神奈川県議会 > 2009-09-24 >
09月24日-04号

  • "重点整備地域"(/)
ツイート シェア
  1. 神奈川県議会 2009-09-24
    09月24日-04号


    取得元: 神奈川県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-16
    平成21年  9月 定例会 △《本会議録-平成21年9定-20090924-026671-諸事項-出席議員等・議事日程-》                 9   月   神 奈 川 県 議 会         会 議 録 第 4 号                定 例 会〇平成21年9月24日 午後1時5分開議   ───────────────────────────────────────〇本日の出席議員 議長共99名       出 席 議 員                       行   田   ともひと                       亀   井   たかつぐ                       横   山   幸   一                       榎   並   正   剛                       加   藤   元   弥                       内   田   み ほ こ                       菅   原   直   敏                       作   山   友   祐                       松   本       清                       寺   崎   雄   介                       長   友   よしひろ                       井   手   拓   也                       とくやす    ひさよし                       村   田   邦   子                       山   本   俊   昭                       佐 々 木   正   行                       髙   橋       稔                       長   田   進   治                       国   松       誠                       杉   本       透                       髙   山   松 太 郎                       石   井   もとみち                       近   藤   大   輔                       鈴   木   裕   二                       塩   坂   源 一 郎                       伊   藤   久 美 子                       山   口   裕   子                       曽 我 部   久 美 子                       日   下   景   子                       山   本   裕   子                       馬   場   学   郎                       飯   田       誠                       渡   辺   ひ と し                       小 野 寺   慎 一 郎                       し き だ   博   昭                       小   島   健   一                       いそもと    桂 太 郎                       梅   沢   裕   之                       嶋   村   た だ し                       滝   田   孝   徳                       齋   藤   健   夫                       北   井   宏   昭                       大   井   康   裕                       安   藤       慶                       松   崎       淳                       長 谷 川   く み 子                       相   原   高   広                       赤   井   かずのり                       木   村   謙   蔵                       桐   生   秀   昭                       佐   藤       光                       森       正   明                       土   井   りゅうすけ                       杉   山   信   雄                       小   川   久 仁 子                       大   村   博   信                       竹   内   栄   一                       岩   本   一   夫                       関   口   正   俊                       吉   田   大   成                       伊   藤   と お る                       木   内   ひ ろ し                       榎   本   与   助                       笠   間   茂   治                       川   上   賢   治                       藤   井   深   介                       向   笠   茂   幸                       持   田   文   男                       竹   内   英   明                       鈴   木   恒   夫                       舘   盛   勝   弘                       田   島   信   二                       国   吉   一   夫                       新   井   敏 二 郎                       松   田   良   昭                       茅   野       誠                       石   川   輝   久                       平   本   さ と し                       高   谷       清                       田   中       肇                       河   野   幸   司                       斉   藤   ゆ う き                       此   村   善   人                       服   部   圭   介                       益   田   は や お                       牧   島       功                       堀   江   則   之                       中   村   省   司                       新   堀   典   彦                       三   好   吉   清                       鈴   木   ひ で し                       磯   貝   捷   彦                       村   上   健   司                       久 保 寺   邦   夫                       山   田   吉 三 郎                       はかりや    珠   江                       手   塚   悌 次 郎                       安   斉   義   昭                       東   野   陽   子       欠 席 議 員                       嘉   山   照   正       説明のための出席者         知         事   松   沢   成   文         副    知    事   羽   田   愼   司              同        小   野   義   博              同        古 尾 谷   光   男         政策部長          黒   川   雅   夫         総務部長          古   谷   幸   治         安全防災局長        藤   井   良   一         県民部長          水   田   秀   子         環境農政部長        石   黒   順   一         保健福祉部長        吉   川   伸   治         商工労働部長        小   林       賢         県土整備部長        斉   藤   猛   夫         会計管理者兼会計局長    佐   藤   光   徳         広域行政担当部長      江   原   正   明         人事制度・業務プロセス改革         担当部長          冨   田   輝   司         労務担当部長        安   室   和   行         IT担当部長        三   科   清   高         次世代育成・保健福祉         特定課題調整担当部長    稲   垣   良   一         環境共生都市整備         担当部長          池   守   典   行         政策部副部長        二   見   研   一         総務部副部長        北   村       明         安全防災局副局長      浄   園   英   史         県民部副部長        鈴   木       順         環境農政部副部長      茂   木   吉   晴         保健福祉部副部長      山   田   直   子         商工労働部副部長      藤   井   邦   彦         県土整備部副部長      矢   野   敏   行         財政課長          中   島   正   信         教育委員会教育長      山   本   正   人         同  教育局長       笠   原   達   夫         同  学校教育担当部長   下 山 田   伸 一 郎         警察本部長         渡   辺       巧         警察本部総務部長      佐   藤   榮   治         人事委員会事務局長     榎   本   武   美         監査事務局長        新   倉       隆         労働委員会事務局長     北   村   保   夫         選挙管理委員会書記長    中   村   正   樹         収用委員会事務局長     松   村   弘   和         公営企業管理者企業庁長   松   藤   静   明         企業庁経営局長       北   村   俊   夫         同  水道電気局長     中   島   英   雄         病院事業管理者         病院事業庁長        堺       秀   人         病院事業庁病院局長     田   辺   政   和   ───────────────────────────────────────       議会局出席者         議会局長          嶋   田   幸   雄         議会局副局長        大   熊   隆   二         同  総務課長       山   下   良   一         同  議事課長       大   島   守   夫         議会局政策調査課長     竹   内   徳   慶   ───────────────────────────────────────              神奈川県議会9月定例会議事日程第4号                            平成21年9月24日午後1時開議 第1 常任委員の選任第2 特別委員の選任第3 定県第 74 号議案 平成21年度神奈川県一般会計補正予算(第2号)   定県第 75 号議案 同  年度神奈川県水道事業会計補正予算(第1号)   定県第 76 号議案 神奈川県地域環境保全対策基金条例   定県第 77 号議案 神奈川県森林整備加速化林業再生事業基金条例   定県第 78 号議案 神奈川県医療施設耐震化臨時特例基金条例   定県第 79 号議案 神奈川県観光振興条例   定県第 80 号議案 神奈川県高校生修学支援基金条例   定県第 81 号議案 収入証紙に関する条例の一部を改正する条例   定県第 82 号議案 神奈川県手数料条例の一部を改正する条例   定県第 83 号議案 現業職員の給与の種類及び基準に関する条例等の一部を改正する条例   定県第 84 号議案 議会の議員その他非常勤の職員の公務災害補償等に関する条例の一部を改正する条例   定県第 85 号議案 事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例   定県第 86 号議案 神奈川県安心こども基金条例の一部を改正する条例   定県第 87 号議案 神奈川県立の知的障害児及び障害者支援複合施設に関する条例の一部を改正する条例   定県第 88 号議案 神奈川県立の高等学校等の設置に関する条例の一部を改正する条例   定県第 89 号議案 工事請負契約の締結について(相模川流域下水道左岸処理場汚泥処理施設改築工事(機械)請負契約)   定県第 90 号議案 工事請負契約の締結について(酒匂川流域下水道左岸処理場水処理施設設備工事(機械)請負契約)   定県第 91 号議案 工事請負契約の締結について(酒匂川流域下水道左岸処理場水処理施設設備工事(電気)請負契約)   定県第 92 号議案 工事請負契約の締結について(相模原方面特別支援学校(仮称)新築工事(建築-第1工区)請負契約)   定県第 93 号議案 工事請負契約の締結について(相模原方面特別支援学校(仮称)新築工事(建築-第2工区)請負契約)   定県第 94 号議案 工事請負契約の締結について(相模原方面特別支援学校(仮称)新築工事(空調)請負契約)   定県第 95 号議案 工事請負契約の締結について(相模原方面特別支援学校(仮称)新築工事(衛生)請負契約)   定県第 96 号議案 動産の取得について   定県第 97 号議案 動産の取得について   定県第 98 号議案 動産の取得について   定県第 99 号議案 指定管理者の指定について(県民ホール)   定県第 100号議案 指定管理者の指定について(葉山港)   定県第 101号議案 指定管理者の指定について(西湘地区体育センター)   定県第 102号議案 指定管理者の指定について(武道館)   定県第 103号議案 和解について   定県第 104号議案 和解について   定県第 105号議案 和解について   定県第 106号議案 和解について   定県第 107号議案 和解について   定県第 108号議案 和解について   定県第 109号議案 和解について   定県第 110号議案 和解について   定県第 111号議案 和解について   定県第 112号議案 和解について   県報第3号 専決処分について承認を求めること(神奈川県福祉の街づくり条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例について)第4 認第1号 平成20年度神奈川県公営企業決算及び神奈川県病院事業決算の認定について   ─────────────────────────────────────── △《本会議録-平成21年9定-20090924-026672-諸事項-諸報告等-》    〔議会局長報告〕  出席議員 議長共81名 ○議長(国吉一夫) ただいまから、本日の会議を開きます。   ─────────────────────────────────────── ○議長(国吉一夫) この際、申し上げます。  吉田大成議員から文教常任委員を辞任したい旨、申し出があり、本日これを許可いたしましたので、ご了承を願います。   ─────────────────────────────────────── ○議長(国吉一夫) これより日程に従い、審議を行います。  日程第1、常任委員の選任を行います。  委員の選任につきましては、神奈川県議会委員会条例第8条の規定により、本職からご指名申し上げます。  吉田大成議員を厚生常任委員にご指名申し上げます。   ─────────────────────────────────────── ○議長(国吉一夫) 次に、日程第2、特別委員の選任を行います。  委員の選任につきましては、神奈川県議会委員会条例第8条の規定により、本職からご指名申し上げます。  石川輝久議員を社会問題総合対策特別委員にご指名申し上げます。   ─────────────────────────────────────── △《本会議録-平成21年9定-20090924-026673-質問・答弁-横山幸一議員-一般質問①子育て支援について②高齢者介護について③神奈川県競輪組合における競輪事業について》 ○議長(国吉一夫) 次に、日程第3、定県第74号議案 平成21年度神奈川県一般会計補正予算外39件、日程第4、認第1号 平成20年度神奈川県公営企業決算及び神奈川県病院事業決算の認定について、以上一括して議題といたします。  これより質問並びに質疑を行います。  質問の通告がありますので、順次発言を許します。  横山幸一君。〔横山幸一議員登壇〕(拍手) ◆横山幸一議員 私は自民党県議団の一員として、通告に従い、提言を交えて順次質問をいたしますので、しばらくの間、ご清聴のほどよろしくお願い申し上げます。  質問の第1は、子育て支援についてであります。  県民目線あるいは現場目線に立ち、さまざまな側面から質問させていただきます。  まず、保育所における新型インフルエンザ対策についてお伺いいたします。  新型インフルエンザは本格的な流行期を迎えつつあり、学校の休校や学級閉鎖等が続いております。当初、集団発生がある場合、DNAの断片を増幅して検査を行うPCR検査を実施して診断を確定し、患者の届け出が行われておりましたが、その後、集団発生が急増したため、国の方針により、原則、PCR検査は実施しないこととなりました。ただし、保育施設などにおいては、引き続き保健所への迅速な連絡と協力が求められております。  こうした中、先日、神奈川県内の民間保育所において、園児の4分の1がインフルエンザに感染しながら、仕事を持つ保護者の都合に配慮し、休園しない方針を決め、職員の多数が感染して運営が困難にならない限り、今後も保育を続けるという事例がございました。  国民の間には、現在の新型インフルエンザは弱毒性で、軽症であるとの認識が広がっておりますが、感染力は季節性のインフルエンザよりも強いと言われており、さらに、一般に国民が免疫を獲得していないことからも、全国的に急速に蔓延することが懸念されております。  実際の保育園でのことを申し上げますと、先日、感染した児童が1人おりましたが、その後、3日で10名を超え、すぐさま登園自粛の措置を施し、登園者は3分の1程度になりましたが、どうしても仕事を休めず、登園した子供たちに次々と感染し、その感染力の強さと拡大の早さに驚くととともに、これが流行期を迎え、また強毒性になり、全国に広がったらと考えると背筋の寒くなる思いをしたところであります。  さらに加えまして、国内において、小児のインフルエンザ脳症の報告も続いており、その中には重症例もあると聞いておりますが、保育園児は罹患した場合に重症化が懸念される乳幼児の集団であります。また、感染した場合に重症化するリスクが高いと判断される方として、糖尿病などの持病のある方に加え、高齢者や妊婦も対象となっておりますが、保育園児の保護者の中には、妊娠中の方もたくさんいらっしゃいます。  実際に、保護者の方からは、休園になれば、事情を会社に話し、休むことができるが、登園自粛だと休めないので休園にしてほしいという声もお伺いいたしますし、逆に、どんな状況でも会社を休めないので、休園にしないでくださいといった逆の声もお伺いします。このように、休園は設置者の判断に任せると言われている中で、相反する要望を受け、現場では苦慮しているというのが現状です。  保育園に対して閉園しないでほしいと指示している市もございます。確かに保護者も簡単に仕事を休めないですし、閉園の期間が長期化するのではないかと心配する気持ちもわかります。保護者の就労のために保育を継続することは、いわば保育園の使命でもあるわけですが、感染拡大を防ぐため、児童と、そして保護者の健康を守るため、休園を決断することが必要な場合もあると考えます。  本来、児童福祉施設である保育所が、最近では就労支援施設としての意味合いが強くなってきております。子供のことを考えれば、感染拡大を防ぐため、早めに休園すべきでしょうが、就労支援施設と考えれば、休園しづらいのが現状であり、先ほど申し上げましたが、実際、なるべく休園しないでほしいと指示している市町村も多くあります。しかし、いくら就労支援とはいえ、子供の健康や命にかかわる事例に対しては、子供のことをまず一番に考えるべきだと私は考えます。  休園などの社会的対応については、国の運用指針によれば、都道府県等が必要に応じて臨時休業を要請するとされているところでありますが、今月8日に県の危機管理対策本部会議から示された対処方針によりますと、当面は「学校・社会福祉施設等感染拡大防止のための臨時休業については、その設置者等の判断により実施することを基本とする」とされております。つまり、感染拡大防止のための臨時休業は、その施設の設置者の判断に任されているということであります。  しかしながら、新型インフルエンザはまだ解明されていない部分が多く、今後どのように拡大し、どのように変異していくか予想もつかない状況であり、このまま流行期に突入すると、現場は大混乱に陥ることは火を見るよりも明らかであります。今、必要なのは、施設が休園を検討する際の何らかの判断材料や判断基準など、的確な支援や助言なのではないでしょうか。また、設置者や保育行政の実施主体である市町村にその判断をゆだねるということも理解できますが、その場合、施設や市町村によりばらつきが生じ、保育施策の一貫性が保たれません。ここは国の運用指針に準じ、都道府県が必要に応じて臨時休業を要請すべきと考えます。  ちなみに、県教育委員会は、県立学校に向けて、同一集団の在籍者の10%程度、3から4人を目安として学級閉鎖を実施するとの基準を示しております。川崎市では、公立の保育施設については、おおむね3分の1の児童・職員に発症が見られた場合に閉園の検討を行うとのことであります。小・中・高等学校が学級閉鎖する中で、乳幼児が通う保育所では明確な基準がないということに関して、私にはどうしても理解ができません。  また、混乱を招かないためには、保育施設が複数の患者発生を把握した場合、まずどこに報告し、どこに相談すればよいのかといった基本的な事項についても、きちんと周知しておくことが重要なことであると考えます。  そこで、知事にお伺いします。  こうした状況を踏まえつつ、今後さらに感染の拡大が予想される中、保育所における新型インフルエンザ対策について、県として市町村や保育所等の設置者にどのように対応していくのか、知事の見解をお伺いします。  次に、企業や事業主に対する働きかけについて伺います。  新型インフルエンザの大流行を前に、国は今年の5月に、保育施設等の臨時休業により、育児や介護のために休まざるを得なくなった従業員について、本人の申し出に基づいて特別休暇を与えるなど、特段の配慮をするよう各経済団体へ要請をしており、県もそれを受け、県内の事業主団体に対し同様の要請を行いました。  しかしながら、今現在、県内各企業にまで浸透している実感がありません。そもそも従業員の少ない中小企業においては、そのような要請を受けたとしても、日ごろから休業者の業務を代替できるような余剰人員を抱えることは難しく、実質的に休むのは難しい状況にあります。  私は、昨年の9月定例会においても質問させていただきましたが、企業の中に育児休業や看護休暇など、家族のための休暇をとりにくい職場の雰囲気があり、そのため、まず県が中小企業に対し、子育て支援制度の周知をより積極的に取り組む必要があると指摘させていただきました。ふだんから、職員の育児休業や看護休暇をとりやすい環境づくりや企業側の理解が進んでいれば、新型インフルエンザが発生したときに、企業や事業主に対し、慌てて要請しなくても、従業員は介護や看護のために安心して休暇をとることができるはずです。皮肉にも、新型インフルエンザという災厄によって、これらの課題が露呈することとなってしまいましたが、この根本的な問題を解決しない限り、このような要請をいくら行ったところで、実効性に乏しいと言わざるを得ません。  国においては、今年の6月に育児・介護休業法を改正し、3歳未満の子供を持つ従業員に対する短時間勤務制度の導入を企業に義務づけることや、子供の看護休暇制度の拡充、介護のための短期休暇制度の創設などを盛り込みました。そして、これらの実効性を確保するために、苦情処理や紛争解決の仕組みの創設、勧告に従わない場合の公表制度なども創設することとしております。  待機児童解消のための保育所の整備など、子育て家庭へのハード面での支援は差し迫った課題であり、当然必要な施策でありますが、一方で、企業や事業所における育児休業や看護休暇を利用しやすい職場環境をつくるためのソフト面での支援は、それらと対をなすものであり、まさに車の両輪として互いが機能し、補完し合って、初めて仕事と家庭の両立が図れるのだと思います。どちらか一方が欠けても、いわゆるワーク・ライフ・バランスの実現はできません。  そこで、知事に伺います。  企業や事業所において、育児休業や看護休暇を利用しやすい職場環境をつくるための支援は、社会情勢や環境の変化を踏まえ、喫緊の課題となってきており、より一層ペースを上げて取り組む必要があると考えますが、知事の見解をお聞かせください。  次に、病児・病後児保育についてお伺いします。  ふだん保育園に通っている子供が風邪などの病気で体調不良のとき、あるいは回復期にあるものの集団保育が不可能なときに、その子供を預かって世話をする施設が病児・病後児保育施設であります。  私は、昨年の9月定例会の質問の際に、要望として、少子化対策、そして子育て支援の観点からは、病児・病後児保育はやるべき施策ではあるけれども、緊急避難的な施策として位置づけて考えていただきたいと申し上げました。  子供が病気になった場合には、親が子を看護するために気兼ねなく仕事を休めるのが本来あるべき姿であり、子供にとって負担が少なく、また親にとっても最も安心できる姿であると私は考えておりますが、現実にはなかなか仕事を休むことが困難な保護者も多く、中には、休めば解雇されてしまうかもしれないと不安を募らせている保護者もいらっしゃると思います。こうしたやむを得ない状況への対応ということから、病児・病後児保育事業はあくまでも緊急避難であると考えているところであります。  しかしながら、この病児・病後児保育事業については、交付金から補助金に移行するなど、国の支援の仕組みが大きく変わり、昨年度から県の予算措置が必要になったとのことで、当初予算に計上され、さらに補正予算で実施箇所の増加に対応したと記憶しておりますが、まだまだ実施箇所は少なく、だれでも、どこでも利用できるにはほど遠い状態です。  現実的に、まだまだ企業側の理解が進んでおらず、親はなかなか仕事を休めない状況の中で、体調不良の子供を保育園などに無理して登園させることによって、子供自身の健康状態への影響も心配されますし、感染症の場合は、ほかの園児への感染のリスクも危惧される状況であります。  すべての保育園では、日ごろから園児の手洗いやうがいを励行し、集団保育の中で感染症を最小限に食いとめるために、児童の健康管理、衛生管理のために最善の努力を尽くしております。しかしながら、どんなに予防しても、だれもが感染症に罹患する危険があり、ましてや免疫の弱い子供などはなおさらであります。  仮に、いつでもだれでも病児・病後児保育を受けることができる体制が整備されていれば、無理して登園させることなく、感染拡大のリスクを最小限に抑えることにもつながると思います。そうした意味では、病児・病後児保育が緊急避難的に必要となる保育ということを考えますと、新型インフルエンザが流行している今、そのニーズはますます増加することが見込まれる状況であると言えます。  そうした中で、昨年度に続いて、今年度も国の制度の大幅な変更があり、補助金の基準額が、これまでの1カ所当たり幾らという定額制から、利用数に応じた実績払いに変更になったとのことです。病児・病後児を一時的に預かるという施設の性格を考えますと、コンスタントに一定の利用があるものではありませんので、看護師等の配置が必要であることを考えますと、人件費の負担が重くのしかかり、中には事業の存続自体が危ぶまれるケースもあるのではないでしょうか。  本県の病児・病後児保育の実施状況を見てみますと、すべて民間が主体となって運営されておりますが、この事業をさらに拡大するためには、安定的な運営という観点からも、まずは公立保育所において積極的に実施していくことや、医療機関での実施が望ましい病児対応型の保育については、公的な医療機関での併設を積極的に進めるべきではないでしようか。  また、医療機関で併設する場合においても、実際に治療行為を行うわけではないため、子供の容態が急変したときなどに、小児専門医が不在のため対応できず、重症化してしまうというような事例もあると話を聞いております。小児専門医を病児保育実施医療機関へ積極的に配置する必要があると考えます。  そこで、知事に伺います。  今後、病児・病後児保育の普及に向けて、県としてどのように取り組んでいこうとしているのか、知事の見解を伺います。  質問の第2は、高齢者介護についてであります。  3日前の9月21日に敬老の日を迎えましたが、全国の100歳以上の高齢者が過去最多の4万399人に上り、初めて4万人を突破したことが明らかになりました。1998年に1万人を初めて超え、2万人になるまで5年、3万人になるまで4年、その後わずか2年で4万人を突破しており、増加のペースが加速し、急速に高齢化社会が進んでいる状況が浮き彫りとなりました。  さらに、本県では全国を上回るスピードで高齢者が増加することが予想されており、団塊の世代が65歳以上になる2015年には県民のおよそ4人に1人が高齢者となる超高齢社会に突入します。今後ますます介護が必要な高齢者が増加し、高齢者介護の充実が重要な課題となってくるものと考えられます。  そのような中で、現在の特別養護老人ホームの入所待機者数を見ると、全国では平成18年3月末現在で約38万5,000人、神奈川県でも、平成21年4月1日現在で約2万2,000人の入所待機者がいるとのことであります。こういった数字を聞くと、すぐにこれらの入所待機者の解消に向けて、特別養護老人ホームなどの整備を推進すべきだという議論になりがちですが、それは極めてナンセンスな議論であると思います。  その理由として、居宅介護支援事業所や施設が設置している地域包括支援センターのケアマネジャーによっては、高齢者の方が介護認定で要介護3になると、まだ在宅で介護できるにもかかわらず、とりあえず特別養護老人ホームへの入所申し込みをするように指導しているという話を聞くからです。つまり、そうした申し込みが累積することで、入所待機者が実態以上に膨らんでいるというのが現実で、そのような入所待機者の解消のために莫大な費用がかかる特別養護老人ホームの整備を行うことは、税金の無駄遣い以外の何ものでもありません。  施設は、整備に費用がかかるのはもちろんのことですが、本県の平成21年4月審査分の受給者1人当たりの費用も、平成20年度介護給付費実態調査によれば、居宅サービスが11万4,000円に対して、施設サービスが29万400円と、施設は在宅に比べて2.5倍の費用がかかるわけです。したがいまして、施設整備は、施設でなければ介護が難しい方や、所得が低く、有料老人ホームには入所できないような方など、真に入所が必要な方のために進めるべきであると考えます。  そもそも、私は、高齢者介護の基本は在宅介護にあると考えております。赤ん坊のときに世話をしてもらった恩返しとして、親が年老いたときに、今度は子供が親の世話をするということは、日本の美しい美徳であったはずで、そのような美しい心と深い愛情を持って親の介護を行っている家族を助ける仕組みが介護の本質であると思います。  ところが、まだ在宅で十分に世話ができるにもかかわらず、すぐに施設に入れようとする家族が多いことは憂うべき風潮であり、もう一度、日本人の心、美徳を取り戻して、介護の基本に立ち返るべきではないでしょうか。  ただ、いくら家族が在宅で介護したいと思っても、在宅での介護が過度な負担となってしまっては、在宅介護を実現することはできません。例えば、現在の訪問介護サービスは、ヘルパーが長時間訪問することができないため、訪問介護だけで在宅介護を行うことは無理な場合もありますし、ショートステイも満員で予約がとれない、地域密着型施設の整備も思ったとおりに進んでいないというのが現状で、これらの在宅介護を支える制度の改善や充実が求められます。  また、在宅介護を行う世帯への負担を軽減するため、相続税や所得税の軽減措置を設けることや、家族の介護に関する知識不足が施設への入所希望を増加させていることからも、居宅介護支援事業所等が家族に対する介護知識の普及啓発を行うシステムなども検討すべきではないでしょうか。  そこで、知事にお伺いします。  介護の基本に立ち返り、在宅介護を進めるため、現在の介護保険サービスや介護報酬の見直しなど、在宅介護を支える制度の改善等を国に要望していくことを含めて、県として、在宅介護の充実についてどのように受けとめ、どのように取り組んでいこうとしているのか、知事の見解を伺います。  質問の最後は、競輪事業について伺います。  本県の競輪事業は、私の地元であります横浜市鶴見区の花月園競輪場を中心に、地方財政の健全化、並びに各種産業の発展を目的として、昭和25年から実施してきております。その後、経済成長とともに順調に売り上げを伸ばし、これまで競輪、競馬合わせて900億円を超える規模の収益金を配分するなど、本県の財政に大いに貢献してまいりました。  しかしながら、近年はレジャー産業の多様化やバブル経済の崩壊などの影響を受け、売り上げが大きく減少する中で、かつてのように黒字を計上し、収益金を県財政に繰り出すことが難しくなってきている状況であります。  そこで、効率的な事務執行と経費削減のため、平成10年4月、それまで花月園競輪場でそれぞれに競輪を開催してきた横浜市及び横須賀市とともに一部事務組合神奈川県競輪組合を設立し、従事員の賃金見直しや全国初の包括委託の実施など、経営改善に向けたさまざまな取り組みを重ねながら黒字転換を図ってきたとのことであります。  しかし、その後も売り上げ、入場者数ともに減少傾向に歯どめがかからず、平成15年度と平成16年度を除いては赤字が続き、平成20年度末時点での累積赤字は49億円に及んでおります。ちなみに、全国の競輪事業の売上状況ですが、平成3年度の1兆9,500億円をピークに急降下し、平成20年度にはピーク時の4割にすぎない7,900億円にまで減少し、施行者の撤退が相次ぐなど、競輪事業は業界全体としても極めて厳しい環境に置かれているとのことであります。  こうした状況を踏まえ、本年4月、神奈川県競輪組合とその構成団体である県、横浜市、横須賀市の4者により、外部有識者から成る神奈川県競輪組合あり方検討委員会が設置され、経営改善方策及び今後のあり方について検討がなされ、先般、報告書が提出されたところであります。  報告書によれば、神奈川県競輪組合の今後の収支見通しについては、単年度収支は毎年約5億円の赤字が見込まれ、累積赤字は平成25年度には約77億円に達するとした上で、実現可能性のある経営改善方策を講じたとしても、その年間改善効果額は1億円に満たないとしております。  そして、その結論は、「神奈川県競輪組合が競輪事業を継続すれば、さらなる赤字を重ねることになり、競輪事業から撤退する方向で検討せざるを得ないものと思われる。特に花月園競輪場での開催は早期に廃止する方向で調整を進める必要があろう」という極めて厳しい内容となっております。  私は、収益金の繰り出しなど、これまでに競輪事業が果たしてきた役割は大いに評価すべきものと考えますが、やはり神奈川県競輪組合の置かれている状況や、競輪業界全体の状況からして、このままのスタイルで競輪事業を続けていくことは難しいものと考えます。  しかしながら、一方で、仮に神奈川県競輪組合が競輪事業を廃止するというようなことになれば、従事員の皆さんなど競輪場で働いている方々を初め、自転車競技会等の競輪関係者に大きな影響を与えるほか、構成団体である県にも累積債務の解消など相当な財政負担が生じることになるのではないかと考えております。  また、花月園競輪場は広大な敷地を有し、鶴見区でも数少ない緑豊かな地域であるとともに、災害時の広域避難場所にもなっており、地元住民としても、今後どのような方針決定がなされるのか大きな関心を持っているところであります。  そこで、知事にお伺いします。  神奈川県競輪組合あり方検討委員会の報告を踏まえ、知事は今後どのように対応していこうとしているのか、見解をお聞かせください。  以上で、私の第1回目の質問を終わります。  ご清聴ありがとうございました。〔拍 手〕〔知事(松沢成文)発言の許可を求む〕 ○議長(国吉一夫) 松沢知事。〔知事(松沢成文)登壇〕 ◎知事(松沢成文) 横山議員のご質問に順次お答えいたします。  まず、保育所における新型インフルエンザ対策についてのお尋ねがありました。  保育所は児童福祉法において共働き家庭など、家庭で面倒を見られない乳幼児をお預かりする施設として位置づけられております。このため、保育所における新型インフルエンザ発生時の対応についても、子供の健康被害の拡大を防止するとともに、勤務を休むことが難しい保護者への配慮など、社会的影響を考慮する必要がございます。また、保育所における集団発生の場合、各家庭の状況や保護者の希望、近隣の幼稚園や学校での発生状況など、個々の保育所の実情に即して個別に判断する必要があります。  こうしたことから、保育所の臨時休業については、設置者の判断を基本とするとともに、保育の実施主体である市町村の方針を尊重していくことが適当であると考えています。  また、保育所にとっては、集団発生時の報告や相談の窓口があらかじめ明確になっており、いざというときに混乱を生じないようにすることが重要です。そこで、県では、保育所を対象にした説明会の開催など、きめの細かい対応を行い、そのような場で保育所が集団発生を把握したときは、地元の保健福祉事務所と市町村に連絡してご相談いただくとともに、日常の感染予防や拡大防止策に心がけていただくよう、改めて周知徹底を図っているところであります。  今後とも、市町村や保育所設置者に的確な情報を提供しながら、新型インフルエンザが集団発生した場合には、個々の保育所の状況に応じて、保健福祉事務所において、相談、調整を行うなど、県としての適切な指導を行ってまいります。  次に、企業や事業所において、育児休業等を取得しやすい環境づくりの支援についてのお尋ねがありました。  先月発表された雇用均等基本調査によれば、女性の育児休業の取得率が初めて9割を超えたものの、子供の看護休暇の取得者がいた事業所はわずかに12.7%にとどまっている状況であります。また、最近の中小企業白書によれば、仕事と育児の両立を支援する制度の利用が進まない主な理由として、従業員が利用をちゅうちょしてしまうような雰囲気があるということが挙げられております。  こうしたことから、今後、制度がさらに有効に活用されるためには、休暇等をとりやすい職場の環境づくりが課題であり、従業員を含めた企業の意識改革が急務であると考えています。  これまでも、県では、法制度や国の助成金等をわかりやすく紹介したガイドブックの作成やセミナーの開催により、普及啓発に努めてまいりましたが、今年度から新たに個々の中小企業に対して、専門アドバイザーを派遣することといたしました。  あわせて、県民の理解を促すため、来月には政令市等と連携し、横浜市内において神奈川ワーク・ライフ・バランスシンポジウムを開催いたします。今後もこうした取り組みをさらに推進し、育児休業や子供の看護休暇を取得しやすい、だれもが働きやすい職場環境づくりに向けた支援を行ってまいります。  次に、病児・病後児保育についてのお尋ねをいただきました。  病児・病後児保育事業は、保育所や病院などにおいて、病気または回復期にある子供を一時的に保育するほか、保育中に体調不良となった児童への緊急対応を行うことにより、安心して子育てができる環境を整備するものであります。  近年の核家族化の進行や就労形態の多様化によって、児童とその家族を取り巻く環境が大きく変化している中で、子供が病気になっても安心して働けるよう、この事業を拡充していくことが必要と考えています。  国の病児・病後児保育事業が、昨年度、市町村に対する交付金から県を通した補助へと制度が変更されたことを受けまして、県としても、これまで県所管域において9カ所を対象として事業を実施しております。  しかし、事業を普及させていくためには、病児・病後児保育の特質から幾つかの課題がございます。例えば、対象となる児童は当面の症状の急変が認められない児童となっておりますが、予想できない急変が起こる可能性は否定できません。そのため、保育所で実施する場合には、あらかじめ協力病院を確保するなど、医療機関との連携が必要であるほか、病気の感染を防ぐため、しっかりと仕切られた保育室を整備することが必要です。  このようにさまざまな課題がございますので、市町村からの相談に丁寧に対応するなど、この事業を幅広く普及していくため、新たに病児・病後児保育を実施する市町村をふやしていくことを基本として取り組んでまいります。  また、ことし設置した安心こども基金には、病児・病後児保育における感染症対策のため、空調設備や自動ドアの設置など、備品購入に関する支援も盛り込まれておりますので、このような支援策の活用についても市町村に働きかけてまいります。  さらに、この事業に対する補助制度が実績払いに変更されたことに伴い、看護師などの医療人材の確保について、経費面から不安のあるところであり、こうした点について、事業の安定的な実施ができるよう、さまざまな機会に国に要望してまいります。  次に、高齢者の在宅介護の充実についてのお尋ねがありました。  高齢者の多くは介護が必要になっても、できるだけ在宅で暮らしたいと希望しており、そうした希望に沿って、住みなれた家や地域で生活できるよう、在宅介護の充実を図る必要があると認識しています。  介護保険制度も発足後10年目を迎え、この間、平成18年度には身近な地域で通所や宿泊などを提供する小規模多機能型サービスや夜間対応型のホームヘルプサービスなど、新たなサービスが導入されましたが、利用者の多様なニーズには十分こたえ切れていないのが現状であります。  その理由としては、ホームヘルパーが長時間訪問しにくい報酬体系となっているため、十分利用できないことや、居宅介護支援事業所のケアマネジャーの業務が多く、時間的にも余裕がないため、高齢者や家族に対する介護知識の普及などの支援を十分行えないことなどが挙げられています。  加えて、地域で多様な在宅サービスを提供する拠点である小規模多機能型のサービス事業所は、収益率が低いため、なかなか整備が進まないことも理由の一つであります。  在宅介護は高齢者本人の要介護度や医療的ケアの必要性はもとより、住宅環境や家族、地域の介護力などに違いがあることから、必要な在宅サービスも一人一人で異なっており、きめ細かな使いやすいサービス提供が求められているところであります。  こうしたことから、県としては、高齢者の多様なニーズにマッチした在宅サービスが提供できるよう、その報酬額を業務に見合ったものとし、事業所が安定的に運営できる報酬体系へ見直すなど、介護保険制度の改善を国に働きかけてまいります。  また、県の取り組みとして、多様なサービスが提供できるよう、市町村と協力して事業者の指導を行うとともに、在宅介護を支える人材育成について、ホームヘルパー等の養成やケアマネジャーの現任研修等を通じた資質の向上を図ってまいります。  あわせて、今議会で補正予算を提案させていただいておりますが、小規模多機能型のサービス事業所や夜間対応型の訪問介護ステーション等の整備に対する助成を行いたいと考えています。こうした取り組みにより、質・量ともに在宅サービスの充実を図り、在宅介護を支援してまいります。  最後に、競輪事業についてのお尋ねがございました。  本県の競輪事業は、60年もの歴史の中で多額の収益金を生み出し、本県の財政運営に大きな役割を果たしてまいりました。しかしながら、近年、レジャーの多様化やファンの高齢化などにより、売り上げが減少しており、神奈川県競輪組合の経営状況は、平成20年度末の累積赤字が49億円に達し、今後さらに厳しい状況が予想されております。  そこで、県では、競輪事業を根底から見直すため、本年4月、競輪組合及び他の構成団体とともに、学識者と競輪事業の専門家による神奈川県競輪組合あり方検討委員会を設置いたしました。委員の方々には競輪組合の経営状況を分析していただいた上で、経営改善の方策や今後の競輪事業のあり方について、それぞれ専門の立場から精力的に検討をいただきました。  特に、経営改善方策に関しては、専門部会を設け、競輪関係団体からのヒアリングも行いながら、ナイター競輪など、売り上げ増加が期待できる改善策の実現可能性や効果額の検証などもしていただいたところであります。  先般、こうした検討の結果がまとめられ、報告書が提出されました。その中では事業規模をコンパクト化して存続する案も一つの可能性として示されてはおりますが、基本的に黒字経営に転換できるような方策を見出すことはできず、競輪事業の存廃を含めて、早急に判断すべきであるという大変厳しい結論が示されております。  県といたしましても、競輪組合の累積赤字は最終的には構成団体の負担となってしまいますので、早急に累積赤字の拡大を防ぐ必要があると認識しています。  そこで、委員会の報告を踏まえ、まずは競輪事業の実施主体である競輪組合や他の構成団体とも十分に協議いたしまして、競輪関係者への影響も十分踏まえた上で、競輪事業の存廃を含め、今後の方針を速やかに決定し、必要な対応を図ってまいります。  答弁は以上でございます。〔横山幸一議員発言の許可を求む〕 ○議長(国吉一夫) 横山幸一君。 ◆横山幸一議員 知事におかれましては、ご答弁ありがとうございました。  時間がないため、自席での発言をお許しいただきたいと思います。  まず、企業や事業所に対する働きかけ、そしてまた、病児・病後児保育について、また高齢者介護について、前向きなご答弁をいただきまして、ありがとうございました。ぜひ、ご答弁のように、今後、強力に進めていただきたいということを要望させていただきます。  また、競輪事業につきましては、競輪事業の存廃も含め早急に判断すべきということでありますが、花月園競輪場は先ほども申し上げましたが、広大な敷地を有し、鶴見区では数少ない緑豊かな地域でもございます。その行く末に地元で大変関心を持っておりまして、まずはこの検討委員会の報告書を踏まえつつ、仮に廃止するのであれば、長年競輪開催にご理解をいただいてきた地元住民の方々の意見、また、長年この施設会社を運営されている花月園観光さんなどの意見も十分に聞いていただいて、一番いい形での利用をお願いしたいと思います。  続きまして、保育所における新型インフルエンザ対策について、1点再質問させていただきたいと思います。  知事のご答弁の中で、休園の判断は施設設置者に任せるといったようなご答弁でございましたが、実際、現場で感じることは、周りの小学校等々でも新型インフルエンザが発生し、学級閉鎖になっている中で、保育所だけあけていると、やはり兄弟児で小学校へ通っている方とか、結構たくさんいらっしゃいますので、ここをすべて1回シャットアウトしないと、感染拡大の防止というのはなかなか難しいなというのが現場で感じるところでございます。  そういった意味で、川崎では約3分の1が罹患すれば、休園にするといったような方針も出ておりますが、横浜に関しては、逆に休園しないでくれといったような要請などがあり、先ほども申し上げましたが、保育の一貫性という部分で、なかなか成り立っていかないのかなといったような印象を受けています。  そのような中で、設置者、特に民間の設置者が休園する、しないという判断を下すというのは、かなり責任の重い話でもありますし、やはりここは県として、何らかの休業する際の判断材料や判断基準、こういったものをお示しいただくか、また市町村に対して、本当に設置者に任せるのであれば、休園しないでくれとか、そういうようなことを言うのではなくて、ちゃんと設置者の判断に任せていただきたい、そういったような指導をしていただきたいと考えますが、知事のお考えをお伺いします。〔知事(松沢成文)発言の許可を求む〕 ○議長(国吉一夫) 松沢知事。〔知事(松沢成文)登壇〕 ◎知事(松沢成文) 横山議員の再質問にお答えいたします。  保育園のインフルエンザが発症した際の休園を判断する際の判断材料、判断基準というのをしっかり県が示していくべきではないのかと、こういうご質問だったと思います。  繰り返しになりますけれども、保育所における新型インフルエンザへの対応というのは、保護者の状況ですとか、あるいは近隣の幼稚園や学校での発生状況など、あるいはその保育園がどういう場所にあるか等々、個別性が非常にございまして、一律に判断材料や判断基準を示すということは、なかなか難しいなというふうに考えております。  ただ、新型インフルエンザが集団発生した場合には、個々の保育所の状況に応じて、保健福祉事務所において、その個々の状況に応じて相談、調整を行って、県として適切な指導を行っていくという方向が好ましいというふうに考えております。  以上です。〔横山幸一議員発言の許可を求む〕 ○議長(国吉一夫) 横山幸一君。 ◆横山幸一議員 繰り返しのご答弁で、なかなか私の思いが伝わらないのかなといった気もいたしますけれども、やはり国の運用指針の中で、都道府県が休業を要請できるといったような指針もございますので、これまた、新型インフルエンザが弱毒性で今の状態であれば、まだ大丈夫なのかなといった思いはございますが、今後いつ強毒性になるか、またH5N1型、そういった意味で、今後のことを考えますと、次、新しいそういった波が来たときに、ぜひ県といたしましても適切で早急な判断をいただいて、休業要請ができるならば、そのときはしていただきたいと要望させていただきまして、私の質問を終わります。 △《本会議録-平成21年9定-20090924-026674-質問・答弁-安斉義昭議員-一般質問①自殺対策について②地域作業所の諸課題について③鳥獣対策について④土砂災害対策について⑤大岡川の河川整備と水上交通について⑥教育問題について》 〔安斉義昭議員発言の許可を求む〕 ○議長(国吉一夫) 安斉義昭君。〔安斉義昭議員登壇〕(拍手)〔議長退席、副議長着席〕
    ◆安斉義昭議員 議長の発言のお許しをいただきましたので、私は民主党・かながわクラブ県議団の一員として、通告に従い、順次提言を交えながら質問いたします。  私にとりましては、平成19年2月定例会で代表質問をさせていただいて以来の久しぶりの登壇であります。さきの総選挙で国民の選択により政権交代が実現し、我が民主党の鳩山由紀夫代表を中心とする新たな政権が誕生し、新しい政治がスタートいたしましたが、今回の私の質問は、この間、小泉政権以降、顕著に進められてきた新自由主義的な政策により、一番しわ寄せを受けている社会的弱者の視点に立ち、県政が抱える諸課題の中から、数点に絞ってお伺いするものであります。  知事並びに教育長におかれましては明快なご答弁を、また、先輩、同僚議員の皆様におかれましては、しばらくの間、ご清聴のほどよろしくお願い申し上げます。  質問の第1は、本県の自殺対策についてであります。  我が国の昨年までの全国自殺者数は、11年連続で3万人を超えるという状況で推移しており、このたびの経済環境の悪化で、今年に入ってからの自殺者数は過去最悪のペースに迫る事態となっております。  また、本県における自殺者数は一昨年が1,820人、昨年は1,871人であり、今年に入ってからも、警察庁の統計によると、7月までの自殺者数は前年比43人増の1,119人であり、警戒水域入りしたとの報道もあります。自殺率としては、全国の都道府県の中では低い位置ですが、1日当たり約5人、毎年1,800人を超える多くの方がとうとい命をみずから絶っているという事実を深刻に受けとめるべきと考えます。  自殺の背景には、健康問題、経済問題、家庭問題等、多くの社会的な要因があります。そこで、本県におきましても、これまで庁内各室課による会議だけでなく、さまざまな分野の関係機関によるかながわ自殺対策会議を設置するなどの体制整備を図っており、今月まさに自殺予防月間には、全県の啓発活動などに取り組まれていると承知しています。  また、自殺という言葉を前面に出して、こころといのちのサポート事業(自殺対策)などにも取り組む中で、国の先進的なモデル事業である地域自殺対策推進事業を平成19年度から3年間、大和市で実施し、さらに今年度からはかながわ自殺予防情報センターを設置するなど、自殺対策の総合的な推進を図ってこられました。  そこで、知事に伺います。  あと半年を残すものの、今年度で終了する大和市におけるモデル事業の成果や課題について、どのように今後の自殺対策に反映させていこうとしているのか、あわせて、4月に設置したかながわ自殺予防情報センターの状況やその成果を踏まえ、また、今日の切迫した情勢を受け、より一層自殺対策を強化する必要があると考えますが、知事のご所見をお伺いいたします。  質問の第2は、障害者地域作業所の置かれている現状と課題についてであります。  障害者地域作業所は、これまで法定施設にはない柔軟性を生かし、地域で暮らしている重度・重複の障害者の方々を含め、発達障害や高次脳機能障害のような、いわゆる制度のはざまにある方々も受けとめ、社会参加の場を提供してきました。  平成18年に障害者自立支援法が施行され、障害者地域作業所については、同法に基づく障害福祉サービス事業所や地域活動支援センターへ移行する方向が示されましたが、法の施行から3年を経過した現在でもさまざまな課題があり、法定内事業への移行の流れは定着しているとは言いがたい状況にあります。  地域作業所については、法定内の事業へ移行した方が、より安定した事業運営ができるという県の考え方は理解するところではありますが、小規模でも地域の中に存在し、障害者の方々に身近に寄り添い、柔軟に対応できる地域作業所としての仕組みは、これからも必要なのではないでしょうか。  特に、小規模な作業所などの実態からすると、法定内の事業へ移行することが、利用者にとって果たしてよいことなのかどうかも十分に見きわめて、支援のあり方を考えていく必要があると考えます。  また、地域作業所の方々から話を伺ったところ、作業所の相談機能をネットワーク化して、地域で暮らす障害者にとっての身近な相談機関として認めてもらいたい、あるいは作業所は木造構造の事業所が多く、災害対策に向けた支援についても、目を向けてほしいという意見もありました。  加えて、このところの経済情勢の悪化により、下請受注や製品販売が低迷し、地域作業所をめぐる状況は一層厳しさを増しております。さらに、これまで県は、市町村の地域活動支援センター事業への支援策として、いわゆるメニュー補助を実施しておりますが、このメニュー補助の内容は、必ずしも作業所の実態に即したものとは言えず、むしろ作業所が地域活動支援センターへ移行した場合、現実には運営が難しいといった声もあります。  そこで、今後の地域活動支援センターへの支援について、補助メニューの見直しを含め、一層の充実を図るとともに、最近の経済情勢の変化を踏まえて、作業所や作業所から移行した地域活動支援センターなどにおける受注促進、製品販売の拡大を支援すべきと考えますが、知事のご所見をお伺いいたします。  質問の第3は、鳥獣対策についてであります。  本県は多彩な地形を擁し、中でも神奈川が誇る丹沢の山々は多くの生き物をはぐくみ、多様な景観を有する身近な自然として多くの方々に愛されております。しかし、その愛すべき丹沢の自然も、ブナの立ち枯れや植生の衰退、土壌流出など、さまざまな課題を抱えており、その主な原因の一つとして、ニホンジカの影響が指摘されております。  このため、本県では、植生の保護や土壌流出防止の対策に取り組むとともに、第2次ニホンジカ保護管理計画を策定し、平成19年度から、県と市町村、関係団体等が連携・協力して、生息数がおおむね1,500頭を下回らない範囲で、管理捕獲を大幅に強化して、積極的に個体数の調整に取り組んでいることは承知いたしております。  これまでの2年間の取り組みの強化により、奥山での生息数は減少しているという声も聞きますが、里山に目を転じますと、シカは減るどころかふえているのではないかという地域の声もあります。里山では、安全上の理由から銃器による捕獲が困難な農地周辺にシカが定着し、そうしたシカを効率的に捕獲できないことから、シカの群れに作物を食べられたなどの話が出ております。農業被害は営農意欲の低下につながりますので、銃器が使えないからと手をこまねくことなく、ぜひ積極的な対応が必要だと考えます。  また、捕獲したシカの処理についてですが、一部をハンターが食用に持ち帰り、残りは埋設しているのが現状でありますが、全国の状況を見ますと、市町村や民間で捕獲したシカを地域の特産物として活用している取り組みがあります。本県においても、せっかく捕獲したシカを苦労して埋設するのではなく、地域資源として食肉に活用したらどうかということで、そのための食肉処理加工施設を整備したいという地域の声があります。捕獲したシカを食肉加工し、名物メニューとして、地域の旅館や飲食店を通して観光客に提供することで観光振興を図るなど、地域おこしにつなげていくことは、まさに一石二鳥ではないかと思います。  しかし、市町村が食肉処理加工施設を整備するには、整備費用や食肉加工に関する衛生面のノウハウなど、課題を抱えているのが現状であります。  そこで、知事にお伺いいたします。  里山でのシカの管理捕獲の強化について、市町村と連携して、県はどのように取り組んでいこうと考えているのか、また、捕獲したシカを有効活用し、地域おこしの一助とするために食肉処理加工施設の整備をしようとする市町村に対して、県としてどのように対応していこうと考えているのか、あわせてお伺いいたします。  次に、土砂災害対策について伺います。  近年、全国各地で局地的な集中豪雨、いわゆるゲリラ豪雨により、土石流やがけ崩れなどの土砂災害が多発しています。今年も7月21日には山口県で、また7月24日には福岡県で集中豪雨が発生し、大きな被害をもたらしました。罹災された方々には心よりお見舞い申し上げます。  特に、山口県防府市では、特別養護老人ホームが裏山から流下した土石流の直撃を受け、7名の方が亡くなる災害が発生しました。新聞報道によれば、当地区では、山口県が砂防堰堤の建設を計画し、測量に着手しておりましたが、工事は来年度に着手する予定であったとのことで、あと少しのところで、土砂災害を防止するための施設整備が間に合わず、災害の発生を食いとめることができませんでした。  また、当地区は、昨年3月、山口県が土砂災害防止法に基づく土砂災害警戒区域に指定したことから、防府市は災害関連情報を特別養護老人ホームに伝えなければなりませんでしたが、今回の災害では、県と気象台が、災害が発生する4時間ほど前に土砂災害発生の危険度が高まったとして、土砂災害警戒情報を発表していたにもかかわらず、市は避難準備情報も避難勧告も出さなかったとのことで、こうした警戒避難体制について、今後の課題として浮き彫りになったところでございます。  翻って、私は本県においても、昨今の異常な豪雨の状況を見るにつけ、大規模な土砂災害が発生してしまうおそれがあるのではないかと懸念しているところでございます。県民の生命を守るため、まず、土砂災害を直接防止するためのハード対策をより一層推進するとともに、減災に向けたソフト対策についても、市町村と連携しながら取り組みを進めていくことが必要であると考えています。  そこで、土砂災害を防止するための取り組みとして、急傾斜地崩壊対策施設の整備によるハード対策と、災害避難体制の整備によるソフト対策について、今後どのように取り組んでいくのか、知事のご所見をお伺いいたします。  次に、大岡川の河川整備の状況について伺います。  大岡川は、横浜市磯子区にその源を発し、横浜市の中心部を流れる総延長23キロメートルの二級河川であります。大岡川は、かつては、たびたび浸水被害に見舞われていましたが、昭和56年に大岡川分水路が完成したことにより、治水安全度は大きく向上し、地域住民は安心して暮らせるようになりました。  しかし、その大岡川を見ますと、直立した護岸などにより、人が容易に水辺に近づけない形になっておりました。そうしたことから、私は、平成4年6月定例会において、この大岡川の環境整備に関して、県と横浜市が連携を深め、親水性のある施設づくりを早期に実現することを求め、さらに、平成8年12月定例会においては、大岡川再生事業の取り組みの考え方について伺いました。  知事からは、河川内の散策路や景観に配慮した緑化護岸の整備の取り組みや、地元の方々や関係者の意見を伺う場をつくり、この意見を十分尊重した形での再生を目指したいとの答弁をいただきました。  その後、大岡川の河川整備が進み、水に親しめる親水施設も整備され、川沿いのプロムナードでは散策を楽しむ人も多く見られ、地域住民の憩いの場となっております。私は、河川整備は、治水対策のための整備が重要であることはもちろんですが、一方、都市部における河川は貴重なオープンスペースとしての役割も重要であると思います。地域住民の憩いの場、レクリエーションの場としての役割を期待する住民も多いことから、住民の意見を伺った上で、まちづくりと連携を図り、都市の魅力づくりという視点に立った河川整備を行っていく必要があると考えております。  そこで、県では、このような考え方に基づいて、大岡川の河川整備に取り組まれてきたと承知しておりますが、これまでの取組状況と、現在、横浜市南区で市の蒔田公園再整備事業と連携して進められている河川整備の進捗状況について、知事にお伺いいたします。  次に、大岡川の河川整備に関連して、水上交通を活用した観光振興について伺います。  私は平成8年の本会議において、川を利用した水上交通に関しても質問したところであります。その際は、災害時の代替輸送、大量輸送による環境対策、慢性化している交通渋滞の緩和策など、主に公共交通の観点から質問させていただきました。  その後、我が会派の議員から何度か取り上げさせていただきましたが、昨年、この横浜港のエリアにおいて、主に観光振興の観点から、小型船を活用した水上タクシーの実験が行われ、多くの方々に利用され、評判もよく終了したと承知しています。  水上タクシーの実験が行われた横浜港エリアは、みなとみらい地区の景観を望むとともに、大岡川や中村川、掘割川などの河川エリアは、開港以来の水運で栄えた名残を感じることができる、まさに水上交通を活用した観光にふさわしいエリアだと思います。時あたかも、「観光振興条例」を上程し、観光振興による地域経済の活力向上を目指す本県としては、水上交通を活用した観光振興に、今まで以上に力を入れて取り組んでいただきたいと考えております。  そこで、知事に伺います。  水上タクシーの実験は昨年度で一区切りと聞いておりますが、具体化に向けてどのような課題があり、また、今後どのように取り組んでいくのか、ご所見を伺います。  次に、教育問題についてお伺いいたします。  昨年9月のリーマンショックに端を発した世界的な金融危機により我が国の経済も厳しい状況が続いており、県民生活も大きな影響を受けているところであります。こうした中で家計における教育費の負担は大きくなっており、とりわけ高校生のいる家庭については特に憂慮されるところであります。  保護者の経済状況により、希望する進路が実現できない、あるいは、せっかく進学したのに高校を中退せざるを得ないといった現実も生じています。まさに、保護者の経済格差が子供の教育格差を生んでいるのです。経済的な理由で教育の機会が損なわれることのないよう、すべての子供たちに教育のチャンスを与え、家庭の経済状況にかかわらず安心して勉学に打ち込める社会をつくり、社会全体で子育てをする国を目指すべきであるというのが、私ども民主党の基本的な考え方であります。  本県においては、高校生に対する奨学金の制度を設け、経済的に支援の必要な生徒への奨学金の貸し付けを実施しておりますが、昨今の厳しい経済状況を見ますと、本県における奨学金制度の持つ意義もますます高まり、重要なものになってきていると思います。  しかし、平成17年度以降は、せっかく申し込みをして応募要件を満たしているにもかかわらず、貸し付けを受けることができない子供たちが毎年度出ている状況になっており、今年度も現時点で211人の未採用者が出ていると聞いております。  今回の補正予算案では、国の交付金を活用して、約26億円の基金が計上され、今後、211人の奨学金の未採用者への貸し付けや、応募要件を一部緩和して、貸付対象者の拡大に取り組むことと承知しております。  私は、奨学金には、授業料や教科書、参考書などの教育に必要な学資に充てるという直接的な目的がありますが、もう一つ、大事な目的があると思うのであります。それは、奨学金の制度があることにより、安心して進路選択ができるようにすることであります。  先ほども述べたとおり、現在の経済状況では、これまで以上に経済的な事情が、進路選択に与える影響が大きくなっているものと憂慮されるところであります。子供たちが進路を選択する際に、学業に対する態度や成績が優秀であるにもかかわらず、経済的な事情により、希望した進路を選択することができないといった状況はなくしていかなければならないと思っております。  そこで、教育長に伺います。  勉学に日々努力し、高校への進学に希望を膨らませている、これからの社会を担っていく子供たちが、経済的な事情から希望した進路を断念するようなことがないよう、安心して進路選択できるような奨学金の仕組みを構築する必要があると考えますが、教育長のご所見を伺います。  最後に、今後の県立高校の課題に関して伺います。  さきの総選挙では、地方分権が大きく取り上げられていましたが、教育行政においても、今まで以上に、国主導ではなく、地方が地域の実情に根差した教育を主体的に実行していかなければなりません。今まさに、今後の神奈川らしい教育を考える上で、大変重要な時期を迎えていると思います。  本県におきましては、社会の変化や生徒の多様化、少子化の進展など、県立高校をめぐるさまざまな課題に対応するため、平成11年度に策定した「県立高校改革推進計画」に基づき高校教育改革を行ってまいりました。この計画は、平成12年度から10カ年ということで、本年度が最終年度となります。この計画に従い、これまで、単位制普通科高校、総合学科高校や新たな専門高校、さらにはフレキシブルスクールやクリエイティブスクールなど、本県独自の高校の設置を進めてきました。  その結果、成績が上位の生徒にとっては進路選択の幅が広がったと言える反面、生徒によっては、選択の幅は逆に狭くなり、近くの高校に進学したいのにできなくなったという声も聞かれております。また、それぞれの高校の特色や、単位制高校などタイプによって異なる選抜方法など、生徒によっては、その違いを理解することが難しく、中学校での進路指導がより困難になっているといったことは、高校改革を進める上で生じた、いわば副作用としての課題ではないかと考えております。  教育は社会とともにありますので、社会状況の変化に対応した高校改革を今後とも進めていく必要があります。例えば量の面では、本県の公立中学校の卒業者数は増加傾向にあり、本年3月の卒業者は約6万5,000人でありましたが、5年後の平成26年3月には7万人を超える見通しであります。また、中学校卒業者の高等学校等への進学率も漸増しており、本年5月1日現在の学校基本調査によりますと97.8%に及んでおります。  加えて、中学校卒業予定者の進路希望調査による、公立全日制への進学希望者数と実際の全日制の公立枠のギャップは大変大きな問題であります。こうしたことから、今後の学ぶ場の確保が大変重要でありますので、教育委員会におかれましては、最大限の努力をお願いいたします。  こうした量の面の課題への対応とともに、私がさらに重要と考えておりますのは、質の面からの対応、すなわち生徒の多様化への対応であります。現在、中学生のほとんどが高校へ入学している中で、不登校の経験がある生徒、外国籍の生徒、保護者の経済状況が逼迫している生徒、あるいは義務教育段階での学習内容が十分身についていない生徒、さらには学習障害のある生徒など、まさに多様な生徒が高校に通っております。  とりわけ、定時制高校には、働きながら学ぶ生徒に加え、全日制高校への入学を希望しながら、それがかなわなかった生徒、高校を中途退学したが、再び学び直しのために入学した生徒など、さまざまな課題や背景を持った生徒がおります。このような多様なニーズを持つ生徒に対して、基礎・基本の確実な習得に向けた教育内容はもとより、生徒の興味・関心を踏まえた教育内容を柔軟に提供していくことや、課題のある生徒に対して個に応じた支援を行っていくことなどが、高校教育において大きな課題になっていると考えております。  そこで、教育長に伺います。  今後、高校改革の過程で生じた課題や一層多様化している生徒に対し、どのように取り組んでいくのか、教育長のご所見をお聞かせください。  以上で、私の第1回目の質問を終わります。  まことにありがとうございました。〔拍 手〕〔知事(松沢成文)発言の許可を求む〕 ○副議長(舘盛勝弘) 松沢知事。〔知事(松沢成文)登壇〕 ◎知事(松沢成文) 安斉議員のご質問に順次お答えいたします。  初めに、自殺対策についてお尋ねをいただきました。  本県の自殺者数は全国と同様、平成10年に急増して以降、毎年1,800人前後で推移するなど、大変深刻な状況が続いております。こうした中で、自殺者の性別、年齢、自殺の動機には、地域ごとに違いがあることから、それに応じた対策を進める必要があります。  そこで、県内でも自殺率が高く、都市型の特徴のある大和市を国の地域自殺対策推進事業のモデル地域に選定し、地域特性に応じたきめの細かい取り組みを進めるため、平成19年度より3年間の予定で事業を実施してまいりました。  この事業では、県及び大和市と地域の医療、教育、報道などの団体による協議会を設置し、そのメンバーが中心となった街頭キャンペーンの実施や自殺された方の遺族支援などを行い、公民協働の一体的な取り組みを進めております。  また、自殺のおそれのある方に気づき、必要な支援につなげる住民をゲートキーパーとして養成し、その活動を市役所内の相談支援チームがバックアップするなど、市独自の取り組みも開始されています。  このモデル事業の成果を他の地域でも生かしていくために、市町村担当課長会議において取組状況を協議するとともに、今年度創設された国の地域自殺対策緊急強化交付金事業を活用して、地域の実情に応じたきめの細かい対策の実施を市町村に働きかけてまいります。  あわせてのお尋ねのありました精神保健福祉センターに設置されているかながわ自殺予防情報センターの状況でございますが、自殺統計などの分析を行い、市町村の事業に活用できるようにするとともに、地域や職域で自殺対策に携わる人材の養成研修を始めたところであります。  今後は、県として、複数の新聞の全面広告による広域的な普及啓発、市町村や民間団体とも連携したシンポジウムの開催などに取り組み、自殺に追い込まれることのないよう対策を強化してまいります。  次に、障害者地域作業所についてのお尋ねがございました。  県では、地域作業所が地域活動支援センターへ移行した後も、これまで担ってきた制度のはざまにある障害者の支援などを引き続き行えるよう、地域活動支援センターへの事業費補助を実施しておりますが、県所管域における地域作業所の移行率は28%にとどまっております。  こうした背景には、わずかな職員数で重度の障害者も受け入れ、さまざまな相談にも応じている地域作業所の実態からすると、現状の事業費補助の内容や利用者の通所日数で加算が変動する方式では、安定した運営の確保が難しいなどの課題がございます。  このような実情も踏まえて、7月に策定した「障害者地域生活支援推進プログラム大綱」におきましては、地域活動支援センターへの移行の促進とともに、移行が難しい小規模な地域作業所に対し、必要な支援を図ることを基本的な方向として示したところでございます。  今後、この方向に沿って、地域活動支援センターへの事業費補助の見直しも含め、より実情に即した支援を進めてまいります。  次に、地域作業所や地域活動支援センターなどにおける受注促進についてですが、昨年来の経済情勢の悪化により、大変厳しい状況にあると認識しています。地域作業所では、さまざまな機会をとらえ、受注拡大に努めており、第61回全国植樹祭のシンボルマーク「かなりんちゃん」を使ったクッキーなどの制作、販売にも取り組み、来月10月のカウントダウンセレモニーでは、販売コーナーが設けられると聞いています。  県といたしましても、こうした地域作業所などの製品と作業内容をホームページで紹介するとともに、作業所製品のカタログを活用し、民間企業に対しても積極的にPRを行い、受注促進、製品販売の拡大を支援してまいります。  次に、里山でのシカの管理捕獲の強化と捕獲したシカの有効活用についてのお尋ねがございました。  まず、里山でのシカの管理捕獲の強化についてであります。  本県では、県と市町村とが役割分担をし、奥山では自然植生回復を目的に県が、里山では農林業被害軽減を目的に市町村が管理捕獲に取り組んでおります。市町村が行う管理捕獲に対しては、県として財政的支援を行い、取り組みを推進しておりますが、里山の農地周辺では人家に隣接するなど、安全のために銃器を使用することが難しい場所も多いことから、こうした場所では、わなによる捕獲をより積極的に推進する必要があります。  わなによる捕獲については、設置場所の確保や見回りなどを含め、農家の方々が主体となって行っていただく必要がありますし、捕獲したシカの処分のため、猟友会に協力を仰ぐ場合も出てまいりますので、地域全体で取り組む仕組みが不可欠となります。  県としては、引き続きわなの購入費等に対する市町村への財政的支援を行うとともに、市町村関係団体との協議により、地域での仕組みづくりを進め、わな捕獲に必要となる知識や技術等の研修を行うなど、里山での管理捕獲の一層の推進に向けて市町村の取り組みを支援してまいります。  次に、市町村が行う食肉処理加工施設の整備についてであります。  捕獲したシカを有効活用し、食用にする場合には、肉質の低下を防ぐために、捕獲後おおむね2時間以内に施設に搬入する必要があるなどの条件がございますので、その条件を踏まえて、どれくらいの経営規模にするかなど、まずは具体の経営計画を立てていただく必要があります。  市町村が主体となって施設を整備する場合には、鳥獣被害防止特別措置法に基づく国の支援策が用意されておりますので、市町村からのご相談があれば、その支援策の活用や食肉処理に関する衛生面のノウハウなどについて、県としても協力をしてまいります。  次に、土砂災害対策についてのお尋ねがございました。  近年、局地的な集中豪雨は全国的に増加する傾向にあり、本県においても1時間に50ミリメートル以上の雨が降った回数は、平成元年からの10年間では27回ありましたが、平成11年からの10年間では36回となり、約1.3倍に増加している状況にあります。  また、土砂災害の状況を見ますと、昨年度は県内で115カ所のがけ崩れが発生しており、住宅が急傾斜地周辺に密集している本県の状況から、土砂災害対策を早急に推進する必要があると認識しています。  そこで、まずハード対策でありますが、県内には急傾斜地崩壊危険箇所が2,511カ所ありますので、神奈川力構想の戦略プロジェクトに急傾斜地崩壊対策を位置づけ、横浜市、横須賀市などの重点整備地域を中心に、平成20年度までに1,117カ所の整備を行ってきたところであります。  次に、ソフト対策ですが、県では、土砂災害のおそれがある区域を土砂災害警戒区域として、現在までに横須賀市など6市町と横浜市南区で580カ所を指定したところであります。土砂災害警戒区域に指定された市町村では、警戒避難体制の整備を行う必要があり、その一つとして土砂災害ハザードマップの作成に取り組んでおり、これまでに山北町と横浜市南区が作成を終え、関係住民に配布しております。  今後とも、急傾斜地崩壊防止施設の整備を一層推進するとともに、土砂災害警戒区域の指定に積極的に取り組み、市町村が行う警戒避難体制が早急に整備されるよう支援してまいります。  次に、大岡川の河川整備についてのお尋ねがございました。  大岡川は昭和56年の大岡川分水路の完成に伴い、治水安全度は高まりましたが、護岸が直立していたり、川沿いの道路よりも高く特出しているところもあって、水に触れたり、水面を眺めることができず、河川に親しみにくい構造となっております。  近年、河川整備に対しては、水害を防ぐ役割だけでなく、親水性の高い護岸や潤いのある水辺の景観といったまちの魅力を高める役割も求められるようになってまいりました。そのため、県と横浜市では、平成10年から沿川の町内会、商店街、学識経験者等で構成する大岡川河川再生計画検討委員会を設置して検討を進め、平成12年3月に今後の整備の方向性を示す大岡川河川再生計画を策定し、沿川のまちづくりと連携した河川整備を進めているところです。  この計画では、大岡川で4カ所の親水施設を整備することとしており、平成16年度には、中区北中通りの弁天橋下流に歩行者が川沿いをゆっくり散策できるようボードウオークなどを整備いたしました。さらに、平成18年度には、中区日ノ出町の旭橋上流に横浜市のプロムナード計画と連携して、川の駅大岡川桜桟橋を整備し、カヌーフェスティバルや地域のイベントにもご利用いただいております。  また、南区の市の蒔田公園の再整備事業と連携した河川整備でございますが、県では、平成18年度から水辺の散策が楽しめるボードデッキや親水護岸の整備を進めているところであります。あわせて、散策路や植栽などの公園整備を横浜市が進めることとしており、平成22年度中にはご利用いただけるよう市と調整を図りながら、工事の進捗に努めてまいります。  最後に、水上タクシー事業に関連して、2点お尋ねがありました。  まず、具体化に向けた課題であります。  住宅や商業施設、観光施設が水際に展開する横浜港の湾岸エリアや大岡川などにおいて、小型船で自由に移動できる水上タクシーが実現すれば、利便性が向上するとともに、新たな都市型観光の資源にもなります。こうした観点から、職員提案事業として、平成18年度から3カ年にわたり、横浜港での水上タクシーの運航実験に取り組んでまいりましたが、今後、民間で事業化するに当たり、安全運航の確保など、幾つかの課題も明らかになりました。  事業化に向けた主な課題としては、採算が確保されるかといった点があります。水上タクシーは天候に左右されやすく、利用する時間帯にも偏りがあり、安定した事業展開が難しいことから、利用者を継続的に確保し、収益が上がる事業として育てていく必要があります。  また、自由な移動を目的とする水上タクシーは、乗船場所が多く設けられていることが大変有利でありますので、民間事業として営むには、桟橋所有者の理解と協力を得ていくことが求められます。  そこで、こうした課題に対応するため、今年度、いわゆるふるさと基金事業を活用し、事業者みずからがビジネス化に向けた検討が行えるよう、運航実験の結果を踏まえたフォローアップに取り組んでまいります。  また、3カ年の事業を通じて得られた貴重なデータやノウハウを事業化マニュアルとして取りまとめましたので、この活用を図るなど、これまで以上に民間事業者の関心を高め、事業化を促してまいります。  私からの答弁は以上でございます。〔教育長(山本正人)発言の許可を求む〕 ○副議長(舘盛勝弘) 山本教育長。 ◎教育長(山本正人) 教育関係についてお答えいたします。  初めに、奨学金についてお尋ねがございました。  議員ご指摘のとおり、現在の厳しい経済状況は、高校生の修学環境へも大きく影響しているものと考えられ、奨学金の果たす役割もこれまで以上に重みを増してきていると認識しております。  今年度の高等学校奨学金につきましては、通常の奨学金予算に加え、緊急経済対策として1億円強の特別奨学金を措置し、今回、その予算を前倒しして執行させていただきましたが、まだ211名について貸し付けができていないという状況がございます。  そこで、今回の補正予算で国から交付されます臨時特例交付金により基金を創設し、これを活用して、まだ貸し付けができていない方に対しましても、早期に貸し付けを実施してまいりたいと考えております。  また、この交付金を活用することのできる平成23年度までの間につきましては、応募の要件の一つであります成績要件を緩和することで、今年度の大学生から奨学金の貸付対象者の拡大を図ってまいります。  お尋ねの子供たちが安心して進路選択できる仕組みについてでございますが、今回の基金化により、安定的にすべての対象者が貸し付けを受けられるようにするとともに、中学3年生が高校への進路選択をする際、入学後奨学金の貸し付けを受けられることが事前にわかるよう高校受験の前に審査を行い、結果を通知する制度を導入したいと考えております。  このことによって、公立、私立、どちらの高校に進学しても、必ず奨学金が受けられることが事前にわかることになり、安心して進路選択ができますので、今年度の中学3年生から適用できるよう準備を早急に進めてまいります。  県教育委員会といたしましては、中学3年生の事前の手続や高校生の成績要件の緩和につきまして、対象となる生徒に対して、できるだけ早くさまざまな方法で周知に努めてまいります。  次に、高校改革の過程で生じた課題や多様化している生徒への対応についてお尋ねがございました。  議員ご指摘のとおり、高校改革により、多くの新しいタイプの高校を設置していく中で、中学生に各学校の違いや特色をきちんと理解していただくことや、中学校の進路指導を一層充実させることは大変重要な課題であると考えております。  そこで、生徒や保護者に対しましては、全公立展や学校独自の説明会などをたび重ねて開催するとともに、中学校3年生全員にパンフレットを配布するなど、周知に努めてまいりましたが、今後ともその内容をよりわかりやすくするなど、さらなる工夫を図ってまいります。  また、中学校の管理職や教職員に進路指導に向けて、高校の制度や現状についての理解を一層深めてもらうため、進路指導担当者を対象とする説明会のみならず、中学校教員向けの研修の場なども積極的に活用し、丁寧な説明を行ってまいります。  次に、多様化している生徒への対応でございますが、これまで県立高校では、さまざまな課題や背景を持った生徒に積極的に対応するため、学び直しの機会を提供する学校として、全日制高校3校をクリエイティブスクールに指定するとともに、通信制課程におきましても、ITを活用して自宅で学ぶことができるなど、新しいタイプの通信制高校を設置いたしました。  一方、定時制高校におきましては、議員お話しのとおり、学力に不安のある生徒や不登校経験のある生徒、日本語の理解が不十分な外国籍の生徒など、一層多様な生徒が学んでおります。こうした生徒の中には昼間に学びたい生徒も多くおりますことから、来年度、午前部・午後部から成る多部制の定時制高校を開校し、柔軟な教育課程により、時間をかけて学べる定時制の仕組みを活用して、地域の教育力も十分活用し、生徒の学習や学校生活を支えることのできる学校づくりを行ってまいります。  県教育委員会といたしましては、今後も県立高校で学ぶすべての生徒の状況をしっかり把握し、取り組みの検証を行い、生徒の多様化に対応するため、さらなる高校改革を進めてまいります。  以上でございます。〔安斉義昭議員発言の許可を求む〕 ○副議長(舘盛勝弘) 安斉義昭君。 ◆安斉義昭議員 自席から失礼いたします。  知事並びに教育長におかれましては、誠意あるご答弁をいただき、ありがとうございました。  時間も余りありませんので、自席から二、三要望・意見を申し述べさせていただきたいと思います。  まず、自殺対策につきましては、大変さまざまな事情によって自殺に至るということでございまして、なかなかすぐに即効性のあるというのは大変難しい課題ではありますが、大和市におけるモデル事業の成果も踏まえて、ぜひ知事の答弁にもありましたように、それぞれ県内市町村の地域の実情に応じた、よりきめ細かな対策をとっていただけるよう、県としても積極的に市町村に働きかけ、また連携して取り組んでいただきたいと思います。  次に、地域作業所の支援についてでありますが、作業所に通っている皆さん、あるいは作業所を運営している皆さん、大変、障害者自立支援法の成立以降、より一層厳しい状況になっているということ、さらに、この間の経済状況で製品の販売等も大変厳しいという状況を伺っています。  そんな中で、私たちの会派としても、作業所の皆さんがつくった弁当やお菓子などを購入させていただき、我々の昼食、あるいはお茶菓子に利用させていただいておりますし、また、会派のホームページにもその作業所の作品、あるいは作業所自体を写真入りで紹介して、ささやかではありますが、支援の取り組みをさせていただいています。  県としても、所管する障害福祉課にとどまらず、出先機関、あるいは学校等も含めて、より積極的に作業所の作品、文房具ですとか、さまざまな作品を購入していただく、そして、民間企業等へもその働きかけをしていただく、先ほど知事の答弁に加えて、そういった取り組みをお願いしたいと思います。  次に、鳥獣被害対策についてでありますが、このことにつきましても、我が会派は政令市選出の議員が多い会派ではありますが、県内市町村が抱えている、直面している課題として受けとめまして、会派内にプロジェクトチームをつくって、その対策等について研究を深めているところであります。  また、近く、そのプロジェクトチームの提言をもとに、県のほうにも働きかけをさせていただく機会もあろうかと思いますが、県内市町村が抱えているさまざまな課題がありますけれども、こういった課題に関しましても、より積極的な対応をお願いしたいと思います。  最後に、教育問題についてでありますけれども、教育長から、この現在の中学3年生から来年の高校受験に向けて、受験前に奨学金が受けられるという新たな仕組みの創設に向けて、前向きなご答弁をいただきました。まさに、進路を目の前に控えている生徒にとって、大変心強いご答弁をいただけたというふうに思っておりますが、親の経済格差が子の教育格差を生んでいるという報道がさまざまなされておりますけれども、ぜひ格差の再生産にならないような制度づくり、仕組みづくりについて、これからもよろしくお願いしたいと思います。  また、教育に関しましては、冷静な現状分析と評価がとても大切であろうというふうに思います。この間、鋭意取り組んできていただきました県立高校改革の取り組みによる成果をよく検証していただき、プラスの面ばかりでなく、マイナスの部分、負の部分にも意を配って、これからの本県の高校教育のあり方について、さらに検討を深めていただければありがたいというふうに思います。  以上、申し上げまして、細部につきましては同僚議員等から常任委員会等でさらに詰めさせていただくということで、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。 ○副議長(舘盛勝弘) お諮りいたします。  休憩いたしたいと思いますが、ご異議ございませんか。〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○副議長(舘盛勝弘) ご異議がないと認めます。  よって、休憩いたします。  なお、再開は15分後といたします。                  午後2時44分 休憩        ───────────── ◇ ───────────── △《本会議録-平成21年9定-20090924-026675-質問・答弁-行田ともひと議員-一般質問①行政改革について②介護保険制度について③警察力の強化について》                   午後3時5分 再開   〔議会局長報告〕  出席議員 議長共69名 ○議長(国吉一夫) 休憩前に引き続き、会議を開きます。   ─────────────────────────────────────── ○議長(国吉一夫) あらかじめ時間の延長をいたします。   ─────────────────────────────────────── ○議長(国吉一夫) 質問を続行いたします。  行田ともひと君。〔行田ともひと議員登壇〕(拍手) ◆行田ともひと議員 議長のお許しをいただきましたので、私は公明党県議団の一員として、通告に従い順次質問いたします。  知事、病院事業庁長並びに警察本部長におかれましては、明快なご答弁をお願いいたします。また、先輩並びに同僚議員におかれましては、しばらくの間、ご清聴のほどよろしくお願いを申し上げます。  質問の第1として、行政改革の視点から、何点か質問させていただきます。  まず初めに、行政改革についてお伺いします。  このたびの衆議院選挙でも、各党がマニフェストに地方分権を掲げており、知事の言われてきた道州制の実現ももはや夢物語ではなく、間近に迫っているのだということを強く実感いたしました。地方分権を進めよという意見の根底には、施策・事業の計画や実行に際しては、なるべく地域に密着した自治体に任せたほうが、無駄が省けるはずだという発想があります。  本県においては、このたび提案されている労働センターの改編や、地域県政総合センターのあり方など、改革の余地を残しているところもありますが、一方で、景気に左右されやすい法人二税を歳入の主力としているがゆえに、景気が落ち込むたびに必死の行革努力を行い、全国に先駆けて行政のスリム化に取り組んでまいりました。  県の裁量がきく経費のうち、投資的経費の推移を見ると、平成元年度当初予算では一般会計歳出の17.2%であったのに対し、平成11年度には14.8%、平成21年度では10%まで落ち込んでいます。全国都道府県と比較可能な19年度普通会計ベースで比べてみても、本県の投資的経費はわずか8.7%で、福井県の27.5%、島根県の25.3%を初めとして、他県が軒並み20%を超えているのに比べ、裁量の余地のある経費が極端に少ないことがよくわかります。  また、職員1人当たりの人口を、本県と同様、政令市の人口が50%を超える京都府と比べても、京都府は217人なのに対し、本県は655人と3倍以上で、職員数の削減もよく進んでいることがわかります。人口1人当たりの県税と交付税を合わせた一般財源ベースで見ても、本県は全国最低レベルであります。  これまで進めてきた行革の中身を見ても、維新プログラムと銘打った大阪府の改革を10年先取りした取り組みを行っています。例えば、財政再建団体転落の危機に陥った平成11年度予算編成に当たっては、県単独事業、私学経常費補助金の物件費、民間社会福祉施設振興費などの30%カット、計画事業の見直しなどで、大阪府の改革目標400億円をはるかに超える600億円以上の削減を行いました。また、人件費も、知事の期末手当、退職手当カット、議員報酬のカットなど、手当のカットや職員の削減により、250億円を超える削減を行っています。歳入の確保にしても、リースバックを含む財産売却、長期貸付金の回収などに取り組み、700億円を確保と、当局と議会が一丸となって行政システム改革を行っています。  その後も、市町村への貸付債権の流動化にも自治体として初めて取り組んでおります。知事部局の職員は、ピーク時に比べ約25%の削減、県主導第三セクターもピーク時の45から20と激減しています。本県は、文字どおり、自治体の行革のトップランナー、フロンティアであるのです。  しかし、よく言えば行革先進県である本県は、裏を返せば自由に使えるお金も少ない全国一の貧乏県とも言えます。また、懸命に行革を進めている本県でありますが、歳出規模はほとんど変わっておりません。その大きな要因は、介護・措置・医療関係費が伸びているからであります。介護・措置・医療関係費は、少子・高齢化の進展に伴い、今後も増加することが見込まれます。赤字債がいいとは思いませんが、国は財源が足りないとなれば、赤字国債を発行することができます。しかし、地方は自由に赤字債を発行する権限はありません。税収の増が見込めない昨今の経済情勢の中では、スクラップもなしに新規施策を行うことなど到底できませんし、さらに身を切る覚悟で行革を進めなければ立ち行かないことは明らかであります。  地域の目から見た徹底的な無駄の削減を全国に先駆ける形で行っていると前向きにとらえ、近い将来の道州制を視野に入れながら、徹底した行政改革を進めていただきたいと考えております。  そこで、知事にお伺いします。  本県は、これまでも全国トップクラスの行政改革の取り組みを進めてきたと感じております。しかし、これからの介護・措置・医療関係費の伸びなどを考えると、行政改革の手綱を緩めることは許されません。これから新たな「行政システム改革基本方針」を策定されるものと承知しておりますが、今まで相当の行政改革に取り組んできた本県において、また、知事が提案説明の中で述べられた未知の領域で進行している、極めて深刻な財政危機下において、今まで以上の行政改革をどのような視点と手法で進められるおつもりか、知事のご所見をお伺いいたします。  次に、仕事の進め方と人事評価についてお伺いします。  本県では、「総労働時間の短縮に関する指針」及び管理調整会議の申し合せ等に基づき、ノー残業デーの定時退庁など総労働時間の短縮に取り組んでおります。また、厳しい財政状況の中、昨年9月に時間外勤務の縮減及び旅費の節減について、さらに本年2月には足元からの経費節減等に向けた取組についての通知を発し、時間外勤務の縮減を進めているとのことであります。  しかし、職員の意識改革や業務改善などによる時間外勤務の縮減には限界があり、現実的には縮減がなかなか進んでいない状況と思います。やはり、時間外勤務の縮減というかけ声だけでは、職員の仕事は減りません。私は、職員の皆さんが不要な仕事で残業しているとは思いません。むしろ、先ほど申し上げたような、身を切るような行革努力による人員削減の中、必要であるからこそ、やむを得ず残業されているというのが実態であると考えております。  時間外勤務の縮減のためには、個々の職員の能力アップも重要でありますが、それだけで時間外勤務の縮減を図るのは現実的ではありません。根本的には、仕事の量を減らすか、仕事の質を落とすしかないのです。1990年代にコスト削減を迫られた民間企業がまさしくそうでありました。仕事の量の削減は、先ほどもお話しした行革の中で、施策・事業を見直し、廃止していくことにより図られます。仕事を削減し、それによって浮いた人員を他の仕事に回すことにより、人員削減の中にあっても残業時間の削減が進むのです。  また、仕事の質も当然落ちることを容認しなければなりません。内部的な資料の質が落ちるのは当然と考えて、いかにも手間のかかっていそうな資料が出てきたら、トップである知事ご自身が、こんなものに手間暇かけている余裕などないはずだと叱責するぐらいでなくてはいけません。最悪なのは、時間外勤務の縮減というスローガンだけが先走り、時間外勤務縮減への取り組みの名目自体に、人、時間、お金が投じられ、それ自体が残業をふやすことです。  根本的には、仕事がなくならなければ、それにかかる時間は減らないのです。残業はするな、サービスは落とすな、あれもやれ、これもやれでは、いくらやり方を工夫しても仕事時間はさほど減りません。  時間外勤務縮減の取り組みを行っている民間企業も、仕事の中身を見直したところもあれば、仕事を持ち帰るか、サービス残業をしているところもあるようです。仕事を減らさずして、時間外勤務縮減だけを追い求めると、家に持ち帰ろうとした書類を帰宅途中で紛失したり、サービス残業の連続で職員がやる気をなくし、かえってサービスの水準が落ちたりと、悪循環にもなりかねません。このような愚はぜひとも避けていただきたいと思います。  結局、やっている仕事をやめなければ、根本的な解決にはならないのです。この仕事を減らすというのは人事評価にもかかわる問題であります。いくら時間外勤務縮減を唱えても、あの仕事を新しく立ち上げたということが評価されるのでは、仕事の量は減りません。新しい仕事を始めるより、今までやっていた仕事をやめることのほうが何十倍も大変です。新しい仕事にはやってほしいという応援団がいますが、今までやっていた仕事には関係者がいて、やめないでほしいと言われるのが普通であるからです。ここから考えても、仕事を廃止した人こそが評価されるべきであると考えます。そして、仕事を廃止した人が評価されたことがわかるように、結果の総括をきちんと行っていくべきであります。  そこで、知事にお伺いいたします。  残業時間を減らすためには、1990年代に成功した民間企業が行ったように、コスト意識を持ち、仕事を廃止した人を評価するといったことが求められるのではないかと考えます。精神論では限界がきます。時間外勤務縮減を後押しするため、特に仕事をマネジメントする能力を問われる管理職においては、人事評価で仕事を廃止した人を評価することを、より重視すべきではないかと考えますが、知事のご所見をお伺いいたします。  次に、行革の一手法として挙げられる民間活力の活用、PFI手法によるがんセンターの整備についてお伺いします。  PFI手法は、民間の資金と経営能力、技術力を活用し、公共施設の整備、維持管理及び運営等を包括的に民間にゆだね、低廉で良質な公共サービスの提供を実現しようとするものであり、現在、がんセンターでは、PFIによる整備のための入札手続が進められているものと承知しております。  PFIによる病院整備の例としては、近江八幡市などの先行事例があります。近江八幡市では、PFIによるコスト削減メリットを強調し、PFIによる病院建設を決定。2006年10月には新病院が開業いたしました。なぜ民間に任せると節約ができるのか、市が直接発注する方式とはどう違うのかなどの中身が検証されることがないまま、民間のノウハウが期待された新病院はスタートを切ったのであります。  しかし、思ったような収益は上がらず、開業直後から赤字となりました。収支を圧迫する最大の問題は、5%を超える金利の支払いであります。基準金利は1.8%ですが、それに上乗せされるスプレッドは3.5%で、この3.5%の銀行と特定目的会社、いわゆるSPCの取り分は、病院の収益が悪化しても変更されることはありません。また、医療行為の周辺業務の委託料の10%もSPCの取り分であります。それに対して、提供された経営ノウハウは皆無に等しかったとも聞いております。  物品管理を例にとれば、医師や看護師は物品を手元に多く抱えたがりますが、処理期限を過ぎるとたちまち不良在庫に変わってしまいます。民間の適正在庫管理に期待したところ、決められたものをそろえるのが我々の仕事だと反論されたそうであります。民間がノウハウを提供してくれると思っていたものが、その期待は裏切られ、何かを改善しようとしても民間の存在が足かせになる、単なる30年間の随意契約を結んだにすぎない実態が明らかになってきたのであります。結局、近江八幡市は20億円もの手切れ金を支払い、契約を解除することとなりました。  また、今、関係者の注目を集めているのが高知医療センターです。2005年3月に開業しましたが、4年を経過した今も赤字体質から脱却できず、民間との間で運営体制の見直しを協議していますが、難航すれば自治体側が施設を買い取る可能性もあるとのことであります。  単純に言えば、民間の資金調達金利より県の調達金利のほうがはるかに低く、同じ建物をつくるのであれば県が起債したほうが明らかに安上がりです。がんセンターにおける直接事業を実施した場合と、PFIで実施した場合のコストの比較、バリュー・フォー・マネーの算出でも、県債を50%充当した方が安上がりという結果が出ているのは、まさしく県が直接資金調達したほうが安上がりという証左にほかなりません。  イギリスでPFIを導入した結果、刑務所を十字型にし、看守を減らすことによって運営費を安くできたという話も聞きますが、そのような創意工夫を期待するのなら、プロポーザルを実施すればいいのです。公共工事で行う仕様発注が高いというのであれば、性能発注を導入すればいいのではないでしょうか。運営についても、民間に任せられるところは民間に委託するということで十分でしょう。  ところが、PFIでは、それぞれにSPCという第三者を介在させ、手数料を取られる。もともとの調達金利も民間の高い金利で建設するのです。事業実施のために介在する民間企業が多ければ多いほど、それぞれが取り分をとるのですから、公共が直接同じものをつくり、民間委託を活用しながら同じサービスを行うより高くつくのは当たり前です。関係者が少なく、仕組みが単純であるほどコストは安くつくのが当然ではないでしょうか。  そこで、病院事業庁長にお伺いします。  がんセンターの整備・運営をPFI手法で行うに当たり、県が直接、事業を実施するよりもPFIで実施したほうが安い、すなわちバリュー・フォー・マネーにすぐれているという結果はどのようにして算出されたのか、病院事業庁長にお伺いします。また、先行事例で失敗が相次ぐ病院事業であえてPFI手法を選択されるに当たり、先行事例の失敗を繰り返さないために、どのような方策を講じられているのか、あわせてお伺いいたします。  質問の第2は、介護保険制度についてであります。  介護保険制度は、利用者本位、高齢者の自立支援、利用者による選択を基本理念に、平成12年からスタートしました。介護保険スタート後、訪問介護やグループホームなどへの新規参入が進んだ結果、事業者間でサービスの質に大きな差が生まれました。介護保険制度は利用者が介護サービス事業者と直接契約を結んでサービスを利用する仕組み上、利用者が介護サービス事業者を選ぶための環境整備が大きな課題でありました。  こうした経緯から、厚生労働省は情報公表制度を導入し、要介護者や家族が介護サービス事業者を選ぶために必要と考えられる情報を定めて、その公表をサービス事業者に義務づけたのであります。これにより、利用者がインターネットを通じ、公表データに基づいて介護サービス事業所を比較検討した上で、自分に合った適切なサービスを選択できるようになることが大いに期待されて、この介護サービス情報の公表制度はスタートしたのであります。  この制度については、調査される側の介護施設にとって、調査手数料が高過ぎる、調査機関によって評価にぶれがある等々、さまざまな問題点が指摘されてきました。例えば、調査機関、調査員が違うと、同じ内容でも結果が違うといったことも起こっているようですし、調査員の態度が高圧的で、改善指導まで行っているという話も全国にはあります。しかしながら、これらの点については、調査手数料が順次引き下げられるなど、改善が図られているとのことであります。  今まで申し上げてきた以外で、私が特に問題であると思っているのは、インターネットは利用しづらい、項目が多過ぎてどこを見たらよいかわからないという声があるという点、すなわち、インターネットという公表方法も含め、情報公表制度が実際にどれだけ県民に活用されているのか疑問であるということであります。これらの声にはしっかりとこたえていかねばなりません。  確かに、介護サービス情報の公表は、項目数が膨大で、一覧性に欠けるため、インターネットの画面上で見たとしても、どこを参考にしてサービスを選択したらよいのかわかりません。このような問題点を解決するためにも、項目を、例えば特別養護老人ホーム、いわゆる特養では、職員の離職率、年間、月間、週間のプログラムや行事、食事の献立表実例、利用時にかかる費用の例、待機者数など、サービス選択に資するものに絞るよう国に働きかけるほか、地方が独自の運用で取り組み得ることとして、サービスを選択する場合に着目すべき項目を集めた画面を編集する、全国に先駆けて県独自のデータベースを作成するなど、県民にとって使いやすいものに変えていく工夫がぜひ必要ではないかと考えます。国のデータはもともとあるのですから、これらを実行するために、さほど費用はかからないはずです。  介護の基本理念の実現に向けて、介護の市民性を高めるために創設された情報公表制度ですが、県民の皆さんが知らない、使わない、事業者の負担が大きいということでは、本来の目的は全く果たされません。  そこで、知事にお伺いします。  情報公表制度は、インターネットを活用して、いつでも、だれでも、どこにいても介護サービスの情報を入手できるというメリットがある一方で、項目数が膨大であり、どこを参考にサービスを選択したらよいのかわかりにくいのが現状です。そこで、項目をサービス選択に資するものに絞るよう国に働きかけるとともに、サービスを選択する場合に着目すべき項目を集めた画面を編集するなど、県民にとって使いやすいものに変えていく工夫が必要と考えますが、これらの点について、知事のご所見をお伺いいたします。  次に、介護サービスに関する啓発についてお伺いいたします。  現代の若者たちにとっては、インターネットを用いて介護サービス情報公表制度を活用することなど何の苦にもならないでしょう。ぜひ身近な高齢者のために、有用な情報を入手してほしいと思います。しかし、そのためには介護サービスや介護サービスの情報公表制度がどのようなものなのかを知る必要があります。  介護保険制度は日本の社会基盤を支える、負担も少なくない制度です。いずれは親の世代、そして自分自身も介護サービスを利用することになるのですから、今のうちからサービスや制度を基礎知識としてある程度身につけておくことは、将来、公共サービスを支え、そして享受する上で大変有益なことではないかと考えます。  また、若年層に介護保険制度の普及啓発を行うことで、介護サービス情報公表制度の利用が広まり、その家族にとって適切なサービスが選択されるようになれば、選ばれる側、すなわち事業者側のサービスの質の向上につながります。社会全体が、よりよい介護サービスを受けられるようになるという大きなメリットが生まれるのです。  高校のカリキュラムに介護関連教育を入れることは時間的に難しいかもしれませんが、資料を配ることだけでも効果はあると考えます。  そこで、知事にお伺いします。  本県では、高齢社会の進展が全国でもトップクラスのスピードで進んでいます。若いうちから介護サービスについての知識を持ち、どのように介護サービスを選択したらよいかという手段を知ることで、適正なサービスを受けられるようになり、自身や家族を守ることができるようになります。そして、サービスの選択がなされることにより、全体のサービスの質の向上、公平なサービスの提供にもつながっていくものと考えております。ぜひ、高校生など若年層に対して、介護サービスに関する啓発に取り組んでいただきたいと考えますが、この点につきまして、知事のご所見をお伺いいたします。  質問の第3は、警察力の強化についてであります。  県警察では、県民が安心して暮らすことのできる安全な地域社会の実現に向けて、不断の努力をされていることに感謝の意を表したいと思います。一方で、一部の心ない警察官による不祥事もありました。県警察には再発防止とともに、一人一人の警察官が、安全・安心を守る最後のとりでであるとの認識のもと、そのミッションを果たしていただきたいと願っております。  さて、平成14年に刑法犯認知件数が戦後最多の19万件を超え、刑法犯検挙率も20%を割り込むなど、神奈川県の治安情勢は大変厳しい状況になりました。しかしながら、県警察が一丸となって、犯罪の抑止・検挙活動に力を注いだ結果、年々改善が図られてきていると承知しております。  そこで、治安の最前線で日夜奮闘している警察業務のあり方などについてお伺いします。  まず初めに、警察が担うべき業務の範囲についてお伺いします。  警察業務にあっては、限られた職員を最大限活用して、実に幅広い分野にわたって対応していただいていると感じておりますが、経済不況の影響もあってか、平成20年には強盗や恐喝などの荒っぽい手口の犯罪が増加しており、最近ではひったくりの増加が顕著になっているようです。また、犯罪自体も複雑・高度化してきているのではと思っております。  そのような中、我々県民が警察に期待することは、県民がより安全・安心を体感できる社会の実現に全精力を注いでいただきたいということであります。  昨年の12月定例会でも、凶悪犯罪の捜査などに力を入れられるようにするため、万引き防止対策を強化すべきであるとの観点から、防犯カメラの適正な稼働など、事業者の責務のガイドライン化や巡回指導など、事業者指導の強化について質問をさせていただきました。  その後、関係者のご協力により、この提案が実現し、徹底的な対策が行われた結果、今年上半期の県内刑法犯認知件数の万引き項目がマイナス39.2ポイントと大幅減少しているとのことであり、非常に喜ばしいことであります。  このように、地域の治安力を維持・向上させていくためにも、警察力を凶悪犯罪の捜査などに集中させることができるよう、警察に任せる分野は警察、それ以外の分野はそれぞれの主体でと、役割分担を明確にすることが重要であります。  しかし、現状では、本来であれば、行政が対応すべき分野や、県民が自分たちで解決すべきことまで、警察が背負わされているのではないかという感じがいたします。具体的には、動物の保護や路上放置物の撤去、騒音苦情、警察とは本来関係のない内容の窓口相談などが挙げられます。これらは本来、県や市町村など、行政が扱う分野であったり、県民が自分自身で解決すべき問題であったりと、治安を守る分野を担う警察にかかわらせるのは、警察力の低下、ひいては治安の悪化を招きかねない、非常にゆゆしき問題ではないかと考えられます。  そこで、警察本部長にお伺いします。  県民がより安心して暮らせる社会にするためには、警察は本来の業務である、憎き犯罪を検挙する、犯罪者を社会から排除することに専念すべきではないかと考えておりますが、こうした警察の本来業務を実際に阻害していると思われる要因をどのようにとらえているのか、また、その要因を踏まえて、今後どのように警察業務を推進していくのか、警察本部長のご所見をお伺いいたします。  次に、警察のマンパワー確保についてお伺いします。  警察が本来の仕事を行い、効果的に犯罪に対応していくためには、優秀な人材を確保することが必要であると感じております。最近の新聞記事によれば、警察庁では全国で2万人の増員計画を完了し、警察官1人当たりの負担人口は557人から509人に減少したとのことでありますが、神奈川県の場合は、いまだ576人であり、全国平均よりも67人も多いとのことであります。  このように県民の安全・安心な社会を実現するために必要不可欠な人員が不足している現状にあっては、解決策として、第1に、警察官のさらなる増員、第2に、一度リタイアした方を再任用するという人的教育コストを圧縮した形での増員、第3に、一般警察職員を増員して、警察官の行政事務の負担を軽減し、その余力を第一線にシフトする相対的な警察官の増員などが考えられます。  また、先ほど申し述べたとおり、警察が本来業務に専従できるようにするために、行政もやれることはやるべきだと思います。人員削減の折、行政が夜間にも万全の体制をしくということは無理でしょう。ただ、窓口はここだという広報は可能であるはずです。保健所では、24時間連絡体制をしいているという話を聞いたことがあります。飲食店における夜間騒音についても、「神奈川県生活環境の保全等に関する条例」により、騒音の防止について、知事が措置を行えることになっております。警察の本来業務を阻害している相談等について、本来の行政機関が窓口はここですという広報を十分に行うべきです。  そして、警察活動を本来業務に純化できるように、権限と責任ある行政機関がしっかりとその責務を果たすべきであり、そうすることが県民の安全・安心につながることになるのです。このことを知事に強くご提言申し上げておきたいと思います。  しかし、実際には、行政がバックアップしたとしても、警察への通報や相談が思ったようには減らないことも事実であります。いざというとき頼りになるのは警察だ、警察であれば、相手も言うことを聞くのではないかという感覚が県民の中にはあると感じられるからであります。行政がバックアップをするのはもちろんのこととして、それでも警察に寄せられる所管外の相談により、警察業務が阻害されないような何らかの仕組みが必要であると考えます。  そこで、警察本部長にお伺いします。  犯罪が増加し、より高度化した現況下にあって、警察の所管外の相談などにより、本来の警察活動が阻害されないよう、警察力を確保するための施策が必要であると考えます。具体的には電話対応業務を集約したり、再任用職員の活用を図るなど、警察のマンパワーの強化が考えられるのではないかと思います。そこで、警察力を確保するための施策についてどのように考えられているのか、警察本部長のご所見をお伺いいたします。  以上で、私の第1回目の質問を終わります。  ご清聴ありがとうございました。〔拍 手〕〔知事(松沢成文)発言の許可を求む〕 ○議長(国吉一夫) 松沢知事。〔知事(松沢成文)登壇〕 ◎知事(松沢成文) 行田議員のご質問に順次お答えいたします。  初めに、今後の行政システム改革を進めるに当たっての視点と手法についてのお尋ねをいただきました。  議員ご指摘のとおり、本県はこれまでもさまざまな行政システム改革の取り組みを進めてまいりました。特に現行の「行政システム改革基本方針」に基づく取り組みについては、基本方針に掲げた目標のうち、出先機関の見直し、職員数の削減及び人件費の抑制の三つの目標について、目標年度を1年前倒しで達成するなど、効率化・スリム化に向けて積極的に取り組んできたところであります。  しかしながら、厳しい本県の財政状況のもとで、地方分権改革や県内三つ目の政令市誕生に向けた動きがあるなど、県政を取り巻く環境は大きく変化してきております。  このような中で県民の県政に対する負託にこたえ、県民本位の県政を展開するためには、従来型の切り詰めや削減に重きを置いた行政システム改革だけではなく、県の組織、人材を最大限に活用させるとともに、県職員の意識を変えていくことが重要であります。  そこで、新たな改革基本方針の一つの柱として、組織仕事改革を位置づけ、より信頼される県庁へ変革するために、県庁の組織と人事制度を抜本的に見直し、県庁文化の創造的破壊も含めた組織執行体制や仕事の進め方の改革を実行することとしております。  具体には、それぞれの課題に対応できるよう、機動的かつ効率的な執行体制を目指すとともに、職員の意欲や自主性を尊重し、人材育成を重視していくための人事制度改革や政策マネジメントサイクルによる政策運営などの着実な推進を図ってまいります。  また、新たな改革基本方針に基づき、「改革戦略プラン」を策定し、取り組みの具体的目標やその目標達成までの工程を明らかにするとともに、進捗状況の公表等、適切な進行管理を行うことにより、行政システム改革の実効性を高めてまいります。  次に、時間外勤務の縮減に向け、管理職の人事評価についてのお尋ねをいただきました。  時間外勤務の縮減については、これまでもさまざまな取り組みを進めてまいりましたが、職員数削減に取り組む中で、新たな県民ニーズに対応する必要があり、なかなか進んでいないのが現状であります。総労働時間を短縮し、時間外勤務を縮減するためには仕事の効率化を進めることはもとより、事業そのものを抜本的に見直し、優先度の低いものは思い切って廃止、休止することも必要であります。  しかし、事業の廃止は多くの労力を費やすものであり、管理職には一つ一つの事業のあり方を見きわめ、職員に方向性を示し、計画的に廃止していく強いリーダーシップが求められます。  そこで、現在の人事評価システムにおいても、管理職について、仕事の効率性や状況判断、的確性の面から、行動例を掲げて、こうした取り組みについての評価水準としています。  具体的には、コスト意識から見た業務運営として、総労働時間の短縮に取り組み、能率的な仕事ができたかどうか、また、社会全般の動向に常に注意を払い、事案の目的や効果、影響等を考慮し、将来の方向を見きわめた処理ができたかどうかなどを求められる行動例として示しております。  したがいまして、これまでも仕事の廃止については、一定の評価をしてまいりましたが、財政の非常事態というべき現在の状況では、より重視すべき視点であると考えています。  そこで、今後、施策・事業の立案や実施の成果のみならず、事業見直し、廃止に取り組み、時間外勤務の縮減に結びつけた管理職についても高く評価できるよう、人事評価システムの運用を見直してまいります。  次に、介護保険制度について、2点お尋ねをいただきました。  初めに、介護サービス情報の公表制度の活用についてであります。  情報公表制度は、介護サービス事業所がそれぞれのサービス情報をインターネットで公表し、利用者がそれらの情報に基づき、サービスを比較検討して自分に合ったサービスを選択できる仕組みで、国が統一的にシステムを開発し、各都道府県により運用されております。  この制度は、多様なサービス情報を自宅にいながら利用できる点で有用ですが、反面、利用者にとっては、サービスを選択するために必ずしも必要でない項目も多く、使い勝手が悪いといった問題点が指摘されております。  県では、制度を説明したパンフレットやガイドブックを作成したり、利用者のサービス選択を支援するため、市町村や地域包括支援センターの職員を対象に説明会やパソコンによる実演などを行って普及に努めているところであります。  また、毎年度、国に対して行っている提案の中で、制度がより有効に機能するよう、調査項目の簡素化など、システムや運用方法の改善を要望してまいりました。こうした中で、国では当面、現在のシステムを改善する予定はないとのことでしたが、今般、公表情報を加工して活用する二次利用については、都道府県の判断にゆだねられました。  そこで、利用者のサービス選択に役立つよう、よく利用される項目等を中心に簡易で使いやすいシステムを県独自で構築し、県民にとって活用しやすい制度となるよう、早速検討に着手し、来年度中の運用を目指してまいります。  最後に、高校生など、若年層への介護サービスに関する啓発についてのお尋ねをいただきました。  高校生などの若年層では、高齢者と比べ、インターネットの利用率が非常に高く、身近な情報検索のツールとして操作になれ親しんでおり、自由に使いこなす方が数多くいます。こうした高校生などの若い方々に介護サービスを選択する手段である情報公表制度を知ってもらうことは、自分の祖父母等のかわりにインターネットで公表情報を検索することが期待でき、利用促進にも有効であると考えます。  また、情報公表制度とあわせて、介護保険制度の仕組みや介護サービスの内容を若年層に知ってもらうことは、この制度の利用促進につながるだけでなく、高齢社会や社会保障に対する理解や関心を深めてもらう契機となります。さらに、若年層が家族の健康づくりや介護予防に関心を持つようになったり、介護の仕事を志すきっかけになるといった効果も期待されます。  こうしたことから、今後、若年層に対する普及啓発を図るため、情報公表制度や介護サービスについて、若年層向け啓発用リーフレットを作成し、特別養護老人ホームなど、高齢者福祉施設で介護体験学習やインターンシップに参加する高校生に配布してまいります。  加えて、そのリーフレットを県立高校などにも配布したり、若年層にもわかりやすいホームページを開設するなど、幅広い啓発に取り組んでまいります。  私からの答弁は以上でございます。〔病院事業庁長(堺 秀人)発言の許可を求む〕 ○議長(国吉一夫) 堺病院事業庁長。 ◎病院事業庁長(堺秀人) 病院事業庁関係についてお答えいたします。  PFI手法によるがんセンターの整備についてのお尋ねがございました。  まず、PFIで実施することによるバリュー・フォー・マネーの算出についてでございます。  PFIの場合の民間の資金調達コストは、基準となる金利にリスクなどにより上乗せされる金利を加えたものとなり、県が起債する場合よりも高くなると言われており、本県PFI事業でもそのように推計しております。  しかしながら、本県PFI事業は建設から運営までを一体として民間事業者にゆだねることにより、民間のノウハウや創意工夫が発揮され、建設費や運営費が抑えられると考えております。  建物については、民間仕様の設計が行われ、建築費用が削減されるとともに、民間事業者がみずから行う将来の運営までを見越した設計がなされることにより、効率的な運営と運営費の削減が期待されます。  また、現在、県直営で行っている病棟技能業務や患者給食業務など、一括して委託することにより、人件費を削減するとともに、効率的な病院運営を行うことができると考えております。  こうしたことから、本県事業においては、全体としてバリュー・フォー・マネーが出ることを検証し、外部有識者を委員とするPFI事業者選定審査会の審査を経て、PFI事業として実施することといたしました。  次に、先行事例を教訓とした方策についてお答えいたします。  近江八幡市や高知医療センターの事例では、30年と長期の事業期間を設定したことにより、コストが高くなったことを踏まえ、本県PFI事業では事業期間を20年間とするとともに、5年ごとに基準金利を見直すことにより、コストを低く抑える工夫をしております。  また、建設費の一部に県債を導入することで、さらにコストを下げることができると考えております。ほかにも、建物の完成後、所有権を県に移転することで、固定資産税などが課税されない、いわゆるBTO方式を採用するなど、先行事例を十分に検証した上で、本県事業を進めているところでございます。  以上でございます。〔警察本部長(渡辺 巧)発言の許可を求む〕 ○議長(国吉一夫) 渡辺警察本部長。 ◎警察本部長(渡辺巧) 警察関係のご質問にお答えします。  まず初めについてですが、県警察では、犯罪等の被害に遭わず、平穏な暮らしを願う県民の皆様の期待にこたえるため、事件・事故はもとより、さまざまな相談や要望にも24時間体制で積極的に対応しているところです。  例えば、事案を所管する行政機関が夜間・休日などで対応できない場合に、県警察が積極的に対応して県民の皆様の安全・安心を確保する場合も少なくありません。警察では、所管する行政機関の夜間・休日体制が十分でないケースや警察が取り扱うべき事案だろうかと思われる事案でも、不測の事態や犯罪の可能性を視野に入れた対応が必要となるケースのような場合、県民の安全・安心のため、所管する行政機関と連携を図りながら、積極的な活動を展開することを基本としております。  次に、警察力の確保についてであります。  時代の変化などによりまして、警察業務は生活に密着した街頭犯罪の抑止・検挙のための活動、社会的弱者である女性、子供、高齢者などを犯罪などから守るための活動、グローバル化、組織化、情報化する国際テロ、組織犯罪、サイバー犯罪などへの対応、さまざまな相談や要望への対応など、飛躍的に増大しております。また、24時間体制で対応できるという組織の特性から、警察に期待される活動は極めて多岐にわたっております。  このような実態を踏まえまして、警察力の確保につきましては、警察官などの増員、組織の見直し、装備資機材の拡充・整備、関係する行政機関との連携など、さまざまな角度から取り組んでまいりたいと考えております。  なお、冒頭、議員からご指摘の警察官の不祥事については、再発防止を徹底し、県民の期待と信頼にこたえてまいります。  以上でございます。〔行田ともひと議員発言の許可を求む〕 ○議長(国吉一夫) 行田ともひと君。 ◆行田ともひと議員 時間の関係上、自席から失礼をいたします。  知事、病院事業庁長、また警察本部長、ご答弁ありがとうございました。また、知事は特に非常に前向きなご答弁ありがとうございました。  まず、要望が1点と、あと再質問を二つさせていただきたいと思います。  まず、今、警察本部長のほうからご答弁ございましたけれども、知事におかれましては、役割分担のほうですね。できる限り進めていただきたいというふうに思います。県庁の仕事も多様にわたっていますので、なかなか難しいという事実はわかるのですが、やはりもともと仕事の分担というのはありますので、そこのところを再検証していただいて、警察力の強化をやっていただきたいというふうに思います。  再質問2点なんですが、一つは知事に対して、そしてもう一つは病院事業庁長に対してなんですけれども。  まず、知事につきましては、行革の話をきょうさせていただいたわけなんですが、その中で、これからの自治体経営をどうしていくんだという、本当に今大変なところに知事は立たれているなというふうに思っております。先日の提案説明でもございましたけれども、県の組織や事務事業のありようを根本から変えることもいとわない、思い切った行政改革を実行するということを訴えられた。私は、これは本当に、知事のよく言われる言葉ですが、今こそ破天荒な自治体経営というのが求められているんだなというふうに思っています。今までにない、知事のやりたい行革というのは一体どういうものなのか、知事のお言葉をそのまま私はお伺いしたいなというふうに思います。これが1点です。  もう一点が、病院事業庁長、先ほどPFIのご答弁ございました。自信に満ちたPFIのご答弁でございまして、私はもう頑張ってくださいと言いたいところなんですが、ただ、今までの先行事例から言いますと、どう考えてもうまくいかないんじゃないかなと私は思ってしまうのですが、ただ、細かいことは聞きません。ここで断言していただきたいと思います。このPFI事業、がんセンターの事業については、絶対に問題がない、今までのような、高知であるとか、近江八幡市のような轍は絶対に踏みませんと断言をしていただきたい、そのように思います。  よろしくお願いします。〔知事(松沢成文)発言の許可を求む〕 ○議長(国吉一夫) 松沢知事。〔知事(松沢成文)登壇〕 ◎知事(松沢成文) 行田議員の再質問にお答えいたします。  今こそ破天荒な自治体経営が求められると、今までにない私のやりたい行革とはどういうものか、その決意を述べよということでございます。  答弁でも触れましたけれども、県政を取り巻く環境がかつてないような状況で厳しいものになっております、特に財政の面ですね。そういう中で、行革というと、ダウンサイジングと言いますか、できるだけ予算を切り詰める、あるいは削減する、仕事の量を減らすという、こういうところに重きを置いた切り詰め型の行革というのが今までいろいろなところでやられてきたわけであります。県でもそれは岡崎知事の時代から、先行的に進めておりまして、そういう意味での行革では、議員からもご指摘いただいたように、私は日本一進んでいるというふうに自負をしております。  ただ、それだけが行革ではありません。それだけをやっていますと、職員の意識はますます萎縮してしまって、とにかく行革することが県の仕事になってしまうんですね。県庁の仕事というのは、県民によりよき行政サービスを提供することであります。ですから、そのための行革の新たな視点として、県庁の組織ですとか、体制、あるいは職員の仕事の進め方、さらには県庁での人材の活用や育成ですとか、広く言いますと、職員の意識改革、これまでの県庁のあしき慣行、こういうものを変えていく、県庁文化も含めて大胆に変えていくという県庁改革というのが、私は行革の大きな視点になってしかるべき時代ではないのかなというふうに考えております。  今そうした改革をいろいろなところで検討しておりまして、近々議員の皆さんにも続々とご披露させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  以上です。〔病院事業庁長(堺 秀人)発言の許可を求む〕 ○議長(国吉一夫) 堺病院事業庁長。 ◎病院事業庁長(堺秀人) 行田議員の再質問にお答えいたします。  がんセンターの総合整備をPFI事業で行って本当に大丈夫かというお尋ねがございました。  このがんセンターの総合整備につきましては、非常に大きな投資でございますので、収支計画については慎重に検討いたしました。平成25年度にがんセンターが完成いたしますと、その後数年間は建物の除却等で特別損失が発生いたしますので、数年間はがんセンター単体としては黒字にならない可能性があると考えておりますが、しかし、その後、収支は均衡し、20年間の事業全体を通じては収支が均衡すると考えております。  また、平成25年を境にこれまでの他の病院の減価償却が一段落いたしますので、それを含めまして、病院事業全体としては安定した事業が進行できるというふうに考えております。  以上でございます。〔行田ともひと議員発言の許可を求む〕 ○議長(国吉一夫) 行田ともひと君。 ◆行田ともひと議員 再質問のご答弁ありがとうございました。  PFIに関しましては、ちょっと心もとない感じが残っておりますが、再々というわけにもまいりませんので、このあたりにしておきたいと思います。  どうもありがとうございました。 ○議長(国吉一夫) お諮りいたします。  休憩いたしたいと思いますが、ご異議ございませんか。〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(国吉一夫) ご異議がないと認めます。  よって、休憩いたします。  なお、再開は15分後といたします。                  午後3時53分 休憩        ───────────── ◇ ───────────── △《本会議録-平成21年9定-20090924-026676-質問・答弁-飯田誠議員-一般質問①さがみグリーンライン自転車道について②振込め詐欺対策について③消防救急無線のデジタル化について④住宅用太陽光発電について⑤今後の企業誘致について⑥かながわ森林塾について》                   午後4時16分 再開   〔議会局長報告〕  出席議員 副議長共66名 ○副議長(舘盛勝弘) 休憩前に引き続き、会議を開きます。   ─────────────────────────────────────── ○副議長(舘盛勝弘) 質問を続行いたします。  飯田誠君。〔飯田 誠議員登壇〕(拍手) ◆飯田誠議員 議長のお許しをいただきましたので、私は県政会県議団の一員として、通告に従い、順次提言を交えながら質問させていただきます。  知事並びに警察本部長におかれましては、明快なご答弁をお願いいたします。また、先輩並びに同僚議員の皆様におかれましては、しばらくの間、ご清聴のほどよろしくお願いいたします。  質問の第1は、さがみグリーンライン自転車道についてであります。  相模川では、河川敷が公園やスポーツ広場として利用され、水と緑の貴重なオープンスペースとなっております。週末ともなれば多くの方々が集まり、野球やサッカーなどのスポーツを楽しむ光景を目にすることができます。また、散策を楽しむ人々には、相模川の風景が憩いと安らぎを与えています。春には桜が咲き誇り、夏には川辺の風に涼しさを感じ、秋にはススキの穂が銀色に輝き、冬の晴れ間には雄大な富士や丹沢の峰々を望む、四季折々の景色が楽しめます。  私は、かねてより、だれもが身近なところで気軽に歩いたり、スポーツに親しめる環境づくりが大変重要であると考えております。そうした取り組みの一つとして、相模川の持つ魅力を最大限生かしたスポーツ・レクリエーションや散策の場を整備することが必要であり、私が大きな期待を寄せているのがさがみグリーンライン自転車道であります。  さがみグリーンライン自転車道は、相模川の堤防に沿って計画されている大規模な自転車道であります。実現すれば、相模川の自然を感じながら、散策やサイクリングを楽しむことができます。また、河川敷のスポーツ広場などを利用する場合にも、そのアクセス性の向上に大きく寄与するものであります。  昨今のスポーツやレジャー、健康志向の高まりなどを受けて、さがみグリーンライン自転車道は多くの方々に利用され、より豊かで充実した生活に大切な役割を果たすのではないでしょうか。  こうしたことから、さがみグリーンライン自転車道をぜひとも早急に整備する必要があると考えております。また、整備に当たりましては、子供からお年寄りまで自転車道を安全で快適に利用できるように、トイレなどの利便施設についても、あわせて設置する必要があると思います。その際には、自転車道の利用者だけでなく、河川敷のスポーツ広場などの利用者も利用できるようにすれば、より効果的ではないかと考えております。  そこで、知事に伺います。  さがみグリーンライン自転車道について、トイレなどの利便施設の配置にも配慮しながら、早急に整備を図ることが重要であると考えますが、今後どのように取り組んでいくのか、知事のご所見をお伺いいたします。  質問の第2は、振り込め詐欺対策についてであります。  県内の振り込め詐欺については、平成20年には1,988件、被害額は約32億円に上り、特に上半期には、月200件を上回るベースで被害が発生し、県民の大切な財産が奪われております。平成20年6月には、「神奈川県犯罪のない安全・安心まちづくり推進条例」に基づき、知事が犯罪防止特別宣言を発し、また、県警察も振り込め詐欺撲滅対策推進本部を立ち上げるなど、まさに、県、県警察、そして県民総ぐるみで振り込め詐欺の撲滅に向けたさまざまな取り組みを推進してきたと承知しております。  具体的には、県警察による各地域で実施される巡回連絡や各種会合における振り込め詐欺の手口などについての情報提供や注意喚起、また、各種マスメディアやインターネット、ポスター、チラシを活用した広報活動など、県民に対する予防活動の取り組み、そして、銀行の現金自動預け払い機、いわゆるATM機周辺の警戒やだまされたふり作戦を初めとした検挙活動を強力に推進し、詐欺被疑者を検挙するほか、犯行に使用される銀行口座や携帯電話を提供した被疑者も数多く検挙していると承知しております。  また、金融機関の職員による利用客への積極的な声かけ活動や各自治体や関係機関、ボランティア団体などと連携したさまざまな広報啓発活動も大変重要であると考えております。  こうした振り込め詐欺の防止対策に懸命に取り組んできたことにより、県民の振り込め詐欺に対する意識も向上してきたものと考えております。  ここまでの過程では、大変なご苦労をなさっていると推察いたしますし、心から感謝をしております。その結果、平成20年の下半期から徐々に被害件数は減少しており、本年の上半期の発生状況では、昨年の上半期と比べますと、件数では約4分の1、303件、被害額では約5分の1の約4億円と大きく減少していると承知しております。  しかしながら、被害の発生は大きく減少したとはいえ、いまだに月平均50件前後の被害が発生し、被害額も上半期で4億円を超えるなど、県民の不安を払拭できる状態には至っておりません。今後も、県警察を初め、関係機関などとの連携により、振り込め詐欺の撲滅に向けたさまざまな取り組みを、手を休めることなく推進していかなければならないと考えております。しかし、新たな対策というものも出尽くした感があることも否めないところであります。  そこで、警察本部長に伺います。  こうした中で、これまで以上に振り込め詐欺の被害を防止していくためには、今後どのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。  質問の第3は、消防救急無線デジタル化についてであります。  このところ、全国各地で住民の安全を脅かす自然災害が相次いで発生しております。昨年6月には、岩手・宮城内陸地震が発生し、死者・行方不明者は23名、負傷者は400名を超える大きな災害となりました。また、今年に入ってからも、7月以降、中国地方や九州北部地方への記録的な豪雨、台風9号の接近に伴う大雨により、多くの方々が亡くなり、住宅への被害も多数発生するなど、甚大な被害をもたらしました。さらに、先月11日未明には、最大震度6弱の駿河湾を震源とする大きな地震が発生し、お盆の時期に東名高速道路の一部が不通となるなど、県民生活に大きな影響を与えております。  こうした中、本県では、県内に大きな被害をもたらす可能性の高い東海地震や神奈川県西部地震の発生の切迫性がかねてから指摘されており、大規模地震災害に対する備えは喫緊の課題となっております。万が一、こうした地震が発生した際に、被害を最小限にとどめるには、県民の方々が日々の生活を営まれている地域の防災力の向上を図ることが大変重要であると考えております。  このため、県では、法人二税の超過課税を財源として、市町村の地震防災対策に対する緊急支援事業を設け、避難所用の資機材や高度な救助用資機材の整備、自主防災組織の活動強化などの事業を補助対象とし、市町村が地域の実情に応じて活用することで、地域の防災力の充実・強化に取り組んでいると承知しております。  その中でも、特に重要な役割を担っているのが、実際の災害が起こった際に迅速な応急活動を実施する市町村の消防機関であります。そして、この応急活動を行う上で極めて重要な役割を果たしているのが消防救急無線であります。この消防救急無線は、災害が発生した際に、出動した消防車や救急車から消防本部に対して、現場の状況報告や応援部隊の要請、あるいは、消防本部から必要な指示をする際に使用するものであり、消防活動には必要不可欠なものであると認識しております。  しかし、現在使用しているアナログ方式の無線では、幾つかの課題があります。これ以上回線数をふやせないことや、傷病者の氏名や病状などの個人情報を秘匿することが難しいことなどであります。これらの課題を解消するために、平成15年に電波法関係の審査基準が改正され、消防救急無線は平成28年5月末までに、現在のアナログ方式からデジタル方式に移行することとされました。しかしながら、消防救急無線をデジタル方式に移行するためには、現在使用している機器の更新や大幅な改修が必要となり、市町村の財政負担は多額なものとなります。  特に、財政規模の小さな市町村にとっては、平成28年5月末までに、このような整備を行うのは、非常に大きな財政負担を伴うと考えます。  そこで、知事に伺います。  県全体の防災力の向上を図るためにも、市町村の消防救急無線が円滑にデジタル方式に移行することは極めて重要であると考えますが、県としてどのように支援していくのか、知事のご所見をお伺いいたします。  質問の第4は、住宅用太陽光発電についてであります。  現在、地球温暖化問題への対応が急務となっております。そして、温暖化の要因とされている二酸化炭素の排出量が増加している背景の一つは、我々が享受している便利で豊かな生活が多くのエネルギーを使うことにあります。県内の二酸化炭素の排出量を見ましても、家庭部門からの排出量が大幅に増加しており、地球温暖化を防止していくためには、家庭におけるエネルギー消費を抑制していくことが不可欠であります。そのためには、まず、県民一人一人がそれぞれの家庭において、節電などの省エネに取り組んでいく必要があると考えております。  昨今の家庭での省エネの動向といたしましては、節電の意識は高まりつつあり、また、節電の取り組みとあわせて、住宅用太陽光発電装置を設置するという家庭も増加していると聞いております。実際に設置した家庭の方にその後の状況を伺いますと、電力料金の削減効果だけでなく、設置をきっかけに電気を無駄遣いしなくなった、地球環境問題への意識が高まったといった声をよく耳にいたします。  本県では、住宅用太陽光発電装置の設置を促進するために、本年度から市町村と連携して補助制度を創設したところであります。私の地元の寒川町を初め、これまでに当初の予定を上回る申請を受けた市町村が多くあったと聞いております。また、こうした市町村が補助件数を追加することに対応して、県としても、この9月定例会において補正予算案を計上し、補助件数の増加を図ることとしていることは、まことに時宜にかなったものと考えております。  さらに、新たな動きといたしましては、国では、太陽光発電の普及・拡大を加速させるため、家庭で余った太陽光発電による電力を、電力会社が現在の価格の2倍で買い取る制度を導入することとしており、今後、県民の皆様の関心がさらに高まると期待されます。  また、先日、私はインベスト神奈川の誘致企業の一つを視察いたしましたが、太陽電池パネルの製造装置を生産している工場の現場が非常に活気づいていたことが印象に残りました。  新聞報道でも毎日のように太陽光発電に関連する記事を見かけますが、技術開発も日進月歩で進んでおります。また、さまざまな企業が相次いで太陽光発電の分野に参入するなど、太陽光発電の飛躍的な普及に向けた環境が整ってきていると感じております。  そこで、知事に伺います。  こうした状況を踏まえ、住宅用太陽光発電の普及に向けて、県としても、引き続き重点的に取り組んでいく必要があると考えますが、今後の住宅用太陽光発電の普及・促進に向けた考え方と支援策のあり方について、知事のご所見をお伺いいたします。  質問の第5は、今後の企業誘致についてであります。  県内のヒト・モノ・カネの動きを変え、県内経済が大きく発展するための起爆剤と期待されるさがみ縦貫道路は、平成24年度に全面開通することが予定されております。これにより、県央・湘南地域における道路交通の利便性が飛躍的に高まり、地域住民に恩恵をもたらすことはもちろんのこと、産業面から見た県央・湘南地域のポテンシャルも大きく向上することが期待されます。  しかしながら、現時点では、この地域にまとまった工業適地が見当たらないのが現実であり、用地がなければ企業誘致もままならないこととなります。そのため、早急にさがみ縦貫道路のインターチェンジ周辺などにおいて、工業系用途地域の確保の取り組みを進め、そのポテンシャルを活用するための基盤を整備する必要があります。  こうした工業適地の整備を進めることによって、これまでの東京都心や羽田空港にも近い京浜臨海部を中心とした地域にかわり、今後はさがみ縦貫道路沿いを中心に産業の集積が進み、やがては県産業の中心地域として認識されるようになっていくものと考えております。  また、県の背骨とも言える相模川沿いにおける新たな産業の集積は、既に人口減少も見られる県西部地域の経済活性化にも貢献するなど、県全体にバランスよく、その波及効果を拡大できるものであり、本県全体の活性化につながっていくことが期待されます。  さらに、さがみ縦貫道路と結ばれる圏央道が、首都圏を大きく包み込む形で整備が進められており、その沿道である東京、埼玉、茨城、そして千葉が県央・湘南地域と直結することになります。本県においては、さがみ縦貫道路沿いの寒川、茅ヶ崎、海老名、相模原にかけた地域は、まさに神奈川の繁栄の弧とも呼ぶべき地域になる可能性を持っていると考えております。  したがって、今後、この地にどのような産業・施設を誘致していくのかということは、本県産業の持続的な発展にとって非常に重要なことであり、神奈川の将来の姿を決定すると言っても過言ではないのではないでしょうか。  これまでの本県の企業誘致施策としては、インベスト神奈川として、高度先端産業を対象として展開してきております。その成果としては、制度をスタートさせた平成16年度から115社の企業を誘致し、県内への総投資額は約6,325億円となり、波及効果も含めるとより大きな経済効果が得られていると考えております。  こうした実績は評価をいたしますが、重要なのはその内容であります。インベスト神奈川によって誘致した企業が、本県が集積を図ることとしていた産業の企業であったのかということは大きな評価のポイントであると考えております。  そこで、知事にお伺いいたします。  インベスト神奈川によって、本県にどのような産業の集積が図られたのか、その評価とともに、お伺いいたします。また、インベスト神奈川終了後の企業誘致において、どのような産業の集積をねらっていくのか、あわせてご所見をお伺いいたします。  質問の第6は、かながわ森林塾について伺います。  本県では、平成19年度から、豊かで良質な水を安定的に確保するため、「かながわ水源環境保全・再生実行5か年計画」に沿って、水源の森林づくり事業を加速化させて取り組んでおり、今年で3年目となります。目標に沿って順調に事業が推進されており、今後はさらに水源の森林づくり事業の整備量が増大していくと承知しております。  こうしたことから、県内の森林組合などの林業事業体では、新規に就業者を雇用したいとの希望があるものの、ほとんどの林業事業体は零細小規模な経営であり、時間をかけて人材を育成する余裕がありません。このため、経験や技術、体力がない者でも、即戦力として足場が悪い斜面を移動しながらチェーンソーを使った作業を行うことになり、また、林道から作業場まで30分以上も歩く現場も少なくないなど、いきなり厳しい山の現場での作業を強いられております。  こうした状況の中では、せっかく就職しても長続きせず、すぐにやめてしまうケースが多く、人材の確保が難しくなっております。また、林業事業体では、働く人の約3割が60歳以上を占めるなど、いわゆる高齢化が進んでいるとも聞いております。  こうした状況が続けば、森林整備を担う林業労働力がさらに不足することになります。水源地域の森林は緑のダムとも言われる神奈川の大事な水がめであり、今後も整備を適切に行っていく必要があります。そのためには、山で働く人をいかに確保していくかが、今後の森林の保全・再生を進めていく上での大きな課題であると認識しております。  こうした中、県では、平成21年度に、かながわ森林塾を開校し、山の仕事に従事したい就業前の人を対象として、森林整備に必要な基礎技術の習得や山の仕事に耐えられる体力の向上を図るための研修を実施していると承知しております。  山の仕事は、この研修を受講しただけですべて身につくものではありません。しかし、基本的な技術を習得し、山の仕事に耐えられる体力をつけてから就業する場合と、何の準備もなく山の仕事に飛び込む場合とでは、就業後の戦力として大きな差が出るばかりでなく、本人も学んだ基礎的な技術を生かしながら自信をもって山の仕事に従事でき、定着にもつながるものと考えております。そういう意味で、森林塾での研修に大きな期待を寄せているところであります。  そこで、知事にお伺いいたします。  森林塾での研修の実施状況とその評価についてお伺いいたします。また、この研修を受けた人が、林業事業体などに就業し即戦力として山の仕事に従事してもらわなければ、せっかくの研修の意味がありません。県では、研修修了者をどのように本格就業につなげていこうと考えているのか、あわせて知事のご所見をお伺いいたします。  以上で、私の第1回目の質問を終わらせていただきます。  ご清聴ありがとうございました。〔拍 手〕〔知事(松沢成文)発言の許可を求む〕 ○副議長(舘盛勝弘) 松沢知事。〔知事(松沢成文)登壇〕 ◎知事(松沢成文) 飯田議員のご質問に順次お答えいたします。  まず、さがみグリーンライン自転車道についてお尋ねをいただきました。  さがみグリーンライン自転車道は相模川に沿って県央地域と湘南地域を南北に結ぶ延長約21キロメートルの自転車や歩行者のための専用道路であります。また、スポーツ・レクリエーション活動に利用され、県民生活にゆとりや安らぎをもたらす大切な役割を担う道路でもあります。  現在、さがみ縦貫道路と並行する海老名市河原口から寒川町一之宮までの延長約10キロメートルの区間について、さがみ縦貫道路事業や相模川の河川事業と一体となって、用地取得に取り組んでいるところであります。これまでの進捗状況ですが、一部の難航案件を除き、取得率は約98%となっております。今後はさがみ縦貫道路の工事の進捗状況を見ながら、順次工事に着手してまいります。  また、議員お話しのトイレなどの利便施設につきましても、自転車道の利用者だけでなく、河川敷のスポーツ広場などの利用者にも配慮しながら、設置位置などについて検討を進め、自転車道の平成28年度の供用開始を目指して整備を進めてまいります。  次に、消防救急無線のデジタル化についてのお尋ねをいただきました。  現在の消防救急無線は個人情報の秘匿性やチャンネル数の不足が問題となっており、こうしたことから、平成28年5月末までには全国一斉にデジタル方式に移行することになりますが、その整備には多額の費用を要することが市町村にとって課題となっています。  このため、県では、整備費用の節減を図るため、総務省通知に基づき、平成19年5月に消防救急無線の広域化・共同化を推進するための計画を策定いたしました。この計画では、全市町村が共同で整備を行うことにより、スケールメリットを生み出せるとともに、無線施設の効率的な配置を行うこととしています。  そこで、県の支援でございますが、消防救急無線の整備は、消防組織法に基づく市町村の役割ではありますが、これまでも必要な支援を行ってまいりました。  具体的には、まず、県が中心となって各市町村と調整を進めたところ、無線のデジタル化に係る設計工事を横浜市に委託することで合意が得られました。この合意を踏まえ、現在、各市町村が負担する整備費用の割合や整備後の維持管理のあり方について、県も参画して検討を進めております。  こうした調整や検討に加え、県の防災行政通信網の通信回線や施設の一部を消防救急無線でも有効活用することとしております。県といたしましては、今後とも消防救急無線の円滑なデジタル化に向けて必要な支援を行うとともに、市町村の財政負担の軽減について、引き続き国に対し強く要望してまいります。  次に、住宅用太陽光発電の普及・促進についてお尋ねをいただきました。  県では4月から市町村と連携して、住宅用太陽光発電補助制度を創設し、さらに9月補正予算で1億3,600万円を増額し、普及の拡大を図ることといたしました。また、今回の補正予算にあわせて、県内の全市町村で補助制度が設けられることになりましたが、こうしたケースは全国でも初めてでございます。  住宅用太陽光発電の市場は、国や地方自治体の補助制度が呼び水となって急速に拡大しております。さらに、国では住宅用太陽光発電の余剰電力を現在の約2倍程度の価格で買い取る新たな制度を創設し、11月からスタートさせ、その後は再生可能エネルギー発電の全量買い取り制度も検討するとしておりますので、普及に拍車がかかると期待されております。  このように住宅用太陽光発電が広く普及していくための環境は整いつつありますが、設置に要する平均的な費用は新築で約185万円、既設の住宅で約225万円程度であり、一般の家庭にとっては依然として負担が大きい状況にあります。  また、県内の導入状況は、昨年度末までの実績で1万7,540件と、県内の一戸建て住宅の約150万軒のわずか1.2%程度にすぎません。一方、本県は人口や世帯数の増加に伴い、家庭部門からのCO2排出量がさらにふえていくと予測されますので、住宅用太陽光発電の普及・促進に今後とも重点的に取り組んでいく必要があります。  そこで、県といたしましては、設備価格の動向や新たな買い取り制度の効果などを十分に配慮するとともに、市町村の取り組みとも連携を図りながら、引き続き費用負担の軽減を図る支援策を実施することにより、普及を一層加速化させてまいります。  次に、インベスト神奈川について、2点お尋ねをいただきました。  まず、インベスト神奈川による産業集積の状況とその評価についてであります。  インベスト神奈川は集積対象を高度先端産業及びそれを支えるものづくり基盤技術等を有する企業とし、特に研究所の集積に重点を置いて企業誘致に取り組んでまいりました。この結果、助成制度と融資により115社、総額約6,300億円の投資が実現し、そのうち高度先端産業に該当する企業が72社、ものづくりを支える基盤技術を有する企業が28社となっております。  また、研究所への投資は約4,200億円で、この額は総投資額の3分の2を超えており、国が毎年出資する工場立地動向調査においても、インベスト神奈川開始後の研究所の立地件数が全国第1位となるなど、本県が政策目標とする産業集積がしっかりと図られております。  次に、インベスト神奈川終了後において、集積を目指す産業についてのお尋ねをいただきました。  県内産業の活性化と雇用の創出を図っていくためには、インベスト神奈川終了後も継続的な企業誘致の取り組みが求められております。このため、本県産業の技術の高度化を目指し、IT、エレクトロニクス、自動車、バイオ産業のさらなる集積を図るとともに、新エネルギー関連産業など、新たに成長が見込まれる産業の集積が必要であります。  こうしたことから、インベスト神奈川終了後は技術力を持つ中小企業や理工系大学などが多く集積する本県の立地優位性を最大限に活用し、今後とも研究開発機能の集積に重点を置いた企業誘致に取り組んでまいります。  最後に、かながわ森林塾についてお尋ねがございました。  県では、今年度から、かながわ森林塾をスタートさせ、これまでの中堅・上級技術者等の経験者を対象とした研修に加えまして、新たに林業に就業を希望する人々を対象とした森林体験コースと演習林実習コースを開講したところであります。  まず、森林体験コースでは、定員30人に対し66人の申し込みがあり、そのうち28人がチェーンソーの操作など、山の仕事に必要な資格を取得し修了いたしました。この修了生のうち、約6割に当たる16人の方が演習林実習コースに進んでおり、就業意識を明確化する森林体験コースのねらいはほぼ達成できたものと考えています。  今後、演習林実習コースでは、来年3月まで下刈りや間伐などの基礎技術の習得と傾斜地での長時間の労働に耐えられる体力の向上に取り組んでまいりますが、研修修了後、研修生を本格就業につなげていくことが何よりも重要であります。  そこで、研修生の受け皿となる県内の林業事業体39社に今後の採用予定を調査したところ、24社で54人の採用を予定しているとの回答がありましたが、事業体は小規模零細であることから、即戦力となる人材が求められております。そのため、森林塾では講師に林業の現場で働くベテランの技術者をお願いし、80日の研修期間のうち70日を演習林での現場研修に充て、森林整備の実践的な指導を行ってもらうこととしております。  また、就業後に職場の実情に不満を持ち、一、二年でやめていく人が多いことから、研修生には林業事業体の作業現場を見学する機会を設けるとともに、事業体から職場での実際の労働環境、給与、雇用条件などについて具体的に説明してもらうことも考えております。  県では、研修生が来年3月の研修修了後には、県内の林業事業体に本格就業し、定着できるよう森林塾でのきめ細かな支援に取り組んでまいります。  私からの答弁は以上でございます。〔警察本部長(渡辺 巧)発言の許可を求む〕 ○副議長(舘盛勝弘) 渡辺警察本部長。 ◎警察本部長(渡辺巧) 警察関係の質問についてお答えします。  振り込め詐欺の対策につきましては、関係機関・団体、そして県民の皆様のご協力を得ながら、ATM周辺警戒やさまざまな手段・手法による広報啓発等の抑止対策に加えまして、犯行グループの徹底検挙、犯行ツールの遮断対策に総力を挙げて取り組んでいるところであります。本年8月末現在の認知件数は373件で、昨年同期比マイナス1,244件と大きく減少しておりますが、いまだ月平均50件近い被害が発生しております。  県警察では、振り込め詐欺の発生分析や被害に遭われた方への聞き取り調査を実施しておりますが、その結果、高齢者、女性の被害が相変わらず多いことに加えて、多くの方が振り込め詐欺を知りながら被害に遭われている実態が明らかになっております。また、犯人から電話を受けた後、半数以上の方が2時間以内に振り込み等を行っており、家族の身を案じてパニック状態になっていることがうかがえます。  このように振り込め詐欺は家族の情愛につけ込み、被害者に考える暇を与えず、一瞬にして高額な金銭をだまし取る極めて悪質な犯罪であり、撲滅に向けた諸対策をさらに強化していく必要があると考えております。  今後の取り組みについてでありますが、広報啓発におきましては、県民一人一人の皆様に情報が確実に伝達されるよう、関係機関等との連携をさらに深めながら、戸別訪問や街頭における声かけのほか、あらゆる機会を通じて注意喚起を行ってまいります。  振り込め詐欺がだれの身にも起こり得る犯罪であるという危機感を持っていただくことに重点を置きまして、県民の皆様の振り込め詐欺に対する抵抗力の向上を図ってまいりたいと考えております。  また、だまされたふり作戦などによる詐欺被疑者の検挙に加えて、おびき出し捜査などによる預金口座や携帯電話の不正売買に係る被疑者の検挙を徹底し、犯行グループの壊滅に向けた取り組みを強化してまいります。  さらに、犯行に使用された預金口座の凍結、犯行使用電話への繰り返しの架電による警告、犯行妨害と犯行ツール遮断対策を徹底し、被害抑止活動を強化してまいります。  各種対策をより強力に推進していくことによりまして振り込め詐欺を敢行できない環境を醸成していきたいと考えております。  以上でございます。〔飯田 誠議員発言の許可を求む〕 ○副議長(舘盛勝弘) 飯田誠君。 ◆飯田誠議員 知事並びに警察本部長におかれましては、大変丁重な答弁をありがとうございました。  さがみグリーンラインは年度まで切ってご答弁をいただきましたので、非常に期待をしておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。  また、振り込め詐欺は本当に何かパニック状態になるということですから、1日、振り込むのに時間があれば、みんなからなだめてちょっと待てよということになるのかもしれませんが、どうもだまされるほうがパニックになっちゃってだまされちゃうというようなことだそうでございまして、その点を何か振り込むときに1日余裕を持ったら、送金するのも、そんなことはできないものかなと思って、私もいろいろ考えておるんですけれども、できる限り、犯罪を防いでいくというようなことにみんなでしていきたいというふうに考えております。  それから、デジタル化も、県全体として防災力の増強のために、これから一生懸命取り組んでいくというようなご答弁をいただきまして、ぜひひとつ、弱い、財政上、非常に問題のある市町村について、温かい支援をしていただけたらというふうに思います。  先ほど話がありましたように、太陽光発電についてはまだ1%ということで、まだまだ未来がある、県としても取り組んでいかなければいけない問題かなというふうに思いますけれども、これも国と一体となって、世界に宣言した25%削減をするということは、県民一人一人もその任を負わなければいけないというふうにも考えておりますので、この点についてもいろいろな面で宣伝をしたり、支援をしたりしていただきたいということをお願いいたします。  それから、今後の企業誘致ですけれども、大変、さがみ縦貫道路が進んでまいりまして、24年には完成するということでございますけれども、その周辺を余り乱開発がされない前に企業誘致の地域として工業系にするというような目的をもって整備をしていったら、まちづくり、あるいは都市の景観が非常によくなるのではないかというふうに思いますので、あえて発言をさせていただきました。  それから、かながわ森林塾ですけれども、山で仕事をするというのは、いろいろ重労働ばかりではなくて、塾ですから、学校ですから、余り仕事だけのことではなくて、山にはいろいろな恵みが春夏秋冬にあるわけですね。この恵みのほうも少しは教えて、どこへ行ったら、いつごろになったらマツタケが出るとか、いつごろになったら栗の実がなるとか、そういう、山を愛しながら山に励める、どこへ行ったらきれいな水があるよとか、いろいろ山には山の恵みがあって、非常に楽しさもあると思うのですね。その楽しさがあるがために山から離れられないという人もいっぱいいるわけですから、そんなことも塾で─木の実を取れば胃の痛いのが治るとか、飲み過ぎが治っちゃうとか、そういう木の実もあるようでございますので、どうかそういう医学、あるいは山の恵みにも楽しさを与えながら、塾の指導と就業の支援をどうぞよろしくお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。 △《本会議録-平成21年9定-20090924-026677-質問・答弁-髙山松太郎議員-一般質問①かながわ水源環境保全・再生実行5か年計画について②野生鳥獣対策に向けた諸問題について③県央・湘南都市圏の整備について》 〔髙山松太郎議員発言の許可を求む〕 ○副議長(舘盛勝弘) 髙山松太郎君。〔髙山松太郎議員登壇〕(拍手)〔副議長退席、議長着席〕 ◆髙山松太郎議員 私は自民党神奈川県議団の一員として、質問させていただきます。  本日最後の質問でございます。お疲れのこととは存じますが、しばらくの間、ご清聴お願いを申し上げます。  質問の第1は、「かながわ水源環境保全・再生実行5か年計画」についてであります。  丹沢大山山系は、国定公園、県立公園に指定され、その豊かな自然環境と美しい景観から、多くの人々に親しまれております。また、県民のかけがえのない水源地域でもあります。  しかし、近年になって、その自然環境に異変が生じております。1970年代に大山のモミの立ち枯れが目立ち、1980年代にはブナなどにも多く見られるようになりました。また、そのほかにも、土砂流出による渓流の荒廃とダムの堆砂や水質汚濁などの、広域で複合的な自然環境問題が顕在化してまいりました。これらの損なわれた自然を放置すれば事態はさらに深刻化し、県民の生活に欠かせない水源の確保にも影響が出ると考えられます。  私の地元の伊勢原市においても、森林の衰退、市街地の拡大、耕作地や里山の減少、水田から畑への転換などで雨水の地下浸透量や土地の保水性は低下し、また、都市化により水道、下水道の使用量は増大し、地域の水の需給バランスは失われております。  県では、平成9年度から水源の森林づくり事業に先駆的に取り組み、伊勢原市で言えば、大山を中心とした森林の整備が精力的に行われております。そして、平成19年度からは、県民の皆様から個人県民税の超過課税、いわゆる水源環境保全税を新たにご負担いただき、それを財源として、かながわ水源環境保全・再生実行5か年計画に基づく12の特別対策に取り組んでいるところであります。この施策は、県が直接行う事業だけではなく、地域水源林整備事業などの市町村事業も対象として、総合的に水源環境の保全・再生を図ろうというもので、私はこうした取り組みを評価しております。  一方、この施策の対象事業は、水源環境の保全・再生への直接的な効果が見込まれる事業に限定されておりますし、事業対象地域も、例えば、河川・水路における自然浄化対策では、相模川、酒匂川水系の取水堰の上流域に限定されており、地下水保全対策については、地下水を主要な水道水源としている県内8地域の秦野市、座間市などの市町村に限定されております。  伊勢原市には相模川水系、金目川水系に属する10の河川が流れており、また、市域に降った雨は大山、日向などの森や里山、農地に貯えられ、平地を潤し土壌を育て、河川や地下水脈を通して海へと流れ、豊かな海の幸も育てていますが、例えば金目川水系の水については、河川・水路における自然浄化対策の対象にはなっておりません。これらの限定は、水道水源を守るために、県民の皆さんに新たなご負担をいただき、事業を実施することとした現在の水源環境保全・再生の取り組みとしてはやむを得ない面があると思いますが、水道水源に限らず、水をめぐる環境の保全は今後ますます重要となり、そのための市町村の取り組みを充実していく必要があると考えます。  現在の水源環境保全・再生の取り組みについて、5か年計画に基づく水源施策の今年度の市町村別予算措置状況を見ますと、対象地域であっても事業を行っていない市町村も見受けられ、また、伊勢原市のように事業を行っていたとしても、近隣市町村に比べ極端に少額の市町村もあります。水源環境保全・再生施策における市町村事業は、市町村の申請に基づき、交付金を交付していることは承知しておりますが、市町村間で余りに差があり過ぎるのではないでしょうか。  そこで、知事にお尋ねします。  水源環境保全税の市町村交付金事業について、財源が限られる中で、どのように市町村間や事業間の調整を行っているのかお尋ねいたします。また、現行の実行5か年計画は平成23年度で終了しますが、次期計画の策定に当たって市町村の意見をどのように酌み上げ、どのように調整していくのか、あわせて伺います。  質問の第2は、野生鳥獣対策に向けた諸問題についてであります。  まず、ヤマビル対策について伺います。  近年、野生鳥獣による農林業被害や生活被害は全国各地で大きな問題となっており、県内においても、イノシシやニホンザル、アライグマ、ハクビシンなど野生鳥獣による農業被害などが深刻な問題になっております。特に、丹沢大山のニホンジカは集団となって旺盛な食欲でエサを食べるために、森林の林床植生の衰退の原因となり、里山では農業被害を引き起こしております。  こうしたことから、本県では、「第2次神奈川県ニホンジカ保護管理計画」に基づき、県及び市町村による管理捕獲とハンターによる狩猟によって個体数の調整を行うこととし、平成19年度からシカの捕獲に積極的に取り組んでいることは承知いたしております。しかし、こうした計画的な取り組みを行っているにもかかわらず、県が管理捕獲を行っている高標高域については、場所によっては生息数が減ってきたという話を聞きますが、里山ではなかなかその効果があらわれておりません。  さらに、シカ、イノシシを媒介として、生息地域を人家近くまで拡大しているヤマビル被害も大変深刻な問題となっております。年間30万人と言われる登山者や観光で丹沢地域を訪れた人たちの中には、ヤマビルの被害に遭って嫌な印象をお持ちになって帰られた方もいるという話を聞きますし、日ごろからヤマビルに注意を払っている地元の方でさえ、庭に出ていただけで被害に遭うということがあります。さらに、農家の方が農作業中に被害に遭って耕作意欲を失い、その後は耕作をやめてしまうなど、里山に人が入らない要因の一つにもなっております。  こうした状況から、県では、平成19年度、20年度の2カ年にわたり、自然環境保全センターを初めとする県の試験研究機関と大学、民間研究機関が共同して、ヤマビルの生息域や生息環境、薬剤の効果、薬剤の環境への影響、茶園等農耕地における防除技術などについて研究を行ってきたことは承知をしております。  今年4月に出されました報告書を拝見しましたが、ヤマビルの生息地域の状況は北丹沢から東丹沢、表丹沢まで広がっており、さらには松田町や山北町などでも見られるようになっているとのことですので、西丹沢全体への拡大が懸念されているところであります。  また、丹沢が神奈川県の水源地域であることを思えば、余り過度に薬剤に頼ることもできないようであります。そのほか、ヤマビルの被害に遭わないための対策方法なども提言されておりますが、速効性があって決め手となるような対策は見当たらず、早期の解消が難しい問題であることを改めて知らされた思いであります。  しかし、このままではヤマビルの被害が減ることはないでしょうし、市町村や地域が連携した取り組みがなければ、ヤマビルの被害は一向に解消しないばかりか、一層拡大していくおそれもあると思います。  そこで、知事にお尋ねします。  里山におけるヤマビル対策について、今後どのように取り組んでいこうと考えているのか、知事のお考えをお聞かせください。  次に、ニホンジカの保護管理計画についてお伺いします。  丹沢大山地域では、相変わらずシカによる農業被害が深刻な状況となっており、特に私の地元の伊勢原市では、平成20年度のシカによる農業被害額は約700万円で、県全体の被害額である1,000万円の7割を占めており、極めて深刻な状況であります。さらに、こうした報告のあった被害のほかに、報告がなされていない被害や作付自体をあきらめてしまったなど隠れた被害もありますので、伊勢原市に限らず実際の被害はもっと多いと思われます。  私の知り合いの農業者の方々からは、作物をつくってもシカなどに食べられてしまうから、もう農業を続ける意欲がなくなったという声も聞きます。これは、近年の里山の手入れ不足や農業者の減少に伴う耕作放棄地の増加などによって、シカが人里周辺まで出没しやすい状況となり、農地周辺に定着したシカが恒常的に農業被害を発生させ、被害の拡大によって耕作を放棄する農業者がさらにふえていくという悪循環を起こしていることも一因であると思います。里山の手入れを促進することや、耕作放棄地対策に取り組むことは当然必要なことではありますが、現に発生している被害を防止するためには、シカの捕獲や獣害防護さくの設置など直接的な対策が不可欠だと考えます。  さらに、先ほど申し上げましたヤマビル対策の共同研究の報告では、ヤマビルの対策として、草刈りや落ち葉かきといった地域の環境整備とあわせて、運搬役とされるシカなどの野生動物の管理が重要であるとされております。ヤマビルの被害拡大は、ハイカー等による運搬も多いと言われており、シカだけを要因としているわけではないことは承知しておりますが、こうした状況を見ますと、ヤマビル対策にもつながる里山におけるシカの対策強化は、神奈川県の農業振興、地域振興においても大きな課題であると考えているところであります。  一方、県は、野生鳥獣やその生息地の保護を図るために、これまで鳥獣保護区を数多く指定しています。現在、県内には101カ所で、面積も約4万4,000ヘクタールと県土の約18%を占めております。さらに、平成15年度には、丹沢大山鳥獣保護区の区域を拡大したために、丹沢の一部の地域では、鳥獣保護区が山ろく部の農地周辺にまで広く指定されております。鳥獣保護区では狩猟が禁止されておりますので、鳥獣保護区の拡大に伴って県内で狩猟が可能な地域は減少してしまい、県内のハンターは伊豆や北海道など、狩猟ができる場所が多い県外へ狩猟に行ってしまう方も多いと聞いております。  国民共有の財産でもある野生鳥獣の保護が必要なことは当然でありますが、里山で農業被害が深刻化している状況を考えると、本県の農業振興のためには、農地周辺での被害対策を強化する必要があり、そのためには管理捕獲だけではなく、狩猟によってもシカの捕獲数をふやすことが必要と考えます。  狩猟は、県や市町村が行う管理捕獲とは異なり、ハンターが趣味として主体的に行うものですから、シカを捕獲する委託料などの経費をかけずに成果を上げることができます。したがって、狩猟をもっと活用することにより、個体数調整の実績を上げていくことで、経費をかけずに農業被害の一層の軽減を図ることが可能になると考えております。今後とも、狩猟を鳥獣被害対策の一つとして有効に活用していくためには、神奈川県内、県外を問わず、多くのハンターが神奈川県内で狩猟をするように、鳥獣保護区を縮小して狩猟可能な区域を拡大することが必要であると考えます。  また、あわせまして、現在は一部の猟区を除いて、11月中旬から2月の中旬までとされている猟区についても、その期間を延長することによってシカの捕獲数を増加することができるのではないかと考えます。全国的には、シカの保護管理計画を策定し、その中でシカの狩猟期間の延長を定めている県もあると聞いておりますので、本県でもそうした工夫はできるのではないかと思います。  そこで、知事に伺います。  次期の保護管理計画に向けては、狩猟によるシカの捕獲を促進するため、鳥獣保護区の見直しや狩猟期間の延長などを検討する必要があると考えますが、知事のお考えをお聞かせください。  次に、銃刀法改正に伴う県の対応について伺います。  ニホンジカ保護管理計画に基づく管理捕獲や狩猟期間での狩猟においても、狩猟者、いわゆるハンターが大きな役割を担っています。県内のハンターに視点を移しますと、さまざまな課題が挙げられます。  まず、近年の県内ハンターの大幅な減少が挙げられます。猟銃所持者数について平成14年と平成21年を比較しますと約2,000人の減、これは全所持者数の2割強に当たります。これはハンターの高齢化が進み、猟銃を手放す者が年々多くなっている一方で、現在の若者を中心に狩猟を山のスポーツとして魅力を感じられなくなったことが原因ではないかと考えられます。  さらには、狩猟中の事故がふえていることが挙げられます。昨年度の全国における狩猟期間中の猟銃等に係る人身事故の発生状況は32件発生し、死者8人、重傷者13人、軽傷者11人といずれも前年度を大きく上回る状況であると伺っております。  本年8月23日には、千葉県において、有害鳥獣駆除中に誤ってハンター仲間を撃ち死亡させるという事故が発生しています。本県につきましては、平成13年12月にキジの狩猟中、前方の安全を確認しないで発砲し、花摘みに来ていた人に重傷を負わせる事故が発生し、それ以降の発生はないということですが、猟銃による事案は人の生命にかかわり、地域住民を不安にさせるなど、その影響は重大であります。  こうした多発する事故の原因の一つに、限られた猟期にのみ猟銃を使うために猟期の初期段階で使用方法を忘れている、あるいは猟銃に対する知識、技術が未成熟のまま使用するためだと考えられます。  こうしたことから、私は、野生鳥獣の管理捕獲及び狩猟による個体数の調整をより効果的に実施するため、また、狩猟の本来の目的である山のスポーツとして、経験のない若者の方々にも安心して狩猟を楽しんでもらうため、猟銃等使用に関する安全対策が大変重要だと考えます。  県は、平成4年に銃砲所持者の安全意識及び取り扱い技能の向上・普及に努めることを目的とし、社団法人神奈川県銃砲安全協会連合会を設立しました。この組織は、県内各警察署単位に協会が設立され、県内の猟銃等所持者の加入者数は、本年4月現在で5,313人、加入率は約78%と聞いております。  私は、狩猟者一人一人が、銃砲による事故及び犯罪を防止するためには、銃砲の所持者全員が、それぞれ自己の義務と責任を自覚し、自発的に法令の規定及び安全規則を遵守し、射撃技術の向上に努め、保管を適正にするなど、その積極的な協力を得て、これらの者を組織化して自主的に活動を行うことという設立の趣旨を守ることが大切と考えます。  さらに、昨年12月5日に猟銃等の所持許可要件の厳格化を図るため、銃砲刀剣類所持等取締法が改正されました。DV及びストーカー行為をした者等を欠格事由に追加するとともに、欠格期間も最長で10年に延長されています。また、高齢者に対する認知機能検査の義務化や猟銃所持者に対する射撃技能に関する講習の義務化が定められたほか、医師への受診命令など、所持者に対する監督の強化が図られたと承知しています。  ここで、射撃技能講習の義務化に関連した要望をしたいと思います。この法改正による射撃技能講習の場として、事故防止の観点からも県立伊勢原射撃場の再開に期待するところは大きいものがあります。また、伊勢原市においても、地元の活性化のために、早期の伊勢原射撃場の再開を要望いたします。  銃砲安全協会等でも猟銃等の事故防止のための啓発活動が行われていますが、銃砲刀剣類所持等取締法の一部改正により、銃所持者に対する監督が強化されるとともに、許可要件も厳格化されるなど一層の安全対策が図られ、狩猟等による暴発事故などの発生防止策をとることが重要と考えます。そして、こうした取り組みの効果として狩猟の安全性が高まり、若年ハンターが増加し、その結果として、狩猟が鳥獣被害対策により有効な手段として機能することを期待しているところです。  そこで、警察本部長に伺います。  間もなく狩猟シーズンとなりますが、猟銃等による事故を発生させないためにも、猟銃等所持者に対する事故防止を含め、どのような安全対策を行っているのか、お伺いいたします。  私の最後の質問は、県央・湘南都市圏の整備についてであります。  県央・湘南都市圏は本県の中央部に位置しており、北は、大山を初めとする丹沢の山並みから、南は、湘南海岸のなぎさに至る多彩な自然環境に恵まれた地域であり、歴史をさかのぼれば、相模川を利用した船による運航が行われ、東海道や大山街道といった街道なども整備され、古くから、人や物が行き交う交通の要衝として栄えてきたところであります。  近年は、東名高速道路や東海道新幹線といった、我が国の交通の大動脈を抱えるとともに、現在、新東名高速道路やさがみ縦貫道路などの整備が進められております。  また、この都市圏は県の人口の約3割に当たる280万人もの人口を有するとともに、横浜・川崎地域に隣接するという地域の特性から、企業や大学、研究機関も数多く集積しており、今後も人の交流や物流を支える交通の要衝としての重要性が増し、さらなる発展が期待され、学術研究や産業においてもポテンシャルの高い地域であると考えております。  そこで、県央・湘南都市圏の整備に当たっては、この都市圏の持つさまざまな可能性を最大限に生かしたまちづくりを進めていく必要があると考えております。すなわち、交通網の拡充による交通利便性の一層の向上や、この地域の地理的優位性を生かした産業の振興、快適な住環境の創造などを図るのはもちろんのこと、地域の豊かな自然環境の魅力を生かすとともに、地球規模の環境問題である地球温暖化対策の観点からも、環境負荷の低減に配慮したまちづくりを進めていくことが非常に重要であると考えております。  県においては、平成19年7月に策定した「神奈川力構想・実施計画」における戦略プロジェクトの一つに、環境共生モデル都市圏の形成を位置づけ、県央・湘南都市圏の整備に向けて、重点的に取り組んでいることは承知いたしております。  この戦略プロジェクトにおいては、まず、県央・湘南都市圏について、豊かな自然を生かした環境と共生する都市圏の形成が求められるとし、その核となるツインシティの整備を進めるとともに、都市間相互の連携のための交通ネットワークの整備を図るとしております。そして、このため具体的な事業として、東海道新幹線新駅の誘致、リニア中央新幹線の建設促進と駅誘致、JR相模線複線化の促進、交流連携を支える道路の整備、ツインシティの整備と環境共生型プロジェクトの促進などといった、さまざまな取り組みを進めていくとしております。  環境共生モデル都市圏の中央に位置しております伊勢原市は、ツインシティの西側に当たる平塚市大神地区に隣接しています。そして、今後、246バイパス、新東名のインターチェンジの整備が予定されており、この整備は伊勢原市のみではなく、秦野市、厚木市等も含めた大きな経済効果をもたらす、この地区の最後の大規模開発と考えております。  そこで、こうした開発も環境共生モデル都市圏構想という広域的なビジョンの一環として位置づけられていることを期待しております。いずれも、県央・湘南地域の活性化のためには必要不可欠であり、重要な事業と受けとめておりますので、積極的な推進を望むところであります。  この戦略プロジェクトに基づいて、都市づくりの骨格となる事業が推進され、また、都市圏内の各市町も、それぞれ個性豊かな都市づくりを進めるとともに、各都市が相互に連携して機能を補うことにより、質の高い生活や新たな産業を創出・育成するネットワーク型都市圏が形成されることを願ってやまないものであります。  また、県央・湘南都市圏の豊かな自然環境を生かした環境負荷の少ない都市づくりが進むことにより、良好な環境についての評価が高まれば、この都市圏の魅力が大幅にアップすることとなります。このようなネットワーク型、かつ環境と共生する都市圏の形成は、あるべき理想的な都市づくりの姿であり、ぜひとも、その実現に向けて邁進していただきたいと考えております。  そこで、知事に伺います。  昨今の経済状況のため、厳しい財政状況下ではありますが、ツインシティを初めとする県央・湘南都市圏の整備をどのように進めていくのか、知事のお考えをお聞かせください。  以上で、私の第1回目の質問を終わります。  ご清聴ありがとうございました。〔拍 手〕〔知事(松沢成文)発言の許可を求む〕 ○議長(国吉一夫) 松沢知事。〔知事(松沢成文)登壇〕 ◎知事(松沢成文) 髙山議員のご質問に順次お答えいたします。  初めに、水源環境保全・再生施策における市町村交付金事業についてのお尋ねがございました。  まず、市町村間や事業間の調整についてのお尋ねであります。  水源環境の保全・再生施策につきましては、市町村にも地域課題として積極的に取り組んでいただくことが重要でありますので、「かながわ水源環境保全・再生実行5か年計画」に地域水源林整備事業など、五つの市町村事業を位置づけております。  これらの市町村事業の実施に当たっては、県の実行5か年計画に基づき、市町村においても5か年事業計画をつくっていただき、その計画をもとに必要な事業を協議・調整しながら進めております。  具体的には、毎年度の予算編成に当たり、市町村から翌年度の事業計画書を提出していただきます。県では、計画書の事業内容、積算内容を確認するとともに、新規事業などにつきましては、現地調査やヒアリングなどを行います。その上で、県の実行5か年計画に定める事業目標量や翌年の税収見込みを勘案し、事業効果などから優先順位を決めて、市町村間や事業間で金額を調整して、県の原案を作成いたします。さらに、その結果を各市町村にお示しし、個別協議を行い、個々の事業に必要となる経費を計上しております。  次に、実行5か年計画への市町村意見の反映についてのお尋ねであります。  市町村意見につきましては、これまでも施策対象となる水源保全地域の市町村と県とで推進会議を設け、事業の課題や要望など、率直に意見交換を行っており、次期実行5か年計画の策定に当たりましても、今後の推進会議の中で改めてご意見を伺います。  また、実行5か年計画に県民意見を反映する仕組みとして設置しております水源環境保全・再生神奈川県民会議には、市長会、町村会の委員がいらっしゃいますので、推進会議での意見などを踏まえ、市町村の立場からも議論を行っていただけるものと考えております。  さらに、さきに施行した「神奈川県自治基本条例」に基づく県と市町村との協議体制を活用して、すべての市町村のご意見を伺うなど、できるだけ計画に市町村意見を反映させる取り組みを進めてまいります。  次に、野生鳥獣対策について、2点お尋ねをいただきました。  まず、ヤマビル対策についてであります。  ヤマビルは丹沢地域の住民や農家の方々、丹沢地域を訪れる観光客の皆様に被害をもたらすだけでなく、耕作意欲を失わせて耕作放棄を招く要因にもなるなど、深刻な問題となっております。  こうしたことから、県では、平成19年度、20年度の2年間をかけて、県の試験研究機関を中心とした共同研究を行い、4月に報告書として取りまとめたところであります。この報告書では、血を吸われない方法や身近な材料を使った駆除などの個人による対策、草刈りなどの環境整備や薬剤散布などの地域での対策、また、シカなど、野生動物の管理などの広域的な対策の三つの対策が提案されております。  この提案を踏まえ、宮ヶ瀬や秦野などのビジターセンターでは、登山者や観光客などの個人向けにヤマビルの生態や被害対策などの展示を行い、被害予防の啓発に努めております。  また、自然環境保全センターでは、地域の皆さんで対策に取り組んでいただくため、市町村が実施するヤマビル防除講習会などに協力して、共同研究の成果と対策などの周知に努めているところであります。  さらに、こうした研究成果を生かした環境整備活動や普及啓発などの地域ぐるみの対策を推進するため、ヤマビル被害対策の補助制度を今年度新たに立ち上げ、市町村への財政支援を開始したところであります。既にこの支援を活用してヤマビル対策協議会が設置されたり、研修会の実施や住民全体で環境整備活動に取り組むなどの地域活動も始まっております。  ヤマビル対策としては、このような地域ぐるみの地道な対策を継続して行うことが肝要と考えておりますので、今後とも取り組みの拡大を働きかけるとともに、関係機関による連絡会議を通じて、対策の情報交換や最新の知見等についての情報の共有など、地域相互の連携を図ってまいります。  また、根本的な対策としては、ヤマビルを運搬するシカなどの野生動物を人里に侵入させないことが大切でありますので、市町村が行うシカの管理捕獲や獣害防護さくの設置などへの支援に当たっては、できる限り地域ぐるみのヤマビル対策と一体的な取り組みとなるよう配慮してまいります。  次に、シカの捕獲を促進するための鳥獣保護区の見直しや狩猟期間の延長についてのお尋ねをいただきました。  シカの個体数については、県及び市町村が行う管理捕獲と狩猟によって調整することとしており、管理捕獲については、平成19年度から県及び市町村の捕獲計画数を拡大しております。また、狩猟については、1人1日当たりの捕獲制限を1頭から2頭に緩和することにより、捕獲数の増加を図っているところでございます。  お話のありました鳥獣保護区につきましては、鳥獣を保護するために狩猟は禁止されておりますが、自然植生の回復、あるいは農業被害の軽減などを図るために必要がある場合は、管理捕獲を実施することが可能でございます。  こうした鳥獣保護区内での管理捕獲を含め、県と市町村を合わせた管理捕獲数は平成19年度に806頭、20年度には826頭と18年度に比べて倍以上の実績となっております。また、狩猟による捕獲数は、平成19年度は673頭、20年度は684頭と、18年度に比べて2割増しの実績であります。  これらの捕獲強化により、標高の高いところでは一部でシカの生息密度の低下や植生回復の兆候が見られております。一方、里山においては、この2年間の取り組みでは農業被害の顕著な改善には至っておりませんが、銃器を使用しての捕獲が難しい場所もありますので、当面、まず、わな捕獲の一層の推進に取り組んでまいりたいと考えています。  こうした取り組みと並行し、平成23年度の次期保護管理計画の策定に向けて、捕獲効果の検証と鳥獣保護区の見直しや狩猟期間の延長の必要性について、市町村や関係団体等で構成する鳥獣総合対策協議会のご意見を伺いながら検討を進めてまいります。  最後に、県央・湘南都市圏の整備についてお尋ねをいただきました。  県央・湘南都市圏の整備につきましては、「神奈川力構想・実施計画」の戦略プロジェクトに環境共生モデル都市圏の形成として位置づけまして、重点的に取り組んでおります。具体的には、東海道新幹線新駅とリニア中央新幹線の駅を誘致して、全国との交流連携の窓口となる二つのゲートを形成し、これらをつなぐ南北軸の強化などにより、ネットワーク型都市圏の形成と環境負荷の少ない都市づくりを目指しております。  現在の状況でありますが、北のゲートについては、JR東海がリニア中央新幹線について自己負担を前提に2025年までの首都圏から中京圏での営業運転開始を目標とし、また1県1駅が適切であるとの発表を行うなど、相模原市域への駅設置が実現に向け一歩踏み出しました。  また、南のゲートとなる東海道新幹線新駅については、その受け皿となるツインシティの整備に向けて、今年度は必要な環境影響予測評価を実施するとともに、面整備の内容や事業の進め方などについて地元地権者との調整を進め、平成23年度の都市計画決定を目指してまいります。  そして、南北軸の強化については、平成24年度に全線開通が予定されているさがみ縦貫道路の整備促進や、JR相模線複線化の行き違い施設等の整備に向けて調整を進めております。さらに、都市圏内の都市間相互のネットワーク化を図るため、国道246号バイパスなどの整備も推進しております。  一方、環境負荷の少ない都市づくりについては、地元の企業や大学で構成される懇談会から、昨年、まちづくりへの提案をいただいたところであり、今後も県民フォーラムなどを通じて、地元の方々と意見交換を行ってまいります。  県央・湘南都市圏の整備については、こうしたさまざまな取り組みを一つ一つ着実に進め、環境共生モデル都市圏の形成を目指して最大限の努力をしてまいります。  私からの答弁は以上でございます。〔警察本部長(渡辺 巧)発言の許可を求む〕 ○議長(国吉一夫) 渡辺警察本部長。 ◎警察本部長(渡辺巧) 警察関係のご質問にお答えいたします。  猟銃等の所持者等に対する公安委員会の開催する講習会について申し上げます。  これは銃砲刀剣類所持等取締法─銃刀法と言われていますが、に定められているものでありますが、初めて猟銃等の所持許可を受けようとする方、許可の更新を受ける方に対しまして、猟銃等の所持に関する法令、猟銃等の使用・保管等の取り扱いに関する知識や技能を習得していただくためのものであります。この講習会につきましては、県内10カ所におきまして年間60回実施し、猟銃等による事故の防止に努めております。  また、銃刀法に基づく猟銃等の検査の機会や所持許可の更新申請時等におきまして暴発や誤射等、事故の防止につきまして警察職員が個別に指導を行っております。  そのほか、社団法人神奈川県猟友会などが主催する射撃大会や研修会等におきまして、猟銃等の事故防止に関する指導を行っております。  また、昨年12月に一部改正され、本年12月4日に施行されます銃刀法におきまして、猟銃等の所持者に対する銃の操作や射撃の技能に関する技能講習が新設され、許可の更新時に受講が義務づけられるなど、より事故防止等の対策が強化されております。  今後とも、関係団体と連携を強化し、猟銃等に関する事故の防止に努めてまいります。  以上でございます。〔髙山松太郎議員発言の許可を求む〕 ○議長(国吉一夫) 髙山松太郎君。 ◆髙山松太郎議員 知事並びに警察本部長にはご答弁ありがとうございました。  時間もございませんので、これで終わりにします。  ありがとうございました。 ○議長(国吉一夫) お諮りいたします。  本日の質問はこの程度で終わり、次回、引き続き質問並びに質疑を行いたいと思いますが、ご異議ございませんか。〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(国吉一夫) ご異議がないと認めます。  よって、本日の質問はこれで終わります。   ─────────────────────────────────────── ○議長(国吉一夫) 以上で、本日の日程は終了いたしました。  次回の会議は、明25日午後1時に開きます。  本日はこれで散会いたします。まことにご苦労さまでした。                  午後5時44分 散会...