• "警備活動"(/)
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  1. 岐阜県議会 2021-11-01
    12月08日-03号


    取得元: 岐阜県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-17
    令和 3年 11月 定例会(第6回)…………………………………………………………………………………………… △議事日程(第三号)                  令和三年十二月八日(水)午前十時開議 第一 議第百三十九号及び議第百四十二号から議第百五十六号まで 第二 議第百五十八号 第三 請願第三十号 第四 一般質問…………………………………………………………………………………………… △本日の会議に付した事件  一 日程第一 議第百三十九号及び議第百四十二号から議第百五十六号まで 一 日程第二 議第百五十八号 一 日程第三 請願第三十号 一 日程第四 一般質問…………………………………………………………………………………………… △出席議員 四十五人      一番   平野恭子君      二番   森 治久君      三番   山内房壽君      五番   森 益基君      六番   小川祐輝君      七番   平野祐也君      八番   所 竜也君      九番   今井政嘉君      十番   藤本恵司君     十一番   中川裕子君     十二番   伊藤英生君     十三番   澄川寿之君     十四番   水野吉近君     十五番   安井 忠君     十六番   恩田佳幸君     十七番   若井敦子君     十八番   広瀬 修君     十九番   布俣正也君     二十番   国枝慎太郎君    二十一番   林 幸広君    二十二番   高木貴行君    二十三番   野村美穂君    二十四番   長屋光征君    二十五番   高殿 尚君    二十六番   田中勝士君    二十七番   加藤大博君    二十八番   山本勝敏君    二十九番   松岡正人君     三十番   川上哲也君    三十一番   松村多美夫君    三十二番   小原 尚君    三十三番   水野正敏君    三十四番   野島征夫君    三十五番   伊藤秀光君    三十六番   平岩正光君    三十七番   佐藤武彦君    三十八番   森 正弘君    三十九番   渡辺嘉山君     四十番   伊藤正博君    四十一番   小川恒雄君    四十三番   村下貴夫君    四十四番   尾藤義昭君    四十六番   玉田和浩君    四十七番   岩井豊太郎君    四十八番   猫田 孝君 △欠席議員 一人    四十五番   藤墳 守君…………………………………………………………………………………………… △職務のため出席した事務局職員の職氏名  総務課長         高野朋治 議事調査課長       梅本雅史 議事調査課管理調整監   桂川義彦 同    課長補佐    大野享子 同    課長補佐    棚橋典広 同    課長補佐    蕨野 孝 同    係長      市橋ますみ 同    主査      早野ひとみ 同    主任      山辺有紗…………………………………………………………………………………………… △説明のため出席した者の職氏名  知事           古田 肇君 副知事          平木 省君 副知事          河合孝憲君 会計管理者        西垣功朗君 秘書広報統括監兼デジタル政策統括監              尾鼻 智君 総務部長         横山 玄君 清流の国推進部長     丸山 淳君 環境生活部長       内木 禎君 環境生活部県民文化局長  市橋貴仁君 健康福祉部長       堀 裕行君 商工労働部長       崎浦良典君 農政部長         長尾安博君 林政部長         高井峰好君 県土整備部長       船坂徳彦君 都市建築部都市公園整備局長              湯澤将憲君 総務部次長(情報化推進担当)              阿部修二君 教育長          堀 貴雄君 警察本部長        加藤伸宏君…………………………………………………………………………………………… △十二月八日午前十時開議 ○議長(佐藤武彦君) おはようございます。ただいまから本日の会議を開きます。…………………………………………………………………………………………… ○議長(佐藤武彦君) 諸般の報告をいたします。 書記に朗読させます。    (書記朗読) 議案の提出について 知事から、本日付をもって、お手元に配付のとおり、議第百五十八号 令和三年度岐阜県一般会計予算の提出がありました。 請願書の受理について 請願第三十号 少人数学級の前進、保護者負担の軽減、教育条件の改善を!二〇二一年度すべての子どもたちにゆきとどいた教育を求める請願を受理しました。…………………………………………………………………………………………… ○議長(佐藤武彦君) 日程第一から日程第三までを一括して議題といたします。 追加提出議案に対する知事の説明を求めます。知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) おはようございます。 本日追加提出いたしました議案につきまして、御説明申し上げます。 議第百五十八号は、令和三年度一般会計補正予算でございます。 先月二十六日の閣議において決定された国の補正予算案及び先月二十九日に決定した本県の新たな感染拡大防止社会経済活動の両立方針に基づき、対策を早期かつ切れ目なく実施するため、必要となる総額三百六十億円余を追加で計上するものであります。 その主な事業を申し上げます。 第一に、感染拡大防止策医療提供体制確保でありますが、県内二か所の臨時医療施設を設置するとともに、宿泊療養施設のさらなる確保を進めるなど、第六波に備えてまいります。 第二に、経済対策でありますが、感染状況を十分に注視しながら、県内旅行の割引の実施期間を延長する経費を確保するとともに、原油及び原材料の高騰並びに為替相場の変動の影響を強く受ける事業者に対して、新たな県制度融資を創設してまいります。また、ワクチン・検査パッケージの実施に向けて、身近な薬局等における無料の検査体制を整備してまいります。 第三に、生活支援でありますが、収入が減少した世帯に対する貸付金の申請期間を延長するとともに、生活困窮世帯に対し、自立に向けた支援金を支給いたします。 第四に、防災・減災対策でありますが、今般の想定外の常態化とも言える自然災害から県民の生命と財産を守るため、国の防災・減災、国土強靱化五か年加速化対策を十分に活用しながら、近年の豪雨により被害を受けている飛騨川において護岸整備を行うほか、道路、砂防施設、農業用施設、治山施設などの整備を進めてまいります。 以上をもちまして、提出案件の説明を終わります。よろしく御審議を賜りますようお願い申し上げます。…………………………………………………………………………………………… ○議長(佐藤武彦君) 日程第四 一般質問を行います。あわせて議案に対する質疑を行います。 発言の通告がありますので、順次発言を許します。二十七番 加藤大博君。    〔二十七番 加藤大博君登壇〕(拍手) ◆二十七番(加藤大博君) おはようございます。 質問に入る前に、新型コロナウイルス感染症の対策に日々御尽力いただいている全ての皆様に、衷心より感謝を申し上げたいというふうに思います。本当にありがとうございます。 現在、国内・県内ともに感染状況は落ち着いてはいるものの、年末年始を目前に控えた中で、オミクロン株のような新たな変異株が国内でも確認されるなど、不安要素は尽きることはありません。改めて一人一人が基本に立ち返り、感染予防に努めていかなくてはならないと強く感じています。 同時に、二年近く緊急事態とも言うべき状況が続く中で、私たちを取り巻く日常にも変化が表れています。そうした変化に県行政としてどのように向き合い、対応していくのかを質問を通じ伺いたいと思います。 それでは、議長より発言のお許しをいただきましたので、県政自民クラブを代表し、通告に従い、県政の諸課題について順次質問をさせていただきます。 初めに、新型コロナウイルス感染症対策経済雇用対策について五点お尋ねいたします。 まず新型コロナウイルス感染症対策について、二点お尋ねします。 新型コロナウイルス感染症の第五波では、感染力が極めて強いデルタ株の出現により、これまでにないスピードでの感染急拡大が起こり、新規感染者は僅か六日間でステージ二から四の感染爆発の状態となりました。そのため、それまでは陽性が確認された方は症状の有無に関わらず、病床または宿泊療養施設において療養していただいておりましたが、連日新規感染者が三百人を超え始めた八月中旬には、やむなく一時自宅療養をしていただくことになりました。 しかしながら、九月中旬までに病床及び宿泊療養施設を合わせて四百六十九床増加したことや、新規感染者数が減少傾向に転じたことにより、自宅療養を開始しておよそ一か月後に自宅療養者ゼロに復帰することができました。その後、感染拡大防止策の徹底やワクチン接種が進んだことなどから新規感染者数は減少が続き、先月十六日には二百四十六日ぶりにゼロとなり、それ以降も少人数での推移となっています。 しかし、新型コロナウイルス感染症は、これまでも感染の拡大、行動制限や自粛の要請、感染の減少、行動制限や自粛の緩和、感染の拡大というサイクルを繰り返しています。また、新たな変異株、オミクロン株の影響も懸念されます。そうした中で、年末年始は人の流れが増加する時期であり、昨年もこの時期に第三波が起きていることから、県民の皆さんの不安も大きいと思います。 そこで知事にお尋ねします。 年末年始に向けた感染拡大防止策医療体制確保策について、どのような取り組みを行っていくのでしょうか。 日常生活回復に向け、緊急事態宣言下のような行動制限は緩和されていますが、今なお三密回避、換気の徹底やマスクの着用などの感染防止対策が必要なことに変わりはありません。また、感染拡大防止のために今月から三回目のワクチン接種が始まり、十二歳未満への接種の検討も行われています。 一方で、様々な事情でワクチン接種を希望しない方がいます。ワクチンを接種しない方への差別的な行為や、ワクチンの接種を強要するなどのいわゆるハラスメントは許されないことです。加えてワクチンを接種していない方が不利益を被らないようにする必要があります。 そこで健康福祉部長にお尋ねをいたします。 ワクチン接種ができない方への支援について、どのような取り組みを行っていくのでしょうか。 次に、経済雇用対策について、三点お尋ねします。 まず、アフターコロナを見据えた今後の経済対策についてお尋ねします。 新型コロナウイルスの感染拡大により、これまで経済活動に大きな影響を受けてきましたが、この最も大きな要因は人流の抑制によるものであると考えています。 感染拡大を抑制するために、多くの国で感染の抑制を目的とした渡航制限や外出制限等が実施され、国内においても緊急事態宣言まん延防止等重点措置などにより、人の交流が大きく制限されました。身近な実感としても友達や家族と、または仕事仲間と、あるいは一人で外食をしたり旅行をしたり、そういった日常的な光景が見られなくなってしまいました。これに伴い、飲食業、宿泊業、小売業などにおいて需要が大きく減少し、そこで働く人たちに深刻な影響を及ぼしています。 県政自民クラブでは、新型コロナウイルス感染拡大防止策のほか、こうした方々に対する事業継続に向けた支援や雇用対策になどについて、これまで七回の緊急要望を行い、その都度執行部には丁寧な対応をしていただいておりますが、引き続き経済の状況などに注視しながら、しっかり対策を講じていただきたいと思います。 その一方で、こうした世界規模で行われた人流の抑制は、経済活動や消費活動などに大きな変化をもたらしました。 例えば実店舗での商品の売買からEC、すなわち電子商取引への移行、リアルイベントオンライン開催への移行、教育や研修のウェブセミナーへの移行などが進んでいます。また、働き方についてもリモートワークなどが定着しつつあると感じています。さらに、こうしたデジタル化の進展のほかにも、カーボンニュートラルの実現に向けた産業構造の転換などの流れも世界的に強まっているところであります。 今後、アフターコロナを見据える中では、こうした新型コロナウイルスの感染拡大がもたらした世界的な潮流の変化などに対応しなければなりません。そのためには意欲的な企業の皆様の新規事業展開や、生産性向上に向けた取り組みなどを後押しすることで、新たな県経済の成長につなげていくことが重要であると考えております。 そこで知事にお尋ねをいたします。 直面する経済への対策と、アフターコロナを見据えた今後の経済対策について、どのように取り組んでいかれるのでしょうか。 次に、人材マッチングの成果と今後の方向性についてお尋ねします。 岐阜県の令和二年二月の有効求人倍率は一・七五倍でしたが、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い急激に低下し、半年後の八月には一・二〇倍となったものの、直近の今年十月には全国三位の一・五四倍まで上昇しています。一方、完全失業率については、令和元年の十月から十二月の第四・四半期は一・二%でしたが少しずつ悪化し、今年の四月から六月の第二・四半期は一・九%になったものの、同時期の全国結果である三・〇%と比較すると低い状況が維持できています。 このように、コロナ禍において有効求人倍率、完全失業率はある程度の影響は受けましたが、リーマンショックのときと比べると大きな雇用不安となることはなかったと認識をしています。その要因は国や県による各種協力金や支援金、そして雇用調整助成金などの経済的な支援策及び企業経営者の皆さんが一人当たりの仕事量や勤務時間を減らし複数人で分け合うなど工夫をして、ワークシェアリングを実施していただいたりしたことなどにあると思います。 雇用調整助成金とは、仕事量が減ったことに伴って従業員を休ませた場合に、その休業手当に対して助成を行う国の制度です。本来は一人一日八千三百円程度が限度額なのですが、現在は特例として最大一万五千円まで引き上げられています。単純に月に二十二日勤務日があるとすると、一人月額最大三十三万円までが支給されることになります。十一月二十六日現在の全国の累計支給額は四兆九千億円を超えており、リーマンショックのときには一兆円に満たなかったことから見ても非常に大きな枠となっています。 企業としては、制度を活用して雇用の維持に必死に努めておられるわけですが、従業員としては休む期間があまりにも長期化した場合は、モチベーションの維持や人材育成の側面で大きな課題が残ることになります。 一方で、慢性的に人材が不足している業種や企業が多数あります。こうした状況においては、雇用の維持に苦慮する企業が籍を置いたまま人材不足の企業に従業員を出向させる在籍型出向が適切な人材流動を実現する手段として注目されています。 そこで商工労働部長にお尋ねします。 県では昨年来、在籍型出向による人材マッチングに取り組んでおられますが、これまでの成果と今後の方向性についてどのようにお考えでしょうか。 次に、若者の県内企業への就職促進についてお尋ねします。 平成十七年以降、岐阜県から他県への人口流出が続いていますが、最大の要因は職業上の理由による二十代の若者の転出です。こうした若者の流出を食い止めるためには、県内の企業に関心を持ってもらうことが必要です。 そうした中、新型コロナウイルス感染症が都市部で働いている人や就職活動している学生にも様々な影響を及ぼし、その一つの現象として全国的に地方へのUIJターンを希望する人が増加するなど、地方回帰の機運が高まってきました。 例えば認定NPO法人ふるさと回帰支援センターの調査によると、首都圏で地方移住を希望している者のうち、約三割は「新型コロナウイルス感染症の影響があった」と回答しています。さらに株式会社OKB総研が今年五月に発表した新型コロナウイルスによる就職活動・就業意識への影響調査報告によると、就職活動中の意識変化として「地元志向が高まった」という回答が約四割あり、わざわざ都会で就職する必要がないと考えるようになったという具体的なコメントもあったそうです。 さきに述べたように、岐阜県の有効求人倍率は全国でも有数の高さであり、特に県経済を牽引している製造業においては多くの県内企業が人手不足に悩んでいます。優れた技術力や特色ある製品があるにもかかわらず、企業間取引が中心であるために企業名が広く認知されていないなど、求職者や学生に対して企業の強みや魅力を十分に発信できていないことが原因と考えられます。今こそコロナ禍がもたらした地方回帰の機運を追い風に、若者に向けて県内企業の魅力を積極的に発信し、県内への就職を推進するチャンスだと考えます。 そこで商工労働部長にお尋ねします。 若者の県内企業への就職を促進し県外流出を防止するために、どのような取り組みを行っていくのでしょうか。 ここで一回目の質問を終わります。 ○議長(佐藤武彦君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) 新型コロナウイルス感染症対策に関連して、二点御質問がございました。 まず本県の感染状況でありますが、対象人口の九割近くが二回目のワクチン接種を完了し、マスク着用をはじめ基本的な感染防止対策も徹底されていることなどから、非常に低い水準を推移しております。 その一方で、今後人流が活発化する年末年始を迎え、我が国でも確認されている新たな変異株、オミクロン株への懸念も大きいことから、依然として警戒すべき状況にあります。こうした考え方の下、感染拡大防止社会経済活動の両立の方針を先月二十九日に決定いたしました。 議員御質問の感染防止対策医療提供体制確保策としては、四項目盛り込んでおります。 第一に、新たな基準指標であります。今般、国の感染状況の評価基準として新たなレベル分類の考え方が示されました。ただ、この分類は、主に病床及び重症病床の逼迫状況に着目したものであります。本県としては、いち早く感染拡大の予兆を捉えるため新規陽性者数にも引き続き注目しつつ、国の基準よりも厳しい病床使用率、医療現場の肌感覚に沿った重症者数など定量的な指標を独自に設定し、総合的な判断により迅速に対応してまいります。 第二に、医療提供体制の強化であります。県内二か所目となる臨時医療施設の整備などを進め、病床、宿泊療養施設臨時医療施設を合計して八月の第五波ピーク時と比較して、四五%増となる最大二千七百八十三床を確保いたします。これにより、引き続き岐阜モデルの柱である自宅療養者ゼロを堅持してまいります。また、中和抗体薬や今後薬事承認が見込まれる経口薬について、入院時のみならず外来、宿泊療養施設への往診など、様々な場面で投与できる体制を医療関係団体と連携して整備してまいります。 第三に、ワクチン追加接種の推進であります。先般決定した当面の方針に沿って、既に今月一日から医療従事者等を対象に三回目接種を開始しております。今後高齢者及び高齢者施設の従事者、基礎疾患のある方及び社会福祉施設の従事者、一般県民の皆様へと進んでまいります。そして、市町村接種を基本としつつ職域接種及び県の大規模接種とのベストミックスを図ります。また、追加接種の有効性、副反応等に係る正確な情報についてSNSなど様々な媒体を活用し、きめ細かに発信してまいります。 第四に、外国人県民対策であります。既に八割近くが二回目接種を完了している外国人県民へのワクチン接種を引き続き推進し、併せて三回目接種の準備を行ってまいります。また、百七十二か所の外国人コミュニティーと連携した分かりやすい情報発信などにより、感染防止対策も徹底してまいります。 なお、イベント開催制限の見直し、学校等における部活、行事などの実施、ワクチン・検査パッケージの導入など社会経済活動の再開支援を行ってまいりますが、いずれについてもコロナ社会を生き抜く行動指針、学校再開ガイドラインなどに基づいて、感染防止対策を徹底することを前提といたします。また、宿泊割引キャンペーンGoToイート食事券の発行及び利用について、差し当たり期間の延長を行いましたが、年末年始における実施方法は今後の感染状況を踏まえ検討してまいります。 今後、クリスマス、忘年会、帰省など、人流が活発化いたします。昨年も年末から年始にかけて感染者が急増し、医療提供体制の逼迫を招きました。新型コロナウイルスが我々の行動の隙をついて感染拡大をするという点に昨年と現在とで変わりはありません。このため年末年始に向けて、私から改めてメッセージを発出し、感染防止に対する県民意識の再徹底を要請してまいります。 次に、直面する経済への対応とアフターコロナを見据えた今後の経済対策について御質問がございました。 県内企業の景況感を示す指標は、昨年四月から六月期を底に四期連続で改善してまいりました。しかしながら、第五波の影響を受けた本年七月から九月期は、前期と比較してマイナス〇・七ポイントと若干低下いたしました。特に観光業では、九月の延べ宿泊者数が前年同月比でマイナス四三・九%と、緊急事態宣言などによる影響を大きく受けております。また、回復基調にある製造業についても、部品の供給不足や原油価格の上昇、円高の影響による下振れリスクが懸念されるところであります。 このため、観光業の早期回復に向けて、地域の観光協会等が行う誘客プロモーションを支援するとともに、県産品の販売拡大に向けてECサイトと連動した首都圏での展示販売を行います。また、海外からの部品の供給不足に対応したサプライチェーン対策補助金の増額のほか、原油価格上昇に対応した融資相談窓口を開設いたしました。さらに、本日追加提出させていただきましたが、原油に加え原材料の高騰、為替相場の変動の影響を強く受ける事業者に対し、信用保証料の一部を県が負担する制度融資を創設し支援してまいります。 引き続き、社会経済状況、業種ごとの動向を十分注視しつつ、必要な対策を実行してまいります。 同時に、アフターコロナに向けましては、世界規模で加速するDX(デジタルトランスフォーメーション)、脱炭素社会、地方回帰の動きを踏まえた新次元の地方分散という歴史的変容をチャンスと捉え、対策を加速化してまいります。 第一のDXに向けては、IoTコンソーシアムでのデジタル技術の活用に向けた実証等に加え、クラウドサービスを活用した業務効率化の促進など、これまで十分にデジタル化に着手できなかった小規模事業者へのデジタル技術活用の裾野を拡大してまいります。また、デジタル人材不足対策としては、即戦力となる人材獲得に向けたマッチング支援人材育成研修の充実などを進めてまいります。加えて、デジタル関連産業の誘致も進めてまいりたいと考えております。 第二の脱炭素社会に向けては、次世代エネルギー産業創出コンソーシアムにおきまして、大学や企業間の連携により再生可能エネルギー関連製品の開発などを促進するほか、県試験研究機関において、自動車の電動化で求められる部材の軽量化技術の研究開発を進めてまいります。また、二酸化炭素を排出しない究極のエコカーであるFCV(燃料電池自動車)の普及促進にも取り組んでまいります。 第三の新次元の地方分散に向けましては、本県がその受皿となるべく、入居支援やお試し利用制度などにより、サテライトオフィスの誘致を促進してまいります。また、先月、学生やUIターンなどの就職希望者に対しまして、オンデマンドで県内企業の情報を発信するウェブサイトを構築したところであります。さらに、県内からの転出が多い愛知県に重点を置いた転職説明会など、対面でのアプローチも強化いたします。 以上申し上げた取り組みについて、現在策定を進めております県DX推進計画、あるいはエネルギービジョンの中で議論を深めてまいりたいと思っております。 ○議長(佐藤武彦君) 健康福祉部長 堀 裕行君。    〔健康福祉部長 堀 裕行君登壇〕 ◎健康福祉部長(堀裕行君) ワクチン接種ができない方への支援についてお答えします。 新型コロナワクチンは高い発症予防効果に加え、感染や重症化を予防する効果が確認されていることから、希望する方への接種を推進しております。 一方で、健康上の理由等によりワクチンを接種されない方に対する接種の強制や、未接種を理由とした差別的取扱いは許されません。本県の感染症対策基本条例においても、不当な差別的取扱いまたは誹謗中傷してはならないこととしております。 このため、人権相談窓口を設け相談に応じるとともに、県公式ホームページ、チラシ、ポスター、新聞広告、SNS等の各種媒体を通じて差別防止のための広報を行っております。 また、ワクチン接種歴または検査結果の陰性いずれかを確認し、行動制限を緩和するワクチン・検査パッケージ制度においては、今後健康上の理由等により、ワクチンを接種できない方などを対象とした無料の検査が薬局等で受けられる環境の整備を進め、感染対策と日常生活の両立が図られるよう取り組んでまいります。 ○議長(佐藤武彦君) 商工労働部長 崎浦良典君。    〔商工労働部長 崎浦良典君登壇〕 ◎商工労働部長(崎浦良典君) 二点質問いただきました。 まず、人材マッチングの成果と今後の方向性についてお答えします。 在籍型出向による人材マッチングについては、受入れ希望の企業情報を発信するサイトの開設、社会保険労務士による出向に伴う諸課題への相談対応、受入れ企業に対する交付金の創設など、一連の支援により国や経済団体などと連携し進めてまいりました。この結果、本年十月末現在で、延べ七十九名の方の在籍型出向が成立し、受入れ企業からも評価が高く、出向期間を更新する事例も増えております。 一方で、送り出す側の企業からは、雇用調整助成金の特例措置の延長により雇用維持ができること、出向に伴う人材流出の懸念や、近い将来の需要の回復を見据えて長期的な出向を懸念する声が聞かれます。 このため、今後は短期的な出向により重点を置き、短期での受入れ可能な企業開拓の促進やマッチングサイトでの短期受入れの表示、現在三か月の出向を交付対象としている交付金の要件緩和など、より活用しやすい仕組みとなるよう見直しを進めてまいります。 次に、若者の県内企業への就職促進についてお答えします。 若者の県内就職促進に向けては、まず県内にどのような企業があるのかを知ってもらうことが重要であるため、昨年度から企業のプロモーション動画の作成を支援し、これまで約百三十社が作成しました。先月には、こうした動画を活用した県内企業の魅力を発信するウェブサイト「ギフッシュ」を開設し、年間を通じていつでもどこでも県内企業の情報が提供できる仕組みを整えました。そして来年一月からは、このサイト上で県内企業が一堂に会した企業展「オール岐阜・企業フェス」を約二か月間開催し、企業の魅力を集中的に発信するとともに、二月には主に愛知県に通勤している人に対し、県内への転職等をPRする「転職・副業フェア」をアクティブGで開催してまいります。 今後は、「ギフッシュ」の掲載企業を順次増やしていくとともに、協定を締結している大学などで実施する連携イベントで「ギフッシュ」の活用を促し、少しでも多くの学生の方々に県内企業の魅力を知っていただくよう取り組みを強化してまいります。
    ○議長(佐藤武彦君) 二十七番 加藤大博君。    〔二十七番 加藤大博君登壇〕 ◆二十七番(加藤大博君) 行財政運営について、四点お尋ねします。 初めに、来年度予算編成について二点お尋ねします。 今年度当初予算に引き続き、来年度当初予算も新型コロナウイルス感染症対策が大きな柱になってくると思います。新たな変異株の発生などに備えた感染拡大防止策医療提供体制の構築と、好調な業績となっている業種もあるものの、新型コロナウイルス感染症の影響から立ち直り切れない業種や、新たな成長分野への支援を両立させる必要があります。これら新型コロナウイルス感染症対策は国家的な課題であることから、必要な財源については国に強く働きかけを行っていかなければなりません。 また、国においては新たな経済対策を決定し、過去最大規模の補正予算案が国会に提出されているところであり、県においても、これに呼応した補正予算案を本日上程したところです。さらに度重なる自然災害への対応、歯止めがかかるどころか新型コロナウイルス感染症の影響で加速している少子化への対応、計画的に進めていかなければならない公共施設老朽化への対応など、従来から継続して課題となっている分野への対応は引き続き実施する必要がありますし、国内経済の先行きが見通せない中、景気浮揚及び下支え効果の高い公共事業費の安定的な確保に努めることも必要です。加えてアフターコロナを見据えた施策として、デジタルトランスフォーメーションの積極的な推進、SDGsとグリーン化、新次元の地方分散については、今年度予算でも大きな柱となっていましたが、来年度も着実に実施していく必要があります。 また、県債残高は年々増加しており、今年度末では一兆七千億円を超えることが見込まれ、今年度から当分の間、公債費が増加し続けることから、将来の負担を増やさないためにも規律ある財政運営を求められます。 そこで知事にお尋ねします。 今後佳境を迎えることになる来年度の当初予算編成では、どのような点に重点を置き、どういった方針で臨まれるのでしょうか。 また、地方自治体の来年度予算に大きな影響を及ぼす令和四年度地方財政収支の仮試算では、地方の一般財源総額について、今年度の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保するとされ、令和三年度を三千億円上回る六十三兆四千億円とされております。そのうち、地方税は四十二兆四千億円と、令和三年度と比べると二兆五千億円の増加を見込んでいますが、新型コロナウイルス感染症の影響前の水準には至っておりません。また、感染拡大の状況によっては、税収の減少もあり得ることだと思います。 そこで総務部長にお尋ねします。 当初予算編成に当たって前提となる一般財源の見通しに関して、今年度の県税収入の見通しと来年度の県税収入及び地方交付税の交付額の見込みについてはどうお考えでしょうか。 次に、若手職員の県政に対する課題認識と、その活用についてお尋ねします。 ダイバーシティという言葉があります。もともとは多様性、相違点、多種多様性といった意味ですが、転じてビジネスの現場では、個人や集団の間に存在している様々な違いといった意味で捉えられています。同じような価値観の人だけで物事を進めていくと、物事がまとまりやすくなると考えられる反面、発想が硬直し、環境の変化やリスクの発生に対応しにくくなります。多様な人材がそろうと自由な発想が生まれ、生産性が向上したり、新たな課題に対して柔軟に対応できるようになったりすると考えられています。 私なりに岐阜県庁でダイバーシティといいますか、発想の多様性を図るためにどのような取り組みを行っているのか考えてみました。 まず、知事をはじめ執行部の職員の皆さんは、各種会議等に有識者等を招いて意見を伺ったり、現場に出かけていき直接関係者の意見を聞いたりしていらっしゃいます。 県庁内部においては三点、まずは女性の登用、内閣府が作成している全国女性の参画マップによると、岐阜県は女性の管理職登用割合が鳥取県、東京都に次いで第三位ということだそうです。女性の視点からという言葉は、岐阜県庁では当たり前になりつつあるのではないでしょうか。 次に、ワーク・ライフ・バランスを含めた働き方改革。総務省の令和元年度地方公共団体の勤務条件等に関する調査結果によると、岐阜県の知事部局の男性職員の育児休業取得率は全国一ということです。育児を経験した男性職員の皆さんは育児の苦労を身にしみて理解され、考え方や働き方が変わったのではないでしょうか。 三つ目が若手職員を中心とした施策の立案。今年度の当初予算を編成する際には、若手職員からアイデアを募集されました。七十二人から百七十四件の応募があり、そのうち八件が予算化され、予算化されなかったアイデアもフォローアップがされています。また、事務事業の見直しの中で、知事等幹部職員と若手職員との意見交換会が行われています。昨年度は、現地機関の職員のみを対象としていましたが、今年度は本庁職員との意見交換会を行う場も設けたと聞いております。県のDX推進戦略会議から出された提言には、次のように書かれています。「若手職員のそれって変じゃないですかという発言が重要な気づきとなることは間違いない」。 そこで知事にお尋ねします。 若手職員との意見交換会など、若手職員の県政に対する課題認識をどうお考えになり、その結果をどのように県政に生かしていくのでしょうか。 続いて、DX推進のためのデジタルインフラ整備の考え方についてお尋ねします。 我が国における行政のデジタル化は、残念ながら諸外国と比べて遅れていると言わざるを得ず、例えば国連経済社会局が出している世界電子政府ランキングでは、十四位となっています。そうした状況を踏まえ、政府は九月にデジタル庁を発足させ、デジタル社会形成の司令塔として、未来志向のデジタルトランスフォーメーションを大胆に推進し、官民のインフラを今後五年で一気呵成につくり上げることを目指すこととしています。 また、岐阜県においても、アフターコロナを見据えた政策として、DXの積極的な推進が掲げられています。その内容は、DXを手段として岐阜県民の生活を豊かに・安全に・便利にを目的とし、行政のデジタル化にとどまらず、あらゆる分野において推進していくべく第三の政策総点検と位置づけて取り組んでいます。 そして、DX推進計画の策定が進められており、九月定例会に提出された骨子案では「誰一人取り残されないデジタル社会である岐阜県」が計画の基本理念とされ、行政のデジタル化、市町村のDX支援、各分野のDXを三本柱として、それぞれ目指す姿や施策の方向性などが示されています。そのためには全ての事務や事業を見直す必要に加えて、デジタルインフラの環境整備も必要となってきます。 例えば、平成二十三年にアナログテレビ放送が終了してデジタルテレビ放送に完全移行した際には、難視世帯の対策が進められましたが、受信環境も含めた完全デジタル化を達成したのは平成二十七年春でした。 そこで、総務部次長情報化推進担当にお尋ねします。 DXの推進により、県民の利便性向上のため行政サービスを変えていく必要がありますが、そのための高速ブロードバンド環境などのデジタルインフラ整備については、どのようにお考えでしょうか。 ここで二回目の質問を終わります。 ○議長(佐藤武彦君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) まず、来年度の予算編成における重点と編成方針でございます。 来年度の予算編成におきましても、二年にわたって継続する国家的危機事案であります新型コロナ対策がまずは最優先課題であります。 第一に、当面必要となるウイズコロナ対策でありますが、まずは第六波への備えとして、病床・宿泊療養施設等の十分な確保、ワクチン追加接種の着実な実施などの対策を進めつつ、感染防止と社会経済活動の両立を図ってまいります。 そして、コロナ禍で影響を受ける方々への支援として、国の新たな経済政策を活用した財政的給付を迅速にお届けいたします。加えて自殺対策の強化や、生活に困窮する方々へのきめ細かな相談対応など、孤独・孤立対策にも取り組んでまいります。 第二に、アフターコロナを見据えた新たな政策課題にも取り組んでまいります。その詳細は既に御答弁申し上げましたとおりであります。 なお、DXにつきましては、国のデジタル田園都市国家構想との連携も視野に入れて推進するとともに、グリーン化関係予算については、国の新たな地域脱炭素移行・再エネ推進交付金を積極的に活用してまいります。 さらには、経済・産業の再活性化対策として、先月には、宇宙産業を将来の中核産業として育成するべく「ぎふ宇宙プロジェクト研究会」を立ち上げました。また、新技術を生かした創業の支援、5G環境下での技術開発などを進めてまいります。 第三に、少子化・人口減少が進行する厳しい状況に対応するべく、「清流の国ぎふ」創生総合戦略の三つの柱に沿って、着実に「清流の国ぎふ」づくりに努めてまいります。 第一の柱、「清流の国ぎふ」を支える人づくりでありますが、企業におけるデジタル及びマネジメントの双方に精通した人材育成のため、ソフトピアジャパンにおいて就業者向けリカレント教育及び大学生向け基礎的IT教育を実施してまいります。 第二の柱、健やかで安らかな地域づくりといたしましては、まず少子化・子供対策として、不妊・不育に苦しむ方々への財政的支援の拡充、県・県警及び岐阜市の連携強化による児童虐待対策の充実、児童養護施設入所者の自立に向けたサポート体制の拡充などを図ってまいります。 また、高齢化への対応として、スポーツやレクリエーションへの参加機会の確保により県民の健康寿命の延伸につなげつつ、ねんりんピックの再開催を追求してまいります。 そして、今年八月の大雨災害で、飛騨地域において二年続けてほぼ同じ場所で被害が発生したことを踏まえ、国の防災・減災、国土強靱化五か年加速化対策を十分に活用し、社会資本の整備・維持、老朽化対策を迅速かつ確実に進め、防災・減災対策に万全を期してまいります。 第三の柱、地域にあふれる魅力と活力づくりでは、好評のうちに千秋楽を迎えた「地歌舞伎勢揃い公演」をモデルとした伝統文化の振興・発信に引き続き取り組んでまいります。そして、県内の文化振興団体との連携を強化し、令和六年度の国民文化祭の本県開催につなげてまいります。 また、県営公園におきましては、新活性化戦略に基づき、地元食材を活用した飲食の充実、周遊観光とのコラボレーションの強化に加え、県内外に本県の公園の魅力を広く発信する企画について、有識者の御意見も伺い検討してまいります。 なお、農林畜水産業についての取り組みは、後ほど農政・林政両部長から御答弁申し上げます。 このほか歳出面では、後期高齢者数の増加に伴う社会保障関係経費の増嵩、新県庁舎の完成に伴う移転費などを十分考慮するとともに、今年度から当分の間増加が続くと見込まれる公債費についても中期的な実質公債費率の推移を見通し、しっかりと対応してまいります。 その上で、政策実行のための財源でありますが、このたびの国の補正予算において、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金が六・八兆円増額とされ、そのうち一・二兆円は地方が独自に活用できる財源であります。この財源に加え、DXや脱炭素に関する国の予算も積極的に獲得し、活用してまいります。 また、国の税収増により、今年度及び来年度の地方交付税の増を見込むとともに、臨時財政対策債の発行を抑制してまいります。もちろんのことでありますが、事務事業見直しの徹底による政策の新陳代謝も不可欠であります。 以上申し上げましたとおり、財源を確保する様々な努力を行いながら、重点課題に的確に対応していくとともに、持続可能な財政運営を期した予算編成を行ってまいります。 次に、若手職員の県政に対する課題認識と、その活用についてということでございます。 従来より県政運営に当たりましては、現場や若手職員の声に耳を傾けながら進めることに心がけて、様々な機会を設けてまいりました。私を含め幹部と職員との意見交換会、DXに関する若手職員からの意見募集のほか、今年度の当初予算編成時に実施した若手職員からの事業アイデア募集については、通年化しいつでも提案できる、そういうシステムにいたしました。 これらにより、私が特に若手職員に期待しておりますことは、端的に申し上げますと、過去の前例にとらわれない斬新な提案、部局の所管を超えた横断的な提案の二つであります。これまでに出された提案の内容を見てみますと、現場目線に基づくものや、前例や組織にとらわれない新鮮な提案も多く、一定の手応えを感じております。 例えば、中小企業の後継者や若い世代の経営者の「現状のままでは立ち行かなくなる」「新しい挑戦をしたい」といった思いを酌み取り、新たな資金調達の手段としてクラウドファンディングを取り入れるためのセミナーや、個別相談会を開催し支援してはどうかといった提案がありました。また、岐阜県ゆかりの郷土作家の情報をマップ化し、部局の枠を超えて、文化振興のみならず観光やふるさと教育としても活用してはどうかといった提案などもございました。 こうした若手職員の提案につきましては、個々の職員が企画し、その内容を関係部局が精査した上で事業化するという流れになっておりますが、さらに今後、組織横断的なテーマについて、意欲ある職員を職域、職種や所属に関わらず募った上で、グループで議論、検討し、政策提案として発表してもらう。また、必要に応じて、そのテーマに知見のある専門家などのアドバイスも受けると、そうした仕組みも有効ではないかと考えております。 いずれにしましても、職位に関わらず自由闊達に提案ができるということ、そして優れたアイデアであれば若手の意見であっても取り上げていくことは、自分の所掌にとらわれず広い視野で施策を考える機会となります。これがひいては、風通しのよい組織風土の形成につながることを期待し、積極的に進めていきたいと考えております。 ○議長(佐藤武彦君) 総務部長 横山 玄君。    〔総務部長 横山 玄君登壇〕 ◎総務部長(横山玄君) 県税収入、地方交付税の見込みを踏まえた財政見通しについてお答えを申し上げます。 まず今年度の県税収入につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により、個人住民税は前年同月の実績を下回っている一方、税率引上げによる地方消費税の増収などにより、県税収入全体としては前年同月の実績を上回る水準で推移をしております。 次に、来年度の県税及び地方交付税の見込みですが、国概算要求では、地方一般財源総額は今年度と同水準となっており、その内容は、地方税収が来年度回復するとの前提で、臨時財政対策債が減少する一方、地方交付税が増加するものとなっております。本県も同様の傾向となると考えておりますが、具体的には、年末に国が決定をする地方財政対策を踏まえ、適切に見込んでまいります。 最後に、今後の財政見通しですが、税収が回復基調にあるとはいえ、感染症の影響による先行きは不透明感が高く、楽観視できる状況ではありません。このため、今後、国内外の感染状況や経済状況等踏まえつつ改めて試算をし、来年度予算編成時にお示しをしてまいります。 ○議長(佐藤武彦君) 総務部次長情報化推進担当 阿部修二君。    〔総務部次長情報化推進担当 阿部修二君登壇〕 ◎総務部次長情報化推進担当(阿部修二君) DX推進のためのデジタルインフラ整備の考え方についてお答えいたします。 DX推進を支えるデジタルインフラの整備、とりわけ高速ブロードバンド環境の確保は大変重要と考えております。岐阜県では県域高速通信網として、全国に先駆け、平成十五年に岐阜情報スーパーハイウェイを整備し、地域のデジタルディバイド解消や産業活性化に活用してまいりましたが、オンライン授業やリモートワークなどによる利用増に備えるため、令和四年に高速大容量化の実施を検討しております。 また、県内の光ファイバー整備率は、令和元年度末時点で既に九八・八%となっておりますが、令和八年度の整備率一〇〇%を目指し、国の補助制度の活用などによる市町村の取り組みを促進してまいります。 以上のことについて、現在策定中の岐阜県デジタル・トランスフォーメーション推進計画にも盛り込み、取り組んでまいります。 ○議長(佐藤武彦君) 二十七番 加藤大博君。    〔二十七番 加藤大博君登壇〕 ◆二十七番(加藤大博君) 誰もが活躍できる岐阜県づくりについて、五点お尋ねします。 初めに、農福連携について二点お尋ねします。 農福連携とは、障がい者が農業分野で活躍することを通じ、自信や生きがいを持って社会参画を実現していく取り組みです。障がい者にとっては、農作業に取り組むことで身体面や精神面に与える好影響、農作業を取り入れた障がい者就労施設における賃金・工賃の向上等が期待できます。また、担い手不足や高齢化が進む農業経営者においては、新たな働き手の確保につながったり、障がい者を受け入れるために作業工程を見直すことにより生産性が向上したりする場合もあります。実際、一般社団法人日本基金「平成三十年度農福連携の効果と課題に関する調査結果」によると、五年前と比較した年間売上額についての質問について、回答のあった農福連携農家等の七八%が、五年前に比べて「年間売上額が上がった」と回答しているということです。 こうしたことを踏まえ、国は令和元年に農福連携等推進ビジョンを策定し、農福連携を推進するための三つのアクションとして、「知られていない」「踏み出しにくい」「広がっていかない」の課題を上げ、これらの対策を講じることにより、令和六年度までに農福連携に取り組む主体を新たに三千創出するとの目標を立てています。 岐阜県においては、平成三十年四月に、一般社団法人岐阜県農畜産公社内に設置された農福連携推進室においてワンストップサービスを実施し、農作業の受委託、専門家の派遣、障がい者の受入れ体験や作業環境改善のための備品購入、改修等に対する助成を行っています。その結果、農業者と就労継続支援事業者との農作業受委託は徐々に増加しており、令和三年三月末までに三十八件成立するなど取り組みが進んでいます。 そうした中で、今年九月、古田知事が農福連携全国都道府県ネットワークの会長に選出されたというニュースに接しました。このネットワークは平成二十九年七月の発足以来、全都道府県の農福連携主管部長を会員とし、会員による情報の交換やノウフクブランドの発信、国への提言などに取り組んでいます。古田知事は設立発起人六人の一人として名を連ね、これまでも副会長を務めてこられましたが、このたび会長に就任されたということで、さらなる農福連携の推進に向け、県内の関係者の期待も高まっているのではないかと思います。 そこで知事に二点お尋ねします。 会長に選出されたということで、改めて農福連携全国都道府県ネットワークの取組方針と意気込みについて教えてください。また、岐阜県の農福連携を推進していくための取り組みについてお聞かせください。 次に、障がい者スポーツの裾野を広げるための取り組みについてお尋ねします。 八月二十四日から九月五日にかけて行われた東京パラリンピックは、人々に大きな感動を与えました。車椅子テニスの巧みな車椅子操作、車椅子ラグビーの車椅子がぶつかり合う激しい音、ボッチャの緻密な駆け引きと神がかった投球など、テレビの画面に引き込まれた方も多かったのではないでしょうか。 県では東京パラリンピックに向け、平成二十七年度以降三十五人、十チームを強化指定し、練習環境や大会出場等の支援など、競技力向上を図ってきました。その結果、九人がパラリンピックに出場し、銀メダル一人、銅メダル一人、入賞者四人という輝かしい成績を残されました。三年後のパリ大会を目指す方もいらっしゃるということで、これからも頑張っていただき、我々に感動を与えていただきたいと思います。 一方、障がいのない方にとって、様々な障がいのあるパラアスリートの皆さんが創意工夫を凝らして限界に挑む姿を見ることは、社会の中にあるバリアを減らしていくことの必要性や発想の転換が必要であることに気づくきっかけとなります。県では、障がいのある人もない人も共に活躍できる社会の確立を目指して、障がいのある人とない人が文化やスポーツなどを通じて交流を深め、互いを尊重し合える意識の醸成を図っています。 今年三月、スポーツ庁が公表した障害者のスポーツ参加促進に関する調査研究報告書によると、過去一年間にスポーツ・レクリエーションを実施した障がい児、あるいは障がい者の方は四七%でした。実施した内容は、ウオーキング、散歩、階段昇降、ジョギングなどが上位を占めています。また、始めたきっかけは「特に理由はない」「何となく」が最も多く、続いて「家族に勧められた」「医師に勧められた」が多くなっています。一方、スポーツ・レクリエーションの実施について障壁があると回答した中では、「体力がない」「金銭的な余裕がない」「やりたいと思うスポーツ・レクリエーションがない」の順に多くなっています。 パラリンピックの感動は、障がい者スポーツの普及と拡大を図る上で大きなチャンスであると思います。また、パラリンピックのパラはギリシャ語のPara、並行と解釈されており、最近では障がい者スポーツもパラスポーツと言うようになっているそうです。パラリンピックの成功により、パラスポーツという言葉も多くの人に知られてきたのではないかと思います。 そこで健康福祉部長にお尋ねします。 障がい者スポーツの裾野を広げるため、どのような取り組みを行っていくのでしょうか。 次に、働く意欲、能力がある障がい者の方が働けるようにするための取り組みについてお尋ねします。 県では、障がいのある人もない人も共に活躍できる社会の確立を目指して、障がい者の生活から就労、定着まで一貫した支援に取り組んでいます。「清流の国ぎふ」創生総合戦略においては、本編の成果指標として障害者法定雇用率達成企業率が掲げられ、令和五年に六〇%にすることが目標となっています。また、同戦略の施策編においても、KPIとして県内の障がい者実雇用率を同じく令和五年度に二・三%とすることを目標としています。このため、これまでも昨年四月に岐阜県障がい者総合就労支援センターを岐阜市内の清流福祉エリアに開設し、就労相談から職業訓練、障がい者と企業のマッチング、定着支援までを総合的にサポートするなど、障がい者の就職支援に取り組んでいます。 障がい者を雇用することは、障がい者本人だけでなく、企業側にもメリットがあります。条件によっては国からの助成金や、税制上の優遇措置を受けられる可能性があります。次に、障がい者を雇用することにより社会貢献に積極的な雇用者であると認識され、企業価値が高まります。さらに健常者と障がい者が同じ職場で働くことで社内に多様性が生まれ、発想が柔軟になることから生産性が向上したり、新たな商品開発につながったりする可能性があります。逆に、法定雇用率未達成企業は納付金の納入が課されたり、国の指導を受けても改善が見られない場合には、企業名を公表されるというデメリットがあります。 厚生労働省が公表している令和二年の岐阜県内の民間企業の障害者雇用状況は、法定雇用率達成企業は五四・五%と前年より〇・八ポイント下落し、実雇用率は二・一七%と前年と同じです。これらの数字は全国の数値を上回ってはいますが、都道府県別の順位で見ると、法定雇用率達成企業率は二十九位、実雇用率に至っては三十四位と決して高いとは言えません。 例えば実雇用率が二・八三%と全国一位の奈良県では、県内の経済、労働、教育、障がい者団体、国・県・市町村など各界の代表者が課題等を共有し、障がい者政策を総合的に推進することを図るためのフォーラムを毎年開催するなど、官民を挙げた取り組みを行っています。 そこで商工労働部長にお尋ねします。 働く意欲があり、働く能力がある障がい者の方が働けるようにするため、どのような取り組みを行っていくのでしょうか。 次に、高齢者の方が健康で、生きがいを持って暮らし続けることができる社会の実現についてお尋ねします。 十月三十日から十一月二日まで開催が予定されていた第三十三回全国健康福祉祭ぎふ大会、いわゆるねんりんピックの開催は、新型コロナウイルスの影響により残念ながら中止となりました。この大会に向けて、県を中心に各市町村、各競技団体が準備を積み重ねてきましたが、全国から一万人の選手、関係者が集まり、観客も含めると延べ六十万人の参加規模となることから、人流抑制の観点から致し方のなかったことだと思います。しかしながら、本大会の基本方針に掲げられた健康寿命を延ばすとともに、高齢者はもちろん全ての人々が生涯健康で活躍できる社会づくりが重要なことであることに変わりはありません。 「清流の国ぎふ」創生総合戦略によると、岐阜県の平均寿命と健康寿命を比べると、男性で八・一一歳、女性では十一・一七歳の差があるということです。この差は、健康上の問題で日常生活に制限のある期間であることから、短くするための取り組みが必要となっています。厚生労働省の高齢社会に関する意識調査によると、健康寿命を延ばすために重要なことについて高齢者の方にアンケートをしたところ、「適度に運動すること」が六一・九%で最も多くなっています。 一方、新型コロナウイルス感染症の感染防止のため、外出を自粛し、人との直接的な接触を避けるようになった方も多いと思われます。地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターの研究によると、コロナ禍では男性・高齢であるほど社会的孤立に陥りやすく、孤独感に深刻な影響があるということです。加えて、外出する頻度が落ちることにより筋肉量の低下、基礎疾患の悪化及び認知機能の低下等の健康二次被害も懸念されます。新型コロナウイルス感染症について正しく恐れ、感染拡大防止策を講じた上で外出したり、体を動かしたりすることが望まれます。 また、高齢社会白書によると、現在収入のある仕事をしている六十歳以上の方の約四割が「働けるうちはいつまでも働きたい」と回答をしています。七十歳頃まで、もしくはそれ以上との回答と合計すると、約九割が高齢期にも高い就業意欲を持っていることになります。 これらのことは、高齢者御自身が意識して取り組んでいかれることが重要ですが、行政や地域、家族などの支えがなければ達成できるものではありません。 そこで健康福祉部長にお尋ねします。 高齢者の方が健康で、生きがいを持って暮らし続けることができる社会の実現に向けて、県ではどのような取り組みを行っていくのでしょうか。 ここで三回目の質問を終わります。 ○議長(佐藤武彦君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) 誰もが活躍できる岐阜県づくりという観点から、農福連携について二点お尋ねがございました。 まず、全国ネットワークの会長としての方針ということでございます。この農福連携全国都道府県ネットワークは、四十七都道府県が連携して農福連携に係る情報交換、国への提言などの活動を通じて各県の農福連携の取り組みレベルを高めることを目的に、当県を含む六県の知事が発起人となって設立されました。そして、これまでに国への提言活動、国の農福連携等推進会議への参画、都道府県担当者の意見交換会などを積極的に行ってまいりました。 こうした活動により、国としても今後の農福連携の推進方針を示した農福連携等推進ビジョンを策定し、農福関係団体に財界なども加わった応援組織、農福連携等応援コンソーシアムを創設するなど、一定の影響や成果が得られてきているところでございます。 農福連携は申すまでもなく、障がい者の方々が農業分野での活躍を通じて社会に参画していただくものであります。まさに共生社会の実現、あるいはSDGsの理念にも合致しておりまして、今後ますます伸ばしていくべき分野であろうというふうに考えております。 そこで、ネットワークの会長として会員や関係団体等の協力を得ながら、農福連携の流れをもう一段高い場所、つまりは誰もが農福連携のことを知り、そして応援する、言わば国民的運動へと高めていけたらというふうに考えております。このため、今後の取りあえずのテーマとしては、優良事例の全国表彰「ノウフク・アワード」への応募の呼びかけを行うとともに、商品の差別化を図る「ノウフクJAS」の普及推進などに取り組んでまいりたいと思っております。 次に、岐阜県の農福連携の推進についてでございます。 本県では平成三十年に、ぎふアグリチャレンジ支援センターに農福連携推進室を設置いたしました。また、令和二年には、県、市町村、JA、福祉関係団体、特別支援学校等から成る地域連携会議を県内十か所に設置して、推進体制を整えてまいりました。この体制の下で農作業受委託のマッチング、農業現場で支援する農業版ジョブコーチの育成などを進めた結果、本年十月までのマッチング件数は五十二件となるなど、農福連携が進みつつございます。 今後より一層進めるためには、農業と福祉間の相互理解はもちろんでありますが、農業現場での支援者の育成、働きやすい環境の整備、ノウフク商品の販路確保、さらには農福連携の認知度向上が必要と考えております。このため、まずは農業版ジョブコーチの育成をさらに進め、農業現場での支援体制を強化するとともに、地域連携会議において農業と福祉相互の交流を促し、作業受委託などのマッチングを一層進めてまいります。また、作業場などの施設や機械の導入支援にも取り組んでまいります。 さらには、生産されたノウフク商品の流通モデル事業として、新たな集出荷体制の構築を目指すとともに、県内の優良事例を広く情報発信してまいります。加えて、農福連携には障がい者を雇用する雇用型、農作業を依頼する作業受委託型、福祉事業所が自ら農業に取り組む農業参入型、企業が特例子会社を設立し農業に取り組む特例子会社型など、様々な形態がございます。それぞれに応じたニーズを把握し、きめ細かく対応してまいりたいと考えております。 そして、以上申し上げました様々な対策を計画的に進め、その実効を高めるため、当面の目標を定めたアクションプランを本年度内を目途に策定してまいります。 ○議長(佐藤武彦君) 健康福祉部長 堀 裕行君。    〔健康福祉部長 堀 裕行君登壇〕 ◎健康福祉部長(堀裕行君) 二点御質問をいただきました。 まず、障がい者スポーツの裾野を広げるための取り組みについてお答えします。 県では、これまで障がい者のスポーツを通じた社会参加を促進するため、県障害者スポーツ協会と連携し、特別支援学校や障がい者施設などでのスポーツ教室や、障がいの程度に関わらず参加できるレクリエーションを取り入れたスポーツ大会を開催しています。 また、障がいのある人もない人も一緒に走る長良川ふれあいマラソンの開催や、パラスポーツの初級指導員の養成など、障がい者のスポーツ活動を後押ししてまいりました。障がいのある方々からは、スポーツをする機会が増えたとの声をいただいています。 今後は、東京二〇二〇パラリンピック開催によるパラスポーツへの県民意識の高まりを一過性のものとしないため、新たに障がいのある人もない人も共にスポーツを楽しめる機会を圏域ごとに設けることを検討してまいります。また、パラスポーツ教室の様子をホームページで紹介し、その楽しさを障がいのある方々はもとより多くの人に伝えるなど、障がい者の社会参加に向けたスポーツ・レクリエーションの一層の活用に努め、共生社会の実現につなげてまいります。 次に、高齢者の方が健康で、生きがいを持って暮らし続けることができる社会の実現についてお答えします。 高齢者は、運動機能の低下や社会的な孤立などから、フレイルと呼ばれる心身の虚弱状態や要介護状態に陥りやすく、特にコロナ禍においては外出自粛などによりその懸念が一層高まっています。このため、県では市町村に対し、昨年度県が作成したコロナ禍でも家庭内で気軽に取り組むことができる体操などを紹介する動画やリーフレットを活用して、高齢者の健康づくりを進めていただくよう働きかけ、高齢者の運動機能の維持を図っているところです。 また、高齢者の生きがいづくりとして、近隣住民のごみ出しや電球の交換などを手助けするシニアボランティアを養成しており、コロナ禍においても少人数で、マスクの着用、手指消毒の徹底、感染拡大期における活動自粛など基本的な感染対策に十分留意しながら、その活動を行っていただくよう周知し、元気な高齢者が継続的に社会参加するための取り組みを進めてまいります。 今後もこうした施策を通じ、高齢者が健康で、生きがいを持ち続けることができる社会の実現に向け取り組んでまいります。 ○議長(佐藤武彦君) 商工労働部長 崎浦良典君。    〔商工労働部長 崎浦良典君登壇〕 ◎商工労働部長(崎浦良典君) 働く意欲、能力がある障がい者の方が働けるようにするための取り組みについてお答えします。 障がい者の就労促進に向けては、障がい者総合就労支援センターを核に、関係機関と連携して総合的なサポートを進めており、昨年度は三千名を超える方々を対象に就職相談や定着支援を行うほか、新たな職場実習先として二百五十六事業所を開拓するなどの支援を進めた結果、延べ四百五十名を超える方々の就職につながりました。 こうした障がい者の方々へのサポートに加え、働く意欲がある方により一層活躍いただくためには、企業側の理解を深め、雇用の場の拡大や働きやすい職場環境を整えていく必要があります。このため、経営者を対象とした障がい者雇用推進セミナーを定期的に開催するとともに、今後は新たに障がい者雇用に未着手の企業を対象とした少人数制のスタートアップセミナーを開催するなど、企業の取り組みを促してまいります。また、これらセミナーを機に、雇用に前向きな企業に対しては、さらにプッシュ型で従業員の意識啓発に向けた出前講座や、職場環境整備に向けた専門家派遣制度などの活用を働きかけてまいります。 ○議長(佐藤武彦君) 二十七番 加藤大博君。    〔二十七番 加藤大博君登壇〕 ◆二十七番(加藤大博君) 安全・安心な岐阜県づくりについて、四点お尋ねします。 初めに、災害復旧工事を迅速に完了させるための対応についてお尋ねします。 岐阜県における今年最大の風水害は、八月十一日からの大雨になると思います。御記憶の方も多いと思いますが、八月十二日から十五日にかけて前線が本州付近に停滞し、この前線に向かって南から暖かく湿った空気が流れ込み、十三日から十四日のお盆の時期に県内に激しい雨が降り続いたものです。 雨量の多かった地域が昨年の七月豪雨のときと重なったことから、二年続けて被災した地域もありました。例えば飛騨川では、復旧工事中の箇所が被災しました。そのうちの一か所は、高山市久々野町久々野地内で、護岸が一部損壊するとともに盛土も流出しました。ほかに下呂市萩原町花池地内で国道兼用護岸が流出した影響により、九日間にわたって国道四十一号が全面通行止めとなった箇所などもあります。 このような復旧工事中に被災した箇所については、復旧工事が完了していれば今回のような事態は起きなかったかもしれません。日常生活を支える重要なインフラが復旧半ばで再び被災してしまったという事実は、地域住民に大きな不安を与えたと同時に、産業界や周辺地域からも重大なリスクを抱えた地域として認識されるのではないかと懸念しています。 今回、復旧工事中に被災したこれらの箇所は、河川の復旧工事であり、出水期に施工することが困難なため工事期間が限られ、復旧が完了するまでに時間がかかりがちであるということに一定の理解はできます。しかしながら、豪雨が頻発化していることに鑑み、河川内の復旧工事はもとより、全ての災害復旧工事ができる限り迅速に完了できるよう努めることが必要です。 そこで知事にお尋ねします。 災害復旧工事を迅速に完了させるために、どのような対応をしていくのでしょうか。 次に、消防団活動をより持続可能なものにしていくための取り組みについてお尋ねします。 消防団員の皆さんは、改めて申し上げるまでもありませんが、会社員、自営業、学生、主婦などの皆さんが本来の仕事や学業を持ちながら従事し、県民の皆さんの安全・安心、生命、財産を守る上で非常に重要な役割を果たしていただいています。 まずは火事。もちろん火災現場では、消防署の隊員が第一線で消火活動をします。消防団員は、消防隊員の放水が途切れないよう消火栓や防火水槽から消防ポンプなどを扱い、消防隊員の消防車へ水を送り続けます。また、周辺の住宅に延焼がないかどうか確認をしたり、住民に危険が及ばないよう誘導したりするなど、状況に応じて様々な活動を展開しています。さらに、火が消えて消防隊員が消防署に戻った後も消防団員は現場にとどまり、瓦礫の下などから再び火の手が上がらないよう警戒をして見守ります。例えば夜の火災の場合は、明け方まで警戒することになりますが、夏の暑さや冬の寒さ、雨や雪が降ることもあります。トイレ、仮眠、食事などが不便で苛酷な状況下の中、一晩務めるのは大変な苦労です。 次に、自然災害。市町村の災害対策本部の指示の下、被災者の安否確認、救助、避難誘導などを行うほか、例えば集中豪雨や台風のときには堤防に集まり水位の状況を監視し、土のうを積んだりビニールシートを張ったりします。しかし、これらの活動は危険と隣り合わせとなります。 東日本大震災の際、被災地でたくさんの消防団員が活躍したことは広く知られています。津波が押し寄せてきたとき、まちを守る水門を閉めようと海に向かったり、取り残された人を救助するために猛火の中に飛び込んだりした消防団員もいます。その結果、消防庁によると、二百五十四人の消防団員が死亡・行方不明となってしまいました。そのほか、行方不明者が出た場合には捜索活動を行ったり、平時においては消防防災の訓練を行うほか、火災が発生しないよう地域を巡回して予防啓発を行ったりしています。 まさに、消防団員は地元のヒーローであってほしいのですが、各市町村では消防団員の確保に苦労しています。消防団員の成り手がなかなか見つかりません。操法大会や大会に向けた訓練が、拘束時間の長さや頻度の高さや負担となっていて、しかもその負担の大きい操法や訓練が実際の災害現場での活動に即していないことが大きな原因の一つではないでしょうか。 こうした実態を踏まえ、団員の負担を軽減するため動き出している市町村があります。 例えば池田町では、町の操法大会を取りやめ郡大会にも出場しない、岐阜市では、来年度から出初め式のはしご乗り披露を中止し、より実践的な訓練を取り入れるとの報道がありました。今年五月には、県において市町村と共に岐阜県消防団員アンケートが実施され、私も団運営や訓練の在り方について課題を指摘する声を少なからず聞いています。 消防団の活動は、抜本的に見直さなければならない時期に来ていると感じています。消防団は地域防災力の中核として欠くことのできない存在であるにもかかわらず、団員の減少など団運営に課題を抱えていることから、このままでは消防団の機能を果たすことができなくなってしまいます。これまで不満があっても声を上げることができなかった消防団員一人一人の声を聞いたのですから、市町村に任せるだけではなく、前例にとらわれないで課題を指摘する声に丁寧に対応していただきたいと思います。 そこで知事にお尋ねします。 県は、このアンケートの結果をどのように受け止め、これからの消防団活動をより持続可能なものにしていくために、どう取り組んでいかれるのでしょうか。 次に、盛土総点検の実施体制と進捗状況についてお尋ねします。 令和三年は、幸いにして県内で風水害による重大な人的被害はないまま一年を終わろうとしています。一方、他県に目を移すと、七月に静岡県熱海市で豪雨による土石流災害が発生し、死者二十六名、行方不明者一名という大きな被害がありました。そして、この土石流災害で大きく注目されたのは盛土です。そもそも盛土とは何かといいますと、住宅開発や道路整備などを行うに際し、低い地盤や斜面、文字どおり土を盛り上げ低いところを高くしたり、斜めのところを平たんにしたりすることです。 県では、熱海市の災害の後、緊急点検の必要があると考えられる四十三件の現地調査を速やかに実施しました。この緊急点検では、岐阜県埋立て等の規制に関する条例、森林法、砂防法など、関係法令による規制の対象となる盛土のうち、過去五年間に施工された盛土高五メートル以上のもので直下に人家などが存在するなど、点検が必要と考えられる箇所を対象に実施されています。その結果、全ての盛土で不備・不具合は確認されず、ひとまずはほっと胸をなで下ろしたところです。 そして、国は八月、関係府省連絡会議を開催し、国土交通省、農林水産省、林野庁、環境省の連名で、都道府県に対し、土砂災害警戒区域等の重点点検対象エリア内にある盛土の総点検を実施するよう依頼しました。この点検は、許可・届出等の必要な手続が行われているか、手続内容と現地の状況が一致しているか、災害防止の必要な措置が取られているか、禁止事項の行為がなされていないかといった観点から、現地に赴いて一か所一か所を全て目視で確認する必要があります。県民の安全・安心がかかっていることや技術的な側面もあり、誰でもいいから行って見てくるというわけにはいかないと思います。 国は、点検状況の暫定取りまとめを年内に行い、対応方策を検討するとしていますが、新型コロナウイルス感染症対策にも多くの人手が割かれている中、職員の皆さんには大変大きな負担がかかっていると思われます。 そこで環境生活部長にお尋ねします。 岐阜県における盛土総点検は、現在どのような体制で実施され、その進捗はどのような状況にあるのでしょうか。 次に、性暴力等を防ぐための取り組みについてお尋ねします。 令和元年度の公立学校教職員の人事行政の状況調査によると、全国で一年間にわいせつ行為により懲戒処分を受けた教職員は百七十四人となっています。このうち自校の児童に対するもの、すなわち小学校の教員が自分の勤務する学校の小学生に対するものが十九人、自校の生徒に対するもの、すなわち中学校、高校の教員が自分の勤務する学校の生徒に対するものが五十七人、十八歳未満の自校の卒業生に対するものが七人となっています。すなわち、百七十四人の半数近い八十三人が自らを教員として認識している子供に対するものであり、教員という立場に乗じて子供の心身に深い傷を負わせる極めて卑劣で許し難い行為です。 本県においても、関係を悪用した教え子へのわいせつ事件が続発しているとの報道もありました。さらに他県の事例ではありますが、過去には懲戒免職になっても最短三年で教員免許を再取得できたため、子供に対するわいせつ行為により一度懲戒免職となった教員が戸籍等を変えた後、他県で採用され、再び子供に対してわいせつ行為を行ったということもありました。 こうしたわいせつ教員を教壇に立たせないため、今年五月に教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律が成立されました。この法律では、わいせつ行為を性暴力と定義し、国は性暴力により教員免許を失った者等のデータベースを整備することとし、都道府県教育委員会には免許の再交付を拒否できる裁量権を付与しました。都道県教育委員会は、専門家らによる教員免許再授与審査会を新たに設け、その意見を聞いた上で再交付を判断することになります。 昨年、文部科学省は、児童・生徒に対してわいせつ行為を行った者が二度と教壇に立つことがないよう法改正について検討してきましたが、法制上乗り越えられない課題があるということで断念し、次善の策として今回の法律制定となりました。 そこで教育長にお尋ねします。 この法律に基づき、県教育委員会は、どのようなことに取り組んでいかれるのでしょうか。また、部活動指導員や学習支援員など、教員以外で児童・生徒と接点のある者による性暴力等を防ぐために、どのような取り組みを行うのでしょうか。 ここで四回目の質問を終わります。 ○議長(佐藤武彦君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) 安全・安心な岐阜県づくりについてという観点から、二点御質問がありました。 まず、災害復旧工事を迅速に完了させるための対応についてであります。 昨今の気候変動の影響によりまして、全国的に自然災害が激甚化・頻発化する中、本県におきましても、ここ四年で三度の大きな災害に見舞われております。とりわけ本年八月の大雨では、飛騨南部を中心に二年連続で激しい雨が降ったことから、昨年の七月豪雨で被災し、復旧工事の最中であった箇所が再び被災することとなりました。災害からいかに早く復旧するかは喫緊の課題であります。 災害復旧工事は、被災により不安定となった地盤など、厳しい条件の下で慎重に作業を進める必要があります。特に出水期の河川内工事は、河川水位に配慮しながら進めることが求められますため、工期が長くなる傾向があります。こうした制約の中、可能な限り早期に復旧できるよう、これまでも数々の取り組みを組み合わせながら実施してまいりました。 具体的には、国に対しては、速やかな災害査定の実施と設計図書の簡素化を要望してきた結果、査定開始まで二か月程度かかっていたところ、近年では約一か月で開始されるようになっております。また、昨年度より一人の技術者が兼務できる復旧工事の件数を最大二件から五件にまで引き上げることにより、入札の不調・不落を起因とした工事遅延の防止にも取り組んでいるところであります。さらに、今年からは県土木職員OBで組織する災害復旧支援隊を被災地に派遣する取り組みを開始しました。早速八月の大雨で被災した地域で、早期復旧に向けた技術的な助言を行っております。 今後、さらにスピード感を持って工事を進めていくためには、第一に、国の災害査定を待つことなく、現場の条件が整ったものから順次復旧工事に着手できる査定前着工をさらに実施してまいります。 第二に、出水期における河川内の復旧工事につきましても、安全性を確保しつつ実施可能な作業を進めるため、河川管理者や漁協などの関係者とも連携をしながら柔軟に対応してまいります。 第三に、護岸や擁壁の施工では、現場でコンクリートを流し込むのではなく、あらかじめ工場で製造されたコンクリート製品を使用するなど既製品を積極的に活用し、工期の短縮を図ってまいります。 第四に、原形復旧のみでは再度災害の防止が十分でないと判断される場合には、災害を受けていない箇所を含む一連の区間の川幅を広げたり、堤防のかさ上げを行うなど、災害前よりも施設の強化を図る、いわゆる改良復旧が必要であります。このため、国に対しては、改良復旧に係る補助採択要件の緩和や補助率の引上げなど、支援制度の拡充を要望してまいります。 以上申し上げた早期復旧のための工夫や取り組みを岐阜モデルとして積み重ねてまいります。あわせて、流域に住むあらゆる関係者がハード・ソフト両面から災害対策に取り組む、いわゆる流域治水を着実に進め、強靱な県土づくりに取り組んでまいります。 次に、消防団活動についてのお尋ねがございました。 御指摘の消防団員アンケートは、今年度市町村と連携して実施したものであります。団員の約四分の一に当たる約五千七百人から御回答をいただいております。その結果、一般団員などの若い世代ほど消防団の必要性や満足度の評価が低く、団の運営や活動のうち、特に操法大会及び報酬や手当に改善すべき点があると認識されております。消防団活動を持続可能なものにしていくためには、こうした若い世代の意見を踏まえた団活動の負担軽減や処遇改善を団員確保の取り組みと併せて実施していくことが必要でございます。消防団そのものの設置、あるいは管理は市町村の所掌でありますが、本県としても地域の防災・減災力の確保の観点から、市町村と緊密に連携してしっかりと取り組んでまいります。 今回のアンケート結果に照らして今後の取り組みについて申し上げますと、まず第一に、操法大会の見直しであります。県消防協会と共催している県操法大会につきましては、競技者の動きを過度にそろえるなど、大会向けの形式美を重視した訓練が団員の負担となり、火災現場で生かされないのではないかとの声があります。また、全国大会につきましても、日本消防協会においてパフォーマンス的、セレモニー的な動作を見直す方向で検討がなされております。これらを踏まえて、本県でも県消防協会の検討委員会において、年度内を目途に県大会の審査基準を見直すとともに、実践的な訓練への転換が図られるよう取り組んでまいります。 第二に、報酬や手当につきましては、その役割や責任の重要さに比べて低額となっているとの指摘がございます。今年四月には、国も消防団員の報酬等の基準を策定し、地方財政措置の拡充を打ち出してまいりました。これを踏まえて、国が示した報酬・手当額を下回っている市町村に、県として増額を働きかけてまいりました。その結果、令和四年四月には、県内三十五市町村で国から示された額を満たすこととなっております。また、他の市町でも、令和六年度までには基準額が支給される見込みということでございます。 第三に、団員確保対策であります。本県は、団員雇用事業者に対する全国随一の減税制度、消防団加入促進事業費補助金、県内三千店舗以上で割引を行う応援制度などを実施してまいりました。その結果、消防団員の充足率は、平成二十八年度以降全国平均を上回るとともに、被雇用者団員率は八割を超えるなどの成果を得ております。来年度以降も、これらの取り組みを継続・強化してまいります。 以上のほかに、新型コロナや災害の頻発化・激甚化などの課題への対応として、例えば県コロナ対策ガイドラインに基づく消防団の訓練を全市町村で実施しております。また、救助資機材の取扱い、避難誘導、捜索救助などを教育プログラム化し、消防学校や出前講座で実施するなど、きめ細かに対応してまいります。 ○議長(佐藤武彦君) 環境生活部長 内木 禎君。    〔環境生活部長 内木 禎君登壇〕 ◎環境生活部長(内木禎君) 盛土総点検の実施体制と進捗状況についてお答えします。 盛土の総点検については、本年十月に盛土規制の総合調整を担う新組織を部内に設置するとともに、本庁と八つの地域で関係部局や現地機関、県警、市町村等で構成する連携会議を立ち上げ、この会議の下、国の要領に基づき、約二百人体制で実施しております。特に、安全性確保の観点から重要となる現地での点検においては、技術系職員が中心となり、盛土や擁壁等に崩壊や亀裂がないか、水のしみ出しやその痕跡がないか、排水設備などに異常がないか、廃棄物の堆積がないかなど、複数の職員の立会いの下で確認を行っているところです。 十一月末時点で、調査対象となる六百四十九か所の約四分の三に相当する四百九十四か所の点検を完了しておりますが、これまで点検を終えた箇所において、盛土の崩落が懸念されるなど異常が見受けられる箇所は認められませんでした。残りの箇所についても、引き続き関係部局等と連携し、複数の法令が関係する場合には合同で点検を行うなど、年度内に全ての点検を完了するよう進めてまいります。 ○議長(佐藤武彦君) 教育長 堀 貴雄君。    〔教育長 堀 貴雄君登壇〕 ◎教育長(堀貴雄君) 性暴力等を防ぐための取り組みについてお答えします。 まず、本県で教員免許が失効または取上げ処分になった者については、その情報を他の都道府県と共有して適切に対応していくため、国が今後整備するデータベースへ必要事項を迅速に記録いたします。また、このような者に対して再び免許を授与する場合には、データベース上のみならず該当者の情報を広く集め、新たに設置することとなる審査会で、今後国が示す判断基準に基づき、授与の可否を厳正に判断してまいります。 加えて部活動指導員等、教員以外で子供たちと接する者についても、県独自の対応としてデータベース等の情報や過去の賞罰・犯罪歴などを確認し、任用してまいります。そして、任用後は、折に触れて性暴力について指導するとともに、子供たちと接する場面においては、他の教員や学校関係者が共に関わりながら見守ることで、性暴力が起こらないように対応してまいります。 ○議長(佐藤武彦君) 二十七番 加藤大博君。    〔二十七番 加藤大博君登壇〕 ◆二十七番(加藤大博君) 県政の諸課題について、五点お尋ねします。 まずは、農林業の取り組みについてお尋ねします。 岐阜県は、県土に占める森林の割合が八一・二%と高知県に次いで高いほうから第二位である一方、耕地面積の割合は五・二%と東京都、高知県に次いで低いほうから第三位であるものの、その約半数は中山間地であり、厳しい条件の下営農が行われています。また、全国的な傾向ではありますが、農林業所得が低迷していることなどから、生産者の減少と高齢化が進んでおり、担い手不足が大きな問題となっています。 二〇二〇年農林業センサスによると、岐阜県の農林業経営体は二万一千九百十八であり、十年前の約半分近くまで減少しています。特に林業経営体の減少は著しく、二割以下になっています。また、基幹的農業従事者の平均年齢は七十・九歳と、全国平均の六十七・八歳よりも三・一歳高くなっており、高齢化も深刻な問題です。さらに野生鳥獣による被害は農家の営農意欲を減退させることになり、耕作放棄地の増加につながり、さらに野生鳥獣の活動範囲を広げるという悪循環となっています。加えて、地球温暖化に起因する異常気象によって、風水害等が頻発していることも農林産物の生産を不安定なものにしています。 一方、人口減少や高齢化により国内需要が縮小し、国内の産地間競争も激化しています。ライフスタイルの変化により、外食や中食などの食の外部化・簡便化が進んでおり、業務・加工用の需要が増加しています。また、食や健康に対する消費者意識の高まりから、農作物の安全・安心のさらなる取り組みも求められています。さらにTPP協定、日欧EPA並びに日米貿易協定の影響や米の生産調整の見直し、農業分野の規制改革など、国際関係や国の施策による影響も大きなものがあります。 豚熱や鳥インフルエンザなどの家畜伝染病のおそれは続いていますし、東京オリンピック・パラリンピックに向けて行ってきた取り組みも新たな展開が必要です。 このように、岐阜県農林業を取り巻く環境は変化が続いていますが、引き続き農林業の維持と成長産業化に資する施策が求められています。 そこで農政部長、林政部長にそれぞれお尋ねいたします。 先ほど知事から、来年度予算編成における重点と編成方針について答弁がありましたが、農林分野については、それぞれどのような取り組みを行っていくのでしょうか。 次に、文化財の保存活用を担う県博物館の充実についてお尋ねします。 岐阜県の文化財の件数は、都道府県指定が全国一位、市町村指定が北海道に次いで全国二位と非常に多くなっています。こうした積極的な指定により、数多く文化財の保護が図られてきたと言えます。 平成三十年六月、文化財保護法が改正され、都道府県は当該都道府県の区域における文化財の保存及び活用に関する総合的な施策の大綱を定めることができるとされました。そこで県においては、今年三月に岐阜県文化財保存活用大綱を策定し、さらなる文化財の保存活用に取り組んでいくこととしました。 この大綱では、文化財の保存・活用方針として、文化財を「知る」「守る」「育てる」「活かす」という四つの視点から施策を進めていくことになっています。そこで、県は県内の文化財に関する情報を集約し、国と市町村との連絡調整役を務めるとともに、市町村や各種団体との連絡等、市町村の区域を超える広域的な連携に関するコーディネート等を行うこととしています。 こうした施策を行う場合に重要になってくるのが、岐阜県博物館ではないかと思います。岐阜県博物館の設置目的は、次のようになっています。岐阜県の人文、自然両分野にわたる諸資料を収集、保管、調査研究、公開し、併せて教育普及活動を行うことにより、広く県民の学習の場となり、また文化財保護の精神の涵養に役立て、新しい教養と文化の発展に寄与することを目的とする。また、館長のメッセージの中に「岐阜県の学術文化及び博物館教育の拠点として」という言葉もあり、岐阜県博物館は県内の文化財の保存活用について、中心的役割を果たしていく施設であると考えられます。 しかしながら、現状の岐阜県博物館の建物は昭和五十年に建設されたものであり、既に四十六年が経過しています。新しいマイ・ミュージアム棟も、平成七年建設で二十七年目になります。また、配置されている職員は、マイ・ミュージアム棟ができた翌年の平成八年度は二十五名でしたが、今年度は十九名と少なくなっています。 そこで県民文化局長にお尋ねします。 岐阜県博物館は、県内の文化財の保存活用について中心的役割を果たしていく施設として、設備面・人材面ともに十分な体制が取られているのでしょうか。 続いて、教職員、警察官の働き方について、二点お尋ねします。 初めに、教職員の働き方改革プランの成果と今後の取り組みについてお尋ねします。 学校において子供たちが輝くためには、それを支え導いていく教職員の皆さんが、子供たち一人一人にしっかりと向き合うことが必要です。このような職務遂行ができるようにするためには、健康で生き生きと働くことができるよう勤務時間の縮減など、教職員の働き方改革が必要不可欠であると思っております。 教職員の勤務時間が長いことはかねてから言われてきたことですが、先進国三十八か国が加盟するOECD(経済協力開発機構)が平成二十六年に発表した国際教員指導環境調査により、日本の教員は勤務時間が長いことが明らかになり、世間にも広く知られるようになりました。中でも注目されたのが、授業時間数は平均よりもやや短いにもかかわらず、課外活動や事務業務が非常に多いということです。 岐阜県教育委員会では、それまでも市町村教育委員会や学校と共に教職員の勤務環境の改善に取り組んでいましたが、その効果が飛躍的に表れることはありませんでした。 そこで、平成二十九年六月、教職員の働き方改革プラン二〇一七を定め、単に学校現場に取り組みを促すだけではなく、教育委員会事務局の業務の在り方も含め、抜本的な改革を進めることとしました。さらに、時間外勤務の縮減だけでなく、特別支援学校講師自死事案に係る弁護士による調査報告書を受けて、再発防止の取り組みも進めてきました。 文部科学省においても、平成三十一年三月に、「学校における働き方改革に関する取り組みの徹底について」を各都道府県教育長宛てに通知し、勤務時間管理や労働安全衛生管理の徹底などを求めました。その中で、これまで学校や教師が担っていた登下校に関する対応や部活動など、十四の業務の在り方を整理し、役割分担・適正化のために必要な取り組みの実施を促しました。 また、昨年来の新型コロナウイルス感染症は、学校現場にも大きな影響を与えました。感染拡大防止のための衛生管理やGIGAスクール構想が前倒しされ、予定よりも早く児童・生徒一人に一台ずつ配付されたタブレット学習への対応などは、教職員への新たな負担となりました。しかし、感染拡大防止という観点からではありますが、学校行事や業務が見直されたことは働き方改革にも資することであり、新型コロナウイルスが終息した後にも継続していくべきことであると思います。 そこで教育長にお尋ねいたします。 教職員の働き方改革プランの取り組みが始まって五年目になりますが、これまでにどのような成果があり、今後さらにどのような取り組みを行っていくのでしょうか。 次に、警察本部におけるワーク・ライフ・バランス等の推進について、お尋ねします。 警察官と言えば、事件や事故が起きれば昼も夜もなく駆けつけなければなりませんし、その事件や事故が大きなものであれば警察署の枠、場合によっては都道府県の枠を超えて協力して捜査や原因の究明に当たらなくてはなりません。フィクションではありますが、刑事ドラマに出てくる熱血刑事が昼夜を問わない捜査によって犯人逮捕につなげていく姿を見ると、この刑事は休みなど取っていないのではないのかと思われるくらいです。 しかし、警察官といえども、平成三十一年に働き方改革関連法が施行されたことにより、時間外労働の上限規制が適用されています。長時間労働は美徳ではなく、めり張りをつけて仕事を行い、しっかり休みを取って心身のリフレッシュを図った上で、よい仕事につなげるというのが時代の要請となっています。 しかし、時間外勤務を減らしたり、休暇の取得日数を増やしたりすることが警察の力を低下させることにつながってはなりません。 報道によると、愛知県警察本部では、平成二十七年度から全国の都道府県警察に先駆けて働き方改革に取り組み、大きな成果を上げているということです。「早く帰る」と「意識を変える」をかけた「カエル会議」という名前の会議を定期的に開き、無駄を洗い出したり、仕事内容を見直したりするなどした結果、休暇取得日数が増加したにもかかわらず、事案処理件数が上がったということです。 一方、岐阜県警察本部においては、これまでも岐阜県警察次世代育成支援及び女性活躍推進行動計画に取り組んでいたところですが、今年四月に、新たに岐阜県警察におけるワーク・ライフ・バランス等の推進のための取組計画を策定し、働き方改革や仕事と出産、育児及び介護を両立する職員への支援などに取り組むこととしています。 不幸にも事件や事故に巻き込まれてしまい、心細く思っているときに一一〇番をしたら、寝不足で疲れた顔の警察官がやってきたということでは、県民は余計に不安になってしまいます。ワーク・ライフ・バランス等の取り組みによって効率よく短時間で仕事を終わらせ、生活も充実し、心身ともに健康である警察官こそ県民の安全・安心を守ってくれるために必要であると思います。 そこで警察本部長にお尋ねします。 岐阜県警察本部におけるワーク・ライフ・バランス等の推進について、どのような取り組みが行われ、どのような成果を期待しているのでしょうか。既に成果として表れていることがあれば、併せてお答えください。 以上、県政各般にわたり質問をさせていただきました。御清聴誠にありがとうございました。    (拍手) ○議長(佐藤武彦君) 農政部長 長尾安博君。    〔農政部長 長尾安博君登壇〕 ◎農政部長(長尾安博君) 農林業の取り組みのうち、農業における来年度の取り組みについてお答えをいたします。 二年目となるぎふ農業・農村基本計画を着実に推進するため、来年度も四つの基本方針に沿って取り組みを展開してまいります。 主なものを申し上げますと、まず人材育成では、経営支援マネジャー等の配置による新規就農者支援の強化や集落営農組織の労働環境整備への支援、第二の食づくりでは、「ぎふ清流GAP」の普及促進や圏域ごとの地産地消県民運動の展開、第三のブランド展開では、輸出回復に向けた海外でのプロモーションや全共鹿児島大会に向けた取り組みの強化、そして第四の農村づくりでは、豪雨時の水田貯水機能に着目した防災・減災対策や、関係人口の増加に向けた農村ワーケーションなどに取り組んでまいりたいと考えております。 加えて、国のみどりの食料システム戦略を踏まえた中山間地域の特色ある品目を中心とした有機農業のモデルづくり、データ活用型スマート農業の中核となる農業DXプラットフォームの構築などに向けた取り組みを進めてまいります。 ○議長(佐藤武彦君) 林政部長 高井峰好君。    〔林政部長 高井峰好君登壇〕 ◎林政部長(高井峰好君) 林業における来年度の取り組みについてお答えします。 現在、第四期森林づくり基本計画の策定を進めており、初年度となる来年度は、基本計画の三つの柱に沿って取り組みを進めたいと考えております。 第一の森林づくりの推進では、脱炭素社会の実現に向け森林の若返りを図り、二酸化炭素吸収力を高めるため、皆伐と再造林の拡大を図ってまいります。 第二の林業・木材産業の振興では、民間の非住宅建築物の木造化促進による県産材の新たな需要の創出とともに、DXによる生産性向上と需要変動に柔軟に対応できる供給体制づくりを進めてまいります。 第三の山村地域の活性化では、森林空間などを活用する森林サービス産業の育成に向けて、先進事例の調査やセミナーの開催などにより機運を高め、推進体制を構築してまいります。 一方で、森林技術者の減少も喫緊の課題です。このため、県外からの新規就業者への支援、労働災害防止などの就労環境の改善、所得向上につながる段階別の資格制度創設などにも取り組んでまいります。 ○議長(佐藤武彦君) 県民文化局長 市橋貴仁君。    〔環境生活部県民文化局長 市橋貴仁君登壇〕 ◎環境生活部県民文化局長(市橋貴仁君) 県博物館の充実についてお答えをいたします。 県博物館は、開館以来三百十七万人を超える入館者をお迎えし、人文・自然両分野にわたる調査・研究や展示、学習の場として県民に親しまれ定着していることから、今後も魅力的な博物館であり続けるよう一層の充実が必要であると考えております。 そこで設備面では、展示物を見やすく理解を深めていただけるよう照明のLED化や、デジタルサイネージの設置などを引き続き進めるとともに、博物館で多数所蔵する貴重な刀剣類の常設展示を検討してまいります。 次に、人材面では、人気の高い恐竜分野を担当する学芸員を正職員として採用するほか、博物館の特徴として、来館者の約四割が児童・生徒であるという状況を踏まえ、学校現場との連携も念頭に教員の活用も積極的に進めているところです。 引き続き、県博物館が文化財の保護意識の醸成や郷土を学ぶ機能を果たしていけるよう企画展示の内容はもちろん設備・人材面の充実に努めてまいります。 ○議長(佐藤武彦君) 教育長 堀 貴雄君。    〔教育長 堀 貴雄君登壇〕 ◎教育長(堀貴雄君) 教職員の働き方改革プランの成果と今後の取り組みについてお答えします。 教育委員会では、まず教員一人一人の正確な勤務時間数や勤務内容を把握し、その要因分析を行い、その上で教員業務アシスタントや部活動指導員の配置、部活動数の適正化などに取り組んでまいりました。 その結果、コロナの影響が少なかった令和二年十一月の時間外勤務は、県立高校や特別支援学校では平成二十九年の約五十三時間から約二十四時間に、小・中学校では令和元年の約五十五時間から約四十四時間に着実に減少しております。しかしながら、同月に時間外勤務が四十五時間を超えた教員が、小・中学校で約四割いることも事実です。 新型コロナウイルスの感染は、感染予防対策やオンライン授業等の新たな業務負担を生じさせましたが、就職ガイダンスやPTA総会のオンライン化などといった生徒や保護者のニーズと業務の効率化を両立する好事例が生まれるなど、教員に意識の変化を促す契機にもなりました。 今後も、意識改革の機運を継続しながら勤務環境の変化に機動的に対応し、着実に粘り強く働き方改革を進めてまいります。 ○議長(佐藤武彦君) 警察本部長 加藤伸宏君。    〔警察本部長 加藤伸宏君登壇〕 ◎警察本部長(加藤伸宏君) 警察本部におけるワーク・ライフ・バランス等の推進についてお答えいたします。 議員御指摘のとおり、しっかり休みを取って心身のリフレッシュを図り、心身ともに健康でないと警察の職務を全うすることはできません。 そこで県警察では、従来からの取り組みを強化する形で、本年度より、ワーク・ライフ・バランス等の推進のための取組計画を策定して働き方改革に等に取り組んでおります。同計画では、全ての職員が責任と誇りを持って生き生きと働ける職場環境を整備するため、年次休暇取得日数等の客観的な達成目標を設定し、職員のワーク・ライフ・バランスに向けた取り組みを人事評価へ反映させることとしております。取組内容は、働き方改革、女性職員の活躍推進及び仕事と出産等を両立する職員の支援を三本柱としており、このうち働き方改革において、時間外勤務の縮減や休暇の取得促進、業務の合理化・効率化の推進、働く時間と場所の柔軟化等を図っております。 既にワーク・ライフ・バランスに関する意識改革は職員間に浸透してきており、例えば昨年の職員一人当たりの年次休暇取得日数は十・八日で、五年前と比較して四・七日増加しております。 今後も取組を進め、職員が責任と誇りを持って生き生きと職務に取り組み、県民の皆様に安全で安心して暮らしていただけるよう努めてまいります。…………………………………………………………………………………………… ○議長(佐藤武彦君) しばらく休憩いたします。 △午後零時一分休憩 …………………………………………………………………………………………… △午後一時再開 ○副議長(松岡正人君) 休憩前に引き続き会議を開きます。…………………………………………………………………………………………… ○副議長(松岡正人君) 引き続き一般質問並びに議案に対する質疑を行います。二十二番 高木貴行君。    〔二十二番 高木貴行君登壇〕(拍手) ◆二十二番(高木貴行君) 議長から発言のお許しをいただきましたので、通告に従い、順次四分割で、県民クラブ代表として、十八点について質問をさせていただきます。 まず初めに、新型コロナウイルス感染症対策に関する質問を五点させていただきます。 一点目は、国の経済対策に対する所見について質問をいたします。 先月となります十一月十九日、新型コロナで影響を受けた人たちへの支援や経済の再生に向けて、国が新たな経済対策を示しました。財政支出の総額は五十五兆七千億円余り、事業規模では七十八兆九千億円程度と言われており、過去最大の規模となります。 そして、新たな経済対策の概要は四つの柱から成り、一、新型コロナ感染症の拡大防止、二、社会経済活動の再開、三、新しい資本主義の起動、四、防災・減災、国土強靱化の推進が上げられています。 我々の生活に直結する部分について、具体的な例を示しますと、所得制限などで話題になりました十八歳以下を対象とした一人当たり十万円相当の給付、売上げが大きく減った事業者に対する支援金の支給、地方観光事業支援の継続、GoToトラベル事業の再開等が盛り込まれており、県民や県内の事業者にとっても、まさに渡りに船の対策であると思います。 今回の経済対策による経済効果は、GDPに換算して五・六%程度が見込まれているとのことであり、新型コロナウイルス感染症により疲弊した日本という国全体の活力の底上げにも資することが期待されるところです。 反面、その財源が国債の追加発行に頼る部分が多いことも考えると、財政再建の観点からは冷静に評価していかなければなりませんし、何よりもそのツケが将来、子供たちの世代に回ることを忘れてはならず、無駄なく有効に活用するべきであると強く感じております。 そして、今回の経済対策を受け、本日十二月八日、本会議に補正予算が追加上程されました。議案の概要については、本日先ほど午前中、古田知事から議案説明を受けたほか、本日の本会議後に開催される議案説明において、執行部から詳細な説明をいただくこととなっております。 このように、国から下りてくる対策は、コロナに疲弊する地方にとっては端的に非常にありがたい、有益なことと思いますし、まだまだコロナで傷んだ部分の手当ては相当に必要であります。継続的に必要な手当てを行っていくには、もちろん県として自助努力を怠ってはいけませんが、今後も国に対して要望するところは要望し、助けていただける部分は助けていただく必要があると率直に思います。 知事は、これまでにもコロナ対策に関する意見や要望を国に申し入れておられますが、いずれも切実な岐阜県としての声であり、果たして国から下りてくる対策にその声は盛り込まれているのか、実現されているのかという評価をしてほしいと思います。 そこで、知事にお伺いをいたします。 本日、関連する補正予算も上程されているわけですが、今回の国の経済対策について、岐阜県知事としてどのような評価をされているでしょうか、御答弁をお願いいたします。 二点目として、新型コロナウイルス感染症(第六波)とインフルエンザの同時流行を見据えた対策について質問をさせていただきます。 確実に来ると言われている新型コロナ第六波に加えて懸念されているのは、季節性インフルエンザの流行によるダブル流行であります。昨シーズンは、コロナ対策が功を奏し、インフルエンザの流行を抑え込んだと言われておりますが、いわゆる流行期を迎える今、今シーズンはどのようになるのか非常に心配されるところであります。確かにワクチン接種は進んでいますが、ブレークスルー感染が発生しております。 また、諸説あるようですが、ワクチンの効果が徐々に弱くなること、一説には、半年ほどで五〇%に減衰することが指摘されております。そう考えますと、今年の夏頃には一気に進んだワクチン接種ですので、ちょうど流行が活発となる年末から年明けにかけて、ワクチンの効果が弱くなってくる計算となります。 また、懸念されるのは、心理面の変化、つまり感染状況の鎮静化が続くことによる人々の意識が変化して、基本的な感染対策が緩んでしまうことにより、新型コロナとインフルエンザが同時に流行するのではないかということも懸念しております。 さらに、新型コロナウイルスもインフルエンザも初期症状は似ているということですから、医療機関の混乱も予想される上、同時に大きな流行が起きた場合には、それぞれ重症者が増えることになるのではないか、そうなった場合は医療崩壊とまでは言わずとも、医療逼迫を招くのではないかという心配の声も聞こえてきておりますし、ここに来てオミクロン株による感染拡大の懸念も出てきております。 そこで、県としては、新型コロナとインフルエンザの同時流行を見据えた対策や注意喚起などを県民にもっと強く発信するべきではないかと思います。 そこで、知事にお尋ねをいたします。 新型コロナ感染症(第六波)とインフルエンザの同時流行を見据えた対策について、御答弁をお願いいたします。 三点目としては、新型コロナウイルスワクチンの追加接種、三回目の接種の推進体制について質問をさせていただきます。 十二月一日から、限定的ではありますが、医療従事者を対象とした三回目のワクチン接種が始まりました。そして、来月、来年の一月からではありますが、県内十七の市町においては、高齢者を対象に接種が始まり、条件が合えば、順次十八歳以上の希望者を対象とした接種が始まるとのことであります。三回目の接種が進めば、コロナの抑え込み、鎮静化がさらに進むことが期待されるところではありますが、いろいろと懸念されることがあります。その最たるものが交互接種であります。 三回目では、一回目、二回目の接種と異なるワクチンを打つ交互接種をする人が増えると言われており、情報が錯綜して何らかの混乱が起きる可能性も考えられる上、その副反応や安全性についても大変気になるところです。健康に関することは、やはりどうしても神経質、敏感にならざるを得ない部分ですが、いずれも正確な情報を迅速・正確に伝達・提供することや、事前準備の徹底によりある程度不安が解消できるものと考えております。 もっと言えば、当県は、新型コロナ対策において、岐阜モデルを提唱して、オール岐阜により一丸となってコロナを乗り越えてきた実績があります。三回目のワクチン接種推進においても、これまでに得られた経験や教訓を生かして、迅速・確実・安心・安全に推進してほしいと強く願うところです。 そこで、健康福祉部長にお尋ねをいたします。 既に始まった三回目の接種、いわゆる追加接種ですが、今後さらに接種が加速してまいります。混乱なく、安心・安全・迅速に接種を推進するための体制やお考えについて御答弁をお願いいたします。 四点目は、ワクチン・検査パッケージ等に対する県としての考え方等について質問をいたします。 ついにといいますか、やっとといいますか、感染対策と日常生活の回復に向けた具体的な動きが出てまいりました。 ワクチン・検査パッケージについては、ワクチンの予防接種済証等を活用して行動制限を緩和するもので、医療提供体制が逼迫しそうな場合は、制度を適用しないこともあり得るとの意見はついておりますが、感染拡大時でも行動制限が緩和され、社会経済活動が前に進むことが期待されております。 政府分科会の尾身会長も、ワクチン・検査パッケージについては限界があるということを、十分知った上でやられてはどうかとコメントしており、この制度が万能、無制限ではないことを肝に銘じておく必要があります。 さて、ワクチン・検査パッケージでは、ワクチンの予防接種済証か、陰性の検査結果通知書が必要となります。ワクチンの予防接種済証等については、ワクチン接種を受けた方はお持ちのことと思います。陰性の検査結果通知書については、これまで有料のPCRか抗原検査を受けなければ結果通知書が発行されませんでしたが、ワクチン・検査パッケージの利用を促し、検査の受検を浸透させるため、健康上の理由等によりワクチン接種ができない方の検査が無料化される方針が示されております。 また、感染が拡大傾向にある場合で、知事が特措法に基づき、不安に感じる無症状者は検査を受けることを要請した場合、これに応じて住民が受検する検査も無料となります。 ワクチン・検査パッケージの制度等の詳細はこれから示されてくると承知しておりますが、予防接種済証等や陰性の検査結果通知書の有無によって、格差や分断が起こるのではないか。制度の周知不足や体制不足により足並みがそろわなかったり、所要の確認が履行されず抜けが出るのではないか。そして、結果的には絵に描いた餅になってしまわないかなどなどの懸念があります。 したがいまして、制度の実施に当たっては、岐阜県として綿密に検討・準備を重ねた上で実施に当たってほしいと思いますし、県民の安心のためにも、場合によっては誰でもPCR等検査が無料で受検できること、そして受検する体制を確実に備えてほしいと思います。 そこで、健康福祉部長にお尋ねをいたします。 今回、国から示されたワクチン・検査パッケージを推し進めるに当たり、岐阜県としての考え方について御答弁をお願いいたします。 また、併せて感染拡大傾向にある場合の無料PCR等検査の体制整備についても御答弁をお願いいたします。 新型コロナウイルス感染症に関する最後の質問、五点目は、コロナ禍における運行状況を踏まえた今後の地域公共交通支援策等について質問をいたします。 広大な面積を有する当県ですが、車社会という言葉に表されるように、車をお持ちの方はどこへ行くにも車で移動されることがほとんどであります。反面、車がない方にとっては、路線バスや電車などの公共交通機関に頼らざるを得ず、地方へ行けば行くほど、その重要性は増すことになります。 さて、地域の公共交通を担っている交通事業者さんの深刻な現状を御存じの方も多いと思います。改善が全く見込めない人口減少という社会背景の中で、昨年来続く新型コロナウイルス感染症の拡大により、交通事業者の経営状況はさらに悪化しております。そして、経営状況の悪化は、事業の縮小につながり、ひいては公共交通路線の見直しを迫られ、最悪廃止されるという事態を引き起こしております。 私の地元多治見市の人口は十一万人、岐阜県では比較的都市部であると言えますが、それでもある地域のバス路線が廃止されてしまいました。多治見市も例に漏れず車社会ではありますが、その路線を貴重な移動手段として頼りにしていた住民がいたことも事実であります。路線の廃止が及ぼす影響は、日常生活のみならず、地域の活力と活性化という点にも影を落としかねません。 このように、貴重な地方の公共交通網が失われている、あるいは失われようとしていることは、近い将来を見据えても、非常に深刻な問題であると思います。地方公共交通が果たしている役割は、単に住民の移動手段にとどまらず、社会経済活動や住民の健康福祉等にも及びます。 まだまだ続くコロナ禍とこれから迎える高齢社会、人口減少とこれに伴う過疎地域の増加などを併せて考えると、地域公共交通に寄せられる住民の期待はますます大きくなることが予想されます。行政機関は地域公共交通を積極的に支援し、その維持・存続に取り組んでいく必要があると私は思います。また、維持・存続と同列で、地域公共交通の活性化も推し進める必要があります。 現在、県では、地域公共交通計画の作成を進めておられると伺っておりますが、どうか実情や交通事業者の声を的確に取り入れた実効ある計画としてほしいと切に願うばかりであります。 そこで、都市公園整備局長にお尋ねをいたします。 移動手段として不可欠である地域公共交通の維持・確保に向けて、コロナ禍における厳しい運行状況を踏まえた今後の支援策について、御答弁をお願いいたします。 また、併せて現在策定中の地域公共交通計画の進捗状況についても御答弁をお願いいたします。 これで一回目の質問を終わらせていただきます。 ○副議長(松岡正人君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) 二点お尋ねがございました。 まず、国の今般の経済対策についての所見ということであります。 現在、新型コロナウイルス第五波は終息しつつあるわけでありますが、回復基調にあった県内企業の景況感は、この七-九月期において前期と比較して低下するなど、県内経済は依然として厳しい状況にございます。一方、世界的にはコロナ禍から回復基調の国も見られており、デジタルや脱炭素など、大きな環境変化に対応した日本経済の早期再生が急務であります。 このため、現在はオミクロン株への警戒も含めた第六波への備え、円高や原油高を含め厳しい環境にある事業者や県民への支援を行いつつ、同時に将来の成長を実現するため、アフターコロナに向けた積極的投資を行うべき時期というふうに認識をしております。 したがって、本県としては、第一に、感染拡大防止策の徹底、コロナによる影響を受ける方々への経済・生活支援など当面のウイズコロナ対応、第二に、DX、グリーン化などの積極的推進によるアフターコロナに向けた取組強化について、継続的に国に対しては要望をしてまいりました。 今般の国の経済対策には、こうした地方からの提言内容が多く反映されておりまして、基本的には評価できるものと考えております。 まずウイズコロナ対応でありますが、病床、宿泊療養施設臨時医療施設の充実をはじめとするコロナ対応全般に活用可能な地方創生臨時交付金が六・八兆円増額されました。さらに、ワクチン三回目接種の無償化、ワクチン国内開発への支援など、各種の感染対策も盛り込まれました。また、生活・経済支援として、事業者に対しては、地域や業種を限定しない事業復活支援金の創設、資金繰り支援の延長、生活困窮者に対しては、住民税非課税世帯への給付金、緊急小口資金及び雇用調整助成金の特例延長などが盛り込まれております。また、コロナ予備費の適時適切な執行についても盛り込まれたところであります。これらについては、地方にとってはありがたい、思い切った対策として評価をしております。 一方、アフターコロナに向けた対応でありますが、未来社会を切り開く新しい資本主義を起動させるため、デジタル田園都市国家構想、二〇五〇年カーボンニュートラルに向けたクリーンエネルギー戦略などが位置づけられております。 その方向性自体は評価できますが、デジタル田園都市国家構想については、来春に構想の取りまとめが予定されており、また経済対策で盛り込まれた同構想の推進交付金二百億円については、いまだ事業概要が示されておりません。また、クリーンエネルギー戦略については、今後、キックオフの有識者会合が開催されようとしている段階であります。このように、実現に向けた具体的な道筋は、今後の検討に委ねられているものと感じております。 そのため、本県から国に対して、これらの施策に対し、積極的に事業提案を行い、十分な財源を獲得し、アフターコロナに向けた施策を具体化してまいりたいと考えております。 次に、新型コロナウイルス感染症対策とインフルエンザの同時流行を見据えた対策ということについてのお尋ねでございます。 気温が低下し、空気が乾燥する冬期間は、季節性インフルエンザの感染者が増加いたします。そのため、この冬におきましても、新型コロナウイルスと季節性インフルエンザの同時流行が懸念されるわけであります。先月二十九日にまとめました「新型コロナウイルス感染症対策感染拡大防止社会経済活動の両立~」におきましても、その対策を盛り込んだところであります。 まず、発熱や倦怠感といった症状が似通っている新型コロナと季節性インフルエンザの双方に適切に対応できる体制整備であります。県では、昨年十月以来、かかりつけ医等の身近な医療機関において、適切な相談、診療、検査を行うことのできる診療・検査医療機関を県医師会、病院協会と連携して設置してまいりました。当初は三百五十機関程度を想定しておりましたが、昨年十二月十一日時点では五百二十二機関、本年十二月六日時点では六百八十四機関まで拡大し、県全体にわたって体制整備が進んでおります。 また、全国のインフルエンザワクチンの供給状況につきましては、平成八年度以降で最大となった昨年度の供給量が約六千六百万人分ということでありますが、これには及びませんが、今年度は例年の使用量と同等の五千六百万人分が全国に供給されることになっておりまして、医療機関において順次接種が行われております。 そこで、季節性インフルエンザの流行状況であります。二年前、令和元年度のコロナ流行直前には、岐阜県において十一月二十一日に流行に入り、十二月十九日にインフルエンザ注意報、十二月二十六日に同警報を発表するなど、県内でも大きな流行が見られました。 一方、昨年度はシーズンを通じて一度も流行入りせず、本年度も現時点では、昨年度と同様に季節性インフルエンザ感染者の報告数は極めて低い水準にあります。これは本県だけではなく、全国的にも同様の傾向でありまして、新型コロナ対策として、マスク着用など基本的な感染対策の徹底がなされていることが大きな要因だと考えられます。 そのため、引き続き、マスクの着用、手洗い、密の回避、小まめな換気などの基本的な感染症対策の徹底を県民の皆様にお願いしてまいります。そして、症状がある場合には、身近な診療・検査医療機関を速やかに受診し、感染症に応じた適切な医療を受けていただくよう周知徹底いたします。これにより、新型コロナウイルスのみならず、季節性インフルエンザを含めた感染症の拡大防止を図ってまいります。 ○副議長(松岡正人君) 健康福祉部長 堀 裕行君。    〔健康福祉部長 堀 裕行君登壇〕 ◎健康福祉部長(堀裕行君) 三点御質問をいただきました。 まず、追加接種の推進体制等についてお答えします。 追加接種については、先月二十九日、当面の方針をオール岐阜体制で決定し、接種間隔や接種順位とともに、市町村接種を基本に、職域及び大規模接種のベストミックスで推進することを確認しました。これを踏まえ、一、二回目接種と同様に、医療関係者、市町村、職域関係者、県が綿密に連携し、接種体制を構築してまいります。 追加接種に当たっては、ワクチン供給の制約もあり、速やかに追加接種を実施するためには、交互接種の実施が必要となります。現時点では、交互接種による影響についてはデータが限られるところではありますが、接種される方々に、その安全性、副反応や接種の効果など正確な情報をお伝えする必要があることから、国に対し、最新情報の迅速かつ分かりやすい発信を、全国知事会を通じて強く求めております。 追加接種は、ワクチンの感染及び重症化予防効果の継続のため重要であり、県としても、県民への迅速かつ正確な情報の丁寧な説明に努め、迅速かつ円滑な接種を推進してまいります。 次に、ワクチン・検査パッケージを推し進めるに当たっての県の考え方についてお答えします。 ワクチン・検査パッケージは、感染拡大時において一定の行動制限を緩和し、かつ希望される事業者においてのみ適用されるものです。その実施に当たっては、議員御指摘の格差や分断、制度の抜けなどには十分留意していく必要がございます。 県としては、制度導入の前提として、健康上の理由等によりワクチン接種ができない方へのハラスメントは許されないことについて、県民への呼びかけや相談対応をきめ細かに行ってまいります。 また、ワクチン・検査パッケージの実務は基本的には事業者が行うこととなりますが、国からは具体的な事務の詳細は必ずしも明確に示されておりません。そのため、全国知事会を通じて、国に対し、具体的な制度内容の提示、全国共通の基準策定などについて求めているところです。 このように、ワクチン・検査パッケージの運用については慎重に対応してまいります。 次に、感染拡大傾向にある場合の無料のPCR等検査の体制整備についてお答えします。 県は、現在、ワクチン・検査パッケージの一環として、健康上の理由等でワクチン接種ができない方に加えて、感染拡大時には感染に不安のある全ての方を対象に、身近な薬局等において無料の検査が受けられるよう体制整備を進めております。具体的には、県薬剤師会、県内を広くカバーするドラッグストアなどと個別に調整し、感染防止に配慮した専用スペースの確保などの実施体制について協議を進めております。 具体的な制度の運用は国の補正予算の成立後となりますが、県民の皆様が身近な薬局等で検査が受けられるよう、地域的なバランスに配慮しながら、今月末に向けてなるべく多くの検査場所を確保しつつ、さらに順次拡大してまいります。 ○副議長(松岡正人君) 都市公園整備局長 湯澤将憲君。    〔都市建築部都市公園整備局長 湯澤将憲君登壇〕 ◎都市建築部都市公園整備局長(湯澤将憲君) コロナ禍における運行状況を踏まえた今後の地域公共交通支援と地域公共交通計画の策定の進捗状況についてお答えいたします。 まず地域公共交通への支援でありますが、現時点での利用者数はコロナ前の水準に戻っておらず、いまだ厳しい経営状況にあります。 このため、地方鉄道の維持修繕や路線バスの赤字補填などの財政支援制度に加え、九月補正予算において、地方鉄道が実施する感染症拡大防止対策や利用促進のための広報等に対する補助金を創設し、併せて本定例会の補正予算において地方鉄道への補助金の増額を行うとともに、新たに路線バスに対する同様の支援について計上いたしました。 加えて、国の経済対策における事業復活支援金、無利子融資に係る支援等についても活用を促してまいります。 次に、地域公共交通計画策定の進捗でありますが、現在、市町村、交通事業者などとの意見交換を丁寧に進めているところです。来夏の策定に向け、コロナ禍などの社会情勢の変化を踏まえ、MaaSなどの新モビリティサービス導入を盛り込みつつ、持続可能な地域公共交通を目指した計画となるよう検討を進めてまいります。 ○副議長(松岡正人君) 二十二番 高木貴行君。    〔二十二番 高木貴行君登壇〕 ◆二十二番(高木貴行君) 次に、大きく二点目は、県による結婚支援事業の在り方について質問をさせていただきます。 少子高齢化への対策にいろいろと取り組まれているところではありますが、県では、ぎふマリッジサポートセンターを設置し、セミナーやお見合い・出会いの場の提供や独身者への意識啓発、出会いから成婚に至るまでの結婚支援事業を行っております。 先般、センターの実績をお尋ねしたところ、センターでお見合いをマッチングした方の中で結婚に至ったとの報告のあった件数は、支援事業を開始した平成二十七年度から昨年度までで五十八組とお聞きしました。 さて、本年六月に厚生労働省が発表した人口動態統計によれば、全国の婚姻数は戦後最少の五十二万五千四百九十組、赤ちゃんの出生数も八十四万八百三十二人と五年連続で過去最少を更新したとのことでありますが、率直に非常に厳しい数字であると感じております。 少子化対策については、当県のみならず、多くの自治体で取り組んでいるところですが、数字が示すように、大きな成果につながっていないように思います。これに加えて、このコロナ禍は、人々の行動や考え方に変化を起こし、ひいては生き方や人生観などにも大きく影響を及ぼしているとも言われています。つまり、これまで取り組んできた少子化対策はもう通用しないのではないか、限界を迎えているのはないか、実効性がなくなってきているのではないかと感じております。 県としては、結婚支援事業として税金を投入している以上、不断の効果検証が必要であることは言うまでもありません。 また、実際に検証してみなければ分かりませんが、例えば事業効果を上げるためには予算の使い方の切り口を変えてみることも考えてみてはどうかと思います。 先般、県内で結婚式場を運営する十九社でつくる清流の国ぎふブライダル協議会が発足したと新聞で拝見いたしました。なお、協議会には、県政自民クラブの若井議員や公明党の澄川議員の名前も連ねておられます。この協議会の狙いは、コロナ禍で結婚式のキャンセルや延期を余儀なくされたカップルに対する助成金、補助金制度を創設するよう働きかけるなど、国・県、市町村への発信力を高めることが狙いと伺っております。 思い起こせば、平成十九年、二〇〇七年ですが、の第五回定例会の一般質問、私は人口減少、少子化対策問題に関する質問として、少子化の最大の要因として晩婚、非婚が上げられていることから、入り口対策として、まず結婚について対策を講じるべきだという内容を質問させていただきましたが、私が独身だったがために、それもあるとは思いますが、賛否両論あり、色よい返事もいただけませんでした。また、私の覚えでは、当時の少子化対策に充てられていた予算は、年間二百万円でありました。 あれからちょうど十四年がたちましたが、今はどうでしょうか。県の予算は、二十倍の約四千万になりました。また、国も市町村も多額の予算を組んで少子化対策に取り組んでいます。この十四年間で社会情勢も人々の考えも大きく変わりました。今こそ積極的な策に出るべきだと思います。 例えばぎふマリッジサポートセンターの年間予算は、先ほど申し上げたとおり、およそ四千万円、これをどう使うのかという切り口ですが、私の元に聞こえてくる声の一つに、きっかけがあれば結婚したいという声があります。結婚を決断するきっかけは人それぞれであると思いますが、やはりお金は重要なファクターの一つだと思います。 そこで、例えばぎふマリッジサポートセンターを介して成婚したカップルには、県内の結婚式場、ブライダル事業者を利用することを条件として、思い切って、例えば五十万円支給する、百万円支給するくらいの施策を打ってみてはどうでしょうか。結婚にインセンティブを導入することには賛否両論あると思います。これもあると思いますが、しかし、もし結婚を考えているけれども結婚に踏み切れない人たちにとって一つのきっかけになるのであれば、予算の使い方としては有益ですし、少子化対策の実効性も上がり、話題性という面でもありだと思います。 もろもろと申し上げましたが、今こそ、結婚支援事業の施策内容や予算の費用対効果を検証し、結果が伴っていなければ、抜本的な事業の見直しや予算の活用方法を再検討してみるタイミングが来ていると感じています。 そこで、知事にお尋ねをいたします。 現状を踏まえ、県による結婚支援事業の在り方について、御答弁をお願いいたします。 次に、大きく三点目は、国際陶磁器フェスティバル美濃21に対する評価等について質問をさせていただきます。 本年九月三十日から十月十七日まで、多治見市内にあるセラミックパークMINOにおいて、世界最大級の陶磁器に特化したトリエンナーレ「国際陶磁器フェスティバル美濃21」が開催されました。今回は秋篠宮眞子様、現在は小室眞子さんが名誉総裁を務められたことでも注目を浴びました。 十二回目を迎えたこのイベントですが、これまでの最多となる六十四の国と地域から作品が寄せられたと伺っており、まさしく国際という名にふさわしいイベントに成長してきたと実感したところであります。 私も鑑賞させていただきましたが、個人的にはヘレンド展が大変印象に残っておりました。なお、ヘレンドというのは、もともとハンガリーにある村の名であり、名窯として世界に知られる磁器製品のブランドメーカーであります。そのヘレンドの全面協力の下で展示された日本初公開の作品など多数の陶磁器は繊細にして圧巻であり、大変すばらしい展示でありました。 ほかにも紹介したいことはありますが、コロナ禍で規模を縮小等しての開催であることをみじんにも感じさせない、実にすばらしいフェスであったと思いますし、その発信力や影響力も非常に高いポテンシャルを有しているイベントであります。 どうか、今度も岐阜県が誇るべき美濃焼の歴史、伝統、文化、風土、産地の魅力等を引き続き発信して、陶磁器産業の発展・振興につなげてほしいと願うとともに、次回の三年後の開催についても大きく期待をする次第であります。 そこで、知事にお尋ねをいたします。 本年開催されました国際陶磁器フェスティバル美濃21に対する率直な評価と今後のフェスティバルに対する思いをお聞かせください。 次に、大きく四点目として、地域脱炭素ロードマップを受けた県としての考え方と今後の方針について質問をいたします。 脱炭素とかカーボンニュートラル、カーボンゼロという言葉を目にしたり、耳にする機会が増えてきたと感じております。それだけ浸透してきたということだと思いますし、国や自治体の動きもここに来て加速をしてきております。 本年六月、国・地方脱炭素実現会議より、「地域脱炭素ロードマップ」「地方からはじまる、次の時代への移行戦略」が示されました。この指針は、地域問題の解決、地域の魅力と質を向上させる地方創生に資する脱炭素に国全体で取り組み、さらに世界へと広げるために、特に二〇三〇年までに集中して行う取り組み、施策を中心に、地域の成長戦略ともなる地域脱炭素の工程を具体的に示したものであります。 一例を挙げますと、地域脱炭素を実現するための取り組みの中に、屋根置きなどの自家消費型の太陽光発電の導入が盛り込まれ、その姿、目標には、政府及び自治体の建築物及び土地では、二〇三〇年には設置可能な建築物等の約五〇%に太陽光発電設備が導入され、二〇四〇年には一〇〇%導入されていることを目指すことが示されております。 そのほかにも、脱炭素に関わる個別分野別の対策や促進施策、ロードマップ実施のための取り組みなど、実に多岐にわたる項目が盛り込まれておりますが、二〇三〇年まであと九年、あと九年で多くの目標を達成するには、綿密な計画と強力な施策の推進が必要だと思います。 そこで、環境生活部長にお尋ねをいたします。 本年、国から示された地域脱炭素ロードマップの中でもとりわけ重要と思われる、公共施設への太陽光発電設備の導入に対する県としての考え方と今後の方針について御答弁をお願いいたします。 大きく五点目は、今後の社会情勢を見据えた移住・定住について質問をいたします。 当県のみならず、いわゆる地方の自治体において、おのおのの特色を前面に出し、移住・定住施策に力を入れておりますが、現実とはといいますと、多数の方々がこぞって移住に押し寄せてくることはまずないでしょう。かといって、何も期待せず、手をこまねいているわけにもいきませんが、今は時代の転換期と捉え、人々の行動や考え方の変化に合わせた柔軟な対応策を進めていく必要があると思います。 先日、「若年層ほど地方移住に関心あり」という記事を拝見いたしました。これは、高知県高知市が「地方移住への意識」をテーマに、今年八月十日から八月十八日までの間、全国の二十から六十代以上の男女千七百六十六人を対象に行ったインターネット調査がベースとなっております。この調査によりますと、「地方に移住済み」と「地方移住に関心がある」と答えた方は五百五十二人、全体の三割超であり、年代別では、二十代、三十代の若年層が移住に関心を寄せている傾向が高いという結果でありました。 また、この調査では、既に移住した人と地方移住に関心がある人を対象に、コロナ前後で地方移住に関する関心の変化についても調査をされており、「コロナ禍で地方移住への関心が高まった」と答えた人は二九・二%を占めたとのことでした。 移住というと、一昔は定年後は伸び伸びと静かな地方でという、どちらかといえばミドル・シニア層が関心を寄せているイメージでありましたが、コロナ禍がもたらした価値観の変化などにより、人々の意識が変わってきている証左だと思います。 コロナ禍の完全終息にはまだまだ時間を要するでしょうし、地方移住への期待とか機運の高まりが続くことが予想されますので、これらの情勢を敏感に捉えた柔軟かつ効果的な対応を施していく必要があると思います。 そこで、清流の国推進部長にお尋ねをいたします。 今後の社会情勢を見据えた移住・定住施策についてどのようにお考えか、御答弁をお願いいたします。 次に、大きく六点目として、県民相談対応におけるオンライン相談(システム)の導入について質問をいたします。 政府においてデジタル庁が発足、国を挙げて官民一体となったDXが推し進められていますが、当県でも、「誰一人取り残されないデジタル社会である岐阜県」を基本理念とした岐阜県デジタル・トランスフォーメーション推進計画の策定が進められており、令和四年度から本格的な取り組みが開始されると伺っております。DXの推進により、生産性・利便性の向上、業務の最適化、合理化、簡素化、効率化、正確性の向上などが期待されておりますが、行政サービスこそ後れを取ることなく、的確に対応していく必要があります。 そこで、取り上げるのが相談です。 県民から行政機関に寄せられる相談は実に多種多様であり、相談に関して利便性が向上することは、相談をする県民側にも、相談を受ける行政側にも大きなメリットがあるということは言うまでもありません。一昔前は、行政機関の窓口へ出向いての相談か、電話による相談受付が主流といいますか、それが当たり前の時代でありました。そして、その対応時間もきっちり執務時間内のみだったわけでありますが、時は流れ、メールやフォーム入力により相談も可能になりました。そして、最近では、AIを活用したチャットボット機能による相談システムが導入されております。 このように、利便性の向上や相談受理態様の多様化がますます進んでいるわけですが、これからの時代を見据え、当県もオンライン相談を取り入れてはいかがでしょうか。ほかの自治体でも、既にオンライン相談の導入が進んでいますし、実現までのハードルもそう高くないと思います。 まずもって機材については、幅広い年代で普及しているカメラつきのスマホやタブレット端末、パソコンで対応が可能ですし、これら端末は現在珍しいものでもなく、いわゆるポピュラーなものと言えます。 システムについては、Zoomなどに代表される無料のビデオ会議システムが広く普及していますし、ダウンロードも簡単にできます。つまり、既存のものを活用すれば、新たな設備投資はほとんど不要です。 オンライン相談が可能となれば、相談者は自分の生活環境に合わせて、例えば自宅から、職場から、出先から、気軽に担当者との面談形式での相談が可能となります。また、画面越し、面と向かってという特徴を生かせば、資料を提示しながらの相談、さらには手話通訳による相談も可能となり、実に幅広い対応につながると思います。 他方、相談を受ける側にとってもメリットは多いと思います。相談内容を確実に把握できることはもちろんのこと、相談者の表情や温度感を酌み取ることができるほか、顔を合わせることで信頼感や安心感の醸成につながり、ひいては丁寧かつ親切・適切な対応につながると思います。 そこで、総務部次長情報推進課担当にお尋ねをいたします。 新型コロナウイルス感染症の拡大を契機に一気に進むDXでありますが、県民から寄せられる相談の利便性を高め、適切な対応につなげるためにオンライン相談を導入するべきであると考えますが、その御所見について御答弁をお願いいたします。 次に、大きく七点目として、東海環状自動車道東回り区間の進捗状況と今後の取り組みについて質問をいたします。 先月十一月十九日、私が所属をしています土木委員会の視察において、海津市南濃町地内で整備が進められている東海環状自動車道西回り区間の一部となる津屋川渡河橋を視察させていただきました。現地では、津屋川や養老鉄道を渡河する橋梁の架設が進んでおり、手延べ機という特殊な機械を用いた送り出し工法によって架設が行われていました。現在実施されている送り出し工法による架設は日本最大級とのことで、長さ約八十メートル、幅約十一メートル、重さ約七百五十トンの橋桁をワイヤーなどで引っ張り、一分間に五十センチずつ送り出されて架設されていく様子は圧巻でありました。 さて、この東海環状自動車道、愛知県豊田市から岐阜県内の主要都市をぐるっと経由して、三重県四日市市に至る延長約百五十三キロの高規格道路ですが、平成二十一年四月までに豊田東ジャンクションから関広見インター間の東回り区間が開通し、西回り区間も山県インターチェンジから大野神戸インターチェンジ間が令和六年度、養老インターチェンジから北勢インターチェンジ間が令和八年度に開通する見通しが示されているなど、いよいよあと五年後には全線開通を迎えます。 東海環状自動車道の全線開通によって、新たな広域ネットワークが構築されることとなり、交通の分散や通過交通の流入抑制など、都市部の渋滞を緩和する機能や、発生が危惧されている南海トラフ地震のような大規模災害時の迂回路としての機能など、東海環状自動車道に対する期待は非常に大きなものがあります。 また、西回り区間の開通によって、新たな企業の進出による製造品出荷額等が増加することや、県内唯一の高度救命救急センターである岐阜大学医学部附属病院への搬送時間が短縮されること、初めて三重県と高速道路で直接結ばれることによる新たな地域連携が生まれること等、そのストック効果は計り知れません。 一方で、開通済みである東回り区間のうち、土岐ジャンクションから関広見インター間においては、暫定二車線による整備となっております。この二車線区間では、正面衝突など悲惨な事故や交通渋滞の発生が懸念されるとともに、大規模災害時の復旧には長期の全面通行止めを要するなど、定時性や安全性に関わる課題が大きい状況となっております。 最近では、平成三十一年三月に、東海北陸自動車道の白鳥インターチェンジから飛騨清見インターチェンジ間の四車線化が完成したことで、一宮ジャンクションから飛騨清見インターチェンジ間の約百二十キロメートルが四車線となりました。これにより、お盆などに発生していた交通集中による渋滞がおおむね解消されるなど、大きな効果が現れております。 また、令和二年七月豪雨では、下呂市小坂町門坂地内において、飛騨川の増水により並行する国道四十一号が流失し、長期間の通行止めとなりましたが、既に四車線化されていた東海北陸自動車道は豪雨による一時的な通行止めがあったものの、迂回路として有効に機能をいたしました。 このように、東海環状自動車道も四車線化が完成して初めて、強靱な道路ネットワークが構築されたわけであります。よって、今後は、全線開通に向けて西回り区間に注力することに加え、より信頼性の高いネットワーク構築をするための東回り区間の四車線化も推進していく必要があると考えております。 そこで、県土整備部長にお尋ねをいたします。 東回り区間の土岐ジャンクションから可児御嵩インターチェンジ間における四車線化の進捗状況と、残る可児御嵩インターチェンジから関広見インターチェンジ間の四車線化に向けた県の取り組みについて御答弁をお願いいたします。 次に、大きく八点目として、ぎふ木育の推進について質問をいたします。 当県では、令和二年七月にぎふ木育の拠点として、ぎふ木遊館及び森林総合教育センター(morinos)がオープンし、一年とちょっとが経過したところであります。 新型コロナウイルス感染症が広がりを見せる中でのオープンではありましたが、ぎふ木遊館では、感染予防対策のための事前予約制としながらも、今年の十月七日には入館者三万人を達成しています。この数字に達成に至るには、例えば木育ひろばで、ぎふ木育の指導者が木のおもちゃでの遊びをサポートするなど、週末を中心に、昨年度は三十五種類の木育プログラムが実施されたところであります。 また、森林総合センター(morinos)においても、同じように感染防止対策を実施しながら、本年十月末現在で約一万八千人の方に利用していただいており、昨年度は六十三種類の森林教育プログラムを実施し、森林に親しむプログラムに加え、教育機関や指導者向けのプログラムも行っておられるとのことです。 いずれもコロナ禍での地道な取り組みを積み上げた結果の入館者数であり、関係者の皆さんの熱意を感じるところであります。 さて、両施設のオープンにより、子供から大人まで幅広い世代の方を対象に、森や木に親しむ機会が増えたところでありますが、ぎふ木遊館では岐阜圏域、morinosでは中濃圏域と、近隣からの利用者が多くなっていると伺いました。ぎふ木育を県下全域に普及していくためには、両施設を核とした様々な取り組みを通じて、県民の誰もが身近にぎふ木育を体験できる環境を提供することが必要と考えます。 そこで、オープン以来一年を過ぎましたぎふ木育の拠点、ぎふ木遊館及びmorinosを核としたぎふ木育の今後の全県展開に向けた取り組みについて、林政部長にお尋ねをいたします。 ここで二回目の質問を終わります。 ○副議長(松岡正人君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) 二点御質問がございました。 まず、県による結婚支援事業の在り方についてでありますが、御指摘のぎふマリッジサポートセンターでありますけれども、結婚相談所を設置している市町村からの要請に応じて、市町村の結婚相談所のネットワーク化と市町村域を超えた広域的なマッチングを目的として、平成二十七年度に県が開設したと、こういう経緯がございます。 県としては、このセンターを結婚に関する総合支援拠点というふうに位置づけております。お相手探しのお手伝いだけではなしに、様々なアンケート、相談内容を基に利用者目線でいろんな事業を企画してまいりました。例えば、異性との接し方が分からないという相談をきっかけとしたコミュニケーションについてのセミナーでありますとか、子供へのアドバイスの仕方に悩むという親御さんからの声に対応した親向けの婚活ブックでありますとか、若いときに結婚について考える機会が持てるとよかったという経験談に応じて、大学や企業でのライフデザイン講座の開催といったことも行ってきておるわけであります。 他方、登録会員の男女比率の格差を改善するため、女性のお試し会員登録制度を平成三十年から、より相性のよいお見合い相手をAIが見つけるマッチングシステムを令和二年から、それぞれ導入しております。 こうした様々な取り組みによって、センター開設時からの成婚報告数は五十八組にとどまっておりますけれども、昨年度のお見合いのマッチング依頼件数、センター開設時の約八倍の三千百六十件、交際に至った数も約十倍の百五十二件と増加してきております。 また、今年度は、お見合いや婚活イベントの中止で出会いの機会が減ったということを受けまして、自宅で相手を探しお見合いができるオンライン婚活を開始するとともに、出会いのきっかけづくりとして、企業に勤務する独身者を対象に異業種交流といったような企画も予定をしております。 今後の結婚支援の在り方でありますが、市町村間の広域連携、結婚への機運醸成といった観点から、このセンターによる結婚支援事業は引き続き必要ではないかと思っております。一方で、御指摘のとおり、費用対効果についての不断の検証と必要な見直しは不可欠であります。コロナ前より若者の結婚への関心が高まったといった内閣府の調査結果など、コロナ禍による価値観の変容も見込まれます。 来年度以降も、若い世代の意見も聞きながら、より効果的な事業を企画してまいりたいと思っております。 なお、御提案の財政的インセンティブでありますが、引っ越し、家具家電購入、リフォームといったことに対する支援に活用できる国交付金がございますので、まずはその利用を市町村に促してまいりたいというふうに考えております。 次に、国際陶磁器フェスティバル美濃21に対する評価でございます。 今回で十二回目の開催となりました。本来であれば、三年に一度のトリエンナーレということで、昨年度開催する予定でありましたけれども、コロナ感染者の拡大により延期を余儀なくされたわけであります。今年は、第五波の状況を慎重に見極めつつ、実施事業を縮小し、入場制限を収容人員の三〇%とすることに加えて、期間も短縮して、そういう意味で慎重な上に慎重に開催をしたということでございます。こうした難しいコロナ禍の状況ではございましたが、期間中には一万人を超える方々が来場され、一日当たりの来場者数は前回を上回ったわけであります。 「木と緑とやきものの空間」をテーマに建築家の藤森照信氏がデザインしました国際陶磁器展美濃の会場につきましては、来場者の皆様から、焼き物と自然が調和し、作品が見やすく、大変よかったといった高い評価をいただいております。 また、国際的なスケールでの陶磁器の産業、文化の発信、連携の深化といった意味でも大きな成果があったというふうに思っております。 御紹介がありましたとおり、国際陶磁器展美濃には、過去最多となる六十四の国と地域から二千四百三十五作品の応募をいただきました。まさに国際的なコンペとしての評価が高まったと考えております。 また、開催に先駆けまして、本県とハンガリーの世界的な陶磁器メーカーであるヘレンド社との間で友好協力に向けた覚書を締結いたしました。そして、その協力覚書の実行の第一弾として、同社の日本初公開となる貴重な作品を含む「セラミックバレーと世界の陶磁器展」を開催したところであります。これは、国際陶磁器展美濃との絶好の組合せ、絶好のタイミングであったというふうに思っております。 次期開催に向けましては、こうしたレガシーをしっかりと引き継ぎ、さらなる発展を目指していく必要があります。このため、例えば国際陶磁器展美濃の世界的なコンペとしての評価をさらに高めるため、審査員選定の在り方の見直し、受賞作家の個展の開催やバイヤーの招致などの新たな展開、そしてこれらを進める実行委員会の継続的な活動の在り方などの検討も必要ではないかと考えております。 これらにつきましては、近く開催されます実行委員会においても、しっかりと議論していきたいと思っております。 ○副議長(松岡正人君) 環境生活部長 内木 禎君。    〔環境生活部長 内木 禎君登壇〕 ◎環境生活部長(内木禎君) 地域脱炭素ロードマップを受けた公共施設への太陽光発電設備の導入に対する県としての考え方と今後の方針についてお答えします。 県では、自らの温室効果ガス排出量を二〇三〇年度に二〇一三年度比七〇%削減するとの高い目標を掲げ、今年度から九十七の県有施設で再生可能エネルギー由来の電力調達に取り組んでいます。 地域脱炭素ロードマップの考え方を踏まえると、こうした取り組みに加え、再エネ全体の創出量を大幅に増やす必要があると考えております。このため、太陽光発電設備設置による自家発電、自家消費を県の計画に追加し、国と同じく、二〇三〇年度までに、設置可能な施設等の五〇%への導入を目標に定めました。 今年度は、県有施設二百十八か所と遊休地四十六か所で太陽光発電設備の導入可能性調査を実施しており、設置可能な施設数や最適な発電量に加え、自己所有型やリース型、初期費用を伴わない第三者所有型といった導入手法別の費用なども明らかにする予定です。 さらに、他の自治体等の先進事例も研究しながら、来年度の具体的な導入計画の策定と、これに基づく各施設への設備の導入につなげてまいります。 ○副議長(松岡正人君) 清流の国推進部長 丸山 淳君。    〔清流の国推進部長 丸山 淳君登壇〕 ◎清流の国推進部長(丸山淳君) 今後の社会情勢を見据えた移住・定住施策についてお答えいたします。 昨年度、本県への移住者は過去最高の千七百五十二人、そのうち二十代、三十代の若者が七割強を占めるなど、コロナ禍を契機とした若年層が中心となる地方回帰の機運が明確になっております。こうした地方回帰の動きをさらに加速させるべく、今回の議会に、特に名古屋圏をターゲットとした本県への転職・副業フェア開催の予算を御提案しておりますが、さらに、三大都市圏における大規模交通広告、市町村の特性をアピールする移住セミナーの開催など、多様な移住・定住施策を展開してまいります。 また、移住に限らない形で地域と地域外の人をつなぎ、地域の活力を維持し向上させるべく、オンラインを活用した地域外人材との協力による地域課題の解決の取り組みなど、DXを活用した新しい地方との関わり方を提案してまいります。 本県は、都市機能と地方暮らしの双方を楽しめ、またリニア開業でアクセス向上が見込まれる強みがありますので、これを生かし、新次元の地方分散に向けて積極的に取り組んでまいります。 ○副議長(松岡正人君) 総務部次長情報化推進担当 阿部修二君。    〔総務部次長情報化推進担当 阿部修二君登壇〕 ◎総務部次長情報化推進担当(阿部修二君) 県民相談対応におけるオンライン相談の導入についてお答えいたします。 県民等からの相談対応においては、その内容が多岐にわたり、相談者の置かれた状況も様々であることから、例えばSNS等を相談の窓口としつつ、対面でのリアルなサポートにつなげるなど、それぞれの政策分野において、適した手法が取られているところです。 そうした中で、オンライン相談についても、遠隔や在宅からでも相談しやすい等の利点を生かし、女性の就労・子育てサポートや就農希望者に対する個別相談、あるいは県外在住者からの移住・定住相談等において既に活用しております。 他方、県の総合案内については、本年四月からAIチャットボットによる自動応答サービスを開始し、職員の負担なく、夜間休日を問わず問合せに対応できる仕組みを整えたところです。 今後は、相談者を必要なサポートにつなぐことができるよう、例えばチャットボットを個別のオンライン相談窓口と連携させるなど、必要な対応について、他県の取り組みや利用者のニーズも踏まえながら検討してまいります。 ○副議長(松岡正人君) 県土整備部長 船坂徳彦君。    〔県土整備部長 船坂徳彦君登壇〕 ◎県土整備部長(船坂徳彦君) 東海環状自動車道東回り区間の四車線化に向けた取り組みについてお答えします。 この東回り区間は、中央自動車道と東海北陸自動車道を結び日本の経済や産業を支える環状道路として、早期の四車線化が強く望まれております。 これまでに事業化されております土岐ジャンクションから可児御嵩インター間の約十キロメートルのうち、土岐ジャンクション側の約四キロメートルの区間については、現在、四車線化に向けた工事の発注準備が進められております。 また、可児御嵩インター側の約六キロメートル区間では、先月までにトンネルや橋梁などの大規模な構造物の工事が全て発注され、令和六年度までの完成を目標に整備が進められております。 一方、可児御嵩インターから関広見インター間については事業化されておらず、現時点では工事着手の時期も明らかにされておりません。 このため、東回り区間全線の四車線化に向け、残るこの区間の早期事業化について、引き続き沿線自治体などとともに、国等関係機関に対し強く働きかけてまいります。 ○副議長(松岡正人君) 林政部長 高井峰好君。    〔林政部長 高井峰好君登壇〕 ◎林政部長(高井峰好君) ぎふ木育の推進についてお答えします。 ぎふ木遊館やmorinosでは、森や木に親しむ体験やプログラムが子育て世代の共感を呼び、多くの方に御利用いただいています。しかし、コロナ禍の中でその来館者は、ぎふ木遊館では約八割が岐阜圏域から、morinosでは約五割が中濃圏域からとなっており、今後は両施設の取り組みをさらに県下各地に広げていきたいと考えています。 このため、ぎふ木遊館では、この十月から県下百一か所で認定したぎふ木育ひろばで木育プログラムを実施する移動型ぎふ木遊館を、morinosでは、学校等に出向き、森の体験活動を行う森の出番プロジェクトを十一月から始めたところです。 また、こうした取り組みを各地に根づかせるため、これまで両施設で行っていた指導者養成研修を、来年度は東濃や飛騨圏域でも実施するとともに、各地で自然体験活動等を実践している指導者との連携も強化してまいります。 ○副議長(松岡正人君) 二十二番 高木貴行君。    〔二十二番 高木貴行君登壇〕 ◆二十二番(高木貴行君) それでは引き続き、大きく九点目として、県立高等学校の定員公表の在り方について質問をいたします。 年末を迎え、高校や大学への進学を目指す受験生にとっては、大切な時期がやってきました。年が明ければ受験シーズンに突入していくことになりますが、どうか受験生の皆さんには、健康に留意しながら全力を尽くしてほしいと願うところであります。 さて、進学を考えるときに必ず見るものは、それが定員ではないでしょうか。多くの方が志望先の学校や学科の定員数と自分の実力を考えながら、進学先を選んだ経験があると思います。 先般、来年度の県立高校の定員が発表されましたが、私の地元にある多治見北高校の定員を見て、正直驚くことがありました。というのも、昨年、多治見北高校は定員割れを起こしていたのですが、来年度の定員は四十人の増、つまり一クラス増という内容、さらに言えば、子供の数が減っていく時代に一クラス増だったからであります。 この一クラス増という理由をお尋ねしたところ、今後二年間、東濃地域の子供の数が増えるため、多治見北高校は地元で目指す生徒が多く、進学希望者も増えることが見込まれるためということでありました。 この定員が発表されたのは十月二十九日、つまり受験の四か月前のタイミングで発表されたわけですが、多治見北高校を目指していた生徒にとっては、もしかしてモチベーションが上がったかもしれませんし、もしかしたらライバルが増えることに警戒感を覚えたかもしれません。いずれにしても、四か月前の想定外の発表に大人の私が驚くくらいなので、多治見北高を目指している子にとっては大きなニュースであったんだろうと思います。 なお、多治見北高校以外の学校を見てみますと、詳細は割愛しますが、学校全体として定員増減がある学校は五校、学校全体として定員増減はないが学科において定員増減がある学校は一校ありました。 こういった定員の増減に振り回される子は、実は多くいると聞いております。今回は、定員が増えているわけですから大きな問題になっていないと思いますが、これが逆に定員が減る場合だったらどうでしょうか。一生懸命勉強して目指していた志望校の定員が減ることを四か月前になって知らされる子供たちのことを考えると、その精神状態が心配になりますし、進路で悩みを抱える子が増えることも予想されます。 半面、子供の数は把握されております。言ってみれば、クラス数が減ることは既に、そして確実に見込まれているわけであります。であるならば、例えば数年先の定員を事前に示すことは可能ですし、先々の数字、定員を示すことによって子供たちにとっても、長いスパンでの勉強の取組方を考えたり、進路を調整することも可能であります。何よりも精神的なゆとりにつながるのではないでしょうか。 大人の都合ではなく、子供たちのためを考えた定員公表について一石を投じたく、教育長にお尋ねをいたします。 県立高等学校の定員公表の在り方について、そのお考えを御答弁お願いいたします。 次に、大きく十点目として、子供の心のケアについて質問をいたします。 子供に関して、大変胸が痛む話題やニュースが続いております。 一つは、十一月二日に閣議決定されました令和三年度版自殺白書に掲載された児童・生徒の自殺に関する分析結果であります。 過去五年間の平均と比較した結果、児童・生徒では百四十人増の四百九十九人に上るという、非常にショッキングな数字。また、自殺の原因については、一斉休校明けなどの学校再開時期に自殺が急増したということも分析されており、コロナの関連性がうかがわれる結果となっております。 もう一つは、十一月二十四日の朝、愛知県弥富市内の中学校で男子生徒が別のクラスの同級生に包丁で刺され亡くなるという、これも非常にショッキングな事件がありました。 事件については、真相解明が待たれるところではありますが、いずれも共通しているのは、悩みを抱えていたという点ではないでしょうか。これは、当会派、我々の県民クラブの会派の伊藤英生議員も高い関心を寄せている孤独・孤立という大きな社会問題も見え隠れするところであります。 子供には子供の世界があり、子供が故の悩みがあります。学校でも家庭でも、迅速かつ確実に子供から発せられる悩み、苦しみからのSOSをキャッチし、大人が真摯に向き合い、適切に手を差し伸べていくことが必要であることは言うまでもありません。これまでにも学校現場では、様々な手を尽くして子供たちの悩みの把握に努め対応を重ねてきたと思いますが、今回の自殺者急増や弥富市の事件を受け、より一層子供たちに寄り添い、対応していくことが必要ではないでしょうか。 そこで、教育長にお尋ねをいたします。 子供たちの心のケアについて、子供の自殺を防ぐ方策を含め、学校現場でどのように取り組まれているのか、御答弁をお願いいたします。 次に、大きく十一点目としては、列車等で発生する凶悪事件への対応について質問をいたします。 これも大変いたたまれない気持ちになる出来事でありましたが、本年十月三十一日、ハロウィンの夜、東京調布市内を走行していた京王線特急列車内で、二十代の男性が七十代男性をナイフで刺し、ライターオイルと見られる液体をまいて座席などに火をつけ、男女計十七人が重軽傷を負う凶悪な事件が発生をいたしました。逃げ場のない列車内での悪質かつ卑劣な犯行に大きな怒りを覚えるとともに、同じ列車に乗車していた方々が味わった恐怖は、察するに余りあるところであります。 さて、人が集まる列車や駅が現場となった主な事件は、過去に何度も発生しております。一九九五年三月、東京オウム真理教の信者が地下鉄でサリンをまいた、いわゆる地下鉄サリン事件、二〇一五年六月、神奈川県内を走行していた新幹線の車内で男が焼身自殺を図り、多くの死傷者が出た事件、二〇一八年六月、同じく神奈川県内を走行していた新幹線の車内で男が女性を切りつけ、これを制止しようとした男性が刺されて亡くなった事件、二〇二一年八月、東京世田谷、小田急線の列車内で男が無差別に男女十人に切りつけた事件がありました。 さらに、十一月八日には、熊本県内を走行中の九州新幹線の車内で、男が液体をまいて火をつけようとした事件が発生、逮捕された男は、京王線の事件のニュースを見てまねしようと思った旨供述しているとの報道がありました。 このように模倣犯が出始めるなど、人が多く集まる列車や駅における凶悪犯罪への対応は喫緊の課題となっております。列車や駅での防犯対策については、警備員を配置する、列車内に複数の非常用通報装置を設置する、防犯カメラを増設する、手荷物検査を実施する等、鉄道各社による対応が検討されています。しかし、経費がかかるハード面での対応は、コロナ禍による厳しい経営状態にある鉄道事業者が多いことも相まって、すぐには実現せず、即効性ある対応という点では難しい面であると思います。 また、つい先日となりますが、十二月三日には国土交通省が鉄道各社に求める防犯体制の強化策を示しましたが、動き始めたばかりで取り組みが具現化するまでにはまだまだ時間がかかります。 他方、県警には、駅や列車内の犯罪抑止や事件捜査を担う鉄道警察隊が組織されております。今後発生が危惧されている同種犯罪の未然防止や事件が発生した際の迅速・的確な対応については、県民も大きく期待をしているところであります。 これまでにも県警では、鉄道各社と連携を取っておられると思いますが、今後もさらなる連携強化を図り、諸対策を進めていく必要があると感じております。 そこで、警察本部長にお伺いをいたします。 京王線での事件を受け、鉄道会社等と連携し、駅や列車内における無差別殺傷などの凶悪犯罪の未然防止と万が一事件が発生した際の迅速な対応の強化を図る必要があると思いますが、どのようにお考えでしょうか。 ここで、三回目の質問を終わります。 ○副議長(松岡正人君) 教育長 堀 貴雄君。    〔教育長 堀 貴雄君登壇〕 ◎教育長(堀貴雄君) 二点御質問がありました。 初めに、県立高校の入学定員公表の在り方についてお答えします。 本県では、公立高校の入学定員の発表は、高校入試の実施年度の十月に行っております。これは、決定に際して、中学卒業予定者数、前年度の高校入試における入学実績、中学三年生の進路希望の動向などを検討しているためです。そのため、数年先までの入学定員を決定することは、現在は行っておりません。 一方、今後、高校の入学定員の減少が避けられない状況を踏まえると、中学生が一、二年のときから見通しを持って進路について考えることができるようにすることは重要であると認識しております。 このため、毎年、岐阜、西濃など地区ごとに、小学一年生から中学三年生までの学年ごとの児童・生徒数を今よりも分かりやすく示すとともに、数年先までの地区ごとの公立高校の入学定員の増減の見込みを公表するなど、中学生がより早く自分の進路を考えることができるよう、参考となる情報提供について今後検討してまいります。 次に、子供の心のケアについてお答えをします。 県教育委員会では、平成三十年度にSNSを活用した相談窓口を開設し、令和二年度からは、県立学校において心のアンケートの実施やスクール相談員を配置するなど、児童・生徒一人一人の不安や悩みに寄り添うことができるよう順次環境を整えてまいりました。 さらに、今年度から高校に、より気軽に相談でき、悩みを共感できる存在として、卒業生の大学生などを配置したり、新たに高校三校にスクール相談員を追加配置するほか、加えてSNS相談についても、進級・進学を控え心のケアが必要となる三月にも実施することで、現在の年三回から四回実施する体制としたところです。 また、今後、スクールカウンセラーによるSOSの出し方に関する教育を年内に実施するなど、学校教育のあらゆる場面で命の大切さを自覚できるようにするとともに、児童・生徒の抱える悩みを察知した教員が、それを管理職を含めた教員全体で共有し、組織として児童・生徒の心のケアに努めてまいります。 ○副議長(松岡正人君) 警察本部長 加藤伸宏君。    〔警察本部長 加藤伸宏君登壇〕 ◎警察本部長(加藤伸宏君) 列車等で発生する凶悪犯罪の未然防止と発生時における迅速な対応の強化に向けた取り組みについてお答えいたします。 県警察では、鉄道事業者と連携し、日常的に列車内で犯罪の予防・検挙活動を行うとともに、駅・ホーム等の鉄道施設及びその周辺においてもパトロールを実施しております。 こうした中、今般の京王線での事件を受け、この種の事件への対応力を高めるとともに、鉄道利用者の不安感の解消と模倣犯の出現の防止を図る必要があると判断いたしました。 そこで、鉄道事業者との連携を再確認した上、列車内では今般の事件の着眼点を踏まえた警戒警備活動を実施し、鉄道施設及びその周辺ではパトロールの頻度を高めるなどして、制服警察官の姿を見せる警戒活動を推進しております。あわせて鉄道事業者には、自主警戒活動の強化を要請しております。 また、万が一事件が発生した場合に備え、鉄道事業者や消防等の関係機関と連携し、列車や軌道敷を実際に使用した合同訓練を実施し、負傷者の救護や被疑者の検挙の迅速化等、対処能力の強化に努めております。 今後、混雑が予想される年末に向けて、万全の警戒に努めてまいります。 ○副議長(松岡正人君) 二十二番 高木貴行君。    〔二十二番 高木貴行君登壇〕 ◆二十二番(高木貴行君) 次に、大きく十二点目として、スポーツの推進とパラスポーツの振興等について質問をさせていただきます。 これは午前中、加藤県議も質問されておりましたが、私なりの質問とさせていただきます。 一点目は、パラスポーツの振興についてであります。 今年の夏、コロナ禍の中で紆余曲折を経て開催されました東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会でありましたが、参加された全ての選手の真摯でひたむきな姿は、メダルの色や数にとらわれない、大変大きな感動を我々に与え、勇気づけてくれました。 また、岐阜県ゆかりの選手として、オリンピックには三十二名の選手、パラリンピックには九名の選手が出場され、大活躍をされました。我々岐阜県民としても非常に誇らしく思うところであります。 さて、今回の質問ではパラスポーツを取り上げるわけですが、それはパラリンピックを観戦して感じたことがあったからであります。 それは、社会や我々が勝手に決めつけてしまっていた可能性の限界、固定概念こそ障がいであるのではないかという自戒と反省の念、そして、パラスポーツには障がいに対する人々の固定概念を打ち破る力強さがあり、それを示すことによって、様々な可能性が生まれるだろうという希望であります。 パラリンピックの開会式では、「#We The 15」という人権運動キャンペーンが繰り広げられました。これは世界人口の一五%、つまり十二億人は障がい者であり、決して特別な存在ではないという意味であり、社会の人々の障がい者への意識を変え、偏見や差別をなくすことを意図したメッセージでありました。そして実際にパラリンピックについては、世界で延べ四十二億人の方々が視聴したと言われております。 こういったパラリンピックがもたらしてくれた理念や感動を一過性のものとして終わらせてはなりません。これを契機に、日本各地でパラスポーツのさらなる普及・拡大を図り、共生社会の実現のために、パラスポーツの力を活用すべきと強く感じる次第であり、岐阜県も積極的に取り組んでいくべきだと感じる次第であります。 そこで、知事にお尋ねをいたします。 岐阜県としてのパラスポーツの振興に対するお考えや今後の取り組みについて、御答弁をお願いいたします。 引き続いて二点目は、パラスポーツ部門の業務の統合について質問をいたします。 現在、岐阜県では、パラスポーツの普及に関しては健康福祉部の障害福祉課が、競技力の向上に関しては清流の国推進部の競技スポーツ課が所管をしております。おのおの専門分野や取組内容が異なる点がありますので二つの部署にまたがっていることは理解できますが、さらなるパラスポーツの普及と拡大を考えたとき、正直どうなのかと思います。 また、パラスポーツの振興を考えたときに、一義的にも県の競技団体が中核になっておのおのの課題として推進すべきことがあると考えますが、パートナー的立場として支援を重ねている県の窓口が分かれていることに少し違和感を覚えますし、逆に窓口を一本化したほうが断然よいということは誰でも思うことではないでしょうか。 行政以外の部分で岐阜県のパラスポーツ環境を見たとき、当県には、例えば競技用の車椅子や義足を開発する有名な企業さんが存在していますし、スポーツ科学センターや岐阜県福祉友愛アリーナなどの施設もあり、県障がい者スポーツ協会や障がい者スポーツ競技団体の皆さんからのサポートが得られる体制も構築されております。つまり、岐阜県には、既にハード面でもソフト面でも、パラスポーツを盛り上げられる環境が整えられており、もっと言えば、パラスポーツの振興が岐阜県の活性化につながる可能性だってあると思います。 このような良好な環境を有する岐阜県です。パラスポーツ振興のアプローチを整えていく意味でも、現在の県の体制を見直し、健康福祉部と清流の国推進部の両部にまたがっている業務を統合・一本化し、例えばパラスポーツ課のような課を新設するべきではないでしょうか。 業務を一本化することによって、一元的にパラスポーツに関連する、取り組むことが可能となり、共生社会の実現と岐阜県の活性化にもつながるものと強く思っております。 そこで、知事にお尋ねをいたします。 現在、二つの部局にまたがっているパラスポーツ部門を一本化して業務を統合することについてのお考えをお聞かせください。 最後の質問となりますが、清流の国ぎふスポーツ推進計画の総括と次期計画へのKPIの導入について質問をいたします。 現行の清流の国ぎふスポーツ推進計画は、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて策定された計画であったと言っても過言ではないでしょうか。既にオリ・パラの開催も終え、県のゆかりの選手の皆さんの活躍もあり、計画としては一定の役割を果たしたと思います。 計画では、スポーツ推進の六つの柱として、一、競技スポーツの推進、二、地域スポーツの推進、三、学校体育の推進、四、障がい者スポーツの推進、五、スポーツによる地域振興、六、スポーツ環境の整備がうたわれ、各柱に施策の目標が上げられ、様々な取り組みを行ってきたと思います。 そこで、現行計画で定め取り組んだ事項については、シビアに検証を行い、問題点や改善点、さらなる効果的な取組内容を絞り出すなどして総括してほしいと思いますし、次期計画策定では、様々な方面の方の声や意見を取り入れた新しい目標の策定も強く望むところであります。 現行の計画にはKPIが盛り込まれておりませんが、次期計画では、検証結果を踏まえた上で目標を明確にして、目標達成のためのKPIを示していく必要があると考えます。 そこで、清流の国推進部長にお尋ねをいたします。 現行の清流の国ぎふスポーツ推進計画の総括をお聞かせください。 また、次期計画へのKPI導入についてのお考えもお聞かせください。 以上で県民クラブの代表質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○副議長(松岡正人君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) パラスポーツについて二点御質問がございました。 まず、パラスポーツの振興についての考え方ということでありますが、本県としては、平成二十七年度に清流の国ぎふスポーツ推進計画を策定しておりまして、その中でパラスポーツの推進を柱の一つとして位置づけております。そして、東京二〇二〇パラリンピックへの十名の出場をはじめとする競技力の向上と、パラスポーツの裾野拡大を目指して、各種施策を進めてまいりました。 競技力向上につきましては、パラリンピック出場が有力な県ゆかりの選手を強化指定し、強化活動経費の支援や医科学サポートを行ってまいりました。その結果、東京二〇二〇パラリンピックでは、前回リオ大会の一名から大幅増となる九名が出場し、二名のメダリストをはじめ、大変すばらしい活躍を見せていただきました。 裾野拡大につきましては、パラアスリートによる特別支援学校での出前指導、障がい者施設へのレクリエーション指導者の派遣、毎年開催するぎふ清流レクリエーションフェスティバルでの障がい者向けの種目設定などに取り組んでまいりました。 このほか、令和元年には、国内最高峰のパラスポーツの競技大会であります二〇一九ジャパンパラ陸上競技大会を本県で初開催し、パラスポーツに関する県民意識の高揚を図ってまいりました。 そこで、これらの成果を一過性のものとすることなく、次代に継承・発展させていくことが必要であるというふうに考えております。 このため、現在策定中でありますが、来年度から始まる次期清流の国ぎふスポーツ推進計画におきましては、「誰一人取り残されないスポーツ立県・ぎふ」を基本目標とし、その柱の一つに障がい者の活躍を広げるパラスポーツの推進を掲げてまいりたいと思っております。 具体的には、二〇二四年のパリ・パラリンピックへの出場十名を目標とし、出場を目指される選手の皆さんには、本県の強力な支援を引き続き行っていくほか、次世代の若手アスリートの育成にも力を入れてまいります。 また、パラスポーツの裾野拡大を図るため、パラ競技団体が行う外部指導者の招聘や、総合型地域スポーツクラブが取り組むパラスポーツ・プログラムの実施を支援してまいります。 次に、パラスポーツ部門についての県庁内の組織・業務の統合についてでございます。 パラスポーツ振興という政策に対する役割分担でありますが、まず国においては、近年のパラスポーツの競技性の向上に伴って、厚生労働省が担当していたパラアスリートの競技力向上、パラスポーツの裾野拡大をスポーツ庁の所管といたしました。そして一方、スポーツを通じた障がい者の生活をより豊かにする観点からの支援は、引き続き厚生労働省の所管としておられます。 県においても、大筋基本的には、このような国の役割分担と軌を一にしてやっているわけであります。すなわち、清流の国推進部では、パラリンピックを目指す選手の育成・強化などパラアスリートの競技力向上と、障がい者団体等へのスポーツ指導者の派遣やパラスポーツイベントの開催支援など、パラスポーツの裾野の拡大を所管しております。 一方、健康福祉部では、スポーツやレクリエーションなどを通じた体力の維持・増強、リハビリテーション、社会参加の促進などにより、障がい者の生活をより豊かにする施策を所管しております。 ただし、国と違って、スポーツ庁所管の全国障害者スポーツ大会への選手派遣・強化などについては、障がい福祉を担当する健康福祉部が所管しております。これは、国における権限移管を踏まえて県での役割分担を議論した平成二十六年当時、障がい者団体の方々から、スポーツ振興の面がより強調され過ぎて、福祉とのつながりが弱くなることを懸念するという強い声が上がったことによるものであります。 その上で、改めて本県の今後のパラスポーツ振興に係る推進体制を考えてみますと、第一に、現在健康福祉部で所管しております全国大会に向けての振興事業などについては、スポーツを所管している清流の国推進部で一体的に進めることが効果的ではないかというふうに考えられます。そこで、さきに申し上げました経緯も踏まえつつ、障がい者団体の皆さんの意見も十分に伺い、尊重しながら検討を進めてまいりたいと思っております。 第二に、いずれにせよパラスポーツの振興には、障がい福祉行政との緊密な連携が不可欠であります。このため、新たに清流の国推進部、健康福祉部と障がい者団体、スポーツ団体などが情報共有と協議を行う場を設けてはどうかということも考えております。 これらの点につきましては、来年度からの実施を目途に調整してまいりたいと思います。 ○副議長(松岡正人君) 清流の国推進部長 丸山 淳君。    〔清流の国推進部長 丸山 淳君登壇〕 ◎清流の国推進部長(丸山淳君) 清流の国ぎふスポーツ推進計画の総括と次期計画へのKPIの導入についてお答えします。 現行計画については、次期計画の策定に向け、スポーツ関係者から成る計画の策定委員会において、各柱に掲げた目標の達成状況、成果、課題などを丁寧に検証してきたところです。この検証の結果、東京オリンピックに目標を上回る三十二名が出場するなど、競技力向上の面で大きな成果が認められた一方、スポーツ実施率の低迷が課題として指摘されました。 このため、次期計画においては、競技力の向上の取り組みは継続しつつ、スポーツ実施率の改善に向け、基本目標に「誰一人の取り残されないスポーツ立県・ぎふ」を掲げるとともに、生涯にわたる健康と生きがいづくりのスポーツ推進や、障がい者の活躍を広げるパラスポーツの推進といった柱を設定し、全ての県民がスポーツを楽しめる環境づくりを目指してまいります。 その上で、各柱にKPIを導入することとし、県スポーツ推進審議会、「清流の国ぎふ」づくり推進県民会議、パブリックコメントなどを通じて広く御意見を伺いながら、目標を明確化してまいります。…………………………………………………………………………………………… ○副議長(松岡正人君) 以上をもって、本日の日程は全て終了いたしました。 明日は午前十時までに御参集願います。 明日の日程は追って配付いたします。 本日はこれをもって散会いたします。 △午後二時四十分散会 ……………………………………………………………………………………………...