• "小林東一郎"(/)
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  1. 長野県議会 2022-10-03
    令和 4年 9月定例会本会議-10月03日-05号


    取得元: 長野県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-16
    令和 4年 9月定例会本会議-10月03日-05号令和 4年 9月定例会本会議 令和4年10月3日(月曜日)  出席議員(55名)   1 番 望月義寿    28 番 両角友成   2 番 小林君男    29 番 清水純子   3 番 小林あや    30 番 小池久長   4 番 原 健児    31 番 丸山大輔   5 番 清水正康    32 番 酒井 茂   6 番 加藤康治    33 番 堀内孝人   7 番 川上信彦    34 番 石和 大   8 番 山田英喜    35 番 依田明善   9 番 大井岳夫    36 番 小島康晴   10 番 花岡賢一    37 番 小林東一郎   11 番 池田 清    38 番 毛利栄子   12 番 熊谷元尋    39 番 和田明子   13 番 百瀬智之    40 番 諏訪光昭   14 番 山口典久    41 番 山岸喜昭   15 番 小山仁志    42 番 丸山栄一   16 番 丸茂岳人    43 番 小池 清   17 番 竹内正美    44 番 宮本衡司
      18 番 竹花美幸    45 番 清沢英男   19 番 宮下克彦    46 番 鈴木 清   20 番 大畑俊隆    47 番 高村京子   21 番 共田武史    48 番 宮澤敏文   23 番 荒井武志    49 番 西沢正隆   24 番 埋橋茂人    50 番 風間辰一   25 番 続木幹夫    51 番 佐々木祥二   26 番 中川博司    52 番 向山公人   27 番 寺沢功希    54 番 本郷一彦   55 番 萩原 清    57 番 望月雄内   56 番 服部宏昭  欠席議員(2名)   22 番 髙島陽子    53 番 平野成基         ─────────────────── 説明のため出席した者   知事        阿部守一    建設部長      田中 衛   副知事       関昇一郎    公営企業管理者   産業政策監     伊藤一紀    職務執行者・企   須藤俊一   企画振興部長    清水裕之    業局長   総務部長      玉井 直    財政課長      高橋寿明   県民文化部長    山田明子    教育長       内堀繁利   県民文化部こど   野中祥子    警察本部長     小山 巌   も若者局長             監査委員      田口敏子   健康福祉部長    福田雄一   環境部長      猿田吉秀   産業労働部長    林 宏行   観光部長      渡辺高秀   農政部長      小林安男         ─────────────────── 職務のため出席した事務局職員   事務局長      村松敏伸    議事課主査     風間真楠   議事課長      矢島 武    総務課課長補佐   宮島文明   議事課企画幹兼           兼庶務係長   課長補佐      蔵之内真紀   総務課担当係長   津田未知時   議事課担当係長   矢島修治         ───────────────────  令和4年10月3日(月曜日)議事日程    午前10時開議    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑      ─────────────────────────  本日の会議に付した事件等    諸般の報告    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑         午前10時開議 ○議長(丸山栄一 君)これより本日の会議を開きます。  本日の会議は、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑であります。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △行政事務一般に関する質問及び知事提出議案 ○議長(丸山栄一 君)次に、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案を議題といたします。  順次発言を許します。  最初に、宮下克彦議員。       〔19番宮下克彦君登壇〕 ◆19番(宮下克彦 君)おはようございます。諏訪市区選出、自由民主党県議団の宮下克彦でございます。阿部知事の4期目のスタートに当たりまして、県民との対話と共創の県政に注目して質問してまいります。  まず、産業構造の変化と県政の方向について伺ってまいります。  世界の産業構造が、物からサービスへ、サービスからデジタルへと変化する中で、日本の世界経済に占める大きさは縮小傾向にあり、知事の提案説明でも触れていたように、世界のGDPに占める割合が低下してきていると認識されています。  過日、ユニクロ社長の柳井氏の講演で、中小企業が世界を相手とし、世界を市場とするように変われば、まだまだ日本に対する世界の信頼は厚いという話でございました。これは、地方の中小企業が世界を市場として大きく変わる可能性があるということだと思います。  長野県は、以前より北京とシンガポールに駐在員を置きまして、県内2か所のジェトロ事務所とも連携し、県内企業の海外展開や輸出拡大に向けた相談体制を取っています。世界市場に向けました工業見本市も、官民協働の諏訪圏工業メッセが開催されていますが、世界市場に向けた商談会も、ここのところのコロナ禍もございまして、バーチャルな仮想空間におけるメタバース等も活用してさらにグレードを上げていく必要があると考えます。  そこで、林産業労働部長にお聞きします。まず、世界経済における日本の位置の低下が叫ばれていますが、その変化の状況について伺います。  このような中で、世界市場への展開が、長野県の中小企業をはじめとする産業、製造業の支援に今必要な点と考えます。  二つ目の質問です。信州の中小企業が生産する工業製品のグローバル展開と世界的な産業連携ネットワークの拠点づくりとしまして、官民協働の展示商談会であります諏訪圏工業メッセへのさらなる支援の充実が必要と考えますが、いかがでしょうか。林産業労働部長に伺います。  国が新しい資本主義を掲げて人や技術、DX、GXへの投資を進める中で、中長期的に県内製造業の振興をどのように進めるか。健康医療や環境に関連した産業育成も重要と考えますが、林産業労働部長の所見を伺います。  次に、大きな質問項目の2番目で、交通対策について伺います。  地域公共交通対策につきましては、公共交通活性化協議会が立ち上げられ、検討が進んでいますが、長野県のような中山間地域を多く抱える土地柄においては、県下各地で運転免許返納後の交通手段のない高齢者などの交通手段としてタクシーの重要性が再認識されています。  高齢者の病院への通院の手段や観光地での鉄道やバスの停留所からの最後の足として、公共交通には欠かせないものがタクシーだと考えます。タクシーが地域公共交通に欠かせないものだとしますと、その担い手であります業界との連携、また、運転手の確保や二種免許取得へ向けた支援、制度の改善などが今後の課題だと考えます。  そこで、清水企画振興部長に伺います。タクシーを含めた地域公共交通に関する協議会の検討状況はいかがでしょうか。また、タクシーの公共交通における位置づけをどのように認識し、その価値と課題につきましてどのように評価しているか。伺います。  次に、最近の愛知県刈谷市の刈谷ハイウェイオアシスや埼玉県の川口ハイウェイオアシスのように集客力が非常に大きくなってきている高速道路のサービスエリアハイウェイオアシスの活用による地域振興の状況を見ますと、長野県のこれからの観光や経済活性化に及ぼす好影響が可能性として非常に大きくなってきていると考えられます。  刈谷ハイウェイオアシスの場合は、観覧車や遊園地、温泉宿泊施設などによりまして愛知県で集客力ナンバーワンとまで言われています。川口ハイウェイオアシスは、隣接する自然公園と連動して楽しめますよう市町村やNEXCOと連携し、そこを目的に何回も訪れるような一大観光施設となっています。  現在建設中の仮称諏訪湖スマートインターチェンジには、既に温泉施設がございます。諏訪湖を見下ろす非常に環境のよい諏訪湖サービスエリアに、県道諏訪辰野線とともに、諏訪市、岡谷市とNEXCOがそれぞれアクセス道路を整備中でありまして、あと1年余で供用開始となります。  そこで、田中建設部長にお聞きします。全国的に人気が出て地域活性化に貢献しているサービスエリアハイウェイオアシスにつきまして、県下の現状と観光振興や経済活性化に及ぼす影響について御所見を伺います。  次に、渡辺観光部長にお聞きします。サービスエリアハイウェイオアシスの観光に及ぼす今後の可能性と、NEXCOや市町村及び既存の観光施設との連携につきまして所見を伺います。  最後に、三つ目の大きな質問項目としまして、諏訪湖創生ビジョン等の検討と迅速な予算化について伺います。  諏訪湖創生ビジョンにつきましては、5年に1度の改定が今年ということで、諏訪地域振興局が中心となり、環境部の皆様と共にワーキンググループを開催するなど鋭意検討を深めているところでございますが、諏訪の住民にとりまして切実で気になる点がこの機会に改善の方向へ転換できるかどうか、重要な時期を迎えています。  例えば、一つは、諏訪湖はこのままでは埋まってしまうのではないかという問題。二つ目が、魚も住まない湖になってしまうのではないか。三つ目に、ヒシが見渡す限り草原のように広がってしまうのではないかというような切実なお話を多くの住民が心配しているのが実情でございます。  改定のこの時期に当たりまして、いよいよ取りまとめにかかる年度後半となります。去る9月15日、諏訪湖漁業協同組合の組合長から、内水面漁業の振興に関する法律第35条第1項の規定に基づきまして、かつて最盛期の年500トンから、ここのところ3年連続して減少しまして年1トンとなってしまった漁獲量の激減を受けまして、諏訪湖生態系の現状と課題、生態系の回復、漁獲量の復活へ向けた即時導入が可能な技術の検討を協議する協議会の設置を願い出る申出がございました。これは、諏訪湖創生ビジョンの改定など1年間の短期的な検討によるものではなく、長期的に科学的な調査研究を行うための専門家による協議会設置をぜひやっていただきたいと申し出たものでございます。  そこで、お聞きいたします。まず、諏訪湖創生ビジョンの検討状況はいかがでしょうか。猿田環境部長に伺います。  次に、諏訪湖の漁獲量の急激な減少対策を検討するための専門家による科学的な検証を長期的に行う協議会を早急に設置する必要があると考えますが、いかがでしょうか。小林農政部長に伺います。  さて、防災面からも一つお聞きしておきます。諏訪湖に流入する上川につきまして、令和元年東日本台風の際は、上川の江川橋付近におきましてあと75センチで越水するところまで水位が上昇しました。大変危険な状況であり、昨年8月の大雨の際も、気象庁のデータによりますと、諏訪の8月14日の日雨量が観測史上1位の149.5ミリメートルを観測するなど、近年各地で頻発化、激甚化します豪雨災害を勘案しますと、上川の流下能力が低い区間は河川整備計画に従って早急に整備が必要と認識しております。  そこで、田中建設部長にお聞きします。上川の河川整備に向けました現在の検討状況はいかがでしょうか。  さて、知事は、スタートダッシュ・アクション2022で、県民との対話、意見を聴いた予算化を掲げております。住民の声を直接聴かないと実態の切実さはなかなか伝わってこないと考えます。課題は現場にございます。地域の現場にこそ切実で解決を要する課題がありまして、この切実な課題が、現地機関の担当者から、局長を経て、本庁の課長、部長、そして知事まで伝わるには大きな距離がございます。  対話と共創の県政を目指す場合に必要なのは、予算編成権を持っている知事が現場に出て直接意見を聴くこととともに、県職員も県民の意見をしっかりと聴いて対話を重ねることが重要だと考えます。現場の県民の声を聴くのと、知事が首長さんたちの意見を聴くのとでは、その切実感は相当違うと思われます。  例えば、じかに諏訪湖に潜って覆砂の効果を自分の目で見た者でないと、ヒシを防ぐ効果については、その説得力、表現力など伝える力が違うということだと思います。現場の業者や実際に湖に何回も潜っている県民の意見を聴いてみる必要があると考えます。  また、早急に必要な予算につきましては、例えば、諏訪湖創生ビジョン改定が完成する今年度末では令和5年度予算に間に合わないわけであります。緊急に必要性が認められるものは、直接県民の意見を取り入れて令和5年度予算に盛り込まないと、生態系の再生やヒシの対策が手遅れになりかねないと考えます。  そこで、知事にお聞きします。知事は、スタートダッシュ・アクション2022として県民との対話集会の実施を掲げていますが、諏訪湖創生ビジョン改定についてこそ県民の意見を直接聴きに来てほしいが、いかがでしょうか。  また、知事は、県民参加型予算の試行を掲げ、来年度予算で試行的に実施するとしていますが、ヒシ対策やしゅんせつ対策、生態系再生を含め地域にとって重要な課題である諏訪湖創生ビジョンに関する予算は、県民参加により検討し、令和5年度予算に盛り込んでいくにふさわしいものと考えます。知事の御所見を伺います。       〔産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業労働部長(林宏行 君)産業構造の変化と県政の方向について3点の御質問をいただきました。  初めに、世界経済における日本の位置の変化の状況についてのお尋ねです。  IMD、国際経営開発研究所が発表した世界競争力年鑑2022年版では、1990年に第1位だった日本の総合順位が、2022年に34位へと低下しています。これについて、国の半導体・デジタル産業戦略検討会議の分析では、強い国際競争力を有していた日本の半導体産業がシェア低下を招いた要因として、設計と製造の水平分離の失敗や、デジタル投資の遅れから輸入に依存したことなどを指摘しています。  こうした状況下にありながら、本県の製造業は、この30年間に、事業所こそ半減したものの、製造品出荷額は1989年バブル期の約6兆円規模の水準を維持しており、1人当たりの付加価値額は759万円から1,076万円へと向上させてきています。また、企業の中には、精密加工等の独自の装置やコア部材を世界的シェアを誇る企業等へ供給して収益を伸ばすなど、部品サプライヤーならではグローバル戦略で成長し続ける事例もございます。  こうした強みを生かして、脱炭素、デジタル化、健康やバイオ等、国や世界全体で解決すべき課題に果敢に挑戦することが生産性の向上や付加価値の創造、新たな市場開拓にもつながるものと受け止めております。  次に、諏訪圏工業メッセへの支援についてでございます。  地方では国内最大級の工業専門展示会とも評される諏訪圏工業メッセは、圏域以外からの出展者も年々増加傾向にあり、近年ではアジア、欧米諸国からの参加もございます。  これまで、県では、実行委員会の一員として企画運営に携わるとともに、開催経費の助成や、県の施策や主要プロジェクトに即したブースの設置など支援を実施してまいりました。  21回目を迎える本年度は、3年ぶりのリアル展示とバーチャルオンライン展示ハイブリッド開催とし、SDGs、DX、ゼロカーボン等のテーマ展示や地域企業の最先端の取組が紹介される予定とお聞きしております。  また、既に圏域以外からの出店が半数に達するなど全県的な産業イベントとして定着しつつありますことから、今後とも、企業間連携の一層の強化や海外との技術連携の促進、新たなビジネスマッチングの機会となることを期待し、支援の在り方を検討してまいります。  最後に、中長期的な県内産業の振興についてでございます。  製造業振興につきましては、ものづくり産業振興戦略プランに基づき、研究開発やAI、IoTの活用、マーケティング力の強化、人材育成などに取り組んでまいりましたが、本年度が最終年度となりますので、現在次期プランを中小企業振興審議会で検討しているところでございます。  これまでの議論では、グローカルな視点で社会の変化に柔軟に対応しながら産業イノベーションの創出に取り組む企業の集積を目指すこととし、基本方針に、世界で稼げる産業の創出、振興を図るとともに、デジタル、グリーン、豊かな生活といった経済社会の変化を稼ぐ力の向上に向けた原動力と捉え、地域資源の活用や課題解決と組み合わせた事業展開を図るなどとしており、今後具体的施策の検討を進めてまいります。  また、県内企業の多くが中小企業であり、激しいグローバル競争に打ち勝つためにも、企業間の競争、コラボレーションの促進や産学官金による支援体制、エコシステムの構築が重要となりますので、支援の中心となる工業技術総合センター産業振興機構等の強化策も含めて検討してまいります。
     以上でございます。       〔企画振興部長清水裕之君登壇〕 ◎企画振興部長(清水裕之 君)私には交通対策について2点お尋ねがありました。  まず、公共交通活性化協議会の検討状況についてお答えします。  昨年11月に立ち上げた長野県公共交通活性化協議会には、鉄道やバスのほかタクシー事業者にも参画いただき、官民が連携して持続可能で最適な地域公共交通システムを構築できるよう検討を進めております。今年度は、これまで、10圏域ごとに地域別部会を開催し、利用者視点に立った課題の抽出、取組の方針、官民の役割分担などについて議論しているところです。  タクシーについては、地域の暮らしを支える上でなくてはならない移動手段であり、個別輸送のみならず、乗合タクシーやデマンドタクシーなど地域公共交通の担い手として引き続き重要な役割を果たしていく必要があるなどの議論がなされているところです。引き続きタクシー事業者を含め関係者と連携しながら検討を進めてまいります。  続いて、タクシーに対する認識と評価についてお答えいたします。  タクシーは、バスや鉄道といった大量輸送機関の補完的役割を果たすとともに、通院や買物など県民の日常生活を支える身近で重要な交通機関と認識しております。特に、バスが走っていない地域や時間帯においても、マイカーに頼らずドア・ツー・ドアで目的地へ移動できる点が最大の利点と考えております。  一方、コロナ禍による利用者の減少に追い打ちをかける燃料価格の高騰、さらには運転手の高齢化や担い手不足などの課題があると承知をしております。これらの課題に対応するため、コロナ禍における運行継続支援や燃料価格高騰に対する支援を行ってきたほか、人材不足を解消するため、二種免許取得費用の助成を今年度から開始したところです。  本格的な高齢化社会を迎え、今後ますますタクシー利用のニーズが高まる中、公共交通の一翼を担うタクシー事業への支援を引き続き行ってまいります。  以上でございます。       〔建設部長田中衛君登壇〕 ◎建設部長(田中衛 君)私には2点御質問をいただきました。  まず、県内のサービスエリアハイウェイオアシスに関するお尋ねでございます。  県内の高速道路には、利用者の休憩や食事、車の給油などのため、諏訪湖や梓川など5か所のサービスエリアと12か所のパーキングエリアがあります。このうち、佐久平と小布施の二つのパーキングエリアは都市公園と連結し、高速道路と一般道路の双方から公園や地域振興施設が利用できるハイウェイオアシスとして整備されています。  例えば、佐久平には、温泉施設、レストラン、スキー場、キャンプサイトなどの施設があるパラダが併設されており、高速道路の利用者だけでなく、一般の利用者も含め、年間を通じて県内外から多くの方が訪れているところでございます。  その他のサービスエリアパーキングエリアにおきましても、地元の食材を使ったメニューの提供や農産物の直売、観光イベントとの連携など特色ある取組を行っている箇所もあり、地域の観光振興や経済活性化に寄与しているものと認識しております。  次に、上川の河川整備に向けた検討状況についてのお尋ねでございます。  上川は、天竜川水系諏訪圏域河川整備計画において、50分の1確率の治水安全度を目標として、流下能力が不足している上川大橋から上流18.5キロメートル区間について築堤や河道拡幅、河床掘削等の整備を行っていくこととしております。整備に当たっては、最下流から実施する必要があることから、今年度、上川大橋から新六斗橋までの区間について河川整備を進める上での具体的な課題の整理を始めたところです。  また、この区間においては、左右岸の市道の改修後の形態も周辺地域の生活に影響を及ぼすことから、今後、地域の皆様と協議、検討していくため、基礎資料となる交通量調査を現在実施しております。  今後も、市道の管理者である諏訪市など関係機関と調整しながら、引き続き調査、検討を進めてまいります。  以上でございます。       〔観光部長渡辺高秀君登壇〕 ◎観光部長(渡辺高秀 君)サービスエリア等の観光に及ぼす可能性やNEXCO等との連携についてのお尋ねを頂戴しております。  多くの旅行者が立ち寄るサービスエリア等は、観光情報の入手や地元土産品等の購入など観光や県産品振興の両面で有効な拠点であり、その充実や地域と連携した工夫ある取組は観光に大きな効果があるものと認識しております。  これまで、観光マップやパンフレットの提供にとどまらず、デジタルサイネージによる旬の観光情報の発信、イベントの実施のほか、地元土産品等の販売促進のための商談会の開催などに取り組んできたところでございます。また、県、NEXCO、市町村が連携し、高速道路の定額乗り放題と県内観光施設での優待特典を組み合わせた信州めぐりフリーパスなどを実施しているところでございます。  引き続き関係者と連携しながらサービスエリアや高速道路を生かした誘客を促進してまいります。  以上でございます。       〔環境部長猿田吉秀君登壇〕 ◎環境部長(猿田吉秀 君)諏訪湖創生ビジョンの検討状況についてお答えいたします。  諏訪湖創生ビジョンの改定につきましては、諏訪地域振興局において諏訪湖創生ビジョン推進会議の構成員から成るワーキンググループを立ち上げ、ヒシの大量繁茂対策、水生動植物の管理、水辺整備と湖辺面の利活用をテーマに議論を進めております。  ワーキンググループはこれまで2回開催され、特にヒシの大量繁茂の問題につきまして、刈取り量のさらなる増加、早期刈取りの実施や適切な刈取り場所の選定など、より効果的な対策に関する多くの意見が出されている状況です。  また、並行して進めております諏訪湖水質保全計画の見直しでは、有識者から成る専門委員会において科学的なアプローチによる検討を行っており、各種浄化工法による水質改善効果の予測などについてワーキンググループと共有を図っているところでございます。  今後、水辺整備と湖辺面の利活用についても議論を深めるため、ワーキンググループをさらに2回開催し、推進会議において改定案を取りまとめた上でパブリックコメントを実施するなど、広く地域の御意見を反映しながら、今年度末までにビジョンを改定してまいります。       〔農政部長小林安男君登壇〕 ◎農政部長(小林安男 君)私には諏訪湖の漁獲量減少対策を検証する協議の場の設置について御質問をいただきました。  諏訪湖の漁獲量につきましては、ワカサギなどが、10年前の24トンから令和3年には1トンにまで減少しています。原因は、生息環境の変化などが複合的に影響していると考えられるため、長期的な対策が必要と認識しております。  このような状況の中、9月15日に諏訪湖漁業協同組合から県に対しまして漁獲量の回復に関する協議会の設置を求める申出書の提出があったところです。現在、諏訪湖創生ビジョンの見直しが進められているため、その取組の中で、諏訪地域振興局や関係部局と連携し、漁獲量の科学的な検討を行える協議の場づくりを研究してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には諏訪湖創生ビジョンに関連して2点御質問をいただきました。  まず、ビジョンの改定に当たって県民の皆様方の御意見を直接聴きに来てほしいがどうかという御質問であります。  結論的には、お伺いして意見交換させていただきたいというふうに思っております。諏訪湖創生ビジョン自体、まさに対話と共創のある意味モデル的な取組としてスタートしたというふうに思っております。諏訪湖に対する関係の皆様方の思いは様々なものがありますが、共通しているのは、何とか諏訪湖の豊かな自然環境をしっかり守っていきたい。また、諏訪湖を観光面、まちづくり面、様々な観点で積極的に生かしていきたい。そうした思いを皆さんお持ちであります。  こうしたことを多くの皆様方と共に進めるためにこの諏訪湖創生ビジョンを策定してきているわけでありますので、まさにこの改定に当たっても広く多くの皆様方のお考えを結集して、そして、その具体化に当たっても、市町村や関係団体、地域の皆さん、多くの皆様方の力をいただきながら進めていきたいというふうに考えております。  私自身も、これまでも諏訪湖については意見交換をさせてきていただいていますが、御指摘のとおり、実際に諏訪湖の保全に取り組まれている皆さんや諏訪湖周辺にお住まいの皆さん、こうした皆様方の声、思いというものをしっかりお伺いすることが大変重要だというふうに思いますので、日程は別途調整いたしますけれども、最終的に確定する前にお伺いして、地域の方々と意見交換をさせていただきたいというふうに思っております。  それから、諏訪湖創生ビジョンに関する予算を県民参加で検討し、令和5年度予算に盛り込んでいくにふさわしいものと考えるがどうかという御質問であります。  今御答弁申し上げたように、諏訪湖創生ビジョンは、広く県民の皆様方の御意見を伺って策定をしていこうと思っておりますので、それ自体、ある意味県民の皆様方の声を反映したものであり、それの具現化の予算という形になると思います。  現在、県民参加型予算の在り方を検討しているわけでありますけれども、当面、試行でありますので、一部の地域、特定の分野を対象にして行っていきたいと思っております。諏訪湖の創生は、テーマ的には御指摘のとおり非常になじみやすいものというふうに思いますが、今、全体的に検討中でありますので、これを直ちにテーマにするかどうかということについてここでの御答弁は控えたいというふうに思います。  いずれにしても、地域の皆様方の思いや声をしっかり反映した上でビジョンを策定して、その実行に当たりましても、県として必要な予算を積極的に計上していきたいと思いますし、ぜひ地域の皆様方と共にビジョンの具体化に向けて取り組んでまいりたいと考えております。  以上です。       〔19番宮下克彦君登壇〕 ◆19番(宮下克彦 君)ありがとうございました。それぞれ現時点で精いっぱい前向きな御答弁をいただいたと思います。  知事にも現場に来てしっかりと意見を聞いていただけるということです。農政部も環境部と連携してしっかり検討をいただいているのですけれども、ワーキンググループでも構いませんので、専門家を交えた協議を今のうちからしっかりと深めていただき、諏訪湖環境研究センターもできますので、その検討にぜひつなげていっていただければと思います。  本気で変えようとする気がないとなかなか変化せず、穏便に済まそうということにもなりかねません。ダーウィンによりますと、変化しないとその種は滅んでしまうということで、大事なのはいかに変化させるかということだと思います。  リーダーたる知事だけでなく、県職員の皆さんが県民と対話を重ねまして、本当に必要な対策や事業を一緒に探り、新たな県政をつくっていく。それこそが県民起点の対話と共創の県政ではないでしょうか。そのような組織をつくって仕組みをつくる必要があると考えます。本気で県民の声に直接耳を傾けて取り組み、長野県を変えていってほしいと思います。大きな期待をしまして、私の一切の質問を終了いたします。 ○議長(丸山栄一 君)次に、小池久長議員。       〔30番小池久長君登壇〕 ◆30番(小池久長 君)今、諏訪地域では、週末になりますと小宮がこんなにあるものかというほど。今日は地元の感染予防のマスクを皆さんに御披露しながらやっております。  今日は、まずはレスポンシブルツーリズムと八ヶ岳の観光振興についてお伺いしたいと思います。  感染症への感染防止意識が高まり、また、ワクチン接種率が上がる中での自然豊かな本県への外国人観光客も含めた誘致が待ち望まれます。  このような中、持続可能で安定した観光誘致策と環境に配慮した観光振興策の両立が重要になってくると考えられます。また、現在の繁忙期での人材不足も緩和される可能性も想像されるわけであります。  岐阜県の白川郷では、世界遺産の景観保全と、観光客と地域住民の安全確保のため、車両の進入制限や夜間のライトアップイベントについて予約制、有償化の取組を実施しています。こういった取組は、レスポンシブルツーリズムと呼ばれ、海外ではハワイなどでも海洋環境保全の観点で以前から取り組まれていました。  レスポンシブルツーリズムの具体的なメリットとしては、観光地側では地域環境への負荷の軽減、観光客へ満足度の高い観光体験を提供できます。安定した観光産業経営にもつながると考えられ、観光客側としては、ゆったりと観光ができる、また、地域の魅力をよりじっくりと楽しめる等が挙げられます。また、渋滞緩和にも大いに役立つのではないでしょうか。  決して季節的な要因や開催地等の要因で集中することを否定するわけではありませんが、今回の新型感染症との闘いで、私たちは多くを学んだはずであります。経済を発展させながら感染リスクを抑え、持続可能で観光地と観光客の双方による安全、安心の観光地づくりのために大胆な発想も必要であると思われます。広島県の有名観光地の宮島では、来年度、300万人の来訪者に対して入島税、島に入る税金を徴収し、約2億円の収入で島内環境整備を予定していると聞いております。今後の観光施策として、このレスポンシブルツーリズムの取組についての所見を観光部長にお伺いいたします。  諏訪地域の茅野市、富士見町、原村の3市町村は、県の次期総合計画の諏訪地域計画に、県と3市町村の連携で環境、観光、農業分野の総合的な計画、仮称八ヶ岳西麓振興ビジョンの策定を掲げるよう諏訪地域振興局に提言いたしました。この提言は、自然の恵みが生かされる地域づくりが重要であるとし、この観点が観光振興や雇用創出、ゼロカーボン社会の実現など様々な地域課題解決の糸口となるものとして県に対して支援と協力を求めています。中でも、観光面として、八ヶ岳の大自然のすばらしさを生かした体験や学びに重点を置きながら乗合デマンド交通の連携等、さきに述べたレスポンシブルツーリズムの視点も取り入れた大変意欲的な内容となっています。  そこで、3市町村から提言がありました本県の貴重な観光資源であります八ヶ岳の魅力を観光振興に生かしていくため、県としてどのように取り組んでいくのか。知事に御所見をお伺いいたします。  続いて、人材の育成確保についてお伺いいたします。  総務省の労働力調査によりますと、非正規雇用者の人数は、2020年3月から11月まで連続して前年比マイナスを記録しました。11月の減少幅を見ると、男性の25万人に対し女性は37万人となっています。  接触型ビジネスの典型であります宿泊、飲食に占める非正規雇用に女性の割合が多いとの見方もありますが、現在、国民の皆さんの感染症への認識とワクチン接種等で感染者が少なくなる中で、県民割やGoTo政策のような需要喚起策で消費が伸びて経済を押し上げると期待されますが、物価高騰は、雇用者側の負担や、当然消費者側に負担が重くのしかかってまいります。また、非正規雇用者が雇用全体の40%を超える状況で、所得上位の30%のサービス消費が活発化しても日本経済全体を押し上げる力になるのか、先が見えない状況が続いております。  岸田政権では、成長と分配の好循環を通じた中間層の所得拡大に向け、新しい資本主義実現会議を設置いたしました。そもそも国民全体の所得が上がらない要因としては、格差社会が浮き彫りとなり、新たな産業で所得が増えた層に比べ下層所得層が上回るため、全体で総所得は下がり続けています。  一体中間所得層とは現在ではどの層を示すのか。本来、非正規雇用者は、海外の取組のように、需要の変化により雇用される不定期な立場であるからこそ需要に応じた賃金が保障されるべきであり、そういった環境が整備されなければ、結婚や子育て等日本経済を下支えする原動力とはなり得ないわけであります。  知事は、所信の中で、「真に「ゆたかな社会」を創る」と表明されました。中間層の所得が上がらないことや非正規労働者の増加で将来に希望が持てない人たちが多くいる中で、事業継承や人材育成によって新たな雇用環境の創出が求められていると考えます。  山口県では、地元金融機関がサーチファンドを設立し、後継者探しに悩む経営者と経営者を目指す若者を結びつける事業継承ファンドを設立いたしました。我が国では、優秀であっても、経営者になる道は非常に限られており、一から起業するのではなく、潜在競争力のある中小企業の経営者となり、既存の事業基盤を生かしながら成長を目指す取組として、若者の起業支援と後継者難に悩む中小企業の事業継承支援の両面から注目されています。日本一創業しやすい県づくりを目指している本県として、経営者を目指す若者への支援をどのように行っていくのか。産業労働部長の所見を伺います。  あらゆる業種での人手不足も深刻であるとともに、所得が上がらないと言われている沈む中間層をすくい上げ、次の世代を牽引していってもらうことが必要であります。現場で働く人が少ない、給料が上がらないというミスマッチを解消するため、官民労が一体となった人材育成確保が喫緊の課題であります。  そこで、誰もが居場所と出番のある社会を目指す長野県として、失業なき労働移動を実現し、人材の育成確保と所得向上を実現していくことが必要であると考えますが、県としてどのように取り組んでいくのか。産業労働部長の所見を重ねてお伺いいたします。       〔観光部長渡辺高秀君登壇〕 ◎観光部長(渡辺高秀 君)レスポンシブルツーリズムについての所見についてのお尋ねでございます。  近年、SDGs等への意識が高まる中、観光分野においても持続可能な観光を推進するため、観光客自らが地域住民や自然環境に配慮する「責任ある観光」と言われるレスポンシブルツーリズムは重要と認識しております。  県内におきましても、観光地の自然環境に悪影響を及ぼすいわゆるオーバーツーリズムへの対応として、例えばマイカーでの乗り入れ規制など観光客に行動配慮を求める取組が進められてきたところでございます。  また、近年のインバウンドの増加に伴い、県におきましても、バックカントリーの注意事項をまとめたポスター等を制作したほか、重点支援地域でありますハクババレーエリアにおいて統一的なバックカントリールールの作成を支援してまいりました。  今後も、環境負荷の状況を踏まえた地域等におけるルール策定の支援等により、持続可能な観光地域づくりが進むよう取り組んでまいります。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には八ヶ岳の魅力を生かした観光振興について御質問をいただきました。  八ヶ岳西麓エリアは、自然と歴史に恵まれた豊富な観光コンテンツに加えまして、首都圏から距離も近いことから、本県の観光にとって重要な地域だというふうに考えています。こうした地の利に加えまして、環境に配慮した農業と工場見学等を組み合わせた体験型施設が立地していたり、また、富士見高原を中心としてユニバーサルツーリズムが進められていたり、さらには、観光地を結ぶ無料バスの実証運行などの二次交通の充実が図られているなど、様々特徴的な取組が行われている地域だというふうに考えておりまして、今後のさらなる発展が期待されるところだと考えています。  県としても、ユニバーサルツーリズムフォーラムの開催や諏訪湖・八ヶ岳サイクルフォトラリーの開催、また、諏訪湖・八ヶ岳星降る縄文インスタ投稿キャンペーンの実施、こうしたことを通じてこの地域の観光振興に一緒に取り組ませていただいているところであります。  御提言いただきました八ヶ岳西麓の総合的な振興策につきましては、今後、関係市町村の皆様方としっかり連携して検討を進めていきたいというふうに考えております。  さらに、今後中部横断自動車道の全線開通が行われれば、佐久地域や山梨県の北杜市も含めて八ヶ岳の周囲全体が有望な広域観光圏になってくるというふうに考えられます。こうした点も踏まえながら、地域の声を十分お伺いして、より広域的な観光の在り方についても検討していきたいと考えております。  以上です。       〔産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業労働部長(林宏行 君)人材育成確保について2点の御質問をいただきました。  初めに、経営者を目指す若者への支援についてでございます。  議員が御指摘されましたように、後継者不在の企業が保有している経営資源を引き継いで行ういわゆる経営資源引継ぎ型創業は、設備や不動産等の取得に要する金銭的コストを抑えることができるほか、事業のノウハウ、ブランド、顧客、販売先を一から構築することなくスタートできるメリットから、特に若者に適した新たな企業形態として注目されております。  そこで、本年度から、県の創業支援拠点である信州スタートアップステーションに専門コーディネーターを新たに配置し、後継者不在事業者と創業希望者をマッチングさせる事業を開始いたしました。経営者を目指す若い方々でもスムーズな創業ができるよう、中小企業融資制度資金による低利融資に加え、本年4月に信州スタートアップ・承継支援ファンドを設立するなど、官民連携による起業、金融面の支援を充実させたところでございます。  今後とも、関係機関との連携を一層強化し、県内経済の活性化に寄与するスタートアップの誕生と円滑な事業承継の促進に努めてまいります。  次に、失業なき労働移動の実現、人材育成確保と所得向上についてのお尋ねでございます。  失業なき労働移動には、働きながら学び直しやリスキリングができる環境の充実が極めて重要であると考えております。既に、国では、人への投資を抜本的に強化するため、2024年度までの3年間に4,000億円規模の予算を投入する施策パッケージを講じ、働く人が自らスキルアップし、デジタルなど成長分野へ移動できるよう支援する旨を公表しております。  県といたしましても、夜間、休日の開講など、働きながらでも受講しやすい講座の開設を支援する働く人の学び直しの場拡充支援事業により社会人の学びの場を充実させたところですし、学び直し等に関する講座や支援制度を一元的に情報発信する社会人学びの総合ポータルサイトの構築を進めているところでございます。  他方、所得向上のためには賃金上昇につながるような経営面での取組が重要ですので、最低賃金の引上げを支援する国の業務改善助成金の活用や、県プラス補助金の最低賃金枠の要件緩和など、経営面での支援を拡充したところでございます。  コロナ禍から脱し、地域経済が再生、成長していくためにも、原動力となる人材の育成確保と所得向上は極めて重要と考えております。今後とも国の施策とタイアップしながら、労働局や経済団体等とも歩調を合わせ、連携した取組を進めてまいります。
          〔30番小池久長君登壇〕 ◆30番(小池久長 君)続いて、困難を抱えた女性と子供への支援についてお伺いいたします。  10月は里親月間に当たります。そこで、本定例会で本県の里親制度の課題等についてお伺いいたします。  日本では、様々な事情で実親と暮らせない子供が約4万5,000人います。本県でも約600人がそういった環境の中で生活をしています。  本県での里親制度の目標として、令和2年から令和6年まで23.8%、令和11年までには44.1%としています。現在、令和3年度の進捗率は21.8%となっています。他県と格段に差があるわけではありませんが、本県においては施設養育という環境が整っていましたが、2016年、改正児童福祉法が施行され、生みの親が養育できない子供は養子縁組や里親、ファミリーホームなど家庭と同様の養育環境で継続的に養育されることが原則となり、本県におきましても令和2年に長野県社会的養育推進計画が策定され、今日に至っています。  思いがけない妊娠が分かったとき、本人が周囲に相談できず、独りで悩み、出産をためらったり、出産後に重篤な虐待に至るケースもあります。妊娠、出産に関しては母体保護法で厳格に守られていますが、様々な背景があり、女性の心身の負担は計り知れないわけです。決してそのような要因で次の妊娠、出産を諦めることがあってはなりません。独りで悩まない手厚い支援が必要であります。  そこで、予期せぬ妊娠で戸惑っている女性に対して県はどのような相談支援を行っているのか。こども若者局長に伺います。  また、出産した女性が子供を育てられない場合には、里親等できるだけ家庭的な環境において養育されることが望ましいわけですが、真実告知のタイミングや実親との関係性などで難しいケースも多いと聞きます。  子供は、それぞれの事情を抱え里親家庭で生活することになるため、困難を伴うことも多いわけですが、本県ではフォスタリング機関の役割を児童相談所が担っています。県民の総意で子供を育てるという本県の歴史に鑑み、決して差別するようなことがあってはなりません。そこで、このような子供の健やかな育ちを保障するため、どんな課題があるのか。また、県としてどのように取り組んでいくのか。こども若者局長にお伺いしまして、一切の質問を終わりといたします。       〔県民文化部こども若者局長野中祥子君登壇〕 ◎県民文化部こども若者局長(野中祥子 君)私には困難を抱えた女性と子供への支援について2問御質問をいただきました。  初めに、予期せぬ妊娠をした女性への支援についてでございます。  県では、予期せぬ妊娠をし、戸惑っている女性などに対して、妊娠初期の段階から支援を行うために平成31年3月末に「にんしんSOSながの」を開設いたしました。そこでは、対面による相談のほか、電話、メール、SNS等による相談も受け付け、24時間365日相談支援を行っております。  窓口開設以来、相談件数は伸び続けており、令和3年度は250件の相談が寄せられております。全相談のうち83件、33%に当たりますが、これが妊娠していたらどうしたらよいのかという妊娠不安。また、35件が今後育てていけるかといった悩み。その他は、病院に行くお金がない、産みたいけれどもパートナーや家族から反対されているなどで、女性からの相談が7割を占めております。  「にんしんSOSながの」では、専門的知識を有する相談員が相談に応じ、心身の状況や現在の生活状況を丁寧に把握して個別の支援計画を作成し、女性の心情に寄り添いながら必要に応じて産科医療機関などにつなげるなど、継続的に支援を行っているところでございます。  今後も、予期せぬ妊娠で戸惑う女性に対して迅速な支援を行うことができるよう、県内の学校や薬局などを通じ「にんしんSOSながの」について幅広く周知するとともに、医療、保健、福祉などの必要な支援を切れ目なく提供できるよう、医療機関、市町村、児童相談所など関係機関と連携してしっかりと取り組んでまいります。  次に、子供の健やかな育ちを保障するための県の取組についてでございます。  児童福祉法では、家庭養育優先の理念が規定され、実親による養育が困難な場合には、特別養子縁組による永続的解決、いわゆるパーマネンシー保障や里親などによる養育を推進することとされております。この考え方に基づき、児童相談所が代替養育を検討する際には、対象となる子供の意向や子供の最善の利益を十分考慮した上で、できる限り家庭と同様の環境で代替養育が行われるよう、特別養子縁組や里親等による養育を優先的に検討することとしております。  一方で、代替養育に当たりましては、議員御指摘のとおり、例えば特別養子縁組におきましては、子供の出自を知る権利を保障するための真実告知をどのように行うのか。また、里親等委託におきましては、家庭復帰を見据えた実親との良好な関係をどのように確保していくかなどの課題や悩みも生じております。  そうした課題や悩みを一つ一つ解決し、子供たちが安心して生活できる環境を整えられるよう、県では、児童相談所などのフォスタリング機関を中心として、特別養子縁組里親に対する丁寧な助言、養育里親に対する研修、委託中の里子養育に関する相談支援などを行うとともに、市町村、児童養護施設等関係機関の御協力を得ながら包括的な里親支援体制の強化に取り組んでいるところでございます。  あわせまして、広報啓発を通じて里親制度に対する県民の理解を求め、里親の担い手を増やすとともに、社会全体で子供の育ちを支えていく機運を醸成してまいります。子供の最善の利益が保障されるよう引き続き全力で取り組んでまいります。  以上でございます。 ○議長(丸山栄一 君)次に、清水純子議員。       〔29番清水純子君登壇〕 ◆29番(清水純子 君)通告に従って順次質問をさせていただきます。  本年5月27日、国勢調査の結果が公表され、令和2年10月時点において未就学者は約9万4,000人、加えて、今回初めての調査となりました最終卒業学校が小学校の者、これが約80万4,000人ということが明らかになりました。  今回の調査により、文科省は、義務教育を終了しないまま学齢期を経過した方や不登校など様々な事情によって十分な教育を受けられなかった方、そして、外国籍の方などが再び学ぶ場所として、夜間中学がますます重要な役割を果たすとし、都道府県・市町村教育委員会に、夜間中学の設置、充実に向けた取組の推進を図るよう本年6月にも再度通知を行っております。  また、平成28年12月に成立した義務教育の段階における普通教育に相当する教育機会の確保等に関する法律第14条では、地方自治体は、「夜間その他特別な時間において授業を行う学校における就学の機会の提供その他の必要な措置を講ずるものとする。」とし、今後5年間で全ての都道府県、指定都市に夜間中学が少なくとも一つ設置されることを目指すことを政府の方針としております。  これを踏まえてお聞きいたします。  令和4年4月における夜間中学の設置数は、全国15都道府県で40校、長野県には設置実績はありません。設置に向けた市町村へのニーズ調査を毎年行っていると認識しておりますが、これまでと本年の結果をお聞きいたします。  今回の国勢調査から、長野県でも最終学歴が小学校となる方は1万7,150人との結果も出ております。夜間中学には、不登校などの理由により十分な教育が受けられないまま卒業し、学び直しを希望する方の入学も認めているため、国民全てが受ける権利のある義務教育課程の学びの保障の機会を求める方のニーズは多いと想定いたします。  支援すべき人が必ずいるという前提で、対象となる方へ届く調査が重要と考えますが、これまでのニーズ調査はどのように行ってきたのか。これを十分と考えているのか。お聞きいたします。  長崎県教育委員会では、新聞、ホームページ、ラジオ等での周知とともに、県内130か所の図書館や公民館へのアンケートの設置、そして、外国人の支援団体、ひきこもり支援団体などにも調査の協力を依頼して、当事者にチラシやアンケートが届く取組を行っております。  長野県でも、当事者のみならず、その家族や友人、福祉関係者や民生委員にも御協力をいただいて周知や調査を行い、直接行き渡るはがきアンケートや支援者へのヒアリングの実施等も行いながら、潜在的入学希望者目線で当事者に届くニーズ調査の実施が必要と思われますが、御所見を伺います。  その上で、今後入学を希望する方が実際に通学可能な範囲で、県内に少しでも多くの夜間中学が設置されることが望まれます。しかし、実際、各市町村が単独で夜間中学を設置することは少しハードルが高いとも考えられます。県民全ての方への誰も取り残すことのない教育機会の保障を確保する観点からも、まずは県立夜間中学の設置を検討し、その取組効果、ノウハウを広く県内市町村に伝えていただきたいと望みますが、いかがでしょうか。ぜひ県において協議会を設け、新たな多様な学びの確保における夜間中学の設置をテーマに検討していただきたいと思いますが、御所見を伺います。  不登校特例校の設置についてもお聞きいたします。  2020年度には、全国小中学校で不登校児童生徒は前年度比8.2%増の19万6,127人と8年連続で増加し、過去最多となる中、不登校の子供の状況に合わせた柔軟な授業カリキュラムを組むことができる不登校特例校が、本年4月時点で、全国10都道府県、21校設置され、その取組が注目されております。  2016年に成立した教育機会確保法に基づく基本指針では、国は自治体に対して不登校特例校の設置を促しております。また、本年6月策定の骨太の方針にも、不登校特例校の全都道府県、政令指定都市への設置を目指す方針を固め、これを初めて明記しております。いまだ未設置である長野県での不登校特例校の設置が急務であると考えますが、不登校特例校についての県の認識を伺います。  また、文科省は、市町村教育委員会の担当者でも不登校特例校について知らないケースがあるとして、認知度向上に努めております。県としても、設置に向けた関係各所への働きかけや協議、市町村の設置検討状況の把握をきちんと行うべきと考えますが、いかがでしょうか。以上、教育長に伺います。  最後に、知事に伺います。  知事は、長野県の強みである学びの県を政策推進のエンジンに位置づけているとおっしゃっております。日本一の学びの県づくりに向け、まさに知事が言う光の当たりにくい場所である様々な理由で十分な教育を受けられていない学ぶことを求めている県民全ての人に、新たな学びの形である夜間中学と不登校特例校設置により多様な学びの場の選択肢を提供していただきたいと考えますが、御所見を伺います。  9月はがん征圧月間です。平成25年の議員提案による長野県がん対策推進条例施行から9年がたち、この間、予防、早期発見及び早期治療の徹底を図るとともにがん患者の療養生活の質の向上を図り、がんに負けることのない社会の実現を目指し、各種施策を進めてきております 。  今やがんは治る病気とも言われ、治療と学業、仕事との両立支援が重要となってきました。がんと闘いながら治療や副作用による精神的ストレスを抱える方が少しでも安心して仕事を続けることができるよう、そして、社会とのつながりを決して断つことのないように、外見変化に対して医学的、技術的、心理的に支援をするアピアランスケアへの支援を求める声が高まっております。  そこで、健康福祉部長にお聞きいたします。  昨年9月議会において加藤県議から質問がありましたがん患者の医療用補整具購入への助成支援について、その後の国への要望状況、県内の状況についてお聞かせください。  この間、全国では、がん患者へのアピアランスケアに対するウイッグ等の購入支援を実施する自治体が増えており、現在22県に広がっております。長野県がん対策推進条例第18条の「県は、がん患者等が社会とのつながりを失わないよう、がん患者に対し就労等を含めた生活上の支援をするために必要な施策を講ずるものとする。」とのことからも、がん患者に対するアピアランスケア支援を広く進めるため、相談の充実と医療用補整具購入への助成支援を実施すべきと考えますが、知事の決断を求めます。  6月議会において、保育園のおむつ持ち帰りの改善について質問をさせていただきました。県からは、市町村への調査、助言を行うとの答弁をいただいたところですが、その後の経過についてお聞きいたします。  先月26日、厚労省は、使用済おむつの持ち帰りの実態調査を行う方針を固めたと報じられております。いち早く調査を行っていただいた長野県での調査結果を踏まえて、新型コロナ感染対策の観点及び保育園に子供を通わせる親の負担軽減を求める声に県はどのように対応していくのか。県の役割についてこども若者局長にお聞きいたします。       〔教育長内堀繁利君登壇〕 ◎教育長(内堀繁利 君)4点御質問をいただきました。  まず、夜間中学に係るニーズ調査のこれまでと本年の結果についてのお尋ねでございます。  中学校夜間学級、いわゆる夜間中学の設置に関する検討状況につきましては、昨年度までは9割以上の市町村教育委員会から検討の予定はないとの回答を得ているところであります。その理由として、現時点では要望や必要性がないこと、市町村の単独事業として取り組むには財政的、人的制約があること、広域での設置をお願いしたいことなどが挙げられています。  今年度においては、国の法改正や政策動向を踏まえて前向きに検討するとの回答が11市町村と2桁になるなど、その関心は少しずつ高まっていると認識しているところであります。  当事者に届くニーズ調査の実施についてのお尋ねでございます。  市町村教育委員会へのニーズ調査は、学齢超過者から教育を受ける場や機会等について問合せがあったか、中学校夜間学級設置に関する検討状況についてなど五つの項目について平成28年度から実施しております。翌平成29年度からは、不登校児童生徒及び外国籍児童生徒を支援するNPO団体も調査対象に加え、本年度は21団体に依頼し、広くニーズの把握に努めているところであります。  今後は、例えば公共施設へのアンケートの設置、県教育委員会ホームページへのアンケートQRコードの掲載、NPO団体を通じた当事者や家族へのヒアリングの実施など、議員御指摘のようにさらに当事者に届くニーズ調査について検討し、実施してまいります。  県立夜間中学の設置検討についてでございます。  本年度実施したニーズ調査により把握した全県における夜間中学希望者は38名で、このうち34名が外国籍の方であります。この方々は、まずは日本語の習得を目指しており、NPO団体や各自治体が主催する日本語教室と連携した支援が必要であると考えております。一方で、4名は日本国籍を有しており、夜間中学での学び直しを望んでおります。  現在、全国に40校ある夜間中学のうち、県立として設置している徳島県と高知県からは、全県からの生徒募集が可能となるなどのメリットがある一方で、設置場所の選定における市町村教育委員会や県民の皆様の理解を得ることの難しさなどがあると聞いています。  いずれにいたしましても、このような状況を踏まえ、夜間中学を含めた新たな多様な学びの場の設置について市町村教育委員会と協議する場を設けたいと考えております。  不登校特例校についての認識と設置への働きかけ等についてでございます。  現在、県教育委員会では、不登校児童生徒の学びを保障する観点から、市町村が設置する64か所の教育支援センター等を中核とした多様な学びの仕組みづくりを支援するとともに、不登校の子供たちが通室する73か所のフリースクールとも連携し、学校以外の場所での学習活動や体験活動を出席扱いとしながら評価にもつなげることに取り組んでいるところであります。その上で、先進的な市町村の取組を他の市町村でも展開できるよう事例を紹介するなど支援をしているところでございます。  不登校特例校は、年間の総授業時間数の低減や弾力的な教育課程の編成などが可能であり、不登校児童生徒にとって多様な学びの場の選択肢の一つになり得るものと認識しております。今後は、市町村教育委員会に対し必要な情報を提供するとともに、市町村の設置検討状況の把握を行い、先ほど申し上げた市町村教育委員会と協議する場において不登校特例校についても検討してまいります。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には2点御質問を頂戴しました。  まず、夜間中学、不登校特例校の設置についてという御質問であります。  御質問にありましたように、全国ではこうした夜間中学、不登校特例校が進んでいる中、現時点で長野県にはないというのは大変残念であり、また、申し訳なく思っております。  過去に様々な理由により教育を受けられず、再び学ぶ場を必要とされている方々、また、現在不登校等の理由により多様な学びの場を必要としている子供たちへの学びの保障、こうしたことは大変重要だというふうに考えておりますし、子育て世代の方たちとお話をさせていただく中で、いろいろな課題も出ましたが、長野県は、大都市と比べられていると思いますけれども、やはり学びの場の選択肢が少ないということを多くの方がおっしゃっていました。  私は一人一人の子供に合った学びが重要だということを申し上げてきているわけでありますけれども、そのためには、学びの場も画一から多様化を進めていくということが極めて重要だというふうに思っております。こうしたことから、私としては、夜間中学や不登校特例校の設置はいずれも重要な課題だというふうに考えております。  ただ、これは県の教育委員会だけに任せていてはいけないというふうに思っています。例えば、全国の不登校特例校を見ますと、私立学校で担っている場合もあります。また、不登校特例校は基本的に義務教育で行われていますので、義務教育の分野をつかさどっている市町村、特に予算は市町村長の権限でありますので、市町村の皆さんともしっかり連携しなければいけないというふうに考えております。  今後、教育委員会とともに、また、市町村の皆さんともしっかり意思疎通を図らせていただきながら、多様な学びの場をつくっていく一環として積極的に取り組んでいきたいと考えております。  続きまして、アピアランスケアへの支援に関する県の今後の取組という御質問でございます。  がん患者の皆様へのアピアランスケアは、がん患者の方々の社会参加の促進のため非常に重要だというふうに考えております。相談体制につきましては、令和5年度に新たに予定されております国のがんとの共生に向けた相談支援の強化に関する事業等を活用して、県内のがん相談支援センター等と連携した取組を検討してまいります。  また、医療用補整具購入費用の支援につきましては、市町村からも御要望をいただいておりますし、私も県民の皆様方から直接御要望をいただいておりますので、市町村とよく相談をさせていただく中で来年度予算に向けて制度の具体化を検討していきたいと考えております。  以上です。       〔健康福祉部長福田雄一君登壇〕 ◎健康福祉部長(福田雄一 君)がん患者のアピアランスケアへの支援に関して御質問をいただいております。  まず、国への要望の状況でございます。  がん患者の医療用補整具購入費用の助成制度については、全国的な課題でもあることから、昨年度から継続して制度を創設するよう国への要望を行っているところでございます。  次に、県内の状況でございますが、令和4年9月時点で、県内で助成を実施している市町村はございません。一方で、県内12か所にあるがん診療連携拠点病院等に設置されているがん相談支援センターに対しアピアランスケアに関する相談状況の調査を行ったところ、令和元年度から3年度の延べ4万7,174人の相談者のうち、約6.4%に当たる2,998人の方からアピアランスケアに関する相談がありました。このことからも、アピアランスに関する悩みを持つ方が一定程度おられるものと認識しております。  以上でございます。       〔県民文化部こども若者局長野中祥子君登壇〕 ◎県民文化部こども若者局長(野中祥子 君)私には保育園での使用済おむつの持ち帰りに係る調査結果と県の役割、また今後の対応について御質問をいただきました。  県内保育所における使用済おむつの処理につきましては、4月時点での状況を77市町村に調査をし、69市町村から回答をいただいております。その結果、施設で使用済おむつを処理しているのは、公立、私立を合わせて全体の約14%、82施設でございました。また、施設処理としている主な理由としましては、利用者や保育士の負担軽減、感染症対策のためとなっております。一方で、持ち帰りとしているのは約86%の512施設で、その主な理由としましては、子供の体調把握のため、保管スペースの確保などの衛生管理や財源の確保が困難なためというものが挙げられております。  また、今後の処理方法につきましては、約半数の37市町村において施設での処理に見直す、または見直しを検討中との回答をいただいたところでございます。  市町村に対しましては、この調査結果とともに、既に施設で処理をしている市町村や園におけるおむつの保管場所や費用負担の方法などについても情報提供をさせていただき、おむつの処理方法を見直す際の参考としていただくよう通知を発出しているところでございます。  保育行政に係る専門的な助言、広域的な調整を行う役割を県は担っております。市町村に対しましては、今後も引き続き他の自治体の取組などの情報提供を行うとともに、保育士、保護者の負担軽減などによる保育の質の向上を図るという観点から、必要に応じて助言を行ってまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔29番清水純子君登壇〕 ◆29番(清水純子 君)御答弁いただきました。  アピアランスケアに関しては、来年度に向けて制度の具体化ということで、ぜひがんに負けない社会の実現に向けての知事のメッセージが県民に届きますようによろしくお願いいたします。  夜間中学に関しては、さらなるニーズ調査を深めていただいて、多様な選択肢を広げていただきたいと心から切に希望を申し上げ、質問を終わりにさせていただきます。以上です。 ○議長(丸山栄一 君)次に、望月義寿議員。       〔1番望月義寿君登壇〕 ◆1番(望月義寿 君)改革・創造みらい、望月義寿でございます。通告に従い質問いたします。  最初に、社会的に問題点を指摘される団体への対応について質問いたします。  安倍晋三元首相銃撃事件から3か月がたとうとしています。元首相暗殺は世界中に大きな衝撃を与え、犯人である山上徹也容疑者の動機が旧統一教会への恨みであることが判明してから、旧統一教会、世界平和統一家庭連合への関心が高まり、政治や行政との関わりについて連日報道されています。  もとより、信教の自由は思想・良心の自由とともに絶対的に保障されるものです。しかしながら、外部的行為を伴う場合には、他者との人権調整原理である公共の福祉の制限を受けることもあり、宗教的活動であれば無条件に保障されるわけではありません。
     「旧統一教会」問題関係省庁連絡会議の事務局である法務省によると、合同電話相談窓口に寄せられた旧統一教会関連と見られる被害の訴えは9月5日から22日の間に1,317件で、寄附、献金や物品購入などの金銭トラブルが70%の919件に上り、その約35%は最近10年以内の支出とのことです。こうした社会的に問題点を指摘される団体に対し政治家や行政がお墨つきを与えるような行動は厳に慎むべきと考えます。  以下、質問いたします。  本県は、世界平和統一家庭連合から長野県ウクライナ避難民支援プロジェクトへの寄附として7月25日に12万870円を受け、先般返還しましたが、改めてこの経緯について伺います。  また、社会的に問題点を指摘されている団体やその関連団体からの寄附は県として受けるべきではなく、そうした団体が主催する行事への後援も行うべきでないと考えますが、いかがでしょうか。そうした団体に対する寄附や後援に係る基本的な考え方について玉井総務部長に御所見を伺います。  旧統一教会が各都道府県の消費生活センターに対して教団に関する相談情報の提供を求めたとされる旨の報道がありましたが、県消費生活センターにおいてもこのような相談情報の提供を求められた事実はあるのでしょうか。また、あるとすればその求めに対して県ではどのように対応したのか。山田県民文化部長に伺います。       〔総務部長玉井直君登壇〕 ◎総務部長(玉井直 君)私には2点御質問をいただきました。  まず最初に、旧統一教会から寄附を受け入れた経過でございます。  今般の寄附は、県が令和4年5月27日から7月25日までの間募集しましたクラウドファンディング型寄附である長野県ウクライナ避難民支援プロジェクトへの寄附としまして世界平和統一家庭連合から7月25日に12万870円を受けたものでございます。  受入れ当時の判断としましては、金額や寄附の使途、規模につきまして特段の問題はないものということで受け入れたものでございます。しかし、当該団体に関しては、過去にその活動の一部について違法との司法判断が示された事例があるほか、現在も係属中の訴訟が複数あることを踏まえまして、相手方と合意の上、9月12日付で全額返還を行ったところでございます。  次に、社会的に問題点を指摘されている団体に対する寄附や後援の考え方についてでございますが、こうした団体から寄附を受けたり後援を行うことは、県が当該団体の行為を認めているとの印象を県民に与えかねないほか、結果的には当該団体を支援することにもつながりかねないというふうに考えております。  こうした団体への対応につきましては、一律に考え方をお示しすることは難しいところでございますが、基本的な考え方としましては、司法判断や行政処分によりまして当該団体の活動に一定の違法行為が確認された場合には、県として当該団体からの寄附を受けることや主催する行事への後援を行うことは適切ではないというふうに考えております。  以上でございます。       〔県民文化部長山田明子君登壇〕 ◎県民文化部長(山田明子 君)旧統一教会における県消費生活センターへの相談情報の提供の要請とその対応についてのお尋ねでございます。  一部の県消費生活センターにおきまして旧統一教会の関係者を名のる方が来所されたという事実はございますが、具体的な情報提供の要請はありませんでした。このため、県としては対応はしてございません。  以上でございます。       〔1番望月義寿君登壇〕 ◆1番(望月義寿 君)一律に判断するのはなかなか難しいというところもあるようですけれども、どこまでが関連団体なのかなかなか判断が難しいところもあるかと思います。しかしながら、そうした司法判断や様々な事例を把握し、相手の実態をしっかりと把握した上で適切な判断をしていただけるようにお願いいたします。  次に、奨学金制度について質問いたします。  知事は、4期目の公約として掲げた政策のうち速やかに取り組む事項をスタートダッシュ・アクション2022として取りまとめ、新たな給付型奨学金制度の創設を表明されました。大いに期待するところです。詳細な制度設計は今後の検討によることは承知しておりますが、その創設の狙い、制度設計に当たっての現時点での考え方等について野中こども若者局長に伺います。  次に、高等学校等奨学金について質問いたします。  本県においては、貸与型奨学金である高等学校等奨学金制度がありますが、その概要と対応状況について伺います。この奨学金は、貸与月額が、公立1万8,000円、私立3万円と比較的少額であり、増額が必要と考えますが、いかがでしょうか。  また、埼玉県で導入されているような複数の貸与額を用意し生徒本人が選択できるような制度を導入してはいかがでしょうか。内堀教育長の御所見を伺います。       〔県民文化部こども若者局長野中祥子君登壇〕 ◎県民文化部こども若者局長(野中祥子 君)私には奨学金制度創設の狙いや制度設計の現時点での考え方について御質問をいただきました。  子供とその親の子育て世代にとって、大学など高等教育に要する費用は大きな負担です。その負担ゆえに学びの選択肢や将来の可能性が制約を受け、子供が希望する進路を諦めてしまうことがないよう支援することが必要と考えております。  国においては、低所得層を対象とした給付型奨学金制度を設けておりますが、低所得層以外の方は貸与型奨学金しかなく、将来の返済負担が利用に当たってのハードルになっているとの声もあります。こうしたことを踏まえ、現在検討を行っている県の給付型奨学金制度では、国の制度の対象とならない所得層も含めて対象とすることでより多くの将来有望な若者の進学希望を後押ししてまいりたいと考えております。  また、今回の奨学金制度は、都内で学生寮を運営していた信州学生協会様の御寄附を原資としており、この団体の意向も踏まえまして、より生活費負担の大きい自宅外の学生を対象とするとともに、進学へのインセンティブとすべく、選定時期が早期となるよう工夫することについても検討を行ってきておるところでございます。  今後詳細な検討をさらに進め、令和5年度からのスタートを目指してしっかりと制度設計を進めてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔教育長内堀繁利君登壇〕 ◎教育長(内堀繁利 君)高等学校等奨学金制度の概要と現状についてのお尋ねでございます。  県教育委員会では、高等学校等に在学する生徒の就学を支援するため、高等学校等奨学資金貸付金制度を設けております。その奨学金として、学力基準を満たし主たる家計支持者の全収入額が4人世帯の場合約790万円以下の者などを対象に、議員がおっしゃいましたように、生徒1人当たり、公立学校で月額1万8,000円、私立学校で月額3万円を無利子で貸与しております。令和3年度は、公立で46名、私立で96名の計142名に対し4,304万円の貸与を行っているところでございます。  また、貸与額の増額や生徒が複数の貸与額の中から選択できるような制度をとの御提案につきましては、生徒のニーズや他県の状況などを参考に研究してまいりたいと考えております。引き続き本制度を広く周知し、経済的理由で就学が困難な子供たちの就学奨励を図ることで、誰にでも多様な学びの機会が提供される環境を整えてまいります。  以上でございます。       〔1番望月義寿君登壇〕 ◆1番(望月義寿 君)それぞれ御答弁いただきました。  自由民主党県議団の風間議員が代表質問で所得制限なしでの実施を求められたのに対し、阿部知事は、国の給付型奨学金制度の対象とならない所得層も利用できるようにしたい。対象は限定せざるを得ないが、幅広い所得層を対象とできるように検討すると御答弁されました。  幅広く御検討いただけるのはありがたいですが、所得制限があると対象外ぎりぎりの世帯と逆転現象が起こり不公平になること、日本学生支援機構の奨学金の対象とならない上に子供手当や高校無償化の対象外であり、自力で大学まで進学させなければならないため、多子世帯の場合は経済的に厳しく、少子化の原因にもなりかねない等の弊害があります。子供を社会全体で育てるとの観点からも、所得制限なしでの実施を要望いたします。また、貸与型奨学金の創設も併せて御検討いただければと思います。  さらに、制度設計に当たっては、これから進学する人だけでなく、在学生や現在返済中の人にも何らかの支援が公平に届くような配慮をしていただければありがたいと思います。現在返済中の方に関しましては、企業を通じてそうした制度があるわけですが、そうしたいろいろな制度との整合性も取りつつ連携しまして、よりよい制度設計にしていただければと思っております。  いずれにいたしましても、御検討に当たっては議会や県民の声に耳を傾けていただき、よりよい奨学金制度の創設をお願いいたします。  また、内堀教育長におかれましては、御検討いただけるということなのですが、ぜひそれぞれの実情を把握していただきまして前向きに検討を進めていただければと思います。  最後に、水資源保全地域の指定について質問いたします。  全ての県民が将来にわたって豊かな水資源の恵みを享受することができるよう、水資源を保全するために水源地域の土地の取引等を常に把握し、適切に指導、監視していくために、長野県豊かな水資源の保全に関する条例が制定され、平成25年3月25日に公布、施行されました。  令和3年2月定例会で、山田議員から、水資源保全地域の指定の現状と条例の効果に関する一般質問がありましたが、昨今の急激な円安は異常とも言える状況であり、対策は急務と考えます。水資源保全条例に基づく水資源保全地域の指定の進捗状況と今後の見通し等について猿田環境部長に伺います。       〔環境部長猿田吉秀君登壇〕 ◎環境部長(猿田吉秀 君)水資源保全地域の指定についてお答えいたします。  水資源保全地域は、水道水源等の保全が必要な区域を市町村からの申出に基づき県が指定し、その区域内において土地の売買等を行う場合には事前届出を義務づけるもので、現在までに6市町村、19地域を指定し、23水源の保全を図っております。  県では、毎年度、全ての市町村に対し意向調査を実施しており、最新の調査では96水源について、指定したいあるいは指定を検討したいとの回答を得ております。一方で、指定の意向があるものの、土地所有者の把握や説明など事前の手続に時間を要し、申出までに至っていないという状況がございます。  これまで、水資源保全地域内においては、指定後に土地取引が行われた事例はなく、水資源の保全が図られておりますので、市町村に対してこうした効果をお伝えするとともに、先行事例を紹介するなど手続面についても助言を行い、地域指定が進むよう取り組んでまいります。       〔1番望月義寿君登壇〕 ◆1番(望月義寿 君)水資源保全地域の指定は市町村から提案するということですので、市町村のほうで状況の認識がいま一つだとなかなか進まないところがあると思います。  県としても、そのように進めるよう御指導いただき、また、市町村のほうでも割と前向きに捉えていただいているということではありますが、この問題は、土地所有者の皆さんに分かっていただいた上で指定していきたいという意向があると伺っておりますけれども、そこは必ずしも要件ではありません。円安で外国資本の水資源の売買がしやすい状況になってしまうのではないかと思いますので、早急に御対応いただきますようお願い申し上げまして、私の質問を終わります。 ○議長(丸山栄一 君)この際、午後1時まで休憩いたします。         午前11時42分休憩          ──────────────────         午後1時開議 ○議長(丸山栄一 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  竹花美幸議員。       〔18番竹花美幸君登壇〕 ◆18番(竹花美幸 君)まず初めは、こども基本法、こども家庭庁設置法の成立による今後のこども政策についてからです。  2022年(令和4年)6月15日、日本で初めて、子供の権利を大切にしようとする法律、こども基本法が国会で成立いたしました。  子供の権利とは、簡単に言うと、成長途上にあり弱い存在でもある子供たちが安心して成長するために国や大人が大切にするべき権利です。子供の権利は、子どもの権利条約、児童の権利条約という国際条約で決められており、1989年に国連総会で採択され、日本でも1994年に国会で子どもの権利条約を批准いたしました。  子どもの権利条約に定められた最も大切な子供の権利、一般原則には四つあり、安全・安心に成長する権利、子供にとって最もよいことを国や大人に考えてもらう権利、意見を伝え参画する権利、差別されない権利です。  こども基本法は、この最も大切な四つの一般原則をはじめとする子どもの権利条約と日本国憲法に基づき、子供が個人として尊重され、基本的人権が保障されるというルールを日本の国、地方、大人たちが、子供、若者とともに実現していくための大切な大切な法律です。このこども基本法とこども家庭庁設置法がいよいよ令和5年4月1日より施行されます。  そこで、野中こども若者局長に4点お伺いいたします。  まず1点目です。長野県の未来を担う子どもの支援に関する条例が平成26年6月に成立いたしておりますが、制定から8年経過する中で、この間の未来を担う子供への施策、支援をどのように評価分析しているのでしょうか。  2点目は、県内の子供たちの実態や意識を把握するため平成23年に行った長野県子どもアンケート調査は、現在でも市町村で参考資料として活用されております。アンケート実施から11年が経過し、子供を取り巻く環境も複雑化したり、長引くコロナの影響で現状や課題も変化していると思われますが、県として子供の現状や課題をどう捉えているのでしょうか。  3点目は、こども基本法によると、国はこども施策を総合的に推進するため、こども施策に関する大綱、こども大綱を定めなければならない(第9条)としています。  さらに、第10条におきましては、都道府県においては、こども大綱を勘案して、都道府県こども計画を定めるよう努めるものとするとされています。努力義務とはなりますが、長野県においては都道府県こども計画の策定をどう考えているのでしょうか。また、計画をどのように準備し、こども施策の一元化をどう推進していくのでしょうか。  さらに、今後、こども施策の策定や実施及び評価に当たり、子供等の意見の反映がこども基本法第11条に盛り込まれておりますが、こどもの視点、子育て当事者の視点等をどのように吸い上げて推進していくのか。お伺いいたします。  4点目は、今後のこども政策の基本理念は、こども政策の新たな推進体制に関する基本方針により大きく6項目示されております。  一つ目は、こどもの視点、子育て当事者の視点に立った政策立案。二つ目は、全てのこどもの健やかな成長、ウエルビーイングの向上。三つ目は、誰一人取り残さず、抜け落ちることのない支援。四つ目は、こどもや家庭が抱える様々な複合する課題に対し、制度や組織による縦割りの壁、年齢の壁を克服した切れ目ない包括的な支援。五つ目は、待ちの支援から、予防的な関わりを強化するとともに、必要なこども・家庭に支援が確実に届くようプッシュ型支援、アウトリーチ型支援に転換。六つ目は、データ・統計を活用したエビデンスに基づく政策立案、PDCAサイクル評価・改善です。  長野県は、今後、国の示したそれぞれの基本理念をどのように具体化し、どのような施策展開や支援を行っていくのか。お伺いいたします。  次は、知事公約スタートダッシュ・アクション2022に掲げた施策のうち、まずは信州自然留学(山村留学)についてからです。  山村留学は、昭和51年に長野県八坂村で取り入れられ、その後、全国に広まりました。1980年代後半、地方では過疎化に伴う学校統廃合を回避するために山村留学事業を運営し、地域を活性化していこうとする地域や自治体が増えました。  長野県では、共同宿泊施設や農家などで暮らし、現在16団体、17系列で受入れをいたしております。山村留学は、地域住民との交流や地域資源の活用、将来的な移住、定住へのつながりなど、地域活性化、特に過疎対策として有効な取組であると考えます。今後、県としてどのように取り組み、過疎対策につなげていくのか。清水企画振興部長にお伺いいたします。  続いても、同じく知事公約のうち地域就労支援センターの設置についてです。  女性の就労については、非正規が多く、賃金格差の問題などが浮き彫りになっております。一人の女性が子供を産み、育てるまで、収入の安定が欠かせず、今や約8割の世帯が共働きの傾向にあります。  国立社会保障・人口問題研究所の2021年出生動向基本調査によると、第1子出産後も就業を継続した女性は69.5%で、ほぼ7割に増えております。長年4割ほどにとどまっておりましたが、ここ10年で変化が生じ、仕事も子育ても両立したい、両立しようとする女性の意欲が高くなってきていることがうかがえます。  知事は、女性や若者、障害者の就労を総合的にサポートするための地域振興局ごとの組織について、地域就労支援センターの設置を検討されております。人口減少が進む中、持続的な成長を実現し、社会の活力を維持していくためには、最大の潜在力である女性の力を最大限に発揮していくことが今後の経済成長のためには不可欠と考えます。  さらなる女性の社会進出や活躍を促進するための取組の一つとして、新たな地域就労支援センターの設置に期待をいたしておりますが、特に、女性が地域で活躍できるような社会にしていくために女性の雇用確保は一番の課題であると考えますが、現在の女性を取り巻く雇用状況と、公約に掲げた地域就労支援センターでどのように女性の就労支援をしていくのか。阿部知事にお伺いいたします。  次は、軽井沢町でのG7外務大臣会合の開催についてです。  2023年4月、G7外務大臣会合の開催地が軽井沢町に決定いたしました。2016年のG7交通大臣会合、2019年のG20持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関する関係閣僚会合に続き、実績を高く評価されての3度目の重要会合の決定、開催を大変喜ばしく思っております。  そこで、3点について阿部知事にお伺いいたします。  まず1点目です。この外務大臣会合は、観光としてのインバウンドの受入れや長野県産の農作物の輸出等についても各国外務大臣に売り込んでいく、海外に向けてのまたとないPRのチャンスと考えますが、この機会をどう生かしていくのでしょうか。  2点目は、ウクライナの方々は平和を望んでいたと思いますが、理不尽にも生活が破壊されてしまいました。太平洋戦争を経験した方はもはや少なくなり、平和な日本においても平和をつくっていく努力が求められていると思います。今の世界を見て、この外務大臣会合からも世界の平和を、日本の未来を深く考える機会につなげることが大切だと考えます。  外務大臣会合は、国際社会が直面する課題を議論する重要な会議であり、県内の高校生や若者が広く世界情勢に目を向け、その熱量を肌で感じることで、次の国際社会をリードする人材育成につながると思いますが、高校生の何らかの形での参画が考えられないでしょうか。  3点目は、G7外務大臣会合の成功に向けて、外務省や軽井沢町、関係団体と、どのような構想を持ってどのように連携しながら取り組んでいくかをお伺いいたします。  続いては、高校再編についてです。  旧第6通学区の野沢北・野沢南高校の再編・整備計画については、これまでに12回の再編実施計画懇話会が開催されており、現在は校地の検討が進められております。両校のどちらかを選定するとの方向性がなされ、地元の皆様の関心がいよいよ高まってまいりました。  同時に、過日は高校再編・整備計画三次案の住民説明会が開催され、私も参加させていただきましたが、全ての旧通学区の全日制高校の再編・整備計画及び全県の定時制課程・通信制課程の具体的な配置計画が示されたところでございます。「高校改革~夢に挑戦する学び~」は最終章を迎え、三次案までの公表と方針についての住民説明会全日程が終了いたしました。  そこで、3点、内堀教育長にお伺いいたします。  まず1点目です。特に定時制におきましては、上田千曲高校定時制の工業科や小諸商業高校定時制の商業科など工業や商業など専門性がある学科を普通科に転換しようとする考えですが、社会に出たときに必要な専門性を深化させたいと考える生徒もいると思われます。そのような志を持つ生徒の学びは普通科でも可能なのでしょうか。  2点目は、佐久新校の校地選定については、どちらの校地になっても、広い土地で、よりよい学習環境を確保してほしいと現有地の面積の拡張を望む声がございます。校地の選定についてはどのように検討が進んでいるのでしょうか。また、地元の声や要望はどう反映していくのか。校地選定についてお伺いいたします。  3点目は、以前より旧第6通学区の県立高等学校募集定員は実際の入学者数を大幅に上回っており、令和3年度は全学校が定員割れ、令和4年度は9校のうち5校で定員割れの状況です。令和3年度の募集定員1,480人に対し、入学者数は1,330人、空き定員は150人。令和4年度は、募集定員1,480人に対し、入学者数は1,338人、空き定員は142人。令和5年度予測はどうでしょうか。生徒減見込み数が62人と142人を合わせ204人と、200人を超す定員割れとなります。このままの募集定員でいくと、来年度以降も定員割れの状況となることは明らかです。募集定員と入学者数には乖離があるのではないでしょうか。  定員に多くの余剰があると、幾ら自治体や地域が自助努力をされても、一生懸命頑張っても、通学環境が不便な周辺部の中山間地存立校を望む生徒は増えていかないのではないでしょうか。適切な募集定員が設定されなければ、今後、学校間格差の増大と生徒にとって適切な学びの場を提供することも難しい状況になるのではないかとの心配の声がございます。  生徒数が将来的に減っていく中で、高校の募集定員については県全体のバランスを考える必要があります。県教育委員会は高校の空き定員の状況をどのように考えているのでしょうか。今後、入学者数に見合った募集定員の適切化を図っていく必要があると考えますが、見解をお伺いいたします。以上、明確な答弁をよろしくお願いいたします。
          〔県民文化部こども若者局長野中祥子君登壇〕 ◎県民文化部こども若者局長(野中祥子 君)私にはこども基本法、こども家庭庁設置法の成立による今後の子供の政策について大きく4問御質問をいただきました。順次お答えさせていただきます。  まず条例制定後の未来を担う子供への施策、支援の評価分析についてでございます。  長野県の未来を担う子どもの支援に関する条例は、子供の抱えているつらさ、悩みなどに寄り添いつつ、相談に応じ、救済することを目的とし、相談体制の充実、社会参加の促進、子供が安心することができる場の整備、人権教育の充実など、子供支援のための施策を総合的に推進することとしています。  これに基づき、これまでに、相談体制の充実として長野県子ども支援センターを設置し、いじめ、体罰、虐待、学校関係、思春期問題など子供に関する様々な悩みに幅広く応じているほか、子供が安心できる居場所づくりとして信州こどもカフェの運営支援、人権教育の充実として子供の性被害防止のための研修会の開催など様々な施策を実施してまいりました。  その結果、例えば長野県子ども支援センターでは、現在年間700件近く相談が寄せられているほか、信州こどもカフェも毎年設置数が増加し、本年9月現在で162か所となるなど、条例に基づく子供支援は着実に成果が出てきているものと考えております。  引き続き、これらの施策を通じ、悩みを抱える子供たちを支援するとともに、子供が伸び伸びと育つ地域社会の実現に向け全力で取り組んでまいります。  次に、子供の現状と課題に関する県としての認識についてでございます。  成長の過程において様々な影響を受けやすい子供たちは、長引くコロナ禍や急速な社会の変化の下、我々大人以上に大きな影響を受けているものと考えております。  例えば、コロナ禍における日常生活や学校生活の中では、マスクで表情が見えづらいことによるコミュニケーション面での不安や、生活スタイルの変化によるストレスなどを抱えている可能性がございます。また、コロナ禍が親の就業や収入に影響を与え、経済状況の厳しい家庭におきましては子供の教育格差や貧困の連鎖が拡大しているおそれがあります。さらに、日常生活や学校教育など様々な場面でのデジタル化の加速により利便性が向上する反面、SNSに起因する犯罪被害、ネット上のいじめ、ゲーム依存などの弊害も出てきております。  このように、子供たちを取り巻く状況、現状は厳しさを増すとともに、要因も様々複雑化してきていると考えております。これらの変化を踏まえたきめ細かな支援がこれまで以上に必要になってきているものと考えております。  次に、都道府県こども計画の策定についてでございます。  長野県におきましては、子供、若者に関する様々な施策を一体的かつ総合的に進めていく観点から、法律に基づき県が定めることとされている子供、若者に関する様々な計画を包含する形で子ども・若者支援総合計画を策定しているところでございます。その観点から、御指摘のこども基本法に基づく都道府県こども計画につきましても、今後、子ども・若者支援総合計画と一体のものとして位置づけてまいりたいと考えております。  議員御指摘のとおり、都道府県こども計画は、法令上、来年秋以降に国から示される予定のこども大綱を踏まえて作成することとされております。このため、来年度からの次期長野県子ども・若者支援総合計画においてあらかじめ位置づけることはできませんが、次期子ども・若者支援総合計画策定に当たりましては、既に成立しているこども基本法の内容を十分に踏まえることでこども基本法に基づく理念を反映させ、子供たちが将来にわたって幸福な生活を送ることができるよう様々な施策を一体的かつ総合的に進めてまいります。  また、子供や子育て当事者の意見の反映についてでございますが、子供の最善の利益を実現するためには、子供や子育て当事者の意見を的確に施策に反映させる必要があると考えております。現在、次期長野県子ども・若者支援総合計画の策定に向けて、中学生、高校生、大学生、子育て当事者から直接声を聞く機会を数多く設けて意見交換を重ねてきているところでございます。今後、いただいた御意見を踏まえて計画策定を行っていくとともに、施策の実施や評価に当たりましても積極的に子供や子育て当事者との対話を行っていきたいと考えております。  最後に、こども政策の基本理念の具体化と施策の展開についてでございます。  議員御指摘のこども政策の基本理念はいずれも重要なものであり、県においてもその理念に立って施策を進めていくべきと考えております。  具体的には、例えば、全ての子供の健やかな成長、ウエルビーイングの向上に向けましては、妊娠前から乳幼児期、学童期、青年期という一連の成長過程において、良質かつ適切な保健、医療、福祉、教育を提供するための施策を県としてもしっかり進めてまいります。  また、プッシュ型支援、アウトリーチ型支援への転換に向けましては、生活困窮家庭に訪問して行う学習支援ですとか、ヤングケアラーのいる家庭を訪問して行う家事・育児支援などのアウトリーチ型の支援について今後も積極的に進めるとともに、来年1月に開設する予定の子育て支援に関するポータルサイトにおいて、SNSを活用したプッシュ型の情報発信などにも取り組んでまいりたいと考えております。  加えて、データ・統計を活用したエビデンスに基づく政策立案としましては、子供、若者に関する計画策定や施策化の際に、これまでも子供・若者世代、親世代にアンケートなどを行ってきております。今年度も、次期計画策定に向け、子供9,000名を対象とした学校生活や日常生活に関する意識調査を実施しており、当該調査結果の分析に基づきさらに必要とされる施策を推進してまいります。  今後も、こういったこども基本法の理念にのっとり、子供の権利を尊重し、子供を誰一人取り残さず、健やかな成長を社会全体で支えることができるよう全力で取り組んでまいります。  以上でございます。       〔企画振興部長清水裕之君登壇〕 ◎企画振興部長(清水裕之 君)私には、山村留学にどう取り組み、過疎対策につなげていくのかお尋ねがありました。  山村留学は、留学生、保護者と住民との交流による地域の活力増加や、留学中に育んだ地域への愛着心がその後の交流や移住、定住へつながるなど、中山間地域における過疎対策としても期待できる取組であると考えております。  例えば、県内におきましても、地域住民と山村留学生が協働して荒廃地の棚田を再生し、卒業後も長期的に交流している取組や、近所の山林を子供たちの遊び場として整備し環境教育に活用している取組など、地域の資源を有効に活用した取組事例が様々ございます。これらの特色ある取組を県外に向け発信することは、県外から人を呼び込む上で重要であり、今回提案しております補正予算案ではポータルサイトの構築に係る経費を計上しており、団体ごとの特色やイメージ動画などを掲載し、都市部の留学希望者へ訴求できるよう発信力を強化したいと考えております。  今後、新たに立ち上げる信州自然留学(山村留学)推進協議会(仮称)を中心に、受入れ団体や市町村と十分連携しながら、特色ある学びの充実とともに、過疎地域の活性化にもつなげていけるよう取り組んでまいります。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には、女性の就労とG7の外務大臣会合について合わせて4問御質問いただきました。  まず、女性を取り巻く雇用状況と女性の就労支援についてという御質問でございます。  御質問にもありましたように、女性お一人お一人の自己実現を図る観点からも、また、人口減少下で産業や社会の活力を維持していく上でも、女性の方々の力を最大限発揮いただくことができる環境をつくっていくということが極めて重要だというふうに考えております。そういう観点で、女性の方の就労支援に県としても力を入れて取り組んでいかなければいけないというふうに考えております。  現状でありますが、女性の有業率は52.6%ということで全国5位ではありますものの、一方で、非正規雇用の割合が55.7%、全国が56.6%でありますので、ほぼ全国並みの非正規雇用割合、そして、管理職に占める割合は8.4%ということで、残念ながら全国最下位という状況であります。こうしたことから、安定的な雇用を確保し、女性の皆様方が活躍できる分野を広げていくということが重要だというふうに考えております。  これまで、女性・障がい者等就業支援デスクを地域振興局に設置したり、女性就業支援員を配置したりということで取組を進めてきたわけでありますが、女性の方々の声としては、例えば、家庭や育児と両立しながら仕事を探していくのは大変であるといったような御意見、また、状況に応じて伴走型の支援をしてほしい、さらには自宅にいながら電話やメール等で相談したいといったような御意見を伺っております。  こうした御意見を踏まえまして、まずは様々な支援員を配置しておりますけれども、総合的に対応できるようにしていきたいというふうに考えておりますし、また、子育て中の方でもオンラインを活用して相談ができるようにするなど、機動性、利便性も高めていきたいというふうに考えております。  こうした観点で、新たに地域就労支援センターをしっかり設置していきたいと思いますし、女性の方々がこうしたセンターを活用していただく中でその能力を十分発揮していただくことができるように支援をしていきたいと考えております。  続きまして、G7外務大臣会合に関連して3点御質問をいただきました。  まず、この機会にどう海外にPRをしていくのかという御質問でございます。  外務大臣会合は、国際情勢が非常に緊迫の度を深める中で、かなり深刻な課題についても語り合っていただく、議論される形になるだろうというふうに思います。また、会議の日程が非常にタイトな日程になりそうだというふうに受け止めております。  これまで、G7の交通大臣会合、G20の環境エネルギー大臣会合を開催してきましたが、過去2回と比べると、大分会議のありよう、そして我々の支援の在り方が変わってくるのではないかというふうに思っております。  今回は、大臣に対してはもとよりでありますが、政府関係者として大臣と共にいらっしゃる皆さん、また、各国のメディアの皆さん、こうした方々へのアピールもしっかり考えていかなければいけないというふうに思っています。県内の食材やワイン、日本酒、伝統文化、こうしたものをできるだけPRしていけるようにしていきたいというふうに思っています。  また、会合に先立って、大使館の関係者の方々を県内にお招きする予定で考えております。こうした場面におきましても、県内の観光地や産業等を視察いただくようなツアーの実施を検討していきたいと考えております。外務省とも十分調整しながら、できるだけいろいろな機会を長野県の発信の場として活用できるように取り組んでいきたいと考えております。  続きまして、高校生を何らかの形で参画させられないかという御質問でございます。  前回、G20の環境エネルギー大臣会合におきましては、地元の高校生に通訳ボランティアとして参加していただきました。G7の外務大臣会合が県内で開催されることは、県内の子供たち、高校生の皆さんにも世界の在り方、世界平和等について考えてもらうきっかけになり得るものというふうに思っております。  御指摘のとおり、何らかの機会を設けることができないかというふうに私も思います。教育委員会ともよく相談しなければいけませんし、また、外務省とも十分相談して、高校生、あるいは子供たちが、この外務大臣会合が単に開かれたということだけではなくて、この開催を契機に、世界のことについて考えてもらえるきっかけになるように取り組んでいきたいと考えております。  続きまして、このG7外務大臣会合をどのような構想を持って、関係者とどう連携して取り組んでいくのかという御質問でございます。  外務大臣会合は、国際情勢全般を取り扱うと同時に、首脳会議に向けた基礎的な議論が行われる形になるだろうというふうに考えております。そういう意味では、G7の関係閣僚会合の中でも非常に重要な位置づけの会議になるというふうに思います。  まずは外務省と十分連携して、会合が成功するように軽井沢町、経済団体とも力を合わせて取り組んでいきたいと思います。また、冒頭申し上げたように、長野県の発信の場としても活用していきたいというふうに思っております。  こうした観点で、9月12日にG7外務大臣会合準備室を設置いたしました。また、県全体で、関係各部を挙げて対応していこうということで、9月16日に県としての推進本部を立ち上げたところでございます。  今後は、早期に官民一体で組織をするG7外務大臣会合長野県推進協議会(仮称)を立ち上げていく予定でございます。この協議会を中心として、外務省をはじめ、軽井沢町、県警本部など関係機関とも十分連携しながら、オール長野県で受入れ支援やイベントの開催等に取り組んでいきたいと考えております。  以上です。       〔教育長内堀繁利君登壇〕 ◎教育長(内堀繁利 君)高校再編に関わって3点御質問を頂戴いたしました。  まず、定時制普通科における専門科の学びについてのお尋ねでございます。  かつては昼働き夜学ぶ勤労青少年の学びの場であった夜間定時制課程は、不登校経験などの多様な生活歴、学習歴を持つ生徒の生活・学習スタイルや学習ニーズにきめ細かく対応する学びの場に変わってきております。  こうした状況から、平成30年9月に公表した「高校再編~夢に挑戦する学び~」実施方針において、定時制専門学科の施設設備を有効に活用し、体験的なキャリア教育を充実させながら、定時制専門学科を普通科に転換するとしたところであります。対象校において、順次普通科への転換に向けた検討を進めてまいりますが、普通科に転換した後も、工業や商業等の専門科目を置いたり全日制専門学科と連携したりするなど、希望する生徒が専門学科の学びを得られるよう配慮してまいりたいと考えております。  佐久新校の校地の選定についてでございます。  佐久新校の校地につきましては、本年7月の第11回佐久新校再編実施計画懇話会において、現在の野沢北高校、野沢南高校のいずれかの校地とすることで合意されたところであります。これを受けて、8月に開催いたしました第12回懇話会において、佐久新校の校地選定のための検討項目として、校地の広さや拡張の可能性など11の項目を取りまとめたところでありまして、現在、県教育委員会では、その項目ごとに両校に関する様々なデータの収集や現地調査等を行っております。  また、校地選定の参考とするため、これらの検討項目のうち何を重視すべきかについて、野沢北高校、野沢南高校の両校がそれぞれの学校の生徒、保護者に加え、佐久地域の全小中学校の保護者と地域住民に対してアンケート調査を行っているところであります。こうしたアンケート調査や懇話会での意見交換の結果を踏まえた上で最終的に県教育委員会において校地を決定してまいりたいと考えております。  県立高校の募集定員の策定についてのお尋ねでございます。  県立高校の募集定員は、旧12通学区ごとの中学校卒業予定者数を基に、過去の志願状況や各校の入学状況、通学区間の流出入状況等を踏まえて策定しております。  私立高校を含めた高校の募集定員は、高校進学希望者の学びの機会の保障という観点から、推定される進学希望者数を下回らないように定めているため、一定程度の空き定員が生じる可能性を含んだものとなっております。また、地区により事情が異なることから、通学区ごとの空き定員にも差が生じるものと考えております。  今後とも、中学校卒業予定者数や志願の動向等各地区の状況を踏まえつつ、先見的な視野に立って募集定員の策定を慎重に進めるとともに、地域と連携した各校の魅力づくりや中山間地校の学びの支援にも努めてまいります。  以上でございます。       〔18番竹花美幸君登壇〕 ◆18番(竹花美幸 君)御答弁いただきました。  大変厳しい時代のかじ取りになります。引き続き長野の未来を阿部県政に託された県民の思い、御期待を忘れずに、さらに長野県民のために邁進していただきたいと存じます。  以上で私の質問は終了させていただきます。ありがとう存じました。 ○議長(丸山栄一 君)次に、清水正康議員。       〔5番清水正康君登壇〕 ◆5番(清水正康 君)それでは、まず教育現場におけるICT活用について質問いたします。  教育委員会は、県下の学校に対して意欲的にICTの整備活用を進めておりますが、2月の定例会の一般質問でお答えいただきましたとおり、1人1台端末の持ち帰りについては昨年100%とはいかない状況もありました。  また、令和3年度の目標であった子供たち全員がクラウドによる同時共同編集ができる状況についても少々遅れていたと認識しております。子供たちが主体的、対話的で深い学びをするためのツールとして全ての学校で利活用されるよう、さらなる指導、支援をお願いいたします。  さて、2024年度から小学校5年生から中学3年生までの英語、翌年から算数、数学で導入するデジタル教科書については、先行導入している学校もあれば、していない学校もあり、準備に差があると感じております。2024年度、どの学校も問題なく活用できるよう質問したいと思います。  県内におけるデジタル教科書の先行導入の状況と、フリーズやエラーなどによって授業が滞るような課題や対応について質問いたします。  そういった形で、教育現場におけるITツールの活用はさらに進んでいきますが、学校は生徒、保護者、教師など様々な個人情報を抱えており、情報漏えい事故は懸念される点であります。また、教師所有の機器、デバイスを利用することで個人的な画像をさらすといった案件も起きており、教育現場で個人所有の機器は使うべきではないと考えます。  そこで、質問になりますが、教員の使用機器については、個人所有の機器ではなく支給すべきと考えますが、県教委の方針と現状について伺います。  さて、IT化は進んでおります。また、同時共同編集など双方向のやり取りなどスキルアップも進んできていると認識しております。この機器、ツールを子供たちのために最大限に活用するべきですが、まだまだ残念な状況もあります。オンライン授業を生かしていないという点です。コロナの影響でGIGAスクールが一気に進み、ハード的にはオンライン授業が全ての学校でできるようになりました。コロナの陽性でも元気な児童生徒、濃厚接触者の子、家族に調子が悪い人がいて学校を休んだ子、または学校に行くのをためらう子、不登校の子など、自宅を含め学校以外の場所ならば授業に参加できる児童生徒の学びのための環境が整ったことになっております。  さて、利活用の状況はどうでしょうか。学校において、学級閉鎖やコロナの陽性者が複数人出たり、濃厚接触者が多数の場合はオンライン授業を行っても、急に1人や2人など少人数の欠席者の場合はオンライン対応となっていない事例を耳にします。また、不登校の子のために常時対応はできていると言えるのでしょうか。  そこで、不登校の子や諸事情により休んだ子も気兼ねなく授業に参加できるよう、常時オンライン授業を受けられる環境整備が必要と考えますが、県教委の目指す環境と現状について伺います。また、授業の遅れを取り戻す機会としても、振り返りの機会としても、そのクラスの児童生徒に向けた授業のアーカイブも必要と考えますが、県教委の所見を伺います。以上4点を内堀教育長に伺います。  続いて、行政におけるDXの推進について質問をします。  令和2年4月、行政、産業、住民生活への先端技術の社会実装を推進するため、県及び市町村等、もしくは市町村間で共通的に利用するシステム、基盤等の共同調達に向けた情報共有や仕様の検討等を行う目的で長野県先端技術活用推進協議会を設置しました。  県の部門のホームページでは動きが見られないのが残念ではありますが、話を聞きますと、これまでに、自治体DX推進懇談会、オンライン化、標準化等検討会、自治体DX推進ワーキンググループなどの下部組織、ワーキンググループを立ち上げ、勉強会なども開催し、行政事務分野、県民生活分野で数多くのオンライン会議をしてきていると聞いております。昨年度だけで68回もオンラインで集まったということですので、かなりの活動と捉えております。  成果としても、県民生活分野から生まれたのが、金曜日の石和議員の質問にもありました市町村と県による協働電子図書館「デジとしょ信州」です。行政事務分野でも、昨年度、チャットボットなどの共同利用が始まったと聞いております。  そのように、長野県先端技術活用推進協議会において、DXを進めるために、県や77市町村が協力して様々な課題解決に取り組んでおり、今後さらなる活躍を期待しております。しかし、やはり職員数が少ない小規模市町村などがついてこられているのか、一抹の不安があります。  そこで質問ですが、県はデータ連携基盤の構築などに着手する一方、市町村は令和7年度までにガバメントクラウドを活用した基幹業務システムの標準化、共通化に取り組む必要があります。長野県には小規模自治体が多いわけでありますが、市町村の支援状況について伺います。  続いての質問ですが、仮想空間、メタバースについてです。  近頃出された調査結果によりますと、2021年度の国内メタバース市場規模は744億円と推計され、本年度は前年度比245.2%の1,825億円まで大きく成長し、2026年には1兆円を超えるとの見込みです。  既に実証実験を始めた自治体もありますが、メタバース、仮想空間上で県庁や市役所、町村役場などが再現される未来も近いと考えます。農水省も、次年度、地理的な制約を受けないメタバースの活用で生産者の連絡先を広げ、販売開拓につなげる事業に乗り出すとしております。  県土が広い長野県です。今後、県民益のためにも活用し、また、権利や条件など遅れることがないよう早期に対応することが重要と考えます。そこで、県としてメタバースについての調査研究は行っているのか。取組などについて伺います。  さて、前回6月の定例会では、人手不足の観点から産業労働部長に質問をしましたが、今回は県の組織について質問をしたいと考えております。  国もそうですが、県もデジタル人材を募集しております。県のような大きな組織では、DXには全体の意識改革、デジタルスキルの向上が不可欠であると考えます。ツール等が進化していく中で、職員全体の意識改革、スキルアップのためにどのような取組を行っているのか。伺います。以上3点、清水企画振興部長に質問をいたします。       〔教育長内堀繁利君登壇〕 ◎教育長(内堀繁利 君)学校におけるICT活用に関して4点御質問をいただきました。順次お答え申し上げます。  まず、デジタル教科書の現在の導入状況や課題についてのお尋ねでございます。  今年度、国の学習者用デジタル教科書普及促進事業を活用し、県内全ての小学校5年生から中学校3年生の英語の授業にデジタル教科書が導入されています。また、県内の約8割の小中学校で、2教科目のデジタル教科書として、主に小学校では算数や社会、中学校では音楽や理科に導入されています。  導入している学校に状況を伺うと、英語ではネーティブスピーカーの音声や語彙、表現などの確認が個々にでき、個人のペースで学習を進めることに役立っている。算数や社会では、図やグラフに書き込んだ児童生徒の考えを大型提示装置に投影し、全体で共有して意見交換をすることができる等の利点があるとお聞きしております。  課題につきましては、議員御指摘のように、デジタル教科書はインターネットを介して閲覧することから、大人数が同時にアクセスするとフリーズやエラーなどが起こる可能性がありますが、これまでのところ大きなトラブルの報告は県教育委員会に届いておりません。  教員の使用する端末の支給についてでございます。  公立学校の教員が授業を行う際に使用する授業用端末につきましては、情報セキュリティーや学びの充実に資する面から、議員御指摘のとおり、所管する教育委員会が整備する必要があると認識しております。現在の県立学校における教員の授業用端末の整備率は、高校が47.2%、特別支援学校が82.3%でありますが、令和4年度中には全教員への整備を終える予定であります。
     オンライン授業の環境整備の目指すべき状況と現状についてでございます。  県教育委員会では、全ての児童生徒の学びが保障されるよう、不登校や諸事情により学校を休んだ場合を含め、いつでもどこでもオンラインで授業に参加できる環境を整備することが大切であると考えています。  今年度、県内の100校を超える学校から2学期当初の状況を聞き取ったところ、全ての学校で教室の授業をオンラインで配信できる環境を整えており、自宅等で学べるようにしているとのことでした。また、不登校の児童生徒に対して、本人や家庭の希望に応じて実際にオンラインを活用した授業支援を行っている学校もあり、ある中学校では、全ての教室にカメラを設置し、授業の様子を校内の相談室や家庭などに配信しております。引き続き、このような事例を市町村教育委員会に紹介することなどにより、先進的な取組やきめ細かな支援が全県の学校に展開されるよう努めてまいります。  授業アーカイブの必要性についてのお尋ねでございます。  録画した授業をインターネットを介して視聴する授業アーカイブは、児童生徒が時間や場所の制約にとらわれず学べる環境として大変有効であると認識しております。一方で、録画した授業を後で視聴するためには、教科書等の著作物の利用に対して公衆送信における補償金を支払う必要があります。  また、著作権法上、補償金を支払った場合でも、録画した動画は教師が直接担当する児童生徒以外は視聴することができず、当該児童生徒のみが視聴できる環境整備が必要であります。  それ以外にも、動画を保存するクラウドの契約、関係者以外からのアクセスを防ぐセキュリティーの管理、視聴できるURL等の機密保持、授業を録音、録画し送信することに対する保護者の同意など、現時点では乗り越えるべき課題も多くあると認識しております。  以上でございます。       〔企画振興部長清水裕之君登壇〕 ◎企画振興部長(清水裕之 君)私には行政におけるDX推進に関わって3点お尋ねがありました。順次お答えいたします。  まず、市町村の情報システム標準化、共通化の取組への県の支援状況についてお答えいたします。  地方公共団体情報システムの標準化に関する法律に基づき、市町村は、令和7年度までに国が整備運用するガバメントクラウドを活用して、住民基本台帳、税、国民健康保険など20の基幹業務の情報システムについて国が策定する標準仕様に準拠したシステムへ移行することが求められております。  県では、県内全ての市町村と共に参加する先端技術活用推進協議会において、まず昨年10月、行政手続オンライン化や情報システム標準化などに関する検討会を設置し、国の動向や市町村の取組事項について情報共有や意見交換を始めました。この場では、県内市町村の先行的な取組についても紹介し、須坂市が取り組むガバメントクラウドへの移行に係る技術的課題の検証等を行うデジタル庁の先行事業や、塩尻市、須坂市、小諸市、松川町及び県が取り組む基幹業務の帳票プロセスの標準化の検討を行う総務省の委託事業について情報を共有したところです。  また、国から各業務の情報システムの標準仕様書が順次示されてきていることを踏まえ、今年8月には、情報システムの標準化に特化した検討部会の活動を開始しました。この部会では、今後、各市町村が情報システムを調達しているベンダーごとに課題を共有し、具体的な取組事項を確認していく予定であり、国の動向も注視しながら、引き続き市町村が着実に取り組んでいけるよう支援してまいりたいと考えております。  続いて、メタバースの調査研究についてお答えします。  メタバースは、インターネット上の仮想空間で自分の分身が現実に近い体験ができたり、物理的な制約にとらわれず自由に活動できるなどの特徴があることから、今後、様々なサービスが生まれる可能性があると認識しております。行政においても、メタバースを有効に活用することで、地域の魅力発信、県民とのコミュニケーションなどにおいて施策の幅を広げ、新たな成果の創出につながる可能性があるものと考えております。  そうした認識の下、メタバースに関する情報収集から着手しており、県内外のメタバース関連企業などと意見交換を重ねているほか、県内全市町村が参加する協議会においても、参加市町村からの要望を踏まえて、メタバースの活用に関する勉強会の開催を予定しているところです。メタバースのような最先端技術を用いた取組はDX推進において重要と考えており、メタバースの有効性、可能性について調査研究を進め、活用につなげられるよう努めてまいります。  最後に、職員全体の意識改革、スキルアップの取組についてお答えします。  県組織のDX推進に当たり、まずはデジタル技術を活用した業務の効率化と働き方改革を進めているところです。  具体的には、本年7月、約8,000人の県職員が利用する新たな情報システムの導入により、全職員がテレワークやウェブ会議を実施しやすくなったほか、スケジュールやファイルの共有が容易になる業務環境が整備されました。これをきっかけに、職員同士のコミュニケーションをより活性化させながら、業務の効率化を図る新しい働き方を実現するため、行動ルールを設定するとともに、全職員を対象とした研修を行うなど、その浸透、定着を図っております。  また、県では、新たなデジタル人材確保策として、職員の採用区分にデジタルを創設し、今年4月にデジタル職3名を採用したほか、県内外の企業と連携を図る長野県DX戦略推進パートナー連携協定制度により民間人材を確保するなどの取組を行っており、こうした新たなデジタル人材が県組織に加わることによる職員への波及効果にも期待しているところです。  今後とも、県組織のDXを推進するに当たり、職員全体の意識改革、スキルアップに意を用いて取り組んでまいります。  以上でございます。       〔5番清水正康君登壇〕 ◆5番(清水正康 君)それぞれお答えをいただきました。  1点、デジタル教科書については、私には小学生、中学生、高校の子供がいるわけですけれども、その子たちを見ていて思ったのですが、ちょっと認識が不足していたと改めました。紙ベースのものが一切なくなるのがデジタル教科書というふうに思っていたのですが、そうではないということと認識しております。  教員の使う機器についてですけれども、教員の働き方改革という部分も含めまして、個人負担というのは大きいと思いますので、今年度中に教師の機器も支給するという県教委の話は支持したいと思います。  オンライン授業について1点再質問をさせていただきたいのですけれども、アーカイブ等の価値は認識しているというようなお話だったのですが、そういった環境整備は、契約とかいろいろな課題があるという中で、整備をいつまでに考えているのかということを再質問させていただきたいと思います。  日本財団等の調査は4年前になりますが、不登校の中学生の半数が学業の遅れ、授業がよく分からない、ついていけないといった理由を不登校の理由に挙げております。児童生徒のために、早急にこのアーカイブ利用ができるようにしていただきたいと思いますので、再質問をしたいと思います。  続きまして、行政におけるDXの推進についてですけれども、繰り返しになりますが、小規模の町村等が取り残されないような県の支援をお願いします。先ほどお話しいただいたとおり、トップランナーもしっかりと支援しているというふうに聞いております。県も一緒になりまして、そういったトップランナーがさらに走っていけるように支援をお願いできればと思います。  ガバメントクラウドを活用した基幹業務システムの標準化、共通化というものが令和7年になされれば、行政としてのメタバースの活用も見えてくると考えております。協議会の参加者から勉強会もというような話があるそうですけれども、率先して県のほうで取組、また支援をしていただければと思います。  では、先ほどの教育長に対する再質問をお願いいたします。       〔教育長内堀繁利君登壇〕 ◎教育長(内堀繁利 君)授業アーカイブにつきましてお答えいたします。  先ほど申し上げましたように、県教育委員会といたしましては、この授業アーカイブというものは大変有効であるという認識をまず持っております。ただ、同時に、先ほどお答え申し上げたように、クリアすべき様々な課題があります。今の時点でいつまでにということは申し上げられませんが、まずその課題がどのような形で解決できるのか、予算は幾らかかるのか、あるいはそれ以外に知恵を出すことによって何か解決する方法はないのか様々検討いたしまして、今申し上げたように大変有効であると認識しておりますので、できるだけそれが実現するような方法を考えてまいりたいというふうに思っているところです。  以上です。       〔5番清水正康君登壇〕 ◆5番(清水正康 君)デジタルアーカイブについて有効性は十分認識しているというお話でした。課題があるのはそのとおりかと思いますけれども、先ほども申し上げましたとおり、子供たちのためにぜひ早急に検討し、実現できるようお願いしたいと思います。  ICTやDX等で全てが解決されるというふうには思いませんけれども、しかし、大きな前進になることは確実だと思います。県にぜひお願いしまして、以上で質問を閉じたいと思います。 ○議長(丸山栄一 君)次に、竹内正美議員。       〔17番竹内正美君登壇〕 ◆17番(竹内正美 君)自由民主党県議団、竹内正美でございます。  最初に、長野県の教員不足と教員採用選考について質問します。  文部科学省の調査では、2021年5月時点、全国で最低でも2,000人の教員が不足していると報告されました。全国各地で深刻な教員不足が起きています。危機に追い込まれる公立学校では、授業の穴が埋められず自習になったり、準備不足なままの授業を受けるなど、そのしわ寄せは子供たちに及んでいます。  また、教員採用選考の希望者も減っている状況であり、教職の魅力を今まで以上に発信する努力も必要だと考えます。県内では、2013年から2019年までの7年間、毎年夏休みに「あこがれ先生プロジェクトinながの」という、現役の先生にステージに上がっていただき教職としてのやりがいや喜びについて講演していただく先生を応援するイベントが開催されてきました。  第4回を千曲市上山田文化会館で開催したときには、阿部知事もお越しくださり、とても熱い御挨拶をいただきました。参加した先生方も我々実行委員も大変感動し、勇気をいただいたことを覚えています。コロナ禍で3年間中止していますが、先生という職業の魅力を発信するよい機会になったと自負しています。  先生という職業は、問題が起きたときばかり注目されがちですが、もっと教職の魅力を伝えていき、また、職場環境や採用選考にも工夫をして、子供たちが憧れるような教員が増えてくれることを願っています。  そこで、長野県の教員不足と教員採用選考について5点、教育長に質問します。  1、本県では、教師不足の偏在が生じている状況の対応策として、令和2年度からブロックの採用数を設定した採用を行っていますが、どのような効果が出ているのか。伺います。  2、教員の精神疾患による病気休職者数は1990年からの30年間で約5倍に増え、高止まりが続いています。休職者が増えると、残った教員の業務負担が増え、心身ともに疲弊した教員の休職がさらに増えるというドミノ倒しが起きかねません。本県の教員の精神疾患による病気休職者の状況について伺います。  3、令和3年度の文部科学省調査では、教員の正規率は全国平均で92.9%ですが、長野県は88.0%と低く、都道府県では沖縄、奈良に続いて全国3番目の低さです。教員不足を解消するためにも正規率を高めていくことが不可欠であると考えますが、御所見を伺います。  また、全国の教員志願者は年々減り、教員採用選考の競争倍率は10年前の約12倍から現在は3倍台まで低下しており、特に小学校は3倍を切っています。その結果、臨時的任用教員の層が薄くなっていると考えますが、本県の状況について伺います。  4、人材確保のためにも、ICTの活用や部活動地域移行の積極的な推進などによる勤務環境の改善を通じて、仕事のやりがいや、充実したワークライフの創出、キャリアアップ制度の構築など長野県教職の魅力向上に引き続き取り組んでいく必要があると考えますが、御所見を伺います。  5、教員不足を解消するために、教員採用選考において志願者数を増やすことも必要であると思われます。そのために、今年度の教員採用選考において変更した点と、志願者数の状況に変化があったか、また今後さらなる工夫が必要と考えられますが、教育長の御所見を伺います。  次に、無業者問題について質問します。  文部科学省学校基本調査の高校卒業後の状況調査によると、本県の高校卒業者のうち無業者の比率が急上昇しており、全国6位の高さになっています。  無業者とは、いわゆる自宅浪人の方か、仕事を何もしていない方を指すのだそうです。しかし、昨今は自宅浪人の方は少なく、この無業者の多くは進学も就職もしない若者であり、ひきこもり予備軍になる可能性があるのではないかと懸念が生じています。  また、令和元年6月に県健康福祉部が発表したひきこもり等に関する調査によると、ひきこもりに至った経緯として、「就職したが失業した」が12%、「就職できなかった」が5%と、ひきこもりに至った方のうち就職がうまくいかなかったことが要因でひきこもりに至った方が17%いらっしゃることが分かります。  また、不登校が11%、疾病・性格など本人の状況が20%と、ひきこもりに至った経緯として、発達障がいの方が抱える問題に非常に近い要因の方が31%いらっしゃることも分かります。高校卒業後の無業者の中には、増加している発達障がいの方も多く含まれていると推測できます。  無業者の方がそのままひきこもりにつながるとは言えませんが、いずれにしても放置できない問題です。  坂城高校では、坂城学と呼ばれる企業などと連携したキャリア教育が行われています。在学中から企業等とつながったキャリア教育を実践することで、働くことに対してスムーズに意識がつながっているように思います。こういった実践的なキャリア教育の重要性がますます高まっていくのではないでしょうか。  無業者を減らし、貴重な若い戦力として生き生きと社会で活躍していただき、結果的に健全な納税者が増えることは、長野県の未来を築くために重要と考えます。そのためのキャリア教育、進路指導の充実や企業との連携について3点質問します。  1、坂城高校のように地元の企業とつながりを持たせたキャリア教育をさらに進めることは、無業者を減らすことにつながると考えますが、県教育委員会として無業者を減らすキャリア教育をどのように推進していくか。教育長に伺います。  2、発達障がいの特性を理解したキャリア教育や進路指導をすることで成功を収めた事例は多くあります。大学の中には、発達障がいの学生に対応するための取組をしているところもあると聞きますが、県立高校における学びに向かいづらい生徒へのキャリア教育、進路指導の取組状況について、教育長に伺います。  3、発達障がいのある方を、障がい者雇用ではなく、異能人材採用プロジェクトとして研究開発や新製品開発の領域で人材活躍を目指している企業もあると聞きます。発達障がいのある方は、特定のことには優れた能力を発揮する一方で、ある分野では極端に苦手といった個性の弱みが補完できれば、強みをいかんなく発揮し、事業に貢献できるポテンシャルを持っていると認識していますが、発達障がいのある方を含め、通常の就職活動では就業に結びつきにくい方を企業の貴重な戦力として人材活用していくことに関する県の取組状況を産業労働部長に伺います。  次に、AV出演強要被害防止・救済法について質問します。  AVへの出演を強要される被害を防ぐため、無条件に契約を解除できる期間を設けることなどとした法律が本年6月に施行されました。AVへの出演は、18歳、19歳は、今までは未成年取消権がありましたが、成人年齢引下げで、18歳、19歳は未成年取消権がなくなることから、新たに成人になった18歳、19歳の方が出演を強要される被害が増えるおそれがあるとして懸念されていました。  AV業界では、撮影後に取消しをされては投資が回収できないことから、18歳、19歳には今までセンシティブだったものが、成人年齢引下げ後は、むしろそれを売りにしてPRしている会社もあったそうで、自民党女性局でも大変危機感を持っておりました。  また、これは年齢だけの問題ではないことも浮き彫りになりました。後で後悔しても遅く、周りに知れることで大学や勤め先に行けなくなる被害も多くありました。また、被害者は女性だけではなく、性別を問わない問題であり、命に関わる問題でもあります。  法律では、年齢や性別にかかわらず、契約を交わしてから撮影までに必要な期間を1か月、撮影の終了から公表までに必要な期間を4か月とするとしています。また、公表から1年間は無条件に契約を解除できるとしていて、法律の施行から2年間に限っては、無条件に契約を解除できる期間を2年としています。  このような法律が成立したことは大変喜ばしいことですが、この内容を迅速に被害に遭うおそれのある若年者に情報提供する必要があると思います。  そこで、2点質問します。  1、本年6月に施行されたAV出演被害防止・救済法の内容を県はどのように若年者に情報提供する考えか。県民文化部長に伺います。  2、県民の皆様が性暴力の被害者にも加害者にもならないためには、子供のうちから性被害についての教育が必要と考えます。そこで、アダルトビデオ出演被害防止なども含め、性暴力の被害者も加害者も生まないために、学校においてはどのように取り組む考えか。教育長に伺います。       〔教育長内堀繁利君登壇〕 ◎教育長(内堀繁利 君)私には8点質問を頂戴しました。順次お答えを申し上げます。  まず、ブロックの採用数を設定した採用の効果についてのお尋ねでございます。  ブロックの採用数を設定した採用は、地域に根ざした教育を一層推進するとともに、ブロック間の年齢構成や地元出身教員の割合のアンバランス等教員配置上の課題を解決することを目的として導入しております。  本制度は、長期的な視点に立って課題を解決するための制度であり、導入から3年目の現時点ではその課題に対する明確な効果をお示しすることはできませんが、今後、本制度で採用された教員が増えていくことにより、年齢構成、地元出身教員の割合等のブロック間の不均衡は是正されていくものと考えております。  教員の精神系疾患による休職者の状況についてでございます。  県教育委員会の調査では、令和3年度の精神系疾患による公立学校教員の休職者数は71名で、10年以上ほぼ横ばいの状況が続いております。また、国の状況調査では、令和2年度の長野県の教員の精神疾患による休職者は84名で、全教員に占める休職者の割合は、全国平均の0.56%に対し、長野県は0.48%となっております。  休職等に至った原因としては、令和元年度に長野県教育委員会が実施した調査において、児童生徒への対応が最も多く、次いで介護、家事、育児の負担などの個人的な事情、次に職場の人間関係の順となっております。また、多くは複数の原因を抱えているという結果になっております。  小中学校の教員の正規率の向上についてのお尋ねでございます。  県内の小中学校においては、毎年度、それぞれの学校の課題に応じてきめ細かに教員を追加配置していること、自閉症・情緒障がい学級の想定以上の増加、過去の新規採用者数の抑制の影響等により正規教員率が低くなっております。  そのような中、県教育委員会においては、正規教員率の向上が重要との認識の下、令和5年度から始まる定年延長の影響や、児童生徒数の減少に伴う教員数の減少などを考慮した上で、10年先を見通した新規採用者の計画的な採用を行い、その向上を進めております。  今後も、本県に意欲と能力のある教員が集まるよう、教員の魅力の発信や教員選考の工夫、改善を行うとともに、働き方改革を通じた正規教員の中途退職や療養休暇取得者等の減少にも取り組んでまいります。  臨時的任用教員希望者の本県の状況についてでございます。  県教育委員会では、小中特別支援学校を対象とした臨時的任用教員希望者名簿を作成しておりますが、現在ここに登載されている任用可能な希望者は全県で50名程度と少ない状況でありまして、議員御指摘のように、臨時的任用教員の層が薄くなっていると考えておるところでございます。  そのため、県内外の大学を訪問して説明会を実施したり、今年度教育事務所に配置した学校支援主幹指導主事が潜在的な講師の掘り起こしをするなど、臨時的任用教員の確保に努めているところでございます。  長野県教職の魅力向上の取組についてでございます。  県教育委員会では、令和2年度に勤務環境の改善に向けて学校における働き方改革推進のための方策を策定し、教員の時間外勤務時間という量と生きがいや働きがいといった質の両面から学校における勤務環境の改善に努めております。具体的には、校務支援システムの導入といったICTの活用や、学校業務支援員等の外部人材の活用等により教員が子供と向き合う時間を確保することで本来取り組むべき仕事に専念し、生き生きとやりがいを感じて豊かな教員生活を送ることができるよう取組を進めているところでございます。  今年度立ち上げました専門家による検討会議では、教職員の心身の健康に関する実態調査を行い、専門家の助言に基づいた校内の業務改善を進め、その中から生まれた好事例を全県に普及していくことが話し合われているところでございます。  今後は、このような取組を進めるとともに、教職を目指す大学生から直接聞いた声なども生かし、引き続き長野県教職の魅力向上に取り組んでまいります。  今年度の教員採用選考と今後の工夫についてのお尋ねでございます。  今年度の教員採用選考においては、長野県教育に関心のある若い人材をより広範囲から確保することを目的に、一次選考の日程を1週間前倒しし、首都圏と日程が重ならないよう変更いたしました。  また、小中学校の採用選考においては、大学推薦の条件緩和や特定の条件を満たす講師に対する一次選考の免除を実施するとともに、高校の採用選考においては、これまで2日間であった一次選考を1日に短縮し、志願者の負担を軽減しております。  その結果、志願者は、昨年度と比べ、小中特別支援学校では52名、高校では87名増加し、志願倍率の低下に歯止めがかかり、一定の効果があったと考えております。  今後は、今年度の他県との併願状況などを検証し、県外の選考会場の設置、選考時期の早期化や選考機会の複数化などについて検討を行うとともに、大学生や高校生向けの説明会、「~信州の先生になろう~長野県教員採用プロジェクト」を引き続き実施するなど、志願者数の増加に向けた取組を一層工夫してまいります。  次に、無業者を減らすキャリア教育の推進についてでございます。  坂城高校では、3年間を通して1人1台端末とEdTech教材を活用した学びに取り組み、生徒が自分のペースでそれぞれの理解の状況に合わせて学ぶ個別最適な学びを充実させ、基礎学力の定着や学習意欲の向上につなげております。
     また、1年時に地元企業と連携した探究活動を通して、企業が抱える課題を企業と共に考え、その解決に向けた提案等を行い、2年時には就職を希望する生徒全員が行き先や目的、仕事内容などについて自ら計画を立てながら、地元企業でインターンシップを実施しております。このような様々な取組により、生徒は、自分の進路やキャリア形成について主体的に考えることができるようになり、結果として卒業時の無業者は減少傾向にあると考えております。  県教育委員会といたしましては、坂城高校のような自分らしい生き方を実現できるキャリア教育を推進することにより、無業者の減少につなげてまいりたいと考えております。  学びに向かいづらい生徒へのキャリア教育と進路指導の状況についてでございます。  発達に特性があり、学びに向かいづらい生徒が在籍している高校では、人見知りをしたりコミュニケーションが取りづらいなどの生徒を支援するためのソーシャルスキルトレーニングを取り入れ、生徒は人との関わり方や自己理解、他者理解を深める方法を身につけています。  そのほかにも、例えば就労支援担当の教員が職場訪問に同行し、初めて会う方とのやりとりをサポートしながら、企業に生徒の特性を理解してもらうことにより、生徒が就職先を安心して決定できるように配慮している学校や、常時相談室を3部屋設け、より多くの生徒と個別の進路相談等ができるようにしている学校など、各学校の生徒一人一人の特性に応じ、丁寧に寄り添う支援を行っております。  県教育委員会では、今後も全ての生徒が自己肯定感を高められるよう、キャリア教育、進路指導の充実に努めてまいりたいと考えております。  性暴力の被害者も加害者も生まないための学校での取組についてでございます。  性暴力は、言葉によるもの、身体接触を伴うもの、また情報ツールを用いたものなど広範囲に及ぶため、誰もがその被害者、加害者となる可能性が高い課題であると認識しております。  そのため、学校においては、自分の人権を守り、他者の人権を守るための実践行動につなげることを目標として人権教育に取り組むとともに、教職員の指導力向上を図るためのネットを契機とする性被害防止のための指導方法等研修会や、外部講師が児童生徒に向けて講演する子どもの性被害防止教育キャラバン隊の派遣、啓発資料の作成、配付などを実施しているところでございます。  これらを通じて、性暴力の根底にある誤った認識や行動、また性暴力が及ぼす影響などを正しく理解した上で、生命を大切にする意識や、自分や相手、一人一人を尊重する態度等を児童生徒が発達段階に応じて身につけることにより、将来にわたり性暴力の被害者も加害者も生まないように取り組んでまいります。  以上でございます。       〔産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業労働部長(林宏行 君)発達障がいのある方を含め就業に結びつきにくい方々に対する県の取組についてのお尋ねでございます。  県では、障がいの有無にかかわらず、個々の能力を生かし合う社会の実現が重要であるとの認識の下、各地域振興局に女性・障がい者等就業支援デスクを設けて、職業選択のアドバイスや求人情報の提供など一人一人に寄り添う形で伴走支援を行っているところです。  また、企業に対しては、障がい者雇用企業サポート事業を実施しており、先進的な取組事例を発信するセミナー等を開催し、意識啓発を行うとともに、地域コーディネーターによる個別相談を実施しております。  現在、国では、企業の経営戦略として、多様な人材を生かしその能力が最大限発揮できる機会を提供することで、イノベーションを生み出し価値創造につなげていく、いわゆるダイバーシティー経営を推進しています。県といたしましても、こうした観点も踏まえ、労働局など関係機関とも連携し、一層の取組を進めてまいります。       〔県民文化部長山田明子君登壇〕 ◎県民文化部長(山田明子 君)AV出演被害防止・救済法の若年者への情報提供についてのお尋ねでございます。  AV出演被害防止・救済法、略称でございますが、被害に遭われた方の個人としての人格を尊重し、心身の健康や私生活の平穏を守るために重要なものであるというふうに認識しております。  同法の施行を受けて、内閣府では、ホームページに法の概要や相談先、具体的な被害の事例などを掲載するとともに、ステッカーやカードを作成し、自治体をはじめ高校、短大、大学、図書館等に配付し、周知を行っておりますし、県におきましても、ホームページに法の概要などを掲載し、周知を図っているところでございます。  また、同法に基づく出演者などからの相談体制として、各都道府県に設置されている性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターが位置づけられておりまして、本県におきましてはりんどうハートながのがその役割を担っているところでございます。  このため、法の周知と併せ、同法の相談窓口としてのりんどうハートながのの周知が必要であるというふうに考えておりまして、今年度作成を予定しておりますりんどうハートながののリーフレットや広報カードなどの啓発物にその旨を掲載してまいります。  具体的な啓発方法といたしましては、りんどうハートながのの啓発物を学校を通じて配付してまいりますとともに、コンビニエンスストアへの設置やSNSなども活用し、1人でも多くの若者に情報を届けてまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。       〔17番竹内正美君登壇〕 ◆17番(竹内正美 君)それぞれ御答弁いただきました。  無業者問題もAV出演被害についても御対応いただいているということですが、理解はできましたが、またさらなる積極的な充実をよろしくお願いいたします。  教員不足についてですが、数年前にある校長先生から、自分の学校の先生方が元気がないので何か元気が出るような研修をしてもらえないかという依頼を受けたことがありました。2時間程度の研修でしたけれども、終盤で同僚同士4人組になってお互いのよいところを伝え合うというワークをした際に、何人かの先生が泣き始めたということがありました。  特に、女性の教頭先生は目を真っ赤にされていまして、自分たちは非常に毎日忙しくて疲れていて、そして自分に自信がなくなってしまっているということでした。同僚からいいところを認めてもらったということで非常に元気をもらいましたということをお聞きしたことがありました。  私たちの未来を担う子供たちが長い時間を共に過ごす大人が先生です。その先生が変われば子供たちも変わりますし、子供たちが変われば長野県の未来も変わってきます。子供たちに大きな影響を及ぼす先生方が疲れ切っていては未来が危惧されます。ぜひ長野県教職の魅力について抜本的に検討していただきたいと強く要望させていただきまして、一切の質問を終わります。ありがとうございました。 ○議長(丸山栄一 君)この際、15分間休憩いたします。         午後2時26分休憩          ──────────────────         午後2時42分開議 ○議長(丸山栄一 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  丸茂岳人議員。       〔16番丸茂岳人君登壇〕 ◆16番(丸茂岳人 君)人的投資の促進についてお伺いします。  阿部知事が4期目を迎えられ、次の総合5か年計画の策定に入る中で、コロナで疲弊した地方をいかに立て直し、我が県の持つポテンシャルをどのように生かし、県民生活のさらなる向上につなげていくのか。また、急速に進む少子高齢化社会でますます人手不足が深刻となる中で、いかに人材を育て、県内企業の生産性を向上につなげていくのか。県内企業の成長が実感できて初めて新しい資本主義の成長となり、分配が実現できるわけです。  一方で、こうした考えを実行に移していくためには、地方には絶対的に人が足りない現実があると思います。県はいかにして人材を確保していくべきと考えるのでしょうか。  地域を担う人材や労働生産性を上げていくためのデジタル人材の確保、あらゆる人が働ける労働環境の確保、首都圏との賃金格差の是正、女性のさらなる活躍や外国人労働者の雇用環境の改善、こうした問題解決は国が積極的に推進するべきでありますが、現実的には国に任せておけばいいという話ではなく、地方にこそ必要であり、取組を進めていくべきと思います。  人への投資という言葉をよく耳にしますが、地方の人口を維持、増やすという考え方だけでなく、限りある人材をいかに育て、その環境を整えるための支援を進めるのか。国全体の人口減少は避けられず、地方においてはより顕著となる中で、人材の確保育成に県としてどのように取り組んでいくのか。順次お伺いいたします。  まず、現状の分析ですが、あらゆる産業分野において、現在、人材不足は顕著だと思います。今後の産業構造の変化を見据えたとき、県内産業において必要となる人材をどのように捉え、育成を支援し、確保していくのか。産業労働部長に伺います。  次に、人材を育てるという観点でお聞きします。  リスキリング、いわゆる学び直しや、副業、兼業の支援を進めるための支援を地方こそ積極的に進めるべきと考えます。横文字でリスキリングというと分かりにくく、なぜもっと分かりやすく表現しないのかと思いますけれども、要は、職場などにおいて必要とされる知識、例えばDXについて専門性を学び、専門性を身につけるというものだと理解しています。こうした取組は特に地方の中小企業では必要と感じます。  人材も資本も不足している中で、組織の力、生産性を向上させていくには、今ある人材を時代に合った人材に育て直すことが一番低コストで簡単な方法と思います。しかし、こうした取組は、都市部の大手企業では進んでいますが、余裕のない中小企業では、どうしても目の前の仕事に追われ、なかなか手がつかない。いっとき苦しくても、これを進めることによって、状況を改善する可能性があるのになかなかできていないのが現実です。  行政は、こうしたリスキリングに関する支援をより積極的に行い、先進事例の紹介や税制の優遇等大胆な取組を行い、支援することが大切と考えますが、民間企業といかに連携し、進めていくのか。産業労働部長に伺います。  また、副業や兼業の推進を積極的に行っていくことも重要だと思います。例えば、働きながら少しずつ投資を始め、経済全体の知識を増やすことで自分の仕事にプラスに働くこともこうした一環であると思いますし、働きながらネット上で起業することもいいと思います。こうしたことも地方こそ積極的に進めるべきですが、なかなか進んでいないのではないでしょうか。  企業における兼業、副業の状況をいかに捉え、今後どのように推進のための支援をしていくのか。産業労働部長にお伺いします。  労働市場の改革、都市部との賃金格差をどう埋めるのか、人材の流動性の必要性をどう考えるかについてお聞きします。  先日、岸田総理がニューヨーク証券取引所で講演した際に、年功序列の給与制度から個々の企業の実情に応じてジョブ型の職務給中心のシステムに見直すと力説し、雇用の流動性を高めることで優れた技能を持つ人材が能力に見合った高賃金を得て労働生産性が上がっていくと説明した場面がありました。アメリカでのリップサービスの面もあるかと思いますが、終身雇用が根強い日本にとって、今後は必要になると思います。  日本のいわゆる大企業のトップになるのはおおよそ60歳ぐらいの男性で、一度も転職経験がない方が大半ではないかと思います。これは、決して悪いことではありませんが、これからの時代は、人材の流動性や新しい価値観の発見等が求められており、転職経験のないことによりマイナス面もあるのではないかと思います。  若い人や女性の登用、幾つかの会社を経験した人の活用等、多様性の世の中を迎える中でも、労働市場の改革を進め、人材の流動性を高めることで様々な人材を呼び込み、県内企業の生産を上げていくことで都市部との賃金格差を埋め、さらにいい人材を流動させ、好循環を生む取組も地方でこそ必要なのに、地方こそ進んでいないと感じます。そこで、県内企業に有能な人材を呼び込むために、県としてももっと力強く取り組むべきと考えますが、産業労働部長にお考えをお聞きします。  次に、外国人労働者に関してお聞きします。  コロナ禍により県内の外国人労働者が急減しましたが、このことによる県内産業への影響をどう捉え、企業における人材確保のためにどのように取り組んでいるか。その効果について産業労働部長にお伺いします。  続いて、実習制度の在り方についてお聞きします。  少子高齢化が先進国の中で最も進む日本においては、様々な分野で働き手の確保が急務なのは誰もが認識する話です。そうした中で、様々な分野で外国人実習生に頼らざるを得ない状況にあると思います。  一方で、外国人の技能実習制度について、政府が本格的な見直しに着手するという話も出ています。技能実習制度は、国際貢献を理念に掲げながら、実際には人手不足を補う労働力の受入れ手段となってきた現実があります。  技能実習生は、原則3年間転職ができず、労働者として立場が弱い構造的な問題があり、仲介業者に多額の借金をして来日する者も多く、場合によっては犯罪に走るケースもあるわけです。海外からはこうした状況を批判する声もあり、改善が求められています。こうした状況を考慮し、特定技能人材を増やし、最終的には特定技能に一本化すべきという議論もあります。  そこで、県としてこの動きをどのように受け止めているか。県として国に対し地方の現実をどのように訴えていくのか。産業労働部長に伺います。  日本語の取得義務など教育面においてハードルは上がりますが、県として、県内の公立学校等を利用し、実習生の語学や教養面を定時制で行い、行政として支援する取組も必要ではないかと思います。今後検討を進めていただければと思います。これは要望です。  Uターン就職へのさらなる取組が進まない根本的な原因はどこにあるのかをお聞きします。  特に、女性のUターンが低い根本的な要因、移住したい県で常にトップである我が県が県内出身者から選ばれない理由はどこにあるのでしょうか。明確な分析を行ってこそ施策につながると思いますが、県はどのように分析しているのでしょうか。  そこで、少子化対策の一環としても、産業人材確保のためにも、女性のUターンを促すことが本当に必要だと考えますが、現在の取組と課題、今後の方向性について産業労働部長に伺います。  中小製造業の多い我が県においては、今後DXの推進を積極的に進め、生産性や付加価値向上につなげることこそ急務であり、喫緊の課題であると思います。  先日の風間議員の代表質問での答弁で、知事は世界の市場で勝てる産業を育てる重要性を述べられていましたが、知事が考える産業人材育成のための人材投資の考え方、国際競争市場で戦っていける人材をどのように確保し、育てていくのか。また、このことについて、これからの4年間で取り組むべき重要課題をどのように捉えているか。知事にお伺いします。  県民の豊かさの向上についてお考えをお聞きします。  県民の豊かさの指標である相対的貧困率が我が県は日本でも最低レベルにあるようですが、その原因はどこにあるのでしょうか。  私は、県内中小企業の皆さんの懸命な努力のある一方で、下請企業の多い県内企業において下請取引の適正化がまだまだ進んでいないのではないかと考えます。岸田政権が掲げる成長と分配の好循環を実現し、長引くデフレから脱却するためには、下請取引適正化が不可欠であると思います。  経産省では、下請事業者の調査員、いわゆる下請Gメンによる調査を強化し、取引適正化促進のための業種別ガイドラインや自主行動計画の改定を進めていくとしています。地方こそそうした取組が必要であり、積極的に進めるべきと思いますが、県内での取組状況はどうか。産業労働部長にお伺いします。  また、中間層の衰退は日本全体の課題です。これを食い止めるためにどのような対策が打てるのか。賃金の低下が最大の要因であるわけですが、賃金上昇を促すために県としてどのような対策を考えているか。産業労働部長にお伺いします。  最後に、金融機関の統合について知事にお聞きします。  先日、八十二銀行と長野銀行の統合が発表されました。地方銀行の統合は全国的にも徐々に進んでおり、これは日本国内にあまたある金融機関の生き残りをかけた動きであり、株式市場の発展から、企業の資金調達も直接金融主体に変わっている表れだと思います。  一方、中小企業の多い我が県においては、金融機関からの資金調達がなければ経営そのものが成り立たない企業も多く、今回の統合は地域企業に大きな影響を与えると思います。この統合が県内企業にとってプラスに働くことを期待するわけですが、金融機関が経営の効率化を進めることで、取引企業の選別も進み、また、経済の新陳代謝を重視しながらも、コロナ禍の大変な時期に地域企業を苦しめるようなことがあってはいけないと思います。  県は、今回の統合をどのように捉え、長野県にとってどのような影響があると考えているでしょうか。この経営統合に関する知事の受け止めをお聞きします。       〔産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業労働部長(林宏行 君)私には、人的投資の促進について7点、そして県民の豊かさの向上について2点の御質問を頂戴いたしました。順次お答えいたします。  初めに、産業構造の変化を見据えた県内産業において必要となる人材育成支援についてでございます。  生産年齢人口の減少やDXやGX等の進展など、県内産業も様々な変化や課題に直面しております。例えば、建設、介護、製造などの分野で恒常的な人手不足の解消、デジタル技術等の導入に伴う従業員のキャリア形成、賃上げ原資となる付加価値の創出、生産性の向上、こうした対応が急務となっておる上、旧来の日本型雇用システムからの転換と円滑な労働移動の促進が求められています。  このため、昨年9月に策定した長野県産業人材育成プラン2.0では、デジタル人材育成の強化、リカレント教育の充実、若者が技能者を目指す社会づくりを重点施策の柱に掲げ、各種事業に取り組んでいるところです。  今後とも、将来世代から現役世代まで多様な人材を育成できる学びの環境を充実させるとともに、産業界と教育機関が一体となって、必要なスキル、能力等を備えた人材を多く育成、輩出できるよう取り組んでまいります。  次に、リスキリングに関する先進事例の紹介や税制優遇の支援、民間企業との連携についてのお尋ねでございます。  現在、国では、人材開発支援助成金により事業主が労働者に対して行う訓練費用の助成を行うとともに、人材育成の投資を積極的に行う企業に対し賃上げ促進税制や人材確保等促進税制の上乗せ措置を実施しております。また、本年6月には、職場における学び・学び直し促進ガイドラインを策定し、公的な支援策を体系的に示すとともに、先進的な事例を紹介しているところです。  他方、県におきましては、在職者のスキルアップ講座の充実や県内の教育訓練機関が新たに社会人向けの講座を開設する際の経費助成をするとともに、人材育成コーディネーターを県庁に配置し、企業等からの相談に対応しています。  議員御指摘のように、リスキリングの充実は民間企業へのアプローチ、連携が重要ですので、県内の産学官金で構成する長野県産業人材育成支援ネットワークを活用するなどし、関係機関等と連携を図りながら取り組んでまいります。  続いて、企業における従業員の副業、兼業についてのお尋ねでございます。  副業、兼業は、労働者の職業選択の幅を広げ、多様なキャリア形成に資することが期待され、企業にとっては技術開発やオープンイノベーションの促進に必要な知見が得られるといった側面から導入が期待されているところです。  他方、秘密保持義務の確保や就業時間の増加、健康管理面への配慮、ケースによっては社会保険の適用対象外となる場合もあるなど、その運用に当たっては留意すべきこともございます。こうした中、本年7月に国の副業・兼業の促進に関するガイドラインが改定され、企業に対する副業、兼業への対応状況の情報公開が推奨されたところです。  現在、県ではプロフェッショナル人材戦略拠点において、副業・兼業人材と企業とのマッチングや企業支援に取り組んでおりますので、労働者とその雇用主が副業、兼業を正しく理解し、国のガイドラインにのっとった適正な就業が確保され、貴重な人材が力を十分に発揮できるよう労働局とも連携し取り組んでまいります。  続いて、県内企業に有能な人材を呼び込むための取組でございます。  競争倍率の高い労働市場の中で有能な人材を呼び込むためには、イノベーションによる生産性の向上や所得のアップ、働きやすい職場環境づくりを進め、企業の魅力を効果的に発信し、採用力を高めることが必要と考えております。  現在、県では、職場環境改善アドバイザーの企業訪問や職場いきいきアドバンスカンパニー認証制度の普及、SDGs推進企業登録制度によるディーセントワークの促進等、若者や女性、障がい者など多様な人材がその能力を生かして生き生きと働くことができる職場づくりを支援しております。  また、選ばれる職場づくり推進事業により、企業の採用力強化に取り組むとともに、プロフェッショナル人材戦略拠点に登録している民間人材ビジネス事業者との連携により、都市部の専門人材と県内事業者とのマッチングや本社機能の県内誘致などを通じ、有能な人材の確保を後押ししてまいります。  次に、外国人労働者急減による人材確保の取組と効果についてのお尋ねでございます。  長野県内の外国人労働者数につきましては、令和元年が2万15人であったところ、感染拡大の影響により、令和2年は1万9,858人に減少しましたが、令和3年は2万714人でコロナ禍以前の水準を超える状況にあります。  業種別の状況ですが、製造業における外国人労働者数は、令和元年から令和3年まで9,700人台で大きな変動はなく推移しています。農林業の状況は、令和元年の1,998人から令和3年は1,589人に減少している状況です。このため、産地で新たに人材派遣会社等を利用して人材を確保した状況もあったと承知しております。  県内企業への支援については、令和3年1月に開設した長野県外国人材受入企業サポートセンターにおいて在留資格制度や受入れのノウハウを丁寧に説明するなど、引き続き円滑な受入れを支援してまいります。  続いて、技能実習生制度の見直しについてのお尋ねでございます。  法務省で本年2月より11回にわたって開催された特定技能制度・技能実習制度に係る勉強会における検討内容につきましては、今後年内にも設置予定の有識者会議に引き継ぐと聞いております。
     なお、これまでの勉強会では、技能実習制度や特定技能制度の問題点について議論がなされ、技能実習制度の存続、あるいは特定技能制度に寄せていくべき、一本化すべきという意見、あるいは技能実習制度を廃止すべきなど様々な意見が出されています。さらに、技能実習生の人権侵害や待遇改善については様々な指摘がなされているところであり、法務省が設置する有識者会議での議論を通じて技能実習制度がよりよい制度となることを期待しております。また、外国人労働者の円滑かつ適正な受入れについては、全国知事会を通じて国に要望しているところでございます。  次に、女性のUターン就職の促進についてのお尋ねでございます。  令和2年度の国勢調査では、20歳から24歳の転入者数において女性の転入者が男性を下回っております。  県内へのUターン就職を促進するためには、女性が安心して働くことができる環境整備や、県内企業の魅力を女性をはじめ若者世代にしっかりと周知することが必要であると考えています。既に国では、女性活躍推進法に基づく行動計画の策定や、優良な事業主への認定制度「えるぼし・プラチナえるぼし」を推進しており、本年4月からは同法に基づく一般事業主行動計画の策定や情報公表について常時雇用する労働者が101人以上300人以下の企業にも義務化されたところです。  県としても、こうした制度や職場いきいきアドバンスカンパニー認証制度の普及を進めるとともに、連携協定を締結している大学が59校ございますが、そうした大学に対するイベント情報等の配信、「ながのけん社員応援企業のさいと」での企業の紹介、インターンシップ、業界研究フェアや移住・転職イベント「ナガノのトビラ」等のイベントを実施しております。  今後は、さらに、県内の若手社員で結成したシューカツNAGANO応援隊の女性隊員から本県の暮らしや働く魅力を県外の若者に語ってもらう機会をつくるなど、Uターン就職を推進できるよう取り組んでまいります。  続いて、県民の豊かさの向上についてのお尋ねでございます。  下請取引の適正化の推進につきましては、県内の多くの企業が物価高騰や為替変動の影響を受ける中、下請事業者の取引の適正化は重要な課題であると認識しております。  国では、約120名の下請Gメンが令和3年4月から12月までにおよそ4,000社の下請中小企業を訪問し、取引実態について調査しており、さらに4月以降248名に増員の上、1万社の実態調査を目標として適正化に向けた指導助言を行っているところです。  県には、国と異なり、立入調査権などの権限はありませんが、全国中小企業取引振興協会からの委託を受けて県産業振興機構に設置した下請かけこみ寺が4月から8月末までに75件の相談に対応してまいりました。また、県産業振興機構が実施した価格交渉サポートセミナーには268名が参加し、受発注双方で適正価格の重要性を理解できた旨の声が多く寄せられたところです。  本県の産業は、多くの中小企業で構成されておりますので、公正取引委員会と「独占禁止法&下請法相談ネットワーク」を構成している商工会議所、商工会等とも連携しながら取引の適正化への支援に努めてまいります。  最後に、賃金上昇を促すための対策についてのお尋ねでございます。  現在の支援策としては、大畑議員の御質問にもお答えしたとおり、最低賃金の引上げを支援する国の業務改善助成金や県プラス補助金の最低賃金枠などにより企業の生産性向上を支援しているところです。しかし、県内産業の大半を占める中小企業において最低賃金を含む賃上げを行うためには、サプライチェーン全体の付加価値の増大とその適切な配分を向上させることが必要であり、全体を通じての取引適正化の推進が重要だと受け止めています。  こうした中、政府では、新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画に、人への投資と分配を大きな柱に掲げ、賃金引上げの推進とともに、パートナーシップ構築宣言の拡大等により取引適正化を強力に推進するとしております。  県といたしましても、今後、国の施策と連携を十分図るとともに、県内の中小企業において高い付加価値を創出し、雇用の拡大や賃金の上昇につなげていけるよう、働き方改革等の推進や社会人の学びへの支援、サプライチェーン内における競合企業との差別化を図れるよう価格決定力を持つ技術や製品、サービスの開発支援、成長期待分野におけるイノベーション創出に取り組む企業の育成など関係機関と連携して取り組んでまいります。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には2点御質問をいただきました。  まず、人への投資の促進について、国際競争市場で戦える人材の確保育成についてという御質問であります。  この問題は極めて重要な課題だというふうに私も受け止めております。まず、国際的な人材の奪い合いも既にDX人材等で生じているわけでありますので、まずは我が国自体が世界の中で存在感のある地位を確保していかなければいけないというふうに思います。  私が委員として参画させていただきました政府の教育未来創造会議の提言におきましても、グローバル人材の育成・活躍推進ということが柱の一つに据えられております。まずは国レベルで国際的に競争していくことができるような人材の育成確保、そして、産業自体もこうした人材を引きつけることができるよう強力な成長戦略をしっかり描いて進めていってもらいたいというふうに思っています。  その一方で、我々都道府県レベルにおきましても、この人材の確保が地域の将来を左右すると言っても過言ではないというふうに思っています。とりわけ高度人材をどう確保育成していくかということについては、中長期的な視点で、県内で人材を育成していくということと併せて、国内外から多彩な人材を引きつけていく、両面から考えていくことが重要だというふうに思っています。  人材の育成については、教育委員会でスーパーグローバルハイスクールやワールドワイドラーニングに取り組んでいるわけですし、また、海外留学を促進しようということで信州つばさプロジェクトを平成30年度から始めており、コロナで中止しておりますが、またしっかり再開していきたいというふうに思っています。  また、県立大学は、まさにグローバル人材を育成しようということで、英語集中プログラムや海外短期研修という特色を持たせてスタートさせましたので、その建学の理念に沿った発展をしていってもらえるように県としても取り組んでいきたいと思います。  また、信州大学をはじめ県内各大学でもこうした高度人材の育成に取り組んでもらっています。特に、信州大学は、航空機産業の即戦力人材の育成や医療機器開発においてリーダーとなる人材を育成してもらっているところでありますので、こうした初等・中等教育、高等教育全般を、この人材確保育成という観点から県としてもよりしっかりコミットしていかなければいけないというふうに思います。  特に、子供たちの多様性を育むという観点では、ギフテッド、特別な才能を持っている子供たちをしっかり応援していかなければいけないというふうに思います。画一的な教育から多様な教育を目指すことによって、優れた能力を持っている子供たちがしっかり活躍できる県にしていきたいと思っています。  また、国内外からの人材の受入れという観点では、これまでも県外からのプロフェッショナル人材の就業促進や産学官連携しての信州留学生就職促進プログラムの実施、また、信州ITバレー推進協議会を中心とする海外IT人材の誘致、こうしたことに取り組んできているところであります。  国際経済環境の中で競争力を持ち続けていく上では、やはり県内企業の生産性がアップしてしっかりとした給料を支払えるようにしていくということも非常に重要でありますので、そういう意味では、DX、GX等を通じて県内企業の発展を支えていきたいというふうに思います。  また、こうした直接的な人材育成や産業振興の観点とはちょっと違いますけれども、やはり地域自体が人を引きつける魅力がある地域でなければいけないというふうに思っています。私は、女性や若者から選ばれる県づくりということを選挙戦中も訴えてまいりましたけれども、まさに外国人材もこうした観点で引き寄せられる県にしなければいけないというふうに思います。  そのためには、まずは多様性が尊重される地域でなければいけないと思います。ジェンダーであったり国籍の違いによって差別感を感じるような地域であってはこうした人材を引きつけることができないというふうに思っていますし、また、先ほども少し答弁いたしましたけれども、例えば外国から高度人材が来たときに、やはり自分の子供たちをちゃんと教育できるのかということは当然考慮される材料になってしまいますので、そういう意味では、教育の充実、多様化ということもしっかり進めていかなければいけないというふうに思います。  この人材の確保育成は、これからの地域にとって非常に重要な意味を持つと同時に、こうした問題を解決するには、産業労働部や教育委員会のみならず、県全体の力を結集して取り組んでいかなければいけないというふうに思っています。  こうした観点で、この人材確保については、しっかり議論をして総合計画の中に位置づけて、経済界の皆様方のお力もいただきながらしっかり取組を進めていきたいというふうに思っております。  続きまして、八十二銀行と長野銀行の経営統合に関する受け止めという御質問でございます。  両行は、これまでも、長野県に本店を置く地方銀行として本県の発展に大変大きな寄与、貢献をいただいてきたというふうに思っております。両行のこれまでの御功績に心から敬意と感謝を表したいというふうに思います。  今回の両行の記者会見によりますと、今回の経営統合は、これまで培ってきたノウハウ、リレーション及び人材を掛け合わせることで共に成長できる地域と銀行へと変革し、お客様、地域、株主の皆様、従業員等によりよい価値を提供するということを基本理念とされております。また、融資先や預金者への影響につきましては、「顧客によいサービスを提供するという私たちの姿勢はこれからも変わらない。与信判断などもこれまでと同じ」というふうにお答えになられております。  私としては、取引先はもとより、預金者など関係の皆様方には、こうした今回の経営統合に関する趣旨をしっかりと御説明していただきたいというふうに思っております。今回の経営統合は、人口減少やデジタル化、脱炭素化といった社会構造の大きな転換期にあって、経営基盤の一層の強化により金融サービスの向上を図るものというふうに受け止めており、県内経済の発展にますます貢献いただくことを強く願っているところでございます。  以上です。       〔16番丸茂岳人君登壇〕 ◆16番(丸茂岳人 君)御丁寧な答弁をいただきました。  時代が大きく変わる今だからこそ、国や地域を様々な分野で支え、牽引する人材を育てていくことが本当に大切だと思います。しかし、人材を育てるには時間がかかり、どうしても目の前の課題解決に追われてしまいがちです。  明治初期、困窮する長岡藩に支援のために届けられた米百俵を、ただ住民に配るのではなく、将来への投資として学校の設立資金として使い、後にその学校からは多くの国を担う人材が輩出されたという有名な米百俵の精神ですが、人材への投資こそ国づくりにおいて最も重要な投資であるということだと思います。今こそこの精神を持って人材育成に力を注いでいただくことをお願い申し上げ、一切の質問を終えます。 ○議長(丸山栄一 君)次に、埋橋茂人議員。       〔24番埋橋茂人君登壇〕 ◆24番(埋橋茂人 君)改革・創造みらいの埋橋茂人です。通告に従い大きく3点質問をいたします。  一つ目です。総合計画の進捗状況について質問します。  現行の県の総合5か年計画・しあわせ信州創造プラン2.0が4年間経過した進捗状況についてどのように捉えているのか、3点伺います。  労働生産性は、1人当たりの目標額806万5,000円が743万8,000円と、62万7,000円の未達で92.2%にとどまっています。そもそも、この指標は、2018年度末に県民経済計算を国のガイドラインに沿って再計算し、その際、891万円から806万5,000円と額にして84万5,000円、率で9.5%も引き下げたものです。今回は再計算後の指標ですが、7.8%とやはり大幅な下落となっています。  県民1人当たり家計可処分所得の目標額は281万円ですが、達成値は253万4,000円で、27万6,000円の未達で90.2%と、労働生産性より達成率は低くなっています。この指標も同様に再計算して、その際、287万円から278万5,000円と、額にして8万5,000円、率で3%の引下げにとどまっていたものが、今回は9.8%と大幅な下落になっています。  そこで、3点伺います。  重点目標のうち、労働生産性、県民1人当たり家計可処分所得の進捗状況について、今申し上げたように、両指標とも国の統計方法の変更があり、目標値を変更した経過もある中で、現時点では目標に大幅に届いていませんが、その要因を林産業労働部長に伺います。  二つ目。労働生産性と家計可処分所得の向上について、知事は、平成30年2月の定例会の私の質問に対し、人員削減のためではなく、付加価値を上げ、生産性を向上していくという観点でAI、IoTを活用していくと答弁していますが、DX戦略などによる生産性向上の評価を知事に伺います。  三つ目。ウィズコロナ、アフターコロナなどコロナ禍で生まれた新たな価値観からどのような知見、教訓を得て今後の産業振興に生かし、施策を進めていくのか。産業政策全体を統括されておられる伊藤産業政策監に伺います。  続いて、二つ目、三つ目の質問に移ります。知事は、知事選後、9月1日にスタートダッシュ・アクション2022を公表されました。その中で、速やかに取り組むとされた10の政策のうち2点について質問します。  二つ目です。新型コロナウイルス感染症への対応について質問します。  「確かな暮らし」を守り抜くという項目の中で、3、アフターコロナを見据えた対策の推進の段で、「新型コロナの状況変化に対応して医療提供体制等を見直し、積極的なインバウンド誘致などで経済再生を促進」と掲げています。  全数届出の見直しについて伺います。  保健所による全数届出の見直しが行われましたが、そもそも今まででも公表感染者数と抗体保有者数のギャップ、無症状感染者の人数、これは私が感染したのでよく分かりますが、民間検査機関による陽性者の把握困難等から感染者の全数把握は困難だったと思います。人員体制やデジタル化が不十分な厳しい状況の中で、関係者の皆さんは感染実態の把握や濃厚接触者への連絡、医療機関との連携強化などに努められ、感染拡大防止や知見の蓄積に多大な貢献をされたと思います。関係者の皆様に感謝を申し上げ、質問に移ります。  一つ、全数届出の見直しによる医療機関、保健所、介護施設、学校などへの影響をどう考えていますか。  二つ、子供からの感染が増えていると思われますが、実態はどうなっていますか。  三つ、従来の感染者数の把握方法に替え、現在はどのように感染者を把握していますか。  二つ目の項目です。後遺症の調査と診断機関の確保について質問します。  一つ、新型コロナウイルス感染症の後遺症が明らかになっていますが、重篤なものや長期化している事例も出ています。県として現状をどう把握しているのか。また、今後どのように対応していくのか。  二つ、新型コロナウイルス感染症の後遺症を診断できる医療機関をどのように確保していくのか。以上を福田健康福祉部長に伺います。  三つ目です。ウイズコロナの中での観光において外国人旅行者に対するコロナ対策をどう考えているのか。また、インバウンドでどのくらいの来県者数と観光消費額を期待し、どの地域を重点に取り組むのか。渡辺観光部長に伺います。  大きな三つ目です。長野県価格高騰緊急対策について伺います。  質問に移る前に、情勢と異常な物価高騰の状況の一端を申し上げます。あわせて、それによりどんな事態が発生し、どんな声が寄せられているのか触れたいと思います。  農業関係です。肥料関係ですが、JA全農全国本部が2022年5月31日に公表した令和4肥料年度秋肥、6月から10月の間のことでありますが、その肥料価格によれば、肥料原料は、穀物相場の上昇から好調な需要が続く中、ベラルーシに対する経済制裁、中国の輸出規制、ロシアのウクライナ侵攻により、世界有数の肥料輸出国からの輸出が停滞し、限られた代替ソースに世界中から需要が集中したため、需給がさらに逼迫するとともに、世界的に原料調達の先行きに対する不安が高まっている。このような情勢を受け、窒素、リン酸、カリの国際市況は全てが史上最高値まで上昇し、今後も高い水準で推移すると見込まれる。また、外国為替相場は、日米の金利差の拡大を受け急激に円安が進行したと概況説明がなされています。  この説明と財務省の2020年7月から2021年6月の肥料年度の貿易統計等から農水省が作成した統計をベースに、私がまとめたものを申し上げます。  肥料の3要素は、植物を大きくする作用があり最も多量に必要とする要素である窒素N、開花、結実に影響するリン酸P、根の発育に必須なカリKですが、そのほとんどを輸入に依存しています。  秋肥は、春肥、2021年11月から2022年5月の価格に対し、窒素質肥料は硫安で45%、輸入尿素大粒に至っては倍近い94%の値上げです。2020年7月から2021年6月の肥料年度の尿素の全輸入量は33万5,000トンで、マレーシア47%、中国37%、サウジアラビア5%です。  リン酸質肥料の重焼リンや過リン酸石灰はいずれも25%の価格アップです。同肥料年度でリン安の全輸入量は51万2,000トンですが、中国90%、米国10%です。ちなみに、2014年のリン安の輸入量は47万6,000トンで、米国54%、中国36%でしたが、7年で中国が圧倒的なシェアと数量になっています。  カリ質肥料のケイ酸カリや塩化カリは、ケイ酸カリで36%、重焼リンでは80%の価格上昇となっています。同じ肥料年度で塩化カリの全輸入量は41万2,000トンですが、カナダ59%、ロシア16%、ベラルーシ10%です。  三要素を全部含むオール15という高度化成肥料は55%の値上げとなっています。  また、以下は同僚の中川議員とJA関係者から聞き取り調査をした内容です。代表質問や一般質問での燃料・原料情勢、ロシアのウクライナ侵攻、円安等の重複をできるだけ避けて、品目特有の課題を中心に触れたいと思います。  2022年11月の春肥については、主要原料相場は少し落ち着いてきたが、高騰以前から比べれば依然非常に高い水準にある。とりわけロシアやベラルーシへの依存度が高いカリ肥料は高止まっており、生産に甚大な影響が出ている。  県内JAグループでも、価格高騰以前の製品の早期引取りによる在庫積み増し、県内JAグループの基金による価格抑制等の自助努力もしているが、今回のような大幅値上げと調達の困難さは、オイルショック時を上回り、過去に例がない状況となっているとの説明がありました。  以下、ほかの品目についても説明を受けましたので、概要を申し上げます。  飼料・畜産関係です。JA全農全国本部は、6月22日、配合飼料価格を全畜種平均で2022年7-9月期は4-6月期に比べて1トン当たり過去最高の1万1,400円値上げしました。今までの値上げの最高額は2021年4-6月期の5,500円です。実に2倍以上となっています。理由は、ガソリン急騰によるバイオエタノールの生産拡大、これは原料のトウモロコシが餌向けと燃料向けで競合しますので奪い合いになっているということです。そして、トウモロコシは栽培に肥料を大量に使いますので、これが反映しているということであります。  キノコ資材、包装資材でありますが、キノコの培地の主要資材でありますコーンコブ、トウモロコシの芯の部分の価格がアップしている。キノコ特有の理由としましては、食用油の価格高騰により米ぬか油が増産となっているため、競合するキノコ培地用のぬかが不足している。  コロナ禍による巣籠もり需要で個配が急増し、包装資材の需要が拡大している。ダンボールも需要増で、原料の古紙価格の上昇等で製造コストが上昇しているということであります。  また、医療・介護関係、とりわけ燃料、食材でございますが、コロナ病床の確保に加えて、電気代、燃料費の高騰による経営悪化が非常に深刻になっているということであります。また、大きな病院では、非常用電源として自家発電用燃料の確保が必須でございます。また、食料費高騰による病院・施設食のコストがアップしています。  消費関係は、多くの方も触れられましたが、食料品の大幅値上げです。これは、米、生鮮食品を除くという注釈がいつもつきます。米は今まで大量在庫や販売減少で価格上昇から唯一例外だったわけですが、4年産米から価格上昇する見込みであります。また、灯油価格の上昇による秋冬の暖房費高騰、日用品の価格高騰ということであります。  10月からも大変多くの品目が値上げされますが、今般の物価高騰について伺います。  一つ、物価高騰の収束の見通しをどう考えていますか。物価高騰以前の水準に戻るとお考えですか。この水準が継続すると考えていますか。  二つ、物価高騰に対応するために調達ルートの多様化や国産化、輸入品の在庫積み増し等の仕組みづくりが必要と考えますが、いかがですか。以上2点、伊藤産業政策監に伺います。  三つ、農産物は生産コストが上昇しても、市場で価格が決定され、売場確保の面からもコストの価格転嫁は非常に困難です。価格転嫁の仕組みや生産者の再生産価格の確保の仕組みが今以上に必要と思いますが、いかがか。小林農政部長に伺います。  医療・介護分野は、診療報酬や介護報酬などの公定価格が決められているので、燃料、食料の価格高騰により経営も苦しくなってきています。地域医療・介護を維持していくためには今回示されている支援策では不十分だと思いますが、福田健康福祉部長に対応を伺います。  二つ目。資源の乏しい日本でこれまで輸入に頼ってきたものを全て自給することは困難ですが、国内で生産・供給可能な資源の開発、確保に力を入れるべきだと考えます。以下、伺います。  一つ、福岡市等が既に行っている下水道からのリンの回収についての検討状況を猿田環境部長に伺います。  二つ、粗飼料の確保対策と有機肥料の確保対策をどう考えているのか。小林農政部長に伺います。  三つ、再生可能エネルギーの普及の加速化についての現状とこれからの施策の展開を猿田環境部長に伺います。  最後の質問であります。長野県価格高騰緊急対策第一弾と第二弾で大変配慮をいただいておりますが、それぞれ期待される効果を伺います。また、今後さらなる対策が必要と考えますが、特に燃料、肥料、飼料、食料、それぞれをどう考えておられるのか。伊藤産業政策監に伺います。       〔産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業労働部長(林宏行 君)私には労働生産性、県民1人当たりの家計可処分所得の実績値が目標に届いていない要因についてというお尋ねをいただきました。  まず、労働生産性につきましては、これまで目標値に向けおおむね順調に上昇してきたところですが、2019年度は、県内総生産の減少に伴い、3年ぶりに低下に転じたところでございます。  その要因といたしましては、県内総生産の3割を占める製造業、とりわけ構成比が高い情報通信機器や汎用、生産用、業務用機械の部門で、米中貿易摩擦による中国経済の減速の影響により対前年度比で5%減少したほか、同じく5割を占めるサービス産業で令和元年東日本台風や新型コロナウイルス感染症による宿泊・飲食サービス業へのマイナスの影響が大きく、対前年度比で2.7%減少したことなどが挙げられ、低下幅は対前年度比マイナス3.1%でした。  また、県民1人当たり家計可処分所得についても、労働生産性と同様の背景により、県内総生産及び県民雇用者報酬が減少したことに伴い7年ぶりに減少し、減少幅は対前年度比マイナス0.7%となりました。  なお、本県の県民1人当たり家計可処分所得は引き続き全国平均を上回っており、全国を100としたときの本県の値は104.2となっています。労働生産性、県民1人当たり家計可処分所得に関しましては、いずれも付加価値の向上や生産性の向上に向け取組の強化が必要であるものと認識しております。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕
    ◎知事(阿部守一 君)私にはDX戦略などによる生産性の向上の評価について伺うという御質問をいただきました。  県としては、長野県IoT推進ラボにおける技術相談への対応や工業技術総合センターに設置いたしましたAI活用/IoTデバイス事業化・開発センターにおけるシステム開発支援、また、信州ITバレー推進協議会による県内企業のAI、IoT等の利活用促進などに取り組んできたところであります。  昨年行いましたアンケート調査によりますと、県内企業におけるAI、IoT、ロボット技術等の利活用状況は、2018年の約10%から2021年には約26%に向上しており、全体としては着実に利活用が進んできているものというふうに承知しています。  また、旧テクノ財団が開発を支援した県内小規模IT企業の食品衛生管理用のクラウド型アプリが約3,000社に導入されたり、農政部が導入を支援した畜産牛の繁殖管理システムが繁殖時期の労働環境改善に寄与するなど、産業分野別でもこの活用が進んできているというふうに考えております。  また、民間の調査によりますと、県内企業上位100社の売上高は、2017年度の4兆6,203億円から2021年度は5兆1,743億円と初めて5兆円を突破したところでありまして、DXの推進もこうした生産性の向上に一定程度寄与してきているものというふうに考えております。  以上です。       〔産業政策監伊藤一紀君登壇〕 ◎産業政策監(伊藤一紀 君)順次お答えいたします。  まず、コロナ禍で得た知見、教訓を今後の産業振興にどう生かしていくのかというお尋ねです。  新型コロナウイルス及び今般の価格高騰によりまして私たちの生活や経済が世界の経済に大きく影響を受けること、また、多くの経済活動が人や物の移動に支えられていること、リスクに対しいかに迅速、的確に対応する必要があるかということなど、安全、安心、安定、持続可能性に関することを再認識したところであります。  また、顕在化したもの、例えば交通運輸や医療、福祉、教育など私たちの日常生活に欠かせない分野を担う人の重要性ですとか、デジタル化、カーボンニュートラルなど取組を加速する必要があるもの、さらには、これらを昇華させてDX、GXなどのように社会経済システムの変革や構造転換を余儀なくされていることなどが見えてまいりました。産業が重層構造となっております本県におきましては、こうしたことを視野に入れ、基本的には生産性と付加価値の向上に取り組んでいくことになります。  外貨を呼び込める分野におきましては、強みを徹底的に伸ばし、イノベーションの創出を促進してまいります。これに合わせ、取り込んだ資金ができるだけ県内でよい形で循環できるようにする。また、必ずしも市場原理によらない生活に欠かせない産業につきましては、公益性という観点も踏まえてしっかり支えていく。  人材の確保育成にも十分留意し、事業者や関係機関等と連携しながら、全体として強靱でしっかり賃金の引上げにつながる産業構造にしていく必要があると考えております。  例えば、本県産業を牽引いたします製造業につきましては、医療や次世代交通、グリーン分野など成長期待分野への展開、DX、GXの推進を通じた生産性向上と新たな付加価値の創造により稼ぐ力を高め、世界と競える産業へと飛躍させてまいります。  また、裾野が広い観光産業につきましては、本年度を信州観光復興元年と位置づけ、鋭意取り組んでいるところであります。今後のインバウンド需要の回復も見据え、地域の魅力を観光資源として磨き上げ、ターゲットに響き、また的確に届く情報の発信などに努めながら、国内外から選ばれる世界水準の山岳高原観光地づくりと観光消費額の増加を目指し、取組を進めてまいります。  食料安全保障の観点からも重要性が増しております農業につきましては、強みであります園芸品目の戦略的な生産拡大、スマート農業の導入によります生産性の向上により稼ぐ農業にしてまいります。  また、コロナ禍による地方回帰の動きを捉えまして、農ある暮らしや二地域居住の促進による担い手確保などにより、持続可能な地域づくりや社会的共通資本の観点から農業・農村の維持活性化を図ってまいります。  次に、価格高騰に関しての御質問です。  まず、価格高騰の収束の見通しと収束後の価格の水準についてでありますけれども、現在の様々な価格の高騰がロシアのウクライナへの侵攻や急激な円安などの国際情勢に起因していることから、先行きを見通すことは容易ではございません。また、国際情勢の早期安定を願うところでありますが、直ちに以前の物価水準に戻るとは言い難い状況であります。  次に、物価高騰に対応するための仕組みづくりについてということですけれども、物価高騰への対応は、議員御提案の取組も含めまして、業種業態によって様々であると考えております。県といたしましては、必要な仕組みづくりにつきましては国に要望するとともに、事業者が意欲的に取り組めるよう、また、その取組が円滑に進むよう、経済各団体や産業支援機関と連携しながらしっかり支援してまいります。  次に、県の価格高騰緊急対策第一弾、第二弾で期待される効果とさらなる対策についてというお尋ねです。  2次にわたります緊急対策は、喫緊の価格高騰による影響の緩和を基本としつつ、省エネやDXなど未来につながることにも効果が及ぶことを目指しているものであります。  今後の対策につきましては、いわゆる下支えも必要に応じて継続して行ってまいりますが、未来に向けての取組を進めてまいりたいと考えております。  特に、燃料、肥料、飼料、食料をどうするかというお尋ねですのでそれぞれお答えいたしますけれども、燃料につきましては、国の価格上昇抑制策を踏まえつつ、引き続き省エネ、エネルギーコストの削減を支援いたしまして、エネルギー価格に極力左右されないゼロカーボンに資する経営への転換を促してまいります。肥料につきましては、有機農業など化学肥料に頼らない営農形態への転換を、また、飼料につきましては、自給飼料の生産拡大により過度に輸入原料に依存しない畜産生産への転換を進めてまいります。  今般のロシアのウクライナ侵攻によりまして直接影響を受けている食料品、特に小麦につきましては、引き続き県産小麦の品質向上によりまして外国産小麦から県産小麦への置き換えを促してまいりますとともに、米の需要拡大にも努めてまいります。  加えて、今般県社協に設置いたします食料支援調整センター(仮称)によりまして、価格高騰にかかわらず、生活にお困りの方に食料が行き届く体制も構築してまいります。その際には、生鮮品を含め、食料品の調達について企業や生産団体等の協力も仰ぎたいと考えております。  以上です。       〔健康福祉部長福田雄一君登壇〕 ◎健康福祉部長(福田雄一 君)まず新型コロナウイルス感染症への対応について5点ほど御質問をいただいております。  最初に、全数届出の見直しによる影響についての御質問でございます。  今回の全数届出の見直しによりまして、医療機関から保健所に提出される発生届の対象者が限定されました。これにより、発生届の作成や精査に係る医療機関や保健所の負担が軽減され、その分、重症化リスクの高い方等への対応に注力することが可能になったものと考えております。  なお、自宅療養者からの御相談は県の健康観察センターで受け付けておりますが、症状悪化時等に受診を希望される場合は直接診断医やかかりつけ医等を受診していただく体制に移行していきたいと考えております。こういった面で医療機関にはその分の負担が生じることもあろうかと思っております。  また、発生届は保健所に提出されるものでございまして、介護施設や学校などの施設における取扱いに変更はなく、大きな影響は生じないものと認識しております。  次に、子供からの感染についての御質問でございます。  年齢が10歳未満である方の1日当たりの陽性者数につきましては、第5波では平均で約2名であったのに対し、第6波では77人、第7波では9月29日までで236人と大きく増加いたしました。国のアドバイザリーボードでは、第6波で感染力の強いオミクロン株に置き換わったことや大人のワクチン接種率が増加していることなどから、小児感染者の増加が目立っていることが指摘されております。以上のとおり、子供の陽性者が増えておりますので、子供から同居家族へ感染する事例も増えているものと推測しております。  次に、現在の感染者数の把握方法でございます。  先月26日の全数届出の見直しが行われるまでは医療機関等で診断された全ての方の発生届が保健所に提出されておりました。現在は、発生届の対象者が限定されておりますので、対象者の発生届が提出されるほか、医療機関から保健所には陽性者の総数とその年代別人数が報告されることになっております。  この見直しによりまして、全ての方の氏名、年齢、居住地などの詳細情報を把握することはできなくなりましたが、引き続き全ての陽性者の人数と年代は把握できる仕組みになっております。  それから、後遺症についての御質問でございます。  県といたしましては、現在、新型コロナウイルス感染症の療養解除となった方に対して、後遺症の相談窓口として受診・相談センターを周知しており、御相談があった場合は必要に応じ症状に合った診療科を紹介しております。  そうした受診・相談センターや地域の中核的な医療機関からは相談等から得られた後遺症に関する情報を収集しているところでございますが、本県では相談件数も少なく、受診・相談センターに寄せられている相談内容も、幸い症状が軽く、療養解除後半年以内のものが多くを占めております。  今後、後遺症に関する状況について県民の皆様の理解を深めていただくため、後遺症を訴える方の年代や症状の傾向など必要な情報を収集し、お一人で後遺症に悩む方がいらっしゃることのないよう周知を図ってまいります。  次に、医療機関の確保でございます。  新型コロナウイルス感染症の後遺症は、現在においても明らかになっていないことが多く、その治療法などが十分に確立されているわけではありませんが、多くの場合、かかりつけ医等が専門医との連携によって対応できるものと考えられております。  例えば、本県での相談事例でも、せきなどが続いているといったような一般医療の中で対処できる症状が少なくない状況でございます。そのため、厚生労働省が作成いたしました後遺症に係る診療の手引を長野県医師会と連携して医療機関に対して周知し、地域のかかりつけ医でも診療いただけるように取り組んでおります。身近な医療機関での治療が困難な事例については専門的な医療機関を紹介する体制を確保しております。今後も、後遺症に関する最新の知見を注視し、医療機関等と情報共有を図ることにより、より適切な医療を提供できるよう努めてまいります。  それからもう一点、価格緊急高騰対策に関しまして、地域医療、介護を維持していくための支援策について御質問をいただいております。  現下の厳しい物価高騰に直面する事業者への具体的支援策に関し、全国知事会では、この8月、国が定める公的価格等により経営を行う社会福祉施設や医療機関等について、臨時的な公的価格の改定等の対策を早急に講じるよう、地方創生臨時交付金以外の制度の創設も含め、国に提言したところでございます。県としましては、こうした知事会の動きを踏まえつつ、原油・原材料価格の高騰に直面する県内の社会福祉施設や医療機関が継続的にサービスを提供できるよう、当面の支援策として光熱費、食料費、ガソリン代の価格高騰分の一部を助成することとしたところであります。  今後、この支援の効果を見極めるとともに、県としての対応についてもその必要性を検討してまいりますが、そもそも今般の物価高騰については全国的な課題であり、本来は国が公定価格の改定等により対応すべきものと考えております。  長野県価格高騰緊急対策第二弾にも記載させていただきましたが、価格高騰による影響を介護報酬等へ確実に反映することや特例的な支援制度の創設などについて、引き続き国に対して要望を行ってまいります。  以上でございます。       〔観光部長渡辺高秀君登壇〕 ◎観光部長(渡辺高秀 君)私には外国人旅行者に対するコロナ対策、今後のインバウンドでの来県者数、観光消費額、重点地域についてのお尋ねでございます。  今月11日からの水際対策の緩和により、訪日観光が本格的に回復してくるものと見込まれることから、準備を進めているところでございます。  外国人旅行者に対するコロナ対策といたしましては、国の対応等を踏まえたインバウンド推進協議会等と連携した事業者への説明会の開催、宿泊施設等を通じた「信州版新たな旅のすゝめ」の多言語表記版などによる基本的な感染対策等の周知、陽性者が発生した場合等の各エリアにおける事業者と医療機関との連携体制などについて、健康福祉部や市町村、関係団体と一緒に対応、準備をしているところでございます。  来県者数や観光消費額については、コロナ前の令和元年には外国人延べ宿泊者数157万人、観光消費額561億円に達していたところであり、まずはコロナ前のレベルを意識し、早期回復を目指してまいりたいと考えております。  また、重点地域といたしましては、これまで訪問実績のあったオーストラリア、東南アジア等をターゲット国に設定し、トップセールスなどプロモーションを速やかに実施してまいります。  以上でございます。       〔農政部長小林安男君登壇〕 ◎農政部長(小林安男 君)私には価格高騰に関しまして2点御質問をいただきました。  初めに、価格転嫁の仕組み等の必要性についてでございます。  様々な生産資材等の価格が上昇する中で、それらのコストが農産物の小売価格に適切に転嫁されることも必要だと認識しております。しかしながら、農産物の大半は市場流通の中で価格が決定されており、県独自に価格転嫁の仕組みを構築していくことは困難です。このため、県としては、肥料や飼料等の資材価格高騰の影響を受ける農家等に対する事業継続支援など県としてできることを着実に進めているところです。  一方で、農業生産者団体からも価格転嫁できる仕組みづくりなどの要請をいただいておりますので、国に対しては適切な価格転嫁や再生産価格確保のための施策が構築されるよう生産現場の切実な声を伝えてまいります。  次に、粗飼料と有機肥料の確保対策についてでございます。  粗飼料の輸入価格の高騰は、粗飼料を多く利用する酪農と肉用牛の経営を圧迫しており、粗飼料の国内生産量を確保していくことが重要と認識しております。  このため、県では、畜産農家やコントラクター組織等への粗飼料用機械の導入や水田を活用した飼料作物の作付拡大を支援するとともに、畜産農家と水稲農家の稲わらなどのマッチング活動や公共牧場の利用の促進などの取組を進めているところです。  今後も、これらの取組を強化するとともに、新たに措置された国の緊急対策などを活用し、輸入粗飼料から国産への置き換えを図り、粗飼料の確保を推進してまいります。  また、有機肥料についてですが、県内で調達可能な堆肥などの原料として家畜排せつ物やキノコ使用済培地などがあり、これら地域資源の確保、活用を図る必要があると考えております。県としましては、野菜農家などが化学肥料の代替となる堆肥の確保を円滑に行えるよう県ホームページで堆肥生産者の情報を広く発信するとともに、より活用しやすい形に成形した有機質ペレット堆肥の現地実証などを支援し、有機肥料の活用を推進してまいります。  以上でございます。       〔環境部長猿田吉秀君登壇〕 ◎環境部長(猿田吉秀 君)2点御質問をいただきました。  最初に、下水道からのリンの回収についてのお尋ねでございます。  下水からのリンの回収は、下水道事業者が専用の設備を新たに設けて抽出する方法や、民間事業者等が焼却灰から抽出する方法などがございまして、費用対効果や市場性の観点から検討が必要となってまいります。  本県の流域下水道におきましても、平成27年に肥料関係の事業者から焼却灰を活用したいとの御提案を受け、協議を開始いたしましたが、その後、事業者側が事業を縮小し、下水汚泥の焼却灰の受入れを停止したことから断念した経緯がございます。  今般の世界情勢から、化学肥料が高騰し、再び下水道汚泥等が注目されております。先月開催されました食料安定供給・農林水産業基盤強化本部におきまして、岸田総理から、国交省等と連携して下水汚泥等の未利用資源の利用拡大による肥料の国産化、安定供給を図ること等について、農林水産大臣を中心に来年結果を出せるよう緊急パッケージを策定することが指示されたところでございます。  下水道汚泥につきましては、これまでもセメント材料等でほぼ100%活用されてはおりますが、さらなる利活用は、資源の国産化、ひいては循環型社会の構築という観点からも重要と考えており、国の動向等を踏まえながら関係部局とも連携して検討してまいりたいと考えております。  次に、再生可能エネルギーの普及についてのお尋ねでございます。  再生可能エネルギーにつきましては、2019年度時点の生産量2.8万テラジュールに対し、2030年度までに1.3万テラジュールの増を図るべく、とりわけ本県が高いポテンシャルを有します太陽光と小水力を中心に取組を進めているところでございます。  太陽光のうち、いわゆる屋根ソーラーにつきましては、ソーラーポテンシャルマップを活用しながら、既存住宅エネルギー自立化補助金やグループパワーチョイスにより住宅向けを対応するほか、事業者向けにはエネルギーコスト削減促進事業により導入を図っているところでございます。  また、いわゆる野立て太陽光に関しましては、市町村が設定いたします促進区域に関して全国に先駆けて建築基準を策定したところでございまして、地域と調和した事業の誘導を図ってまいります。  一方、小水力発電に関しましては、初期費用については収益納付型補助金、技術・手続面では小水力発電キャラバン隊などで事業者を支援しておりますが、さらに、小水力についても促進区域に関する県基準を策定するとともに、環境省が提供するポテンシャルデータをより有効に活用できるような検討も進めてまいります。  今般のエネルギー価格の高騰によりまして、エネルギーの自立性を高めること、すなわち再生可能エネルギーの生産拡大の重要性が改めて認識されており、さらなる施策も検討しながら再エネの普及拡大に努めてまいります。       〔24番埋橋茂人君登壇〕 ◆24番(埋橋茂人 君)それぞれ御答弁をいただきました。  アベノミクス、黒田バズーカで華々しく打ち上げられた結果、2%の物価上昇がこんな形でなされたことは本当に残念な状況と言わざるを得ません。物価高の吸収は、本来、自由主義経済下ですから、市場価格でコストを吸収したり転嫁するのが基本です。そのために、人口増や賃金上昇、可処分所得のアップが不可欠でありますが、30年間賃金は上がらず、人口は減少する一方となっています。ここにメスを入れない限り、この物価高も恐らく一過性のものではないのだろうということの中で、どういうふうにしていったらいいのか。ぜひ県には、国への要望も踏まえ、お願いしたいと思います。  今こそ足元を見つめ直して、地元にどんな資源があるのか、何が活用できるのか問い直してみていただければと思います。  これで私の質問を終わります。ありがとうございました。 ○議長(丸山栄一 君)会議規則第13条第2項の規定により、本日はこれをもって延会いたしたいと思います。  次会は、明4日午前10時に再開して、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑を日程といたします。書面通知は省略いたします。  本日は、これをもって延会いたします。         午後4時1分延会...