• "連続発生"(/)
ツイート シェア
  1. 広島県議会 2021-12-04
    令和3年12月定例会(第4日) 本文


    取得元: 広島県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-05
    トップページ 検索結果一覧 使い方の説明 (新しいウィンドウで開きます) 令和3年12月定例会(第4日) 本文 2021-12-16 文書発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別窓表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言単文選択全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者表示切り替え 全 90 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 : ◯議長中本隆志君) 選択 2 : ◯議長中本隆志君) 選択 3 : ◯玉重輝吉君 選択 4 : ◯議長中本隆志君) 選択 5 : ◯知事湯崎英彦君) 選択 6 : ◯議長中本隆志君) 選択 7 : ◯商工労働局長川口一成君) 選択 8 : ◯議長中本隆志君) 選択 9 : ◯健康福祉局長木下栄作君) 選択 10 : ◯議長中本隆志君) 選択 11 : ◯農林水産局長佐伯安史君) 選択 12 : ◯議長中本隆志君) 選択 13 : ◯土木建築局長齋藤博之君) 選択 14 : ◯議長中本隆志君) 選択 15 : ◯教育長平川理恵君) 選択 16 : ◯議長中本隆志君) 選択 17 : ◯副議長小林秀矩君) 選択 18 : ◯金口 巖君 選択 19 : ◯副議長小林秀矩君) 選択 20 : ◯知事湯崎英彦君) 選択 21 : ◯副議長小林秀矩君) 選択 22 : ◯金口 巖君 選択 23 : ◯副議長小林秀矩君) 選択 24 : ◯知事湯崎英彦君) 選択 25 : ◯副議長小林秀矩君) 選択 26 : ◯金口 巖君 選択 27 : ◯副議長小林秀矩君) 選択 28 : ◯商工労働局長川口一成君) 選択 29 : ◯副議長小林秀矩君) 選択 30 : ◯金口 巖君 選択 31 : ◯副議長小林秀矩君) 選択 32 : ◯健康福祉局長木下栄作君) 選択 33 : ◯副議長小林秀矩君) 選択 34 : ◯金口 巖君 選択 35 : ◯副議長小林秀矩君) 選択 36 : ◯健康福祉局長木下栄作君) 選択 37 : ◯副議長小林秀矩君) 選択 38 : ◯金口 巖君 選択 39 : ◯副議長小林秀矩君) 選択 40 : ◯農林水産局長佐伯安史君) 選択 41 : ◯副議長小林秀矩君) 選択 42 : ◯金口 巖君 選択 43 : ◯副議長小林秀矩君) 選択 44 : ◯知事湯崎英彦君) 選択 45 : ◯副議長小林秀矩君) 選択 46 : ◯金口 巖君 選択 47 : ◯副議長小林秀矩君) 選択 48 : ◯金口 巖君 選択 49 : ◯副議長小林秀矩君) 選択 50 : ◯教育長平川理恵君) 選択 51 : ◯副議長小林秀矩君) 選択 52 : ◯金口 巖君 選択 53 : ◯副議長小林秀矩君) 選択 54 : ◯農林水産局長佐伯安史君) 選択 55 : ◯副議長小林秀矩君) 選択 56 : ◯金口 巖君 選択 57 : ◯副議長小林秀矩君) 選択 58 : ◯知事湯崎英彦君) 選択 59 : ◯副議長小林秀矩君) 選択 60 : ◯金口 巖君 選択 61 : ◯副議長小林秀矩君) 選択 62 : ◯副知事(山田 仁君) 選択 63 : ◯副議長小林秀矩君) 選択 64 : ◯金口 巖君 選択 65 : ◯副議長小林秀矩君) 選択 66 : ◯農林水産局長佐伯安史君) 選択 67 : ◯副議長小林秀矩君) 選択 68 : ◯金口 巖君 選択 69 : ◯副議長小林秀矩君) 選択 70 : ◯都市建築技術審議官(上田隆博君) 選択 71 : ◯副議長小林秀矩君) 選択 72 : ◯金口 巖君 選択 73 : ◯副議長小林秀矩君) 選択 74 : ◯議長中本隆志君) 選択 75 : ◯林 大蔵君 選択 76 : ◯議長中本隆志君) 選択 77 : ◯知事湯崎英彦君) 選択 78 : ◯議長中本隆志君) 選択 79 : ◯地域政策局長(岡田芳和君) 選択 80 : ◯議長中本隆志君) 選択 81 : ◯環境県民局長(新宅郁子君) 選択 82 : ◯議長中本隆志君) 選択 83 : ◯危機管理監(尾崎哲也君) 選択 84 : ◯議長中本隆志君) 選択 85 : ◯警察本部長(森内 彰君) 選択 86 : ◯議長中本隆志君) 選択 87 : ◯議長中本隆志君) 選択 88 : ◯議長中本隆志君) 選択 89 : ◯議長中本隆志君) 選択 90 : ◯議長中本隆志君) ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓ 最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1:         午前十時三十二分開議 ◯議長中本隆志君) 出席議員六十三名であります。これより会議を開きます。              ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~         自第  一 県第八六号議案         至第三十八 報第二七号 2: ◯議長中本隆志君) これより日程に入ります。日程第一、県第八六号議案 令和三年度広島県一般会計補正予算から日程第三十八、報第二七号 損害賠償額の決定についてまでの各案を一括上程議題といたします。  昨日に引き続いて質問を行います。玉重輝吉君。         【玉重輝吉君登壇】 3: ◯玉重輝吉君 皆さん、おはようございます。自民議連中山間地域三男の玉重輝吉でございます。今次定例会におきまして、一般質問の機会を与えてくださった中本議長をはじめ、小林副議長、先輩、同僚議員の皆様に心より感謝申し上げるとともに、平日にもかかわらず、傍聴席においでいただいた支援者の皆様に厚く御礼申し上げます。それでは、質問に入らせていただきます。  質問の第一は、持続可能な地域社会の実現に向けて、出生率の向上と労働力人口の確保の二点についてお伺いします。  初めに、出生率の向上について質問いたします。  先月、決算特別委員会において、県の少子化対策について質問しましたが、少子化対策は本県だけではなく、国の将来を左右する大変重要なテーマであり、本日も質問する次第です。  先月公表された国勢調査の結果では、国の人口は一億二千六百万人となり、ピーク時と比べて一・六%の減少となっております。一方、国立社会保障・人口問題研究所の将来人口の中位推計によれば、八十年後の二一〇〇年には人口が五千万人を下回るとされており、まさに明治時代の人口水準にまで落ち込む事態であり、大きな危機感を抱いています。  国は、現在の人口規模の維持に必要な出生率の人口置換水準を二・〇七と想定し、二〇四〇年の達成を見通して少子化対策に取り組んでいますが、令和二年時点で出生率は一・三四で二・〇七に遠く及ばず、出生数は統計史上最少の約八十四万人となっています。  また、本県でも少子化対策に取り組んできましたが、私が一番の課題と考えている出生率の向上ついては、人口置換水準の二・〇七や県民の希望出生率一・八五に照らせば、現在の出生率一・四九では到達は相当険しい道のりではないかと思います。  なぜこれほど人口減少や出生率の低下に対して、深刻な懸念を抱いているかといえば、出生率の低下が、地域の労働力の減少をもたらし、そのことが地域経済を縮小させ、人口の流出やさらなる人口減少を招き、過疎地域においては、既にこうした負のスパイラルが加速している状況にあるからです。  先月の決算特別委員会で問いただした際には、県の出生率が全国平均を上回っていることなどから少子化対策は成果が現れているとする一方で、長期的なトレンドとして今後も出生率の減少傾向は避けられないという諦めにも似た答弁がありました。また、県は引き続き、安心して妊娠・出産、子育てができる環境づくりを進めていくということでしたが、県民の希望する出生率を達成するには、今までの課題分析を踏まえて、焦点を絞って、思い切った施策の展開が必要と強く感じております。  そこで、少子化対策を最重要課題として掲げられて十二年が経過する中で、県民の希望する出生率一・八五や現在の人口規模の維持に必要な出生率二・〇七の達成に向けて、実現性のある具体的な出生率の向上につながる取組についてお伺いします。  次に、労働力人口の確保についてお伺いします。  先月公表された国勢調査によれば、本県の人口はついに二百八十万人を切りました。
     私の地元、安芸高田市をはじめ県内四市町で、人口が五年前の調査と比べて、一〇%以上も減少し、それに伴い労働力人口の不足が顕著になっております。  こうした直面する労働力人口の不足に対しては、積極的な外国人材の活用が有効と考えます。なぜなら、世界各国の人口に占める外国人の割合が三・六%であるのに対し、国勢調査によれば、我が国の人口に占める外国人の割合は二・二%であり、本県に至っては一・九%となっており、約半数という非常に少ない状況にあるからです。  こうした中、国は、今年六月に改定した外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策において、外国人材の円滑な受入れに向けて、特定技能での就労を希望する外国人と雇用を希望する企業のマッチング支援や、地方における労働力不足の状況、特定技能外国人の受入れ状況等の情報把握、分析機能の強化を行っていくとしています。  本県でもこうした国の動きに呼応して、「安心 誇り 挑戦 ひろしまビジョン アクションプラン」において、県内企業等に、外国人材の円滑な受入れや就労に必要な環境が整えられるとともに、外国人が地域とのつながりを深めながら、外国人が困ったときに相談できるなどの環境整備を進めることとしています。  こうした取組の一方で、現状では、外国人と地域住民とのコミュニケーションが少なく、国際交流に関わる県民の割合が低い状況にあることや、外国人が生活する上で、多言語対応やサービスを受ける仕組みづくりが不十分という課題があります。  このような課題に対して、例えば安芸高田市では、十年以上前から外国人を含めた多文化共生に取り組むとともに、平成三十年には全国初と言われる積極的な外国人の移住・定住を促進する方針を打ち出した「第二次安芸高田市多文化共生推進プラン」を策定し、労働力確保に向けて外国人に定住を促す取組などが進められています。こうした取組が功を奏し、外国籍の方の人口や市民に占める割合も増加しております。  現在コロナ禍で、外国人への入国制限が続いているところではありますが、県として、国等と連携し、安芸高田市のような取組を後押しする施策を講じていくということは外国人の定住促進等につながるとともに、地域の労働力人口の増加にもつながる一つの有効な手だてではないかと考えます。  そこで、コロナ後も見据えた外国人材等の活用による地域の労働力人口の不足解消に、どのように取り組んでいこうとされているのか、知事の御所見をお伺いします。  質問の第二は、中山間地域の振興について、六点お伺いします。  まず、地域生活交通の維持・充実について伺います。  県が昨年実施した中山間地域に関する住民意識調査では、生活面で交通機関など移動手段が不便と回答された方は、都市部の約一三%に対し、中山間地域では約六九%に上っており、医療・福祉、商業施設などにアクセスするに当たって、公共交通機関がなければ、自家用車等に頼らざるを得ず、また、そうした交通手段もなければ生活に大きな支障が出ることがうかがえます。  その一方で、近年、高齢者の運転による痛ましい事故が相次いでおり、県内の高齢者の運転免許証の返納件数は、一万件を超え、以前に比べて増加しております。一たび免許返納すれば、代替の交通手段がなければスーパーや病院に行くにしてもどうすればよいのか途方に暮れてしまうのではないでしょうか。タクシーの利用も考えられますが、出費を抑えるために外出機会を減らさざるを得ないといった悲痛な声も聞いております。  こうした中、これまでに全国三十か所で、中山間地域における道の駅等を拠点とした自動運転サービスの実証実験が行われています。自動運転によるバスや乗用車が導入されれば、生活面で移動が便利になるだけではなく、自分で運転する機会が減ることによる事故リスクの低減や、ドライバー不足の解消にもつながるなど、地域の課題解決に向けては有効な取組と期待されます。  また、私が先月、特別委員会で視察した福岡県内の企業では、市からの補助金なしで、運賃と地域のスポンサーからの広告協賛を原資にAIを活用したオンデマンドバスによる実証運行をされていました。バスのサイズを小型化し、乗降場所を通常の二倍以上に増やし、一定のエリアに薄く広がる需要に対応することにより、待ち時間が通常の四分の一以下となり、乗車時間も半分程度になるなど、利便性向上による需要の確保という成果が出ているということでありました。しかしながら、人口密度が低い地域では、採算面が合わないという課題も指摘されておりました。また、資源が充分ではない中山間地域では、あらゆる主体、事業者の参画が重要であるとの指摘もあったところです。  本県においても、MaaSなど次世代の交通システムの整備を進めておられますが、いかに地域のニーズを把握し、実情を踏まえた交通網を整備していくかが鍵になると考えます。  そこで、県内の地域生活交通の現状把握と課題認識、利便性を向上させるMaaSなどの今後の取組と将来ビジョンについてお伺いします。  次に、地域介護人材の確保・充実についてお伺いします。  中山間地域は近年人口減少が著しく、このまま人口減少が進展すれば、さらなる介護人材が不足し、介護サービスの低下につながることが懸念されます。  例えば、安芸高田市にある介護施設のように、介護人材が不足しているために、ベッド数に空きがあり、施設に入りたい人がいるにもかかわらず、空床扱いになっている実態があります。  こうした状況に対して、例えば廿日市市では来年一月から中山間地域などの介護サービスの人材確保のため、新規就労者の引っ越し費用の一部補助や、一年以上の常勤者などに支援金を支給する支援事業に取り組むということであります。ただ、施設側の声として、こうした事業はありがたいけれども、支援金や補助は一時的ではなく、長い目で見た支援をお願いしたいということであります。  そうした意味では、地域介護人材の確保・充実に向けては、県が主体となって長期的に継続して支援していくことが必要であると考えます。  また一方で、本県の介護職員の離職者について、三年未満で離職する職員の割合は令和二年時点で五九%にも上っております。  本県では、今年度から「安心 誇り 挑戦 ひろしまビジョン」において、全ての県民が質の高い介護サービスを受けられるように取り組むこととしていますが、現状を見渡せば、介護人材の確保に向けては厳しい状況にあると感じます。  そこで、過疎化が進展する中山間地域における介護人材の確保・充実に向けて、今後どのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いします。  次に、県立高校の教育環境の向上についてお伺いします。  県の住民意識調査では、中山間地域における居住地で必要と考える取組では、約七一%の方が教育環境の確保に取り組む必要があると回答しています。  このことは、中山間地域での生徒数の著しい減少が学校を小規模化させるとともに、教員の数も減少していくといった教育環境が悪化していくことへの危機感の表れだと思います。  例えば、安芸高田市では、地元に県立高校があるにもかかわらず、わざわざ通学等の費用や時間のかかる近隣市町などの高校を選んでいる生徒が多くいるのも、その裏返しではないでしょうか。  こうした状況は、学校間の教育環境の違いから、生徒にとってより魅力を感じるほうが選ばれていると思いますので、せっかく地元に県立高校があるわけですから、地元県立高校の魅力を向上させ、生徒から選ばれる学校づくりをしていくことが必要であります。  県が今年八月に策定した過疎地域持続的発展方針では、地理的な条件や学校規模にとらわれず、地域を越えた相互交流や多様な学びの選択肢を提供できるよう、各学校でデジタル技術の活用を推進するとしています。具体的には、中山間地域等の県立高校にデジタル技術を活用した遠隔教育システムによる学習環境を整備し、専門性の高い授業や多様な人々との交流活動など質の高い学びを享受できる機会の提供に取り組むということであります。  こうしたデジタル技術の活用は、都市部と中山間地域の教育環境格差の是正を図る取組の一つとして有効と考えます。  ただ一方では、生徒数が少ないために希望する部活動ができないなど、デジタル技術だけでは解消できない課題もあります。  そこで、中山間地域の県立学校が、地元に愛され、選ばれ続けるためには、そうした課題を解消し、教育環境の魅力をさらに伸ばしていかなければならないと考えますが、統廃合等の対象となる基準ぎりぎりの危機的状況下で、具体的かつ効果的な取組について教育長にお伺いします。  次に、災害対策と支援についてお伺いします。  近年、我が国では自然災害が頻発・激甚化していますが、本県においても、平成二十六年八月をはじめ、平成三十年七月、昨年七月、今年七月、八月と豪雨が頻発しており、県内各地で大変多くの被害が出たところであります。  私の地元、安芸高田市を流れる多治比川もこうした豪雨の影響により氾濫し、付近の農地等に甚大な被害がもたらされました。  こうした被害に対し、これまで国は激甚災害指定を通じた支援を行い、県や市は再整備等の事業に取り組んでこられましたことに大変感謝申し上げます。  しかしながら、豪雨の影響で被害の出た農地について、復旧のめどが立たなければ、毎年のお米の生産も諦めざるを得ない状況が続いていくことになり、早期復旧が見込めなければ農業を諦める覚悟をされている方もおられます。  こうしたことから一刻も早い復旧が望まれますが、近年の農林水産業費の執行率を見ると六割程度で推移し、主な要因が公共事業の不調・不落などによることから、そうした状況の改善が農地等の早期復旧につながると考えます。  また、豪雨被害が続発する中、再発防止に向けては原形復旧だけでなく、改良復旧や流域治水の考え方を取り入れた事前防災対策が重要と考えます。  他方、災害被害への支援についてですが、平成三十年七月と、今年七月、八月というほぼ同時期に起きた豪雨により、同様の被害に遭われた農業者に対して、同様の支援がない実態があると聞いております。具体的には、平成三十年と今年の豪雨災害では、いずれも国から激甚災害指定を受けましたが、トラクターなどの農機具やビニールハウス等の被害への支援について、平成三十年は対象となったのに対し、今年は対象にならなかったとのことであります。  その理由として、国の説明によれば平成三十年豪雨での支援は被害件数や被害額が大きかったためであり、農機具やビニールハウス等の被害も支援対象になったということであります。つまり、支援の対象となるかどうかは、農業者個人の被害の大小ではなく、地域全体として被害が大きいか小さいかによって決められるということになります。このことは農業者個人のダメージが壊滅的であっても、地域全体として被害額が小さければ支援の対象にならないという大変理不尽な基準で行われると言えるのではないでしょうか。実際に甚大な被害に遭われているにもかかわらず、支援の対象とならない農業者の方々からは疑問や憤りの声が上がっております。  そこで、今年七月・八月豪雨の影響により被害の出た農地等について、復旧状況の進捗と早期復旧に向けた今後の取組、そして災害の再発防止に向けた改良復旧などの事前防災対策の今後の取組についてお伺いします。  あわせて、災害被害への支援は、地域全体の被害状況で判断するのではなく、個別の被害状況で判断して行うべきと考えますが、国の復旧費用の負担が十分でない場合の県としての支援について、知事のお考えをお伺いします。  次に、災害復旧整備に係る事業者の確保についてお伺いします。  建設業界は、慢性的な人材不足にあり、公共入札に係る事業者の登録数は決して多いとは言えず、また、地域間格差も生じています。  一方で、近年の頻発化、激甚化する豪雨などがもたらした災害被害からの復旧に向けては早急なインフラ整備が求められますが、事業者や人材が不足していれば、工期はますます遅れ、関係者に多大な影響が生じてしまいます。  また、建設業界は新規参入が難しいとされ、公共事業の入札資格を持つ事業者の増加が見込めないため、不落・不調につながって災害復旧が進まない要因になっていると考えます。  特に住民のライフラインに関わるインフラについては、入札資格を持つ事業者を確保するため、入札への参加要件の緩和をするなど、早期の災害復旧を後押しする取組が必要ではないかと考えます。  もちろん災害復旧では、要件緩和をしたとしても、工事内容が緩和前と比べて劣ることがないようきちんとした検査、確認等を行っていく必要がありますが、緊急事態下で実績のある有資格者と組合せを行うなどの工夫により、早期の災害復旧に向けては事業者の体制強化を最優先すべきと考えます。  そこで、迅速な災害復旧整備に向けた建設事業者の確保について、どのように取り組んでいくおつもりなのか、御所見をお伺いします。  次に、利便性の向上につながる道路インフラ整備についてお伺いします。  県が昨年行った住民意識調査では、中山間地域における生活面のマイナスの印象について、交通機関など移動手段が不便という回答が多数あります。  そこで私が提案したいのは、本県の強みである井桁状の高速道路ネットワークのうち、その一翼を担う安芸高田市、広島市の区間では現在車で一時間以上を要していますが、それを三十分程度に短縮させる都市高速道路を整備することです。  もしそれが実現すれば、バス利用も想定され、安芸高田市内から広島市内への会社や、高校、大学、専門学校への通勤・通学は十分可能と考えます。また、安芸高田市のみならず、近隣の市町などからのアクセスに要する時間も大幅に短縮するので、アンケートにあった移動手段の不便さの解消につながると思いますし、災害時の代替手段としても有効ではないかと考えます。  さらに、この道路整備は喫緊の課題である人口減対策や地域の活性化、新型コロナなどの感染症対策に資する適散・適集な地域づくりにもつながることから、早期実現に向けては、通行料金を有料化するなど積極的な財源確保を図る必要があると考えます。  そこで、中山間地域における生活利便性の向上につながる道路インフラ整備にどのように取り組んでいくおつもりなのか、知事の御所見をお伺いします。  質問の第三は、持続可能な農業経営についてお伺いします。  本県を取り巻く農業環境は、就業人口や農家数の減少が続いており、農家数は平成二年と比較して平成二十七年には約半分になるなど、大変厳しい状況にあります。また、担い手不足により耕作放棄地が増えれば、水源の涵養や環境保全などの農地の多面的機能が失われ、洪水や土砂崩れを防ぐ防災面でも問題が生じます。  私は、こうした担い手不足の要因の一つに、年収の低さがあると考えます。  県では、将来の生活設計が描ける農業経営を目指すためには、就業者一人当たりの年間所得を五百万円以上確保する必要があるとしており、知事もよく口にしておられます。  しかし、現状では、本県の農家一戸当たりの農業産出額は全国平均の四百十四万円より低い二百九万円であり、全国で四十位という状況にあります。  このため就業者の所得向上が喫緊の課題と考えますが、それに対しては、農業生産性の向上が有効な解決策の一つではないかと考えます。  本県は、営農条件に恵まれていない中山間地域が多いことから、スマート農業は適さないといった声も聞かれる中、中山間地域の狭小なハウスに合わせた低コストの栽培管理システムの構築など、地域の実情に応じた生産性の高いひろしま型スマート農業の実証実験に取り組むこととしています。  しかし、こうした取組については、実証実験で終わるのではなく、農業従事者へのスマート農業の導入コストや技術的な支援などにより、着実に普及させ、所得の向上を達成させることこそが最も重要ではないかと考えます。  そこで、持続可能な農業経営の確立に向けて、農業従事者の所得や生産性の向上を図る支援について、今後どのように展開され、いつまでに結果を出すのか、知事の決意をお伺いします。  質問の最後は、脱炭素社会の実現に向けた持続可能な林業経営についてお伺いします。  県が今年三月に策定した「第三次広島県地球温暖化防止地域計画」によれば、二〇五〇年度までに温室効果ガスによる排出量と森林吸収等による除去量との均衡により、温室効果ガス排出量を実質ゼロにするということであります。  森林吸収量の確保・強化に当たっては、森林資源の適正な管理、利用が必要なことは言うまでもありませんが、現状では、主伐、再造林の循環利用や間伐等の適切な森林整備の取組があまり進んでいないという課題があります。その理由について、県が令和元年八月に森林組合等の民間事業体に行ったアンケートによれば、後継ぎがいないため所有林が管理できないことや、採算面で林業経営が成り立たないといったことが挙げられており、こうした課題解決が図られなければ、カーボンニュートラルの実現に向けての実効性は乏しいと言わざるを得ません。  本県では、これまで平成十九年から三期十五年にわたって、ひろしまの森づくり事業を通じて、森林吸収源対策として人工林対策や里山林対策などに取り組んできたところでありますが、この事業の財源となっているひろしまの森づくり県民税の課税期間が令和三年度末で終了することから、これまで課税自主権を行使し、課税してきたことの総括に向けては、取組の検証結果を踏まえ、成果と残された課題についてきちんと整理し、説明責任を果たす必要があると思います。  そして、残された課題があるのであれば、その解決に向けた手法について議論を深め、さらにひろしまの森づくり県民税を活用して取り組む必要があるのであれば、県民に税の必要性や将来の目標、それに向けたロードマップをしっかりと説明し、県民の理解を得ることが何より大事だと考えます。  そこで、脱炭素社会の実現に寄与する持続可能な林業経営に向けて、生産性の向上や人材の確保・育成にどのように取り組んでいくおつもりなのか、お伺いします。  あわせて、税を活用したひろしまの森づくり事業の成果と課題、事業の継続についてどのように考えておられるのか、御所見をお伺いします。質問は以上です。  知事におかれましては、四期目の当選おめでとうございます。現在、コロナ、ワクチン、災害対応等様々な課題が山積しておりますが、DXの推進等で対応するとともに、人口減少に歯止めをかけ、ぜひとも持続可能な社会の実現を成し遂げていただきたいと思っております。  御清聴、ありがとうございました。(拍手) 4: ◯議長中本隆志君) 当局の答弁を求めます。知事湯崎英彦君。         【知事湯崎英彦君登壇】 5: ◯知事湯崎英彦君) まず、出生率の向上についてお答え申し上げます。  本県では、県民の皆様の結婚、妊娠・出産の希望をかなえることや子育てに対する安心感を醸成することが、出生率の向上に寄与すると考え、県民の皆様一人一人の夢や希望の実現を後押ししていくことを基本に、様々な取組を展開しており、本県の出生率は、全国水準を上回って推移しているところでございます。  しかしながら、県民の希望する出生率とは乖離があり、その要因といたしましては、経済的な不安定さや出会いの機会の減少、仕事と子育ての両立の難しさ、子育て中の孤独感や負担感、年齢や健康上の理由など、希望の実現を阻む様々な課題が複雑に絡み合って存在していることから、個々の課題に対応した対策を総合的に講じていくことが必要と考えております。  具体的には、妊娠期から子育て期まで、関係機関と連携し、切れ目のない見守り支援を行うひろしま版ネウボラの構築により、子育てに対する安心感を醸成しているほか、子育てしながら働き続けられるよう、多様な保育サービスの充実や、働き方改革などに取り組んでおります。  また、若い世代が希望を実現しやすい環境を整えるため、結婚を希望する若者の出会い・結婚支援、若者の経済的自立に向けたきめ細かい就業支援、県営住宅における新婚世帯の優先入居などの取組のほか、妊娠を希望する夫婦の不妊検査・治療の助成を行っております。  特に、体外受精などの特定不妊治療による出生数は、今や出生数全体の七%を占めていることから、国の少子化対策におきましても、来年四月からの保険適用に向けた検討や、仕事と不妊治療が両立できる環境整備などが進められているところでございます。  本県といたしましては、こうした国の動きも注視しながら、効果的な支援策を検討していくとともに、引き続き、様々な課題に対応する対策を総合的、効果的に進めることで、県民の皆様が、安心して結婚、妊娠・出産、子育てができる社会を実現できるよう、全庁一丸となって取り組んでまいります。  次に、地域生活交通の維持及び充実についてでございます。  中山間地域の生活交通につきましては、人口減少や高齢化が進展する中、利用者の減少により、交通事業者の多くが慢性的な赤字路線を抱え、バス路線や航路が一部縮小するなど、非常に厳しい状況に置かれており、コロナ禍によって、より一層厳しさを増していると認識しております。  このため、持続可能な生活交通の維持・確保に向けては、交通事業者への運行支援や利便性、収益性向上の取組に加え、地域にある多様な輸送資源を有効に活用するなど、地域が自ら考え、支えていく仕組みづくりが必要と考えております。  こうした中、本県では今年度より、地域住民、交通事業者、商業施設などが主体的に連携し、デジタル技術を活用しながら、交通と生活サービスを一つのサービスとする広島型MaaS推進事業を創設し、現在よりも利便性、収益性を高め、地域で生活交通を支えていくモデルの構築に取り組んでいるところでございます。  具体的には、庄原市におきまして、予約制AIデマンドバスを運行し、乗車された方には、地域の商店街で使われているキャッシュレス決済カードへのポイント付与を行うなど、地元関係者が参画する協議会が中心となったMaaSの取組を進めており、こうした動きを他の中山間地域にも展開してまいります。  県といたしましては、引き続き、デジタル技術を活用したMaaSなど、新たな交通サービスの導入に向けた支援を行うとともに、交通事業者や利用者、市町など、関係者と一体となって、より持続性の高い生活交通のあるべき姿を検討してまいります。  次に、利便性の向上につながる道路インフラ整備についてでございます。  中山間地域におきましては、人口減少や少子化、高齢化の急速な進行により、地域コミュニティーや教育、医療、買物など日常生活に必要なサービスの維持が大きな課題となっていることから、便利で快適な移動が可能となり、地域間の交流や連携を活発に行うための道路整備が必要であると考えております。  このため、本年三月に策定した「社会資本未来プラン」におきまして、主要都市間の連携を強化する基盤整備を取組の一つとして掲げ、主要都市間及び圏域内の市町間の連携強化に資する道路ネットワークの強化に取り組んでおります。  現在、安芸高田市と広島市をつなぐ道路につきましては、一般国道五十四号可部バイパスの整備や、広島高速四号線の山陽自動車道への延伸の早期事業化に向けた検討が進められるとともに、安芸高田市と東広島市間につきましては、東広島高田道路の一部である向原吉田道路の整備を進めており、地域間移動の速達性、定時性の向上に努めているところでございます。  県といたしましては、地域の自立を支え、豊かで持続可能な中山間地域を実現するため、引き続き、国や関係機関等と連携し、県内外の地域間の連携・交流を支える広域道路ネットワークの強化に取り組んでまいります。  次に、持続可能な農業経営についてでございます。  持続可能な農業経営を実現するためには、生産性の向上を図るとともに、販売力を強化し、所得拡大を実現する経営力を高めていくことが重要であると認識しております。  これまで、県におきましては、生産性の向上に向け、ひろしま型スマート農業推進事業の実証試験を行い、中山間地域に適した技術を確立し、収益性の高い経営モデルの構築に着手するとともに、販売力の強化に向けては、広島県産応援登録制度の活用により、新たな販路を求める経営体に対して、商品提案力を強化しながら、実需者とのマッチングを支援してまいりました。  また、担い手の経営力向上に向けましては、ひろしま農業経営者学校などにおいて、先進事例を学び、経営ビジョンを作成することで、発展意欲の向上を図り、ハンズオン支援によって、組織体制や人事管理制度、予算・実績管理などの導入を進めることにより、経営規模の拡大を支援してまいりました。  今後は、スマート農業の実証試験を通じて構築した技術や経営モデルにつきまして、広く県内の農業者に情報発信し、試験的な導入により有効性や経済性について実感していただくとともに、優れた栽培技術のデータを農業者間で共有する仕組みなどを整えながら、本県でのスマート農業の実装を進め、生産性の向上を図ってまいります。
     また、販売力の強化につきましても、デジタル技術を活用し、正確な出荷量予測データなどを事前に実需者に提供するシステムの導入を進めることにより、販売チャネルの拡大につなげてまいります。  さらには、食の流通、消費の多様化など、社会情勢の変化に対応するため、イノベーション戦略を考えるアグリ・フードマネジメント講座の充実を図り、持続的に発展できる経営体への成長を促してまいります。  こうした取組によりまして、十年後には、スマート農業の実装が進み、全国の中山間地域をリードする生産性の高い農業が確立され、担い手が企業経営を実現するなど、安定した所得を確保した経営体が育成されることで、職業として農業を選択する人が増加するよう取り組んでまいります。  その他の御質問につきましては、担当説明員より答弁させていただきます。 6: ◯議長中本隆志君) 商工労働局長川口一成君。         【商工労働局長川口一成君登壇】 7: ◯商工労働局長川口一成君) 労働力人口の確保についてお答えいたします。複数部局にわたるお尋ねでございますが、私が代表して答弁いたします。  本県の経済や地域社会が持続的に発展し続けるためには、外国人を含む多様な人材が活躍する環境を創出し、新たな活力を生み出していくことが重要であると認識しております。  このため、外国人材の円滑な受入れや定着に向け、就労面につきましては、県内企業等において、外国人材の円滑な受入れ、就労に必要な環境が整備されるよう、実態調査等により受入れ企業の現状や課題を把握し、外国人材受入れ企業などを対象としたセミナーや出前講座などによりまして、課題解消のための対策やノウハウなどを提供しているところでございます。  また、生活面につきましては、外国人が孤立することなく安心して暮らせる環境が整備されるよう安芸高田市をはじめ県内市町と共同で、外国人と地域住民との橋渡し役となる人材が両者をつなぎながら、生活に必要な情報を共有していくためのモデル事業や、日本語教室の空白地域への設置、生活関連情報のSNSによる多言語での発信などに取り組んでいるところでございます。  外国人材の受入れに当たりましては、現在、新規入国が停止されておりますが、入国再開後は、受入れ企業に対し、入国手続に関する情報を提供するとともに、六月補正で約一億円の予算を措置した外国人材受入企業等緊急支援事業補助金によりまして、入国待機費用を支援するなど、円滑な受入れを進めてまいります。  また、国におきましては、家族とともに長期の在留が可能な特定技能二号の対象分野の追加について検討されることとなっており、今後、これまで以上に外国人材の受入れが進むことが見込まれるため、より一層、外国人材の活躍や定着を促進する取組が重要になると考えております。  こうした状況を踏まえ、国や経済団体等と連携し、企業や地域における外国人材の活躍や定着に向けて課題解決の仕組みづくりを進めるとともに、国、県、市町で構成するひろしま多文化共生連絡協議会を通じて、モデル事業の全県展開などに取り組んでまいります。  今後とも、企業において外国人が活躍でき、地域に溶け込み安心して生活できる地域づくりを進めることで、外国人材から選ばれる広島県を目指してまいります。 8: ◯議長中本隆志君) 健康福祉局長木下栄作君。         【健康福祉局長木下栄作君登壇】 9: ◯健康福祉局長木下栄作君) 地域介護人材の確保及び充実についてお答えいたします。  人口減少や高齢化が進む中で、将来にわたって持続可能な介護サービスの提供体制を構築していくためには、安定的な人材の確保が喫緊の課題であると認識しております。  このため、本県では、無料職業紹介や就職合同説明会の実施によるマッチング機会の提供、職員の負担軽減や業務の効率化を図るデジタル技術や見守りセンサーなどの導入促進、介護福祉士養成施設の学生に対する一定期間介護業務に従事した場合に全額返還免除とする修学資金の貸付けなど、介護人材の確保、定着に向けた取組を進めているところでございます。  こうした中、特に、中山間地域につきましては、年間十回程度、地域に出向いて就職相談を実施するほか、修学資金の貸付けにおいて、全額返還免除に要する期間を通常は五年のところを中山間地域に従事した場合には三年に短縮するなどの措置を講じております。  また、市町や関係団体などから成る協議会が実施する介護の入門研修や職場体験会などの取組への支援を行っているところであり、今後も市町と意見交換しながら、職員の負担軽減を図る介護助手の導入促進や経営基盤の強化を図る法人の大規模化、協働化など、地域における介護人材の確保に向けた必要な対策に取り組んでまいります。 10: ◯議長中本隆志君) 農林水産局長佐伯安史君。         【農林水産局長佐伯安史君登壇】 11: ◯農林水産局長佐伯安史君) 私からは二点についてお答えいたします。  まず、災害対策と支援についてであります。複数部局にわたる御質問ですが、代表して私がお答えいたします。  本年七月と八月の豪雨災害に係る農地・農業用施設の復旧につきましては、十月から国による災害査定が行われており、年内の完了を目指して進めているところでございます。  災害査定を終えた箇所につきましては、年度内に工事を発注することにより、早期に復旧できる見込みでございます。  なお、隣接する河川の災害と一体的に復旧する必要がある箇所など、来年度の作付までに復旧が困難な場合には、復旧時期の見込みなどを丁寧に説明しながら、揚水ポンプや仮設パイプなどの応急措置により、可能な限り早期に営農の再開を図ることができるよう、市町と共に進めてまいります。  また、安芸高田市の多治比川など甚大な浸水被害が発生した河川の復旧につきましては、流域における雨水貯留機能の強化など流域治水の考え方も取り入れながら、被災した区間にとどまらず、一定区間を河道拡幅するなど、改良復旧を行うこととしており、現在、復旧計画について国、市町と協議を進めているところでございます。  一方、ハウスなどの被害を受けた農業者への支援につきましては、これまで全国知事会を通じて、早期の事業再開に向けた国庫補助事業による措置を講じるよう要望するとともに、広島県農業振興資金の利子補給を行い、より低利で借入者の負担の少ない融資が受けられるよう支援を行っているところでございます。  また、国においては、農業用機械やハウス等が損壊した場合の経済的損失を補填する農業共済制度や、農産物の販売収入が下がった場合に収入減少を補填する収入保険制度など、様々なリスクから農業経営を守るための各種制度が整備されております。  本県といたしましては、災害などのリスクに対するこうした各種制度への加入促進を図るとともに、引き続き、国に対して、全国の被害額の積み上げではなく、経営体ごとの被害状況などを基に地域の実状に応じて国庫補助事業が発動されるよう、あらゆる機会を通じて要望してまいります。  次に、脱炭素社会の実現に向けた持続可能な林業経営についてであります。  脱炭素社会の実現に向けましては、利用期を迎えた人工林において、切って、使って、植えることによる森林資源の循環利用を行うことで、森林の二酸化炭素吸収量の増加や、炭素固定の効果を最大限発揮することが重要であると認識しております。  このため、「二〇二五広島県農林水産業アクションプログラム」に基づき、一連の循環となる森林資源経営サイクルの構築に向けて、生産性の向上を図るため、令和七年度までに林業経営に適した森林を一万八千ヘクタール設定した上で、経営力の高い林業経営体に集約することや、ドローンによる苗木運搬など、デジタル技術の活用による森林施業の低コスト化の推進に取り組んでいるところでございます。  また、担い手の確保・育成を図るため、就職先や定住先のあっせんなどを行う就業相談員の配置や、関係団体と連携した新規就業者に対する林業に必要な知識・技術を習得するための研修の実施などに取り組んでいるところでございます。  今後とも、こうした取組を進め、森林資源経営サイクルを構築することにより、持続可能な林業経営を確立させ、脱炭素社会の実現を目指してまいります。  次に、ひろしまの森づくり事業につきましては、今年度が第三期目の最終年度であることから、これまで事業の実績に基づいて成果と課題を検証したところでございます。  主な成果といたしましては、人工林対策につきましては、令和二年度末までに二千七百ヘクタールを整備したこと、里山林対策については、地域住民等が主体の森林保全活動を支援することにより、継続的な地域資源の管理につながったことなどでございます。  また、主な課題といたしましては、人工林対策につきましては、平成三十年七月豪雨の際に、第三期で想定していた急傾斜の森林だけでなく、傾斜の緩い森林についても土砂災害が頻発したこと、里山林対策につきましては、地域住民等による森林保全活動の範囲に広がりがないことなどでございます。  さらに、検証で抽出された課題に対応するため、地球温暖化問題などの社会情勢の変化も踏まえ、事業の継続に向けた次期推進方針案の検討を重ねてきたところであり、議会と県民の皆様方の御意見も伺った上で、推進方針を策定してまいります。 12: ◯議長中本隆志君) 土木建築局長齋藤博之君。         【土木建築局長齋藤博之君登壇】 13: ◯土木建築局長齋藤博之君) 災害復旧整備に係る事業者の確保についてお答えいたします。  災害から早期に復旧を図るには、建設事業者を確保し、計画的に工事を執行することが重要であることから、多くの建設事業者が災害復旧工事に参入できるよう入札制度や入札参加要件等を柔軟に運用しているところでございます。  具体的には、災害復旧工事は通常工事と比較して、技術的な難易度が高くないことから、入札参加要件である事業者の年間平均完成工事高を請負対象設計金額の二分の一に引き下げるなどの緩和や、通常の格付事業者に加えて、下位の格付の事業者も入札に参加することができる特例の設定等を行っております。  さらに、本年十月には、被災が多い地域とそれ以外の地域の事業者が共同で入札に参加できる地域維持型JV制度の導入や、下請参入の拡大を目的として、災害復旧工事の下請実績も入札参加の要件として評価するなどの見直しを行ったところでございます。  あわせて、技術者や技能労働者の不足に対応するため、主任技術者や現場代理人が複数の現場の業務を実施できるようにする兼務制限の緩和や、遠隔地から技能労働者を確保するため、宿泊費や技能労働者の赴任に必要となる費用の計上等を行っているところでございます。  引き続き、災害復旧工事の円滑な執行に向けて、業界団体等と連携し、きめ細かな対策を講じながら迅速な復旧に努めてまいります。 14: ◯議長中本隆志君) 教育長平川理恵君。         【教育長平川理恵君登壇】 15: ◯教育長平川理恵君) 県立高等学校の教育環境の向上についてお答えいたします。  中山間地域に所在する県立高等学校につきましては、「今後の県立高等学校の在り方に係る基本計画」を踏まえ、地域や学校関係者の支援を得ながら、生徒に選ばれる魅力ある学校づくりに取り組んでいるところでございます。  また、過疎地域持続的発展方針におきましても、地域の内外から選ばれる魅力ある学校となるための特色づくりを支援するとともに、地域を越えた相互交流や多様な学びの選択肢を提供できるよう、デジタル技術の活用を推進することとしております。  このため、中山間地域における魅力ある学校づくりを進められるよう、生徒一人一人のニーズに応じたきめ細かな学習指導、地元企業等と連携した特色ある教育活動、他の地域の学校にはない部活動の実施など、それぞれの学校や地域の強みを生かした取組を進めているところでございます。  例えば、向原高等学校におきましては、生徒が過疎化、高齢化などの地域の課題解決に向け、地元NPO法人からドローンの活用方法を学習したり、女子ハンドボール部が地元実業団OBの熱心な指導を受け、初めて全国大会出場を果たしたりするなど、地域と連携しながら、地域に愛され、選ばれるための新たな取組を進めているところでございます。  次に、デジタル技術の活用につきましては、遠隔教育システムを導入し、本年十月から都市部の高等学校の教員が中山間地域の高等学校の生徒にオンライン授業を行ったり、中山間地域の複数の学校をつないで合同授業を実施したりするなど、順次、取組を進めております。  例えば、広島国泰寺高等学校の地理専門の教員の授業を、地理を専門とする教員がいない佐伯高等学校の生徒がオンラインで受講する取組などを行っているところでございます。  今後は、より多くの生徒に質の高い学びを提供できるよう、令和五年度の遠隔授業による単位認定を見据えて、授業の運営方法などの検証を進めていくこととしております。  教育委員会といたしましては、こうした取組を積極的に進め、中山間地域に所在する県立高等学校の教育環境の魅力向上に努め、地元に選ばれ続ける学校づくりを進めてまいりたいと考えております。 16: ◯議長中本隆志君) この際、暫時休憩いたします。午後の会議は一時から開きます。         午前十一時三十一分休憩              ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~         午後一時一分開議 17: ◯副議長小林秀矩君) 出席議員六十二名であります。休憩前に引き続き会議を開きます。  引き続いて質問を行います。金口 巖君。         【金口 巖君登壇】 18: ◯金口 巖君 皆さんこんにちは。広島県議会民主県政会、尾道市選出の金口 巖でございます。今次定例会におきまして、質問の機会を与えていただきました議長、副議長をはじめ、先輩、同僚議員に心から感謝を申し上げます。  知事におかれましては、四期目の当選、誠におめでとうございます。当選後、初の定例会となるわけでございますが、選挙戦を通じて訴えてこられた公約をどう実現に結びつけていくか、これまで三期十二年の取組の検証などと併せて、様々な角度から問うてみたいと考えておりますので、知事をはじめ、執行部の皆様の明快な答弁を期待いたします。早速ではございますが、質問に入らせていただきます。  質問は一問一答方式で行いますので、質問席に移動いたします。(質問用演壇に移動)  最初に、四期目の公約実現に向けた決意についてお伺いいたします。  知事は、選挙後の記者会見において、アフターコロナにおいては、コロナ前の姿にそのまま戻るのではなく、さらに元の軌道より高い軌道に上げていきたい。経済的にも社会的にも、よりよい形での発展的な回復を目指していきたいと述べておられます。  まさに本県の未来への重責を担うリーダーとして、また、これまでの十二年間、本県を支えてきた自負を受けての発言であったと思います。知事には、今後の四年間、そしてさらにその先の着実な発展へ向けた礎を築いていただきたいと強く期待をいたしております。  さて、本県の現状は、コロナで経済が疲弊し、相次ぐ災害で社会インフラの復旧に追い立てられ、雇用も不安定化し生活にあえぐ家庭が増えるなど、厳しい実態が目につきます。  こうした状況は全国でも同様に見られ、例えば、総務省の家計調査によれば、二人以上の世帯の場合、中間層、高収入層が減る一方で、低収入層が三割を超えるなど、世帯収入分布の下方トレンドが指摘されております。  コロナ禍におけるこうした厳しい現実を直視しつつ、生まれ、育ち、住み、働いてよかったと心から思える広島県を実現するためには、知事がさきの選挙で訴えられた、一人一人を大事に、広島の底力を引き出していくとの視点が何よりも肝要かと考えます。  独り親家庭などの経済的困窮や非正規労働者の不安定な雇用環境など、コロナ禍でより厳しい環境に置かれている方たちに十分寄り添った施策が求められますが、どういったスタンスで臨まれるのか、知事にお伺いいたします。 19: ◯副議長小林秀矩君) 知事湯崎英彦君。         【知事湯崎英彦君登壇】 20: ◯知事湯崎英彦君) 今回の選挙で、地域の皆様とのオンライン集会等を通じて、様々なお声を頂く中で、新型コロナウイルス感染症により、多くの県民の皆様が傷つき、社会的、経済的にも閉塞感が漂っていることを改めて強く感じたところでございます。  こうしたことから、足元の最重要課題であります新型コロナ対策に全力で取り組むとともに、新型コロナにより傷んだ県民生活や地域社会の回復、事業者の経済活動の継続や雇用維持を支える取組などを進めながら、アフターコロナを見据えた社会と経済の発展的回復を図っていくことが必要であると認識しております。  具体的には、コロナ禍で傷んだ県民生活や地域社会の回復等を図るため、経済的に困難な状況に置かれた方々へ、生活福祉資金制度による緊急小口資金等の特例貸付けを行うほか、市町において、困窮した世帯を訪問する、いわゆるアウトリーチの積極的な実施の促進などに取り組むとともに、地域課題解決に向けて地域の資源や人材を生かした地域共生社会の実現のために、住民主体の活動を実践するモデル事業の実施や複合的な生活課題等に対して市町が行う相談支援体制の構築への支援などの取組を進めてまいります。  また、雇用・労働の分野におきましては、コロナ禍により厳しい就労環境に置かれた方々に向け、引き続き、雇用維持や離職者の早期再就職に向けたセーフティーネットの構築などに取り組むとともに、今後は、成長が見込まれ、新たな雇用が創出される分野への就業を促進することができるよう職業訓練やリスキリング等の取組も推進してまいります。  今後も、新型コロナ対応と社会経済の発展的回復に注力するとともに、「安心 誇り 挑戦 ひろしまビジョン」に基づき、県民の皆様の不安を軽減する取組を進め、安心につなげることで、お一人お一人が夢や希望に挑戦し、それぞれの欲張りなライフスタイルが実現できる広島県となるよう、新たな任期においても、全力で取り組んでまいる所存でございます。 21: ◯副議長小林秀矩君) 金口 巖君。 22: ◯金口 巖君 今回の知事選挙はオンライン中心の選挙であり、投票率を心配しながら果たして知事に票が集まるのか、疑心暗鬼のところがございましたが、蓋を開けてみますと七十万台の過去最高の得票数が確保され、知事の過去十二年間の政策が評価されたあかしとなりました。  これからの四年間は、新型コロナウイルス感染症対策をはじめ、毎年のように起こる災害に対して機敏な対応を迫られるなど、極めて厳しい環境での県政運営となりますが、県民からの期待は大変大きいものがあります。  知事が当選当初から掲げておられる目標実現に向け、四年間頑張り抜いていただきたく、お願い申し上げておきます。  質問の第二は、新型コロナウイルス感染症対策について、二点お伺いいたします。  本県では、夏の第五波での総感染者数が一万人を超え、自宅での療養又は待機者がピーク時には約一千六百人を数えました。現在はワクチン接種などで小康状態にあり、その効果を継続させるため、三回目のワクチン接種も始まっております。  一方で、オミクロン株の世界的な蔓延危機により、水際対策の再強化措置が取られ、第六波の到来が間近に迫っている危機感も日に日に高まってきております。  県として、危機管理の要諦である最悪の事態を想定しつつ、県民意識の喚起による確実な感染予防対策と、万全の医療提供体制を整えておくべきと考えます。  そこで、今後の感染拡大防止策の中でも最も重要な対策の一つであるワクチン接種について、オミクロン株の出現で接種時期の前倒しの動きも出てくる中、市町や医療機関と連携し、三回目接種をどう進めていくつもりか、これまでの接種事業の検証と併せ、知事にお伺いいたします。  また、九月定例会で我が会派の鷹廣議員から問題提起されました後遺症問題については、これまで県内で二万二千人もの感染者がいることを踏まえると、相当数の方が倦怠感や記憶障害などの後遺症に悩まされているのではないかと危惧します。  さきの答弁では、アンケートを実施し、相談・診療体制整備に向け準備を進めているとのことでしたが、行政として現在、コロナ後遺症に悩まれる方への迅速な支援が求められるものと考えますが、どう考えておられるのか、併せてお伺いいたします。 23: ◯副議長小林秀矩君) 知事湯崎英彦君。         【知事湯崎英彦君登壇】 24: ◯知事湯崎英彦君) 新型コロナウイルス感染症対策につきましては、本県の分析においても感染予防や重症化予防の効果を確認できているワクチン接種が極めて重要であると考えております。  これまで、本県におきましては、広域接種の開始や接種会場及び予約状況を簡単に検索できるワクチンマップの紹介を行うなど、接種希望者の利便性の向上を図るとともに、大規模接種会場の設置や職域接種の支援、若年層を中心に接種促進を目的としたキャンペーンなどを実施してまいりました。  また、各市町におきましては、接種機会の確実な確保に加えて、集団接種会場の拡充や予約なし枠の設定、夜間接種といった利便性を向上させる取組などを行ってきたところでございます。
     これらの取組により、本県の接種率は、二回目の接種が県民の約七五%まで着実に上昇してきたものと認識しております。  今後につきましては、感染症に対する社会全体の抵抗力を高めることが必要と考えており、県民の八〇%接種を目標に一人でも多くの方に接種していただけるよう、引き続き、一回、二回目の接種の推進に当たって、接種機会の確保に取り組んでまいります。  また、三回目接種につきましては、市町と連携して、接種券の発送や体制確保を進めており、県においても大規模接種会場を設置するなど県民の皆様が円滑に接種していただけるよう取り組んでまいります。  なお、国において、三回目接種の時期について、八か月から六か月への前倒しの動きがありますが、これに対しましても、確実に対応できるよう、市町と医師会等と連携して、接種機会の確保等に努めてまいります。  次に、いわゆるコロナ後遺症につきましては、入院受入れ医療機関を中心に、アンケートを行った結果、県内二十を超える病院の協力が得られ、一部の病院ではこれまでも診療いただいているところでございます。  また、今月、国により初めて、コロナ後遺症に特化した診療の手引が作成され、専門医への受診を勧めるタイミングなどを含め、まずは、身近なかかりつけ医などを受診いただくことが重要であると示されております。  これらを踏まえ、現在、県内の感染者のうち、約二千人を対象として、後遺症に係る大規模な実態調査を実施しているところであり、今後、その分析結果につきましては、協力病院やかかりつけ医など身近な医療機関と共有することにより、相談・診療体制の強化に役立てていくとともに、後遺症で悩まれている方が安心して受診できるよう体制のさらなる充実に努めてまいります。 25: ◯副議長小林秀矩君) 金口 巖君。 26: ◯金口 巖君 後遺症の件についてでありますけど、国立国際医療研究センターが、感染した患者五百人を調査しております。このうち四人に一人が発症や診断から半年後も後遺症が残ったという回答がありまして、広島県に当てはめると、四人に一人ということになりますと五千人から六千人が後遺症に悩まされているのではないかということであります。  新型コロナは指定感染症のため、感染そのものに対する治療費は公費で賄われますが、後遺症の治療は自己負担ということでございまして、生活を圧迫していく一つの要因になっていくのではないかと思っています。  県としても、患者に寄り添った対応をしていただきたく願っております。よろしくお願い申し上げます。  次は、経済の再建対策についてであります。  コロナの感染拡大が個人消費を減退させ、さらには半導体の供給不足が経済停滞への拍車をかけ、今年の第一・四半期と第三・四半期のGDPはマイナス成長となりました。  現在は、コロナの下火傾向により旅行や商品などのリベンジ消費で持ち直しつつありますが、新たな脅威であるオミクロン株の世界的な流行に加え、原油高などの不安要素も顕在化しております。  飲食店の感染対策にお墨つきを与える第三者認証制度やワクチン接種証明などを活用して、経済への影響をできるだけ抑える取組も進んできており、今後はこうした感染拡大と経済回復が両立可能な社会的システムを機能発揮させていく必要があると考えております。  さきの衆議院選挙では経済対策が争点の一つとなり、岸田政権は五十五兆円を超える過去最大規模の新たな経済対策を打ち出しました。こうした国の動きにも呼応しつつ、コロナで傷んだ本県経済を再建し、確実な成長軌道に押し上げるため、一過性にとどまらない、実効性のある取組が求められますが、経済対策としてどのような再建戦略を描いているのか、商工労働局長にお伺いいたします。  あわせて、生産設備のデジタル化、高度化や働き手の学び直しなど、企業の生産性向上への支援を通じて、雇用面への好影響や賃上げへの好循環にもつなげていく取組が必要と考えますが、御所見をお伺いいたします。 27: ◯副議長小林秀矩君) 商工労働局長川口一成君。         【商工労働局長川口一成君登壇】 28: ◯商工労働局長川口一成君) 新型コロナウイルス感染症拡大による県内企業への影響を調査するため、本年七月に続き、十一月に改めて、県独自のアンケート調査を行ったところ、約六割の企業が感染症拡大前と比べて売上高が減少したと回答しているものの、設備投資や事業再構築への意欲が高まっている傾向も見られているところでございます。  本県といたしましても、こうした企業を後押しする支援策として、六月補正で予算計上したeコマースなど、デジタル技術を活用して国内外の販路開拓・拡大に取り組む小売事業者への支援や、九月補正で予算計上いたしました、企業のAI、IoT、ロボット化の導入など、デジタル技術を活用した生産性の向上に向けた設備投資の後押し、カーボンニュートラルへ向けたものづくり産業に対する支援などに取り組んでいるところでございます。  また、国におきましても、新たにグリーン成長枠が創設された中小企業等の事業再構築の支援や、生産性向上に向けたIT投資への支援、デジタル人材の育成に向けたリスキリングの取組支援などのほか、自治体が地域の実情に応じて感染拡大の影響を受けている事業者への支援などを行うための新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金など、五十五兆円を超える過去最大規模の経済対策が現在、国会で審議されているところでございます。  今後は、国の経済対策に伴う国の制度や財源も活用しながら、アフターコロナを見据えた県内企業の挑戦を後押しする取組を加速させていきたいと考えております。  また、今年度を計画の初年度とする「安心 誇り 挑戦 ひろしまビジョン」を踏まえ、ゲノム編集技術等を活用した健康・医療関連分野や、カーボンリサイクル技術を含めた環境・エネルギー分野など、広島の強みを生かした新成長産業の育成、新たなスタートアップ企業を生み出していくイノベーションエコシステムの形成や、DXの実現に必要な人材を育成するリスキリングの推進など、新たな産業の育成と円滑な労働移動を実現する仕組みづくりなどに一体的に取り組むことによりまして、本県経済の発展を図ってまいりたいと考えております。 29: ◯副議長小林秀矩君) 金口 巖君。 30: ◯金口 巖君 ありがとうございました。  質問の第三は、安心をつくる対策について、四点お伺いいたします。  子育て家庭を取り巻く環境として、近年は、核家族や独り親世帯、共働き世帯の増加によって、家族や周囲のサポートを得られないまま、家庭が孤立しやすくなる深刻な状況があります。そして、孤立した親の育児不安が虐待に移行することも少なくありません。  また、コロナ禍は子育て環境にも負の影響を与えています。昨年生まれた子供は約八十四万人と過去最少となり、外出を控えた母親の孤立を象徴する育児のワンオペや、産後鬱の増加なども指摘されています。  こうしたコロナ禍でクローズアップされた課題にも、現場で丁寧に対応していく必要がありますし、子供を安心して健やかに育てられる環境がなければ、深刻化する一方の少子化に歯止めをかけることはできないと考えます。  本県では、平成二十九年度からひろしま版ネウボラの構築に向けた取組を始め、現在は十三市町に拡大してきております。  このネウボラは、助言の場という意味のフィンランド語の子育て支援制度のことで、妊娠期から子育て期に至るまで担当保健師による切れ目ない均一のサービスをどの自治体でも提供できる体制となっていますが、国内では必ずしもそうなっていないようであります。  医療機関や幼稚園、保育園などの関係機関とネウボラの連携を強化し、母子やその家族が安心して相談でき、県内のどこに住んでいても同じレベルのサービスを受けられる環境づくりが課題ではないかと考えます。  そこで、子育て環境支援の中核施策であるひろしま版ネウボラについて、実施市町における課題も含めたこれまでの総括と、今後の全県展開に向け、市町と協議し、どう進めていこうとされているのか、県が考える全体構想について、健康福祉局長に御所見をお伺いいたします。 31: ◯副議長小林秀矩君) 健康福祉局長木下栄作君。         【健康福祉局長木下栄作君登壇】 32: ◯健康福祉局長木下栄作君) ひろしま版ネウボラに取り組んでいる十三市町では、リスクを抱える家庭を早期に発見し、必要な支援につなげられたケースがあるなど、子育て家庭との信頼関係や関係機関との連携体制の構築などが図られつつあります。  一方で、乳幼児健診を受診しないことなどにより、子供や家庭の状況を把握できないケースが一定程度あることから、全ての子育て家庭の状況把握をより確実に行うことが課題であると考えております。  このため、今年度から、全ての子育て家庭の状況を乳幼児健診等で漏れなく把握する仕組みや、医療機関や幼稚園、保育所などの関係機関と子育て家庭の状況を共有する仕組みの構築に重点的に取り組んでいるところでございます。  さらに、こうした取組が、子育て家庭の安心感の醸成に確実につながっているのかを様々な指標を用いて検証し、さらなる改善を進めていくこととしております。  今後、全県展開に向けましては、各市町における既存の取組も評価しつつ、ひろしま版ネウボラの理念や機能を浸透させるとともに、成果を共有し、県内のどこに住んでいてもサービスに差が生じることのないよう、市町に伴走した支援を行ってまいります。 33: ◯副議長小林秀矩君) 金口 巖君。 34: ◯金口 巖君 ネウボラの環境整備につきましては、今お話がございましたように、理想は県内各市町へ設置されるというのが最高の結果になるのではないかと思いますが、特に思いますのが、スピード感を持って市町との交渉にも当たっていただきたいと思います。広島県内に住みながら子育て環境が悪いために出産を見合わせるということがあってはならないし、そこに格差が生じてはいけないと考えますので、迅速な対応をよろしくお願い申し上げます。  次は、自殺予防対策についてでございます。  政府は先月、自殺対策白書を閣議決定いたしました。それによれば、自殺死亡率が十一年ぶりに上昇に転じ、特に働く女性が過去五年平均と比較して三割ほど増加し、一斉休校が終了し学校が再開した後に、児童生徒の自殺が急増したことも分かっています。  厚生労働省は、こうした情勢変化は新型コロナが一因と分析しており、非正規雇用の女性や子供など社会的に弱い立場にある人たちが追い詰められているのではないかと思っております。  これまで、自治体やNPOなどの様々な取組を通じて、かつて三万人を超えた自殺者数もピーク時の六割台まで減少してきましたが、コロナ禍で社会の閉塞感が高まる中、増加の兆しを深刻に受け止め、生きづらさを感じている人たちの声なき声をしっかりキャッチし、支えていかなければなりません。  本県でも、依然として年間四百人を超える方が自らの命を絶っている現状を直視し、行政としてより効果的な取組を進めていく必要があると考えます。  そこで、誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現に向け、コロナ禍の現状をどう認識されているか、また、取組のさらなる充実強化が必要と考えますが、健康福祉局長に御所見をお伺いいたします。 35: ◯副議長小林秀矩君) 健康福祉局長木下栄作君。 36: ◯健康福祉局長木下栄作君) 本県では、令和二年四月から、電話やSNSによる相談体制を拡充し、県民の皆様への心のケアや若者の自殺予防に取り組んでおり、令和二年度は、電話で一千九百五十件、SNSで四千四百二十五件の相談を受けたところでございます。  令和三年度上半期におきましても、電話で九百十三件、SNSで一千七百二十四件の相談を受けており、ほぼ同じペースで推移していることを踏まえますと、新型コロナウイルス感染症の影響により、労働環境の変化や生活への不安のほか、様々なストレスに起因する健康状態の悪化などに伴う社会全体での自殺リスクの高い状況が続いていると認識しております。  こうした中、人との接触機会の減少や生活困窮などにより、社会的に弱い立場の方々が深刻な状況に置かれることが見受けられており、必要に応じまして、生活困窮者自立相談支援機関等の相談窓口と連携し、生活福祉資金貸付制度等の利用や生活保護の申請につなげるなど、きめ細かい支援に取り組んでいるところでございます。  引き続き、自殺の動向を把握するために有効な統計である警察庁自殺統計のデータを注視し、広島県における自殺の原因や動機に関する分析を行い、相談体制の強化や必要な支援などを機動的に講じてまいります。 37: ◯副議長小林秀矩君) 金口 巖君。 38: ◯金口 巖君 「広島県自殺対策推進計画」が策定されてから、広島県内の自殺者数は順調に減少しておりましたが、今年の十一月末で昨年の一年間の自殺者数四百三十人を超えており残念な結果となっております。  広島県内の交通死亡者数が過去五年間で四百十五人でありますので、自殺者数四百三十人がいかに多いか、また、今年はその数を上回ることが確実となっております。行政としてもこれまで以上の強い気持ちで対策に乗り出していただく必要があります。対応のほう、よろしくお願い申し上げます。  次は、ため池総合対策の着実な推進についてであります。  ため池は農業を支える重要な水源ですが、近年、管理者の高齢化や農地の荒廃を受けて、管理が不十分なため池が増加しています。  本県は、人的被害が出るおそれがある防災重点農業用ため池が全国で最も多く、毎年のように自然災害が発生していることからも、管理実態の把握はもとより、パトロールや維持修繕、廃止工事などの一連の対策をしっかりと進めていく必要があります。  県では、五月にため池支援センターを開設し、体制強化に取り組んでいますが、一方で、所有者不明の防災重点農業用ため池も八十六か所存在し、ため池の届出の提出状況も伸び悩んでおります。  また、県では防災重点農業用ため池の劣化診断を進め、優先度の高いため池から補強工事を順次行うこととしており、費用負担についても、国の地方財政措置が拡充され、前倒しで対策を進めていく環境が整いつつあります。  平成三十一年に策定した県の方針によれば、今年度までを集中対策期間と位置づけておられますが、未整備のままのため池が多く残されている中、集中対策期間を延長するなど、引き続き対策を強化していく必要があると考えます。  そこで、ため池の総合対策として、決壊の未然防止に向け、前倒しで各種取組を進めていく必要があると考えますが、今後いつまでにどういった対策を講じていくつもりなのか、農林水産局長にお伺いいたします。 39: ◯副議長小林秀矩君) 農林水産局長佐伯安史君。         【農林水産局長佐伯安史君登壇】 40: ◯農林水産局長佐伯安史君) 本県では、平成三十年七月豪雨の農業用ため池の被害を受け、平成三十一年三月に「ため池の整備・廃止・管理等に関する方針」を策定し、三年間を集中対策期間と定めて、総合対策に取り組んできたところでございます。  これまでの期間に、全ての防災重点農業用ため池で避難の目安となる浸水想定区域図の公表を終え、利用するため池の管理の適正化や補強対策と利用されていないため池の廃止を県が先導的に取り組んでまいりました。  また、ため池管理保全法による届出の義務化を受けて、これまでに約九割の防災重点農業用ため池の所有者等の届出を終えたところでございますが、引き続き、今年度中をめどに、所有者、管理者の特定を完了させる予定としております。  あわせて、ため池支援センターによる支援を通じて、ため池の状態に応じた低水位管理などの適切な管理体制を早期に確立してまいります。  さらに、令和十二年度を目標とした「防災重点農業用ため池に係る防災工事等推進計画」に位置づけている箇所につきましては、令和五年度までに劣化診断を完了させ、その結果に基づく計画的な補強工事を国の国土強靱化対策予算等を活用して加速させるなど、農業用ため池の総合対策に強力に取り組み、農業用水の確保と決壊等による被害の未然防止に努めてまいります。 41: ◯副議長小林秀矩君) 金口 巖君。 42: ◯金口 巖君 分かりました。計画に基づいて、遺漏のないようにやっていただきたいと思います。以上でございます。  次は、子供の貧困対策の充実についてでございます。  東京大学と民間会社の共同調査によれば、世帯収入が一千万円以上の家庭の高校生の七割以上が大学等へ進学した一方、三百万円未満の世帯では四割台にとどまったとのことであり、家庭の経済的事情と教育格差との相関関係が示唆されております。  また、SNS上で広まり、自分の境遇が親に左右されることを意味する親ガチャという俗語が、今年の流行語大賞のトップテンに選ばれました。子を持つ親からすれば、何ともやるせない言葉でありますが、親の経済力で人生が決まってしまう社会を何とかしてほしいと子供世代が切実に訴えている証左ではないかと思います。  四年前の知事が三期目の当選の際、我が会派の鷹廣議員から子供の貧困対策など社会的弱者を支える政策について知事に伺ったところ、生まれ育った環境で子供の未来が左右されず、貧困が世代を超えて連鎖することのないよう子供の貧困対策に重点的に取り組むとのことでありました。  県では「広島県子どもの貧困対策計画」を策定されていますが、児童生徒が本来有する個性を発揮し、学力を伸ばし、将来への可能性の幅を広げていけるよう、関係部局連携の下、様々な障壁を取り除いていく一層の取組が求められるものと考えます。  そこで、貧困の連鎖を断ち切り、学びのセーフティーネットを含めた子供の貧困対策を充実させるため、これまでの取組でどういった成果があったのか、また、今後どう進めていくつもりなのか、知事に御所見をお伺いいたします。 43: ◯副議長小林秀矩君) 知事湯崎英彦君。         【知事湯崎英彦君登壇】 44: ◯知事湯崎英彦君) 本県では、令和二年三月に策定いたしました「ひろしま子供の未来応援プラン」を広島県子どもの貧困対策計画と位置づけ、子供のいる世帯への経済的支援、独り親家庭などの保護者の就労支援、社会的養護が必要な子供や児童養護施設退所者の自立援助といった生活の安定に資するための支援、厳しい経済状況にある生徒の修学支援などの施策を教育委員会も含めた関係部局が連携しながら進めているところでございます。  これらの支援策につきましては、制度の充実を図るだけでなく、支援を必要とする子供や子育て家庭に適切なタイミングで確実に届けることが重要であり、ライフステージの早い段階から、子供たちが置かれている状況や経済的な事情も含めた家庭環境などを漏れなく把握していくことが必要と考えております。  そのため、妊娠期から関係機関と連携して全ての子育て家庭を継続的に見守り、必要な支援につなげるひろしま版ネウボラの構築を進めるとともに、福祉、教育関係の各部署が保有している子育て家庭の情報を一元化し、AIでリスクを分析して、予防的な支援につなげる仕組みの構築に取り組んでいるところでございます。  また、貧困の連鎖を断ち切る上では、家庭の経済的事情などにかかわらず、全ての子供の能力と可能性を最大限に高める教育を実現する学びのセーフティーネットの充実が重要と考えており、まず乳幼児期におきましては、乳幼児教育支援センターを開設し、乳幼児期の子供たちに身につけてもらいたい五つの力が育まれるよう取り組んでおります。  さらに、令和元年度は、高等学校等の入学準備金貸付制度の創設による奨学金のさらなる充実を図り、令和二年度からは、県立学校におけるICT機器の購入に伴う給付型奨学金を創設したところでございます。  加えて、学校配置のスクールソーシャルワーカーについて、今年度は十校区拡充して、五十校区に配置を行い、生活環境に課題のある児童生徒の早期支援などにつなげる体制の充実を図ってまいりました。  貧困の連鎖を断ち切るためには、長い期間をかけた継続的な取組が必要と考えており、今後も、全ての子供たちが健やかに夢を育むことができる社会の実現に向けて、全庁一丸となって取り組んでまいります。 45: ◯副議長小林秀矩君) 金口 巖君。 46: ◯金口 巖君 ありがとうございました。平成二十七年に広島県子どもの貧困対策計画を策定され、教育の支援、生活安定に資する支援など、それこそ今知事のほうがおっしゃいました様々な角度からの支援がされていることも承知しておりますが、平成二十九年に広島県子供の生活に関する実態調査をされた当時に比べまして、二年続けてのコロナ禍生活といった理由もあるにいたしましても、生活実態は当時より大変厳しい、特に格差が拡大しているのではないかと思っております。  それぞれの家庭において自助努力は当然されておられます。生活は苦しく、もう公助に頼るしか生活の道がないという方たちもいらっしゃいます。現状を十分把握して対応していただきますよう、要望いたしておきます。  次は、誇りを高める対策についてお伺いいたしますので、教育長は答弁待機席へお願いいたします。 47: ◯副議長小林秀矩君) 教育長、答弁待機席へお願いします。 48: ◯金口 巖君(続) 個別最適な学びを推進し、主体的な学びを促す学びの変革の先導的な取組の一つとして、二〇一九年に広島叡智学園が開校し、この四月には叡啓大学も開校いたしました。  また、今年度から特色を生かしたカリキュラムの開発や、子供同士の話し合いを促し、興味・関心を高める力など教員の資質・能力の向上に資する研修にも取り組まれておられます。  二〇二五年度までを計画期間とする教育大綱にも明記された学びの変革では、先導するモデル校での取組の裾野を広げ、そのノウハウを水平展開していくステージに移ってくるものと考えております。  一方で、現実論として、教育分野でもデジタルリテラシーの底上げが求められ、新型コロナの影響も相まって、生徒や教員を取り巻く環境が激変する中、人材育成には時間がかかるのが一般的な認識であることからも、こうした変革が一気に浸透するとは思えないのであります。  そこで、世界に先駆けると公約で銘打った学びの変革の教育現場への定着に向け、どのようなロードマップを描き、実行につなげていこうとしているのか、その本気度について教育長に御所見をお伺いいたします。 49: ◯副議長小林秀矩君) 教育長平川理恵君。         【教育長平川理恵君登壇】
    50: ◯教育長平川理恵君) 県教育委員会では、「「学びの変革」アクション・プラン」に基づいて、全ての教員が、令和五年度において、児童生徒の主体的な学びを充実させるために必要な資質・能力を身につけていることができるよう、ロードマップを描き、計画的に取り組んでいるところでございます。  具体的には、平成二十七年度から、課題発見・解決学習を取り入れたカリキュラムの開発を進め、これを基に、探究的な学習活動に取り組む、主体的な学びへと質的転換を図ってまいりました。  これらの成果を踏まえまして、本年度から主体的な学びをさらに深化させるとともに、学校への定着を図るため、高等学校において、各学校の特色や教科等の横断的な視点に立った探究的な活動を核としたカリキュラムの開発、探究的な学びを実現するため、教員に必要な本質的な問いを設定する力やファシリテートする力、さらにはデジタル技術を活用する力の向上の二点をロードマップに位置づけて取り組んでいるところでございます。  まず、カリキュラムの開発につきましては、商業高校及び工業高校において、先導モデルとして、実践的、体験的に学ぶ専門学科の特性を生かした探究的な活動を核としたカリキュラムの開発を行っております。  また、文部科学省のWWL──ワールド・ワイド・ラーニングコンソーシアム構築支援事業の一環で、七月に開催した高校生国際会議において、自ら設定したテーマの研究発表や他国の生徒等との交流に向けて、適切なファシリテーターの支援の下、論文検索や現場調査などを通して、高度な探究活動に取り組む学習モデルを開発したところでございます。  次に、教員の資質向上につきましては、探究的な学習を促す授業を展開するために必要な力を身につける研修を実施しております。  具体的には、ファシリテート力を身につけ、児童生徒を深い思考や理解へ導くための本質的な問いを設定した授業づくりを構想し、指導案を作成できる研修を実施しております。  また、教員のデジタル活用能力につきましては、生徒の協働学習の場面等で幅広い効果的な活用が求められており、全ての教員がデジタル活用スキルを高められるよう、目指す姿や指標等を明確にし、定期的な研修や学校訪問を通じて支援を行っております。  小中学校におきましても、各市町に学びの変革推進協議会を組織し、高等学校と同様、本質的な問いを通した探究的な学びやデジタル機器を効果的に活用した授業の充実に向けて、研修や実践交流を重ねているところでございます。  また、学年の異なる子供たちが協働的に探究するなどのイエナプラン教育の実証研究を行い、その実践を県内に発信しております。  今後、これらの取組を通して、子供たちが持っている可能性を最大限に伸ばし、新たな時代を生き抜くために必要な力をつけることができる、学びの変革を定着させるよう全力で取り組んでまいります。 51: ◯副議長小林秀矩君) 金口 巖君。 52: ◯金口 巖君 教育長の今の前向きな御答弁、叡智学園の中だけであっては、これは絶対いけないわけであって、それを県内各地に広めていく、水平展開していくというのがやはり一番大きな目的だろうと思いますし、叡智学園にあれだけ莫大な県費を投入したわけですから、それを実現しないとやはりこの意味がないと私は思っておりますので、これからも教育長の力強い指導力をよろしくお願いいたします。ありがとうございます。  次は、農水産物のブランド化と販路拡大についてであります。  昨年度の独自ECサイトを活用した県のキャンペーン事業では、農業、商工部門で掲げた売上げ目標に対し、実績は三分の一という大変残念な結果となり、特に農業部門は厳しかったと伺っております。  確かに、EC分野は、一般的にネット上での商品の見せ方や品ぞろえなど実店舗ではない独自のノウハウを要し、送料負担なども別途かかる上、参入障壁が低く競合先も多いことから、どのように差別化していくかが勝負の分かれ目でもあります。  しかし逆に言えば、確かなブランド力があり、付加価値の高い産品であれば、一次産品でも十分勝負ができる領域であると考えております。  そこでまず、「二〇二五農林水産業アクションプログラム」において、ECサイトを活用した販路拡大を目指すとしていますが、どういった数値目標を掲げ、具体的にどう取り組んでいくつもりなのか、農林水産局長にお伺いいたします。  また一方で、本県のカキやレモンは知名度が高く、これらに続く全国ブランドの産品創出が求められておりますが、農林水産物の輸出額は、これまで八年続けて過去最高を更新したと伺っており、戦略産品によっては、海外でも確かな商機があるのではないかと考えております。  そこで、広島県産の農水産物に係る品目別のブランディング戦略の方向性をどのように描き、その実現に向け、今後どう取り組んでいくつもりか、併せてお伺いいたします。 53: ◯副議長小林秀矩君) 農林水産局長佐伯安史君。         【農林水産局長佐伯安史君登壇】 54: ◯農林水産局長佐伯安史君) 本県農水産物の販路拡大を進めるためには、広島県産応援登録制度の活用により、産地や経営体に対する生産販売戦略の策定と実行を支援するとともに、ECサイトの活用による販売チャネルの多角化、デジタル技術を活用した生産者と実需者とのリアルタイムでの情報共有などに取り組む事業者の支援を進める必要があると考えております。  具体的には、トマトやコマツナなどの産地に対してJAグループ等と連携し、県内外の市場や量販店と新たな取引開始を支援してきたほか、個別経営体に対して、ECサイトへの出店セミナーの開催、スマート農業技術を活用した出荷量予測システムの導入などを支援しているところでございます。  これらの取組に対する目標といたしましては、品目別の生産額に加え、デジタル技術を活用した情報共有の取組事業者数についても掲げております。  また、農水産物のブランド化につきましては、カキなど生産量が多く、海外での需要も高い品目につきましては、輸出の拡大に向けて、ターゲットとなる国を定め、その国の規制やニーズに対応した取組を関係団体と連携して進めてまいります。  一方、広島和牛や瀬戸内の地魚など特徴はあるものの認知度が低い品目につきましては、新たな価値要素を追求し、県内の高級飲食店等での取扱量を増やすことで、観光客などにも食べていただき、広島の食の魅力向上を図ってまいりたいと考えております。  こうした品目ごとの特色を踏まえたブランド化の取組により、本県の農水産物が国内外から評価され、販路拡大につながるよう進めてまいります。 55: ◯副議長小林秀矩君) 金口 巖君。 56: ◯金口 巖君 ありがとうございました。  質問の第五は、挑戦を支える対策について、三点お伺いいたします。  イノベーション立県は、知事が初当選のときから掲げてきた公約であり、環境・エネルギー分野など新産業のクラスター化や、ひろしまサンドボックス、イノベーション・ハブ・ひろしまCampsなど様々な取組が展開されてきました。  一方で、一般の県民からは、これまで本県でどのようなイノベーションが生み出されてきたのか、また、イノベーションを生み出すためにどういった試みや展開をしているのか、よく見えていないといった課題があるのではないでしょうか。  例えば、他県と比較して、我が県は特にどういった分野、領域でイノベーションが進んでいるのか、判然としないのであります。  そこで、本県が目指す産業におけるイノベーション立県とはどういったものなのか、いま一度、具体的に県民に見える形で、丁寧に、分かりやすく伝えていく必要があると考えますが、知事に御所見をお伺いいたします。  また、これまで湯崎県政において長年使われてきたフレーズですが、今後、具体的にどういった政策を推し進めていこうとされているのか、併せてお伺いいたします。 57: ◯副議長小林秀矩君) 知事湯崎英彦君。         【知事湯崎英彦君登壇】 58: ◯知事湯崎英彦君) 本県が目指すイノベーション立県は、県内企業が優れた技術力の強みやその芽を最大限生かしつつ、様々なイノベーションがふつふつと起こってくることにより、常に付加価値の高い製品やサービスを生み出し、新たな市場を獲得することで、強固な経済基盤を築くものでございます。  イノベーション立県の実現に向けては、これまで、起業・創業の促進やイノベーション人材の育成など、多様な人材のネットワークの構築、ものづくり産業のデジタル化に向けた地域における産学官連携の推進、企業誘致によるデジタル系企業と人材の集積のほか、医療・環境関連分野をはじめとする、今後、大きな成長が見込まれる新産業の育成など、イノベーションが生まれやすい環境の整備や企業、人材の集積に取り組んでまいりました。  これらの取組により、ひろしまサンドボックス事業などを通じた県内外からの一千八百を超える企業、人材の集積のほか、四十社の企業が参画する、ものづくり産業のデジタル化を推進する産学官連携プロジェクトの創出、本格的な誘致活動を始めた平成二十八年度以降、五十社を超えるデジタル企業の誘致、取組を開始した約十年前から、医療関連分野においては、医療機器等の生産額が約四倍、環境分野においては、環境関連産業の売上高が約二倍となるなど、イノベーションを創出する潜在的能力を有した多くの企業や人材の集積が着実に図られてきたものと考えております。  また、こうした取組を県民の皆様に分かりやすくお伝えするために、例えば、先月下旬には、コロナ禍における課題解決を図るためのひろしまサンドボックス「D─EGGS PROJECT」での実証実験において、三十テーマ全ての成果を、インターネットを通じて生配信することで、多くの方に視聴していただくような取組なども行っており、今後とも工夫を重ね、様々な媒体を活用して、丁寧で分かりやすい発信に努めてまいります。  一方で、急速に加速している技術革新の進展やアフターコロナ時代の社会構造の変化への対応、産業DXを実現するために必要な知識、スキルの蓄積、広島で急成長するスタートアップ企業が不足していることなどが課題となっております。  今後は、こうした課題も踏まえ、新たな急成長するスタートアップ企業を本県から輩出していくための仕組みづくりやDXを進めていくための高度なデジタル人材の育成・確保方策に取り組むとともに、ゲノム編集技術等を活用した健康医療関連分野やカーボンリサイクル技術を含めた環境・エネルギー分野のほか、デジタル系企業など、今後、市場の拡大が大きく見込まれる分野や領域の産業集積に重点的に取り組むことで、将来にわたって持続的に発展する、イノベーション立県を実現してまいりたいと考えております。 59: ◯副議長小林秀矩君) 金口 巖君。 60: ◯金口 巖君 次は、DX先進県の実現に向けた方策についてであります。  コロナ禍で中小企業や行政のデジタル化の遅れが露呈いたしました。  県内企業を対象とした県の調査では、DXの認知度は約二割で、取り組んでいる企業も約二割にとどまったとのことであります。経営余力に乏しい中小企業では、デジタル技術の導入効果に確信が持てなかったり、新たなコストがかかってくることも、二の足を踏む要因となっているのではないでしょうか。  また、産業分野だけではなく、様々な業種、業界の垣根を超えてDXを普及浸透させていくには、県民や事業者の理解を促し、身近に感じてもらい、具体的な行動につなげていく地道な活動が欠かせません。  県が進めるみんなのDX研修やDX推進コミュニティなどは効果的な試みと思いますが、こうした理解や共感を促す施策を充実させるとともに、ひろしまサンドボックスなどの実証的な試みにおいても、ビジネス実装のモデルケースを創出し、県民に見える成果を早期に示すなど、複線的かつ発展的な取組をさらに深めていく必要があると考えます。  そこで、DX先進県の実現に向け、県として、具体的にどう取り組んでいくつもりか、県民、事業者に向けた分かりやすく具体的なメッセージが必要ではないかと考えますが、山田副知事に御所見をお伺いいたします。 61: ◯副議長小林秀矩君) 副知事山田 仁君。         【副知事山田 仁君登壇】 62: ◯副知事(山田 仁君) 「安心 誇り 挑戦 ひろしまビジョン」及びアクションプランにおきましては、十七の施策領域における目指す姿とそれらを実現するための実行計画をお示しし、建設分野においては、官民連携による公共土木施設等のインフラの効果的、効率的なマネジメント、交通分野においては、デジタル技術を活用した新たな交通サービスであるMaaSの推進といった県民の皆様にとって、身近に感じられる分野などで様々な取組を進めております。  産業イノベーションの分野におきましても、ひろしまサンドボックスにおいて、離島の診療所と眼科専門医を結んだ遠隔医療サービスの開発などの実証実験を行うとともに、実証終了後はインターネットによる成果の生配信を実施するなど、県民の皆様にDXで実現できる新しい世界観をお届けいたしました。  また、県内のあらゆる主体がDXを身近なものと捉え、具体的な行動につなげていただけるようDXを実践していくための活動体である広島県DX推進コミュニティにおきましては、勉強会等において先行事例を紹介する中で、多額なコストをかけなくてもできる取組や効果が見えやすい取組などの紹介に力を入れております。  さらに、企業等の皆様が、DXを実践する際に自身に適した支援やサービスを把握し、活用していただけるよう、国や県などの支援事業や民間事業者等が提供する支援サービス等の情報を発信しております。  今後も、引き続き、本県のDXの取組の内容やそれをどのように実現していくのか、また、県民や事業者の皆様がDXを実践するに当たり、どのように行動していけばよいのかなど、本県が一丸となってDXを進めていく上で県民や事業者の皆様が必要とされる情報を分かりやすく御説明する機会の充実を図ることにより、中小企業や小規模事業者も含め、様々な主体が新しい取組にチャレンジできる広島県を目指し、必要な環境整備を図ってまいります。 63: ◯副議長小林秀矩君) 金口 巖君。 64: ◯金口 巖君 ありがとうございました。  次は、第一次産業での新規就労者の定着向上策についてであります。  持続可能な第一次産業の実現には、担い手の確保・育成が不可欠ですが、現状は家族経営が大半で、担い手の高齢化が進む一方であります。  例えば、県内の基幹的農業従事者の平均年齢は、全国平均を四歳も上回る七十二歳であり、新たな担い手を計画的に確保・育成していかなければ、本県農業の先細りを防ぐことはできません。  新たな担い手を呼び込むための所得向上策などももちろん必要ではありますが、第一次産業に興味を持ち、就業を始めた担い手の定着に向けた対策も同時に必要と考えます。  ちなみに、一昨年度の新規就業者の定着率は七五%で、本県農業の中核として将来の活躍が期待される農業技術大学校卒業者の就農率も六割台と少し残念な状況であります。  そこで、持続可能な第一次産業の確立に向け、就業後、入学後のフォローアップ体制を充実させることなど、継続就業等に向けた取組の強化も必要と考えますが、農林水産局長に御所見をお伺いいたします。 65: ◯副議長小林秀矩君) 農林水産局長佐伯安史君         【農林水産局長佐伯安史君登壇】 66: ◯農林水産局長佐伯安史君) 農業における新規就業者の定着率向上につきましては、雇用就業のケースでは、組織体制の整った農業法人とのマッチングを行うとともに、自営就業のケースでは、早期の経営安定に向けたフォローアップが重要であると認識しております。  まず、雇用就業の人材育成を担う農業技術大学校におきましては、企業経営体から求められるスキルの習得に加え、農業法人でのインターンシップや雇用就業ガイダンスによるマッチングなどを行うことで、就農率の向上に取り組んでいるところございます。  あわせて、雇用就業者の受入れ先となる農業法人につきましては、経営コンサルタントの派遣などにより、就業規則や人事制度等の雇用条件を整える支援を重点的に行っております。  一方、自営就業者に対しましては、農業技術指導所と市町等が連携して経営状況等を確認しながら、早期の経営安定に向けた技術指導を行うとともに、将来のビジョンづくりや経営の発展段階に応じた専門家の派遣など、継続就業に向けた支援を行っているところでございます。  今後は、引き続き、こうした様々な取組を着実に実施するとともに、ひろしま型スマート農業の技術導入などを進め、若者に魅力ある持続可能な農業を確立してまいりたいと考えております。 67: ◯副議長小林秀矩君) 金口 巖君。 68: ◯金口 巖君 どうもありがとうございました。  最後は、広島県立びんご運動公園の魅力向上対策についてお伺いいたします。  県立びんご運動公園は、しまなみ球場をはじめとしたスポーツゾーンをはじめ、健康運動ゾーン、野外活動ゾーンから成る敷地面積約九十ヘクタールの備後地域最大のレクリエーション施設であり、県民の憩いの場であります。  しかし、一九九三年の供用開始から約三十年の月日が経過し、施設設備の老朽化が進んできております。  これまでは現有機能の維持に重点を置き、修繕対策を進めてきたところでありますが、例えば、球技場を人工芝に張り替えるなど、利用者視点に立った機能向上を図り、魅力を高め稼働率をアップさせるなど抜本的な対策も求められるものと考えます。  そこで、社会資本ストックとして本来、都市公園が有するアメニティー機能を十分発揮させ、県民の利用拡大につなげるためにも、老朽化対策としての計画的な設備更新にとどまらず、現在の施設の抜本的な機能充実を図るなど、備後地域を代表する都市公園としての魅力向上に取り組むべきと考えますが、都市建築技術審議官の御所見をお伺いいたします。 69: ◯副議長小林秀矩君) 都市建築技術審議官上田隆博君。         【都市建築技術審議官上田隆博君登壇】 70: ◯都市建築技術審議官(上田隆博君) 県立びんご運動公園につきましては、備後地域住民のスポーツと多様なレクリエーション活動の振興を設置目的として、平成五年十月に開園し、陸上競技場や体育館、球技場などのスポーツ施設は県内の中核を担う施設として、大規模遊具などのレクリエーション施設は備後圏域の中心的な施設として運営してまいりました。  公園内の各施設につきましては、経年による老朽化が進んでいることから、公園修繕方針に基づき、計画的な施設の更新を行ってきたところでございます。  また、開園からの時間の経過や新型コロナウイルスの影響に伴う環境の変化などにより、公園に対する価値観や利用者ニーズが変化していることから、今年度、まちづくりや地域観光、スポーツ・レクリエーション活動の専門家や地元関係者などから成る公園活性化協議会を設置し、魅力的で持続可能な公園の在り方について議論を行い、今後の戦略的な管理・運営の方針として、「ひろしま公園活性化プラン」を取りまとめることとしております。  現在、協議会におきまして、アンケート調査の結果や施設利用状況などから、多様化するニーズを分析し、公園ごとの特性に応じた取組の方向性について議論を進めており、その中で、びんご運動公園については、備後地域最大のスポーツを核とした交流の場として様々な大会やイベントが開催されるよう利用者視点に立った施設の機能拡充などについて検討しております。  今後とも公園利用のさらなる拡大に向けて、利用者ニーズを踏まえた施設の更新や機能の拡充を図るなど、公園の魅力向上に積極的に取り組んでまいります。 71: ◯副議長小林秀矩君) 金口 巖君。 72: ◯金口 巖君 備後広域公園と言いながら、備後だけの話ではありません。これは広島県全域、広くは岡山県、四国からも利用者はたくさんそこに集まってきます。  三十年たって施設も老朽化し、このたび、活性化協議会で新たな結論を導かれるのでしょうけれども、やはり時代を見据えた公園につくり変えていくということも、やはりしっかり視野に入れてやっていただきたいというふうに思います。要望しておきます。  以上をもちまして私の一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 73: ◯副議長小林秀矩君) この際、暫時休憩いたします。休憩後の会議は、午後二時二十分から開きます。         午後二時七分休憩              ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~         午後二時二十分開議 74: ◯議長中本隆志君) 出席議員六十二名であります。休憩前に引き続き会議を開きます。  引き続いて質問を行います。林 大蔵君。         【林 大蔵君登壇】 75: ◯林 大蔵君 皆さんこんにちは。自由民主党広島県議会議員連盟の林 大蔵でございます。今次定例会最後の一般質問となりました。まだ一期目の若輩に、今年最後の質問者として登壇の機会を与えていただき、恐縮至極、少々地味ではございますが、中本議長、小林副議長をはじめ、先輩、同僚議員の皆さんに心から感謝を申し上げます。また、本日お越しいただいている支援者の皆様にも平素から大変お世話になっておりますことを、この場をお借りしまして心から感謝を申し上げます。  本日は、コロナで疲弊した広島県をもっと元気に、もっと明るくしたいとの思いを込めて質問してまいりますので、県当局には明快な答弁をお願いいたしまして、最初の質問に入ります。
     質問の第一は、現広島FMP開発事業用地の利活用に係る事業提案募集についてです。  県は、平成十七年三月から令和七年三月までの二十年契約で、広島マリーナホップとして使用されている現行契約が残り四年を切っていることから、契約期間終了後、当該用地で事業を実施する民間事業者の募集を行いました。  この用地は、県が平成十三年に広島FMP開発基本構想を策定し、新たなにぎわいを創出する観光の新名所とすることとし、平成十七年三月に広島マリーナホップとして開業しています。  前回の募集は一年間かけて事業予定者を決定していますが、今回の募集は七月五日に募集要項を公表して、提案書の受付期間が九月一日から十一月十日までで、公表から締切りまでの時間が約四か月しかありませんでした。今回の新たな事業者の募集については、大型商業施設に限らず、広島県のにぎわいの拠点となるようなアイデアを広く募集されており、契約期間は十年から最長で五十年になります。  現在の用地は更地返還されることとなっておりますので、マツダスタジアムがすっぽりと二個入ることができるほどの十一ヘクタールに及ぶ広大な土地を使って、広島県のにぎわいの拠点となるような新しい提案をしていただくこととなりますが、このような大規模プロジェクトの計画を立てるのに、四か月はあまりに期間が短過ぎます。新しい事業者は、造成や施設整備に初期投資として相当な額の投資が必要となり、大きなリスクを背負うこととなります。  それでなくても、コロナによってインバウンド需要が消滅し、国内観光需要の見込みが立たない状況で、多くの事業者は二の足を踏むのではないでしょうか。  この用地は、瀬戸内海最大規模の海洋性レジャー基地である広島観音マリーナに面し、広島湾に浮かぶ宮島をはじめとした瀬戸内の島々と海の景観を望める位置にあります。海と島の景観や隣接するマリーナの持つ雰囲気を生かしたこのような施設は、中四国地域では唯一無二のもので、開業した当初は多くのお客さんでにぎわいました。また、現在、西側に隣接する広島西飛行場跡地では、新たな産業ゾーンや多目的スポーツ広場の整備など、再開発に向けた計画が進んでいます。広島市内のど真ん中に、このような十一ヘクタールにも及ぶ広大な土地は、今後、そうそう出てくるものではありません。  この土地は大きな可能性を秘めており、広島の発展のために県としてどのように活用するのか、このたびの二十年の契約が満了するのに合わせて、広島FMP開発基本構想を策定した当時からの社会変化を踏まえ、一度立ち止まって新たな構想を考える必要があります。広島県の十年先、最長で五十年先までのにぎわいを創出するプロジェクトをこのような短期間に拙速に決めるべきではありません。次の活用に向けてしっかりと議論し、新しい提案を募るべきではないでしょうか。  県は、広島FMP開発事業地を活用したにぎわい創出をどのようなビジョンで進めていこうと考えておられるのか、知事の御所見をお伺いいたします。  質問の第二は、広島西部地域の活性化について、二点伺います。  一点目は、MICEの誘致についてです。  企業等の会議、国際機関、団体、学会等が行う国際会議や展示会、見本市、イベントといったMICEを広島都市圏に誘致することは、経済波及効果だけではなく都市の国際的な認知度やブランド力の向上につながることから、広島都市圏のみならず、県全体の活性化に寄与するものと考えます。  現在、広島市は、政府からグローバルMICE都市に指定されておりますが、二〇一九年の指定都市における国際会議の開催件数を比較すると、十二都市中十一位となっており、誘致件数で大きく水をあけられている状況です。一因として、大規模な国際会議や展示が行える施設が十分に整っていないことが挙げられ、結果的に誘致を取り逃しているイベントも多くあるのではないかと思われます。  県は、これまで広島西飛行場跡地を含めた観音地区において、十ヘクタールを超える大規模展示場を備えるMICE施設の整備について検討を行いましたが、大規模展示会場の需要が確実に創出されるわけではなくリスクが高いことや、他の国内大都市との市場獲得競争に勝つことが難しい等の理由により、見送りを決定しています。  先日、県は、広島市、広島商工会議所と共に、令和五年に日本で開催されるG7サミットの誘致を表明されました。世界の主要国の首脳が集う会議が被爆地広島において開催されることは、非常に意義のあることで、やはりこうしたトップレベルの国際会議に対応できるMICE施設が必要ではないでしょうか。こうした中、商工センター一帯の地元企業の方々が中心となって、県内経済の活性化のための拠点として、商工センターにMICE施設を誘致する取組を進めています。こうしたMICE施設の誘致を進めていくためには、施設に見合った需要の創出が必要となります。  広島には平和や瀬戸内海を望む美しい景観といった、他の都市にない魅力があり、こうした魅力を生かして、国際会議や国内会議、企業等の展示会の開催誘致に向け、県、市町、地元経済界の官民一体となったセールスプロモーションが重要となります。  MICE誘致による県内経済等への波及をどのように認識されているのか、また、MICEの積極的誘致に取り組むため、市町や地元経済界等との連携の中で、県はどのような役割を果たしていくのか、知事の御所見をお伺いします。  二点目は、広島南道路の整備についてです。  広島広域都市圏内の二十五市町が連携し、圏域経済の活性化と圏域内人口二百万人超の維持を目指す二百万人広島都市圏構想を実現するためには、圏域経済を持続的に発展させるローカル経済圏の構築が必要です。  しかし、広島都市圏では、主要幹線道路等での慢性的な渋滞が発生し、市民生活だけではなく、地元企業等の経済活動の支障となっており、国際拠点港湾広島港の物流を支える主要幹線道路の整備が必要となっております。また、近郊の商業拠点である商工センター地区は、広域的な流通業務地域として重要な役割を担っておりますが、整備後四十年を経過し、施設の老朽化や社会的な経済システムや業態の変化によって、非常に厳しい状況に置かれており、地域の活性化が求められています。MICE施設の誘致による拠点性の向上などに取り組んでおられますが、こうした施設においても、交通ネットワークの強化が欠かせないものとなっています。  こうした中、広島湾岸の東西を結ぶ広島南道路の整備促進は、広島西部地域の生産性の向上や拠点性の向上、広島市域の交通の円滑化に資するだけでなく、広島港の利用や企業立地の促進、物流の効率化、企業活動の活性化、地域のにぎわい創出及び大規模地震発生時における緊急物資の輸送などの防災機能の向上につながると考えております。  現在、臨港道路として整備が進められている広島はつかいち大橋については、四車線化に向けて工事が進められ、大変感謝しております。その効果を最大限発揮するためには、その先の広島岩国道路廿日市インターチェンジとの接続が不可欠であり、地域関係者からも多くの要望を伺っているところであります。将来にわたって企業の産業活動を支え、地域経済を発展させるためにも、この廿日市インターチェンジとの接続を早急に進めていく必要がありますが、いまだ事業主体が決定しておりません。  そこで、県として、事業着手に向けた整備方針や事業主体の決定に向けてどのように取り組まれていくのか、知事の御所見をお伺いいたします。  質問の第三は、スポーツ振興について、二点伺います。  一点目は、ジュニア選手の競技力向上についてです。  九月定例会の一般質問において、我が会派の安井議員が、ウイズコロナ時代における未来のアスリートの発掘と育成について質問されていますが、実際にコロナ禍の影響で、多くの子供たちのスポーツ活動が自粛に追い込まれ、練習や大会出場の機会が奪われています。特に、昨年は、多くのスポーツ大会や試合が中止となり、多くの中高生アスリートが練習や競技の場を失った悔しさや、試合がなくなったことで実績を残せないまま引退する無念さなど、やりきれない思いをしています。  こうした中、二年ぶりに開催されたインターハイにおいて、広島県の八位入賞者数は、中国五県で最下位となりました。競技人口が多いはずの広島県が最下位となっており、ジュニア選手の競技力が著しく低迷しているのは明らかで深刻な状況です。世界レベルで活躍するトップアスリートの育成は、ジュニア期から将来を見据えた中長期的な強化育成戦略を推進していく必要があります。  県は、ジュニア選手育成強化事業として、高校競技力向上拠点校を指定し、競技力の維持向上やマイナー競技強化に取り組んでおられますが、一方で、教育委員会は運動部活動の方針において、中学校、高校での部活動は週二日以上の休養日を設け、一日の活動時間は平日で二時間程度、休業日は三時間程度としています。こうした活動時間の制限が選手の競技力低迷に影響を与えているのではないかと危惧しております。  運動部顧問の負担軽減など、働き方改革を進める上でも、一定の制限をせざるを得ないことは分かりますが、こうした活動制限があっても生徒の競技力が落ちることがないよう、例えば高校の部活動において優れた指導者を積極的に活用し、よりレベルの高い効率的な練習時間を確保するなど、部活動の工夫や充実、高校競技力向上拠点校の拡充などが必要ではないかと考えます。  県は、こうしたジュニア選手の競技力低迷についてどのように認識しているのか、また、令和七年度には、広島県でインターハイが開催されると聞いておりますが、開催のための準備はもちろんのこと、開催県として恥ずかしくない成績を残す必要があります。  このインターハイを含め、国際大会や国内の主要な大会で活躍できるトップアスリートを育成するため、学校の部活動の底上げや選手の競技力向上にどのような覚悟で取り組まれるのか、知事にお伺いいたします。  二点目は、障害者スポーツの振興についてお伺いします。  今回の東京二〇二〇パラリンピックにおいては、広島県ゆかりの多くの選手が出場し、メダリストも誕生しました。  私の知人の息子さんで、ブラインドサッカーチーム、パペレシアル品川でキャプテンをしている寺西 一さんも日本代表として出場され、私もテレビで応援しておりました。残念ながら、メダル獲得とはなりませんでしたが、五位入賞というすばらしい成績を残しています。寺西 一さんは、先日十二月四日に開催されたヒューマンフェスタ二〇二一のスポーツトークショーにも登壇し、サンフレッチェ広島で活躍した森崎浩司さんと対談され、誰もが生き生きと生活できる社会の実現に向けて、自分らしく生きやすい世の中になってほしいと話されておりました。  障害のある人にとってスポーツは社会参画への第一歩であるとともに、地域における交流の機会、自分らしく生きる場としても大変重要です。パラリンピックの開催をはじめとする障害者スポーツの国際大会や全国大会の開催により、障害者スポーツに対する関心が高まっており、県内においても、平成二十八年に県の障害者スポーツを統括する団体として、広島県障害者スポーツ協会が設立されるなど、裾野を広げる取組から選手の競技力の向上を目指す取組まで幅広い取組への支援を通じて、県民が障害者スポーツに親しめる環境づくりが進んでいます。  しかし、実際パラリンピックに出場した広島県ゆかりの多くの選手が首都圏のチームに所属するなど、トップアスリートの方々は、よりよい練習環境を求めて県外に流出せざるを得ない状況で、障害者スポーツを推進する環境が整っているとは言えません。障害者スポーツ競技では、スポーツ車椅子やスポーツ義足など、専用のスポーツ用具や練習場、指導者、介助者の養成が必要となります。障害を持った方がスポーツに親しみ、トップアスリートを育成するためには、こうしたハードとソフトが一体となった環境の整備が必要です。  県は、東広島市にある広島県立障害者リハビリテーションセンター内に、スポーツ交流センターおりづるを設置していますが、県内では専用の用具や練習場、指導者等が整っている施設が限られており、十分とは言えません。もっと身近な地域で練習ができる環境づくりが必要であると考えます。  県は、障害を持った方が学校を卒業しても、生涯にわたってスポーツに親しむことができるよう、練習場等の施設の確保や競技用具の整備など、環境整備、障害者スポーツ指導員の育成など、障害者スポーツ振興のためにどのように支援を行っていくのか、知事の御所見をお伺いします。  質問の第四は、私立高等学校の振興についてお伺いします。  これまで、私立高校においては、建学の精神に基づきそれぞれが特色ある教育を推進され、広島県内はもちろん日本全国で様々な分野で活躍する人材を輩出されております。現在は、県内に私立高校が四十校あり、在籍する生徒数は本年五月一日現在、二万四千三百五十九名で、これは、県内高校生の約三四%に当たり、公教育の一翼を担っていただいております。過去の生徒数の推移を見ると、第二次ベビーブーム世代が高校就学年齢に達する平成元年までは、右肩上がりに増加を続けており、当時、県は生徒の急増に対応し、子供たちの学びの場を確保するため、昭和四十五年から昭和六十三年の間に三十校以上に及ぶ公立高校を増設しましたが、それでもなお教室が不足するため、私立高校においても積極的に教室整備等を行い、子供たちの学びの場を確保するために御協力いただいたと聞いております。  しかし、平成元年以降は一転して入学者数が減少に転じ、今年四月に高校に入学した中学三年生の生徒数は約半分にまで減少しております。  これまで公立と私立は互いの長所を生かし、補い合う形で子供たちの教育環境を整え、広島県の教育の維持向上に取り組んできたところですが、多くの公立高校で生徒の減少による定員割れが生じている中で、私立高校も同様に多くの学校で定員割れが生じ、現在は少ない子供たちを取り合う関係になっています。  国の就学支援制度の拡充によって、私立高校においても生徒や保護者の授業料負担は軽減されており、進学先として私立高校を選択しやすくなっていますが、一方で、ICT教育に対応するためのネットワーク整備や、学校施設の老朽化、耐震化対応、新型コロナウイルス感染拡大防止のための空調整備など、これら膨大な経費を全て私立学校が負担するには限界があり、公立と私立で子供たちの教育環境の格差につながりかねません。  広島県の子供たちが公立学校に進学しても私立学校に進学しても、ひとしく充実した教育環境で学ぶことができるよう、公私間で教育環境に格差が生じないようにするため、県の積極的な支援が必要であると考えますが、知事の御所見をお伺いします。  質問の第五は、多様な意見やニーズを反映した防災施策の推進についてお伺いします。  広島県では、二〇一四年の広島土砂災害、二〇一八年の西日本豪雨によって大きな被害を受けた教訓を踏まえ、創造的復興による新たな広島県づくりを力強く推し進めてまいりました。ハード対策に加え、広島県「みんなで減災」県民総ぐるみ運動をはじめとしたソフト対策も推進し、ハードとソフトが一体となった総合的な防災・減災対策に積極的に取り組むことで、今年の七月、八月の豪雨においても大きな成果が出ているのではないかと思います。  頻発する自然災害による被害は、県民の生活に大きな影響を与えることとなりますが、影響を最小化するためには、県民それぞれの状況に応じたきめ細かい防災施策を推進していくべきだと考えます。  県は、日頃から県民の皆様に災害から命を守っていただくため、いざというときにはちゅうちょすることなく適切な避難行動を取っていただけるよう、様々な取組を進めており、災害発生時には様々な立場の方が避難所に集まります。性別や年齢、立場が違えば、暮らしの中で必要な住環境、物資、サービスも違ってきますが、避難所では選択の余地がありません。避難所に避難したものの、授乳環境や介護が必要な方が利用できるトイレが近くになかったり、段差で車椅子が通れなかったり、当事者にしか分からない避難所での生活上の不便について、私にも御意見が寄せられております。こうした方々は、いざというときに避難をちゅうちょするおそれがあります。防災施策を推進していく上で、多様性への配慮が不可欠です。  県の防災施策の基本となる「広島県地域防災計画」に県民の多様な意見やニーズを反映させるなど、きめ細かい防災施策を推進していくことが必要と考えますが、今後どのように進めていこうと考えておられるのか、知事の御所見をお伺いします。  質問の第六は、特殊詐欺被害の防止対策について、二点伺います。  一点目は、今次定例会において提案されている、「減らそう犯罪」ひろしま安全なまちづくり推進条例の一部改正についてお伺いいたします。  今回の改正では、近年の社会情勢の変化や技術の進歩に伴い、高齢者、女性等を狙った犯罪被害の防止に向け、市町、県民等が連携して行う取組及びインターネットの利用に関わる犯罪被害の防止に向けた取組の推進を図るため、県が講じる措置及び防犯上の指針を定めることとするなどの必要な改正を行うこととしております。令和二年度の県政世論調査において、県民が日頃から不安に感じている犯罪で、振り込め詐欺など特殊詐欺が約四六%、重点的に取り組んでほしい防犯施策では、高齢者を犯罪被害から守る施策が約三五%となっていることなどを考慮しているとのことです。  これまでの条例の子供の安全確保の明記に加え、高齢者や女性等の安全確保についてを加え、さらに、近年の社会情勢を受けたインターネット利用に係る犯罪の被害防止を、それぞれ、県の責務として追加されております。また、既存の子供の安全確保に関する防犯指針に加え、今後は、高齢者、女性及びインターネット利用犯罪対策に関する防犯指針を策定する予定と伺っております。  そこで、質問ですが、改めて「減らそう犯罪」ひろしま安全なまちづくり推進条例の一部を改正する必要性、及び改正によってどのような効果が期待できるのか、警察本部長にお伺いいたします。  二点目は、特殊詐欺対策についてです。  広島県において、おれおれ詐欺をはじめとする特殊詐欺の被害は、昨年と比較して大きく増加しており、本年十一月末現在、暫定値で被害額は四億六千万円で、昨年の約二億四千万円の約二倍に近い金額になっているとのことです。  犯罪グループは、主に高齢者に狙いを定めており、昨年はかなり減少していたおれおれ詐欺が本年は急増するなど、あらゆる手段や方法で県民の大切な財産を奪っております。  本年の特殊詐欺の手口を見ると、昨年は発生がなかった還付金詐欺が、本年は十一月末現在、暫定値で四十七件、被害額約四千万円。おれおれ詐欺については、昨年は六件であったものが、同じく十一月末現在、暫定値で四十件、被害額約一億二千万円となっており、犯罪グループは過去の手口を再び敢行していることがうかがえます。  考え方としては、特殊詐欺というのは、日常の生活の中でいつ誰が直面するか分からず、またその手口は新しいものや古いものという点は重要ではなく、多種多様な手口で一般市民が突然対応しなければならないものであり、平素からあらゆる面で注意喚起などを行っていくことが重要であるということです。  効果的な施策の一つに、高齢者が固定電話で被害に遭うことが多い中、一部の市町では、特殊詐欺対策の一環として、録音機能などがついた防犯機能つき電話機等の購入補助を行っており、極めて有効な対策であると思いますので、ぜひとも県内全域の市町で補助されることを期待しております。高齢化社会の進展に伴い、本年増加に転じている特殊詐欺を未然に防止するため、条例改正を一つの契機として、特殊詐欺対策等の県民意識の高揚につなげていただきたいと思っております。  そこで、質問ですが、本年の最終的な集計ではありませんが、現時点での特殊詐欺の被害発生状況や未然防止した状況、本年の主な犯罪手口などをどのように総括し、高齢者をはじめとする県民の安全・安心の確保のため、来年の特殊詐欺対策についてどのように取り組んでいこうと考えているのか、警察本部長にお伺いいたします。  私がお聞きしたいことは以上です。  最後に、国内で新型コロナウイルスの感染が確認されてから間もなく丸二年がたとうとしております。度重なる緊急事態宣言により、飲食店や観光地から人影がなくなり、人と人とが触れ合う機会が失われ、多くの方々が先の見通せない不安に駆られています。コロナや豪雨災害、鳥インフルなど大きな自然の力の前では、我々がいかに無力なのかを思い知らされた一年であります。  しかしながら、ワクチン接種が進み、国内の感染拡大も落ち着きを見せている中で、新たな経口治療薬の開発など、長く続いたコロナ禍のトンネルを抜ける希望の光も見えつつあります。来年こそはコロナを克服し、県民の皆さんが希望を持って明るく元気に過ごすことができる社会となることを祈ってやみません。  そうした中で、コロナ禍の影響により、二年間延期しておりましたFISE大会を、FISE広島二〇二二として来年三月、旧広島市民球場跡地にて開催することとなっております。東京オリンピックで本格的に取り上げられたアーバンスポーツのレガシーとして、二〇一八年、二〇一九年に続き、日本における三回目の国際アーバンスポーツフェスティバル大会が、本県で開催されることを大変楽しみにしております。  こうしたスポーツの国際大会が開催されることは、県民の皆さん一人一人の力を集結させ、広島に元気と活力を取り戻すきっかけとなるのではないかと思います。このような国際大会の開催は、他の都市との誘致競合も厳しく、一たび他の都市に開催を奪われると、再び広島で開催するのは非常に困難です。今回で三回目となりますが、アーバンスポーツといえば広島と言われるほど、このアーバンスポーツのレガシーがしっかりと広島に根づき、今後も継続して開催できるよう、広島の力を合わせて、全力で取り組んでいただくよう要望し、私の質問を終えさせていただきます。御清聴、誠にありがとうございました。(拍手) 76: ◯議長中本隆志君) 当局の答弁を求めます。知事湯崎英彦君。         【知事湯崎英彦君登壇】 77: ◯知事湯崎英彦君) まず、にぎわいの創出を通じた広島県経済の活性化についての御質問でございます。  広島市中心部に近接し、瀬戸内の島々と海の景観が望める現広島FMP開発事業用地は、本県の貴重なウオーターフロントであり、将来を見据えた、有効活用を図っていくことが極めて重要であるとともに、広島観音マリーナや広島西飛行場跡地等の周辺施設との親和性についても、十分配慮する必要があるものと考えております。  昨年度、現行の事業用定期借地権設定期間満了後の当該用地の利活用について検討を進める中で、不動産事業者、建設業者、金融機関、コンサルタント等に行ったヒアリングにおきましては、県としての大きな方向性を示しながら、海沿いの立地を生かした自由な提案を促すべきではないか、公共交通機関によるアクセスが十分でなく、オフィス用地としての利用は難しいのではないかなどの御意見がございました。  こうした意見なども踏まえ、当該事業用地における今後の利活用におきましては、にぎわいの創出を通じた県経済の活性化に寄与することを目的に、民間ノウハウを最大限活用するため、幅広く自由な提案を募ることとし、本年七月から、他の自治体の事例等も参考に一定程度募集期間を確保しながら、事業提案の公募を開始したところでございます。  現在、事業者からの提案内容について、有識者等で構成される選定委員会におきまして、事業コンセプト、事業の実現性・継続性、にぎわいの創出・周辺施設との親和性、広島県経済への貢献、環境・景観への配慮といった観点から審査を進めているところでございます。  県といたしましては、選定委員会における審査結果を踏まえ、当該事業用地を活用したにぎわいの創出を通じた県経済の活性化に向けて、しっかりと取り組んでまいりたいと考えているところでございます。  次に、MICEの誘致についてでございます。  MICEの開催は、国内外からの多くの参加者や出展者等による宿泊、飲食、観光等の経済効果のみならず、新たなビジネスチャンスやイノベーションの創出、国際的な認知度やブランド力の向上など、県全体への様々な波及効果が期待できるものと認識しております。  これまで、広島観光コンベンションビューローを中心といたしまして、県や広島市、大学、経済界等を構成員とする広島産学公連携MICE推進協議会におきまして、関係者が連携しながら誘致活動や受入れ態勢の整備の充実などに取り組んできたところでございます。  また、令和元年に広島市に設置された商工センター地区活性化検討会MICE部会におきまして、MICE施設整備の検討を契機としたまちづくりが検討されており、県もオブザーバーとして参加しているところでございます。  来年度は、約一千三百平方メートルの会議施設や最新の大型ディスプレイ等を備えたヒルトン広島が中区富士見町に開業予定であり、こうした新規施設と広島国際会議場や既存ホテルなどを連動させて、誘致に取り組んでいくことも重要と考えております。  引き続き、MICE誘致に取り組む市町や地元経済界等としっかりと情報共有などを行いながら、本県ならではの魅力を伝えるための効果的な情報発信や、市町や経済界が行う受入れ策に対する支援等を検討していくことなどにより、官民一体となって積極的な誘致に取り組んでまいります。  次に、広島南道路の整備についてでございます。  広島南道路は、工業、物流拠点が集中する広島湾臨海部を東西に貫き、生産性の向上に資する物流基盤の強化等に貢献する重要な路線であり、これまで国をはじめとする各関係機関が役割分担の下、計画的に整備を進めてきたところでございます。  商工センター以西の自動車専用道路部につきましては、事業主体が未決定で事業に着手されておらず、広島岩国道路との接続による広域的な交通の定時性、速達性の強化や、商業施設の立地が進む沿線地域への円滑なアクセスなど、広島南道路に本来の期待される機能が十分に発揮できない状況にあります。  このため、県といたしましては、これまで施策提案などの機会におきまして、この未事業化区間の早期事業化について国に要望してまいりました。  こうした中、本年三月に国におきまして、令和三年度中に事業主体などの整備方針を決定するとの方向性が示されたところであり、現在、国、県を含めた関係機関の間で効果的な整備手法について協議、調整を進めているところでございます。  また、この十一月には私自身が直接、斉藤国土交通大臣にお会いして、早期に事業効果が得られるよう有料道路事業を含めて整備手法を検討し事業主体を決定すること、ミッシングリンクとなっている木材港西から地御前ジャンクションまでの区間を最優先で事業化することを要望し、大臣からも、今年度中には、事業主体を決めて進めていきたいとの前向きな回答をいただいたところであり、事業化に向けて、大きく前進するものと期待しております。  今後、事業主体が決定した暁には、着実な整備促進のために所要の予算が確保されるよう、広島市、廿日市市など地元関係者と共に、私も先頭に立って取り組んでまいります。  次に、ジュニア選手の競技力向上についてでございます。  国際大会や全国大会における本県ゆかりのアスリートの活躍は、応援する県民の皆様に、一体感や地域への誇りを生み出す力があることから、「安心 誇り 挑戦 ひろしまビジョン」において、スポーツ競技力の向上を掲げ、特に、ジュニアアスリートの発掘、育成、強化に重点的に取り組んでおります。  ジュニアアスリートの競技力向上の取組といたしましては、県スポーツ協会を通じ、競技団体の強化指定選手を対象とした合宿、練習会などの幅広い支援のほか、十八校の高校部活動に対し、競技力向上拠点校事業として、トップコーチ派遣や練習機器の整備などを支援してまいりました。  また、競技スポーツの裾野を広げる取組として、教育委員会では、運動部に専門的な技術指導ができる外部人材を年間約百二十名派遣したり、教員を対象としたスポーツ指導研修の中で、短時間でより効果的に競技力の向上につながる指導方法や、生徒が個人で安全に取り組めるトレーニング方法を紹介したりするなど、運動部活動の充実を図ってきたところであります。  しかしながら、令和三年度のインターハイは、入賞数が中国五県で最下位、直近の国民体育大会である令和元年度の少年種別の成績は二十六位と低迷している状況にございます。  こうした状況の要因としては、小中学生の競技体験が十分でないこと、中学・高校段階での指導者や練習環境が整わないことによる優秀な選手の県外流出などが考えられます。  そのため、今年度から、小学生向け発掘事業の対象学年を従来の五、六年生から四年生以上に拡大し、小学生段階での競技体験の機会を拡充しております。  また、中学校・高校段階での優秀な選手の県外流出を防ぐため、ポテンシャルの高い中学生を対象とした種目特化型の発掘育成プログラムの実施や県立高校を対象とした競技力向上拠点校事業の私立高校への拡大により、指導者の確保と練習環境の整備を進めているところであり、今後、拠点校事業については、競技団体等の意向を踏まえ、支援メニューや対象校の拡充を検討してまいります。  こうした次の世代への強化を進めていくことで、令和七年度に広島県で開催されるインターハイをはじめとした国内大会、国際大会における成果につなげてまいります。  引き続き、外部指導者の確保・充実や、教員を対象としたスポーツ指導研修の改善・充実など部活動の底上げを図る教育委員会の取組とともに、競技団体等とも連携してジュニアアスリートの発掘・育成の取組を一層充実させることで、県内のより多くの子供がスポーツに挑戦できる機会を提供し、全国や世界で活躍するアスリートが輩出されるよう全力で取り組んでまいります。  その他の御質問につきましては、担当説明員より答弁させていただきます。 78: ◯議長中本隆志君) 地域政策局長岡田芳和君。         【地域政策局長岡田芳和君登壇】
    79: ◯地域政策局長(岡田芳和君) 障害者スポーツの振興についてお答えいたします。  障害者スポーツは、障害の有無や年齢等を問わず、様々な人が一緒に参加し、楽しむことができることから、多様性が尊重される共生社会の実現に大きく貢献するものと考えております。  障害者スポーツの推進につきましては、県内の統括団体である県障害者スポーツ協会を通じ、東広島市のスポーツ交流センターを拠点として、体験会の実施、指導員の養成、練習場の確保や競技用具の整備、強化指定選手へのサポートによる競技力の向上などに取り組んでまいりました。  こうした取組により、養成研修による毎年四十名程度の指導員の育成、県民が障害者スポーツに接する機会の増加、強化指定選手のパラリンピック出場や入賞といった一定の成果も現れております。  一方で、その取組の成果は、全県的に波及していないことから、市町等と連携し、障害者スポーツ教室や大会等への指導員の派遣、競技用具の貸出しや既存運動施設の活用による環境整備などを進め、県内各地域の全ての世代の障害を持つ方がスポーツを楽しむことができるよう取り組んでまいります。 80: ◯議長中本隆志君) 環境県民局長新宅郁子君。         【環境県民局長新宅郁子君登壇】 81: ◯環境県民局長(新宅郁子君) 私立学校は、時代の要請や県民の皆様の多様なニーズに応じた個性豊かで特色のある教育活動を展開し、公教育の一翼を担い本県の教育の振興に、大きな役割を果たしているところでございます。  このため、県といたしましては、私立学校の教育条件の向上に向けた支援を行っているところであり、少子化で生徒数が減少する中、安定的な経営と教育の質の向上が図られるよう、経常費補助金の補助単価については、毎年度増額してきております。  このほか、校舎の耐震化や新型コロナウイルス感染拡大防止対策、デジタル機器等を活用する環境整備への支援を行うなど、私立学校においても公立学校と同様に、安全・安心で充実した教育が受けられるよう取り組んでいるところでございます。  今後とも、私立学校に進学する子供たちがその個性や能力、希望に応じ、建学の精神に基づく、特色ある教育を受け、変化の激しい先行き不透明な社会をたくましく生きることができる力を身につけられるよう教育環境の整備などに必要な支援を行い、私学教育の振興に努めてまいります。 82: ◯議長中本隆志君) 危機管理監尾崎哲也君。         【危機管理監尾崎哲也君登壇】 83: ◯危機管理監(尾崎哲也君) 多様な意見やニーズを反映した防災施策の推進についてお答えいたします。  本県の防災施策の推進に当たりましては、多様な意見やニーズに配慮することが重要であると認識しております。  このため、広島県「みんなで減災」県民総ぐるみ運動推進会議や昨年度設置した避難行動につながる避難所環境等検討会におきましては、幅広く専門家に参画いただき、多様性に留意しながら防災施策を進めてきたところでございます。  また、防災施策全般の基本となる地域防災計画を審議する広島県防災会議におきましては、国や自衛隊、警察本部、消防などの行政機関や民間のインフラ事業者などから災害予防や災害時の応急対策などについてそれぞれの立場から御意見をいただき、防災施策の見直しを実施してまいりました。  一方で、高齢者や児童、障害者、妊婦など様々な立場の方に対して、さらにきめ細かい防災施策を推進していくためには、より多様な主体からの意見を反映させるための仕組みが必要であると考えております。  このため、今後、高齢者、児童、医療、看護等の関係団体や学識経験者などの多岐にわたる分野の専門家を広島県防災会議の委員に登用するなど、地域防災計画に多様な視点を反映させることにより、防災施策のさらなる充実につなげてまいります。 84: ◯議長中本隆志君) 警察本部長森内 彰君。         【警察本部長森内 彰君登壇】 85: ◯警察本部長(森内 彰君) 「減らそう」犯罪ひろしま安全なまちづくり推進条例の一部を改正する条例案についてお答えいたします。  まず、本条例の改正の必要性についてでございます。  本県では、平成十五年の本条例制定以降、「減らそう犯罪」県民総ぐるみ運動を展開し、県民や事業者、ボランティアの皆様など、各主体が自主的に活動を展開するとともに、市町とも連携・協働しながら、安全確保に向けた取組を推進してまいりました。  こうした取組により、令和二年には県内の刑法犯認知件数が、ピーク時の五分の一以下である一万一千七百二十六件となり、本年も減少傾向が続くなど、一定の成果が見られているところでございます。  一方で、本条例が最後に改正されてから十四年余りが経過する間、高齢社会の進展やサイバー空間の拡大などの社会情勢等の変化に伴い、高齢者を狙った特殊詐欺や、インターネットを利用した犯罪の手口が悪質巧妙化するなど、治安情勢も変化しており、現在もこれらの犯罪被害が後を絶たない状況にあります。  加えて、女性を対象とした性犯罪をはじめとする悪質な犯罪も依然と発生しており、県民の皆様に著しい不安を与えているところでございます。  こうした新たな防犯上の課題に対応するため、「減らそう犯罪」県民総ぐるみ運動のよりどころである本条例におきまして、高齢者や女性をはじめとする防犯上の配慮を要する方々の安全確保と、インターネットを利用した犯罪の被害防止について県の責務を明らかにするとともに、県民や事業者の皆様が自ら行う安全確保や、地域の安全確保に向けた具体的な方策を示す防犯指針を定めるなど必要な規定を整備するものでございます。  次に、本条例の改正による効果といたしましては、高齢者や女性をはじめとする防犯上の配慮を要する方々の安全確保と、インターネットを利用した犯罪の被害防止について、県の責務を明確にすることにより、全ての県の機関による多角的な支援が実現するとともに、新たに策定する防犯指針において各種施策を具体的なマニュアルとしてお示しすることによって、県民の皆様をはじめとする各主体による自主防犯対策等が促進され、防犯意識のさらなる高揚が図られることが期待でき、ひいては本条例の目的である安全な県民生活の実現に寄与できるものというふうに考えております。  続きまして、特殊詐欺対策についてお答えいたします。  本年十一月末時点の特殊詐欺の被害発生状況につきましては、平成三十年以降いずれの年の年間認知件数及び被害額も全て上回る深刻な状況となっております。  被害増加の主な要因は、おれおれ詐欺及び還付金詐欺の急増、一件で数千万円に上る高額被害の連続発生などが挙げられるほか、特殊詐欺被害全体における高齢者被害は、件数で約八割、金額で七割を超えており、やはり高齢者がターゲットとされていることは明らかでございます。  このような厳しい被害状況がある一方で、特殊詐欺の被害者が実際に現金を振り込む直前に、県民や事業者の皆様等の第三者の方からの声かけなどにより被害が未然に防止された、いわゆる水際阻止事案につきましては、本年十一月の暫定値でございますが、件数で四百四十八件、抑止総額で約一億七千八十三万円に上っており、県民の皆様の御協力により、全国的にも非常に高い水準で被害抑止が図られております。  主な事例といたしましては、還付金詐欺の被害者がATMで被疑者に振り込む直前に、金融機関職員の声かけにより阻止した事例、架空料金請求詐欺の被害者がコンビニエンスストアで電子マネーを購入しようとしたところ、店員の声かけにより阻止した事例などがございます。  こうした金融機関やコンビニエンスストア等の事業者の皆様による阻止が、阻止事例全体の六割を占めており、事業者の皆様の特殊詐欺に対する高い防犯意識は、被害抑止に大きな貢献を果たされております。  今後、特殊詐欺の被害抑止に向けてどのように取り組むかにつきましては、タイムリーかつ積極的な情報発信活動を推進するとともに、被害者となられた高齢者の中には、手口を知っておられながら被害に遭うといった事例も見られますことから、自治体、事業者、家族など社会全体で効果的に被害を抑止する仕組みづくりを念頭に、防犯機能つき電話機の普及促進、関係事業者をはじめとする県民の皆様と連携した水際対策等について強力に取り組むこととしております。 86: ◯議長中本隆志君) これをもって質問を終結いたします。  お諮りいたします。ただいま上程中の議案中、県第一一六号議案 広島県公害審査会委員の任命の同意について並びに県第一一七号議案 広島県収用委員会委員及び予備委員の任命の同意について、以上二件については、この際、委員会への審査の付託を省略し、直ちに本会議において議決するに御異議ありませんか。         【「異議なし」と言う者あり】 87: ◯議長中本隆志君) 御異議なしと認めます。  それではまず、県第一一六号議案 広島県公害審査会委員の任命の同意についてを採決いたします。本案は原案に同意するに賛成の諸君は御起立願います。         【賛成者起立】 88: ◯議長中本隆志君) 起立総員であります。よって、本案は原案に同意するに決しました。  次は、県第一一七号議案 広島県収用委員会委員及び予備委員の任命の同意についてを採決いたします。本案は原案に同意するに賛成の諸君は御起立願います。         【賛成者起立】 89: ◯議長中本隆志君) 起立総員であります。よって、本案は原案に同意するに決しました。  その他の各案については、それぞれ所管の常任委員会に審査を付託いたします。議案付託表は後刻お手元に配付いたします。  お諮りいたします。明十七日及び二十日は、委員会審査のため、本会議は休会とするに御異議ありませんか。         【「異議なし」と言う者あり】 90: ◯議長中本隆志君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決します。  次回の本会議は十二月二十一日午前十時三十分から会議を開きます。  本日はこれをもって散会いたします。         午後三時十七分散会 発言が指定されていません。 広島県議会 ↑ 本文の先頭へ...