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06月30日-一般質問-04号

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  1. 新潟県議会 2015-06-30
    06月30日-一般質問-04号


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    平成27年  6月定例会 本会議平成27年6月30日(火曜日)  議事日程 第4号    午前10時 開議第1陳情第8号から第19号まで第2県政に対する一般質問   ―――――――――――――――――本日の会議に付した案件 日程第1  第8号 政党交付金制度廃止を求める意見書提出に関する陳情  第9号 人種差別を扇動するヘイトスピーチを禁止し処罰する法律の制定を求める意見書提出等に関する陳情  第10号 税金滞納県議会議員の除名等処分に関する陳情  第11号 原発の新規制基準の見直しと柏崎刈羽原発の徹底した適合性審査を求める意見書提出に関する陳情  第12号 普天間飛行場に配備しているMV22オスプレイの即時撤廃、並びに横田基地へのCV22の配備計画と      佐賀空港へのMV22の配備計画の撤回を求める意見書提出に関する陳情  第13号 日本の農業の崩壊につながる「TPP締結」に反対する意見書提出に関する陳情  第14号 「戦争法」制定に反対する意見書提出に関する陳情  第15号 新潟水俣病全被害者救済と問題解決を求める意見書提出に関する陳情  第16号 環境法の届け出違反を40年間失念して、行政財産を賃貸する県行政に関する陳情  第17号 建設公安委員会審議に於ける所管長の虚偽答弁に関する陳情  第18号 子ども・子育て支援新制度および公立施設整備に関する陳情  第19号 介護保険制度改正および介護報酬改定に関する陳情 日程第2 県政に対する一般質問(矢野学君、宮崎悦男君、松原良道君、長部登君、志田邦男君、重川隆広君)   ――――――――☆――――――――出 席 議 員(53名)          中村 康司 君  松原 良道 君  笠原 義宗 君  高橋 直揮 君          宮崎 悦男 君  青柳 正司 君  矢野  学 君  石塚  健 君          横尾 幸秀 君  皆川 雄二 君  小林 一大 君  冨樫 一成 君          佐藤 卓之 君  楡井 辰雄 君  小島  隆 君  佐藤  純 君          桜井 甚一 君  小林 林一 君  西川 洋吉 君  岩村 良一 君          沢野  修 君  斎藤 隆景 君  金谷 国彦 君  早川 吉秀 君          尾身 孝昭 君  柄沢 正三 君  中野  洸 君  村松 二郎 君          小野 峯生 君  帆苅 謙治 君  渡辺 惇夫 君  石井  修 君          三富 佳一 君  星野伊佐夫 君  藤田 博史 君  佐藤 伸広 君          小島  晋 君  秋山三枝子 君  高倉  栄 君  上杉 知之 君          大渕  健 君  長部  登 君  小山 芳元 君  安沢 峰子 君          志田 邦男 君  渋谷 明治 君  青木太一郎 君  佐藤 浩雄 君          片野  猛 君  小島 義徳 君  佐藤 久雄 君  重川 隆広 君          池田千賀子 君   ―――――――――――――――――議員以外の出席者 知事            泉田 裕彦 君 副知事           森  邦雄 君 副知事           花角 英世 君 副知事           池田千絵子 君 知事政策局長        佐久間 豊 君 総務管理部長        植田 拓郎 君 県民生活・環境部長     丸山 由明 君 防災局長          山田 治之 君 福祉保健部長        岡  俊幸 君 産業労働観光部長      池田 幸博 君 農林水産部長        目黒 千早 君 農地部長          石川 善成 君 土木部長          高橋  猛 君 交通政策局長        桐生 裕子 君 会計管理者兼出納局長    本間 俊一 君 病院局長          若月 道秀 君 企業局長          早福  弘 君 教育長           高井 盛雄 君 人事委員会事務局長     嶽岡 方子 君 警察本部長         和田 昭夫 君 労働委員会事務局長     大橋 直樹 君 監査委員事務局長      名古屋祐三 君   ――――――――☆―――――――― △午前10時開議 ○議長(尾身孝昭君) これより本日の会議を開きます。   ――――――――☆―――――――― △日程第1 陳情第8号から第19号まで ○議長(尾身孝昭君) 日程第1、陳情第8号から第19号までを一括して議題といたします。 お諮りいたします。 陳情第8号から第19号までは、審査のため、諸君のお手元に配付の請願・陳情文書表のとおり、各部門の常任委員会に付託いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(尾身孝昭君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。   〔請願・陳情文書表は付録に掲載〕   ――――――――☆―――――――― △日程第2 県政に対する一般質問 ○議長(尾身孝昭君) 日程第2、県政に対する一般質問を行います。 順次、発言を許します。 まず、矢野学君の発言を許します。矢野学君。   〔矢野学君登壇〕(拍手) ◆矢野学君 おはようございます。自由民主党、上越市選出の矢野学です。一般質問をいたします。 まず、最近の日本列島は、火山活動の活発化に加えまして、九州地方を中心とした豪雨や竜巻など、毎年と違う気象状況などによりまして、住みやすさの実感はありますものの、生活する上で重要な自然界に対して、どこか不安の残る暮らしが続いているように感じます。 こうしたときこそ、安全に対する未来への投資の重要性と一極集中のいびつな日本列島の経済構造を是正する議論が大切であり、地方創生もその対極として捉え、戦略は、そこに暮らす人がどう変わるべきなのかを明確にし、その方向性を示すことが大切だと考えます。 そのためにも、政府には、地方創生論議を進める上で、日本のあるべき経済基盤や一極集中是正と地方自治体の自主的な行政運営の議論をしっかりしてほしいものであります。その覚悟なくして、地方主導の地方創生は、絵に描いたもので終わってしまいます。 そうしたことにならないように、地方は結束して対処していかなければならないと思います。 そして、本県にとっても、日本海側としてのエネルギー供給基地、新幹線の2ルート開通、食料の供給県など、大きなインパクトのある基盤が整い始めている中にあって、ふるさと創生について、果敢に取り組まれることを想定、期待しているところであり、大きなテーマとして、私は1番目に、まち・ひと・しごと創生法について質問をいたします。 御承知のとおり、昨年、まち・ひと・しごと創生法が施行され、今年度は地方版総合戦略を策定するよう努めることとされています。 まず、地方として、一極集中を是正し、国からの権限移譲をより大胆に進める大きな力と発想転換を図らなければ、いびつな経済構造の是正はもちろん、人口減対策も進まないと考えます。しかしながら、全くこうした大きなテーマに対して、方向性が明確化されておりません。現在のところ国は、この法律による基本的な考え方、進め方については地方自治体に示されています。 こうした政策を受け、5月26日に地方六団体による、地方創生のさらなる推進に向けて、と題して要請され、知事会を初めとする地方六団体と地方創生担当大臣との意見交換会が開催されました。そして、地方創生から日本創生につなげていくという強い決意と覚悟を持って取り組むこと、また成果を高めるために、限られた資源を共有し、連携することが不可欠であり、地域間連携及び産学官などの多彩な主体との協働を積極的に進めていくとの考えを示されたところであります。 知事の地方創生から日本創生につなげていくということの決意をお伺いいたしたいと思います。 次に、地方六団体と大臣の意見交換会では、国に対して、本来果たすべき役割として、結婚・子育て支援、大学・政府機関の地方移転、多軸型国土の形成などについて、国がみずからなすべき施策を、長期的視野に立って、不退転の決意で、かつ大胆に実行していくべきとの要請がなされました。 今のところ、全く肝心な政府機関の地方移転や企業の地方移転策なども含め、国の姿勢が明確になっておりませんが、過去における地方振興策と何ら変わりがないというのでは、地方創生を誰が担うのか明確になりませんので、今後、国に対し、地方六団体が行った要請内容の実現を促すために、具体的にどのように取り組むのか、所見をお伺いいたしたいと思います。 知事は、昨年の10月の記者会見において、中越大地震から10年になることを受けて、震災復興基金については、地域で最終決定ができる制度にして、地域の特性を生かした事業ができたことの効果を強調され、中山間地域を維持していくためには、地域のニーズや実情に合った事業を地域みずから考え、機動的に実施できることが重要であるとの認識を示されています。私は、もっともだと思います。 一方、意見交換会において示された国への提言では、今後、国が検討し、創設される新型交付金について、地方創生を深化させ、地方の創意工夫などにより、力強い潮流をつくるためのものとすることが提案されています。 事業を地域みずから考え、柔軟な裁量で実行できる新型交付金であればよいのでありますが、創設されても、地方交付税などの減額につながるような制度となっては、地方創生に逆行するものと考えます。新型交付金の創設に対する知事の所見をお伺いいたします。 日本創生に向けて、最も大切なことは、地方分権改革であります。権限の移譲や規制緩和に国が取り組むことはもちろんであり、地方創生特区の提案を採用することなども必要でありましょう。 意見交換会における国への提言においては、国みずからの施策展開の具体的な要請項目に、産業の育成と雇用の創出による地域活性化として、地域の実情に応じた雇用のマッチングのために、ハローワークの地方移管について提示されております。 移管に向けたこれまでの経過と、ハローワークの地方移管によって、どのような効果が期待されるとお考えなのか、お伺いをいたします。 次に、県が策定された総合戦略について、具体的な手法についてお伺いいたします。 昨年12月の一般質問で法の成立時の所見をお伺いした際は、知事からは、制度改革を行う権限を持つ国が実効性のある施策を行うことと、自治体が地域の実情に応じて主体的な政策を行える仕組みを構築してほしいとのお答えでございました。 まち・ひと・しごと創生法施行後の状況において、主体的な政策が行える仕組みとなっているのかどうか、知事の御所見をお伺いいたします。 国は、都道府県まち・ひと・しごと創生総合戦略策定についての基本的な考え方として、国の長期ビジョンと総合戦略を勘案しつつ、人口の現状と将来の展望を提示する、地方人口ビジョンを策定して、これを踏まえて、今後5カ年計画の目標や施策の基本方向、具体的な施策をまとめた地方版総合戦略を策定してほしいとの基本的な考え方を示しています。 県の総合戦略については、私の昨年の12月の質問に対して、政策プランの一部として、策定に着手したいとの答弁でございました。 そして、先般、県人口問題対策会議で、県人口ビジョン創生総合戦略、いずれも仮称ではございますが、骨子案が示されたところであります。同時に示された総合戦略と政策プランとの対比を見ますと、政策プランに新たな項目を入れた施策の柱が挙げられていますが、総合戦略の計画期間である5年間で、県がどのように変化していくのか、イメージが湧きにくいのでございます。 既に政策プランがある中で、総合戦略はどのような位置づけで実行されるのか、改めてお伺いをいたします。 各都道府県や県内市町村においては、総合戦略について、創生会議、委員会などの名称により、産業界、労働界、NPO法人、大学、文化人などの多彩な専門分野による会議などを設置して、構成する委員によるワークショップの手法などを取り入れて、自主性、主体性、地域性を発揮して、地方公共団体の実情に沿った意見集約を図り、策定する動きが多くございます。 県総合戦略策定スケジュール案によれば、関係者の意見交換の場を2回、主に人口問題対策会議や関係者などから意見聴取を行い、策定するとの案であります。 御承知のように、国の総合戦略の概要によれば、仕事が人を呼び、人が仕事を呼ぶ好循環を確立し、これを支えるまちに活力を取り戻し、子供を産み育てる環境をつくることが急務だと指摘しています。 本県においては、国の示した、こうした理念を持って地方行政が進められてきているものと思いますので、特別、目新しいものを戦略に組み入れることはないとの認識に立てば、知事が先頭で総合戦略をお立てになるというのもわからないではありませんが、しかしながら国の総合戦略に盛り込まれた政策5原則によれば、各施策の構造的な問題に対処し、自主性を重視すること、将来性として、自主的、主体的に夢を持って前向きに取り組む、や、画一的手法や縦割り的な支援ではなく、各地域に合った施策など、こうした趣旨を踏まえた効果的な施策推進を要請しております。 本県の総合戦略策定に当たり、幅広い意見が反映される組織づくりと意見集約を期待いたしますが、幅広い意見の反映のために具体的な取り組みについてお伺いをいたします。 国は、総合戦略の策定に際しては、地域の課題に対する短期・中期の政策目標を設定し、実施した施策、事業の進捗、効果を検証し、改善を図ることとし、PDCAサイクルを確立することが重要としていますが、計画、実施、評価、改善の4つの視点で検証する場合には、「夢おこし」政策プランの一部として位置づけた場合、十分機能するのか疑問でございます。 県創生総合戦略PDCAサイクルをどう推進するのか、方策をお伺いいたします。 もう一つ、総合戦略策定に当たっては、議会と執行部が車の両輪となって推進することが重要であることから、議会においても、策定段階や効果検証の段階において、十分な審議が行われるようにすることが重要としています。 議会においても特別委員会が設置されましたが、今後、当県の総合戦略策定において、どのように対応されるのか、お伺いいたします。 国の定める総合戦略の政策分野は、安定した雇用、新しい人の流れ、結婚、出産、子育ての希望をかなえるなど、国全体として取り組むべき課題と基本的な方向が示されていますが、県が取り組むべき課題や政策的な方向は、大なり小なり方向性に大きな差異が生じるとは思えないのでありますが、各地域の特性を生かした政策の立案を重要視したときに、新潟県の持つ特徴として多くのことが想定されると思います。 例えば中国、ロシアなどの近隣諸国との貿易、観光、文化などの交流、海岸線が長いことや、農業大県であり、雪国であることなど、本県の持つ特徴を生かしたふるさと創生策があり、総合戦略にそれらを盛り込むことが重要と考えます。 総合戦略では、本県らしさを打ち出すべきと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。 御承知のように、中山間地域の人口減はますます加速しており、中山間地域を多く擁する本県にとって、私は、都市部や平たん地域とは異なる独自の地域政策、総合戦略が必要であり、例えば現状を踏まえた施策として、自給自足体制の構築を図り、小さくとも農業による起業を行える体制づくり、空き家などを改修した安価な住宅提供、地域のコミュニティーの充実と保育、教育、医療の負担軽減など、市町村と連携して取り組む必要があると考えます。 今まで、県においては、他産業と同程度の所得が確保できるよう、社会政策としての公的サポートの拡充を国に対して働きかけをされておりました。こうした社会政策としての公的サポートの拡充を図るためにも、本県の総合戦略については、中山間地域をピックアップした内容が盛り込まれるべきと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 また、新しい人の流れをつくるには、現在、全国移住ナビ、移住・交流情報ガーデン、ネスパスなどを拠点とした情報発信がなされておりますが、今回示された総合戦略骨子案には、ふるさと回帰として、情報発信の強化を図るとともに、移住後の多様な生活モデルの提案や移住、U・J・Iターンの促進によって県内への移住を進めるとされております。 大切なことは、受け入れ側として、県と県内市町村との連携が必要でありますが、情報発信については、県と市町村が連携する取り組みが進んでいないように思われます。情報発信にかかわる県と市町村との連携の現状と、今後の取り組みについてお伺いをいたします。 県内への移住促進のためには、実際に生活する地域での受け入れ体制の整備も重要でありますが、今後どのように受け入れ体制の整備を推進するのか、取り組み方針をお伺いいたします。 2番目に、空き家対策について質問いたします。 御承知のように、空家等対策の推進に関する特別措置法では、人口減を背景とした危険な空き家が増加し、放置され、治安悪化、著しく不衛生で有害であるなどの空き家について、特定空き家として、市町村は特定空き家に立入調査をしたり、除却、修繕などの指導や勧告、命令もできるとされました。また、固定資産税の特例が解除されまして、市町村の権限が強化されて、空き家増加の抑制と有効活用を図るものでございます。 法律は、都道府県知事に対し、市町村に対する技術的な助言や市町村間の連絡調整などの援助を求めております。空き家対策の現状と課題についてお伺いいたしますとともに、県として、市町村の空き家対策についてどう支援していくのか、法律が制定された際にお伺いを申し上げたいと思います。 また、法律の施行によりまして、税制上の問題から、空き家の所有者や空き家を抱える地域からの有効活用要望が多くなることも予想されます。こうしたことからも、空き家の有効活用及び利活用を地域づくりに生かす政策なども必要になると考えますが、空き家の利活用促進について御所見をお伺いいたします。 3番目に、医療介護総合確保推進法についてお伺いいたします。 昨年、地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律が成立、施行されました。この法律は、消費税率引き上げと引きかえに国民に約束した、持続可能な社会保障制度の再構築の一環であり、医療・介護について、給付の抑制を図ることにより、制度の持続可能性を高めることが意図されているものであります。 この法律の中の特に医療体制確保についてお聞きいたしたいと思います。 本県の医療機関は、基幹病院として県立病院が地域で重要な地位を占めておりますことと、厚生連の病院などの民間医療機関なども県内において重要な位置にあります。しかし、県立病院群の経営赤字や、厚生連関連の病院群の経営状態が悪化していると伺っておりますので、この法律施行によって、本県における効果的な医療体制の確保が急務になっていると思います。 国は、地域医療についてのガイドラインを定めることとなっており、県としての裁量がどの程度認められるのか、不明確な部分がありますけれども、国の専門調査会の報告書によれば、新潟県は2025年に、2013年対比で約21%の病床需要の減少により、削減ができるとの推計が発表されました。こうした中、地域医療構想に基づく病床機能の分化・連携をどう進めるのか、お伺いをいたします。 また、国は、今までとってきた診療報酬の改定、県による医療計画、地域医療再生基金の活用などから一歩踏み込んだ構想の取り組みを促したものと受けとめていますが、病床の機能分化・連携について、医療機関や地域住民の理解を得ることが最も重要と考えます。法律によって、県が医療機関に対して命令や要請ができることも踏まえ、どのように理解を得ていくのか、お伺いをいたします。 本県では、そもそも医師や看護師などの不足が顕著であります。一方、病床の機能分化・連携を進め、地域の医療体制を構築していくためには、医師や看護師など、医療従事者の確保が重要でございます。そのため、地域医療構想の策定段階から、新潟大学や県立看護大学などの養成機関及び各関係機関などと連携することが大切と考えますが、御所見をお伺いいたします。 4番目に、農地中間管理事業についてお伺いいたします。 御承知のように、国の農政改革等を踏まえ、25年以来、攻めの農林水産業への転換が始まり、昨年、農林水産業・地域の活力創造プランで、強い農林水産業、そしてまた美しい活力ある農山漁村に向けて、生産現場の強化や多面的機能の維持・発揮など、産業政策と地域政策を車の両輪として、攻めの農林水産業を展開するとともに、農業・農村全体の所得倍増を目指していますが、米価の下落、農業基盤整備のおくれなどによって、産業政策として攻めの農林水産業に向かって農政が前進しているのか、農業所得の向上が望めず、農業者には攻めの農林水産業としての実感がありません。 特に中山間地域での農地集約などが進まず、生産基盤が脆弱であり、そうした実感が顕著であります。 こうした中で、生産現場の強化策として進められている農地中間管理事業は、当初の目標には達しなかったのでありますが、本県として、農地中間管理事業を推進する上でどのような問題があったと捉えているのか、お伺いをいたします。 なお、国は、農地中間管理機構を軌道に乗せるための抜本的な意識改革と体制整備の方策を示し、県が機構を軌道に乗せるよう、機構のランクづけ、役員体制の再構築、農地集積のコーディネートを担う担当の配置、実績を上げた県に対して各般にわたって施策を配慮する仕組みを検討することを方策として示しておりますが、国みずから制度のあり方を検証する必要があると考えます。 県として、示された方策をどう受けとめているのか、お伺いをいたします。 強い農林水産業を展開し、生産現場の強化、そしてまた推進される農地中間管理事業は、都市部と変わらない所得を目指す大規模農業経営を想定されていると思いますが、基盤整備がおくれている中山間地域でのこうした展開には無理があります。 加えて、中山間地域において農地中間管理事業を推進するには、水管理の問題、点在する農地などによって条件不利地域が多く存在いたします。こうした推進上の問題とともに、農地の受け手となる担い手がいない地域では集落営農が難しいなど、さまざまな課題がございます。事業を推進する上で、今後、重点的に進めるべき課題と対応についてお伺いをいたします。 5番目に、交通政策についてお伺いいたします。 北陸新幹線が開業いたしまして、上越地域の交通網が一変しつつございます。特に北陸新幹線の開業までの歴史を考えますと、今日までに至った長い年月の間、先人の御苦労に対し、御礼申し上げますとともに、第三セクター設立や運用面、あるいはまた財源措置などに御苦労いただいた泉田知事にも感謝を申し上げたいと存じます。 現在のところ、大きな事故もなく、乗降客についても、あるいは各社の営業面でも、想定された範囲内、もしくは想定を上回るものと思われます。 JRが担う新幹線、第三セクターとして在来線を運行するえちごトキめき鉄道、単線を持ち日本一速い運行も可能な北越急行、こうした鉄道網に加えて、新造船「あかね」の就航によってにぎわいを創出している佐渡汽船、従来からのバス路線網に加えて、観光や新駅の輸送網の充実など、交通事業者各社の意気込みと成果が出てきております。 一方で、課題も指摘されております。今後、一層の利便性の向上が求められている状況にございますが、県として、北陸新幹線開業後の上越地域の交通政策にどのように取り組んでいくのか、お考えをお伺いいたしたいと思います。 次に、えちごトキめき鉄道に関する課題として、JRとの間を乗り継ぐ場合の切符販売や在来線の通学定期券の負担増が指摘されております。特に通学定期券負担増については、会社として改善策を図るとしていますが、県の立場から、これらについての認識と対応をお伺いいたします。 また、北越急行によるえちごトキめき鉄道への乗り入れ本数、この増加の要望もございますが、各社の検討状況と県のお考えをお伺いいたします。 こうした課題解決のためには、第三セクターの運営会社が2社あり、2次交通全般にわたる課題もございます。 また、報道によりますと、北陸新幹線開業から3カ月となることから、県外利用客の聞き取り調査の結果、幅広い地域から訪れているものの、在来線やバスとの接続などの2次交通にも不満が多かったことや上越地域の観光に対する魅力発信が鍵との指摘もございました。 こうした幅広い交通政策の問題解決を図っていくために、現在の上越地域の交通政策関係の連携会議や協議会など幾つかございますが、今後、県が中心となり、関係自治体や交通事業者各社、民間人などの幅広い層から成る連携会議などを新たに設置し、北陸新幹線開業後の上越地域の交通政策に関する問題解決に取り組むべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。 以上で一般質問を終わります。(拍手)   〔知事泉田裕彦君登壇〕 ◎知事(泉田裕彦君) 矢野議員の一般質問に順次お答えをいたします。 まず初めに、地方創生から日本創生につなげていく決意についてお尋ねをいただきました。 現在、地方共通の最大の課題は、人口減少問題を中心とした地方創生であります。まさに国家的な課題であると考えております。 本議会におきましても、この地方創生、そしてまた人口減少問題、大変多くの質問を頂戴いたしているところであります。喫緊の課題というふうに認識をいたしております。 県といたしましても、多様な主体との連携、協働を図りながら、日本全体の創生につながるよう、地方政府として、できる限りの取り組みを行っていく決意でございます。 次に、新型交付金の創設について、どのように考えているかというお尋ねをいただきました。 これ、議員御指摘のとおりだと思うのですが、現在、政府が基礎的財政収支の黒字化を目指し、問題はここから先なのですが、歳出削減を最優先に財政運営を行おうとしているということであります。すなわち、キャップをはめるという中で新型交付金を創設するとどうなるかというと、御指摘のとおり、地方交付税の削減ということにつながるものと考えております。 財政再建を歳出削減で達成できるのか。歴史上、増税で財政再建をなし遂げた国はありません。財政再建は、名目のGDP、経済規模に対する長期債務の比率を引き下げるということでしか達成できないというふうに考えております。 新型交付金につきまして、ある程度の枠を国にはめられて、自由に使えるお金が減るという形で実現をしたら、本末転倒という御指摘に全く同感でございます。 新型交付金自身は、別枠として、地方の実情に応じた事業を柔軟に実施できるよう、自由度が高く、継続的な措置であることが必要と考えております。先般、その実現に向けて、国及び与党に対して要請をしてきたところであります。 次に、ハローワークの地方移管についてであります。 雇用の確保とセーフティーネット対策という観点から、労働行政は、産業政策や福祉政策と一体的に実施すべきものと考えております。 ハローワークの地方移管によりまして、職業紹介と就労相談や福祉サービスがワンストップで受けられる体制が整備をされれば、住民の利便性向上につながるものと考えております。 実例も既に新潟県は経験しております。地方移管に向けたこれまでの経緯につきまして、産業労働観光部長から補足答弁をいたします。 次に、自治体が主体的な政策を行うための仕組みができているのかどうかというお尋ねをいただきました。 まち・ひと・しごと創生法施行後においても、人口問題に大きな影響のある施策の決定権、これは依然として国にある状況が続いています。 例示をすれば、高等教育機関をどう配置していくのか。人口の社会減、新潟県からは大学等高等教育機関に進学する場合、住民票を動かすときは、進学をしたときに動かす方と就職をしたときに動かす方がいるので、統計としては分かれるのですけれども、高等教育機関に進学をするということが人口社会減の大きな要素になっております。 一方、仮に東京大学が新潟県にあれば、現在、新潟県から出ていったぐらいの数の人が来てもらえるのですが、そうはならない。むしろ、今、起きている現象は、地方にある大学に対する交付金を削るという方向で、先ほどから申し上げているとおり、予算を削減する方向で財政再建が進められようとしているので、地方創生とは反対の方向の圧力がかかっているということであります。 また、課税権、私も貿易局にいる当時等々、ちょうどジャパン・アズ・ナンバーワンと言われて、世界各国が日本の企業の工場が欲しいということでセールス、地域セールスに来られましたが、諸外国は、国ではなく、地方政府が法人税をどうするかということを決定できると、つまり減税ができる要素を持って地域セールスに来られていました。 議会というのはそもそも、これ、フランス革命にさかのぼれば、絶対権力、絶対王政のもとで、税金を勝手に使わないようにと、民衆の声を含めて税金をどう使うか決めようという形で創設をされてきた歴史があるわけですが、地方議会に税制を決定する権限がない。地方税すら国が決めるということになっていますので、企業誘致のための税制を地方で決定できないということから、やはり国がやらざるを得ない。国が権限を持っているということになります。 労働法制、また年金制度等の制度設計も地方でできません。 さらに、医療資源の配分、これも地方でできないということであります。医師不足の中、医師の養成をできる環境、定員をふやす等々すれば、人を呼び込めることになるわけですが、それもできないということで、人口に影響のある施策の大部分は国が権限を持っていて、地方にできない状況ということであります。 したがいまして、制度や財源確保の面から、必ずしも地方が地域の実情に応じた主体的な施策を展開していく仕組みになっていないものと考えております。 次に、総合戦略の位置づけについてでありますが、総合戦略は、人口減対策に主眼を置いた「夢おこし」政策プランの基本理念や基本目標をそのまま踏襲いたしております。政策プランの一部として策定をしていきたいと思います。 この総合戦略が策定をされると、同時に今、政策プランの改定のための評価も進めていますので、政策プラン自身も変わっていくということになりますので、包含関係でいうと、総合戦略というのは国が求める形式に合わせて政策プランの一部を提供するという形になると思います。 戦略を実施するに当たりましては、政策プランをベースに、必要に応じて追加すべき要素があれば、追加を実施していきたいと考えております。結局、総合戦略の実行は、政策プランの実行そのものにほかならないというふうに考えています。 次に、総合戦略におけるPDCAサイクルについてであります。 これは、大渕議員の代表質問にお答えをしたとおりですが、政策プランにおけるPDCA、もともとPDCAサイクルを取り組んでおりますので、そのまま総合戦略のPDCAにつながるものと考えております。 政策プラン評価委員会の行っているアウトカム指標に基づく政策評価や、委員会の意見・提案を踏まえた施策・指標の見直しなどを通じまして、政策プラン同様、成果重視型の施策の推進に努めてまいります。 次に、総合戦略策定における議会審議についてでありますが、総合戦略については、今議会において御議論いただくため、骨子案の段階でお示しをさせていただいているところであります。 今後も、議会はもとより、県内各界や県民の皆様の御意見を頂戴しながら検討を重ねてまいりたいと思います。総合戦略の素案を作成した後、10月の成案化に向けて、改めて9月定例会の場でも御議論いただけるよう策定作業を進めてまいりたいと思います。 次に、総合戦略における本県らしさについてであります。 総合戦略は、政策プランの基本理念や基本目標をそのまま踏襲し、政策プランの一部として策定をしてまいりたいと思います。したがいまして、政策プランに含まれる本県らしさも踏襲されるものと考えております。 今後、議員の御指摘も踏まえ、政策プランをベースに総合戦略の策定を進めてまいりたいと思います。 次に、総合戦略における中山間地域の地域政策についてであります。 総合戦略の骨子案は、地域の特性を生かした農業の6次産業化といった中山間地域の課題なども踏まえた上で、県全体の戦略としてお示ししたものであります。 今後、議員の指摘の趣旨を踏まえ、県全体の総合戦略として追加すべき要素があれば、盛り込んでいきたいと考えております。 次に、空き家対策についてお答えをいたします。 空き家の利活用推進についてでありますが、今後も空き家が増加する見込みという状況であります。議員御指摘のとおり、増加していく空き家をいかに利活用していくのかということが重要であると考えております。 なかなか空き家を活用できない原因の一つが、事実上、空き家になっているのだけれども、お盆とお正月だけ子供たちが帰ってくるので、ほかに貸せないというような事情も指摘をされておりますし、そしてまた仏壇を残してあるので、安易に人に貸せないという指摘もなされております。幾つか課題がありますので、こういう指摘をされている課題にどのように取り組んでいくのか、研究をしていく必要もあると考えております。 これまでも、市町村において、空き家を交流拠点など地域活性化に活用する取り組みが行われてきているところでありますが、県としても、引き続き、例えばU・Iターンの希望者に空き家を含めた居住情報の提供に努めるなど、空き家の有効活用に取り組んでまいりたいと思います。 なお、本年、古民家の改装の支援制度を導入したところでありますので、多くの方々から、まさに地域の財産ともなっている古民家を改装してU・Iターンをしていただけるようなことで御利用いただけることも期待しているところであります。 次に、医療介護総合確保推進法についてお答えをいたします。 まず、地域医療構想についてであります。 大渕議員の代表質問にお答えをしたとおりですが、国の調査会の推計、これは一定程度、在宅医療等への移行を前提として計算した参考値というふうに認識をいたしております。 構想の策定に当たっては、もともと西日本には病床数も多く、そして医師の数も多い。一方、明治維新の賊軍であった東日本には、どうしても病床数、医師が少ないということが続いてきてまいりました。そこをベースにして削減をしていくということになると、やはり地域の医療を維持していく上で問題が多いというふうに考えておりますので、構想の策定に当たっては、医療機関の自主的な取り組みを基本に、上意下達で進めるのではなく、地元医療関係者等による協議の場を通じた地域の合意を形成しながら進めてまいりたいと考えております。 次に、地域医療構想策定段階から関係機関等と連携をすることが大切という御指摘をいただきました。 議員御指摘のとおり、地域の医療提供体制の構築に当たりましては、医師・看護師を初めとする医療従事者の確保は重要な課題と認識をいたしております。 このことから、地域医療構想の策定に向けては、新潟大学や医師会を初めとする医療関係団体などと十分な連携を図っていく必要があると考えております。 次に、農地中間管理事業についてお答えをいたします。 まず、昨年度の推進上の課題についてであります。 これ、桜井議員の代表質問にお答えをしたとおりですが、当初、予算を上回る要望がありました。しかしながら、農地集積を支援する協力金について、国が年度途中で配分ルールを示したということで、平たく言うと予算が足りないという状況が伝わりまして、市町村の推進にブレーキがかかったということが大きな問題であったというふうに認識をいたしております。 なお、農地中間管理事業の本県における取り扱いについて、農林水産部長から補足説明をさせていただきます。 次に、農地中間管理機構を軌道に乗せるための方策についてでありますが、国が示した方策では、機構役員の意識改革や体制の見直しなど、機構中心の、つまり管理部門を中心に推進体制を強化しているというふうに理解をいたしております。 しかしながら、農地というのはやはり先祖伝来の土地ということで、誰に貸すのだと、人間関係も含めて信頼できる人というのを見つけていかないと、なかなかうまく進まないということでありまして、集落間でのきめ細かい調整が必要であります。 民法においても、これ、農業関係の規定が大変多く規定されているわけですが、水の流し方一つとか、個人の独立をした管理ということではなく、地域、集落全体でやはり農地を維持していかなければ、うまく回らないというところがあるわけですので、管理部門だけ強化しても、やはりうまくいかないわけで、むしろ地域で不足をしているコーディネーター役をいかにふやしていくかということが重要と考えております。 これらにより、農業者の合意形成を促進することが重要というふうに認識をいたしております。 次に、交通政策についてお答えをいたします。 まず、北陸新幹線開業後の上越妙高駅圏の交通政策についてでありますが、この圏域は、日本海国土軸流動と首都圏流動の分岐点である上越妙高駅を有しております。北陸新幹線の中で、東京から上越妙高駅、糸魚川を通って、最後、大阪までつながるルートで、大きな国土軸、流動ですね、日本海国土軸と首都圏流動の分岐点、これに当たるのが上越妙高駅ということになります。さらには、この上越妙高駅から在来線と接続をし、佐渡へ小木―直江津航路がつながる。そして、高速道路の結節点にも当たっております。交通の要衝として重要な地域で、日本全体にとって重要な地域であるというふうに考えております。 県といたしましては、北陸新幹線の開業を契機といたしまして、交通利便性のさらなる向上を図ってまいりたいと思います。そしてまた、日本海国土軸流動をより太いものにすることができれば、首都圏流動との結節点としての大きな可能性が広がることになりますので、そのための合意形成等に努めてまいりたいと思います。 まずは、技術開発中でありますが、今後、JR西が導入をするということが予定をされていますフリーゲージトレイン、こういったものを日本海国土軸流動としてどう活用していくかの合意をつくっていくということも大切であると考えております。 次に、えちごトキめき鉄道の乗り継ぎ問題についてでありますが、通学定期券の負担増については、現在、えちごトキめき鉄道において、激変緩和のためのさらなる負担軽減について検討しているというふうにお聞きをいたしております。まずは、トキ鉄の対応を見守りたいと思います。 なお、JRと乗り継ぐ場合の切符販売の課題につきまして、交通政策局長から答弁をいたします。 次に、上越地域の交通に関する課題解決についてであります。 これ、公の機関と事業者がどのような形で問題解決に取り組むのか、課題もあるというふうに考えております。例えば交通機関の接続、料金、利用者サービスなど、民間企業の経営にかかわる課題につきましては、一定の環境を整えた上で、経済原則に基づいて解決をされていくという基本的な構造というのも必要であるというふうに考えております。採算性が考慮されない場合は、国鉄のように、経営破綻につながるおそれということもあるわけであります。 一方、議員御指摘のとおり、複数の事業者が類似の、近接の区間でサービスを提供していると、これをどのようにうまく有機的な連携をさせて、そしてまた地域全体として発信、利便性を高めていくかというところも重要な課題ではないかなというふうに受けとめています。これらの仕組みづくりについて、どうしていくのか、今後、研究をしてみたいというふうに思います。   〔知事政策局長佐久間豊君登壇〕 ◎知事政策局長(佐久間豊君) 2点についてお答えいたします。 まず、地方六団体の要請内容実現に向けた具体的な取り組みについてでありますが、人口減対策や東京一極集中の是正については、制度、財源などの面で多くの決定権を持つ国みずからが、実効性のある施策をスピード感を持って実施していくことが必要と考えております。 県といたしましては、出生の増減や人口の移動に大きな影響のある施策については、国に対して、全国知事会等と連携し、引き続き要請してまいります。 あわせて、少子化対策モデル事業など、県として実行可能な取り組みについては、県独自で実施、検証を行い、有効な施策と財源確保等について、施策提言を行ってまいりたいと考えております。 次に、意見反映のための具体的な取り組みについてでありますが、議員御指摘のとおり、総合戦略の策定に当たっては、幅広い関係者から意見をいただくことが重要と考えております。 今後は、県議会の場での御議論はもとより、市町村とも十分に情報共有を図るとともに、人口問題対策会議や政策プラン評価委員会委員からの御意見も参考にしてまいります。加えまして、パブリックコメントを通じて、幅広く県民の皆様の御意見をいただくこととしております。   〔県民生活・環境部長丸山由明君登壇〕 ◎県民生活・環境部長(丸山由明君) 2点についてお答えいたします。 U・Iターン促進のための情報発信に係る市町村との連携についてでありますが、県では、これまでも、移住促進セミナーへの共同出展やホームページによる一元的な情報発信等に、市町村と連携して取り組んできたところです。 ここ数年、U・Iターン促進担当課の新設など、市町村の体制強化が進んできたことから、今後、発信情報が質的にも量的にも拡大することが見込まれますので、市町村との連携を一層強化し、移住先の検討から移住まで、U・Iターンを希望する方の各段階に応じた、戦略的な情報発信に取り組んでまいりたいと考えております。 次に、移住者の受け入れ体制の整備についてでありますが、議員御指摘のとおり、移住促進のためには、地域での受け入れ体制の強化が重要であり、その上で情報発信が有効に機能するものと考えております。 県では、移住者が地域に溶け込み、定着できるよう、地域の受け入れ人材を育成する研修会を開催しているほか、移住検討者向けの市町村のお試し居住や移住後の家賃補助への助成などにより、受け入れ体制づくりを支援しているところです。 今後は、市町村のU・Iターン促進体制の強化に伴い、各地域のニーズの多様化が考えられますので、それらを把握しながら、実情に応じた支援策を検討してまいりたいと考えております。 また、各地域の受け入れ体制について、新潟県U・Iターンコンシェルジュなどによる情報提供も行ってまいります。   〔福祉保健部長岡俊幸君登壇〕 ◎福祉保健部長(岡俊幸君) お答えいたします。 地域医療構想に基づく、病床の機能分化に向けた医療関係者等の理解についてでありますが、構想の策定に当たりましては、あくまでも個々の医療機関の医療提供の方針を踏まえつつ、医師会等の医療関係者や市町村、保険者協議会などの関係者と丁寧な協議を重ねながら、需要に応じた適切な医療提供体制について、調整を図ってまいりたいと考えております。   〔産業労働観光部長池田幸博君登壇〕 ◎産業労働観光部長(池田幸博君) お答えいたします。 ハローワークの地方移管に向けた経過についてでありますが、県といたしましては、これまで、国に対してハローワークの地方移管を求めるとともに、全国知事会を通じても要請を行ってまいりました。 これに対して、国は、平成22年12月にアクション・プランを閣議決定し、3年程度試行的に、国と自治体の業務を一体的に実施し、その効果を検証することとしたところです。 アクション・プランに基づく本県の取り組みとしては、東京における相談窓口であるにいがたUターン情報センターや新潟市東区役所に設置したワークポート新潟において、職業紹介と就職相談や生活支援などを一体的に実施しております。   〔農林水産部長目黒千早君登壇〕 ◎農林水産部長(目黒千早君) 2点についてお答えいたします。 農地中間管理事業の本県における取り扱いについてでありますが、国は、農用地等としての利用が著しく困難な場合や、借り受け希望者の状況から貸し付けの可能性が著しく低い場合は、農地中間管理権を取得しない旨の指導をしております。 これを受け、本県においても、中間管理事業に取り組むに当たり、貸し付けの可能性が著しく低い場合は、まずは機構の委託を受けた市町村等が、引き受けを保留し、可能な限り受け手を探すことで、事業活用を進めております。 次に、中山間地域における農地中間管理事業推進上の重点課題と今後の対応についてでありますが、過疎化、高齢化が進行している中山間地域では、農地の受け皿となる担い手の確保が重要な課題と考えております。 農地中間管理事業においては、貸し付けの可能性が著しく低い場合には、機構の委託を受けた市町村等が、引き受けを保留し、まずは可能な限り受け手を探すことで、事業の活用を図っております。 県といたしましても、小規模・兼業農家等も役割が発揮できる集落営農について、複数集落での広域連携も含めて育成を進めるとともに、地域の実情を理解している企業等の農業参入なども含め、中山間地域での多様な担い手の確保を推進してまいりたいと考えております。   〔土木部長高橋猛君登壇〕 ◎土木部長(高橋猛君) お答えいたします。 空き家対策についてでありますが、大渕議員の代表質問にお答えしたとおり、県では、これまでも、市町村への技術的な助言として、市町村が設置した空き家等対策検討委員会にアドバイザーとして参画してきたところであり、また市町村相互間の連絡調整として、県内市町村の空き家対策の取り組み状況を提供してきたところであります。 今後、適切に管理されない空き家の増加は、地域の生活環境を悪化させるなど、大きな課題であると認識しており、今般、空家等対策の推進に関する特別措置法が施行されたことから、県といたしましては、今後も市町村と連携しながら、取り組み、支援を進めてまいります。   〔交通政策局長桐生裕子君登壇〕 ◎交通政策局長(桐生裕子君) 2点についてお答えします。 JRを乗り継ぐ場合の切符販売の課題についてでありますが、横尾議員の一般質問にお答えしたとおり、えちごトキめき鉄道が導入している全国のJR切符を発券するシステムについては、稼働時間の制約などの課題があると聞いております。 えちごトキめき鉄道では、自動販売機の発券範囲の拡大などに努めてまいりましたが、県としても、さらなる利便性の向上を働きかけてまいりたいと考えております。 次に、北越急行によるえちごトキめき鉄道への乗り入れについてでありますが、各社においては、現在、乗り入れ開始後の利用状況の把握を行っており、今後、利用状況を踏まえ、乗り入れ本数を増加することも検討すると伺っております。 県といたしましては、ほくほく線沿線住民の利便性向上等の観点から、乗り入れ本数の増加は、意義のある取り組みであると認識しており、さらなる利便性向上のため、今後も、必要な働きかけや調整等を行ってまいりたいと考えております。 ○議長(尾身孝昭君) 矢野学君の質問は終わりました。 次に、宮崎悦男君の発言を許します。宮崎悦男君。   〔宮崎悦男君登壇〕(拍手) ◆宮崎悦男君 自由民主党の宮崎悦男です。通告に従い、順次質問いたします。 昨年5月、日本創成会議において、全国の約半数、896の自治体が消滅するかもしれないという衝撃的な数字が発表されました。その後、にわかに人口問題がクローズアップされ、本年度に入り、全国の自治体が人口ビジョンと総合戦略に知恵を絞っています。 しかしながら、戦後から続く東京一極集中の流れを短期間に食いとめることはできません。人口問題は、危機感を持って進めるべきですが、急ぐ余りに独自性のない政策になったり、行政のひとりよがりの政策になってはいけないと強く感じております。 本県は、ビルの建ち並ぶ人口密集地や雪深い中山間地域、さらには離島と、さまざまな自治体から成り立っております。決して一部に偏ることのない、均衡ある発展が重要だと考え、質問に入ります。 政府は、地方創生の一環として、道府県等に対し、首都圏に集中する政府関係機関などを地方に移転する誘致提案の募集を始めました。また、東京23区から本社機能を移転した企業に対し、税制優遇措置を行うとしています。これらの移転により東京の一極集中を是正する政策に対する知事の評価と期待について伺います。 次に、政府関係機関や企業の本社機能の地方移転について、他府県では既に具体的に動いている事例もあります。本県に移転可能性のある政府関係機関や企業をどの程度調査し、把握しているのか、現状を伺うとともに、今後、県内自治体とどのように連携を図っていくのか、伺います。 次に、企業の本社機能移転を促進するためには、本県の本気度を示す必要があると考えます。他県等との競争に勝つために、本県独自の税制優遇の上乗せや誘致に向けた戦略を策定するなど行うべきと考えますが、知事の所見を伺います。 次に、若い世代を中心に転出超過が拡大しています。昨年の12月定例会において、進学を契機に本県を離れた若者のUターンを促すため、奨学金返済の一部を免除するなど、Uターン就職をする若者にインセンティブを与える制度の提案を行いましたが、現在の取り組み状況と、若者のUターン促進に向けた決意を伺います。 次に、まち・ひと・しごと創生基本方針2015の骨格案には、日本版CCRC構想の推進を明記、都市部の高齢者が健康なうちに地方へ移住するということを促す政策を進めてまいりますが、介護施設の不足を理由に地方への移住を進めるというマイナス思考からの政策では、移住側、受け入れ側双方にとって課題が多いと感じております。霞が関の官僚が言いにくいことを民間団体を通して発信しているとの指摘もあります。県全体にさまざまな世代がバランスよく溶け込むように戻ってくるというUターン施策が大切なのではないでしょうか。日本版CCRCの構想についての評価と課題について伺います。 ここからは、中山間地域の地方創生関連について伺います。 もし地方都市が東京型の価値観だけを是とすれば、日本中がミニ東京化し、非効率な町や村は淘汰され、一部の大都市しか残りません。世界を相手に戦うグローバル化の中で、効率・拡大は確かに大切なものですが、県全体の発展のためには、自然との共生、温かなコミュニティー、伝統文化といった地方特有の価値観との融合が大切だと考えます。 本日は、実際に中山間地域でまちづくり、地域おこしを行って活躍しておられる方々が傍聴にお越しくださいました。現場に生きる方々と、現場から見た地方創生について議論を重ね、幾つかの提案をさせていただきます。知事からの一歩踏み込んだ答弁に期待し、質問に入りたいと思います。 まず初めに、本県は、さきに述べたように、多種多様な自治体から成り立っております。県は、新潟県U・Iターンコンシェルジュを初めとしたさまざまな事業をスタートさせました。事業の成果を期待するところでありますが、重要なことは、都市部はもとより、いわゆる農村部に対しても均衡あるU・Iターン施策に取り組むことだと考えます。 先日の報道で、本県の昨年の出生者数は1万6,480人、昭和25年の4分の1以下との報道がありました。逆に考えますと、今の子供たちの4倍以上が、当時この新潟に生まれ、住んでいたわけであります。 また、内閣府の調査によると、20代から40代までの50%以上が地方への移住に関心を示しております。 そこで、小学校区単位等で地域をよく知る支援員、地域コンシェルジュを配置するモデル事業を提案いたします。仕事、住まい、教育環境など、地域に密着したコンシェルジュにより、きめ細やかに対応していく。また、コンシェルジュを中心として、地域住民みずからが、以前にその地域に住んでいた方々にUターンのための情報を提供する呼び戻し隊、これは造語でありますが、呼び戻し隊の設置など、生まれ育ったふるさと・学校区内等に回帰する仕組みづくりを行うことが重要だと考えますが、知事の所見を伺います。 新潟県の人口ビジョン骨子案では、2060年の人口は134万~214万人と、5つの例が示されました。県は、あくまでも試算だとし、知事も、行政は数値の達成が目標ではないというコメントをされました。確かに、行政側が人口増加の目標数値を掲げて住民に押しつけるというのは、いかがなものかと考えます。 しかし、住民が主体的にその地域の人口を推計し、現実を見詰めた上で目標を設定していくということは、漠然と危機感をあおるよりも、はるかに重要なのではないでしょうか。 昨年5月、島根県隠岐の島に行政視察に行った際、目覚ましい定住増の実績を上げている海士町の方の話を聞くことができました。ここでは高校生の流入が多く、4歳以下の子供もふえています。この島のスローガンは、「ないものはない」であります。ない物ねだりはしないという開き直ったスローガンですが、ここには、東京と同じ価値観だけを優先するのではなく、地方ならではの価値観も重視していこうという考えが見てとれます。これはまさに、東京と地方がそれぞれの強みを生かして日本を引っ張っていくという長期ビジョンを具現化したものだと思います。地域の方の誇らしい語り口が大変印象的でありました。 島根県中山間地域研究センター研究統括監の藤山浩氏によりますと、毎年人口の1%を取り戻せば地域は安定的に持続できると実践に基づき報告しています。 質問に入りますが、島根県では、小地域にも応用できる簡易な人口予測プログラムを使い、住民みずからが町内単位などの推計人口を試算し、目標値を設定することで、人口の安定化を図ることのできた地域が生まれてきています。このような取り組みは、Uターン施策に地域が一体となって取り組むために意義深いものと考えますが、知事の所見を伺います。 次に、地方への移住は、その地域や自然環境を知る人がなじみやすいため、親のふるさとへ子供がIターンをするという事例も聞きます。地方創生の鍵は、いかに若い人、子供を産み育てられる人を地域に根づかせられるかにかかっています。本県出身者の協力を得るなどして、出身者の子供や孫をターゲットとしたIターン施策の研究を行ってはいかがでしょうか。子供のころ、お盆や正月に実家で過ごした温かい田舎の思い出が残っていると思います。個人的には、大渕健議員が現役引退後にお子さんとともに小千谷に戻ってくる、こういったこともイメージしております。Iターンの施策について、知事の所見を伺います。 次に、学校の統廃合について伺います。 人口減少が如実に示されるのは、小学校新入生の減少ですが、出生数が減ったその現状に危機感を持つのでは、対策は後手に回ってしまいます。知事は、未来は変えられるとおっしゃいますが、未来とは、言葉どおり、まだ来ない将来のことであります。生まれた子供のもっと未来、つまり子供を出産する家族が校区内に何世帯根づけば学校は存続するかについて、危機感と希望を持って考えることが、未来を変えることにつながるのではないでしょうか。 人口減少に伴い、学校の統廃合が進んでいます。2月定例会において知事は、学校の存廃については教育委員会に委ねる旨の答弁をされました。もちろん教育にも効率化は必要ではありますが、一方、学校はコミュニティーの核であります。学校行事によって地域住民が結びつき、子供を見守り、育てることで地域のきずなが深まるという現実があります。どうすれば児童生徒の減少を抑え、学校を存続できるかという観点も含めた人口減少対策を進めていく必要があるものと考えますが、ぜひ知事からの答弁をよろしくお願いしたいと思います。 次に、雪対策関連について質問します。 雪国において、雪対策は地方創生・人口減対策の最重要課題であります。雪ゆえに移住促進も困難になり、さらにそれが理由でふるさとを離れる人もいるからであります。逆に申し上げれば、雪対策が万全であれば、本県の人口減少問題は軽減します。若い世代が定着し、高齢になっても雪国で安心して暮らせる環境を整える施策が重要であります。生活と財産に直結する住宅の克雪化に対する支援策に、より一層力を入れるべきと考えますが、知事の所見を伺います。 さきに述べましたように、高齢化が進んでいる豪雪地帯では、屋根雪処理は大変大きな課題であります。降雪量は昔と変わらないにしても、地域に高齢化が進んでしまったがゆえに、高齢者が高齢者を支える構図になってきております。平年でも3メートル近い積雪の地域で、80歳以上の高齢者がひとり暮らしを余儀なくされる現実があります。上越市や妙高市、魚沼市などにおいても独自の支援策を講じていますが、積雪の多い年はとても支援が追いつきません。自力の除雪があくまで基本でありますが、労力的にも金銭的にも自力での除雪が困難な高齢者・要援護者世帯に対しては、県災害救助条例の判断をすべき積雪にならなくても、一定の積雪になった場合には、条例適用に準じた屋根雪処理の支援を行うべきと考えますが、知事の所見を伺います。 私がここで知事に申し上げたいのは、これは決して甘えではなくて、地域のために人一倍汗をかいてきた方々の切実なる声であるということであります。ぜひ実態を調査して、進めていただきたいというふうに思います。 次に、豪雪地域においては、冬期間雪のため、農作業もなく、農業収入を得られません。地域の農業者の方々が、冬期間を含め、生涯現役で働くことができる就業の場の確保が求められています。新潟版所得保障モデル事業をとってみても、中山間地域で他産業並みの所得を確保するには別の対策が必要との課題が残っております。地方創生と農業所得向上の観点から、地域内に耐雪型の園芸ハウスを設置し、園芸等の取り組みにより、生涯働き、集うことのできるモデル事業を研究してはいかがかと考えますが、知事の所見を伺います。 本県は、水稲から園芸作物への誘導もしており、あわせて中越大震災の復興基金で耐雪型の園芸ハウスをつくり、経営を軌道に乗せた生産団体もあります。豪雪地であっても、住んでいる場所でのなりわいとして、また生きがいとしての農業を続けられることが人口減少の歯どめになると考え、提案いたします。 次に、雪冷熱について伺います。 雪と共存した地方創生を進めていくためには、雪を住宅の冷房などに活用していく利雪も重要と考えます。県では、本年よりデータセンターの雪冷熱事業をスタートしましたが、雪冷熱エネルギーは、電力のピークカットにも有効なクリーンエネルギーでもあります。また、雪を暮らしに生かすという観点から、住宅での冷温貯蔵の研究も進めてみてはいかがでしょうか。雪を単なる厄介者とするのではなく、真に天からの恵みとするためにも、さらに研究を重ね、住宅での導入を促進する取り組みを積極的に行うべきであると考えますが、知事の所見を伺います。 次に、2項目め、少子化対策について伺います。 県では先週より、新年度目玉事業の一つである少子化対策モデル事業の追加募集を開始しました。さまざまな意見を受け入れ、要件を緩和しての追加募集となりましたが、未来につながる成果があらわれることを願い、何点か質問いたします。 まず初めに、今回の少子化対策モデル事業に関心のある企業・家庭からは、3年間の事業期間の短さを指摘する声が出ています。これは、第2子出産を目指そうとする家庭にとって、3年以内に第3子出産まで目指すことは現実には難しいという声であります。モデル事業期間中にちょうどよく第3子を出産した、もらい得感が県民の意識に残るようであってはなりません。私は、3年というのは、赤ちゃんが誕生するまでに約10カ月必要であることを考えると、大変短い期間であると感じております。少なくとも事業期間内に妊娠がわかった方に対しても支援すべきなのではないでしょうか。モデル事業がしばらく続くという安心感から家族設計を立て、第2子、第3子を目指す家庭がふえてくるものと考えますが、事業期間についての知事の見解を伺います。 次に、3年間の事業効果を検証した上で国に有効な施策を提言するとのことでありましたが、子供がどの程度ふえれば有効であったと判断するのか、知事の所見を伺います。 次に、国に提言した施策について国が実施しなかった場合には、県がその後も実施をするのでしょうか。検証の結果、少子化対策として有効であるとした事業であれば、国が実施しなくても県が実施するとの覚悟と決意が必要と考えますが、知事の所見を伺います。 3項目め、防災について伺います。 ため池の防災問題について伺いたいと思います。 東日本大震災で農業用ダムが決壊し、多くの犠牲者が出たことから、平成25年度より全国の自治体でため池の一斉点検を進めています。本県においても、11年前の中越大震災において、池の決壊や河川が土砂に埋まることによる水害で、住民が流されるという事案が発生しました。その方は、奇跡的に助かることができましたが、知事におかれましても、複合災害の恐ろしさは十分に御承知のことと思います。また、地震だけに限らず、全国的に頻発している集中豪雨によっても、とうとい命を失うとともに、人家や農地が被災しています。 これまで、多くのため池は水利組合や集落の農家が管理してきましたが、農家戸数の減少などにより、管理体制が脆弱化しています。人命を守り、複合災害を阻止する上でも、早急に安全対策に取り組まなければならないと考えますが、知事の所見を伺います。 次に、平成25年度から実施しているため池一斉点検などの結果、県内において、震度5クラスの地震で損壊する可能性のあるため池も見つかっており、早急に整備に取りかからなければならないと考えます。問題をあぶり出したことはいいにしても、あらわになった問題点をそのままにしておくことは、いたずらに住民の不安をあおることになります。住民の安心・安全を守ることは、行政の最大の責務です。国に強く働きかけることはもとより、県としても主体的に取り組む必要があると考えますが、ため池に対する点検の状況と今後の方針について伺います。 4項目め、ニシキゴイを生かした本県活性化について伺います。 新潟県地方創生総合戦略によりますと、政策の方向性として、本県の強み、優位性を生かした産業の活性化、北東アジアから東アジア全体を視野に入れた交流拡大の推進等が挙げられています。それらの政策を力強く推進していくために、本県が発祥の地であり、東アジアから東南アジアの国々でも愛好家の多いニシキゴイを生かした本県活性化を図ることを提案します。 御承知のとおり、ニシキゴイは今から約200年前、旧二十村郷の小千谷市と長岡市山古志地域において生まれた突然変異のイロゴイから始まりました。1914年、東京大正博覧会に出品され、その優雅さと美しさから全国に愛好者がふえ、今では日本庭園に欠かせないものとなりました。 毎年東京で行われている全日本総合錦鯉品評会には、知事からも全日本錦鯉振興会会長として大会に出席いただいておりますが、世界約20カ国からえりすぐりのニシキゴイが出品され、国際色豊かに開催されています。昨日の一般質問で石塚議員からも質問がありましたように、本県生産者が改良に改良を重ね、誕生したニシキゴイは、近年、クールジャパンブームの広がりで、世界各国にも、ニシキゴイの美しさはもとより、日本の文化としても注目が集まってきております。 このようにニシキゴイは、発祥の地としての新潟の強みを生かし、世界に新潟を発信する格好のキラーコンテンツであります。 こうした中、最近では、日本のニシキゴイは中国起源であるなどとする、歴史を積極的に書きかえようとする意識的な動きも起こっております。当然のことながら、泳ぐ宝石、ニシキゴイはまさしく我が国、日本が原産地であることは論をまちません。しかし、ただ黙していることは、国際社会では、何の主張も行わないものとみなされてしまう危険があります。こうした観点もあわせ、質問いたします。 ニシキゴイの振興については、他県もさまざまな取り組みを進めていますが、本県はニシキゴイの発祥の地であるという優位性があります。地方の強み、優位性を生かすという地方創生の観点からも、ニシキゴイといえば新潟と誰もが認識し、新潟ブランドとなるようニシキゴイを国内外にアピールすべきと考えますが、知事の所見を伺います。 次に、ニシキゴイは、生産量の8割近くが世界40カ国以上に流通しており、また愛好家は各国の富裕層が多く、日本の食や文化にも大変関心が高いと聞きます。本県の活性化につなげるため、ニシキゴイとあわせ、県産品や観光などを各国に売り込み、ニシキゴイの海外における販路を拡大するとともに、農業やインバウンド観光の振興にもつなげるべきと考えます。日本を代表する政治家、田中角栄元首相は、日中国交正常化の際、中国にニシキゴイを贈るなど、国際外交の際にも用いられました。知事にもぜひとも積極的に活用いただきたいというふうに思っておりますが、それらニシキゴイを海外要人との交流に生かすことも有効と考えますが、見解を伺います。 次に、2020年東京オリンピックでは、200カ国以上の要人、選手のほか、多くの外国人観光客が来日します。御承知のとおり、経済の直接効果は約3兆円、付随効果は20兆円以上とも言われておりますが、この付随効果をいかに地方にもたらすかが地方創生の鍵であります。NISHIKIGOIは国際的な呼称であり、その上、群れで飼育しても決してけんかをしないことが国際的にも周知され、平和、友好のシンボルとも言われております。 日本文化の象徴とも言えるニシキゴイは、新潟県を世界に売り込む格好のキラーコンテンツになるものと考えます。県としても、東京オリンピックに合わせてのニシキゴイの展示会の開催や、空港や選手村でのニシキゴイの展示、ニシキゴイ産地を組み込んだツアーの誘致、海外向け新潟PRビデオの制作など、オリンピックに向けて、ニシキゴイにより新潟を世界へ戦略的に情報発信していくべきと考えますが、知事の所見を伺います。 以上、4項目質問いたしましたが、私たちは次の時代にどんなふるさとを残すのかという責任を持っております。ニシキゴイ生産者が長い年月をかけて泳ぐ宝石と言われるニシキゴイを誕生させたように、本県の魅力をしっかりと磨き上げ、未来へつなげていきたいという思いを申し述べ、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)   〔知事泉田裕彦君登壇〕 ◎知事(泉田裕彦君) 宮崎議員の一般質問に順次お答えをいたします。 まず初めに、東京一極集中を是正する政策についてお尋ねをいただきました。 地方への人口流入や地方の拠点性向上等の観点から、政府が、政府機関や本社機能の地方移転といった政策を打ち出したこと、これは一定の評価ができるものと考えております。 ただ、今の、打ち出した政府の政策だけでどんどん移ってくるのかということになると、先ほども答弁をさせていただきましたが、例えば法人税制一つとっても、地方で決められないということになりますので、ぜひ国は本腰を入れて、具体的かつ抜本的な対策を講じていただきたいというふうに考えています。 次に、企業の本社機能移転に向けた戦略の策定についてでありますが、議員御指摘のとおり、県といたしましては、企業の意向を踏まえました税制などの支援制度の検討や、地域と連携した本社機能移転に向けての戦略的計画の策定を行い、誘致活動を進めてまいりたいと思います。 次に、若者のUターン促進に向けた決意等についてでありますが、本県では、進学または就職、これを契機とした若年層が首都圏等へ流出をしていくという状況が顕著に見られております。この若年層が首都圏等に流出をするということは、これから家庭を持つ世代が首都圏に流出をしていくということになりますので、出生数の減少にもつながる連鎖の構造となっているということであります。若者世代のU・Iターンの促進は重要であるというふうに考えております。 今後とも、人口問題対策会議での議論も踏まえまして、より効果的な施策を展開してまいりたいと思います。 なお、12月定例会で議員御提案のUターンに対する若者へのインセンティブに関する取り組み状況について、県民生活・環境部長から答弁をいたします。 次に、日本版CCRC構想に関する評価と課題についてであります。 大渕議員の代表質問にお答えをしたとおり、健康でアクティブなシニア世代の地方への移住、これは消費の拡大による地域の経済活動の活性化などを期待してもいいというふうに考えております。 一方で、将来的に医療・介護需要が増大をしていくということになりますので、このサービス提供のための資源の課題を解決していくということも同時に必要であると考えております。 次に、生まれ育った地域等へのUターンの促進についてであります。 それぞれの地域がその特性に応じて、みずから仕組みづくりに取り組んでいくということは重要だと考えております。 議員御指摘の手法、これも含めまして、地域の取り組みに対して支援をどのように行っていくのかということを検討してまいりたいと思います。 なお、支援の具体的方向性につきまして、県民生活・環境部長から補足答弁をいたします。 次に、Uターンの促進に向けた推計人口試算の活用についてでありますが、議員御指摘の島根県の人口予測プログラムは、将来人口の推計を通じて、集落ごとに人口の目標値を定めるというプログラムであるというふうに承知をいたしております。みずからの将来像を共有し、地域づくりにつなげていくためのものであると受けとめております。 これによりまして、地域が情報発信や受け入れ態勢の整備に自発的に取り組み、結果としてUターンの促進につながるということも期待できますので、今後、本県においても、その活用方法について検討してまいりたいと思います。 次に、本県出身者の子供たちをターゲットとしたIターン施策をやってはどうかという提案でございます。 本県出身者の子供や孫の方々のIターン、いわゆる孫ターンということでありますが、この孫ターンでは、移住先として本県を選んでいただける可能性が高いと思われますので、Iターンの促進に有効であると考えております。 今後、人口問題対策会議のワーキングチームにおきまして、対象者へのアプローチなどを研究してまいりたいと思います。 ただ、その際、問題になっているのは、実は高校を卒業した、18歳まで現実に新潟県で生活をしていた方々に対するアプローチも今、難しい。個人情報保護という壁があって、どういうふうにして新潟県を卒業した方々に情報をお届けするのか、これ、苦労している現実があります。 したがいまして、孫ターンというのはさらにハードルが上がるということになりますので、個人情報の扱いが1つポイントになってくるかなというふうに考えています。 次に、学校存続の観点を含めた人口減少対策についてであります。 現在、複式学級を抱える学校、これも多数存在をしているという状況であります。近未来の児童生徒数、これは既にもう生まれている子供たちの数というのはわかっているわけでありまして、これらの生徒数から見て、学校をコミュニティーの核として存続させるという観点からの人口減対策をどのように対応していくことが可能なのか、今後、研究をしてまいりたいと思います。 次に、住宅の克雪化に対する支援策についてであります。 議員御指摘のとおり、雪はやはり恵みにもなるということであります。これ、エネルギーだけではなく、例えば雪下にんじんを初め、農作物のまろやかさを高める等々、資源になります。解ければ、それがまた山を下り、そしてまた田畑を潤すということになり、新潟県全体の平野の恵みをもたらしてくれているということでございます。住宅の克雪化は、雪国における安全で快適な居住環境を整備する上で、重要な施策の一つであり、より一層力を入れるべきと考えております。 なお、具体的な取り組みにつきまして、土木部長から答弁をいたします。 次に、高齢者世帯等に対する屋根雪処理への支援についてであります。 高齢者等が冬期において安心して生活できる地域社会を実現するため、議員御指摘のとおり、労力的にも金銭的にも自力での除雪が困難な高齢者世帯等を支援することは重要であると認識をいたしております。 支援に向けて課題はあるものの、研究をしてみたいと考えております。 なお、具体的な課題につきまして、総務管理部長から御説明をいたします。 次に、豪雪地域における農業就労の場の確保についてであります。 議員御指摘のとおり、豪雪地域の中山間地域において、冬期間の所得確保や就業機会の創出、これを進めていくために、施設園芸の導入が有効な手段ではないかと考えております。 具体的な対応につきまして、農林水産部長から御説明をいたします。 次に、住宅への雪冷熱エネルギーの導入促進についてでありますが、現在、提案を公募している雪冷熱を活用したデータセンターの立地を図るとともに、雪冷熱エネルギーの有効性等に関する情報発信などに取り組み、導入を促進してまいりたいと考えております。 次に、少子化対策についてお答えをいたします。 まず、少子化対策モデル事業の実施期間についてお尋ねをいただきました。 議員御指摘のとおり、少子化対策においては、県民ニーズに即した効果的、持続性のある対策が重要であるというふうに考えております。 現在、実施をしているモデル事業は、施策の効果について検証を行い、国へ提言することを目的といたしております。モデル事業で終わらすのではなく、持続的な制度をどうつくるかというために実施をしているものであります。効果検証の結果、事業の有効性が確認をされるということになれば、これ、継続をしていくことが可能というふうに考えています。 その場合、県単独でできるのかということなのですけれども、財源を確保しないといけないということになります。これ、前から申し上げているとおりなのですが、子供が1人生まれると、一生の間に払う税金、総額で4,300万円という試算もあります。したがいまして、子供が生まれるということによって、財源が確保できるということを意味しているわけです。 日本は、ギリシャと違って、今でも世界最大の債権国であります。そしてまた、60年償還の国債というのも既に存在をしているということになりますので、地方で起債をした上で事業を実施していくということも選択肢としてはあり得ると思っています。 ただし、国の制度として、地方の起債が制限されているということがありますので、この事業効果の検証の結果、一部この起債制限、すなわち有効な人口減少問題に対応する施策については、ハード整備でなくても、起債制限を解除してもらうということが必要であります。こういう条件、環境が整えば、県での事業実施も可能ではないかと考えています。 次に、モデル事業の有効性の判断についてでありますが、学識経験者など有識者で構成する効果検証委員会を設置し、事業者から提出をされた出生数等のデータを、事業実施の前後や、またほかの類型と比較することによって、年度ごとに効果検証を行ってまいりたいと思います。 本事業の有効性は、子供の数だけでは決まりません。事業に一体どれだけの経費がかかるのか、そして将来の税収がどれだけふえるのかというバランスを踏まえて、持続可能な制度となるかどうか判断していくものと考えております。 次に、モデル事業の継続実施についてでありますが、モデル事業の効果が確認され、事業を本格実施する場合、財源の確保が必要であり、これ、先ほど申し上げたとおりなのですが、国で国債を発行すると、すなわち国債の発行の考え方を根本的に考え直していただくということか、もしくは地方の起債制限の一部解除による財源調達ということが必要と考えています。 今後、県の権限や財源の範囲内で事業実施できる環境が整えられた場合、県で実施することも可能ではないかと考えております。 場合によっては、人口移動が生じていますので、都道府県間の財源調整が必要なケースもあり得るというふうに考えています。 極めて有効であって、若干移住をする人が出ても、単独で行えるということもあり得ますし、これ、出ていった18歳ぐらいまでは公費で、これ、教育等含めて、育て上げた上で、移住したところからの財源調整というのがないと成り立たないということもあり得るかもしれないということでありますので、いずれにしても効果検証というのが重要ということと考えております。 次に、防災についてお答えをいたします。 ため池の安全対策についてでありますが、東日本大震災による福島県のため池決壊の事例などもありますので、議員御指摘のとおり、県民の生命・財産を守る観点からも、安全対策を着実に進めていく必要があると認識をいたしております。 次に、ニシキゴイを生かした本県活性化についてお答えをいたします。 まず、ニシキゴイの国内外へのアピールについてであります。 議員御指摘のとおり、私も全日本錦鯉振興会の会長をさせていただいておりまして、特に過剰な円高が是正をされてから、海外からこのニシキゴイに対する注目、これ、上がっているということを実感いたしております。さらに、輸出しやすい環境というものが整ってきておりますので、ぜひ、これ、新潟県の地域の一つの大きなアピールするポイントとなるように、努力を傾けてまいりたいと思います。 そして、海外に向けて、ニシキゴイ発祥の地・新潟、これをアピールすることは、全日本の会長としてどうかというところはあるのですけれども、考えてみると、これは新潟の認知度を高めるだけではなく、全国のニシキゴイの振興に寄与するものというふうに考えております。 今年度、国際会議等が多く開催される朱鷺メッセに展示水槽を設置いたしたいと思います。さらに、海外のニシキゴイ関係者や報道関係者に対し、積極的な情報発信に取り組んでまいります。 次に、ニシキゴイなどの県産品や観光の海外へのPRについてでありますが、ニシキゴイなどの県産品や観光PRについては、それぞれの国、輸出対象国の文化や嗜好なども考慮する必要があると考えております。海外の県産品PRコーナーの活用など、さまざまな機会を通じて情報発信をしてまいりたいと思います。 次に、オリンピックに向けた本県ニシキゴイのPRについてでありますが、議員の御指摘のとおり、オリンピックは、ニシキゴイの発祥の地・新潟、これを世界にアピールし、海外における県産ニシキゴイの販路拡大につなげる絶好の機会であると考えております。 御提案を踏まえまして、オリンピックをターゲットとしたニシキゴイのPRにつきまして、どのような手法が可能であり、効果的であるのか、関係団体とも協議をしながら検討を進めてまいりたいと思います。   〔知事政策局長佐久間豊君登壇〕
    知事政策局長(佐久間豊君) お答えいたします。 政府関係機関の地方移転についてでありますが、国が提示する機関リストのうち、主に東京圏に所在する機関の中から、移転や新築の計画が既にあり、事実上移転が困難なものを除外した上で、本県の強みや本県が推進する施策との関係から誘致のメリットがあると思われる複数の候補について、施設・人員体制・事業内容や移転の条件など、提案に必要な情報を収集してきたところです。 国からは、現在の利便性等を上回る移転メリットの提示や、施設等の整備に一定の負担を求められることが想定されます。 今後、国が示している移転・立地の条件に照らし、提案が可能と考えられる市町村にも情報提供し、十分に連携・調整を図りながら、検討をさらに進めてまいりたいと考えております。   〔総務管理部長植田拓郎君登壇〕 ◎総務管理部長(植田拓郎君) お答えいたします。 屋根雪処理の支援に関する課題についてでありますが、まず自力での除雪が困難な高齢者世帯等を的確に把握するためには、収入や不動産なども含めた資産の状況、扶養親族による労力的、金銭的支援の可能性などを捕捉する必要があると考えております。 また、このほか、具体的な支援を行おうとする場合には、支援対象となる積雪状況や対象地域をどのように設定するのか、克雪住宅を保有し、みずから燃料代等を負担している世帯等との公平性をどのように確保するか、各市町村で独自の支援が実施されている中で、その財政力も勘案し、県としてどのような支援が可能か、財源をどのように確保するかなどの課題があると認識をしております。   〔県民生活・環境部長丸山由明君登壇〕 ◎県民生活・環境部長(丸山由明君) 2点についてお答えいたします。 まず、Uターンする若者へのインセンティブに関する取り組み状況についてでありますが、昨年度、人口問題対策会議において、若者世代へのU・Iターン促進支援策を検討した結果、若者層のニーズの高かった施策から順次取り組むこととし、新潟県U・Iターンコンシェルジュと、U・Iターンする若者世代に家賃等の一部を補助するU・Iターン促進住宅支援モデル事業を今年度から事業化したところです。 議員御提案の奨学金につきましては、対象となる人材の絞り込みや財源などについて、検討を進めておるところでございます。 次に、地域の取り組みに対する県の支援の方向性についてでありますが、県といたしましては、議員御提案の地域コンシェルジュ等も含め、各市町村がそれぞれの地域の特性に合わせて実施する先導的な取り組みに対する支援をモデル的に検討してまいります。 なお、その際には、新潟県U・Iターンコンシェルジュとの連携が図られ、実効性のあるものとしていくことが重要と考えております。   〔産業労働観光部長池田幸博君登壇〕 ◎産業労働観光部長(池田幸博君) お答えします。 企業の本社機能移転に関する調査や県内自治体との連携についてでありますが、現在、新潟の立地環境や生活環境になじみのある、本県を創業の地とする企業や本県に拠点を有する企業を中心に訪問を行っております。 これまでのところ、東京の利便性、優秀な人材確保への懸念などの声が多くの企業から聞かれますが、一部には県内拠点への機能の移転を検討するとしている企業もあるところです。 今後は、市町村と協力しながら、本社機能の移転等に関する地域再生計画の策定を進めるとともに、人材やオフィス、職員住宅の確保などの企業サポート体制についても検討し、さらに誘致活動を強化してまいります。   〔農林水産部長目黒千早君登壇〕 ◎農林水産部長(目黒千早君) お答えいたします。 豪雪地域における農業就労の場の確保についてでありますが、豪雪地域における施設園芸は、イニシャルコストやランニングコストが割高となることから、付加価値率の高い作物の選定や販売方法の工夫が必要となります。 これまで施設整備時には、補助率のかさ上げを行ってきたところですが、今後は、より差別化できる農産物の生産や販路開拓に向けた支援方法、さらに雪冷熱や温泉熱など地域資源の有効活用も視野に入れながら、検討してまいりたいと考えております。   〔農地部長石川善成君登壇〕 ◎農地部長(石川善成君) お答えいたします。 ため池に対する点検状況と方針についてでありますが、県内には約5,300カ所のため池が存在し、平成26年度末までに受益面積0.5ヘクタール以上のため池約2,600カ所の一斉点検を実施し、現状把握を行っております。 そのうち、下流に大きな影響を及ぼすおそれのあるため池256カ所について、耐震性点検などにより、安全性の精査を行っているところであります。 今後の方針については、市町村と連携した緊急時における体制の構築に加えまして、ハザードマップ整備などのソフト対策を行うとともに、耐震性点検結果などを踏まえ、補強工事などのハード対策を進めることで、地域の安全性の向上に努めてまいります。   〔土木部長高橋猛君登壇〕 ◎土木部長(高橋猛君) お答えいたします。 住宅の克雪化に対する具体的な施策についてでありますが、県では住宅の克雪化に要する費用の一部を補助する克雪すまいづくり支援事業を実施してまいりましたが、さらに平成24年からは住宅の屋根雪対策条例を制定し、克雪住宅化など屋根雪対策に努めているところです。 今年度は、施策の効果を検証し、必要に応じて制度改正などに取り組むとともに、今後も市町村と連携しながら、住宅の克雪化に対する支援を一層推進してまいります。 ○議長(尾身孝昭君) 宮崎悦男君の質問は終わりました。 暫時休憩いたします。  午前11時53分 休憩   ――――――――☆――――――――  午後1時 開議 ○副議長(金谷国彦君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 引き続き県政に対する一般質問を行います。 まず、松原良道君の発言を許します。松原良道君。   〔松原良道君登壇〕(拍手) ◆松原良道君 質問の許可をいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。 私は、この4月に当選をさせていただきまして、今、こうして県政の壇上に立ちますと、支援をいただいた多くの皆さんの思い、そして顔を思い浮かべるに、改めまして身の引き締まる思いであります。負託されました4年間をしっかりと務めたいと思っております。知事を初め執行部の皆さん、そして何よりも先輩の議員各位には、御指導よろしくお願いしたいと思っております。 それでは、通告に従い、順次質問をさせていただきます。 まず、森林・林業の再興とそれによる地域環境保全促進についての質問でございます。 森林は、豊かで多様な生命を育み、山地災害などから我々の身を守り、温暖化の防止や水源涵養を初め、たくさんの機能で生活を支えてくれています。これを健全な状態に保ち、森林を育成することは、自然とともに生きる我々の使命とも言えます。また、林業として生業に育てていく循環機能が必要であります。 水を治めんとする者は山を治める、山を治めんとする者は木を植えるにしかず、これは私が尊敬する元県議会議員の南雲順一先生が言った、昭和54年12月定例会での一般質問の一節であります。森林の育成が治山・治水の根本であることを示し、ひいては政策の基本であるという思いからであります。 本県は、85万6,000ヘクタールの林野面積を持ち、林野率68%に及んでいます。森林の蓄積は1億2,650万4,000立方メートル、1ヘクタールにしますと148立方メートルであります。昭和55年当時のデータと比較すると、約2倍の数値を示しています。 昭和30年代の家庭燃料の変化や外材の輸入によって、下草刈りや間伐といった保育整備管理が停滞をし、荒れ放題の里山が猿、熊などの被害を生み、さらには水害など土砂災害の要因の一つとなっています。ふるさと再生の第一歩は、里山再生であります。 若者の就職先として有望となれるような林業再興の政策を強く望むところであります。 20世紀の100年間で、地球の平均気温は0.6度上昇したとの報告もあります。多くの原因は、大気中の二酸化炭素などの温室ガスなどによると言われ、森林の果たす役割は大きく期待をされているところであります。日本では、樹冠の面積1平方メートル当たりで1年間におよそ1.8キログラムの二酸化炭素を吸収し、1.4キログラムの酸素を放出しているというデータもあります。 森林が県土の約7割を占める本県において、国土保全や水源涵養、災害防止など公益的な機能を有する森林を保全し、林業の活性化を図ることは重要な課題であります。緑豊かな森林を未来に引き継ぐためにも、持続的な林業経営が可能となる施策の充実が必要と考えますが、知事の所見を伺います。 また、森林の適正な育成管理を進めるには、森林技術員の確保・育成が必要と考えますが、県内における森林技術員の現状と今後の確保・育成に向けた取り組みについてお伺いをいたします。 林野庁は、森林・山村多面的機能発揮対策事業として、地域住民、森林所有者、自伐林家などが協力して行う山林の保全管理や資源を利用するための施策を展開しています。地域環境保全、森林資源の利用、教育研修活動、森林機能強化などのメニューが用意されております。森林の持つ大きな力の存在を忘れている現状にマッチした施策と言えます。 この制度は、国において助成単価が定められていますが、県においてもこの効果を再認識し、県費の上乗せ補助などを検討いただき、取り組みの拡大を図っていただきたいと思っております。 これらの活動に住民を巻き込んでいくことも大事なことではないでしょうか。里山林などの身近な森づくりを進めるためには、森林技術員の確保・育成に加え、森林ボランティアをふやしていくことも重要と考えます。所見をお伺いするとともに、県内における森林ボランティアの状況と今後の取り組みについてお伺いいたします。 多くの森林は伐期を迎えていますが、作業道、林道が整っていなくて、搬出できない状況にあります。加えて、集積しても、次の利用につながる循環システムが十分構築されているとは言えないように思います。また、林家にとって十分な収入となる価格設定ができていない状況でもあります。県内の多くの人工林が利用可能な段階を迎えていますが、これらの資源を育成しつつ、より有効に活用し、林家の収益確保を図っていくことが重要と考えますが、間伐材の利用状況と今後の取り組みについてお伺いします。 今後、県が取り組むべきは、林道整備のように大きな投資が必要となる事業も重要ですが、地域の実態に合った作業道整備なども必要ではないでしょうか。そして、何よりも、森林整備とあわせ、県産材の利用拡大が必要であります。県も、ふるさと越後の家づくり事業で越後杉住宅の支援を行っていますが、今後、さらに県産材の利用拡大に力を入れていただきたいと思っています。利用拡大に向け、どのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。 次に、木質バイオマスについての質問に移らせていただきます。 健全な森林の整備や保全、間伐材の利用に向け、木材、木質バイオマス利用の推進に積極的に取り組むべきと考えています。また、エネルギーの地産地消は、これからの地域政策に重要なものと考えます。また、国では、再生可能エネルギーの普及を目指し、平成24年度から固定価格買取制度をスタートさせました。その中でバイオマス発電も対象となっております。国も、小規模な木質バイオマス発電は、より地域の実情に即した地域主導の取り組みとして取り組みやすく、地域資源の最大限の利用と、それに伴う地域への雇用、そして利益還元につながると強い方針で進めております。 この制度をいち早く取り入れ、間伐材を燃料とする火力発電所を成功させている福島県の株式会社グリーン発電会津が、発電出力5,000キロワットアワーで約1万戸の世帯を賄える、そうした事業を平成24年度に稼働している先進事例もあります。 県内でも各地でバイオマス発電について検討されているとも聞いています。また、木質ペレットストーブやボイラーについても、私の地元である南魚沼市では、ペレットストーブ設置に対する支援を行っているようです。また、県内ほかの市町村でも行われていると聞いており、普及しつつあるというように感じています。 これらバイオマス発電やペレットストーブ、そしてボイラーなど、木質バイオマスの利活用を林業や山村の振興に確実につなげていくことが重要と考えますが、今後どのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。 これらの森林・林業施策の実施に当たっては、限りある財源であることは私も重々認識はしております。今、全国の35県において、そうした財源確保の取り組みとして、森林環境税の導入をしております。導入済みの35県の税収合計は284億円とも言われています。こうした現状を考えますと、森林の持つ多面的機能と国土保全のためにも、国民、県民が等しく負担をするシステムも一考ではないかと思いながら、次の質問に入らせていただきます。 次に、インバウンド観光で地方創生についてを伺います。 地方創生の一番の課題は、人口減少にどう歯どめをかけられるかということです。そのために、地域ではインバウンドに取り組むという意識の変革が必要であり、それはとりもなおさず、それぞれの地域を魅力ある場所として、人に誇れる、訪れたくなるまちにするために、みずからの手で発掘とブラッシュアップしていくことが大切です。 政府は、先般、観光立国実現に向け、日本経済を引っ張る基幹産業として観光を位置づけ、訪日客による消費額を今の倍の4兆円にふやすことや観光にかかわる雇用を40万人ふやすなどの目標を盛り込んだ、新しい観光立国実現に向けたアクション・プログラムを決定し、また2020年2,000万人としていた目標を前倒しして達成できるとしております。 一方で、宿泊施設が足りないなど、受け入れ体制の整備が急務となっていることや、国内の消費が伸び悩む中で多くの外国人を呼び込み、宿泊や買い物でお金を使ってもらうことが重要となっているとの意見もあります。 少子高齢化や消費経済力の減少の中、国内の旅行は減少傾向を示していますが、国レベルではインバウンド訪日外国人旅行は大きな伸びを示し、対する期待は年々大きくなってきています。県としても大きくかじを切っていく必要性を強く感じているところであります。 地方創生元年と言われ、それぞれの市町村は総合戦略としての人口減少をいかに最小限に食いとめられるか、防衛策の構築に思いをめぐらせております。地方創生の一つとして、交流人口をふやす観光産業に力を入れていくべきであり、それも宿泊数が長く、旅行消費額の大きく伸びているインバウンドにアプローチすべきと考えます。 また、成長戦略として、観光産業は波及効果が高く、交通、小売業、宿泊施設、飲食店、芸能芸術などの裾野の広いことから、生産波及効果、付加価値誘発効果、雇用誘発効果、税収効果などが言われ、さらに直接効果に加え、第1次効果である原材料波及効果、第2次効果である家計迂回効果などが期待されております。 また、観光は外需であり、外貨の獲得という面も欠かせません。観光客が自販機でジュースを買えば、たとえ150円でも、それは地域外の外貨と言えます。宿泊だけでなく、中国人観光客の爆買いに代表されるように、農林水産物を日本食として消費し、ショッピングで土産として購入される物品は、製造業への経済効果を生むことにつながり、大きな期待と効果をもたらします。 平成26年のインバウンド数は、観光庁の発表で1,341万4,000人で、前年比29%の増となっています。経済成長による需要の拡大、ビザの大幅緩和、消費税免税制度の拡大、円安トレンドなど、要因と言われていますが、この機運は高まってきています。本県としても多くの外国人観光客を取り込むための施策を積極的に展開すべきと考えますが、知事のインバウンド観光に対する所見をお伺いするとともに、今後、どのように取り組んでいくのかをお伺いいたします。 四季折々の気候や自然の美しさや歴史史跡、和食、日本酒、おもてなしなど、日本固有の部分に加え、我が県は豪雪地で、雪という大きな資源があります。アジアの多くの来訪者の母国には経験することのない大きな資源が存在することは、本県にとっても強みと捉え、アピールすべきだと思っております。 訪日外国人向けのポータルサイト、ジャパンガイドによると、このところ、雪に関連する県に外国人の興味が集中しているという分析もあり、雪と遊ぶ遊雪を前面に出すことができると思います。26年度の県内スキー場の外国人利用客数は、前年度比46%増の10万4,000人とお聞きをしております。豪雪地である本県の雪は大きな観光資源であり、雪と遊ぶ遊雪を前面に出した外国人観光客誘致は効果が高いと考えますが、所見を伺います。 日本特有の文化としてのお宿、料理、温泉、おもてなしは、一級品の観光資源と言えます。インバウンドは、日本人の平均観光宿泊数1.3泊に対し、長期間滞在が多く、遠方の観光地まで赴くケースもあると聞いています。これらのニーズに対応するためには、トキめき佐渡・にいがた観光圏や雪国観光圏で取り組んでいるように、地域が連携して周遊滞在メニューを提供していくことが重要と考えますが、所見を伺います。 さらに、外国人観光客の誘客のためには、例えば病気等、万が一のアクシデントがあった際には直接連絡がとれる常設相談窓口の設置など、外国人が安心して県内を観光できるような環境整備が重要と考えます。そのためには、英語を初めとした多言語による案内表示の拡充が必要と考えますが、所見を伺います。 加えて、外国人観光客の誘致には、玄関口となる新潟空港の利便性向上に向け、上越新幹線の新潟空港乗り入れが必要と考えますが、今後の取り組みとお考えを伺います。 次に、中山間地における農業についてお伺いいたします。 中山間地域の役割は、国土の保全、水源涵養等により、下流域の都市住民を含む県民の生命、財産と豊かな暮らしを守る重要な役割を果たすとともに、良好な景観の形成、豊かな伝統文化や自然生態系の維持等の大切な役割を持っています。 中山間地域の現状は、人口減少率や高齢化率も極めて高く、傾斜を有する農地が多いことや圃場整備率が平場地域に比べて低いことなどから、生産条件の格差もあり、1戸当たりの経営面積は1ヘクタール未満の農家が約65%を占めるなど、厳しい現状にあり、その状況は、今後、さらなる高齢化の進行や耕作放棄地などの増加など、一層深刻化することが懸念されています。 このような状況でありますが、本県農業において、耕地面積では県全体の約4割、農家数では約半数が中山間地であり、本県農業においても重要な位置を占めております。中山間地域を守っていくことは重要なことであり、さきに質問いたしました森林・林業の再生とあわせ、農業の振興も不可欠と考え、質問させていただきます。 まず、中山間地域直接支払制度についてお伺いいたします。 この制度は、今年度から法律に基づく安定的な措置とされました。集落等を単位に、農地等を維持管理していくための協定を締結し、それに従って行う農業生産活動等に支援が行われておりますが、中山間地域に対する施策としては十分なものでないというふうな指摘もあります。 本制度は、これまで平成12年度から3期15年にわたり実施されており、今年度から第4期対策が始まっております。本制度の本県におけるこれまでの成果と課題についてお伺いいたします。 また、県では、中山間地域における若者の新規就農に対する所得を保障する仕組みをモデル的に実施し、制度の有効性について検討するとして、平成21年度から中山間地域新規就農者確保モデル事業を開始しております。平成26年度には、3地区を追加し、国の新たな非主食用米への支援策を活用した経営発展効果を検証するとしておりますが、これまでの取り組みをどのように評価されているか、お伺いいたします。 中山間地域は圃場が小さく、また分散していることなどから、平場に比べ大規模化は難しい状況であります。さらには、降雪地が多く、通年営農による多角化、複合化を進める場合も、積雪対策への設備投資も必要となっております。このような平場と比べて経営規模が……   〔発言する者あり〕 ◆松原良道君(続) 済みません。では、要点だけやらさせていただきます。 ○副議長(金谷国彦君) 松原良道君、時間が超過しておりますので、結論を急いでください。 ◆松原良道君(続) 大変失礼しました。(拍手)   〔知事泉田裕彦君登壇〕 ◎知事(泉田裕彦君) 松原議員の一般質問に順次お答えをいたします。 まず初めに、林業経営に対する施策についてお尋ねをいただきました。 議員御指摘のとおり、林業というのは国土保全や水源涵養、災害防止など公益的な機能を有しております。そしてまた、県土の約7割を占めているという状況であります。この林業を生活の糧として、また集落等が形成されてきたという歴史があるわけでございます。地方創生が強く求められる現在におきまして、この林業経営が持続的に、そしてまた円滑に経営をされていくということは大変重要なことであります。そのための施策については、一層充実していく必要があると考えております。 山を持っていても、伐採をすると、その後、植え直して、事業として成り立たないということであれば、山を維持するというのは難しいということだと思います。一時期の超円高から少し円安に戻しております。世界的にも、日本に木材を輸出する中で山が丸坊主になるということになると、これ、先進国としてもいかがかという状況になるわけでありますので、ぜひ林業で地域が経営できるような環境をつくるよう努力をしてまいりたいと思います。 なお、具体的な施策等につきましては、農林水産部長から答弁をいたします。 次に、森林ボランティアについてでありますが、里山などの森林は、過疎化等により手入れ不足となっております。森林の多面的機能を維持していくためには、議員御指摘のとおり、森林ボランティアなど多くの人たちの協力が必要であるというふうに考えております。 また、森づくりを行うためのフィールドが必要であり、森林所有者が森林ボランティア等を積極的に受け入れることも重要であると考えております。 やはり先祖から引き継いできた山というのはどうなっているかというのは、よくわかっているわけですけれども、他人が入ってくる中で、本当に円滑に管理してもらえるのかどうかという懸念の中で、自分たちで努力をしていくというところも見られるわけであります。やはり安心ができるような仕組み、こういったものをしっかりつくっていくという中で、森林所有者が森林ボランティアを受け入れられるような環境、これを形成していくことが重要と考えております。 なお、森林ボランティアの状況と今後の取り組みにつきまして、農林水産部長から補足答弁をいたします。 次に、インバウンド観光についてお答えをいたします。 まず、インバウンド観光に対する所見についてお尋ねをいただきました。 これも為替レートと大変大きな関係を持っているわけでございます。一時期のような超円高ということになりますと、海外の人にとっては大変日本での旅行が高くつくという状況が続いておりました。そして、御指摘のように、旅行収支について考えますと、インバウンドについては実際輸出をしたのと同じ効果、すなわち日本にお金が還流してくるということになります。アウトバウンドのほうは、日本からお金が出ていくということになります。しばらく日本は、三十数年にわたってなのですけれども、この旅行収支がずっと赤字で来ました。事実上の輸入、サービスの輸入をしていたということでございます。 超円高が是正をされたということによりまして、訪日外国人の旅行者の流れ、本県に取り込んでいくことが時期的にもふさわしい状況になってきていると思います。 そして、もう一つ重要な点は、いわゆるゴールデンルートと呼ばれております、東京に入って、秋葉原を見、そしてまたディズニーランドへ行って、富士山を見て、関西の観光をして、関西から帰るというルート、事実上もうパンク状態に近いという認識を持っています。ゴールデンウイークで宿がとれないというような状況に来ています。1,300万人の訪日外国人数でこういう状況ですので、2,000万人を目指していくときに、縦のゴールデンルート、まさにこういったものを構築していくということが本県にとってのチャンスを大きく広げていくということだと思います。 そしてまた、訪日外国人がふえるということは、国際化の視野の拡大という観点もあわせて醸成されるということになると思います。 今後とも、本県を訪れる外国人観光客のニーズを把握しながら、強みを生かした情報発信、そしてまた受け入れ体制の整備の強化に取り組んでまいりたいと思います。 なお、具体の取り組みにつきまして、産業労働観光部長から補足答弁をいたします。 次に、雪遊びを押し出した外国人観光客の誘致についてであります。 雪遊びを目的とした旅行商品の販売実績も好調であるというふうに聞いております。雪に触れる機会のない国々、こういった国々のほうが世界では圧倒的に多いという状況になっているわけでありまして、そういった国々からの誘客には、雪のアピール、これは大変効果的ではないかと考えております。 加えて、本県には、豊かな食や歴史文化の魅力も多くあります。 近年、特に湯沢、そしてまた妙高等で外国人客の皆さんが多く来られていますけれども、いわゆるグローバルスタンダードで欧米化をしたリゾート観光地というのではなく、日本古来の町並み、また文化、サービス、こういったものが経験できるということが評価をされるというふうに認識をいたしております。 加えて、そういった地域で指さしで会話をする等々、英語と外国語で生活ができるような環境を整えてきたことにより外国人の方の訪問がふえているというところもあるわけでございます。 国による嗜好、そしてまた習慣の違い、旅行目的となる観光資源の魅力、こういったことが異なることも踏まえながら、対象市場に応じた取り組みをさらに進めてまいりたいと思います。 次に、地域が連携した周遊滞在メニューの提供についてでありますが、議員御指摘のとおり、長期に滞在する外国人観光客のニーズに応じた、地域を周遊するメニューを提供することは、大変重要と考えております。 これ、旅行客の場合は、ある一定の法則がありまして、近くから来られる方は移動距離が短い、そしてまた遠方から来られる方は周遊されるという傾向があります。例えば日本人がヨーロッパに行くと、パリを見て、ロンドンを見て、そして最後にミラノを見て帰ってくるということもまれではありませんが、これ、例えば近くから近くの観光地に行った場合は、これだけの距離はなかなか移動しないということになると思います。 やはり海外から来られるお客様が、1カ所のみならず、地域の魅力を堪能して帰られるということ、これは周遊ルートをやはり確保するという必要がありますので、長期に滞在をされる外国人のニーズに合った地域を周遊するメニューを提供するように、これ、努力をしてまいりたいと思います。 このため、県といたしましては、観光圏など地域の関係者が連携いたしまして、幅広い観光資源を生かした取り組みを支援してまいりたいと思います。そして、その魅力をエージェントやメディア招聘等を通じて、誘客促進につなげてまいります。 次に、多言語によります案内表示の拡充についてであります。 県では、交通拠点や観光施設などの案内表示、そしてまたWi―Fi環境の充実に取り組んでいるところであります。こういった案内表示等の充実ということを今後も進めてまいりたいと思います。 なお、その際、先ほども申し上げたとおりなのですが、日本というこの長い歴史と伝統を持つ国の異文化、これを体感したいというお客様が、これ、得心して帰っていただくということ、日本を楽しんでいただけるということも大変重要と考えております。 国によっては、外国語表記の看板を禁止している国もあるわけです。それは、地域の文化、国の文化をしっかり守っていくということでありますので、日本らしさや景観を損なわない受け入れ環境づくり、これにも留意をしながら取り組みを進めてまいりたいと思います。 次に、中山間地域農業についてお答えをいたします。 まず、中山間地域新規就農者確保モデル事業に対する評価についてでありますが、これまで第三者委員会の報告では、新規就農者の企画販売力を生かした取り組みは、法人の経営発展に有効であり、新たな雇用創出にもつながっているとの評価をいただいております。 このことから、本事業は、中山間地域の若い担い手確保に有効と考えているところでありまして、引き続き、不作付地での非主食用米の作付による経営発展効果も含め、事業の効果を検証してまいります。   〔産業労働観光部長池田幸博君登壇〕 ◎産業労働観光部長(池田幸博君) お答えします。 インバウンド観光の取り組みについてでありますが、県では、韓国、中国、台湾などの重点市場に加え、訪日旅行客が増加している東南アジア諸国も対象に、観光展の出展や海外エージェントの招聘などの誘客活動を強化するとともに、受け入れ体制整備の取り組みを進めてまいりました。 今年度は、これまでの取り組みに加え、免税店の拡大を推進するほか、外国人観光客の個人旅行化に対応するため、テーマ性を持たせたメディア取材の促進、県内の留学生などと連携したSNSによる情報発信などに取り組んでまいります。   〔農林水産部長目黒千早君登壇〕 ◎農林水産部長(目黒千早君) 7点についてお答えいたします。 林業の施策等についてでありますが、林業の持続的な経営を実現するため、県では、生産性の向上や、発電を初めとした木質バイオマス利用による森林資源のフル活用、県産材の新たな用途の創出を図る施策などをさらに推進してまいります。 また、国において、林業の振興のための安定的な財源を確保し、自由度の高い交付金等により、地域の実情に応じた取り組みを継続的に支援する必要があると考えております。 引き続き、こうした仕組みの構築について、全国知事会等を通じ、国へ要望してまいります。 次に、森林技術員の現状と確保・育成に向けた取り組みについてでありますが、平成25年度における県内の森林技術員は469名で、前年度から9名ふえたものの、長期的には減少傾向にあり、60歳以上の占める割合も3割を超え、他産業と比べて高い状況となっております。 このため、県では、関係団体と連携しながら、就業ガイダンスの開催や情報誌の活用などにより、若者を主なターゲットとして林業の魅力や新規就業者への支援制度などについて、積極的にPRしてまいりたいと考えております。あわせて、U・Iターンコンシェルジュとも連携し、就業希望者と森林組合とのマッチングや生活情報の提供を行うことで、森林技術員の確保に努めてまいります。 また、資格取得や技術力向上のための研修を通じて、森林技術員の育成を支援してまいります。 次に、森林ボランティアの状況と今後の取り組みについてでありますが、昨年開催された全国植樹祭の準備を進める中で、森づくりへの意識の醸成が進み、この結果、森林ボランティアは、平成26年度で約2万人と、3年間で約4倍にふえております。 県といたしましては、森林所有者に、森林ボランティアを受け入れる森づくりフィールドの提供を働きかけるとともに、これらの情報を提供し、森林ボランティアへの参加を広く呼びかけてまいりたいと考えております。 あわせて、間伐や下草刈りなどの技術指導を行うことで、森林ボランティア活動が定着するよう、継続して支援してまいります。 次に、間伐材の利用状況と今後の取り組みについてでありますが、間伐材は主に建築用材やチップ・おが粉、合板に利用されており、利用量は5年間で倍増し、直近の平成25年度は4万6,000立方メートルとなっております。 県ではこれまで、林家の収益確保につながる利用間伐を推進するため、施業の集約化や路網の整備などを支援してまいりました。 今後は、これらの支援に加え、市町村と連携して地域の合意形成をさらに進め、大規模集約化による低コスト化を図るとともに、発電を初めとした木質バイオマス利用による森林資源のフル活用を進めてまいります。 次に、県産材の利用拡大に向けた取り組みについてでありますが、県ではこれまで、木材の最大の需要先である住宅分野での利用や、多くの県民が利用する公共施設等での木造、木質化を支援してまいりました。 今後、さらなる県産材の利用拡大に向け、建築基準法の改正により可能となった中層建築物での利用や、新たな需要先となる直交集成板の普及・導入に、関係団体等と連携して取り組んでまいりたいと考えております。 次に、木質バイオマスの利活用についてでありますが、これまで進めてきたペレットボイラー等での利用に加え、発電に利用することで木質バイオマスの大幅な需要拡大が期待されております。 一方、木質バイオマスの供給価格が割高であることや、バイオマス発電施設設置の取り組みが既に始まっていることから、一層の低コストかつ安定的な供給が課題となっております。 このため、現在、素材供給者や流通業者等から成る需給調整会議において、具体的な集荷・供給方法について、検討が進められております。 県といたしましては、木質バイオマスの需要拡大が、林業や山村の振興につながるよう、安定的・計画的な供給体制の構築に向け、必要な支援を検討してまいります。 次に、中山間地域等直接支払制度の成果と課題についてでありますが、これまで耕作放棄地の増加率は40%を超えていましたが、本制度により、2010年には3%の増加に抑えられました。また、稲作生産組織数は555で、政策プランの目標の90%を超えております。 これらのことから、中山間地域農業の維持には一定の効果があったものと考えております。しかし、若者の就農を促進するまでには至らず、農業者の高齢化に歯どめをかけられないという課題があると認識しております。 このため、中山間地域において、他産業並みの所得を実現することで、後継者が確保されるよう、公的なサポートの拡充が必要と考えており、先般、国に対して働きかけてきたところです。   〔交通政策局長桐生裕子君登壇〕 ◎交通政策局長(桐生裕子君) 1点お答えします。 上越新幹線の新潟空港乗り入れに係る今後の取り組みについてでありますが、新潟空港の軌道系アクセスの検討に当たっては、新潟空港が将来、首都圏等への旅客流動の一翼を担うことや、新潟港将来構想を見据えながら、課題を整理してまいります。 実現可能な案を絞り込むため、あらゆる可能性を排除せず、調査検討を行うこととしております。 今後とも、県民の皆様の理解を得ながら、進捗を図ってまいりたいと考えております。 ○副議長(金谷国彦君) 松原良道君の質問は終わりました。 次に、長部登君の発言を許します。長部登君。   〔長部登君登壇〕(拍手) ◆長部登君 これまでの質問と幾つかは重なりますけれども、お許しいただきたいというふうに思います。 最初に、知事の政治姿勢についてお伺いいたします。 国会で審議中の安全保障関連法案について、衆議院の憲法審査会で参考人招致された3人の憲法学者全員が憲法違反との見解を示し、とりわけ自民党推薦の学者までもが憲法違反と断じました。また、地方公聴会でも意見陳述人6人のうち5人が憲法違反と指摘をいたしました。さらに、6月17日現在で3,400人もの学者が安保法案に反対する声明に賛同している事実は極めて重いものがあると考えますが、知事は、多くの学者等が憲法違反として反対している安全保障関連法案についてどのように考えているのか、所見をお伺いいたします。 法案が憲法に違反しているかどうかを問うているときに、政権与党による、学者の言うとおりにして平和が守れるかとか、学者は憲法条文の字面に拘泥しているとの認識は、立憲主義の否定、軽視と言わざるを得ないと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 憲法違反にならないかという安保関連法案の根本にかかわる問題で、憲法学者3人全てに憲法違反と指摘されたことに加え、政府自公によるこれへの反論も、根拠に乏しいと一旦はお蔵入りした砂川判決を持ち出すなど、全く説得力を持たず、また衆議院の参考人質疑で、2人の元法制局長官からも、違憲だとし、1972年見解との整合性について、黒を白と言いくるめる類いだと厳しく批判され、また世論調査でも、法案を今国会で成立させる必要はない、が6割を占め、かつ国民に十分説明しているとは思わない、が8割を大きく超えるなど、国民に納得のいく説明もなく、したがって国民的議論のない中、強行採決はまさに言語道断であり、当然に撤回され、廃案にされるべきと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 次です。派遣労働のあり方を大きく変える労働者派遣法改正案が衆議院で可決され、参議院で審議されております。政府は、派遣労働者を正社員化する法案と言うが、むしろ不安定な派遣労働を拡大する法案であり、社民党など野党や労組が批判するように、一生派遣の合法化であると考えますが、この改正派遣法案について知事の所見をお伺いいたします。 改正派遣法案が成立し、施行されれば、正規労働者がふえる以上に非正規労働者がふえ、経済格差がますます拡大し、雇用や経済の面だけでなく、結婚、少子化問題などさまざまな面で影響を及ぼすと考えますが、どのような影響が考えられるか、知事の所見を伺うとともに、非正規雇用から正規雇用への転換を進める施策が必要と考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 日本創成会議は、東京圏の高齢者の地方への移住を提言し、政府も、まち・ひと・しごと創生基本方針の素案において、受け入れ拠点の整備に向け、モデル事業を始めるとし、東京一極集中を解消する一つの方策として高齢者の移住促進を挙げています。元鳥取県知事の片山善博氏は、現代版うば捨て山構想だとして、地域の介護は地域でするのが自治、できないから出ていけでは、棄民だと批判しています。高齢者の移住促進について、知事の所見を伺うとともに、今後の対応についてお伺いいたします。 新たな教育委員会制度の中で総合教育会議が開かれましたが、政治的中立性、継続性・安定性に影響が出ることが懸念されておりますが、総合教育会議開催に際して、政治的中立性などの確保のために、知事はどのような心構えで対応されているのか、所見をお伺いいたします。 次に、介護保険制度改正により、ことし4月から、軽度者に提供されてきた訪問介護と通所介護サービスが給付から市町村事業へと段階的な移行が進められている中、軽度者支援の低下などが危惧されます。このことについて、県としてどのように認識しているのか伺うとともに、移行に際して要支援者の意向と選択及び主体性が尊重されるための措置について、市町村等にどのように指導、対応していくのか、伺います。 また、2015年度介護報酬改定により大幅な介護報酬の引き下げが適用され、介護労働者の処遇低下や、さらには介護サービスの質と量の低下が危惧されますが、このことについて県の認識を伺います。また、介護労働者の安定的な確保は重要であり、そのためにも、全ての介護事業者に介護職員処遇改善加算、サービス提供体制強化加算等の届け出・請求を促すなど、強い指導が必要と考えますが、こうしたことも含め、介護労働者の処遇改善と人材確保のために、介護事業者等にどのように対応していくのか、伺います。 子ども・子育て支援制度では、保育の量的拡充と質の改善が図られているところであり、実施主体である市町村が取り組みを進めていく必要があります。そのためには、保育士の処遇改善と人材確保が重要と考えますが、県の施策についてお伺いいたします。また、保育人材の確保に向け、潜在保育士の掘り起こしやマッチング機能について、さらなる強化が必要と考えますが、所見をお伺いいたします。 次は、原発問題についてであります。 福井地裁が関西電力高浜原発3、4号機について、規制基準に適合したからといって安全ではないとして、運転してはならないとする仮処分を決定いたしました。原子力規制委員会の新規制基準の合理性と信頼性に疑義を呈した点は極めて重要と考えますが、この点も含め、この決定について知事の所見をお伺いいたします。 そして、この仮処分においては、10年足らずの間に4カ所の原子力発電所に5回も基準地震動を超える地震が来たとして、高浜原発の地震想定だけが信頼に値するという根拠は見出せないとしています。また、これまでの過去の地震の平均像をもとに、基準地震動を策定することに合理性は見出しがたいとしていることについて、知事の所見をお伺いいたします。 高浜原発を運転してはならないとする仮処分においては、1、基準地震動の策定基準の見直し、2、外部電源等の耐震性強化、3、使用済み核燃料を堅固な施設で囲む、4、使用済み核燃料プールの給水設備の耐震性強化の必要性を挙げ、この4点が解決されない限りは脆弱性は解消しないと指摘しておりますが、本県柏崎刈羽原発に当てはめた場合、その安全性についてどのように考えているのか、お伺いいたします。 経済産業省は、今夏も節電数値目標を設定しなくても電力の安定供給ができるとの見通しを発表いたしました。全原発の停止後、一時期稼働された大飯原発の分を差し引いても、これまでの3年間、原発の稼働なしでも電力は足りていたと考えますが、このことについての知事の所見をお伺いいたします。 家庭の節電や企業の省エネ努力などで、電力消費量、2010年度1兆キロワット時が震災後の2011年度に9,700億キロワット時まで減少し、その後、減り続けているという中、火力発電のトラブルになれば供給不足のおそれが生ずるなどともっともらしい理由を述べておりますが、大きなリスクを負ってまで原発の再稼働を急ぐ政府の姿勢は、原発の安全神話が崩れた今、全く説得力を欠くと言わざるを得ないということを強調しておきたいと思います。 経産省が示した2030年度における電源構成案では、原発の割合を20~22%、再生可能エネルギーを22~24%としています。原発については、老朽原発の運転延長を前提としており、国民の期待に応えていないと言わざるを得ません。 長期エネルギー需給見通し小委員会で、委員の橘川武郎氏、東京理科大大学院教授が、政権の、原発は可能な限り低減させるという公約と違う、20~22%の実現は難しい、と指摘をいたしました。さらに、再生電源の数値は非常に物足りないと批判しています。また、九州大の吉岡斉教授も報告書案について、震災前に戻すかのように原発と石炭は維持して、再生エネルギーは軽んじられている、と批判をいたしました。また、環境法制が専門の高村名古屋大教授も、再生エネルギーは積み増しの余地がある、と訴えました、などが小委員会での発言として報じられております。自然エネルギー財団の大野常務理事は、マスコミのインタビューで、東日本大震災後に自然エネ関連の企業や団体が立てた計画などに基づく現実的な数字だとして、自然エネルギーを45%にすべきだと言っています。 再生可能エネルギーについては、一層の普及を通じて発電コストを下げていく余地があり、自由化を機に、再生可能エネルギーを軸にしたエネルギー産業への参入を考える企業や地域経済の核にしようという自治体もふえていると聞きます。本県も太陽光、風力は年内20万キロワットに達するとの記事も載っております。この電源構成案について、知事の所見をお伺いいたします。 報道によれば、IAEAの福島第一原発事故の最終報告書案は、東電などは自然災害などに対して評価し直すことがなかったし、規制当局も見直しや国内外の経験を踏まえた改善を求めなかった。東電は東日本大震災とほぼ同等の津波を試算したが、措置しなかった。定期的な安全性の評価や災害の再想定、過酷事故への対応基準や指針が、国際的な慣行などに沿っていなかった。日本の原発は安全であると思い込んでいた。原子力安全に対し、疑問を抱くことを避ける傾向があったなどとして、安全文化や組織体制、過酷事故対策など厳しく批判しているとのことでありますが、この報告書案について知事の所見をお伺いいたします。 しかし、報道を見る限り、この報告書案は津波による電源喪失を前提にしていると考えますが、このことについて知事の所見をお伺いいたします。 また、報告書案は、子供の甲状腺被曝線量については、低く、甲状腺がんの増加は考えにくい。胎児などに被曝の影響は見られず、被曝線量が低いため、今後も影響はないと予想されると断じていることに違和感を感じるのでありますが、知事の所見をお伺いいたします。 環境団体によれば、IAEAの報告書案では、福島第一原発から放出されている放射性物質の総量についての理解はいまだ不完全であるとしているにもかかわらず、健康影響が出ることは予想していないとしていることや、陸域の放射能汚染規模、範囲、複雑さについても十分に評価することなく、生物相への影響についても否定していることなど、希望的観測による予測であると言わざるを得ず、より安全側に立った判断ではないと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 報道によれば、東京電力の姉川常務は、柏崎刈羽原発から30キロ圏内の9市町村に義務づけられた避難計画について、1月の住民説明会で、避難計画が不十分だと自治体の方が思われる段階では、再稼働はできないと言ったことについて、6月の柏崎市議会の全員協議会で、自治体が策定する計画が不十分な内容になることはあり得ないとの認識を示したとあります。市町村がつくる避難計画が十分かどうかは、どこで、どのように判断すると考えればいいのか伺います。策定した市町村であるとしたら、荷が重過ぎると思いますが、それでいいと考えているのか、また県としてそこにどのようにかかわっていくのか、知事の所見をお伺いいたします。 地域原子力防災協議会が設立され、内閣府は、国が関与し、県をサポートする形で避難計画の策定を進めたいとしており、また県の担当課も、国レベルで解決が必要な問題もある。現行制度下で対応できることを内閣府と一緒に解決したいとしておりますが、避難計画についての県による規制委員会への要望事項が実現しない限り、県が考える実効ある避難計画は困難であり、そのことによる再稼働は当然に考えられないと思いますが、知事の所見をお伺いいたします。 県は、市町村が避難計画をつくるための広域避難などの指針を示すことになり、法整備など、課題解決策について再三国に要望してきておりますが、これらが満たされない中でつくられる避難計画は当然に不十分な内容であると考えます。したがって、東電の姉川常務の言うように、自治体が策定する計画が不十分な内容になることはあり得ないということには必ずしもならないと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 原子力規制委員会は、原発事故時の住民避難の基本方針を定めた原子力災害対策指針を改定いたしました。SPEEDIの活用や半径30キロ圏外の事故時の避難など、本県の要望が取り入れられず、知事も記者会見で、全く理解できないと批判しておられます。改めて、この原子力災害対策指針改定について、知事の所見をお伺いいたします。 続いて、最後のTPPについてであります。 TPPについては、これまで幾度となく質問してまいりました。残念ながら、米議会で大統領に強い交渉権限を与えるTPA法案が可決され、TPP交渉が大筋合意に向けて大きく動き出す状況になったことも踏まえ、改めて質問させていただきます。 先般、民主党政権時代に農林水産大臣でありました山田正彦氏の講演を聞く機会がありました。その中で、その会に先立ち、知事を表敬訪問したという話がありました。泉田知事について、大変聡明な知事で、TPPの本質をきちんと理解しておられると述べ、氏の著書「TPP秘密交渉の正体」を寄贈したということも述べておられました。知事はその本を読まれたかどうかは知りませんが、私はその本を読ませていただき、改めてTPPは多くの国民にとって、利益をもたらすものではなく、大変怖いものであるとの思いを一層強くいたしました。この本の内容をベースにお話をしながら、質問をいたします。 TPPは、まさにオバマアメリカ大統領が、その上院議員時代に、NAFTAについて、自由貿易はますます格差社会を広げていくだけで、一部の多国籍企業と投資家の利益のために推進しているだけだといみじくも語ったように、多国籍企業や大企業、あるいは投資家には莫大な利益をもたらしますが、多くの国民にとっては、利益よりも生活破壊や安全の低下をもたらす危険が極めて高いと思っております。 TPPの内容の原点はNAFTAであり、NAFTAあるいはFTAの自由貿易度をもっと増したのがTPPであると私は認識しています。 20年前、NAFTA締結に際し、クリントン大統領は、関税がゼロになることで、カナダやメキシコに米国の自動車など工業製品、農産物の輸出が大幅にふえて、新しい雇用が生まれる。安い食品が輸入され、国民の暮らし向きが豊かになると述べ、アメリカ国民の60%がNAFTAに賛成。メキシコでも、米国からの自動車工場などが進出してきて、新しい雇用が生まれる。また、メキシコにとって高い関税をなくすことで、米国からトウモロコシが安く入ってくるので、メキシコ国民の主食であるトルティーヤがはるかに安く食べられるようになると期待をいたしましたが、20年経過した今、メキシコでは、米国からの遺伝子組み換えトウモロコシが年間800万トンも輸入され、メキシコの農家は300万戸が倒産、2,000万人もの農民が職を求めてアメリカに移住、金銭による解雇が自由にできるアメリカでは、メキシコからの安い労働力に入れかえられて、20年間でアメリカ人の失業者は500万人に達し、さらに賃金の水準は1972年時代まで落ち込んでしまったと言われています。 メキシコで残された農地は、多国籍企業、すなわちカーギル、モンサントなどの子会社に安く引き取られて、大規模農場として遺伝子組み換えトウモロコシなどを栽培、メキシコに残った農民はそこで劣悪の条件で雇われ、辛うじて自立できた農家も、モンサントなどからの農薬代、種子代などの借金漬けになって、奴隷農場と化していき、また在来からのトウモロコシ原種もモンサントなどが特許申請し、メキシコ農家はトウモロコシ原種を耕作する場合での特許料を支払わなければならなくなったというのであります。 また、トルティーヤも当初こそ安かったのでありますが、メキシコの中小零細の加工業者は10年の間にほとんど倒産、多国籍企業に寡占化され、結果、トルティーヤの値段が上がり続け、NAFTA締結前の8倍にまで上がったと言われています。 メキシコでは、米国からの企業が進出、新たな雇用が生まれはしましたが、組合の組織率が悪く、劣悪な環境の中で働かされているのであります。 韓国では、米国とFTAを結んだ後、1年で畜産業の7割は廃業、農業は既に壊滅的な打撃を受けたと述べています。 韓国は、米国の遺伝子組み換え食品を受け入れ、原産国の表示の義務づけなどの廃止が明らかにされておりますし、韓国の国民皆保険が適用されない株式会社経営の病院の参入を認め、既に特区を設け、自由診療の医療が始まり、株式会社の病院ができているとのことです。 山田氏は、2012年にワシントンでUSTR、いわゆる米通商代表部を訪問した際、当時のマランティス代表補に、米国はTPPで日本に何を求めるつもりですかと質問したとき、代表補は、米韓FTAの内容以上のものを求めると答えたと述べています。 あるいは、別のところで、同代表補が連邦議会の公聴会で、TPP加盟国では環境と労働の基準はアメリカと同様にすると述べたと記しています。 日本がTPP交渉参加するに当たって、米国との事前協議で日本に参加の条件としたのに日米並行協議があります。これまで日本に対日年次改革要望書として要求していたことも含めて、日米2国間で協議をして、TPP妥結までに解決を図るとしています。これまでの数々の構造改革は、規制緩和の名のもとに、対日年次改革要望書のとおりに実現され、米国の言いなりだったと言われています。今は、TPPをにらんで、並行協議がその役割を果たしております。衆議院で強行採決された労働者派遣法改正案も、もとは並行協議における派遣労働の強化を押しつけたアメリカの要求でありますし、金銭解決による解雇を初め労働、医療等、戦略特区を設けての規制緩和も、TPPを見据えて、アメリカの要求によるものであります。大和総研グループの長谷部正道氏は、片務的なTPP日米並行協議と称して、政府首脳部が口にする、攻めるべきは攻め、守るべきは守るという図式が、米国に対して一切成立していないと言っております。交渉力にたけたアメリカにやられっ放しと懸念する関係者もいます。このような中で国益が守れるとは到底思えないのであります。 以上、国民の生活を守るために、米は無論、米以外においても、農業、医療、介護、環境、労働、教育を初め、もはや国内対策で対応できるレベルの問題ではないものがたくさんあると考えています。そして、一旦TPPを受け入れたら、それは国民の大きな犠牲となってのしかかってくるものであると思います。できれば知事には共通の認識に立っていただき、TPPそのものに反対していただきたいとの思いを込めて、以下質問をいたします。 最初に、これまで知事は、TPP参加はその効果や影響が国民生活に直結するものであり、十分な説明がなされた上で、国内措置をどうするかも含めた国民的議論が必要と考えているとしています。県として、これまでにも国に対して再三要望を行ってきましたし、知事会を通じて要望してきたところであります。 そこで、質問いたしますが、TPPは秘密交渉であり、十分な説明がなされた上で、国内措置をどうするかも含めた国民的議論が必要であると国に要望しても、もともと不可能なことを要望していることになると考えますが、知事はどのような認識で国に要望してきているのか、所見をお伺いいたします。 次に、TPPへの参加による効果や影響が国民生活に直結するにもかかわらず、このような秘密交渉を前提とするTPPについて、知事はどのように考えているのか、所見をお伺いいたします。 知事は、米は主食であり、本県の基幹作物でもある。米の関税撤廃は影響が大きく、また食料安全保障の観点も含め、稲作を中心に育まれてきた日本独自の伝統・文化と地域社会を守るためにも、関税撤廃の対象から除外し、いかなる譲歩も行うべきではないとしています。 そこで、質問いたしますが、TPP交渉をめぐり、日本は米国産の主食用米輸入量の5万トン増の受け入れを提案していることなどが報道されておりますが、仮にこれが事実であった場合、知事は当然TPP参加そのものに反対していくものと考えますが、所見をお伺いいたします。 自由貿易において投資家を保護するために、投資家がその国を訴えることができるとしたISD条項は、その国の国内法に関係なく、投資家企業の利益が損なわれたかどうかでのみ判断されると言われております。各国とも他国の企業から訴えられることを心配して、本来必要な規制を行うことをためらうのではないかということを懸念していると聞きます。韓国では、地方裁判所の判事が、米韓FTAが、ISD条項によって、国の司法主権を重大かつ深刻な水準に制限しているかどうかを研究検討してほしい旨要請する建議文を提出したと聞きます。このようなISD条項をTPPにおいて受け入れるべきでないと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 冒頭に述べましたように、NAFTAにおいて、メキシコでは、食料用トウモロコシが関税ゼロとなり、農業雇用の喪失や食料自給率の下落を招き、カナダでは、米国企業が大挙して小麦集配工場等を建設し、農協等を傘下に置いて、10年と待たずに農業を支配するようになったと聞きます。韓国では、米韓FTA発効後1年で養豚業者の7割が廃業し、180本の国内法が米国の制度に倣って変えられ、遺伝子組み換え食品の受け入れ、株式会社経営の病院の参入、米国産牛肉の輸入条件の緩和等がなされたと聞きます。TPPにより、日本でもそのようなことにならないか懸念されますが、知事の所見をお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)   〔知事泉田裕彦君登壇〕 ◎知事(泉田裕彦君) 長部議員の一般質問に順次お答えをいたします。 まず初めに、安全保障関連法案並びに法案の憲法解釈に対する議論についてでありますが、大渕議員の代表質問にお答えをいたしましたとおり、地方自治体は、法案や憲法解釈の前提となる国防や安全保障環境等について十分な情報を有しておりません。 憲法解釈を含む法案の是非については、責任を持って判断いたしかねますので、新潟県知事としての見解の表明は、控えさせていただきます。 次に、安全保障関連法案をめぐる対応についてでありますが、今ほどもお答えをしたとおり、憲法解釈を含む法案の是非については、責任を持って判断いたしかねますので、新潟県知事としての見解の表明は、控えさせていただきます。 また、今回提出された安全保障関連法案については、国会の場で国民的議論が行われるべきものであり、政府においては、延長された国会の中において、十分な説明を行うとともに、さまざまな立場から、国民の理解が深まるよう議論が行われるべきものと考えております。 次に、労働者派遣法改正案についてでありますが、今般の改正案では、企業の派遣労働者の受け入れ期間などが緩和されておりますので、議員御指摘の懸念があるものと認識をいたしております。 したがって、改正案については、国会で、労働者の保護や雇用慣行のあり方にも十分配慮した審議が尽くされた上で、制度設計が進められるべきものと考えております。 次に、改正派遣法案の成立による影響及び正規雇用への転換施策についてでありますが、法改正の影響については、そのときの社会情勢の変化など、考慮すべき要素がさまざまにあります。一概にお答えすることは困難な面があります。 また、正規雇用を希望していながら、やむを得ず非正規雇用についておられる方々がいらっしゃることから、議員の御指摘のとおり、非正規雇用から正規雇用への転換を進める施策は必要と考えております。 法改正により想定し得る影響の具体的な例示及び正規雇用への転換施策については、産業労働観光部長から御説明をいたします。 次に、高齢者の移住促進についてであります。 大渕議員の代表質問にお答えをしたとおり、健康的でアクティブなシニア世代の地方への移住は、消費の拡大による地域の経済活動の活性化などが期待できます。一方、将来的に医療・介護需要の増大によるサービス提供資源の課題を解決する必要もあります。 県といたしましては、国における日本版CCRC構想の検討も視野に入れながら、地域の活性化につながるシニア層の地方移住の方策について、検討を進めてまいりたいと思います。 次に、総合教育会議開催に際しての心構えについてであります。 総合教育会議は、本県教育の課題や目指す姿について、教育委員会と幅広い意見交換を行う場として設置したものであります。 この会議を活用いたしまして、教育委員会と、より一層の意思疎通を図ってまいりますが、基本的には、これまでどおり教育委員会の判断を尊重してまいりたいと思います。 次に、原発についてお答えをいたします。 まず、高浜原発3、4号機の運転差しとめ仮処分の決定についてであります。 関西電力高浜原子力発電所に関する仮処分申立事件の具体的判断については、責任を持って情報を収集し、分析する立場にはありませんので、新潟県知事としての所見を述べることは控えさせていただきます。 なお、福島第一原子力発電所事故の検証・総括がないまま策定をされた規制基準では安全確保ができません。 原子力規制委員会は、新規制基準には問題があるとの指摘を踏まえ、地域の安全をいかに確保するかという組織の本来の目的を果たして、実効性のある対策を速やかに構築していただきたいと思います。 次に、高浜原発に関する仮処分における基準地震動に関する見解についてであります。 今ほどお答えいたしましたとおり、高浜原発に関する仮処分の具体的判断については、責任を持って情報を収集し、分析する立場にありませんので、新潟県知事としての所見を述べることは控えさせていただきます。 次に、高浜原発仮処分における技術的指摘についてであります。 議員御指摘の技術的要素については、まずは専門家で構成された県の安全管理に関する技術委員会で判断していただく必要があると考えております。 次に、全国の電力需給についてお尋ねがありました。 県は、全国の電力需給の詳細を把握できませんので、新潟県知事として責任を持ったコメントは差し控えさせていただきます。 次に、2030年度の電源構成案についてであります。 福島第一原子力発電所事故の検証・総括が行われていない中で、今後の政策の方向性を決めたとしても、それは政策精度が低くなるというふうに考えております。 将来の電源構成は、電源の多様化が重要であると認識しておりますけれども、可採資源量や調達先のカントリーリスク、安価な石炭エネルギーのクリーン化、供給に係るコストや安定性、世界の人口がどうなるのか、経済環境がどう変わっていくのか等々、時間とともに変化するさまざまな要素の中で決まることであると考えております。 なお、県内においても、再生可能エネルギー産業に参入する企業等は、現在、増加している状況であると認識をいたしております。 次に、IAEAの最終報告書案についてでありますが、報道された範囲内でしか内容を把握できておりません。津波対策やシビアアクシデント対策、複合災害への対応についての東京電力や規制当局の認識の甘さが痛烈に批判されているものと承知をいたしております。 基本的には、従前から申し上げている私の指摘と同様のことが含まれていると感じておりまして、報道のとおりであれば、政府、事業者、規制当局には、責任の所在を含め、事故の検証・総括に真摯に取り組んでいただきたいと思います。 普通、工場で火事があった、爆発があったといえば、消防と警察が規制線を張って現場検証して、そして刑事責任、民事責任、こういったものに波及する調査をちゃんとやるわけであります。東京電力においては、これ、過去の津波の襲来に試算がなされていたことについて、どういう判断でやらなかったのか。内部の調査も、そしてまた組織内のけじめも一切つけていないという状況でありまして、そういった中で、検証・総括を、責任を回避するために避けているのではないかということを感じさせておりますので、これは真面目に対応していただきたいというふうに思っております。 次に、IAEAの報告書案で電源喪失の原因を津波としているという点についてでありますが、これ、正式な報告書が公開されたら、県の安全管理に関する技術委員会で確認をしていただきたいと考えております。 なお、電源喪失の原因が、津波なのか、地震なのかということは福島第一原子力発電所事故の本質ではありません。福島事故の本質は何なのか。原子力発電所の安全性を確保するためには、とめる、冷やす、閉じ込める、これをやらないといけないのですけれども、福島の教訓は、停止をさせることは成功している。ところが、冷却に失敗すると、自動的に閉じ込めに失敗して、放射性物質を大量にまき散らして大惨事になると、これが福島第一原子力発電所の事故の教訓ということだと思います。 したがいまして、IAEAの報告書の中の原因については技術委員会で究明をしていただくにしても、この本質的な問題にどう対応するのかという点についてはしっかり取り組みを進めていただく必要があると考えております。 次に、IAEAの報告書案における子供の被曝への影響についてであります。 チェルノブイリ事故の経験でいいますと、甲状腺がんが、これ、原子力発電所事故から放出された放射性物質の影響であるということが認定されたのは事故から10年後ということでありました。こういった経験を踏まえると、今後の影響を判断するには、さらなる調査結果の蓄積が必要と認識をいたしております。 なお、現状について、福祉保健部長から補足答弁をいたします。 次に、IAEAの報告書案の評価についてでありますが、IAEAの報告書案は非公開とされているため、報道の範囲内でしか内容を把握しておりません。議員御指摘の内容は承知しておりませんので、言及は差し控えさせていただきたいと思います。 次に、避難計画についてでありますが、避難計画は、原子力規制委員会が定める原子力災害対策指針等に基づきまして、自治体が策定するものであります。したがいまして、現時点では、避難計画が十分かどうかを実質的に判断するのは、事実上、自治体となっているというふうに考えております。 一方、法制度や組織体制、財源措置等、国レベルで解決が必要な課題が山積しております。これらの解決なくしては、被曝を避ける避難計画はできないものと考えております。 県といたしましては、広域専門行政の観点から自治体が策定する避難計画の妥当性を確認するとともに、引き続き、課題解決に向け、国に対し必要な要請を行ってまいります。 次に、避難計画と再稼働についてでありますが、原子力発電所は運転していようと停止していようと事故のリスクがあり、避難計画の整備が必要であると考えております。 一方、今ほども申し上げましたとおり、法制度や組織体制、財源措置等、国レベルで解決が必要な課題があり、これらの解決なくしては、被曝を避け得る避難計画はできないものと考えております。 なお、福島第一原子力発電所事故の検証・総括がなされなければ、手続を含めて再稼働については議論いたしません。 次に、国への要望と避難計画についてでありますが、今ほどお答えをしたとおり、避難計画が十分かどうかを判断する以前に、法制度、つまり高線量下の中で一体誰が作業するのか。ヨウ素剤をどういうふうに配るのか。これ、柏崎刈羽原子力発電所でいうと約40万人に、事故から8時間でベント判断というのがなされていますので、福島の事例では、一体誰がどう配るのか。それは、高線量の中で作業をするということになるわけでして、そういったことを命令することが果たしてできるのか。今、地方公務員は、年間被曝限度量は1ミリシーベルトまでというふうに、制度上、扱われております。そういった中で、一体誰が、これ、被曝をするリスクを持って配りに行くのかというところは、法制度を整備せずして対応することが困難。誰が命令を出せるのかということになります。 そしてまた、福島事故のときには原子力安全・保安院の保安検査官が民間人をサイトに残して撤退をしているわけでありますけれども、このときもなぜ撤退をとめられないのかといえば、公務員に対して、そこの現場にいる検査官に対して、被曝上限を超えても被曝しろというような命令を出すことができなかったということもやはり背景にあるということだと思います。 福島の検証と総括というのは、どうしてうまく機能しなかったのかというところをしっかりやった上でないと、同じことがまた起きてしまうということではないかと思っています。 組織体制、そして万が一危険な業務に従事した後に、その後、健康に影響が出た場合、賠償制度をどうするのかということも考えられておりません。こういったものをしっかりしていかないと、住民の安全を守ることはできないというふうに考えております。 国レベルで解決が必要な課題であり、これらの解決なくしては実効性のある、被曝を避けることができる避難計画はできないものと考えております。 次に、原子力災害対策指針の改定についてでありますが、今まで、避難を判断する際のSPEEDIの活用などについて、原子力規制委員会に対して意見や質問書を提出しておりますが、県民の皆様に説明できる回答をいただいておりません。 SPEEDIに関して言うと、使えないという話があるのですが、東電がベントをする際には拡散シミュレーションを使って、これを活用しています。なぜ電力会社は活用できて、これ、自治体は活用できないのか、納得できる説明も全くいただいていないという状況であります。 原子力規制委員会の関係者は、丁寧に理解を求めていきたいというコメントをしているようでありますので、ぜひそのように対応していただきたいと考えております。 次に、TPPについてお答えをいたします。 まず、国への要望についてでありますが、これまでも早く秘密交渉を解除してほしいとの趣旨で要望をしてまいりました。 今後、いずれかの段階で秘密が解除されることになりますので、その際、国内措置を含め、十分な議論がなされることが重要であると考えております。 なお、国内対応については、日本だけではなく、参加各国とも同じ事情を抱えているというふうに認識をいたしております。 次に、秘密交渉を前提とするTPPにおける交渉についての所見をお尋ねいただきました。 これ、先ほどの答弁と同様ですけれども、いずれかの段階で秘密が解除されることになりますので、その際、国内措置を含め、十分な議論がなされることが重要であると考えています。 次に、主食用米の輸入拡大についてでありますが、食料安全保障や地域社会、文化などを守る観点から、主食である米は関税撤廃の対象から除外すべきと考えています。 政府には、国内の主食用米に影響を与えないよう、断固たる姿勢で交渉に臨んでほしいと考えております。 仮に、このことが実現できない場合には、交渉過程で撤退すべきと考えております。 次に、TPPにおけるISD条項についてであります。 我が国企業の外国における投資の保護は必要と考えておりますが、議員御指摘の懸念のほか、メリットや必要性などについて、国から十分な説明がない現時点では判断することが難しいと考えております。 なお、一部、政府から説明がありましたので、その状況について、知事政策局長から御説明をいたします。 次に、TPPへの懸念についてでありますが、議員御指摘の懸念については、どのような交渉がなされているのか、政府から十分な説明がなされていない現時点では、判断することは困難であります。 ただし、仮に、交渉の内容が国益に反することが明らかになった場合には、交渉から撤退する、または批准しないなどの対応をとるべきと考えております。   〔知事政策局長佐久間豊君登壇〕 ◎知事政策局長(佐久間豊君) お答えいたします。 ISD条項の現状についてでありますが、現在、世界各国が締結しているFTAなど、投資関連協定の大多数がこの規定を設けており、日本がこれまで締結したEPAや投資協定においても、フィリピン以外は、この条項が設けられているところであります。 なお、本年5月27日の国会における調査会において、他国の企業から訴えられるのを心配して、本来必要な規制を行うことをためらうのではないかという懸念が、TPP参加各国からも表明されたことを踏まえ、保健、安全及び環境保護を含む公共の利益を保護する政府権限の留保が条文上明記されたと政府から説明があったところであります。   〔福祉保健部長岡俊幸君登壇〕 ◎福祉保健部長(岡俊幸君) 4点お答えいたします。 介護保険制度改正による給付サービスの市町村事業への移行についてでありますが、今回の改正は、介護需要が増大し、介護人材が逼迫する中、家庭から公的サービスに移行した介護に、地域の力を取り込み、地域全体で介護を支え、持続可能性を高めることが目的と認識しております。 なお、サービスの利用に当たっては、基本チェックリストで状況を判断し、迅速なサービス利用へつなげることを基本としていますが、利用者の希望により、従来どおり要介護認定の申請手続を行うこととされています。 県といたしましては、事業の移行が円滑に行われ、必要なサービスが適切に提供されるよう、先行事例の情報提供を含め、必要な助言を行ってまいりたいと考えております。 次に、介護報酬の引き下げによる介護労働者の処遇低下等に対する認識等についてでありますが、今回の改定では、介護職員処遇改善加算等の拡充により、介護報酬の増額も手当てされておりますが、議員御指摘のとおり処遇低下等への懸念もあります。 県といたしましては、介護従事者を安定的に確保していくため、介護人材確保対策会議を開催して、より効果的な取り組みを検討し、介護人材のマッチングなどを一層推進するとともに、県内事業者の状況を十分見きわめ、介護報酬の引き下げによる影響が大きいなどの場合には、国への要望等も実施してまいりたいと考えております。 次に、保育人材の確保等についてでありますが、保育の質と量の充実のため、保育士の処遇改善や保育人材の確保は重要であると考えております。 このため、県といたしましては、保育士の処遇改善のため、給与改善の費用を市町村に対し負担するほか、資質向上のための研修などを実施しております。 また、保育人材の確保に向け、研修会の実施等により潜在保育士の掘り起こしに努めているところであり、保育人材のマッチングにつきましても、新潟県社会福祉協議会に委託しております福祉人材センターにおいて行っているところです。 今後も、保育人材の確保に向け、関係機関と協力して、取り組みを強化してまいります。 次に、IAEAの報告書案における子供への被曝の影響についてでありますが、IAEAの報告書案は非公開とされているため、報道の範囲でしか内容を把握しておりませんが、福島県の甲状腺検査評価部会では、がんの罹患統計などから推定される有病数に比べて甲状腺がんが数十倍多いという評価がなされております。   〔産業労働観光部長池田幸博君登壇〕 ◎産業労働観光部長(池田幸博君) お答えします。 労働者派遣法の改正により想定し得る影響の具体的な例示及び正規雇用への転換施策についてでありますが、仮に、非正規雇用がふえた場合には、男性の婚姻率において、正規雇用との間で大きな差が認められることから、少子化が進む要因の一つになると考えられます。 一方で、人口減により人手不足感もあるため、企業において正規雇用化が促進され、雇用が安定し、経済的ゆとりにつながり、子育て環境が準備できることも考えられます。 県における正規雇用への転換施策につきましては、ジョブカフェによる就職支援や職業訓練の実施のほか、本年6月には経済団体に対し、非正規雇用労働者の処遇改善や正規雇用化の促進について要請を行ったところです。   〔長部登君登壇〕 ◆長部登君 3点について再質問させていただきます。 1つは、知事が、先ほどIAEAの中で津波による電源喪失ということを言ったことに対して、知事は、電源喪失が津波によるとか地震によるとかはそれほど重要ではないというような御答弁をされました。私は、例えば地震により電源喪失したとなると、これは技術委員会でも議論されているところではあるというふうに私も傍聴しているのですが、そういうことになると、また全国の原発の耐震指針といいますか、を見直さなければならぬと、こういうふうな認識を持っているもので、極めて重要な問題だというふうに思っています。国会事故調では、その疑いがあるというふうに言われていますし、技術委員会でもそういう立場の学者が、学者といいますか、いらっしゃいますが、私非常に大事だと思っているのですが、いま一度その知事の認識についてお伺いしたいというふうに思います。本当に大事でないということの認識を、いや、それよりも大事なものがあるということか。 それから、2つ目です。TPPの秘密交渉、それが秘密はいずれ解除されて、そこから国民的議論がなされるというふうに先ほど言われました。私ちょっと認識が不足しているのかもしれないですけれども、妥結してから4年間は解除しないと、こういうふうな認識を持っているのです。そうすると、知事の今言うことと何か整合性がとれないというふうに思っているのですが、それについて、いま一遍御答弁お願いします。 それから、最後にいま一つ、米の主食用米輸入量5万トン、それは断固やっぱりしないように対応するように国に要望すると。そして、もしそれができなかった場合は、交渉過程で撤退をすべきだと、こういうふうに要求していくと、こういうふうですね。そこで、そういうふうに撤退するべきだというふうに当然国に要求していくのだろうというふうに思います。そして、問題は、その先、その要求が通らないときは反対という理屈でいいのかどうか、これについてお聞きして、再質問いたします。   〔知事泉田裕彦君登壇〕 ◎知事(泉田裕彦君) 3点再質問にお答えいたします。 まず、福島原発事故の本質は何なのかというと、電源喪失事故という形で矮小化すべきではないということを申し上げました。これ、冷却手段、電源があれば必ず冷却できるかというと、それはわからないわけで、配管のギロチン破断等起きれば、冷却材が喪失してしまうわけです。原発の安全性確保というのは、とめる、冷やす、閉じ込めるです。とめることが成功しても、冷やすことができなければメルトダウンをする。これ、全く水がなければ、運転停止直後は、20分とか2時間とか、さまざま諸説あるのですが、あっという間にメルトダウンしてしまうということになるわけです。冷却材喪失事故というのが本質的には一番、これ、問題なわけでして、規制委員会の審査を見ていると、全電源喪失は起きないという前提で原子力安全・保安院が、これ、基準をつくったがゆえに、今回起きたということに対して、規制委員会において、全冷却機能喪失事故は起きないという形で審査をされると、また第2の安全神話ができてしまうのではないか、そこに強い問題意識を持っているということで御理解をいただきたいと思います。 次に、TPP秘密交渉の話ですけれども、これ、批准手続において、条文そのものは国会にかかるわけです。当然条文について国会で議論されることになりますので、いずれかの段階で秘密が解除されると。条文なしでどうやって批准手続をするのか、そういうふうにお考えなのか、少し私そこのところは逆にお聞きをしたいぐらいということであります。 最後、主食用米の話なのですけれども、これ、交渉から撤退もしくは批准すべきではないということは、そのまんま反対というふうに御理解いただきたいと思います。 ○副議長(金谷国彦君) 長部登君の質問は終わりました。 15分間休憩いたします。  午後2時49分 休憩   ――――――――☆――――――――  午後3時5分 開議 ○議長(尾身孝昭君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 引き続き県政に対する一般質問を行います。 まず、志田邦男君の発言を許します。志田邦男君。   〔志田邦男君登壇〕(拍手) ◆志田邦男君 公明党の志田邦男です。通告に従い、知事並びに執行部に対して質問いたします。 最初に、このたびの定例会は、4月に行われた県議選により県民の負託を受けた私たち議員の初めての定例会になります。 4年に1度の県民の審判、厳しい選挙戦を経てきたわけですが、私も選挙戦を通して有権者と語り合い、細かく地域を回りながら、改めてこの4年の間に、県都の中心部である新潟市中央区でも、かつては人口密集地であった下町の急激な過疎化・高齢化は予想を超える速さで進展していることを実感しました。 しかし、そのような中でも草の根から地域を興す動きも出て、新しい流れをつくっている地域もあり、明るい兆しも生まれていると認識をしております。 本県の施策としても人口減少対策は最も重要な課題でありますが、この問題は多角的に、また小さな動きも大事にしながら、新潟県発展の流れをつくっていかなければならない。県におかれても一層の取り組みをお願いするものであります。 最初に、知事の政治姿勢と県政の諸課題について質問いたします。 5月17日、橋下大阪市長が掲げた大阪都構想の是非を問う住民投票が行われました。結果は、投票率66.83%で、1万741票差で反対多数、全体として見れば僅差と言うべきかもしれませんが、否決されました。橋下市長の掲げる都構想、あるいは政治姿勢は、極端な問題提起で、地方自治運営のあり方としては批判も多くあったと認識をしています。一方、全国的に見れば、人口減少の中でも県庁所在地等への一極集中が進む中で、県と大都市のあり方は暗中模索の様相を呈していると認識をしております。政令指定都市が増加する中で、県と政令市の関係、また政令市の中でも区政のあり方等々、地方自治のあり方については今後とも一層の議論が必要と認識をしております。 そこで、お聞きをしますが、知事は今回の大阪の結果をどのように受けとめているのか伺います。また、本県における県と政令市新潟市の関係について、どのような方向が望ましいと考えるのか、見解を伺います。 次に、昨日6月29日から7月13日の間、柏崎刈羽原子力発電所6、7号機で国際原子力機関の運転安全評価チームによる調査が始まりました。しかし、原子力発電所の安全確保に関しては、東京電力の組織、周辺地域の避難計画策定等の総合的な評価が必要であるのは当然であります。柏崎刈羽原子力発電所に関しては、これまで津波対策、電源、冷却水、地震へのさらなる対策、フィルタベント設置など、3.11以降、多くの対策をしているものの、これらの対策に対する評価というものがこれまでなかなか耳にしたことはありませんでした。県としても、これまで、まず福島第一原発の総括・検証が第一であるとしてきました。原発が再稼働する、しないにかかわらず、使用済み核燃料も含めて燃料が存在している、現に発電所が存在しております。その意味で、この4年間でとられてきた安全対策並びに東電本社・発電所の組織改革に対するIAEAによる評価、検証は極めて重要と考えております。 なお、きょうの新聞報道によれば、福島第一原発事故時に米原子力規制委員会が派遣した専門家チームの責任者だったチャールズ・カストー氏が、昨日、柏崎刈羽原発を視察し、東電は福島の教訓から学んでいるとして、3.11以降の柏崎刈羽原子力発電所の一連の対策を評価したとのことでした。3.11から4年たち、その間の安全対策については冷静に見ていかなければならないときになったと感じております。 さて、今回の国際原子力機関による調査が行われることに対して、知事はどのように受けとめているのかお伺いします。 また、立地地域である刈羽村議会、柏崎市議会において、地元経済団体などにより提出された柏崎刈羽原子力発電所の早期運転再開に関する請願について、6月定例会においてそれぞれ採択されました。あくまでも国の規制基準に適合した場合を前提としたものでありますが、原子力発電所とともに生活をしてきた地域の声として、その判断は重いものと考えますが、知事の見解を伺います。 次に、4月12日に投開票された県議選の投票率が県平均で49.7%と過去最低を更新し、初めて50%を割り込みました。ちなみに、有権者に身近な選挙である新潟市議選は43.66%と、さらに低い投票率であります。選挙は、議会制民主主義において、県民が県政に関与する重要な機会でありますが、この有権者の半数以上が参加していない、このことは我々立候補する側も真剣に考えなければなりませんし、地方分権を進める地方自治体としてもまことに憂慮される状況にありますが、こうした県民の選挙離れに対して、知事の所感を伺います。 選挙権年齢を18歳以上に引き下げる改正公職選挙法が成立しました。18歳選挙権は、既に世界的な流れであり、また人口減社会において、若い人たちに積極的に社会に、政治に関与してもらうことは大きな意義のあることと考えます。一方において、先ほど質問しましたが、若い人たちの選挙離れ、政治離れはますます進行しております。4月に選挙をした私にとっても、選挙のテーマは高齢者対策、地域対策、景気問題等々、主眼は中高年層の関心事に重きをなすもので、若年層に対するアピールは雇用、若者文化でにぎわいのある地域づくりなど訴えましたが、なかなか若い人たちに届きにくいとの感があり、今後の大きな課題と認識をしております。 これは、行政の立場でも言えることではないでしょうか。かねてから若い人たちの県外流出が続いており、県政の解決を迫られる問題でもあります。新潟県は、若い人たちにとって魅力のあるところなのだ、ともに汗を流してすばらしい地域をつくれるところなのだ。県行政、県の取り組みが若い人たちに身近に感じてもらうような情報発信を積極的にやっていくことが重要と考えますが、知事の御所見を伺います。 日本創成会議は、6月4日、東京圏高齢化危機回避戦略として、1都3県の高齢化問題の対応として、高齢者の地方移住を提言しました。この日本創成会議は、これまでにも消滅自治体などの衝撃的な提言などを行ってきたところであります。そして、今回の東京圏高齢化危機回避戦略。この会議は民間団体との看板ですが、その裏には一部官僚の思惑が働いているのか、そんな感じを与える今回の提言と感じました。 高齢者の受け入れ可能地域として、本県では上越医療圏もリストに上がっておりますが、高齢者の歩んできた人生を考慮せず、地方をうば捨て山のように考えているのかなとも勘ぐらざるを得ないと感じました。若いときに一生懸命に働き、年をとったら地方に移住させてという発想そのものに大きな違和感を感じていますが、この提言に対する知事の所感を伺います。 市町村の総合戦略策定についてお聞きしますが、人口減少時代の新たな行政革新として、地方人口ビジョン地方版総合戦略の策定が求められております。この策定に当たっては、地域の現状、将来に関するデータ分析、積極戦略と調整戦略の同時対応、地域の産官学金労言の参画、数値目標の設定と5カ年のPDCAサイクルの徹底、そして市町村間の連携など、一部市町村にとって重い業務もあるかと思います。 県においては、地方版総合戦略の策定段階において調整機能を発揮し、市町村間の調整や策定支援等に積極的に取り組んでいただくことを望みますが、県は市町村にどのような支援を行うのか伺うとともに、現在の市町村における策定の進捗状況について伺います。 次に、人口減少対策について質問します。 既に各方面から指摘されているように、我が国の根幹を揺るがす事態は、まさに人口減少であります。2013年の特殊出生率は1.43、本県においても2014年で1.43であり、いわゆる豊かな先進国でありながら、子供を産み育てられない国となっております。英エコノミスト誌によると、このままいけば日本の人口は2060年には8,700万人になり、うち40%が65歳以上となるとされています。さらには、2110年には4,290万人、つまり現在の3分の1となる、まさに亡国の兆しであります。 政府は、本年3月、2020年までの少子化対策の指針となる少子化社会対策大綱を決定しました。その中で5つの重点課題を挙げて、その改革実現に向かうとされています。その中には、妻の出産直後に男性の休暇取得率を80%とする。育児休業取得率を13%に引き上げる。また、女性が第1子出産後に仕事を続ける割合を55%に引き上げる等々、男女の働き方改革、また3人以上の多子世帯の負担軽減などが盛り込まれております。少子化の要因に長時間労働が前提の男性仕様の企業社会を挙げ、その改革を盛り込んだことは評価できると認識をしています。 その意味で、少子化対策として企業・団体にも責任を持ってもらい、主体的な取り組みをしてもらうことは大事なことであると思います。そのような意味合いでは、新潟県少子化対策モデル事業を民間事業者にも参画してもらうことは、これまでにない視点として、一定の評価をいたします。 県は、本年度から実施する少子化対策モデル事業について、6パターンを提示し、事業期間3年として、企業・団体に対する公募において43件の応募があり、6月23日、41件が決定したところでありますが、このモデル事業の実施に当たり、企業・団体並びに県民からどのような意見や反応があり、それをどのように受けとめているのか、知事の所感を伺います。 今回のモデル事業募集に当たっては、基本的に1事業主体の規模は100人以上とのこと、100人未満の事業所は複数の共同でなければならないということでした。しかし、県内の事業所においては、100人以上の事業所はわずか0.86%、従業員数で21.3%であります。それ以下に対しては、複数共同とはいうものの、応募実態から見れば、手を挙げた団体はわずかです。この少数の事業所、従業員に対してのモデル事業になることに対して、公平性を欠くのではないか、企業に責任を持ってもらい、その結果を踏まえて国に対して提言を行うとのことですが、この事業内容では納得させられるような提言を行いがたいのではないかとの声が聞こえます。これらの指摘に対しての知事の所感を伺います。 2014年の人口動態統計によれば、我が国で2014年に生まれた赤ちゃんは前年より約2万6,000人の減少で、うち第2子の減少数は全体の約56%でありました。いわゆる第2子の壁が大きく存在しているとの結果があらわれております。一方で、約8割が理想の子供の数を2人以上と回答しております。第2子の壁を感じる理由として、1番目に経済的理由が86%、他に目立つのは、仕事をしている母親の64%は仕事上の理由を挙げております。2人目の壁解消に必要な対応としては、出産・育児費用、教育関連費用など経済的サポートが45%、ほかに仕事面のサポート、労働時間の短縮など、自身や配偶者のワーク・ライフ・バランスなどとなっております。私自身の経験、また周囲から聞く声も、まさにこのとおりであります。 県の少子化目玉政策として第3子への支援が目を引くのでありますが、現状としては、まず第1子からのきめ細かな支援が望まれているのであります。人口減少対策として第2子の壁を崩す総合的なプランに、より深く取り組むべきと考えますが、知事の見解を伺います。 次に、県土の強靱化について質問します。 最初に、鳥屋野潟整備について質問しますが、その前に、鳥屋野潟整備に関して、これまで新潟地域振興局地域整備部長等を務めながら地域の声を真摯に聞き、幾多の難しい問題を乗り越えて、この4月から土木部技監としていよいよ本格的に整備に着手しようというときに病に冒され、6月6日永眠された故丸山朝夫氏に心より哀悼の意を表させていただきます。この2月には地元の人たちと一緒に鳥屋野潟のコイやフナを食べ、4月に着任されたときに、選挙戦で留守をしておりました私の家に、鳥屋野潟整備に全力で取り組みますと御挨拶に来られ、鳥屋野潟整備に人一倍情熱を持ってこられた姿をしのびながら、改めて鳥屋野潟整備が早く進むことを祈っております。 御案内のように、鳥屋野潟周辺区域は、新潟市民病院、10月完成予定の日本でもトップクラスの新潟市消防局新庁舎などの重要施設が集中し、さらには先日、日本陸上競技選手権大会が開催されたビッグスワン、野球場など、大規模イベントが開催される施設も集中しております。また、これらの施設は中越大震災、東日本大震災時には被災者の受け入れ、自衛隊の救援基地としてフルに機能を発揮して、首都直下型地震などの場合は大きな役割を果たすだろうと思います。まさに本県のみならず、日本の重要拠点として立地をしております。 しかし、一番のウイークポイントは鳥屋野潟の洪水であります。鳥屋野潟の排水は、平成10年8.4水害以来、大幅に能力アップしたものの、近年の異常な豪雨を考えるなら、最も弱い長潟、神道寺の堤防整備、そして多くの人が集うようになってから通行上の危険性と渋滞が増して、一刻も早い道路整備が望まれている上沼地区など、私も選挙の最中にも強い要望を受けてまいりました。地域住民の間でも、これに反対する声は全く聞いておりません。湖岸堤整備の早期着工に対する現状と今後の見通しについて、知事並びに土木部長にお尋ねをいたします。 次に、国道116号線吉田バイパスについてお聞きします。 国道116号は、広域的な物流ネットワークを形成するとともに、地域の生活、経済活動を支える重要な道路と認識をしておりますが、燕市吉田地区の渋滞が著しく、物流や通勤などに支障を来しています。地方創生を進める上で、地場産業などの活性化のためにも物流を効率化させることは喫緊の課題であると同時に、災害時の避難道路としても重要であります。また、このルートは岩室、弥彦、寺泊などの観光地へのアクセス道路としての役割もあります。このような県内においても有数の重要なルートであり、吉田バイパスの早期着工への要望は極めて強いものがあります。国道116号吉田バイパスの事業化の見通しについて、知事の御所見を伺います。 新潟県の発展の歴史は、信濃川の治水の歴史そのものであります。かつて新潟と中越、関東を結ぶ主要な鉄道、道路は全て新津、田上、加茂の山裾に集中してありました。それは、白根などの蒲原平野は常に信濃川の洪水の危険にさらされていたからであり、現在の米どころの美田も、かつては排水に苦しむ湿田で、良質な米がとれない地域であったと言われておりました。しかし、1922年、分水開通後、洪水の危険性が大幅に軽減、蒲原平野が美田になり、国道17号線、新幹線が最短ルートである蒲原平野の真ん中を走っている、まさに新潟県の発展は信濃川の治水そのものであります。 現在、懸案であった大河津分水の抜本改修も動き出し、下流域である新潟市にとっても安全への第一歩を踏み出したところであります。 しかしながら、信濃川下流域で最も危険な箇所は中ノ口川であります。ここには数多くのかみそり堤の区間があり、漏水箇所も多数確認されております。平成23年7月の豪雨の際には、下流部で警戒水位を超え、上流部の須頃郷排水ポンプなどの運転停止という事態になり、三条市、燕市などで浸水被害が発生しました。現状の中ノ口川の状況では、上流部においても、また破堤した場合の新潟市の被害も甚大な被害になると予想されます。これについては、水系一貫の直轄管理としての整備を求める声が強く出されております。県としても国に直轄化の検討を依頼したと聞いていますが、その後の状況について伺います。 次に、マイナンバー制度導入とセキュリティー問題について質問します。 国が目指す世界最先端のIT利活用社会のインフラとして、マイナンバー制度が本年10月からの個人番号付番・通知、そして来年1月からの個人番号カード交付と、スケジュールが目前となりました。マイナンバー制度開始時においては、税、社会保障、災害分野における活用が予定されております。また、将来的には戸籍、旅券等における活用も検討されていると聞いております。 現在、医療、年金、福祉、各種証明等々、複雑になる社会のシステムに伴い、個人においてそれらの対応は大変煩雑になって、せっかくのチャンス、得べき利益を逸することもたびたびある状況であります。マイナンバー制度は、何かしら面倒なような印象を持っている人もおりますが、高齢化社会、複雑化する社会の中で、真に手を差し伸べる者に対しての、よりきめ細やかな支援がなされるようにしていただきたいと強く要望します。 マイナンバーの利活用の幅が拡大していくことも想定されますが、県としての本制度の利用について、知事の御所見を伺います。 次に、さきの日本年金機構の個人情報流出は、流出のニュースが出ると同時に詐欺行為が多発し、個人情報保護に対して大きな不安を与えました。このような状況下で、マイナンバー制度導入が予定どおり実施できるのかと危惧する声がありますが、県におけるシステム開発を含めた本制度導入に向けた準備状況について伺います。 情報セキュリティーについては、今ほど述べた年金機構の情報流出を初めとして、世界各国でも官民のトップシークレットの情報流出が相次いでおります。海外のマイナンバー情報漏えい事例として、アメリカでは医療保険サービス業において約8,000万件、韓国ではクレジット複数社において約2,000万件、さらに成り済ましでは、アメリカではカードとローン口座を42件作成され、150万ドルの借金がなされていました。特にアメリカにおける成り済ましでは、生体認証との組み合わせでない限り、原理的に可能と言われ、それは日本のマイナンバーでも同様と言われております。 マイナンバーは、行政における横断的な取り扱いはもちろん、医療のカルテ情報や金融の資産情報とも連携して共同利用されるため、年金情報以上に有益かつ重要な情報であります。したがって、攻撃者にとって極めて有益であることから、攻撃の動機づけは強くなり、攻撃能力は格段に高まるものと思います。 セキュリティーに関しては、総務省が策定した地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドラインの遵守を前提にしており、監査をすることになっておりますが、その自己評価に信頼性がないため、専門的な第三者により妥当性を担保するしか懸念が払拭できないと考えます。 泉田知事は、本日発表予定の特定個人情報保護評価書において、個人のプライバシー等の権利利益の保護の宣言で、リスク軽減のために十分な措置を行い、もって個人のプライバシー等の権利利益の保護に取り組んでいることを宣言するとしており、常に監視、防御している中、脆弱性の発見等に関して、より強いセキュリティー方策が必要と思われますが、県の取り組みについて伺います。 最後に、東京オリンピック野球競技誘致とプロスポーツ振興について質問します。 2020年東京オリンピックにおいて、開催都市による追加種目の提案が本年9月と間近に迫ってまいりました。報道によれば、候補として野球競技の復帰が有力とされております。その場合には、関係者の中に新潟開催の可能性を期待する声があると聞いております。 これまでの経緯を見ると、IOC臨時総会で東京オリンピックでの野球競技復帰が有力となり、全日本野球協会副会長でJOC理事でもある鈴木義信副会長が、会見で、競技会場としての新潟の可能性を示唆するコメントを発表しておりました。 もし野球競技が正式種目に決定すると、相当数の国際試合や大会が日本で開催されることが想定されます。開催地になれば、そのリハーサル大会見合いとしての国際大会が新潟で開催される可能性が非常に高くなり、また各代表チームの合宿受け入れなどの誘致も有利に展開できるようになることが考えられます。ぜひとも野球競技の開催誘致に取り組んでいただきたいと思いますが、知事の見解を伺います。 次に、ここ数年、マスコミ等報道でプロ野球フランチャイズが話題になると、必ずと言っていいほど新潟の名前が挙がっております。本年4月5日、ちょうど県議選の真っ最中のときでございましたが、その日のNHK「サンデースポーツ」の中で、星野仙一さんを中心に、今後のプロ野球のあり方について、SMAPの中居正広さんを初め何人かで熱く議論をしておりました。その中で、星野仙一さんは、日本のプロ野球空白地帯にプロ野球チームを置いて、地域の活性化のため役に立てることが大事だと述べたところ、中居正広さんが「新潟がいいんじゃないですか」ととっさに発言しました。星野仙一さんも素早く「新潟は立派な野球場もあって、いいところですね」と応えていました。その日、早速、私のところにも多くの人から、すごいね、新潟頑張ってくれと電話やメールが来ました。 近年の新潟の野球レベルの向上、新潟の人の思いは、野球関係者初め多くの人の知るところであります。新潟県にはプロ野球招致委員会がありますが、誘致委員会として本格的に取り組んではいかがかと思いますが、知事の認識を伺います。 今月26日から28日まで、ビッグスワンで日本陸上競技選手権大会が開催され、トップアスリートのすばらしい競技が展開され、多くの人、とりわけ子供たちに多くの夢と感激を与えました。改めて一流のアスリートたちのプレーに触れることの大事さを感じました。 新潟の地域密着型プロスポーツとして、サッカー、バスケットボール、野球のBCリーグなど盛んであり、子供たちにおける裾野の広がりにつながっております。県並びに各界からの支援で守り立て、層の厚い新潟のスポーツ文化を育てることが望まれますが、知事の見解を伺います。 以上で私の質問とさせていただきます。(拍手)   〔知事泉田裕彦君登壇〕 ◎知事(泉田裕彦君) 志田議員の一般質問に順次お答えをいたします。 まず初めに、大阪都構想の住民投票の結果についてお尋ねをいただきました。 小林議員の一般質問にお答えをしたとおり、地方からの提案により、地方自治の制度を選択できる機会ができたという点、この点は意義のあることだったと考えております。 また、住民投票の結果が僅差であったことから、道府県と政令市との課題、これを何とかしなければならないという声も強かったものと受けとめております。 次に、政令市新潟市との関係についてでありますが、感染症対策を初めとした広域・専門行政、こういった分野の権限は広域自治体である県に一元化し、一方、公営住宅など住民に身近な分野は基礎自治体である新潟市に一元化する方向、こういったものが望ましいのではないかと考えております。 次に、国際原子力機関による調査についてでありますが、議員御指摘のとおり、原子力発電所の安全確保に関しては、発電所の機能そのものの安全評価も重要であります。公正な第三者の目でしっかりと評価をしていただきたいと考えております。 次に、早期運転再開に関する請願が採択されたことについてでありますが、請願の採択があったことは認識しております。しかしながら、その軽重については、福島第一原子力発電所の事故の検証・総括がなされておりません。原子力発電所の安全が確保できていない中では、論評いたしかねます。 事故の検証・総括がないままに策定をされた規制基準では、安全の確保はできません。規制基準には国際原子力機関の深層防護の考え方における、第5層の過酷事故後の対応が欠落しております。また、第4層の過酷事故対策も十分ではありません。 原子力規制委員会には、地域の安全をいかに確保するかという組織の本来の目的を果たし、実効性のある対策を速やかに構築していただきたいと思います。 次に、県民の選挙離れについてであります。 政治に不満があれば投票に行くという可能性もありますし、それなりに安定しているから、投票に行かなくてもいいだろうという判断をしている方もおられるかもしれません。いろんな評価があるというふうに思っております。 一方で、投票してもどのように変わるのかが見えないということが理由で投票に行かないのだとすると、これは大変問題が大きいということだと思います。今ほどのお話でもありました大阪都構想、これ、選挙の投票率は低いのですが、都構想というまさに自分たちの地域をどうするかということを具体的に問われたときの投票率が上がったということを考えますと、やはり県政、国政、区政、市政も含めてということですが、住民にわかりやすく情報発信をし、そしてまた関心を持っていただくということが重要ではないかと思います。 いずれにせよ、投票率が下がり続けているということは問題であり、社会全体で考えていかなければならない課題であると考えております。 次に、県政の情報発信についてでありますが、議員御指摘のとおり、将来を担う若年層から県政を身近に感じていただくということは大変重要と考えております。 現在、中学生には、新潟県の歴史や産業、観光資源等を紹介した冊子である「新潟県のすがた」を配付いたしております。また、高校生以上の若者向けには、広報紙「ニイガタボイス」の発行などを行っております。 引き続き、世代を意識した県政情報の発信に努めてまいります。 次に、東京圏の高齢者の地方移住についてでありますが、大渕議員の代表質問にお答えをしたとおり、高齢者の移住による医療・介護需要がふえることで、サービスの提供資源が不足し、もともとの住民サービスを圧迫するようなことになれば、問題があると考えております。 本県においては、現状において医療・介護資源が必ずしも十分とは言えない状況にあり、まずは足元をしっかり固めていく必要があると考えております。 次に、人口減少対策についてお答えをいたします。 少子化対策モデル事業に対する企業・団体の反応などについてでありますが、まず、この事業に対する期待が大きいということを実感いたしました。一方で、モデル事業は、有効な少子化対策と財源確保のあり方について、国に対して施策提言をするということが必要であります。これ、本格実施をするために財源確保しなければならないので、そういう形になっているのですが、この趣旨の周知も必要であるというふうに感じたところであります。 なお、企業・団体及び県民の意見等につきましては、福祉保健部長から補足説明をいたします。 次に、少子化対策モデル事業に対する公平性を欠くとの声があるとの御指摘であります。 本事業を本格実施するためには、今ほど申し上げましたとおり、財源の確保が必要であります。これ、国債を発行して国全体として行うのか、もしくは一地域でやれということであれば、地方の起債制限の一部解除、これをしていただく必要があると、この財源調達が必要であると考えております。 少子化対策には、地方政府としてでき得る限りの取り組みを行っていく決意でありますけれども、出生増減や人口の移動に大きな影響のある施策、これは国に決定権があるという状況が変わっておりません。事業の実施を通じて、有効な少子化対策と財源確保のあり方について提言を行うということが事業趣旨でありますので、この趣旨を県民の皆様に広く周知をして、理解を得ていきたいと考えております。 次に、第2子出生に向けた取り組みについてであります。 議員御指摘のとおり、第2子も含め、夫婦が希望する子供の数を持てるよう、施策をさらに充実させることが重要であると考えております。 いずれにせよ、有効な少子化対策を追加的に実施するに当たっては、やはり財源確保ということが必要になってまいります。国で国債を発行して施策を組み立てるのか、もしくは地方の起債制限の一部解除による財源調達をするのか、いずれにせよ制度改正が必要であると考えております。 そのため、国への提言を前提に少子化対策モデル事業を実施してまいりたいと思います。 次に、県土の強靱化についてお答えをいたします。 まず、鳥屋野潟湖岸堤整備の現状と今後の見通しについてであります。 議員御指摘のとおり、鳥屋野潟地域は重要施設が集中いたしております。治水対策が重要という認識を持っております。住民の皆様の不安を解消し、そしてまた重要施設が機能停止などすることがないように、一日も早く安全で安心な地域づくりを進めてまいりたいと考えております。 具体的な整備の現状と今後の見通しにつきまして、土木部長から御説明をいたします。 次に、吉田バイパスの事業化の見通しについてであります。 国道116号は、柏崎市から県央地域を縦貫し、新潟市に至る幹線道路として、地域の生活や物流を支え、災害時には緊急輸送道路としての役割を果たす、重要な道路であると認識をいたしております。 また、頻繁に渋滞が発生しているという状況も認識をいたしております。 吉田バイパスの事業化については、管理者である国が、今後の施策展開や予算の状況によって判断することとなるという状況でございます。 いずれにいたしましても、国において、今後の公共事業予算を十分に確保することが必要であると考えております。 現在、資本ストック推計、日本全体で見ますと、平成15年をピークに右肩下がりで減り続けております。ストック推計が右肩下がりというのは、これ、維持管理ができない水準しか公共投資をしていないということを意味しておりますので、去年よりふえた、減ったの議論ではなく、絶対額としての公共事業をふやさないといけない、こういうところまで来ていると考えております。 なお、吉田バイパスの事業化の現状につきまして、土木部長から補足答弁をいたします。 次に、マイナンバー制度導入とセキュリティー問題についてお答えをいたします。 マイナンバー制度の利用についてでありますが、戸籍や旅券等、マイナンバーの活用範囲が広がることは、行政の効率化だけではなく、国民の利便性向上につながるものであると考えております。 また、小林議員の一般質問でお答えしたとおりですが、マイナンバー制度は、いざ災害があったときに、被災された方々の救済に有効な制度を組み上げる、また迅速な支援をするためにも大変重要な要素であるというふうに考えております。災害からの復興支援に向けた制度設計の活用においても有効であると思います。 加えて、貧困対策、福祉制度を充実させるために的確な制度を組み上げるためにも、このマイナンバー制度というものが活用できるというふうに考えております。 次に、東京オリンピック野球競技誘致とプロスポーツ振興についてお答えをいたします。 まず、東京オリンピックの追加種目としての野球競技の開催誘致についてであります。 議員御指摘のとおり、野球競技が東京オリンピックの追加種目として決定され、新潟開催となれば、多くのメリットがあると考えております。 県といたしましては、全日本野球協会などの関係機関に対しまして、新潟開催を働きかけるなど、県内関係者と一体となり、開催誘致に向けて取り組みを進めてまいりたいと考えております。 なお、野球場設置に当たりまして、志田議員からもその必要性を強く指摘され、決断に至ったということで、このような機会に恵まれたと思っております。この場をかりて感謝申し上げます。 次に、プロ野球フランチャイズ誘致についてでありますが、プロ野球フランチャイズ候補地に新潟の名前が挙げられることは、大変夢のある話であると思います。 県といたしましては、プロ野球公式戦の招致に向け、官民が一体となって県内の野球熱の盛り上がりを高めているところであり、1試合でも多く公式戦を招致できるよう取り組んでおります。 今後もプロ野球公式戦の招致を進めながら、チャンスがあれば、地元プロ野球球団の誕生に向けて、取り組んでまいりたいと思います。 次に、地域密着型プロスポーツの支援についてでありますが、地域密着型プロスポーツが盛んであることは、本県のスポーツ振興のみならず、地域の活性化、交流人口の拡大、郷土愛の高揚などに効果があるものと認識をいたしております。 県といたしましては、チームや選手と地域との交流を進めるなど、地域密着型プロスポーツを支援することで、県民がスポーツに親しむ機会をふやし、県民スポーツ文化のさらなる振興に取り組んでまいります。   〔総務管理部長植田拓郎君登壇〕 ◎総務管理部長(植田拓郎君) 3点についてお答えいたします。 市町村の総合戦略策定に対する県の支援と策定の進捗状況についてでありますが、県の人口ビジョン及び総合戦略の策定状況や各界意見の反映方法など、幅広く市町村と意見交換を行い、連携を図るとともに、データ分析方法についての説明会開催など、総合戦略策定のための実務的な支援を行っております。 また、現在の進捗状況につきましては、全ての市町村において今年度内の策定を予定しており、うち1つの市では既に総合戦略の策定と公表がなされたところであります。 次に、県におきますマイナンバー制度の導入に向けた準備状況についてでありますが、現在、マイナンバーを利用する事務ごとに情報漏えい等の可能性をあらかじめ洗い出し、対策を決めておく特定個人情報保護評価を順次行っているほか、特定個人情報保護委員会の示すガイドラインに従いまして、点検や監査などの安全対策を行っていくこととしております。 また、制度導入のために必要なシステムの改修作業等に着手をしておりまして、年内に完了し、その後、県庁内、国、自治体等との連携テストを行う予定としております。 さらに、特定個人情報を扱う職員を対象とした研修の実施など必要な準備を進め、マイナンバー制度の導入に備えることとしております。 次に、脆弱性の発見等に対する、より強いセキュリティーの方策についてでありますが、県では、国や警察等と連携し、情報施策の専門家であります情報主幹の助言を得ながら、脆弱性の発見等に努め、その対策を講じてきたところでございます。 今後も、引き続き、関係機関と連携し、セキュリティーに関する最新情報の収集に努めるとともに、民間のセキュリティー事業者等の知見を活用し、セキュリティー対策をさらに強化してまいりたいと考えております。   〔福祉保健部長岡俊幸君登壇〕 ◎福祉保健部長(岡俊幸君) お答えいたします。 少子化対策モデル事業に対する企業・団体及び県民の意見等についてでありますが、企業・団体等からは、新しい試みであり、一定の規模でまとまって応募するための準備時間が足りない、個人事業主や農家、漁師など働く方々を広く対象にできないかなどの御意見を、また県民の方からは、県民全員を対象にしてほしいなどの御意見をいただいたところであります。   〔土木部長高橋猛君登壇〕 ◎土木部長(高橋猛君) 3点お答えいたします。 鳥屋野潟湖岸堤整備の現状と今後の見通しについてでありますが、昨年まで測量、地質調査、それから環境調査を終了し、現在、環境調査で確認された貴重種の保全対策や工事中の水質等環境対策に必要な試験施工を実施しているところであります。 今後は、この試験施工の結果を受け、地域の皆様の意見を伺うとともに、学識経験者の知見も踏まえ、詳細設計に着手し、整備を進めてまいりたいと考えております。 次に、吉田バイパスの事業化の見通しについてでありますが、現時点では、着工の時期は未定となっておりますが、国道116号の渋滞状況については十分認識していることから、吉田バイパスの早期事業化に向け、道路管理者である国に対して、地域と連携して働きかけてまいります。 次に、中ノ口川の直轄化の検討状況についてでありますが、県といたしましても中ノ口川の治水対策の必要性は十分認識しております。このため、重点的に整備を進めているところでありますが、流域市町村から直轄管理の御要望をいただいていることから、直轄編入について検討を行うよう国に求めております。 現在、国では、氾濫が生じた場合の影響の大きさ等を勘案し、国として真に整備・管理すべきものかどうかについて検討しているところと聞いております。 ○議長(尾身孝昭君) 志田邦男君の質問は終わりました。 次に、重川隆広君の発言を許します。重川隆広君。   〔重川隆広君登壇〕(拍手) ◆重川隆広君 無所属の重川隆広です。質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。準備をしてきました質問が先輩議員の御質問と幾つかダブっておりますが、ダブったまま御質問をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。 まず、第1の項目として、知事の政治姿勢についてお伺いをいたします。 人口減対策については、さまざまな場面で議論され、本定例会においても、開会日の知事の御説明を初め、代表質問、一般質問においても先輩諸氏が議論を深めてまいりました。 私は、選挙を通じ、子供たちの元気に遊ぶ姿が地域の宝物とのテーマを基本姿勢として掲げ、主張してまいりました。若者の収入をふやし、結婚の希望がかなえられる経済状況にしていくこと、また子供を産み育てやすい環境を整備していくことなどが求められていると承知をしております。 そこで、6月15日に開催をされました人口問題対策会議において、仮定の条件に基づく幾つかの将来人口の見通しの試算が示されました。議論の前提となる人口減少社会をどのような社会と捉えておられるのか、あわせて人口減少が進むことによる最大の課題はどのようなことだと認識をされているのか、知事の所見をお伺いいたします。 開会日の知事の提出議案説明で、人口減少社会は、人口が少ない社会とは異なり痛みを伴う社会であると表現していらっしゃいました。人口減少社会を考える上では、少子化による働く世代の減少を心配しております。生産年齢人口の減少が、県内の中小企業の人材確保にどのような影響を与えることになるとお考えか、所見をお伺いいたします。 人口減少社会については、効果的な人口減対策とともに、ソフトランディング後の議論が交わされる機会が少ないようにも感じております。食料自給率やエネルギー利用、国土利用、身近なところでは公園における子供1人当たりの専有面積など、長い目で見ると、危機感とは異なる状況も生じるのではないかと考えます。 人口減少社会を受け入れて、今後も少子高齢化が進展することを前提とすることで、新たな施策の検討を行う余地が広がり、将来を見据えた対応策も考えられると思うのですが、知事の所見をお伺いいたします。 次に、第2の項目として、農業、商工業といった地域経済の活性化についてお伺いいたします。 私は、地域の産業が疲弊していることが、人口減少の一つの理由として挙げられるのではないかと思っています。私の選挙区、新潟市西蒲区のような平野部の農村地域や中山間地域における地域経済の活性化にとっては、農業の振興が非常に重要であります。去る2月定例会の代表質問を調べてみますと、知事は、安倍政権の農政改革について、農業を成長産業として捉え、農業・農村の所得増加を目指す方向は望ましいが、関係者の意見を聞き、十分な議論が必要と答弁されていらっしゃいます。私も選挙中に、農業・農村ににぎわいを取り戻すことが西蒲の復活につながると訴えてまいりました。 農家の経営を安定させるためには、現在の経営所得安定対策をかつての農業者戸別所得補償制度並みに充実させることが必要と考えています。国の農業政策で十分ではない部分があれば、県として単独であっても、農家所得の下支えをすべきと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 本県の農業は、国民の食料生産を担うだけではなく、防災、環境保全、緑の景観保持の役割も果たしています。5月の連休に植えた苗は、既に30センチに育ち、緑のじゅうたんとして、県民の目と心を楽しませています。7月、8月の太陽と水でさらに緑の厚みを増し、9月の黄金色の収穫まで新潟平野の美しい田園風景をつくり上げ、私たち県民の心の原風景をつくり込んでいます。 本県農業が将来に希望の持てる魅力ある産業として持続的に発展していくために、県でもさまざまな施策に取り組んでいただいているものと理解をしております。 農業施策の推進に当たりましては、経済の論理によって農業の大規模化を促進するだけではなく、一生懸命に努力をする小規模農家が地域で継続して営農できる仕組みづくりも進めるべきだと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 本県の地域経済発展のためには、商工業者の健全経営を図り、地場産業に活力を持たせることが必要であると考えます。現在、商店街では郊外型店舗との競合、共生への対応が必要となり、厳しい状況にあります。 農業における小規模農家と同様に、商店街の小規模な事業者は、景気回復の恩恵がなかなか受けることができない状況がある一方で、売り上げ確保や後継者の問題など、さまざまな課題を抱えており、きめ細かな対応が必要と考えます。地域経済の活性化のためには、農業の回復や地場産業の活性化とあわせ、商店街のにぎわい回復を図る必要があり、努力する人たちに対し、積極的な経営指導等を通じて支援の取り組みを進めるべきと考えますが、商店街をめぐる課題と今後の取り組みをお伺いいたします。 第3の項目として、未来を担う、心身ともに健全な子供を育てるための教育問題についてお伺いいたします。 初めに、最近の報道などを見ていますと、自己中心的な考えを持つ子供による事件関与の報道を目にします。非常に残念なことであります。未来を担う子供たちには、心身ともに健全に成長してもらわなければなりません。家庭や学校において、家族や友達を思い、親孝行で、おじいちゃん、おばあちゃんを大切にする優しい心を養うことが不可欠であると考えますが、所見をお伺いいたします。 私は、子供たちに食や自然の大切さや、家族や友達と一緒に活動する喜びや元気を育むために、里山での自然体験や米づくりなどを子供たちと一緒に行っています。活動を通じ、食の大切さを学び、家族のきずな、友達を思いやる優しい心が育つと感じています。 こうした経験から、心の優しい、思いやりのある児童生徒を育てるためには、自然などに親しみ、農業・林業・水産業に触れ合い、目を輝かせ、楽しむ学習が重要と考えます。体験学習の現状と課題について、所見をお伺いいたします。 昭和30年代、40年代は、学校への登下校時に、一生懸命に働く、いろいろな職業のおじさんたちの姿を見かけました。現在では、そのような通学環境は難しいのではと思います。 児童生徒が、働く大人の様子を見て学ぶことは、将来の夢を描き、職業選択にもつながるものであり、大切なことと感じています。児童生徒がイメージする職業は、ややもするとテレビドラマなどからの情報が中心となり、農林水産業や職人の手仕事などを想定する機会が少なくなるのではないでしょうか。 いわゆるキャリア教育につなげていくために、また児童生徒の将来の夢を広げ、多様な仕事があることを体験を通して理解してもらうために、農林水産業や職人の手仕事などの職場体験が重要だと考えます。現在の取り組み状況と今後の方針についてお伺いいたします。 第4の項目として、スポーツ振興についてお伺いいたします。 トップアスリートの活躍により、国民や県民に感動や勇気を与え、連帯感や郷土愛の醸成を図るなど、偉大な力がスポーツにはあります。スポーツ力です。オリンピックなどの数々の感動場面やラストランには、誰もが声援を送ります。その選手の持つ国旗や表彰台での君が代に文句を言う人はいません。アスリートが災害の被災地へ足を運ぶことで、元気を与えることができます。県内でも、相撲の郷土力士やアルビレックスには、みんなで声援を送ります。高校野球も同様です。並々ならぬ修練に対し、畏敬の念や応援の心を持つからであります。 アスリートを育て、スポーツの力で元気な新潟県を全国に発信するため、県は指導者の招聘やジュニア選手の育成など、アスリート養成に向けた取り組みを積極的に行っていただきたいと考えますが、取り組み方針をお伺いいたします。 県内には多数の企業があります。その企業に社会貢献という形で、税金を使わずに、スポーツ振興の一翼を担ってもらうことができるのではないかと考えています。その一例として、手前みそになりますが、重川材木店の駅伝チームの事例を紹介させていただきます。2003年に創部をし、2006年に県勢として31年ぶりにニューイヤー駅伝に出場し、ことしの1月1日で5回目の出場を果たしました。正月の駅伝を見る楽しみがふえたと見知らぬ人から声をかけられることもあります。重川材木店の規模は大きくなく、売り上げ、利益とも新潟県内企業の中では600番目くらいです。中小企業でも、夢を持ち、戦略を練り、知恵と工夫で、チームを持つことや選手の雇用は可能だと思います。 多くの企業へ県から働きかけることにより、企業の力を活用して、社会貢献の一つの形として、アスリートの雇用や養成によるスポーツ振興を促してはどうかと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 国では、スポーツ施策を総合的に推進するスポーツ庁を設置し、10月の発足を目指すとしています。スポーツは、県民の暮らしに活力を与える重要な要素の一つであります。 県内でも、平成21年にトキめき新潟国体が開催されたほか、冬季オリンピックでメダリストも生まれました。また、先週末には、デンカビッグスワンスタジアムにおいて日本陸上競技選手権大会が開催され、女子800メートルで優勝を果たした新潟市生まれの山田選手が、来場した大勢の中学生の中からオリンピックの選手が出てくることを期待したいと、話したことが、けさの日報抄に紹介をされていました。さらに、毎年プロ野球の試合が開催され、地域リーグも盛り上がりを見せています。 県では、平成18年に県民スポーツ振興プランを策定し、取り組みを進めてきたと承知をしています。スポーツに対する県民の関心や地域での取り組みは、振興プラン策定時に比べ、高まってきていると感じております。引き続き振興を図っていただきたいと考えますが、スポーツ振興に対する基本的な考え方と振興プランの進捗状況、それに対する知事の所見をお伺いいたします。 一方で、地域におけるスポーツ活動については、将来のジュニア選手の養成を初め、地域住民の健康づくりや地域コミュニティーづくりにも有意義であると考えられることから、地域におけるスポーツ活動の振興を図るべきと考えますが、どのように取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。 質問項目の第5番目に、行財政改革についてお伺いをいたします。 私は、次の世代に負の遺産を残すべきではないと考えています。国や地方自治体の借金体質の時代においても、子や孫に大きな借金を残したいと思う親や祖父母はおりません。政治家と行政は、そこに責任を持つべきだと考えています。 そこで、県の行財政について、幾つかお尋ねをさせていただきます。 未来に過大な債務を残さない財政改革を継続的に進め、財政健全化を図ることが必要だと考えます。平成27年1月に県は財政運営計画を示し、中期的な収支見通しを試算しておられますが、現在の県財政に対する認識と今後の財政運営について、知事の所見をお伺いいたします。 また、臨時財政対策債を除く県債残高が平成20年度をピークに減少し、平成25年度末では2兆1,831億円となっています。そのグラフによると、今後は減少傾向を見込んでいるものの、依然として県の借金は多額であります。県債残高の現状と今後の見通しについてお伺いいたします。 私は、議会と知事、行政が力を合わせ、県民の負託に応え、おのおのの立場でその役割を十分に発揮し、県政の課題を解決していくことが県民の幸福につながるものであると考えています。そこには、効率よく仕事を進める、優秀で親切な県職員の姿が不可欠であります。 新潟県内での就職を考えた場合、今も昔も県庁は第1希望の就職先であり、必然的に優秀な人材が集まります。企画立案、事業推進などにすばらしい能力を発揮します。しかし、民間企業に比較し、結果、成果に対する熱意に、やや十分ではないと感じることがあります。 優秀な職員が最後まで全力投球をすれば、県の課題解決は進むと思います。就職希望先決定時に、決して安定しているなどという軽々な思いではなく、県民、地域に貢献をしたいという入庁時の高い志を10年、20年、30年と切らさず、さらに高め、継続し、仕事に取り組むという意識が大事なことであり、仮にその気持ちが阻害されているのであれば、意識改革を進めることも必要だろうと考えます。 県の職員が、よりよい仕事をするためにはどうしたらよいのか考えてみた場合に、努力した職員が報われるよう、仕事の結果、成果を的確に評価する仕組みが重要だと考えます。人事評価の現状と取り組み方針についてお伺いいたします。 最後の6番目の項目として、県民の暮らしと原子力発電所についてお伺いいたします。 私は、県民の暮らしやすいまちづくりについて、地域の人材、コミュニティーを生かし、自然と共生をした、健康的かつ文化と歴史を大切にする、生きがいを感じるまちづくりを行っていくべきと考えています。その中でも、健康的な暮らしを創造していくことが大切だと思います。 海や山、身近な里山や水辺など、自然には人々に癒やしや安らぎを与える力があります。県民の健康づくりのプログラムの中で、自然を活用した取り組みを有効活用できると考えますが、所見をお伺いいたします。 次に、山、森林についてお尋ねをします。 森林にはCO2の吸収・酸素の供給を初め、木材資源の生産、土砂災害を防ぐことによる県土の維持、水源涵養、生物多様性の保全など、多面的な機能があります。それは、川中・川下の人々の豊かな生活にも貢献をしています。 新潟市民にきれいな水ときれいな空気を供給しているのは、信濃川、阿賀野川の上流の森林にほかなりません。 森林のこうした多面的な機能を十分発揮させるためには、保全・整備を図るとともに、森林に携わる関係者が連携をし、林業の振興と県産材のさらなる活用を進めることが重要であると考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 次に、エネルギーについてであります。 食品では、食の安全・安心の確保や輸送等に係るCO2排出等の環境に対する負荷の増大を防ぐ観点から、地産地消の考え方が定着しています。 本県は、豊かな森林や水資源、長い海岸線を持つ地であり、再生可能エネルギーの活用に適する自然環境があることから、原発への依存度を低減し、脱原発に向けて、全国に率先して再生可能エネルギーの導入に取り組んでいくべきだと思います。県内では、廃材を使った木質バイオマスの活用などにより、電力消費量の削減やCO2削減などの効果も上がっている事例もあります。また、雪や温泉など、特有の資源もあります。県内の資源を活用した再生可能エネルギーの導入を拡大し、県内でエネルギーの地産地消を推進すべきと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 今議会における私の一般質問の最後に、原子力発電所の問題についてお尋ねをいたします。 私は、東北の被災地に何度も足を運び、現地の窮状を見てまいりました。昨年12月にも福島県を2度訪問しました。現地では除染作業が続いており、放射性物質をコントロールできているとは到底考えられない状況でありました。 柏崎刈羽の原子力発電所の再稼働問題については、福島第一原子力発電所の事故の検証・総括が先であり、原因究明が第一であると考えています。いまだ原発事故の収束が見通せず、検証・総括が進んでいない状況をどのようにお考えか、知事の所見をお伺いさせていただきます。 以上で私の一般質問を終了させていただきます。ありがとうございました。(拍手)   〔知事泉田裕彦君登壇〕 ◎知事(泉田裕彦君) 重川議員の一般質問に順次お答えをいたします。 まず初めに、人口減少社会の認識等についてお尋ねをいただきました。 人口減少社会は、人口が少ない社会とは異なり痛みを伴う社会、このように理解をいたしております。 今後も出生率、もう少し言いますと出生数ですね、これが改善されず、人口減少社会が続いていくと、さまざまなひずみが地域社会にも生じてくるというふうに考えております。 例えばバス路線が減っていく。そしてまた、新幹線がとまる駅が減るかもしれない。航空路線が減る。地域においては、お祭りができなくなってくる。そしてまた、冬になると雪おろしすらうまくいかないという地域がふえて、人が住まなくなってしまうエリアが拡大するのではないか。加えて、日本全体で見ても、特定の世代に年金負担が重くのしかかってくる。得をする世代もあれば損をする世代もあるという、これ、不公正な社会ということになってくると思います。 地域社会の機能が失われ、また公正さが社会から失われるというのは大変大きな課題であるというふうに認識をいたしております。 次に、生産年齢人口の減少についてでありますが、生産年齢人口の減少が見込まれる中で、現在の雇用情勢が続くとどうなるのかということでございますが、今でも、これ、労働力を確保するのが難しいという企業が生じております。業種によっては、かなり顕著な業種というものもあらわれているところでございます。そして、この人材確保が困難になってくると、技術の承継など、これ、社会全体で損失をしていくというリスクも高まっていくということだと思います。 人材不足が何をもたらすかということですが、既に一部生じ始めていますけれども、賃金の上昇を招き、これがコストアップにつながる。結果として、中小企業の経営を圧迫していくということも考えられるわけでございます。 その際、売り上げがふえていくということになると、また状況が違ってくる。ちょうど昭和30年代後半、40年代の高度経済成長期がそうだったわけですけれども、これ、賃金の上昇が同時に売り上げの増加、別な言葉で言うと物価上昇と連動して、うまく循環していくと、競争力を保ちながら人材を確保するという可能性も出てまいります。 都市部と地方との関係なのですけれども、ホワイトカラーの本社機能で働く人の労働力が高く評価をされるということが続けば、東京一極集中が続いていくということになります。一方で、技術を持った地方での例えば食料生産なり、第1次産業に携わる人々の労働、これが評価をされると、逆転をするということもあり得るわけであります。現実、これ、東南アジアの国で、日本へエビを輸出することによって、企業経営者よりも田んぼでエビを育てたほうが利益がいいということで、大学教授をやめて漁業に入ったということが起きた、こういう事例も生じているわけであります。 したがいまして、景気動向、労働生産性の向上、女性や高齢者など労働参加率の改善という、どういう条件が整うとどうなるのかというのは、必ずしも一概に言えないところがあるというふうに考えております。 次に、少子高齢化の進展を前提とした対応をしてはどうかというお尋ねでございます。 人口減少社会は、今ほど申し上げましたとおり、社会全体に痛みを与える問題であり、かつ世代によって得をする世代と損をする世代が生じて、社会的構成がゆがんでいくということになりますので、やはりどこかの段階で、どこかの人口規模で減少に歯どめをかけ、おのおのの地域で安定した地域経営の継続ができるような対策が必要ではないかというふうに考えております。 これ、地方に人が住んで、希望をかなえられる環境をつくれるのかということと裏腹の関係でございます。グローバルな競争だけということで、大都市だけ栄えるという国がうまく回っていくということにはならないというふうに確信をいたしております。 次に、地域経済の活性化についてお答えをいたします。 農家の経営安定についてでありますが、農業者の経営安定を図るためにはどうすればいいかということなのですが、議員御指摘のとおりの過剰となっている主食用米に支援をしていく、一律にやるのがいいのかというところについては、やはり考える必要あるだろうと思います。過剰になっているところを支援すると、さらに過剰になって、さらに売り上げが落ちて、それを税金で補填していくというよりは、やはり日本は、これ、カロリーベースの食料自給率が大変低い国でありますので、自前で食料生産できる体制というのを維持していかなければいけない。主食用米の需要が落ちている以上は、やはり非主食用米へのインセンティブを高めることで水田フル活用をし、そして米の需給環境を改善していくことが重要ではないかと思います。 やはりこれ、今、飼料用米等で国の施策で支援が出ているところでありますが、米粉に対する支援等を含めて、やはり主食用米から少しシフトして、カロリー、食料生産を維持していくということを考えるべきだろうと思います。 あわせて、生産者に対する対策も大変重要でございます。やはり農業を営む中で、人並み以上の生活ができる環境、これが地方創生にもつながり、東京一極集中の是正にもつながるわけであります。米価が仮に下落した場合でも一定の所得レベルを保障できる仕組み、これは必要ではないかと思います。水田経営全体で他産業と遜色のない所得が得られるしっかりとした所得保障制度を確立していくことが必要だと思います。 その場合、国の責任は大変大きいということだと思います。恒久制度として地方政府がこれを実施できるのかといいますと、これ、財政制約がかけられていますので、制度改善がないと行うことができないという現実があります。こういった点も含めて、国によって制度改善がなされる必要があると、国の責任は大きいというふうに考えております。 次に、地域営農の仕組みづくりについてでありますが、議員御指摘のとおり、地域農業の維持には、大規模農家だけではなく、小規模農家等も含めまして、地域全体で営農を継続できる仕組みづくり、これを進める必要があるというふうに考えております。 次に、商店街の課題と今後の取り組みについてであります。 商店街近郊での居住人口の減少、また郊外への大型店の出店に加え、多くの商店街で、魅力的な店舗が減少している状況にあります。加えて、空き店舗が増加し、そして実際営業している店舗においても後継者難に悩んでいるという大変危機的状況にあると思っています。 これ、どういうことなのだろうかと考えてみますと、1つは商店街のほうが消費者ニーズに対応できていない部分というのがあります。これ、住民にアンケート調査をしますと、商店街が必要かと問えば、おおむね皆さん必要と答えるのですが、ふだんの買い物どこでしますかというと、1割ぐらいの人しか商店街に行かなくて、9割の人は郊外型の大型店舗に行かれているという現実があります。 なぜなのかというと、1回のショッピングで必要なものが全部そろわない。これ、商店街として、これ、スーパーマーケットなり郊外型の大型店舗は消費者ニーズに合わせて店舗構成、必要な売り場面積とか品ぞろえをするのですけれども、それが商店街ではできないということから、消費者のニーズを十分捉え切れないという問題を抱えております。 一方、成功している商店街は、必ずしも地元だけではなくて、旅行者といいますか、エリア外から来られている人を取り込んで成功している例とか、それから店舗全体を改装して、個々人の営業ではなく、商店街全体で大型店に匹敵するマネジメントまでやる、つまり店舗の位置も変えるということもやって成功している商店街等、数限られているという状況であります。 こういった課題にやはり対応していくということが重要でありますので、県といたしましては、小規模企業振興基本条例を踏まえまして、地域の暮らしや雇用の維持に重要な役割を果たしている商店街の持続的な発展に向け、引き続き、支援に取り組んでまいりたいと考えております。 具体的な取り組みにつきまして、産業労働観光部長から補足答弁をいたします。 次に、スポーツ振興についてお答えをいたします。 スポーツ振興に対する基本的な考えについてでありますが、スポーツは、健康の保持や増進、地域の一体感の醸成など、多様な意義があります。また、県民の誰もが、生涯にわたりスポーツに親しむ社会を実現することが大切であると考えております。 また、多くの企業の皆さんとアスリートを養成していくということ、これは企業にとっての雇用、またイメージアップ、またビジネスにもプラスになるということですし、そしてまた次世代の若人に対する教育にとっても重要、さらにはまさに地方創生に資する、これ、人と情報のネットワークの構築にも役立つというふうに考えております。 重川材木店が大変大きな活躍をしているところ、敬意を表したいと思います。 県といたしましては、中核的な施設の整備や、大規模スポーツイベントの誘致などの取り組みを進めており、県民がスポーツに親しむ割合が、現在、着実にふえてきているところであります。 具体の進捗状況につきまして、県民生活・環境部長から補足答弁をいたします。 次に、行財政改革についてお答えをいたします。 現在の県財政に対する認識と今後の財政運営についてであります。 実質的な県債残高は、御指摘いただきましたとおり、県政史上初めて減少に転じているところであります。平成25年度には実質的な公債費もピークアウトしているということから、財政状況はとりわけ厳しい状況にはないと認識をいたしております。 今後も、節度ある財政運営を行い、歳入・歳出両面にわたる努力により、健全な財政運営の確保に努めてまいりたいと思います。 なお、1つ申し上げたいと思うのですが、県債、これは少なければいいのかというと、必ずしもそうではないという状況になっています。どういうことかといいますと、起債をすることによって、そこに交付税措置がなされるというのが日本の国の体系であります。すなわち、起債をするということは、将来の財源を先に確保するということを意味しています。国から見ると、義務的経費という言い方をしているのですが、人件費と、それから公債費は義務的経費で、先に措置をします。つまりどういうことかというと、現在使うお金というのをどれだけ確保するかは、起債をしないと将来の交付税配分競争に敗れるということを意味していますので、できるだけ起債をして、交付税を先取りしないと、新潟県としては損をするという体系になっています。少なくすればいいというのが、これが地方財政としては事実に反するという財政構造になっているという点は、御理解をいただきたいというふうに思います。 また、国が現在2%の物価上昇を目標にしています。公債利率を見ていただくとわかりますが、物価上昇率より低くなっています。すなわち、借金をしている人が得をする社会を目指しているということですので、資金、金融資産を持っている人が目減りをする社会、そして借金をしているとそれが目減りをする社会というのが今の社会ですので、公債残高を減らしていくというのは必ずしも、これ、子孫のためにならない現状にあるというところも御理解をいただきたいと思います。 次に、県民の暮らしと原子力発電所についてお答えをいたします。 まず、森林の保全・整備についてでありますが、議員の御指摘のとおり、森林には、地域経済の活性化や県民の安全・安心の確保に資するなど、多面的機能があると認識をいたしております。 こうした機能が、十分かつ持続的に発揮されるよう、今後も関係団体と連携をしながら、森林の保全・整備に努めるとともに、県産材利用の促進を図ってまいりたいと思います。 次に、エネルギーの地産地消についてであります。 分散型の再生可能エネルギーの導入を促進し、地域への資金還流によって、地方創生を進めていくことが重要であると考えております。 しかしながら、地産地消でいいのかといいますと、新潟県には多様な可能性がありまして、今でも、例えば水力発電も含め、風力も含め、大変潜在的な自然再生エネルギーの獲得可能性があるわけであります。ほぼもう県内いっぱいいっぱいでありますので、これ、都市部に供給をするということも視野に入れるべきと考えております。 県内における再生可能エネルギーの導入状況について、産業労働観光部長から補足答弁をいたします。 次に、福島第一原子力発電所事故の収束や検証についてであります。 事故の収束は、世界に対する、そしてまた人類に対する責任であるというふうに考えております。ぜひ国が前面に出て取り組んでいただきたいと考えております。 今、世界で報道されているのは、多重下請構造、これが事故現場で行われていて、本当に現場で働いている人の給料が、最初に措置された給料の微々たる部分しか渡っていないというようなことも指摘をされております。中抜き、中抜き、中抜きと。むしろ、これ、廃炉庁なり廃炉公団みたいなものをつくって、準公務員待遇で、そこで、現場で働いている人にしっかりと給料が行き渡るような体制をつくるべきではないかなというふうに考えております。これ、民間会社がいろんなルートで、多重下請の中で人材を調達する体制で果たして技術が残るのだろうかと。逆に、国家が前面に出て、廃炉技術を獲得するということになると、世界に展開している原子力発電所、いずれ全て廃炉の時期を迎えるわけであります。民間企業ではとり切れないリスクと量というものを新しいビジネスにするチャンスもあるわけですので、私は使い捨ての人材ということではなく、国家が前面に出て、前に取り組むべきであると考えております。 また、事故の検証・総括においては、東京電力は事故時にメルトダウンを隠蔽しております。これの背景、一体誰が責任を負っているのかという内部調査も実施しない、内部処分もしないという状態が続いております。どうして、翌日にはメルトダウンしているのを認識し、3月14日にはテレビ会議で原子力本部長と、それから現場の所長が、メルトでいいですね、はい、結構ですというやりとりをしていながら、発表が5月になるのか。その間、避難がおくれた人が不要な被曝をするということになっているわけです。それを総括するということがまず大事であると思います。背景、誰の指示でそういうことになったのかについて解明をしていただきたいというふうに思います。東京電力の対応が不十分であるため、現在、技術委員会で検証が続いているところであります。 東京電力には、事故の当事者として、真摯に取り組んでいただきたいと考えております。   〔総務管理部長植田拓郎君登壇〕 ◎総務管理部長(植田拓郎君) 2点についてお答えいたします。 県債残高の現状と今後の見通しについてでありますが、事実上の交付税であります臨時財政対策債を除く、平成26年度末の通常債残高は、1兆8,341億円程度と見込んでおります。 また、本年1月に改定しました財政運営計画でお示しをしているとおり、災害等により県債発行の大幅な増がなければ、今後も減少していくものと見込んでおります。 そもそも、地方債は主に公共事業などの財源として発行しており、財政負担の平準化や世代間の負担の公平を図ることにつながります。 また、交付税措置のある県債は、将来世代にとっては交付税の先取りになることも踏まえ、本県発展のため有効に活用してまいりたいと考えております。 次に、人事評価の現状と取り組み方針についてでありますが、本県の人事評価は、現在、職員が発揮した能力と達成した業績について、自己申告の上、上司との面談を行い、対話を通じた人材育成のツールとするとともに、評価の積み重ねを適材適所に配置するための基礎として活用しております。 来年4月に施行予定の改正地方公務員法では、能力及び実績に基づく人事評価の結果を任用、給与等に反映することが定められたことから、議員御指摘のとおり、仕事の成果を的確に評価し、努力した職員が報われる制度を構築してまいりたいと考えております。   〔県民生活・環境部長丸山由明君登壇〕 ◎県民生活・環境部長(丸山由明君) 2点についてお答えいたします。 県民スポーツ振興プランの進捗状況についてでありますが、プランに基づき、地域でのスポーツ環境の整備を進めた結果、障害者スポーツを含め、地域におけるスポーツ大会の参加数や総合型地域スポーツクラブの会員数は着実に増加しており、県民の生活にスポーツが定着しつつあるものと考えております。 県民アンケート調査でも、成人の週1日以上のスポーツ実施率は、平成18年の34%から平成27年の42%まで上昇しております。 一方、プランでは、地域でのスポーツ活動の充実を初めとした4つの重点施策を柱にしておりますが、28年度までとした目標値に対しては、26年度末現在、いずれも未達成の状況でございます。 なお、施策と目標値につきましては、プラン見直しの中で適切に検討してまいります。 次に、地域におけるスポーツ活動についてでありますが、多くの県民がスポーツ活動に参加するためには、誰もが、それぞれの体力や年齢、目的に応じ、気軽にスポーツに親しめる環境をつくることが大切です。 このため県では、身近な場所でいつでもスポーツを行える総合型地域スポーツクラブの育成に取り組んでおり、クラブの運営ノウハウの習得や人材育成のほか、健康・福祉等の他分野との事業連携を支援しているところであります。 また、柏崎市の水球などのように、地域のシンボルとなるスポーツの振興により、地域コミュニティーづくりを促す取り組みを行っております。 引き続き、これらの取り組みを積極的に進めてまいります。   〔福祉保健部長岡俊幸君登壇〕 ◎福祉保健部長(岡俊幸君) お答えいたします。 自然を活用した健康づくりの取り組みについてでありますが、これまで、県では、運動習慣を取り入れた日常生活を送るための環境づくりの一環として、身近な里山や水辺などを散策することができる新潟県健康ウォーキングロードの登録に取り組んできております。 御提案のとおり、自然の中での健康づくりは、単なる体力の維持増進だけでなく、心身をリラックスさせるといった効果も期待できることから、今後とも、市町村や関係団体と協力し、自然を有効に活用した健康づくりの取り組みを推進してまいりたいと考えております。   〔産業労働観光部長池田幸博君登壇〕 ◎産業労働観光部長(池田幸博君) 2点お答えいたします。 商店街への具体的な支援についてでありますが、県では、若手経営者などの育成やU・I・Jターンによる後継者確保への助成など、人づくりへの支援を強化しております。 また、新規出店や店舗改装への資金面の支援を充実させたところであります。 これらに加え、移動販売などの新たなビジネス展開による商店街の機能向上を促すとともに、専門家チームの派遣などにより、魅力ある商店街づくりに向け、より効果的な支援に努めてまいりたいと考えております。 次に、県内における再生可能エネルギーの導入状況についてでありますが、平成25年度末における再生可能エネルギーの発電能力は、184万キロワットであり、本県の平均需要電力192万キロワットに対して約96%の実績となっております。 今後の見通しにつきましては、現時点において、政策プランの目標年度である平成28年度末までに、約10万キロワット増加し、指標は4ポイント上昇する見通しです。   〔教育長高井盛雄君登壇〕 ◎教育長(高井盛雄君) 5点についてお答えします。 まず、子供の健全な育成についてでありますが、子供たちが、親や祖父母など家族を敬うことは、大切なことであると考えております。 現在、学校では、学習指導要領に基づき、児童生徒の発達段階に応じて、父母、祖父母を敬愛する心を養う指導を行っており、また文部科学省から配付されている「私たちの道徳」においても、家族愛が大きなテーマの一つとして取り上げられていることから、これらにより今後も家族の大切さについて指導してまいります。 次に、体験学習の現状と課題についてでありますが、県内の全ての小中学校では、総合的な学習の時間等において、地域の特性や学校の実情に合わせた特色ある体験活動を展開しているところであり、そのうち、栽培活動や自然に親しむ活動について見ると、小学校では全ての学校で、中学校では約8割が実施しております。 体験学習の実施に当たっては、時間の確保や地域の協力体制の維持が課題であると認識しております。 次に、職場体験についてでありますが、職場体験は、児童生徒がさまざまな仕事を体験し、働くことの大切さや厳しさを理解するために重要であり、県内全ての中学校で実施されています。 農林水産業や職人の手仕事などの中には、受け入れ先や安全性の確保等が課題となるものもありますが、児童生徒の発達段階や地域の実情に応じて、多様な職場体験活動が実施できるよう、支援してまいります。 次に、アスリート養成に向けた取り組み方針についてでありますが、県では、将来有望なジュニア選手を強化選手に指定し、トップコーチを招いての指導やトップアスリートが集う合宿等への参加支援などに取り組んでいるところであります。 今後も、これらの取り組みを通して、全国や世界で活躍するアスリートの養成に努めてまいります。 次に、民間活力によるスポーツ振興についてでありますが、本県のスポーツ振興には、優秀選手や指導者などのスポーツ人材が本県に定着し、活躍できるような仕組みづくりが必要であり、そのためには、民間企業等からの協力が欠かせないものと考えております。 このため県では、本年度から県体育協会に配置したコーディネーターによる企業訪問や社会人スポーツ推進協議会への働きかけなどを通して、アスリートの雇用促進に取り組んでいるところであります。 ○議長(尾身孝昭君) 重川隆広君の質問は終わりました。   ――――――――☆―――――――― ○議長(尾身孝昭君) これにて一般質問は終了いたしました。   ――――――――☆―――――――― ○議長(尾身孝昭君) お諮りいたします。 議案審査等のため、明7月1日から7月3日まで及び7月6日から7月9日までの7日間、本会議を休会いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(尾身孝昭君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 なお、7月4日及び7月5日は、休日のため、本会議を休会といたします。   ――――――――☆―――――――― ○議長(尾身孝昭君) 本日の議事日程は終了いたしました。 次会は、7月10日午後1時から開くことといたします。 本日はこれにて散会いたします。 △午後4時48分散会...