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令和 3年度栃木県議会第384回通常会議-02月21日-02号

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  1. 栃木県議会 2021-02-21
    令和 3年度栃木県議会第384回通常会議-02月21日-02号


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    令和 3年度栃木県議会第384回通常会議-02月21日-02号令和 3年度栃木県議会第384回通常会議 (1)出席及び欠席議員の議席番号及び氏名 2月21日(月曜日)  出席議員 44名   1 番      小 池 篤 史   2 番      湯 澤 英 之   3 番      石 坂   太   4 番      岡 部 光 子   5 番      加 藤 雄 次   6 番      金 子 武 蔵   7 番      あ べ ひろみ   8 番      中 屋   大   9 番      塩 田 ひとし   10 番      野 村 せつ子   11 番      相 馬 政 二   12 番      西 村 しんじ   13 番      小 菅 哲 男   14 番      小 林 達 也   15 番      平 池 紘 士
      16 番      高 山 和 典   17 番      吉 羽   茂   18 番      池 田   忠   19 番      琴 寄 昌 男   22 番      横 松 盛 人   23 番      加 藤 正 一   24 番      松 井 正 一   25 番      保 母 欽一郎   26 番      青 木 克 明   27 番      野 澤 和 一   28 番      山 口 恒 夫   29 番      白 石 資 隆   30 番      関 谷 暢 之   31 番      中 島   宏   32 番      早 川 桂 子   33 番      日向野 義 幸   34 番      渡 辺 幸 子   35 番      阿 部 寿 一   36 番      佐 藤   良   37 番      山 形 修 治   39 番      山 田 みやこ   40 番      一 木 弘 司   43 番      岩 崎   信   44 番      小 林 幹 夫   45 番      五月女 裕久彦   47 番      螺 良 昭 人   48 番      三 森 文 徳   50 番      木 村 好 文   51 番      板 橋 一 好 (2)説明のため出席した者の職氏名  地方自治法第121条の規定による出席要求によって出席した者   知事       福 田 富 一   副知事      北 村 一 郎   副知事      末 永 洋 之   総合政策部長   阿久澤 真 理   経営管理部長   國 井 隆 弘   県民生活部長   千金楽   宏   環境森林部長   鈴 木 英 樹   保健福祉部長   仲 山 信 之   産業労働観光部長 辻   真 夫   農政部長     青 栁 俊 明   県土整備部長   田 城   均   国体・障害者スポーツ大会局長            橋 本 陽 夫   総合政策部次長兼総合政策課長            笹 川 正 憲   財政課長     小 林 宣 夫   教育長      荒 川 政 利   警察本部長    野 井 祐 一 (3)職務のため議場に出席した事務局職員の職氏名   事務局長     大 橋 哲 也   議事課長     栗 原   亨   議事課課長補佐  諏 訪 勝 也   課長補佐     谷 平 正 治   副主幹      小 材 忠 宏   主査       手 塚 英里子   主査       君 島 義 人   主査       関   敏 秀   主査       荒 川 尚 子 ◎大橋哲也 事務局長 出席議員数を報告いたします。   ただいまの出席議員数は29名であります。             ―――――――――――――――――――――――――――――     午前10時 開議 ○阿部寿一 議長 ただいまから本日の会議を開きます。  今通常会議の質疑・質問におきましては、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、出席者を3分の2程度に調整しており、出席していない議員は控室等において会議の様子を視聴しております。             ――――――――――――――――――――――――――――― ○阿部寿一 議長 初めに、諸般の事項を事務局長に報告させます。 ◎大橋哲也 事務局長 報告いたします。  1 予算特別委員会正副委員長の決定について  2月17日に開催された予算特別委員会において、正副委員長の互選を行った結果、委員長に日向野義幸議員、副委員長に関谷暢之議員が決定した旨、議長に報告がありました。             ――――――――――――――――――――――――――――― ○阿部寿一 議長 日程第1 第1号議案から第32号議案まで及び第34号議案から第60号議案までを一括して議題とし、質疑を行います。  この際、お諮りいたします。質疑と併せて県の一般事務に関する質問を行うことにご異議ありませんか。    (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○阿部寿一 議長 ご異議がないと認め、そのように決定いたしました。  この際、申し上げます。さきに人事委員会の意見を求めておりました第20号議案、第21号議案及び第30号議案については、お手元に配付のとおり、人事委員会委員長から回答がありました。回答は朗読を省略して会議録に記載することにいたします。ご了承願います。                              〔配付資料は巻末に掲載〕 ○阿部寿一 議長 発言通告者に対し、発言を許します。木村好文議員。    (50番 木村好文議員登壇) ◆50番(木村好文議員) おはようございます。とちぎ自民党議員会の木村好文であります。県政課題8項目にわたって順次質問させていただきます前に、昨日、第24回オリンピック冬季競技大会、北京大会が閉会式を迎えました。17日間の闘いでありました。各国のアスリートは北京の空の下で精いっぱい活躍した。大変感動をいただいたわけであります。日本も、金3個を含む史上最多の18個のメダルを獲得した。選手たちの大変な活躍には、我々コロナ禍でありますから家にいることが多かった中で、家族とともに一喜一憂しました。大変な感動をいただきました。本県で、この秋に行われるいちご一会とちぎ国体・とちぎ大会ではどんなドラマが繰り広げられることか大変楽しみであります。北京大会においては大変多くのボランティアの活動があった。栃木県でも、とにかく総力を挙げて、おもてなしの気持ちを持ってこの大会の成功を北京と同じように頑張っていきたいと思った次第であります。  それでは、通告に従って質問してまいります。  まず初めに、令和4年度当初予算及び令和3年度2月補正予算について、知事にお尋ねします。新型コロナウイルス感染症について、本県はまん延防止等重点措置が継続中であります。県民が安心して暮らしていくためには、今後も各種対策を徹底して頑張っていく必要があります。また、新年度は、いちご一会とちぎ国体・とちぎ大会の本大会がいよいよ10月に開催されます。総合スポーツゾーンの整備をはじめ、この大会に向けて準備をしてきた様々なことが一斉に花開く、まさに待ちに待ったそのときが来るわけであります。両大会の成功はもちろんでありますが、42年ぶりに巡ってきたこのビッグチャンスに、全国に向けて栃木県を、本県をどうPRしていくか、しっかり考えていかなければなりません。  さらには、防災・減災対策や世界の潮流であるカーボンニュートラルへの対応のほか、2年目を迎えるとちぎ未来創造プランに掲げた施策についても、県民が将来にわたってふるさと栃木を誇りに思えるよう前に進めていく必要があります。このため、とちぎ自民党議員会では、令和4年度当初予算編成に当たり、これらの課題について的確に対応するよう要望したところ、知事からは満額の回答を得ました。ありがとうございました。  そこで、令和4年度当初予算についてどのような考えで編成されたか、知事にお尋ねします。また、今回上程された2月補正予算においては、国の経済対策への対応として総額351億円余を計上しておりますが、どのような方針で編成したのか、併せてお尋ねいたします。 ○阿部寿一 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまの木村議員のご質問にお答えいたします。令和4年度当初予算につきましては、政策経営基本方針に基づく重点事項を積極的に展開するとともに、とちぎ未来創造プランや、とちぎ創生15(いちご)戦略(第2期)の着実な推進を図ることとして編成いたしました。  重点事項のうち、特に新型コロナウイルス感染症対策につきましては、県民の命や生活に直結する最優先課題であり、医療提供体制の確保や検査体制の整備、事業者への支援など、引き続き各種対策をしっかり推進してまいります。さらに新たな日常への対応といたしまして、移住・定住の促進を図るなど新型コロナウイルス感染症の影響による人々の行動変容を捉えた取組も進めていくことといたしました。また、脱炭素化の推進では、県民、事業者の理解促進はもとより、再生可能エネルギーの活用や技術開発への支援などにつきまして、市町をはじめ、あらゆる主体と連携しながら展開するほか、デジタル化の推進では様々な分野におけるデジタル技術の実装を進め、生産性の向上や地域課題の解決を図ってまいります。いちご一会とちぎ国体・とちぎ大会につきましては、両大会を成功に導く強い決意を持って、天皇杯・皇后杯の獲得に向けた選手の育成・強化や障害者スポーツの普及拡大を進めるほか、日本一のおもてなしを通じて栃木ファンの拡大を図るとともに、環境配慮の取組により、本県の魅力・実力を全国に発信してまいる考えであります。  次に、2月補正予算につきましては、防災・減災、国土強靱化をはじめとした公共事業により安全・安心なとちぎづくりを進めますとともに、農林業における競争力強化に向け、デジタル技術の導入支援等に取り組むこととしたところであり、当初予算と一体的に執行することで最大限の効果を発揮できるよう努めてまいります。  今後とも、「人が育ち、地域が活きる 未来に誇れる元気な“とちぎ”」の実現に向け、全力で取り組んでまいります。 ○阿部寿一 議長 木村好文議員。    (50番 木村好文議員登壇) ◆50番(木村好文議員) ただいま知事から、当初予算と補正予算の考え方について答弁いただきました。大変厳しい財政状況でありますが、2年連続で1兆円を超える予算規模となり、新型コロナウイルス感染症対策やポストコロナにおける新たな日常への対応、そして、いちご一会とちぎ国体・とちぎ大会の開催に向けて万全を期すこと、さらには、デジタル化や脱炭素化など新たな成長分野に関する幅広い取組の推進など、政策経営基本方針に基づく重点事項を積極的に展開していくとともに、とちぎ未来創造プランやとちぎ創生15(いちご)戦略の着実な推進を図ることができるよう編成したと申されました。理解いたします。  また、補正予算においても、国の経済対策に呼応し、県土の強靱化に資する公共事業の取組など、当初予算と一体的に執行することで最大限の効果を発揮できるように編成されたと理解しました。ぜひ未来につながる各種の施策を積極的に推進していただくことを強く要望して、次の質問に入ります。  新型コロナウイルス感染症対策について、知事にお尋ねします。新型コロナウイルス感染症については、全国的にオミクロン株への置き換わりが進み、これまでにない感染の拡大が続いております。今、第6波の真っただ中であります。本県においても全国同様感染が急拡大し、1月27日からまん延防止等重点措置区域となり、当初、昨日までの予定だった適用期間が3月6日まで延長されることとなり、県民、事業者の皆さんに引き続き各種協力要請をしているところであります。要請に応え協力いただいている全ての県民、そして事業者など多くの皆さんの頑張りに、また、県民の命を守るために大変な御尽力をいただいている医療関係者の皆さんに対しまして、改めて感謝申し上げたいと存じます。  現在も新規感染者数は依然として高い水準で推移しており、自宅療養者等が増加し、新型コロナウイルス感染症関連の医療や救急医療等通常医療の状況も厳しいものとなっております。県は、第5波の感染状況を踏まえて昨年11月に策定した保健・医療提供体制確保計画に基づき、入院や自宅療養、検査、保健所の体制整備のほか、ワクチン追加接種の促進などに取り組んでおりますが、第6波の収束はいまだ見通せない状況にあります。  そこで、現在の状況を踏まえ今後どのように対応していくのか、知事にお尋ねいたします。 ○阿部寿一 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。本県では想定される第6波に備えるため、第5波の1.2倍の感染者数を見込んだ上で、昨年11月末に保健・医療提供体制確保計画を策定し、医療提供体制の強化等に取り組んでまいりました。しかしながら、昨年末からの感染者数の急増により、本県は1月27日からまん延防止等重点措置区域となり、県民、事業者の皆様に各種協力をお願いしております。ご協力いただいている皆様方に、改めて御礼申し上げます。
     そのような中、感染力が強いオミクロン株の広がりにより、計画策定時の想定と比べ、新規感染者数は2倍、全療養者数は3倍程度と高い水準で推移しており、今般、重点措置の期間が3月6日まで延長されたところであります。また、病床使用率が上昇し、重症者や中等症者の数も増加傾向であることに加え、濃厚接触者となった医療従事者が勤務できないなどの理由から通常医療を制限せざるを得ないなど、新型コロナウイルス感染症医療と通常医療の双方におきまして、医療提供体制への負荷が高い状態となっております。このような中、計画を踏まえつつも、オミクロン株に機動的かつ適切に対応するためには、感染拡大を抑える取組を強化するほか、重症化リスクの高い患者等に重点的に対応するなど、必要な患者が速やかに医療等を受けられる体制を充実・強化していく必要があると考えております。  具体的には、酸素投与が必要な中等症Ⅱ以上の患者や重症化リスクの高い患者等に対しまして、31の入院受入れ医療機関や県が設置した5つの臨時医療施設において確実に入院医療を提供するとともに、宿泊療養施設を今月中に2施設、3月上旬に新たに1施設を開設した上で、おのおのの施設を効果的に運用することによりまして、経口治療薬等の迅速な投与を含め、患者の症状等に応じた必要な医療、療養を確実に提供してまいります。また、自宅療養者数も増加しておりますことから、保健所の体制を強化し、重症化リスクのある患者等に対して重点的に健康観察を行うほか、電話診療や往診、訪問看護、薬剤提供体制の活用に加え、市町とも連携した生活支援により、自宅療養者が安心して療養できるよう取り組んでまいります。  さらに、感染拡大や重症化を防止するためには、ワクチンの追加接種の加速化を図る必要がありますことから、4か所の県営接種会場を運営するとともに、交互接種を含めた追加接種の有効性や安全性の周知を図るほか、3月から始まる小児向けワクチン接種の円滑な促進を図るなど、市町や医師会等と連携しながら取組を進めてまいります。加えて、高齢者施設でのクラスターが増加していることを踏まえ、市町と連携した高齢者施設等におけるワクチンの巡回接種を実施するとともに、施設団体等と対策会議を開催し、感染防止対策の徹底を要請するほか、陽性者が発生した際に、市町と連携して迅速な検査を実施してまいる考えであります。  第6波の出口はいまだ見通せない状況ではありますが、県民の命と暮らしを守るため、社会機能を維持しつつ感染拡大を防止し、医療逼迫が生じない水準に感染を抑えられるよう各種対策に万全を期してまいります。 ○阿部寿一 議長 木村好文議員。    (50番 木村好文議員登壇) ◆50番(木村好文議員) 知事から今後の対応等について答弁いただきました。ここで、保健福祉部長に再質問いたします。第6波を収束させるためには、マスク着用等の基本的な感染対策の徹底が必要であり、重症化防止にも効果があるワクチンの3回目接種を進めることが重要であります。重症化リスクの高い高齢者や基礎疾患のある方はもちろんでありますが、誰もが不安なく安心して接種ができるよう、接種の効果や交互接種の安全性などについて広報媒体を使ってPRする、あるいはワクチンを接種することは自分を守るだけではなく、家族全体を守る、身近な人の命も守ることができるということを広く周知徹底する必要があると考えます。  そこで、ワクチン接種のさらなる加速化に向けどのように対応していくのか、保健福祉部長にお尋ねいたします。 ○阿部寿一 議長 仲山信之保健福祉部長。 ◎仲山信之 保健福祉部長 再質問にお答えいたします。本県におきましては、新規感染者数が高い水準で推移しておりまして、感染の拡大・重症化防止のためにはワクチン接種が大変重要であります。2月から65歳以上の高齢者の方に対するワクチン接種が本格化しておりますけれども、モデルナ社製ワクチンの接種会場における予約が埋まらない状況になっております。要因としましては、オミクロン株が重症化しないといった認識、あるいは副反応への不安といったものが考えられるところでございます。県といたしましては、県営接種会場におきましての接種のほか、高齢者施設への巡回接種などによりまして市町の取組を支援してまいりますけれども、まず重要でございますのは、県民の方に接種を前向きに検討していただくことであると考えております。そのため、県では、新たにワクチン追加接種の有効性等について周知するための動画を作成しまして、ユーチューブで広告配信したいと考えております。市町にも提供しまして広報にも活用していただくなど、市町と連携しまして、各種媒体を最大限活用しまして、追加接種の有効性、それから安全性について広報啓発し、ワクチン接種の加速化に努めてまいりたいと考えております。 ○阿部寿一 議長 木村好文議員。    (50番 木村好文議員登壇) ◆50番(木村好文議員) 第6波では、第5波の状況を踏まえて想定した新規陽性者数や最大療養者数をはるかに超える事態となっております。世界各国でのオミクロン株の亜型の増加などの報道もあり、新型コロナウイルス感染症についてはまだまだ予断を許さない状況が続いていくものと考えます。引き続き、必要な対応を遅れることなく確実に進めていただくことをお願いいたします。ワクチンを打ちたいのだと、でも接種券が来ない、沙汰がないということがありますので、ぜひそういう点に気をつけて、確実に早く接種ができるようにお願いして、次の質問に移ります。  G7関係閣僚会合の誘致について、知事にお尋ねします。知事は昨年12月、第381回通常会議において、我がとちぎ自民党議員会、小林幹夫議員の質問に答え、閣僚会合の誘致に立候補した強い思いを述べられたわけであります。長引く新型コロナウイルス感染症との闘いに暗たんたる思いにかられる中、久し振りの明るい話題であり、知事の答弁に元気をもらったと感じた県民も多かったはずであります。かくいう私もその一人であります。ふるさと栃木のすばらしさを世界中の人々に知っていただくまたとないチャンスであります。閣僚会合の開催がそういった機会となるよう、知事にはぜひとも誘致に成功していただきたいと思うのであります。  報道によれば、閣僚会合の誘致には全国から20ほどの自治体が手を挙げているとのことであります。つい二、三日前、群馬県もエントリーをしたわけであります。中には、これまでに国際会議の開催を経験しているところもあり、栃木県への誘致はなかなか簡単なことではないと考えます。あらゆる機会を通じて、本県の適地性、優位性を訴えていく必要があると思います。  そこで、G7関係閣僚会合の誘致活動の現状と今後どのように取り組んでいくのか、知事にお尋ねいたします。 ○阿部寿一 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。デジタル化の進展やカーボンニュートラルの実現に向けた動きなど社会経済情勢が大きく変化する中、未来に向かって輝き続け、世界から選ばれるとちぎをつくるためには、その魅力・実力を広く国内外に発信していくことが重要であると考え、来年日本で開催される予定の主要国首脳会議に伴う関係閣僚会合の誘致を決断したところであります。昨年12月に誘致計画書を提出した後、1月には日光市長とともに外務大臣を訪問し、世界遺産である日光の社寺や国際避暑地として栄えた歴史、さらにはラムサール条約湿地に登録された奥日光の湿原など、日光市の多彩な魅力をアピールするとともに、閣僚会合の成功のため積極的に役割を果たしていく考えをお伝えいたしました。また、今月には国による現地調査が行われ、世界的に知名度の高い日光市が閣僚会合の開催地にふさわしい場所であることを市とともに丁寧に説明するなど、県と市が一体となり着実に誘致の取組を進めているところであります。  今後の日程につきましては、本年6月に予定されているドイツでの主要国首脳会議の時期に、次回首脳会議の開催地の決定があり、その後、閣僚会合の開催地も決定されるものと想定しております。開催準備の期間は限られておりますことから、日光市との定期的な連絡調整の場を設けるほか、閣僚会合開催に向けたオール栃木での支援体制を検討するなど、計画的に取組を進めてまいります。  誘致表明以降、講演会など様々な機会を通じて誘致への思いを伝えておりますが、多くの反響があり、世界的に注目度の高い国際会議の県内初開催を望む声は大きいと感じているところであります。こうした皆様の期待をしっかりと受け止め、県民一人一人が未来に希望を抱き、ふるさとに誇りを持てる栃木をつくり上げるため、引き続き、地元日光市と緊密に連携しながら誘致活動に全力で取り組んでまいります。 ○阿部寿一 議長 木村好文議員。    (50番 木村好文議員登壇) ◆50番(木村好文議員) 知事から答弁いただきました。大変なご尽力をいただいている。頑張っていただきたいと思っております。ただ、知事、コロナ禍の闘いというのは大変厳しいのです。苦しんでいる人がたくさんいる。そんな苦しいときこそ、希望の持てる明るい道筋を示すのが政治の役割だと思っております。G7サミットの関係閣僚会合が栃木県で開催される。世界中から注目され、多くの方が日本にやってくる、栃木県にやってくる。考えただけでわくわくします。私たちも全力で応援します。ぜひ知事には誘致を成功させていただきたい。そのような期待を込めて、次の質問に入ります。  2050年とちぎカーボンニュートラルの実現について、知事にお尋ねします。地球温暖化による気候変動が国際的な課題となる中、県は県議会からの提言などを踏まえ、カーボンニュートラル実現の具体的な工程表となるロードマップ案を示したほか、さきの議会では、知事がグリーン社会実現に向けた新たな条例を制定していくことを明らかにしたところであります。これらを具体化すべく、新年度予算には、自家消費型太陽光発電の導入支援をはじめとする産業、業務等各分野の取組に加え、脱炭素先行地域創出に向けた基本構想の策定など、重点プロジェクトの着実な推進を図るための施策も多数盛り込まれております。厳しい財政状況の中にあっても、カーボンニュートラルの実現に向けしっかりとしたスタートを切るという知事の強い思いを感じるところであります。高く評価させていただくものであります。  2030年度の温室効果ガス排出量の削減率について、基準年度である2013年度比マイナス50%という国を上回る目標を掲げる本県にあっては、全国有数のものづくり県、木材生産県といった強みを生かし、市町、県民、そして産業界の協力を得ながら、まさに栃木の総力を持って様々な施策を戦略的に進めていくことが求められております。私は、カーボンニュートラルの実現という困難な挑戦においても、対話と協調、県民中心、市町村重視を基本姿勢として、県民益の最大化に向けて県政運営に当たってこられた福田知事の力強いリーダーシップをもってすれば、確かな道筋をつけることができると確信を持っております。  そこで、カーボンニュートラルの実現に向けて今後どのように取組を進めていくのか、知事の決意をお伺いします。 ○阿部寿一 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。気候変動による影響から、県民の生命、財産を守るとともに、持続可能で力強い経済社会の構築を目指す本県のカーボンニュートラルの実現に向けましては、あらゆる主体のご理解とご協力の下、戦略的かつスピード感を持って様々な施策を総動員していく必要があると考えております。特に新年度はロードマップのスタートを切る重要な年でありますことから、県民の意識の醸成や産業、業務、家庭等、各分野の排出削減対策、さらには豊かな森林を生かした吸収源対策など、直ちに着手が必要な施策に取り組むことといたしました。また、各分野の取組を牽引する重点プロジェクトの着実な推進に向けた中間目標と、ものづくり県としての強みを生かした具体的取組を盛り込んだ新たなアクションプランを策定してまいります。これに併せて、県内企業によるグリーン成長産業創出への支援を行うほか、再生可能エネルギーの導入を促進する区域の設定や、他の地域に先駆けて脱炭素化を図るモデル地域の創出に向けた調査・検討を進めるなど、各種施策を戦略的に展開してまいる考えであります。さらに、産学官金など各界の代表者から成るとちぎカーボンニュートラル実現会議に加え、産業界や有識者等で構成する評価委員会を新たに立ち上げ、目標達成に向けた進捗状況と取組の効果を明らかにし、施策の改善を行うなど、オール栃木体制でロードマップの実効性を高めてまいります。  今後、こうした取組を通じて、県民、事業者、市町などあらゆる主体と連携を図りながら、私自身が先頭に立って、栃木の総力を挙げたカーボンニュートラルの実現に全力で取り組んでまいります。 ○阿部寿一 議長 木村好文議員。    (50番 木村好文議員登壇) ◆50番(木村好文議員) 知事から今後の取組と決意について力強い答弁をいただきました。ここで、知事に再質問をいたします。コロナ禍では、我が国の誠実で勤勉な国民性も相まってマスクの着用が習慣となり、こうしたことは諸外国と比較して我が国の感染者数が低く抑えられていることにつながっているのではないかと考えます。カーボンニュートラルの実現を目指していく上では、例えばこのコロナ禍におけるマスクの着用と同様、県民一人一人の脱炭素化に資する行動を習慣のように、当たり前のごとくできるような機運の醸成が大変重要だと思っております。例えばエアコンの温度を1度下げる、こうしたほんの少しの心がけだけでも、カーボンニュートラルの実現に貢献できるということを分かりやすく伝えていくことが必要であると考えます。私は、真面目で堅実、こうした県民性を有する本県であれば、市民、自治会、町内会など地域の構成員の誰もが、脱炭素化に資する行動を当たり前のように行い、カーボンニュートラルの実現に取り組んでいく、こんな栃木県をつくっていけるものと確信しております。  そこで、一人一人の県民がカーボンニュートラルの実現に特別意識をしなくても、自ずと脱炭素化に資する行動を取れるような取組を進めるべきと考えますが、知事の所見をお尋ねいたします。 ○阿部寿一 議長 福田富一知事。 ◎福田富一 知事 脱炭素化の取組についての再質問にお答えいたします。カーボンニュートラルの実現には、県民一人一人の地球温暖化による気候変動の問題を自分事、自分のこととして捉え、脱炭素化に向けた行動に取り組んでいただくことが必要でございます。しかし、カーボンニュートラル、ロードマップ、グリーン社会、何のことだか分からないというご指摘も受けます。ある会合で、このまま何もしなければ、2100年には栃木県は宮崎県と同じ気候になるのです、マンゴーの産地になっちゃいますよという話をいたしましたところ、それは大変だ、やはり栃木県の魅力は四季の変化がはっきりしているところ、冬もあれば秋の紅葉もすばらしい、これを守り続けていかなくてはならない、そういうことを多くの県民に伝えてほしいといった要望をいただきました。そこで、新年度は、自分に何ができるのか、その行動でどのくらい脱炭素化に貢献できるのか、暮らしのメリットは何かなどにつきまして分かりやすく示すために、イラスト化、数値化したガイドブックを作成することといたしました。加えて、カーボンニュートラル実現に向けた基本理念や責務などを盛り込んだ新たな条例の制定などを通じて、あらゆる主体の理解や共感が得られるよう努め、今お話がございましたように、各家庭、事業者にとって脱炭素に資する行動が当たり前となるような社会の構築を目指してまいります。 ○阿部寿一 議長 木村好文議員。    (50番 木村好文議員登壇) ◆50番(木村好文議員) ただいま知事から答弁いただきました。カーボンニュートラルの実現に向けては、その効果や目的を県民一人一人が理解し、行動に結びつけていくことが必要だということを言われました。私も同感であります。また、脱炭素技術の開発や再生可能資源を使用した製品の開発など産業界の取組も重要であります。多くの人の協力を得ながら、栃木の総力を挙げて進めていかなければなりません。新年度においても、引き続きロードマップに掲げた重点プロジェクトを中心に、計画性と実現性を持って、県自らが率先して各種取組を進めていただければありがたいと思っています。そして、環境立県である我が栃木県が、県を挙げてカーボンニュートラルの実現、そして経済と環境の好循環によるグリーン社会の実現に向けてトップランナーとなるよう引き続き取り組んでいただくことを要望して、次の質問に移ります。  収益性の高い米作りについて、知事にお尋ねします。県ではこれまで、本県が有する広大な水田を生かした米作りを進めつつ、人口減少による米の消費減少も見据え、首都圏に近いといった強みを生かし、米から収益性の高い園芸作物への転換も同時に進めることなどによって農業の経営の安定を支援してまいりました。しかしながら、今般のコロナ禍の影響を受け、米の消費は予想以上に減少し、在庫量が積み上がった上、米価は大幅に下落、農家の経営は非常に厳しい状況となっております。こうした中、JAグループは、米の生産対策等について、県ととちぎ自民党議員会に対して二度にわたり緊急要望を行ってきました。農業団体としても、この厳しい状況に危機感を持って取り組もうとしております。とちぎ自民党議員会としても、こうした現場の声に耳を傾けていくことは必要であると思っております。  昨年12月、県と農業団体で構成する栃木県農業再生協議会では、将来の米生産の在り方についての方針を策定しました。この方針は、本県の米作りを新たなものへと変えていく大きな役割を担っていると期待しているところであります。私は、農業においても需要に応じた生産が大切であり、本県の水田農業を見通したとき、需要のある園芸作物等への転換を継続するとともに、米についてもコスト低減や品質向上など工夫すれば、需要を喚起し、収益性を向上できる可能性を秘めていると考えます。  そこで、県は、将来の本県農業を見据え、収益性の高い米作りをどのように進めていくのか、知事にお尋ねします。 ○阿部寿一 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。米は、地域農業の持続的な発展を図る上で重要な作物でありますことから、昨年12月、県農業再生協議会において、栃木の需要に応じた米づくり推進方針を決定し、その実現に向けてオール栃木体制で取り組むことといたしました。この方針では、需要動向を的確に捉えながら、露地野菜や大豆、飼料作物等への作付転換をしっかりと進めた上で、気候変動やニーズに対応した品種ごとの生産割合の設定をはじめ、生産コストの低減、家庭向け販売の強化などを柱として収益性の高い米作りを進めることとしております。  まず、競争力を高めるため、高温下、温度が高い中でも安定した品質が確保できる品種や、価格や用途などのニーズに対応できる品種への転換を進めてまいります。また、農家の所得向上に向け、規模拡大と併せて省力化を図るスマート農業技術や多収品種の導入などにより、生産コストの2割削減を目指してまいります。さらに、コロナ禍における家庭向け需要の拡大を好機と捉え「とちぎの星」の食味を高める栽培方法の徹底を図るとともに、粒の大きさを際立たせた新たな出荷規格による商品づくりを進め、高価格帯での販売を展開してまいります。加えて、安定的な需要を確保するため、農業団体と使ってくれる側、実需者等による契約取引をさらに拡大するとともに、新たな販路として期待できる近畿、東海地域への販売促進や、日本食の人気が高いアジアや米国、アメリカ等への輸出拡大を図るほか、地元企業と連携し、グルテンフリーで注目されている米粉用米の取引拡大を進める考えであります。  今後とも、本県農業の将来を見据え、需要に応じた収益性の高い米作りに戦略的に取り組んでまいります。 ○阿部寿一 議長 木村好文議員。    (50番 木村好文議員登壇) ◆50番(木村好文議員) 知事から答弁いただきました。言うまでもなく、農業は私どもが生活する上で最も重要な産業であります。少子高齢化や食生活の多様化などにより米を取り巻く状況は大きく変化しております。需要を見極め、栽培や販売の方法を工夫するなど、将来を見据えた取組を進めていただきたいと思っております。品質の向上はもちろんであります。 誇りと使命感を持って取り組む農業者を増やすため、県内で品評会を開催し、農業者自らが切磋琢磨できる場をつくってみるのもいい。また、「とちぎの星」などは品質が大変いいので、県内の農家でグループをつくり、今、知事がおっしゃった海外の大きなマーケットを狙って直接輸出する、そんなことに意欲的に取り組んでみてもいいのではないかと考えております。  本県の農業を発展させるためには、私の持論でありますが、子供の頃から将来は農家になりたいと、農業が憧れの職業となり、選択肢の一つになることが必要だと思っております。将来を担う子供たちが農業に憧れを抱き、自分の人生をかけて、プライドを持って挑戦し続ける、そんな農業者が育っていくことを期待いたします。そのことが、米作りばかりではなく、本県農業全体の発展、そして明るい未来につながっていくと思っております。願っております。次の質問に移ります。  美しい郷土を守る「100年治水プロジェクト」の推進について、知事にお尋ねします。栃木県は、これまで災害の少ない県と言われてきました。それは、先人たちが戦後、衣食住もままならない中、荒廃した県土の復興のため不断の努力を積み重ねてきた結果であるわけであります。しかし、近年、地球温暖化の影響により局地的大雨、集中豪雨が発生する頻度が増加し、本県においても、平成27年9月関東・東北豪雨、令和元年東日本台風と立て続けに被害を受けたわけであります。また、国の試算では、2040年頃の洪水の発生頻度は、20世紀末と比べ、少なく見積もっても2倍になるとされております。これまでの河川整備の水準を上回るような豪雨がいつ起きてもおかしくない状況となっております。  私ごとで大変恐縮でありますが、昭和22年、4歳ちょっとでありました。カスリーン台風の際、自宅が濁流にのみ込まれ九死に一生を得ました。一夜が明けて目にした足利市の惨状は今でも鮮明に覚えております。このような思いを二度と県民に体験させるべきではない。私は県民の生命と財産を守ることは、政治に携わる者としての使命と認識しております。子や孫のために、今度は我々が治水対策を積極的に推進しなければならないと強く思っております。  そこで、さきの知事選において知事が公約として掲げられた美しい郷土を守るための「100年治水プロジェクト」の推進について、どのような思いで掲げられたのか。また、今後どのように取り組んでいくのか、知事にお尋ねします。 ○阿部寿一 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。私は、これまで県民の安全・安心な暮らしを守ることを第一に県政を運営してまいりました。しかしながら、災害が少ないと言われてきた本県において、平成27年、令和元年と2度の大水害に見舞われました。この経験を踏まえ、治水の重要性を再認識するとともに、このときのような悲惨な水害を二度と県民の皆様に経験させてはいけないという思いを強くし、美しい郷土を守るための「100年治水プロジェクト」の推進を公約として掲げたところであります。  この公約を実現するために、誰がどのような対策をいつまでに実行するかについて取りまとめた栃木県流域治水プロジェクトを昨年9月に策定し、行政が行う河川の拡幅等の改修だけでなく、県民の皆様のご協力の下、田んぼダムの整備や各家庭での雨水貯留施設の設置などに取り組むこととしております。この取組を進めるためには、多くの県民の皆様のご理解とご参加が不可欠でありますことから、新年度には様々な媒体を通じた広報啓発活動を積極的に行ってまいります。  引き続き、栃木県流域治水プロジェクトを着実に実行することで、県民が安全・安心に暮らしていける美しい郷土栃木を築いてまいります。 ○阿部寿一 議長 木村好文議員。    (50番 木村好文議員登壇) ◆50番(木村好文議員) 知事から答弁いただきました。ここで、県土整備部長に再質問をいたします。ただいま知事から、流域治水に関し普及啓発に取り組むとの答弁をいただきました。どのように実施していくのか、県土整備部長にお尋ねします。 ○阿部寿一 議長 田城均県土整備部長。 ◎田城均 県土整備部長 再質問にお答えいたします。さきの知事の答弁にもございましたけれども、流域治水プロジェクトの成功の鍵は、いかに多くの県民の皆様に参加いただけるかということにかかっていると思っております。そこで、流域治水の取組に合わせて、その効果をより県民の皆様に身近に感じていただけますように、なるべく直感的に分かるような形で広報していきたいと考えております。具体的には、県内を11の流域に分けまして、各流域ごとに代表河川を選んで、その河川において、さきの東日本台風の雨が降ったと仮定して、その場合に県民の皆様方が、例えば各家庭で雨をためるという取組を何個ぐらい実施していただければ、どのような効果がどのくらい出るかということを動画にいたしまして、それを素材として広報をやっていくと。具体的には、小学生から大人まで各年代の方々向けにその動画を加工して分かりやすく、県のホームページであるとか、県の公式ツイッター、または県土整備部のユーチューブ、あらゆる媒体を通じて積極的に広報していくと考えております。そのような形でご理解を深めたいと思っております。 ○阿部寿一 議長 木村好文議員。    (50番 木村好文議員登壇) ◆50番(木村好文議員) 水災害から県民の命と財産を守るためには、遠い将来を見据え、治水ダムの整備や堤防の強化など、まずはしっかりとハード面で整備を行っていくことが大前提であります。河川を整備することも重要。水災害に備えて、中小河川の幅と深さを担保しなければいけない。つくった当時、きちんとした深さがあったわけです。山から流れてくるのは水だけではないのです。土砂です。泥です、石です。そういったものが流れてくるわけでありますので、ぜひしゅんせつを行い常に幅と深さを担保しておかなければならない。特に中小河川は定期的に、そして必要があれば緊急的にきちんと整備し、維持管理もしっかり行えば災害を確実に少なくすることはできますので、よろしくお願いします。今後とも、水災害軽減に向け、ハード面、ソフト面、両面からの取組をしっかりと進めていくことをお願いして、次の質問に入ります。  いちご一会とちぎ国体・とちぎ大会の成功に向けて、知事にお尋ねします。いよいよ、いちご一会とちぎ国体・とちぎ大会開催の年を迎えました。新型コロナウイルス感染症が猛威を振るい、年明けから第6波の感染拡大が続く中ではありましたが、知事は冬季大会の開催について大英断を下した。私は、よかったと思っております。秋の本大会は新型コロナウイルス感染症の影響により、一昨年の鹿児島は延期、昨年の三重は中止、今後も新型コロナウイルス感染症への対応が避けられない中でありますが、冬季大会開催の経験も生かし、感染防止対策をしっかと講じながら、観客を迎えて開催できることを期待しております。中でも、カンセキスタジアムとちぎで行う両大会の開会式、閉会式は、栃木らしさがあふれる華やかな式典にしてほしいところであります。両大会まであと200日余りとなりました。大会には、選手をはじめ多くの方々が来県されます。ぜひ心の籠もったおもてなしでお迎えし、本県の魅力・実力を存分に発揮して、そういった方々に感じていただきたい。そして、栃木県の存在感を高め、魅力度アップにもつなげてもらいたいと思うのであります。  また、県内各地の競技会場で熱戦を繰り広げる両大会で、本県の特色である環境配慮型の大会運営を行うために、また、選手たちを温かくおもてなしするためには、各市町での取組は極めて重要であります。市町を積極的に支援し、県と市町が一丸となって最高の大会運営を行うべきと考えます。さらに、開催機運を一層盛り上げて、多くの県民が両大会に関わりを持ち、栃木の総力を挙げて成功させ、県民の心に残る大会になることを期待します。  そこで、冬季大会を終えた今、秋のいちご一会とちぎ国体・とちぎ大会の成功に向けた知事の意気込みをぜひお聞かせいただきたい。お願いします。 ○阿部寿一 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。全国から約1,700名の選手等をお迎えしたいちご一会とちぎ国体冬季大会につきましては、コロナ禍において会場への入場制限等の制約はありましたが、国体・障スポイヤーの幕開けとなる大会として、夢と感動を秋の本大会といちご一会とちぎ大会へとつなげることができたと考えております。また、大会運営やおもてなしにおきまして、中高生の競技補助員や多くのボランティアにご協力いただき、県民の方々に参加いただくことの重要性を改めて認識いたしました。さらには、両大会の成功を応援いただくいちご一会募金や企業協賛につきましても、目標であります5億円を達成し、県民はもとより、企業、団体等の皆様からも、両大会への期待と関心の高まりを感じているところであります。両大会の本番を迎える新年度におきましては、多くの県民に参加いただき、環境に配慮した応援グッズの制作に取り組むほか、ボランティアやいちご一会花育て隊などいちご一会運動の裾野拡大を図り、日本一のおもてなしにも取り組んでまいります。また、新たに創設する交付金制度によりまして、環境配慮やおもてなしを含め、市町における競技会運営をしっかりと支援してまいります。  両大会の開会式、閉会式につきましては、選手等も式典演技を観覧できる栃木スタイルで開催することとしており、音楽や演技等で本県の多彩な魅力を発信し、全ての参加者が感動を共有できるような演出を行ってまいる考えであります。一方、感染防止対策の徹底は引き続き必要であると考えており、開会式、閉会式は有観客を基本としつつも、感染防止と魅力ある式典の両立を図るため、入場者数は選手や式典演者、観覧者等を合わせて収容定員の50%以内となる1万3,000人規模を想定し、大会主催者間での協議も行いながら準備を進めてまいります。  今後とも、市町や関係団体等との連携を一層図りながら、県民総参加による両大会の成功に向けて全力で取り組んでまいります。 ○阿部寿一 議長 木村好文議員。    (50番 木村好文議員登壇) ◆50番(木村好文議員) 知事から、いちご一会とちぎ国体・とちぎ大会の成功に向けた意気込みを聞かせていただきました。全国から集まったトップアスリートが思う存分力を発揮できる大会、そして選手、関係者はもちろん、観戦者など来県される多くの方々を、本県ならではの心の籠もった最高のおもてなしで迎え、多くの方々にとって記憶に残る、忘れ得ぬ大会にしなければならないと思っております。  その地域ならではの食や文化を生かし、地元の人たちから受けた歓迎、一人一人がちょっとした心遣いを工夫した地域での温かみのある交流などは心に残る思い出となり、そのことが、また栃木県に行ってみたい、今度は家族と来てみたいといったことにつながり、栃木県の大きな魅力の一つになると思っております。ぜひ知事にはリーダーシップを発揮していただき、県民一丸となって大会を盛り上げ、県民に夢と希望を与え、感動とともに栃木に集う多くの方々の記憶に残る大会となることを期待して、次の質問に入ります。  若者から選ばれるとちぎに向けて、とちぎ職業人材カレッジの取組について、知事にお尋ねします。私は、人口減少や少子高齢化の進行、グローバル化の進展など社会経済環境が大きく変化する中にあって、日本の未来、そして栃木の未来を見据えると、全国から広く多くの若者が、ぜひ栃木県に来るように、栃木に来ればなりたい自分になれると思えるような人づくりの栃木県を目指す、そうすることが栃木県のためになるのだとかねてから主張してまいりました。  昨年2月通常会議の代表質問において、私は若者から選ばれるとちぎにかける知事の考え方についてお尋ねしました。知事は、「若者が栃木で夢や希望をかなえることができるよう、未来に誇れる新しい栃木に向けて全身全霊で取り組んでいく」また、「本県独自のとちぎ職業人材カレッジの実現に向けて検討を進めていく」と答弁されました。今、生涯をかける学問や技術、技能を広く身につける場は東京に集中しております。東京は物価が高いです。住みにくい。学ぶに決してふさわしい環境であるとは思えません。若者をサポートする両親も大変であります。その点、栃木県は東京から1時間足らずの距離にあり、山があり、川があり、空気がきれいで暮らしやすい最高の環境だと思っております。  本県には、かつて足利学校に全国から多くの若者が集い学び、そして、それぞれの地域に戻って活躍したという歴史がございます。現代においても、県内外から栃木に行きさえすればなりたい自分になれると言われるような人づくりの県栃木を目指す必要があるのだと思っています。そこで、なりたい自分になれる技術、能力を身につけることができ、全国の若者から選ばれるとちぎづくりに向けて、今後、知事が設置しようとしているとちぎ職業人材カレッジにおいて、どのように人づくりを進めていくか、知事にお尋ねいたします。 ○阿部寿一 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。私は知事就任以来、栃木をつくる原動力は人であるとの信念の下、人づくりを県政の基本に据え、栃木の将来を担う若者の育成に全力で取り組んでまいりました。現行の県政の基本指針であるとちぎ未来創造プランにおきましても、人材育成戦略を第1の柱に位置づけるとともに、多様な分野で優れた技術や技能を有する人材を育成することとしております。現在、県内では様々な人づくりが行われておりますが、さらなる取組促進に向け、今年度、県内の公的な職業訓練機関や専門学校等における人材育成の実施状況を調査いたしましたところ、製造、IT、医療・福祉など158校426コースに及ぶ各種分野で人材育成が行われていることが把握できた一方で、人材育成機関や就職支援機関の情報が一元化されていないため、修学を希望する若者が効率よく情報を収集できていないなどの課題が見えてまいりました。  こうした課題を解決し、人材のさらなる育成を図るため、栃木で技術や技能を身につけ、プロフェッショナルを目指す者に対し、情報発信から相談対応、人材育成、就職支援までを一貫して支援する機能を有する、仮称ではありますが、とちぎ職業人材カレッジを開設することといたしました。カレッジでは、県内の人材育成コースや就職情報等を集約し、一元管理する総合的なウェブサイトを構築し、人材育成や就職支援等の情報を県内のみならず、県外にも広く発信することに加え、本県の特色であるものづくりや女性活躍の特集を配信するなど、情報が効果的に届くよう取り組んでまいります。また、栃木で安心して学ぶことができるよう相談窓口を設置し、修学や就職、生活などの幅広い相談に対応するとともに、ニーズに応じた人材育成機関を紹介するほか、関係機関と連携して就職活動をサポートするなど、本県ならではの特色ある人づくりを推進してまいります。  今後、県内外から若者が栃木に集い、優れた技術や技能を身につけた上で、自らが望む仕事に就き、幅広い分野で活躍できるよう、関係団体等と連携を図りながら、若者から選ばれるとちぎづくりに全身全霊で取り組んでまいります。 ○阿部寿一 議長 木村好文議員。    (50番 木村好文議員登壇) ◆50番(木村好文議員) 知事から、とちぎ職業人材カレッジ、若者から選ばれるとちぎづくりに向けた人づくりについて答弁いただきました。県が、栃木の未来を担う人材を育成することは当然であります。私は、全国の、さらには世界の若者が、栃木にさえ行けばなりたい自分になれる、人生を貫く技術や技能を身につけられる、だから栃木で学びたい、そういった人づくりの栃木県を目指していただきたい。県内だけでなく、とにかく世界中の若者が、東京のすぐ近くに日光があって、あしかがフラワーパークがあって、様々なすばらしい歴史ある環境の栃木県に行けば、なりたい自分になれる。全国から、世界から多くの方が来られる、そのような形を願ったところであります。  本県には、現在、技術や技能を身につけられる専門学校などが150校以上あって、しかも、そのコースは400以上あります。まずは、これらの専門学校等について情報を発信するなどして、存在を周知し、そして生かしていくこと。専門学校等を磨き上げ、より魅力あるものとするために、そこで技術、技能を教える人材を育成する。また、各界で活躍する著名なプロの職人、例えば一流の料理人などを調理が学べる学校にスカウトする。そういった方を顧問とか、名誉校長とか、そのような形で迎えることに対して県も支援する。そのようなことが大事だと思っております。  それと同時に、栃木に学ぶ場を増やすために専門学校など人づくり施設の誘致、企業誘致をすることではなく、専門学校を誘致するというのもいいと思っております。他県では、私立学校が全国から若者を集め、世界で活躍するスポーツ人材などを育成しております。青森山田高等学校、すばらしい人材を輩出しているわけであります。民間と同レベルで人づくりに県を挙げて取り組むというのはあまりないと思っています。  東京都に近い。かつて渡辺文雄元知事がこう言ったのです。栃木県の農業は、米がほとんどだと。北海道で作る米も米、新潟県で作る米も米、栃木県の米ばかりでなくて、一手間、二手間かけることによって、今日、収穫して明日の朝、あの大東京の食卓を飾ることができる。あの東京都民全ての家庭の食卓を飾ることができる。近いからですよ。北海道では無理と。 ○阿部寿一 議長 質問を簡潔に願います。 ◆50番(木村好文議員) そのような意味からすれば、私は、なりたい自分になれるよう栃木県は人づくりに向かっていくべきと思っております。  時間を超過しました。以上をもって私の全ての質問を終わります。ありがとうございました。 ○阿部寿一 議長 この際、15分間休憩したいと思います。議事はただいまの継続議事であります。  休憩いたします。
        午前11時10分 休憩             ――――――――――――――――――――――――――――― ◎大橋哲也 事務局長 出席議員数を報告いたします。  ただいまの出席議員数は28名であります。             ―――――――――――――――――――――――――――――     午前11時25分 開議 ○阿部寿一 議長 ただいまから会議を開きます。議事は休憩前の継続議事であります。発言通告者に対し、発言を許します。山口恒夫議員。    (28番 山口恒夫議員登壇) ◆28番(山口恒夫議員) 公明党栃木県議会議員会の山口恒夫でございます。会派を代表いたしまして、発言通告に従い、新型コロナウイルス感染症対策の推進について、知事にお伺いいたします。  先日、令和4年度当初予算を発表し、今通常会議へ上程され、一般会計としては前年度当初比68億円減の総額1兆86億円であり、当初予算としては2年連続の1兆円超えの予算となりました。新型コロナウイルス感染症の発生から3年目を迎え、一日も早いコロナ禍の克服と新たな日常への対応に向け、国の経済対策にも呼応しながら、積極的な予算編成をされたと感じております。  まず、日々、新型コロナウイルス感染症対策にご尽力いただいております医療従事者、介護従事者などのエッセンシャルワーカーの皆様をはじめ、多くの県民の皆様、事業者の皆様のご協力に対し、衷心より感謝、御礼申し上げます。私は、一日も早くコロナ禍を克服し、ウイルスを封じ込めるためには、最悪の事態を想定し、第5波までの経験を踏まえ、新たなオミクロン株の特徴を念頭に、国と緊密な連携をしながら、ワクチン、検査、経口治療薬の普及により、予防から治療までの抜本強化を図ることが喫緊の課題と考えます。そして、感染拡大防止を最優先に、なおかつ社会経済活動との両立を一日も早く図ることが求められています。  そこで、オミクロン株の特徴でもある市中感染の急速な拡大が進む中で、自宅療養者等が安心して療養できる体制を整備すること、そして収束に向け、県民への円滑な3回目のワクチン接種と経口治療薬の迅速な提供を行っていくことが重要であると考えますが、新型コロナウイルス感染症対策をどのように推進しているのか、知事にお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまの山口議員のご質問にお答えいたします。本県では、想定される第6波に備え、保健・医療提供体制確保計画に基づき医療提供体制等の強化に取り組んでまいりました。その後、感染力が強いオミクロン株の広がりにより、本県の新規感染者数は高い水準で推移しているため、病床使用率が上昇し、重症者や中等症者の数も増加傾向が続くなど医療提供体制の負荷が高くなっております。新規感染者数や全療養者数が計画の想定を大きく上回る状況にある中、増加する自宅療養者に係る療養体制の構築とともに、ワクチンの追加接種の加速化による感染予防に加え、経口治療薬等の円滑な投与等により重症化を抑制することが重要であります。そのため、まず、自宅療養者につきましては保健所の体制を強化し、重症化リスクの高い患者等に対して重点的に健康観察を行うほか、電話診療や往診等の体制の活用、市町とも連携した生活支援等により、自宅で安心して療養できるよう取り組んでまいります。  次に、ワクチン接種につきましては、追加接種を加速化させるため、4か所の県営接種会場を運営するとともに、様々な広報媒体を活用して交互接種を含めた追加接種の有効性や安全性の周知を図るほか、3月から始まる小児向け接種を円滑に推進するなど、市町や医師会等と連携しながら、感染拡大や重症化を防止するための取組を進めてまいります。また、高齢者施設におけるクラスターの増加を踏まえ、市町と連携した高齢者施設等における巡回接種等にも取り組んでまいります。加えて、昨年12月以降、特例承認された2種類の経口治療薬が重症化予防に効果的でありますことから、重症化リスクの高い患者への治療に用いられているところであります。引き続き、県医師会及び県薬剤師会等と連携し、陽性判明の当日または翌日に投与できるよう、処方する登録医療機関や院外処方箋を扱う登録薬局を順次確保し、経口治療薬が必要な方に安全かつ適切に投与できる体制の拡充を図ってまいります。  第6波の出口はいまだ見通せない状況ではありますが、市町や関係機関と連携し、新規感染者数の増加を抑えるとともに、重症化の抑制を図るため、予防、早期治療、療養体制の構築等の対策を適時適切に講じてまいります。 ○阿部寿一 議長 山口恒夫議員。    (28番 山口恒夫議員登壇) ◆28番(山口恒夫議員) ただいま知事からご答弁いただきました。この新型コロナウイルス感染症対策、まさにオミクロン株の特徴を踏まえた予防から治療までの様々な抜本的な対策を今進めていただいていると思っております。特にオミクロン株の特徴につきましては、今までのデルタ株に比べまして、知事もおっしゃっていた感染性、伝播性が強くなっているという特徴、それから重症化しにくい可能性も実は報告されております。そのため、医師の診断によるみなし陽性者とか、あるいは保健所がやっております積極的疫学調査による濃厚接触者の待機・隔離期間の短縮の見直しも、従来株と異なって必要であると思っています。その特性を踏まえた対策を今全力で行っていただいていると感じます。一方で、高齢者と基礎疾患のある方が重症化しやすいという新型コロナウイルス感染症の特徴に何ら変わりはございません。そのため、やはり高齢者、基礎疾患のある患者さんに対しての療養体制をお願いしたいと思っております。自宅・宿泊療養者のみならず、特別養護老人ホームなどをはじめ、高齢者施設での確実な感染防止対策、それから医療提供体制の整備をお願いしたいと思います。  先ほど知事にもまた触れていただきましたが、治療薬が昨年の末、初めて承認されました。モルヌピラビルというもので、公費負担で、現在医師の処方箋において処方可能となりました。本県でも利用されているとお聞きしていますけれども、今月に入りまして、さらに、同じ海外産ではあるものの新たな経口治療薬が承認されまして、これで中和抗体薬や重症化した場合のレムデシビルと併せて、治療薬の使い道が幅広くなったと認識しております。昨日、本県もまん延防止等重点措置の対象地域として、3月6日までの期間延長となりました。今後はさらに感染防止対策を万全に行いながら、仮に感染したとしても、適時適切な治療方法により回復できる見込みが見えてまいりました。季節性インフルエンザのようなワクチンと治療薬で対応できる体制が整いつつあると感じております。そして、国内産の治療薬、ワクチンを開発、供給できるよう、国としても現在全力で進めているようですので期待したいと思っております。  それから、もう一つ要望でございますが、先ほど本質問でも申し上げましたように、3年目を迎えた対策については、感染拡大防止と同時に社会経済活動との両立を図ることが求められております。感染性や伝播性が強いオミクロン株により、小学校や保育園など子供たち自身が新型コロナウイルスに感染して休んだり、休校、休園により保護者が休暇を取得せざるを得ない状況が起きています。そのため、国によって保護者が休暇を取得しやすいよう事業主を支援する小学校休業等対応助成金・支援金の制度が設けられました。日額上限1万3,500円、特にまん延防止等重点措置地域では、1日最大1万5,000円の助成金が事業主に支給されます。フリーランスや個人事業主なども申請できるものであります。この制度は、各都道府県の労働局に特別相談窓口が設置されておりますが、県民の皆様に十分に知られていない現状があり、多くの県民が利用しやすくなるよう、現場に近い県、市町からもこの制度の周知をご協力いただけないかと考えますので、要望させていただきます。  次の質問に入ります。ワクチンの円滑な接種に向けた取組について、保健福祉部長にお伺いいたします。3回目の接種では、接種した方が接種しない方に比べ感染するリスクや重症化する方が少ないと報告されておりますことから、県民への接種は非常に重要であります。市町から3回目接種の接種券等が送付されたら、医療機関をはじめ、県内4か所の県営接種会場、市町の集団接種会場で接種を受けられますが、今回の接種に至るまでの手続はスムーズだと伺っております。また、職域接種においても要件が緩和され、受けやすくなっていると伺っております。しかしながら、3回目接種である追加接種には、予約枠がまだまだ埋まっていないとも伺っております。  そこで、予約枠に空きが生じている原因をどう捉え、その改善に向けてどのように取り組んでいくのか、保健福祉部長にお伺いいたします。また、感染力が強いオミクロン株が主流となったことを踏まえ、これから1回目、または2回目の接種を受けたいと考える方への公費での接種が可能なのかどうか。さらに、先般、国の分科会から12歳未満の対象者に対してはワクチン接種の努力義務を適用せず、妊婦には適用する考えを示しました。これを踏まえ、ワクチン確保と円滑な接種に向けてどのように取り組んでいくのか、併せてお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 仲山信之保健福祉部長。    (仲山信之保健福祉部長登壇) ◎仲山信之 保健福祉部長 ただいまのご質問にお答えいたします。今月から65歳以上の高齢者への追加接種が本格化したものの、モデルナ社ワクチンの接種会場は県、市町ともに埋まりにくい状況にございます。オミクロン株は重症化しづらいとの認識が広まっていることや、発熱などの副反応への不安等が要因と考えられておりますことから、追加接種の有効性、安全性等につきまして積極的な情報発信に努め、接種促進を図ってまいります。また、新たに初回接種を受ける場合は、本年9月まで公費負担の対象となりますので、未接種の方にはお住まいの市町での接種をご検討いただきたいと考えております。さらに、妊娠中の方には接種の努力義務が適用される一方で、新たに接種対象となる5歳から11歳までの小児につきましては適用されないことを踏まえ、おのおのの対象者に対する有効性や安全性等の正しい情報について、丁寧な周知広報に努めてまいります。加えて、小児向けワクチンが今月下旬から供給される見込みでありますことから、希望者が円滑に接種を受けられますよう、医師会等の協力を得ながら、市町における接種体制の構築を支援してまいります。 ○阿部寿一 議長 山口恒夫議員。    (28番 山口恒夫議員登壇) ◆28番(山口恒夫議員) ただいまご答弁いただきました。実は交互接種についての先入観が原因で予約枠に空きが生じているという指摘がございました。県では、ホームページ等で交互接種の不安払拭に向けた情報を掲載されているようですけれども、県民になかなかそれが届いていないと私は感じております。例えば東京都狛江市におきましては、接種券発行前に3回目接種の案内チラシを配って、交互接種の有効性について3点周知されております。1つ目が、海外臨床研究による交互接種のほうが抗体価が上がること。2つ目は、ワクチンの種類ではなく早期接種が一番重要であるということ。それから3つ目は、モデルナ社製ワクチンの3回目接種というのは1回目、2回目の半分の量で済む。それで有効性が担保されつつ副反応は少ないことを明示してある。この3点を記載した内容をチラシとして配布した結果、1月28日の時点においては、3回目接種の希望ワクチンはモデルナ社製ワクチンが95%、ファイザー社製ワクチンが5%という結果になったということです。  そこで、保健福祉部長に再質問させていただきたいと思いますが、交互接種について、県としてさらなるワクチンの有効性、安全性の周知と円滑な接種に向けた取組を進めていただきたいと考えますが、保健福祉部長の所見を伺います。 ○阿部寿一 議長 仲山信之保健福祉部長。 ◎仲山信之 保健福祉部長 再質問にお答えいたします。本県におきます新規感染者数は高い水準で推移しておりまして、感染の防止、あるいは重症化の防止にはワクチンの接種が大変重要だということでございます。先ほど東京都狛江市からのお話もございましたとおり、追加接種に関しましては、まず、副反応につきましては第1回、第2回目の接種とほぼ同様と言われておりますし、また、交互接種につきましても必要な抗体価は十分に上がると報告がされているところでございます。このため、県民の方に早期にワクチン接種についてご検討いただけますように、先ほどもご答弁しましたとおり、新たにワクチンの有効性等について周知を図るための動画などを作成しまして周知を図ってまいりたいと考えているところでございます。  今後とも、県民の皆様に対しましては、県のホームページやSNS、あるいは県民だより等、あらゆる各種広報媒体を活用しまして、ワクチン接種の有効性、安全性等について周知を図ってまいりたいと考えております。 ○阿部寿一 議長 山口恒夫議員。    (28番 山口恒夫議員登壇) ◆28番(山口恒夫議員) 先ほどの木村好文議員の答弁でも言及されたユーチューブや動画を活用しながらということも今答弁の中にございました。  要望させていただきたいと思います。感染予防及び重症化予防の観点から、高齢者へのワクチン接種を加速させることが重要であります。国ともしっかり連携しながら、交互接種も含め3回目接種の広報を徹底し、供給体制を確保しながら進めていただきたいと考えますので、県民の理解をさらに広げる取組をよろしくお願いいたします。また、先ほど知事から、高齢者施設でのクラスターも増加していると言及されました。接種会場まで足を運べない方には、医療従事者を施設に派遣したり、あるいは医療従事者とワクチンを持ってその施設に接種に参るというワクチンバスなども活用して、先ほどおっしゃっていた巡回接種を行うことも有効であると考えます。  それから、小児用ワクチンにつきましてですけれども、12歳未満を対象に確保されるということでございます。先ほど質問でも申し上げましたが、努力義務ではない。これを誤解されている方がいらっしゃると困りますけれども、希望者への同意の下に接種は可能でありますということであります。小児用ワクチン接種には、保護者が同意の下に、小児科などの医療機関において個別接種が原則ではありますけれども、加速化させる取組になると、集団接種や場合によっては学校での接種も必要になるのではないかと考えます。対象は小学生の子供であることから、ぜひ教育委員会におきましても、接種体制の整備をよろしくお願いしたいと思います。  次の質問に入ります。後遺症対策について、保健福祉部長にお伺いいたします。昨年の代表質問での新型コロナウイルス感染症対策において申し上げました後遺症対策についてであります。新型コロナウイルス感染症から回復した元感染者のうち、一部の方は後遺症を抱え続けており、感染が収束して以前の日常が戻ったとしても、後遺症の問題は今後も社会に大きな爪痕を残すと思われます。県内の新型コロナウイルス感染者数が累計で4万人を超え、医療関係者からは、後遺症に悩む人が少なからず出てきているとも言われており、後遺症対策は大きな課題と考えます。倦怠感や味覚・嗅覚障害、睡眠障害、関節痛など症状も感染者によって様々であり、対応する診療科が医療機関によって内科、心療内科、総合診療科などと異なっていることも、県民が戸惑う一因であると考えます。神奈川県では、ホームページに後遺症に対応する県内約120の医療機関を公開し、大学病院等と連携してバックアップ体制をつくっております。  そこで、本県においても、新型コロナウイルス感染症の後遺症に対応する体制の構築が必要と考えますが、保健福祉部長の所見をお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 仲山信之保健福祉部長。    (仲山信之保健福祉部長登壇) ◎仲山信之 保健福祉部長 ただいまのご質問にお答えいたします。新型コロナウイルス感染症の後遺症につきましては、国が作成した診療の手引きによりますと、いまだ明らかになっていないことも多く、診療とケアの手順は標準化されておりませんが、多くの場合、かかりつけ医等が専門医と連携して対応できるものとされております。昨年、県が入院受入れ医療機関を対象に行った調査では、後遺症の症状は多岐にわたることから、まずは新型コロナウイルス感染症の診療に当たる医師等が一般外来で診療を行い、その症状や経過等に応じて適切な診療科を紹介しているとの回答をいただきました。加えて、県民が症状や悩みを相談でき、受診可能な医療機関を紹介してもらえる体制が必要とのご意見もいただいたところであります。  このため、県医師会等と連携して、かかりつけ医等を対象とした研修会を開催するなどしながら、まずは身近な地域で相談、受診できる体制の充実・強化に努めてまいります。 ○阿部寿一 議長 山口恒夫議員。    (28番 山口恒夫議員登壇) ◆28番(山口恒夫議員) ご答弁いただきました。要望させていただきたいと思います。東京都のあるクリニックでは、新型コロナウイルス感染症後遺症外来を開設しております。その医師からも伺ってきたのですけれども、新型コロナウイルスに感染しないことが最大の予防策ですということをおっしゃっております。残念ながら感染した場合の対策についても、後遺症外来で様々な対応をされているということでありますけれども、先ほどのワクチンの質問の中でも申し上げましたが、やはり感染予防と重症化予防の観点からワクチンの接種が有効であるということから、後遺症対策にもまず大事な点ではないかと思っております。それから、今後ますます感染者が増えることによって、新型コロナウイルス感染症が治ったとしても、後遺症で悩んでいる方が多くなることがあることから、この後遺症対策が県としても必要不可欠であると考えております。新型コロナウイルス感染症後遺症外来の医師は、窓口となって治療する場合と、さらに専門医を紹介して、その紹介先で治療する場合とあるようです。いずれにしましても、県が医療機関や大学病院などとしっかり連携し、後遺症対策につきましても対応していただくことを要望し、次の質問に入ります。  いちご一会とちぎ国体・とちぎ大会のレガシーについて、知事にお伺いいたします。昨日閉幕した北京冬季オリンピックでは、連日の日本選手の活躍に感動し、多くの国民が応援したところであります。いよいよ本年10月、本県においていちご一会とちぎ国体・とちぎ大会が開催されます。幾重にも意義深き大会であることは言うまでもありません。まず、77回を数える国体と名のつく最後の大会であること、新型コロナウイルスや自然災害の影響により近年の大会が開催延期または中止となっている中で、コロナ禍を乗り越えた新たな大会へつながるような大会としたいと私は考えております。  1月24日から30日まで日光市で開催された冬季大会では、まん延防止等重点措置が適用される中、参加者全員への事前のPCR検査、体調管理の義務化などの対策が徹底して行われた結果、会場で感染が確認されたケースはなく、冬季大会終了時での本県の成績は、スケート、アイスホッケー競技会終了時での男女総合成績(天皇杯)では第7位、女子総合成績(皇后杯)では第10位というすばらしい成績を残されました。福田知事の冬季大会後の記者会見でも、天皇杯、皇后杯獲得に向け弾みをつけることができたと言われ、さらに本大会に向け、競技力向上や環境づくりを心がけ、多くの競技で入賞を目指せるようにしたいと、国体に対する並々ならぬ思いを述べていただきました。  今年10月に開催が迫る国体本大会と障害者スポーツ大会でも、環境に配慮した大会運営を行い、脱炭素社会を目指した取組を推進するほか、花いっぱい運動や栃木の魅力、地域資源をアピールして栃木ファンを拡大したり、クーポンなどを配布し、食べ歩きや特産品などの魅力を体験したり、スタンプラリーによる県内観光周遊の促進、本県の貴重な文化資源を堪能していただくなど、様々な手を尽くし、全国から来県する全てのお客様の思い出に残る大会となるよう、行政、県民、競技団体、関係機関が一体となったオール栃木体制で最高のおもてなしの準備を進めていると伺っており、新しく完成したカンセキスタジアムで多くの選手が活躍する姿を思い浮かべますと、私も胸が高鳴っております。そして、私は今回の両大会に向けて整備された市町を含めた多くの施設を、大会のレガシーの一つとして大会後に引き継いでいかなければならないと考えております。  そこで、今後これらの施設を有効活用し、スポーツを通じた地域活性化などにつなげていく必要があると思いますが、今後の取組について、知事にお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。本県は人口10万人当たりのスポーツ施設数が全国一であるなど充実したスポーツ環境に加え、東京2020オリンピック・パラリンピックやいちご一会とちぎ国体・とちぎ大会の開催によりまして、スポーツに対する県民の機運が高まっていることを背景に、スポーツを通じた地域活性化等の取組を実施する絶好の機会にあります。また、総合スポーツゾーンをはじめ、各地域におけるスポーツ施設の整備がおおむね完了し、これらを有形のレガシーとして国体終了後も有効に活用していく必要があると考えております。このため、新たに、仮称ではありますが、とちぎスポーツの活用による地域活性化推進戦略を策定し、スポーツを生かした地方創生に取り組むことといたしました。この戦略では、する、見る、支えるといったスポーツと関わる機会の充実に向けまして、県内スポーツ施設の有効活用を図ることにより、県民のライフステージに応じたスポーツ機会の拡充をはじめ、大規模大会やスポーツ合宿等の誘致、県内観光資源とスポーツを融合させたスポーツツーリズムなどに積極的に取り組む考えであります。  また、県内外の交流人口の拡大につながるこれらの施策を効果的に進めるためには、県、市町、スポーツ団体、民間企業等が一体となって取り組むことが重要でありますことから、スポーツによる地域活性化を図る連携組織としてスポーツコミッションを設立してまいりたいと考えております。いちご一会とちぎ国体・とちぎ大会の有形無形のレガシーを継承し、本県のスポーツ振興や地域活性化、さらには魅力発信にもつなげていくことができるよう取り組んでまいります。 ○阿部寿一 議長 山口恒夫議員。    (28番 山口恒夫議員登壇) ◆28番(山口恒夫議員) ただいま知事よりご答弁いただきました。先ほどの木村好文議員のご質問にも取り上げていただいておりますけれども、ここで私の思いの一端を述べて要望とさせていただきます。昭和55年の栃の葉国体から42年が経過し、いちご一会とちぎ国体が本年開催されることになり、この間におけるレガシーも数多く残されてきたと私は感じております。かつて県内各地で開催された競技においても、例えば旧今市市(現日光市)においてホッケーが開催されたことが淵源となり、ホッケー競技が根づいてグラクソ・スミスクライン社の選手をはじめ、LIEBE栃木が日本リーグ優勝というすばらしい成績を収められました。また、旧黒羽町(現大田原市)において日本の国技である相撲が開催され、現在、県立黒羽高校が全国大会に出場されるなど、国体で開催された競技がその地に根づいているあかしであり、レガシーであると思います。  また、私は、県議会議員となりました平成19年6月の県議会質問において、未利用県有地の利活用というタイトルで、地元まちづくり協議会の要望にお応えするため、旧宇都宮競馬場跡地の利活用による地域活性化の課題を取り上げさせていただきました。あれから15年という年月が経過し、競馬場跡地は栃の葉国体の開・閉会式場となった県総合運動公園の北側に隣接することから、東側にある元運転免許試験場等と合わせて、県民総スポーツの拠点としての総合スポーツゾーンとして一体的に整備がなされたわけでございます。今回の開閉会式会場であるカンセキスタジアムが誕生したことは、知事にとっても感慨深いものと私は推察いたしております。この地がさらに栃の葉国体以上に栃木のスポーツの聖地として末永く使っていただけることが、いちご一会とちぎ国体・とちぎ大会の最大のレガシーではないかと考えます。今後、全国、さらには世界的な大規模開催会場として、国体競技が行われた県内各地のスポーツ施設が利用され、本県の地域活性化に大いにつながるよう要望し、次の質問に入ります。  LRTを基軸とした道路・交通ビジョンの実現について、知事にお伺いいたします。とちぎの道路・交通ビジョンにおいては、本県の現状と課題の一つとして、人口減少・少子高齢化が掲げられています。人口は2060年には130万人に減少すると推計されており、また高齢者の運転免許証の自主返納者数は10年間で約7倍増加していることから、今後、地域の実情に応じた多様な移動手段の確保が求められます。また、新型コロナウイルス感染症による地方移住の高まり等も踏まえ、暮らしを支え、誰もが移動しやすい交通網の確保も必要としています。本県の持続可能な交通ネットワークの構築に向けて、特にLRT、バス、地域内交通など総合的に公共交通を確保・充実させ、全ての暮らしを支える公共交通の確保・充実、拠点間の移動を支える公共交通ネットワークの確保・充実、国内外からの観光客の快適な広域周遊を実現する公共交通の利便性向上などの各種施策を推進するとうたわれています。  さて、令和5年3月開業に向けて整備が進んでおります芳賀・宇都宮LRT事業は、単に宇都宮市と芳賀町の一事業ではなく、県央地域はもとより県全域への波及効果が期待されていることから、県はその実現に向け支援を行っているものと承知しております。優先区間として、JR宇都宮駅から14.6キロメートルの東側区間の開業が控えており、いよいよ西側区間においても整備計画が示される時期と考えます。  その際、質の高い公共交通ネットワークの構築を目指す上で、南北に走るJR宇都宮線と東武宇都宮線をLRTによって結節させることが、広域的な安全・安心・快適な移動手段の確保に資する取組であると考えますが、とちぎの道路・交通ビジョンの実現に向け、知事のご所見をお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。高齢者をはじめ、県民誰もが安心して快適に暮らし、社会活動を営めるようにしていくためには、公共交通と自動車交通の連携及び適切な役割分担による総合的な交通体系の構築を図ることが極めて重要であると認識しております。このため、県では、昨年6月にとちぎの道路・交通ビジョン2021を策定し、公共交通ネットワークにおける県央地域の東西基軸としてLRTを位置づけており、総合的な交通体系の構築を図る上で不可欠であることから、宇都宮市と芳賀町に支援を行っているところであります。このような中、市からは、JR宇都宮駅西側のLRT導入に向けた具体的な検討を行っていくと聞いておりますが、まずはJR宇都宮駅東側区間を目標どおり開業させ、県民にその有用性を実感していただくことが重要であると考えております。  とちぎの道路・交通ビジョンに掲げる将来像である「誰もが、いつでも・どこでも、安全・安心・快適に移動できる持続可能な社会」を実現するためには、公共交通ネットワークの充実・強化が必要であり、そのためにLRTは不可欠なものでありますことから、県といたしましては、引き続き市と町の取組を支援してまいります。 ○阿部寿一 議長 山口恒夫議員。    (28番 山口恒夫議員登壇) ◆28番(山口恒夫議員) 知事からご答弁いただきました。まずは、計画どおり東側の優先区間でのLRTの整備を進めた上で、その有用性を実感していただくことが大事であるというお話もございましたが、県全体としてもLRT整備というのは不可欠であるということも言及された答弁でございました。  知事に再質問させていただきたいと思います。私は先日、富山市の公共交通を軸としたまちづくりを調査してまいりました。人口減少と超高齢社会の中で、過度な自動車依存は公共交通の衰退を招くことから、鉄軌道をはじめとする公共交通を活性化させ、その沿線における居住、商業、業務、文化等の都市の諸機能を集積させることを進めています。公共交通の中でも、日本初のLRTとして平成18年開業した富山ライトレールが誕生し、その後、既存の市内電車を一部延伸することにより環状線化事業として整備され、魅力ある都市景観やにぎわい、回遊性のあるまちづくりが形成されておりました。さらに、北陸新幹線を契機とした富山駅の周辺整備と軌を一にして、在来線を新幹線とともに高架化し、立体交差化させ、富山ライトレールと市内電車が南北路線で結節され、総合交通結節点としての富山駅が整備されました。路面電車南北接続により利便性が高まり、公共交通沿線の再開発が進み、都市地区をはじめ、公共交通沿線地区での人口増加及び公共交通の利用者の増加に大いに寄与している報告をされました。まさに選ばれるまち、持続性の高い都市のモデルであると感じました。  そこで、改めて知事に再質問いたします。本県におきましても、JR宇都宮線、東武宇都宮線とを結節させることは、人口減少対策にもつながる取組と考えますが、知事のご所見をお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 福田富一知事。 ◎福田富一 知事 LRTを基軸とした道路・交通ビジョン等の実現についての再質問にお答えいたします。LRTがJR宇都宮駅西側に導入され、JR宇都宮駅と東武宇都宮駅が結節することによって乗り継ぎの利便性が向上し、公共交通全体の利便性が大きく高まることや、生活の質の向上などが見込まれますが、その効果を最大限に発揮できるよう、まちづくりと一体となった取組が必要であると考えております。こうした中、LRTを導入している富山市におきましては、LRT整備に合わせ、地域拠点の活性化や公共交通沿線への居住推進などを組み合わせたまちづくり施策を実施していると聞いております。宇都宮市におきましても、LRTの西側への導入を踏まえ、LRTを核とした中心市街地等の将来ビジョンを策定し、まちづくりを推進すると聞いております。県としても、その取組を注視してまいりたいと考えております。 ○阿部寿一 議長 山口恒夫議員。    (28番 山口恒夫議員登壇) ◆28番(山口恒夫議員) 知事からご答弁いただきました。要望させていただきます。富山市の担当者と懇談した最後におっしゃっていたことが今でも忘れられません。芳賀・宇都宮LRTが令和5年3月に開業される、これを必ず見てみたい、そして乗ってみたいと言われておりました。全国のモデル事業であるこの宇都宮市、芳賀町のLRT事業は、モデル事業として注目されているのだと強く感じております。県民のみならず、県外から多くの方がこれを期待しているというのを実感したわけでございます。先ほど知事がまちづくりに言及されましたけれども、CO2削減にも寄与する、また人口減少対策、さらには中心市街地の活性化など、将来像の実現に向けたLRTの整備促進を推進していただくよう強く要望し、次の質問に入ります。  とちぎカーボンニュートラル実現に向けての家庭分野の取組について、環境森林部長にお伺いいたします。県は2050年とちぎカーボンニュートラル実現に向けたロードマップ案において、エネルギー由来である産業、交通、業務、家庭、非エネルギー由来の計5分野に分けて温室効果ガス排出削減目標を設定したところであります。今後、基準年度である2013年度の温室効果ガス排出量1,946万トンを、中間目標である2030年度には50%である973万トンへ削減し、さらに2050年には実質ゼロとする計画であります。私はかつて、平成24年2月、第310回定例会において、環境立県とちぎづくりについて、本県重点産業である環境産業への取組、電気自動車、再生可能エネルギーの推進についてお伺いしました。また、令和3年2月、第372回通常会議では、カーボンニュートラル社会の取組について、ロードマップも含めた特に力を入れる取組、国体を契機とした県民意識の醸成について質問させていただきました。質疑の中で申し上げたとおり、県民、事業者、市町などあらゆる主体と連携・協働を図り、オール栃木体制で推進することや、県民に分かりやすい誰もが参加できる取組が求められております。  中間目標の達成に向けては、各分野の目標の中でも、家庭分野における基準年度比72%の削減率が最も高く、多くの県民への分かりやすい、そして誰もが参加できる取組が求められております。県は今般、脱炭素化に取り組む県内企業などの事業者から、脱炭素化のために何をしたらよいか分からないとの声に応えるため、多くの事業者に参考にしてもらえる取組事例を紹介した脱炭素ガイドブックを作成し、取組ごとのCO2排出削減量の見える化を図りました。  そこで、事業者への取組と同様に、県民に対し、脱炭素型の生活様式、ライフスタイルへと行動変容を促す具体的な取組とその見える化を進めていくべきと考えますが、環境森林部長にご所見をお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 鈴木英樹環境森林部長。    (鈴木英樹環境森林部長登壇) ◎鈴木英樹 環境森林部長 ただいまのご質問にお答えいたします。カーボンニュートラルの実現には、県民一人一人が災害の頻発・激甚化など気候変動による影響を自分事と捉え、温室効果ガス排出量の削減に向けた具体的行動を実践していくことが重要であると考えております。このため、ロードマップでは家庭部門における取組の柱といたしまして、脱炭素型ライフスタイルへの転換を掲げることといたしました。新年度は、こうした理念を盛り込んだ新たな条例の制定に取り組みますとともに、身近な取組事例とメリットなどをまとめた県民向けの脱炭素ガイドブックや、県内プロスポーツチームと連携した啓発動画、次の時代を担う子供たちに向けた学習教材の作成等を進めてまいります。これらのツールを活用いたしまして、ワークショップなど県民参加型のイベントやSNS等での発信を行うなど、分かりやすく効果的な普及啓発活動を幅広く展開し、県民の行動変容につなげてまいる考えでございます。  今後とも、市町や関係機関と連携を図りながら、県民の脱炭素型の生活様式への転換とその定着に積極的に取り組んでまいります。 ○阿部寿一 議長 山口恒夫議員。    (28番 山口恒夫議員登壇) ◆28番(山口恒夫議員) 環境森林部長よりご答弁いただきました。ここで、再質問したいと思います。答弁いただきました中に、県民に対して脱炭素型の行動変容を促すことは県民のカーボンニュートラルに対する意識を向上させるというようなお話がございました。そこで、それらを活用すべきと考えますけれども、環境省が進めるゼロカーボンパークという取組があります。ゼロカーボンパークとは、電動車や再生可能エネルギーの活用などのカーボンニュートラルのお手本となる取組によって、国立公園を訪れる方々に脱炭素型の持続可能なライフスタイルを体験していただくことを目的としております。先般、全国3番目のゼロカーボンパークとして、日光国立公園内にある那須塩原市の塩原、板室両温泉地区が登録されました。ゼロカーボンパークでの体験が県民の日常生活にも、また県民意識の向上にも寄与するものと考えられますので、多くの県民に体験していただくためにも、日光国立公園内の他の市町への波及を促進すべきと考えますが、環境森林部長のご所見をお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 鈴木英樹環境森林部長。 ◎鈴木英樹 環境森林部長 再質問にお答えいたします。日光国立公園満喫プロジェクトの新たなステップアッププログラム2025におきましては、脱炭素・循環型の国立公園を目指すべき姿として掲げまして、EVなどの次世代型自動車でありますとか、再生可能エネルギーの活用等に取り組むこととしております。ご指摘の市町におけますゼロカーボンパークの取組は、今申し上げましたような地域における様々な取組の加速化につながるものと考えております。また、多くの県民の皆様にとってのカーボンニュートラルの実現に向けた機運の醸成にもつながる取組であると考えております。このようなことから、県では現在、日光国立公園を有します市町に対しまして、このゼロカーボンパークへの登録に向けた働きかけを行っているところでございます。  今後は、登録を目指す市町が早期にその登録を実現できますように、県が窓口となりまして環境省との連絡調整を行いますとともに、実際の登録には様々な要件がございますので、その要件を満たすような取組について具体的にご提案申し上げるなど、それが実現できるように積極的に支援してまいります。 ○阿部寿一 議長 山口恒夫議員。    (28番 山口恒夫議員登壇) ◆28番(山口恒夫議員) 環境森林部長よりご答弁いただきました。まさに県民のカーボンニュートラルに対する意識の向上につながるよう、ぜひゼロカーボンパークの取組も生かしていただければと思います。  要望させていただきます。ご説明がありました環境に配慮した取組は、他の観光地との差別化にもつながり、誘客にも大きなメリットが期待できます。さらに、県内の観光地全体のイメージアップにもつながりますので、県の取組に大いに期待しております。国においては、新年度から5か年計画で環境に配慮した行動による個人の温室効果ガスの削減量を見える化する実証事業を始める予定でもあります。AIなどのデジタル技術を使い、個人の排出量を客観的に証明するシステムを構築するもので、削減量に応じて金銭的なポイント、グリーンポイント制というものを付与し、国民に脱炭素型のライフスタイルへの転換を促す目的で行われます。  新年度予算18億円を計上し、10万人規模で節電や公共交通利用を促進するなど、2050年までに排出量を実質ゼロにする目標達成には、国としても個人のライフスタイルの転換が不可欠であると判断されておりますので、国の取組も参考にしながら、県は県民に対し具体的な個人の温室効果ガスの削減量について見える化を進めていただくことを要望し、次の質問に入ります。  デジタル人材の確保について、総合政策部長にお伺いいたします。昨年、私はデジタル社会構築に向けた取組の質問を行い、とちぎデジタル戦略において、地域が抱える課題を誰でも投稿でき、宇都宮大学を中心に、市町や企業、NPOなど多くのプレーヤーと連携・協働して解決につなげていくとちぎデジタルハブの取組について、また、GIGAスクール構想におけるICTを活用した指導力の向上が不可欠であることから、ICT支援員の配置や授業改善に向けた研修の充実の取組について答弁いただきました。  さて、令和3年3月に策定したとちぎデジタル戦略では、4つの戦略を掲げております。そのうちの戦略3の中には、「デジタル人材を育てる・呼び込む」とあります。先ほどのデジタルハブの取組やICT支援員の配置、授業改善に向けた研修の充実等、あらゆる取組にとってデジタル人材の確保が重要であります。  そこで、戦略に位置づけているデジタル人材の育成・呼び込みをどのように行っているのか、具体的な取組について、総合政策部長にお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 阿久澤真理総合政策部長。    (阿久澤真理総合政策部長登壇)
    ◎阿久澤真理 総合政策部長 ただいまのご質問にお答えいたします。豊かで暮らしやすい社会の実現に向け、昨年度策定いたしましたとちぎデジタル戦略におきましては、デジタル人材の育成と呼び込みを柱の一つに掲げたところであります。人材の育成に関しましては、デジタルトランスフォーメーションの牽引役となるべき自治体職員に対する意識変革研修などのほか、教職員を対象とするICT教育の実践に必要なタブレットの活用研修などを実施しております。また、とちぎビジネスAIセンターでは、相談会やワークショップ等を通じ、自社業務でAI等を活用できるスキルを持つ人材の育成を支援しているところであります。さらに、人材の呼び込みに関しましては、本県が活躍の場として選ばれるよう、IT企業等も含めた本社機能や研究開発機能の移転、サテライトオフィスの設置に対し、引き続き助成を実施してまいります。  今後とも、これらの取組を積極的に展開し、デジタル人材の確保に努めてまいります。 ○阿部寿一 議長 山口恒夫議員。    (28番 山口恒夫議員登壇) ◆28番(山口恒夫議員) それでは、再質問させていただきます。育成についてはかなり力を入れていらっしゃると感じているのですけれども、呼び込みについても、サテライトオフィスへの支援ということで言及されました。そこで、この呼び込む取組の中で、特に今般発表されました2020年国勢調査によりますと、本県では、30歳から44歳の独身者である男性が女性を超過している割合が全都道府県の中で最も高いことが分かりました。若い女性の県内転入の少なさがその一因であるということであります。県外から県内に若い女性を呼び込むためには、魅力ある雇用の創出、移住希望できる環境づくりが課題であると思います。  そこで、総合政策部長に再質問いたします。本県がデジタル人材の活躍の場として選ばれるよう、デジタルの素養を持つ若い世代の女性をターゲットとして移住促進を図ることで、県内デジタルトランスフォーメーション推進を担う人材の確保が期待できるのではないかと考えますが、総合政策部長にご所見をお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 阿久澤真理総合政策部長。 ◎阿久澤真理 総合政策部長 再質問にお答えいたします。新型コロナウイルスの感染拡大などによりまして、テレワークの動きが急速に全国に広がっております。国の調査によりますと、情報通信業、また専門技術サービス業などのテレワーカーの占める割合が高いとなっております。このため、本県では東京圏のIT企業などをターゲットとして、本県のすぐれたテレワーク環境などをPRして効果的な取組を進めてまいりたいと考えております。特に今ご指摘のありました若い女性の呼び込みにつきましては、本県で暮らすことの幅広い魅力などを積極的に、具体的に発信していく取組を今後一層強化してまいりたい。それによって女性の活躍の場として選ばれるとちぎとなるように努めてまいりたいと考えております。 ○阿部寿一 議長 山口恒夫議員。    (28番 山口恒夫議員登壇) ◆28番(山口恒夫議員) ご答弁いただきました。最後に要望させいただきますけれども、昨年末、政府はデジタル人材による地方活性化を目指すということで、デジタル田園都市国家構想実現会議において、デジタル化を推進する人材を2020年度から5年間で230万人確保するという方針を明記しました。そこには、デジタル機器に不慣れな高齢者らをサポートするデジタル支援員を2022年度に1万人以上確保すると明記されております。2021年度補正予算、2022年度当初予算に、自治体向け交付金など含めて総額5.7兆円の関連事業を盛り込んでおります。さらに、閣議決定されたデジタル社会の実現に向けた重点計画においては、女性のデジタルスキル向上や、就労支援に地方自治体が活用できる地域女性活躍推進交付金が計上されており、この交付金を活用した自治体の中で、長野県塩尻市が取組を行っております。家で働くという意味から名づけたKADO(かどう)という就労支援の取組でありますが、国のテレワーク支援策を活用し、独り親や子育て中の女性、障害者などをデジタル人材として育成するもので、6年間で就労人数が8倍に増加し、そのうち9割が女性であります。このように、本県が若い世代の女性をターゲットとして明確化して、デジタルの素養があるテレワーカーを呼び込むことで、女性の移住促進とともに、県内のデジタルトランスフォーメーションの推進を担うデジタル人材としても活躍が期待できるものと考えますので、ぜひともご推進のほど、よろしくお願いしたいと思います。  最後になります。不妊治療に係る県の対応について、保健福祉部長にお伺いいたします。さて、本年は、直面する諸課題を乗り越え、重点的に取り組むべき戦略として策定された栃木県重点戦略とちぎ未来創造プランの2年目になります。プランの冒頭には、経済や暮らし、まちづくりなど、全ての活動の原動力は人であることから、人材育成戦略を第1の柱とし、笑顔輝く子ども・子育て支援プロジェクトを設定し、結婚、妊娠、出産、子育ての希望をかなえるため、社会全体で子供たちを育てる環境づくりを推進することとしております。県政の基本は人づくりであります。子供は次代を担う社会の宝であり、未来の希望です。  公明党は、人づくりの根幹である子育て、教育を国家戦略と据え、コロナ禍により少子化の加速が進む中、子供に関する取組、政策を社会の中心に捉えて、健やかな成長を社会全体で後押しする施策の充実を推進しております。2006年、党として少子社会トータルプランを策定し、妊娠・出産への支援、教育費の負担軽減などプランに基づく政策を着実に具現化してまいりました。1998年、党の政策として不妊治療の保険適用の実現を掲げ、2000年には人工授精や体外受精への保険適用を求める署名活動を展開し、さらに、2004年から国の治療費助成制度により助成金額や対象者を拡充してきました。このたび閣議決定がなされ、新年度4月より実施される予定となりました。  本県では、既に不妊治療について2004年からスタートし、助成上限額の引上げなど助成内容の充実を図りながら進めてこられたと伺っておりますが、助成事業から公的な保険適用に移行することによりどのような効果があると考えられるのか、また、より多くの県民が不妊治療を受けやすくするためには、県はどのように対応していくのか、保健福祉部長にお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 仲山信之保健福祉部長。    (仲山信之保健福祉部長登壇) ◎仲山信之 保健福祉部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県ではこれまで、体外受精や顕微授精等の不妊治療に要した費用に対して助成を行うほか、栃木県不妊専門相談センターを開設するなど、各種不妊対策に取り組んでまいりました。このような中、本年4月から不妊治療に対し公的医療保険が適用されることになり、治療を受ける方の経済的負担のさらなる軽減や不妊治療の質の平準化等が期待されております。県といたしましては、円滑な制度移行に向け、保険対象となる治療内容や要件等に関する情報を広く周知いたしますとともに、現在治療中の方々が不安なく治療を継続できるよう、移行期における県の助成制度の取扱い等について情報提供の徹底を図ってまいります。また、栃木県不妊専門相談センターにおきましても、保険適用に係る各種相談に応じるなど、不妊治療に不安を感じる方々に対し、適切な支援に努めてまいります。 ○阿部寿一 議長 山口恒夫議員。    (28番 山口恒夫議員登壇) ◆28番(山口恒夫議員) 再質問までは時間がございませんので、要望とさせていただきます。先ほど県の助成制度から保険適用になった場合の移行期、3月から4月をまたいだ場合の周知などはきちんと徹底していただきたいと思います。今までの自由診療から保険適用になることによって個人の負担が軽減されることは間違いございません。金額によって若干負担が増えるのではないかという疑問がある方もいらっしゃるようですけれども、高額療養費制度が使えますので、保険適用後は、さらに負担が軽減すると思っております。原則3割負担で、高額療養費制度を使うことによって自己負担が軽減するということであります。  そこで要望でございますけれども、晩婚化などを背景に不妊治療を希望する方が増えており、経済的な負担を理由に諦めるケースも少なくありません。保険適用による負担軽減は、子供を授かりたいとの希望をしっかり支える意義があると思います。一方で、厚生労働省の調査によると、仕事と治療の両立が難しいと考えている方が9割近く存在すると言われており、通院回数の多さや精神的負担の大きさが指摘され、不妊治療に対する職場の理解促進が求められています。そのため、治療に係る休暇制度も必要であると認識しており、利用しやすい職場環境づくりも重要であると考えます。その点、県におきましては、不妊治療の休暇制度として、年間最大10日間取得できる制度を創設されたと伺っております。大田原市や栃木市でも休暇制度を導入されており、より利用しやすい制度とするためには、自治体の制度をリード役として、県内の中小企業や小規模事業者への普及促進につなげていく必要があります。少子化の時代の中、県は不妊治療に対する最大限の支援をよろしくお願いしたいと思います。  さて、今回の質問は、コロナ禍を一日も早く克服し、社会経済活動がV字回復できるよう、経済の再生へ向けたグリーン化やデジタル化の成長分野を原動力に推進し、国体の開催、少子高齢化に対応するための取組について代表質問させていただきました。  以上で私の全ての質問を終わります。ありがとうございました。 ○阿部寿一 議長 この際、休憩したいと思います。午後1時35分から再開いたします。議事はただいまの継続議事であります。  休憩いたします。     午後0時35分 休憩             ――――――――――――――――――――――――――――― ◎大橋哲也 事務局長 出席議員数を報告いたします。  ただいまの出席議員数は29名であります。             ―――――――――――――――――――――――――――――     午後1時35分 開議 ○阿部寿一 議長 ただいまから会議を開きます。議事は休憩前の継続議事であります。発言通告者に対し、発言を許します。保母欽一郎議員。    (25番 保母欽一郎議員登壇) ◆25番(保母欽一郎議員) 県民クラブの保母欽一郎でございます。県民クラブを代表して質問させていただきます前に、コロナ禍が2年以上続く中、献身的に対応に当たってくださっております医療・福祉関係の皆様、そして、大変厳しい環境に置かれながらも、県が要請する制限に対し真摯にご協力いただいている事業者の皆様、さらには、社会を支える多くのエッセンシャルワーカーのご尽力に対し、心より深く感謝と敬意を表します。まん延防止等重点措置は延長されることになりましたが、県民の皆様には、何とぞ引き続きのご協力をよろしくお願い申し上げます。  それでは、これより会派からの要望、地元栃木市の皆様の声、そして私なりの知見を交え、栃木の安全・安心を守り、栃木の未来をつくるとちぎ創生をテーマとして、知事はじめ執行部の皆様に質問させていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。  まず初めに、県の財政状況と今後の財政運営について、福田知事にお伺いいたします。福田知事は、2年連続1兆円を超える1兆86億円の令和4年度当初予算を編成されました。知事は、当初予算案を「いちご一会とちぎ開化予算」と命名し、最優先課題である新型コロナウイルス感染症対策、本格始動の年となる脱炭素化やデジタルトランスフォーメーションの推進、そして10月に開催予定のいちご一会とちぎ国体・とちぎ大会の成功に向けた取組に重点を置くと表明されたのであります。一方で、予算編成の基となる県の財政状況に目を向けますと、近年、経常収支比率が高水準で推移して財政の硬直化が進み、財源不足も毎年続いております。また、県債残高も年々増加し、とちぎ行革プラン2021で示した残高抑制目標の6,013億円を超え、増加傾向にあります。そして、県の貯金に当たる財政調整的基金残高は年々減少しており、令和3年度は、主に法人関係税の増収と国の交付税の増額で一時的に基金残高が増えたものの、中期財政収支見込みでは基金残高の減少が続く状況となっております。  そこで、知事は県の財政状況をどのように受け止め、今後の財政運営についてどのように考えているのか、お聞かせ願います。 ○阿部寿一 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまの保母議員のご質問にお答えいたします。本県の財政は経常収支比率が高水準で推移し、県債残高が増加傾向にある中、令和4年度当初予算におきましては、企業業績の改善に伴い県税収入等が増加する一方で、高齢化の進行に伴う医療福祉関係経費の増加等により94億円の財源不足が生じるなど、厳しい状況にあると認識しております。さらに、先頃公表した令和4年度から令和8年度までの中期財政収支見込みにおきましては、各年度におきまして80億円から90億円台の財源不足が見込まれるとともに、新型コロナウイルス感染症の動向によりましては、税収減等から財源不足がさらに拡大することも懸念されます。また、これらの状況におきましても、今後、大規模な災害等に直面した場合には、単年度の収支にとらわれることなく弾力的な対策を講じる必要もあるため、毎年度の予算編成や執行において徹底した歳入歳出の見直しを図りながら、財政調整的基金の涵養へと着実につなげていくことが重要であります。  このため、県では、とちぎ行革プラン2021に基づき、県税を中心とした自主財源の確保や国庫補助金の積極的な導入等を図りながら、選択と集中による事務事業のスクラップ・アンド・ビルドを一層推進するなど、歳入規模に見合った歳出構造への転換を中期的に進めてまいる考えであります。あわせて、県債につきましても、毎年度の発行額に留意するとともに、発行に当たりましては、財政措置のある有利な県債や低金利のメリットを生かした超長期債を活用するなど、将来負担を見通しながら財政運営を進めてまいります。  今後とも、中期的な視点に立ち、財政の健全性の確保に努めながら、持続可能な行財政基盤の確立を図ってまいります。 ○阿部寿一 議長 保母欽一郎議員。    (25番 保母欽一郎議員登壇) ◆25番(保母欽一郎議員) ただいま知事より説明いただきましたが、私は今後の財政運営において、新たな自主財源を生み出していくことが極めて重要であると考えております。財政の硬直化が進み、社会保障費と県有施設や公共インフラの老朽化に伴う改良事業費、維持経費が増加していく中においては、集中と選択や行政コストの削減、依存財源に頼るだけでは限界があると考えるからであります。  そこで、知事に再質問でございますが、知事も歳入の確保に全力で取り組むとされ、自主財源の確保についても触れられておりますが、新たな自主財源を生み出す取組についてどのような考えを持たれておられるのか、お聞かせ願います。 ○阿部寿一 議長 福田富一知事。 ◎福田富一 知事 自主財源の確保についての再質問にお答えいたします。県税の確保と税外収入の確保と2点にわたって申し上げたいと思います。まず、県税収入につきましては、令和4年度は、おかげさまで法人関係税の伸びなどによりまして180億円増の2,560億円を見込んでおりますが、今後の財政運営につきましても県税をしっかり確保してまいりたいと考えております。このため、企業立地の促進、カーボンニュートラルを契機とした産業構造の転換、稼げる農林業の展開などを通じまして、県内経済を成長させてまいりたいと思います。また、市町と連携しながら個人県民税の徴収や県民サービス向上の一環としてのICTを活用した納税しやすい環境整備などを推進しながら、県税収入の確保を図ってまいりたいと思います。  一方で、税外収入につきましては、大宗を占める県税収入をしっかり確保していくことが重要と考えておりますので、今申し上げましたような税収確保の取組の推進を図ってまいりますし、また税以外の収入源としては、県有財産における空きスペースや未利用地の貸付け等に取り組むとともに、県が所有する基金の債券による運用を進めるほか、新たなネーミングライツの導入等についても検討してまいりたいと考えております。  引き続き、行革プラン2021に基づきまして、歳入の確保に努めながら持続可能な行財政基盤の確立を図ってまいりたいと思います。 ○阿部寿一 議長 保母欽一郎議員。    (25番 保母欽一郎議員登壇) ◆25番(保母欽一郎議員) 質問時間の関係がありますので要望とさせていただきますが、これからの行政は、自ら財源を生み出すことが問われる時代になると考えます。知事は、令和3年度の県税収入が当初見込みより大幅増になったことを、神風が吹いたと表現されております。まさに言い得て妙であり、反対に減少となっていれば、財政状況はさらに悪化し、今後の県政運営や未来への投資にも影響を及ぼしかねないわけであります。県税収入や地方交付税などは、その時々の社会経済の状況や政治の動向に左右されるものであり、財政基盤が安定しなければ、攻めの県政運営は図れないのであります。そのためにも、県は新たな自主財源の確保にもっと積極的に取り組むべきと考えるのであります。  そこで、知事に新たな自主財源を生み出すためのプロジェクトチームを庁内に編成し、企業的行政経営に着手することを要望いたします。県は、これから国家プロジェクトであるグリーン成長戦略とデジタル戦略に呼応して計画を進めていくわけであります。その取組の中にも、新たな自主財源を生み出せる宝の山が多数あると思うのであります。この千載一遇のチャンスを生かすためにも、新たな自主財源を生み出す特命チームを編成し、企業的行政経営に力を注ぐことを要望して、次の質問に入ります。  それでは、新型コロナウイルス感染症対策について、保健福祉部長にお伺いいたします。県は、昨年の11月末に新型コロナウイルスの新たな感染拡大に備えるため、今までの検証と教訓に基づき、第5波の2倍程度の感染力に対応が可能となる新たな保健・医療提供体制確保計画を立てました。その目的は、感染拡大時においても、陽性となった全ての患者が速やかにかつ継続して保健所や医療機関から健康観察や必要な医療が受けられる体制を維持構築するというものでありました。しかしながら、第6波のオミクロン株は感染力が強く、県の新たな計画で策定した第5波の2倍どころではなく4倍の感染力となり、1日の感染者数が1,000名を超えるなど、計画の想定をはるかに超える状況となっているのであります。  また一方で、オミクロン株は重症者が少なく、軽症者や無症状者が多いことから、県が計画した病床の確保数で高止まりとなりながらも何とかしのげておりますが、その余波として、感染者の自宅療養者数が、第5波ピーク時の1,500名をはるかに超え、7,000名余りにまで達したのであります。そして、家庭内感染や職場感染、学校での感染が拡大するとともに濃厚接触者も増加し、エッセンシャルワーカー不足による社会的機能の維持に対する新たな課題が生じたのであります。  そこで、県は、計画の想定をはるかに超えた自宅療養者と家庭内感染の拡大抑止にどのような対策を講じていくのか、お聞かせ願いたいと思います。 ○阿部寿一 議長 仲山信之保健福祉部長。    (仲山信之保健福祉部長登壇) ◎仲山信之 保健福祉部長 ただいまのご質問にお答えいたします。今般の第6波におきましては、計画策定時の想定を大きく上回り、自宅療養者が約7,000人にまで増加していることから、職員の増員や看護師の派遣等によりまして保健所の体制を強化し、重症化リスクの高い患者等に対して重点的に健康観察を行うほか、電話診療や往診、訪問看護、薬剤提供体制の活用、市町とも連携した生活支援などにより、自宅療養者が安心して療養できるよう取り組んでまいりました。また、家庭内感染の拡大抑止に向けましては、家庭内における感染対策の実践を要請するほか、家庭内に感染を持ち込まないことが重要でありますことから、マスクを外し長時間会話する可能性のある飲食の場における感染リスクを下げる取組や、職場や学校等における基本的な感染対策の徹底を呼びかけてきたところであります。  今後とも、オミクロン株の特性や県内の感染状況を踏まえた必要な対策を適時適切に講じてまいります。 ○阿部寿一 議長 保母欽一郎議員。    (25番 保母欽一郎議員登壇) ◆25番(保母欽一郎議員) ただいま保健福祉部長より答弁をいただきましたが、私は、知事が会見で、要である保健所が飽和状態にあり、高齢者の感染抑止対策が後追いになっていると発言されましたように、自宅療養者と家庭内感染抑止対策に問題を感じております。特に心配しておりますのが、高齢者への感染拡大であります。高齢者の感染は重症化リスクが高く、現在の新型コロナウイルス感染症入院患者数と感染者死者数は圧倒的に高齢者の割合が多く、増加しているのであります。  そこで、保健福祉部長に再質問いたします。高齢者への感染は、同居世帯での家庭内感染と高齢者施設での感染が多いと伺っております。しかしながら、家庭内での感染抑止対策などを目的とした宿泊療養施設の確保は県の計画目標数にいまだ届いていなく、宿泊療養者数の推移を見ても入所者が少ない状況に思えます。また、重症病床の入院患者数が少ない中において死者数は増加しており、高齢者の割合が高いのは、入院条件や高齢者施設などの感染抑止対策に課題があるのではないかと考えますが、保健福祉部長の見解をお聞かせ願います。 ○阿部寿一 議長 仲山信之保健福祉部長。 ◎仲山信之 保健福祉部長 ただいまの再質問にお答えいたします。これまで高齢者施設における感染防止対策といたしましては、感染対策マニュアルを周知するとともに、施設における感染症対策研修の実施への支援などを行ってきたところであります。また、施設におきまして感染が発生した場合に、発生施設支援チーム、あるいは応援職員を派遣する体制を構築したり、感染拡大防止を図るため簡易陰圧装置の設置助成なども行ってきたところであります。今般、高齢者施設におけるクラスターが多発していることを踏まえまして、高齢者施設に対する巡回接種や高齢者施設団体等との対策会議を開催し、感染防止対策の徹底を図ることとしたところでございます。高齢者につきましては、重症化しますと重篤になる可能性がございますので、あわせましてワクチン接種の迅速化を進めまして、高齢者の重症化を防ぎたいと考えております。 ○阿部寿一 議長 保母欽一郎議員。   (25番 保母欽一郎議員登壇) ◆25番(保母欽一郎議員) 想定を超える感染者数となっている状況の中、保健所が飽和状態となり、検査も追いつかず、検査キットも不足して、ブースター接種も遅れているわけですので、大変苦心、苦労しているのは分かっております。自宅療養者がここまで拡大し、高齢者の感染が拡大している現状においては、高齢者の同居世帯と高齢者施設への感染抑止対策の強化、ブースター接種の促進対策をいかに施すかが現下の最優先課題になると考えます。  そこで要望させていただきますが、高齢者と同居世帯の感染抑止対策としては、自宅療養者が発生した場合、可能な限り感染者を宿泊療養施設へ誘導し、そのためにも宿泊療養施設の確保を促進していただきたいと思います。そして、高齢者施設においては、入居者のブースター接種を促進するとのことでございますが、すぐには完了できないわけであります。職員スタッフの検査キットの確保と検査の徹底と強化を図っていただきたいと思います。そして、高齢者の合併症による死者が増えております。早期治療と早期入院体制の強化を図り、ブースター接種の促進に全力を挙げていただくよう要望させていただきます。  ここで、保健福祉部長にもう1点要望させていただきます。入院医療機関の重篤患者に対する家族の面会についてであります。コロナ禍において入院医療機関の皆様が院内感染に細心の注意を払われていることは承知しております。しかしながら、一方で、コロナ禍でお亡くなりになられたご遺族、ご家族の方々から私の下に、母の死期が近づいているのに家族の面会がなかなかさせてもらえない、みとりもほとんどさせてもらえず、死に目にも会うことができなかったなどの悲痛な叫びと嘆きが多数寄せられているのであります。入院患者と家族の最期の別れ、今生の別れにおける家族のみとりは、心に一生残る極めて大切なかけがえのない時間でありますので、最大限の配慮を切に願うものであります。そして、重篤患者と家族の面会によるクラスターの発生事例は、今まで聞いたことがありません。家族の面会に際しては、医師同様の感染対策を施すなど検討の余地はあるものと考えます。コロナ禍ですから、全ての入院患者の面会を求めるのではありません。ぜひ遺族の叫び、家族の思いを踏まえ、入院医療機関との協議の場において、重篤患者と家族の面会について特段の配慮、緩和をしていただく要請を切にお願い申し上げ、次の質問に入ります。  続きまして、県の2050年とちぎカーボンニュートラル実現ロードマップの策定責任者である環境森林部長にとちぎカーボンニュートラル実現に向けた電動車の普及促進についてお伺いいたします。県は、国の2050年カーボンニュートラル実質ゼロ宣言を受け、いち早く、県の2050年カーボンニュートラル実現に向けたロードマップを策定し、新年度が本格始動の年となります。ロードマップでは、2030年度までの温室効果ガス削減目標を、国の削減目標46%を上回る2013年度比50%に設定して、エネルギーの地域内循環と脱炭素化の動きを県内産業の成長につなげることを目指し、分野別に温室効果ガス削減目標を掲げ、4つのプロジェクトを重点に取り組んでいくこととしております。分野別では、県全体の温室効果ガス排出量の25%を占める交通分野が、排出量を2030年度までに436万トンから251万トンに削減する目標を示しており、電動車の保有台数を現在の16.2%から60%に引き上げる目標を掲げております。  そこで、県は電動車の普及促進についてどのような施策を講じていくのか、お聞かせ願います。 ○阿部寿一 議長 鈴木英樹環境森林部長。    (鈴木英樹環境森林部長登壇) ◎鈴木英樹 環境森林部長 ただいまのご質問にお答えいたします。カーボンニュートラルの実現に向けましては、電動車、とりわけEVなど走行時に二酸化炭素を排出しないゼロエミッションビークル、いわゆるZEVの導入を加速していくことが重要でございます。一方、県民へのアンケート調査の結果では、車両の価格や航続距離、充電設備などのインフラ不足に対する懸念の声が上がっております。このような中、新年度は、国の補助制度の拡充によるガソリン車との価格差の縮小、メーカーによる車両性能の向上やインフラ整備などZEV普及に向けた環境整備が進みますことから、こうした動向をいちご一会とちぎ国体・とちぎ大会などの機会を通じまして効果的に発信するなど、一層の普及啓発に努めてまいります。さらに、県公用車に引き続きEVを導入いたしますとともに、さらなる計画的な導入を図るための調査を行うほか、自動車販売会社などと連携しながら、消費者の購買動向などの調査分析を進め、インフラ整備を含めたさらなる普及促進策を検討していく考えでございます。  今後とも、市町や関係業界等と連携しながら、ロードマップに掲げた目標達成に向けて積極的に取り組んでまいります。 ○阿部寿一 議長 保母欽一郎議員。    (25番 保母欽一郎議員登壇) ◆25番(保母欽一郎議員) それでは、環境森林部長に再質問をさせていただきます。ただいま環境森林部長より説明にもありましたが、自動車メーカーの世界的潮流から、電動車の普及割合は、県内においてもEV車の普及が加速していくものと私は考えております。そして、EV車の普及と一体で必要になるのが充電設備の普及であります。現在、EV車の普及促進には購入費に対する国の補助制度がありますが、EV車の購入で必要となる普通充電設備においては補助制度はございません。そして、県の新年度予算を見ても計上されていないのであります。  私は、地元栃木市の皆様とEV車の購入について意見交換をしたことがあります。その中の意見として一番多かったのが、EV車の購入金額が以前よりも安くなり求めやすくなったのでありますが、普通充電器設置への補助制度があれば、もっと購入しやすく普及が進むのではないかという意見でございました。私もそのとおりだと思っております。  そこで、県は、EV車の普及促進に向けた自宅や事業者の普通充電設備の補助制度についてどのように考えているのか、お聞かせ願います。 ○阿部寿一 議長 鈴木英樹環境森林部長。 ◎鈴木英樹 環境森林部長 再質問にお答えいたします。今ご指摘いただきましたように、EVのインフラにつきましては、自宅でありますとか職場など滞在時間が長時間にわたる場所に適した普通充電器と、それから道の駅など比較的滞在時間が短い施設に向いている急速充電器の2つがございます。これらをバランスよく普及させていくことがEVの普及促進にもつながると考えております。県では、平成25年度にEV・PHV充電インフラ整備ビジョンを策定いたしまして、これに基づいて市町や事業者等と連携しながらその普及に努めてまいったところでございますけれども、その策定当時と比べますとEVの普及もかなり進んでまいりましたし、また航続距離、EVの性能そのものも相当向上してきておりまして、インフラ整備をめぐる環境につきましても大きな変化が生じていると認識しております。  このため、県では、先ほど申し上げましたように、ユーザーの購買動向などを踏まえた新たな普及促進策を検討することとしておりますので、この中でEV・PHV充電インフラ整備ビジョンにつきましても内容の検証を進めてまいりたいと考えております。 ○阿部寿一 議長 保母欽一郎議員。    (25番 保母欽一郎議員登壇) ◆25番(保母欽一郎議員) 私は、電動車の普及促進を自動車メーカーや、今お話がありましたけれども市場頼みで進めることはよくないと思うのであります。EV車の普及促進には充電設備の促進が一体なのであります。これから県も公用車のEV化を進めることになるわけでありますが、相当な充電設備の設置が必要となり、公費もかかるのだと思います。県民がEV車を購入する際にも普通充電器の設置が必要となり、費用がかかるのであります。充電器設置の補助制度はEV車の普及促進には欠かせないものと考えます。また、今後、県内の市や町でも取組を検討されるかもしれませんが、市や町によって補助制度に隔たりが起きるのはよくありません。県も予算措置を図り、市や町と一体となって普通充電器設置の補助制度を進めることを要望いたしまして、次の質問に入らせていただきます。  続きまして、警察本部長に、県民の安全・安心に向けた重点抑止犯罪対策についてお伺いいたします。栃木県における刑法犯認知件数は近年減少傾向にあり、県民生活の安全・安心にとり、良い傾向となっております。一方で、犯罪の中身について目を向けますと、昨年は住宅を対象とした空き巣、忍び込みなどの窃盗事件や自動車の盗難事件が増加しております。また、高齢者をターゲットにしたオレオレ詐欺などの特殊詐欺犯罪は手口が巧妙化し、令和3年度の被害額が2億7,137万円に及ぶなど、いまだ後を絶たず高止まりの状態にあります。県警察本部では、これらの犯罪を重点抑止犯罪と位置づけ対策の強化に乗り出したわけであります。  そこで、住宅地域の窃盗事件と高齢者をターゲットにした特殊詐欺に対してどのような対策を講じることが有効な手だてであると考えているか、お聞かせ願いたいと思います。 ○阿部寿一 議長 野井祐一警察本部長。    (野井祐一警察本部長登壇) ◎野井祐一 警察本部長 ご質問にお答えいたします。県警察では、特殊詐欺、住宅対象窃盗、自動車盗等を重点抑止犯罪に指定し、検挙と抑止の両輪でその撲滅に取り組んでおります。住宅対象窃盗等については、抑止対策として被害に遭わないための情報発信や具体的な対策、方法の周知を行っております。また、防犯カメラは被害の未然防止に加えて、犯罪発生時の的確な対応に極めて有効でありますことから、防犯カメラの設置促進に向けた働きかけも対策の一つとして取り組んでおります。特殊詐欺につきましては、防犯機能付電話機の普及促進と高齢者の抵抗力強化を抑止対策の2本柱とし、各種対策を継続して推進しております。特に県内でこれまで確認された中では、防犯機能付電話機を設置した方が被害に遭われてはおりませんので、その有効性は高いものと認識しているところです。  引き続き、関係機関・団体等と連携し、官民一体となって安全で安心な栃木の実現に向けて取組を推進してまいります。 ○阿部寿一 議長 保母欽一郎議員。    (25番 保母欽一郎議員登壇) ◆25番(保母欽一郎議員) ただいま、警察本部長より有効な手だてについて聞かせていただきました。住宅地域の窃盗対策では、会派から以前より要望しております防犯カメラの設置が犯罪抑止と早期犯人検挙の両面から有効となり、高齢者をターゲットとした特殊詐欺対策では、犯人の手口のほとんどが家庭の固定電話によることから、固定電話への撃退録音装置の取付けが有効になるわけであります。  ここで、その両対策を県警察とともに進めている県民生活部長に再質問させていただきます。以前にもこの質問をさせていただき、両対策について要望させていただきましたが、住宅地域の窃盗は増加し、高齢者をターゲットにした特殊詐欺は高止まりしているのであります。そこで、所管部局として、ただいまの警察本部長の見解、そして現状をどのように受け止められて、事業主体の市や町や関係団体とどのような施策を進められておられるのか、お聞かせ願いたいと思います。 ○阿部寿一 議長 千金楽宏県民生活部長。 ◎千金楽宏 県民生活部長 再質問にお答えいたします。住宅地域における窃盗等が増加している中にありまして、県ではこれまで防犯カメラの設置及び運用に関するガイドラインを策定しまして、地域住民の方の理解が深まりますよう、市町と連携しながら、防犯講習会開催などを通じて、その設置促進を図ってまいったところでございます。防犯カメラのさらなる設置促進ということでございますが、今年度、今後取り組むべき防犯施策について、有識者や市町、警察など関係機関で議論する検討組織を設けましたので、その中で防犯カメラの設置促進に向けた有効な取組策についても検討してまいりたいと考えているところでございます。
     一方で、特殊詐欺撃退機能付電話機につきましては、県警察のほうで実施しております貸出事業のほか、全ての市町で補助または貸付けの事業を実施しているところでありまして、県といたしましては、関係機関と連携しながら、講習会等を通じて電話機の有効性について広く啓発して、その設置促進に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。 ○阿部寿一 議長 保母欽一郎議員。    (25番 保母欽一郎議員登壇) ◆25番(保母欽一郎議員) それでは、知事に再質問させていただきます。ただいまの県民生活部長の答弁にありましたが、県の所管部局は、市や町の担当者や県警察とともに事業予算を組んで、一生懸命啓蒙対策を講じているという説明でありました。しかし、なかなか思うような成果は見いだせていないわけであります。そして、住宅地域の窃盗犯罪や特殊詐欺犯罪は警察も重点抑止犯罪対策と位置づけ、注意喚起と撃退録音装置の取付け促進を強化していくとのことであります。また、県民のアンケート調査を見ても、住宅地域の窃盗犯罪や高齢者を狙った特殊詐欺の撲滅を切望しております。そこで、知事に先頭に立っていただき、市や町の首長や関係団体に呼びかけ、オール栃木体制で、より高い効果が見込める住宅地域の防犯カメラの設置と、特殊詐欺から高齢者を守るための撃退録音装置の取付けの促進に向けた大々的なキャンペーンを展開することが極めて有効と考えますが、知事の所見をお聞かせ願います。 ○阿部寿一 議長 福田富一知事。 ◎福田富一 知事 再質問にお答えいたします。防犯カメラあるいは撃退防止付電話機等の普及については、警察本部を中心に県民生活部ともに取り組んできているところでございます。今後につきましては、住宅街等についての防犯対策が必要である、それから、お年寄りを犯罪から守るという視点、いずれについても重要な視点だと思いますので、市町などとも連携を図りながら、どのように防犯力を高めていくことができるのか、協議をしながら検討を進めてまいりたいと思います。 ○阿部寿一 議長 保母欽一郎議員。    (25番 保母欽一郎議員登壇) ◆25番(保母欽一郎議員) 私は、県民の皆様の安全・安心に関わることでありますので、知事や各市町の首長が先頭に立ち、促進の必要性を唱えるならば、県民の意識と関心がより一層高まり、必ず促進が図れるものと考えるのであります。高い効果が見込める住宅地域の防犯カメラの設置、そして特殊詐欺から高齢者を守る家庭用固定電話への撃退録音装置の取付けの促進に向け、ぜひ知事が先頭に立って、オール栃木体制で大々的なキャンペーンを展開し、栃木の生活環境の安全・安心の向上を図っていただきますようお願い申し上げ、次の質問に入ります。  続きまして、超高齢化・人口減少社会の地域生活交通対策について、県土整備部長にお伺いいたします。超高齢化と人口減少の加速化により早急に対応を図らなければならないと考えますのが、地域における生活交通対策であります。特に県内に多く潜在する市街化調整区域などの集落に住む高齢者や免許返納者、交通弱者などの生活交通の確保は死活問題につながるわけであります。現在、県内の各市町では循環バスやデマンドタクシーなどを併用して対応を図っておりますが、財源の問題などもあり、交通弱者の皆様に十分な対応ができず、ご不便やご不安を招いているのが現状と考えます。また近年、テレビ、マスコミなどで高齢者の痛ましい事故の惨状が度々報道されておりますが、私の脳裏に焼きついておりますのが、生活に支障を来さなければ、もっと早く免許返納を考えることができたという加害者の悔恨の言葉であります。言葉の意を返せば、地域生活交通の利便性を向上させれば、悲惨な事故から、被害者も加害者も減らせるということであります。  そこで、県は、超高齢化と人口減少社会の進む中、各市町が抱える地域生活交通の課題に対しどのような対策を図っていくお考えなのか、お聞かせ願います。 ○阿部寿一 議長 田城均県土整備部長。    (田城 均県土整備部長登壇) ◎田城均 県土整備部長 ただいまのご質問にお答えいたします。人口減少・超高齢化社会におきましても、県民が将来にわたり豊かで活力ある社会を実現していくためには、効率的な公共交通の確保・充実が重要であります。こうした中、人口減少が加速しております地域におきましては公共交通の確保が困難になってきておりますことから、今後は地域の輸送資源を総動員し、持続可能な公共交通を確保していく必要があると考えております。そのため、県では市町連携による広域バスや地域団体等が運行いたします地域共助型生活交通への支援に加えまして、自動運転バスの本格運行を見据えた実証実験などを行っているところであります。  引き続き、地域公共交通会議等を通じまして、市町並びに関係者の皆様と連携しながら、持続可能な地域の公共交通の確保・充実に取り組んでまいります。 ○阿部寿一 議長 保母欽一郎議員。    (25番 保母欽一郎議員登壇) ◆25番(保母欽一郎議員) それでは、県土整備部長に再質問をいたします。県土整備部長の答弁の中にありました地域共助型生活交通というのは、国の公共交通空白地有償運送制度を引用したもので、県内の公共交通空白地の解消を目指すものとなっております。私は、市町の公共交通の現状と実態を踏まえますと、地域住民などが協力して取り組む地域共助型生活交通を市街化調整区域などの集落に運用を拡大し、推進していくことが今後極めて必要になってくるものと考えております。なぜならば、県内の交通事業者は利用者の減少により縮小しており、市街化調整区域などの集落に住む生活交通が必要な高齢者や交通弱者が年々増加していくからであります。そして、公共交通に取り組む市や町は財源の問題などもあり、市街化調整区域などの集落の生活交通をくまなくカバーしていくことが困難であると考えているからであります。  そこで、県は、各市町の市街化調整区域などの集落における地域共助型生活交通の拡大と推進についてどのように考えているのか、また、市町や公共交通をさらに拡充し、地域共助型生活交通などを推進していくためには、恒久的な財源の確保が必要になってくると考えるのでありますが、県土整備部長の所見をお聞かせ願います。 ○阿部寿一 議長 田城均県土整備部長。 ◎田城均 県土整備部長 再質問にお答えいたします。ご指摘のように、中山間地等におきましては、公共交通の空白地または不便地が残されているのが実態でございます。このため県といたしましても、それらの対策の一つとして、お話のあった地域共助型生活交通の導入というのは非常に有効であると考えているところであります。そういった観点から、県といたしましては、平成30年10月に地域共助型生活交通導入のためのガイドラインを作成しまして、市町等に対しまして技術的支援を行ってきているところであります。その結果として、令和3年9月からは、矢板市において県内初の地域共助型生活交通の実際運行に至ったわけでございます。今後、矢板市の運行状況等々をつぶさに検証し、導入の意向または可能性のある市町と地域等に対しまして、引き続き技術的支援や、特に事業者との調整に県として積極的に支援していきたいと考えております。  もう一つ、財源の話でございます。ご指摘のとおり、こういった事業を行っていくためには財源の確保というものが非常に重要であるということでございまして、財源の確保につきましては、ウルトラCがあるわけではございません。公共事業に限らず、3つの観点から財源確保については取り組んでいきたいと考えております。まず、1点目がコストの削減。無理無駄を省いて効率的な事業を行うことで財源を生み出していくということ。もう1点は、多くのお客様、県民の皆様に地域の公共交通をご利用いただいて、事業収入を少しでも上げていく。そのためにダイヤの見直しであるとかルートの見直し、不断の見直しを行っていくということでございます。その上で、県議会の議員のお力等をいただきながら、国から頂ける交付金等をしっかり確保していきたい。この3つを組み合わせて財源を確保していきたいと思っております。 ○阿部寿一 議長 保母欽一郎議員。    (25番 保母欽一郎議員登壇) ◆25番(保母欽一郎議員) 私は、中山間地域もさることながら、これからは地域生活交通の需要というのはますます増えてくるのだと考えます。市街化調整区域などの集落に、地域共助型生活交通の拡大を、県が音頭を取って推進していただくことを要望させていただきます。そして、地域住民などが協力して運行を図る地域共助型生活交通を推進していくためには、かなりの運行協力者が必要になると考えます。その人材確保に向け、現在のシルバー人材センターのような地域生活交通センターなどを市町や民間交通事業者とともに立ち上げることも必要になると考えます。また、県は、現在のように市や町の公共交通に対して補助金を出すだけではなく、今後は県も自ら公共交通の役割を果たすべきと考えております。例えば市や町が住居地域や福祉、通学などの生活交通を重点に受け持ち、県は、市と町や駅などの拠点を結ぶ路線公共交通を民間事業者とともに受け持つような役割分担であります。そして、今後高まる県民の公共交通ニーズに的確に応えるためには、やはり恒久財源の確保も私は必要だと思っております。公共交通の利用税などの新税創設についても検討を進めていくべきと考えております。栃木の公共交通が移住・定住の促進、観光誘客、通学通勤、福祉、そして地域の生活向上につながるものとなりますよう要望して、次の質問に入らせていただきます。  続きまして、公立小中学校の教職員等の増員配置要望について、教育長にお伺いいたします。毎年、公立小中学校の教職員協議会や県学校管理職員協議会より、県議会議長や各議員に対し、教育予算などに関する要望書が出されております。その内容を精査しますと、教職員などの配置の維持や増員に関する事項、そして教育環境の整備充実に関する事項、教職員の待遇と勤務環境の改善についてであります。教育現場の皆様は、知事の教育大綱と教育委員会が策定した教育振興基本計画の目的、目標を達成するために必要となる事項を要望しており、取り組むべき最重要案件と考えます。  特に教職員などの配置維持や増員要望、教育環境の整備充実は、児童生徒たちの学びに直結する問題であり、教員の働き方改革にも関わる課題でありますので、早急に改善を図らなければならないと考えるのであります。また、本県は、知事の決断でいち早く35人以下学級を導入したわけでありますが、国の教員配置基準が40人で学級数に応じて配分されることから開きが生じ、必要となる教職員の加配増員分などを県や市町の予算で賄わなければならないことが、必要な教職員などの増員配置が要望どおり進まない要因の一つと考えるのであります。  そこで、県は、毎年小中学校の教育現場から出されている教職員などの増員配置要請に対してどのように考え、どのように応じていくつもりなのか、お聞かせ願います。 ○阿部寿一 議長 荒川政利教育長。    (荒川政利教育長登壇) ◎荒川政利 教育長 ただいまのご質問にお答えいたします。本県では、次の世代を担う子供たちに予測困難な時代をたくましく生き抜く力を育むことを目指し、教育環境の整備に取り組んでおります。教育現場からは、教職員配置の維持や増員、教職員の待遇と勤務環境の改善など多岐にわたる要望がありまして、県教育委員会では、一つ一つの課題を整理しながら対応しているところであります。特に小中学校における35人以下学級の完全実施につきましては、市町教育委員会からの要望も強く、最優先で対応すべき課題であるとの判断から、早期に実現したものであります。  県といたしましては、公立小中学校の教職員等の増員配置につきまして、機会を捉えて国に働きかけますとともに、教育現場の声を受け止めながら、市町教育委員会との連携を強化し、子供たちが健やかに学ぶことができる環境の充実に努めてまいります。 ○阿部寿一 議長 保母欽一郎議員。    (25番 保母欽一郎議員登壇) ◆25番(保母欽一郎議員) ただいま教育長からお答えいただきましたが、日本の予算の教育公的支出は、OECDの2021年の発表では、対GDPにおいて加盟国の平均以下となっております。教育現場の要請になかなか応えられないのも、教員の残業時間が過度に多い問題も、教員の成り手が少ないのも、全ては国の教育予算の配分の低さが根底にあるものと考えるのであります。  そこで、教育長に再質問をいたしますが、県教育委員会として今後なすべきことは、国に予算の要望を強めることはもちろんでありますが、教育現場の声、要望をもっと真摯に受け止め、問題の本質に注視して、どのような対策を講じていくことが問題の根本解決につながるかを市町教育委員会と向き合うべきだと考えるのであります。そして、予算の増額や教員人材の確保が難しい状況であるとするならば、県立高校の再編問題を検討しているように、県内の公立小中学校の統廃合なども含めた再編問題検討会を県と市町教育委員会で設置して、問題の解決を図っていくべきと考えるのでありますが、教育長の見解をお聞かせ願います。 ○阿部寿一 議長 荒川政利教育長。 ◎荒川政利 教育長 再質問にお答えいたします。教職員が置かれている厳しい環境の中で、教育現場から人的支援とか、あるいは財政的支援を求める声が上がっているということについては十分認識しております。一方で、地域によって優先課題が異なりますことから、県教育委員会といたしましては、市町教育委員会と議論をしっかりと深めながら、人材をより効果的に活用し、そして適正に配置できるようにしっかりと努めてまいりたいと思います。その中で、当然統廃合の問題につきましては、まさに地域の最たる問題だと思っていますので、これについては、市町の考え方を尊重するというスタンスでいきたいと思います。 ○阿部寿一 議長 保母欽一郎議員。    (25番 保母欽一郎議員登壇) ◆25番(保母欽一郎議員) いずれにしても、少子化の時代であり、生徒の減少が続き、教員の長時間労働問題が叫ばれ、教員の成り手が減り、学校の老朽化も進み、教育へのニーズが多様化している中、小手先というわけではありませんが、やはり今までの流れでは問題の解決はなかなか困難と私は考えております。教育現場から毎年出されている要望書の内容は、教職員などの人手不足と予算に関する問題でありますので、従来の仕組みや枠組みのまま検討を重ねても解決にはつながらないと私は思うのであります。新たな視点や発想による時代と状況を的確に捉えた構造改革を進めるべきと考えます。ぜひ教育長には、各首長にも協力を要請して、県内の公立小中学校の再編計画の検討会を設置し、統廃合を含めた問題の解決に着手していただくように強く要望しまして、次の質問に入らせていただきます。  続きまして、県立岡本台病院の地方独立行政法人化に伴う事業計画について、知事にお伺いいたします。県は、精神医療の基幹病院である県立岡本台病院を、医療機能の向上と経営改善を図るため、令和4年度から地方独立行政法人へ移行することとしました。その設立団体の長となる知事は、県立岡本台病院の独立行政法人化に伴う中期目標を策定し、昨年の12月にその内容を公表したわけであります。その内容を精査しますと、知事は、中期目標の中で経常収支の黒字化を掲げております。しかし、県は今日まで県立岡本台病院の経営改革プランを策定し経営改善に取り組んできましたが、経営改革プランで掲げた主な4つの経営目標と実績は、延べ外来患者数が3年間目標を達成しただけで、その他の経常収支比率、医業収支比率、病床利用率についてほとんどが未達成であり、実績も年々落ち込み、経常収支が赤字となっていたのであります。  そこで、設立団体の長である知事に、県立岡本台病院の地方独立行政法人化の趣旨と中期目標で掲げた経常収支の黒字化の見通しについて、お聞かせ願います。 ○阿部寿一 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。県立病院につきましては、環境の変化に柔軟に対応しながら、質の高い医療を効果的かつ安定的に提供していくため、経営の自由度が高まる地方独立行政法人への移行を進めてきたところであり、先行したがんセンターとリハビリテーションセンターにおきましては、移行後も県立病院としての使命を果たしつつ、医療サービスの向上や業務運営の改善等の目標を達成しているところであります。そのため、岡本台病院におきましても、地域精神医療の基幹病院としての役割を果たしながら、医療サービスのさらなる向上と、効率的かつ実効性のある業務運営体制の確立を図るため、本年4月に地方独立行政法人に移行することとし、昨年12月に法人が達成すべき業務運営に関する中期目標を定めたところであります。  この目標の一つである経常収支の黒字化につきましては、法人が目標達成に向けて機動的な職員採用を通じ、優れた医療従事者や病院経営に精通した人材の確保・育成を図るとともに、職員が病院経営に参画することでモチベーションを高め、収入確保と費用削減の取組を推進することとしております。また、精神医療における入院医療中心から地域生活中心へのシフトに加えて、新型コロナウイルス感染症による患者動向の変化等が病院経営に一定の影響を与えておりますが、精神科救急など不採算分野である政策医療に必要な額を県が負担することにより、中期目標期間中におきまして経常収支の黒字化を達成できるものと見込んでおります。  今後とも、地方独立行政法人制度のメリットを最大限生かしながら、精神疾患に係る高度で専門的な医療の安定的な提供と持続可能な経営基盤の確立に向けて、県と法人が一体となって病院経営に取り組んでまいります。 ○阿部寿一 議長 保母欽一郎議員。    (25番 保母欽一郎議員登壇) ◆25番(保母欽一郎議員) ただいま知事から答弁がありましたが、経営を預かる皆様は、現在の老朽化が進み、機能性と業務効率の悪い施設配置と現状の入院体制を維持したまま、独立行政法人化の趣旨である高度な専門的医療の公的役割を果たし、入院医療から外来医療に転換して経営の健全化や医業収益を高めていくことは、幾ら弾力的な運営ができやすくなるといっても困難極まるのだと考えております。先般、会派で政務調査を兼ね、経営を委ねる経営陣と意見交換をしてまいりました。先頭に立つ増井院長や看護部長は責任感が強く、使命感と熱意にあふれておりました。しかし、その経営陣の皆様が、現状の施設や入院体制のままでは途中で萎えてしまうのではないかと危惧しているのであります。重要なことは、県が経営を委ねた経営陣に対してしっかり耳を傾け、事業の課題へ本格的な支援ができるかどうかにかかっているものだと考えるのです。  そこで、知事に2点再質問させていただきます。中期事業計画において、医業収支比率の数値目標をどのぐらいに置かれているのか、また、老朽化と機能性の悪い施設配置の改善、建て替え計画についてどう考えられているのか、お聞かせ願います。 ○阿部寿一 議長 福田富一知事。 ◎福田富一 知事 まず、黒字化に向けての老朽化した施設の設備や適正な病床数への見直しについて、県としても大きな1つの課題であると認識しております。平成元年の全面改築から30年以上経過しておりまして、老朽化に加えて利便性が悪くなっているということは認識しながら、まず独立行政法人化で、経営責任を持った法人が組織、人員体制の強化と職員のモチベーションの向上を図りながら、主体性を持って病院の在り方を議論することが重要であると考えており、その上での長期的な視点から、今後担うべき診療機能にふさわしい施設の在り方や適切な病床数について法人とともに検討を進めてまいりますので、経営側が泣いてしまわないように、県も寄り添いながら解決策を見いだし、経営がしやすい環境づくりに取り組んでまいりたいと思います。  主な指標の目標につきましては、所管部長に答弁させたいと思います。 ○阿部寿一 議長 仲山信之保健福祉部長。 ◎仲山信之 保健福祉部長 再質問にお答えいたします。法人が提供する医療サービスに係ります経営指標である医業収支比率につきましては、現行の経営改革プランにおきまして策定しているところでございますが、今回策定中の中期計画におきましても、目標数値を設定する予定でございます。現行プランの初年度であります平成29年度の実績は71.5%でございましたが、精神医療を取り巻く環境が病院経営に一定の影響を与えていることもございまして、直近の令和2年度の実績は59.2%となっているところでございます。目標値の算定に当たりましては、外来診療時間の延長に取り組むことによりまして、外来収益の増を図りますほか、救急患者の受入れ体制強化等によりまして、入院収益の確保等を見込んでおりまして、中期目標期間の最終年度である令和8年度の目標値につきましては、68%に設定する考えでございます。 ○阿部寿一 議長 保母欽一郎議員。    (25番 保母欽一郎議員登壇) ◆25番(保母欽一郎議員) 今、保健福祉部長から医業収支比率についてご説明ありましたが、独立行政法人化の前に県が進めた経営改革プランの数値目標は、私が最後の数字を見たのは75.6%となっており、今の説明ではかなり低い数値になっております。初年度は仕方ないと思いますが、5年後の数値目標が低いのは、やはり独立行政法人化の趣旨から少し外れるのではないかと考えるのであります。また、高度精神医療を担う医療施設が冬場でも給湯ができない状態など、施設や設備の老朽化と機能性の悪い施設配置のまま修繕を行う計画や、現状の入院体制のままでは、患者や医療ニーズには的確に応えられず、業務運営の改善や収益率の向上は困難であると考えます。  そこで要望させていただきますが、まず経営改善や医療収益を高めるための肝となる経営改革のスタッフは、現在の県職員体制から民間の専門スタッフに早く転換すべきと考えます。そして、栃木の精神医療を担う高度医療機関として役割を果たすためには、中期計画の中で施設の本格的な建て替えと入院体制の改善を進めていくことが重要と考えますので、ぜひよろしくお願い申し上げます。  それでは、最後の質問となります。県南地域に多く設置されている電力農業用排水機場の非常用電源対策について、農政部長にお伺いいたします。私の地元である栃木市藤岡町部屋地区は、6年前の関東・東北豪雨により、西前原排水機場の電源装置が水没して稼働停止状態となり、部屋地域の広範囲にわたり、床上・床下浸水などの浸水被害に見舞われました。私は浸水被害の惨状を目の当たりにして、二度と同様の被害、苦しみを地域の皆様に与えないためにも、新設された西前原排水機場に非常用電源対策を講じることの重要性を唱え、県に対し何度も非常用電源対策を要望してまいりました。県はその都度、対策の必要性と重要性を認め、栃木市と対策を検討すると回答され、既に6年が経過しております。幸いにして、この間、排水機場の稼働停止による浸水被害は起きておりませんが、いつ異常気象による想定外の集中豪雨や大型台風が襲い、排水機場への送電が停止するか分からないのであります。  そこで県は、集落が密集する地域の電力農業用排水機場の非常用電源対策についてどう考えているのか、また、甚大な被害を及ぼした西前原排水機場や隣接する改修予定の石川排水機場の対策についても、併せてお聞かせ願います。 ○阿部寿一 議長 青栁俊明農政部長。    (青栁俊明農政部長登壇) ◎青栁俊明 農政部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県では、これまで施設の管理者である市や土地改良区とともに、固定式、移動式の大型発電機や電源車を導入する場合のコストやリースによる調達の可否などを調査し、非常用電源対策としての有効性や課題について様々な視点から検討してまいりました。そこで、現在改修を進めております石川排水機場につきましては、規模が比較的小さいということもございまして、停電時でも運転が可能となるよう、関係者の合意の下に移動式の大型発電機から接続できる装置を設置することといたしました。一方、大規模で高圧の電力を必要とする西前原排水機場につきましては、電力の供給を受けている変電所からの送電が停止した場合に、別の系統の変電所から供給を受けられる予備電源の導入につきまして、電力会社の協力を得ながら検討しておりますが、新たに生じます整備費、あるいは維持管理費等の課題がありますことから、非常用電源の確保に対する支援の充実を国へ要望してまいりたいと考えております。  今後とも、地域の防災を担う市町の意向を踏まえ、県内の各排水機場に応じた最適な対策について、関係者とともに検討を進めてまいります。 ○阿部寿一 議長 保母欽一郎議員。    (25番 保母欽一郎議員登壇) ◆25番(保母欽一郎議員) ただいま農政部長より、具体的な対策を示して答弁いただきました。私からも以前提言させていただきました非常用電源車の活用や、今答弁のあった新たな変電所からの予備電源対策などは、コストの面からも当該市も進めやすく、これからの非常用電源対策として他の用途にも応用できる有効な方策と考えます。災害はいつ起きるか分かりません。やるべきことが分かっていて、できることをやらずに同様の被害を起こせば、次は人災になると思うのであります。  そこで、浸水被害を及ぼした西前原排水機場の非常用電源対策の事業化に向け、示された対策を新年度中に栃木市や関係者との詰めの作業を行って、早期実現を図っていくことを要望させていただきます。  これで私の質問は終わりますが、長引く新型コロナウイルス感染症の終息はまだ見通せておりませんが、専門家が、今後、治療薬や経口薬が市場に行き渡るようになればインフルエンザと同様になっていくものと話をされております。知事はじめ県職員の皆様は、連日第6波の対応に苦心されながら尽力されており、頭が下がるわけでありますが、もう少しの頑張りだと思っております。また、栃木の冬季国体や北京冬季五輪での選手の活躍、決して諦めない最後まで頑張り続ける姿に感動と勇気と力をいただきました。この第6波を県民の皆様と力を合わせて乗り越え、知事が命名された「いちご一会とちぎ開化予算」をより良いものとし、県民の皆様が夢と希望を持って輝いていただけるように、とちぎ創生に微力を尽くしていくことを最後に申し上げ、私の全ての代表質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。 ○阿部寿一 議長 この際、15分間休憩したいと思います。議事はただいまの継続議事であります。 休憩いたします。     午後2時44分 休憩             ――――――――――――――――――――――――――――― ◎大橋哲也 事務局長 出席議員数を報告いたします。  ただいまの出席議員数は26名であります。             ―――――――――――――――――――――――――――――     午後3時 開議 ○阿部寿一 議長 ただいまから会議を開きます。議事は休憩前の継続議事であります。発言通告者に対し、発言を許します。山田みやこ議員。    (39番 山田みやこ議員登壇) ◆39番(山田みやこ議員) 民主市民クラブの山田みやこでございます。新型コロナウイルス感染症対策は既に2年以上が経過しております。社会経済活動の低迷や自粛を強いられた子供たちの成長過程への影響、さらに様々な困難を抱えた方々のさらなる苛酷な環境など、将来への不安が募ります。そのような中での重要な県政のかじ取りになる今後の県政運営につきまして、私の視点から順次質問してまいります。  まず、令和4年度当初予算編成について、知事に質問いたします。政府は、来年度一般会計歳入歳出概算の規模は、新型コロナウイルス感染症対策予備費5兆円を含め、前年度比0.9%増の107兆5,964億円で、基礎的財政収支対象経費は前年度比0.4%増の83兆7,166億円となっており、実質成長率は3.2%程度となるものと見込んでいます。地方財政対策の通常収支分では、地方交付税総額は前年度比0.6兆円増の18兆538億円、臨時財政対策債は前年度から3.7兆円抑制し1.8兆円、一般財源総額は不交付団体に関する経費を除き62兆135億円となる見込みで、2004年度以降史上最高額となっており、コロナ禍でも大企業を中心に業績が回復し、国の税収は、来年度以降増加傾向が続くと見込んでおります。  また、県内の経済情勢を見ますと、関東財務局宇都宮財務事務所は、昨年10月末から今年1月中旬の経済指標と企業への聞き取りを基に、1月判断では新型コロナウイルス感染症の影響で厳しい状況にあるものの緩やかに持ち直しつつあるとして、昨年10月判断に続き、4期連続で総括判断を据え置きました。  一方、県財政においては、2020年度までを計画期間としたとちぎ行革プラン2016の取組結果におきまして、頻発する自然災害への対応や新型コロナウイルス感染症の影響により、計画最終年度における県債残高の抑制、県税収入未済額及び未収債権額の対前年度比減とした指標は未達成でした。また、今月公表された2026年度までの中期財政収支の見込みでは、医療福祉関係経費等の増加から、各年度の財源不足は80億円から90億円台と推計しており、繰り返される新型コロナウイルス感染症拡大の波により一般財源の確保も不透明な状況にあります。さらに、令和4年度当初予算では、コロナ禍においても企業業績の改善等に伴い、県税収入や地方譲与税が増となるものの、国の地方財政計画等を受けた臨時財政対策債の減や高齢化の進行に伴う医療福祉関係経費の増等により、約94億円の財源不足が発生しております。  そこで、財政の健全性の確保のため、予算編成においてどのような対策を講じたのか、知事に伺います。 ○阿部寿一 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまの山田議員のご質問にお答えいたします。本県では、とちぎ行革プラン2021に基づき、中期的な視点に立った財政運営を基本に、持続可能な行財政基盤の確立に取り組んでおります。このような中、令和4年度におきましては、企業の業績改善に伴い県税収入等が増加する一方で、政策経営基本方針に掲げた重点事項の積極的な展開や、とちぎ未来創造プランの着実な推進等のために必要な歳出の計上のほか、医療福祉関係経費や施設の長寿命化対策経費の増加により、昨年10月にお示しした予算編成方針では約107億円の財源不足を見込んだところであります。このため編成に当たりましては、要求段階から各部局の主体的な判断に基づく事務事業のスクラップ・アンド・ビルドを進めるとともに、国の地方財政対策を踏まえた適切な歳入の計上や、カーボンニュートラル実現に向けた施策等への国庫補助金の積極的な導入を図ったほか、適切な県債の発行にも努めるなど、歳入歳出全般にわたり徹底した見直しを行いました。  これらの取組の結果、今通常会議に提出いたしました令和4年度当初予算案の財源不足は約94億円に減少するとともに、財政調整的基金を活用することにより、必要な財源を確保することといたしました。また、今年度におきましては、行政コストの削減等により財政調整的基金の涵養につなげるとともに、事業を精査し、県債の発行を一部取りやめることにより県債残高の増加抑制を図るなど、後年度の財政運営への備えも進めているところであります。  今後とも、中期的な視点に立って、歳入規模に見合った歳出構造への転換を進めながら、財政の健全性の確保を図ってまいります。 ○阿部寿一 議長 山田みやこ議員。    (39番 山田みやこ議員登壇) ◆39番(山田みやこ議員) ただいま知事からご答弁をいただきました。先ほども保母欽一郎議員からの質問等をお聞きいたしまして、財政コストの削減であるとか、自主財源の確保という形での努力をされていくということでございます。今年度は、コロナ禍におきましても県内企業の業績改善によりまして県税の収入は増加ということですけれども、反面、業種によっては大変厳しく、格差というよりも断絶というぐらい大きくなりまして、先行きは本当に楽観できないと思っております。今年度の重点項目を推進する中で、命と生活という視点では、しっかりと人への投資、そして困難に陥った方々の支援ということに今まで以上に力点を置いていっていただきたいと要望します。  それでは、次の質問に入らせていただきます。婦人保護事業について、県民生活部長に質問いたします。国では現在、配偶者暴力防止法(DV防止法)の改正に向けた検討が進められていますが、現行法では、裁判所がDVの加害者に対して被害者の自宅や勤務先に近づくことなどを禁ずる保護命令の対象を、身体に対する暴力と生命などに対する脅迫を受けた場合に限定しているところ、改正に向けた報告書素案では、言葉や態度で相手を追い込む精神的暴力(モラルハラスメント)や中絶を強要するなどの性的暴力を加えることとしています。あわせて、保護命令が出された加害者に、SNSでの付きまとい禁止やGPSでの位置特定の禁止を追加し、保護命令違反の懲役刑を1年以下から2年以下に厳罰化し、接近禁止命令の期間を6か月から1年に延長するということです。コロナ禍でのDV相談に寄せられた被害者の相談の6割を精神的暴力が占めており、心的外傷後ストレス障害(PTSD)など深刻な被害に至るおそれもあることから、待ち望んだ改正だと言えます。  非常時とも言えるこのコロナ禍におきまして、全国のDV相談件数は、DVの増加、深刻化の懸念を踏まえ、国が2020年4月に開設した24時間電話相談DV相談+(プラス)への相談件数と配偶者暴力相談支援センターの相談件数を合わせると、2020年度では前年比約1.6倍に増加しています。このDV相談+(プラス)につながった相談の多くは、居住する各県での対応を求められますので、本県の相談件数も増加すると考えられます。  本県は、2022年度から2026年度までの5年間を計画期間とする配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する基本計画(第4次改定版)を策定することとしており、次期計画でも、とちぎ男女共同参画センターは、DV対策の中核的機関として専門的な支援を必要とする事案や複合的な課題を抱えた事案への対応において、市町や関係機関に対する助言や支援等を行うとしています。婦人保護事業においては、担当職員や支援の第1の相談窓口である婦人相談員の役割が重要と考えますが、現在、県の婦人相談員はほぼ5年未満の経験です。そして、一時保護担当職員は定期的な人事異動により一定期間で替わってしまいますが、今後、DV防止法改正に伴う対応はもちろんのこと、一時保護の場合には、家庭内でDVの現場を目撃していた面前DV被害の同伴児童への対応も求められ、また、相談者の中には若年女性や知的障害者、精神障害者、また外国人等も含まれているなど、複雑・多様化する事案に対応するためには、経験によるノウハウ等の蓄積や研修によるスキルアップ、支援資源や関連機関とのネットワークづくりなど、婦人相談員や担当職員の専門性がさらに必要となっています。  昨年8月に行われました全国の婦人相談員のアンケート調査結果から自治体学会で発表された内容を見ますと、婦人相談員の仕事は一朝一夕に成果が出るものではなく、一歩間違えば悲惨な事件になりかねなかったり、機能不全の家族の中で苛酷な心の傷を負った母子が平穏な生活を送るのは容易なことではなく、行き詰まり、再度相談に来たりする。こうした現実と向き合う婦人相談員が複雑で多岐にわたる業務を抱え、疲弊しながらも、高い意欲を持ち、よい支援を追求していきたいと従事されていることが明らかになりました。相談員は、ソーシャルワーカーとして長期に実務経験を積み上げて、専門職として認められることを望んでいますが、人材育成には7年が必要であるとされているにもかかわらず、5年以下の経験年数の相談員が過半数を占めています。また、非正規職員も多く、不安定な立場であることから、代理受傷やバーンアウトなど精神的負担があり、メンタルヘルス対策についても強化していく必要が明らかになりました。  一方、本県の福祉事務所の婦人相談員に聞いてみますと、今までになかった新たなケースの支援の困難さ、相談スキルの獲得や経験年数に沿った研修、母子生活支援施設などの社会資源の少なさ、警察やとちぎ男女共同参画センターとの連携の問題などが挙げられています。  そこで、県では、今回のDV防止法改正に向けた報告書素案の趣旨も踏まえ、婦人保護事業の中核的機関であるとちぎ男女共同参画センターの役割や婦人相談員体制の充実についてどのように取り組んでいくのか、県民生活部長に伺います。
    ○阿部寿一 議長 千金楽宏県民生活部長。    (千金楽 宏県民生活部長登壇) ◎千金楽宏 県民生活部長 ただいまのご質問にお答えいたします。国において、精神的暴力や性的暴力によるDV被害者への支援強化が検討される中、とちぎ男女共同参画センターは、婦人保護事業の中核としてその機能をより一層発揮していく必要があると考えております。このため、潜在化しやすい被害の早期発見につながるよう、医療分野における新たな連携先の掘り起こしを行うなど、支援ネットワークの拡大強化に取り組んでいくこととしております。あわせて、児童虐待が併存するなどの困難な事案にも相談員等が適切に対応できるよう、現場のニーズに沿った、より実践的な研修の実施を通して専門性の向上を図りますとともに、相談員等の代理受傷を防止するための心理ケアに係る研修等も行うことによりまして、県全体の相談支援体制の充実を図ってまいります。  今後とも、社会情勢の変化に的確に対応しながら、婦人保護の充実に取り組んでまいります。 ○阿部寿一 議長 山田みやこ議員。    (39番 山田みやこ議員登壇) ◆39番(山田みやこ議員) ただいま県民生活部長から、様々なネットワークの拡大、そして実践を通して、また心理ケアの充実というお答えがございました。やはりよりよい支援を追求していきたいという思いが相談員にはあるかと思います。それには、やはり安心して安定した職場であることが私は重要ではないかと思います。このように安心して経験が積める環境づくり、これは支援の在り方もありますでしょうし、相談と一時保護の関係であるとか、そういった全てのことが仕事を継続できるという環境だと思いますので、その環境づくりや仕組みづくりを整えていただくことが一番だと思います。そして、支援に必要な関係部署、先ほども県民生活部長がおっしゃいましたけれども、児童相談所であるとか、または警察、生活保護担当、弁護士、そういったところで、その制度を知っているだけではなくて使い回しができるスキルが必要だと思いますし、また、そこにはそれぞれの関係部署での信頼がやっぱり必要になってくるかと思います。それをつくっていくには、経験年数というのは非常に大切だと思いますので、安心して続けられる、やりがい搾取にならないような環境づくりをお願いしたいと思いますと同時に、この婦人保護事業というのは売春防止法が根拠法になっておりますけれども、今、DV被害者や生活困窮という実態を踏まえて、女性支援新法の骨子案が国会に提出されようという動きが出ております。  このような動きに対しても敏感に反応して、県内の相談員に、どういうことになっているのか、自分たちの位置づけはどうなのかという学習会なども、県が率先して計画していくことが中核的機関になっていくのではないかなと私は思います。よろしくお願いしたいと思います。  それでは、社会的支援につながるための再質問を保健福祉部長にさせていただきます。DVから逃れ、生活再建などのために母子が一緒にいられる一時的な居場所として母子生活支援施設があります。これは2年程度いられるようですけれども、県内に3か所ある施設のうち、足利市のさわらごハイムはこの3月で閉鎖となります。那須烏山市の母子寮も築70年余を経過しておりまして、さわらごハイム以上に老朽化しております。非常に重要な施設であるにもかかわらず、再建の道が見えてきません。  そこで、母子生活支援施設における県の役割について、保健福祉部長にお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 仲山信之保健福祉部長。 ◎仲山信之 保健福祉部長 再質問にお答えいたします。母子生活支援施設につきましては、老朽化の課題を抱えております一方で、近年、DV被害や児童虐待など困難な課題を抱える家庭が増加していることを踏まえまして、利用者の安全を考慮し、県外者を含めまして広域的な支援にも活用がなされております。県といたしましては、そういった現状を踏まえつつ、母子世帯に寄り添った支援ができますように、研修等を通じまして職員の専門性の向上を図りますとともに、経営主体の意向を踏まえながら、福祉事務所や婦人相談所など関係機関等と連携し、適切な施設運営や施設整備等につきまして指導助言を行ってまいりたいと考えております。 ○阿部寿一 議長 山田みやこ議員。    (39番 山田みやこ議員登壇) ◆39番(山田みやこ議員) 指導助言という範囲でしょうか。本当にそのような状況でよろしいのか。私は、もう一度、保健福祉部長に、母子生活支援施設の存在について県としてはどうなのかということをお尋ねしたいと思います。 ○阿部寿一 議長 仲山信之保健福祉部長。 ◎仲山信之 保健福祉部長 施設の整備の在り方につきましては、経営主体の意向も確認する必要がございますので、そのあたりも踏まえながら、関係機関と連携しまして対応してまいりたいと考えております。 ○阿部寿一 議長 山田みやこ議員。    (39番 山田みやこ議員登壇) ◆39番(山田みやこ議員) 生活再建のために危険性を少しでも回避するために、遠方の母子生活支援施設、他県に栃木県の方は入るわけです。他県から栃木県に入るわけです。これは広域的な連携がなければという形になりまして、栃木県は少なくなりますけれども他県にお願いしますでは、ちょっと違うのではないかなという考えもありますので、支援をする方々にとっては本当に納得できないことであるという声を聞いております。栃木県母子生活支援施設連絡協議会としても、本当にこれでいいのかという疑問があるとともに、これを何とかしなければならないのではないかという思いがあるということを聞いております。そういった意味も含めまして、県と栃木県母子生活支援施設連絡協議会と一緒になって協議をしていくことも必要ではないかと思いますが、保健福祉部長に再質問いたします。 ○阿部寿一 議長 仲山信之保健福祉部長。 ◎仲山信之 保健福祉部長 再質問にお答えいたします。関係者の方と十分意見交換をしながら、どういった対応ができるのか検討してまいりたいと考えております。 ○阿部寿一 議長 山田みやこ議員。    (39番 山田みやこ議員登壇) ◆39番(山田みやこ議員) とにかく一度なくしてしまったものを再建するというのは非常に大変なことだと思います。母子が一緒に生活が自立するまで約2年間近くここで生活できるというのは本当に大きなことで、それがないために、その後の社会コストというものがどんどんかかってきてしまうということがありますので、やはり食い止めるためにも、この母子生活支援施設の重要さを県としてももう少し認識していただいて、継続できるような支援をしていっていただきたいと思います。  そして、もう一つ要望になります。これは先ほども触れましたけれども、婦人保護事業につきまして、警察のサポートというのは本当に必要なことでございますし、大変重要な問題でございます。被害者の保護を図る住民基本台帳閲覧制限の援助、住基ブロックでございますけれども、各警察署での対応が時々違ってきたりするという声も聞いておりますので、こういったところでもスムーズな対応ができるようなことも、警察としてもよろしくお願いしたいと思います。でも、これは警察にお願いするだけではなくて、やはり婦人相談員のスキルであるとか経験というものも、警察との交流であるとか信頼関係も関係するかと思いますので、やはり婦人相談員の経験を積むというところに力点を置いて、こういう仕組みづくりにしていっていただきたいと、県民生活部長にも要望いたします。  それでは、次の質問に入らせていただきます。性差に応じた健康の増進について、保健福祉部長に質問いたします。私が性差という捉え方に触れたのは、性差医療研究、実践の第一任者の循環器内科天野惠子医師の講演を聞いたときでした。天野医師は、男女で病態が異なることに気づき、性差医療の研究、啓発に取り組んでこられた方です。性差医療は生物学的な男女の差や社会的、文化的な差を考慮して行われるべきではないかとの考えの上に立つもので、1980年頃からアメリカで広がり始めました。これまで一般的な薬の量は男性を対象に行われた治験データに基づいて定められてきた場合が多いことに対して、全ての年齢の女性において、女性に特有な病態について生物医学的研究が行われるべきであり、臨床治験の対象数の半分を女性にすることが望ましいとされるものです。  ここ数年、全国各地に女性外来が開設され始めましたが、男性と女性とではかかりやすい病気が異なる、また、同じ病気でも病状が違うことなどから、女性特有の悩みや家庭内の問題を含めて、心身ともに総合的に診てもらいたいという女性患者のニーズによるものだということです。女性の疾病には心理、社会や文化、社会的性差(ジェンダー)、環境的要因も深く起因するため、女性医師がじっくり話を聞くことで、同性ゆえに理解してもらえるという安心感があります。一方、男性についても、働き盛りのストレスによる不調や自殺、男性更年期なども分かってきており、女性のみに限らず、男性ならではの医療も行うべきと積極的に検討されるようになったのも、この性差医療の考え方が提唱された結果と言えます。今から20年前になりますが、千葉県では当時の堂本暁子知事が、女性の特性に配慮した診断や治療の必要性を健康政策健康ちば21に盛り込み、天野惠子医師の協力で、千葉県の県立病院に女性専用外来を開設するなど、性差医療を考慮した健康支援事業の取組を始めました。そのような取組は非常に重要なことと考えます。  本県では、2013年度から2022年度までの10年を計画期間とするとちぎ健康21プラン(2期計画)を策定し、少子高齢化の進行、県民の価値観やライフスタイルの多様化など、県民の健康を取り巻く環境が大きく変化していく中で、様々な健康づくり事業に取り組んでいます。しかし、そこには性差の視点が含まれていないように見受けられます。現在のとちぎ健康21プランの計画期間は来年度末までですが、新型コロナウイルス感染症の影響により計画期間が2年延びると聞いております。ぜひ次のプランの策定に当たっては性差の視点も加えたものとし、きめ細やかな施策に取り組んでいただきたいと思います。特に女性は男性とは異なる身体的特性を持っており、女性の心と体は月経周期やライフステージの変化に伴い、女性ホルモンや環境の影響を受けて大きく変化すると言われています。このため、先ほども申し上げましたように、男女の健康課題は同じではないことから、私は性差の視点も加えた健康づくりの施策が必要であると思います。  そこで、県では2021年度から2025年度までを計画期間とするとちぎ男女共同参画プラン(5期計画)において、性差に応じた健康づくりに向けた啓発等に取り組むとしております。どのように取り組んでいくのか、保健福祉部長にお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 仲山信之保健福祉部長。    (仲山信之保健福祉部長登壇) ◎仲山信之 保健福祉部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県民の健康づくりを推進するためには、性差やライフステージに応じた取組が重要であります。このため、県では、とちぎ健康21プランにおきまして、健康状態や医療等に関するデータ分析に加え、目標値設定の多くを男女別、年代別に行った上で各種施策を展開しているところでございます。さらに、健康意識や課題について性差に着目したリーフレットを作成するなど、より効果的な啓発に努めているほか、乳がんや子宮頸がんの検診受診率向上に向けまして、市町との先進的取組事例の共有に加え、SNS等の各種媒体や企業活動を通じた受診促進など、市町や保険者、企業等と連携しながら、ターゲットを絞った啓発等にも取り組んでいるところでございます。  引き続き、性差や年代等に応じた施策を推進し、豊かで活力ある健康長寿とちぎの実現に努めてまいります。 ○阿部寿一 議長 山田みやこ議員。    (39番 山田みやこ議員登壇) ◆39番(山田みやこ議員) 保健福祉部長からの答弁をいただきました。確かに性差という言葉は使われていないかもしれませんけれども、やはり男性、女性というものもあります。ただ、性差を考慮した健康支援というのは、年齢であるとか、若いとか、高齢者であるとか、そういうこともありますけれども、これは一人一人なんですね。それが女性であるか、男性であるかというところだと思いますので、一人一人が生涯にわたり健康を自己管理する能力向上というところが、私は性差の視点を入れるということになっていくのではないかなと思っているかところでございます。そういったところを、読み取らなくては分からないようなことではなくて、やはり性差という視点をもう少ししっかり入れていただきたいということで、私は今回質問させていただいたところでございます。  それでは、県民生活部長に再質問させていただきます。今、女性外来というと、同性で話しやすい女性医師の存在が重要になってきます。昨今、女性医師は増えてきておりますが、診療科が偏っていたり、まだまだ男性医師が多いことは否めません。女性としての体のことを相談しやすい女性医師を増やすことが必要と考えます。今年度からスタートしましたとちぎ男女共同参画プラン(5期計画)では、施策の一つに、理工系分野における女性の活躍促進を掲げております。女性研究者、技術開発者の増加を図るために、中学生、高校生の段階から理工系分野に進路選択する環境づくりに取り組むとしており、これは女性医師の誕生にもつながっていくものではないかと思います。  そこで、女性医師の誕生に向けてどのような環境づくりに取り組んでいくのか、県民生活部長に見解をお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 千金楽宏県民生活部長。 ◎千金楽宏 県民生活部長 再質問にお答えいたします。県では、今年度、理工系分野における女性活躍促進調査というのを実施しまして、その中の一つとして、高校生を対象にアンケート調査を実施いたしました。その結果を見ますと、女性の理工系分野の進路選択を促進するためには、中学生などの早い時期からの働きかけが有効ということが分かりました。また、進路選択の促進のために有効な取組として、理系の具体的な仕事内容を理解したり、実際に理系分野で働いている女性との交流ができる機会を増やすこととの回答数が多くありました。これらの結果を踏まえまして、新年度は、理系の仕事や研究の魅力を紹介する女子中学生向けの冊子を作成しまして教育現場に配布しますとともに、中学生、高校生と、そういった分野で実際に活躍している女性との交流会も企画しているところでございます。こういった取組を通しまして、理系分野の幅広い興味、関心を喚起できるように、本取組を進めていきたいと思っているところでございます。 ○阿部寿一 議長 山田みやこ議員。    (39番 山田みやこ議員登壇) ◆39番(山田みやこ議員) 分かりました。本当に環境づくりというのは早い段階からだと思います。教育分野とともに、理工系という形での女性の進出を栃木県からも強力に発信していっていただきたいと思います。そのためには、この性差という考え方が非常に必要かと思います。身体の性差、または社会的性差、これは相反するものもあるのですけれども、その視点をしっかりと捉えた中で環境づくりを推進していっていただきたいと思います。  それでは次に、家族介護者支援(ケアラーケア)の取組について、保健福祉部長に質問いたします。昨年度、厚生労働省は、家族にケアを要する人がいる場合に、大人が担うようなケア責任を引き受け、家事や家族の世話、介護、感情面のサポートなどを行っている18歳未満の子供、いわゆるヤングケアラーについて全国調査を実施しました。その結果、国はヤングケアラー支援策として、自治体による独自の実態調査の推進、福祉、介護、医療、教育など関係機関、各分野の専門職等への研修や学ぶ機会の推進、幼い兄弟のケアを担う子供がいる家庭への家事支援サービスの検討、2022年度から2024年度までの3年間をヤングケアラー認知度向上の集中取組期間として、広報啓発活動などにより社会的認知度向上に取り組み、当面は中高生の認知度5割を目指すことなどを打ち出しました。本県でも、来年度に実態調査をすることにしておりますので、現状や課題等の把握はもちろんですが、きめ細やかな支援策が早急に検討されることを期待したいと思います。  しかし、家族のことだからケアするのは当たり前、不思議ではない普通のことであり、自分がヤングケアラーだと認識せずにいる子供たちはまだまだ多くおります。この調査をきっかけに、普通じゃないと気がつけばSOSにつながる可能性もありますが、特別視されるのが嫌で学校や地域では話せなかったと元ヤングケアラーの方々の声も聞きます。ヤングケアラーの支援においては、子供個人ではなく家族全体を把握することが重要です。ヤングケアラーは18歳未満と定義づけされていますけれども、18歳となった途端にケアラーでなくなるわけではありません。おおむね30歳代までの若者ケアラー、障害や病気の兄弟姉妹のいる子、外国につながる子、子育てと介護を同時に行うダブルケア、トリプルケア、老老介護、遠方介護、夫婦ともに働きながら介護しているワーキングケアラーなど、家族介護者は多岐にわたります。その背景や抱える問題も複雑ですので、ケアラーが孤立したり精神的疲弊や生活困窮に陥るなど、それぞれに大きな負担を抱えています。ケアラーに関しての不幸な事件も全国で起きている状況です。  困った人ではなく困り事を抱えた人として、規範意識ではなく、背景に何があるのか、家族丸ごと実態を把握することで社会的課題が見えることもあります。ケアラーの抱える問題に早期に気づき対応することが重要ですが、ケアラーからのSOSをキャッチしても、顕在化しにくい新たな課題を抱えていたり、既存の制度のはざまにあったりして必要な支援が行き届かなかったりする場合があることから、子供、高齢者、障害者、貧困など縦割りの支援ではなく、各分野の横断的な支援が必要ではないでしょうか。今後、充実を図るべき家族介護者支援(ケアラーケア)は、ケアラーの年齢や内容にかかわらず、生涯を通して生活実態に合った取組が求められています。  ケアラー個人やその家族が地域から孤立したり、課題が深刻化しないよう、社会全体で支える仕組みをつくっていく必要があると考えますが、保健福祉部長に所見をお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 仲山信之保健福祉部長。    (仲山信之保健福祉部長登壇) ◎仲山信之 保健福祉部長 ただいまのご質問にお答えいたします。家族による介護は学業や仕事に大きな影響を及ぼすとともに、家庭内の問題として顕在化しにくく、孤立に陥りやすいという課題があります。こうした介護者の実情に応じて適切な支援を行うためには、身近な地域において、複合的な課題に係る相談を受け止め、福祉、医療、教育等の関係者が横断的に連携して支援に当たることが重要であります。このため、県では介護者を適切な支援につなぐため、多様で複雑な課題の相談を受け止め、必要な支援をコーディネートできる人材を育成するとともに、分野を越えた連携体制の構築に向けた意見交換会や実践事例の情報提供などにより市町の取組を支援しております。  今後とも、市町や関係機関と緊密な連携を図りながら、介護者を社会全体として支えられるよう体制の構築に取り組んでまいります。 ○阿部寿一 議長 山田みやこ議員。    (39番 山田みやこ議員登壇) ◆39番(山田みやこ議員) ただいま保健福祉部長からのお答えでは、共生するような形での支援というか、総合的な相談支援をやっているということでございました。今日の新聞報道を見まして、私もちょうどいいタイミングだなと思ったのですけれども、政府が今国会におきまして、2024年4月以降に子育て世代包括支援センターと子ども家庭総合支援拠点を一元化して、こども家庭センターをつくるような改正案の提出方針を固めたという報道がございました。このセンターは、見落としを防ぐ目的もあり、ヤングケアラーであるとか、虐待であるとか、若年の女性の妊娠など、問題を抱える家庭への支援で、家庭訪問をしたり、家事育児の援助をするということだそうでございます。これは、2024年度以降ということでございますけれども、やはり今やらなければならないということでございますので、先ほど保健福祉部長がおっしゃいました包括的な支援という形でのコーディネーターを置いてということでございます。ただ、私はその事業を見たときに、ケアをされる側が受ける相談かなと思っていたのですが、これはケアをする側も入りますね。だから、その辺りのところもしっかりと周知することも必要ではないかなと考えるところでございます。  そして、神奈川県では、ケアラーの置かれている現状を多くの人に理解してもらう目的も兼ねて、ケアラーの方が利用できる支援一覧をケアラー支援ポータルサイトという形で情報提供しているということでございます。ケアをしていると、そういったところになかなか目が行かなくなりますけれども、本当に多くの広報という形での周知というのは、やり過ぎてもやり過ぎないぐらいなかなか情報が受け取ってもらえないということがございますので、そういったことにも力を入れてやっていただきたいと要望させていただきます。  それでは、次の質問に入らせていただきます。協同労働を進展させていくためについて、産業労働観光部長に質問いたします。2020年12月の臨時国会にて、労働者協同組合法が成立し、2022年10月から施行となります。労働者協同組合は持続可能である活力ある地域社会を実現するため、出資、意見反映、労働が一体となった非営利の組織で、多様な労働の機会の創出や地域における多様な需要に応じたサービス提供が期待されております。少子高齢化が進み、人口減少が著しい地域においては、介護、障害福祉など幅広い分野で多様なニーズが求められている中で、介護や福祉などの事業を担う非営利組織は以前からありますが、多くは法人格を持たず任意団体として、またはNPO法人格を取得するなどして事業を行ってきました。しかし、法人格を持たないがゆえに、契約の主体となれなかったり、NPO法人の設立や運営には手続等が煩雑であることや、活動分野が制限されるなど多くの課題を抱えているため、以前から非営利の法人を簡便に設立できる制度が求められていました。  労働者協同組合の設立は準則主義であり、NPO法人などよりも簡単な手続で法人格を取得でき、訪問介護や学童保育など地域の需要とマッチした事業を行う組合が誕生し、担い手が増えることが期待できます。雇用労働ではなく、働く人たちが自分たちで出資して働く場をつくり、一人一人の能力を生かして多様な就労の機会を創出し、地域課題を解決することで、持続可能な地域社会をつくり上げていくことができます。運営にも関わることで、運営に意見が反映される仕組みになっています。しかし、従来の労使という関係ではないため、制度や仕組みが分かりづらく、まだ広く知られていないのではないでしょうか。人口減少が進む中、地域における多様なニーズに応える事業を安定的に行う仕組みとして、労働者協同組合制度にとても期待します。中小企業は事業継続のために協同労働への関心の高まりもあるそうです。  そこで、今年10月には法律が施行されますが、まだ十分に制度や相談窓口等の周知がなされていないのではないかと思いますので、今後どのように取り組んでいくのか、産業労働観光部長にお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 辻真夫産業労働観光部長。    (辻 真夫産業労働観光部長登壇) ◎辻真夫 産業労働観光部長 ただいまのご質問にお答えいたします。労働者協同組合は、地域の課題に対応するための新たな担い手になりますとともに、意欲と能力に応じた働き方の実現にも資するものと認識しております。労働者協同組合法の本年10月からの施行に向けまして、現在国において関係政令等についての審議が行われており、今後、設立手続の具体的な方法などが示される予定でございます。県では、現在ホームページにおきまして、労働者協同組合の概要や運営の原則等を周知しているところでありますが、詳細が決まり次第、様々な機会を捉えまして積極的に周知を行ってまいります。また、国では新年度に制度の周知に向けたフォーラムの開催や制度全般に関する相談を受け付けるための相談窓口及びウェブサイトの開設を予定しておりまして、県におきましても、これらの周知等も含めまして国との連携を図ってまいります。  今後とも、国や関係団体と緊密に情報の共有を図りながら、適切な労働者協同組合の活用促進に努めてまいります。 ○阿部寿一 議長 山田みやこ議員。    (39番 山田みやこ議員登壇) ◆39番(山田みやこ議員) ただいま産業労働観光部長からもございましたように、労働者協同組合の税制を、国は新たに公益法人にするため今国会で法の一部改正をするようですので、まだ動きが遅いというか、見えてこないのではないかと推測いたしますが、しかし、10月施行でございます。その準備は本当に必要だと思います。今ホームページ等で広報ということもおっしゃられておりましたけれども、今、栃木県では、ワーカーズコープやワーカーズコレクティブの方々が主体となりまして、協同労働推進ネットワークとちぎを組織しまして、法制化記念のフォーラムであるとか、学習会を開催して、各自治体へも働きかけておりますけれども、県のほうからはまだ何もないという話も聞きました。  私たち民主市民クラブとして、昨年11月に那須町の旧朝日小学校の校舎をリフォームしてワーカーズコープの協同労働の実践の現場を視察してまいりました。その地域で生活ができるという形のものでございまして、放課後のデイサービスであるとか、あとはカフェ、マルシェ、そして児童発達センターなどのような事業も行っておりました。これは本当に働き方の改革でもありますし、地域の要望に応えたものであるなと実感した次第でございます。  そこで、産業労働観光部長に再質問をさせていただきますが、これまで団体が安定的に継続的に地域の多様なニーズに応じた事業に取り組む上で、手続の煩雑さから、なかなか法人格が得られませんでしたけれども、今回こういうことができるようになりますと、この制度を利用することによって法人格を取得して安定的な事業運営、また中小企業の事業継承が期待されるのではないかと思います。様々な分野で活動する団体、NPO、中小企業などからの相談も多くなるかと思われますので、これらに対応するためには、産業労働観光部だけではなくて関係部局横断的な連携を持っての対応というか、相談窓口というものも必要になってくるのではないかと思いますけれども、県庁内の関連部署との関係はどのように考えておられるのか、見解を伺います。 ○阿部寿一 議長 辻真夫産業労働観光部長。 ◎辻真夫 産業労働観光部長 再質問にお答えいたします。議員ご指摘のとおり、労働者協同組合につきましては、様々な性質の団体等からの相談が想定されるところでございます。特にNPO法人等につきましては移行も想定されているところでございまして、これらNPO法人向けの制度の説明、それから移行手続の際には、非特定営利活動に係る事業の確認業務等もございます。こういったことも踏まえまして、NPO法人を所管する県民生活部と連携して対応することとなっております。その他、必要に応じまして関係部局との連携を図りまして、組合の設立、移行に関する相談等に適切に指導助言が行えるように取り組んでまいりたいと考えております。 ○阿部寿一 議長 山田みやこ議員。    (39番 山田みやこ議員登壇) ◆39番(山田みやこ議員) 分かりました。そういった形での横断的な連携というものは必要になると思いますし、地域で要望するような活動は福祉の分野でも相当あるかと思いますので、県民生活部との関係というか、横断的な連絡もしながらやっていっていただきたいと思います。また、まずは自治体職員なども含めた制度の理解も必要ではないかと私は思うのです。他県では、自治体職員であるとか議員の協同労働の働き方についての学習会を県主導または市主導でやっているところもございますので、そういったところの計画とかは産業労働観光部として何か考えるところはございますでしょうか。見解をお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 辻真夫産業労働観光部長。 ◎辻真夫 産業労働観光部長 現時点では、まだ予定は組んでおりませんけれども、今後検討してまいりたいと考えております。 ○阿部寿一 議長 山田みやこ議員。    (39番 山田みやこ議員登壇) ◆39番(山田みやこ議員) 新しい働き方ということはこれからの社会の中には本当に必要なことになってくるかと思いますので、やはり自治体の職員であるとか、議員であるとか、こういったことの詳しい周知というものが、やはりこの栃木県で協同労働が発展するものだと思いますので、そういったことに全力を傾けていただきたいと要望しまして、最後の質問に入らせていただきます。  医療的ケア児の支援について質問いたします。2021年6月、医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律が公布され、医療的ケア児への支援は、国や地方自治体の努力義務から責務と明記されました。これまでは、専門人材や環境を整えた預け先が極端に不足し、医療的ケア児が心身の状況に応じた適切な支援や教育を受けられず、また家族が24時間ケアを担うために、就労機会を失うなどの問題がありました。保育園時代は様々な制度を使い母子分離ができ、働くことができたとしても、小学校入学になりますと保護者による終日の付添いが必要になる場合があります。特に就学時には大きな壁があります。これは特別支援学校入学が決定しても同じです。また、医療的ケア児の状況によっては自宅で訪問教育を受ける選択もありますが、保護者の思いとしては、障害や医療的ケアが必要であっても、他の子供たちと同じように多くの経験をさせてあげたい、そのことが子供にとってプラスになるのではないかなど、子供にとってどのような選択がよいのか答えが見つからないまま、様々な思いを抱え込んだり、ぎりぎりまで悩み、親の思いを諦めざるを得なかったことも事実でございます。  医療的ケア児支援法では、医療的ケア児とその家族に対する支援に対して基本理念が定められ、その一つに、個々の医療的ケア児の年齢、必要とする医療的ケアの種類及び生活の実態に応じて、かつ医療、保健、福祉、教育、労働等に関する業務を行う関係機関及び民間団体相互の綿密な連携の下に切れ目なく行われなければならないとされています。また、学校設置者の責務として、基本理念にのっとり、学校に在籍する医療的ケア児に対し適切な支援を行うとされました。医療的ケア児の保護者にとって、この法律は待ちに待ったものであり、また県においても、新年度中に医療的ケア児支援センターを設置することとし、保護者が抱え込んできた問題が解決に向けて動き出すのではないかと期待しております。  そこで県では、この法律の趣旨を踏まえ、医療的ケア児の就学時における支援やその保護者が安心して学校に通わせられるようどのように取り組んでいくのか、教育長にお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 荒川政利教育長。    (荒川政利教育長登壇) ◎荒川政利 教育長 ただいまのご質問にお答えいたします。医療的ケア児に対する教育につきましては、安全な学習環境の下で、一人一人の教育的ニーズに応じて行われることが必要であります。このため、医療的ケア児の適切な就学先決定に向けまして、市町教育委員会の要請に応じて、医療や福祉の専門家で構成されます県教育支援委員会を開催し、専門的な見地からの助言、支援に努めております。また、医療的ケア児が在籍する特別支援学校に看護師を配置し適切な医療的ケアを行うとともに、市町教育委員会に対しましては、支援体制の整備に向け助言を行うほか、担当者を対象とした研修会を実施しております。  今後は、医療、福祉等の関係機関はもとより、新年度設置される医療的ケア児支援センターとも緊密に連携し、医療的ケア児が安心して学校生活を送れるよう、支援の充実に努めてまいります。 ○阿部寿一 議長 山田みやこ議員。    (39番 山田みやこ議員登壇) ◆39番(山田みやこ議員) ただいま教育長から、教育支援委員会での検討ということをお聞きいたしました。調べたところによりますと、私は、医療的ケア児の対応や、保護者の意見や悩み相談に応じるために、教師や学校看護師が保護者の声を聞き、医療的ケア校内検討委員会において一人一人の対応の検討もしているということも聞きました。確かにこの検討というのは重要なことだと思うのです。ただ、医療的ケア児の就学時の判断というのは大変大きな壁になります。保護者の通学時や教室内での付添い、別室での待機、また通学したいと考えていても、週3回の訪問教育がいいだろうということになったり、ケア児と保護者との希望がそこでなかなかマッチしないというか、通らない状況も多々あるということもたしかでございます。そのような中で、医療的ケア児支援センターの設置により、さらなる医療的ケア児と保護者の意思を最大限に尊重した対応は、もう少し距離を縮めるような心理的なこともあるでしょうけれども、そういったことの努力というのはどのようになりますでしょうか。教育長に質問いたします。 ○阿部寿一 議長 時間がございませんので要望にしてください。 ◆39番(山田みやこ議員) 分かりました。それでは要望という形になりますけれども、確かに両方のサイドから見るとこれが一番だ、という判断を出すのが就学時の判断だとは思います。ただし、心理的な問題というのですか、そういうことが、見る立場がそれぞれ違いますので、そこの納得度というものがあるかと思うのですけれども、それが少しでも納得するような形で縮まるような努力をしていっていただきたい。今までもしているかもしれませんが、やっぱり医療的ケア児を抱える保護者の方は大変な思いしているかと思いますので、そういったところの対応をしていっていただきたいと思います。  以上をもちまして私の質問は終わりますけれども、今、社会の状況変化とともに様々な分野で徐々に法整備がなされていくような流れが起きております。当事者にとって環境がよくなるよう、県としても対応していっていただきたいと強く願いまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。 ○阿部寿一 議長 以上で本日の日程は終了いたしました。24日は定刻から本会議を開き、上程議案に対する質疑並びに県の一般事務に関する質問を行います。  本日はこれで散会いたします。     午後3時59分 散会 令和4年2月24日(木曜日)...