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09月14日-04号

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  1. 神奈川県議会 2022-09-14
    09月14日-04号


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    令和 4年 第三回 定例会 △《本会議録-令和4年第3回-20220914-029288-諸事項-出席議員等・議事日程-》 令和4年第3回神奈川県議会定例会会議録第4号〇令和4年9月14日 午後1時開議   ───────────────────────────────────────〇本日の出席議員 議長共102名       出 席 議 員                       大   村       悠                       桝       晴 太 郎                       永   田   磨 梨 奈                       加   藤   ご   う                       永   田   て る じ                       菅   原   あきひと                       須   田   こうへい                       す と う   天   信                       上   野   た つ や                       石   田   和   子                       田   村   ゆうすけ                       松   長   泰   幸                       山   口   美 津 夫                       高   橋   延   幸                       武   田       翔                       田   中   信   次                       川   崎   修   平                       神   倉   寛   明                       お ざ わ   良   央                       た め や   義   隆                       飯   野   まさたけ                       望   月   聖   子                       佐 々 木   ナ オ ミ                       柳   瀬   吉   助                       市   川   さ と し                       佐   藤   けいすけ                       大   山   奈 々 子                       君   嶋   ち か 子                       池   田   東 一 郎                       石   川       巧                       芥   川       薫                       川   本       学                       市   川   和   広                       山   本       哲                       綱   嶋   洋   一                       新   堀   史   明                       田   中   徳 一 郎                       山   口   貴   裕                       野   田   治   美                       脇       礼   子                       石   川   裕   憲                       米   村   和   彦                       小   林   大   介                       京   島   け い こ                       井   坂   新   哉                       佐 々 木   ゆ み こ                       楠       梨 恵 子                       西   村   く に こ                       谷   口   かずふみ                       藤   代   ゆ う や                       渡   辺   紀   之                       原       聡   祐                       高   橋   栄 一 郎                       あ ら い   絹   世                       柳   下       剛                       細   谷   政   幸                       河   本   文   雄                       内   田   み ほ こ                       中   村   武   人                       古   賀   照   基                       青   山   圭   一                       斉   藤   た か み                       赤   野   た か し                       さ と う   知   一                       亀   井   たかつぐ                       佐 々 木   正   行                       渡   辺   ひ と し                       小 野 寺   慎 一 郎                       長   田   進   治                       国   松       誠                       杉   本       透                       し き だ   博   昭                       小   島   健   一                       いそもと    桂 太 郎                       梅   沢   裕   之                       嶋   村   た だ し                       桐   生   秀   昭                       市   川   よ し 子                       岸   部       都                       く さ か   景   子                       作   山   ゆうすけ                       菅   原   直   敏                       北   井   宏   昭                       相   原   高   広                       鈴   木   ひ で し                       藤   井   深   介                       森       正   明                       土   井   りゅうすけ                       杉   山   信   雄                       小   川   久 仁 子                       持   田   文   男                       竹   内   英   明                       浦   道   健   一                       加   藤   元   弥                       松   田   良   昭                       牧   島       功                       堀   江   則   之                       松   本       清                       た き た   孝   徳                       松   崎       淳                       近   藤   大   輔                       曽 我 部   久 美 子       欠 席 議 員                       栄   居       学       説明のための出席者         知事            黒   岩   祐   治         副知事           武   井   政   二         同             小 板 橋   聡   士         政策局長          平   田   良   徳         総務局長          筒   浦   浩   久         国際文化観光局長兼         拉致問題担当局長      香   川   智 佳 子         環境農政局長        鈴   木   真 由 美         福祉子どもみらい局長    橋   本   和   也         産業労働局長        河   鍋       章         県土整備局長        大   島   伸   生         会計管理者兼会計局長    落   合   嘉   朗         共生担当局長        川   名   勝   義         教育委員会教育長      花   田   忠   雄         同  教育局長       田   代   文   彦         代表監査委員        村   上   英   嗣         監査事務局長        門   脇       努         公営企業管理者企業庁長   髙   澤   幸   夫         企業庁企業局長       柏   﨑   克   夫   ───────────────────────────────────────       議会局出席者         議会局長          浦   邊       哲         議会局副局長兼総務課長   高   瀨   正   明         同  議事課長       井   上       実         同  政策調査課長     大 河 原   邦   治   ───────────────────────────────────────           令和4年第3回神奈川県議会定例会議事日程第4号                            令和4年9月14日午後1時開議第1 定県第 71 号議案 令和4年度神奈川県一般会計補正予算(第2号)   定県第 72 号議案 同  年度神奈川県水道事業会計補正予算(第1号)   定県第 73 号議案 神奈川県公報による公告の見直しに伴う関係条例の整理に関する条例   定県第 74 号議案 神奈川県当事者目線の障害福祉推進条例   定県第 75 号議案 地方税法第37条の2第1項第4号に掲げる寄附金を受け入れる特定非営利活動法人等を定める条例の一部を改正する条例   定県第 76 号議案 神奈川県県税条例の一部を改正する条例   定県第 77 号議案 神奈川県みんなのバリアフリー街づくり条例の一部を改正する条例   定県第 78 号議案 神奈川県立の高等学校等の設置に関する条例の一部を改正する条例   定県第 79 号議案 工事請負契約の締結について(一級河川矢上川地下調節池トンネル本体Ⅰ期工事請負契約)   定県第 80 号議案 特定事業契約の締結について(県営上溝団地特定事業契約)   定県第 81 号議案 特定事業契約の締結について(県営追浜第一団地特定事業契約)   定県第 82 号議案 指定管理者の指定について(伊勢原射撃場)   定県第 83 号議案 指定管理者の指定について(湘南港)   定県第 84 号議案 指定管理者の指定について(葉山港)   定県第 85 号議案 和解について   県報第2号 専決処分について承認を求めること(動産の取得について)   県報第3号 専決処分について承認を求めること(損害賠償請求訴訟の判決に対する控訴について)第2 認第1号 令和3年度神奈川県公営企業決算及び神奈川県流域下水道事業決算の認定について   ─────────────────────────────────────── △《本会議録-令和4年第3回-20220914-029289-質問・答弁-相原高広議員-代表質問①大都市制度に関して②県立中井やまゆり園と本県の児童相談所に関して③本県の不登校への対応に関して④新型コロナ対策事業の検証と外部監査制度の活用に関して⑤本県の相模川以西の地域と大学との関係に関して⑥教員の確保に関して⑦監査機能の充実に関して》    〔議会局長報告〕  出席議員 議長共101名 ○議長(しきだ博昭) ただいまから、本日の会議を開きます。   ─────────────────────────────────────── ○議長(しきだ博昭) 審議を行います。  日程第1、定県第71号議案 令和4年度神奈川県一般会計補正予算外16件及び日程第2、認第1号 令和3年度神奈川県公営企業決算及び神奈川県流域下水道事業決算の認定について、以上一括して議題といたします。  これより質問並びに質疑を行います。  質問の通告がありますので、順次発言を許します。  相原高広君。  〔相原高広議員登壇〕(拍手) ◆相原高広議員 議長のお許しを頂きましたので、私は、県政会神奈川県議会議員団を代表して、通告に従い、知事と教育長と代表監査委員に質問させていただきます。  黒岩知事並びに花田教育長、村上代表監査委員におかれましては、何とぞ明快かつ高邁な御答弁をよろしくお願い申し上げます。  質問の第1は、大都市制度に関して知事にお尋ねします。  私は本年6月に、特別自治市構想に関して知事に質問したところですが、今日は、大都市制度に関してです。  現在、我が国の大都市制度としては、二つの制度が存在しています。  一つは、地方自治法にある大都市に関する特例としての指定都市制度であり、実際に全国に20の指定都市が存在しています。  もう一つは、大都市地域における特別区の設置に関する法律に基づく都区制度・都構想と言われるものであり、東京都の特別区制度を準用しています。  さらに、今日、制度としては存在していませんが、特別自治市制度、いわゆる特別自治市・特別市構想の提案があります。  本県は、現時点では指定都市制度を堅持し、この制度の枠組みの中での改良を指向しているところです。  私は、この本県の方針を十分理解しますが、同時に、我が国の大都市制度が10年、20年、30年後まで現状のままとは考えられません。本県行政としては、出現する選択肢は全てしっかりと勉強して、将来に備えるべきだと考えます。  都区制度・都構想は、平成24年に当時の自民党、民主党、公明党、みんなの党などの与野党7会派が共同提案する議員立法により成立し、既に約10年間が経過し、東京都の特別区制度を準用していますので、具体的な姿が相当明確であり、加えて、大阪府・大阪市では、制度移行の最終段階の住民投票まで2回も至ったことから、移行の参考例があり、勉強の材料は十分にそろっています。  いわゆる特別自治市・特別市構想については、本県は既に、今年3月に、特別自治市構想に対する神奈川県の見解において、法制度化の必要なしとの公式見解を出していますので、この構想については、当面、専門家による議論の推移を見守り、法制化については、最終的には、国民、県民の皆様の皆様の民意に委ねることになるのかと思います。  いずれにしても、県行政としては、我が国の大都市制度に関しては、将来に備え、現行の指定都市制度の枠組みの中での改良を含めて、幅広く十分に勉強していくことが肝要と確信するところであります。  そこで、知事にお伺いします。  以上、申し述べました点を十二分に踏まえていただきまして、今後の大都市制度の議論に対して、どのように向き合っていくのか、知事の御所見をお伺いいたします。  質問の第2は、県立中井やまゆり園と本県の児童相談所に関して、知事にお尋ねします。  県直営の県立障害者支援施設である県立中井やまゆり園の問題では、今月、9月5日に、県立中井やまゆり園における利用者支援外部調査委員会から、大変に厳しい内容の最終的な調査結果報告書が出されました。  また、児童相談所の問題では、中央児童相談所厚木児童相談所が担当した案件で、大和市で児童虐待死亡事件と厚木市で車内放置による児童死亡事件の大事件が発生しています。児童が亡くなる事件の発生は誠に遺憾です。  今後の対応で共通をするのは、検証委員会の検証結果の速やかな実行ですが、そこで指摘された内容は、必ず実施すべき最低限の事項として認識すべきであり、指摘のなかった部分については、全く問題がなかったなどと受け止めてもらっては困ります。  児童相談所に関しては、重大事件の発生が連続している以上、考えられる事項については、順次、検討を行うべきと強く要請します。  例えば、役割分担の面では、児童相談所業務の民間団体等へのさらなる委託、人事の面では、児童福祉法が定める児童相談所所長の資格区分は7区分ありますが、現時点では、本県の六つの児童相談所所長とも、児童福祉司として2年以上勤務した者または児童福祉司たる資格を得た後2年以上所員として勤務した者の区分からの登用となっていますので、このことへの検討が必要です。  そこで、本県福祉部門の全ての職員の奮起を強く求めつつ、知事にお伺いします。  まず、基本的な確認になりますが、本県直営の障害者支援施設である県立中井やまゆり園と本県の児童相談所における事件、事故、不祥事等の続発について、知事の御所見をお伺いいたします。  その上で、県立中井やまゆり園の問題では、最終の調査報告書で指摘された内容については、即時の実行を求めるところですが、調査結果報告書で指摘された内容に対する取組について、知事の御所見をお伺いいたします。  また、児童相談所の問題では、今後に出される外部検証委員会の報告が重要となりますが、先ほど指摘しました児童相談所の業務の民間団体等への一層の委託の検討及び児童相談所の所長の人事における資格区分の検討を含め、今後の児童相談所の運営につきまして、知事の御所見をお伺いいたします。  質問の第3は、本県の不登校への対応に関して、知事にお尋ねします。  私は、学校における児童・生徒の不登校は、学校問題にとどまらず、長期の年月にわたる教育問題、青少年問題、福祉問題等の広範な領域の重要課題と認識しています。  現在、児童・生徒の不登校は、大変に残念ながら増加傾向にあり、一層深刻な状況と受け止め、強い危機感を持っており、知事が統括者となって、強力な取組を強く求めるところでございます。  小中高校で不登校を経験した児童・生徒、その中でも、長期の不登校を経験した児童・生徒のその後の状況については、網羅的で精密な把握が難しいとされますが、厚生労働省の「社会的ひきこもり」に関する相談・援助状況実態調査報告によれば、社会的ひきこもりのうち、小中学校時代に不登校を経験した人は約3割とされており、長期間の不登校が継続した場合、単に学校に行けないというだけではなく、社会との接点を失い、社会的ひきこもりへ発展する可能性があります。  さらには、ニート問題にも大いに関係があるかと思います。社会的ひきこもりとニートは定義が異なりますが、ニートの人の中には、社会的ひきこもりの人が含まれる可能性が高いとの指摘があります。  不登校問題への対応では、教育委員会・学校依存の対策には限界があります。また、学校や教員に原因がある不登校の場合があり、わいせつ事件等の問題発生を踏まえれば、学校自身が不登校の原因者である側面を否定するわけにはいきません。  加えて、重要な点は、不登校対応の中でも、大変に厳しい状況に向き合い、セーフティーネットの役割を担っているのは、フリースクールフリースペース等の各地域の小規模の民間団体だと考えられることです。  基本的には、セーフティーネット機能は、公的機関もしくは公的資金が十分に投入される民間団体が担うべきでありますが、フリースクールフリースペース等と教育委員会との協力があっても、フリースクールフリースペース等に対する公的支援はほとんどない状態であり、セーフティーネット構築強化の観点から、公的支援が強く求められます。  不登校への対応では、行政的には、初期段階では、公立学校行政と私学行政の二つがありますが、最終的にはその区分の意味はなくなり、学校教育における課題から、教育問題、青少年問題、福祉問題の広範な領域かつ長期に及ぶ重大な社会的課題になります。それゆえ、不登校に対する取組では、本県として、知事が統括して強力な取組の推進を強く求めるところであります。  そこで、知事にお伺いします。  まず、不登校は、公立学校だけではなく、私立学校にもありますので、確認のため、本県内の私立学校の不登校の状況と、私立学校の対応及び本県の対応について、知事の御所見をお伺いいたします。  その上で、知事が統括者となって、本県の不登校の重要課題に対して強力に取り組むことについて、さらには、セーフティーネット構築強化の観点から、フリースクールフリースペース等の民間団体に対する支援について、知事の御所見をお伺いいたします。  質問の第4は、新型コロナ対策事業の検証と外部監査制度の活用に関して、知事にお尋ねします。  新型コロナウイルス感染症対策事業における不適切事案は、各種の対応により、時間の経過に伴い、減少して消えていくものと期待していましたが、なかなか難しいようであります。  大変に大きな金額になっています飲食店向け新型コロナウイルス感染症拡大防止協力金では、申請者側が制度を十分に理解する前に支給を受けられるものと考え、申請した場合が多くあったと思われます。  一方、審査・支給する側では、経験不足により、不十分な点があったと考えますが、加えて、短時間での支給への強い期待があり、補助金の支出としては異例の早さでの事務執行であったために、不十分さを避けられず、一概に関係部署の問題と批判するのは酷だとも感じています。  それゆえに、本県として十分な検証を行い、今後に生かすことが極めて重要と確信します。  また、検証手段の一つとして、外部監査制度のうちの包括外部監査制度の活用が考えられ、外部監査制度新型コロナ対策事業の検証に活用すれば、成果が出ると期待しています。  今までは、担当部署が大変に多忙ゆえに困難だと考えていましたが、来年度、令和5年度に、今年度の新型コロナ対策事業を外部監査のテーマにすることは極めて妥当だと考えます。  ただし、現状の包括外部監査制度では、監査するテーマについては、県があらかじめ決定することができず、最終的には、外部監査人が決定するルールになっていて、外部監査人が県民の皆様が期待する以外のテーマを選ぶ可能性をはらみます。  そもそも、この外部監査制度は、地方公共団体による不正な公金の支出への対策として、地方自治法を改正して平成10年から施行された制度であることから、テーマの決定については、地方公共団体の意思を排除する形になっていますが、もはや過去のような地方公共団体の大規模な公金の不正支出問題はないでしょうから、外部監査人が実施するテーマは、地方公共団体が責任を持って決定できる制度への改正を国に要望すべきと考えるところです。  そこで、知事にお伺いします。  まず、確認のため、飲食店向け新型コロナウイルス感染症拡大防止協力金における不適切案件の発生状況に関し、返還請求の状況、告訴の状況、申請の弾ごとの不適切の推移について、御報告をお願いいたします。  その上で、飲食店向け新型コロナウイルス感染症拡大防止協力金事業の検証の重要性と、検証の具体的な一つの方法として、外部監査制度のうちの包括外部監査制度を活用することについて、加えて、外部監査制度の一層の充実のための国に対する要望について、知事の御所見をお伺いいたします。  質問の第5は、本県の相模川以西の地域と大学との関係に関して、具体的な地域としては、足柄下郡、小田原市、南足柄市、足柄上郡、中郡、平塚市、秦野市、伊勢原市の地域を念頭に、知事にお尋ねします。  我が国は、東京に立法、行政、司法の三権の機能が置かれ、それを基に、経済、教育、スポーツ、文化、エンターテインメント、医療等のおよそ考えられる社会機能の全ての中心が東京になっています。  これは、世界各国の首都と比較しても、圧倒的に突出した機能集中であり、首都・東京は、経済的に極めて豊かになっています。よって、東京に隣接する地域、本県では、横浜市、川崎市、相模原市、大和市の4市と、この4市に近接する地域は、東京と相当程度一体化し、経済的に豊かな地域を実現しています。  また、本県は、他県で従業・通学している流出人口が全国1位であり、東京との関係性の強さが間違いなく認められます。それゆえに、東京から離れた相模川以西の地域に対して、県は強く留意をするべきと考えるところです。  持続的な地域経済の実現には、我が国を代表する企業、とりわけ製造業の大規模製造拠点の進出が一番よいと考えられ、本県のセレクト神奈川100に大きな期待をしますが、大規模拠点の進出は、なかなか容易なことではなく、他の方策も重要になります。  県及び該当の市町による努力にもかかわらず、完全な決め手が確定していないのが率直なところと感じる中で、私は、この地域に立地する大学に、大いに期待をしているところです。  大学が立地することによる効果には、高等教育の機会増、人材の育成、研究開発の向上、地域イメージの向上、来訪者の増加、地域の活性化等が考えられますが、これまで教育・研究の観点は十二分に意識されたとしても、地域への経済効果を強く意識しての政策立案は少なかったと感じます。  大学立地による地域への経済効果には、教職員や学生が地域で消費活動を行うことにより生まれる効果や、施設の新築や修繕のための投資により生まれる効果など、多岐にわたりますので、大学立地による経済効果は、本県東部の地域と比較して、相模川以西の地域では、大変に大きな比重を占めます。  よって、相模川以西の地域に立地する大学のキャンパス移転や規模縮小は、この地域にとって間違いなく大きな打撃となります。実際、神奈川大学の湘南ひらつかキャンパスから横浜市内への学部移転では、平塚市を中心に大きな影響があると聞くところです。  大学立地による経済効果等を永続的に維持する取組が大変に重要になります。  さらに、相模川以西の地域の人口減少や高齢化等の厳しい状況を踏まえますと、本県と大学との研究や教育面での連携強化のみならず、相模川以西の地域の維持と活性化の観点から、県外から、この地域の大学で学ぶ学生の通学費用や下宿費用に対しての支援などの検討をする必要性を感じるところでもあります。  そこで、知事にお伺いします。  相模川以西の地域の状況を十分に認識した上で、相模川以西の地域に立地する大学が該当地域にもたらす大きな経済的効果の重要性を踏まえて、相模川以西の地域に立地する大学と本県との連携強化について、知事の御所見をお伺いいたします。  質問の第6は、教員の確保に関して、教育長にお尋ねします。  本県のみならず、全国的に教員の確保は切実な課題になっていますが、私は、県教育委員会の対応を評価しているところです。むしろ、これ以上の対応は、場合によっては、広い意味での縁故採用との指摘が出るのではないかと心配さえします。  県教育委員会の取組によっても、本県の教員採用応募者の増加が見られないのは、県教育委員会の問題ではなく、現在の我が国の教員免許制度に問題があり、国に対して的確な要望を行うことが肝要と確信しています。  本県教育委員会も加わる全国都道府県教育委員会連合会は、本年、令和4年6月に文部科学大臣宛てに、教員不足の解消に向けた包括的な要望について、との要望を出していますが、この要望書も含めて、教員の志願者減少対策として出てくるのは、教員免許状を持った人が教員になる比率を上げる内容ばかりであり、教員が現代社会の急速な変化や価値観の多様化に対応できているのか、日本の教員養成に硬直化傾向がないのか、危惧します。  日本の教員養成は、大学で必要単位の取得により、教員免許を取得する制度であり、教員養成系大学・学部の卒業生が教員になることを前提につくられていますが、これは、昭和40年代、50年代ぐらいまでは妥当な制度であったと考えますが、現在、我が国は世界の中でも、多くの国民が高等教育を受けている国であり、教員になることができる人材はあふれていると捉えています。  また、多様な経験を持つ人材の確保の観点からも、大学で必要単位を取得して教員免許を取得する実質的に一本だけの制度からの転換が必要とも考えます。よって、試験による教員免許の制度の早急な導入を強く期待するところです。  さらに、特別免許状の授与の制度は、現行のものから、資格基準を明確に設定した上で、資格基準を満たす申請者には、教員免許状を順次授与する制度に改正すべきと考えます。  私は、単位取得による教員養成の制度とともに、多様な経験を持つ人材や、高度な専門知識を持つ人材が教員になることができる制度創設が重要と考えます。同時に、これは教員志願者減少対策にも大きく貢献するものと確信するところです。  そこで、教育長にお伺いします。  まず、教員採用試験応募者確保に対する県教育委員会の取組と、その結果としての応募者状況の変化についての御報告とともに、県教育委員会のこれまでの対応に対する評価について、教育長の御所見をお伺いいたします。  また、既に申し上げましたとおり、教員免許制度を改正すべきと考えますが、教育長の御所見をお伺いいたします。  質問の第7は、監査機能の充実に関して、代表監査委員にお尋ねします。  私は、監査機能の充実への期待は年々高まっていると考えており、監査委員並びに監査事務局の職員の皆さんの貢献を大いに願うところでございます。  公金支出に対する住民の高い関心、低経済成長化による高まる緊張感、人口減少下の厳しい労働環境、厳しい財政状況下での的確な行財政運営への要求等は、時代の要請であり、監査機能の充実期待への要因と考えます。  毎年度の監査実施方針では、公正で効率的な行財政運営の推進を促すため、不適切な事案の有無を監査するとされており、いつの時代でも監査に求められる最も基本的なことがしっかりと明記されています。  監査の結果、是正、改善等の必要があった場合には指摘をすることになりますが、その指摘は、不適切事項と要改善事項に区分され、指摘に至らなかった場合でも、所管局長等に注意を行う注意事項の区分があります。  毎年度の監査結果からは、継続的に指摘あるいは注意を受けている部署が見受けられ、大変に気になるところです。  また、最近では、県の仕事が適法に行われているかだけでなく、厳しい財政状況を反映して、最小の経費で最大の効果を上げているか、組織及び運営の合理化に努めているかなど、経済性、効率性、有効性の視点での監査が実施されていると承知しており、その成果に対しても大きな期待をしております。  加えて言えば、本県では、平成22年に神奈川県監査委員に関する条例を改正し、監査委員の定数を4人から5人に増員していますので、監査機能の一層の充実強化が図られたものと考えるところでございます。  そこで、代表監査委員にお伺いします。  まず、継続的に指摘や注意を受けている部署の状況について御報告を頂くとともに、それへの対応につきまして、代表監査委員の御所見をお伺いいたします。  次に、経済性、効率性、有効性の視点での監査に対して、大いに期待をしているところですが、経済性、効率性、有効性の視点での監査による、これまでの成果と今後の取組について、代表監査委員の御所見をお伺いいたします。  以上で、私の1回目の質問を終了いたします。  御清聴、誠にありがとうございます。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 相原議員の御質問に順次お答えしてまいります。  初めに、大都市制度についてお尋ねがありました。  大都市制度については、いわゆる都構想は既に法制度化されていますが、指定都市が提唱する特別自治市構想は、まだ法制度化されていません。これらの大都市制度の見直しは、指定都市と道府県間の二重行政などの行政課題の解消を目的とするものとしています。  県は、こうした行政課題について、現行制度の下で改善に努めており、指定都市との間では指定都市都道府県調整会議を開催し、パスポート発給事務に係る権限移譲を実現するなど、着実に成果を積み重ねてきました。  県では、指定都市との間に生じる課題については、現行の地方自治制度の枠組みの中で対応できるものと考えていますが、少子高齢化やデジタル化の進展など、今後、行政を取り巻く環境が大きく変化していく中で、よりよい制度の在り方を研究していくことは重要と考えています。  特に、全国最多の3指定都市が所在する本県において、大都市制度は、広域自治体としての県の役割だけでなく、県民生活や市町村の行政サービスに大きく関わるテーマです。  県としては、常に住民目線に立って、将来にわたって持続可能な行政運営を目指し、大都市制度を含む地方自治の在り方について、幅広に研究、検討を進めてまいります。  次に、県立中井やまゆり園と本県の児童相談所に関してお尋ねがありました。  初めに、県直営の障害者支援施設と、本県の児童相談所における事件、事故、不祥事等についてです。  中井やまゆり園では、県が把握した91件のうち、41件もの多くの不適切な事案が明らかになりました。中には、暴力行為としか言いようがない事案もあり、人権意識の欠如と言わざるを得ません。  県立中井やまゆり園については、県直営の施設でありながら、多くの虐待事案を起こしたことに対して、誠に申し訳なく、利用者、御家族をはじめとする関係者の皆様、そして、県民の皆様に改めておわび申し上げます。  また、県の児童相談所が関わっていたお子さんの貴い命が、虐待により失われたことについては、大変重く受け止めています。  今年に入り、大和市や厚木市で保護者が逮捕されるという、社会的に注目される事件が続き、こうした痛ましい事件を繰り返さぬよう、しっかりと検証し、再発防止に取り組んでいきます。  次に、中井やまゆり園に関する調査報告書で指摘された内容に対する取組についてです。  外部調査委員会からは、虐待という事象に対する知識、意識ともに欠如している、トイレが汚いなど、人間らしい生活を送れなくなっているといった、大変厳しい指摘を受けました。  既に本年4月から、民間アドバイザーによる助言や、本庁幹部職員の園への常駐などにより、利用者支援の改善やマネジメントの向上に取り組んでいます。  また、トイレ改修など生活環境の整備については、早期に工事着手するなど、できるところから速やかに改善に取り組んでいます。  報告のあった一件一件について、なぜ起きたのか、しっかり検証し、本庁と園が一体となって改善を全力で進め、当事者目線の障害福祉のモデルとなれるよう、中井やまゆり園を生まれ変わらせたいと考えています。  次に、児童相談所についてです。  児童相談所は、増え続ける虐待相談への対応や、子供の相談、心理判定、一時保護所の運営など、業務が多岐にわたり、その業務量も年々増加し、効率的な運営が求められています。  委託については、一時保護や立入調査など行政権限を伴う業務は、法の規定により、困難ですが、民間のノウハウ活用などの観点から、虐待専用ダイヤル「189」の電話受付や、里親委託に関する業務などを委託しています。  引き続き、他自治体の事例も参考にするなど、児童相談所の負担軽減に向けて、委託可能な業務を検討していきます。  また、所長については、法で、医師、社会福祉士等の資格や、児童相談所の勤務経験に着目した任用資格が定められています。こうした有資格者の中から、適材適所の観点で所長の登用を行ってきましたが、結果として、児童相談所経験者を多く配置してきました。  今後は、児童相談所の運営について、より一層のリーダーシップが発揮できる優れた人材を、他の任用資格の登用も含めて検討していきます。  引き続き、業務の効率化や優れた人材の登用などにより、児童相談所の適正な運営に努めてまいります。  次に、本県の不登校への対応に関してお尋ねがありました。  まず、私立学校の不登校の状況ですが、令和2年度の県の調査では、県の小中高校全体で869人という結果でした。県内の私立学校では、国から認定を受けた不登校特例校のほか、9割を超える学校でスクールカウンセラーを配置するなど、不登校対策に取り組んでいます。  県では、こうしたスクールカウンセラーの配置等に対して、経常費補助による財政支援を行うほか、県教育委員会が実施する教員向けの不登校に関する研修会に、私学の教員に参加を促すなどの支援を行っています。  次に、私が統括者となって、本県の不登校の重要課題に取り組むことについてです。  不登校が長期化すると、社会とのつながりが希薄になり、ニートやひきこもり、さらには貧困など、様々な問題が派生して起こる可能性があります。  そこで、不登校の課題に対しては、教育現場における様々な取組のほか、県の青少年センターにおいても、年齢の境目なく、電話やSNSを用いて不登校やひきこもりの相談に対応しています。  知事である私は、県政全体を統括し、総合的、一体的な行政運営をつかさどる立場にありますので、引き続き知事部局と県教育委員会が緊密に連携し、県庁全体として実効性のある対策を推進してまいります。  最後に、フリースクール等の民間団体に対する支援についてです。  不登校などの子供たちが安心して過ごせる貴重な場を提供し、活動している団体を支援することは大変重要です。  県の青少年センターでは、フリースクール等の活動を行うNPO等を支援するため、活動場所の提供のほか、交流会や研修会の開催など、団体スタッフのスキルアップを支援しています。  さらに、県教育委員会が設置している神奈川県学校・フリースクール等連携協議会では、県の関係機関も構成員となって連携の在り方を議論しています。  今後は、この協議会のネットワークを活用するなど、不登校支援を行うフリースクール等のニーズをしっかりと把握して、必要な支援をさらに進めてまいります。  次に、新型コロナ対策事業の検証と外部監査制度の活用についてお尋ねがありました。  まず、飲食店向け新型コロナウイルス感染症拡大防止協力金についてです。  これまでに協力金の返還を請求した事案は約1,000件、9億6,000万円となっており、このうち約300件、3億5,000万円は、いまだに未納となっているため、現在、強く返還を求めているところです。  また、県が返還請求している相手方の中には、詐欺が疑われる者もあり、既に2名を県警察に告訴しています。今後も、こうした不正事案に対しては厳正に対処していきます。  さらに、全体の交付件数に対する返還請求件数の割合は、平均して0.2%程度ですが、先行交付があった第13弾から第15弾は0.4%程度と、少し割合が高くなっています。  次に、協力金事業の検証についてです。  この事業は、県の要請に基づき、時短営業等に協力していただいた飲食店に対し、協力金を迅速に交付していくため、何よりもスピードを重視して交付事務を進めてきた結果、不適切な受給も発生しています。  そこで、今後、大量かつ迅速な給付を必要とする事業を実施する際に、不適切な事案を未然に防止するためにも、改めて、これまでの協力金事業の全体を振り返り、検証していくことが重要と考えています。  続いて、包括外部監査制度の活用についてです。  包括外部監査は、弁護士、公認会計士等の外部の専門家を監査人として、独立性を持って監査を行う制度であり、財務事務が適正に執行されたか否かだけでなく、事業そのものの有効性についても監査を行うことが可能です。  協力金事業は、地方創生臨時交付金の財源として、全国一律の制度要綱に基づき執行されているため、その有効性を含めて、外部の専門家に検証をいただくことは、今後、国や自治体が同種の事業を検討し、執行する上で参考になるものと考えます。  しかし、現行の制度では、外部監査人が監査のテーマを決定することとなっており、県が自ら決定することができないため、今後、自治体が監査のテーマ決定に関与できるよう、制度の見直しを国に働きかけていきたいと考えています。  最後に、本県の相模川以西の地域と大学との関係についてお尋ねがありました。  相模川以西の地域では、一部の市町で人口減少が続いており、とりわけ、若い世代の転出が課題となっていることから、若い世代が集まる大学は、重要な地域の財産であると考えています。  大学の立地による経済的効果としては、例えば、大学運営に関する直接的な支出だけでなく、教職員や学生が地域で生活する上での消費効果などがあり、大学は地域経済において大きな役割を果たしています。  こうした役割を担う大学に、相模川以西の地域に存続していただくためには、県との連携を通じて、民間企業との共同研究の推進や、地域連携を重視する国の研究費獲得などにつながるといった事例を多く生み出すことが必要だと考えています。  例えば、最近では、食品が体にどのような影響を与えるのかを確認したい企業と大学を県がつなぐことで、相模川以西の地域において、そうした実証を行う仕組みが首都圏で初めて構築されました。これが大学の強みとなって、他の食品関連企業との連携にも発展しています。  また、生活習慣病の研究には膨大なデータが必要ですが、そうしたデータを扱う全国的なネットワークへの参画を県が橋渡ししたことから、大学の研究がより進展し、国の競争的資金獲得にもつながることが期待されています。  今後も、神奈川に立地していることの意義を十分感じてもらえるよう、引き続き大学と連携を進めていきます。また、大学がより地域に密着して活動を展開できるよう、地元市町や民間で構成する県西地域活性化推進協議会等においてニーズを伺い、必要に応じて調整を図っていきます。  大学は、本県にとって貴重な地域の財産であり、特に人口減少が続く地域にとって、経済的にも大きな役割を担っていることから、今後もこうした様々な取組を通じて、大学との連携を深めながら、相模川以西の地域の活性化につなげてまいります。  私からの答弁は以上です。  〔教育長(花田忠雄)発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 花田教育長。 ◎教育長(花田忠雄) 教育関係についてお答えします。  教員の確保に関してです。  県教育委員会ではこれまで、県内にとどまらず、教職課程のある全国の大学に出向き、教員の魅力や本県の働き方改革の取組を直接説明するほか、動画配信による広報、ペーパーティーチャー研修の実施など、教員採用試験の応募者確保に取り組んできました。  しかし、本県の応募者は、今年度は4,924人と、5年前の7,240人から年々減少しています。  応募者の確保に向け、県教育委員会として、可能な限りの取組を進めている中、本県も含め、全国的に教員応募者が減少している現状に、私としては大変強い危機感を持っています。  また、教員免許制度は、これまで我が国が進めてきた学校教育の根幹に関わる制度であり、その見直しは、国が主体的に取り組む必要があると考えています。  こうした中、現在、国の中央教育審議会の特別部会で、見直しに向けた議論が進められています。本年6月に出された審議経過報告の素案では、特別免許状制度の活用により、多様な専門性を持つ社会人を採用しやすくすることが必要などの考え方が示されました。  県教育委員会では、こうした国における議論を注視しながら、引き続き、できる限りの手段を尽くして、一人でも多く、教員応募者を確保できるよう、全力を挙げて取り組んでまいります。  私からの答弁は以上です。  〔代表監査委員(村上英嗣)発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 村上代表監査委員。  〔代表監査委員(村上英嗣)登壇〕 ◎代表監査委員(村上英嗣) 監査関係の御質問についてお答えいたします。  監査機能の充実に関してお尋ねがございました。  まず、継続的に指摘や注意を受けている部署の状況と、それへの対応についてです。  監査は毎年、約550か所を対象に実施していますが、このうち令和元年から3年までの定期の財務監査及び行政監査において、3回連続で指摘または注意を受けた所属は44所属、3回のうち2回指摘または注意を受けた所属は85所属です。  指摘を受けた所属に対しては、監査結果の通知から3か月以内に、その原因を分析し、再発防止策等の措置状況を報告するよう求めていますが、特に継続して指摘や注意を受けている所属に対しては、今後、再発防止策等の実施状況について、翌年の監査においてフォローアップ調査を行うなど、監査の実効性の確保に努めていきます。  次に、経済性、効率性、有効性の視点での監査によるこれまでの成果と今後の取組についてです。  監査委員が毎年度定める監査等実施方針に基づき、不適切な事案の有無を監査するほか、経済性、効率性、有効性の観点から、改善または見直しすべき事項がないかなど、要改善事項を指向した監査を実施しています。  例えば、令和3年監査においては、口座振替で自動車税を納付した方に対して、特段の必要性が認められないにもかかわらず送付しておりました納付済通知書等の送付を取りやめることや、沿岸漁業改善資金貸付事業で多額の貸付原資が活用されずに滞留していた状況を踏まえ、貸付需要に対応した適切な資金規模とすることにより、資金の有効活用を図ることについて改善を求めました。  こうしたことにより、経費削減や業務効率の向上、資産の有効活用が図られるなど、県の行財政運営において一定の成果が上がったものと認識しております。  今後とも、適正な事務執行の確保を図るための監査はもとより、経済性、効率性、有効性の観点からの監査を積極的に行うことを通じて、公正で効率的な県の行財政運営の推進を促すよう取り組んでまいります。  答弁は以上です。  〔相原高広議員発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 相原高広君。  〔相原高広議員登壇〕 ◆相原高広議員 知事、教育長、そして、代表監査委員におかれましては、丁重なる御答弁を賜りまして、誠にありがとうございます。  若干時間がありますから、幾つか要望等、発言をさせていただきたいと存じます。  まず、知事に対しましては、大きく五つのテーマについて、課題について質問をしたところでございます。  基本的には、十二分に私の主張を御理解を頂いたと受け止めておりますけれども、細部につきましては、今後さらに議論を積み重ねていきたいと思いますので、引き続きの御対応、また御尽力をよろしくお願いをいたします。  次に、教育長から御答弁を頂戴したところでございます。  質問の中でも述べましたように、私は、神奈川県教育委員会の取組は、おおむねやるべきことはやっているというふうに評価をしております。にもかかわらず、神奈川県のみならず全国的に教員不足の課題を抱えているということは、これは、それぞれの都道府県・市町村教育委員会の問題というよりも、国の教員免許制度に大きな課題があるからだと思っております。  質問の中でも申し上げましたように、どう考えても時代に合っていないのではないか、国の免許制度の改正こそが、我が国の教育の質の向上にもつながりますし、間違いなく、教員確保の課題解消にもつながると確信しておりますので、引き続き、国への要望等、御対応を賜りますように、心からお願いをいたします。  また、村上代表監査委員には、御丁寧に御答弁を頂きました。  私は代表監査委員を含め、監査委員の皆様、そして監査事務局の皆さんの貢献を大いに期待をしているところでございますので、どうぞ引き続きの御尽力を頂きまして、神奈川県行政の発展に御貢献賜りますように、心からお願いを申し上げます。  以上で、私の代表質問を終わります。  誠にありがとうございました。                               〔拍 手〕 ○議長(しきだ博昭) お諮りいたします。  休憩いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(しきだ博昭) 御異議がないと認めます。  よって、休憩いたします。  なお、再開は20分後といたします。                  午後1時53分 休憩       ───────────── ◇ ───────────── △《本会議録-令和4年第3回-20220914-029290-質問・答弁-石川巧議員-代表質問①地域の活性化に向けた取組について②広域自治体としての県の役割について③県政の諸課題について》                   午後2時15分 再開   〔議会局長報告〕  出席議員 議長共101名 ○議長(しきだ博昭) 休憩前に引き続き、会議を開きます。   ─────────────────────────────────────── ○議長(しきだ博昭) 質問を続行いたします。  石川巧君。  〔石川 巧議員登壇〕(拍手) ◆石川巧議員 三浦市選出の石川巧です。  自由民主党神奈川県議会議員団を代表し、新堀史明議員サポートの下、通告に従い、順次質問をさせていただきます。  知事、教育長におかれましては明快な御答弁を、また、先輩、同僚議員の皆様におかれましては、しばらくの間、御清聴のほど、よろしくお願いいたします。  〔資料提示〕  質問の第1は、地域の活性化に向けた取組についてであります。  初めに、本県の観光振興施策について伺います。  今年は3年ぶりに行動制限のない夏休みとなり、県内観光地でも久しぶりの旅行を楽しむ家族連れの姿が見られ、海水浴場も多くの観光客でにぎわいました。  一方で、感染拡大により、観光を控えた方々も少なくなかったようで、事業者からは、期待したほどの観光客は来なかった、直前になってキャンセルが相次いだとの声も聞いています。  観光産業は裾野が広く、いまだに多くの事業者が深刻なダメージを受けており、引き続き支援が必要です。  県では、コロナの影響が長期化し、疲弊した観光産業を支援するため、4月から、観光需要喚起策である「かながわ旅割」を実施しており、一定の経済波及効果もあったと考えます。  しかしながら、かながわ旅割については、1か月単位で延長が繰り返されることで、事業者に対して、業務上の負担や先行きに対する不安が生じていることも事実です。  また、県内の著名な観光地と言えば、横浜、鎌倉、箱根の3地域であり、コロナ禍であっても、観光客を引きつける魅力的な地域でありますが、県内には、この3地域だけでなく、各地に魅力的な観光資源が存在します。  これまでも県では、県内各地への観光を促すプロモーションを行ってきていますが、この3地域以外の地域への誘客は、まだまだ道半ばと考えます。  今後の観光需要については、感染者数の影響を受けながらも、少しずつ回復していくものと考えていますが、秋の行楽シーズンを迎えるに当たり、観光需要喚起策を継続することで、事業者を支援するとともに、県内各地への周遊観光を促すプロモーションを行うことで、地域経済の活性化につなげていく必要があると考えます。  そこで、知事に伺います。  コロナ禍での3年目となる今、県として、どのような観光需要喚起策を行い、周遊観光の促進に取り組んでいくのか、見解を伺います。  〔資料提示〕  次に、みどりの食料システム戦略に沿った取組についてであります。  我が国の農林水産業は、地球温暖化や大規模自然災害による収量の減少、品質の低下などの影響が生じているほか、生産者の減少等による生産基盤の脆弱化、新型コロナを契機とした生産、消費の変化など様々な課題に直面しています。  将来にわたって食料の安定供給を図るためには、SDGsや環境を重視する国内外の動きが加速していく中、持続可能な食料システムを構築することが急務となっています。  〔資料提示〕  2021年に農林水産省は、化学農薬の使用量50%低減や、有機農業の取組面積の割合25%拡大など、農林水産業が2050年までに目指す姿を示し、中長期的な観点から、生産から消費まで各段階における取組と、カーボンニュートラルなどの環境負荷軽減のイノベーションを推進していくため、農林水産業の生産力向上と持続性の両立を実現する、みどりの食料システム戦略を策定しました。  そして、この食料システム戦略の実現を図るため、環境と調和の取れたシステム確立に向けた基本理念や、国の基本方針及び地方公共団体の基本計画の作成、化学農薬の使用削減など、環境への負荷低減の事業計画の認定制度を定めた、いわゆる「みどりの食料システム法」が本年7月1日に施行され、農林水産省は基本方針を9月に公表し、農業分野を中心に、環境負荷低減事業活動を促進していくことにしています。  〔資料提示〕  本県の農業は、全国に比べて、農家1戸当たりの経営規模は小さいながらも、都市の地の利を生かして、県民に新鮮で安全・安心な食料を提供しています。  2020年の品目別の生産量を見ると、例えば、野菜は234万人分の消費を賄う約24万トン、果実は51万人分を賄う約2万4,000トンが生産され、都市部にありながら、食料供給にも重要な役割を果たしています。  また、農地があることにより、食料の生産に加え、水源の涵養や自然環境の保全など、多面的機能が発揮されるなど、県民の生活にとって大切な産業であります。  こうした農業の果たす機能や役割をしっかりと次世代に継承していくためにも、県と市町村が連携し、環境と調和が取れた食料システムの確立や、脱炭素などの視点から、しっかりと取組を進めていく必要があります。  そこで、知事に伺います。  持続可能な本県の農業の発展に向けて、県として、食料システム戦略に基づき、どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。  〔資料提示〕  次に、企業誘致策「セレクト神奈川NEXT」について伺います。  県では、県内経済の活性化と雇用の場の創出を目指し、インベスト神奈川以降、継続的に企業誘致施策を進めてきましたが、将来に向けて、県内経済の成長を持続させていくためには、引き続き、積極的に企業誘致に取り組んでいく必要があります。  〔資料提示〕  令和元年11月からは、セレクト神奈川NEXTにより企業誘致を促進しており、県外・国外の企業による投資に加え、県内企業の再投資に対しても立地支援を行うことにより、設備投資や操業時等における県内企業への発注、雇用の創出などの経済効果を着実に上げていると承知しています。  しかし、これまで県内への企業の立地は、みなとみらい地区に大企業の本社が移転してくるなど、横浜・川崎地域が多くを占め、立地が十分に進んでいない地域もあります。  また、企業からのニーズが高い高速道路等のインターチェンジ周辺の土地などに物流施設が多く立地し、県が企業誘致の対象としている製造業等の立地や、さがみロボット産業特区への企業進出が進まない状況も見受けられるなど、誘致の受皿となる産業用地の不足といった問題もあります。  このような状況の中、先日の新聞報道では、DXの進展やコロナ禍の影響によるテレワークの普及など、企業におけるオフィスの在り方について見直しが進められ、これまでの東京一極集中の流れが変わりつつあるとのことでありました。  〔資料提示〕  本県への企業誘致を進め、県内への投資を促していくためには、こうした社会情勢の変化や、それに対する企業の動向を踏まえたアプローチが重要です。  また、良好な交通アクセスという強みを有する本県としては、横浜・川崎地域だけでなく、これまで立地件数が少ない地域などに幅広く企業を誘致することが可能であり、地域活性化のためにも、この機運を逃さず、これまで以上に積極的に進めていく必要があると考えます。  そこで、知事に伺います。  セレクト神奈川NEXTについて、これまでの誘致実績や昨今の企業動向等を踏まえ、今後どのように取り組んでいこうとしているのか、見解を伺います。  以上です。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
    ○議長(しきだ博昭) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 石川議員の御質問に順次お答えしてまいります。  地域の活性化に向けた取組について、何点かお尋ねがありました。  まず、本県の観光振興施策についてです。  今年の夏は、行動制限を伴わなかったことから、県内の観光地も多くの方でにぎわいましたが、コロナ禍の影響により、観光産業はまだまだ厳しい状況にあり、今後も支援が必要です。  そこで、県内旅行の割引を行う「かながわ旅割」等の観光需要喚起策について、引き続き実施するとともに、対象を全国に拡大した全国旅行支援については、国の動向に合わせて対応します。  また、県内周遊観光を促すプロモーションとして、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の放映に合わせた、ゆかりの地を巡るデジタルラリーを8月から実施しており、多くの方に御参加いただいています。  ゆかりの地は、鎌倉をはじめ横須賀や三浦、真鶴、湯河原など、県内各地にあることから、関係市町と連携しながら、周遊観光の促進を図っています。  例えば、三浦市では、京浜急行電鉄などと連携し、みさきまぐろきっぷ等の企画切符を使ってデジタルラリーに参加した場合に、特典がもらえるキャンペーンを実施しています。  今後とも、現在改定中の神奈川県観光振興計画で示す中長期的な観光戦略に基づいて、周遊観光を促すプロモーションに取り組んでいきます。  県は引き続き、観光需要喚起策を講じることで観光事業者を支援するとともに、周遊観光の促進などの観光振興施策を積極的に行うことにより、地域経済の活性化につなげてまいります。  次に、みどりの食料システム戦略に沿った取組についてです。  本県農業は、地産地消により、県民に新鮮で安全・安心な食料を提供する重要な役割を果たしており、次世代に引き継いでいく必要があります。  農業の持続には、環境との調和が重要であり、県ではこれまで、化学肥料等の使用量を削減して栽培するエコファーマーの育成などに取り組んできました。  国は、2050年までに、農林水産業におけるカーボンニュートラルの実現や、化学肥料の使用量削減などの環境負荷低減を目指し、技術開発や実装を進めるとした「みどりの食料システム戦略」を昨年策定しました。  また、この戦略に基づき、現在、国が公表している基本方針案では、地域における農業の環境負荷低減を効果的に進めるための計画を都道府県が主導し、市町村と共に作成することとされています。  そこで、県は、農業者等の声も聴きながら、市町村と連携して、今年度末までに新たな計画を作成し、環境負荷低減の取組を強化していきます。  具体的には、県農業技術センターでは、温室全体ではなく、農作物の根元だけを温める省エネ技術や、保温効果に優れた資材等を組み合わせ、化石燃料に依存せず、脱炭素につながる試験研究に取り組みます。  また、農業者に対して、県の普及指導員が研究成果の普及や、肥料の無駄のない使用方法や堆肥などを利用した土づくりの技術指導をしていきます。  県は市町村と連携して、こうした取組などを行うことで、戦略に沿って、環境と調和した持続可能な農業を発展させてまいります。  次に、企業誘致施策「セレクト神奈川NEXT」についてです。  県では、国内外からの企業誘致や、県内企業の再投資を促進しており、かながわグランドデザインにおける2022年度末までに200件という目標に対し、現在までの誘致件数は165件と、コロナ禍の影響を受けながらも着実に取組を進めています。  また、横須賀・三浦及び県西地域に限定して、食料品等の製造業を支援対象業種に追加し、地域間の偏在の解消を図っており、昨年度は、横須賀・三浦地域で3件の立地を支援しました。  しかし、企業の進出意欲は、依然として横浜・川崎など限られた地域に向けられており、その他の地域での立地は必ずしも進んでいません。  また、近年、DXの進展やコロナ禍でのテレワークの普及等により、本社機能の分散化が進んでおり、そうした企業の動向を捉え、県内への誘致に生かすことが重要になっています。  さらに、交通アクセスなどの利便性が高い地域では、物流施設の立地が活発なため、進出を検討している企業に紹介できる適地が不足しており、そうした土地を確保する工夫が必要です。  そこでまず、市町村に対し、誘致を図りたい業種や活用可能な土地についてアンケートを実施し、その結果を踏まえ、誘致活動を効果的に展開することで、県内全域で立地が進むように取り組んでいきます。  また、都内で誘致セミナー等を開催し、移転を検討する企業の動向を把握して、積極的にフォローアップすることにより、本県への立地を促します。  さらに、土地の確保に当たっては、最新の用地情報を持つ事業者との連携を広げ、用途や面積等、企業の様々なニーズに応じた物件の把握に努めます。  東京一極集中の流れが変わりつつある機運を生かし、県内に幅広く企業誘致を行うことにより、本県経済のさらなる活性化を図ってまいります。  答弁は以上です。  〔石川 巧議員発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 石川巧君。  〔石川 巧議員登壇〕 ◆石川巧議員 今の知事の答弁を受けまして、2点、再質問をさせていただきます。  まずは、観光振興施策についてであります。  政府は、来月にも、海外からの入国者数の上限を撤廃し、インバウンドを強化しようとしており、これは、観光需要が高まるのではないかと大いに期待をしているところであります。外国人観光客誘致も含めて、ポストコロナを見据えた施策が求められております。  県では、横浜、鎌倉、箱根に次ぐ新たな国際観光地の創出のため、城ヶ島・三崎、大山、大磯の3地域で推進する観光の核づくり事業に取り組んでいますが、今後に向けて、これまでの取組と課題について、知事の見解を伺います。  次に、企業誘致施策「セレクト神奈川NEXT」についてであります。  産業用地の不足といった問題については、先ほど答弁も頂いたとおり、交通アクセスのよいところに物流施設が立地して、経済波及効果の高い製造業の進出がなかなか進まないという状況であります。  このような問題に対して、先ほどの答弁の中で、民間企業と連携して物件情報の把握に努めていくという答弁もありましたが、それにとどまらず、誘致する企業のニーズに適した土地を生み出すため、関係する部局が連携して進める必要があると考えますが、どのように取り組んでいくのか、知事の見解を伺います。  以上です。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) それでは、再質問にお答えいたします。  県は観光の核づくり事業により、城ヶ島・三崎、大山、大磯地域における観光資源の発掘・磨き上げ等、地元の取組を10年間支援してきましたが、鉄道事業者や旅行事業者などの民間事業者の参入も進み、各地域の主体的な取組により、地元は盛り上がりを見せています。  つい先日も、実は三崎・城ヶ島に、私行ってきましたが、どんどん生まれ変わる姿というのを実感して大変頼もしく思ったところでありました。  一方で、コロナ禍により、計画どおり進めることができなかった事業、これもあることから、今後の事業の在り方については、アドバイザリー委員会、各地域の市町、民間事業者等の意見を伺いながら検討を行ってまいりたいと思います。  続きまして、誘致する企業のニーズに適した土地を生み出すための連携でありますけれども、産業用地の創出について、県はこれまで、市街化調整区域でも、インターチェンジ周辺に工場を立地できることとしたり、さがみロボット産業特区における農地転用手続の規制を緩和するなど、関係部局が連携して取り組んでまいりました。  しかし、こうした取組については、市町村や企業から県への相談はあるものの、十分に活用されていないため、どういった課題があるのかヒアリングを行って、その解決に向けて関係部局で検討していきます。  そして、市町村から土地利用に係る具体的な提案等があった場合には、関係部局において丁寧に調整していき、産業用地の確保に取り組んでまいります。  答弁は以上です。  〔石川 巧議員発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 石川巧君。  〔石川 巧議員登壇〕 ◆石川巧議員 前向きな答弁を頂きました。  3点、要望させていただきたいと思います。  まずは、観光振興施策についてであります。  観光の核づくり事業は、本年度、最終年度となりますが、これまでの観光資源の磨き上げ、投資してきた事業は道半ばであり、コロナ禍で、効果検証できる状況にありません。先ほど検討していくという前向きな言葉を頂きましたので、ぜひ、これまでの取組を軌道に乗せていくためにも、引き続き、観光の核づくり事業を継続することを要望します。  コロナ禍により、大きなダメージを受けた観光産業の回復には、引き続き、県の支援が必要であります。観光事業者の声を聴きながら、的確な支援を継続していくとともに、新たな観光振興計画にのっとり、観光産業の活性化を図るよう要望します。  次に、みどりの食料システム戦略についてであります。  この脱炭素化の推進というのは、非常に重要な取組であります。一方で、日本というのは、高温多湿で病虫害が発生しやすく、雨が多いため、土壌中の養分が流出しやすいということで、アメリカ、ヨーロッパと比較して、有機農業を広めるに当たり、環境条件が不利だという話も聞きます。  県の基本計画の作成に当たっては、先ほど答弁でもありましたとおり、農業者の皆さんの声を聴きながら、実現可能な目標を設定し、生産者の負担とならないように留意するとともに、持続的な発展が図れるよう、かながわ農業活性化指針にも位置づけることを要望します。  今、農業者の皆さんは、肥料価格はじめ資材の高騰で非常に厳しい状況であります。生産者の皆さんが、環境負荷低減、脱炭素化に取り組んでいくためには、財政面や技術面の支援が必要であります。ぜひ県としても、しっかり取り組んでいただくことを要望します。  次に、企業誘致施策「セレクト神奈川NEXT」についてであります。  今、産業用地の課題について、ヒアリング等を行っていただいて、部局横断的にやっていただくという前向きな答弁を頂きました。  この特区制度による規制緩和ですとか、線引きの見直しなど、機会を捉えて、産業用地の創出を図ることを求めます。  企業誘致することのメリットは、雇用創出もさることながら、法人からの税収にあります。毎年のように財源不足が言われる中で、県として、企業のニーズをしっかり把握し、市町村との連携を深め、県内既存企業への支援と、企業誘致施策について積極的に取り組むことを要望します。  〔石川 巧議員発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 石川巧君。  〔石川 巧議員登壇〕 ◆石川巧議員 質問の第2は、広域自治体としての県の役割についてであります。  〔資料提示〕  初めに、水道事業の円滑な広域化に向けた取組について伺います。  全国的に水道事業は、人口減少に伴う水需要の減少や水道施設の老朽化、深刻化する人材不足などの課題に直面しております。このような動きは、本県においても例外ではありません。  〔資料提示〕  平成30年12月に水道法が改正され、水道事業の経営基盤の強化を図るために、国、県、市町村など関係者の責務が明確化されるとともに、水道の広域連携の推進などが規定されました。  このような中、改正された水道法において、広域連携の推進役とされた都道府県に対し、国から、水道広域化推進プランの策定が要請され、本県においても、令和4年度末のプラン公表に向けて、現在、プランの策定に当たっていると承知しています。  法改正をはじめとした国の動きにもあるように、将来にわたり持続可能な水道を確保していくためには、水道事業の広域連携、集約化が必要不可欠であります。  なお、現在の本県の水道の状況に目を向けますと、水道料金は、全国的に言えば安価であると言われていますが、個々の水道事業を見てみますと、給水区域や給水人口の規模、水源の状況など、各事業者の置かれている事業環境は異なり、水道事業により水道料金に差が生じています。  今後、水道事業を取り巻く経営環境は、ますます厳しくなることが予想され、これまで以上に、各水道事業者の水道料金に差が生じるだけでなく、人材不足や経営面等から、単独での事業継続が困難になる事業者も出てくるのではないかと危惧しています。  水道は、言うまでもなく、日常生活に必要不可欠な存在です。県内全ての水道事業者において、将来にわたり、安定的に安全な水道供給を確保するためには、水道事業の経営基盤の強化を早急に図る必要があり、水道の広域化は待ったなしの状況になっております。  このような中、円滑な水道の広域化に向け、県が策定するプランには大きな期待を寄せています。  一方、広域化に取り組むのは水道事業者であり、実効性のあるプランとするためには、水道事業者の意向も十分に踏まえる必要があります。  そこで、知事に伺います。  水道広域化推進プラン策定に向け、水道事業者との現在の調整状況はどのようになっているのか、また、プランを通じて、どのような広域化を目指していくのか、見解を伺います。  〔資料提示〕  次に、水産業活性化に向けた「海業」の取組について伺います。  本県水産業を取り巻く環境は、漁業所得の伸び悩みに加え、漁業者の減少と高齢化により、漁村コミュニティーの活力がなくなってきており、将来、漁業の存続と漁村コミュニティーの維持が危惧される状況となっています。  〔資料提示〕  一方で、海や港に目を向けると、釣りやサーフィン、SUPなどのマリンスポーツや、ヨットやクルーザーなど船舶を利用した海洋レジャーの人気は高まっています。  さらには、海辺や漁港にある地元の海で捕れた魚を提供する飲食店や直販施設には多くの人々が訪れており、海や港は、県民にとって貴重な行楽の場、憩いの場となっています。  こうした中、国は、今年の3月に、新たな水産基本計画と漁港漁場整備長期計画を閣議決定し、その中で、海業を漁業以外の産業の取り込みによる漁村地域の活性化、地域のにぎわいや所得と雇用を生み出すものとして位置づけました。  特に、漁港漁場整備長期計画においては、その重点課題の一つに、「海業」振興と多様な人材の活躍による漁村の魅力と所得の向上と明記されており、海や漁村の地域資源の価値や魅力を活用する事業をいい、国内外からの多様なニーズに応えることにより、地域のにぎわいや所得と雇用を生み出すことが期待されるものとされています。  〔資料提示〕  この海業という言葉は、かつて三崎漁港のある三浦市が発案したものであり、海業推進を図るため、市・県及び民間が出資して平成3年に設立したのが海業公社であり、公社の中核的事業が、マグロをはじめ、旬の魚介類や野菜を販売する複合施設「うらり」であります。  三崎漁港をはじめ、本県の漁港は漁業生産の基盤であるとともに、首都圏に位置し、多くの県民が訪れる観光、行楽の場でもあります。そして、県も、時代のニーズを的確に捉え、ゲストバースの整備など、漁港の多目的利用を進めていることも承知しています。  これからの本県水産業の振興と漁村地域の活性化のためには、観光やレジャーなど、海に関わる経済活動との連携、そして、それに対応する漁港の多目的利用などにより、地域の活性化を図っていくことも重要と考えます。  そこで、知事に伺います。  海業の発祥の地とも言える本県において、漁港を中心とする地域の活性化と、地元水産業の振興に向けて、海業の取組を今後どのように推進していくのか、見解を伺います。  〔資料提示〕  次に、海水浴場等の安全対策について伺います。  県内の海水浴場には、コロナ前の令和元年度、約320万人の観光客が訪れ、大変なにぎわいを見せていました。しかし、コロナ禍によって、令和2年は、県内全ての海水浴場が開設されない異例の年となりました。  また、令和3年は、感染予防対策を行った上で、海水浴場が開設されましたが、8月の緊急事態宣言の発出を受け、結果的に全ての海水浴場が休場するなど、県内の海水浴場は、この2年間、コロナ禍の影響を大きく受けてきました。  〔資料提示〕  しかし、今年は、県内のほとんどの海水浴場が開設され、途中休場することもなく、海水浴シーズンを通して開設することができ、コロナ禍においても、多くの海水浴場でにぎわいを取り戻しました。  一方で、私の地元である三浦市では、令和元年度に約35万人の海水浴客が訪れていた三浦海岸など、三つの海水浴場が開設されず、今年度もコロナ禍の影響を受けています。  今年は、久しぶりに行動制限のない夏を迎え、海水浴場が開設されていなくても、多くの利用者が訪れることが想定されることから、海岸管理者である県がライフセーバーを配置するなどの安全対策を実施し、海水浴場が開設されない海岸の安全を守ってきました。  〔資料提示〕  今年の8月には、その安全対策を視察するため、知事が三浦海岸を訪れ、その視察にも、私は同行しましたが、ライフセーバーによる海岸パトロールに加え、先進的な取組であるドローンによる監視活動をじかに見ることができ、しっかりと安全対策が行われていることに、大変心強く感じました。  県は、コロナ禍における海岸の安全対策の取組によって、様々な経験を蓄積してきたと思います。  まだ、コロナ禍の収束が見込めない中、来年度以降も海水浴場が開設されない海岸が生じることも想定されることから、3年間の経験を生かし、県が継続的に海岸の安全を守っていくことが重要です。  そこで、知事に伺います。  海水浴場等で、これまで県が安全対策に取り組んできた成果と、今後どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。  〔資料提示〕  次に、公立中学校部活動の地域移行について伺います。  公立中学校部活動の地域移行については、本年6月、運動部活動の地域移行に関する検討会議からスポーツ庁へ、また8月には、文化部活動の地域移行に関する検討会議から文化庁へ、それぞれ提言が提出されました。  〔資料提示〕  これまで学校部活動は、生徒のスポーツや文化芸術等に親しむ機会を確保し、生徒が自主的、主体的な参加による活動を通じて、達成感の獲得、学習意欲の向上や責任感、連帯感の涵養等に資するとともに、自主性の育成にも寄与してきました。  しかし、少子化で学校での活動が維持できなくなりつつある状況や、教員の時間外勤務の増加、経験がない種目等を指導することが教員の負担になっていることなど、中学校部活動は、持続可能性という面で厳しさを増していると言わざるを得ません。  とはいえ、国が示すこの急速な改革に対し、学校現場や保護者からは、指導者の確保や大会運営の在り方に対する不安、費用面での保護者の負担増を心配する声も聞こえてきています。  国はこれまでにも、部活動について総合的なガイドラインを示し、また、学校の働き方改革を踏まえた部活動改革として、学校と地域が協働、融合した形での地域における環境整備も進めてきました。  県においても、こういった国の動きを踏まえ、部活動の在り方に関する方針などを策定し、適正な運営に向けた取組を推進してきたと承知していますが、部活動が学校教育において大きな役割を果たしてきたことを考えると、私としては、生徒が戸惑いなく部活動を続けられる環境をつくることが大切だと考えます。  特に、これまで教員が担ってきた指導を、信頼を持って委ねることのできる人材の確保は大変重要と考えます。  公立中学校部活動の地域移行については、学校を設置する各市町村の教育委員会が主体となって取組を進めていくものと承知していますが、県教育委員会としても、一定の役割を果たしていくべきと考えます。  そこで、教育長に伺います。  公立中学校部活動の地域移行に向けて、部活動指導を担う人材の確保について、県教育委員会として、今後どのように進めていこうと考えているのか、見解を伺います。  以上です。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 広域自治体としての県の役割について、何点かお尋ねがありました。  まず、水道事業の円滑な広域化に向けた取組についてです。  本県の水道は、豊富な水源に恵まれ、これまで、県内各水道事業者により、地域特性に合った水源の確保と水道施設の整備が進められてきました。しかし、人口減少に伴う水需要の減少や、高度経済成長期に整備された大量の水道施設の更新が必要となるなど、今後、水道事業を取り巻く経営環境は厳しさを増していきます。  このような中にあっても、安定的な水道供給を実現するには、個々の水道事業者による経営努力はもとより、広域的な連携による経営基盤の強化が求められます。このため、県が主体となり、水道事業の広域連携方策などを示す神奈川県水道広域化推進プランの策定に取り組んでいます。  現在は、プランの実効性を高めるため、各水道事業者を構成員とする会議において、それぞれの意見を丁寧に聴きながら、広域連携方策の検討及び調整を進めているところです。  プランの策定は今年度末を予定しており、今後は、水道事業者の意見を踏まえ、施設の共同化、管理の一体化、経営の一体化、事業統合といった複数の広域連携パターンと、その効果を取りまとめ、水道事業者に応じた円滑で多様な広域連携につなげていきたいと考えています。  この神奈川県水道広域化推進プランを通じて、オール神奈川の取組として、県内水道事業者の垣根を越えた広域連携を推進し、持続可能なかながわ水道の構築を目指してまいります。  次に、水産業活性化に向けた「海業」の取組についてです。  本県水産業が漁獲量の減少など厳しい状況にある中、漁業所得の向上を図るには、漁港を魚の水揚げだけでなく、直売所など多目的に活用する海業の推進が地域活性化の観点からも重要です。  これまで県は、三崎や小田原の県営漁港において、地元市等が直売所を整備した際、より多くの観光客に安全に利用していただけるよう、周辺の駐車場や防波堤を整備するなど、支援を行ってきました。  しかし、今後、海業を進めていくには、県は、地元の市町や民間事業者等と連携し、一体となって取り組むことで、海や漁港が持つ多様な価値や魅力をさらに高めていく必要があります。  例えば、県水産技術センターでは、マグロを使った未病改善効果を研究しており、効果が実証されれば、その効能を飲食店をはじめとする民間事業者等と連携し、広く発信することで、魚の付加価値や漁港を含め、地域の魅力をさらに高めていきます。  また、三浦市が漁港エリアで進めているリゾート開発のプロジェクトと連携し、県は、三崎漁港へ大型クルーザー等が来航する際、入出港や停泊が安全、円滑に行われるよう、港内の利用調整等の支援を行い、観光客の誘致につなげていきます。  さらに、海業を市町の漁港にも広げるため、県は、県営漁港での成功事例やノウハウ、地元漁業者の理解促進に係る助言などを行っていきます。  こうした取組により、地元市町や民間事業者と連携し、地域活性化につなげ、漁業所得の向上による水産業の振興を図ってまいります。  次に、海水浴場等の安全対策についてです。  本県の海岸には、多くの方が訪れることから、海水浴場はもとより、海水浴場が開設されない海岸においても、安全を確保する取組が大変重要です。  県では令和2年から、海水浴場が開設されない海岸において、市町や関係団体等と連携してライフセーバー等を配置し、パトロールを行うなど、安全対策を行ってきました。  また、救助用の浮き輪を搭載したドローンを導入して監視を行うなど、先進技術の活用も進めており、今年は、ライフセーバー自らがドローンの操作方法を習得する講習会を開催しました。  この3年間の取組を通して、県を中心に市町や関係団体等が広域的に連携し、海水浴場等の安全を守る本県独自の神奈川モデルが構築できました。  今年からは、鎌倉市が独自に、ドローンによる監視を導入するとともに、離岸流の発生を自動検知するAI搭載カメラの設置といった新たな取組も始めており、神奈川モデルが進化しつつあります。  今後、海水浴場等の安全対策を一層充実させていくためには、効率的な監視が可能なドローンを市町等に導入していただくとともに、さらなる新技術の活用を図っていく必要があります。  そこで、県は、日本ライフセービング協会と連携して、ドローンの効果を具体的に解説する動画を作成し、市町等にドローンの導入を促していきます。  また、海水浴場が開設されない海岸で、引き続き安全対策を実施するとともに、例えば、救助が必要な人をドローンにより自動的に発見する新技術について、導入の可能性を検討します。  こうしたことにより、県は、神奈川モデルによる海水浴場等の安全対策を進め、水難事故から命を守る取組をしっかりと進めてまいります。  私からの答弁は以上です。  〔教育長(花田忠雄)発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 花田教育長。 ◎教育長(花田忠雄) 教育関係についてお答えします。  公立中学校部活動の地域移行についてです。  中学校の部活動を円滑に地域へ移行していくためには、それぞれの地域で、教員に代わって中学生を適切に指導できる人材を確保することが必要です。  県教育委員会ではこれまで、教員の負担軽減の観点から、市町村教育委員会が行う中学校への部活動指導員の配置を支援してきました。  部活動指導員を配置した中学校では、教員の休日勤務が減り、生徒への指導が充実したなど、一定の効果が見られています。こうしたことから、中学校部活動の地域移行に当たって、部活動指導員を活用することは、地域人材を確保する上で極めて有効です。  そこで、県教育委員会では、市町村教育委員会や県・市町村のスポーツ・文化部局、関係団体と共に、部活動指導員の活用を含め、地域の実情に応じた人材確保の仕組みづくりを検討しています。  また、指導者には、競技等に関する専門知識や指導力に加えて、学校や保護者と調整することも求められることから、効果的な研修について検討していきます。  県教育委員会としては、こうした取組を通じて、本県の公立中学校における部活動が円滑に地域に移行されるよう、今後も市町村の取組を支援してまいります。  以上でございます。  〔石川 巧議員発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 石川巧君。  〔石川 巧議員登壇〕 ◆石川巧議員 知事、教育長より前向きな答弁を頂きましたが、2点、再質問をさせていただきたいと思います。  まずは、水道事業の円滑な広域化に向けた取組についてであります。  知事の答弁の中で、県が主体となってプランを策定しており、このプランでは、事業統合を含む多様な広域連携パターンを示していくということでありました。  この事業統合の言葉がプランに入れられるというのは、非常に前進だと思っておりますが、もし、水道事業者が事業統合を希望する場合、県はどのように対応していくのか、見解を伺います。  次に、水産業活性化に向けた「海業」の取組についてであります。  この海業という言葉は、観光漁業、いわゆるマリンレジャー、どうしても私もイメージはそうだったんですけれども、水産庁の示した海業という言葉には、観光だけではなく、養殖業や加工業といった水産業の周辺産業の振興も位置づけられております。  漁業者の所得向上や県民への安定供給という面では、養殖や水産加工などの役割は非常に重要であると考えます。海業を推進するに当たり、どのように取り組んでいくのか、伺います。  以上です。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 再質問にお答えいたします。  まずは、水道事業者が事業統合を希望する場合、県はどう関わるかということありますけれども、水道事業は原則として独立採算とされておりまして、事業統合については、関係する各水道事業者の判断により進められることが前提となります。  また、統合に先立ち、各水道事業者の経営基盤の強化が求められますので、まずは、その基盤強化の取組に対し、技術面、経営面から助言を行うなど支援を行っていきます。その上で、統合に関する利害の調整や、課題解決に向けた取組を支援するなど、水道広域化を推進する県としての責務を果たしてまいります。  次に、海業の推進についてでありますけれども、海業の推進に当たっての養殖でありますとか、水産加工などに対する取組についてお尋ねがありました。  県水産技術センターはこれまで、キャベツを餌に養殖するキャベツウニの生産技術の開発や、イワガキ養殖への技術的な支援を行うとともに、水産加工品の開発などにも取り組んできました。  また、大規模外洋養殖については、先般、誘致検討は休止との一部報道がありましたが、実は、現在も県は、規模や場所などを含め、大規模外洋養殖、また本県初の魚類養殖の実現に向け、漁業者や民間事業者等と検討を進めています。また、未利用魚を使った新たな加工品の開発なども行っていきます。  こうした取組により、地域の名産品として、地元での販売や飲食店での提供につなげ、多くの観光客に楽しんでいただくよう、海業を推進し、漁業者の所得向上を図ってまいります。  答弁は以上です。  〔石川 巧議員発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 石川巧君。  〔石川 巧議員登壇〕 ◆石川巧議員 それでは、幾つか要望させていただきたいと思います。  まずは、水道事業の広域化に向けた取組についてであります。  水は人々にとっての権利であります。県は広域自治体として、県民に安全・安心な水を安定的に、永続的に供給していく責務があります。  広域化に向けて、本県に求められる役割は重く、企業庁と水道事業者との調整役や、国に補助制度の拡充を要望していくなど、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思っております。  事業統合について言えば、三浦市は昭和49年以来、県営水道との統合を訴えてまいりました。水道広域化プラン策定に当たりましては、水道事業者の希望にしっかり配慮し、事業統合まで踏み込んだ内容とするよう求めます。  次に、水産業活性化に向けた「海業」の取組についてであります。  養殖業についての答弁を頂きました。今、神奈川県内、魚類の養殖がゼロということで、ぜひこれは一歩進めていただきたいなという中で、大規模外洋養殖については、まだまだ検討を進めているという前向きな答弁を頂いています。ぜひ一歩でも進めていただいて、実績をつくっていただきたいと思っております。  また、マリンリゾートについてでありますけれども、三浦市で取り組んでおります二町谷地区海業振興を目指す用地利活用プロジェクトでは、県の水産課による支援はもちろん、公園や浮き桟橋の整備には、観光の核づくり事業の補助金による支援も行われております。このような複合的支援は、海業を県内に横展開させていく上で極めて有効であると考えます。  海業発祥の地である神奈川県として、県民の多様なニーズに応え、民間企業や関係部局とも連携し、養殖導入や水産物の加工や直販、プレジャーボートの受入れ、観光漁業など、幅広い海業の取組を推進し、地域の活性化と水産業の振興に取り組んでいただくよう要望します。  次に、海水浴場等の安全対策についてであります。  県は、コロナ禍によって、海水浴場が開設されない海岸の安全対策に取り組んだことで、ドローンの活用等、新しい海水浴場の安全対策、神奈川モデルを示したことは、大きな成果だと思っております。この3年間の成果をさらに発展させ、今、答弁いただいたとおり、県内海水浴場にも波及させていただきたいと考えております。  ポストコロナ時代において、海水浴場の在り方も変わってきております。ライフセーバーの人員不足等、各地で課題を解決しなければいけないことも出てくると思います。ぜひ先ほど答弁いただいたとおり、日本ライフセービング協会等と連携して、市町とも連携して、県として、海岸等の水難事故防止に向けて積極的に取り組むことを要望します。  次に、公立中学校部活動の地域移行についてであります。  部活動は、日本が世界に誇る教育活動であります。これまで、教員はじめ関係者の皆様の熱意で築かれてきた伝統を次の時代にどうつなげていくのか、重要な時期に差しかかっていると思います。  公立中学校部活動の地域移行に向けては、希望する全ての生徒がスポーツや文化活動に親しみ、活動できるように移行することが大切です。そのためにも、学校現場での意向を十分に尊重しながら、指導に適した人材の確保・育成にしっかりと取り組んでいくよう要望します。  また、人材確保とともに、活動の場の確保といった課題もあります。特に吹奏楽部は、大人数で楽器を演奏する場の確保は難しいという話も聞きます。市町村の実情に寄り添い、学校も含め、様々な施設が低廉な利用料で活用できるように、関係各所に働きかけるなど、円滑に地域移行が進められるよう、適切に支援に取り組むことを要望します。  〔石川 巧議員発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 石川巧君。  〔石川 巧議員登壇〕 ◆石川巧議員 質問の第3は、県政の諸課題についてであります。  〔資料提示〕  初めに、県職員の定年引上げについて伺います。  我が国では、少子高齢化が急速に進んでおり、経済社会の活力を維持していくためにも、働く意欲と能力のある高齢者が活躍できる場を創出していくことが重要です。  公務部門においても、複雑・高度化する行政課題に的確に対応し、質の高い行政サービスを提供していくためには、高齢層職員の知識や能力を最大限に生かせる環境を整備することが、ますます必要となっています。  〔資料提示〕  そこで、昨年6月に国家公務員法等が改正され、国家公務員の定年について、令和5年度以降、令和13年度にかけて、現在の60歳から65歳まで段階的に引き上げられることとなりました。あわせて、地方公務員の定年についても、国家公務員と同様に引き上げていくこととされ、今後、本県においても、条例改正に向けた対応を進めていくものと承知しています。  今回の定年引上げは、昭和56年に地方公務員の定年が制度化されて以来の大改革となります。引上げに当たっては、ややもすると、公務員優遇との批判を受ける懸念がある中、制度を適切に構築、運用することで、ベテラン職員の活躍を促進し、県民サービスの向上にしっかりとつなげていかなければなりません。  また、組織の新陳代謝を適切に進め、活力を維持していくことについても十分配慮する必要があります。そのためには、優秀な中堅職員等を積極的に登用するとともに、職員の継続的な確保に向けて、計画的に採用していくことも必要であり、定年引上げによって、こうした取組が後退するようなことがあってはなりません。  そこで、知事に伺います。  高齢層職員の知識、経験、能力を活用するとともに、適切に組織の新陳代謝を図り、質の高い県民サービスを提供していくため、県職員の定年引上げに向けて、今後どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。  〔資料提示〕  次に、鳥獣被害対策について伺います。  本県は、900万人を超える人々が暮らし、都市化が進んでいる中にあっても、丹沢や箱根の山並みの自然、山麓と丘陵地から成る里地里山、都市近郊の緑地など、山地から市街地周辺まで豊かな自然環境に恵まれています。  このため、自然と人の生活圏が近接していることによって、人と野生動物とのあつれきが生じやすく、丹沢や箱根の山麓などでは、ニホンジカ、ニホンザルなどの鳥獣による農作物被害が続いています。  また、都市近郊の緑地や市街地周辺では、国外から移入された飼育動物が放たれたことなどにより、アライグマなどの外来種が定着し、その生息地を拡大している地域もあります。  〔資料提示〕  このうち、ニホンジカは、県内では主に標高の低い山麓から標高1,600メートルを超す山岳地まで分布しており、近年は生息数の増加により、森林の下草が衰退することが懸念され、周辺の山麓では、野菜や果樹など農作物への被害も生じています。  また、ニホンザルは、現在、山麓の集落近くを中心に生息しており、農作物被害のほか、屋外の物品が損傷するなどの生活被害、威嚇などの人身被害が生じています。  特に、生活被害や人身被害が継続して発生している地域では、住民から効果的な対策への強い声があり、群れによる被害を生じさせないよう対策を早期に進めることが必要です。  これまで県では、人と野生動物のあつれきの解消、野生動物の個体群の保護を図ることを目的に、平成14年度にニホンジカ、ニホンザルについて、特定鳥獣保護管理計画を策定し、管理事業がスタートしました。  平成27年度には、国の鳥獣保護法改正により、この2種を生息数が増加し、管理すべき鳥獣として、第二種特定鳥獣に位置づけ、これまで4次にわたる管理計画の下で対策を実施してきたと承知しています。  こうした管理計画に基づく被害対策により、ニホンジカ及びニホンザルでは、生息数の減少などの効果が現れ始めていると聞いておりますが、一層の被害軽減に向けて、地域の方々や市町村の協力も得ながら、対策を進めていくことが重要であると考えます。  そこで、知事に伺います。  鳥獣被害対策のこれまでの実施状況を踏まえ、ニホンジカ、ニホンザルの対策に今後どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。  〔資料提示〕  最後に、本県における収入証紙制度見直しの推進について伺います。  本県では、自動車運転免許証やパスポートの申請手数料など、手数料や使用料を徴収する多くの手続において、収入証紙が使われています。  県民がこれらの申請を行う際には、現在、販売窓口で県の収入証紙を購入し、申請書に貼って提出する必要がありますが、収入証紙の大部分は、申請窓口の近隣に設置されている、県が指定する業者が販売しており、どこでも証紙が入手できるという環境にはありません。  一方、県では、平成30年11月、キャッシュレス都市KANAGAWA宣言を発出し、キャッシュレス化を推進していますが、現在、コロナ禍における非対面、非接触との観点から、電子マネーなどの普及が急速に進む中、手数料等の徴収、収納についても、キャッシュレス決済の導入を進めていくことは不可欠と考えられます。  こうした中、昨年の第3回定例会の我が会派の代表質問では、収入証紙による手数料等の徴収方法の見直しを検討すべきではないかとの質問に対し、知事からは、課題について整理した上で、収入証紙制度を廃止していく旨の答弁がありました。  収入証紙制度については、本県では、昭和39年から運用を開始し、現在では、収入証紙による手数料等も500種類以上ある中で、その全てを直ちに見直すことには、課題も様々あるところではないかと思います。  しかしながら、全国では、既に東京都や大阪府など4都府県が収入証紙制度を廃止し、キャッシュレス決済の導入も進む中で、本県においても、収入証紙による収納方法を着実に見直していく必要があるものと考えます。  こうした機会に、キャッシュレス決済の仕組みの導入なども含めて、県民の利便性をより一層向上できるような収納方法になるように工夫していただきたいと考えます。  そこで、知事に伺います。  本県における収入証紙制度の見直しについて、現在どのように取り組んでいるのか、また、今後どのように対応していくのか、見解を伺います。  以上です。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 県政の諸課題について、何点かお尋ねがありました。  まず、県職員の定年引上げについてです。  私は、人生100歳時代に向けて、官民問わず、働く意欲、能力のある高齢者が活躍できる場を設け、その知識、経験を社会に還元していくことが大変重要と考えています。  本県ではこれまでも、定年後に再任用を希望する職員が県に残り、経理、会計、税務等の分野で、その専門性を生かして、経験の浅い職員の指導・育成に当たっており、ベテラン職員の存在は、県の行政運営に欠かせないものとなっています。  今後、定年が引き上げられると、より多くの職員が60歳以降も県に残ることになり、こうしたベテラン職員の豊富な知識、経験を一層生かしていくことが可能になります。  また、かつての採用抑制の影響により、手薄となっている中堅職員をサポートし、若手職員の相談に乗るなど、円滑な職場運営への貢献も期待できます。  一方、組織の活力を維持するためには、新陳代謝を適切に図っていくことも重要です。  そこで、役職定年制を導入し、管理職については60歳以降、グループリーダーや出先機関の課長等へと異動させることで、優秀な中堅職員等の昇格機会を確保します。  また、職員採用についても計画的に行い、若い力を県行政に反映できるよう取り組みます。  定年引上げは、我が国全体で進める大改革であり、民間企業の取組を促すためにも、まずは公務部門で適切に取り組み、成果を上げていくことが重要です。ベテラン職員の知識、経験、能力を生かしつつ、組織の新陳代謝を図ることで、質の高い行政サービスが提供できるよう、しっかりと対応してまいります。  次に、鳥獣被害対策についてです。  県では、野生鳥獣による農作物被害や生活被害などに対応するため、鳥獣の種類ごとに管理計画や防除実施計画を策定し、地域の実情に応じて、個体数調整や被害防除対策を進めてきました。  このうち、ニホンジカについては、丹沢山地で管理捕獲や植生保護柵の設置等、対策を強化したことにより、生息密度が低下するなど、効果が現れている一方で、箱根山地等では個体数が増加しています。  そこで、県はこれまでの取組に加え、箱根山地等では、国による植生保護柵の設置や、隣接県による捕獲などと連携した取組を関係機関と調整し、進めていきます。  また、ニホンザルについては、捕獲や集落に近づけない環境づくり等により、10年前に最大約1,000頭だった個体数は、昨年度末には500頭以下に減少し、被害も減少してきています。  しかしながら、依然として被害を発生させている群れも一部存在していることから、これまで以上にきめ細かい対応が求められます。  そこで、被害の状況に応じた計画的な追い払いなどの対策に加え、群れの中でも、加害性の高い個体の捕獲を優先的に実施し、群れ自体の加害性を引き下げるなど、県と市町村が一体となって、より効果的な対策を強化していきます。  県は、こうした鹿と猿それぞれの特性に応じた取組を今年度中に策定予定の管理計画に新たに位置づけ、適正に管理できるよう、実効性のある鳥獣被害対策に取り組んでまいります。  最後に、本県における収入証紙制度見直しの推進についてです。  県では、電子マネーやスマホ決済の普及といった環境の変化を踏まえ、収入証紙制度について課題を整理した上で廃止し、キャッシュレス決済を導入することとしています。  発行件数が多い県税の納税証明書に係る手数料については、既に昨年度をもって収入証紙を廃止し、この6月からはキャッシュレス決済を導入しています。  その他の収入証紙による手数料、使用料についても、キャッシュレス決済の導入を進めていきますが、県民の利便性向上の観点からは、現金納付を希望する方への対応なども考慮し、キャッシュレス決済以外の収納方法についても幅広く検討する必要があります。  また、収入証紙による収納の約6割を占める運転免許証の交付事務については、新たに、マイナンバーカードとの連携の検討も始まるなど、国の制度との整合性の確保といった課題も出てきました。  そこで、こうした国の動向を注視するとともに、例えば、コンビニ収納による窓口の拡大や、現金収納の委託化といった新たな収納方法の導入も視野に入れ、手数料、使用料ごとに具体的に検討していきます。  県としては、引き続き、キャッシュレス化を推進しつつ、個々の手続に適した工夫も取り入れ、県民の利便性の向上を一層図ってまいります。  答弁は以上です。  〔石川 巧議員発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 石川巧君。  〔石川 巧議員登壇〕 ◆石川巧議員 それでは、1点、再質問をさせていただきます。  鳥獣被害対策についてであります。  鳥獣被害は、都市近郊の緑地や農地に生息し、農業被害、生活被害が顕著となっているアライグマなどの外来種の問題もあります。防除実施計画を立てて取り組んでいるアライグマなどの外来種の対策も急務と考えますが、今後どのような対策を取っていくのか、伺います。  以上です。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) それでは、再質問にお答えいたします。  アライグマなどの外来種への今後の対策についてお尋ねがありました。  アライグマについては、生態系への影響や農業被害、生活被害が生じていることから、県は自ら防除実施計画を定め、計画的に捕獲するなどの対策を進めてきました。  本年5月には、いわゆる外来生物法の改正が行われ、外来種の防除に係る県や市町村の責務が明記されたことから、県は、アライグマなどの外来種について、市町村と連携して、広域的、専門的見地から捕獲対策を強化してまいります。  答弁は以上です。  〔石川 巧議員発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 石川巧君。  〔石川 巧議員登壇〕 ◆石川巧議員 それでは、最後に要望させていただきます。  鳥獣被害対策についてであります。  このアライグマについては、三浦スイカを好むそうで、農家の方も非常に困っております。被害をもたらす、いずれの動物にしても、生息数が大幅に増加してしまう前に、早期に対策を講じることが肝要であります。  管理計画を策定する野生動物には、イノシシも対象となっておりますが、近年このイノシシが三浦半島に出没しており、市町からは対策が求められております。  先日、横須賀市の津久井浜のミカン園において、体重80キロのイノシシが捕獲されたと聞きました。三浦市や横浜市への侵入危機も迫っています。  このイノシシの問題も含め、実効性のある対策を着実に推進するよう、計画策定に努めることを要望し、私からの質問を終わります。  御清聴、誠にありがとうございました。                               〔拍 手〕 ○議長(しきだ博昭) お諮りいたします。  休憩いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(しきだ博昭) 御異議がないと認めます。  よって、休憩いたします。  なお、再開は20分後といたします。                  午後3時28分 休憩       ───────────── ◇ ───────────── △《本会議録-令和4年第3回-20220914-029291-質問・答弁-岸部都議員-代表質問①コロナ禍における都市税財源の確保について②定年引上げについて③横浜湘南道路及び高速横浜環状南線の整備について④かながわ男女共同参画推進プランの改定について⑤持続可能な県営水道の実現について⑥こども家庭庁創設に伴う子ども・子育て支援の拡充について⑦小児医療費の助成制度の拡大について》                   午後3時50分 再開   〔議会局長報告〕  出席議員 副議長共91名 ○副議長(曽我部久美子) 休憩前に引き続き、会議を開きます。   ─────────────────────────────────────── ○副議長(曽我部久美子) あらかじめ時間の延長をいたします。   ─────────────────────────────────────── ○副議長(曽我部久美子) 質問を続行いたします。  岸部都さん。  〔岸部 都議員登壇〕(拍手) ◆岸部都議員 立憲民主党・民権クラブの岸部都です。  議長のお許しを頂きましたので、私は立憲民主党・民権クラブ県議団を代表して、通告に従い、提言を交えながら順次、質問いたします。  知事並びに教育長、企業庁長におかれましては、明快な御答弁をお願いいたします。また、先輩、同僚議員の皆様におかれましては、しばらくの間、御清聴のほど、よろしくお願い申し上げます。  〔資料提示〕  質問の第1は、コロナ禍における都市税財源の確保についてです。  この2年間、国は新型コロナウイルス感染症の影響による納税者の負担軽減措置として、土地に係る固定資産税の負担調整措置による特別な措置を行い、令和3年度は、地価が上昇する全ての土地について税額を据え置く措置を、令和4年度は、商業地域に限定して地価の上昇幅を抑制する措置を取りました。  この措置により、地方自治体は税収が減少となりましたが、その減少は、地方交付税により補填されることとなりました。しかし、地方交付税のない不交付団体には補填されないこととなっています。  固定資産税は、土地や建物に課される税金で、市町村税収の4割を占める基幹税であり、地方自治体にとって重要な歳入源となっています。  今回の国による負担調整措置の特別な措置は、納税者への負担軽減として効果はあるものの、固定資産税の税収を基に行政サービスを行っている基礎自治体にとっては大きな打撃です。  国によると、令和4年度の減収額は、全国合計で約471億円と見込まれています。  折しも、今年度は県内において、2年ぶりに川崎市、海老名市が不交付団体になったため、普通交付税の不交付団体は、前年度5団体から2団体増え、7団体となっています。この県内七つの不交付団体にとっては、行政サービスを行う収入減への補填は行われず、この対応への見直しを求める声も上がっています。  この特別な措置は、臨時、異例の措置であり、今年、令和4年度までとし、さらなる措置延長、拡大を行うことなく終了するとは聞いています。  今回の大きな問題は、国による全国一律の政策減税に対する国の補填が、交付税により措置されたことにより、財源の補填がされない団体が生じたことです。  コロナ禍の全国的な危機の中での特別な措置とはいえ、国による一方的な制度変更を行う場合であるなら、なおさら、制度変更による負担分については、全国一律に全額国費による補填をするべきものと考えます。  今後、このような国による一方的な制度変更のないよう、国に対して強く要望することを求めます。  そこで、知事に伺います。  このたびの国による固定資産税の特別な措置に対する県の認識と今後の対応について、所見を伺います。  〔資料提示〕  質問の第2は、定年引上げについてです。  まず、県職員の定年引上げについて伺います。  我が国の少子高齢化がますます進展していく中、豊富な知識、技術、経験等を持つ高齢者が活躍できる環境をつくることは、官民問わず喫緊の課題です。  そうした中、地方公務員について、定年を65歳まで段階的に引き上げていくこととされ、例えば、今年度末時点で59歳の職員は、定年が60歳ではなく61歳となり、今年度末で55歳の職員からは、定年が65歳まで引き上げられることになります。  我が国の人口動静等を勘案すれば、定年引上げ自体は進めていくべき対策であると考えますが、個々の職員からすると、50代半ばを過ぎたこの時点になって、定年が先延ばしになるということになり、これまで60歳を定年と考えてきた人生設計に与える影響は小さくないものと考えます。  さらに、定年引上げにより、60歳以降は、給与が60歳時点の7割水準に減額されたり、管理職が60歳時点よりも下位の職に異動する役職定年制が導入されたりする予定と承知しています。生活にも直結する上、職員の働き方やモチベーションにも大きく影響することを踏まえると、職員にも丁寧に説明し、制度について理解していただくことが大変重要と考えます。  また、厚生労働省では、高齢者が安心して働ける職場づくりを進めるため、エイジフレンドリーガイドラインを策定し、事業者に対して、高齢者の健康や体力の状況に応じた対応を求めています。  60歳にもなれば、職員本人の健康状態に加え、家族の介護などの諸事情もあり、フルタイム勤務が難しい職員も一定数いるものと思われます。本人の希望等を踏まえ、職員が多様な働き方を選択できる環境を整えていく必要もあるのではないでしょうか。  そこで、知事に伺います。  定年引上げに向けて、円滑に制度移行を図っていくため、職員の理解を深める取組を進めるとともに、60歳以降も職員の能力を十分に発揮できるよう、多様な働き方の実現に向けて対応する必要があると考えますが、所見を伺います。  〔資料提示〕  次に、教員の定年引上げについてです。  地方公務員である教員についても、定年を65歳まで段階的に引き上げていくことになります。  教員が豊富な経験を通じて身につけてきた知識や技術を活用できる期間が延びることは、児童・生徒に対する指導における教育効果だけではなく、教員不足が深刻化する中で、人材の確保につながるとともに、経験の浅い教員にとっても貴重なアドバイスを受けることが期待され、人材育成にもつながると考えます。  その一方、定年引上げが導入されていない現在においても、定年後の働き方として、フルタイムや短時間等を選択することが可能となっていますが、多忙化や健康面などを考慮し、定年前に退職する教員、定年後の勤務を希望しない教員、短時間での勤務を希望する教員が一定数いることも承知しています。  再任用の希望数は、県職員に比べると、小学校で4割、中学校で6割、大変希望の少ない状況とも聞いております。  こうした中にあって、新たに始まる定年引上げが、教育現場でよい効果が生じるような制度としていくためには、60歳を迎える教員が定年後も安心して教員を続けられるような環境を整えることが重要であると考えます。  例えば、小学校の教員は、一日を通して児童の指導に当たる必要があるため、短時間の働き方を選択した場合には、担任を持つことができなくなるといった制約も生じるのではないでしょうか。  私としては、60歳を迎える方がフルタイムでも短時間でも、どちらを選択しても、子供の学びを保障できるよう人員を確保し、学校運営体制を整えることが重要と考えます。  そこで、教育長に伺います。  教員が不安なく、60歳以降の多様な働き方を選択できるようにするためには、働き方にかかわらず、学校運営が円滑に行えるようにする必要があると考えますが、所見を伺います。  〔資料提示〕  質問の第3は、横浜湘南道路及び高速横浜環状南線の整備についてです。  コロナ禍にあっても、社会経済や医療、人々の日常を止めないための道路整備は各地で進められています。  今年4月16日には、新東名高速道路の伊勢原大山インターチェンジから新秦野インターチェンジ間が開通し、地域活性化に大きな期待が寄せられているところです。  広域的な交通ネットワークを形成する自動車専用道路網の整備は、県土構造の骨格を形成し、県民生活や社会経済活動に多大なインパクトを与えます。  とりわけ、圏央道は首都圏に集中する交通を分散させ、渋滞緩和に寄与するほか、本県と東京、埼玉、茨城、千葉の各都市間の交流・連携を強化し、地域の発展に大きく貢献する道路であると承知しております。  これまでに圏央道全体の約9割が開通しており、本県においても、移動時間の短縮や、これに伴う観光客の増加、物流の効率化や、沿線を中心とした企業立地が促進されるなど、様々な効果が発揮されています。  こうした中、残る区間として、現在整備中の横浜湘南道路及び高速横浜環状南線は、横浜臨海部と湘南・県央地域を結び、さらには横浜横須賀道路と接続し、三浦半島地域へのアクセス性を格段に向上させ、県内各地の活性化に大きく貢献することから、早期完成に寄せられる期待が大変大きい重要な路線であります。  しかし、2020年度開通が予定されていた両路線では、2019年度に、可燃性ガスへの追加の安全対策が必要になったことなどで工程が見直され、横浜湘南道路は2024年に、高速横浜環状南線は2025年に開通目標が見直されたところであります。  さらに、この8月4日に、国と高速道路会社からは、この両路線について、トンネル工事を安全に進めていく必要があることなどから、現在公表している2024年度及び2025年度の開通は困難であり、新たな開通目標については、トンネル掘進の状況等を踏まえ、改めて公表すると発表されたところです。  昨年秋に行われた建設・企業常任委員会の県内視察で、両路線の工事現場を視察し、最新の技術を用いていることなどを伺い、こうした道路が一刻も早く開通することを期待していただけに、この発表は大変残念です。  長期にわたる工事での御不便など、地元県民の負担も延長され、また、開通を期待し、その後を見込んだ事業や計画などに広範囲にわたって影響が及ぶと考えられます。  この両路線は、国と高速道路会社が整備を行っていることは承知していますが、本県にとって、様々な面で効果が大きい道路であり、整備促進を図っていく必要があります。  そこで、知事に伺います。  横浜湘南道路及び高速横浜環状南線について、県は、整備促進に向けて、今後どのように取り組んでいくのか、所見を伺います。  〔資料提示〕  質問の第4は、かながわ男女共同参画推進プランの改定についてです。  国の男女共同参画白書は、令和3年版は、コロナ下で顕在化した男女共同参画の課題と未来を、令和4年版は、人生100年時代における結婚と家族を特集しています。  白書では、この間の新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響は、男女ともに大きいこと、特に女性の就業や生活への影響は甚大であること、非正規雇用労働者を中心に雇用情勢が急速に悪化したことのほか、女性の自殺者の急増、DV相談件数の増加、女性の貧困等の問題が可視化され、令和3年版と併せ、我が国において、男女共同参画が進んでいなかったことが顕在化したことに触れています。  そうした状況下、県でも、かながわ男女共同参画推進プランの改定に向けた作業が進められようとしており、神奈川県男女共同参画審議会等々、熱心な御議論をいただいているところです。  今の県の4次プランの重点目標である「職業生活の充実とワーク・ライフ・バランスの実現」、「男女共同参画の面から見た健やかで安心なくらし」については、この間、国で大きな動きがありました。  女性の職業生活における活躍の推進に関する法律が改正、DV相談件数の増加や女性の貧困の問題等については、新たに、困難な問題を抱える女性への支援に関する法律が成立しています。  また、子育て世帯に対する包括的な支援のための体制強化等を行うために、児童福祉法の一部改正や、新たなこども家庭庁の創設があり、国を挙げての施策の新設や強化・拡充による課題の解決に大きな期待が寄せられているところです。  〔資料提示〕  また、国の第5次男女共同参画基本計画では、頻発する大規模災害等の経験も踏まえ、男女共同参画の視点による防災・復興対策を浸透させる必要があるとしているほか、指導的地位に占める女性の割合が、2020年代の可能な限り早期に30%程度となるよう取組を進めるとしており、大変重要なことと捉えています。  今回の県の5次プランは、国内の構造的な問題、ジェンダー不平等に対する問題など、男女共同参画を強力に推進するとともに、誰一人取り残さない多様性と包摂性のある社会を実現する大きな機会の中での改定と考えます。  国全体の大きな動きの中での第5次プランの策定となり、スケジュール的に今回の県の改定作業には間に合わないものもあると思われますが、4次以降の県内情勢や課題を踏まえ、さらなる男女共同参画の推進となるよう取り組んでいただくことを求めます。  県内においては、特にコロナ禍の経済情勢の悪化から、サービス業、とりわけ飲食・宿泊業等を直撃し、非正規雇用労働者を中心に、雇用情勢が急速に悪化したことが、また、このプラン策定の大きな背景と考えます。  〔資料提示〕  現に、神奈川県内の男女間の賃金格差については、これまで全国の平均値をはるかに上回ってきましたが、2019年は73.6%、2020年度は74.1%と、全国平均を初めて下回っただけでなく、2018年の75.7%から大きく減少し、県内の男女の賃金格差は広がったと言えます。  平均勤続年数においても、2020年度の県条例に基づく事務所からの届出結果では、平均勤続年数が男性は16年、女性は10.5年で、その格差は5.5年、賃金構造基本統計調査では、県の平均勤続年数の差は4.8年と、前年の4.5年から、0.3年格差は拡大しています。  これまでも課題となっていた女性の就業における男女共同参画については、コロナ禍を受けて後退していると言わざるを得ません。コロナ禍で顕在化した女性の就業支援、就業環境の整備、適正な待遇の促進などに、改めて、男女共同参画の課題として取り組んでいくことが重要であると考えます。  そこで、知事に伺います。  かながわ男女共同参画推進プランについて、今後の5次プランの策定に当たり、男女共同参画の推進に、どのように取り組んでいくのか、所見を伺います。  〔資料提示〕  質問の第5は、持続可能な県営水道の実現についてです。  我が国の水道は、人口減少に伴う水需要の減少、水道施設の老朽化、水道技術者の人材不足等の課題に直面しています。こうした課題に対応するため、2019年に改正水道法が施行されましたが、この改正においては、法律の目的が、それまでの水道の計画的な整備から水道の基盤強化へと変更されたことに象徴されるように、水道事業が大きく変わらなければならない時代が到来しています。  本県においては、水道が直面する諸課題を解決するため、水道の基盤強化に向けて、多様な広域連携によるかながわ水道の構築を目指し、神奈川県水道広域化推進プランの策定に向けて取り組むなど、持続可能な水道の実現に向けた議論が進められています。  水道は、県民生活や社会経済活動の基盤として必要不可欠であり、今後、厳しさを増す経営環境の下にあっても、激甚化、頻発化する災害に強いインフラを整備するなど、命の水、県民の命を守る水道を堅持していかなければなりません。  こうした中、県営水道事業を担っている企業庁においては、安定経営と円滑な事業推進に関する事項について調査審議するため、本年3月に神奈川県営水道事業審議会を設置し、3月以降、既に3度の会合を開き、精力的に審議を行っています。現在は施設整備の在り方を中心に審議が進められており、今後の審議に大いに注目しているところです。  〔資料提示〕  高度経済成長期の水需要の急増に伴い整備した大量のインフラが更新時期を迎える中、短期間で膨大な量の更新を進めることは困難であることから、企業庁が戦略性を持って、どのように施設整備を進めていくのかを再来年、2024年度以降の次期水道事業経営計画において明確に示した上で、着実に実践していくことが重要と考えます。  また、こうした取組を実現していくためには、利用者お一人お一人に、水道事業が大きく変わらなければならない時代が到来していることを伝え、県営水道が抱える課題をしっかりと県民に説明し、御理解、御協力いただくことが大前提となります。そのための企業庁の広報、情宣は、今まで以上の取組が必要になると考えます。  そこで、企業庁長に伺います。  将来にわたって持続可能な県営水道の実現に向け、必要となる施設整備について、審議会や企業庁では、どのように議論を進め、今後どう県民の理解を得ながら実現していこうと考えているのか、所見を伺います。  〔資料提示〕  質問の第6は、こども家庭庁創設に伴う子ども・子育て支援の拡充についてです。  今年6月、こども家庭庁を設置する関連法案が成立、来年4月に発足します。  資料によれば、こども家庭庁の具体的な組織区分は、大きく三つの部門から構成されます。  企画立案・総合調整部門では、子供政策に関する総合調整機能を集約し、子供政策に関する大綱を作成、推進する。また、デジタル庁などと連携して、個々の子供、家庭の状況、支援内容などに関するデータベースを整備する。  成育部門では、施設の類型を問わず、共通の教育・保育を受けられるよう、文部科学省と協議し、幼稚園、保育所、認定こども園の教育・保育内容の基準を策定する。子供の性犯罪被害を防止する目的で、日本版DBSや、子供が死亡した経緯を検証するCDRの検討を進める。  支援部門では、児童虐待やいじめ問題に対処し、重大ないじめに関しては、文部科学省と情報を共有して対策を講じる。さらに、ヤングケアラー、里親の元で育った若者の支援を進める等々、法案には、これまで以上の子ども・子育て政策が列挙されており、対象も拡大されています。  折しもこの8月には、就学前の育児に困難を抱える家庭などの支援策を議論する検討委員会も開かれ、施設に通わない無園児の家庭訪問や困り事把握といった、これまでにない施策も打ち出されています。  本県では、国に先んじて平成30年度の組織再編で、福祉子どもみらい局を設置し、子ども・子育て支援の体制強化を図ったところですが、こども家庭庁が発足し、今後も、子ども・子育て政策が拡充されることに合わせて、さらなる体制強化を図り、柔軟かつ機動的に対応していく必要があると考えます。  そこで、知事に伺います。  こども家庭庁の創設に伴う子ども・子育て支援の拡充に対応するため、さらなる体制整備を図るべきと考えますが、所見を伺います。  〔資料提示〕  質問の第7は、小児医療費の助成制度の拡大についてです。  小児医療費の助成制度は全国的な広がりを見せ、保険医協会の調査によれば、既に小学校卒業以上の無料化は、通院で1,416市町村と全国の市町村の81.3%を占め、入院では実に1,662市町村と、全国の95.5%に上っています。  中学卒業以上の無料化で見ても、通院で1,268市町村、入院では1,489市町村と、おのおの全国72.8%、85.5%と大勢になっています。  10年以上前から中学卒業までの無料化を実施している東京都では、東京消防庁の調査では、中学卒業までの年齢層は、小児医療費助成拡大に影響されず、一貫して、件数が横ばいで、小児医療費助成制度拡大が不必要な受診、医療機関の負担増にはつながっていないことも読み取れます。もとより子育ての中で、必要度や緊急度が低い受診はあったとしても、不必要な受診などというものが存在するのかどうかは疑問であります。  〔資料提示〕  小児医療費助成制度は、都道府県や市町村の努力で、法定負担の3割や2割の部分を補填、助成し、窓口負担をゼロとし、患者負担により、受診抑制となっていた潜在的医療需要を回復し、顕在化する役割を果たしています。それは疾患等の早期発見、早期治療を促し、重症化を回避する社会的システムでもあると言われています。  県内では、この夏に横浜市が中学校卒業までの拡大を打ち出し、川崎市が現在では小学校卒業まで、30市町村が中学校卒業まで、2町が高校卒業までという状況です。昨日の川崎市議会では、中学校卒業までの検討も表明されたところであります。  県の市町村への助成が就学前までということに、その拡大を求める声は、県民からも市町村からも上がっています。この二十数年の間、健康保険法の患者負担が増加してきたのとは逆に、県内各市町村の小児医療費助成制度は大きく前進をしてきました。これは社会的な要請によるものであると考えます。  2020年に出された研究論文「子どもの医療費助成制度の受診抑制に対する影響」という論文によれば、中学2年生については、3割負担及び償還払いの自治体に居住している場合、自己負担がゼロ円の自治体に居住している場合に比べ、約2倍の確率で受診抑制が起こっていることが確かめられています。経済的に厳しい層では、この関連は顕著であったとされています。  親の就労形態や就労時間、健康状態、世帯タイプなどを変数としてコントロールした場合でも、生活困難度は頑強に受診抑制と関係していることが明らかになっているとあります。  その後のコロナ禍の影響により、この傾向はより大きくなったことが容易に推察されるところです。家庭の経済状況が子供を必要な治療から遠ざけ、重症化に至ることをよしとすることはできないのではないでしょうか。  子育てしやすい神奈川、子育てするなら神奈川と、子供政策を進めている県として、また、県内各市町村が負担する一方、長年にわたり、県へも、その負担軽減を要望してきている実態を踏まえ、小児医療費の助成制度の拡大に向けて、今こそ一歩踏み出すべきと考えます。  そこで、知事に伺います。  コロナ禍の子育て環境のより困難さを増した状況を踏まえ、また、県内各市町村の取組の効果と負担軽減に向けて、県として、小児医療費の助成制度の拡大を図るべきと考えますが、所見を伺います。  以上です。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○副議長(曽我部久美子) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 岸部議員の御質問に順次お答えしてまいります。  初めに、コロナ禍における都市税財源の確保についてお尋ねがありました。  固定資産税は市町村税収の約4割を占め、税収額も安定している、市町村財政を支える重要な税目です。  この固定資産税について、新型コロナウイルス感染症により、国民生活全般を取り巻く環境が大きく変化する中で、納税者の税負担感を緩和する観点から、令和3年度、4年度と、地価上昇に伴う増額を抑制する特別な措置が講じられました。  この特別な措置により、市町村の固定資産税は減収となりますが、この減収額を補填する国の交付金等は設けられず、地方交付税により補填されることとなっています。この結果、普通交付税の交付団体においては、交付税制度上、減収額の75%相当までしか補填されず、不交付団体にあっては、減収額全額が補填されないことになります。  特に、本県市町村は33団体中7団体が不交付団体であり、今回の措置は大きな影響を与えています。  県としては、今回の措置のように、国の政策目的のために自治体固有の財源である地方税を減税するのであれば、国の責任において、全ての自治体を対象に減収額全額を国費で補填するべきと考えています。  県ではこれまでも、全国知事会や九都県市首脳会議などを通じ、固定資産税の抑制措置は今年度限りとし、令和5年度は本来の水準に戻すことや、適切な財源補填などについて、国に要望してきました。  今後も、国において、このたびの固定資産税の抑制措置のような地方税の減税措置が検討される場合には、全ての自治体において財源が確保できるよう、機会を捉えて、しっかりと国に要望してまいります。  次に、定年引上げについてお尋ねがありました。  県職員の定年引上げについてです。  定年引上げは、職員一人一人の生活や人生設計にも大きく影響する大改革であり、職員の理解を得ながら進めていく必要があります。  そこで、制度概要に関するパンフレットを作成し、定年引上げが最初に適用される今年度末59歳の職員全員に配付するとともに、60歳以降、どのような働き方をしたいか、アンケートを実施する予定です。  さらに、定年引上げの詳細な内容が確定した後、改めて、対象職員に情報提供し、来年度には、60歳以降の働き方について、職員一人一人に意向を確認します。  また、定年引上げ後も、職員が引き続き安心して働くためには、加齢に伴う身体機能の低下や、家族の介護等の事情にも配慮する必要があります。  そこで、職員が60歳以降、柔軟な働き方を選択できるよう、一度退職した上で、短時間で勤務することができる定年前再任用短時間勤務制度の導入を検討しています。例えば、フルタイムの4分の3の勤務時間に当たる週29時間勤務や、おおむね半分となる週19時間程度の勤務も選択できるようにするなど、柔軟な仕組みにすることで、職員一人一人の状況に応じた多様な働き方を実現したいと考えています。  こうした対策をしっかりと講じることで、定年引上げについて、職員の理解を深めるとともに、60歳以降も職員が能力を十分発揮できるよう取り組んでまいります。  次に、横浜湘南道路及び高速横浜環状南線の整備についてお尋ねがありました。  横浜湘南道路と高速横浜環状南線は、圏央道の一部を構成し、県東部と県中央部の連携を強化する路線であり、移動時間の短縮のみならず、災害時の緊急輸送にも大きく寄与する重要な道路です。  この道路の整備は、国や高速道路会社が進めていますが、県としても、用地を確保するための行政代執行を実施するなど、これまで事業に協力してきました。現在、全線にわたり工事が進められており、地上から確認できる箇所としては、ジャンクションの形状も見えてきました。  こうした中、東京外かく環状道路の陥没事故などを受け、新たに策定されたトンネル工事に関する指針に基づき、より一層、安全かつ慎重に工事を進める必要が生じました。  これを受け、住民生活への影響を確認するため、工事の振動等を詳細に計測するとともに、トンネルを掘る速度の調整などを一層丁寧に行うことになり、今年8月に国等から、開通時期を示すことは困難であるとの見解が示されました。  地域の生活環境を守り、安全に工事を進めることは最も重要ですが、この路線への期待は大変大きく、早期の整備が望まれます。  そこで、今後の取組ですが、県は横浜市と共に、国や高速道路会社に対し、早期の開通を申し入れたところであり、引き続き、開通時期を示すことや、一日も早い開業に向けた整備の促進を様々な機会を捉えて働きかけていきます。  また、より一層の事業促進に向け、工事に係る関係機関調整など、県として協力できる取組は、最大限、対応していきます。  県は、こうした取組を通じて、横浜湘南道路と高速横浜環状南線の整備促進にしっかりと取り組んでまいります。  次に、かながわ男女共同参画推進プランの改定についてお尋ねがありました。  県では、平成30年に策定した第4次かながわ男女共同参画推進プランに基づき、あらゆる分野における男女共同参画や、職業生活の充実とワーク・ライフ・バランスの実現などに取り組んできました。  しかし、まだまだ企業等における指導的地位を占める女性の割合は低く、また、防災分野などへの女性の参画や、夫は外で働き、妻は家庭を守るべきだといった性別による役割分担意識の解消も課題です。  また、新型コロナウイルス感染症の拡大により、女性の雇用や所得への影響が顕在化しています。  そこで、新たなプランでは、女性のキャリア形成のための環境づくりや、デジタル分野など、女性の参画が進んでいない分野への取組を推進するとともに、新たに防災・復興における男女共同参画の推進を施策の基本方向に位置づける予定です。  また、性別による役割分担意識の解消に向け、意識改革のための啓発講座や、子供の頃から男女共同参画意識を育み、個性や適性に応じた生き方を選択できるような教育支援などを進めていきます。  さらに、女性の就業支援については、一人一人のニーズに合わせたカウンセリングを行うなど、就職後のサポートを含め、相談体制の強化を図ります。  そして、求職中の女性には、就職先として希望が多い介護技術や医療事務などの職業訓練を実施する際に、独り親家庭優先枠を設けるなど、女性が受講しやすい取組を進めます。  加えて、女性が働きやすい職場環境の整備に努めること、適正に待遇することなどについて、県内中小企業向けセミナーで周知するとともに、県内経済団体へも、その対応を要請していきます。  県では、かながわ男女共同参画推進プランに基づく取組を着実に進め、誰もが生き生きと活躍できる社会の実現を目指してまいります。  次に、こども家庭庁創設に伴う子ども・子育て支援の拡充についてお尋ねがありました。  国では、来年4月からのこども基本法の施行に合わせ、新たな組織として、こども家庭庁を設置し、体制強化を図ることとしています。  一方、県では、平成28年度から、子供施策を全庁一丸となって推進する体制として、私が本部長である子ども・青少年みらい本部を立ち上げ、全庁横断的に取組を進めてきました。  さらに、平成30年度には、次世代育成部門と福祉部門を統合して、福祉子どもみらい局を設置し、国に先んじる形で、子ども・子育て支援の体制を強化しています。  児童虐待や子供の貧困の要因には、様々な背景や家庭環境が複雑に絡み合っているケースが多いことから、特に生活保護や障害児、地域福祉などの施策と連携を強め、多様な視点で子供施策に取り組んできたところです。  子供を取り巻く環境は随時変化しており、国は、保育所等に通わない未就学児、いわゆる無園児の問題など、新たな課題についても、こども家庭庁において検討していくとしています。  県としては、こうした国の動きを受けて、子ども・青少年みらい本部に新たな課題に対応するワーキンググループを設置するなど、子供に関する施策を全庁体制で、より一層推進していきたいと考えています。  こうした対応により、子供を取り巻く課題に、迅速に対応できる体制をさらに強化し、全ての子供が幸福で健やかに成長できる社会の実現に向けて、しっかりと取り組んでまいります。  最後に、小児医療費の助成制度の拡大についてお尋ねがありました。  小児医療費助成は、国の補助がない中で、全国の自治体が実施しており、子供の健全育成と保護者の経済的負担の軽減において大きな役割を果たしています。  県ではこれまで、通院の補助対象年齢について市町村と協議を続け、県の補助対象年齢を段階的に引き上げてきました。その結果、現在、通院については、補助対象年齢を病気にかかりやすく、症状が急変しやすい小学校就学前としています。  対象年齢の引上げなど制度の拡大については、市町村から強い要請がありますが、多額の後年度負担が生じますので、財源確保の問題を含め、議論を重ねているところです。  本来、未来を担う子供を安心して産み育てるためには、全国どこに住んでいても、同じ制度の下で医療を受けられるようにすべきと考えますので、全国統一の制度を創設するよう、全国知事会とも連携し、引き続き、国に粘り強く働きかけていきます。  一方で、来年4月に施行されるこども基本法では、県は、国や他の地方公共団体との連携を図りつつ、子供の状況に応じた施策の策定と実施が義務づけられています。  県は、子供たちや保護者の声を伺うとともに、市町村と緊密な連携を図りながら、小児医療費助成制度の在り方も含め、子供施策を総合的に検討してまいります。  私からの答弁は以上です。  〔企業庁長(髙澤幸夫)発言の許可を求む〕 ○副議長(曽我部久美子) 髙澤企業庁長。 ◎企業庁長(髙澤幸夫) 企業庁関係の御質問にお答えします。  持続可能な県営水道の実現についてです。  将来にわたり持続可能な県営水道を実現するためには、高度経済成長期に大量に整備した水道施設の計画的な更新に加え、大規模地震等の災害にも耐えられるよう、施設の強靱化を図っていくことが重要です。そのため、これまで企業庁では、管路更新率年1%を目標に更新を行うとともに、浄水場の耐震補強等を進めてきました。  本年3月に設置した神奈川県営水道事業審議会では、こうした取組実績を踏まえ、厳しさを増す経営環境の下、施設整備をいかに効果的、効率的に進めていくか、30年後の目指すべき姿についての議論が進められています。  また、企業庁においては、審議会の議論を基に、具体的手法等の検討を進めています。例えば、震度7クラスの大規模地震が発生した際に、現在の最大被害想定である断水戸数80万戸を5分の1程度に、復旧日数48日を3分の1程度に抑えられるよう、広域にまたがる基幹管路や、道路が狭く、復旧に時間を要する場所の管路を先行的に整備するなどの手法を検討しています。  また、これまで耐久性の高い水道管を積極的に整備してきた県営水道の強みを生かし、内視鏡カメラやロボットなどの先端技術を駆使した水道管の劣化診断、メンテナンスを行うことで、さらなる強靱化、長寿命化を追求していきます。  こうした施設整備については、年度内に方向性をまとめ、次期水道事業経営計画に位置づけていきますが、実施に当たっては、県民の皆様の御理解、御協力が不可欠です。そこで、広報紙「さがみの水」で連載している特集「100年水道へむけて」の充実を図り、より身近な問題として考えていただく工夫をしていきます。  県営水道は、県民の皆様の命を守る重要なライフラインです。どのような状況下にあっても、安全・安心な水をお届けできるよう着実に基盤整備を進め、持続可能な県営水道実現してまいります。  私からの答弁は以上です。  〔教育長(花田忠雄)発言の許可を求む〕 ○副議長(曽我部久美子) 花田教育長。 ◎教育長(花田忠雄) 教育関係についてお答えします。  教員の定年引上げについてです。  定年引上げは、教員にとっても、一人一人の生活や人生設計に大きく影響します。また、60歳以降の教員が、これまで培ってきた知識、経験を子供たちの学びに還元できるようにするためには、一人一人のライフスタイルに応じて、フルタイムや短時間勤務など、多様な働き方を用意することが必要です。  一方、基本的に学級担任制である小学校では、フルタイム勤務が前提となっており、短時間勤務を選択した60歳以降の教員については、その配置が課題となります。  そこで、例えば、小学校高学年で、理科や算数など特定の教科だけを受け持つ教科担任として活躍してもらうなど、配置の工夫をしていきます。  また、60歳以降の教員が安心して働き続けるためには、引き続き、学校全体の働き方改革を進める必要があります。そのため県教育委員会では、引き続き、スクール・サポート・スタッフ等の外部人材を学校に配置するなど、教員の負担軽減に取り組んでいきます。  県教育委員会としては、こうした取組を通じて、定年引上げ後の働き方にかかわらず、60歳以降の教員が力を発揮できる環境をしっかりと整備してまいります。  以上でございます。  〔岸部 都議員発言の許可を求む〕 ○副議長(曽我部久美子) 岸部都さん。  〔岸部 都議員登壇〕 ◆岸部都議員 御答弁いただきました。  1点、教員の定年引上げについて再質問いたします。  今、配置の工夫等、学校全体の働き方改革も含めて、いろいろ工夫をしていただけるという御答弁を頂きましたが、県職員に比べ再任用の希望などが少ない現在の学校現場で、そうした工夫等も含めて、人材確保をしっかりするためにも、より詳細で的確な周知が必要と考えます。  定年引上げが60歳以降の教員の働き方を大きく変えるものであるため、趣旨や給与等の制度について、教員一人一人に丁寧に周知する必要があると考えますが、教員に対する周知については、どのように行っていくのか、所見を伺います。  〔教育長(花田忠雄)発言の許可を求む〕 ○副議長(曽我部久美子) 花田教育長。 ◎教育長(花田忠雄) 岸部議員の再質問にお答えいたします。  定年引上げの趣旨や給与等の制度については、学校の管理職を通じた周知だけではなく、オンライン等を活用して、県教育委員会から直接説明する機会を設けるなど、対象の教員に丁寧に周知してまいります。  以上でございます。  〔岸部 都議員発言の許可を求む〕 ○副議長(曽我部久美子) 岸部都さん。  〔岸部 都議員登壇〕 ◆岸部都議員 再質問への御答弁を頂きました。  まさしく管理職の方、各学校の校長、副校長を含め、皆さんが対象者となります。ぜひ教育委員会として、一括で御説明いただくということですが、しっかりと情報提供等、取り組んでいただきたいと思います。  この定年引上げにつきましては、教員にしても県職員にしても、給料や退職手当、任用等の諸制度も従来と大きく変わることから、本当にお一人お一人、丁寧に情報提供、意思確認を行うよう求めるところであります。  また、短時間勤務など柔軟な勤務を可能とする制度が導入されるとのことですが、高齢層の職員が、その知識や能力を最大限発揮できるよう、適材適所の配置にも留意することや、混乱なく制度の導入、実施となるよう求めておきます。  その他、要望を申し上げます。  都市財源の確保については、ぜひ、今回の措置を踏まえ、今後このような国による一方的な制度変更のないよう、国に対して強く要望することを、求めることを重ねてお願いいたします。  小児医療費の助成制度の拡大についてです。  知事の、全国一律の制度であるべきは、県内各自治体の首長の皆様方もおっしゃられていますし、県としても要望していただいていることは承知しています。  昨日の川崎市議会の質問に、市長が答えたところをちょっと繰り返して読まさせていただきます。  市長は、全国一律の制度として構築すべきと考え、国に要望してきた。その考えに変わりはないが、結果的に周辺自治体と差が開き、さらに、物価高騰が生活に長く影響を及ぼす可能性があることから、検討を進めると述べられたと報道で確認したところです。  確かに、国の責任において一律の制度としていくべきですが、今、近隣他都市の動向や都市間競争の中、各自治体が、財政が厳しい中にあっても、拡大に踏み切らざるを得ない、そこのところを県としても改めて考えていただきたいと思います。  県においては、補助金の見直し等による廃止や減額をすることなく、安定的な事業の実施ができるよう、各市町村に対する補助率の拡大へと、これまでのところから一歩進んでの取組を要望して、私の代表質問を終わります。  ありがとうございました。                               〔拍 手〕 ○副議長(曽我部久美子) お諮りいたします。  本日の質問はこの程度で終わり、次回、引き続き質問並びに質疑を行いたいと思いますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○副議長(曽我部久美子) 御異議がないと認めます。  よって、本日の質問はこれで終わります。   ─────────────────────────────────────── ○副議長(曽我部久美子) 以上で、本日の日程は終了いたしました。  お諮りいたします。  明15日は休会いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○副議長(曽我部久美子) 御異議がないと認めます。  よって、そのように決しました。  次回の会議は、9月16日午前10時30分に開きます。  本日はこれで散会いたします。誠に御苦労さまでした。                  午後4時44分 散会...