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09月20日-06号

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  1. 神奈川県議会 2022-09-20
    09月20日-06号


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    最終取得日: 2023-05-16
    令和 4年 第三回 定例会 △《本会議録-令和4年第3回-20220920-029298-諸事項-出席議員等・議事日程-》 令和4年第3回神奈川県議会定例会会議録第6号〇令和4年9月20日 午前10時30分開議   ───────────────────────────────────────〇本日の出席議員 議長共100名       出 席 議 員                       大   村       悠                       桝       晴 太 郎                       永   田   磨 梨 奈                       加   藤   ご   う                       永   田   て る じ                       菅   原   あきひと                       須   田   こうへい                       す と う   天   信                       上   野   た つ や                       石   田   和   子                       田   村   ゆうすけ                       松   長   泰   幸                       山   口   美 津 夫                       高   橋   延   幸                       武   田       翔                       田   中   信   次                       川   崎   修   平                       神   倉   寛   明                       お ざ わ   良   央                       た め や   義   隆                       飯   野   まさたけ                       望   月   聖   子                       佐 々 木   ナ オ ミ                       柳   瀬   吉   助                       市   川   さ と し                       佐   藤   けいすけ                       大   山   奈 々 子                       君   嶋   ち か 子                       池   田   東 一 郎                       石   川       巧                       芥   川       薫                       川   本       学                       市   川   和   広                       山   本       哲                       綱   嶋   洋   一                       新   堀   史   明                       田   中   徳 一 郎                       山   口   貴   裕                       野   田   治   美                       脇       礼   子                       石   川   裕   憲                       米   村   和   彦                       栄   居       学                       小   林   大   介                       京   島   け い こ                       井   坂   新   哉                       佐 々 木   ゆ み こ                       西   村   く に こ                       谷   口   かずふみ                       藤   代   ゆ う や                       渡   辺   紀   之                       原       聡   祐                       高   橋   栄 一 郎                       柳   下       剛                       細   谷   政   幸                       河   本   文   雄                       内   田   み ほ こ                       中   村   武   人                       古   賀   照   基                       青   山   圭   一                       斉   藤   た か み                       赤   野   た か し                       さ と う   知   一                       亀   井   たかつぐ                       佐 々 木   正   行                       渡   辺   ひ と し                       小 野 寺   慎 一 郎                       長   田   進   治                       国   松       誠                       杉   本       透                       し き だ   博   昭                       小   島   健   一                       いそもと    桂 太 郎                       梅   沢   裕   之                       嶋   村   た だ し                       市   川   よ し 子                       岸   部       都                       く さ か   景   子                       作   山   ゆうすけ                       菅   原   直   敏                       北   井   宏   昭                       相   原   高   広                       鈴   木   ひ で し                       藤   井   深   介                       森       正   明                       土   井   りゅうすけ                       杉   山   信   雄                       小   川   久 仁 子                       持   田   文   男                       竹   内   英   明                       浦   道   健   一                       加   藤   元   弥                       松   田   良   昭                       牧   島       功                       堀   江   則   之                       松   本       清                       た き た   孝   徳                       松   崎       淳                       近   藤   大   輔                       曽 我 部   久 美 子       欠 席 議 員                       楠       梨 恵 子                       あ ら い   絹   世                       桐   生   秀   昭       説明のための出席者         知事            黒   岩   祐   治         副知事           武   井   政   二         同             小 板 橋   聡   士         同             首   藤   健   治         政策局長          平   田   良   徳         総務局長          筒   浦   浩   久         くらし安全防災局長     佐   川   範   久         環境農政局長        鈴   木   真 由 美         福祉子どもみらい局長    橋   本   和   也         健康医療局長兼未病担当局長 山   田   健   司         産業労働局長        河   鍋       章         県土整備局長        大   島   伸   生         共生担当局長        川   名   勝   義         教育委員会教育長      花   田   忠   雄         同  教育局長       田   代   文   彦         公営企業管理者企業庁長   髙   澤   幸   夫         企業庁企業局長       柏   﨑   克   夫   ───────────────────────────────────────       議会局出席者         議会局長          浦   邊       哲         議会局副局長兼総務課長   高   瀨   正   明         同  議事課長       井   上       実         同  政策調査課長     大 河 原   邦   治   ───────────────────────────────────────           令和4年第3回神奈川県議会定例会議事日程第6号                          令和4年9月20日午前10時30分開議第1 定県第 71 号議案 令和4年度神奈川県一般会計補正予算(第2号)   定県第 72 号議案 同  年度神奈川県水道事業会計補正予算(第1号)   定県第 73 号議案 神奈川県公報による公告の見直しに伴う関係条例の整理に関する条例   定県第 74 号議案 神奈川県当事者目線の障害福祉推進条例   定県第 75 号議案 地方税法第37条の2第1項第4号に掲げる寄附金を受け入れる特定非営利活動法人等を定める条例の一部を改正する条例   定県第 76 号議案 神奈川県県税条例の一部を改正する条例   定県第 77 号議案 神奈川県みんなのバリアフリー街づくり条例の一部を改正する条例   定県第 78 号議案 神奈川県立の高等学校等の設置に関する条例の一部を改正する条例   定県第 79 号議案 工事請負契約の締結について(一級河川矢上川地下調節池トンネル本体Ⅰ期工事請負契約)   定県第 80 号議案 特定事業契約の締結について(県営上溝団地特定事業契約)   定県第 81 号議案 特定事業契約の締結について(県営追浜第一団地特定事業契約)   定県第 82 号議案 指定管理者の指定について(伊勢原射撃場)   定県第 83 号議案 指定管理者の指定について(湘南港)   定県第 84 号議案 指定管理者の指定について(葉山港)   定県第 85 号議案 和解について   県報第2号 専決処分について承認を求めること(動産の取得について)   県報第3号 専決処分について承認を求めること(損害賠償請求訴訟の判決に対する控訴について)第2 認第1号 令和3年度神奈川県公営企業決算及び神奈川県流域下水道事業決算の認定について   ─────────────────────────────────────── △《本会議録-令和4年第3回-20220920-029299-質問・答弁-神倉寛明議員-一般質問①県立秦野戸川公園の未整備区域の活用と魅力づくりについて②国道246号バイパス[厚木秦野道路]と都市計画道路渋沢小原線の整備について③デジタル人材の育成について④水道事業広域化の課題と推進について⑤医師の働き方改革に向けた課題と秦野赤十字病院の分娩再開について⑥丹沢大山の公衆トイレの環境整備について》    〔議会局長報告〕  出席議員 議長共97名 ○議長(しきだ博昭) ただいまから、本日の会議を開きます。   ─────────────────────────────────────── ○議長(しきだ博昭) 審議を行います。  日程第1、定県第71号議案 令和4年度神奈川県一般会計補正予算外16件及び日程第2、認第1号 令和3年度神奈川県公営企業決算及び神奈川県流域下水道事業決算の認定について、以上一括して議題といたします。  これより質問並びに質疑を行います。  質問の通告がありますので、順次発言を許します。  神倉寛明君。  〔神倉寛明議員登壇〕(拍手) ◆神倉寛明議員 おはようございます。  秦野市選出の神倉寛明でございます。  まず初めに、台風14号で被災をされた方々に心よりお見舞いを申し上げます。  それでは、しきだ博昭議長のお許しを頂きましたので、私は、自由民主党神奈川県議会議員団の一員として、通告に従い、順次提言を交えながら質問させていただきます。  知事、県土整備局長環境農政局長、企業庁長、教育長におかれましては、明快かつ前向きな御答弁をよろしくお願い申し上げます。また、先輩、同僚議員の皆様におかれましては、しばらくの間、御清聴のほど、よろしくお願いをいたします。  〔資料提示〕  質問の第1は、県立秦野戸川公園の未整備区域の活用と魅力づくりについてです。  基本ルートの公表から30年、本年4月16日に念願の新東名高速道路秦野市域区間までが開通しました。これにより、県立秦野戸川公園まで5分程度でアクセスできる地点には、秦野丹沢スマートインターチェンジが設置され、東京方面はもちろんのこと、圏央道を経由することで、湘南エリアや埼玉方面からも気楽に訪れていただける環境が整いました。  さらに、数年後には全線開通も見込まれ、中部、関西方面からのアクセスが格段に飛躍するとともに、海老名サービスエリアとほぼ同規模と言われている秦野丹沢サービスエリアも、開設に向けて工事が進められております。  このように、県立秦野戸川公園の周辺環境は劇的に変化しており、県西部地域の観光拠点として、大きな期待が寄せられるエリアに成長しています。  地元の秦野市でも、新東名高速道路の開通を契機に、表丹沢の魅力をより一層PRするとともに、都心から近い山岳・里山アクティビティの聖地としてのブランド化を効果的に進めるため、4月には、OMOTANというネーミングとロゴマークを発表し、また、8月には、SNSを活用した表丹沢総合ホームページの立ち上げなど、積極的に取り組んでおります。  昨年9月の県議会定例会では、新東名高速道路の開通という絶好のチャンスを逃すことなく、秦野戸川公園の未整備区域を有効活用して、魅力ある公園づくりに積極的かつ早急に取り組むべきであることについて、一般質問をさせていただきました。  これに対して知事は、令和3年度末までに、公園利用者に対して、行ってみたい活動や求める施設、イベント等についてアンケートを実施する、また、公園の特性から想定されるアクティビティについて、公民連携の方策も視野に入れ、様々な民間事業者から広く多彩なアイデアを頂き、拠点づくりに生かしていくとの答弁をされました。  そこで、知事に伺います。  令和3年度中に実施すると答弁をされた利用者アンケートや、民間事業者からのアイデア聴取の結果はどのようであったのか、さらに、この調査結果を踏まえ、未整備区域を有効活用した魅力ある公園づくりの実現化に向け、具体的に、今後どのように取組を進めていくのか、見解を伺います。  また、未整備区域のうち、用地取得済みの約5ヘクタールのエリアは、約30年前に策定された公園基本計画で、山里のクラフトゾーンとして位置づけされたままです。社会潮流をはじめ、求められるニーズなど、県立秦野戸川公園を取り巻く状況は大きく変化している中で、山里のクラフトゾーンの設定も含め、利用者ニーズに合致した公園基本計画に見直すべきと考えますが、見解を伺います。  〔資料提示〕  質問の第2は、国道246号バイパス(厚木秦野道路)と都市計画道路渋沢小原線の整備についてです。  新東名高速道路の整備により、今後、秦野市域の広域的な交通利便性が格段に向上することで、将来のまちの発展も見込まれており、現に、新秦野インターチェンジと同時に開通した秦野丹沢スマートインターチェンジの周辺では、産業系の土地区画整理事業が動き出しております。  また、新東名の延伸により、東京から表丹沢への直通バスの所要時間が大幅に短縮され、昨今の登山ブームや、秦野市による表丹沢の魅力発信の取組と相まって、この地域のさらなる観光振興が期待をされます。  一方、新秦野インターチェンジが連絡をする国道246号は、いまだ善波トンネルや渋沢駅周辺などで慢性的な渋滞が発生をしています。  国道246号の渋滞緩和を図るために、国道246号のバイパスとして厚木秦野道路が新東名と同時に計画決定されていますが、国が予算化し、道路の設計を進めるといった、いわゆる事業化をした区間は、延長約29キロメートルのうち、約半分の14キロメートルにとどまっています。  特に、秦野市内では、約11キロメートルが計画をされていますが、平成26年度に伊勢原市境から東名高速道路秦野中井インターチェンジまでの約4キロメートルが事業化されたものの、その西側の新秦野インターチェンジにつながる区間は事業化されていない状況にあります。  この未事業化区間の中間に計画をされている(仮称)渋沢インターチェンジは、市内の製造業の約9割が集積する工業団地に近接しており、厚木秦野道路が完成し、渋沢インターチェンジが供用されれば、生産性の向上や民間投資の拡大、雇用の創出など、地域経済の発展に寄与することから、地元は厚木秦野道路の整備に大きな期待を寄せております。  また、(仮称)渋沢インターチェンジアクセス道路として、厚木秦野道路と渋沢駅付近の国道246号を連絡する都市計画道路渋沢小原線については、県から、平成18年度に事業化の見通しを見極めながら整備に取り組んでまいりたいと、秦野市に回答をしていることから、市は、厚木秦野道路の整備に合わせて、県が整備することを望んでおり、県は、この道路の整備に向けた検討を着実に進めていく必要があると考えます。  そこで、県土整備局長に伺います。  国道246号バイパス厚木秦野道路都市計画道路渋沢小原線の整備に向けて、県は、どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。  質問の第3は、デジタル人材の育成についてです。  〔資料提示〕  まず、県立高校におけるデジタル人材の育成について伺います。  デジタル技術で業務の効率化や事業変革を目指すデジタルトランスフォーメーション─DXが急速に進む中、データ解析や人工知能─AIなどに精通し、DXの推進を担うデジタル人材の育成が急務となっています。  今後、人材育成が需要に追いつかず、2030年には最大で79万人のIT人材が不足し、さらに、デジタル人材の育成は、大学入学からでは遅過ぎるといった新聞報道を目にしました。  私も、社会が大きく変化する中、そうした人材の育成は、非常に重要になってくると考えます。  多くの企業等が求めるのは、新しい技術に対応できる人材で、各企業では、中途採用で人材を確保したり、新採用や社内の人材に研修を行い、必要となるデジタルスキルを育成するなどにより、人材確保や育成に努めている状況と聞いております。  こうした企業等の要請に応えるために、実践的なデジタル人材を育成する教育プログラムの開発が進められており、大学でも、新学科の設置などが行われています。  高校に進学した生徒の多くは普通科に在籍し、大学に進学してから専門分野の学びに触れることになりますが、このような社会のニーズを考えると、高校在学中のより早期に、先端の技術の活用を体験的に学ぶことができるような教育プログラムの構築が必要であると考えます。  今後、デジタル社会の進展には、技術に革新をもたらす人材や、現場を支える人材が必要であり、学び方や進路に多様な選択肢を用意することが期待をされています。  そして、そうした先端技術を活用した教育を学校で行うには、学校の持つ教育資源だけではなく、民間企業等をはじめとした外部機関、とりわけ産業界と連携をした取組を進めることが求められます。  〔資料提示〕  そうした中で、県立高校が地域の産業や企業と連携し、社会に有益な人材を育成するといった点では、工業高校をはじめとする専門高校において、長期の現場実習を行うデュアルシステムといった取組が進んでいると承知をしています。  今後、社会で必要とされるデジタル技術の分野においても、民間企業や研究機関等とさらに緊密な連携を図り、産業現場の最先端の技術に触れることができるよう、学校外での学びの機会も含めて、子供たちの未来につながる学びが必要であると考えます。  そこで、教育長に伺います。  県立高校におけるデジタル人材の育成に係る取組の現状と、今後の取組の方向性について見解を伺います。  〔資料提示〕  次に、デジタル人材を育成するための職業能力開発について伺います。  新型コロナウイルス感染症の影響により、社会生活や経済活動に大きな制約を受ける一方で、インターネットショッピングQR決済サービスなどの非接触・非対面によるサービスや、テレワークの取組など、働き方改革を目的としたデジタル技術の活用がコロナ禍を契機に急速に加速をしています。  また、中長期的な視点で見ても、急速な少子高齢化の進展に伴い、慢性的な労働力不足が見込まれる一方、先端分野の技術革新には著しいものがあり、新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない中、経済活動の維持に向けて、様々な産業分野でDXの取組なども促進されていくものと考えます。  〔資料提示〕  このように、社会全体のデジタル化が加速する一方で、経済産業省が2019年に発表した調査では、2030年には、国内のIT人材が最大で79万人不足すると試算するとともに、デジタル人材の育成のペースが現状のままでは、今後の需要に追いついていかないとの見通しを立てています。  このような状況の中、国は、6月に閣議決定した経済財政運営と改革の基本方針において、人への投資と分配を柱に掲げ、その中に、デジタル化に対応したイノベーション人材の育成等について、社会の変化への対応を加速するとしており、今後、様々な教育機関において、デジタル技術に関する人材の育成に力を入れていく方針を打ち出していくものと思われます。  一方で、本県の労働市場を見ても、毎月の有効求人倍率が令和2年5月以降、1.0倍を下回っている中においても、IT技術関連の有効求人倍率は、求人が求職を上回る状況が続いていることから、コロナ禍においても、デジタル人材に対する企業側の求人ニーズは、今後も高まっていくことが予想されます。  〔資料提示〕  本県では、産業技術短期大学校や、東部・西部の総合職業技術校などで、中小企業の人材確保の観点から、ものづくり分野を中心とした職業訓練を実施しているところですが、生活様式の変化や産業構造の大きな転換期を迎える中、こうした変革の推進に必要なデジタル人材を育成し、幅広い産業における生産性の向上につなげていく必要があります。  そこで、知事に伺います。  今後、県として、デジタル人材を育成するための職業能力開発について、どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。  〔資料提示〕  質問の第4は、水道事業広域化の課題と推進についてです。  我が国の水道は、98.1%という高い普及率を誇り、生活や社会経済活動の基盤として必要不可欠なものとなっています。  一方で、高度経済成長期に整備された水道施設の老朽化とともに、本格的な人口減少社会を迎え、水需要の減少に伴う水道事業の経営環境の悪化が避けられないと予測をされています。  こうした状況を踏まえ、国は、令和元年に改正水道法を施行し、水道施設の適切な維持管理や計画的な更新、広域連携の推進などによる水道の基盤強化を掲げ、都道府県に対し、水道事業の広域的な連携を推進するよう求めたところです。  国の動きを受け、本県では、県内水道事業の広域連携に取り組んでおり、令和4年度中に、神奈川県水道広域化推進プランが策定されると承知をしています。  このプランにおいては、県内人口の約9割に水道水を供給している神奈川県、横浜市、川崎市、横須賀市の4水道事業者と、これらの水道事業者に水道用水を供給している神奈川県内広域水道企業団を合わせた5事業者の広域連携の取組が、中心的な位置づけになるものと認識をしております。  この5事業者は、高度経済成長期から、相模川及び酒匂川において共同で水源を開発するなど、長い広域連携の歴史を有しています。  5事業者がこうした取組の実績を生かし、これからの人口減少時代にも柔軟に対応できるよう、連携して浄水場を統廃合するなど、大胆なダウンサイジングを図るとともに、柔軟な水運用を行おうとする、いわゆる水道システムの再構築の検討を国の法改正に先行し、10年以上前から進めてきたことは評価をするところです。  全国屈指の規模を誇る5事業者の取組ともなると、浄水場を1か所廃止するだけでも、別の浄水場から水を供給するための切替えや、施設整備が広範囲で必要となるなど、実現までには大小様々な課題が出てくると思いますが、5事業者が連携して水道システムを再構築することにより、全体として、施設更新や維持管理に要する費用が抑えられるだけではなく、災害時におけるバックアップ機能が強化されるという大きなメリットを得ることができます。  これは、県民や市民の目線に立てば、水道料金の上昇幅を抑えることや、水道供給の安定につながる大変重要な取組であることから、5事業者が一丸となってこの取組を進め、ぜひとも成功させていただきたいと考えております。  そこで、企業庁長に伺います。  浄水場の統廃合によるダウンサイジングをはじめ、5事業者による水道システムの再構築を進めるに当たり、企業庁として、どのような課題があり、それをどのように克服して、取組を前進させていこうと考えているのか、見解を伺います。  〔資料提示〕  質問の第5は、医師の働き方改革に向けた課題と秦野赤十字病院の分娩再開についてです。  地域医療における諸問題について、これまで私の地元、秦野赤十字病院をめぐり、地域医療構想を背景として、地域の医療機関として果たすべき役割の再検証、分娩機能の休止という実態を踏まえ、安心して子供を産み育てる環境づくりや地域医療の確保のために、分娩業務の再開を求めてきました。  他方で、これらの主な要因は、医師の人材確保にあることから、医師が不足する地域・診療科への医師を増やすため、体制や仕組みづくりを提案しながら、国の医師確保対策を活用して、県内大学の医学部において、産科をはじめとする不足診療科の医師を積極的に輩出することを強くお願いをしてきたところです。  こうした求めに対して、県においても、秦野市や秦野赤十字病院等と分娩できる体制を整備するための協議の場を立ち上げたり、産科を含む医師確保のために、県内4医科大学に地域枠を設定し、修学資金の貸付けを行うことにより、医師の人材を確保するとともに、地域医療支援センターによる学生の地域医療への意識啓発を図るなど、充実に尽力してきたことは承知していますが、残念ながら、その成果がいまだ見えていません。  〔資料提示〕  加えて、現在、令和6年4月からの医師の時間外労働の上限規制が実施される医師の働き方改革が医療関係団体からの反響が大きく、大学病院や基幹病院から地域医療を行っている病院への医師の派遣に支障が生じるのではとの指摘もあります。  時間外労働が多い医師が健康に働き続ける対策を取ることは大切ですが、一方、地域医療を守るため、必要な医療提供体制は守らなければならないと考えています。  そこで、知事に伺います。  まず、医師の働き方改革に向けて、県としては、どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。  また、医師の働き方改革により、医師確保のハードルが一段上がるようにも感じますが、県として秦野赤十字病院の分娩再開に向けて、医師確保に、どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。  〔資料提示〕  質問の第6は、丹沢大山の公衆トイレの環境整備についてです。  本年4月に、新東名高速道路伊勢原大山インターチェンジから新秦野インターチェンジまでの区間が開通し、表丹沢の麓に2か所のインターチェンジが新たに設置されたことで、豊かな自然と観光、歴史、文化、スポーツなど、様々な分野の資源がある表丹沢は、今後、注目される機会がますます増えていくものと期待をされます。  〔資料提示〕  例えば、丹沢大山国定公園を代表する大山や塔ノ岳、鍋割山、三ノ塔といった、四季を通じて多くの登山者が訪れる山があり、県立秦野戸川公園内のはだの丹沢クライミングパークや県立山岳スポーツセンターといったクライミング競技のスポーツ施設、秦野市街地から宮ヶ瀬湖方面に抜ける県道70号・秦野清川線には、ヒルクライムのメッカとして多くのサイクリストが訪れるヤビツ峠などがあります。  秦野市は、こうした表丹沢の魅力ある資源を磨き、つなげ、新たに触れる機会を増やすことで、表丹沢の魅力を再認識してもらうとともに、表丹沢の本物の魅力を効果的に発信することで、多くの方々に2度、3度と訪れていただくため、令和2年9月に表丹沢魅力づくり構想を策定し、表丹沢を都心から近い山岳・里山アクティビティの聖地としてブランド化するための様々な取組を進めております。  こうした中、県が設置し管理するヤビツ峠公衆トイレでは、これまで度々不具合が発生し、使用できなくなりました。本年5月より、仮設トイレが約5か月も設置されている現状であり、利用者に御不便をおかけしております。  また、ヤビツ峠から登山可能な大山では、連休や紅葉の時期になると、山頂にある公衆トイレに順番待ちの行列ができて、長時間並ばないと使えないとの声も頂いております。  今後、新型コロナウイルス感染症が収束した後に、県内外から多くの方々に2度、3度と丹沢大山に訪れていただくためには、基本的な施設である公衆トイレが不便なく使えることが重要であると考えます。  そこで、環境農政局長に伺います。  ヤビツ峠など丹沢大山で県が管理する公衆トイレの環境整備について、今後どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。  以上で、第1回目の質問を終わります。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 答弁に入ります前に、一言申し上げます。  日本列島を縦断した台風14号により、お亡くなりになられた方に、謹んで哀悼の意を表するとともに、被災された方々にお見舞い申し上げます。  それでは、神倉議員の御質問に順次お答えしてまいります。  初めに、県立秦野戸川公園の未整備区域の活用と魅力づくりについてお尋ねがありました。  秦野戸川公園は丹沢の麓にあり、川遊びや山岳スポーツを楽しめる施設として、昨年度は約42万人もの方々に利用されている都市公園です。  この4月には、本公園に隣接する新東名高速道路のスマートインターチェンジが開設され、今後、来園者の一層の増加が見込まれます。  この公園には、未整備となっている約5ヘクタールの用地がありますが、県は昨年度、この区域の活用を含めた本公園の魅力アップに向け、利用者へのアンケート調査や、今後の公民連携を視野に入れ、民間事業者からアイデアの聞き取りを実施しました。  その結果、多くの利用者から、未整備区域を活用し、雄大な風景の中で、自然体験やアウトドア活動を楽しめる施設を整備してほしいといった回答がありました。また、民間事業者からは、トレイルランやフィールドアスレチックなど、未整備区域の起伏のある地形や豊かな緑を活用したアイデアを頂きました。  今後、これらの御意見や秦野市の表丹沢魅力づくり構想を踏まえ、未整備区域に導入する機能や事業手法について、さらに多くの民間事業者の御意見や学識者の助言も頂きながら検討を進め、令和5年度を目途に土地利用のイメージを固めます。  次に、公園の基本計画の見直しについてです。  約30年前に策定された基本計画では、未整備区域を山里のクラフトゾーンと位置づけていますが、今後取りまとめる、この区域の土地利用のイメージを基に、基本計画を利用者等のニーズを反映した内容へと見直していきます。  県は、公民連携も視野に入れ、引き続き、秦野市と連携し、未整備区域を活用した魅力ある公園づくりを進め、表丹沢のにぎわいを創出してまいります。  次に、デジタル人材の育成についてお尋ねがありました。  デジタル人材を育成するための職業能力開発についてです。  県はこれまで、産業技術短期大学校や総合職業技術校において、情報処理技術に関するプログラミングやネットワーク技術などを習得する訓練コースを設置し、デジタル人材の育成に取り組んできました。  一方、社会全体でDXが進展する中、県内の製造業を対象に行ったアンケートでは、製造工程の最適化や設計支援業務などでDXに取り組む際、中心的な役割を担うデジタル人材が不足しているという回答が60%以上あり、課題となっています。  こうした課題を解決するためには、個々の社員が持つ長年の経験など、これまでアナログで培われてきた優れた技術や製造ノウハウをデジタル化し、生産性の向上に貢献できる人材の育成が必要です。  そこで、現在策定中の第11次神奈川県職業能力開発計画にIT人材の育成強化を掲げ、デジタル技術を活用して、業務の課題解決や効率化を行う専門的な人材等の育成を図りたいと考えています。  具体的には、今年度、デジタル技術に関する新たな訓練カリキュラムを開発するため、学識経験者や民間企業、情報サービス関連の関係団体で構成する検討会を立ち上げます。また、並行して、企業に対してアンケートやヒアリングを行い、現場の声を反映させたカリキュラム内容としていきます。  そして、開発したカリキュラムは、今後、産業技術短期大学校や総合職業技術校で実施する、ものづくり分野における訓練や、在職者を対象として行うセミナーにおいて活用していきます。  こうしたことにより、地域の産業を支え、中小企業のDXの推進に資するデジタル人材の育成に取り組んでまいります。  最後に、医師の働き方改革に向けた課題と秦野赤十字病院の分娩再開についてお尋ねがありました。  まず、医師の働き方改革に向けた課題についてです。  医師が健康に働き続けるためには、医師の働き方改革を推進し、勤務環境を整備することが重要です。  そうした中、令和6年4月から、医師の労働時間の上限規制が適用され、年間の時間外労働は、原則960時間が上限となります。一方、病院では、24時間医療を提供するため、休日や夜間帯も医師を配置しており、その結果、医師の時間外労働は長時間に及び、上限時間を超える医師が多いのが現状です。  そのため、医師の労働時間に関する見直しについては、医療現場の実態を踏まえた上で、労務管理に関する専門的な知識が求められます。  そこで、県では、専門のアドバイザーを派遣するなど、医療機関の労働時間の見直しを支援し、医師の働き方改革を推進してまいります。  次に、秦野赤十字病院の分娩再開に向けた医師確保についてです。  秦野赤十字病院の分娩休止に伴い、県ではこれまでも、秦野市や地域の医療機関と調整を行ってきましたが、やはり、産科医師の確保が課題となっています。  県では、卒業後に一定期間の県内勤務を義務づける地域枠を設定し、産科を含めた診療科を希望する学生に対し、修学資金の貸付けを行っています。この地域枠制度は、令和5年度までの時限とされていますが、6年度以降もこの制度が維持されるよう、国に対して要望していきます。  また、医師が不足する地域における地域枠医師の就業を促すため、学生や研修医向けに、地域医療に関わる研修会や交流会を開催し、地域医療への関心を醸成するよう努めていきます。  さらに、臨床研修を終えた医師が、医師不足地域で様々なキャリアを積むことができる研修プログラムを策定するよう、病院に働きかけていきます。  こうした取組を通じて、引き続き、地域医療を担う医師の確保に努めてまいります。  私からの答弁は以上です。  〔県土整備局長(大島伸生)発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 大島県土整備局長。 ◎県土整備局長(大島伸生) 県土整備局関係の御質問にお答えします。  国道246号バイパス(厚木秦野道路)と都市計画道路渋沢小原線の整備についてお尋ねがありました。  まず、厚木秦野道路についてです。  厚木秦野道路は、圏央道や新東名などと接続し、道路ネットワークを強化するとともに、国道246号までの渋滞を緩和し、地域経済の発展などに貢献する重要な道路です。  これまで事業主体である国により、全体延長29キロメートルのうち、約14キロメートルが事業化され、現在、主に用地の取得が進められています。  こうした中、本路線の整備を促進するためには、県として事業協力を行うとともに、この路線の必要性や効果を国に訴えかけていく必要があります。  県ではこれまで、埋蔵文化財調査に係る調整といった協力を行ってきましたが、今後も、用地取得に係る地元調整など、事業推進に必要となる協力を積極的に進めていきます。  また、既にこの道路の沿線に進出している企業などから、開通に寄せる期待を聞き取りながら、こうした声を背景に、事業化区間の整備促進と未事業化区間の早期事業化を、国に対して強く訴えていきます。  次に、都市計画道路渋沢小原線についてです。  渋沢小原線は、厚木秦野道路の(仮称)渋沢インターチェンジへのアクセス道路として、平成8年に厚木秦野道路と同時に都市計画決定された路線です。(仮称)渋沢インターチェンジを含む厚木秦野道路の区間は事業化されていませんが、このインターチェンジと国道246号をつなぐ渋沢小原線は、多くの交通量が見込まれる主要な道路であることから、県が整備する路線であると認識しています。  そこで、県は、渋沢小原線の地元である秦野市と連携し、この路線を事業化していく上で、どういったことが課題となるのか、国の意見も伺いながら、整理していくことから、まずは始めています。  こうした取組により、厚木秦野道路の整備促進を図るとともに、渋沢小原線の事業化に向けた検討を進めてまいります。  私からの答弁は以上です。  〔環境農政局長(鈴木真由美)発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 鈴木環境農政局長。 ◎環境農政局長(鈴木真由美) 環境農政局関係の御質問にお答えします。  丹沢大山の公衆トイレの環境整備についてお尋ねがありました。  丹沢大山で県が管理する公衆トイレは、丹沢大山国定公園と県立丹沢大山自然公園を合わせて26か所あります。これらの施設は、登山口や山頂等、利用者の多い場所、設置スペースが限定される場所、山中で電気のない場所など、立地の特性は様々です。  日常の清掃管理や補修等の維持管理は、地元市町村とも連携して行っていますが、設置から長期間経過したことによる施設の老朽化、また、立地特性や季節による利用者の集中といった課題があります。  例えば、ヤビツ峠公衆トイレでは、使用する水は井戸水で賄っていますが、季節や降雨の状況によって水量が減り、トイレの使用に支障を来すことから、給水設備の改良等を実施してきました。その後、施設の老朽化が原因と見られる漏水が発生したため、今年の5月から、トイレの利用を一時休止し、原因調査と補修工事を進め、今月、トイレの利用を再開しました。  今後、このトイレについては、内部の照明やトイレブースの改良、和式トイレの洋式化などの改修を、地元等の声も伺いながら進めていきます。  また、その他の公衆トイレについても、老朽化の度合い等を踏まえて、優先順位をつけて計画的に改修等を進めるほか、季節などにより、利用者が集中するトイレは、利用状況を周知するなど、混雑緩和につながる対応を検討していきます。  県は、適切な改修と維持管理等により、丹沢大山を訪れる多くの方々に、トイレを円滑に安心して御利用いただけるよう努めてまいります。  私からの答弁は以上です。  〔企業庁長(髙澤幸夫)発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 髙澤企業庁長。 ◎企業庁長(髙澤幸夫) 企業庁関係の御質問にお答えします。  水道事業広域化の課題と推進についてお尋ねがありました。  本格的な人口減少社会を迎え、水道事業の経営環境が厳しさを増す中、健全な経営を維持し、県民の皆様への安定給水を確保していく取組は大変重要です。  県内の5水道事業者による水道システムの再構築は、浄水場の統廃合など、適切な規模への施設のダウンサイジングを図り、効率的な配置や運用を目指すものであり、将来にわたって持続可能な水道を実現するために不可欠な取組です。  現在11か所ある浄水場を将来的に8か所程度まで縮小し、残す浄水場を有効活用して、事業者間で水の融通を図るなど、5事業者及び利用者である県民・市民の皆様にとって最もメリットの大きい水道事業広域化の取組となるよう検討を進めています。  しかし、こうした人口減少局面における水道システム再構築の取組を、全国有数の大規模水道事業者が連携して成功させた事例はなく、新しい挑戦ならではの課題も多く存在します。  例えば、浄水場を統廃合した際、これまでとは異なる水道管のネットワークの整備が必要となる中で、いかにして災害時のバックアップ機能を少ない投資で確保、強化していくか、また、整備中もどのように給水を維持していくかが重要となります。  さらに、取水場所や取水量の変化により、河川への影響も予想されるため、河川管理者や河川利用者等の理解を得ていく必要もあります。  5事業者水道事業連携推進会議の取りまとめ役を担う企業庁としては、5事業者全体及び各事業者にとってのメリットを最大化しつつ、県民・市民の皆様に歓迎される計画を早期に取りまとめ、実施可能なものから着実に取組を進めていきます。  また、水資源、エネルギー及び河川等に関する幅広い課題に対しては、関係部局と連携し、全庁横断的な議論や関係省庁との調整を行っていきます。  50年先、100年先を見据えた水道システム再構築は、明日の神奈川に欠かせない一大改革であり、企業庁をはじめ5事業者が一丸となって事業を推進し、新たな時代の水道を実現してまいります。  私からの答弁は以上です。  〔教育長(花田忠雄)発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 花田教育長。 ◎教育長(花田忠雄) 教育関係についてお答えします。  県立高校におけるデジタル人材の育成についてです。  社会の様々な分野でDX化が進んでいる中、高校段階から将来のデジタル人材の育成に向けた取組を進めることは大変重要です。  今年度から実施された新学習指導要領では、新たな科目「情報Ⅰ」が設定され、今年の入学生から、全ての県立高校でプログラミングやデータベースなど、デジタル技術の基礎を学んでいます。  また、専門高校のうち、総合技術科3校と総合産業科1校に、デジタル人材の育成につながる、情報に関するコース等を設置しており、専門的な学びを進めています。  こうして学んだ高校生たちが、将来、社会で活躍するデジタル人材となるためには、その知識や技術を上級学校でさらに磨き上げていくことが必要です。  その取組の一環として、昨年度、神奈川工業高校では、産業技術短期大学校とIT関連事業者の3者で連携協定を結び、新たな教育モデル「かながわP-TECH」を開始しました。これは、神奈川工業高校の生徒が、ITスキルや社会人としてのスキルなどを5か年で学ぶ、高校、短期大学校、企業が、連携した取組です。  県教育委員会としては、この事例をモデルに、他の専門高校においても、上級学校等との連携を視野に入れた、高度で連続的な学びを提供する方策を検討していきます。  また、引き続き、全ての県立高校で、情報を活用して問題解決を図る探求的な学びを推進し、デジタル人材の基礎となる情報活用能力や問題発見・解決能力の育成に取り組んでまいります。  以上でございます。  〔神倉寛明議員発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 神倉寛明君。  〔神倉寛明議員登壇〕 ◆神倉寛明議員 知事をはじめ、それぞれ御答弁を頂き、ありがとうございました。  それでは、1点、再質問をさせていただきます。  県立高校におけるデジタル人材の育成についてです。  デジタル人材の育成につながる情報通信のコースは、工業高校の3校などに設置されていると承知をしていますが、今後、そうしたコースなどを拡大したり、新たに情報通信に関する学科を設置するという方法も考えていく必要があると思いますが、教育長の見解を伺います。  〔教育長(花田忠雄)発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 花田教育長。 ◎教育長(花田忠雄) 教育関係の再質問にお答えいたします。  まずは、現在、工業高校等に設置している情報に関するコース等の教育内容を充実させていきます。  新たな学科の設置につきましては、県産業教育審議会等において、専門家の意見を伺いながら検討していきたいと考えております。  以上でございます。  〔神倉寛明議員発言の許可を求む〕
    ○議長(しきだ博昭) 神倉寛明君。  〔神倉寛明議員登壇〕 ◆神倉寛明議員 総合技術科のコースの充実や、新たな学科の検討など、少し前向きな御答弁を頂きました。  令和4年度の入学者選抜では、県立高校の定員割れは全体で約1,300人です。そのうち、4割が工業高校など専門学科となっております。このような課題を踏まえ、デジタル人材育成をはじめ、特色ある学科とともに、魅力ある学校づくりというものにつなげていただくことを要望いたします。  それでは、時間の許す限り、意見、要望を述べたいと思います。  県立秦野戸川公園の未整備区域の活用と魅力づくりについてです。  秦野戸川公園の未整備区域の早期開設については、令和元年の一般質問で取り上げて以来、様々な場面で質問や提案をしてきましたが、今回、土地利用のイメージ案の作成や、公園基本計画の見直しといった具体的な答弁を頂きました。  約5ヘクタールの未整備区域は、用地取得から塩漬け状態が約20年続き、地元からも早期開設を望む声が強くあります。また、新東名高速道路の開通のほか、アウトドアアクティビティのニーズの高まりなどからも、県西部地域の観光拠点となる魅力的な公園が求められています。  早期開設を実現するためにも、整備完了の目標年次を定め、それに至る、しっかりとしたロードマップの策定が不可欠と考えます。やるべきことを目に見える形で示し、一つ一つ着実に取り組まれることを強く要望いたします。  次に、デジタル人材の育成についてです。  政府から、デジタル人材育成のために、高専を設置する場合の支援なども表明されており、デジタル人材の育成は、これから全国的にも大きな動きとなることが想定をされます。  そうした中では、神奈川県内でも、デジタル化に対応できる人材をしっかりと育成するための教育プログラムが必要です。  今後は、県立高校の専門学科に情報通信等を学ぶ学科やコースを新たに設置することも前向きに検討するなど、デジタル人材育成に向けた教育環境の整備も必要と考えます。  また、県立高校と県立教育施設や職業訓練施設等が連携をして、県内のデジタル人材の育成を進めることで、デジタル人材不足に対応し、地域や社会に貢献できる人材を、県としてしっかりと育成することを要望いたします。  以上で、私の一般質問を終わります。  御清聴、誠にありがとうございました。                               〔拍 手〕 ○議長(しきだ博昭) お諮りいたします。  休憩いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(しきだ博昭) 御異議がないと認めます。  よって、休憩いたします。  なお、再開は午後1時といたします。                  午前11時22分 休憩       ───────────── ◇ ───────────── △《本会議録-令和4年第3回-20220920-029300-質問・答弁-柳瀬吉助議員-一般質問①コロナ禍に対する課題について②広域自治体としての課題について③県政の諸課題について》                   午後1時   再開   〔議会局長報告〕  出席議員 議長共95名 ○議長(しきだ博昭) 休憩前に引き続き、会議を開きます。   ─────────────────────────────────────── ○議長(しきだ博昭) 質問を続行いたします。  柳瀬吉助君。  〔柳瀬吉助議員登壇〕(拍手) ◆柳瀬吉助議員 立憲民主党・民権クラブの柳瀬吉助です。  通告に従い、順次意見、提言を交えながら質問させていただきます。  知事、教育長、産業労働局長県土整備局長におかれましては、明快な御答弁をよろしくお願いします。また、先輩、同僚議員におかれましては、しばらくの間、御清聴よろしくお願いいたします。  〔資料提示〕  質問の第1は、コロナ禍に対する課題についてです。  まず、パンデミック等緊急時の財源確保について伺います。  本県における新型コロナウイルス感染症対策は、令和2年の2月のダイヤモンド・プリンセス号への対応から始まり、既に約2年半が経過しました。  依然、コロナ禍の終結は見通せませんが、未知のウイルスとの闘いであった2年前とは、大きく状況が変化してきていると感じています。  〔資料提示〕  時間の経過とともに、対策の中身も変わってきました。当時、コロナ対策の第一歩は、今では当たり前となっているマスク、消毒薬の確保から始まりました。さらに、その後、神奈川モデルとして、病床や宿泊療養施設の確保、また、飲食店への時短要請に係る協力金の支給などを実施してきました。  また、コロナ禍からの回復に向けた経済対策として、中小企業等への給付金の支給や消費喚起対策などを講じてきたと認識しています。  こうした対応に当たっては、国が新たな交付金を創設することで、地方が行う感染防止対策等に必要な経費を賄ってきました。しかし、一定程度の地方負担が生じたことも事実です。  また、交付金の活用に当たっては、使途の制限により、迅速かつ柔軟な対応が妨げられた部分もあったのではないかと考えています。  そこで、知事に伺います。  新型コロナウイルス感染症対策におけるこれまでの財政面での対応を踏まえ、緊急時に必要な財源については、どうあるべきと考えているのか、また、今後どのように備えていくのか、所見を伺います。  〔資料提示〕  次に、医療提供体制の「神奈川モデル」について伺います。  県内のBA.5による新型コロナウイルス感染症については、最近ようやく落ち着きを見せてきたものの、第7波の県内の入院患者数がピークとなった8月上旬には、本県の病床利用率が全国一高い水準との報道がなされたのは記憶に新しいところです。  県民からは、医療体制に対する不安の声とともに、神奈川県はどうなっているんだとの怒りの声も聞こえてきました。全国では、入院先が決まらないという報道も流れてきました。  〔資料提示〕  一方、県では、全国に先駆けて様々な医療の神奈川モデルを打ち出してきました。  患者の容体を重症、中等症、軽症と分け、軽症は自宅や宿泊施設で療養を行い、中等症以上は医療機関で受け入れるという取組、また、さらに医療機関への負担を軽減するために、抗原検査キットのセルフテストで陽性の場合は、自主療養を進める等、県の取組は、知事もPRされるよう、その後、全国でも展開されることになったこともあり、先駆的な取組であったと認識しています。  しかし、その成果については、あまり言及されておらず、結果、地元においても、県民の県の医療体制に対する評価は必ずしも高くはなく、私自身、歯がゆい思いを持っています。  〔資料提示〕  例えば、第7波のピークにおいて、近隣の都県と比較しても高い病床利用率となったことも事実であり、県民が大きな不安を感じました。一方、宿泊療養施設の利用率が20%台と、近隣の都県と比較しても低い状態のままであり、宿泊療養を希望する県民には、不満の声が高まりました。  この一面だけ見ると、医療の神奈川モデルの成果が出ていないように受け止められ、非常に残念に感じています。  そこで、知事に伺います。  全国的に見て高い病床利用率を示した医療提供体制の神奈川モデルにおいて、病床利用の面で課題はなかったのか、所見を伺います。  また、宿泊療養者数は、施設の受入れ可能室数から見ると、余裕がある状態ではないかと思いますが、どう認識しているのか、併せて伺います。  以上です。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 柳瀬議員の御質問に順次お答えしてまいります。  コロナ禍に対する課題についてお尋ねがありました。  まず、パンデミック等緊急時の財源確保についてです。  県では、コロナ発生の初期段階では、予備費などにより、緊急避難的に財源を確保しました。その後、地方創生臨時交付金や緊急包括支援交付金などの国庫支出金を最大限活用し、これまでの累計で約2兆359億円に及ぶコロナ対策予算を編成してきました。  その間、県の財政負担となる財政調整基金の活用も続き、残高は一時期、300億円にまで縮小しましたが、その後の税収増や、コロナ対策に係る国の財源措置などにより、現在は約650億円にまで回復しています。  感染症法や特措法に基づくコロナ対策は、基本的に法定受託事務であるため、必要な財源は、国が全額を措置することが原則と考えています。国の準備が整うまでの初動時は、予備費や財政調整基金など、県の独自財源で対応する必要がありますが、本来は地方負担を前提としない安定した財政措置が欠かせません。  また、緊急時には、財政面でも柔軟な運用が求められます。特に、感染が急拡大し、様々な対応が求められる局面では、国の財源であっても、その使途は地方の裁量に委ね、地方の特性に応じた対策を講じられるようにすべきです。  しかし、今回のコロナ対策では、地方創生臨時交付金について、感染者の多い都市部の自治体を中心に、財政力指数による減額が行われたほか、緊急包括支援交付金の使途が限定されていたため、県の一般財源で対応せざるを得ない事業も生じました。  そこで、緊急時に必要な財源については、全額国庫負担とすることや、その使途についても、可能な限り地方の裁量に委ねることを国に求めていきます。県としても、初動時に備えて、財政調整基金の増額に努めてまいります。  次に、医療提供体制の「神奈川モデル」についてです。  まず、病床利用の面での課題についてです。  2年前の第3波の感染拡大時には、病床フェーズを引き上げたものの、それに見合った病床数が確保できず、入院待機者が発生しました。これは、フェーズに応じて各病院が、それぞれ病床を何床確保しなければならないかということを、個別に定めていなかったことに原因があります。  そこで、これを教訓として、フェーズを機動的かつ実効性のあるものとなるよう、個々の病院とフェーズごとに確保すべき病床数について協定を締結しました。その際には、医療従事者の勤務シフトも考慮し、確保できる人員で実現可能な病床数による協定の締結をお願いしています。  こうした対応により、各フェーズごとの確保病床は、従来に比べ、より実態に近いものとなり、これによって、病床が有効に活用されたものと認識しています。  結果的には、全国的に見ても高い病床利用率とはなりましたが、一般医療への影響は最小限にとどめられたとも考えています。  ただし、第7波においても搬送調整が困難であった事例はありましたので、引き続き病床確保に努めていきます。  次に、宿泊療養施設の現状に対する認識についてです。  現在、宿泊療養施設は重症化リスクのある方や、同居家族に重症化リスクがあり、自宅内隔離が困難な方などに対象を限定し、必要な方が確実に入所できるようにしています。  この結果、利用率が低くなっていますが、今後の状況によっては、入所の対象を拡大することも検討してまいります。  答弁は以上です。  〔柳瀬吉助議員発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 柳瀬吉助君。  〔柳瀬吉助議員登壇〕 ◆柳瀬吉助議員 それでは、1点、再質問させていただきます。  医療提供体制の「神奈川モデル」についてですが、近隣の都県と比較して、高い病床使用率の理由については理解しました。とはいえ、この夏には、病床使用率が9割を超えており、県が行う入院調整が困難となったとされていますが、その際、どのような対応を行い、その結果どうだったのか、伺います。  以上です。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) それでは、再質問にお答えいたします。  第7波で最も入院患者が多かった8月の上旬、県の調整においても、入院先の病院がなかなか見つからない事例はありました。こうした際には、救急外来に一時的に受け入れていただき、翌日、入院可能な病院を探すなど、必ず医療の管理の下に置くという対応を徹底いたしました。その結果、入院困難を理由として、お亡くなりになった方はいませんでした。  答弁は以上です。  〔柳瀬吉助議員発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 柳瀬吉助君。  〔柳瀬吉助議員登壇〕 ◆柳瀬吉助議員 知事より再答弁いただきました。  入院調整においても、工夫されて、比較的うまくいったということで、少し安心しました。  医療提供体制の神奈川モデル、地域療養の神奈川モデル等、本県では、新型コロナウイルス感染症に対し、様々な先駆的な取組を行い、PRしてきました。しかし、その成果は県民に伝わっておらず、残念に感じています。  神奈川モデルをはじめとする県の取組と、その結果どうだったのか、他都道府県との違いも含め、しっかり分析を行ってほしいと思います。その過程で課題として浮き上がってきたものは、次に対処していくことはもちろんですが、よい成果が出せたものは、遠慮せず、PRしてもらったらいいと思います。ぜひよろしくお願いします。  次に、パンデミック等緊急時の財源確保について、意見、要望を申し上げます。  緊急時の財源確保において、県独自では、緊急時の財源を確保するすべは乏しく、国からの財源確保は欠かせません。一方、国からの財源は、必ずしも県が自由に使えるものでもなく、その硬直性によって、対策の有効性が損なわれる場合も多く見受けられます。  今後は、緊急時に求められるスピード感で適切な施策展開が図られるよう、あるべき財源と役割の分担を国と一層共有するよう求めます。  以上です。  〔柳瀬吉助議員発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 柳瀬吉助君。  〔柳瀬吉助議員登壇〕 ◆柳瀬吉助議員 質問の第2は、広域自治体としての課題についてです。  〔資料提示〕  まず、自治体DX推進計画について伺います。  新型コロナウイルスの対応において明らかとなったデジタル化の遅れに対して、迅速に対処するとともに、新たな日常の原動力として、社会全体のデジタルトランスフォーメーション─DXが求められています。  こうした認識に基づき、国では令和2年12月に、デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針を閣議決定し、誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化という目指すべきデジタル社会のビジョンが示されました。  このビジョンの実現のために、デジタル庁が司令塔となり、各省庁と緊密に連携・協力してデジタル施策に取り組んでいます。  また、自治体におけるDXの推進については、令和2年12月に策定され、この9月に改定された自治体DX推進計画において、自治体で取り組むべき重点取組事項が位置づけられたと認識しています。  〔資料提示〕  この重点取組事項には、自治体の情報システムの標準化・共通化やマイナンバーカードの普及促進、自治体の行政手続のオンライン化など、六つの項目が挙げられており、それぞれの項目ごとにスケジュールが設定され、計画的に進める必要があります。  例えば、情報システムの標準化・共通化については、住民基本台帳や児童手当、介護保険といった市町村の基幹業務が中心であるようですが、都道府県も含め、対象となる基幹業務システムを利用する、原則全ての地方公共団体が目標時期である令和7年度までに、ガバメントクラウド上に構築された標準準拠システムに移行しなければならないとされています。  また、重点取組事項は、とりわけ市町村が主体となって進めるべき取組が多いことから、自治体DX推進計画では、都道府県による市区町村支援が期待されており、広域自治体としても、県内市町村へ適切な支援を行い、県全体として足並みをそろえて取り組んでいくことが重要です。  そこで、知事に伺います。  自治体DX推進計画の重点取組事項について、特に市町村への支援の観点から、今後どのように取り組んでいくのか、所見を伺います。  〔資料提示〕  次に、介護人材の需要増への対応について伺います。  介護人材は、私たちの生活を維持するために現場で働いてくれる、いわゆるエッセンシャルワーカーです。  令和3年7月に厚生労働省が公表した第8期介護保険事業計画において推計された介護人材の必要数を見ると、本県では、団塊の世代が75歳以上となる2025年度には、約1万6,000人の介護人材が不足となることが見込まれています。  さらに、本県では、高度経済成長期に生産年齢人口の転入超過が続いたことから、85歳以上の高齢者の増加傾向は著しく、全国屈指のスピードで高齢化が進んでいます。将来的に生産年齢人口が減る中、介護人材を飛躍的に増やすことは、たやすいことではありません。  令和4年8月に公益財団法人介護労働安定センターが公表した令和3年度介護労働実態調査結果によると、2020年10月から1年間の本県の介護人材の離職率は14.8%であり、全国の離職率を上回る状況となっています。  このような現状を踏まえ、これまで県が広域自治体として、介護人材の養成と確保に力を入れていることは理解していますが、介護分野の深刻な人材不足に対応するために、今後は、介護人材を新たに増やすための取組だけではなく、離職防止に向けた職員の負担軽減や、介護現場の生産性を向上させる取組が一層重要になると考えます。  そこで、知事に伺います。  介護人材の需要増に対応するため、介護人材の負担軽減や介護現場の生産性の向上について、県としてどのように取り組んでいくのか、所見を伺います。  〔資料提示〕  次に、企業誘致の取組について伺います。  県では、経済の活性化と雇用創出を目的として、平成16年度から、インベスト神奈川2ndステップ、セレクト神奈川100と、時代に合わせた企業誘致施策を掲げ、積極的に推進してきました。  令和元年11月からは、かながわグランドデザイン第3期実施計画の目標である企業立地支援件数200件を達成するため、セレクト神奈川NEXTにより、将来の神奈川の経済を支える成長産業を主なターゲットとして、誘致に取り組んできたと理解しています。  〔資料提示〕  一方、セレクト神奈川NEXTは、良好な交通アクセスや豊富な理工系人材などをアピールしているものの、補助金などのインセンティブが誘致施策の中心であり、他府県との差別化は十分に図られていません。  誘致で優位に立つためには、誘致したい企業のニーズを把握した上で、本県の魅力を高めていくことが重要であると考えます。  例えば、研究開発企業においては、先端研究機関や試作事業者を含めたクラスタ環境・産業適地の開発、交通環境の強化等、外国企業の誘致においては、MICE拠点の形成や、外国人とその家族が安心して過ごせるための医療やインターナショナルスクール等の生活環境の充実等が考えられると思います。  新型コロナウイルス感染症による事業活動の変化や、世界的な脱炭素化の流れなどにより、企業の事業環境が著しく変化を続ける昨今においては、企業における拠点戦略も大きな転換期を迎えつつあります。  そのため、今後さらなる企業誘致を進めるに当たっては、企業が求める事業環境等について、これまで以上に把握、分析するとともに、庁内が連携して施策に反映させるなど、県の魅力やポテンシャルをしっかりと企業に伝えていく必要があります。  そこで、産業労働局長に伺います。  企業誘致の推進に当たっては、補助金などのインセンティブだけでなく、神奈川の事業環境の魅力を一層打ち出していく取組を進めるべきと考えますが、見解を伺います。  以上です。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 広域自治体としての課題についてお尋ねがありました。  まず、自治体DX推進計画についてです。  自治体DX推進計画は、行政のデジタル化の推進に当たり、総務省が策定した計画で、情報システムの標準化・共通化や行政手続のオンライン化など、全自治体が取り組むべき六つの重点取組事項などが掲げられています。  計画では、都道府県は自らの取組を進めるだけでなく、市町村が自治体DXの取組を着実に進められるよう支援することが期待されています。  そこで、県では、例えば、システムの標準化・共通化については、目標時期である令和7年度を目指して、円滑にシステムを移行できるよう、各市町村の対応状況や課題解決に向けた情報交換を行う場として、県を事務局とする実務担当者会議を設置しました。  今後は、総務省から提供される進捗状況等を管理できるツールも活用し、国と連携しながら、市町村に対し必要な助言を行っていきます。  また、行政手続のオンライン化については、市町村は、子育てや介護などの手続を令和4年度末を目指して、マイナンバーカードを用いたオンライン手続とするよう求められているため、県は、手続画面のひな形の提供などの支援を行ってきました。  今後、各市町村が対象手続のオンライン化を滞りなく実現できるよう、引き続き、技術的な助言などを行っていきます。  県は、重点取組事項をはじめとする自治体DX推進計画の取組を着実に進めるとともに、市町村に対して必要な支援を行いながら、県全体のDXを推進してまいります。  次に、介護人材の需要増への対応についてです。  少子高齢化に伴い、介護ニーズが増大する一方、人材の確保が一層困難になることが予想される中、介護職員の業務負担を軽減し、生産性を向上させてサービスの質を確保していくことが必要です。  これに有効な取組が介護ロボット、ICTの介護現場への導入です。  例えば、利用者の状況をセンサーによって見守るロボットを導入することで、適切なタイミングで介護は可能となり、夜間巡回の回数を減らすことができました。  また、介護記録をタブレットにその場で入力し、報酬請求事務までできる介護ソフトの導入により、事務作業の時間が減り、その分、利用者への支援に充てるなど、良質な支援ができることが実証されています。  県では、介護施設等に対して、令和3年度に介護ロボット2,705台、ICTは236事業所の導入経費を補助したほか、具体的な活用方法を助言するアドバイザー派遣などを実施しています。  今後は、介護ロボットやICTの活用により、実証された効果を施設等にフィードバックすることで、導入の拡大を図っていきます。  また、介護現場では、専門性を有する介護職員がベッドメイクなど、利用者に接しない周辺業務の負担が大きいことから、県では、周辺業務を担う介護助手を施設に配置する事業を展開しています。  さらに、短時間勤務、兼業・副業など、多様な働き方を導入するモデル事業所を選定し、負担軽減の効果を検証していきます。  今後とも、こうした取組を進めることにより、介護職員の負担軽減や介護現場の生産性の向上を図り、介護人材の需要増に対応してまいります。  私からの答弁は以上です。  〔産業労働局長(河鍋 章)発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 河鍋産業労働局長。 ◎産業労働局長(河鍋章) 産業労働局関係の御質問についてお答えします。  企業誘致の取組についてお尋ねがありました。  県では、企業誘致に当たり、セレクト神奈川NEXTによる補助金等のインセンティブのほか、充実した道路網等の良好な交通アクセスや研究機関の集積など、様々な魅力をアピールしてきました。  また、外国企業誘致に当たっては、立地先の生活環境も重要であるため、多言語での医療通訳など、本県の特徴的な施策を魅力としてPRすることにより、着実に誘致を進めています。  しかし、DXの進展やコロナ禍等により、企業の事業環境が大きく変化する中、県内への誘致を一層進めるには、これまで以上に本県の有するポテンシャルに着目し、発信していくことが必要です。  そこでまず、これまで県が誘致した企業に対してアンケートを実施するとともに、企業動向に詳しい有識者にも意見を聞きながら、企業が立地先を決定する際に重視する判断材料を把握・分析し、今後の誘致に活用していきます。  具体的には、これまで活用してこなかった本県の地域資源などが企業誘致における新たな魅力として有効である場合は、ウェブサイトやパンフレット等で効果的にアピールします。  また、アンケート等の結果について、市町村や庁内の関係部局と共有し、市町村の誘致の取組に役立てていただくとともに、地域振興など、庁内の様々な施策に反映するよう取り組んでいきます。  これからも本県の魅力やポテンシャルにさらに磨きをかけ、国内外の企業に伝えることにより、県内への誘致を積極的に推進してまいります。  答弁は以上です。  〔柳瀬吉助議員発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 柳瀬吉助君。  〔柳瀬吉助議員登壇〕 ◆柳瀬吉助議員 様々御答弁いただきました。  それらに関し、幾つか意見、要望を申し上げます。  まず、自治体DX推進計画についてです。  自治体DX推進計画は、かなり大がかりな計画です。県自体はもちろんのこと、広域自治体として、市町村がスムーズに推進できるよう支援し、計画の確実な遂行をお願いします。  また、国は自治体の情報システムの標準化・共通化で、経費の3割削減を見込んでいます。県としても、経費の削減目標を持ち、取り組んでもらいたいと思います。  一方、この計画は、単なるICTにとどまらず、DX─デジタルトランスフォーメーションだということを強く認識し、掲げたビジョンの実現を果たすよう求めます。  次に、介護人材の需要増への対応についてです。  介護職員の負担軽減や生産性を向上させる取組があることは分かりました。  一方、介護人材はエッセンシャルワーカーです。不足したでは済まされません。広域自治体としての責務として、これらの取組とその量的目標を計画に落とし込んで、確実に需要増へ対応するよう求めます。  次に、企業誘致の取組についてです。  過去に築かれた神奈川の事業環境に頼るだけでなく、今の産業労働局が新たに魅力をつくっていくんだという強い気概で取り組んでほしいと思います。  一方、事業環境の魅力の向上という総合的な政策は、産業労働局が実施する施策だけではなく、各局の施策にも大きく関連します。部局横断的なプロジェクトとしても取り組み、より多くの魅力向上を実現するよう求めます。  以上です。  〔柳瀬吉助議員発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 柳瀬吉助君。  〔柳瀬吉助議員登壇〕 ◆柳瀬吉助議員 質問の第3は、県政の諸課題についてです。  〔資料提示〕  まず、私立高校等に通う生徒への学費補助の充実について伺います。  いまだ続くコロナ禍や長引くウクライナ情勢は、我が国の経済に暗い影を落としており、円安の進行と併せ、原油や食料品の価格高騰など、家計への影響はさらに深刻さを増していくことが想定されます。  子供たちがいる御家庭でも例外ではなく、経済的な事情により、進学を断念したり、学校に通う子供たちに学びの継続について不安を抱かせることがないか懸念しています。  未来ある子供たちが進学先を選択するに当たっては、家庭の経済力に左右されず、希望する学校を選ぶことができる環境づくりに努めていく必要があります。  〔資料提示〕  本県の私立高校の学費補助については、令和2年度から授業料の実質無償化の対象を年収約700万円未満の世帯まで拡充し、さらに今年度からは、多子世帯に対しても支援を広げるなど、厳しい財政状況の中でも、充実化に向けて取り組んできたことは一定の評価をするところです。  しかしながら、それらの学費補助の対象は、県内の私立高校に通う生徒に限られています。  我が会派では、教育の機会均等の観点から、県外の私立高校に通う生徒も学費補助の対象とすべきであると一貫して主張してきました。学費補助の拡充は望ましいことではありますが、その恩恵は、同じ神奈川県民である県外高校に通う生徒に対しても、ひとしく享受できるようにすべきです。  東京都では、他県の高校に通う生徒も補助対象としている上、年収約910万円未満の世帯まで授業料を実質無償化しており、その格差は顕著です。  東京、静岡、山梨に隣接し、公共交通機関が発達している首都圏に位置する神奈川の子供たちにとって、希望する学校を県内のみならず、幅広く選べるようにすることが望ましいことであることは言うまでもありません。  こうした状況を踏まえると、神奈川の学費補助は十分であるとは必ずしも言えず、今後もさらなる取組が必要であると認識しています。  そこで、知事に伺います。  県外の私立高校等に通う生徒を対象とすることも含め、今後どのように学費補助の充実を図っていこうと考えているのか、所見を伺います。  〔資料提示〕  次に、公立中学校における学習評価について伺います。  公立高等学校入学者選抜等において使用される調査書には、生徒の各教科の学習評価や、中学校生活の様子などが記載されています。そのため、中学校における学習評価が適正かどうかは極めて重要であり、妥当性、信頼性のあるものでなければならないと考えています。  また、学習評価は、学習の記録として、全国どの地域においても、その後の教育につながっていくものです。そのため、国が示している学習指導要領の目標に準拠した評価が行われることは理解しています。  〔資料提示〕  そうした中、学習評価の観点について、令和3年度から改定された学習指導要領が実施され、それまでは教科ごとに観点が決められていましたが、より適切に子供たちが身につけた力を評価できるよう、全ての教科が知識・技能、思考・判断・表現、そして、主体的に学習に取り組む態度の三つの観点に統一されました。  しかし、新しい観点による学習評価については、保護者の関心も高く、各中学校間や各教員間で評価に差異は生じていないのか、不安に思う声が私のところにも寄せられているところです。  県教育委員会では、より妥当性、信頼性のある学習評価の実施ができるよう取り組んでいることとは思いますが、各中学校がこうした県教育委員会の取組をどのように受け止め、実際どのように学習評価を実施しているのかを検証していくことが必要であると考えます。  そこで、教育長に伺います。  公立中学校における学習評価は、妥当性、信頼性が求められるため、各学校において、どのように学習評価が行われているのか、検証を行っていく必要があると考えますが、県教育委員会として、今後どのように取り組んでいくのか、所見を伺います。  〔資料提示〕  次に、公共工事の入札について伺います。  公共工事の入札において、同価格の入札によるくじ引が高い確率で発生していることについて、令和元年第3回県議会の一般質問で取り上げ、県土整備局長に答弁いただきました。  また、令和2年の決算特別委員会の質疑でも取り上げ、くじ引の頻発に、県も問題意識があると確認させていただきました。  最初に質問を行った前年度の平成30年度の実績では、県土整備局が競争入札を実施した予定価格1億円以上の工事117件のうち、44件がくじ引により落札者を決定しており、くじ引発生率は37.6%となっていました。しかし、今回、令和3年度の同じ実績を確認したところ、くじ引発生率は59.3%と、かなり増えている状況でした。  入札については、各自治体がそれぞれ独自の仕組みで行っており、本県は、かながわ方式という制度で行っているものと理解しています。そのため、単純な比較はできないものの、他自治体と比較して、本県のくじ引発生率は高い傾向にあります。  予定価格と最低制限価格との間で、価格競争の結果として同価入札が発生し、その結果、くじ引で落札者を決定していると理解していますが、くじ引が多くなっていることについて、疑問に思う県民の方もいるでしょう。  また、工事の受注がくじ引次第、運任せという状況は、入札参加者である事業者によっては、設備投資や技術力の向上、人材育成等に対する努力が報われないと感じるでしょう。  そもそも、くじ引の多発は、よりよい事業者を選定するという県の責務を十分果たしているとは言えません。  一方で、積算基準等を公開しているかながわ方式の特性から、同価の入札が多くなる傾向はやむを得ない面があることは理解しています。そのため、価格以外の要素でも事業者を選定する、例えば、労働環境の整備といった事業者の社会性も評価する等、総合評価方式での発注を増やすといった対応も必要だと考えます。  実際、県は、昨年、総合評価方式の新たなタイプ、特別簡易型(Ⅱ)の適用を始めたことも理解しています。  そこで、県土整備局長に伺います。  公共工事の入札の実施に当たっては、価格での差がつかないなら、事業者の努力も評価し、よりよい事業者を選定することが大切だと考えますが、見解を伺います。  以上です。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 県政の諸課題についてお尋ねがありました。  私立高校等に通う生徒への学費補助の充実についてです。  子供たちが家庭の経済状況にかかわらず、自分の希望と適性に応じた教育をひとしく受けられる環境づくりは大変重要です。このため、本県では、国の就学支援金に上乗せをする形で、県内私立高校の生徒の入学金や授業料に対する独自の補助を行っています。  県はこれまで、経済的理由で諦めていた私立高校への進学が可能となるよう、支援が必要な低所得世帯を中心に、補助対象とする所得額を段階的に引き上げる中で、学費補助の充実を図ってきました。  さらに、令和4年度からは、3人以上の子供がいる多子世帯に対して、教育費の負担が集中することから、年収約800万円未満の、いわゆる中間所得層まで授業料の実質無償化の拡大を図りました。  こうした学費補助の充実は、これまで関係団体などと意見交換を行いながら、神奈川の子供たちが地元で学べる環境づくりと、県内私学の振興といった観点から行ってきました。  議員お話しの県外通学者への支援についても、様々な意見や要望を頂いていますが、補助対象とはしていません。  また、近隣県の状況ですが、東京都以外の埼玉県、千葉県、静岡県は、本県と同様の考え方から、学費補助の対象を県内私立高校通学者に限っています。  学費補助の充実に向けては、今年度拡充した多子世帯への支援の効果を検証するとともに、国の動向や、また、県外通学者については、他県の状況なども注視しながら、関係団体と引き続き丁寧に意見交換を行い、多面的に検討してまいります。  私からの答弁は以上です。  〔県土整備局長(大島伸生)発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 大島県土整備局長。 ◎県土整備局長(大島伸生) 県土整備局関係の御質問にお答えします。  公共工事の入札についてお尋ねがありました。  公共工事の入札に当たっては、競争性、公平性、透明性の確保が重要です。本県では、入札制度かながわ方式により、公示価格を算出するために必要となる積算基準など、全ての情報を公開していることから、積算能力を有する入札参加者が増加すれば、くじ引が増えることはやむを得ない面があります。  そこで、価格競争だけではなく、地域への貢献度などの社会性や技術力の視点で事業者を選定することにも取り組んでいます。  まず、県では、災害時に緊急出動していただく協定を締結している事業者や、過去に優秀な工事成績を収めた事業者等を対象としたインセンティブ発注と、いのち貢献度指名競争入札を行っています。この二つの制度による入札件数は、令和3年度の県土整備局における発注件数全体の4割程度となっています。  また、総合評価方式は、施工実績や技術者の能力、事業者の社会性等を総合的に評価して、落札者を決定する制度です。  これまでは、主に大規模で難易度の高い工事で行っていましたが、中小規模の工事でも、技術力の向上を促すため、評価する項目数を絞り込んだ総合評価方式の簡易なタイプである特別簡易Ⅱ型を導入したところです。このタイプの導入により、実施件数は、令和2年度に比べ、約1.7倍に増加しました。  今後も、これら三つの制度による入札件数を一定規模確保することにより、地域への貢献や技術力の向上といった事業者の努力を評価して、よりよい事業者を選定するよう努めてまいります。  私からの答弁は以上です。  〔教育長(花田忠雄)発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 花田教育長。 ◎教育長(花田忠雄) 教育関係についてお答えします。  公立中学校における学習評価についてです。  中学校が生徒の学習状況を評価する学習評価は、高校の入学者選抜の資料の一つとなるため、生徒や保護者は高い関心を持っています。そのため、より妥当性、信頼性のある学習評価の実施に向けて、その評価手法を絶え間なく検証し、改善していくことが重要です。  県教育委員会では、学習指導要領の改訂に伴い、一昨年度に、教員向けの資料や、生徒・保護者向けのリーフレットを作成し、学習評価の意義や、新たな評価の観点等について周知してきました。  また、昨年度から、全ての市町村教育委員会を交えた連絡会を10回開催する中で、学習評価の取組事例を収集し、改善に向けた検討を積み重ねています。  こうした中、先月には、連絡会での検討を踏まえ、新たな観点である、主体的に学習に取り組む態度を評価する際のポイントをまとめ、中学校での活用を促しています。  さらに、評価のプロセスは適切かなどの視点から、約20項目にわたる点検票を作成し、各学校が行った学習評価についての点検結果を、教育委員会でも検証できる仕組みを検討しています。  県教育委員会としては、こうした取組を通じ、引き続き、市町村教育委員会と連携しながら、中学校における学習評価がより妥当性、信頼性のあるものとなるよう、しっかりと取り組んでまいります。  以上でございます。  〔柳瀬吉助議員発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 柳瀬吉助君。  〔柳瀬吉助議員登壇〕 ◆柳瀬吉助議員 様々御答弁いただきました。  まず、私立高校等に通う生徒への学費補助の充実について、意見、要望を申し上げます。  県外の私立高校に通う生徒も対象にするということは、我が会派だけではなく、他会派の議員からも多く意見、要望されています。関係団体とも様々意見交換を行い、結果的に今のところは、対象を地元限定ということの旨の答弁があったかと思いますが、県民を代表する議員の意見、要望もしっかり踏まえていただきたいと思います。  そこで、幾つかの論点について、意見、要望していきます。  まず、県内の私立高校に通う生徒に限定する目的、理由に関してです。  県は、神奈川の子供たちが、神奈川で学べてよかったと思える環境づくりと、県内私立高等学校等の振興を挙げられています。  しかし、この県内への限定が、これらにつながるのか、大いに疑問を感じます。  生徒にとっては、学費が安くなってよかったとはなるでしょうが、本来求められる、学べてよかったにどうつながるのか、学校においても、基本的には、学校の収入が増えるわけでもなく、どのように県内の学校の振興につながるのか、大いに疑問に感じます。  もちろん、神奈川で学べてよかったや、県内私立高校の振興自体は大変有意義なことであると考えます。しかし、そのためには、県内私立高校自体の教育力の向上と、個々の学校の魅力が一層高められるような支援策を別途行うべきではないでしょうか。  また、本県において、私立高校の生徒のうち、県外の私立高校に通っている生徒は約3割にも及び、対象から外れる生徒は決して少なくありません。彼らの多くは、希望する学校がたまたま県外にあっただけで、あえて県外に通いたかったわけではないでしょう。  学費補助の目的に、生徒の希望に応じた学校選択の実現を挙げられていると思いますが、この県内限定という施策は、生徒の純粋な希望を逆にゆがめることにはならないでしょうか。  また、財政が厳しいと言うなら、兵庫県のように、県外は少なめの補助からでも取り組み始めるという方法もあるのではないでしょうか。  知事の答弁では、県外の私立高校に通う生徒を対象にすることに関して、多面的な面で検討していくとの御答弁を頂きましたけれども、今申した観点もしっかり踏まえていただき、より積極的に県外の対象拡大に取り組むよう強く求めます。  次に、その他に関し、意見、要望を申し上げます。  まず、公立中学校における学習評価についてです。  公立高等学校入学者選抜において重きをなす調査書に関わる学習評価の結果は、生徒、保護者にとって信頼されるものでなくてはなりません。そのためにも、検証は必須であると考えます。  一方、検証作業が教員の負荷になってしまうことは、学校運営にとって望ましいことではありません。実施に当たっては、過剰な負担とならないよう、県教育委員会として、必要な助言などを行うなどして、適切な検証を実施していただくよう、お願いいたします。  次に、公共工事の入札についてです。  よりよい事業者を選定するという県の責務が求められる中で、くじ引発生率が他自治体と比較して高い傾向があり、さらに近年増え続けて6割近くに達するという状況は極めて残念に思います。  入札制度に関しては、いまだ正解はなく、他自治体においても不断の検討を行っている状況ではあると思いますが、くじ引発生率の高い本県において、県の責務として、よりよい事業者を選定するために、一層の取組を行う必要があります。その結果として、くじ引発生率を減少させることを改めて強く求めます。  以上をもちまして、私の質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。                               〔拍 手〕 △《本会議録-令和4年第3回-20220920-029301-質問・答弁-おざわ良央議員-一般質問①富士山噴火時の対策について②県立足柄上病院の再整備について③特定健康診査・特定保健指導の実施率向上に向けた取組について④公立学校における児童・生徒の近視について⑤スマート技術を活用した都市農業の推進について⑥ヤマビル対策について⑦伊豆湘南道路計画について》   〔おざわ良央議員発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) おざわ良央君。  〔おざわ良央議員登壇〕(拍手) ◆おざわ良央議員 小田原市選出のおざわ良央です。  私は、自由民主党神奈川県議団の一員として、通告に従い、順次提言を交えながら質問させていただきます。  知事並びに環境農政局長県土整備局長、教育長におかれましては、明快な御答弁をよろしくお願いいたします。また、先輩、同僚議員の皆様におかれましては、しばらくの間、御清聴のほど、よろしくお願い申し上げます。  〔資料提示〕  質問の第1は、富士山噴火時の対策についてです。  日本の象徴として国外にも広く知られている富士山は、山梨県と静岡県にまたがり、その周辺地域も含め、多くの観光客・登山客を集める一大観光スポットとなっています。神奈川県からの眺めもすばらしく、県民にとっても親しみのある山であります。  一方で、富士山は活火山であることを忘れてはなりません。過去、富士山は休火山と呼ばれていましたが、現在では、おおむね過去1万年以内に噴火した火山及び現在活発な噴気活動のある火山は活火山と定義され、さらに富士山は、火山噴火予知連絡会によって、火山防災のために監視・観測体制の充実等の必要がある火山の一つに選定をされています。  歴史をひもとけば、直近の富士山の噴火は1707年、江戸時代の宝永の大噴火に遡ります。噴火は約2週間続き、当時の記録で、私の地元、小田原では、降り積もった火山灰が雨により酒匂川などの河川に流れ込み、川を埋め、堤防が決壊、周辺の村々で洪水により、田畑が流される被害が長期にわたって起こり、幕府による復旧事業で、米の収穫量が噴火前の水準に戻るのには、100年近くかかるほどの甚大な被害をもたらしたと言われています。  〔資料提示〕  現代社会において、富士山で大規模噴火が発生した場合は、周辺地域のみならず、首都圏においても、降灰により、火山灰などが広い範囲に堆積し、道路や鉄道、航空機などの交通網、電気の供給やスマホなどの通信インフラ、上下水道などライフラインや、灰を吸い込むことによる健康被害など、県民の生活への影響は極めて大きく、そのため、対応策を考える上で課題が多いことも承知をしています。  しかし、こうした富士山の噴火の影響については、住民の理解が進んでいない実態があり、根本的な対応策が難しい中でも、住民への啓発など、できる対応は行う必要があると考えます。  また、令和3年3月には、神奈川県、山梨県、静岡県などでつくる富士山火山防災対策協議会により、富士山ハザードマップが改訂され、本県にも、溶岩流が到達する可能性が示されました。  これまで想定していなかったもので、対応を心配する県民も少なくないと思います。溶岩流については、火山灰の降灰と違い、到達時間や範囲も明確に示されており、県がリーダーシップを取って、市町と連携して避難対策などを検討する必要があると考えます。  そこで、知事に伺います。  富士山噴火に備え、避難対策の検討や県民への普及啓発に取り組む必要があると思いますが、どのように取り組むのか、見解を伺います。  〔資料提示〕  質問の第2は、県立足柄上病院の再整備についてです。  県立足柄上病院は、足柄上地域における中核的な総合医療機関であり、二次救急医療や災害拠点病院として、また、新型コロナウイルス感染症の重点医療機関としての役割を担っています。  また、地域のかかりつけ医などとの連携を強化する地域医療支援病院として、地域の医療機関と連携をして、地域包括ケアシステムの推進を図るなど、地域にとってなくてはならない病院であります。  加えて、足柄上病院が位置する県西地域は、県内でも高齢化の著しい地域であるため、複数疾患を抱える高齢者の医療ニーズや、医療介護連携の推進などを考えると、総合診療や高齢者医療に強みを持つ足柄上病院が果たすべき役割は、今後ますます大きくなっていくものと考えています。  一方で、足柄上病院では、2号館が昭和37年に建築され、築60年が経過をし、老朽化が著しく進んでいることから、再整備を行うことと承知をしています。  〔資料提示〕  県西地域は、県内の二次医療圏の中で最大の面積を有する地域であり、その広範囲の医療を基幹病院である小田原市立病院と県立足柄上病院の公立2病院が核となり、地域の医療機関と連携しながら担っています。  そうしたことから、両公立病院の連携・協力体制をより強化し、地域完結型の医療提供体制を構築するため、令和2年10月には、県と小田原市、県立病院機構の3者による基本協定を締結したと承知をしています。  現在、小田原市立病院においても再整備が進められているところですが、公立2病院が、それぞれの役割を踏まえた再整備を進めることによって、診療機能の充実を図り、最新の設備を兼ね備えた病院となることは、県西地域の医療提供体制の充実に向けた大変有意義な取組と認識をしています。  こうして見ると、今回の両病院の再整備は、大変時宜にかなったものであり、再整備を機に、それぞれの役割を強化しながら緊密に連携し、将来にわたり安全・安心な医療提供体制を共に支えていくことを大いに期待をしています。  そこで、知事に伺います。  県西地域の医療提供体制を確保していく上で、今後、足柄上病院の再整備をどのように進めていくのか、見解を伺います。  〔資料提示〕  質問の第3は、特定健康診査・特定保健指導の実施率向上に向けた取組についてです。  超高齢社会を迎える中、健康寿命を延伸し、県民が健康的な生活を送るためには、生活習慣病を早期に発見し、改善につなげる特定健康診査・特定保健指導の実施率を向上させることが必要です。  また、特定健康診査・特定保健指導の実施率は、かながわグランドデザインのプロジェクトである未病の指標としても位置づけられており、県民が元気に生き生きと暮らせる社会であるかをはかる重要な指標でもあります。  〔資料提示〕  県では、特定健康診査の受診率が2022年度に67.2%に到達すること、特定保健指導は40.6%に到達することを目標にしていますが、公表されている実施率では、特定健康診査の受診率が2019年度現在55.1%、特定保健指導の実施率が18.5%であり、進捗は思わしくない状況です。  加えて、令和2年4月に、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う緊急事態宣言が発出された際には、特定健診などについて、国から少なくとも緊急事態宣言の期間においては行わないことなどとする方針が出されたことを踏まえ、市町村が実施する健診が延期されたほか、受診者側からも、感染の不安から受診を控える動きが生じたと承知をしています。  こうした動きは、コロナ禍における医療現場の逼迫や、対面接触による感染拡大防止に対する配慮として、致し方ないことと理解をいたしますが、一方で、外出自粛により、高齢者を中心に、運動不足になるなどの健康への影響が懸念をされます。  また、糖尿病などの生活習慣病の基礎疾患がある方は、新型コロナウイルス感染症の重症化リスクが高いことから、早期に適切な受診につなぐため、特定健診などの重要性を広く県民に伝え、受診につなげていくことが必要と考えます。  そこで、知事に伺います。  本県における特定健康診査・特定保健指導の実施率向上に向け、どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。  〔資料提示〕  質問の第4は、公立学校における児童・生徒の近視についてです。  児童・生徒の視力については、長らく低下傾向にあり、国も、子供の目の健康に配慮することは重要な課題と考えています。  文部科学省では令和3年度に、児童・生徒の視力の低下の実態を詳細に把握するための調査を実施し、本年6月、その結果を公表しましたが、この調査は、目の屈折異常の状況などの測定と、生活習慣などに関するアンケートにより、近視との関連性や予防方法を明らかにすることを目的として、全国から29校、8,600名余りの小中学生を対象に実施されたものであります。  特徴的な結果として、裸眼視力1.0以上の児童・生徒の割合は、小学校1年生で約8割あるものの、学年が上がるにつれて減少し、中学校3年生では約4割まで低下しているということが示されました。  また、手元を見ながら楽しむタイプの機器の休日における平均使用時間は、学年が上がるほど長くなっていることも、アンケートの結果で示されており、例えば、1日に120分以上を利用する男子の比較では、小学校1年生が3.8%に対し、中学校3年生では27.7%となっています。  このほか、矯正状況に関するアンケートの結果も示されていますが、子供の目の健康を守るということをきちんと考えていく必要があると思います。  〔資料提示〕  一方、学校においてはデジタル化が進み、令和元年度から全国的にGIGAスクール構想が展開され、本県でも、全ての公立小中学校で、また、県立高校では今年度の入学生から、1人1台のパソコンなどのICT機器を活用した学びがスタートしています。  こうした学び方は、児童・生徒が集中して取り組めるようになったり、楽しく学習できるようになったりと、教育的効果もあると聞いており、これからの時代を生きる力を育成するためには必要な教育と認識をしています。  子供たちにとって、これまで以上にICT機器は身近なものになっていくと思われます。子供の近視を予防するためには、周囲の配慮も必要ですが、子供たちが目の健康に対する意識を身につけ、日常の生活や学校生活の中で行動につなげていくことができるよう、注意を呼びかけていくことが何より大切だと考えています。  家庭だけでなく、学校においても、そうした意識が醸成されるよう、丁寧な指導を続けてもらいたいと考えます。  そこで、教育長に伺います。  児童・生徒の近視を予防するため、公立学校においてどのような指導を行っていくのか、見解を伺います。  〔資料提示〕  質問の第5は、スマート技術を活用した都市農業の推進についてです。  私の地元、小田原市は、温暖で穏やかな気候と豊富な水に恵まれ、市の中心を流れる酒匂川流域には水田地帯が広がり、南部の海岸線や西部の丘陵地では、かんきつが栽培され、東部では酪農が営まれています。  代表的な農産物として、かながわブランドに登録されているおだわら・あしがらのみかんをはじめ、人気の湘南ゴールドや、曽我の梅などの果樹があります。  近年、辛みの少なさが特徴の下中のタマネギがテレビ番組で紹介をされたり、地元JAが湘南潮彩レモンという新たなブランドで、食品メーカーなどとコラボしながら販売を展開したり、地域の農業が盛り上がりを見せています。  しかし、2020年農林業センサスを見ると、県内の農業経営体数は1万1,402経営体と、前回の2015年から17.4%減少し、また、農業従事者の65歳以上が占める割合は64.9%と、前回から3.6ポイント増加しています。  この5年間で、本県の農業の担い手は減少し、高齢化も進んでいることから、このままでは、農業の担い手がますます減少し、県民に新鮮で安全・安心な食料を供給する本県農業の存続が危ういのではないかと危惧をしています。  〔資料提示〕  2021年に農林水産省が作成した農業DX構想では、農業者の高齢化や労働力不足が進む中、デジタル技術を活用して効率の高い農業を実行するため、生産現場に自動走行トラクターなどのスマート技術を導入し、生産性の向上を推進することとしています。  数年前、神奈川県農業技術センターを視察した際に、ICTを活用したトマトの温室栽培や、梨園でのジョイント栽培を活用した農作業の自動化などの研究開発の取組を見ましたが、近い将来、こうした技術が県内の生産現場に導入されると期待したところであります。  県が令和4年3月に策定した、かながわスマート農業・水産業推進プログラムでは、10年後を目指して、労力の削減につながる省力化や遠隔操作などのスマート技術により作業を効率化し、生産性の向上に取り組んでいくこととしていますが、担い手の減少などの状況を踏まえると、速やかにスマート技術を普及する必要があると考えます。  そこで、環境農政局長に伺います。  本県の都市農業を推進するため、生産現場へのスマート技術の導入について、どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。  〔資料提示〕  質問の第6はヤマビル対策についてです。  本県では、平成15年からニホンジカの管理に取り組んでおり、丹沢山地では個体数が減少傾向となっています。一方で、近年、これまで鹿があまり見られなかった箱根山地において鹿の個体数が増えてきており、山麓では鹿による農林業への被害が恒常化し、加えて、森林の植生への影響も懸念されていると承知をしています。  こうした鹿をはじめとする野生鳥獣と人の暮らしに関わる問題の一つとして、ヤマビルによる被害があります。  〔資料提示〕  近年、登山やハイキング、キャンプを楽しむ人々の間で、知らないうちにヤマビルに吸血され、出血する被害が全国的に増えていると言われ、本県においても、古くから丹沢山地の山奥で生息していたヤマビルが里地里山近くや人家周辺にまでその分布域を広げて、地域に暮らす人々を悩ませています。  これは、里地里山の森林や農地の手入れ不足などにより、ヤマビルが寄生したニホンジカやイノシシが里地里山に生息するようになったことなどが原因とされています。  私の地元である県西地域でも、松田町と山北町を中心に、ヤマビルによる登山者や地域住民への被害が広がっており、JAかながわ西湘から南足柄市にヤマビルの駆除剤が寄附されたというニュースも届いています。  小田原市が市民と森林とのより良い関係を構築し、自然豊かな住みよいまちづくりにつなげるために策定をした森林ビジョンにも、「ヤマビルをニホンジカが持ち込んでいるとの調査結果もあり」と記述されたことから、鹿の増加と相まって、被害が小田原や箱根など、県西地域全体に広がってしまうのではないかと大変心配をしているところです。  ヤマビルについては、県としても、広域的な視点で対策を講じているとは思いますが、なかなか抑えられていないのが現状ではないでしょうか。  そこで、環境農政局長に伺います。  人々を悩ませているヤマビルによる被害に対応するため、今後どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。  〔資料提示〕  質問の第7は、伊豆湘南道路計画についてです。  伊豆湘南道路は、神奈川県西部地域と静岡県伊豆地域を県境をまたいで結ぶ構想路線であり、同地域を結ぶ国道135号では、現在、慢性的に渋滞が発生しており、観光や物流など、社会経済活動に影響を与えています。  また、国道135号は、相模湾と箱根山地に挟まれた狭隘かつ急峻な地形を通っていることから、これまで幾度となく高波や土砂崩落の被害が発生しており、記憶に新しい熱海市伊豆山の土石流被害では、約1か月間にわたって通行止めとなりました。  さらに、昨年8月の豪雨では、小田原市米神地区で土砂崩落が発生し、湯河原や真鶴の町民が小田原方面に向かうに当たっても、同時に、国道75号や湯河原パークウェイが被災していたことから、一時的に地域が孤立をし、大混乱となりました。  米神地区の被災は、県土木と小田原市が協力をして、迅速な対応を図り、短時間で国道135号の通行止めが解除されたものの、全国各地の豪雨被害のニュースなどに触れるたびに、長期にわたって国道135号に通行止めが生じたらと不安な気持ちに駆られているところであります。  こうした中、小田原市と熱海市を新たな道路で連絡する構想路線、伊豆湘南道路への期待がますます高まっています。  伊豆湘南道路の建設促進協議会は、これまで地元市町が中心となっていましたが、昨年、新たに小田原箱根、真鶴、湯河原の商工会が加わり、官民一体となって、伊豆湘南道路の実現に向けた活動を繰り広げ始めました。  私自身、かねてから、この道路の必要性を強く感じていたところで、県議会でも、計画の具体化に向けた県の取組について、幾度となくただしてきました。  県は、検討の早い段階から、地域住民や経済団体などの様々な御意見を伺いながら、ルートなどの検討を進めるとし、昨年、住民などを対象とした意見聴取を行ったと聞いていますが、静岡県や沿線市町と連携をして、伊豆湘南道路計画の具体化に向けた取組をしっかりと進めていくことが重要であります。  そこで、県土整備局長に伺います。  伊豆湘南道路計画の実現に向けた現在の取組状況と今後の取組について、見解を伺います。  以上をもちまして、私の第1回目の質問を終わります。  御清聴、誠にありがとうございました。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) おざわ議員の御質問に順次お答えしてまいります。  初めに、富士山噴火時の対策についてお尋ねがありました。  富士山が噴火した場合、本県には、降灰に加え、溶岩流の影響も想定されており、万一の噴火に備えた対策は大変重要な課題です。中でも、降灰は、交通網やライフラインを含め、生活や産業活動に大きな影響が懸念されるだけでなく、膨大な灰の処理など、多くの課題があります。  県はこれまで、県警察や県内市町村と連携し、鹿児島県の先進事例も参考に、灰の処理方法や仮置場等について、実務担当者による検討を行ってきました。  また、降灰は、首都圏を含め、広範囲に影響があることから、山梨、静岡との3県の協議会や国の中央防災会議のワーキンググループで、道路上の火山灰の除去、混乱を回避する避難の方法など、降灰に関わる様々な課題について検討が進められています。  県としては、こうした動きを注視し、市町村や道路管理者、ライフライン事業者などと連携し、降灰への対応策の検討を進めていきます。  また、令和3年3月のハザードマップの改定で、新たに県内3市4町に溶岩流が到達する可能性が示されたことを受け、県は市町と連携し、新たに溶岩流ワーキンググループを設置し、溶岩流からの避難対策の検討に着手しています。  県としては、この検討を基に、溶岩流からの避難に関する基本的な考え方を指針として本年度中に取りまとめ、溶岩流の影響を受ける市町の避難計画の策定を強力に支援していきます。  県は、こうした取組に加え、降灰や溶岩流の影響と対応策のポイントをまとめた防災マップを改定し、県民の皆様に周知を図るなど、富士山の噴火に備えた対策の充実に努めてまいります。  次に、県立足柄上病院の再整備についてお尋ねがありました。  県西地域は面積が広く、医療資源も少ない地域であるため、足柄上病院と小田原市立病院の二つの公立病院が連携・協力体制をより強化して、地域の医療提供体制を構築していくことが大変重要です。  このため県は、2病院間の機能分化や連携・協力体制を強化し、地域完結型の医療提供体制の構築を図るため、小田原市、県立病院機構との間で基本協定を締結し、意見交換や情報共有を進めてきました。  また、現在、足柄上病院では、機能強化とともに、施設の老朽化対策を目的として、2号館の建て替えを含む再整備に向けた基本設計を進めており、小田原市立病院でも再整備に取り組んでいると承知しています。  基本協定では、小田原市立病院は主に高度急性期・急性期、足柄上病院は、回復期医療を充実するという役割分担を定めていますので、足柄上病院の再整備は、これを踏まえて進めていくことが大切です。  また、地域に必要な救急医療、さらには、コロナ禍で明らかになった感染症医療等の新たな課題にも対応し、機能を強化していく必要があります。  そこで、足柄上病院の再整備に当たっては、基本協定や地域の医療ニーズを踏まえ、回復期、救急、感染症、災害時の四つの柱で診療機能を強化します。  具体的には、回復期医療におけるリハビリ機能の充実や、発熱患者の動線分離による救急医療の受入れ体制の強化のほか、感染症対応が可能な病床の整備などを進めていきます。  また、小田原市立病院との間では、随時、連携推進会議等を開催して、整備状況の情報を共有しつつ、連携強化が図られるよう、引き続き調整を進めていきます。  こうした足柄上病院の再整備により、県西地域における医療提供体制の充実強化に向けて、しっかりと支援してまいります。  最後に、特定健康診査・特定保健指導の実施率向上に向けた取組についてお尋ねがありました。  特定健康診査・特定保健指導は、生活習慣病の発症と重症化のリスクのある方々の未病改善につながるものであり、多くの方に受けていただくことが重要です。  しかしながら、本県の特定健診等の実施率は、特定健康診査・特定保健指導とも、全国平均以下となっています。受診率を向上させていくためには、健康に無関心な層へのアプローチが必要です。  県ではこれまで、特定健診の受診を促す未病改善プロモーション動画を、インターネットや県内の公共交通機関等で発信してきました。しかし、特に保健指導については、忙しい、面倒という理由から、利用しない方が多くなっています。  そこで、会場に来場しなくても保健指導を受けられる、ICTを活用したリモート環境による保健指導の実践事例を市町村等の保険者に紹介していきます。  また、本県では、そもそも保健指導に当たる保健師の数が不足しており、人口に対する県内自治体の保健師の数は、全国平均を相当程度下回っています。  そこで、県では、保健師の採用枠を拡大するとともに、経験者採用試験などを活用し、即戦力となる保健師の確保に努めてきました。  また、県内保健師養成大学と連携した市町村合同就職説明会を実施し、県内自治体で働く保健師から直接、話を聞ける機会を設ける等、県内自治体への就業を支援しています。  引き続き、これらの取組を通じて、県内自治体における保健師の確保を積極的に進め、特定保健指導の実施体制を強化していきます。  こうしたことにより、特定健康診査・特定保健指導の実施率を上げ、健康寿命を延伸し、県民が生き生きと健康的な生活を送ることができる、いのち輝く神奈川を目指してまいります。  私からの答弁は以上です。  〔環境農政局長(鈴木真由美)発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 鈴木環境農政局長。 ◎環境農政局長(鈴木真由美) 環境農政局関係の御質問にお答えします。  スマート技術を活用した都市農業の推進についてお尋ねがありました。  本県農業において、担い手の減少や高齢化が進む中、県民に新鮮で安全・安心な農畜産物を安定して供給するには、農作業を効率化するスマート技術を生産現場に導入し、生産性を向上させていく必要があります。  県は、農家1戸当たりの耕地面積が小さいという特徴を踏まえ、大規模温室ではなく、複数に分散した小規模温室内の環境を集中的に自動制御するスマート技術の開発をトマト栽培で取り組んできました。この技術を普及するため、自動制御技術のポイントや、費用対効果を示したマニュアルを作成し、現地で実証したことにより、効果を実感したトマト生産者で技術の導入が進み、生産性が向上しています。  今後、県内農業のスマート化をさらに進めるためには、温室野菜だけでなく、生産量の多い露地野菜にも導入していく必要があります。  また、導入に当たっては、多くの技術の中から、生産者が経営形態や地域の実情に合った技術を導入し、効果を実感できるようにすることが重要です。  そこで、県農業技術センターでは、本県に合ったスマート技術の情報を収集、選択するとともに、民間企業と共同した研究などにも取り組みます。また、温室に比べて面的広がりがある露地野菜では、ドローンのセンシング技術による生育診断や、自走型ロボットによる病害虫の防除などについて、共同利用によるスケールメリットを含め、効果を生産者に理解してもらえるよう、民間企業や関係団体と連携して、現地で実証していきます。そこで得られた実証結果を生産者にフィードバックするとともに、あわせて、活用可能な低利融資の紹介などにより、技術の導入を進めていきます。  こうした取組により、生産現場にスマート技術の導入を図り、生産性を向上させることで、本県の都市農業を推進してまいります。  次に、ヤマビル対策についてお尋ねがありました。  ヤマビルは体長3センチ程度で、ふだんは落ち葉の下など、湿気の多いところを好み、動物や人が吐く息に含まれる炭酸ガスや体温などを感知して移動し、吸血する生物で、国内各地で分布が拡大しています。  県では、ヤマビルによる被害の軽減に向け、平成19年度から20年度にかけて、大学や民間の研究機関と連携して、生息実態などの研究を行い、分布状況や防除方法などを取りまとめました。  この研究成果を基に、登山者等に対して、服装やヒルよけスプレーなど、被害に遭わないための対策について、ホームページや看板などで普及啓発を行ってきました。  また、研究で効果が確認された、住民等が草刈りや落ち葉かきを行い、日当たりと風通しをよくする環境整備活動等に対して補助を行ってきました。  しかしながら、ヤマビルの生息域は、丹沢を中心に県北部や県西部に拡大し、令和元年度から2年度にかけて実施した市町村等へのアンケート調査では、山北町や松田町で分布が拡大し、新たに大井町や南足柄市でも生息していることが確認されました。これは、鹿やイノシシなどの野生鳥獣にヤマビルが寄生して人里に侵入し、草が生い茂っているなど、ヤマビルが生息できる環境であったことが要因と考えられます。  そこで、鹿などの鳥獣被害対策にヤマビル対策の視点も加え、相互に効果を高めていきたいと考えています。  具体的には、ヤマビル被害の多い地域で、鹿などの野生鳥獣を集落周辺に近づけないための地域ぐるみの被害防除対策を市町村と連携して実施する際、草刈りなども併せて行い、ヤマビル防除の効果を高める活動を支援していきます。  県として、ヤマビル対策と鳥獣被害対策の両面から、地域の取組を支援することで、ヤマビルの分布拡大の防止と被害軽減に努めてまいります。  私からの答弁は以上です。  〔県土整備局長(大島伸生)発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 大島県土整備局長。 ◎県土整備局長(大島伸生) 県土整備局関係の御質問にお答えします。  伊豆湘南道路計画についてお尋ねがありました。  本県の西部地域と静岡県の伊豆地域を結ぶ国道135号は、著しい交通渋滞に加え、高波や大雨による通行止めも頻繁に発生していることから、この地域に新たな路線が必要です。  そこで、県は、静岡県や沿線市町と共に、伊豆湘南道路の必要性を国に強く訴え、令和2年度からは、国の補助金を活用しながら、静岡県と共同で計画の具体化に向けた検討を開始しました。  これまでに、この道路が通ることが想定されるエリアについて、既存の資料や文献を活用し、地形や地質、土地利用状況、生態系などの調査を行うとともに、概略ルートの検討にも着手しました。  検討を進める中で、厳しい地形条件に加え、地域の観光資源である温泉の源泉の保全、利便性を考慮した既存道路との接続といった様々な要素を踏まえる必要があるため、難易度が高い検討作業になることが分かってきました。  また、この道路に求められる役割を明らかにするため、沿線市町などの協力を得て、住民や経済団体、さらには道路利用者に対し、アンケート調査を実施しました。アンケート調査には約3万件の回答を頂き、集計したところ、大多数の方から、改めて道路計画への賛同が得られました。  また、この道路の役割として、災害に対する安全性や移動時間の短縮、周辺道路の交通安全の確保、観光振興への寄与を求める回答が多数ありました。  今後の取組ですが、ルートの設定には様々な難しさがある中で、アンケート結果を踏まえ、学識者で構成する委員会や国からの助言、沿線市町のお考えも十分に尊重し、この道路にどのような機能を持たせるべきか検討を深めていきます。  このように、県は、伊豆湘南道路の計画の具体化に向けて、しっかりと取り組んでまいります。  私からの答弁は以上です。  〔教育長(花田忠雄)発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 花田教育長。 ◎教育長(花田忠雄) 教育関係についてお答えします。  公立学校における児童・生徒の近視についてです。  国の学校保健統計調査によると、裸眼視力が1.0未満の本県の児童・生徒は、小学1年生で約22%、中学3年生で約66%となっており、近視の割合は、全国と同様に、学年が上がるにつれて増加しています。  近視の原因は、遺伝と併せて、生活習慣が有力と言われており、学校で1人1台端末が導入される中、近視にならない、近視を進行させない予防教育が必要です。  そこで、県教育委員会では、ICTの活用に関する教員向けの手引や、国が作成したリーフレットを活用し、端末を使う際の留意事項等を周知しています。  具体的には、ICT機器を利用する際には、目から30センチ以上離す、30分ごとに休憩する、時々体を動かすなどを呼びかけています。また、保護者に対しても、部屋の明るさに合わせて画面の明るさを調整する、利用時間のルールを決めるなどを啓発しています。  こうした中、国においては、子供たちの視力の実態調査を今後も継続し、視力低下を抑制する有効な対策を検討するとしています。  県教育委員会としては、こうした国の動きも注視しながら、子供たちの近視の予防に向けて、目に負担をかけない適切なICT機器の利用について、学校を通じてしっかりと指導してまいります。  以上でございます。  〔おざわ良央議員発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) おざわ良央君。  〔おざわ良央議員登壇〕 ◆おざわ良央議員 知事並びに環境農政局長県土整備局長、教育長から答弁いただきました。  それでは、1点、再質問をさせていただきます。  県立足柄上病院の再整備についてでです。  県立足柄上病院と小田原市立病院が連携を強化し、県西地域の医療提供体制の充実に向けて、役割分担を進めていくことは承知いたしましたが、ハード整備に当たっても連携を進めていく必要があると考えます。再整備に当たっては、二つの病院の機能を分化する必要があると思いますが、どのように進めていこうと考えているのか、お伺いをいたします。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) それでは、再質問にお答えいたします。  足柄上病院と小田原市立病院の再整備に当たっては、それぞれが基本協定の役割分担に基づき整備を行う予定であります。  例えば、足柄上病院では、リハビリスペースの拡充による回復期医療の充実を図ることとしており、また小田原市立病院では、手術室や重症病床の拡充により、高度急性期・急性期医療の強化を図る予定と伺っております。  なお、足柄上病院の産科については、県西地域で安全で安心な分娩ができる体制を確保するため、今年度末で小田原市立病院へ集約する予定です。  現在2病院とも基本設計を進めていますので、設計時から情報共有を密に行いながら整備を進めてまいります。  答弁は以上です。  〔おざわ良央議員発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) おざわ良央君。  〔おざわ良央議員登壇〕 ◆おざわ良央議員 それでは、時間の許す限り、意見、要望を申し上げたいと思います。  まず、再質問させていただきました県立足柄上病院の再整備についてです。  県西地域の基幹病院である公立の県立足柄上病院と小田原市立病院の二つの病院が緊密に連携・協力して、再整備を機に、最新の設備や医療機器を活用しながら、それぞれの強みを生かした医療提供を行っていくことは、今後、少子高齢化が進む県内のモデルになるものと考えます。  県民の安全・安心ということでは、災害時医療の充実強化も欠かせません。近年は、全国的に地震や大規模水害が発生していますが、今後、相模トラフを震源域とする南関東地震の発生時などにおいても、二つの病院が連携し、地域内あるいは広域からの傷病者を機動的に受け入れ、災害拠点病院としての機能を最大限発揮できるような整備をしてほしいと考えています。  また、ただいま今年度末で足柄上病院の産科を小田原市立病院へ集約するということでありましたが、産科集約に当たっては、丁寧に地域の意見を聞きながら進めていただきたいというふうに考えています。  県は、県西地域をモデル地域として、将来にわたり安全・安心で質の高い医療提供体制が構築できるよう、しっかりと支援していただくことを要望いたします。  次に、富士山噴火時の対策についてです。  富士山が噴火をし、火山灰が降り積もった場合、非常に大きい影響があるものと考えられます。  質問でも触れましたが、宝永の大噴火では、小田原をはじめとする酒匂川流域で、米の収穫量が噴火前に戻るまで100年近くかかったというふうに言われており、私もこれはびっくりしました。  同様の噴火が起こった場合の被害は深刻なものになることが想定をされます。降灰の対策はこれからでありますけれども、富士山噴火に対する避難計画については、住民目線に立って、十分な備えがしっかりとなされるよう要望をいたします。  次に、特定健康診査・特定保健指導の実施率向上に向けた取組についてです。  この実施率を上げていくためには、保険者である市町村などの取組も重要な要素であると考えます。  県においては、啓発・広報により、無関心層へのアプローチを一層推進するとともに、健診などを実際に実施している市町村などにおいて、効果的な取組の促進につながるよう、有効性のある取組や先進的取組の情報提供、体制づくりの支援をしていただくことを要望いたします。  次に、公立学校における児童・生徒の近視についてです。  デジタル化が進む現代、目の負担は、我々大人も子供も増大をしています。  台湾では、近視にならないようにするには、子供の頃からの対策が重要だと考え、体育の授業を週150分、屋外で行うことを義務づけるといった取組を始め、毎年増加し続けていた視力不良の子供の数を大幅に減少させたと聞いています。  未病の改善などに取り組む本県において、教育局でも、子供たちの目の健康のため、具体的な対策について前向きに考えていただくよう要望いたします。  次に、伊豆湘南道路計画についてですが、この夏も全国各地で豪雨などによる災害のニュースが多く伝えられ、本日も台風14号の被害も心配をしています。  災害が多い県西地域の沿岸部では、こうした際の救急救命活動や復旧活動を支えるのは災害に強い道路であり、早期の道路整備が強く望まれています。  神奈川県と静岡県をまたいで結ぶ広域的な道路で、地域経済の活性化や、命の道ともなる伊豆湘南道路の計画の具体化に向けては、急峻な地形など難しい課題も多いとは思いますが、学識者の助言などを聞き、沿線自治体などとも連携をし、着実に進めていただくよう要望をいたします。  次に、ヤマビル対策についてであります。  県西地域の多くでヤマビルの被害が発生している現状は、放置しておくことはできません。答弁でもありましたが、地域の落ち葉かきや下草刈りへの補助や、登山者への注意喚起もありますが、やはり根本の解決には、鹿をはじめとする有害鳥獣の適切な管理が必要だというふうに思っております。  実際に被害のない地域に住んでいる方には実感が薄いと思いますけれども、有害鳥獣の被害は慢性化をし、私の地元では諦めに近い声も聞かれます。  現在、小田原や箱根などでは、鹿の生息数が数多く確認され、捕獲数も年々増加をしています。この地域は静岡県とも接しており、多くの鹿が隣県の静岡県から流入しているとも言われています。  今後は静岡県とも連携を強化し、ヤマビル被害の原因となる鹿をはじめとする有害鳥獣の管理を、より進めていただくよう要望いたします。  そして、スマート技術を活用した都市農業の推進についてです。  都市に位置する本県の農業は、全国に比べれば、生産規模は小さいながらも、生産者の努力により、野菜や果樹、米、畜産物などバラエティー豊かな農産物が生産をされています。  しかし、担い手の減少や労働力不足が進んでいることは確かであり、危機的な状況になっていますので、こうした課題に対応するために、かながわスマート農業・水産業推進プログラムに基づき、農業の生産性を向上させるため、本県農業で実装できるスマート技術の研究や実証、普及に取り組み、都市農業を推進するよう要望いたします。  以上、申し上げ、私の質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。                               〔拍 手〕 ○議長(しきだ博昭) お諮りいたします。  休憩いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(しきだ博昭) 御異議がないと認めます。  よって、休憩いたします。  なお、再開は20分後といたします。                  午後2時45分 休憩       ───────────── ◇ ───────────── △《本会議録-令和4年第3回-20220920-029302-質問・答弁-菅原あきひと議員-一般質問①若年層に向けた施策について②県政の諸課題について》                   午後3時5分 再開   〔議会局長報告〕  出席議員 議長共86名 ○議長(しきだ博昭) 休憩前に引き続き、会議を開きます。   ─────────────────────────────────────── ○議長(しきだ博昭) あらかじめ時間の延長をいたします。   ─────────────────────────────────────── ○議長(しきだ博昭) 質問を続行いたします。  菅原あきひと君。  〔菅原あきひと議員登壇〕(拍手) ◆菅原あきひと議員 横浜市港北区選出の菅原あきひとです。  議長のお許しを頂きましたので、私は、立憲民主党・民権クラブ神奈川県議会議員団の一員として、通告に従い、順次質問いたします。  知事、くらし安全防災局長産業労働局長、教育長におかれましては、明快な御答弁をよろしくお願いいたします。また、先輩、同僚議員の皆様におかれましては、しばらくの間、御清聴のほど、よろしくお願いいたします。  〔資料提示〕  質問の第1は、若年層に向けた施策についてであります。  まず、子ども子育て政策について伺います。  日本の少子化は着実に進んでおり、2021年の出生数は過去最低の81万人であり、合計特殊出生率も低下しています。本県も、出生数は6万人を割り込み5万8,836人、合計特殊出生率は、前年に比べ0.04ポイント低下し、1.22と右肩下がりの状況であります。  自然増減という観点では、全国的にも、県内においても、生まれる人よりも亡くなる方のほうが多く、人口減少に歯止めがかからなくなっています。  確かに、新型コロナウイルス感染症の影響により、所得や雇用など、将来への不安の要素があったと考えられますが、全国・県内の出生数は、新型コロナウイルス感染症が蔓延し始める以前の2019年から2021年を比較すると、多大な影響を受けているとは言えず、これまでどおり緩やかな減少と言えます。  出生数の減少については、将来の人口減少による人手不足などのデメリットなどが論じられておりますが、最も考えなければならない課題は、子供を産みたい、育てたいという世代が、自分自身や家族の生活を守るために諦めざるを得ないという現実であります。  だからこそ、私はこれからの社会の在り方として、全ての子供たちを社会全体で育てていくことが必要であると考えます。  〔資料提示〕  これまで県は、人口減少に歯止めをかけ、超高齢社会を乗り越えていくため、神奈川県まち・ひと・しごと創生総合戦略を策定し、様々な取組を続けてきたことは理解しています。  特に、総合戦略の基本目標3「若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる」においては、結婚から育児までの切れ目のない支援などの取組を推進することで、本県の合計特殊出生率を2024年度には、県民が希望している出生率1.42とすることを数値目標の一つとして掲げています。  しかしながら、本県の合計特殊出生率は年々低下してきており、目標達成が困難な状況となっています。子供を産みたい、育てたいと希望する方々の願いをかなえるために、総合戦略に掲げている取組が効果的であるかどうか、評価しながら進めていく必要があると考えています。  私が特に重要と思うのは、子育て施策であります。例えば、子育て中の友人から、最近流行しているというRSウイルスや手足口病により、子供が発熱をすると、保育所に預けることができず、夫婦のどちらかが在宅ワーク、あるいは仕事を休むことになり、仕事と子育ての両立に苦労している話を伺っております。  病児保育やベビーシッターなど、保護者が必要なときに必要な保育サービスを利用できるよう、県と市町村が連携して、もっと使いやすい支援をしていく必要があると感じています。  こうした子育てにおける困り事を一つでも減らしていくことが、若い世代の希望をかなえることにつながっていくものと考えます。  現政府の骨太の方針においては、新しい資本主義に向けた改革として、人への投資と分配が最重点投資分野の1番目に掲げられております。  これからの社会の在り方は、働いている方の支援だけではなく、未来の世代への投資をさらに拡充していく必要があり、そして、社会全体で安心して子供を産み育てられる環境をつくっていかなければなりません。  そこで、知事に伺います。  本県の合計特殊出生率を県民の希望出生率に引き上げるという目標を達成するために、総合戦略に掲げる取組について、県は、今後どのように評価し、見直しを進めていくのか、また、県は、病気の子供に対応した保育サービスの提供などに、どのように取り組み、若い世代の希望をかなえる子ども・子育て政策を進めていくのか、所見を伺います。  〔資料提示〕  次に、若年層の新型コロナワクチン接種について伺います。  現在、新型コロナワクチンの3回目接種が進められておりますが、ほかの年代と比較した場合、10代から30代の若年層の接種率は高くありません。ワクチンを接種するメリットに比べて、接種する手間、副反応の不安など、デメリットが勝っているのではないかと考えています。  私は、若年層の接種率向上については、利便性のよさ、ベネフィット、徹底した情報開示の三つが必要であると考えています。  一つ目の利便性のよさですが、接種に至るまでの予約などの手間ができるだけ少なく、ハードルを下げていくことが必要です。  〔資料提示〕  例えば、県が運営をしている海老名の大規模接種会場で、3回目のノババックス社ワクチンは、予約なし、接種券なしで接種ができ、あらかじめ予約していなくても、時間が空いたときに利用可能となっています。  また、横浜市では、原則予約制でありますが、LINEでの予約が可能になるなど、利便性のよさは、一定程度確保されていると考えています。  二つ目のベネフィットでありますが、接種しようと考えている人にとって、接種することでメリットがあると感じさせるような取組が必要です。  例えば、県内旅行の割引を行うかながわ旅割では、割引の際に、ワクチン接種済証、または陰性証明の確認を行いますが、ワクチン接種済証については、3回以上の接種を要件としており、観光需要を喚起する施策であることは理解しておりますが、接種を希望する方にとってメリットにつながるものと考えています。  そして、三つ目の徹底した情報開示でありますが、ワクチンに関する正しい情報、事実を若者世代に届けていくことが必要です。  私は、この徹底した情報開示が三つの中で最も重要と考えております。若年層の中には、コロナにかかった場合の症状や後遺症と、ワクチンの副反応を比べた場合、副反応のほうがつらい、だから、ワクチンを控えようと思われている方も多いのではないかと仄聞をしています。  また、若年層が情報を取得する媒体は、年長者のテレビや新聞とは違い、SNSやインターネットを利用する傾向が強く、その中には、真実かどうか分からない情報も数多く存在しており、何が正しい情報、事実であるのか、戸惑ってしまっているのではないかと考えています。  だからこそ、私は、県が公表できる情報、つまり事実については、エビデンスがあるものはそれも含めて、つまびらかに明らかにし、若年層に届けていくことが求められていると考えています。  例えば、厚生労働省の資料によれば、若年層においては、心筋炎・心膜炎のリスクがほかの世代よりも高いこと、今年8月7日時点で、ワクチン接種後に因果関係は不明であるが、亡くなられた件数が1,816件あること、今年7月には、接種後に亡くなられ、因果関係が疑わしい事例に対して、死亡一時金が支給された事例があることなど、リスクもしっかりと理解してもらうことが必要です。  結果として、接種が進まなかったとしても、ワクチン接種は義務ではないため、正しい理解と、さらなる利便性向上につながればよいと考えます。  いたずらに不安をあおるようなことをするべきではありませんが、知事も接種を呼びかけている中、不安の解消とリスクの説明が必要であり、そのためには、徹底した情報開示が求められます。  そこで、知事に伺います。  若年層に届くように、新型コロナワクチンに関して、徹底した正しい情報の開示を進めていくべきと考えますが、所見を伺います。  〔資料提示〕  次に、グローバル化に対応した歴史教育について伺います。  現代は、諸外国との経済的なつながりが強まり、情報通信技術の進歩などにより、急速にグローバル化が進展し、我々の生活のあらゆる側面に大きな影響を与えています。  様々な分野の多くの活動が国の枠組みの中で行われ、国外との交流が活発ではなかった状況下では、おのおのがどのような価値観の下で、どのような歴史像を抱き、どのような世界観を持っているかは、大きな問題とはなりませんでした。  しかし、近年では、インターネットを使えば、地球の裏側の人とも、タイムロスなく、顔を見ながら話すことができ、コロナ禍から解放されれば、国際交流は、より一層進むことが想定されています。  教育においても、グローバル化の進展により、国境の垣根が低くなっており、国や地域単位のアイデンティティーが失われつつあるのではないかと感じることがあります。  そうした観点から、私は、これからの高等学校における歴史教育の重要性を強く感じており、自国の文化への理解が深まることで、異文化を理解し、大切にしようとする心が育まれるのではないかと考えています。  グローバル化が進展する世の中にあっては、自分自身や自国が何者で、相手とどこが違うのかが分からなければ、他国の文化をグローバルスタンダードとして、ただ漫然と受け入れてしまい、結果として、自国の歴史、伝統、文化が廃れてしまうのではないかということを危惧しています。  〔資料提示〕  本県では、自国の伝統と文化を尊重し、異文化への理解を通じて、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うことを目的として、前知事の時代から、県立高校の日本史必修化を実施してきたことと承知しています。  今後も、国際社会の中で、自国・郷土の歴史、伝統、文化をしっかりと語ることができるような学びの機会を用意し、さらに、学校で学び切れない部分は自分自身で探求したいと思えるよう種をまくことが、グローバル化が進む今の時代の高等学校における歴史教育が担うべき役割であると考えています。  そこで、教育長に伺います。  現在、高等学校の歴史教育はどのように行われているのか、また、今後の取組の方向性について所見を伺います。  以上です。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 菅原議員の御質問に順次お答えしてまいります。  若年層に向けた施策についてお尋ねがありました。  まず、子ども子育て政策についてです。  初めに、総合戦略の見直しについてですが、総合戦略では、基本目標の一つに、若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえるという項目を掲げ、子育て支援、男女共同参画、働き方改革等の取組を進めています。  こうした総合戦略の取組結果は、毎年、有識者による神奈川県地方創生推進会議の評価を受けています。現在、取りまとめている令和3年度の評価では、子育てしやすい環境整備や、男性の育児参加を通じた社会意識の醸成など育児の社会化を進めるべきとの意見を頂きました。  今後、こうした有識者の意見に加え、県議会から御意見を頂き、子ども・子育て支援に関する計画である、かながわ子どもみらいプラン等との整合を図りながら、総合戦略を見直していきます。  次に、病気の子供に対応した保育の提供など、若い世代の希望をかなえる子ども・子育て政策についてです。  病気の子供を医療機関や保育所などで預かる病児保育は、保護者が安心して働き続けられる環境と、子供の健康管理という観点から大変重要であり、県は、開設時の施設整備費や運営費を補助するなど、実施主体である市町村を支援しています。  現在、県内25市町で病児保育を実施していますが、未実施の市町村の多くは、受皿となる医療機関や保育所の確保に苦慮しています。  地域のボランティアが、子供を預かるファミリー・サポート・センター事業では、病児を預かるケースもありますので、県は、こうした情報を提供するなど、地域の実情に即して、市町村の取組を支援していきます。  来年4月施行のこども基本法は、県に、国や他の地方公共団体との連携を図りつつ、子供の状況に応じた施策の策定と実施を義務づけています。  県は、子育て支援の主体となる市町村と緊密な連携を図りながら、病児保育を含めた子供施策を総合的に検討し、全ての子供が幸福で健やかに成長できる社会の実現に向けて、しっかりと取り組んでまいります。  次に、若年層の新型コロナワクチン接種についてです。  ワクチンは、重症化予防のみならず、発症予防効果もあることから、若年層においても接種を積極的に進めることが重要です。  現在、本県の3回目のワクチン接種率は、全年齢で82%、そのうち高齢者は97%であるのに対し、40歳未満は64%、10代は54%にとどまっています。  これまで県では、若年層の接種を促進するため、県のホームページのほか、LINEやツイッター等を活用して情報発信を行ってきました。  また、感染しても軽症というイメージとは異なり、高熱が数日続く場合もあるため、若者にとっても、ワクチン接種は重要であることを伝える動画も配信しています。  一方で、若年層に、積極的に接種を検討してもらうためには、効果だけでなく、副反応に関する正しい情報も伝えて、判断していただくことが重要です。  そこで、若年層向けに、心筋炎等の副反応のリスクはあるものの、ごくまれであることは、現在も県のホームページで説明していますが、これを科学的なデータに基づき、さらに充実させていきます。  また、副反応を疑う事例を国が収集した副反応疑い報告についても、県ホームページで紹介していますが、今後は、報告内容など具体的な情報も加えていきます。あわせて、若年層にとっても、ワクチン接種のメリットがデメリットを上回ることも、数値に基づき情報提供していきます。  さらに、大学と連携して、学生へ配信するメールニュースに、ワクチンの情報を掲載いただくなど、学生の皆さんにも、より多様な手段で情報が届くよう工夫していきます。  こうしたことにより、ワクチン接種に関する正しい情報を若年層に積極的に提供してまいります。  私からの答弁は以上です。  〔教育長(花田忠雄)発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 花田教育長。 ◎教育長(花田忠雄) 教育関係についてお答えします。  グローバル化に対応した歴史教育についてです。  本県の県立高校では、これまで日本史を必修として、全ての生徒が我が国の歴史や伝統、文化に対する理解を深め、それらを尊重する態度を身につけられるよう取り組んできました。  その際、逆さま歴史教育を取り入れるなど、生徒の興味・関心を高める工夫もしてきました。  こうした中、学習指導要領の改訂に伴い、今年度の入学生から、新たな科目「歴史総合」において、グローバルな視野から日本を捉え、世界と日本の近現代の歴史を探求的に学んでいます。  歴史総合の狙いは、単に知識として歴史を学ぶのではなく、生徒自らが歴史を現代の課題につなげ、その解決を深く考えることにあります。  例えば、生徒が歴史的な事象を基に、現代につながる問いを立て、複数の資料から情報収集し、比較・関連づけを通じて、多面的に探求する学びが求められています。  こうした学びを促進するためには、教員自らも歴史総合の授業を行う中で、継続的な研究を進め、生徒たちの深い学びを適切に導く必要があります。  そこで、県教育委員会では、歴史総合の指導上の工夫や課題、効果的な指導事例等を収集し、これらを全ての県立高校で共有するなど、歴史総合の授業力の向上を積極的に支援していきます。  県教育委員会としては、こうした取組により、全ての生徒が歴史や文化を尊重することの大切さに気づき、現代の課題の解決につなげられるよう、グローバル化に対応した歴史教育を充実させてまいります。  以上でございます。  〔菅原あきひと議員発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 菅原あきひと君。  〔菅原あきひと議員登壇〕 ◆菅原あきひと議員 まず、1点、訂正をさせていただきます。  私、立憲民主党・民権クラブ神奈川県議会議員団の代表としてと申し上げましたが、一員としてと訂正をさせていただきます。〔訂正済〕  知事、教育長から御答弁を頂いたところであります。  1点、再質問をさせていただきたいと思います。  若年層の新型コロナワクチン接種について伺います。  新型コロナウイルスでは、後遺症に悩む方が非常に多いということを、私も報道等で耳にしております。ただ、ワクチンを接種していると、後遺症が出にくいといったような研究報告もされているやに伺っております。仮に、これを数値化することができれば、明らかにすることができれば、接種する、しないということの一つの指標になるのではないかと考えたところであります。  そこで、県として、そうしたことについて調査をしたり、結果を周知していくことについて、お考えがあるのか、知事の所見を伺います。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 再質問にお答えいたします。  いわゆる後遺症の調査・研究、これは、本来、国がしっかりと取り組むべきものであることから、全国知事会を通じて国に要望してまいりました。その結果、政府が6月に決定しました骨太の方針に、後遺症についての実態把握等に資する調査・研究を進めること、これが明記されました。  こうした研究により、後遺症の抑制にもワクチン接種の効果があるということが示されれば、積極的に周知してまいります。  答弁は以上です。  〔菅原あきひと議員発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 菅原あきひと君。  〔菅原あきひと議員登壇〕 ◆菅原あきひと議員 御答弁いただいたところであります。  それでは、幾つか要望を申し上げたいと思います。  まず、子ども子育て政策について申し上げたいと思います。  総合戦略の取組の内容の見直しは、結果が出ていない以上、当然求められているのではないかと感じたところであります。質問でも申し上げました、知事からも御答弁でありましたとおり、これからの社会においては、社会全体で子育ての負担を担っていかなければ、この問題は解決しないのかなと、私も認識を持たせていただいております。  一つ例を挙げさせていただきたいと思います。基礎自治体の話で大変恐縮でありますが、兵庫県明石市というところは、子育て予算を増額をして、五つの無償化ということを実現して、令和2年の合計特殊出生率1.62ということであります。出生数の増加と転入についても増加により、社会が活性化しているやに伺っております。  神奈川県でも行っております、このまち・ひと・しごと創生総合戦略の目指している三つのビジョンがあったかと思いますが、二つが実現できているというようなことがあったりするわけであります。もちろん基礎自治体と広域自治体が違うということは、よく分かっているつもりでありますが、やはり今できることは、やらなければならないということと、行っていかなければならないということは感じたところであります。  少子化というよりも、子供を産みたい、育てたいと思っている方が、経済的な理由で諦めること、これをなくしていかなければならないのかなと私も考えたところであります。それが、将来の日本の最大の投資であると私も考えております。  子育てするなら神奈川と知事もおっしゃっておりますので、具現化するために、ぜひ神奈川モデルを打ち出していただきたいと思ったところであります。  次に、若年層の新型コロナワクチン接種についてであります。  私もSNSを見ていると、本当に正しい情報か分からない情報があまた出てまいります。中には、自分自身で調べようがないような情報もあったりして、結果として、様々な理由から、とりあえずワクチンを接種しないという状態にある方が多いのではないかと推測をするところです。当然、これだけではなくて総合的な判断なのかと思います。  政府も県も、ワクチン接種を推奨しているからこそ、やはり正しい情報を提示して、メリット・デメリットを示すことで、一人一人が自らの意思で接種する、しないということを選択できることが必要なんだと考えたところであります。  引き続き、利便性の向上と、接種したいと考えている人へのベネフィット、エビデンスに基づく情報開示を進めていただきますように要望をいたします。  また、若年層に訴求していくような方法についても、大学などでも行っていただけるということでありましたが、ぜひ御検討いただきたいところであります。  さらに、ワクチン接種後の後遺症の件についても質問させていただきました。  先ほども申し上げましたが、これを数値化することができれば、する、しないという方の一つの判断材料になると思います。ぜひ、ここは国に期待したいところであります。  次に、グローバル化に対応した歴史教育についてであります。  この歴史教育、郷土史教育、また文化伝統教育というのは、大きさの大小はあるものの、自分たちが育ったまち、地域の独自性を理解して、次の世代に伝承していく、これが、地域を守っていくことにつながるのかなと私も考えたところであります。  私も高校生のとき授業を受けておりまして、テスト対策に向けて丸暗記をした時期もありました。ただ、それがテスト対策にとって有効であったのかなと思うんですが、その後の学びについては、有効ではなかったと今では思っています。  私が高校時代のときの日本史の恩師がいるのですが、日本史のその恩師が言ったのは、年号で歴史を覚えるなと。歴史はストーリーだから、年号ではなく、ストーリーで理解しなさいというようなことを言われたのを、今でも記憶にあって、まさに今考えれば、そのとおりなんだろうなと思いました。  大学受験に向けた授業の構築というのも必要だと思います。教育長がおっしゃったような学習指導要領の改訂と、そして歴史総合という授業も必要な取組だと思います。新しく始めたということは、検証することで、さらに発展できるのかなと思ったところであります。なかなか検証することが難しいことは、私自身も分かっているつもりでありますが、やはり発展をさせるために、何かしらの方法で検討いただきたいなと。また、何か方策があるのであれば、また議会でしっかりと議論をさせていただきたいところであります。  以上です。  〔菅原あきひと議員発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 菅原あきひと君。  〔菅原あきひと議員登壇〕 ◆菅原あきひと議員 質問の第2は、県政の諸課題についてであります。  〔資料提示〕  まず、「特別自治市構想に対する神奈川県の見解」に関する県民理解促進について伺います。  特別自治市構想とは、大都市制度の構想の一つであり、効率的な行政サービスを行うべく、現在、道府県が担っている所管事務と税財源の全てを指定都市に移譲する構想のことであると認識しているところです。  〔資料提示〕  本県は、国内で唯一、三つの指定都市を抱える広域自治体であり、その三つの指定都市が特別自治市構想について、大綱などを作成しており、県としても、今年に入ってから、特別自治市構想に対する神奈川県の見解を公表し、今年5月には、知事と3市長によるトップレベルでの会談が行われており、今後も話合いが加速していくように見受けられます。  こうした内容は、新聞報道等で報じられておりますが、中には、黒岩知事が、改革の障壁になっているように書かれてしまっているものも見受けられ、残念でならないと感じています。  もっとも、県内指定都市が実現に向けて動いている特別自治市構想は、都構想とは異なり、法制度化されていないため、現実的ではないことも理解するところです。  しかし、指定都市が掲げる特別自治市構想は、本県の根幹に関わる構想であるからこそ、指定都市域だけで議論するべきことではなく、県内全体で議論するべきであると考えています。  以前より知事は、有識者で構成する県の研究会の報告書を踏まえて、特別自治市構想に関する県の考えを整理し、国や市町村に示すとともに、県民の皆様に分かりやすく発信していくとの答弁がありました。  そのためには、特別自治市構想とは、どのような構想であるのか、指定都市の主張は、どのようなものなのか、広域自治体である県として、どのような課題があると推測をしているのか、県民に分かりやすく周知をし、一人一人が意見を持てるような環境をつくっていくことが必要です。  現在、県が示している特別自治市構想に対する神奈川県の見解は非常に難解であり、かつ長文であるため、県民への周知や、検討いただく材料としては不向きであると考えています。  そのため、例えば、分かりやすく解説するような動画や絵図を作成していくことも考えられます。  現状においては、私自身は、各指定都市が掲げる特別自治市構想について、賛同することができないと考えています。理由は、本県が示した課題は大きく、解決することができるのか、注意深く見守る必要があるからです。だからこそ、県は正々堂々、誠心誠意、県民に語りかける姿勢が求められていると感じています。  そこで、知事に伺います。  特別自治市構想に対する神奈川県の見解について、どのように県民一人一人に情報を発信していくのか、所見を伺います。  〔資料提示〕  次に、グリーン・トランスフォーメーションによる県内中小企業の活性化について伺います。  気候変動問題は人類最大の課題の一つであり、この問題に対しては、エネルギー分野の取組が最も重要であります。  菅前総理は、2030年度における温室効果ガスの排出量の2013年度比46%削減を、また、2050年カーボンニュートラルの実現を目指すことを宣言しましたが、このためには、省エネや再エネなど脱炭素関連への投資が必要です。  〔資料提示〕  政府も脱炭素に向けた経済・社会、産業構造変革への道筋の大枠を示したクリーンエネルギー戦略(中間整理)に基づき、本年内に、今後10年のロードマップを取りまとめるとのことであります。また、今後10年間で官民協調の150兆円超の投資を実現すると示しており、今後、成長する分野であることは間違いないと考えております。  このように、経済と環境の好循環を実現していくための経済社会システム全体の変革、すなわちグリーン・トランスフォーメーション─GXの実現に向けて大きな投資が行われることは、県内企業にとっても絶好のチャンスと捉えるべきであります。  例えば、電動車の普及や省エネ家電、ZEH・ZEBの普及、再エネの導入拡大などを背景として、カーボンニュートラル実現に向けて、サプライチェーンが大きく変化することが予想されています。  こうしたGXの流れに乗って、県内企業が業種転換や新規事業への参入を加速させることで、投資効果が県内に幅広く浸透し、県民を豊かにすることにつながるものと考えています。  そして、GXの流れを加速させるに当たっては、高度なものづくり技術などで、県経済を支えている中小企業の参入は不可欠です。  しかしながら、中小企業は大企業と比べて、ヒト・モノ・カネといった経営資源に乏しいことが多く、また、日々の経営に追われているため、GXをビジネスに取り込んでいく重要性が認識されにくいのではないかと考えています。  その結果、大きな成長が期待できるGX産業への参入が遅れ、それが企業としての成長の遅れとなり、ひいては県経済の活性化の遅れにつながってしまうのではないかと危惧をしております。  そこで、産業労働局長に伺います。  グリーン・トランスフォーメーションによる県内中小企業の活性化に向けて、今後どのように取り組んでいこうと考えているのか、見解を伺います。  〔資料提示〕  次に、災害時のトイレの重要性について伺います。  未曽有の被害が発生した東日本大震災から11年が経過をし、発災当時と比べ、地震に対する警戒感が和らいできていると感じていますが、首都直下地震の切迫性が指摘されている現在の状況にあっては、いつ発生してもおかしくない地震に常に備えておくことが必要です。  大規模災害が発生すると、ライフラインが被害を受け、通常の生活が送れなくなるため、水や食料の確保はもちろんですが、災害時の生活においては、トイレの確保は重要な課題であります。  阪神・淡路大震災では、家庭や避難所で水洗トイレが使用できなくなり、仮設トイレの前に多くの避難者によるトイレ待ちの行列ができたことが報道され、その重要性が広く認識されることとなりました。  私の地元の町内会で実施する防災訓練では、仮設トイレの設置や、各家庭での携帯用トイレの備蓄などの呼びかけを行っておりますが、災害時にいかに多くのトイレを確保するか、町内会でも議論するところであります。  〔資料提示〕  現在、マンホールトイレや、運搬と組立てがしやすい紙式トイレなど、災害時に使用できる仮設トイレが数多く製品化されており、こうしたトイレを、避難所を設置・運営する市町村が購入していることは承知しておりますが、人口が多い本県では、幾ら準備をしても、トイレが足らなくなることが想定されるため、万が一に備え、各家庭に携帯用のトイレの備蓄を呼びかけるなど、様々な対応が必要です。  県は、災害時に備え、日頃から県民の皆様に、水、食料や防災用品を備えるよう呼びかけておりますが、こうした啓発に加え、例えば、県と市町村が連携をして、携帯用トイレの購入者に補助をしたり、県や市町村がスケールメリットを生かして、安価で携帯用トイレを買い上げて各家庭に配布するなど、携帯用トイレの各家庭での備蓄を促進することが考えられます。  避難者や被災者の支援は市町村の役割でありますが、災害時のトイレの確保は重要で深刻な課題であるため、県が市町村をしっかりとサポートし、取り組んでいくことが重要であると考えます。  そこで、くらし安全防災局長に伺います。  災害時において、避難生活を送るために不可欠なトイレの確保に向けて、市町村と連携して取り組む必要があると考えますが、どのように取り組むのか、見解を伺います。  以上です。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 県政の諸課題についてお尋ねがありました。  「特別自治市構想に対する神奈川県の見解」に関する県民理解促進についてです。  特別自治市構想については、コロナ禍における広域での入院・搬送調整や災害対応といった県の総合調整機能に支障が生じるほか、県内全域で現行水準の行政サービスが提供できなくなるなど、県民の皆様や県内市町村に大きな影響が及ぶことが懸念されます。  そこで、県では、外部有識者で構成する特別自治市構想等大都市制度に関する研究会から、昨年11月に提出された意見や提言を踏まえ、本年3月に県の見解を取りまとめ、構想の法制度化は妥当ではないという考えを示しました。  また、本年5月には、県、横浜、川崎、相模原四首長懇談会を開催し、県と指定都市との間で、構想の是非などに関してトップレベルでの協議も行いました。そして、こうした経過や議論等については、県のホームページに、資料や議事録を速やかに公表することにより、県民の皆様に逐次、発信してきました。  今後、県民の皆様に、より一層分かりやすく伝えることができるよう、掲載情報を改めて整理するとともに、図表やイラストを活用することにより、ホームページの構成・内容を見直すといった工夫を重ねていきます。  県民の皆様への情報発信は、何よりも住民目線で、具体的な論点を丁寧にお示しすることが大切と考えており、今後の3指定都市の対応や議論の動向を見極めながら、情報発信の時期や内容について検討してまいります。  私からの答弁は以上です。  〔産業労働局長(河鍋 章)発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 河鍋産業労働局長。 ◎産業労働局長(河鍋章) 産業労働局関係の御質問にお答えします。  グリーン・トランスフォーメーションによる県内中小企業の活性化についてお尋ねがありました。  国は、脱炭素社会の実現に向けて、2050年にカーボンニュートラルを達成することを目標に掲げており、その実現に向けた産業構造や社会構造の変革がグリーン・トランスフォーメーション─GXです。  例えば、自動車分野では、ガソリン車からCO2が発生しない電気自動車に置き換わることで、これまでガソリン車の製造に携わってきた多くの企業の受注が減少するなど、産業構造の変革が起き、企業を取り巻く環境が急速に変化していきます。  一方で、こうしたGXによる経営環境の変化に、柔軟に対応し、太陽光などのエネルギー産業や蓄電池などの製造関連産業といった、いわゆるGX産業に参入していくことは、企業の成長、ひいては経済の活性化のためにも重要です。  県はこれまで、県経済の活性化を目指すため、神奈川県中小企業・小規模企業活性化推進計画を策定し、県内中小企業の成長を支援してきました。現在の計画は、計画期間を令和8年3月までの7年間としておりますが、コロナ禍や原油価格・物価高騰の影響などが反映されていないため、早急に見直す必要があります。  そこで、今年度中に計画の見直しに着手し、専門家の意見を聴きながら、今後、成長が期待できるGX産業を、神奈川の未来を支える産業の振興という重点的な柱の中に位置づけ、県内中小企業の参入を促していきたいと考えています。  あわせて、県の役割や支援の在り方についても、専門家に幅広く御意見を伺っていきたいと考えています。  グリーン・トランスフォーメーションを県内中小企業の成長が期待できる好機として捉え、県経済の活性化に向けて取り組んでまいります。  私からの答弁は以上です。  〔くらし安全防災局長(佐川範久)発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 佐川くらし安全防災局長。 ◎くらし安全防災局長(佐川範久) くらし安全防災局関係の御質問にお答えします。  災害時のトイレの重要性についてお尋ねがありました。  多くの被災者の発生が懸念される大規模災害時に、食料や水などの生活物資とともに、避難生活に欠かせないトイレを確保することは重要な課題です。  県は、災害時に避難者の受入れや、地域の被災者支援の拠点となる避難所を市町村が円滑に運営できるよう、避難所マニュアル策定指針を定めています。  この指針の中で、トイレの確保・管理計画の作成や、要配慮者や女性に配慮した整備の考え方などを提示し、避難所のトイレ対策を支援してきました。  また、県は、市町村が避難所等に災害用トイレを整備する取組に対して、市町村地域防災力強化事業費補助金により、財政支援を行っています。  令和3年度は、11市町村が取り組むマンホールトイレや携帯用トイレの整備に対し補助しており、今後も市町村と連携したトイレの確保に取り組みます。  また、ライフラインの復旧の長期化等で、トイレが不足する事態に備え、全国から携帯用トイレ等の物資を調達し、避難所に輸送する体制整備も重要です。  県は、全国知事会や九都県市などによる応援体制を確保するほか、物資の供給や輸送を担う事業者との連携を一層深め、物資の供給体制の強化を進めます。  このほか、家庭における携帯用トイレの備蓄も大切です。県が災害時の自助のポイントを記載した地震防災チェックシートや県民防災カードを、県民向けの防災講座で配布するなど、様々な媒体や機会を活用し、トイレの備蓄の必要性について普及啓発に努めていきます。  県は、こうした取組を通じて、市町村による災害用トイレの確保や、家庭における備蓄の促進を図り、いつ起きてもおかしくない災害の発生に備えてまいります。  答弁は以上です。  〔菅原あきひと議員発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 菅原あきひと君。  〔菅原あきひと議員登壇〕 ◆菅原あきひと議員 知事、くらし安全防災局長産業労働局長から御答弁いただいたところであります。  1点、再質問させていただきたいと思います。  グリーン・トランスフォーメーションによる県内中小企業の活性化についてであります。  グリーン・トランスフォーメーションにより、県内中小企業を活性化するためには、まずは企業の意思ということも必要だと思いますが、それを推進する人材の育成というのは欠かせないことだと思っております。  そこで、GX分野の人材育成について、どのように取り組んでいこうと考えているのか、産業労働局長の見解を伺います。  〔産業労働局長(河鍋 章)発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 河鍋産業労働局長。 ◎産業労働局長(河鍋章) 産業労働局関係の再質問にお答えします。  グリーン・トランスフォーメーション─GX分野の人材育成についてです。  今後、成長が見込まれる分野で活躍できる人材を育成していくことは大変重要です。GX分野についても、先ほど答弁いたしました神奈川県中小企業・小規模企業活性化推進計画の見直しを行う中で、働き方改革の促進と人材の育成という柱の中に位置づけ、今後のGX産業の展開に応じて、必要とされる人材を育成してまいります。  答弁は以上です。  〔菅原あきひと議員発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 菅原あきひと君。  〔菅原あきひと議員登壇〕 ◆菅原あきひと議員 御答弁いただきました。  それでは、要望を何点か申し上げたいと思います。  まず、「特別自治市構想に対する神奈川県の見解」に関する県民理解促進について申し上げたいと思います。  知事からも御答弁いただきました。私も認識を共有させていただいているのかなと認識したところです。また、しかるべきタイミングで県民への周知などを図るという話もありましたが、ぜひ行っていただきたいと同時に、正々堂々とこれからも3市長の皆さんと議論をしていただきたいということをお願い申し上げます。  次に、グリーン・トランスフォーメーションによる中小企業の活性化についてであります。  カーボンニュートラルの実現に向けてもそうなんですけれども、私は、GXが日本の基幹産業に成長していかなければ、日本経済の成長というのは一層難しくなるのではないかと考えたところであります。  先ほどの局長の答弁でも、神奈川県の未来を支える産業だというお話がありました。私も、同じ認識を持たせていただいております。  政府も10年間で150兆円超の投資が、官民で実現するという話もありましたとおり、強い意志を感じるのかなと私も認識をさせていただきました。  将来的には、自動車産業と並ぶような産業になるのではないかという記事も読ませていただきましたし、私も考えたところであります。  神奈川県でも、産業を県内に根づかせて発展をさせるために、戦略をぜひ持っていただきたいということは要望しておきたいと思います。仕事は9割準備で決まるということも言われるので、ぜひそうした観点からお願いをさせていただきたいと思います。  以上で、私の一般質問を終わらせていただきます。  御清聴、誠にありがとうございました。                               〔拍 手〕 △《本会議録-令和4年第3回-20220920-029303-質問・答弁-永田磨梨奈議員-一般質問①起業準備者に向けた支援について②鎌倉市における新たな漁港の整備について③鎌倉海岸七里ガ浜地区の侵食対策について④「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」の成立に伴う相談体制の充実について⑤高校生の留学に係る支援について⑥公立小・中学校における不登校の児童・生徒への支援について⑦公立小・中学校における食育の推進について》   〔永田磨梨奈議員発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 永田磨梨奈君。  〔永田磨梨奈議員登壇〕(拍手) ◆永田磨梨奈議員 鎌倉市選出の永田磨梨奈です。  議長のお許しを頂きましたので、私は、自由民主党神奈川県議会議員団の一員として通告に従い、順次提言を交えながら、一般質問をさせていただきます。  知事、そして教育長、県土整備局長におかれましては、明快な御答弁のほど、よろしくお願いいたします。また、先輩、同僚議員の皆様におかれましては、しばらくの間、御清聴のほど、よろしくお願いいたします。  それでは、質問に入ります。  質問の第1は、起業準備者に向けた支援についてです。  〔資料提示〕  本県では、令和元年11月に、HATSU鎌倉とSHINみなとみらいの二つの拠点を活用したベンチャー支援の取組を開始し、起業の準備段階から、ベンチャー企業の育成、成長まで、ステージに応じた支援をしてきました。  このうち、私の地元にある起業家創出拠点「HATSU鎌倉」では、起業を志す起業準備者への支援を中心に取組を進めています。これまで、起業を志す多くの起業準備者が、地域課題の解決を考える中でビジネスの種を見つけたり、地元の企業や市民の協力を得て実証事業を行うなど、HATSU鎌倉を舞台に活発な活動が繰り広げられてきました。  その結果、地域とのつながりを生かした新たな事業を展開する鎌倉発、神奈川発の起業家が次々に生まれており、そうした起業家や地域の協力者が集うコミュニティーが形成をされています。  また、特に、HATSU鎌倉は、地域貢献の意欲が高い地元企業が運営を担い、地元に愛着を持つスタッフが、起業準備者と地域とのつながりを大切に育みながら活動してきたことが、成功の大きな要因であると考えます。  実際、私も地域の中で、様々な市民活動をされている方々と意見交換をさせていただいたり、その一環で、市民の方主催の「大人の為の寺子屋講座」に携わらせていただくこともありますが、そのたびに、県民の皆さんの、地域をよくしていこうという熱い思い、そして、地域が擁する人材の豊富さを改めて強く感じるものです。  昨年12月の定例会の一般質問では、このようなベンチャー支援の取組の重要性に鑑み、我が会派の大村悠議員から、地域とのつながりを生かしながら、起業準備者の起業の実現を支援するHATSU鎌倉の今後の展開について、知事に質問をいたしました。  その際、知事からは、鎌倉発、神奈川発の起業家を次々と生み出し、成果を上げているHATSU鎌倉のような拠点を、今後、県央地域や県西地域での設置に向けて、地元の市町村や企業と検討を進めていくとの御答弁を頂きました。  現在、その御答弁のとおり、厚木、小田原において、それぞれ起業家創出の取組が始まったところと承知をしております。  これまでのHATSU鎌倉における取組で培ったノウハウを基に、県内の各地域で、その地域とのつながりを深めながら、効果的な支援を展開し、県全域から起業家が生まれていくことを期待しています。  そこで、知事に伺います。  今年度から開始した起業家創出の取組の県内横展開を含め、今後どのように起業準備者に向けた支援を進めていくのか、見解を伺います。  質問の第2は、鎌倉市における新たな漁港の整備についてです。  〔資料提示〕  私の地元、鎌倉市は、古くは鎌倉幕府が置かれ、また、数多くの寺社仏閣が建立されている歴史のあるまちで、国内外から多くの人が訪れる観光地であり、また、材木座や由比ガ浜の海岸は、海水浴やウインドサーフィンなどのマリンスポーツでにぎわうマリンレジャーのメッカでもあります。  そして、その鎌倉の海では、江戸時代には、イセエビが鎌倉海老として江戸へ出荷されており、現在もイセエビのほか、シラスやワカメなどが水揚げをされています。  材木座や由比ガ浜を漁業の拠点としている鎌倉漁業協同組合の漁業者は、漁港がないことから、昔ながらの方法で、砂浜から人の力で船を出し入れをして漁をしています。そのため、少しでも波や風が強いときは、船が波にあおられて流されたり、ひどいときには船が転覆することもあり、危険と労力を伴う重労働となっていますし、ほかの地区の漁港からは出漁できるような波風であっても、鎌倉の漁業者は出漁できないこともあります。  また、海水浴客やマリンスポーツを楽しむ人が多いことから、事故を起こさないように、常に細心の注意を払わなくてはなりません。  こうしたことから、地元の漁業者は、かねてより漁港の整備を求めてきましたが、自然環境や景観の保全への懸念があったことから、昭和63年以降、長い年月にわたり、漁業者、市民、学識者、行政などを交えて、漁港の整備に向けて検討を続けてきました。  一方で、近年、気候変動の影響から、台風が強い勢力を保ったまま本州に接近することが非常に多くなり、高波が海岸に押し寄せて、砂浜にある漁業施設が流される被害が発生するなど、漁業者にとっては、ますます厳しい状況となっています。  そして、実際に砂浜にある倉庫や漁船が台風の被害を受けたことなどを契機に、令和3年2月に市民の賛同を得て、令和4年度から、長年の検討を踏まえ、鎌倉市が新たな漁港の整備を進めることになりました。  〔資料提示〕  地元の鎌倉漁業協同組合では、漁業以外からの新規就業者の受入れも積極的にしており、また、女性漁業者の就業の実績もあり、こうした若い漁業者が今後も安心して漁業を行う上で、漁港は必要不可欠であり、大変喜ばしいことであります。  あわせて、整備に当たっては、自然環境や景観への影響に十分に配慮しながら、漁港の整備を進める必要があると考えます。  そこで、知事に伺います。  漁業所得の向上に資する鎌倉市の新たな漁港整備に対して、県はどのような支援をしていくのか、見解を伺います。  質問の第3は、鎌倉海岸七里ガ浜地区の侵食対策についてです。  〔資料提示〕  相模湾沿岸は、すばらしい自然環境を有する変化に富んだ海岸が多く残されており、海水浴、サーフィンなどのマリンスポーツ、海岸沿いの散歩やジョギングなど、多くの人に利用されています。  今年の夏は多くの海水浴場が開設され、私の地元でもある鎌倉海岸では、由比ガ浜などの海水浴場も3年ぶりに開設され、海水浴客により、にぎわいを取り戻しましたが、一方で、鎌倉・稲村ヶ崎の海岸では、平成15年以降、海水浴場が開設をされていません。  稲村ヶ崎の海岸は、以前は海水浴場が開設できるほど、砂浜が広がっていました。近年、海岸侵食により、砂浜が大きく後退し、一部では岩盤の露出が目立っており、海岸の利用が難しいだけではなく、砂浜の波の勢いを弱める効果が減少し、令和元年には、国道134号で歩道が崩壊するなどの被害が発生しました。  県では、平成23年に相模湾沿岸海岸侵食対策計画を策定し、この計画に基づき、養浜を主体とした侵食対策を進めた結果、横須賀海岸秋谷地区など、養浜の効果が現れている海岸がある一方で、稲村ヶ崎を含む鎌倉海岸七里ガ浜地区のように、養浜の効果が現れていない海岸もあることから、令和3年3月に計画を改定したことは、昨年、私の一般質問の際にもお答えを頂いたところであり、承知をしております。  その改定により、侵食が進む七里ガ浜地区には、養浜により、砂浜を維持する計画から、養浜量を大幅に増加させ、砂浜を回復させる計画に変更をしました。  一方で、養浜による漁業や環境などへの影響が懸念されることから、養浜の実施に当たっては、漁業関係者や地元自治会、砂浜の利用者など、地元の方々の意見を聴くなど丁寧な調整が必要です。  今年の7月に開催された地元の方々の意見を聴く場を、私も傍聴させていただきましたが、活発な意見交換がなされ、以前のような砂浜に回復させたいという地元の方々の強い思いを改めて感じました。  令和元年のような被害が発生しないよう、海岸背後の方々が安全・安心に生活でき、以前のような美しい砂浜を早期に回復させる必要があると考えます。  そこで、県土整備局長に伺います。  七里ガ浜地区の侵食対策の進捗状況と、今後、侵食対策をどのように進めていくのか、見解を伺います。  質問の第4は、「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」の成立に伴う相談体制の充実についてです。  〔資料提示〕  婦人保護事業の根拠法である売春防止法は、昭和31年の制定以来、抜本的な見直しが行われておらず、法律が実態にそぐわなくなってきているとの声を受け、困難な問題を抱えている女性の自立を包括的に支援する新たな枠組みとして、今年5月、困難な問題を抱える女性への支援に関する法律が公布されたこと、また、新たな法律では、婦人相談所、婦人相談員、婦人保護施設などの既存の仕組みについて名称が変更され、その役割が改めて示されたほか、新たに民間団体との協働による支援が規定されたことを受け、先日の我が会派のあらい政調会長の代表質問において、本県の計画策定について質問をしたところであります。  様々な困難を抱える女性への支援を充実するためには、それを担う相談体制の整備が重要と考えます。しかし、全国的に見れば、女性保護事業の第一線を担う婦人相談員を配置している市区は、令和2年4月1日時点で47.9%にとどまっているというデータもあります。  さらに、市町村の相談窓口の呼称は、DV相談とされているところが多くなっていると承知をしております。新法により、これまでの女性への更生、保護から支援へと変わったように、自治体の意識も変えていく必要があります。  今後、多様化、複雑化する様々な困難を抱える女性の支援を行うためには、相談内容を固定化させることなく、複雑困難な問題をひもといていくための窓口、相談員の充実が必要不可欠であるという意識を、県と市町村で共有していただきたいと考えます。  〔資料提示〕  また、婦人相談員は、その多くが非常勤職員という立場であり、支援する立場の者が不安定な雇用の下で、来年は雇ってもらえるのだろうかと思いながら、経験を積んでいくのは無理なところもあると感じています。  国も、婦人相談員の配置を促すため、令和4年度予算において、婦人相談員に支給する手当について、経験年数に応じた額を加算するという、国庫補助基準の見直しを行うなど、婦人相談員が担う役割の重要性や専門性を十分に考慮した上で、適切な処遇を行うよう通知を発出したところです。  私も、様々な困難を抱える女性に対し、切れ目のない、きめ細やかな支援を行っていくためには、婦人相談員が担う役割は大変重要だと考えます。  あわせて、新たな法律では、民間団体との連携も規定されたところであり、婦人相談員と民間団体との連携がスムーズにいくような体制を整えることも重要であると考えます。  特に、多様化、複雑化する様々な困難を抱える女性の支援を行うためには、幅広い分野の専門知識や経験が必要であり、婦人相談員のスキルアップは喫緊の課題であると考えます。  そこで、知事に伺います。  女性支援の第一線を担う婦人相談員の育成など、相談体制の充実に、県はどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。  質問の第5は、高校生の留学に係る支援についてです。  〔資料提示〕  現代の社会は、グローバル化の進展により、国境を越えて地球規模で、人やもの、文化などの移動が起こり、AIやビッグデータ、IoTなどの先進技術の急速な高度化が国内外の産業や私たちの生活環境に大きな影響を及ぼすなど、激しく変化をしています。  また、長引くコロナ禍の影響もあり、世界は、経済的な格差など、様々な格差が拡大している一方、自然環境や資源の有限性など、地球規模で解決しなければならない多くの課題も抱えています。  このような、先を見通すことが困難で、正解のない時代を生き抜くためには、社会の変化を受け止め、多様な文化を理解し、尊重しながら、新たな価値を創造しようとするグローバル人材を育成することが重要であると考えています。  県立高校においては、グローバル教育研究推進校を5校指定し、英語によるコミュニケーション能力を高め、国際的な視野を持ち、多様な価値観を受容できる力の育成に取り組んでいると承知をしております。  また、国の調査では、平成29年度の都道府県別高校生の海外留学者数で、本県は、東京、大阪に次いで全国3位となっており、本県の高校生たちの意識もうかがえます。  このような中で、取組を進めることは、大切なことであると思っています。私は、若い時期に海外留学することで、語学力が向上するだけではなく、海外から日本を客観的に見直したり、海外の人との交流の中で、多様な価値観に触れたりすることにより、視野が広がり、自己肯定感が高まるなど、若者の大きな成長につながることが期待できると考えています。  成年年齢の引下げなどもあり、高校生の社会に対する意識は、今後、大きく変わってくると思っており、将来の可能性や選択肢の広がり、グローバルな人材を育むといった点からも、高校生の留学経験はとても意義のあることだと思っています。  近年、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響を受け、海外への留学が難しい状況にありますが、県教育委員会においては、生徒から留学の意思が示された場合には、不安なく準備が行えるよう、支援をお願いしたいと考えます。  そこで、教育長に伺います。  県教育委員会では、高校生の留学に係る支援について、今後どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。  〔資料提示〕  質問の第6は、公立小・中学校における不登校の児童・生徒への支援についてです。  令和2年度の問題行動・不登校等調査結果では、本県の公立小中学校における不登校の児童・生徒数は、およそ1万4,000人となり、依然として増加という状況が続いています。  長引くコロナ禍の中、児童・生徒の学校生活に様々な制限が生じていますが、こうした状況も、不登校の増加に影響しているのではないでしょうか。  そのような中、本年6月、不登校に関する調査研究協力者会議の報告書が国へ提出され、その中で、今後の不登校の児童・生徒への学習機会と支援の在り方について示されました。  報告書では、不登校傾向のある児童・生徒の支援ニーズの早期把握、不登校の児童・生徒の多様な教育機会の確保等について述べられており、今後、各学校や自治体において支援の方策を整理することが求められています。  私は、不登校に対しては、まず、早い段階で、学校がそうした傾向のある児童・生徒に気づき、適切に支援をしていくことが大切だと考えています。  そして、児童・生徒の内面や家庭環境等に課題がある場合には、福祉などの関係機関と連携して支援する必要があると考えます。こうした支援には、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーといった専門人材の活用が不可欠であると考えています。  一方で、既に不登校となり、長い期間、学校に行くことができていない児童・生徒を、県内の各市町村教育委員会が設置する教育支援センターや民間のフリースクール等といった学校外の学びの場につなげて支援していくことが大変重要であると考えます。  教育支援センターにおいては、県が配置する専任教員を中心に、児童・生徒の学習支援や相談等の取組が行われているということを承知していますが、県の調査によると、教育支援センターを活用している児童・生徒の、不登校の児童・生徒に占める割合は7.7%にとどまっています。  今後は、児童・生徒にとって身近な機関として、地域の状況に応じた支援が期待されるとともに、各地域における支援ネットワークの中核として、その機能の充実が期待されます。  また、フリースクール等においては、児童・生徒の社会的な自立に向け、居場所の提供や保護者の支援についての取組をしており、県教育委員会と連携し、不登校相談会等を実施していることを承知しています。  しかし、県の調査によると、不登校の児童・生徒の中で、フリースクール等の民間団体、民間施設を活用している児童・生徒の割合は4.5%にとどまっています。その一方で、相談・指導を受けていない児童・生徒は34.9%と、その割合は多くなっており、家庭学習となっている児童・生徒が一定数いることがうかがえます。  教育機会の確保という点からは、教育支援センターなどの公的機関の充実とともに、不登校の児童・生徒にとって、学校外の学びの場は大きな役割を果たしていると考えられるため、民間のフリースクール等での支援体制の充実も両輪で行うべきであるのではないでしょうか。  そこで、教育長に伺います。  公立小中学校における不登校の児童・生徒への支援について、学校外への学びの場である教育支援センターや民間のフリースクール等に確実につなげることがますます重要であると考えますが、県教育委員会としてどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。  質問の第7は、公立小・中学校における食育の推進についてです。  〔資料提示〕  子供たちにとって、家での食事や学校での給食は、食文化を学びながら、親しい人や友達との絆を深めることができる場であり、食について様々な興味、関心を持つための大切な機会です。  子供たちが生涯にわたり心身ともに健康を保持、増進していくためには、自ら食を適切に選択する力を身につけていくことが大切であり、小中学校における食育が果たす役割は大きいと考えています。  令和3年3月に国が公表した第4次食育推進基本計画では、学校における食育の推進について、様々な学習や体験活動を通し、食料の生産から消費等に至るまでの食の循環を知り、自然の恩恵として命をいただくことや食べ物が食卓に届くまでの全ての人に感謝する気持ちを育むことが重要としています。  学校における食育では、食に関する幅広い学びが求められていることから、例えば、社会科の授業で給食に使用されている食材について、産地や流通などを学ぶことや、家庭科の授業でバランスのいい食事や調理法などを学ぶこと、さらには、遠足などの学校行事で、食品加工の工場を見学するというような取組が期待されます。  また、学校における食育の推進においては、栄養教諭が中核的な役割を担っています。栄養教諭制度は、子供が将来にわたって健康に生活していけるよう、食の自己管理能力や望ましい食習慣を子供たちに身につけさせることができるよう創設され、平成17年度から施行されたものであり、その後も文部科学省からは、配置の促進に向け、通知が発出されているところです。  本県においては、平成19年度から小中学校に栄養教諭の配置を始め、食育を推進してきたことを承知していますが、児童・生徒1人当たりの栄養教諭の数は、全国的に見ても下位に位置しており、栄養教諭1人にかかる負担も大きく、児童・生徒一人一人と向き合うためには、いまだ十分とは言えません。  このような現状も踏まえて、今後も子供たちのために、食育を効果的に進めてもらいたいと考えています。  そこで、教育長に伺います。  公立小中学校における食育のさらなる推進について、今後どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。  以上で、1回目の質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 永田議員の御質問に順次お答えしてまいります。  初めに、起業準備者に向けた支援についてお尋ねがありました。  県では、令和元年11月からHATSU-SHINかながわモデルにより、ベンチャーの成長段階に応じた支援の取組を進め、約3年が経過しました。  起業家創出拠点「HATSU鎌倉」では、斬新なアイデアを持つ有望な起業準備者をチャレンジャーとして採択し、これまで59名に伴走型の集中支援を行い、そのうち45名が事業化に着手するなど、順調に成果を上げています。  今年度は、このHATSU鎌倉の取組を横展開し、県内全域で起業家を創出していくため、地元の市町村や企業と連携した取組を進めています。  まず、県央地域では7月に、地元の企業が厚木に開設した起業家創出拠点において、また、県西地域では今月末に、小田原市が開設予定の拠点において、県として、起業準備者を募集し、HATSU鎌倉と同様の支援プログラムを展開していきます。  それぞれの拠点で地域発の起業家を数多く創出していくためには、HATSU鎌倉で培ってきた経験を生かし、起業準備者が相互に協力し合うコミュニティーの形成や、拠点を取り巻く地域の協力者を増やしていく必要があります。  また、各地域の特色を生かした起業支援に取り組むことも有効です。そこで、新たな拠点として、リアルとオンラインの両方でつながるコミュニティーづくりを進めるとともに、市町村等と連携し、拠点での取組の周知・広報に努め、協力者の輪の拡大を図ります。  そして、大学が多く立地する県央地域では、大学と連携した起業啓発セミナー等を実施します。  一方、観光振興に力を入れている県西地域では、観光に関する課題解決を促す事業を実施するなど、地域の特色を生かし、地域発の起業家の創出を図ります。  さらに、鎌倉、県央、県西の三つの拠点の連携による相乗効果を生み出すため、起業準備者やスタッフが交流、切磋琢磨する機会を設け、イノベーションの創出や各拠点のレベルアップを図っていきます。  こうした取組により、県内全域で起業家を創出し、有望なベンチャー企業に成長する過程を支援することで、県経済の持続的な発展につなげてまいります。  次に、鎌倉市における新たな漁港の整備についてお尋ねがありました。  鎌倉市の由比ガ浜などを拠点とする漁業者は、漁港施設がなく、現在も、昔ながらに砂浜から人力で漁船を出し入れしており、危険性の高い状況にあります。また、波や風の影響を受けやすく、出漁の機会が減るなど、利用者にとって大きな負担となっています。  こうした中、鎌倉市は令和3年に、長年の懸案であった新たな漁港の整備に関する方針を決定しました。  本県における新たな漁港の整備は、昭和63年以来35年ぶりとなりますが、漁業者の安全性の確保に加え、出漁日が増えることによる所得の向上や担い手の確保などにつながることから、県としても、鎌倉市の取組を支援していくことは重要です。  一方で、漁港の整備が計画されている由比ガ浜は、地元住民だけでなく、多くの方々の憩いの場となっていることから、環境面や景観面への配慮も必要です。  そこで、県は、鎌倉市が令和5年度から予定している漁港の設計に当たり、漁業者の要望も踏まえるとともに、自然環境や景観の保全に配慮した漁港となるよう、施設の形状や色彩、工法などの提案をしていきます。  さらに、市が漁港整備に必要な国庫補助金の確保に当たり、県は窓口となって国との調整を行うとともに、法的手続が着実に進められるよう、関係機関との事前調整の機会に必要な助言を行っていきます。  県は、こうした取組により、漁業所得の向上など、水産振興に向け、鎌倉市における新たな漁港の整備を積極的に支援してまいります。  最後に、「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」の成立に伴う相談体制の充実についてお尋ねがありました。  今年5月公布の困難な問題を抱える女性への支援に関する法律では、対象者への支援を包括的に提供する体制の整備や、民間団体との協働による切れ目ない支援などを基本理念に掲げています。  こうした支援を第一線で担う婦人相談員は、現在、県内で、おおむね全ての市に配置されています。また、町村部では、県は、婦人相談員を女性相談員と呼称し、女性支援を行っています。  これまで県では、政令市を含めた県内の婦人相談員を対象に、初任者研修や事例検討会を実施するとともに、生活に困窮する女性の支援経験が豊富な民間団体と連携して、相談支援技術の向上のための研修を行ってきました。  今後は、様々な困難を抱える女性の支援に的確に対応するため、法律の正しい理解や知識の習得を進めることが必要です。  また、県や市の相談窓口では、相談件数の違いなどから、婦人相談員のスキルに差が生じており、個々の相談員の支援技術の向上も課題です。  さらに、女性支援に携わる民間団体からは、市の婦人相談員と事例検討や情報共有するための意見交換の場を設けることも求められています。  そこで、県では、新たに相談支援現場における悩み事や困難事例などを婦人相談員同士で意見交換し、相互にスキルアップを図っていく研修などを実施し、引き続き相談員の資質向上に取り組んでいきます。  また、市町村との連絡会議の場を通じて、新たな法律の情報共有や、県と市町村間の支援業務の効果的な連携について検討を行っていきます。さらに、民間団体と婦人相談員のほか、県機関との意見交換の場を設け、円滑な支援の実施に向けて取り組んでいきます。  県では今後も、当事者目線に立って、様々な困難を抱える女性一人一人の気持ちに寄り添い、自立に向けた相談支援体制の充実を進めてまいります。  私からの答弁は以上です。  〔県土整備局長(大島伸生)発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 大島県土整備局長。 ◎県土整備局長(大島伸生) 県土整備局関係の御質問にお答えします。  鎌倉海岸七里ガ浜地区の侵食対策についてお尋ねがありました。  相模湾沿岸のすばらしい景観を将来にわたり継承し、沿岸の土地を波浪から守っていくためには、砂浜を回復させ、保全していくことが大変重要です。  このため、県では、各海岸の特性に応じた対策をまとめた相模湾沿岸海岸侵食対策計画を平成23年に策定し、取組を進めてきました。  このうち、鎌倉海岸の七里ガ浜地区については、近年、急速に侵食が進んだことから、令和3年3月に計画を改定し、養浜量を大幅に増やして砂浜の回復を図ることとしました。  その進捗状況ですが、この地区は、美しい景色や貴重な自然環境を有するとともに、漁業や観光、マリンスポーツ等の様々な活動に利用されていることから、養浜の実施に当たっては、関係する方々の理解を得ていくことが必要です。  このため、県は令和3年12月に、地元自治会の代表者等から御意見を伺う場を設けるとともに、令和4年7月には、学識経験者、地元自治会、漁業者等から成る協議会を設置しました。この協議会では、構成員の方々に七里ガ浜地区の侵食の状況を御理解いただいた上で、まずは試験的に養浜を行うことで合意しました。  今後の侵食対策の進め方ですが、養浜に当たっては、生態系や漁業等への影響を最小限に抑えながら、砂浜の幅を効果的に回復させていくことが必要です。そのため、試験的な養浜の実施に際して、この海岸の特性に合った養浜となるよう、生態系への影響や砂の投入効果をモニタリング調査により詳細に検証し、その結果を協議会で共有します。  県は、このような取組により、引き続き、地元自治会や漁業者等との合意形成を図りながら、鎌倉海岸七里ガ浜地区の侵食対策をしっかりと進めてまいります。  私からの答弁は以上です。  〔教育長(花田忠雄)発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 花田教育長。 ◎教育長(花田忠雄) 教育関係についてお答えします。  高校生の留学に係る支援についてです。  社会が急速に変化している中、高校生が海外留学を経験して異文化を理解し、視野を広げることは大変有意義です。  県教育委員会ではこれまでも、国の留学支援事業や、国が全国の企業等に寄附を募り、若者の留学を支援する「トビタテ!留学JAPAN」の制度を活用して、県立高校生の留学を支援してきました。  また、友好交流地域であるアメリカ・メリーランド州や台湾・新北市に高校生を派遣しており、近年のコロナ禍にあっても、オンラインで現地の学生と交流する工夫を図っています。  一方、過去に国が行った意識調査では、本県の県立高校生で、留学したいと回答した生徒は約35%、このうち、高校在学中に留学したいと回答した生徒は約14%にとどまっています。  その主な理由として、言葉の壁がある、海外での生活や帰国後の進路等に不安がある、経済的に厳しいなどが挙げられています。  そこで、県教育委員会では、留学に関する国や県の事業を広く周知するとともに、今後、高校時代に留学を経験した方から直接話を聞く機会を設けるなど、一人でも多くの高校生が希望する留学をかなえられるよう支援してまいります。  次に、公立小・中学校における不登校の児童・生徒への支援についてです。  不登校が続く子供たちに教育の機会を確保する上で、市町村の教育支援センターや民間のフリースクール等、学校以外の学びの場につないでいくことは大変重要です。  県教育委員会ではこれまで、全ての市町村が設置している教育支援センターとの連絡会議等を通じて、ICTの活用や訪問型支援など、不登校の子供への特色ある支援方法を共有してきました。  また、県内各地域で、不登校の子供の学びを支えている33団体のフリースクール等と連携協議会を設置し、不登校相談会を実施するほか、学校等と連携した支援方策の検討を行っています。  しかし、県の調査結果では、不登校の小学生の約3割、中学生の約4割が相談や支援を受けられていない状況です。  今後は、こうした子供をより把握できる教育支援センターを中心に、教育相談から、福祉・医療の支援や、学校外の学びの場へと確実につなげられるネットワーク強化が必要です。  そこで、県教育委員会では、既存の教育支援センター連絡会議とフリースクール等連携協議会を地区ごとに連動させ、そこに福祉の関係機関等も加えた新たなネットワークを検討していきます。  県教育委員会としては、引き続き、知事部局とも連携しながら、こうした取組によって、不登校の子供の教育機会をしっかりと確保してまいります。  次に、公立小・中学校における食育の推進についてです。  成長期にある子供たちが、毎日の食事を通じて、食に関する正しい知識や食習慣を身につけることは、健全な体をつくり、豊かな心を育む上で大変重要です。  県教育委員会ではこれまで、食育の中核を担う栄養教諭を段階的に配置してきました。現在、政令市を除く県域の小中学校には、おおむね6校に1名の割合となる80名を配置しています。  栄養教諭は、その専門性を生かし、食育に関する指導計画を立て、教員や地域の方々の協力も得ながら、特色ある取組を行っています。  具体的には、学校図書館の本に登場する献立を給食に取り入れたり、子供たちが地域の方々と栽培した野菜を献立に使う地産地消給食など、児童・生徒が食に対する興味・関心を高める工夫を図っています。  県教育委員会では、こうした優れた食育の取組を行っている学校を学校給食優良学校として表彰し、その活動を広く公立小中学校に発信しています。  県教育委員会としては、こうした取組を通じて、学校における食育のより一層の推進に取り組んでいきます。あわせて、食育の中核を担う栄養教諭の配置について、引き続き検討してまいります。  以上でございます。  〔永田磨梨奈議員発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 永田磨梨奈君。  〔永田磨梨奈議員登壇〕 ◆永田磨梨奈議員 知事並びに教育長、そして県土整備局長におかれましては御答弁を頂き、ありがとうございました。  1点、再質問させていただきます。  起業準備者に向けた支援についてです。  HATSU鎌倉における3年間の取組の成果を踏まえて、今年度から県全域で起業家を創出していくため、県央地域や県西地域においても取組を開始し、これまで順調に進んでいるとのことであり、今後の展開を期待しています。  一方で、HATSU鎌倉は、県の起業家創出を担う、いわゆる先駆者として、この3年間で起業家や支援者による活発なコミュニティーが形成され、さらに地元の企業や市民などの協力者にも囲まれ、地域に深く根差した拠点になろうとしている最中であります。起業にとって大変有利な環境が整っており、後続する厚木や小田原をはじめ、ほかの支援拠点の模範になるものと考えています。  そこで、再質問します。  HATSU鎌倉における取組を今後どのように深め、展開していこうと考えているのか、見解を伺います。  以上です。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) それでは、再質問にお答えいたします。  HATSU鎌倉は、県として初めて開設しました起業家創出拠点でありまして、フラッグシップとしての知名度に加えまして、3年にわたって地域で積み重ねてきた様々なノウハウがあります。  今後、地元の鎌倉市との連携をさらに深め、市の商工施策の推進でありますとか、地域課題の解決、こういったものに資する起業家を創出する取組、これを地域に寄り添った事業を展開していきたいと考えています。  また、近隣の市町との連携にもさらに力を入れて、特に、三浦半島から湘南にかけてのエリアにおいて、起業準備者による実証事業の実施を促すなど、より広域的な拠点として、その役割を果たしてまいりたい、そのように考えております。  答弁は以上です。  〔永田磨梨奈議員発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 永田磨梨奈君。  〔永田磨梨奈議員登壇〕 ◆永田磨梨奈議員 起業準備者に向けた支援について、再質問にお答えを頂きました。  起業準備者に向けた支援拠点を県内横展開していくことは、今後も積極的に行っていくべきと考えています。しかし、横展開を行っていく中で抜けてはいけない視点は、既存の支援拠点の活用の深め方であると考えています。  HATSU鎌倉の設置後およそ3年の中で、若年層の起業家やベンチャー企業育成の流れが根づき、クリエーティブな人材の集積が新たなイノベーションを呼び起こし、また、その価値を求めて新たな人材が集うという好循環が生まれています。  HATSU鎌倉から事業化した事業者も、市内で活躍している例も多くあります。この流れを断絶することなく、横展開により、相乗効果が生まれていくような活用方法も、今後も継続していくことを求めたいと思います。  それでは、時間が許される限り、そのほかの項目の意見、要望を申し上げたいと思います。  まず初めに、公立小・中学校における不登校の児童・生徒への支援についてであります。  言うまでもなく、不登校は、どの児童・生徒にも起こり得ることです。その中で、学校内外のいずれの機関においても相談につながっていない不登校の児童・生徒は、家庭での学習を余儀なくされています。どのような児童・生徒も教育を受ける権利はひとしくあり、一日でも早く、このような状況を改善すべきであると考えています。  こうした児童・生徒が早く相談につながるためには、支援のネットワークを整備することをはじめとした積極的な取組が不可欠です。フリースクール等との連携や、教育支援センターの専任教員への研修など、今後もさらに充実したものになるよう、進めていただきたいと考えています。  そして、家庭の経済状況に左右されることなく、誰もが教育を受けることができるためには、公的機関の支援の充実が最優先であることは言うまでもありませんが、質問の中でも申し上げたとおり、現状、教育支援センターに通っている不登校児童・生徒の人数は全体のたった7.7%であります。  そして、フリースクール等の民間団体や民間施設の活用も4.5%、そしてこのうち、家庭の経済状況を鑑みて、通学することを断念している児童、家庭があるということも聞いているところです。  この事実を鑑みますと、フリースクール等民間施設への選択が、家庭の経済状況によって左右されないよう、支援の在り方を検討することが喫緊の課題であることは明白であると考えています。子供たちにとっての一日一日は、かけがえのない時間です。一日も早い検討を求めます。  また、改めてになりますが、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等の専門的な知見を生かすことで、不登校の未然防止や早期対応の取組がさらに充実していくとも考えます。  今後、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等の活用による教育相談体制のさらなる充実も併せて要望します。  そして、フリースクール等によっては、県が新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を財源として実施している子どもの居場所づくり推進委託事業を活用し、不登校の未然防止や早期対応の事業を行っているところもあると聞きます。  しかし、来年度以降も、この交付金が継続するか未定であるとも聞いています。こうした取組が切れ目なく続きますよう、県としても、国に対して、引き続きの交付金継続の要望をしていただきますよう、重ねて求めます。  私は、不登校になっている子供たちが、自分はおかしいのではないか、そして、お子様を抱えられている御家族が、自分の子供は何かほかの子に比べて問題があるのではないかなど、追い詰められることは決してあってはならないと考えています。今の状況、今、こうでいいんだ、みんなと違ってもいいんだ、自己肯定感が高められるような、温かみのある支援を切にお願いを申し上げたいと思います。  続いて、公立小・中学校における食育の推進についてです。  食は生涯にわたって続く生きる基本であり、食育は、子供たちの将来の健康の土台を築く重要なものであります。その中核を担うべきであるのが栄養教諭ですが、本県においては、残念ながら、その人数においては、全国でも下位に位置をしています。  本県には神奈川県立の保健福祉大学があり、保健福祉大学において栄養教諭となるべく課程もありますが、資格取得後の県内学校への教諭としての就職率は非常に低くなっています。  もちろん、臨床の現場を望む卒業生も一定数いらっしゃいますが、例えば、2021年度の栄養教諭課程卒業生11名のうち、5名が栄養教諭・学校栄養職員への就職希望であり、そのうち県内の学校に就職ができたのは2名と聞いています。そして、その2名とも栄養教諭ではなく、栄養職員としての就職であったとも聞いています。  このことから、現在、県内の学校現場での栄養教諭としての新規採用そのものが、ほとんどない現状がうかがえます。  栄養教諭配置の効果として、児童の朝食欠食率が下がった、給食の残食率が下がったなどが報告をされています。このように、栄養教諭が中核となって、様々な工夫を凝らした指導を行うことで、食育の一層の充実が期待をされることから、国からも配置促進の通達が平成17年より出ているものと認識をしております。  県でも、栄養職員からの任用替えなど、御努力をされていることは承知していますが、今後も栄養教諭の適正配置を進めるとともに、栄養教諭の新規採用も増やし、学校における食育のさらなる推進に努めていただくよう要望します。  続いて、「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」の成立に伴う相談体制の充実についてです。  婦人相談員の育成をはじめとする相談体制の充実についてですが、婦人相談員同士の意見交換を含めた研修などをしていただくというお答えを頂きました。ありがとうございます。  相談体制を含む大本である県計画は、これから策定をされていくことは承知していますが、市町村に対して早期から働きかけ、認識を持ってもらうことが大事であります。地域性もあり、市町村の計画は努力義務ではありますが、どの市町村も計画を策定してもらえるよう、県の姿勢を示していくことが肝要です。  女性保護事業はこれまで、県が行っていることという意識も強かったと思いますが、県と市町村が共にやっていくんだという意識改革を県のリーダーシップの下、目指していただくことを求めたいと思います。  以上をもちまして、私の一般質問を終わらせていただきます。  最後まで御清聴いただき、誠にありがとうございました。                               〔拍 手〕 ○議長(しきだ博昭) お諮りいたします。  本日の質問はこの程度で終わり、次回、引き続き質問並びに質疑を行いたいと思いますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(しきだ博昭) 御異議がないと認めます。  よって、本日の質問はこれで終わります。   ─────────────────────────────────────── ○議長(しきだ博昭) 以上で、本日の日程は終了いたしました。  お諮りいたします。  明21日は休会いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
    ○議長(しきだ博昭) 御異議がないと認めます。  よって、そのように決しました。  次回の会議は、9月22日午前10時30分に開きます。  本日はこれで散会いたします。誠に御苦労さまでした。                  午後4時47分 散会...