんけれども、ここを一歩出て外に出てみましたら、世論調査の結果を受けましても、多数ではないその反対であるということを御指摘させていただきたいと思います。(発言する者あり) 私たち民主党を初めとする野党は、力を合わせてこれからもこの安保法制の執行をとめることができるように、そして良識ある県民の皆様と手を携えて、そして国会の前に集まっていらっしゃる、そして全国のデモで参加していらっしゃるSEALDsを初めとした若い人や、女性の声やお年寄りから若い方までみんなこの平和な日本のブランドをしっかりと戦後七十年のことし、これからも続けていきたいと願われて活動されている皆さんに連帯して、必ずこの安保法制が廃止されることを一緒に頑張っていくことをお誓い申し上げまして、私の代表質問とさせていただきます。 御清聴いただきましてありがとうございました。(拍手)(発言する者あり) ○副議長(塩満久雄君) 村岡知事。    〔知事 村岡嗣政君登壇〕 ◎知事(村岡嗣政君) 戸倉議員の代表質問にお答えします。 まず、地域公共交通網形成計画策定についてのお尋ねです。 本格的な人口減少社会が到来し、公共交通を取り巻く環境が厳しさを増す中、本県においても、公共交通機関の輸送人員の減少によりバス路線の廃止、便数の減少が進行しており、公共交通の維持・活性化が喫緊の課題となっています。 こうした中、地域における交通手段の確保等を図るため、交通政策に関する基本理念を定めた交通政策基本法が平成二十五年十二月に施行され、さらに、同法の基本理念を具現化し、地域内の交通ネットワークの再構築を促進するため、地域公共交通活性化再生法が改正され、昨年十一月に施行されたところです。 この活性化再生法においては、地方公共団体が地域公共交通網形成計画を策定することができるとされ、計画が策定された場合には、路線バスからデマンド交通への転換経費の助成など、国の支援が受けられることから、地域での持続可能な交通網の形成が促進される効果が期待されます。 この計画の策定に当たっては、都市拠点と居住エリアを結ぶ交通網の充実・再編が不可欠となることから、都市の再生や地域の活力の向上を実現するためのまちづくりの取り組みとの連携が求められています。 さらに、こうしたまちづくり施策の主体は市町であること、また、分散型都市構造の本県においては、日常生活を営む上での交通は同一市町内での利用が大半であることから、私は、本計画の策定に当たっては地域の実情を最も把握している市町が行うことが基本であると考え、チャレンジプランにおいて、市町における本計画の策定促進を掲げたところです。 とりわけ、全国より速いスピードで人口減少や少子高齢化が進む本県において、地域社会の活力の維持向上を図るには、地域の実情に応じた公共交通ネットワークの再構築を速やかに進める必要があるため、計画の策定が急務と考えています。 このため、私は、市町に対し、早期の策定を積極的に働きかけるとともに、適切な指導・助言の実施や、市町からの要請に基づく策定協議会への参画により、持続可能で利便性の高い地域公共交通網の形成に向けた市町の取り組みを支援することで、県民の日常生活に不可欠な生活交通の維持・活性化を図ってまいります。 次に、都市機能や利便性向上のための企業誘致の業種拡大についてのお尋ねにお答えします。 企業誘致は、企業の進出による地域経済の活性化や雇用の場の創出、税源の涵養など多面的な波及効果をもたらすことから、県外企業の新規立地と県内企業の拡大投資の両面から積極的に取り組んでいるところであり、他県との競争が激化する中、企業立地促進補助金は、本県に優良企業を呼び込むための重要なインセンティブとなっています。 このため、補助金の対象業種について、産業構造の変化に対応しつつ、地域経済への影響も勘案しながら、これまでも、経済波及効果の高い製造業に加え、流通業や広告・デザイン業を初めとした産業支援サービス業を対象に加えるなど、拡大を図ってきたところです。 お示しの文化、娯楽、買い物といった都市機能の充実に係るサービス業についてですが、これらの業種では、地元企業との競合などの問題もあることから、補助金等による誘致については、慎重に対応していきたいと考えています。 しかしながら、私は、人口減少、少子高齢化が進行する中で、持続可能で元気な地域社会を形成していくには、都市機能の集積や公共交通の利便性向上を図ることも重要と考えています。 このため、本県では、にぎわいや交流を生み出す、まちの活性化を進めるコンパクトなまちづくりに取り組んでいるところであり、県下三地区のモデル事業に加え、現在、周南市を初め四市においては、住宅及び医療、福祉、商業などの施設やその機能を交通拠点の周辺などに誘導する立地適正化計画の策定に取り組んでいます。 県としては、こうした取り組みが円滑に進むよう、国の施策等の情報提供や助言など必要な支援を行ってまいります。 次に、中小企業・小規模事業者支援についてのお尋ねにお答えします。 中小企業は、県内企業の大多数を占め、また、雇用の大きな受け皿として地域の活力源となっていることから、「活力みなぎる山口県」の実現に向け、県経済を活性化し、地域の雇用を支えていくためには、その経営基盤を強化するとともに、経営革新による成長を一層促進することが、極めて重要であると考えています。 このため、私は、新たに策定したチャレンジプランに挑戦する中堅・中小企業応援プロジェクトを掲げ、経営基盤の強化を図りながら、中小企業の成長支援をさらに力強く進めているところです。 まず、経営基盤の強化については、さまざまな経営課題をより身近な地域で解決するための相談・指導等の取り組みが重要であることから、各商工会議所等の経営指導員による窓口相談や巡回指導に加え、税理士や中小企業診断士等の専門家を派遣するなど、きめ細やかな支援を行っています。 また、やまぐち産業振興財団に設置されたよろず支援拠点において、関係支援機関とのネットワークを通じて、中小企業に対し、各種の支援策を積極的に情報発信をするとともに、新たに出張相談を開始をするなど、相談機能の充実を図ることにより、支援策の活用の促進にも努めております。 次に、こうした取り組みなどを通じて経営基盤が強化され、さらなる成長を目指す企業に対しては、その成長段階に応じて生じる資金調達や販路開拓等の課題解決に向けて、迅速かつ的確な支援を行うことが重要です。 このため、専任のコーディネーターをやまぐち産業振興財団に配置をし、企業に寄り添いながら切れ目のない支援を行うとともに、その中でも特に高い成長が見込まれる企業に対しては、金融機関と連携し、そのノウハウやネットワークも生かした重点支援を行う山口型ハンズオン支援を、今年度から新たに実施をしているところです。 さらに、正社員の雇用拡大を図るため、企業の事業拡大と、それに伴う雇用の創出・確保に向けた一体的な取り組みとして、国の戦略産業雇用創造プロジェクトの活用を進めるなど、新たな課題解決を通じた中小企業の成長支援も一層強化しています。 こうした課題解決に向けたさまざまな支援策が有効に活用されるためには、何よりも企業にその情報を十分に知っていただく必要があることから、県では関係支援機関と緊密に連携しながら、適切な情報発信を行うとともに、中小企業・小規模事業者が、厳しい経営環境の中でこれらの施策を有効に活用することにより、経営基盤を強化し、雇用の場の拡大に向けて成長していけるように、積極的な支援に努めてまいります。 次に、生活困窮者自立支援法についてのお尋ねにお答えします。 安定した雇用の減少など社会経済の構造的な変化や社会的孤立を背景に、経済的に困窮し、最低限度の生活を維持することができなくなるおそれのある人が増加をしていることから、生活困窮者の自立に向けた支援などの取り組みが重要となっています。 生活困窮者自立支援法に基づく支援制度は、福祉事務所を設置している自治体が主体となり、相談支援事業等の必須事業に加え、地域の実情に応じ、必要な任意事業を選択し、一部民間団体等に委託しながら実施するものであり、本年四月に本格実施されました。 法施行後七月までの県内の新規相談件数の総数は九百六十一件で、人口十万人当たりの月平均件数は約十七件と全国と同水準となっておりますが、県下各自治体において件数にばらつきがあるなど、課題も見受けられます。 私は、こうした状況も踏まえ、取り組みの一層の充実を図る必要があると考えており、真に支援を必要とする人の早期把握と支援対象者のニーズに応じた包括的な支援の実施、さらには、お示しの実施体制の強化や人材育成、民間団体等への支援が重要であると考えています。 このため、実施主体である関係自治体に対しては、会議等を通じ、まず、支援が必要な人を早期に把握し、適切に相談支援を実施できるよう、個人情報の取り扱いに配慮しながら、庁内の関係部署やハローワーク等の関係機関との緊密な連携を図ることや、地域住民に広く制度を周知・広報をすること等について、徹底を図ったところです。 また、支援対象者には、健康、仕事、家族関係などの複合的な課題を抱える人も多いことから、生活保護の受給も含め、本人のニーズに応じた包括的な支援を実施できるよう、関係自治体に対し、任意事業の目的や効果、有効な活用策等について理解促進を図ったところです。 さらに、個別のヒアリングを通じ、地域の実情に応じた任意事業等の取り組みが促進されるよう、市町における事業の実施状況の把握や、きめ細かな助言等を行っているところです。 こうした取り組みに加え、実施体制の強化や人材育成に向けては、支援制度の中心的な役割を担う相談支援員が、相談から支援プランの作成・進行管理まで一連の業務を適切に実施することができるよう、対応能力向上のための研修会を実施することとしています。 また、事業の委託により支援の実施主体となった民間団体等に対しては、必要な情報提供や相談支援員の資質向上を図るための研修会等を実施するほか、本制度の担い手となる民間団体等の裾野を広げるため、生活困窮者への支援活動を紹介するシンポジウムを開催するなど、機運の醸成や意識啓発を図っているところです。 私は、今後とも、事業実施自治体や関係機関等と緊密な連携を図りながら、生活困窮者の自立に向けた取り組みの充実に努めてまいります。 次に、男女共同参画の推進に関する二点のお尋ねのうち、まず、昨年の男女共同参画フォーラムの講師変更についてお答えします。 男女共同参画フォーラムは、男女共同参画推進月間の主要行事として、県民の皆様に男女共同参画に関する認識を深めていただくため、毎年開催しているものです。 基本的には、県が主催する行事における講演の講師には、政治団体を主宰されている方はふさわしくないと考えていますが、昨年のフォーラムの講師選定に当たり、この点の確認不足から、直前になって講師を変更することになり、関係の皆様に御迷惑をおかけする結果となりました。 今後、このようなことがないように適切に対応してまいります。 次に、男女共同参画基本計画についてです。 私は、「活力みなぎる山口県」の実現を目指すためには、県民一人一人が性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮できる男女共同参画社会の実現が、極めて重要であると認識しています。 本県では、これまでも男女共同参画基本計画に基づき、市町や関係団体と連携しながら、男女共同参画フォーラムの開催など、社会の幅広い分野において男女共同参画の取り組みを総合的・計画的に推進してまいりました。 この結果、県内の事業所における女性管理職の割合が高まり、また、仕事と家庭の両立支援に自主的に取り組む男女共同参画推進事業者が増加するなどの成果を上げているところです。 さらに、こうした動きを加速化するため、チャレンジプランにおいて、仕事と子育ての両立支援や女性の再チャレンジ支援などを柱とする女性が輝く地域社会の実現を重点施策に位置づけ、女性創業応援会社の設立や男性の育児休業取得奨励金の創設などの取り組みを進めているところです。 また、私みずからもイクボス宣言を行い、仕事と子育ての両立に向け率先して取り組んでいます。 そこでお尋ねの次期基本計画についてですが、私はこのたびの見直しについては、男女共同参画推進条例の基本理念を維持しながら、県づくりの指針であるチャレンジプランの施策の方向性を反映したいと考えています。 その改定に当たっては、現行計画の成果と本県の課題を十分に検証し、社会経済情勢の変化や国の第四次基本計画の策定、女性活躍推進に向けた取り組みなどを踏まえ、検討を進めることとしています。 このため、現在、男女共同参画審議会において、県民意識調査の結果等を踏まえながら、基本計画に係る議論を進めていただいており、今後、県議会の御意見やパブリックコメントにより県民の皆様の声をお聞きした上で、今年度末を目途に次期計画を策定したいと考えています。 私は、今後とも、市町や関係団体と一体となって、男女がみずからの意思によってあらゆる分野に参画し、その個性と能力を発揮できる男女共同参画社会の実現に取り組んでまいります。 次に、公有水面埋立免許延長申請についての二点のお尋ねにお答えします。 これまでも答弁しておりますとおり、県としては、審査に当たっては、申請時点のみならず、将来においても、上関原発が国のエネルギー政策に位置づけられていることが事業者の主張を通じて説明できているかどうかを確認しなければ、正当な事由の有無を判断できないと考え、審査を継続しているところです。 事業者である中国電力からは、上関原発に係る重要電源開発地点の指定については、現時点に至るまで何ら変更はないとの主張がなされており、また、この制度に関して現時点では見直すことを想定していない旨の国の見解を得ているなどの説明がなされています。 県としては、一定の説明はなされているものと考えていますが、正当な事由の有無を判断するには、上関原発の国のエネルギー政策における位置づけが、形式的にだけではなく、実質的に変わらないことについて確認が必要と考え、本年六月にも事業者にさらなる補足説明を求めたところです。 そこで、お尋ねの大臣発言に関する国への確認についてですが、申請内容に関する説明は申請者みずからの責任で行うべきものであることから、県が直接国には確認していません。 次に、一刻も早く正当な事由の有無について判断すべきとのお尋ねです。 エネルギー政策をめぐる国の動きは承知していますが、先ほどお答えしたとおり、現在、事業者にさらなる説明を求めているところであり、現時点では正当な事由の有無を判断できる段階ではありません。 私は、埋立免許権者として、公有水面埋立法に基づき適正に審査する責務があることから、審査は、あくまでも申請及び補足説明の内容について行ってまいります。 次に、岩国基地問題についての二点のお尋ねにお答えします。 まず、このたび成立した安全保障関連法をめぐり、米軍との合同訓練の増加などにより、基地負担がふえるのではないかとのお尋ねです。 このような自衛隊の訓練等について、県としてそれ自体の是非を論ずる立場にはありませんが、私は、住民に不安や危険を及ぼすような訓練等は行われてはならないと考えています。 いずれにしましても、私は、岩国基地をめぐる諸問題に対しては、国の防衛政策を尊重し、これに協力する一方で、県民の安全で平穏な生活を確保する立場から、国に対して言うべきことは言うとの姿勢で、地元市町とも緊密に連携しながら、適時適切に対応してまいります。 次に、空母艦載機の移駐に対する基本スタンスについてです。 普天間基地の名護市辺野古への移設をめぐり、沖縄県知事は、お示しがありましたように、公有水面埋め立て承認の取り消しに向けた手続を開始するとの意向を表明されています。 一方、国と沖縄県とは、今後も対話を続けていくという点で一致しており、国は、政府・沖縄県協議会の新設など、地元沖縄県との対話を続けながら、普天間基地の危険性除去に向けて取り組んでいく方針であると承知しています。 こうした状況にはありますが、私としては、今後とも、普天間基地移設の見通しが立たないうちに、空母艦載機の移駐のみを切り離して進めることは認められないという基本スタンスを堅持しながら、沖縄県における今後の動向や、政府がそれをどのように受けとめ、普天間基地移設にどう取り組んでいくのかなど、今後の情勢をしっかりと見きわめてまいります。 ○副議長(塩満久雄君) これをもって代表質問を終わります。   ───────────── ○副議長(塩満久雄君) 以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。 本日は、これをもって散会いたします。    午後二時四十六分散会   ─────────────     地方自治法第百二十三条第二項の規定によりここに署名する。             山口県議会 議     長   畑   原   基   成                   副  議  長   塩   満   久   雄                   会議録署名議員   西   本   健 治 郎                   会議録署名議員   曽   田       聡...