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令和 3年度栃木県議会第376回通常会議-06月08日-04号

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  1. 栃木県議会 2021-06-08
    令和 3年度栃木県議会第376回通常会議-06月08日-04号


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    令和 3年度栃木県議会第376回通常会議-06月08日-04号令和 3年度栃木県議会第376回通常会議 (1)出席及び欠席議員の議席番号及び氏名 6月8日(火曜日)  出席議員 47名   2 番      湯 澤 英 之   3 番      石 坂   太   4 番      岡 部 光 子   5 番      加 藤 雄 次   6 番      金 子 武 蔵   7 番      あ べ ひろみ   8 番      中 屋   大   9 番      塩 田 ひとし   10 番      野 村 せつ子   11 番      相 馬 政 二   12 番      西 村 しんじ   13 番      小 菅 哲 男   14 番      小 林 達 也   15 番      西 川 鎭 央   16 番      平 池 紘 士
      17 番      高 山 和 典   18 番      吉 羽   茂   19 番      池 田   忠   20 番      琴 寄 昌 男   21 番      横 松 盛 人   22 番      加 藤 正 一   23 番      斉 藤 孝 明   24 番      松 井 正 一   25 番      保 母 欽一郎   26 番      青 木 克 明   27 番      野 澤 和 一   28 番      山 口 恒 夫   29 番      白 石 資 隆   30 番      関 谷 暢 之   31 番      中 島   宏   32 番      早 川 桂 子   33 番      日向野 義 幸   34 番      渡 辺 幸 子   35 番      阿 部 寿 一   36 番      佐 藤   良   37 番      山 形 修 治   39 番      山 田 みやこ   40 番      一 木 弘 司   41 番      五十嵐   清   43 番      岩 崎   信   44 番      小 林 幹 夫   45 番      五月女 裕久彦   46 番      相 馬 憲 一   47 番      螺 良 昭 人   48 番      三 森 文 徳   50 番      木 村 好 文   51 番      板 橋 一 好  欠席議員 1名   1 番      小 池 篤 史 (2)説明のため出席した者の職氏名  地方自治法第121条の規定による出席要求によって出席した者   知事       福 田 富 一   副知事      北 村 一 郎   副知事      岡 本 誠 司   総合政策部長   阿久澤 真 理   経営管理部長   國 井 隆 弘   県民生活部長   千金楽   宏   環境森林部長   鈴 木 英 樹   保健福祉部長   海老名 英 治   産業労働観光部長 辻   真 夫   農政部長     青 栁 俊 明   県土整備部長   田 城   均   国体・障害者スポーツ大会局長            橋 本 陽 夫   会計管理者会計局長            熊 倉 精 介   企業局長     琴 寄 行 雄   総合政策部次長兼総合政策課長            笹 川 正 憲   財政課長     小 林 宣 夫   教育長      荒 川 政 利   代表監査委員   平 野 博 章   人事委員会事務局長            清 水 正 則   労働委員会事務局長            渡 邉   慶   選挙管理委員会委員長            伊 藤   勤   警察本部長    野 井 祐 一   事務局長     大 橋 哲 也   次長兼総務課長  伊 藤 美智雄   議事課長     栗 原   亨   政策調査課長   土 屋 篤 史   議事課課長補佐  諏 訪 勝 也   課長補佐     谷 平 正 治   副主幹      小 材 忠 宏   主査       手 塚 英里子   主査       青 木 和 之   主査       君 島 義 人   主査       関   敏 秀 (3)職務のため議場に出席した事務局職員の職氏名 ◎大橋哲也 事務局長 出席議員数を報告いたします。  ただいまの出席議員数は47名であります。             ―――――――――――――――――――――――――――――    午前10時 開議 ○阿部寿一 議長 ただいまから本日の会議を開きます。  初めに、諸般の事項を事務局長に報告させます。 ◎大橋哲也 事務局長 報告いたします。 1 議場における説明のための出席要求について  地方自治法第121条の規定により、本日の早川桂子議員の発言に対する説明のため、選挙管理委員会の伊藤勤委員長の出席を求めましたので、ご報告申し上げます。             ――――――――――――――――――――――――――――― ○阿部寿一 議長 日程第1 第1号議案から第8号議案まで及び第10号議案から第14号議案までを一括して議題とし、質疑並びに県の一般事務に関する質問を行います。発言通告者に対し、発言を許します。早川桂子議員。    (32番 早川桂子議員登壇) ◆32番(早川桂子議員) 皆さん、おはようございます。とちぎ自民党議員会の早川桂子でございます。議会において、この透明なアクリル板の設置により、マスクを外しての発言が許されております。執行部の皆様にはクリアなご答弁を期待し、質問に入りたいと思います。  まず初めに、人口減少対策について質問させていただきます。とちぎ創生15(いちご)戦略(第2期)が2年目を迎えました。第1期の戦略では着実に成果を上げた取組がある一方、1人の女性が生涯に産む子供の数、合計特殊出生率の低下や、女性や若者などの転出超過など、人口動態に関する取組は目標達成に至らず、地域の担い手不足、活力の低下などは、いまだ深刻な状況であります。こうした中、新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、在宅勤務などのテレワークの拡大、本社機能の地方移転、地方への移住など、都市部から地方へ人の流れが起きるなど、今までにない社会経済活動の変化が起き始めております。感染拡大の長期化は、出生数、人の移動など人口動態に大きな影響を与えていることから、本県における影響を見極め、必要な対策に果敢に挑戦していくことが求められております。  そこで、今後、人口減少対策にどのように取り組んでいかれるのか、知事の所見をお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまの早川議員のご質問にお答えいたします。人口減少問題の克服に向け、県では、とちぎ創生15(いちご)戦略に基づき各種施策に積極的に取り組んでまいりましたが、合計特殊出生率は改善せず、人口の転出超過が続いている状況にあります。そのため第2期戦略では、とちぎ結婚支援センターの機能強化や、子ども家庭総合支援拠点の設置促進を図るなど、若者等が結婚の希望をかなえ、安心して出産、子育てができる環境づくりを推進してまいります。また、栃木暮らしの魅力について戦略的に情報発信をするとともに、都市農村交流の促進を図るなど、本県への移住・定住につながる取組を展開してまいります。  さらに、新型コロナウイルス感染症の影響によりテレワーク等の普及や地方移住への関心の高まりに加え、昨年5月以降、本県の人口の転出が減少傾向となるなど、人々の意識、価値観、行動に変化が生じてきており、東京圏に近接する本県の強みを生かす絶好の機会でもあります。そこで、東京圏の企業を対象にしたお試しテレワークやサテライトオフィスの設置を推進するほか、バーチャル移住体験ツアー等を実施するなど、関係人口の創出、拡大や、移住・定住促進の取組を加速させ、本県への人の流れを確実なものとしてまいります。  今後とも、新しい時代の潮流を的確に捉え、デジタル技術を有効に活用しながら、市町や企業等と連携・協働し、栃木の輝く未来創生に全力で取り組んでまいります。 ○阿部寿一 議長 早川桂子議員。    (32番 早川桂子議員登壇) ◆32番(早川桂子議員) 知事から、移住・定住の動きを加速させるというご答弁がございました。  ここで、総合政策部長に再質問させていただきます。コロナ禍でテレワークが注目され、地方への移住希望者が増えている状況を踏まえれば、この好機を逃がす手はありません。地方で課題となっている空き家の有効活用をより一層推進していくことが必要であると考えます。市町では、空き家バンクを設置し、移住・定住者を新たに取り込むための様々な施策を講じております。私の地元佐野市においては、古民家を活用した移住希望者向けのおためし住宅が好調で、3か月先まで予約が埋まっているという状況です。また、那須烏山市におきましても、最近は首都圏からの二地域居住のニーズも高く、需要に供給が追いつかないほど成約実績があるとのことでございます。
     本県の空き家率は関東1都6県では最も高いことを考慮すると、移住・定住促進にこの空き家を積極的に活用すべきと考えますが、総合政策部長の所見をお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 阿久澤真理総合政策部長。 ◎阿久澤真理 総合政策部長 再質問にお答えいたします。移住・定住の相談を受けておりますけれども、その内容を分析いたしますと、移住された方がその先に住む住宅への関心が非常に高いということが分かっておりますので、空き家情報の提供というのは非常に重要な取組だと考えております。このため県では、今年度、移住・定住促進サイトというサイトを持っていますけれども、そのサイトを改修いたしまして、全ての市町にございます空き家バンクの情報に加えて、栃木県宅地建物取引業協会と連携して、民間の空き家の情報につきましても、物件情報を幅広く提供することといたしました。  今後とも空き家情報の有効活用を図り、移住・定住の促進に市町とともに取り組んでまいります。 ○阿部寿一 議長 早川桂子議員。    (32番 早川桂子議員登壇) ◆32番(早川桂子議員) ここで、総合政策部長に再質問させていただきます。各市町に空き家バンクを設置しておりまして、県には的確な支援、指導の役目があるわけですが、空き家対策の基本であり、国の補助制度を活用するために必要な空家等対策計画を策定済みの市町は、栃木県では25市町のうち17の市町が策定しております。また、各市町が相続など住民からの多様な相談に的確に対応する法定協議会を設置済みの市町は、県内8つの市町でした。こうしたことを踏まえて、県では、この点につきましてどのように指導なさっていただくのか、総合政策部長のお考えをお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 阿久澤真理総合政策部長。 ◎阿久澤真理 総合政策部長 再質問にお答えいたします。空き家対策につきましては、先ほど申し上げましたように、移住を考える上でも非常に重要ですし、また町の活性化などを考えていく上でも重要な取組だと考えております。空家等対策計画の策定支援を市町にしっかりとさせていただきたいと思います。直接的には県土整備部と連携しながら取り組んでいくことになると思いますので、よろしくお願いいたします。 ○阿部寿一 議長 早川桂子議員。    (32番 早川桂子議員登壇) ◆32番(早川桂子議員) ここで要望させていただきます。ここで新たな施策が必要ではないかと考えます。人口を増加させる、そして人の動きを活発化させる。やはりこの空き家対策は必須であります。山梨県では、空き家活用ビジネスとして、空き家を活用して地域活性化に貢献する事業を認定するやまなし創生官民連携空き家活用事業認定制度を昨年から始めております。この空き家活用ビジネスの大きな障害となるのが、空き家の所在地情報や所有者の連絡先の取得が困難なこと、特にその点におきまして、空き家情報を保有する行政との官民連携体制の構築が有効と考えられます。先日、直接山梨県の担当者にお話を伺う機会を得ました。空き家を活用するビジネスの認定事業者の認定制度と、空き家所有者に補助する補助制度の2本柱の事業であり、この半年間で7件の認定事業者が決まったとのことです。それには県が空き家対策のテレビ番組を特別に制作し、チラシをつくり、積極的に発信した結果であるとおっしゃっていました。また、公式動画ユーチューブにおきましては、2月には前編をつくり、今月下旬には後編をつくるということです。これが非常に多くの若い方、年齢層を問わず多くの方からのアクセスも多いということでございます。また、そういった発信をした結果、空き家所有者からは、この空き家活用事業認定制度に手を挙げられた方が多くいらっしゃったということです。本県でも、こうした空き家活用ビジネス事業も検討していただき、人口減少対策に積極的に取り組んでいただきますよう要望させていただき、次の質問に移らせていただきます。  災害から命を守るとちぎづくりについて、まず、住民の適切な避難行動についてでございます。災害対策基本法を改正し、災害時に市町村が発令する避難勧告を廃止して、避難指示に一本化しました。この改正により、避難情報の分かりにくさが解消し、住民の逃げ遅れを減らすことが期待されますが、避難に際しましては、自分だけは大丈夫だという心理的な要因も指摘されており、住民一人一人が、ふだんから自分の住んでいる地域の災害リスクを認識し、避難情報に基づいて適切な避難行動を行うことが重要であります。これまで県は、避難や防災情報の周知に努めておりますが、今回の改正内容について、自然災害の悲惨さや危険性、そして避難行動の大切さについて理解を深めていく必要があります。  そこで、県では今回の改正内容を踏まえ、災害発生時に住民が適切に避難行動できるよう、どのような取組を行っていくのか、県民生活部長にお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 千金楽宏県民生活部長。    (千金楽 宏県民生活部長登壇) ◎千金楽宏 県民生活部長 ただいまのご質問にお答えいたします。近年、自然災害が頻発、激甚化する中、災害時に住民の命を守るためには、災害情報の正しい理解の促進と速やかな情報発信が必要であります。県では、このたびの避難勧告と避難指示の一本化等の法改正を踏まえ、改めてリーフレットを県内各世帯に配布し周知を図りますほか、新たに幅広い層に普及しておりますSNSの一つであるLINEを活用しまして、ハザードマップや避難所に関する情報等を提供することにより、平時からの防災意識の醸成と災害時における適切な避難行動の促進を図ることとしております。また、住民が適切に避難するためには、市町が発令する避難情報が極めて重要でありますことから、今回の法改正も踏まえた研修会を開催するなど、市町の適切な発信に向け支援してまいります。  引き続き、市町と連携して新たな避難情報の周知徹底を図り、住民の逃げ遅れ防止に取り組んでまいります。 ○阿部寿一 議長 早川桂子議員。    (32番 早川桂子議員登壇) ◆32番(早川桂子議員) ここで要望させていただきます。市町村が発令した避難情報が正確に住民に伝えられ、適切な避難行動を取れることが、逃げ遅れにより被災する人を減らすことにつながります。しかし、発令されました避難警報、これは2年前の令和元年の台風19号のとき、私もその体験をしたわけでございますが、その警報が雨音で聞こえなかった、または時間ももう夜間に及んでおりましたので寝ていて分からなかった、そういった方たちの判断の遅れ、そして本当に僅かな瞬時の判断で命が助かった方が多くいらっしゃいました。そうした声も踏まえまして、どのようにすれば避難情報が県民に届き、適切な行動を取れるのかについても、これからもしっかりと検討していただくことを要望しまして、次の質問に移らせていただきます。  災害時の対応力強化についてでございます。栃木県議会では、令和元年台風19号の後に災害対策特別委員会が設置され、災害に強い地域づくりについて及びICTや未来技術等を活用した防災対策を重点テーマとして、被災地の調査や参考人からの意見聴取を行いました。この台風19号では広範囲に甚大な被害が生じ、私の地元佐野市におきましても、秋山川、旗川などの河川が氾濫し、多くの家屋が浸水被害を受けました。近年の大規模化する自然災害から県民の大切な命や財産を守るためには、これまで以上のハード整備が第一ではありますが、災害が発生してしまった場合には、早期の復旧に向け、瓦礫等の撤去、被災住宅の後片づけ、災害ごみの搬出などの復旧作業を円滑に進めることが重要であります。被災した住民の不安を早期に解消し、元の生活を取り戻すためには、平時から災害ボランティアの速やかな受入れや、作業を軽減するための機器等の積極的な導入、また、それらを扱う技術者の迅速な協力など準備を進めておくことが重要です。  そこで、県は災害発生直後における被災地の復旧支援体制の強化にどのように取り組んでいかれるのか、県民生活部長にお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 千金楽宏県民生活部長。    (千金楽 宏県民生活部長登壇) ◎千金楽宏 県民生活部長 ただいまのご質問にお答えいたします。大規模災害が発生した際には、県では被災者の速やかな生活再建に向け、迅速に災害救助法の適用を図りまして、住宅応急修理などの支援に取り組みますほか、瓦礫やごみの処理、住まいの確保などの特定の課題に対しまして、庁内関係課が連携してチームを設置し、被災状況に応じ機動的な支援を行っております。また、災害時にボランティアや様々な協力者の方々が被災地のニーズに応じた活動を効果的に展開できるよう、平時から関係機関との情報共有や事例検討などを行い備えているところでございます。大規模災害が頻発、激甚化する中、作業の効率化や負担軽減は重要でありまして、復旧現場での作業を手助けする機器の開発や使用の状況等につきましても注視してまいります。  引き続き、行政機関、ボランティア団体、民間企業など多様な主体の協働によりまして災害復旧体制の強化を図り、迅速な被災地復旧支援に取り組んでまいります。 ○阿部寿一 議長 早川桂子議員。    (32番 早川桂子議員登壇) ◆32番(早川桂子議員) ここで要望させていただきます。令和元年台風19号の際には、衛生上細心の注意を払っていたにもかかわらず、浸水でトイレの排せつ物があふれるという深刻な問題が短時間で起きました。そのことにより細菌、バクテリアが発生し、身体に害を及ぼし、亡くなられた方もいらっしゃいました。また、断水により、飲料水の確保やトイレに苦労したとの声も多く聞いております。特に女性からは、トイレの確保が一番の困り事であったと、どこでもそういった声をお聞きしました。被災地においては、本当に衛生上、清潔なトイレの備えは重要であると考えます。  全国では、幾つかの市町村で移動設置型のトイレトレーラーを購入し、災害時の利用を想定しているとお聞きします。これまでの仮設トイレはほとんどが和式で、くみ取りが必要となります。その点、トイレトレーラーは下水のマンホールへ直接排出できるということで大変便利であり、ソーラー発電で電力を蓄え、また、水道管から給水でき、タンクに貯水もできるという衛生的なものです。災害はいつどこで発生するか分かりません。民間でトレーラーを購入し、そして災害が起きたときに、または近隣で災害が起きたとき、被災地への支援活動として取り組んでいるという自治体もございます。こうしたトイレトレーラーの整備をはじめとして、被災地が必要となるものを速やかに届けられるよう、災害時の対応力を強化していただくよう要望させていただきます。  次に、都市計画道路3・5・303号唐沢公園線の整備について質問させていただきます。本路線は、北関東自動車道佐野田沼インターチェンジに直結する県道佐野田沼線と県道築地吉水線を東西に結ぶ幹線道路として期待される都市計画道路です。平成23年に北関東自動車道の開通後、佐野田沼インターチェンジ周辺の道路の交通量が増加し、特にインターチェンジに直結し、市の南北の交通軸となっている県道佐野田沼線に車が集中しており、その分散が必要とされております。東西軸としては、現在、県道田沼唐沢公園線が利用されておりますが、幅員が狭く、歩道が未整備であるなど、車両及び児童生徒等の歩行者、自転車が危険にさらされている現状であります。本路線を整備することにより、近隣の田沼工業団地や国指定史跡の唐沢山城跡へのアクセス性の向上、また、県立田沼高校跡地に整備した佐野市国際クリケット場への道として、佐野市のスポーツ及び歴史・文化面にも貢献するものです。また、一部の区間につきましては、既に土地区画整理事業により用地が確保されております。このような状況を鑑み、本路線を県道として位置づけしていただき、早期の事業化を望むものです。  そこで、都市計画道路3・5・303号唐沢公園線の整備について、県土整備部長の考えをお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 田城均県土整備部長。    (田城 均県土整備部長登壇) ◎田城均 県土整備部長 ただいまのご質問にお答えいたします。佐野市北部地域のさらなる発展を図る上では、旧葛生町から佐野市街地を結ぶ南北の交通軸と、これを補完し、東西に連絡する道路を構築することが重要であります。そこで県では、交通量の多い南北軸におきまして慢性的な渋滞が発生しておりますことから、その軸を形成する県道佐野田沼線や県道築地吉水線などを優先的に整備することとし、バイパスや歩道整備等の工事を進めております。一方、都市計画道路3・5・303号唐沢公園線は、県道佐野田沼線と県道築地吉水線を東西に連絡することにより、佐野田沼インターチェンジへのアクセス強化や交通分散化が期待される路線ではあるものの、その整備に当たりましては、県道佐野田沼線との接続方法や東武佐野線との交差部の構造など解決すべき課題も多く残ってございます。  このため、県といたしましては、まずは南北軸を形成する路線の整備を急ぐとともに、周辺の交通状況を見極めながら、佐野市との役割分担も含めた本路線の整備の在り方を検討してまいります。 ○阿部寿一 議長 早川桂子議員。    (32番 早川桂子議員登壇) ◆32番(早川桂子議員) 今月末には、恒例の県土整備委員会において、この栃木県内の25の市町の要望箇所を調査するという時期に入るわけでございます。佐野市からの要望である現地調査をする予定でございますが、どうぞ前向きに検討していただくよう要望しまして、次の質問に入らせていただきます。  がん検診受診率の向上について質問させていただきます。本県では、昭和61年以降、死因の第1位をがんが占めており、令和元年には年間5,700人を超える方が、がんによって亡くなられております。がんにかかった場合に、早期発見、早期治療で約9割が治ることから、がん検診受診率を向上させていく必要があります。これまで県では、民間企業等と連携した普及啓発、市町に対する先進的な事例紹介等の取組を行い、また、市町においては土曜、日曜におけるがん検診の実施、託児つきがん検診の実施など様々な取組を行ってきております。こうした取組の成果もあり、検診受診率は年々向上し、全国平均も上回っておりますが、本県の令和元年の検診受診率は、肺がんが最も高く54.3%、次いで乳がんが50%、大腸がんが47.2%、子宮頸がんが43.8%となり、胃がんが最も低く43.4%という状況であります。栃木県がん対策推進計画(第3期)の目標値にはいまだ届いておりません。がん検診を受診しない理由として、もし自分がかかっていたらと思うと怖くなる心理的な要因も指摘されており、早期発見、早期治療によって生存率は確実に上がるのだという正しい知識や情報をより丁寧に説明していく必要があります。  そこで、県では、がん検診受診率の向上に向け、今後どのように取り組んでいかれるのか、保健福祉部長にお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 海老名英治保健福祉部長。    (海老名英治保健福祉部長登壇) ◎海老名英治 保健福祉部長 ただいまのご質問にお答えいたします。がん対策において最も重要なことの一つは、自覚症状がない段階でがんを早期に発見し、治療へとつなげていくことであります。このため、県では市町や民間企業と連携いたしまして、本県のがん患者の性別や年代の特性も踏まえながら、検診による早期発見の効果を県民に広く発信することで、検診の受診率向上を図ってまいりました。その結果、胃がんや乳がんなど検診受診率が上昇してきたところであります。また、新型コロナウイルス感染症により自粛が求められる中においても、がん検診の受診は不要不急の外出ではなく、健康を維持するために必要なものとして、各種媒体を活用いたしまして受診の呼びかけを行っているところであります。  今後とも、市町や職域のほか、医療保険者、企業等と情報共有や連携を図りながら、検診受診率のさらなる向上につながる取組を積極的に推進してまいります。 ○阿部寿一 議長 早川桂子議員。    (32番 早川桂子議員登壇) ◆32番(早川桂子議員) ここで要望させていただきます。日本のがん検診受診率は、国際的に低い値となっています。日本においては、市町村、職場、人間ドックなどを任意で受診するなど、検診を提供する機関は多数存在し、データを一括に集約する仕組みがありません。そのため誰がどこのがん検診を受けたのか、受けていないのは誰なのかを把握することは困難です。医療保険種別に受診率を比較しますと、全ての部位の――胃がん、大腸がん、肺がん等ですが――がん検診で、市町村の国民健康保険加入者の受診率が男女とも一番低くなっております。約10年前の2012年の日本医事新報の調査ですと、市町村の国民健康保険加入者の7割から8割が検診を受けていないという結果が示されました。  受診率向上の有効性が認められております個別受診勧奨は、電話や手紙で個別受診を勧めるコール、そして、受診していない人を特定し再度受診を勧奨するリコールを実施しているイギリスでは高い受診率を保っております。また、日本では、このコール、リコールを実施している市町村は僅かであり、大阪府池田市で平成21年度、平成22年度にこのコール、リコールを取り入れ、検証した研究が行われました。結果、コールの受診率は約20%高く、大きな効果が得られました。がん対策の基本は、早期発見し、早期に治療することです。がん検診受診率及びがん検診精検受診率の向上に向け、しっかりと取り組んでいただけますよう強く要望しまして、次の質問に移らせていただきます。  支援が必要な妊婦への対応についてであります。厚生労働省の専門委員会が、平成30年度の虐待による死亡事例の検証結果によれば、死亡時の子供の年齢は、心中以外の虐待死ではゼロ歳が約4割で、最も多くなっております。また、実母が妊娠期、周産期に抱えていた問題としては、予期しない妊娠、妊婦健診未受診等が挙げられ、妊娠期に支援を受けないまま出産し、遺棄に至っている事例が多いことがうかがえます。これまで行政においても、予期しない妊娠や経済的困窮、社会的孤立など様々な理由により妊娠を周囲に相談できず、出産前から支援を行うことが特に必要な妊婦を特定妊婦として支援を行っており、厚生労働省によりますと、全国の対象者は2009年から2018年までの10年間で約7倍の7,233人に増えているということであります。支援を行う必要があるにもかかわらず行政の支援につながっていない妊婦はまだまだいると考えられることから、相談体制を充実させるなど、早期発見のための取組を強化していくことが必要と考えます。  そこで県では、今後、予期せぬ妊娠などにより孤立しがちであり、支援が必要な妊婦への対応にどのように取り組んでいかれるのか、保健福祉部長にお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 海老名英治保健福祉部長。    (海老名英治保健福祉部長登壇) ◎海老名英治 保健福祉部長 ただいまのご質問にお答えいたします。特に支援が必要と認められる特定妊婦などに対しましては、各市町や児童相談所が相談に応じているところでありますが、予期しない妊娠などの場合、妊娠届の未提出などの理由によりまして、行政も情報を把握することができないため孤立化しやすい状況にあり、どのように支援につなげるかが課題になっていると認識しております。このため県では、愛着の形成や妊娠、出産などに係る正しい知識の普及、情報発信などを通じ、市町や様々な相談機関、身近にいる関係者の気づきを促すよう、より一層努めてまいります。また、支援につながりにくい当事者が相談しやすい体制の整備に向けまして、引き続き、県助産師会等の関係団体との協議を進めてまいります。  今後とも、学校等も含め関係機関が相互に連携、情報共有を図りまして、妊娠までの経緯も含め、様々な不安を抱えた妊婦が安心して相談ができ、早期に適切な支援を受けることができるよう、支援体制の充実に努めてまいります。 ○阿部寿一 議長 早川桂子議員。    (32番 早川桂子議員登壇) ◆32番(早川桂子議員) ただいま保健福祉部長から、情報を共有する、そして手厚い支援をしていくといったご答弁がございましたが、私は、ここで教育長に再質問させていただきます。この質問をするに当たり、女性の産婦人科医師と意見を交わしました。自分の身を守るためには、正しい性教育を受け、知識や知恵が必要であるとおっしゃっていました。その女性医師は安足地区に居住しており、栃木県医師会主催における栃木県産婦人科医会では、高校1年生から3年生、全校生徒に性教育について講演を行っているということです。その方はご自身で、女性ですので、ご自分が妊娠したときの多くの資料をスライドでつくり、指導しているということです。そして、生徒の悩みは、望まない妊娠をしないための避妊の方法など性についてが多く、日頃は学校の養護教諭が相談に乗ってくださるそうです。予期せぬ妊娠などをしないためには、学校現場でのこのような性教育が重要であると私は考えます。県立高校における性教育の状況、そして、教育長の所見をお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 荒川政利教育長。 ◎荒川政利 教育長 再質問にお答えいたします。県教育委員会では、今ご指摘がありましたように、産婦人科医や助産師といった専門家の方々に依頼しまして、生命の尊重とか、あるいは男女交際の在り方といったことに関する講話を全ての県立学校で実施しているところでございます。予期せぬ妊娠などをしないためにも、こうした取組というのは非常に重要であると考えておりまして、引き続き、専門家の協力を得ながら、性に関する正しい知識を生徒が習得するようしっかりと取り組んでまいります。 ○阿部寿一 議長 早川桂子議員。    (32番 早川桂子議員登壇) ◆32番(早川桂子議員) ただいま教育長から、教育現場においての現状をお伺いいたしました。出産するときは、一時金として42万円を病院に支払います。これは通常、後で戻されるものですが、保険に加入していない妊婦は自費です。自払いとなるわけです。現在、国や市町の自治体においては、産後ケア事業、保育料の無償化など子育て支援に様々な施策を打ち出しております。不妊治療には補助制度がありますが、お産には補助制度はありません。  次の質問に移らせていただきます。新たな産業団地の整備について質問させていただきますが、経済産業省の工場立地動向調査によりますと、令和2年の県内の製造業等の工場立地件数は36件で全国第7位、立地面積は92ヘクタールで、全国で第3位となりました。本県の強みは、首都圏からの近接性、交通の便がよいことなどであり、県南地域はその最たるものであると考えておりますが、企業誘致のための産業団地が少なくなっていると聞いており、新たな産業団地を早急に整備していく必要があると考えます。  こうした中、県は今年度から令和7年度までを計画期間として策定した新とちぎ産業成長戦略において、企業誘致プロジェクトを掲げ、200ヘクタールの産業団地整備に取り組むとしております。この目標値は、平成27年度から令和元年度までの整備面積が89.2ヘクタールであったことを考慮しますと非常に挑戦的な目標であり、県の強い決意を感じたところであります。  そこで県は、新とちぎ産業成長戦略に掲げた目標達成に向け、今後、産業団地の整備にどのように取り組んでいかれるのか、産業労働観光部長にお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 辻真夫産業労働観光部長。    (辻 真夫産業労働観光部長登壇) ◎辻真夫 産業労働観光部長 ただいまのご質問にお答えいたします。本県の産業団地につきましては、立地が順調に推移いたしましたことからストックが減少しており、新たな団地の整備が喫緊の課題となっております。このため、今後5年間で200ヘクタールの整備目標を掲げまして、市町と連携し、団地整備をより一層推進いたしますため、昨年度、産業団地開発の基本方針を見直したところであります。具体的には、市町が複数の団地を同時に開発いたしますケースや、整備実績のない市町が工業専用地域内におきまして小規模開発を行うケースなどにつきまして、市町の要請に基づき県が行います団地開発の対象といたしましたほか、市町から工事等を受託する方式を新たに設けまして、スピード感を持って団地整備に取り組んでいくことといたしました。また、市町を訪問いたしまして、市町によります整備も含め、産業団地の整備計画や土地利用調整等につきましても、引き続き情報共有や助言等を行いまして、円滑に事業化が図られますよう支援してまいります。  今後とも、開発に意欲的な市町と連携・協力いたしまして、企業ニーズに応えられる産業団地の整備に積極的に取り組んでまいります。 ○阿部寿一 議長 早川桂子議員。    (32番 早川桂子議員登壇) ◆32番(早川桂子議員) スピード感を持って取り組んでいくという強い産業労働観光部長のご答弁をいただきました。  ここで、産業労働観光部長に再質問させていただきます。私の地元佐野市のことをちょっと質問させていただくのですが、国道50号は、東北自動車道の佐野藤岡インターチェンジで連結している広域幹線道路であり、大型の商業施設が立地するなど、本県の産業振興において重要な役割を果たしております。佐野市においては、平成31年3月に国道50号沿線開発構想を策定し、交通の高い地域として立地特性を生かした新たな土地利用が期待される開発構想エリアを、国道50号沿線上に2か所位置づけております。そのうち1か所は羽田工業団地の周辺エリアで、物流・運輸系の倉庫が多く、工業系用途が集積するエリアとなっているため、新たな開発が調和しやすく、発展性が望めるエリアとなっております。企業局が佐野市内に整備、分譲した羽田工業団地は、平成12年3月に分譲が完了となり、総面積は約26ヘクタール、工業用地面積は15.5ヘクタールであり、12区画に9社の民間工場が立地いたしました。その後、約20年にわたり、佐野市内において県が事業主体となって整備した産業団地はないことから、県南の玄関口としての新たな産業団地の開発による地域雇用の拡大及び移住・定住の促進が求められております。  そこで、国道50号沿線における産業団地の開発、整備については、県が事業主体となって実施するお考えがおありなのか、産業労働観光部長に見解をお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 辻真夫産業労働観光部長。 ◎辻真夫 産業労働観光部長 再質問にお答えいたします。国道50号は、インターチェンジへのアクセスもよいなど、企業の進出意欲の盛んなポテンシャルの高いエリアと認識しております。佐野市からは県による産業団地整備の要望をいただいているところでございまして、今後はこうしたことも念頭に、今般見直しをしました産業団地開発の基本方針を踏まえまして、佐野市と十分に協議を行い対応を検討してまいりたいと考えております。 ○阿部寿一 議長 早川桂子議員。    (32番 早川桂子議員登壇) ◆32番(早川桂子議員) ぜひとも佐野市と連携の上、県が事業主体となって前向きにご検討くださいますよう要望させていただきます。  では、最後の質問に移らせていただきます。投票率を上げるための取組についてです。投票率の低下は全国的な問題であり、本県においても例外ではなく、県内で今年4月以降に市町長選挙で投票が行われた5市町のうち4市、議会議員選挙で投票が行われました3市町のうち2つの市町で過去最低を記録いたしました。有権者の政治離れを指摘する声がある一方、新型コロナウイルス感染症の影響による選挙運動の制約や有権者の感染リスクに対するおそれを要因に挙げる声もあり、今年度中の衆議院議員選挙や来年度の参議院議員選挙を見据えると、これまで以上に課題意識を持たなければなりません。  こうした状況を踏まえ、県が執行した知事選挙、衆議院議員選挙、参議院議員選挙を見ると、期日前投票者数の全投票者数に占める割合が増加傾向にあることから、投票率を向上させるためには、有権者の利便性向上や投票機会の確保に加えて、投票日当日の混雑を回避する観点からも、今後も期日前投票の充実を図っていくことが必要であると考えます。この期日前投票所は、駅構内やショッピングセンターなどの頻繁に人の往来がある施設において設置することが可能であり、投票環境の改善に寄与するものであることから、今後も県内、県外の様々な先進事例を参考に、さらなる投票環境の改善に向け積極的に取り組んでいっていただきたいと思います。  そこで、県選挙管理委員会では、コロナ禍における投票率の向上に向けて、今後どのように取り組んでいかれるのか、選挙管理委員会委員長にお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 伊藤勤選挙管理委員会委員長。    (伊藤 勤選挙管理委員会委員長登壇) ◎伊藤勤 選挙管理委員会委員長 ただいまのご質問にお答えいたします。新型コロナウイルス感染症が拡大する中で投票率の向上を図るためには、感染リスクを下げる投票の環境を整備し、その措置内容を有権者に正しくお伝えすることが重要であると考えてございます。このため、県選挙管理委員会といたしましては、投票所を設置運営する市町の選挙管理委員会に対しまして、投票所での消毒液の設置や定期的な換気などの感染防止対策及び期日前投票の積極的活用と併せまして、各種広報手段を通じて有権者の投票に対する不安の払拭に取り組むよう働きかけてまいりました。各市町では、それぞれ適切にご対応いただいているところでございます。このうち期日前投票所につきましては、商業施設などへの設置が進んでおりまして、昨年の知事選挙におきましては県全体で141か所が設置され、期日前投票者数の増加と投票日当日の密を避けることに寄与いたしましたことから、引き続き、その充実を図ってまいりたいと考えてございます。  県選挙管理委員会といたしましては、今後とも市町選挙管理委員会と連携・協力して、コロナ禍の中におきましても安心して選挙権を行使できる環境づくりに取り組んでまいります。 ○阿部寿一 議長 早川桂子議員。    (32番 早川桂子議員登壇) ◆32番(早川桂子議員) ここで再質問いたします。どの選挙においても、告示後、各選挙管理委員会は選挙公報を新聞に折り込み、有権者に情報提供しております。投票率の低い10代、20代の年代層は新聞、雑誌などの紙媒体でなく、スマートフォンやタブレットなどで情報を得ている現状です。このコロナ禍においてデジタル化が進んでいく中で、選挙公報を栃木県のホームページだけでなく、ツイッター、インスタグラム、フェイスブックなどのSNSを活用し、新たな広報の取組が必要と考えますが、選挙管理委員会委員長の所見をお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 伊藤勤選挙管理委員会委員長。 ◎伊藤勤 選挙管理委員会委員長 ただいまの再質問にお答えいたします。若年層に対する選挙啓発におきまして、ツイッター、インスタグラムなどのSNSの活用が大変有効であるとは考えてございます。現在、県選挙管理委員会のツイッターでは、選挙制度を分かりやすく説明した記事などを掲載しているほか、実際の選挙のときには、期日前投票の利用促進のための情報発信などを行っておりますが、若者の多くがSNSにより情報を得、コミュニケーションを図っているそうした現状に鑑みまして、今後ともSNSを活用した選挙啓発のさらなる展開に取り組んでまいりたいと考えてございます。 ○阿部寿一 議長 早川桂子議員。    (32番 早川桂子議員登壇) ◆32番(早川桂子議員) 選挙といいますと、私たち議員も4年に一度の選挙を控えているわけです。有権者の政治離れといったことは、私たち行政に関わる者が日頃から襟を正し、そして自分の考えを住民に、有権者の方々に、お一人お一人の心に訴え、そして信任をいただくものがこの選挙であります。今年も選挙がございます。新たな栃木県、そして私たちが住んでみたいと思う、これからも多くの方々に栃木県を選んでもらえる、そういったことに積極的に取り組んでまいりたいと思います。  以上で本日の私の質問は全て終わります。ありがとうございました。 ○阿部寿一 議長 この際、15分間休憩したいと思います。議事はただいまの継続議事であります。  休憩いたします。    午前11時1分 休憩
                ――――――――――――――――――――――――――――― ◎大橋哲也 事務局長 出席議員数を報告いたします。  ただいまの出席議員数は46名であります。             ―――――――――――――――――――――――――――――    午前11時15分 開議 ○佐藤良 副議長 議長の都合によりまして、私が議長の職務を行います。よろしくお願いいたします。  ただいまから会議を開きます。議事は休憩前の継続議事であります。発言通告者に対し、発言を許します。横松盛人議員。    (21番 横松盛人議員登壇) ◆21番(横松盛人議員) 栃木の会の横松盛人です。さきの通告に従いまして質問に入らせていただきます。まず初めに、栃木への愛着や誇りの醸成について、知事に伺います。昨年の地域ブランド調査2020の魅力度ランキングにおいて、本県は47位という残念な結果でありましたが、私は真に大切なのは順位ではなく、本県の魅力や実力を県民はじめ多くの人々に実感できるようにすることだと考えています。県は本年2月に、栃木県ブランディング推進方針を策定し、デジタルマーケティングなどのインターネット時代に適応した手法を用い、県産品の販売拡大や観光誘客、県外からの移住・定住の促進を重点的に取り組むことにより、栃木ファンの強化、拡大を図り、ブランド力向上の好循環を生み出す取組を展開するとしています。私は、ブランディングを進めていく上で鍵となる栃木ファンの拡大には、対外的なプロモーション活動はもとより、一番身近な県民が本県の魅力を実感し、栃木ファンになってもらうことが重要だと思います。また、県民一人一人がふるさと栃木に愛着と誇りを持つことは、本県への人の還流にもつながり、ひいては本県の活力向上に寄与するものと考えます。  そこで、県は、「未来に誇れる元気な“とちぎ”」の実現に向け、どのように県民の本県への愛着と誇りを醸成していくのか、知事にお伺いいたします。 ○佐藤良 副議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまの横松議員のご質問にお答えいたします。本県は豊かな自然や温泉、歴史的建造物等の魅力的な地域資源に恵まれ、1人当たりの県民所得が全国3位に位置するなど全国有数の実力県であります。ブランド力向上を図る上では、県民の皆様がこうした本県の魅力・実力を認識し、ふるさとへの愛着や誇りを持って本県の魅力を広めていくことが重要であると考えております。これまで県では、小中学生が本県の歴史や文化等について理解を深めるとちぎふるさと学習や、高校生が地域の魅力や課題等について探求する地域学等を推進するとともに、主に県内大学生向けに、栃木で暮らし働くことの魅力を発信してきたところであります。こうした取組に加え、SNSを活用し、県民自らが栃木暮らしの魅力を発信する投稿促進キャンペーンや、県内企業等との連携による本県出身の若年層を対象とした地域情報の発信について強化を図り、本県に対する愛着と誇りの醸成につなげてまいります。  今後とも、栃木県ブランディング推進方針に基づき、県民の郷土への理解を深める機会の充実を図るとともに、県民自らが栃木ファンとなって本県の魅力を発信する取組を推進することにより、本県のブランド力の向上を図り、「未来に誇れる元気な“とちぎ”」の実現を目指してまいります。 ○佐藤良 副議長 横松盛人議員。    (21番 横松盛人議員登壇) ◆21番(横松盛人議員) 総合政策部長に再質問いたします。県は、ブランディング推進方針において、サイクルイベントやeスポーツなどを通じた地域振興を掲げています。サイクルイベントなどの地域移動型のスポーツは、県内外の多くの人々が広く県内市町を移動することで、各地域の魅力ある様々な資源に触れる機会が生まれるほか、見て応援する側、参加する側として広がりを持ち、人と人との交流が図られることで、栃木への愛着と誇りの醸成や栃木ファンの拡大に有意義であると考えます。また、近年注目を集めるeスポーツは、年齢や性別、体格などに左右されることなく、誰でも気軽に参加して楽しむことが可能であり、このeスポーツを様々な分野で活用することができれば、さらに多くの栃木ファンの獲得につながるのではないかと思います。  そこで、栃木県ブランディング推進方針の主な取組として、サイクルイベントやeスポーツなどを通じた地域活性化の推進に取り組むとしていますが、今後どのように取り組んでいくのか伺います。 ○佐藤良 副議長 阿久澤真理総合政策部長。 ◎阿久澤真理 総合政策部長 再質問にお答えいたします。本県には2つの自転車のプロチームがあるなど、県内各地で様々なサイクルイベントなども行われておりまして、県民誰もが多様なサイクリングを楽しむことができる環境の整った自転車先進県となっていると考えております。今後とも、県内各地の自然、文化、食など地域資源を生かして、市町や関係団体と連携しながら、サイクルイベントを積極的に展開して、県内の魅力を発信して地域の活性化を図ってまいりたいと考えております。  また、eスポーツにつきまして、今いろいろと新しい動きがあるところでありますけれども、これは先進事例などもいろいろ勉強させていただいて、これらを活用した地域振興についても検討を進めてまいりたいと考えております。 ○佐藤良 副議長 横松盛人議員。    (21番 横松盛人議員登壇) ◆21番(横松盛人議員) 栃木への愛着や誇りの醸成には、見て応援するスポーツと、広く県民が参加するスポーツを設けることは有意義であると考えます。地域移動型のスポーツの一つとして、サイクルイベントのほかに駅伝競走が挙げられます。本県においても、郡市町対抗駅伝競走大会が開催されていますが、隣の福島県では、市町村対抗福島県縦断駅伝競走大会が白河市から福島市の約95キロメートルの区間で行われており、県民の愛着が深いオール福島の一大イベントとなっていることから、駅伝大会のようなランニングイベントを活用することも、栃木への愛着を育む手段になり得ると考えています。ぜひその調査検討をお願いいたします。また、若者を中心に関心が高いeスポーツは、いちご一会とちぎ国体・とちぎ大会の認知度が特に低い若者へのPRにもなるため、ぜひ開催に向けた検討をお願いします。  今回はスポーツに焦点を当てましたが、様々な種類の実体験活動の場を通して、栃木ファンの拡大、強化を図り、本県のブランド力向上、ひいては本県の活性化に取り組んでいただきますよう要望いたしまして、次の質問に入ります。  日光白根山火山防災避難計画について、県民生活部長に伺います。栃木県と群馬県の県境に位置する日光白根山は、関東以北で最高峰の活火山であり、今後100年程度の中長期的な噴火の可能性と社会的影響を踏まえ、火山噴火予知連絡会により、平成21年6月に常時観測火山の一つに選定されました。栃木県、群馬県、日光市など関係機関で構成する日光白根山火山防災協議会は平成31年3月に日光白根山火山防災避難計画を策定し、噴火警戒レベルに応じた具体的な避難に対する対応や防災対策などについて定めています。  この計画によりますと、避難方法は各個人が徒歩または自家用車での避難を基本としていますが、車で避難できる経路は限られており、奥日光から日光市外へのアクセス路はいろは坂で有名な国道120号のみとなっています。このような状況下では、住民や観光客等の命を守るための事前対策が不可欠でありますが、避難促進施設の指定がされておりません。避難促進施設とは、施設利用者の安全を確保するための取組を行う必要があるホテルなどの集客施設や病院などの要配慮者利用施設を市町が指定するもので、平成27年の活動火山対策特別措置法の改正により義務づけられています。日光白根山は噴火の予測が困難であり、想定と異なる噴火現象も起こり得ることから、住民はもとより、土地に不慣れな観光客等の施設利用者が安全に避難できるように、避難促進施設の指定を急ぐ必要があります。  そこで県は、日光白根山火山防災避難計画が適切に運用されるよう、必要な支援を行っていくべきと考えますが、県民生活部長に所見を伺います。 ○佐藤良 副議長 千金楽宏県民生活部長。    (千金楽 宏県民生活部長登壇) ◎千金楽宏 県民生活部長 ただいまのご質問にお答えいたします。日光白根山における火山噴火災害対策につきましては、栃木、群馬両県の関係機関で構成されます火山防災協議会におきまして、ハザードマップや避難計画の作成等に取り組んでまいりました。避難促進施設は、噴火現象の発生時に利用者の安全を確保する必要がある施設として市町が指定するもので、指定された施設には、避難確保計画の作成等が義務づけられております。本県側では、噴火時の立入り規制範囲に含まれる日光湯元温泉スキー場が避難促進施設の候補地として協議会で選定されており、昨年度末に施設側と指定することについて協議が調ったところであります。  今後は、日光市において当該施設の地域防災計画への指定の位置づけを進めることとしており、スキー場利用者の円滑かつ迅速な避難の確保が図られますよう、本施設の避難確保計画につきまして、日光市と連携して作成を支援してまいります。 ○佐藤良 副議長 横松盛人議員。    (21番 横松盛人議員登壇) ◆21番(横松盛人議員) 昨年度末、避難促進施設の指定の協議が調ったということであります。しかし、避難促進施設の指定については風評被害を懸念する施設の所有者の声もありますので、十分な配慮をお願いしたいと思います。あわせて、御嶽山の噴火の際に緊急避難場所として有効だった退避ごうや退避舎の整備につきましても、日光市と連携して進めていただきますようお願いいたします。  ところで、この計画において私が最も懸念していることは、避難経路についてです。奥日光から日光市街へのアクセス路は国道120号のみであり、これは群馬県側も同じですが、本県側は急峻ないろは坂を抜けなければならないという特殊性があります。もし多くの観光客が訪れているときに緊急フェーズの対応を必要とした際には、現状では混乱が生じると推測されます。そこで、この解決策として1つ考えられることは、昭和35年に地元地域の人たちの長年の整備の思いをかなえた日光光徳から川俣へ通じる山王林道の活用があるのではないでしょうか。現在この林道は裏日光の雄大な自然を魅了する林道として知られていますが、一部の箇所で車1台がぎりぎり通れる道幅のところがあるなど、整備の必要性を感じているところです。この林道の整備は、日光白根山の噴火等における危機管理体制の整備にとって命の道路となり得るものであり、加えて、本県の長年の課題であった県北部、県西部の自然豊かな観光拠点を横断的に結ぶ道路としてもその役割を果たすものです。今から60年前に地元の方々の願いとして整備されたこの山王林道に新たな役割を担う検討がされることを要望いたしまして、次の質問に入ります。  コロナ禍における文化芸術活動について、県民生活部長に伺います。文化芸術分野においては、高齢化の進行や担い手不足が喫緊の課題となる中、新型コロナウイルスの感染拡大によりその活動は制限され、深刻な影響を受けています。昨年、本県においても、美術館・博物館や総合文化センターなどの文化施設が休館し、地域の伝統的な祭りや多くの公演、イベントなども中止もしくは延期となりました。また、徹底した感染対策を行い、規模を縮小して活動を再開している現在も、観客の減少などその影響は続いています。  私の地元、宇都宮市でも、昨年夏のふるさと宮まつりは中止になり、例年1月に開催されてきた上河原の初市は、今年2月に場所を変えて開催されました。初市に来ていた人々の笑顔と楽しそうな光景を見ると、規模は縮小されたものの開催されて本当によかったと心から思い、地域の祭りなど人の生活とともにある文化の大切さを実感しました。私は、現下のコロナ禍により、栃木県文化振興条例の基本理念の一つである文化を創造し、享受することができる環境を整備する、このことが難しくなっていると感じています。地域の人たちや担い手が誇りを持って文化芸術活動に取り組むことができる環境を整え、多くの人々が文化芸術に触れ親しむ機会を提供していくことが文化の継承にもつながるのではないかと考えます。  そこで、コロナ禍において文化芸術活動が制限される中、どのように本県の多彩な文化芸術を守り継承していくのか、県民生活部長に伺います。 ○佐藤良 副議長 千金楽宏県民生活部長。    (千金楽 宏県民生活部長登壇) ◎千金楽宏 県民生活部長 ただいまのご質問にお答えいたします。文化芸術は、心豊かな暮らしの実現に不可欠であり、コロナ禍におきましても、新しい生活様式の下で、県民の文化芸術活動の継続や鑑賞機会の確保を図っていく必要があります。このため今年度の県民の日には、祭りなどの伝統芸能の披露や本県出身の音楽家への発表の機会を設けるとともに、オンライン配信も行い、多くの県民の方々に鑑賞の機会を提供することとしております。また、地域の文化団体等が感染防止対策を講じて実施する発表展示や担い手育成などの取組に対しまして、文化振興基金を活用して支援しております。さらに、地域の文化活動の牽引役となる文化活動コーディネーターを新たに養成し、文化団体等への助言による活動の支援や、文化資源の活用など文化施設での企画事業の充実・強化にも取り組んでまいります。  引き続き、本県の多彩な文化芸術活動が活発に展開されますよう、市町や文化団体等と連携して積極的に支援してまいります。 ○佐藤良 副議長 横松盛人議員。    (21番 横松盛人議員登壇) ◆21番(横松盛人議員) 県民生活部長に再質問させていただきます。コロナ禍により外出の自粛を要請されている現在、オンラインを活用した芸術鑑賞は、外に出るのが難しい利用者のニーズに応え、気軽に文化芸術に親しむことができるよい方法ではないかと考えます。また、ICTの急速な普及が進む中、コロナ禍収束後を見据え、県立文化施設に県内外から広く来館者を呼び込めるよう、デジタル技術等を活用した魅力ある展示内容や施設の機能を充実すべきと考えます。  そこで、県は文化振興におけるデジタル技術の効果的な活用と県立文化施設の機能の充実について、具体的にどのように取り組むのか伺います。 ○佐藤良 副議長 千金楽宏県民生活部長。 ◎千金楽宏 県民生活部長 再質問にお答えいたします。県立美術館や博物館では、緊急事態宣言により臨時休館中でありました昨年5月に、企画展展示内容を先行して紹介する動画を作成いたしまして、ユーチューブやフェイスブックで配信しまして、来館につなげる工夫を行ったところであります。また、今年2月になりますけれども、コロナ禍における新たな美術鑑賞の試みといたしまして、小学生が学校にいながらオンラインでアバターロボットを遠隔操作して、美術鑑賞や学芸員と交流するといった実証実験も実施いたしました。デジタル技術の活用は、文化施設に直接足を運んでいただき本物を見ていただくためのきっかけづくりとして有効でありますことから、先進事例なども参考にしながら、その活用に積極的に取り組み、発信など機能の充実に努めてまいりたいと考えております。 ○佐藤良 副議長 横松盛人議員。    (21番 横松盛人議員登壇) ◆21番(横松盛人議員) さきに示した宇都宮市の初市ですけれども、当初は中止の予定でした。ところが、どうすればできるのかを市の担当者も交えて関係者で考えて実施に至ったと伺っています。県においては、イベント開催時の感染防止策等を示すだけでなく、コロナ禍の中でどうやれば開催できるのか、ポジティブな視点で実施団体の相談に応じながら、一緒に考える体制をお願いします。  また、今の答弁にもありましたが、県立美術館では、アバターロボットを活用した実証実験が実施されたということであります。コロナ禍における新たな鑑賞法として期待しているところであります。通常、美術館では展示する作品の数が限られますが、オンラインを活用することで収蔵庫に保管されている多くの作品を鑑賞することも可能になります。実物を見てほしいという思いはありますが、美術館を訪れるきっかけになれば導入する価値があると考えます。  このように、コロナ禍にあっても様々な文化に触れるための環境整備を進めることは重要です。それらは、アフターコロナにおいても間違いなく本県の多彩で豊かな文化芸術の振興に寄与するものです。本県の文化芸術活動が止まることのないようにご支援いただくことをお願いいたしまして、次の質問に入ります。  大谷地域の道路整備について、県土整備部長に伺います。大谷地域の主要道路である大谷街道は、桜2丁目交差点、いわゆる桜通り十文字を北西に進み、大谷交差点までの県道宇都宮今市線と、大谷交差点から分岐して、大谷寺・大谷観音方面に向かう県道大谷観音線を合わせた愛称であり、平成30年5月に日本遺産に認定された大谷石文化をはじめとする歴史と自然を生かした多くの観光資源を有する大谷地域と宇都宮中心市街地を結ぶ重要な路線であります。  県では、宇都宮今市線大谷町南工区において、現道の拡幅工事等を進めています。また、宇都宮市では現在、県道宇都宮今市線に接続する仮称大谷スマートインターチェンジの整備事業が進められており、高速道路を活用した機能的な道路ネットワークが構築され、地域住民をはじめ、県内外の利用者の利便性向上や地域の観光振興にもつながるものと期待されています。一方で、スマートインターチェンジの整備に伴い、交通量の増加が想定され、地域住民の日常生活に欠かせない道路である大谷街道の円滑で安全な交通環境を確保する整備が重要だと考えます。  そこで、県道宇都宮今市線大谷町南工区の進捗と、市道明保通りから大谷町南工区境までの未着手区間及び県道大谷観音線の今後の予定について伺います。 ○佐藤良 副議長 田城均県土整備部長。    (田城 均県土整備部長登壇) ◎田城均 県土整備部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県道宇都宮今市線は、大谷地域における観光振興にとりまして重要な路線であるとともに、城山中央小学校等の通学路でもあることから、県では、安全で円滑な交通を確保するため、歩道整備や交差点改良を進めております。現在、大谷交差点を含みます大谷橋前後740メートル区間を、大谷町南工区として事業を進めておりまして、これまで姿川から西側440メートル区間を完成、供用させたところであります。今年度は、姿川に架かる大谷橋の架け替え工事を鋭意進めておりまして、令和5年度に大谷町南工区全体の完成を目指し事業を推進してまいります。残る未着手区間につきましては、公図が混乱しているなどの課題があるため、まずは、その解消に向けまして、宇都宮市の協力を得ながら調整を進めてまいります。一方、県道大谷観音線はその周辺におきまして、宇都宮市が観光振興に係る施策を検討しておりますことから、その策定状況を見極めながら、整備方針について検討してまいります。 ○佐藤良 副議長 横松盛人議員。    (21番 横松盛人議員登壇) ◆21番(横松盛人議員) この通称大谷街道は、年間約78万人の観光客が訪れる観光地大谷と宇都宮市中心街を結ぶ重要な路線です。現在、市と県が進める大谷地域の道路整備は、都市機能の強化はもとより、救急救命活動への支援や防災機能の強化など県民の利益に大きく資するものです。このことから、県においては県道宇都宮今市線大谷町南工区をはじめ、現在進められている事業の速やかな完成を図るとともに、市道明保通りから大谷町南工区境までの約800メートルの未着手区間についても早急に事業計画を立て、測量や用地調査などの事前準備を進められて、県道の整備工事が切れ目なく行われるよう進めていただくことをお願いいたします。  また、県道大谷観音線についても、宇都宮市がこの沿線地区を地域住民の安全・安心や地域振興を図る重要地区として、地籍調査の実施エリアと選定したところです。ぜひ宇都宮市と緊密に連携を図りながら、早期の事業化がなされますよう要望いたしまして、次の質問に入ります。  学校における働き方改革について、教育長に伺います。世界で一番忙しいと言われる日本の教員は、授業以外の業務が多い上に、ICTの推進による授業のデジタル化の準備や、今般の新型コロナウイルス感染症への対策が加わり、その負担はさらに増加しています。また、学校現場の多忙な現状は、教員採用試験の受験者数低迷の一因にもなっており、教員の労働環境の改善は急務であると考えます。県教育委員会は、教員がやりがいを持って勤務しながら教員の質を高めていける環境の実現を目指し、平成31年1月に、学校における働き方改革推進プランを策定しました。その後、本プランを改定し、勤務時間の適正化として、時間外勤務を1か月45時間以下、1年で360時間以下とするほか、業務改善を図ることで、教材研究や授業準備、児童生徒指導に充てる時間が増加した教員の割合を増やすことを目標に掲げています。  私は、単に残業を減らすだけではなく、教員が自らの人間性を高め、情熱を持って子供たちに向き合い、よりよい教育活動を行える環境を整えることが、学校の真の働き方改革だと考えています。今年度は学校における働き方改革推進プランの最終年度となりますが、県はこれまでの成果と課題をどのように捉え、今後どのように対応していくのか、教育長に伺います。 ○佐藤良 副議長 荒川政利教育長。    (荒川政利教育長登壇) ◎荒川政利 教育長 ただいまのご質問にお答えいたします。教員が心身の健康を保ち、本来業務に専念できる環境を整えるためには、学校における働き方改革をさらに推進し、労働環境を改善していくことが重要であります。このため、管理職を対象とした研修会を実施し意識改革を進めるとともに、外部人材の活用や時間外電話対応装置の導入などにより教員の負担軽減を図っており、その結果、県立学校では時間外勤務時間が減少傾向を示すなど一定の効果が現れております。今年度は、県内全ての公立学校教員を対象としまして、学校における働き方改革推進プランに基づく実態調査を行い、3年間の働き方に関する変化や課題を把握・検証し、今後の施策に生かしていくこととしております。  今後とも、教員の働き方改革を推進し、教員が児童生徒と向き合う時間を確保することで、本県教育の質のさらなる向上に努めてまいります。 ○佐藤良 副議長 横松盛人議員。    (21番 横松盛人議員登壇) ◆21番(横松盛人議員) 学校における働き方改革は、教員の勤務時間の管理が主に取り上げられ、肝心の業務改善が本当に進んでいるのか懸念しています。業務量は教員のみが努力してもなかなか削減されるものではなく、学校運営全体の業務改善を図ることが必要ではないかと思います。学校運営に関わる大切な職種として、教諭のほかに養護教諭や学校事務職員、学校栄養職員等が挙げられます。このうち養護教諭については、さきの議会で阿部寿一議長が質問されたところですので、私は学校事務職員について、教育長に再質問いたします。  学校事務職員の事務の効率化を図るため、学校事務の共同実施があります。これは各学校で勤務している学校事務職員が、週1回程度1つの学校に集まるなどして、複数の学校の事務業務を共同で行うもので、事務処理のさらなる効率化や事務職員の資質向上などの効果が期待されています。また、学校事務の共同実施に取り組むことで、これまで教員が担っていた事務も含めて、学校事務全体の業務分担の見直しが図られ、一層の業務改善が進むと考えます。  そこで、県は現在、事務職員の一部加配措置を取っていますが、学校業務の抜本的改革を行うため、事務職員の配置基準の見直しや学校事務の共同実施の推進について、教育長の所見を伺います。 ○佐藤良 副議長 荒川政利教育長。 ◎荒川政利 教育長 ただいまの再質問にお答えいたします。国の基準が、1つの学校で4クラス以上ある場合には1人の学校事務職員をつけるという基準になっているわけですけれども、本県では独自の基準を設定いたしまして、全ての学校に事務職員を配置しているわけでございます。そしてまた、学校事務の共同実施に係るモデルを各市町にお示しさせていただいて、それぞれ取り組んでいただいているところでございます。  今後とも事務職員の適正配置、それからご指摘のありました共同実施を推進することによりまして、学校現場での事務処理の効率化、事務負担の軽減、さらには職員の資質の向上を図ってまいりたいと思っております。 ○佐藤良 副議長 横松盛人議員。    (21番 横松盛人議員登壇) ◆21番(横松盛人議員) 栃木県教職員協議会が実施した令和2年度の現場教職員のアンケート調査によりますと、教職員が多忙感を抱いている割合は依然9割を超え、多忙な現状を解消する方策として、業務量の削減と教職員の増員を挙げています。教員一人一人の意識改革や校長のリーダーシップだけでは働き方改革が進まないという現状が浮き彫りになっています。学校業務の仕分を、行政がリーダーシップを取って抜本的改革に乗り出さない限り、働き方改革を全部の学校で偏りなく推し進めていくことは極めて困難であると報告しています。県教育委員会においては、学校現場の声を第一とした上で、教育委員会のリーダーシップの下に、様々な職域職種の抜本的な業務改革を速やかに図り、教職員の増員確保にも努めていただき、子供たちの教育に関わる職業が真に魅力あるものとなるように努めていただくことをお願いいたしまして、次の質問に入ります。  教員の確保対策について、教育長に伺います。全国の公立小学校では、今年度から5年をかけて35人以下学級への移行が行われ、きめ細かな指導や感染防止対策の効果が期待されています。その一方で、文部科学省では35人以下学級を実現するために5年間で約1万3,000人の教員が必要になると試算しており、教員の確保が全国的な課題となっています。本県では既に小中学校の全学年において35人以下学級を導入しており、教員の確保についても、採用試験制度の見直しを行い、一定の効果を得ています。しかし、近年の受験者数の低迷に加え、今年度からの35人以下学級への移行により、教員の確保は今まで以上に他県との競争が激化するのではないかと危惧しています。本県が今後も優れた人材を確保していくためには、まず教員採用試験の受験者数をさらに増やす対策が必要であり、私が令和元年度から質問の機会があるごとに取り上げている大学推薦特別選考制度の導入は、教員を志す学生の本県を選ぶきっかけとして有効な手段の一つではないかと思います。これまで県は様々な取組を行っておりますが、未来の社会を担う子供たちのために、もう一歩進んだ教員の確保対策に取り組まなければならないと考えています。  そこで、今後ますます激しくなると予想される人材獲得競争の中で、県はどのように教員確保対策に取り組んでいくのか、教育長に伺います。 ○佐藤良 副議長 荒川政利教育長。    (荒川政利教育長登壇) ◎荒川政利 教育長 ただいまのご質問にお答えいたします。教員採用につきましては、全国的な35人以下学級の導入や退職者数の増加に加え、近年の受験者数の減少により優秀な教員の確保が課題となっております。本県では、大学等での採用試験説明会の開催や、デジタル技術を活用した説明動画の配信など、教員を目指すより多くの学生に対し、栃木県で働くことの魅力発信に努めてまいりました。また、今年度実施する採用試験におきましては、小学校と特別支援学校小学部の実技試験を廃止しましたほか、中学校英語の加点基準を緩和するなど試験制度の見直しを図ったところであります。  今後も、高校生等を対象として、教員という職業の魅力を伝える機会を設けるなど様々な方法を幅広い視点から検討し、優秀な教員の確保に努めてまいります。 ○佐藤良 副議長 横松盛人議員。    (21番 横松盛人議員登壇) ◆21番(横松盛人議員) 教育長に再質問します。関東では、本県と群馬県を除く1都4県で実施されている大学推薦特別選考制度の導入についてであります。これまでも取り上げてきましたが、教育長からは、一部その有用性は認められており、他県の取組状況も参考に、優秀な教員の確保のための手法について検討を重ねていきたい旨の答弁がありました。過日、宇都宮大学に確認したところ、この大学推薦特別選考制度で他県に合格した学生は、昨年は2名でしたが、例年は5名程度であり、今年度は現在15の自治体から申込みが来ているとのことでした。私は、既に多くの自治体が取り入れている大学推薦特別選考制度は優秀な人材を確保するために必要な制度だと思います。  そこで、大学推薦特別選考制度の本県での導入について、どのように検討がなされてきたのか、そしてその導入の可否について、教育長に伺います。 ○佐藤良 副議長 荒川政利教育長。 ◎荒川政利 教育長 再質問にお答えいたします。教員採用の在り方につきましては、優れた人材を確保するために様々な観点から毎年検討を重ねておりまして、より受験しやすい試験制度となるよう見直しを図ってきたところであります。大学推薦特別選考制度につきましては、受験者が少ない教科等、こういった点では人材が確保できるというメリットが考えられる反面、大学の選定方法、推薦基準、こういったものを設定するのに難しい面もございまして、既に導入している他県の状況などを参考にしながら、引き続きしっかりと検討を進めてまいりたいと思っています。 ○佐藤良 副議長 横松盛人議員。    (21番 横松盛人議員登壇) ◆21番(横松盛人議員) 先ほども述べましたように、令和元年度から何度も質問させていただきました。有用性も認めながら、課題もあるということであります。でも、他の県ではもうその有用性を認めて実施しているわけですから、ぜひこういう方法を検討していただいて、そして優秀な、必要な教員をしっかりと確保していただきたいと思います。  これまで関東1都6県の教員採用試験は、一次試験、二次試験ともに同日に行っており、重複受験ができないようになっていましたが、今年から茨城県は一次試験の受験者を増やすために、一次試験のみを別日程で実施しています。これも教員確保の工夫であり、まさに教員の人材確保競争が始まっていると感じました。本県も他県に遅れを取ることのないように検討を進めていただきたいと思います。  私がかつて新任教員として勤務した宇都宮市立一条中学校の当時の加賀美静男校長は軍人上がりの教師で、終戦末期に国のために働きたいとの思いから、当時、広島県にある海軍士官学校に入校していました。そこで終戦を迎え、故郷の栃木県に戻って国のために働こうとの思いは変わらず、選んだ職業が学校の教員でした。今日、小中学生の将来就きたい職業調査において教員は10位前後に位置する職業ですが、大学生が就きたい職業となると、教員はランキングから外れてしまいます。今日の学校の多忙な労働環境が敬遠されていると指摘されています。県教育委員会においては、さきの学校における働き方改革の質問でも取り上げたように、学校教職員の労働環境の改善を進め、教員になりたいと思う人を増やし、その挑戦をしっかりと受け止められるような試験制度のさらなる見直しを図っていただくようお願いいたしまして、次の質問に入ります。  いちご一会とちぎ国体・とちぎ大会の成功に向けた取組について、国体・障害者スポーツ大会局長に伺います。日本最大のスポーツの祭典であるいちご一会とちぎ国体・とちぎ大会は、全国のトップアスリートによる一流のパフォーマンスを間近で見ることができる貴重な機会であるとともに、県民のスポーツに対する興味関心を高める絶好のチャンスでもあります。スポーツは、人々に勇気と感動を与えてくれるだけではなく、一体感を生み出し、絆を深める力があります。私は、この両大会に子供からお年寄りまで幅広い世代の多くの県民に参加してもらうことが大切だと思います。  県は、全ての県民がとちぎ国体・とちぎ大会に関わりを持つことで、夢と希望を抱き、感動を分かち合うとともに、来県者をおもてなしの心で温かく迎える両大会の実現を目指し、いちご一会運動を展開しています。この運動を通して、多くの県民が全国からの来県者と一体感を深め、感動を分かち合い、交流が広がることで、県全体の活力向上につながることを期待しています。また、両大会の成功には審判員やスタッフ、ボランティアなど多くの県民の協力が欠かせないことから、この運動を通じて参加をさらに呼びかけるべきと考えます。
     そこで、今年度は本番直前の重要な1年であることを踏まえ、県はオール栃木の県民運動であるいちご一会運動をさらに加速して展開すべきであり、この運動により高まった県民のスポーツへの興味関心やおもてなしの心を国体後のレガシーとして継承していくべきと考えますが、国体・障害者スポーツ大会局長に所見を伺います。 ○佐藤良 副議長 橋本陽夫国体・障害者スポーツ大会局長。    (橋本陽夫国体・障害者スポーツ大会局長登壇) ◎橋本陽夫 国体・障害者スポーツ大会局長 ただいまのご質問にお答えいたします。県では、いちご一会運動による県民の両大会への様々な関わりを通じて、県民の生涯にわたるスポーツ活動や、本県の魅力発信等の実現を図ることとしております。そのため、これまで各種広報やイベントによる国体・障スポ競技の紹介、体験等により、幅広い世代の県民のスポーツへの関心を高めるとともに、ボランティアの確保などを通じて県民総参加に向けた機運の醸成を図ってまいりました。さらに、今年度は、小中学校の協力による花リレー栽培や高校、特別支援学校の生徒による手作り歓迎のぼり旗の制作、設置を行うほか、地域住民との協働による花育て隊活動やボランティアの養成研修など、学校や地域と連携した取組を推進し、県民のおもてなしの心を一層醸成してまいります。  今後とも、両大会を成功させるとともに、いちご一会運動により得られる様々な成果や取組をレガシーとして未来に引き継ぎ、新しいとちぎづくりにつなげられるよう市町や関係団体などと連携・協力し、オール栃木体制で取り組んでまいります。 ○佐藤良 副議長 横松盛人議員。    (21番 横松盛人議員登壇) ◆21番(横松盛人議員) 今の答弁にもございましたけれども、いちご一会運動の一つである花いっぱい運動について再質問させていただきます。計画によると、いちご一会花育て隊として、自宅や学校、地域の花壇など身近な施設を花でいっぱいにすることや、開閉会式会場や競技会場などを飾るためにいちご一会花リレーに協力してもらうことが挙げられていますが、この花いっぱい運動の具体的な内容について、国体・障害者スポーツ大会局長に再質問させていただきます。 ○佐藤良 副議長 橋本陽夫国体・障害者スポーツ大会局長。 ◎橋本陽夫 国体・障害者スポーツ大会局長 再質問にお答えいたします。いちご一会花育て隊につきましては、学校や自治会、それから企業、団体など地域の方々にご協力いただきまして、県が配布いたしましたマリーゴールドの種を身近な花壇などで育てていただく取組でございます。現在6,000名を超える方にご参加いただいております。また、花を育てる場所で応援、歓迎のメッセージを伝えられるよう、ガーデンピックの配布も取り組んでおります。一方、いちご一会花リレーにつきましては、農業高校で花の苗を育て、これを小中学校でプランターに植え替え、花が咲くまで育て、これを地元の競技会場や最寄りの駅に飾るという文字どおりリレー方式の取組でございます。令和4年度の取組となりますが、本年度につきましては、本番に向けて試行栽培を行っているところでございます。これらを通じまして、来県者に対しまして心のこもったおもてなしができるよう、県民の皆様とともに取り組んでまいります。 ○佐藤良 副議長 横松盛人議員。    (21番 横松盛人議員登壇) ◆21番(横松盛人議員) ぜひ来年、その会場が花いっぱいになっている、そうなりますようにお願いいたします。花いっぱい運動により来年の大会に花をそろえるには、つくる人、育てる人、設置する場所、あとプランターや種などの資材準備を今から始める必要があるわけであります。また、前回の昭和55年に開催された栃の葉国体の際の式典前演技は、県内の中高校生の演技が披露されたと伺っています。今回の式典前演技においても多くの人々の参加協力、準備の時間が必要になると思います。この準備等を円滑に効率よく進めるためには、確かなプランニングと学校や企業、地域などの関係団体との連絡調整が欠かせません。さらに、競技審判員に関しては、本県の各競技団体の特徴を捉えると、学校教育関係者に支えられているところが多くあります。県教育委員会においては、県内市町教育委員会にも協力をお願いして、競技団体に関係を持つ教職員の大会派遣に協力いただけるよう働きかけていただくことをお願いいたします。県は両大会の成功に向けた総仕上げとして万全な準備を整え、いちご一会運動によって県民総出で盛り上げていただけるようお願いいたしまして、最後の質問に入ります。  国体後を見据えたジュニア選手の育成・強化について、教育長に伺います。県は平成27年3月に策定した栃木県競技力向上基本計画(Tochigi Victory Plan)に基づき選手の発掘・育成・強化を図っているところであり、来年開催されるいちご一会とちぎ国体に向けて、その様々な取組が実を結びつつあるものと期待しています。その一方で、私は、国体後を見据えたジュニア選手の育成・強化への取組にも力を入れていくべきと考えています。県は、とちぎ未来アスリートプロジェクトを展開し、ジュニア選手の発掘・育成に取り組んでおりますが、全国大会で優秀な成績を収めたジュニア選手の一部は、高校進学を機に、よりよい環境、指導者を求めて県外へ流出していると聞いています。私は、将来、本県の代表として活躍するアスリートを養成するためには、ジュニア選手の県内への定着促進を図ることも有効だと思います。そのためには、国体を契機に整備した施設や用具のほか、とちぎスポーツ医科学センターなどの活用とともに、優秀な指導者の確保、養成を併せて行い、他県に行かずとも本県で十分に子供たちの能力を安心して伸ばすことができるスポーツ環境を整備していくべきと考えます。  そこで、県は国体後を見据えたジュニア選手の育成・強化について今後どのように取り組んでいくのか、教育長に伺います。 ○佐藤良 副議長 荒川政利教育長。    (荒川政利教育長登壇) ◎荒川政利 教育長 ただいまのご質問にお答えいたします。ジュニア選手の育成・強化や指導者の養成は、本県の競技力向上を図っていく上で根幹となるものと考えております。これまで県では、とちぎ国体に向けて小学生をターゲットとして発掘し、その年代の指導者養成と併せてジュニア選手の育成・強化に取り組んでまいりました結果、中学校や高校の全国大会で優勝する選手も出てきております。一方、国体を契機に、県総合運動公園内の陸上競技場やアリーナ、スポーツ医科学センターのほか、県内各地にスポーツ施設が整備され、競技環境も大きく向上したところであります。  今後は、国体後に向けて新たな競技力向上計画を策定し、これまで培ってきた競技力向上に関するノウハウやスポーツ医科学の知見を最大限に活用しながら、国体後を見据えたジュニア選手の育成・強化に努めてまいります。 ○佐藤良 副議長 横松盛人議員。    (21番 横松盛人議員登壇) ◆21番(横松盛人議員) 教育長に再質問いたします。将来、本県や日本を代表する選手を育成していくためには、アスリートとしての高い資質を持つジュニア選手を見つけ出し、育て上げる優秀な指導者と、その能力を培う練習の場及び環境の整備が必要です。特に中学生、高校生のスポーツ活動の中心は学校の部活動であり、この運動部活動の充実を図ることが重要と考えます。しかし、少子化による生徒数の減少や学校の働き方改革による活動時間の短縮など運動部活動を取り巻く現状は厳しいと感じます。  そこで、複数校の選手が合同で練習等を行う合同部活動の推進や、専門的な知識・技能を有する外部人材の活用による部活動指導の充実、学校と地域が協働、融合した形での部活動環境の整備など、運動部活動を支援する取組が必要と考えますが、教育長の所見を伺います。 ○佐藤良 副議長 荒川政利教育長。 ◎荒川政利 教育長 再質問にお答えいたします。県教育委員会では、中学校と高等学校への運動部活動補助員派遣に加えまして、部活動指導員を配置しておりまして、外部人材の活用により部活動の充実を図っているところでございます。また、生徒のスポーツ活動が、生徒数が減少する中におきましても地域や学校の実情に応じて多様な形で実施できるよう、複数校による合同部活動につきましてもしっかりと検討いたしまして、生徒、それから教員にとっても望ましい運動部活動の環境整備に努めていきたいと思っております。 ○佐藤良 副議長 横松盛人議員。    (21番 横松盛人議員登壇) ◆21番(横松盛人議員) しっかりと取り組んでいただきたいとお願いいたします。県内の部活動強豪校に地域外から通う生徒は、毎日4時に起きて出かけなければ活動ができないという話がある一方、県外の多くの部活動強豪校では、合宿所や寮を地域の協力の下に整備して、生徒の心身の成長と栄養管理に配慮していると聞いています。また、群馬県では県内60の公立高校全てにバスやワゴン車など合計130台を学校自動車として配備しており、部活動の遠征にも活用しているということです。こうした整備は生徒の活動範囲を広げるとともに、保護者の方々にとっても経済面で助かるものです。ジュニア選手の活動の場である運動部活動に対する支援は、国体を契機に増員してきた指導者を活用するなど、部活動を充実させるための支援と、地域との関わりを持った練習環境面での支援とを一体で行うことが、ジュニア選手の県内定着を促進し、選手の育成・強化につながる取組だと思います。県教育委員会は、ジュニア選手が本県において安心して競技を続けていくことができるように、学校や家庭、競技団体などと連携し、その能力を最大限に引き上げるスポーツ環境の整備に取り組んでいただくことをお願いいたします。  すばらしい総合スポーツゾーンができました。これからはその活用が問われます。カンセキスタジアムとちぎをはじめとした施設は栃木県の施設でありますが、日本の施設としてその存在を確かなものとし、全国大会や国際大会を開催したいものです。そのためには、県の各競技団体との連携と支援が欠かせません。2023年に日本学生陸上競技連合の大会、通称日本インカレの開催が検討されています。開催されれば全国から多数の学生アスリートが本県に集結します。栃木県の若者が新しい総合スポーツゾーンの各施設で、栃木県の若鮎のように飛び跳ね躍動する姿を思い浮かべながら、私の質問を全て終了したいと思います。ありがとうございました。 ○佐藤良 副議長 この際、休憩したいと思います。午後1時15分から再開いたします。議事はただいまの継続議事であります。  休憩いたします。    午後0時15分 休憩             ――――――――――――――――――――――――――――― ◎大橋哲也 事務局長 出席議員数を報告いたします。  ただいまの出席議員数は46名であります。             ―――――――――――――――――――――――――――――    午後1時15分 開議 ○佐藤良 副議長 ただいまから会議を開きます。議事は休憩前の継続議事であります。発言通告者に対し、発言を許します。西川鎭央議員。    (15番 西川鎭央議員登壇) ◆15番(西川鎭央議員) 皆さん、こんにちは。とちぎ自民党議員会の西川鎭央でございます。今回、DXから農業まで、各分野について私なりの切り口で質問させていただきます。知事をはじめ、執行部の皆様には県民の皆さんに分かりやすいご答弁を、よろしくお願いいたします。  それでは早速質問に入ります。初めに、デジタルトランスフォーメーション、DXの推進について質問させていただきます。県は、昨年度、サイバー空間と現実空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立するSociety5.0を見据え、様々な立場の方々とともに取り組んでいく、とちぎデジタル戦略を策定し、データの利活用や行政手続のオンライン化の推進等に加え、新たな試みとして、地域課題とデジタルによる解決手法をマッチングする仕組みであるデジタルハブの創設など、DXに係る各種施策を展開しています。また、4月から最高マーケティング責任者、CMOを外部から登用し、本県におけるDXの本格的な推進をスタートさせました。一方で、DXを推進し、デジタル化を県内に浸透させること自体は最終的な目的となるものではなく、あくまでもよりよい社会を実現するための手段として捉える必要があり、これらを推進することにより、行政サービスにおける地域間格差の解消や、企業の業績向上、気候変動対策につなげるなど、県民の生活を一層豊かなものにしなければなりません。そのためには、5Gなどの通信環境の整備やAIなどの未来技術の導入、推進はもとより、一人一人の県民がそれらを自然に受け入れられるような機運の醸成など、総合的かつ幅広い視点での取組が必要であると考えます。  そこで、県はDXの推進にどのように取り組んでいくのか、知事に伺います。 ○佐藤良 副議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまの西川議員のご質問にお答えいたします。現在、私たちの暮らしの中では様々な分野においてデジタル化が進んでおりますが、デジタルは生活の質を向上させるだけではなく、社会の課題の解決にも有効でありますことから、Society5.0を見据え、デジタル化のさらなる推進が必要であると考えております。このため、本年3月、本県デジタル化の指針となるとちぎデジタル戦略を策定し、地域課題をデジタル等で解決を図るデジタルハブをはじめ、人材の育成、行政手続のオンライン化などにより、本県におけるデジタルトランスフォーメーション、いわゆるDXを推進してまいります。  こうした取組の着実な実行には、まずは推進役となるべき自治体の業務や、職員意識の変革を進めていくことが重要でありますことから、県では既存の業務プロセスを見直すことにより、業務の効率化や行政サービスの向上に取り組むとともに、市町職員も含めたDX研修を進めているところであります。また、県内中小企業等におけるDXの取組を支援するため、先般、とちぎビジネスAIセンターを開設したところであり、企業のAI等の導入や活用を促進するとともに、これらを活用できる人材を育成してまいりたいと考えております。一方で、デジタルの活用が苦手な方も取り残さずDXを進めていくことも重要であることから、利用する側に立った使いやすい行政システムを構築するとともに、企業において、多様な利用者に配慮した商品等を開発していただくなど、誰もがデジタルの恩恵を受けられる社会づくりを推進してまいります。  今後とも、本県の将来像「人が育ち、地域が活きる 未来に誇れる元気な“とちぎ”」の実現に向け、DXを強力に推し進め、新たな価値を創造してまいります。 ○佐藤良 副議長 西川鎭央議員。    (15番 西川鎭央議員登壇) ◆15番(西川鎭央議員) 知事に再質問させていただきます。先ほど具体的にいろいろお伺いいたしましたが、その中でまず、本年度から、本県のDXを推進するため、本県デジタル化の司令塔となる人材を外部から登用し、DXの推進に取り組んでいるとのことですが、DXの推進に当たり専門的な外部人材としてのCMOについて、まずはどのように期待しているのか、ご回答いただきたいと思います。 ○佐藤良 副議長 福田富一知事。 ◎福田富一 知事 再質問にお答えいたします。今申し上げましたように3つの課題があると思います。まず1つは、職員、職員の中には県庁、市町職員も含まれます。この意識変革が1番目。2つ目には、デジタル化を職場改革に結びつける。3つ目が、それらを活用して行政の効率化に努める。結果、行政の県民サービスの向上につながる。こういう目的のためにデジタル化の取組をスタートさせました。つきましては、CMOについては、デジタル技術やマーケティングの施行に基づく適切な助言を行うことのできる本県のデジタル化の司令塔でございまして、それにふさわしい人物を任命することができたと思っております。  今後、職員のデジタル技術への対応力の向上、市町を含めた本県DXが加速するような取組の提案など、大いにCMOには力を発揮してもらいたいと考えております。 ○佐藤良 副議長 西川鎭央議員。    (15番 西川鎭央議員登壇) ◆15番(西川鎭央議員) 具体的にありがとうございます。本県におけるマーケティングとは、複雑化、多様化する県民のニーズを的確に捉えた上でDXを推進し、様々な課題の解決に向けて取り組んでいくことだと思います。様々な県政課題の解決に向けてDXが幅広く浸透していくことを期待しております。  それで、先ほど知事からご答弁がありましたとおり、トップとなるCMOだけではなくて、全ての職員がDXに意欲的に取り組んでいくことも必要であると考えております。県においては、DXの推進に向け職員研修を実施すると先ほどおっしゃっていただいたと思いますが、知事はじめ市町長、そして県や市町の職員も対象になると思いますので、全県的なスキルアップにつながるものと大変期待しております。  加えて県においては、デジタル県庁の実現に向け、押印の廃止、行政手続のオンライン化、デジタル技術を活用した効率的な勤務環境の整備、ペーパーレス化などを推進するとちぎデジタルスイッチの取組を進めていただきたいと思います。また、本研修が、県庁においても全職員のスキルアップにつながり、とちぎデジタルスイッチの取組が一層充実したものになることによって、県民の皆さんにとって、これまで以上にきめ細やかなサービスが提供できることを期待しております。また、デジタルハブについては、これまでにない画期的な取組であると思われることから、私も大いに期待しております。実施に当たっては、昨年から設置している気候変動適応センターやAIセンターなどの連携により、本県が有する未来に向けた可能性を、あらゆる角度から引き出していただき、今後の本県の発展に大いに資する取組にしていただきたいと考えております。  次に、スーパーシティ構想について質問させていただきます。近年、人口減少やデジタル化を背景に、スーパーシティ、コンパクトシティ、スマートシティ等の構想が取り上げられ、様々な都市の在り方が注目されております。中でも、スーパーシティ構想はIoTや様々なデータの活用による交通量管理や、ドローンによる自動配送、スマートシステムを活用したリサイクルの一括管理やCO2の排出削減、資源保護の徹底など、ITを実装し、地方の生活水準を上げて脱都市化を図り、継続的な経済発展を目指していく取組であります。スーパーシティ構想を実現させるためには、個人情報の取扱いやシステムを統括する各市町の体制強化、最先端テクノロジーを実装可能な企業との協力体制の構築など、対処すべき項目は少なくありません。しかし、だからといって最初から諦めてしまっては本県は他県に遅れを取り、スーパーシティの構築に成功した地域への人口流出を招くことにもつながりかねません。また、県内の企業がビジネスチャンスを逃してしまったり、カーボンニュートラルの実現から遠ざかってしまうことも考えられます。  そこで、本県におけるスーパーシティ構想の実現に向けて、県は主体となる市町への支援を含め、今後、積極的に取り組んでいく必要があると考えますが、総合政策部長の所見を伺います。 ○佐藤良 副議長 阿久澤真理総合政策部長。    (阿久澤真理総合政策部長登壇) ◎阿久澤真理 総合政策部長 ただいまのご質問にお答えいたします。スーパーシティは、様々な分野のデータ連携基盤を通じ、国家戦略特区制度を活用した大胆な規制改革と住民の合意を前提として、交通や観光、医療、介護など複数の分野にわたる先端的サービスを提供することにより、住民の福祉の充実や利便性の向上を図る未来都市であり、現在、政府において公募に応じた区域の選定が行われているところであります。スーパーシティの具現化により、経済発展と地域課題の解決を両立できる社会であるSociety5.0の先行実現が可能となりますことから、県といたしましても市町に情報提供を行うとともに、制度や効果等について研究を進めております。  今後は、スーパーシティに選定された自治体の状況等について調査を行うほか、スーパーシティにおける先進的なサービスに取り組む意向がある市町とともに、その実現に向けた検討を進めてまいります。 ○佐藤良 副議長 西川鎭央議員。    (15番 西川鎭央議員登壇) ◆15番(西川鎭央議員) 今、総合政策部長の説明にあったとおり、スーパーシティ構想には移動や物流、医療、介護、教育など様々な分野ごとに目指すべき方向性が定められています。全てを満たすことは困難であるとしても、本県におけるDX戦略を推進していく上でも幾つかの項目に焦点を当て、そして実現に向けて積極的に取り組んでいただくことを要望させていただきます。また、県内にはスーパーシティ構想の実現に向け、積極的な市町もあります。スーパーシティを構成する上で必要とされる産業政策や交通政策、環境対策の分野など、県においても各部局の垣根を越え、全庁を挙げて、市町が抱える課題の整理や取組に対する支援を実施するよう併せて要望させていただきます。  次に、MaaSの推進について質問させていただきます。様々な移動手法、サービスを組み合わせて1つのサービスとして捉える、通称MaaSと呼ばれる新たなモビリティサービスがあります。MaaSについては、小売、飲食等の商業、宿泊、観光、物流など、あらゆるサービス分野との連携や、医療、福祉、教育、一般行政サービスとの連携により、一層の需要拡大も期待されています。また、MaaSは価格面での利便性向上により、利用者の移動行動が変化し、交通需要を増加させるとともに、供給の効率化も期待されております。県においては、バスの無人運転に向けた導入調査等を行ったほか、交通渋滞の緩和と環境負荷の低減を図るための日光地域における環境配慮型観光MaaSと連携するEVバスの導入を実施したと聞いています。また、宇都宮市においては、大谷地域において自動運転導入の実証実験が行われるなど、県内の市町においても導入に向けた取組が活発になってきております。このような状況を考えると、Society5.0時代を見据えて、県としても交通渋滞の緩和と環境負荷の低減を図るための環境配慮型観光MaaS以外についても導入を推進するとともに、市町における取組を積極的に支援していく必要があると考えます。  そこで、県は、Society5.0の実現に向けた施策の一つとして、MaaSの推進や市町における取組の支援に今後どのように取り組んでいくのか、総合政策部長に伺います。 ○佐藤良 副議長 阿久澤真理総合政策部長。    (阿久澤真理総合政策部長登壇) ◎阿久澤真理 総合政策部長 ただいまのご質問にお答えいたします。現在、県内では地域の実情に応じた公共交通サービスの確保・充実に向け、自動運転の実証実験やデマンドタクシーの運行、交通系ICカードの導入など様々な取組が進められております。県におきましては、観光客の利便性向上を図るため、日光地区での交通事業者等と連携したMaaSの取組を進めているところであり、宇都宮市においても、昨年度、大谷地区でMaaSの実証実験が行われ、一定の成果が得られたと聞いております。  今後とも、観光客はもとより、地域住民が安心かつ快適に公共交通が利用できるよう、市街地や中山間地域におけるMaaSの活用も含めた暮らしやすいまちづくりについて検討を進めるとともに、県の補助金や国の交付金等により市町の取組も積極的に支援してまいります。 ○佐藤良 副議長 西川鎭央議員。    (15番 西川鎭央議員登壇) ◆15番(西川鎭央議員) 先ほどご答弁いただいたように、1つのスマートフォンで移動先まで全部検索できる、そして支払いまでできる、こういった便利なMaaSをぜひ推進していただきたいと考えております。  続きまして、県土整備部長に再質問させていただきます。MaaSの実現に向けては、公共交通の維持・確保のための自動運転の実装や、GPS等による車両の位置情報の取得、ICカードによる一括決済など、ICTやIoTを活用した交通政策上の基盤整備が必要です。  そこで、MaaSの導入に向けて必要と思われるこれらの交通基盤の整備に今後どのように取り組んでいくのか、県土整備部長に伺います。 ○佐藤良 副議長 田城均県土整備部長。 ◎田城均 県土整備部長 再質問にお答えいたします。ただいまご質問のMaaSという技術を用いることで、各公共交通機関をキャッシュレスで、かつシームレスに利用することが可能となってまいります。そうすることで公共交通の利便性が大幅に向上することが期待されております。そういった観点から、県としましては、MaaSを早期に導入できる環境整備を進めていきたいと考えてございまして、具体的には、MaaS導入の前提となります公共交通機関のキャッシュレス化を図るための交通系ICカードの導入に対します補助を行ってきましたほか、公共交通の運行情報のデータ化の支援も行ってまいりました。さらには、バスのGPS等によります位置情報データサービスの支援を今後行っていきたいと考えてございます。 今後とも地域の公共サービスの確保・充実に向けまして、M aaSはじめ、AI等のSociety5.0の最新技術を積極的に取り入れて推進してまいりたいと考えております。 ○佐藤良 副議長 西川鎭央議員。    (15番 西川鎭央議員登壇) ◆15番(西川鎭央議員) 非常に前向きな答弁をありがとうございます。今後、早期の導入に向けて努力いただくということだと思いますけれども、来年には国体もありますし、あるいはアフターコロナで、これから観光需要が回復してきたときに、ぜひ皆さんが利用できるように早期の整備を進めていただいて、栃木県だったらMaaS、そして簡単に移動ができる、こういうイメージをぜひつくり上げていただきたいと思っております。  MaaSは、スーパーシティ構想においても交通や物流などの移動についての概念として浸透しております。スーパーシティやMaaSにおいては、データの収集や解析といった都市におけるITテクノロジーの実装というイメージが強調されがちですが、実際のまちづくりにおける主役はあくまでも我々一人一人の人間であります。県内市町が運営するコミュニティバスの一部では、スマートフォンで経路検索ができる地図サービスへの提供が始まりました。県民が日頃感じている社会生活全般における不便さや不自由さ、これらに対し、スーパーシティ構想やMaaSをはじめとするデジタルトランスフォーメーションの取組が1つの答えになると期待しております。また、現在コロナ禍ということで、県内においても感染拡大を防ぐための新たな生活様式が求められていることから、テレワークや行政のオンライン化、非接触型会計などが浸透しつつあり、デジタルトランスフォーメーションに向けた社会的な土壌も整いつつあると感じています。これを機に、県としても、人と社会との関係性にもう一度着目し、県民が日頃感じている課題に対して真正面から向き合っていただき、DXを活用した課題解決に向け積極的に取り組んでいただくことを要望させていただきます。  次に、電力自給率の向上について質問させていただきます。県が今年3月に策定した栃木県環境基本計画においては、自立・分散型エネルギーで支えられる災害に強い「とちぎ」を基本目標の一つとしており、分散型エネルギーの自立化やエネルギー需給体制の強靱化に取り組むとしています。この基本目標の達成に向けた指標として電力自給率の向上を掲げており、令和元年時点で40.3%となっている電力自給率を令和7年度に85%に引き上げるという高い目標が設定されています。また、電力自給率については、この目標のほかにも、知事は、昨年の知事選挙の公約において、災害に強い地域づくりのための「電力自給率100%実現プロジェクト」の推進として、令和12年度に電力自給率100%の実現を目指すことを掲げています。現在の進捗状況については、大規模発電所の稼働開始も貢献し、令和2年度には70%程度まで電力自給率が大きく向上する見込みであり、目標の達成に向けて順調に進捗していると聞いております。私は、この進捗状況を踏まえると、環境基本計画や、知事が公約に掲げる令和7年度の電力自給率85%、令和12年度の100%はもはや達成困難な目標ではなく、自然災害はいつ発生するか分からない中で、目標の前倒し達成を目指すなど積極的な取組を大いに期待するところであります。  そこで、災害に強いとちぎづくりに向けた電力自給率の向上を目指して、今後どのように取り組んでいくのか、環境森林部長に伺います。 ○佐藤良 副議長 鈴木英樹環境森林部長。    (鈴木英樹環境森林部長登壇) ◎鈴木英樹 環境森林部長 ただいまのご質問にお答えいたします。電力自給率のさらなる向上に向けては、供給力の増強と消費の削減に取り組んでいくことが必要であります。このため、インフラ関連企業等と連携しながら、引き続き大規模発電施設の誘致に取り組みますとともに、自家消費型太陽光発電設備を初期コストゼロで導入できる、いわゆるPPAモデルにつきまして、これを提供する企業の協力も得ながらその普及拡大を図るなど、エネルギーの地産地消と供給体制の強靱化を推進してまいります。また、高性能な省エネ設備と再生可能エネルギーをセットで設置する、いわゆるネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの普及に向けまして、地域の工務店を対象に住宅セミナーを開催するなど、家庭におけるエネルギーの自立化も進めていく考えでございます。  今後とも、災害に強いとちぎづくりに向け、自立・分散型エネルギーの拡大による電力自給率の向上に取り組んでまいります。 ○佐藤良 副議長 西川鎭央議員。    (15番 西川鎭央議員登壇) ◆15番(西川鎭央議員) 先ほどの答弁の中で、PPAモデルの話がありました。私も前回の議会で質問させていただきましたが、この機会に初期投資ゼロで発電できる施設を増やせるように、ぜひご協力、ご支援をお願いしたいと思っております。  災害に強い地域づくりを実現するため、電力自給率の向上にしっかりと取り組んでいただきたいと思っておりますが、電力自給率100%の中には、当然ながら大型の火力発電所によるものが含まれております。最近できたものも大型の火力発電所だと聞いておりますし、先ほどそういった発電所の誘致という話もあったと思います。全てを再生可能エネルギー、クリーンなエネルギーで賄っていくことは、現時点では非常に厳しいということは理解しております。しかし、脱炭素社会の実現という目標も踏まえると、電力自給率の向上に当たっては、県内の発電量の割合を可能な限り再生可能エネルギーに置き換えていく、さらには今後実装・実用化が期待される水素エネルギーなどの新しい技術の積極的な利活用を図っていく、こういったエネルギーのグリーン化による電力自給率の向上ということが、今後、県が施策を進めるに当たって重要な視点になると私は考えています。  将来的には、カーボンニュートラルを実現させるという観点から、カーボンフリーエネルギーによる電力自給率100%を達成するといった、全国、ひいては世界に誇れるような意欲的な目標が設定できるように、これまで以上に取組を強化していただくよう要望させていただきます。  次に、今後の子供政策について質問させていただきます。現在、日本は急激な少子化に直面しております。新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う雇用環境の悪化も相まって、結婚や妊娠を控える傾向が続いており、今年の出生数はさらなる減少が見込まれております。また、令和元年度中に全国の児童相談所が児童虐待相談として対応した件数は19万3,780件と過去最多を更新しており、子供をめぐる状況は深刻化しております。このような中、国においては、虐待や貧困など子供をめぐる様々な課題に対して政策を一元的に推進していくため、来年度、こども庁を創設すべく現在検討中であると報道がなされており、縦割り行政の打破により創設を目指しているところであります。  子供をめぐる様々な課題の解決に向けた国による取組を期待する一方で、県においては、平成31年1月に施行されたとちぎの子ども・子育て支援条例の基本理念を踏まえて、令和2年3月に子ども・子育て支援プランを策定し、県民一人一人が子ども・子育てに関する理解を深め、関係者の相互連携の下、結婚、妊娠、出産及び子育ての段階に応じて、切れ目なく支援するための各種取組を着実に展開しているところであります。本計画の基本方針でも触れられているように、子供は一人一人がかけがえのない存在で、次世代を担う社会の宝であり、県民が安心して子供を産み育てることができ、子供が健やかに成長することができる地域社会の実現に向けて、しっかりと取り組んでもらいたいと考えます。  そこで、出生数の減少や虐待相談件数の増加など、深刻化する子供に関する様々な課題に対して今後どのように取り組んでいくのか、保健福祉部長に伺います。
    ○佐藤良 副議長 海老名英治保健福祉部長。    (海老名英治保健福祉部長登壇) ◎海老名英治 保健福祉部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県では、子ども・子育て支援を県政の重要な柱と位置づけ、県民の結婚、妊娠、出産、子育ての希望の実現に向け、各種施策を推進しているところであります。結婚については、デジタルマーケティングを活用した情報発信や、新型コロナウイルス感染症の流行を踏まえた結婚支援センターのサービスのオンライン化などによりまして、結婚を前向きに捉える意識の醸成や幅広い出会いの機会を提供しております。また、児童虐待の早期発見や早期対応、未然防止のため、市町の虐待対応力や児童相談所の機能の強化などに鋭意取り組んでおります。  今後とも、子供の貧困や社会的養育など子供に関わる様々な課題にも真摯に向き合い、庁内はもとより、市町や関係団体等、多様な主体と連携いたしまして、一人一人がかけがえのない宝である子供たちを社会全体で育んでいけるよう、オール栃木で取り組んでまいります。 ○佐藤良 副議長 西川鎭央議員。    (15番 西川鎭央議員登壇) ◆15番(西川鎭央議員) 先ほどのご答弁の中で、デジタルマーケティング、それから結婚支援センターの運用ということもありました。これは本当にいいことだと思いますので、これからも積極的に進めていただきたいと思います。それから、市町との連携を図って児童相談所とも連携を図るということですけれども、さらなる実態把握と具体的な対策をお願いしたいと思っております。また、今ヤングケアラーについてもいろいろ検討が進んでおりますので、そういった観点でもぜひ見ていただきたいと思っております。  保健福祉部長に再質問させていただきます。先ほど申し上げましたとおり、国におけるこども庁の創設の動きがあります。詳細はまだ分かっておりませんが、仮にこども庁が創設され、子供をめぐる課題が国において一元的に対応されることになった場合、県としてはどのような効果を期待しているのか、保健福祉部長に伺います。 ○佐藤良 副議長 海老名英治保健福祉部長。 ◎海老名英治 保健福祉部長 再質問にお答えいたします。子ども・子育てに関わる施策につきましては、例えば幼稚園は文部科学省、保育所は厚生労働省、認定こども園は内閣府という形で所管しているところでありまして、事務手続が煩雑になっているほか、事業者の方、利用者の方にとっても制度が複雑だと思われている側面がございます。今般、こども庁の動きによりましてこの施策が一元化されることになりますと、いわゆる申請窓口等が一本化されますので、迅速な対応あるいは事務の効率化などが期待できると考えております。また、今、話もございましたヤングケアラーをはじめとする子供の様々な課題というものも制度がまたがっている場合がございますので、こういった課題についても省庁の壁を越えた円滑な施策の推進が期待できると考えております。  県の子供施策でも、こども庁の創設によりまして様々な対応が生じる可能性がありますので、しっかりとその動向を注視してまいりたいと考えております。 ○佐藤良 副議長 西川鎭央議員。    (15番 西川鎭央議員登壇) ◆15番(西川鎭央議員) 今、答弁いただいたとおり、担当がたくさんの省庁にわたっておりますので、そのケースによって担当部署のできることが違うというのが現実だと思います。ですから、そういったことを乗り越えて、こども庁ができた場合は、県においても縦割り行政ではなくて横断して、ぜひ子供目線で対応していただきたいと考えております。子供に対する政策は各部署がばらばらに対応していくことがないように、そして所管の政策で何ができるかではなくて、子供に何が必要かという観点で考えていただきたいと思っております。本県においても、縦割り行政を打破し、部局横断で、子供ファーストで取り組んでいただくよう期待しております。  現存する組織でできることは、子供の貧困や児童虐待、いじめ、自殺などを防止する積極的な取組や、これらの実態把握、データ収集、分析能力の向上、統計の充実などであり、再発防止に向けての取組も併せて実現していただきたいと思います。妊娠、出産から成長までを通じ、困難を乗り越える子供への支援が抜け落ちることがない体制づくりを強く要望させていただきます。  次に、観光立県とちぎづくりについて質問させていただきます。昨年からの度重なる緊急事態宣言等により、県内の観光地においては大変厳しい状況が続いておりますが、県は今年3月に、本年度から5か年の計画である「新とちぎ観光立県戦略」を策定し、選ばれる観光地づくりの推進、観光客受入れ態勢の整備等の施策を展開していくとしています。この戦略により、観光地の魅力向上による観光立県とちぎを確立していくためには、観光関連事業者への手厚い支援により厳しい状況を乗り越えていくことはもとより、アフターコロナを見据え、観光資源のさらなる掘り起こしや磨き上げに努め、観光誘客に万全の体制を築き上げていくことが重要であると考えます。  そこで、今後、感染症対策に加え、新とちぎ観光立県戦略に基づく施策をどのように展開していくのか、産業労働観光部長に伺います。 ○佐藤良 副議長 辻真夫産業労働観光部長。    (辻 真夫産業労働観光部長登壇) ◎辻真夫 産業労働観光部長 ただいまのご質問にお答えいたします。今後の観光振興に向けましては、新型コロナウイルス感染症の感染状況を踏まえました安全・安心な受入れ態勢の整備と感染収束後の観光需要の早期回復への取組が重要と考えております。このため、宿泊事業者の感染症対策につきましては、感染防止のための実技を交えましたセミナー等の開催に加えまして、今後、施設改装や設備導入のほか、消毒液等の消耗品も対象に助成を行うことといたしました。また、感染収束後の誘客促進に向けましては、新とちぎ観光立県戦略に基づきまして、デジタルメディアを活用いたしました効果的なプロモーションを展開しているところではございますが、今後はさらに、同戦略に掲げますワーケーションなどの新たな宿泊モデルや、観光資源の掘り起こし、磨き上げによります地域の特色を生かしましたテーマ別ツーリズム等も積極的に推進してまいります。  今後とも、感染状況を見極めながら安全・安心な受入れ態勢の整備や、第2弾県民一家族一旅行の実施等によりまして観光需要の早期回復を図ってまいりますとともに、戦略に掲げました施策の着実な推進によりまして、観光立県とちぎの実現に努めてまいります。 ○佐藤良 副議長 西川鎭央議員。    (15番 西川鎭央議員登壇) ◆15番(西川鎭央議員) 安全・安心な観光地をぜひつくり上げていただきたいと思いますし、そのためにいろいろな助成も検討していただきたいと思います。そして、県民一家族一旅行というお話がありましたけれども、これは現地の皆さんは非常に期待しておりますので、非常に評判がよかったと思いますし、これからもぜひ前に進めていただきたい、アフターコロナの時期に一気に進めていただきたいと思っております。  今年2月の通常会議において、国の補正予算を活用した観光地の廃ホテルの撤去による景観の改善について質問させていただきました。産業労働観光部長からは、所有者不明等による権利関係の確認等が課題の一つになっていることから、対象となる市町との協議を行い、その意向を確認しながら可能な対応を検討していく旨の答弁がありました。廃ホテルの撤去に関する補助メニューが盛り込まれた国の既存観光拠点の再生・高付加価値化推進事業の自治体・DMO型については募集が5月10日で終了しておりますが、県内からは、廃屋の撤去等を含めた自治体からの申請は僅か1件のみであったと聞いており、とても残念な思いであります。また、多くの観光客に本県を選んでいただくためには、これらの廃屋、廃ホテルの撤去による景観の改善など、既存の観光拠点の再生や高付加価値化に加え、朝と夜の観光メニューなど新たな魅力についても充実させていく必要があり、満足して栃木県を選んでもらうことにつながるものと考えます。このままでは、昼間の観光は栃木県、でも、泊まる場所は別の県ということにもなりかねません。泊まってくれない栃木県とならないように、観光客増加に向けてしっかりと取り組んでいただきたいと思います。  次に、防災・減災対策について質問させていただきます。近年、自然災害は広域化、激甚化しており、本県においても、令和元年東日本台風では県内各地で河川が氾濫し、県管理の公共土木施設の被災箇所数が900か所を超えるなど甚大な被害が発生しております。県は、被災直後から計画的な復旧事業に取り組んでおり、特に被害が甚大であった箇所においては、改良復旧に取り組んでおります。しかし、5月27日の新聞報道では、令和元年東日本台風で被災した河川関係の県管理公共土木施設のうち、原形復旧工事の2割が、当初終わると見込んでいた5月末までに完了しない見込みであるとのことです。今なお住民からは大雨による被害を心配する声を数多く聞くなど、住民の関心は高く、特に未復旧箇所近くの住民にとっては、去年は大丈夫であったが、再度、令和元年東日本台風規模の大雨が降ったら、本当に大丈夫なのかと不安の声が尽きないことから、事業の進捗状況については住民に対してしっかりと丁寧に説明していく必要があります。また、県はこれらの復旧事業と併せて、昨年度から堤防強化緊急対策プロジェクト事業に取り組んでいるところであり、順調に進捗すればさらに大きな効果が期待できるものと考えます。  そこで、これらの災害復旧事業や堤防強化緊急対策プロジェクト事業の現在の進捗状況及び完了までの見込み、また河川に係る国土強靱化計画を含めて、今後、防災・減災対策にどのように取り組んでいくのか、県土整備部長に伺います。 ○佐藤良 副議長 田城均県土整備部長。    (田城 均県土整備部長登壇) ◎田城均 県土整備部長 ただいまのご質問にお答えいたします。令和元年東日本台風におけます被災箇所につきましては、再度の出水により再び浸水被害が生じるおそれがあるため、県では早期の復旧を目指して工事を進めております。このうち、原形復旧を行う箇所の既に8割の箇所を完了し、残る箇所につきましても応急対策等を施すなど既に工事に着手しておりまして、今年度中に完了できる予定であります。一方、改良復旧を行う荒川など7河川につきましては、全河川で事業に着手しておりまして、今年度から令和7年度にかけて順次完了させていく予定であります。また、越水しても決壊だけはさせない粘り強い堤防を整備いたします堤防強化緊急対策プロジェクトにつきましては、河川の屈曲部など優先的に対策が必要な600か所を計画的に整備しておりまして、これまでに72か所を完了し、今年度末までにさらに230か所の完了を目指しております。  今後とも、河川内の堆積土除去やソフト対策等の減災対策を併せて実施していくことで、水災害に強い県土づくりを推進してまいります。 ○佐藤良 副議長 西川鎭央議員。    (15番 西川鎭央議員登壇) ◆15番(西川鎭央議員) 今、原形復旧工事の8割が完了ということで、新聞報道のとおりなのかと思いますけれども、残りの2割も応急対応は済んでいるという認識だと思います。ただ、やっぱり地元の方にとっては心配事でもありますので、ぜひ丁寧なご説明をお願いしたいと思います。また、堤防強化緊急対策プロジェクトについては、これからが山となると思いますので、ぜひ早急な取組をお願いしたいと思っております。  災害復旧事業においては改良復旧事業に注目が集まっておりますが、ほかの地域でも被災した箇所がたくさんあり、いまだに復旧されていない箇所も若干見受けられます。復旧の事業の進捗状況については、住民目線に立ち、より丁寧な説明を続けていただくよう要望させていただきます。また、道路等においては、補修の必要な箇所を調査し情報を県に提供するという取組が、栃木県安全施設業協同組合などの協力もあって進んでいると聞いています。ほかの業種においても同様の取組が浸透することで、復旧に向けたより効果的な対応が図れるよう関係団体等と連携を深めていただきたいと思います。  あわせて、防災情報の提供について要望させていただきます。各市町において防災無線の整備に取り組んでいるところでありますが、スマートフォンやタブレットPC等の普及が進んでいることから、今後はスマートフォン等を活用した防災対策がより重要性を増すものと考えます。スマートフォン等を活用することで、気象警報や土砂災害警戒情報などの災害関連情報等の通知にとどまらず、避難所の場所や、そこに至るまでの経路案内、安否確認、また、現在地における危険性をハザードマップから判定して多言語対応で危険性を通知する機能などリアルタイムで活用できるようになることから、一連の防災対策において効果的な役割が期待できます。  県においては、栃木県公式LINEを活用した防災情報発信力強化事業を本年度から実施すると聞いております。これは県民等のユーザーに対し自動で対応するプログラムであるチャットボットを活用した新たな取組であり、大いに期待するところであります。スマートフォンやタブレットPCを保有していない方に対する配慮も忘れることなく、今後もICTなどの先進技術を活用した防災対策について、課題や可能性を検討しながら積極的に活用するよう要望させていただきます。  最後に、今後の農業の振興について質問させていただきます。本県における基幹的農業従事者数は、平成27年度の5万2,914人から、令和2年度には4万2,914人に減少しており、農業の担い手の減少と高齢化が急激に進んでおります。この課題を解決するため、現在、国は農地を担い手に引き継ぐ農地集約プランの作成を市町に義務づけることを検討しています。一方、県は担い手の確保に取り組むとともに、稼げる農業の実現に向けた生産性を高めるための様々な取組の展開、例えば担い手の作業効率化を図るための農地の集積・集約化の推進、また、既存の農業者や、これから農業を志す若者などを対象に、生産性向上を目的としたICTやロボット技術など先端技術を活用したスマート農業の啓発・普及に取り組んでいるところであります。長期的な視点で農業を振興していくためには、稲作を推進する地域、園芸に特化する地域、畜産に特化する地域など、それぞれの地域特性を生かした農畜産物の生産を推進し、将来を見据え、戦略的に施策を展開していくことが不可欠であり、また計画的な土地改良事業等を実施していく必要があると考えます。  そこで、今後どのように各種取組を展開し、生産性の向上を図ろうとしているのか、農政部長にお伺いします。 ○佐藤良 副議長 青栁俊明農政部長。    (青栁俊明農政部長登壇) ◎青栁俊明 農政部長 ただいまのご質問にお答えいたします。本県の農業を成長産業として持続的に発展させていくためには、地域の実情を踏まえ、担い手の確保と生産性の向上を図っていくことが必要であると考えております。このため、担い手の確保につきましては、各地域の農業者の年齢構成や農地の状況などをつぶさに分析いたしまして、地域に見合った大規模経営体や新たな法人などを育成するとちぎ広域営農システムの構築を推進していきます。また、生産性の向上を図るため、平坦な水田地帯においては適地適作を基本としまして、露地野菜の産地づくりに必要な機械化一貫体系の確立や、飼料用米、輸出用米における多収品種の導入などを進めますとともに、中山間地域においては特色ある農産物の産地づくりや、加工等により付加価値を高める6次産業化などの取組を支援してまいります。さらに、AIやIoTなどの先端技術の活用を促進しますとともに、圃場の大区画化などの基盤整備を進め、生産効率を高めていくための環境づくりを推進してまいります。 ○佐藤良 副議長 西川鎭央議員。    (15番 西川鎭央議員登壇) ◆15番(西川鎭央議員) 今、答弁の中で、特色ある作物、そして適地適作、6次産業化、それと状況分析といった様々なキーワードがあったと思いますが、まさにそのとおりで、やはりばらばらに好きなものをつくるというよりは、これからは状況に合わせて判断していくことがある程度必要と、私は個人的にはそう考えております。  その中で、農政部長に再質問させていただきます。生産性の向上のためには、計画的な土地改良事業を実施する必要があると考えますが、県は今後どのように取り組むのか、農政部長に伺います。また、スマート農業は、少子高齢化が進む中で農業者の負担軽減や稼げる農業を目指すための大きな可能性を秘めており、今後のさらなる技術革新によっては一層の普及が期待できることから、土地改良事業においても自動運転のトラクターや草刈り機など、農業用ロボットがスムーズに乗り入れできるように段差の解消を図るなど、様々な工夫が必要と考えますが、併せて所見を伺います。 ○佐藤良 副議長 青栁俊明農政部長。 ◎青栁俊明 農政部長 再質問にお答えいたします。まず、土地改良事業の計画的な推進ということでございますが、県はこれまで、全ての市町ごとに基盤整備構想を策定しております。どういうものかと申しますと、農地の区画あるいは水路の現状を踏まえまして、今後の整備の方向性、例えば新たに整備をする地域なのか、以前にやったけれども再度整備を必要とする地域なのか、あるいは畦畔を撤去する簡易整備で済む地域なのか、そういった将来に向けて必要とされる整備を地域ごとに色分けして整理しておりまして、市町と共有しているところでございます。今後はこの構想を基に担い手や営農の在り方、米麦なのか野菜の重点化を図っていくのかなど、それぞれの地域の実情に応じた基盤整備を市町と連携し、計画的、効果的に進めてまいります。  また、農業水利施設につきましても、老朽化が進んでいる部分がございます。しっかり機能診断を行いまして、対策の具体的な時期や工法を定めた機能保全計画をつくっておりますので、これに基づいて着実に長寿命化を進めてまいりたいと思っております。  次に、スマート農業に対応した基盤づくりについてでございますが、自動走行する農業機械、あるいはドローン、こういったものの能力をフルに発揮できる農地の大区画化をはじめ、ICTを活用した水管理システム、あるいは水利施設の遠隔装置といった整備技術等を現在まとめている整備指針という資料の取りまとめの作業をしておりまして、今後、市町と連携し、地域や土地改良区との話合いを進め、地域実態に即したスマート農業に適した基盤づくりを進めてまいりたいと考えております。 ○佐藤良 副議長 西川鎭央議員。    (15番 西川鎭央議員登壇) ◆15番(西川鎭央議員) 私が言ってもらいたかったことはほとんど言っていただいたと思います。ありがとうございます。  私の地元でも、2回目の土地改良が始まるところもあります。やはり実態に合った改良が必要だと思っております。土地改良事業は新たなフェーズに入りつつあります。その目的は、地域のニーズの変化、それから気候変動リスクに対応したものであり、施設の長寿命化や田んぼダムの洪水調整機能など、国土強靱化も期待されます。また、人口減少社会の中で人手不足を解消するためには、ロボット化や自動運転化に対応できる農業施設の新たな設計が必要であります。そして、農作物を消費者に安く提供しても農家の収入が十分に確保され、農業が産業として成り立つウィン・ウィンの関係が実現しなければならないと私は思います。農業の成長産業化のため、作業の効率化や地域に合った作物の生産など、県として県内農業の振興に向け、さらなる戦略作成と支援を要望いたします。  以上、DXから農業振興まで、時代の変化に応じた各種政策の見直しについて、それぞれの分野から質問させていただきました。コロナ禍によって私たちの生活様式は一変しました。まだまだこの生活は続くと思われますが、コロナ禍によって、私たちの生活においては、必要に迫られた形ではありますが、デジタル化が一気に進みました。少子高齢化対策、担い手不足解消、競争力強化など、今私たちが抱える課題を解決するためにはDXは不可欠であると思います。単なるデジタル化、データ化から始まり、ネットワーク化し、AIも利用した効率化を図り、改善していくことが必要であり、私たちの生活を豊かにすることがDXの最終目的であります。進化を諦めたら現状維持すらできないと私は考えます。本県も時代に合った進化を続け、何事にも積極果敢にチャレンジし、県民の皆さんが豊かさを感じてもらえるようみんなで努力していくことを願い、私の質問を終わります。ありがとうございました。 ○佐藤良 副議長 この際、15分間休憩したいと思います。議事はただいまの継続議事であります。  休憩いたします。    午後2時15分 休憩             ――――――――――――――――――――――――――――― ◎大橋哲也 事務局長 出席議員数を報告いたします。  ただいまの出席議員数は47名であります。             ―――――――――――――――――――――――――――――    午後2時30分 開議 ○阿部寿一 議長 ただいまから会議を開きます。議事は休憩前の継続議事であります。発言通告者に対し、発言を許します。相馬憲一議員。    (46番 相馬憲一議員登壇) ◆46番(相馬憲一議員) とちぎ自民党議員会の相馬憲一でございます。本通常会議、最後の質問者となります。通告に従いまして順次質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。  まず最初に、文化資源の活用について、知事にお伺いいたします。文化は、人々の心を豊かにし、人生に潤いを与えるなど、生活に欠くことのできない糧であります。また、観光、地域振興、国際交流、福祉など様々な分野においても不可欠な地域資源であります。しかしながら、過疎化や人口減少などを背景に、祭りなどの伝統的行事の担い手不足や文化財の保存継承など、地域では多くの不安や課題を抱えていると聞いております。こうした中、国では、文化資源を観光などの産業振興や地域づくりに生かしていこうと、平成29年に文化芸術基本法が改正、施行され、平成30年には文化財保護法についても、観光や地域づくりに積極的に活用し、地域社会総がかりで保存・継承していくという趣旨で改正されました。文化財は保護が最優先で行われるべきでありますが、それらを活用し、地域に暮らす人たちが愛着を持ち、観光や産業と連携させながら地域づくりに積極的に生かしていくことで、交流人口の拡大や文化の担い手の確保などにつなげていき、郷土の誇りを醸成することも重要だと考えております。  私の住む大田原市には、飛鳥時代に建立された国宝の那須国造碑があり、江戸時代に入り、その存在を知った徳川光圀公がその碑主を解明しようと、1692年に上・下侍塚古墳を発掘しました。来年は発掘から330年目を迎えることになります。光圀公は絵師に記録をさせた後、出土品を埋め戻し、墳丘を復旧し、松の木を植えてその保護に当たりました。これは日本で最初の学術的発掘調査と言われ、江戸時代に行われた保全整備により、日本で一番美しい古墳と言われています。このように本県にはすばらしい文化財が数多く存在します。  知事は、昨年の知事選挙における政策集、「未来へつなぐ とちぎの挑戦」の中で、県内各地の特色ある歴史や文化資源を活用して「歴史・文化の回廊」を創設し、地域づくりに生かしていくという項目と、「とちぎの文化」の新たな魅力を創造、発信し、文化による地域の活性化を目指すという2つの項目を掲げられました。文化財をはじめとする本県の貴重な文化資源を地域づくりに生かすという目標を掲げたことに、大いに期待するものであります。  そこで、政策集に掲げたこれらの項目に今後どのように取り組んでいくのか、知事にお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまの相馬憲一議員のご質問にお答えいたします。本県には、豊かな自然や歴史の下、国内外に誇る多数の有形、無形の文化財が地域の宝として大切に守り継がれており、また県内各市では、世代を問わず多くの県民による多彩な文化芸術活動が活発に展開されております。一方で、少子高齢化の進行や価値観の多様化等、文化を取り巻く環境が変化する中で、地域の文化資源をどう保存・継承していくかが大きな課題となっております。私は、文化は、豊かな感性や創造力を育むなど人づくりに欠くことのできないものであると考えており、特に地域に根差した文化資源は、住む人の誇りや愛着を深めるとともに、人を呼び込む観光資源にもなり得るなど、地域づくりに重要な役割を担うものであります。このため、本県の文化資源をこれからのとちぎづくりに積極的に活用することにより、地域の活性化を図りながら、保存・継承、発展へとつなげてまいりたいとの思いから、政策集に掲げた文化に関する2項目につきまして、今年度スタートいたしましたとちぎ未来創造プランに位置づけたところであります。  まず1つ目は、栃木の歴史や文化を再発見し、県民の郷土愛を醸成する取組であり、今年度から、歴史上、学術上、価値の高い侍塚古墳につきまして、その価値の再評価と地域資源としての磨き上げに向け、古墳の周溝部の発掘調査を行うこととしており、調査の進捗に合わせた状況の公表や発掘体験などを実施し、県内外にその魅力をアピールしてまいります。  2つ目は、各地域において、文化資源を観光やまちづくりに生かしていく取組でありまして、今年度は文化、観光等の関係者が参画する意見交換会を有識者も交えて県内3か所で実施するとともに、優良な事例をシンポジウムにより全県下で共有して、取組に向けた機運の醸成を図ってまいります。  先人たちに育まれ継承されてきた文化資源は県民共有の財産であります。県民の皆様一人一人に担い手として参画いただき、観光やまちづくりなど様々な分野との連携による地域の活性化に努めながら、本県の文化資源を次代にしっかりと引き継いでまいります。 ○阿部寿一 議長 相馬憲一議員。    (46番 相馬憲一議員登壇) ◆46番(相馬憲一議員) ただいま細かいご答弁をいただきまして誠にありがとうございます。文化の再発見、そして観光、まちづくりにも資していくという内容であったかと思います。先ほどの質問でも触れさせていただきましたが、文化財保護法の改正、施行と併せて、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改正も行われました。令和元年度から、条例を制定すれば、教育委員会の所管とされている文化財保護の事務を首長が所管できることになりました。隣の群馬県では、いち早く知事部局へ移管し、保護と活用に積極的に取り組んでおります。昨年度末、私が調べたところでは、全国で11の県で移管が進んでおりました。本県といたしましても知事部局への移管を検討していただき、知事のリーダーシップの下で、県内に数多く存在する貴重な文化財の保護と活用の両立を積極的に取り組んでいただきますことを要望させていただきます。  ここで、産業労働観光部長に再質問させていただきます。先ほども申し上げましたが、文化資源を観光などの産業振興や地域づくりに生かしていこうという動きがあります。知事の答弁にもありましたが、本県は日光の自然など自然環境にも恵まれております。また、那須塩原の化石、高原山の黒曜石、古代における数々の古墳、奈良時代の下野薬師寺、室町時代の足利学校、江戸時代の東照宮など、各時代における名所・旧跡が数多く存在する地域でもあります。歴史ある神社仏閣などは、由緒はもちろんのこと、興味深いエピソードなどが残されていることも多く、それらを磨き上げれば観光資源として観光客が興味を持ち、立ち寄ってくれるものと思います。また、歴史資源は、新たに観光開発をするより少ない投資効果で観光資源となります。大切なのはストーリー性であり、点を線に、線を面にして物語を紡いでいくことであります。面での広域的な民間の動きを支援し、地域ごとに異業種の集積、いわゆる観光クラスターをつくり出して平場の観光を充実させ、県内全域に観光ルートをつくることが今、県に求められているのではないでしょうか。  そこで、歴史資源を生かした観光をどのように展開するのか、産業労働観光部長にお伺いをいたします。 ○阿部寿一 議長 辻真夫産業労働観光部長。 ◎辻真夫 産業労働観光部長 再質問にお答えいたします。本県には、議員もご指摘いただきましたような優れた多くの歴史資源が存在しておりまして、これは本県の観光におきまして大きな強みと考えております。こうした魅力ある歴史資源等を活用いたしまして、周辺の特産品や食など関連するものをストーリーやテーマで結びつけたルートづくりは観光誘客に効果が高いと考えておりまして、地域のこうした取組を促しますとともに、観光パンフレットやPR動画等によりまして、その情報発信に努めてまいりたいと考えております。  また、今年度は、県の公式観光ホームページとちぎ旅ネットをリニューアルしておりまして、ここに歴史・文化コンテンツやその紹介記事の充実を図りますとともに、AIを活用いたしまして、これらのコンテンツを周辺の観光施設と結びつけまして、旅行者が個人個人でピックアップして、その個人個人のニーズに合った周遊ルートを提案するような機能を新たに盛り込む予定としております。  引き続き、こうした歴史資源を有効に活用して観光振興を図ってまいりたいと考えております。 ○阿部寿一 議長 相馬憲一議員。    (46番 相馬憲一議員登壇) ◆46番(相馬憲一議員) ありがとうございました。最近では、神社仏閣を巡って、参拝したあかしとなるようにご朱印を集めるブームがありまして、若い人も数多く神社仏閣を訪れている現状があります。このような動きを捉えて、魅力ある観光ルートをつくるなど、地域を巻き込みながら、観光に結びつけていただきますように要望させていただきます。  ここで、教育長に再質問させていただきます。本県は、残念ながら魅力度ランキングにおいて昨年度最下位になりました。私は残念に思う一方で、他人の評価より、県民一人一人が郷土に誇りを持ち、生活していくことが重要だと考えております。そのためには、本県が有するすばらしい歴史や文化を子供のうちから伝えていくことが必要であり、小中学校の学習の中に郷土愛を育む授業を取り入れることが重要であると考えています。群馬県の上毛かるたは有名であります。また、群馬県では古墳や埴輪に焦点を当てた東国文化副読本を中学校1年生に対して1人1冊ずつ配付して授業を行っております。生徒からは、「群馬のすばらしさが分かり誇りを持つことができた」との言葉が聞けたそうであります。  本県では、教育委員会が平成26年・平成27年度に作成した「みんなで学ぼう!栃木県」と「もっと学ぼう!栃木県」の2つのとちぎふるさと学習資料集があります。資料のページを開いてみると、栃木県には豊かな自然や産業とともに、これほどまでにすばらしい歴史・文化があったのかと改めて実感できる内容となっております。しかし、このとちぎふるさと学習の資料集は、教科書のように児童生徒に1冊ずつ配られるものではなく、授業で使用した後は回収し、学校で保管するとのことであります。せっかく本県の歴史や文化を学べるよい教材があるのですから、文化の担い手を育てるためにも、早急にデジタル化し、1人に1台整備されたタブレット端末を利用して、各家庭でも見られるようにすべきと思いますが、教育長の所見をお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 荒川政利教育長。 ◎荒川政利 教育長 再質問にお答えいたします。児童生徒の1人1台端末、それから学校におけるICTの環境整備が進む中、デジタルコンテンツの充実を図っていくことが今求められていると思っております。そうした中、今年度からホームページのリニューアルを含めまして、今ご指摘のありましたとちぎふるさと学習資料集のデジタル化を予定しておりまして、児童生徒がこの資料を学校、それから家庭で活用できる環境を整備していきたいと思っております。 ○阿部寿一 議長 相馬憲一議員。    (46番 相馬憲一議員登壇) ◆46番(相馬憲一議員) ふるさと学習の資料集については1人に1冊ずつ配られていないという現状がありますので、できるだけ速やかにデータ化して配信していただければと思っております。それによって各家庭でも見られるようになって、栃木の歴史・文化について話題に上るようになれば、実際に見に行っていただいたり、理解促進にもつながると思いますし、また、一般の方の生涯学習にも生かされていくとも思っておりますので、早急にデジタル化をしていただきますように要望いたします。群馬県の例を先ほど出させていただきましたが、群馬県は今月6月からもうデジタル化したものを生徒に配ることになっているようでございますので、繰り返しになりますが、早急にデジタル化していただきますよう要望しまして、次の質問に入らせていただきます。  とちぎ型大使館外交の展開について、知事にお伺いいたします。昨年から続くコロナ禍により、今後の見通しも不透明な状況の中、海外との往来や交流が著しく制限され、企業活動にも大きな影響が及んでおります。県の施策においても、知事が海外で実施してきたトップセールスはもとより、海外における様々な販路開拓・拡大事業や観光誘客イベントを中止や延期せざるを得ない状況となっております。今年4月にスタートしたとちぎ国際戦略では、今後5年間の国際化推進の考え方や取組の方向性を示し、様々な施策を戦略的に推進していくこととしていますが、これに大きな影響が及ぶのは必至であります。  このような中、知事は、昨年の知事選挙における公約の中で、各国の駐日大使館等への訪問などを通じて農産物を含む県産品、観光、投資環境など、本県の魅力を海外に発信するとちぎ型大使館外交に取り組むこととしました。これは、コロナ禍で海外への直接訪問が困難な中、視点を海外から国内に向け、国内でのトップセールスに注力するものであり、時勢にマッチした戦略的な取組であると大いに評価したいと思います。実際に知事は、昨年11月末に来県されたイナ・レーペル駐日ドイツ連邦共和国大使及びヴー・ホン・ナム駐日ベトナム社会主義共和国大使とそれぞれ会談し、大使館外交の端緒とされたところであります。  そこで、長引くコロナ禍にあって、今後このとちぎ型大使館外交をどのように展開していくのか、知事にお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇
    ◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大は、ビジネス環境や生活様式など幅広い分野に影響や変容をもたらしており、海外での販路開拓・拡大事業や誘客事業においては、PRイベントや商談会等の中止や延期が相次ぐなど困難な状況が続いております。こうした中でも、将来にわたり本県の活力を維持するためには、県内企業等の海外展開支援に継続して取り組むことが重要でありますことから、日本国内において各国、地域を代表し、本県に大きな影響力を有する大使館等に、本県の魅力・実力を発信する大使館外交に取り組むことといたしました。  この大使館外交におきましては、私自らが大使館等を訪問し、豊かな自然、歴史、文化、食など栃木の魅力を余すことなくPRするとともに、大使等をお招きするなど、相手国、地域との交流を深める中で、本県に対する理解と信頼を確かなものとし、企業等の海外展開及びインバウンド等による本県の発展や地域振興へとつなげてまいりたいと考えております。昨年度におきましては、大使館外交の第一歩といたしまして、来県いただきました駐日ベトナム大使と情報交換等を行うほか、台湾代表を私自ら訪問し、観光や県産農産物のPRを行ってまいりました。また、駐日ドイツ大使とも相互に往来し、交流を深めたところでもあります。  今年度からは、今後の発展が大いに期待できる国といたしまして、まずは、一昨年トップセールスを行いましたタイ、ベトナムや、本県へのインバウンドが最も期待される台湾、県産品等の販路開拓先として有望なアメリカの大使館等を対象として、本県の魅力・実力の発信に本格的に取り組んでまいります。さらには、この大使館外交を本年3月に策定したとちぎ国際戦略における重点エリアの国、地域に展開し、本県の継続的な魅力発信に精力的に取り組み、世界から選ばれるとちぎづくりを推進してまいります。 ○阿部寿一 議長 相馬憲一議員。    (46番 相馬憲一議員登壇) ◆46番(相馬憲一議員) 知事には、引き続き栃木の魅力を発信していただくように要望させていただきます。  ここで、産業労働観光部長に再質問させていただきます。私は、この事業のゴールは、単にトップ同士が往来して良好な関係を築くということで終わりではなくて、その関係を基礎として、事務レベルで個別に積極的なセールスを行い、経済効果をもたらすことが重要であると考えています。台湾については、高雄市との交流を通じて既にトップ同士の交流があり、また香港については、以前から香港駐在員の派遣などを通じて交流があり、先月28日にも香港貿易発展局のベンジャミン・ヤウ日本首席代表が岡本副知事を訪問し、意見交換を行っております。しかしながら、このようにトップ同士が会うことはそう頻繁にはないことから、トップ同士の良好な関係を補完するものとして、東京都に事務所を構え、日頃から企業誘致や販路開拓、観光誘客を行っている企業誘致・県産品販売推進本部(とちぎのいいもの販売推進本部)を戦略的に活用して、その地の利やノウハウ、情報量を最大限に発揮すべきであり、今後のコロナ禍の影響によっては県境を越えた活動も制限される可能性があることを踏まえれば、とちぎのいいもの販売推進本部の役割は非常に大きく、重要であると考えております。  そこで、既に下地ができている台湾や香港については、早々に戦略を練った上で、とちぎのいいもの販売推進本部が個別に訪問するなど積極的に動き出すべきと考えますが、産業労働観光部長の所見をお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 辻真夫産業労働観光部長。 ◎辻真夫 産業労働観光部長 再質問にお答えいたします。議員ご指摘のとおり、とちぎのいいもの販売推進本部は、企業誘致や観光情報等に関する知見、情報の収集・提供機能を持っておりまして、地理的にも優位性があり、機動的に動くことが可能であります。この推進本部と連携を十分密にいたしまして、個々の国との交流状況も踏まえまして、大使館外交をより効果的かつ積極的に推進してまいりたいと考えております。 ○阿部寿一 議長 相馬憲一議員。    (46番 相馬憲一議員登壇) ◆46番(相馬憲一議員) 新型コロナウイルス感染症の終息が見通せない中、海外渡航が困難な状況は今後も一定程度続くと思われます。これまで築いてきた友好関係を途絶えさせることなく、様々な手法を用いて、積極的に大使館外交に取り組んでいただきますことを要望して、次の質問に入らせていただきます。  今後の家畜伝染病の発生に備えた対応について、農政部長にお伺いいたします。去る4月17日に那須塩原市の養豚場において発生した豚熱は、5月8日に殺処分を終え、17日には防疫措置を完了しました。豚の殺処分3万9,362頭で、国内最大規模の発生事例でありましたが、防疫措置には多くの県職員、そして市町や自衛隊、建設業協会、農業団体等の協力を得ながら、動員数延べ1万7,050名の方々の尽力があり、おおむね当初の予定どおりに一連の作業を終えたと聞いております。大変苛酷な現場であったと聞いており、措置に当たられました皆様に感謝と敬意を表したいと思います。  初日の螺良昭人議員の代表質問でも、豚熱の再発防止に向けた取組などについて質問がありましたが、私は、今後の家畜伝染病の発生に備えた対応について、農政部長に伺います。罹患した家畜等については家畜伝染病の蔓延を防止するため、埋却または焼却することとされ、飼養衛生管理基準において、家畜の所有者に埋却地の確保または焼却等のための準備措置を講ずることが義務づけられております。埋却地については原則として農場内で確保することとされ、選定に当たっては、その土地が埋却地として適したものであるか、その適地性も重要となり、例えば道路と接続されているか、掘った際には地下水が出ないか、重機を用いた作業が円滑にできるかなど、地理的要件や地形的要件、作業要件等について事前に確認するよう求められております。  私は、埋却地の確保については、平成24年第314回通常会議で、埋却地と道路との接続など現地確認をするよう要望させていただき、その後も、埋却地における地下水位の確認の必要性についても提言してまいりました。しかしながら、今回豚熱が発生した農場において、埋却地が斜面であったり、樹木の伐採が必要であったりと適地性に課題があったことから、防疫計画どおりには埋却できない事態が生じたことは大変残念であり、これを機に防疫計画を実効性のあるものとするよう対策を講じていかなければなりません。  また、県の防疫対応マニュアルについても、例えば埋却地に関して、掘削する深さの基準を4メートルと記載されておりますが、土地の状況などによって4メートルの掘削が困難な場合があり、現場の状況に即して対応する必要があるように聞いております。実際に防疫措置に当たった今回の経験を踏まえ、今後、万が一、発生してしまった場合に、迅速かつ円滑に作業が進むようマニュアルの見直しを行っていく必要があると思います。  そこで、県は、県内畜産農場における埋却地の適地性の確認を今後どのように行っていくのか、また防疫対応マニュアルの見直しにどのように取り組んでいくのか、農政部長にお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 青栁俊明農政部長。    (青栁俊明農政部長登壇) ◎青栁俊明 農政部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県ではこれまで、各農場ごとの防疫計画に位置づけられた埋却地の状況を確認し、現況が山林の状態になっているなど適地性の低い事例については指導を行ってまいりました。一方、今回の防疫措置を行う中で、埋却地の土質が軟弱で予定どおりに掘削できなかったり、周辺住民から地下水への影響を懸念する声が出るなど新たな課題も確認されました。このため、今後、市町や建設業協会の協力をいただき、埋却地周辺の状況、重機の搬入ルートや作業性、埋却可能な容量等について改めて現地調査を実施し、埋却地の適地性が低い場合には、経営者に対し新たな用地の確保を強く指導してまいります。  さらに、防疫マニュアルにつきましては、今回の対応を踏まえますとともに、作業に従事していただいた方や関係団体等から意見を幅広く伺いながら、全ての項目を点検し、より実効性の高いものとなるよう見直しを行ってまいります。 ○阿部寿一 議長 相馬憲一議員。    (46番 相馬憲一議員登壇) ◆46番(相馬憲一議員) 今、答弁で埋却地を今までも確認して、できていないところについては指導してきたということでありました。また、今回の豚熱の問題解決に向けて新たな課題も見つかったということでございますので、しっかり対応していただきたいと思います。  先ほども本質問でも触れさせていただきましたが、平成24年、7年前に私が質問させていただいて、要望させていただいております。今回、那須塩原市で豚熱が発生した際に、スムーズに埋却作業が進むんだろうなと思っておりましたら、先ほどお話をしたように、斜面であったり、樹木が生えていたりという問題があったということでございますので、埋却地作業をスムーズに進めていくためには現地確認が大事なわけでありますから、これから真剣に、ぜひしっかりやっていただきたいとお願いいたします。  また、先ほどの答弁の中にありましたけれども、実際に埋却作業を行う建設業協会の意見を聞きながらしっかりと進めていただきますように要望させていただきまして、次の質問に入らせていただきます。  中小企業等の事業継続に向けた支援について、産業労働観光部長にお伺いいたします。新型コロナウイルス感染症についてはワクチンの接種が開始され、その効果に期待を寄せるところでありますが、その終息にはまだ相当の期間を要するものと思っております。このような中、全国においては繰り返す感染拡大の波を受けて、度重なる緊急事態宣言やまん延防止等重点措置により、時間短縮営業要請や休業要請、外出自粛の要請など経済への影響が長期に及ぶ非常に厳しい状況が続いています。  4月8日に東京商工リサーチが発表した令和2年度の全国の企業倒産件数は、前年度比17.0%減の7,163件で、30年ぶりの低水準であり、その要因は、新型コロナウイルス感染症拡大を受けた実質無利子・無担保融資などの公的支援が企業の資金繰りを下支えしたと分析しています。その一方で、業績が落ち込む中で、借入れを増やす過剰債務の企業があり、返済能力への懸念が一段と深まり、令和3年度の倒産は緩やかに増加に転じる可能性があるとも分析しております。  本県においても2度にわたり緊急事態宣言が発出され、様々な社会経済活動が自粛、縮小を余儀なくされ、県内経済への打撃は非常に深刻なものとなっています。特に中小企業・小規模事業者については、長引く売上げ等の減少の影響を受け、倒産や廃業の瀬戸際の状況で事業を継続させているところも少なくないと聞いており、こうした中小企業等を救うためには、将来的に事業を継続していけるよう資金繰りを支援するとともに、中小企業等の実情に応じた継続的な伴走型の支援や、再生支援協議会の活用も含めた経営改善の後押しが必要であると考えています。  そこで県は、コロナ禍における中小企業等の事業継続に向けた金融支援や経営改善の後押しにどのように取り組んでいくのか、産業労働観光部長にお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 辻真夫産業労働観光部長。    (辻 真夫産業労働観光部長登壇) ◎辻真夫 産業労働観光部長 ただいまのご質問にお答えいたします。新型コロナウイルス感染症の影響を受け事業継続が危ぶまれております中小企業等への支援は喫緊の課題でございます。このため県では、県制度融資によりまして事業者の資金繰りを支援してきたところでございますが、特に今年度は定期的な財務分析など金融機関が継続的な伴走支援を行います新型コロナウイルス感染症対策融資を創設いたしますとともに、利子補給を行うことにより、中小企業等の負担軽減を図っているところでございます。また、中小企業等の経営改善につきましては、中小企業診断士等の専門家派遣によりまして経営改善計画の策定を支援いたしますほか、経営環境が厳しさを増す中、事業再生に取り組みます中小企業再生支援協議会の役割が重要となっておりますことから、同協議会との情報交換等を緊密に行いまして、連携強化を図りながら経営改善の支援に取り組んでいるところでございます。  今後とも、市町や金融機関、関係団体等と協力いたしまして、中小企業等の事業継続に向けまして、資金繰りや経営改善の支援に全力で取り組んでまいります。 ○阿部寿一 議長 相馬憲一議員。    (46番 相馬憲一議員登壇) ◆46番(相馬憲一議員) 新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が高齢者を対象に始まりましたけれども、国民全体に行き渡るまでには相当の時間を要することが想定されております。また、それに伴って経済の回復にも時間がかかると想像されるわけですが、今答弁にもありましたように伴走型支援、そして再生支援協議会、こういった活用も含めて、資金繰りの支援はもとより、ありとあらゆることを想定して、県として万全の体制で中小企業の支援をお願いさせていただきたいと思います。  次の質問に移らせていただきます。HACCP制度化への対応について、保健福祉部長にお伺いいたします。平成29年から令和元年にかけて行われたデスティネーションキャンペーンが成功裏に終わることができました。これが成功したのは、大規模な食中毒などの食品事故が起きなかったことが大変重要な要因の一つだと考えております。食品事業者の日頃の取組のたまものでもあります。県民の健康維持はもちろん、観光立県を掲げる本県にとっても、アフターコロナを見据え、来県する全ての人に食の安全・安心を感じてもらえるよう、また来年開催される冬季国体、いちご一会とちぎ国体・とちぎ大会等を控え、大会に参加する選手をはじめ、関係者が最良のコンディションで活躍できるよう支援しなければなりません。さらなる食品の衛生管理の徹底を図ることは極めて重要であります。  この食品の衛生管理の徹底を図る手法として、HACCPがあります。このHACCPは、1960年代にNASAが安全な宇宙食をつくるために考案したのが始まりであり、1993年に食品の国際基準を策定する国際食品規格委員会、いわゆるコーデックス委員会においてガイドラインが取りまとめられ、今や先進国を中心に義務化が進められている食品の衛生管理方法であります。国内のHACCPの導入状況を見ますと、平成28年の農林水産省のデータになりますが、大規模事業者の8割から9割で導入が進む一方、中小規模事業者における普及率は1割から3割程度と低水準の状況にあります。  このような状況に対して、国では平成30年6月に食品衛生法を改正し、食品の製造・加工、調理、販売等を行う全ての事業者に対し、HACCPに沿った衛生管理を行うよう義務化しました。本年6月1日からは、HACCPの制度化が本施行となっております。当該制度化の理由の一つに、食中毒の予防、拡大防止があり、さらなる食品の安全性の確保が期待されますが、小規模事業者の中には、HACCPに対し、業務量が増え負担が増すのではないかと不安や抵抗感があると聞いております。国は、小規模事業者については、それぞれの業界団体が作成した手引書を参考に簡略化されたアプローチにより衛生管理を行うことを認めており、県は、これらの食品事業者に対し制度の周知と導入への支援を丁寧かつ迅速に行っていく必要があると考えます。  そこで、このような現状や国の動きを受けて、県は食品の安全性の確保、特にHACCPの制度化について食品事業者の支援にどのように取り組もうとしているのか、保健福祉部長にお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 海老名英治保健福祉部長。    (海老名英治保健福祉部長登壇) ◎海老名英治 保健福祉部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県ではこれまで、HACCPに沿った衛生管理の導入につきまして、食品衛生監視指導計画の重点監視指導事項の一つに掲げまして、関係団体と連携し、周知、指導等に取り組んでまいりました。しかしながら、多くの小規模事業者におきましては、いまだにHACCPは難しいものとのイメージを持っており、導入が進まない現状にあります。このため、事業者にHACCPについて正しく理解していただけるよう、それぞれの施設に応じて丁寧かつきめ細かに指導助言を行うなど、導入に向けた意識を醸成するための取組を継続して粘り強く行ってまいります。  今後とも、監視指導や各種講習会をはじめ、県食品衛生協会等との連携によりまして、事業者に対する個別の支援、指導を重点的に行うなどいたしまして、食品の安全性の確保に効果的なHACCPの導入の支援に努めてまいります。 ○阿部寿一 議長 相馬憲一議員。    (46番 相馬憲一議員登壇) ◆46番(相馬憲一議員) 答弁の中にもありましたが、小規模事業者については、やはり手続が大変なのではないかということで懸念されている方が多いと聞いております。このHACCPというのは、原材料の受入れから最終製品になるまでの工程ごとに、継続的に安全性を監視、記録するもので、従来の抜取り検査に比べると、問題のある製品の出荷を効果的に防げるだけではなくて、原因追求が迅速にできるという側面も持っております。こういった衛生管理基準を小規模事業者も含めてしっかり普及させていくことが大事だと思いますので、なお一層のご努力をお願いしたいと思います。  例年ノロウイルスの食中毒患者が大変多いわけですけれども、調べさせていただきましたら、ノロウイルスによる食中毒件数は国内では例年200件から400件ぐらいで推移していましたけれども、昨年は99件ということで激減しております。本県においても昨年度は発生件数がゼロということでありました。新型コロナウイルス感染症の感染防止対策として多くの人が衛生対策を励行したことが影響しているのではないかと思われます。手指消毒など基本的な衛生管理を徹底することで劇的な効果が見られます。ぜひHACCPの導入推進と併せて、今後とも衛生管理の徹底に取り組み、安全・安心な食の確保に努めていただきますよう要望し、次の質問に移らせていただきます。  グリーン社会実現に向けた中小企業の技術力向上について、産業労働観光部長にお伺いいたします。国は、もはや環境対策は経済の制約ではなく、産業構造の大転換と力強い成長を生み出すものとして、昨年12月にグリーン成長戦略を策定し、成長が期待される分野として水素産業や自動車・蓄電池産業など14の分野を掲げたほか、脱炭素化のための技術支援に係る2兆円の基金を創設しました。また、今月2日に示した新たな成長戦略の案では、成長の原動力の一つに脱炭素化を位置づけ、水素ステーション整備の目標を大幅に積み増しし、現在のおよそ150基から2030年、令和12年までに1,000基まで増やすとしました。カーボンニュートラルの実現という世界的な潮流を踏まえた上で将来を見据えるならば、再生可能エネルギーの積極的な活用や電気自動車、水素自動車の導入推進、水素技術の開発など、クリーンエネルギーに関する産業分野における取組が一層重要になってくると思います。  県はこれまで、自動車や航空宇宙などを重点5分野に選定した成長戦略に取り組んできており、今年度からのものづくり産業躍進プロジェクトでは、特に自動車、航空宇宙、医療福祉機器産業を本県の強みの戦略3産業とし、AIやIoTなどの未来3技術を組み合わせて振興を図ることとしております。  今後、グリーン社会の実現という社会的な大転換と、脱炭素化を目指すための国の予算の重点配分が見込まれる中、これを県内産業が成長する絶好の機会と捉え、県がこれまで重点5分野等により培ってきた実績を活用し、本県の中小企業が持つ技術力をクリーンエネルギーに関する新産業に適応させていくとともに、世界から選ばれるサプライヤーとなれるよう、中小企業のさらなる技術力の向上に向け戦略的に対応していくべきと考えております。  そこで県は、グリーン社会の実現を見据え、経済と環境の好循環を達成すべく、今後どのように中小企業が持つ技術力をクリーンエネルギー新産業へ適応させ、さらなる技術力向上を図っていくのか、産業労働観光部長にお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 辻真夫産業労働観光部長。    (辻 真夫産業労働観光部長登壇) ◎辻真夫 産業労働観光部長 ただいまのご質問にお答えいたします。グリーン社会の実現のためには脱炭素化に資する技術開発が不可欠でございますけれども、新とちぎ産業成長戦略におきましては、環境・新素材技術を未来3技術の一つと位置づけまして、カーボンニュートラルの実現に向けました新技術研究開発等を支援することとしております。このため、まずは先月新たに設置いたしました産学官金が連携したとちぎ未来技術フォーラム等を通じまして、県内中小企業の技術力を踏まえました効果的な支援策を推進するため、各企業の取組状況やニーズの把握を進めているところでございます。また、水素の活用や自動車の電動化など最新の知見に基づく研究会を開催いたしまして、技術開発の裾野を広げてまいりますとともに、国の支援策の活用促進や、県のものづくり技術強化補助金等によりまして、中小企業におけます研究開発への支援を行うことで、一層の技術力向上を図ってまいります。  グリーン社会の実現に向けまして、今後、県議会のグリーン社会実現特別委員会のご提言をいただきますとともに、引き続き、大学等の研究機関と連携を図りながら、新技術開発や実証事業等を積極的に支援してまいります。 ○阿部寿一 議長 相馬憲一議員。    (46番 相馬憲一議員登壇) ◆46番(相馬憲一議員) ここで、環境森林部長に再質問させていただきます。グリーン社会の実現のためには、クリーンエネルギーを活用する電気自動車や水素自動車の導入を推進していく必要があります。燃料の供給施設の充実も必要であります。そのため、質問の中でも触れさせていただきましたが、国は水素ステーションを今後2030年までに1,000基に大幅に増設するということを掲げております。水素ステーションは、県内では栃木市にある1か所のみでありまして、県も国の動きに呼応して水素ステーションの増設に積極的に取り組むべきと思いますが、環境森林部長の所見をお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 鈴木英樹環境森林部長。 ◎鈴木英樹 環境森林部長 再質問にお答えいたします。今般示されました国の2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略の案におきましては、議員ご指摘のとおり、水素ステーションの大幅な増設が示されております。今後これを踏まえまして、関連する法規制の在り方ですとか、FCVの普及促進につきまして、具体的な検討がスピード感を持って進められるものと考えております。県といたしましては、このような国の動きを十分踏まえまして、引き続き、事業者の皆様、関係団体の皆様と協議を進めまして、県央や県北地域をはじめとして、県内における水素ステーションの増設に積極的に取り組んでまいります。 ○阿部寿一 議長 相馬憲一議員。    (46番 相馬憲一議員登壇) ◆46番(相馬憲一議員) ぜひ積極的な取組をお願いしたいと思います。今、水素を燃料とする燃料電池車と言われているものは大体500万円前後ぐらいで販売されるようになってきました。1回の充?で640キロメートル走るというふうにも言われておりまして、環境にも優しいということで、買いたいという方も結構いらっしゃるのですが、ただ、水素ステーションがないということが、この車の購入に結びついていないのではないかなと思います。水素ステーションを県内に5か所とか6か所とか整備することによって自動車が売れていく、売れることによって環境がよくなっていくことになると思いますので、ぜひ水素ステーションの積極的な整備を、県が先頭に立ってやっていただければありがたいと思います。  水素というのは利用段階で二酸化炭素を出さないということで、カーボンニュートラルの実現に向けて大変有望なエネルギーでもあります。その中でも、特に再生可能エネルギーを利用して水を電気で分解する方法で製造するグリーン水素は、利用時、製造時ともに二酸化炭素を排出しないため、最もクリーンなエネルギーであると言えます。グリーン水素は製造が難しく、コストもかかるため、どのように製造し普及させていくかが課題でありますが、先日、新潟大学が世界最小のエネルギーで水を酸素と水素に電解する触媒の開発に成功したと発表いたしました。今までの触媒に比べると材料費が安く、製造方法も比較的容易とのことであります。今後、一層研究開発が進むことが水素の製造コストの削減や利用の普及につながると思います。県としても積極的に中小企業を支援し、研究開発に取り組んでくださいますよう要望し、次の質問に入らせていただきます。  流域治水対策について、県土整備部長にお伺いいたします。令和元年10月の東日本台風により、本県では総雨量400ミリメートルを超える豪雨となり、各地で観測史上最大となる降水量を記録しました。これにより県内の多くの河川で洪水となり、13河川27か所で堤防が決壊し、甚大な浸水被害が発生したほか、700を超える箇所で護岸の流出など施設の被害を受けました。このため県では、被災箇所の早期復旧や再度の災害防止に向けた対策を進めており、災害復旧や改良復旧工事、堆積土除去、堤防強化などの取組が目に見えて確認できるようになってきています。  しかし、近年の頻発、激甚化する豪雨状況を鑑みると、本県においても、いつまた大規模な水害に襲われるか不安が払拭できません。このような中、県は本年からスタートしたとちぎ未来創造プランにおいて、災害リスクの増大に備えるため、流域治水対策の推進を位置づけ、過日開催された栃木県減災対策協議会において、栃木県流域治水プロジェクト(素案)を示したところであります。  そこで、県は、今後、流域治水対策の取組をどのように進めていくのか、県土整備部長にお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 田城均県土整備部長。    (田城 均県土整備部長登壇) ◎田城均 県土整備部長 ただいまのご質問にお答えいたします。本県は、平成27年関東・東北豪雨や令和元年東日本台風によりまして甚大な浸水被害を受けたところでありますが、この経験から、これまでの堤防や調節池の整備など河川管理者による対策だけでは水災害を完全に防ぎ切れないことを再認識したところであります。そこで、これまで実施してきました河川砂防施設の整備に加え、流域内の国、県、市町、県民など、あらゆる関係者がダムの洪水調節機能の強化や、田んぼダムによる流出抑制対策の推進、また水害リスクに対応した土地利用やまちづくりの工夫などの流域治水対策に協働して取り組むなどで浸水被害の軽減を図ることとしたところであります。  今後これらの取組を、9月を目途に栃木県流域治水プロジェクトとして取りまとめ、それぞれが各施策を着実に実行していくことで、水災害に強い県土の実現を図ってまいります。 ○阿部寿一 議長 相馬憲一議員。    (46番 相馬憲一議員登壇) ◆46番(相馬憲一議員) 私は、再び起こり得るであろう大規模な水災害への対応というのは、県民全体の課題であると考えております。流域治水対策は重要な取組であって、推進の必要性を感じています。しかし、対策の取組主体は県だけではなくて、先ほども答弁の中にありましたけれども、市町や県民など様々な関係者となるとのことであります。流域治水は新しい考え方であって認知度はまだまだ低いと言っても過言ではないと思います。市町や多くの県民、そして関係者の方々にその考え方を浸透させていくことが大事だと思っております。県全体の取組へとつながりますように県にはリーダーシップを取っていただいて、ぜひこの流域治水対策に取り組んでいただきますよう要望させていただきます。  以上で私の全ての質問が終わるわけでありますが、一番最初に行いました文化財、また文化を活用したまちづくりであるとか地域の活性化につきましては、いろいろなところで活性化につなげる、また活用していくという言葉はあるのですが、どのように活用していくかという具体策がなかなかないのが全国的な傾向だと思っております。ですから、これは産業労働観光部の観光だけではなくて、場合によっては産業労働観光部の中の工業振興課であったり、また総合政策部であったり環境森林部、そして県民生活部、県土整備部、農政部、いろいろなところと連携しながらこの問題を考えていかないと、文化財を生かしたまちづくりというのは難しいのかなと思っておりますので、ぜひオール県庁で、教育委員会も巻き込んでこの問題に取り組んでいただきますようお願いさせていただいて、私の全ての質問を終了させていただきます。ありがとうございました。 ○阿部寿一 議長 以上で上程議案に対する質疑並びに県の一般事務に関する質問は終了いたしました。  この際、申し上げます。お手元に配付いたしました議案付託表に記載の議案については、それぞれ所管常任委員会に付託いたします。ご了承願います。                             〔配付資料は巻末に掲載〕             ――――――――――――――――――――――――――――― ○阿部寿一 議長 日程第2 請願・陳情についてを議題といたします。  今回の通常会議で所管常任委員会に付託いたします請願・陳情は、お手元に配付いたしました文書表のとおりであります。ご了承願います。                             〔配付資料は巻末に掲載〕 ○阿部寿一 議長 以上で本日の日程は終了いたしました。21日は定刻から本会議を開きます。  本日はこれで散会いたします。    午後3時31分 散会...