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  1. 富山県議会 2022-09-01
    令和4年9月定例会 一般質問


    取得元: 富山県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-14
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1       ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  午前10時00分開議 ◯議長(渡辺守人君)おはようございます。ただいまから本日の会議を開き、直ちに日程に入ります。       ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━     県政一般に対する質問並びに提出案件に対する質疑 2 ◯議長(渡辺守人君)日程第1、県政一般に対する質問並びに議案第90号から議案第109号まで及び報告第15号から報告第19号までを議題といたします。  これより各議員による県政一般に対する質問並びに提出案件に対する質疑を行います。  通告がありますので、順次発言を許します。  藤井大輔君。    〔8番藤井大輔君登壇〕 3 ◯8番(藤井大輔君)おはようございます。自由民主党の藤井大輔です。2019年に県議会議員となってから3年4か月がたちました。しかし、そのうち2年半はコロナ禍でありました。その間、地域の会合や夏祭り、運動会等の行事もほとんどなく、地域の方々との交流の機会がめっきり減ってしまったことは、1年生議員として本当に残念でなりません。  私ごとですが、8月から久しぶりに地元の県政報告会を再開いたしまして、延べ140人の方に御参加いただいております。今日はその一部の方に傍聴にも来ていただいております。ありがとうございます。県政報告会では、できるだけ意見交換や対話に時間を割くようにしました。そこでお聞きした地域の方の声は、耳の痛いことも含めまして実に切実で胸に迫るものでした。今回の一般質問では、そういった地域の方の声をベースに組み立てております。  以下、通告に従い、分割方式にて質問を行います。  まず、第1のテーマ、県民の不安に寄り添う県知事のリーダーシップについて2問お尋ねいたします。  京セラ創業者である稲盛和夫さんが、去る8月24日に御逝去されました。90歳でいらっしゃいました。変革型リーダーとして卓越した経営手腕を発揮しただけでなく、自ら塾長となった盛和塾では、世界中の経営者約1万5,000名に、その経営哲学を説いたとされています。新田知事におかれましても、盛和塾富山のチャーターメンバーであったとお聞きしております。  私は前職リクルート時代に、間接的ではありますが、稲盛さんのお話を聞くことができました。稲盛さんは、「現在の混迷を脱し、よりよい社会を築いていくには、すばらしい人格を備えたリーダーを選ぶことが大切です」と述べられています。また、「真のリーダーとは、ひたむきに仕事に打ち込み、その中で人格を高め続けていけるような人物ではないか。そのような人間であれば、リーダーとして権力を委ねられた後も、堕落することも傲慢になることもなく、集団のために自らを犠牲にして懸命に働き続けてくれるはず」ともおっしゃっており、私も大変感銘を受けたところであります。  新田知事は、稲盛和夫さんのリーダーシップ論からどのようなことを学ばれ、また県知事としての職務にどのように生かされているのでしょうか、御所見をお伺いいたします。  次に、県民の不安との向き合いについてお尋ねいたします。  コロナ禍3年目に突入しただけでなく、昨今は豪雨、豪雪などの異常気象、国内外での政情不安、物価高騰による生活不安など、県民の不安、ストレスはかなり高い状態が続いていると感じます。  アメリカの心理学者スロビック博士は、最も対処が難しいのは、専門家が科学的データからリスクは低いと捉えているんだけれども、一般の人たちが、何となく恐ろしい、分からないから不安になってしまうようなケースだと言います。
     また、「ストレス脳」という書籍によると、私たち人間の脳は、狩猟をしていた頃の1万年前からほとんど変わっていないとのことです。周囲は危険に満ちあふれて、少しでも油断すると野獣に襲われる。そのため、直感的に危険を察知できるような慎重で臆病な者が生き延びた、私たちはその末裔なのだと言います。  一方、科学的な理論や技術はここ100年で急速に進歩しました。理性によって私たちの社会はここまで発展したことも事実です。「現代に生きる私たちに、石器時代の心が宿っている」という表現を御存知でしょうか。つまり、私たちの心に芽生える不安は、理性的な情報で解消されるものではなく、1万年前からある感情的な部分に訴えることでしか癒やされないと、そのように私は解釈をしております。  県知事という職務は、県庁職員のリーダーであることは当然ながら、全県民のリーダーとしての立場も求められています。私の県政報告会の場で実際に聞かれた地域の声には、「報道を通じて知事の言葉を知るが、私たち県民を安心させてくれる言葉が聞かれない」「ウエルビーイングや富山アラート、コンプライアンスといった曖昧な片仮名語でごまかされているような気がする」といったものがありました。実際、私も、片仮名語が多いと叱られました。  私は、新田知事の心の中にある県民の不安に寄り添う思い、必ずあると思っております。ただ、それがどうも県民に届いていないのではないかと懸念しております。県民は、知事からの安心させてくれる言葉を待っているのです。  県民のリーダーとして、不安払拭のため、分かりやすく真摯な説明が求められると考えますが、新田知事の御所見を伺い、第1のテーマの質問を終えます。 4 ◯議長(渡辺守人君)新田知事。    〔知事新田八朗君登壇〕 5 ◯知事(新田八朗君)藤井大輔議員の御質問にお答えします。  まず、稲盛和夫さんの経営哲学についての御質問にお答えをします。  本県出身ではなく鹿児島県御出身の一民間人を取り上げるということは、こういう場では大変に異例のことではないかと思いますが、私も大変に敬愛する方なので喜んで答えたいというふうに思います。  稲盛和夫さん、大変惜しまれて亡くなりましたが、申し上げるまでもなく、戦後を代表する経営者、様々な分野で日本経済を引っ張ってこられました。京セラという大企業、今は大企業ですが、それを立ち上げられて、セラミックという新しい分野を切り開いてこられたこと。そしてまた、ガリバーとも言われたNTTに対抗する第二電電、そしてそれが今のKDDI、auにつながっているわけですが、こういった挑戦をされたこと。巨大な、言わば勢力に果敢に挑戦をされたこと。そしてまた、晩年は日本航空という、落ちた巨星を何とか立ち直らせたということ。これらの功績は本当に、私が言うまでもなく枚挙にいとまがありません。  そして、個人的には個人資産を投じられて京都賞というアワードを創生されました。国際的なアワードです。大変に様々な人を、賞が輩出したというふうに理解をしております。これも大きな功績だというふうに思います。  その中で、やはり私は、一番の功績は、今、藤井さんがおっしゃった、人を育てた。特にその中の一つが盛和塾。稲盛の「盛」、和夫の「和」を入れて盛和塾という経営者向けの私塾を始められ、そしてそれを生涯大切にしてこられた。そこから一体何人の人が、リーダーたちが生まれたかというと、それが私は最高の御貢献だったのではないかというふうに考えています。  議員御指摘のように、盛和塾富山を立ち上げるときに、私もお手伝いをさせていただきました。お手伝いというか本当にゼロからのスタートでしたので、知り合いに電話をかけて、こういうのが始まると。もちろん稲盛さんは有名人でありましたが、まだそこまで、今ほど大きなプレゼンスはなかった、存在感はなかったわけでありましたので、説明するのも結構大変でした。京セラの稲盛さんということで言って、それで分かったよという人もおられましたし、「何するが」という人もおられました。でも、着実に何とか30人ぐらい集めたというふうに思います。  最初の頃、1、2回だったと思いますが、富山にもおいでになり、本当に少人数、30人ぐらいの人数で囲むことができたというのは、とても私もよい思い出でございます。  それからまた、当初は全国大会といっても大した人数じゃなかったので御自宅でやっていただきまして、もちろん巨大な御自宅ですが、その庭で何かバーベキューしながら、本当に身近にお話を聞いたのもよい思い出です。よい経験になったということでございます。やはり、人を育て人を生かそうという考え方に、私は本当に心から心酔をしているところでございます。  私の好きな言葉に「金を残すは下、事業を残すは中、人を残すは上」、後藤新平さんの言葉でありますが、まさにこれは稲盛哲学に通じるものだというふうに思っております。そのようなこと、私の今の立場でも、言わば県政においても大いに生かしているつもりでございます。  すなわち、人材育成に重点を置いています。例えば、官民連携のプロジェクトの組成の実践的な研修を行っております。また、デジタル先進国であるシンガポールのDXを学ぶ官民合同の研修、これも昨年に続いて今年もやっております。県と市町村職員が地域課題に取り組む、それもフィールドに出て、フィールドワークを通じて合同で検証する。このような効果的なプログラムを今行っているところでありまして、今後の政策ニーズに対応できて、そして高いモチベーションを有する人材、これを育成するということが大切だというふうに考え、実践をしているところでございます。ですから、そういう研修費用は、実は結構これまでよりも上がっているのではないかと思いますが、御理解いただければと思います。  さらに、富山県成長戦略では、人材の育成、集積というものを一番重視しております。「ウエルビーイング」、「ウエルビーイング」と言っておりますが、ウエルビーイングを向上することによって、次世代の価値を生む人材が富山県に育っていくと。そしてそれを大いに発信することによって県外からも富山県に集積をしてくる。それらの多様な人材が新しい産業や価値を創出する、またスタートアップを立ち上げていく、そんなことで経済も活性化される、それがまた、さらなるウエルビーイングの向上につながる、そんな循環を目指しているということでございます。  すなわち、全てスタートは人、人材育成、これであります。そういう意味では、稲盛イズムを富山県でもそのような形で受け継いで実践しているところでございます。ウエルビーイングを起点に人を育てて生かすということで、富山県のさらなる発展を推進していきたいと考えております。  次に、リーダーとしての説明責任についての御質問と理解をしております。  議員御指摘のとおり、コロナ禍3年目に入りました。また、物価高騰、資材高騰、食料高騰などなど課題山積、その中で知事として、県民のリーダーとしての役割を果たし、県民の皆様が安心して日々の暮らしを送ることができるよう、必要な情報を適時適切に県民の皆様に届けることがますます重要だと考えます。  そんな取組の一環として、定例の記者会見を、現在、週1回で続けています。このような議会中はちょっとイレギュラーになっておりますが、議会のとき以外は週1回の情報発信を定期的にやっております。  幅広い県民に必要な情報を届けるために、SNSや雑誌、またテレビなど、様々な媒体の取材にも基本的にオッケーを出して応じてまいりました。その際には、いわゆるお役所言葉を使わず、必要に応じて、議員御指摘の片仮名言葉を使う場合でも、県民の皆さんに分かりやすい言葉で、片仮名のほうが分かりやすいこともあると私は思っておりますが、多用し過ぎという御指摘は真摯に受け止めたいと思います。  また、私の考えや施策を県民の皆さんに丁寧に共有し、議論を深めるために、県政運営においても現場主義を大切にしておりまして、例えば、成長戦略の策定に当たり中間とりまとめが出た段階で、その案を担いで15市町村を回り、公募で御参加いただいた方々とビジョンセッションという形で意見交換をし、そこでいただいたものも、またよりいい成長戦略を骨太にするために盛り込んでいったということでございます。そのような工夫をしてきたところであります。  さらに、県民へのリーダーシップということも御指摘をいただきました。でも私は、1人のリーダーに過度に依存することに潜む危険というものは、これは歴史が証明しているところでありますし、現在でもある地域で起きていることであります。このようなことを忘れてはいけないと思います。  特に現代のような、多様な価値観を尊重して多様性が求められる時代においては、知事一人だけで担うものではなく、例えば、ワンチーム会議で市町村長さんたちとの意思疎通を円滑化することや、県の職員にも現場主義を促していくことで、様々なルート、様々な経路で、県民の皆さんへの情報発信やニーズの把握の強化に努めるということ、それによって、テーマやタイミングや地域に応じて様々なリーダーがふつふつと登場してくるのが、私は今の時代に健全でかつレジリエントな社会でのリーダーの在り方だというふうに信じております。  新型コロナで厳しい経済情勢が続く中で、リーダーの役割を果たすため、様々な機会を通じて県民の皆さんとのコミュニケーションを一層深めて、必要な対応をスピード感を持って進めていく。そして、引き続き、県民の皆さんに分かりやすい丁寧な説明に努めていくことを、議員の御指摘も踏まえまして続けてまいりたいと思います。  1回目は以上です。 6 ◯議長(渡辺守人君)藤井大輔君。    〔8番藤井大輔君登壇〕 7 ◯8番(藤井大輔君)続いて、第2のテーマ、県民の生活を脅かす喫緊の課題について、9問お尋ねいたします。  まずはウイズコロナ時代に向けた対応です。  ウイズコロナ時代には、感染防止拡大と社会経済活動の両立が求められています。しかし現在は、本来は行動制限を伴わない富山アラートが発令されていることで、一部の企業や地域の社会経済活動が抑制されてしまっており、ステージ2と変わらない状況が生み出されています。私の地元、新庄地域も、住民運動会が富山アラートを理由に中止になりました。その時に聞いた、「藤井さん、アラートちゃ、何のためにあるがけ」という地域の方の言葉が忘れられません。  県としては、アラートによって、あくまでリスクの程度を示しているのかもしれませんが、県民としては、最終的に行動するのかしないのか、そのどちらかの選択を迫られているわけです。  同じように9月26日から感染者の全数調査が全国一律で簡略化されますけれども、感染したときの県民の行動は具体的にどう変わるのか、それを示さないと、さらに不安を増長する形で県民に伝わる可能性もあると懸念します。  県として、より丁寧な県民の信頼に足る説明が必要と考えますが、有賀厚生部長の御所見をお伺いいたします。  次に、国産ワクチンと国産治療薬についてです。  国産のワクチンについては、9月7日に大阪大学発の医療ベンチャーが開発中止を発表、また治療薬として期待されたアビガンも、昨年12月末に観察研究が中止となっております。2020年度4月補正予算で、薬都とやまアビガン増産緊急支援事業として2億円計上し、県としてもアビガンに期待をかけておりましたが、現時点ではコロナ治療薬としての成果は上がっていないところです。その後の状況を県としてどのように把握されているのでしょうか。  また、今年5月には富山大学のスーパー中和抗体を活用した治療薬に対し、くすりのシリコンバレーTOYAMAの事業として開発を支援しておりますが、その進捗も併せて新田知事にお伺いいたします。  次に、8月の集中豪雨についてです。  8月13日、20日の大雨によって、富山市内は溢水、冠水が各所で見られました。私の地元、富山市新庄地域の自治振興会では、40か所以上の被害の写真や動画を取りまとめ、マップとともに富山土木センターに情報提供し、県管理道路の調査に役立てていただきました。  今回の水害は都市型水害の典型である内水氾濫が起こったものと考えられますが、県として、今回の水害の原因をどのように分析し、今後どのような対策を考えていらっしゃるのか、県内市町村への支援も含め、市井土木部長にお伺いいたします。  また、富山市内には、国管理の一級河川、県管理の一級河川水系の河川及び二級河川、市管理の準用河川があります。それぞれ管理が分かれているわけですが、地域の方にとってみれば、どの川が県の管理でどの川が市の管理なのかは関係ないと、とにかく浸水被害を止めてほしいということだと思っております。  今後、都市型水害の懸念が想定される気象予報があった場合、国、県、市の管理河川においてどのような連携対応を行っていくのか、土木部長にお伺いいたします。  その豪雨があった8月20日ですが、高嶋怜音ちゃんが行方不明になり、その後、氷見沖で発見されました。心より御冥福をお祈り申し上げるとともに、御家族の御心痛はいかばかりかとお察しを申し上げます。怜音ちゃんの事故原因はまだ判明しておりませんが、用水転落の危険性について御近所の方々からの指摘もあったところであります。  さて、現在、農業用水路安全対策ガイドラインに基づき、ソフト、ハードの対策が実行されていると承知しています。特にソフト対策の危険箇所一斉点検等においては、字の読めない幼児や認知機能が低下した高齢者のように、より転落リスクの高いとされる当事者の視点に立った点検が、今後必要になってくるのではないでしょうか。注意喚起の看板やチラシ配布だけでは効果が薄いと考えます。  現時点でできるソフト、ハード対策の内容を含めて、市井土木部長に御所見をお伺いいたします。  次に、行方不明者の捜索についてです。  9月21日は世界アルツハイマーデーでありまして、富山県でも啓発イベントが行われます。認知症を持つ御家族にとっては、徘回による行方不明によって、本当に心が休まらない思いをされているのではないでしょうか。  県での行方不明者の受理状況は、令和3年で1,023件となっており、うち認知症に係る割合は22%となっております。行方不明者の捜索において、県警察としてどのようなタイムラインで捜索を行っているのか、また、そうした方法は幼児と認知症高齢者との場合で異なることがあるのか、杉本警察本部長にお尋ねいたします。  次に、デジタル化の遅れについてお伺いいたします。  今年2月から立て続けに起こった県庁内での情報漏えい事案をきっかけに、先頃、外部調査が実施されました。また、県庁内にペーパーレス化情報セキュリティ推進ワーキングチームが設置され、総務課も巻き込んで、文書管理規程の見直しや情報管理基準の明確化などについて議論されていると聞いております。  そもそも私は、県庁内の決裁や意思決定の仕組みを抜本的に見直さなければ、デジタル化は付け焼刃の対症療法にしかならないのではないかと懸念しておりました。  外部調査の報告書の内容の概要と、それを受けての対策も踏まえて、岡本経営管理部長にお伺いいたします。  次に、昨年11月に、DX・働き方改革推進アクションプランが策定されました。そのうち、県民本位の行政サービスの実現において、令和4年度当初予算で約6億円が計上されています。県の行政サービスが進化しなければ県民の利便性は他県より劣ってしまうわけですので、私は、このアクションプランは極めて高い実効性を持って取り組むべきだと考えております。  予算執行状況を含めた進捗について、現時点でどのように把握しているのか、また、富山県のホームページが昨年3月にリニューアルしておりますが本当に県民の利便性は向上したのでしょうか、その検証結果も踏まえた進捗について現時点でどのように把握しているのか、三牧知事政策局長にお伺いいたします。  なお、私はこの情報漏えい事案のせいで、こういったアクションプランの進捗に遅れが生じているのではないかと懸念をしておりましたが、特命ディレクターであります県立大の岩本健嗣准教授にお聞きすると、むしろ情報漏えいの件があったことで危機意識が増し、プラスに働いているのではないかということでした。ただし、情報管理の大本となる文書管理規程等の見直しを早く実施しないと、オンクラウドでの運用ができず、効率の悪いファイル交換サービス等を使い続けなくてはならないということでしたので、三牧さんにここで伝言をしておきます。  次に、9月補正予算で、インバウンド向け観光情報サイトリニューアル事業が3,000万円で予算化されています。その根拠となる中央日本総合観光機構が作成した調査報告書では、現在のサイトが2014年時点のもので止まっており、現在の5G時代に適合していないとの評価でした。今回のリニューアルでは、スマホファースト、動画の積極利用、SNSとの連動等が図られるというふうにありますが、その狙いと効果について南里地方創生局長にお尋ねし、第2のテーマの質問を終えます。 8 ◯議長(渡辺守人君)藤井さん、ちょっと確認します。この質問、市井土木部長と言いましたけど、堀口さんでよろしいですね。 9 ◯8番(藤井大輔君)失礼しました。私の間違いでありました。堀口農林水産部長にお尋ねする案件を土木部長と言い間違えてしまいました。おわび申し上げます。 10 ◯議長(渡辺守人君)新田知事。    〔知事新田八朗君登壇〕 11 ◯知事(新田八朗君)新型コロナの治療薬についての御質問にお答えをします。  アビガンについて、県では、県内製薬企業に増産の協力を働きかけ、令和2年度4月補正予算において、増産のコスト増を補填するための支援事業として2億円を計上しておりました。年度初めの4月の補正ということなので、文字どおり緊急の事情があったんだと拝察をしております。その後、国がコスト増を踏まえた価格でアビガンを購入することとなり、結果的には県の補填は不要となりました。  アビガンの治験につきましては、薬事承認が継続審議となった後に、重症化を防ぐ効果を評価する新たな治験が開始されたわけでありますけども、現在のように重症化しにくいオミクロン株の流行で効果の検証が困難となったため、本年3月に患者の募集が終了したと承知をしております。  もう一つの御質問、スーパー中和抗体ですが、これを利用した新型コロナ治療薬については、「くすりのシリコンバレーTOYAMA」創造コンソーシアム事業として、本年5月に、富山大学と抗体医薬品の開発を行う創薬ベンチャー企業、そして本県の3者で共同研究に関する覚書を締結し、医薬品開発の専門家と共に研究開発支援に取り組んでいます。  新型コロナ治療薬の開発をはじめ、創薬には長期間にわたる粘り強い研究が必要となります。困難とリスクも伴いますが、本県の医薬品産業のさらなる発展を図るためにも、産学官が連携し、コンソーシアムを舞台に、引き続き医薬品の研究開発と専門人材の育成に取り組んでまいります。  この件、以上です。 12 ◯議長(渡辺守人君)有賀厚生部長。    〔厚生部長有賀玲子君登壇〕 13 ◯厚生部長(有賀玲子君)私からは、富山アラートの発令及び発生届の取扱いに関する御質問についてお答えいたします。  今回の富山アラートは、7月中旬以降の感染急拡大を踏まえ、医療逼迫を防ぐため、そして社会経済活動に与える影響が大きい行動制限の要請を回避するため、感染対策の再徹底をお願いすべく発出しているものでございます。  これまで、延長を含めて3回発出してまいりましたが、その都度、知事が会見の場で、医療提供体制の状況を示しながら県民に向けて感染対策の徹底について呼びかけているほか、県のホームページにおいても、具体的なお願い事項や県の対策について掲載し、周知しているところでございます。  また、26日から全国実施される全数届の見直しについても、届出対象外となる方へのフォローアップ体制に万全を期すとともに、症状がある場合や検査で陽性となった場合の対応などについても、県民への周知を十分に行ってまいります。  ウイズコロナ時代に向けて感染拡大防止と社会経済活動の両立を実現するためには、感染状況に即応した正しい情報と具体的な対策を明確に分かりやすく伝えることが重要であり、今後もより丁寧な説明に努めてまいります。  また議員から、富山アラートが分かりにくいとの御指摘もいただきました。県民の皆様に感染の状況や日常生活に求められる対策が伝わるよう、今後工夫してまいりたいと思います。  以上です。 14 ◯議長(渡辺守人君)市井土木部長。    〔土木部長市井昌彦君登壇〕 15 ◯土木部長(市井昌彦君)私からは、8月の集中豪雨でいただいた2問のうち、まず水害への対策についての御質問にお答えします。  8月中旬の富山市などの大雨による浸水被害では、市街地においては水路などの排水施設から雨水があふれた一方で、その合流する河川において越水となる水位が観測されていない地域があったことから、御指摘のとおり、内水──河川からあふれ出る外水に対して河川に流入する水を内水と申しておりますが、この内水による被害が発生したものと考えております。  こうした市街地における浸水対策については、現在、ハード対策として、県では冷川や地久子川などの河川の改修を、また市町村では雨水貯留施設などの排水施設の整備を、お互いに調整の上、進めているところでございます。  次に、ソフト対策としては、県の洪水浸水想定区域図を基に市町村が洪水ハザードマップを作成し、全市町村で公表済みとなっています。また水路などの排水施設があふれた場合の内水ハザードマップについては、市町村が順次作成し公表することとしております。  こうした対策を進める市町村への支援としましては、市町村公共事業の予算確保について国へ働きかけることに加え、県内にも、富山市や射水市で、公園の地下空間や、公園の仕上げ面をくぼませて雨水をためる雨水貯留池、また立山町の駐車場地下を活用した雨水を地中に染み込ませる雨水貯留浸透施設など、内水対策の先進事例があることから、情報共有にも努めたいと考えております。  このほか富山市では、今年度から新・富山市浸水対策基本計画を策定されることから、県も協力することとしております。  今後とも、県民の安全・安心な生活を守るため、ハード、ソフト両面から市町村と連携して市街地の浸水対策に取り組みます。  次に、水害に係る国、市との連携対応についての御質問にお答えします。  河川法では、国や県が管理する一級、二級河川と、それらに準ずるものとして市町村が管理する準用河川が定められており、富山市内では、国管理が常願寺川、神通川、神通川の支川の井田川、熊野川を加えた4河川、県管理が109河川、市管理の準用河川が36河川となっております。  また、水防法では、洪水などの水災害に備えるため、県や市町村において水防計画を策定することとされており、これに基づき、河川管理者が相互に、また水防管理団体としての市町村との間で、防災情報の通報や連絡を行っております。  具体的には、大雨警報発表時などにおいては、県では水防本部を組織し対応に当たっており、富山市を例に取ると、本庁に加え富山土木センターや室牧ダム管理事務所などの出先機関が水防非常配備を執っており、現地に設けられた観測局から送られる河川の水位や雨量などの情報をモニター等で監視し、必要に応じパトロールも実施しております。  さらに、大雨により河川水位が一定の基準を超過した場合には、水防活動の目安となる水防警報や、避難指示発令判断の目安となる氾濫危険水位到達情報の発表により、富山市に洪水情報について情報提供をしております。これを受け、市では、水防活動を行う水防団への出動の命令や、住民に対する避難指示の発令を行っております。  今後とも、県民の安全・安心確保のため、国や市町村と十分連携し、適切な水防活動が図られるよう努めてまいります。  以上です。 16 ◯議長(渡辺守人君)堀口農林水産部長。    〔農林水産部長堀口 正君登壇〕 17 ◯農林水産部長(堀口 正君)農業用水路における安全対策についての御質問にお答えします。  県では、令和元年度に農業用水路安全対策ガイドラインを策定し、ソフト、ハード両面から総合的に対策を進めております。  まず、ソフト対策として、令和2年度から2か年で、地域住民等も参加したワークショップを県内50か所で開催し、危険箇所マップづくり等を通じまして意識啓発に取り組んできたところであり、今年度はさらに20か所で開催していますほか、今後、高齢者等を対象とした安全対策講習会を県内4か所で行うこととしております。  また、ハード対策といたしまして、これまで幹線水路を中心に重点的に転落防止柵を整備するほか、今年度は地元要望を踏まえた5.6キロメートルを整備いたします。さらに、ポールコーンや鉄筋網蓋等のセミハード整備についても機動的に対応しているところです。
     今回、高岡市での痛ましい事故があったわけでございますが、議員御指摘の幼児や認知機能の低下した高齢者等への対応につきましては、まずはワークショップあるいは今後開きます安全対策講習会等におきまして、保護者の方あるいは家族の方、介護者の方にも参加を呼びかけ、点検や対策について話合いを行っていきたいというふうに考えております。  また、県では、有識者や関係者で構成されます農業用水路事故防止対策推進会議を平成31年1月に立ち上げ、推進方策等の検討を行っております。こうした場などにおきましても対策を議論できればというふうに考えております。  引き続き、農業用水路での転落事故が起こらないよう、地域の皆さんの御意見等もお伺いしながら取り組んでまいります。 18 ◯議長(渡辺守人君)杉本警察本部長。    〔警察本部長杉本伸正君登壇〕 19 ◯警察本部長(杉本伸正君)私からは、行方不明者の発見活動についての御質問にお答えいたします。  まず、このたびの事案によりお亡くなりになった高嶋怜音君の御冥福をお祈り申し上げるとともに、御遺族の皆様に心からお悔やみ申し上げます。  行方不明者の発見活動については、どの場合でもその生命、身体を速やかに保護する必要があるわけでございますが、中でも犯罪や災害に巻き込まれた可能性が高い場合や、幼児、高齢者などの中で、自救能力がなく生命、身体に危険が生じるおそれがある場合などには、より迅速的確に対応する必要がございます。  ただし、その方法につきましては、行方が分からなくなった状況や原因には様々な可能性がございますので、幼児や高齢者といった属性だけにとらわれず、予断を排して選択しているところでございます。  発見活動は大きく、関係機関等と連携した捜索活動と、各種手配や情報提供依頼に分けられます。特に災害に巻き込まれた可能性が高い場合におきましては、発生後72時間が重要であると言われておりますので、このことを踏まえて、いずれの活動も極めて迅速に行うことが求められます。  捜索活動では、捜索内容や範囲に応じて必要な体制を確立するとともに、警察犬やヘリコプター、船舶、ドローン等、様々な手段や方法を活用しております。  手配等につきましては、全国の警察に手配を行うとともに、関係機関と情報共有を図るほか、家族等の同意を得て、県警安全情報ネットによるメール配信、ドライバー等へのラジオ広報、新聞やテレビ等への情報発信も行うなど、県民からの情報提供を広くお願いしております。  また、徘回を繰り返す可能性の高い認知症等の高齢者の場合におきましては、市町村で行っている徘回SOSネットワークへの発生時の手配のほか、平時においてもネットワークへの登録の促進とGPS貸出し事業の説明などにも努めているところでございます。  県警察では、引き続き行方不明事案に関しまして、関係機関等と緊密に連携を図り適切に対応してまいりたいと考えております。  以上でございます。 20 ◯議長(渡辺守人君)岡本経営管理部長。    〔経営管理部長岡本達也君登壇〕 21 ◯経営管理部長(岡本達也君)私のほうからは、情報漏えいに関する外部調査に伴う規定の見直しについての御質問にお答えをいたします。  県庁内で発生しました情報漏えい事案に関する専門家による調査につきましては、正式な結果はこれからでございますが、調査の中では、職員のリスク意識の低さ、文書の紛失や混入リスクが高い紙資料を主体とした業務環境、重要情報の取扱いに関する規程やマニュアルの整備が不十分などの指摘があったところでございます。  こうしたことから、全職員を対象に情報漏えい防止に関する動画研修を実施し、職員の意識改革を進めるとともに、県庁でのペーパーレス化の推進や情報セキュリティー対策の強化について、検討を進めているところでございます。  具体的に申し上げますと、県庁ペーパーレス化情報セキュリティ推進ワーキングチームにおきまして、情報セキュリティー対策の強化として、情報管理基準の明確化やメール誤送信防止機能の導入、ペーパーレス化に効果が見込まれるチャットやメールを活用した簡易決裁の仕組みの導入などの検討を進めているところでございます。  現在、これらを実施するために必要となります秘密文書の定義等を定めました文書管理規程の改正などの内部管理規程につきまして、10月の見直しに向けまして、鋭意作業を進めているところでございます。  併せまして、見直し後に適正に運用されることが重要であると考えており、実際に職員の理解、定着が進むよう周知等を徹底してまいりたいと考えております。  以上でございます。 22 ◯議長(渡辺守人君)三牧知事政策局長。    〔知事政策局長三牧純一郎君登壇〕 23 ◯知事政策局長(三牧純一郎君)私からは、DX・働き方改革推進アクションプランの進捗状況等の質問についてお答えさせていただきます。  アクションプランの進捗状況の評価、検証につきましては、年2回行うこととしておりまして、上半期分は来月の10月に実施する予定でございます。  そういう意味で、最終的な評価ではないんですけれども、現時点で把握している、県民本位の行政サービスの実現に向けた県庁内のDXの進捗状況といたしましては、例えば手数料等の電子納付や電子契約等の手続につきましては、予定どおり10月からの実施を見込んでおります。また、自動車税等のQRコード導入につきましては、令和5年4月から実施できるよう着実に進めており、情報漏えい事案等の対応によって遅れが生じているような状況にはないと認識しております。  また、議員からも岩本デジタル化推進特命ディレクターのお話がありましたけども、むしろデジタル化、DXの推進が情報漏えい対策にもつながると我々も考えておりまして、9月補正予算案にも、書類の紛失による情報漏えいを防ぐためのタブレット端末や卓上モニターを整備する費用、またメール及び添付ファイルの送受信を安全に行うためのメール誤送信対策機能の導入の経費も計上させていただいたところでございます。  今後とも、中長期のビジョンをしっかりと描きながらも、できることからスピード感を持って取り組んでいきたいと考えております。  また、オンクラウドに向けた文書規程のお話もありました。今ほど岡本部長からも答弁ございましたけれども、こうした業務プロセスの在り方もしっかり検討していきますし、今、ちょうど県庁内の意識改革に向けたDXの研修も行っております。意識改革と制度の在り方をしっかりと併せて進めていければと思っております。  次に、県ホームページにつきましては、昨年3月に全面リニューアルいたしまして、モバイルへの対応、そして検索性の向上、そして県民、事業者、観光者、見る方の属性に応じたトップページ作成などの改善を図りました。その結果、総アクセス数は昨年度の月平均で約300万アクセスと、リニューアル前の約2倍となりました。  引き続き、これに満足することなく、専門家による助言等を踏まえて、UI、UXの向上に努めるほか、子育て世代や高齢者などの属性やニーズ等に応じて情報のプッシュ型での発信を検討するなど、利用者の利便性向上を図ってまいりたいと考えております。  以上になります。 24 ◯議長(渡辺守人君)南里地方創生局長。    〔地方創生局長南里明日香君登壇〕 25 ◯地方創生局長(南里明日香君)私からは、インバウンド向け観光情報サイトのリニューアルについてお答えします。  6月から受入れが再開した外国人観光客の回復需要を確実に取り込むため、御紹介いただきましたサンドボックス予算を活用して、インバウンド向け観光情報の効果的な発信方法を調査したところ、コロナ以降は公的機関のホームページでの情報に対する信頼度が増していること、また海外観光先進国における観光サイトのトレンドとしては、スマートフォンでの閲覧を優先したサイト構成、高速モバイル通信の普及に対応した動画の活用、SNSとの連動や予約サイトへの誘導等でございまして、平成26年──2014年でございますけれども──に更新した本県のウェブサイトは、これらのインターネット利用環境の変化に対応しておらず、また国際的なトレンドが取り入れられていないなどの課題が判明したところでございます。  県では、こうした課題に対応する狙いで、スマートフォンの閲覧を重視した縦型の画面レイアウトへの変更により旅行中でも利用してもらえるようにするということですとか、5Gの普及など通信速度の高速化に対応して動画を効果的に使用する、あるいはSNSと連動した情報提供から旅行商品の販売に至るまでのデジタルマーケティングの動線整備に加えまして、最新のコロナ対策やコロナ以降のトレンド、ネイティブの視点を盛り込んだ特集記事やモデルルートをはじめ充実した情報も掲載するなど、現行のウェブサイトを大幅にリニューアルすることとしておりまして、そのために必要な予算を本議会で提案させていただいているところでございます。  リニューアルによりまして、旅行会社だけでなく個人リピーター客に向けた、本県の認知度向上とさらなる誘致が可能になると考えておりまして、県内での周遊促進や旅行消費額の増加を図ってまいります。 26 ◯議長(渡辺守人君)藤井大輔君。    〔8番藤井大輔君登壇〕 27 ◯8番(藤井大輔君)第3のテーマは、県民の未来を照らす新しい機会創出について4問お尋ねいたします。  富山県民の未来を照らすには、何より新しい産業の創出が必要と考えます。  先頃発売された週刊東洋経済の「すごいベンチャー100」には、富山県から農業ベンチャーの笑農和さんが選ばれていました。笑農和さんは富山県のT-Startup企業にも選定されており、期待が膨らみますが、一方、「すごいベンチャー100」の過去5年500社のうち新規株式上場したのは僅か5%の26社にすぎず、極めて狭き門であることは間違いありません。  私は、新しい産業の事業価値の根幹は、破壊的な技術革新だと考えます。破壊的とは、それまでの商習慣が消滅するくらいの技術革新です。アメリカではたった10年で馬車からフォードの自動車に変わった事例が有名ですが、身近なところではスマートフォンの登場の前後で生活が変わったことを実感されていると思います。  こうした技術革新を後押しするためには、大学の研究機関はとても重要と考えます。7月末に我が会派の企画財務部会で、筑波大学発のベンチャー、ピクシーダストテクノロジーズさんを視察しました。超音波やセンサー技術をベースに、たくさんの実証実験を自治体と連携して行っているんですが、特に福岡市はやりやすいとの発言がありました。富山県でも何かやりましょうと、前向きな発言もあったところです。  そういったニーズに応えるためにも、今年4月に組織化された官民連携・規制緩和推進課では、これまでどのような規制緩和の検討が行われてきたのでしょうか。  また、革新的技術を市場ニーズと結びつける目利き力、コーディネート力を持った高度専門人材も重要です。事実、ピクシーダストテクノロジーズさんでは、事業開発人材の採用を強化し、コーディネート力の向上を図っているようでした。  富山県でも、魅力的なベンチャー企業の実証実験受入れのために、国内外問わず、事業開発経験の豊富なコーディネーター人材を嘱託職員として広く公募してみてはどうでしょうか、三牧知事政策局長の御所見をお伺いいたします。  次に、破壊的な技術革新は富山大学にもあります。  カーボンニュートラルに関する研究開発で、椿範立教授が新エネルギーについて画期的研究を行っています。廃棄物を含めたあらゆる種類の有機資源を、高速、一括に合成ガスに抽出し、触媒を使ってガソリンやジェット燃料にする世界初の革新的技術だそうです。  この技術を応用すると、木廃材の多い中山間地に炭素循環型コンビナートを設置して、石油を輸入することなく廃材等でエネルギーや石油化学製品が造れるようになれば、中山間地の林業が最も稼げる最先端の産業になる可能性もあると言われております。  既に、山梨やタイで実証実験が行われているようですが、富山県としても支援をしてはどうでしょうか。大学発ベンチャーとなれば、それも有望だと思いますし、株式上場できる可能性も秘めているのではないでしょうか、三牧知事政策局長の御所見をお伺いいたします。  次に、県民の未来を照らすために、新しい産業だけでなく新しい教育も重要です。  本会議でも、宮本議員の代表質問や薮田議員の質問で、抜本的な教育改革の議論を求めたところであります。これまで暗黙のタブーとなっていたことを取り払って議論する時期に来ているのではないかと私も思います。  暗黙のタブーを取り払う、その一つとして、例えば県立高校の県外学生の受入れがあると考えます。7月に教育警務委員会で、先進事例として島根県のしまね留学を視察し、その仕掛け人である岩本悠さんにお話を伺いました。岩本さんは、もともと東京の世田谷生まれで、島根には縁もゆかりもなかったのですが、隠岐諸島で廃校寸前の学校をよみがえらせた成功事例をつくった後、島根県の教育委員会のスタッフとして常駐し、県全体の取組に広げていく活動をされております。個人的には、岩本さんに県教育委員会の有識者や非常勤スタッフとして、突破力を発揮してもらえないかと感じております。  さて、そのしまね留学では、まずは定員割れしており、かつ寄宿舎のある学校から県外学生の受入れをスタートしたと認識していますが、富山県内でもそういった学校を対象にモデル的な実証を始めてはどうかと提案いたします。荻布教育長に伺います。  最後に、特別支援教育についてお尋ねします。  9月9日に国連の障害者権利委員会で、日本の障害児の分離教育の中止要請があったとの報道が出ました。日本では障害のある子供と障害のない子供が、共に通常学級で教育を受けているケースはあるんですが、基本的には特別支援学校もしくは特別支援教室に在籍し、一部の学習を通常の学級で学んでいるケースが多いと理解しております。  この国連の勧告を受け、乙武洋匡さんはブログでこのような指摘をしています。「例えば、車椅子用の設備を全校に設置するより一部の学校にのみ設置して、車椅子に乗る障害者は全てその学校に通わせるほうが合理的だと思うかもしれません。しかし私はこの考えに賛同できません。教育機関を卒業した出口に当たる社会には、障害者用、健常者用などと丁寧に環境が準備されていないからです。」というふうなことでした。  私は教育の専門家ではないので、乙武さんの考えが正解なのかどうかは判断いたしませんが、確かに、特別支援教育を充実させるのかというのと、本格的なインクルーシブ教育にかじを切るという考え方では、随分と進む方向が違うと考えます。  新田知事の公約にも、特別支援学校の教育の在り方を検討するとありますし、本年3月には富山県特別支援教育将来構想が策定されました。その中身も踏まえまして、この国連の中止要請について新田知事の御所見をお伺いし、私の質問を終わりたいと思います。  御清聴ありがとうございました。 28 ◯議長(渡辺守人君)新田知事。    〔知事新田八朗君登壇〕 29 ◯知事(新田八朗君)多様な学びの機会の提供についての御質問にお答えをします。  これまで、特別支援教育は、我が国では障害のある子供の自立や社会参加に向けた主体的な取組を支援するというのが立ち位置でした。その上で、子供一人一人の教育的ニーズを把握して、その持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善または克服するため、適切な指導及び必要な支援を行うものとされてまいりました。  また、議員御指摘の国連で決議されましたインクルーシブ教育システムの理念では、障害のある子供とない子供が、可能な限り共に学び、互いに認め合い、共に育つ教育の仕組みをつくることが求められています。  議員に言及いただきました私の八十八の具体策の一つ、61番目にありますが、富山県特別支援教育将来構想におきまして、そのプロセスとして、通常の学級や通級による指導、特別支援学級や特別支援学校といった連続性のある多様な学びの場を設置し、一人一人の教育的ニーズに応じた最も適切な指導や支援を受けるための体制や環境を整備すること、学びの場の見直しも見据えて、連続性のある学びのための教育課程を整えることなどを目指しております。  このことから、本県で目指す特別支援教育は、障害のある子供に最適な環境を整備することで学びを保障するものであると考えておりますが、国連の障害者権利委員会からの要請に対する国の対応については、今後も引き続き注視をしていきたいと考えております。国の対応がまだ見えておりません。  その上で、県の教育委員会には、障害の有無に関わらず誰もがその能力を発揮して、共生社会の一員として共に認め合い、支え合い、誇りを持って生きられる社会となるよう、特別支援教育の振興に努めてもらいたいと考えております。  以上です。 30 ◯議長(渡辺守人君)三牧知事政策局長。    〔知事政策局長三牧純一郎君登壇〕 31 ◯知事政策局長(三牧純一郎君)私からは、まず規制緩和についての御質問にお答えさせていただきます。  議員からも御指摘ありましたけれども、本県の持続的な成長に向けては、民間企業の技術革新やイノベーションを促進するために、状況に応じて様々な事業や活動における障壁を、規制緩和により柔軟に対応していくことが重要であると考えております。  このため、民間活力導入・規制緩和推進課が中心となり、まずは県庁内部において県の条例、規則、そして補助金、許認可の実施要綱等に係る緩和や簡素化の検討を行い、また一方で、外との関係ですけれども、包括連携協定締結企業や業界団体等に対するアンケート調査などを実施した結果、これまでに、例えば、県土地対策要綱に基づく開発行為の届出手続の簡素化、また、こども食堂の開設に係る食品衛生法に基づく営業許可手続の簡素化など、7件の規制緩和を実現したところでございます。  今後は、規制にぶつかるような、そうしたとがったビジネスモデルやスタートアップの創出を進めて、規制緩和をビジネス創出に直結させていくことが重要であると考えております。そこで、現在実施しているデジタルソリューション事業におきましては、実証実験における資金の支援に加えまして、そうした規制緩和の検討も併せて行うこととしております。  また、官民連携につきましては、現在、民間企業等の人事交流や官民連携の研修への県職員の派遣などにより人材育成を図っているほか、官民連携デスクやデジタル目安箱によって民間提案を広く受け付けている状況でございます。その結果、先日の県庁前公園でのマルシェの実施等、成果も少しずつ出つつあると認識しております。  御指摘の、先端技術と地域課題の解決ニーズのすり合わせにつきましては、先ほど紹介した例えばデジタルソリューション事業では、民間企業に委託する形で実施しております。  御提案の、民間事業開発経験の豊富な人材の公募につきましては、その必要性、また役割も含めて、今後検討させていただければと思います。  次に、富山大学に対する支援についての御質問にお答えさせていただきます。  議員から御紹介ありましたけれども、富山大学において、廃棄物を含めた有機物から合成ガスを抽出し、1回の化学反応でガソリンやジェット燃料等を合成する技術や、合成用の触媒として利用するコバルトの使用量を大幅に削減する技術の開発に成功されたと伺っております。  こうした富山大学で開発された技術につきましては、例えば木質バイオマスから抽出された合成ガスを活用し燃料を合成できることから、カーボンニュートラルに大きく資するとともに、中山間地域における廃木材や食品廃棄物などの有効活用にもつながる可能性があるのではないかと考えております。  また、こうした地元発の革新的技術につきましては、県内経済の活性化の効果も非常に大きいと考えておりまして、産学官連携の強化などにより事業化に結びつけ、本県の成長につなげていくことが重要であると考えております。  県といたしましても、今年度策定するカーボンニュートラル戦略において、脱炭素に向けたイノベーションの促進やスタートアップの創出につながるような取組も盛り込みたいと考えておりますし、また一方で、スタートアップ支援協議会では、大学発ベンチャーをどんどんつくっていこうという議論もしております。その中で、今回御紹介いただいた富山大学の研究につきましては、まず資金面につきましては、現在、国の研究機関から協力を得ていると伺っております。  そこで、県といたしましては、実証実験の場の提供や大学発ベンチャーとして今後事業化を目指す場合の支援など、大学ともしっかり議論しながら検討して、国と役割分担しながら、どういう支援が必要か、しっかりと検討してまいりたいと考えております。  以上になります。 32 ◯議長(渡辺守人君)荻布教育長。    〔教育長荻布佳子君登壇〕 33 ◯教育長(荻布佳子君)私からは、県立高校の県外学生の受入れについての御質問にお答えいたします。  議員から御紹介のありました、全国から生徒募集をするしまね留学では、大都市圏の生徒と地元の生徒が交流することで、刺激を受けて学習意欲が高まったですとか、外からの視点に触れることで地域の新たな魅力に気づいたなど、教育上もよい影響があった事例が報告されております。また、高校生に限らず、地域の転出抑制や転入の増加も促すといった調査結果も報告されているところでございます。  本県における県立学校の県外生の受入れについてですが、入学者選抜において、原則として、本人及び保護者が本県内に居住している、または近く居住することが確実であることを志願資格としておりまして、生徒単独の移住を前提とした受入れは行っていないのが現状でございます。  モデル的に取り組むということについては、定員割れのある学校に全国募集を導入する場合、定員枠への影響は少ないかもしれませんが、生徒受入れの宿泊施設の確保などの課題がございます。寄宿舎がある学校での全国募集は、その解決策の一つと考えられますが、現在、寄宿舎は週末に運営をしておりませんので、平日以外に生徒の世話をする体制を新たに整える必要がございます。  生徒の全国募集の先行事例を見ますと、生徒の世話をする人材のほか、高校と地域とをつなぐコーディネーターも配置されており、これらの人材配置や生徒募集に継続的な費用も必要となっております。  こうしたことから、県内でのモデル的な導入を含めた県外学生の受入れということについては、費用対効果なども含め、さらに研究を進めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 34 ◯議長(渡辺守人君)以上で藤井大輔君の質問は終了しました。
     永森直人君。    〔23番永森直人君登壇〕 35 ◯23番(永森直人君)去る7月8日、参議院議員通常選挙の最中において、安倍元総理が凶弾に倒れ、お亡くなりになられました。いまだに信じられない思いであり、強い憤りと大きな喪失感を感じています。  5月29日には、自民党富山県連主催の政経文化セミナーで来県されましたが、そのスピーチからは、衰えない情熱と使命感がほとばしっており、政治家としてまだまだやり遂げるべきことを残しての突然の死は、さぞ無念であったろうと思います。  現在、国民の間で国葬の賛否について議論があることも承知をしていますが、一方で、国民が志半ばで凶弾に倒れた元総理を悼む気持ちまで失ってしまったとは到底考えられず、新田知事が一昨日の一般質問において、国葬への参加、また県庁への半旗の掲揚を表明いただいたことに心より賛意を申し上げたいと思います。その上で、安倍元総理に対し改めて御冥福を心よりお祈りし、以下、質問に入らせていただきます。  初めに、高校の在り方と教育の諸問題についてお尋ねします。  令和5年度の県立高校の定員の設定についての議論が難航したことを受け、今定例会においても高校の在り方についての議論が活発になされております。  少子化の流れはすさまじく、中学校卒業者数のピークは昭和63年であり、1万9,000人程度でしたが、令和5年では8,751人とピーク時の半分以下となり、そしてこの流れはまだまだ続き、現在の小学校1年生が卒業する9年後では7,580人と現在よりも1,000人以上の減少、そして令和3年の出生者数は6,076人であり、この世代が卒業する14年後には現在よりも2,700人以上も減少する計算となります。  そして、今後3年を見ても、子供の減少により10学級程度の学級数の減少が避けられない見通しである一方で、学校の小規模化は既に進んでおり、例えば高岡学区において、今回削減対象となった高岡高校と氷見高校、そして高岡商業と高岡工芸の両職業科の学校を除けば、全て4学級もしくは3学級の学校しか残っておらず、今後の定員設定は早晩行き詰まることが容易に想像できます。  県立学校のあり方検討会の議論においては、3学級の学校の弊害が指摘され、県立学校の適正規模は4学級以上とし、3学級の学校は例外的に設けることとしていることからも、安易に3学級の学校をつくるべきではないと考えますが、今後の方針を荻布教育長に伺います。  また、3学級の学校においては、開設科目や部活動の選択肢の制約、非常勤の先生の受持ち時間数が多いなどの課題が指摘されていますが、現状や環境の改善に向けた取組について併せて伺います。  令和4年1月、国は、教育データ利活用ロードマップを作成し、「誰もが、いつでもどこからでも、誰とでも、自分らしく学べる」ということを教育デジタル化のミッションとして掲げました。高校はもとより、小中学校においても同様に学校の小規模化が進行することは明らかであります。  また、不登校など学校生活に困難を抱える子供たちの諸課題の解決においても、いつでも、どこからでも、誰とでもという教育デジタル化の取組は、課題解決のための有力な手段であり、スピード感を持って取り組むことが急務であることから、教育デジタル化の専門職を民間登用するなど体制を強化する必要があると考えますが、荻布教育長に伺います。  内閣府は、今年6月、Society5.0の実現に向けた教育・人材育成に関する政策パッケージを策定しました。一人一人の多様な幸せウエルビーイングを実現するという共通項を土台に、5年程度の時間軸の中で子供たちの学習環境をどう整えていくのかを、各省庁を超えて政府全体として展開していくためのロードマップを作成したものです。  これまで、文部科学省、そして教育委員会が中心になって担ってきた同質的、均質的な教育から、新たな価値を生み出す主体的で多様性を重視した教育が求められており、教育を多角的な視点で見ることの必要性を感じています。  例えば、一昨日の一般質問で、富山県のT-Startupに6社が選定されたという話がありました。起業して富山発の成長企業を目指す人たちのキャリアや熱意、そして苦労話を、高校生たちが聞く機会があればいいなと直感的に感じました。日頃の学びと社会のつながりを知ることは、教育の非常に重要な要素であると考えるからです。  率直に言って、教育委員会においてこのような発想はなかなか生まれにくいと思います。教育委員会というより、むしろ知事政策局で考えるべきことという気もします。社会の様々なことが学びとつながっている、そんなことを知るところから子供たちの主体的な学びが始まるとすれば、教育は教育委員会だけで取り組むべきことではなく、全ての部局が人づくりを担う主体であるという意識を持つことが重要と考えます。  県では現在、成長戦略を策定し、取組を進めていますが、教育や人づくりは成長戦略の一丁目一番地です。一人一人のウエルビーイングの実現、イノベーションの推進、起業家マインドの醸成など、全ての根幹は人づくりにあり、県の成長戦略においてもプロジェクトチームを設置するなど、教育を含めた人づくりについての議論を深めるべきと考えますが、三牧知事政策局長の所見を伺います。  これまで、3つの質問を通して教育委員会を取り巻く3つの社会情勢の変化についてお話をしてきました。1つは、もはや待ったなしのところまで少子化が進んでいるということ。2つは、デジタル技術が格段に進化し、しかもコロナにより1人1台端末が整備され環境が整ったこと。3つには、明治以降、国策的に進められてきた画一的な教育に抜本的な転換が求められており、教育施策はもはや教育委員会だけで論じるべきものではなくなっているということです。  7月に、政調会企画財務部会で、埼玉県戸田市教育委員会のデジタル化の取組、そして東京にある新渡戸文化学園の教えない授業の取組を視察してきました。一見、無関係に思える2つの視察先でしたが、全く共通の懸念に言及されました。それは日本財団の18歳意識調査であり、自分で国や社会を変えられるという主体的な考えを持つ生徒の割合が、調査した9カ国において日本は最下位であったという事実です。  今、日本の教育に、質的な大きな転換が求められております。知事は、今定例会において、総合教育会議の場で公私比率、普通科・職業科の割合、学区の在り方について検討すると答弁されていますが、必要なのはもっと根幹的な議論であると強く感じています。  これからも学級数の急減の傾向が続くことを考えれば再編を含む議論は避けられない一方で、令和2年の4校の県立高校の再編においては結論を出すまで3年以上の年月を要したように、相当に丁寧な議論が求められることから、外部人材も入れた専門的な検討組織を早期に設置することが望ましいと考えますが、県全体の高等学校の在り方については、知事の責任の下で、統廃合を含む高校再編を前提とした議論が始まると考えてよいのか、新田知事に伺います。  県立大学においては、新学部設置に向けた議論が進められています。県としても、データサイエンス人材の育成は重要であり、射水市の人間としても願ってもないことであると認識していますが、決定に至るプロセスは、やや拙速であったという印象を抱いています。  議論を急いだ背景について、岡本経営管理部長に伺います。  また、既存工学部の再編も検討されていますが、これまでの大学の強みを生かしつつ、どのように進化を図っていくのか、また、新学部棟の設置の狙いや建設規模をどのように想定して基本設計費を計上したのか、併せて伺います。  次に、車椅子バスケットボールの練習場所確保について伺います。  この問題については、6月定例会に再質問までさせていただきましたが、しつこいようですがもう一度聞かせていただきたいと思います。  知事は、6月定例会で、専用施設や優先利用施設の必要性を認めず、健常者と障害者が共存するインクルーシブな社会を目指すべきという旨の答弁をされました。知事のおっしゃる理想は理解できますが、理想どおりにいかない現実があり、その現実の下で実際に困っている人がいます。現在置かれた条件の中で何ができるのか、このことについて時間軸を示しながらしっかりと議論を進めていただきたいと願います。  障害者のスポーツの不当な差別をなくすためのマニュアルを作成するなど、体育施設に情報提供の徹底を行うとともに、県施設においても優先予約や優先時間の設定などの具体的な解決方法の検討を早急に行うべきと考えますが、新田知事に伺います。  さて、新田知事をはじめ県選出国会議員の皆様や県議会、県経済団体の皆様などが一丸となり、本県への誘致活動を進めてきたG7教育大臣会合が、本日、本県と石川県で共同開催されることが閣議決定されると聞いており、とてもうれしく思っております。実現すれば、本県での開催は平成28年5月の環境大臣会合に続き2回目となります。  この開催を契機に、教育県富山やウエルビーイング先進地域を目指す本県の取組を、全国や世界にしっかりと発信されるとともに、2県による共同開催は国内初と聞いており、石川県と連携しながら両県の力を結集し知恵を出し合って、かつてないすばらしい会合となることを期待しています。  来年のG7教育大臣会合に向けての知事の意気込みを伺いたいと思います。  次に、農業の諸問題について伺います。  去る7月、日本経済新聞にショッキングな記事が出ました。それは、2005年から2020年にかけての農地当たりの収益率、つまり農地当たりの成長率のようなものと理解すればよいと思いますが、富山県は全国最下位という結果が出ました。1位は群馬県で、カット野菜向けの生産を増やし31.6%のプラス成長であるのに対し、富山県は、米価の下落などを背景に14.3%のマイナス成長でありました。  水田率や兼業農家率の高さなど、構造転換が難しい環境にあるとはいえ、今後とも米中心の収益構造では厳しい環境が続くことは明らかであり、園芸、畜産などの分野への集中的な取組が求められています。  そんな中、県では、園芸の生産振興について、今年度から1億円産地づくりを見直し、稼げる経営体、産地の育成事業へと方針の転換を図りましたが、その狙いを横田副知事に伺います。  また、農業・農村振興計画においては、令和8年度の目標を、園芸産出額について現在の93億円から120億円に、作付面積について現在の年40ヘクタールから100ヘクタールに拡大するなど、意欲的な目標を立てており、実現に向けハード、ソフト両面の支援を行い、目標達成に向けて計画的な取組を進めるべきと考えますが、見通しを併せて伺います。  新田知事は、日本経済新聞のこの数字を見て、どのように受け止められたでしょうか。富山県は、農業を含め様々な政策分野において、歴史的に見ると、国策に従いとても優良な県という評価を受けてきたと思っています。しかしそれゆえに、時代の変化に対応するための打つべき一手や改革への意識がつい後手に回った部分もあるのではないかと、最近つくづく感じています。  県としても、今回のような調査結果を踏まえ、園芸生産における戦略的な品目の重点化や、ブランド化・販路開拓への支援、また産地を牽引するリーディング経営体に対する重点支援を行うとともに、その取組の横展開を急ぐなど、危機感を持って取り組む必要があると考えますが、認識と今後の方針を新田知事に伺います。  庄川右岸における用排水対策については、早期事業化に向け、射水市を含む関係市などで構成する対策促進協議会を中心に、熱心な活動が行われています。  一方で、射水市からは、今回の事業により用排水を受けることとなる和田川において、豪雨時の水位上昇による浸水被害リスクが増大することや、庄川からのバックウォーターの状況なども踏まえ、和田川への負荷軽減を求める声が出ています。  近年、集中豪雨が相次いでいますが、根本的な解決のためには庄川と和田川との合流点改善事業が必要であり、その早期着手に向けて国に強く働きかけるべきと考えますが、市井土木部長に伺います。  最後に、富山湾の活用について伺います。  富山県が誇る観光スポットである海王丸パークには、年間100万人が訪れ、射水市ベイエリアを支える中心的な役割を担っています。一方で、観光客の中心は家族連れが中心であり、日本海側屈指の海浜公園となるには、さらに洗練された公園へと脱皮が望まれており、にぎわい創出のために、民間の方々がイベントなどを活発に行うことができるように環境整備を求める声も、射水市議会などの場で出されているところです。  また、富山新港東埋立地においては、本年4月に射水市がフットボールセンターを開設したほか、海老江海水浴場、新湊マリーナ、またヨットなどの各種マリンスポーツの拠点としてもにぎわいを見せているように、日本海側屈指のベイエリアとなる大きな潜在能力を秘めていますが、周囲に存在する広大な県有地は未利用のままとなっており、その活用は長年の課題となっています。  今年は、折しも海王丸パーク開園30周年、新湊大橋開通10周年の節目の年であり、射水市ベイエリアにおいても民間活力を活用し、さらに魅力向上に取り組むべきと考えますが、市井土木部長の所見を伺います。  北陸新幹線の開業を大きなきっかけとして、富山のさかなの認知度やブランド力は高まっており、富山のおいしい魚は観光誘客のための重要なキラーコンテンツとして期待されています。  一方で、夏場は、夏休みや帰省などにより魚への需要が高まるにもかかわらず、例年、漁獲量が大幅に落ち込み、飲食店においては魚の調達に苦労しているとの話を聞きます。  夏場においても安定的に魚の供給がなされるように取り組む必要があると考えますが、堀口農林水産部長に伺い、私の質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。 36 ◯議長(渡辺守人君)新田知事。    〔知事新田八朗君登壇〕 37 ◯知事(新田八朗君)永森直人議員の御質問にお答えします。  まず、高校再編の議論についての御質問をいただきました。  今後も中学校の卒業予定者数が減少し、高校の募集定員の減が避けられない中で、高校の再編や学級編制の考え方について見直すべき点があるのではないか、よく検討する必要があると考えております。これが基本認識です。  令和2年の再編のときは、平成26年度に教育委員会で外部有識者を入れた県立学校整備のあり方検討委員会を設置し、この報告を基に総合教育会議で議論を重ね、平成29年度に決定をしました。永森議員御指摘のように3年間の歳月をかけたということであります。関係市町の首長さん、PTAの代表、有識者から意見を伺うとともに、県内の4つの学区で意見交換会も開催し、住民の方々から意見をいただくなど、丁寧に進められたと理解をしております。  現在、教育委員会が設置した令和の魅力と活力ある県立高校のあり方検討委員会、ここで議論が進められています。この議論を踏まえて、私が主催する総合教育会議においても、できるだけ早く、様々な有識者の御意見も伺いながら、県立高校と私立高校の役割や公私比率というものの在り方、また普通科、職業科、普職比率の在り方、学区の在り方などの議論を進めたいと考えております。  その上で、来年度以降の検討の場や検討組織の在り方も含めまして、高校再編について、学校規模や基準などの基本的な方針を慎重かつ丁寧に検討していく必要があると考えます。  今後、一人一人の生徒にとってどのような高校教育が望ましいのか、これをまず第一に考え、高校の在り方について幅広く丁寧に議論を進めて、高校教育の充実に取り組んでまいります。  次に、障害者スポーツの体育施設の受入れについての御質問にお答えします。  議員からは6月議会でも御質問いただきました。その議論を踏まえて、議会終了後すぐに市町村スポーツ担当者会議を開き、そこで、車椅子バスケを含めた障害のある方の施設利用に当たり、不利益な取扱いをしないように説明をいたしました。また、競技用車椅子は施設を傷つけない工夫がされている、進化しているんだということを明示した文書を改めて通知しました。  加えまして、今後、各体育施設を訪問して、それぞれの状況を聞き取りながら説明していくこととしておりまして、その際、既に他県で大変によくできたマニュアルが、東京都あるいは埼玉県などで制作されておりますので、これを、せっかくあるものですから活用しながら、さらなる周知をしてまいりたいと考えております。  施設の利用に関してでありますが、現在の県有スポーツ施設は障害者のための専用の施設ではないため、一般の利用者との公平性確保の観点から、優先予約や優先時間を設けることは現時点では困難でありますが、一般の利用者と調整をしながら、さらに施設利用が進むように施設の環境整備に努めたいと考えております。  一方で、障害者スポーツの推進は、障害者の自立や社会参加の推進につながるとともに、県民の障害に対する理解を深めるものになります。このため、県有施設の活用について、正当な理由なく施設の利用を拒否したり、制限したり、条件をつけたりするなどの不利益な取扱いをしないことを基本としつつ、活動場所の確保なども含めて、関係部局で調整、検討を進めて障害者スポーツの振興に努めてまいります。  次に、G7教育大臣会合についての御質問にお答えします。  2023年、来年のG7教育大臣会合の開催地が富山県及び石川県の共催となったことが、本日の閣議で決定をされたとの情報が入りました。大変に光栄なことであり、うれしく思っております。  これも、県選出国会議員の先生方をはじめ、県議会の皆様、そして藤井富山市長、県内経済団体の方々と連携をし、一丸となって積極的な誘致活動に取り組んできた成果であり、関係の皆様に深く感謝申し上げます。  我が国では7年に一度となる国際会合が県内で開催され、そこで議論された新しい時代の教育が、富山から世界に発信されることになるわけであります。このことは、未来を担う子供たちにとって大きな自信と誇りにつながるものであり、これはやっぱりポジティブな気持ちを持つということがウエルビーイングの向上につながる大きな要素でありますから、そんなことで本県のウエルビーイングの向上にも寄与すると考えております。  また、我が国において、関係閣僚会合の共同開催は初めてとなります。これまでも互いに連携した取組によって、お互いに発展してきた富山と石川の両県で、お互いの教育力の高さや自然や歴史、文化、味覚の魅力、これらを大いにアピールしてまいりたいと考えます。共同開催ということにより、教育大臣会合開催の価値が決して半分になったわけではありません。逆に、2県の知恵と力を集結することによって相乗効果を存分に発揮して、その価値は2倍にも3倍にもなるのだと理解をしております。  開催内容については、今後、国において各国との調整を踏まえて決定されることになりますが、本県としては、石川県及び本県開催地の富山市と十分に連携をしながら、受入れについて積極的に協力するとともに必要な準備などに万全を期してまいります。  最後に、園芸の生産への支援と今後の方針についての御質問にお答えをします。  日経新聞の「データで読む地域再生」というシリーズは、私も大変に毎回関心を持って見ております。うれしいデータが出る場合もあれば、残念なデータも出ることもあります。今回御指摘のこの記事は、議員もおっしゃるように大変にショックを私も受けたところでございます。  本県農業は、水田率が全国一ということもありまして稲作主体の生産構造であり、米の需要の減少や米価の下落から、農業産出額は減少傾向にあります。また、園芸産出額が全国最下位であることなども踏まえますと、本県農業の成長産業化に向けて生産構造を変えていくことが必要であると容易に分かります。分かりますというか、これまでもそういう問題意識を持って様々な施策は打ってきたところであります。  稲作だけに頼らず、さらに収益性の高い農業の展開を目指して、園芸生産の拡大、これが課題であること、これは御指摘のように、農業・農村振興計画にも大変に優先順位を高く織り込んでいることであります。主食用米からの転換の観点から、まずは植付けや収穫作業などの機械化体系が確立をしている、そしてまた需要が見込まれるタマネギ、ニンジン、キャベツ、サトイモ、これらを重点品目として、排水の対策あるいは大区画化など圃場の改善を進めて、水田を活用しての作付拡大を図っているところです。  なお、近年、大規模法人などにおいて導入が進みつつある施設イチゴや、新規就農者が取り組むケースが多い生で食べる生食用ブドウに加えまして、ワイナリーでの醸造用のブドウの栽培など、地域の特色を生かした、大いに手間がかかるんですが、手間暇かけて行う園芸生産、これも支援をしているところです。  片や、機械化が進んだタマネギ、ニンジン、キャベツ、サトイモなどを重点品目にはしております一方で、手間暇をかけた高付加価値のもの、これも育んでいく、それの支援もしているということで御理解をいただきたいと思います。  また、担い手育成の観点から、産地を牽引する生産者をリーディング経営体として位置づけまして、技術課題に的確に対応した重点的な指導を行うなどの伴走支援を行い、モデル経営体を育成してまいります。そして、そのモデルを基に他の生産者に横展開をするなど、スピード感を持って稼げる産地育成を図る必要があります。  また、生産の拡大に併せまして、販路の拡大などの出口戦略も重要です。市場をコーディネーターとした産地と食品事業者との商談会の開催などによって、新しい販路の開拓や新しい商品の創出、またネットワークを構築していくことなども進めます。そして、JAいみず野さんで取り組んでおられるエダマメなどの地域の特色ある品目をブランド化していく、そんなことも併せて進めていく。  本当に総がかりの戦略で進めていかなければ、このデータで示された最下位脱出はなかなか難しいと思っております。こうした取組により、園芸を核として高収益農業にチャレンジする生産者を積極的に応援してまいります。  私からは以上です。 38 ◯議長(渡辺守人君)横田副知事。    〔副知事横田美香君登壇〕 39 ◯副知事(横田美香君)私からは、園芸作物の生産振興についての御質問にお答えいたします。  平成22年度から取り組んでおりました1億円産地づくりによって、園芸作物の作付が増え、販売額が増加した産地ができました。ただその一方で、収量だとか品質が不安定、また労働力が確保できずに、生産拡大や収益確保につながっていない産地もございます。  このため、今年度から、園芸で稼げる経営体、それから産地の育成を目指しまして、経営体の技術向上、販売力強化に重点を置くとともに、先ほど知事からもブドウとかエダマメの話がございましたけれども、1億円産地事業の対象でありました戦略品目以外にも、地域に合った振興品目への支援を実施するということで対象も広げて園芸対策を強化したところでございます。  具体的には、JAや産地だけでなく市町村も一緒に振興策を計画する市町村プランの作成、収益を上げて産地を牽引するリーディング経営体への技術・販売の重点的支援とその取組の横展開、こういったことを推進するとともに、省力機械やハウスの導入などを引き続き支援しております。  また、労働力につきましては、農業支援サービスを広域で連携して活用する体系づくり、新規就農者の地域での受入れ体制づくりなどを進めているところです。  現在の目標の進捗状況を申し上げますと、5年後に200産地での策定を目標とします市町村プランにつきましては、今年度170を超える産地で策定される見込みです。そして、5年後に100、毎年20を目標としておりますリーディング経営体につきましては、今年度13経営体で伴走支援をしております。  作付面積につきましては、年100ヘクタール拡大というのが目標でございますけれども、これから減少分もあるので、これがそのままの結果にはならないとは思われますが、今年度、園芸生産を拡大した経営体の園芸作物の面積につきましては、約60ヘクタールの増加の見込みとなっております。  常にこうした目標を認識しつつ、対策を進めていきたいと考えています。  また今後、現場の声や、現在実施しております若手生産者を中心とします富山県農業の将来を語る会、ここでの議論なども聞きながら、さらなる課題を抽出して、成果を上げるための新たな研究や対策も検討してまいります。 40 ◯議長(渡辺守人君)荻布教育長。    〔教育長荻布佳子君登壇〕 41 ◯教育長(荻布佳子君)私からは、まず県立学校の規模についての御質問にお答えいたします。  3学級の学校においては、議員御指摘のような課題がございますが、令和2年の高校再編に向けた基本的な考えをまとめた平成28年4月の県立学校整備のあり方等に関する報告書においては、例えば職業科単独校や地理的な制約がある場合のように、全県的な視野から特色ある教育活動の展開が期待できるなど特別な事情がある場合は、例外的に3学級以下であっても配置することが望ましいとされているところでございます。  現在、3学級以下の学校は6校ありますが、それぞれ特色ある教育活動が行われているところです。  今後の中学校卒業予定者数は、令和4年3月の8,910人から令和10年3月には8,000人を割り込むことが見込まれ、高校の募集定員の減というのは避けて通れない状況でございます。令和2年度の再編統合は令和8年度を見通して実施されたものであり、令和9年度以降の対応については別途協議することとされております。  現在、令和の魅力と活力ある県立高校のあり方検討委員会で進めている議論などを踏まえた上で、今後の方針を改めて検討していくこととなると考えております。来年度以降の学級編制の考え方についても、見直すべき点がないかということも含めまして、検討する必要があると考えております。  3学級の学校における御指摘の課題については、いずれの学校も、教育活動はもちろん部活動も含めまして、魅力的な活動が展開できるように工夫をしており、県教育委員会としても、学校規模に関わらずどの高校においても、教育の質を確保、また向上できるように努めております。  今後とも、これまでの指導や取組をしっかり継続するとともに、さらに魅力ある学校となるよう努めてまいります。
     次に、教育のデジタル化推進の体制強化についての御質問にお答えします。  社会で広くDXが進む中、学校においてもデジタル環境の整備やICT教育に取り組むことにより、児童生徒の力を最大限に引き出すとともに、業務の効率化により現場の負担軽減を図り、教育をよりよい方向に変革していくことが必要でございます。  このため、昨年度から富山県教育DX推進会議を設置し、教員のICTを活用した指導力向上や校務支援システムの導入による教員の負担軽減など、10のテーマについて検討し、年度内には県学校教育情報化推進計画として取りまとめる予定としております。  この推進会議は、教育現場を熟知した教育次長を教育CIO・CDOとしており、またスピード感を持って教育のデジタル化に取り組むため、民間のICTコンサルタントやICT関連企業経営者をはじめ6名の専門家に、CIO、CDO補佐や推進アドバイザーとして就任をいただいております。  民間の発想やノウハウを生かし、学校現場でのICTの活用方策や環境の整備について、指導助言をいただいているところでございます。  このほか、学校現場の端末活用をサポートする情報通信技術支援員や、教職員や生徒からの問合せに対応するGIGAスクール運営支援センター、体験型研修の外部講師にも、民間人材を活用しICT教育を推進しております。  今後とも、民間の柔軟な発想やノウハウを取り入れながら、よりスピード感を持って教育のデジタル化に取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。 42 ◯議長(渡辺守人君)三牧知事政策局長。    〔知事政策局長三牧純一郎君登壇〕 43 ◯知事政策局長(三牧純一郎君)私からは人材育成につきまして、御質問にお答えさせていただきます。  富山県成長戦略では、ウエルビーイングの向上により、次世代の価値を生む人材が富山に育ち、また県外からも集積することを戦略の核に据えて、新しい産業政策、そして新しい人材政策に取り組むこととしており、人づくりを戦略の基盤としております。  具体的には、県民一人一人のウエルビーイングの向上に向けて、主体性を持って挑戦したいことに挑戦できる環境づくりと併せ、社会構造の変化の中で新しい価値を生み出す多様な人材の育成が重要であると考えております。  このため、知事政策局といたしましても、例えばスタートアップ創出に向けて、T-Startup事業でございますけれども、突き抜けた起業家への集中支援に加えまして、創業支援センターSCOP TOYAMAにおきまして、学生向けの起業家教育セミナーや施設利用者と学生との交流イベントを開催するほか、若者によるビジネスプランコンテスト、「とやまワカモノ・サミットTOYAMA CHALLENGER AWARD 2022」という名前で今年は行いますけれども、それを10月に開催するなど、若者の起業に向けた機運を醸成し、チャレンジを支援しております。  議員から御提案ありましたT-Startupの経営者と学生の接する機会みたいなものも、ぜひ検討したいと思っております。  また、デジタル化が急速に進展する中で、課題解決力を持ちながら、突き抜けたDX人材というものを富山県から輩出すべく、中高生を対象に、集中的な学習支援を行うプログラミングスクールも現在実施しております。  議員御指摘のように、こうした人づくりは一人一人の個性を最大限に伸ばしていくことが求められるため、学校の中だけで行うのではなく、変化のスピードに遅れることなく多様なニーズに迅速に対応しながら、社会全体で取り組んでいくことが必要であると考えております。  昨年来の富山県成長戦略会議におきましても、人材育成の議論につきまして活発に行われてきたところでございますので、今年度、成長戦略のスタートの年でありまして、成長戦略の実現に向けて短期的に結果の出るスモールスタートと併せて、こうした人づくりのような中長期を見据えた施策にもしっかりと取組を始める局面であると考えております。  人材育成につきましては、各戦略に横断的に関連する重要な課題でもございますので、教育委員会での議論も踏まえながらも、個別のPTの設置も含めて、どのように議論を深めていくか知事政策局としてもしっかり検討したいと考えております。  以上になります。 44 ◯議長(渡辺守人君)岡本経営管理部長。    〔経営管理部長岡本達也君登壇〕 45 ◯経営管理部長(岡本達也君)私のほうからは、県立大学の新学部設置についての御質問にお答えをいたします。  デジタル化が急速に進展する中、近い将来、毎年、数万人規模でデータサイエンス人材が不足すると予測されており、全国的にもデータサイエンス学部等の学部を新設する動きが活発になってきているところでございます。  本県といたしましても、こうした流れに乗り遅れることなく、早急に、産業界や教育界のニーズが高いデータサイエンス人材の育成を進める必要があると考えており、5月に設置いたしました有識者会議で短期集中的に検討し、このたび提言を取りまとめていただいたところでございます。  有識者会議からは、データサイエンスと関連が深い「情報」を軸とする一体的な教育組織、県立大学の強みである少人数教育を実践できる適切な規模、県内外から優秀な学生や優秀な教員を呼び込むための魅力的な教育研究環境の整備などが望ましいとする提言をいただいたところでございます。  大学におきましては、有識者会議の提言に沿いまして、工学部の学科再編や新学部棟の整備などについて、鋭意学内での検討を進めているほか、これまで培った知見、ノウハウ等の大学の強みを継承し、データサイエンス力と地域、産業の現場に応用できる力を兼ね備えた人材の育成を目指す方向で検討しているところでございます。  また、施設の建設規模につきましては、検討している教員数や入学定員の状況等を踏まえる必要がございますが、現時点では、3階から4階建てで3,000から4,000平米の規模を想定しているところでございます。  県立大学は、これまでも県内企業を支える有為な人材を数多く輩出し、高い評価を得ているところでございます。今後とも、こうした大学の持つ強みや特色を十分に生かしながら、より県内産業界に貢献する大学となりますよう、議会の御意見もお聞きしながら新学部の整備に取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。 46 ◯議長(渡辺守人君)市井土木部長。    〔土木部長市井昌彦君登壇〕 47 ◯土木部長(市井昌彦君)私からは、いただいた2問のうち、まず庄川と和田川の合流点改善事業の御質問にお答えします。  洪水時に庄川の水位が高くなると、その影響を受けて、合流する和田川の水位も上昇する、いわゆるバックウオーター現象が発生し、結果として和田川の堤防高等が不足し、氾濫が生じるおそれがございます。  このため、国が策定した庄川水系河川整備計画において、合流点の処理が盛り込まれ、現在、国では、複数の案による処理方式の検討が続けられております。毎年の現地調査には、県も参画し意見交換を行っており、国からは、複数ある検討案について、堤防の整備や合流点の下流側への付け替えは多くの用地を必要とし、地域社会への影響が大きいこと、また、水門の設置は大規模な排水施設が必要となりコストがかかることなどの課題があると伺っております。  和田川の合流点改善は、地元射水市からも強く要望されており、沿川住民の安全・安心を図る上で極めて重要な事業です。引き続き、和田川の管理者として、国と合流点処理方式について調整を図り、早期着手に向け取り組んでまいります。  また、庄川右岸地域用排水対策の事業化に当たり、射水市からは、和田川に排水負荷がかからない軽減策を求める声が出されたところでございます。これを受け、関係する農林水産部、土木部、企業局や射水市、関係土地改良区が集まって協議を開始したところであり、その協議の場において十分連携し対応してまいります。  次に、射水市ベイエリアの魅力向上の御質問にお答えします。  海王丸パークは本年開園30周年を迎え、これまで延べ2,480万人の方に利用されてきました。また、新湊大橋も開通10周年を迎えたところです。この節目を祝うため、6月には伏木富山港・海王丸財団による記念式典が、また射水市が中心となって、6月から8月には新湊大橋周辺ベイクルーズが開催され、明日も、ふだんは歩くことのできない新湊大橋でのウオーキングイベントが予定されています。  議員御指摘のとおり、射水市ベイエリアの魅力向上には民間活力を取り入れていくことが有効であると考えております。このエリアにおきましても、平成27年には新湊マリーナに隣接する緑地の一角へ、公募を経て民間からレストランに出店いただいたところであり、現在もエリアのにぎわいの創出に御貢献いただいております。  また、議員御紹介のとおり、令和4年9月射水市議会定例会の代表質問において、海王丸パークについて、民間事業者がイベントで利用しやすい環境の整備や民間活力の導入に関しての質疑があったと伺っています。これを受け、先日、射水市から県に対し、勉強会への参加の打診をいただいたところです。県としても趣旨に賛同し、参加、協力する旨返答したところです。  県としましては、今後とも射水市や財団と連携協力しながら、引き続き、このエリアのさらなる魅力向上やにぎわい創出に努めてまいりたいと考えております。  以上です。 48 ◯議長(渡辺守人君)堀口農林水産部長。    〔農林水産部長堀口 正君登壇〕 49 ◯農林水産部長(堀口 正君)夏場における魚の安定的な供給についての御質問にお答えします。  定置網漁業が中心の本県では、季節ごとの漁獲量の変動が大きく、令和元年から3か年平均の年間漁獲量1万6,431トンに対しまして、7月から9月までの夏場は1,755トン、年間の1割程度になります。  多くの漁業者は、この期間を利用いたしまして、定置網を陸に揚げて網のメンテナンスを行っておりますけれども、夏場における飲食店への安定的な魚の供給といった点では課題となっております。  このため、県では、一年を通して鮮度の高い魚介類が提供されますよう、これまでも漁協などが行います冷凍・冷蔵保管施設等の整備に対しまして、国の補助事業等も活用しながら支援をしてきております。  近年、急速冷凍技術の進展によりまして、解凍した際に鮮魚と遜色ない品質が確保されるなど、高鮮度を維持することも可能となってきております。県内の漁協ではそうした機器を導入いたしまして、シロエビやホタルイカの冷凍品を出荷する計画などもありますことから、県としては積極的に支援をしていきたいと考えております。  また、県水産研究所では、市場価値が高く夏から秋に多く捕れますキジハタの富山湾での漁獲量を増やすため、栽培漁業の技術開発を進めておりまして、現在、事業化に向け、人工海岸や藻場など異なる環境での放流適地の検討を進めております。  引き続き、栽培漁業や適切な資源管理による水産資源の増大を図りますとともに、鮮度の高い水産物の供給に向けた環境整備を促進することにより、年間を通しておいしい富山のさかなの安定出荷につなげてまいります。  以上でございます。 50 ◯議長(渡辺守人君)以上で永森直人君の質問は終了しました。  暫時休憩いたします。  午後0時00分休憩       ───────────────────  午後1時05分開議 51 ◯副議長(瘧師富士夫君)休憩前に引き続き会議を開きます。  火爪弘子君。    〔21番火爪弘子君登壇〕 52 ◯21番(火爪弘子君)日本共産党の火爪弘子です。  私からも、まず新田知事の旧統一協会への認識について伺います。  9月6日には全国霊感商法対策弁護士連絡会が、全国の知事の中でただ一人、新田知事に対して、「今後、統一教会やその関連団体とは一切関係を持たないでいただきたい」と申入れを行いました。どうして長年被害者の救済に当たってきた弁護士連絡会が、新田知事は統一協会への態度が曖昧だと判断したのでしょうか。決して言葉遣いの問題ではありません。  さきの本会議答弁でも知事は、「統一教会はコンプライアンス上問題のある組織」「コンプライアンス上問題のある団体とは今後付き合わない」と述べられました。しかし、弁護士連絡会が求めた「知事として旧統一教会とは一切関係を持たない」との言明を、あくまで避けられた形です。ここが岸田総理とも他の首長さんたちとも決定的に違います。  8月25日の知事の記者会見を見た多くの県民から、知事への強い不信の声が寄せられました。知事は、「問題のよしあしは国に判断していただきたい」「コンプライアンス上の問題がなくなったらお付き合いをしてもいいんじゃないでしょうか」と述べられました。しかし、今問われているのは、旧統一協会がコンプライアンス上の問題を犯していることと同時に、本質において、日本はサタンの国として、日本が韓国に貢ぐのは当然だと教義で教え、正体を隠して信者を獲得し、マインドコントロールで信者を反社会的活動に駆り立てている団体そのものの本質が批判されているのであります。  さきの答弁で知事は、「旧統一教会と関係を断つと言うと宗教への抑圧になる」と言われました。ここも違います。問われているのは宗教の問題ではありません。宗教に名を借りた反社会的団体にどういう態度を取るかであります。信者も被害者です。厳しく断じることこそ、その人たちを救うことになると思います。オウム真理教を宗教だと言って擁護する人は誰もいないでしょう。  新田知事が、政治家としても県知事としても、旧統一協会を反社会的団体と認識し、被害を拡大しないために、今後、旧統一協会との関係は一切持たないと言明されることが必要です。知事の答弁を求めます。  岸田内閣が9月27日に開催するとしている安倍元首相の国葬に、反対の世論が広がっています。9月10日、11日の朝日の調査でも、反対56%、賛成38%です。岸田首相の説明に納得できないは64%です。  そもそも、特定の国民を国全体で弔うことは、憲法14条の法の下の平等や、19条の思想及び内心の自由に反します。永森議員のような御意見もあるようでありますけれども、私からは、14日の本会議で新田知事が、黙祷は求めないとしつつも国葬への参加と半旗掲揚を表明されたことに強く抗議をし、再考を求めたいと思います。  同時に、学校現場からも心配の声が上がっています。国は弔意を求めないと言っているようですが、国からの指示があるなしに関わらず、県内の公立学校に対して弔意を求めるいかなる行動も行ってはならないと考えます。教育長の見解を伺います。  次に、9月補正予算案の中から3問伺います。  東京商工リサーチによれば、9月15日現在、2020年以来のコロナの関連の経営破綻は4,258件。県内は51件で、今後も多くの企業で利用されていたコロナ関連融資の据置期間が終了し、コロナ破綻は引き続き増勢をたどる可能性が高まっているとしています。県が、県内企業の経営状況の実態調査にしっかり取り組むべきではないでしょうか。  消費税減税やインボイスの中止を求めた津本議員の6月議会での質問に対し、知事は、減税より財政支出によって対応するほうが望ましい、と答えられました。しかし、9月補正予算案での対策は極めて不十分と言わなくてはなりません。ビヨンドコロナ応援資金融資枠の拡大についても金利が1.25%あり、利益率の低下にも対応できません。中小企業ビヨンドコロナ補助金にも新規募集枠はありません。  国に事業復活支援金の追加を求めるとともに、県独自に利益率低下に着目した追加の支援金や融資制度、家賃やリース料などの固定費への補助を実施すべきではないでしょうか。10月31日までに追加の支援計画をつくると聞いています。どう取り組むのか知事に伺います。  今回の補正予算案の中に、県立学校特別教室の空調整備や照明のLED化予算が含まれたことは歓迎しています。  県立学校の特別教室のエアコン設置は、未設置の709教室のうち504教室に設置する計画と聞いています。うち今回の補正予算案では80教室程度でしょうか。受変電設備を含めて、残りは新年度予算で設置完了することを要望したいと思います。コロナ対策交付金があるうちがチャンスだと思います。設置完了の時期をしっかり示すことを求め、どう取り組んでいくのか教育長に伺います。  農業研究所で進められていたプラスチックフリーの肥料について、まず大麦用で現地実証が行われるとのことで、補正予算案には実験を行う農業者、農業団体への補助予算が計上されています。できるだけ早く稲作にも拡大できるように期待するものです。現在の研究の進捗状況と今後の実用化の見通しについて、農林水産部長に伺います。  次に、県職員の65歳定年引上げについて伺います。  地方公務員法改正に基づき、来年4月1日から県職員の定年が順次65歳まで延長されることになっています。関係する条例改正案が今議会に提案されています。  なかなか複雑な計画で、これまでの再任用の職員との関係や定年延長後の職場配置の在り方など、課題は多いと感じています。  特に、定年延長後の給与が60歳のときの給与の一律7割との方針に異論の声が上がっています。7割という給与水準の低さと、60歳のときに給与が高かった幹部職員が、定年後ほかの職員と同じ仕事をしてもずっと優遇され続けるということが果たして理解できるのかという問題です。県独自に柔軟な判断があってもいいのではないでしょうか。経営管理部長に伺います。  次に、「ワンチームとやま」連携推進本部に関連して4問質問します。  今年度からの県の子ども医療費助成制度の見直しの中で、入院で1日1,200円、通院で530円の一部負担金が残ったことを残念に思っています。  県の制度がどうであれ、現在、全ての県内市町村は一部負担金を徴収していません。県は、今年度からの制度見直しに当たって、なぜ一部負担金を残すことにしたのでしょうか。県の説明は、県民に受益者意識を持ってもらうためというものでした。しかし、市町村は既にその必要性を認めておらず、負担は全て市町村が肩代わりしています。事務負担も大きいものがあります。  8月30日の会議で、複数の首長さんから廃止すべきとの意見があったとも聞いています。きっぱり廃止すべきではないでしょうか、知事の見解を伺います。  65歳以上の高齢障害者の医療費助成の方法についても、昨年度、見直しの議論がありました。その結果、これまで65歳以上の障害者の通院医療費は償還払い制度になっていたものを、今後はこの制度から脱却することが確認をされています。しかし、脱却後のあるべき支払い方法については、現物給付方式なのか償還払い振込方式なのか結論が出ていません。  以前から、富山市は現物給付方式とし、南砺市が昨年度から新たに償還払い振込方式を採用したばかりであることから、直ちに全県統一の制度とするのは難しいというのが担当課の説明でした。脱却した先が決まらないのでは議論した意味がありません。  そこで、各市町村が償還払い制度から脱却した後の支払い方法については、当面、市町村の判断で決めてもいいということをちゃんと確認してほしいと思います。  64歳までは窓口で医療費を支払う必要がなかったのに65歳になると突如支払いが求められるという矛盾した制度を、一日も早く改善することが必要です。厚生部長の見解を伺います。  県内市町村のゼロカーボン戦略の作成も、「ワンチームとやま」連携推進本部の課題となっています。県の新とやま温暖化ストップ計画の策定が延期になったからといって、市町村がそれ待ちになってはならないと思います。むしろ、市町村のゼロカーボン戦略があってこそ、県計画の実効性が伴うものとなるでしょう。  千葉大学大学院の倉阪秀史教授の2021年度調査では、全国の自治体の中で再生可能エネルギーに関する目標を設定している自治体は、調査に回答した自治体の16.2%、157自治体にすぎませんでした。県内はどうなっているでしょうか。  昨年11月議会での私の質問に知事政策局長は、「ワンチームとやま」連携推進本部で連携して取り組むと答えられました。県内自治体の目標の設定状況と、地球温暖化対策推進法で市町村に作成が努力義務とされた温暖化対策の区域施策編づくりの現状と課題と併せて、知事政策局長に伺います。  次に、県立高校の今後の在り方について伺います。  来年度の県立高校募集定員を決定した県教育委員会では、氷見市長や立山町長と共に、富山県高等学校教職員組合からも陳情が行われています。  この陳情の中でまず問題とされたのは、現在の中学校3年生の普通科進学希望者数が前年度より増加しているのに、募集定員が減らされたということです。県教委が、生徒と保護者の希望に反して、これまで66%とされてきた普通科割合を63.7%に引き下げ、2月の公私立高等学校連絡会議で、全日制県立高校の募集定員比率をこれまでの71.6%から70.8%に引き下げたからです。  中学3年生段階では、将来の職業を選択できる生徒はまだ少数であり、経済的負担の格差もあって県立普通科を志望する生徒が多いのは自然な姿です。しかも、私立高校は富山市や高岡市に集中しており、周辺自治体の中学生にとっては、せめて自転車で通える場所に普通科があるかどうかは切実な問題です。どうして生徒の要望に反して必要以上に普通科の定員を減らしたのか、教育長の見解を伺います。  今後の生徒数の減少予測を考えれば、来年度以降も同じ議論が繰り返されることになります。高教組はその陳情の中で、生徒数が減少しても教員数と予算を減らさなければ、学級数を減らさず地域の県立高校を存続させることができると提案をしています。毎年1クラスの定員を40人から1名ずつ減らしていったらどうでしょう。  既に福井県では、もうこれ以上地域の高校はなくせないと議論し、中学3年生の進路希望数に合わせて、柔軟に学級規模や地域ごとの募集定員を決めていると聞きました。人件費も県単独で負担しているそうです。  国にも、県立学校の少人数学級導入と必要な予算措置を強く働きかけるとともに、県独自でも検討すべきだと思います。教育長の見解を伺います。
     次に、高齢者、障害者などへの支援について伺います。  まず、県の医療計画に基づき、てんかん医療の整備にどう取り組むのか伺います。  6月の民放の番組で、富山県内に成人向けのてんかん専門外来がないことが紹介をされていました。県内には、小児科のてんかん専門医は5人いますが、成人対象の専門医がおらず専門外来もありません。患者団体が、かねてから専門外来の開設を求めてきました。  6月の厚生環境委員会では、私の質問に対して、小児科以外のてんかん専門医がいない県は7県だけで、県内から県外に通院していると把握できている患者さんは少なくとも約100人と答弁がありました。多くは石川県の病院ですが、静岡のてんかん・神経医療センターを受診する重症の患者さんもいると聞いています。  今、コロナ禍で県外への通院が困難な状況になっています。富山県医療計画でも、てんかんに対応できる医療機関を明確にする必要があると課題を挙げています。成人対象の専門医の育成に取り組みつつ、当面は週に1回からでも、成人向けてんかん専門外来の開設を検討すべきではないかと思います。どう取り組んでいくのか厚生部長に伺います。  盲導犬を利用する富山市内の70歳の男性にお話を伺いました。35年以上盲導犬を利用されている全盲のこの方は、「盲導犬がいるからこそ、1人でも外出ができて社会参加ができる。生きる上で欠かせない一心同体の存在だ」と言われました。この方は、コロナ禍の前には、新幹線を利用し東京にも静岡にも出かけられたそうであります。  身体障害者補助犬法に基づく補助犬は、2019年10月1日現在ですが、全国で1,056頭、県内での実働は5頭のみと聞いています。盲導犬補助事業で、補助犬の貸与を受ける際に補助がありますが、日常的には狂犬病の予防接種に僅かな富山市の補助があるくらいです。  この方の場合、餌代とワクチンやダニ予防の薬剤を含む医療費に年間11万円以上がかかるそうです。障害年金と僅かなマッサージの仕事で生計を立てている高齢者の視覚障害者にとって、この負担は軽くありません。マッサージの仕事ができなくなったら、もう盲導犬を利用することができなくなるかもしれません。  全国的には、犬の医療費や餌代に独自の支援を行っている自治体もあるようです。障害者差別解消法と県条例の見地に立って何らかの支援ができないものか、厚生部長に伺います。  9月は防災月間です。6月の厚生環境委員会で、県内の避難行動要支援者の個別計画の作成が全県で20%にとどまっている問題を取り上げました。また、福祉専門員を個別計画づくりに活用している自治体も、県内では黒部市、立山町だけとのことでした。  県内の自治体で個別計画の作成が一番高いのが舟橋村の61.1%、次いで高いのが立山町の58.4%です。  そこで、立山町の取組の特徴を伺ってきました。感心したのは、町が台帳をしっかり持っていて、毎年新たな対象者に対して郵送で支援を希望するかを問い合わせ、支援は要らないと返事が返ってきた人以外の名簿を各地区の民生委員さんに届け、個別支援計画作成に取り組んでいただいているということでした。自治体の確固とした立場、姿勢と年間サイクルができていると感じました。  東日本大震災から既に11年、県がこうした事例に学び、遅れの打開に真剣に取り組むべきと考えます。自主防災組織など消防サイドも積極的に関与すべきです。遅れにどう取り組んでいくのか、知事に伺います。  最後に、県の個人情報保護条例について伺います。  昨年5月に国が個人情報保護法を改正し、地方自治体もその適用対象としたことから、これまで県が持っていた個人情報保護条例を廃止し、新たに国の法律に基づく施行条例をつくる必要が生じています。  しかし、国の改正法では、これまで県の個人情報保護条例にあった要配慮個人情報の取得の禁止規定や本人収集の原則に関わる規定、オンライン結合による提供制限の規定がありません。また、県が新たに手数料規定を設けて匿名加工情報の民間への提供を可能とするなど、個人情報保護の緩和が心配です。  自治体が持つ個人情報の厳格な管理のために、県独自の歯止めを最大限盛り込むべきと考えます。今後どのように検討していくのか、経営管理部長に伺って私の質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。 53 ◯副議長(瘧師富士夫君)新田知事。    〔知事新田八朗君登壇〕 54 ◯知事(新田八朗君)火爪弘子議員の御質問にお答えします。  まず、旧統一教会についての御質問にお答えします。  これまで私は一貫して申し上げてきたように、旧統一教会は、これまでも元信者などから訴訟が提起され損害賠償請求が認められた事例が複数あり、コンプライアンス上の問題がある団体だと認識をしております。政治家として、今後、コンプライアンス上の問題のある団体とその関連団体とは関係を持たないことを、ここではっきりと申し上げます。また県知事としても、今後、コンプライアンス上の問題がある団体とその関連団体とは関係を持たないということもここで申し上げます。  また、知事としての行事への出席、また県としての後援名義の使用承認など、県政の宗教的中立性に疑念が生じることのないように、より一層襟を正してまいります。  この間、政府においては、「反社会的勢力」という言葉をあらかじめ限定的かつ統一的に定義することが困難であるとの考えを示され、被害の防止や被害者救済のために、法務省での「旧統一教会」問題関係省庁連絡会議を発足させられました。また消費者庁でも、霊感商法等の悪質商法への対策検討会が設置、開催されるなど、政府を挙げた取組が進められています。私としては、そうした見解や検討状況もしっかりとにらみながら、適切な対応や発言を行うべきと考えております。  一方で、都道府県知事の権限は強く、影響力も大きいものと認識しておりまして、説明の際には言葉遣いを慎重にさせていただいております。  これまでもそうであったように、これからも旧統一教会あるいはその関連団体が私どもの政策に影響を与えることはなく、そして、これからも私が県民の皆様にお約束をした八つの重点政策、八十八の具体策、またそれを一つ具現化しました富山県成長戦略の実現、これらに一つ一つ丁寧に取り組んでいくことで、県民の皆さんのためにしっかりと働き、引き続き信頼されるようにしてまいりたいと考えております。  次に、県内企業への支援についての御質問にお答えをします。  本県では、毎月実施しております県内企業400社対象の生産、雇用、設備投資などの動向調査、今年4月には物価高騰等の影響に関する緊急アンケートも行いました。また、商工団体の定期的な景況調査や、国、民間機関のデータも併せて県内企業の実態把握に常に取り組んでいるところでございます。  こうした調査結果を踏まえ、9月補正予算案では、金融機関の伴走支援を要件として借換えにも対応したビヨンドコロナ応援資金──金利は最優遇金利の1.25%適用です──この利用が当初融資枠200億円の8割となり、今後もさらなる利用が見込まれるものですから、260億円の融資枠の拡充、そして保証料を引き続きゼロとする経費を計上させていただいているところです。  また、ビヨンドコロナ補助金については、想定を大きく上回る申請があったために、できるだけ多くの企業に御活用いただけるよう5億円の増額を盛り込んでおります。  また、物価高騰などの長期化は、国民生活や社会経済活動に幅広く多大な影響を及ぼしており、国による一元的な対応が必要であります。このため、先月18日に全国知事会から国に対して、中小企業の資金繰り支援の継続強化や収益力改善、事業再生等を総合的に支援する中小企業活性化パッケージの強力な推進、固定費の支援として実施された事業復活支援金と同様の支援策の創設など、事業継続などに対する支援策の拡充を求める提言を行いました。  今後も、国の経済対策の動向などを踏まえて関係機関などと連携し、事業者ニーズを的確に捉えた支援を行ってまいります。  次に、子ども医療費助成についての御質問にお答えをします。  県の乳幼児医療費助成制度については、昨年度、「ワンチームとやま」連携推進本部会議での御意見を踏まえまして、本年4月1日から通院の対象年齢を未就学児まで拡大するとともに、所得制限の撤廃や県内全域での現物給付を実施するなど、制度を拡充しました。  自己負担については、これまで各市町村では、それぞれの実情に応じて財政負担も考慮の上で、自己負担分を市町村が負担するという判断をされてきたものと理解しています。  県としては、自己負担をお願いすることは、患者に対して適切な受診を促すとともに、健康についての自覚や予防意識を高める意義があると考えて導入しているもので、多くの都道府県においても自己負担を課しているのが実情であります。  こうしたことを踏まえて、本年4月からの制度拡充の際も、「ワンチームとやま」連携推進本部会議や子ども医療費助成制度に係る検討会での議論を経て、現行のままとしたところであります。  また、自己負担制度に伴います事務負担については、今後、事務上の工夫や簡略化などにより、市町村の事務負担が軽減されるように努めてまいります。  「ワンチームとやま」連携推進本部会議で御意見のあった自己負担の在り方については、他県の状況や県財政に与える影響なども踏まえて、引き続き研究は続けてまいります。  私からは最後になりますが、個別避難計画についての御質問にお答えします。  昨年5月、災害対策基本法が改正され、避難行動要支援者ごとの個別避難計画の策定が市町村の努力義務となりました。本年4月1日現在、県内市町村の個別避難計画の策定状況は、避難行動要支援者数約6万9,000人のうち約1万4,000人分、策定率は20.4%となっています。  県では、これまでも毎年、市町村職員を対象とした計画策定に係る研修会を開催してまいりました。そういうことで、市町村の計画策定を働きかけてきたところでございます。  また、市町村の課題などを含めた実態を十分に把握するために、今年度新たに、7月から8月にかけまして、全市町村に出向き聞き取り調査を行ってきました。  この結果、市町村からは、主な課題として、民生委員や自主防災組織などの避難支援等関係者の高齢化などにより支援者の成り手不足や確保が困難であること、また職員のマンパワー不足、それから、個人情報を含む内容のため要支援者本人や家族から計画策定の同意や協力が得られないという声もあります。民生委員や町内会、自主防災組織に対する計画策定の必要性が十分に浸透していない、さらに防災部局と福祉部局との連携不足。聞き取りの結果、これらの声が上げられたことが分かりました。  今後は、市町村担当者との間で、こうした課題を情報共有し、県内市町村での先進的な取組をしている事例も紹介することなどで、防災部局との連携を進めることなどにより、県内市町村の個別避難計画の策定が促進されるように努めてまいります。  私からは以上です。 55 ◯副議長(瘧師富士夫君)荻布教育長。    〔教育長荻布佳子君登壇〕 56 ◯教育長(荻布佳子君)私からは4点お答えをいたします。  まず、安倍元総理の国葬に関する御質問にお答えいたします。  安倍元内閣総理大臣の国葬儀につきましては、先月31日の岸田内閣総理大臣の記者会見において、国民一人一人に弔意の表明を強制するものであるとの誤解を招くことがないように、国において閣議了解は行わず、地方公共団体や教育委員会などの関係機関に対する弔意表明の協力方の要望も行う予定はないとの御発言がありました。また、今月8日の国会閉会中審査においても岸田総理からは、国民一人一人に弔意の表明を強制的に求めるものではないと、改めて答弁をされたところでございます。  県教育委員会としましては、こうしたことを踏まえ、教職員や児童生徒一人一人に弔意の表明を強制するものであるとの誤解を招き教育現場に混乱を来すこととならないよう、県立学校及び市町村教育委員会に対し、弔旗の掲揚や黙祷の実施、行事の自粛など、国葬に関して行動を求めるということは予定をしておりません。  次に、県立学校の特別教室への空調設置についてお答えをいたします。  県立学校の空調については、特別支援学校の全ての教室、そして県立高校の普通教室では設置が完了しております。  一方、高校の特別教室については、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、令和2年度に空調未設置の特別教室に緊急的に大型冷風扇を配備するとともに、昨年度、特に設置の必要性の高い教室に空調設備を整備しましたが、その設置率は4割程度となっております。  そこで、近年の暑さも踏まえまして、生徒や教職員の健康、安全を守るために、今議会において、受変電設備の改修は不要で今年度中での設置が可能な空調設備の整備に係る予算を上程させていただいたところです。  現在、空調が未設置の特別教室は約700室ございますが、このうち、粉じんが発生する木材加工室のように性質上設置が困難な教室や、相談室や生徒会室といった夏場は空調のある他の教室で振替が可能な教室、これらが計約200室ございますが、それを除く特別教室約500室につきまして今後空調を設置していきたいと考えております。  生徒数が減少し、生徒の科目選択なども年により変動しますことから、各学校の教室の使用実態は年々変化をいたしております。効果的、効率的に空調を設置するためには、各学校の希望や改修工事の予定、機器の確保見込みなどを毎年度確認した上で、受変電設備の改修も含め、必要な予算を確保し具体的に整備を進める必要があると思っております。できるだけ早く計画的に設置できるように努めてまいります。  次に、県立高校の募集定員についての御質問にお答えいたします。  中学3年生の進路希望状況調査では、県内の県立高校全日制課程への進学希望者のうち、普通科系学科を希望する割合は、近年低下傾向にありましたが、今年5月1日現在の調査では、前年よりも2.2ポイント上昇をしたところでございます。  一方、令和5年度の募集定員における普通科系学科の割合については、地域別の中学校卒業予定者数の動向、各学校の入学志願者の推移や学科の配置状況などを勘案し総合的に判断をした結果、63.7%となりました。これまでより率が低くなったことも踏まえまして、今後、令和の魅力と活力ある県立高校のあり方検討委員会において、普通科、職業科の比率の在り方についても検討していく必要があると考えております。  また、公私比率につきましては、本年2月に、令和5年度から令和7年度までの比率について、中学校卒業者の進路状況なども考慮し、公私双方で合意をしたところでございます。  募集定員を減らし過ぎではないかという御指摘については、この公私比率を尊重し、令和5年度の募集定員を設定しており、適正な定員設定であると考えております。県教育委員会では、私立を含めて全日制高校に入学を希望する全ての生徒に修学する機会を保障する定員設定が望ましいと考えております。  今後も高校教育全体の質を向上できるよう、公私比率の在り方などについて公私立高等学校連絡会議で議論することとしております。  また、今後開催される総合教育会議においても、これらの会議で議論された内容も踏まえまして、今後の県立高校の在り方について検討をしてまいりたいと考えております。  私からは最後になりますが、県立高校の少人数学級の導入についての質問にお答えいたします。  国の標準法によりまして、1クラスは40人が標準とされていますことから、1学級の生徒数を40人として学級編制を行っておりますが、本県ではこれまでも、学科等の特殊性を踏まえ、農業科などの職業科をはじめとする幾つかの学科やコースにおいて、一部少人数学級を取り入れているところでございます。  また、各高校の教育活動に応じて、多様な選択授業や習熟度別学習など実質的な少人数指導が行えるよう、丁寧に要望を聞きながら、国の加配を最大限活用して教員を配置してきております。  標準法による教員定数は、学級数ではなく生徒数で基本的に算定されますことから、仮に学級数を維持するために1学級の生徒数を一律に40人未満とした上で、これまでと同様の教員配置とすると、県単独で大きな財政負担が必要となります。  このことから、まずは国による定数改善が必要であると考えており、これまでも個に応じたきめ細かな指導の充実などに向けた標準法の見直しや、新たな教職員定数改善計画の策定などについて、国に強く要望をしてきたところでございます。  今後は、学級数や学級定員の議論のみならず、より大きな視点で、少子化に対応した今後の高校の魅力化、活性化の方向性についての検討が必要だと考えております。令和の魅力と活力ある県立高校のあり方検討委員会や総合教育会議において、幅広く御意見をお聞きしながら検討をしてまいりたいと考えております。  私からは以上です。 57 ◯副議長(瘧師富士夫君)堀口農林水産部長。    〔農林水産部長堀口 正君登壇〕 58 ◯農林水産部長(堀口 正君)私からは、プラスチックフリー肥料についての御質問にお答えします。  プラスチック被覆肥料につきましては、環境への影響が懸念されており、県内では農業団体と連携いたしまして、分解しやすく圃場から流出しにくい肥料への切替えを進めてきております。  また、農業研究所におきましては、プラスチックフリー肥料である硫黄コート肥料の研究を、大麦用、水稲用を対象に取り組んでおります。その研究成果として、まず大麦につきましては、肥料効果の持続性に懸念があったものの、収量は従来のプラスチック被覆肥料とほぼ同等であることが試験圃場で確認できたことから、県内全域への普及を目指し、地域農業再生協議会ごとに現地実証を行いたいと考えており、所要額を9月補正予算案に計上させていただいております。  一方、水稲につきましては、硫黄コート肥料のみでは生育後半に肥料効果がなくなるといった課題がありますことから、まずは生育期間の短い早生品種のてんたかくを対象に、現地圃場4か所において硫黄コート肥料とプラスチック被覆肥料の混合肥料を用いて実証試験、分析を行っております。  また、農業研究所では、富富富やコシヒカリへの展開を視野に、今年度から尿素を化学合成した新たなプラスチックフリー肥料の研究に着手したところであり、実用化には時間を要するが、しっかり検証を進めていきたいと考えております。  県といたしましては、国に対し、新たな素材等を活用したプラスチックフリー肥料の開発を要望するとともに、農業研究所での研究や現地実証などに取り組み、環境に優しい農業の推進に努めてまいります。 59 ◯副議長(瘧師富士夫君)岡本経営管理部長。    〔経営管理部長岡本達也君登壇〕 60 ◯経営管理部長(岡本達也君)私から2問お答えをいたします。  まず、県職員の60歳定年引上げについての御質問にお答えをいたします。  県職員の定年につきましては、地方公務員法の改正に伴い、現行60歳の定年を、令和5年度から2年ごとに1歳ずつ段階的に引き上げて65歳とするとともに、60歳に達しました職員の給料月額は当分の間60歳のときの給料月額の7割の水準とするなど、必要な措置を盛り込んだ条例改正案を今議会に上程しているところでございます。  議員御指摘の定年引上げ後の給与水準につきましては、国において、民間企業における高齢期雇用の実情を考慮しまして、国の賃金構造基本統計調査などの調査結果を踏まえまして、再雇用の従業員を含む正社員全体の給与水準なども広く参考にして、国家公務員の給与水準を60歳時点の7割の水準に設定されたところでございます。  このため、本県におきましても、地方公務員法に定める均衡の原則に基づきまして、国と同様の取扱いとすることとしたところでございます。  なお、国においては、この定年引上げ後の給与水準は当分の間の措置とするということで、今後、人事院における検討もされると伺っているところでございます。  今回の定年引上げは職員にとって大きな制度改正となることから、60歳以後の給与をはじめとする各種制度につきまして職員が十分理解をし、60歳以降の多様な働き方の中から自らライフプランに合った働き方を選択できるよう、職員への丁寧な情報提供を行うなど、定年引上げの円滑な導入に努めてまいりたいと考えております。  次に、県の個人情報保護条例についての御質問にお答えをいたします。  個人情報保護につきましては、法律、条例によって縦割りに規律され、その解釈運用も国、地方公共団体が行っているなどの課題があったため、昨年5月に個人情報保護法が改正されたところでございます。  この改正によりまして、令和5年4月から地方公共団体も個人情報保護法の適用対象となり、個人情報保護制度が全国的な共通ルールで運用されることとなったため、県におきましては個人情報保護条例を廃止し、個人情報保護法施行条例の制定に向けた準備を進めているところでございます。  個人情報保護法施行条例の制定に当たりましては、議員御指摘の現行の個人情報保護条例に規定されております要配慮個人情報の取得を制限する規定や個人情報の本人取得の原則に関する規定など、個人情報保護やデータ流通に直接影響を与えるような事項で法に委任規定がないものにつきましては、全国的な共通ルールを設定するという改正法の趣旨から、独自の規定を定めることができないとされているところでございます。  なお、手続面につきましては、県条例で規定できる事項もあることから、例えば開示までの期間について現状の15日を維持するなど、個人情報保護の水準が維持されるよう検討してまいりたいと考えております。  今後、現行条例廃止に当たりまして、個人情報保護審議会への諮問、条例の制定、関係規則等の整備を進めていくことになりますが、今回の法改正の趣旨を踏まえまして、個人情報の適正な取扱いが図られるよう努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 61 ◯副議長(瘧師富士夫君)有賀厚生部長。    〔厚生部長有賀玲子君登壇〕 62 ◯厚生部長(有賀玲子君)私からは、3点についてお答えさせていただきます。
     まずは、重中度障害者の医療費支給方法についてでございますが、償還払い制度から脱却後の支給方法については、各市町村の判断で決定することとなっております。  議員からも御発言があったとおり、昨年10月の「ワンチームとやま」連携推進本部会議において、償還払いの13市町村──これは富山市、南砺市以外でございますけれども、この13市町村においては償還払いから脱却し、現物給付または自動償還払いへの移行に向けて検討することを方針として決定したところでございます。  現在、県や市町村、関係機関による実務担当者ワーキンググループにおいて、各市町村における検討状況の情報共有や課題の整理などを進めており、ここでの議論を踏まえ、各市町村において具体的な検討が進められているものと認識しています。  次に、てんかん医療の整備についてでございます。  てんかんは、どの年齢でも発症する可能性がある患者数の多い病気でございますけれども、適切な投薬により約3分の2の患者で発作は消失するものとされております。それゆえに、正しい診断と適切な医療が重要となります。  一方、日本てんかん学会が認定するてんかん専門医は全国でも少なく、富山県でも小児科医5名が登録されているのみでございます。また、成人のてんかん医療を主として担う神経内科専門医についても、富山県内では42名と少ない状況でございます。  このような状況の下、県内では成人患者の約9割が、富山県内の医療機関で治療を受け、手術が必要となる症例は富山大学脳神経外科が他専門機関と連携しながら対応しております。しかし、発作のコントロールが困難である等の理由で県外の専門病院での治療を受けている患者さんがいらっしゃるということも承知しております。  直ちに県内において、成人のてんかんに対する専門医療を担当する医療機関を設定するということは困難ではございますが、来年度予定している第8次富山県医療計画の策定において、患者やその御家族の悩みに耳を傾けつつ、医療機関や大学等との情報交換を行い、てんかん患者の皆様が適切な医療を受けられるよう努めてまいります。  最後に、身体障害者補助犬に関する補助制度についてでございます。  県ではこれまでも、身体障害者補助犬の育成に当たっては、国の補助制度を活用し、飼育費や医療費を含め1頭につき60万円を補助しており、実質的に利用者に無料で貸与されております。  補助犬の貸与後の費用については利用者負担となっておりますが、例えば、先ほど議員もおっしゃったように、富山市では、犬の登録手数料や狂犬病予防注射済票の交付手数料が減免されるほか、富山県獣医師会からは、混合ワクチン接種やフィラリア検査、投薬などに対し助成が行われているというふうに聞いております。  障害者総合支援法上における障害福祉サービスや補装具支給などに係る利用者負担の枠組みでは、各サービスに要する費用の9割以上を公費で負担する一方、利用者にも所得に応じて最大で1割負担いただくこととなっております。  補助犬の給付は、この枠組みには含まれてはいないものの、育成に高額な費用を要する反面、その貸与に当たっては実質的に無料であるということを考慮すると、医療費や飼料代の助成までは利用者負担のバランス上、難しいのではないかと考えております。  以上でございます。 63 ◯副議長(瘧師富士夫君)三牧知事政策局長。    〔知事政策局長三牧純一郎君登壇〕 64 ◯知事政策局長(三牧純一郎君)最後に私から、市町村の再エネ目標、そして温暖化対策の計画策定についての御質問にお答えさせていただきます。  カーボンニュートラルの実現に向けましては、再生可能エネルギーの最大限の導入が必要であり、また意欲的な脱炭素の取組、これも併せて重要であると考えております。  これらをPDCAを行いつつ着実に取組を進めていくためにも、各市町村における再生可能エネルギーの導入目標の設定や、脱炭素の取組に関する計画策定の重要性が増していると考えております。  また、議員の御指摘のとおり、県のカーボンニュートラル戦略の実効性を高めるためにも、市町村の取組が非常に重要であると考えております。県内におきまして、現状でございますけれども、2つの自治体が再生可能エネルギーの導入目標を設定しております。また、地方公共団体実行計画の区域施策編につきましては、現在4つの自治体が策定しており、7つの自治体が新たな計画策定に向けて、これらにつきましては再生可能エネルギー導入目標の設定も含めて検討を始めているところでございます。  こうした計画の策定、改定における課題につきましては、市町村から聞き取りましたところ、1つは、その地域ごとの再エネの導入ポテンシャルの把握、2つ目は、具体的な目標設定や取組の実効性の担保、3つ目は、再エネ導入や省エネの実績、現状の把握といった点があると伺っております。  こうしたことから、県といたしましても、引き続きワンチームとやまのワーキンググループを通じて、再エネ導入ポテンシャルや導入の実績、そして計画策定に活用できる国の補助金をはじめとした様々な情報共有を図り、また、個別の市町村からの計画策定に向けた相談にしっかりと対応していきたいと考えております。  また、県のカーボンニュートラル戦略の策定におきましても、しっかりと市町村への情報提供や意見交換を行いまして、市町村が再生可能エネルギーの導入目標の設定や温暖化対策の実行計画を策定しやすくなる環境整備に、引き続き努めてまいりたいと考えております。  以上になります。 65 ◯副議長(瘧師富士夫君)火爪弘子君。    〔21番火爪弘子君登壇〕 66 ◯21番(火爪弘子君)知事と経営管理部長に、合わせて3問、再質問をさせていただきます。  まず、統一協会の問題でありますが、私は9月6日の全国霊感商法対策弁護士連絡会の申入れに基づいて質問をいたしました。知事はこの申入れを読んでおられるのでしょうか。この中で主に批判をされているのは、「知事が統一教会が反社会的カルト集団という本質を持つということをしっかり認識すべきだ」「知事は国がまだ判断をしていないかのように理解をしておられるようですが違います」と、こう言っています。  国は、反社会的団体と認める法律上の制度はないものの、この間、岸田首相が、関係を断つべきと明言をしていること、それぞれの政治家などに言っていること、それから、知事が触れられた関係省庁が、それぞれ被害などについて調査をし対策を取ること、こう指示をしていると。これで事実上、岸田総理も国も、反社会的団体と認定をしていると。そして何よりも世論が、県民が、そう認識をしていると。知事は、それに遅れているのではないか、認識が違うのではないかと批判をされているわけであります。  もう一つは、知事が、宗教団体であるということを理由に挙げて、知事として強い言葉として関係を断つと言えないと言っていることであります。  今、社会の認識は、旧統一協会は宗教に名を借りた反社会的団体であるという認識になっております。  これまで、関係する国会議員などが、協会と関係を持ってきた議員などが、宗教であるからといって、この反社会的な団体への取締りを行わせないような役割を果たしてきたということが、今、国会で問題になっているわけで、明確にお答えをいただきたいと思います。  2つ目の問題は、県単医療費助成制度の子ども医療費一部負担金であります。  導入されたときには、県民に受益者意識を持ってもらうためという議論だったということは、肯定はしませんが、そうだったんでしょう。しかし、今日に至って市町村は、これを保護者からは取っていないわけです。だから、この仕組みそのものは、もう市町村からは受け入れられていないんだと思うんですね。それを、導入したときだとか、他県の動向だとか、予算がもったいないだとかということで、これだけ首長から要望が正式に出されても、きっぱり廃止すると言われないということは、「ワンチームとやま」連携推進本部を設置した精神に反するのではないでしょうか。  改めて、研究を続けたいなどと言わず、きっぱり廃止することを求めて再答弁をお願いしたいと思います。  経営管理部長には、簡単であります。65歳定年引上げに関連をして7割に給与が下げられる、いろいろ言われましたけど、今議会に高等学校教職員組合から請願が出されますので、皆さんには、ぜひそれをよく読んでいただきたいと思います。  それはそれなんですが、幹部職員が60歳のときに、例えば600万円給料をもらっていた。幹部手当は除いてですよ。それが61歳になったときにその7割、普通の職員は何十万円も少ない。同じ職場で同じ仕事をしている職員にそれだけの違いがある。同一労働同一賃金に反するんじゃないか、仕事もしづらくなるんじゃないか、その問題について答弁がありませんでしたので、再答弁を求めて終わります。 67 ◯副議長(瘧師富士夫君)新田知事。    〔知事新田八朗君登壇〕 68 ◯知事(新田八朗君)再質問いただきました統一教会への対応の件。  繰り返しになりますが、政治家として、また県知事として、コンプライアンス上の問題のある団体とその関連団体とは関係を持たないということを明確に申し上げているところでございます。  先般申入れ書をいただきました全国霊感商法対策弁護士連絡会の皆様、もう30年この問題に向き合ってこられたので、ものすごくそういう知見はお持ちでしょうし、深い御理解もされているのだと思いますが、ちょっと見解は違うなというふうに思っております。  遅れているという話なんですけども、私は言葉遣いの違いの問題だと思います。「一切」という言葉を入れるかどうかとか、「断ち切る」と言うとか、そのようにおっしゃる方もおられますが、私の場合は、先ほど言いましたように、県知事という大変強い権限を持つ立場ですから、言葉遣いについては慎重にさせていただいているということを御理解いただきたいと思います。  言葉を躍らせるということよりも、やはり実際の政策で、実際の仕事で、これまでもしっかりとやってきましたし、今後も県民の皆様のために公平公正な県政をやっていく、これが最大の答えではないかというふうに考えております。どうかそういったことを御理解いただきたいと思います。  乳幼児医療費助成制度について、その一部負担金のことでありますが、再質問いただきました。  県内市町村では、おっしゃるように、全ての市町村で一部負担は求めておられません。ただ、全国に目を向けますと、36の都道府県で自己負担を求めておられます。自己負担なしというのは10にとどまっているということであります。  こういうことから、本県の在り方が決して突出して異常であるというようなことではないということは御理解いただきたいと思います。そういう意味で、今後も問題意識は持った上で、引き続き研究をしてまいりたいというふうに申して上げているところでございます。  以上です。 69 ◯副議長(瘧師富士夫君)岡本経営管理部長。    〔経営管理部長岡本達也君登壇〕 70 ◯経営管理部長(岡本達也君)再質問にお答えをいたします。  繰り返しになりますが、定年引上げ後の給与水準につきましては、国において、現時点の民間企業における高齢期雇用の実情を考慮いたしまして、賃金構造基本統計調査など国の調査結果を踏まえまして、さらには再雇用の従業員も含む正社員全体の給与水準などを広く参考にして、国家公務員の給与水準を60歳時点の7割の水準に設定されたところでございます。  このため、本県におきましても、地方公務員法で定める均衡の原則に基づきまして、国と同様の取扱いとすることとしたものでございます。  なお、先ほども御答弁を申し上げましたが、国においては、この定年引上げ後の給与水準を当分の間の措置とし、60歳時点で急に7割水準に引き下げるのではなく、給与水準が60歳前後で連続的なものとなるよう、人事院における検討の状況を踏まえまして、今後、所要の措置を順次講ずることとされているところでございます。  県としましては、こうした国の検討状況を十分注視しながら、地方公務員についても、所要の措置が講じられた際には適切に対応してまいりたいと考えております。  以上でございます。 71 ◯副議長(瘧師富士夫君)火爪弘子君。    〔21番火爪弘子君登壇〕 72 ◯21番(火爪弘子君)知事に再々質問をさせていただきます。  統一協会の問題であります。  知事は、全国霊感商法対策弁護士連絡協議会について敬意を表されて、しかし見解は違うとおっしゃいました。見解の何が違うんでしょうか。私は、恐らく見解が違うんだろうと思うことを想定いたしまして具体的に質問をいたしました。それにお答えは全くありませんでした。お答えもなしに信頼してくれと言われても、とても理解、信頼できるものではないと思います。  知事は政治家ですので、県民を納得させられる説得力のある答弁、説明が求められているわけです。国葬に対する岸田首相に対しても同じような意見があるようでありますけれども。  具体的にお伺いをしました。国は、もうその制度はないけれども、反社会的団体として認定を事実上している。世論もそうだ。今までそう認識していなかった方も反省をして、そういう認識に立っている。知事は、反社会的団体としてきちんと認める。宗教の名を借りた反社会的団体であるという認識が、今、国民、県民の中に広がる中で、かたくなに、知事として統一協会と関係を断つと明言されないことが、全国的に注目され奇異に映っているということを、知事が理解されていないのかと、私は大変疑問に思っています。  国が反社会的団体として事実上認定をしている。だから知事も、コンプライアンス上問題がある団体とは付き合わないという三段論法のような説明の仕方ではなくて、明確に、宗教に名を借りた反社会的団体であるという認識が今求められてきているという認識を、示していただきたいと思います。  以上です。 73 ◯副議長(瘧師富士夫君)新田知事。    〔知事新田八朗君登壇〕 74 ◯知事(新田八朗君)火爪議員からの再々質問にお答えをします。  火爪議員が、政府が旧統一協会のことを反社会的勢力として認定をしたと、あるいは実質的とおっしゃったのかよく分かりませんでしたが、認定したとおっしゃる根拠が、ちょっと私、分からないのですが、一番直近での政府の見解というのは、本年の7月29日に木原誠二官房副長官がおっしゃったことであります。  いろいろなやり取りがあって、多分、記者会見の場だと思いますが、「政府として、反社会的勢力という言葉をあらかじめ限定的かつ統一的に定義することは困難であると考えておりまして」というふうな返答を木原誠二官房副長官が──政府の最高幹部の一人でありますが、おっしゃっているということ、これに基づいて私は、先ほどのようなことを申し上げたことでございます。  それから、全国霊感商法対策弁護士連絡会の皆様には、書面でいただきましたので、書面でしっかりとお返しをしたいと思います。  例えば、見解が違うと申し上げたのは、あの中に「煮え切らない知事である」ということが書いてありました。なるほどと。「煮え切らない」とか「及び腰」とか、いろんな修飾語で語られてしまっています。これは私の説明の仕方が至らなかったのかなと思って、甚だ不勉強を反省しておりますが、「煮え切る」とか「断ち切る」とか「一切」とか「及び腰」とか、全て修飾語でありまして、私は、行為として、コンプライアンス上問題のある団体とは今後関わりませんということを言っているわけでありまして、それをより強くするのか、より華々しくするのか、そんなことの問題、程度の差の問題でありまして、ここは県議会議事堂であります、私はそういう事実に基づいた、そんな議論をさせていただきたいと思います。  記者会見の場ではないので、火爪議員には、そういったことをぜひ、私の立場上こういった言い方になるということは御理解をいただきたいと思います。  勇ましい言葉を使えばいいというものでは私はないというふうに理解をしています。それぐらいに自分の権限の強さを感じているということで御理解をいただきたい。言葉遣いはやっぱり慎重にならざるを得ないということであります。  以上です。 75 ◯副議長(瘧師富士夫君)以上で火爪弘子君の質問は終了しました。  安達孝彦君。    〔6番安達孝彦君登壇〕 76 ◯6番(安達孝彦君)私がこの本会議の壇上に立つのは、ちょうど1年ぶりとなります。大変緊張しておりますが、粗相のないように頑張ってまいりたいと思います。  まず初めに、教育改革について3問質問させていただきます。  私は、去る8月27日、約10年ぶりに東京の国立劇場を訪れました。その日は、県立南砺平高校が、文化の甲子園と言われる全国高等学校総合文化祭郷土芸能部門において8年ぶりの最優秀賞、日本一を獲得し、その優秀校東京公演が行われ出席してきました。  どんちょうが上がり国立劇場の花道に、こきりこのささら踊りが登場すると会場はどよめき、麦屋節のかさ踊りが一糸乱れずかさをさばき、女子は笑顔で楽しそうに踊る。観客はその踊りや笑顔に魅了され、自然と音楽に合わせて手拍子が鳴り出し、気がついたら会場は一体感で包まれていました。舞台が終わると、万雷の拍手とともに、涙が込み上げてくるくらいに心を揺さぶられ感動したのを、今でも覚えています。また、多くの観客の皆さんの琴線に触れ、五箇山民謡や五箇山のすばらしさを感じていただけたのではないかと思っております。  さて、その南砺平高校でありますが、先日、教育警務委員会の皆さんが島根県に視察に行かれた御縁で、島根県において地域みらい留学や学校魅力化に中心となって進められている岩本悠さんに、酒井委員長と藤井大輔議員の御厚意によって、お話をする機会をいただきました。岩本さんに、南砺平高校の活動や環境、部活動などについて紹介をさせていただくと、こんなに魅力的で売りがそろっている学校は、島根県においても全国的に見てもほとんどないとのお言葉をいただきました。そして、これはぜひとも地域みらい留学を進めるべきだとの御意見もいただきました。  午前中の藤井議員の質問の続きになりますが、ぜひとも、そのモデル校を、定員割れし寄宿舎もある南砺平高校にして、人口減少や地域活性化に対応し、子供たちの教育環境のさらなる向上を図るべきではないかと考えます。  荻布教育長は、先ほどの藤井議員の質問に対して、研究してまいりたいと述べられましたが、南砺平高校は環境がかなり整っておりますので、ぜひとも前向きな御答弁をお願いいたします。  また、これからの時代、これまでのような学力偏重、普通科一辺倒の画一的な教育ではなく、生きる力を養うことが最も重要視されてくると考えられ、特色のある個性を伸ばす教育を行うことと、子供たちが将来に向けて幅広い選択ができるように、県立高校も、それぞれ学校ごとに特色を生かした魅力ある教育に取り組む必要があると考えます。  そういった意味においても、職業科の充実や、普通科でも特色を出し、それぞれの学校の魅力化に取り組むべきと考えますが、教育長の御所見をお伺いいたします。  次に、やはり建設業界の皆さんとお話をしていると、担い手不足が深刻で、今後、防災・減災、国土強靱化を進めていくに当たって、このままでは事業の進捗に支障を来すことも考えられる、また、ゲリラ豪雨や地震などが起こることを考えたときに、災害や復旧の最前線で働いてくれる建設業従事者の不足というのは、除雪なども含めて、住民の命を危険にさらすことにつながると考えます。  そういったことを回避するためにも、建設業界のイメージアップや労働環境の向上はもちろんのこと、若いうちから担い手を育成する必要があると考えます。そうしたことからも、建設系学科の拡充が必要と考えます。  特に、砺波学区ではそうした学科がありません。現在でも東海北陸自動車道や利賀ダムなど、まだまだ大きな事業があるほか、県内一の豪雪地帯でもある五箇山も抱えています。この砺波学区にぜひともそうした学科が必要だと考えますが、新田知事の御所見をお伺いいたします。  次に、林業の振興について4点お伺いいたします。  昨年、コロナ禍により世界的に建築需要が高まり、木材需要が逼迫し、木材価格の高騰は世界的に生じ、輸入される木材も大きく減少しました。また、ロシアのウクライナ侵攻による経済制裁も相まって、ウッドショックに拍車がかかっています。  なお、2020年の木材自給率は41.8%と、前年比で4%伸びました。自給率が40%を超えたのは実に48年ぶりとのことであります。昨年はウッドショックもあり、その比率はさらに伸びていると考えられます。  一方で、人材不足や体制がしっかりと構築されていないことにより、この木材不足に対応できているとは言い難いものがあります。今後、県産材の需要拡大と安定供給、生産拡大への支援にしっかりと取り組むべきと考えますが、どのように取り組んでいくのか、近年の県産材利用量の実績や今後の見通しと併せて、堀口農林水産部長にお伺いいたします。  次に、森林環境譲与税であります。  2019年からスタートし全国の自治体に配分が始まっていますが、これが有効に活用されていないということであります。  この税は、森林の整備、林業人材の育成、公共施設での木材利用、防災のための森林保全などの財源として、最終的には全国の自治体に600億円が配られる予定でありますが、19年度、20年度と各市町村に配られた計500億円のうち使われたのは228億円であり、全体の54%、271億円が使い残しとなり、基金等に積み立てられていると聞きました。  戦後植えた多くの木が伐採期を迎えているにもかかわらず、放置されている山林がたくさんあり、山が荒れてきている。この税の創設により、こうしたことも解決に向かって動き出すかと期待していただけに残念であります。  本県においては有効に活用していただいていると認識していますが、市町村に対して有効活用を図れるようサポートしていく必要があると考えますし、そもそもにおいて、この税の配分基準が、私有林人工林面積50%、林業従事者数20%、人口30%となっており、この税の配分額のトップスリーの自治体は、1位が横浜市、2位が浜松市、3位が大阪市と、いずれも政令指定都市ばかりであります。浜松は別としても、横浜や大阪で山はどこにあるのか。例えば大阪市を地図上で確認してみると、一番大きな緑地は大阪城公園と花博記念公園でありました。  一方で、山間部の人口の少ない地域は配分額も少ない。これでは、この税の本当の意味での目的が果たされず、何のための税金か分からなくなってしまいます。
     この税が本来の目的に沿って有効活用されるためにも、人口を重視した配分基準の見直しや、人口の少ない地域での取組に財源の不足が生じないよう、国に強く働きかける必要があると考えますが、新田知事の御所見をお伺いいたします。  次に、先ほどから申し上げたように、木材需要の高まりを受け、国産材をどんどん伐採して供給を拡大すべきとの声があります。しかし、林業の現場では、担い手の高齢化と人手不足が大変厳しくなってきております。木材を切り出そうにも人がいなければ切り出すこともできず、生産拡大にもすぐには結びつかずにいます。  また、林業は常に危険が伴うとともに、平均年収も300万円程度と大変賃金が低く、離職する人が後を絶たない。例えば、2018年に就職した人のうち、3年後までに6割の人が離職をしていると聞いています。  山を守る人材を育てるために、林業カレッジやTOGA森の大学校などもありますが、県として積極的に取り組んでいるとは言い難く、もっと本腰を入れて人材育成と安定的な収入の確保に支援、取組をしていくべきと考えますが、農林水産部長に御所見をお伺いいたします。  次に、スマート林業についてお伺いします。  先ほどから申し上げていますように、県産材の積極活用や森林資源を生かす、また今後、脱炭素社会に向けても、林業の生産性向上と持続可能な林業経営の実現、また人材不足を補うためにも、ICT等先端技術を活用した森林管理や作業の効率化を進めることが、大変重要であると考えます。  現在、黒部市や南砺市などでICTを活用したスマート林業の実証実験が行われているようですが、今後、県としてどのように取り組みどのように支援していくのか、森林クラウドの活用状況と併せて農林水産部長の御所見をお伺いいたします。  次に、地域の活性化について4問お伺いいたします。  先日、私は、五箇山の平・上平地域の青年団が主催して3年ぶりに行われた納涼祭に行ってきました。久しぶりに見る顔もたくさんあり、楽しくお酒を飲ませていただきましたが、そのときに近所の子供──子供といっても既に二十歳は超えていますが、青年が寄ってきて、富山県の文化政策について意見を言われました。  その彼は、現在、静岡県において寺社仏閣の建築を行う会社で修業をしているのですが、将来的には富山へ戻ってきて、今の会社の同僚と共に富山で大工の会社を立ち上げたいと思っている。ただし、富山県では文化財の保存や継承に対して力が入っていない。もちろん、瑞龍寺や勝興寺、善徳寺のような国や県の重要文化財的なものに対しては、しっかり支援を行っているけれども、例えば、その他の市の文化財や国の登録有形文化財、その他の文化財の保存については、他県に比べても弱い。特に県内に多い浄土真宗の寺院は比較的新しいものが多く、文化財指定されていなかったり、魅力ある彫刻や建築様式などのある寺社仏閣がたくさんあるのに、とてももったいない。自分はふるさとに帰ってきて、富山県のこうした地域の文化や文化財を守っていきたいと考えているのに、行政の支援も薄く、将来的に地域でも守ることができないのではないか。今後、戻りたいけれども戻れない状況になるのではないかと悩みを打ち明けてくれました。  そこでお尋ねしますが、県として、文化観光という話も最近よく耳にしますが、地域の文化財や建造物に対して保存に取り組む団体の育成や活動の支援、改修の補助など、もっと積極的に取り組むべきと考えますが、新田知事の御所見をお伺いいたします。  次に、県内には、高岡銅器や漆器、井波彫刻や越中和紙、福岡の菅笠など、魅力的な伝統工芸品の産地を抱えていますが、一方で、多くの産地が高齢化や若手職人不足などに悩んでいます。  先ほども申し上げました文化観光ですが、これを推進するときに、ただ今ある文化財を見て歩くだけでは富山県が選ばれる観光地になるとは思えません。文化財を守ることはもちろんですが、これからは、その文化財を支える人、物、周辺の歴史や物語、ストーリーを大切にしていくことが、選ばれる文化観光につながるものと考えます。そのためにも、伝統工芸の職人をしっかりと育成する、担い手を確保することも大変重要だと考えます。  さらに、安定的な雇用を確保するには需要の創出が欠かせず、民間へのPR、支援はもちろんですが、仕事を生み出すためには、公共施設、公共建築物で積極的に取り入れることも必要であると考えます。  県として現状をどのように認識し、担い手不足などの課題解決に向けどのように取り組んでいくのか、中谷商工労働部長にお伺いいたします。  次に、Go To トラベルの代替事業である全国旅行支援が、来週にも開始されるという報道が先日なされました。また来月には、外国人観光客の入国者数上限も撤廃されるとのことで、今後はリベンジ消費ということもあり、本格的に観光客やインバウンドが戻ってくることが予想されます。  それに備えて、今回の9月補正予算案でも観光需要喚起策を実施するための予算が計上されていますが、外国からの誘客を図るためには、しっかりと石川県や岐阜県をはじめとした近隣県と連携し、広域的に誘客促進に取り組むことが重要であり、これにどのように取り組むのか。また今月から、地元で愉しもう!とやま観光キャンペーンの利用方法を変更されました。その理由と併せて南里地方創生局長にお伺いいたします。  次に、中山間地域の活性化を図るためには、やはりマンパワーが最も重要であります。そういった地域にとって、地域おこし協力隊は、若くフットワークも軽いので、地元のお年寄りだけではできないこともやってくれたり、いろんなアイデアを出してくれたりと、とてもありがたい存在であります。  今後もこの取組を進めるために、昨年度サンドボックス枠予算を利用し、地域おこし協力隊の現状や要望を把握するべく意向調査事業が行われました。その調査結果を踏まえ、地域おこし協力隊のさらなる増加や定着率の向上にしっかりと取り組んでいくべきと考えますが、今後どのように取り組んでいくのか、地方創生局長にお伺いいたします。  先般行われた参議院選挙最終盤の7月8日、奈良市において参議院選挙立候補者の応援のために街頭演説をされていた安倍晋三元総理が、テロリストの凶弾に倒れ命を落とされました。心よりお悔やみを申し上げます。  私自身、今年の5月に来県されたとき、隣で「頑張ろう」を主唱させていただき、少しですが言葉も交わさせていただき、にこやかな姿を間近で見ていただけに、信じられない気持ちで心にぽっかり穴が空いたような状態になりました。この損失は、日本のみならず世界にとっても大きな損失であることは間違いのないことだと思っております。  今回の事件は、選挙期間中に行われた民主主義の根幹を揺るがす大変な暴挙であります。こういったことは絶対に許されることではありませんし、このニュースは世界中に衝撃を与え、世界260の国や地域、機関から1,700件以上の弔意が寄せられ、米国やインド、フィリピンでは議会が追悼を決議し、インドやブラジルでは政府が喪に服すことを呼びかけ、オーストラリアやイスラエルの公共施設では弔意を表すライトアップも行われ、国連安保理でも黙祷がささげられました。  安倍元総理は、これまで8年8か月にわたって日本のリーダーとして経済再生に努め、デフレからの脱却を実現し、東日本大震災の復興に尽力し、当時は国論を二分していましたが、普通の国では当たり前の秘密保護法や平和安全法制を成立させ、2度にわたって消費税増税を実現するなど難しい課題にも果敢に挑戦し、前の政権によって信頼が失われていた日米同盟も再構築されました。  また、地球儀を俯瞰する外交や、自由で開かれたインド太平洋構想を提唱し、各国と連携し対中包囲網を形成するなど、我が国の世界での地位を大きく向上させ日本の存在感を高めるなど、世界のリーダーとしても大きな功績を残されました。  また、亡くなった直後の米国TIME誌では、安倍氏を表紙にし、「安倍氏は政治的巨人だった」「バブル崩壊後の景気低迷によって日本人が失った自信を取り戻すことに成功した」などとする識者のコメントも紹介していました。  一方、今月27日の国葬儀については世論を二分し、火爪議員のような様々な御意見や受け止めがあるのは承知していますが、私は、これだけ大きな功績を残しながらも銃弾に倒れた安倍元総理に対し、我が国は暴力やテロに屈しない姿勢を国内外に示す姿勢が重要だと考えますし、敬意と感謝を表しながら静かに見送ることが大事ではないかと思っております。  国葬議について反対運動されている方々を見ると、死者にむちを打つようで、大変残念でならないとともに悲しく思います。  先日、駐日ジョージア大使のティムラズ・レジャバ氏が自身のツイッターで、安倍元総理の国葬儀の一連の騒ぎに対して、「国葬をめぐってメディアや日本の一部のオフィシャルからあれこれと発言が出ていることを残念に思います。それどころか、故人に対する目に余る言動に心を締め付けられております」と投稿。「たった一人でも国外から来賓があるのならば、国民が一丸となって対応することが日本の懐ではないでしょうか」と述べ、また、「今は政治ではなく日本全体の姿が試される局面で、全く必要なく悲惨な死を迎えてしまった安倍元総理の英霊を敬い、自分は歴史に残る国葬となる覚悟で出席を決意した」とつづられていました。私もそのとおりだと思いました。  国では、地方公共団体や教育委員会等関係機関に対する弔意表明や、その協力、要請等は行わないとのことですが、このように憲政史上最長の在任期間を数え、様々な分野で歴史に残る業績を残されたことを踏まえ、本県では、県としてしっかりと弔意を示すべきだと考えます。  そこで、知事の御所見をお伺いしたいと思っておりましたが、一昨日の本会議で知事が、国葬儀への出席と併せて明確に弔意を示すことをお答えになられましたので、答弁が重複すると思われます。質問はいたしませんが、今後ともしっかりと適切に対応していただくことをお願いして質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。 77 ◯副議長(瘧師富士夫君)新田知事。    〔知事新田八朗君登壇〕 78 ◯知事(新田八朗君)安達孝彦議員の御質問にお答えします。  8月27日、私の誕生日なんですけども、その日に東京の国立劇場で南砺平高校郷土芸能部の後輩たちが堂々と踊る姿を見られて胸が熱くなったというお話を聞いて、私も本当に胸が熱くなりました。  実は一昨日、金沢である会がありまして、そこでオープニングのアトラクションとして、彼ら彼女らのパフォーマンスがありました。もう堂々と、県境を越えても、もちろん国立でやってきたんですから、金沢のおじさんたちばっかりだったんですけども、その前で本当に堂々と踊っておられた姿を、私も間近で見たことを報告させていただきます。  学科の設置についてのお答えをします。  本県の生活基盤あるいは社会基盤を整備、維持して更新していくためには、地域の安全や安心を支える土木、また建築分野の人材を育成することが大切だということは、全く同感です。しかし、少子化の進行に伴い、担い手の確保や育成が課題となっていることも承知をしております。  現在、県立高校で設置している土木、建築系の学科は、新川学区では桜井高校の土木科、富山学区では富山工業高校の建築工学科及び土木工学科、高岡学区では高岡工芸高校の建築科及び土木環境科の合わせて3校5学科でありますが、議員御紹介のとおり、砺波学区の県立高校には、南砺福野高校の農業環境科に土木類型があるものの、土木、建築系の学科がない状況であります。  現在、教育委員会の令和の魅力と活力ある県立高校のあり方検討委員会におきまして、これからの高校教育の在り方などについて検討を進めています。こうした中で、生徒や保護者、企業などを対象に、県立高校で学びたいことや高校の特色、望ましいと考える学校規模などに関してアンケート調査を実施しております。今後、調査結果を分析しまして、各学科や学校の魅力化、活性化の方向性について検討すると聞いております。  教育委員会には、まずは中学生の進路希望状況などを基本として検討いただくことが重要だと考えておりますが、地域の産業を担う人材育成をどう進めるのか、あるいは時代のニーズ、土木、建築系学科も含めた職業科の充実などについて、検討を進めてもらいたいと考えております。  次は、森林環境譲与税についての御質問にお答えします。  森林環境譲与税は、市町村が実施する森林整備などに充てるため令和元年度から配分されておりました。昨年度までの県内市町村への譲与税の総額は約5億5,000万円となっています。  各市町村では、森林整備が必要な場所の特定や所有者との調整、除間伐などに、これまで約3億円を活用し、残り2億5,000万円は一部の市町村を除き基金に積み立て、今後の事業に備えていると聞いております。  一方で県にも、市町村支援を目的に昨年度までに約1億円が配分されています。この財源を活用して森林政策課内に専任の職員1名を配置し、市町村に対し必要な助言指導をきめ細かく行っております。また、航空レーザー計測による森林資源情報の提供や、森林クラウドの構築などに約8,700万円を活用しているところです。  この譲与税は、譲与の割合ですが、私有人工林面積で5割、それから林業就業者数で2割、そして議員御指摘の人口3割、これを按分して、考えて配分されているわけでありますが、国では、森林整備の取組や施策の効果を検証しつつ必要に応じて見直しを検討するとされております。  確かに、人口が多い横浜、浜松、これに多く配分されているというのは、あれっと思うところなんですが、また一方で2年後、2024年からこの森林環境税が課税されるわけでありますが、この原資が1人当たり1,000円というものでありますから、一方では、人口が多いところはたくさん課税されるという、納税するという、そういった側面もあるので、今のところスタート時において、この林面積5割、林業就業者数2割、そして人口3割、こういう比率でスタートしたのかなとは思います。  ただ、人口の少ない地域への配分の見直しにつきましては、国の動きも踏まえながら、また、市町村が事業を進める中で、市町村からの要望も伺った上で検討していただくものだというふうに考えております。また、このあたりも要望していきたいというふうに思います。  ただ大切なことは、せっかく譲与される原資を、各市町村、また本県も含めてですが、上手に使って大いに活用して、実績を残していく。ああ、そうかと、市町村に任せたらこんなにいい使い方をしてくれるんだと、そういうことを示せれば、また配分も増えていく大きな力になるのではないかと理解をしております。  県としましては、市町村が取り組んでおられる森林整備のより一層の効率化や、あるいは省力化も推進するために、新たにスマート林業技術の現場実装に向けた実証も開始をしております。引き続き、市町村と連携して協力し合い、譲与税のさらなる活用を図ってまいりたいと考えます。  私からは最後になりますが、文化財の保存活用についての御質問にお答えをします。  文化財の保存・継承、活用の推進は、地域への誇りや愛着を育むとともに、地域文化の魅力発信や地域の活性化につながる大切な取組だと考えております。  このため県では、これまでも所有者や国、市町村と連携しながら、勝興寺、善徳寺などの保存修理、高岡の金屋町などの歴史的な町並みの美装化、また、城端曳山行事などの後継者育成への支援、インターネットを活用した魅力の発信など、文化財を観光資源として磨き上げることも見据えて、その保存と活用に努めてまいりました。  さらに、令和3年には、地域における文化財の総合的、計画的な保存・継承を後押しするとともに、その魅力をさらに磨き上げて地域の活性化に寄与するために、富山県文化財保存活用大綱を策定しました。  この大綱では、文化財の保存活用を担うための人材育成、文化財を生かした地域づくりを重点的な取組の方針に掲げ、これまでの取組に加え、文化財ボランティアや歴史的建造物の保存活用を後押しできる専門人材の育成への支援、地域住民の参画による地域の文化財を生かしたまちづくりなどを推進することとしています。  貴重な文化財を確実に保存・継承しながら、魅力あふれる地域づくりの核として、また地域の活性化にも寄与する文化観光資源として積極的に活用するためにも、官民が連携協力して効果的な取組を進めることが大切です。  本県では、今後も、地域の文化財の保存活用に熱心に取り組む民間団体の育成や、市町村と連携して行う地域の特色ある文化財を生かしたまちづくりの取組などを、支援してまいりたいと存じます。  以上です。 79 ◯副議長(瘧師富士夫君)荻布教育長。    〔教育長荻布佳子君登壇〕 80 ◯教育長(荻布佳子君)私からは、まず南砺平高校での県外からの生徒募集についてお答えをいたします。  南砺平高校郷土芸能部が、このたびの全国高等学校総合文化祭郷土芸能部門で最優秀賞・文部科学大臣賞を受賞したことは、本当にうれしく思っております。このように、南砺平高校は多くの生徒が全国大会に出場し、活躍しておりまして、県内外に魅力を発信している学校でございます。  御紹介のありました、しまね留学におきましては、県と市町村が連携をしながら高校の魅力化に取り組んでおり、生徒数の増加だけでなく、生徒の主体性や社会性が高まるなど、よい影響が見られているとのことでございます。受検をする場合、原則、県内居住の親族が必要であるなどの条件があるとのことですが、身元引受人がいれば受検が可能で、寮や下宿などに宿泊して学校に通う生徒さんもいるということでございます。  本県における県外生の受入れについては、県立高校入学者選抜において、原則として、本人及び保護者が本県内に居住している、または近く居住することが確実であることを志願資格としており、生徒単独の移住を前提とした受入れは行っていないということは、先ほど御答弁したとおりでございます。  南砺平高校で全国募集を導入する場合、現在、生徒寮がございますが、週末に運営をしていないため、平日以外に生活の世話をする体制を新たに整える必要がございます。  また、他の高校へ広げていこうという場合には、生徒受入れの宿泊施設を確保する必要があることや、県外生の受入れにより県内生の定員枠にも影響があることなどの課題がございます。  こうしたことを踏まえて、県外からの入学者募集をモデル的に導入し、全県に横展開するということについては、さらに研究を進めてまいりたいと思っております。  次に、県立高校の職業科の充実についてお答えをいたします。  県立高校における職業科では、工業、商業、農業、家庭、福祉などの専門教科に関する知識、技術を身につけて産業界などに求められる人材を育成し、就職や進学に結びつけること、ものづくりや農作物の栽培など協働的、創造的な学習活動を通して人間教育を行うことが重要と考えております。  県教育委員会では、こうした職業科の狙いを達成するため、学習、研究活動の支援、そして設備の充実に努めております。  各学校では、例えば工業科では、産業界との連携による技能講習や伝統工芸の継承などによるものづくり人材の育成、商業科では、企業と連携したライトレールのラッピングデザイン制作や旅行情報誌の発行などの商品開発、農業科では、GPSトラクターや農業用ドローンなどの最新の機器の導入による最先端の農業実習や研究など、それぞれの学校の特色を生かした活動に取り組んでおります。  また、全ての職業科で、インターンシップや企業の技術者などの招聘による専門性の高い授業を積極的に展開しております。  各学校では、これらの魅力ある教育活動を学校案内などで発信し、中学生が進路選択する際の参考になるよう努めております。  県教育委員会では、現在実施している高校へのニーズなどに関するアンケートの調査結果を分析の上、令和の魅力と活力ある県立高校のあり方検討委員会において、職業科の魅力化、活性化の方向性について検討を進めていくことにしております。  生徒の個性を伸ばし、未来を主体的に切り開く力を育めるよう、学習活動の充実、環境整備など、職業科のさらなる充実に取り組んでまいりたいと考えております。  私からは以上です。 81 ◯副議長(瘧師富士夫君)堀口農林水産部長。    〔農林水産部長堀口 正君登壇〕 82 ◯農林水産部長(堀口 正君)まず、県産材の安定供給についての御質問にお答えします。  昨年は、いわゆるウッドショックに伴いまして、減少する輸入材の代替として国産材の需要が高まった結果、県産材の利用量は15万1,000立米と、前年に比べまして18%増加しました。  さらに今年に入って、ロシア材の輸入規制や円安の進行なども加わり外材の供給見通しは不透明さを増していることから、国内では外材から国産材への転換が一層進むものと予想されております。こうした状況を踏まえまして、県産材のさらなる利用促進に取り組む必要がございます。  このため県では、県産材の利用促進に関する基本計画に基づきまして、主伐のための森林の集約化や路網整備、スマート林業の普及による生産性の向上、とやま県産材需給情報センターによる需給マッチングの円滑化など、安定供給体制の整備を進めております。  また、県産材の供給を加速化させるため、本年6月補正予算により、県産材の増産につながる県営林の毎木調査の前倒し実施や、原油価格の高騰による林業事業体や木材加工事業者の負担軽減のため、省エネ型の高性能林業機械、あるいは木材加工設備の導入支援にも取り組んでおります。  今後とも、県内の木材需要の動向を注視するとともに、この機会を県産材の需要拡大の好機と捉えまして、森林組合や製材業者等の関係者と連携し、県産材の安定供給に取り組んでまいります。  次に、林業従事者の確保等についての御質問にお答えします。  県内の林業従事者は、令和2年度末で427名となっており、緩やかな減少が続いていることから、今後のさらなる県産材の利活用を考えると、新規就業者の確保が重要となっております。  このため県では、農林水産公社に設置した林業担い手センターにおいて、毎年県内をはじめ、東京や大阪での就業相談会を実施しておりますほか、就業支援サイト「とやまの林業就業ナビ」やSNS等を活用いたしまして県内外に情報発信しております。また、高校生や大学生等を対象に林業体験を開催しており、これまでに30回、延べ590人の参加がございました。こうした取組によりまして新規就業者数は、令和元年度18名から2年度は36名、3年度は39名と増加しております。  一方で、平成29年度から令和元年度、この3か年の新規就業者は69人おりますけれども、そのうち3年後に定着したのは約半数の35名となっておりまして、その定着が課題となっております。  林野庁の白書によりますと、林業の年間平均給与は約340万円と全産業の中でも低い上、現場作業がきつく危険であることが離職の要因と考えられることから、担い手の定着に必要な収入確保やスマート林業を活用した安全で効率的な作業環境の構築、生産性の向上を図ることが必要になってきます。  このため、冬期林業の普及による通年雇用化を進めますとともに、林業カレッジにおいて、これまでの研修に加え、森林クラウドを活用したスマート林業を現地で活用、実践できる人材の育成を図るなど、これらの課題解決に取り組んでいるところです。  今後とも県産材を安定的、持続的に供給し、森林資源の循環利用を推進するため、関係団体とも連携しながら、新規就業者の確保育成に取り組んでまいります。  私からは最後になりますが、スマート林業についての御質問にお答えします。  県では、航空レーザー計測による高精度な森林資源情報の整備、市町村、森林組合、製材工場等の関係者がネットワーク上でリアルタイムに情報を共有する森林クラウドの構築など、ICTを活用したスマート林業の推進に取り組んでまいりました。  特に森林クラウドにつきましては、昨年7月から関係者間で操作研修を積み重ね、本年4月に運用を開始しております。現在、市町村では、森林所有者情報の取りまとめや伐採届の受理業務に活用され、事務の効率化が図られますとともに、森林組合等の林業事業体では、森林クラウド上での効率的な路網整備や施業の集約化の検討など活発に利用されております。  さらに、本年4月に市町村や林業事業体等の関係者から成る富山県林業イノベーション推進協議会を立ち上げまして、地上レーザーによる効率的かつ精密な森林調査や、携帯電話の不感地帯となっている山間部での通信網の構築、生産する木材の選別や集計作業を効率的に行うことができる高性能林業機械の実証など、スマート林業技術を現場に実装するための取組を進めているところです。  今後とも、森林クラウドを活用した情報共有や効率的な森林整備、スマート林業技術の実証、普及を一体的に進めることにより、生産性の向上や労働安全の確保、雇用の安定化を図るなど、持続可能な林業経営の実現に向け、関係者と協働して取り組んでまいります。 83 ◯副議長(瘧師富士夫君)中谷商工労働部長。    〔商工労働部長中谷 仁君登壇〕 84 ◯商工労働部長(中谷 仁君)私からは、伝統工芸の担い手不足対策等についてお答えをいたします。  本県の伝統工芸品産業は、長い歴史と伝統、高度な技術、技法により、優れた作品を生み出してまいりました。しかし、生活様式の変化等による販売額の減少や、技術習得までに3から10年といった長きを要するということから、後継者不足が年々深刻になってきております。担い手育成は、各産地にとって重要な課題となっているというふうに認識しております。
     県では、後継者育成のため、各産地で高い技術を持つ職人を伝統工芸の匠として認定させていただきまして、後継者の育成指導に係る費用を助成しております。また、今年度のサンドボックス枠予算を活用いたしまして、AIなどの最先端技術により、伝統技術のアーカイブ化等による技術承継に向けた調査を実施することにしております。調査結果を踏まえまして、後継者育成に向けた効果的な取組を検討していきたいと考えております。  さらに、今年3月に策定いたしました伝統工芸文化継承・産業振興プログラムに基づきまして、今年度は、職人のプロモーション動画を作成いたしまして10月頃からSNSで配信をし、働く魅力を広く皆さんに伝えていくほか、専門家の方々に伴走支援をいただき事業者の皆さんが企画立案をし、伝統工芸産業を牽引する新製品の開発を目指しております。  なお、公共施設での利用につきましては、富山県美術館、最近で言いますと今般整備いたしました県創業支援センターSCOP TOYAMAでも、高岡銅器や越中和紙を一部使用しております。引き続き機会を捉え、県内伝統工芸品の活用につなげてまいります。  今後とも、各伝統工芸品の産地組合や事業者の皆さんの御意見を伺いながら、関係自治体などとも連携をいたしまして、担い手不足などの課題解決に向けて取り組んでまいります。  以上でございます。 85 ◯副議長(瘧師富士夫君)南里地方創生局長。    〔地方創生局長南里明日香君登壇〕 86 ◯地方創生局長(南里明日香君)私からは2問、まず広域観光についてお答えいたします。  令和6年春には北陸新幹線敦賀開業、その秋には北陸デスティネーションキャンペーンが予定されております。北陸を国内外に発信する絶好のチャンスでございまして、これまで以上に北陸3県と連携を強固にした取組が必要と考えております。  先般の北陸三県知事懇談会においては、新田知事から提案した北陸3県が一体となったマイクロツーリズムの推進や観光地域づくりについて合意されました。これを受けて今後、観光案内所スタッフ相互の研修会の開催や、観光案内所へのパンフレットの相互配架、さらに北陸3県を周遊するモデルコースの設定など、受入れ環境の整備に連携して取り組むこととしております。  また、新田知事から北陸DMOの設置についても提案いたしまして、北陸経済連合会では、北陸の自然、歴史、文化に高い関心を示している欧米の富裕層向けのマーケティングやプロモーションを行う北陸DMOのあるべき姿について、検討を進めていくとされておるところでございます。  また、とやま観光キャンペーンについては、議員から御紹介いただきましたとおり、9月以降、あらかじめ県内旅行会社またはコンビニで宿泊券を半額で事前購入する方式から、より利便性が高い直接割引方式に制度変更いたしました。これは、近く開始が見込まれます全国旅行支援のキャンペーンに速やかに移行できるように対応したものでございます。  全国旅行支援の開始に向けまして、県独自の観光PRや観光物産展など、効果的なプロモーションの準備を進めているところです。近隣県はもとより全国から、また水際対策が段階的に進んでいきましたら外国から、多くの方に本県を訪れていただけるよう誘客促進に取り組んでまいります。  そして最後に、地域おこし協力隊についてお答えいたします。  県内では、本年9月1日現在で47名の地域おこし協力隊員が中山間地域等の活性化の新たな担い手として活動されておられます。隊員としての任期終了後も、令和2年度末現在では約68%、これは全国平均よりも高いポイントなんですけれども、約68%の方が県内に定着し、様々な分野で活躍されておられます。  ただ、さらなる隊員応募者の増加や任期終了後の県内定着促進のため、現役隊員及び卒業隊員を対象に協力隊についてアンケート調査を実施したところでございます。その結果、募集、受入れ、定住に必要な取組として、ネットワークづくりや、起業、就職への支援のほか、隊員と受入れ側のミスマッチ解消を求める声が多く寄せられたところでございます。  この結果を踏まえまして、募集段階から任期終了後までの隊員や市町村へのサポートを一体的に取り組むことが重要との認識の下、効果的な隊員の募集、受入れに向けた市町村担当職員対象の研修の実施、隊員の素顔や活動を紹介するテレビ番組の制作・放映、隊員向け相談窓口の設置、ふるさと納税を活用したクラウドファンディングによる起業支援などに取り組んでおるところでございます。  研修では、実際に市町村が用いている募集要項をブラッシュアップするなど実践的な内容といたしまして、他県からも視察に来ていただいたほか、クラウドファンディングでは5名の隊員や卒業隊員の方から意欲的な応募がございまして、新世紀産業機構や国の地域おこし協力隊サポートデスクなどの専門家からも事業への応援や助言をいただきつつ、事業プランのPR開始に向けた準備を現在進めておるところでございます。  今後も隊員の受入れや定着が一層進むよう、引き続き市町村と連携して取り組んでまいります。 87 ◯副議長(瘧師富士夫君)以上で安達孝彦君の質問は終了しました。  暫時休憩いたします。休憩時間は10分間といたします。  午後3時04分休憩       ───────────────────  午後3時15分開議 88 ◯議長(渡辺守人君)休憩前に引き続き会議を開きます。  山崎宗良君。    〔16番山崎宗良君登壇〕 89 ◯16番(山崎宗良君)コロナ明けのため、マスク着用のまま発言をいたします。  新型コロナウイルスへの感染対策に伴う経済的ダメージや生活習慣の変化、ロシアによるウクライナ侵攻と、これに端を発した燃料をはじめとするあらゆる資材高騰と不足、また、安倍元首相が銃撃により亡くなる事件が発生し、そして先月の集中豪雨による市街地での冠水被害など、まさに想定外のことが連続して発生しています。  このような試練を経験しながらも、私たちは一つ一つの問題に真摯に向き合い、ウエルビーイング──真の幸せを感じられる富山県に近づけるよう、共に知恵を絞ってまいりたいと思います。  本日は、地元中新川からたくさんの方に傍聴に来ていただいております。日頃の御支援に心から感謝申し上げて、以下、質問に入ります。ありがとうございます。  最初に、国の根幹である人づくりであります。  学校教育等について3問伺います。  文部科学省では、予測困難な時代にあっても、自ら課題を見つけ、学び、考え、判断して行動できるように、生きる力を育むことを学習指導要領で求めています。  本年4月から高校においてスタートした新しい学習指導要領では、主体的・対話的で深い学び、アクティブラーニングを重視していますが、これまでの取組状況はどうか、学習指導要領に対する認識と併せて荻布教育長に伺います。  先月、自民党政調会の企画財務部会で、埼玉県の戸田東小学校と中野区の新渡戸文化学園へ視察に行ってまいりました。公立の小学校と私立の中学、高校でしたが、共通していたのは、知的好奇心などの生徒の興味や関心を育むことに重きを置いているところです。  これまでの教育現場では、カリキュラム、課題、宿題などの多くは、学校側が決定し生徒に与えてきており、子供たちの自己決定の少なさが幸福度が低い要因とされています。ちなみに、主要6か国中、自分の国の将来がよくなると答えた日本の子供の割合は13.9%で最下位です。  視察した新渡戸文化学園では、自己理解、選択、対話、創造表現、情報活用、つながりといった6つの自律型特性を磨きながら、生徒がなりたい自分地図を作り、なりたい自分になるための道筋を自ら調べ、主体的に行動する教育に取り組んでいます。  現代社会においては、新型コロナウイルスの発生や戦争の勃発など、予期せぬことが起きる中をたくましく生き抜く力が求められており、これこそ富山県教育大綱に掲げる真の人間力ではないかと思います。  子供たちが生き抜く力、人間力を身につけウエルビーイングを高めるためには、将来なりたい自分を目指して自ら考えチャレンジする、それを教員がサポートするような、教えない授業、自己決定する教育への転換が重要と考えますが、荻布教育長に所見を伺います。  我が会派の宮本光明議員の代表質問において、高校再編については総合教育会議で有識者の意見を聞くと答弁がありました。有識者の意見とともに議員の意見にも耳を傾けていただきたいと思います。  今後の生徒数は、毎年の出生数を調べれば、すぐにおおよその答えが出ます。この数だけで組み立てれば、どこかの地域が割を食うこととなります。  本年5月に開催された政策討論委員会でも、高校の今後の在り方について議論がなされましたが、その際、福井県立大の恐竜学科や石川県の航空高校など、地域の特性を生かした例が挙げられました。これらの学校では全国の学生が入学を希望します。富山県にも他府県に誇る文化や産業があり、これらを生かした魅力ある学校づくりによって、全国から注目される、生徒がぜひ入学したいという高校を目指すべきと考えます。  そのためには、知事が目指すべきビジョンを示し、強いリーダーシップの下に進めていく必要があると考えますが、新田知事の所見を伺います。  次に、安心・安全について5問伺います。  近年、日本列島を襲った線状降水帯等の豪雨は西日本を中心に発生していましたが、この夏は東北や北陸でも発生し、富山県においては、先月13日及び20日に、短時間に大量の雨が降ったことや市街地の排水が追いつかず家屋への浸水が発生するなど、これまでにない特徴的な被害が発生しています。海水温の高温化などの状況を見ると、今後このような短時間集中豪雨の頻発化、常態化が想定されます。  この対策については、河川改修をはじめ、道路排水や農業排水の処理能力の向上、透水性資材の活用、地下貯留施設の整備などが考えられますが、いずれも公共事業費の安定的な確保が必要となります。国と連携してさらなる予算の確保を進めていく必要があると思いますが、今後どのように取り組んでいかれるのか、市井土木部長に伺います。  白岩川水系において、白岩川本流、支流の細川、栃津川は、洪水危険箇所が複数存在しており、先日の大雨でも細川の堤防が一部崩壊するなどの被害が発生しており、災害対策の強化が必要です。  現在、国土強靱化5か年加速化対策も進行中ですが、前倒しで進められていることもあり、国に対して十分な財源確保を働きかけるなど取組を加速させる必要があると思いますが、市井土木部長に伺います。  河川堤防の報償草刈りについては、自治会が中心となって実施してくださっています。堤防上の道路は河川の見守りにも必要ですが、1回の草刈りでは草の伸びが早く、車を覆うような草が生い茂り、管理道路として機能しづらくなります。このため、真面目な地域では年に3回以上の草刈りを実施されています。  これまでは地域住民の善意で継続されてきた草刈りですが、高齢化や家族が近隣市町村に移住しているなどの理由から継続が困難となり、草刈りを実施できない箇所が我が町でも現実に出てまいりました。このようなケースが増えることが予想されます。  報償単価は平米当たり38円となっており、シルバー人材センターのサービスと比べても低く、草刈り機の維持費すら賄えないのが現状です。今後、高齢化の進展や担い手不足により、さらに負担が増えることが危惧されることから、安価な報償単価を再考するなど、少しでも負担軽減が図られるよう支援すべきと考えますが、市井土木部長の所見を伺います。  地元要望の最も多いものの一つに、イノシシ等の有害鳥獣の被害があります。地元の猟師さんからは、日の出から日没の間と法律で決められているルールを緩和してもらえれば、少なくとも1.5倍は捕獲できるとの切実な声が、私が議員になった当初から上がっています。このルールは、仲間の誤射を防ぐために決められているルールと聞いています。  8月の初旬だったと思いますが、ちょうど日の出の時間に自宅前で明るさが何ルクスあるか測ったところ、1,800ルクスありました。JISでは、机の上の作業に必要な照度は750ルクスと規定されています。要するに、作業に必要な明るさの2倍以上あったわけです。  誤射を防ぐために必要なルールを時間から明るさに変更することができれば、有害鳥獣の捕獲効率を高めることができます。IT機器などを駆使した捕獲実験が行われている昨今ですので、安全性について合理的に確保することは可能なのではないかと思います。  これまでの事故の傾向や議論の内容など、現在下調べをしているところですが、捕獲数の増加につながるよう県としても効果を検証し国に働きかけてはどうか、廣島生活環境文化部長に伺います。  筱岡議員の質問にもありましたが、警察署再編について伺います。  県東部のうち滑川、上市、立山、舟橋のエリアでは、2署から1署への再編が予定されています。  県警察機能強化推進計画では、治安情勢や道路事情、地域住民の利便性等を考慮し検討するとありますが、適地の選定基準については、現場到着時間などの初動対応を含めどのような観点を重視して選定するのか、杉本県警本部長に伺います。  次に、持続可能な農業について3問伺います。  農家の大きな役割は、農産物の生産供給もその一つですが、国土保全も外してはならない大切な役割だと思います。  農業法人や集落営農など、国から手厚い支援メニューが示されている組織は一定の継続性が見込まれますが、それ以外の兼業農家などには手厚い支援がないため、昨今の米価下落が追い打ちをかけ、さらに耕作を放棄するケースが増えてきています。兼業農家の皆さんにも引き続き地域農業に関わっていただけるよう、農地を維持するための支援が必要と考えますが、堀口農林水産部長の所見を伺います。  みどりの食料システム戦略において、有機農産物の生産拡大が求められています。  ロシアによるウクライナ侵攻によって、食料をはじめ化学肥料などあらゆる物資が高騰している中で、これまで輸入に頼ってきた作物を国内で調達し、自給できるようにするためにも、食育や地産地消の面からも、みどりの食料システム戦略は期せずして的を射たものとなっています。  しかし、現在の有機農作物の作付面積はとても小さく、栽培技術者も少ないことから、その普及拡大は一朝一夕というわけにはまいりません。  そこで、千葉県いすみ市や南砺市のように、生産された有機作物を全て買い取り学校給食で使用することで、安定的なマーケットをつくり出すことができ農家の経営も安定し、普及拡大しやすくなることが予想されます。富山県の一つの特徴として、全県下で取り組むことで全国からの移住も期待できると考えられますが、堀口農林水産部長の所見を伺います。  この8月の集中豪雨は、河川や道路にとどまらず、今後、農業用排水路等の越水被害の増加も懸念されます。  先ほども問題提起させていただいた兼業農家においては、経営が厳しく、用排水の断面拡充が必要となった場合など、費用負担が困難であるため国や県の支援が必要と思われますが、堀口農林水産部長に所見を伺います。  最後に、成長戦略等について3問伺います。  3年前に厚生労働省から、一方的に公的病院の再編対象施設名が公表されましたが、必要なのは、いたずらに公的病院を減らすことではなく、徹底した予防施策の展開によって病気になる人を減らすことこそが本来のあるべき姿だと思います。我が会派の代表質問においても、歯科健診の義務化と歯科口腔保健対策の展開による予防対策について取り上げています。  一方で、地域にはとても元気な高齢者の方がおられ、人の世話にならなくても済む間取りの研究や、楽しんで日々取り組める運動習慣の研究など、自ら実践している方がおられます。このような実践に取り組む高齢者をはじめとする方にスポットを当ててPRすることで、中高年齢層への機運醸成や普及につなげることができると考えます。  人生100年時代において治療よりも予防の流れが加速する中、地域のモデルとなるような取組を発掘し、積極的に横展開していくべきと思いますが、有賀厚生部長の所見を伺います。  先日、富山県手をつなぐ育成会の研修会があり、参加してまいりました。滋賀県の知的な障害のある方たちの作業所やまなみ工房で、障害者アート、いわゆるアールブリュットの取組について講演を伺いました。やまなみ工房では、作品の評価ではなく作品を作ることそのものに喜びを感じ、それを追求した結果、アート作品が生まれているとのことでした。  あるアーティストさんは、長年、土木現場で穴を掘り続けておられましたが、不況で解雇されてしまい、70歳を過ぎてからやまなみ工房に来られました。こちらから何かを勧めたわけではなく、工房で自然と作品作りに取り組むことで、鉛筆のみで身の丈を超えるほどの大きな作品を作り上げます。その絵は幾何学的でもあり愛らしく、人間味豊かでもあります。  やまなみ工房には、こんなアーティストさんがたくさんおられますが、その生き方や取組姿勢にははっとさせられます。これはウエルビーイングの本質の一端を表していると思います。  県では、現在、ウエルビーイングの指標づくりに取り組んでおられますが、このような生き方や本人の価値観によるところも大きく、幸福度を数値化することは容易ではないと思われますが、どのような視点から検討するのか、また、指標と並行してウエルビーイングの認知度を高める取組が必要と考えます。新田知事に伺います。  さきの参議院選挙の折に、青山繁晴さんが富山県で講演された際に、日本海の海底に埋蔵されているメタンハイドレートの可能性についてお話しされました。自民党富山湾未来創造調査会においても、以前から富山県で活用の可能性のある新エネルギーとして注目してきました。  これまでは、海底のメタンハイドレートを採掘する前提の話でしたが、青山繁晴さんの講演では、メタンガスの気泡の柱、いわゆるメタンプルームが複数あり、大気中へ放出されているが、これを大きなテントのような人工膜で回収することができれば、採掘するよりもコスト軽減が期待できるとのお話でした。  資源エネルギー価格の高騰や安定調達が喫緊の課題となる中、新たな国産エネルギー源の確保や経済効果が期待できるメタンハイドレートの実用化に向け、県としても開発促進の加速化に取り組むべきと考えますが、三牧知事政策局長に伺って質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。 90 ◯議長(渡辺守人君)新田知事。    〔知事新田八朗君登壇〕 91 ◯知事(新田八朗君)山崎宗良議員の御質問にお答えをします。  まず、高校の教育のことについてでございます。  本県の教育の根幹をなすのが教育大綱であります。現在第2期目の富山県教育大綱になっています。ここでは、様々なニーズに対応した教育環境の整備が進められ、子供や若者が未来に希望を持って魅力ある教育を受けられることを目標の一つとしています。  この目標の実現のためには、社会の変化や生徒、保護者のニーズなどに対応した高校教育の一層の充実を図るとともに、今後の中学校卒業予定者数の推移も踏まえつつ、地域や学科の特色を生かした、より魅力ある学校づくりが大切だと考えております。  現在、教育委員会の令和の魅力と活力ある県立高校のあり方検討委員会──もう本議会でも既に何度もこの話をさせていただいておりますが、ここで議論が進んでいるところです。また、私が主宰をする総合教育会議においても、できるだけ早く、様々な有識者の御意見も伺いながら、議員御指摘の子供ファーストの視点を重視しながら、目指すべきビジョンなどについて丁寧に議論を進めてまいりたいと考えます。  その上で、来年度以降の検討の場や検討組織の在り方も含めて、再編の必要性、あるいは学校規模や基準など、高校再編について、改めて慎重かつ丁寧に検討していく必要があると考えます。  私のビジョン、強いリーダーシップということでございましたが、このビジョンを私一人が示せるものでもありませんが、私の現時点での考え方を少しだけ述べさせていただくとすれば、やはり今、変動が激しく、そして不確実で、そしてまた複雑で、また曖昧な時代、予測がなかなかできない時代です。そんな中で今の子供たちは、これから成長し社会人となって働いていく、生きていく必要があります。となりますと、そのような言わば混沌の中で、果たして問題はどこにあるのか。まず、与えられた問題ではなくて、自ら問題を発見するという能力が必要だと考えております。そして、それをデータを使って解決していく能力、これも大切だと思います。  そのようなことが私としてはビジョンでありますが、やっぱりこれは一人の意見で決まるものではもちろんなく、様々な有識者あるいは学校現場、様々な皆さんの御意見を伺って構築していきたいと考えております。  本県の将来を担う子供たちが、まずは未来に希望を持って、魅力ある教育を受けられるように教育環境を整備することが、本県の重要な役目だと思っています。今後も社会情勢の変化や新たな課題への対応も図りながら、高校教育がさらに充実するように努めてまいります。  そしてまた、もう一つ、私の役割としては、高校生たちが卒業して、その後行くであろう大学、あるいは社会、産業界、経済界、このような方々との交流の、私は窓口になるべきだと考えています。大学の学長ともよくお会いする機会があります。また、企業の経営者ともお会いする機会があります。経済団体ともよく会う機会もあります。これらの方々が教育に求められているもの、それから、そこで子供たちが生きていくためにはどんな能力を身につけて世の中に出ていけばいいのか、そのようなものは、私がまず感じ取って、それを教育委員会にもまたフィードバックする、そのようなことも私の役目だと考えております。  次に、ウエルビーイングについての御質問についてお答えします。  現在の成熟した社会では、GDPに代表される経済的な量の指標、物差しだけではなかなか幸せを実感しにくい社会になっていると思います。  私は、今後は一人一人の主観的な実感としての幸せを重視し、県民の生活や人生の質の向上を目指すべきと考えております。そうした考えの下、成長戦略では、経済的な豊かさに加えまして、身体的、精神的、また社会的に良好な状態のことを示すウエルビーイングを中心に据えています。  県民が自分らしく生き生きと暮らせる富山県をつくっていく、その第一歩として、今後の県施策の新たな物差しとなる県民の主観的幸福度を測るウエルビーイング指標の設定に向けて、現在、県民の主観的な幸福度を計る意識傾向やウエルビーイング要素を捉えるための調査を実施しているところであります。  5,000人の県民を対象に、既に送付は終わっておりますが、もしかしたら届いている方もこの中に、200人に1人に当たるというか送られておりますので、もし届いている方がおられたら、9月30日が締切りになっておりますので、ぜひ積極的な返信をお願いしたいと思います。100万人に対して5,000人、もし全員に御回答いただければ、本当に大きな傾向が分かると思います。  ウエルビーイングは一人一人異なるわけで、おっしゃるように、その指標化も容易ではありませんが、1人でも多くのそのような意識調査の返答があれば、そこから必ずや傾向が分かる。どういった場で、どういった場面で、人のウエルビーイングが上がるのか、人が幸福を実感できるのか、このようなものを描き出していきたいと考えています。  もちろん、既に国内外で様々な専門家の知見もたまってきています。これらも参考にしながら、県施策の展開につながるような指標となるように努めていきたいと考えております。  また、県民のウエルビーイングを高めるには、県が常にその向上を意識して施策展開に当たることに加えまして、県民のお一人お一人にも、ウエルビーイング、もっと幸せになるんだと、幸せを実感できるんだということを考えていただいて、自分事としていただく必要があります。施策の提案や改善に協力いただきたいと願っております。
     しかしながら、県民意識への浸透に関しては、いまだ課題が多いということも実感をしております。今般の補正予算に計上した、県民参加によりウエルビーイングへの理解と行動を促す事業の展開などを通じ、県民の認知度の向上を図っていくことも引き続き大切だと考えております。  なお、手をつなぐ育成会での知見の話も議員からお話をいただきました。  私も、知的関連障害の皆さんを応援するボランティア団体に四半世紀近く関わってまいり、そこで障害を持つ皆さんの美術展を20年以上主催してまいりました。まさに、作品を描くこと、そしてそれを展示しているのを見られること、これも大変皆さん励みにしておられます。自分で描いた作品なんですけども、それが公の場で展示され、それを多くの人が見ている姿が、また彼ら彼女らのポジティブなマインドにつながっていきますし、また達成感にもつながっていきますし、そしてまた、より一層頑張って、集中して没入していく、そんなことにもつながっていく、まさにウエルビーイングの向上につながっていけるんだと思います。  あわせて、障害ということで言いますと、何度も本席でも申し上げましたが、ボッチャの藤井友里子選手が東京五輪から帰ってこられたときに、本当にウエルビーイングマックス状態でお話をすることができました。彼女の場合は、やっぱり活躍の場を得たということ、それはやっぱりポジティブに一歩前に踏み出して活躍をする場ができた、そして多くの人に応援されたという人のつながりを意識できたこと。そして、試合中はもちろん集中して没入していられた。そんな経験から、彼女のあのときのウエルビーイングはマックスになっていたわけであります。  そのような障害を持つ方も、あるいは障害を持たない方も、様々なこのウエルビーイングを上げる場面があるはずであります。その辺りをしっかりと描き出して、100万人の県民皆さんがウエルビーイングを実感できるような、そんな場づくりを一つでも多くしていくのが県の務めだと思っております。  私からは以上です。 92 ◯議長(渡辺守人君)荻布教育長。    〔教育長荻布佳子君登壇〕 93 ◯教育長(荻布佳子君)私からは、まず、主体的・対話的で深い学びの取組状況についてお答えをいたします。  今年度より年次進行で実施をしております高校の学習指導要領では、知識及び技能の習得、思考力、判断力、表現力などの育成、学びに向かう力、人間性などの涵養の3つの柱が偏りなく実現されますよう、生徒の主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を行うということが示されております。  選挙権年齢、そして成年年齢の引下げなど、高校生にとっては政治や社会が一層身近なものとなっております。このため、学習内容を人生や社会の在り方と結びつけて深く理解し、これからの時代に求められる資質、能力を身につけ、生涯にわたって能動的に学び続けられるよう、学習指導要領にあるとおり、学習の質を一層高める授業改善を推進していくことが重要と考えております。  県教育委員会では、平成30年度から2年間、各学校の授業改善を推進する取組を支援いたしておりまして、これにより、生徒が調べたことを教え合ったり、討論により考えをまとめたりする活動が多く見られるようになっております。  また、令和3年度からは、探求的な学びを推進する事業を実施しており、課題発見能力、課題解決能力の育成を図っております。少人数グループで課題設定、情報収集をし、整理分析したものをまとめて表現する活動によって、生徒は学び方について再認識するとともに、主体性や協調性を育み、各教科の学びにも大きな効果をもたらしているところでございます。  今後も、生徒が、主体的・対話的で深い学びを通して学習内容を深く理解し、必要な資質、能力を身につけ、そして生涯にわたり学び続けられるよう、指導の充実に努めてまいります。  次に、子供たちが自己決定する教育についての御質問にお答えします。  社会の価値観が多様化する中、御指摘のとおり、学校教育においてもウエルビーイングの向上を目指し、子供たちが自己実現に向けて主体的に自己決定する、そういった教育の実践が重要と考えております。  各学校では工夫した取組を進めており、小中学校の総合的な学習の時間や高校の探求の時間の授業では、教師主導ではなく、子供たちが自ら課題を立て自らの力で解決をしていく活動を行っています。  また、県教育委員会では、小中学校で取り組む授業改善の視点を示し、子供たちの能力の向上を図る学力向上プログラムを実施しております。これまでは、学び合いや体験を重視した授業実践により、子供たちの主体性の育成に努めてきたところです。来年度からは、対話を通して自己調整、自己決定し、課題解決に取り組む授業改善を進めて、問題発見、解決能力の育成を図ることとしております。  また、さらにキャリア教育においても、県教育委員会が作成したライフプラン教育の冊子を活用し、自分の将来を描き、そのために必要な資質や能力について考え、実現までの道のりをイメージする活動を行うほか、修学旅行をはじめとして学校行事の計画を自分たちで考えたり、生徒会で校則や制服を見直すなど、生徒が主体となり自己決定する機会を積極的に設定しております。  今後、主体的、対話的な学びを重視した取組をさらに進め、子供たちが自己実現を図るため、自らの人生を主体的に切り開いていく力の育成に努めてまいりたいと考えております。  私からは以上です。 94 ◯議長(渡辺守人君)市井土木部長。    〔土木部長市井昌彦君登壇〕 95 ◯土木部長(市井昌彦君)私から3問、まず、今後の洪水対策についての御質問にお答えします。  近年、記録的な集中豪雨等により、全国各地で甚大な被害を伴う災害が頻発しており、本年8月中旬の大雨では、富山市や高岡市などの市街地はじめ、県内でも住宅や道路などの浸水被害が発生しました。県民の皆様に安全・安心を実感していただくためには、県土強靱化、特に治水対策に必要な社会資本の整備を進めていくことが重要であると考えております。  現在、国直轄の神通川、庄川、また県の冷川、地久子川などの河川改修をはじめ、市町村による雨水貯留施設、雨水幹線の整備、加えて、雨水を適切に排水する道路側溝や農業用排水路の整備のほか、都市部の歩道や公園の園路整備への透水性舗装の採用など、関係する国、県、市町村が連携して治水対策を進めております。  今後、国では、気候変動による水害リスクの増大に備えるために、流域治水の本格的な実践に取り組むこととしており、本県でも、河川管理者だけでなく、雨水貯留施設、農業水利施設の管理者や地域の企業、住民の皆様の御協力をいただき、流域全体の関係者と一体となって流域治水に取り組んでいくこととしております。  県としましては、国の防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策による交付金なども活用し、社会資本整備を進めるとともに、今後とも必要な公共事業費の安定的な確保が図られるよう国に働きかけるなど、災害に強い安全・安心な県土の実現に向けて努めてまいります。  次に、白岩川水系の災害対策についての御質問にお答えします。  白岩川流域においては、8月20日の大雨により河川水位が上昇し、白岩川や栃津川では避難判断水位に到達し、細川では護岸の上の土の部分が一部崩れるなどの被害が発生しました。  県では、これまでの出水状況を踏まえ、現在、この流域における治水対策を鋭意進めております。  まず、白岩川では、大岩川との合流点付近の650メートル区間、上市町新屋、女川、横越、和合地区において堤防や護岸の整備を行っており、今年度は和合地区で護岸を整備します。また、新たに合流点下流の稗田地区140メートルの護岸整備にも着手します。加えて、正印新地区における河道掘削も実施します。  栃津川では、立山町寺田地区における河道掘削のほか、上市町新村地区において、河川堤防からの漏水に対し対策を検討するための調査を行っています。  細川では、大雨時の被災箇所の修繕を既に終え、その下流の海老江地区の改修に向け設計を行うほか、上流の古海老江地区で河道掘削を実施します。  今回の大雨は県内各地で被害をもたらしており、県としては今後とも、国の防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策による交付金を活用し、河川整備を着実に進め、災害対策に努めてまいります。  最後に、河川の報償草刈りの御質問についてお答えします。  県では、現在、318河川、足し合わせた合計延長約1,482キロメートルの河川を管理しています。左右両岸で約2,964キロメートルとなるこのうちの約3分の1に当たる約1,000キロメートルにおいて、沿川の町内会等の団体の皆様にボランティアによる河川の草刈りをお願いし、御了解いただいた団体に対し、草刈りの御礼として報償費をお支払いしております。各団体の皆様には、毎年、大変御苦労をいただいており、改めて感謝を申し上げます。  令和3年度は、567の団体から延べ2万4,000人の御参加をいただき、県全体では合計で約700ヘクタールの草刈りが行われました。また、その報償費は1平方メートル当たり31円の単価としていることから、実績で約2億2,000万円となったところです。  この報償草刈りについては、議員御指摘のとおり、一部の団体から、前回改定の平成9年度から同額である単価について増額してほしいとの御意見や、高齢化の進行により担い手が確保できず続けることができないとの御意見も伺っております。  県としましては、護岸の修繕や河道の掘削なども実施し、県下1,482キロメートルの河川を適切に管理していくため、今後とも地域の皆様の御協力をいただければと考えており、他県の事例も参考に、少しでも各団体の御負担を軽減できないか検討してまいります。  以上です。 96 ◯議長(渡辺守人君)廣島生活環境文化部長。    〔生活環境文化部長廣島伸一君登壇〕 97 ◯生活環境文化部長(廣島伸一君)私からは、イノシシ等の鳥獣被害対策の強化に関する質問についてお答えいたします。  議員も言及されましたが、鳥獣保護管理法では、日の出前及び日没後において行う銃器を使用した鳥獣の捕獲、いわゆる夜間銃猟につきましては、狩猟対象のはっきりとした判別が困難なため、銃砲の発射により特に人に危害が生じるおそれがありますことから、原則禁止とされているところでございます。  また同法の規定により、特例的に夜間銃猟を認めております指定管理鳥獣捕獲等事業、こちらのほうは、夜間銃猟の必要性や効果、また厳格な安全管理体制や安全確保の高度な技術の備えなどが要件とされ、極めて限定的に実施されているというところでございます。いずれも人命の安全確保が前提になっているものと考えられます。  議員から、銃猟が可能な時間帯の基準を実際の明るさで決めること、これに変更してはどうかという御提案をいただきました。  これに関しましては、環境省の通知が一つございまして、日の出前または日の出後は、事実上の日光の明暗によって定めるべきではない。銃猟に適する時間と適さない時間を事実上の明暗により区別するのは、その標準が極めて曖昧などの考え方が示されております。  御提案につきまして、国に見直しを求めるには、まずこの考え方に対する詳細な論証が必要になると考えております。また、県から国へ提案する際には、先ほど述べました指定管理鳥獣捕獲等事業でも要件とされた取組の効果ですとか厳格な安全確保策、このほか実際に銃猟を行う方々の御意見の取りまとめなども必要になると考えられるところでございます。  このため、まずは、この御提案について改めて議員のお考えも聞かせていただいた上で、県猟友会の皆さんや市町村、県警察など関係機関の御意見を伺ってまいりたいと考えております。  なお、イノシシに関しましては、私どもも猟友会や市町村と連携して捕獲強化にこれまでも努めております。また、新たにICT技術の活用による効果的な捕獲の推進なども取組を進めることとしております。  私からは以上でございます。 98 ◯議長(渡辺守人君)杉本警察本部長。    〔警察本部長杉本伸正君登壇〕 99 ◯警察本部長(杉本伸正君)私からは、警察署の適地選定についての御質問にお答えいたします。  本年2月に策定しました富山県警察機能強化推進計画において、県東部のうち、滑川警察署と上市警察署の2警察署で再編統合し、再編後は滑川市、上市町、立山町及び舟橋村の4自治体を管轄することとしております。  再編は新たな庁舎の整備時期に合わせて実行することとしており、現在、建設適地について敷地面積、治安情勢、道路事情、住民の利便性等のほか、災害時にも十分に機能を発揮できる場所を調査するとともに、各自治体からいただいた遊休地に関する情報などを総合的に勘案し、適地を4か所程度に絞り込んでいるところでございます。  その中で、議員御指摘の事件事故が発生した際の初動対応の観点から申し上げますと、再編により管轄区域の面積が広くなることも念頭に置き、通報を受けてから警察官が現場に到着するまでのレスポンスタイムが十分に短いものとなるよう、警察署員が効果的、効率的に活動することのできる場所を選定することが重要となってくると考えております。  なお、再編後は、交番、駐在所をはじめ分庁舎にも、管内のパトロール活動を行う地域警察官を配置する予定であり、これまでどおり事案発生時には迅速な初動活動を行うことができるものと考えております。  このように、初動対応の観点一つをとりましても、適地の選定に当たりましては考慮すべき点が多岐にわたりますので、県警察といたしましては、今後、(仮称)管内別広聴会におきまして地域の方々に建設適地に関する情報をお示しして、いただいた御意見を整理した上で慎重に適地の選定を進めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 100 ◯議長(渡辺守人君)堀口農林水産部長。    〔農林水産部長堀口 正君登壇〕 101 ◯農林水産部長(堀口 正君)まず、兼業農家の離農対策についての御質問にお答えします。  県ではこれまで、将来にわたって持続可能な農業構造の確立を目指し、農業経営体の法人化や農地の集積・集約化による規模拡大、集落営農の組織化、生産性向上のためのスマート農機の導入等への支援などによりまして、担い手の確保育成を進めてまいりました。  一方で、県内の農業従事者は65歳以上が約8割を占め、米価下落や肥料等の生産資材の高騰を契機として、小規模な兼業農家を中心とした離農者の増加による耕作放棄地の発生も懸念されております。地域農業を維持するためにも、兼業農家の皆さんに営農を継続していただき、今後も用水路や畦畔を含めた農地の管理などを通じて農業に関わっていただくことが重要だと考えております。  このため県では、9月補正予算案に、規模の大小にかかわらず化学肥料等の低減に取り組む販売農家を支援する事業を盛り込んでおります。また新たに、市町村が地域の農地の活用方針を策定する地域計画の検討に当たりまして、兼業農家も含めた多様な農業者による話合いが進むよう助言指導を行いますほか、兼業農家の子弟等を対象に農地の継承、活用に関するセミナーを開催するなど、兼業農家の皆さんにも地域農業への関心を高めていただきたいと考えております。  今後とも、担い手のみならず兼業農家を含む多様な農業者により、地域農業が維持発展していけるよう、市町村、関係団体等とも連携しながら取り組んでまいります。  次に、有機農産物の学校給食の利用促進についての御質問にお答えします。  学校給食に県産有機農産物を活用することは、児童生徒への食育や地域住民への理解促進に加えまして、生産者の安定した販路確保につながりますことから、有機農業の生産拡大に有効な取組の一つであると考えております。  このため、生産者や県、市町村、関係団体等で構成します協議会におきまして、有機栽培技術の確立や学校給食での利用を図るための研修会等を開催してきたところであり、南砺市や滑川市、舟橋村の小中学校では、学校給食に有機農産物を提供する取組が行われております。しかしながら、有機農産物は一般的に価格が高いことに加え、生産者ごとに納入量や規格等が一定ではないことから、学校給食では使いづらいといった課題もございます。  南砺市では、今年度、国のみどりの食料システム戦略推進交付金を活用いたしまして、学校給食に有機農産物を一元的に供給する集荷配送システムをJAと構築することとしておりまして、この成果を踏まえて他の市町村とも情報共有をしていきたいと考えております。  県といたしましては、まずは本年11月に予定しておりますとやま有機農業推進大会を通じまして、生産拡大と普及啓発に努め、市町村等とも連携しながら、学校給食や直売所、飲食店での有機農産物の活用推進を図ってまいります。  私からは最後になりますが、中山間地域における基盤整備についての御質問にお答えします。  中山間地域の基盤整備につきましては、これまで土地改良事業等により老朽化した農業用水路等の整備などが行われておりますが、これらの地域は地理的条件が悪く農業生産が不利なことから、農地整備事業や中山間地域総合整備事業などで国の補助率5%のかさ上げが行われてきております。  また、区画整理等を行う農地整備事業では、担い手への農地の集積や集約化が一定割合以上図られる場合には、促進費を活用し、地元負担なしでの整備が可能となっているほか、平成26年度には、災害の未然防止等の対策を行う農村地域防災減災事業におきまして、地元負担を求めない措置が講じられております。さらに令和3年度からは、かんがい排水等の水利整備事業で、県議会にもお諮りをいたしまして、県と市町村に上乗せをすることで地元負担割合を15%から7%に引き下げたところです。  議員御指摘の農業用水路等の越水被害を防止するための整備や改修につきましては、地元負担のない農村地域防災減災事業の活用が可能であると思われますので、この事業の活用を含めて、県に具体的に御相談があれば対応していきたいと考えております。  引き続き、地元負担の軽減にも十分配慮しながら、土地改良事業等を活用し、中山間地域の基盤整備にしっかり取り組んでまいります。 102 ◯議長(渡辺守人君)有賀厚生部長。    〔厚生部長有賀玲子君登壇〕 103 ◯厚生部長(有賀玲子君)私からは、健康寿命の延伸に向けた取組についてお答えいたします。  健康寿命の延伸に向け、高齢者の健康については、良好な栄養、食生活の確保や身体活動、体力の維持向上など、個々人に合った生活習慣を普及するとともに、認知症対策やフレイル予防など介護予防の充実を図り取り組むことが重要です。  このため県では、食生活改善推進連絡協議会と連携し、地域住民を対象に、バランスのよい食事や低栄養予防について普及を図る講習会を開催し、食生活の改善に努めているところです。また、高齢者の介護予防に資する運動プログラムの定着に向け、市町村が行う介護予防教室や住民主体の通いの場などにリハビリ専門職を派遣し、高齢者の自立支援や介護予防、地域づくりの推進を支援しております。  加えて、高齢者の社会参加を促進するため、eスポーツを活用した体験会をこれまでも実施してきたほか、今年10月には富山県国際健康プラザを会場に、高齢者同士の対戦などを行うeスポーツイベントを開催することとしています。  各市町村においても、通いの場や老人クラブなどで様々な工夫を凝らした活動を実践されており、県としては、高齢者の健康づくりへの機運が一層醸成されるよう、効果的な取組方策について市町村とも情報交換しながら普及に努めてまいります。 104 ◯議長(渡辺守人君)三牧知事政策局長。    〔知事政策局長三牧純一郎君登壇〕 105 ◯知事政策局長(三牧純一郎君)最後に、私からは、メタンハイドレートにつきまして、御質問にお答えさせていただきます。  メタンハイドレートにつきましては、日本の周辺海域に相当量の賦存が期待されており、国の調査では、日本海側においてもメタンハイドレートが存在する可能性のある構造が多数確認されていると伺っております。また、議員から御紹介ありましたとおり、一部でメタンプルーム──気泡化したメタンハイドレートも確認されていると伺っております。  国におきましては、エネルギーの安定供給の確保に資するとともに、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、水素、アンモニアの原料としての利用も視野に入れ、メタンハイドレート等の国産の海洋エネルギー資源の開発を推進しているところでございます。  県といたしましても、その実用化が地域経済の活性化につながることから、本県を含む12府県で構成されております海洋エネルギー資源開発促進日本海連合や日本海沿岸地帯振興連盟を通じて、国に対して開発促進の要望を継続して行ってきたところでございます。  こうした要望を踏まえまして、生産技術や回収技術については、国において、現在、有望な技術のさらなる絞り込みが実施されており、民間企業が主導する商業化に向けたプロジェクトの開始を目指して、引き続き技術開発が進められていると認識しております。  県といたしましては、引き続き国の動向の情報収集や関係団体を通じた国に対する開発促進の要望を行うとともに、エネルギー価格が高騰する等、エネルギーを取り巻く国内外の環境及びそれに関連する技術は目覚ましく変化しているところから、そうした変化を迅速に把握し、スピード感を持って柔軟に対応することで、カーボンニュートラルや地域経済の活性化を実現してまいりたいと考えております。  以上になります。 106 ◯議長(渡辺守人君)以上で山崎宗良君の質問は終了しました。  以上をもって本日の一般質問、質疑を終了いたします。  これをもって県政一般に対する質問並びに提出案件に対する質疑を終了いたします。       ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━           常任委員会への審査付託 107 ◯議長(渡辺守人君)次に、ただいま議題となっております議案第90号から議案第102号まで及び報告第15号については、お手元にお配りした議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━           決算特別委員会の設置 108 ◯議長(渡辺守人君)次に、日程第2、決算特別委員会設置の件を議題といたします。  お諮りいたします。  令和3年度決算に関し、34人の委員をもって構成する決算特別委員会を設置し、議案第103号から議案第109号までについては、これに付託の上、閉会中の継続審査とすることにいたしたいと思います。これに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 109 ◯議長(渡辺守人君)御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。  次に、お諮りいたします。  ただいま設置されました決算特別委員会の委員の選任については、委員会条例第4条第1項の規定により、お手元に配付の名簿のとおり、議長、副議長及び監査委員を除いた34人を指名いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 110 ◯議長(渡辺守人君)御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました諸君を決算特別委員に選任することに決定いたしました。 111 ◯議長(渡辺守人君)なお、決算特別委員会の委員長及び副委員長を互選するため、本会議終了後、直ちに決算特別委員会を大会議室に招集いたします。       ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 112 ◯議長(渡辺守人君)次に、お諮りいたします。  議案調査のため、9月20日及び22日は休会といたしたいと思います。これに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 113 ◯議長(渡辺守人君)御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。  以上で本日の日程は終了いたしました。  次に、議会の日程を申し上げます。  9月21日及び26日は予算特別委員会を、27日は常任委員会及び議会運営委員会を開催いたします。  次回の本会議は9月28日に再開し、諸案件の審議を行います。  本日はこれをもって散会いたします。  午後4時17分散会 Copyright © Toyama Prefecture, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...