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  1. 茨城県議会 2002-09-06
    平成14年第3回定例会(第3号) 本文 開催日: 2002-09-06


    取得元: 茨城県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-12
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 平成14年9月6日(金曜日)午後1時2分開議          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◯議長(香取衛君) これより本日の会議を開き,直ちに議事日程に入ります。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 日程第1 第111号議案=ないし=第127号議案,認定第1号,報告第3号 2 ◯議長(香取衛君) 日程第1,第111号議案ないし第127号議案,認定第1号及び報告第3号を一括して議題といたします。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑 3 ◯議長(香取衛君) これより県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑を許します。  鶴岡正彦君。                  〔37番鶴岡正彦君登壇,拍手〕 4 ◯37番(鶴岡正彦君) 自由民主党の鶴岡正彦でございます。  経済の低迷が長らく続き,また,本格的な少子高齢社会の到来が間近に迫るなど,足踏みを続ける我が国には,今,解決すべき課題が山積しております。再び安定的な成長の軌道に乗せるためには,戦後の発展を支えてきたさまざまな制度の見直し,すなわち,時代に合わないものの清算,よいものの継承,新しい要素を取り入れた発展に果敢な決断とスピードで取り組むことが重要であります。  地方自治のあり方をどう見直すかも,我が国の制度改革の大きな柱であることは言うまでもありません。地方分権一括法が施行されて2年半が過ぎようとしておりますが,今の分権の姿は,権限の移譲に伴う財源措置がなく,理想的な分権像からはほど遠いものとなっております。  この地方制度の見直しについては,小泉総理から,国庫補助負担金,交付税制度,税源移譲の3つを一体的に見直すよう関係省庁に指示が出され,見直しに向けての大きな動きになってまいりました。  さらに,8月28日の経済財政諮問会議においても,平成15年度予算に芽を出してほしい旨,そして,明年6月までに改革の行程表を作成するよう指示がなされたところであります。  また,地方分権改革推進会議においても,国と地方の事務事業のあり方について,本年6月には中間報告がなされるなど,集中的に検討がされているほか,片山総務大臣が地方への税源移譲について試案を発表するなど,地方自治のあり方をめぐってさまざまな議論が,現在,進められております。  その意味で,この1年は,地方自治制度の行く末を左右する大変重要な時期であり,地方公共団体としても心して取り組むことが必要であります。地方のことは,よさも悪さも地方が一番よく知っているのであり,地方からの声をどんどん発信して,それが十分反映されるような地方自治制度の改革が行われるべきだと思います。  こうした観点から,地方自治制度のあり方を中心に,質問を進めてまいります。  まず初めに,国と地方の役割分担に応じた事務事業のあり方についてお伺いいたします。
     地方分権の目指すべき方向として,国と地方の役割分担を論ずる際,まず,基礎的自治体である市町村を最優先し,次いで,広域自治体である県が担い,国は広域自治体でもふさわしくない事務事業を担うという補完性の原理に基づいた考え方が示されるようになってきております。  このような観点に立って,さきの地方分権改革推進会議の中間報告では,地方分権改革の方向性として,国の関与,規制の縮減による地域における行政の総合化や,地方の創意工夫による施策の実施,受益と負担の関係の明確化による資源の適正配分が図られるシステムの構築などを掲げているところであります。  この中間報告の中での注目すべき考え方は,ナショナル・ミニマムとローカル・オプティマムであります。発表以来,多くの論議を呼んでいるところであり,国と地方の役割分担を論ずるに当たっては避けて通ることができないものであると思っております。  ナショナル・ミニマム,すなわち,国はすべての国民に対して最低限の行政サービスを保障する責務があり,現状ではそれが達成されていないことから,国の役割は大きく,国の地方への関与,規制が引き続き必要であるという考え方であります。  もう一つの考え方は,多くの分野でナショナル・ミニマムが既に達成されているという前提に立って,地方公共団体は地域住民のより高いレベルのニーズにこたえて,地域ごとに最適の施策の組み合わせを探求し,その実現に努力するという考え方であり,この地域ごとの最適状態をローカル・オプティマムと呼んでいるところであります。  この考え方によれば,これからの行政の目標はローカル・オプティマムの実現ということになるわけであります。憲法論議にはなりますが,地方自治関連法を集約・改正し,地方自治基本法を制定していく必要があるのではないかと思います。  しかし,よく考えてみますと,例えば,今,論議の対象となっております高速道路や下水道などの社会資本の整備状況や,教育,福祉,環境などさまざまな分野において果たしてナショナル・ミニマムは達成されているのかという疑問は残り,いまだ国として責任を持って実施すべきものがあるのではないかと思うのであります。  そこで,まず,知事に,ナショナル・ミニマムがどのレベルのもので,達成状況についてどのような認識をお持ちになっているのか,伺うものであります。  また,より住民満足度の高い地方分権を確実なものとするためには,ローカル・オプティマムの考え方を明確にしていく必要性もあると思われますが,これに対する認識についてもあわせて伺うものであります。  次に,自立的な財政運営について,知事にお伺いいたします。  初めに,地方行財政にかかわる三位一体の改革についてであります。  現下の地方財政は,経済状況を反映して,依然として税収が低迷していることに加え,これまで経済対策として実施してきた諸事業に伴う公債費の累増などにより,極めて厳しい状況にあります。  一方,地方分権の推進に当たって,地方公共団体は,地域における要請を自主的かつ総合的に担うこととされており,少子高齢化の進展やITの推進など,行政ニーズの多様化,高度化に対応するため,その役割はますます増大してくるものと思います。  本年6月に閣議決定された「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002」,いわゆる骨太の方針第2弾においては,真の地方の自立を目指して,国庫補助負担金,交付税,税源移譲を含む税源配分のあり方を三位一体で検討することとされ,今後1年以内を目途に改革案を取りまとめることとされておりましたが,冒頭で述べましたように,ここに来て,その一部が平成15年度予算の中に前倒しで実施されようとしております。  これらの改革について,財務大臣と総務大臣が,8月28日の経済財政諮問会議において,交付税の財政調整機能に変えることや,税源移譲に関して大激論が交わされたという議事録を読みましたが,このことは,国の財政状況が厳しい中,これまで受けていた国庫補助金や基準財政需要額に見合った財源の全額を税源として移譲されることにはならないということであります。今後,地方公共団体は,それぞれ自助努力による一層厳しい財政運営が求められるのではないかと思っております。  そこで,このような三位一体の改革について,知事はどのように認識し,どのように対応していくお考えなのか,伺うものであります。  次に,数値目標による財政再建についてであります。  本県では,平成12年度から14年度の3年間を再建期間とした財政再建プランに基づき,歳出の削減や歳入の確保に努めてまいりました。  しかし,中期財政収支見通しを見ますと,財源不足額は減少するどころか,逆に増加しており,今年度当初に引き続いて来年度も800億円の不足が予想される状況にあります。  例えば,短期的に見ても,今年度の税収は,昨年度に比べ400億円も減少すること,長期的に見ても,退職者の増加に伴う退職者給与の大幅な上昇など,厳しい状況がすぐそこに迫っております。  現在,新たな行財政改革大綱及び財政再建プランの策定に向けた取り組みが進められているとのことでありますが,財政を立て直し,しっかりした財政基盤をつくるには,私は以前から指摘をしておりますように,借金としての起債が返済としての公債費の範囲内におさまるようなプライマリーバランスを早期に達成することが重要だと考えます。  また,民間経営の視点を取り入れたニューパブリックマネジメントの導入を提唱いたしましたように,財政再建に向けた道筋を具体的に示す努力が必要だと思うのであります。特に目標を明確にした管理,しかも,できる限り数値目標を設定した管理が重要であると考えます。例えば,プライマリーバランスをいつまでに達成するのか,県債の発行目標額は公債費の枠内にとどめるとか,起債残高は予算規模を超えないようにするなどのように,再建プランの各項目に目標数値,目標年度を設定し,管理すべきであります。  そこで,新たな行財政改革大綱,そして,財政再建プランにおける数値目標による管理について,知事の御所見を伺うものであります。  次に,県税のあり方についてであります。  地方分権一括法の施行に合わせて法定外目的税が創設され,これを契機として,新税の創設など地方の独自課税の動きが活発になってきております。最近では,三重県に続いて,岡山,広島,鳥取の3県で産業廃棄物税の条例が可決され,そのほかの県においても,産業廃棄物や水源関係などへの課税について検討が行われております。  これらの法定外税は,既に条例が施行されている三重県の産業廃棄物税でも,年間の税収見込み額は3億円程度にとどまっており,税収の確保というよりも,むしろ税制を創設することで,産業廃棄物の流入抑制や環境保全などの政策目的を実現しようとするものであります。  現行の税制では,地方税法などによって,所得,取引,流通,資産といった主要な課税対象には何らかの税が課せられており,課税の重複を避けるとなると,これ以外の課税対象は必然的に限定され,税収も限られることになります。  地方税全体の中に占める量的な位置は将来も低くとどまるとの意見もあり,法定外税で税収確保を図ることについては限界があるものと認識しております。  このようなことから,基本的には,法定税目の充実について検討していくことが重要であり,県税の基幹税目となっている県民税や事業税等の今後のあり方について検討していく必要があると考えるのであります。  まず,一つの方向として,地方税法の範囲内で税率を設定する超過課税や,昭和61年,62年の2年間,暫定実施された法人税などの繰り越し控除の停止のようなことを県独自で行うなどについてどう考えるかであります。  現在,法人県民税法人税割については,本県を含めた46都道府県で実施されているものの,制限税率の限度まで税率を引き上げているのは東京都と大阪府だけであり,それ以外は制限税率より低い税率での超過課税が実施されております。  法人事業税については,東京都など7都府県,法人県民税均等割は大阪府が平成13年度から実施しているのみであり,それ以外の税目については実施されていない状況にあります。  超過課税は法人税関係に偏っているとの批判もあり,また,個人住民税のように広く負担が及ぶ税目の方が,財源充実の必要性を理解してもらう意味からも,より適当であるとの意見もあります。  個人県民税の超過課税は,今のところ実施している都道府県はありませんが,法定の基幹税目の充実を図る方策として,行政サービスの提供と負担の関係を明らかにしながら,超過課税の導入について考え方を整理することも必要ではないかと考えます。  また,もう一つの考え方として,税率の引き下げは行わず,逆に税を軽減することで他県から企業を積極的に誘致し,法人事業税,法人県民税などの将来の税源を確保していくという方策も考えられます。例えば,企業の立地促進のために,条例によって県独自の減税を行うといった方策は,将来の税源を育て,確保していく上でも有力な選択肢の一つではないかと思います。  そこで,このように新税の創設以外にも,現行制度の範囲内で税源の充実を図ることが可能であると考えますが,地方公共団体において税をめぐるさまざまな取り組みや施行がなされている中で,今後の県税の充実について,知事の御所見を伺うものであります。  次に,法人事業税の外形標準課税についてであります。  安定的な税収が見込める外形標準課税につきましては,以前,予算特別委員会でも取り上げましたが,その後,税制の抜本改革や構造改革との関連で,政府税制調査会経済財政諮問会議などで活発な議論がなされております。特に小泉総理が法人事業税への外形標準課税の導入に前向きな姿勢を示しているとの話が出て以来,導入に向けた議論がさらに活発になっていると思われます。  しかしながら,議論が活発になるに伴って,外形標準課税があたかも増税を強いるものであるとの声が大きくなってきております。金融関係のシンクタンクや経済団体からは,外形標準課税の導入によって8,400億円も増税になるという試算も発表されております。  また,経済界などからは,外形基準の中に給与が含まれているため,賃金課税であり,雇用に悪影響を及ぼすとの意見や,経済情勢が厳しい中で,中小企業をねらい撃ちしたものであり,到底認められないとの批判も出されているところであります。  外形標準課税の問題については,基本的には国において議論されるべきものと考えますが,県としても,これまでのように,国に対して要望していくだけではなく,県としての考え方を示し,説明責任を果たしていくべきと考えます。  そこで,外形標準課税に対する批判等についてどのような認識を持っておられるのか,また,外形標準課税の導入に向けてどのように取り組んでいかれるのか,知事にお伺いをいたします。  次に,市町村への権限委譲と行政事務の支援についてお伺いいたします。  地方分権一括法の施行以来,住民に身近な事務は市町村が行うという基本方針に基づき,本県では,36法令,395事務が県から市町村に委譲されております。  しかし,一口に市町村といいましても,財政状況や人口規模,地域の特性など,それぞれ異なり,今後は希望する市町村への権限の委譲とか住民サービスの向上という視点からの事務の支援という個々の市町村の事情を考慮に入れた取り組みを行っていく必要があると考えますので,このような観点から,次の2点の事務についてお伺いをいたします。  まず,傷病鳥獣救護事務についてであります。  本県は,多くの河川や湖沼,美しい山並みや海岸などによる変化に富んだ地形に加え,温帯から暖帯に移り変わる位置にあるため,首都圏の中にあって豊かな自然環境を有しており,多種多様な生物が数多く生息しております。  しかし,都市化が進展していることから,野生鳥獣にとっては人間と生活圏が重なり合い,交通事故など人為的な危険が増加しており,生息しづらい状況になってきていることも否定できません。  現在,けがや病気で弱っている傷病鳥獣の救護については地方総合事務所が所管しており,県民等から通報を受けて,捕獲を許可されている職員が現場に直行し,傷病鳥獣を引き取って,県の指定した診療実施機関に搬送して治療を行い,その後,那珂町にある県鳥獣センターにおいて保護するというシステムになっております。  しかし,通報の多くが県ではなく市町村に入ってくるため,傷病鳥獣の保護は現場に短時間で到着できる市町村が行うことが住民サービスにつながるものと考えます。  また,傷病鳥獣を保護しても,県が指定する診療実施機関は,県南地方総合事務所管内では5カ所と少なく,診療実施機関への搬送に時間を要しているのが現状であります。  そこで,市町村の判断で傷病鳥獣の保護ができるよう,希望する市町村には傷病鳥獣捕獲許可の権限を委譲するとともに,県指定診療実施機関をふやし,速やかな治療が可能な傷病鳥獣の救護体制を整備すべきと考えますが,生活環境部長の御所見をお伺いいたします。  次に,動物管理事務についてであります。  現在,野犬等の捕獲については,笠間にある県動物指導センターが県内を定期的に巡回して実施しております。  しかし,動物の保護収容などの速やかな対応を求める住民からの通報は,県ではなく市町村に入ることが多いと聞いております。笠間に近い地域であれば素早い対応は可能ですが,取手のように遠いところでは,市の職員が緊急臨時的に保護収容に行かざるを得ないケースが少なからずあるというのが現状であります。  また,飼えなくなった犬,猫の引き取りについても,県動物指導センターが市町村の協力を得て,県内124カ所で2週間に一度飼い主からの引き取りを行っており,昨年度,ワイドショーでも紹介をされましたが,1万3,983頭という全国的に見ても極めて多い引き取り実績があります。しかし,指定日以外に市役所に持ち込まれるケースもあり,市では引き取りの指定日になっている近隣の引き取り場所に届けることもあると聞いております。  制度的には明確になっていないこうした動物の一時的な保護収容や引き取りを市町村が行うことについて,住民サービスの向上を図るためには,このような実情を踏まえ,市町村で行うことができる事務として位置づける必要があると考えます。  さらに,犬,猫の飼い主には,みだりに繁殖することを防止する処置が求められているにもかかわらず,このような捨て犬,捨て猫が横行する背景には飼い主の無責任な飼育の実態があるのではないかと思います。安易な繁殖を減らし,ひいては引き取り件数の軽減につながるよう,犬,猫の避妊,去勢手術に対する助成制度を設けるべきと考えます。  そこで,野犬等の捕獲及び動物の引き取りについて市町村で行えるよう明確にするとともに,繁殖制限措置の促進にどのように取り組んでいかれるのか,保健福祉部長の御所見をお伺いいたします。  次に,生活排水ベストプランの見直しについてお伺いをいたします。  まず,下水道にかかわる都市計画の見直しについてであります。  知事は,さきの全国知事会において,下水道,農業集落排水合併処理浄化槽生活排水対策をトータルで国に要望していくと発言されたと新聞で拝見いたしましたが,私は,現行制度の見直しによる早期整備を図ることが必要ではないかと思っております。  平成7年度に策定した生活排水ベストプランによれば,おおむね平成27年度を目標として,県内の83%を下水道で,10%を農業集落排水事業等で,7%を合併処理浄化槽で処理できるようにする計画となっておりますが,平成13年度末の下水道普及率は44.5%にとどまっており,全国平均の63.5%に比べても非常におくれている状況にあります。  下水道事業の都市計画決定が行われているにもかかわらず,具体的な事業計画が示されず,下水道という行政サービスを受けられる見込みが立たないままになっている区域がまだまだ残されております。一度決定した都市計画は変更することができないとか,変更すると予算獲得が困難になるというような固定観念から,これまで計画の見直しが行われてこなかったのではないかと思われます。現在,生活排水ベストプランの見直しが行われているとのことでありますが,住民のニーズに的確に対応した生活排水対策を進めていくという視点に立って,一日も早い下水道の整備に向けて,市町村との連携を図りながら,すべての事業を見直してみる必要があると考えます。  下水道整備のおくれている区域は,都市計画を見直すことによって,農業集落排水への切りかえとか,または,例えば水道に簡易水道があるように,下水道にも規模を限定した上で簡易下水道のような制度を新設することも可能になると思うのであります。  そこで,県及び市町村の都市計画の見直しによる下水道の事業促進と新たな簡易下水道制度の導入について,土木部長の御所見をお伺いいたします。  次に,窒素及び燐の除去能力を有する高度処理型合併処理浄化槽の設置促進についてであります。  地形が平たんで集落が分散している本県においては,生活排水による公共用水域の汚濁防止対策として,下水道や農業集落排水といった集合処理施設とともに,合併処理浄化槽の担う役割は大きなものがあります。  現在,県内81市町村では,合併処理浄化槽の設置に対して,設置費用の約4割相当額を補助し,その3分の1を国及び県が市町村に補助することとなっております。しかし,従来型の合併処理浄化槽には,窒素及び燐をほとんど除去できないという大きな問題があります。霞ヶ浦環境センターの整備を待つまでもなく,湖や沼などの富栄養化の原因が窒素及び燐であることは明らかであり,生活排水対策を有効に進めるためには,窒素及び燐の除去が可能な高度処理型合併処理浄化槽の普及促進を図る必要があると考えます。  霞ヶ浦や利根川などの水資源を有し,全国有数の農業地帯を抱える本県は,他県に先駆けて高度処理型合併処理浄化槽への切りかえや新たな設置に対して,補助率のかさ上げや補助制度の新設といった支援策を講ずるべきと思うのであります。  そこで,窒素及び燐の除去能力を有する高度処理型合併処理浄化槽の設置促進をベストプランの見直しの中にどのように反映させ,どのように取り組んでいくのか,生活環境部長にお伺いをいたします。  次に,環境会計の導入についてお伺いいたします。  今日の環境問題を解決するには,社会経済活動のあらゆる局面で環境への負荷を減らすことが求められており,企業等に規制を課すのみならず,企業等がみずからの環境影響を自主的かつ積極的に改善する環境経営の取り組みを推進することが求められております。  この取り組みを促すため,平成8年には,環境経営の基盤となる環境マネジメントシステムにかかわる国際的な統一規格ISO14001が制定され,今年6月末現在で,この規格に適合すると認定された国内企業等は約9,500件に上り,企業のみならず,地方公共団体等でも環境マネジメントシステムの導入が進んでおります。  さらに,アメリカ環境保護庁やドイツ環境省では,事業活動における環境への負荷や対策を的確に把握し,評価していくことが重要であることから,環境会計の研究が進められ,実践されております。平成11年からは,国連において,各国代表者の参加を得て検討が進められており,今後は統一的な枠組みづくりが始まるのではないかと私は考えております。  環境会計は,企業等の環境保全活動におけるコストと効果を把握,分析する手法であり,その結果を公表することによって,消費者,投資家,取引先,地域住民等の利害関係者の理解を深めることができ,企業にとってみずからの事業活動を改善するとともに,環境保全活動に対する取り組みが適切に評価されることになります。  我が国においても,環境会計の導入について,環境省及び経済産業省がガイドライン等を示してその普及を促進しているところであり,主として企業を中心に導入の取り組みが進んでおりますが,この考え方を行政に応用することで,環境政策の効率的,効果的な展開を図ることができるものと考えます。  そこで,環境会計をめぐる国や地方公共団体,企業等の対応状況及び本県における今後の導入の可能性について,生活環境部長にお伺いいたします。  最後に,県保有美術品の有効活用について,教育長にお伺いをいたします。  本県では,昭和63年に近代美術館が開館し,続いて,その分館として,平成2年につくば美術館,平成9年に天心記念五浦美術館が開館し,一昨年4月には笠間に陶芸美術館がオープンいたしました。  これらの美術館には1,700点余りの作品が所蔵されており,これらの所蔵作品による移動美術館が年一回実施され,また,県外の美術館からの貸し出し要請も多く,海外の美術館に貸し出したこともあると聞いております。  県内市町村には,そのほか,美術館や博物館,郷土資料館,図書館,文化会館,文化ホール等があります。  また,私の地元取手市では,去る6月に,市民ギャラリーとして「とりでアートギャラリーきらり」が開館をいたしました。  私は,県の保有する美術品をこのような地域の文化施設,ギャラリーなどに積極的に貸し出して,県の美術館まで足の運べない県民に対して,身近な施設で県の保有する美術品を鑑賞できるような機会を提供することが県民サービスであり,県が貴重な美術品を所有する意義があると思うのであります。  また,県庁におきましても,25階の展望フロア,さらには2階のロビー,そして,生涯学習センターを初めとする出先機関にもこのような県保有の美術作品を何点かでも展示することが必要ではないかと,このように考えております。県民に世界的なレベルの美術品を見ていただくことによって,本県のイメージアップにもつながると思います。  そこで,県民の財産である県保有美術品の有効活用をどのように図っていかれるお考えなのか,教育長にお伺いをいたします。  以上で,私の質問を終わります。  ここで,一言申し上げておきたいと思います。  県の職員の方々は,県民及び市町村がどのようなニーズを持っているのか,適切に把握をしながら施策の中に生かしていく,この気持ちが必要だと思います。県民のために何ができるのかという課題意識を持って行政運営に努めていただきたいと思っております。  その意味におきまして,ただいま私が質問を申し上げました内容につきまして大いに期待をして,質問を終わりたいと思います。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 5 ◯議長(香取衛君) 鶴岡正彦君の質問,質疑に対する答弁を求めます。  知事橋本昌君。                    〔知事橋本昌君登壇〕 6 ◯知事(橋本昌君) 鶴岡正彦議員の御質問にお答えいたします。  まず,ナショナル・ミニマムとローカル・オプティマムについてでございます。  ナショナル・ミニマムにつきましては,時代とともに達成すべき水準や内容が変わっていくものであり,また,個別行政分野ごとにその達成状況を申し上げることは大変難しいものがありますが,あえて幾つか申し上げますと,例えば,高速道路や下水道などについては,欧米諸国の水準と比較してもまだまだおくれており,いまだ十分に達成されているとは言えないと考えられる一方で,生活保護や義務教育などについてはある程度の水準に達しているのではないかと考えております。  一方,ローカル・オプティマムという考え方が地方分権改革推進会議の中間報告において示されたところでありますが,本県での施策を例にとりますと,例えば,全国基準であります40人学級に上乗せして,ティーム・ティーチングや,小学校1年生を対象にした小人数学級の実施を行っていることなどがこれに該当するのではないかと考えております。  このローカル・オプティマムにつきましては,これからの真の分権社会において,国の関与を縮小し,地方の権限と責任を大幅に拡大することと相まって実現が図られていくものと考えており,今回,この時期に示されたことは,従来,ナショナル・ミニマムが拡大解釈され,国が幅広く責任を持つ論拠に使われがちであったことに歯どめをかける意味合いも込められているのではないかと受けとめているところでございます。  いずれにいたしましても,真の分権社会の実現に向けて,国と地方の役割分担を明確にし,国が責任を持つべき分野については国がその責務を十分に果たす必要があり,地方が責任を持つべき分野については,国の関与を縮減し,地方税財源の充実強化を図っていくことにより,地方の自主性,主体性が十分に発揮できるような行財政システムを構築していく必要があると考えております。
     次に,地方行財政に係る三位一体の改革についてでございます。  真の地方分権を実現するためには,地方公共団体の税財政基盤の充実強化が必要不可欠でありますが,今回の三位一体の改革の議論を聞いておりますと,交付税の財源保障機能がかなり縮減されるのではないか,あるいは国庫補助負担金の削減に見合った十分な税源移譲がなされないのではないかなど,国の視点に立った改革になりはしないかと強い危惧の念を抱いております。  今回,国庫補助負担金の抜本的な見直しを行うのであれば,従来のように,国の歳出カットのためにその廃止・縮減を行うのではなく,補助金を通じた国の関与をなくして,地方が主体的に事業を実施できるよう,十分な税源移譲を伴うものでなければならないと考えております。  また,その際の税源移譲に当たりましては,かねてから主張してきているとおり,税収が安定的で,かつ税源の偏在性が少ない個人住民税や地方消費税の拡充を図るようにすべきであると考えております。  このように税源移譲が行われてもなお一定の行政水準の確保と地方公共団体間の財政力格差の是正は必要となってくるものと思われますので,地方交付税総額についても必要な水準を確保していくべきであると考えております。  いずれにいたしましても,今回の三位一体の改革が,議員が御心配されておられますように,国に有利な形で進められてしまうことにならないよう,引き続き,県議会の皆様の御支援をいただき,知事会などとも連携を図りながら,国に対して積極的に働きかけてまいりたいと考えております。  次に,数値目標による財政再建についてでございます。  現在,現行の行財政改革大綱財政再建プランに掲げる具体的数値目標に沿って財政健全化に向けて全力で取り組んでいるところでございます。  新たに策定する行財政改革大綱財政再建プランにおきましても,中期的な財政健全化目標のほか,大綱の期間中である平成15年度から17年度までの3カ年間における歳入,歳出の各項目ごとの具体的な目標数値を設定してまいりたいと考えております。  御指摘のプライマリーバランスの均衡につきましては,現行の大綱におきまして,平成17年度をめどに達成することを目標にしているところですが,景気低迷に伴う税収減等により,その達成が極めて難しい状況にございますことから,改めて財政収支を見通した上で新たな目標年度を設定してまいりたいと考えております。  また,県債管理についての数値目標につきましては,県債の発行額が税収の動向や国の制度改正に伴う地方交付税額の変動に大きく左右されますことから,目標の設定をしにくい面がございますが,財政健全化を推進していく上で,県債の適正管理を行うことは大変重要でございますので,現在,行財政改革推進懇談会で御審議をいただきながら検討しているところでございます。  次に,県税のあり方についてでありますが,今後の県税の充実につきましては,地方財政の現状を見ますと,議員御指摘のように,法定外税では税収規模が小さく,限界がありますことから,基幹税目であります個人住民税や法人事業税を中心として,そのあり方を抜本的に見直していくべきであると考えております。すなわち,国から地方への税源移譲はもとより,個人住民税では,各種控除や課税最低限の見直しなどであり,また,法人事業税では,外形標準課税の早期導入が挙げられているところであります。  これらにつきましては,現在,政府税制調査会等におきまして見直しに向けて議論が進められておりますので,ぜひとも地方税財源の充実に資する方向で行われるよう期待しているところであります。  一方,法人関係税の超過課税につきましては,東京都,大阪府などの大都市部を中心とした一部の都府県では法人事業税の超過課税などを実施しておりますが,仮に本県で行うとすれば,企業誘致への悪影響や他県への企業流出が懸念され,結果として減収になることも想定されることから,慎重にならざるを得ないものと考えております。税負担を軽減するためかどうか定かではありませんが,超過課税を行っている県から本県に本社を移転したケースもあり,法人関係税については他の多くの県と足並みをそろえていきたいと考えております。  なお,大阪府,京都府などで企業誘導策として実施している特定地域での事業税の軽減や,立地に係る不動産取得税の不均一課税などにつきましては,期間を限ることなどにより一定の成果を上げられる可能性もありますので,これまでの実例などを参考に,その活用について研究していきたいと考えております。  個人県民税の超過課税につきましては,我が国では,税負担と受益の対応関係が不透明であるため,超過課税が単なる負担増としか受けとめられず,多くの県民の理解を得るのは難しいのではないかと考えております。  いずれにいたしましても,県税の充実につきましては,先ほども申し上げましたとおり,基幹税目を抜本的に見直すことが不可欠であり,県といたしましても,引き続き,県議会の皆様の御支援をいただきながら,これらが早期に実現されるよう,国に対し働きかけを行っていきたいと考えております。  次に,法人事業税への外形標準課税の導入についてでございます。  これにつきましては,経済団体を中心に,御指摘のようなさまざまな反対の意見が示されております。  まず,中小企業の大部分が増税になり,大きな負担増になるということであります。現在,国が示している案は,全体として税収中立となっており,総務省の試算によれば,利益法人全体では減税となり,欠損法人では税負担額が増加するものの,売上高に対する税負担割合は,大法人,中小法人を問わずすべての法人でほとんど変わらず,中小法人の負担が過大になるものとはなっておりません。3分の2以上の法人が事業税を負担していない現状では,多くの企業が増税になることは確かでありますが,全法人の約半数を占める資本金1,000万円未満の小規模法人は定額年4万8,000円の簡易外形課税を選択できる仕組みとなっておりますので,この場合の負担額は月々4,000円と,決して過大なものにはなっていないと考えております。  加えて,現下の経済状況にかんがみ,新制度の導入は段階的に行っていくこととされており,平成15年度に制度化された場合でも,中小法人に対する外形課税は,平成18年度からまず4分の1を導入し,本格的に導入されるのは平成21年度からとなっているところでございます。  また,報酬給与額を増減させても税額は変わらない仕組みとなっており,雇用に対しても影響を与えないものとされております。  以上申し上げましたことに加え,法人は,事業活動を行うに当たり,道路その他県行政からさまざまなサービスを受けておりますが,県内法人5万4,000社の約3分の2に相当する3万5,000社は赤字経営のため,事業税を負担していないというのが現状であります。しかも,それが単年度ではなく,5年,10年と連続している法人がかなりの数に上っております。この中には,もちろん,景気が低迷する中で大変苦労をされている経営者も多数おられますが,一方で,数は少ないものの,長期間,赤字経営でありながら多額の収入を得ている経営者もおられる状況を見ますと,税負担の公平性,応益性の観点からも,外形標準課税の導入はぜひとも必要であると考えております。  県といたしましては,本当に苦しい中小企業の税負担等には十分配慮しながら,早急に外形標準課税を導入するよう国に対して要望してまいりましたが,引き続き,実現に向け働きかけてまいりたいと考えております。  また,県内経済団体に対し,県としましても,さまざまな機会をとらえて,その意義や必要性について訴えているところでありまして,今後とも,外形標準課税の導入について理解を得られるよう努めてまいりたいと考えております。 7 ◯議長(香取衛君) 生活環境部長石川幸夫君。                 〔生活環境部長石川幸夫君登壇〕 8 ◯生活環境部長(石川幸夫君) 傷病鳥獣救護事務についてお答えいたします。  傷病鳥獣の救護につきましては,本年3月に策定いたしました第9次鳥獣保護事業計画に基づき,地方総合事務所の担当職員が,県民の方や地元市町村等の協力を得ながら,診療実施機関県鳥獣センターへ搬送し,治療等を行っております。  傷病鳥獣を捕獲して搬送するためには,鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律により,知事の捕獲許可を得る必要があり,県の担当職員もこの許可を得て救護を実施しているところでございます。  議員御指摘のとおり,傷病鳥獣の救護につきましては,近年,その件数は増加傾向にあります。救護を迅速に行うためには,地元に精通し,住民により身近な市町村がみずからの判断で対応することが望ましいものと考えられます。  そのためには,現在,知事の職務権限に属する傷病鳥獣の捕獲許可事務を市町村が処理することとする必要がありますので,市町村の意向を確認しながら検討してまいりたいと考えております。  次に,診療実施機関についてでございますが,現在,県では,県内17の診療機関を指定し,治療等の処置を行っております。傷病鳥獣の速やかな治療を行うためには,診療機関を適切に確保することが重要でございますので,関係機関と調整しながら,その充実を図ってまいりたいと考えております。  次に,窒素及び燐の除去能力を有する高度処理型合併処理浄化槽の設置促進についてお答えいたします。  窒素及び燐除去型の高度処理型合併処理浄化槽につきましては,平成11年度に国において補助制度が創設されたところでございます。  この補助につきましては,富栄養化が進む霞ヶ浦などの湖沼等の水質汚濁防止を一層図るため,生活排水対策重点地域の22市町村が,現在,対象区域となっております。  この制度の実施に当たりましては,市町村が補助要項を整備する必要があり,平成12年度に土浦市,平成13年度は潮来市,本年度は鉾田町が整備し,制度を導入したところでございます。  県といたしましては,現在,改定作業中の茨城県生活排水ベストプランの中に高度処理型の普及を重点的な施策として位置づけるよう検討してまいります。  また,市町村の取り組みが一層拡大するよう,国に対しては,補助基準額のかさ上げや補助対象区域の拡大などについて要望を行ってまいります。  さらに,県費の補助につきましては,高度処理型の設置促進のための新たな具体策を検討してまいりたいと考えております。  次に,環境会計についてお答えいたします。  環境会計は,企業等が環境保全への取り組みを効果的かつ効率的に推進していくことを目的として,事業活動における環境保全のためのコストと,その活動により得られた効果を可能な限り定量的に把握し,分析し,公表するための仕組みであると理解をしております。  これまでに,環境省や経済産業省においては,企業等を対象とする環境会計ガイドライン等を作成し,その普及を図っているところであり,平成13年度に環境会計を導入している企業は約500社,導入を検討している企業も約600社あり,今後,増加が見込まれているところでございます。  また,地方公共団体においては,東京都や神奈川県などで一部企業会計の導入を試みている例がございますが,行政が行う事業は,民間企業が行う事業と異なり,費用に対する効果を一定の数量であらわすことは難しい面がございます。例えば,環境学習事業を例とした場合,その効果は,学習した人の環境保全活動を通じてあらわれると考えられますが,その保全活動の内容や効果の及ぶ範囲をどのように把握するのか,また,学習した人の環境保全活動による効果をどのような基準で定量化するのかなど,解決すべき課題も多く,いまだ地方公共団体における環境会計については具体的な手法が確立されているとは言えない状況でございます。  しかしながら,地方公共団体にとりましても,より効果的,効率的な環境行政の推進を図るためには,環境施策に要する費用と効果を的確に把握し,評価することは重要でございますので,環境会計導入に取り組んでいる都県等との情報交換を行い,手法に関する知見の集積を図るなど,今後も,鋭意,研究を進めてまいりたいと考えております。 9 ◯議長(香取衛君) 保健福祉部長山本光昭君。                 〔保健福祉部長山本光昭君登壇〕 10 ◯保健福祉部長(山本光昭君) 動物管理事務についてお答えいたします。  議員御指摘のように,一部の市町村におきましては,犬,猫の一時的な保護収容や引き取りにつきまして,住民サービスの観点などから,自主的に協力をいただいているところでございます。  法律に基づく犬,猫の引き取り事務や,条例に基づく野犬などの捕獲事務は県が実施することとなっておりますが,市町村から要請があった場合には,所要の条例等の改正により,権限委譲することは可能と考えております。したがいまして,市町村の意向を踏まえながら,県と市町村の役割分担や権限委譲について検討してまいります。  次に,犬,猫の繁殖制限措置でございますが,昨年度,引き取りを行った犬,猫の約7割が子犬,子猫という現状にあります。繁殖制限に関し,石川県では,平成3年度から避妊,去勢手術の助成制度を創設し,これまで10年間に子犬の引き取り頭数は1,172頭から239頭まで約8割減少するなど,目をみはる効果を上げている状況にあります。このデータからも,繁殖制限措置は極めて有効な手段ではないかと考えております。  県としましては,さきに設置しました動物愛護推進計画策定委員会におきまして,県内全市町村で繁殖制限措置がとられるよう,助成制度の創設も含め,促進方策について検討してまいりたいと考えております。 11 ◯議長(香取衛君) 土木部長坂入健君。                   〔土木部長坂入健君登壇〕 12 ◯土木部長(坂入健君) 下水道にかかわる都市計画の見直しについてお答えいたします。  下水道事業につきましては,生活排水ベストプランの目標達成に向け,流域下水道の整備を推進するとともに,市町村下水道整備支援事業により県費助成等を行い,早期の普及に取り組んでいるところでございます。  さて,議員御指摘のとおり,下水道は計画規模や事業費も大きく,供用開始までには長い期間を要している地域もあり,このような地域の住民にとりましては一日も早い下水道の供用が望まれいるところでございます。  こうした地域において,下水道の早期供用を図る方法としては,都市計画で定める終末処理場とは別に,20年程度の期間を目安として暫定的な処理施設を設置するフレックスプランという制度がございますが,施設が老朽化した場合の改築が困難であるなどの課題がございます。  そこで,議員御提案の,都市計画を根本的に見直し,処理区域を限定した小規模な下水道,つまり簡易下水道を整備するという手法も有効な方法であると考えます。  新たな処理場用地を確保しなければならないという課題もございますが,県といたしましても,一日も早い下水道の供用を希望している地域住民の声にこたえられるよう,市町村に対し,都市計画の見直しなどについて指導,助言をしてまいりたいと考えております。 13 ◯議長(香取衛君) 教育長川俣勝慶君。                   〔教育長川俣勝慶君登壇〕 14 ◯教育長(川俣勝慶君) 県保有美術品の有効活用についてお答えいたします。  県立美術館の所蔵する美術作品の館外活用につきましては,先ほど議員の御質問の中で御紹介がありましたとおり,他の美術館等が企画する展覧会に対して貸し出しを行っておりますし,また,毎年一回,県内の社会教育施設や文化施設を使用して約50点の美術作品を10日間ほど展示する移動美術館を実施しております。  議員の御提案であります身近な施設での美術作品の展示につきましては,多くの地域の方々に美術作品の魅力を伝え,気軽に美術に親しんでいただけるよい機会になり得るものと考えております。  県といたしましては,近年,とりでアートギャラリーなど地域の文化施設の整備・充実が図られてきていることから,今後,安全管理の面で一定の条件はございますが,これらの施設に対しましても美術作品の貸し出しを行うことを通じまして,その活動を支援してまいりたいというふうに考えております。  また,県庁や生涯学習センターなどについての御提案もございましたが,御承知のとおり,これらの施設はもともと美術作品展示のための機能を持っておりませんので,貴重な県民の財産である美術作品を保護するためのいろいろな対策を講ずる必要がございます。  まず,適切な照明,温度,湿度管理ができる展示スペースの確保,次に,作品の展示や移動,管理を行うための職員の配置,そして,そのほか,防犯のための警備体制の整備などでございます。  このような対策を講じていくには,現状ではなかなか難しい面もございますが,今後,関係課,関係機関と協議しながら,実施の可能性について検討してまいる考えでございます。  県といたしましては,今後とも,地域の方々が,その地域においてできるだけ多くの美術作品を鑑賞できるように努めてまいりたいと考えております。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 15 ◯議長(香取衛君) ここで,多数の傍聴人の入れかえがございますので,暫時休憩をいたします。  なお,会議再開は,午後2時10分を予定いたします。                     午後1時58分休憩          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━                     午後2時14分開議 県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑(続) 16 ◯議長(香取衛君) 休憩前に引き続き会議を開き,県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑を続行いたします。  大内久美子君。                 〔13番大内久美子君登壇,拍手〕 17 ◯13番(大内久美子君) 日本共産党の大内久美子です。  通告に従いまして一般質問を行います。  9月1日の長野の知事選挙の結果は,「脱ダム」に端を発し,大型開発中心ではなく,福祉や教育,環境中心の県政に切りかえたいという県民の強い意思が示されました。この流れは,長野県だけにとどまるものではありません。  ひるがえって,本県の実態を見ますと,ワープステーションを初め,第三セクターの破綻や工業団地の低迷,鳴り物入りで取り組んだ首都機能移転やITER計画誘致の熱狂も,いまはいずこというありさまです。大型公共事業によって基盤整備さえすれば企業が来るというシナリオは完全に行き詰まりました。にもかかわらず,常陸那珂港を初め,霞ヶ浦導水事業,百里基地共用化,笠間ごみ処分場など,県土を荒らす,むだな公共事業はメジロ押し。一方,福祉や医療,教育の分野には過酷な削減を押しつける県政がまかり通っています。  いまこそ,税金を浪費する大型公共事業中心の政治から抜け出し,自治体本来の仕事である福祉や暮らしを守る道を切り開くときではないでしょうか。  大型公共事業の見直しの第一は,霞ヶ浦導水事業です。  社団法人日本水道協会の調べによりますと,関東1都6県の中で,水道料金が一番高いのは茨城県ということです。他県にまで水を供給している茨城が関東一高いというのでは,県民の納得,理解を得ることはできません。  なぜ,こうなったのでしょうか。それは,県が無謀な水道広域化と過大な水源開発に血税を注ぎ込んできた結果です。累積した県の赤字は,料金値上げという最も安易な方法で住民に負担を押しつけてきました。県企業局自身,中期経営計画で赤字の原因をこう記しています。「霞ヶ浦開発事業の負担金に係る支払利息の発生や多額の負担金を要する新たな水源開発事業に水源を求めざるをえなかった」。  とすれば,答えは明白です。現在,最大の水源開発である霞ヶ浦導水事業を見直し,中止をすることです。  知事は,関東一高い茨城の水道料金を引き下げるために,どのような方策を持っているのか,まず,お聞かせいただきたいと思います。  ちなみに,栃木県企業局は,昨年,県水の値下げを行いました。受水していた宇都宮市では1億9,600万円が軽減され,市民の水道料金が引き下げられたことを申し添えます。  国は,昨年,霞ヶ浦導水事業をさらに10年間,先送りしました。規模縮小によって,事業費1,900億円が安くなるかと思ったら,逆に,トンネルの変形事故,地質調査のやり直し,さらに,今後の物価高と消費税アップまで上乗せをして,差し引きゼロ,1,900億円という手品のような案を提起してきました。このように,契約も審議も一方的に破り続けているのは,ほかならぬ国土交通省です。しかし,県の責任も免れることはできません。  ことし3月,日本統計協会が発表した将来人口によりますと,茨城は2005年をピークに減り続け,2030年には,現在より25万人減少し,約275万人に激減すると推計しています。国立社会保障・人口問題研究所や国土交通省も減少すると発表しました。  これに対し,本県は,323万人に激増すると想定をしているのです。  知事は,この数字を本当に信じて,水源開発に邁進するのでしょうか。百歩譲って,人口がふえるとしても,1人一日当たりの最大給水量を福岡市並みに下げれば,水源開発の必要はありません。ところが,茨城は,現在の東京都をはるかに超える508リットルと過大に想定して,水不足をあおっているのです。  国と結託しているのか,国に翻弄されているのか,いずれにいたしましても,県民に犠牲を強いる霞ヶ浦導水事業の中止を改めて求めるものです。  大型公共事業の第2は,自衛隊百里基地の共用化です。  百里基地は,1990年3月,日米地位協定第2条4項bが適用された特別な基地です。その実態は,臨時に使用させるという限界を完全に逸脱して,アメリカが自由自在に適用する全土基地方式とも呼ばれるものになりました。単なる自衛隊基地ではないのです。  注目すべきことは,民間共用化の取り組みが米軍との共同使用基地になった後に進められたことです。そればかりか,共用飛行場としては初めて,新滑走路建設など,工事費の3分の1が県負担となりました。  知事もご承知のように,これらの事業主体は国土交通省ですが,完成後は,一部を除いて,すべて防衛庁のものとなり,防衛庁の管理下に置かれるのです。
     さきの国会に提出された有事三法案,アメリカが他国への介入戦争を始めたときに,直ちに国民と自治体を総動員できるという内容でした。アメリカがイラン,イラク,北朝鮮を「悪の枢軸」と呼び,核の先制攻撃も辞さないと表明する今日,日本と茨城は,新たな戦争に巻き込まれる危険が増大しているのです。  基地撤去こそ求めるべき緊急課題であるのに,逆に軍民共用化の道を突き進むこの茨城県の姿勢は,県民を初め,100万人と見込んでいる乗客の平和と安全を根底から脅かすものです。  中止を決断し,これ以上の財政負担をやめるよう求めるものですが,知事の所見を伺います。  第3に,笠間公共処分場について質問をいたします。  10月着工予定の公共処分場エコフロンティアかさまは,関係住民の反対の声を無視して,強引に進められています。  県が3年前に笠間市福田を最有力候補として選定したのは,砕石採取跡地であること,土地の大部分が東京の不動産会社1社の所有であることと言われています。埋め立て処分と用地買収がスムーズにいくと判断したのでしょうか。しかし,いまだに地主との契約は交わされておりません。  かつて,この不動産会社は,同じ場所に産廃処分場を建設しようとして,地元から強い反対を受けておりました。その後,県と市は一体になって,民間が行うより公共が安全と,住民への各戸訪問を行い,脅しにも似た同意を求めて奔走したのです。  しかし,地区の7割以上が反対を表明し,地元の合意は得られておりません。  住民が同意できない理由は,この地が水源地であり,周辺の井戸水,農業用水,そして,下流には9市町村の水道取水口があることです。  この砕石跡地は,現在,水深34メートルの湖水となっており,湖水の水を抜いて処分場とすることなど,全国でも全く例がありません。  先日,県議会予算特別委員会で岩手の公共処分場いわてクリーンセンターを視察してまいりました。その際,立地条件として,水源地は避けるという説明が強く印象に残ったのです。  この福田地区が,公共処分場には適さない場所であることについて,知事はどのようにとらえているのか,お答えをいただきたいと思います。  さらに重大なことは,原子力発電所が廃炉になった場合の廃棄物の処分です。原電東海発電所において,我が国で初めて原子炉が解体されることになりました。私は,原子炉は解体せずに密閉状態でおくべきであると主張してきました。その理由は,解体をすれば,110万キロワット級原発の場合,1基で50万トンから55万トンもの廃棄物が出るからです。  原子炉等規制法によりますと,放射性廃棄物は3種類に分けて埋設されます。問題は,放射能汚染が微量な場合は,普通の産業廃棄物として扱うか,再利用できるとされていることです。  原子力安全委員会の案によりますと,50万~55万トンの廃棄物中97%が普通のごみとして扱われます。必ず最終処分場が重大問題となるわけです。  福田地区に予定されている公共処分場にこの廃棄物を拒否する根拠はあるでしょうか。あるとすれば,示していただきたいのですが,知事の答弁を求めるものです。  例に挙げました3つの公共事業は,どれをとりましても,県民の暮らし,平和,健康を脅かす以外の何物でもありません。公共事業は生活・福祉型に切りかえることこそ,私どもは繰り返し提案をしてきました。それは,地元中小企業への元請発注をふやし,雇用の効果は建設事業に比べて1.8倍にも上ること,住民生活向上にもつながるという,一石三鳥の施策だからです。  県営住宅の建てかえや増設,生活道路の整備,とりわけ,県の下水道普及率が全国平均を20%も下回っていることを重視し,普及率向上のためにも,那珂久慈流域下水道水戸幹線の早期実現を提案し,予算増を求めてきたところです。  福祉施設の不足と老朽化も深刻です。  私は,2000年第1回定例会で,県立福祉施設のほとんどが築35年以上であることから,速やかな建てかえを知事に求めてきました。例えば,水戸の中央児童相談所の一時保護所が築45年です。土浦が38年,下館が36年もたっております。児童虐待など相談件数がふえ,一時保護の入所者もふえている中,建設計画さえ示さないでいるということは,県による児童虐待行為ともいえるものです。  特別養護老人ホームも,入所希望者は5,122人にも上っております。問題は,すぐにでも入りたい人が3,567人と,介護保険実施前の4倍以上にもなっていることです。2004年の老人保健福祉計画を100%達成したとしても,1,700人以上が入所できないのです。  このように,遅れた福祉・生活型の公共事業をふやすことは,だれもが喜ぶ施策です。  知事は,これらの県立福祉施設,とりわけ児童相談所の建てかえ,さらには,特養ホーム増設などにどのような姿勢で取り組むのか,決意をお聞かせいただきたいと思います。  石岡信金の破綻,日本加工製紙の倒産など,長引く不況が県内中小企業をかつてなく危機にさらしています。  企業倒産は,昨年は過去最多となり,中小製造業はこの8年間に2,300社が減少。商店街や中小小売店も3,300軒が姿を消しております。県内の中小企業は,全企業数の99%も占めるという,まさに県内経済の主役です。主役の一翼を担う下請企業も,発注企業が海外生産比を高めたため,受注減や単価切り下げに見舞われ,今後の見通しが厳しいという苦境に立たされています。  こうした中,茨城県では,商工費の一般歳出に占める割合は,この3年間,減らし続けているのです。しかも,その多くは金融対策であり,中小企業の経営を直接支援する予算は,一般歳出のわずか0.3%にすぎません。  中小企業基本法第6条は,中小企業振興に対して地方自治体の責務を位置づけております。その具体化として,知事の責務を明確にするための中小企業地域経済振興基本条例を制定することを提案するものです。同条例は,実態調査をもとに,必要な財政措置,市町村との連携と支援策,中小企業の意見,要望を取り入れるシステムの確立,大企業の社会的責任などを定めるものです。  知事のご所見はいかがでしょうか。  輸入野菜の残留農薬問題が社会問題となり,地元で生産したものは地元で消費をという地産地消の取り組み,とりわけ学校給食にその運動が広がりはじめました。  学校給食会を中心に,米や麦,大豆など地元産の開発も進み,そのうち,ソフトめんは地元小麦100%使用となっておりますが,パンについては,いまだ輸入小麦が主力になっております。  その結果,茨城の学校給食用のパンからも残留農薬が検出されております。  農民運動全国連合会食品分析センターが2回にわたって調査をした結果,クロルピリホスメチルなどの農薬が検出されたとのことです。輸出国が小麦を船積みするときに,害虫やカビ対策のポストハーベストによるものと言われています。  埼玉の給食パンも同時に検査をしましたが,県内産の小麦粉を100%使っているため,農薬は検出されませんでした。  さらに心配なことは,本県の学校給食では冷凍食品が多く使われ,そのうち,中国などの輸入品が5割以上も占めていることです。子どもたちの命と健康にかかわる食材は,農林水産部,教育庁一体となって,安全なものを提供しなければなりません。  本県の小麦の生産は年2万5,000トンと全国5位の位置を占めております。この際,県内産の小麦粉100%でつくるパンなどの開発を行ってはどうでしょうか。  学校給食への県内産を積極的に取り入れていくための食材への財政支援を含めて,どう取り組んでいくのか,お答えをください。  次に,障害者支援費制度についてお尋ねをいたします。  来年4月から,障害者福祉サービスが大きく変わります。行政が決定する措置制度から,障害者自身が契約に基づきサービスを利用し,国や自治体がその利用料の一部を支援する支援費制度へと移行します。これは,2000年5月に定めた社会福祉法に基づくもので,日本共産党は,行政責任の大幅な後退であると反対をしてまいりました。  制度の対象となるのは,身体及び知的障害者の施設・在宅の福祉サービスで,本県ではおよそ10万人が対象となっております。サービス利用の確保は,障害者個人の責任となることや,障害者や家族にとって,サービス費用負担の増大など,大きな問題を抱えております。  本県の実態は,施設そのものの整備が大幅におくれ,在宅不足も深刻です。そのために,施設利用の待機者は,知的,身体を合わせて322名にも上っております。  支援費制度の根幹をなす市町村障害者プランの策定は,現在,54市町村で,策定率は全国平均を下回っております。実施に向けましては,市町村と一体となって基盤整備の拡充に取り組む必要があります。  県が市町村に対して十分な財政及び人的支援を行うことを求めるものですが,保健福祉部長の見解をお示しください。  なお,制度移行に当たりまして,在宅障害児・者福祉手当などの県単事業の削減や打ち切りは行うべきでないことを強く要望するものです。  最後に,教育行政についてお尋ねいたします。  ことし,本県でも,小学1年生に限り,少人数学級がスタートをいたしました。一人一人に目が行き届く,生活指導も十分に行えると,父母や教職員からも大変喜ばれております。  しかし,今回の施策は,35人学級編成であり,30人学級をと願う県民にとっては,不十分と言わざるを得ません。加えまして,3クラス以上でなければ認められないため,該当する1年生クラスや学校が極めて限られたものとなってしまいました。  「すべての子どもたちへの行き届いた教育を」として,少子化という現状のもとでは,既に20を超える都道府県が少人数学級を実施しております。  今回の茨城県の施策に要した経費は4億3,000万円。県予算の1万分の4でできたことです。  私は,県民要望や効果の高いこの施策を進めるために,小学1年生のすべてのクラスでの実施及び対象学年を全学年へ,さらに,中学校までの拡大をしていくような制度の拡充を求めるものですが,教育長のご所見を伺うものです。  一方,県立高校に対してはどうでしょうか。  本年6月に発表した県立高校再編整備の基本計画では,生徒の減少を学校の統廃合で対処するとしています。しかし,基本計画の中では,地域住民や学校側の声として,統廃合へ批判や懸念の声も紹介されました。交通が不便になる,廃校したら一層過疎化が進み,過疎化対策から逆行するなどの意見です。  現に,1998年から今日まで,6つの高校の地域で統廃合反対の運動が起こり,12の自治体で,「統廃合ではなく,30人以下学級を」の意見書が採択をされました。  県立高校は,地域の協力で育まれた財産であり,その役割の重さからしても,県が一方的に統廃合を決めることは許されません。高校での少人数学級は,教育の充実のみならず,生徒減対策としても最善であるとして,既に全国9都道県が踏み出しました。  以上のことから,県立高等学校の再編整備計画を30人学級推進の立場に立って見直すこと,見直しに当たっては,住民や教職員の参加のもと,地域住民の意向に十分沿った計画となるよう求めるものです。  教育長の見解をお示しください。  ご答弁によりましては,再質問をさせていただきます。 18 ◯議長(香取衛君) 大内久美子君の質問,質疑に対する答弁を求めます。  知事橋本昌君。                    〔知事橋本昌君登壇〕 19 ◯知事(橋本昌君) 大内久美子議員の御質問にお答えいたします。  霞ヶ浦導水事業について,まず,お尋ねをいただきました。  水道につきましては,県民が健康で文化的な生活を営む上で欠かすことができない重要な基盤施設であります。  しかしながら,本県は,可住地面積が広く,中小都市が分散しており,人口が広く分布しているということなどから,市町村が個々に水源の確保や施設整備等を行うには負担が大きく,非効率的であることから,県営の広域水道用水供給事業として,市町村にかわって水道事業を実施してまいりました。  さらに,県は,水道の重要性にかんがみ,企業局に対し,経営基盤の強化や水源開発施設等の建設に伴う負担の軽減を図るため,昭和52年度から平成13年度までの25年間に,補助金や出資金を合わせて約856億円の繰り出しを行ってきております。  仮にこの繰り出しがなかった場合,企業局では,企業債により財源を確保しなければならず,その企業債に係る利息の支払が発生してまいります。この分は料金に転嫁されますので,その場合,現行の供給単価が4割程度高くなってくるものと考えられます。  さらに,企業局自身におきましても,昭和63年度から平成13年度までの14年間で,企業債13億円余の借りかえにより,約5億4,000万円の利息を軽減しますとともに,施設の維持管理費の節減等経営の効率化に努めてきたところであります。  今後とも,県からの助成金の確保や経営の一層の効率化を図り,給水料金の抑制に努めてまいりたいと存じます。  なお,霞ヶ浦導水事業につきましては,これまでにも答弁してまいりましたように,現在既に,この事業を担保に毎秒約1トンの暫定水利権を得て,県南,県西,県央地域の水道用水やひたちなか地区などの工業用水として取水をしているところでございまして,この事業を中止しますと,県民生活に大変大きな支障が生じてくることになってまいります。  また,1都3県で暫定水利権,日量で28万7,000トンを得ておるわけでございますけれども,この量は給水相当人口でいいますと約53万3,000人になってまいります。これだけの量をどういった方々がそのメリットを受けて使用しているかということを申し上げますと,影響人口は約1,900万人になってくるわけでございまして,そういったことも考えますと,いまの段階でこれを中止するということは,考えられないことではないかなと思っております。  また,本事業は,霞ヶ浦の水質浄化や,頻繁に発生する那珂川の渇水の未然防止等に寄与するものであり,本県にとって必要な事業でありますので,県といたしましては,引き続き,早期完成を目指して,事業の促進を図ってまいりたいと考えております。  次に,百里飛行場の民間共用化についてでございます。  百里飛行場の民間共用化につきましては,国の事業着手が決定される段階で,空域などの課題につきましては,当時の運輸省と防衛庁との間で十分な検討が行われており,安全かつ効率的な運用ができることが確認されていると聞いております。  県といたしましても,民航機が安全に運航するための十分な措置がとられるよう,国に要請をしてまいりたいと考えております。  なお,百里飛行場は,日米安保条約に基づく日米地位協定の規定により,米軍も一時的に利用できることとされており,これに基づき,平成2年に4日間,平成4年に12日間,平成13年に4日間,平成14年に9日間の,過去4回の日米共同訓練が行われているところでございます。  この共同訓練実施の際には,百里基地から事前に県及び関係17市町村に対して通知がありますので,県からもその都度,安全の確保に万全の措置を講じられたいことなどについて働きかけを行ってきたところであり,いずれの共同訓練も安全に実施されてきております。  ちなみに,同じく日米共同訓練が行われております共用飛行場である小松飛行場においては,1本の滑走路で百里飛行場の需要予測値80万7,000人の約3倍にも上る,年間約260万人もの旅客を取り扱っているところでありますし,米軍との共用飛行場である三沢飛行場におきましても,1本の滑走路で米軍と自衛隊と民間航空機が安全上問題なく共用しているところであります。  また,百里飛行場の民間共用化は,既存の飛行場を利用するものでありますので,他の地方空港と比べて,全体事業費が少なくて済むのみならず,県の負担割合も低くなっております。さらに,国管理の空港となるため,維持管理面での県の負担もなく,県財政の面から見て,極めて有利な事業であると考えております。  百里飛行場の民間共用化は,県民の利便性の向上と本県の発展に大きく寄与するものでありますので,安全の確保に十分留意しつつ,引き続きこれを推進してまいる考えであります。  次に,公共処分場建設についてでございます。  人間が生活していく上で,廃棄物というものは必ず出てくるものでございますので,県では,廃棄物処理計画に基づき,廃棄物の減量化や資源の循環的利用を積極的に進めておりますが,それでも,最終的に残ったものを適正に処理するためには,処分場の確保が不可欠になってまいります。  しかしながら,民間事業者による新規立地が進んでおらず,近い将来,処分場が不足し,県民生活や県内の産業活動などに支障を来たしかねますとともに,不法投棄や不適正処理を増加させかねない状況となっております。  このため,県といたしましては,公共関与方式による廃棄物処理施設の整備を進めることとし,市町村の有力な候補地の中から,平成11年に笠間市福田地区の採石場跡地を選定し,翌年6月には,笠間市において,市の一般廃棄物の処理も行う公共処分場として受け入れが決定されたものであります。  さらに,施設の立地に際しましては,生活環境への影響を調査することが必要でありますことから,平成12年度から2カ年にわたり,生活環境への影響や地下水,地質の調査を学識経験者などで構成する委員会を設置し,住民公開のもとで実施してまいりました。  その結果,採石場跡地の基礎地盤については,水を通しにくい強固な岩盤であること,採石場跡地は山をくり抜いた地形であり,水は尾根を境に外側の周囲の沢と内側とに流れが分かれており,かつ,採石場跡地内の水質と周辺地下水の水質は全く異なっていることなどが確認されているところでございます。  これらのことにつきましては,調査委員会で十分審議をいただきますとともに,福田地区や市民全体にもお知らせし,さらに,公民館や現地事務所に相談窓口を設置するなど,さまざまな機会を通し,意見交換等を行ってまいりました。  これらの条件に加え,国の基準を上回る多重構造の遮水工や水処理施設を設置し,より安全な埋立基準や処理方法を採用しますことから,調査委員会としても,この場所が適地であることに加え,その安全性の確保についても,十分なものであるとの御判断をいただいているところであります。  また,原子力施設の解体により発生する放射性廃棄物でない廃棄物につきましては,コンクリートがらと金属くずがほとんどであり,そのほとんどは資源として再利用されることになりますが,それ以外のものについては,産業廃棄物として適正に処理しなければならなくなってまいります。  しかし,この廃棄物の公共処分場への受け入れにつきましては,既に地元との話し合いの中で,原子力施設の解体で発生する廃棄物については,受け入れはしないことと約束しておりますことから,そのように対処してまいりたいと考えております。  次に,生活・福祉型公共事業の促進についてお答えいたします。  まず,土浦児童相談所,下館児童相談所及び一時保護所の建てかえについてでございます。  これらの施設は,昭和34年から41年にかけて建築された施設でございまして,老朽化が進んでおり,随時,改修を行っているところでございます。  なお,土浦,下館両児童相談所の移転改築につきましては,これまでも種々検討を行ってきたところであります。特に,土浦児童相談所につきましては,旧繭検定所の活用や土浦駅西口再開発ビルへの入居も検討いたしましたが,改修や購入に要する財源の問題,あるいは,児童相談所が有しなければならない,相談者にとっての秘匿性の問題があることなどから,見送った経緯がございます。  一方,一時保護所につきましては,福祉相談センターの建てかえと併せて検討することとしており,当面,居室の環境を改善するため,平成10年度及び11年度において,大規模修繕を行ったところでございます。  現在,県の財政は大変厳しい状況にありますので,県の施設全体の建てかえ計画の中で整備を検討してまいりたいと考えております。  次に,特別養護老人ホームなど介護サービス基盤の整備についてでございます。  特別養護老人ホームの整備につきましては,いばらき高齢者プラン21に基づき,本年度当初予算において,前年度と比べ1.8倍の予算枠を確保し,新たに527床の整備に着手したところでございます。  さらに,今定例会に7施設,328床分の前倒し整備を御提案させていただいておりますように,県としても重点的に取り組んでいるところであります。  この結果,本年度末には,7,015床が整備され,平成14年度におけるプランの進捗率は100.3%と見込まれますことから,着実に整備されているものと考えております。  しかしながら,御質問にもございましたように,もう既に待機されておられる方がたくさんいるということでございますので,こういったことも踏まえまして,県といたしましては,今年度,平成19年度を目標年次とする新しい計画を策定するべく,見直しを進めているところでございます。  この計画の策定に当たりましては,入所希望者の状況と利用者ニーズを的確に反映した特別養護老人ホームの整備目標数を新たに設定していきたいと考えております。
     次に,中小企業対策についてでございます。  中小企業は,本県では雇用全体の85%を占めており,多様で活力のある中小企業の役割は,地域経済の活性化において大変重要な役割を果たしております。  このようなことから,本県におきましては,商工業の振興施策に対する基本的な方針や施策の方向として商工業振興指針を策定し,これに基づき,県内中小企業に対して積極的な支援策を講じているところであります。  具体的には,中小企業の資金調達の円滑化を図るため,きめ細かな金融支援に努めておりますほか,茨城県中小企業振興公社を初め,各種の支援機関におきましては,意欲のある中小企業の経営革新や下請企業の受注拡大,新製品開発,人材育成,販路開拓まで,一貫した支援体制を構築しているところであります。  また,商店街による魅力ある商業環境づくりや個店の経営力の強化に向けて,若手経営者等の人材育成にも支援をしております。  特に,中小企業振興公社では,ベンチャー企業の設立だけではなく,企業活動における日常的な相談からまちの創業まで,幅広い相談に応じ,資金調達,会社運営,コスト削減など,既存企業からの相談は約7割に及んでいるところであります。  中小企業振興条例の制定につきまして御提案がありましたので,他の自治体の条例も見てみましたが,条例の場合,どうしても基本的な考え方を掲げるのみになってまいります。環境変化の激しい産業社会におきましては,中小企業対策を弾力的かつ機動的に進めていくことが必要でありますので,条例というよりも商工業振興指針といった形でフレキシブルに対応していくことが,よりよろしいのではないかなと考えておるところでございます。  次に,地場産の学校給食への活用でございます。  学校給食に地場産品を活用することは,地域の振興に寄与するばかりでなく,生産者に対する感謝の気持ちを育て,郷土への理解を深めるなどの教育的視点からも,大変有効であると考えております。  これまで,県といたしましても,学校給食への県産品の導入を推進しており,本県産の米や牛乳については,全市町村で学校給食に使われております。このほか,ソフトめんや納豆,ネギ,ハクサイ,カンショ等の青果物については半数以上の市町村で使われており,そのほかにも数多くの県産品が導入されております。  ただいま,パンについて御指摘がございましたが,パンにつきましては,本県産の米と小麦を使用した米粉パンの学校給食への本格導入に向けて,本年度中に県内の小学生全員に試食提供をしますとともに,県産の小麦を活用したパンにつきましても,来年度からの提供を目指し,学校給食会において試作検討を進めているところであります。  このような中で,現在,県内53の市町村においては,地場の食材が学校給食に取り入れられており,例えば伊奈町では,JA茨城みなみと給食センターが綿密な打ち合わせをし,あるいはまた,生産者が学校に出向き,児童生徒に地場産品がどのように使われたかを説明するなど,関係者の協力のもと,積極的な取り組みが行われております。  今後,さらに,学校給食へ地場産品の活用を拡大していくためには,市場出荷に比べ,取引数量が少なく,価格が割高になるなどの課題がありますため,供給する側と使う側が,価格や契約,流通体制など,地場産品の導入方法について,十分な話し合いを行いますとともに,学校給食向けの産地づくりや産地の旬の食材,郷土料理を活用した献立づくりなどが必要となってまいります。  このため,県といたしましては,教育委員会と連携しながら,関係者と一丸となって,産地の育成や供給体制づくり,地域での話し合いの場づくりに努め,地産地消や食農教育を推進するため,新鮮でおいしい県産品の学校給食への活用を促進してまいりたいと考えております。 20 ◯議長(香取衛君) 保健福祉部長山本光昭君。                 〔保健福祉部長山本光昭君登壇〕 21 ◯保健福祉部長(山本光昭君) 支援費制度についてお答えいたします。  福祉サービス基盤につきましては,現行の県障害者プランによりまして,具体的な数値目標を定め,これまで計画的に整備を進めてきたところでございます。  このうち,知的障害者及び身体障害者の入所施設につきましては目標を達成しておりますが,在宅サービスを含めました達成率は75%になる見込みであります。  平成15年度以降につきましては,現在,策定作業を進めております新しい県障害者プランの中で,サービスの選択が可能となるよう,障害者の多様なニーズや圏域ごとのバランスなどを踏まえまして,福祉サービス基盤の一層の整備を進めるとともに,市町村の障害者プランの策定につきましても,積極的に支援してまいります。  次に,市町村に対する財政的・人的支援でございます。  これまでも施設整備補助や運営費補助による財政的支援を行ってまいりましたが,今後も,このような財政的な支援を継続するとともに,ホームヘルパーやケアマネジメント従事者の養成研修を行うことにより,職員の資質向上など,人材育成につきましても支援を行ってまいります。  また,サービス体制の不十分な市町村につきましては,地方福祉事務所や更生相談所によるきめ細かい助言や技術的指導を行うとともに,一部事務組合による広域的な施設整備などへの取り組みにつきましても,市町村間の調整を行うなどの支援を行ってまいります。 22 ◯議長(香取衛君) 教育長川俣勝慶君。                   〔教育長川俣勝慶応君登壇〕 23 ◯教育長(川俣勝慶君) お答えいたします。  まず,少人数学級の拡充についてでございますが,本県では,今年度から,小学校1年生を対象として,少人数学級制度を導入したところでございます。  この制度につきましては,議員からも御紹介ございましたけれども,現在までに関係方面から,多くの称賛の声が届いており,大変評判がよいため,今後ますます成果が上がるよう,しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。  お尋ねの小学1年生の全学級について少人数学級を実現すべきではないかということでございますが,県の考え方としましては,2学級以下で学級編成を弾力化しますと小規模な学級となり,本県の小学校1年生の平均児童数とバランスを逸することにもなるため,生活集団としての児童数は維持する必要があるという観点から,学級はふやさずに,ティーム・ティーチングによる指導を行う非常勤講師を配置したところでございます。これにつきましても大変好評でございまして,御理解をいただきたいと存じます。  また,対象学年を小学校1年生だけに限らず,中学生も含めて多学年に拡大していくべきではないかということでございますけれども,例えばすべての学年で一律に実施することになりますと,特例的な学級編成基準を設けることができるのは,学校生活への適応が円滑に行えるための小学校低学年など,児童生徒の実態を考慮して特に必要と認める場合に限るとした義務標準法の規定がございますが,その趣旨に沿わないことになり,問題がありますので,本県のように特に必要があると判断する学年を特定して実施することが適当であるというふうに考えております。  今後,少人数学級制度につきましては,現在実施しております成果に関する調査結果や他県等における取り組み状況,そして,県の財政状況などを見定めながら,児童生徒へのきめ細かな指導が一層充実するよう,検討を進めてまいりたいと考えております。  次に,県立高校再編整備計画の見直しについてでございます。  まず,高校において30人学級が実施されれば統合する必要はないのではないかという御意見かと存じますが,生徒数が減り,学校の小規模化が進む中で,生徒間における多様な個性の触れ合いや切磋琢磨の機会を確保し,学校の活力を維持するためには,学校全体として一定の生徒数の確保が必要であると考えております。したがいまして,もし30人学級を実施し,学級数をふやしたとしましても,学校全体の生徒数がふえるというわけではございませんので,学校の活力の維持の観点,先ほど言いましたけれども,その観点に立ちますと,一定の生徒数の確保のためには,統合も検討する必要があるのではないかというふうに考えております。  また,再編整備を検討する際に,地域の住民の意向に沿ったように進めていくべきではないかということでございますが,再編整備計画につきましては,これまで策定に当たりまして,各段階で県民や地域の方々の御意見を伺ってきております。例えば,基本構想の策定に際しましては,教育とか産業界とか学識経験者など25人から意見をいただいております。  また,この基本構想を策定した後,これにつきましては,インターネットとか教育広報誌等によりまして広報し,意見募集を行ったところでございます。  また,県の教育委員会では,毎年,教育懇談会を実施しておりますが,その教育懇談会で高校再編整備を取り上げまして,現役の高校生も含めた県民の方々から御意見をいただき,基本計画をまとめたところでございます。  この計画策定後,先ほど申し上げましたが,インターネットとか教育広報誌関係を使って広報し,意見募集も行いますとともに,県内の5通学区ごとに,中学校,高等学校のPTA役員を含めた学校関係者を対象に説明会を実施してきております。  今後は,前期の実施計画を策定公表する予定でございますが,この計画につきましても,広く広報しますとともに,実施対象校,地域ごとの説明会を実施し,より充実した学校づくりに向けて御意見を伺っていきたいというふうに考えております。 24 ◯議長(香取衛君) 大内久美子君。                   〔13番大内久美子君登壇〕 25 ◯13番(大内久美子君) それぞれお答えをいただきました。  最初に,百里の軍民共用化についてお尋ねします。  知事は,百里基地とアメリカとの関係を御承知ではないようです。  アメリカの「ランド」という,ここに持ってきた,これは研究の報告書ですが,お読みになったでしょうか。アメリカ空軍の委託でまとめたもので,タイトルは「米軍とアジア」。この報告書をまとめたのはザイルマイ・カリザットという人物で,現在はブッシュ大統領の特別補佐官兼国家安全保障会議の上級部長に就任しております。  驚いたことに,この報告書には,韓国と日本の基地の幾つかを図面に落とし,百里基地を大規模基地と位置づけていることです。大規模基地として広範な戦闘作戦遂行の条件を十分満たしている,戦闘機サイズなら少なくとも一個飛行団が利用できる十分な駐機スペースを持ち,重爆機や戦略輸送機など大半の空軍機にとって十分な滑走路の長さ,幅があると定義をされております。  知事が先頭に立って進めている共用化は,アメリカの思惑どおりということです。なぜなら,次のようにも書いてあります。「密接な関係を築くことによって,滑走路を拡張(注)したり,管制施設を改善したり,駐機スペースを修理したり,米軍の作戦に合うように地元施設に手を加えることもできる」,このように書いてあるのです。  知事に伺います。  百里基地をこのように活用しようとするこの報告書の存在と内容を承知していたでしょうか。  であれば,どう対処するのでしょうか。  承知していなかったとすれば,直ちに真偽(注)を確かめて,抗議をすべきです。県民の安全が最優先であれば,有事法制に反対の意思を率先して表明してください。  そして,改めて,共用化の中止を求めるものです。  もう一点は,笠間の公共処分場についてです。  先ほど知事は,十分な調査をしたので安全だと答弁をしております。しかし,9月1日の環境保全委員会に提出された資料では,水底からの地下水の湧水状況を確認するための潜水調査が報告されております。  その中に,「水中は深部にいくにしたがい透明度が悪く,太陽光の届かない暗所となり,かつ,水温が低下し危険を伴うことから,潜水調査は水深20メートル付近までとした」,このように書いてあります。「水底は岩盤露頭や土砂の堆積斜面からなり,泥が薄く堆積する。いずれの地点も,観察した範囲において,泥が巻き上がるなどの地下水の湧出現象は見られない」,このように書いてあります。  つまり,この湖水の水深は34メートルと県の調査報告書の中にも出ています。しかし,20メートルしか潜水しないのに,どうして水底についての報告ができるのでしょうか。  この調査は信憑性に欠けるものであり,住民を納得させることはできません。  知事はどのようにとらえているのか,お答えをいただきたいと思います。  以上で,私の質問を終わります。 26 ◯議長(香取衛君) 知事橋本昌君。                    〔知事橋本昌君登壇〕 27 ◯知事(橋本昌君) 先ほどお示しいただいた報告書については,私はこれまでのところ承知しておりません。  ただ,その中に,拡幅などと書いてありましたけれども,拡幅は今回は予定しておりませんし,私どもとしては,今回の新滑走路を初めとした民航用の施設というものは,あくまで民航機の就航を目的とするものであって,現在の基地機能の強化を図るためのものではないと思っております。また,米軍のための施設整備でもないと考えておるところでございますので,そういったことについては,今後とも十分に国のほうとも協議をしてまいりたいと存じます。  それから,もう一点,湧水のお話でございますけれども,あの笠間の処分場予定地の場合に,当時,あそこで工事に携わっておった方々のお話では,少なくとも下から水が湧いてきたとかいうことはなかったと。ただ,尾根に降った雨が横のほうに回っていって下から出てくることはあるということでございまして,私どもとしては,それを湧水というかどうか,定義の問題その他ございますけれども,一般的に私どもが何年もかかって下から水が湧いてくる,そういう形での湧水を考えておるわけでございますので,それには該当しないものと考えております。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 28 ◯議長(香取衛君) 暫時休憩をいたします。  なお,会議再開は午後3時35分を予定いたします。                     午後3時10分休憩          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━                     午後3時36分開議 県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑(続) 29 ◯副議長(飯野重男君) 休憩前に引き続き,会議を開き,県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑を続行いたします。  小田木真代君。                 〔1番小田木真代君登壇,拍手〕 30 ◯1番(小田木真代君) 自由民主党の小田木真代でございます。  質問に先立ち,一言申し上げます。2002年の茨城県における2つの大きな大会であったサッカーワールドカップ,全国高校総合体育大会が大成功のうちに終了いたしましたことに対し,知事初め長い間準備をされてこられました関係各位に心から敬意を表する次第でございます。  多くの県民がさまざまな形で心に残る感動を得たことと思います。特に,インターハイにおける高校生の活動は,今後の人生において一つの糧となることと期待いたしております。  しかし,一方で,私は,総合開会式に参加いたしましたときに,違和感を感じたことがございました。それは,式典で,生徒の皆さんが着座のまま式が進行されたことであります。日々,心技体の鍛練を続けてきた高校生の精鋭が集う大会の開会式であるということを考えますと,着座のままの開会式に違和感を感じた方は多くおられたのではないかと思います。  この件につきましては,さまざまな議論があり,対応に苦慮されたと伺っておりますが,私としては,高校生らしいはつらつとしたものであってほしかったと少し残念な思いがいたしました。  今後,県内でのスポーツ大会や式典において前例とならないことを願っております。  それでは,通告に従いまして,知事及び関係部長並びに教育長に質問をいたします。簡潔で明快,かつ前向きな御答弁をお願いいたします。  初めに,日本加工製紙株式会社の自己破産への対策について,知事にお伺いいたします。  去る5月29日,日本加工製紙の自己破産という地元高萩市にとりまして大変衝撃的な事態が発生してから既に3カ月がたちました。この間,県では,6月4日に副知事を委員長とした日本加工製紙の自己破産関係連絡会議を設置していただき,関係部署の皆様に種々対応をしていただきましたこと,また,我が自由民主党政務調査会においても,多くの先輩,同僚議員の皆様に,高萩まで調査にお越しをいただきましたことに対し,この場をおかりいたしまして,心からお礼を申し上げます。  さて,日本加工製紙は,高萩市,ひたちなか市に工場があり,関連会社を含めると,県内では1,300名の離職者が発生していることは御承知のとおりでございます。  私の地元,高萩の工場は,1956年に創業した高萩パルプを前身として,1965年に合併し,日本加工製紙茨城工場高萩となり,高萩市の基幹産業として成長発展してまいりました。そこでは,関連企業を含めると800名を超える方が働き,そのうち市内には約500名の方が住んでおります。家族を含めると,市民全体の4%に当たる1,300名の方が市内で暮らしているのです。このような高萩市最大の雇用を抱える大企業が一瞬のうちに消滅したことによる地元への影響は,想像を超えるものがございます。工場の煙が消えたと同時に,商店街からも活気が消えてしまいました。  高萩市や地元商工会では,これまで市内の企業に対して,再就職への協力要請を行ってまいりましたが,高萩のハローワーク管内の7月の有効求人倍率は0.36倍であり,県全体の0.5倍を大きく下回っている状況の中では,とても市内の企業だけで吸収することは困難であります。  日本加工製紙の離職者は,約6割が45歳以上という中高年であるため,多くの人が住宅などのローンを抱え,子供の教育資金なども必要な時期になっており,当面の就職活動や生活に対する支援がどうしても必要であります。11月の社宅閉鎖の時期には,さらに離職者世帯の生活に大きな不安が生じることが予想されます。  また,日本加工製紙と取引してきた中小企業は数多くあり,このような関連企業の連鎖倒産を発生させるようなことがあってはなりません。  県においては,地域経済に大きな影響を及ぼしている事態を十分に認識し,職を失った元社員とその家族,そして連鎖倒産の不安を抱えている関連企業などがこれからの生活に希望が持てるような支援策を講じていただきたいと切に願うものであります。  そこで,県では,日本加工製紙の倒産をどのように認識し,離職者の雇用や生活支援対策及び取引企業等に対する連鎖倒産防止対策について,今後どのように取り組んでいくのか。さらに,商店街のにぎわいづくりなど,地域の活性化へ向けた取り組みについてどのように考えているのか,あわせてお伺いいたします。  次に,県北臨海地域の工業振興活性化策について,商工労働部長にお伺いいたします。  県北臨海地域の活性化については,これまでにも質問してまいりましたが,今回は,特に工業の振興活性化について伺います。  製造業の海外移転に伴い,国内産業の空洞化が進展しており,日本経済をめぐる情勢はますます厳しさを増しております。  本県においては,これまで,本県経済に大きな役割を果たしてきた県北臨海地域で,大手企業の再編や海外展開が急速に進み,地域経済を揺るがす規模で経営環境が変化しており,当地域経済の再生,活性化は急務の課題となっております。  一方で,技術の高度化や受注の拡大を目指す意欲ある企業や小規模ながら世界最先端の技術を有した企業も数多く存在します。  しかしながら,中小企業の多くは,資金や人的資源が限られてしまうため,企業単独での経営活動におのずと制限が生じてしまいます。  私は,こうした個々の企業の課題に対し,きめ細やかな支援策を行い,強い企業を育成する必要があると考えます。  県では,県北臨海地域の課題や産業集積を生かした今後の有効な施策を検討するため,県北地域産業活性化プログラムを策定し,新たな視点で企業支援に乗り出したと伺っております。  この県北地域産業活性化プログラムの策定を契機に,県北地域の産業振興と活性化がなされるように県の施策に期待をするところでありますが,このプログラムの対象地域は5市2町1村であり,これまでの経緯からいって,県北の南の地域の振興が中心になるのではないかと一抹の不安を持っております。  私は,ぜひこのプログラムを踏まえた施策が県北の北,いわゆる久慈川より北の県北臨海地域の産業の振興,活性化へ実のあるものとなるよう願っております。  そこで,県北地域産業活性化プログラムが策定されたことを踏まえた上で,県北臨海地域の工業振興活性化策について,どのように今後取り組んでいかれるのか,商工労働部長にお伺いいたします。
     次に,情報のネットワーク化におけるセキュリティー対策についてお伺いいたします。  まず初めに,住民基本台帳ネットワークシステムのセキュリティー対策について,総務部長に伺います。  去る8月5日に,住民基本台帳ネットワークシステム,いわゆる住基ネットが稼働いたしました。  このシステムは,氏名,生年月日,性別,住所の基本4情報と住民票コード及びこれらの変更情報を本人確認情報として,全国の市町村,都道府県と全国センターの間でネットワーク化することにより,全国どこでも住民票の写しの交付が受けられたり,これまで,恩給,各種免許,資格の登録の際に必要であった住民票の添付を不要にし,行政手続の負担を軽減するなど,住民サービスや事務の効率化に大きな効果があるものと期待しております。  住基ネットは,インターネットとは別の独自の回線により運用された閉じたシステムであり,インターネット上からの侵入はありませんし,ファイアーウォールなども設置されていることから,セキュリティーの信頼性が高いことは十分承知しております。  しかし,セキュリティーは,ハードウエアやソウトウエアだけで解決できるものではありません。最近の事件では,社内の人間による情報漏えいや保守管理を行う会社社員の個人情報売買目的による漏えい事件なども増加しております。  また,防衛庁の情報公開請求者のリストづくりや幾つかの自治体に見られるように,住民の個人情報が本来の目的以外に利用されるなどの問題も生じております。  さらに,報道では,住基ネットの端末を第三者の手に触れることができるような場所に設置している市町村があったり,また,操作にふなれな職員がいるなど,市町村によって対応やセキュリティーに関する意識のばらつきがあるとも聞いております。  今後,住基ネットを活用して,より住民の利便性を高めていくためには,堅牢なシステムをつくることと同時に,それを使う人間がセキュリティーに関してきちんとした取り組みを行うことが重要と考えます。  そこで,住民基本台帳ネットワークシステム運用に当たってのセキュリティー対策について,どのように取り組んでいくのか,総務部長にお伺いいたします。  次に,本県の電子自治体構築に伴うセキュリティー対策について,企画部長にお伺いいたします。  県では,ことし3月にIT戦略推進アクションプランを策定し,電子県庁を目指した全般的なIT施策を明らかにいたしました。  また,県と市町村が一体となって,ブロードバンド環境の実現や電子自治体構築などを進めるための組織として,いばらき電子自治体連絡会議を5月30日に立ち上げたと聞いております。  これらネットワークを利用した電子自治体のさまざまなサービスは,平成16年度に本格化しますが,その前に,内部体制を整え,セキュリティーの確保を万全なものにしなければならないと考えます。  県民が利用する電子自治体のシステムは,前段で述べました住民基本台帳ネットワークシステムとは違い,インターネットにつながる外に開かれたシステムであり,より堅牢なシステムにしていく必要が求められており,内部体制の十分な検討をする必要があります。  内部体制は,技術的な面と人的な面のセキュリティーを十分に確保していかなければなりません。技術面では,職階ごと,担当業務ごとにどういう権限を有するかまで決めるようなきちんとした対応がとれるようなシステムが必要と考えます。  また,人的な面では,県や市町村職員は,地方公務員法上の守秘義務がありますが,自覚のないままに情報を漏えいした事件がここ数年ふえております。  こうした事件を抑止するためには,だれもがわかるようなルールをあらかじめ示すことが大事であり,モラルを自覚してもらうために文章化することや組織的なチェック体制を整備するなど,担当職員が常に情報を管理することに責任と自覚を持たせることが必要であると考えます。  県では,電子県庁を整備していく一環として,組織として意思統一され,明文化された文書である情報セキュリティーポリシーの策定を進めていると伺っておりますが,その基本構想と策定状況及び今後どのように運用していくのか,お伺いいたします。  また,電子自治体の構築には,市町村との連携が必要でありますので,市町村を含めた全県的な見地でセキュリティー対策についてどのように取り組んでいかれるのか,あわせて伺います。  次に,男女共同参画の推進について,知事にお伺いいたします。  男女共同参画社会を形成する上での基本的枠組みを定め,社会のあらゆる分野における取り組みを総合的に推進することとした男女共同参画基本法が平成11年に制定され,現在,その実現に向けてさまざまな取り組みがなされております。  本県では,昨年3月に制定された男女共同参画推進条例に基づき,本年3月,茨城県男女共同参画基本計画が策定されたところであります。  策定の過程では,4,000名を対象とした意識調査や県民の意見を聞く会の実施など,幅広く県民のニーズを踏まえて決定したことは大変喜ばしいことと考えております。  男女共同参画社会は,男女が互いにその人権を尊重し,性別にとらわれることなく,個性と能力を発揮し,権利や責任を共有する社会であると理解しております。  しかし,現在の社会においては,さまざまな分野でまだ男女の格差が存在しているのが現実です。  また,セクシャル・ハラスメントや配偶者間等での暴力であるドメスティック・バイオレンスなど,男女間の人権意識のギャップから生じる問題も増加の一途をたどっています。  今後,男女共同参画社会の一層の推進を図るためには,その基盤となる推進体制の整備,強化はもちろんのこと,職場,地域,家庭での幅広い理解と協力が不可欠であるとともに,我が国や茨城県の文化のよい面を踏まえながら,男女の全般的な意識改革を進めていくべきと考えます。  そのためには,男女共同参画に関する十分な情報提供や相談機能の充実を図るため,男女共同参画センターのような参加,交流拠点とあわせ,充実した相談拠点が必要であると考えます。  この点については,関東近県では,同種の施設がないのは本県を含め,わずか2県であります。県全域から集える利便性の高い場所に気軽に立ち寄れる拠点施設を確保する必要があるのではないでしょうか。  そこで,男女共同参画推進の基本的考え方とあわせて,基本計画の中で示されている男女共同参画を推進するための拠点機能の充実強化について,今後どのように取り組んでいくのか,お伺いいたします。  次に,児童虐待への対応について,保健福祉部長にお伺いいたします。  頻発,深刻化する児童虐待問題に対応するため,平成12年11月に児童虐待防止等に関する法律が施行されましたが,それ以降も虐待による悲惨な事件はふえており,深刻な社会問題となっております。  厚生労働省の報告によりますと,児童相談所への虐待相談件数は,ここ数年で急増し,平成12年度では,10年前に比べると16倍以上に増加している状況であります。  また,虐待の内容も殴る,けるなどの身体的虐待が5割を占め,新聞等の報道で御承知のように,死に至るケースも少なくありません。ことし5月までの1年半の間に,全国で62件の虐待死事件が発生しております。  本県でも,昨年度,児童相談所に寄せられた虐待相談は,平成10年度に比べ約4倍の418件と急増しており,ことし7月には,児童相談所などへの通報がないまま,玉里村で3歳児が継父の暴力によって死亡するという痛ましい事件が発生いたしております。  法律の施行により,児童虐待の定義が明文化され,学校や保育所の関係者,保健師,医師などによる虐待の発見者の通告義務の強化や親が指導を受ける義務なども定められましたが,実際には強制力がなく,内容的には不十分なものと言わざるを得ません。  県では,茨城県児童虐待対策基本方針や茨城県児童虐待早期発見行動指針を策定し,虐待の早期発見,即時対応を図ってきておりますが,早期発見や虐待の未然防止等の対策の一層の強化が必要であります。  児童相談所は,虐待事実の認定,家庭環境の把握,今後の見通しなどさまざまな能力が要求されるため,専門性や資質の向上など体制の強化が課題ではないかと考えており,また,虐待の起こる原因や背景を解明し,母親任せになりがちな育児を社会的に支援する体制をつくっていかなければならないと考えます。  そこで,増加する虐待相談や虐待の未然防止について,県として今後どのように対応していくのか,お伺いいたします。  また,虐待を受けた児童に対しては,適切な保護が必要であることは言うまでもありませんが,これらの児童は,心にも深い傷を負っております。こうした心の傷は,身体の傷とは違い,ケアしていかなければ,その後の人生に悪い影響を及ぼすこととなります。虐待を受けた児童の心のケアをする環境を充実させることも必要であると考えます。  心のケアを必要とする児童を短期入所させ,あるいは保護者のもとから通わせて,情緒障害を治すことを専門に行う情緒障害児短期治療施設という施設があります。  国では,児童虐待への対応の一つとして,この施設を2010年までに全都道府県に整備することを目標としておりますが,本県にはいまだ設置されておりません。私は,こうした心のケアをする施設整備がぜひ必要であると考えます。  そこで,現在,虐待された児童の心のケア対策の取り組み状況と心のケアをする施設整備について,今後どのように対応されるのか,あわせてお伺いいたします。  また,これは,要望になりますが,児童虐待を未然防止,早期発見,保護することは重要でありますが,それだけでは真の解決にはつながりません。一度虐待をしてしまった親が再び虐待をしてしまうというケースが少なくない現状を踏まえ,親への指導に強制力を持たせることが必要と考えます。  児童虐待防止等に関する法律については,3年を目途に見直すこととなっておりますことから,来年には見直しがなされることと存じます。  そこで,虐待の真の解決のためにも,親の指導に強制力を持たせるよう,国に対し働きかけるよう要望いたします。  次に,土木行政について,土木部長にお伺いいたします。  初めに,国道461号の整備促進についてであります。  本路線につきましては,県におきまして,高萩市中戸川地区のトンネル整備,花貫踏切立体化事業,さらには昨年度から始まりました安全快適なみち緊急整備事業において,国道461号の主要な交差点のうち,県道高萩友部線と交差する安良川地区の交差点整備,また,県道日立いわき線と市道116号が交差する秋山地区の交差点整備など,順次,整備に御尽力をいただいているところであり,感謝申し上げます。  しかし,国道461号は,高萩市民を初め地域住民にとって非常に重要な生活道路でありますので,改めて質問させていただきます。  まず,国道461号花貫踏切の立体化についてお伺いいたします。  平成11年度より進められているこの事業については,昨年度から取りつけ道路の工事が着工されるなど,長年の懸案であった事業がやっと住民の方々にも目に見える事業となってまいりました。  この箇所につきましての危険性や渋滞緩和の必要性については,御承知のとおりであり,住民は一日も早い完成を望んでおり,今後,整備におくれが生じるようなことがあってはならないと考えます。  そこで,国道461号花貫踏切の立体化事業の進捗状況と今後の見通しについてお伺いいたします。  次に,国道461号の神宮司団地入口付近,都市計画道路石滝赤浜線の交差点部の改良の見通しについてであります。  この箇所は,国道461号と県において整備が進められている都市計画道路石滝赤浜線とが交差する場所でありますが,道幅が狭い上にカーブがきつく,地域の交通安全に支障を来しております。  また,近くに小学校もあり,子供たちの安全のためにも早急に改良する必要があると考えます。  そこで,国道461号の神宮司団地入口付近,都市計画道路石滝赤浜線の交差点部の改良の見通しについてお伺いいたします。  また,都市計画道路石滝赤浜線は,現在,神宮司から下手綱にかけて事業化されておりますが,この都市計画道路は,国道6号の高萩市内の渋滞を緩和するバイパスの機能を果たすため計画されたものでありますので,事業を南北に延伸して国道6号に取りつけられますよう御要望いたします。  次に,高戸海岸CCZ整備事業の現状と今後の見通しについてお伺いいたします。  高戸海岸CCZ整備事業は,昭和62年国が認定し,高萩市の計画に基づき,市,県,国と第三セクターにより整備が進められてきた事業であります。  これまで,人工リーフ,遊歩道,広場,駐車場,親水護岸などがつくられましたが,長引く景気の低迷から,民間活力による整備に着手できず,平成10年に公共事業再評価委員会で一時休止の答申を受け,北・東防波堤の概成をもって一時休止となっております。  この防波堤の整備によって広大な砂浜が形成されており,また,これまでの投資を有効なものとするためにも,利活用の方策を検討すべきであると考えております。  昨年の第2回定例会において,県北臨海地域の振興という側面から整備した海岸線活用の検討について質問したところですが,その際,知事より,商工会など民間の方々と協議の場を設け,活用方策について検討するとの御答弁をいただきました。  その後,県としては,関係者により協議の場を設けたと聞いておりますが,県当局では,これまでどのような対応をしてきたのか,お伺いいたします。  また,今後どのように有効活用を図っていくお考えなのか,具体的スケジュールにつきましても,お示し願います。  次に,小山ダムの現在の進捗状況と見通し及びダム周辺の整備についてお伺いいたします。  小山ダムは,本県最大の2級河川で,たびたびはんらんし,下流域に大きな被害をもたらしていた大北川の治水対策と高萩市,北茨城市における水資源の確保を目的に,高萩市横川地区において建設が進められております。  完成すれば,総貯水量1,660万トンという県内最大規模の多目的ダムとなり,高萩市,北茨城市の生活用水はもとより,農業などで利用するかんがい用水,工業用水などが安定して利用できるようになることから,周辺地域の振興に寄与してくれるものと地元では期待しているところであります。  また,小山ダム周辺の利用につきましては,平成13年の第2回定例会で,私が県北臨海地域の現状と振興について質問した際に,知事から,観光拠点としても期待される小山ダムの建設を図りますとの力強い御答弁をいただいております。  現在の日本全体のダム整備についての環境を見ましても,小山ダムが治水,利水だけでなく,観光資源として多面的な利用ができるよう整備されるべきと考えます。  しかしながら,小山ダム周辺整備につきましては,完成が見えてきた現在でも,今後どのように周辺整備を図っていくのか,具体的なビジョンが見えてまいりません。  土地を提供していただいた方々には,地域振興のためにと先祖代々の土地をダムのために身を切る思いで提供していただいた方も数多くおられます。  地元としても,これまで地域振興につながるよう努力しておりますが,地元や市だけではおのずと限界があります。  そこで,小山ダムの現在の進捗状況及び見通しと本体付近やダム湖周辺の整備について,今後の具体的な見通しをお伺いいたします。  次に,教育行政について,教育長にお伺いいたします。  まず,学力低下の懸念への対応であります。  新学習指導要領では,小中学校の指導時間が年間70時間,週当たり2時間縮減され,各教科の指導内容については,おおむね3割程度削減されました。高等学校においても同様に,週当たりの授業時間数が32単位時間から30時間が標準となり,2単位の減少となったことから,この新学習指導要領の全面実施を前に,児童生徒の学力低下を懸念する声が多く聞かれました。  そうした中,ことし1月に文部科学省より確かな学力向上のための2002アピール学びのすすめが示されたことは御承知のとおりであります。  その中で,経済協力開発機構,OECDの生徒の学習到達調査結果によると,我が国の児童生徒の学力は,国際的に見て上位に位置しているとの報告がある一方,我が国の生徒の宿題や自分の勉強をする時間は,参加国中最低であると指摘がされております。  例えば,本県高校生の学校週5日制実施に伴う土曜日の過ごし方に関する調査によると,自宅での学習が10.4%,学校での自学自習や学校での補習,予備校等での学習を加えても,学習活動を行っている高校生は,わずか16.8%という結果であり,小中学校の約25%に比べてむしろ低くなっていることに驚きました。  学校週5日制は,ゆとりや生きる力を養うため実施されたものであり,勉強することが目的でないことは十分理解をいたしております。しかし,自分のやりたいことや好きなこと,楽しいことしかやらないという傾向にあるのではないかと感じます。ゆとりとは,決して楽をすることではありません。私は,人間の成長過程における大切な時期には,辛くてもやらなければならないことがたくさんあるのではないかと考えます。  県内でも,学力低下への懸念から,古河市では,小学5,6年生及び中学生を対象に,旭村では,部活を引退した中学3年生を対象に,土曜スクールを実施しております。県立高校においても,多目的学習館や教室を開放し,希望者を対象に講習を実施しているところが出てきており,今後,勉強する生徒としない生徒の二極分化や地域差が拡大するのではないかと心配しております。  そこで,学力低下の懸念へどのように対応していかれるのか,御所見をお伺いいたします。  次に,県立高等学校の再編整備についてであります。  今日の社会は,国際化,高度情報化,少子・高齢化の進行,科学技術の進展など急激な変化の中にあります。  このような中で,中学校卒業者の約96%が高等学校に進学し,生徒の能力,適性や興味・関心・進路等が極めて多様化している一方,中学校卒業者は急激に減少し,活力ある教育活動を維持する上でさまざまな困難が生じてきております。  このような高等学校を取り巻く状況の大きな変化に対応し,県教育委員会は,ことし6月に平成22年を目標年度とした学校・学科のあり方や各通学区の基本的な整備方向を示す県立高等学校再編整備の基本計画を策定いたしました。  基本計画に基づき,平成15年度から18年度を前期計画,平成19年度から22年度を後期計画とした実施計画が現在策定されているところであり,過日,平成15年度分の学科改編についての実施計画が新聞報道等で御承知のように示されたところであります。  また,今回の再編計画においては,県立高等学校の統合についても,現在,111校ある県立高等学校において適正規模の維持が見込まれない学校については,統合を検討する対象とすると明記されています。  統合となりますと,どちらか一方の高校が廃止されるということであり,その地域やOB,在校生に与える衝撃は大変大きなものがございますし,既に生徒数が減っている高校やその地元では心配する声が挙がっていると聞いております。  しかし,少子化による生徒減少が続く中で,今後も学級を減らすことのみで対応していけば,学校の小規模化を招き,学校行事,部活動などに支障を来すだけでなく,生徒の多様な希望に応じた教育課程の編成ができない状況となり,生徒から競争力や活力が失われ,健全な子供たちの心と体をはぐくむという学校本来の機能が果たせなくなることになります。  私は,生徒間の競争や学校の活力を維持するためには,一定以上の規模が必要であると考えます。  今後,県立高等学校の統合を進めていく中においては,県民の中からさまざまな議論も出てくることとは思いますが,高等学校の統合は避けて通れないものであり,各論のために全体を見失うことなく,大きな視点から統合を行い,本県の高校教育改革をなし遂げていただきたいと願っているところであります。  そこで,高等学校の統合についてどのように進めていくのか,教育長にお伺いいたします。  以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 31 ◯副議長(飯野重男君) 小田木真代君の質問,質疑に対する答弁を求めます。  知事橋本昌君。                    〔知事橋本昌君登壇〕
    32 ◯知事(橋本昌君) 小田木真代議員の御質問にお答えいたします。  まず,日本加工製紙株式会社の離職者の雇用や生活支援対策についてでございます。  日本加工製紙株式会社の自己破産は,地域の代表的な企業の突然の倒産であり,これに伴い大量の離職者が発生しますとともに,取引先中小企業においても,今後の事業を抜本的に見直さなければならない事態に至っております。これらの影響は,地元の高萩市はもとより,本県にとっても極めて深刻であると認識をしております。  このため,県といたしましては,副知事を委員長とする日本加工製紙株式会社の自己破産関係連絡会議を直ちに設置し,全庁的な取り組みを行ってきたところでございます。  具体的には,専門の相談窓口を設置し,求人情報の提供や雇用相談に応じますとともに,金融機関に対するローン返済の猶予や社宅の継続利用等の要請などを行ってきたところでございます。  今後は,パソコン技術講習会を開催しますほか,提案している補正予算により,再就職のための講習会の拡充や雇用相談員の増員,雇用,生活面に関する出張相談などを実施しますとともに,職業訓練コースの充実を図り,離職者が一日も早く再就職できるよう積極的に支援してまいります。  次に,連鎖倒産防止対策といたしましては,セーフティーネット融資を行いますとともに,県内金融機関に対する資金調達の円滑化の要請,地元高萩市及びひたちなか市におけるセーフティーネット相談会の開催のほか,木材チップ納入業者が保有する原木の引取先の紹介などを行ってきたところであります。  今後とも,取引中小企業の現状を的確に把握し,金融支援のほか,受注先確保のための下請のあっせんなど,連鎖的な倒産を防止する対策を積極的に講じてまいります。  次に,商店街のにぎわいづくり等地域活性化に向けた取り組みについてでございます。  県といたしましては,まず,地元市町村や商工団体等関係機関を構成メンバーとする商工労働関係機関連絡会議などでの情報交換を通じ,地域活性化に対する具体的支援策の検討を行ったところでございます。  その上で,経営に重大な影響を受けている中小企業を支援するため,経営コンサルタントや弁護士などが無料で経営上の課題の相談に応じる緊急経営支援事業に加え,受注拡大エキスパートを増員し,受注先開拓の強化を図る事業について本定例会に補正予算案を提出したところであります。  商店街のにぎわいづくりにつきましては,高萩市と地元商業者等で構成する地域商業活性化のための協議の場に積極的に参加し,先進事例等の情報提供などを行いながら,市や商店街団体がハード,ソフト両面から活性化への取り組みができるよう支援をしてまいります。  また,雇用の場を確保し,地域の人たちが安心して生活できるようにするため,市と力を合わせ,優良企業の誘致にも努めてまいりたいと存じます。  さらに,地域を訪れる人をふやすため,花貫渓谷を初めとした豊かな自然環境やお屋敷通りなどの歴史資源を生かした高萩の魅力を体験できる旅行商品を企画し,観光客の誘致を図ってまいります。  こういったさまざまな施策を講じながら,また,市を初め地元と十分協議をしながら,今後,地域の活性化に努めてまいりたいと存じます。  次に,男女共同参画社会へ向けての取り組みについてお答えいたします。  まず,男女共同参画推進の基本的考え方についてでございますが,過日策定いたしました茨城県男女共同参画基本計画におきましては,男女の人権が尊重される社会の構築,あらゆる分野へ参画するための環境の整備,多様な働き方を可能にする環境の整備,健やかで安心できる生活環境の整備の4つの基本目標を掲げ,その実現に向けて,県民及び事業者と一体となって取り組むこととしております。  これらの目標を早期に実現するためには,多くの県民や事業者の皆様の御理解と御協力が大変重要でありますことから,本年7月には,つくば国際会議場で,男女共同参画県民フォーラムを主催しますとともに,ドメスティック・バイオレンスや子育て支援に取り組んでいる団体によるワークショップの開催を支援したところでございます。  また,男女共同参画推進月間である11月には,県内各地域でハーモニーフォーラムを開催しますとともに,市町村長や企業経営者を対象としてハーモニートップセミナーを開催するなど,意識の高揚に努めることとしております。  さらに,男女共同参画を推進する人材を育成するハーモニーカレッジの開催や女性海外派遣事業ハーモニーフライトを実施するほか,市町村での一層の取り組みが推進されるよう男女共同参画計画策定への支援や担当職員に対する研修を実施しているところでございます。  次に,男女共同参画を推進するための拠点機能の充実強化についてでございますが,県の女性プラザにおいて,男女共同参画に関する講座や講演会などを実施し,研修や交流,情報提供などの拠点として,県内の皆様に広く活用いただいているところでございます。  これまで,統計によっては,女性プラザを男女共同参画のための総合的な施設として扱ってくれていないケースもありますので,実態を説明し,直していただくようにこれからしていきたいと考えておるところでございます。  また,本年4月には,男女共同参画に関するさまざまな申し出に対応するため,第三者を委員とする男女共同参画苦情・意見処理委員会を設置しますとともに,配偶者等からの暴力に関する相談に対応するため,配偶者暴力相談支援センターを開設するなど,相談機能の充実強化に努めているところでございます。  拠点施設につきましては,その整備の重要性につきましては,十分に認識しているつもりでございますけれども,現在の厳しい財政を勘案いたしますと,なかなかすぐにとはいかない状況にありますので,当面,県女性プラザの充実強化を含め,生涯学習センターや三の丸庁舎,あるいは本庁の県民相談センターの活用などについて,有識者で構成する男女共同参画審議会等の意見を伺いながら,議員の御提案の趣旨を生かせるように検討を進めてまいりたいと考えております。 33 ◯副議長(飯野重男君) 次に,商工労働部長滝本徹君。                  〔商工労働部長滝本徹君登壇〕 34 ◯商工労働部長(滝本徹君) 県北臨海地域の工業振興活性化策についてお答えいたします。  県北臨海地域の久慈川以北,日立・高萩等の地域におきましては,県北地域内の製造業1,500社のうち,一般機械,電気機械器具製造業を中心に約1,000社が集積しており,県北の産業集積地域の中でも,特に重要な役割を担っておりますが,大手企業の海外生産移転などにより発注量が減少するなど厳しい状況が続いております。  こうした中,当地域の産業を再び活性化させるため,産・学・官の知恵を結集し,地域特性や産業資源を活用した新たな支援策が必要であるとの考えから,県北地域産業活性化プログラムを7月に策定したところでございます。  このプログラムは,特に,当地域の中小企業の自立化のため,ものづくり基盤的技術の高度化や受注の多角化,さらには新分野への進出を促すことをねらいとしております。  具体的な支援策として,企業が抱える喫緊の課題である受注の確保を強化する受注強化対策事業,資金調達,販路の確保など企業の問題解決を図るため,専門家を無料で派遣する緊急経営支援事業を本議会に補正予算として御提案したところでございます。  また,産・学・官の人脈を総動員するビジネス強化支援チームを設置し,企業訪問により企業ニーズの問題解決を図ります。  さらに,茨城大学による地域コンソーシアム研究会の立ち上げや経験豊富な大手企業OBを有効に活用するシステムの構築などにより,基盤的技術の高度化を図るとともに,若手経営者の第二創業や経営革新を推進するなど,日立地区産業支援センターや工業技術センターを中心に,当地域の工業活性化を図ってまいりたいと考えております。 35 ◯副議長(飯野重男君) 次に,総務部長末宗徹郎君。                  〔総務部長末宗徹郎君登壇〕 36 ◯総務部長(末宗徹郎君) 住民基本台帳ネットワークシステムのセキュリティー対策についてお答えいたします。  住基ネットのセキュリティー対策につきましては,技術面では,現時点での最高水準の対策が講じられていると言われておりますが,議員御指摘のように,何よりも現実に住基ネットに携わる職員のセキュリティーに対する意識や操作など運用の面において十分な対応をしていくことが重要であり,その取り組みを進めているところでございます。  まず,県におきましては,住基ネットの稼働に際しまして,個人情報保護審議会の意見を踏まえて,個人情報の漏えい防止等の措置を定める基準や緊急時の対応計画を策定したところでございますが,この基準には,セキュリティー対策会議や住基ネットを利用する各課所でのセキュリティー責任者の設置など責任体制を確立することに加えまして,本県独自の対策といたしまして,日々の操作履歴の確認を義務づけるなど不適正な使用を防止するための措置も盛り込んでございます。  また,住基ネットに関する情報漏えいに対しましては,住民基本台帳法に基づき通常よりも重い罰則規定が適用になりますとともに,目的外使用などの行為についても,懲戒処分により厳格に対処することといたします。  次に,市町村に対しましては,昨年後半から説明会等をこれまで6回ほど実施するなど,システム操作や運用面でのセキュリティー対策の取り組みについて,きめ細かに情報提供や助言等を行ってまいりました。  また,情報漏えいや目的外使用を防止するため,県と同様の厳格な取り組みを行っていただくよう要請をしてきたところでございます。  その結果,現在,すべての市町村でセキュリティー責任者が設置され,また,セキュリティーに関する基準につきましては,現時点で,9割を超える団体で策定済みであり,今月中にはすべての市町村で策定される見込みとなってございます。  今後とも,個人情報の保護措置などセキュリティー対策に万全を期して取り組み,住基ネットの活用による住民サービスの向上や事務の効率化に推進してまいります。 37 ◯副議長(飯野重男君) 次に,企画部長花岡洋文君。                  〔企画部長花岡洋文君登壇〕 38 ◯企画部長(花岡洋文君) 電子自治体構築に伴うセキュリティー対策についてお答えをいたします。  電子自治体の整備に当たりましては,住民の皆様方に安心してインターネットを使って電子申請,届け出などを行っていただけますよう十分なセキュリティー対策を講じていくことが必要であると認識をしております。  現在,本年3月に策定いたしましたIT戦略推進アクションプランに基づき,不正アクセスや災害など内外のさまざまな脅威から情報資産を守るため,県として総合的な対策を定める情報セキュリティポリシーといったものを年度内に策定すべく作業を進めているところでございます。  その具体的な内容といたしましては,まず,技術的,物理的な対策といたしまして,現行システムのリスクを分析し,不正な侵入を防ぐためのアクセスコントロールやコンピューターウイルス対策,さらには機器設置場所への入退室管理などの基準を定めてまいりたいと考えております。  これとあわせまして,すべての職員に個人情報の保護や情報漏えい防止などについて周知徹底をしますとともに,県全体として情報セキュリティーの確保に関する権限や責任の所在を明確にし,新たな脅威にも適切に対応できますよう組織的なチェック体制を整備してまいりたいと考えております。  また,このような電子自治体の整備に当たりましては,県と市町村が連携,協力しまして推進しているところでございまして,市町村のセキュリティー対策につきましても,県とすべての市町村が参加をしておりますいばらき電子自治体連絡会議の場を活用して,研修会の実施やポリシー策定の助言を行うなどセキュリティー確保のための取り組みを支援してまいりたいと考えております。 39 ◯副議長(飯野重男君) 次に,保健福祉部長山本光昭君。                 〔保健福祉部長山本光昭君登壇〕 40 ◯保健福祉部長(山本光昭君) 児童虐待への対応についてお答えいたします。  まず,増加する虐待相談への対応についてでございますが,平成11年度から13年度にかけまして,各児童相談所に児童福祉司など10名の増員を行い,今年度は,新たに児童健全育成主査など6名増員したところでございます。  さらに,福祉相談センターに児童虐待対応チームを設置し,緊急,あるいは深刻な相談について迅速な対応を行っているところでございます。  今後,土浦及び下館両児童相談所にも同チームを設置し,緊急,あるいは深刻な相談に対応するとともに,児童相談所を補完する児童家庭支援センターとなお一層の連携を図るなど,相談体制の強化を図ってまいりたいと考えております。  次に,未然防止についてでございます。  児童虐待を引き起こす大きな要因の一つと言われております子育て不安を解消することは大変重要でございます。  県といたしましては,保育所など身近なところで育児の相談を受けられる地域子育て支援センター事業や子育て広場推進事業を支援するとともに,乳幼児健診の際に,育児相談をあわせて行うよう市町村に働きかけるなど積極的に子育て不安の解消を図っているところでございます。  また,24時間対応のいばらき虐待ホットラインを開設するとともに,今年度は,虐待するおそれのある保護者などを対象に精神科医によるカウンセリングを実施しております。  しかしながら,7月に通報がないまま,児童虐待による死亡事件や傷害事件が相次いで発生いたしました。  このため,市町村や県の担当職員を対象として,児童虐待未然防止緊急連絡会議を開催し,地域での虐待防止ネットワークづくりと通報の周知徹底を改めてお願いしたところでございます。  次に,児童の心のケア対策の取り組み状況及び心のケアを行う施設整備についてでございます。  まず,取り組み状況でございますが,虐待を受けた児童を最初に保護する児童相談所の一時保護所に,心のケアを行うために心理判定員を配置しております。  さらに,生活の場となる児童入所施設では,虐待を受けた児童が多く入所している乳児院1カ所,児童養護施設5カ所に心理療法の専門職員を置き,心のケアを実施しているところでございます。  しかしながら,虐待の原因には,育児不安,経済的問題など保護者に起因するものや児童自身に起因するものなど複雑多岐にわたっております。  このようなことから,県といたしましても,児童の心の治療を専門に行う情緒障害児短期治療施設の必要性を十分認識し,児童入所施設長会議などにおいて設置を働きかけるなど取り組んでまいりましたので,引き続き早期に設置できるよう努めてまいりたいと考えております。 41 ◯副議長(飯野重男君) 次に,土木部長坂入健君。                   〔土木部長坂入健君登壇〕 42 ◯土木部長(坂入健君) 土木行政についてお答えいたします。  まず,国道461号花貫踏切の立体化事業の進捗状況と今後の見通しについてでございます。  花貫踏切は,JR常磐線と国道6号が非常に接近した位置で交差していることから,朝夕に渋滞が発生している状況にあります。  その対策として,平成5年度より踏切立体化の検討を進め,地域の要望が実り,平成11年度から国補事業として採択を受け事業に着手したところでございます。  事業の進捗状況でございますが,これまでに約90%の用地取得が完了し,花貫跨線橋前後の盛土など取りつけ道路工事を進めてまいりました。  今年度は,JR常磐線をまたぐ延長156メートルの橋梁の下部工事として,山側の橋脚工事に着手し,さらに海側,国道6号交差点付近から約200メートルの区間について盛り土工事を進めるとともに,残る用地の取得を進めてまいります。  今後は,用地取得を早期に完了させ,跨線橋の本体工事や前後の取りつけとなる道路の工事を進め,平成17年度を目途に,一日も早く供用が図れるよう努力してまいります。  次に,国道461号の神宮司団地入口付近の交差点部改良の見通しについてでございます。  この交差点部の改良は,都市計画道路石滝赤浜線の整備事業の中で,国道461号への取りつけ工事として行うものでございます。  事業の進捗状況でございますが,平成9年度から用地の取得を進めており,現在,交差点改良工事に必要な延長270メートルのうち,約75%の用地を取得し,残る用地は4筆となっております。  この用地については,おおむね地権者の御理解を得ておりますので,今年度内に用地買収手続を進め,平成15年度に工事に着手し,早期に交通の安全が確保されるよう努めてまいります。  次に,高戸海岸CCZ整備事業の現状と今後の見通しについてお答えいたします。  この事業は,高戸の浜の景観を生かしながら,良好な海辺のふれあいゾーンの形成を目的として整備を進めてきたものでございます。  県では,これまでに小浜地区において,海岸保全対策として人工リーフや緩傾斜護岸を整備し,市の公園整備と相まって,磯遊びなど多くの方々に利用されております。  また,前浜地区のマリーナ整備につきましては,隣接する多目的レジャー宿泊施設が閉鎖されるなど後背地の施設整備が見込めないことやマリーナ運営が厳しいと判断されたことから,東及び北防波堤の概成をもって現在休止しているところでございます。  しかし,当該箇所は,これら防波堤の整備により,後背地への波浪による被害軽減が図られ,さらに広い砂浜が形成されたことから,ビーチバレーや花火大会などに利活用されている状況となっております。  このような状況の変化を踏まえ,県といたしましても,これまでに地域の振興につながる新たな活用方策について地元高萩市とともに協議を進めるなど検討を行ってまいりました。  具体的には,ことし8月に関係機関による高戸海岸CCZ整備施設活用検討委員会を開催し,地元高萩市の素案をもとに検討課題の抽出と新たな整備計画の策定や今後の進め方について検討しているところでございます。  また,これまでの整備計画につきましては,内容を変更することとなりますことから,第三セクターの株主でもある高萩市の意向も踏まえながら,国との協議を重ね,おおむね調整が図られてまいりました。  今後の活用方策に関しましては,地元から,海水浴,磯遊び,キャンプ,バーベキュー等のレジャーや各種イベントの開催等の具体的な提案が数々なされておりますので,有識者や地元商工会の方々の意見等も踏まえながら委員会で取りまとめ,本年度内に整備計画を変更し,最終的に国の同意を得た後,それぞれの役割分担のもとに整備を進めてまいります。  次に,小山ダムの進捗状況と見通し及びダム周辺の整備についてでございます。  まず,小山ダムの現在の進捗状況ですが,平成12年4月にダム本体のコンクリート打設に着手し,ことしの8月末には約80%の打設が完了するなど,工事は順調に進んでおります。  また,土地収用法の手続を進めていました明け渡しを受けてない土地の立木につきましては,地権者の御理解と関係者の御尽力により,自主的な伐採が9月3日より開始されました。  今後の見通しですが,収用対象地の土地の明け渡しを受けた後,今年度内につけかえ県道の橋梁工事に着手し,平成16年度にはダム本体や放流設備,管理用機器等の整備を完了させ,その後試験湛水を実施し,平成17年度の竣工を目指してまいります。  次に,小山ダム周辺の整備についてでございますが,近年,余暇を活用する意識が高まる中,周辺整備に当たりましては,豊かな自然環境を生かし,自然体験やレクリエーションの場として利活用できることを基本理念としております。  このようなことから,ダム本体付近につきましては,現在,ダム下流部の河川改修にあわせ,遊歩道等の整備を進めているところであり,さらに,ダム湖を眺望できる展望台やイベントを開催できる多目的広場を平成17年度のダム竣工にあわせ整備していく予定であります。  また,ダム湖周辺につきましては,ダム湖中流部には,舟遊びができる多目的湖岸広場を有する湖岸体験ゾーン,ダム湖上流部には,水遊びやホタル観察などができる親水公園を有する河川体験ゾーンなど特色のある区域に分けて整備を進めてまいります。  なお,ダムを観光資源とする利用方策につきましては,高萩市や庁内各課による検討会を本年中に立ち上げ,その中で地域おこしについても,それぞれの役割を分担し,積極的に推進してまいります。 43 ◯副議長(飯野重男君) 次に,教育長川俣勝慶君。                   〔教育長川俣勝慶君登壇〕
    44 ◯教育長(川俣勝慶君) 教育行政についてお答えいたします。  初めに,学力低下懸念への対応についてでございますが,国際的な調査によりましてもわかりますように,我が国の子供たちは,知識や技能はすぐれているものの,学ぶ意欲や思考力,判断力等は不足しております。  そのため,国におきましては,知識を重視するだけでなく,それに加えて,みずから学び,考え,みずから解決する力などまで含めた学力,いわゆる確かな学力を育成することを基本的なねらいとし,基礎的,基本的な内容を確実に身につけさせるとともに,子供一人一人の能力,適性などに応じて,個人の能力を最大限に伸ばしていくことができるように発展的な学習や補充的な学習をも重視しておるところでございます。  本県におきましても,確かな学力の育成を目指しまして,小中学校では,御承知のとおりティーム・ティーチングや少人数指導を取り入れるなど,きめ細かな指導を通して基礎・基本の確実な定着を図っております。  また,中学校や高等学校におきましては,選択学習の幅を拡大し,生徒が自分の興味,関心,能力に応じて選んだ教科,科目や課題の学習,また,発展的な学習などに主体的に意欲を持って取り組めるようにするなど,個人の学力をできるだけ伸ばすよう努めておるところでございます。  今後とも,児童生徒一人一人が自己の能力を十分に発揮できるよう指導方法の工夫改善を図り,確かな学力の向上に一層努めてまいりたいと考えております。  次に,県立高等学校の再編整備についてでございます。  現在,本年6月に策定した県立高等学校再編整備の基本計画に基づき,平成15年度から18年度までの前期実施計画の検討を進めており,今年度末までには策定する予定でございます。  そのうち,平成15年度実施分については,中学生,保護者が進学希望校を選ぶ上で早く知らせる必要があることから先行して決定し,公表したところでございますので,今後は,平成16年度から18年度までの計画を策定してまいりますが,その中には,単位制,総合学科,学科改編などとともに,統合についてもその対象校と統合後の姿を示すことを考えております。  高校の統合につきましては,議員御指摘のとおり,生徒間における多様な個性の触れ合いや切磋琢磨の機会を確保し,学校の活力を維持するため,一定以上の規模が必要であるとの観点に立って進めていかなければならないと考えております。  統合の対象となる高校には,創立以来地域において担ってきたそれぞれの歴史や卒業生などのさまざまな思いもあることから,その実施については難しい面も出てこようかとは思いますが,統合後の新たな高校を創設するという観点に立って行うものであり,統合後の高校が社会の変化や生徒の多様化に対応するとともに,適正規模を保った活力のある教育を展開し,当該地域における教育力を一層向上させるために進めるものでございます。  県としましては,統合による新たな学校づくりに際しましては,学校行事などそれぞれの学校の伝統ができるだけ受け継がれるように配慮したり,校名や学科の編成などに地域の声も生かしながら定めたりするなど,関係地域の方々の理解をできるだけ得られるよう努めながら,計画の実現を図っていきたいというふうに考えております。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 45 ◯副議長(飯野重男君) 以上で,本日の日程は全部終了いたしました。  次回は,9月9日午後1時から本会議を開き,一般質問,質疑を続行いたします。  本日は,これにて散会いたします。                     午後4時40分散会 Copyright © Ibaraki Prefectural Assembly, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...