• "個別ヒアリング"(/)
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  1. 愛知県議会 2020-11-01
    令和2年11月定例会(第3号) 本文


    取得元: 愛知県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-18
    愛知県議会 会議録の閲覧と検索 検索結果一覧に戻る 検索をやり直す ヘルプ (新しいウィンドウで開きます) 令和2年11月定例会(第3号) 本文 2020-12-02 文書・発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別窓表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言の単文・選択全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者表示切り替え 全 60 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言・ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 :  ◯議長神戸洋美君) 選択 2 :  ◯議長神戸洋美君) 選択 3 :  ◯公安委員柘植康英君) 選択 4 :  ◯議長神戸洋美君) 選択 5 :  ◯十番(村瀬正臣君) 選択 6 :  ◯教育長長谷川洋君) 選択 7 :  ◯防災安全局長山田哲夫君) 選択 8 :  ◯建設局長鎌田裕司君) 選択 9 :  ◯十番(村瀬正臣君) 選択 10 :  ◯議長神戸洋美君) 選択 11 :  ◯一番(小木曽史人君) 選択 12 :  ◯福祉局長服部克己君) 選択 13 :  ◯防災安全局長山田哲夫君) 選択 14 :  ◯建設局長鎌田裕司君) 選択 15 :  ◯一番(小木曽史人君) 選択 16 :  ◯議長神戸洋美君) 選択 17 :  ◯六十三番(高桑敏直君) 選択 18 :  ◯経済産業局長伊藤浩行君) 選択 19 :  ◯福祉局長服部克己君) 選択 20 :  ◯知事大村秀章君) 選択 21 :  ◯四十一番(丹羽洋章君) 選択 22 :  ◯議長神戸洋美君) 選択 23 :  ◯議長神戸洋美君) 選択 24 :  ◯副議長(青山省三君) 選択 25 :  ◯三十二番(岡明彦君) 選択 26 :  ◯警察本部長(後藤和宏君) 選択 27 :  ◯教育長長谷川洋君) 選択 28 :  ◯防災安全局長山田哲夫君) 選択 29 :  ◯福祉局長服部克己君) 選択 30 :  ◯労働局長(橋本礼子君) 選択 31 :  ◯観光コンベンション局長(芦沢典幸君) 選択 32 :  ◯知事大村秀章君) 選択 33 :  ◯三十二番(岡明彦君) 選択 34 :  ◯副議長(青山省三君) 選択 35 :  ◯三十四番(日比たけまさ君) 選択 36 :  ◯政策企画局長(野村知宏君) 選択 37 :  ◯環境局長(岡田守人君) 選択 38 :  ◯保健医療局長(吉田宏君) 選択 39 :  ◯福祉局長服部克己君) 選択 40 :  ◯教育長長谷川洋君) 選択 41 :  ◯県民文化局長(水野直樹君) 選択 42 :  ◯建設局長鎌田裕司君) 選択 43 :  ◯知事大村秀章君) 選択 44 :  ◯三十四番(日比たけまさ君) 選択 45 :  ◯四十番(田中泰彦君) 選択 46 :  ◯副議長(青山省三君) 選択 47 :  ◯副議長(青山省三君) 選択 48 :  ◯議長神戸洋美君) 選択 49 :  ◯九番(杉江繁樹君) 選択 50 :  ◯建設局長鎌田裕司君) 選択 51 :  ◯農林基盤局長(平田誠君) 選択 52 :  ◯知事大村秀章君) 選択 53 :  ◯九番(杉江繁樹君) 選択 54 :  ◯議長神戸洋美君) 選択 55 :  ◯五十八番(森井元志君) 選択 56 :  ◯福祉局長服部克己君) 選択 57 :  ◯総務局長(林全宏君) 選択 58 :  ◯四十一番(丹羽洋章君) 選択 59 :  ◯議長神戸洋美君) 選択 60 :  ◯議長神戸洋美君) ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1:     午前十時開議 ◯議長神戸洋美君) ただいまから会議を開きます。  直ちに議事日程に従い会議を進めます。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━   公安委員就任挨拶 2: ◯議長神戸洋美君) この際、本日付で公安委員に就任されました柘植康英公安委員から挨拶があります。  柘植康英公安委員。     〔公安委員柘植康英君登壇〕 3: ◯公安委員柘植康英君) 十二月二日付で公安委員に再任されました柘植でございます。  愛知県での犯罪の抑止や交通事故の減少などに貢献すべく、公安委員会制度の趣旨にのっとり、精いっぱい取り組んでまいりたいと思います。  皆様方の御指導をお願い申し上げ、挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)      ━━━━━━━━━━━━━━━━━   日程第一 一般質問並びに第百四十八号議案令和二年度       愛知県一般会計補正予算から第二百二十八号議       案物品の買入れについてまで 4: ◯議長神戸洋美君) 次に、第百四十八号議案令和二年度愛知県一般会計補正予算から第二百二十八号議案物品の買入れについてまでを一括議題といたします。  これより一般質問並びに提出議案に対する質問を許します。  通告により質問を許可いたします。  村瀬正臣議員。     〔十番村瀬正臣君登壇〕(拍手)
    5: ◯十番(村瀬正臣君) おはようございます。自由民主党、村瀬正臣でございます。本日のマスクは江南ではございません。隣町の一宮の尾州のマスクをはめさせていただいています。平松議員から頂きました。ありがとうございます。  それでは、通告に従いまして、全集中で一般質問したいと思いますので、よろしくお願いいたします。  最初に、性犯罪・性暴力対策についてお伺いをいたします。  本年六月十一日、内閣府特命担当大臣(男女共同参画)橋本聖子大臣より、性犯罪・性暴力対策の強化に関するメッセージが出されました。  抜粋で要旨を読み上げますと、性犯罪・性暴力は、被害者の尊厳を著しく傷つける重大な人権侵害であり、決して許されないことです。その影響は長期にわたることも多くあります。  今、被害者の方が声を上げ、性暴力の根絶を訴えるフラワーデモが全国に広がるなど、性犯罪・性暴力の根絶を求める声が高まっています。  このため、令和二年度から令和四年度までの三年間を性犯罪・性暴力対策の集中強化期間として、取組を抜本的に強化していくこととしました。  その取組方針として、内閣府、警察庁、法務省、文部科学省、厚生労働省の局長級から成る会議において、性犯罪・性暴力対策の強化の方針を取りまとめました。政府としての決意と方針を示す最初の一歩です。  方針には、被害者に寄り添った細やかな支援の一層の充実、性暴力の加害者や被害者や傍観者にならないための教育、啓発の強化など、具体的な取組が盛り込まれ、関係機関が連携して実行し、性暴力をなくす、二次被害を生まない、被害者をしっかりと支援する、このことを現場まで浸透するように取り組みます。  最後に、性暴力は一つあるだけでも多過ぎるという認識の下、性暴力のない社会、誰一人取り残さない社会の実現に向けて、全力を尽くしてまいりますと締められております。  今から約二十七年前に、高校教師というテレビドラマが放映され、教師と女子生徒の恋愛など、当時既に問題となっていた社会的タブーを真正面から扱った作品として映画化もされ、大きな反響を呼んだことが思い出されます。  初めに、学校における性暴力、性被害の防止についてお伺いいたします。  文部科学省の二〇一八年度公立学校教職員の人事行政状況調査によりますと、わいせつ行為等によって懲戒処分などを受けた教育職員は、前年度の二百十人から七十二人増えて二百八十二人と過去最高となったとあり、懲戒や訓告などの処分を受けた教育職員のわいせつ行為等による処分では、免職処分となった者が四十三人増えて百六十三人、停職は、前年度と同数の五十七人でありました。  わいせつ行為等による処分について、在職者に占める割合は〇・〇三%、年齢層では、二十代が七十一人となり、その年代の在職者の〇・〇五%を占めてトップの割合で、以下、三十代が八十二人で〇・〇四%、四十代が五十三人の〇・〇三%と続き、若い層の処分者が多い結果となっています。  また、処分者が所属する学校種別で見ると、小学校が七十五人で〇・〇二%、中学校が八十六人で〇・〇四%となり、高校は百一人の〇・〇六%、中等教育学校は一人で〇・〇六%、特別支援学級は十九人で〇・〇二%、中学校と高校、中等教育学校で比較的高い数値であります。  わいせつ行為等の相手の属性は、自校の生徒が九十九人の三五・一%とトップで、自校の児童は二十五人で八・九%、自校の卒業生は十四人の五・〇%と合わせると四九・〇%に上り、処分者が所属する学校と関係する児童生徒が被害を受けている実態が浮き彫りになりました。  そして、愛知県におきましては、二〇一八年度のわいせつ行為等に係る懲戒処分等の状況は、免職六人、停職五人の十一人という状況であり、二〇一五年度は九人、二〇一六年度は十五人、二〇一七年度は九人、二〇一九年度は七人と過去五年間で五十一人の懲戒処分者数となっております。  愛知県教育委員会は、二〇一五年九月の教員の不祥事防止対策プロジェクトチームからの提言を踏まえ、教員の不祥事根絶に向けた取組をされておりますが、二〇一〇年度から二〇一四年度までの五年間の懲戒処分者数六十一件からは微減をしておりますが、懲戒処分者数についてどのようにお考えなのかお伺いいたします。  本年九月から十月に、読売新聞で、わいせつ・セクハラ行為で懲戒処分を受けた公立小中高等学校の教員についての紙面が大きく数回にわたり掲載をされました。  そのうち、十月十一日の紙面によりますと、二〇一九年度までの五年間に教え子へのわいせつ行為などで懲戒処分を受けた公立学校教員四百九十六人のうち、少なくとも二百四十一人が、被害生徒らとSNSなどで私的なやり取りをしていたことが読売新聞の全国調査で分かりました。事務連絡の手段として学校現場で広く使われているSNSが、子供たちへのわいせつ行為に悪用され、本来、緊急連絡網として利用すべきはずのSNSが私的なやり取りになってしまっているとありました。  今回の調査で、全国六十七教育委員会のうち七割に当たる四十八教育委員会が、通知や内規などで教員と児童生徒らとの私的なやり取りを禁止していたことが判明しています。  また、愛知県教育委員会が私的なやり取りを禁じていたものの、県立高校の男性教員が女子生徒とSNSでやり取りを続け、生徒を自分の車に乗せて抱きつくなどの行為をしていたとして、昨年二月に停職三か月の懲戒処分となったと掲載がありました。こうした禁止ルールが守られていない実態も明らかになりました。  県教育委員会では、現在どのような禁止ルールがあるのか、その運用についてどのようにされているのか、また、私的なやり取りが起こらないために、今後どのような措置を取られていくのかお伺いいたします。  次に、監督責任についてです。  初めに、人事院の監督責任の懲戒処分指針について御紹介いたします。  五、監督責任関係、一、指導監督不適正、部下職員が懲戒処分を受けるなどした場合で、管理監督者としての指導監督に適正を欠いていた職員は、減給または戒告とすると指針を示しております。  また、愛知県教育委員会の懲戒処分の基準でも、第三、標準例、六、監督者責任関係、一、指導監督不適正、部下教職員が懲戒処分を受ける等した場合で、管理監督者としての指導監督に適正を欠いていた教職員は、減給または戒告とすると同様な基準があります。  先ほど御紹介した、県教育委員会がSNSの私的なやり取りを禁じていたにもかかわらず、男性教員と女子生徒がSNSでやり取りを続けて起きた行為で停職三か月となった事案や、職務中に自校内でのわいせつ行為で懲戒処分となった事案、これらはまさに指導監督不適正が問われるべきだと思います。  では、二〇一五年度からのわいせつ行為の事案で管理監督者の処分の状況について、まず、管理監督責任として懲戒処分を受けた校長は何人いらっしゃるのか、そして、今後のわいせつ行為を行った教員等の厳正な処分や管理監督者の厳正な処分についてもお伺いいたします。  次に、教職員のわいせつ行為の根絶に向けた取組について伺います。  長野県教育委員会が設置した、わいせつ行為根絶検討委員会は、校内研修などで自分の考え方や置かれた環境と比較し、類似の状況がないかを振り返るといった活用の仕方を示す内容を盛り込んだ、自校の児童・生徒へのわいせつな行為に係る検証報告書を二〇一九年十月にまとめました。  同県内で直近十年間、二〇〇九年五月から二〇一九年四月に発生した自校の児童生徒に対する教職員のわいせつ行為によって懲戒処分となった事案十四件の分析結果を基に、今後の再発防止策を示したものです。  また、本年四月に、教職員の児童生徒へのわいせつ行為根絶に向けた共通ルールを作成し、県内の学校へ通知しました。  これを受け、各校も四月上旬をめどに生徒に対するわいせつ行為根絶のための校内ルールを作成し、学校ホームページに掲載するなどして、児童生徒、保護者らも含め、学校全体で共通認識を図ってみえます。  また、二〇〇八年十月には、スクール・セクシュアル・ハラスメント防止ガイドライン、なくそうスクール・セクハラ!を策定され、さらには、わいせつ行為が学校で起こる背景には、教職員が日頃の学校生活に潜むセクハラに気づかないまま過ごしてしまっている現実があるということを認識し、二〇一二年七月に、教員の資質向上・教育制度のあり方検討会議を設置し、教職員の非違行為を根絶するための抜本的な対応策について検討が行われ、二〇一三年三月に提言としてまとめられました。  この提言に基づき、同年七月に、信州教育の信頼回復に向けた行動計画を策定し、教職員による非違行為の根絶に向け、幾度となく全力で取り組まれています。  では、愛知県教育委員会として、現在、教職員へどのような取組をしているのか、そして、今後どのような取組をしていくのかお伺いいたします。  次に、年齢に応じた性教育・啓発活動についてです。  性犯罪・性暴力対策の強化方針の学校等における教育や啓発の内容の充実には、性暴力の加害者、被害者、傍観者にさせないため、就学前の教育・保育を含め、学校等において、地域の人材の協力も得ながら、また、保護者等の理解を得ながら取組を推進するとあります。  例えば福岡県では、二〇一九年に福岡県における性暴力を根絶し、性被害から県民等を守るための条例が成立したのを機に、国に先駆け、教育委員会と県民安全課が連携して先進的な取組をされています。  専門家の性暴力対策アドバイザーを小、中、高等学校へ派遣し、児童生徒の発達段階に応じて性暴力の根絶や被害者支援に係る総合的な教育を行い、三年後の二〇二二年度には、この取組を公立学校全校で実施するとしております。本年度は、先行実施として約三十校で八十回程度の授業を実施するとのことです。  十月一日時点の福岡県のホームページを見ますと、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校、私立中学校で三十三校の実施校があると掲載されております。  愛知県教育委員会として、児童生徒の発達段階に応じて、性暴力、性被害の防止に向けた啓発活動をすることや、基礎知識を周知することは重要であるが、被害が小学校の児童に及んでいることも鑑み、現在はどのように行い、今後どのように充実、強化していくのかお伺いいたします。  次に、被害に遭った児童生徒たちへの心のケアについてです。  性暴力被害の場合、初期対応がその後の被害回復に大きな影響を及ぼします。心が傷ついている児童生徒にとっては、話をしっかり聞いてもらい、そして心の傷を癒やすこと、安心して学校生活を送れること、また、性被害に遭ったことで失った教員や大人に対する信頼感、喪失感というものを新たに築き直すことが必要です。  反対に、否定や批判をされ、周囲から受け入れられないと傷口が広くなり、人間不信が拡大して、PTSD(心的外傷後ストレス障害)などが発症することで、一生に関わる心の傷をもたらしてしまうことがあると言われています。  被害者のケア、そして相談をする児童生徒に対して、どのように教育現場で対応していくのかお伺いいたします。  次に、性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターの充実についてお伺いいたします。  県には、性犯罪、性暴力の被害に遭われた方のワンストップ支援センターの相談窓口として二か所、ハートフルステーション・あいちが一宮市に、性暴力救援センター日赤なごや なごみ──以下、なごみと言います──が名古屋市昭和区にあります。  ハートフルステーション・あいちは、大雄会病院内にある警察、病院、公益社団法人被害者サポートセンターあいちといった民間の第三者によるサポートセンターであり、なごみは、性暴力被害に対する相談、治療、警察通報などの医療、司法、行政にまたがる総合支援を拠点病院一か所、ワンストップで被害直後から中長期、回復までを継続して提供しており、支援員(アドボケーター)、性暴力被害者支援専門看護師、医師、医療ソーシャルワーカーなどが二十四時間体制で対応するという地域との連携による病院拠点の支援モデルで、名古屋第二赤十字病院内、通称八事日赤病院にございます。  先日、なごみで、性暴力被害の現状と課題についてお話をお伺いすることができました。今回、現地調査した中で、愛知県内の性犯罪の特徴について御紹介をいたします。  まず、なごみへの来所者は、年齢が二十歳代までが七三・〇%を占め、また、そのうち十八歳未満が二七・一%で、二歳児から七十歳以上までの方に被害が生じているということです。  また、被害年齢として、十八歳から二十歳までが最も危険、十三歳から二十五歳まではとても危ない時期であり、加害者の八一・九%が顔見知りの親族、知人で、最近ではSNSを通じた被害が子供に多いということでございます。  特に小中学生同士による被害があること、まさかと思うところで被害が起きていること、また、顔見知りの知人からの子供への被害は長期に及ぶことが多く、被害が発覚することが遅くなっているということです。また、性犯罪、性暴力の被害は女性だけの問題でなく、男性も被害者となります。  それらの問題を早期に解決するためには、話せる、相談できるといった周囲の環境を構築することが必要であるとおっしゃっていました。  そして、被害後に多くの方はパニックになり、どうしていいのか分からなくなり、その記憶を閉じ込めようとしたり、自分だけが我慢すればいいとか、誰にも相談できなかったりします。時に被害者であるはずの自分が、服装が派手だとか、夜遅くに出歩いていたとか言われ、加害者のような扱いになったりもする理不尽な犯罪でもあります。  そして、警察に行くべきか、弁護士に相談するべきか、医療機関にかかるべきなのか、被害に遭われた方は苦痛の中で不安や恐怖からのフラッシュバックで悩み、精神的に追い込まれ、関係する各機関に相談する行動を起こすだけの体力が、もうそのときには残っていないということであります。  そのためにワンストップ支援が必要であります。  性暴力被害に遭った人たちに被害直後から総合的な支援を可能な限り一か所で提供でき、被害に遭った方に寄り添い、本人の意思を尊重し、心理的な支援、医療的な支援、法的支援、生活支援を行うことで、被害者への行政、民間の支援を有機的に結びつけるような役割ができるワンストップ支援センターが重要であり、何よりも有効な施設であります。  今後、どのように県民に広く幼児から高齢者まで認知をしてもらうような広報活動、啓発を行っていくのかお伺いいたします。  また、広域的な支援体制の構築に向け、支援センターと関係機関との連携や支援を担う人材の育成にどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。  次に、日光川上流部の今後の整備について質問いたします。  初めに、日光川の歴史と概要について簡単に説明しますと、日光川は、愛知県西部に位置し、河川延長約四十一キロメートル、流域面積約三百平方キロメートルの県内最大の二級河川であります。  流域は、名古屋市を含む九市二町一村にまたがり、人口約百万人を有しておりますが、下流部は国内最大の海抜ゼロメートル以下地帯の中央に位置していることから、流域の約三分の二は雨水排水をポンプ排水に頼っている状況であります。  また、日光川は、木曽川左岸に御囲堤が整備された後、一六〇七年、慶長十二年に発生した川であり、一九五一年、昭和二十六年より本格的な改修が始まり、水閘門、締切堤の築造、排水機場の建設が行われるなど、治水能力が向上したものの、名古屋市近隣での人口増加や工場の増設が相次ぎ、宅地化も進んだことから、次第に治水能力は著しく低下していきました。  そのため、河川整備計画に基づいて、遊水池の建設や木曽川へ放流する放水路整備など、今日まで積極的に治水事業を推し進めてきました。  一方で、最上流部では、一九六八年、昭和四十三年に整備された江南団地からの排水先確保のため、江南市と一宮市が整備した浅井排水路を一九七一年、昭和四十六年に愛知県が二級河川日光川として河川指定しましたが、大江川との交差部や新般若用水路とサイホン構造で交差しているなど改修困難な箇所もあり、当該区間は現在までなかなか上流端の江南市まで整備が進まない状況にあります。  今年は、二〇〇〇年の東海豪雨から二十年目となる節目の年であり、近年では、今年の七月に発生した令和二年七月豪雨をはじめとして、日本各地で甚大な災害が頻発しております。次々と発生する雨雲が列をなし、数時間にわたってほぼ同じ場所に停滞し、強い雨を降らせる線状降水帯が何度も発生したことは記憶に新しく、改めて集中豪雨の恐ろしさを感じました。  私の地元江南市は、青木川と日光川の上流域に位置し、東海豪雨では百二棟の浸水被害となり、また、愛知県の水害統計によると、過去十年間で五回、延べ四百六十六棟もの浸水被害が生じております。  近年頻発する短時間の集中豪雨のたび、溢水し、川沿いの生活道路では通行に支障を来しており、特に、近隣の小中学校や幼稚園の通学通園に影響を及ぼしています。  そのため、日光川の上流端に位置する小学校、中学校は、登下校も冠水などの影響で特別の判断をしなければならない地域となっております。  一方、青木川を含む新川流域では、特定都市河川流域の指定を受け、雨水貯留浸透施設の設置などの総合治水対策や青木川放水路、青木川第四調節池の整備などの河川整備が進んでいます。  一方で、日光川は、江南市の下流に位置する一宮市では、二号放水路をはじめとした河川整備が進んでおりますが、江南団地周辺を抱える最上流部では、川幅が一メートル程度、深さ八十センチ程度と非常に狭隘であり、洪水時の流下能力が著しく劣っているにもかかわらず、改修事業に着手されていない状況であります。  河川の整備は下流から上流に向けて改修を進めるのが基本ですが、浸水被害が頻発している最上流部が未改修となっていること、整備時期の見通しが立っていないことは、流域の住民にとって大変不安であります。  また、近年、想定を超えた豪雨が頻発する中、新川流域については、平成十六年に制定された特定都市河川浸水被害対策法に基づく新川流域水害対策計画が平成十九年十月に策定され、河川・下水道整備の推進に加え、雨水貯留浸透施設整備の推進や流域流出量の抑制を図るなどの対策が講じられてきました。  しかし、日光川流域については、江南市独自の雨水流出抑制基準や第三次江南市総合治水計画による雨水貯留施設計画の対策などはありますが、流域全体としての抜本的な対策とはなっていない状況です。  そこで、日光川上流部の整備状況と今後の整備方針の進め方についてお伺いいたします。  以上、壇上からの質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 6: ◯教育長長谷川洋君) 学校における性暴力、性被害の防止についてお尋ねをいただきました。  まず、わいせつ行為等に係る教員の懲戒処分者数についてお答えいたします。  議員御指摘のとおり、近年のわいせつ行為等に係る教員の懲戒処分者数は、二〇一六年度が十五人と最も多く、昨年度、二〇一九年度は七人となっており、減少傾向にあります。  これは、二〇一五年九月の教員の不祥事防止対策プロジェクトチームの提言を踏まえた取組を進めたことにより減少したものと考えておりますが、根絶には至っておりません。  教員によるわいせつ行為は、児童生徒、保護者の心に深い傷を残し、真面目に教育活動に専念している大多数の教員の信用を損ない、公教育に対する県民の信頼を大きく失墜させます。絶対にあってはならないものであり、根絶に向けて引き続き取組を進めてまいります。  次に、教員と児童生徒とのSNSに関するルールについてであります。  児童生徒の携帯電話番号やメールアドレスなどは、極めて重要な個人情報でありますので、緊急連絡等のためのやむを得ない利用に限定し、目的外の使用を禁じております。このことについては、毎年、生徒指導の研修に関する通知の中で、連絡が便利だからといって生徒と私的なメール、SNSのやり取りをしないと明示しております。  また、全教職員に配付する不祥事防止のリーフレットの中で、SNSや携帯電話での不適切なやり取りはわいせつ行為につながることを強く認識させております。  昨年度からは、SNSが発端となったわいせつ行為等を事例として取り上げたケースメソッド用資料や不祥事防止チェックシートを活用し、SNSの不適切な利用の防止に努めているところであります。  次に、管理監督者等に対する処分についてお答えいたします。  二〇一五年度以降のわいせつ事案に関する監督者としての校長の処分状況についてでありますが、処分人数は四十五人であります。  処分に当たっては、日頃の管理監督者としてのわいせつ行為をはじめとする不祥事防止の取組状況などの確認を詳細に行っております。  その結果、懲戒処分とした者はいませんが、懲戒処分に次ぐ重い処分である文書訓告が二十七人、口頭訓告が十三人、厳重注意が五人となっております。  児童生徒に対してわいせつ行為等を行った教員は、免職または停職としており、県教育委員会といたしましては、教員のわいせつ行為が発生した場合は、今後とも、管理監督責任を含め、厳正に対処してまいります。  次に、教員のわいせつ行為等の防止の取組についてお答えいたします。  本県では、二〇一五年九月に、教員の不祥事防止対策プロジェクトチームからいただいた提言に沿った対策を進めております。  わいせつ事案を起こした教員は若年層が多いことを踏まえまして、採用一年目の初任者研修において、教育公務員としての自覚と生徒指導などの場面での児童生徒との接し方を学ぶ研修を実施しております。  二〇一六年度からは、採用三年目の教員を対象とする不祥事防止と適切な生徒指導を目的とした研修を開始し、今年度からは、新たに十年経験者研修において、民間外部講師によるわいせつ行為等の防止に向けた研修を実施しております。  また、所属長から、九月から十二月にかけてコンプライアンス面談を全職員に実施し、教員一人一人に対してわいせつ行為の根絶に向けた指導を行っております。  さらに、わいせつ事案に至らないよう早期の問題解決に向け、児童生徒からの相談を複数の教員で対応することを徹底し、教員間で児童生徒に係る情報の共有に努めているところであります。  今後とも、わいせつ行為も含めた全ての教員の不祥事をなくすため、あらゆる機会を通じて不祥事防止に対する教員の意識の喚起に努め、教育公務員としての使命と職責の自覚を促してまいりたいと考えております。  続きまして、児童生徒の発達段階に応じた性暴力、性被害の防止に向けた啓発活動等の現状と、今後の充実、強化についてお答えします。
     これまで、小学校低学年では、防犯教室等で知らない人についていかないことや嫌なことをされたらすぐに大人に話すなど自分の身の守り方の指導を、小学校高学年から中学校では、外部講師を招き、サイバー犯罪防止教室等で、知らない人や会ったことのない人に写真や個人情報を送らないなど、スマートフォンやSNSの正しい使い方の指導を行っております。  高等学校では、SNSを介した性被害の具体例を取り上げて注意喚起を行っております。また、人権教育の中で法務局や相談機関等から外部講師を招いて、デートDVをテーマとした生徒対象の講演会を実施し、男女が尊重し合う関係性の在り方について学ぶ機会を設けている学校もございます。  県教育委員会といたしましては、本年二月に愛知県警察本部が作成した子供の性被害抑止動画を市町村教育委員会と県立学校に紹介するとともに、本年四月には、内閣府等が作成した相談窓口を紹介するリーフレットを県立学校に送付し、性被害を予防するための指導を促したところであります。  今後は、これらをしっかりと活用するよう進めてまいります。  最後に、性に関する被害に遭った児童生徒の相談体制についてお答えいたします。  議員お示しのとおり、性に関する被害に対しては初期対応が重要でありますので、学校では、被害に遭った児童生徒が安心して相談できる環境を整えることが大切であると考えております。  現在、各学校に、専門的な知識や経験を持つスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを配置しており、養護教諭や教育相談担当教員、クラス担任等と連携して対応できる体制を構築しております。  実際に被害に遭った児童生徒に対しては、子供の人権に配慮しながら児童生徒の心身の健康を第一に、児童相談所や性犯罪・性暴力被害者支援相談機関と連携し、専門的な知見に基づく助言を参考としながら、ケアが必要な児童生徒に寄り添い、適切に対応を進めております。  今後は、性犯罪・性暴力対策の強化方針を踏まえ、関係機関との連携を一層進め、性犯罪・性被害防止に向けた取組が推進されるよう努めてまいります。 7: ◯防災安全局長山田哲夫君) 性犯罪・性暴力対策に関するお尋ねのうち、ワンストップ支援センターの充実についてであります。  性犯罪・性暴力の被害者は、心身に深い傷を負いながら、誰にも相談できずにいることが多いため、安心して相談できる体制を整えていくことが不可欠であります。  被害に遭われた際に、迷うことなく相談していただくためには、まずはワンストップ支援センターの存在を知っていただくことが重要であり、このため、相談窓口を案内する啓発カードやチラシなどを作成し、県民の皆様に幅広く周知に努めてまいりました。  特に、被害者の約七割を占める二十歳代以下の若年層に向けては、相談先を記載した啓発カードを県内全ての高校生に配付するとともに、昨年度からは、性暴力被害防止セミナーを開催し、リスクの回避方法や医療機関の受診、警察への相談など、被害に遭った際の対処方法を学んでいただいているところであります。  また、ワンストップ支援センターの取組を県内全域へと普及を図り、被害者がより身近に安心して相談することができる環境を整えていくため、昨年度、新たに連絡会議を立ち上げ、県内全ての救命救急センターや医師会などの関係機関との連携を一層強化し、支援を担う人材の育成を含め、広域的な支援体制の構築に取り組んでいるところであります。  具体的には、支援看護師の養成研修を実施し、これまでに二十四か所の救命救急センターの約八割に当たる十九か所に支援看護師を確保いたしました。引き続き、全ての救命救急センターで充実した支援を行うことができるよう、さらなる養成に取り組んでまいります。  今後も、これらの取組を推進することで、被害に遭われた方が安心して相談ができ、一日も早く平穏な日常生活を送ることができるよう、被害者に寄り添った支援体制の一層の強化に努めてまいります。 8: ◯建設局長鎌田裕司君) 日光川上流部についてのお尋ねのうち、まず、現在の整備状況についてであります。  江南市を最上流端とし、一宮市方面に流れる日光川の上流部については、一宮市内の国道二十二号と交差する地点より下流では、河床掘削を除き、河道拡幅がおおむね完了しております。  一方、国道二十二号の上流では、県営たん水防除事業により、日光川一号放水路の計画放流量である毎秒五十立方メートルのうち、約十立方メートルの放流能力が確保されています。  こうした中、現在は、一宮市常願通一丁目地内で未改修となっている名栗東橋の改築や、国道二十二号から約五百メートル上流の中島橋までの区間において橋梁改築や河道拡幅などを進めております。  また、支川である野府川では、大規模特定河川事業の採択を受け、本年度から日光川二号放水路の整備にも着手しております。  次に、今後の整備の進め方についてであります。  江南市などの最上流部の未改修区間については、河道拡幅の着手までに期間を要することから、まずは、一宮市内及び江南市内でそれぞれ一か所ずつの遊水池を先行して整備することとし、今後、速やかに河川整備計画に位置づけ、事業を進めてまいります。  また、近年の水災害による甚大な被害を受け、流域のあらゆる関係者が協働して取り組む流域治水を進めるため、河川や下水道などの管理者が行う治水対策に加え、雨水貯留浸透施設の整備や避難体制の強化などを位置づけた日光川流域治水プロジェクトを来年度中に取りまとめ、日光川上流部も含め、ハード、ソフト両面から事前防災対策を一層推進してまいります。  今後とも、日光川上流部の治水安全度向上にしっかりと取り組んでまいります。 9: ◯十番(村瀬正臣君) それぞれ御丁寧な答弁をいただきまして、誠にありがとうございました。  それでは、要望させていただきます。  今回のなごみでお話を伺った、一般社団法人日本フォレンジックヒューマンケアセンターの片岡笑美子会長は、東日本大震災女性支援ネットワーク調査チーム報告書によると、東日本大震災のときも性暴力被害がかなりの数があったと話をされていました。  また、このコロナ禍の中でも、子供たちをはじめとし、性被害の件数は増加しているだろう、声の出せない子供たちも以前よりも増えているのではないかと心配をされておりました。  そのため、周囲の大人たちが、性被害が今も起きていることを理解し、そして、教職員の研修を充実することで性暴力被害者への急性期の対応、そして児童生徒たちの行動の変化に気づくことが重要であるとのことでした。  全国的に見て、愛知県の先進的な取組をしているワンストップ支援センターをより充実させていただき、また県教育委員会は、スクールセクハラの多くは学校の現場を通して起きているという認識を強く持っていただき、性暴力、性犯罪は一つも起こさないという教職員への研修や児童生徒への啓発活動、教育の充実をそれぞれ強化していただくようにお願いを申し上げます。  そして、地域で支える愛知モデルをつくり、全国に示すことができる令和二年度から令和四年度までの性犯罪・性暴力対策の集中強化期間の取組になることを御要望いたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。 10: ◯議長神戸洋美君) 進行いたします。  小木曽史人議員。     〔一番小木曽史人君登壇〕(拍手) 11: ◯一番(小木曽史人君) おはようございます。新政あいちの小木曽でございます。  通告に従い、順次大きく二点について質問をいたします。  まず初めに、生活困窮者支援への取組についてです。  本年三月以降の新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、国内でも経済や社会活動の収縮等、県民生活に多大な影響が生じております。  そして、そのしわ寄せは、低所得者層や生活困窮者層に対して顕著に表れており、事実、解雇や雇い止め、内定取消し等々により生活基盤となる収入が十分に得られず、先行きが見通せない不安な生活を余儀なくされている方が今なお大勢いらっしゃいます。  生活困窮者に対する金銭的支援策としては、従来から生活保護制度のほか、緊急小口資金と総合支援資金という二つの生活福祉資金貸付制度と、生活困窮者自立支援事業である住居確保給付金という現金給付制度がありますが、コロナ禍を受け、国は新たな緊急施策を打つというよりは、この三つの制度の要件を緩和し、対象者を広げることで救済を図っていると承知をしております。  要件緩和により、生活福祉資金貸付、住居確保給付金の利用者は全国的に大幅に増加しており、例えば愛知県の住居確保給付金の利用状況は、対象が拡大された四月二十日から十月末までの約半年間で、支給決定件数五千百六十七件、支給総額は約七億円であり、昨年度一年間の支給決定件数約三百件、支給総額約三千六百万円と件数で見ても約十七倍に上っております。  一方、生活保護制度の利用者数は、コロナ禍における四月以降でも増加傾向は見られていないとお聞きをしております。  こうしたことから、要件緩和による救済は、生活保護に陥る前のセーフティネットとして、コロナ禍で苦しむ生活困窮者を一時的に救い上げることができる効果的な施策と推察できます。  しかしながら、住居確保給付金について、報道によると、国はさらなる給付期限の延長を検討していると言われておりますが、現時点では最長九か月であり、例えば本年四月から給付を受けている人は、年内に給付が切れてしまう計算になります。  また、緊急小口資金は二十万円が上限、総合支援資金も貸付期間は原則三か月であることを考えると、社会全体の経済状況や雇用環境が好転しない限り、これらの制度を組み合わせて何とか生活をしのいでいる人たちの多くが、今後、生活保護に陥る危険性があるということになります。  つまり、コロナ禍の影響が長期化すれば、こうした金銭的支援制度の利用期限を越えてもなお生活再建が立ち行かず、不安な日々を過ごす人たちが各種雇用、就労支援施策と併せて生活困窮者支援事業を活用するケースが多くなることが予想をされます。  そういった意味で、コロナ禍でより一層生活困窮者自立支援事業のニーズが高まる可能性が否定できない中、一方で、コロナ禍以前から経済・生活問題に困っている方、長期離職している方、ひきこもり状態にある方など、生活保護に至らないまでも生活困窮状態に陥っている人たちが多数いらっしゃり、このコロナ禍で生活困窮状態が継続していることは容易に想像できますので、そういった方たちも引き続き生活困窮者自立支援事業の中で丁寧に支援していくことが必要となります。  愛知県も、平成二十七年に施行された生活困窮者自立支援法に基づく生活困窮者自立支援事業として、自立相談支援、住居確保給付金の支給、一時生活支援、子どもの学習・生活支援、そして本年度からは、アウトリーチ支援員の配置、就労準備支援と家計改善支援を開始するなど、支援対象者のニーズに合わせた生活全般を支える制度の拡充を図っているところと理解しております。  こうした事業は、社会福祉法により、基本的には福祉事務所設置義務を負う市が主体となって実施するところですが、福祉事務所を設置していない町村住民に対しては、福祉事務所の設置義務を負う県が福祉相談センターにおいて相談支援員による包括的な生活困窮者自立支援事業を担い、町村の福祉、就労、子育て、教育等に係る主管窓口各課、社会福祉協議会やハローワーク、保健所等々関係機関との緊密な情報共有と連携の下、事業を進めることになっております。  本年四月から十月までの県下五か所の福祉相談センターが受けた町村域の自立支援相談件数は七百九件に上り、恐らく住居確保給付金の申請によるものが多数と推察されますが、特に五月、六月は増加が著しく、昨年の相談件数が一年間で二百六十五件であることを見ても、センターでの相談対応は大変であったことは想像できます。  八月、九月の相談件数は落ち着きを取り戻しつつあるものの、今後、先ほど申し上げたとおり、金銭的支援制度の利用期限を迎え、潜在的な生活困窮者が表面化し、相談件数が再度増加した場合、現時点での生活困窮者自立支援事業のマンパワーを含めたリソーセスの部分で、コロナ禍による事業利用者の急増は想定していないと考えられ、町村との連携も含め、今のままでの体制では迅速かつ的確な支援を実施できなくなる可能性は否定できません。  こうしたことも踏まえ、お伺いいたします。  本年四月から現時点まで、コロナ禍での生活困窮者自立支援事業全般について、マンパワーや制度等各種リソーセスの強化も含めてどのように取り組んできたのか、コロナ禍の影響分析、評価も踏まえ、お聞かせください。  また、今後増加が予想される潜在的な生活困窮者を捕捉し、迅速かつ的確に支援につなげるために、県福祉相談センターとして町村や社会福祉協議会等関係機関とのさらなる連携強化による身構えが不可欠と考えます。  二月の議案質疑の答弁では、支援対象者に対しては町村等が参画する支援調整会議の中で支援プランを作成し連携を図っている、町村を通じて地域住民への事業周知に努め県福祉相談センターの相談事業につなぐ連携を強化すると答弁をいただいております。  まさにコロナ禍で、支援調整会議での調整が取りにくい現状をどう補完して事業を行っているのか、あわせて、町村を通じた地域住民への自立支援事業の周知を、具体的にどのように実施していくのかお伺いいたします。  次に、県民の防災意識を高めるとともに、具体的な避難行動につなげる取組についてですが、まずは、その前提として、私の問題意識についてお話をいたします。  県政全般にわたる事業として、例えば様々な注意喚起や県施策の利用促進等を狙いとして、いわゆる認知、知識、理解をしてもらうという意味での普及啓発がうたわれておりますが、その大部分は、普及啓発すべき対象者に実際の行動に移してもらう、つまり行動変容を促すためのものだと理解しております。  つまり、普及啓発の取組が行動変容につながる最大限の効果を生むよう、しっかり調査、分析されていることが望ましい姿であると考えます。その最大限の効果を生む可能性を探るアプローチとして、ナッジという手法が近年注目されております。  最近ではCMでも耳にするこのナッジ、既に御存じの方も多いと思いますが、少し御説明させていただきます。  本来は、肘でつつく、背中をちょっと押すという意味で、知識や理解として頭で分かってはいても実際の行動につながらない、そういった場合に、選択の自由は残しつつも最適な行動へ向かうようそっと後押しする行動経済学の用語で、シカゴ大学のリチャード・セイラー教授が二〇〇八年に提唱し、二〇一七年ノーベル経済学賞を受賞したことで世界的に注目されました。  人は利益よりも損失に反応し、将来よりも現実を過大視する、人のためになるルールや社会規範には従いやすいといった人間の癖を利用し、行動を強制するのではなく、知らず知らずのうちに選ぶという心理に働きかける有効な政策手法として、今日、様々な分野で研究が進められております。  例えば海外では、イギリスでこのナッジを使って納税率を上げたという実践例があります。税金の確定申告はしたが、期限内に納税していない約十万人に対し、納税を促すメッセージを送る際、どういった文章が有効かを調べるこの実証実験。送ったメッセージというのが五つあります。  一つ目が、十人中九人が期限内に税金を払っていますというもの、二つ目が、イギリスでは十人中九人が期限内に税金を払っていますとイギリス国内を強調した文言をつけたもの、三つ目が、イギリスでは十人中九人が期限内に税金を払っています、あなたは現在のところまだ納税していない非常に少数派の人ですと少数派を強調した文言をつけたもの、四つ目は、税金を払うことは私たちみんなが道路や学校といった不可欠な公共サービスを享受できることを意味しますといった利益を訴えるもの、五つ目が、税金を支払わないことは私たちみんなが道路や学校といった不可欠な公共サービスを失うことを意味しますといった損失を訴えるもの、この計五パターン。  最初の三パターンは、納税が社会規範であり、いわゆる周囲の人と同じ行動を取ることが安全と判断する同調性バイアスを利用したメッセージ、あとの二パターンは、自身の行動が利益になるのか損失になるのかを強調したメッセージになっています。  結果、期限内に納税した人の割合が最も増加したのが、三番目の、あなたは非常に少数派であるといったことを強調するメッセージであり、そのメッセージが調査対象者十万人に全員に送付されて同様の効果が得られていたとしたら、一年で約十五億円の追加税収を生んでいたと試算されました。  費用対効果の面からも、納税の督促状にメッセージを一文追加するというほぼゼロのコストで、非常に大きな効果を生み出したと報告されております。  ナッジ手法は、既に日本でも各分野で活用されており、例えば医療現場では、検診率の向上を目的として、問診票の記入欄で、検診を希望するにチェックする記載から希望しないにチェックする記載に変えるというのは、最初に示された選択肢に従いやすいといったナッジを利用していますし、交通安全対策としても、実は、愛知県警が昨年三月に公表した高齢者の交通安全対策グランドデザイン報告書の中で、自転車や歩行者、運転者が自発的に無理なく安全な行動を取るためのハード、ソフト両面での有用なアプローチとして、このナッジ手法の活用を推進しています。  また、新型コロナウイルス対策として、スーパーのレジ周りで見られる足跡マークやトイレの手洗い場の、隣の人は手を洗っていますかの貼り紙も、ソーシャルディスタンスを保ってくださいとか、手を洗いましょうという呼びかけではなかなか行動が守られないところを、ナッジを利用して行動変容を促していると言われております。  コロナ禍で新しい生活様式の模索が進む中、今後の社会を望ましいものにどう変えていくのか、その仕掛けの一つとしても、ナッジは社会の在り方を問い直す有用なツールとして既に実践をされております。  このように、ナッジ手法は決して真新しいものではなく、行政施策の中で日常的に行われてきた普及啓発活動も、具体的な行動に移してもらうために試行錯誤された、まさにナッジ的なものと言えます。  ただし、それが具体的な行動変容につながる効果的なナッジであるかの検証がされているのか、若干疑問な部分があります。  ナッジは、人の心理に知らず知らずのうちに働きかける以上、過度な心理的負担をかけたり、効果が短期的か長期的かなど、様々な角度から調査、分析によるエビデンスを積み上げ、検証を重ねながら進めなければ全く効果のない、ややもすれば誤った方向へ誘導するマイナスの効果を生む危険性もあります。そういった意味では、実効性を担保すべく大学等研究機関と連携した取組が必要不可欠とも言えます。  国も、環境省主導の下、産学官連携の日本版ナッジ・ユニットを二〇一七年に立ち上げ、ナッジを含む行動科学の知見に基づく取組が、政策として早期に社会実装され、自立的に普及することを目的として議論や取組を進めていると伺っております。  その中で、先ほど述べた信頼できる効果的なナッジであるとの裏づけのための重要なファクターが、調査と検証と言われております。  調査と検証という意味では、今後、EBPM(Evidence Based Policy Making)、つまりエビデンスに基づく政策立案の考え方が定着していくであろうと言われており、内閣府内にもEBPMに取り組む推進チームが立ち上がっております。  これまでは、政策立案時に民意や社会の状況をきめ細かくタイムリーに把握するには限界があり、政策の効果検証が容易ではなかったところ、近年のICTの進歩、ビッグデータの整理、分析やAIの活用により、膨大なデータから一見つかみにくい傾向の抽出が可能になりつつあります。  SNS等ネット上の膨大な情報やIoTを活用すれば、実社会の克明な動きを把握することも可能です。調査と検証を前提としたナッジ手法は、このEBPMの考え方と親和性があり、今後の公共施策を考える上で、当たり前の考え方として定着していくと予想されております。  いずれにせよ、いわゆる普及啓発事業については、現時点においても事業実施前後の調査で、当該事業がもたらす状況の変化、人の行動変容等の成果を逐次評価分析しつつ、ブラッシュアップしていくことが重要であり、こうした観点では、特に大規模災害時の県民の防災意識の向上と具体的な避難行動へつなげる取組についても、同様なことが言えると考えております。  愛知県としては、逃げ遅れゼロを旗印に、県民に対して正しい災害、防災の知識や情報の提供を含め、各種研修会や防災教育の推進等、防災減災に関する普及啓発活動を実施することで、県民の防災意識の向上に真摯に取り組んでいることは承知しております。  しかし、そういった県の取組が、いざ有事の際に具体的な行動、具体的な避難行動として現れる効果的なものとなっているのでしょうか。  ここで、一つ広島県の取組を御紹介いたします。  広島県では、二〇一四年の土砂災害で七十七名が犠牲となり、その反省から防災教育を含めた普及啓発の取組に力を注いだにもかかわらず、二〇一八年の西日本豪雨で、結果的に災害関連死を含め百四十八名以上の犠牲者を出しました。  このとき、避難指示、勧告の対象となった地域で実際に避難した人の割合は、僅か〇・七四%にとどまるというデータが、後日明らかになりました。  防災の知識はあるのに早期に避難できなかったという人がたくさんいた、過去の災害を教訓に、防災教育を含めた普及啓発に熱心に取り組んできたが、防災に関する知識、理解を持つというところまでは達成できるが、逃げる逃げないのどちらがいいのかを正しく判断するというところまでは県民意識の中に落とし込むことができなかったという現実に直面したわけです。  そこで、広島県は、逃げ遅れゼロに向けた取組を強力に進めるため、大学研究機関との連携の下、県民の避難行動等研究チームを立ち上げ、まずは具体的な避難行動につながるメッセージとは何なのかという原点に立ち返った問いかけから検討をスタートいたしました。そのときのキーワードが、防災におけるナッジの活用です。  ナッジを専門とする大学教授の助言を基に、どのようなメッセージが県民の避難行動につながるのかを探るための県民アンケート調査を実施した結果、避難のきっかけとなるようなメッセージ、あなたの避難がみんなの命を救うを作成し、二〇一九年六月の水害時への避難呼びかけに取り入れました。  県と専門家がその後の追跡調査として効果を検証した結果が、今年の十月に公表されましたが、その中では、メッセージの発信が県民の避難意図を高め、さらには、避難タイミングの決定や食料、水の備蓄、非常品の用意などの避難準備行動についても促進できる可能性が示唆されております。  もちろんこの結果は、ほかの様々な防災教育を含む普及啓発の取組による複合的なものかもしれません。  しかし、県全体としてナッジ手法による検討、検証を実施しつつ、一つ大きな柱となるメッセージを発信し、逃げ遅れゼロを単なる標語ではなく、避難行動意識を高め、一歩でも避難行動に近づけて県民の命を守るんだという本気の姿勢は見てとれます。  自身の置かれている現状を理解し、どういった段階で、何を目安にして、どういう目的で避難をするんだという行動が、具体的に明確に意識づけられることがまずは重要であって、それによって初めて避難場所、避難所はどこか、そこにはどうやって行くのか、何を持っていけばよいのかという次の行動へ移す具体的なステップを踏むことができるのだと思います。  愛知県の防災意識を測る調査結果としては、昨年七月に実施した県政世論調査があります。水災害に関する一部分を抜粋すると、自宅周辺の災害リスクの認知度については、豪雨、津波、土砂災害を合わせて七〇%、水災害時の避難タイミングとしては、避難指示、勧告発令時としたのが四三・九%、洪水ハザードマップの認知度は、有事の際に見ることができない状態にある方が七〇%、行政への取組に対する期待は、水災害の危険性がある場所の紹介が二二・二%、緊急時の適切な避難方法の紹介が二一・八%、避難場所がどこにあるかの情報発信が一六・九%、みずから守るプログラムの認知度は、知っているとした人が僅か一〇%となっています。  災害リスクについての県民意識は比較的高く、実際の避難のタイミングも避難指示や避難勧告発令時と考えてはいるが、行政から配布されるハザードマップは、名前は知っているが意識は低く、やはり行政からの適宜適切な情報発信を県民が求めている姿がうかがえます。  そして、愛知県としても、平成二十三年から、みずから守るプログラムとして正しい理解が正しい行動につながるような地道な取組を実施しているものの、県全体への広がりというところまでには至っていないとも思われます。  また、県民の防災意識の向上は、大規模な風水害での避難行動だけでなく、発生が危惧されている南海トラフ地震の防災対策としても重要な課題であり、県政世論調査においても、同時に地震防災に関する意識調査が行われております。  特に突発的な大規模地震に対しては、発災時の避難行動に加え、事前の備えとして家庭での家具固定や食料、飲料水の備蓄といった取組も行っていただくことも不可欠であり、風水害同様、分析評価に基づいた普及啓発活動が重要と考えます。  そこでお伺いいたします。  まず、近年、南海トラフ地震の危険性が高まる中、県民の地震防災の意識を高めるため、どのような普及啓発活動を行っているのか、また、その結果をどう分析評価し、どのような方向性を持って取り組んでいかれるのかお伺いいたします。  次に、大規模な水災害について、昨年実施した県政世論調査の河川情報に関する部分で、どのような考えで調査項目を設定し、その調査結果をどう分析評価しているのかお伺いいたします。
     また、その分析評価を受けて、避難行動という具体的な行動変容を惹起するための取組として、みずから守るプログラムを含めて、今後どのように深化させていくおつもりなのかお伺いいたします。  以上、県当局の明快かつ前向きな御答弁を期待し、壇上からの質問を終わります。(拍手) 12: ◯福祉局長服部克己君) 生活困窮者自立支援事業の取組についてお答えいたします。  コロナ禍により生活困窮者が増加し、議員御指摘のとおり、県の福祉相談センターへの生活困窮に関する相談は、大きく増加しております。  また、生活困窮者自立支援事業においては、生活困窮者の増加に対応するため、住居確保給付金及び一時生活支援事業の拡充が図られております。  拡充の内容についてでありますが、まず、家賃相当額を支給する住居確保給付金については、これまで失業や廃業が支援の要件とされておりましたが、制度改正により、失業や廃業には至ってはいないものの、収入が減少した方も支給対象とされました。その結果、昨年度は十六人であった支給実績が、今年度は十月までに百八十七人と大幅に増加しております。  また、住居を失った生活困窮者への緊急的な支援として、原則二週間以内、無償で宿泊先を提供する一時生活支援事業については、福祉相談センターが宿泊先に対して支払う利用料単価の上限額が引き上げられたことから、ホテル、旅館等に対して協力を働きかけましたところ、生活困窮者の受入先は、年度当初の九施設から二十六施設まで拡大いたしました。コロナ禍の中、この事業の利用者は、昨年度の十六人から今年度は十月現在で十四人と、昨年度を上回るペースで増えております。  こうした相談件数の急増や制度の拡充により増加した業務に対応するため、尾張及び知多福祉相談センターに七月から非常勤職員を各一名増員し、海部福祉相談センターでは、採用に向け職員を募集しているところであります。さらに、センター職員の内部再配置を行うことにより、体制の強化を図っているところであります。  今後に向けましては、国の動向に注視するとともに、新型コロナウイルス感染症による自立支援事業の影響を見極めながら、生活困窮者への支援が適切に実施できるよう検討してまいります。  次に、コロナ禍での支援調整会議の状況等についてお答えします。  生活困窮者は、休業や失業をはじめ、多額の債務を抱え生活が苦しい、心身の不調により就職できない、就職しても職場に定着できないなど様々な課題を抱えているため、県福祉相談センターでは、町村や社会福祉協議会、ハローワークなどの関係機関と連携を図りながら支援を行っております。  支援を行うに当たっては、福祉相談センターが面談などにより生活困窮者が抱える課題を把握した上で、具体的な支援プランの案を作成し、支援調整会議を開催して、関係機関と協議してプランを決定する必要がございます。  コロナ禍の中、三月から七月にかけては、やむを得ず電子メールや書面などを活用した会議により対応しておりましたが、八月以降は、感染症対策を講じた上で対面により支援調整会議を開催して、関係機関との連携を図っているところであります。  次に、町村を通じた地域住民への自立支援事業の周知につきましては、本年五月に制度や相談窓口を紹介するリーフレットを作成いたしまして町村に配付し、住民の方々への周知をお願いしております。  また、町村の福祉窓口には様々な相談が寄せられますが、生活困窮に関する相談を県の福祉相談センターに適切につなぐためには、町村職員の制度の理解を深めることが重要になりますことから、県福祉相談センターの相談支援員等を対象とした制度説明会に、今年度から町村職員にも参加いただくことといたしました。  なお、今年度は、四月に予定しておりました説明会の開催が、コロナ禍により困難となりましたことから、説明会資料を町村に送付して対応いたしましたが、来年二月に再度開催する予定としております。  今後も引き続き、こうした取組を進め、町村や社会福祉協議会などの関係機関と連携しながら、自立支援事業の推進にしっかりと取り組んでまいります。 13: ◯防災安全局長山田哲夫君) 県民の防災意識の向上に向けた取組に関するお尋ねのうち、地震防災に関する普及啓発活動についてであります。  大規模な地震が発生した際に、県民の皆様一人一人に正しく自助、共助の行動を取っていただくためには、効果検証と改善を行いつつ、的確に普及啓発活動を推進し、平時から災害リスクと取るべき行動をしっかりと身につけていただくことが不可欠であります。  このため、本県では、市町村と連携して、住民の皆様に津波や液状化のハザードマップを配布するほか、防災の日や津波防災の日における広報活動や防災フェスタの開催など、年間を通して全県的に呼びかけを行うとともに、津波避難訓練や避難所運営訓練を住民参加の下で実施し、防災意識の向上と取るべき行動の習得に努めてきたところであります。  また、効果検証では、地震防災に関する意識調査を継続実施し、県民意識の変化を把握するとともに、毎年、地震対策アクションプランのフォローアップを通して、家具固定や食料備蓄などの政策指標により、県民の行動変容の達成状況を評価しているところであります。  二〇〇一年から昨年まで十九年にわたる調査結果によれば、非常に関心があるとの回答は、約四〇%から約五六%と一六ポイント上昇しておりますが、東日本大震災により最も関心が高まった二〇一一年の約六四%に比べると八ポイント低下しており、災害の教訓を受け継いでいくことの重要性を認識したところであります。  また、家具固定や食料備蓄等の政策指標は、数ポイントの上昇を続けておりますが、昨年の普及率は三〇%台から六〇%台で道半ばにあり、今後も一層の普及啓発活動に努めてまいります。  これらの分析評価に際しては、防災対策有識者懇談会の場で、危機管理や工学はもとより、社会経済や情報処理、市民活動など幅広い分野から提言をいただき、以後の施策に反映するなど、PDCAマネジメントを行っておりますが、今後は、行動経済学の新たな知見も加味し、効果的なメッセージを発信することで、事前の備えや的確な避難行動の一層の促進を図ってまいります。  今後も、県民の皆様の防災意識の醸成に努め、普及啓発活動や情報発信の在り方について不断の改善を続け、防災意識の高い愛知に向け、しっかりと取り組んでまいります。 14: ◯建設局長鎌田裕司君) 河川情報に関する県政世論調査についてであります。  初めに、県政世論調査は、県政の各分野についての関心や意向などを把握するため、十八歳以上の県民の皆様を対象に、県全域で無作為に三千人を抽出し、実施しているものです。  河川情報に関する調査につきましては、県民の皆様に適切に水害リスク情報が伝わっているか、豪雨時にどのような方法で情報を入手しているか、その情報が有効に避難行動につながっているかなどについて意識の変化を調査するため、二〇一〇年度、二〇一三年度及び二〇一九年度と経年的に実施しております。  主な調査項目といたしましては、洪水ハザードマップの認知度、豪雨時の気象情報や河川情報の入手方法及び水災害時の避難のタイミングなどを設定しております。  調査結果といたしましては、洪水ハザードマップの認知度は、二〇一〇年度の五五%から二〇一九年度の七六%へと着実に認知度が上がっております。  豪雨時の気象情報や河川情報の入手方法については、テレビが直近の二〇一九年度調査でも八六%と主要な入手方法でありますが、インターネットと回答した方が、二〇一三年度の三七%から二〇一九年度の五三%に増加しており、インターネットによる情報提供の重要性を認識しているところです。  水災害時の避難のタイミングについては、自分・家族の判断、近隣自治会などの声かけと回答した方が、二〇一三年度から二〇一九年度までに僅かに増加したものの約三割にとどまっており、自ら判断し避難行動ができる方を増やす取組が重要であると考えます。  また、二〇一九年度に新たに調査項目として設定した、県民の皆様の自発的な避難行動を促す取組である、みずから守るプログラムの認知度につきましては、実施している地区はまだ少なく、参加したことがある方が一・二%であるにもかかわらず、一〇%の方々に認識をいただいております。  次に、みずから守るプログラムを含めた今後の取組についてであります。  みずから守るプログラムは、水災害時に一人でも多くの県民の皆様に自発的な避難行動を取っていただくようにするための地域協働型の取組であり、市町村や防災NPOと協力し、県民の皆様自らがまち歩きをして作成する手作りハザードマップや、作成したマップを使った大雨行動訓練を柱とするものであります。  これまで、県政世論調査の結果やアドバイザリー会議を通じた学識者などの助言を参考に、この取組の充実を図ってまいりました。  具体的には、自ら判断し避難される方のさらなる増加に向け、二〇一八年度より、各個人が自宅付近の河川の避難判断水位など、水害リスクを記載した災害避難カードの作成を新たに加え、さらに、二〇一九年度からは、この災害避難カードに水位の上昇に応じて取るべき避難行動を記入したマイ・タイムラインを取り入れる改良を実施しております。  加えて、実施エリアや参加者の拡大を図るため、プログラムを主導するファシリテーターの養成を目指し、市町村職員や防災NPOに向けた研修に取り組んでいるところであります。  このほか、河川情報などの入手方法がインターネットに移行していることを踏まえ、国が運営するポータルサイトに市町村が作成する洪水ハザードマップの掲載を促すことや、視覚的に県民の皆様の避難判断につながる水位や監視カメラ映像などの河川情報をインターネットで公表する取組を積極的に進めてまいります。  今後とも、逃げ遅れゼロに向け、県民の皆様の主体的な避難行動につながる取組をしっかりと進めてまいります。 15: ◯一番(小木曽史人君) 御答弁それぞれありがとうございました。質問項目二点それぞれについて要望をさせていただきます。  生活困窮者自立支援事業におけるコロナ禍を受けた事業利用者増加への身構えについてですが、実際に海部福祉センターでは、職員、いわゆる相談支援員を募集しても、その専門性による担い手不足もあり、現時点で採用に至っていないと聞いております。  センター職員の内部再配置で関係諸機関と連携を取りつつ、コロナ禍以前から潜在している生活困窮者、そして増加が見込まれる事業利用者に、迅速かつ丁寧に今後対応し切れるのか不安視する声も伺っております。  町村窓口や関係機関に届いた救済の声が、自立支援全般のマネジメントに当たる県福祉センターの機能不全でボトルネックにならないよう、早急な人員確保、ひいては、幸田町では既に実施されているような生活困窮者自立支援事業自体の外部委託の可能性も含めた体制強化を検討いただくよう要望いたします。  二点目の防災意識の高まりを行動変容につなげる取組についてですが、防災安全局、建設局それぞれ県政世論調査結果を評価分析しつつ、地道に前向きに各種事業を推進してきたことは理解いたしました。  その中で、まずは一丁目一番地としての避難のきっかけとなる部局横断的な強力なメッセージを県が主体的、積極的に発信する、先ほど御答弁いただきました、例えば防災対策有識者懇談会等の中でも結構ですので、EBPMの考え方に基づくナッジ等、行動経済学の新たな知見を含めた効果的なメッセージをぜひ研究いただき、常に実効性の担保という視点からしっかり調査分析しながら、枝葉となる適宜適切な情報発信としての各種普及、啓発、教育といった事業を展開いただきたいと思います。  そして、みずから守るプログラムの取組、地域の要望に応えながら、防災意識の醸成を深化させる場を提供するとても有用な取組であると理解しておりますが、欲を言えば、もう一歩踏み込んだ取組をさらに広げるような仕掛けが必要だと思います。  例えば先ほど答弁にもありましたマイ・タイムラインの導入、これは防災意識を向上させ、避難行動につなげる大変有効な手段であると思います。これを教育現場でのアクティブ・ラーニングとして積極的に取り入れる、具体的には、例えば小学校教育の場で、家庭への持ち帰りによる父兄との共同作成を促しつつ、総合教育の中で議論、発表し合うなどといった取組を、水害リスクが高い地域でモデル的でもよいので試行していくなども一つの方法かと思います。  コロナ禍で、災害と感染症対策のため分散避難が求められているなど、県民の自然災害時の避難行動、特に避難先と避難タイミングに若干の不安と揺らぎが生じているとも感じております。  ぜひさらなる県民の防災意識の醸成、それが、ひいては災害時に命が守られる具体的行動につながる取組を推進していただくよう要望し、質問を終わります。 16: ◯議長神戸洋美君) 進行いたします。  高桑敏直議員。     〔六十三番高桑敏直君登壇〕(拍手) 17: ◯六十三番(高桑敏直君) それでは、通告順序に従い、質問させていただきます。  中小企業におけるデジタル技術の活用促進について、まずは質問させていただきます。  二〇一九年工業統計調査では、本県の製造品出荷額等は四十八兆七千億円を超え、一九七七年以来、四十二年連続で全国一位となっております。  まさに日本一のモノづくりの県として日本の経済を牽引しているのが我が愛知県であり、その土台となっているのが県内中小企業であります。しかし、近年のデジタル技術の発達により、本県産業を取り巻く環境が大きく変わりつつあります。  二〇一〇年代、あらゆるモノがインターネットにつながるIoT技術の進展により、欧米諸国で第四次産業革命が推進され、様々な情報をデータ化し、それらを通信ネットワークでつなぎ、解析、利用することで新たな付加価値を創出し、また、人工知能(AI)などで労働力不足の解消やサービスの向上が図られるなどの取組が行われております。  日本においては、政府が二〇一六年にソサエティー五・〇を提唱しました。IoTで全ての人とモノがつながり、様々な知識や情報の共有により、今までにない新たな価値が生み出されるということで、経済発展と社会課題解決を両立する社会づくりを目指しているものであります。  こうした社会全体のデジタル化への進行と合わせて、中小企業の多くは、今、様々な課題に直面しています。経済全体が成長していた時期には、設備投資を行い、従業員を雇用し、その労働力によって企業として業績を伸ばしてきました。  しかし、現在は、製造現場の置かれている状況が変化してきています。従来は、少品種大量生産であったものが、社会のニーズの多様化により多品種少量生産が求められるケースが増えております。  また、熟練工の退職に伴い、いわゆる職人技、たくみの技の継承が困難となっており、さらには、少子化による労働人口の減少により従業員の確保が難しい中において、働き方改革を推進するために労働時間も減らしていかねばなりません。  こうした課題を解決しつつ、新たな付加価値の創出、生産性の向上、収益の拡大を実現するには、デジタル技術を活用することが重要であると考えます。  例えば、IoT技術によって製造機械の稼働状況のデータを自動的に計測し、グラフで可視化することが可能となります。そのデータを分析することで、現場の外からでも機械の状況を把握し、生産量の予測を行いながら稼働時間を調整し、生産性の効率化を図ることができます。  さらに、様々な加工条件や加工台数など、環境や生産過程に関する情報をセンサーから取得、数値化し、そのデータをAIなどで分析することで修理や交換の予兆を判断し、生産ラインの停止を未然に防ぎ、問題発生時の原因解析に使用することができるなど、熟練工と同じような作業が誰にでもできるようになります。つまり、職人技を持つ熟練工の経験や勘に頼らずとも、現場の状況がデータで把握できるようになるということであります。  これらの技術は、最新の製造機械でなくても、従来から利用している機械に取り込むことが可能であり、大きな設備投資をしなくても導入することができることなどから、多くの企業で活用が望まれるところであります。  また、工場以外の事例といたしまして、伊勢神宮のおはらい町にある飲食店では、以前は経験に基づき来店客数を予測し、食材の発注や人員の配置を行っていました。  しかし、宿泊予測などに関するビッグデータやお店のホームページへのアクセスデータを活用し、来客予想や時間別の注文メニューなどを予想するシステムを開発するなど、デジタル技術を活用し、サービスの向上、食品廃棄ロスの減少などにより売上げが数倍になり、経常利益は十倍になったそうであります。  しかし、こうした成功例がある一方で、多くの中小企業においては、生産性の向上、人材不足、現場における技術の継承など様々な経営課題を抱える中で、デジタル技術の活用への取組はあまり進んでいない状況であると思われます。  また、国際通貨基金(IMF)の二〇一九年の統計によれば、日本は、一人当たりGDP──国内総生産ですけれども──は世界二十五位で、先進諸国の中では低い位置にあることから、これを向上させるためにはデジタル技術を活用し、企業数の大部分を占める中小企業の生産性を高めていくことが重要であると考えます。  そこでお尋ねいたします。  中小企業におけるデジタル技術の活用について、県はどのように現状を認識し、どのような支援を行っているのかをお伺いいたします。  さて、新型コロナウイルス感染症拡大により社会が変容する中、行政をはじめ、経済、生活、医療、教育、防災など様々な分野でのデジタル化への課題が浮き彫りになりました。これを受け、政府においては、七月に骨太の方針を閣議決定いたしました。  今後のポストコロナ時代を見据えて、次世代型行政サービスの強力な推進、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進し、新しい働き方、暮らし方など、デジタル化への集中投資、実装とその環境整備に取り組んでいくとしています。  デジタルトランスフォーメーションの推進については、サプライチェーンにおけるデジタル化やAI、ロボットの導入などを推進し、新しい生活様式を新たなビジネスチャンスとすべく取組を支援することとしております。  また、報道等によれば、政府はデジタルトランスフォーメーションを推進するために、新たにデジタル庁を設置するとしており、社会全体としてデジタル技術を積極的に活用していくことが必要不可欠となってきております。  しかしながら、本年五月の独立行政法人情報処理推進機構のデジタルトランスフォーメーション推進に向けた企業とIT人材の実態調査によれば、デジタルトランスフォーメーションへの取組状況は、企業の従業員規模による格差が見られます。従業員一千名を超える企業では八割近くが取り組んでいるのに対して、百名以下の企業になると、取り組んでいる企業が三割にも満たない状況があります。  その理由といたしましては、将来への危機感が企業全体になかなか浸透していないとか、ビジネスや組織の変革に対する社内の抵抗感が強いという課題認識の問題とともに、能力のある人材が社内で育成できないといったようなデジタル人材の不足が課題として掲げられています。  昨年四月の国のIT人材需給に関する調査によれば、二〇二〇年の現時点で、既に三十万人のIT人材が不足しており、二〇三〇年──十年後ですが──では四十五万人が不足するという試算もされております。  今後、デジタル社会が一層進展していく中で、本県産業を支える中小企業におけるデジタル技術の活用促進のためには、デジタル人材の育成は、中小企業が成長を持続していくためにも必要不可欠な要素であります。  愛知県では、本年九月にデジタル人材育成ワーキンググループを立ち上げ、デジタル人材の育成について全庁横断的に施策の検討を行っていると聞いております。  そこでお尋ねいたします。  今後、中小企業におけるデジタル技術の活用について、どのように取り組まれていくのかをお伺いいたします。  次に、次期あいち健康福祉ビジョンについてお伺いいたします。  現在のあいち健康福祉ビジョン二〇二〇は、二〇一五年、平成二十七年三月に策定されており、目標年次といたしましては、団塊の世代の方々が七十五歳以上となる二〇二五年、令和七年を展望しつつ、今年度、二〇二〇年度が計画の最終年次となっております。  そのため、今年度において次期健康福祉ビジョンを策定し、健康福祉施策のより一層の推進を図る必要があると考えます。  そこで、まず、現在の健康福祉を取り巻く社会の現状を展望するに当たり、捉えておくべき社会情勢などについて、人口減少や高齢化の進行など、県民の健康福祉施策を推進する上で基礎となる数値等を基に、考慮すべき点を幾つか指摘したいと思います。  初めに、人口につきましては、先月十一月十三日に、愛知県は二〇二〇年の人口動態調査結果を公表しましたが、本県の人口は七百五十四万一千百二十三人となり、この一年間で一万一千七百五十人減少したことが明らかになりました。昭和三十一年、一九五六年の調査開始以来、初めて人口増減数が減少に転じたということで、二〇二〇年は本県の人口にとって大きなターニングポイントになると思います。  その内訳を見ますと、出生、死亡による自然増減は一万一千九百五十八人の自然減となりました。一方、人の移動による社会増減は、二百八人の社会増となりましたが、前年は二万三千七百十三人の社会増であったことと比べると、大きく減少しております。  この原因といたしましては、新型コロナウイルス感染症の影響で、特に外国人の転入が減少したことが大きいと考えられています。  我が国の人口については、全国的には二〇一一年、平成二十三年頃から人口減少の局面に突入しておりましたが、全国有数の産業集積地域である愛知県においては、これまで県全体の人口は増加傾向を維持しておりました。  しかし、それもついに限界を迎え、今後は、愛知県においても総人口は減少し、人口減少社会に突入していくことになります。  推計によれば、二十年後の二〇四〇年には七百七万人余りと、今後二十年間で約五十万人も人口が減少すると予想されています。  しかも、年齢構成でいえば、いわゆる生産年齢といわれる十五歳から六十四歳の人口が二〇二〇年の四百六十万人余りから、二十年後の二〇四〇年には三百八十万人と八十万人も減少するという大変危機的な状況を迎えることが予測されているのであります。  また、人口問題に関連した問題といたしまして、高齢化の問題につきましても取り上げたいと思います。  これまで、団塊の世代という言葉は皆さんも耳にしてきたと思います。団塊の世代とは、第二次世界大戦が終結した昭和二十年、一九四五年直後に生まれた方々をいいますが、最近はさらに進んで、団塊ジュニア世代という言葉が使われるようになってまいりました。  団塊ジュニア世代とは、団塊の世代の子供たちの世代であり、年代的には、一九七一年から一九七四年、昭和四十六年から四十九年頃の生まれの方々をいいます。そして、これらの方々が六十五歳以上の高齢者に到達されるのが二〇四〇年、令和二十二年であり、高齢化率は、二〇二〇年の二四・九%から二〇四〇年には実に三一・六%に達し、三人に一人が高齢者になると推計されています。  つまり、二〇四〇年は本県における高齢者人口がピークを迎える時期であり、この時期をいかに迎え、いかに乗り越えていくのかが、今後の健康福祉施策を考える上で非常に重要なポイントになってくるものと考えます。  次に、地域社会に目を向けてみますと、地域社会の最小単位である家庭、世帯におきましては、結婚や家庭に関する価値観の多様化により、家庭の概念そのものが変容してきており、高齢者単身世帯の増など世帯の多様化、小規模化といった現状があります。すなわち、介護や育児などにおいて、家庭、世帯だけでは支え切れないケースが増えているということであります。  そして、地域コミュニティーの単位におきましては、地域のつながりが希薄化し、社会全体を支える担い手が不足しているという現状があります。この原因としては、先ほど述べました人口減少による働き手不足を契機とした共働き世帯の増加や定年延長などが掲げられます。
     こうした現状に対応するためにも、今後は、元気な高齢者の方々に地域社会での役割を果たしていただくことが大いに期待されるところであります。  さらに、個人や世帯の抱える課題が複合化、複雑化し、これまでの支援の枠組みでは対応し切れず、包括的な支援が必要となるケースが増加してきています。  具体的には、八十歳代の高齢の親が五十歳代のひきこもりの子を養うという、いわゆる八〇五〇問題や、結婚、出産年齢の高齢化に伴う親の介護と子育てのダブルケアといった様々な問題が提起されています。  国は、二〇一七年及び二〇二〇年に社会福祉法を改正し、地域住民の複雑化、複合化した支援ニーズに対応する市町村の包括的な支援体制の整備などを通して、地域共生社会の実現を目指すこととしております。  地域共生社会とは、地域住民や多様な主体が参画し、世代や分野を越えてつながることで地域を共につくっていく社会のことであり、今後の健康福祉施策において重要なキーワードになると考えます。  また、これに加えて、最近の新型コロナウイルス感染症の爆発的流行拡大をはじめとして、今後も予想される新たな感染症の流行リスクについても、将来を見据えた社会情勢として考慮していく必要があると考えます。  健康福祉分野の様々な取組の大前提である地域のつながりが、さらに希薄化していくのではないかと大いに危惧しているところであります。  こうした情勢の中で、県民の皆様の暮らしと健康を支える健康福祉施策の重要性は、なお一層高まるばかりであると考えておりまして、本県の健康福祉の進むべき方向性を示す基本指針である健康福祉ビジョンの役割は非常に重要であると考えます。  そこでお尋ねいたします。  今年度、次期あいち健康福祉ビジョンの策定が進められておりますけれども、現状の課題をどのように認識し、次期ビジョンではどのような点について重点的に取り組んでいかれるのでしょうか。  また、地域共生社会の担い手として重要な役割を果たすのが、地域の社会福祉協議会であると考えます。社会福祉協議会は、それぞれの地域で民生委員、児童委員、社会福祉施設、社会福祉法人等の社会福祉関係者、保健、医療、教育などの関係機関の参加、協力の下、地域の人々が住み慣れたまちで安心して生活することのできる福祉のまちづくりの実現を目指した様々な活動を行っており、まさに地域共生社会の旗振り役としてふさわしい団体であります。  今後、さらにその役割は増してくるものと考えておりますが、次期健康福祉ビジョンにおいて、社会福祉協議会をどのように位置づけられているのかお尋ねいたします。  さらに、地域共生社会においては、分野横断的な包括的な支援体制の構築が求められており、高齢者支援の対象は高齢者、障害者支援の対象は障害のある人、子育て支援の対象は子育て世代といった対象者で区分するのではなく、制度の垣根を超えた連携が求められるものと認識しています。  そうした中で、例えば高齢者支援と障害者支援の連携の観点でいいますと、障害者の高齢化が進んでいる中で、高齢の保護者が亡くなった後の生活の確保が課題であると考えており、早急な対応が必要ではないかと考えます。  そこでお尋ねいたしますが、障害者の親亡き後の生活支援について、次期ビジョンにどのように位置づけられているのか、お聞かせください。  ありがとうございました。以上をもって質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) 18: ◯経済産業局長伊藤浩行君) まず、中小企業におけるデジタル技術活用の現状認識と現在の支援内容についてお答えいたします。  第四次産業革命の進展に加え、労働力人口の減少、社会的ニーズの多様化など激変する環境の中において、本県の中小企業が今後も安定した経営を図りつつ、競争力を維持、向上していくためには、デジタル技術の活用が大変重要であると認識しております。  しかしながら、この地域の中小製造業の中には、デジタル技術の必要性を感じているものの、ノウハウや経験、知識不足により活用が遅れている企業や少品種の部品を大量に受注する業態、職人技を重視した気風の中で、デジタル技術の有効性に気づいていない企業も多く見受けられます。  こうしたことから、本県では、県内中小企業におけるデジタル技術の活用促進のため相談窓口を設置し、企業が抱える様々な課題に対して相談に応じるとともに、必要に応じて専門家が工場等の現場に出向き、システム導入のアドバイス等を行うこととしています。  具体的な相談としては、書類等の文字を自動で認識してデータ化するOCRなどを活用し、工程管理事務の自動化を図りたいという相談や、IoTを活用して得られた設備データの分析結果を業務改善に活用したいという相談などがありました。  また、企業内のデジタル化を先導、推進できる人材を育成するため、IoTや産業用ロボットの活用を考えている企業の社員約八十名を対象に、デジタル技術の基礎的な活用手法を学んでいただくための研修会を開催しております。  さらに、経営者、幹部等百名を対象に、デジタル技術を活用して生産性向上を成功させた事例等を紹介するなど、経営者層の理解、意欲を促すためのセミナーを来年一月に開催することとしております。  次に、今後の取組についてお答えいたします。  デジタル技術の活用を促進するためには、相談体制の整備、経営者層や現場の社員の理解、意欲の向上に加え、今後は、膨大かつ高度なデジタル技術の活用に対応可能な人材の育成が喫緊の課題であると認識しております。  このため、本年九月三十日に、デジタル人材育成ワーキンググループを設置し、庁内関係部署が企業ニーズを踏まえたデジタル人材の育成、確保に関連する施策などについて検討を進めているところです。  今後、さらに、県内企業におけるデジタル化やデジタル人材の現状、課題などを把握する実態調査を実施するため、今議会において補正予算を提案したところです。  具体的には、約千社の中小企業にアンケートを実施した上、アンケート回答企業の中から二十から三十社程度を抽出し、ヒアリングを行います。その後、アンケートとヒアリングから得られた情報と各種統計情報を基に、必要となる取組の分析を行います。  この調査結果については、デジタル人材育成ワーキンググループにも展開することで、従来からの施策に加え、今後のさらなる効果的な施策の検討、実施につなげてまいります。 19: ◯福祉局長服部克己君) 次期健康福祉ビジョンの策定についてのお尋ねのうち、現状の課題と重点的な取組についてお答えをいたします。  健康福祉に関するニーズは増大し、課題も複合化してきております。また、本県においても高齢化や人口減少が進み、地域、家庭、職場におけるつながりが希薄化する中で、地域に暮らす人々が共に支え合い、誰もが孤立せずに安心してその人らしい生活を送ることができる社会、いわゆる地域共生社会をいかに構築していくかが大きな課題であると認識しております。  このような課題認識を踏まえ、次期ビジョンでは、地域共生社会の速やかな構築を目指し、共に支え合う地域づくりと安心・安全なくらしを支えるサービスの充実の二つを大きな柱として、重点的な取組の方向性について示してまいります。  まず、共に支え合う地域づくりにつきましては、市町村における重層的な支援体制の整備、権利擁護の推進、住民の地域活動への参加促進など、分野横断的な取組の方向性を示してまいります。  次に、二つ目の柱である安心・安全なくらしを支えるサービスの充実につきましては、子ども・子育て支援、健康寿命の延伸、医療・介護提供体制の確保、障害者支援の四つの分野ごとに重点的な取組の方向性を示してまいります。  具体的には、まず、子ども・子育て支援では、若者の就労、結婚から妊娠、出産、子育て期までのライフステージに応じた総合的な取組を推進してまいります。  次に、健康寿命の延伸では、健康長寿あいちの実現に向けて、生活習慣の改善による健康づくりと疾病予防、さらには加齢による心身の活力低下を予防し、要介護状態になることを防ぐ取組を進めてまいります。  また、医療・介護提供体制の確保では、質の高い、高齢化に対応した医療・介護提供体制の確保を進めるほか、新型コロナウイルス感染症への対応強化などにも取り組んでまいります。そして、障害者支援では、障害のある方の生活支援や活躍できる機会の充実を図ってまいります。  次期ビジョンにつきましては、今後、素案を取りまとめた上で、外部有識者の御意見を伺い、パブリックコメントを経て、今年度中に策定してまいります。  次に、次期あいち健康福祉ビジョンにおける社会福祉協議会の位置づけについてであります。  社会福祉協議会は、社会福祉法に基づき、地域福祉の推進を図ることを目的として、都道府県及び市区町村ごとに設置されている団体であり、福祉施策を推進する上で、重要な役割を果たしていただいております。  社会福祉協議会の構成員は、会の趣旨、活動に賛同する地域住民等の個人会員から社会福祉事業を行う施設や団体、NPO、企業等の団体会員まで、地域福祉に関わる幅広い分野の個人、団体で構成されております。  また、活動内容といたしましては、生活困窮者支援などの身近な相談業務から福祉人材の育成、ボランティア活動の支援など多岐にわたっているところであります。  今後、ビジョンの目指す地域共生社会の速やかな構築を進めていくためには、行政や福祉・医療等関係者だけでなく、自治会等の地縁組織、NPO、企業等の多様な団体が地域の支え手としての役割を担っていただく必要があり、社会福祉協議会には、こうした様々な団体をつないで地域づくりを推進していく要となっていただくことを大いに期待しております。  このため、次期ビジョンにおきましては、社会福祉協議会をビジョンの大きな柱の一つである、共に支え合う地域づくりを推進するための中核的な組織として、しっかりと位置づけてまいります。  最後に、障害者の親亡き後の生活支援の次期ビジョンへの位置づけについてお答えをいたします。  障害のある方が親亡き後も地域で安心して生活していただくためには、地域全体で支えていくことが必要であります。  そこで、本県では、障害のある方が地域で生活するために必要な日常生活における支援や緊急時の対応なども行う地域生活支援拠点を、各市町村または各障害福祉圏域において一か所以上整備することを現行の障害福祉計画の目標に掲げ、市町村に対して整備を働きかけているところであります。  これまでの整備状況は、二〇一九年度末現在で、十九市町村で整備されており、今年度中には四十七市町村まで整備が進む予定であります。  こうした親亡き後の生活支援につきましては、次期ビジョンにおきまして新たに重要な課題の一つに位置づけ、地域生活支援拠点の整備と機能の充実に取り組むこととしております。  また、障害のある方の親亡き後も含め、主な住まいの場となるグループホームの整備促進についても、障害のある方の生活支援の主要な施策の一つとして、次期ビジョンに位置づけてまいります。  このほか、日中活動の場の確保や相談支援体制の充実などの取組についても、現在策定中の次期ビジョンに盛り込み、障害のある方が年齢を重ねても地域で安心して暮らすことができるよう、しっかりと取り組んでまいります。 20: ◯知事大村秀章君) 高桑敏直県議の質問のうち、中小企業におけるデジタル技術の活用について、私からもお答えいたします。  その前に、今日のマスクでございますが、今日は木糸のマスク、木の糸のマスクでございまして、峰野県議が会長を務めておられます愛知県森林協会から御提供いただいたものでございます。これは杉、ヒノキの間伐材から作られた木糸が四〇%、これは大阪の会社が作っている糸ですが、そしてコットン、綿が六〇%で織った、豊川の会社が作っている木糸のマスクでございます。御紹介をさせていただきます。  さて、答弁でございます。  中小企業におけるデジタル技術の活用です。製造業を中心とする県内企業のさらなる発展のためには、当地のモノづくりを支える中小企業が、デジタル化により生産性を向上させるとともに、新たな価値や新事業を創出することが大変重要であります。  また、今般、新型コロナウイルス感染症への対応を通じ、特に行政分野でのデジタル化の必要性が浮き彫りになったことで、社会全体のデジタル化に向けた動きも加速度を増してきております。  そこで、デジタル化を全庁的かつ迅速に進めるとともに、本年十二月に策定するあいちDX推進プラン二〇二五の各施策を速やかに実施に移すための組織として、十月三十日に、私を本部長とする愛知県DX推進本部を設置いたしました。  なお、デジタル化の推進に当たっては、県行政のみならず、県内中小企業のデジタル化、デジタル人材の育成に関しても、バランスを取りながら車の両輪として取り組んでいく必要があります。  特に、産業分野におけるデジタル人材の育成は極めて重要であることから、庁内関係部署が県内企業のニーズ等を踏まえながら取組を進めていく組織であるデジタル人材育成ワーキンググループを九月三十日に立ち上げたところであります。  今後は、製造品出荷額等が四十二年連続日本一を誇り、四十九兆円近い製造品出荷額があるモノづくり愛知のさらなる発展に向けて、県内企業のデジタル化、デジタル人材の育成にスピード感を持ってしっかりと取り組んでまいります。  要は愛知県DX推進本部を行政の一つの柱として、そして民間企業、特に中小企業のデジタル人材育成のワーキンググループをもう一つの柱として、行政と民間の人材育成で、車の両輪でデジタル化に向けて取り組んでいきたいと思います。また、県議会の皆様の御支援もよろしくお願いいたします。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 21: ◯四十一番(丹羽洋章君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 22: ◯議長神戸洋美君) 丹羽洋章議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 23: ◯議長神戸洋美君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。     午前十一時五十六分休憩      ━━━━━━━━━━━━━━━━━     午後一時十分開議 24: ◯副議長(青山省三君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  通告により質問を許可いたします。  岡明彦議員。     〔三十二番岡明彦君登壇〕(拍手) 25: ◯三十二番(岡明彦君) 県知事、村瀬議員に倣いまして、このマスクは有松・鳴海絞りのマスクでございますので、御紹介を申し上げたいと思います。  通告に従い、順次質問してまいります。  昨年度の交通事故死者数ワースト返上に大きな貢献をしたとされる交通事故分析システム。本年一月に公明党愛知県議団は県警本部に同システムの活用状況を調査しました。  県警本部では、二〇一五年に導入した同分析システムに基づいて、県内で発生した交通事故を高度に分析、各警察署の交通課において過去約十年分の事故のデータを地図上で見ることができるようになっています。  例えば、高齢者の人口の割合が高い地域を濃い色にして視覚的に分かるようにし、高齢者が関係した事故の発生場所には赤いピンを立てて注意を促せるようになっています。これによって、高齢者は自宅から半径約五百メートル圏内で事故に遭うケースが多いことが分かり、このエリアによる取締りを強化したことで高齢者の交通事故減少につながったと伺いました。  データを詳細に分析することによって、死亡事故に直結する高齢者の交通事故を減少させたわけです。  また、分析システムを活用したこの地図は、まちの安全マップとして小学校区単位で示すことができるとも伺いました。  さて、本年度は現在、残念なことですが、本県は交通事故死者数ワーストで、交通死亡事故多発警報も発令されています。事故数減少に威力を発揮した同システムの新たな活用が望まれるところですので、私の地元、緑警察署の取組、地域の安全に対する意識を啓発する取組を紹介したいと思います。  私は今春、交通安全対策の一助にと緑署にある提案をしました。  さきにお話をした県警本部調査後、団の中で話題となったもので、県民の安全への意識を高めるため、交通事故分析システムを活用した小学校区の安全マップを一般に公開、配布したらというものです。  提案を受けた同署は、緑区内の全小学校区の安全マップを区政協力委員会の会議等で配布、さらに、マップにアクセスできるQRコードを公開し、同署のホームページで区内二十八小学校区全てを閲覧できるようにしました。  地域の方からは、近所で事故の多い場所が一目で分かり、その周辺は注意をして通るようにしているなどの声をお聞きしています。一般公開に尽力した緑署の取組は大いに評価したいと思います。  その一方で、この安全マップを見たほかの区の方からは、我が区のマップはどうしたら見ることができるのとの声がありました。  私の教員経験、また小学校のPTA会長を務めた体験から申し上げると、このマップは、学校、子供会、町内会、老人会等で、そして御家族で交通安全について話し合うための格好の資料になると思うわけです。  そこで、県警本部長に伺います。  ワースト返上には、県警の取締りや啓発活動の強化だけでなく、地域住民の交通安全に関する意識改革が不可欠です。安全マップは、意識改革に資するものと思いますが、安全マップの県内全警察署のホームページ公開を含めて、今後のマップの活用についてお尋ねします。  質問を続けます。  この安全マップを詳細に見ると、交通安全だけではなく、子供たちを犯罪から守る役割も果たせるものになっています。というのは、マップ上に警察署長が委嘱したこども一一〇番の家、以下、一一〇番の家と申します、がマークで明示されているからです。  緑区内には、一一〇番の家は約五百か所ありますが、小学校区ごとでその場所が確認できるわけです。  一一〇番の家は、子供が身の危険を感じた際に駆け込める緊急避難所ですが、安全マップに記載されている警察署長が委嘱した一一〇番の家のほかにも民間企業等がCSR活動として独自に設置する一一〇番の家もあると聞いています。  ここで、一一〇番の家を子供たちに知ってもらうための緑署の取組を紹介します。  これは、昨年のハロウィンに緑署の所在する小学校区と学校と同署が共同で行ったもので、小学生四十六人が学区内の一一〇番の家を回るスタンプラリーを経て、ゴールである緑署でお菓子がプレゼントされるものでした。  参加した子供からは、どこに一一〇番の家があるか知らなかった、一一〇番の家の場所が楽しく覚えられたなどの声があったと聞きました。また、緑署の生活安全課の担当者は、マスコミ取材に対して、どこにあるかを覚えて、何かあったら頼ってほしいと話しています。  これらの声を総合すると、地域の子供たちの安全を守るためには、丁寧に一一〇番の家の場所を教える取組が重要だと考えます。  そこでお尋ねします。  本県では現在、警察署長が委嘱した一一〇番の家が何か所あるのか。その上で、一一〇番の家を子供たちにどう知らせてきたのか。また、自治体、学校、PTA、事業者等が自主的に活動している一一〇番の家との連携はどうなっているのか。そして今後、安全マップの活用を含めて、通学路における子供の犯罪被害防止対策をどう進めていくのか、お伺いします。
     関連して、県教育委員会と防災安全局に尋ねます。  県警の安全マップ作成などの取組を受けて、小学校における子供の安全確保を図ったり、また、県民に対する安全・安心への意識を高めたりする取組について、今後、県警と連携した取組をどう進めていくつもりか、お尋ねします。  次の質問テーマに移ります。  本県が毎年開催しているあいちアール・ブリュット展。同展は、障害者の社会参加を進める事業として注目されており、同展で活躍する作家を企業等とつなぎ、その作品を基に、企業のノベルティグッズを作る取組や、絵を描くことを仕事とするアート雇用の取組が行われています。  公明党県議団は取組に賛同して、今年度、障害者アートに係る活動をPRするアール・ブリュット名刺を作成し、活用しています。  本県の障害者アート雇用第一号である磯崎亮さんの作品を名刺に掲載し、現在、原画をお借りして我が党県議団室に飾っています。  本日は議長のお許しを得ましたので、ここで御紹介をしたいと思います。ちょっとお待ちくださいませ。     〔パネル図を示す〕  これがアール・ブリュット名刺に掲載された絵でございます。  アート雇用は、障害者の社会参加を進める取組として、全国的にも珍しいものですが、新たな障害者雇用や就労の取組は県内で散見され始めています。  安城市では、就労移行支援事業所スリーエーサポートが、国の障害者総合支援事業費補助金を活用し、テレワーク在宅就労を目指した教育訓練を始めました。  これは、コロナ禍以前から全国の自治体と共に新たな障害者雇用モデルとしてテレワークを推進してきた民間企業株式会社D&Iと連携したもので、正規就労に至るまでの教育訓練だけでなく、在宅就労する障害者の体調をオンライン上で可視化する仕組みや障害者雇用を進める企業の開拓ノウハウをも学べる取組となっています。  教育訓練、企業改革、就労、定着支援までの一貫した障害者の雇用システムの実証事業がスタートしたわけです。  テレワーク就労は、コロナ禍にあっても新しい働き方として注目されているので、今後も拡大していくと思われます。殊、通勤に困難が伴う重度の肢体不自由者や、人間関係を構築するのが苦手な精神障害者にとっては、新たな就労形態として期待できると思います。  農福連携型の障害者就労については、昨年度、あいち農福連携推進協議会が設立され、具体的な連携事業がスタート。本年は九月補正予算によって、農作業受委託の参考になる動画作成も始まっています。  農業分野への障害者就労の取組は、緒に就いたばかりですが、地域では、数歩前に進んだ取組が行われています。  天白区の一般社団法人日本福祉協議機構は、農福連携による商品の栽培から販売に至るまで障害者雇用を行っています。  同機構では、春日井のサボテン農家の協力を得て、自社のビニールハウスで障害者によるサボテン栽培を始めました。そして、育てたサボテンなどの多肉植物やカブトムシなどの昆虫等を就労継続支援B型事業所で販売。現在、多肉植物や昆虫は有望な市場であり、ネット販売にも力を入れたこともあり、売行きは好調。ネット販売が障害者のICT教育となっていることも注目ですが、障害者の賃金が本県の時間額最低賃金をキープしていることは特筆できます。  また、培った植物育成の技術やICTを活用するスキルを基に、正規雇用に至った例も生まれ始めたと伺いました。  生産から販路開拓までを手がけたこの取組は、農福連携による障害者就労が雇用モデルとして開花する可能性を感じさせる事例です。  話は変わりますが、同機構に伺った際、本部内にあるeスポーツ用のスタジオを案内されました。濱野剣代表理事からは、近年注目のeスポーツが新たな障害者就労のきっかけになるかもしれないとのお話をお聞きしました。  濱野さんは、eスポーツの世界では、健常者、障害者の区別なくゲームができ、勝者は多額の賞金を得られるので、障害者アスリートが次々と誕生するだろうと語りながら、ゲームソフトのバグを見つける任務を与えたらピカ一の障害者は私の周囲にもいる。アスリートにならなくとも、こういった能力のある障害者をIT企業が雇用する事例は増えると思う。その入り口がeスポーツになるかもしれないと話されました。  その上で、障害者の社会参加を進める取組として、障害者が主に活動するeスポーツ協会の設立を準備しているので応援してほしいと語られました。  eスポーツの普及とともに、障害者の新たな就労先が生まれる予感を抱きました。  さて本日は、先般、福祉医療委員会が県内調査で訪れた介助犬総合訓練センターシンシアの丘の高柳友子専務理事が傍聴に来られています。  介助犬の活用による障害者の社会参加の促進については、二月定例会で我が党の荻原議員が一般質問をしていますので、詳細は申し上げませんが、介助犬を活用することにより、障害者の就労意欲が高まるだけでなく、雇用する会社の職場環境にも好影響がもたらされていると伺っています。  高柳さんは、委員会調査の際にも話されたそうですが、介助犬を必要としている障害者はたくさんいる。その障害者と介助犬をつなぐ役割を担うのが市町村の障害福祉担当者だ。だから、担当者が介助犬に係る相談窓口であることを自覚してほしい。補助犬に関する知見を高めてほしいとの話を改めてお聞きいたしました。  この話こそ、私のこの質問の肝であります。  障害者を教育したり、支援したりする関係者が、多様化する就労・雇用形態をどこまで理解しているか。そういった時代の流れについていけているのか。高柳さんの言葉は、この課題を射抜いています。  今回挙げた例のように、多様化の流れは、コロナ禍によって加速しています。ゆえに、そういった変化、障害者雇用の新たなトレンドを知った上で、教育訓練や就労支援をすることが、障害者の就労率や働きがいの向上につながると思うわけです。  一方、新たな障害者雇用モデルがしっかり確立できるよう、行政が新しい流れを積極的に支援することも必要だと思います。  そこで、福祉局長にお尋ねします。  新たな障害者雇用モデルが次々と誕生している中、こうした分野で障害者雇用を確実に広げていくためには、就労移行支援事業所や就労継続支援事業所において、障害者への支援プロセスの管理と職員への指導を行うサービス管理責任者と障害者の求職活動や職場開拓、職場定着の支援を行う就労支援員の果たす役割が重要になってくると思います。  ゆえに県は、サービス管理責任者と就労支援員に対して、新たな障害者雇用モデルの取組を情報提供するとともに、サービス管理責任者研修においては、障害者雇用に関する内容を充実していく必要があると考えますが、今後どのように取り組まれていくのか、お伺いします。  労働局長にお尋ねします。  県の関係部局が連携して、多様で新たな障害者就労モデルを広げていく必要があると考えますが、今後どう対応していくつもりか、お伺いします。  教育長にお尋ねします。  本県の特別支援学校の就労状況調査、産業別就職者数を見ると、製造業への就職が半数近くに上っており、本県の特徴であるモノづくり企業が就職先として突出していると言えます。  一方、小売業や飲食、IT関係等のサービス業や農業関係の分野は、全国と比べて少数の就職にとどまっています。  では、県立特別支援学校のキャリア教育や就労支援において、障害者雇用の新たな流れにどう対応していくつもりか、お伺いをします。  翻って、公明党県議団は、本定例会を前にして、コロナ禍にあって支援の行き届かないところ、しばらく続くウイズコロナを覚悟して、継続支援、再開支援をしなければならない箇所、あるいはアフターコロナを鑑み、進展させねばならない課題等について調査を重ねてきました。  そして、知事をはじめ県当局に様々な報告や要望をしてまいりました。  県は、それらを踏まえて、今定例会で、県立学校のタブレット二万二千台の追加配備や医療関係者への追加支援などを提案されたことは、大いに評価したいと存じます。  そこで、質問の後半は、本定例会を前に県議団で、今後の在り方等について県へ提案、要望をしてきた事項を二つお伺いします。  最初に、子ども食堂の支援についてお伺いします。  新型コロナウイルス感染症の影響により、多くの子ども食堂、以下、食堂と言いますが、食堂は活動休止状態でしたが、ここにきて再開に向けた動きが広がってきました。  岡崎市のおいでん家子ども食堂は、六月から再開しましたが、月二回夕方に行ってきた食堂を、手指の消毒、室内の掃除や除菌も徹底した上で、夕方五時半、六時、六時半からの三グループに分け、かつ一回に入室する人数を十二、三名に絞って開催しています。部屋の中では子供たち同士が間隔を保ち、食事中は飛沫が飛ばないよう、壁に向かって食事を取っているとのことで、ボランティアスタッフは皆マスクを着用して、子供たちと会話をしているとのことでした。  豊田市においては、食堂の再開に向けて市の福祉総合相談課の保健師さんが中心となり、子ども食堂新型コロナウイルス感染症対策ガイドラインを作成し、食堂に配布するなど、行政が再開を積極的に後押ししています。  その結果、ガイドラインに沿って感染症対策を施した上で、再開した食堂数は、フードパントリー形式のものも含め、市内二十一か所のうち、実に十七か所に上っています。  こうした再開に向けた動きが活発になる一方、再開をちゅうちょするケースもまだまだ多い状況にあります。  子ども食堂の全国的な支援団体であるNPO法人全国子ども食堂支援センターむすびえなどが、九月下旬に全国の食堂を対象にアンケートを実施したところ、九月時点で再開した食堂は約二四%、十月から再開を予定していたところは約六%、再開のめどが立っていないと答えたところが約四八%ありました。  食堂の運営に当たっての困り事については、感染防止の対応が難しいとした回答が最も多く、感染防止対策が再開に向けた最大の課題となっていると思われます。  子ども食堂は、子供たちに食事を提供する場というだけではなく、地域の人が地域の子供と食事を共にすることで子供の孤立を防ぎ、健やかな成長を促す役割を担っています。地域における世代を超えた交流の場ともなっており、地域社会における重要なコミュニティーの一つと言うこともできます。  こうした重要な役割を担っているにもかかわらず、多くの食堂はNPOや民間のボランティア団体が運営の主体であるため、活動資金や食材の確保、またスタッフなどの人材の確保が以前より課題とされてきました。  平時にあっても、こうした課題を抱えながら食堂を支えてきた関係者は、コロナ禍によって、さらなる負担を強いられることになったわけです。  公明党は、九月定例会の代表質問において、子ども食堂への支援の充実について質問をしました。その際、知事からは、フードバンクからの食料をスムーズに届けることのできる仕組みづくりについて、前向きな答弁をいただき、心強く感じているところです。改めて食堂へ安定的に食材が提供されるよう、県の積極的な関与や支援をお願いしたいと思います。  さて、申し上げてきたように、長期化するコロナ禍にあって、一部の食堂で再開に向けた動きがあるものの、感染拡大に対する懸念から、多くがいまだ再開に踏み切れない状況にあります。  地域に根差してきた子ども食堂の灯が消えることのないよう、県は食堂の感染症予防に向けた支援に取り組む必要があると考えます。  そこでお尋ねします。  子ども食堂への支援に向け、県はどのような取組を進めていくつもりか、お伺いします。  新型コロナウイルス感染症により減少した観光消費の回復に向けて、県内旅行の需要拡大を図る取組についてお伺いします。  本年十一月に内閣府が発表した国内総生産、いわゆるGDPの速報では、二〇二〇年七月から九月期のGDP成長率について、四月から六月期との比較、いわゆる前期比で五・〇%の増、年率換算で二一・四%の増となりました。  報道によれば、この反転は、国のGoToトラベル事業や、一人当たり十万円の特別定額給付金などの政策効果により、GDPの半分以上を占める個人消費が持ち直したことや、アメリカや中国向けの自動車の輸出が好調であったことなどによるものとされています。  しかしながら、現在、我が国を襲っている感染症第三波の影響を考えれば、日本経済の回復は道半ばであると言わざるを得ません。  また、個人消費においても、十一月に発表された総務省の家計調査報告では、九月分の消費支出について、観光関係の品目を見ると、パック旅行が前年同月比で六一・四%の減、宿泊料が二五・七%の減、遊園地入場・乗り物代が五二・八%の減となっており、GoToトラベル事業などの効果で下げ幅の縮小は見られるものの、本格的な回復にはまだ遠く、引き続き、観光関連産業が厳しい状況にあることは明らかです。  本格的な冬を迎えるに当たり、さらなる感染の拡大も懸念されるため、観光消費について下振れすることは避けられず、観光関連の事業者、特に体力の弱い中小事業者の置かれた状況は一層厳しくなると思います。  このような状況下において、また第三波終息後をも見据えて、中小事業者への支援として、例えば売上げを伸ばすための企画力や、効果的な広報、PR力を培うための支援策が求められていると思います。  本県においては、観光消費喚起事業の中で、県内の旅行業者に補助金を交付して、県内旅行商品の割引を行っていますが、商品の販売状況が好調で早々に補助金を使い切った業者がある一方、販売に苦慮している業者もあると聞いています。  商品の売上げは、広報宣伝の力や、旅行商品の企画力によるところが大きく、新聞広告やネット広告などで幅広く商品をPRする力が弱く、人的資源に限りがある中小の旅行業者が苦戦しているのではないかと推量します。  そこでお尋ねします。  観光消費喚起事業の効果をより高めるためには、中小の旅行業者の広報宣伝力を補完するとともに、企画力を強化していくことが必要であると考えますが、県として中小事業者をどのように支援していくのか、お伺いします。  観光消費喚起事業においては、県民の皆様を対象に県内旅行を呼びかけるLOVEあいちキャンペーンを展開していますが、長引くコロナ禍を考慮すれば、ウイズコロナに対応しながら観光関連産業を活性化させていく必要があります。  また、感染症終息後を鑑み、再び近隣県、全国からの誘客を図り、観光関連産業を発展させていくため、しっかりと準備していくことも重要です。  ウイズコロナ、アフターコロナの両面を見据えた先進事例として、例えば富山県では、自宅に居ながら芸術性の高い和菓子職人と伝統工芸品の職人等とオンラインで交流し、同県を訪れるきっかけづくりをする、旅する前に、出会える喜び Online TOYAMA Travelを実施しています。  そこでお尋ねします。  ウイズコロナ、アフターコロナへの対応としては、ICTの技術を活用したオンライン観光なども一つの方法であると思いますが、県としてどのように取り組んでいくのか、お伺いします。  また、受入れ施設等による感染防止対策の徹底など、安心して旅行を楽しめる環境整備を促進するとともに、正確な情報発信等を行い、旅行者に感染防止への協力をお願いすることも重要だと思いますが、県として、旅行者に向けてどのように感染症防止のための周知を行っているのか、お伺いします。  以上で、壇上からの質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 26: ◯警察本部長(後藤和宏君) 今後の安全マップの活用についての御質問にお答えいたします。  安全マップに係る取組につきましては、児童が交通事故等の被害に遭わないよう、本年三月末までに県内全ての小学校区ごとに安全マップを作成しております。  活用方法につきましては、小学校、自治体等に配布し、交通事故発生状況やこども一一〇番の家の場所等を児童、保護者、学校関係者等に周知しております。  議員お示しのとおり、安全マップは、地域住民の皆様の安全意識の醸成を図るために有効な資料であります。  今後も順次、交通事故発生箇所やこども一一〇番の家の情報を更新するとともに、全ての警察署のホームページに掲載してまいります。  また、本年十月からは、新たにスマートフォン用アプリ、アイチポリスの地図上に交通死亡事故等の重大事故発生状況を掲載しておりますので、県民の皆様に安全マップと併せて有効に活用していただけるよう、幅広く周知することにより、安全意識の醸成を図り、交通死亡事故の抑止に取り組んでまいります。  次に、こども一一〇番の家や通学路における子供の犯罪被害防止対策についての御質問にお答えをいたします。  県内におけるこども一一〇番の家につきましては、本年十月末現在で警察署長が委嘱したものが一万七千七百十三か所ございます。  こども一一〇番の家を子供たちに知らせるため、議員お示しのとおり、スタンプラリーをするなど、学校等と連携しながら、子供たちに分かりやすく設置箇所を覚えてもらう活動のほか、先ほど申しましたアイチポリスへの掲載などにより周知に努めているところでございます。  次に、PTAからの依頼など、警察署長の委嘱によらないこども一一〇番の家との連携につきましては、こども一一〇番の家の役割、子供が駆け込んできたときの対応要領等を説明するなどして、適切な活動が行われるよう支援しております。  今後は、安全マップやアイチポリスの活用の促進を図るとともに、見守り活動やこども一一〇番の家の活動が効果的に行われるよう、通学路点検を兼ねた合同パトロールを実施するなど、さらに支援していくほか、現在、自治体や学校等に働きかけを実施しております子供の危機回避能力を高める体験型防犯教室の普及を一層強化するなどして、通学路における子供の犯罪被害防止対策を推進してまいります。 27: ◯教育長長谷川洋君) 小学校における子供の安全確保と警察との連携についてお答えいたします。  現在、県教育委員会では、警察、市町村教育委員会、学校及び地域住民の皆さんとの間で不審者情報を迅速かつ広域的に共有する学校安全緊急情報共有化広域ネットワークを構築しております。  また、緊急避難場所の提供に御協力をいただいている事業者等と協力して、地域ぐるみで子供を守る児童生徒等見守りネットワークを構築し、子供の安全確保に努めているところでございます。  議員お示しの安全マップにつきましては、小学校区ごとに交通事故の多発地点やこども一一〇番の家の場所が分かるように地図上に示されており、学校における交通安全や防犯の指導に大変に有効であると考えられますので、この安全マップの活用について市町村の教育委員会に働きかけてまいりたいと考えております。  県教育委員会といたしましては、今後とも警察等の関係機関との連携を密にして、子供の安全確保に努めてまいりたいと考えております。  次に、県立特別支援学校におけるキャリア教育や就労支援についてお答えいたします。  本県では、キャリア教育の一環として、それぞれの障害種に応じた専門学科や職業コースを設置し、専門性の向上や幅広い業種に対応できる生徒の育成に努めているところでございます。  昨年度に特別支援学校を卒業した生徒の就職率は三八・二%であり、今後就職率の向上を図るためには、様々な分野に就労を拡大していくことが重要であると考えております。  このため、現在、三名の就労アドバイザーを拠点校に配置し、全ての障害種に対応した就労先や実習先の開拓を行っております。  今後は、社会の変化や新たな障害者雇用の形態に対応して、特別支援学校におけるキャリア教育の新たな流れに対応した必要な見直し、就労アドバイザーを活用した実習先の新規拡大、在宅就労など新たな就労分野の開拓などが今後必要であると認識しております。  障害者の自立と社会参加を目指して、特別支援学校を卒業する生徒が、それぞれの個性を生かして、生き生きと輝いて働くことができるよう、就労支援の充実について、引き続きしっかりと取り組んでまいります。
    28: ◯防災安全局長山田哲夫君) 県警察と連携した安全・安心の意識を高める取組についてであります。  県民の皆様の交通安全や防犯意識を高めていくためには、地域ごとに、身近な交通事故や犯罪の発生情報を提供し、注意を促していくことは非常に効果的な取組であります。  このため、今後の交通安全対策において、小学校区ごとに、毎年地域ぐるみで実施している通学路などの合同点検や自治会などを対象とした出張講座において安全マップにより事故発生箇所を見える化して、危険箇所の抽出や重点対策箇所の選定に役立てるなど、より地域の事故情勢に即した取組に生かしてまいります。  また、防犯対策では、不審者や侵入盗の多発エリアなどの情報を配信する県警公式アプリ、アイチポリスを加え、防犯ボランティアの皆様に活用していただき、地域の犯罪情勢に応じた見守りやパトロールに役立ててまいります。  さらに、交通安全や防犯活動に協力をいただいている多くのパートナーシップ企業にも、街頭啓発活動や顧客への情報提供などに活用していただき、より地域に密着した取組を促進してまいります。  今後も、県警察と連携して、安全・安心に対する一人一人の意識を高め、地域の取組の活性化を図り、県民が安全に、安心して暮らすことのできるまちづくりにしっかりと取り組んでまいります。 29: ◯福祉局長服部克己君) 新たな障害者雇用モデルのサービス管理責任者等への情報提供と、研修内容の充実についてお答えをいたします。  議員お示しのアート雇用やテレワーク、農福連携など、新たな障害者雇用モデルについてサービス管理責任者や就労支援員がこうした取組を理解した上で就労支援を行うことは、就労を目指す障害者の職業選択の幅の広がりにつながることから、障害者就労の促進にとって有効な取組であると考えております。  そのため、福祉局といたしましては、労働局等の協力により得られた様々な障害者雇用モデルの先進事例を、サービス管理責任者研修の場や、年二回開催している障害福祉サービス事業者講習会などの機会を活用して、サービス管理責任者等へ情報提供をしてまいります。  また、サービス管理責任者研修の内容の充実につきましては、経験の浅いサービス管理責任者を対象として、本県独自に実施しておりますフォローアップ研修を見直し、来年度から障害者雇用に関する内容を充実できるよう検討してまいります。 30: ◯労働局長(橋本礼子君) 多様で新たな障害者就労モデルを広げる取組についてお答えいたします。  障害者の就労支援に当たっては、その障害の種類や程度に応じたきめ細かな対応が必要であり、在宅就労、テレワークなど多様な働き方を推進するとともに、これまで障害者の活躍が十分でなかった分野での就労の場の拡大を図ることが期待されております。  議員お示しのとおり、現在、芸術や農業などの様々な分野で障害者の特性や能力を生かした就労の取組が始まっており、県の関係部局においても、その推進に向けた施策を展開しております。  労働局といたしましては、あいち障害者雇用総合サポートデスクにおいて、こうした事例や取組を収集し、ホームページで情報発信するとともに、企業からの相談に活用することとしております。  また、収集事例の中からモデルケースとなるものを選定し、障害者が実際に働く姿等を分かりやすく動画にまとめ、広く情報発信していきたいと考えております。  障害のある方が持つ可能性を広く県民の皆様に知っていただけるよう、引き続き、庁内及び外部の関係機関と連携して、障害者の就労、定着に必要な支援や環境づくりに取り組んでまいります。 31: ◯観光コンベンション局長(芦沢典幸君) 観光消費の回復に向けた取組についてのお尋ねのうち、初めに、観光消費喚起事業の効果を高めるための中小の旅行業者への支援についてお答えします。  本県では、県内旅行商品を造成する県内の旅行業者に補助金を交付して商品の割引を実施することで観光関連産業を支援しており、観光ウェブサイトの特設ページに旅行業者へのリンクを貼り、商品の販売促進を図っております。  十一月からは、ウェブサイトが閲覧されやすい大手の旅行業者の商品だけでなく、中小の旅行業者の商品も等しく検索されるよう、旅行先のエリアや日程等から商品を検索する機能を付加いたしました。  また、旅行商品の販売促進のためには、ウェブサイトの構築や商品企画などのノウハウが必要となります。この点に関しては、あいち産業振興機構が、中小企業者向けに、相談窓口の設置や専門家の派遣等による支援を行っておりますので、この支援制度について愛知県旅行業協会と協力して、中小の旅行業者による活用を促し、広報宣伝力や企画力の向上につなげることによって、観光消費喚起事業の効果を高めてまいります。  次に、ICTの技術を活用した観光の取組についてお答えします。  新型コロナウイルス感染症の影響下において注目されている、現地に移動せず、スマートフォンやパソコンを通じて観光を楽しむ、いわゆるオンライン観光は、感染症の終息後、実際に現地を訪れてもらうためのPRの手段として有意義であると考えております。  本県でも、今年度、豊田市稲武地区において、地元の商工会と連携して、リモート体験型通信販売サイトを設け、郷土のお菓子からすみの製造現場の見学などをリモートで体験してもらうことにより、稲武地区の魅力を発信し、観光振興につなげていく取組を行っております。  デジタル化の進展により、旅行者による観光情報の収集や発信等において、スマートフォンなどのICT端末の利用が一般化しております。こうした状況を踏まえ、ICTによって得られる旅行者の属性や趣味、嗜好などの情報を魅力的な観光コンテンツの造成や効果的なPR、プロモーションなどのために積極的に活用することにより、ウイズコロナ、ポストコロナ期において、多様化する旅行者のニーズに対応してまいります。  次に、旅行者に向けた感染防止の周知についてお答えします。  本県を訪れる旅行者に、安心して旅行を楽しんでいただくためには、旅行関係業界が作成した新しい旅のエチケットに則した感染防止のための行動を周知することが重要であります。  このため本県では、徳川家康と服部半蔵忍者隊のメンバーが、感染防止に努めつつ、歴史や産業、グルメなど愛知の魅力を再発見する旅を楽しむPR動画を制作しました。  観光、ショッピング編と食事、宿泊編から成るこの動画では、マスクの着用や消毒、検温をはじめ、会話は控え目にしてグルメを楽しむ、宿泊施設では換気を行うなど、感染防止の対策を行いながら県内各地を巡る様子を紹介しております。十一月末からユーチューブにおいて公開しており、今月からは、特に観光や外食などに関心の高い層をターゲットとした広告配信も併せて実施してまいります。  今後とも、ウイズコロナ期に選ばれる安全・安心な観光地域づくりに向けた取組を行うとともに、本県ならではの魅力をアピールすることにより、一層の誘客につなげてまいります。 32: ◯知事大村秀章君) 岡明彦議員の質問のうち、子ども食堂への支援について私からもお答えをいたします。  その前に、私のこのマスクも、午後は岡議員の地元の有松・鳴海絞りでございます。愛知県の布マスクで一番ポピュラーかなと思いますが、よろしくお願いいたします。  子ども食堂への支援です。  子ども食堂は、地域の人たちと一緒に食事をすることで、子供たちの孤立を防ぎ、健やかな成長を促す居場所として非常に重要な役割を担っていると認識しております。  このため、本県では昨年度より、子どもが輝く未来基金を活用し、子ども食堂の開設経費や学習支援の取組に対して助成を行っております。  こうした中、新型コロナウイルス感染症の拡大により、県内の多くの子ども食堂では開催が難しい状況にありますことから、安心・安全に子ども食堂が開催できるよう、感染防止対策に必要な飛沫防止パネルや体温計、消毒液などの物品の購入費用として一か所当たり十万円を上限に新たに助成を行うため、補正予算案を今議会に提案いたしております。  また、子ども食堂が安定的に活動を続けていくための大きな課題となっている食材の安定的な確保に向けた仕組みづくりにつきましては、十月に愛知県社会福祉協議会において子どもの居場所づくり推進会議を開催し、県農業協同組合中央会や生活協同組合コープあいちなどの食品流通事業者に食材提供の協力要請を行ったところであり、引き続き、こうした関係機関との調整を進めていきたいと考えております。  こうした取組を着実に進め、コロナ禍におきましても、子供たちのために頑張っている子ども食堂への支援を充実し、少しでも多くの子ども食堂が再開できるようにしっかりと応援をしてまいります。 33: ◯三十二番(岡明彦君) 知事をはじめ、丁寧な御答弁、ありがとうございました。  二点、要望したいと思います。  新たな障害者雇用や就労の取組については、その流れを強化するために、現在策定中の次期障害福祉計画に盛り込むよう、要望します。  その上で、各局が綿密に連携して、この流れが定着するよう、取組をお願いしたいと思います。  観光消費の回復に向けた取組のうち、オンライン観光については、答弁のあったもの以外にも県内で様々な動きがあることを聞いています。  東栄町では、まちの魅力を発信するオンライン配信チャンネルで、おうちで!東栄町のじかんを開設し、コロナ禍で実際に東栄町を訪れることのできない中、まちの魅力を内外に伝えて、来訪動機を喚起する取組を行っています。  私の地元緑区でも、有松・鳴海絞りのワークショップをオンラインで行い、コロナ後の誘客を図っている業者もあります。  こういった取組を支援することは、中小の事業者の応援にもなると思います。  先進県に後れを取らぬよう、県として、ICTを活用したオンライン観光やバーチャルな観光情報の発信等の取組の強化をしていただくよう要望し、質問を終わります。ありがとうございました。 34: ◯副議長(青山省三君) 進行いたします。  日比たけまさ議員。     〔三十四番日比たけまさ君登壇〕(拍手) 35: ◯三十四番(日比たけまさ君) 通告に従い、順次質問します。  一つ目の項目として、将来世代の利益を考える計画策定について、あいちビジョン二〇三〇及び第五次愛知県環境基本計画を基に伺います。  私は、四歳と一歳の子を持つ父親です。議場の皆様にもかわいいお子様やお孫様に囲まれている方がたくさんいらっしゃいます。皆さんは、そんな御家族の将来を考え、様々な支出を今からされていると思います。こうした気持ちが家庭にとどまらず、現在世代と将来世代との間にも成り立つことができないか、この点について少し皆さんと考えたいと思います。  私たちが直面する政策課題は、世代を超えた長期的な時間軸で考えるべき問題がたくさんあります。例えば地球温暖化や財政の持続性といったものや、橋や道路、上下水道の管理といったインフラ計画などがあり、時間軸が数十年から百年単位となる世代間問題とも言えます。  世代間の問題というのは、私たち、すなわち現在世代がコストを支払ったとき、現在世代がリターンを得るのではなく、数十年先、または百年先の将来世代が大きなリターンを得るという構造になります。  ここで問題となるのが、現在世代はこのコストが大きいことが分かると、将来世代のためにコストを引き受けようと思えなくなることです。さらに、意思決定をするのは私たち現在世代であって、将来世代は現在の意思決定に参加することはできません。  したがって、将来世代の利益を適正に守ることは、決して容易ではないのです。  このジレンマを解決しようとするワークショップ技法がフューチャー・デザインです。将来世代の利益を守る人がいないのであれば、なったつもりの人間をつくって代理をさせる。つまり、将来世代のロールプレーをすることで、思考経路や視点を変化させ、結果、本当に将来世代の利益のために考え、行動するようになる。これがフューチャー・デザインの手法です。  望ましい将来像、ビジョンを描き、そのビジョンを達成するための道筋を逆算して現在世代の利害に合致させる技法、いわゆるバックキャスティングという言葉のほうが行政や経営に携わる方にはなじみのある言葉かと思います。  私は、この二つを基本的には同じ枠組みと捉えていますが、フューチャー・デザインは、現在の状況にとらわれることなく、あるいは完全に切り離して将来を描くことから、より純粋に将来世代の利益を考えられるのではないかと思っています。  二〇一五年に行われた岩手県矢巾町での住民討議によって、フューチャー・デザインは注目を浴びるようになりました。  ランダムに選ばれた矢巾町の住民が、現在世代グループと将来世代グループに分かれ、町政の将来ビジョンを議論することとなり、将来世代グループは二〇六〇年に生活する住民になったつもりで町政を論じる中、当時黒字だった上水道事業についての議論で事態は発生しました。  現在世代グループは、水道料金を値下げして黒字を住民に還元することを主張する一方、将来世代グループは、上水道の設備更新の投資のために資金を蓄積する必要があることを重視し、水道料金の値上げを主張しました。  矢巾町は、この討議の後、現実に水道料金を値上げすることになります。  今、中央省庁、都道府県、市町村では、同様の手法を用いて住民や職員の間での議論が実施され始めています。  私も先日、京都府宇治市が主催したフューチャー・デザインシンポジウム、宇治の今と未来を地域からつくるにオンライン参加しました。  当日は、この手法を提唱する高知工科大学の西條辰義教授、岩手県矢巾町職員、宇治市職員、市民団体フューチャー・デザイン宇治の方がそれぞれの取組を説明し、最後にパネルディスカッションが行われました。  矢巾町では、紹介した住民討議をさらに深化させ、まちの総合計画策定にも住民によるフューチャー・デザインのワークショップを取り入れ、六十六件の提言中五十五件を計画に反映したそうです。  また、宇治市でも、今後策定する総合計画に、住民の声をできるだけ反映したいと考えているそうです。  こうした取組は、まだ一部の自治体で始まったばかりですが、各種計画を策定する上での重要な視点であり、大変興味深いものと考えます。  本県では十一月十六日に、県の総合計画とも呼べるあいちビジョン二〇三〇を公表しました。この計画は、二〇四〇年頃の社会経済を展望する形で作られています。  そこで、二〇四〇年頃の社会経済の展望はどのように行ったのか。また、将来世代の利益についてどのようにアプローチしていくのか伺います。  次に、現在策定をしている第五次愛知県環境基本計画について伺います。  世代間問題でよく取り上げられるのが環境問題です。  大阪府吹田市では、本年二月に公表した吹田市第三次環境基本計画策定に当たり、昨年三月から八月に計四回のフューチャー・デザインワークショップを行い、地域の声を反映しました。  市の担当者は、実施の効果として、参加者が仮想将来人になりきったことで、将来を自分事として考え、現世代と将来世代の双方の利益について俯瞰的な視点を持つことができるようになったとまとめています。  環境問題は、私たち一人一人が将来世代に向けて自分事として考えなければならない問題です。  話は変わりますが、皆さんはZ世代という言葉を御存じでしょうか。  アメリカで一九六〇年代から一九八〇年頃までに生まれた世代のことをX世代と名づけられたことに始まり、一九八〇年から一九九〇年代前半生まれがY世代、一九九〇年代後半から二〇〇〇年代前半生まれがZ世代と呼ばれています。  マーケティングにおいて、様々な消費傾向を捉えるために用いられる消費者群で、世界では最も影響力の大きい購買層として注目を集めています。  二十年以上にわたり、トレンドや消費者動向などの調査を手がけ、大手企業の商品戦略などに活用されているアメリカのコーン・コミュニケーションズ社が行ったCSRに関する動向調査、Z世代の男女千人対象によると、Z世代の約九四%が企業は社会的・環境的課題に取り組むべきと考え、さらに、九八%は地球環境の保護に関心を持つということが分かりました。  早い段階からリサイクルやダイバーシティといった教育を受けて育っているため社会的な関心が非常に強い、これがZ世代の特徴の一つとも言われています。  日米のZ世代が必ずしも同じ傾向とまでは言えないと思いますが、いずれにせよ、経済社会活動も含め、環境への取組が私たちの生活の中心として捉えられる時代に変化していくわけで、この時期にあいちビジョン二〇三〇に沿った環境分野における長期的な目標及び施策の方向性を示す第五次愛知県環境基本計画を策定することは大変意義深いと考えます。  そこで、現在策定している本計画について三点伺います。  初めに、計画策定において現状をどのように捉え、また、新たな課題をどのように考えたのか伺います。  次に、策定の過程において、県民の声をどのように織り込むとともに、県民に環境問題を自分事として考えてもらうよう、どのような取組を計画に盛り込んでいるのか伺います。  最後に、企業との連携について伺います。  従来の環境行政は、規制が中心でありましたが、今後は企業との連携がより重要になると思います。県の考えを伺います。  二つ目の項目として、自殺対策及び情報モラル、安全なSNS利用について伺います。  本年九月十四日、自殺者の増加に係る緊急メッセージが大村知事から発表されました。  自殺者数は全国で三万人を下回った平成二十三年以降、右肩下がりで減少していたことから、八月の速報値、本県百十九人、前年同月比四十六人、六三・〇%増という内容には大きな衝撃を受けました。これが突発的な事象であればと願い、その後の推移を見守っていましたが、九月は対前年三十八人増の百十一人、十月も対前年四十三人増の百二十七人と、その傾向は変わっていません。  全国の数字で見ても、本年は一月から六月まで対前年マイナスで推移していましたが、七月に増加に転じてから、八月、九月、十月と同様の結果となっており、特に十月の自殺者数二千百五十八人は二〇一八年三月以来の一か月の死者数が二千人超えとなってしまいました。  十月二十一日、厚生労働大臣指定法人いのち支える自殺対策推進センターがコロナ禍における自殺の動向に関する分析(緊急レポート)を公表しました。  報告書には、現時点での分析は不十分なものとならざるを得ないが、現時点で分かったことだけでも早めに公表すべきと判断して中間報告を行うことにしたと記載されています。それほど、ここ数か月の状況を危惧していると言えると思います。  そこで、まず、自殺の現在の状況について、県としてどのような認識でいるのか伺います。  次に、緊急レポートでは、政府の各種支援策が自殺の増加を抑制している可能性があることについて触れられており、中でも緊急小口資金と総合支援資金をパッケージと捉え、政策の有効性が示唆されたと記載しています。  そこで、これらの申請件数はどのように推移しているのか、また県として周知が行き渡るようにどのように取り組んでいるのか伺います。  次に、相談窓口の対応状況及び周知について伺います。  最近、著名人の自殺に関する報道の際、支援先の情報が表示される事例を目にします。これは、WHO(世界保健機関)による自殺報道ガイドラインにのっとり行っているもので、センセーショナルな自殺報道により自殺が増える現象、ウェルテル効果を懸念して行われているものです。  一方、SNSが普及した現在では、みんなが同じ情報を取り入れるマスメディアから、自分の興味がある情報が自動的に届くパーソナライズ世界に変わりつつあります。  そして、SNSで見たい情報だけを見るフィルターバブルが繰り返されることで起きる思考の偏り、エコーチェンバー現象が問題になっています。
     もし、自殺についての情報を取り入れるうちに、より踏み込んだ情報ばかりが目に触れるようになるとしたら、デジタル時代のウェルテル効果はより深刻だと思われます。  だからこそ、時代に即した県の新たな試みとして、SNS相談事業に取り組んだことは大いに意義があり、私もフェイスブック、ツイッター、ブログに掲載し、周知させていただきました。  ただ、欲を言えば、この事業がSNS時代に対応した周知、例えば一部自治体で実施している自殺、死にたいなどの検索結果に呼応して相談窓口の情報を表示するような形で、真に必要な人に伝わることを願ってやみません。  また、十一月二十三日の朝日新聞によると、国では二〇一八年にSNSを使った自殺防止の相談事業を始め、初年度の相談延べ件数約二万三千件が、一九年度には約四万五千件に倍増し、実施主体の一つであるNPO法人東京メンタルヘルス・スクエアでは、相談員を増やしても対応が追いつかない状況と国へのさらなる支援を訴えているそうです。  本県においても、本事業の状況をしっかり分析し、必要とあらば、さらなる対応も望まれます。  そこで、新たに開始したSNSによる相談事業はどのような状況か、また、こうした相談窓口をどのように周知していくのか、県の考えを伺います。  ここからは、情報モラル、情報リテラシー及びSNS利用に際しトラブルに巻き込まれないための取組について伺います。  先ほど触れたフィルターバブル、エコーチェンバー現象も含め、インターネットを利用する際の光と影、ルールやマナーを守ることの意味等を考える情報モラル、情報リテラシーが大変重要です。  また、ここまで取り上げてきた自殺の問題において、本年五月、SNS上の誹謗中傷が原因と思われる大きな事件も発生しました。  総務省は、本年八月、インターネット上の誹謗中傷への対応の在り方に関する緊急提言を発表し、九月にはインターネット上の誹謗中傷への対応に関する政策パッケージを取りまとめ、総合的な対策として四点、一、ユーザーに対する情報モラル及びICTリテラシーの向上のための啓発活動、二、プラットフォーム事業者の自主的取組の支援と透明性・アカウンタビリティーの向上、三、発信者情報開示に関する取組、四、相談対応の充実に向けた連携と体制整備を推進することとしています。  このうち三、発信者情報開示に関する取組に関しては、被害者救済と表現の自由への配慮というバランスを考慮しながら、電話番号を開示対象に追加する省令改正の実施を八月に行い、十一月十三日には、煩雑で負担が大きい開示手続を軽減するため、新たな裁判手続の創設を柱とする最終取りまとめ案を公表しました。  また、二、プラットフォーム事業者に対する働きかけとして、誹謗中傷対策の実施や有効性の検討を促すとともに、事業者からの報告等による各社の状況把握や評価方法についての検討が行われています。  例えば、ヤフー等が会員となる一般社団法人セーファーインターネット協会では、個人の被害者から誹謗中傷情報が掲載されたサイト情報等の相談を受け付け、内容確認の後、コンテンツ提供事業者やプロバイダー等に削除等の措置を依頼する誹謗中傷ホットラインを本年六月に創設しました。  また、ツイッタージャパン等が会員である一般社団法人ソーシャルメディア利用環境整備機構が本年四月に設立され、先日、SNSの誹謗中傷に関する動画#NoHeartNoSNS(ハートがなけりゃSNSじゃない!)が政府広報にて配信されました。  広報や啓発という観点では、一、情報モラル及びICTリテラシーの向上のための啓発活動の中で、インターネットトラブル事例集の作成やe─ネットキャラバンの講座を通じてインターネット上の誹謗中傷について教育現場への周知に取り組んでいます。  そこで、学校現場では情報モラルやICTリテラシーについて具体的にどのような教育が行われているのか伺います。  次に、家庭におけるSNSの取扱いに関する取組について伺います。  内閣府の調査によると、二〇一九年度のスマホ利用率は、小学生三七・六%、中学生六五・六%、高校生九一・九%となっています。  先ほど、学校現場での取組について伺いましたが、言うまでもなく子供たちがスマホを最初に手にするきっかけは家庭であり、早い段階から安全な使い方、正しい利用法等を保護者が伝えるとともに、日進月歩するSNSについて保護者の知識もアップデートする必要があります。  そこで、SNS利用の際、起こりやすいトラブルに青少年が巻き込まれないため、県としてどのような啓発活動を行っていくか伺います。  三点目の項目として、オオキンケイギクの駆除について伺います。  御存じの方も多くおみえのことと思いますが、議長のお許しを得ましたので、初めにオオキンケイギクの花を御覧いただきたいと思います。     〔パネル図を示す〕  こちらがオオキンケイギクです。本来、本物を持ってきたいんですけれども、本物を持ち込むと法に触れてしまいますので、写真で御確認いただきたいと思います。  オオキンケイギクは、北米原産の多年草で、高さは三十センチから七十センチ、五月から七月にかけて黄色のコスモスに似た花を咲かせます。  名前の由来は、花の色を金鶏、黄色の鳥に見立てて名づけられたという説と、金色に輝き花の形が鶏のとさかに似ているからという説の二つがあるそうです。  また、花言葉はいつも明るく、きらびやか、本当にきれいな花です。  明治時代中頃から鑑賞用に輸入されるようになり、価格も安く、荒れ地でも強く繁殖できるために、戦後には道路や堤防などののり面緑化に積極的に使用されたり、苗が販売されたりしていました。  しかし、あまりに強く、一旦定着してしまうと在来の野草の生育場所を奪い、周辺の環境を一変させてしまうため、平成十八年に外来生物法に基づく、特定外来生物に指定され、生きたままの運搬や栽培、譲渡などが原則として禁止されました。  さて、今回この話を取り上げたきっかけは、本年五月、地域の方からいただいた春日井市内の河川にオオキンケイギクが咲いており、駆除してほしい。ここ数年、生育範囲が拡大しているように感じる。放っておいたら大変なことになる。このような声でした。  早速、河川を管理している尾張建設事務所に問合せをしたところ、オオキンケイギクの生育について把握はしている。しかし、業者への発注にも限りがあるため、まずは、今、マーキングしている部分についてしっかり対応したいといった趣旨の回答でした。  そこで、初めに、河川におけるオオキンケイギクの生育状況について、河川管理者としてどのように把握し、また、生育が把握された場合の駆除等の対応状況について伺います。  次に、この問題について環境局に問い合わせたところ、特定外来種の広報啓発は行えるものの、駆除については土地の管理者の責任において駆除をお願いしているとのことで、こちらも対応が困難なことが判明しました。  何とか駆除はできないかと困っていたところに、数日後、春日井市の建設部、環境部と県の建設局、環境局の職員、また、コロナ禍で大人数は難しいものの地域住民も加わって八田川の駆除作業を行うとの連絡が入りました。  そして六月十八日、県職員十名、市職員十三名、地域住民十一名プラス私の計三十五名で作業を行いました。  当日はあいにくの天気となり、雨で途中切り上げる形となったものの、一時間で九十リットルごみ袋が百四十袋、計九百四十キロの刈取りが行えました。  ただ、予定区域の駆除ができなかったことから、翌週、県、市の職員総勢三十七名で、さらに千四百五十キロの駆除をしていただきました。  ここで、駆除前の河川の様子と駆除後の様子を御覧いただきたいと思います。     〔パネル図を示す〕  こちらが駆除前、河川一面にきれいな花が咲いている状況です。とってもきれいな河川なんですが、問題があるということです。  こちらが、駆除した後ということで、花が見える部分は全て抜取りを行いました。こういう形で行っています。  ただ、実際には、花がついているものは駆除できたものの、小さな葉の状態のものまで駆除し切れませんでした。  そこで、十一月八日、かすがいクリーン大作戦に合わせて、三回目の駆除活動が行われました。当日は県職員五名、市職員十二名、地域住民四十名と私の五十八名で小さな葉の駆除を行いました。  この日の収量は三百六十キログラム。前二回と比べ、重量は少ないものの、花が咲いて大きく成長したものと小さな葉とでは一つ当たりの重量が全く異なり、駆除した数は相当な数であったと思います。ただ、このときも全て駆除できたわけではなかったことから、後日、建設局の職員の方がさらに作業いただいたと伺いました。皆様にはこの場を借りてお礼を申し上げます。本当にありがとうございます。  かすがいクリーン大作戦は、自分の地域は自分できれいにするという考えの下、多くの市民の方々と協働で快適な住みよい生活環境を実現することを目的としており、例年春と秋に行われる市民に定着している清掃活動です。  このタイミングに行うことで、駆除活動の継続が期待されます。というのも、調べると駆除には数年必要と言われており、実際の作業を通じて改めてそのことが分かったからです。  市では、来年度も春と秋のかすがいクリーン大作戦に合わせて、地元住民を中心とした取組として継続したいと考えています。  そこで伺います。  オオキンケイギクのような特定外来生物の対策については、まず、県民の特定外来生物についての正しい理解の普及のほか、地域との協働も重要と考えます。県の特定外来生物への対応状況及び考えについて伺います。  以上で、壇上からの質問を終わりにしたいと思います。御清聴ありがとうございました。(拍手) 36: ◯政策企画局長(野村知宏君) あいちビジョン二〇三〇における二〇四〇年頃の社会経済の展望の検討方法等についてお答えいたします。  あいちビジョン二〇三〇では、二〇四〇年頃の社会経済を展望して目指すべき愛知の姿を描き、その実現に向けて二〇三〇年までに取り組むべき政策の方向性を示すといった、バックキャスティングの方法を採用しており、フューチャー・デザインの考え方と相通ずるものと考えております。  ビジョンの策定に当たりましては、人口の将来推計やグローバル経済の将来動向などの基礎資料を収集するとともに、二十三名の幅広い世代の研究者、実務家に参加いただいた懇談会、分科会の開催や、企業経営者、NPO関係者など十五名の多彩な有識者のヒアリングを重ね、二〇四〇年頃の社会経済を展望する作業を行いました。  こうした展望を踏まえて設定いたしました危機に強い愛知や、イノベーションを創出する愛知など、四つの目指すべき愛知の姿の実現に向けて政策を進めることによって、二十年後の将来世代が中心となる時代において、活力ある愛知が実現するよう、しっかりと取り組んでまいります。 37: ◯環境局長(岡田守人君) 第五次愛知県環境基本計画に関する御質問のうち、まず、計画策定における現状と課題についてお答えいたします。  国内では、本格的な少子・高齢化、人口減少社会等により、農林業の担い手が減少し、耕作放棄地や森林荒廃の増加につながり、生態系サービスの劣化を招くなど、社会経済情勢の変化が環境にも深刻な影響をもたらしております。  一方、国際社会では、地球温暖化の進行及びその影響と言われている極端な気候変動、生物多様性の損失や海洋プラスチックごみなど新たな問題が顕在化しています。  こうした地球環境の危機に際して、二〇一五年の国連サミットで採択をされたSDGs(持続可能な開発目標)では、環境、経済、社会の課題を統合的に解決することの重要性が示されています。  これらの現状から、SDGsの達成に向けて、環境を原動力に経済社会の統合的向上を図り、持続可能な社会を構築していくことが今後取り組むべき最重要課題であると考えております。  次に、県民の皆様の声をどのように計画に盛り込んでいくのかについてでありますが、今回の第五次計画では、環境学習や環境イベント実施時のアンケート調査や県政世論調査等により把握し、盛り込むこととしております。  県政世論調査では、廃棄物問題や地球温暖化に関心がある方や、ごみの分別や買物袋の持参といった日常生活での環境配慮行動を行っている方が約七割いることが確認できました。  生活の様々な場面で、こうした行動をさらに広げるためには、将来世代を見据え、環境問題を自分事として捉えることが重要です。  例えば、家庭で節電に気をつけることでCO2の発生量を減らすことができます。また、川や池に外来種を放つことは生物多様性に悪影響となるおそれがあります。  県民の皆様にこうした意識を高めていただくため、今回の第五次計画ではCO2削減効果の見える化や、日常生活の中に生物多様性の保全の考え方が組み込まれる生物多様性の主流化を進めるなど、環境問題を自分事として捉え、実施できる行動する人づくりを推進してまいります。  なお、現在、県民の皆様から様々な御意見をいただくため、パブリックコメントを募集しておりますので、いただいた意見も参考にして、今後の計画策定にしっかり生かしてまいります。  続いて、企業との連携についてでございますが、現在の地球環境の危機的状況に対応していくためには、行政だけではなく、県民の皆様やNPO、企業との連携が非常に重要になります。  特に企業には、SDGsを意識した様々な活動が期待されるとともに、環境(Environment)、社会(Society)、企業統治(Governance)、いわゆるESGに積極的に取り組むことで投資が集まり、長期的な成長へとつながります。  このため、今回の第五次計画では、ESG投資の拡大につながるよう、情報提供や意見交換を行っていくこととしております。  あわせて、地球温暖化対策、資源循環などに資するビジネスを支援していくとともに、本計画の推進に向けて、様々な場を通じて企業との連携を図ってまいります。  最後に、特定外来生物への対応についてお答えいたします。  特定外来生物の対策を効果的に進めるためには、県民の皆様の正しい理解が必要であり、また、オオキンケイギクのように、既に定着しているものについては、土地の管理者だけでなく、地域の住民、NPO、企業等の協働による防除の取組が重要であります。  そのため県では、ウェブページ、STOP!あいちの外来種において、特定外来生物の見分け方や生態系への影響、効果的な防除方法等を紹介しております。また、市町村職員やNPO等を対象とした研修会や防除現場への専門家派遣による技術的支援を行っております。  さらに、オオキンケイギクについては、毎年春に、その駆除に関するアンケートを市町村に行うとともに、様々な啓発活動や環境学習の機会を通じて、県民の皆様やNPO、企業等にも広く呼びかけた結果、昨年度は十九市町村で二十九の駆除活動の事例が報告されております。  今後とも、正しい理解の普及と地域等の協働による取組の促進により、特定外来生物の対策にしっかりと取り組んでまいります。 38: ◯保健医療局長(吉田宏君) 初めに、現在の自殺の状況についてでございます。  本県の今年の自殺者数は、七月までは前年を下回る傾向にありましたが、八月に急増して以降、前年に比べ大幅に増加しております。とりわけ、女性の自殺者は、八月から十月の三か月間で百三十一人、前年比約一・九倍と極めて深刻な状況にございます。  自殺の背景には、健康問題、経済問題、対人関係など様々な要因が複雑に絡み合っていると言われています。  今般の新型コロナウイルス感染症による社会情勢の変化が、こうした自殺の要因になり得る問題をさらに深刻化させ、自殺者の増加に影響を与えている可能性が十分あると考えております。  次に、SNS相談事業の状況と周知についてでございます。  本県では、こころの相談窓口を強化するため、十一月五日から新たに夜間深夜帯にLINEによる相談を開始いたしました。  十一月五日の開設以降、二十六日までに二百六十八件の相談がございまして、県民の関心の高さと需要の大きさを改めて認識しているところでございます。  相談者の属性といたしましては、三十歳代、四十歳代が多く、女性が約七割を占めております。  相談では、コロナへの恐怖心や不安から、気持ちが不安定になっている方が多く、中には死にたい気持ちが取れないといった内容もございまして、相談員は相談者のつらい気持ちを受け止め、共感し、必要に応じて解決に向けた情報提供をするなど、相談者に寄り添った対応を行っております。  本県では、こうした相談窓口を多くの方に知っていただくため、これまでも県のウェブページやLINEの愛知県新型コロナ対策パーソナルサポート等を活用し、相談窓口の周知を図ってまいりました。  今後は、従来の広報に加えまして、インターネット広告など、より積極的にアプローチする方法も活用してまいりたいと考えております。  こうした取組を進めることにより、県民お一人お一人のこころの相談に丁寧に対応してまいります。 39: ◯福祉局長服部克己君) 緊急小口資金と総合支援資金の申請件数の推移についてお答えをいたします。  これら資金につきましては、特例措置により、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、収入が減少した世帯も新たに対象に加えられ、本年三月二十五日より申請の受付を行っております。  まず、緊急的に最大二十万円までを貸し付ける緊急小口資金は、三月は八百五件、四月は六千五百八十八件、以後増加を続け、六月には一万三千百二十件となりましたが、七月以降は減少に転じ、十月は三千六十七件で、十月までの累計は五万三千八百六十六件となっております。  また、生活再建に向けて、一か月最大二十万円を三か月間貸し付ける総合支援資金は、三月はゼロ件、四月は三件、五月は二百七十三件、九月には二千六百八十六件まで増加いたしましたが、十月は二千十三件に減少し、十月までの累計は一万一千八百十五件でございます。  なお、昨年度の特例措置を除く申請件数は、百六件でありましたので、今回の特例措置による貸付けの十月までの申請件数の合計六万五千六百八十一件と比較いたしますと、約六百二十倍となっております。  次に、これらの資金の周知についてお答えをいたします。  新型コロナウイルス感染症の影響により、生活にお困りの方々に制度の概要や申請窓口などの情報を知っていただくため、県のホームページで周知を行うとともに、市町村等には国が作成したリーフレットを活用した周知をお願いしております。  また、生活困窮に関する様々な相談に対応するため、市及び県福祉相談センターに設置されている自立相談支援機関では、相談支援員が相談に訪れた方に特例貸付けを御案内しているところでございます。  こうした取組により、十月までの申請件数が六万件を超える状況にあり、多くの方々に御活用いただいております。  今後はさらに、県精神保健福祉センターなどの悩み事の相談窓口とも連携を図り、資金の貸付けを必要とされる方に御活用いただけるよう、しっかり周知を図ってまいります。 40: ◯教育長長谷川洋君) 学校における情報モラルやICTリテラシーの教育についてお答えいたします。  情報化が急速に進み、SNSが身近なコミュニケーション手段となっている現在、児童生徒がSNS上の誹謗中傷の加害者にも被害者にもならないために、情報モラルやICTリテラシーを高めることは、大変重要であります。  このため、県教育委員会では、義務教育課のホームページ上の愛知県道徳教育総合推進サイトにSNSのトラブル防止など、約三百五十の指導実践例を紹介し、小中学校における具体的な取組を促しております。  高等学校においては、情報科の授業の中で法規や制度及びマナーの意義に基づく正しい対応やICTリテラシー、情報活用能力について学ぶとともに、外部講師を招いた情報モラル向上のための講座を開くなどの実践的な取組を行っております。
     また、今年度、様々な不安やストレスを抱える高校生が利用できるSNSによる相談事業を立上げ、ネット上でのトラブル等にも対応ができるようにしております。  引き続き、家庭や関係機関との連携を図りながら、情報モラルやICTリテラシーの向上を図る指導に努めてまいります。 41: ◯県民文化局長(水野直樹君) SNS利用の際起こりやすいトラブルに、青少年が巻き込まれないための啓発活動についてお答えします。  情報化が進む中、青少年が安心してSNSを利用できる環境づくりのため、本県では、国に先立って、青少年保護育成条例に基づき、スマートフォンの販売店に対して、年齢確認やフィルタリング措置の説明を義務づけてきたところであります。  また、保護者や教職員、児童生徒を対象に、出張講座を開催し、SNSに関するトラブルを回避するためのノウハウや、家庭におけるルールづくりの大切さについて啓発してまいりました。  さらに今年度は、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、新たにオンラインによる講座も開催し、多くの方々に御利用いただいております。  県といたしましては、青少年がSNS利用の際、トラブルに巻き込まれないよう、教育委員会や市町村等の関係機関と一層の連携を図りながら、啓発活動にしっかりと取り組んでまいります。 42: ◯建設局長鎌田裕司君) 河川におけるオオキンケイギクの生育状況の把握と対応についてであります。  河川におきましては、地域からの情報提供のほか、毎月行っている河川巡視や河川堤防などの草刈り工事における業者からの報告などにより、春日井市内の八田川や新繁田川、瀬戸市内の瀬戸川など十四河川でオオキンケイギクの生育を把握しております。  生育が把握された場合の駆除などの対応につきましては、堤防などの維持管理を主目的とした草刈り工事においては対応に限界がある中で、一部河川では根ごと引き抜きを行ったのち、袋詰めを行い処分しております。  また、オオキンケイギクが群生し、引き抜きでの対応が困難な箇所については、種子などが他の雑草に混じり拡散しないよう、あらかじめ群生している箇所をロープなどで囲い、夏に実施する草刈り工事の範囲から外し、秋以降に群生している箇所のみの刈取りを行うなど、生育範囲が拡大しないよう、できる限りの対策を行っているところであります。 43: ◯知事大村秀章君) 日比たけまさ議員の質問のうち、私からは第五次愛知県環境基本計画についてお答えをいたします。  常日頃から、私は日本一のモノづくり県であるからこそ、環境分野でもトップランナーであるべきということを申し上げてまいりました。この考え方を第五次計画にも引き継いでまいります。  もはや環境問題は地球温暖化対策をはじめとして、国際社会全体で解決をしていかなければならない喫緊の課題であり、国においても二〇五〇年カーボンニュートラルの目標達成に向けて経済と環境が好循環する気候変動対策に取り組むこととしております。  また、本県はSDGs未来都市として二〇三〇年目標であるSDGsの達成に向けた取組を積極的に進めているところでもあります。  さらに、新型コロナウイルス感染症対策として、環境に優しい新たなライフスタイルへの転換や経済復興を環境対策で進めるグリーンリカバリーの取組を進めていくことが重要であります。  こうしたことから第五次環境基本計画には、SDGs達成に向け、環境を原動力に経済・社会が統合的に向上する環境首都あいちを目標に掲げ、安全・安心の確保、地球温暖化対策、自然との共生、資源循環、行動する人づくりの取組を県民の皆様をはじめ、事業者、NPO、行政など様々な主体が一体となって進めてまいりたいと考えております。  今回の第五次環境基本計画により、持続可能な社会を構築するリーディングモデルをここ愛知から牽引してまいりたいと考えております。 44: ◯三十四番(日比たけまさ君) 知事はじめ、それぞれ御答弁をいただきましてありがとうございました。  三点要望いたします。  初めに、フューチャー・デザインについて、今回はあいちビジョン二〇三〇及び第五次愛知県環境基本計画についてお尋ねしましたが、この手法は様々な計画策定に用いることが可能です。  例えば京都府では、上水道、下水道事業、それぞれにおいて府と市町が集まってフューチャー・デザインを用いたディスカッションを行い、広域化、共同化の推進や自治体間連携の強化、また技術開発への予算割当てなどについて意識の共有ができたようです。  ぜひ県の各部署において、時には視点を変えた手法も織り交ぜながら世代間問題について積極的な議論を展開いただきたいと思います。  次に、インターネット上の誹謗中傷については、さらなる対策が望まれます。  先ほど紹介した総務省の政策パッケージの柱の一つ、四、相談対応の充実に向けた連携と体制整備では、総務省の支援事業である違法・有害情報相談センターの体制強化に加え、法務省インターネット人権相談窓口、厚生労働省、まもろうよこころといった公的機関と事業者相談窓口機関との連携の強化を目指しています。  このような中、群馬県では、群馬県インターネット上の誹謗中傷等の被害者支援等に関する条例(仮称)が今月中の公布を目指し議会で審議されており、条例案には、県の責務として独自の相談体制の整備やネットリテラシー教育などが明記される予定で、総務省への問合せも行っているそうです。本県においても、こうした対策は急務と考えますので、ぜひ検討をお願いします。  最後に、オオキンケイギクの生育状況は、県だけで駆除を行える段階を超えてしまっていると思います。  今回は、住民の皆様の自分たちの地域は自分たちで守ろうという、前向きな御理解があって実現しました。  丁寧な広報、啓発を行うことで地域との協働はさらに広がると思います。ぜひ、県と各市町村が連携した取組を展開いただくようお願いして質問を閉じます。ありがとうございました。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 45: ◯四十番(田中泰彦君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 46: ◯副議長(青山省三君) 田中泰彦議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 47: ◯副議長(青山省三君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。     午後二時四十四分休憩      ━━━━━━━━━━━━━━━━━     午後三時二十九分開議 48: ◯議長神戸洋美君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  通告により質問を許可いたします。  杉江繁樹議員。     〔九番杉江繁樹君登壇〕(拍手) 49: ◯九番(杉江繁樹君) それでは、通告に従い、質問をさせていただきます。  一つ目の質問は、新型コロナウイルス感染症禍における中部国際空港の復活についてでございます。  振り返ってみますと、昨年九月議会において、初めての一般質問をさせていただいたときも、中部国際空港について質問をさせていただきましたが、当時はインバウンドの影響で過去最高の旅客数を更新し、第二ターミナルの運用開始など明るいニュースがいっぱいでした。質問後の要望においては、旺盛な航空需要を受け入れられるように、人員の確保への協力をお願いする状況でした。  あれから一年数か月がたち、今回全く違う背景で質問をすることは予想しておりませんでしたが、先日の報道でもありましたが、中部国際空港の二〇二〇年九月の中間連結決算は、九十四億円という過去最大の赤字となってしまいました。  通期予想でも過去最大の赤字が予想されておりますし、雇用の維持のため、社員を一時的に別企業へ出向をさせるなど、多くの問題を抱え、地元経済に及ぼす影響も計り知れないものがあります。  一日も早く、以前の状況を取り戻せることを願い、質問をさせていただきます。  まずは、中部国際空港の国際線についてでございます。  中部国際空港は、本年の二月に開港十五周年を迎えました。  二〇〇五年の開港以降、国際拠点空港として、我が国の航空輸送発展の一翼を担い、モノづくりを中心に我が国の経済を牽引する中部地域の重要な社会インフラとして国内外の人、物の交流を支えております。  昨年は、旺盛なインバウンド需要に加え、これまでの地域一丸となった利用促進活動やエアポートセールスの成果もあり、暦年ベースでの旅客数は、過去最高を大きく上回る一千三百四十七万人を記録しました。  同年九月には、LCCのビジネスモデルに沿った第二ターミナルが開業し、今年は、本来であれば東京オリンピック・パラリンピックが開催され、地域の悲願である二本目滑走路の実現に向けて、さらなる飛躍を遂げる一年になるものと大変期待をしておりましたが、新型コロナウイルス感染症が瞬く間に世界中に拡大し、国内外の社会経済にも甚大な影響を及ぼしました。  とりわけ航空業界への影響は深刻であり、中部国際空港の国際線旅客便は、今年一月ピーク時には過去最高となる週四百八十六便を記録し、さらに増える勢いと空港関係者にお聞きしておりましたが、三月初旬に中国、韓国からの旅客便の到着空港が成田、関西の二空港に限定され、さらに渡航禁止地域が世界各地に拡大していったこともあり、四月には、開港以降初のゼロ便という国際拠点空港として前代未聞の事態となってしまいました。  また、国内線においても、一月ピーク時に一日当たり九十七便あった旅客便は、五月には一日当たり二十便を切るなど、危機的な状況に陥りました。  五月末に緊急事態宣言の解除以降、徐々に経済活動の再開に向けた動きが出始め、国内線については、少しずつ路線の復活が進んでいきました。  しかしながら、国際線については、六月十七日にフィリピン航空が週二便で国際線の運航を再開したものの、各国の入国制限措置はまだまだ解除される状況とはなっておらず、入国可能な方が、日本国籍や在留資格を有する方に限定されていたこともあって、復活がなかなか進まない状況となっておりました。  こうした状況下、政府においては、経済を早期に回復軌道に乗せるため、まずはビジネス上必要な人材を対象に、国際的な人の往来の再開に向けた検討が始められました。  こうした国際的な人の往来の再開に当たっては、水際対策の強化として検疫体制の拡充が不可欠でありますが、検討開始後間もなく、政府においては、成田、羽田、関西の三空港を対象として検疫体制を拡充するとの報道がなされました。  大村知事におかれましては、こうした報道がなされるや否や、中部国際空港を政府による検疫体制拡充の検討対象に含めていただくよう、岐阜県、三重県、名古屋市の地元自治体、地元経済界、中部国際空港会社に呼びかけ、七月二十二日には、加藤厚生労働大臣と赤羽国土交通大臣、さらに関係省庁に対し、中部国際空港における検疫体制の拡充、さらに成田、関西の二空港に到着が限定されている中国、韓国からの旅客便の制限緩和等について要望していただきました。  それに加えて、新政権発足後の十月八日にも同様の要望を赤羽国土交通大臣と田村厚生労働大臣へ実施していただいたところであります。  こうした素早い要望活動を展開していただいたこともあって、中部国際空港の検疫所では、八月から唾液による抗原定量検査が開始され、検疫体制も徐々に拡充、改善が進むとともに、中国、韓国からの旅客便の制限についても、十一月から中部国際空港への到着制限を撤廃することが実現し、大韓航空、アシアナ航空が相次いでソウル便の運行を再開いたしました。  また、愛知県では、中部国際空港から出国する渡航者の方の利便性を向上させるため、藤田医科大学、中部国際空港会社と協力し、十月から海外渡航者に必要となる新型コロナウイルスの陰性証明書を空港で受け取ることができるシステムを構築され、さらに、中部国際空港で直接検体採取から陰性証明書の受け取りまでが可能となるPCR検査センターを整備し、十一月三十日にオープンしていただきました。  こうした取組もあり、国際線は、十一月には週五便となり、十二月には週十二便と徐々に拡大しておりますが、まだまだコロナ禍前と比べ、低い水準にとどまっております。  さらに、かつて国際線の五割以上を占めていた中国便は、到着空港の制限が解除されたものの、いまだ復便には至っていないのが現状であります。  モノづくり産業を中心に、我が国の経済成長を牽引する中部地域にとって、中部国際空港の国際線の復活は不可欠であり、一刻の猶予も許されるものではありません。  そこでお尋ねいたします。  中部国際空港の国際線の本格的な復便に向けて、今後どのように取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。  続いて、中部国際空港の国内線についてでございます。  中部国際空港の国内線については、先ほども触れましたが、昨年度のピーク時には一日九十七便が運航されていましたが、今年四月の緊急事態宣言から五月には一日二十便を切るまでに縮小しました。  その後、徐々に増え、八月一日には七十便まで復便したものの、国内の感染者数が大きく増加したこともあって利用が低迷し、その影響から、再び便数もピーク時に比べ半減してしまいました。  空港立地市として中部国際空港に愛着を持つ常滑市民は多く、地元常滑市としては市民一人当たり二千円のセントレア応援クーポンを発行し、全市を挙げて中部国際空港を応援しています。  そんな中、十月五日に中部国際空港を拠点としているエアアジア・ジャパンが事業廃止という大変ショッキングなニュースが飛び込んでまいりました。  エアアジア・ジャパンは、十一月十七日に東京地裁へ破産手続開始を申請しており、航空券の返金問題など、多くの事後処理を抱え、社会的な問題にもなっています。  それに加え、ジェットスター・ジャパンの減便などのニュースもあり、このことも含め、改めて航空業界の大変厳しい状況を認識させられたところであります。  一方で、国が進めるGoToトラベルキャンペーンの効果もあり、最近では少しずつ利用者が増えており、十月二十一日にピーチ・アビエーションが今年のクリスマスから新たに就航することを発表したことに加え、来年一月からさらに路線を増やす計画があるなど、喜ばしいニュースもありますが、ここ最近の感染者数の拡大の状況を見ると、手放しで喜んでいられる状況にはありませんし、GoToトラベルの札幌、大阪二市の一時除外など、動向を注視していく必要があります。  そこでお尋ねいたします。  中部国際空港の国内線の復便並びに旅客の増加に向けて、今後どのように取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。  続いて、二つ目の質問です。  二つ目の質問は、農業用ため池の防災・減災対策についてでございます。  農業用ため池は、水田や畑の作物に必要な用水を確保するために人工的に造られたものであり、大きな河川に恵まれない地域や河川があっても取水が困難な地域、あるいは降水量が少ない地域などで多く造られ、全国には約十六万か所存在します。そのうち約七割は、江戸時代以前に築造されたもので、古くから日本の農業を支えてきた重要な水利施設であります。  全国的には、兵庫県、広島県、香川県など、農業用水の確保に苦労した地域に数多く存在しますが、早くから大規模用水の整備を進めてきた愛知県にも、現在二千七十三か所の農業用ため池があり、多くの農地を潤しております。  このうち約三割弱に相当する五百八十八か所が知多地域に集中しており、私の地元であります常滑市にも七十九か所の農業用ため池がございます。  常滑市は、常滑焼で有名ですが、常滑焼とため池には幾つかの共通点があると私は思っております。前回の質問でも少し述べましたが、中世から続く日本の代表的な六つの焼き物の産地を日本六古窯といいますが、この常滑焼はこの日本六古窯の一つで、その中でも当時最大規模の産地であったと言われています。  この地域で焼き物が栄えた理由として、数百万年前に岐阜県南部から尾張、三重の鈴鹿一帯に存在した東海湖の堆積物に由来した良質な粘土が知多半島では多く採取できたことが挙げられます。また、地形的にも窯を築くのに適した緩やかな斜面が多く、三千基以上と言われるほど中世の窯が残されています。  一方、ため池も丘陵地の傾斜を利用して水をためるものであり、ためた水の漏水を防ぐには、遮水性の高い良質の粘土が必要であることから、農業用ため池が知多地域に多く存在するのは、この地域で焼き物が栄えた理由と何かしら通じるのではないかと考えます。  また、常滑焼が中性より今日まで約千年もの長きにわたり続いてきたことの理由として、時代のニーズに合わせて変化してきたことが考えられます。  もともとは、わんや皿などの食器やつぼやかめなどの貯蔵具を主に生産していましたが、江戸後期には、現在の急須の元となる朱泥急須が常滑焼で作られ、この急須は、当時需要が低迷していた常滑焼の新たな道を開くこととなりました。  明治、大正となると、土管やれんがなど、建設用資材としての陶器生産が大きな地位を占めるようになりますが、特にれんがの品質の高さは、旧帝国ホテルや現在の東京駅舎でも使用されているほどでございます。  余談ではございますが、現在建設中の常滑市役所新庁舎にも、旧帝国ホテルのテラコッタを模した装飾をする計画になっております。  このように、高い技術力に基づき、時代のニーズに合わせた様々な製品を世に送り出してきたことこそ、今なお常滑焼が広く受け入れられている理由であり、ため池の防災・減災対策もまた、時代背景や環境の変化に合わせて進めていくことが重要なのではないかと私は考えます。  一般的にため池は、降雨の際に一定の貯水ができ、洪水を予防、軽減する働きがあるとされておりますが、一たび想定を超える豪雨や台風に見舞われると決壊に至るケースもございます。  西日本に大きな被害をもたらした平成三十年七月豪雨では、広島県はじめ六府県三十二か所で農業用ため池が決壊し、うち四か所で下流の住宅等に損害を与えました。  この豪雨による被害を受け、農林水産省は、都道府県に農業用ため池の緊急点検を要請し、全国八万八千百三十三か所で実施されました。その際、特に被害が多かった広島県、岡山県、愛媛県及び福岡県には、国及び二十四道県の技術系職員等が集中的に派遣されましたが、愛知県からもこうした地域へ農業土木職員を派遣し、点検を支援したと聞いております。  また、県内でも、下流の家屋や公共施設等に被害を与える可能性があるため池として、千二百二十一か所の緊急点検を行い、このうち応急措置が必要となった六か所のため池で、排水に支障となる倒木の撤去やため池の水位を下げて管理するなど、必要な措置が講じられました。  このような、全国で実施された緊急点検を通して、ため池に通じる道が雑木等に覆われて現地にたどり着けなかったり、既に農業用として使われていなかったりするなど、結果として、農業用ため池の所在地や所有者、貯水量や堤体の高さ等の情報が行政サイドで適切に把握されていなかったという課題が浮き彫りとなりました。  さらに、ため池の管理においては、所有者の世代交代が進んだことが原因で、施設の権利関係が不明確であったり、高齢化により管理組織自体が脆弱化しているため池も見受けられたとのことです。  これらの課題に対して必要な措置を講じるため、農業用ため池の管理及び保全に関する法律が昨年七月に施行され、特に、個人等の所有者に対し、都道府県への届出を義務づけるなど、管理体制の整備が進められています。  農林水産省のホームページによると、全国では約八〇%の届出率となっておりますが、本県では令和二年九月末時点で、届出対象となる七百九十八か所全てのため池について届出が完了しているとのことです。  また、平成三十年七月豪雨において、人的被害が発生したため池が防災重点農業用ため池に指定されていなかったことから、農林水産省が改めて防災重点農業用ため池を選定するための具体的な基準を定め、昨年六月には都道府県において防災重点農業用ため池の再選定が行われました。
     この選定後、本県では、ため池の安全性や、万が一決壊した場合に下流に及ぼす影響を考慮して、ハード、ソフトの両面から対策を進めるための独自の方針を定めたと聞いておりますが、昨年は河川の氾濫や土砂災害により九州北部地方を中心に人的被害や浸水被害をもたらした前線に伴う大雨や、長野県の千曲川をはじめ国内の広い範囲で河川の氾濫が相次いだ令和元年東日本台風があり、そして本年も、発達した雨雲が次々と発生し線状に並ぶ線状降水帯により、全国各地で観測史上最大の降水量を記録した令和二年七月豪雨があるなど、立て続けに想定を超える豪雨災害が発生しており、一刻も早いため池の防災・減災対策が求められております。  その一方で、防災重点農業用ため池の再選定により、全国では約一万一千か所から約六万四千か所に大幅に増加し、地方公共団体からは財政やマンパワーに限界があり、防災工事等を推進するためには財政支援や技術支援が必要との声が多く寄せられたことから、防災重点農業用ため池に係る防災工事等の推進に関する特別措置法が議員立法により全会一致で可決、成立し、令和二年十月に施行されました。  この法律では、ため池の防災工事等を強力に支援するため、必要な財政上の措置及び地方債への特別な配慮を規定するとともに、この先十年間で集中的かつ計画的な防災工事等を推進することとされております。  古くに造られた農業用ため池は、近代工学に基づく築造がされておらず、その構造が現在の基準に満たないものも多いため、農村の都市化、混住化が進行する本県で、そのようなため池が万が一決壊した場合、貴い人命、家屋や施設等の財産を一瞬にして奪い去る危険性をはらんでおります。  ため池も常滑焼同様、時代背景や環境の変化に合わせた対策をしていくことこそ、将来にわたり地域住民の安全・安心につながるものであると思います。  今回こうして、管理のための規制法である農業用ため池の管理及び保全に関する法律と十年間で防災工事等を集中的に行う事業促進法として防災重点農業用ため池に係る防災工事等の推進に関する特別措置法が制定された意義は大きく、国土強靱化を図っていく上で大きな役割を果たすことが期待されるところであります。  そこでお尋ねいたします。  農業用ため池の管理及び保全に関する法律の制定に対して、県としてはどのように捉えているのか、お伺いいたします。  また、防災重点農業用ため池に係る防災工事等の推進に関する特別措置法の制定を受け、県としては具体的にどのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。  以上、明確な答弁を求め、壇上での質問とさせていただきます。御清聴誠にありがとうございました。(拍手) 50: ◯建設局長鎌田裕司君) 中部国際空港の国際線の本格的な復便に向けた取組についてであります。  中部国際空港は、成田国際空港、関西国際空港と共に我が国の国際拠点空港としての役割を担っていく必要があり、コロナ禍で寸断された国際線を早急に復便させ、多様な航空ネットワークを回復することが急務です。  このため、中部国際空港に就航する内外の航空会社からの意見を踏まえ、検疫体制の拡充、中国・韓国便の到着制限の撤廃、到着時間の延長を国へ要望し実現するなど、航空会社との意思疎通を図りながら、復便に努めてまいりました。  また、ベトナム航空やシンガポール航空のCEO宛てに当地域のニーズの強さを伝え復便を要請するため、知事及び地元経済界の親書を送付し、その結果、本日からシンガポール航空の運航が再開されました。  なお、シンガポール航空の復便により、シンガポールを起点にインドネシアやオーストラリア、欧州との乗り継ぎが可能となり、世界各地と往来できる航空ネットワークが戻りつつあります。  さらに、中部国際空港PCR検査センターを一昨日から運用開始したことで、海外渡航に必要な新型コロナウイルスの陰性証明書を迅速に発行する体制が整い、利便性が格段に向上しました。  今後は、この地域のニーズが高い中国やタイ、ベトナムなど東南アジア方面への復便に向け、三県一市、地元経済界、中部国際空港会社と協力して、国や国際線を運航する内外の航空会社へ働きかけてまいります。  次に、国内線の復便並びに旅客の増加に向けた取組についてお答えします。  国内線については、昨日現在で、コロナ禍前の七割程度まで回復したほか、新たにピーチ・アビエーションが就航予定であるなど、回復に向けた動きが見られます。  しかしながら、北海道や九州など、観光需要の多い便の戻りが遅れています。  観光需要については、GoToトラベルキャンペーンの効果もあり、回復基調にありましたが、最近の新型コロナウイルスの感染再拡大が非常に懸念されるところであり、各地の感染状況や国の動きを注視する必要があります。  このため、今後は、需要回復の機運などを見極めながら、本県を含め地元関係団体で構成する中部国際空港利用促進協議会を中心に減少した旅行需要の喚起につながる利用促進事業を行ってまいります。  具体的には、空の旅の感染防止策や安全性を各種媒体でPRするとともに、旅行会社と連携して中部国際空港からの旅行商品の広告宣伝などを積極的に行ってまいります。  中部国際空港が国際拠点空港として本来の役割を果たしていくためには、国際線ネットワークの復活に加え、乗り継ぎ需要を含めた国内線ネットワークの拡充が不可欠であり、引き続き、関係者と緊密に連携して両ネットワークの充実に努めてまいります。 51: ◯農林基盤局長(平田誠君) 初めに、農業用ため池の管理及び保全に関する法律の制定を県はどのように捉えているかについてお答えいたします。  本県には、現在二千七十三か所の農業用ため池があり、そのうちの四割は個人等が所有しております。  個人所有のため池には、所有者の所在が不明なものや権利関係が複雑なため池があり、適正な管理や必要な整備をする上で調整が滞り、対応に苦慮することがありました。  今回、農業用ため池の管理及び保全に関する法律が制定され、所有者や管理者並びに行政の責務が明確になったことに加え、ため池の所有者に対して届出を義務づけたことで、ため池の管理に対する意識が高まりました。  また、議員お示しのとおり、本県では全てのため池で届出が完了したことから、所有者や管理者が確認でき、防災工事等に必要となる調整がスムーズに行えるようになりました。  ため池管理保全法の制定により、国や地方公共団体が所有するため池に加え、個人が所有するため池も適正に管理されるようになったことから、地域にとってかけがえのない財産であるため池が将来にわたり管理保全され、地域の防災力向上に資すると考えております。  次に、防災重点農業用ため池に係る防災工事等の推進に関する特別措置法の制定を受けた県の取組についてお答えいたします。  この法律では、決壊した場合の浸水区域内に家屋や公共施設等が存在し、人的被害を与えるおそれのある防災重点農業用ため池を対象にして、劣化状況の調査や地震、豪雨に対する安全性の評価、また、その結果から必要となる防災工事などを集中的かつ計画的に進めていくための防災工事等推進計画を県において策定することとされております。  このため、本県では、全ての防災重点農業用ため池について、ため池の状態や決壊した場合の下流への影響などから防災工事の優先度等を判定する作業を現在進めており、今後、関係市町との役割分担や実施時期の調整を行い、今年度末までに防災工事等推進計画を策定する予定でございます。  また、五年後の二〇二五年を目標とする次期食と緑の基本計画を年内に策定することとしておりまして、この基本計画における重点プロジェクトの中に防災工事等推進計画の取組を位置づけ、防災重点農業用ため池の耐震対策及び豪雨対策をより一層加速させてまいります。 52: ◯知事大村秀章君) 杉江繁樹議員の質問のうち、農業用ため池の防災・減災対策に関しまして、私からもお答えをさせていただきます。  その前に、このマスクは、十月に常滑焼祭りに行ったときに常滑市から提供していただいたものでございますが、何で常滑なのかよく分かりませんけれども、ブラックベリー、ハートベリーでハートが描いてあってかわいいなと思いますが、招き猫の絵が入っているので常滑なのかなと。常滑の会社が作ったと言われましたので、今日はつけてまいりました。  ちなみに、もう一つは、これお隣の知多市の知多木綿のマスクということでございます。ありがとうございました。  さて、農業用ため池でございます。  本県は、東日本大震災を契機に、農業用ため池の耐震対策について、耐震診断、耐震整備、ハザードマップの作成、公表を三本柱とする耐震対策を全国に先駆けて進めてまいりました。  また、近年頻発する豪雨災害に対しましても、それまでは豪雨対策と耐震対策を別々の事業メニューで実施していましたが、本県が農林水産省に要請した結果、これらを一体的に実施できる補助事業が創設されましたので、より効率的な整備が可能となり、現在、鋭意対策を進めております。  今回、ため池の管理や整備の根拠となるため池関連二法が制定されたことに加え、政府レベルにおいても七月に閣議決定された経済財政運営の基本方針、いわゆる骨太の方針において、防災・減災、国土強靱化の取組として、ため池の整備が新たに盛り込まれたことから、国の財政上の支援も期待できます。  これらを有効に活用し、ため池の防災・減災対策の先進県である本県が、国や関係市町との連携を一層強化し、着実に対策を進めていくことで、県民の皆様の安全・安心の確保に努めてまいります。 53: ◯九番(杉江繁樹君) ため池関連二法の制定により、今後県としても、ため池に関する管理や整備について、大変力強い答弁をいただき、心強く感じているところではございますが、災害はいつ発生するか予測できないものであります。発生すれば直ちに住民の命や財産に関わってくることとなります。  ため池の防災、減災に対する予算をしっかりと確保していただき、可及的速やかに対策を実施し、災害に備えることを重ねて強く要望し、質問を終わります。ありがとうございました。 54: ◯議長神戸洋美君) 進行いたします。  森井元志議員。     〔五十八番森井元志君登壇〕(拍手) 55: ◯五十八番(森井元志君) それでは、通告に従いまして二点伺います。  初めに、放課後児童クラブでの運営の平準化と質の向上について県のお考えや取組をお伺いいたします。  放課後児童クラブは、戦後我が国が経済大国へと上り詰めていく過程で女性の就労が進み、放課後家庭に保護者がいない子供が増加し、その子供たちの豊かで安全・安心な生活保障が社会問題として取り上げられるようになり、その対策として保護者の自主運営団体が市町村の補助により学童保育事業所を立ち上げ、それが全国に広がったことが始まりです。  その後は、地域の実情に応じて様々な運営形態によって事業所が展開され、一九七六年には、当時の厚生省が留守家庭児童対策や健全育成対策として国庫補助を開始し、運営形態の多様性を包括しながら事業所の充実が図られていきます。  一九九八年には、放課後児童健全育成事業が法定化され、整備が進められていきますが、整備が急がれる背景には、放課後の留守家庭が増加し続けるという当時の社会状況があります。  一九八〇年から毎年行われている労働力調査──二〇〇一年以降は労働力調査特別調査と名称が変更になりましたが──を見てみますと、一九八〇年には男性雇用者と無業の妻から成る世帯が千百十四万世帯、雇用者の共働き世帯はその約半数の六百十四万世帯でありましたが、一九九七年には、これがほぼ同数となり、放課後の留守家庭は増え続けていきました。  その後も、この状況は続きますが、二〇一二年頃からは男性雇用者と無業の妻から成る世帯は、一年に二十万世帯以上減少しており、ますます進む女性の社会進出に対して放課後児童の対策の遅れが顕在化して、小一の壁と言われ社会問題化いたしました。  二〇一四年には、この小一の壁を打破するとともに、次代を担う人材を育成するため、全ての就学児童が放課後などを安全・安心に過ごし、多様な体験、活動を行うことができるよう、放課後児童クラブ及び放課後子ども教室の計画的な整備等を進めることを目的として、厚生労働省と文部科学省の共同による放課後子ども総合プランが策定され、市町村は放課後児童健全育成事業の設備及び運営について条例で基準を定めることが児童福祉法に規定されました。  翌年二〇一五年には、子ども・子育て支援法に規定する地域子ども・子育て支援事業の一つとして、市町村が地域のニーズ調査などに基づく量の見込みや支援体制の確保について、市町村子ども・子育て支援事業計画に盛り込み、これを実施することとされたと同時に、放課後児童クラブ運営指針が策定され、二〇一四年に規定された放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準のより具体的な運営に関する基準や内容が示されました。  しかし、二〇一九年には、この二〇一四年に示された基準、とりわけ放課後児童支援員の配置基準がネックになり、放課後児童クラブの整備が進みづらいなどの問題が指摘され、放課後児童支援員の配置基準が参酌化されるなど、基準の緩和が行われ、事業所の整備の促進が急がれました。  結果として、二〇一九年には全国で放課後児童クラブの事業所数が過去最多を更新して二万五千八百八十一か所となり、これは前年比で五百五十三か所の増加、利用者は百二十九万九千三百七人で前年比六万四千九百四十一人の増加となりました。にもかかわらず、残念ながら、サービスが利用できなかった待機児童は一万八千二百六十一人で前年比九百八十二人の増加となっています。  本県の状況も全国と同じように、二〇一九年には事業所数では千百六十四か所で過去最多の事業所数を更新しながらも待機児童は八百六十三人となっています。  放課後児童クラブは、その始まりから今日に至るまで、我が国の経済発展とともに増え続ける放課後の児童対策のニーズに対応しながら、度重なる制度変更、基準の変更などを経ながら整備が進められてきましたが、男女共同参画という考え方が社会常識となった今日でも、残念ながら事業所の整備はニーズに追いついていない状況が続いています。  さて、この事業所の数的な充足を進めるという課題に加えて、先ほど申し上げました二〇一四年に示された放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準や翌年に示された放課後児童クラブ運営指針では、全国でばらつきがあった放課後児童クラブの運営に一定の基準が示されました。  そして同時に、放課後児童健全育成事業の運営主体が、最低基準を超えて、常にその設備及び運営を向上させなければならないと規定されており、運営の平準化とともに質の向上に取り組んでいくことも新たな課題として規定されています。  とりわけ二〇一九年に人的配置基準が参酌化され、事業所の設置要件が緩和されていますので、今後はなおさら、この運営の平準化と質の向上には目を向けていく必要があると考えます。  さて、放課後児童クラブは、その生い立ちや整備の歴史的な背景から、様々な運営母体と運営形式が現在でも容認されて混在しています。このような状況において、設備及び運営の平準化とその質の向上という課題を考えるときには、主観的な自己診断もさることながら、第三者による評価やアドバイザーの派遣など、外部の客観的なチェック機能を構築することは有効な手段だと考えます。  第三者評価を行った自治体にお話を聞くと、東京都の西東京市では、公設民営の学童保育所をおおむね五年サイクルで評価を実施しています。  市の担当者に直接お話を伺いましたところ、評価を行ったことで、事業所の設備や運営の状況に加え、利用者の方々の意見など集約することにより、事業所にとっての改善の目標などが明確化しやすくなるとのメリットをおっしゃっておられました。  また、この第三者評価事業の評価をした側の方にもお話を伺いましたが、評価を実施するに当たり三か月以上の時間をかけ、綿密に基準を作り込んで評価を行ったということです。  この評価の結果は市のホームページで公開されており、改善すべきところなど、事細かく指摘がなされており、設備面、運営面の見直し、つまり質の向上については有意義なものだと感じました。  ちなみに、第三者評価を行った団体は、事業所の訪問時には評価委員として三十年以上放課後児童クラブに勤務実績のあるベテランの元指導員をあてて訪問したそうですが、現場ではその元指導員の細かな、そして的確なアドバイスが聞けたことが評価事業の副産物として大変好評だったということを強調しておられました。  この第三者による評価の取組は、設備及び運営の平準化とその質の向上という観点からは大変有効な手段であると考えますが、国の二〇一九年放課後児童健全育成事業の実施状況では、昨年五月一日現在、第三者による評価を受けた経験のある放課後児童クラブは全体の二六・九%となっており、残念ながら、あまり進んでいる状況ではありません。  また、アドバイザーを派遣する事業を行っている自治体もあります。埼玉県では、今年の八月から、市町村または市町村が委託などを行い運営している放課後児童クラブを支援するため、事業所に対し巡回支援アドバイザーを派遣し、職員の意識改革、職場の環境改善を促し、質の高い支援の確保を目指すとして、障害児、発達障害児の対応、児童、保護者への対応、人事、労務管理、その他特にニーズが見込まれる課題に対して専門的な知識や経験を有する者をアドバイザーとして任命し、事業所の要請に応じてアドバイザーを選定し派遣するとしています。  今まで申し上げてきたように、今日までは、年を追うごとに高まるニーズに対して追いつかない事業所の量的拡充に力が注がれてきた感のある放課後児童クラブですが、今後は、運営の平準化とその質の向上、つまりどのクラブでも質の高い平準化したサービスを受けられる安心の体制づくりにもしっかりと目を向けていくことが求められています。  無論、放課後児童クラブの実施主体は市町村ですので、まずは市町村の考え方などを尊重しつつも、放課後児童クラブにおける質的向上に向け、県がしっかりと市町村を支援して、利用者にとって、そして、そこで働く者にとっても質の高い、そして平準化されたサービスを提供できる本県内の放課後児童クラブを目指していくべきだと考えます。  そこで、本県では、県内市町村の放課後児童クラブの運営の評価はどのように行われているのでしょうか。本県の運営評価の現状をお伺いいたします。  また、放課後児童クラブの運営の平準化や質の向上などに向けて、どのように市町村を支援していくのか、県のお考えをお伺いいたします。  続きまして、県行政、県庁内におけるチャットツールの活用についてお伺いをいたします。  私は昨年、六月の議会において、AIやRPAなどICTを活用した業務の改善について質問をさせていただきました。  RPAの技術は、知的業務を代行、代替し、仮想知的労働者、デジタルレイバーとも呼ばれるようですが、二〇二五年までに全世界で一億人以上の知的労働者、もしくは三分の一の仕事がRPAに置き換わると言われており、とりわけホワイトカラー業務の多い県行政にとっては、業務の簡素化、迅速化、そして何より限られた人材を効率的に活用する上で先駆的に取り組んでいくべきだと考えております。  このAIやRPAなどICT技術を活用した業務の改善について、県からは、社会を取り巻くデジタル環境は大幅に変化しており、ICTを積極的に活用し、業務の効率化、合理化を進め、県民サービスの向上を図っていく旨の答弁がありました。  実際、RPAについては、二〇一八年度の実証実験、一九年度の試験導入を経て、今年度から本格導入されていると伺っており、今後はRPAの活用業務が拡大され、業務改善が進むことに大きな期待を寄せております。  さて、コロナ禍において、この業務を効率化し、生産性を向上し、そして多様な働き方を可能にするICTを取り巻く環境は、今まで以上に急速に大きく変化しました。  コロナ禍は多くの人にとって少し先の未来の話と感じていたテレ、離れて、ワーク、働くを感染拡大の防止対策として必要不可欠な働き方としてビジネスの現場に急速な拡大と定着を促しました。  結果として、例えばスマートフォンに移行せず、いわゆるガラケーを利用しているような方々も、今では例外なく既に何らかの機会にオンラインによるビデオコミュニケーションを経験されておられると思いますし、社員全員がテレワークで勤務するというような会社も出てくるなど、オンライン技術を利用した働き方がごく当たり前のこととなってきており、大賞は三密に譲りましたが、今年の流行語大賞の候補にもオンライン〇〇という言葉がノミネートされました。  オンラインコミュニケーションは、好むと好まざるにかかわらず、コロナ禍において急速に、そして広く社会に浸透しました。  しかし、このICTによりオンラインの環境が整い、時と場所にかかわらずコミュニケーションが行える環境が整うがゆえにコミュニケーションが不足するという、少しアイロニックな問題が生じているということを耳にします。  それは、テレワークの現場では、例えばメールを書いたり、電話するほどでもなく、もちろんビデオコミュニケーションをつなぐほどでもないけれども、ちょっと聞いてもらいたい、もしくは聞きたい。会社にいるときは、会話にしなくても何となく伝わる情報、同じ空間にいるからこそ伝わる情報が伝わらないことによる不安や、時には生産性の低下を招くテレワークがゆえのコミュニケーションの不足です。  このテレワーク下でなかなか伝わりづらい雰囲気や、空気感を伝えるのに役立つとされているのがビジネスチャットツールであります。  まず、チャットとは、英語ではくつろいで親しげに交わす雑談、おしゃべりという意味で、通常の英会話の中でも使われる言葉です。ビジネスチャットはテキストコミュニケーションツールの一つですが、その名のとおり、ビジネスの現場でちょっとしたおしゃべりをするためのツールです。  従来、ビジネスの現場でのテキストコミュニケーションには、電子メールが定着していますが、ある程度文章を構築しなければいけないことが多い電子メールと比較して、ビジネスチャットは大変気軽に使えることが特徴です。  もちろん、チャットツールは万能なツールではありません。例えば、チャットは会話、おしゃべりをしているので、情報が次から次へと更新されていきます。相手の返事の内容や、決定事項をエビデンスとして残しておきたいときや、返事などを後から見直さなければならないときには適していません。気軽なおしゃべりという観点からは、上司に対しては若干使いづらいと考える人も多いようです。また、緊急性の高いときには、電話に勝るコミュニケーションツールはありません。  そして、何よりもLINEやMessengerなどを思い浮かべていただくと分かりやすいと思いますが、アドレスさえ分かっていれば、誰にでもアクセスできる電子メールと違い、会話をしたい相手が共通のアプリもしくはソフト、つまり共通のプラットフォーム上にいてくれなければ元も子もありませんので、準備なしにいきなりチャットによるコミュニケーションを開始するということはできません。チャットの利用には、この共通のプラットフォームを整えていくことが何より大切なことになります。  しかし、これらの弱点を踏まえて整備を進めれば、ビジネスチャットの導入は、業務のオンライン化における弱点とも言えるちょっとした意思の疎通が難しいという課題を補うことができるようになると考えます。  さて、本県では、四月の緊急事態宣言を受け、職員の在宅勤務を積極的に推進するとともに、職員向けのテレワーク用端末を千台追加整備する補正予算も計上し、取組を進めていますが、県庁内の業務のオンライン化や在宅勤務などの増加についても同じようにオンラインであるがゆえの課題が出てくると危惧をしています。  ICTを利用した新たな働き方を進める上で、庁内の新たな意思疎通の手段としてのビジネスチャットツールの整備はどのようになっているのでしょうか。  本県は、今年度からビジネスチャットを試行導入し、検証を行っていると聞いていますが、現状どのような業務、状況で活用しているのか、また、試行の結果、見えてきた課題などについて伺います。  また、今後、どのようにビジネスチャットを整備し、活用していくのか、お伺いをいたします。  さて、ここまではテレワークを見据えての県庁内での新たなコミュニケーションツールとしてのチャットツールの活用について伺ってまいりましたが、続いて、対外的なチャットツールの活用についてもお伺いをいたします。  申し上げてきたように、チャットは大変利便性が高く、ある程度即時性があり、また受け側の状況などもあまり気にすることなく気軽に言葉を交わすことを得意としています。もちろん、聴覚、言語などの障害を持つ方々への対応についての有用性は言うまでもありません。  この利便性がゆえに、例えば現在県が既に公式アカウントを持っているLINEですが、NTTモバイルの調査によりますと、十代では九〇%を超える普及率、七十代でも普及率は四〇%を超えています。  今や、主たるコミュニケーション手段は既に電話ではなくなっているとも言える状況を鑑みると、チャットツールを使った窓口の開設は県民の皆様の利便性などを考える上でぜひ早急に取り組むべき課題だと思います。
     もちろん、県行政にとって問合わせのチャンネルが多様化するということは、むしろ業務を複雑化するという考え方もありますが、チャット窓口の整備が進めば、AIと組み合わせることによりいろいろな問いかけに対して自動的に答えを返すといったいわゆるチャットボットの導入などが可能になります。  この対外的なチャットとAIを活用した問合せ業務などの取組ですが、県と県内全市町村で設置したあいちAI・ロボティクス連携共同研究会のリーダーシップの下、十一月十六日から県内三十二市町村で、引っ越し、子育てやごみ、学校教育、住民票や印鑑登録などの分野においての対応が始まりましたが、現在、県におけるチャットツールなどを利用した問合せなどの対応はどのようになっているのでしょうか。  また、県の目指すICTの活用によるさらなる行政サービスの向上に向けて、問合せ業務等へのチャットツールの活用を今後どのように展開していかれるのか、お考えをお聞かせください。  質問は以上です。理事者各位の前向きな答弁を期待します。ありがとうございました。(拍手) 56: ◯福祉局長服部克己君) 放課後児童クラブについてのお尋ねのうち、まず、運営評価の現状についてお答えをいたします。  放課後児童クラブの評価につきましては、クラブの運営主体が自身で行う自己評価と外部の有識者等が行う第三者評価がございます。  そのうち自己評価につきましては、国の基準で、その運営の内容について自ら評価を行い、その結果を公表するよう努めなければならないと規定されており、自己評価の参考となるよう、四十九項目からなる自己チェックシートを国が作成し、ホームページで公表しております。  本年七月一日現在の本県の実施状況を調査いたしましたところ、自己評価を実施し、その結果を公表している放課後児童クラブは六百十五クラブで、全体の五一・五%となっております。  また、第三者評価につきましては、運営主体が任意で実施しているもので、本年七月一日現在、第三者評価を実施している放課後児童クラブは三百七十七クラブで、全体の三一・五%となっております。  放課後児童クラブは、共働き家庭等の小学生が放課後を安心・安全に過ごすために必要な場であるとともに、児童の健全育成を図る上で、重要な役割を担う場であることから、運営の評価を実施し、質の向上を図ることは大変有意義であると認識しております。  今後とも、市町村担当者会議や個別ヒアリング等の機会を捉え、先進事例を紹介するなどによりまして、放課後児童クラブの運営評価の実施が促進されるよう、しっかりと働きかけをしてまいります。  次に、放課後児童クラブの運営の平準化や質の向上への支援についてお答えいたします。  働く女性の増加や働き方の多様化に伴い、放課後児童クラブのニーズが高まるとともに、提供するサービスのより一層の充実が求められております。  そこで、本県では、あいちはぐみんプランに基づき、受皿の整備、拡充を行うほか、長時間の開所や障害児、医療的ケア児の受入れなどを促進するため、地域子ども・子育て支援事業費補助金により助成を行っているところであります。  また、放課後児童クラブで働く支援員の資質の向上を図ることがクラブの質の向上につながることから、おおむね五年以上の経験を積んだ支援員を対象といたしまして、救急措置やアレルギーのある子への対応などを、実際の事例を教材として講義やワークショップで学ぶキャリアアップ研修を実施しております。昨年度は十七回開催し、千二百二十六人の方が受講をされております。  こうした中、市町村に放課後児童クラブの取組状況について調査を行ったところ、多くの市町村から、児童のクラブでの充実した過ごし方や特に配慮を要する児童の受入れ等について、他の市町村と情報交換したいという意見が寄せられました。  そこで、今年度中に、放課後児童クラブが抱える様々な課題について、市町村の実務担当者による意見交換などを行う機会をつくってまいりたいと考えております。  県といたしましては、こうした取組を着実に実施することで、県内のどのクラブでも地域の実情に応じてサービスの充実が図られるよう、放課後児童クラブの質の向上にしっかりと取り組んでまいります。 57: ◯総務局長(林全宏君) 初めに、ビジネスチャットの活用状況についてお答えいたします。  ビジネスチャットは、主に業務連絡、ビジネス上のコミュニケーションのための利用が想定されたチャット用のツールやサービスの総称であります。  メールや電話と異なり、複数名により同時にコミュニケーションを取ることが可能で、スピーディーな情報共有やコミュニケーションの円滑化といった効果が期待できるものと考えております。  このため、ビジネスチャットの導入、活用をあいち行革プラン二〇二〇の個別取組事項に位置づけ、本年七月から試行導入を行っております。  試行導入は、一千名分のアカウントを取得し、全庁的共通業務である予算、人事等を行う関係課、各局主管課及び福祉局と保健医療局の本庁、地方機関の職員を対象として実施しており、実績を積み重ねた上で、課題等の分析と検証を行うこととしております。  これまでの試行により、過去の情報が探しにくいことや、画面の印刷ができないこと、他の職員へ転送できないことなど、業務遂行に当たり不便な点があることも分かってまいりました。  一方、テレワーク用端末を使用し、在宅勤務でビジネスチャットを試行運用したところ、職場の状況が把握しやすかったという声も聞かれたところであります。  今後は、試行により明らかになった課題や効果の検証を進めるとともに、メールとの使い分けなどビジネスチャットのメリットを最大限引き出す工夫を重ね、全庁への拡大に向けて検討を行ってまいります。  続いて、チャットツールを活用した問合せへの対応についてお答えいたします。  現在の対応といたしましては、本年三月、新型コロナウイルス感染症に対する県民の不安を解消するため、LINEを活用し、愛知県新型コロナ対策パーソナルサポートを開設して問合せに対応しております。  さらに、十一月からは、新型コロナウイルス感染症の影響により生じたこころの不調に対応するため、LINEによる相談を開始したところであります。  また、四月から、県立高等学校三校で、様々な不安やストレスを抱える高校生に対し、報告相談アプリを活用した相談事業を開始し、現在は全校に拡大して実施しております。  議員から御指摘がありましたとおり、近年多くの方がチャットツールなどSNSを日常的なコミュニケーション手段として用いる中、対面や電話などでは話しにくい相談の方々や、聴覚・言語障害者の方々からの問合せや相談に対してもチャットツールは有効であると認識しているところであります。  あいち行革プラン二〇二〇では、ICTを活用した行政サービスの向上に向けてSNSを使った相談窓口の設置を個別取組事項として掲げているところであり、SNSを活用した様々な取組の利用状況、効果、課題などについて検証を行い、改善を進めながら、問合せ業務等におけるチャットツールなどSNSを効果的に活用する取組を進めてまいります。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 58: ◯四十一番(丹羽洋章君) 本日はこれをもって散会し、明十二月三日午前十時より本会議を開会されたいという動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 59: ◯議長神戸洋美君) 丹羽洋章議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 60: ◯議長神戸洋美君) 御異議なしと認めます。  明十二月三日午前十時より本会議を開きます。  日程は文書をもって配付いたします。  本日はこれをもって散会いたします。     午後四時三十五分散会 発言が指定されていません。 Copyright © Aichi Prefecture, All rights reserved. ↑ 本文の先頭へ...